第144回国会 決算委員会 第1号
平成十年十二月十七日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十二月十六日
    辞任         補欠選任
     渡辺 孝男君     加藤 修一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         久世 公堯君
    理 事
                鹿熊 安正君
                鎌田 要人君
                中原  爽君
                佐藤 泰介君
                鶴保 庸介君
                海野  徹君
    委 員
                岩城 光英君
                加納 時男君
                佐々木知子君
                佐藤 昭郎君
                清水嘉与子君
                世耕 弘成君
                平田 耕一君
                松村 龍二君
                水島  裕君
                浅尾慶一郎君
                岡崎トミ子君
                川橋 幸子君
                木俣 佳丈君
                佐藤 雄平君
                円 より子君
                加藤 修一君
                益田 洋介君
                山本  保君
                阿部 幸代君
                緒方 靖夫君
                八田ひろ子君
                大脇 雅子君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法 務 大 臣  中村正三郎君
       外 務 大 臣  高村 正彦君
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
       通商産業大臣   与謝野 馨君
       郵 政 大 臣  野田 聖子君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  井上 吉夫君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  野呂田芳成君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       堺屋 太一君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       竹山  裕君
       国 務 大 臣
       (金融再生委員
       会委員長)    柳沢 伯夫君
        ――――
       会計検査院長   疋田 周朗君
        ――――
   事務局側
       常任委員会専門
       員        島原  勉君
   説明員
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
       防衛庁長官官房
       長        守屋 武昌君
       防衛庁装備局長  及川 耕造君
       経済企画庁調整
       局長       河出 英治君
       法務省刑事局長  松尾 邦弘君
       大蔵省主計局次
       長        坂  篤郎君
       大蔵省金融企画
       局長       伏屋 和彦君
       大蔵省国際局次
       長        中井  省君
       国税庁次長    大武健一郎君
       資源エネルギー
       庁石油部長    今井 康夫君
       運輸省自動車交
       通局長      荒井 正吾君
       郵政大臣官房長  高田 昭義君
       郵政省郵務局長  濱田 弘二君
       建設大臣官房長  小野 邦久君
       建設省道路局長  井上 啓一君
       自治政務次官  田野瀬良太郎君
       自治省財政局長  二橋 正弘君
       会計検査院事務
       総局次長     深田 烝治君
       会計検査院事務
       総局第一局長   関本 匡邦君
       会計検査院事務
       総局第二局長   諸田 敏朗君
       会計検査院事務
       総局第三局長   大和 顕治君
       会計検査院事務
       総局第四局長   増田 裕夫君
       会計検査院事務
       総局第五局長   小川 光吉君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
       石油公団総裁   鎌田 吉郎君
       石油公団理事   新  欣樹君
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  本日の会議に付した案件
○平成八年度一般会計歳入歳出決算、平成八年度
 特別会計歳入歳出決算、平成八年度国税収納金
 整理資金受払計算書、平成八年度政府関係機関
 決算書(第百四十二回国会内閣提出)(継続案
 件)
○平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書
 (第百四十二回国会内閣提出)(継続案件)
○平成八年度国有財産無償貸付状況総計算書(第
 百四十二回国会内閣提出)(継続案件)
    ―――――――――――――
○委員長(久世公堯君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十六日、渡辺孝男君が委員を辞任され、その補欠として加藤修一君が選任されました。
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○委員長(久世公堯君) 次に、平成八年度決算外二件の審査の今日までの経過につきまして簡単に御説明申し上げます。
 平成八年度決算外二件につきましては、第百四十二回国会におきましてその概要説明聴取を終了いたしております。
 従来の慣例に従いますと、通常選挙後の国会におきましても、既に審査の終了いたしました点につきましては再び繰り返さないことになっておりますので、先例に従いまして、本日は直ちに平成八年度決算外二件の全般的質疑に入りたいと存じますので、御了承願いたいと思います。
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○委員長(久世公堯君) 平成八年度決算外二件を議題といたします。
 本日は全般的質疑第一回を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○鎌田要人君 平成八年度の予算でございますが、七年九月の総事業規模十四兆円を超える経済対策の策定に引き続きまして、足踏み状態が続いておりました我が国の景気回復が重要課題となる一方で、国債残高の累増等我が国財政が構造的にますます厳しさを増す中で編成をされたわけでございます。
 そこで、大蔵省事務当局に伺いますが、八年度予算編成に当たりまして、大蔵省としてどのような財政運営を意図されたのか、また、八年度予算の特色として何が挙げられるのか、予算編成に当たっての重点項目は何であったのかをまず簡潔に説明をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に私からお答えを申し上げたいと思いますのは、平成八年度といってもついこの間のようなことでございますが、余りに世の中が変わっておりますので、ちょっとどういう時代であったかを私自身も振り返ってみる必要がございましたので、御参考になりませんが、一言、二言申し上げます。
 平成八年度というのは、予算編成としては比較的静かな年であったようでございます。ただ、政治的には、暮れになりまして、いわゆる住専関連の六千八百五十億円というものが予算に突然編成されたということが、世の中に全く突然という形で知らされましたために、結果として暮れに大蔵事務次官が辞任をいたしております。そして年を越えまして、しかし編成をされた武村大臣も村山内閣も辞任をされましたので、編成されました予算は橋本内閣に引き継がれた、政治的にはそういうことのあった暮れから年明けでございます。
 経済としては、したがいまして、そこへ至りますまでの平成七年は、今、鎌田委員が言われましたように、比較的順調な年でございましたようで、平成七年度の実質成長率はプラス三%、八年度もプラス四・四%でございます。そういう中で、平成七年の四月十九日に円が歴史的な最高の値段をつけておりまして、それはたしか七十九円七十五銭、それが平成七年の四月十九日でございますから、政府としては円高に対応しなければならないという意識でございまして、おっしゃいましたように緊急の円高経済対策を四月と九月にやっております。そして、四月には公定歩合を一%に下げ、さらに九月には〇・五%に下げまして、それが今日まで実は続いておる、そういう状況が平成七年でございます。
 したがって、それを踏まえましてその暮れに組まれました平成八年度予算は、今から考えますと、比較的普通の経済状況におきまして前年度と同じ規模の所得税減税をやっております。それから歳出も、一般歳出は五・二%の投資部門は伸びでございます。公共事業は四%の伸び。それに加えまして先ほどの住専の支出がございますが、もう一つ申せることは、従来一般的に隠れ借金と言われましたものをこの際表に出す方がよかろうということで、特例公債をかなり思い切って出すことに踏み切っておりまして、十兆円の特例公債を組んでおります。
 七年度予算におきましては特例公債は二兆八千億でございますが、八年度当初で十一兆九千億、これによりまして、今までの隠れ借金を表に出して特例公債でお示ししようと。これは、そういう意味では財政に気持ちの上での余裕があった年、こういうふうに概して申し上げられるのではないか。その後、全く様子が激変をいたしますけれども、そういう年であった。
 詳細は政府委員からまた申し上げることにいたします。
○鎌田要人君 事務当局に伺うつもりでおりましたが、大臣御みずからお答えになっていただいて非常に恐縮でございます。
 そこで、ただいまおっしゃいました隠れ借金の問題でございますが、これにつきまして若干お伺いいたしたいと思います。
 一つは、この隠れ借金というのは特例的歳出削減措置ということになるわけでございますが、これを大蔵大臣としてどう評価されるのかということでございます。こうした財政のやりくり措置、私は財政のやりくり措置と思うんですが、財政に対する国民の評価、関心というものからいたしまして、非常に遺憾じゃないかという気持ちがいたします。
 それと、この特例歳出削減措置は、各年度の本予算の審議の際に、参考資料という格好ですか、国会に、予算委員会にお出しになっておられますね。ところが、これが問題なのは、見込み額ということと、それから利子が全然計上されておらないわけですね。ところが、利子を取るということをはっきりうたっておられるものもあるわけです。
 そういった点におきまして、私は、この隠れ借金というのは、財政的に処置をしなければならないものを、どうもうるさい、国民の目から見てもうるさい、国会では追及される、そういうことで役人の、私も役人育ちでございますが、役人の猿知恵じゃないかという気持ちが一面であるものですから、このことについてお伺いをしておるわけです。そういう意味で、大蔵大臣のこの点についての率直なお話を伺いたいと思うわけでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、いわゆる隠れ借金ということは、長い間、財政では好ましくないことでございますけれども行われ続けてまいりました。
 一つは、特例公債というものを出すのにいろいろ法律上の制約もございますので、そういうことも一つの理由ではあったであろうと思いますけれども、これはもう極めて正常でない経理の仕方であることには間違いございません。言ってみれば、一般会計と特別会計との間でそういうやりとりをする、あるいは大蔵省と他省との間でそういうやりとりをする、それによりまして一遍ともかく貸し借りをしておこうということでございますから、それは表に出ない。しかも、もしこの貸し借りが状況の変化によりましてなくなってしまうということであればいいのでございますが、累増するという性格のものが大体でございますから、そうやって隠れ借金は一遍やって後で済むかというとだんだん大きくなるという性格のものでございます。
 ごく時たまでございますけれども、そういうことはよくないので一遍この際表に出そうかと財政状況が多少いいときに努力したことはございますけれども、基本的にやっぱり隠れ借金という習慣は残っておりますから、そういう意味で、まさに利子を生じないというところもありまして、国民に対して財政の姿を正直に申し上げていないという批判は免れることのできないところであって、将来に向かって国民が表で見ていないツケが残っていくということにほかなりませんから、これを正当化するということは私は非常に困難なことであろう、よくないことであるというふうに考えております。
○鎌田要人君 大変率直なお話を伺いまして、事務方の方にその大臣の趣旨が貫徹することを希望いたします。
 次に、地方財政の状況についてでございますが、地方財政対策に伴う国の後年度負担で一番大きなのは交付税の問題なわけですね。この交付税で国会に提出されております資料を見ますと、九年度末で七兆一千四百九十八億円とされておりましたものが十年度末では当初予算ベースで五兆八千三百十五億円と減少しております。また、今度の第三次補正予算ベースでは四兆九千六百一億円となっております。この数字だけ見ますと毎年度減っておるわけでございますからいいんですが、これは交付税特会借入金の国負担分を除いた分でございまして、これを加えますと国の隠れ借金が十年度末で八兆円を超えておると思うんですが、どうしてこのような表示を行ったのか、これは事務当局にお伺いいたします。
○説明員(坂篤郎君) お答えいたします。
 十年度予算につきましては、従来の「今後処理を要する措置」という資料でございますが、これにつきまして、財政の透明性の向上という観点から国の債務を少しでもわかりやすく一覧的に示せないかという工夫を一生懸命いたしていたわけでございまして、そのような観点から国債や借入金との関係を踏まえて再整理をいろいろ行っていると、その関係で今おっしゃいましたような数字、例えば十年度末に五兆八千三百十五億円というふうに一見いわば減少したように見える、こういうことでございます。
 御指摘の点、恐らく従来の「地方財政対策に伴う後年度負担」という項目のところのことかと思いますが、このうちの一部につきましては、地方交付税法の六条の三といったものを踏まえまして、八、九、十年度において交付税特会借入金の一部を国が負担する、法律でそういうふうになっているということでございます。
 そういう状況でございますので、国の債務全体として見た場合には、「特別会計借入金」という項がまた別にございますが、その項の中に含まれている交付税特会の借入金と、その残高の中に含まれているということで、いわば別にしておきますとダブって計上した感じになるかなということで、従来のものはそういうふうになっていたんですが、同特会の借入金というふうに整理をしたということでございます。
 この結果、地方財政対策に伴う後年度負担というものの計上額が九年度に比べまして大きく変動している。いわば整理の仕方の問題かなと思いますが、なるべくわかりやすいように、あるいは重複といったようなことをなるべく避けたらどうかなといった工夫を一生懸命したということだというふうに思っております。
○鎌田要人君 あなたの答弁を聞いておりまして、私はわからないことがあるんです。わかりやすくするためにこういう措置をされたと言うんですが、そうしますと、地方のこの負担分、それはどうなっているんですか。その数字は全然落とされているわけですか。そこのところを、あなた方は、財政の状況を国民にわかりやすく説明するという観点からしますと、これだけのものをその枠外に置かれておるということの方が問題ではないかということを私はあなたにお尋ねいたしたいんです。
○説明員(坂篤郎君) 一般会計と特別会計の間というのは、いわば人間の左手と右手の間でやりとりしているみたいな、そういうところがございまして、どういうふうにしたら一番国民の方にわかりやすいかというのは、いろいろ観点もありますし、なかなか難しいところかなと私ども悩んでいるのでございます。
 今の考え方は、基本的には先ほどちょっと申し上げましたように、今公表している「国の債務残高について」という表の中に特別会計借入金というのがございまして、七十九兆円程度というふうな数字になっておりますが、この中に地方交付税特別会計の借入金は全部含まれておりまして、いわば国が負担するものと、それから地方交付税特別会計そのものが負担しているものと両方とも含まれております。
○鎌田要人君 あなたの説明を聞いておりまして、ここの議員さん方でわかっておられる方が何人おられるか、恐らくみんなわからないと思うんですね。そういうことは財政の民主化ということには逆行するんじゃないかということを私は言いたいんです。あなたのおっしゃっているのはそうじゃないんです。国の債務をできるだけ少なくしようという意図以外には考えられないんですが、再度御答弁をお願いいたします。
○説明員(坂篤郎君) 国の債務を少なく表示しようという考えでいたしたわけでは毛頭ございませんで、先ほど申し上げましたように、特別会計借入金という項の中に既に入っている、それをまたもう一回別のところで別記をすると重複した形になってしまって、かえって誤解をされる方もあるかもしれないなと、そういったことを考えまして、こちらに一度入っているものは、それじゃ別のところには書くのをやめた方がいいんじゃないかというふうに考えたわけでございます。
○鎌田要人君 あなたの答弁を聞いておりますと、いよいよわからなくなるんです。だって、七年度までは地方の分もひっくるめて掲示しておられるわけでしょう。それが、八年度から国の借金の分だけを掲示されたと、そこのところを言っているんですよ。
○説明員(坂篤郎君) お答えいたします。
 九年度までは「今後処理を要する措置」という資料になっておりまして、先生御存じかと思いますが、その中に地方財政対策に伴う後年度負担、例えば九年度でございますと七兆一千四百九十八億円というふうになっております。
 十年度からは「国の債務残高について」という資料にしてございますが、これは、国の債務という意味では、まさに先ほどおっしゃいました特例措置の部分と、それから例えば普通国債の残高あるいは長期債務残高、いわゆる普通の国債の残高、十年度末で二百九十九兆円といったような数字になります。それにあるいは長期債務残高、そういったものと、それからいわゆる繰り入れ特例、御指摘の部分というのが性質が全く同じではございませんけれども、合わせてというか、そのまま足し算を単純にするというのもちょっと変かとは思いますけれども、両方一緒に見た方が一覧性があっていいのではないだろうかということを考えまして、それで「国の債務残高について」という形の表を作成いたしたわけでございます。
 その中で、国の債務残高ということになりますと、特別会計借入金というのも当然入ってくるわけでございまして、特別会計借入金というのが国の債務残高の表の中に入っているという関係上、先ほど御指摘の地方財政負担に伴う後年度負担のうち一部は特会分でございますのでこちらに入っているということで、「地方財政対策に伴う後年度負担」という名前の項目からはその分をダブらせないように落としたという、国の債務残高ということで、国債や何かとか特別会計のものも一枚の表にした関係ということかと存じます。
○鎌田要人君 私は、これ以上この問題について貴重な委員会の質疑の時間を奪われることはもう耐えられないので、あなたのところへ私が行きます。それでよく話を伺います。
 私は、ただこの点は、大臣、申し上げておきたいと思いますのは、これは明らかに国の債務の中に入る問題なんですね、これだけの借金をしているわけですから。それを明らかに国民に示されることが必要じゃないかということでありまして、皆さん方にしましては抽象的な、一般的でない議論でありますので、これでとめます。ただ私は、その点を主計局の皆さんにも理解をしていただきたいということを申し添えまして、終わります。
 次に、自治省の方おられますね。
 自治省の方に二点伺いたいのでございますが、一つは地方財政の状況についてでございます。
 国の財政状況悪化が続いております中で、地方の財政赤字の増大も続いておりまして、平成八年度末における地方債現在高は百三兆円、これに今の交付税特会借入金と企業債残高を加えました地方の長期債務残高は百三十九兆円に達しているところでございます。平成三年度末の残高は六十九兆円でございましたから、五年間で倍増したことになります。
 地方債への過度の依存は、将来の負担増と地方財政の硬直化を招くと思うのでございますが、地方財政の現状に対する自治省の所見を率直にお伺いいたしたいと思います。
○説明員(二橋正弘君) 地方財政は大変厳しい状況が続いておりまして、今委員がお挙げになりましたような地方債の残高、八年度末、そういう数字に確かになっております。その後も借入金の残高はさらにふえておりまして、平成十年度末見込みで百六十六兆円、特別会計の借入金も含めて全体でそういう数字になるのではないかというふうに見込まれております。個別の地方公共団体の財政状況におきましても公債費の割合が非常に高くなっておりまして、そういう意味では全般的に非常に厳しい状況になっております。
 これは、特にバブル崩壊後の地方税の低迷でございますとか、あるいは交付税の原資になります国税の低迷、その片方で景気対策のための地方債の増発ということを行いました。そういったことが重なりましてそういう状況になっておるというふうに認識いたしております。
 私ども、こういう状況の中で、その時々、状況に応じて地方財政対策をとってきたところでございますが、何といいましても、今最も大きな課題は、経済の再生を図る、景気を回復軌道に乗っけることだというふうに考えておりまして、そういうことに全力を尽くす必要があると考えております。
 今の地方財政の現状から考えまして、来年度の地方財政対策におきましても、地方財政の運営に支障が生ずることのないように、極力、税、交付税の一般財源の確保をするということに全力を挙げていきたいと思っておりますし、また個々の地方団体におきましてもそれぞれ行財政改革を徹底して進めていただきたいというふうに思っておりまして、そういう全般的な状況の中で地方財政の健全化に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
○鎌田要人君 次に、会計検査院の院長さんにお伺いいたします。
 まず、平成八年度決算検査報告についてでございますが、この八年度検査報告の特色、また八年度検査報告において会計検査院が特に力を入れられました点、こういったことにつきまして簡潔に説明をお願いいたします。
○会計検査院長(疋田周朗君) お答え申し上げます。
 平成八年度決算検査報告は、昨年一年間私ども会計検査院が鋭意検査活動に従事いたしました結果を取りまとめまして年末に内閣に提出したものでございます。
 この平成八年度検査報告に掲記いたしました事項の総件数は三百五十六件、指摘金額は合計で二百二十一億円でございます。そのほかに、直接指摘には結びつきませんけれども、私どもが問題提起した背景となるような金額につきましてもさらに相当な金額に達するものがございます。
 この検査報告の取りまとめに当たりまして、平成九年次におきましては、効率的な行財政の執行が強く求められております中で、国民の関心の高い問題について重点的に検査を行いますとともに、社会経済情勢の変化も踏まえつつ、幅広い分野についてできるだけ多角的な検査を行うよう努めたものでございます。
 その結果、検査報告の主な特色といたしましては、まず第一に、国民の関心の高い問題につきまして積極的に検査に取り組みまして、不適切な事態がある場合にはこれを指摘いたしますとともに、必ずしも不適切な事態がない場合でございましても検査の状況を検査報告の中で御報告するということにしたことが第一点として挙げられようかと思います。
 具体的には、彩福祉グループなどの社会福祉法人による補助金等の過大受給の問題ですとか、動力炉・核燃料開発事業団におきますウラン廃棄物貯蔵ピットの改修に係る予算の要求あるいは執行の問題などがございます。
 それから第二に、社会や経済の動向に即応した検査を行いまして、時代の要請にこたえる検査を行った結果を報告したことが挙げられようかと思います。
 その例といたしましては、環境問題に対応いたしまして資源の有効利活用を図るという観点から、公共工事におきます再生砕石の使用をもっと拡大していただく必要があるのではないか、あるいはダムの水資源につきまして渇水対策へさらに活用を図るよう求めたものなど、それから、少子・高齢化に対応しまして公立小中学校の余剰教室を高齢者福祉施設などへ活用を求めたものなどがございます。
 それから、三番目といたしまして、不正不当な会計経理の根絶という観点と行財政改革に寄与する検査というような方針のもとで多角的な観点から検査を行った結果につきまして報告をいたしております。
 合規性の観点からは、教育関係事業などにおきまして旅費、謝金などの不正経理の事態を指摘いたしましたり、それから、経済性・効率性という観点から、航空機住宅騒音防止対策事業の補助対象となっております冷暖房機についてその範囲を広げるよう改善の処置を要求いたしましたり、また、有効性の観点からの検査といたしまして、漁業共済事業におきまして共済金が損失を生じた漁業者に必ずしも支払われていないというような事態を取り上げまして、制度の趣旨が実現されるよう改善の処置を要求したりしたものがございます。
○鎌田要人君 そこで、これは大蔵省と会計検査院と両方にお伺いしたい、また善処方を要望したいことがございます。それは、決算の早期提出という問題です。
 これにつきましてお伺いいたしたいと思うのでございますが、参議院は決算を重視する、衆議院は予算を重視する、当然でございますが、この参議院は決算重視ということが参議院内では大体各会派とも同調しておられると私は認識しております。そういう観点から、この決算審査をより充実したものにいたしますためには、予算の執行結果、実績である決算自体を早期に国会に提出しまして翌年度の予算編成にこれを反映させるということで、決算と予算の本来的な機能というのが実現されると思うんです。そういう意味合いで、この決算自体を早期に国会に出していただく、それでその審査結果を次の予算編成に反映させていくということが重要だと思うのでございますが、この点について、大蔵大臣の率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 以前から参議院決算委員会におかれましてそのような御指摘が、これはもう最近ではございません、随分長いことなされております。私どもとしても、そのおっしゃることはまことにごもっともなことであると考えつつ、まだ十分にそのための成果を得ることができずにおりますが、今後ともそのような御趣旨に沿って努力をいたさなければならないと思っております。
○鎌田要人君 そこで、今度は事務的な問題になりますので事務方にお伺いいたしますが、決算の早期提出といいましても、現行法令を前提としまして事務手続上、最大限どの程度可能なのかということでございます。
 また、決算の早期提出のためには、財政法あるいは会計法、予決令、こういったもの等に規定される国の会計制度、決算作成に関する事務手続を見直すことも必要だと思うのでございますが、これについての御見解はいかがでございますか。事務当局の見解を求めます。
○説明員(坂篤郎君) お答えいたします。
 現行の会計あるいは決算制度でございますけれども、歳入歳出の年度所属区分というのは原則として発生主義を採用しております。したがいまして、例えば三月中に発生した事項に基づいてお金がもう少し後で払われるといったことがございますが、そのお金が払われたのも三月までの年度の方に入れて決算をする、こういった事情がございます。その出納を整理するためには、したがいましてある程度の期間が要るということでございまして、それが七月三十一日までというふうに今決まっております。その後で内閣で決算を作成いたしまして、会計検査院の御検査を経まして、それで出納完結後、最も早く召集される常会である翌年度開会の常会に提出するというのが常例というか先例になっているというふうに理解しております。
 私どもといたしましても、ただいま大臣からも御答弁がございましたように、決算の国会への提出をなるべく早くしたいというふうに努力をいたしております。ただ、今御説明いたしましたようないろいろな事情がございまして、一生懸命努力をしておりますが、昔に比べますと二カ月ほど早くなっているんではないか、昔というのは相当昔でございますが、最近も二週間ぐらい早くなったりといったようなことで、いろいろ努力をいたしております。今後もさらに努力をしていきたいと思いますが、ただそういったいろいろな事情がございまして、努力をしているけれどもなかなか成果が上がらないという事情も御理解をいただければというふうに思います。
 また第二点目でございますが、財政法を改正しなくていいのかという御下問と思いますが、これは財政法は御承知のように決算の常会への提出を「常例とする。」という言葉になっております。この「常例とする。」というのは必ずしも常会の国会に出せということを義務づけたものではないというふうに従来から解釈されておりまして、その意味では、財政法を改正いたしませんでも、常会でなくてそのもっと前に提出するということも、少なくともそれを禁止しているということはないというふうに考えておりまして、そういう意味では、もし物理的に可能であればこの法律上は提出ができるというふうに、問題は物理的な作業の問題というふうに考えておるところでございます。
○鎌田要人君 「常例とする。」という解釈の問題ですね。私はそれはそれでいいんですが、それでできるのであれば規定自身を改正するということが本筋だと思うんです。「常例とする。」ということで、前へ繰り上げるのはいつでも構いませんよということは、これは大げさに言いますと法治国家としてはいただけないなと。やっぱりそれまでさかのぼれるのであれば法律自身もそれに伴って改正すべきだというのが古い法学士である私の見解でございます。でありますから、それはよく部内でも検討していただきたい。
 それともう一つは会計検査院の方の問題ですね。会計検査院の方に前にこの問題で非公式にお伺いしましたときには、いや、それはもう常会へ提出するということになっているんですからそれまでに間に合えばいいんですということで、実務的にもそれは無理です、せいぜい二日か三日ぐらいは繰り上げることができますと、こういう解釈、お説で唖然としたことがあるんです。
 一例を言いますと、私は戦前の内務省の役人でございまして、最初の振り出しが会計官なんです。そのころはそろばんでしたよ。そろばんでやっていました。今は各省にコンピューターが入っているでしょう。そういう一例をとりましても、私は旧態依然たる官庁の決算事務であるなということを痛感しているんです。
 私は今七十歳を越した男です。その男がそういうことを言うんですから、これは本当に考えなきゃいけません。日本の役所というのは、そういう意味では十年一日のごとく、二十年一日のごとく、五十年一日のごとく仕事をしていますね。そういうことを私は昔官界に身を置いた一人としまして痛感いたしておるのでございます。
 そこで、会計検査院長の勇断のある御説明、御答弁をお願いいたしたいと思います。この事務をできるだけ早く、予算と連動してこの決算を生かしていただくという観点から会計検査院長の勇断のある御答弁をお願いいたしたいと思います。
○会計検査院長(疋田周朗君) お答えいたします。
 決算の早期提出につきましては、私どもも非常に重要な事柄であると認識いたしているところでございます。
 私ども、内閣から送付を受けました決算を確認いたしました後に内閣にまたお返しするわけでございますが、その際に一年間の検査活動の結果を決算検査報告という形で取りまとめたものをあわせて内閣の方に提出するということがございまして、決算を早期に提出するということを考えます場合には、決算そのものの確認事務の問題と、それから一年間にわたりまして検査に従事いたしました結果を検査報告として取りまとめるという二つの側面がございます。
 それで、まず第一の、数値の確認が中心になりますが、内閣からいただきました決算を確認する場合につきましては、会計検査院といたしましても従来と異なりまして、コンピューターを利用するなどいたしまして速やかに行うようにしてきているところでございます。
 もう一つの検査報告の点でございますけれども、私どもが行っております膨大な検査対象に対します実地検査、それからその結果の取りまとめには相当の期間が必要でございまして、現行のサイクルで申し上げますと、例年一月から七月ごろまで地方の実地検査を行いまして、九月に本省、本社などの重要な箇所の検査を行います。その後、十月から十二月上旬ごろまでかけまして検査結果の取りまとめ業務に専念することにいたしておりまして、これらの業務が終了いたしました段階で確認いたしました決算とともに検査報告を内閣に送付いたしますのが毎年十二月十日ごろと、そういうことで運用してきております。
 国会への決算の提出を早めるためには検査のサイクルを前倒しするということが一つ考えられるわけでございますが、この年間の検査のサイクルと申し上げますのは、長年にわたりまして効率的な検査活動を実施するためにいろいろな試行錯誤の結果、先ほど申し上げましたように、一月から九月ごろまで鋭意検査に当たるということでやってきたものでございます。もしこれをかなり思い切ってサイクルを早めるというようなことになりますと、例えば検査時点で決算確認年度の会計経理の多くがまだ完結していないということで、したがいまして結果的に検査報告には過年度の指摘事項が多くなるという問題が出てまいりましたり、それから検査期間が冬季にかかることになりまして検査の能率も、特に現場の検査などの場合には積雪寒冷地などの現場の検査ができなくなるとかそういうような十分な検査が行えなくなる面がございます。
 それからさらに、検査を受ける側のお立場といたしまして、予算編成ですとかあるいは地方議会などが開会されるというこういう繁忙期に私どもが検査にお邪魔するというような問題もございまして、数々のネックがございます。
 そういったことでございますが、しかしながら私どもといたしましては、冒頭に申し上げましたように、決算の早期提出の重要性につきましては十分認識しているところでございますので、現行の検査サイクルは基本としながらも、秋に行っております検査報告の取りまとめ業務をできるだけ効率的に行うということなど一層の工夫を凝らすことによりまして、検査報告の内閣送付をできるだけ早めるよう最大限の努力を重ねてまいりたいと考えております。
○鎌田要人君 ただいまの会計検査院長の前向きな姿勢は評価いたします。
 ただ、私は半年も繰り上げろとか三月も繰り上げろとか言っているんじゃないんです。せめて一月は繰り上がらぬか。これは私の独断かもしれません、皆さん方の御意見も伺わなきゃいかぬのですが、私は一月は繰り上げられるんじゃないかという気持ちで申し上げているんですよ。だから、十二月十日に今お出しになっているそれを一月繰り上げると十一月ですね。そうしますと、翌年度の予算に、予算要求にそれが生きるんですよ。それが私は参議院の一つの使命だと思うんです。
 そういうことで考えておりますので、ひとつこの点につきまして、私は院長の非常に積極的な姿勢を評価します。それで、竿頭をもう一歩進めていただいて、私の、またこの決算委員会の皆さんの御要望だと思うんです。予算と決算と連動させるということに私はこの決算の認定の本当の意義があると思うので、その点にひとつ院長さん以下会計検査院の皆さん方も大蔵当局と連携をとっていただきまして、最低一月は前倒しするということをひとつ目標にお考えいただきたいと思います。
 大体、これで私の聞きたいことの大半は終わりましたので、最後に私の要望を申し上げておきたいと思います。
 これは、九年度決算が四年ぶりに一兆六千百七十四億円の決算上の不足を生じました。この結果、国会には次期常会に決算調整資金からの歳入組み入れに関する調書が提出されることになります。しかし、この調書につきましては、衆議院と異なりまして、参議院においては決算委員会の所管事項に明示されておりません。それで、この機会に参議院規則の改正によりまして規定の整備が必要であると考えておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○松村龍二君 自民党の松村龍二でございます。
 本日、本年度の決算委員会が、本来であれば五月ごろからたびたび開かれて、昨年から一昨年のペースですと年内に全体の決算委員会が終わるかのような勢いでございましたが、本年は参議院の選挙あるいはいろいろございまして、第一回の総括質疑がされるということで、その総括質疑を同僚先輩議員の御好意もいただきまして質問をさせていただきますということを大変光栄に存じます。
 また、宮澤大蔵大臣におかれましては、先ほど名簿を繰りましたら当選十一回ということで、本当に戦後の日本の経済、政治のまさに生き字引でもありますし、また池田勇人総理の秘書もされておったということで、戦後日本のこの繁栄を引っ張ってこられた。そのような輝かしい歴史、経験をお持ちの大蔵大臣の胸をかりて質問させていただきますことを大変光栄に存じます。よろしくお答えいただくといいますか、あるいはお教えいただきたいという気持ちで質問をさせていただきます。
 さて、まず日本の財政状況は大丈夫なんだろうかということについて御質問させていただくわけですが、私は実は昭和五十二年から五十五年まで総理府の広報室というところで政府広報に三年間従事いたしていたことがあります。その際に、やはり財政再建の広報を大蔵省がする必要があるということで、時の大蔵大臣、渡辺美智雄大臣がみずからアイデアを出されまして、渡辺美智雄大臣の漫画のキャラクターで、家計に例えてみると、五十二万円の生活をする人がサラ金から二十四万円のお金を借りておる、二十八万円は給料だ、それで積もり積もったサラ金が七十万円になっておるというふうな広告でございました。私もその広告をつくることに携わっておりまして、その後財政再建ということに関心を深くしているわけです。
 その後、橋本総理はそのような現在の日本の財政状況を深く考慮いたしまして財政構造改革という路線をとったわけであります。現在、国債の累積が二百五十兆円を超える、また地方自治体の債券も累積が百六十兆円を超える、いろいろ合わせると総計五百兆円の国の借金がある、この金額は国民総生産を上回るということであります。そこで、平成八年の終わりごろから一生懸命財政再建の路線をとったわけです。
 私、ちょうど二年前、平成八年十二月二十六日に当決算委員会で質問をさせていただきました。そして、大蔵大臣に、三塚大蔵大臣でございましたが、多額の公債というのは、超インフレによって解消するとか、あるいはさきの第二次世界大戦のように公債を発行していたものが紙切れになってしまうとか、そういう方法でなければ、財政の切り込みを行って公債を少なくする、借金を少なくしていかなければ財政の硬直化を招く。よほど財政構造改革が伴わないと「国民の経済をただただ冷やしていくということにもなろうかと思うわけでございます。その辺のさじかげんにつきまして力量を十分発揮していただきますようお願い申し上げる次第でございます。」と、ちょうど二年前の十二月に私はこういう質問をしたわけです。
 私はもともと治安関係の官庁に長くおりまして、経済のことは自分ではわからないという気持ちを持っていたわけですけれども、まさに二年前の質問が図に当たっておるわけでありまして、私がただいまからする質問も決して的外れではないだろうという観点で質問をさせていただきます。
 大変景気が悪いということで、私どもも地元に参りましてそのようなことを聞きます。御老人の方は何か貯金は持っているようにも見えますけれども、耳に聞こえる声は景気が悪い景気が悪いということで、ともかく大変な状況であるということは疑いもございません。
 そういう中で、金融システムの再生、貸し渋り対策、特別減税、恒久減税、公共資本の充実といった政策をとりまして景気の回復に今躍起になっておる。小渕総理大臣がこの前の参議院選挙の後総理になられまして、大変積極的な施策を展開しているわけでございます。その小渕総理の経済政策は、まさにあのときの経緯から申しましても宮澤大蔵大臣がすべて握っておられるというふうに承知しておるわけでございます。
 本日も自民党の税調でいろいろ税制改正の大綱がどうなったというようなことが載っております。私も海運関係について、造船の特別措置等について税調の中で声を張り上げまして、これも実現したということで、一面喜んでおるわけでございます。
 ちょっと財政再建の質問に入る前にもう一つ申し上げるわけですが、私も選挙区から出ております議員でありますので地元の発展にすべての精力を傾注するわけであります。
 例えば、我が福井県は原子力発電のメッカでありまして、十五基の原子力発電所で七百億キロワットの電気を生産しております。そして、その大半は関西に行っておりまして、大阪、京都の全電力消費量を十五基の発電所がつくっておる、こういうことです。その電力生産地の福井県の若狭地方で電車が走っていない。ディーゼルカーがとことこと時速四十キロで走っておる。しかも、一時間に二本ぐらいの頻度で走っておるということであります。
 それから、科学技術庁、通産省、いろいろ気を使っていただきまして、地域の振興ということに意を払っていただくわけですが、原子力立地に対して長期交付金という制度がことしからですかできまして、百万キロワット当たり八千万の交付金が出るということになったわけです。しかし、その結果、この若狭地方は、一市三町で原子力発電所を持っておりまして、その間に一市三町一村ですか、これが原子力発電をしていない。そうしますと、この原子力発電所周辺地は全くお金が入ってこない。先ほどの鎌田先生のお話じゃありませんが、ただでさえ地方自治の財源が枯渇しておるという中でもって、隣の町は裕福だと。そして今度、小浜線を電化するので各町は負担金を出してくれ、高速道路をつくるのでと。各町も応分に負担しないといかぬ部分もあるわけですが、そうしますと非常に窮乏感が強くて枯渇感がある。
 今から二十一世紀に向けてクリーンエネルギー、炭酸ガスを伸び率に対して九%減らさぬといかぬということからいたしますと、原子力発電所をまた日本で二十基つくらぬといかぬということなんですが、現在のような状況ですと、とてもその原子力立地をさらに支えようという気にならない、地域がばらばらである。こういったことに対してしっかりとした施策を示していただきたい。これはやはり財政の力によらないとできないわけでありまして、そのような需要がございます。
 ここで科学技術庁長官に、原子力、このような地域の振興の問題について、まず一つお伺いいたします。
○国務大臣(竹山裕君) ただいまお話しのとおり、松村委員お地元の福井県におかれましては、原子力発電の立地県としての日ごろの御貢献に対して、科学技術庁の責任者としても深く感謝をしているところでございます。
 ただいまお尋ねの原子力の開発利用を進めるに当たっての問題、御発言のとおり、まさにその地元の皆さん方、そしてひいては国民の理解の上に立ってこれを行っていかなければならないということは申すまでもないことでございます。こうした観点から、原子力施設の立地市町村並びに周辺市町村の振興策については、こうした地域の重要性にかんがみて電源三法に基づいて措置を講じてきているわけでございまして、当該地域の広域的な振興が図られるように努めているところでございます。
 具体的には、県を対象としまして企業導入や産業近代化の支援、科学技術の振興等の促進を通じて地域振興を図るとともに、原子力施設の周辺市町村における公共用施設の整備や電気料金の割引等を行うことによって周辺地域への配慮もともに行っているということでございます。
 また、昨年、平成九年の一月から、電源開発調整審議会の電源立地部会の審議対象を拡充いたしまして、福井県においても、大規模な原子力発電施設の所在する地域を対象に関係十二省庁、大蔵省はもとより、運輸、建設、自治等十二の省庁が一体となりまして広域的な地域振興計画について助言、協力を行う体制を整備しているところでございます。
 私ども科学技術庁といたしましても、今後とも、これら関係省庁のみならず、地元の自治体とも連携を密に図って、御指摘のありましたとおり、地域全体が原子力立地をしてよかったということを地元の住民の皆さんとともにお感じをいただけるような、地域の周辺も含めて、自立的、広域的な発展が確保されるように今後とも一層努力をしていきたい、こんな考えでございます。
○松村龍二君 ただいまの御答弁をお伺いいたしまして、地域の住民もみんな喜ぶことと思いますが、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思うわけです。
 次に公共事業、後ほどいろいろ厳しい質問をするものですから、ちょっと事前にいかに感謝しているかということをまず申し上げるわけです。
 公共事業について否定的なことをおっしゃる政党もございますが、私どもは非常に公共事業が地域の発展にありがたいということでございます。
 先般、七月から八月にかけて大変な集中豪雨がありまして、一時間に五センチでしょうか、二時間にまた二十センチぐらい一地域で集中的に雨が降るといったことが五、六回続きまして大変な災害を受けたわけです。御承知のとおり、日本全土でも茨城、北関東を中心に、また東北、新潟、大変な災害があったわけですが、幸い、大きな堤防の決壊によって住宅が流れるとか人身に被害があるといったことを最小限に食いとどめましたのは、やはり戦後の建設行政、河川行政をこつこつとやっておった成果であろう。日本のような急峻な地域において絶えず頑張ってきたことがいざというときに災害を少なくしておる。食糧がない隣の国もありますが、食糧がないというのは単に農業の政策だけでなくて山が荒れておるといったこともあるわけでありまして、そのようなこともございます。
 それから、先ほどお話しいたしました若狭地方ですけれども、国道が一本しかなくて、阪神・淡路大震災の後に兵庫県を通ることができないというので日本海側の二十七号線一本を通りまして、ただでさえ一本しかない道路が混雑する。海水浴客のころには、この唯一の観光資源を当てにしている地域がもう地域の住民が隣村へ行くことも町へ行くこともできないというぐらい渋滞で困っているわけですが、それがこのたび高速道路をつけていただけるというふうな機運になっております。これも償還期限を延期するということを大蔵省に認めていただきまして、そしてようやく施行命令もおりるであろうということを期待しているわけです。
 それから、中部縦貫自動車道という道路がありまして、これが松本から飛騨を通って福井へ抜けてくる道路で、いわば日本の背骨を通る高速道路であります。先般、安房峠が開通いたしまして、飛騨へ東京から定期バスが通うようになって多数の客が入り込むようになった。この道路ができますと、私どもの地元から東京へ行くのに従来六時間であったところが五時間、また私の方は山奥の方ですからさらに短い時間で東京へ行き来、また名古屋へ行き来することができるといったことで、このような道路一つにしましても、公共資本を充実していただいておるということは本当に必要なことである、また景気対策上も大変にいいことであるというふうに認識しているわけでございます。
 そこで、そのような日本じゅうお金が必要だ必要だ、また減税しろというふうなことで、冒頭申しましたような日本の財政がもつのかどうか、心ある国民は最近そういうことも気にしていると思いますので、大蔵大臣の御高見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭にお話がありました政府の財政についてのPRに御従事なさいましたときは鈴木内閣のときでいらしたんじゃないかと思いますが、あのときのそういう財政キャンペーン、あの後にプラザ合意がございまして大変苦しみました。同時に、ブームになりましたときは歳入補てん公債もやめることができた、そういういっときもございます。その後、またブームの裏側が出まして、いっとき、橋本内閣、平成七、八年のときはちょっと成長がいいかと思いましたが、やっぱりこういう大きな後遺症で今日のような状況になっております。
 したがって、この際の財政としては、やはり景気の回復ということが至上命題であろうと私は考えていまして、先ほどお話しのように、確かに財政の姿は非常に悪くなっております。単年度で申しますと、補正後のただいまの我が国の姿は、中央、地方を合わせますと単年度の赤字がGDPの九・八%とかいう数字でございますから、それは、この間ユーロに入るために各国がやりましたメルクマールが三%でございますので、それと比べますともう比べ物にならないほど悪くなっております。
 これは、私は今この不況をとにかく乗り切らなければならないと考えておりますからやむを得ないと思っておりますし、恐らくまた来年度も、これから予算編成をいたしますけれども、決してその姿はよくならないと考えておかなければなりません。
 しかしこれは、財政再建が必要だ必要でないということではなくて、私自身は、やがて我が国の経済成長力が普通に返りまして、本来の潜在的な力を発揮する時期が必ず来る、そのときには少なくとも二%、最低二%程度の経済成長はするであろうと考えておりますから、したがいまして、そういう場合にはGDPそのものがもっと伸びていなければならないはずであって、赤字そのものもさることながら、GDPが成長することによって、それが国民負担における相対的なウエートを小さくするという形で財政、経済は運営されなければならないというふうに思っております。
 先般、財政構造改革法の凍結につきまして御賛成をいただきましたが、これは、財政再建が入り用でないということではなくて、日本経済がまず安定した成長軌道に乗ったと判断できる、恐らく二十一世紀の初頭であろうと思いますが、そのときに本格的に財政、税制の再建を図らなければならない、こう考えておりますし、それはできると思っておりますから、今の状況について、私は、決して手放しで楽観はいたしておりませんけれども、将来についてそんなに我が国の行く先を心配はいたしておりません。それだけの力が我々にはあるというふうに考えております。
○松村龍二君 国税の税収につきましては、今回の補正予算でも六兆八千八百四十億もの減額補正を行ったと。恒久的な減税で、大規模な減税。これも、西欧ではプレーンな減税で、個人所得税は五〇%上限、法人税は四〇%上限ということで、それに合わせると、こういうことですが、日本の場合、先ほどちょっと触れましたようないろいろな個別的な減税措置、特別な措置、いろんな引当金とか持っているわけですね。それを背負ったまま四〇%、三〇%ということにすると、諸外国よりもかなり税金が低くなるんじゃないかというふうな感じもするわけです。
 医療や年金などの社会保障、教育・科学技術の振興、国の安全保障、住宅や道路の整備と、少子・高齢化の時代に大変な歳出の増加が今後予想されるわけです。今、大蔵大臣、任せておけ、大丈夫だ、こういうお話でございましたのでほっとしたわけであります。
 そこで一つお伺いするわけですが、憲法三十条は、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と書いてあるわけですが、余り憲法三十条ということを教育されたような記憶もないわけです。外国においては何かその辺、納税の義務について小学校のときから教えているというような話も聞くわけです。それじゃ日本人の納税意識が低いのかといいますと、サラリーマンが源泉徴収で所得税をしっかり引かれておっても別に反乱を起こしたという話も聞きませんので、非常に納税意識は高いというふうにも一面見られるわけです。しかし、納税によって自分たちの国の政治を行っているという意識の点になると多少希薄な点があるのではないかというふうにも思います。昨今、与野党を問わず政治家は、国は打ち出の小づちのようにお金があるんだろう、出せ出せ、減税をしろという声で満ち満ちていまして、国の懐を心配しているのは総理大臣と大蔵大臣と大蔵省のお役人だけかなと。しかし、昨今どうもそれも疑わしいというようなこともたまに感じたこともあります。
 それから、消費税率の引き下げについても、日本人の肌合いに合わないのかどうか知りませんが、消費税はもう下げたらどうか、ない方がいいんじゃないかというふうな声を私ども地元へ行っても至るところで聞くわけでございます。したがって、国民に対して納税の義務といいましょうか、納税についての正しい知識をPRするといいますか、そういうことも大変に重要なことではないかというふうに思います。
 私も、かつて総理府の広報室におりましたときに、国税庁の広告をいたしましたところ、正面切ったそういう広告ではなくて医療還付金がある、何とか還付金がある、そういう還付金についてだけPRしてくれということでPRしたことがありますけれども、正面切っての納税についての教育、PRあるいは小学校からの国民としての納税の義務の教育、こういうものについてどうなっているのか教えていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 最近、ラジオを聞いておりますと、この放送は皆さんからいただいた料金でなされておりますというようなことを時々申しますね。あれは恐らく料金徴収のためのPRでもあろうと思いますけれども、国でいいますと、これだけ国民から税金をいただいています、やっぱり税金をいただいてこれだけの仕事ができておりますということを国民に絶えずわかっていただくことは大変大事なことだろう。私どもは、それはともすると忘れまして、いただくのが当たり前だというような頭になりますけれども、やっぱり税金をもらったからこれだけのことができておりますということを絶えず国民にわかってもらって、それで納税をしてもらうという、そういう努力は、やっぱり国も一つの経済体でございますから、私は大事なことであろうと思っております。
 もとより、憲法における納税の義務というのは、学習指導要領なんかでも小さいときから時に触れてわかってもらうようにはいたしております。それはいたしておりますが、やはり政府としてのそういう一種のPRも大事なのではないかと思います。
○松村龍二君 学校においてどういう教育をしているかということについては、先ほど大蔵省から資料も届けていただきましたので、その質問は省略いたします。
 次に、大蔵省の予算の査定についてお伺いするわけですが、うちの大蔵省は財布のひもが厳しくてと、昔からこういう言葉があります。うちの奥さんは小遣いをくれないというのでうちの大蔵省はと、こういう言葉が昔からあったわけですけれども、事ほどさように、大蔵省は予算の査定ということについては非常に厳しい、なかなか予算をつけてくれないということで過去推移してきたと思うんです。
 しかし、シーリングからマイナスシーリングといったころに、年末に膨大な五割増しの予算を吹っかけられてもう削るのが大変だ、各省庁に天井を示すから各省庁の中で考えてきてくださいと。それをマイナスシーリングとか、いろいろな時代がありましたけれども、その省庁にとっては必要であっても日本国家としては余り必要でないといったようなこともまれにはあるんではないか。
 そういう意味において、大蔵省の予算の査定の力というのは大変に重要であろうかと思いますが、私の今のコメントに対しまして大蔵大臣の御感想をお聞かせいただきたい。今の大蔵省の査定の力は十分であるかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私にすべてがわかっておるわけではございませんから、何ともきちんとはお答えしにくいことではありますけれども、毎年予算編成をいたしますときには御承知のように必ず国において予算編成方針というものを閣議決定いたし、その上でやっております。
 このことは何でもないようでございましても、予算編成方針がまとまるまでの間には、これは委員は公務員としての御経験がおありで御存じでございますけれども、各省庁でやっぱり積み上げてまいりますので、その間において各省庁が持っている問題意識というものは十分に予算編成方針の中に化体されていく。そういうプロセスをとっておりますから、あれはただの作文ではないわけでありまして、やっぱりその時々のアクセントがあの予算編成方針についている、それに基づいて査定が行われているというふうに考えてよろしいのではないかと思います。
 もとより、もっともっと細かい一つ一つのプロジェクトになりますと、査定についてのやり方が適当であったかどうかということは恐らくございましょうと思いますけれども、基本的には十年一日ではなく、やはりその時々の編成方針に従ってなされているというふうに考えております。
○松村龍二君 次に、各論の幾つかの問題について触れさせていただきます。
 各省庁、大臣あるいは局長にお伺いさせていただきますが、また後ほど最後に大蔵大臣から御感想をお聞かせいただきたいと思います。
 まず第一にお伺いしたいのは、新全国総合開発計画の問題でございます。
 ことしの三月に国土庁から「新・全国総合開発計画 二十一世紀の国土のグランドデザイン 地域の自立の促進と美しい国土の創造」ということで五全総が示されたわけです。
 先ほどからくどく申し上げておりますが、昭和五十二年ごろ広報室におりましたときに三全総ができまして、北陸自動車道を完成させたいといった夢があるといって広告したことがあります。このたび五全総ができたわけですが、五全総と言わないで「二十一世紀の国土のグランドデザイン」と言うそうです。それで「美しい国土の創造」と、何かちょっといかがわしいような名前だなというふうにも私は感ずるわけです。
 この計画の中に六つの海峡横断プロジェクト構想があるわけです。この「要約」の中では一言も書いてありません、六つの海峡のお話は。私も党の勉強会でこれが出るときに出席したんですが、そのような海峡の橋の話は一言もありませんでした。
 しかし、翌日新聞を見ますと、この五全総のねらいは六つの海峡、東京湾にさらに新しい第二東京湾岸道路をつくる、伊勢湾に伊勢湾口道路をつくる、和歌山と四国の間に紀淡道路をつくる、それから四国と九州の間の豊予海峡に道路かトンネルか知りませんがつくる、こういうのがねらいであるということが新聞に報道されておるわけです。現在、四国に橋が三つできるという状況の中で、しかも採算が合わないと。税金でつくるんではなくて国から借金して橋をつくるわけでしょうが、後ほど回収するにしても利用者がいなければ回収できないということで、四国にさらにあと橋をつくるということが実際的なことなのかどうか。
 先ほど申しました国の方でお金がない、いろいろ使う道があるといった中で、さらに東京湾に道路をつくり、四国と紀州に橋をつくるといったことが正面切って取り上げられているように見えるわけですが、国土庁は、長官お見えいただいて大変恐縮でございますが、この総合開発計画のただいまの問題につきまして凍結するようなお気持ちはないのか、ちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(井上吉夫君) 松村委員から、今の厳しい財政事情、そして公共事業については特に効果なりをしっかり見定めてやらなきゃならぬ、そういう立場を中心に置きながらの全体の御質問と伺いました。
 そこで、今御質問のありました「二十一世紀の国土のグランドデザイン」につきまして、どういう取り扱いをしながら国土庁はこれに対応しているかという議論の過程を若干集約いたしましてお答えとさせていただきたいと思うんです。
 第一は、新しい全国総合計画であります「二十一世紀の国土のグランドデザイン」におきましては、多軸型の国土構造の形成を長期構想として掲げ、多様な主体の参加と地域間の連携により自立的な地域づくりを進めることとしております。したがって、このことに加えて言うならば、全部をすぐに立ち上げるというとらえ方よりも、これから先の国土軸をどういう形で考えていくべきなのか、やっぱりそれぞれの地域が大きな夢を描きながら先々こういう国土づくりをしていきたいなという意味では今若干触れましたように、いわば長期構想としての位置づけで多軸型の国土構造の形成を考えているのが前提であります。
 このため、特に交通基盤の整備は地域間の連携を促進する上で大変重要であると考えます。松村委員もおっしゃいましたように、何かといえばやっぱり自分の置かれている選挙区域の福井のことをまず中心にしながらいろんなことを絶えずやっていかなきゃならぬという側面を、私どもは全部大なり小なり基本的に持っていると思います。したがって、この六つのプロジェクトも、自分のところに直接かかわりのあるところとそうでないところではかなり評価に濃淡があるとずばり思うんです。
 いずれにしても、国土庁が物を考える場合は国土の均衡ある発展というのを大前提に置いていろんな考え方の基本を据えておりますから、このことを別な言葉で言えば、東京の一極集中を排除して何としても過密の弊害というのをなくする、一方では、そうでない多くの地域は過疎に悩んでいる、そういうところにどうやれば活力を求められるのかという、そういうとらえ方で国土政策を考えるものですから、構想の中ではやっぱり長期のプランと目の前の、ことし、来年という短期のプランというものの両方を考えながら進めていかなきゃならぬというぐあいに思います。長期のプランとなりますと、相当の期間をかけながらいろんな角度からのまずは調査が必要であるということかと思うんです。
 御指摘の、いわゆる海峡横断のプロジェクトにつきましても、一例をお話がありましたように、既に四国の三つの橋、全部でき上がっているわけではありませんが、既に相当な金を投入しながら、最初予定したとおりの利用数があるのか、企業採算としてはどうなのかという、そういうとらえ方を今お話の中でちょっと述べられました。
 結局、つくりました以上は予定どおりの利用頻度があって、そしていわば経済的にペイするということを検証することは絶対に必要なことだと私は思います。ただ、それらの地域にとっていうならば、これから我々の地域のいわば先々について、こういう大きな夢を追っかけながらやっていくというそのことをなしにするわけにはいかぬというぐあいに思います。
 したがいまして、国土庁が新しい二十一世紀におきますいろんなプランをグランドデザインとして描く際に、このことを進め方の前提としてしっかり検討する必要があるなという具体的な問題のとらえ方として整理をいたしました点についてこれから申し上げます。
 こうしたプロジェクト構想の具体化あるいは実施に当たりましては、まず費用対効果の分析、そしてこれからこういう事業で、すべての事業で大変大事なのは環境の影響評価、これはやっぱりしっかりとやっていかなきゃならぬ。同時に、だんだん日本の技術はさらに進んでまいっておりますので、その技術を最高度に駆使した場合にコストを縮減する取り組み、こういうことを大きな重点に置きながら、できるだけ安い経費で目標が達成されるということについて絶えずこれは勉強をしながら取り組んでいかなきゃならぬと思います。
 同時に、こういう事業の財源を一体どういうぐあいにして確保するのかということ。さらに、費用負担の調整も、全部国費というわけにもまいりますまい。そういう費用負担を地元でどういうぐあいに受け持つのか、民間がどういう負担をするのが適当なのか等を含める費用負担の調整。そして同時に、これだけの経費を投入してもなおかつ我々地元関係者にとっていうならば、多少の費用負担をしょってでもぜひやってほしいという、そういうことにつきましての地域住民の合意あるいは協力等をしっかり取りつけなきゃならぬ、そういう面の説明もやっていかなきゃならぬというぐあいに思います。したがって、これらのことを総合的に検討していく必要があると考えております。
 以上のような手順を経て、今の厳しい財政事情と、これらの事業が費用対負担を含めてしっかりとした調査をやった上で事業に着手するという手順をやっていかなきゃならぬというぐあいに考えておるところです。
 しかし、多軸型のこれからの日本の経済構造の進め方、国土庁としての国土政策というものは、いろんな議論をした上で今申し上げましたようなことを含めて一つの方向づけをしたわけでありますから、とりわけこのことに最も大きな関心をお持ちの皆さん方にとって、言うならばこの壮大な夢を実現に向けてどういう手順で進めていくかということについては、一等最後に申し上げましたようなことも含めて対応していただきたい。国土庁はそういう取り組みについて誤りなきを期していきたいと思いますので、今後とも御協力をお願いいたします。
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
 私も地元との往復に飛行機で通っておりますと、伊勢湾なんか上空からよく見えるわけですね。確かにこの計画というのは、日本の微妙に狭くなったところをつなごうということで、夢の道路であるなということは感じるわけですけれども、先ほど来の議論にのっとって井上大臣から御懇切な御返事がありました。
 次の質問に入りますが、これは運輸省にお伺いするのか建設省にお伺いするのかはあれなんですが、現在道路交通システムを高度情報化しようということでETC、ノンストップ自動料金収受システム、これは予算に入っているわけです。
 確かに、高速道路をとまらないですっと通り過ぎ、後で料金の請求が来るといったシステムは時宜にかなったことで、これぐらいは時代の流れかなという気もいたします。しかし一面、この料金所で働いている、第二の人生を送っておられる方もたくさんおりますので、この人のお仕事を奪うなというふうなこともまた実感するわけです。
 それから、さらに進みまして、スマートウェイ2001、知能道路計画というのがありまして、これは道路に何か、私は構造はわかりませんが、線を埋め込んで、トラックなり運転手は一切ハンドルを切らないで、またブレーキ、アクセルを踏まないで目的地まですいすいと走っていくと。そうすると、交通事故もないし、三十メーター間隔でやってもぶつからないということで大変能率的な道路輸送ができるといったいろいろメリットはあるようです。進歩するのは結構ですけれども、そこまでやるのかなと。これがまた簡単な費用ならいいんですが、どれぐらいの費用がかかるのでしょうか。
 まず運輸省はどういうふうにお考えなんですか。ちょっと時間がありませんので、簡単にお願いいたします。
○説明員(荒井正吾君) 今委員がETC、スマートウェイを例にとられまして、いわゆる高度道路交通システム、ITSの評価をされましたが、一言で言いましてインフラを、ソフトウエアを充実させる、知能化するという観点で自動車走行を安全にかつ環境に負荷少なく円滑にやるという観点からは大変評価できるものだと考えております。
○松村龍二君 建設省、お願いします。
○説明員(井上啓一君) 今運輸省の方からお答えのように、ITS、スマートウェイにつきましては、これからの道路につきまして最先端の情報通信技術を活用しまして有料道路の自動料金収受システム、ノンストップ化を図るでありますとか、ドライバーへの情報提供を図って交通渋滞の解消だとか交通安全の確保、環境の保全などを実現していこうというものでありまして、ただ先生御指摘のように、すぐ一遍に自動化するというようなことではなしに、順次ドライバーのミスに起因するような交通事故をなくすでありますとかそういうようなことから取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 また、幾らぐらい費用がかかるのかというようなお話でございますが、自動料金収受システムについてはおおむね十三年ぐらいまでにやっていこうと思っておりますけれども、二千億程度必要だというふうに思っております。また、スマートウェイ全体についてはこれから順次やっていく話でございますので、今のところ幾らというようなことにはまだなっておりません。
○松村龍二君 このようにいろいろ国家的な計画あるいは巨大プロジェクトについてお話しするということになりますと、「もんじゅ」についても一言お聞きしないといかぬと思うんですが、ちょっと時間の配分もございまして、時間があれば後ほどお聞かせいただきたいと思います。
 次に、ロケットの問題についてお伺いしたいんですが、我が国の宇宙開発は欧米におくれて開始されたものの、分野によっては国際的水準の成果を上げられるようになった。しかし、報道されておりますように、最近、宇宙開発にかかわる事故が頻発しております。九四年には技術試験衛星きく六号、九七年には地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」に故障が発生し、本年二月にはHUロケット五号機のトラブルによって搭載していた通信放送技術衛星「かけはし」の静止軌道投入に失敗しております。
 一回失敗しますと五百六十億円ぐらいの金がパアになる、こういう話だそうですが、このように失敗が引き続いて起こっていることの背景には何か本質的、構造的な問題があるのではないかと思いますが、対策はとっているのか。
 また、外国は、私ども昔からテレビのニュースやなんか見ておりましても、ロケットというのは飛ばしては落ち、飛ばしては落ち、失敗の連続です。そういう中で、日本は失敗なしでずっと成功してきたわけですが、失敗を許される国と失敗が許されない国とあって、我が国は失敗が許されない。失敗しますと、あの有名な女性科学技術庁長官も素直に反省しないで、いや、これは別のまた次の目標に使いますみたいなことをちょっと報道で見たことがありますが、ただいまの質問に対しまして、国際ロケット開発等について今後ともこのような巨大プロジェクトを進めていくのかどうか、科学技術庁長官にお伺いします。
○国務大臣(竹山裕君) ただいまの御指摘のとおり、近年、我が国の宇宙開発、具体的な事例で松村委員御指摘のとおりありました。一方、向井千秋宇宙飛行士の活躍等もあるわけでありますが、こうした事故あるいはふぐあいという表現をしておりますが、この件につきましては大変重く受けとめておるところであります。
 そこで、こうした背景に御指摘のとおりの観点から本質的、構造的な問題が存在するのではないか、問題点を明らかにしていかなければならないということで、宇宙開発委員会の中に基本問題懇談会という組織を付加いたしましてことしの七月から議論を開始しているところでありまして、私自身もこの宇宙開発委員会の委員長を務めております。これまでの委員に加えまして、国内の宇宙開発あるいは機械工学、生産技術、経営組織まで広げましたそうした分野の一家言をお持ちの第一人者の方々にお集まりをいただきまして、月一回程度の開催頻度で、宇宙開発についての真の信頼性回復の管理をしていくにはどうしたらいいかということで検討しております。これらの検討を踏まえて、効率的かつ効果的な我が国の宇宙開発利用が推進できるように努めていくということをここでお約束させていただきたいわけでございます。
 また一方、宇宙開発のコスト面、確かに長期かつ相当なコストがかかるテーマでもあるわけでございまして、宇宙開発の分野を安定的に進めていくためには、こうした問題を技術開発の面からしっかりととらえていかなければならないということで、従来、御指摘のとおり我が国のロケット打ち上げは諸外国に比べてコスト高だという御指摘が確かにございました。
 そんな点から、その効率化を図りまして、来年度打ち上げ予定のHUの次の、今回はHUAロケットというものにつきましては従来コストの半減、ほぼ二分の一のコストダウンを図っていきますとこれは大体国際水準にのっとれるかなと、こんなロケット打ち上げのコストダウンに努力もしているところであります。
 今後、世界的な通信網の構築あるいは国際宇宙ステーション、これはもう既に二つのパートが打ち上げられまして、最近の報道でも、宇宙に大体サッカーの競技場ぐらいの広さというイメージをお持ちいただければいいわけでありますが、研究ステーションをそこに常時設置する。これは二〇〇四年に向けての大きな開発事業でございます。
 こうしたものの需要が大きく増加している中でありまして、我が国の技術力が結集されて、HUロケットを初めこうした積極的なコストダウンを含めて、我が国宇宙開発が進められていくことが世界の宇宙開発にも大きな意義を持つ。情報収集衛星などというテーマも抱えての現下の我が国の宇宙開発事業について、今御指摘のあったようなことをしっかり踏まえながら着実な歩みを遂げていきたい、こんな思いで進めているところでございます。
○委員長(久世公堯君) 松村委員の質疑中でありますが、この際、イラク情勢について高村外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高村外務大臣。
○国務大臣(高村正彦君) 十七日午前七時前、日本時間でありますが、米国及び英国の合同軍がイラク国内の軍事目標に対する爆撃を実施いたしました。
 イラクのUNSCOM、大量破壊兵器の廃棄に関する特別委員会への協力再開は不十分であると言わざるを得ず、イラクの対応は、九一年の湾岸危機の際の停戦条件を定めた国連安保理決議六八七を含む一連の関連安保理決議及び本年二月のアナン国連事務総長とイラク政府との間で合意された了解覚書に対する重大な違反であります。
 これまで国連安保理及び関係各国は、イラク政府がUNSCOM及び国際原子力機関、IAEAに対し完全かつ無条件に協力し、関連安保理決議を完全に履行するよう最大限の外交努力を行ってまいりました。我が国も、イラク政府に対し申し入れを繰り返し行うとともに、安保理での対応を含め、関係国と協力しつつイラク側の対応是正を求めるべく努力してまいりました。
 しかし、まことに遺憾ながら、UNSCOMに対するイラクの協力が得られず、このような事態に立ち至ることとなりました。
 我が国としては、上記のような経緯にかんがみ、今回の米国及び英国による行動を支持するものであります。
 我が国は、イラク政府が関連安保理決議上の義務を即時かつ無条件に受け入れることを強く求めます。これにより、国際社会との関係が正常化され、国際の平和と安全が一日も早く達成されることを改めて強く希望します。またあわせて、イラク国民の窮状が速やかに是正されることを強く希望いたします。
○委員長(久世公堯君) 外務大臣、ありがとうございました。
 それでは、引き続き質疑を続行したいと思います。
○松村龍二君 もう一つ大きな問題について御質問させていただきます。
 ただいまのイラクへの米軍の爆撃とちょっと関連するような質問にたまたまなったわけでございますが、この八月三十一日に北朝鮮のテポドン弾道ミサイルが発射されまして、三沢の沖を飛んでいきまして、太平洋に着弾したわけです。
 このことに関しまして、後藤田正晴さんは、九月二十六日の朝日新聞に、要約しますと、北朝鮮のミサイルが太平洋まで飛んだとの報に、国内ではマスコミを含めて、足元から鳥が立つように偵察衛星導入論や米国の戦域ミサイル防衛、TMD構想への参加論が強まったが、議論が少々軽過ぎる。また、本当に必要かどうかの議論をどこまで詰めたのかも疑問だ。導入すれば、収集した情報を生かすための運用機構もつくらなければならない。どれだけの要員と金が必要になるのか、日本に上空からのぞかれることになるアジア各国の気持ちをどう考えるか、議論が足りない。TMDについても、防衛庁の説明でも、実戦配備まで十年ないし十五年かかり、要撃ミサイルを積むイージス艦は現在の四隻という前提で最低一兆円の経費を要する。百発百中で撃ち落とせるのかどうかといった議論が十二分にはなされていないのではないか。米国はかつてSDI、戦略防衛構想の技術研究を途中で打ち切ったが、このことも教訓とする必要があるだろう。何よりTMDは米国が持つ早期警戒衛星を前提とする構想でと、こういうことを後藤田さんが書いておられます。
 防衛庁長官にお伺いしますが、政府においては情報収集衛星の導入に取り組む方針を決定したとのことであるが、他方、今回導入する衛星は災害や危機管理の目的を含む情報収集衛星であると承知している。防衛庁としては、このような情報収集衛星が我が国の防衛の役に立つと考えているのかどうか、第一点、伺います。
 それから第二点は、あらゆる政策についてその費用対効果を十分検討の上、実施するべきものと考える。BMDについても、技術研究、開発、配備の各段階でその費用を十分検討の上、対応していくべきものと考えるが、防衛庁はBMDに今後どのように取り組もうとしているのかということをお伺いするわけです。
 ちょっと私もコメントさせていただきますと、アメリカは偵察衛星を飛ばしまして、イラクの上も見たい、世界じゅうの国の上を見たいわけですね。日本はどこを見たいかといえば、今話題になっている某国の上にそういう日本をねらっているようなものがあるか、原子爆弾をつくっている工場があるかどうか、それだけ確認したいというだけの目的しか軍事的にはないではないか。いろいろわかったところで、何か中国その他の地において何があるといってわかったところでどうこうすることもできないわけですから、今言ったことになる。
 それから、BMDも、今ワンセットで一兆円という話でしたが、例えば若狭の原子力発電所に対してねらうのか、東京をねらうのか、横須賀の米軍基地をねらうのか、大阪をねらうのか、沖縄をねらうのか、これがわからなければそれぞれ一兆円ずつのセットを準備しなければならないわけです。そんなことをするよりは、先ほどの、アメリカがどこかの国にやりましたように、現在ある自衛隊の飛行機が自衛のために活動をすればそれで済むことではないか。もちろん、憲法体制その他重要な問題はありますけれども、何兆円もかけるような価値がある話なのかということは慎重に検討する必要があると私は思うんですが、防衛庁長官の御所見を伺います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 専守防衛を旨としている我が国にとっては、各種情報機能の充実ということは極めて重大な問題であります。したがって、我が国独自の衛星から得られる画像情報は極めて意義のあることだと考えております。
 今般、政府として導入に取り組んでいる情報収集衛星の分解能は、これは一メーターでありますが、この分解能によれば、弾道ミサイルサイトの探知とかあるいは艦艇や航空機の軍民識別が可能であるとか、また合成開口レーダーを搭載した衛星も打ち上げられる予定でありますから、夜間や悪天候の場合もデータの入手が可能である。
 こういうふうに考えてきますと、先ほど、この情報収集衛星が我が国の防衛に役立つかという御質問に対しましては、防衛庁としては、情報源の多様化それから独自の情報収集力の確保、こういった観点から今般の情報収集衛星の画像情報は我が国の防衛にとって極めて重大な意義があると考えております。
 二つ目の問題でございますが、防衛庁としては防衛力の整備に際して一層の効率化、合理化を図るように努めております。極力経費を抑制する努力をしているわけですが、その時々の経済情勢や財政事情等も十分勘案しなきゃいけません。そういうものを勘案しながら、国の他の施策との調和も図りつつ取り組んでまいったところであります。
 弾道ミサイル防衛については、先般行われた日米安保協議委員会において共同技術研究を実施する方向で作業を進めていくということを表明したわけであります。これを受けまして、十月二十三日、防衛庁よりこれまでの検討状況を安全保障会議に報告するとともに、日米共同技術研究の実施に向けた政府部内での調整を開始することを表明し、同日付で大蔵省に対して十一年度に必要な経費を追加要求したところであります。
 現在、日米共同技術研究の実施に向けた政府部内の調整を行っているところであり、技術研究の実施等について政府として決定したわけではありませんが、御指摘いただきましたとおり、技術研究の開発、配備の各段階への移行につき判断を行うに際しましては、費用の点も十分検討した上で適切に対応してまいりたい、こう考えております。
○松村龍二君 各大臣、それぞれ尊敬する立派な大臣でございまして、御答弁いただきましてありがとうございます。
 そこで、大蔵大臣に最後に一つ御意見をお伺いしたいことは、第二次世界大戦、私は昭和十三年生まれですからおぼろげながらにしか知りませんけれども、何で日本軍が負けたんだろうかということについてはいろいろ戦後本を読んでみました。一つに、やはり幾ら日本が勢いがよかったとしても、東西南北、ロシアとも構え、中国とも構え、東南アジアにも進出し、また太平洋にも進出してアメリカと事を構えるというふうに、一生懸命頑張り過ぎますと兵たんも途切れてしまって、しょせんかなわない無理な戦いであったということが一つの結論として言えるのではないかというふうに思います。
 二十一世紀に入り、また今から若い人たちが育つ中で、日本の国もどこかやはり整理をしませんと財政ももっていかないんではないかというふうに考えてきょう質問させていただいたわけですが、御所見をお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国の戦後今日まで歩いてまいりました道、それから憲法等々を考えまして、再び我が国が戦争に入る危険というものは、私は国民がみんな決心をしてそういうことがあってはならないと考えていると思います。
 今、非常な経済不況で、財政も何とか不況を克服しようと考えておるわけでございますが、経済不況が克服され財政が正常になりましても、なお我が国が世界をリードするいわゆる創造的な力を持った平和国家としてまいりますためには、国内にも、また外国に対してもしなければならないことがたくさんございますので、そういう意味では、財政そのものがやはり健全な姿で今後我が国が進むべき内外へのそういう道に貢献するものでなければならないというふうに考えております。
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
 終わります。
○委員長(久世公堯君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
○委員長(久世公堯君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成八年度決算外二件を議題とし、全般的質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐藤泰介君 民主党・新緑風会の佐藤泰介でございます。
 まず、大蔵大臣に伺いますが、日本債券信用銀行に対して、金融再生法三十六条に基づき破綻認定により特別公的管理を命じましたが、今後の金融再生に向けて、これまでの護送船団方式から個々の銀行に対する厳格な対応等々が報道されています。
 また、これまで日債銀には、昨年十月の日銀資金と民間資金を合わせて二千九百億円を導入し、本年三月の優良銀行としての公的資金六百億円の多額の導入を行ったと思いますけれども、結果として破綻を認定することになった事実について、まずどのように考えておみえになるか、大臣の所見をお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 申し上げるまでもないことでございますけれども、この問題は私の所管する事項ではございません、私は所管大臣ではございませんので。したがいまして、そういう立場からお答えをすることをお許しいただきたいと思います。
 一般的にこのたびの出来事は、国内でも、殊に国外、これはなかなか大事なのでございますが、日本がいわゆる護送船団方式という金融行政からはっきり別離をしたということとして認識されておるようでございます。国外ではその点をむしろかなり評価した見方が多いようでございまして、銀行そのものについては国外でもある程度事実を知っておりましたから、その意外性よりはむしろはっきり護送船団方式からの離別が行われたということを見ているように存じます。
 国内におきましては、今御指摘のようなことが確かにございましたわけでして、昨年でございますか、日本債券銀行の問題が起こりましたときに、ある程度みんな持ち寄って、奉加帳とあえてよく申しますが、ひとつ助けたらということでありました。しかし、ある意味でそれは助け切れなかったとも申せますし、別の意味で、当時のむしろそれまで長く続きました大蔵省を中心とした金融行政、あるいは時々護送船団方式と言われたものについての国会における御批判あるいは世間の批判等々から体制が変わりました。
 体制が変わりまして、金融監督庁が生まれ、二つの銀行の再建についての法案が先般国会で成立し、あるいは金融監督庁における新たな銀行検査が行われるといったようなことから、日本債券信用銀行の実態というものが当時認識されておったものと異なるということが債券信用銀行による検査の結果明らかにされた。そういうことの結末であったというふうに思われます。恐らく、したがいまして、従来の長い間の方式に基づく判断から、銀行当事者は債務超過であると判断されることを必ずしも釈然としないという気持ちがあったかもしれません。しかし、それは明らかにそのような今まで批判されていた行政あるいは監査というものが改まった結果であると考えなければならないだろう、私としてはそう思っております。
○佐藤泰介君 今の護送船団方式からの別離が認識されたという点については私も一定の評価をしたいというふうに思いますが、今回の日債銀国有化は金融不安を解消する政府として毅然とした施策の実施の第一段階だ、このように私も評価をしておりますが、この取り組みが半年や一年ぐらい前に実施されていれば現状の日本の経済はかなり違ったものになっていたのではないかというふうに思います。
 そんな点を申し添えながら、この問題については後で我が党の同僚の浅尾議員の方から中心に質問させていただきますので、次の問題に移らせていただきます。
 財革法凍結問題について、先ほど自民党の松村議員の質問で大臣の答弁がありましたので、これも中心部分は省かせていただきますが、ただ一点。
 財革法によって縛られて実施完成年度が先送りされた、例えば第六次教員定数改善計画などが二年延長されましたね、財政改革法の成立によって。それが現在凍結されたわけでございますので、その凍結によって先送りされたものが来年度予算編成上ではどのような取り扱いになるのか、その点を大臣からちょっと触れていただけますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政再建法によりまして、いわゆるキャップと言われるものの中にはある一定の年次の中でというふうに考えられた幾つかの計画がございまして、それを凍結いたしましたが、しかし凍結期間中にその年次が過ぎてしまうというのが幾つかございますので、それについては余り凍結とか凍結解除ということの意味がないわけでございます。また、物によりまして、これは表現の仕方でございますけれども、例えば年金等々のように、提起されました問題意識そのものは誤っていない、したがってこのままではいけないというふうに見られるものもございます。
 また、今教育のことをお触れになられましたが、これは恐らく、十一年度から十二年度にかけて目的そのものを、まずきちんと答申のとおりのことをやりたいというふうに文部大臣が言っておられますので、それはやはりそういうことになっていくべきものであろう、それから後のことはまたその段階で考えられるのだろうと思いますけれどもと、私はそう思っております。
○佐藤泰介君 大体理解をいたしますけれども、今の教育界も大変な問題が起きておりますので、できるだけ前倒しをできるような、来年度予算編成上で御配慮をいただけるとありがたいと思う次第ですので、その点は大臣、御要望として申し上げておきます。
 次に、郵便番号区分機の導入について伺います。
 この問題は省庁別審議でお尋ねしようと思っておりましたけれども、省庁別審議が一体いつ開かれるのか、ちょっと今の段階で見当がつきませんので、ちょうど年賀状を書く時期でもあり、国民も大変注目している問題ですので、以下、郵便番号区分機の購入についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、この区分機について、公取委が郵便区分機談合疑惑に関して来月二十六日に審判を開始するという決定がされたそうですが、決定に至る経過を簡潔に聞かせていただきたいと思います。
○説明員(根來泰周君) ただいまお尋ねの点でございますが、平成七年以降、郵政省が一般競争入札の方法によって発注しております郵便番号自動読み取り区分機類につきまして、株式会社東芝と日本電気株式会社が入札予定者を決定して入札をした、いわゆる入札談合ということで、それを排除するために勧告をいたしました。
   〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕
 そして、この勧告に対しまして両者が不応諾ということでございましたので、今月でございますが、私の方で審判開始決定をして、仰せのように審判手続に移行している次第であります。
○佐藤泰介君 公取委は郵政省に対しても違法な情報提供をしないように要請したと聞いておりますが、この部分はどこに違法性があったのか、お尋ねをしたいと思います。
○説明員(根來泰周君) 要するに、一般入札物件が百ありましたらその半分をA社に、半分についてはB社に情報を提供して、事の成り行き上それを前提にして入札談合を行っていたものですから、やはりそういう情報提供ということは、今お尋ねの違法ということは何も言っていませんけれども、そういう契機になり得ることでございますから、いろいろ配慮してもらった方がいいんじゃないかということで要請したわけであります。
○佐藤泰介君 公取委としては、情報提供があったのではないかということでございますね。確認をしておきますが、それでいいですね。
 この問題については、会計検査院でも所見が述べられているようでございますが、その部分についてもまず簡潔に説明をしていただけませんでしょうか。
○説明員(増田裕夫君) 九年度の新型区分機の調達について検査を行いました。
 その結果、契約四十五件のうち、東芝または日本電気一社だけの入札が四十三件ございました。また、予定価格と契約金額との比率について見ますと、九九・四%と予定価格に近い額で契約しておりました。区分機の配置先の郵政局でございますが、東芝が北海道、信越、北陸、九州等、日本電気が東北、四国となっており、その他の郵政局については東芝も日本電気も納入しておりました。
 九年度歳出予算による調達においては、仕様書等に予備部品のベルトの幅を示していたり、配備される機種を入札前に地方郵政局から郵便局に通知しているというようなケースがございました。十年度の歳出予算における調達では、四十一件中二十四件について二社の競争が行われるようになり、予定価格と契約金額との比率も低下するなど、九年度と比べまして競争性が向上したと認められますが、なお四〇%程度の契約において一社のみの入札となっているなど、さらに競争性を向上する余地があると考えられます。
 そこで、郵政省において、関係職員に一般競争契約の趣旨を十分理解させるとともに、さらに競争の余地が広がるような条件を整えることについて検討することが肝要である旨の所見を述べたところでございます。
○佐藤泰介君 今、公取委と会計検査院に伺いましたが、郵政省に伺います。
 今、それぞれ公取委、会計検査院の情報提供があったのではなかろうかというような趣旨の説明があったわけでございますけれども、今回の区分機の導入について、談合疑惑については昭和六十二年に出された大蔵省主計局通知、国の物品等の調達手続の特例を定める法令の一部、これは情報を提供してはならぬという部分だと思いますが、改正する法令等の施策についての一項に基づいた局長通達に違反すると私は思います。
 郵政省、郵政大臣は、これだけ社会的にも注目されているこの問題についてそれぞれ公取委あるいは会計検査院から今お話がありましたが、この問題について内部調査をされたのか。もしされていたなら、その内容を教えていただきたいと思います。
○国務大臣(野田聖子君) ただいまの御質問の件でございますけれども、まず初めに、区分機の調達につきまして公正取引委員会からメーカーに出された勧告で指摘された内容が事実であったとすれば、まことに残念なことだと思います。また、会計検査院の方から、さらに競争の余地が広がるようにという所見につきましては、私も同じ認識を持っているところでございます。
 そこで、区分機の入札につきましては、会計検査院からのお話がありましたとおり、現在は三社が参加し、競争が増してきていますけれども、私としましては、今後とも内外の数多くのメーカーが参入していただきまして、一層競争促進に期待をするとともに、私どもも入札にかかわる情報管理を含めて、より透明により公正な調達となるように努力をしていきたいと思っているところでございます。
○佐藤泰介君 今、会計検査院の方からもお話がありましたけれども、公取委が指摘しているのはたしか十年度前の時点でございますよね。だから、指摘しているのは平成七年から九年度の間だと思うんですけれども、今、大臣の答弁は十年度は非常によくなってきているからさらに努力をしたいという答弁でございましたけれども、公取委が指摘している部分について調査をされたのかどうかというのが私の質問でございます。
○国務大臣(野田聖子君) 新型区分機の導入、七年度からの話ですけれども、それ以前の平成四年度から研究会を開催しています。いろいろと技術的にも高いものでございますので、広く多くの皆様方に検討いただこうということで、当時、平成四年度にはその研究会にメーカー八社御参加いただいていたわけですが、導入の平成七年度の時期には、当時、NECと東芝しか対応できないということになっておりまして、結果として二社で入札しなければならないということでございました。
○佐藤泰介君 調査をされたんですかされなかったんですか。
○国務大臣(野田聖子君) 調査した結果が今御報告したとおりでございます。
○佐藤泰介君 何かようわからぬのですけれども、どの辺を調査されてどうなったのかちょっとわかりません。
 九八年十一月十二日に官房長がコメントを出しておみえになると思います。「公正取引委員会からの区分機調達に係るメーカーへの勧告等について」の二で、「これに関連し、公正取引委員会の審査局長から当省に対し、入札に係る情報管理等について検討するよう要請があった。」、このように述べてみえると思うんですけれども、この要請に対して省内では一体どのようにされたのか、引き続いてお尋ねをします。
○説明員(高田昭義君) お答えを申し上げます。
 私ども、現在、郵政省内における物品調達に関する予算執行手続の適正化ということで、実は私を委員長といたしまして点検委員会を設けて点検作業を実施しているところでございます。
 ただ、私どもは独占禁止法にかかわる事案があったかどうかということを調べる立場にありませんので、私どもとしては、予算の執行手続の適正化という観点から、本事案についても情報管理も含めて検討をするということで作業に入っております。
○佐藤泰介君 では、公正取引委員会が審判に入るわけでございますけれども、その勧告に対して、先ほど出ました東芝、NECが不応諾としている理由に、両者とも郵政省の意向に従ったと、このようなコメントが報道されているわけですけれども、そのことは事実でございましょうか。
○説明員(高田昭義君) 今御指摘の点は、勧告を出された東芝及び日電の主張と、それから公正取引委員会のそこのところにかかわる判断ということでございますので、私ども、そのことについての郵政省の立場を言うべきことではないというふうに思っております。
○佐藤泰介君 それでは、ちょっと観点を変えますけれども、郵政省に伺いますが、区分機について、注文を受けてから納品できるようになるまでの製造期間は一般的に一体どれくらいですか。
○説明員(濱田弘二君) お答え申し上げます。
 区分機をある入札公告でもって何台調達するかという台数などによってもこの辺違ってくるのも、先生御案内のとおりでございます。最近の例で申し上げますと、ことしに入ってから入札を三回やっておるわけでございますけれども、一番短いところで百十三日、長いもので二百七十九日となっておるところでございます。ただ、これは入札公告上の調達の期限ということでございまして、現実にはこれより前に納入が行われておるのが通例でございます。
○佐藤泰介君 今、早いもので百十三日、月数に直すとどれぐらいですか、三、四カ月ですか。
○説明員(濱田弘二君) 百十三日でございますので、三、四カ月ということでございます。
○佐藤泰介君 それを裏づける資料はありますか。
○説明員(濱田弘二君) これは先生御案内のように、官報に入札公告をしておりますので、そこで明らかになっておるところでございます。
○佐藤泰介君 ありがとうございました。
 次に、平成七年度の旧区分機の購入の契約件数、契約年月日についてお尋ねをしますが、お答えをいただけませんでしょうか。
○説明員(濱田弘二君) 七年度でございますが、平成七年七月に入札をいたしております。その日に契約は終わっております。八年度、これは二つございまして、八年八月と九年一月、さらに言いますと、九年度は九年五月と十年二月というところでございます。
○佐藤泰介君 今の説明で、平成七年度の旧区分機の購入の契約件数は、私の調べでは十二件ですが、それでよろしいですか。
○説明員(濱田弘二君) 私、今手元に契約の件数は持ち合わせておりませんけれども、七年度には台数といたしまして六十七台を調達いたしておるところでございます。
○説明員(高田昭義君) 補足を申し上げます。
 七年度は十三件、八年度は十二件となっております。
○佐藤泰介君 それで、その納入期間の最も早かったものはいつ、どこに納入したものでしょうか。平成七年度分で、平成七年の七月に契約をされた分の中で納入期間の最も早いものはいつ、どこに納入されたんでしょうか。
○説明員(濱田弘二君) 平成七年の契約におきましては、入札公告上の最短日数は五十九日でございます。実際にどこの局にいつ配備されたのかといいますと、役所の方に戻ればすぐわかる話でございますので、後ほど御報告をさせていただきたいと思います。
○佐藤泰介君 いや、これは役所の方にもう聞いてあるんですよ、私。平成七年七月三日に契約したそのものについて、最初に納入したのは、これは郵政省からいただいた資料ですから、平成七年八月三十一日に納入しているんですよ。これは落合郵便局だということも私調べたわけですけれども、役所に戻らなくても、これは郵政省からいただいた資料です。もう一度言いますと、東芝の契約年月日平成七年七月三日、最終納入期限の一番早いのが平成七年八月三十一日。順次遅くなっています、次に入っているのが平成八年一月三十一日ですから。一番早いのは七月三日に契約して八月三十一日、これは郵政省からいただいた資料ですから戻らぬでもわかるはずだと思いますが、どうですか。
○説明員(濱田弘二君) 私どもの契約担当の財務部の方からお出ししておる資料じゃないかと思いますけれども、私申し上げましたのは、入札公告上の納入期限ということではなくて、先生の御質問というのは実際にいつ、どこに入ったのかというお尋ねだというふうに理解いたしましたので、先ほどのように申し上げたところでございます。
○佐藤泰介君 とすると、七月三日の契約で八月三十一日に落合郵便局に入ったというのはいいわけですね。
○説明員(高田昭義君) 先生のお持ちの資料は私どもで出させていただいた資料でございまして、東芝の七月三日入札分についての一番早いのが同じ平成七年の八月三十一日となっております。
○佐藤泰介君 これはちょっとおかしいですね。先ほど製造期間は早いもので三、四カ月だと言われました。大体六カ月ぐらいかかるというふうに私は調べたんですけれども、先ほどの答弁は早いもので三カ月から四カ月。それが七月三日に契約されて八月三十一日というのは一カ月ちょっと、二カ月弱ですよ、契約から納入までが。
   〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕
 これは、公取委が言うように事前に情報の開示があった、こう見るべきじゃないんですか。先ほどは、一番短いものでも三、四カ月だと言われましたよ。私が調べたのは、大体六カ月ぐらいかかると聞いておりましたけれども、早いもので三、四カ月。それが七月三日に契約をして、八月三十一日に落合郵便局に入っておるんですよ。
 これがやっぱり公取委の言う情報の開示があったんではないか。それが引き金となってそこで東芝やNECの談合が行われたんではないか。そのことを私は証明していると思うんですが、どうですか。
○説明員(濱田弘二君) 先ほどの先生の御質問に対して、私は最近の例ということで十年ということを明示いたしまして御説明させていただいたように思いますけれども、先生御指摘のような七年までさかのぼりますと、例えば七年七月、今御指摘の件でございますが、入札公告上の最短日数は五十九日となっております。八年の八月も五十四日、九年一月も五十日というふうになっておるところでございます。古いものはそういうものでございます。
○佐藤泰介君 そんなに早くできるものでしょうかね、あの区分機が。まあ、そう答えられるならそれで。
 時間がないので次の質問に移ります。
○説明員(濱田弘二君) ちょっと今の、御質問ですから。
 最近の例で申し上げますと、入札公告上の最短日数百十三日の例でございますが、実際の納入は四十五日で行われた例もございます。
○佐藤泰介君 これは、一度それぞれの業者の工程表を私調べてまたこの委員会で質問をさせていただきたいというふうに思います。
 それで、これはこれでひとまず終えますけれども、先ほど公取委の方からも、予備部品の調達契約の中であわせて契約されていると思いますけれども、仕様書の添付文書として予備部品リストで搬送ベルトの最長の幅を四センチ、六センチと契約ごとに異なっているそうですが、これは事実でしょうか。
○説明員(濱田弘二君) これは予算執行の問題ともかかわるわけでございますが、平成八年度までは国庫債務による調達台数は非常に少のうございました。したがいまして、本機であるところの区分機と予備部品を一本の契約書でやっておりました。したがって、仕様書の添付文書の中で予備部品についての先生御指摘になられましたような規格も登場するわけでございます。
 ただ、九年度の国庫債務から非常に調達量が多くなってきました。国庫債務は、先生、釈迦に説法でございますけれども、本機の方は翌年度に入るわけでございますけれども予備部品は当該年度中に入るということで、若干のタイムスパンがございます。それで、今まで調達量が少ないうちは契約の能率的な執行を優先させておったわけですが、量が多くなってきましてタイムスパンが非常に目につくようになってきましたものですから、九年の国庫債務からは予備部品の調達を本機の調達とは別にするということにいたしておりますので、本機の調達文書の仕様書からはそうした予備部品の記載はなくなっておるというところでございます。
○佐藤泰介君 現在はないということですね。
○説明員(濱田弘二君) 別建ての調達を現在はしております、将来はまた別でございますが。ございません。
○佐藤泰介君 四センチ、六センチというのは、現在は載せていないというわけですか。
○説明員(濱田弘二君) 四十ミリ、六十ミリという表示もございます。
○佐藤泰介君 なぜそれを四十ミリ、六十ミリと書く必要があるんですか。
 四十ミリは東芝製ですね。六十ミリはNEC系ですね。参考として書くとするなら、これは、四十ミリといったらもう東芝に決まっていますよ。六十ミリといったらNECに決まっていますよ。現在も書いているその理由を教えてください。
○説明員(濱田弘二君) ただいま御説明申し上げましたように、九年度の国庫債務から予備部品の方は予算執行上の都合によりまして別建てにしております。したがって、入札公告の仕様書の添付書類でそうした数字の記載を含めてございません。
 それから、四十ミリ、六十ミリでございますが、あくまでも本機の調達というのは二億数千万を超えるような調達物品でございます。したがいまして、この予備部品、先生今御指摘のような搬送ベルトのことだと思いますが、これは数十万円のオーダーでございまして、おのずからそこには金額的な格差が非常に多うございます。そういうようなところを基本的なところで御理解賜ればと思っております。
○佐藤泰介君 ちょっと理解できないんですけれどもね。
 参考としてそれを書くということは、もうあらかじめ東芝、NECが指定されるような感じになるわけでございますよ。参考として書くなら、四十ミリ、四センチ、六十ミリ、六センチ、両方書けばいいと私の感覚では思うんです。それを一方の四十ミリ、六十ミリというのを書くということは、やはりここにも公取委が言っているような情報開示があったんじゃないか、私はそのように思います。
 そのことは意見として申し上げて、次に区分機にかかわる郵便物の流れ方、いわゆる右流れとか左流れということについてお尋ねをいたします。
 区分機の仕様書で流れ方を指定していますが、この理由は何ですか。
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
 区分機には右流れと左流れがあるわけですが、これは、区分機は長いもので二十メートル近くあるような大型の機械でございまして、郵便物の流れ方については、地方局の要望に沿って、そしてその地方局にある郵便局の作業をする場所のレイアウトを踏まえて作業の効率性を考慮した流れ方の区分機を配備しているものと理解しているところであります。
○佐藤泰介君 それは一、二カ所ならわかりますけれども、先ほど会計検査院の方からも話がありました。北海道、信越、北陸、九州、沖縄等で全部右流れなんですよ。左流れは東北、四国、全部ですよ。関東周辺でまざっているところもあります。
 北海道全部が局舎の都合で右流れにならにゃいかぬですか。一カ所や二カ所ならわかりますけれども、例えば北海道全部が右流れでなければならぬ、東北は全部左流れでなければならぬと。これはちょっとおかしいんじゃないですか。
 それぞれ局舎の状況というのはあると思いますから、一、二カ所は右流れ、左流れというのはあったって当たり前なんですけれども、地域全部が右流れですよ、地域全部が左流れですよ。
○説明員(濱田弘二君) まず、事実関係を御説明させていただきたいと思います。
 北海道においては、先生御指摘のように、区分機は右流れで来ております。東北もそのように承知しておりますが、例えば信越とか北陸とか九州は右流れが多いわけでございますが、やはり郵便局の仕事の都合で左流れが欲しいという場合には、上局である地方郵政局に郵便局が話をされて、そして郵政局から私どもの方に来る、そして私どもの方としては左流れを入れるということになっております。
 北海道から来ておるものですが、今年度になってからも配備の要請があります。私自身、北海道郵政局から上がってまいりました図面を見ましたけれども、やはり現場、現地の言うように右流れがふさわしい郵便局について上申が行われておるということで、十年度におきましても五局について五台すべて右流れでもって配備をいたしておるところでございます。
○佐藤泰介君 それは、今私が申し上げたように、一カ所、二カ所とか数カ所そういうのがあるというのはわかりますよ。しかし、全部がそうなるということは、それが全部局舎の事情だというのはちょっと理解できないですよ、私には。私は、このような地域ごとの局舎の事情というのではないと思います。
 北海道を全部右流れにするということは、北海道の分は全部東芝でというサインでしかないと私は思うんですが、どうですか。
○説明員(濱田弘二君) 右流れ、左流れというものとメーカーの特定というのは、これは別の問題であるということはもう先生よく御案内のとおりだと思っております。
○佐藤泰介君 そんなことは私理解していませんけれどもね。
 何度でも言うけれども、一カ所、二カ所は局舎の都合上、右流れ、左流れを特定する場合もありますけれども、地域ごと全部が右流れだとか左流れというのは、やはりそこには何らかの公取委が言っておるような情報の提供があったんじゃないかと疑わざるを得ません。まあ、これ以上やっても仕方ありませんので次に移りますが、次に区分機の保守会社との関係を伺います。
 東芝製、NEC系、それぞれの保守会社名を挙げてください。
○説明員(濱田弘二君) 事実関係ですので私からお答えさせていただきます。
 まず、東芝の資本が入っておる保守会社は日本自動機器保守株式会社でございます。それから、NECの方はNECポスタルテクノレクス株式会社でございます。
○佐藤泰介君 平成九年の保守委託料は幾らですか。
○説明員(濱田弘二君) 日本自動機器保守株式会社に対しましての保守料の支払い実績は九年度二十億円でございます。それから、NECポスタルテクノレクス、こちらは二十一億六千万円でございます。
○佐藤泰介君 そうすると、先ほど言ったように、地域ごとに保守会社も決まっておるわけです。右流れは東芝だとすると、その保守会社が北海道にほとんどあるわけです。保守会社の支店も大体そこに集中しておるわけです、右、左によって。
 そのことは時間がなくなってきたので飛ばしますけれども、保守会社の現在の社長は郵政省のOBかどうか。OBだとすれば最終役職を言ってください。また、郵政省OBがそれぞれの会社に何人天下っているか、教えていただきたいと思います。
○説明員(濱田弘二君) 日本自動機器保守株式会社の社長は郵政省OBの方でございます。最後のポストは官房資材部長であったというふうに記憶いたしております。NECポスタルテクノレクスの役員にはOBとして行っておりません。
 それから、郵政省OBの者が就職しておる数というお尋ねでございますけれども、トータルいたしまして、両社合わせて総職員数、役員を含めまして六百九十名おられるわけでございますが、そのうちの三十九名が私どもで承知いたしております郵政省OBの方でございます。
○佐藤泰介君 やっぱり保守会社へ大分天下ってみえるわけです。
 それで、それぞれの東芝系の日本自動機器保守株式会社、NECのNECポスタルテクノレクスの支店の所在地も大体決められたところにあるわけでございます。これは先ほど会計検査院が言われた地域割りと同じところに大体支店があるわけです。結局、官民がもたれ合っている癒着の構造がはっきり今の答弁で私は出てきたと思うんです。郵政省は事前に情報を提示することでこの二社が落札するように、またOBの会社が得るように、二十億と二十一億ですか、委託料が。これはゆゆしき問題だと私は思います。
 これは私の意見として申し上げて、次に公取委が談合があったことを指摘している平成七年から九年度、その中でNEC、東芝のどちらか一社のみが入札したときの最低落札比率、これは平成八年度で結構ですので教えてください。
 また、談合がなくなったと言われる平成十年のNEC、東芝が競合して入札したときの最低落札率、これを教えてください。
○説明員(高田昭義君) 平成八年度の落札比率でございますが、最低で九九・九六、最高で一〇〇。ちなみに平成九年度で申し上げますと……
○佐藤泰介君 いや、十年でいいです。九年は結構です。
○説明員(高田昭義君) 平成十年度で申し上げますと、最低で七五・二六、最高で九九・九八となっております。
○佐藤泰介君 そうでしょう。談合が指摘されているときの落札率は九九・九六です、最低で。競合するようになってから、平成十年からは七五・二六です、大臣。これだけ下がっているわけです。ということは、非常にむだ遣いをしたということです、七年から九年の間は。
 郵政省も本年度は九百八十七億円の赤字だと言っているでしょう。これは適当な計算になるかもしれませんけれども、この間の落札比率を計算すると百億ぐらいのむだ遣いをしているわけです、郵政省は。国家財政に対して多大な損害を与え、参入した企業に談合の余地をつくらせた郵政省の責任について、私は公開された内部調査と責任者の政治的責任を明らかにしていただきたい、こう思うわけですが、防衛庁長官にも来ていただいておりますから、これで時間をとってしまいましたので回答は求めません。先ほどの落札率、談合があったと言われるときは九九・九六です。それが十年以降は七五・二六です、最低で。ということは、談合があったと言われる時代には大変むだ遣いをした、このことだけ大臣に申し上げておきます。
 私はあと二分でございますので、――結構です、もう。防衛庁長官にも来ていただいておりますので、そのことだけ。また省庁別のときがありましたら聞かせていただきます。
 大変済みませんでした、ちょっと時間をとりまして。防衛庁長官にお尋ねしますけれども、前額賀防衛庁長官は、納入業者の処理をめぐる事件で、防衛庁の調達実施本部の元副本部長が見返りに顧問料を要求した疑いで逮捕されたことや、その調査の際、関係資料を部内で隠していたことが発覚したことで、また参議院の問責決議もあり、長官や事務次官を含む主な幹部が辞任されましたが、前長官の辞任直前に出された最終調査報告書で再発防止が訴えられていましたが、また今回、中島元防衛政務次官が救難機開発発注に関して収賄罪で再逮捕されるに至りました。これもまた調達実施本部絡みの話でありますが、新長官は中島議員が関与した形跡はないと、このようにはっきりと言われておりますが、その調査はされたのでしょうか。そして、この場で関与はしていないとはっきりと言い切れますか。明快なお答えをお願いします。
○国務大臣(野呂田芳成君) この件につきまして中島元政務次官が関与していたかどうかにつきましては、十一月二十七日の閣議後の会見でその時点で承知する範囲で申し上げたところでございます。
 現在においては検察当局の捜査が進展しておりますので、検察当局による今後の捜査の進展を見守り、全面的に検察当局の捜査に協力することによって事実が解明されることが重要であると考えているところであります。
○佐藤泰介君 時間が来ましたけれども、もう一問だけお許しください。
 この事件と関連して、または何らかの理由で関係資料を隠した陸海空の幕僚監部が七十名、八十名に至ったと内部調査で明らかになっていますが、百名程度の処分者を出したと聞いておりますけれども、どのような処分をされたのか、また野呂田防衛庁長官の責任について御自身どのように考えられておみえになるのか、このことを最後にお聞きして、私の質問を終わります。
○国務大臣(野呂田芳成君) 前回の最終報告書にかかわるものが内局と調本に関する調査だけだったものですから、その後、一部報道でその陸海空三幕僚監部においてもあるんじゃないかという御指摘がありました。そこで私は、もうすべてオール防衛庁、技術本部とか医大とかすべてを含めて全庁的な調査を命じまして、だんだんとそれが解明されつつありますが、まだそれが全部調査が終わったわけじゃございません。年内のできるだけ早い時期にその結果を明らかにし、関係者をその調査結果を踏まえて処分することがあれば処分しなければならないと思います。
 なお、私の責任といった点につきましては、調査結果の全容が判明しない現段階においてコメントすることは差し控えたいと思います。
○佐藤泰介君 終わります。
 ありがとうございました。
○浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の同僚の佐藤委員の質問に関連させていただいて質問をさせていただきます。
 まず、先ほど佐藤委員の方から御質問させていただきましたが、先般の日本債券信用銀行の法の第三十六条に基づく特別公的管理移行に関しまして、私も今回の、午前中宮澤大蔵大臣の方から御答弁ありましたけれども、海外で評価が高いという点について同感、あるいはこの措置については法の趣旨にのっとったことで評価できるというふうに思っております。
 関連させていただいて、先ほどもちょっと出ましたが、昨年の七月に二千百七億円、民間の金融機関が出資をし、日銀が八百億円増資に応じておりますけれども、この背景には当然当時の護送船団方式と言われております金融行政に基づく奉加帳方式による資金負担要請があったというふうに考えておりますけれども、御担当の柳沢国務大臣にお伺いいたしますが、この要求をした、あるいは要求と言うと言葉はきついかもしれませんが、要請をした道義的責任について柳沢国務大臣に所見を求めます。
○国務大臣(柳沢伯夫君) 浅尾委員はもう何もかも御存じの上で御質疑をいただいておるかと思いますけれども、昨今の日本の金融行政をめぐるこの制度というのは大転換をしておりまして、目下をどう言うべきかといえば、これは転換期と申しますか、まだ安定期にも至っていないというふうに位置づけることができようかと思います。
 この間、しかし金融界は内外の信用というようなものにも動揺も見られるところでありまして、これにどのように的確に対応していくかということで、そのときそのときでベストの対応を求められているということでございます。
 そういう中で、日債銀につきまして、過日、私どもは今御指摘のとおり、再生法三十六条に基づく一時国有化と申しますか、特別公的管理のもとに置くという措置を決定させていただきましたが、この日債銀についてはこれまでにもいろいろないきさつがあった。その一番のしょっぱなは昨年の、今お話しいただいたような民間と日銀も一部これに参加をいたしたわけでございますけれども、そういう基金を造成いたしまして、その基金から必要な援助を行ったということでございます。
 これについてどのように評価するかということでございますけれども、当時のこうした破綻のおそれのある銀行に対して、完全な意味の市場原理に基づく第三者割り当て等による増資というものができないときにどのような制度が用意されておったかと申しますと、全くなかったと言っていいわけでございます。破綻かしからずんば何らかの話し合いによる援助かというようなことの岐路に立たされたわけでありますが、当時の当事者あるいは担当当局といったような方々がベストの知恵として、日本の金融システムを安定させるためには後者を選ばざるを得ないということで選択したことであろう、このように感じております。
○浅尾慶一郎君 今の質問に関連してではありますけれども、実は二千百七億円を民間に要請した、あるいは日銀が八百億円増資に応じたということでございますが、その結果二千百七億円あるいは足して二千九百七億円が全部価値がなくなってしまったということなんです。
 実は先般、この第一委員会室におきまして、金融特で日銀総裁にも質問させていただいた件でございますが、そのようなことが起きてくることによって当局に対する信認が低下する、あるいは今地銀さんなんかの話を聞きますと、より信用力の高いところにお金を貸したいと、先般いわゆる質への逃避ということで某地銀の頭取もそういうことを言っておられましたけれども、利息が全くつかなくても日銀に預けるということが行われているということを言っておられました。
 ここで質問なんですけれども、今度の金融再生法ができたことにより、仮に破綻するような金融機関にインターバンク市場でお金を貸したとしてもそのお金は保護されるわけでございます。特別公的管理になればすべての債務は保護されるということでございますから、この際、インターバンク市場は安全です、特にこの金融再生法ができたおかげでいろいろな処置がとれるようになったということを明言されると少しインターバンク市場の厚みが出るのではないかなというふうに思いまして、日本銀行総裁のその点についての所見をお願い申し上げたいと思います。
○参考人(速水優君) 今御指摘のとおり、インターバンク取引というのは銀行債務の一種でございますから、当然デフォルトに対しては預金保険の対象となることだと思います。このことを言った方がいいのじゃないかという御意見かと思いますけれども、関係者は十分これを承知していると思いますが、おっしゃるように一般の方々はあるいは御承知でないかもしれません。
 日本銀行、大蔵省は、金融機関の破綻が相次いだ去年の十一月に談話を発表しまして、預金等の全額を保護するとともに、インターバンク取引等の安全を確保することに万全を期する所存である旨を表明いたしております。
 また、ことしの十月には金融再生法と金融機能早期健全化法の成立を初めとする一連の法整備がなされまして、不良債権問題の解決を通じた金融システムの安定化に向けての枠組みが一段と強化されたわけでございます。
 以上の点を踏まえつつ、万が一インターバンク市場に混乱が生ずるような場合には、私どもは、金融機関の預金の払い出しその他の資金の決済が滞ることのないように、市場に対してはちゅうちょなく資金供給を行っていく方針であります。また、個別金融機関の資金繰りにつきましても、不測の事態が生じることのないよう十分注意深くウオッチしていきたいと思っております。
○浅尾慶一郎君 実は私が求めておりました答弁は、仮に破綻した場合であっても、特別公的管理になればすべての債権債務は、貸し手にとっては債権ですね、保証されるということでございますから、それをただ一言明言いただければということであったのでございますが、御担当の柳沢委員長の方にお伺いさせていただければと思います。
○国務大臣(柳沢伯夫君) 私ども、現実のそういう事案が起こった場合にもあえて、ついせんだってはまだ内閣総理大臣の代行機関ということもありましたので内閣総理大臣名におきまして、またこれからは金融再生委員会を代表する委員長の私名をもって、再生法の適用が行われた場合には預貯金それから金融債、インターバンク取引、デリバティブ、これらの債務はすべて保護されるということに制度上なっておりまして、それは最終的に損失が補てんされるということを通じてそういうふうになっておりまして、その旨をいたずらなる不安を起こさないためにも明言させていただいておるところでございます。そのような制度になっているわけでございます。
○浅尾慶一郎君 ありがとうございます。
 続きまして、この日債銀絡みであと二点ほど伺わせていただきたいんですが、ことしの三月に六百億円の優先株の引き受けがなされております。実は三月末時点で既に債務超過であったということでございますが、多分三月に資本注入をした段階ではそれがわからなかったというお答えなんだと思いますが、一応念のためにその点だけ伺わせていただきます。その責任という点です。
○国務大臣(柳沢伯夫君) 私ども、せんだって日債銀を特別公的管理のもとに置かせていただいたのは、これはことしの三月末の時点における決算、これを見まして、これが法律を発動しなければならない状況にあるというふうに判断をしたからでございます。
 それ以前に、浅尾委員今御指摘のとおりの、これは今はなくなりました略称金融機能安定化法に基づいての資本増強が行われたわけでございますけれども、この根拠はどういうものであったかといいますと、その前の年の三月期の決算、あるいはその後におけるいろいろな後発の事象というようなものを個別に織りまぜて、総合判断として債務超過ではないという判断をして、その判断に基づいて資本注入が行われた、このように私どもは承知をしているところでございます。
○浅尾慶一郎君 それでは、日債銀関連で最後とさせていただきますけれども、巷間、違法配当、要するに債務超過であったにもかかわらず配当がされておるということで、違法配当ではないかというような商法上の問題なども指摘されておりますけれども、金融再生法の趣旨にのっとりまして、五十条ですか、法律に関して違反があると思われる場合はこれを告発しなければならないというような指摘が金融再生法上されておると思います。
 金融再生委員会の委員長として、もし違法性があった場合にそのようなことを今度の特別公的管理銀行に促されるかどうかだけ、その決意のほどをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(柳沢伯夫君) これはもう法律の条項に、そのような事態、つまり法律の発動が行われなければならないような事態に立ち至った経緯を明らかにしてこれを報告するようにということがまずございまして、そして、そのような報告に基づいて私どもとして刑事上、民事上の責任があるとすればそれを追及するということは私どもの義務になってございます。
 ちなみに、長銀ではそれの前提として今内部に調査委員会を組織して、そのような我々の活動に対しての協力の体制もしいていただいておる、こういう状況でございます。
○浅尾慶一郎君 ありがとうございました。
 それではちょっと質問を変えまして、今の経済状況を見た段階で、大変厳しい経済状況を考えますと、特に私が住んでおります神奈川県といったようなところは大変財政状況も税収が落ち込んでいる状況でございます。特に景気が悪いわけですから当然地方の税収が落ちている。東京都もそうだと思いますが、財政が非常事態と言われております。
 ここで私が一つ疑問に思っておりますことは、果たして、税の中には御存じのように住民税というものと、それから国庫に納めます個人の立場で言いますと所得税というものがあるわけでございますけれども、そこで、じゃ神奈川県の人あるいは私が住んでおります鎌倉市の人が一人当たりで幾ら所得税を平成八年度の段階で納めておったか、そのデータをまずいただきたいと思います。事務局の方から。
○説明員(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 神奈川県におきます、今八年と言われたんですが、直近の九年の所得税納税額は、申告所得税額三千七百三十八億円と源泉徴収税額九千七百三十三億円の合計一兆三千四百七十億円で、これを人口で割りますと、一人当たり十六万二千円となります。
 ただ、この数値は神奈川県内の税務署に納められた税額でございます。したがいまして、住所が神奈川県で納税地が神奈川県以外の方の税額は含まれておりませんし、逆に住所が神奈川県以外である方の納税額が含まれているという点がございます。
○浅尾慶一郎君 私がお願いしておりますのは、住所が神奈川県の方で東京都に勤めておられる方も随分といらっしゃると思いますが、そういったような方の納税額をお願いしたいということでございます。
○説明員(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 国税庁におきます統計は、国税収入の計数をあらわす観点でございますので、税務署に集められた税額を集計するということになっているわけでございます。
 所得税におきましては、住所地と納税地が異なる納税者が多数存在しておりまして、例えば源泉徴収で納税が完了いたします我々のようなサラリーマンなどの源泉徴収は、源泉徴収義務者の方、すなわち会社の経理の方々の負担を考慮いたしまして、一定金額以上のものしか税務署には提出を求めていないということでございまして、住所の所在地ごとに一人当たりの所得税納税額を集計することは困難な事情にあるということでございます。
○浅尾慶一郎君 今の御答弁を伺っておりますと、仮にですけれども、所得が一定金額以下の方の場合に、二カ所で働いておった場合には、それは国税としては把握ができないということですか。イエスかノーかだけで結構です。
○説明員(大武健一郎君) 技術的になるので、少し説明を許させていただきたいと思います。
 実は、例えば給与所得の場合には、年末調整をしたものにつきましては、一般のサラリーマン、今私が御説明したような方の場合には、給与収入の額が五百万円を超える方については税務署に提出してもらうことになっております。すなわち、五百万円未満の方というのは、源泉徴収義務者の方による年末調整で基本的にはすべて完了いたしますので、あえて一人別には税務署には提出していただかず、いわば全体まとめて納税額として各税務署に出していただく。しかし、当該企業の源泉調査の際に適否のチェックをさせていただくということになっているわけです。
 では、一人別はどうなるかというと、これは当該源泉徴収義務者から市区町村の方に送付される。ただし、地方税の場合にはいわゆる賦課でございますから、一年おくれということになっていくということでございます。申告所得税の場合は当然、あるいはこういう源泉徴収の所得税の方は当該年度でやるという手前から、このような仕組みになっているということでございます。
○浅尾慶一郎君 お答えを伺っておりますと、一年おくれではデータがとれるということに聞こえるんですけれども、多分それでもなかなか難しいとか、いろいろおっしゃるんだと思います。
 ここで、ちょっと哲学的なことを大臣に伺わせていただきたいと思いますが、私は、今後税の財源も含めて地方に移転をしていくというような議論が今まさに行われているところだと思いますけれども、そうした中で、例えば神奈川県の方の場合は東京都に勤めておられることが多いと思いますが、仮に所得税を下げて地方税を上げた場合にどうなるかといったような計算が今のお答えではできない、そういったシミュレーションができないということになってしまうんではないかと思います。
 それから、もう一つ問題だなと思っておりますのは、申すまでもありませんが、民主主義の基本は、基本の一つはと申し上げた方がよろしいかと思いますが、税金あるいは納税という行為と密接に絡んでおるんだと思います。
 そういたしますと、例えばその地域において住んでおられる方が総額で幾ら国に納めておられるかという基本的なデータがないということは非常に問題になってくるのかな。さらに申し上げれば、例えばその地域の方が総額で幾ら国に納めていて、それに対して国から幾ら戻ってきているのか、これは後ほど自治省の方にも御質問させていただきますが、そういった比較ができないのではないか。
 例を挙げて申し上げれば、例えば東京都に住んでおられる方が総額で幾ら国庫に納めている、それは東京都に住んでおられる方がたとえ神奈川県に勤めていても埼玉県に勤めていてもそれがわかるようにしておいて、総額で幾ら東京都の住民の方が納めている、神奈川県の方がたとえ静岡県に勤めていてもあるいは東京都に勤めに行っていても、総額で幾ら国庫に納めているかわかって初めて税源も含めた地方分権といった議論もできるでしょうし、もっと翻ってみれば、幾ら負担をしていてそれに対して幾らの受益があるかという議論ができるんではないかと思います。
 大臣に伺いたいのは、今後そういったような形でそういったデータがすぐ出るように変更をしていただけないか、あるいはそういうことについてどのように考えられるかということをちょっと伺わせていただければと思います。
○説明員(大武健一郎君) 繰り返しになりますが、一部誤解があるといけませんので。
 国はあくまでも国の税金として集めておりますので、一年おくれでも国では集めておりません。各市町村に各一人別の給与明細書が届くということでございます。要するに、いわゆる企業の方々から出していただく形になっているものですから、その方々のいわば事務負担も考えて、直接、当該サラリーマンの方が住んでおられる市役所の方へこれだけお払いしましたという通知を出すという仕組みに今はなっているということでございます。
 我々国税当局には、そういう源泉徴収義務者の方から、これだけ源泉徴収いたしましたという全体の額と、五百万以上のいわば納税者の方の税額が一人別に出される。それからさらにもう一点、二カ所以上という先ほど御質問がありましたので申し上げますと、二カ所以上の場合にはいわゆる扶養義務者の申告とかそういうのが一切なくなるわけでございますが、そういうような場合にはむしろ小刻みになるものですから、こういう方については五十万円以上所得がある方についても税務署に出していただくことになっている。それによりまして国税でも脱税がないような仕組みにはなっておりますけれども、基本的には各源泉徴収義務者の方々に源泉徴収していただいた納税額を信じてというか、それを申告納税として受け取りまして、以後、調査したときにもし間違いがあれば、調査で出させていただくという形になっているということでございます。
○浅尾慶一郎君 私の質問は、現行の制度は後で、この時間の外で伺わせていただければと思うんですけれども、そういうことではなくて、そういうデータがあることが大事なのではないかということでございます。
 もう一度申し上げさせていただきますと、たまたま私は神奈川県鎌倉市というところに住んでおりますから、例えば、鎌倉市に住んでいる人が幾ら国に納めていますか、そしてそれに対して国から地方交付税あるいは補助金という形で幾ら戻ってきているかということを、そのデータを持って初めて議論ができるのではないかということでございますので、大臣に伺っておりますのは、そういうデータがとれるようにされてはどうでしょうか、どのようにお考えになりますかということでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私も御議論あるいはお答えの方もちょっとわかりかねていまして、確かにそういうことは入り用だろうと思いますので、少しおくれてもそういうものをとればとれるのじゃないかなと、今の答弁を聞いて思ったりしますが、よく調べまして、また勉強いたします。
○浅尾慶一郎君 ぜひ各市町村においてとれるようにしておいていただきたいというふうにお願いを申し上げまして、次の方に移らせていただきます。
 さて、ベースのデータがない段階でございますけれども、今度は自治省の方に伺わせていただきます。それでは今度、国庫からの還元額という観点から伺わせていただきたいと思いますが、例えば神奈川県、あるいは私が住んでおります鎌倉市、対比ということでもないんですけれども、最も人口の少ない鳥取県ということを一つ例にとりまして、それぞれの住民一人当たりの、平成八年度でも九年度でも結構でございますけれども、国庫からの還元額について数値だけお願いいたします。
○説明員(二橋正弘君) 平成八年度決算ベースで申し上げますが、人口一人当たりの地方交付税と国庫支出金の額でございます。神奈川県は地方交付税が約八千円、国庫支出金が約三万二千円でございます。鳥取県は地方交付税が約二十二万八千円、国庫支出金が約十四万四千円でございます。鎌倉市でございますが、鎌倉市は地方交付税の不交付団体でございますので特別交付税だけでございまして、人口一人当たり約百三十円、国庫支出金は約二万五千円となっております。
○浅尾慶一郎君 ようやく片方のデータが出てきたわけでございますから、繰り返しになりますけれども、それに対して幾ら鎌倉市に住んでいる人あるいは神奈川県に住んでいる人が納めているかということをとれるようにしておいていただきたいと要請をさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 現在、都市部の自治体の財政が非常に厳しいと言われております。特に東京都あるいは大阪府あるいは神奈川県というのが財政の非常事態宣言をまさにしようとしておる状況にあるんではないかと思いますが、今のデータを伺っておりますと、どうも神奈川県と鳥取県、いろんな事情あるいは法律上の定めがあるのですぐにどうこうということを申し上げることはできないんでしょうけれども、交付税だけをとってみても八千円と二十二万八千円ですか、それからその他の資金を入れて三万二千円と十四万四千円と、かなり開きがあるのかなというふうに思うんです。今後、先ほども申し上げました方向性として、税源を含めた地方分権という流れの中で考えてみますと、地域で集めた税金を地域で一部は使っていくのかなと。そのときにナショナルミニマムの議論はもちろんしなければいけないと思いますが、その上でそういう方向にあるんじゃないかなというふうに思っております。
 ここで、現在副大臣制というか政府委員の制度もいろいろ議論されておるわけでございますが、あえて自治大臣ではなくて政務次官を御指名させていただきます。特に、奈良県の御出身ということで都市近郊ということなのではないかなと思いますけれども、今の国庫の還元率に大きな差があるという点と、それから現状その都市近郊の自治体は大変財政状況が厳しいという点、両点を踏まえてどのようにお考えになるか、ちょっと御所見を伺えればと思います。
○説明員(田野瀬良太郎君) 浅尾委員、特別に御指名いただいて感謝いたしております。
 今、浅尾委員がおっしゃったとおりでございまして、大変大都市部の税収は深刻なものがございます。もう言うまでもなく、大都市部は法人関連税に負うておるところが大でございまして、景気の変動に大きな影響を受ける税の税収減が深刻なものでございます。その大変ウエートが高いところからこんなふうになっておることだろうと思うんです。
 いずれにいたしましても、この地方交付税は、法律で決められた総額の中で地方自治体の財源の調整という意味が含まれておりますし、それと同時に、どの地方団体も標準的な行政を維持させるというための財源を確保する、そういう目的もあるわけでございます。
 例えば、小中学校があるところには義務教育として全国どこでも九年間でなければなりません。あるいはまた、平成十二年度から始まる介護保険についても、全国一斉に同一内容で実施することが義務づけられておることはもう言うまでもないことでございます。こうした法令等で義務づけられておる事務が地方団体の財政力によっていろいろ差があってはならないわけでございます。
 そんなことで、我々は今後とも公平を期しながらも地方自治体のいろんな御意見を聞かせていただきながら、議論はいろいろございます。税収の非常に少ない田舎というんでしょうか、地方の団体、一生懸命子育てをして、さあいよいよ税金を払っていただくという年齢になったころには大都会に出ていってそこで税金を落とす、手厚く田舎部に交付税があって当然じゃないかという意見。あるいはまた、都市部から見ましたときに、税収が豊かであるのはこれはあくまでも我々の努力であって、その努力が報われないような交付税の配分であってはならない、こういう議論があるわけでございまして、非常にこれは議論を始めていきますとそれはそれは広範にわたるわけでございます。
 いずれにいたしましても、私も省内で政務次官に就任して以来酸っぱく言っておるんですが、努力した自治体が報われながら、かつ税収の非常に少ないところに標準的な行政をできるように交付税を適正に配分するということを常に言っておるわけでございまして、しっかりとこれからも適正配分を目指して頑張ってまいることを御理解いただきまして答弁とさせていただきたいと思います。
○浅尾慶一郎君 若干関連させていただいてまたお願いしたいなと思っておるのでございますが、それは何かと申しますと、今、努力された自治体が報われるような形にしていきたいとおっしゃっておられたと思いますが、将来の方向性として努力された自治体が税率が安くなるという、今の現状ですとなかなか難しいんでしょうけれども、地方の住民税に格差が出てくる、要するに自治体間で競争が出てくるということも一つの考え方としてあるのではないかなというふうに思っております。
 その点について、簡単で結構でございますけれども、自治省としてあるいは政務次官としての所見をいただければと思います。
○説明員(田野瀬良太郎君) 努力が報われる部分といたしまして、都道府県につきましては八〇%、すなわち二〇%が努力部分、市町村につきましては二五%を見ておる。努力しておるところは必ず報われるようになっておることは事実でございまして、その程度はどうかという議論になりますといろいろあろうかと思うんですが、そういう制度を取り入れながら、私も交付税担当者に常に聞いておるんですが、公正を期しておるなと。何年も、数年もかかって積み上げてきたこの制度、確信を持って公正であるというもとで今計算してやっておるところでございます。
 しかし、これからいろいろと社会情勢の変化等が、どんな状況が起こってくるかわかりません。その都度その都度公正を期すように努力してまいりたい、このように考えております。
○浅尾慶一郎君 最後に政務次官に一言伺いたいんですが、先ほどの議論の中で、大蔵大臣からも御答弁いただいたんですけれども、ベースとなる一つのデータとして交付税のもとの一部と申し上げた方がいいのかもしれませんが、地域における住民の所得税納税額というデータがあった方がいろいろな議論がしやすいと思いますが、その点について所見をいただければと思います。
○説明員(田野瀬良太郎君) 先ほど大蔵大臣もおっしゃられましたように、私もしっかりとその辺研究をして可能かどうか、私も聞きながらそれは可能だという思いをいたしておりますので、研究してまいりたいと思います。
○浅尾慶一郎君 ありがとうございました。
 その関連で最後に私の意見だけ申し上げさせていただきたいと思いますが、可能でない場合はぜひ可能とするようにしていただきたいというのが意見でございます。
 若干話を変えさせていただきまして、今、景気対策ということでさまざまな公共事業が行われているのではないかと思います。午前中の大蔵大臣の御答弁でも、日本の赤字国債の比率が八・六%というふうにたしかおっしゃっていまして、ユーロに入るには三%が必要ということで、将来は財政再建をしなければいけないというようなニュアンスで御答弁されていたと思いますが、それとの関連で申し上げさせていただきます。
 諸外国の例を見ますと、例えばカナダやニュージーランドあるいはイギリスにおいては、いろいろな政府の支出についてこれを客観的に評価する制度があるというふうに聞いておりますし、またアメリカにおいても、ここにその資料を取り寄せましたが、ガバメント・パフォーマンス・アンド・リザルツ・アクト・オブ・一九九三というものがありまして、これにおいて政府の行うさまざまな事業について客観的な目標を設定し、その目標の達成度について評価をするということを法律で義務づけております。
 ここで、建設省と経済企画庁の方にそれぞれ、今そのような制度があるかどうかだけ伺わせていただきます。
 経済企画庁の方に伺うのは、景気対策ということで当然いろんなことをやっておられるわけでございますが、費用対効果ということを考えて客観的に見ておられるかどうか、あるいは個別のプロジェクトごとに見ておられるかどうか、時間の関係がありますから簡単に御答弁いただければと思います。
○説明員(河出英治君) お答えいたします。
 個別の公共事業の効果の問題でございますが、私ども、平成八年に内部の研究会におきまして、情報開示の観点から公共投資等につきまして費用便益分析を示すべきであるというような御提言をいただいたところでございます。
 それに基づきまして、政府といたしましても、昨年の十二月に、公共事業における費用効果分析の活用につきましては、公共事業所管省庁において基本的に全事業に実施されるというような総理の指示がございますし、またことしの八月の概算要求に当たっての基本方針を閣議了解する際にも同趣旨の決定がなされているところでございます。これに基づきまして現在なされていると認識をしているところでございます。
○説明員(小野邦久君) お答え申し上げます。
 私ども、公共事業の相当の部分を貴重な税金を使って実施させていただいているわけでございますが、公共事業につきまして、事業の効率性あるいは事業実施の透明性の向上を図るという観点から、原則として新規事業着手段階において費用対効果分析を実施いたしております。
 一番早く始めたのは道路事業でございますが、あるいは治水事業等につきましても費用効果分析を実施して新規事業採択についてこれを反映させていく、同時にどういう方法であるいはどういうような基準で効果を分析したかということも公表することにいたしております。
 それから、その他の事業、例えば下水道事業とか都市関係の事業等でございますけれども、これは現在試行的な実施の段階ではございますけれども、それぞれ事業の特性も違いますので、その特性を分析いたしまして、平成十一年度の新規事業採択箇所から原則としてすべての事業についてやってまいりたい、こう思っておるところでございます。
 また、事業の内容によってそれぞれ評価手法とか公表、あるいは割引率みたいな、先生御案内のとおりいろいろ違うわけでございますが、そういうものをやはりある程度きちっと運用指針で統一する必要もございまして、ことしの六月には統一指針の案というものをつくりまして、これをきちっとしたものにするべく今年度中に確定をするためのいろいろな作業を現在進めているところでございます。
○浅尾慶一郎君 関連で伺わせていただきますが、そういたしますと、これから行われる新しい事業についても尺度を持って評価をしてそれを実施した方がいいのかどうかということを行っておられる、これは経企庁さんがやられる仕事ではなくて、むしろ予算当局なのかなという気もいたしますが、お答えいただければと思います。
 また、大蔵大臣から、その点について、そういった尺度を持って査定をするべきかどうかということについて所見をいただければと思います。
○説明員(坂篤郎君) ただいま建設省さんから御答弁がございましたように、ほかのお役所でも、公共事業関係のお役所では近年非常に努力をされておられまして、再評価システムもだんだん整ってきつつある。
 ただ実際に、それじゃ数値化して全部できるかというと、必ずしもできないものもあるかもしれないといったような試行錯誤をずっとしておられるところだと思うんですが、私ども予算を編成する際には、まずは各省で、当然そういう費用対効果分析もごらんになって有効なものあるいは優先度の高いものをそもそも要求をしてこられると思いますが、さらに私どもの段階でも、そういったものも含めまして査定の際には当然参考にしているということでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 将来に向かってもっと実用化していくべきだと思います。
○浅尾慶一郎君 ありがとうございます。
 せっかく日本銀行総裁がいらっしゃるので、質問通告をさせていただいておりましてまだ質問させていただいていない最後の質問の方に移らせていただきます。
 先ほど、国内の流動性の問題については、金融再生法その他の成立によって理論的には回避されることとなるんじゃないかなということを申し上げさせていただいたわけでございますが、実は日本の銀行が海外で外貨を調達するのに大変苦しんでいるという状況もあって、これがいわゆるジャパン・プレミアムという形で言われているということも盛んに報道をされておると思います。
 私は、ジャパン・プレミアムというものは、個別の銀行の体力を考えた場合にはしようがない部分と、それから日本という大きな信用力を持っている国に対して不当に高い部分と二つに分けることができるんじゃないかなというふうに考えておりますが、ここで問題なのは、多分、日本の銀行のうちの幾つかは、日本国内の円のお金をドルにかえて海外に送金をしている結果、国内の円が足りなくなって、一面貸し渋りにつながっているのではないかなということも報道されております。
 さて、御案内のとおり、我が国には二千百億ドルに上る外貨準備がありまして、この大部分が米国債という形になっておるわけだと思いますが、法律上は米国債も通貨と同じ扱いになっておるというふうに思います。
 ここで日本銀行の総裁と、そしてまた大蔵省の方にお伺いさせていただくんだと思いますが、所管が多分これは、外為特会をつかさどっている法律は大蔵省だと思いますので、大蔵省の方に伺った方がいいのかなというふうに思います。
 一つは、預金というもの、いわゆる外貨預託というものがサイレントで現状なされておるんだと思いますが、私は、むしろこの際、政府が保有しております米国債を、これを法律上、法律を改正しなくても、日本の邦銀に貸し出すことが法律をそのまま読めばできるわけでございますから、これはどういう担保をとるとか細かい議論はその後残ると思いますけれども、貸し出した上で、米国債を担保に日本の銀行が外国の銀行からドルを調達すれば、ジャパン・プレミアムの問題の解消にはなるのではないか。強いて言えば、国内の流動性の問題については先ほどの御答弁のとおりであろうと思いますし、海外の日系の企業あるいはその他アジアの企業の信用収縮という問題についても一つの方策としてあるのではないかと思いますが、その点についてちょっと大蔵省の方の御意見をいただければと思います。
○説明員(中井省君) お答えいたします。
 まず、現状認識でございますが、先生今おっしゃられました邦銀の外貨資金調達につきましてはかなり各金融機関が前倒しで調達を行っておりまして、現在我々が得ております情報では、年末越えの資金はほぼすべてとり終わって、ジャパン・プレミアムもかなり下がってきているということのようでございます。
 御指摘の点につきましては、外為特会の保有外貨の運用の問題でございますが、この外為特会、やはり国の用に供する、特に介入のために機動的に対応するための資金であるということにかんがみまして、我々としましては安全性や流動性等に配慮した運用を行っているところでございます。
 その具体的な運用についてでございますけれども、大変申しわけございませんが、為替市場や債券市場等に不測の影響を及ぼすおそれがございますので、詳細に申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○浅尾慶一郎君 ちょっと時間がオーバーしてしまいまして、せっかく日本銀行の総裁がいらしておりますので、最後の質問とさせていただきます。
 先般、日本経済新聞の報道によりますと、日本銀行さんとしても邦銀の外貨の資金繰りを助けることを考えて、邦銀のスワップの、いわゆるドル円スワップの相手方になるというようなことも報道をされておりましたけれども、そういったようなことを検討されておるのかどうか、その点だけお答えいただければと思います。
○参考人(速水優君) お答えいたします。
 私ども、外貨保有は極めて限られておりますし、今、現段階で日本銀行として邦銀に対する外貨調達支援のために為替のスワップ取引をするということは考えておりません。また、中央銀行がその国の銀行の外貨支援を安易に行うという場合には、やはりモラルハザードの問題なども惹起することになると思いますし、また海外から当該国の銀行が危機的な状態にあると受けとめられる、信認をさらに低下させる可能性もあると思いますので、これらの点には十分留意しながらやっていかなければならないと考えております。
○浅尾慶一郎君 どうもありがとうございました。
○益田洋介君 日銀総裁、海図なき航海のかじ取りの毎日、またきょうはお忙しいところをおいでいただきまして大変御苦労さまでございます。
 きのう夕方、通告はさせていただきましたが、夜寝る前にどうしても一人の人物のことが頭に浮かんできましたので、通告はいたしておりませんが、一問だけ総裁の御意見を拝聴したいと思います。
   〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕
 それは吉沢保幸被告のことでございまして、営業局の証券課に勤務をしておられて、最終的に逮捕時には証券課長をお務めだった方。この方に対する判決公判が十五日の午前中、東京地裁で行われました。容疑は、九三年五月から九七年六月までにかけて日本興業銀行と三和銀行の両行から便宜を図った対価として会食、ゴルフその他の接待を受けて、締めて四百十二万円ということでございましたが、十五日の判決では懲役二年六カ月、執行猶予が三年ついておりますが、それから追徴金が四百十二万円、大変厳しいものだったわけでございます。
 判決文の中で阿部文洋裁判長はこのように言っております。中央銀行の重要な地位にあるというおごりと甘えから、ためらうことなく接待の誘いを受け、金融政策の公正さに対する国民の信頼と公正さを損なったと。こういうふうな非常に残念な判決、これについて総裁、どういうふうにお考えですか。
○参考人(速水優君) 吉沢の事件につきましては大変御心配をかけました。いろいろ御注意もいただいたわけでございますが、昨日、判決が出まして、本人もそれで納得したというふうに思います。
 それで、私どもの方は、今回の接待事件を契機に、逮捕されました直後に、三月の下旬でございますが、法令遵守の観点から、業務執行体制を見直すためにコンプライアンス委員会、これ法令遵守委員会と訳したらいいんでしょうか、そういうものを行内につくりまして、その委員会で外部の法律専門家の意見を聞きながら業務フローの点検を行いました。その結果に基づきまして、金融機関等との接点の持ち方、それから情報管理のあり方、決裁プロセスのあり方、この三つの重点項目につきまして全行規模で見直しを行いまして、業務執行体制の整備、厳正化を図った次第でございます。
 日本銀行としては、こうした努力を通じて今後とも法令遵守にのっとった業務運営の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
○益田洋介君 十三日に日銀の小畑義治理事が記者会見しました。何に対する記者会見かというと、昨年七月に日本銀行は日本債券信用銀行に対して八百億円の拠出をしたわけでございますが、これは完全に焦げつくことがはっきりしたわけでございます。その席上で、実に驚くことに、小畑理事は、優先株の取得は最善の選択だった、日銀の責任は問われないと、このように責任回避の姿勢を強く押し出した。これについては、総裁、どのようにお考えですか。
○参考人(速水優君) あの時点におきましては、破綻銀行に対するいろいろな措置がまだ準備されておりませんでしたし、もしあのまま破綻していくということになりますと、それの連鎖反応として金融システムにかなり大きな影響を与えるに違いないということを考えて、当時、関連の金融機関から、民間から日本債券信用銀行に対するいわゆる奉加帳というものが回されて二千億余が集められたわけでございますけれども、必要とする資金三千億に対してどうしても足りないというようなことで、この際、どうしても三千億を調えないと日債銀の破綻が起こって、それが金融システムの崩壊につながっていく可能性があるという判断で私どもの方が八百億円を出したというふうにお考えいただきたいと思います。
○益田洋介君 日銀総裁、ありがとうございました。
 次に、大蔵大臣にお伺いしたいんですが、実はこの日債銀について大蔵省の検査部が平成九年、昨年の四月十五日から四十七日間にわたって検査を行った。そして、不良債権はあるものの破綻状態にはないだろうというお墨つきを出したわけです。
 これに基づいて、昨年の七月、日銀が八百億、そしてことしの三月には公的資金が政府から六百億円注入されて、合計千四百億円が投入され、全部焦げついた。このときの検査に関する行政責任というのは私は問われてしかるべきだと思うんです。当時の担当者は青木直幸検査部企画官でございますが、大蔵大臣、いかがお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私はただいま金融担当の国務大臣ではございませんし、また当時そうであったわけでもございませんから、今の出来事について一人の自由なと申しますか、見ておった人間として判断を申し上げることになると思いますけれども、一言で申しますと、やはり長いこと続いておった大蔵省の金融行政というものが世間から非常な批判を受け、国会からも御批判を受けました。また、その検査体制というものについてもいろいろ問題があって、抜本的に改める必要があるという客観的な事実もございました。
 したがって、そういうことが過去にございまして金融監督庁が発足をし、金融監督庁が新しい立場で銀行検査をされる。それからまた、二つの法律が国会を通過しましたので、金融機関の再生あるいは早期是正についての行政の枠組みもできた。したがって、この二つの時点の間でこういうもののもとに対するスタンダード、評価基準というものが私は根本的に変わったということ、やはりこれが事実でありますから申し上げるべきだし、それに従って判断をしなければならないであろうと思います。
 そういう意味から申しますならば、金融監督庁がこのたび日債銀について債務超過であると判断をされたことは、今のそういう新しいスタンダードにおける物の考え方として正しいと考えますし、昨年そうでない判断をした判断があるとすれば、それは今のスタンダードからいえばやっぱり適当ではなかった。適当でないことについての責任ということになりますれば、それは当時のそういう制度というものが世論により、あるいは国会の御意思によって変えられて、今大蔵省は金融行政を担当していない、銀行検査も担当していない、そういうことで私は世間の指弾を受け批判を受けたものというふうに考えています。
○益田洋介君 昨十六日、横浜銀行の平澤貞昭頭取が記者会見をいたしました。これは地方銀行協会会長の定例記者会見でございますが、同行が信用保証協会の保証つき融資制度を利用して融資を回収するように全支店に通達を出していた。このことが発覚いたしまして、記者会見の席上、関係者の処分の検討も含めて、不適切な表現であり、深くおわびをすると言われた。
 この平澤貞昭さんという方は、昭和三十年東京大学法学部卒業、大蔵省入省、近畿財務局長、銀行局長、事務次官と、本当に金融界のエキスパートでエリートであられる方で、その銀行がこういうことをしてよろしいと思いますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これも私がお答えすることでないのかもしれませんけれども、よろしくないと思います。やはり、頭取はこれを自分でまさか知ってやったんだとは思いませんけれども、よろしくないと思います。
○益田洋介君 次に、十六日、やはり政府の税制調査会が総会を開いて、その席上で加藤寛会長が平成十一年度の税制改正に対する答申をまとめた結果を発表されました。
 おもしろいと思いますのは、興味があると思いますのは、所得課税では納税者番号制度を早期に導入すべきだということ、法人課税では連結納税制度の導入というのを強く提言しているのに加えて、減税財源に当局が当面赤字国債を充てるというのはこういう逼迫した事態なので仕方ないとしても、将来的には確かな財源がないままで大幅な減税を続けると財政に大きな問題を起こす。そして、提案として、経費削減を徹底して行うこと、加えて政府保有株を含む国有財産の売却を強く要求している。このことは、私は繰り返し金融問題特別委員会、それから当委員会、財政・金融委員会で主張している点なのでございます。
 まず、これについて大蔵大臣、御所見をお願いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府税調の会長がそういうことを言われたことを承知いたしております。
 私がそんたくいたしますのに、予算編成時期でございますから、政府、野党は、予算編成に当たって、このような不況でもございますし、またいわゆる与党、野党との意見交換もございました結果、御承知のような減税案というものが生まれようとしている。
 政府税調は非常によりアカデミックに物を考えておられますから、ちょっとこういう政治の急激な動きに対して、あれよあれよと申しますか、あれでいいのかなと申しますか、そういう批判を持っていらっしゃる方が私は当然あるだろうと思います。そういうことが加藤さんの御発言にも出ています。私はああいうお立場からいえばそうだろうなと思うし、最後の国有財産の処分というのはかねて加藤さんの持論でもあります。それは私どもが考えたような小さなスケールではなくて、国立大学まで含めていろんなことをお考えでございますから、急にできることではないが、やがて日本の財政、税制を考えるときに将来考えていくことであろうというふうには思っております。
○益田洋介君 私は、昨年の秋の委員会で、当時の松永大蔵大臣に、全国の財務局が所有する、特に大蔵省ですか、国有財産の実態を調査して国会に提出していただけるようにお願いしたわけです。
 それを受けて大蔵大臣は、国有財産中央審議会、ことしの九月八日に開かれたものですが、そこにおいて、審議会の下に小委員会を設置して鋭意このテーマについて審議をしていただきたいと。そういうことで、実際に九月十八日に第一回の小委員会が開催されまして、現在までに六回の小委員会を開いて、その中間結果をまとめて中央審議会に報告して、報告書というのが出てきております。
 この中に「有識者からの意見聴取」というのがございまして、同じ加藤寛教授にも意見陳述をしていただいて、その結果、今大蔵大臣がおっしゃったように、国立大学、国立病院、飛行場まで提案をされていらっしゃる。政府保有資産、施設を売却した上で財源として確保していかなければならないし、特に国立大学は民間の活力を導入した方が学生の勉強の成果が上がるんじゃないかというような考え方をしている、ユニークな考え方ですが。それから加えて、特殊法人も民営化して、売却可能なものはどんどん売却すべきであろうし、郵政三事業だってこれは民営化して売ればいいんだというようなことをおっしゃっている。
 小泉純一郎議員が閣僚でなくなったので私このことを議論できなくて残念なんですが、ぜひ次の組閣のときはまた入閣させていただいて、何大臣でも結構です。僕は、厚生大臣のときに郵政三事業の議論を小泉さんとしたんですが、これもやはり将来的に我が国が検討していかなければいけない大きな課題だと思います。
 また、加藤教授は、その第一歩として、行政用に使っている土地建物についても民間企業的な収益センスの導入を幅広く行う必要があるし、その際はイギリスで行われているプライベート・ファイナンス・イニシアチブ、PFIと言われていますが、こういうものの導入も検討したらどうか、こういう提言をしておりますが、大蔵大臣、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカの州におきましては刑務所までプライバタイズするところがあるわけですから、我が国なんかでもプライバタイゼーションというのはもっと根本的に本当は考えなきゃいけないのかもしれないと思います。それは、一応受益者の問題もありますから簡単ではないにしても、かなりのものが実はプライバタイズできそうだと私も思うことが多うございますから、加藤さんもきっとそれを思っておられるので、この世紀にはひょっとしたら難しいかもしれないが、次の問題はやっぱりそういう問題ではないかと私も思います。
○益田洋介君 この国有地の有効利用また処分についてのテーマは、今後も私自身の研究テーマとして勉強させていただきたいと思っております。
 次に、監査法人の問題ですが、十二月十三日に日債銀の国有化の発表があったわけでございますが、実は日債銀は十一月二十四日にことしの九月期の中間決算を発表したわけでございます。
 その際、監査を担当していたセンチュリー監査法人、五大監査法人の一つでございますが、適正意見を述べた、決算内容に特に問題はないと承認した。それからわずか三週間後に破綻劇が起こった。これは異常な状態だと私は思うわけでございますが、監査証明業務を取り扱う公認会計士協会の会長はやはり相当責任を感じていただかなきゃいけない。中地宏さん、このたび金融再生委員会の委員に選ばれましたけれども、私は、これは不適切な人事である、そのように思いますが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) どう私はお返事申し上げるべきかどうかとは思いながら、先ほど申しましたように、銀行検査とかあるいは金融行政とかいうものがこの一、二年の間に根本的にやはり再検討を余儀なくされた、そして新しいものが今生まれてきたわけですが、同じような、全く同じようなではありませんが、それとの関連において監査というようなものの社会的な重み、責任というようなものも急激にここで変わりつつあるのだと思います。過去のことを私は責任なしと言おうとしているのではありませんけれども、問われているものの厳しさが確かに違ってきた。これからはそういう物差しで考えなければならないのだろうと思います。
○益田洋介君 アメリカの場合は、監査法人のミス、故意であれあるいは善管注意義務の懈怠であれ、そうしたことで投資家から、要するに企業の監査というのは本来投資家のためにある、企業のためにあるんじゃないんだという考え方に立って損害賠償訴訟が頻繁に行われて、賠償金で収入の一〇%が消えて倒産する大手の監査法人もあらわれている。それぐらいのやっぱり厳しさを私たちは参考にしていかなきゃいけないのじゃないかと私は思っております。
 そして、今回のこのセンチュリー監査法人については、公認会計士法の二十九条の戒告、一年以内の業務停止、登録の抹消、こういうもの、同三十条、要するにこれは故意の虚偽、錯誤あるいは脱漏のある財務書類をそうでないと証明した場合は、大蔵大臣は、これは大蔵大臣の認可ですから、登録の抹消をすることができるし、第三十条の第二項には、相当の注意を怠った場合、戒告または一年以内の業務停止を命ずることができる。
 この日債銀に関する監査を担当したセンチュリー監査法人について、大蔵大臣はこの第三十条を適用するお考えですか。
○説明員(伏屋和彦君) お答えいたします。
 公認会計士法におきましては、今委員が言われましたように、大蔵大臣は、公認会計士または監査法人が故意にまたは相当の注意を怠り、重大な虚偽等のある財務書類を重大な虚偽等のないものとして証明した場合には、公認会計士や監査法人に対して懲戒処分をすることができると、まさに先生が言われたように規定されておるわけでございます。
 したがいまして、大蔵省といたしましては、日本債券信用銀行の新しい経営陣による責任追及の動きなども今後十分に注視しながら、監査を担当いたしました監査法人の監査証明に問題があれば、法律に基づき厳正に対処してまいりたいと考えております。
○益田洋介君 大蔵大臣は十五日、外国特派員協会で講演をなさいました。その中で数々の、来年二月のドイツでのG7、中央銀行総裁会議などで披瀝をするおつもりだということで、ユニークな考え方、またグローバルな観点に立って提言をされました。
 その中で、私、一つ非常に興味を持ったのは、IMFの問題なんですが、大蔵大臣は、財政赤字の縮小などの実行を融資の条件に今まで求めてきたけれども、もうそういった時代じゃない、緊急措置としてやはり機動的な融資制度を用いるべきだとおっしゃった上、資金基盤の強化あるいは準備資産であるSDRの外貨準備を増強するべきであると言った後に、ここがポイントなんですが、IMFとは別に地域ごとの通貨支援の枠組みにつながる試みとして、さきに公表した総額三百億ドルのアジア支援構想、こういうものを指摘されている。
 このIMFとは別の地域ごとの通貨支援、これについてもう少し敷衍してお話を伺えればと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 限られた時間でございますので長くは申し上げられませんが、一つはIMFというのが、今度東南アジアでも起こりましたように、出動いたしますのは事態が発生いたしました後、後始末をどうするかというコンディショナリティーを設けて救いに入るわけでございますけれども、発生する前に、いわゆる短期資本のスペキュレーターたちが特定の国をアタックする、それを防ぐ方法はないのかということをやっぱり考えなければならないのではないんだろうかと。
 この地域におきまして、例えば我が国を初めかなり外貨を多く持っている国がございますものですから、その外貨を積み立てておいて、いざどこかの国がアタックされようとするときにそれを守ってやる方法はないのだろうかということを実は片方では言おうとしたわけでございます。無論他方では、事が起こりました後、あるいはその直前にどういう救いをするかということもございますけれども、それはIMFと競合する機能ではないはずであって、そういうことを将来とも考えていく方法はないかということを、実はごくごくその初期の段階で考えを申したわけでございます。
○益田洋介君 ありがとうございました。
○加藤修一君 加藤修一でございます。
 私は、特殊法人、とりわけ石油公団問題について取り上げたいと思います。
 石油公団については、多額の損失を出しており経営に問題があるのではないかとか、あるいは石油公団におけるプロジェクト審査体制に問題があるとか、こういうことが従来から言われてきているわけでありますし、それから堀内前通産大臣は、石油公団は出融資先会社に対する多額の不良債権を抱えており、剰余金がマイナスの会社を現時点ですべて清算した場合については一兆三千六十九億円の損失をこうむることになる、こういう指摘をしているわけであります。そういった結果から石油公団再建検討委員会が設置されたわけでございますけれども、その後、我々は経済・産業委員会におきましてもこの問題についてただしてきたわけでありまして、いわゆる第三者機関を設置してこの問題について十分審議をしていくべきである、疑問点について解明していくべきである、透明性を高めるべきであるというふうに言ったわけであります。
 といいますのも、再建検討委員会は公団の方でもつくられた、それからエネ庁の方でもつくられたということで、両者間において緊密な関係、連携のもとで一つのレポートとしてこのレポートが出されたわけでありますけれども、第三者機関と必ずしも言えないわけでありますので、中立的な機関とも当然言えないわけでありますので、そういった面をぜひ新しく機関として設定してやるべきだと。
 その結果、石油公団開発事業委員会というのをつくったというふうに通産省の方ではおっしゃっていますけれども、実は平成十年十二月九日、資源エネルギー庁長官の説明の中には中立的な機関ということで書いてございます。この中立的という意味なんですけれども、どのように考えて中立というふうに判断されているか。いわゆる「中立的・専門的立場からの御意見の提示をいただき、」云々というふうに書いてございますけれども、この辺についてはどのように大臣はお考えでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(与謝野馨君) 通産省におきましては、先生を初め各方面からの問題提起を正面から受けとめまして、石油公団の収支見通しを明らかにするとともに、その財務、事業運営について徹底的な見直しを行い、より効果的、効率的に事業を行う観点から、改善すべき点をすべて洗い出し、石油公団再建検討委員会報告書として取りまとめました。それは先生のお手元にある報告書でございます。
 しかしながら、この報告書は通産省内部における検討の結果取りまとめられたものであり、外部の第三者がかかわったとは言えないわけでございますから、産油国や共同事業者との関係で非公開とした情報を含めまして中立的な立場から検討を行うべきとの御指摘も踏まえまして、十一月二十七日、石油審議会開発部会に石油公団開発事業委員会を設置し、検討を開始したものでございます。
 この委員会は、業界関係者や通商産業省出身者は含めず、法律、国際経済、資源工学分野の学者、弁護士、公認会計士のみで構成しておりまして、報告書で取り上げた事項に関し、産油国との関係などから非公開とした情報も守秘義務のもとで開示の上、特定の利害関係にとらわれない中立的な専門的立場からの意見を提示していただく、そして来年一月を目途にその意見の集約をお願いすることとしております。
 通産省といたしましては、現在、報告書に基づいて必要な改善策を講じ、石油公団の一層の効果的、効率的な業務運営の確保に努めているところでございますが、石油公団開発事業委員会で新たな指摘がございますれば、その点についても実施に移すこととしております。
 さらに、石油審議会においては、同委員会の意見集約を踏まえまして、今後の石油開発政策のあり方について六月を目途に報告書を取りまとめることとしております。
○加藤修一君 それでは、中立的な機関と言うからには、先ほど述べられた人方がそうだという判断でしょうけれども、より中立性を保つためには監査法人の方も複数入れるべきだと私は思うんです。
 先ほど同僚の益田委員から話がございましたけれども、そもそもこの石油公団にかかわってくるいわゆる石油開発株式会社百二十一社分の営業報告書を調べてみましたけれども、要するに監査法人がかかわっている会社はどのぐらいあるんでしょうか。
○参考人(新欣樹君) にわかな御質問で、私の記憶だけでまずお答え申し上げたいと思いますけれども、商法の特例法によりまして、たしか資本金五億円以上及び負債総額二百億ぐらいだったかと思いますが、そういった会社については監査法人の監査を受けることが義務づけられておるというふうに理解しております。
 この石油開発会社につきましては、大方五億円以上の資本金を有しておるということで、恐らくすべての会社が監査法人の監査を受けておる、こういうふうに理解しております。
○加藤修一君 先ほど私が提示いたしました報告書の件ですけれども、その中には公認会計士として監査法人トーマツと太田昭和監査法人というふうになっておりますけれども、この報告書については前通産大臣は評価はゼロだというふうに言われているわけなんです。
 それで、今私が質問しました百二十一社分の営業報告書を調べてみた結果については、これは入手した資料の中を調べた結果なんですけれども、太田昭和監査法人が三十六社、トーマツが十一社というふうに監査をしているわけなんです。今度新しくつくられる委員会の方ですけれども、監査法人の方が入っている、いわゆる公認会計士が。それがトーマツの方だと思いますけれども、私は、中立性を考えているならば、公団及び公団のいわゆる石油開発株式会社の関係で非常に経理がわかりづらいとか、あるいは損失の面も含めて今まで会計検査院もいろいろ指摘していたこともございますし、そういった点を考えますと、どうも監査法人の役割というのが非常に不鮮明な部分があるのではないかと思うんです。
 そういった観点から、中立性を言うならば、トーマツ監査法人の公認会計士一人じゃなくして、二人とか三人とか、そういうふうに入れるべきだと私は思いますけれども、この辺については、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○説明員(今井康夫君) 開発事業委員会の委員でございますけれども、六名でございます。その中で、御指摘のように監査法人トーマツの代表社員の方にお願いしておりますけれども、この方は企業会計審議会の委員でございまして、特に企業会計審議会の監査部会の部会長をやっておられるということでございますので、この方に御意見を伺う。それから商法の先生でございますとか行政法の先生でございますとか、そこでダブルチェックをして、クロスチェックをしていただくということで対応いたしております。
○加藤修一君 答弁になっていないように私は思います。要するに、百二十一社の石油開発株式会社を調べた段階では太田昭和が三十六社、トーマツが十一社ということで、それはその株式会社について精通しているということはよくわかります。しかしながら、中立性という観点から先ほどの件も含めて考えていきますと、不透明性をぬぐい去ることはできない部分もなくはないわけです。
 ですから、その辺について考えていくならば、トーマツに限らず、そのほかの、先ほど益田委員が言っておりましたけれども、五大監査法人があるということですから、そういった中からどこかのやつを入れて、二社とか三社とか複数入れてお互いのクロスチェックをすることが望ましいと私は思います。ですから、そういった面で考えてくださいというふうに言っているわけです。
○説明員(今井康夫君) 先生おっしゃいます透明性でございますけれども、今般の委員会におきましては、産油国の国家機密そのものを除きまして議事録の内容等すべてを公開しております。また、委員会の終了後には座長、委員長を務めていただいております先生に直接記者会見に出ていただいておりますので、その意味で私どもとしては、本委員会は透明度の高い委員会として運営していきたいというふうに思っております。
○加藤修一君 いや、私はまだ納得しておりません。別の機会にそれについてはやりたいと思います。
 それで、石油開発会社の生産計画ということについて話を聞きたいと思いますけれども、キャッシュフローを計算するためには将来の生産計画がわからないとできないわけですけれども、今回の報告書の中でもそのキャッシュフローの結果が出ております。これは前通産大臣に言わせますと荒唐無稽な内容だという話なんですけれども、前回私が質問したときには工夫して出すという答弁をいただいておりますけれども、工夫して出さないような形になっているわけでありまして、その辺について明快な答弁をお願いしたいと思います。
○説明員(今井康夫君) 石油公団の報告書におきましては、確かに産油国の埋蔵量でございますとか生産量でございますとか、これは国家機密になっておりますのでオープンにできない部分がございました。
 これにつきましては、これまで経済・産業委員会の方にキャッシュフローを計算するプロセス、計算をする方式等につきましてかなり詳細な資料を御提出させていただいておりますが、先生からの御指摘もございまして、キャッシュフローにつきましては、全体がどうなるのか、それから剰余金のある会社についてどういうふうになるのか、それからそれ以外の会社についてどうなるのかということについては御報告させていただいたところでございます。
   〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕
 また、生産量につきましても、先生の御指導を踏まえて検討していきたいと思っております。
○加藤修一君 「提出を差し控えた資料について」という紙が私の方に提出されましたけれども、第一番目に、「そもそも、企業の将来にわたる損益見通しや生産計画などは企業経営の根幹をなすものであり、企業秘密である。」というふうに書いてあるわけなんです。この書き方というのは、税金も投入されている株式会社なのにもかかわらずこういうふうに第一番目にどんと出してくる、そのセンスが私は非常に疑わしいと思います。私はだからこの辺についてはかちんときました。
 現段階で出されている資料は、キャッシュフロー分析結果については、剰余金会社の関係とそのほか、それからもう一つは全社について出していただいています。ただ、ナショナルプロジェクトとそのほかについては出していただいておりませんので、この辺についてはぜひ出すように要求したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○説明員(今井康夫君) 今先生の御指摘の「提出を差し控えた資料について」というものでございますが、これは極めて事務的に、どうしてこれが国家機密であるのか、企業秘密であるのかということをメモった内部的なものでございまして、先生のお手に行ったとしたら大変失礼なことをいたしたと思っております。
 それから、キャッシュフローにつきましては、各社の姿が、生産量等が透けて見えるわけにはまいりませんけれども、それが透けて見えないような形で、ただ私どもの計算がきちっと御理解いただけるような形で努力したいと思っております。
○加藤修一君 ぜひ努力していただきたいと思います。
 それでは次に、北極石油株式会社の件について、この会社は平成九年度は石油公団から五十四億円借りて、公団に貸付利息を逆に今度五十四億円支払っているようですが、これはいわゆる民間企業で言うと追い貸しに当たりますが、こういう状況はいつから続いておりますか。石油公団総裁、よろしくお願いします。
○参考人(鎌田吉郎君) 先生御指摘の点はいわゆる元加融資というものでございまして、石油開発につきましては探鉱期間中は売り上げが立ちません。したがいまして、その期間の利息につきましては元本に組み入れる措置をとります。そのための融資ということでございます。
 それから、時期でございますけれども、元加融資、そういったことで、この会社が設立されましたのが一九八一年でございますけれども、開発に移行いたしておりませんので、これまでの間ずっと続いているということでございます。
○加藤修一君 時間がございませんから最後の質問になりますけれども、今のような一般企業では追い貸しというふうに認識されるこういったことについて、会計検査院はどのようにお考えか。
 それから、北極石油会社のように追い貸し状態の開発会社が百五十八社中二十八社ございますけれども、これがそれぞれ何年前からそういう状態なのか、会社名あるいはその総額を含めて資料を提出していただきたいと思います。お願いします。
○説明員(小川光吉君) 御質問は二点あったかと思いますけれども、後者の方の百何十社の資料につきましては、私の方ではすべて今手元にあるわけではございませんので、通産省なり資源エネルギー庁の方にお願いしたいというふうに思うわけでございます。
 全般的な追い貸しの話と北極石油に対する追い貸し、軌は一にするものかと思いますけれども、石油探鉱に対する融資につきましては、先ほどお話がありましたように元加制度がありまして、これにつきましては、本来成功すれば貸付金元本の一部として回収されるというものでありますけれども、この元加による貸付金利息収入を一方で収益に計上し他方で債権を増加させるという経理処理をとってまいりますと、事業実施期間中の収益は増加させるわけですけれども、一方で、回収ができないままで事業が長期化いたしました場合には、成功しなかった会社が終結する場合に損失を拡大させるということにつながるわけでございます。
 先生御指摘の北極石油の事例につきましては、当初融資が三百五十六億円ほどでございましたけれども、事業が長期化いたしました結果、元加による貸付金利息収入が毎年五十億円を超える、累計六百二十四億円に上っておるわけでございます。こういうものにつきまして、今後やはり何らかの改善が、何らかと申しますと、例えば全体的な話の中では投融資損失金の引き当てをふやすとか、あるいは開発会社について、そういう事業期間が長くならない範囲で経営状況を見ながら、あるいは為替とか油価の相場を見ながら整理するというようなことを考えておりまして、その旨ことしの検査報告で記述しているところでございます。
○加藤修一君 公団にお願いします。
○説明員(今井康夫君) 資料につきましては、後刻整理の上、御提出申し上げます。
○加藤修一君 それは追い貸しの件ですね、私が言っている追い貸しの件。
○説明員(今井康夫君) はい。
○加藤修一君 以上で終わります。
○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。
 防衛庁汚職について質問します。
 最初に、防衛庁の幹部による背任、つまり国民に与えた損害がどんなに大きなものであったかということに関して伺います。
 東京地検の公訴事実によりますと、地検は、東洋通信機の水増し分については平成元年、八九年四月一日以降の契約金額を取り上げ、ニコー電子については平成二年、九〇年四月一日以降の契約金額を取り上げて、合わせて三十五億円の損害を与えたとしています。
 私は、この同じ時期に、防衛装備費を含む日本の軍事費がほかの生活関連予算を犠牲にしてどんなにふやされていったかということを思い起こします。
 例えば八九年度、消費税が導入された年です。軍事費は対前年度比で五・九%増でした。九〇年度、対前年度比で六・一%増。いわゆるソ連脅威論が説得力を失ったとき、軍縮の世論に軍拡でこたえていました。九一年度は五・五%増でした。
 その一方で、例えば八九年度、年金引き上げはたった〇・七%。年金額が百万円ですと月々たった五百八十円のアップです。消費税は高齢化社会のためと言って消費税が導入された、その年の年金の改善の実態がこの程度でした。九一年度、一九八一年の国際障害者年から十年たったこの年、障害者社会参加促進事業、手話通訳とかあるいは点字翻訳者を養成するなどなど三十項目の事業だったと思いますが、これらの事業費の総額がたった十四億円。三百万人はいるという障害者の一人当たりたったの四百七十円でした。
 こうして国民生活を犠牲にして増額された軍事費に防衛庁幹部と軍需産業が寄ってたかって起こした東通、ニコー電子の水増し要求と背任を頂点とした国民への損害の全容を解明することなく国民の怒りがおさまらないのは当然だと思うのですが、長官、どうですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 今般の背任事件に関し、これまで明らかになった事実関係等を踏まえますれば、装備品調達についての透明性やチェック体制が十分担保されていないなどの問題があったことは確かであります。防衛庁に対する国民の信頼を失墜させるような事態を招いたことをまことに申しわけなく思っております。
 事実関係の解明につきましては、現在、司法手続が進行中であるので、今後の公判等に不当な影響を与えることのないようその進展を見守っているところであり、捜査に協力しながら適切に対処してまいりたい、こう思っております。
○阿部幸代君 明るみに出た事態というのは氷山の一角であり、国民に与えた損害がどんなに大きなものであるか、このことをおもんぱかっていただきたいと思います。
 そもそも、東洋通信機、ニコー電子、日本工機、藤倉航装など四社の水増し請求額は一体幾らで、返納額は幾らだったのか。
 防衛庁は昨年秋の国会で、平成五年、九三年五月から平成七年、九五年五月にかけて東通など四社の調査をして、合計で約二十一億円の返納をさせたことを明らかにしました。その後、今年度の第三次補正予算では、東通とニコー電子二社の返納額四十七億円が歳入として計上されています。これは東京地検の捜査に基づくもの以外の何物でもありません。検察庁任せでよいのでしょうか。証拠隠滅ともいうべき資料隠しまでやって、捜査妨害までして、後は検察庁任せというのでは無責任ではないでしょうか、長官。
○説明員(及川耕造君) 御指摘の東洋通信機等四社、日本電気等につきましては、先生御指摘のようないわゆる水増し請求があったことは事実でございまして、現在、その返還のための作業を行っているところでございます。
 私どもの調査におきましては、いわゆる制度調査というのを行っているわけでございますけれども、その中で、その四社以外に日本航空電子工業あるいは日本電気電波機器エンジニアリング等で過大請求があったということが判明しているところでございます。
○阿部幸代君 検察庁任せですとどういうことになるかといいますと、検察庁が起訴しなかったら防衛庁は二十一億円の返納で済ませる気だったのかしらと、こういうことも言えるわけなんです。
 国民に与えた損害の大きさに責任を持つ立場に立てば、防衛庁はみずから自浄能力を発揮して四社の水増し請求の全容を調査して決算委員会に報告する義務があると思います。ぜひ報告をしていただきたい。また、この間NECでも水増し請求が発覚していますから、四社以外の水増し請求の実態を調査して同じく報告すべきだと思うんですけれども、よろしいですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 実態の調査が終われば報告をしたいと思います。
 なおまた、今御指摘された以外の企業につきましても過大請求があるかどうか、それを委員御指摘のようにやる必要があるという判断から、今後五年間に一般確定契約を主体とする企業約二百八十社に対して、すべてに制度調査を行おうとしております。それに着手をしようとしているところであります。
 なおまた、御案内のとおり、大変そういう方面の専門家が防衛庁少ないものですから、来年早々から公認会計士を擁する監査法人に民間委託をするなどしてこの作業を加速したい、五年なんて言わないでできるだけ早期に調査を終わって報告したい、こう思っております。
○阿部幸代君 次の質問に移ります。
 十五日、受託収賄容疑で逮捕された中島元防衛政務次官、富士重工の前身、中島飛行機の創業者の孫だそうです。政務次官就任の直前まで富士重工の顧問をやっていた方です。
 私は、軍需企業の顧問だった人を防衛政務次官にすること自体大問題だというふうに思うんです。質問通告はしていなかったんですが、長官、政治家としてそう思いませんか。
○国務大臣(野呂田芳成君) まことに委員御指摘のとおり遺憾なことである、こう思っております。
 しかし、本件に関しましては、既に御案内のとおり、検察当局により捜査が進められておりますので、検察当局による今後の捜査の進展を注意深く見守って、検察当局の捜査に全面的に協力して不正を解明したいと思っております。
○阿部幸代君 私が質問したのは、軍需企業の創業者の孫でもあり、顧問でもあったような方を防衛政務次官に任命するということ自体が大問題だというふうに私は判断するんですが、政治家としてそういうふうにお考えにならないかどうか、このことだけ伺います。
○国務大臣(野呂田芳成君) これは、私は任命権者でありませんからその当不当を言うことはできませんが、とにかくそういう地位を持った人がこういう事件を起こしたということは大変ざんきにたえないことだと思います。
○阿部幸代君 どうもはっきりしないのですが、ちなみに世の中ではどう考えているか。
 朝日新聞は社説で、「中島議員を、防衛政務次官に起用したこと自体が、任命権者である首相や人事に実質的な影響を及ぼす派閥幹部らの見識の乏しさを表している。」、こういうふうに指摘しています。私は、これが世の中の常識であるかなと思っています。
 そこで質問ですが、中島元政務次官が受託収賄容疑で逮捕された以上、防衛庁は自浄能力を発揮して、中島容疑者が請託を受けて防衛庁内でどういう働きかけをしたのか、その結果がどうなったのか、徹底的に明らかにする必要があると思うんです。
 長官は、十一月二十七日の閣議後の記者会見で、独自の調査をすると捜査妨害になることもあるということで、内部調査を行わない方針を早々と打ち出していました。しかも、中島議員が関与した形跡はないとまでおっしゃっていたんですけれども、受託収賄容疑で逮捕された以上、もうそのようなことは言っておれない。つまり、独自調査をするべきではありませんか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 十一月二十七日の時点での我々が承知している段階では、そういう事実を聞いていないと言っただけの話であります。
 また、検察当局が今盛んに事実の解明を急いでいるときに、私どもが独自に調査をやるということは適当ではないと私は考えております。
○阿部幸代君 中島議員個人の単なる不祥事で済まされてはならないということなんです。
 新聞報道には、実際に防衛庁内で中島さんがうるさかったと、こういうことを職員が言っている様子とか、あるいは中島議員本人が秘書たちに、防衛庁の方に働きかけているんだとか、こういうことを言っていると既にもう報道されているわけですから、防衛庁の職員に一体どういう働きかけがあったのか独自に調査する必要があると思うんですけれども、そういうことを一切やらないということですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 新聞にありますことが事実かどうかも問題がありますし、私どもは検察当局と並行して調査をするつもりはありません。
○阿部幸代君 事実かどうかわからないから調べる必要があるんだと思うんです。自浄能力を発揮することを忘れた本当に情けない実態だと思うんです。
 それでは、具体的な問題を取り上げたいと思うんです。
 防衛庁の装備品にAHlSという対戦車ヘリコプターがあります。資料をお配りしてあると思うんですけれども、このAHlSの予算額が平成八年、九六年度から急激にアップしているんです。平成七年、九五年度、一機二十七億円であったものが、この年を基準にして、平成八年、九六年度、五億円アップの三十二億円。平成九年、九七年度、十一億円アップの三十八億円。平成十年、九八年度、二十二億円アップの四十九億円です。アップ額が二年続きで倍増しているんです。
 これは防衛庁の資料ですから事実に違いはないと思うんですが、なぜこのように一機当たりの予算額が急騰するんでしょうか。
○説明員(及川耕造君) 先生御指摘のとおりの予算単価になっていることは事実でございます。
 この単価が増加している要因は幾つかあろうかと思いますが、一番大きなのは、平成三年度に、対戦車ミサイルシステムというものがございます。これは、AHlSを夜間でも使用可能とするために、そのシステムに赤外線の暗視装置を付加したわけでございます。その初年度の設計費でございますとか専用の治工具の取得費用といったものをそのシステムを搭載する予定の機数で負担する予定であったわけでございますが、平成八年度以降、その機数が大幅に減少いたしました。したがいまして、その残額については平成八年度から平成十年度分の調達分で負担せざるを得なくなったというのが一つの大きな理由でございます。
 それからもう一つは、平成九年末に中期防の見直しが行われたわけでございますが、その時点まではAHlSはさらに二機調達予定でございました。しかし、中期防の見直しに伴いまして平成十年度の一機が最終調達になったわけでございまして、これによりまして、残額を二機で負担する予定であったところを残り一機で負担せざるを得なくなったということで単価がアップした、こういった背景がございます。
○阿部幸代君 ちょっと専門的なことになるのかと思うんですが、いわゆる研究開発費の問題だと思うんです。つまり、本来ならば四機で負担するべきものを三機で負担しなければならなくなるからその分かさむんだ、それで四機分のが上乗せされてしまうから予定よりも膨らんでいくんだと、こういうことだと思うんですが、そういういろいろな説明もできると思うんですが、それにしても大きいんですね、この急騰ぶりが。一年目、二年目、三年目、倍々と、こうなっていくんですね、二十七億円だったものが四十九億円にもなってしまうわけですから。
 今回の水増し請求事件で明らかになったのは、いわゆる原価計算方式だと思うんです。その原価計算方式の中でいろいろとさじかげんが働く。つまり、工数だとかあるいは本当は原価計算の中に入れてはいけない広報宣伝費だとかそういうものが入れられたり、利益率とか経費率がさじかげんで幾らでも膨らむという、このことが明らかになったんですが、その一つの要因に研究開発費もあるというふうに私は今回初めて理解をいたしました。
 それで、時期が時期ですから、つまり東洋通信機などを頂点とした水増し請求、これが今言ったような方式で起こるということが明らかになり、さらに平成八年、九六年に防衛政務次官だった中島議員が受託収賄容疑で逮捕された以上、防衛庁は富士重工が受注しているAH1Sを初め自衛隊の装備品の予算額についてもっと抜本的なメスを入れるべきだと思うんです。
 特に、一番新しい中期防の予算額を財政難だということで圧縮されましたね。九千二百億円圧縮されたと思うんです。だとしたら、このAH1Sを当初四機購入するはずだったのが三機に圧縮されたのならば、予算額全体の圧縮に貢献しなければならないと思うんです。どの程度貢献していますか。
○説明員(及川耕造君) 具体的な試算等を持ち合わせておりませんので、どの程度かというのを確たる数値をもってお答えすることはできないわけでございますが、当然のことながら、二機が一機になりしたりしているわけでございますので、相当の額は減少したというふうに考えております。
○阿部幸代君 その資料はもちろんあるわけですね。あるけれども、今ないから答えられないということですね。
○説明員(及川耕造君) 当初二機の予定でございましたのが中期防の見直しで一機になったわけでございますので、その分単価がアップした分もございますけれども、当時二機でカウントしておりました単価分ぐらいは当然のことながら減少したということになるのではないかというふうに思います。
○阿部幸代君 そういうどんぶり勘定は私でもできるんですよ。要するに、九千二百億円の圧縮額にどの程度貢献したのか。例えば一千万円だとか一億円だとか、そういうのはぴっと出てくるはずでしょう。それをぜひ教えていただきたい、知らせていただきたいということです。
 それで、時期が時期ですから、会計検査院も、この際、富士重工が受注しているAH1S、こういうものを初め予算額にメスを入れていただきたい。少なくともこのAH1Sについて当委員会に報告をしていただきたいと思うんですけれども、どうですか。
○説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。
 会計検査院といたしましては、防衛装備品の調達につきまして今回製造会社の過大請求を指摘できなかったといったことを踏まえまして、これまでの検査の方法あるいは内容を総点検いたしまして、検査の実施体制の強化を図るため、原価計算の専門班を本日防衛検査課内に設置したところでございます。今後は、装備品価格の内容等につきましては、研究開発費等も含めましてその価格の妥当性について十分な検査を行う予定でございます。
 なお、AH1S、対戦車ヘリコプターの調達につきましては、ただいま委員の御指摘の件も含めまして検査を行っていきたいと考えております。その結果につきましては、問題があれば、来年になるかどうかわかりませんけれども、決算検査報告に掲記するということになると思います。
○阿部幸代君 私の調べでは、AH1Sの平成十年度分の契約はこれからだと伺っています。精査し終わるまで当然契約はするべきではないと思うんですけれども、どうですか。
○説明員(及川耕造君) 御指摘のとおり、防衛庁といたしましては、去る十二月十六日から一年間、富士重工業との契約につきましては、真にやむを得ないものを除き行わないというふうにしたところでございます。今回の措置に基づきまして、富士重工との間で結ばれておりますさまざまな事業につきまして、真にやむを得ないか否か等の精査を行った上で判断をいたしたいというふうに思っているところでございます。
○阿部幸代君 契約はするべきではないということを重ねて言って、質問を終わりたいと思います。
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 防衛庁の調達実施本部を舞台とする背任事件は、最終報告を出したら今度はまた別の事件が出る、そういう形で底なしになっていると思います。
 先ほど大臣も触れられましたけれども、防衛庁では、一九九六年から五年間をめどに、一般確定契約を主体とする約二百八十社を対象に制度調査を実施しておりますけれども、これまで何社の調査を終えたのか、主に何を調査しているのか、これまでの制度調査の中で水増し請求が発見できたのは何件か、その三点をお伺いいたします。
○国務大臣(野呂田芳成君) お答えいたします。
 制度調査は、いわゆる四社事案の反省を踏まえまして、このような事案が他の企業にないかどうかを確認するために平成八年度から実施しているところであります。
 その内容は、契約相手方の原価計算システムが適切なものであることを確認するため、社内の原価計算規定等に基づき、当該契約の原価が厳正に原価発生部門から集計され原価元帳へ適正に計上されているか否か、あるいは貸借対照表及び損益計算書の内訳と原価元帳の数値が合致しているか否かを調査しているものであります。
 これまで平成八年度に五社、平成九年度に十四社を実施しておりますが、平成九年度の制度調査により日本航空電子工業の過大請求を発見したところであります。
 本年度も同調査を十六社に対して実施しているところであり、先ほどもお話がありましたとおり、これから五年間で二百八十社を制度調査を中心にやり、なおまた公認会計士等外部からの民間委託も加えましてこれを加速したい、こう思っております。
○緒方靖夫君 今何を調べているかということについて少し専門的に言われたんですけれども、非常に簡単に言うと、工数を中心とした材料費などの調査なわけですね。そうですよね。――今うなずかれた。
 それで、発見した数はたった一件ということなんだけれども、私ははっきり言ってこういう調査では全くだめだと思います。実際にはもっと巧妙なやり方が行われている。これが実態なわけです。
 私は、防衛産業に長い間従事してきた方から証言を得ました。実際はもっと巧妙な手口が行われている。今回の事件で不正の温床となった原価計算方式という極めて複雑で不透明な価格決定システム、ここにかぎがあるということを言っておりました。
 この方式でまず問題なのが、製造原価を計算するためのレートと呼ばれる経費率の算出、さらに販売管理費と利益費という基礎的なデータです。
 私は、ここにある防衛企業が作成した装備品の実際の価格を算出した計算書と防衛庁決裁の査定経費率の内訳を記した内部記録を持ってまいりました。これを見ると、経費率などの企業側の提示した数値をもとに防衛庁のネゴ、交渉が行われてそして査定される、そういう経過がつぶさにわかるわけです。ここには、会社のレート、それから防衛庁の査定値、それぞれ数を少しぼやかして言いますけれども、一万円台、九千円台、七千円台と三つの数字が並んでいる。そして防衛庁調達実施本部決裁日付、これも書かれている、こういう資料なわけです。
 これを見ると、いかにこういう形で水増し操作がやられているかということがわかるわけです。基礎的な数値の提案はまさに企業が行うわけですよね。そして、防衛庁の担当者がネゴによってこの数値を査定する、こういう仕組みがずっと行われているわけです。こういう発注者である防衛庁と受注者である企業、これが客観的な基準なくしてネゴで決める。その一方の当事者が言うまでもなく防衛庁だと、そういう仕掛けがあるわけですよ。私はここに水増しの温床がある、そう思うんです。
 とすると、この仕組み、ここにメスを入れない限りこの問題というのは解決しない、そう思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○説明員(及川耕造君) 御指摘のとおり、私どもが必要とする装備品につきまして、先生今お話がございましたように、業者の方が見積資料を出しまして、私どもがそれを査定するという形で、査定というか計算をいたしまして、いわゆる予定価格訓令に基づきました数値をもとに計算をいたしまして、そしてネゴをするというのはおっしゃるとおりでございます。
 ただ、私どもが発注者でございまして、いわゆる甲乙契約になりますので、どうしてもネゴによって価を決めるというのは避けられないのではないかというふうに考える次第でございます。
○緒方靖夫君 局長は今ネゴをすると言われたでしょう、非常に重大な言葉ですよ。ネゴをして決める、基準がないんですよ。ネゴですべて決まる。
 だから、どういうことが起こるかというと、私は業者から証言を得た。こう言っているんですよ。ネゴですべての数値、比率が決する、防衛庁の担当者と企業側のあうんの呼吸で、にやっと笑える関係で決まる、そのために日ごろからの接待攻勢を行う、このネゴで数値を有利にして水増しの源泉にしようとしているんだと言っているんですよ。
 大臣、今お聞きになりましたでしょう。いろんな証言があると思うけれども、これは真実から離れていないと思うんですよね。とすると、この問題はやはり徹底して追及するしかない、そう思うんです。
 大臣、先ほど言われたでしょう、透明性が欠けている、チェックのシステムがない、反省して本当にやるんだと言われた。この問題でやられたらいかがですか、大臣。
○説明員(及川耕造君) いわゆる算定に当たりましては、予定価格訓令というものが定まっておりますので、それに基づきまして今先生お話しございました経費率等につきましては私どもで計算をいたします。その数値に基づきまして商議を行う、こういうことでございまして、御理解を賜りたいと存じます。
○緒方靖夫君 理解しない。
 だっておかしいじゃないですか。企業が初めから自分たちがもうけようと思って思い切り水増しした数値を出してきて、それをネゴで防衛庁が若干削る、これが今の査定の仕組みですよ。ですから、そこにすべての大きな問題がある。このことにメスを入れない限りだめだということをまず述べておきたい。
 そして、私きょう論じたいのは、この問題を放置できないと思ったのは、調本だけじゃなくてもう一つの防衛庁の大きな分野で同様の問題があるとつかんだからです。それは防衛庁の労務借り上げ、通称労借りと言うんですね。防衛庁も公表したことがないので初めて耳にされる方大勢おられると思うんですけれども、防衛庁が軍需産業側の技術者の派遣を受け入れるというやり方です。
 この労務借り上げで九七年度は何社からどの規模の技術者を受け入れたのか、そして現在何社から計何人の技術者を受け入れているのか、お尋ねいたします。
○説明員(及川耕造君) 技術研究本部におきましては、限られた人員で研究開発を効率的に推進するために、性能確認試験等の分野で民間会社の技術者等の支援を得るということで、御指摘の労務借り上げを実施いたしております。
 技本におきます九七年度の民間会社の労務借り上げの規模は、会社数で約八十社、延べ人日で約七万五千人日でございます。なお、本年度につきましては、現在まだ進行中でございますので、集計をいたしておりませんので手元にございません。
○緒方靖夫君 驚くべき数ですね。つまり、一日八時間労働で年間に七万五千人の方が仕事をした、そういうことになる。
 今、技本だけ言われたけれども、これに各幕が含まれるわけですよ、これを抜かしたけれどもね。だからもっとすごい数になる。
 そこで、私は伺いたい。それを行っている機関名、どこか。そして、それぞれ何社受け入れて、その受け入れの規模はどうなっているのか、いつからこれをやっているのか、言ってください。
○説明員(及川耕造君) 今先生御指摘ございましたように、技術研究本部、それから陸上自衛隊、航空自衛隊等でこの労務借り上げを行っております。
 たくさんになりますので、時間の関係がございますので代表的なところだけ申し上げますと、技本では例えば第一研究所が一万百九十二人日、それから第二研究所が四千五百、第三研究所が約二万六千、第四研究所が二千八百、第五研究所が二千三百等々でございます。
○緒方靖夫君 いつからですか。
○説明員(及川耕造君) ちょっとあれでございますが、たしか昭和三十二年度からではなかったかと思います。
○緒方靖夫君 中でも、この中で一番多いのは先ほど言われたように技本なんですよ。
 済みません、資料をお配りしていただけますでしょうか。(資料配付)
 これは防衛庁の提出資料をもとにして一九九七年度の技術研究本部における受け入れの企業上位二十社をまとめたものです。
 これを見ると、例えば一位の三菱重工業の場合、各技術開発官や研究所など計十二部局に延べ一万七千人余りを次期支援戦闘機などの開発のために派遣しております。二位の川崎重工業も新小型観測ヘリコプターなどの研究のために一万三千人を九部局に送り込んでいる。問題になった富士重工業、NECも大量の職員を派遣しているけれども、これが実態なわけです。
 こうした順位に例えばこの五年間変動があるのかどうか、大まかで結構ですが教えてください。
○説明員(及川耕造君) ちょっと古いデータがございませんので、過去三年のものしかわかりませんが、技本におきます民間企業職員の派遣受け入れ上位をとってみますと、最近は例の、先生今御指摘ありました次期支援戦闘機でございますとか新小型観測ヘリコプター等の開発が進んでおりますので、どうしてもこの辺のものが多くなるということで、それに関連しております三菱重工、川崎重工といった会社が一、二位をここ一、二年は占めている、こういうことでございます。
○緒方靖夫君 これまで防衛庁は民間企業からの派遣職員、いわゆる天上がり職員とか等々について、私の質問に対してすべて該当なしと文書で回答してきたんです。ところが、実際にはこれだけの大量の派遣職員の実態がある。このことがはっきりしたわけです。
 労務借り上げ、業界ではこれをテクレップと呼んでいるんですけれども、防衛庁と派遣先企業のもたれ合い、これについて私その企業の関係者から証言を得ました。何と言っているかというと、技術研究本部の研究は民間企業に大きく依存しており、企業の側も労借りに応じることを期待している。なぜなら、通常、開発されたプロジェクトが生産段階に移行するときには研究開発を担当した企業が選ばれるものだからと、そう言っているわけですよ。
 企業側は、各社とも派遣職員をバックアップするために、社内的にも研究体制をすっかり組んでプライム、主契約獲得競争に狂奔するわけです。そしてそのために莫大な費用を投じる。そういう意味では、問題になっている救難飛行艇の改良機の開発のために参加した富士重工も例外じゃないわけですよ。技術開発とその先の量産受注を見越した官民の癒着、この温床がまさに技本とそして各幕の労借りの問題なんです。
 そこで、大臣、こういう労務借り上げ、これからも続けられますか。抜本的にこの問題、今改革と言われているんだから、襟を正すと言われているんだから、やはりこの問題をしっかりと見直す必要があると思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) もし労借りをやめて全部技本でやるとすれば、数万人の職員をふやさないとこれはできないということになろうと思います。これは、やたらにただ民間の人を借りてきてやっておるわけじゃなくて、正当に日当を払って、しかも実態は、契約が成立した会社から派遣を受けて、その契約を履行するための試験等を実施する要員でありまして、そういうことで長い間こういうことでやってきたと。しかし、御指摘のようなこともありますから、ひとつこの点についても真剣に検討してみたいと思っております。
○緒方靖夫君 今大臣は大事なことを言われました。真剣に検討されると。私、ぜひそれが必要だと思うんです、はっきり言って。ここの問題では、時間も限られていますけれども、非常に底なしの疑惑があるんですよ。やっぱりこれをこれから究明する必要がある、私ははっきりそう思うんです。
 例えば、私これをお聞きしたいんだけれども、関係者によるとこれらの派遣職員に防衛庁から日当が払われるわけですけれども、日当等の支払い基準、方法、どうなっていますか。
○説明員(及川耕造君) 日当という言葉にもいろいろあるわけでございますが、先生御指摘の日当が技術者等が提供した役務の対価ということでよろしければ、基本的には調達実施本部で設定しております加工費率に提供されました役務時間、すなわち工数を乗じて求めた原価に一般管理費及び販売費、支払い利子、利益、そして消費税を加えて支払っているところでございます。
○緒方靖夫君 もつと簡単に言えば、要するに経費率と工数を乗じて算出しているわけですよね。
 そうすると、この経費率の水増しの問題、それは先ほど調本の問題で出ました。ここに一番大きなルーツがあるわけです。しかも、その調本の経費率と技本、各幕の経費率というのは同じなんですよ。当たり前ですよね、防衛庁は統一的にそういうレートを決めているわけだから。そうすると、そこでやっぱりそういう同じ水増しが生まれるということになるわけです。
 その点で、私は一つある企業の証言を紹介したいと思うんです。水増し請求は何も装備品だけじゃない、労務借り上げ、その際の労借りの日当計算の中でも大っぴらに行われている、これは全くオープンになっていないことなので、そのことをいいことに相当の水増しをしているという証言です。
 大臣、聞かれていると思うんですけれども、先ほど大臣は真剣に検討されると言われた。私はその点で、やはりこの真剣な検討というものはそういう形で、みずから襟を正すという形で進められるということが必要だと思います。ですから、私が今述べた、別にこの証言一つでどうこうということはないかもしれません。しかし、今こういう時期ですから、これについてしっかりと調査する、これ約束していただけませんか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 今委員御指摘の点も含めて検討したいと思います。
○緒方靖夫君 私は、実は防衛庁が三年間労務借り上げをやった、十六ページにわたるこういう資料をいただきました。これもつぶさに検討いたしました。そうすると、この中には水増しでまさに摘発された企業、日本工機とか東洋通信機とか、そういう七社もちゃんと含まれているわけです。とすると、調本で不正を行った企業がこの技本や各幕の労借りでは適正に仕事をしている、非常に考えにくいことです。
 ですから、私は一般的に調査せよという、そういうことは今検討されると大臣は言われた。それに加えて、私はやはりこの問題で具体的に、少なくとも今摘発されて大問題になっている、そして社会に迷惑をかけ、しかも大臣が先ほどから平謝りに謝罪されている。その事案とかかわっている七社については、この問題についてはっきりと調査する、そのことを約束していただきたい。大臣、いかがですか。
○説明員(及川耕造君) 御指摘の水増しをされている会社につきましては、もちろん労借りの部分も含めまして返済をさせなければいけませんので、その調査を行い、適正に返還させたいというふうに思っております。
○緒方靖夫君 ちょっと正確を期したいんですけれども、七社についてそう言われたわけですよね。
 大臣、済みません。もう時間がありませんので、やはり今問題になっているこの事案に関連したところです。問題は深いと思いますけれども、手始めにということがあります。
 そうすると、どこからやっていくのか。やはり不正が明らかになったこの問題について、大臣が防衛庁の長として襟を正す、そして不正をただす、そのイニシアチブをとっていただきたい。その点で、少なくともこの事案に関連している企業についてはこの問題で調査をする、そのことを約束していただきたい。
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほどから繰り返して申し上げておりますが、検察当局の捜査を妨害しない、するようなことになっちゃ困りますから、そうならない範囲内において調査することはよろしいかと思います。
○緒方靖夫君 これは別の事案ですから。
 しかし、大臣が今言われた、検察の迷惑にならないようにして調査をされると。調査されるということは非常に大事なことで、やはりぜひこの問題についてメスを入れていただきたい。私はこうした問題を抜きにしてこの問題は終わらないと思います。ですから私は、防衛庁疑惑というのはさらにきちっとやっていかなければ幕引きができない、このことを指摘して、終わります。
○大脇雅子君 社会民主党の大脇雅子です。
 今回、国民に大きな衝撃を与えましたことは、防衛庁という日本の安全保障を担当する省庁が国に対する背任行為、そして証拠隠滅容疑事件を引き起こしたということであろうかと思います。
 現在、調査報告書が防衛庁から提出されておりますけれども、背任と証拠隠滅の内容と分析の文書を見てみますと、主として、まず最初の印象は、弁明と弁解に徹して全容がいまだ解明されていないということではないかと考えるものであります。
 そこで、まず基本的なところからお尋ねをしたいわけですけれども、防衛庁の一般の書類というものの保存期間、そして保存方法についてお尋ねいたします。
○説明員(守屋武昌君) 防衛庁における文書の処理規則でございますけれども、防衛庁長官の定める訓令によって決まっております。
 それで、文書の種類というのは、極秘、機密、それから秘密、注意、こういう四種類の文書がございまして、それぞれ資料の重要度において保存年限が定められる、こういう管理の仕方をしているところでございます。
○大脇雅子君 それでは、各文書についての保存期間と保存方法についてお尋ねをいたします。もう少し詳細に述べてください。
○説明員(守屋武昌君) 秘密文書以上のものにつきましては、施錠のかかったロッカーとかそういうところに場所を指定して保存するということでございます。
 それから、注意以下の日常つくる文書においてはおのおのの執務場所において管理している、こういう状況でございます。
○大脇雅子君 保存期間は何年でしょうか。
○説明員(守屋武昌君) 保存期間につきましては、その文書の性格でいろいろございまして、定まった基準というものはございません。
○大脇雅子君 それじゃ実際上はどうして取り扱っておられるんですか。基準がないところでそれぞれの文書の保存はどのようにしておられるんですか。
○説明員(守屋武昌君) それぞれの文書につきまして、この文書は例えば永久保存と、内容から見まして永久保存というものを決めるとか、あるいはこの文書は十年近く保存する必要があるものには十年と、そういうものでそれぞれ文書に表示して保存することにいたしております。
 それから、部署によっては、この書類は五年間、契約関係の書類等は大体五年間保存するということがそれぞれの部署において決められている、こういう実態でございます。
○大脇雅子君 そうすると、文書の分類とそれぞれの保存期間というのは全く基準がないというと、それはどこで決まるんでしょうか。
○説明員(守屋武昌君) それぞれ私どもの方の組織におきまして文書を処理するセクションがございまして、そこにおいて統一的に文書の種類によって基準を決めるということをいたしております。
○大脇雅子君 文書の処理をするセクションとはどういうところの部署を指すんでしょうか。
○説明員(守屋武昌君) 各機関に総務課というところがございまして、そこに文書を管理するセクションがございます。そこでそれぞれの部署において扱う文書についてガイドラインとかそういうものを示しまして、そのガイドラインに基づいて各課が保存年限を決める、こういうシステムになっております。
○大脇雅子君 そうすると、ガイドラインがあるということでしょうか。今何も基準がないと言われて、そのガイドラインに基づいてやるとおっしゃっているわけですが、もしガイドラインがあるのならそれは決算委員会に出していただいて、こうした大きな証拠隠滅工作というものが省庁挙げて行われたということについて、私どもとしてはどうしてもそこをきちっと監査しないといけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(守屋武昌君) ただいま先生は調達実施本部の文書についての御質問でございますから、それに即してお答えいたしますと、防衛庁全体の文書につきましては、防衛庁の訓令、防衛庁文書処理規則、こういうもので全体が決められております。それで、これを受けまして、防衛庁の附属機関であります調達実施本部におきましては、調達実施本部文書処理要領に関する達というものを調本長が定めております。
 それで、その中で保存期間につきまして定めておりまして、例えば調達関係文書、調達関係統計資料等のうち三年を超えて保存する必要のあるものとかいうことを、五年以上保存する文書につきましては一号から九号まで規定をいたして具体的に定めておるところでございます。
○大脇雅子君 それでは、実際具体的に行われましたのは調達実施本部における文書の焼却とか紛失とかでありますので、その点について具体的にお尋ねをしたいと思います。
 焼却した書類というものが幾つかあるわけですが、この防衛庁提出の「防衛調達改革の基本的方向について」というのを読みましても、はっきりとその概要がなかなかつかめないということであります。例えば、田中前副本部長が自宅へ持ち帰ったり、あるいは原価計算二課長へ持っていったりして、あと一部を焼却して一部は任意提出、さまざまに書かれておりますけれども、一体全体、焼却した書類の数量と内容というものを把握しておられるのでしょうか。
○説明員(守屋武昌君) 私ども国会にも提出いたしました最終報告で、移転または処分された資料の内容は具体的に記述しておるところでございますけれども、今御質問でございますから具体的に御説明させていただきますと、ヒアリングファイルにつきましては、東洋通信機事案の事実関係を把握し問題点を検討するため、返還額算定にかかわった当時の関係者からの聞き取りのメモ、地検による調本職員の事情聴取の内容についてのメモなどを一冊のファイルに集積したもので、事実関係のベースとして使用されるとともに、国会、報道機関への対応に使われた書類でございますが、これにつきましては、移転されたものは八部、そのうち、その後処分されたものは四部、こういうふうに報告書で記載しているところでございます。
○大脇雅子君 そのほか、先ほど原価計算方式が水増しの原因であると言われたわけですが、契約の原価を算定するさまざまな伝票とか経費率等その他の文書については一部紛失というふうに報告されておりますけれども、どんな文書を紛失したのでしょうか。
○説明員(守屋武昌君) 先生の御質問は標準個別経費率ファイルのことを指しておられると思いますが、これについてお答えいたしますと、これは予定価格を計算する上で必要となる経費率及びこれを算定するための資料をつづったファイルでございまして、四部冊から成っております。一つは経費率算定調書、二つ目は経費率算定調書の内訳でございます。三つ目は定型様式化されている会社提出資料、四冊目は定型様式化されていない会社提出資料から成っておるものでございます。
 このうち、一から三につきましては所在が確かめられておりますけれども、四については所在不明となっておる。これも報告書において記載しているところでございます。
○大脇雅子君 そのほか、五年の保存期間を過ぎた書類について焼却をしたというふうに書いてありますが、それらはどんな書類なんでしょうか。
○説明員(守屋武昌君) 調本で契約いたしております調達関係文書、それから調達関係統計資料というもので、年間何千件の契約件数に及ぶ大変膨大な資料でございます。このものにつきましては五年を過ぎた時点で焼却すると、こういうことになっております。
○大脇雅子君 しかし、今回問題になっているのは、平成五年から平成七年の四社におけるさまざまな疑惑であります。五年を過ぎたものでそうした調達関係文書を破棄するということになりますと、前年度あるいは前々年度とのさまざまな比較が不可能になるということがあろうかと思います。そういう意味では重要な証拠ではないかと思われますが、その点についての判断はどういうふうに考えておられるでしょうか。
○説明員(守屋武昌君) 今回の事件の核心となった資料につきましては、すべて捜査当局に防衛庁として提出しているところでございます。
○大脇雅子君 法務省にお尋ねいたしますが、さまざま押収をされた書類の中で抜き取りがあったということで何回かにわたって提出を求められたと思うわけですが、その経過についてお述べいただきたいと思います。
○説明員(松尾邦弘君) 防衛庁の四社事案関連文書の管理実態に関する報告の中で関係資料についていろいろ言及されていることは承知しております。
 ただ、検察当局が、具体的な事件の捜査の過程において、その中のいかなる証拠を実際に入手したかというようなことにつきましては、事件の内容そのものにかかわりますので、お答えは差し控えさせていただきます。
 なお、検察当局においては、お尋ねの一連の事件につきまして、公訴事実を立証するに足る十分な証拠を収集しまして公訴を提起したものでありますことを申し添えさせていただきます。
○大脇雅子君 国家公務員の行うこうした書類の焼却あるいは紛失というものは、これは犯罪行為になると思いますが、法務省、どのような行為として考えられるでしょうか。
○説明員(松尾邦弘君) 一般的に言えば、事件関係書類の隠滅等については刑事事件に問擬される場合がございますが、具体的な事件の中でこれらの書類の扱いがどういうふうに評価されるかということにつきましては、現に検察が捜査している事項に関連する事項でございますので、私からどういう事実になるかということについて具体的に申し上げるのは控えさせていただきます。
○大脇雅子君 防衛庁としてこの件についてはどのような処分をなされるおつもりか、お尋ねをいたします。長官、いかがでしょうか。
○説明員(守屋武昌君) 防衛庁としましては、今回の事案に関連しまして、徹底的な内部調査を行うとともに、その結果を踏まえまして大変厳しい行政処分を行ったわけでございますけれども、地検に対しまして、捜査当局に対しまして資料の抜き取りの事案に関与した課長でございますが、この者に対しては、一番重い停職十日という処分を行ったところでございます。
○大脇雅子君 この証拠隠滅行為が重要なことは、これが省庁挙げての組織的な行為であったというところが非常に重大な意味を持っていると思われます。
 法務省にお尋ねいたしますが、この組織的関与に関して起訴事実などはどのようになっておりますでしょうか。今行われた調達実施本部など、どういった案件がただいま起訴され、立件されたのかということについてお尋ねいたします。
○説明員(松尾邦弘君) 具体的に防衛庁自体の組織的な関与ということを直接申し上げることにはならないかと思いますが、防衛庁の調達実施本部をめぐる事件につきましては、背任事件とそれから贈収賄事件、この二つの種類がございます。
 背任事件でございますが、本年の九月以降、これまでに東洋通信機株式会社及びニコー電子株式会社関係で、調達実施本部長諸冨増夫、同本部副本部長上野憲一、また各関係会社、日本電気株式会社の関係者らを公判請求しています。これが背任事件でございます。
 また、上野元副本部長らにかかわる顧問料名下の贈収賄事件につきましては、上野本人や日本電気関係者らを公判請求した上、今月の二日に上野元副本部長については東洋通信機関係者から背任行為の謝礼として現金三百万円の賄賂を収受した加重収賄の事実により再逮捕しまして、現在事案の解明に向けて鋭意捜査を進めているところでございます。
 その余の捜査状況につきましては、先ほど申し上げましたが、具体的な捜査内容そのものでございますので、答弁は控えたいと思います。
○大脇雅子君 問題は、そうした組織的な証拠隠滅の中でこれが立件されたということと同時に、もう一つは、やはり立件があって初めてこうした不正が明らかになったということで、会計検査院のあり方についても大きく問われていると思います。
 平成九年度の決算における問題点について、さまざまな問題を指摘しておられますが、肩越し検査のため、さまざまな水増し請求の実証、検証ができなかったというふうに書いておられます。この検査は平成五年から七年にかけて行われていたと思うんですが、その検査の中で最も困難でありまして今回に至ったという、会計検査院の実態の調査についての御苦労をお話しいただきたいと思います。
○説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。
 この四社事案につきましては、今先生御指摘のとおり、平成五年から七年度に過大請求ということが発覚したわけでございますけれども、そのうち三社分につきましては、当時、調達実施本部の方から私どもにこういう事案があったという説明がございました。また、一社、これはニコー電子ですけれども、これにつきましては平成九年に報告があったわけでございますけれども、そういったことから、私どもとしてはこの事実関係を確認するという意味で、調達実施本部及び関係会社について検査を行ったわけでございます。
 今先生御指摘のとおり、会社につきましては、院法の規定に基づかない、もちろん調達実施本部の職員立ち会いのもとでございますけれども、その立ち会いのもとに会社の協力を得て検査をするというやり方をやってきたわけでございます。これは通称肩越し検査と呼んでいるわけでございます。
 そこで、防衛庁の装備品の製造請負契約の方法には、当初から契約金額が確定している一般確定契約、また原価監査により最終的に契約金額が確定される契約などがございます。今回問題となった事案のほとんどが一般確定契約でありまして、この契約には契約書上契約ごとの作業伝票などの基礎的資料の作成あるいは提出義務がないということから、会社は基礎的資料を作成していなかったり、作成していても保存していなかったことなどから、私どもとしてはそういった資料を入手することができなかったものでございます。
 なお、東洋通信機につきましては、平成七年の一月に、調達実施本部の検査で事情を聞いておるわけでございますけれども、その際の説明では、やはり金額の算定の裏づけとなるような基礎的資料は会社には保存されていないということでありまして、こちらにつきましても基礎的資料を入手できなかった、こういった事情でございます。
○大脇雅子君 そうすると、会社の方は作成していなかったり保存していないという答弁をしたわけですが、当然、確定契約であるわけですから、防衛庁の調達実施本部にはさまざまなファイルとかあるいはさまざまな伝票類も残っている、こう報告書には書いてあるわけですが、防衛庁からはそうした資料の提出は求められなかったのですか、あるいは求められても出てこなかったのでしょうか。
○説明員(諸田敏朗君) 直接会社に要求するということもございますけれども、やはり調達実施本部を通してそういった資料を提出していただくということでございますから、当然その際、調達実施本部に対して資料があれば出していただきたいということは申し上げておりますけれども、調達実施本部の方の返事が一応会社からはその資料は徴収していないということで、調達実施本部の方からも私どもとしては十分な資料は提出していただけなかったということでございます。
○大脇雅子君 しかし、平成十年十一月のいわゆる「防衛調達改革の基本的方向について」はそうした資料は防衛庁にあると書いてあるんですが、なぜ出されなかったんですか、防衛庁。
○説明員(及川耕造君) どの資料かという点、具体的にはあれでございますけれども、もし私どもの当時の担当者等がそういうことで会計検査院に非協力的であったという点がありますれば大変遺憾なことでございまして、おわび申し上げなければいかぬというふうに思っております。
○大脇雅子君 そのようなことがあるとすれば、これは防衛庁としてもゆゆしい問題であろうかと思います。
 防衛庁長官にお尋ねいたします。今の事実、会計検査院に対する非協力があったかどうかについて御調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほど来委員から御指摘がありましたが、防衛庁全体としてまず捜査当局に対し協力を欠いていたという点については、私からも深くおわびを申し上げ、今後そういうことが起こらないようにきちっと対処してまいりたいと思います。
 今は会計検査院に対しての協力の問題についての御指摘でありますが、よく調べまして、今後はさようなことのないように、秩序あるやり方をしてまいりたいと思っております。
○大脇雅子君 それでは、会計検査院長にお尋ねいたします。
 肩越し検査で十分な基礎的資料が入手できなかったということがあるということで、今後は会計検査院法二十三条あるいは二十六条によって直接検査や資料提出等の権限を行使して厳正な検査をしたいと言われておりますが、これまでこの条項というのは全然働いてこなかったのでしょうか。
 それから、これからはそのような検査をどしどしやっていただきたいと思うわけですが、御決意のほどをお述べいただきたいと思います。
○説明員(諸田敏朗君) ちょっと私からお答え申し上げますけれども、今後は会計検査院法二十三条あるいは二十六条を必要のあるごとに適用していきたいということでございます。
 ただいま先生の御質問でございますけれども、特に院法二十三条の規定の請負会社といいますか、そこに対する直接の検査を規定した二十三条を適用したのは、たしか昭和二十年代の後半ではなかったかと思います。それ以降はこの規定を適用して検査したことはございません。それはなぜかと申しますと、私どもの検査は相手方との信頼関係の上に立って初めて適正な検査が成り立つものであるとの意識のもとで従来から実施してまいったものでございます。したがいまして、受検庁あるいは契約会社からの報告や提出資料について、信頼できるものであれば、肩越し検査であっても検査の目的は達成できるわけでございますので、従来から肩越し検査を継続してきたわけでございます。
 しかしながら、今回のような事態が発生し、信頼関係に一部疑問が出てきたため、今後は必要があれば院法の規定を適用して直接会社の検査を行うことも視野に入れるものでございます。
○大脇雅子君 本件の事件を反省してさまざまな改革をしたいと言われているわけですが、平成十一年度の予算策定について、こうした反省や努力というものは防衛予算にどのように反映されるのでしょうか、防衛庁長官にお尋ねをいたします。
 そしてさらに、こうした水増し請求があった場合に返還という形を行われるわけですけれども、予算のいわば算定根拠といったものに不正があり、違っていた場合に、次年度等の予算に手直しをされたり、あるいはさらに厳正な努力をされるということが必要かと思いますが、これについて大蔵大臣、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) お答えします。
 先ほど来議論がありましたとおり、先月の十九日に防衛調達改革の基本的方向について取りまとめまして、今その具体化のために精いっぱい全庁挙げて努力をしているところであります。来年四月までに成案を得て、実施できるものは今年度から実施したいということでやっております。
 十一年度予算に計上したいと考えておるものについては、早急に措置すべく、調達改革の具体化、当面の措置として、一昨日、防衛調達改革本部会議を開いて決定し、公表したところであります。
 例えば、企業に対する制度調査及び特別調査に当たって公認会計士を擁する監査法人の参加を求める、これは来年早々の実施を目指すことにしてあります。そして、それに必要な経費を追加要求することとしてあります。
 それから、第三者機関を防衛庁長官の私的諮問機関として設置することとし、このための経費を追加要求するということにしてあります。
 それから、将来の防衛調達に対応し得る専門能力と総合調整能力を備えた人材を育成するため、部外委託研修の充実を図るために必要な予算を要求するということにしてあります。
 今御指摘ございましたように、過大請求が判明している会社に関連する事業に係る十一年度予算要求につきましては、これらの会社から見積もりを取り直すなどして経費の積算作業を厳正に行い、十一年度予算に適切に反映させてまいりたいと考えております。
 なお、本年六月の取得改革委員会において目標が定まっていたんですが、いろいろな批判にこたえる意味もあって装備品の単価を五年間で一〇%圧縮するということを決めましたが、さらに加速しまして三年間で一〇%に短縮するという発表をきのう行って、十一年度予算にはこうしたコスト低減の取り組みを反映させることになっております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 防衛庁におかれまして過大請求が判明したものについては積算の見直しを行うように検討しておられると承知しておりますので、私どもとしてもその検討を踏まえまして査定をしていきます。
 それから、今大臣の言われました五年間で一〇%低減という目標を三年間に短縮するという発表が昨日ございました。十一年度の予算編成におきましては、これを反映させてまいるつもりであります。
○大脇雅子君 終わります。
○鶴保庸介君 初めまして。自由党を代表いたしまして、私、鶴保庸介と申します。今回の決算委員会、初めての質問になります。
 きょうは決算委員会の第一回目の質問です。総括的質疑ということなものですから、何をお聞きしようかと。大体全般的なこと、会計検査のあり方そのものについてちょっとお話をさせていただきたい、お話をお伺いしたいというふうに思いました。
 といいますのも、私は三十一歳、国会議員の中では、参議院の先生方の中で一番の本当に若輩でございます。これから私たちの世代が二十一世紀に向けての新しい世代になるわけです。しかるに、振り返ってかんがみまするに、日本の財政状況は非常に厳しい。このことに私たちの世代が危機感を持って声を上げていかなければいけないのじゃないか、そう私も思い、そしてそのことに非常に重要性を思うわけであります。
 そんな中で、この決算の、何といいますか、日本の財政に対する示しといいますか、チェックをする機能といいますか、そういうものに物すごくますます重要性を見なければいけないのじゃないか。これは本当に当たり前のことでありますが、諸先輩方、大臣初め委員各位の皆様にぜひともお願いをしたいというような気持ちがありまして、きょうは少々乱暴な言葉の失礼もあるかもしれませんが、会計検査全般についてのお話をお伺いさせていただきたいというふうに思うのです。
 それでは、ちょっと内容的なことについてお話をさせてもらいたいと思いますが、決算の中で事項別の検査結果というのが毎年出されております。
 会計検査院長にちょっとお話をお伺いしたいのですが、この中で不当事項と言われるものの数が毎年出ているのですが、私どもちょっと調べて、四年、五年ぐらい前までのものしか調べさせていただいておりませんが、厚生省、また郵政省や文部省というようなところが非常に不当事項の数なんかも多いし、不名誉なことにこの順番がずっと固定したような状況になっておるということなんですけれども、この辺、検査院長として、簡単で結構ですから、どんなふうにお考えでいらっしゃいますか。
○会計検査院長(疋田周朗君) お答えいたします。
 私どもの年間の検査結果を取りまとめました決算検査報告の中で一番件数も多いわけでございますし、また厳しい指摘となっておりますのが、委員御指摘のとおり不当事項でございます。
 不当事項を毎年多数指摘しているわけでございまして、私ども会計検査院といたしましても、このような事態が多発していることにつきましては非常に残念だと思っているところでございます。
 その中で毎年同じような指摘が続いているじゃないかということにつきましては、相手方であります保険の被保険者や補助事業者の方で一部不誠実なものもございます。それからまた、本院側におきましても、予算額が非常に多額に上っておりまして、これまでの検査結果におきましても不適切な事態が多数見受けられる、こういう保険や補助金等につきましては、重要な検査分野の一つと位置づけまして、重点的に検査を実施しているということもございます。
 それからまた、過去の検査結果や当局の対応状況を勘案しながら、私どもといたしましては毎年、検査の着眼点や方法を変えて検査してきておりまして、そういった意味で、毎年不当事項が多く指摘されているということになっているのではないかというように私どもとしては考えているところでございます。
○鶴保庸介君 他省庁のことですからなかなか言いにくいことがあるかもしれませんが、予算の額の多寡で今おっしゃられました。すべてではないにしても、そういうことであるならば、文部省が三番目あるいは農水省が四番目というようなことにもならないであろうし、各個別の論点、本当に究明していき出せばいろいろ理由はあるだろうと思うんですが、私は結論的に言うと、会計検査の仕組みそのものにも問題があるのではないかというふうに思うわけであります。
 決算全体の問題点、大体その問題点を私なりに整理いたしますと、やはり私たちが決算委員会でこうやって前年度の決算の問題点を出します、それを俎上にのせて来年度の予算にこの論議をうまく生かすことができない、これがまず第一点目。そしてまた、第二点目は、出してきた予算に決算がうまく反映できるような仕組みになっていない。これはまた後ほど大蔵大臣にもお伺いをしたいんですが、私はこういうような気がいたしております。
 まず、その第一点目について少々お伺いをしたいんですが、会計検査院長は過去の国会答弁の中で、法規に合致しているかどうか、合規性にとどまらないで有効性の観点からも検査をこれから行っていきたい、また行っているんだというようなお話をしておられました。それからまた、先進諸国の会計検査院なんかとも、会計検査院という名前のものがあるかどうかはわかりませんが、同じような組織のものと相互に情報交換をしているというようなことも答弁しておられました。
 実質的審査というようなことをこれからはどんどんやっていかなきゃいけないんだということを決意とともに述べられていたような記憶があるんですが、この手法、まだまだ流動的な要素もあると思います。そしてまた、その有効審査の基準、マニュアルの策定などといったことについて、本日午前中の先生の質問にもありましたが、まだまだこれから考えていかなければいけない部分も大いにあると思うんです。
 こうしたマニュアルの策定なんかをこれから考えていく用意があるのかどうか、またこうした取り組みについて、会計検査院法三十六条といったような、責任者に意見を述べるというような権利によって十分に生かされていると考えていらっしゃるかどうか。また、生かされていないとしたら、何が障害になっているか、人数が足らぬ、予算が足らぬと言っていただいて結構だと思うので、ぜひよろしくお願いをいたします。
○会計検査院長(疋田周朗君) お答えいたします。
 まず、私ども会計検査院といたしましては、与えられた権限の中で最大限の努力を行いまして、国の財政監督機関としての役割を果たしていくべく努めてまいりたいと考えております。
 先ほど委員がおっしゃられました個別の不当な事態の指摘にとどまらず、事務事業が有効に運営されているか、こういった点についてもさらに努力をしていくべきではないかという御意見に対しては私も全く同感でございまして、そういった観点から、有効性の検査につきまして会計検査院なりにいろいろと努力をしているところでございます。
 事業効果が発揮されているか、こういった有効性の検査につきましては、世界の類似の会計検査機関、検査院でございますが、も共通の重要性の認識を持っているところでございまして、世界各国の会計検査院と情報交換をするなどいたしまして、私どももさらに有効性の検査の充実を図っていこうとしているところでございます。
 私ども会計検査院も、現在千二百五十人という世帯で国の各省各庁を初め公団、事業団などの政府出資法人あるいは補助事業などをやっておられます地方公共団体など非常に広範囲な検査対象について検査活動を行っておりますので、やはり職員の研修をより充実させるとか、あるいは検査手法につきまして研究を重ねることによりましてより効率的な検査を行うように努めていっているところでございます。こういった点につきましては、これからも引き続き私どもといたしましては鋭意努力していく必要がある、このように考えているところでございます。
○鶴保庸介君 院長、本当にジェントルな御答弁をいただいて、少々正直な感想を言いますと、まだまだなんだろうなというような気がしないでもないです。
 といいますのは、以前、院長がこれも国会答弁の中で言っていらした、会計検査院というのは一体何をしておるんだという御批判というか御指摘の中での答弁でしたけれども、まだまだPR活動が足らぬ、検査院そのものの内容についても我々はどんどん情報公開をしてやっていかなきゃいけないんですと、以前、答弁の中でおっしゃっておられたようなことがありました。もっともっとオープンにして、こんなことをしていこうと思っているんだというような話ももっともっとされるべきであろうし、今現実はこんなふうになっているから、ここが障害になっているんだということをもっと国民に対して訴えられるべきだと私は思うんです。
 少々生意気な言い方をしましたが、その中で鋭意努力中というふうに私はお受けとめいたしまして、その努力の結果、国民の知る権利を充足するだけの情報公開というものが会計検査院そのものの今までの活動の中でなされているとお考えでいらっしゃいますか。また、特定検査状況を掲載する根拠というようなものは今法律の中には、法規定の中には直接の定めはないわけですけれども、こういったものが障害になっていることはないかというようなことも含めてちょっとお話をいただけたらと思います。
○会計検査院長(疋田周朗君) 私どもの検査活動をありのままに国民の皆様に知っていただくということは大変重要なことであるというように考えております。
 私どもが検査に当たりまして直接相手をしていただきますのは各省各庁の会計処理を担当しておられる職員の方々、あるいは政府出資法人、地方公共団体についても同じでございまして、直接的な検査の相手になっていただける方々は公務員あるいはそれに準ずるような方々でございます。そういった意味で、直接国民の皆様と接触する機会が非常に少ないということで、広報活動につきましてはより正確に私どもの実情をまず知っていただくということが最も大切なことではないか、このように考えているところでございます。
 いろいろな広報誌も作成いたしまして、できるだけ広い範囲にお配りするというようなこともやっておりますし、また最近は、できるだけ早い時期に私どもの活動状況を国民の皆様に知っていただけるようにということで、いろいろな情報を外部の方々に対して公表するという努力を重ねているところでございますが、今後、工夫すべきところはさらに工夫を凝らしまして、検査院の検査活動につきましてよく御理解いただくように努めてまいりたいと考えております。
○鶴保庸介君 よくわかりましたと言うべきなんでしょうか。本当に御苦労のほどよくわかりました。PRするだけではなくして、内容的にもこういうふうにしたいんだということをもっともっと本当に考えていただきたい、そう思うんです。
 冒頭に言いましたとおり、本当に笑い事じゃない、私たちの税金が今どういうふうに使われているかということを考えなきゃいけない、そういう大切な時期だと思うんです。今までのように右肩上がりの経済状態ではありません。もうくどくどとは言いませんが、ぜひとも会計検査院の皆さんにもこれから奮励努力をしていただきたいと思います。
 一年間に一回だけ重点項目に対する方針のようなものを、会計検査計画ですか、お立てになっていて、その方針で進められているということなんですけれども、こういったものも、現場の課長レベルまでのお話でなくて、そこまでいくとさすがに会計の検査ということにそぐいませんので、大まかな方針のようなものについて、今言ったような観点からどんどん公表されていってはいかがかなというふうな気もいたします。
 時間がありませんものですから、この後もいわゆる発生主義会計の導入であるとか、議論になっておりますGAOあるいはNAOといったようなことについてのお話もお伺いをしたかったんですけれども、有効性について積極的に私はもっと検査院の方からも手を伸ばしていっていただくことを望みたい、御要望を申し上げたいというふうに思います。
 では、会計の検査がそういうふうにしたときに、ただ問題になっているのは冒頭に申し上げた第二点目であります。検査の結果が今予算に反映されておるかということなのでありますが、まずその基本的なこと、本当に確認の意味で大臣に失礼なんですが聞かせていただきたいんです。
 この決算委員会でこれが採決され、そして決算を否認いたした場合、こういった場合の効果といいますか、来年度予算に対する影響といったようなものについてどのような感じになっておるのか、感想を含めてちょっとお伺いしたいんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、会計検査が私ども行政の上に持っておられる意味合いは非常に大きゅうございまして、各省庁とも、大蔵省もそうでございますが、非常に真剣に指摘事項は受けとめております。また、決算委員会においての御議論は、これはある意味で範囲は予算委員会における御議論と同じ範囲のことについての御審議でございますから、当然多岐にわたりますし、また具体的に御指摘になることについて、私ども十分御審議の結果について真剣にそれを承っております。
 決算が否認されましたこと、政府委員がおりますから法的な問題と、過去にそういうことがあったような気がしますが、ちょっと報告いたします。
○説明員(坂篤郎君) お答えいたします。
 決算そのもの、あるいは会計検査院の御報告、いろんなその中の指摘、あるいはこの決算委員会における御審議の内容、こういったものにつきましては、当然のことながら私ども予算当局といたしましては、例えば今の状態でございますと十一年度の予算編成の作業をちょうど今やっているところでございますが、それにはできる限り反映をさせようということでやっております。そのために、例えば適時会計検査院さんと私どもとで連絡会議というか、いろいろな内容について私どもがお伺いをするといった機会もございます。
 議決のことでございますが、若干法律的な議論になりますが、毎年度の歳入歳出の決算につきましては衆参それぞれの院におかれまして議決をいただいております。ただ、憲法第九十条の決算というところでは、国会への提出というふうに規定されておりまして、予算の場合と異なりまして、議決を憲法上要請されているということはないというふうに私ども理解しております。
 決算は、国会の議決により成立した予算の執行した結果と申しますか実績、それについてのいわば過去の数字的な事実についての記録なわけでございます。したがいまして、それ自体予算のように法規範的な性質を有するというものではないんだろうと思います。
 ただ、私どもといたしましては、決算の内容である議決につきましては、議決というものは決算の内容である個々具体的な収入あるいは支出の行為につきましてその当否、適当であるかあるいは正当であるか、そういったことについての国会の御批判を賜るという性質のものであるというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、そういったものをできる限り予算編成にも反映させていくというふうに考えておる次第でございます。
○鶴保庸介君 時間ですから最後にさせていただきたいと思います。
 省庁再編を本当に目前にして、財政再建に本気で取り組むというのであれば、今言ったようなことで、大臣、事実上の影響力、この決算の結果が来年度予算に反映するように大蔵省と各省庁とが公の場で徹底的に討論するような、そういうような場をつくってはいかがかなというふうに考えるわけでありますけれども、副大臣制度もできることですし、ぜひともその辺大臣の決意を最後に質問させていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたけれども、会計検査院の検査、それからさらに決算委員会における御議論というのは、殊に後者は広く国政について御議論がある場と私ども心得ております。その中でも、また過去に起こりましたことについての御議論が多いわけでございます。それはしかし、当然将来に向かって私どもが心得べきことについての御議論でありますから、そういうふうに従来から承っておりますし、これからもそのように心得まして御審議を仰いでいきたいと思います。
○鶴保庸介君 どうもありがとうございました。
○海野徹君 参議院の会の海野であります。
 きょう最後の質問になります。若干の質問をさせていただきますが、私も十年間、県議会で国の経済政策、金融政策を見てまいりました。その都度枢要な地位にいらっしゃって、金融政策、経済政策に哲学、理念をお持ちということで、大蔵大臣に数々の質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一点の質問でありますが、一九九六年、平成八年度の予算、これはその前の年の一九九五年十月に、二十一世紀への日本経済再建のシナリオというものが報告をされております。これは目標を二〇〇〇年として、再建までのプロセスを三段階にすると。第一段階は、おおむね一年、ゼロ成長からの脱却。第二段階は、痛みを伴う構造調整として、おおむね三年程度。この間は三%成長を実現し、一九九八年の日本経済の姿として産業空洞化に歯どめがかかる。第三段階は、経済は三%台の自律的成長に乗り、二〇〇〇年までに二十一世紀の発展基盤が形成されると。このような経済再建のシナリオが一九九五年の十月に報告されているんです。
 この思想が私は平成八年度、一九九六年度の予算に当然反映されているものと思っておりますし、反映されるべきだなと思っております。そういった意味で、この八年度の決算を見て、そしてその後の日本の経済状況を見て、この八年度予算を大蔵大臣としてどのように評価、検証されるか、まずお伺いしたいと思います。
 先ほどの午前中の答弁でも、大変財政には気持ちとして余裕があった、その後の経済が要するに非常に激変したというような感想を述べておられましたが、私も確かに財政には気分的に余裕があった時期かなと思うんですが、その辺を含めて大臣の評価をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) けさほども申し上げたことでございますけれども、九五年という年は、まさに四月に円が最高値、七十九円を記録した年でございますから、その年の国の財政、経済はいわば円高経済対策に明け暮れたと申し上げてもよろしいと思います。二回対策をいたしております。そして、公定歩合を四月と九月に二回下げておりまして、現在の〇・五%はこの年の九月に設定されたままになっておるわけでございます。
 したがって、財政としては先ほど申しましたように比較的落ちついて、従来の隠れ借金などをなるべく八年度予算では表へ出しまして、そして健全にやっていこうといったような感じの経済運営であったと思っております。そういう意味では八年度の予算というのは比較的正常な雰囲気の中で組まれたと思います。しかし実際には八年度予算を国会で御審議していただいておりますうちにいろんなことが起こってまいりまして、そういう正常な事態というのは余り長く続かなかったということでございます。
○海野徹君 時間がありませんから次の質問に入ります。
 平成八年度の予算、これはある意味では、住専国会と言われるだけに住専処理への公的資金の導入、その是非が問われたというような予算案でありました。この経費は、とにかく我が国の金融システムの安定性とそれに対する内外からの信頼を回復し預金者保護に資するとともに、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるためということで、緊急金融安定化資金として六千八百五十億というような御説明がありました。
 私どもは、いやこれは違うんじゃないか、そうじゃないんじゃないか、やっぱり農協救済がその根っこにあるんじゃないかなということで県議会の仲間といろいろ話をして、農協とのいろいろ資料調製なんかをさせていただいたわけなんです。そうしましたら、過日やはり大蔵大臣もそうでしたというようなお話をあっさり認めていらっしゃったわけなんです。
 それはそれとして、私は、その教訓がいろんな意味で生かされてくれればよかったんですが、それがなかなか生かされていないんじゃないかなという思いと、もう一つ大変心配していますのは、私どもが参加して成立しました金融機能再生緊急措置法あるいは金融機能早期健全化措置法、こういうものが協同組合金融機関に対しては、信用金庫、信用組合は対象となっているものの、農漁協系統はほとんど対象となっていないというように見受けられておるわけなんです。
 そういった意味では、十三年三月までに再生、健全化に集中的に取り組むという両方の、二つの法の精神というのは、これは系統金融機関にも及ぶのではないかなと思いますが、私も農協の組合員でありまして、農協もある意味では不良債権を抱えているという実態があるものですから、その辺について大蔵大臣の総合的な金融政策としてのお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今おっしゃいました六千八百五十億円という金のまことに不幸でありましたのは、それは、その年の暮れに予算編成がまとまりますときに突然世の中に登場いたしましたために、国民の理解を得ることがなかなかできず、しかももっと不幸なことに、それを編成しました内閣が交代いたしました。橋本内閣になりましたままその六千八百五十億を国会の御審議でお願いすることになりましたために、大変いろんな言ってみれば混乱がございまして、この問題についてのいまだに何かすっきりしない、うさん臭い印象が残ったままになってしまいましたが、実はこれが、おっしゃいますように、その後の金融再編のやっぱり一つの発火点になったということでございました。
 それで、おかげさまでことしああいう二つの法案をつくっていただきまして、だんだん適用も幸か不幸かございますのですが、農林中金が非常にしっかりしてもらっておりましたから、農協の方についても、先ほどのこともございますが、直接に大きな問題にならずに済んでおるように思います。ただ、県信連と単協との間の関係は、きっと再編成とかというようなことで、そういう金融の関係についてもいろいろ近代化と申しますかリストラと申しますか、それが行われつつある雰囲気と承っておりますけれども、これは農水省でもよくその辺のことは御存じですし、中金もよく御存じでございますから、独自に行われるのであろうというふうに拝見をしております。
○海野徹君 総合的な金融政策として私は、要するに系統金融機関にまで両方の法の精神が及ぶというような政策をとっていただきたいなと、そのことを期待してこの質問は終わります。
 それから、今大変日本の経済というのは戦後最悪の不況に突入している。これは皆さん共通の認識だと思うんですが、まだまだ金融問題は依然として深刻でありますし、大型の倒産もあり得るのではないか。その原因というのは、やはり金融問題処理を致命的に先送りしてきたところにあるのではないかと私は思っております。
 歴史的にさかのぼれば、九二年、九三年というのは住専問題が顕在化したときであります。この時点で抜本的な対策をとっておれば問題の拡大は防げたはずだったんだなと、過去のことから言いますと。しかもまた、九七年半ばで不良債権も既に峠を越したというような認識で政府は答弁しておりました。私どもそうはなっていないなという認識であったのですが、政府はそう思っていました。自律的な景気回復軌道を九六年にある意味では実現したと思ったんです。だけれども、それが九七年度に超デフレ政策ということで戦後最悪の不況というようなところへ行ってしまっているわけなんです。
 こういった意味で、財革法を今回停止したわけなんですが、ブレーキを踏んだりアクセルを吹かしたり、あるいはある意味ではタイミングがずれたりというようないろんな経済政策があったわけなんです。ことしの一月に日経平均株価が一万四千円台に突入したことを受けて政策を転換してきたというような、景気立て直しの政策だというような声が非常に大きくなってきました。そういう市場から強制された政策転換というのは、大変私ども政治に携わる人間としてはある意味では責任をとらなくちゃいけないんじゃないかなという思いをするわけなんですが、常に枢要なポストにいて経済政策を論じて立案されてきたその責任者として、今の経済政策に対する率直な評価を大蔵大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 選挙がございましたのは平成八年でございますが、平成七年度、平成八年度というのが比較的GDPとしてはプラスの成長をしたことがありまして、やっぱりどうもそこで少しそれにだまかされたというのはよくございませんけれども、ちょっとこれでいいんじゃないかなという印象を持った。その上に、この今の六千八百五十億の国会における御議論というものが少し必ずしも真相をついていなかったということがあったものですから、それだけに今度、実際は金融機関一般が非常な大きな不良債務をしょっておるんだということが出てくるのが遅くなったと申しますか、そういうことではなかったのか。
 私自身は党におりまして、昨年の十一月ごろ、橋本総理大臣から、自民党としてどうかせよと言って、党の連中といろいろ考え始めたわけでございましたけれども、やはりこういう大きな深い不良債権問題がもとのところにあるということに気がつかなかった、あるいは金融機関の側においても時間が許すだけとにかく隠して、隠してと申しますか表へ出さずに済ませるんじゃないかというふうな考えがあったというのが、反省いたしますと、したがって政治はそれに対して早く対応できなかった。住専のことが辛うじてそうであったはずなのでしたが、それはそのように説明されませんでしたので、その辺にも不幸があったと思います。
○海野徹君 政策責任ということでその評価をされているというようなことを私は感じましたが、やはり不況の長期化、財政赤字の拡大の真の原因というのが政策にあるなということを私は感じたわけです。
 一九九一年に景気判断の誤りをしています。判断ミスをしています。これは不況に入り始めたんですが、不況となったんですが、それを認めていなかった。非常におくれた。翌年、景気対策がおくれまして、ブレーキをかけてしまった。そして九二年八月に今度はアクセルを吹かした。十兆七千億円の景気対策をやりました。これで株価は九三年に入ってから二万一千円まで回復しました。ただ、九三年の半ばにまた消極策に戻ってしまってブレーキをかけてしまった。そして九四年二月にまた大型減税を決定してアクセルを吹かした。九四年後半になったらまた金融引き締めをしてブレーキをかけている。大型景気対策、金利引き下げが九五年半ば、これはアクセルを踏んでいる。九六年の半ばになったらまた急ブレーキをかけている。九八年一月、ブレーキを緩和している。こういうように非常に一貫性のない、要するに経済再建のシナリオに沿っていないような経済政策でずっと来ているのではないか。
 そういった意味では、本当の意味での不況の長期化あるいは財政赤字の拡大の原因というのはやはり政策ミスにあるのではないか。政策立案の方々はこの辺について十分認識していただかなきゃいけないのじゃないかと私は思いますが、大蔵大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、九二年の夏のお話がございまして、そのときに株価がまさに一万四千円を割ろうといたします。当時、私は総理大臣でございますが、何とかして株価の一万四千円割れは防ぎたいと思いまして、いろんなことをしてもらいました。
 その点は辛うじてそこから好転するわけですが、そのときに、私は実は総理大臣としまして、不良債権問題というものがあって、この問題について私は公的な関与はあえて辞さないと言って問題を提起して呼びかけましたけれども、しかし、まず産業界は金融機関を助けるということに本能的に反発しましたし、金融界は、もしそういうことをすると政府が関与をする、その末はあるいは責任問題が出るかもしれないというようなことがございました。官界は、いわゆる住専問題につながりますような、そのうちによくなるはずだから、これは各省庁の間でおさめられるだろうといったような考え方があったのだと思いますが、したがいまして、私はそういうことを申しましたがほとんど共感を呼ぶことがありませんでした。他方で、株価が回復いたしましたものですから、何となくこれでいいかなということがあって、辛うじて、辛うじてと申しますのは、住専だけがまず出てきた、こういう感じだったんだと思います。
 したがいまして、もし九三、四年で本当に土地の価格が回復し始めておりましたら、この不幸は本当はなくて済んだのかもしれない。また、多くの人がそれを期待したからこそ、実はすぐに対応せずに何となく時間を空費してしまって、気がついたときは遅かったということがこのたびの教訓ではないかというふうに思っております。
○海野徹君 率直な御評価をいただきまして、大変ありがとうございました。
 それでは、経済企画庁長官にお伺いします。企画庁長官の本はずっと読んでおりまして、一度講演に静岡まで来ていただいたこともあるものですから、私自身は大変親しく感じているわけなんです。
 当たらないのが経済見通しだとよく言われております。今回、また平成九年度の一般会計で一兆六千百七十四億円の歳入欠陥を生じた。平成十年度も六兆円も税収が不足するのではないかと言われております。五十六年、平成四年あるいは五年に続いて平成九年度の歳入欠陥というのは四回目だ、これがまた十年度となると五回目になるだろう、そういうような状況なんです。
 いろいろなシンクタンクの調査によりましても、来年はマイナス成長だろう、要するにプラスにいかないだろうと。宮澤大臣も、景気がよくなるよくなると言っているけれどもそう簡単にいくかいなというような新聞記者会見もされているということなんですけれども、九九年度というのは大変問題のある年度だなというふうに思っています。
 私は、大変大きな含み損を持っている日本の経済、それが一遍に完全に償却に取り組むような年になっていくであろうなと。当然、そうすれば企業は設備投資を抑える。金融機関も健全化のために貸し渋りはまだいくでしょうから、当然それも設備投資を抑える。また、物価が下落していますから、当然、企業は人件費の抑制にも手をつけなくちゃいけないし、賃金が下がれば個人消費がさらに落ちる。そういった意味では、幾ら公共投資をやったとしても、GDPの一割ですから底上げ効果はない。設備投資も同じ一割程度。
 そういった意味で、また一九九九年についても成長率がプラスに転化する見込みは大変低いのではないかな、あるいはユーロができてまた円高傾向が予想される。そういうことが予想されるわけなんですが、その根本原因はどこにあるとお思いですか。ただ単に、精度を高めろという決議をしてありますが、その精度を高めるだけじゃない、根本原因が何か日本経済にあるのではないかなと思いますが、その辺について御答弁をお願いします。
○国務大臣(堺屋太一君) 経済見通しは当たらないものだという御説がございましたけれども、当たらなくなったのは最近でございまして、かつてはよく当たったのであります。
 平成になってから見ましても、平成元年、二年、三年ぐらいまでは非常によく当たりまして、税収もそんなに差がありませんでした。四年、五年、これが今御指摘のところでございまして、一九九二年、三年、四年、この間がかなり大きな見通しの誤りがありました。それから、その次に平成七年、この年は二・八%の見通しに対して三・〇%の実績。その次の平成八年が二・五%の見通しに対して四・四%の実績。これもまあまあだったんです。
 問題は平成九年、去年とそれから平成十年度、まさにことしでございますが、これはいずれも一・九%のプラスを見ていたのに、去年はマイナス〇・四、そしてことしは先ごろ見直しをいたしましてマイナス一・八にいたしましたから、これはプラスとマイナスの符号がひっくり返るような失敗でございました。
 このような誤りが出てきたのはなぜかというと、やはり日本経済全体が高度成長時代のならわしを踏まえておりまして、消費は必ずふえるものだとか、これだけ公共投資をやったらすぐ民間が反応してくれるものだとか、高度成長時代の八〇年代のモデルを引きずっていたというところが一つございます。これは見通しによる技術的な問題です。
 それからもう一つは、やはり財政見通しとして、単なる予測ではなくして、あるべき姿として税収はこれぐらいにしたいというような政策的意図も働いていた。これもやはり見通しを大きく狂わせて、結果としては今申しました四回の年次に赤字を、税収欠陥を出したことだと考えております。
 それで、深くこれを反省いたしまして、このたびはそういった思惑をなくし、また新たに、下り坂の時代になった、少子化・高齢化時代になったということを踏まえて、正確な見通しをしたいと考えております。
 そういたしますと、一九九九年度、平成十一年度はかなり、楽観はできませんけれども、しっかりプラスにできるような財政的、税制的てこ入れをして見通しを出したい、こう考えております。
○海野徹君 もう時間がありませんから、いろいろ質問させていただきたい部分もありますけれども、また後日の機会に譲りたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○委員長(久世公堯君) 本日の審査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十分散会