第144回国会 外交・防衛委員会 第1号
平成十年十二月三日(木曜日)
   午後二時開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    委員長         河本 英典君
    理 事         依田 智治君
    理 事         吉村剛太郎君
    理 事         柳田  稔君
    理 事         高野 博師君
    理 事         小泉 親司君
                岩崎 純三君
                亀谷 博昭君
                佐々木知子君
                鈴木 正孝君
                村上 正邦君
                森山  裕君
                木俣 佳丈君
                齋藤  勁君
                吉田 之久君
                続  訓弘君
                立木  洋君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                山崎  力君
                佐藤 道夫君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月二日
    辞任         補欠選任
     齋藤  勁君     峰崎 直樹君
     続  訓弘君     益田 洋介君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         河本 英典君
    理 事
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                柳田  稔君
                高野 博師君
                小泉 親司君
    委 員
                岩崎 純三君
                亀谷 博昭君
                佐々木知子君
                鈴木 正孝君
                村上 正邦君
                森山  裕君
                木俣 佳丈君
                峰崎 直樹君
                吉田 之久君
                益田 洋介君
                立木  洋君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                山崎  力君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  高村 正彦君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  野呂田芳成君
   政府委員
       外務省総合外交
       政策局長     加藤 良三君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  竹内 行夫君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省条約局長  東郷 和彦君
       外務省国際情報
       局長       孫崎  享君
       水産庁長官    中須 勇雄君
       海上保安庁長官  楠木 行雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   説明員
       水産庁資源管理
       部長       新庄 忠夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (四社事案関連文書の管理実態に関する報告及
 び防衛調達改革本部の報告に関する件)
○漁業に関する日本国と大韓民国との間の協定の
 締結について承認を求めるの件(内閣提出)
    ―――――――――――――
○委員長(河本英典君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、齋藤勁君及び続訓弘君が委員を辞任され、その補欠として峰崎直樹君及び益田洋介君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(河本英典君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、外交、防衛等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(河本英典君) この際、野呂田防衛庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。野呂田防衛庁長官。
○国務大臣(野呂田芳成君) このたび防衛庁長官を拝命いたしました野呂田芳成でございます。
 国家の独立と平和を守る崇高な任務を仰せつかり、まことに身の引き締まる思いでございます。この場をおかりしまして、河本委員長を初め、委員各位にごあいさつを申し上げます。
 今般、防衛装備品の調達をめぐる不祥事により防衛庁が国民の信頼を失うに至ったことはまことに遺憾に存じます。しかしながら、後に御報告いたしますとおり、額賀前長官がみずから先頭に立って今後の防衛庁の改革の道筋をつけられ、まさに今新しい一歩を踏み出したところでございます。私も、今後この改革の実現のために防衛庁の職員と一丸となって渾身の努力を傾注してまいりたいと思いを決しております。
 八月三十一日の北朝鮮のミサイル発射に見られるように、我が国を取り巻く情勢が不透明性を増している中、防衛庁においては、弾道ミサイル防衛に係る日米共同技術研究、情報収集衛星、さらには沖縄に所在する在日米軍施設・区域の整理、統合、縮小など、重要な課題が山積しております。防衛庁として的確な対処が求められていると認識しております。特に、政府は周辺事態安全確保法案を国会に提出しております。我が国の平和と安全にとって重要なこれらの法案等について早期の成立、承認を得られますよう、私も真摯な努力をしてまいる所存でございます。
 本委員会は外交、国防に深い御見識をお持ちの委員各位が議論される場であり、国政におけるその重要性は極めて大きいものと認識しております。かかる立場におられる皆様方に、今後とも御指導、御鞭撻をいただきますよう切にお願い申し上げます。
 簡単ではございますが、就任のごあいさつとさせていただきます。
    ―――――――――――――
○委員長(河本英典君) 次に、外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
 まず、先般本委員会が行いました北方領土問題及び国の防衛等に関する実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。依田智治君。
○依田智治君 では、私から報告させていただきます。
 本委員会の河本委員長、柳田、高野、小泉各理事、鈴木、森山、齋藤、田、佐藤、山崎の各委員及び私、依田理事の十一名は、去る十一月四日から三日間、北方領土問題及び国の防衛等に関する実情調査のため、青森県及び北海道に派遣されました。
 以下に調査の概要を報告いたします。
 第一日目は、まず航空自衛隊三沢基地を訪問し、北部航空方面隊司令官及び三沢基地司令より、北部航空方面隊の任務、沿革、編成、組織、三沢基地の概要、同基地に所在する部隊、地元自治体との関係等について説明を聴取した後、SOC、すなわち航空方面隊戦闘指揮所、DC、すなわち防空指令所、F1及びF4EJ改支援戦闘機、E2C早期警戒機等の基地内施設、航空機を視察いたしました。
 続いて、三沢基地に隣接する米軍基地を訪問し、米空軍第三五戦闘航空団司令官より、所在部隊の概要、地元自治体との関係等について説明を聴取いたしました。
 なお、同司令官から、民間航空機と三沢基地駐留の米軍戦闘機等とのニアミス問題について言及があり、いろいろな報道がなされているが、米軍としては運航上の安全を確保するため細心の留意をしており、今後とも事故防止に万全を期していくので理解してほしい旨の発言がなされました。
 その後、三沢空港から釧路空港へ向かう途次、航空自衛隊のYS11に搭乗し上空より北方領土を視察する計画でありましたが、飛行はできたものの、あいにく北方領土は雲に覆われ、遠望することができませんでした。
 北海道では、まず釧路において、北海道釧路支庁管内の開発、振興を目的とする釧路地方総合開発促進期成会から、同管内が抱える共通課題について説明及び要望を聴取した後、意見交換を行いました。その際、同期成会より陸上自衛隊釧路駐屯地の維持確保に係る要望が出されました。
 第二日目は、まず陸上自衛隊矢臼別演習場を訪問し、同演習場の概要、周辺環境等について説明を聴取した後、同演習場を視察いたしました。
 同演習場は、陸上自衛隊が保有する国内最大の演習場ということもあり、全国の陸上自衛隊部隊のみならず、海上及び航空自衛隊の訓練を初めとして、開発研究のための実験射撃等が行われているほか、沖縄の県道一〇四号線越え実弾射撃訓練の本土移転に伴って米海兵隊の射撃訓練も実施されております。
 次いで、海上保安庁巡視船「くなしり」に乗船し北方領土を洋上視察する予定でありましたが、あいにくの荒天により出航することができなかったため、同船内で、第一管区海上保安本部長及び根室海上保安部長より、その組織、管轄区域、業務内容とともに、北方領土に隣接する海域での海上保安の現況等について説明を聴取いたしました。
 第一管区の業務の特徴としては、北海道へのロシア船の来港隻数が平成九年度には約九千五百隻に上るなど、対ロシア関連業務が増加していることが挙げられますが、ロシア船が関係する海難事故等の問題も発生しているとのことであります。
 次いで、北海道根室支庁管内の地方自治体、北方領土返還要求運動関係者等より、一、北方四島との交流について、二、ロシアと根室管内とのかかわりについて、三、四島返還後の将来構想についてとのテーマに基づき、合計十一名より説明及び要望を聴取した後、意見交換を行いました。
 意見交換では、ビザなし交流の受け入れに伴うホームステイ家庭の負担軽減、本年十月から実現した北方四島周辺における日本漁船の安全操業の拡大、北方墓参の継続と強化等が強く要望されました。また、藤原弘根室市長より、外務大臣の北方領土視察を早急に実現されたいとの要望がありましたことを申し添えます。
 第三日目は、納沙布岬に所在する北方館、望郷の家を視察した後、根室西高等学校を訪問し、同校におけるロシア語授業を参観いたしました。同校は平成六年度より教育課程に選択科目としてロシア語の授業を導入しておりますが、同校が市民に開放しているロシア語講座とともに、ビザなし交流等によるロシアとの人的交流の活性化に伴う地域社会におけるロシア語学習熱の高まりを反映したものであります。
 最後に、北方四島周辺海域で漁獲した水産物を我が国に輸出するため多数のロシア船が入港する花咲港を視察いたしました。花咲港には、昨年度は千三百隻余りのロシア船が入港し、総額約四十億円の取引があったとのことであります。
 以上が今回の調査の概要であります。
 なお、調査の詳細につきましては、別途、文書による報告書を提出いたしますので、これを本日の会議録に掲載されますよう、お取り計らいをお願いいたします。
 以上でございます。
○委員長(河本英典君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 ただいま御報告にございましたように、別途、詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本英典君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
○委員長(河本英典君) 次に、四社事案関連文書の管理実態に関する報告及び防衛調達改革本部の報告に関する件について、野呂田防衛庁長官から説明を聴取いたします。野呂田防衛庁長官。
○国務大臣(野呂田芳成君) 四社事案関連文書の管理実態に関する報告及び防衛調達改革本部の報告について御報告いたします。
 防衛庁におきましては、先日、調達実施本部元幹部の背任事件に関連して各種の報告の公表等を行いました。本日はこれらにつきまして順次御説明させていただきます。
 まず、四社事案関連文書の管理実態に関する報告につきましては、額賀前防衛庁長官がみずから先頭に立って自浄能力を発揮し、国民の信頼回復を果たすべく、徹底的に調査を実施し、国民的な視点に立ってその結果を取りまとめた上、先月十九日に公表したものであります。
 本報告における調査結果を総括して申し上げますと、強制捜査の直前に防衛庁幹部による資料の移転や処分が行われていた事実を初め、組織的に証拠隠しを行っていたと受け取られてもやむを得ない事例があったことが明らかになりました。また、東京地方検察庁に任意提出する資料から一部を抜き取るといった捜査に非協力的な態度を見せていた事例など、国民の奉仕者たる公務員として厳しく叱責されなければならない事例もありました。国民の信頼を裏切った社会的、道義的な責任は極めて重いと考えております。
 さらに、装備品調達に関する疑惑について防衛庁がみずからの手で真相解明や適切な処理ができなかったこと、また不十分な事実認識に基づいたまま評価書という形で提出した防衛庁としての見解を撤回することにより、当庁の行政遂行能力や自浄能力について国民の間に重大な不信を招来しました。
 本報告は、今申し上げたようなことを前言でまず述べ、幹部については実名も含め、事実関係について詳細に記述してあります。次に、昨年九月以降の事案への取り組みの問題や資料の移転・処分の理由について評価を加えた上で事案を総括し、最後にかかる事態の再発を防止し、国民の信頼回復を図るための今後の対応について記述してあります。内容の詳細につきましては、配付されております報告本文をごらんいただきたいと存じます。
 防衛庁としては、本報告を踏まえ、関係者に対し前例のない厳しい処分を先月十九日に実施しました。具体的には、四社事案関連資料の取り扱い及び実態解明に向けての一連の取り組みが不十分であったこと、並びにこれらに関する指導監督が不十分であったことを理由として、秋山前事務次官以下三十一名に対し停職、減給を初めとする処分を実施しました。
 また、このような事態を招きましたことについてのけじめの姿勢を表明するため、額賀前長官及び浜田防衛政務次官が俸給の一部を自主的に返納いたす等しております。
 なお、秋山事務次官以下三名については、辞職願が出されましたのでこれを許すこととし、幹部人事の異動を先月二十日に発令して、防衛庁の改革を担っていくための新たな体制を整えたところであります。
 さらに、額賀前長官におかれましても、防衛庁の改革の道筋をつけたことを受けて、先月二十日に防衛庁長官の職を辞されたことは、皆様御承知のとおりであります。
 次に、防衛調達改革について申し上げます。
 防衛庁では、防衛調達にかかわる一連の不祥事を厳粛に受けとめ、早急に国民の信頼を回復するべく、先月十九日、額賀前防衛庁長官を本部長とする防衛調達改革本部において、「防衛調達改革の基本的方向について」を取りまとめ、公表したところであります。内容の詳細につきましては、配付されております報告本文をごらんいただきたいと存じますが、以下その概要について御報告させていただきます。
 まず、今般の背任事件の原因となった問題点は幾つかありますが、第一に、調達実施本部内において、原価計算部門と契約部門の相互牽制が働かなかったこと、さらにこれらの業務をチェックする立場にある防衛庁内部部局の機能も働かなかったことから、企業及び職員の不正行為をチェックできなかった点が挙げられます。また、第二に、随意契約に代表されるように、防衛調達システムにおける契約方式なども、外部から見て不透明なものとなっております。三点目として、調達実施本部では、調達事務に精通する人材が不足していたため、繰り返し同一部門に特定の者がつくこととなり、組織を閉鎖的にした面があります。以上に加え、今回の事件に関連して、自衛隊員の再就職規制の問題なども提起されたところであります。
 防衛庁としては、これらの背任事件に係る問題点のほか、従来から抱えてきた調達の基本的課題をも踏まえ、次のとおり二十一世紀に向けた抜本的な防衛調達の改革を実施することとしました。
 すなわち、まず、相互チェック機能を確実にするため、調達実施本部を廃止し、ここで行われていた原価計算業務と契約業務をそれぞれ別個の組織に実施させるとともに、内部部局の責任体制を整備するため、調達に係る装備局と経理局の機能を統合するなど、抜本的な組織改革を実施することとしました。また、随意契約等の防衛調達の透明性、公正性を確保するため、装備品の仕様の見直し、民生規格の採用拡大を通じた企業間の競争原理の強化など、大幅な制度改革を実施するとともに、公認会計士など部外者から成る第三者監視機関を設置し、契約内容の適正性をチェックすることとしました。さらに、調達事務に精通する人材の不足に対応するため、教育システムや研修制度の整備、各自衛隊との人事交流の拡大、民間監査法人の知見、能力の活用等を図ることとしました。
 このほか、自衛隊員の再就職のあり方の問題につきましても、長官の承認を必要とする再就職先の地位の見直しや承認する場合の判断基準等の明確化、再就職の審査体制の充実強化、再就職の承認状況の国会報告などを積極的に推進してまいることとしております。
 以上申し述べました諸施策については、来年四月までに成案を得ることとしており、私といたしましても、額賀前防衛庁長官に続き、国民各位の防衛庁・自衛隊に対する信頼を早急に回復するため、実現に向けて全力を挙げてまいりたいと考えております。
 私としては、額賀前長官がみずから先頭に立って血を吐く思いで道筋をつけられた防衛庁の改革を、防衛庁職員全体が一丸となって実現し、二度とこのような不祥事を起こさないようにするとともに、一日も早く国民の信頼を回復できるよう渾身の努力をしてまいりたいと考えております。
○委員長(河本英典君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。
    ―――――――――――――
○委員長(河本英典君) 次に、漁業に関する日本国と大韓民国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。高村外務大臣。
○国務大臣(高村正彦君) ただいま議題となりました漁業に関する日本国と大韓民国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、大韓民国との間で漁業協定を締結するため、大韓民国政府と交渉を行いました結果、平成十年十一月二十八日に鹿児島において、先方洪淳瑛外交通商部長官と私との間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定は、日韓両国について平成八年に発効した国連海洋法条約の趣旨を踏まえ、原則として沿岸国が自国の排他的経済水域において海洋生物資源の管理を行うことを基本とした新たな漁業秩序を日韓間に確立することを目的としております。
 この協定の締結によって、原則として沿岸国が資源管理を行う漁業秩序が確立されることになり、日韓間に安定した漁業関係の基礎が築かれることとなります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○委員長(河本英典君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより本件に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。
 新しい日韓漁業協定について質問させていただきますが、その前に、この秋に入りまして外交日程がたくさんありましたので、この点について一言触れておきたいと思います。
 十月初旬に金大中さんが見えた、それで日韓首脳会談があり、さらに十一月に入りまして小渕総理が訪ロして日ロ首脳会談、さらにクリントンさんが来て日米首脳会談、ついせんだっては江沢民主席も見えて日中会談、その間にはアジアでAPECの首脳会議と、メジロ押しに重要な外交日程があったわけでございます。
 こういう中には、我が国の基本にかかわる領土問題、さらに過去の歴史認識に関する問題、その他非常に微妙な問題もあって、外交当局としても大変な御苦労をされたわけでございますが、我々としては、こういう国の基本に関する問題というのは、十分国益を踏まえつつ、しかもグローバルな視点に立った的確な対応というものが極めて重要だ、こう思っておりますので、今後とも外務当局にしっかりと対応していただきたい。冒頭に当たりましてこの点を特に要望しておきたいと思います。
 ところで、この日韓漁業協定の問題、私も与党の立場ですので、しかし、この問題については現に沿岸の関係漁民等の反対とか強い要望とかいろいろあるわけでございまして、そういう視点に立って、私も漁業問題というのは余り詳しくないわけですが、今回いろいろ資料を読ませていただきました。
 戦後、李承晩ラインが引かれて、そこへ入ったら拿捕されるという状況の中から、四十年に前回の新協定ができた。これは、十二海里のそれぞれの専管的な水域を設定したほかはどちらかといえば旗国主義で取り締まるという状況の中で、韓国の漁船等が大分力がついてきて、最近ではむしろ我が国の沿岸の漁場が荒らされるという状況等も出てきたということで非常に問題が提起されておったところへ、今度は新海洋法条約とか我が国もそれに基づく法律をつくるというような状況の中で新たな協定がぜひ必要と。平成八年以来粘り強い交渉をやったけれども、結局双方極めて難しい問題もあって妥結できない。それで、ことしの一月二十三日にはついに我が方から終了通告を出すという中で、やっとこの間金大中さんが見える前に何とか基本的合意に達して、それも竹島という重要問題は棚上げにして暫定線を引くという形でやっと整理をつけた。
 しかし、後ほど質問しますが、暫定水域というものはどのぐらいの広さかと、こういうことで私水産庁の方に聞いてみますと、これは縦にすると四百八十キロ、横にすると四百五十キロというものがある。その中に三角をやったりした区域が入っているわけでございまして、四百八十キロといったらここから大阪に行くくらいの距離、そういうような膨大な範囲での暫定水域、しかもそれは結局両国がそれぞれ自分の国で取り締まるということでございますから、果たしてこれでしっかりと日本はやったとしても韓国がしっかりやってくれるんだろうか、こういう問題があるわけでございます。
 しかし、それにしても、過去のいろいろな経過を考えてみますと、ここまで結局何とかまとめてきた、要はこれからだ。こういう感じがして、私はここまでまとめてきたという点については評価したいところですが、この評価が結果として本当に立派だったと言うためには、これからのいろんな対応策というものがあって初めて評価ができる、こういう認識に立っております。
 そこで、まず第一問です。外務当局として今回の新協定を結ぶについてはいろいろ御苦労されたと。いろんな暫定線がついたり、ぎくしゃくしているわけですが、今回の協定を結んだ我が国として、絶対頑張るというか、どうしてもこの点は守らなきゃいかぬということで協定を結んだこのねらい、努力したそのポイントというものはどんな点にあったのか、そしてそういう点からしてそのねらいは十分というかある程度達成されたと考えているかどうか、そのあたりの新協定に関する外務当局の認識、これをまず外務大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 新日韓漁業協定についてでありますが、国連海洋法条約の趣旨を踏まえまして、原則として沿岸国が自国の排他的経済水域において海洋生物資源の管理を行う新たな漁業秩序を日韓間に確立するということを目的としたわけでありますが、その基礎は築かれたと、こういうふうに思っております。
○依田智治君 基礎はね。
○国務大臣(高村正彦君) 基礎は。
○依田智治君 基礎はできたと言いますが、結局、私も今回初めて詳細に国連海洋法条約とかその他読んでみました。そうしたら、やはり海岸基線から二百海里、その中は自国の排他的漁業水域として漁民等はそれを主張する権利もあるし、そしてまたそれをする必要もある。また、そういう水域の中においては、漁業資源保護という面からその沿岸国というものはそういう資源保護等のための義務を課されておると、こういう状況があるわけでございます。
 そういう点から考えると、今回の協定、非常にあちこちあいまいな部分があって、これからどうするかという部分があるんですが、そのあたりのところはこの国連海洋法条約の権利義務という面からも十分今回の協定で対応できると考えておるのかどうか、このあたりのところをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 日韓漁業協定の締結によりまして日韓間で国連海洋法条約の趣旨を踏まえて新しい漁業秩序を構築していく基礎が築かれたこととなるわけでありますが、確かに暫定水域における資源管理の問題を初め協定に基づき設置される日韓漁業共同委員会において協議される、こういう課題も残っているわけでありまして、今後は運用面での努力というのはこれが必要なんだと、こういうふうに思っております。
○依田智治君 結局、今回妥協の産物としてこういう協定ができた。当面三年ということで、後は通告後六カ月で終了すると、こういうことになっているわけですが、通告しなければずっとこのまま続くと。
 そこで、漁業の暫定線というんですか、領土問題その他もあって完全に排他的漁業水域というのは結局画定できなかった。そこで、これまである日韓北部大陸棚協定の境界線というものを暫定的に境界線にしつつ、竹島という問題は棚上げにして暫定線と暫定水域というものを設けて何とか妥協した、こういうことだと思うんです。
 そこで次の質問は、やはりこれまで旗国主義でやってきて、結局十分な取り締まりなり管理というのはできないまま大変漁場が荒れたりいろいろしているという現実があるわけでございまして、今度もそれぞれの国がそれぞれ自国の排他的水域については沿岸国主義でやり、暫定水域については旗国主義でやると。こういうことになっているわけですが、そういう状況の中で、しっかりとした資源管理も含む違法の取り締まりとかその他が確保できるのかどうかという点について必ずしも自信が持てない、どうもこういう感じがするんです。
 今度の新協定を締結したことによって、何か従来とは違ったそういう管理なりなんなりで徹底を期すための仕組みというか、そういうものは新たにできたのかどうか、それを外務当局から御報告いただきたい。
○政府委員(東郷和彦君) 今般作成されました新たな枠組みについては、まず第一に、ただいま先生からも御指摘のありましたように、排他的経済水域とされる水域におきましては、これは沿岸国主義に基づきまして沿岸国が自国の法令に基づき相手国漁船に対し操業許可及び取り締まりを行うことになるということでございまして、ここはきちっとした管理がまずできる枠組みをつくったということでございます。
 次に、第二に、今先生御指摘の暫定水域、ここについてでございますが、今般の合意によりまして、暫定水域におきましては協定の規定に基づき設置される日韓漁業共同委員会、この委員会における協議に基づきまして資源管理を行うということになったわけでございます。各締約国といたしましては、この委員会における協議の結果による勧告を尊重する、または委員会における決定に従いまして自国の国民及び漁船に対して必要な措置をとるということになるわけでございます。
 そこで、万一相手国がこれらの措置に反する操業を行った、こういう場合には、協定の附属書の規定に従いまして、その事実それから関連状況を相手国側に通報いたしまして相手国が必要な措置をとる、こういう枠組みをつくったわけでございます。
○依田智治君 この日韓漁業共同委員会の協議というのはこれから非常に重要だと思うんですが、これは以前には三名ずつの委員の六人で成り立っていた。今回は二人減らして四人の委員会になった。やはり今度の新協定においては共同委員会の役割は非常に大きいと思うんですが、これは何か旗国主義に基づくいろんな管理等でしっかりと管理ができるための工夫なりがあるんですか、共同委員会について。
○政府委員(東郷和彦君) 御指摘のように、旧協定におきます漁業委員会、これは両国間の協定履行状況、こういうことに関する情報交換、こういうことを主たる任務としておりました。
 しかし、この新しい協定に基づきます漁業委員会は、相互入会水域におきます漁業割り当て量などを協議すること、それからただいま申し上げましたように、暫定水域における海洋生物資源の管理措置について協議し、決定し、または勧告する、そういう非常に具体的な使命を担う委員会になったわけでございます。
 委員会の構成につきましては、現行協定では三名、これは日本側につきましては外務省、水産庁それから民間専門家の三名の代表を選任していたわけでございますが、このように委員会の任務が新しく変わった、具体的な決定をする委員会になった、決定ないし勧告をする委員会になったということを踏まえまして、政府関係者二名に絞った構成に変わったということでございます。
○依田智治君 政府関係者二名ずつで本当に実効性が上がる協議をし、旗国主義に基づく、一方はしっかりやるが一方は何かルーズになるというんじゃ意味がないので、このあたりをしっかりとお願いしたいと思います。
 きょうは時間の関係でこの辺にしますが、結局私はここがポイントだと思うんです。この暫定水域、大和堆なんという漁場、もう相当この暫定水域の中にも入っていますし、百三十五度線というところも半分だけ、経度を百三十五・五までずらして我が漁場に迫っているというようなこともありますから、そういう意味でしっかりと対応していただく必要がある。
 そこで、きょうは海上保安庁と水産庁に来ていただいていますが、結局それぞれ自国の排他的水域は自分が、韓国船も取り締まるわけですし、今度は暫定水域の中はそれぞれが取り締まるわけですが、我が方の取り締まりの現状、そして今後取り締まりをしっかりやるだけの、補正予算もついて、後ほど一言補正予算の話も聞きますが、このあたりのしっかりと対応できるだけの展望を持っているのかどうか、取り締まり体制というような面から両庁から報告をいただきたい。
○政府委員(楠木行雄君) 今お尋ねがございましたのは違法操業等の違反取り締まり体制の現状と今後の強化策いかんということでございます。
 まず、私ども海上保安庁の勢力のお話をさせていただきますと、現在、巡視船艇を三百五十五隻持っております。それから、航空機を六十九機、これはヘリコプターなんかも入れてですが、保有しております。それでもちまして、我が国周辺の重要海域に配備いたしまして、漁業取り締まりを含む各種業務に対応しているところでございます。
 特に、平成八年の国連海洋法条約の批准、発効に伴い排他的経済水域が設定されること等に対応いたしまして、船の速力とか夜間の監視能力の向上などの高性能化を図りながら、巡視船艇、航空機の整備を進めているところでございます。
 現在の取り締まりの内容でございますが、我が国の排他的経済水域におきましては、韓国漁船はごく一部の海域を除きましていわゆるEEZ漁業法の適用を除外されておるわけでございまして、それが今度新協定が発効いたしますと対応が二つに分かれるわけでございます。
 一つは、暫定水域を除きます排他的経済水域におきましては我が国の許可を受けなければ漁業等を行うことができなくなりますので、この水域におきましては、韓国漁船に対して許可条件の遵守状況の確認、あるいは私どもは検挙の方もできますが、無許可漁船の検挙等監視取り締まりを行うこととなります。
 もう一つは、暫定水域でございます。
 これにつきましては、日韓漁業共同委員会が決定をいたしました措置に従って操業をすることになりますが、取り締まりは旗国が行うということになりますので、この水域におきましては、この措置に違反をして操業している韓国漁船を発見したときには速やかに韓国側に通報する、こういうことになります。
 なお、領水とかあるいは漁業専管水域等では、現在も韓国漁船の操業、漁業等が禁止されておるわけでありますが、これらの海域におきましては新協定発効後も引き続き漁業等は禁止されるわけでありますので、この水域で違法操業を行う韓国漁船を検挙する等取り締まりは引き続き行っていく、こういうことになるわけでございます。
 そこで、海上保安のこういった勢力と海域との組み合わせになるわけでございますが、こういった業務に対する体制の整備につきましては、今回の第三次補正予算におきまして百億円の日韓対策ということで予定しておりますので、ヘリコプター一機搭載型巡視船の代替建造等を予定しておるわけでございます。新協定の発効当初におきましては、現有の巡視船艇、航空機、こういったものの勢力をまず有効に活用いたしまして、韓国漁船が多数操業することが予想される日本海、九州周辺、東シナ海等の主要な漁場に重点を置いて監視取り締まりを行うこととしております。
 そして、こういった船、すぐ年度内にできるものとそうでないものもございますので、準備態勢といたしましては、新協定発効までの間に監視取り締まりの実務に従事いたします管区本部あるいは保安部、保安署等の職員に対しまして、会議とか説明会等を開催すること等によりまして周知を図りまして、遺漏なきを期すこととしております。
 また、隣に水産庁の方がいらっしゃいますが、水産庁などの関係省庁等とも密接な連携を図りまして、事案に適切に対応するように全力を尽くしていく所存でございます。
 いずれにいたしましても、今後、操業条件等が決まりますれば、さらに取り締まり方法など細目を検討していくことにしております。
 以上でございます。
○依田智治君 それでは、水産庁にお願いします。
○説明員(新庄忠夫君) 韓国漁船等によります違法操業につきましては、これまで違反が多発する海域、こういったところに重点的に取り締まり船を配置いたしまして、海上保安庁、それから関係都道府県、こういった機関と協力しながら監視、取り締まりを行ってきたところでございます。
 今後、新しいこの日韓漁業協定のもとで韓国漁船に対する取り締まり体制の一層の強化を図る、こういう観点から漁業取り締まり船の増隻、それから代船建造、それから高性能の航空機の導入、こういったものを積極的に行いまして、暫定水域等の重点海域への取り締まり船の集中配備、こういったことを考えております。
 今後とも海上保安庁、それから関係の都道府県と連携を密にしまして、韓国漁船等の外国漁船の取り締まりを的確に実施してまいりたいというふうに思っております。
○依田智治君 両庁がひとつ力を合わせてしっかりと実効性ある的確な管理ができるようにお願いしたいと思います。
 なお、漁業振興基金二百五十億、これの話を水産庁から伺う予定でしたが、時間の関係もございます、できるだけこういう振興基金を使わなくても漁民に被害が出ないような的確な管理をしていただくということが必要だと思います。しかし、いろいろ今後予想される事案に対して漁民のいろんな面での困難がもし出てきた場合に、大いにこれを活用してしっかりと対応できるように、この点は水産庁等に要望しておきます。
 最後に、一問だけお願いします。
 日韓間の排他的経済水域の境界画定というのが結局今回はできなかったわけですね。それで、大陸棚の暫定線を一応つくったと。それで、その根本はやっぱり竹島なんですよ。竹島の現状も聞こうと思いましたが、時間がありません。何か話によると桟橋的なものをつくったり警備隊がだんだん常駐しておるというようなことでございまして、このままいったらもう全く占有状態が続くということになっちゃいますので、いつまでも棚上げしておくわけにいかぬと思いますので、外務大臣、竹島問題の根本解決のために現在どういう措置をとっているのか、これからどう対応していくのか。
 それで、それらの根本解決も踏まえながら、日韓間の排他的経済水域というものを日本海にぴしっと領土問題も踏まえて引くということが大変重要だと思うんですが、ただ今後も継続していくというので何年続くのかわからぬというようなことじゃなくて、何かそのあたりに対する外務省側の竹島問題に対する今後の取り組み、決意も含めて外務大臣にお伺いしたい、こう思うわけでございます。
○国務大臣(高村正彦君) 竹島の領有権問題についての我が方の立場は一貫したものであるわけであります。
 すなわち、竹島に関し、政府は従前より、韓国側に対し、これが歴史的にもかつ国際法上も我が国固有の領土であるとの立場を繰り返し明らかにしてきているところであります。他方、この問題に関する日韓両国の立場の相違が両国民の感情的な対立に発展して両国の友好関係を損なうことは適切ではない、こういうふうに考えております。
 今後とも、両国間で冷静かつ粘り強く話し合いを積み重ねてこの問題の解決に向けて努力していきたい、こういうことでございます。
○依田智治君 したがって、これの問題も含め、この正式な境界線画定交渉というのは今度はどんなぐあいにやっていくんですか、これは。
○国務大臣(高村正彦君) 漁業交渉についてはできるだけ早くしなければいけないということで両首脳間でこの竹島の領有権問題と切り離して行う、こういうことがあったわけであります。
 排他的経済水域の画定ということになると、これは切り離すということもなかなか難しいわけでありますが、私たちはこれをいつまでもやらなくて済む問題ではない、こういうふうにも考えております。具体的にいろいろ今考えているわけでありますが、日韓両政府は今後とも排他的経済水域の境界画定に関する交渉を誠意を持って継続していくということがこの協定の附属書に確認されているわけでありまして、この精神に従って両国でやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○依田智治君 誠意を持って継続するというだけの文ですのでこれで果たして、一行しかなっていないんですが、これはしっかりと今後ともできるだけ早い機会にそういう仕組みをつくって的確に対応していただく必要がある、この点を指摘して私の質問を終わります。
 以上です。
○柳田稔君 今回の日韓の新漁業協定、大変努力されたことに対しまして私も評価をしたいと思います。そういう経過についてとかいろんな話は聞いているわけでありますけれども、きょう初めて国会の場で審議するわけですから、基本的なことを少し聞かせてもらいたいと思うんです。
 まず、暫定漁業水域の範囲の決定の経過についてお伺いしたいと思うんですが、日本の漁民からは、良好な漁場である大和堆を何でこれほど多くまで暫定漁業水域に含めるんだ、一体どういうことだという話とか、韓国漁船はルールは守らない、好き勝手にとりやがるといった声も大分聞こえてまいりました。多分、日本もこの線引きについてはいろんな利害もあったでしょうし、韓国の方にもあったと思うんですが、その辺の範囲の決定の経過、できるだけ詳しく説明していただきたいと思います。
○政府委員(阿南惟茂君) この暫定水域の大きさと形の決定の経緯でございますが、基本的なことを申し上げますと、まさに日韓間で排他的経済水域を決める境界線が引けないという実情の中で漁業協定だけは早くつくる必要がある、海洋法条約が制定され、日韓両国がこれに参加をいたしました状況でできるだけ早く新しい海洋法条約のもとでの漁業秩序をつくる必要があるということで、日本側は境界線が引けない、何とかそれを画定する努力はしつつもその結果を待っていては時間がかかるということで、境界線が引けない部分については双方の工夫で暫定水域というものを設けたわけでございます。
 そして、韓国の方は、この暫定水域というものはできるだけ広く、そしてその水域の性格は公の海、公海に近いものである、韓国は韓国としての主権が貫徹できるような水域にしたいということを当初主張しておりました。我が方は、これはまさに暫定水域であるからこの範囲はできるだけ小さく、しかもその暫定水域の中が現在の日韓の漁業の実態のように公海、公の海ということで双方の規制が及ばないということではなくて、できるだけ暫定水域の中でも両方で協力して資源保護、取り締まりをきちっとできるようにしよう、こういうふうに当初から双方の立場が随分違っていたわけでございます。
 そういう両方の立場の、ある意味では対立した立場を交渉の中で詰めていき、それと同時にこの水域における漁獲量、韓国側のこれまでの漁獲実績というものをどういうふうに配慮していくか、例えば、暫定水域を狭くとりますとそれに外れた部分について韓国は漁獲量を従来の実績をそのまま認めてほしいというような主張が当然あるわけでございまして、そういうこの漁業利益の調整ということにかかわるいろんな要素を勘案の上、現在のような姿になったわけでございます。
 大和堆につきましては、御指摘のように私どももこれを何とか含めないようにということで昨年秋以来の交渉で主張してまいりました。しかし、今申し上げましたような漁獲量とか韓国側の従来の漁獲実績をどの程度認めるかというような要素との関係から今のような形のものに決まった、そういう経緯がございます。
○柳田稔君 国連海洋法条約ですか、その条約と照らし合わせた場合、今回の水域の範囲の決定というのはどういうふうな評価をすればよろしいんでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) これは、先生のおっしゃる御趣旨は、排他的経済水域の資源管理等は沿岸国がきちんと責任を持ってやるべきだ、そういう観点に立てば非常に大きい暫定水域がある、沿岸国が直接管轄、資源保護の規制ができない水域が大きいということは趣旨に沿ってどうかという御趣旨だと思います。
 その点は、今申し上げましたように、日本側はやはりこれはあくまで境界線が引けないための、しかし漁業協定を結ぶためには何らかの工夫が必要だということでつくった水域であるから、これはできるだけ小さくするんだという主張をしてきたわけでございますが、韓国側は、交渉の経緯で余り詳しくは申し上げられませんが、当初は非常に広い暫定水域を提示してきた、そこからだんだんこういう我が方の主張も入れてこういうふうになってきたわけでございまして、必ずしも海洋法条約の規定できちんと境界線を引いて、排他的経済水域の資源管理、そのための取り締まりをやれという趣旨に若干例外的な部分があるということはやむを得ないというふうに考えております。
○柳田稔君 今回の日本政府の頑張りは私も評価しているんですけれども、もっと元気よく我々はこういうことを主張してここまでやったんだと言っていただければありがたかったんでありますけれども、大変厳しい協議の結果こういうことになったのだろうと思うんです。
 問題は、これからの海洋生物の資源をどう保護していくかということにもかかるわけでありますけれども、暫定水域、排他的経済水域、両方仕組みがあるようでありますけれども、このことについてどういうふうな内容になっているのかお話をいただきたいと思います。
○政府委員(東郷和彦君) 先ほど来申し上げましたように、まず排他的経済水域に関しましては沿岸国主義に基づき沿岸国が取り締まりその他を行うということでございます。
 暫定水域に関しましては、日韓漁業共同委員会というものをつくりまして、その共同委員会におきまして勧告ないし決定をし、それに従って旗国が実際の取り締まりを行う、実際の管理を行うということでございます。
○柳田稔君 これは外務省に聞くのも違うのかもしれませんけれども、今局長がお答えになりました答弁で果たして資源が守られるのかなという疑問がわくわけです。そのために多分日韓漁業共同委員会なるものをつくってこれから詰めようというふうに思うのでありますけれども、その漁業共同委員会のテーマ、多分いろいろ交渉ごとをしながらこの辺はこれから詰めていかなきゃならないなという面があったかと思うんですが、どういうテーマを今お考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 共同委員会では、現行の委員会と異なりまして、今後は漁獲割り当て等、その年々、その状況下の資源状況に応じた割り当てをしていくというようなことが大きな役割になっております。同時に、特に暫定水域内での取り締まりをどうするかというようなことで、これが非常に、この協定でルールはできましたが、ルールがきちんと守られるかという極めて重要な問題でございますので、その点についても共同委員会でこれから韓国側と話し合いをしていくということでございますが、この共同委員会の発足をまつまでもなくと申しますか、まつことなく現在も既にその中身について韓国側と協議をしております。
 韓国側は、先ほども申し上げましたように、この水域で自国の主権が制限されるということについては非常に抵抗感があるということで、そこで、韓国漁船に対して日本側の監視とか取り締まりということがある意味では効果的に行われることに向こうは抵抗しているわけでございますが、日本としては、それがなければ、完全な旗国主義で任しておいたのでは取り締まりの効果等も必ずしも万全を期しがたいということで、我が方としては共同乗船というふうなことをもっと恒常化していったらどうだというようなことも提案しつつ、共同委員会でこれから議論されることを先取りして既に今話し合いを始めているところでございます。
○柳田稔君 ともに他国というか、日本の船には韓国の人が、韓国の船には日本の人が乗って監視するというのは非常に我々としてもしてほしいな、そういう思いがあるので、そういう方向で進めていただきたいし、それ以外にもいろいろと取り締まり体制というのはあるはずなので、徹底した取り締まりができるようにまずしていただきたいな、そう思います。
 その次ですけれども、多分この共同委員会でいろんな合意ができたりすると思うんですが、それはすべて明文化していくおつもりなんでしょうか。要するに、明文化というのは、我々国会にもこういうふうになりましたよということを文章にして報告されるのか、それとも両国間の内部での取り決めにしてしまうのか、それはどうなんでしょうか。明文化して我々にもしっかり知らせてほしいということについてはどうでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 今のは、その取り締まりの今後のやり方についてということでございましょうか。失礼いたしました。
○柳田稔君 共同委員会でこれからいろいろなことを話をされますね。今言われたのはその中の一つだと思うんですが、それ以外にもいろいろとあると思うんです。共同委員会でいろんな協議事項とか合意したとか、そういうのをできればしっかり文章にして国会にも我々にも教えてほしいし、こういうことになりましたよというものを何がしか明文化して文章化して知らせてほしい。そうすることによってある程度漁民も安心しますし、我々も説得材料ができますし、そういうことができないものかなと。
 というのは、今この新漁業協定ができるまで、そっと言葉を濁す面もありますよね。難しかったことがあろうかと思うんですが、決まったことについてはすべて報告してもらいたいという思いで、取り締まりだけじゃなくて、ほかの項目もついていたんですけれども、どんなものでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 先ほど、ちょっと取り締まりのことは今既に始めておりますということを申し上げたのでございますが、共同委員会の中での合意事項は両国政府に対する勧告という形で当然表に出るものでございまして、もちろん国会でも必要に応じて御説明すべきものだというふうに思っております。
○柳田稔君 それと同時に、政府の責任、要するに日本政府、韓国政府、もう少しはっきりできないものかなという気がするんです。
 つまり、相手にお願いするわけですよね。例えば日本からいいますと、韓国の漁船が違法な状況ですよと、それを我が政府が韓国に伝えて、それで取り締まりをするという構造ですね。お任せするというのは相手を信頼するわけですから非常にいいことかもしれませんが、その辺もう少し政府の責任というのをはっきりできないものかなと。漁民の皆さんが心配しているのは多分その辺だろうと思うので、もっと突っ込んでできないものかなという気がしているんですけれども、見解はどうでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) これは、我が国の排他的経済水域内で韓国漁船がきちんと日本の国内法令を守る、そういう指導はまず一義的に韓国側でもしてくださいと。もちろん違反した場合には沿岸国主義でございますので我が国の国内法令に従って必要な措置をとるわけでございます。
 暫定水域においても、基本的には旗国主義ということでございますが、やはり共同委員会で決まったこと、そういう措置はきちんと守るようにということは、これはある程度先方の政府を信用せざるを得ません。しかし、それはお互いにやろうということは、今回の協定署名時の両外務大臣間の往復書簡でも、そういうことをお互いに要請し合っているというか要望し合っているということでございます。
○柳田稔君 もっと自信を持って答えてほしいんですけれども、本当に政府の責任というものをもっと明確化してもらった方が漁民が安心するのじゃないかなと思いますので、強く要望してほしいと思います。できるだけそれがはっきりしたものになるように御努力を願いたいと思います。
 次に、竹島問題に移ろうと思うんですが、先ほど依田先生の方からもあり、竹島問題に対する政府の考えは大臣の方からお聞かせを願いました。
 それはそれとしてわかります。でも、実際竹島には軍人さんがいらっしゃるんですか、今、竹島を占拠している中には。民間人もいらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 現在、竹島には韓国の警備隊員が常駐しております。また、その宿舎とか灯台、監視所、アンテナ等が設置されているというのが状況であると承知しております。
○柳田稔君 警備隊というのは、いろんな国の言葉があるんでしょうけれども、普通言う軍隊なんですか。
○政府委員(阿南惟茂君) これは韓国海洋警察庁の警備隊員ということでございます。
○柳田稔君 それは日本で言う何に当たるんでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 先方の組織を予断して申し上げるのもあれでございますが、海上保安庁に当たるところかなという気がいたします。
○柳田稔君 ということは、韓国政府が占拠しているというふうに理解してもよろしいわけですね。
○政府委員(阿南惟茂君) 韓国側が不法占拠しているわけでございます。
○柳田稔君 それに対する対処の仕方なんですが、先ほど大臣は粘り強く話し合いをしていくというふうにおっしゃいました。それが今の日本政府の考えなんでしょうけれども、この不法占拠、我々は不法と言いますけれども、占拠に対する解決方法が幾つかあると思うんです。
 一番強いやり方は、日本の自衛隊でも何でも出していって追っ払うということも方法としてあります。ないわけじゃなくて、方法として考えられますし、それから国際的な問題に訴えていくという方法もあるわけですけれども、不法占拠に対する解決方法というのはどんなものがあるんでしょうか。できるできないは別として、どういう方法が考えられるのか、今あるのか。
○国務大臣(高村正彦君) 現実問題としては、粘り強く話し合うということ以外にないんだろうと思っています。
○柳田稔君 それは今政府の立場でわかったんですけれども、方法です、方法。いろんな方法があると思うんです。できない方法もあるでしょうけれども、いろんな方法があると思うんですが、どういう方法が今あるのか。私が今考えたのは、国際社会に訴えるというのが普通あると思うんです、領土問題ですから。それと、向こうが不法占拠しているわけですから、こちらも力でいくしかないという方法もあると思うんです。もう一つ、両国で粘り強く話し合いをするという方法も考えられると思うんですけれども、どんな方法があるのか。
○政府委員(阿南惟茂君) 今、先生幾つかおっしゃいました。もちろん、力で追っ払うというようなのはとるべき方法でないと。外務大臣も粘り強く話し合うということをおっしゃいました。
 従来の経緯は御存じと思いますが、随分昔、一九五四年でございましたか、国際司法裁判所にこの問題を出そうということで韓国側に持ちかけたことはございますが、国際司法裁判所で取り上げるためには当事者双方が合意して提訴するという形が必要でございまして、韓国側はそのときに日本側の提案を拒否しているということで、いまだにそういう姿勢が続いていると承知しておりますので、現在のところ、外務大臣がおっしゃいましたようにこの問題については粘り強く話し合いを続けていくということを考えております。
○柳田稔君 国際社会に訴えることに対して、韓国政府が拒否をするというその理由は一体どこにあるんですか。
○政府委員(阿南惟茂君) これは韓国政府の考えでございますので有権的に申し上げるわけにもいきませんが、当時の説明では、要するに韓国としてはこういう問題がないのだ、領有権問題がないのだと、こういう立場であったと承知しております。
○柳田稔君 領土問題というのは大変難しそうなんですけれども、先日、この委員会視察で北方領土へ行きまして、先ほど報告がありましたけれども、北方領土についてもそれなりの方向性が出てきてくれたのかなと。我々が思う方向、我々の思いからいくとまだまだだなと思うんですけれども、北方領土と比べたときに竹島問題というのは大分おくれているのかなという気がしてならないんです。
 今後、多分外務省が中心になって韓国政府といろいろ話し合いが行われると思うんですけれども、領土問題ですから私は日本政府はもっと強く出ていいんじゃないかと。粘り強くということも方法ではありますけれども、その前に日本の固有の領土であるということを強く主張して、いろんな手段も辞さない、それぐらいの気構えで粘り強くやってもらいたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 委員のお考えも頭の中に入れながら、粘り強く交渉してまいります。
○柳田稔君 日本政府というのは、領土問題に関して質問するとすごくトーンが落ちちゃうので困ったなと思ったりもしているんですけれども、私は北方領土も竹島も尖閣列島も日本の領土だと、そのスタンスをしっかり持っていただいて、相手国に対してもそれを強く言うと同時に、国際社会にももっともっと訴えてやっていってほしいということを最後に申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○高野博師君 最初に、日韓漁業協定について一、二お伺いいたします。
 同僚議員からも質問がありましたので繰り返しは避けたいと思うんですが、先般の金大中大統領の来日で日韓関係が友好協力の未来志向ということで動き出した感じがするわけですが、この新漁業協定の締結もその流れの中で位置づけることができると思います。
 この新協定に伴って暫定水域での操業ルール等についての実務協議は難航が予想される、こう言われておりますが、今の竹島の問題ですが、この暫定水域の中で竹島領有権問題というのは事実上棚上げされたということで理解していますが、実際には韓国側が竹島に埠頭の建設をするとか、実効的な支配がどんどん進みはしないかという懸念があるのですが、その点はどのように認識されているんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 御質問の趣旨は、この協定が締結されたことによって実効支配が進む、こういう趣旨ですか。
○高野博師君 締結されたことによってというよりも、この協定で暫定水域をつくりましたから、暫定水域で事実上資源の管理等をやっている間に、一応領有権問題は棚上げという形になっているわけですが、そうするとその間に実効的支配というか、どんどん事実上の支配が進みはしないか。そこはどうでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 本件漁業協定、国連海洋法条約の批准に伴い生じ得る諸問題については、竹島の領有権にかかわる問題とは切り離しつつ協議していくとの日韓両首脳の合意を踏まえつくられたものであります。棚上げではなくて、切り離しつつということでつくられたものであります。竹島に関する我が国の立場には何ら影響を与えるものではないわけであります。
 この本件協定には、竹島の領有権の問題を含む国際法上の問題に関する各締約国の立場を害するものとみなしてはならないとの趣旨の規定を確認的に置くことといたしました。
 ですから、この条約の交渉の中で切り離しつつしたことが実効支配が進むということにつながるということではないんだろう、これはまた仮にそういうことがあったらそれはまた別の問題なんだろう、こういうふうに認識をしております。
○高野博師君 ちなみに、竹島のこの領有権、今の切り離しということなんですが、これと暫定水域を設けて漁業資源の管理をやっていくというこの考え方は、例えばロシアが北方領土問題については、これを棚上げというのか切り離しというのか知りませんが、経済の共同開発をやっていこうというような提案をしているという考え方は、何か共通点があるんでしょうか、あるいは同じような考え方ととらえることができるんでしょうか。全く関係ありませんか。
○国務大臣(高村正彦君) こういう問題で共通点があるかどうか、全く関係ないかどうかというのは非常に難しいわけでして、その根底に似たような面が全然ないとは言えないかもしれないけれども、同じ共通点があるという話でもないんじゃないかなと。どういう切り口からいって共通点があるかどうか。ある意味で領有権の問題と切り離して現実の問題を処理しよう、そういう根底においては共通点はあると言えるかもしれません。
○高野博師君 それでは、日韓関係全般についてお伺いいたしますが、金大中大統領の我が国訪問と小渕総理との首脳会談があったわけですが、この大統領の来日の最大の成果は何だったのか、どういうふうに評価されているんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 金大中韓国大統領の訪日におきましては、日韓共同宣言の作成等により、日韓両国が過去の問題に区切りをつけて、二十一世紀に向け新たな日韓パートナーシップを構築し、両国関係をさらに高い次元の友好協力関係に発展させていくという基本的方向性を確かにした、これが成果であった、こう考えているわけであります。
○高野博師君 日韓の共同宣言の中で、歴史認識の問題に関しては痛切な反省と心からのおわびということが明記されたわけですが、金大中大統領も今後この歴史認識問題については触れない、そう発言したと聞いています。これによって日韓関係というのは一つの区切りがついて、新しい二国間関係がこれから発展していくのかなという期待ができるわけですが、この背景には、韓国側が現在の経済危機等を乗り切るために日本側の協力が必要だという事情があるということと、金大統領のリーダーシップとかあるいは高い政治哲学とか、双方の綿密な準備とか根回しがあったのではないかなというふうに私は見ております。
 この金大中大統領の来日との関係で、中国の江沢民主席が先般来られたわけですが、この日韓関係と比較した場合に、日中関係、日中首脳外交というのが、歴史認識問題に象徴されるように、中国との関係でいうとかなり過去に引きずられた、新聞報道の表現をかりればほろ苦さとかあるいは後味の悪さを残したというような点は否めないと思うんですが、この点についてはどういう評価をされているんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 江沢民中国国家主席の訪日においては、日中共同宣言等の作成により、日中両国の一致のもと、両国が共通の目標に向けてともに行動する枠組みを示し、未来へ向けての新たなスタートの基礎を構築することができた、こういうふうに考えています。
○高野博師君 平和と発展のための友好協力パートナーシップの確立に合意したということで、また政治、経済、文化全般の各般の協力関係を打ち出したということは評価できると思うんですが、江沢民氏の来日についての時期の選び方とかあるいは十分な準備とか中国側の国内事情等、もっと見きわめる必要があったのではなかったかなという感じを私は持っております。中国の国家元首として歴史上初めての来日ということですので、もっと前向きな成果が上げられなかったものかなという感じがしております。
 一部報道によると、江沢民氏の訪日前に、中国の共産党あるいは政府内に内部文書が回ったというようなことが出ております。それが事実かどうかは別にしまして、その内部文書の中で言っているという内容についてなんですが、日本の国力はもう一流ではないと、日中関係を米中関係とか中ロ関係のような戦略的パートナーシップと位置づけるのは適当ではないとか、あるいは日本の実力と成長に関する認識に重大な修正を加えなくてはいけないとか、あるいは中日関係の重要性は中米、中ロ関係よりも低いとか、こういうことが書いてあるらしいんです。そしてまた歴史認識問題については、中国人民の対日不信感は増大していると、日本の態度に応じて反発すべきだとか、あるいはこの歴史認識問題が関係発展の重要な障害となっているとか、そういうことが書いてあるということなんです。
 この文書そのものは別にしまして、まさにこういう考え方が中国政府内あるいは党内で広がっているというような見方についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 日本の中にもいろんな考え方をする人がいるのと同じで、中国の中にもいろんな考え方をする人がいる可能性はあるかと思いますが、中国の政府が何らかのそういう認識をきっちり決定したなどということは全くない話だ、こういうふうに認識しております。
 私は、先ほども申し上げましたように、日中両国の一致のもと、両国が共通の目標に向けてともに行動する枠組みを示し、未来へ向けての新たなスタートの基礎を構築することができたと考えておりますし、それから江主席自身も、今回の訪日は二十一世紀に向けたパートナーシップの構築に意見の一致が見られた点で大きな成果があったとして、これによって日中関係は新たな段階に入ることになると位置づけている、こういうふうに承知をしております。
○高野博師君 このパートナーシップの表現なんですが、日中関係は友好協力のパートナーシップ、しかし中米あるいは中ロは戦略的パートナーシップという表現をしているんですが、この戦略的パートナーシップと友好協力パートナーシップはどういう違いがあるんでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 中国はいろんな国と先生が今おっしゃいましたような戦略的パートナーシップということを言っておりますが、これは軍事的な戦略というような意味でない、長期的かつ包括的な関係だというふうに中国側も説明をしております。
 戦略的という言葉が入ったパートナーシップの方が一段次元が高いとか、そういうことではないと私どもは思っておりますし、日中間で戦略的パートナーシップというような呼び方がしっくりするかどうかということもございますので、今回の平和と発展のための友好協カパートナーシップというのは、いかにも現在の日中関係、それから今後の日中関係を考える上でふさわしいタイトルではないかなというふうに考えております。
○高野博師君 それでは、日ロ関係について若干お伺いしたいと思います。
 昨日、パノフ駐日大使にお会いしたんですが、パノフ大使は、平和条約の締結については、領土問題の道筋はつけるけれども領土問題の解決は非常に難しいと。ロシア国内世論の七〇%以上は領土返還に反対しているというような事情もある。したがって、平和条約とは別に領土問題の条約を締結すべきだ、そういう考え方をおっしゃっておられまして、川奈の首脳会談での提案、これについては受け入れられないんだ、こう言っていたんです。
 そこで、川奈提案の中身とは一体何だったんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) これは外交交渉の内容にかかわる問題であって、その内容に言及することができないということはぜひ御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
○高野博師君 外交交渉の過程ではそういうことが言えると思うんですが、重大な国益にかかわる問題について、国民の支持というか理解が得られないとそういう外交交渉はうまくいかないんじゃないかと思うんです。
 川奈提案については、潜在的主権と施政権を分ける、あるいは国境画定をする、そういう提案を橋本前総理がされたというようなことも報道には出ております。また、ロシア側からもそういう提案の中身についてはいろいろ出ておりますが、やはりこういう問題についてはある程度国民に説明する責任があるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 私も、一般的な政策、そういったことについてはできるだけ国民に説明しながらやる方が、一般的なことでいえばいいことだ、こういうふうに思いますが、領土問題というのは両国国民の感情が物すごく結びついているわけで、その問題について交渉の内容を明らかにしないといけないということだと、こういうのはお互いが思い切ったカードを切っていかなければ私は領土問題の解決なんというのはできない話なんだろうと思いますが、この国民感情にお互い密接に結びついたものをすべて明らかにしながらやるということだと、とても現実問題としてお互いがカードを切れない、お互いが解決に未来永劫たどり着かないということになりかねないのではないか。
 私たちの判断はそういうことでありますから、この問題について今明らかにできないということはぜひ御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
○高野博師君 国民感情が非常に関係しているということなんですが、まさにそうであるからこそ、一方の側から情報がいろいろ漏れてくるというのではなくて、もうここまで出ている以上はきちんと説明する必要があるんじゃないかと思うんです。
 そこで、橋本・エリツィンの関係で、二〇〇〇年までに平和条約が締結されて北方領土が返ってくるのではないかという非常に大きな期待が国民の間にあったわけです。しかし、現実は相当厳しいということもだんだんわかってきた。首脳間の個人的な信頼関係というのは外交交渉の上で非常に重要だと思うんですが、その首脳間の個人的な関係に頼り過ぎたという面がかなりあるのではないか。したがって、エリツィンの今の国内の政治的な立場、あるいは橋本さんはもう内閣を去ってしまったということもあって、二国間関係にとってこういう首脳同士に頼るのは非常に危ういのではないかという印象を私は持っているんですが、その点についてはどういう認識をされていますか。
○国務大臣(高村正彦君) もう頼れるものには徹底して頼ろう、こう思っていますが、それだけでいいと毛頭思っていないわけでありまして、まさに首脳レベルの信頼関係が牽引車となる形で、そしてあらゆる分野で私は着実に進展をしてきているということは事実だと思います。
 このような状況は、閣僚レベルを含む種々のレベルにおける対話などを通じ、さまざまな施策を重層的かつ着実に実施してきたことの結果として生じているものであって、全体として既に歴史の流れとでも言うべきものになりつつあると考えております。
 首脳レベルの信頼感がまさに牽引車になったわけでありますから、それに頼ってほかのことはもうどうでもいいんだと、そんな感じでやっているわけではなくて、まさにそこの牽引車になるところを埋めるようにあらゆるところで努力してきたことは事実として御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
○高野博師君 この問題はまた別の機会に取り上げたいと思います。
 最後に一つ、日米関係の中の東アジア戦略レポートが先般アメリカ側から出たんですが、これについては発表の前には事前に日本政府に何か発表するぞというような打診があったんでしょうか。
○政府委員(竹内行夫君) 先般、アメリカの国防総省から公表されましたいわゆる東アジア戦略報告でございますけれども、この文書自体はもちろん米側の文書でございますので、日米間で取りまとめたり、具体的記述について協議するようなことはいたしておりません。
 ただ、当然のことでございますけれども、従来からいわゆる2プラス2でございますとか、外交ルートであるとか、いろんなチャンネルを通じまして日米間でこの問題についてはいろんな話し合いを行っている、協議を行っているということでございます。
○高野博師君 発表の時期が十一月二十三日ということで、沖縄県知事選の一週間後にこれが出されたんですが、この東アジア戦略は、九五年のときと基本的に戦略の変更はない、東アジアに十万人の軍人を配備するということについても継続して行っていく、ただ北朝鮮とか、あるいはインド、パキスタン等新たな課題が生じたと、そういう言い方をしているんですが、十万人の米軍を配備しておくということについては、沖縄の米軍基地の整理、統合、縮小と言っている日本政府の考え方と、沖縄県知事選前にもしこれが発表されていれば知事選の結果に影響があったのではないかということも言われているんですが、この点についてはどういう認識をされていますか。
○国務大臣(高村正彦君) 沖縄県民がこの報告書によってどう影響されるかということはわかりませんが、そういうことと関係なくアメリカ側がこの時期に発表されたものだ、こういうふうに思っております。
○高野博師君 時間ですので終わります。
○立木洋君 この日韓漁業協定の問題で、確かに国連の海洋法条約に基づいて、御承知のようにこの条約では海洋生物資源の効果的な利用の問題、あるいはその管理、保護の問題等々の基本的な海洋秩序についての考え方というのを明確にされているわけです。
 そういう点から見るならば、一九七七年五月に日本が発表したいわゆる暫定措置法、漁業水域に関する暫定措置法の点から見れば、いわゆる排他的な経済水域というのが広げられましたし、それから管理の問題についても、沿岸国主義という見地から、いわゆる旗国主義という立場から変わるという内容で、私はそれは当然のことだろうというふうに思います。
 しかし、この二十年の間に漁業水域に関する暫定措置法がもたらしてきた影響というのは、これから解決していく過程の中でいろいろな問題があり得る。韓国の漁船というのは日本の二百海里内に入ってきてどんどんとったわけですから、それが二十年間続いたわけですよ。だから、そういう状態がいまだに今後の交渉の問題として、韓国と交渉をしていく上ではよく考えなければならない問題となってきているという点においては、ほかの議員も言われましたけれども、日本の今後の漁業問題をきちっと実効の上に乗せていくについても外交の姿勢というのは非常に重要な問題だというふうに考える必要があるんじゃないかと思うのです。
 それで、私が一つの点でお尋ねしたいのは、この暫定水域というのは、もともと暫定水域をつくるということが国連の海洋法条約等々で決められているわけじゃなくて、いろいろのことがあって中間線が引けないために、いわゆる竹島の領有権の問題が未解決であるという状況のもとでやむを得ず暫定水域というのをとらざるを得なかったということについては漁民の人々も全く理解していないわけじゃないんです。一定の暫定水域は、それはあってもやむを得ないかもしれない。しかし、それはあくまで暫定だ。基本は、国連の海洋法条約に基づいて今後の秩序を確立していくという方向に行って、日本の主権が排他的な経済水域の面でもきちっと守られるし暫定水域の中においてもそういう方向に進んでいく、そういう姿勢でなければならないのではないかということが基本的な国際法上の考え方としてはなければならない点だと私は思うんです。
 そういう点から見ますと、今度の暫定水域の線引きですね、ほかの議員の方も言われましたけれども。あの一九七七年のときには東経百三十五度以西を韓国と中国に対してはいわゆる除外措置をとったわけなんです。これはどういう根拠があったんですか。どういう根拠で東経百三十五度以西を韓国と中国に対して除外措置をとったんですか。これは今後の交渉にも重大な影響を持つ問題ですから、ひとつお尋ねしておきたい。
○政府委員(阿南惟茂君) これは今、先生おっしゃいました昭和五十二年、当時のソ連がいわゆる二百海里水域を設定したことを受けまして原則二百海里の漁業水域を我が国も設定することとしたわけでございますが、韓国、中国と相対する水域においては水域の設定自体が両国の反発を招くというおそれがございましたので、当時、当該水域において我が国漁業者により相当な漁獲量があることも踏まえて円滑な漁業秩序を維持するため、当該水域には漁業水域を設定しないこととした、それが百三十五度でございます。
 先生が最後の方におっしゃいました今般の交渉では、我が国漁業関係者にとってそういう意味で伝統的な意味を持っておりました百三十五度ということについて、我が方は当初強く主張していたという経緯がございます。
○立木洋君 この百三十五度というのは、当時外務省で検討されたときに、この問題は将来、韓国が二百海里の排他的な経済水域を批准するという立場をとったときに、いわゆる竹島の問題を切り離すというふうな事態になっても、百三十五度であるならば問題は起こらないという一定の根拠をもって外務省は決めたんだろうと私は思うんですよ。外務省が、百三十五度ぐらいだったらまあ何とかなるだろうなんというように安易に決めたとは思わないんです、根拠はあった。
 ところが、今度の場合にはその百三十五度が守れなかった。例えば今度の北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国、あそこの場合でも北に対する線の引き方、これについては将来いわゆる北朝鮮が二百海里の問題で問題になったときに、ここら辺にきちっとこうした形になれば、北の出っ張りですよ、北側の。この問題についても問題は起こり得ないということをある程度判断してああいうふうな線の引き方にもなっているというふうなことを考えるならば、何で東経百三十五度の線が守れなかったのか。それならなぜ韓国側は百三十六度ということを主張したのか、韓国側の主張は一体どういう点にあったのか。どうでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) この交渉の経緯では、韓国側は、まず現在の漁業秩序で結構であるという基本姿勢であったことは御存じのとおりでございます。しかし、海洋法条約、こういう状況のもとで新しい漁業秩序をつくろうという日本側の主張に耳をかさないわけにはいかぬ。しかし、当然のことながら、まず境界線を引いてから漁業協定をつくったらいいじゃないかというのが向こうの当初のかたい姿勢でございました。
 しかし、それではいつまでたっても漁業協定ができないということで、暫定水域。その中で向こうは、それじゃ暫定水域の設定には同意するけれども、それは非常に大きな水域であるべきだということを言ってまいりました。これはずっと東限線がないのも実は、交渉の内容にわたりますが、言ってきた段階もあったのでございます。それをだんだん西に寄せまして、さっき先生おっしゃったように、向こうは百三十六度、こっちは百三十五度というところで双方の意見が対峙したという局面もありましたが、その百三十五度という線の大事さは、その認識があったればこそ結局昨年中にこの水域について合意ができなかった一つの大きな原因でございます。
 したがって、私どももそれを軽視したりないがしろにしているわけではございませんが、結局は、その水域の設定と韓国側の今後の漁獲量をどのレベルに決めるかという全体の考慮の中で水域の大きさ、形も決まった、そういうふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。
○立木洋君 東経百三十五度以東についても韓国側が主張したというふうな経過等々についてもある程度知っております。その交渉の経過の中で百三十五度三十分まで最終的にはなったということですけれども、いわゆる百三十六度を向こう側が最後まで強行に主張した根拠には、御承知のように、竹島を基点として考えるならば、線引きをすれば百三十六度になるじゃないかということが非常に強い根拠になっているんですよ、これはもう明らかなように。
 そうなるならば、さっき竹島問題、領有権が解決されていないんだから、それを切り離してやるんだというふうな考え方からいうならば、百三十五度からさらに三十分を譲歩して、この譲歩した三十分というのは四十数キロにわたる海域なんです、それから大和堆も問題になって漁民の中からいろいろな意見が出る。だから、ここの問題についてはもっと私は強力に主張すべきだったと。
 阿南さんがさっき言われましたように、暫定水域というのはいわゆる暫定なんですから、本当に国際的な海洋秩序を樹立していく上で将来解決しなければならないことを考えるならば、暫定水域というのは暫定的なものであって、これはできる限り狭い領域で定めるのが私は必要だと思うんです。
 そういうことをきちっと最後まで努力できなかったという点については、今後の交渉の中でよく教訓を生かしていってほしいということを私は強く申し上げておきたいわけですが、沿岸の三十五海里、この問題についてもいろいろありますけれども、時間がないのでこの場では言いませんが、阿南さん結構です、今までの答弁で。
 最後に大臣、この問題については、その根拠が何なのか。今までとってきた政策とのかかわり合いにおいて、筋を通すべき点はきちっと筋を通すということについても、今後の外交交渉の中でもう一つ大きな問題がまだ残されておりますけれども、漁民の要望もあわせてたくさん出されておるということはもう御承知だろうと思いますから、ひとつ努力をお願いしておきたいんですが、よろしいでしょうか、ちょっと御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(高村正彦君) できるだけ筋を通そうとしてできる限り努力した結果が、こういうことになったということで御理解をいただきたいと思います。
○立木洋君 努力したけれどもやむを得なかったというふうな結果にならないように、ひとつ御努力をお願いしたいと重ねて申し上げておきたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 私は、昨年の十月に直接交渉いたしましたので、この東限線の話というのはよくわかっているんですが、我々は百三十五というのをそれなりの根拠を持って主張したつもりですが、韓国側からいえば、そこは何の根拠もないので東限線を引くこと自体がおかしいというのが韓国側の立場だったんです。そして最後、彼らが妥協してカードを切ってきたのが百三十六度。だから、彼らも百三十六という数字に根拠があるなんて言っているわけじゃなくて、妥協の産物として百三十六ということを言ってきた。そして、その最後の最後の中で百三十五・五というのが全体のパッケージの中で決まってきた、こういうことでありますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○立木洋君 私は、国際的な海洋法条約に関する秩序ということを基本にして、これは国際的な基本ですから、そういう見地に立って、これまで二十年間いわゆる暫定措置法をとってきた経緯からの影響、これがそういう点にあらわれてきているということはやっぱり重く受けとめておく必要があるだろうと思うんです。そういうことを考えた上で、国連における海洋法条約の基本的な精神に基づいた交渉のあり方ということが非常に重要だということを、今後のこの漁業秩序の問題についても検討していただきたいということを述べておきたいと思うんです。
 次に、水産庁の方にお願いします。
 この暫定水域における資源保護のための漁業秩序が守られるかどうかということ、これは非常に大切なことだと思うんです。この問題については、御承知のように、この協定の第九条の附属書に関する、附属書Tの2の条項の中でその問題については書かれてあります、いわゆる資源の問題等々については。
 この暫定水域における操業ルールという問題については、既に共同委員会の発足前に漸次話し合いが進められておるというふうな報告ですけれども、この問題については、御承知のように新聞報道等によってもなかなか難航しているということが言われております。そして、中川農林水産大臣は、日本側としては暫定水域の資源管理がきちっと行われるかどうか不安を抱いているというふうな発言さえ韓国側との交渉の中でも述べておいでになる。
 私は、この暫定水域における操業のルールについて基本的にはどういう姿勢で、見地で臨んでいかれるのか、農水省の方の見解をひとつお聞きしたいと思います。
○政府委員(中須勇雄君) 冒頭、先生からお話がございましたとおり、暫定水域というものがまさに暫定的に設けられるわけでありますが、それといえどもやはり基本的に私どもとしては海洋法条約に基づく資源管理というものがそこで実現されなければならない、これがやっぱり基本だろうというふうに思っているわけでございます。
 現在御審議をいただいております協定の中では暫定水域内の操業ルールに関しましては二点主な項目がございまして、日韓漁業共同委員会の協議を通じて漁業種類別の漁船の最高操業隻数を含む適切な管理を行うということが明記されておりますし、その際に、現在双方が行っている操業規制、この海域でそれぞれの国に課している操業規制については相手方はそれを十分配慮する、こういう二つの条項が設けられているわけでございます。
 したがいまして、私ども、本来はこの協定が発効して日韓漁業共同委員会がつくられてからその中で議論されるべきことということでございますが、時間がございませんので、あらかじめ準備会合というふうな形で韓国側と話を進めておりますが、その中では、この暫定水域におきまして、漁業種類別に漁船の操業隻数をお互いに設定すること、それから操業条件のルールに関しては、例えば日本が実施している一定の休漁期間を設けるとか、こういう漁法を用いないとか、そういうことは韓国側も同様に規制をしてほしいと、こういうことを基本に今話し合いを進めている状況でございますが、まだ具体的な結論を得るに至っていないというのが現状でございます。
○立木洋君 附属書Tの2項の(2)、これは正確にあれしておきたいんですが、「この水域における海洋生物資源の保存及び漁業種類別の漁船の最高操業隻数を含む適切な管理に必要な措置を、自国の国民及び漁船に対してとる。」、こうなっているんです。だから、最高操業隻数を含む適切な措置なんだと、適切な措置というのはたくさんあるんです。
 この問題に関して言うならば、例えば今言った漁業種類別の操業する隻数の規制、あるいは特定の漁法の禁止、あるいは漁獲期間の規制、あるいは特定の漁具使用に対する禁止。これは、御承知のように底刺し網漁にしても、雑かご漁にしても、オッタートロール漁にしても、アナゴかご漁についても、これは韓国については許可されているんです。日本では禁止されているんです。だけれども、日本で禁止されているのは日本の漁民が守る、しかし韓国では許可されている漁法だからその漁法をとるということがこの暫定水域でやられるとなれば全然問題にならないですね。これはもう大変なことになりますよ。
 だから、そういうことがきちっと守られるような、いわゆる共同委員会におけるきちっとした話し合いというのができる必要がある。御承知のように、漁民の話では、数千隻といわれる小手繰り船が出て、韓国自身でも認めていない、いわゆる許可を受けていない漁船が出てきて違法操業をやるなんというふうなこと等々があって、この問題についての漁民の二十年近くにわたる考え方の中での不信感や不安感というのは非常に根強いものがあるんです。この問題についてはやっぱりきちっとやらないといけない。これについては、韓国側というのは、今までの文書の中ではそれに対して同調し、賛成するという方向にはなっていないですね。これが一月二十三日までに話し合いがきちっとできるのかと。
 それからさらには、将来、共同委員会では毎年のように漁獲量を含めて私はもめていくだろうと思うんです。この問題というのは、今後解決していかなければならない重要な問題になる。しかもそれは何かというと、暫定水域の中ではいわゆる旗国主義なんです。これは沿岸国主義じゃない。旗国主義になるとその取り締まりをやるかどうかという問題はその当事国にゆだねられているわけですから、この問題についてもやっぱり大きな問題になる。だから、国際海洋法条約の基本的な精神に基づいて暫定水域内における操業においてもいわゆる国連海洋法条約の精神が順次適用されていくような考え方でやっていく必要があるだろうと思うんです。
 農林水産省の方の答弁と、あと大臣の御見解もお聞きしておきたいんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(中須勇雄君) 確かに我が国の漁民の立場というか、我が国の立場から見ますと、これまでの韓国の漁業の実態、今御指摘がございましたように、韓国国内法で違法とされているような漁船が我が国の近海まで来て資源をとりまくる、こういうような状況があったわけでございますから、しっかりした資源管理をやるということと非常に大きな現実との落差があるという意味において大変難しい交渉であるし難しい課題だというふうに我々は思っておりますが、そこはやはり基本的に、先ほどのお話ではございませんが、筋を通して交渉していくということだろうということで、腹を据えてやっていきたいというふうに思っております。
 それから、もちろん暫定水域の中は旗国主義の取り締まり、そういうことになっているわけでございますが、同時にこの附属書Tの2の(5)では、我が方が韓国漁船の違法操業を発見した場合、それを一定のいろいろ証拠を添えて韓国側に通報すれば韓国側は適切な措置をとる、それを我が方に通報する、そういう問題もございます。こういう規定を活用するとか、あるいは両国の監視船が合同でこの区域での重点区域で監視を行う、いわゆる連携巡視を行うとか、さまざまな工夫を凝らしながら、直ちに一朝一夕にすべて一〇〇%というわけにはまいらないかもしれませんけれども、十分な資源管理が行われる体制をつくっていく、そしてまたそれが取り締まり面で実効ある形になるように努力していきたいというのが今現在の私どもの立場でございます。
○国務大臣(高村正彦君) 暫定水域の中の取り締まりの運用の問題というのは確かに大変な問題だと思っていますが、ここがきっちりできないとまさに日韓間の信頼も失われるわけでありますから、これは我が方もきっちりやるが、韓国側にもきっちりやってもらえるように外交当局としても常に目配りをしながらやっていきたい、こういうふうに思っております。
○立木洋君 終わります。
○田英夫君 まず、この日韓漁業協定が締結される以前のところをちょっとたどってみたいんですが、約一年前、ことしの一月二十三日に旧協定が破棄をされた、そのことが報道されて明らかになったちょうどそのときに、一月二十一日に、つまり破棄される二日前に私はまだ大統領になる前の金大中さんに会ったところが、私が大統領になることがわかっているのにその直前になってこういうことをやるのは私に対する侮辱だと、こう言って激怒していたんです。私はそういう意味で新しい協定を結ぶのが非常に困難になったんじゃないかと心配をしたんですけれども、結果はよかったと思います。しかし、なぜあの時期に前協定を破棄したのか。破棄するという、ひとつ退路を断っておいてやろうと、そういうことだったのかどうか、その経緯をちょっと説明してください。
○国務大臣(高村正彦君) 現行の日韓漁業協定につきましては、昨年の段階で何とか新協定の交渉をまとめるべく努力を傾けたわけでありますが、私自身もかなりやったつもりですが、残念ながら合意に至らなかった。まさにやむを得ず本年一月二十三日終了通告を行ったわけでありますが、政府としては、交渉の進捗状況等を真剣に検討した結果、排他的経済水域における生物資源の維持管理をより的確に行うため、新たな漁業秩序を早急に確立するとの決意のもとでやむを得ずそのような措置をとった次第であります。
 私は余り細かいことを申し上げたくありませんが、金大中大統領がかなり御立腹されていたのには、交渉経過における誤った情報が入っていたこともあったと私は思っています。それは韓国側にきっちり申し上げました。内容はここで申し上げません。
 ただ、これにより現行協定は同協定の規定に基づき明年一月二十二日いっぱいで効力を失うことになったわけでありますが、終了通告がなされたことにより日韓双方が現行協定の終了までに新漁業協定についての交渉を妥結しなければならないとの認識を深めるに至った面もあり、その意味において結果として新漁業協定についての交渉を促進させた側面もあったと、こういうふうに思っております。
○田英夫君 新協定の内容について、皆さんもいろいろ言われましたが、もちろん心配はありますけれども、私も結果としてはよかったなと評価をします。
 特に、一つは漁業の関係から見て、もう一つは竹島の問題を含めて政治的な観点から見て、あるいはさらにもう一つは日韓関係の円滑な方向への進展という意味から見てよかったなと思っているんです。それにはお互いに譲歩しなくちゃいけないのは当然なんで、漁業の点でいえば残念ながらまだ、私も漁業関係者の皆さんと接触をしてみると、今度の新協定について、日本海沿岸の特に山陰の漁民の皆さんの間ではいまだに不信感がある、不信感といいますか心配があるという現状があります。ただ、北海道とかそういうところに韓国船が従来来ていたのが来なくなるということで、先日も釧路へこの委員会で行きましたが、関係者は喜んでおられるというようなことで、プラス、マイナスがあります。
 それから、ただ立木委員も言われた点は非常に重要なことですから私からも申し上げたいのは、韓国側では禁止していない底刺し網漁業というような漁法を日本は禁止している。そうすると、この暫定水域の中でそれが混乱のもとになるおそれがある。おまけに旗国主義ですから、このいただいている資料でも鹿児島で両外務大臣が署名をされている。それによると、例えば韓国のは、大韓民国の国民及び漁船により協定に違反する操業があった場合には大韓民国の関係法令に従ってとあります。それから、その逆、日本の場合は、日本国民、漁民が日本の法令に従ってと、こういうことになっていますから、それで双方署名して交換しているわけですから、韓国で禁止していないのを取り締まるわけにいかないという問題が出てくる。それをどう円滑にするかというのは残された非常に大きな問題です。
 友好関係を維持するという意味でも、しばしば旧ソ連との間で漁船の拿捕というようなことがあってお互いに不愉快な思いをしたわけですが、友好関係にも水を差すわけですが、そういうことにならないようにするためにはどうしたらいいのか、共同委員会しかないですか、その点はどう考えていますか。
○政府委員(阿南惟茂君) まさにそういう問題を協議する、話をするという意味で共同委員会があるわけでございますが、これは申し上げるまでもなく相手のあることで、韓国側は二つの理由、一つは建前上暫定水域の中では主権が制限されるということに物すごい抵抗感がある。もう一つは、実態上漁法が違うということから、韓国国内法では禁止していないものを制限されるということは漁業の実態にかかわることだということでございます。
 しかし、それでは日本側の漁業関係者の方々の御不満、今までずっとそういうことで大きな不満が積み重なってきているわけでございますから、私どもも一定の時期、一定の区域ではそういう漁法での漁業は禁止しようと、そういうことを今向こうにぶつけて話し合っているところでございますが、まさに相手のあることでございますので、我が方の主張が一〇〇%通るかどうか、これはわからないんですけれども、そこは非常に重要だという認識でやっております。
○田英夫君 本当に、繰り返しますけれども、ここまで来たのはお互いに譲歩して結果としてよかったなと思うんですが、これを運用していく段階で、せっかく緒についた日韓友好関係といいますか、それが漁業から阻害されるということにならないようにひとつお互いに努力しなくちゃいけないと思っているんです。
 時間がなくなりましたから、もう一つ。この結果、中国とも漁業協定ができた、韓国もできたと。我が国周辺で、これ国交がありませんからやむを得ないといえばそうなんですが、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮との間には漁業秩序ができていない、こういう状態が最後に残ったわけです。これはどうしたらいいと思いますか。どうしたらいいと政府に伺っても、国交がないんだからということでおしまいでは困るんでね。
○国務大臣(高村正彦君) それでおしまいだと困ると言われると答えようがなくなってしまうわけでありますが、我が国は北朝鮮との間に国交を有していないので、現在御審議いただいている日韓漁業協定のような協定を北朝鮮との間に締結することは困難であります。
 仮に、我が国の漁業者の間に新たに北朝鮮水域で漁業活動を行う希望がある場合には、新たな民間取り決めを作成して、その枠組みによりこれを行うよりほかにないわけでありますが、現在のところ、我が国の漁業者の間にそのような希望が強く存在するとは承知していないわけであります。
○田英夫君 もう御存じのとおり、過去には、北朝鮮の特に日本海側の沿岸というのはスケトウダラなんかの漁場としては悪くない、悪くないというかいいんです。そういうこともあり、九州や山陰の漁業者の中ではあそこの沿岸で操業することを希望していたということもありましたので、超党派の日朝議員連盟、亡くなった久野忠治さんが会長のころ、北朝鮮側とのいわば民間の話し合いで、民間協定を結んで一定の秩序を維持しながら操業をしたことがあるわけです。私も日朝議連の役員をしておりましたので、その交渉に参加したこともあります。それは北朝鮮という国ですから、大変恩に着せられたり、いろんな経験をいたしましたけれども、とにかくやっていた。
 ところが、第十八富士山丸とか、最近で言えば拉致問題とか行方不明問題とかいうようなことを含めていろいろ問題があって、今完全に何もない、約束事のない、秩序のない状態になっている。これはひとつ宿題として、大臣おっしゃるように民間しか当面あり得ないわけですから、それをどうしたらいいのかという問題がひとつ宿題だということは意識の中に政府の皆さんも含めてお互いに持っていた方がいいんじゃないかと思います。
 そこで最後に、もう時間がありませんが、大臣に伺いたいのは、北朝鮮に対する態度ということで、韓国の金大中大統領の太陽政策ということがこのごろしきりにいろいろ言われるわけですけれども、日本政府としてはこれに対してどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(高村正彦君) 一般に太陽政策と呼ばれている金大中韓国大統領の対北朝鮮政策は、北朝鮮の武力挑発は拒否する、吸収統一はしない、和解と協力を可能な分野から促進するという三原則を基本としているわけでありまして、北朝鮮に対して毅然とした対応を示すと同時に、可能な分野の協力を進めるというものと理解しておりますが、我が国政府はこれを支持しております。
○田英夫君 まさに今言われたとおり、金大中さんの主張というのは北に対して毅然とした態度をとりながらという前提があってのことであることは重要なことだと思いますが、だからといって、テポドンが打ち上げられた、これが人工衛星か弾道ミサイルかというようなことだけではなくて、そのことをきっかけにして情報収集衛星だとかTMDだとかいうことが相次いで出てきて、アメリカと一緒に軍事的な対応に力を入れるということに何か集中しているようなことは私は賛成できない。
 太陽政策を支持すると今言われましたが、となれば、どうやったらあの国を国際社会に窓口を開いて出てこさせることができるか、天の岩戸じゃないけれども、どうやったらこの鎖国的状況を開くことができるか、そこに日本政府は知恵を絞るといいますか、我々はみんなで知恵を絞ると。いわんや、入り口のところに余計な大きな石を置いて扉が開けないようにしてしまうという、こっちがですよ、私はそう思っているんです、いろんな問題を次々に出して日朝国交正常化交渉ができないようにしていると。こっちが入り口に石を置いているとすれば、それは最悪のやり方だと思っておりますので、最後に大臣から、北朝鮮に対して、一言でどうするのかと言えという方が無理かもしれませんが、時間がありませんから、それを最後の質問にいたします。
○国務大臣(高村正彦君) 日本とすれば、北朝鮮に対しては毅然とした対応をしてまいります。
○田英夫君 終わります。
○山崎力君 今までの同僚委員の質問と重なっている部分が多数ありますので、少し細かくなるかもしれませんが、短い時間ですので的確に答えていただきたいと思います。
 まず、この問題で暫定水域というのがやっぱり一番の問題ですが、竹島の問題はみんな理解していた部分があって、ところがその南方というか西方の部分でも暫定水域ができている。
 この理由は、資料によると、長崎県の男女群島にある島を我々は基点として排他的経済水域を設定しようとしたんだけれども、韓国側はそれは岩であって島でない、基点にならぬということでこれができたということなんです。それは事情はわかったにしろ、今度の新海洋法条約というか、そういった中でこの問題というのは世界各国共通どこでもある問題だろうと、島か岩かという問題ですね。
 竹島も島か岩かということの方で判断する可能性もこれはないわけじゃないんですが、その辺のところを含めて解決手段は条約上どうなっているのか。それに対して将来この問題をほっておくのか、あるいはそれなりのしかるべき裁判所といいますか、調停機関に持っていくつもりなのか。その辺からお伺いしたいと思います。
○政府委員(東郷和彦君) まず、この条約におきます南部の暫定水域についてでございますけれども、累次御説明申し上げましたように、どうしても日韓間で線について合意できなかった。これに関しましては、韓国側は、日本側が主張しました中間線原則に対しまして、日本側の提示した線よりも日本側の方に張り出した線を主張したということでございます。その原因としましては、今先生御指摘になられたような点もあるかとも思いますし、それから基線のとり方をどうするのか等種々の要因がございました。
 いずれにせよ、合意できなかったわけでございまして、国連海洋法との関係では、このように境界画定の合意がどうしても達成できない場合には、海洋法条約の第七十四条三によりまして、関係国が暫定的な取り決めを締結するために努力すべきであるという規定があるわけでございまして、今回、日韓においてもこの規定にのっとって、どうしても合意できない部分に関してはまさに暫定的な処理をいたしたということでございます。
 御質問の今後に関しましては、経済水域の交渉というものを一生懸命やるということを附属書Tの冒頭に記したわけでございまして、先ほど大臣から申したように、この精神に従って誠実に交渉をやってまいりたいというのが現時点での考え方でございます。
○山崎力君 それはもう聞かずもがなのお答えでして、私の聞きたいのは、新しい海洋法条約において島か岩かの判断というのをどうするか。要するに、二国間で問題になったらそこを二国間でやりなさいと言っているのか、それとも条約上、こういうものを島にしますよ、こういうものは岩ですよという定義があるのかないのかということなんです。
○政府委員(東郷和彦君) 国連海洋法におきましては、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない」という、これは海洋法第百二十一条三項の岩に関する定義でございますけれども、こういう規定がございます。
 しかし、それではいかなる状況が人間の居住または独自の経済的生活を維持することができないということであるかにつきましては、海洋法上の解釈というのはいまだ確立されておりません。したがいまして、この規定を参考としつつ、最終的には関係国で議論をして何らかの打開策を見つけるしかないというのが現状かと心得ております。
○山崎力君 そこのところはその点にとどめておいて、今回の一つのポイントというのはやはり暫定水域がどうやって決まったのかということだろうと思うんです。
 素人目で見ますと形が非常によろしくないんですね。どうも日本側には不利ではないかという部分がぱっと見た感じでは受けとめられる、御努力の結果はあるんでしょうけれども。というのは、やっぱり一番考えられるのは、竹島の問題確かにあるんだけれども、竹島がもし岩で、先ほどのあれでは岩で、要するになかったものとしての中心線というものを考えた場合、暫定水域がどうも日本側に張り出しているような感じがすると。
 それから、形の上からいくと、その辺は議論のあるところかもしれませんけれども、ここで一つ問題とさせていただきたいのは、我が国はあくまでも竹島が日本領土であるという主張をしているわけです。そうすると、そこから伴う基線上の二百海里ないしの経済水域というものは当然出てくる。そこのところではみ出した部分というのは、若干は韓国側はあるんだけれども、非常に少ないと。それに比べて韓国側が主張している竹島領有のところのいわゆる経済水域よりも日本側の方、日本海の方に張り出していると、こういうことが先ほどの論拠になるわけですが、それと同時に、北との関係で、三十八度線で水平に切った部分があるんだけれども、出っ張っているのはどういうわけか。
 それから、もう一ついえば、それは今までの議論であったからいいんですが、お答え願いたい点は、三十八度線以北で本来我が国が竹島の領有を主張していれば当然経済水域に含まれる水域が今度の暫定水域の三十八度線以北から暫定水域にかけて存在するはずなんです。これは韓国側は暫定水域に主張していない。我が国は竹島を当然のことながら領有すると主張していれば韓国側が異議を申し立てない水域というのは我が国の経済水域になるはずであると。そのときの考え方とすれば、ここはあくまでも我が国の経済水域として漁業その他の排他的な権利を有するというふうに解釈できるわけですが、それでよろしいんでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) ただいま委員御指摘の北緯三十八度線以北の一部水域に関してでございますけれども、暫定水域を決めるに当たりましてこの点は検討したところでございますけれども、本日累次御説明しておりますように、日本側としましては暫定水域というものはできるだけ小さくとりたいという考え方で臨んだわけでございます。当該水域に関しましては、韓国側として北朝鮮との関係もあり、この水域での韓国漁船の操業は行われていないというふうに理解しているところでございます。
 以上の事情を総合的に勘案し、種々構想全体のパッケージをつくり上げていく過程におきまして、この水域に関しましては附属書Uの3によります処理をいたしたということでございます。ちなみに、それは、「各締約国は、この水域においては、漁業に関する自国の関係法令を他方の締約国の国民及び漁船に対して適用しない。」という形で処理したということでございます。
○山崎力君 ということは、我が国のほかのところである経済的水域と性格が同じなんですか、違うんですか。
○政府委員(東郷和彦君) この協定上のほかの地域とは若干性格を異にした形で本件協定を合意したということでございます。
○山崎力君 その辺のところの説明が全くなされていないという部分を一つ指摘せざるを得ないだろうと思うんです。これはやっぱり国益に関する問題ですから。少なくともここに関しては竹島を我が国が領有している、領土であるというのであれば、そこはそこでやっていかなくちゃいけないはずなんで、その辺のところが韓国とそういった形で約束しているとすれば、それは暫定水域ではないけれども我が国の明確な主権が及んでいない、経済水域としてのそういった地域であるということで、そこはもう少し明確にしないと、今後トラブルが、問題が出てくるのではないかということを指摘させていただきたいと思います。
 次いで、水産庁の方にお伺いします。
 今回の問題で漁民は反対している、内心は反対している方が多いと、先ほど立木委員初めいろいろな指摘があって、問題点があると。そういったことで対策を考えておると。それはどうなるかということなんですが、その前提として、今の漁民の漁獲量その他の現状がどうなっているのか。それが韓国側の不法と我々日本の漁民が思われているあれで被害を受けているという部分の漁獲量という部分もあるだろう。それが今回の協定によってどういうふうになるのか。特に暫定水域の漁法その他によって被害が出てくる、あるいは協定の中によって要するに隻数の制限その他が出てくる、漁獲減が出てくる、そういったものを想定するというのは前提が非常に難しいものですから困難だろうと思うんです。
 ですから、対策費というのは、申しわけない言い方だけれども、ある程度つかみ金的な、積算の根拠が薄弱なものですから、ある程度のものをやって、そこから水産庁としては対策費としてやっていかざるを得ない。その辺のところ、非常に困難な作業、悪く言えば恣意的に予算分配することも可能だということもあるわけですが、その辺をどういうふうに考えてこれから漁民補償あるいは対策を講じようとしているのか、お考えを伺いたいと思います。
○政府委員(中須勇雄君) ただいまの御指摘は、今回の第三次補正予算に計上をお願いしております二百五十億円の新日韓漁業協定関連漁業振興基金というものの性格なり使い方ということについてのお尋ねだと思います。
 確かに御指摘のとおり、これから先、例えば暫定水域においてどういうような資源管理が行われるか、あるいは取り締まりが行われるか、そのこと自体が実はまだ確定していないわけでございます。ただ、考えられることとしては、一定の暫定水域の中の一定水域、例えば大和堆のような水域では日本と韓国の漁船の稠密な漁業活動ということが続く、あるいはそれが激化するということが想定されるわけでございまして、そういうものに対して万全の備えをして漁民の不安感を払拭しようというのが基本的なねらいでございます。
 そのために振興基金については、例えば大変低利な漁業経営の安定資金というものを漁民に提供して、例えば漁獲量が大きく変動していろいろ計画どおりいかなくなった、そういうときに低利の資金を借りられるようにしてはどうか、例えばこういうことを考えております。それから、現在制度として漁獲共済という制度がございまして、過去の漁獲金額、漁獲高というものを保険の対象にする、これも変動が大きかったときに一定部分のてん補が行われる、これに対して掛金の補助をする。さらには、これまで相当荒らされた漁場機能を回復するために、漁場の清掃を含めていろいろ多彩な取り組みを漁業者みずからが行う、そういうものに対して助成をしていく。そういうような想定し得るものを積み上げまして、それを三カ年間とりあえず実施をするということで、二百五十億円というものを積み上げているということでございます。
 したがいまして、これから先、具体的に暫定水域における操業の実態等を把握し、その上で必要なものについてはさらにそういうふうに新しいメニューを考えるというふうなことを含めて対応していく、こういうふうにできるだけ弾力的に対応していきたいというのが現在の私どもの考え方でございます。
○山崎力君 そう御努力願うとして、後で問題にならないような形でやっていただきたいと思うわけです。
 次に、保安庁の方にお伺いしたいんですが、今度のあれで、いろいろ取り締まりあるいは監視等の整備をされていると思うんですけれども、少なくとも一番ある意味で今回交渉の中で問題になった大和堆の暫定水域とそうでないところの警備とかそういった点で、今度の暫定水域用に保安庁としてはどのような増強を考えていられるのか、非常に具体的な数で恐縮ですが、今度の補正でどれだけやっているのか、あるいは来年度の本予算でどれだけのあれをやっているのか、時間がありませんので、隻数とそれから配備、どのあたりにやるということをちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(楠木行雄君) 最初の委員の方にかなり数字、現状と将来配備等もお答えいたしましたので、今、先生は暫定水域などに絞ってお尋ねかと思います。
 それで、日本海の大和堆及びその暫定水域付近海域、それからもう一つ、東シナ海等に暫定水域に含まれるものがございます。こういったところにつきましては、どうしても陸岸からかなり遠いとか、それから海域の広さ、そういったところ、あるいは冬は非常に荒天である、こういったことを考慮いたしまして、ヘリコプター搭載型の巡視船あるいは大型の千トン型の巡視船を配備して、監視、取り締まりを行いたいと考えております。
 それで、現在私ども十一隻のヘリコプター搭載型の巡視船がございまして、十二隻目を建造中でございます。今回これを新しく着手いたしますと十三隻目になるわけでございますが、一月の下旬にこういった制度が発足をするということになりますと、それまでには今建造中のものは間に合いませんので、この十一隻のものを順次運用調整ということで関係の海域にやり、それからPLと申しますが、先ほどの千トン型のものもかなりの隻数がございますのでやはり運用調整を行っていく。それから、航空機もそれぞれの航空基地から派遣して上空から監視する、水産庁と連携してやっていく、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
○山崎力君 時間がありませんので、終わらせていただきます。
○佐藤道夫君 最初に、竹島問題についてお尋ねいたします。
 この問題につきましては、さきに同僚議員も取り上げているところなんですけれども、つい二、三日前の新聞に、韓国が竹島に灯台を建設する準備を進めていると、高さ十メーターぐらいの半永久的な堂々たる灯台であって、完成の暁には職員も配置する予定であるということが書いてありました。これは間違いない事実でありましょうか。いかがでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 今、先生おっしゃった記事の内容そのものを全部確認するわけではございませんが、そういう灯台が建設されているという、そういう事実はございます。
○佐藤道夫君 そういう計画を韓国が持っているかどうか、その点についての外務省の把握はどうなのか、こういう質問であります。
○政府委員(阿南惟茂君) 有人灯台の建設を現在進めております。私どもも承知しております。
○佐藤道夫君 そういうことにつきまして日本の外務省に連絡その他は一切ないわけですね。
○政府委員(阿南惟茂君) これは、私どもも大体の事実を承知しておりますので、向こうにどういう実態であるかということは確認して、向こうからもそれなりの通報と申しますか、情報提供を受けております。
○佐藤道夫君 厳重な抗議は申し入れているのかいないのか、ただ聞きおく程度なのか、どちらなのでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) これは、今回の有人灯台の件に限りませんが、竹島に関して向こうのいろいろな埠頭の建設とかそういうことについては、その都度文書により厳重抗議をしております。
○佐藤道夫君 先ほど大臣の御答弁でも、粘り強い交渉を続けているというお言葉でしたが、いつどこでどのレベルでの粘り強い交渉が行われているのか、差し支えない限りちょっと明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(阿南惟茂君) 昭和二十七年以来というあれでございますが、六十七回抗議を行っておりまして、大臣レベルを初め、最近でもこういうお話があったと承知しておりますが、そういう高いレベルも含めて抗議をその都度行っております。
○佐藤道夫君 具体的にお答え願いたいんですけれども、それじゃ最近の例としますると、一番高いレベルでどの段階でどのような話し合いがなされたのか、それに対して韓国側の回答はどういうことだったのか、ちょっと御披露していただければと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 一番最近の例で言いますと、つい先日、鹿児島で私が洪淳瑛長官にやめてほしいということを申しました。それに対して、やめるという返事はいただけませんでした。
○佐藤道夫君 国際司法裁判所に双方合意の上で提訴する、こういう提案に対してはどのレベルでどういう回答がなされておるんでしょうか。それをまたお願いしたいと思います。
○政府委員(阿南惟茂君) これは一九五四年に、随分昔のことでございますが、当方より国際司法裁判所への提訴を韓国側に提案いたしました。御案内のように、当事者両方が合意いたしませんと受け付けられないわけでございます。その際、韓国側は基本的にはそういう領有権問題はないんだという理由でございましたので、向こうはこの提訴を共同で出すことを拒否したという経緯がございます。
○佐藤道夫君 一九五四年なんて、もう三十年、四十年前の話ですか。最近は全然そういう申し入れすらしていないんでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 今申し上げた時点以降、そういう話をしておりません。(「怠慢だよ」と呼ぶ者あり)
○佐藤道夫君 今、「怠慢だ」という声がかかりましたけれども、私も全く同感でございます。
 この前、金大中大統領が来日した際にそういう話は一言も出ていないんでしょうか。日本も韓国も近代的な法治国家でありまするから、紛争、もめごとがあれば力ではなくて法律で、司法を通じて解決すると。国際司法裁判所というきちっとした組織があるわけですから、ぜひそこで解決しよう、そして結論にはお互い欣然として従おうと、こういうことをそれこそ粘り強く申し入れていく。当たり前のことだと思うんですけれども、この前、金大中大統領が来られた際もそういう話は出ていないんですか。不思議だとしか思えませんけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 先般の金大中大統領訪日の際に、この竹島問題を国際司法裁判所でというお話は出ておりません。
○佐藤道夫君 大臣にお伺いします。
 何を遠慮しておられるんですか。堂々と言えばいいじゃないでしょうか。受け入れる、受け入れないは向こうの勝手ですから、そういうことを粘り強く交渉していくということを言うのでありまして、おかしいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 国際司法裁判所で解決するというのは、それは考えられ得る一つのことだと、私はそういうふうに思います。思いますが、現時点でまだ言っておりませんし、今が言う時期かどうかということは私はあると思います。洪淳瑛外務大臣との間で灯台の建設はやめてほしいということはきっちり申し上げましたが、そういう中で私は静かに言うべき時期があるかなとは思っておりました。
○佐藤道夫君 国際司法裁判所に提訴するのが一つの道だとおっしゃいましたけれども、これしかないんじゃないでしょうか、こういう問題につきまして。双方とも領土の主張について引っ込むとは思いませんから、最後は、法治国家である以上は司法判断にゆだねましょうというのが当たり前のことですから、それ以外はもう戦争しかないわけですから、戦争で解決するような時代じゃないことはもう明らかですから、なぜ遠慮しておるのか、それがわからない。きちっと申し入れることは、あくまでも申し入れでありますから、向こうを強制するわけでも何でもない。応ずる応じないは向こうの勝手でありますから、こちらは粘り強く申し入れを続けていく。
 特に、金大中大統領は、殊のほかこういう問題については理屈の通る方だと私は思っておりますので、そうか、それならひとつ我が方の主張は正当だから何ら遠慮はしない、堂々と国際司法裁判所の場で争いましょうと言うような人だと私は信じておりますけれども、なぜそういうことに遠慮なさるのか、それが全然わからない。いかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 残念ながら、韓国は現時点で領土問題があることすら認めていない。そういう態度の状況の中で、今やって実効が上がるかどうかということも含めていろいろ私なりに考えてきましたが、今まだそういう交渉を直ちに開始するという結論には至っていない、こういうことであります。
○佐藤道夫君 ますますわからないんですけれども。日本だって、あれは日本のものだ、領土問題はない、ただ向こうが事実上不法占拠しているんだと、こう思っておるわけでございましょう。
 しかし、争い事というのはそもそもそういうものですから、自分に権利があるとお互いが突っ張るものですから、どうしようもないので裁判所に提訴をする、こういうことになるわけでありまして、領土問題があるとかないとかいう問題は実際論外の話なのでありまして、お互い法治国家である以上は争いのあることはすべて司法裁判所で解決しましょうと。ごくごく普通の常識だと思うんですけれども、なぜ遠慮なさるのか。
 特に、大臣は法律家でもあられるからこんな簡単な理屈はすぐおわかりと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 法治国家というのは、その国家の中の主権で法によって統治される国家であって、国際社会の中で残念ながらまだそこまで進んでいないわけであります。
 そういう状況の中で、ですから国際法に応じて片方がそういうことを提起しても、相手が応としなければ管轄権が及ばないということが国際法になっているわけで、それが国際法の一つの制度でありますから、ですから、そういう中で韓国がそれに対して応ずるという見込みがあるかどうか、そういうことも考えながら、どういう形が一番いいのか考えてまいります。
○佐藤道夫君 大臣と法律の議論をするつもりはさらさらございません。
 いずれにしろ、我が方が強く再三再四申し入れて、理屈を通じて向こうにも考えていただくというふうなムードをつくり上げていくことが大事なのではないか。大事なことは何一つやらずして、五四年に申し入れをした、向こうは断った、それきりだと。とても何か一国の外交を預かるような立場の方のお言葉とは思えないわけでありまして、どうか何度でも結構ですから粘り強く本当に申し入れをして、最終的には国際司法裁判所の場で解決しましょうというふうなムードをつくり上げていくのが政治家でもある大臣のお務めではないのかな、こういう思いがいたします。
 この問題はこれで結構でございます。
 次に、外交のあり方にかかわる問題について一つ二つお尋ねしたいんですけれども、一つは北朝鮮からのミサイルについてであります。八月末ごろにミサイルが飛んできて我々の頭を越えていった、大騒ぎになった。そして、その先頭に立って政府はKEDOに対する財政支援を凍結した。大変結構なことだと、国民はみんなそれを支持したと思います。
 ところが、凍結したその直後ぐらいから、アメリカの国務省がもうそろそろ解除してはどうかという申し入れをしてきた。特に国務長官がはっきりと日を指定して、十月十日ぐらいまでには解除してほしいと、こういう申し入れをしてきた。私、これは凍結をしてから何ら条件の変化はないわけですから、もう少し考えさせてくれとか、余計なことは言わぬでくれ、これは日本の国内問題だということできちっとお断りになるのかと思ったらそうではなくて、十日か二十日ぐらいしての国務省の申し入れに対して大臣はたしか理解できるというふうなお答えを、新聞報道ですけれども、しておられたので、これもいぶかしいことだなと。
 ある意味では極端な内政干渉だと、こう言ってもいいと思うんですよ。そういうことは我々政府内部で考えること、国民の意見を聞いて我々が決めることであるからして余計なことは言わぬでくれというのが私は筋道ではないのかと思うんです。そして、案の定、国務長官の言いなりに十月末ごろに凍結を解除してしまった。凍結した時点から解除するまでの間にどんな条件の変化があったのかさっぱりわからない。国民に対する説明もない。こういうことで一国の外交と言えるのだろうかという思いがしてしようがないわけであります。
 余計なことですけれども、アングロサクソンというのは、自分の意のままになるような民族は本当は腹の中では軽べつしているんです。ところが、筋道を通してきちっと応答するものに対しては、昔からそうですけれども、尊敬する。今の中国が多分アメリカ国民から一つの尊敬の念を持って見られているのもそこにあるのだろうと思います。この前の金融の問題につきましても、小渕・クリントン会談でいろんな要求を突きつけられて、それをまた素直にのんできている。アメリカから見たらこれは軽べつに値する国としか思えないんじゃないかという気がして仕方がないんです。
 内政問題は内政問題、我々が責任を持って処理する、余計なことは言わぬでほしいというぐらいの毅然たる態度をとってほしいと思うんですけれども、外務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) KEDOの署名をする日にまさにテポドンが日本列島の上を飛び越えていったわけであります。そういうことを何事もなかったように見過ごすわけにはいかないということで、日本政府とすればその日に署名はできないよと、そして翌日に協力を当面凍結する、こういうことを発表いたしました。それと同時に、私たちはKEDOの枠組みを壊すつもりはない、それは同時にそのときに言っているわけであります。だから、そのほかの制裁措置とKEDOについての当面というのは当初から違うということは、私たちは予定をしていたわけであります。
 KEDOというのは北朝鮮の核開発を阻止するためのただ一つの、一〇〇%効果的かどうかは別にして、今考えられる最も効果的な枠組みでありますし、そういうことはKEDOの枠組みを壊すに至らない時期に凍結は、凍結という言葉は使っていなかったわけでありますが、いわゆる凍結を解除するということを私たちは予定をした上でほかの制裁措置と一緒に当初発表した、こういう状況があります。
 そして、内政、内政とおっしゃいますが、もちろん我が国みずからが決定すべきことでありますけれども、それと同時にKEDOというのは日本、韓国、アメリカあるいはEU等も含めたこれは共同事業であります。共同で核拡散を防止する、あるいは北東アジアの安全、もちろん日本の安全保障もあるわけでありますが、そういったことで私たちはお互いにその全体をどうしようかということの意見を言い合うというのは当然であろうと思います。そして、おっしゃったように十日までに米国の議会の関係があるから何とかしてくれないかということは私はお断り申し上げた、こういうことであります。
○佐藤道夫君 時間でございますのでこれでやめますが、外交哲学のあり方につきましてこれからも機会をつかまえて議論をしていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
○委員長(河本英典君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 漁業に関する日本国と大韓民国との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(河本英典君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
     ―――――・―――――