第143回国会 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 第10号
平成十年十月十五日(木曜日)
   午前九時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         坂野 重信君
    理 事
                石川  弘君
                岩井 國臣君
                岡  利定君
                塩崎 恭久君
                江田 五月君
                齋藤  勁君
                森本 晃司君
                笠井  亮君
                山本 正和君
    委 員
                岩城 光英君
                加納 時男君
                景山俊太郎君
                金田 勝年君
                木村  仁君
                佐々木知子君
                田中 直紀君
                林  芳正君
                日出 英輔君
                平田 耕一君
                松谷蒼一郎君
                三浦 一水君
                溝手 顕正君
                山本 一太君
                浅尾慶一郎君
                木俣 佳丈君
                小宮山洋子君
                角田 義一君
                内藤 正光君
                直嶋 正行君
                福山 哲郎君
                簗瀬  進君
                海野 義孝君
                浜田卓二郎君
                益田 洋介君
                池田 幹幸君
                緒方 靖夫君
                小池  晃君
                大渕 絹子君
                三重野栄子君
                入澤  肇君
                渡辺 秀央君
                佐藤 道夫君
                水野 誠一君
                菅川 健二君
   委員以外の議員
       発  議  者  峰崎 直樹君
       発  議  者  小川 敏夫君
   衆議院議員
       発  議  者  保岡 興治君
       発  議  者  大野 功統君
       発  議  者  山本 幸三君
       修正案提出者   保岡 興治君
       修正案提出者   大野 功統君
       修正案提出者   山本 幸三君
       修正案提出者   坂口  力君
       修正案提出者   藤井 裕久君
       修正案提出者   鈴木 淑夫君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
       通商産業大臣   与謝野 馨君
       国 務 大 臣
      (内閣官房長官)  野中 広務君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       堺屋 太一君
   政府委員
       内閣審議官    白須 光美君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       金融監督庁長官  日野 正晴君
       金融監督庁検査
       部長       五味 廣文君
       金融監督庁監督
       部長       乾  文男君
       法務省民事局長  細川  清君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     武藤 敏郎君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省金融企画
       局長       伏屋 和彦君
       大蔵省国際局長  黒田 東彦君
       中小企業庁長官  鴇田 勝彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   参考人
       預金保険機構理
       事長       松田  昇君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○金融機能の早期健全化のための緊急措置に関す
 る法律案(衆議院提出)
○金融機能の早期健全化のための緊急措置に関す
 る法律案(本岡昭次君外二名発議)
    ―――――――――――――
○委員長(坂野重信君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(衆議院提出)外一案審査のため、本日の委員会に預金保険機構理事長松田昇君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(坂野重信君) 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(衆議院提出)及び金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(本岡昭次君外二名発議)、以上両案を一括して議題といたします。
 趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○日出英輔君 自由民主党の日出でございます。
 金融問題、難しくて一般の国民にはなかなかわかりにくいという感があるわけでございますが、私も参議院議員になる前に一年半ほど政府系の金融機関におりまして少しだけかじったのでございますが、この場に臨ませていただきまして、こんなに金融問題が難しいのか、あるいは国民にとってわかりにくくなっているのかという思いがございます。若干、私のような立場の人間がたくさんおると思いますので、きょうは大蔵大臣、経企庁長官、あるいは与党の実務者の方々にぜひとも御見解を承りたいというふうに思っている次第でございます。
 最初に、私は従来、この金融問題につきまして、いわゆる貸し渋りというぐらいのつもりで話を聞いていたわけでございます。昨年の十一月の一連の金融問題が幾つか出てまいりましたころから、金融問題については国民の最大の関心が集まっておりましたが、それでもなおかつまだ貸し渋りというような言い方がずっと横行しておって、今もなおそういうような嫌いがあるように思います。
 ただ私も、自己資本比率あるいは早期是正措置、早期是正措置につきましてはこの十年大蔵省で準備をしてきて本年の四月から導入したわけでございますけれども、この早期是正措置がいかに自己資本比率の低下につながるような動きになり、これがまた貸出金の回収という形につながって企業の経営悪化をもたらしていく、こういうことになってまいりますと、もう既に、政治の世界でいいますれば、貸し渋りではなくてやはり信用収縮ということをしっかりとらえて、国民に情報を発信しないといけないんではないかという感じがするわけでございます。政策のミスマッチではもちろんありませんが、この十年がかりで導入いたしました早期是正措置が金融問題をさらに難しくした、あるいは信用収縮を加速したという面があるように思うわけでございます。
 それからもう一つは、これも私の素人考えかもしれませんが、二年前から大号令で金融ビッグバンというのをやろうということで着々と幾つかの施策が実行に移されているわけでございますが、いわゆるフリー、フェア、グローバルというもとに行われました施策で、ある意味で投機筋の横行が比較的やりやすくなってくる、これは株式の売り浴びせみたいなものが銀行に向かって飛んでくる、こういうこともこの金融問題について大変難しくしているような気がいたします。
 先般の金融再生に関する緊急措置法の議論を私も承りましたが、健全な銀行と健全でない銀行という二つに分けて、自己資本比率八%というところで切って議論される向きが多いわけでございますが、どうもそんなにきちんと八%で切って健全か健全でないかなどというのは、なかなかそう言い切れないのではないかという時代に入ってきたような気がしているわけでございます。
 さらにもう一つ、私もよくわかりませんのは、バブル期からこれまでの土地なり株式、こういった資産の大変な目減りでございます。これは数字では、例えば土地でありますと九〇年−九六年で六百兆円、株式で言いますと同じ時期に四百六十兆から七十兆かという大変な大きさの目減りがあるわけでございますが、これが日本経済あるいは企業の経営あるいは家計にどんなふうに影響を及ぼしつつあるのか、及ぼしてきたのか、この辺も意外によくわからない、そういう世界のような感じがいたします。特に、これが企業なり銀行の体力を落としてきているということをつとに有識者は指摘しているわけでございます。
 こういうことをずっと考えてまいりますと、先ほど申し上げました、貸し渋りではなくて信用収縮という時代であるということ、あるいは不良債権の規模を含めまして、それの緊要性といいますか緊急性を国民にやっぱりこの三カ月の間きちんと情報を発信したのだろうかという点になりますと、かなり丁寧にいろんな新聞を私も読んでみましたが、おおよそよくわからないという感がいたします。
 そこで、大蔵大臣、経企庁長官、あるいは与党の実務者の方にも伺ってみたいとは思うのでございますが、まず大蔵大臣にちょっと伺いたいのでございますけれども、今回時間がかかり過ぎているということもあり、あるいはいろいろ迷走しているというようなことも世で言われ、この国会発の金融恐慌を回避せよなどという言葉で言われるような時代になってしまったわけでございます。
 私は、これまでの一連の出来事で、先ほど申し上げましたように、もう少し国民にわかりやすい金融問題の本質、あるいはそれから派生する問題、そういうものを今回の出来事をもう一つの糧といたしましてうまく伝えていく手法は何かないのだろうか。私はちょっと不勉強であれでございますが、例えば金融白書といいましょうか、そういう問題、あるいは経済白書はございますが、今回のような金融と経済の問題が大きく絡み合っているときのいろいろな情報の政府としてのできる限りの開示、こういったものについて大蔵大臣はどのようにお考えなのか、御見解といいますか感想といいますか、そういうものを伺いたいと思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 日出委員は農林漁業金融公庫の役員もしていらっしゃいましたので、その辺のことはよく御存じでいらっしゃいます。むしろ、この機会に問題を広く解明しておきたいというお気持ちの御質問かと思います。
 せんだっても、たしか小宮山委員の御質問だったと思いますが、申し上げたことは、預金者の預金が全部保護されている現状では、多くの国民は銀行というものに関心を持たなくて済むわけでございます。このことが、銀行なんかどうなってもいいや、自分の預金は大丈夫だと、これはそのとおりでございますし、何となくそういえばうさん臭いところがある、こう思っていらっしゃる方は多うございます。
 地方で金を借りていらっしゃる中小企業の方は、これはもう中小企業の方は支店長さんのひげのちりでも払いたいようなことで、しかし銀行の批評をすることはまかりならぬ、これはもう死を意味しますから、ここからもうコミュニケーションは伝わってこない。銀行というものはそういう一種の聖域におって、また行政の方も悪うございましたのは、護送船団をやっておりましたから、つぶれることはない、また一生懸命働いても余り報いられることはない、いい銀行は余りいい顔をしては隣の悪い銀行に申しわけないというようなことでございますから、そういうことで長いこと参りました。
 したがって、日本の銀行はつぶれないということがまたございますから、銀行についての国民の関心は極めて薄かった、こう申し上げていいかと思います。
 そこへ例のバブルが来たわけでございますが、それは御承知のとおり、いっとき国民の関心を呼びましたのは住専という問題であったと思いますが、住専については結局国会の議論も甚だ不鮮明でありましたから、あれが何であったかということはよく国民はわかっていらっしゃいません。何となく好ましからざる出来事であったといったようなことだったと思います。
 そして、しかし本格的にここへ来て過少資本ということになってまいったわけです。その早期是正でございますが、正直申しますと、大蔵省が早期是正という行政に本格的に乗り出しましたのは昨年の夏ごろでございます。そして金融機関にとってはことしの三月がいわばターゲットであった。ところが、そのことを知っている人はほとんど金融機関以外はおりませんで、何となく報道されたこともない。かえって自分の友人を選挙区に持っております国会議員が、先生どうも急に金が引き揚げられ始めましたということを訴えられて、よくわからないまま東京で話してみると、みんなそうだということがあって、これは何だと言ったら、それは早期是正というものが始まって、来年の三月がターゲットで、みんな金をどうやって早く回収するかということをやっているということが政治の面で気がつき始めたのが昨年の十月とか十一月とか、その辺でございます。
 ですから、これも気がついたときにはもう既に相当病状が、いわゆる貸し渋りの状況は悪くなっておりました。これなんかも国民の関心のないうちに事が非常に進んできた一つの例であると思います。
 それやこれやございまして、いわゆる十一月の金融危機がございまして、そのころ日本の銀行のいわゆるジャパン・プレミアムというのは一%に達した、それでも借りられない銀行もあるというような状況でございましたから、金融のシステム全体の危機であるということで三月に法律をつくっていただきまして資本注入をいたしました。それはそれで、ジャパン・プレミアムはおかげでいっとき正常化いたしましたけれども、国民は何かあの結果として貸し渋りが直るんじゃないか、そういう期待を抱かれた。しかし結果として、効果はあったと思いますが、結果としての貸し渋りは直っていない。だから、あれは何となく無意味に金を使ったとお考えになる方が多い。しかし、あれでいっときの危機は回避されたのですが、回避されましたから危機の実態というものはだれにも実はわからなかった。
 事ほどさように、金融というものはいわば血液の循環のようなものだと皆さんおっしゃいますけれども、血液の循環がとまった経験はございませんから、それがどのようなものであるかという実感は実はないわけでございまして、そういう意味で、今までいろんな意味で聖域にあったと申しますか、隠された場所にあって正常に動いていたからどなたも関心を持たれなかったとでも申しますか、そういう要素があると思います。
 それで、バブルのこともお話がございましたけれども、私は思いますのですが、今お互いが不良債権と呼んでおります何十兆という金額は、かつてはだれも不良債権と思わなかった。かってはいわば正常な債権と考えられていて、その大きな金額と当時の日本経済とが見合っておったわけでございますから、こっちの方が不良債権で落ちてしまいますとその見合いは外れるわけでございます。その外れたある部分は土地とか不動産の価格が急落することによってある程度のバランスが回復されていますけれども、ほかはそのままでございますから今でもインバランスの状態にあって、それが今日の貸し渋りになっている。
 ところが、先ほどお話もございましたように、早期是正の問題があり、また外国の銀行も進出してまいりますから、ある程度の資本率は持っておかなければならない、それはビッグバンからくるあるいは早期是正からくる命題でございますが、資本装備率は高くしておけ、そうすればそれを調達する方法はありませんから、分母を小さくするしかなくて、それは貸し渋りになるに決まっている。
 ですから、リストラクチャーをやれ、貸し渋りはやめろという話は、手を縛っておいて何かやれという話に非常に近くて、そういう意味でも、それだけが目的ではありませんが、資本を強化しないとなかなか貸し渋りというものが直らない。貸し渋りを直すためだけに資本を強化するわけではございませんけれども、そういう問題を今御審議願っておるというふうに考えて、つたない御説明でございますが、思っております。
○日出英輔君 それから、経企庁長官に伺いたいわけでございます。
 高名な経済の評論家で、ただいま経企庁長官あるいは国務大臣としてのお立場でも結構でございますが、先ほど申し上げましたように、ともかく何十兆という通常ですと考えられない規模で公的資金、これはすぐ税金ではございませんけれども、そういった将来は税金としてなる分もあるようなものが現実の政治の課題になってまいりました。こういう時代の政府の情報の伝え方といいますか、こういうことについて経済と金融を分けずに一緒にした形で、もっとこういう時代の情報開示というのを政府としてしっかりやらなければいけないんじゃないかというふうに私は思いますけれども、経企庁長官の御見解を、個人的な見解で結構でございますが、お願いしたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 仰せのとおり、経済、金融に関する情報をより多く、より広く、より早く国民に伝えることは私どもの務めだと考えております。しかしながら、この情報の伝達というのは二者それぞれ相反します。より早くやることとより正確にやることとは相反します。それから、より広く伝えようといたしますと、やはり一般のテレビとか新聞とかいうことになるわけでございますが、これはかなり短い時間で説明しないといけません。
 私も、就任以来十数回、二十回近くテレビに出演してこの問題を中心に経済のお話をさせていただいておりますが、大体が数分から長くて十数分の間でございます。その間に、この金融の問題というのは極めて専門的な用語、例えば第U分類、第V分類というような言葉は経済評論家をしておりました私でも一年前まで聞いたことがなかったような話なのでございます。そういうことを短い時間で伝えなきゃいけない。長く時間をかけて衛星テレビとかやりますと、見てくれる人が少ない。ここで非常な矛盾を感じるわけなんです。できるだけそういうことをパネルを使いましたり、テレビに出演したり、雑誌に書いたりしてお伝えするように努めておりますが、なかなか広く一般の方に正確に伝えることが難しい。
 そこで、我々の議論といたしましては、多くの人におおよそのことをわかっていただくのと、それから専門家あるいは関係の方々に詳しく伝えていくのと、両方やらなきゃいけない。先生お説のように、白書を書くとなりますと、これまた読んでいただく方がごくわずかになります。
 そういうような面もございまして、オピニオンリーダーの方から浸透させていただくより仕方がないのでございますが、極力そういうことには努力しておるつもりでございますけれども、まだまだ力不足でわかりにくいところが多々あるのではないかと思います。
 特に、金融の問題は非常に専門的でございますし、大蔵大臣も御説明になりましたように、企業でお金を借りておられる方々は本当にこの問題を深刻に考えておられますが、ただ預金しているだけの人にとりましては、それほど重要というか、雲のような話だということになりまして、説明不足だった。ようやく最近になりまして国民の方々にも浸透してきて、こういう法案も通していただけるような段取りになったと私どもは考えております。今後とも、できるだけの努力はさせていただきたいと思います。
○日出英輔君 実は、この質問をしますのに関係省庁のホームページも開いて読んでみたのでございます。個々の部分については正確に書いてございますが、知りたい、本質論というのは何なのだろうかというのがどこからもなかなか得られないといういら立たしさがございました。何かそういう工夫もお願いできたらと思います。
 それから、金融監督庁長官にお伺いをしたいと思います。
 当委員会の委員の方々がこれまで何度も、今監督庁で行っております十九行の検査結果についていつ出るのかといったような話、質問がたくさんございました。なかなか限られた人員でこの難しい時期にいつまでに結果を出すというのは難しいということは私も容易に想像できるわけでございますが、ただ行政は、私も三十年ほどやりましたが、やっぱりある期限の中での勝負でありまして、こういうのはちょっとおこがましい言い方でございますが、期限なしにいっか結果を出すであろうというのは、これは行政の仕事の仕方からしますとちょっと異例な感じがいたしておるわけでございます。
 特に、金融再生の緊急措置法の議論を先週し、また今週早期健全化の議論をしている中で、本来であればやはり結果の一部でも国民に伝え、あるいは委員会に伝えて国会の審議にも役立てるというぐらいの気持ちがあってほしいなというのが多分国民の気持ちじゃないだろうかというふうに実は思っているわけでございます。やっぱり公的資金を大量に注入しなければどうしてもやっていけないというようなこの国の今の経済の状況の中で、金融監督庁の重要性というのは大変なものだろうというふうに思っているわけでございます。
 そういう意味で、何か決まり切った仕事をルーチン化して早期是正措置につないでいくというだけのお気持ちではなくて、ぜひとも今の金融の状況がどうなっているのかということを国民に伝えるというつもりでのこの検査結果の公表といいますか、そういうことがあるのではないかというのが私の何となくの感じでございます。
 そういう意味で、特に厳密なお答えでなくても結構でございますが、私のような考え方をしている人間は非常に多いのじゃないかと思っておりますので、ぜひとも長官の御見解といいますか感想を一言お伺いしておきたいと思っております。
○政府委員(日野正晴君) お答えいたします。
 この金融問題に関します情報の公開、さまざまな切り口で大事な場面が出てくるかと存じます。特に金融歳関の情報公開につきましては、その金融機関の透明性を高め、あるいは預金者の自己責任の原則をさらに一層促すといったような観点から極めて大事でございますし、それから金融機関自身が行いました資産の査定、これを公表するということも極めて大事なことだろうかと存じます。
 先日成立いたしました金融再生法では、その第七条に、今まではございませんでしたが、金融機関が資産の査定を行った場合にはこれを公表しなければならない、公表するものとするという規定が設けられた趣旨もそういったところにあるかと存じます。
 ただいま御質問がございましたこのたびの検査は、この七月から大手十九行に対しまして一斉に入らせていただきました。これは従来は一斉に入るということはございませんでしたけれども、今回は一斉に入らせていただきまして、同じ物差しで本年三月期に行いました各行の自己査定の内容につきまして、引き当ての状況、査定の適切性、妥当性、あるいは償却引き当ての適切性などについてそれぞれ今までチェックさせていただいております。
 これは何しろ、こう言っては大変恐縮でございますが、限られた陣容で、各行当たり平均しまして十二、三人ぐらいのチームで参るといったようなこともございまして、今まで立入検査を行ってまいりましたが、大体立入検査も、例えば長銀につきましては九月三十日に終了いたしまして、現在その取りまとめを行っているところでございます。
 自己査定の内容については各行からは公表されておりませんが、少なくとも不良債権の状況につきましては、SEC基準に基づきましてことしの三月期の不良債権の内容については公表されておりますし、それから来年の四月からは、銀行の財産やあるいは業務の内容につきまして連結ベースで、しかも罰則つきで公表されるといったようなことにもなっているわけでございます。
 検査の結果につきましては、個別の各銀行についての検査の内容ということになりますと、これはそれぞれの金融機関の取引先でありますとかあるいは金融システム全体に対して与える影響などから考えますと、個別の内容についてそれを公表するということについては消毒的な考え方でございます。
 これはいずれ全体がまとまりますので、まとまった段階におきましては、自己査定と当庁が行いました検査の内容とを比較いたしまして、例えば査定と当局が査定した結果の内容の乖離の状況、あるいは引当率の違いでありますとか、あるいは正分類に現在自己査定では入っておりますが、これはU分類ではなくてV分類ではないか、W分類ではないかといったように検査でこちらから指摘させていただくこともございますので、そういった点をできるだけ網羅的に幅広く、コンプリヘンシブといいますか、集計いたしまして、そういった形で国会あるいは国民の皆様方にそれを明らかにすることができる、そういったことによって現在の金融機関の実態をできる限り明らかにして情報を公開してまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。
○日出英輔君 長官にはぜひとも今のことを一日も早く公表していただくようにお願いをしたいと思っております。
 次に、発議者の方にちょっとお伺いしたいのでございますが、自己資本比率八%以上の銀行に対する資本注入の措置も一応認められたわけでございますが、いろんな報道を見ておりますと、これが申請主義でうまくいくのかどうかということについて懸念が出ているように聞こえてきております。
 実際に銀行サイドでは、配当制限でありますとか経営者責任でありますとか株主責任の追及とか、こういうことを恐れてなかなか乗ってこないんじゃないかといったことや、あるいはあるとすれば三月のときのような、横並び過少注入的なふうに言われましたけれども、こういったことになるんじゃないかということで、何か強制注入みたいな話まで新聞では字が躍っているような状況のように心得ておるわけでございますが、ただ、強制的に資本注入するということになりますと、なかなか財産権の問題で幾つか難しい問題がすぐに思い浮かぶような気がいたしておるわけでございます。
 そういう意味で私は、この法律は申請という前提でやっております、いろんなやり方ももちろんあるんだろうと思いますが、この八%以上行くの一資本注入の措置について、当今の報道について体どういうお考えでおられるのか、御見解をどなたかから伺いたいというふうに思っております。
○衆議院議員(保岡興治君) 日出先生がおっしゃるように、自由主義経済社会でございますから、どういう場合も民間の努力というか知恵と工夫を促すということが基本だと思います。
 今度提出させていただいております健全化法案でもその趣旨、枠組みは貫かれておりまして、第三条に施策の原則ということが定められておりますが、これは経営の状況を改善するように自主的な努力を促すということがまず基本とされていることが明示されておりますし、至るところにそういう配慮がなされている規定があります。また、早期是正措置ですら、同じく施策の前提というところで、新しく修正協議で加わったところでございますけれども、自己資本の充実、大幅な業務の縮小、合併、業務の廃止、こういった措置はまず当事者に選択させた上で命令をかけるというような配慮もされているところでございます。
 しかしながら、今度の金融の障害、問題点を克服して国際競争力にたえる立派な金融サービスを実現したり、またこの危機を乗り切っていくためには、問題を抱えた銀行の主体性のある努力というものも大事でありますが、一方、今までの護送船団の中で、つい横並びや一つの枠組みの中で行動することを許されてきて緊張のなかった、そういう中でできた意識や行動パターンというものを今この危機においてどういうふうに改めていかなきゃならないのか、リスクを負ってみずからどういうことを積極的にやらなきゃならないのかということの意識改革とか行動を促すということで、監督当局が実態をよく把握した上で適切な対応をしていくこともまた必要なことだと思います。
 そういったことについても本法はいろいろと配慮をいたしておりまして、先ほど来出てきました資産の適切な評価とかあるいは引き当て、あるいは有価証券の評価、こういったことについてもきちっとした行政の対応をすることが法律上明示されましたし、その他銀行法の二十六条一項も含めて、これまた裁量行政を否定するというか裁量行政はいけないことだということの新しい行き方もございますけれども、やはり先ほど申し上げましたような過渡期のこういう問題を抱えたときでございますから、お医者さんである監督当局が患者に対するようにこの二十六条一項などを活用することも考えていかなきゃならない。
 そういった意味では、責任の所在と理由さえ明確にしておけば裁量行政の批判を招くことはないと思いますので、こういう積極的な当局の介入も必要だ。また、政府や国会がこれだけ予算措置とか、いろいろな健全化スキームその他再生化スキーム、そういった努力をしているのでございますから、肝心の金融機関においても積極的な公の責任を果たす意気込みと対応が必要だと、そう思います。そしてまた、先生先ほど言われておりますように、本当にそういった中で国民もまた理解をしていただいて、国を挙げてこの危機に対応できる体制や流れを早くつくらなければならない、そう感じているところでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、保岡議員の言われましたことが大体の背景でございますけれども、これにつきましては、確かにおっしゃいますようにいろんな議論があり、かつまた、昨日経済戦略会議の報告にも触れられておりまして、多少解明が十分でない感じがいたしますので、たまたま昨日衆議院、いや参議院の予算委員会でございますか、昨日ではございませんが、簗瀬委員のお尋ねに総理大臣がお答えしているところがございますので、これが政府の基本的な立場であるということで、ちょっと長うございますが、申し上げることをお許しいただきたいと思います。
 前段において、資本増強制度がその規模や効果の面で十分に機能し、この法案の目的である我が国金融システムの再構築と我が国経済の活性化に資するためには、金融機関が公的資金を受け入れるための体制整備や投入された資本の効果的な活用をしていくことが不可欠である。したがって、金融機関に対しては、受動的に対応をするだけではなく主体的な行動を求めていく必要がある。
 これが前段でございますが、後段で、なお、行政命令で強制資本注入を実施することは、特別公的管理やブリッジバンクなど完全に公的な管理のもとにある銀行は別として、私企業の経営戦略の根幹をなす資本政策に国が強制的かつ直接に介入することは、株主資本利益率の低下等の問題を勘案し慎重に判断されるべき問題であると考える。
○日出英輔君 ありがとうございました。
 実は、今の答弁の御趣旨のようなことを少し述べてみようかとは思ったのでございますが、全く私もそのとおりだと思っております。
 これだけこの信用収縮の問題が日本経済にとって大変大事なことだというのが、三月の時点と違って、私は銀行業界もそういう意味での理解が非常に進んでいるんじゃないかというふうに思っております。そういう意味で、金融機関の社会的責任の自覚というのが進んでいる中でございますので、大蔵大臣が今お読み上げになったような気持ちは私もそのとおりだというふうに思っておるわけでございます。
 それから、ちょっと伺いたいのでございますが、予算の関係でございますけれども、補正で政府保証枠の拡大というのが出ているわけでございます。法案の方の附則で、金融機能早期健全化勘定と金融再生勘定と合わせて十兆円、これで足りないときには国会の議決があれば弾力的に上積みするという原案だと思いますが、これは今度、金融再生勘定十八兆円、金融機能早期健全化勘定二十五兆円の政府保証枠の拡大ということでございます。
 新聞情報では、野党の方でも五十兆とか六十兆とかかなり大きな数字も出ているようでございますが、額の大きさをどういう考え方で決めたのかといいましょうか、決まったのかといいましょうか、あるいは今の預金保護の例の十七兆の方は増額しないということになっているわけでございますが、この額をどういう考え方で決めたのかということにつきまして、大蔵大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、この十八兆円あるいは二十五兆円の金額が決まりました経緯でございますけれども、この法案の御審議の過程におきまして与野党の間でいろいろな御折衝がございました。その中から、どのぐらいの金額が必要かという御議論がいろいろございまして、私ども役所としましても、またそういう御議論を拝見しながら、どういうあたりがいいところなのか、それは積算というほどのこともございませんけれども、どういう根拠で物を考えるべきかというようなことを検討いたしておりました。したがいまして、答えはきちんと積み上がったものだというふうに申し上げることは正確でありませんで、起こり得る事態に備えることでございますから、多少の余裕を持ちながら、しかしある程度の達観で決めなければならなかっただろう、そういう状況の中で決められたものでございます。
 それで、二十五兆の方でございますけれども、今全国銀行のリスクアセットが大体六百兆あると言われております。その六百兆ございますところで、仮に国際基準の銀行で申しますれば比率基準を八%からさらに四%ほど向上させる、あるいは国内銀行でございましたら四から八というようなことを考えますと、四%といたしますとほぼ六百兆は二十五兆かなというようなことを言っておるわけでございます。
 それから、もう一つの十五兆でございますけれども、全国のリスク管理債権が二十九兆ございますけれども、その中で債権償却特別勘定に十五兆積まれておるそうでございますので、したがって裸になっている部分は十四兆かと。そうしますと、十五兆というのは、まあそれを多少上回る金額にしておいたらどうかというようなことも私ども計算いたしました。
 なお、これはいろいろ御意見のあるところだと思いますけれども、この両方で四十三兆でございますが、かねて十七兆の預金保険の金がそのままございますので、合わせて六十兆というふうにおっしゃる方もございます。これは五千億ドルでございますから国際的にもかなり大きな金額という感じでございますし、GNPで申しますと一二%ぐらいになるはずでございますので、そういたしますと、かつてどこかに非常に大きなレスキューの、フィンランドでございましたかにございましたけれども、せいぜいGNPの一〇%ぐらいでございますから、一二%はかなりいい数字ではないかと考えたわけでございます。
 なお、委員長、先ほど政府の考え方を、簗瀬議員と申し上げましたが、これは総理大臣がそういう御質問に答えるべく用意をした原稿でございます。日にちを見ますと実はきのう本会議で同趣旨のことを答えておられますので、そういうふうに直させていただきますが、これが政府としての基本的な考え方でございます。
○日出英輔君 それから、ちょっと質問を変えまして、金融問題ではないのでございますが、金融問題の根底にあります不良債権の本格的対策といいましょうか処理策ということで、金融監督庁長官にSPC法の話をちょっと伺いたいと思います。
 公的資金注入の話だけが集中しておりますが、基本的に、前提として不動産の流動化というのがしつかり図られませんと物事が実は進まないというのはだれが見てもわかるわけでございます。
 一つは、衆議院にとどまっております不動産関係権利調整法案でございます。これは、不良債権を本格的に処理しようといたしますと、一つ一つの債権について、担保権者なり債権者なり金融機関が複雑に絡んでいるということで、これをきちんと整理していくという動きだと思いますが、きょうはこれは別といたしまして、もう一つ、この九月から施行されましたSPC法でございます。これにつきまして、社民党の三重野先生がこの間の参考人の意見陳述で、多分世の中で税の関係で使い勝手が少し悪いということがあっての御質問かと思っておりますが、せっかくできたんだけれども、資産証券化ということで画期的なんだけれども、なかなか使いにくいという声が出ているようでございます。
 これについて、一つは税制面の問題、もう一つは資産流動化計画の策定について少し指導が厳しいのではないかというような議論があるようでございますが、この二つを含めて監督庁長官の御見解を承りたいというふうに思います。
○政府委員(日野正晴君) お答えいたします。
 SPC法はこの九月一日から施行されたところでございますが、税制の問題は大蔵省の御所管でございますので私から直接御答弁申し上げることはいかがかとは存じますけれども、少なくとも税制上では登録免許税あるいは不動産取得税が半減されておりまして、流動化促進のための措置が講じられているというふうに私どもは理解しているわけでございます。そのほか会社設立の要件が簡素化されておりまして、資本金が三百万円でよろしい、あるいは取締役は一名以上でいいといったようなことで簡素化されておりますので、今後このSPC法に基づきまして会社が設立されてくるものと思います。
 現在でも既に金融機関、不動産業界あるいは弁護士会などから登録申請に係る照会を受けている状況にございます。そういったところからいたしますと業界の関心は高いのではないか。現在は流動化に向けての具体的な検討が進められている段階ではないかと思います。
 実際、具体的な動きといたしましては、登録申請については、既に一社が九月末にこれは最初に設立登記をいたしまして、それから登録の申請ということになりますので、既に設立登記が行われておりまして、間もなくその登録の申請が一社についてはなされるものというふうに考えております。
 それから、流動化計画の内容が煩雑ではないかという御指摘でございます。これは定款等に詳しく書くことが求められているわけですが、これはひな形といいますかそういったものがございまして、それを見ていただければ書けるようになってございますので、そういった点からも今後この流動化に向けてSPC法が活用されていくということになるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○日出英輔君 不動産なり不良債権といったリスクの高い資産の流動化の希望の星でありますこのSPC法でございます。法律をつくりますときには、行政にいる人間というのは一生懸命やるのでございますけれども、施行になりますと意外にトップの方々が、できてしまったということで、私も若干その気がありましたけれども、気が抜けてしまうということがあるようにも思います。ぜひとも、これについて期待しているところ大でございますので、よろしく御指導を賜りたいと思います。
 私の時間が来ましたが、同僚の佐々木知子議員に御了解をいただきまして、五分ほど時間をいただきまして最後に一言だけお聞きしたいのでございますが、地域金融機関についての問題でございます。
 当委員会でもたびたび出ましたし、先般の参考人の意見陳述のときにも西崎参考人から地域金融機関を大事にするようにという話がございました。私も、若干の短い期間でございましたが、前職がそういう政府系の金融機関におりまして、全国を回っておりますと、地域金融機関というのは地域の企業と栄枯盛衰をともにしているということで、大変悪戦苦闘しているわけでございます。
 拓銀を地域金融機関にしますにはやや大き過ぎるのでございますが、拓銀がああいう形で破綻をしましたときに、一方で大銀行についての資本注入がこの東京を中心にしていろいろと言われていることについて、北海道の方は何となく割り切れない思いといいますか、何か少し怒っておる方なんかも実はおられるわけでございます。
 先般、十二日にこの早期健全化法案について党首会談を行った際に、平和・改革の神崎代表が、拓銀破綻後に深刻な経済状況に陥った北海道と同じ轍を踏まないよう対策を講ずるということをおっしゃったというふうに新聞で見たわけでございますが、こういった目配りが金融問題のときには大変必要だと思っておるわけでございます。
 本法案につきましては、著しい過少資本状況にある場合でございますとか、幾つかの点について地域金融機関について配慮がなされているというふうに私は評価をしているわけでございますが、この点について発議者の方から少し御説明を賜って、私の質問を終わりにしたいと思っております。
○衆議院議員(山本幸三君) 委員御指摘のとおり、地域経済に対して地域金融機関が大変大きな役割を果たしておることを私どもも認識しておりまして、この法律におきましてもそうした地域金融機関についての考慮は十分にいたしておるつもりでございます。金融機関の規模の大小にかかわらず、大変重要なことだというふうに思っております。したがいまして、都市銀行等、規模の大きい金融機関と同様、地域に密着した営業活動を行っております地方銀行や信用金庫等、地域金融機関につきましても今般の資本増強の対象としているところでございます。なお、民主党案の方では、信用金庫、信用組合、労働金庫等は外れているということでございます。
 また、特に著しい過少資本状態にある地域金融機関でありましても、地域経済にとって不可欠なものであり、その存続のため地域経済界が一致して協力しようとする場合などは、健全化を図って業務を継続させるという方向で公的支援をすることが適切な場合もありますので、必要な措置を講じているところでございます。
○日出英輔君 ありがとうございました。
 質問を終わります。(拍手)
○委員長(坂野重信君) 関連質疑を許します。佐々木知子君。
○佐々木知子君 同僚の日出議員に関連して、自民党の佐々木知子から質問させていただきたいと存じます。
 まず初めに、小渕首相は、当新内閣を経済再生内閣と位置づけたわけでございます。この七十九日間にわたります臨時国会におきまして、一連の懸案事項でございました金融関連法案が無事成立するであろう運びとなりましたことにつきまして、関係各位の御努力に対して心より敬意を表したいと思っているものでございます。
 まず初めに、発議者の方に法案についての質問をさせていただきたいのでございます。これにつきましては日出議員の方から随分質問が出ましたので、そんなにはなかろうかと思います。その後に大蔵大臣に質問させていただきまして、その後に、時間がございましたらということになろうかと思いますけれども、私が検事時代非常に尊敬し、かつ親愛の情を込めて接しておりました金融監督庁の日野長官に対して質問を若干させていただきたいと存じております。
 私は、関西の某大学を出たのでございますが、そこは法学部は大したことはなかったのですが、経済、経営学部は非常にいいと言われている大学でございました。そして、ちょうど二十年前に卒業したわけでございます、これは年がばれますけれども。そのときには経済、経営学部を出た同僚はもういち早く大手銀行の就職が決まった連中が多くございました。皆、誇らかに、自分は富士銀行だ、興業銀行だ、東京三菱だ、第一勧銀だといって巣立ってまいりました。その当時、二十年後に大手銀行がこのような事態になっているであろうことは、どんな優秀なエコノミストも恐らく想像外であっただろうというふうに思われるわけでございます。
 この前、富士銀行に行っている同級生に会いましたら、こうなったのは経営者の責任だ、僕たちは本当にまじめに働いていたのに何でこんなことになったんだとぼやいておりました。彼は、大蔵省の責任については言及いたしませんでした。多分銀行法などというのは御存じないのではないかというふうに思ったわけではございますが、そういうふうに意見を述べておりました。
 きのうは、日本興業銀行に勤めている同僚に私は電話をいたしました。彼はニューヨークの為替課長を四年間やっておりまして、為替ディーラーとしては結構名の売れた人でございます。彼に今回の一連の金融関連法案の成立についてどう思うかというふうに聞きましたら、十兆円という枠ではなく、今度四十三兆円という枠に上げたことについては非常に好感を持って市場は迎えるであろう、自分たちも非常に好感していると。ただ、非常に時間がかかった、その間にどれだけ株が下がったと思っているのだ、政治はそこら辺のところも考えてもらわないといけないと。そして、ただ実際問題といたしましては、日出議員からも出ましたけれども、新聞にもその様子がよく出ておりますけれども、強制資本注入というのがない以上、やはり銀行としては経営者責任を問われることを恐れてなかなか申請をしないのではないか、どうして強制資本注入制度を設けなかったのか、そのようなことも申しておりました。
 今回のこの早期健全化法案に関連いたしましては、反対論が幾つか周知のとおりございます。私も、資本算定をきっちりやるべきだ、そうでなければ公的資本注入を幾らやってもむだになるのではないかという意見は、なるほどとうなずくところも確かにございます。
 例えば、有価証券の評価方法につき、原価法と低価法の選択制ではなく、あくまでも低価法によるべきだという意見がございます。それから、回収に注意を要する第U分類債権をさらに分類して、各引当率を法律で設定すべきだというような批判もございます。それから、実際、資本注入の運用基準が固まっていないではないか、それから金融再生委員会にゆだねる項目等が多過ぎて、これは行政裁量にゆだねる幅が多過ぎるのではないかとか、そういう一連の批判が多々ございます。
 これに対して発議者はどのようにお考えであるか。ある程度は重複するかもわかりませんが、お答え願えれば幸いと存じます。
○衆議院議員(大野功統君) 先ほど、堺屋長官から、一年前にようやくU分類という言葉を聞いたという話がございました。私は、三十数年前に金融検査官のまねごとをいたしましてU分類という言葉をようやく教わったのでありますが、三十数年間たってもいまだによくわかりません。
 わかりませんけれども、なぜわからないかというと、まずU分類という話でありますが、これはV分類、U分類になりますとある程度明確な概念が出てまいります。しかし正分類になりますと、正常債権に近いものと、あるいは破綻懸念債権に近いものと二つに分かれてまいるわけでありまして、それを慎重かつ保守的な銀行というのは、一期に当該会社が赤字になっていてもU分類にしようかと、こういう場合もあるわけでございます。
 したがいまして、アメリカのように、まずU分類を、例えばS1、サブメンション、ちょっと言及しておこうかという分類にする、あるいはS2としてサブスタンダード、ちょっと心配だなと、こういうような分類にして、そしてそれぞれ引き当てを考えていく。引き当てを考えるといいましてもそれは金融検査官のガイドラインみたいなものでありまして、決して法制化してはおりませんけれども、そういうふうにまず概念をきちっと決めていくことが一番大事だと思っております。それを、ぜひとも金融再生委員会に考えてもらいたい。
 一年ぐらいの間に私はぜひとも金融再生委員会に、先生がおっしゃったように、まず資産評価や引き当てやあるいは有価証券の評価の問題が決まらないと何だかよくわからない、こういう状態でございますから、まずU分類につきましてはそういうふうに決めていただきたい、このように思う次第でございます。
 さらに、例えばあと有価証券の評価の問題であります。これは基本的に言いますと、大蔵大臣もたびたびおっしゃっておられますように、銀行が株を持つことがどうなんだろうと、こういう基本的な問題があろうかと思います。日本の場合はえてして銀行が株を多大に持っておりますから、それが金融システムに影響してくることが大でございますし、またコンフリクト・オブ・インテレストとでも申しましょうか、要するに利益相反になる場合もあるわけでありますから、この点は私は中長期的な問題として考えていただきたいのであります。
 低価法か原価法か、こういう問題になりますと、去年の暮れまでは低価法でやっていましたが、貸し渋りなどが起こるというのでこれは従来の商法の考え方に戻した、どうぞどちらでも結構ですからやってくださいと、こういうふうにいたしました。そうすると余り明確にならないんじゃないかという話が一つ出てまいります。
 しかし、そこは私は気分の問題じゃないかと思うのであります。例えば、一升瓶に五合酒が残っておりまして、五合もあるかというのと、もう五合しかないなという気分の差は当然出てくるわけでございます。正確にはかりますと、有価証券報告書でこれは五合しかありませんときちっと報告が出されているわけであります。そういう意味で、景気回復、貸し渋り対策として、気分の問題として商法の原則に戻った、しかし本当は危機管理であれば時価法で考えるのが当然ではないか。この辺も私は中期的課題として検討していかなければいけないのではないか。
 さらに、引き当ての問題でございますけれども、じゃ引当率をどう考えたらいいのか、これを法律で決めなくていいのかどうか、こういう問題でございます。
 私は、この法案の最大の目的は危機管理だと思っております。危機管理というのは、もう一つ申し上げてみれば、日出先生がお触れになっていましたように、フェア、フリー、グローバルという哲学のもとに新しい二十一世紀の金融システムを構築していくその助けとなるために合併とか再編成を促していく、こういう大きな目的がありますけれども、危機管理という側面に照らしてみれば、余りがちがち、ぎしぎししたような法律でつくっておくと、この引当率というのは、実際はよくわかりませんけれども、検査をして、きちっとその検査結果に基づいて考えていくものであろうかと思います。したがいまして、場合によれば時々刻々動いていくかもしれません。
 そういうことを勘案しますと、法律で決めるよりも一件一件ごとにきちっと対処できる、そしてある程度のガイドラインはつくっておく、その大枠のガイドラインといいましょうかルールというものはぜひとも金融再生委員会でつくってもらって、それを機動的に運用していってもらう、これが私は一番いい方法ではないか、このように思う次第でございます。
 先生の問題点の御指摘が多岐にわたりましたので、あるいはこれですべてお答えしたかどうか私自信がないのでございますけれども、以上でございます。
○衆議院議員(保岡興治君) 今、大野発議者から御説明したほか、先生からは、資本注入の運用が固まっていないんじゃないかという点と、それからその運用の多くが金融再生委員会の裁量にゆだねられているんじゃないか、こういう御指摘がございました。
 これは、御承知のとおり、今度の資本増強を行うに当たっては原則が定められていて、その原則に沿って経営健全化計画というものを申請金融機関が出す。それは適正であると同時に実効性が担保されるものでなきゃならないという意味では、かなり詳細にそれを実行できるかどうかの証明を要するような書類なども添付して提出される。それは公表されることになります。そういったことで、一つ一つ手続を進めていく上でかなり法律に明示したつもりでございます。
 ただ、御案内のように、具体的な妥当性を確保するためには金融再生委員会にかなりの部分をゆだねなきゃならない。金融再生委員会は確かに今度新しく設立されるもので、国会の同意大事になっておりますし、またそういった意味では大きな責任と役割を担っているわけでございまして、この運用というのは、これはまた国会がいろいろ報告を受けることにもなりましょうし、いろいろチェックをしていくことにもなりましょうし、そういったことで適正が確保されていくものと思います。
○佐々木知子君 ただいま経営健全化計画に含まれるべき内容を明示されたというようなことも出ましたけれども、資本注入を受けた銀行がその計画を履行するかどうかというのは、これはどのように担保されるわけでしょうか。
○衆議院議員(保岡興治君) 今申し上げましたように、健全化計画に書かれるべきことが定められておって、それを適正であるか、実行可能であるかということをいろいろ証明する書類あるいは裏づける資料というものがそれに添付される。その中で再生委員会が、これは間違いなく法の趣旨に沿って、御案内のとおり、金融再生のために全体のための対策にきちっとなっているかどうか、あるいは問題の金融の障害がその銀行の努力によってきちっと取り除かれるという面を備えているかどうか、その銀行の救済というのではなくて、法の趣旨に沿ってきちっと健全化計画が行われるものであるかどうかチェックした上で承認をするということになっていると思います。
○佐々木知子君 金融再生委員会の権限は本当に絶大であります。責任も非常に重大である。機構をつくったのはいいことですけれども、その後どういうふうに動かしていくかは、どういう人を得てどういうふうな運営をやっていくかにかかっていると思いますので、非常にこれは期待したいと思っております。
 次に、今回の一連の金融関連法案につきましては、金融危機でございますから資本注入もいたし方ないと思っておられる方も非常に多い、国民を含めまして思っている方も多いと思いますけれども、ただ、問題は経営者、こういうふうにいたした経営者の責任はどうなるんだと、それについて非常に批判的な考えを持っている人がまたこれも非常に多いということも事実でございます。
 この法案そのものに経営者等の責任を盛り込まれたかどうかは別といたしまして、どのようにその点についてお考えか、お伺いしたいと存じます。
○衆議院議員(保岡興治君) この点については、法案の骨格となる施策の原則のところにも経営責任を明確にしろということになっておりますし、健全化計画の中にもその趣旨に沿う方策をきちっと書きなさいということになっております。さらに、自己資本比率の区分に応じて、それぞれ資本が充実しているかどうかの程度に応じて経営責任を明確にするように法にも詳細、具体的に書いているところでございます。
 一般的に言って、経営責任というのは、公的資金を注入する以上当然明確にするということでございますけれども、しかし先ほどから議論に出てくるように申請主義になっておる。したがって、本当に今、日本を襲っている金融危機、あるいは将来、日本が元気な経済を支える立派な金融サービス、金融の機能を確保するというところに向かう努力というものとをあわせて行わなきゃならないという非常に難しい道を歩んでいるわけでございます。そういう中で、やはり金融機関の自主的な努力、積極果敢な努力というのが必要でございまして、その基礎がないとこの資本増強制度は成功しない。
 そういった意味では、やはり責任の所在というもの、あるいは明確化というものも非常に大事なテーマでありますけれども、角を矯めて牛を殺すようなことのないように、ちょうど重病になって、それが伝染病で社会に大きな脅威になるような場合に、その治療をきちっとして社会に影響を及ぼさないようにしっかり措置するということがまずは必要であって、その後あるいはそれに付随していろんなことを準備し対応して、的確な責任というものも明らかにしていくということであろうと思います。
 そういうことでありますから、この制度を本当に働かせるためにはいろんな配慮や工夫が常識的にきちっとされるべきだと思います。
○佐々木知子君 日出議員の発言にもございましたけれども、昨今の報道では、強制資本注入が来国会において法改正によって導入されるのではないかというような見方がございますけれども、それについては発議者はどのようなお考えをお持ちでございますか。
○衆議院議員(保岡興治君) その点についてはまず政府でお考えになるべきことだと思います。
 なぜならば、危機管理とか今の非常に厳しい金融経済環境を考えたら、その責任は一義的には政府にある仕組みになっておるわけでございますから、やはり政府に考えていただくという意味で、先ほど大蔵大臣が述べられたようなところに従うことになると思います。しかしながら、やはり我々国会としては、政党としても勉強をして、本当に間髪入れず対応しなきゃならないようなときに、今の制度でいくと株主総会や取締役会の対応というものが必要であって、優先株の枠をとっていないところがあればとるとか、あるいは減資の手続が必要であればその減資の手続を株主総会の特別決議にかけるとか、そういうことを果たしてどう考えるのかというようなことを慎重に検討した上で、本当に危機管理上強制的な対応が必要な場合があるかどうかよく勉強をする必要があると思っております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 次に、大蔵大臣にお伺いしたいと存じます。
 一連の金融再生関連法案の成立によりまして、金融システム再生のためのいわば車の両輪がそろう形になると存じますが、この枠組みのもとで金融再生に大蔵大臣はどのように取り組んでいかれるおつもりか、決意を伺いたいと存じます。
○国務大臣(宮澤喜一君) その両輪のことでございますけれども、最近、存続可能な金融機関という言葉が使われるようになりました。かつての護送船団行政のもとにおきましては、すべての金融機関が存続可能でございますからこういう言葉は意味をなさなかったわけでございますけれども、そういうものがなくなりますと存続できない金融機関というものは当然出てくるわけでございます。それは退場を願わなければならない。
 そのために、退場の場合にいろいろ備えていわゆる再生化の法律が先般御可決をいただいたわけで、それは破綻の場合あるいはもう極めて破綻に近い場合にその処理を定め、さらに、当然預金者は保護されますが、お客さんもできるだけ保護したい、そしてできれば営業譲渡なりなんなりで後を、レシーバーをつくっていきたい、そういう考え方でございますが、それは退場を願うことの基本的な法律でございます。
 それに対して、存続可能な銀行はもう存続可能でございますが、いろいろな状況から御存じのように資本が十分でない。そのことは貸し渋りの問題もございますが、日本の銀行の金融システムそのものの問題でもございますから、ただいま御審議中の法案によって資本の強化をしていきたい。
 これによりまして、退場するものとそれから残るものとの行政ができるわけでございますので、そういうふうな法整備として問題を整理していただこう、こう考えておるわけでございます。
○佐々木知子君 今回、長銀問題に始まりまして、あたかも金融システム問題のみがクローズアップされた感がございますけれども、現下の未曾有と言われる不況を打開するためには産業全体に目配りした総合的なマクロ経済対策が必要だと思われます。言うまでもなく、銀行は確かに血液でありコアではございますけれども、日本の経済の担い手は一般の企業でございますから、問題の根幹は一般企業をどのように再生するかにかかっていることだと思われます。その意味で、マクロ経済的対策についてどのように対策を考えておられるのか、それについてお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 小渕内閣が発足いたしまして、今、佐々木委員の御指摘の観点から申しますと、処理しなければならない問題が三つございました。
 一つは来年度の予算編成に関する基本の方針でございまして、これには御承知のように、いわゆる財革法によるいろいろ凍結という問題がございましたから、それを配慮して予算編成方針を定める、凍結して定める。それから、税制改正の問題もございまして、これも来年からどのような法人、個人の課税をすべきかという問題でございました。それから、金融不良債権の処理の問題、その三つございました。
 それが今おっしゃいましたことに関係する三つの問題でございますが、予算編成方針の中で、今回は、従来なかったことでございますけれども、御承知のように予算概算要求の締め切りは八月でございますが、このたびは編成方針の中で四兆円の別枠を設けておりまして、これは公共、非公共、両方でございますが、この概算要求は十月末までに締め切ることになっておりまして、特に今おっしゃいましたような問題に有効な施策を、従来との継続でなくてもいい、それから今後必ず継続するということでなくてもいい、そういう施策を各省庁で要求してもらいたいということを定めております。
 それから、税制の方は、御承知のとおりでございますが、これも国会の事項でございますから、通常国会、あるいはその前の国会がございますかどうか、で御審議を願って、いずれにしても、来年の一月、所得税につきましては平成十一年分、それから法人は四月からの年度、これも決まっております。それから、ただいまここで、この国会で金融関係の二つのセットの法案をお決めいただきますと、大体全部道具立ては整った。
 ただ問題は、税制はやはりどうしても来年からということになりますし、予算はそういうことで新しい考え方を取り入れますが、できれば十五カ月のような感じで組みまして入り用な分を補正で前倒しをしたい、こう考えております。
 しかし、両方ともどうしても来年国会の御審議にかかる問題でございますから、多少その間に、今は十六兆円の施策がかぶっておるとは申しましても何となく空白があるのじゃないかという感じがどこかにございますと思います。
 ですから、それは十六兆円の、あるいは公共事業等につきましても、どうも契約は割にできているけれども支払いができていないということの中に、地方団体が非常に財政が悪いという問題がございますから、地方の前渡金の負担分を国がひとつ取り上げてさしずめ国でやりましょうというようなことは決めたわけでございますが、同時にまた地方財政そのものを基本的に国との関連で考えませんと、今の景気振興がどうしても地方にわたっていかないという問題がございます。それらの問題をこれから検討いたさなきゃならないと思っております。
 それで、御承知のように、こういう状態でございますから、財政を惜しむという気持ちは私にはございませんけれども、実はアイデアがなかなか出てこないという問題がございまして、経済戦略会議でもアイデアを出していただいておりますが、今までやったことは試験済みのことが多いわけでございますから、それも大事ですけれども、何かやっぱりアイデアについて国会からも御示唆をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 先ほど経済戦略会議ということが出ましたけれども、昨日御存じのように緊急提言が出ております。その中に、短期経済対策、あるいはこれは構造改革の一種と呼んでもいいのかもわかりませんけれども、所得税、法人税減税の規模拡大ということ、そして二点目は住宅ローン利子所得控除制度の導入、それから三番目に二十一世紀型公共事業の推進、それから四番目は失業対策と雇用流動化、五番は社会保険料の引き上げ凍結六番は当面の緊急的措置、以下云々という形になっておりますけれども、これについては大蔵大臣はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) まだ十分部内でも討議をしておりませんのですけれども、まず税につきましては、先般所得税、法人税合わせまして七兆ちょっとには至りませんが、六兆と七兆の間ぐらいのことを決めておりますけれども、その他の政策減税と言われるものはまだ触れておりませんので、それは例えば今お話のありました住宅に関する部分でございます。
 ただ、住宅に関しまして利子を所得控除しろという点は、従来税額控除で百八十万円までを決めておりますものですから、その二つの制度をどういうふうにするのかというような問題があるかと思います。
 なお、減税との関連で、本来の所得税の課税最低限度は三百六十一万円でございますけれども、一遍限りの減税を何度かやりました結果、それが今仮の姿で四百九十一万円になっております。したがいまして、これを半永久的な減税に、原則として三百六十一万円に戻して、戻さなければなりませんが、その間にたしか何百万という納税者が実は現在納税者でなくなっておられるというような問題があります。それから、もともと納税者でない方々は減税の利益に浴さないという問題がございまして、その際にいわゆる商品券というような物の考え方が浮上しつつございまして、そういうことも私どもとしては検討しなければならないかなと。それが税制に関する出来事でございます。
 あと、いろいろお話が御提言の中にございました。金融システムはただいまこれでお願いをしております。
 その次が二十一世紀型公共事業。これは先ほど申し上げました四兆円の特別の緊急枠を設けておりまして、それについてのアイデアが今月末にはちょうだいできるものと思いますから、これで処理ができると思います。
 それから、社会保険料の引き上げでございますけれども、こういう異常な経済状態のときにこれをしばらく延期せよという御提案は、まだ閣内でも相談しておりませんけれども、十分考えさせていただかなければならないのであろうか。この問題は、我が国の経済運営について、国際的にも実は指摘されておるところでございまして、やはり慎重に考えてみる必要があろうかというふうに考えております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 けさの新聞に、「貸し渋り倒産急増」、「中小企業を直撃 九八年度上期」というショッキングな見出しが出ております。貸し渋り倒産件数は九八年度上期四百二十一件ということで、記録的な数値になっているそうでございます。非常に現下、喫緊の課題というのが景気回復であり、金融システムの安定化というのがあるわけでございますけれども、これが日本の不況にとどまらず、世界的な不況というふうに考えておられますけれども、打開するためには我が国はどのような貢献ができるか、またすべきと考えておられるか、その点についてお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一年前の上期に比べまして貸し渋りは改善しておりません。マイナスになっておりますので、そのことを御指摘かと思います。
 これは、先ほども申しましたが、片方でリストラをせよと言いながら、しかしそれなら市場で資本が導入できるかというとできませんから、やむを得ず分母を切っていくということは、どうしてもそうなる。また、早期是正というのはそれを促進するような感じになっておりますから、本当の小さいところの早期是正は一遍ことし延ばしておりますけれども、しかし基本的にはリストラというのはやっぱり貸し渋りにつながりやすい。理屈はどうしてもそうなると思います。それで、できることならば政府も資本の増強の手伝いをしたい、それが貸し渋りに通じるであろう。
 ただ、全体としては不良債権がまだまだ出ますし、国内からも海外からも出るものでございますから、そうやっても新しい不良分がまたふえてしまうということも事実でございますので、できるだけ資本増強でそういう状況を直していきたいと考えておるわけでございます。
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 大蔵大臣は、特にアジアの中の日本としてどのようなことを考えておられるか。アジアの中の日本が不況を打開するためにどういう貢献ができるか、どういうことをすべきと考えておられるか。もし構想などお持ちでございましたら、ここでお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(宮澤喜一君) タイで通貨不安が起きましたのは昨年の七月でございますが、それがインドネシアあるいはマレーシア、韓国とずっと回って、現在、為替としてはインドネシア以外はちょっと落ちついておりますけれども、しかしどこの国も例外なく、フィリピンはあるいは例外かもしれません、台湾は例外でございましょう、マイナスの成長になるわけでございます。
 それで、IMFが救済に出ましたときに、我が国は最大の実は寄与者でございます。コミットメントは百九十億ドルでございますし、そのほかに四百三十億ドルのいろんなコミットメントをしておりますから、これはすべての人が御存じの日本の貢献でございますけれども、その中で、各国とも非常に経済が難しい状況になりまして、いろいろな国内施策をしなければなりません。例えば、企業のリストラとか銀行の秩序を立て直すとか、あるいは失業問題であるとか公共事業であるとか社会的なセーフティーネットであるとか、それ々するために、しなければならないのですが金がたいわけでございますから、その金をつくるのに日本が何か手助けをする必要があるだろうと考えました。
 先般、IMFの会の席上で、主として輸出入銀行でございますけれども、経済援助もあわせまして、いろいろな金を起債しますときの保証であるとか、あるいは利子補給であるとか、あるいは国際銀行が出るときに日本も一緒にやるとかいうことで百五十億ドルの金を日本は支出する用意があるということを、東南アジアの、ASEANの国々の大蔵大臣と中央銀行の総裁のおいでになります席上で私から申しました。
 それからもう一つは、本来こういう状況になりますと通貨が切り下がるわけですから輸出がふえるはずでございますけれども、顕著に輸出がふえてまいりませんのは原材料を輸入する金がないということのようでございます。したがって、輸入のための為替の手伝いをしなければならないだろうと。これは短期になりますけれども、それに百五十億ドル。
 合わせまして三百億ドルを用意いたしましたというお話をしまして、早速各国からバイでもって自分の国の入り用なものの相談をしたいということに、ついせんだってでございますが、なりまして、これからそれが始まると思います。十分とは申せませんけれども、各国が当面入り用なお金を我が国として支援して調達のお助けをしたいと、こう思っております。これが手始めと申しますか、まずそこから始めたいと考えております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 大蔵大臣にあと幾つかお聞きしたいことがあったんですが、時間がなくなってしまいました。時間が余ったらどうしようと非常に私は憂えていたんですけれども、お答えされる方が随分長くおしゃべりになるので、助かったというか損をしたというかよくわかりませんが、せっかくですから、日野長官に最後はお伺いさせていただきたいということでこの時間をとらせていただきます。
 大蔵大臣、どうもありがとうございました。ぜひ頑張ってくださるよう、よろしくお願いいたします。
 日野長官、六月二十二日に金融監督庁長官に就任されまして、それまでは検事長という認証官であられたのが、天国から地獄になったという説も一説にはございます。三カ月余にわたった感想を問うというのも非常にお答えにくいでしょうから、それについてはお聞きはしないということで、多分いろいろと検査はされているんでしょうけれども、守秘義務もございましてこういうところでは開示ができない苦しい立場にあられるだろうということもそんたくいたしまして、ただ一点。
 年内に金融再生委員会ができることになっております。その下に金融監督庁というのは置かれるという位置づけになりますけれども、これからの庁の活動については、これまでと同じなのか、それとも金融再生委員会ができることによってどういうふうに変わっていくのか、どういうものになるというふうにお考えでおられますか、その点についてお聞きしたいと存じます。
○政府委員(日野正晴君) お答えいたします。
 御案内のとおり、金融再生委員会は国家行政組織法第三条に基づいて設立される三条委員会でございます。
 我が国の三条委員会は、各省に置かれております三条委員会は格別でございますが、総理府に置かれております三条委員会は、公正取引委員会でありますとか国家公安委員会でありますとか、あるいは公害等調整委員会など、それぞれ立派な活動をしておられる委員会がございまして、できるだけそういった三条委員会の今までの活動ぶりを参考にさせていただきながら、私どもとしてやれることをぜひきっちりやっていきたいと思います。これまでの三条委員会の組織を拝見いたしますと、公正取引委員会はその下に事務総局がございますし、それから国家公安委員会はその下に警察庁という組織がございます。
 今回の金融再生委員会の場合は、今までの三条委員会とはちょっと形を異にしておりまして、従来金融監督庁が、総理大臣、官房長官が太陽であるといたしますと、その周りを地球として回らせていただいたのが、今度は新しく地球と同じような形の再生委員会が太陽の周りをめぐると。私どもは、再生委員会のまたもう一つ外側のいわば月のような形といいますか、そういった形で回るのかなというイメージを持っております。
 作用法の方でも、まだ現在再生委員会の規則にゆだねられている点が大変多うございまして、いずれ再生委員会が設立されました暁に、その作用法で何が金融監督庁に従来のような総理大臣から委任されているような形で委任されるかということが決まってまいろうかと思います。それによりまして何をするかということが決まってくるかと思いますが、私どもの希望といたしましては、従来と同じように、検査・監督は各金融機関に対してきっちりやっていかなければならないかなというふうに考えているわけでございます。
 ただ、その再生委員会の方は、御案内のとおり、一つは再生法、それからもう一つは、現在御審議いただいております健全化法という、その二つの大きな車を走らせる委員会になります、もちろんそれ以外にも再生委員会の固有の事務もございますが。
 仮に、再生法を運用するということになりますと、これはいわば破綻処理でございます。金融機関の破綻というのはある日突然にやってくるわけではございませんで、いろいろな兆候が事前になければなりません。それを私どもは検査や監督を通じてできるだけ早急に把握して、再生委員会の方にできるだけそういった情報をおつなぎするといった役目がかなり重要なものになってくるんじゃないか。再生委員会としては、もちろん事務局が設置されることになっておりますけれども、その事務局の構成にもよりますが、恐らく事務局では検査や監督をなさるわけではございませんので、私どもが日常行う検査や監督をきちっとやることによって、それを再生委員会の方に情報として提供するといいますか、お上げするといいますか、そういうことによって再生委員会の破綻処理に対する活動が円滑に行われるようになってくるのではないだろうかなと思います。
 それからもう一つは、健全化法の方につきましても、これも同じように再生委員会から監督庁の方に委任される部分が法律で書いてございますので、そういったことも踏まえましてこれから金融行政の円滑な運営に再生委員会ともども努めてまいりたいと考えているところでございます。
○佐々木知子君 終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。
 きょう、この早期健全化法案について論議をさせていただきたいと思いますが、その前にちょっと監督庁長官に御確認をしておきたいことがございます。
 こういうものがしょっちゅう出るんですけれども、これ、きのうの朝刊のある大手の新聞でございますが、「長銀は債務超過」という報道がなされました。そして、「監督庁が判断」という見出しを持ってきているんですが、これは事実なのでございましょうか、どうでしょうか。
○政府委員(日野正晴君) お答えいたします。
 今、御指摘になりましたそういった新聞報道がなされていることは十分に承知いたしております。
 長銀についての検査は、もうたびたび申し上げておりますように、七月に大手十九行に対する検査の一環として入らせていただきまして、去る九月三十日に立入検査を終了したところでございます。その立入検査の終了後、検査の結果の通知ということを当該金融機関について行いますが、長銀につきましてもその結果の通知を行うべく、どういった内容の通知をするかということにつきまして金融監督庁で現在検討中でございまして、まだ判断は何ら固めているところではございません。
 いずれその検査の結果の通知を行わなければならないわけでございますが、それまではその内容について、まだ判断の途中でございますので、コメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○直嶋正行君 ということは、どちらともまだ判断していないと、こういう理解でよろしいわけですか、債務超過であるかないかということについて。
○政府委員(日野正晴君) これまで私が御答弁させていただきましたことは、本年三月期の決算の内容について、自己査定の結果あるいは日銀の考査についてかんがみると、債務超過と認めるようなそういった資料はないということで申し上げてまいりました。現在私どもが検査を、もちろん三月期の自己査定をまず行わせていただきました。それから、さらに長銀につきましては、御案内のとおり、その後さまざまな状況の変化がございまして、私どもといたしましては三月期の決算、自己査定の内容だけではとても足りないと考えておりまして、六月期あるいは直近の九月期のその内容につきましてもできるだけ正確に査定の内容あるいは引き当て、償却の状況について把握したいと、つまり九月三十日現在のものも把握したいと考えて今鋭意やっている最中でございまして、その内容につきましては、先ほど申し上げましたように、コメントについては差し控えさせていただきたいと存じます。
○直嶋正行君 これはたびたび指摘されていることなんですが、さっきも長官のお話にございましたように、九月三十日に検査が終了しておる、その結果がいまだに明らかにならない。通知をどうするかと判断中だということなんですが、このことがいろんなまた憶測を呼ぶことになりますので、私はやっぱりきちっと検査をされたものはしかるべく早くオープンにされるべきだと、このように思っておりますので、早急に検査結果を発表されますよう御要請申し上げたいというふうに思います。
 それから、官房長官、こういうことがたびたびあるものですから、きょうもちょっと御足労をいただいたんですが、長銀の処理について、先般来の与野党協議の中では、いわゆる特定管理銀行というんですか特別国家管理にするということになっているわけでございますが、こういうことでよろしゅうございますね。
○国務大臣(野中広務君) 先般、与野党の合意に基づきまして成立を国会でいただきました金融再生法に基づきまして適正に対処されるものと考えております。
○直嶋正行君 今、金融再生法に基づいて適正に対処というお話だったんですが、私どもの受けとめでは特別公的管理というふうに受けとめておるんですけれども、そういうことでよろしゅうございますか。
○国務大臣(野中広務君) 法の三十六条、三十七条、それぞれあるわけでございますし、金融監督庁の中間報告、最終報告も私どもまだお伺いをいたしておりませんので、今私から申し上げられることは、先ほど申し上げましたように、金融再生法に基づきまして適切に対処してまいりたいということを申し上げるのみでございます。
○直嶋正行君 この点も、ぜひ与野党の話し合いをきちっと踏まえて御対処いただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 では、官房長官、後はお忙しいようでございますので、どうぞ御退席いただいて結構でございます。
 それでは、今議論になっております早期健全化法案について質疑をさせていただきたいと思います。
 御承知のように、私ども民主党・新緑風会としては、この参議院におきまして与野党合意で衆議院から送られてきました衆法に対して対案を提出させていただきました。そういった立場も踏まえまして、これから幾つかの点について与党の方あるいは大蔵大臣、それから私どもの発議者ということで議論をさせていただきたいと思います。
 まず、民主党の発議者にお伺いをいたしたいのでありますが、今出ております、仮に言いやすいように自民党案という形で言わせていただきますが、いわゆる衆議院から送られてきました自民党案と私どもが出しております民主党案、ともに金融システムを維持することは重要である、だからそのために必要であれば大きなお金、公的なお金を投入することも必要だと、こういう点でいいますと同じような面を持っているわけですね。
 ただ、実際に法律の中身を見ていきますと、私は基本的な理念といいますか考え方の面で大変大きな違いがあると。特に、いわゆる今の金融危機に対処しようとする対処の基本哲学といいますか、こういう点では大変大きな開きがある。だから、結果を見るとどちらもお金を使うようになっているし、今の金融危機はそうせざるを得ないような状況だという部分は一緒だと思うんですが、対処の仕方が根本的にどうも違うような感がいたします。
 この点について、民主党の対案を御提案された発議者の方に、与党案と比較して民主党案がどこがどういうふうに考え方が違うのか、なぜそうなのかということについて御説明を賜ればと思います。
○委員以外の議員(峰崎直樹君) 直嶋委員にお答えいたします。
 私ども、自民党案と我々の案との違いということにつきまして昨日の本会議でもるる述べたわけでございますが、やはり自民党案には行政による裁量の余地が非常に大きいのではないか。昨日来、大蔵大臣の方からも、今、裁量行政、いわゆる護送船団行政と言われているものをこの機会に本当に一掃しなきゃいけないと。じゃ、本当に今度の自民党案でその点ができるんだろうかと考えますと、私たちはその点はできないというふうに考えています。ある意味ではまだまだその点が残っているのではないかというふうに考えているわけであります。
 さらに具体的にいきますと、資本の増強の要件が非常に不明確である、あるいは銀行の本当の経営実態というものが明らかになっていないんじゃないか、さらに国民に対するアカウンタビリティー、すなわち説明責任という点でも非常に不十分であるし、ある意味では無視をしていると言えるのではないか。さらに、ある意味で存続が不可能な銀行にまで、あるいはさらには健全と言われている、通常国際基準というと八%以上だと思いますが、そういうところに対しても資本注入ができるという、そういう意味では本当に問題が多い法案ではないのだろうか。
 このように問題を抱えている法案を通すということは、一時的にはしのげても、やがてまたこの年末、いや来年の三月の末に本当に同じように問題を先送りしてしまうのではないだろうかというふうに私どもは考えているわけであります。
 では、私どもの民主党の案というものは一体どういう特徴点を持っているのかということでございますが、この点は第一番目に、これはまさに自民党の持っている問題点の裏腹といいますか、ある意味ではその点を我々はきちんと補強できているものだというふうに思っておりまして、まず行政による裁量を排除して明確なルールのもとに資本増強を行おうじゃないかということで、御存じのように公的資金における資本増強のルール、これを政令ではなく法律でもって中に書き込んでいるということでございます。さらに、過少資本、著しい過少資本、経営責任あるいは株主責任、さらに経営健全化の計画の定義、内容及び資本の増強の要件も具体的に定めているわけでございます。
 さらに、一番問題であります銀行の経営実態をやはりきちんとディスクローズしょうじゃないか、そして国民にきちんと説明責任を果たそうということでございまして、御存じのように、我々は、なぜ公的資金を入れなければいけないのか、この点を国民の前に明らかにしよう、そして有価証券の評価方法も低価法として、資産査定、引当基準を明確に定めて銀行の経営情報の開示を義務づけたわけであります。
 この点は、私どもがこの法案でもって議論をしている間も実は国際的な資本というのはちゃんと見ていまして、あるいは格付機関も、この銀行にはどういう問題があるかということはマーケットが実はもうわかっているわけでありますから、その点きちんと明らかに開示していかなきゃいけない、こういう時代に来ているのだろうというふうに思います。
 そして私どもは、存続不可能な銀行についてはやはり破綻処理に移行すべきである、このことをきちんと明示しているわけでありまして、自己資本比率が二%、国内基準でいきますと一%以下の銀行は破綻処理に移行させるべきだ。さらに、健全な銀行と言われている銀行には、やはり公的資金を投入する理由というものが率直に申し上げてないわけでありまして、資本調達というのはある意味では自分たちの力、自前の力でできるはずでございます。
 さらに、当然のことでございますが、モラルハザードという問題が私たちは非常に大きい問題だと思っております。その点で、やはり株主あるいは経営者等の責任というものをきちんと明確にする、そのことを盛り込んだわけでございます。
 以上、私どもの方の特徴点、そして自民党案との違いについて私どもの考えを述べさせていただきました。
○直嶋正行君 それじゃ、今度は自民党の発議者の方にお伺いをしたいと思います。
 幾つかの点に関してお伺いをしたいと思うんですが、まず最初に、今回、私もこの法案を拝見しましてちょっと感じたことといいますか思ったことは、今度の金融再生法案が成立した結果、廃止をされることになりました金融安定化法、つまり、いわゆる十三兆円スキームなんですが、これがそのままこの中に一部復活しているのではないか、こういう思いを持ったわけであります。特に、この法案の内容を見ますと、今お話がありましたけれども、金融機関の持っている不良債権の内容等もあいまい、あるいは経営実態もあいまいなまま、結局、今回の早期健全化スキームでも公的資金を投入していくことになってしまうんではないか、このような危惧を我々は持つわけであります。
 したがいまして、この十三兆円スキームは、前回この委員会で大蔵大臣とも議論させていただきましたが、いろんな反省点があったと。そういうものを含めて今回は一連の議論の経過の中で廃止をされた、このように受けとめているわけでございます。
 自民党の発議者の方にお伺いしたいのは、従来の十三兆円スキームと今回の金融機能早期健全化法案の中での公的資金の投入とはどう違うのか、あるいは十三兆円スキームの反省に立ってこういうことになったのかどうか、この点をお伺いしたいと思うんです。
○衆議院議員(保岡興治君) 金融安定化法というのは、昨年の暮れから年頭を襲った底割れ、底抜けしそうな金融危機というか経済危機、決算期を前に控えた大変な状況に対応するために、一つはシステミックリスク回避のため、そしてまた一つは貸し渋り対策など、そういった使命を帯びて成立した法律でした。しかし、その後、この法案の趣旨あるいはつくり方、そしてまた運用のあり方などについて国会でいろいろ御議論があったり、問題点が指摘されたりしました。そういうことを踏まえまして、今度、自由民主党で早急に健全化法案を新しくつくって提案するということにさせていただきました。
 この法案は、従来の金融安定化法、いわゆる十三兆円スキームと比較してまず違うところは、優先株等に加えて普通株の引き受けができることとしております。国が積極的に経営関与を行ってその健全化を図る。そしてまた、資本増強に当たっては、リストラ、経営責任、株主責任について、より明確、厳格な条件を付するということ。それから、合併等、金融再編成を十分視野に入れた仕組みとしてそのことを施策の原則にも明快に柱を立てさせていただいたこと。それから、この施策を行うに当たっての資本増強の決定、これは民主党も参加して共同提案させていただきました、責任の重い、権威もあるということで、そういう趣旨でつくられました金融再生委員会が行うことになるなど、抜本的に異なる制度にいたしております。
 さらに、国会の議論や、また一緒に修正協議をいたしました野党の皆様方の貴重な御意見を踏まえまして、共同修正案においては、不良債権の処理の促進ということを金融再生化法案で、一般の金融機関から日本版RTCで不良債権を購入する道も、健全化対応という側面を持つこの政策も、民主党も参加された法案ででき上がりました。そういうことで、これを目的の中に入れたり、はっきりさせたり、また資産の査定あるいは引き当て、有価証券の評価などを適切に行うための規定を法律に明示して、それを担保する制度も条文化させていただきました。
 また、情報開示についてもかなり徹底した配慮をした仕組みを新たに措置いたしましたし、またそれらを担保する制度の追加もいたしました。また、自己資本比率の各区分に対する資本増強の要件というものを明確かつ具体的に書き分けるということなどを法律で明らかにした点、共同修正案ではさらに内容を強化したいいものとして提案をさせていただいている所存でございます。
○直嶋正行君 先ほど来も議論があったんですけれども、結局、しかし入り口のところの、特に経営実態の明確化等の部分についてあいまいな形ではっきりしない、適切にやるということなんですけれども。
 今説明あったように、確かに新しい要素というのは加わっている、このことは間違いないと思うんですが、今私が申し上げたような部分だとか、それからさっきも議論にありましたが、三月は御承知のように大手十九行、もう横並びで申請しちゃってそれを認めたと。こういうことでいろいろ言われたわけですけれども、結局これは思い切って、きょうの新聞なんかにもどんとたくさんの銀行に入れようと、こういう議論も出ているわけでして、私なんかから見ると、この前の十三兆円スキームを復活というより、むしろ一層拡大して投入できるようにしたんではないか、こういう感を大変強くするんです。
 今、与党の方から御説明ございましたけれども、それも踏まえて、民主党の方の御見解をちょっとここでお伺いしたいと思います。
○委員以外の議員(峰崎直樹君) お答えいたします。
 今、直嶋委員おっしゃいましたように、私どもは、どうもこの十三兆円スキームを廃止したんだけれども、この十三兆円スキームの欠陥といいますか問題点というのは、ほとんど今度の自民党案の中では鮮消されていないのではないかというふうに考えているわけであります。
 それが証拠にというふうに申し上げましょうか、実は、先ほど官房長官退席なさいましたけれども、いろんな新聞情報等を見ると、この新しくできる法律、今審議している法律に基づいて大手行は本当に資本注入、自己申請するんだろうかといったら、いやいや、どうも手が挙がらないんじゃないかというふうに言われていますね。
 そういうところを見ても一つあるんですが、実は、けさの朝日新聞でしたでしょうか、長銀の小西龍治さんという元常務の方なんだそうですが、この方に朝日新聞の記者が質問をしているわけです。それにどう答えているかという点、ちょっと私非常に興味深かったので、御紹介をしてみたいと思うんです。
 要するに、長銀はなぜ自力再建できなかったんですかという問いに、この小西さんという方は、例のSBC、スイス銀行と合併するということで安易に考えていたんじゃないかと。日本の銀行は、長銀に限らず比較劣位にある銀行は、いつ市場から攻撃を受けて資金繰りに問題を来しても不思議でない状況だったと。年初の公的資金申請時か六月末の住信との合併発表時に、自発的な引責、まず自分の責任ですね、それから大幅リストラ、情報公開で世の中に公的資金の投入を納得してもらう覚悟をすべきだったと。
 ところが、なぜできなかったのかということについて、やっぱり甘えていたんじゃないのかと。これは護送船団方式の時代において、こういうことまで書かれているんですよ、護送船団行政のもとでは、実質的なトップは大蔵官僚、頭取は企画部長のようなものだったと。
 まあこれだけ赤裸々に書かれると、本当に日本の金融機関というのはこういう実態にあるとすれば、このスキームができたから、よしもうこの機会に本当に自発的に情報公開をして、責任もとって、そして国民の皆さん、とにかく我が銀行は間違えていた、こんな失敗を犯したという形で私は赤裸々にするべきだろうと。ところが、そういった点が非常にあいまいにされているんではないだろうかという気がするわけであります。
 ちなみに、じゃ一体、銀行は大手行に公的資金を入れないと貸し渋りなどで日本経済が大変なことになるというふうに主張しているけれどもどう思いますかということに関して、時期を失せぬため、不良債権処理は銀行の自発性に任せず、銀行を冷徹に管理する仕組みをつくるしかないじゃないかと。第五分類債権の引当水準は法律で決める。資産査定の信頼性は、民間の公認会計士グループを編成し、金融監督庁の検査を再監査して、金融監督庁、よくお聞きになっていただきたいと思うんですが、客観性を確保する。また、銀行経営の安定と日本の企業統治構造改革のために、銀行の株式保有を禁じ、国が買い上げて凍結すると。
 最後の点はこれからの大きな課題だと思いますが、そういう形できちんとしない限り、日本の金融機関は本当の意味で、今ある意味では瀬戸際に来ている状況ですから、この機会に一気にその方向へ進まなければ大変な状況に陥ってしまうのではないか。ビッグバンと言われている金融の自由化をもう我々は受け入れたわけでありますから、そういう大きな流れがあるときに、ある意味ではうちの内部の国内だけで通用するような議論をしてそれに対応しているだけでは、私どもはやはりまたまたこの法案は失敗であったということの結末に至るのではないんだろうかということを大変心配しているわけであります。
○直嶋正行君 結局、今民主党の方から御説明あったんですけれども、私は、入り口のところで例えば不良債権の問題なんかもきちっと明らかにして公的なお金を使うなら使っていかないと、そこをあいまいにしたまま入ってしまうと、結局はそれは高いものについてしまうんじゃないか。私は三月の十三兆円スキームはそれを示したのではないかというふうに思っているんです。
 自民党の発議者にお伺いしたいんですけれども、今回の法案で、さっきも議論ございましたが、いわゆる分類債権、特に第五分類が議論になると思うんですけれども、ここでは引当率が具体的にこの法案には入っていません。これはどういう理由でこの引当率を法案の中にお書きにならなかったんでしょうか。この点、ちょっとお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(大野功統君) まず直嶋議員に申し上げたいのは、国際的に見まして引当率を法律で定めておる国はございません。これを申し上げまして、若干議論をさせていただきたいと思うのでありますが、まず第一に哲学の問題であります。
 行政裁量とは何かということであります。
 申し上げたいのは、護送船団方式から決別する、当然のことであります。事前調整の世界から事後監視型の世界へ変わっていかなきゃいけない、二十一世紀の金融システム、日本の金融システムとして当然のことであります。
 ただ、事後監視の世界へ入る場合に、私は二つ問題があるのではないか。
 一つは、自己責任の問題であります。自己責任が徹底されるためには、どうしても情報公開、情報が完全に開示されておりませんと自己責任なんという原則は確立されません。それが一つであります。
 それからもう一つは、事後監視の世界になりますとコストが大変かかってくる。事前調整なら何か話し合いでなあなあ言っていれば決まることでありますが、事後監視になりますと、公開された情報あるいはない情報も含めて検査官をふやしていかなきゃいけない、こういう問題があると思います。アメリカと比較しますと、アメリカでは八千人の検査官がいる、日本では地方も合わせて六百人ぐらいしかいない、これだけの差があるわけでございます。
 そこで、お尋ねの引当率を法律になぜ書かないのか。
 引き当てという本質を考えてみますと、これは必要なもの、回収できなかった場合にそれに保険を掛けるような感覚でございます。保険というのは、たくさん掛けておけばそれはいいのかもしれません。しかし、掛金をたくさん掛けることによって銀行経営を相当圧迫してくるわけであります。我々の個人で言いましても、生命保険料をたくさん掛けたらいいのでありますけれども、そうなりますと生活費が大変苦しくなってくる。銀行経営を今圧迫させるわけにはいかない、こういう問題が一つあると思います。しかも、自己資本比率に響いてまいりますから、たくさんの引き当てをいたしますとこれは信用収縮につながってくる可能性があるわけでございます。
 そういう意味で、法律で決めればいいのかもしれませんけれども、先ほども御説明申し上げましたけれども、U分類のところはちょっとあやふやである、V分類も実態がどうなっているかわからない、W分類だけは一〇〇%引き当てということでわかるわけでありますけれども、U分類、V分類については相当な研究をしていかなきゃいけない。相当な実態調査をしていかないと、適正な引当率がどの水準にあるのか今のところではわかりません。V分類を徹底的に検証して、実際の検査に基づいて検証してやらなきゃいけない。U分類については考え方をきちっと定めて、正常債権と懸念のある債権に分けて考えていかなきゃいけない。これだけ多くの課題が残っておるわけでございます。
 しかも、現在の状況を見ますと……
○直嶋正行君 簡潔にお願いします。
○衆議院議員(大野功統君) はい。それでは簡潔にいたします。
 現在の状況を見ますと、全国三百万の会社の中で赤字を出しておる会社が六四・七%、こういう状態でありますとどうしても信用収縮、景気をさらに悪くしていく、中小企業に大きな影響を与える、こういう問題が出てまいります。
 結論を申し上げますと、法律で決めるのは適正ではない。実態をよく勉強して、考え方をよく整理して、ルールはきちっと金融再生委員会で決めておかなきゃいけませんけれども、そのガイドラインにつきましては、まず公表はしなきゃいけない。V分類、W分類はもちろん公表をしなきゃいけない、こういうことでありますが、その研究をもう少ししなきゃいけない。U分類についてはなお時間がかかるだろう、こういうことだと思います。
○直嶋正行君 大変時間がかかった答弁でありますが、まだ時間がかかるというふうに最後におっしゃった。今、御専門家ですからいろんなことを経験されていますのでるるお話しになったんだと思うんですが、結局、これはあくまでも公的なお金を投入しようということでありますから、やはり問題の債権がどれだけあってそれに対してどれだけの準備をしているかということは、それによって必要な、例えばさっき自己資本のお話をされましたけれども、そういったものも変わってくると思うんですね。
 確かに、法律でどこまで書くかという御議論はあると思います。しかし、私どもは、こういう危機的な状況の中で、少なくとも税金を入れようとするからにはきちっと、例えば公的なお金は必要ありませんというところはいろんな考え方があるかもしれませんが、少なくとも公的なお金を使うからにはきちっと引き当てをしてやるべきじゃないか。こういう考え方でやっていかないと、実際に今お話あったようにこれからいろいろ研究しますどか検証しなきゃいけませんとかということになってくると、これは国民の方から見て実態がよくわからない、どうなっているかよくわからないものに何か我々の大事なお金が使われてしまう、こういうことになるんではないかと思うんです。
 もう一つ、引き当て等含めて大きな論点になっていますのが有価証券の評価の仕方でありまして、原価法でやるのか低価法でやるのかということも議論されてきています。よく私もこういう話を聞くんです。民主党は低価法ということを主張しています。与党の方は原価法でも低価法でもいいよと、こういうことだと思うんですが、民主党の言っている低価法というのはやはり大変厳し過ぎるんじゃないか。結局これを採用することになると、さっきもお話しありましたが、貸し渋りをどんどん助長さすことになるんではないかという御指摘が、さっき大蔵大臣もちらっとそんなことを答弁の中でおっしゃったような気がしましたけれども、こういう批判の意見があることも事実なんです。
 この点について、民主党の方はどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いしたいんです。
○委員以外の議員(峰崎直樹君) お答えいたします。
 低価法でいくというのは厳し過ぎて、それで貸し渋りを加速するんではないかという御批判でございます。私たちはある意味では金融機関の正確な体力、実態、このことをやはりきちんと明確にする必要があるだろう。そのことは、実は国際的にも市場の方も必ずこの点は、今株価がどうなっている、そのためにどれだけの含み損が出ているということはもう織り込み済みで検討しているわけであります。その意味で、私たちはその点はやはり低価法で進めるべきだろうというふうに考えているわけであります。
 その際、そうして低価法でやると当然のことながら自己資本といいますか、それが減ってくるわけであります。自己資本比率が低下をしてくる。そこで、私たちはその点を資本注入いたしましょう、そして八%なら八%の基準になるまで資本注入をすれば正常な状態の金融機関になるわけでありますから、当然貸し出し、このことについての貸し渋りという問題も実はなくなってくると思います。
 問題は、その資本注入をする際の条件として、先ほどお話のありました経営者の責任、株主の責任、こういった点は、金融機関に公的資金を投入するわけでありますから、当然そのことの責任はきちんととってもらわなきゃいけないということはもう明らかだろうと思うんです。その意味で、やはり今のままぐずぐずその点をあいまいにしたままお金を投入しても決して貸し渋り解消にはならない。
 その意味で、私たち民主党の案の方がすっきりとこの機会にきちんと正常な金融機関、ある意味では貸し渋りもそのことによってなくなっていく、そのように理解をしているわけでありまして、その点の御理解を願いたい、このように考えているところであります。
○直嶋正行君 私も今お答えになったとおりだと思うんです。
 結局、甘い基準を設けて仮に表面を取り繕っても、銀行の経営者は例えば原価と時価で比べて原価で計上したと、しかし実際には時価で評価すればこれだけの差がある、評価損があるということは当然おわかりになっているわけですね。これから非常に金融界にとっても厳しい競争に入っていく時代でありますから、私は経営者のアクションは単にそういう資産、有価証券の評価をそういうふうに原価法で甘くしたからといってアクションは変わらないと思うんです、当然。それが私は経営者としてのアクションだと思うんです。
 ですから、今、峰崎発議者の方からお話がありましたけれども、私たちが申し上げているのは、きちっと評価をしてその上で必要なお金は投入しよう、こういうことを申し上げているわけです。
 それで、大蔵大臣にちょっとお伺いしたいのでありますが、きのうの本会議で大蔵大臣が江田議員に対しましてお答えされましたその中で、今の評価の基準なんかについても、私は大変含蓄のある長年の経験がにじみ出たお答えだったというふうに思っております。簡単に言いますと、例えば資産評価の仕方だとか、そういうものについてもいろんな考え方があるんでしょう、そういうものもあいまいなものではなくてはっきりしたものにしていくことは必要でしょう、ただ、今の金融機関も行政も長年護送船団でやってきたんで、それを一気にと言われてもなかなか難しい部分がありますと、ですから多少時間をかげながらあるべき方向に行かないと金融機関も萎縮をしてしまう、こういうお答えがありました。
 そういうお答えがあったということを踏まえて、私はもうちょっとこれを掘り下げたいと思うんです。私は、大蔵大臣のそのお答えでおっしゃったことは確かにその面があるというふうに思います。ただ、今問題になっていますのは、実はもう一つ大事なことがあるんじゃないか。きのうお話があったのは、金融機関と行政との従来からの関係なんかも踏まえてお答えになりました。
 しかし、実は今私たちが一番問題にしているのはマーケットなんです。そのきのうのお話の趣旨は非常によくわかるんですが、私は、逆に言いますと、今マーケットは大蔵大臣のおっしゃった言葉で言えば時間を少しかけてという時間的な猶予を与えてくれない、それが今の姿なんじゃないかなと。ですから、マーケットとの関係で言いますと、これは非常にきついことかもしれないけれども、やはりもっとテンポを速めてきちっとしたものにしていく必要があるんじゃないか、私はそういうふうに思うのでございますけれども、どうでしょうか。きのうのお答えも踏まえてお答えいただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日、江田議員に申し上げたことをお聞き取りいただいておりまして、ありがとうございました。
 今のマーケットはどう見るかということは、日本のマーケットばかりではございません、外国のマーケットもございますから、そこには外国の基準がやっぱり入ってくる、それは確かにかなり厳しい目で見るという面が私はあると思います。
 私がきのうせめて申し上げたかったのは、今までの護送船団行政なんというのは、これは前近代的な話でございますから、そこからとにかく先進国並みになろうとする、そのギャップは制度の上でも心理の上でもかなり大きゅうございまして、それは業界もそうでございますし、行政側も実はそうだと思うのでございます。
 それで、今度この二つセットの法案を国会が長いこと御審議されます中で非常に厳しい御指摘があったことは、これは私は必ず日本のためになるし、またある程度法案も御修正をいただいていいことだと思っております。つまり、皆様方の立場からいいますと、行政が今までいいかげんなことをやってきたから、余り行政に任せることはよくない、なるべく法律で縛っておく方がいい、こういうお考えがございまして、それは私もそういうところはあるなという気がいたしますが、同時に、行政をする者からいいますと、これは対象になる業界との間ではやはり信頼関係というものがありませんと実際問題としてなかなか難しい。その信頼と癒着の関係は非常に難しいところでありますけれども、実際お互いが疑心暗鬼であっては行政ができないということがまた他方でございます。
 これは当委員会で起こったことではございませんので決してそういう意味では申し上げておりませんが、この何カ月間か両院でこの幾つかの法案の御審議の過程の中で、まあ銀行家というものはもう本当に悪者だというような、ともおっしゃりかねないような御発言があった場合もございます。この委員会のことではございません。
 ただでさえその連中が長い間の不良債権の処理についてはいろいろ反省もしていますし、申しわけないと思っているところも、刑事犯があるという意味でありませんでも、経営者として私はあると思いますが、そこへそう言われますと大変萎縮してしまって、今度のことなんかでも先ほども御指摘がございましたが、果たして資本充実のために手を挙げてくるのだろうかというような疑問があるようなところもございますものですから、そこはちょっと言葉が古くさいのですが、行政としてはやっぱり寛厳兼ね備えておりませんといけない部分があるのは事実だと思います。
 それで、きのう江田議員に申し上げましたことは、今何を考えているかとおっしゃったものですから、長い間の御審議に参画をさせていただいて基本的におっしゃることはごもっともだと思っております、そこまでいかないと国際的なスタンダードにいかない、それもそうでありますけれども、今こういう大変なピンチのときでございますので、その点も行政の立場というものを御配慮いただきたいということを、何を考えているかとおっしゃったものですから、正直に実は申し上げた次第でございます。
○直嶋正行君 それで、私申し上げたように、確かに今の寛厳兼ね備えたという言葉もございましたけれども、やはり冒頭お話しされましたように、マーケットはもう今世界を相手にしているわけです。それから、さっき引き当てのお話なんかもありましたけれども、例えばアメリカなんかだとSEC基準で非常に厳しい引き当ても決めていますし、法的には有価証券の評価も原価法、時価、どちらでもいいということかもしれませんが、私はグローバルスタンダードは明らかにやはり時価だ、あるいは時価になりつつあると、このように申し上げてもいいと思うんです。
 ですから、私たちがるる申し上げているのは、そういう一種のグローバルスタンダードを前提にしてこの問題も考えていかないと、確かに急に変わるのは厳しいかもしれませんが、いつまでも従来の卵の殻を後ろにつけていたんではやはり生きていけないんじゃないかと。ですから、我々がこれだけ議論して、国家がとにかく国民の大事な税金を場合によっては使おう、こういうことを今議論しているわけですから、ここは先行きのことも考えると、厳しい条件でそのかわりきちっとというのが私たちの考え方なんです。
 特に、そのマーケットだとかそういうグローバルスタンダードだとかこれからの方向との関係で、今の大蔵大臣のお話、もうちょっと延ばしていただきますとありがたいんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) おっしゃることはよくわかっておりますので、法律をおつくりいただきました後、行政はやはりよほど考えていたさなきゃならぬと思いますし、何よりも監督庁の厳しい検査が行われてきて、業界自身がこれはもういいかげんなことをしていると生きられないということをかなりわかってこられるというところに希望がある、行政もまた戒めなければならないと思っています。
○直嶋正行君 それで、今金融機関の経営者のお話も出たんですけれども、これは自民党の方の発議者の方にお伺いしたいんです。
 さっき十三兆円の議論をちょっとさせていただきましたけれども、結局、今回の法案でもいわゆる健全な銀行というんですか、いわゆる国際取引している銀行の場合、自己資本比率が八%を上回っているところということなんですが、そこにも公的資金を投入するような仕組みになっています。例えば合併の受け皿銀行とか、これは私はそうだというふうに思うんですが、この法案で言いますと、第七条の五号のイとロがあります。イは今の合併等の場合ということなんですが、ロの方にるる書いているわけです。結局は、それ以外のケースで本当に健全で八%以上の自己資本比率を持つ健全な銀行に公的資金を投入する必要があるか。私たちは本当に健全な銀行ならそんなものを投入する必要はない、このように思っているんです。
 今、このロの規定を見ますと、いろいろ条件がついているわけです。ただ、例えば三行書いていますが、「急激かつ大幅な信用供与の収縮が相次いで生じており、」からずっと始まりまして、あるいはそういうおそれがある、これらを改善する、回避するために必要な場合、それからその後に、「その他特にやむを得ない事由がある場合」、法文ではこういう書き方をされているんです。
 特に私なんかが見ると、「その他特にやむを得ない事由がある場合」なんというのはどんな理由でも使えるんじゃないかなと思うんです。合併だとかそういう本当に必要なケースを除いて、なぜこういう健全だと言われる銀行にあえてこういう投入を考えなきゃいけないか、この点が一つと、やはりそういうふうに健全な銀行であっても公的なお金を投入する場合には、例えば経営者の責任を含めてきちっと対処すべきだと思うんですけれども、この点についてどんなお考えか、お伺いしたいと思うんです。
○衆議院議員(保岡興治君) 先生が今言われましたとおり、我々の今度の健全化法では、健全な銀行に対する資本注入は限定をすることになっております。しかし、健全な銀行なら資本の増強策などは必要ないんじゃないかということを言われますけれども、御案内のとおり、バブル崩壊あるいは昨年来の大不況の中でどんどん不良資産が出てきている、大量に存在する。それに対する償却引き当てとか、あるいはまた株や不動産がどんどん下がっているというようなことは紛れもない事実で、そういうことから、金融機関の資産状況というんでしょうか、財務状況というんでしょうか、そういうものが非常に悪くなって、今日、今の制度の中で資本充実の基準、自己資本比率の基準を維持するために、自分の生き残りをかけて大変な信用収縮が進んでいる。
 こういうようなことから、やはり先生がおっしゃるように、確かに民主党案では資産査定など厳しくしてそれを資本に反映するようにということでございますが、我々はその点は有価証券報告書などでちゃんと明快に外に明らかにされておって、経営の実態を把握するという点では、現在の自己査定という金融機関の自助努力の結果、あるいはそれをさらにチェックする金融監督当局の実態把握というものを前提として、適切にこの金融危機あるいは金融再編というものを克服していく、その施策の具体的な対応はどちらの考え方に立っても変わらないんだろうと私は思います。
 ただこの際、先ほどから述べられておりますとおり、自己資本比率についてさらに現状以上に厳しい水準のものを今セットして、元気のいい本当に体力のある立派なサービス、強靱な金融機関でいいサービスができる二十一世紀の金融をつくり上げるためにいろんな努力をし、そのためにいろんな基準も措置も必要でありますが、非常に大変な財務状況になっている金融機関に対してさらに基準を上げてその維持を求めるのは今適当かどうかという点だけが一点判断が違うんじゃないだろうか、そういうふうに思えてなりません。
 なお、健全な金融機関に対する経営者の責任については、役職員、経費の抑制など経営の合理化、利益の流出の抑制などを通じて経営責任を将来にわたって明確にしていってもらう。せっかく注入した資本で立派に将来健全な金融機関になって、日本の経済もそれによってよくなって一そして経済も回復して、その株価が上がって出資した株がもっと高い値段で換価できるというような状況を我々も目指さなきゃいけないし、そういうことに経営者も全力を挙げて当たってもらう、それがまずこの制度をつくった最大の経営者の責任であって、またその責任を求めることを最優先にして、そしていろいろ資本の毀損に至った、財務状況が悪くなった責任については、それなりに健全銀行においてはある程度の期間を経て、履行状況などを見て、その履行状況が不適切であるようなときにきちっと対応していくのが私は正しいやり方だと思います。
○直嶋正行君 もう私の持ち時間がほぼ終わりになりましたので、あと幾つかお伺いしたい点があったんですが、これで終えさせていただきます。
 ただ、今の保岡議員のお答えでわかる部分もあるんですけれども、やはり一番わかりにくいのは、健全だというところに資本投入をすると。さっきおっしゃったように、バーを上げて厳しくするばかりがいいわけではない、こういうお話がありました、まだ早いというお話がありましたけれども、しかし健全だと言いながら資本投入をしなきゃいけない。言ってみれば、元気で健康でぴちぴちしている人に薬を無理やり飲みなさい、こういうことを言っているようなものだと思うんです。ですから、私は、結局そこが非常にあいまいでありますし、財務状況が非常に厳しいというお話もさっきありましたが、財務状況が厳しい銀行は健全じゃないということになるわけですから、そこをはっきりした上でやはり考えるべきじゃないかということはちょっと申し添えたいと思います。
 午前の質問、これで終わりたいと思います。
○委員長(坂野重信君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十八分休憩
    ―――――――――――――
   午後一時開会
○委員長(坂野重信君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を再開いたします。
 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(衆議院提出)及び金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(本岡昭次君外二名発議)、以上両案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○内藤正光君 午前に引き続きまして、民主党・新緑風会を代表して質問させていただきます内藤正光でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず第一点目、公的資金の注入のあり方について質問させていただきたいと思います。
 きょう、朝の通告で大変申しわけなかったんですが、自民党の発議者の方に御答弁願いたいと思います。
 自民党が提出をしております早期健全化法案では、申請に基づき資本注入を行うこととなっております。しかし、我が身かわいさから保身に走る経営者が実態をつまびらかに開示し、そして必要な規模の資本注入を申請してくるということは到底私には考えることができないわけでございます。そして、このことは多くの識者もまた指摘しているところでございます。
 つまり、申請方式をとる限りにおいてはその責任処理が厳しければどの金融機関も資本注入を求めてはこない。逆にまた、責任処理が緩やかであったならばモラルハザードが助長されるばかりで肝心の金融システムの改革などは到底達成することができないわけでございます。つまり、トレードオフの矛盾を申請方式そのものが抱えているわけでございますが、申請方式が持つこの矛盾をどう解決していこうと考えているのか、御答弁願いたいと思います。
○衆議院議員(保岡興治君) 先ほども御答弁申し上げたことでございますけれども、基本的にはやはり自由主義経済でございますから、あくまでも申請金融機関の主体的なまた積極的な対応というものを基礎にしなければ、資本注入を行ってもその資本をどう利用してどのようにこの法の趣旨に沿って金融改革やあるいは金融のシステミックリスクを回避する当行の役割を果たしていくかということにつながらないと思うんです。そういった意味では、やはりこの健全化法は申請主義で、申請金融機関の自主性、主体性というものを基本にしております。
 しかしながら、経営が非常に悪化しているというか資本が著しく過少になっているようなケースの場合は、いろいろ経営当事者にも問題があるというケースもありましょうし、そういう場合などを含めてやはり銀行法二十六条一項あるいは早期是正措置などを効果的に連携させて、そして申請金融機関に資本増強あるいは資本増強の措置をとることを命ずる等の対応も必要だと思います。
 また、先生が今懸念されるような場合、これは必ず命令でやらなきゃならないということになりますと、やはり当事者の主体性というものもありますから、できるだけ当該申請金融機関等に積極的に対応していただくように促していろいろ相談をして、当局がこの法の発動が必要な理由を全体的な金融システムの観点あるいは全体的な社会に起こっているシステミックリスクの観点から、当行にもいろいろ事情もあるでしょうし考え方もあるでしょうが、そこと調整をするというある程度また積種的な対応も必要だろうと私は思います。
 そういったことで、この法が官民お互いに役割を分担し合って、国民の期待する、この法の期待する趣旨を全うすることができればと考えている次第でございます。
○内藤正光君 主体的あるいはまた申請主義を主体としてとおっしゃいますが、ここでことし三月の二十一行に対します一・八兆円の公的資金投入を思い出していただきたいと思います。
 つまり、私が申し上げたいのは、強制注入という枠組みをつくらないまま資本注入を行おうとすれば、またあの三月の資本注入、つまり護送船団的な、横並び的な、もっと言うならば、巨額な税金を投入したけれども効果は全く得られなかった、そういったことがまた繰り返されるのではないかと私は大いに懸念するわけでございます。こういったことが二度と起こらないということをここで断言できますでしょうか。
○衆議院議員(保岡興治君) とても大事なことだと思います。本当に、この危機的な状況や二十一世紀に日本の金融をまさに強靱にしていくために今がとても大事でありますし、今度の法案はそういう点で重大な使命を帯びた法案だと思います。したがって、私は、これだけのことを政府や議会がやっておるのでございますから、金融機関にはその持つ公の責任を全うしてもらいたいと強く思います。
 と同時に、やはり先ほど申し上げたように、できるだけ主体的、積極的な対応を求めますが、本当にその対応ができるように、場合によっては銀行法その他の法令を頭に置いて当事者と相談をしていくというぎりぎりの対応も必要だ、私はそう思います。
○内藤正光君 ありがとうございます。
 ただ、やはり私は、裁量行政が依然続くのではないかという一抹の懸念を持っているわけでございます。
 次は、官房長官にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 緩やかな資産査定あるいはまた申請方式をとる自民党案では、銀行の貸し渋りやあるいはまた資金回収が今後ますます加速していくばかりではないかと私は思っております。
 実際、昨日の経済戦略会議の緊急提言においても同じような心配をされて、そしてこのように言っております。早急に政府主導のもとで数十兆円の公的資金を投入する、えんきょく的な言い方ではありますが、これは実質的には強制資本注入を言っているわけでございます。
 また、報道によりますと、官房長官も同様の旨の発言をされていると聞き及びますが、強制資本注入に対しましての官房長官の御見解についてお伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 基本的には先ほど保岡発案者が答弁をされたことに尽きるわけでありますけれども、少なくとも私企業の経営戦略の骨幹をなす資本政策に国が強制的かつ直接に介入をするということは、株主の資本利益率の低下等の問題を勘案いたしまして慎重に判断されるべき問題であると考えております。
 ただ、私は、あの法案がまだ与野党で協議をされておる途中でございましたので、恐らく今、内藤委員がおっしゃったような危惧をいたしまして、それぞれの金融機関がこの法案に基づいてもし申し入れをしてこなかったときに一体金融市場はどうなるのか、あるいはそういうときには、いい顧客が守られて、そして弱い顧客が切り捨てられ倒産し失業をしていく、こういうことになりはしないかという懸念を持ちまして、でき得れば与野党協議の法案の中に、ある程度条件整備をしながら強制注入の道も開いていただきたいという私の思いを会見を通じて申し上げました。
 我が国は、御承知のように、再び軍国主義に戻らない国是を中心としてこの五十数年間、憲法を初めどして諸法律ができてきたわけでございますから、あらゆる面において、いわゆる議院内閣制の総理大臣が強制的に何かをするという道はふさがれておるわけでございまして、今回もまたそういう点では、金融のこの緊急時にそういう強権を発動するというのは選択すべき道でないという御理解になったものだと思うわけでございます。
 したがいまして、保岡発案者が申されましたように、国会及び関係の皆さん方が連日夜を徹してこの問題に真摯に取り組みをいただきまして今日に至ったわけでございますから、今日的な金融市場のこの問題を金融機関においても深刻に受けとめられまして、自主的にこの危機打開のために申し立てをされる誠意を持っていただくことを期待しておる次第であります。
○内藤正光君 ということは、官房長官は現時点では強制注入という考え方についてはかなり慎重だということでよろしいわけですね。
○国務大臣(野中広務君) 与野党で協議をされてつくられた法案でありますので、私ども、その法案の重さをかみしめ、そしてそれに誠実に対応してまいりたいと考えております。
○内藤正光君 与野党で協議されたとはいえ、これが通過したならば責任は当然政府がとるべきものでございます。
 官房長官にまた再度お伺いをいたします。
 今、自民党案は、強制注入という仕組みというか枠組みは全くないわけでございます。それで官房長官、どうでしょうか、自民党案はうまく機能するとお思いですか、あるいはまた三月の資本注入のときの二の舞、だれも申請しない、だから政府が横並びではらまく、そういうことになりはしないでしょうか。
○国務大臣(野中広務君) 再生委員会におきましても適正な取り扱いがされるはずでございますし、今後この問題の扱いにつきましてはかって批判を受けたような事態にならないように、それぞれ政府はもちろん金融機関のまた良識ある対応を期待しておる次第であります。
 また、法案そのものもスタートをするわけでございますけれども、どこにどんな問題があるのかはそれぞれ、政府はもちろん関係の議員各位においても後ほどフォローをしていただき、そこに問題があるとするならば、お互いにまた法改正については弾力的であるべきであろうというように私は期待をしております。
○内藤正光君 官房長官がおっしゃるように、良識ある対応に任せて、それで結果がよければいいわけでございますが、悲しいかな、今までかぎ括弧つきの良識ある対応にゆだねてきたがために日本の金融界がここまでだめになってしまったのではないかと私は思っております。
 では、大変くどいようですが、もし仮に強制資本注入をしていかなければならないという、仮に資本注入の枠組みを取り入れなければならないということになったら、こういう前提でお答えいただきたいんですが、当然、法改正が伴うものと考えますが、いかがでしょうか。官房長官お願いいたします。
○国務大臣(野中広務君) 銀行法によりまして取り扱える部分もあると私は伺っておりますけれども、法的に詳細承知しておるわけでございませんので明確にお答えすることはできません。
 今日におきましては、それ以外につきましては強制注入を国みずからがやることは慎重であるべきであると考えております。
○内藤正光君 では、ちょっと話題は変わりまして、私たちの税金、公的資金を投入する際には当然のことながら厳格な資産査定と、そしてまたそれ相応の経営責任の追及がなされるべきであると思うわけでございます。これは常識の範疇ではないかと思います。
 それに対して、自民党案を見てみますと甚だ責任追及が甘過ぎるのではないかというふうに思えるわけでございます。法律をつくっているのは今は自民党、そしてまた野党でございますから、ちょっと答えにくい部分もあろうかと思いますが、自民党案における責任追及のあり方について、厳しいか、これで適当とお考えになられるのか、官房長官のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 決定した法律でございますので、この法に基づいて行うべきであると考えております。
 ただ、一般論として国民の血税を考え、国民の多くの今日的生活実態を考えるときに、銀行が今日までたどってきたさまざまな問題、あるいは低金利で今日まで国民が甘んじてこの金融機関の健全化のために耐えてきた現実を考えますときに、金融機関はみずから姿勢を正して金融の再生のためにあるべき方向を見出していただきたいと存じております。
○内藤正光君 ありがとうございます。
 官房長官にあともう一つだけ質問をさせていただきたいと思います。
 責任を追及するよりも今は金融再生を優先させるべきではないか、そういった声がよく聞かれてくるわけでございます。しかし、我が国の金融界を振り返ってみますと、あいまいな責任追及の積み重ねがモラルハザードをつくり出し、そして日本の金融をここまで堕落させてしまったのではないか、私はそう信じて思っております。つまり、責任追及と金融再生とは車の両輪の関係にあるべきものだと考えるわけでございます。まず金融再生を先にやって後から責任追及をする、これはちょっとおかしいんじゃないか、本末転倒ではないか、このように思うわけでございますが、官房長官、このことについてどのようにお思いでしょうか、御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 今回の法は責任のすべてを追及しないと言っているわけではないわけでございますので、その法の基準に従って適正に行われるべきであると思っております。
 ただ、その前に、いわゆる金融機関は今日まで来た道のりを振り返って、そして法外なビルを持ったり、あるいは想像もできない給与や退職金をとったり、あるいは大変な保養地やゲストハウスを持っておるような、こういう実態をみずから律して、そして国会はもちろん政府も予算措置をして今回の法案に至った経過を厳粛に受けとめていかれるべきであると考えておる次第であります。
○内藤正光君 官房長官、どうもありがとうございました。これで、私の官房長官に対します質問は終わりでございます。
 次、テーマは変わりまして、金融再生委員会についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 法文、法律、私のような素人にとっては大変難しいものでございます。例えば、「等」という一文字が入ることで大きく意味合いが変わったりなどするわけでございます。しかし、あえてこの自民党提出の法律案についてここで取り上げさせていただきたいと思います。
 自民党提出の早期健全化法案でございます。この三条、ページにして言いますと七ページでございますが、これを読んでみますと、簡単に飛ばし飛ばしで読んでいきます。金融再生委員会は適切な資産の査定を行う、そしてまた次のページには、金融再生委員会は適切な引き当て等を行う、あるいはまた、金融再生委員会は有価証券等の資産を適切に評価する、このように書いてあります。
 なるほど、金融再生委員会はいろいろなことをやるんだなという印象を受けるわけでございます。しかし、このままずっと読み進めていくと二十一条に突き当たるわけでございます。
 これもまた私から読ませていただきたいと思います。「権限の委任」の項でございますが、「金融再生委員会は、」「権限(金融再生委員会規則で定めるものを除く。)を金融監督庁長官に委任する。」となっております。
 ここでポイントは二つあります。括弧の中が金融再生委員会が定めるというのではなくて「金融再生委員会規則」となっていること、これがポイントとして一つあります。もう一つは、委任できるではなくて「委任する。」となっております。これが二つ目のポイントでございます。
 つまり、この二つの条文をあわせ読みますと、金融再生委員会規則で定められていること以外はすべて金融監督庁の所管になってしまう。つまり、規則で定められていないことを金融再生委員会が何かやろうとしても、これは金融監督庁がすべて行う、委任できるというのではなくて「委任する。」となっております。私は、なるほどこれが法案の骨抜きの真髄かなと思って妙な感心をしながら見ていたわけでございます。つまり、自民党が今提出しております早期健全化法案は、財金分離だとか金融行政の一元化の象徴であった金融再生委員会の持つ意味を全く形骸化してしまうものであるわけでございます。
 そこで、金融再生委員会設置法を共同提出されました野党三党の方にそれぞれこの私の危惧に対する御見解をお伺いいたしたいと思います。民主党、平和・改革、自由の順番でよろしくお願いいたします。
○委員以外の議員(小川敏夫君) お答えします。
 内藤委員の質問は大変に鋭い指摘でございまして、適切な御意見であると思います。
 確かに自民党案によりますと、三条二項で、金融機関は再生委員会に適正な資産評価を行い、適正な引き当てを行うと書いておりますが、そして、事務をやはり二十一条におきまして金融監督庁に委任するとなっております。そうしますと、その点につきまして、金融再生委員会規則でその評価の基準とか引き当ての基準といったものを定めると明確になっておりませんので、いわばその基準もろとも監督庁に丸投げという形で委任されてしまって、結局本来再生委員会で行うべき事務をすべて金融監督庁で行うことになってしまうというふうに読み取れます。したがいまして、内藤委員が言われる指摘はまさにそのとおりであると思います。
 そもそも金融再生委員会は、私ども民主党と自民党、それから平和・改革、自由党の共同作業で、共同提案で成立しました法案でございまして、財政、金融の分離あるいは金融再生委員会の金融行政の一元化というものを目指した、そういう道しるべの方策でございましたが、今回の自民党案ですとそうしたものが完全に骨抜きになっているというふうに考えております。
○衆議院議員(坂口力君) 今御質問いただきました点は修正案の第二十一条でございます。「金融再生委員会は、第三条第二項及び第三項並びに前条の規定による権限を金融監督庁長官に委任する。」、こういう文言でございますが、この三条二項といいますのは、先ほどお読みいただきました適切な資産の査定でありますとか適切な引き当て、あるいはまた有価証券その他の資産の適切な評価でございますし、三条三項は、これは特に著しい過少資本行に対するもの、すなわち早期是正措置に関係をいたしました文言でございます。
 これらのことにつきましては、最初自民党から御提示をいただきましたところの案のところには第三条のところは実はなかったわけでございます。それで、我々といたしましては、ぜひここは法案の中に、査定にいたしましてもあるいは評価にいたしましても、やはり文言としてひとつ入れてほしいということで第三条ができ上がったわけでございます。
 そして、その適切なというのはわかりにくいではないかという御指摘はそのとおりでございますが、これはそれぞれ規則で決められることでございますし、その部分を除くというふうになっているわけでございますから、ここは金融再生委員会で決定されるものというふうに私たちは理解をいたしております。
 そして、確かに金融監督庁長官に委任する部分がございますが、それは実務的なものを委任するということであって、権限全体を委任するということではないというふうに理解をいたしております。
○衆議院議員(藤井裕久君) 今、坂口さんが答えられたことと同じまうなことを言うんですが、まず金融再生委員会法ができたときに、金融再生委員会は非常に重要な仕事を持たれました。そして、その法律の法体系というのは、四条に権限がばっと並んでいるわけです。そして、十八条でほとんど多くのものを金融監督庁におろしているわけです。おろし方も、「つかさどる」という言葉でおろしているわけです。
 それと同じ法体系で、今回の問題も、坂口さんも言われましたように、非常に重要な修正を私どもは自由民主党に求めて、例えば査定のあり方とか引き当てのあり方、あるいはそれに基づく銀行の区分、さらに著しい過少資本行に対する措置命令、あるいはまた虚偽の申告をした場合の罰則等々、いろいろ重要なことを入れることで修正をしているわけでありまして、それをどうするかということについても、今の再生委員会法と同じような仕組みで、まず原則として権限は再生委員会であるが、純事務的なものは監督庁におろす、これはどの法律の仕組みも私は同じだと思います。
 そして、そういう重要なものがおりるかどうかという問題なんですが、これはこの法律がもし通るならば、再生委員会には立派な方が参加されると思いますよ、そういう立派な方々が、これは自分たちで決める、純事務的なものだけをおろす、これをより分けるのが規則でございますから、私はそのことを確信いたしておりますし、内藤委員のような御懸念はないものと考えて、これに共同提案者にならせていただきました。
○内藤正光君 では、平和・改革と自由の発議者の方にお伺いします。
 実務的なことを金融監督庁に任せるというのであるならば、委任するではなくて委任できるとすべきではないですか。もうこの時点で金融再生委員会の手足を縛るような表現になっているわけなんです、委任するというのはいかがでしょうか。
○衆議院議員(山本幸三君) 法律技術的な話でございますので、私から答えさせていただきます。
 委任することができると書くか委任すると書くかは、その行政組織上の体系がどういうふうになっているかということで決まってくると思います。監督庁は金融再生委員会のもとにありますので、こういう場合には委任すると書くのが通例でございます。
 例えば、金融再生委員会をつくりました法律がありますが、それに関連して、金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律というのがございますが、そこで銀行法を改正して、金融再生委員会というのが権限を持つようになりましたので書いておりますが、その中に、「金融再生委員会は、この法律による権限」、括弧して幾つかのところ、免許とかを除いていますが、「を金融監督庁長官に委任する。」、委任するという形ではっきりと書いております。これが通例の法技術的なやり方でございます。
○内藤正光君 私は、法律の知識は持ち合わせておりません。
 そこで、民主党の発議者小川さんは法律家でもございますが、その辺、何かありましたらお願いいたします。
○委員以外の議員(小川敏夫君) ただいま発議者からありましたように、基準そのものは再生委員会で定めて、実務を監督庁に委任するということの趣旨が完全に生かされるのであれば確かにそうかもしれません。
 ただ、法文上は、その基準の規則そのものも監督庁に委任できるのではないか、むしろ委任するということで、基準すら委任するということで丸投げになってしまうのではないかというおそれもありますので、その点を法文上明確にしていただければと思います。ですから、内濠委員が疑問に持たれたことはまさに鋭い指摘であったと私は考えております。
○内藤正光君 ありがとうございました。
 そこで、自民党案により金融再生委員会の位置づけを骨抜きにさせないためにも、これから定めてまいります金融再生委員会規則の中に資産査定の基準、引当率、あるいはまた有価証券の評価方法などを明確に盛り込んでいくべきだと私は考えますが、民主党の発議者の方、見解をお願いいたします。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 時間がありませんので簡潔に。
 内藤委員の御指摘のとおりだと思っております。
○内藤正光君 ありがとうございます。
 本当はこれは官房長官にする質問だったんですが、ありがとうございましたということで帰られてしまった。もし大蔵大臣、お答えいただけるならばお答えいただきたいと思います。
 金融再生委員会が十二月ぐらいに恐らく設置されるだろう、それまでの二カ月間、総理大臣が金融再生委員会の業務なり責任を取ってかわるわけでございます。先ほどと同じ質問を大蔵大臣にさせていただきたいと思います。金融再生委員会の位置づけを骨抜きにさせないために、規則の中に明確に何をやるのか、資産査定の基準だとか引当率、有価証券の適切な評価方法などを盛り込んでいくべきだと考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私にはちょっとらち外のお尋ねですが、さっきから伺っておりまして、金融監督庁長官、大蔵省が大変不評判なのはよく知っておりますのですが、金融監督庁は六月にできたばかりで、どうしてそんなに悪いのでしょうか。
○内藤正光君 申しわけございません、大蔵大臣にすべき質問ではございません。
 もう時間もございません。最後に一つだけ申し上げさせていただきたいと思います。
 私は、金融再生委員会というのはやはり日本の政治の大転換期を示す一つのシンボル的な象徴であったかと思います。今までは官僚主導のもと、官僚が決めたものを政治が後から追認する、そういったことでした。しかし、金融再生委員会の設置というのはそれとは全く形を変えているわけでございます。与野党の議員がけんけんがくがくの議論を交えた上でつくり上げたものでございます。つまり、新しい日本のあすの政治の姿、ありようを感じさせるものでございます。ここにおいでの全議員の皆様が私と同じ気持ちを持たれることを心より祈念申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○浜田卓二郎君 先般、総括質疑をやらせていただきましたが、きょうばいよいよ大詰めの議論になったわけであります。前回に引き続いて、同じ問題意識から幾つかの点を質問させていただきたいと思います。
 新しい金融行政はいかにあるべきかということですが、この前の議論でも同じようなことを申し上げたと思いますけれども、行政の役割というのはルールを定めることである。このルールをできるだけ厳密に定めて、行政当局の裁量の余地というのは極力少なくしていく、客観性を持たせるということが一つだと思います。そして同時に、銀行経営というのはもうマーケットのルールにゆだねるわけですけれども、その経営内容を判断できる情報は極力開示されていかなければいけない。
 いろいろあると思いますけれども、このルールを厳密に定めて、そして行政はこのルール違反を監視する、そして経営内容についてはもうマーケットのルールにゆだねる、そして情報開示をしっかり確保していく、これが新しいこれからの目指すべき金融行政のあり方であろうと思います。この点は大蔵大臣に前回も同じようなお尋ねをしたと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。そうなりますと、このルールを厳密に定めるというのが一番出発点になるわけでありまして、破綻後の処理のスキームについては、この前のお尋ねで発議者の皆さんも、これはこういう新しい金融行政のルールに照らしてみて適正であるという自信を持ったお答えがあったと思うわけです。今の問題というのは、健全な銀行も含めてより健全にしていくというか健全化スキームでありまして、この方が実は金融行政という点との接点がもっと大きく出るわけでありますけれども、今回の健全化スキームがこの新しい金融行政のあり方に照らして適正であるかどうか、これが民主党が別に法案を出されてここで繰り返されてきている議論の中身であり、また対立点だと思うわけです。
 ですから、私もそういう観点から一、二、提案者の皆様に、特に自民党案というんですか、新党平和、改革クラブ、自由党共同提案のこちらの提案者の方に伺っていきたいと思うんですけれども、できるだけ行政当局の裁量の余地を狭めるという観点からこれでいいのかなという点の一つは、やはり資本注入の判断基準になる自己資本比率の算定方法が一つの問題だと思います。
 一つは、株式の評価について、原価法と低価法の選択制ということになっているわけですけれども、これはある銀行が例えば原価法で評価した場合には八%を超えておった、ところが同じ銀行が低価法でやってみたらこれは八%を割っているというふうなことも現実には起こり得るだろうと思うんです。それから、A銀行は低価法だったけれどもB銀行は原価法だったということも当然起きてくるだろうと思うんです。そういう場合の判断というのは現実にはどうなるかという点なんです。
 世の識者は、マーケットは当然原価法、低価法、あるいは低価法と時価法、これは中身が低価法でもいろんな方式があるようですけれども、マーケットは大体低価法で見るであろうということを言われる場合が多いですね。ですから、その辺をどちらで、民主党の案はもう明確に書いてしまっているわけですから疑問の余地はないということなんでしょうが、もう一つの方の考え方というのはどうか、その点を聞かせていただきたいと思います。
○衆議院議員(坂口力君) ただいま挙げられました自己資本比率と有価証券の評価の問題でございますが、これは一つの問題だというふうに思っております。
 とにかく、今回一番問題になりますのは、自己資本比率というバックボーンがありまして、その自己資本比率を決定づけるものとして有価証券の評価の問題が一つあり、もう一つは引当金を何%にするかという問題、この二つが自己資本比率を決定づけるのに非常に大きなファクターになっている。本来ならば、客観的にすべてこれらがきちっと定められるようになって初めて自己資本比率の意味合いというのは大きくなるんだろうというふうに思いますが、現在の状況でございますと、自己資本比率というのは一つの目安にしかすぎないという気がいたします。
 私は、引当金の方は、そのもとになります不良債権の評価の問題が第T類からU、V、Wと、これをどうするかというのが、これがまた客観的に決定していないわけですね。だから、評価が決定していない、それをもとにして引当金を何%にするかというのは、これはなかなか私は難しい話ではないか。もとになります有価証券の第Tから第Wへの、そこが本当に客観的な基準でこれを分けられているかといったらそうではなくて、第U分類だと言っていてもその中に第Vがあったり第Wがあったりとかでしょう。第T分類だと言っていても第Vがあったりというふうに言われているような現状でありますから、そこがきちっとしていないんですから、それに対する引き当てをきちっとするというのはなかなか至難のわざだと私は思うわけです。
 引き当てだけきちっと数字で書いたとしても、そのもとになります第Tから第Wへの評価がきちっとしていなければ何にもならないのではないかと私は思っております。だから、ここができるかどうか。私はここは専門家でございませんので、ここができるかどうかは浜田先生の方がよく御存じだと思いますから、逆にお聞きをしたいと思うわけです。
 それから、有価証券の評価につきましては、これはどちらかといいますと低価法、私もできれば低価法あるいは時価法、私はできれば時価法が一番きちっとしているのではないかというふうに思っております。
 しかし、経済はそううまい調子に動いてくれませんで、本当の低価法で全部あからさまに丸裸にして、日本の経済を丸裸にして出すということになったときに日本の経済が一体どう動くのか。この経済状態によってどんなふうに日本の経済の中身が動くのかというのは、これは必ずしも日本の経済が日本にとってプラスになるようにすべてが動くわけでは私はないと思っております。私たちの人間の体でありましたら、いろいろな環境の中に置かれましたときに、我々の体の生体の反応というのは生命を守る方向に動くわけでございますけれども、経済はそんな調子にはいかない。そこが非常に経済の難しいところでございますから、そこをあからさまに言うことが今適切かどうかという問題がある。
 内心は、私は民主党の案にあこがれを実は持っているわけでありまして、そこは本当にそうなんですけれども、あからさまにそれを言っていいかどうかということにちゅうちょをしている、こういうことでございます。
○浜田卓二郎君 次に伺おうと思ったことをもう先取りしてちょっと触れられたわけですが、先ほど大野議員の方から、第U分類についてガイドライン云々の話がございました。これも同じ問題であって、民主党案はもう明確に附則に書いてあるわけですね。第U分類を二つに分けてということが書いてあります。
 私は、後でちょっと提案者にも伺いますけれども、ここまで本当に法律で書けるのかという気は実はしております。
 ただ、さっきの大野議員の答弁で、何かそのうちガイドラインができるよというような感じのお話でも果たしていいのかという気がするのですが、もう一遍お答えいただければ。
○衆議院議員(大野功統君) 第U分類についてのお尋ねでございますけれども、今の第五分類ではすべて各銀行の自己査定でございますから基準がばらばらであります。それでは、この情報公開の時代、新しい時代に物差しが違うもの同士が出てきて比べてみてもしようがないわけであります。当然、将来正常化債権と懸念債権と分けて考えなきゃいけない、これは中期課題として取り組んで、そしてきちっとしていかなきゃいけない、このように私は思っております。
○浜田卓二郎君 では、民主党の提案者にお伺いいたしますが、一つは八%、四%という注入基準の比率を法律で明定されていますね。その八%というのは、また同時に本当に八%というのは根拠があるのかという議論もなされてはいるわけで、BISのこの基準に対していろんな議論がある。この委員会でも、参考人で意見を陳述していただいた方のを覚えておりますけれども、八%は絶対では全くないわけですが、しかし八%より下げようという議論はないんだというお答えでしたね。ですから、それが一〇%なのか何%なのか知りませんけれども、私は八%というのをここで書いちゃって、これ以上のものには注入しないよというのを法律で明定していくという方法は一体どうなのかという感じを一つ受けます。
 それからもう一つは、今申し上げた第U分類を二つに分けて明確に基準を書いてしまう。書ければすっきりするわけですけれども、それは先ほど坂口議員の方からも御説明があったように第U分類の定義自体が、あるいはまたその細分化の問題が非常に微妙な問題を含んでいるというようなことを考えれば、ここまで、今二つのことを一緒に申し上げているわけですけれども、法律で定めたいという気持ちは私もわかりますけれども、気持ちだけでは世の中動かないわけですから、ちょっとやり過ぎるんじゃないかなという気もいたしますが、提案者の御意見を承ります。
○委員以外の議員(峰崎直樹君) 浜田議員にお答えしたいと思いますが、その前に、坂口先生の方からひそかに実は私どもの案にあこがれを抱いておられると。実は坂口先生だけではなくて、自民党の中にも、日本再生会議の方々もどうやら私たちの民主党案と考え方は違わないんではないかという意味で、随分私たちの隠れたファンはおられるのではないかというふうに思っております。
 そのことは別にいたしまして、今、浜田先生から御質問いただいた点は、確かにそこまで書くのはどうなのかという御意見はあろうかと思います。ただ、実はきのうあるいは衆議院段階でもずっと議論しているのは、ある意味では護送船団行政のもとで、今日、日本の金融当局あるいは金融業界、こういうものが持っている体質というものを本当にこの機会に変えなければいけないのではないか。その点のある意味では認識の相違というものが私どもはやはり出ているのではないだろうか。
 私どもはある意味では、前首相でありました橋本首相がビッグバンを出されるときに、フリー、フェアそしてグローバルと、こういう指摘を実はされながら提起されました。そして、もうこの四月一日から外為法も発足しているわけです。さまざまないわゆる自由化が今進みつつあります。そのときに、ある意味ではグローバルなその基準というものをこの機会にきちんとさせなければいけないのではないか。それは、日本においては特に護送船団行政のもとにおける行政あるいは金融業界、我々政治の世界ももちろんそれにある程度引き込まれていたと思うんですが、そういった点をこの機会にきちんとさせようじゃないか。
 その意味で少々きついかなという感じがしないわけではありませんが、私どもはやはりこの間の先送りあるいは隠ぺい、そういったことについて先ほど浜田議員がおっしゃいましたようにルールをきちんと決めて、そしてあとディスクローズをする。私もその考え方に全く賛成でございますから、そういう観点で少しきつ目の案を今回は出すべきだし、また出した方が日本のある意味では今日の護送船団行政と言われているものの欠陥を直すことにつながるのではないか、このように考えておるところでございます。
○浜田卓二郎君 監督庁で今十九行の検査を進められているわけで、これが非常に今、私も問題にしましたけれども、国会の場でいつ出るかいつ出るか、そういう焦点になってしまっているわけです。こういう事態が本当にいいのかどうか。これは、私は金融行政のあり方ということからすればいささか疑問は持っておりますけれども、ただもう現実にそうなってしまった。
 そうなりますと、この検査結果が出たときに何が起きるかということはよっぽどお互い覚悟していかなきゃいけないと思うんです。そのときに検査結果が出ました、ではそれに対してどう対応するかというときに、いや実はどういう算定方式で自己資本比率を最終的にこの法律に当てはめる数字として確定するかまだガイドラインが決まっていませんとか、そういう話ではもうこれは対応できないんですね。
 だから、みんなで設定してしまったわけですけれども、検査結果がいつ出るか、この出た瞬間に不測の事態にならないように、そのために今ネットを張っているわけですから、多分このネットが張り終わるまではもう検査結果は出てこないのだと私は思って、それはもうあしたあさってのことになってきたわけです。それと同時に、さっき大野さんの言われているこの判断基準、ガイドライン、それから民主党の法律に書かれているのはSEC基準ですね。SECの場合には、それはどのレベルの法律なのか、日本で言えば法律なのか政令なのか省令なのか知りませんけれども、どのレベルかで決めているのだろうと思うんです。
 ですから、私が言うのは、この民主党の気持ちはわかったとしても、それを法律という場面だけで全部セットしてしまうのは無理だろう。しかし同時に、今、自民党案でみんなが何とか文句を言いたいと思っているように、この法律が通っただけで全体がわからないじゃないか、どういうセットになって資本注入も含めた健全化策が動き出すのか。そこがこの法律ができた瞬間にはもうちゃんとそろっているぐらいの説明がなされて、ああそうか、そういう体系でこうやっていくんだ、そうなれば行政がさじかげん一つでというような話は少ないんだな、ほとんどないんだなという感じが出ていなきゃいけないと私は思うんです。
 ですから、この法律が通って、後ほどこが作業をするのかあれですけれども、金融監督庁なり金融再生委員会も大至急でつくられるんでしょうけれども、そこでこの対応は大急ぎで、このガイドライン、そのうちできるよというのじゃなくて、きちんとやれるようにしなきゃならない。そういうことが全体として見えれば、民主党が心配されるように全部法律で決めなくてもいいよという気持ちにみんななれるのじゃないか。私の結論はそういうふうに思っているんですけれども、いかがでございますか、官房長官。
○国務大臣(野中広務君) 私からは答えるべき立場にないと思いますので、提案者の皆さんの御意向を私ども承ってまいりたいと存じております。
○浜田卓二郎君 いや、官房長官と申し上げましたのは、金融再生委員会ができるわけですね。金融再生委員会というのは、破綻処理のスキームにおいても、この健全化スキームにおいても極めて重要な役割を果たすわけです。ここにだれが入るのか、どういう委員会ができて本当に信頼できるのかというのは、これから実は最大関心事でもあるんですね。ですから、それをお決めになる最高責任者は総理でしょう、もちろん大事についての国会の同意権はありますけれども。そういうことで、今官房長官の意見をちょっと伺ってみようがなと思ったわけです。
 ついでにこの問題でもう一つ触れますと、この金融再生委員会というのはそれだけ重要な役割を果たすわけですから、人選はよほど考えていかなきゃいけない。その際に、巷間いろんな話があるわけです。例えば先ほど大蔵大臣が言われましたけれども、大蔵省は評判が悪いと。大蔵省はたたかれましたね。だから、もう大蔵省の経験者であれば資格なしというような議論もちまたにあるような気がいたします。日銀でも同じだと。
 私は、それはおかしいと逆に思っているわけで、やはり高度の専門知識とか幅広い金融に対する理解とかいうことが基本にないと、これだけ重要な役割の金融再生委員会というのは機能が果たせないだろうと思うんです。ですから、そういう意味で、もちろん民間にも人はいるでしょう、しかし民間だけが人じゃないわけであります、逆に言えば。やはり日本の非常時であり、これだけ破綻した金融のシステムをつくり直そうということでありますから、結集しなきゃいけない。英知を結集しなきゃいけない、専門知識を結集しなきゃいけない、私はそういうふうに思っておるものですから、これからの話でありますけれども、金融再生委員会についてどういう姿をお考えになられるか、ちょっと御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 委員御指摘のとおりでありまして、再生委員会の委員につきましては、設置法によりまして国務大臣をもって委員長に充てることになっております。また、同法七条によりまして、浜田委員が今御指摘になりましたように、「経済、金融又は法律に関して優れた識見と経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」ということになっておるわけでございます。
 お説のように、大蔵省出身であるから、日銀の出身であるからということで法は排除しておるわけではございません。
○浜田卓二郎君 ちょっと問題をもとに。官房長官はもう結構ですから。
 問題をまたもとに戻しますけれども、護送船団というのは行政の過剰介入なんですね。これが一つの大きなファクターですね。だから、それを極力なくして、しかし客観性を確保していくということですから、そのさじかげんというのは大変難しいのだろうと思います。
 経営健全化計画というのを出させることになっていますね。先ほどもちょっとやりとりがございました。厳密に審査して承認をするということでありますけれども、それではこの経営健全化計画の執行はどういうふうに担保されるのかということなんですが、これはどなたが答弁ですか。
○衆議院議員(保岡興治君) その点については、金融再生委員会が健全化計画に盛られる方策、あるいはそれが実行が見込まれること等の判断をした上で決めるわけでございますけれども、その中に虚偽の事実があったりすれば処罰されるということで、正確性が担保されるとか、あるいは履行において不適切な実行状況があれば、それに対しては銀行法等関係法令で適切に対処する旨法案で備えたつもりでございます。
○浜田卓二郎君 それは入り口の話ですか。つまり、承認をする際にそろえてきた事項が虚偽であったら処罰するとか、そういう話ですか。承認してしまった後はどうなるんですか。
○衆議院議員(保岡興治君) 今私が申し上げたのは承認した後、それの実効性ですね。あるいはそれが正しいものであるかどうかなどをきちっとフォローして担保していく仕組みでございます。
○浜田卓二郎君 これはもろ刃の剣なんですね。再建計画がちゃんと行われているかどうかを常時チェックしていくというのは、これは一種の経営に対する介入になっていくわけですね。だから私が申し上げたいのは、ペナルティーでいいんですよ、ペナルティーであるいは虚偽の事項があったら適切にペナルティーが科される。そして、その経営計画なるものがインチキで全く実現されなかったら、一定期間後に実現されないことの責任をきちんと問うとか、要するに経営計画の監視官というような名目で行政が介入していくというような方法は、これは私は避けるべきだと思う。
 だから、あらゆる意味において、さっき申し上げたルールづくりは厳密にしておいて、そのルール違反に対する監視を行政の役割としてしっかりさせる、後はもうマーケットに任せる、情報開示をさせる。だからその原則を、これからつくっていく金融再生委員会の細則になるんですか何になるんですか、そういうルールづくりのときにこの原則というものをきちんと通していく必要がある、私はそういうことを申し上げておきたいと思うんです。
 それからもう一つは、先ほども前の質問者が御議論なさいましたけれども、強制注入かどうかという点なんですが、私は、任意の申し出だけに頼っているというので果たして本当に事がうまく進むのかなというのはやはり疑問が残るわけです。
 今回は、十九行の検査結果が一斉に出るのかばらばらに出るのか、とにかく出てきますね。それを見ながら第一次のアクションが起きるわけでしょうけれども、その後、十九行以外がどういうルートでいわば手続に乗ってくるのかというのはちょっと私も見えにくいところがあるんですが、あくまで申請主義でいく、申し出主義でいくということで本当にうまくいくかという点は、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは私が口を出していいかどうかと思いますけれども、先ほど保岡さんが言われましたように、こういう状況の中で、国会で御審議をいただいて、また公的な金も出しきりではないにしても使って、資本を充実してほしい、また金融システムをしっかりしてほしいということは、個々の銀行の利害を超えた一つのものがございますから、この点はよく銀行において理解をしていただきたい。自分の銀行がたまたま損とか得とか、それは損をしろとは決して申しませんけれども、関係ないというようなことではなく、金融界全体の問題として考えてもらえることであろうし、また行政としてもそういう努力を精いっぱいしなければならぬということを保岡さんが言われまして、そのとおりだと思うのでございます。
 そこで、公のお答えは総理がきのう参議院でなされました。それがお答えでございますが、銀行法なんかを読んでおりますと、大変にいろいろな命令ができるようになっております、二十六条ですか。しかし、あれを読んでみますと、例えば非常に中身の悪い銀行、金融機関があって、その資本の再構築をしなきゃならぬ、そういうときにはというような物の考え方がまあ基本だと思うのでございます。再構築をしなきゃならないんだからいろいろなことが命令できる、そういうふうな部分が主体になっていると思いますので、文句を言われない程度の銀行にどれだけのことが果たして命令できるんだろうか。
 それは、文章は仮にそう書いてありましても、市場経済で、株主のある銀行に、何か悪いならよろしゅうございますが、非常に危ないとか再構築が必要とか、そうでないときにめったなことは行政はしない方がいいんだろう、私はそう思います。私が古いのかもしれないんです。
 どうもこの節、いややっぱり政府というのはそのぐらいのことをしなくちゃという御議論があるし、新聞の社説なんかでもそういうのが幾つかございますね。ですけれども、大変に悪いから、あなたのためだからこうやりなさい、しなくちゃというような、あるいは日本全体のためとかいうことでなら元気づいてそういう行政をやりますが、そうでないときに、それがしかし日本全体のためになるんだからというところまでは、私は慫慂の範囲だと思います、説得の範囲だと思います。しかし、それから先というのは、さあどんなものかなと私は実は思っております。
○浜田卓二郎君 大蔵大臣のお考えは私はそうだと思うんです。私も同じような考え方をしがちな男であるわけです。
 でも、私はあえて今思うんですけれども、これだけの状況ですね、そして政治家として公的資金がけしからぬと言われる世論がまだある中で六十兆積み増すなんという話は、これはよく決意したな、そういうふうに思うんです。その数字に余り意味があるとは私は思いませんけれども、しかし決意としてはそこまで踏み切るんだなという気はいたします。
 そして、しかも実はバブルの後遺症で弱り切っているのは銀行だけじゃないんですから、これは例えばバブルの最盛期に相続をした土地持ちの人たちなんか、延納にした分だけが、今度は土地は売れない、しかも十分の一になっている、それで徴収官はしつこくやってくる、どうしたらいいんだ、銀行はいいな、こういうときにちゃんと公的資金を入れてもらえるんだなと。そういったぐいの話から、このバブルの後遺症で苦しむ人たちというのは日本じゅうなんですね、実は。だから、銀行に六十兆なんという多額の金を準備して幾らでも金を入れてやるよという構えをとるというのは異常事態なんです。私はそういう認識が大事だと思うんです。
 しかし、あえて危険を冒してこの異常事態を克服しようという決意は、これはやっぱり金融のシステムが日本経済をここまで弱くしている元凶になっているからだという認識であって、だから時限的でいいと思うんです。例えば、二〇〇一年というのは期限を切られたと思ってもいいわけでしょう。だから二〇〇一年の間に、お互いに少し頭がおかしくなったような気持ちで決意して事に当たろうというのが、実は私は今回のスキームではないかと思っているわけです。だとすれば、いろんなおもんばかりはよくわかります。でも、いろんなおもんばかりをする暇がない。だから、これだけ準備してスキームをこれだけ大騒ぎしてつくった。では、やろうじゃないかというのが実は今必要なことじゃないかと私は思うんです。
 私の考え方の好みからいえば、むしろ宮澤流ですよ、随分教えられてまいりましたから、私はそう思っているわけです。でも、ここを越えなければ危機克服はできないし、ですから前回、失礼ながら危機突破の能力ということであえて申し上げたわけでありますけれども、それが今政治に求められている。だから、普通の常識では少し乱暴だという、平時では乱暴だということであってもやらなければ二〇〇一年という期限は迫ってくるぞというふうに思うんです。
 逆に言えば、日本という国はこれだけ条件がそろっています。だから、金融の仕組みが安全なんだ、みんなでこれは大丈夫なんだという保証が出てくれば、安心感が出てくれば、今度はアメリカがだめになる分、金は戻っできます。私は、だから日本のこれからの将来というのはそう悲観はしていないんです。しかし、そのためには我々は決意をして誤解を恐れずに六十兆でも行こうじゃないか、それがこのスキームだというふうに思いますから、生意気ですけれども、もうこれお答えは要りません、あえて申し上げた次第であります。
 最後に、円の最近の変動というのは、私は異常だと思うんですね。二日で二十円動きました。こんなのでは取引できないですね。だから、これはやはり私は通貨当局の責任というのはあると思うんです。それはちょっくらそこらの介入でそんな大きな変動が防げるわけはありません。
 今回、円が大きく変動しました。その前はロシアであり、その前はインドネシアでありました。ジョージ・ソロスというのは、聞くところによるとこのロシアの通貨変動で二千四百億円損をしたとか。今回は、タイガー・ファンドというんですか、これが円で二千五百億円損した。ある意味ではざまを見ろということかもしれませんけれども、しかしそれだけ短期の資金が投機的に動いているという証左でもあるわけで、これが氷山の一角であろうという見方はたくさんあるわけです。
 私は、これだけの短期資金の移動が、しかも投機的な目標で行われておって、その結果為替が一日に十円も、あるいは二日で二十円も動いてしまう、それはまともに取引をやっている経済界、産業界ということを考えたら、私は許されるべきことじゃないような気がするわけです。だから、為替当局の責任として、これはもう短期資金の移動については規制を打ち出すべきだと私は思うんです。そのマーケットの論理は最大限尊重しなければいけませんけれども、マーケットが破壊するものがあります。それが許されないときはやっぱりマーケットは規制されるべきだと思うんです。
 ですから、私は、この問題についての大蔵大臣の御所見と、そして私の願いですけれども、これを例えばどの場面か知りませんIMFなのかG7なのかわかりません、これだけ変動のあれを、被害はみんな受けているわけですけれども、影響を受けている日本はそれを提起する資格がある、あるいは責任がある。むしろ日本がこの提案者になって、この短期資金の移動の規制について世界のルールをつくっていく、そういうお考えがあるやなしゃも含めて、最後に御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) せんだってG7の会合がワシントンでございましたときに、連銀のアラン・グリーンスパン議長がこういうことを申しました。アメリカ人というのはリスクテーキングの国民である。ところが、これはこの間のロシアからだと思うんだが、突然リスクアバーシングになった。みんな危険から逃げようと、そういうことになったので非常に実は危ないと思っている。つまり、売りが買いになってしまうということでございますね。そういうことを聞こえてもいいように言いましたので、その認識は今でも続いているようなんですが、私はこういう展開が一遍はヘッジファンドであるだろうと。そのときは、例の長期マネタリーなんとかは、ヘッジファンドはございました。
○浜田卓二郎君 LTCM。
○国務大臣(宮澤喜一君) LTCMです。キャピタル・マネジメントでしたね。
 ですから、私は東京へ帰ってきまして、市場がああなったときに新聞に聞かれまして、ヘッジファンドが行くところがなくて来たんだろうと。だけど、こんなことはまた毎日毎日あるわけじゃなくて、そのうちどこかで大体おさまるはずだということを申しまして、一応おさまっていると思います。一番悪いのは、一日に本当に十円近いものが動きますと、これは正常でございませんから、何度も繰り返せば何かしなきゃならないという質問でしたけれども、私は何度も繰り返すことはないだろうと思っておりました。ここのところまではそうでございますが。
 そこでしかし、かねてブレトンウッズがなくなって、後は何にもできないということは非常に問題なわけでございますから、G7でもやっぱりその点はいろいろ考えなきゃならないということは今でも申しております。
 それから、それと短期資金の自由移動の話は、これについて最初に何か言い始めたのは今年の五月だったと思いますけれども、コロンビア大学のバガワッティーが、自分は今まで、戦後、自由というものはいいものだ、物の移動の自由、それからサービスの自由、資本の自由と、こう考えてきて、きょうまで短期資本の自由もと思ってきたけれども、しかし短期資本の自由も本当に移動がいいことか悪いことか、実際はだれも本当は真剣に議論したことがないと。
 今度起こったことを見ると、ある意味でそのスペキュレーションが幾つかの国をほとんどつぶしそうになった。あるいは、その後に来たIMFがつぶしそうになった。IMFというのはアメリカであるからというのはちょっと言い過ぎですけれども。そうやって国のあり方をつぶしてしまうような短期資本の移動というのは本当に本来的にいいものなのかどうかということを彼は問うたわけでございます。そして、この点はせんだってのG7のときもいろんな議論になっております。
 しかし他方で、浜田委員がよく御承知のとおり、デリバティブスというものは、どれだけ弊害があっても何でももうはつきりした取引として確立したのではないかと私は思うものですから、それを根本からどうかするというわけには多分いかないだろう。ただ、そのデリバティブスについても全く野放していいというはずはない。これはノンバンクでございますから、今としては野放しなんでしょうが。しかし、銀行があれだけ金を貸していますから、銀行側にはちゃんとそれをはっきり報告する義務がございます。ですから、全く野放したということであってはいけないんだろう。
 それから、それが暴れて、ああいう大きくなろうとする国をつぶす前に、何か我々がモラルリスクの問題はあっても、金でも積んでおいて防衛してやる方法というのはないのか。IMFは事後の処置でございますから、事前にないのかというようなことをみんなが考えなきゃいけないと思いますのは、それはやっぱり自由にしておくのが本則だと考えるから、私はそういうことを思っております。
○浜田卓二郎君 ありがとうございました。
 終わります。(拍手)
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
 私は、衆法といいますか衆議院の方の早期健全化法案について質問いたします。
 最初に、発議者の保岡議員にお伺いしたいと思うんですが、健全化法の第一条「目的」を見ますと、これは「我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復することが現下の喫緊の課題であることにかんがみ、」「金融機関等の資本の増強に関する緊急措置の制度を設けること」、これがうたわれております。喫緊の課題だということについてですね。
 そういうことですから、この法律の成立を待ってすぐに資本の注入をしようということだろうというふうに思います。昨日からの報道でも、既に十兆円とか、あるいは戦略会議では数十兆円とか、そんな声も聞こえておるようでございます。
 それでもって、ともかく普通株とか優先株とかというものを購入されるわけですが、これはどのくらいの期間株を保有しておられるのか。この処分、売却、これは速やかに行うということになっておるようですけれども、それが終了するのはいつの時期なのか、まずお答え願いたいと思います。
○衆議院議員(保岡興治君) 健全化法の十条二項六号ですが、取得株式等は「できる限り早期に譲渡その他の処分を行うよう努めること。」とされております。また、同項の七号で、処分については預金保険機構の承認が必要だということが書かれています。
 その具体的な期間についてのお尋ねでございましたが、金融システムの安定、システミックリスクが去っているのかどうか、そういったことにも配慮する必要がありますし、また市場等で処分することを想定していますから、今後の内外の経済情勢の推移とか対象となる金融機関の状況や市場の動向とか、そういったことによって総合的に適当な時期を選ぶということになるものと思います。したがって、一概にどれぐらいというような期間を示してお答えすることは難しいと思います。
 なお、株式等の発効等の申し込みは、四条の二項によって平成十三年の三月三十一日を最後とされていますが、今申し上げたような事情を考慮して、十八条一項によって金融機能の早期健全化業務の終了の日は別途政令で定めるということにさせていただいているところでございます。
○池田幹幸君 そうしますと、再生法の方の期限が二〇〇一年の三月三十一日ということで、これの方も一応申し込みの方は三月三十一日と。しかし、その売却がいつになるかは政令で終了日を決める、こういうことでございますか。そうすると、相当の期間二〇〇一年三月以降にずれ込むというふうに考えていいわけですか。
○衆議院議員(保岡興治君) それは、今度の法案によって資本増強がどの程度の規模でどういう範囲で行われるかということによっても決まってくると思います。したがって、意外に早く経済状況やあるいは金融の安定が図られて順調な道を日本が歩み始めるというようなことになれば、それの時期は早まりましょうし、ぜひそうなるように頑張っていかなきゃいけないと思います。
○池田幹幸君 額の面で言えば、保岡議員は衆議院の質問に答えてあっと驚くような額をがんと今示すことが大事なんだというふうなことも言っておられたわけですが、そのとおり二十五兆円というあっと驚くような額を示されたわけです。
 私は、この二十五兆円等を含めて再生法と合わせますと六十兆円という公的資金が投入される、これはやはり国民負担がそれだけ重くのしかかってくるということで、そういう面では私はあっと驚くといいますか、これは大変なことだと、国民にとっては、という意味では私も驚いた一人でございますけれども、それではこの六十兆円の国民負担、国民はどうなるんだということです。
 衆議院の論議では、宮澤大蔵大臣は、国民負担六十兆円といっても全部国民に負担がかかるわけじゃないんだ、返ってくる分もあるんだというふうにお答えになっていたわけですが、それでは一体六十兆円、どの分が国民に返されてくるんだということが問題になってくると思うんです。
 この再生法とそれから健全化法、合計しますと、一つは十七兆円枠の特例業務勘定とそれから再生法の十八兆の再生勘定、それから健全化法の二十五兆勘定とあるわけですけれども、その三つをそれぞれ若干伺っていきたいと思うんです。
 まず、十七兆円の特例業務勘定ですけれども、これは預金者保護ということになっておりますから、全部損失補てんに使われますと当然戻ってはこないという金だと思いますけれども、これは再生法ですから、宮澤大蔵大臣、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一まとめにしてお答えしてよろしゅうございますか。
○池田幹幸君 はい。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、金融再生勘定でございます。ですから、これは十八兆のことでございますが、特別公的管理銀行、それからブリッジバンクに関係いたします出資、貸し付け等が一つでございます。それから、整理回収機構が不良債権を買い取る、そのための入り用がございます。それが十八兆の主たる使い道と思います。でございますから、この公的ブリッジバンクあるいは特別公的管理銀行の管理が終了いたしましたときに、その株式の売却がどのように行われるか、それで一つ回収点がございます。それから、整理回収機帯によって不良債権を回収いたしますと、その回収で資金がどれだけ戻ってくるか、その二つの点で、全部戻ってくるということはもちろん申し上げられませんけれども、何がしかの回収があるだろう。
 それから、早期健全化勘定は、先ほど保岡議員も言われましたように、これはいろいろ優先株あるいは普通株もございますけれども、それから引き受けのために整理回収機構に資金が貸し付けられるわけですが、これは協定銀行が普通株や優先株を売却する全部の操作がうまくいきますれば、そのための貸付金は当然回収される、あるいは売り戻されて利益が出る可能性がございます。
 それから、最初にお尋ねになりましたいわゆる預金特例業務勘定ですが、交付国債が七兆円ございます。これは預金者保護を目的として破綻金融機関に生じた損失の補てんに使いますので、これは返ってまいりません。
 大体そういうふうに想定しております。
○池田幹幸君 まず、この十七兆円については返ってこないと明確に言われたわけですね。六十兆円のうち十七兆円は国民負担、丸々返ってこないんだと、損失補てんをすれば、これははっきりした。
 随分まとめてお答えをいただいたので、私は質問の方はやはり分けて聞かないとわかりにくいと思いますので、分けて聞かせていただきます。それでは十八兆円、これについてはどうなんだと、再生勘定ですけれども。おっしゃったように、一つは特別公的管理銀行、それから公的ブリッジバンクの株式取得とか、それから不良債権の一次、二次ロスの穴埋めといいますかそれと貸し倒れ、これに対する資金援助、そういうことになるわけですが、少なくともこの部分は一体どうなるんだということがありますね。その後言われました不良債権の買い取りとか株の問題は置きましても、少なくとも損失補てんのための資金援助、これの規模がどれぐらいになるかはともかくとして、これは返ってまいりませんね、損失補てんは。
○政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。
 今先生おっしゃいましたように、損失の補てんのことに限りますと先生が言われたとおりだと思います。
○池田幹幸君 大蔵大臣の言われた不良債権の買い取りの方になってまいりますと、これは確かに返ってくる部分もあれば返ってこない部分もあるだろう、そのとおりだと思うんです。ただ問題は、それではそういう形で安易に言えるか、返ってこない部分の方がはるかに多いんじゃないか、このことが問題だと思うんです。そこのところはどうですか。これは事務当局でも結構ですけれども、返ってこない方が多いというのが現実じゃないでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは恐らくそうでございます。もうけちゃったなんという話は、それはこの部分にはないはずだと思います。
○池田幹幸君 実際そのとおりだと思うんです。
 現実を見てみますと、共国債権買取機構とか整理回収銀行とか、あるいは例の住管機構、これの回収実績というのが既に出ておりますから、これを見ますと現実は回収実績二割行っていないんです。共国債権買取機構で二〇・六%なんですが、整理回収銀行なんか一四・四%しかないんですね。それで、罰則つき調査権を持っておる住管機構、これでも二〇パー行っていないんです。一九・七%なんです。しかも、今までの部分は割と回収しやすいところを回収してきて、それでもってやっとそれなんです。そうすると、もうあとは大体返ってこない。
 そうしますと、これが全部押しなべてそうだとは言いませんけれども、今の実績で見たら大体八割は戻ってこないんだということになってまいります。そうすると、その分がまたまた国民負担ということでかかわってくるじゃないかということなんです。
 そこで、二十五兆円については、これは株なんだから銀行が元気になれば返ってくるんだということで保岡議員もお答えになっておられたと思うんですが、果たしてそれも言えるのかということなんです。返ってくるように見えるけれども、これもやっぱりほとんど返ってこないんじゃないかと私は思うんです。国民負担として重くかぶさってくるだろうと思うんです。
 そこで伺いたいと思うんです。一般金融機関とか過少資本の金融機関への資本増強ということにっております。そうしますと、株というのはもともと元本保証されていない投資ですから、返ってくるんだよと国民に言うこと自身が、これは国民をだますとまでは言わぬけれども、ちょっと軽く考えさせてしまうということになるんじゃないですか。
○衆議院議員(保岡興治君) 今の厳しい経済状況、あるいは銀行株も非常に下がっておりますが、これを底として反転していかなきゃいけない、そういう経済運営を国家国民のために我々は手にしていく覚悟をしていかなきゃならない。
 そういうことからいえば、先ほど私が申し上げたのは、これは必ず投資したものよりはもっと大きなものが返ってくると申し上げたわけじゃなくて、そういうことを期してみんなで頑張らなきゃいけない、そういうふうに申し上げたところでございます。
○池田幹幸君 期待はわかりましたが、現実は厳しいですね。現実の問題としてみますと、つい最近の経験でもはっきりしているわけです。
 八月二十七日の衆議院の論議を見てみますと、伏屋金融企画局長は、いわゆる三月の資本注入によって国が保有している優先株は大幅に評価損が出ている、大体七千四百億出ているんじゃないかという質問を受けて、それを認めた上で、「経営改善努力とかいろいろな努力の結果、これはまたいずれ評価も動く可能性がある」というふうにお答えになっているんです。これはそのとおりですね。
 その後二カ月たちました。動く可能性は確かにあるんですが、動くというのは上も下もあります。それでは、上がったのか下がったのか、お答えください。
○政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。
 あのときはたしか個別の金融機関についてのお話が例に挙がっていたと思いますが、個々の株価につきまして私どもいろいろ申し上げる立場にはないし、また予測もできないわけでございます。いずれにいたしましても、株価というものは変動するわけでございますので、したがってその点を一般論として申し上げたつもりでございます。
○池田幹幸君 一般論としてはそうでしょうけれども、現実の問題としてはそんなものじゃない。今の経済実態からいえば上がるはずはなかったわけです。それで、現実に下がったということが出ております。大手十九行で上がったのは地銀の足利銀行ぐらいですかね。それぐらいで、全部下がっております。
 そこで、私は一つ指摘しておきたいんですけれども、マスコミがきのうから騒いでおる、先ほど否定されましたけれども、監督庁は十行で十兆円要るとか、戦略会議は数十兆円の資本注入が必要だということを言い出しておるわけなんですけれども、もしこんな状態を取り入れてどんどん資本注入をするとなっていくと一体どういうことになるのか。先ほど最初にお伺いしましたけれども、大体向こう二年半は買い取り期間ということであります、緊急事態だということで資本注入してやりましょうということなんですが、早速にまず十兆円、さらにさらにという話になってきますと二十五兆円でも足りなくなる。どんどこつぎ込んでいくということになりはしませんか。
○衆議院議員(保岡興治君) きょうも政府の方のお考えとして宮澤大蔵大臣から、この額についての物の考え方というか、他と比較してこの額がどういう意味を持つかといういろんなお話がございました。
 そうしうふうにやはり大きなお金であるけれども、きちっとしたある程度常識的な必要とされる金額になっている、私はそう思います。池田先生が、非常に大きなお金だ、それが国民負担だと言われますが、GNPが五百兆を超える大きな経済国家、そして世界にも大きな影響力を持つこの日本、その資産がバブル崩壊後一千兆余り消えてしまったというような資産の下落がある。こういったことを反転して、本当に日本経済を将来上向かせて国民を幸せに豊かにしていくためには、そういった国の大きな経済を、そしてそれを支える金融を、金融というのは血液を経済に流す大事なところでございますから、ここに血液を流さないと、流す仕組みをきちっとしないと、経済はどんな対策を打ってもぬかるみに足を踏み入れるようなものでございます。
 我々は、本当にこの時期を厳しく受けとめて、これを絶対に回復していくんだという決意をこの法案の中に込めて対応しようということでございます。
○池田幹幸君 現実の厳しさを受けとめる点では同じなんですが、対応は全く逆だと思います。
 というのは、今言われたのはGNPの恐らく一〇%以上の金をつぎ込もうというわけですね、六十兆円。それでもって銀行を救済していけば経済はよくなるという、つづめて言えばそういうことです。果たしてそうなのか。そうじゃないでしょう。大体、実体経済を抜きにして銀行を助ければ、銀行の経営がよくなれば景気がよくなるのか、そんなことはありません。実体経済がよくなって初めて銀行経営もよくなる、不良債権の処理も進んでいくわけですから、それは逆立ちした言い方だろうと私たちは考えているんです。
 この論議については選挙期間中からずっと続いておることですけれども私たちは、実体経済をよくしていかなければいかぬ、ともかく今の大不況、消費大不況を克服しなければ国民生活も銀行経営も改善されないんだということで訴えてきました。ですから、消費税三%法案というものもこの国会に出して頑張っておるわけなんです。銀行の今の不良債権処理あるいは金融システムの安定ということについて言っても、実体経済が前提としてあるわけですけれども、少なくとも銀行を甘やかして助けていこうという今のやり方では抜本的にはよくならない、むしろゆがめていくだろうというふうに私は考えているんです。
 私たちは、金融システムの安定ということに関しては、何といっても責任をとるべき者がまず責任をとろうじゃないか。つまり、今の莫大な不良債権を招いたのは銀行自身の不始末です。バブルとバブルの崩壊、それ以後の銀行の不始末がこれを招いているわけで、そうしますと銀行業界自身でまず責任をとらなけりゃいかぬということがあります。何も責任のない国民が、張本人の、元凶のつくった不始末をかぶる必要は全くないだろう、かぶる必要がないところか、かぶるのは全くおかしいというふうに私は考えております。
 またもう一つ、銀行自身が本当にみずからのシステムを確立していくためには、彼ら自身がシステムの回復によって最大の恩恵を受けるわけですから、何としても彼ら自身が第一義的な責任を持つべきだろうというふうに考えているんです。この法案でも、第三条の「原則」のところでコスト最小化の原則を掲げておられます。コスト最小化といえば、やはり負担しなければならない銀行がみずから負担しなければならないということになれば、最小化の方向を図っていく、みずから自己規律を働かせるということになるわけですから、私たちとしては何としてもそういった方向をとらなければいけない。そういう点では、六十兆円の負担を国民にかぶせる、こういったことはあってはならないことだということを主張して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。
 まず、自民党の発議者の保岡議員に伺いたいと思いますが、この早期健全化法案で自己資本の充実の対象となる金融機関についてであります。
 区分として、この法案では四つあるということだと思うんです。第一は、健全な自己資本の状況にある、これも八%以上と。第二に、過少資本の状況にあるということで四から八%と。第三に、著しい過少資本の状況にあるということで二から四%と。そして第四に、特に著しい過少資本の状況にあるということでゼロから二%と。要するに、破綻金融機関以外、銀行あるいは金融機関と名前がつけばすべて資本注入の対象になるということだと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○衆議院議員(保岡興治君) 本法においては、例えば株式の引き受けによって資本の増強が図られなければ当該銀行の業務または我が国における金融機能、これに著しい障害が生じて信用秩序の維持あるいは企業の活動もしくは雇用の状況に甚大な影響を及ぼすなど、経済の円滑な運営に重大な障害をまた生ずるおそれがある場合でなければ株式等の引き受けができないことなど、ちゃんと制度の趣旨に沿って株式等の引き受けのできる要件が決められております。
 したがって、すべての金融機関を無原則に資本増強の対象にする趣旨は全くありません。
○笠井亮君 要件という答えが今ありました。まさにこの第七条のところを読まれたと思うんですけれども、この七条で「議決権のある株式の引受け以外の株式等の引受け等の要件」、つまり健全から特に著しい過少資本まで四つの区分いずれでも買える優先株などについての規定があるわけです。
 今言われました第一項の一号ですね、注入しないと我が国の金融機能に著しい障害が生じ、経済の円滑な運営に重大な支障が生じるおそれがあるというもの。これは十三兆の法律でもまさに同じような表現があって、これは何の限定条件にもならなかった。要件と言われましたけれども、二十一行に入った。その次に、第二号とありますけれども、債務超過ではないと。要するにそのことと、買っても売れるということが書いてあるわけですから、破綻でなければ注入するというふうに言っているにすぎません、これは。第三号は健全化計画の実行ということが書いてあるわけで、これは当然の前提だというふうになる。
 問題は、その具体的な要件ということで、七条の四号、五号というところがあると思うんです。
 まず、四号ですけれども、特に著しい過少資本の銀行の場合と、こうあります。「当該発行金融機関等の存続が地域経済にとって必要不可欠である場合」と。これは要件らしいことがここに書いてあるわけですけれども、それに「その他特に必要と認められる場合」というのがあるわけです。これはどういう場合ですか。結局、著しい過少資本であれば何でもありということにつながるんじゃないですか、これは。
○衆議院議員(保岡興治君) この七条四号、「特に著しい過少資本の状況にある旨の区分に該当するとき」というのは、多くは破綻の可能性もある、厳しい経営状況あるいは財務状況にあるというケースでございますから、普通はこの資本注入をやるケースとしてはむしろ要件を厳密に検討しなきゃならない、そういった意味での区分だと思うんです。しかし、そういう中でも、地域の経済界が一致してこの地域にはこの金融機関が絶対必要だという場合には、やはり経済活動に血液を流す金融機関は何としてでも維持して健全化していかなきゃならないということがまず原則です。
 それから、例外としては、この「その他特に必要と認められる場合であること。」というのは、これはシステミックリスクです。システミックリスクのために不可欠であれば、これは社会経済的な費用最小化の原則からいっても、それは当然その金融機関に対する資本増強の対応というのが検討される場合があるということでございます。
○笠井亮君 システミックリスクと言えば何でもやれるということになってしまったらどうしようもないわけで、「その他特に必要と認められる場合」ということで非常にあいまいな表現になっているわけです、「特に必要」と。これはシステミックリスクでございますと言ったらやれると。政令にもないわけです。結局、再生委員会が判断するという、法律上はそういう幅があるということだと思うんです。
 第五号、健全な自己資本の状況にある銀行の場合です。ここには「次に掲げるいずれかの場合」ということで、イ、ロというふうにあります。イは、経営の状況が悪化している金融機関等との合併、それから営業、事業譲渡の場合と、それからロとして、急激かつ大幅な信用供与の収縮が相次ぐか、そのおそれがあり、その改善か回避のために不可欠である場合と、こうあります。
 それに続いてロの後段で、「その他特にやむを得ない事由がある場合」。イ、ロとせっかく具体的に書いてあって、「その他特にやむを得ない事由がある場合」となりますと、これは要件を言っていないのと同じじゃないか。これがあれば、結局はその他やむを得ない、この事由があるということで結局はどこにでも入れることが可能になるということではないでしょうか。
○衆議院議員(保岡興治君) これは逆に八%を念頭に置いた健全な自己資本の状況にある区分の金融機関、この場合はイ、ロと限定する趣旨で法文化してあるわけでございます。
 それで、受け皿あるいはそれに準ずる金融機関というのが一つ。それともう一つは「急激かつ大幅な信用供与の収縮が相次いで生じており、又は相次いで生ずるおそれがある状況」。こういう信用収縮が非常に大幅に極端に進んでいる場合等、それを回避するために株式等の引き受けが不可欠だという限定をつけている。
 そして、最後にお尋ねの「その他特にやむを得ない事由がある場合」というのは、これもシステミックリスクを指しているということでございます。
○笠井亮君 システミックリスクというのは要件じゃないでしょう。これはシステミックリスクでありますというのは、ここから先はそうです、そこまではどうですということは、そんなことはないわけですから。結局はそういう意味では、システミックリスクということを名前にすれば何でもできるということになるじゃないですか。いわゆる佐々波委員会のときにも厳密にやるから大丈夫というようなことがありました。しかし実態は違った。何の限定にもならなかった。
 そして、これは大変です、システミックリスクにつながりますということで手を挙げればこれは注入できると。さらには国際競争力のために頑張ります、この危機から抜け出して頑張りますということで、やむを得ない事由ですからよろしくといったときにも注入ができる、「その他やむを得ない事由」と。まさに無限定ということになるじゃないですか。
○衆議院議員(保岡興治君) システミックリスク回避というのはこの法の最大の立法趣旨でありまして、そういう趣旨を法文上明確にしているということで、何の不都合もないと思います。
 その場合に、具体的な申請金融機関がシステミックリスク回避のために資本増強がどうしても必要だというような要件がその後のいろいろな法条によって規定されておるほか、健全化計画等を出させて、それがいかにシステミックリスク回避あるいは金融効率化あるいは改革というものにつながる措置になるかということは、金融再生委員会で詳細に定めた公表する基準に沿って判断して、そして承認して資本増強をするという手続になっており、その手続を担保する仕組みもこの法案にはきちっと備えられております。
○笠井亮君 システミックリスクが最大の立法趣旨だと言われたんだったら、はっきりそう書けばいいじゃないですか、システミックリスクの場合に入れますと。書けないんでしょう、書けないと思うんですよ。システミックリスクなんということで、それが要件だということで書くというのはこれは非常に困難なことです。どこからがシステミックリスクでどういう事態なのか、そのことについての概念を法律上定めるのは非常に大変なことです。まさに書けないからこう書いてある、「その他やむを得ない事由」と。これは何ですかと聞いたら、システミックリスクで、それが最大の立法趣旨だから書いてある。
 この裏に書いてある「その他やむを得ない事由」というのはシステミックリスクじゃないですか。そんなおかしい話はないじゃないですか。法律を見て、だれだってこれを読んでシステミックリスクだなんてわかりません。
 さらに第八条で見ます。ここでは、合併等を行う金融機関などの株式等の引き受け等の要件ということで、「合併等」ということが書いてあります。ここのところはいわゆる救済合併ということだと思うんです、預金保険法のところは。
 今、保岡委員もおっしゃいました「これに準ずるもの」というのもあります。これに準ずるというのは何を指すんですか。ぜひとも伺っておきたいんですけれども、少なくとも救済合併以外でこれに準ずるということになれば、健全行同士の合併ということはないですね、含まれませんね。
○衆議院議員(保岡興治君) 健全行同士の合併ということはこの法律は予定いたしておりません。
 しかしながら、準ずるという場合は、例えば北海道における北拓の取引関係者、債務者、こういった方々が北洋に営業譲渡等で、あるいは合併等で引き受けをされるようなケースに加えて、資産として譲り受けるということで資本が少なくなって、それがその地域の経済その他に重大な支障を生ずるような可能性に結びつくというような場合を考えておるところでございます。
○笠井亮君 今なかなか苦しい御説明だったと思うんですけれども、準ずるというと幅が非常に広いですね、今おっしゃっていて。どこまでかというのがわからないです、例えばということをおっしゃいましたけれども。だから、これもどうなるかわからないということが含まれているんじゃないかと思うんです。
 さらに伺いますけれども、今度、自民党の修正に当たっての「主な修正事項」というペーパーを私はいただいて見ているんですけれども、その六のところで、健全行、八%以上行の優先株式等の引き受けの原則というのが三つ書いてあります。
 第一が「破綻金融機関の受皿となる金融機関及びそれに準ずるもの、」。これは私、その具体的な修正が今の八条のところに該当するのかなと思って読ませていただいていたんですけれども、こういうのがある。
 それから第二に、「急激かつ大幅な信用収縮の回避のために不可欠のもの、」というのがあります。これはその前の号の、先ほど私も紹介させていただきました七条の五の口ということなんじゃないかと思うんです。
 その上で、三番目に、「合併等金融再編成の視点から資本増強を行うことが不可欠のものを対象とする。」。この三番目のところの修正事項というのは、具体的には一体どこにその修正がされたということになるんでしょうか。どの条文を指しているのか、伺いたいんです。
○衆議院議員(山本幸三君) その部分は先ほど御指摘がありましたけれども、七条の経営の状況が悪化している金融機関等との合併、そこのところで読むように考えております。
○笠井亮君 そうすると、合併ということで相手先、対象が経営が悪化している状況ということですね。この経営が悪化している状況というのは、どういう状況なんでしょうか。どういう機関が含まれるというか、どういうものが含まれるんですか、経営が悪化している状況というのは。
○衆議院議員(山本幸三君) 破綻の場合は八条で書いているわけでありますけれども、その破綻には至っていない。ただし、これからの金融再編を考えますと、このままいっては再編、効率化ができないという状況の中で経営が悪化してきて、これは合併し再編を図った方がいいと判断される場合であります。
 ただ、経営の状況が悪化しているというふうに書いておりますのは、いわゆる健全行同士で合併をするというようなことの場合には、これはもう当事者だけでやっていただくということであります。
○笠井亮君 今の最後に言われたところが非常にこの法律上は難しいところだと思うんです。
 経営が悪化している状況ということがあって、それで結局合併ということに向かうときに、注入という話になりますと、これは悪化しているというのはいろんなことがあると思うんです。この間までは自己資本が一〇%あった、ところが悪化して八%になったと、これも悪化している状況ということになるんじゃないですか。そうしますと、健全行に対してもそこと合併をするということでこの法律に基づいてそういう合併に対しても資本注入ができるんじゃないですか。それはできないということが法律上はっきりしていますか。そこをちょっと確認したいんです。
○衆議院議員(山本幸三君) 健全行同士でやる場合には、これは当事者同士でやっていただくということで、そこを外すために経営の状況が悪化しているということを入れているわけでございます。これは金融再生委員会が判断することになると思います。
○笠井亮君 いや、この法律を読む限りはそういうふうに読めないと言っているんですけれども、この法律に基づいて実際にこれは仕組みが動いていくわけですね。健全行同士の場合を想定していないと言うけれども、どこから想定していないということが読み取れるんですか、これは。経営が悪化している状況ということがあって、そういう銀行に対して、金融機関に対して、そこと合併をするときに注入できるということでしょう。例えば、一〇%から八%に落ちたところと一二%のところと合併します、片方は悪化しています、これに基づいて申請をして注入をお願いしますという場合が出たときに、再生委員会でこの法律に照らしてあなた方はこれは適用できませんよということをはっきり言えるんですか。
○衆議院議員(保岡興治君) 先生のお尋ねは、法律上どうしてそう読めるかということですが、これは限定をするために法文化してありますから、先ほど申し上げました破綻の場合の合併と、こういう存続をしている、生きている銀行同士の合併と、二つ条文を使い分けたわけです。そして、存続している銀行同士の合併は、一方が経営が悪化しているということを条件にきちっと法文上明示したということでございます。
○笠井亮君 先ほどから同じことで、悪化しているというのはどこからどう悪化しているかということがあるんですよ。一五%から一〇%だって悪化なんです。そうでしょう。それはこの法律からは除外できないじゃないですかと言っているんです。
○衆議院議員(保岡興治君) それは、先ほど山本発議者からもお話がありましたとおり、金融再生委員会が金融再編、日本の金融が将来どういうふうにあるべきかという全体を考えた中で、この個別行同士の合併がそれに資するかどうか、金融再生委員会の判断になるわけでございますが、恐らく金融再生委員会も全体を描いた上、きちっとそれに位置づける、そこに適正な判断をするものだ、そして合併についての資本増強を承認していくものだと思います。
○笠井亮君 これは再生委員会が大変な権限を持ってしまいますよ、この法律に基づいて。法律上は今見てきたように破綻していなければすべて対象になると私は申し上げましたけれども、制限を設けたと言われた。ところが、抜け穴だらけと指摘して申し上げたとおり事実上無限定で再生委員会が判断する、それでやっていけるというルールなしの法律をつくっている。これでは国民は納得しないと思うんです。金融再編成というのは、本来私は銀行自身がその自己責任でやるべきことだ。
 それで、なぜそれを国民の税金で賄ってやらなきゃいけないのかということを強く主張したいわけですけれども、まさにこういう法律によってビッグバンに向けて体力増強を図ってやるというあからさまな銀行支援策になっていく、そういうものだということを私は強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。(拍手)
○三重野栄子君 社会民主党の三重野栄子でございます。
 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案、いわゆる早期健全化法案につきまして質問をいたします。
 資本注入の承認、普通株の引き受け、再生委員会の委員の選任、政策決定の透明性につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
   〔委員長退席、理事石川弘君着席〕
 大蔵大臣、そしてまた提案者の保岡議員、さらに大変お忙しいところ参考人としてお出ましくださいました預金保険機構理事長にお尋ねいたしたいと思います。
 なお、議員立法の場合はとかく審議時間が短くなりがちでございまして、後々までも立法の趣旨が明確に残されますように、わかりやすくお答えいただきますようにお願い申し上げます。
 まず、資本注入の承認につきまして大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 廃止されることになりました金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律、いわゆる金融安定化法でございますが、その第五条で、優先株等の引き受けの承認は預金保険機構の審査委員会、いわゆる佐々波委員会の承認を受けてから閣議を経て大蔵大臣及び内閣総理大臣の承認が行われるという手続が規定されております。
 大蔵大臣及び内閣総理大臣の承認の前に閣議にかけていたのはどのような理由だったのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変な重要事項でございますから閣議決定にかからしめたということと理解しております。
○三重野栄子君 そこで、提案者の保岡議員にお尋ねしたいのでございますが、今回提案されております早期健全化法では、金融再生委員会の決定のみで閣議を経ることにはなっておりませんが、どのような理由でございましょうか、お願いいたします。
○衆議院議員(保岡興治君) 今回の資本増強も非常に重要なものでございますが、今度の金融再生委員会は、委員長を国務大臣とする国家行政組織法三条二項に基づく国の行政機関になります。国の行政機関は、法律上、内閣の統括のもとに一体として行政機能を発揮するものとされていますので、今回は閣議決定を要するものとはしなかった。
 ちなみに、いわゆる佐々波委員会、金融危機管理審査委員会は、預金保険機構という民間法人内に設けられた組織でございます。
○三重野栄子君 次に、普通株の引き受けについて、まず大蔵大臣にお願いいたします。
 金融安定化法では、資本注入の方法は優先株、劣後債、劣後ローンの引き受けに限られておりまして、普通株の引き受けは除かれておりましたが、その理由はどのようなものだったでしょうか。また、引き受けに当たって優先株、劣後債、劣後ローンがどのように選択されたのか、あわせて御説明いただきたいと存じます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 金融安定化法の基本的な考え方は、いろいろピンチの場合には救わなければなりませんけれども、しかしなるべく政府が私企業に干渉してはならないという基本的にそういう哲学が書かれておりまして、たしか法文にもそういう法文があったかと思います、
 したがいまして、普通株というのはもう現実に株主権を行使できる、私企業に関与できる、関与できるというかその一部になってしまいますので、できるだけ普通株というものは避けるべきであろう。また、劣後ローンにつきましても、これはさらにそうでございますから、なるべく経営に直接口を出すことを差し控えたいという思想がございました。ございますと申し上げていいのかもしれませんが。
 それに対して、今回はやはりなかなかこれは危急存亡のときであるので、いい会社についてではございません、非常に悪い会社のときに、これはどうしても直してやらなきゃならない、あるいはそういう緊急性があるというときに、やむを得ずと申しますか、それを実効性あらしめるために国が関与する。これもしかし非常に過多であってはいけないし、いつまでもということではいけないのですが、例外的に今はそれはやむを得ないかなというふうになっておる。これは提案者がお答えになることかと思いますけれども、そういうふうに思っております。
○三重野栄子君 ただいまの大蔵大臣に関連をいたしまして、次は保岡議員に四点についてお尋ね申し上げたいと思います。
 まず第一点は、今回の早期健全化法では議決権のある普通株の引き受けが含まれている理由でございます。今いろいろと御説明いただきました。
 第二点は、その銀行が著しい過少資本または特に著しい過少資本の状況にあって、当該銀行の経営管理等を通じた適切な業務の運営の確保及び金融市場における当該銀行の信認の回復等により経済の円滑な運営に極めて重大な支障が生ずる事態を避けるために、議決権のある株式の引き受けが不可欠である場合には普通株を引き受けると規定されておりますけれども、この不可欠かどうかというのはどこでどのように判断されるかというのが第二点でございます。
 次に、銀行に対する「経営管理等」は、優先株等を引き受けた場合とはどのように異なるのか。
 第四点といたしましては、その「等」とは何を指しているのか。
 以上、四点につきまして、お答えをお願いいたします。
○衆議院議員(保岡興治君) 普通株を今度新しく引き受ける制度を設けた理由については先ほど大蔵大臣が述べられたとおりで、国の積極的な関与がなければシステミックリスクを回避することができない場合を想定しております。ただそれは、先ほどもお話がございましたとおり著しい過少資本行、特に著しい過少資本行に限定をして、経営者に問題がありそうなケースというものを想定して法案化してあります。
 それから、普通株を引き受ける規定の中に要件として不可欠性が出てくるが、その不可欠性の判断を具体的にはどうするんだということでございますが、これはもう先ほど私が申し上げたような経営者の経営のあり方、あるいはそれとの関係で金融機関の財務状況や取り巻く環境、その他を総合的に判断さるべきことであって、それは金融再生委員会において適切に判断されることになるものと考えます。
 それから、優先株等には議決権が付与されていないんですが、引き受ける株式が普通株式の場合は、預金保険機構は協定銀行を通じて議決権を背景として当該金融機関の経営管理などを行うことになります。この経営管理というのは、当該金融機関の過半数の株式を取得して子会社化した場合を念頭に置いたものでございます。
 「経営管理等」の「等」ということについてでございますが、協定銀行が過半数の議決を有しない場合であっても、普通株の議決権を行使することによって発行金融機関の適切な業務運営を確保する場合を念頭に置いたものでございまして、実質的な支配ができるならば必ずしも半分以上持っていなくてもいいケースもありますので、そういう場合を想定しているものでございます。
○三重野栄子君 システミックリスクにつきましては、先ほどから大分議論もございましたけれども、これからの課題になっていくだろうというふうに思います。
 次に、政策決定の透明性についてお伺いしたいと思いますが、初めに大蔵大臣にお願いいたします。
 金融安定化法では、その第二十五条で、預金保険機構の審査委員会、いわゆる佐々波委員会が優先株等の引き受け等の承認を行いましたときは、速やかに議事の概要を公表するとともに、相当期間経過後に議事録を公表しなければならないと規定されておりますけれども、この規定はどのような理由から定められたのか、前のことですけれども、お尋ねいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の理解では、先ほども申しましたように非常に大切な決定でございますから、委員会がどのような経緯でそういう決定に至ったかを、殊に公的な資金というものに関係いたしますから公表すべきものと考えられたと思います。
 なおしかし、その際、その決定の経緯そのものの中で当該銀行の公表していないいろいろな事実、あるいは公表することがその利益に反するような事実等々が当然あり得ることでございますから、そういう意味で私企業の利益を意味なく害するといったような部分については、恐らくどこまでを公表すべきかという判断を必要とすることでございますし、その他いろいろな事情もございましょうが、最終的にどの部分をどのぐらいたって公表するかということは、危機管理委員会の委員の皆様が御相談の上で、どのぐらい時間がたってから公表するということをお決めになると、そういう仕組みになっておると思います。
○三重野栄子君 次に、預金保険機構理事長もしくは大蔵大臣、どちらでもよろしゅうございますが、お答えいただければ幸いに思います。
 ことしの三月の資本注入につきましては、金融安定化法の廃止によって審査委員会がなくなるので、そのときの審査委員会の会議録の公表につきましては預金保険機構理事長が引き継いで議事録を作成される、そして預金保険機構が公表の時期を判断するとの経過措置が金融再生法に規定されておりますけれども、これはいつごろ公表されるのか、また公表の時期は機構のどこで判断されるのか、お伺いしたいと存じます。
○参考人(松田昇君) お答えいたします。
 今般成立いたしましたいわゆる金融再生法では、先生御指摘のように、同法の施行前に金融安定化法でいろいろ定めた重要事項の議事録の公開について、機構が適当と定めた相当期間経過後に機構の理事長が公表しなければならないと、こういうことになっております。現時点ではまだ金融安定化法は生きている状態でございまして、それはもともと審査委員会の議決でその相当の期間を決めることになっておりまして、第七回の審査委員会で相当の期間をどう定めるか既に議論を開始していたところでございまして、継続中でございました。
 そこで、こういう事態になりましたので、まだ私は預金保険の理事長として新しい法律に基づく立場としてお答えする立場にございませんけれども、いずれにしても金融審査委員会がある間に、時間は短うございますけれどもできる限り審査会を開きまして、相当期間をきちっと定めて、その精神に従って、もし引き継ぐことがあればその決めた基準に従って後に公表することにいたしたい、このように思っております。
○三重野栄子君 今の第七回というのはいつごろのことでございましょうか。そして、大体いつごろになるのか。難しいと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
○参考人(松田昇君) 第七回は六月中に開催した委員会だと記憶しております。
 なお、近々審査委員会を開催する予定でございまして、そこででき得れば審査会の討議で相当期間を決めたいと、このように思っております。
○三重野栄子君 そういたしますと、公表の時期というのはどれぐらいになるんでしょうか。間もなくとおっしゃっておりますが、わかりますか。
○参考人(松田昇君) 私も七分の一の立場で意見を持っていますけれども、これは委員会で討議した結果決まるものですから、今その相当期間をどう考えるかにわかに言えないんですが、諸外国の例を見ますと、例えばドイツの連銀あたりでは議決後三十年という規定になっておりまして、そういうことではとてもだめだろうということでいろいろ討議をしているところでございます。決定を見た上でそれに従いたいと思います。
○三重野栄子君 三十年では本当に驚いてしまいますが、できるだけ早く公表されるように御努力をお願い申し上げたいと思います。
 次に、保岡議員にお願いしたいのでございますけれども、今回提案されております早期健全化法案では、再生委員会による資本注入の決定につきまして、このような議事録の公表及び旧金融安定化法の規定に基づいて実施されておりました速やかな議事概要の公表さえ規定がないようでございます。その理由をお答えいただきたい。そしてまた、少なくとも今まで同様の情報開示が行われるべきであると私は考えますが、その点はいかがでしょうか。
○衆議院議員(大野功統君) 金融再生委員会は独立性の高い三条委員会でございます。したがいまして、安定化措置法におきます審査委員会と異なりまして、金融再生委員会に関する組織法的な規定は置かれておりません。しかしながら、この健全化法におきましても情報公開の原則というのは非常に大切な原則でありまして、議員御存じのとおり第三条第六号に明確に書いてございます。
 したがいまして、私どもはこの三条委員会、つまり国会の承認人事を経て選ばれる再生委員会のメンバーによりまして、この大原則に基づいて、安定委員会で決められたと同じような、あるいはそれ以上の情報公開が行われていくことを期待いたしているものでございます。
○三重野栄子君 理由はよくわかりましたが、そうなりますように御努力をお願いしたいと思います。
 次に、今も再生委員会のことが出ましたけれども、再生委員会の委員の選任について大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
 このように、金融再生委員会は大変重要な決定を行う機関となっております。その四人の委員の任命につきましては、「経済、金融又は法律に関して優れた識見と経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」と再生委員会設置法に規定されておりました。再生委員会が発足しても、金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画立案事務は金融再生委員会と大蔵大臣の共管とされておりますが、財政と金融の分離を先取りする再生委員会の独立性の確保、委員の選任について大蔵省がかかわることはないのかお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのことにつきましては、大蔵大臣の共管ではないというふうに私は考えております。第七条、「経済、金融又は法律に関して優れた識見と経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命」される、内閣総理大臣の専権事項であると考えております。したがいまして、こういう分野からすぐれた識見と経験を有する方にお願いをするということと理解しております。
○三重野栄子君 そうしますと、私は、「経済、金融又は法律に関して優れた識見と経験を有する者のうちから、」云々ということでございますが、これは同業ではなくて幅広くの方から選ばれた方がいいと思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) したがって、私がお答えするのはやや越権でございますけれども、普通に考えますと、まず法律に関してというお方は比較的たくさんおられるだろうと思います。それから、金融となりますと、これはちょっと限られてまいるかなと。経済は実はたしか、私はうろ覚えですけれども兼職を許さないということになっていると思いまして、そして待遇は事務次官並みということでございますから、なかなか経済人は手を挙げてくださらない可能性がございます。
 しかし、これはこれで大事なパブリックサービスでございますから、すぐれた方をお願いしなければならないと思っております。
○三重野栄子君 何事もやっぱりメンバーが運営その他を決めていきますので、ぜひとも最も適任の方が選ばれるように御努力をお願いしたいと思います。
 次に、政策決定の透明性について、まず保岡議員にお願いしたいと思います。
 今回の補正予算で提案されております新しい枠組みでは、従来の預金者保護のための十七兆円のほか、この早期健全化のための勘定に二十五兆円、金融再生化法に係る金融再生勘定に十八兆円の計六十兆円の資金が預金保険機構で管理されることになります。これらの資金の使途につきまして、政府保証で返ってくる可能性のある資金だから自由に使うというのではなくて、国民に説明して資金を活用する必要があると私は考えます。
 金融再生化法で破綻した銀行の特別公的管理を行う場合に、預金保険機構が取得する株式は金融再生委員会に設けられる株価算定委員会で算定されますけれども、その決定過程の公開につきまして、共同修正にかかわられました保岡議員にお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(山本幸三君) 今御指摘のありました株価算定委員会でございますけれども、これは今回の法律ではございませんで、先般成立いたしましたいわゆる金融再生法で決められているものでございます。金融再生法の中で、破綻または破綻に準ずる場合に特別公的管理に入るときに、いわば強制取得をするという状況のときに株価を幾らにするかということが大事になりますので、それを再生委員会の中に算定委員会を設けてやるということでございます。今回の法律はそういう場合ではなくて、通常のゴーイングコンサーンの、生きている銀行の場合ということで行うわけでありまして、この算定委員会等の関連はありません。
 なお、そのもともとの再生委員会に設置されますいわゆる再生法による株価算定委員会の決定の公開ということについては、再生委員会自体がそれぞれ判断して検討されるものと承知しております。
○三重野栄子君 次に、預金保険機構理事長に二点ほどお伺いしたいと思います。
 まず第一点は、預金者保護のための預金保険機構の支出額も、当初の保険料算定時のときの予測を超えるものとなっております。現在、既に破綻して預金保険からの資金援助を待っている金融機関も三十を超えると聞いておりますけれども、正確な金融機関数、その金融機関にかかわる資金援助の予想額は少なくとも現時点でどのようになっておりますでしょうか。
 さらに、これらの資金援助額は預金保険機構の運営委員会で決定されると思いますが、委員は現在どのような方で構成されているのか。また、この運営委員会の議事についても、国民への説明責任を果たすために、理事長の記者会見だけではなくて公表内容をふやすべきではないかと思いますが、その二点についてお伺いいたします。
○参考人(松田昇君) まず、お尋ねの資金援助の関係でございますが、既に破綻が公表されておりまして今後私どもで取り扱いをしなければいけない、当機構から資金援助が予想されている案件というのは、三つの銀行と二十八の信用組合の合計三十一先が現在ございます。
 ただ、この案件に係る資金援助の見込み額の総額につきましては、これから実施される監督当局の清算検査の結果等を踏まえまして金額が確定するものでございますので、現時点でその総額を予測することは非常に苦しいと申しますか、困難な状況にございます。
 ちなみに、今まで当機構の資金援助は平成四年から行われましたけれども、合計で三十件、三十二金融機関に対して行われました。その中身は、金銭贈与が二兆六千四百十九億円、貸し付けが八十億円、資産買い取りが七千八百四十五億円、債務引き受けが四十億円と、これがこういう実績になってございます。
 次に、運営委員会の件でございますが、現在、運営委員会は委員八名以内と機構の理事長及び理事をもって組織をすることとされております。委員の方は、預金保険法によりまして、金融に関して専門的な知識と経験を有する者の中から機構の理事長が大蔵大臣の認可を受けて任命することとされております。機構発足以来、全国銀行協会連合会会長とそれぞれの金融界の各業界の代表者が、預金保険料の納付の主体でもございますし、また機構をつくったときの発起人たちでもあったという関係もございまして、その方たちを委員に任命して運営を行っているというところでございます。
 なお、ディスクロージャーの問題でございますけれども、現在議事録の公表はいたしておりませんが、一つ一つ資金援助を決定しました都度、機構の理事長、私が記者会見をいたしまして、できるだけ詳細な資料を記者にお渡しして、スキーム図などをお渡ししまして、正確に解説をして間違いなく報道されるように配意しておりますが、それ以外にも年報を出しておりまして、そこに詳細な資金援助の中身をスキーム図を添えて公表いたしております。また、近くインターネットのホームページも開きたい、このようにも考えております。
 なお努力してまいりたいと思います。
○三重野栄子君 どうもありがとうございました。インターネットの公表を大変期待しておりますから、よろしくお願いします。
 それに関連するわけですけれども、次に大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 先般の預金保険法の改正で、従来、大蔵大臣だけで任命していました預金保険機構の理事長の任命に両議院の同意が必要となりました。金融再生委員会同様に重要な事項を決定している預金保険機帯の運営委員会の委員の任命については、今後も大蔵大臣と金融再生委員会の認可によって理事長が任命することになっておりますが、職務の重要性にかんがみまして国会の同意の必要がないか、大蔵大臣にお尋ねいたします。
○政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。
 預金保険機構の運営委員会は、機構の理事長、理事及び委員で構成されておるところでございます。今言われましたように、今般の預金保険法の一部改正で、役員は国会の同意を得て内閣総理大臣が任命いたしまして、委員は金融再生委員会及び大蔵大臣の認可を受けて機構の理事長が任命することとなっていると承知しております。
 この役員の任命につきましては、金融再生法や金融健全化法による業務の追加によって機構の重要性が増したことから、それに携わるという役員人事につきましては国会の同意が必要になったと承知しているわけでございます。
 一方、金融機関の破綻処理に関します運営委員会の基本的役割につきましては一連の金融関連の法案の改正においても変更されていないことから、運営委員会の委員の任命方法につきましては国会の同意までは必要とされなかったというぐあいに考えております。
○三重野栄子君 大変時間がなくなってしまいましたので、最後に預金保険機構理事長にお尋ねをいたします。
 経営責任の追及の問題でございます。
   〔理事石川弘君退席、委員長着席〕
 このように、金融問題の対処には国民の理解を得ながら進める必要があると思います。その方法といたしまして、議事録の公開先ほども伺いましたけれども、委員の任命における透明性の確保とあわせまして関係者の責任の追及を怠らないことが肝要であると考えます一
 ところで、住宅金融債権管理機構と整理回収銀行の責任追及の実績につきまして、私の伺うところによりますと、整理回収銀行の実績が住宅金融債権管理機構の十分の一と伺っておりますけれども、そのあたり等を含めまして経営責任の追及についてお伺いいたします。
○参考人(松田昇君) 先生、御指摘のありました経営責任の追及でございますが、その前に、私ども預金保険機構グループの住宅管理機構と、それから整理回収銀行と協力し合って今やっているところでございますが、件数から申しますと、それは経営責任の追及のほかに悪質な妨害案件があるんです、暴力団とか悪質な借り手の。それを含めました件数がそういうような感じになるのでございまして、経営者の責任追及になりますと、まず刑事告発をしている件数からだけ申しますと、整理回収銀行の方が二件、うち一件は預金保険機構との連名でございますが、刑事告発を二件いたしております。
 民事請求の方につきましては、住管機構で一件、経営者をやっておりますし、そのほか、その背後にある銀行に対する融資責任解明ということで訴訟を提起しておりまして、これは預金保険機帯も訴訟に参加をしております。
 それから、和解が一件ございました。そのほか、整理回収銀行では破綻した金融機関の経営者に対しまして、これは合計で十一件、四十九名にわたりまして民事損害賠償請求を現に起こしている段階でございます。
○三重野栄子君 大変国民の注視をする、そしてまた国内外からも大変注視をされておりますそれぞれの課題について、いろいろと担当の方については御苦労をおかけしますが、頑張っていただきたいというふうに思います。
 きょうは理事長、ありがとうございました。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○入澤肇君 最初に確認的な意味で、金融機能再生法の規定とそれから今回の早期健全化法の規定の、私にとってはちょっとあいまいだと思われるところについて確認したいと思います。
 前回の質問で、この二法は非常に微妙なバランスの上にできている、やはり二法も法律を出すのでありますから、再生法は再生法で運用基準を明確につくる、それから早期健全化法は早期健全化法で運用基準を明確につくって、それぞれが別々に目的を持って運用されるべきだということを私は申し上げました。
 法律をよく読んでみますと、金融機能健全化法の方は、今回の法律で目的が修正されまして、法律の目的に金融機関等の不良債権の処理を速やかに進めるものということが入りました。再生法の方の目的では、金融機関の破綻の処理を原則とすると書きながら、その後で、金融機関等の資産の買い取りに関する緊急制度を設けるということも入っています。
 そこで、かねがねちょっとおかしいなと思っていたんですが、金融機能再生法の五十三条の一項の二の規定ですね、破綻していない銀行からの不良債権の買い取りというのは、本来であればこの早期健全化法の中で書かれるべきじゃないか、早期健全化勘定の中で処理されるべきじゃないかなと実は私は思ったんです。ただ、このときにまだ、今度日本版のRTCができますけれども、民間の共国債権買取機構のことは触れていません。これからの課題として残されているんだと思いまして、そのように理解して、それもやむを得ないかなと思ったんですけれども、いよいよこの法律が成立する運びになりますと、両者の間でどうしてそれに明確な区別がなかったんだろうかということをちょっと確認しておきたいんです。
○衆議院議員(藤井裕久君) 今、入澤委員のお話のように、私どもはこれを峻別するというかけじめをつけるというふうに考えておりました。つまり、再生法というのは、後ろ向きというか破綻向き、もう少し言葉をかえるとバッドバンク、そして今御審議をいただいておりますのは、なるたけ早目に手を打ってしっかりした金融秩序をつくろう、グッドバンク、こういうことだろうと思うのでございます。
 それで一応整理ができていたんですが、私ども今、入澤委員がそこを頭に置いて言っておられたと思いますが、野党三党のときの再生法はそういうことはなかったのでございますが、実は野党三党の再生法になかったことが最終的にいろんな経緯でございましょう、私どもは蚊帳の外だったものでわかりませんけれども、法律化されたわけで、その中には健全な銀行の不良債権も買い取るということが書いてございます。特に、五十三条ですか、イロハニのニ、こういうものについては、そこの物の整理の仕方が極めて混然としてしまって、世の中の方にもわかりにくい仕組みになったというふうに考えています。
 私どもは、この前向きの話は資本注入やなんかを一緒にやりながら不良債権を向こうへ持っていく、これが一緒になって初めていい機能を発揮するんじゃないかというふうに考えておりまして、今の入津委員の御指摘は私どもの考えと同じだと思っております。
○入澤肇君 極めて明確にわかりました。
 そこで、今度の健全化法につきまして幾つか御質問したいと思います。
 今度の法律が通りますと、従来の護送船団方式あるいは官僚の裁量行政から脱却して、事前指導型行政から事後チェック型行政に移行するんだということが一般に言われております。
 そのためにどういうシステムをこの法律の中に入れているのかといいますと、我が自由党の言い分をかなり法律に書いてもらいました。例えば、自己資本比率の区分について、要件は法律により明確にする。それから、資産査定について非常に疑わしいという意見がございました。したがいまして、資産査定等の虚偽記載に対しては厳しい処分をするんだとか、それから経営健全化計画、これも非常に信頼性が少ないという意見がございましたけれども、仮に虚偽の報告があった場合にはその訂正措置を講ずるということも法律に書いてもらいました。それからさらに、その履行確保のための措置も書かれまし在さらに、情報の開示の義務化、努めるという規定から開示することというふうに義務的な規定になった。このようなことで一応のルールができたと思うんです。しかし、私は必ずしもこれだけで十分であろうかと実は思うわけであります。
 さらに、次のような点は検討できないのかどうかということなんですけれども、一つは、まず監督庁がこれらの事後チェックをするわけですから、この一定のルールに基づいて、デュー・プロセス・オブ・ローに基づいていろんなことがなされた後、監督庁の検査体制を強化しなくちゃいけない。さらに外部チェック制度、こういうことも取り入れて自己査定制度の客観性を高めるというふうなことも考えていくべきじゃないのかと思うんです。
 そうなりますと、この事前指導型行政から事後チェック型行政への移行がもう一段と確実になるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(藤井裕久君) ただいまの事前指導型から事後チェックへ移るということはもうお話のとおりですから、繰り返しません。繰り返しませんで、おっしゃるとおりその事後チェックの一つの機能として、前提としていろんな情報を公開する、開示する、そしてそれに基づいて金融機関が自分でいろんな評価をする、そしてだめだったときにはそれに罰則で対応する、こういう形だと思います。
 そのときに、今の御質問の趣旨は、恐らくチェックのときに役所だけではない方がいいんじゃないかという御指摘だと思います。私は大事なことだと思いますし、例えば公認会計士制度とかそういうものをこれから変えていかなきゃいかぬと思います。公認会計士などもこれは外部チェックでございます。今必ずしもその機能が果たされていなくて、むしろ立派な公認会計士ではない人の例ばかりが出てくるようでございますが、私は公認会計士制度などの充実というものを通じまして外部のチェックを受け、信頼を高めていくということは大変大事なことだと考えております。
○入澤肇君 今最後に申しました情報の開示につきまして、これを一層徹底させることが私は必要だと思っているんです。特に第U分類債権、これが非常に幅が広くて、例えば病気になった人から入院する直前の人まで含まれているのだなんというふうに大蔵省の解説書に書いてあるらしいのですけれども、第U分類債権の一層の細分化とその公表を進めるということは情報開示の面で一番大事になってくるのじゃないかと思うんです。
 それからさらに非分類債権、これも全部が健全とは言えないと一般に言われております。これも優良担保の有無で細分した上で開示を求めるべきではないかと思います。
 それからさらに、もう一つこの情報開示に伴う問題点といたしまして、一般企業がみずからの債務者としての区分に神経質になる、システミックリスクが金融機関セクター以外に拡散しているというふうに一般に言われていますが、この点については、こういうことを考慮した上でやはりやらないというのか、あるいはこういうことの制度の反射的な効果として取り入れてしかるべきだと割り切るべきではないかと思うんですが、それについてはどうお考えでしょうか。
○衆議院議員(藤井裕久君) 今のお話の前半の第U分類はいろんなものがあるんだよというのは全くそのとおりだと思います。
 例えば、ちゃんとした担保が昔はあったんだけれども、土地の下落によって担保は不足している、しかし収支は立派にやっている会社もいっぱいあります。恐らくこれは第正分類になっているんでしょう。私は一つ一つ批評しません。それから収支が本当に悪いのもあるでしょう。いろんなケースがありますので、第五分類を一律に考えるという考え方はおかしいという意味においてはそのとおりでございまして、あえて申せば、今度の修正案に私どもが乗った一つに、基準はしっかり出す、引き当ての基準はしっかり出すが、これは規則にゆだねるというのは私は実情に合ったやり方だと思っております。
 第正分類は細分化してやるという物の考え方は賛成でございます。
 ただ、一般的に日本の第正分類の引当率が低いということも事実でございまして、ただアメリカのまねをすればいいというようなことではございませんで、それこそ再生委員会でよく勉強してもらって、少し細分化した中でいい引当率をつくっていただくのがいいと思います。
 それから、発表の仕方でございますけれども、確かに個別の企業を出すことについては私は問題だと思っています。第正分類がこのくらいあるよ、この中でこのくらい引き当てたよ、これは公表してもらわなきゃ困る。しかしながら、A社が我が銀行の第正分類である、こういうことを言うのはいけない。そこらも公表の仕方の問題だと思うのでございますが、再生委員会でしっかりしたことをやっていただけるものと私は考えております。
○入澤肇君 非分類債権について、担保の有無で細分化するということについては、いかがでしょうか。
○衆議院議員(藤井裕久君) 第T分類とか第U分類というのは、何かもう物すごく世間から認知されたようでございますが、分類というのは要するに金融行政上の一つの仕組みにすぎないのであって、SECなんかはまた違う基準を言っているわけですね。それから税もまた違うことを言っておるわけでございます。
 私は、第T分類がどう、第U分類がどうという議論も今進んでおりますのでそれを前提にはしますけれども、非分類ということを本当にみずからもこれは非分類だと、そして事後チェックを受けるまではわからないわけですけれども、それで一応通っているものについてはこれに引き当てを当てるということは、貸倒引当金という制度があるわけでございまして、貸倒引当金の中で一般的にとらえるべきものだと考えております。
○入澤肇君 午前中の日出委員の質問にもございましたけれども、それからまた幾人かの委員からもありました国による強制注入、これは新聞で大きく出ているものですから、皆さん非常に関心があると思います。なかなか強制注入は難しいんだ、あるいはそれについての小渕総理の見解も先ほど読み上げられました。
 これについては今申請主義ですけれども、一般的に我が国で申請主義というのは、行政が間に入りまして十分に内容をチェックしていますとシグナルを送って申請させ主義で処理していることが非常に多い。申請主義といきなり強制に行く中間に申請させ主義。申請させ主義というのは、今、地に落ちたかに見える行政、裁量行政はいかぬいかぬと言いますけれども、私は一定の裁量行政はやむを得ない面があると思うんです。非常に細かく緊張感を持って状況をウォッチングしていて、これはおかしいぞと思ったら金融機関に対してシグナルを送って申請させるというふうな、行政庁の権威の回復のためにもそういう具体的な運用の基準を持つべきではないかと思っているんですが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(藤井裕久君) まず、今の金融の状況というのは、経済をここまで異常にしてしまった結果出てきた異常状況だと思うんです。そして、それはまさに金融の危機管理だと思うんです。ということは、逆に言うと、今までの常識的な経済政策では対応できないという話と連動しているがゆえに、今回のこの一連の金融の法律ができていると思います。私は、平常だったらこんな法律はとんでもない話だと思うんですね。なぜならば、資本市場から調達すればいいんですから。ところが、そうじゃない経済の環境ができてしまって、だれがつくったかは言いません、つくってしまって、そしてその中で金融が異常になれば、やはり今までの常識の外のことをやらなければならないのは私は事実だと思います。
 その一つが今の状況でございますが、もう一つおっしゃった強制注入というものも、それは選択肢の中に私はあってもおかしくないぐらいに考えております。ただ、官房長官がさっきちょっと言われましたが、これはそのとおりだと思うのでございますが、早期是正の監督命令と連動する形で強制注入をさせることは可能だと私どもは考えておりますし、私どもの党では、異常危機状態であるという前提において強制注入も、それはいろいろ憲法だとかなんとかいう話もありましょうが、あり得ると考えております。
 そこで、その中間の話でございますが、せっかく入津委員が言っていただきましたように、行政の事前介入というんでしょうか、それはなるたけ避けるのが筋だよということから見て、新聞の一部に出ているのはあるべき姿ではないなと私は思っておりまして、やはり法律に基づいてきちっとした行政をするなら、それはこの法律を今御審議、僕は与党でも何でもないわけですからそういうことを言うのは行き過ぎでありますけれども、この結果を見ていろいろ考えるべきことだというふうに思っております。
○入澤肇君 私も結論的には今のでいいと思うんですけれども、そうなりますと、先ほど笠井委員からも質問が出ましたけれども、再生委員会のいろいろな承認の基準がございます。第六条、第七条、第八条、いずれも再生委員会の承認を得るというふうなことでありますけれども、承認の基準は法律には極めて抽象的に書いてありますね。その承認の基準を具体的に再生委員会が承認するときの基準を明確にして、それを公表して、あるいは官報告示ぐらいで重々しくやることが私はいいんじゃないかと思うんです。そういうことによって、先ほども一〇%が八%になったら異常な状態になるというふうに判断されて勝手なことをやるんじゃないかとかいうふうな、そういう疑問にもきちんと答えられるんじゃないかと思うのですけれども、それについてはいかがですか。
○衆議院議員(藤井裕久君) 今のお話のとおりだと思います。民主党案はそれを全部数字で書けということ、これは私は一つの御見識だと思ってずっと伺っておりますが、やはり現実の問題として、実は当初の自由民主党案にはなかったんですね。こういう基準をつくるんだよ、そしてそれを公表するんだよ、そしてそれに基づいて自分たちはやるけれども、間違ったことをやったら罰則があるんだよと、これがなかったんですね、この一連のもの。それを入れたことによって私どもは賛成いたしました。これはまさに事後チェック行政というもののあり方だと思います。
 そして、さっき引当率のようなことのときに、もう今からつくろうといったってなかなか難しい面があります。ケース・バイ・ケースでいろいろあるということから見て、法律に数字を入れるには適していないというふうに考えておりまして、このような案を私どもは共同提案させていただきました。
 したがいまして、入津委員が今ずっとおっしゃったような脈絡の上で同じに考えた結果、共同提案に賛成していただいたと御理解いただきたいと思います。
○入澤肇君 これは衆議院でも議論がございまして、佐々波委員会の審査基準が非常にあいまいでなかなかわかりにくい、むしろそれをもっと公にすべきじゃないかというふうな議論があったと思いますけれども、この再生委員会の承認の基準も具体的に客観的な基準に引き直して、抽象的な基準を客観的な基準に引き直して、それをみんなが知識として共有するというふうにすることが必要じゃないかと私は思っています。
 それから、この法律の仕組みができますと、いよいよ経営の効率性が改善されまして、銀行、金融機関の構造改革が一歩進むということになっていくんじゃないかと思うんですが、そのプロセスの中で、例えば公正な基準によって債権が分類されて、そして早期是正措置があり、あるいは業務改善命令が実施されるとかいうふうなことで、破綻した銀行は市場から退場させる、あるいは破綻していないけれども自己資本不足に陥っている銀行に対しては、自力で自己資本調達できない銀行に対してリストラあるいは業務改善を条件に公的資金を入れるというふうなことによって構造改革が進むと思うんです。
 これが邪推であればいいんですが、きょうの新聞によりますと、十九行ある十行に一兆円ずつ入れると言っているんですね。これは、これから先の金融業界の再編成ということを念頭に置いているか、あるいはみんながそういうことを意識して言っているものなのかどうかについてお尋ねしたいんです。
 オーバーバンキングと言われて十九行では多いんだというふうなことが言われておりますから、そういうことに対して、いや日本の金融機関の数は十行程度かな、それに対して一兆円ずつ入れるのかなというふうなことで記事が出ているのか、それについてひとつ専門家の御意見をお聞きしたいと思います。
○衆議院議員(藤井裕久君) 私は、この一連の金融関係の法律は、今経済を非常にマイナスに引っ張っている不良債権の早期処理ということが一つと、もう一つは、入澤委員が今言われましたようにビッグバンという物の考え方の方針、方向があるわけですね。それは、オーバーバンキングという言葉もお使いになりましたが、世界に通用する強靱で健全な金融システムをつくることだと思います。我々は、ですから個別行を救済するなんということは絶対考えちゃいけないと思っております。ただ、強靱で健全な金融システムをつくるということを頭に置いてやらせていただきました。
 きょうは、これは政党の宣伝をする場ではありませんから私は言いたくありませんが、その観点は私どもの原案というか素案に一番あったと思うんです。そこはどこかというと、業務改善命令を出すということはほかの案にはありませんでした。私は一業務改善命令によって合併を、金を入れた以上は命令によって合併してもらうというようなことをやらなければ一連の金融関係法の一つの面は、目的は達成されないと思っておりますので、これが本当にできるかどうかというのはそこらだと思います。しっかりした適切な命令によって金融の秩序を再編成する、これが本当のビッグバンの最大の目的であったのが、何か今目先の不良債権のことばかりに行きがちでございますけれども、もう一つの大事な面だと考えております。
 今後、法律ができたときに政府に心から期待したいと思っています。
○入澤肇君 この点はちょっと大蔵大臣に御見解をお聞きしたいんです。
 日本がオーバーバンキングの状態にある。日本の金融機関の数が多過ぎる。信用金庫まで入れますと大変な数であります。そういう中で、まだ共管で金融についての企画立案は大蔵省にあるわけですから、どのように我が国の金融機関が、これから外国の資本がどんどん入ってくる状況のもとで、外国の金融機関が入ってきているような状況のもとで、一般的に言って一体我が国の金融業界のあるべき姿。いろんな垣根は取られました。保険会社、証券会社とも垣根が取られましたけれども、そういう中で業務提携も進んでいます。合併まで行っているところはまだ出ていませんけれども、例えば東海とあさひとか、いろんなところの大手の異業種の提携あるいは同業種の提携が進んでいます。
 こういうことも含めまして、これからの日本の金融機関、構造改革のあるべき姿みたいなことについて、感想でも何でもいいですから、お聞かせいただければありがたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、中央のいわゆるマネーセンターバンクスでございますけれども、現在非常な緊張かつ不安な状態にあると申し上げていいと思います。それは、一つは大きな不良債権を持ちましてその処理に寧日ないありさまですけれども、同時に貸し渋りということの指摘も受けて、その間の矛盾に非常に苦しんでいるということがございます。
 それからまた、御審議中の法案を初め既に成立いたしました関連の法案の御審議の過程で、従来の銀行の経営者のビヘービアというものは極めて厳しく批判をされ、そしてまた、今後もそういう責任は厳しく問わなければならないというのが大半の御意見でございましたので、それは必ずしも刑事事件という意味ではありませんけれども、経営責任ということになれば、これは恐らくだれも逃れることができないようなことでございますから、そういう状況の中である意味で、萎縮という言葉もよくございませんけれども、モラルは非常に低い状況でございます。しかも、今おっしゃいましたように、ビッグバンになりまして外国銀行との競争をしなければなりませんが、自分の体力ないしモラルが非常に低いときに競争しなければならないというのは二重に負担になっておると思います一
 そういうところで、しかし過去の護送船団行政はもう完全に終わりましたので、今度の法律等々によって、まず金融監督庁の初めての一種の厳しい検査によって優劣はおのずから明らかになる。それは、本来消費者にとって望ましいことですけれども、今まで日当たりにいた経営者にとっては容易ならぬことであると思います。
 しかし、それは同時に、いいところはディスクローズした方が得だという気持ちになっておりますから自然にディスクロージャーが行われるようになる、したがっていいところはいい商品が出せるということになろうと思います。そういう中で、しかし自分だけで生き延びる自信のあるところとないところ、自分だけというのは種端ですが、助けをかりなければ、あるいは一緒にならなければ難しいというところも自然に明らかになってまいっておりますから、国内あるいは海外との提携も大分進んできまして、これも説教するよりは実際のニーズからそういう国際化が起こっているということだと思います。
 その中で、いわゆる世界の金融界に本当に一人前のチャンピオンとして出られるところが幾つあろうか。私は、しばらく前は、こういう不祥事件がございます前は、銀行で一つ、二つ、証券会社で一つぐらいのことを考えておりましたけれども、みんな傷ついておりますので、ちょっとやっぱり時間がかかるのではないかと思います。
 それから、それ以外の大きな銀行は、自分の特化したラインを、サービスにしろ商品にしろ、それを特化していって自分の特色を出して生き残っていこうとするのではないか、地方銀行は概して私は安定しておると思いますけれども。しかし、今まで随分の銀行が八%銀行でやってまいりましたけれども、これは今思えばステータスシンボルみたいなもので、高い標準を維持しなきゃならないだけでございますから、自然にそれは淘汰されていくのではないか。全体そういうふうに思っておりますが、二〇〇一年のペイオフのところまでがまず一つの勝負の区切りではないか。
 いずれにしても、利用者にとっては初めて有利なと申しますか、利用者本意の金融情勢が展開する可能性が出てまいりまして、殊にいろいろな法律をつくっていただきました結果として資本強化ができるようになりますと、ぼつぼつ貸し渋りの問題も少しずつ直っていくということを期待いたしております。
○入澤肇君 終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○佐藤道夫君 私からは、法律問題を二つ取り上げまして議論してみたいと思います。
 その第一は、預金保険法六十二条、金融機関の合併のあっせんに関する規定についてであります。これは既にして過ぎ去ったことではありますけれども、私自身法律家の端くれといたしまして、こういうことを少しく議論してみる意味があるのではないかという感じがいたしまして、取り上げるわけでございます。
 預金保険法六十二条、金融機関が破綻した場合、破綻金融機関がある場合に、大蔵大臣はほかの金融機関との合併のあっせんをすることができる。これは、破綻した金融機関を放置しておけば大変な問題になりますから、ほかで引き受ける銀行があるかどうか、いろんなあっせんをする。当たり前と言えば当たり前のこと、政府の責任、こう言ってもいいわけでありますが、破綻前、破綻認定をする前にこういうことは一切やるべきではない。要するに私的自治の範囲ですから、企業同士の話し合いで合併する。それに政府が何も口を差し挟む理由、いわれは一切ないわけであります。まさしく民間任せでいい。
 ところで、八月二十日だったと思いますけれども、小渕総理が突然に住友信託銀行の社長を呼びまして、長銀との合併を持ちかけた、強い要望をした、こういうふうなことが報道されまして、私はあれあれと思ったわけであります。
 長銀はそのときまでに破綻したというふうには我々は一切聞いておりません。破綻金融機関との認定はしていない。それにもかかわらず、長銀との合併についてどうかということを総理大臣が民間の金融機関の長に持ちかけること自体、これは預金保険法がそれはしてはならない、そこまでは政府のするべきことではないと言っている合併のあっせん行為そのものではないのか。住友信託銀行が、は」いい話でした、早速にと、こういきましたら、それはまさしくもう合併に取りかかる準備でありますから、合併のあっせんということなのでありまして、今に至るも長銀はまだ破綻したというふうにも聞いておりませんけれども、一体これは何だろうか。
 長銀問題が大変大事だ、重要性がある、緊急性がある、必要性があるということはよくわかりますけれども、それだからといって、でき上がっている法律を無視して政府が動いてはならないことはこれまた明らかであります。そんなことをすれば、国民だって、自分のこの仕事は大事だから法律ぐらいちょっと破ってもいいだろうということにもなりかねないわけでありまして、放任することはできないんじゃないか、やっぱり政府からもきちっと釈明してほしいなという感じがいたすわけであります。
 そして、その席には宮澤大蔵大臣も同席しておったというふうになっております。宮澤大蔵大臣は財政、金融のプロ中のプロというわけでありまして、恐らく預金保険法などはもう全条文をそらんじておるぐらいだろうと思いますから、こういう席に一緒に来てくれと言われた際に、その用件を聞きまして、それはちょっと総理、いかがなものだろうかと。仮にへ理屈を並べて、これはあっせんには当たらないというふうなことを言ったにしても、国民はそうは受け取らない、これは合併のあっせん以外の何物でもないというふうに誤解する国民が圧倒的に多いのだろう。それはおやめなさい、破綻認定をしてからのことでございましょうと言ったのだろうと思うんですけれども、言ったのか言わなかったのか、言わないとすれば理由は何なのか、それからこの問題について大蔵大臣としてどうお考えなのか、その辺のところをちょっとお教え願えればと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣が公邸でそういう会合を開かれましたのは、もとより預金保険法六十二条の関係ではございません。破綻をしておりませんから、そのことには何にも関係がありません。
 むしろ、金融監督庁の方から、長銀がこういう状況になって、そして住友信託に援助を求める、そのためにみずから厳しいリストラの案をつくられた、それは事実上、長銀が長銀としてはなくなるという意味のリストラでございますが、そういうことを総理大臣が聞かれまして、このことはとにかく世界有数の銀行が吸収されるということでございます。そうでありません場合には非常に影響も大きいことでございますから、そういうことを総理大臣が聞かれて、そして両者の間の私的契約でございますけれども、それが進みつつあるという状況において、もしこの私的契約が無事に進むようなことであれば国としては必要な支援をすることは惜しまない、そういう国としての、総理大臣としての判断を言われたものでございます。
 したがいまして、これは法律に基づく行為であると私は考えたことはございません。金融界における大きな出来事は我が国の国民の休戚に関係いたしますから、そういう意味で総理大臣がこういう会合に関係者を招かれたものというふうに了解いたします。
○佐藤道夫君 そういう私的な話し合いに政府は介入すべきではないという大前提をお忘れなのでありましょうか。介入できるのは当該銀行の一方が破綻した場合であるということなのでありまして、合併したらどうだこうだと言うこと自体、もはや介入そのものでありまして、それはできないというふうになっておるわけであります。先ほども申しましたけれども、どんなに重要であっても必要であっても緊急性があっても、できないことはできないわけですから、国民だって法律を守って生きているわけでありまして、政府だから勝手なことをしていいということには絶対にならないわけです。
 私的な実施の範囲に踏み込んでいって、合併したらどうだとか、大変だろうな、同情しますよ、いろんな問題もあるんでしょうなんて、そう言うこと自体が私は政府の出過ぎだと、こういうわけであります。合併のあっせんならば、やっぱり預金保険法の枠内でやるべきことなのでありまして、こんな当たり前の法律論を私はここでしょうと思っていなかったのであります。
 では、何のために破綻銀行に限ると、預金保険法はそういう限定をしているんですか。およそ、どんどん介入してよろしい、国の危機の場合には何をやってもよろしいと。預金保険法自体要らなくなるのではないかという感じもいたしますけれども、これは法律論ですから、ちょっとお答え願えればと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 何も預金保険法に従ってあるいはそれに反して総理は行動されたものと私は考えていないんです。
 ですから、法律に反するとおっしゃいますけれども、総理大臣がこれだけの国の大きな出来事に臨まれて、そして介入というのも、今申し上げたとおり法律的な介入をされたわけではありません。そういう合併話がボランタリーにあるそうであるが、それは自分としては結構だと思う、その必要があれば、この条件が満たされれば公的な支援を自分はしていいものと思うと言われることは、少しも法律行為ではありません。預金保険法に反するあるいは反しないという、そういう物差しに関係ない行為と思います。
○佐藤道夫君 少しくおかしいと思います。政府というのはまさしく権力そのものでありますし、総理大臣というのは権力者そのものであります。その人が深夜、私企業の長を呼びつけましていろんな話をする。あの銀行と合併したらどうかとか、その場合には最高の支援をするであろうとか、そういうことを言う、やる権限があるんでしょうか。
 そういうことのためには、やっぱり法律が必要だと私は思うんです、この国は法治国家でありますから。法律の枠を飛び越えて何でもやっていい、大変な状態なんだと言い出せば、何回も言いますけれども、もう切りがない、そんなものは法治国家と言えないと私は思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、そう考えておりません。法律に反することはできませんけれども、すべてが法律に従って行動しなければならないということはないと思います。
 政治というものは、元来法律に従ってすることではないし、総理大臣は国のあり方について最高の責任者でございますから、したがって自分としてこうなればいいということについて、総理大臣が、呼びつけるということはまた余り私はこの際当たっていないと思うのですが、自分としての考えを述べ、また国として支援をする用意があると言われることは何の法律にものっとっておりませんし、したがって何の法律も破っていないと思います。
○佐藤道夫君 この問題はこれぐらいにいたしますけれども、もし機会がありましたら法律の専門家の意見でも徴してみていただければありがたいと思います。政府、特にそのトップである総理大臣はそんなに軽いものではない。あっちに首出し、こっちに首出し、こうやれああやれと、法律の根拠もなしにそういうことができるのかできないのか。恐らく行政法の先生などに伺えば、それはということで私以上に明快な回答が得られるかと思います。
 いずれにいたしましても、この議論はこれで打ちどめにいたしまして、次は株式の評価の問題であります。
 今回の三党案につきましては、これは触れられていない。報道によりますれば、低価法か原価法かのいずれによってもいいということのようであります。それから、民主党案ははっきりと低価法ということを法律で打ち出しておるようであります。
 この株式の評価というのは、実は商事関係の基本である商法に規定があることはもちろん御承知と思います。商法の二百八十五の六でありましょうか、規定があるわけであって、株式の評価はどうするか。これは、財産の評価は本来時価でいくべきなんですね。時価で幾らかということでこの会社の財産はと、こう打ち出すのが当然なわけですけれども、株式につきましては時価ではなくて原価だということを商法がうたっています、原価主義と。
 これはなぜか。簡単に言いますれば、仮に千円で株を買います。しかし、株ですからいつも動いているわけで、百十円になったり九百九十円になったりする。ですから、大体のところは、財産としての株の価値は取得価格で表示しておけばわかるでしょう、そんなに大幅な変動もないでしょうと、こういう前提があるわけで、常識的な規定だと思います。
 しかし、非常にまじめな企業家が、やっぱり客観的にきちっと表示したいと言えば、これは時価で表示してもよろしいというふうに商法はしておるわけでありまして、これはいずれも平穏な時代の、経済情勢が落ちついている場合の株価の変動、これもさざ波程度の変動だろうと思います、それを前提にした規定であります。
 これはこれでよくわかるんですけれども、バブルになりまして、バブルは一つの例でありますけれども、バブルがはじけまして株価が大幅に暴落する、こういう場合にどうするか。例えば、五千円で買った株がはじけた結果、一割の五百円も割って五十円も割ってほとんど無価値同様になっている、こういう場合にどうするか。
 こういう問題もきちっと商法は対応しておりまして、御案内と思いますけれども、暴落してそれがある期間内にもとに戻らない場合には時価によるべしと。要するに客観的に正しい価格でやれということですね。これはまただれが考えても同じこと、常識的なことなのでありまして、暴落した場合にバブル期の購入価格を有価証券報告書に掲げる、これはもうインチキ以外の何物でもありませんから、現在の価格を書きなさいというのが商法の考え方です。
 会計準則にいたしましても、それから大蔵省の通達にいたしましてもすべて商法に基盤を置いて出されているわけであって、商法を無視するような、反するような会計準則とか大蔵省の通達とかあればそれは完全に間違っておるわけですから、基盤はあくまでも商法による、これは当たり前のことだろうと思います。
 ところで、今問題になっているのは、銀行協会がこの前、自民党の池田政調会長に陳情をしたということが新聞に出ておりました。要すれば、原価は取得価格で表示させてくれということを陳情した。こんなことは陳情で決まるんじゃなくて、もともと商法の解釈で決まる問題であります。当然なことだと言ってもいいわけであります。一体何だろうか、この一連の話はと私は思うわけであります。
 一番問題は、長銀の株、これはバブル期に二千七百四十円していたんです。今はたったの十円。この長銀株というのは金融機関が、銀行がほぼ四割以上、五割近くを所持しておるわけです。それから、今あれこれと問題になっておるさくら銀行、バブル期には二千六百八十円、現在は二百三十四円、かわいそうなことであります。富士銀行、三千六百六十円、三百四十一円。大和銀行、この三行が今あれこれと言われておるわけですけれども、千七百円のものが百五十三円、要するにバブル期でこんなに高かったものがこうなっている。
 そして、ここから先が大変大事な問題なんですけれども、銀行同士がお互いに株を持ち合っているわけです。長銀の株は、先ほど言いましたけれども五割近くをほかの銀行が持っている。そこで、これを有価証券報告書に書く場合に、銀行とすれば高い価格、バブル期で取得した価格で書きたい、そう思うのも当然でありますけれども、これは率直に言えばインチキなんですね。そんなことは許しがたいことなんで、やっぱり有価証券にはきちっと現在の価格、商法に従って表示すべきではないのか、こう思うわけであります。バブル期の価格を、どっちでもいいんだと自民党が言うからそうやろうと言えば、これは明らかに有価証券虚偽記載罪が成立いたしまして、自民党の池田政調会長はその教唆犯ということにもなりかねないわけであります。
 それから、虚偽の記載をして目当すれば、これはタコ配当ということでまた商法違反の罰則がかかってくるわけなのでありまして、どうも余りにも便宜的過ぎるんじゃないか。銀行も困っているから高い価格で表示していいんだというふうなことをそう簡単に私は言ってもらいたくない。そういうことは商法を改正してから、商法というのは基本六法の一つですから、議論すべきことではないのか、こう思います。
 この問題は、一体だれにぶつけて回答をもらえばよろしいのかよくわかりませんので、とりあえず金融監督庁に、今のようなケース、バブル期に長銀の株が二千数百円していた、それが現在もう十円にもならない、これを二千数百円と記載すれば有価証券虚偽報告罪になるのかならないのか、それに従って配当すればこれはまたタコ配当になるのかならないのか、その辺をちょっとお答え願えればと思います。
○政府委員(日野正晴君) お答えいたします。
 従来は、大蔵省の通達で決まっておりましたのが低価法ということでございました。
 これを現在の経済情勢にかんがみまして選択制にしたわけですが、先ほどからお話を伺っておりますと、何か原価法をとった場合に時価で評価することは誤りであるかのようなお話でございますが、決してそんなことはございません。
 先ほど、商法やあるいは企業会計原則を引用されました。つまり、取得価格から著しく下落した、この著しく下落したという解釈はいろいろございます。商法や企業会計原則の解釈は、民事局長あるいは大蔵省の局長にお願いするのが筋だと思いますが、従来から大体半分以下に下落した場合には下落した方の価格で評価すべきだ、こういうことになるのが商法や企業会計原則でございます。原価法だから必ず取得原価で評価するといったものではないことは自明だと思います。
 さて、それで私どもが検査に行きましたときに、原価主義をとっている金融機関が原価で評価している、しかし実際は、仮に著しく下落した、これが半分以下に下落しているような場合に、依然として原価で評価しているということは、これは御指摘のとおり商法や企業会計原則に反するわけでございますので、これは改めるように私どもの方としていろいろ指摘させていただいているところでございます。
○佐藤道夫君 最後に、一言だけ。
 その話は、機会を見て自民党の池田政調会長にしておいてください。そう簡単なものではないということは彼も理解できると思いますから。
 以上で終わります。(拍手)
○菅川健二君 お疲れのところ、もうしばらくよろしくお願いいたしたいと思います。
 金融機能の早期健全化法案について、まずお聞きいたしたいと思います。
 自民党及び三党共同修正案につきましては、先ほど来話がございますように、有価証券の評価方法とかあるいは資産の引き当ての割合等につきましてなお不透明な部分が多くあるわけでございます。ある学者によりますと、着物を着たままレントゲン写真を撮るようなものだということを言っておるわけでございます。
 また反面、民主党案につきましては、大変よくわかる、内容が見え過ぎるわけでございますが、それとあわせて診断基準というものがこれまた簡明で非常にわかりがいいわけでございます。果たしてそれぞれの体力、体格に合ったきめの細かい診断になるのかどうかということについて、若干なお検証が必要ではないかと思うわけでございます。その点、先ほど坂口議員の方から民主党案についてあこがれを持っておるんだということを言われたわけでございます。また、自民党のここにおられます理事のお一人も多分あこがれを持っておられる方もおられるんじゃないかと思うわけでございます。
 二〇〇一年四月のペイオフに備えまして、その時点においてははっきりした中身を開示するということが、預金者が判断するのについては最低限必要なわけでございます。それまでに二年半弱しかもう時間がないわけでございます。したがって、今の案につきまして、現状のような大変金融機能の麻痺状況におきましてはやむを得ないにしても、もうしばらく落ちついた段階で、例えば一年後なら一年後により民主党案に近いような透明度の高い案に修正する、あるいは改正する必要があるんじゃないかと思うわけでございますが、坂口議員、いかがでございましょうか。
○衆議院議員(坂口力君) 私たちの考え方といたしましては、今先生が御指摘のように大体来年の三月三十一日までぐらいが今の限度でありまして、四月一日からは低価法なり時価法にこれは改めるべきではないか。現在、年の中間でございますし、今すぐ変えるということはいささか無理があるのではないかという考え方でございますが、そういう考え方を私たちは持っております。
 そして、先ほど申しましたように急激に変えるということは経済的混乱ということもあり得る、経済は理想に向かって変化をしてくれるわけではない、反理想に変化をすることもあり得るということでなかなか踏み切れなかった、そこを民主党さんは踏み切られたわけでありまして、あこがれを持っていると、こう申し上げたわけでございます。そういう点で、現在の経済をこれ以上混乱させてはならない、しかし近い将来にそうした方向に持っていかなければならない、こういうふうに思っているところでございます。
○菅川健二君 全く同じ意見でございますが、自民党の発議者の皆さん、いかがでございましょうか。
○衆議院議員(大野功統君) 私はあこがれに生きているんじゃなく現実に生きておりますので、現在のやり方、貸し渋り対策としては大変重要な現実的な対応だと思います。
 そこで、しかしながら危機管理というのはやはり時価評価をしていかなきゃできません。ですから、早い時期に落ちついたら時価評価というようなことでやっていかなきゃいけない、企業会計審議会でも十二年四月一日ぐらいでどうかなんという話も出ております。落ちつきましたらあこがれの世界でやっていきたい、このように思っております。
○菅川健二君 できるだけ早く民主党案が現実のものとなるように私も願望しておきたいと思います。
 それから、この法案につきましては金融システムの安定化がポイントでございますが、あわせて貸し渋り対策にも役立つものでないといけないと思うわけでございます。たびたび御指摘がありますように、十三兆円スキームの金融安定化法というのが、三月時点の二十一行、一兆八千億の投入というのは貸し渋りに全然役立たなかったという反省があるわけでございます。その反省の上に立って、この新たな法案は貸し渋り対策にどのような対応をとろうとしておるのか、それの担保規定というのはどうなっておりましょうか。発議者の皆さん、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
○衆議院議員(坂口力君) 貸し渋りというものがなくなりますことを私も期待いたしております一人でございますが、しかし再生化法だとかあるいは健全化法が成立をいたしまして、その暁において貸し渋りがそれでは全部なくなるかということにつきましては、私はいささか暗い思いを持っているわけでございます。
 なぜかと申しますと、貸し渋りという現象の原因というのは、不良債権も一つの原因ではございますけれども、不良債権だけがこの貸し渋りの原因になっているのではないというふうに私は理解をいたしております。もっと総合的な現在の金融機関の構造的なものが原因であって、そしてその一つの症状として貸し渋りというものが起こっているというふうに思っております。
 したがって、今回のこの法案が通り、そして資本注入が行われたといたしましても、それで不良債権が一部解決をしたといたしましても、それによって貸し渋りが急速に終えんするとは私には考えにくいわけでございます。資本の注入は、不良債権をなくしていただくことも大切でありますが、二〇〇一年三月までの間に銀行の構造改革というものを積極的に進めてもらうことこそが貸し渋りを一日も早くなくすることに結びつくのではないだろうか、そんなふうに思っております。
 日本の銀行は非常に経費がかかり過ぎるということも言われておりますし、また各種手数料等をもっと取るようにしたりとか、あるいはまた多様性を進めていったりというようなことこそが大事であって、そうしたことを抜きにしては貸し渋りは直らないのではないか、そんなふうに思っております。
○衆議院議員(大野功統君) 私どもは、坂口先生よりはよっぽど楽観的な見方をしております。論理的に言いましたら、国際業務に携わっている銀行としましては一兆円を投入しますと十二・五倍になるわけでございます。それほど楽観的ではありませんけれども、我々、やはりこの健全化法に基づいて病気は治っていくんだ、こういう気分を広めてまいりたい、このように思っております。
○菅川健二君 今おっしゃられた楽観論というのはなかなか難しいと思うんですが、いずれにいたしましても構造的にいろいろな要因がある中で、やはりこの法律というものが一つの契機になって貸し渋りが少しでも解消できるように努めていただきたい、これは特に政府の方に要望しておきたいと思います。
 次に、金融再生緊急措置法に戻りますけれども、金融再生委員会規則によりまして資産の査定の公表を行うことになっておるわけですが、三党覚書によりまして、中小零細企業に対する信用収縮が助長されないよう、実施時期、公表内容等について十分配慮を行うこととされておるわけでございます。この実施時期、公表内容について具体的にどのようにお考えか、金融監督庁長官によろしくお願いしたいと思います。
○政府委員(日野正晴君) 今御指摘になりましたこの再生法第七条の規定でございますが、これは規則によりましてその内容をどうするかということが決められますので、私どもの方から何かお答えするということはちょっと越権のような感じがいたします。
 しかし、お尋ねでございますのであえて申し上げますと、確かに情報の開示というのは大変大事なことでございまして、特に金融機関の場合には透明性を高めて市場規律に任せる、あるいは預金者の自己責任原則を貫くといったような意味では大変大事なことでございます。特に第七条で規定をしておりますのは、従来のいわゆる自己査定といったものを七条で公表させようということが目標となっている立法趣旨であろうと考えられます。
 私どもは、従来から自己査定というのはそれぞれの金融機関によりまして物差しが違うと。それと、決算に至るまでの一つの準備行為にしかすぎないといったようなこと。また、特に第U分類に属しますような債権は玉石混交でございまして、これが公表されますと、債務者の中には、実際は一生懸命やっておりまして利息も払っているんだけれども赤字経営であるといったようなところもございます。こういったところが公表されるということは、その企業にとって死命を制するといいますか、そういったことにもなりかねませんので、私どもといたしましては、各金融機関が自主的に開示されるのであれば、これはそれぞれの金融機関のお考えだということで、今までそういったスタンスで参りました。
 しかし、こういう第七条という形で公表が義務づけられるようなことになりました上は、できましたならば私が今申し上げましたようなことをぜひお考えいただきまして、特に現在営々としてやっている、しかし現下の経済情勢で赤字でどうしようもないといったような会社、債務者に対する債権の内容が仮に第U分類だといたしました場合に、それが公表されることのないように、ぜひそういう形で規則をおつくりいただけることが大変ありがたいというふうに考えておりますので、金融再生委員会ができましたならば、ぜひそういったことを委員会の方に希望したいというふうに考えておるところでございます。
○菅川健二君 とりわけ中小零細企業については特別の配慮をお願いいたしたいと思います。
 通産大臣、お越しいただいておりますので、若干御質問させていただきたいと思います。
 とりわけ中小企業に対する貸し渋り倒産が今年度の上期にふえておるというのはきょうの新聞等でも報道されておるわけでございますが、十月一日付をもって金融機関の貸し渋り対策の一環として二十兆円の中小企業に対する信用保証枠の拡大が図られたわけでございまして、大変これは朗報となって、地域でも歓迎されておるわけでございます。私は、かつて信用保証協会に関与しておった者として若干運営上の問題について申し上げたいと思います。
 一つは、この二十兆円の枠というのは、通常の信用保証協会が保証承諾しておる額とほぼ同額になるわけでございます。したがいまして、事務が二倍になるわけでございまして、大変な事務量になるわけでございまして、果たしてその消化能力がそれに追いつくかどうかということを大変心配いたしておるわけでございます。これについての特別な対策をお願いいたしたいということが第一点でございます。
 それから第二点は、二十兆円の特別枠につきましては一〇%の事故率を見込んでおるわけでございますが、そのうち半分、五〇%は回収できる形で財源措置を講じておられるわけでございます。果たして事故率一〇%の中で五割も回収できるかどうか、これも非常に不安になっておるわけでございまして、これらについて弾力的に回収できるように、そのために十分な財源措置もするから安心しろということをそれぞれの信用保証協会の方に申していただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(与謝野馨君) 二つの御質問ですが、第一点の事務処理能力の問題でございますけれども、これは大変深刻でございますし、大事な問題でございまして、野中官房長官も心配されておりますし、また西田自治大臣も心配をしております。
 私どもは、事務当局が自治省にお願いをして、市町村あるいは県の職員で金融知識のある方々を信用保証協会に派遣していただけないか、それで事務処理能力を向上させる必要がある、そのように思っております。したがいまして、せっかく枠をつくりましたが、保証に関しての審査事務が滞りますと実際は金融はうまくいかないわけですから、先生の御指摘のように事務処理能力を強化するということは大変大事だと思っております。
 第二点の保証協会に対する財政措置でございますが、今回も国が全部持つという異例のことをやったわけでございますが、やはり代位弁済が発生したときに、これまた国がきちんと裏づけをするということに関しましては、県や保証協会に安心感を持っていただかなければなりません。これは政府が責任を持って財政的な裏づけをする、そういうことは先生にお約束をするべきことだろうと思っております。
○菅川健二君 どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
○水野誠一君 最後の質問者になりました。大臣も大分お疲れになっていると思いますので、短目に質問をしたいと思っております。
 本法案と十三兆円の金融機能安定化法との違い、これは経営責任あるいは株主責任あるいは経営合理化といった点が法文化されたこととともに、自己資本比率ごとに具体的な要件などを細かく定めて早期是正措置との連携を図った、この点が非常に重要なのではないかと思っております。
 そこで、昨日の一部報道によりますと、これは先ほどほかの委員からの指摘もあったんですが、金融監督庁は、長銀は債務超過になっていると、かような判断を固めたと報道されております。これはまだ真偽は明らかにはなっていないわけでありますが、少なくとも三月には健全行だというふうにされていた銀行がわずか半年で債務超過あるいは債務超過寸前といいますか、それに近い状況に陥ったということはどうも事実ではないかと思うわけであります。
 早期是正措置というのは、まさにそのような状況に陥る前に早期に手を打つということが目的だと思うんですが、本法案でいかに早期是正措置との連携を図ったとしましても、早期是正措置自体が機動的、効果的に発動されなければ意味をなさない、この点について私は危惧を持っております。
 そこで伺いたいんですが、なぜ健全行とされていた銀行が半年で債務超過ないしはそれに近い状況に陥ることになったのか、またその責任はどこにあるのか、その点についてお尋ねをしたい。なぜならば、千七百億円の長銀への資本注入というものが結局、俗に言うどぶに捨てたことになってしまったという責任は私は大変大きいと思いますので、その点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(日野正晴君) お答えいたします。
 長銀は、この三月に資本注入を受けた際には健全行として注入を受けたわけでございまして、また現に三月末の自己査定あるいはそれに対する日銀の考査などによりましても、その当時は立派な資産超過の銀行であったことは間違いないと思います。
 ただ、その後いろいろなことが起こりました。特に、六月にある雑誌が大きく長銀の問題を取り上げましたことから株価が急落いたしまして、その結果、長銀は自力でそれを乗り切るということが大変困難な状況になってまいりました。したがいまして、住友信託銀行との合併を模索することになったわけでございます。ただ、住友信託銀行との合併の話はいろいろまた御案内のとおりの経過を経まして、この国会におきましていろいろ御批判もございました。九月十八日に与野党合意がなされまして新しい枠組みが決定されまして、それが両院の御審議の結果法律としてでき上がったわけでございます。
 いずれにいたしましても、長銀問題につきましては、与野党合意を踏まえまして成立いたしました金融再生法が先般成立しておりますので、これが施行されましたならば、この法律に基づきまして金融監督庁としては適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
○水野誠一君 どうももう既にきょうの夕刊で債務超過だということが発表されているようでございまして、私も今常任委員会や何かで飛び回っていたものですから、ちょっと拝見していなかったのですが。まさに、そうなればなおのこと、果たして半年間でどうしてこういう事態になつちゃったかということは今のお答えでも十分納得できるものではないなと。
 根本的な問題として、今回の特に二十五兆円にも増幅されました公的資金の枠と、これを効果的にどう使うべきなのか、どう注入していくべきなのか、ここは大変重要なポイントになると思います。十三兆円のスキームでは横並び注入ということで、護送船団方式のように皆一律に注入していくというようなやり方がとられたわけでありますが、やはりそういったところではない、そういった今もうタイミングではないという中で、この委員会でもいろいろ討議をされました強制注入の問題、これは私は非常に重要なポイントになると思います。
 先ほども直嶋委員からもこれについての御質問がありましたので重複は避けたいと思いますが、横並び注入ではなくて、やはり手を挙げる銀行がなかなか出てこないときに、強制注入というものについて政府・与党、前向きな発言もあったと私は思っておりますが、もう一度その確認の意味も含めて、できれば大蔵大臣から御見解を伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、昨日、総理大臣が本院の本会議において答弁をしておられますが、それがただいまのところ私どもの統一見解ということでございます。
 その趣旨は、前段に金融機関に対しては、このたびのこの立法につきまして、ただ受動的に対応するだけではなく主体的な行動をお願いしたいと述べた後に、なお、行政命令で強制資本注入を実施することは、特別公的管理やブリッジバンクなど完全に公的な管理のもとにある銀行は別として、私企業の経営戦略の根幹をなす資本政策に国が強制的かつ直接的に介入することは、株主資本利益率の低下等の問題を勘案し、慎重に判断されるべき問題であると考える、こう総理大臣は述べておられるところでございます。
 ところで、今日もうこの委員会においてかなりたくさんの委員から御発言がございまして、中にはむしろ積極的に考えるべきではないかという御意見もございました。その点は、政策としてのそういう事のよしあしと別に、いわゆる株主権あるいは私有財産に対して政府が関与をすることになるこの銀行が非常に悪い状況でございますと、それは全体の利益ということが言えまして、資本の再構築ということにもなりますけれども一必ずしもそうでない場合に、強制的に資本を取得するときは既存の株主に対して利益を損なう公算は相当大きゅうございます。そのような憲法上の問題にどう答えるかという問題がやはり残っておるかと存じます。
 ただ、今日のいろいろな御議論は私ども十分また考えさせていただかなきゃならないところだとは思っております。
○水野誠一君 ありがとうございました。
 次に、普通株と優先株の問題について、発議者に伺いたいと思います。
 著しい過少資本行、それと特に著しい過少資本行に対しては普通株と優先株等の引き受けによる資本注入が可能だとされているわけでありますが、その際、普通株の引き受けか優先株の引き受けかという判断、これはどういう基準に基づいてされるものなのか、お答えをいただきたいと思います。
○衆議院議員(山本幸三君) 普通株、優先株につきましては、それぞれメリット、デメリットがございます。例えば一普通株の場合には経営に参画が可能でありますけれども、優先株はそれができませんが、逆に商品設計としては結構自由な形が可能でありますし、あるいは大口の増資というものも比較的容易であります。また、配当が高目でありますので、国民負担の面から見れば抑制に寄与するというようなこともあります。
 そういうそれぞれのメリット、デメリットを勘案いたしまして、金融機関がまず自分たちのそういう経営の状況から判断してどちらがいいかということで申請してくると思います。それを受けて金融再生委員会としては、そういう申請があった上で、しかしその銀行の状態を見ればこれはもう経営に参画した方がいいというように判断することもあるでしょうし、それぞれの状況を勘案してケースで決めていくものだと思います。
○水野誠一君 大変わかりやすいお答えをいただきました。
 今のお聞きした普通株、これは著しい過少資本行ないしは特に著しい過少資本行のみの引き受けが可能だということでありますが、過少資本行及び健全行からはこの普通株は引き受けられない、こういう取り決めになります。
 私は今回、BIS基準というのを改めて読んでみたんですが、非常に厳格な規定がございます。ティア1、ティア2とかアッパーティア、ロワーティアというような分類がその中に出てきまして、大変勉強になったわけなんですが、それによりますと、優先株は各行の定款によってその発行株数の上限が決められております。また、劣後ローンは自己資本の定義上、自己資本への算入には限度がある、こういうことになります。
 そうしますと、今回用意しました二十五兆円の公的資金、こういった制約の中で実際にそれほどの額を投入することが可能なのか。かなりそこには制約が出てくるんじゃないかと思うんですが、この点について発議者及び大蔵大臣の御見解を例えればと思います。
○衆議院議員(山本幸三君) 委員御指摘のとおり、BIS基準でそれぞれのどの分野に算入できるかが決まっておりまして、その意味では普通株、優先株、劣後債等の選択があるわけであります。
 今の日本の銀行が八%を超えているというけれども本当にそうかということを国際的に判断するときに、八%を超えているという数字は出ているんだけれどもどうもティア1が少ないんじゃないかというような判断もされている向きがあるやに聞いております。したがいまして、銀行としては恐らくできるだけティア1がふえることを望みたいと思っていると思いますが、しかしそのためには御指摘のように定款変更あるいは株主総会の決議等が必要になりますので、そういう準備ができているところはそういうことから進んでいくでしょうし、その準備ができていない場合には、ティア1の上で劣後ローンをとりあえずやっておいて、そしてそうした準備をやっていくということになろうかと思います。
 いずれにしても、できるだけ国際的な評価が得られるような形になるようにそれぞれが考えていくものだと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は銀行によって対応がまちまちになる可能性は私はあると思いますけれども、少なくともティア1の方が弱いという印象は一般に持たれておりますから、それで定款を変えたり、あるいは株主総会を開いたりという煩を踏んだ上でやるという銀行と、あるいはとりあえずはとして、やがてそういうふうにいこうという銀行と、いろいろ対応が分かれるかと思います。
○水野誠一君 ありがとうございました。
 最後に、資本注入の時期についてお尋ねしたいと思うんです。
 今、急がなければいけない大変厳しい状況になっているこの状況を考えますと、実際に資本注入というのはいつごろ行われるのか、その点についてお答えをいただければと思うんです。
○政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。
 御承知のとおり、先般成立いたしました金融再生委員会設置法におきましては、公布後二カ月以内に委員会を設置するということになっておりまして、現在私ども鋭意そのための準備を進めているところでございます。
 また、現在御審議中のこの法律案、これを拝見いたしますと、再生委員会の設置後それぞれその委員会が基準等々を定めまして、これに基づいて緊急措置を行うということになっておりますが、同時に、その再生委員会の設置前におきましては、内閣総理大臣が再生委員会にかわりましてそれぞれ基準等を定め措置をとるということになっているところでございまして、私どもといたしましては、御審議中の法律案が成立いたしましたその場合におきましては、この当該法律案の趣旨に従いまして、その施行後できるだけ速やかに実施できるよう最大限努力してまいりたい、かように考えております。
○水野誠一君 終わります。
○委員長(坂野重信君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 明日は午前十時に委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後四時五十一分散会
     ―――――・―――――