第145回国会 本会議 第4号
平成十一年二月十日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第四号
  平成十一年二月十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(平成九年度
  決算の概要について)
 第二 平成十年度の緊急生産調整推進対策水田
  営農確立助成補助金等についての所得税及び
  法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院提
  出)
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○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日程第一及び第二
 一、永年在職議員表彰の件
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○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、社会保険審査会委員長に古賀章介君を、また、同委員に加茂紀久男君及び佐々木喜之君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 これより採決をいたします。
 内閣申し出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十五  
  賛成           二百二十四  
  反対               一  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(斎藤十朗君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(平成九年度決算の概要について)
 大蔵大臣から発言を求められております。発言を許します。宮澤大蔵大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 平成九年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書、政府関係機関決算書、国の債権の現在額総報告並びに物品増減及び現在額総報告につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は八十兆千七百四億円余でありますが、この歳入の決算額には、決算調整資金に関する法律第七条第一項の規定により、平成九年度において予見しがたい租税収入の減少等により生ずることとなった一般会計の歳入歳出の決算上の不足額一兆六千百七十四億円余を補てんするため、同額の決算調整資金からの組み入れ額が含まれております。
 また、歳出の決算額は七十八兆四千七百三億円余でありまして、差し引き一兆七千一億円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の平成十年度の歳入に繰り入れ済みであります。
 なお、平成九年度における財政法第六条の純剰余金は生じておりません。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額七十八兆五千三百三十一億円余に比べて一兆六千三百七十三億円余の増加となりますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額二兆三千五百三億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純減少額は七千百三十億円余となります。
 一方、歳出につきましては、予算額七十八兆五千三百三十一億円余に、平成八年度からの繰越額二兆三千四百九十五億円余を加えました歳出予算現額八十兆八千八百二十六億円余に対しまして、支出済み歳出額は七十八兆四千七百三億円余でありまして、その差額二兆四千百二十三億円余のうち、平成十年度に繰り越しました額は一兆六千九百九十三億円余となっております。不用となりました額は七千百三十億円余となっております。
 このうち、予備費でありますが、平成九年度一般会計における予備費の予算額は千五百億円であり、その使用額は二百二十一億円余であります。
 次に、平成九年度の特別会計の決算でありますが、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承いただきたいと存じます。
 なお、歳入歳出決算に添付されている国の債務に関する計算書による債務額でありますが、平成九年度末における債務額は四百四十九兆七千五百五十八億円余であり、このうち、公債でありますが、平成九年度末における債務額は二百七十三兆九千九百四十億円余であります。
 次に、平成九年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は六十兆四千八百六十三億円余でありまして、この資金からの一般会計等の歳入への組み入れ額等は五十九兆五千六百九十六億円余であります。
 次に、平成九年度の政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。
 次に、国の債権の現在額でありますが、平成九年度末における国の債権の総額は三百四兆六千八百九十七億円余であります。
 次に、物品の増減及び現在額でありますが、平成九年度末における物品の総額は十二兆三千二百九十九億円余であります。
 以上が平成九年度の一般会計歳入歳出決算等の概要であります。
 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。木俣佳丈君。
   〔木俣佳丈君登壇、拍手〕
○木俣佳丈君 ただいま大蔵大臣から報告のありました平成九年度決算につきまして、民主党・新緑風会を代表し、小渕総理並びに関係大臣に質問いたします。
 質問に先立ち、ジョルダン・ハシェミット王国を四十六年にわたって統治し、中東和平に大きな貢献をされたフセイン国王の逝去に対し、謹んで哀悼の意を表します。
 決算の質問に入る前に、日本債券信用銀行、日債銀の経営破綻に対し、一言申し上げておきます。
 昨年十二月、日債銀が経営破綻し、一時国有化されました。既に同僚議員から、その不明瞭な破綻までの経過について厳しく責任が追及されており、信じがたいような事実さえ明らかになっております。
 一昨年の四月、大蔵省は、奉加帳方式で金融業界に日債銀の増資二千九百六億円を引き受けさせ、そのうち八百億円は新金融安定化基金の日銀出資枠から拠出されました。さらに、昨年三月、整理回収銀行が優先株六百億円を引き受けることとなり、公的資金が注入されました。
 大蔵省が、一昨年九月時点で回収懸念債権である第V分類債権が一兆一千二百十二億円であるとの検査結果を日債銀側に伝えていたにもかかわらず、当時の東郷日債銀頭取は日銀に対し、第V分類債権は七千億円との中間報告の数字を報告したことを考えると、これら注入された公的資金は、国民を欺き、どぶに捨てられたものと同じであることを指摘したく、今後さらに厳しく追及してまいりたいと思います。
 さて、政府のたび重なる政策判断の誤りの中で、経済、景気は低迷し、不況は深刻化し、失業が日々ふえ、国民は大きな犠牲を強いられておるわけでございます。
 このような情勢の中で、九年度の国の一般会計は一兆六千億円余りの決算上の不足額、いわゆる歳入欠陥を生じたのであります。この不足額相当額は、本来、決算調整資金からの組み入れによって処理されるところではありますが、資金の残高ゼロであったため、国債整理基金から決算調整資金へ繰り入れ、それを一般会計に組み入れたものであります。この決算上の不足額一兆六千億円余りは、十一年度当初予算に計上され、国債整理基金に繰り戻されることとなっておるわけでございます。あたかもタコが自分の足を食っているようなありさまと言えます。
 このような歳入欠陥は、昭和五十六年度、平成四、五年度に続いて戦後四回目のことではありますが、財政構造改革元年と言われた平成九年度において歳入欠陥が生じたことに対して、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺いたい。
 九年度に歳入欠陥が生じた最大の要因は、税収の落ち込みにありますが、その背景には、税収見積もりが過大であったことが挙げられます。九年度の税収実績は五十三兆九千億円余りで、当初予算に比較して三兆八千六百億円の減収、補正予算に比較して二兆二千八百億円もの減収となりました。
 現在、国会で審議中の十一年度予算の税収見積もりは四十七兆一千億円となっておりますが、九年度の税収見積もりと実績の乖離を踏まえ、十一年度の税収見積もりの精度向上のためにどのような工夫が加えられているのか、大蔵大臣にお示し願いたい。
 次に、中小企業対策について、我が国の産業政策的な観点を含め質問をいたします。
 我が国の中小企業は、企業総数の九九%、雇用者総数の七八%を占めており、まさに国家の浮沈を握る産業であることは言をまたないところであります。いわば国家国民の生命線とも言える中小企業が、戦後未曾有の不況に苦しみ、昨年の倒産件数は約二万件を数え、最悪とも言える状況にあります。とりわけ、九年半ば以降急速に悪化した金融機関によるいわゆる貸し渋りによる倒産が急増し、中小企業を取り巻く金融環境は一段と厳しさを増しているわけであります。
 一方で、金融機能安定化緊急措置法に基づく金融機関への公的資金の資金注入に伴う銀行財務の引き締めは、銀行の経営合理化の名のもとに、弱きをくじく金融機関の経営姿勢によって企業選別を助長させ、かえって中小企業を核とする我が国産業が縮小均衡に陥る危険性さえ伴うのであります。
 中小企業の倒産、失業者の増大は、物づくりを支える技術者の離散を意味し、物づくりから離れることによって政府みずから技術革新の貴重な源泉を放棄することとなり、我が国産業の衰退を招くことになりましょう。
 政府は、平成九年度十一月の経済対策における中小企業対策を皮切りに、九年度補正予算において八百六億円の中小金融対策、十年八月の中小企業等貸し渋り対策大綱による四十兆円を超える貸し渋り対策、十一月の緊急経済対策における事業規模五・九兆円の信用収縮対策等を講じておりますが、一向に中小企業再起の活路が見出せません。私は、むしろ物づくりを支える、例えばネットワークの支援や、大学や研究機関との共同研究の推進による技術開発の促進に対し、重点的に予算を注入するべきだと考えますが、通産大臣のお考えを伺いたい。
 今、まさに経済のグローバル化が進展する中で、企業が立地する国を選ぶという国際的な大競争社会に突入し、厳しい企業淘汰の時代を迎えています。そうした中で、私は、いわゆるフリーダム・ツー・フェイル、すなわちリスクをとって行動した者が敗者復活できる社会に向かわなくてはならないと思うのであります。つまり、敗者復活の制度と仕組みを組み込んだセーフティーネットを構築する必要があります。
 メガコンペティション、すなわち国際的大競争社会の中で、今後日本が向かうべきところのビジョンなくして、企業の活性化、国民生活の質の向上はあり得ません。中小企業対策の根幹には、物づくりの伝統的風土を守り、フリーダム・ツー・フェイルとセーフティーネットの仕組みを持つ社会構造への変革が求められているのであります。総理、並の凡人ではないと言われるあなたの確固たる日本社会のビジョンを明らかにしてください。
 次に、次代を担う女性と子供たちのためのエンゼルプランについて、その進捗状況を伺います。
 総務庁の労働力調査によると、平成十年に働く女性の数は二千六百五十六万人に達しておりますが、女性の労働力人口はMカーブと言われるように、子育て時代の三十代前半に極端に落ち込む傾向にあります。女性の社会進出は社会の活力を生むものであり、女性が働きやすい環境をつくり、進行する少子化に歯どめをかける必要があります。
 政府は、子育て支援を行うエンゼルプランの具体化の一環として、緊急に保育対策を促進するため、七年度から十一年度までの五年間、緊急保育対策等五カ年事業を実施し、消費税収の一部を含めこの事業に十一年度までに約一兆二千億円を投入されることとなってはおります。しかしながら、事業の進捗状況を見ると、順調に推移しているとは言えません。例えば、そのことは、七年度の合計特殊出生率が一・四二であるのに対し、九年度は一・三九と、さらに少子化に拍車がかかっていることにもあらわれております。
 一時保育は、十一年度までの目標三千カ所に対し、十年度補正予算段階でわずか千カ所のみ、地域子育て支援センターは三千カ所の目標に対し八百四十カ所、乳幼児健康支援一時預かり事業五百カ所の目標に対し、わずか百五十カ所にすぎません。五カ年計画の達成は極めて難しい状況にあります。
 一時保育、地域子育て支援センターの設置、乳幼児健康支援一時預かり事業という施策が進捗しなかった理由は何か、そうした施策が具体的なニーズにマッチしていないのではないか、また、新規民間参入の機会が阻害されているようなことも聞きます。私も間もなく四人目の子供を持つ親として、厚生大臣から御所見を伺います。
 最後に、我が国の重要な外交手段の一つであるODAについて伺いたい。
 我が国では、平成九年度実績で一兆一千三百二十億円が投じられ、平成三年度以降七年連続で世界第一位の援助実績を誇っていることは御承知のとおりでございます。しかしながら、世界の現状を見ると、今なお十億人を超える人々が飢餓に苦しみ、一日に四万人、この一分間にも二十一人もの子供が飢え死にしているのであります。世界で最も富める国の一つである我が国が、こうした人々、子供に手助けをすることは至極当然なことです。
 OECD開発援助委員会の新開発戦略では、二〇一五年までに極端な貧困下で生活している人々の割合を半分に削減することを目標に掲げております。我が国は世界第二位の経済大国として、この目標の実現に向けて、国力にふさわしい先導的役割を果たすことが求められているのであります。外務大臣の御所見を伺いたい。
 一方、九年度のODA予算は前年度に比較して二・一%増と過去最低の伸びであり、十年度当初予算は前年度に比較して一〇%以上削減されており、援助の量から質への転換が求められていると考えられます。
 こうした中、九年度決算検査報告において、バングラデシュの水産関連事業等五事業について、その「効果が十分発現していない事態」が生じているとの指摘がなされております。検査を実施した九十六事業のうちの五事業にすぎませんが、事業の一層の効率的、効果的実施が求められていることは言うまでもありません。検査院の指摘に対して、政府はどのように取り組むつもりか、外務大臣に伺います。
 ところで、我が国の援助はプレゼンスという観点から問題があるように思われます。
 例えば、国民の間では途上国にみずから出向き、実際に援助に携わっている人が増加しており、青年海外協力隊への応募は毎年一万人に上っています。しかし、定員枠が少ないため、応募者の十人に一人しか合格できず、意欲のある若者を排除する結果となっております。若者が海外で現地の人とじかに接しながら援助活動を行うことは、途上国への人的貢献にも積極的に寄与するとともに、我が国にとって有為な人材の育成にも役立つのであります。政府は予算枠の拡大、制度の拡充に努めるべきであります。
 また、成長著しいNGOに対する政府の支援がまだ不足しております。NGOによる小規模なプロジェクトに対し、現地の在外公館が行ういわゆる草の根無償資金協力が実施されておりますが、九年度実績でわずか五十億円にとどまっており、一兆円を超すODA供与額から見れば、その額は余りにも小さ過ぎるのではないでしょうか。
 今後は、こうした事業に対する支援をより充実させ、きめの細かい援助による質の向上を図り、国際社会における我が国の評価を一層高めていく努力が必要かと思います。外務大臣の御所見をお伺いいたします。
 聖書に「一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば豊かな実を結びます」という言葉がありますけれども、私は、この身一つで済むのならという気持ちで、明るい日本の実現に向け努力することをお誓い申し上げながら、御質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 木俣佳丈議員にお答え申し上げます。
 木俣議員御質問の冒頭に、故フセイン・ヨルダン国王の御逝去に対しまして哀悼の意が表されました。お許しをいただきまして、政府といたしましてもこのことに関しまして、本院に御報告することを御了承いただきたいと思います。
 このたび、皇太子、同妃両殿下とともに、私は、この重要な国会のさなかでありましたが、各党各会派の御理解のもと、日本政府と国民を代表して故フセイン・ヨルダン国王陛下の葬儀に参列し、昨日帰国いたしました。
 故フセイン国王は、中東和平プロセスの熱心な推進者であり、世界平和に重要な貢献をなされました。また、大変な親日家としても知られ、その御逝去は、世界及び我が国にとりまして大変な損失であり、まことに残念のきわみであります。改めて哀悼の意を表したいと思います。
 このたびの弔問の機会に、私はクリントン米大統領を初め数多くの各国首脳と、限られた時間ではありましたが、有意義な会談を行い、お互いの信頼関係を一層高めることができました。いずれにいたしましても、世界の重立った首脳が一堂に会する形で出席したこのたびの葬儀に、日本政府と国民を代表して私も出席できましたこと、極めて意義深いものであったと考えております。改めて各党各会派の御理解に深い感謝を申し上げます。
 お尋ねについてお答え申し上げますが、まず、日債銀への日銀からの出資、公的資金の注入についてお尋ねがございました。
 平成九年四月の日債銀に対する再建策につきましては、この時点で把握できた財務状況を前提に、当時のセーフティーネットの整備状況や金融システムの安定性確保のための必要性等を勘案し、最善と考えられる対応がとられたものと考えております。
 また、昨年三月の日債銀に対する公的資金による資金注入につきましては、当時の金融危機管理審査委員会におきまして、法律及び審査基準にのっとり厳正に審査し決定されたものと考えております。
 現在、日債銀につきましては特別公的管理の仕組みが適用されておるところでありますが、政府としては、今後とも、現下の金融問題について適切に対応し、預金者等の保護と信用秩序の維持、内外の金融市場の安定性確保に万全を期してまいりたいと思います。
 次に、歳入欠陥についてのお尋ねでありましたが、税収見積もりにつきましては、その時点で最も適切と考えられる見積もりを行うべく最大限の努力を傾けているところでありますが、九年度税収が見積もり時点で予想し得なかった経済情勢等の変化を反映いたしまして、補正後予算額を大きく下回ったことにつきましては、これを厳しく受けとめております。今後とも適切な見積もりを行うよう努力をいたしてまいりたいと考えております。
 次に、中小企業の根幹であります物づくりにつきまして御指摘がございました。
 私は、昨年、埼玉県川口市の中小企業の視察の経験などを通じまして、改めて物づくりを支える技術の重要さをしかと認識いたしておるところであり、議員の御指摘は貴重なものとして受けとめております。
 そこで、具体的な中小企業対策についてお尋ねでありましたが、中小企業が厳しい経営環境を乗り切り、我が国経済をしっかり支えていくためには、我が国の製造業の競争力にとって重要な物づくりを支える基盤的技術の維持強化を図るとともに、そのような活動の基盤としてセーフティーネットを整備していくことが極めて重要であります。
 今後、我が国の経済社会を活力と魅力にあふれたものとするためには、一人一人の国民や個々の企業が自己の個性、独創性を生かして積極果敢に創意工夫の実現に挑戦でき、また同時に、安心して暮らせる社会を目指すべきものと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政の歳入欠陥につきましてお尋ねがございました。
 相次ぐ歳入欠陥は、私どもにとりましてもまことに深刻な厳しい問題でございます。
 総理の御答弁を多少補足させていただきますが、概して一番歳入見積もりが間違えますのは法人税でございます。個人所得税につきましては、非常に利子が低くなっておる、あるいは給与の伸びが悪いというようなことから減収ぎみではございますけれども、これは予測できない要素ではございませんで、個人所得税で一番予測できませんのは土地の譲渡による譲渡所得税、これが非常に予測ができない要素でございます。消費税につきましては、ほとんど予測がかなり正確にできるような状況でございます。
 したがいまして、法人税の問題でございますが、毎年税収見積もりをいたしますのは大体秋でございますので、その時点で、一番新しい時点で法人企業統計を分析したり、法人に対して決算の見込みを聞くわけでございますけれども、法人もそれから十五カ月先の見積もりを聞かれるわけでございますので、経済が変動するときには法人自身がなかなか自信を持った見積もりを持てないということも事実でありますから、その点で政府の法人税の見積もりというのは実は非常に不安定なものになる。
 それらのほかに、御承知のように経済企画庁が次の年度の成長率を予測いたします。弾性値を一・一と経験的に考えておりまして、したがって名目成長率がプラス三であれば税収はプラス三・三であるというようなマクロの計算をいたしておりまして、ミクロと両方合わせまして推計をいたすわけでございます。それでも御指摘のように何年も歳入欠陥を生じておりまして、私どもにとってはまことに深刻な問題でございます。
 九年にも大きな歳入欠陥を御指摘のように生じました。それは今申し上げましたような理由でございますが、御承知のように、秋に大手の金融機関の破綻があり、また、夏から東南アジアの金融状況の異変がありまして、非常に大きな経済の思わざる変化があったと考えます。その結果として、九年度の成長はマイナス〇・四となりました。したがいまして、こういうところでマクロからも大変な見積もりの間違いをしたということになります。
 一言で申しますと、ミクロ、マクロとも非常に激しく変動している経済情勢を税収見積もりが正確にとらえていないということになるわけでございます。申しわけないことだと思いますが、そういうことであると思います。
 それで、十一年度の税収見積もりをどうするかということでございますけれども、同じような手法をいたしております。昨年の秋に大法人に対して今度はかなり念入りな調査をいたしておりまして、主として大法人が、これは昨年の秋のことでございますので、十五カ月先までの決算見通しをどうしているかということをかなり大規模に、かために算定をして税収見積もりをいたしております。
 これはできる限りのことをいたしておるつもりでございますけれども、私どもにとっては非常に厳しい問題でございますので、なおできる改善は徹底的にやってまいらなければならないと思っております。(拍手)
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
○国務大臣(与謝野馨君) 中小企業の成長のためには、中核となる技術力の向上が重要であり、また、物づくりを支える基盤的技術の維持、活性化は、我が国製造業の競争力強化に不可欠と認識しております。
 このような認識のもと、従来から、中小企業の技術開発に対する助成、従業員に対する技術研修等とともに、中小企業と大学などの研究機関の共同研究に対する支援を実施しております。
 また、物づくり基盤強化のため、人材の確保育成事業を実施してきたところでございまして、平成十一年度からは、新たに物づくり技術のシステム化等の事業の実施のための予算を盛り込んだところでございます。
 今後とも、中小企業の技術力向上や物づくり基盤強化のための支援施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮下創平君) 木俣議員にお答えいたします。
 エンゼルプランの進捗に関するお尋ねでございますが、御指摘のように、緊急保育対策等五カ年事業というものを策定いたしまして、これに基づきまして、平成七年度から保護者の多様な保育需要に対応するための保育サービスの拡充に努力しているところでございます。
 緊急保育対策等五カ年事業の実施状況につきましては、平成十一年度予算におきまして、低年齢児受け入れ枠の拡大、延長保育の促進、多機能保育所の整備の推進、放課後児童健全育成事業の推進など、主要な事業の項目につきましてはおおむね目標値を達成している状況にありますが、一時保育の促進や地域子育て支援センターの整備の推進等につきましては、御指摘のようになお未達成な状況にございます。
 このうち、この事業が進んでいない理由につきましては、事業の要件が画一的であり、かつ厳しいものとなっておること等によりまして、市町村からの申請が少なかったことなどの原因によるものと考えております。
 これらの事業の推進を図るために、平成十年度及び十一年度予算におきまして、地域の実情に応じた要件の緩和、弾力化を図っているところであります。
 なお、御指摘のような民間参入の機会の阻害については、事業の実施に意欲を持つ民間保育所の取り組みが阻害されることのないように実態の把握に努め、都道府県等を適切に指導することによって事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(高村正彦君) OECD開発援助委員会の新開発戦略についてのお尋ねでありますが、我が国は、新開発戦略の目標実現に向けて、途上国の自主性を尊重し、他の援助国とも協調しつつ、積極的に取り組んでおります。
 具体的には、九八年十月に東京で第二回アフリカ開発会議を開催して、新開発戦略の基本的な考え方を反映した東京行動計画の採択に尽力するなど、新開発戦略の実施に先導的な役割を果たしており、今後とも引き続き努力してまいります。
 会計検査院の指摘についてのお尋ねでありますが、平成九年度決算検査報告において、無償資金協力五事業につき「援助の効果が十分発現していない事態が」「見受けられた」との指摘を受けましたが、その原因はいずれも主として被援助国側の事情によるものとはいえ、そのような事態が生じたことは極めて残念であると考えております。
 外務省としては、これまでも相手国に対して事態の改善を促すとともに、必要に応じフォローアップとして種々の改善措置を講じてきておりますが、今後とも援助の一層の適正かつ効果的な実施を確保すべく努めていく考えであります。
 きめの細かい援助による質の向上についてのお尋ねでありますが、私としても国民参加のODAの推進等を通じたきめ細かい援助の重要性を認識しております。来年度予算政府案でも、帰国隊員就職支援や現職参加促進の充実など青年海外協力隊の制度強化を盛り込みました。また、草の根無償資金協力についても対前年度比約二三%増の七十億円を計上いたしました。
 今後とも、顔の見えるきめの細かい援助の推進に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 山本保君。
   〔山本保君登壇、拍手〕
○山本保君 私は、公明党を代表して、平成九年度決算及び当面する諸問題につきまして、小渕総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 平成九年度は、将来、財政学や経済学の教科書に必ず載るであろうと思われる劇的な展開を見せた年でした。
 当初予算段階では、経済は回復の動きを続けており、民間需要中心の自律的景気回復への基盤が整いつつあるが、財政赤字は危機的であるという判断から財政構造改革元年と位置づけ、緊縮型の財政で赤字減らしを目指したのであります。ところが、当初一・九と予測した実質経済成長率は実績ではマイナス〇・四%であり、翌年二月の補正にもかかわらず、決算上の不足額は一兆六千百七十四億円に上りました。この間、財政構造改革法を成立させ、十年度当初予算は縮小型にしつつ、直ちに三次にわたる補正で十兆円以上の上積みをする。つまり、一年ちょっとの間で財政方針が百八十度変わった矛盾したものでありました。
 私は、まず、この点につきまして、今後も同じ轍を踏まないよう、少し細かくお聞きしたいと思います。
 第一に、政府が行う経済見通しとは何なのか。近年、政府経済見通しと経済の実態とが大きく乖離しておりますが、既に前年の八月末には予算の概算要求が締め切られ、その大要は出そろってしまっているにもかかわらず年末になってやっと見通しを決める、これなどは無意味ではないかとも思います。総理並びに経企庁長官の見解を伺っておきます。
 これに関連して、毎月の月例経済報告は、客観的分析なのか希望的観測なのかはっきりしない。加えて、変化の胎動とか不透明感というような不明確な表現はそぐわないものではないか。私は、客観的な指標の報告だけにとどめて、景気判断の報告形式は廃止した方がいいと思いますが、経済企画庁長官はいかがお考えですか。
 第二に、政府の経済見通しや税収見積もりについて、平成三年度決算に関する参議院の警告決議では、「正確な経済見通し」に基づく「税収見積りの精度向上に努力すべきである。」としております。この決議に対する総理の認識を伺っておきたい。
 第三に、政策転換の責任についてお聞きいたします。
 私どもは、当時、八年度の景気は消費税率引き上げ前の駆け込み需要によるものにすぎない、ここで引き締めをすることは無謀だと批判してまいりました。ところが政府は、消費税率引き上げなど八・六兆円の国民負担を課し、これが景気の落ち込み、税収の大幅減少をもたらしている、それにもかかわらず財政構造改革法を成立させ、十年度予算は九年度補正よりも抑えた予算を組んだのであります。しかし、不況のときは積極財政をとり、需要を喚起するということは経済運営の常識ではないかと思うわけでございますが、これをなぜ行わなかったのか、お尋ねいたします。
 顧みますと、昭和四十八年、第一次オイルショックに引き続く狂乱物価を、当時の福田大蔵大臣は田中内閣の政策ミスであると批判し、みずからも蔵相を辞任しました。今回も、もちろん相次ぐ金融機関の破綻やアジア通貨変動などの要因があったとしても、それ以降の政治のかじ取りが問題であったのではないか、このように言わざるを得ません。
 このような当時の総理の判断の政治的な責任について、特に経企庁長官には、政局に絡まない客観的な立場からの率直な所見をお聞きします。
 次に、当面する経済課題についてお聞きいたします。
 最初に、平成九年度末の国債残高は二百五十七兆円、十一年度末では三百二十七兆円、地方と合わせた長期債務残高は六百兆円と見込まれております。そこで、一体どの程度の公債依存が許されるのか。もちろん、景気の動向との関係などの因子が絡むとは思いますけれども、大蔵大臣にお尋ねしておきます。
 また、地方におきましても、三十一道県が警戒ラインと言われる公債費負担比率一五%を超えております。こうした財政危機の中で、例えば地方公務員定数削減計画の指針を提示するなど、さらに具体的な目標設定を指示するのかどうか、総理の見解をお伺いいたします。
 次に、雇用情勢について、十二月は四・三%の失業率で、依然三百万人近くの方が失業しております。特に、雇用保険は平成六年度から連続した赤字が続いており、このままでは破綻という危機的状況になります。労働大臣はどのような方針でこの改善を図られるのか、お尋ねいたします。
 また、昨年十一月の緊急経済対策では、百万人の雇用創出がうたわれ、これに基づいて介護、福祉を初めとする雇用創出が展望されていますが、この見通しについて総理にお聞きしたいと思います。
 さらに、雇用構造全体が大きく変わりつつあります。この中で、職業能力開発を労働省のみの施策として行うことには限界があるのではないか。私見ですが、大学や大学院を土曜、日曜に開講し、中小企業に働く労働者を優先して受講させること、これこそが本来の公教育の役割だと考えますが、労働大臣の御意見をお聞きしたい。
 次に、国家財政のあり方に最も影響を持つのは、将来における社会保障のあり方であります。平成八年度の社会保障給付費は総額で六十七兆五千四百億円であり、平成九年九月の試算によりますと、平成三十七年度、西暦二〇二五年の総額では二百十六兆円から二百七十四兆円とされております。
 これまで、細川内閣の福祉ビジョン以来、社会保障の構造改革については、年金、医療費などの構成割合とか公費負担のあり方、国民負担率等々が問題とされてきたように思いますけれども、本来、社会保障全体の構造改革というものは、この私的負担を含めた総費用の増加をどのように引き下げていくかについての議論でなければならないと思います。厚生大臣はこの目標をどのように認識し、指示されておられるのか、お聞きしたい。
 次に、財政構造改革です。これは、単に政府支出を何%抑えるというつじつま合わせではないでしょう。十一年度のように、まず景気回復を最優先、そして超積極予算と、この中でも本質的な構造改革の考え方が生かされなければならないはずですし、まして、経済成長率が二%になったら構造改革を再開するというような機械的なものでもないはずであります。今後の日本経済は、ゼロ成長が基本であるとも言われております。低成長の中でこそ、政府主導というこの構造を変えていく必要があると思います。構造改革の本質について、総理の基本認識をお伺いいたします。
 また、十一年度予算は、需要重視といいつつ、所得税減税が中堅所得層への恩恵が薄く、個人消費を刺激する効果が弱いのではないかと思いますが、大蔵大臣の見解を承ります。
 一方、公共事業については、昨年一月、参議院で、「その効率的・効果的実施」を求める警告決議を行っております。しかし、投資効率が高いとされる都市型事業の優先順位がなお低くなっているのではないか、また省庁別のシェアが大して変わっていないのではないか、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 さらに、財政投融資であります。十年度当初の五・九%増、五十二兆九千億円とふえておりますが、この中で焦げつきも憂慮されており、自主運用を含めた今後の改革方針をお聞きいたします。
 最後に、会計検査院の平成九年度決算検査報告に関連して、全般的な問題だけをお聞きいたします。
 第一に、現在、衆議院予算委員会で取り上げられている日本債券信用銀行の不良債権虚偽報告についてであります。平成九年四月から九月に行われた大蔵検査の最終結果、一兆一千二百億円の回収懸念債権額などがなぜ市場や金融危機管理審査委員会に報告されなかったのか、その責任はどこにあるのか、総理並びに大蔵大臣の所見を伺います。
 第二に、防衛庁装備調達をめぐる過大請求に対する防衛庁の対応や、検査報告における文部省の架空名目による謝金等の支出の指摘や、空出張など一連の都道府県における不正経理など、税金の使途にかかわる官公庁の構造的な不正に対して厳しい姿勢を示すことこそ、国民に対する信頼を取り戻す第一歩であると考えるのでありますが、総理の所見をお伺いいたします。
 最後に、会計検査は有効性の観点から行われることが今後特に重要であると思いますけれども、一体、国民の満足度や社会全般の利便性の向上などをどのように評価していったらよいのか、総理の所見をお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 山本保議員にお答え申し上げます。
 まず、経済見通しについてお尋ねがございました。
 政府は、毎年、翌年度の予算編成に合わせまして経済見通しと経済運営の基本的態度を策定いたしております。本見通しは、我が国経済を取り巻く諸情勢を踏まえ、翌年度に政府がとるべき経済運営の基本的な態度と、そうした経済運営のもとで実現が見込まれる経済の姿をお示ししているものであり、これを踏まえまして翌年度予算を編成いたしておるところでございます。
 三年度決算に関する警告決議のうち「可能な限り正確な経済見通しの策定」についてでありますが、政府経済見通しにつきましては、従来から種々の経済指標を十分に評価、分析してその策定に当たってきたところであります。今後とも、経済情勢等の変化に対応して的確な見通しを策定するよう最善の努力を行ってまいりたいと思います。
 三年度決算に関する警告決議のうち「税収見積りの精度向上」に関しましては、その時点で判明している課税実績や政府経済見通しにかかわる諸指標等を基礎に、個別税目ごとに最大限の努力を傾けて見積もっておるところであります。例えば、法人税につきましては主要な大法人に対する聞き取り調査を充実させるなど、さまざまな工夫をしてきたところでありますが、御指摘のように、今後ともこうした問題につきまして一層努力をしてまいる所存でございます。
 九年度における消費税率の引き上げと十年度予算についてお尋ねがありました。
 九年度の消費税率の引き上げを含む税制改正は、しばしば申し上げておりますように、少子高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。
 また、当時、橋本内閣では、バブル崩壊後の累次にわたる景気下支え策としての公共投資の追加等のほか、少子高齢化等、構造的な要因により財政赤字が拡大し、その結果、九年度末におきまして五百兆円に迫っていた債務残高をどうするかということに専心しておりました。このため、六大改革の一つとして財政構造改革に取り組んでおり、十年度予算の編成に当たりましては、財政構造改革のもと、公共事業関係費を対前年度比七・八%縮減する一方、科学技術振興費を四・九%増額するなど、量的縮減目標に従った配分を行うとともに、二兆円規模の特別減税、九年度補正予算に加え金融システム安定化対策など、当時として最善の対応を行ったものと考えております。
 地方財政の危機の回避の方策についてお尋ねがありました。
 現在、我が国経済の低迷によりまして地方財政が極めて厳しい状況にあります。したがって、このような地方財政の立て直しのためにも、国と地方のたばこ税の税率変更による地方たばこ税の増収措置、法人税の地方交付税率の引き上げ、地方特例交付金の創設など、地方財政の運営に支障が生じないよう十分配慮しつつ、緊急経済対策を初めとする諸施策を実施することによりまして、まずは景気を回復軌道に乗せることが必要であると考えております。
 なお、財政健全化への取り組みにつきましては、それぞれの地方団体の判断で自主的に行っていくことが基本でありますが、政府といたしましては地方行革の指針を策定したところであります。あわせて、個々の地方団体における行財政改革への取り組みを支援することによりまして、地方財政の健全化を図ってまいりたいと考えております。
 雇用創出についてお尋ねがございました。
 後ほど労働大臣からも御答弁があるかと思いますが、政府全体の取り組みといたしましては、百万人規模の雇用の創出・安定を目指し、雇用活性化総合プランを初め、あらゆる施策を総動員して、失業者が増加しないよう、雇用の創出・安定を図っておるところでございます。
 また、介護サービスの分野におきまして、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略を着実に推進することによりまして、訪問介護員等の確保に引き続き取り組んでまいります。
 次に、財政構造改革についての基本認識に関してお尋ねがありました。
 財政構造改革を考えるに当たりましては、御指摘のように、単なる財政収支の改善にとどまることなく、官と民、国と地方の役割分担の見直し、財政資金の効率的配分等の理念を踏まえた改革を実現していくことが必要であると考えております。
 この点、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から編成された平成十一年度予算におきましても、例えば公共事業の実施に当たりまして、再評価システムの導入や事業採択段階における費用対効果分析の活用などを通じて効率化、透明化に努めるなど、財政構造改革の基本的考え方は維持し、限られた財源の中で経費の一層の合理化、効率化を図っておるところでございます。
 いずれにせよ、まずは日本経済の再生に全力で取り組んだ上で、経済が回復軌道に乗った段階におきまして、財政・税制上の諸課題につき、中長期的な視点から、幅広くしっかりとした検討を行わなければならないと考えております。
 日債銀に対する大蔵省の検査結果についてでありますが、検査結果は、原則として検査の対象となった金融機関にのみ通知しているものであると承知をいたしております。
 また、金融危機管理審査委員会におきまして、大蔵省として、過去の検査結果等に照らして、同行から提出された資料の適切性等について検討し、それを踏まえて大蔵大臣が審査に参加したものと承知をいたしております。
 防衛庁の装備品調達をめぐる過大請求についてお尋ねでありました。
 東洋通信機及びニコー電子事案につきましては、損害額を確定し、返還請求を行ったところであり、日本電気等の事案につきましても、綿密な調査の上返還請求を行うことといたしております。また、再発防止のため、調達実施本部の解体などの調達改革を実施に移すべく、今、全力で取り組んでおるところでございます。
 文部省関係の不正な支出に関するお尋ねでありました。
 多数の府県教育委員会が、国から委嘱を受けた事業の経費を不正に経理していたことは、まことに遺憾であります。今後このような事態が生じることのないよう、不正支出金額の返還など適切な措置をとるとともに、会議、文書等を通じ指導を一層徹底するほか、事業の実施状況の調査を行うなど、再発防止に努める所存でございます。
 税金全体に対する使途にかかわる不正についてお尋ねでありました。
 もとより、国民の税金から成る予算の執行が適正になされるべきは当然であり、刑罰法令に触れるような不正が認められた場合におきましては、捜査機関におきまして適切に対処するものと承知をいたしております。
 次に、会計検査院の機能についてお尋ねがありました。
 会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関として、国や公団、事業団等の決算のほか補助金等についても検査を行い、それらの予算執行等の適否につきましては、厳正に検査、監督に当たられているものと承知をいたしております。そして会計検査院では、近年、特に有効性の観点から事業や施策の目的の達成度を評価する検査を行っており、今後さらに検査手法などを研究して、有効性の検査の拡充を図ることにしていると聞いておるところであります。
 以上、お答え申し上げましたが、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 何点かにわたりましてお答えを申し上げます。
 平成九年度の経済の問題でございますが、夏にアジアで通貨危機がございまして、その後我が国の金融機関が非常な不安状態に陥ったということが大きな背景でございますが、しかし、平成八年度の経済が比較的好調でありましたこともありまして、政府として消費税引き上げなどの大きな国民負担をかけたということは否定できない事実と思います。その結果、税収の大幅減をもたらしたのではないか、結果としてマイナス成長になりましたので、御説のとおり申し上げることが真実であろうと思います。
 それから、公債の発行につきましてどのぐらいが限度かというお話は、現在のように三七・九%というような依存率が年度の初めから始まるというようなことは、これはいつまでも続けていられないことでございます。それ自体がもう限度だと申し上げるべきだと思いますが、ただ民間の資金需要が設備投資の意欲がないものでございますから、かわりにある意味で財政がやっておるということも言えるのかもしれません。したがって、そこはいわゆるクラウディングアウトのようなことは私は起こらないと思いますし、もし起これば、それはもう財政が引っ込めばいいわけでございますが、そうではありますが、しかし大きな国債を発行いたしますから、発行者側としてももう少しいろんな工夫をすべきではないかと考えておりまして、事務当局にただいま検討させております。
 それから、所得税の減税のあり方でございますが、需要を喚起するのならば、前年度に比べて実質税負担が重くなるような層が相当ある減税はこれはよくないとおっしゃいますことは、確かに、定額減税をいたしまして課税最低限が四百九十一万円まで行ってしまいましたので、今度は定率に直してこれで累進を働かせる、これが所得税の本来だと思います。これはやむを得ないことでございますが、何しろ四百九十一万円という課税最低限を将来、これによって八百万人ぐらいの納税者がリタイアしておりますので、これを将来続けていくわけにはいかないだろうという思いがございまして、今度は定率の減税をさせていただきました。この点は御理解をお願い申し上げたいと思います。
 それから次に、公共事業が旧態依然ではないかとおっしゃることは、これは子細に検討していただきますと、今回はいわゆる物流関係の枠であるとか、あるいは二十一世紀に向かっての施策であるとか、あるいは生活に非常に身近な枠であるとか、五千億ほど別の枠をとっておりますし、また、お話のございましたいわゆる旧態依然たるダムであるとか治山であるとか国有林野、林道でございますとか、これらはかなり中止したりいたしておりまして、改善をいたしておるつもりでございます。
 それから、財政投融資でございますが、既にいわゆる財投機関、今財投機関の特殊法人は三十八ございます、そうでないものが四十三ございますが、その中で日本開発銀行あるいは輸出入銀行、国民金融公庫、農用地整備公団、みんな統合等をいたしまして、いわゆる財投機関の統廃合をいたして合理化を図っておるところでございます。
 それから日債銀の問題は、総理から先ほど御答弁がありましたが、当時の大蔵省としていろいろの事情を聞いて判断してみますと、九年四月に日債銀が再建計画をいたして大蔵省はそれを支援しておるわけですけれども、九年の九月に検査をいたしました後もなお日債銀は債務超過であるというふうには、大蔵省はそういう認識は持っていなかったというような状況と判断をいたしております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
○国務大臣(堺屋太一君) 政府の経済見通しの意義についてのお尋ねがございました。
 既に総理大臣から御答弁がございましたように、政府は、毎年予算編成の時期に合わせまして経済の見通しと経済の運営の基本的態度を作成いたしまして、翌年度のとるべき政策の基本としております。
 残念ながら、経済見通しの数値的な予測として考えますれば、必ずしも当たったという結果にはなっておりません。民間シンクタンク多数の平均値と比較いたしますと、過去三十年間で十四勝十六敗一引き分けというような状況でございまして、ほぼ半々でございますが、特にここ二年間は経済の厳しい状況を見抜くことができなかったと言わざるを得ません。この点はまことに私としても遺憾だと思います。
 政府の景況判断が国民に信頼されるように、適時適切な政策を実現していくためにも、より経済の現実に即した的確な把握、そして正確な政策立案の指針となりますようにしていきたいと考えております。
 また、この経済見通しが年末に前年度の七―九月までのデータでやるものですから、かなり時間的ラグがございます。ことしは途中で八月、九月に見直しましたけれども、今後とも新しいデータを入れて、経済運営の大きくずれてきたときには見直しをした方がいいのではないかということも考えております。
 次に、月例報告について御質問がございました。
 月例報告は、景気判断を適時適切な時点で行いまして、政策を適切に行っていくための基本であります。経済が極めて厳しい状況にある現状におきましては、経済の実態を迅速かつ的確に把握し、月例報告において政府の景況判断を国民にわかりやすい言葉で伝えることは大切だと思っております。
 したがって、月例におきましても、正直、迅速、わかりやすくをモットーにして、入手可能な最新の統計を分析するとともに、産業界からのヒアリング等さまざまなチャネルを通じて経済の実態の把握に努めております。その時点で最も的確と考えられる景気判断を客観的に行うものでございます。
 これにつきまして、単に数字だけにしてはどうかという御説もございましたけれども、かなり専門的な数値が出ておりますので、やはり適切な解説をつけた方がいいんじゃないか、その方がマスコミ等でもわかりやすく報道してくれていると私は考えております。
 次に、近年の経済のかじ取りについて問題があったんではないかという御質問がございました。
 確かに、近年の経済のかじ取りについては、一九九三年ごろにバブルが崩壊いたしまして経済構造が大きく変わりました。その認識が歴代内閣において必ずしも十分でなく、問題を先送りにしてきたことがなかったとは言えない、あったと言わざるを得ないように思います。
 前内閣におきましても、九六年度は実質経済成長四・四%と大変好調でございました。そのために、景気が厳しいと認識したのは一昨年の夏以降になっております。前内閣では、それ以降、二十一世紀を切り開くための緊急経済対策、二兆円規模の特別減税に加えまして、金融システムの安定化対策などを執行いたしまして、いろいろと努力をなされました。さらに、昨年四月には総合経済対策の作成もいたしました。このように、その時々の経済状況に応じて、金融・財政政策両面にわたって懸命の努力をしたのでありますけれども、累積した金融機関の不良債権などが非常に頑固な不況の環をつくっていたということに対する認識はなお十分でなかったかもしれない、なかったんじゃないかと思っております。
 昨年七月に発足いたしました小渕政権は、現下の厳しい経済情勢にかんがみまして、金融システムの再生、需要の喚起、雇用及び業を起こすことの拡大等、不況の環を断ち切るために緊急経済対策を初めとする諸策を強力に推し進めております。これによりまして、平成十一年度の我が国経済ははっきりとしたプラス、〇・五%のプラス成長ができるものと確信しております。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
○国務大臣(甘利明君) まず雇用保険についてのお尋ねであります。
 御心配のとおり、雇用保険会計、現在大変厳しくなっております。十年度、十一年度と一兆円近い取り崩しを予定いたしておりまして、このままの状況がそのまま続くといたしますと、確かに今後三年間くらいで積立金の取り崩しをし切ってしまうという状況が想定をされます。
 しかし、雇用保険会計は、景気の動向であるとかあるいは雇用失業情勢に大きくかかわっておりますし、今、政府が挙げて景気対策、雇用対策に取り組んでおりますので、この状況を当面は注視をしたいというふうに思っております。
 次に、雇用創出についてのお尋ねであります。
 これは基本的に総理が御答弁されたとおりであります。雇用活性化総合プランを初め政府の施策を総動員して、雇用の創出・安定に努めてまいりたいと思います。
 最後に、職業能力開発についてのお尋ねであります。
 労働省といたしましては、中小企業事業主等の行う職業能力開発に対する支援であるとか、あるいは中小企業の在職労働者等に対する公共職業訓練を実施する、そして労働者の自発的な能力開発を支援するための教育訓練給付制度を創設するなどの取り組みを行っております。
 また、文部省におきましても、大学等におきまして社会人の受け入れの機会の充実に取り組んでいると承知をいたしておりまして、今後とも学校教育との密接な連携のもとに職業能力の開発、向上に取り組んでまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮下創平君) 山本議員の社会保障の総費用についてのお尋ねについてお答えを申し上げます。
 少子高齢化の進行が急速に進んでおります。したがって、社会保障に係る費用の増大が大幅に見込まれておりますが、社会保障制度につきましては、介護など国民の新たな需要に適切にこたえつつも、経済と調和がとれることがまず必要でございますし、将来世代の負担が過重なものにならないようにする配慮が必要でございまして、全体として効率化、合理化を進める必要があると考えております。
 今後とも、このような基本的な考え方に立ちまして、医療、年金など各種の社会保障の構造改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 平成十年度の緊急生産調整推進対策水田営農確立助成補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政・金融委員長勝木健司君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔勝木健司君登壇、拍手〕
○勝木健司君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院大蔵委員長提出によるものでありまして、平成十年度の緊急生産調整推進対策水田営農確立助成補助金等について、個人が交付を受けるものはこれを一時所得に係る収入金額とみなすとともに、転作に伴う特別支出費用等は一時所得の必要経費とみなし、また、農業生産法人が交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に事業の用に供する固定資産の取得または改良に充てる場合に、圧縮記帳の特例を認めることにより、それぞれ税負担の軽減を図ろうとするものであります。
 委員会におきましては、提出者より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十四  
  賛成           二百三十四  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りいたします。
 議員坂野重信君、井上吉夫君及び立木洋君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。
 つきましては、院議をもって三君の永年の功労を表彰することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 三君に対する表彰文を朗読いたします。
   〔坂野重信君起立〕
 議員坂野重信君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
 参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します
   〔拍手〕
   〔井上吉夫君起立〕
 議員井上吉夫君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
 参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します
   〔拍手〕
   〔立木洋君起立〕
 議員立木洋君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
 参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します
   〔拍手〕
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 井上裕君から発言を求められました。発言を許します。井上裕君。
   〔井上裕君登壇、拍手〕
○井上裕君 皆様のお許しをいただき、私は、本院議員一同を代表して、ただいま永年在職のゆえをもって表彰されました坂野重信先生、井上吉夫先生並びに立木洋先生に対しまして、一言お祝いの言葉を申し上げます。
 三先生は、ともに昭和四十九年の第十回参議院議員通常選挙において当選され、自来、今日まで二十五年の長きにわたり本院議員として御活躍をされてまいりました。
 この間、坂野重信先生は、大蔵委員長、内閣委員長、予算委員長など本院の枢要な役職を務められ、現在は金融問題及び経済活性化に関する特別委員長の要職につかれております。また、竹下内閣及び宇野内閣の自治大臣・国家公安委員会委員長として国政の枢機に参画し、その卓越した政治手腕を遺憾なく発揮されました。一方、参議院自由民主党におきましては、国会対策委員長、議員会長の要職を歴任されてこられたのであります。
 井上吉夫先生は、本院の農林水産委員長、予算委員長並びに裁判官弾劾裁判所裁判長などの枢要な役職を歴任せられました。また、宇野内閣の北海道・沖縄開発庁長官の要職につかれ、さらに、つい先日まで小渕内閣の北海道・沖縄開発庁長官及び国土庁長官として国政の枢機に参画し、その卓越した政治手腕を遺憾なく発揮されました。一方、参議院自由民主党におきましては、政策審議会長、議員会長等の要職を歴任されてこられたのであります。
 立木洋先生は、現在、沖縄及び北方問題に関する特別委員長の要職につかれており、党内におかれましては、国際部長、参議院議員団長等の要職を歴任せられ、現在は日本共産党幹部会副委員長等の要職を務めておられます。また、国際問題の専門家としての立場から、主に外務委員会及び外交・防衛委員会、外交・総合安全保障に関する調査会並びに本会議の審議を通じて強力な論陣を張られてこられましたことは、既に皆様御承知のとおりであります。
 このように、坂野先生、井上先生並びに立木先生は、いずれも卓越した御見識と豊富な政治経験に基づき、我が国民主政治発展のため多大の貢献をされてこられました。
 ここに、我々議員一同は、三先生の二十五年の御功績に対しまして深甚なる敬意を表しますとともに、本日、栄誉ある表彰を受けられましたことに対し、心から祝意を表する次第であります。
 今日、我が国は、二十一世紀を目前に控え、経済のグローバル化、少子高齢化が急激に進展するなど、内外をめぐる情勢はまことに厳しいものがあり、経済構造、行財政、社会保障等々、各般にわたる改革の必要に迫られております。
 それだけに、国会の果たすべき責務も重く、国民の期待も大なるものがあります。とりわけ、参議院にはその独自性の発揮がまさに求められているところであります。
 どうか、三先生におかれましては、この上とも御健康に留意され、今後とも国民のため、参議院の権威高揚と我が国議会制民主主義の発展のため、なお一層の御尽力を賜りますよう切にお願い申し上げまして、簡単ではございますが、お祝いの言葉といたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 坂野重信君、井上吉夫君及び立木洋君から、それぞれ発言を求められました。発言を許します。坂野重信君。
   〔坂野重信君登壇、拍手〕
○坂野重信君 お許しを得まして、一言御礼申し上げさせていただきます。
 ただいまは、在職二十五年のゆえをもちまして、院議をもって斎藤議長から表彰を賜り、さらにその上、井上裕先生から身に余る御祝辞をちょうだいし、感謝で胸がいっぱいでございます。
 私が初めて議席を与えられましたのは、田中内閣、河野謙三参議院議長の時代でありました。
 私は、当時、国家公務員の役職を退いた後、昭和四十九年七月の全国区の参議院議員選挙に出馬し、初当選させていただき、以来、二期目も全国区から、また、三期目より鳥取県選挙区から出させていただき、二十五年にわたり参議院議員を務めさせていただきましたことで、今日この光栄に浴しましたことは感無量であります。
 これもひとえに長年にわたって温かい御交誼を賜りました先輩、同僚議員各位のおかげであり、また、今日まで微力な私を支援してくださった全国の方々及び鳥取県民の皆様の御温情のたまものでございまして、この機会に改めて厚く御礼を申し上げます。
 時あたかも第百四十五通常国会が開会中で、経済再生や日米ガイドライン等、内政、外交にわたる重要な政策課題が審議される重要な時期でもあります。しかも、行政改革、政治改革の進展に伴い政治及び政治家の責任が増大する中で、参議院の良識と独自性が問われることになり、参議院の動向が各方面から注目されるところとなるであろうと思います。
 顧みて、戦前戦後の激動の時代を生き抜いてきた日本人の一人として、私は、後世に健全な日本を誇りを持って伝えることができるよう、精一杯努力してまいりたいと存じます。
 何とぞ今後とも皆様方の相変わりませぬ御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、お礼のごあいさつとさせていただきます。
 本日はまことにありがとうございました。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 井上吉夫君。
   〔井上吉夫君登壇、拍手〕
○井上吉夫君 お許しをいただきまして、一言お礼を申し上げます。
 ただいまは、院議をもちまして在職二十五年の表彰を賜り、さらにその上、井上裕先生から身に余るお祝いの言葉をちょうだいし、感激のきわみであります。
 昭和四十九年夏、参議院初当選以来、国権の最高機関であるこの参議院で国会活動を続けることができましたこと、まことに感慨無量であります。
 私は、国民に信頼される政治を政治理念とし、国土の均衡ある発展を目標に、地方の振興や農林行政を中心に活動してまいりました。その間、皆様のお力添えをいただき、農林水産委員長や予算委員長を務めさせていただきました。
 このような参議院の重責につかせていただいたことや、本日、光栄ある表彰をいただきましたのも、ひとえに長年にわたり先輩、同僚議員の皆さんの御指導のおかげであり、また、浅学非才な私を御支援してくださった鹿児島県民の皆様の御温情のたまものであります。この機会に改めて厚くお礼申し上げます。
 思えば、初当選した二十五年前の選挙での私のスローガンは、そして私を支持してくれる人たちのスローガンは、「米価を上げよう、井上を上げよう」でありました。今や米も自由競争の時代となったことを思いますと、時代の変化を感じずにはおれません。
 さて、戦後五十年を経た日本は、国際社会との協調を初め、行政や経済の構造改革を進める歴史的な転換期にあります。
 もちろん、改革には不安と困難を伴うと思われますが、世界の平和と繁栄、そして国民一人一人が将来に夢や希望を抱き、創造性や思いやりを大事にする豊かな社会を築くためには、これらの改革を力強く進めなければなりません。それだけに、二十一世紀を目前にし、国会の果たすべき責務は重く、特に良識の府たる参議院の役割は国民が注目しているところだと存じます。
 私は、本日の表彰を機に、参議院のさらなる権威高揚と、我が国議会制民主主義の発展のため、全力を尽くしてまいります。
 皆様方のなお一層の御指導、御交誼のほどをよろしくお願い申し上げ、お礼の言葉にかえさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
○立木洋君 お許しをいただきまして、一言お礼を申し上げます。
 ただいま、在職二十五年のゆえをもちまして、院議をもって表彰を受けました。この議決をしていただいた議員各位の皆様並びにさらに井上裕先生より過分の御祝辞をちょうだいし、心からお礼を申し上げるものであります。
 特に、日本共産党への御支援をいただき、私を国会に送り出してくださった国民の皆様に改めて深い感謝の念を表明いたします。
 私は、幼年、青少年時代を中国の地で育ち、中学生のとき軍事訓練を受け、また、旧北満の開拓団に学徒動員を経験した直後に終戦を迎えました。それまでの教育と百八十度転換した日本の敗戦は大きな衝撃でした。そのとき私は、一体この戦争は何だったのか、他民族との真の正しい関係はどうあるべきなのか、深く考えさせられたのでした。
 そして、若い私の心が強く揺り動かされ光明を見出したのは、侵略戦争に反対し、犠牲を恐れず闘い抜いた日本共産党の存在を知ったことでした。その後の私の人生観は大きく変わり、日本共産党員として国民のために歩むことが未来への政治信条となったのです。
 一九七四年、国会で活動するようになって以降、直面した物不足の深刻化を千載一遇のチャンスとして、利益を追求する大企業の横暴、さらに、深刻な政官財の癒着のロッキード事件に見られる政治の腐敗、そして米軍への思いやり予算の導入と急激な自衛隊軍備の拡大強化などが示すものは、日本の進路と国民の利益に反するものとして、日本共産党は政治の革新の目標を掲げ、その実現のために努力をしてまいりました。
 特に、外務委員会に所属してきた私は、核兵器の完全廃絶、軍備縮小、軍事同盟を廃棄して非同盟中立の実現と、さらに、いかなる国の覇権主義にも反対し、他国に干渉せず、また、他国からの干渉を許さず、主権を尊重して平等互恵の関係の確立を重視し、国際平和と諸国との真の友好的発展のために微力ながら努めてまいりました。
 今日、二十一世紀を目前に迎えんとするとき、国民の立場に立ってむだと浪費をなくし、経済・財政の危機の克服に努めること、アメリカの世界戦略に従うガイドラインの法制化の道ではなく、我が国の憲法の恒久平和と基本的人権及び民族の基本権擁護の精神を尊重し、我が国の明るい未来への扉を切り開くために一層努力することが国民から選択された国会議員の務めであり、また、我が国に課せられた国際的責務であると確信しています。
 私は、今後とも、国民から選ばれた栄誉ある国権の最高機関の一人として、政治の主権者たる国民に奉仕する重い責任の一端を担い、さらなる努力をする決意を表明いたしまして、謝辞といたします。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十一分散会
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