第142回国会 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第11号
平成十年六月四日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 六月三日
    辞任         補欠選任
     小川 勝也君     平田 健二君
     小山 峰男君     和田 洋子君
     竹村 泰子君     足立 良平君
     田  英夫君     梶原 敬義君
     笠井  亮君     須藤美也子君
     平野 貞夫君     阿曽田 清君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     足立 良平君     竹村 泰子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                石渡 清元君
                片山虎之助君
                釜本 邦茂君
                高木 正明君
                野間  赳君
                伊藤 基隆君
                小島 慶三君
                猪熊 重二君
                赤桐  操君
    委 員
                石井 道子君
                海老原義彦君
                鎌田 要人君
                亀谷 博昭君
                久世 公堯君
                国井 正幸君
                清水嘉与子君
                田村 公平君
                常田 享詳君
                長尾 立子君
                林  芳正君
                松村 龍二君
                宮沢  弘君
                足立 良平君
                石田 美栄君
                竹村 泰子君
                寺崎 昭久君
                平田 健二君
                和田 洋子君
                牛嶋  正君
                海野 義孝君
                益田 洋介君
                渡辺 孝男君
                梶原 敬義君
                須藤美也子君
                吉岡 吉典君
                吉川 春子君
                阿曽田 清君
                星野 朋市君
                佐藤 道夫君
                奥村 展三君
   政府委員
       内閣審議官    坂野 泰治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        志村 昌俊君
   参考人
       静岡県知事    石川 嘉延君
       松 江 市 長  宮岡 壽雄君
       社団法人経済団
       体連合会事務総
       長        内田 公三君
       日本労働組合総
       連合会会長    鷲尾 悦也君
       財団法人日本証
       券経済研究所主
       任研究員     紺谷 典子君
       行政改革会議事
       務局長      水野  清君
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  本日の会議に付した案件
○中央省庁等改革基本法案(内閣提出、衆議院送
 付)
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○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を開会いたします。
 中央省庁等改革基本法案を議題といたします。
 本日は、本案の審査に関し、参考人の方々から御意見を承ることとしております。
 参考人の皆様に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆様の忌憚のない御意見を承り、本法律案の審査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、まず石川参考人からお願いいたします。
○参考人(石川嘉延君) 私は、静岡県知事の石川嘉延でございます。
 本日は、参議院におきまして御審議中の中央省庁等改革基本法案について意見を申し述べる機会をちょうだいいたしましたことを大変光栄に存じます。せっかくの機会ですので、私の考えの一端を申し述べたいと存じます。
 まず、総論的な部分でございますが、我が国の国民生活や産業振興などのあらゆる分野で行政が主導的な役割を果たすことを基本としております現在のシステムは、戦後の復興とその後の高度経済成長に大きく貢献したことは申し上げるまでもございません。
 しかしながら、国民の所得水準が先進国のトップレベルになるなど、生活水準が一定のレベルに達しまして、産業の成熟化と社会の少子・高齢化が進む中で住民ニーズは多様化し、従来型のナショナルミニマムの確保の観点からの量的な拡大を基調とする供給側の発想に立った行財政運営では時代の変化に対応できなくなってきております。
 このような状況の中で、今般の中央省庁等改革基本法案にございますように、国の規制撤廃・緩和や、官と民との役割の見直し、さらに国の事務事業をできるだけ民間や地方公共団体にゆだねることは、今後の我が国の行財政システムのあり方の基本となるものと考えております。この法案に示されております中央省庁のスリム化を中心とする国の行財政改革は、我が国の行財政システムを抜本的に改革していく上で大きな一歩を踏み出す契機となるものと期待をしているところでございます。
 現在、全国の自治体におきましては、地方行革に積極的に取り組んでいるところであり、新たな手法を用いるなどの創意工夫を凝らしているところであります。そのような地方行政を運営する立場から申し上げますれば、今後、中央省庁のスリム化を図りながら地方における行政改革を推進するためには、地方分権による権限の移譲、国の関与の縮小、国庫補助負担金の一般財源化に伴う税源の移譲を徹底していく必要があると考えております。そのためには、例えば市の中の政令指定都市の場合と同様に、都道府県への権限移譲につきましても、その規模、能力に応じまして国からの移譲を進めるといった方法、言うなれば政令県制度というようなものを導入することも必要だと考える次第でございます。
 さらに、地域におきます行政サービスを従来型の供給サイドの発想から住民ニーズに基づく住民本位の発想に転換していく上で、国庫補助負担金の抜本的な見直しと税源の見直しが重要でございます。国庫補助負担金の問題は、行政の効率的な運営の観点から申し上げますれば、国庫補助負担金の交付事務は、市町村、都道府県、中央省庁の間で補助制度ごとに個別ばらばらに処理されており、そのために費やされている人的労力は、国、地方を通じて膨大なものがございます。
 さらには、地方公共団体や住民に国への過剰な依存心を生じさせており、問題の基本は税源の配分が国に偏っていることにあると存じます。
 私は、国税、地方税ともに地方が一括して徴収し、国税分は国に納付する制度とすることが将来のあるべき税の徴収制度であると考えております。
 これからの地方行政は、役所内部のみで施策の優先度を評価するのではなく、住民本位の観点から、いかに議会や住民の意見を取り入れて施策の優先度を評価していくかが重要であると思います。私は、行政にマーケティングの手法を導入する必要があると考えておるところであります。
 このような行政運営の発想を抜本的に改革しようとする試みにつきましては、後ほど本県の事例も御紹介いたしますが、このような動きは全国各地の自治体において取り組んでおるところでございます。
 このように、地方の役割と自主性を高めていくためには、今後国と地方公共団体との間の調整の仕組みがさらに重要性を増してくると予想されますから、その任に当たる国の組織、機関の確固たる位置づけが大変重要であると考えておるところでございます。
 次に、私が知事をしております静岡県の行財政改革の取り組みについて簡単に御説明を申し上げます。
 本県におきましては、昭和六十年以降、行財政改革に取り組んでまいりましたが、これまでの行財政改革は、ともすれば節約型の行財政改革ということに陥りがちでございまして、その限界も感じましたところから、本県におきましては、民間におきますリエンジニアリングの手法に着目し、平成七年度からこの手法の行政への導入に取り組んでまいりました。
 七年度以降いろいろ行いました試みを例示いたしますと、まず会議とか文書とか決裁印を半分にする、あるいは管理職を対象とした実務の企画提案研修を行う、若手職員の発想や提案を施策化する百人委員会を設けて、その場でいろいろな提案をさせるなど、リエンジニアリングの考え方の浸透を図りました。
 さらに、職員の自発性を促す試みとして、課長職を初め課題のあるポストへの就任を職員への公募によって行う職の公募制度。それから、技術職、事務職等さまざまな職種がございますが、その職種の変更を本人の意思で決める通称フリーエージェント制度の導入。さらには、行政運営の目的志向型転換を目指しまして、係が持ちます行政目的を表現し、それを実現するための手段と現在の実績や目標を示す業務棚卸し表の導入などを手がけてまいりました。
 昨年度におきましては、それをさらに本格化いたしまして、その成果として、従来の一次産業部門に係る部が二部ございましたものを一部に統合して、昭和四十九年以来十部体制でまいりましたものを二十四年ぶりに九部体制ヘスリム化する。さらに、組織のフラット化にも取り組みまして、課長補佐職を一部の部局で試行的になくしまして、目的別組織の再編を行っております。
 予算面といたしましては、一万二千に及びます業務項目のうち三千五百項目につきまして、廃止、縮小、委託化などを実施いたしました。定員管理につきましては、教育、警察、病院会計を除きます職員七千二百六十四人ございますが、これを五年間で五百人、率にいたしまして六・九%を削減するということで、既に平成十年度は百人の削減を実現いたしております。
 市町村への権限移譲につきましては、今後、平成十年度から三年間で三十八法令、百六十五事務について移譲するということで、初年度の十年度は三十五事務の移譲を完了いたしました。これらの手法を我々はさらに今後拡大をいたしまして、わかりやすい県民参加型の行政展開を目指して、客観的な評価基準の確立なども実行いたしたいと考えております。
 その一環で、今月末には、すべての業務についての目的、目標値、手段等を記載したシートでございます業務棚卸し表をすべて公開し、県民からも意見を伺う考えでございます。
 このような本県のリエンジニアリングをベースに置きました行政の生産性の向上を目指す改革は、まだ緒についたばかりでございますけれども、手ごたえをいろいろ感じておりますので、今後ともこれの徹底を図っていく考えでおります。
 委員の先生方からも御指導のほどをよろしくお願い申し上げまして、私の意見陳述にかえる次第でございます。
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。
 次に、宮岡参考人にお願いいたします。
○参考人(宮岡壽雄君) 全国市長会の相談役をいたしております島根県松江市長の宮岡でございます。
 諸先生方におかれましては、日ごろより格別の御支援、御高配を賜っておりまして、この機会に厚く御礼を申し上げます。また、このたびは発言の機会を与えていただき、深く感謝申し上げます。
 私は、市長の立場から意見を申し述べたいと存じます。
 社会経済が大きく変化する中で、我が国の諸制度は多方面にわたって見直しを迫られており、中央省庁の行政組織もその例外ではあり得ないと考えております。
 私は、以下七点につきまして、意見を申し述べたいと存じます。
 まず第一点は、改革の理念についてでございます。
 その際、まず重要なのは、どのような視点に立って検討するかということであろうと存じます。私は、この点については、国、地方を通じ、国民にとって最も適切な行政サービスが最も効率的に供給される仕組みを確立するとともに、これに見合った行政組織を整備するという考え方に立つべきであろうと考えております。
 それは、もう一歩進めて申し上げますと、国、地方を通じて事務、権限の見直しを行い、民間に任せることを含めて行政事務を整理するとともに、住民に身近な事務はできる限り住民に最も身近な地方自治体である市町村が行うこととするなど、地方分権を推進することにより中央政府の負担を軽くし、その組織のスリム化を図ることであろうと存じます。
 第二点目でございますが、地方分権の確保についてでございます。
 このような考え方は、本法案の基本的な方針や各省に関する規定の中にも示されております。すなわち、国の事務事業のうち、民間または地方公共団体にゆだねることが可能なものはできるだけゆだねることにより、国が果たす役割を重点化することを今回の再編に当たっての基本方針として定めておられるところでございます。問題は、これがどのように具体化されるかということでございます。
 第三点につきましては、地方分権下の地方自治所管機構のあり方についてでございます。
 地方分権が進展したときの地方自治に関する中央政府の組織のあり方について申し上げたいと思います。
 今回の法案の基礎となった行政改革会議の御議論においては、地方分権が進めば地方自治を所管する組織は縮小することとすべきだという趣旨の御意見があったと聞いております。しかし、私にはこれは逆ではないかと考えられます。
 例を申しますと、地方分権が進み、地方公共団体の仕事がふえてまいりますと、これに対処するための財源が必要になりますが、地方財源の確保は、国の財政を所管する組織と地方自治を所管する組織との間の大変厳しい折衝によって決定されておると言われております。
 例えば、今回の総合経済対策に伴う地方負担に対する具体的な財政措置も、自治大臣が大蔵大臣に対して強く求め、自治省と大蔵省との間の激しい折衝を経て決定されたと聞いております。このようなことが実態であろうかと思います。
 また、地方公共団体の事務とされたものについても、国の法令により相当細かく規定されております。最近の例で申しますと、介護保険制度や容器包装あるいは廃家電製品のリサイクル制度など、地方公共団体が非常に大きな影響を受けることとなる制度が次々に定められております。これらについては、地方の実情に即し、円滑な業務運営がなされるよう全国市長会も意見を述べておりますが、なかなか思うようにはまいりません。
 その中で、具体的な制度化については、政府部内でその事業を所管する組織と、地方自治を所管し地方の立場に立った議論を展開する組織との間で細部にわたるきめ細かい折衝が行われており、そして重要な事項の多くがその折衝の結果決定されているのが実態でございます。
 このようなことから、地方分権が進み、地方公共団体の事務がふえればふえるほど、地方公共団体がこれを円滑に実施し国民生活に寄与していくためには、地方自治を所管する組織が重要な役割を果たすことの必要性は一層増大すると考えられるのであります。
 地方六団体としては、今回の省庁再編問題に関し、地方行財政制度の企画立案や国と地方との調整を一体的に所管する組織を設けるとともに、これを専ら担当する大臣を置くこととすべきであると主張してまいりましたが、これは、地方自治が憲法に保障された重要な制度であるとの認識に基づくものであるとともに、ただいま申し上げたような実情を踏まえた考え方によるものであります。
 四番目でございますが、総務省についてでございます。
 今回の法案によりますと、地方自治を担当する総務省は、現在の自治省、総務庁、郵政省にわたる大変広範な事務を所管することとされております。
 私どもは、このような多くの異なる行政目的を持つ組織が現実にどのような運営をされていくのか、また、その中で地方自治の問題、地方公共団体の実情がどのように扱われることになるのか、正直なところ不安な気持ちでございます。
 現在は、自治省が専らの事務として地方自治を所管しており、専任の自治大臣もおられるわけでございます。したがって、地方財政対策のように、国と地方との間で必ずしも利害が一致しないときにも、これが国民のために必要とあれば、自治大臣は地方自治の立場に立った主張を強力にしてくれるという信頼感を持っているところでございます。そのような信頼関係がなければ、国と地方とがいわば車の両輪として相協力していくことはできないのではないかと考えております。
 以上申し上げた趣旨を踏まえていただき、十分御検討をいただきたいと思います。
 五番目でございますが、国土交通省についてでございます。
 この省は、国土の総合的、体系的な開発等を担当するもので、現在の建設省、運輸省が一つにまとまった大変大きな官庁となるものであります。
 都市自治行政は、各省庁のいわゆる縦割り行政を地域の実情に応じて総合的に調整しつつ展開しており、中央省庁の再編成に当たっては、このような総合調整ができる限り円滑に行われるよう配慮される必要があると私どもは要望してまいりました。この点、建設、運輸両省の機能を合わせた新しい官庁には、いわゆる縦割り行政の弊害をなくすことが期待されるところであります。
 しかしながら、その公共事業予算が平成十年度でいえば約七兆円にもなる巨大な官庁であり、その運営のあり方いかんは大変大きな影響をもたらすこととなります。例えば、都市基盤の整備は都市自治体にとって大きな課題でありますが、これらが、縦割りの弊害を解消しつつ、地域の実情に応じ地方主導で適切に実施されるよう願っております。
 国土交通省に関する規定の中に地方への権限移譲等の方向が示されておりますが、こうした規定が明確な形で実現されるよう期待をいたしております。
 六点目は郵政三事業についてでございます。
 全国市長会としては、このほかにいわゆる郵政三事業の民営化問題について、これが過疎地域等の地域実情をますます厳しくするものとして懸念する意見が多い旨申し上げてまいりました。これについては、総務省に外局として郵政事業庁を置くこととし、法施行五年後に国営の新たな公社に移行することとされたところでありますが、今後の検討においては私どもの意見の趣旨を十分反映していただきますようお願いをいたします。
 七点目は財政問題などについてでございます。
 権限移譲と関係の深い財政問題について、個性ある豊かな都市づくりのためには財政の裏づけが伴わなければなりません。財政負担を伴う事務、権限の移譲については財源の移譲を伴うことが不可欠であります。
 最近、特に厳しい状況にある地方財政の実態も勘案され、分権にふさわしい地方税財源の充実強化を図っていただきたいと考えます。
 また、国の補助金については、私どもは従来から整理合理化と必要な一般財源措置を講ずるよう要請してまいりました。法案におきましてもそのような考え方がうかがえますが、これが具体化されることが必要であると存じます。
 最後になりましたが、地方分権の推進は具体的な議論になりますと大変難しい面があります。そのため、これまでしばしば議論されましたが、なかなか実現を見ることができませんでした。中央省庁の再編というこの機会にぜひとも明確な形で実現をお願いしたいと存じます。
 いずれにせよ、中央省庁の行政体制がどのようになるかは、地方自治にとって極めて重要な、切実な問題であります。省庁再編後の新しい体制が地方自治の確立にふさわしいものとなりますことを強く期待しているものであります。
 以上、私どもの考えを申し述べさせていただきました。諸先生方には、引き続き特段の御理解と御支援を賜りますようお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。
 次に、内田参考人にお願いいたします。
○参考人(内田公三君) 経団連事務総長の内田でございます。
 本日は、中央省庁等改革基本法案について意見陳述の機会を賜り、心から御礼申し上げます。
 政府提案の中央省庁等改革基本法案に賛成し、今国会での早期成立を望む立場から意見を述べさせていただきます。
 まず、この再編の必要性についての基本認識でございます。
 明治以来の欧米先進国に追いつき追い越せ型の経済発展を前提とした我が国の経済社会システム、この官主導、中央主導型の経済社会システムというものは今や行き詰まっていろいろな問題を生じ、むしろこれからの発展の足かせとなっているのではないかというふうに考えております。そうした中にあって、我が国は今後、経済社会の活力を維持増進し、真に豊かで活力ある市民社会、世界の平和と繁栄に貢献する国を目指すためには、官から民へ、そして国から地方へという精神に立って、民間の創意工夫、自由な活力発揮の実現を目指すことが不可欠と考えます。
 経団連では、かねてから規制緩和を初めとする行政改革に取り組んできております。さかのぼると、第一次佐藤臨調や、あるいは第二次土光臨調を支えてまいりました。特に、土光臨調が発足した昭和五十六年には、経済界全体として行政改革を支援していこう、支援しなければならないという認識から、経済五団体のトップから成る行革五人委員会――経済五団体といいますのは経団連、商工会議所、日経連、経済同友会、それから関西経済連合会でございますが、この経済五団体の長から成る行革五人委員会というものを発足させて、機会あるごとに応援してまいったわけでございます。
 今回の中央省庁等の改革につきましても、これは佐藤臨調からの懸案事項であり、規制緩和や経済構造改革と表裏一体をなすものと考えております。そこで、行政改革会議の発足に当たりましては、ただいま申し上げました行革五人委員会の、つまり経済五団体の全面的な支持を得て経団連の豊田前会長が行革会議の委員に就任いたしまして、経済界としても行政改革会議を全面的に支援してまいった次第でございます。
 グローバル化した大競争、メガコンペディションの時代におきましては、その国の政府がいかに効率的であるか、いかに時代の要請に適切に対応できるかが重要でございます。既に民間企業の方は組織の不断の見直し、リストラを行いまして、時代と市場の変化に対応するための組織改編を行っておりますし、政治の世界においても選挙制度改革等によって抜本的な改革が行われていると承知しております。
 そうした中で、制度疲労とか金属疲労とか言われておる官庁がひとり旧態依然としていることは許されないことでありまして、組織等の抜本的な見直しを行うことが不可欠であると考えます。
 革命とか戦争時はいざ知らず、平和時においてこの中央省庁等の大改革を行うということは我が国においてもこれまで例を見ないことでありますけれども、二十一世紀の明るい未来を切り開くためには何としてもなし遂げなければならないと考える次第であります。
 こうした基本的な考え方に立ちまして、今般内閣が提出されました中央省庁等改革基本法案を私どもがどう評価しているかについて、やや具体的に御説明申し上げたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、行政改革会議に対しましては、経団連の行政改革推進委員会、さらには経済五団体の行政改革五人委員会での検討を踏まえまして、豊田前会長が経済界を代表して見解を提言してまいりました。中央省庁からの実施機能の分離、省庁の大ぐくり化、それから内閣機能の強化など、これらは経済界の提言したことでございますが、これらのほとんどが今回の基本法案に盛り込まれております。したがいまして、私どもは基本法案の内容に基本的に賛成でございます。
 また、海外の論調などを見ましても、海外諸国は今回の行政改革に際して日本が本当にみずから変わることができるかどうかということに注目しております。万一、基本法案の成立がおくれるようなことがございますと、海外諸国は日本の自己改革能力に対する不信の念を増幅しかねません。中国と韓国は日本より後からこの行革の検討を開始したにもかかわらず、既に中央省庁の再編を実施に移しておるというふうに仄聞しております。改革のスピードということも今日においては重要な要素であると存じます。
 こうした観点から、経済界としてはこの法案が今国会で成立し、簡素で効率的な行政の実現に向けた第一歩が確実に遅滞なく踏み出されるよう強く希望する次第であります。
 もちろん、この基本法の成立は改革のいわば出発点でありまして、基本法成立後は二〇〇一年一月一日からの新体制移行を目指して、中央省庁等改革推進本部において必要な作業が行われることになっております。したがって、その段階で簡素、効率的で小さな政府の実現という改革の趣旨が十分具体化されるように本部における作業をこれから見守っていくことが、この法律が成立したことを前提としてでありますが、重要でございます。
 その際、特に御配慮をお願いしたい点を五つ申し上げます。
 第一は、再編によって誕生する省庁の中には所掌範囲が広範囲にわたるところがありますので、企画立案機能と実施機能の分離とか、本省と地方部局との組織、人員配置の見直し、これを徹底することがどうしても不可欠でございます。
 第二に、独立行政法人については、行政改革会議の最終報告で検討候補に挙げられた機関は原則としてすべて独立行政法人とすることに加えまして、将来における完全な民営化をにらんで、非公務員型を基本とすべきではないかと考えます。
 第三に、規制緩和、地方分権並びに地方レベルでの行財政改革、行政情報の公開、パブリックコメント制度の導入等は中央省庁の再編問題と密接に関連した課題でございます。こうした課題についても省庁再編と整合性を持って推進していただきたいと存じます。
 第四に、省庁の設置法の検討に当たりましては、組織の簡素化、事務の効率化はもとより、国民に信頼される透明かつ公正な行政運営が担保されるようお願いいたします。例えば、新しく制定する設置法では各省相互間の任務分担のみを規定して、国民に対する権限行使は個別の法律で別途規定してはいかがかと考えます。
 第五に、郵政事業については、郵政事業庁を経て公社に移行するまで、基本法案によりますと最長で七年を要する事態も考えられます。可能な限り二〇〇一年一月一日からの新体制移行を定めた基本法の精神を尊重して、郵政事業についても遅滞なく公社化するよう要望いたします。また、郵政事業への民間参入についても、政府において速やかに検討を進めていただき、早期に実現することを要望いたします。
 最後に、中央省庁等改革基本法案の速やかな成立と確実な実施を重ねて要望いたしますとともに、この機会に、今次行政改革と表裏一体をなす規制緩和につきまして、ぜひ法律に基づく強力な第三者監視機関の設置をお願いいたしまして、私の意見陳述を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○長尾立子君 自由民主党の長尾立子でございます。
 石川参考人、宮岡参考人、内田参考人、各先生方におかれましては、大変御多忙のところ本委員会に御出席を賜りまして貴重な御意見をお聞かせいただき、心より感謝を申し上げる次第でございます。
 今、三先生方のお話を伺っておりまして、大変興味深く、また今後の我が国の行政改革の進展、また社会全体の改革について、示唆に富む御意見が多かったように拝聴をした次第でございます。
 石川参考人が静岡県、県といういわば行政の主体を企業の論理で見直してみる、こういう観点から組織、運営、これらについて抜本的な改革にお取り組みいただいているというお話なども大変興味深く聞かせていただいた次第でございます。
 今後の難しい日本の社会経済の中で、地方公共団体の果たしていただく役割は大変に大きいものではないか、その観点から幾つかの点について御質問をさせていただきたいと思っております。
 今回の法案の大きな柱の一つは、国と地方公共団体の役割を見直していくということにあるわけでございます。また、それぞれの先生方から御意見の開陳があったわけでございますが、今後の社会においてはやはり住民の一人一人のニードと申しますか、生活それから経済、そういった視点を大切にする、こういうことがすべての分野に求められていくという時代ではないかというふうに思っているわけでございます。
 二十一世紀に、先ほども宮岡参考人のお話にございましたが、第六の社会保険ともいうべき介護保険のスタートという大変大きな転換を迎えているわけでございます。介護保険を市町村に担当していただくということが法律上議論になりましたときに、市町村の方から介護保険事業を担当することに対する大変な反対意見というものの開陳がございましたし、また市町村側以外でも、果たして市町村がこのような事業を主管する主体としてふさわしいのかどうかという議論も実は多々あったように考えるわけでございます。
 しかし、この介護保険に代表されますように、今後の住民の皆様の大きな課題であります医療または福祉という部分をとりますと、住民の皆様の生活を重視する、ノーマライゼーションという言葉がございますが、何かこういった問題のある方々を施設の方に隔離をしていくということではなくて、その方々の生活の本拠地である住まい、そこを取り巻く市町村、その中でできる限り従来のその方の生活を守りながら持っておられるニードを充足していく、そういうような方向に医療にいたしましても福祉にいたしましても進まなければならない、こういうような時代の要請があるわけでございます。
 そういう意味では、最も住民にとって身近な市町村への期待ということが非常に強くなっていくのではないか。特に、さっき申し上げました介護保険の導入という大きな問題につきましては、市町村が今後その役割を担っていくについては大変大きな課題が山積しているわけでございます。
 こういった議論の中で、現在三千の市町村、この中には人口規模にいたしましても数千、またはそれよりも少ないという市町村もあると伺っておりますし、また財政力、行政能力、こういう面でも百万都市と数千の市町村ということを考えますと、極めて大きな差がある、これは事実であろうと思っております。
 主として石川参考人、宮岡参考人に、こういった市町村の行政能力を高めていく問題、このことについて御意見を伺いたいと思うわけでございます。
 昭和二十九年ごろからいわゆる市町村の合併ということが進んだわけでございますが、この市町村合併ということが現在の段階でこういった問題の解決として議論されているわけでございますが、このことにつきまして石川参考人、また宮岡参考人から御意見を伺いたいと思います。
○参考人(石川嘉延君) 市町村の行政能力向上方策、特に合併の問題をどう考えるかというお尋ねでございましたけれども、私も長尾先生御指摘のように、そのための方策として合併は非常に有効な手だてだと存じます。
 しかし、これはかつての市町村合併促進法時代と時代の状況も随分変わっておりますので、あのときにとられたようなかなり強制的といいますか、いろいろな手だてで合併を強力に、ある一定の期間、目標を定めて推進をするという手法は今日ではとりがたいと存じます。したがって、できるだけそれを誘導するような手だてをいろいろ講じていただく必要は十分あると思いますし、県におきましてもそのようないろいろな方策を今講じておりますけれども、一方でどうしても歴史的あるいは地勢的に合併しがたいような離島とか山間地があるわけでございます。
 一番問題なのは、この地域の行政能力の向上をどう考えるかということでありますが、静岡県ではそれに対する一つの工夫といいますか、解答ではないかと考えてやっておりますことは、特に行政能力を向上するときに一番重要になりますのは、専門技術的な職員の確保が非常に重要になりますので、そこのところの不足を補うために県が一種の人材派遣業といいますか人材供給バンクになりまして、人事交流によってそれを補うという方向で現在大々的に始めております。
 このようなことが一つの方法でございますし、さらにもう一つの手法としては、現在既に道路とか下水道で行っておりますが、過疎代行という制度がございます。これをもう少し拡大いたしまして、事務の都道府県への一部委任、委託というようなことも一つの方法ではないかというふうに考えております。
 人事・公平委員会制度においては、県の人事委員会に市町村の公平事務を委託しているという、既にそういう制度もございますので、それを一般行政にも拡大するという方法もあろうかと。これらは現行の制度でやり得ることでございますので、静岡県におきましては、市町村といろいろ話し合いをしながらその辺のことも実現をしていきたいと考えております。そういうことを行いやすくするようなまたいろいろ財政上の仕組みも考えていただければよろしいかと存じます。さらに、広域行政も重要な手だてだと思っておるところでございます。
○参考人(宮岡壽雄君) 確かに、全国の市町村を見てまいりますと、行政能力あるいは財政力で若干の格差は避けがたいと思います。
 実は、市長会の百周年がきのうございまして、記念シンポがございました。そのシンポジウムの中で、今、地方分権論で受け皿ということがあるけれども、受け皿というのは上から落ちてくるものを受け取るということで、これは失礼な話だ、したがって受け皿というのではなしに、我々お互いの地域の住民のための担い手なんだ、そういう自覚を持ってやるべし、こういう発言がございまして、大変私ども同感を得たわけでございます。
 今まで、どうしても中央集権の場合には依存心がございまして、やや自己決定といいますか、自尊心、自立心というのが欠けていた嫌いは確かにございますが、地方分権になりますと、私は、自己決定をして、自己責任、自立というのがおのずから備わってくるのではないかと思います。
 とは申しましても、現実にはかなり格差なりがあることは事実でございますので、今一番大きな問題は行政区域と生活圏域が乖離しておるという問題がございますので、できるだけ生活圏域に合わせた合併というのが私は必要だと思っております。
 そのためには、今、自主合併というのが建前ではございますが、やはり国の方もある程度制度的な見直しもお願いしたい。先般、住民発議制というような制度もできて、大変これはいい制度だと思いますが、また県の方もある程度合併機運を高めるためにいろんな合併パターンを示したり、あるいはその功罪を大いに市町村にわからしめる工夫が必要ではないかと思っております。
 私どもも、合併パターンとしては、母都市と周辺の町村、それから市対市、町村対町村という幾つかのパターンがございますが、介護保険というもので今大変審査能力ということを広域的にやらざるを得ないということで、今までの消防とかごみ処理と違いまして人を相手にする行政でございますので、私は、これからはこれを契機にして、外国でも合併した国があるということでございますので、まず今の三つのパターンの中で母都市と周辺町村の合併というのが一番スムーズにいくのではないかと思います。
 私の方も今、周辺町村と内々その可能性について下で議論をしているところでございまして、恐らく私は来年の統一選挙が終わりますと、ある程度そういうことも前向きに取り組める地域が出てくるのではないか、こう思っております。ぜひ、合併というのはこれからの地方分権時代には必要なことであると思っておりますので、国の方におかれても制度的な御理解をいただけたらと、かように思っております。
○長尾立子君 石川参考人が都道府県においても政令指定都市の制度のようなものを考えてみたらどうかというような御意見の開陳があったように思うのでございますが、大変興味深いお話と承りましたので、もう少し詳しくお話をいただければと思います。
○参考人(石川嘉延君) 地方自治の拡大をしていきます場合に、現在の議論は専ら市町村の機能をどう高めるかという議論と、それからさらに一足飛びに道州制の議論というふうに飛ぶわけでございます。私は、これらの議論の国民への広がりといいますか、与える反応を拝見いたしておりますと、道州制の議論というのはどうもぴんとこないというのが実情ではないかというふうに思うわけでございます。道州制議論はもう言い出されて三十年近くも歴史を経ていると思いますけれども、なかなかぴんとこない。
 私は、実務を担っている観点から考えますと、一昨年から市に政令市と一般市の区分の中間に中核市制度というのができまして、これが実は市町村合併を促進する上で大変大きなインパクトを与えております。これは、何のために合併するかということを住民の側に非常によくわかりやすい形でこの制度は提示をされたと思うのであります。合併をすればそれだけ具体的に自治権限が高まると。
 そういうことを今度は都道府県とか道州制議論になぞらえて考えてみますと、道州制というのは、一体、地方分権タイプの自治行政タイプなのか、あるいは国の地方支分部局の強化のような形で出てくるのか、非常に議論がまだ判然といたしません。それに対して、私が申し上げている政令県というのは、規模、能力、人口規模とか面積とか一定の要件を備えたものについて、国の地方支分部局の権限はすべてその県が処理をするというようなことをイメージして提案しているわけでございます。現実に、今、政令市を抱えた都道府県がたくさんございますけれども、その地域の実情を見ますと、むしろそういう都道府県は国の権限をそのまま担ってもいいような実力、実態を私は備えていると思うのでございます。
 そういたしますと、一般その他の都道府県におきましても、それでは一定の規模になったら自治能力が高まるということで、中間段階においてもそのような合併の機運が高まり、今の都道府県とは違う自治能力を備えた地方行政がもっと展開されるのではないか。そういう経過を経て、最終的にはまた道州制の議論が最後の決め手として出てこようかと思いますけれども、私は実際的な問題としてそういうことを考えて提起している次第でございます。
○長尾立子君 ありがとうございました。
 内田参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 今回の法案の大きな柱の中に、国または行政と民間の役割分担、これを大きく変更しようということがあるかと思っております。先ほどもお話しのように規制緩和ということで経団連は数々の提案をされてきたわけでございますが、こういった新しい秩序の中で今までの我々の社会に欠けていたようなものを補充していく必要がある部分があるのではないか。
 経団連が、例えばお互いの争い事といったようなものを司法の場に持ち込むというケースが多くなるのではないか。そういう意味では、日本の法曹人口というのは諸外国に比べて大変少ないわけでございますが、こういったものの充実といったような観点からこういう部分への手当てが必要であるという御意見を出されたように記憶をいたしているわけでございます。
 これにとどまりませず、こういうお互いの役割を変えていく過程の中で我々の社会のいろいろな部分で手を打っていかなければならない部分というのは大変多いのではないかという気がいたしますが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(内田公三君) 大変重要な御指摘をいただきました。おっしゃるように、行政改革とか規制緩和というものを進めていけばいくほど企業なり個人の自己責任というものが厳しく求められることになると思います。
 企業について言えば、いろんな行政による規制を撤廃していけばいくほど、例えば独占禁止法の運用というようなことがますます重要になってきますし、それから、必ずしも法律でないにしても、企業の倫理というものも厳しく求められてくるということで、一昨年、昨年といろんな企業の不祥事が相次ぎましたが、経団連では企業行動憲章というものをつくりまして会員会社にその遵守を求めて企業倫理の高揚に努めてまいっているところでございます。
 それから、司法制度の問題につきましても、私ども最近検討を始めたばかりでございますが、行政改革とかあるいは立法制度、選挙制度の改革、行政とか立法の面というのは既に注目されてきております。司法の面については、相対的に言うとどうも今まで余り目が向けられていなかったのじゃないか。しかしながら、行政改革というものが進んでいけばいくほど、いろんな意味で司法の果たす役割というものが重要になってくると思います。
 よく言われるように、法曹人口が非常に少ない、したがって裁判の進行がなかなか遅いとかいうような問題いろいろございます。これはまた外国からもそういった点は批判があります。別に外国から批判されたからやるということではございませんが、そういうことで、私どもは、法曹人口の増大ということも先生御承知のように提言したりしておりますし、今後も司法の果たす役割、司法制度をどういうふうにしたらよりよくできるかというようなことについてもっともっと勉強していきたいと思っております。
○長尾立子君 また内田参考人に少しお伺いをしたいと思うのでございますけれども、日本の社会というのはやはり官の力といいますか、そういうものが非常に長く強かったということがありまして、国民の皆様も民間の役割ということについてなじみがないのではないかという部分もあるように思います。
 しかし、民間団体がそれぞれ社会的な力を持っていくというのは非常にこれまた困難な実情にあると思われるわけでございます。さまざまな立場の民間団体が我々の社会の中で発言をしていくということは非常に重要なことではないかというふうに思っているわけでございますが、内田参考人の御意見を聞かせていただきたいと思います。
○参考人(内田公三君) これまた、まことにおっしゃるとおりでございまして、いろんなそういう官の統制とか規制緩和というものを進めていきますと、それに応じて民間の役割あるいは責任が非常に重要になってくるということで、経団連という組織もこれは広い意味でのNGOの一つでございますが、私どもはそういう民間の自主的な役割の発揮ということがこれからますます行われやすいように、先般もNGO法案の制定なんかも強く推進してまいりました。社会貢献活動でありますとか、あるいは民間レベルの外国への経済協力でありますとか、いろんな面で、国内外においてこれから民間経済界を初め民間の果たす役割はますます大事になってくると私は思います。
 そういった民間の自主的な活動が行われやすいようにいろんな環境整備を、規制緩和も含めて法制度面の環境整備を政府あるいは政党の方でもぜひ考えていただきたいというふうに思っております。
○長尾立子君 石川参考人、宮岡参考人にお伺いいたしたいのでございますけれども、今後の地方行政の中で住民参加の問題というのも大変大きなテーマになってくるのではないかと思っておりますが、それぞれお話を伺わせていただきたいと思います。
○参考人(石川嘉延君) 御指摘のように、大変重要なテーマだと思います。そのためにどういう方法を講ずるか、我々もいろんな試みをやっているわけでありますが、その一つの大きな手だてとしては情報の公開ということではないかと考えております。
 そのために、本県では、今月末から県の行っております業務すべてを公開するということで、業務棚卸し表というシートを作成しまして、目的、目標、投入している人員、予算、それからどれだけその目標を現在達成しているか等々をわかりやすくシートにいたしまして公開する。それによって、また県の行っておりますいろいろなことに批判や意見や要望を寄せていただいて、これを最終的に議会に反映して改善をしていく、そのような手法を考えております。
 そのほか、県民の声という広聴活動の拡大だとか、あるいは私自身が各地へ出かけていろんな県民の意見を伺うとか、その他さまざまな従来型の手法もいろいろ行っておりますが、最近の方法としてはそのようなことを行いながら、いかに住民が県政に関心を持ち、参加をしてもらうか、いろいろ努力を今後ともしていきたいと思っております。
○参考人(宮岡壽雄君) 住民参加は大変重要な事柄でございまして、先ほどの石川参考人からの御発言のように、やはり参加の第一歩は情報を共有化することだと言われておりまして、各自治体とも今積極的に情報公開なり、あるいはふだんの政策の公表というのはしておる段階でございます。
 しかし、一部には非常に重要な政策決定について住民投票という要請もございますが、やはり何かの意向を調査するという投票はございましても、政策をそういう形で決めることがいいかどうかというのはなお検討の余地があるのではないかというふうに私どもは思っております。
○長尾立子君 どうもありがとうございました。
 終わります。
○小島慶三君 民主党・新緑風会の小島でございます。
 きょうは、三先生、御多用中を御出席いただきましてありがとうございます。少し時間をいただきたいと思います。
 私、この行政改革の問題が始まりましたときに、私なりにいろいろ考えてみまして幾つかの案をつくったことがあるわけでありますが、行政改革をスムーズに進める上で非常に邪魔になるものが三つある、邪魔になるというか抵抗されるものが三つある。一つは担当の、改革の対象になる組織の中の人々の反応、これが一つあると思います。それからもう一つは、やはり景気の動向がどうかということで、これは非常に最近切実性を増してまいりましたが、これは最後にお伺いしたいと思います。それからもう一つは、外国の干渉というものがありはしないか。その三つの邪魔になるものがありはしないかというふうに思っていたわけであります。
 とにかく、こういう形で行革会議を通じ法案ができて、そして具体的な問題として行革を進めるというところまで、戸口まで来ているわけでありますから、この三つの問題も何とか対応をしていかなければいけないというふうに思うわけでございます。
 その一つの、担当になる、対象になる組織、機関の中の方々の反応という問題なんですが、その前に、私は今の組織、県の大きさ、県の規模、県の機能、今の県を対象にしてこの問題を考えるかどうかということが一つあると思うのでございます。
 私、これは個人のことになって恐縮ですが、全国に三十六の小島塾というのを持っておりまして、そのメンバーが地方の自治体に属しておられるものですから、いろいろ自治体に対しての意見というのをたくさん提供してくれるわけであります。その中で一つ、今の県というのは非常に多忙であるし、事務煩多である。その上にまた国の事務というものが移管されてくるということになると県の肥大化というものが非常に心配になる。
 だから、一方では、先ほど御議論がございましたように、県の広域化とか道州制とか、こういうことも確かに一つの検討すべき事項かと思うんですけれども、県の最適規模というものを一体どの辺に設定するかということがやはり一つの課題ではあるまいかということで、これはおかしな言い方でありますが、廃県置藩なんていうのを言う連中もおります。県の単位というのをむしろ少し整理をして圧縮した方がいいんじゃないか、こういう議論が一つあります。
 それから、まさにそれと反対に、県の規模を拡張しようという道州制というものがありまして、私は道州制の考え方には基本的には反対ではありませんが、知事さんの御意見も今承りましたので、これはもう少し先の課題かと思います。
 それで、いわゆる廃藩置県と廃県置藩と、それから道州制の間に来るものは何かというと、これは地方集権だろうと思うのです。これは富山の中沖さんあたりの議論でありますが、そういった考え方で、さっきちょっと話が出ましたけれども、受け皿というのではなくて、受け皿という言葉は大変失礼な言い方でありますが、むしろ県を主体とした集権化という考えを国が持つことが必要だろう、そういう御意見もあるわけでございます。
 県の規模、大きさ、それから今の国の仕事をしょっていく、そういった県のあり方としてどの程度の規模が適当であるか。最終的には現在の県というものが実務的に主体になると思うのでございますが、この辺、知事さんいかがでございましょうか。
○参考人(石川嘉延君) 県の規模を一概にこれが適正だということはなかなか言いがたいのではないかと思うんです。現状におきましても、一千万人を超える都から六十万人台の県もございまして、これがほぼ同じ機能を持っているということでございます。しかし、それだけの規模の差がありながらそれぞれ立派に県として、中間の自治体としての行政責任を果たしておりますので、一概には言えないと思います。
 今後は、現状の都道府県の権限を前提にして議論するのではないという立場に立ちますれば、道州制とか、先ほど私が言いましたような政令県とか、いろんな構想が出てこようと思います。私は、今後、都道府県といいますか、現在の二段階になっております内政構造といいますか、地方行政構造も変革をすべきだと思うのでありますが、そのときの中間の内政構造については分権的な方向に行くべきではないか。
 地方側から見ておりまして非常に危惧を感じますのは、地方支分部局の方へ都道府県の機能を吸収して、それと道州制議論がドッキングするような実は危惧を感ずるわけでございまして、これは日本の今日から将来を見通した場合に、分権構造にしていくべきだという見通しに立つならば、絶対これは避けなければいけない方向ではないか。そのために、現実的な方法や革命的な方法、いろいろ議論がありますけれども、私は現実的な方法から着手をしてもらいたいということで政令県を提案しているわけでございます。
○小島慶三君 ありがとうございました。
 私も、やっぱり現在は今の県のありようからスタートしていくということしかないと思っております。御意見に私も賛成でございます。
 それから、県の問題と同時に、市町村の問題というのがあると思うのでございます。確かに、全国三千というのは、これは市町村の構成単位としては少し多過ぎるのではないか、少しではない、大いに多過ぎるのではないか、だから三百ぐらいに統合したらどうだと。三百ぐらいというとちょうど郡の単位になるかと思うんですけれども、そのぐらいに統合すれば県とのチームワークで仕事を分け合うということについてもかなりうまく運ぶ。今の三千の市町村のままではどうにも、受け皿という言葉を使っては失礼ですが、受け皿としての機能が発揮できないのではないか。
 私も各市町村の動きをいろいろ見ておりまして、そういった統合という方向が確かに与えられた一つの方向だろうと思うんですけれども、これも各市町村によって随分違うと思うんです。だから、さっきお話がございましたように、母都市から周辺都市へというふうなことが可能なところもある、しかしそれは難しいところもあるということで、これは一律にはいかないというふうに思いますので、強制的に郡単位に統合なんということは私は大いに反対でございます。各市町村の独自性それから自主性というものを中心として、それを中心に可能な限りのジョイントを考えていくという方向しかないんじゃないかというふうに思っております。
 この辺、市長さんにひとつお話を伺いたいと思います。
○参考人(宮岡壽雄君) いろいろな改革には先ほどの既得権益というものの反抗がございます。今回の地方分権に当たりましても、これを是とする方あるいは非とする方がそれぞれあるのも事実でございまして、先ほどの合併にいたしましても非常に懸念をされる向きもございます。これは、行政的な立場、首長なりあるいは議会の皆さん方に特にそういう方々も多いわけでございますが、やはり住民にとってあるいはその地域にとってどれが最終的にはベターかという、そういう判断が必要ではないか、こう思っております。
 私どもは、先ほど申し上げましたように、これからの介護保険の実施だとかあるいは地方分権時代を見ますと、市町村というのはある程度の規模を持って、それぞれその地域の地勢に応じた行政規模というのがぜひ必要だ、そのための一つの改革も地方分権の前提だというふうに思っておりまして、ぜひそういった機運を高めていきたいというふうに思っております。
○小島慶三君 ありがとうございました。
 それから、次の問題に移りたいと思います。
 今回の法案のねらいは行政機関のスリム化による効率化、スリム化と効率化の両立ということだと思うのでございますが、その大きなテーマに対して法案の内容をずっと見てまいりますと、必ずしもこの法案のまま推進されてスリム化に一体なるんだろうか、こういう疑問を持つわけでございます。
 諸外国のこういった種類の改革を見てまいりますと、例えばフランス、ニュージーランドの例、それから中国の例いろいろございまして、各国各様の行き方でございますが、共通しているのは、やっぱり行政改革のモデルになった一九七八年のサッチャーさんの改革だと思うのでございます。サッチャーさんの成功のもとは、スリム化ということを追求して最後までし遂げたということに私はあると思っております。
 そういう点から見ますと、この法律にも確かに中央の省庁においては企画立案とか、それからそれ以外の現業は実務的なものと区分するということが書いてあります。これは確かに非常に重要なことでありまして、試案の一つの柱でもあったわけでございます。そういう点がまず一つ。
 そうすると、各省からかなり人が、あるいは仕事が変わっていくということがある。それと地方分権とあわせて、中央省庁は大いにスリムになる。ただ、それと一緒に、そういった仕事を単にカットするだけでは職を失う方が非常にふえて、社会的に不安を起こしますから、だからスリム化と人の仕事の保持というものを両立させる手法は何かないかと考えれば、これは結論として民営化ということが出てくるというふうに思うのでございます。
 そういう点から見ますと、省庁もそういうことが可能であるというふうにも思いますし、それからこの省庁につながる特殊法人、これは非常に大きいし、この動かしている金は膨大なものでございます。そういった意味においては、今の日本は官僚資本主義だと私は言っているんですけれども、そういうことだと思うんですが、これをやはりアウトソーシングして民営化するということがどうしても考えられないといけないというふうに思うんです。
 そういう点は、行革がいろいろ言い出されましてから随分議論になりました。また、行革会議でも勉強していただいたとは思うんですけれども、結果的に見ると、どうもこの辺の推進が一番おくれているというふうに私は思うのでございますが、その辺は、民間の方で行革を推進してこられた経団連の方にお願いをいたします。よろしくお願いします。
○参考人(内田公三君) 小島先生のお話、私も個人的にはかなり同感するところがあるわけであります。
 今回の法案は、しかしながらよく点検しますと、例えば局の数を、今幾つですか、百三十ぐらいですか、それを九十にするとか、課の数もかなり減らす、人間の数もちょっと先になるわけですけれども一割減らすとか、かなり定量的にもスリム化をするということが法律の中で約束されておるということは評価していいんじゃないか。人を一割減らすというのも、私どもは一割しか減らさないという意味じゃなくて、最低一割は減らす、できればもっと減らしてもらいたいというふうに考えておるわけであります。
 それから、特殊法人の問題につきましても、特殊法人も大分以前から既に特殊法人というものはふやさないということにはなっておって、何か新しくつくるときには既存のものを一つつぶすとか、そういうことをやっております。しかし、私ども民間から見ると、特殊法人ができにくくなったかわりに、いわゆる公益法人というんでしょうか、社団法人とか財団法人とか、あるいはそういう公益法人でなくても、何か第三セクターというようなものができて、そこにお役人の方が天下ってくるとかいうようなことが非常に多いわけであります。
 そういうことで、私どもはそういうことになる根幹というのはどこにあるかということを、私も実は第三次行革審のときに専門委員で参加させていただいたんですけれども、その当時いろいろ調べてみますと、いわゆるキャリアの官僚の方の新規採用の数というのが、当時調べたところでは微増しているわけなんです。そうすると、そういう人たちがやめるときにやっぱりどこかに再就職しないと生活ができませんから、どうしても何か、それこそ受け皿をつくることになるということで、問題の根源は、そういうキャリアの方を初め国家公務員の数そのものをふえないようにするということが一番大事なことであるということで、当時そういうことも主張したわけであります。
 今回のこの基本法案には、必ずしも百点満点というわけではありませんが、そういった方向がはっきりと出されておりまして、先ほど冒頭の陳述でも申し上げましたように、私どもはこれは非常に貴重な第一歩であるということで、ぜひこの法案ぐらいは早く成立させてもらいたいというふうに思っているわけでございます。
 それから、この役所の機構についてもなるべく実施部門は独立行政法人にするということで、この独立行政法人というのも実は率直に申し上げると、これがどういうものなのか、どういうものになるのか、なかなかまだ私自身必ずしもよく理解できたわけでもありませんけれども、しかしながら、官から民へという精神に沿って、いわゆる官庁組織からなるべく民に近いものにしていこう、できるものはなるべくそういうふうにしていこうという趣旨のようでございますので、ぜひそういう趣旨に沿ってやっていただきたい。
 そういうことで、非公務員型の独立行政法人をなるべくふやしてもらいたい、それから対象に挙げられている機関をすべて独立行政法人にするように検討してもらいたいということも先ほど申し上げたところでございます。
○小島慶三君 終わります。
○牛嶋正君 私は公明の牛嶋正でございます。
 きょうは三人の参考人の方、お忙しい中貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
 私の持ち時間は十五分ということで限られておりますので、とりあえず最初にお三方に一問ずつお尋ねをしてまいりたいと思います。少し順序を変えまして、内田参考人からお尋ねしたいと思います。
 先ほどの御意見の中で、今回の改革基本法案については賛成の立場をとるというふうなお話でございました。むしろ早く法案を成立させて推進本部を設立し、そして着実にそれを実行に移していくべきだという御意見を賜ったわけでございます。
 この今回の行政改革、いろいろと先ほどからも御議論がありますけれども、一つにはこれまでの官主導を民主導へ切りかえていくということも大きな課題だろうと思うんです。そのことから考えますと、先ほど内田参考人のお話の中にも土光臨調、第二臨調の話がありましたけれども、あの土光臨調は、それまでの電電、国鉄、そして専売の三公社を一気に民営化したわけでありまして、私はそういう意味では土光臨調を高く評価しております。
 それからいいますと、今回そこで問題になりましたのは郵政三事業、国有林野事業、造幣事業、そして印刷事業でございますか、こういった現業の取り扱いだったと思うんです。私の個人的な意見ですけれども、やはり土光臨調と同じような評価を今回の行政改革が受けるとするならば、私は思い切った民営化まで行くべきではなかったかというふうに思っております。
 しかし、見てみますと非常にあいまいでございまして、非常に私は中途半端な感じを受けるわけであります。郵政公社がどのような性格になるのかよくはわかりませんけれども、私は民と官との距離から申しますと、恐らくかなり官寄りではないかというふうに思っております。
 そのあたりの評価を交えまして、もう一度今回の行政改革に対する内田参考人の御所見を賜りたいと思います。
○参考人(内田公三君) ただいま、まことにごもっともな御指摘をいただきまして、私どももこの三公社五現業というか、特に郵政三事業の扱い方については、必ずしも今回の法案の内容についてこれが百点満点というふうに思っているわけではございません。
 当初、私ども経団連の主張では、郵便貯金とか簡易保険については、例えば商法上の株式会社である特殊会社に経営形態を変更したらどうか、そういうことによって民間金融機関とイコールフッティングで競争させるということが望ましいのではないかという主張をしておったことは事実でございます。しかしながら、これはいろいろな御意見があって、政府・与党等との折衝もありまして結局現在の法案の内容に落ちついたわけであります。
 私どもは、この公社化の期限を一応定めた今回の基本法案につきましては、こんなことではだめだということではなくて、これを改革の第一歩としてなるべく早く実現して、そしてその次の段階をまた目指していきたいものだというふうに考えております。
 そういうことで、郵政公社のことについて申し上げているわけでありますが、今後は企業会計原則の導入とか、あるいは経営情報の公開の徹底、そういったようなことを図っていく必要があるだろうと。それから、郵便事業については、民間参入の可能性も指摘されておりますので、民間参入の条件なども早急に詰めていただきたい、こういうふうに考えております。
 それから、ちょっとこれは蛇足でありますけれども、土光臨調について大変高く評価していただいて、土光経団連会長のもとで働いていた私としても大変光栄に思うわけであります。
 しかしながら、その土光臨調というか、中曽根行革についても、ある人の意見では、あれは要するに国鉄や電電の民営化をしただけで、中央省庁の再編とか内閣機能の強化については結局何もできなかったじゃないかという批判もあったわけです。
 そういう点からいくと、今回の中央省庁再編基本法案は、百点満点ではないにしても、内閣機能の強化についても初めてメスを入れたわけでありますし、中央省庁の再編についても、まあこの中央省庁の再編も、第三次行革審で議論していたときに、ある委員の人は、こういうことは革命とか戦争に負けたときとか、そういうときでないとできないよというようなことをおっしゃる人がたしかいたように記憶しますが、今回はそれを平和なときにおいてやろうということで、またそういうふうに既に進んでおるということで、私はこれは大変評価すべきであるし、ぜひ成立させた方がいいというふうに考えております。
○牛嶋正君 それでは、宮岡参考人にお尋ねします。
 先ほど七点について御意見を賜りました。一つ一つについて御質疑をさせていただきたいと思っておりますが、何分時間が限られております。そこで、全体にわたる問題として、私はこれからの町づくりと行政改革の点について、今町づくりを懸命にやっておられる参考人からちょっと御意見を賜りたいと思います。
 これまでの町づくりというのは、先ほどのお話にもありましたように、都市基盤の整備とか生活基盤の整備といった、いわば私たちの体で言うならば手足、胴の部分の整備だったと私は思うんです。ですから、これについては、市民といいますか住民の意見というのも大体同じでありまして、できるだけ機能的で丈夫なものをつくれというふうなことであったと思うんですけれども、そういうふうな造構が整ってまいりますといよいよ顔、頭の部分をそこへ据えなければいけない、これからの町づくりというのはそうではないかなというふうに思っております。
 ここで要求されるのは、個性化、アイデンティティーというような言葉もあるようでございますけれども、それぞれの地域におきまして、地域の実情を踏まえてそこに個性のある顔をつくっていくということではないかと私は思うんです。そのためには、住民の方も非常にいろんな意見があるわけです。先ほどニーズの多様化というのがありましたけれども、例えば面長がいいとか丸顔がいいというふうにいろいろな、頭の中の構造まで言いますとこれはもう大変なことになると思うんです。そういう意味では、これからの町づくりというのは非常に難しいのではないか。
 ですから、今までのように都市基盤整備とかあるいは生活基盤の整備、これは全国一律の基準で進めていってもよかったと思うんですけれども、これからはそうではなくて、むしろ住民の方に視点を置いた形の町づくりということ。そうなりますと、これまでの国と地方との関係というのは非常に問題になってまいりまして、今までのように国が全国一律の基準で整備を進めることを求めてきた場合に、どういうふうにそれに対抗するかというふうなことになってくると思います。
 そういう意味で、私は、行政改革といいますか地方分権というのを考えていきますと、まだまだ非常に生ぬるい感じがいたしますけれども、その点について何かお感じになっていることがありましたら、お尋ねしたいと思います。
○参考人(宮岡壽雄君) 私ども、地域の市町村にとりましての目標というのは二つございまして、地域福祉の向上と地域の活性化という二つでございます。この点につきまして、今まで国のいろんな町づくりあるいは人づくりという、福祉なり教育の面の人づくりと、あるいは地域づくりという都市計画その他、二つの事柄がございますが、全体的に全国一律に画一的に決めて、地方の特性が十分しんしゃくされ得なかった嫌いがややあるのではないか。
 したがって、今までは町づくりでも機能が一つの重点になっておりましたが、これからは機能だけではなしに、地域に基づいた快適性とか、そういったことが求められますし、住民の皆さん方も先ほどのように大変価値観が多様化しておりますので、これからはあくまでそういった人づくりなり町づくりも、地元の市町村が一番身近に感じておりますので、できるだけ市町村の意向を酌んで、自主決定、自己責任という今回の地方分権の精神というのは大変私どもも感謝をいたしております。
 一つは、私の方でも県全体の人口は減りつつございますが、依然として都市計画区域と市街化調整区域がございまして、もっと市街化調整区域を私どもにお任せいただきますと、地域の実情に応じた町づくりができるわけでございますが、人がどんどんふえるころの規制がそのままが残されている。農地は確保されても農村が疲弊している。こういうことで、農地転用だとかあるいは市街化調整区域のありよう、そういう問題にはこれからそれぞれ地域の実情に応じた町づくりなり人づくりができるように、法律なり制度の改革をぜひともお願いしたい、かように思っております。
○牛嶋正君 非常に時間が限られてしまいましたが、石川参考人にお尋ねいたします。
 先ほどいろいろ示唆に富むお話をお伺いしておりまして、その中で特に私注目させていただきましたのは地方行政のマーケティング化という言葉でございます。恐らくこれは、だんだんと住民の方のニーズが多様化していく、これを十分に酌み取って、そして適切なサービス水準の決定、事業あるいは事務の進め方ということだろうと思うんです。
 ですから、そういう意味では市場原理をやっぱり入れてこなければならない。特に、効率化ということになりますと、いつもコスト面だけを議論しますけれども、私は今御指摘のありましたような住民のニーズをどう酌み取っていくかということだろうと思います。
 そのことから考えますと、先ほど長尾委員の御質問がありましたように、これからは私は行政能力というのがキーワードになるというふうに思うんです。これについて御議論したかったんですけれども、ちょっと時間がございませんので私の経験だけ申しますと、実は行政能力というのはキーワードになりますけれども、今までの財政力と違ってきちっと測定できないという問題があります。ですから、漠然と市町村間あるいは府県間に行政能力の格差があるというふうなことでもそれは明確にはならない。そしてもう一つ重要なことは、財政力の場合は財政調整制度で市町村の格差は是正できるんですけれども、行政能力はできないという点がございます。
 それで、私の一つの提案でございますけれども、市町村間の行政能力のアップのために市町村間の人事交流というのを、先ほどのお話の中でちょっとそれが欠けておりましたので、それを提案させていただきまして、何かコメントがありましたら一言だけいただきたいと思いますが、よろしく。
○参考人(石川嘉延君) 牛嶋先生の御指摘もまことにごもっともだと思います。
 本県におきましても、既に一部の市町村で市町村間の人事交流も行われております。これがもっと拡大するといいと。私どももそれを慫慂しております。
○牛嶋正君 ありがとうございました。
○梶原敬義君 きょうは御苦労さまです。
 私は社民党の梶原と申します。
 最初に宮岡参考人にお尋ねしますが、省庁再編をやると巨大な省庁ができるわけですね。これが地方分権推進にとりましてやりやすくなるのかやりにくくなるのか、そういう感じは持たれたことはないのか、その点お尋ねします。
○参考人(宮岡壽雄君) それは先ほど申し上げましたように、これから規制緩和によって民間に任すべきものは民間に任せ、また県なり市町村に地方分権すべきものはする、そういった前提がございませんと、先ほど申し上げましたように、大変巨大化して、いい面もございますが、事務その他の巨大化による弊害が出るおそれなしとしないと思っております。先ほどの地方分権と規制緩和による業務の民間あるいは地方への移譲というのが前提になるのではないか、さように思っております。
○梶原敬義君 石川参考人にお尋ねします。
 地方分権を進め合に当たりまして、やはり私は補助金のひもつきの財源があっちこっちあって、皆さんもよく予算の要請行動に上がってこられますが、これがそうじゃなくて、三二%の交付税率をそのままパーセントを上げて、そして自由に知事さんや自治体の皆さんが最も効率のいいように使う、そういうやり方の方がいいと思うんですが、今、もし三二%の交付税率を何%まで上げてくれたらよくなると、そういうお考えがありましたらお尋ねします。
○参考人(石川嘉延君) 交付税率を何%にしたらいいかということは私は計算したことがございませんので、概括的に申し上げますれば、税源の配分でいくと国、地方が約二対一、仕事の量でいくとその逆になっておるということを考えますと、最低限仕事の量に見合った財源配分があってしかるべきではないかなというふうに思っておるところでございます。
○梶原敬義君 かねがね、東京に各県事務所を置いていますね。大きな市も置いています。これは封建制の参勤交代の名残みたいなもので、口では皆さん方も非常に現代的なことを言われますが、こういうものはもう要らぬと、皆さんが一斉に引き揚げる、一県だけやったらあれですからね。国会もあることだし、あなた方が引き揚げても、それはそんなに問題にならないと思うんだけれども、そういう必要性みたいなもの。
 これは随分金がかかっていると思うんですね。家賃と、職員を相当雇っておりまして、やはり十億か数十億の単位になっておると思うのです。思い切ってこの際、国は国で行革をやるし、皆さんも東京事務所はもう引き揚げる、こういうようなことにはなりませんか。
○参考人(石川嘉延君) 梶原先生おっしゃるように、私どもの県の例で言いますと、東京事務所の機能のかなり大きな部分を中央省庁との連絡業務に使っておることは事実であります。しかし、最近の状況をいろいろ考えますと、これは私の方針でもあるわけでありますけれども、中央省庁以外の分野でも県として必要な情報が東京には随分たくさんございまして、そういう面での機能を実は強化しているところでございます、企業誘致にしても。
 それから、実は東京のみならず、私は三年前から十五年ぐらい廃止になっておりました大阪事務所を再開したわけでございます。今後、名古屋とかあるいは北海道、九州、これらの地域へ、常設の事務所とするかあるいは人を何回か出張で派遣するかして県の情報発信と収集に当たらせたいと考えておるわけであります。
 東京事務所も、機能の変化はございますので、廃止ということには至らないと存ずる次第でございます。
○梶原敬義君 ありがとうございます。
 内田参考人に伺いますが、私は財界も大変ずるいと思うんです。どういうことかといいますと、景気がよくなったら国や国会に対して財政構造改革せよとがんがん迫ってくる。それで、今のようなこういう大変な不況で、一歩間違うとどこに行くかわからないというような深刻な不況のときには、むしろなりふり構わず財源を投入して、財政出動をして景気をよくせよ、そういう意見を言う人が非常に多いわけですね。
 それで、この行政改革、民間でやれるところは民間でやれ、こう言いますけれども、今金融の貸し渋りの問題というのは全部民間、都市銀行中心なんです。ところが、それを補っているのが商工中金や中小企業金融公庫や町の信用保証協会、こういうところなんですね。だから、これは財界の言うこととやることが矛盾しているところが非常に多いんです。
 この点は、だから財界の皆さんも、御意見を言われるのは、圧力をかけられるのはいいんだけれども、手前が悪いときは黙っていて、いや、おれらもこういう点は悪かったと、こういうところがあって財界がしかるべく政府やあるいは国会に対して圧力をかけるというのはいいんですが、その辺、余り時間がありませんが、ちょっと御意見を承りたいと思います。
○参考人(内田公三君) 厳しい御批判をいただきましたが、財界といっても非常にいろんな団体があり、いろんな方がいらっしゃいまして、経団連で全部代弁しているというわけでもありません。それをまず申し上げますが、経団連としては、先生のような御批判をなるべくいただかないように発言になるべく一貫性を持たせたいと。これはもう歴代の会長が、特に前豊田会長が終始それを心がけて、なるべく政府に依存しない、余計なおねだりはしない、経済界が自力で不況も克服しようということでやってきたということをまず豊田会長の名誉のためにも申し上げたいと思うわけであります。
 それで、確かにいろいろな経済構造改革とか財政改革とかいうことを政府もおっしゃり、経団連もそれを支持してやってまいっておりますが、その中で、また非常に景気が深刻化して長引いている、今なおなかなか明るい展望が開けてこないという厳しい状況にあるわけであります。私ども経団連としては、そういう中で、景気対策は必要でありますけれども、その景気対策の中身が構造改革と矛盾しないような、構造改革の効果を台なしにしないような、つまりベクトルの方向が同じ、そういう対策を景気対策でもやるべきであるというふうに考えます。例えば、景気対策でもいろんな規制緩和をやってもらうとか、あるいは税制改革もやはり恒久的な減税、法人税減税なり所得減税なりをやっていただくということによって国民に将来への展望を持たせる。
 今とにかく何といっても景気が悪いことの主たる原因は、国民の間に、要するに将来への不安感というか将来に余り確信が持てない、だからみんな金を使わないでたんすにしまっておくとか、だんだん内ぎみ志向になってきている。別に国民の間に必ずしも金がないわけじゃない。将来に対する漠然とした不安とか、そういうことでなかなか景気がよくならないんじゃないかと。
 そういうことを払拭するには、例えば将来日本はこういうふうに明るい社会になるんだぞ、将来の日本はこういうことになるんだぞと。自己責任の、働けば働いただけのことがある、努力したかいがある、そういう世の中になるんだという、税制を初め、そういうビジョンを描いてやることが大事であると。
 ですから、産業も企業もいたずらに政府のいろんな公共投資とかいうことだけに依存しないで、なるべくそういうものに依存しないで、新産業とか新事業の開拓とかそういうことに努力しようということでやっております。そういうふうにして努力しておりますけれども、なかなかそれは満足のいくような、納得していただけるようなことにまだなっていないかもしれませんが、少なくともそういう気持ちでやっておるということだけを申し上げておきたいと存じます。
○梶原敬義君 どうもありがとうございました。
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子でございます。
 お三方の御意見、興味深く拝聴いたしました。
 まず、石川参考人にお伺いいたしますけれども、地方財政の困難性ということについては衆議院の参考人として出席された徳島県知事を初め異口同音におっしゃっておりまして、非常に困難な状況にあるということは私もわかっております。
 それで、二点お伺いしたいんです。
 去年の財政構造改革法において約三千の補助金のカットが行われましたけれども、これの手当てを地方自治体においてはどのようになされたんでしょうか。
 もう一つは、公共事業、五全総も最近発表になりましたけれども、非常に大型プロジェクトが地方財政に対する財政困難の一つの原因になっているのではないかと私は思うんですが、その点について参考人の御意見を伺わせていただきたいと思います。
○参考人(石川嘉延君) 昨年のといいますか、今年度予算からいろいろ補助金がカットされました分につきましては、一般財源化をされたものもございますし、今後ともそのような際には交付税を中心に一般財源できちんと賄えるような体制にしていただくということを前提に我々はいろいろお願いをしてまいりまして、今回も静岡県に関しましてはそのような対応が図られたと思います。と同時に、地方の側におきましても、徹底した行財政の簡素合理化、それによります財源の捻出ということもあわせて行う必要があるわけでありまして、それにも鋭意取り組んでこれに対応しているところでございます。
 また、大型プロジェクトと一くくりでいろいろお話がございましたが、それぞれの地域におきましてはそれぞれの地域で必要とするような社会資本がまだまだ各分野にございますので、それぞれの地域の必要に応じて選別をし、なおかつ官公の財政について中長期的な見通しを立てながら対応しているところでございます。
 市町村につきましては、県の市町村指導を通じましてそのようなことが徹底できるようにいろいろ必要な助言なども行っているところでございますので、大型プロジェクト、各種の五カ年計画等によって財政が困難をきわめていると一概には言えない状態だと存じます。
○吉川春子君 宮岡参考人にお伺いいたします。
 自治体リストラが自治省の指導もあって進んでいるわけです。私は北九州市に五月に調査に入りました。私自身の住んでおります埼玉でも、もうほとんどの市町村が例外なくこの自治省の指導に基づいてこういうことをやっております。保育所、学校給食、ごみなど住民の切実な要求がある問題についても、廃止、民営化、民間委託というものが進んでいて、地方行政の手から離れているものも少なくないわけです。
 住民要求との矛盾も激化していますが、こういう切実な事務を民営化せずに自治体自身の手で行うためにはどういう手だてをとればいいというふうにお考えか、その辺の御苦労について伺いたいと思います。
○参考人(宮岡壽雄君) 先ほども申し上げましたように、私ども地方の市町村は住民の福祉の向上と地域の活性化という二つの目標を掲げ、その執行の判断としてはやはり効率性と公平性、このバランスをいかに保てるか、これが一つの大きな判断基準になるわけでございます。
 確かに、効率性一つからいたしますと、やはり民間の方が事務事業をやるにはより効率的な面が多いと思います。しかし、それが民間委託いたしまして公平性なり公正さが欠けるようでございますと問題でございますので、効率的あるいは公平性が保たれるという部面についてはある程度これからは民間委託というものもやむを得ないんではないかと思います。
 今、中央でもよくエージェンシーということが言われておりまして、ある程度現業的なもの、事業の執行的な面――政策的な面は別としまして現業的なものはこれからはどんどん民間に任すところは任しながら、しかし一方で介護だとか育児という家庭でしかできなかったものをこれからは社会化する、それを行政がやるんだ、こういうことになりますと、そういった新しい事務事業をある程度役所が重点的にやっていくという時代の変革に合わせた対応が必要ではないかというふうに思っております。
○吉川春子君 内田参考人にお伺いいたします。
 財界の五団体が行政改革会議に、挙げてといいますか非常に協力した、委員も送り込んだ、こういうお話でございました。そして、財界の要望もこの最終報告には盛り込まれているということでした。私も読めば読むほどその認識は一致いたしております。それが国民にとって幸せなことかどうかという評価はまた別でございます。
 それで、お伺いしたいんですけれども、規制緩和ということを非常に強調されました。こういう規制緩和の政策が国で進められてきまして、失業率が先週発表されまして戦後最悪になったんですけれども、この規制緩和と失業という問題、失業を生み出すのではないかという問題について、どうお考えでしょうか。
○参考人(内田公三君) 大変また重要な点を御指摘いただきましたが、確かに規制緩和という問題は決して気楽な生易しい話ではないと思います。場合によっては、それは失業というか雇用問題にも影響をもたらすことは大いにあるわけであります。だから、それであるがゆえになかなか我が国では規制緩和ということが思ったほど順調に進まない。
 アメリカなどからよく、日本は何をやっているんだ、規制緩和をやるやると言っているけれども何もやっていないじゃないか、もっと早くやれ、こういう批判をしょっちゅう受けているわけであります。日本とアメリカの経済人の会議なんかでも、向こうのビジネスマンからそういう指摘を大変よく受けるわけであります。私はそういうときに非常に感ずるんですけれども、アメリカなどではいわゆるレイオフといいますか、割と気さくに失業させられるという、そういう社会システムであります。
 しかしながら、日本では、日本の経営者はほとんど例外なく、日本の経営者に経営の一番大事なことは何かと言うと、雇用の安定であるというふうに日本の経営者、社長さん方はお答えになります。これはもう日本とアメリカの決定的な違いでありますが、それだけ会社の経営も雇用の安定ということに一生懸命、それを第一義に掲げているがゆえに、規制緩和ということも、頭でやらなくちゃいけないということはわかっていてもなかなか現実にはそう安直には進められないというのが現状であります。
 しかし、そんなことを言っていては日本の将来への展望が開けませんから、冒頭申し上げたような構造改革はできませんから、やはり多少の犠牲はあっても規制緩和ということは長期的な日本の国民の将来のためにどうしてもこれは避けられない課題であるというふうに考えて、経団連あるいは経済五団体が一致して推進しているわけであります。
 そこで、ではその場合の失業とか雇用問題を一体どうするんだということでありますが、一方で失業が出てきた場合に、それを受けとめる新しい雇用の場というものを用意しなくちゃいけない。結局それは新産業とか新事業を起こしてそこに吸収していくということしかないわけであります。そのためには、やはりそういう新産業、新事業が起こりやすいような環境条件を整える。
 労働面なんかでも、例えば派遣業の規制緩和とか、職業紹介というのも今までは公的な機関でないとできないということでありますが、それは民間でもいいということならできるようにしたらどうかということで、いろいろ職業紹介とか派遣業であるとかそういった労働雇用面なんかの規制緩和をやって、そして規制緩和が雇用面になるべく悪影響が最小限になるように同時に並行して進めていく、こういうことじゃないかと思っております。
○吉川春子君 もう時間が来ましたのでこれで終わりますが、アメリカでも、アメリカモデルを採用しないようにと労働組合の幹部が日本に来て言っておりますということを申し上げまして、終わります。
○阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。
 早速、質問に入らせていただきます。
 明治以来百三十年、このシステムがまさに功を奏して今日まで参ったと思いますが、現今のいろんな不祥事かれこれ、また官僚の問題も出てきておるところであります。ここで思い切った、いわゆる中央集権国家を見直して地方分権化をというような高まりが見えてきて今回の一つの法制定になったと思うわけでありますが、まさに全国津々浦々まで上下の関係で行政がなされてきた、これが一つの今日の硬直化した状態をつくり上げてきたというふうに思います。
 ここで、今回の法と同時に、縦の関係、上下の関係から横の関係というもの、いわゆる国と地方が同等の関係というものをつくり出していかなければならないのではなかろうか。そうした場合に、いわゆる地方自治基本法というものも新たに制定して、そして中央と地方とが横の関係あるいは同等の関係という形の中で行政が進められていくべきだというふうに思うわけでありますが、その点につきまして石川参考人と宮岡参考人にお聞きしたいと思います。
○参考人(石川嘉延君) 阿曽田先生の国、地方は同等であるべきだという御意見はそのとおりだと存じます。
 ただし、日本という国土の中で一定の広域的ないろいろ調整とかというような必要が出てくる分野もございますので、その限りではその調整を国が担うべき分野もあろうかと存じます。その限りでは、全く対等というのか、やはり国の方にある程度指導性を発揮して調整するという機能を付与していないと調整が成り立たない場合もございますので、そういう限界はあると存じます。
 さらに、それらをより確かにするために地方自治基本法の制定ということでございますが、今言ったような精神がどういう形で実現されるか、方法論の一つだと拝聴いたしました。
○参考人(宮岡壽雄君) 戦後の地方自治というのは、憲法にもあるいは地方自治法にもそういった独立的な制度として掲げられております。しかし、その一方で、これは行政的には首長なりあるいは議会がそれぞれ直接住民から選ばれるとなっておりますが、残念ながら今日まで機関委任事務が残されておったということと、財政的な保障がなくてある程度補助金だとかそういうものに頼らざるを得なかったという、中央集権的なそういうものが残されていた。
 今回の地方分権では、そういった機関委任事務の廃止と権限の一部移譲というのがある程度改革されたということで、私どもは大変期待をいたしております。
 しかし、なお財政的な問題につきましてはいろいろ難しい問題があるわけでございまして、ぜひ将来は財政的な改革をより以上勇断を持って行っていただきまして、行財政あわせた地方分権が実現することを期待いたしております。
○阿曽田清君 もちろん横の関係といいますか対等な関係というのは、いわゆる財源も権限も地方に思い切って移して、そして地方が国に対しても物の言える、あるいはノーが言えるところの地方自治もあっていいんじゃないか。むしろ画一的な行政じゃなくて、いわゆる特色のあるといいますか、その地域の個性を存分に出し得るような行政というのが展開できる環境というものが今回思い切って構築されていかなければならないだろうし、そういうための地方自治基本法というのを改めてつくるべきじゃなかろうかなと思いましたので、お尋ねをいたした次第でございます。
 今、私の地元でも、人口二千人とか三千人というのが十数町村ありまして、もちろんそういうところはかなりの過疎化であります。そうでないところにおきましても、今では広域組合というものがたくさんできておりまして、例えば消防にいたしましてもあるいは火葬にいたしましても、あるいは下水道事業におきましても、ほとんど広域組合でやっております。いわゆる広域のメリットというものが大変出てきているというふうに思うんですが、されども町村というのがある以上、そこにはグラウンドがつくられたりあるいは文化センターが画一的なのがつくられたり、こういう形であります。
 そこには市町村の合併というものが当然私は求められると思うんです。地方分権構想の総まとめとなる計画の中にも、来年、合併の関連法案が出されるように閣議で決まったようでありますが、市町村の適正規模というのは大体どれくらいを、人口なりあるいは面積なりというようなもの、それぞれまた地域によって遣おうと思いますが、我が党は全国三百市町村というとらえ方を将来志向しておるわけですが、どうお考えになられますでしょうか、石川参考人にお尋ねいたします。
○参考人(石川嘉延君) 卵とニワトリの議論みたいなものがございまして、どういう仕事を市町村に行わせるのかによって規模のあり方も違ってこようかと思います。
 静岡県におきます現実の例を申し上げますと、例えば十万未満の市の市長さんの中には、大体やるべきことはやり尽くした、これから本当に市民に、ああ、いいことをやってもらったと思うようないろいろ事業をやろうと思うと二十万とか三十万の規模が要るということで、合併の動きが出てきている地域もございます。それと中核市の議論がかみ合いまして、三十万以上を目指そうという動きになっている地域もございます。
 それから、町村の場合でありますと、特に山間の過疎的な地域でいきますと、合併がなかなか現実問題として行いがたい、合併することによって逆に行政の目がそういうところに希薄になるんじゃないかという心配がありまして、合併の機運が盛り上がりません。一方で、介護保険法の施行を直前にいたしまして、どうするかと。その際には、やはり広域行政でやろう、広域連合なりあるいは一部事務組合でこの認定業務をこなしていこうというような動きもございますので、合併の機運があるところはどんどん促進する一方で、不可能な地域が現実問題としてございますので、そこはそこで、そこに住んでいる人の幸福を実現するための手法、現在ある手法をいろいろ活用しながら、もし足らざるところがあればどうしたらいいか、これは現実に即して考えていくべきではないかと思っております。
○阿曽田清君 内田参考人にお尋ねいたしますが、最近、所得税減税とか法人税減税が話題になっておるところであります。その代替案としまして、これはとっぴな考えかもしれませんが、自分なりに考えておりますのは、毎年収益から税金を納めるということだけでなくて、個人はいわゆる親から相続する場合に相続税というのを納めなければなりません。これは非常に高額の税率であります。企業も二十年、三十年の一つのスパンを考えた中で、いわゆる純資産に対して法人相続税というようなものも新しい制度として考えられるんではなかろうか。それぞれずっと資産をためていくというような形の中で、もうけっ放しということでなくて、相続税の対象に考えられないものだろうか。ちょっと突然でありますけれども、税の問題としてお尋ねをいたしたいと思います。
○参考人(内田公三君) ちょっと法人の相続税というのは今まで全く考えたことがないので、これは持ち帰らせていただいて検討させていただきますが、関連したことをこの機会に言わせていただきますと、今いろいろ景気対策をやろうとして、例えば住宅なんかをもっとつくろうとかということがかなり言われています。その場合でも個人の相続税が非常に高いということがネックになっておるので、子供に住宅をつくってやる場合に、贈与税とかあるいは相続税なんかを特別に減免するというようなことは考えておりますが、法人について相続税をつくるというようなことは全く今まで考えておりません。
 むしろ、法人税については、これは先生も御承知と思いますけれども、とにかく日本の法人税はもう世界的に一番高いということなので、やっと第一歩を踏み出していただきましたが、なるべく早く国際水準になるように、つまり四〇%ちょっとになるように、とにかくそこをまず最初にやらなくてはいけないんじゃないかと思っております。
○阿曽田清君 終わります。
○委員長(遠藤要君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 午後二時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、中央省庁等改革基本法案を議題といたします。
 引き続き、本案の審査に関し、参考人の方々から御意見を承ることといたします。
 参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。皆様の忌憚のない御意見を承り、本法律案の審査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず鷲尾参考人及び紺谷参考人にそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、まず鷲尾参考人からお願いいたします。
○参考人(鷲尾悦也君) 御紹介賜りました連合の鷲尾でございます。
 本日は、参考人としてお招きをいただき、意見を述べさせていただく機会をいただきましたことを大変光栄に思っているところでございます。参考人として、御存じのように私は連合の会長をしておりますので、連合の意見を取りまとめてそれこそ参考に供したい、こういうように思っているところであります。
 まず冒頭、具体的な問題をお話し申し上げる前に、よくマスコミにも、あるいは政党の皆さん方でも、今回の行政改革の論議の中で、労働組合は行政改革に反対であり非協力的であるのではないか、こういう意見が一部ではありますけれどもございます。この点についてはぜひ本日の委員の先生方には御理解を賜りたいと思いますが、私どもはこれまでも、現在の日本の行政機構について改革を断行しなければいけない、こういうことを毎年の政策提言でも掲げながら、当該の官庁であります総務庁を初めとして各省庁にはそのような具体的な提言もしているところでございます。
 したがいまして、まず第一に、連合という立場で申し上げましても、行政改革は断行すべきである、こういう立場にあるわけであります。その上に立ちまして、今回の中央省庁等改革基本法に対して私どもとして御意見を申し上げたい、こういうふうに考えているところでございます。
 今回の中央省庁等改革基本法に関する考え方としては、まず基本的な考え方士して、中央省庁の役割というのは何か、こういうことを判断する際に第一条件に挙げているのは地方分権の考え方であります。
 わかりやすく申し上げますと、国民生活に身近な地方で自主決定をし、実施すべき行政サービスを初めとする行政の役割は大胆に地方に移す、あるいは民間が行うことができる行政サービスなり行政の活動というものを民間に移す、あるいは、個人というわけにはなかなかまいらないけれども、NPOを初めとする幾つかの民間集団に移すことができるものについては移していくということが基本に据えられなければいけない、このように考えているところでございます。
 その上で、中央省庁としては、個人や企業や民間の組織や、あるいは地方がどうしてもできない問題について実施をする、こういう基本的な考え方に立った上で中央省庁のあり方を検討するというのが筋なのではないか、このように考えているところでございます。
 ただ問題は、各論に入りますと、どの分野は中央省庁がやるべきであるか、どの分野は民間でやるべきであるか、あるいは地方でやるべきかという考え方についてはいろんな議論があることは承知をしているわけでありまして、その点からいいまして、今回の中央省庁等改革基本法の内容を拝見いたしますと、その部分については必ずしも十分な議論がなされていないではないか、まだまだ詰めなきゃいけないことがあるんではないか、こういうふうに考えているわけであります。
 ぜひお願いしたいことは、この基本法における国会の中の審議や行政改革会議等で議論はそれなりに行われたというふうに認識しておりますが、欠けている部分については十分な御審議を国会の機能として行っていただきたい、こういうふうに強く願うところでございます。
 まず、そうした前提に立ちまして、行政改革の目標というのは、釈迦に説法ではありますけれども、まず第一に、行政の質を転換するということが大事なのでありまして、現在の行政のあり方というのを、言葉は悪いのでありますけれども、一部関係者との調整に重点を置いた裁量行政ではなく、国民を中心とした行政に改めるというのが、抽象論ではありますけれども、非常に大事なことではないか、こういうふうに思います。
 そして、国民中心であるかどうかのチェック機能というのは、何よりも情報公開というものを大前提にして、情報が国民に開示されることによって、問わず語らずのチェックが働く、行政に対してチェックが働くということが必要なんじゃないかと思います。後ほど申し述べますが、もちろん行政に対する監察機関であるとか第三者の監視であるとか、あるいは国会の監視機能というのを強化しなくちゃいけないというのも当然ございますけれども、まず何よりも情報が国民に公開されることによって国民の目が行政に対して厳しい指摘ができるというシステムをつくるということが大事なんじゃないかというふうに思います。
 そういう点からいいますと、まず第一に、情報公開ということが必要だというふうに考えますので、現在、情報公開法についても国会で検討中であるというふうに認識をしておりますが、どうやら現在の情勢は、継続審議だというような動きもあるやに聞いております。それは国会の問題ではございますけれども、できるだけ速やかにこの情報公開法を成立させ、まずそれを促進するということが大切なんじゃないかと思います。
 第二番目には、ただいま申し上げましたように、行政に携わる官僚に権限を与えた裁量行政というものをできるだけ少なくする、官僚の裁量でなく明文化された法律ルールに基づく行政であり、監視監督型にするということが重要なんじゃないか。
 これは、行政改革会議等でも議論はされているところでありますけれども、この点が十分でないがゆえに不明瞭な行政措置が多発をしている、あるいは一部残念でありますけれどもスキャンダラスな事件が起こっているということではないか、このように考えているところであります。
 第三の問題は、今、情報開示のところでも申し上げましたように、行政の外から評価、監視するシステムを設けることが必要だというふうに思っています。
 これは、三権分立の我が国の議会制民主主義の中では議会がその中心になるということはもちろんのことではありますけれども、しかしながら、議会だけで個別の行政を一つ一つチェックするというのはなかなか難しい部分もございますので、第三者機関による、第三者が参加した行政に対する外部評価や監査の制度をつくるということが重要なんじゃないかと思います。
 そして、その場合には、もし改めて第三者機関をつくるというのが難しいのであれば、現在の会計検査院の役割等を強化することによってそれにかわるというような工夫というのもあり得るのではないか、こんなふうに考えております。何度も申し上げるようでありますけれども、まず何よりも国会のメカニズムにおいても行政監督がきっちりとできるような議論ができるシステムをつくることが非常に大事なんではないか。したがいまして、別によいしょするわけじゃありませんけれども、皆さん方の役割が非常に大きい、こういうふうに思うところでございます。
 第四番目には、先ほど申し上げました地方分権の問題でございまして、現在も地方分権の検討が進んでいると思います。私は、現在の地方分権推進委員会等の取りまとめについても評価をしている立場にあるわけでありますけれども、まだまだ予算の配分や地方公共団体に対する権限の移譲が十分になされるような案になっていない、こういうふうに私どもは認識しているところでありまして、これをぜひ推進していただきたい、このように考えているところでございます。
 最後に一言だけ申し上げますが、よく労働組合が行政改革に対して熱心でないという中に雇用の問題がございます。
 私は、今回の行政改革の中で官僚の数を頭ごなしに一〇%削減というものは、進め方としてはある程度やむを得ない部分があるかもわかりませんけれども、頭から一〇%削減ということについては必ずしも賛成ではございません。現在の行政改革は、ただ数を減らすだけではなく、必要な行政はさらに強化しなきゃいけないということもございますから、そうした精査をした上で数については考えていくということが必要だというふうに思います。
 また、公務員の問題についても、私どものグループの公務員の皆さん方も、雇用は基本的には確保していただかなきゃいけませんが、新しい行政システムなり新しい行政の仕事に転換をすることについては積極的なスキルアップを図りながら配置転換等の努力はしたいということを宣言しているところでございますから、そうしたトータルの数の問題とスキルアップの問題、そしてそうした働き方については、公務員の皆さん方が積極的に、しかも能力を発揮できるようなシステムというのはどうしても労働組合との事前協議や合意が必要だと、こういうふうに考えているところでございます。
 改めて発言の機会がありましたら申し上げますけれども、公務員の三権について抜本的な議論をしていただき、公務員制度については現在検討中の公務員制度調査会等の議論をさらに拡大していただきたいということを希望として申し上げて、ちょっと時間がオーバーいたしましたけれども、私の公述を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○委員長(遠藤要君) どうもありがとうございました。
 次に、紺谷参考人にお願いいたします。
○参考人(紺谷典子君) 紺谷でございます。
 私は行政の専門家でも法律の専門家でもないですけれども、一国民として行政改革について意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 政府の役割というのは何かと申しますと、国民の立場からいいますと、私たち国民の安全と生活を保障してくれるものではないかと思うんです。ところが最近、国民は非常に多くの不安を感じてしまっている。行政の失敗はもう目を覆うばかりであるというふうに思うわけです。例えば、環境問題にしろ、それから医療行政への不信にしろ、経済の失敗というのも非常に大きいということだろうと思うんです。
 特に、私の専門の経済に関して言いますと、バブル処理の失敗というのがあった。のみならず、不良債権処理を先送りしまして、しかも財政赤字まで生じたということですけれども、国民は日本の経済に関して自信を持てなくなって、将来の不安を非常に強くしている。そのために、特別減税をしていただいても消費もできないというような状態になっているわけなんですけれども、こういう近年の行政の失敗というのがなぜ生じたのかという分析から行政改革の方針というのは決まるべきではないかと思うんです。
 私は、行政改革の真髄というのは実は政治の復権にあると考えております。なぜ行政が失敗したかと申しますと、何ら責任を負わない官僚の皆さんが行政のリーダーシップを握ってきたというところにあると思うんです。官僚の皆さんというのは、早い話が失業もない、倒産もない、そうであるにもかかわらず、そういう方たちが経済政策をするというのは国民の立場からとりますとこの上ないリスクがあるということでございます。しかも、審議会の先生方は学者の皆さんが多い。学者の皆さんもまた好不況と関係のない業種であるということですから、日本の経済運営が失敗してきたというのも、そういう好不況と関係がないだけではなくて、国民に対して何の責任も負わなくていいような方たちが政策を決めてきたということにあるのではないかと考えています。
 例えば、数々の経済運営の失敗に関しましてどなたか責任をおとりになったんでしょうか。バブルをつぶして地価と株価を半分に下げると豪語なさった日銀総裁が日本にはいらしたんですけれども、それは国民資産を半分にするということを意味しているわけです。しかも、日本は信用の基盤が土地にあるわけですから、地価が半分になったらばたちどころに信用不安が生じる、金融不安が生じるということは火を見るより明らかなわけでございます。しかも、日本は銀行がたくさんの株を持っているわけですから、株価の下落が銀行の経営悪化に結びつくということもまた明らかなんです。
 そういう行政を行ってきたにもかかわらず、金融政策をとってきたにもかかわらず、日銀が何らかの過去の行政の反省をしたかというとしていない、たかだか接待疑惑に関して多少の処分を出しただけということでございます。
 同じことは大蔵省にも言えまして、不良債権の先送りという重大な失敗があったにもかかわらず、それに関して何の責任もとっていない。それどころか、これだけ景気が悪いときあるいは金融不安の強いときに緊縮財政をとるような方向を打ち出した。アメリカの大恐慌もそれから日本の昭和恐慌も、景気の悪いとき、経済が非常に不安定なときにとってはならない緊縮財政をとったことが大恐慌に結びついているわけです。
 そういうタイミングの悪さという問題もさることながら、実は財政が本当に深刻で緊急な状態なのかということを国民はだれも知らないんです。大蔵省の発表の数字をうのみにして、なるほどそれは大変だ、今度は五百四十四兆を超えるそうでございますけれども、それで増税やむなしとか、あるいは医療保険の自己負担の増加も仕方がない、国民年金の支給年齢の引き上げも仕方がないということで我慢してしまったんですけれども、しかし日本の財政というものの実態というものはだれも知らないんです。多分政治家の皆さんもおわかりではないんではないかと思うんです。
 そういう情報公開さえきちんとされていない。実は、OECDのデータなんかを見ましても、日本の財政赤字は緊急でも深刻でもないということは明らかなんです。確かに負債は大きいんですけれども、一方に資産もたくさん持っていて、資産で相殺した残りの本当の意味での財政赤字の部分というのは、対GDP比で見て日本は非常に少なくて、先進国の中でもむしろ財政優良国であるということを一般には何も知らされていないわけです。
 しかも、財政に関してさらに申し上げますと、ほかの財政赤字国というのは同時に貿易赤字でもありまして、いつか外国に返さなくてはいけない借金を国を挙げて抱えているという状態なんです。ところが、日本の政府部門の借金というのは国民が持っているだけなんです。つまり、奥さんはやりくりが非常に下手なんだけれども、御主人様は大変な稼ぎ手で、たくさんお金を稼いで外国に多くのお金を貸してあげているという状態なんです。そういうときにあの家は危ないと言うでしょうか。言わないと思うんです。
 そういう情報を壟断することによってにせの情報を流して、やってはならないときに緊縮財政をとるというような大失政を行ったにもかかわらず、それに関して何ら責任をとっていない。金融不安、デフレ経済の懸念についても何ら責任をとっていないわけです。
 今日、経済問題が政治問題、政治問題のほとんどは経済問題と言ってもいいような状態にある中で、日本の経済運営の大失敗というのがいかに日本の国家としての国際信用を失墜させたかということを考えますと、大蔵省の行政の失敗というのは非常に大きなマイナスを国民に与えたと言わざるを得ないんです。
 そういう情報の壟断を国会が何とかできる状態にあるかないかという、そこを吟味しなくてはいけないと思うわけです。国会が情報提供を要求しても守秘義務があると言ってそれを拒否する省庁があるということ自体が国民の目から見て信じられないことなんですけれども、一体だれに対する守秘義務なのかということがわからないんですね。
 ですから、私は、そういう一切何をやっても無責任行政がまかり通って、責任を負うことのない官僚の皆さんの手に政策、立案をゆだねるということの危険というものを国民はもう十分承知いたしましたので、せめて選挙という洗礼はお受けになる政治家の皆さんに行政のリーダーシップを取り戻していただきたいと思うわけです。
 そういう観点から考えますと、大変申しわけのないことながら、行革会議そのものが行政改革の精神に反していると言わざるを得ないわけです。つまり、あの会議の存在自体が国会を通っていないんです。それから、十五名の大変立派な方たちが御議論くださったようなんですけれども、あの方たちの多くは、行政の失敗と無責任に加担していらした審議会委員、それも重要な審議会委員を歴任なさった方がほとんどなわけです。そういう方たちに行政改革を論じていただくというのは、一般国民から見ますとブラックユーモア以外の何物でもないということでございます。しかも、国会議員の皆さんが、中間報告にしろ最終報告にしろ、それに異議を唱えられるということがありますと、マスコミは何と報じるかというと、またぞろ族議員の暗躍であるというふうにお書きになるわけです。
 ですけれども、私は族議員のどこが悪いかと思っておりまして、族議員になれないぐらいじゃ困るということもあります。さまざまな産業の利益代表、あるいはさまざまな地域の代表、あるいはさまざまな階層の代表の方が国会の場で、開かれた場で御議論いただいて、それで二十一世紀の行政の枠組みをお決めくださるということが本来あるべき形であろうと思いますのに、中の御議論も公開されないようなたった十五人の皆さんの御議論で大方の方向が決まってしまって、国会でどの程度御議論いただいたのかどうかよくわからないのでございますけれども、でもそれでほとんどの枠組みが決まってしまうというのはちょっと心配がな、そもそもの行政改革の理念というのが少なくとも私の考えでいるところとは随分かけ離れているなというふうに思わざるを得ないわけです。
 でも、最後に一つだけ申し上げますと、やっぱり行政改革に手をつけていただいたということは大いにありがたいことでございまして、今回の省庁の数を減らすというようなことがどの程度前向きな意味を持っているか私はよくわからないのでございますけれども、少なくとも内閣の機能強化ということをはっきり打ち出していただけたということはとてもいいことではないかと思うんです。ただ、実質的に本当に機能強化になるのかどうかということはこれからの御議論でありますし、それから省庁の数を減らすこと自体はちっともリストラにも何にもならないわけでございまして、むしろこれから各省庁の設置法において各省庁の権限を明確にしていただく。権限を明確にしていただくということは、裏返せば責任を明確にしていただくということであります。
 今までの国家公務員法というのは、むしろ公務員を庇護するための法律でございまして、公務員が任務の遂行を怠ったりいたしましても、あるいは重大な過誤があったりいたしましても、その責任が追及されるような形になっていないんですね。何をやっても責任の追及がないということでありますと、たとえ行政府が、省庁の官僚の皆さんが単なる手足になりましても、やはり無責任な行政というのが根本的には解決されないことになりますから、むしろこれからの御議論が大事がなというふうに思っております。
 国会の御議論に大いに期待させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 どうも失礼いたしました。
○委員長(遠藤要君) ありがとうございました。
 水野参考人には、御承知のとおり、行政改革会議事務局長をやられておるので質疑の中において御発言を願うということにいたします。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○林芳正君 自民党の林でございます。
 参考人の先生方、きょうはお忙しいところ、まことにありがとうございました。
 今、委員長からお話もあったとおり、大先輩の水野先生、きょうはお忙しいところをおいでになっていただいて、冒頭にはお話がなかったわけでございますが、この行革の基本法ができる過程におかれましてずっと総理の補佐官また行政改革会議の事務局長として本当に長い間御苦労いただいたと思うわけでございます。せっかくいらっしゃっていただいたので水野先生にいろいろお聞きして、後で時間の関係でお二人の参考人の先生方にもできれば御質疑を申し上げたい、こういうふうに思いますのでよろしくお願いいたします。
 そこでまず、きのう、きょうの新聞でいろいろと世論調査が出ておりましたけれども、プログラム法ということでなかなか中身が具体的に伝わってこないというようなもどかしさを我々も持っておるわけでございます。
 その大前提として、我が国がこの行革を初めとした六つの改革の後どうなるのかということを語る場合に、よく出てくるのは自己責任ということであります。とにかく自分で責任を持って自分で選択をしてください。選択肢は用意して、自由にします。しかし、その自分が選択したことについては、それは自分の責任ですから、それで失敗してもだれも助けませんよ、こういうようなことだと思うんです。
 まだイメージがぼんやりしているものですから、例えばアメリカのような非常に弱肉強食的な、何か争いが起きると何でも訴訟で全部いくような、また上と下の人の差が大分格差がつくようなそういうようなイメージで、ためにする議論が横行する気配もあるわけでございますが、この辺について、自己責任というものについてどういうふうにお考えか、まず水野先生のお話を承りたいと思います。
○参考人(水野清君) 今、林先生から自己責任のお話がございましたが、これは日本の行政はちょうど江戸時代の長屋みたいなものでございまして、大家さんが全部仕切って飯も食わせてくれるけれども、余り自分で考えなくてもいいと、こういうような延長が今日の行政の中にも私は非常にたくさんあると思います。
 それをどういうふうにして自己責任を感じていただくかということは、私は、これは国民の皆さんに相当にPRをしませんとなかなかわかっていただけない。例えば、金融破綻の問題においても、一千万までは補償するがそれ以上は補償しないということを実行しようとしても、現在のように金融機関のディスクロージャーが行われていなければこれはできないわけでございまして、同時にすぱっとやるということは、私は非常に困難だと思います。
 しかし、これまでの事前規制型の行政から事後承認といいますか、結果を見るというような行政に変わっていくわけでございますから、どうしても国民の一人一人が物を考えてやっていただく必要がある、私はこれは当然なことだと思います。ただ、日本の国民にはなかなかなじまない問題が非常に多いので、これからが私は一番大事なことだと思います。
 ただ、その際には、今、国会で御審議をいただいておりますが、情報公開法というものがまずでき上がって、政府の諸機関がやっていることが相当に私はガラス張りになると思います。その中で、政府機関の中のことがわかってきて初めていろんなことが実施されるわけであります。
 それから、この行革会議の最終報告にも書いてありますが、政府もアカウンタビリティー、説明責任というものが今度は出てまいります。説明をしなくちゃいけない、国民の要求にこたえて、この行政はこういうわけになっていますという説明責任があるわけでございます。ただいまの紺谷先生のお話なんかに対しても、説明責任を要求された場合にどうするかという問題が出てくるわけでございます。こういうことが私はこれから進むんだろうなと、こう思っております。
 一口に自己責任と、こう言っておりますが、それが日本の国情の中で普及して、全国の市町村の行政にまでそれが浸透していくのにはかなり時間がかかるのかなと。しかし、そのためにどういうことをこれからやるか、情報公開もそうでございましょうし、地方分権の問題もそうだと思います、あるいは規制緩和の問題もそうだと思います、その中で中央省庁の統廃合をやっていく。
 統廃合をするということは、ただくっつけるように、ようかんの切り方を変えるんだというふうによくマスコミなんかでおしかりを受けていますが、私はそういうことではない、質的な問題を解決しなければこの本質が出てこない、こう思っております。
○林芳正君 ありがとうございました。
 長屋の例えというのは非常にわかりやすくて、多分今から長屋がちゃんと仕切ったマンションになって、それぞれのところがテレビカメラとか照明がきちっとつくことによって、自分の部屋は自分で管理をしなさい。そこの持ち主はどこか遠いところに住んでいて、昼飯をごちそうする、またどこか雨漏りしたら直してやるというのはもうないというようなことではないか、長屋がマンションになっていく間の期間が教育期間といいますか、今から二〇〇一年ぐらいまでなのかなと、そういうふうに今お聞きをしておったわけでございます。
 そこで、きょうの世論調査を見ますと、具体的にこの行革法案、これはプログラム法案ですが、その次に設置法案というものが出てきていろんなことが実際に実現をしていくと思うわけでございますが、それが起こったときにどういういいことがあるのか、国民お一人お一人にとってどういうメリットがあるのかというのがなかなかぴんとこないということが世論調査の数字に出ているのかなと、こんな気がいたします。
 具体的にはこういうところがこう変わりますよというのを水野先生に御紹介いただければと思いますが、よろしゅうございますか。
○参考人(水野清君) この中央省庁の改革法案だけに限って見れば、これは政策立案と実施機能を分けるというのが原則でございます。
 実施機能というのは国民の一番接触の深い、届けを出したり許可をもらったりいろんなことをいたしますが、その部分をどちらかといえば独立行政法人、御審議をいただいている法案の中にございますように独立行政法人化していくというのが一つの方向でございます。それのどれをするかということは、この法案には表が削除されましたので具体的に申し上げませんが、ともかく私は国民にとってサービスがよくなるだろう、こう思います。サービスをよくするようにしなくちゃいけない。
 例えば、よく言われることでありますが、年度末によく道路の工事が始まる。そして、あれは多分そこの地域で道路の予算が若干余っている、年度末を越せば一遍国庫へ返さなきゃいけない、それはもったいないからともかく工事をやろうと。それで、道路を全部やるわけにいかぬから、よくゼロ国債というのがありますけれども、ああいう方式で年度越しに仕事をしていけばいいだろうというようなことがありますが、それが何となく二月ぐらいから交通渋滞をもたらしている。こういう問題というのはやっぱり私は現場の独立行政法人化と。道路行政を独立行政法人化するかどうかということは別でありますけれども、そういう問題が多々あると思います。
 あるいは、昨年、ある国立大学の研究機関で予算を余した。もったいないから一遍どなたかの領収書で外に出して、私物化したわけではないんですけれども、翌年度に越して使ったというのは、会計法違反で多分あれは刑事事件として行われたと思うんです。立派な学者の方々がそういう不便なことで思わぬそばづえを食ったような事件がありましたけれども、そういうことなんかをこの独立行政法人の中で整理をしていく。私は、公務員の方々にとっても大変いいことだ、公務員生活が柔軟性を帯びていくということで大変すばらしいことだと思いますし、それを受ける国民のサービスも向上するであろうというふうに確信を持っております。
 それに、御承知のとおり、情報公開法のようなものが出てくれば説明責任というような問題も当然出てまいりますし、あるいはさっき紺谷参考人から大分手厳しいお話をいただきましたけれども、政府の失敗というもの、これは行政の失敗ということは今まではないということになっていました。行政の失敗というような問題が具体的になってきて、私はこれは国民の批判を受けることもあり得る、それでいいのではないか、こう思っております。少しお話が足りないかもしれませんが。
○林芳正君 ありがとうございました。
 大変わかりやすくいろんなお話をしていただいたわけでございますが、まさに単年度会計で縛っておりますとなかなか、手続が厄介だからもうやめておこうというようなことが随分あるんじゃないかなと。
 今、地方公共団体ではその繰り越しなんかをいろいろ使ったりして有効にやっておるという例が幾つか出てきておるようでございまして、これは国のレベルにもこの行革法案によって及んでくるというのは大変に結構なことだと私も思っております。そういった意味で、こういうところが今どこだと言えないものですからなかなか外に伝えにくいということで、あえてお聞きをしたわけでございます。
 そこで、先ほど紺谷先生からもお褒めをいただいたわけでございますが、首相官邸といいますか内閣の機能強化ということは今回のこの法案の中で大変に大きな大事な位置を占めていると私は思います。危機管理もそうでございましたし、いろんなところでリーダーシップというものがなかなか発揮されにくいんではないか。
 特に、よく日本はアメリカと比べる癖があるものですから大統領と比べてどうだという議論があるんですが、プライムミニスターというのは、プライムのミニスター、一番目の大臣ということで、閣議の中の一番目という意味で、これは大統領と大分生い立ちそのものが違うわけでございます。これを引き出してきて比べるというのはなかなか無理があると思うわけでございますが、それでもやはり今の日本のシステムはなかなか総理のリーダーシップというのは発揮されにくいシステムじゃないかと私も従来思っておったわけでございます。
 今回の法案でこの辺がどのように変わっていきますのか、水野先生の御所見を伺いたいと思います。
○参考人(水野清君) まず最初に、よく橋本総理が大統領的内閣機能を目指しているというような悪口がありますが、実はそうではないのでありまして、大統領的でもないし、これまでもあったのでございます。御承知のとおり、今までは内閣総理大臣は、極端な言い方をしますと、内閣法六条にありますように、閣議で決定しない限りは各省庁に指揮監督権がないという大前提で、そこで各省の分担管理という形の行政が行われてまいりました。これが縦割り行政の弊害であって、総理大臣といえども、うちの役所にそう簡単には物が言えないというようなことがあるわけでございます。
 それが一つ今日の行政の失敗になっておりますが、本来はこの内閣法六条を改正すればこの問題は解決したんだと思いますが、法制局の見解は、内閣法六条は憲法に関連してこれは改正できないという見解をとっておられます。
 ですから、私どもはそれを改正することをあえてしない、議論はいたしましたけれども、それは行革会議の中では改正しないという方向で取りまとめをしまして、そのかわりに、内閣総理大臣が内閣法四条にあります発議権というものを確保しよう。今の発議権は各閣僚平等の発議権でございますが、内閣総理大臣はほかの閣僚に優先する発議権を持っている。例えば、行政改革を実行しようということを総理大臣が思われたら、閣議にもちろん総理大臣が語るわけでございます。諮ってやる、そこで議論をする、こういう制度設計になっております。
 あるいは、内閣法十二条にありますように、内閣官房の総合調整権というものを非常に強力にしよう。今は下から上がってくるものを受けて調整をしているわけでありますけれども、トップダウンでどんどん調整をしていこう。そういうようなところからこの改革が行われたわけでございまして、そこに内閣府というものができたことは御承知のとおりであります。
 内閣府におきまして、余り私が説明すると時間をとってしまいますが、これは一番いい例が阪神の大震災のときで、あの結果、災害対策基本法が改正されまして、閣議決定しなくても総理大臣は所管庁に指示ができるようになりましたけれども、それまでは非常にハードルが高かったわけであります。こういうことが改正されてまいりました。
 御承知のとおり、今度のインドネシアの問題でもそうでありますし、昨年でありますか、東京湾のタンカーの座礁の問題でもそうでございますが、閣議決定をしないとなかなか発動しにくいという問題をどうしてクリアしていくか。こういうふうな制度設計をして内閣の機能を強化した、こういうことでありまして、御承知のとおり、内閣府は各省の上にあるお役所、こういうふうに位置づけられております。
○林芳正君 ありがとうございました。
 まさに大統領とはいかないまでも、やはりリーダーシップを発揮できる仕組みに一歩近づいてきておるなというのが大変よくわかるわけでございまして、特に最近、今、水野先生がお触れになりましたように、インドネシアにしてもそうですし、それからタンカーの話にしてもそうですし、時間との闘いの中で決断をしなければいけないということが今後ますますふえてくるんではないか、こういうふうに思っておりまして、そういった意味で時宜を得た内閣府の機能の強化だ、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、鷲尾先生にちょっとお伺いをしたいわけでございます。
 先ほど最後の方で、連合というか組合は反対だとよく言われるが、そうではないと。一番大事なところは、先生おっしゃったように、雇用の問題だと思います。雇用の確保を努力しながら、いろんなスキルをつけていくことによって配置転換はやむを得ないだろうということでございましたが、ちょっと答えにくいことかもしれませんけれども、先ほど水野先生からおっしゃっていただきましたとおり、独立行政法人という新しい概念が生まれまして、これは公務員と民間のちょうど間ぐらいの位置づけになるのではないか。
 そこで、先ほど言っていただいたように、企業的なマインドを持って、サービスの強化に努める、やっている人もやる気が出てくる。よく言われるすぐやる課みたいなところがたくさんふえるんではないかというイメージがあるわけでございますが、身分が全くの国家公務員でなくなってしまうというケースも、先ほどおっしゃった配置転換という中に含めて理解をしていいのかというところにつきまして、御見解を賜りたいと思います。
○参考人(鷲尾悦也君) 林先生御指摘のとおり、この行政改革が本当に公務員の方々のモラールを上げて活力あるものになるかどうかというのは、公務員の方々の雇用がきっちりと安全に守られるかどうかにかかっているのではないか、私はこう思うわけであります。ただ、従来の自分が培ってまいりました職場だとか技能だけにこだわっていたのでは、新しい構造改革に基づいた行政改革はできないということになりますから、これは当然スキルの向上なり転換を含めてトータルで雇用を確保するということをやらなきゃいけない。
 これは民間でも全く同じことがされているわけでありまして、戦後五十年、民間の企業がそれじゃ産業構造の転換がなかったかというとそうではないわけであります。技術の進歩は飛躍的に進んでおりまして、いわば民間の場合には、需要といいますかニーズに合った仕事をつくっていくということであります。そうしたスキルの訓練をしていったということになるわけであります。
 しかし、それが具体的に独立行政法人ということになりますと、私どもの考え方としては、独立行政法人の職員はどのような仕事をするのかということでありますが、これは完全に今回の行政改革の議論で、民間でやってよろしいということであれば民営化すればよろしいわけで、これははっきりできます。なぜ独立行政法人ということにしたかというと、民間ではやりにくい仕事をするんだということでありますから、国家公務員、それは中間もあり得るかもわかりませんけれども、ある種の保障、担保というものは必要なんじゃないか、こんなふうに私どもは考えているところでございます。
 そしてまた、独立行政法人というのはもう少し中身がきちんと詰められて、どういう仕事をやってどのような、例えば先ほどの単年度会計の話じゃありませんけれども、もうちょっと長期的に考えた場合、どういうふうに独立行政法人が自分たちの仕事をみずから改革していって、新しい仕事に行政サービスとして挑戦するかどうかということによってその内容が変わってくるんじゃないかというふうに思います。これが第一点。
 第二点目は、その際のいわば労働三権の問題でございまして、私どもは民間の事例に倣いますと、そうした構造転換なり職務転換をするときは必ず民間の場合は労働組合との事前協議がございます。そして、それには抵抗権もあるわけです。抵抗権もありながら、話し合いをしながらそこで合意形成をしていくから、初めて本人たちが納得してそうした構造転換に対応するスキルの向上に自分たちがチャレンジするわけであります。
 その意味からいいますと、公務員制度の問題はまだこれからの検討でございますので、私どもとしては労働三権を、立場としては全面的に認めてもらいたいという立場でありますけれども、この議論を先行させて、そうした協議権というものがきっちりと確保された場合に、それじゃ新しい公務員制度の際に国家公務員というふうに完全にするかどうかという議論は、参加することにやぶさかではないというふうに思います。
 今の立場では、現在の検討の内容では国家公務員として身分を保障することが適切である、こういうふうに思っております。
○林芳正君 踏み込んだお話をいただきましてありがとうございました。
 まさに独立行政法人、インセンティブを得るということになると、給与体系とか、それから人事のローテーション及び人事の任免権というところも、ある程度今の公務員と民間の中間というところが出てまいると思うわけですね。ですから、そういう意味で今、先生おっしゃったように、民間なら労働三権というのが出てくるわけでございますから、その辺を、よりよい制度をつくるために鋭意論議に参加をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 時間も迫ってまいりましたので、紺谷先生に最後にお一つだけお聞きしたいわけでございますが、いわゆる責任の問題ということをおっしゃっておられました。政治の復権と、我々にとっては大変ありがたいお言葉もいただいたわけでございますが、そういった中で、先ほど水野先生がおっしゃいました説明責任ということと、それからいわゆるレスポンシビリティー、もともとの結果責任ということがやはり分けて議論をされなくてはいけないんではないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 よく投資顧問なんかにお金を預けて、これにやったからこうだった、少し損したからとかほかのところよりも利回りが低かったからといって、その人を訴えるということはできないわけでございますが、この人は成績が低いからほかにかわるということはできるわけでございまして、そういうような責任の概念が二つ出てきておりますが、その辺について、今から行政と我々立法府、政治というのはどういう責任を国民に対してそれぞれ負っていったらいいのかということについてお聞きをしたいと思います。
○参考人(紺谷典子君) 一般の企業の経営者は、重大な過失あるいは任務の過怠に関しても責めを問われることになっております。ですから、ただ単に犯罪立件とかそういうものだけではなくて、サボったとかあるいは大失敗というような善意の失敗でありましても、結果が非常に重大である場合には責任を問われるわけでございます。ところが、国民の安全と生活を託されている行政において、そういう責任を一切負わないできたというのは極めて重大な問題であろうかと思っております。
 ですから、そういう問題というのも、例えば各省庁の設置法が非常に広く権限を定めていて、それが裁量行政の問題にもなっているというふうにしばしば指摘されておりますけれども、立法の場でもっと細かく権限を規定していただく。そうして、その権限においてどのポストが責任を持つのかということも、それぞれ明確にしていただくということが重要ではないかと思うんですね。
 例えば、よく省庁の皆さんは、これは組織の決定であるということでどなたも責任をおとりにならないんですけれども、組織といえども、どこかに必ずその関係部署はあるわけであり、その部署の責任者というのはいるわけでございますから、それはさかのぼってきちんと責任をとっていただくというふうな形にしない限りは、どんどん問題の先送りも生じる、あるいはどんな結果が生じても、それには一切責任を負わないでいいという形で、非常に無責任な裁量行政が行われる余地を残すということになると思うわけです。ですから、当然のことながら結果責任を負っていただく。
 さらに、結果責任だけではなくて、どうしてそういう意思決定を行ったのかというような執行の各局面におきましても、意思決定と執行の局面におきましても、一つ一つ説明をするということをおやりいただきたいと思うんですね。当然、なぜそういうような決定をしたかというような記録は残すべきであろうと思います。
 例えば、山一の事件に関しましても、言った言わないの水かけ論があるのでございますけれども、ああいう重大な問題に関して記録が残っていないというそのこと自体が責めを問われるような、そういう各省庁の設置法というものをおつくりいただけますようにお願いいたします。
○林芳正君 終わります。
 ありがとうございました。
○寺崎昭久君 民主党・新緑風会の寺崎昭久でございます。
 本日は、参考人の皆様におかれましては、大変お忙しいところ審議に応じていただきましてありがとうございます。せっかくの機会でございますので、短い時間でありますけれども、幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、水野参考人にお尋ねいたします。
 今回の中央省庁等改革法案につきましては、民主党は初めに中央省庁の再編ありきという考え方はとらない。むしろ、中央省庁の機能とか役割を特定した上で、それになじまないものは地方とか民間とかあるいはNPOとか、そういうところにおろすべしという考え方をとっておりますので、この法案自体には賛成というわけにはまいりませんし、また行革会議がまとめられた最終報告にも全面的に賛同するという立場ではございませんけれども、それにしましても、短期間の間にこの法案の骨子になるもとをまとめられた御苦労というのは大変なものであったと思いますし、心より敬意を表する次第でございます。
 この一連の動きについて私も関心を持って拝見しておりましたが、例えば行革会議の藤田宙靖委員が、最終報告を出された直後だと思いますが、雑誌に、事務局と委員との間の行き違いが佐藤京大教授と私に中間報告のたたき台づくりの大役が回ってくる一因になったと、こういうことを報道されております。また、水野さんは事務局案に対して事務局長案を出されたこともありますと、こういうことも紹介されているんですが、私どもにはどういうふうに食い違ったのかというのはなかなか伝わりにくいものですから、差し支えなければ、事務局案に対して事務局長案はどういうものを出されたのか、御披露いただければありがたいのですが。
○参考人(水野清君) これは審議の過程の話でございまして、橋本総理が座長でありますから、最終的には総理の裁定によって、大体私の考えているような内閣府とかそういったものができてきたわけでございますが、当初この内閣機能のところでどういうふうになるかということはいろいろございました。最初につくって公表されなかった事務局の素案というのがございまして、それは今の総理府と同じような立場の、要するに各省と並列された立場のお役所をつくる、こういうような構想であったわけでございます。
 それは、私は事務局長としてじゃなくて、二足のわらじを履いておりまして委員であったわけで、行革会議の委員として、これではやはり内閣機能強化が難しいのではないかと思いまして、あえて事務局の皆さんと違う立場の案をつくって、各省の上に内閣府という役所をつくって、そこに内閣のいろんな機能的な、戦略的とか機動的という言葉がありますが、たしかそのときは戦略的という言葉があったのでございますが、政策立案部門をつくろう、こういう構想で出しました。私の案も藤田先生や佐藤先生の御指導で随分変化をしてまいりますけれども、事務局は、総理が座長でございますから、そっちでいこうということであったわけでございまして、マスコミは大きく書きましたが、今から考えれば一つのステップであったと、私はそう思っております。
 その結果、こういう結果ができまして、今内閣機能のところは若干お褒めをいただいたようでありますが、紺谷さんからもさっきお褒めをいただきましたけれども、内閣機能のところは結局今の時代には適している制度だということを世間からもお認めいただいて行革会議はまとまった、こういう結果でございます。
○寺崎昭久君 ありがとうございました。
 内閣機能云々については私も感想を持っておりますが、これは時間の関係で割愛いたします。
 次に、もう一つ水野参考人にお尋ねしたいんですが、省庁改革基本法が制定されますと、今後再編に伴う省庁業務の割り振り、いわゆる所掌事務とかあるいは権限についてどう設定するかというようなことにかかわる設置法の制定、あるいは関係法律の整備ということになるのだろうと思います。
 いろいろマスコミ等が伝えるところによりますと、この法案をまとめる過程で相当官僚あるいはいわゆる族議員と言われる人たちのプレッシャーがそれぞれの委員の方にもかかったし、このことは今後そういう設置法をつくるに当たっても同様であろうということを懸念されているんだと思いますが、今後省庁間の縄張り争いということも起こりかねず、省庁の数は減ったけれども権限はかえって肥大化してしまったというようなことも懸念されると。
 そうならないように監視するために、例えば中央省庁再編等準備委員会参与の諸先生が、省庁間の駆け引きは設置法などの制定過程でより激化すると思われるので、第三者による監視機関、肥大化を防ぐための監視機関を置かれたらどうかというような御提案をされ、また日本再建のための橋本行革を推進する五百人委員会も同様の提言をされたんですが、これは総理がその必要なしということで却下された。
 ちょっとそこら辺は私も正確じゃないんですが、基本法に織り込むことを必要なしとおっしゃられたのか、監視委員会を置くということを必要なしとされたのか定かではありませんが、その辺も含めて水野参考人の御見解を承りたいと思います。
○参考人(水野清君) 御承知のとおり、今の法案の六十二ページ以降に各省のおよその主要な任務が書かれております。その下には主な行政機能も書き込んでございます。ただ、これでもなお省庁の間では、今度は庁はありませんけれども、各省の間でははっきりしない問題が多々出てくるだろうと思います。書かれていない問題もございます。そういう問題を一体どういうふうにやっていくか、これは一つの大きな問題だろうと思います。
 それをどういう組織でやるかということにつきましては、またこれは法案が通っておりませんし、私自身が関与することではないわけでございまして、そこでどういう仕事をするかも私は存じておりません。ですから、そこのところは何ともお答えできないんですが、ただ、きのうおとといの集中討議におきまして総理が話をしておられますのは、第三者機関的なものをつくる、要するにこの法案に盛り込まれていないのですが、多分政令による第三者機関的なものをつくるということは明言をしておられます。
 それから、各省のいろんな争いがこれから起こるかもしれませんが、それは各省に対する一つの物の考え方だと思いますが、Aという省とBという省を合併するんではないんだ、両方解散をして新しい役所をつくってもらうんだ、そういう心構えでやってもらいたい、こういう趣旨の話を当委員会でもしておられましたけれども、私は、各省のお役人方が解散して再結集をするというさらっとした気持ちでこの省庁再編に臨んでいただけるかどうか、これは非常に大変な問題だと思います。そうであってほしいと私は希望しております。
○寺崎昭久君 鷲尾参考人にお尋ねいたします。
 鷲尾参考人は、中央公論の九七年十二月号に連合の運動方針を紹介され、その中で、今後の労働運動の方向として、合意形成システムの再構築あるいは労働組合を含めたそれへの自由な市民参加を保障する社会的な枠組みをつくることが必要だと。参加型労働運動を志向する、そういう意味合いにおいて各省庁に対する折衝とか交渉の強化、政党への申し入れ等々を行っておりますということをおっしゃられております。
 今回の基本法というのは、言うまでもなく器を中心に、どういう器をつくるかということでつくられておりますので、運用面について踏み込んだ内容になっているわけではございません。先ほど鷲尾参考人のお話を伺っておりますと、かなり運用にかかわる問題について言及されておりましたが、参加型労働運動は器との関係、つまり行政組織との関係でどういう位置づけが好ましいとお考えになっているのか、そういう目からごらんになって今回の基本法のできについてどのように評価されるのか、伺いたいと思います。
○参考人(鷲尾悦也君) 寺崎先生に御質問いただきましたように、私の論文を読んでいただいたようでありますが、今回の行政改革の基本は、先ほども申し上げましたように、国民中心の行政になるかどうかが決め手だというふうに思うわけです。もちろん、議会制民主主義の中では基本的な住民の意思というのは選挙によって決まる、これも事実でございます。
 しかしながら、歴史的に見ても、間接民主主義だけですべての機能を処理するということはなかなか難しい、こういうふうに思うわけでありまして、このような複雑な世の中になればなるほど、先ほど紺谷参考人がおっしゃいましたし、林先生の質問に水野参考人がお答えになりましたように、確かに今後とも多様な選択肢に対しまして国民が選択をする、こういうようなことでもございますし、自己責任も強まってくるだろう、こういうふうに思うわけです。そうなればなるほど、ルールが国民に明確化されている、そしてそのルールが明確になった中で住民がどのようにサブシステムとして直接民主主義的な手法でもって参加できるかという仕組みをつくることが大事だと思うんですね。
 その場合に、私は地方分権というものが進めば、いわば小さい地域で住民が参加することが可能になる、そのためには情報公開が何よりも大切である、こういうことは冒頭でもその意識のもとに申し上げたつもりでございます。
 したがいまして、労働組合を含めたNPO集団と行政自体が何か議会制民主主義と違った直接的に交渉するというような機能をつくるのはなかなか難しいわけでありますけれども、住民がいつでも参加できる仕組み、例えば地方行政における公聴会の制度とか何とかということは工夫はできるんではないか、こんなふうに思っているところであります。
 その意味からいいますと、住民参加がしやすくなるという点からいいますと、今回の行政改革は、水野事務局長がおられますけれども、私としては採点は辛くつけざるを得ない。必ずしも国民中心の参加型の行政改革になっているかどうかということについて疑問があるわけであります。
 したがいまして、これは運用の問題もございますし、基本法からさらに各省庁の設置法が議論されるときに、責任と権限、そして地方と中央の役割というものをもっともっと国会の場で議論していただき、私が主張しておりますようなサブシステムとしての参加型がきちっとできるような仕組みをつくっていただければありがたい、このように考えております。
○寺崎昭久君 鷲尾参考人にもう一つお尋ねします。
 先ほど、冒頭に公務員に労働三権を保障すべしという御発言がございましたが、これは今回の基本法に言う独立行政法人のことを言っているのか、それとも公務員一般のことをおっしゃっているのか。その際には、例えば人事院勧告方式というのはもう不要であるという前提でおっしゃっているのか。ちょっとその辺を明らかにしていただきたい。
○参考人(鷲尾悦也君) 私どもはこれまでずっと現在の公務員に対しても労働三権を付与すべきであるという主張を展開しているところでございます。G8の国々でも、一部制約されている部分はございますけれども、公務員に三権が付与されていないのは日本だけでございまして、その意味からいうと、まず争議権を含めた交渉権というものを確保するということがいわば合意形成の基本になるのではないか、こういうふうに思っております。
 したがって、独立行政法人というのはさらにダイナミックな行政運営をするわけでありますから当然のことでもありますし、また公務員にも労働三権を付与すべきであろう、こういうふうに考えております。
 その場合に、人事院勧告等の制度は公務員に三権を制約するための代替措置としてつくられているということでございますので、もともと人事院が持っている人事院固有の機能は残るというふうに思いますが、人事院勧告というようなものはもし労働三権が付与された場合には再検討する必要がある、このように考えております。
○寺崎昭久君 紺谷参考人にお尋ねします。
 先ほども水野参考人に、いわゆる行政の肥大化を防ぐために今後法律を制定する過程で監視すべき第三者機関をつくることについての是非をお尋ねしたわけでありますが、この後の法律というのは改革推進本部が中心になって法律の準備を進められることになるのだと思います。
 メンバーでいいますと、予定されているのは、本部長に総理大臣、以下国務大臣が本部員になる、幹事には関係機関の職員がなる、また事務局長には内閣審議官がなるということで、相当、官邸といいましょうか、行政府のもとに置かれた本部になるのだろうと思うんです。先ほど水野先生からも御見解をいただきましたが、私もぜひ第三者機関をつくらなくちゃいかぬと思っているんですが、その辺の御見解をお尋ねします。
○参考人(紺谷典子君) 第三者機関というのは絶対必要だろうと思っております。つまり、どんな議論であってもなるべく立体的に複層的に議論が行われていくということが大事でございます。ですから、推進本部で御議論いただくだけではなくて、それとは全く別の機関が同じような議論を行っていて、両者でその議論の成果を闘わせるというような形にならざるを得ないのではないかと思うんです。
 ただその場合、第三者機関というのがよく言われるようないわゆる識者グループでいいのかどうかというのは私は疑問を持っておりまして、日本の識者の方というのが本当に今までちゃんと機能してきたかどうかというと、余り評価できないような気がするんです。
 先ほど来再三申し上げておりますように、やはり国会の場できちんと御議論いただくということが一番大事だと思うんです。だって国会議員の皆さんは国民の代表でいらっしゃるわけですし、国会の議論は、きょうの会議を初めとして記録がきちんと残り、だれでもそれを見ることができ、しかも今は有線だか何だかよくわかりませんけれども、きちっとすべての議論がテレビを通じて国民の目にさらされるという形になっているわけです。開かれた場で議論されるのでなければ、第三者機関であろうともやはり無責任な議論が行われる余地というのは残ってくると思うんです。
 ですから、議論か公開されているということが一番大事なのでありまして、それも単に要約が公開されるということではなくて、どなたがどんな御発言をなさったのかという形が残るようにしていただければいいと思うんです。できましたらば、私はやはり国会で議論していただきたいと思います。
○寺崎昭久君 ありがとうございました。
○海野義孝君 公明の海野でございます。
 本日は、参考人の皆様方には御多忙のところ大変ありがとうございます。
 これまでの各委員からの御質問で大分話は進んでいる一このように思うわけでありますけれども、今回のこの行政改革というのは、一昨年の秋の臨時国会におきまして橋本総理が、当時は五つの改革でありましたけれども、その後教育を含めて六つの大きな改革、これが当内閣の最重要課題である、なかんずくその中でもこの行政改革というのがそのトップに来るんだという、そういった決意を披瀝されまして、それから今日までもう一年半近くなっていると、こういうことでございます。
 そういった中で、今回の行革という問題については、先ほど鷲尾参考人が行政の質という問題がやはり一番重要であるということを申されたわけであります。そういった点で鷲尾参考人にお聞きしたいのでありますけれども、今回の行革につきましては、いわゆる中央から地方へとか、あるいは官から民へとか、こういったことが言われるわけでありますけれども、私はやはり今回の行革が行われるということは、つまり国民の生活ということに視点を置いて行われると。それは民間の自由度といいますか、そういったことがやはり重要になってくる、こう思うんです。
 そこでお聞きしたいのは、いわゆる大きな政府とか小さな政府論というのがよくあるんですけれども、今回の行革の考えでいる問題はどうであろうかと。私は、いわゆる民間の活動への介入の度合いの大小ということが大きな政府か小さな政府がという場合のやはり一番根幹の問題じゃないかと思うんですけれども、それも含めまして鷲尾参考人はその辺をどういうように御認識になっているか。それと今回の行革はそれについてどういった評価をできるかという点をお願いします。
○参考人(鷲尾悦也君) 海野先生がおっしゃいました、行政改革は行政の質を変えるんだという御指摘、私が申し上げました発言に対しましてそのような御発言があったことは、私は全く同感でございます。したがって、今回の行政改革がそれに適合しているかどうかが評価につながることではないかというふうに思っています。
 その際、私が評価を下すとすれば、私は橋本総理が現在の日本の状況のもとで六大改革を推進する、そうした提言をされたこと自体は大きく評価するわけでございます。
 それから、私どもも行政改革本部の資料をつくっておりますが、「はじめに」というところになりますでしょうか、大項目のところについての司馬遼太郎先生の言葉を引用した部分でありますが、「行政改革の理念と目標」というのは、これまた文章を読めば瑕疵がないすばらしいものである、こういうふうに思っています。
 そうなってまいりますと、今回の具体的な内容がどうかということになりますが、私はこれは厳しい点をつけざるを得ない。というのは、本当に今回の行政改革の基本法に掲げられているものが国民生活の質の向上に役立っているかどうか、現在、国民が必要としている行政サービスに対応できるようになっているかどうかということがチェックポイントになるというふうに思うんです。その意味からいいますと、行政のサービスというものを従来から言われていますように裁量でもって決めていく、それがスキャンダラスな事件を起こして、国民が行政からサービスを受けているという実感を持ってないというところにメスが入れられているかどうかということになると、不十分ではないか、こんなふうに思っています。
 そして、大きな政府、小さな政府論からいいますと、私は今、どこの世の中でも大きな政府で何でもよろしいというような国は先進国には余りない、こういうふうに思うわけです。したがって、小さな効率のいい政府、こういうことになるんじゃないかというふうに思います。
 その際には、必要な行政サービスは低下しないで小さな政府が実現できるかどうかという大変困難な挑戦をしなきゃいけない、こういうふうに思うわけであります。その意味から言いますと、地方と中央との分担関係を効率化することによって、中央は小さな政府、また地方も小さな自治体であるけれども、行政サービスは適切にできるというような、難しい課題でありますけれども、そうしたチャレンジをしていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。
 先ほども申し上げましたように、具体的な省庁設置法で権限や機能を決める際には、そうした問題を意識していただくということが大変重要なんじゃないか、こんなふうに考えているところでございます。
○海野義孝君 今のお話ですと、私が申し上げたようないわゆる民間活動への行政の介入の度合いというものが小さい方が望ましいということでよろしいわけですね。
○参考人(鷲尾悦也君) そうだと思います。したがいまして、私どもは経済的な規制、経済活動、市場に対する規制はできるだけ外した方がよろしいと思います。しかしながら、別途議論があると思いますが、社会的な公正さを維持するためのある種の行政の役割は相変わらず残る、このように思っています。
○海野義孝君 次に、今回の基本法はプログラム法ということで、むしろ問題は中央省庁等改革推進本部がこれから手がけていく、これが大変重要で、そこにすべてがかかるということであります。
 これは紺谷参考人にお聞きしたいと思うんですが、これまでの問題としてさっきも御指摘になりましたけれども、やはり省庁設置法の規定というのが余りにも広範であったというか、そういうことからいわゆる組織権限というものを大量に与えていた、そういったところに最大の問題点というのがこれまであったのじゃないか。行政無責任論とか、いろいろなさっきのお話ですけれども、そうしますと、いわゆる裁量型行政をルール型に転換していくやり方としては、具体的にはどういうふうにすればいいかという点で、何かお考えがあればお願いします。
○参考人(紺谷典子君) ルール化するということは立法化するということでございまして、各省庁の権限について、非常に大きな枠だけでも結構ですからきちんと具体的に明確にお決めいただくということでございます。今までの設置法をさっと見ましたところ、何々についてとり行うとか何々について規制を行うとか、何でもありみたいな形になっているというのは非常に困ると思うわけです。一つ一つ具体的に、ああこれはこの省庁の権限なのかということが国民あるいは企業の立場からわかるということが大事ではないかと思っております。
 御質問の趣旨からはあるいは外れるかもしれないんですけれども、そういう点で極めて重要なのが大蔵省における権限の集中ということでございます。委員から今御指摘がありましたのは一つ一つの省庁の裁量の余地が大きいということであったんですけれども、従来の行政の失敗のもう一つの問題というのは、大蔵省に権限が集中し過ぎているということなんですね。それは、例えば主計局が予算をつかさどる、あるいは主税局もあり、国税庁も外局として持っており、税務調査権も持っている。それだけではなくて、財政と金融を一体として持っているということがありまして、そういうことを通じて他省庁を支配し、それから他省庁の分も含めて情報をすべて独占してきたということがあるわけでございまして、その問題を解決しなければ本当の意味での政治復権、行政改革にならないんではないかと私は思うんです。
 その観点から見ますところ、今回の省庁再編案というのは必ずしも十分とは言えなくて、例えば財政・金融分離にいたしましても、ほかの国ではどうとかというような極めて形式的な議論が展開されているのでございますけれども、ほかの国がどうであろうかとか、そんなことは全然本質的な問題ではないと思うんです。我が国が現状でどんな問題があるのか、それは何と何が一緒になっていたからであるとか、そういう議論こそ必要でありまして、ほかの国は何と何が一緒になっていようが、運用上それでスムーズにいっており問題が生じなければそれはそれで構わないんです。ですから、日本の場合は、財政と金融が一体化している問題というのがあるとすれば、日本の固有の問題として大いに分断を議論したらいいと私は思います。
 ただ、財政・金融問題というのは大蔵省に集中している権限の中では比較的に小さな問題でございまして、むしろ予算と税務調査権が非常に大きい、あるいは税務調査権だけではなくて金融検査権も握っている。
 こういう言い方をするとあるいは失礼かもしれませんけれども、大蔵省は予算編成というあめを使い、それから税務調査、金融検査というむちを使って国会議員の皆さんまでも自由に動かすことができると言われてきたわけですね。従来、官僚の皆さんというのはキャッチアップの時代には先進国というお手本、つまりマニュアルのまねをしていればよかったわけですから、官僚の皆さんの失敗というのは非常に少ないような形の中でうまくやってきた。その間政治が官僚に少し権限をゆだねたということがここまで大蔵省における権限の肥大化、集中という結果を招いてきたわけでございまして、それがいろいろ大きな行政上の問題を引き起こしているわけでございますから、その権限を分断するということからまず行政改革は始まらなくてはいけないと思うんです。
 だとしたらば、今回内閣府のもとに予算の立案、大枠を決めるということをお移しいただいたというのは非常にいいことだと思うんですけれども、それだけではなくて、国税庁をきっちりと、形ばかりの独立てはなくて、本当に明確に独立の組織としていただくということが必要なのではないかと思うわけです。
 税務調査に関しては、よく大蔵省の方がこううそぶいていらっしゃるそうなんですけれども、あれは核抑止力と同じである、使わなくても効果を持つというんですけれども、そういう状態のものをほうっておいていいんでしょうか。
 しかも、税務に関しては、税法というのは本当に大筋しか決めておりませんで、大臣ですらない一官僚である国税庁長官の通達で多くが決まる。それのみならず、現場であるところの税務署の署員の方たちの胸先三寸の裁量部分というものも非常に大きい。よく行われる会話だそうですけれども、今度税務署の担当がかわったから今までどおりにいかないかもしれませんよというような、そういう税金を納める国民にとっては非常に重要な問題において裁量の余地が極めて残っているということは、つまりその権限も非常に大きいということなんですね。
 ですから、税法の見直しということもぜひ行っていただきたいんですけれども、それだけではなしに、やはり従来の流れということを考えますと、国税分離ということが政治復権のための非常に重要な行革の手段であろうかと私は思っておりますので、今後ぜひその御議論もお続けいただきたいと思います。
○海野義孝君 大変ありがとうございました。いろいろとお聞きしたい点を大分網羅してお話しになりました。
 やはり今回の行革の中では、今おっしゃったような点が大変欠落しているというか、その辺のところが今回は攻め切れなかったというか、そういう問題だと思いますけれども、これはいずれ二〇〇一年一月、新しい体制がスタートするまでの過程において私は当然議論されてくる問題だと思います。
 最後に鷲尾参考人にもう一問だけお願いします。
 いわゆる基礎自治体の規模という問題につきましていろいろな議論があるんですけれども、要するに今まで国はナショナルミニマム、いわゆる社会の共通ルールの追求という点、地方は自立と自治のもとで地域のすべてを受け持っていく、この辺が地方分権の中での地方の役割だと思うんですけれども、具体的に地方に財政が移譲されるとか、あるいはまた行政機能が問われるとか、そういうふうになった場合に、いわゆる地方分権の中の基礎自治体の規模といいますか、その辺についてどういったお考えをお持ちか、お伺いします。
○参考人(鷲尾悦也君) 先生御指摘のように、現在地方自治体は三千三百あるわけです。この三千三百の地方自治体がどのような分権を果たしていったらその権限を行使できて行政サービスが適切にできるかということから考えますと、どう考えても、大胆に地方分権をやろうとすればするほどこの三千三百ではちょっと小さ過ぎる、こういうふうに私どもは認識しております。
 したがって、小さい単位でやる部分とそれから広域でやる部分というものをもう少し明確にして分権を進めていくという議論が必要なんじゃないか、こんなふうに思っています。
 ただ、地方自治の原則で、みずからが統合するということを住民が判断しなきゃいけませんので、そうした判断ができる基準といいますか提起をやはりこの地方分権推進委員会等でしていただくことが適切なんじゃないか、こんなふうに考えておるところであります。
 何よりも私は、立ったついでに申し上げるようで申しわけないんでありますけれども、やはりみずからのことはできるだけ自分の住んでいるところ、近いところで決定するというのが原則であると同時に、効率、能率も追求しなきゃいけませんから、余り小さくなってはいけない部分もございます。こうした立場から、どの程度の規模が必要かということはもっともっと真剣に議論されるべきじゃないか、こういうふうに思っています。
○海野義孝君 ありがとうございました。
 終わります。
○梶原敬義君 社民党の梶原です。
 きょうは御苦労さまです。十分間が私に与えられた時間ですから、短く質問しますし、また簡単に答えていただきたいと思います。
 紺谷参考人の責任問題、よく理解できます。日本の国家公務員を見てみますと、エリートの人たちというのは一年ないし一年半ぐらいでもうほとんど全部かわっていくわけですね。だから、ここで何か問題を起こしたって、もう何年かたったらどこかへ行っているんですね。そういう面がありまして、やっぱり責任の所在をはっきりとれるようなシステムになっていないんですね。
 ですから、今度省庁再編をやって簡素にするといっても、そこの部分、責任体制の部分をどこかでからっとしないとこれはうまくいかない。例えば、地方自治体の場合は、少しそうやっても、住んでいるところはもう決まっているんですよ。だからめったな、妙なことはやれないんですね、地方自治体は。国家公務員の場合は、これはエリートの人たちというのは何をやってもくるくるかわっていく。だからああいう問題が起きるわけですね。その点の感想を伺いたい。そして、大臣が大体一年交代ですね。ですから、大臣が嫌なことを言っても一年待っておればかわるんだと。こうなれば大臣の言うことも聞かぬだろう。この辺が非常に私は、この大臣の任期もやっぱり我々は考えなきゃならないんじゃないかと思っています。
 簡単に。
○参考人(紺谷典子君) よく証券会社では、うまいことを言ってお客をだまして、奥さん、今度この分は後でいいのを回しますからと言って転勤してしまうという問題がありますけれども、官僚の皆さんの世界にも似たような無責任体質があるということでございまして、それは非常に困るんですね。
 ただ、現行では、私は詳しくは存じませんけれども、現職が責任をとるというような形をとっていらっしゃるそうでございまして、それがいけないんじゃないかと思うんです。何年前でありましても、過去にさかのぼってきちんと意思決定及び執行における責任を追及するという形にしていただけば、それでかなりの無責任行政というのは避けられるのではないのかなというふうに期待しております。
○梶原敬義君 そのように思うんですね。昔の事件で現職の大臣が飛んだり、そういうことがありますから。全く賛成であります。
 それから、鷲尾参考人、独立エージェンシーですね、行政法人、これは、国家公務員の中にもやっぱり労働組合があるんですが、そことの話を余りせぬまま出ているんです。事前の話が詰まらないままぽっと出す。そういう手法に対して、連合から見てどのようにお考えですか。
○参考人(鷲尾悦也君) 私は、梶原先生が御指摘のとおりだと思うんです。全体的に今度の行政改革は――例えばこれまで第一次臨調からいろいろ行政改革をやりました。なかなか進みませんでした。例えば、今話題になっております国鉄改革ですら四、五年の年月を要したわけです。したがいまして、私は今回の行政改革の議論はいささか時間不足である、このように考えているところであります。
 しかし、よくよく考えれば、行政改革会議の議論はそうであったけれども、国会での論議はきちんとなされるんであれば、それはきっちり補完できる、こういうふうに考えております。
 その延長線上で考えれば、エージェンシーの問題についても、私どもいろいろ意見はありますけれども、わからない部分もあるんです。研究不足、勉強不足であり、しかもそこの当事者の、対象者である所属している公務員の皆さん方の意見を十分聞くという機会を持っていただくということが、もし仮に独立行政法人を本当に推進するんであれば一番肝心な点ではないか、このように思います。
○梶原敬義君 ありがとうございました。
 水野参考人にお伺いしますが、私は、この行革、省庁再編成、反対ではありません。規制緩和にも反対ではないんですが、若干、行革行革と言い過ぎて、暗やみで棒を振り回してきたようなところが多分にあるんですね。これは橋本総理にも言いました。
 例えば、「特殊法人等の整理合理化について」、去年の九月二十四日に閣議決定しているんです。そこで何を冒頭に言っているかというと、「政策金融機関は、官民の役割分担を踏まえ、民間金融の補完に徹し、業務の減量化・重点化に努めるとともに、」云々と。ずっと行きまして、例えば住宅金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金なんか、今本当に貸し渋りの中で頑張っておるんです。本当に今のような形をとっていなかったら、これは革命は起きないでも、暴動は起きないでも、相当社会問題になる。ここらは本当に配慮が足らぬ。
 例えば、住宅金融公庫のところを見ますと、「景気対策として制度化された特別割増融資制度について、段階的に縮小し、」、これは今度変わりましたけれども、「融資残高の増大を抑制する。」とか、あるいは「政府関係金融機関との業務分担の在り方につき見直しを行う。」とか、要するに民でやれるところは民でやれと、こう言う。それでうまくいかなかったわけですよ、今度は。そして、住宅金融公庫も縮んでしまって、これもうまくいかない。
 そこで今度、私も十一月のこの委員会でちょっと質問したんです、橋本総理に。十一月十八日に、閣議が住宅金融公庫は別だと。これは一時、今のような経済情勢だから「段階的に縮小し、融資残高の増大を抑制することとされているが、早急な景気対策が必要な現下の情勢にかんがみ、臨時的措置として融資額の引上げを行うこととする。」と、こうなって、大分改革しましたね、今度。
 だから、そこらをやるのはいいけれども、現状の生きた経済の姿を無視して暗やみに棒を振るような形でどんどんやってきた面は、事務局長さんのところでも随分配慮が足らなかったんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○参考人(水野清君) 大変申しわけないんですが、私どもは実は特殊法人はこの行革会議で扱いませんでした。これは実は自民党の中でプロジェクトチームをつくりまして、その素案をたしか三党協議に、失礼でございますが、社民党の政審にもたしかかかったはずでございまして、三党協議にかけて実行した、こういう手順であります。実は行革会議では、そこまで手を広げたのでは省庁統廃合の問題が議論し尽くされないであろう、結局特殊法人のもとは財政投融資制度でありまして、財投制度の改革もやらなくちゃいかぬということで、この辺は横目に見ながらやったわけでございまして、実は今おしかりを受けたんですが、やみ夜に棒を振ったわけじゃないのでございます。
 ただ、行革全体として始めましてから、国民にとっては、当時、行政改革委員会というのが片一方でございまして、これは細川内閣のときにできました。片一方では地方分権推進委員会、これは諸井さんがやっておられる。これは村山内閣のときにでき上がった。その後、橋本内閣になって中央省庁統廃合の行革会議というものができ上がって、三つがずっと上がってきた、こういう過程でございまして、それも国民の皆さん方にはわかりにくい、上もかくどこで何をやっているのかわがらないということで大変おしかりを受けました。多分そういうことだと思います。それがやみ夜に棒を振っているようだとおしかりを受けたんだと思いますが、実は特殊法人は私どもさわっていなかったわけでございます。
○梶原敬義君 どうも責任がこっちに来たようでありますけれども、ただ日本の社会というのは、これだといったらこっちへ流れて、こっちだといったらこっちへ流れて、戦争といったら戦争、平和といったら平和、行革といったら行革に行くんですね。だから、僕はそのときに反対のことをいつも考えるようにしているんですが、時間が来ましたので終わります。
 ありがとうございました。
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。
 参考人の皆さん、御苦労さまです。
 まず、紺谷参考人にお伺いいたします。
 紺谷参考人は政府の役割ということについて冒頭お話しになりましたので、私はどなたにお伺いしようかと思っていたところですけれども、紺谷参考人にお伺いします。
 行革会議の最終報告の中で官民の役割分担ということを触れた中で、「市場原理と自己責任原則にのっとり、」ということからずっと書いて、結論として「所得再配分事業の限定などに努めなければならない。」と書いてあるんですね。国の所得再配分機能というのを限定するということはどうなのか。私らが教わったころと随分違ったことが言われ出したものだなと思って私は読みましたけれども、参考人、どのようにこの問題をお考えになるでしょうか。
○参考人(紺谷典子君) 実は市場原理が貫徹するようになればなるほど官の役割、政府の役割、官が行う所得再分配の役割というのはむしろ大きくなるのではないかと思っております。
 どうしてかと申しますと、これまで日本は資本主義国家でありながらどこの社会主義国よりも社会主義的にやってきた、つまり社会全体が所得を再分配する仕組みを持っていたわけですね。そこに資本の論理を持ち込んで、弱肉強食という形になっていくわけでございますから、そうして市場メカニズムの中から落ちこぼれてくる部分に関していかに手当てをしていくかということを同時に考えながら市場メカニズムの効率性の貫徹ということを行っていかなくてはいけないと思うんです。
 行革に関する一つの例で言いますと、郵便局の民営化論議が出てきたわけでございますけれども、同時に金融ビッグバンが進められまして、金融、証券、保険の市場にも市場メカニズムを導入すると。それは非常にいいことだと思うんですけれども、金融機関というのは、自由競争が始まりますと自分が淘汰されないようにお客の選別、お客の淘汰を始めるわけです。どういうお客を淘汰するかというと、低所得者あるいは零細企業あるいは過疎地を切り捨てていくわけです。ですから、むしろそういう時期に入れば入るほど、少なくとも当面の間は政府が切り捨てられる利用者を拾っていくという機能を持つべきなんです。
 しかも、特殊法人その他の議論についても申し上げますと、市場がその存続を判断する、つまり財投債、財投機関債を発行して、市場がそれを認めた機関だけが特殊法人として存続するようにしたらよいというような議論が一時まかり通りましたけれども、それは非常に間違っていると思うんです。
 どうしてかと申しますと、債券投資をする人々というのは、自分たちが投資した資金が無事返ってくるかどうか、負担したリスクにふさわしい高金利が乗ったかどうか、それしか判断しないのでございまして、その事業が国民生活に必要かどうか、国として重要かどうかという判断を債券市場はできないんです。ですから、国家事業であるところの特殊法人の役割を市場で判断させるということは非常に間違った考え方なんです。それは言ってみれば、ここのところの市場メカニズム論、自己責任論というのがあたかも高校生の初恋のようにいいとこだらけみたいな感じで行われているということでございまして、市場メカニズムというのは実は非常に限定されたものなんです。
 市場メカニズムをダラーボート、ドルによる投票というふうにアメリカの教科書なんかには書いてございますけれども、選挙、こういう政治家の皆さんを選ばせていただく選挙と違いまして、一人一票じゃないんですね。お金持ちはたくさんの票を持っている。貧乏な方は少しの票しか持っていない。貧乏な方が非常に欲しくてなけなしの所得を吐き出してもお金持ちの気まぐれな資金よりももっと少ないかもしれない。だから、国民が皆同じ投票権、同じお金を持っているんだったらば、欲しさに応じてお金を払っていくわけですから市場メカニズムは非常に公平な分配の仕方ということになるのでございますけれども、実はもともと持っている資金量が全然違うという前提でいきますと、市場メカニズムというのは極めて限定的、非常に問題も抱えている方法であるということなんですね。ただ、ほかの方法に比べれば一番よいというのでしょうか、市場メカニズムよりもよい方法がないというだけのことでありまして、市場メカニズムに任せさえすればすべてがうまくいくというようなことにはならないわけです。
 つまり、アメリカは自由経済の国でありますけれども、どこの国よりも独禁法の適用が厳しい国でもありまして、必要に応じて企業を分断してしまうというような権限まで持っているんですね。つまり、アメリカにおける市場メカニズム論というのは、あたかも古女房のように、おまえ、きれいだよと言うと一本多くついてくるとか、そういうようなあしらい方がきちっとわかっている。ところが、日本では市場メカニズムと言いさえすればすべてがうまくいくというような非常に危険な規制緩和論というのが通っているということが心配でございます。
 確かにこれまでの日本は余りにもばらまき行政的な福祉が行われてきたということは事実でございます。ですから、見直しは必要なんですけれども、市場メカニズムにすべてをゆだねるということはまた別の危険を持つんだということを十分国民一般が認識しなくてはいけないことではないかなと考えております。
○吉岡吉典君 大変興味深いお話を聞かせていただきました。
 水野参考人にもこの問題に関連してお聞きしなかったんですが、時間の関係で別の問題で一つお伺いします。
 内閣の機能強化、総理の権限強化ということが一つの柱になっていると思います。きのうも私は総理にお伺いしたんですけれども、強化すると言うからには現状に何か問題を感ずるから強化が打ち出されたんじゃないか、何か悔いが残って強化しなくちゃいかぬというようなことでもあれば、その現状を踏まえてどういう点をどう強化しようとしているかということを実は話していただきたかったんですけれども、必ずしも明確な答弁がありませんでした。
 先ほど水野参考人はこの問題にちょっとお触れになっておりましたので、どういう問題が契機になってこういう問題が出たのか、これではちょっとだめだというふうな点があって論議されたとすれば、それをちょっとお伺いします。
○参考人(水野清君) いろいろございますが、まず第一に危機管理だと思います。それは村山内閣のときに起こりました阪神大震災でいろんな法整備や制度が非常におくれておった。御承知のとおり、地方の消防なんかが市町村ごとに水道のゲージが違っておったとか、いろんな問題がありました。そういうものから発生しまして、ちょうどその後にペルーの問題が起こってきた、あるいは先ほど申し上げましたように東京湾のタンカーの座礁が起こってきた。カンボジアのときには大したことはございませんでしたけれども、インドネシアの問題が出てきた。
 あるいは、今後考えられるのは、東京で大きな直下型の地震が起こったときに一体どうするのか。そのときに閣議をやろうにも閣議が開けないケースもあるのじゃないかと。例えば、総理官邸というのは一番やわにできている。大正十二年か何かにできたのですぐ壊れてしまう。閣議をやる場所がない。今は国土庁に閣議をやる準備の部屋がございます。その次には防衛庁にできておりますけれども、そういうものも阪神大震災以来出てきたわけでございます。その他いろんなことが出てきて、御承知のとおり、まず先発して危機管理監が国会でもお認めいただいてできたわけであります。
 今後、想像されるいろんなことがあるであろう、これに一々手間取っていたのでは国民の期待に沿うことはできないということから、あるいはもっと社会的には大競争時代であるとかいろんな国際的な、特に今度の金融危機の問題なんというのは実は一番考えていなかったことであります。こういう問題も起こってきた。いろんなことを含めて官邸機能の強化というのはぜひ必要である、こういうふうに思ったわけでございます。
○吉岡吉典君 時間がなくなって鷲尾参考人に質問できませんが、一つだけ。
 さっきのお話だと、行革に対する態度とこの法案に対する態度とはイコールではないんだと、こういう趣旨だなというふうにとっていいでしょうか、どうでしょうか。
○参考人(鷲尾悦也君) おっしゃるとおりでございます。
○吉岡吉典君 終わります。
○阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。
 三人の参考人の先生、御苦労さまでございます。
 まず、紺谷参考人にお尋ねいたします。
 証券会社の不祥事が続いておりますが、問題の根本に免許制度などの過度の行政介入があるとの指摘もありますが、省庁再編に当たって、金融の分離だけで大蔵省はほとんど手つかずといった結果であろうかと思いますが、どういう再編が金融正常化に望ましいとお考えでしょうか。
○参考人(紺谷典子君) 金融も分離されるのでございましょうか、私は非常に疑問を持っているのでございますけれども。
 確かに金融庁ができますけれども、その金融庁というのは多くの職員の皆さんが大蔵省から行かれるということでございまして、しかも金融庁の主たる役割が監視・検査機能にあるということなんですが、今まで監視、検査がうまくいかなかった大蔵省の職員の方が移って、組織さえ変われば今度は機能を持ち得るのかどうかということも大いに疑問でありますし、そうやって多くの人たちが大蔵省から行く以上、独立組織と言えるのかどうかということも非常に心配でございます。
 ついでに申し上げますと、何でもかんでも検察の方をお連れすればうまくいくというのもいいかげんでやめていただきたいと思っておりまして、検察には検察の問題もあるのではないのかなと考えることも多いのでございますけれども、むしろそういう問題よりは金融・証券市場の公正という観点からいきますと、本当に現場に詳しい行政のスタッフの養成ということが重要になってくるということなんです。
 特に金融ビッグバンで外資がたくさん入ってきているのでございますけれども、外資というのはデリバティブズというものを駆使しております。これは従来の金融商品をそろばんに例えれば、あたかもコンピューターのように複雑でございまして、私も一応ファイナンスは専門としておりますけれども、取引の現場なんて皆目見当もつかないというぐらいに複雑怪奇になっているんですね。それを従来の検査官の方たちがどうやって見張るのかというと、実は全然何にも見ていないんです。
 もともと銀行と証券に関しては検査そのもののレベルというのが、こう申してはなんなんですけれども、大蔵省の皆さんを白人とすれば、銀行は名誉白人、しかし証券はイエロージャップめみたいなところがあって、検査のありようが全然違うのでございます。特に外資に関しては銀行に対するよりなお甘いという現実がございます。不正行為に関して見張っていないばかりか、ふだんの規制が全然外資に及んでいないんです。
 つまり、通達というような文書化されたものでしたらまだよろしいんですけれども、それのみならず、実は口頭での行政指導というのがたくさんありまして、それが国内の金融機関の手足を非常に大きく縛っているわけでございます。そういうものは法的根拠がないものが多いものですから、大蔵省は日米構造協議なんかで文句を言われたくない一心で外資にはほとんど及ぼしていないんです。ですから、もともと同じ土俵で戦っていないという問題があります。
 これから日本の金融・証券市場というのが自由化されれば不正行為も自由化されるわけでございまして、そういうものに関して何ら手だてを講ずることなくいきなり自由化、競争化を推し進める大蔵省のやり方というのは非常にずさん、危険と言わざるを得ないんですね。
 ですから、そういうものの機能強化という点に関しては、ほとんど根本的に大蔵省の組織を見直していただく以外にないということしか申し上げようがございません。具体的にどうすればいいかということは個別的に御相談に応じますので、いつでもお聞きくださいませ。
○阿曽田清君 水野先生にお聞きします。
 総理大臣のリーダーシップというものを発揮させるということで、内閣官房あるいは内閣府、総務省と三つの組織が編成されるということになったわけでありますけれども、今お話しのとおりに、大蔵省のいわゆる財政と金融の分離の問題等も大変御苦労されたわけでしょうが、今回大蔵省解体ならずということになったわけであります。
 この一府十二省を進めていかれるのにも一つ一つのタイムも区切ってあるわけでありますが、私はこの一府十二省にするのと一緒に地方分権推進をセットで進めていかなければ合理化もスリム化もできないんじゃないかと思うんです。地方分権の推進が極めて大事だと思うんですけれども、なかなかまだスケジュール的に見えないような感じがいたすわけでありますが、先生の御見解を教えていただきたいと思います。
○参考人(水野清君) 今の紺谷先生とちょっと違うんですが、前の内閣機能と大蔵省の問題でありますが、私どもは大蔵省の解体を考えたことはございません。ただ、大蔵省の財政、金融の分離というものについて行革会議の中では非常に激論をいたしました。
 これは簡単に申し上げますと、紺谷さんはまだできていないとおっしゃいましたけれども、私は大蔵省の持っている、銀行局、証券局の持っております機能のうちの金融機関の破綻処理の部門だけ、要するに金融の危機が起こってきて一般会計からどうしても補てんせざるを得ないというときには、これは主計局をある程度かませざるを得ないわけでございますから、そこだけは残して、あとは金融監督庁から、今は金融監督庁でありますが、この最終報告あるいは法案には金融庁にさらになっておりまして、これは恐らく今銀行局にありますいろんな権限をもっとこの金融庁は持ってくるのだと思います。そういう制度設計になっております。
 それから、予算編成につきましては、これは予算編成の基本方針、大綱というのは内閣府にあります経済財政諮問会議でやると、こういうふうに最終報告でも書いてあるとおりでございます。
 そういうわけでございますから、大蔵省解体というような大上段に振りかぶったことはいたしませんでしたけれども、大蔵省の持っております予算編成権の基本は内閣に移した、それから銀行局、証券局の持っております銀行、証券会社の一般的な監督権みたいなものは金融庁に移す、こういうふうにしたわけでございます。
 私はこれが限界であろう、こう思っておりますが、確かにただいま紺谷さんのおっしゃったように、金融監督庁の検査員が果たして今のコンピューター時代に間尺に合うかどうかということは、私は現場を知らないんですが、いろんな方々から聞いてみるとかなり難しい。これを一体どうするか。むしろ、倒産したような銀行から今まで調べられていた人を連れてきてやらせる方がいいと。ですから、逆説的な話ですけれども、今まで検査をされていてどうして隠していたかという人たちが今度は人の隠しているものを調べる、そういうような方法で人を採用すればおもしろい役所ができるかな、私はこう思っております。これは私見でございます。
 それから、地方分権の問題でありますが、これは先ほども別の委員にお答えしましたけれども、実は地方分権は中央省庁の統廃合のここではやっていないわけでございます。
 ただ、地方分権推進委員会で今進めておられまして、御承知のとおり、先般、第四次の答申まで出しました。これは主として機関委任事務を廃止して地方と国とに、大体四分六というふうに聞いていますが、配分をして、国は地方にもう完全に権限を渡す、そういうことをしたわけでございます。
 これからまだあと二年かかって、地方分権の基本問題というのは、御承知のとおり、先ほど来出ている受け皿である町村合併の問題あるいは交付税の配分の方法であるとか、そういったことに問題が及んでいくんだろうというふうに私はわきで見ていて考えているわけでございます。
○阿曽田清君 時間がありませんので、鷲尾参考人に一つだけお尋ねします。
 先週、五月二十九日、地方分権推進計画が閣議決定されまして、政府税調の検討になぞって、地方税の基幹税目である事業税、これが外形標準課税の検討が進められることとなったわけでありますが、連合としてはどのような評価をされておられるか、教えていただきたいと思います。
○参考人(鷲尾悦也君) いわゆる赤字法人の課税問題でございますが、従来から連合は、いわば公共サービスを法人としても均等に受ける部分があるということでございまして、その範囲ではございますけれども、赤字法人の課税、外形標準課税については推進すべきだという意見を持っております。
○阿曽田清君 終わります。
○佐藤道夫君 水野参考人にお伺いいたします。
 今回の法律で設置されることになりました郵政公社についてでありますけれども、これは法案によりますれば、予算は国会の承認を要しないことになっている、それから主務大臣の監督権は全体ではなくて法令で限定したものに限るというふうになっておりますけれども、これについては行革会議でどのような議論がなされましてこういう結論に至ったのか、御説明いただければと思います。
○参考人(水野清君) 御承知のとおり、新聞がいろいろ書きましたように、最初は郵政三事業は民営化あるいは国営のままという中間報告が出まして、それではまずいということから、当面は郵政事業庁というお役所にして総務省の外局にする、これを二年を経て今度は新型の公社にする。新型の公社というのは、これも御承知だと思いますが、今までの要するに電電公社とか国鉄のようなああいうものではなくて、これはいわゆる独立行政法人的会計基準でやる、こういうような構想であったわけでございます。
○佐藤道夫君 主務大臣の監督権が全体に及ばないというのはどういう発想なのか、それから予算も国会にかける必要がない、これはまたどういう議論の末なのか、それをちょっと御説明いただければと、こういうことです。
○参考人(水野清君) その過程は、独立行政法人というものが予算を国会に御承認を得なくても、大臣とその責任者が同じように契約的なもので運用する、中期計画と言っていますが、それと同じようなやり方であろう、こういうふうに思います。
 ですから、大臣とその所管の新型公社の責任者との間で三年ないし五年のいろんな事業計画を立てて、その中で非常に自由な運用のやり方をする、こういう思想だと思います。
○佐藤道夫君 実は昨日この件につきまして内閣法制局長官に問いただしたわけでありますけれども、要すればこれは憲法が言っている行政権に属するのか、この公社の業務が。国営の事業であって国家公務員が担当する、一見行政権に属するかのごとくでありますけれども、予算も国会の承認は要らない、大臣の監督権も全体には及ばない、これが一体行政権に属するのかという私の質問に対して、法制局長官ははっきりと行政権に属しますと、こういうお答えでしたが、行革会議でこういう議論はございましたか。
○参考人(水野清君) 行革会議では実は最終的に余りこの議論をしておりません。ただ、簡単に今申し上げますと、新型の公社というのは、基本的には独立採算制のもとで行う、企業的性格の強い事業について法人格を与える、サービスの向上をやる、職員の身分は国家公務員である、個別の設置法によってこれをつくる。さっき申し上げた中期的な目標をつくってこれに準じて運営する、こういうことでありまして、私は大臣の監督権は十分ある、こういうふうに理解をしております。
○佐藤道夫君 ちょっと細かいことで恐縮なんですけれども、大臣の監督権は十分あると。そういうお考えは全体に及ぶという意味ですか、それとも一部にしか及ばないが全体になお及ぶんだというふうな御理解でしょうか、ちょっとはっきりしないんですけれども。
○参考人(水野清君) 新型の郵政公社の全体に大臣は及ぶと思います。ただ、大臣がそこの責任者と協議をして契約、事業計画のようなものを立てるわけであります。ですから、おおむね大臣は及びますが、実態的にはその責任者が新型の公社を経営していく。経営の中で、大臣が一々人事権とかあるいは予算の使い方とかいったものについては余り指示がされないであろう、こういうふうに思います。
○佐藤道夫君 これは実は憲法上大変重要な問題をはらんでいると私は思います。内閣に行政権が属する、その内閣は国会に対して連帯して行政権の行使について責任を負うというのが憲法の規定でありますから、内閣から独立した行政機関を設置することはできないわけであります。公正取引委員会も内閣の統括に属するというふうに定めがしてあります。
 独立公社じゃなくて郵政公社で議論した方がわかりやすいんですけれども、これは行政権に属するとお考えですか、いや入らないとお考えですか、どちらでありましょうか。
○参考人(水野清君) 私は、大臣がその経営の責任者を通じて行政の範囲で監督権がある、こういうふうに思います。そういうふうに理解をしてまいりました。
○佐藤道夫君 だんだん細かいことになって恐縮ですけれども、国会はいかがでございましょうか。予算の承認権が国会にないんです。国会に承認されない予算がこの世にまかり通るとはちょっと考えられないんですけれども、これはどうなんでしょうか。この点は大変大事な問題ですから、恐らく行革会議でも真剣な議論があったと思います。そして、憲法解釈はこういくべきだ、これでいけるんだというふうな議論があってこういう提案がなされる、日本は法治国家ですから当たり前のことです。
 行革会議での議論がどういうことだったのか、それをちょっと御説明していただければよくわかると思います。
○参考人(水野清君) 郵政公社でありますと、新しいあれでは総務省の中に入ります。総務省の中に新型の公社の評価委員会というのができるはずであります。これはほかの独立行政法人もそうでございますが、評価委員会というものを各省につくりまして、さらにその評価委員会の上に、内閣に評価委員会をつくって、この事業の妥当性であるとか合理性であるとか、そういうことを監督していく、こういうことであります。
○佐藤道夫君 申しわけございませんけれども、私は内閣のことを聞いているわけじゃないのでありまして、国会が予算を承認できない、これが果たして行政なのかということを聞いておるわけでありまして、内閣を信頼すればいいというものではありません。そんなことを言いましたら、国会の予算承認権なんか全く意味がなくなるわけですから。
 これについては、予算は国会の承認を要しないということを決められた以上は、これは行政ではないということにならざるを得ないんじゃないでしょうか。その点、いかがでしょうか。
○参考人(水野清君) おっしゃるように、大変疑義のあるところなんですが、この新型の公社に行かれる方は国家公務員になっております。ただ、実は行革会議の中の議論では、まだ最終的な法律に書いてありませんけれども、今の国家公務員は一般職と特別職と二つありますが、もう一つ独立行政法人職という制度をつくったらどうだと。これは結局結論が出ませんでしたけれども、そういう議論も出まして、その辺が実は今後の問題だと、私はこう思っております。
○佐藤道夫君 新しい身分の公務員をつくる、非常に斬新的な考えだと思いますけれども、いずれにしろ彼らの仕事につきまして国会の監督権が及ばないというのでは大変これは問題なわけです。
 行政権は、何で国会に対して内閣が責任を負うのかと。それはやっぱり国会に監督してほしいというのが憲法の趣旨なわけでありまして、どんなものをつくろうと、国会の監督外に行きましたら、それはもはや公務員の範疇にも入らない、何か烏合の衆だとしか言いようがないわけでありまして、その辺のところが一体どういうふうなお考えでこういう提案をなされたのかよくわからないわけです。今もって私はわかっていないんです。
 予算の承認は要しないということはよろしいですか、それで。
○参考人(水野清君) 予算の承認といいますか、中期事業計画といいますか、事業計画の中でいろんな問題を検討してもらうと。ですから、年度ごとに予算を編成してあれするという今までの電電公社方式の公社ではない、こういうことだと思います。
○佐藤道夫君 最後になりますけれども、憲法ははっきりと予算は国会の承認を要するということを書いておるわけでありまして、それに抵触するおそれはある、ない、どちらでございましょうか。
○参考人(水野清君) 私はこれからの問題だと思います。
 御承知のとおり、実はスケジュール法でありまして、先生のおっしゃるように、法律的に疑義の問題があれば、これからそこを詰めてやっていくしかない。新型公社をつくるということだけしか書いていないわけであります。新型公社の身分とかいろんなものについては大臣がその責任者と一種の契約的な協議をする、こうなっているわけでありますから、今後の問題だと。
 大変貴重なお話を御教示いただきまして、ありがとうございました。
○佐藤道夫君 終わります。
○委員長(遠藤要君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 次回は明五日午前九時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四分散会