第145回国会 本会議 第45号
平成十一年八月十二日(木曜日)
   午前零時四十七分開議
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○議事日程 第四十六号
  平成十一年八月十二日
   午前零時十分開議
 第一 法務委員長荒木清寛君解任決議案(円よ
  り子君外五名発議)(前会の続)
 第二 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制
  等に関する法律案(第百四十二回国会内閣提
  出、第百四十五回国会衆議院送付)(前会の
  続)
 第三 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律
  案(第百四十二回国会内閣提出、第百四十五
  回国会衆議院送付)(前会の続)
 第四 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第
  百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会
  衆議院送付)(前会の続)
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○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、内閣総理大臣小渕恵三君問責決議案(本岡
  昭次君外四名発議)(委員会審査省略要求事
  件)
 一、本決議案の議事における趣旨説明、質疑、
  討論その他の発言時間は、一人十分に制限す
  ることの動議(上野公成君外一名提出)
 一、この際、議院運営委員長岡野裕君解任決議
  案(藁科滿治君外四名発議)(委員会審査省
  略要求事件)を日程に追加するの動議(藁科
  滿治君外四名提出)
 一、議長不信任決議案(本岡昭次君外六名発議
  )(委員会審査省略要求事件)
 一、日程第二乃至第四を一括して直ちに議題と
  することの動議(上野公成君外一名提出)
 一、日程第二より第四まで
 一、三案を法務委員会に再付託することの動議
  (海野徹君外三名提出)
 一、自治大臣野田毅君問責決議案(山下八洲夫
  君外五名発議)(委員会審査省略要求事件)
  を議事日程に追加するの動議(山下八洲夫君
  外五名提出)
 一、地方行政・警察委員会において審査中の住
  民基本台帳法の一部を改正する法律案につい
  て、速やかに地方行政・警察委員長の中間報
  告を求めることの動議をこの際議題とするこ
  との動議(上野公成君外一名提出)
 一、地方行政・警察委員会において審査中の住
  民基本台帳法の一部を改正する法律案につい
  て、速やかに地方行政・警察委員長の中間報
  告を求めることの動議(上野公成君外一名提
  出)
 一、住民基本台帳法の一部を改正する法律案の
  中間報告
 一、地方行政・警察委員長から中間報告があっ
  た住民基本台帳法の一部を改正する法律案は
  議院の会議において直ちに審議することの動
  議(上野公成君外一名提出)
 一、住民基本台帳法の一部を改正する法律案(
  第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国
  会衆議院送付)
 一、法務大臣陣内孝雄君問責決議案(簗瀬進君
  外四名発議)(委員会審査省略要求事件)

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○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 法務委員長荒木清寛君解任決議案(円より子君外五名発議)を前会に引き続き議題といたします。
 これより本決議案の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──速やかに投票願います。──速やかに投票を願います。──速やかに投票を願います。──順次歩いてください。──速やかに投票願います。──速やかに投票願います。──速やかに御投票願います。──歩いてください。──一歩一歩歩いてください。──はい、歩いてください。──はい、歩いてください。──木俣君、投票してください。──どうぞ投票してください。──はい、投票してください。──速やかに御投票願います。──みっともないことしないで、早くやって。──はい、どうぞ、投票してください。──御投票願います。──速やかに御投票願います。──はい、速やかに御投票願います。──あいさつしないでいいから投票して。──あいさつしないでいいから投票してください。──あいさつなんか要らないから。──どうぞ投票願います。──どうぞ投票してください。──投票してください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──小川君、御投票願います。どうぞ前へ歩いてください。──どうぞ投票してください。──速やかに投票願います。どうぞ、どうぞ前へ一歩一歩進んでください。──全然進んでいない。進んでください。──どうぞ。どうぞ。──どうぞ投票願います。──どうぞ投票してください。──どうぞ。──どうぞ御投票願います。御投票願います。──速やかに御投票願います。速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。速やかに御投票願います。──どうぞ御投票ください。──速やかに御投票願います。──どうぞ投票してください。笹野君、前へ出てください。ずっと前へ詰めてください。だめですよ。──どうぞ。どうぞ。速やかに御投票ください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。どうぞ。──速やかに御投票願います。速やかに御投票願います。このままですと投票時間を制限せざるを得なくなります。(拍手)速やかに投票願います。──続いて御投票へお進みください。どうぞ。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。後の方も順次続いてください。──速やかに御投票願います。順次続いてください。どうぞ。どうぞ。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──順次前へ進んでください。どうぞ。──前へ進んでください、宮本君。──速やかに御投票願います。速やかに御投票願います。このままですと投票時間を制限せざるを得なくなります。どうぞ速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──どうぞ前へ進んでください。──どうぞ。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。このままですと投票時間を制限せざるを得なくなります。速やかに御投票願います。──どうぞ御投票ください。──どうぞ。──どうぞ。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──どうぞ投票してください。──宮本君、前へ進んでください。──どうぞ投票してください。──投票してください。──速やかに投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──このままですと投票時間を制限せざるを得なくなります。どうぞ速やかに投票願います。──速やかに投票願います。──速やかに投票願います。──このままですと、投票時間を制限せざるを得なくなります。──速やかに投票願います。
 投票時間を制限いたします。ただいま行われております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間が参りますれば投票箱を閉鎖いたします。(拍手)速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。まだ投票されない諸君は速やかに御投票ください。──速やかに御投票してください。──速やかに御投票願います。──制限時間まであと二分でございます。どうぞお急ぎください。──制限時間まであと一分でございます。──速やかに投票願います。──何度も申し上げています。──制限時間に達しました。(拍手)──投票の……(発言する者多し)御静粛に願います。投票の意思のある方は直ちに投票してください。──投票の意思のある方は直ちに投票してください。──時間が参っております。投票の意思のある方は直ちに投票してください。──制限時間が参っております。投票の意思のある方は直ちに投票してください。──投票の御意思のある方は直ちに投票してください。──制限時間が参っております。投票の意思のある方は直ちに御投票願います。──直ちに投票をしない方は投票の意思がないと認めますよ。(拍手)──それではすぐ投票してください。どうぞ、どうぞ。──投票してください。──直ちに投票してください。──直ちに御投票ください。──投票の意思のある方は直ちに御投票ください。──制限時間が過ぎております。投票の意思のある方は直ちに投票してください。──投票の御意思のある方は直ちに投票してください。──制限時間を過ぎております。投票の意思のある方は直ちに投票してください。──投票の意思のある方は直ちに投票してください。──投票の意思のある方は投票を直ちにしてください。あと一分で投票を締め切ります。──あと一分で必ず締め切ります。(拍手)
 申し上げました一分が参りました。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔「あなたに制限する権利があるんですか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
○議長(斎藤十朗君) 何回も言ったでしょう。──壇上に上がらないでください。壇上に上がらないでください。──演壇周辺の議員は自分の議席に着いてください。──演壇に登っておられる方は自席に戻ってください。(「投票の意思あり」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)何回も予告をしたでしょう。──自席に帰ってください。
 開票してください。
 下がってください。下がってください。(「社民党はまだしていない」と呼ぶ者あり)あれだけ何回も言ったでしょう。(「前がつかえてできないんだ」と呼ぶ者あり)真っすぐ行けばいいでしょう。──演壇を下がってください。──演壇を下がってください。──演壇をおりてください。自席に戻ってください。──演壇をおりてください。──演壇をおりて自席に戻ってください。──何回も申し上げました。(「前がつかえてできないじゃないですか。」と呼ぶ者あり)できるでしょう、歩いていけばいいんですよ。──そんなことは理由になりません。──どうぞ。議長の議事整理権です。──議席にお戻りください。
 もう一度言います。
 これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 自席へお戻りください。──投票の権利については何度も申し上げました。──議席にお戻りください。──議席にお戻りください。──議席にお戻りください。(発言する者多し)御静粛に願います。
 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百二票  
  白色票           六十二票  
  青色票           百四十票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 自席にお戻りください。──自席にお戻りください。
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。
 本岡昭次君外四名発議に係る内閣総理大臣小渕恵三君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 上野公成君外一名から、賛成者を得て、
 本決議案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言は一人十分に制限することの動議が提出されました。(拍手)
 これより本動議の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票ください。──どうぞ、どうぞよろしくお願いします。──速やかに御投票願います。──どうぞ投票してください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──どうぞ投票してください。──速やかに御投票ください。どうぞ前へ歩いてください。──速やかに御投票願います。どうぞ前へ歩いてください。──どうぞ投票してください。どうぞ。──どうぞ御投票願います。──速やかに御投票願います。どうぞ前へ歩いてください。一歩一歩、歩いてください。左、右、左、右。──どうぞ御投票ください。御投票願います。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──どうぞ投票してください。──御投票ください。御投票願います。──速やかに御投票願います。──どうぞ御投票願います。──どうぞ御投票願います。──速やかに御投票願います。──前へ進んでください。──横に行かないで前へ、前へ、前へ。──どうぞ投票してください。どうぞ。──速やかに投票願います。どうぞ投票してください。──速やかに投票願います。──もうちょっと早く歩いてください。──速やかに投票してください。──速やかに投票願います。──どうぞ。どうぞ御投票ください。──どうぞ投票してください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。どうぞ。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。このままですとまた投票時間を制限せざるを得なくなりますので、速やかにお願いいたします。──どうぞ速やかにお願いいたします。──どうぞ。──速やかに御投票願います。このままですと投票時間の制限をせざるを得なくなります。速やかにお願いいたします。──前へ歩いてください。──前へ歩いてください。──どうぞ御投票願います。──どうぞ御投票願います。──前へ進んでください。前へ進んでください。──速やかに御投票願います。このままですと投票時間を制限せざるを得なくなります。速やかに投票願います。──速やかに御投票願います。──投票時間の制限をせざるを得なくなります。
 投票時間の制限をいたします。(拍手)ただいま行われております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。(拍手)時間が参りますれば投票箱を閉鎖いたします。──速やかに御投票ください。──どうぞ、前へ歩いてください。──ですから、歩いてください。──速やかに投票を願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──制限の五分がたちました。投票の意思のある方は直ちに御投票ください。──列にこだわることなく、追い越してどうぞ投票してください。──投票の意思のある方は直ちに投票してください。──投票の意思のある方は直ちに御投票願います。──制限時間が過ぎております。投票の意思のある方は直ちに御投票ください。──どうぞ御投票ください。──投票の制限時間が過ぎております。投票の意思のある方は直ちに御投票ください。──直ちに御投票ください。──投票の意思のある方は直ちに御投票願います。──どうしても投票されない場合には投票箱を閉鎖せざるを得ません。(拍手)──直ちに御投票ください。投票の御意思のある方は直ちに御投票ください。──直ちに御投票ください。──この列にかかわらず、どうぞ追い越して投票してください。──直ちに御投票ください。──時間が過ぎております。直ちに御投票ください。──御投票されない方は投票の意思ないものとみなさざるを得ません。(拍手)──あと一分で投票箱を閉鎖いたします。直ちに投票してください。──あと一分で投票箱を閉鎖いたします。投票してください。──投票されない方は投票の意思なしと認めざるを得ません。──最後の一分が過ぎます。どうぞ投票してください。──投票の御意思のある方は投票してください。
 一分が過ぎました。投票箱閉鎖。(拍手)
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
   〔「投票、投票」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
○議長(斎藤十朗君) あれだけ言ったでしょう。──演壇からお下がりください。どうぞ演壇からお下がりください、照屋君、お下がりください。演壇からお下がりください。あれだけ何回も申し上げました。
 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十三票  
  白色票          百四十三票  
  青色票            七十票  
 よって、本動議は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) これより発議者の趣旨説明を求めます。本岡昭次君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔本岡昭次君登壇、拍手〕
○本岡昭次君 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合の三会派を代表して、ただいま議題となりました内閣総理大臣小渕恵三君に対する問責決議案について、提案の趣旨を説明いたします。
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
  本院は、内閣総理大臣小渕恵三君を問責する。
  右決議する。
 昨年の七月三十日に小渕内閣が発足して以来、一年が経過しました。この間、国民の間には将来の生活への不安と現状に対する閉塞感、政治不信と無力感が急速に広がっております。わずかこれだけの期間で、経済・雇用情勢をここまで急速かつ著しく悪化させ、国民生活を崩壊させ、社会のモラルを低下させ、子供や若者の夢を奪い、日本の国際的信頼を失墜させた内閣があったでしょうか。
 小渕内閣は、歴史的にも希有な無為無策内閣であります。この小渕政権の存在を許すことは、政治家の良心にも恥じるものであります。国民生活を立て直すために、私たちは小渕内閣の打倒に全力を尽くさねばなりません。
 以下、問責決議案を提出する具体的理由について申し上げます。
 不信任の第一の理由は、小渕内閣は議会制民主主義、国会での論議より数の論理に固執した内閣であることであります。
 昨年の参議院選挙において、国民は、自民党を敗北させ、小渕内閣を信任せずとの審判を下したのであります。その結果、総理大臣を選ぶ首班指名選挙では、この参議院では民主、公明、共産、社民、自由、無所属の非自民の野党の力で民主党の菅直人君が首班として指名されたのであります。
 参議院選挙前から与野党間で大きな政策的論争となっていた金融問題への対応について、内閣総理大臣となった小渕総理は、まず民主党など野党の提案の丸のみに走りました。すなわち、昨年秋に成立した金融再生法案は、政府・自民党の提出した大手銀行には適用できないブリッジバンク法案を取り下げ、我々野党の共同提案した金融再生法案を丸のみして成立したものであります。
 念のために、昨年秋に成立した金融再生法案の概要を申し上げますと、まず第一に、六つの明確な原則により、不良債権問題を先送りせず、二〇〇一年三月までに金融機関の破綻に対する施策を集中的に実施する旨宣言していることです。
 六つの明確な原則とは、破綻した金融機関の不良債権等の財務内容その他の経営の状況を開示すること、経営の健全性の確保が困難な金融機関を存続させないものとすること、破綻した金融機関の株主及び経営者等の責任を明確にするものとすること、預金者等を保護するものとすること、金融機関の金融仲介機能を維持するものとすること、金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすることです。これらの原則は、情報開示の徹底、市場原理の尊重、モラルハザードの回避、セーフティーネットの構築、国民負担の最小化という、いずれも重要な要素から成り立っており、我が国金融システムに対する内外の信頼を取り戻すためにも、どれ一つとして欠くことのできないものであります。
 とりわけ、金融機関の安易な延命、救済につながるおそれがあるとして国民の大きな批判を招いた金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律は、本法律案の成立とともに、完全に廃止されることとなります。
 第二に、金融機関の破綻が金融システムに与える影響を可能な限り小さくし、信用システムの破綻が起こるのを防ぐため、金融機関の破綻処理スキームとして三種類の枠組みを用意していることです。
 三種類の枠組みとは、金融整理管財人による管理、公的ブリッジバンク及び特別公的管理のことですが、このうち、特別公的管理はまさに危機管理対策とも言うべき究極の選択であり、大手銀行の連鎖破綻の危機に対しても対応できるものであります。これらの破綻処理スキームは、いずれも存続不可能な金融機関の延命、救済には使われず、その上で、モラルハザードを防ぎつつ、金融システムを守ることができます。また、金融機関の規模やその営業地域、分野におけるポジションに応じて三種類の破綻処理スキームを用意すること等により、国民負担を最小化することが可能となるのであります。
 この法案が成立したことにより、日本の金融危機、ひいては日本発の世界恐慌は回避されました。もちろん、これは、小渕総理が無為無策であったゆえに野党がイニシアチブを発揮した結果であります。また、与野党逆転の参議院の力でもありました。
 こうした状況から、小渕総理にとって最重要課題は参議院での与党を多数にすることとなっていったと言えます。昨年十一月十九日には、小渕総理と小沢自由党党首との間に自自連立内閣の合意が取り交わされ、さらに自自公連立の枠組みがつくられると、小渕内閣は数の力によって野党の意見には全く耳をかさず、猛牛のごとく突き進む恐怖内閣へと変貌いたしました。
 まず、ガイドライン関連法案では、小渕総理の外交日程、いわゆる日米首脳会談のために委員会での真摯な論議を踏みにじり、自自公による秘密協議により法案を強行可決させております。これは、国会での論議を否定した議会制民主主義への冒涜であります。このような民主主義の王道を捨て、しゃにむに法案の通過のみを優先させる小渕内閣の政治姿勢は、国会の権威を形骸化するばかりでなく、ひいては日米の信頼関係をも損なうことは自明であります。
 民主党は、防衛指針関連三法案のうち、周辺事態法案については独自の修正案を提出し、自民、自由、公明三党が合意した修正案と政府原案には反対いたしました。我々は、ガイドラインの実効性を高めるための法整備を進めることは、我が国の安全保障上重要であるとの基本認識に立っております。その上で、我が国の主体性確保と国民生活に対する配慮を法律面で担保することが必要だと考え、政府提出法案に対する修正を求めてきました。
 しかし、自民、自由、公明党が合意した修正案に基づき成立した法律は、以下の点を初め、看過できない重大な問題点を抱えており、この内容では国民の利益に反し、日米防衛協力の実効性確保にむしろ逆行しかねないものと言わざるを得ません。
 第一に、自衛隊の一部活動のみを国会承認事項とし、シビリアンコントロールが不十分であるのみならず、地方自治体や民間協力に対する国会のチェックがきいていないことであります。
 第二に、周辺事態の定義や政府統一見解は拡大解釈の余地が大き過ぎ、専守防衛を大きく超えて自衛隊の活動領域が世界に広がる懸念が払拭できないことであります。
 第三に、ガイドラインで日米合意した国連決議に基づく船舶検査に関する項目をすべて削除し、法律として未完成のものとなっていることであります。
 衆議院で三党が修正合意に至る過程は、山崎拓委員長のもと、委員会の中で協議を進めるという合意を踏みにじり、国会で積み重ねられてきた政策論議を土壇場で旧来の国対政治でひっくり返したものであります。三党はそれぞれの党利党略を最優先するためにガイドラインを政争の具としたのであります。
 こうした姿勢は、国民を冒涜し、議会制民主主義を否定するだけでなく、結果的には日米関係をも傷つけるものであり、大変遺憾と言わざるを得ません。また、このことについて小渕総理の責任も重大であると考えます。
 加えて、ガイドライン関連法案の船舶検査活動に関する条項は、自自公の枠組みを優先し、先送りにしたまま今なおたなざらしになったままであります。特別委員会で自民党と自由党の発議者は、今国会中に必ず提案し、成立させると胸を張って私に答弁したことを今も忘れることができません。まさに小渕連立内閣は、政策合意よりも数の論理を優先した内閣であると断ぜざるを得ません。
 このような小渕内閣の政策より単なる数の論理を優先した手法には限界があることは、今の私が申し上げました船舶検査活動の棚上げのみでなく、衆議院定数削減問題について自自合意が何ら実現していないことからも明らかであります。
 また、昨年の第百四十二通常国会に提出され、問題法案として継続審議になっていた盗聴法案等三法案や住民基本台帳法の一部改正案など、国民の権利やプライバシーを侵害するおそれが強い法案についても、憂慮する各界有識者や国民の声を一顧だにせず、圧倒的な数の論理で強行成立させようとしているのであります。(発言する者多し)
 とりわけ、いわゆる盗聴法案等三法案については、八月九日の参議院法務委員会において、政府・自民党は審議打ち切り動議を一方的に採決したばかりか、混乱と喧騒の中、委員長の声も聞こえず、委員の賛否も確認できないにもかかわらず法案採決を強行しました。否、可決したのだと強弁しております。ところが、このような動議や法案可決の事実は、テレビ中継の録画を見ても、あるいは当の法務委員会の速記録を見ても、何ら明らかではありません。法務委員長が可決したと言っているにすぎません。ただでさえ慎重に審議しなければならないこのような法案を、これまた、国会での論議を無視し、数の論理で押し切ろうとしております。(発言する者多し)
 すなわち、九日の法務委員会の経過を見てもよくわかるわけであります。午後八時過ぎ、民主党・新緑風会の円より子議員が質疑に立ち、まず委員会の強行開会に強く抗議し、私たちの意思に反した委員会だが、委員長が強行採決などをしないよう、国民の怒りを代表して出席したと表明しました。
○議長(斎藤十朗君) 本岡君、時間が超過しております。簡単に願います。
○本岡昭次君(続) 続いて、要求した総理出席の総括質問や、通産、郵政、自治大臣出席の連合審査のいずれも実現していないと荒木委員長の委員会運営を批判するとともに、憲法五十九条第四項の参議院のみなし否決規定を盾に、採決を迫る与党側を、脅迫であり、国民軽視と非難されるべきだと牽制しました。
○議長(斎藤十朗君) 本岡君、時間が超過しております。簡単に願います。
○本岡昭次君(続) 円議員はさらに、これまでの審議の中で明らかになった盗聴法の問題点を列挙しました。
 午後八時五十分ごろ、円議員が再度、小渕総理への総括質疑を要求し、理事懇談会を開くよう迫り、荒木委員長が今はできないと青ざめた、言葉を詰まらせた瞬間、突然、自民党の鈴木正孝委員が手を挙げ質疑打ち切り動議を出しました。(発言する者多し)
○議長(斎藤十朗君) 御静粛に願います。御静粛に願います。
○本岡昭次君(続) 否、これは動議であったのか、単なる不規則発言にすぎなかったのか、定かではありません。しかし、これを受けて一斉に与野党議員が委員長席に詰め寄り、大混乱となりました。
○議長(斎藤十朗君) 本岡君、本岡君、本岡君、本岡君。(発言するもの多し)御静粛に願います。本岡君、発言時間の制限が決まったところです。制限以内でやってください。
○本岡昭次君(続) その後、荒木委員長の議事進行は全く聞こえず、そのまま衛視に囲まれて公明党の議員控室に逃げ込んだのであります。荒木委員長が言うような採決はどこにも存在しなかったと言わざるを得ません。
 法務委員会等の場で既に繰り返し主張したことですが、この三法案については、法制審議会や与党間協議での論議、あるいは多くの学者、マスコミも指摘するように、その内容は、憲法、刑法、刑事訴訟法の基本理念にかかわる多くの問題をはらむとともに、国民の基本的人権を脅かすおそれがあることから、国会における慎重な上にも慎重な審議が求められていたのであります。
○議長(斎藤十朗君) 本岡君、簡単に願います。
○本岡昭次君(続) 組織犯罪処罰と犯罪収益規制法については、特定の犯罪について団体の組織活動として行った者の刑罰が加重される理由が不明確な上、その団体は犯罪集団に限定されず、労働組合や広く各種の民主団体、あるいは政党もその例外ではありません。
○議長(斎藤十朗君) 本岡君、時間が超過しております。簡単に願います。
○本岡昭次君(続) マネーロンダリングについては、犯罪収益とそれを得る前提となる犯罪は組織犯罪に限られない上、ともに極めて広範囲で、これに対する裁判所の没収保全命令は、前提となる犯罪の有罪確定前にも認められております。犯罪収益利用による法人等の事業経営支配行為を犯罪とすることは、一つ間違えば、株主権の行使や適法な経済活動も取り締りの対象となってしまいます。
○議長(斎藤十朗君) 本岡君、時間が超過しております。簡単にお願いします。
○本岡昭次君(続) 金融機関に対する疑わしい取引の届け出義務は、市民の金融に対する不信を増幅させ、経済活動を萎縮させることから、さきにこれを制度化したアメリカでは、銀行、産業界のみならず、国民の強い反対で、最近これを取りやめています。
○議長(斎藤十朗君) 本岡君、発言時間が制限されております。
○本岡昭次君(続) また、通信傍受法、いわゆる盗聴法案は、まさに警察に広い盗聴を許すもので、過去の警察の違法盗聴の実態に照らして、乱用の危険が極めて大きいことであります。(発言する者多し)
 私どもは、このように極めて多くの問題を含む法案を慎重に審議せず、乱暴きわまりないルール無視の暴挙によって成立を強行しようとする政府の対応を認めるわけにはまいりません。
○議長(斎藤十朗君) 本岡君、時間が超過しております。簡単に願います。
○本岡昭次君(続) 昨年来、小渕内閣はひたすら政権の枠組み維持に固執してきました。みずからの理念をかなぐり捨てて自由党と政策合意をしたと思えば、今度は別の党の方が数が多いからと過去の約束をほごにする。
○議長(斎藤十朗君) 本岡君、時間が大幅に超過しております。簡単に願います。
 このままいきますと、発言を禁止せざるを得ません。(拍手)簡単に願います。
○本岡昭次君(続) この間、小渕政権が追求してきたのは一貫して数の論理であり、政策も理念も、また道義や責任といったものも、その陰にひたすら押し殺してしまっているのであります。
 そのような内閣が、歴史の分水嶺とも言うべき日本の困難な時代に責任を持って対処できるというのでしょうか。我々の子供たちに将来の日本のビジョンを示すことができるのでしょうか。
 このような無責任内閣は即刻退陣し、政権を我々に受け渡すべきであります。もはや、国会を形骸化させる小渕内閣の小政治的手法では、日本のかじ取りを担う責任感も能力も欠如していることはだれの目にも明らかであります。
 よって、ここに内閣総理大臣小渕恵三君の問責決議案を提出いたします。
 良識ある議員の方々、それぞれの立場を乗り越えて勇気を持って御賛同くださることを心から期待し、趣旨弁明を終わります。(拍手)
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。久世公堯君。
   〔久世公堯君登壇、拍手〕
○久世公堯君 私は、自由民主党、公明党、自由党を代表して、ただいま上程されました小渕内閣総理大臣に対する問責決議案について、断固反対の討論を行います。
 我が国の浮沈をかけたこの一年間、小渕総理がどれほど我が国の再生に必死に取り組んでこられたか、以下申し上げ、この問責決議案がいかに不当であるかを明らかにしたいと存じます。
 昨年七月三十日、小渕内閣が誕生いたしましたとき、世界はデフレ不況の危機にあり、我が国はまさに剣が峰に立たされておりました。小渕総理は、真っ正面から難局に取り組まれ、金融システムの安定、平成不況からの脱出を目指し、大胆かつタイムリーに次々と対策を打ち出されました。
 外交面でも、ケルン・サミットや数多くの首脳会談を通じて、ミサイル発射や拡散の抑止等を初めとして我が国の立場を強く主張され、クリントン大統領を初め主要国の首脳との信頼関係の強化に努力されました。さらに、来年の沖縄サミット開催を決定されましたことは、総理の英断として国際的にも大歓迎されたのは記憶に新しいところでございます。
 このように、小渕総理が金融、経済を初め我が国の安全にもかかわるかつてなく多難な事態において、各界の意見や国民の切実な声に謙虚に耳を傾け、政策に反映されるよう懸命に努力されておられます。その総理のお人柄、政治姿勢は、国民を安心させ、信頼感を高め、総合力をフルに発揮しつつ、腹の据わった決断をする新しいタイプの宰相と評価されており、世論調査は最近大幅にアップし、五〇%をかなり上回る内閣支持となっております。
 発足以来、このような多大な成果を上げておられる小渕総理に対して、国会の終盤、最大の山場において問責決議案を提出した野党の意図は、このまま何の波乱もなく通常国会を終わらせてしまっては野党としての存在意義が問われるという、全く党利党略的なパフォーマンスであります。
 特に、参議院法務委員会において、去る九日、衆議院を上回る五十時間以上の十分な審議を行った組織犯罪三法案の採決の際に、反対の野党諸君が委員長席になだれ込み、委員長が何ら瑕疵なく議決したにもかかわらず、これを強行可決と称して行政の最高責任者の責任を問うかのようなこの決議案は、まさに党利党略そのものと言わざるを得ません。
 今通常国会に先立ち、政局を安定させ難局を乗り切るために、新年早々、小渕総理の決断により小沢自由党党首との党首会談が行われ、自由党との連立政権が発足し、政権基盤の強化が図られました。
 加えて、公明党とも協議、合意により、十一年度予算が史上最も速いスピードで成立し、また、橋本内閣からの懸案でありますガイドライン関連法、中央省庁再編法、地方分権推進法等について成立にこぎつけ、副大臣制の導入、政府委員制度の廃止等、政治主導体制を確立し、さらに先日、日本国、日本民族のシンボルとして日の丸・君が代が法制化され、憲法調査会が衆参両院に設置されることになったのは、二十一世紀を迎えるに当たりまことに時宜を得た決断であると高く評価するものであります。
 一内閣一仕事とよく言われますが、この一年間を振り返ってみますと、小渕内閣はどのくらい多くの仕事の成果を上げたことか。まさに驚嘆に値をいたします。
 しかし、これから景気を本格的な回復軌道へ乗せるためには、さきに成立した補正予算や産業活力再生特別法を早期、適切に執行し、一日も早く深刻な雇用問題を改善していかなければならず、北朝鮮のミサイル発射問題についても、日米韓の連携のもとでその抑制に努めておりますが、予断を許さぬ情勢にあります。
 このように、内外ともになお厳しい情勢にあり、政権基盤の安定化により、政府として情勢変化に即応できる万全の体制をとることは、多くの国民が望んでいることであります。
 総理は、二年目の抱負について、「分け入っても分け入っても青い山」という種田山頭火の句に心境を託されました。おごりや高ぶることのない文人総理のお人柄と、難問に立ち向かう強い決意がうかがわれるのであります。
 私どもといたしましても、残された重要法案の成立や与党としての体制の強化に全力で取り組み、小渕内閣を支えてまいる所存であります。(拍手)
 小渕総理に対する問責決議案が、この一年間の内閣の実績や評価等から見ていかに不当なものであるか、議員各位が十分に御理解いただき、大差で問責決議案が否決されるよう切にお願いをいたし、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 角田義一君。
   〔角田義一君登壇、拍手〕
○角田義一君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま提案のありました内閣総理大臣小渕恵三君に対する問責決議案に賛成の立場から討論を行います。
 総理、私がこの演壇に立って、あなたに対して問責決議案の賛成討論をしなければならない私の心情というものをどれほど御理解いただけるでしょうか。
 私は、総理と同じ一九三七年、昭和十二年の生まれであります。お互い六十二歳の人生を生きてまいりました。あなたは今や日本の宰相の地位にあられる、私は一介の参議院の野党の議員でございます。
 私から申し上げるまでもなく、お互い最後の戦争を体験した世代であります。いかなることがあっても日本が再びあの間違いを犯してはならない、どんな犠牲を払っても平和は確立しなければならない、そして近隣諸国の信頼をかち得て世界に貢献しなければならない、こういう気持ちは一緒だと思っております。そして、あなたが福田、中曽根両巨頭の中で、みずからかつて谷間のラーメン屋というふうなことを言っておられました。大変な忍耐の末に、天命として今日の地位を得られたと私は思っております。
 まことに私的なことで申しわけありませんが、私自身も群馬の地におきまして、福田、中曽根という両巨頭を相手にして、血みどろの選挙戦を戦い抜いて今日ここに立っております。立場は違うとはいえ、同じ上州人として、あなたが総理になられたとき、同じ世代の者として、間違いなく日本のかじ取りをきちっとやってもらいたい、こういう心情は持っておりました。
 しかし、この一年、特に最近のあなたの政治行動を見るとき、これが私どもが知っているかつての、上州ではおぶっつあん、おぶっつあんと親しまれておりますが、小渕恵三総理の本当の姿なのか、一体どちらが小渕恵三総理の本質であるのか、私は大変疑問に思っております。一年権力の座にあって、数を合わせ何が何でも権力を維持する、権力に執着をする、こういう態度をとり、自自公という枠組みを何が何でもつくり上げ、数を頼んで恐怖政治を巻き起こす、そのおそれあり、なぜそういう政権になっていくのか、私には理解できないのであります。
 あなたが、また自民党が自自公政権をつくる理由として、額賀防衛庁長官の問責決議がこの本会議において初めて憲政史上通過をした、さらに、中村正三郎法務大臣はみずからの不祥事によって辞任に追い込まれた。新聞報道によりますと、総理は、今度はおれの番かとつぶやいたと言われております。そして、そのことを防ぐために自自公というものをつくり上げなければならないと、もし決意されたとすれば、これほどの間違いは私はないと思っております。
 額賀防衛庁長官は、我々が問責決議案を突きつける前にみずから職を辞すべきでありました。そして、総理がリーダーシップを発揮して彼をやめさせるべきではなかったんでしょうか。さらにまた、中村正三郎法務大臣についてもしかりであります。「泣いて馬謖を斬る」という言葉がございます。あれはあのとき、総理がまさに政治家としての毅然としたリーダーシップをとっておられたならば、我々は何も好きこのんで防衛庁長官の首を切るために問責決議を出す必要もなかったし、あれほど中村正三郎法務大臣を責め立てることはなかったのであります。
 そういう意味で、もしそのことによって自自公を参議院でつくり上げようとするならば、それは王道ではない、覇道を求める政治姿勢であり、絶対に国民の信頼を私は得られないというふうに思っております。
 この通常国会、大幅に会期を延長されました。八月十三日までであります。私は、この八月十三日まで会期延長をされたということを聞いて驚きました。気配りの小渕と言われております。一体、八月十三日というのはどんな日ですか。八月十三日はお盆の入りであります。民族大移動、皆国民が両親のもとに帰って御先祖を拝む、祭る、そういう日ではないですか。また、しかも八月十三日、ことしは金曜日であります。キリスト教にとってどういう日であるか。神や仏を恐れず八月十三日まで会期延長を決めるということ……(発言する者あり)何だ、黙って聞け。気配りの小渕さんにしてはなぜそういう決断をしたか、私は今日なお理解に苦しむ。
 そして、これだけの大幅な会期を延長して、今この問題になっておりますいわゆる盗聴法、さらには住民基本台帳法、日の丸・君が代法案、何でもすべて成立をさせるんだと、そのためには数の暴力、何と言われてもやるんだと。政権の座にある者は、やはり一歩引いたゆとり、余裕というものが必要ではないんでしょうか。
 あれだけ問題になっております盗聴法あるいは住民基本台帳法、これらの問題についてもう少し時間をかけて国民的な同意を得る、こういう余裕を持ってもらいたいものだと私は思うのであります。
 犯罪捜査にどうしても通信傍受が必要であるとするならば、あれだけの時間をかけて審議をしたがさまざまな欠陥が出てきた、直すべきものは直さなきゃならぬじゃないか、そういう時間の余裕、ゆとりがあってもいいではないですか。そして継続にしてゆっくり議論をして、詰めるものは詰めてもらったらいいじゃないですか。
 住民基本台帳法は、プライバシー保護法と一対になっております。それも三年後であります。巷間言われておりますように、委員会の審議を奪って中間報告なる聞いたこともないような報告をさせて押し通そうとするやに聞いておりますが、なぜそこまでやらなければならないのか、もう少し政権の座にある者はゆとりを持って事に処すべきだと私は思います。
 私は、日の丸・君が代の問題について我が党はいろいろな議論をしてまいりました。政党として……(発言する者多し)
○議長(斎藤十朗君) 角田君、時間が超過しております。簡単に願います。
○角田義一君(続) 私は、国旗・国歌の問題について我が党は本当に真剣な議論をしてまいりました。そして最終的に御案内のとおり、国旗については法制化を認めよう、しかし、君が代については、もう少し時間をかけてゆっくり国民的な合意を得べきではないかというふうな態度をとってまいりました。
○議長(斎藤十朗君) 角田君、角田君、時間が超過しております。結論をお急ぎください。
○角田義一君(続) この国歌・国旗につきましても、あなたは最初どう言っておられたか。通常国会の予算委員会の中で、国旗・国歌について法制化は考えていないと言ったんです。一国の総理の発言は非常に私は重いものだと思っているんです。国旗・国歌について法制化は必要でない、こう言っておきながら、確かに広島の事件は不幸な事件であります。しかし、不幸な事件とはいえ、そのことが直ちに、国旗・国歌を法制化しなければならないという短絡的な結論が出るのでありましょうか。なぜああいう事態が起きたのか、もう少し冷静に事態を考え抜いて、そして対処するのが宰相としての私はあなたの務めではなかったかと思います。
 それにもかかわらず、簡単に、官房長官に言われたかどうかわからぬけれども、法制化に傾くということでは、一体総理をどこまで信頼していいのか、国民は非常に不安に駆られると思います。
○議長(斎藤十朗君) 角田君、時間が経過しております。簡単に願います。
○角田義一君(続) 私は、上州人として、このような立場で総理に大変御無礼なことを申し上げるというのは心苦しいと思うが、しかし、だれかが同じ上州人としてきちっと物を言わなければならないと思うから言っているのであります。どうかひとつ私の心情を議員諸君の皆さんも理解していただきまして、我々のこの問責決議案に対して賛成賜りますことを心から訴えて、私の賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
○市田忠義君 日本共産党を代表して、小渕内閣総理大臣に対する問責決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
 私は、討論に先立ち、二度にわたって議員の投票権を奪った前代未聞の議長の行為に対して、断固たる抗議の意思を表明するものであります。
 一九九二年のPKO国会では、十三時間以上かかっても投票権が保障されたのであります。「注解参議院規則」によれば、表決とは議員の最も基本的で最終的な権能であると規定しています。議長の行為は、その権能を奪うものであり、絶対に許すことはできません。
 さて、小渕内閣が発足して一年がたちました。しかし、本院では、昨年七月、自民党の歴史的敗北とも言うべき参議院選挙の結果を受けて、小渕総理を首班には指名しませんでした。つまり、小渕内閣はその初めから民意とかけ離れた存在だったのであります。したがって、小渕内閣には歴代のどの内閣にも増して民意に耳を傾けた政権運営と政策の展開が求められたのであります。
 ところが、この内閣のやったことは何でしょう。まず、自由党と連立し、次いで公明党とも連携するという国会での多数派工作でした。自由党も公明党も、参議院選挙では自民党政治と対決することを国民に訴え、首班指名でも小渕総理には投票しなかったのであります。しかも、政府予算案に反対した党とも連立を組むに至っては、小渕内閣に議会制民主主義の道理をとうとぶ立場も正当性も全くないと言わざるを得ません。
 自自公を背景とした小渕内閣には、民意に耳を傾けるという姿勢も、国民に説明をして納得を得ようという姿勢も、国会で議論を尽くすという姿勢も全くありません。あるのは、ただ問答無用の多数の暴力だけであります。公明党所属の委員長と与党とで行われた一昨々日の法務委員会での暴挙は、自自公体制と小渕内閣の民主主義を踏みにじる本性を余すところなく証明したのであります。
 それだけではありません。問答無用のやり方は、我が国の進路の問題や平和、民主主義、国民生活など、あらゆる面で押し通されました。
 第一は、新ガイドライン関連法の強行であります。
 この法律は、アメリカの起こす戦争に日本が参加する、紛れもない憲法違反の戦争法であり、我が国憲法のもとで、そもそもその存在が許されないものであります。戦争を深く反省し、世界に先駆けて戦争を放棄した我が日本国憲法第九条は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇」、「武力の行使」を厳しく禁止しています。国会のどんな多数派といえども、主権者たる国民の意思を問うことなしに、この憲法を踏みにじって戦争に参加する法律をつくる権限など、絶対にあるはずがありません。これを自由、公明の両党と組んで押し通した小渕総理は、歴史の厳しい審判を免れることはできないでありましょう。
 第二は、日の丸・君が代の押しつけであります。
 政府が法制化の最大の大義名分にしたのは、国民の間に定着しているという国民定着論でした。ところが、我が党の山下議員の質問に、野中官房長官は、定着していないから法制化するのだと答弁し、定着論が完全に崩壊したことをみずから認めたのであります。最大の大義名分が崩れたのなら、当然撤回すべきではありませんか。それを国会で強行し国民に押しつけることは、到底許されるものではありません。
 日の丸・君が代の法制化、中でも君が代の法制化は、日本国憲法の国民主権の原則にも反し、過去の戦争に対する反省の宣言にも反するものであります。
 君が代は、この歌が国の歌とされた最初のときから、天皇絶対の体制をたたえるものとして歌われました。過去の戦争は、すべて絶対の地位にある天皇の命令や承認で始めたものであります。それを戦後、国の大原則が変わった憲法体制のもとに復活させる小渕総理の態度は、平和主義と主権在民の憲法の原則を真っ向から否定するものにほかなりません。
 また、内心の自由などを口にしながら、実際には法制化を教育現場への強制の道具にしようとする意図を隠さない小渕総理の責任が問われるのは当然であります。
 第三は、盗聴法のごり押しであります。
 憲法第二十一条は、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と規定しています。ところが盗聴法は、憲法が保障する通信の秘密やプライバシーなど基本的人権を侵害する盗聴というとんでもない武器を、警察と政府に与える法律であります。
 しかも、別件盗聴、予備盗聴、試し聞きなど何でもありという、市民の生活に警察がずかずかと土足で上がり込んでくる仕組みになっています。多くの国民は、みずからのプライバシーを侵されたことをいつまでも全く知らされないまま、権利侵害に対する不服申し立てや損害賠償を求める道が永久に閉ざされているのであります。
 およそこのような人権侵害の野放しは、国民の基本的人権尊重を根本原則とする我が憲法のもとで許されないことは明白であります。しかも、盗聴を行うのは、我が党の緒方参議院議員の自宅の電話を盗聴し、そのことが東京高裁でも厳しく断罪されながら、いまだに組織的盗聴を行ったことはないと強弁し続ける警察であります。
 こうした内容を持つ法案だからこそ、審議すればするほど、国民の反対の声が大きく膨らんだのは当然であります。
 犯罪対策と称して憲法違反の盗聴という権力犯罪を合法化する悪法を数を頼んで押し通そうとする、これほど小渕・自自公連立体制の反国民性を象徴する出来事はありません。
 第四は、住民基本台帳法案強行の策動であります。
 これもまた、憲法で保障された国民の基本的人権やプライバシーを損ねるだけでなく、これを大量に流出させ、しかもその情報は自治省に一元化するという、盗聴法にも通ずる暗い社会を予感させるものであります。こうした法案を提出して恥じない小渕総理の政治姿勢は、到底看過できるものではありません。
 第五に、深刻な不況、なかんずく戦後最悪の失業を放置し、増幅させた責任であります。
 現在の完全失業率四・九%という数字は、一年前には考えられもしなかった水準でした。今、我が国には三百二十九万人の完全失業者が必死の思いで職を求めているのであります。
 ところが、小渕総理は、五月、企業が競争力を持つためには残念ながら失業率はまだふえざるを得ないと平然と述べ、事実、産業活力再生特別措置法などの一連のリストラ促進法を提出し、成立させたのであります。
 これらの法律は、小渕総理の私的諮問機関である産業競争力会議に提出された経団連の「わが国産業の競争力強化に向けた第一次提言」に沿って立法化されたものであります。経済白書が指摘した三つの過剰、すなわち、雇用、設備、債務の過剰を国民の税金を使って大企業の利益を守る立場で打開しようとするものであります。
 そもそも、借金や機械などの過剰と同列に人間の過剰を言うこと自体、小渕内閣の非人間性を示すものと言わなければなりません。国民の暮らしを預かる総理としての資格に欠けると断ぜざるを得ないのであります。
 さらに、六十兆円もの銀行支援、ゼネコン型公共事業の拡大による財政危機の深刻化の責任も重大であります。
 介護保険や年金を初め、社会保障についての国民不安を増大させてきたこと、深刻な消費不況に対し最も効果的である消費税引き下げに見向きもしなかったことなど、その罪悪は挙げれば切りがありません。
 私は、最後に、この一年間の小渕内閣の実態は、小渕総理を首班として指名しなかった本院の選択がいかに正しいものであったかを痛感するものであります。(拍手)したがって、小渕総理への問責を決議することは、国民に対する本院の責務と言ってよいでありましょう。
 昨年の首班指名で小渕総理に投じられなかった方はもちろん、良識あるすべての皆さんの御賛同を訴えまして、私の賛成討論を終わるものであります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 渕上貞雄君。
   〔渕上貞雄君登壇、拍手〕
○渕上貞雄君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました小渕内閣問責決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。
 討論に入る前に、参議院改革に積極的に取り組んでおられる斎藤議長、斎藤議長ともあろうものが、二度にわたり我々の基本的な権利である投票権を制限することなど、改革に取り組む者の姿勢として真に問われなければならない。断固、私はこの行動に対してまず抗議をするものでございます。(拍手)
 さて、昨年の七月の参議院選挙で示された民意は、これまでの政治、行政のあり方を明確に否定したものであり、自民党にはもはや政権担当能力がないとの国民の声でありました。しかし、少数与党として出発した小渕内閣は、民意に背を向け、数合わせのみに奔走し、国民が切実に要求をしている生活の安定や福祉の充実、雇用の確保と安定など当面する重要課題には全くこたえようとせず、既得権益擁護、利益誘導型の政治を進めたのであります。
 内閣総理大臣小渕恵三君と同君の任命した閣僚は、現下の深刻な情勢に際し、大胆に福祉、環境、情報など生活基盤型の公共投資を進め、雇用の確保と安定を促し、国民生活の安定を図らなければならなかったにもかかわらず、従来型の公共事業に偏重したばらまき政策を続け、国民の先行き不安を解消できませんでした。このことは、企業倒産、リストラなどによって史上最高を更新し続けている完全失業率の高どまりや消費停滞、中高年の自殺率の高さや子供たちの学級崩壊などに如実に示されており、今や国民の政治不信は極度に高まっております。
 小渕政権は、憲法を変質させ、その先に憲法改悪を展望している点についてのみ一致している、理念なき野合政権であります。国民の権利義務に対し重大な転換をもたらす新ガイドライン関連法案、国旗・国歌法案や憲法調査会の設置などに対して行われた数に物を言わせた国会運営は、後世に汚点を残すものでありましょう。特に、本院において不当かつ一方的な委員会運営が行われ、与党によって強引に成立がもくろまれている組織犯罪対策関連三法案の取り扱いは本院の名誉を著しく傷つけるものであり、恥ずべきものであると考えています。
 さらに、小渕政権は、不況の最大要因と言われ、国民の生活不安の根源ともなっている社会保障制度に対しても国民不在の議論を続け、改革を怠り、年金改革関連法案は、これまで五年に一度の見直し時期において必ず通常国会に提出されてきたにもかかわらず、今通常国会では年金の財源をめぐって与党の調整が長引き、最終盤に至ってようやく提出されたものの、審議もいまだ行われておりません、年金保険料は既に四月から凍結されているのであり、年金財政の悪化が進む中で国民の不安にこたえ得る年金改革は喫緊の課題にもかかわらず。また医療制度改革についても、すべての医療制度改革が滞り、薬価制度改革を初め一つの法案も提出できていません。自社さ連立政権下で医療制度改革は国民への公約でもあったはずであります。
 国民が求めているのは、世界に例を見ない少子高齢化社会の進展等に対応した社会のセーフティーネットの整備であり、このことを怠っている小渕政権は民意を全く反映していないのであります。
 また、未曾有の長期不況で経済が疲弊する中、小渕政権がばらまき財政によって気前よく振る舞っているものの、国民は国の膨大な借金が後世に対するツケ回しとなることを知っており、それが先行き不安を呼んで、消費が停滞をするという悪循環を呼んでおります。
 さらに、政治改革を衆議院の比例代表の定数削減問題にすりかえ、政治倫理の確立もないがしろにされています。清潔かつ信頼できる政治の実現を国民は何よりも求めており、これに逆行することは許されません。政治家もみずから襟を正し、国民から疑惑を受けることのないよう、信頼される政治を確立しなければなりません。
 企業・団体献金の禁止は急務の課題であり、本院に提案されているあっせん利得罪行為を処罰するための地位利用収賄等処罰法の制定や政治改革関連法案の拡充強化は急務であります。とりわけ、企業・団体献金については、二〇〇〇年一月から禁止されることになっているにもかかわらず、自自政権がこれをほごにしようとしていることは、国民に対する裏切り行為であります。
 さて、深刻な不況をそっちのけで国民不在の議論に終始している自自連立政権は、社民党が連立政権下で確立をした民主的手法、清廉な政治、そして政権内の意思決定機関の厳密な運営とその透明化などとは全く対極に位置する政権であります。自自政権が野田実議員の議員失脚、中島洋次郎議員の逮捕、防衛庁不祥事など、相次ぐスキャンダルの渦中で誕生したことは象徴的であり、政治の浄化は望むべくもありません。自民党は自社さ連立政権が小沢強権政治打破のために政策で合意されたことを忘れたのでありましょうか。
 平和憲法を守り、民主主義を確立し、まじめに働く人々、社会的に弱い立場にある人々が安心して暮らすことのできる日本を創造していくのか、それとも、安保・外交問題を突出させ、我が国を憲法改悪、軍事偏重の方向へ大きく転換させるのか、日本は今大きな岐路にあり、政治の責任は重大であります。
 しかるに、小渕政権は、国民不在の政治を続ける理念なき野合政権であり、日本国憲法をじゅうりんしようとする危険な性格をあらわにしています。
 二十一世紀を目前にして、国民の将来不安を解消し、日本経済に活力を取り戻すためには、小渕政権の失政をこれ以上容認するわけにはまいりません。
 総理の言われる富国有徳の精神とは一体何でありましょうか。みずからの政策も理念も持たず、危険な動きに流されるまま真空総理と言われる小渕総理、時計の針を押し戻すことはもうやめましょう。
 以上、賛成の理由を申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) これより本決議案の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票を速やかにお願いします。──速やかに御投票願います。──どうぞ投票してください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに投票してください。──前へ進んで。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに投票してください。──速やかに投票してください。このままですと、また時間を制限せねばなりません。時間制限をしないでいいように御協力いただきたいと思います。(拍手)──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。速やかに御投票願います。このままですと、再び投票時間を制限せざるを得なくなります。投票時間を制限させないでいいようにしてください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。このままですと、投票時間を制限せざるを得なくなります。速やかに投票をしてください。──速やかに御投票ください。
 投票時間の制限をいたします。(拍手)ただいま行われております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間が参りますれば投票箱を閉鎖いたします。速やかに御投票ください。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──時間となりました。(「そんなことないでしょう」と呼ぶ者あり)あと一分だそうです。──制限の時間になりました。どうぞ投票の御意思のある方は直ちに投票してください。(拍手)──投票の意思のある方は直ちに投票してください。──投票の意思のある方は直ちに御投票願います。──直ちに御投票いただきませんと投票の意思なしと認めざるを得ません。──投票の御意思のある方はあと一分以内に投票願います。──投票の御意思のある方は一分以内に投票してください。──御投票いただかない方は御投票の意思がないものとみなさざるを得ません。(拍手)──直ちに御投票ください。
 一分が経過いたしました。投票箱閉鎖。(拍手)
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。(発言する者多し)
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十七票  
  白色票           七十七票  
  青色票           百四十票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) 藁科滿治君外四名から、賛成者を得て、この際、議院運営委員長岡野裕君解任決議案(藁科滿治君外四名発議)(委員会審査省略要求事件)を日程に追加するの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 速やかに投票をお願いします。──速やかに投票をお願いします。──早くやってください。早く投票しないと余計疲れます。──どうぞそこにとまっていらっしゃらないで。──どうぞ投票してください。──どうぞ投票してください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。速やかに御投票願います。──そこにとまっていないでください。──どうぞ投票してください。──御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに投票願います。──どうぞ御投票ください。──速やかに御投票願います。速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。
 投票時間に制限をつけます。ただいま行われております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。(拍手)時間が参りましたらば投票箱を閉鎖いたします。速やかに御投票ください。──御投票の御意思のある方は直ちに御投票ください。──速やかに御投票願います。御投票の御意思のある方は直ちに御投票願います。──制限時間が参りました。投票の御意思のある方は直ちに御投票ください。──直ちに御投票いただきませんと、投票の意思なしと認めざるを得ません。──どうぞ投票してください。──どうぞ投票してください。──あと一分のうちに投票してください。投票の御意思のある方はあと一分のうちに投票してください。──投票の意思のある方は直ちに投票してください。──投票してください。順番は越えていって結構です。どうぞ越えてください。
 一分となりました。これにて投票箱閉鎖。(拍手)
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。(発言する者あり)
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百九票
  白色票           七十一票
  青色票          百三十八票
 よって、本動議は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) これにて午前七時三十分まで休憩いたします。
   午前六時十六分休憩
─────・─────
   午前七時三十一分開議
○副議長(菅野久光君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 本岡昭次君外六名発議に係る議長不信任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(菅野久光君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。江田五月君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔江田五月君登壇、拍手〕
○江田五月君 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合の三会派を代表して、議長斎藤十朗君の不信任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
    議長不信任決議案
  本院は、議長斎藤十朗君を信任しない。
  右決議する。
  理由
  斎藤十朗議長は、八月十二日未明、法務委員長荒木清寛君解任決議案並びに自民党提出の発言時間・討論時間等を制限するの動議の投票に際し、未だ多数の議員が投票の意志を示しているにもかかわらず、議長の議事整理権と称して強行に投票行動を制限し、不当にも採決を途中で打ち切った。この本会議は、法務委員会で荒木委員長が採決したと主張する盗聴法と言うべき組織犯罪対策三法案をも議題とするものであり、断じて認められるものではない。また組織犯罪対策三法案の委員会採決は質疑打切り動議さえ採決されておらず、ましてや法案を採決する行為は行われていない。また本案が本会議の議題となるに際しても、議運理事会で与野党協議がまとまらない中で、議長職権によって会議の開会を強行決定した。
  かかる斎藤議長の行為は、まさに与党の党利党略に加担する行為であり、本院の権威を失墜させるもので、この責任は極めて重大である。
  我々は、このような不公正な議長は信任することができない。これが不信任決議案を提出する理由である。
 以上が、私どもが提出をいたしました決議案の主文及び理由でございます。
 以下、さらに理由を詳述させていただきます。
 参議院は、常に国民の信頼と負託にこたえ、国民の幸せを実現するという重大な責務を担っておりますことは言うまでもありません。
 そのために、参議院は議会制民主主義を尊重し、民主的に議会運営を遂行するという崇高な目的と理念を持っているのであります。そのことを具体的な例で申しますと、与党と野党がお互いの立場を尊重しながら、信頼感に基づいてできるだけ合意形成を図っていくということであります。
 しかしながら、斎藤議長はその原点をみずから打ち破ったのであります。
 この後、「一昨日十日午後八時、斎藤議長は本会議開催のベルを理不尽にも押してしまったのであります。」と続くと、これはどこかで聞いた文句になります。それは、一昨年十二月、当時の平井卓志議員が申し述べた不信任決議案の理由です。今回と同じ斎藤議長に対する不信任案でございます。
 参議院の使命、民主主義の目的と理念。言い古されたことではありますが、私は二年後の今日、また同じことを申し述べねばならないことを非常に悲しく思います。斎藤議長は、いつ参議院の使命や民主主義の理念を破ったのか。それが、先ほど申し上げた具体的な姿、すなわち私どもが皆この議場でつい先ほど、休憩前の議事進行の過程ではっきりと見てしまった。それが議員の投票行動に対する制約です。四回にわたる議長による投票時間制限と投票箱閉鎖による私たち議員の投票権の侵害。投票権は議員の最も重要な権利です。あだやおろそかにされてはなりません。
 確かに、投票に当たって、議長から見れば自分の指図に従わないと映る行動があったとしても、この最も重要な権利の行使を妨げるにはよほどのことがなければなりません。議長といえども……(発言する者多し)
○副議長(菅野久光君) 静粛に願います。
○江田五月君(続) 議長といえども、何をやってもいいというものではありません。恐らく議長から見ると、あれほど早く投票してくださいと言っているのに従わないのは、投票の意思なしと見られても仕方がないと映るのかもしれません。しかし、ここに至る事情は議長はよく知り尽くしておられるはずです。
 私たちは、当初から議長に対する不信任案などを用意していたわけではありません。現に、私のこの原稿も、つい先ほどの一時間少々の短い休憩時間中に走り書きしたものです。終わりまで書いておりません。途中からは原稿なしで申し述べることをぜひお許しください。それほど議長による投票権剥奪は予想外のことだったのです。
 今、問題になっているのは、根本の課題は言うまでもなく組織犯罪対策三法です。この三法、とりわけ通信傍受法案がいかに問題をたくさん抱えているか、それは既に多くの方々が述べられましたし、私も時間があれば後ほど若干の私の考え方も述べてみたいと思っております。希代の悪法と言ってもいいでしょう。そして、この悪法が十分な審議もなく法務委員会で強行可決された。強行可決と言いましたが、私もその現場にいましたけれども、採決は不存在。にもかかわらず、可決されたと称されている。異常事態です。
 そこで、私たちは、言論の府にふさわしく、言論でこの悪法ぶり、暴挙ぶりを徹底的に訴え、私たちの立場について同僚議員の皆さんの理解と賛同を得ようと考えました。したがって、円より子議員は途中のハプニングもあって三時間、千葉景子議員は一時間、吉川春子議員四十五分、福島瑞穂議員一時間十五分と、まさに超人的な弁論を展開したのです。これは、完全にルールにのっとった民主主義の世界、議会の場で、許されこそすれ、決して非難されるはずのない言動です。
 その後の記名採決に若干の混乱があったのはこの間の緊迫と緊張のしからしむるところであり、決してだれかの指図により組織立って行われたのでないことは皆さんがよくごらんになったとおりです。
 ところが、議長は、これに対し、時間制限と投票箱閉鎖で臨まれました。そして、発言時間制限動議に私どもは反対、その採決についても同じことを繰り返し、三たび四たびと同じことが繰り返されました。
 議長は常に公平無私、冷静沈着でなければなりません。静穏に事が進んでいるときには、このことはそれほど困難なことではありません。緊張し緊迫したときにこそ、議長の重要な役割があるのです。白熱した事態に、議長まで一緒になって感情に走ってはなりません。人間ですから難しいことですが、そのために議長は一段高いところにおられるのではありませんか。
 議長の今回の議事運営は、やはり私は、一方的に与党にくみし、結果として与党の言いなりになってしまったと言わざるを得ません。大変残念なことであります。
 もともと、私は、議長斎藤十朗さんを尊敬しているのです。
 今から二十三年前、私は昭和五十二年に初めて参議院に議席を得ました。そのとき、斎藤さんは昭和十五年生まれ、私は十六年生まれですから、ほぼ年代も似通っており、また数年議員の先輩でもあった若い斎藤議員のはつらつとした姿に、私も大いにこの人から学ぼうと思ったものであります。立場の違いはあっても、いろんなことがよくわかっている議長だと思っていますし、今も思っております。
 その後、参議院改革、議長の手腕は本当に目をみはるものがあった。私は十三年ぶりに参議院に戻ってまいりましたが、例えば調査会ができているとか、いろいろと斎藤議長が参議院改革で腕を振るわれて、その結果がしっかりと現実のものになっておりました。
 その議長に対して私が悪意を持つはずがないんです。現に今、私たちは用意していない不信任案を出さざるを得ない。メモだけで今お話をしているわけでございます。
 もちろん、議会の場で発言をするのに文章を朗読することはいけない、自由な発言をやれ、これが原則でありますから、これも結構です。私もやらせていただきます。しかし、皆さん、その私の心情はぜひ御理解いただきたいと思います。(発言する者多し)
 私は、民主主義というのは五つの原則があると思っております。五つの原則。
 まず第一に、与党も野党も情報が共有されていなきゃならぬ。情報公開されて皆が同じ知識を持ち、同じ理解を持って議論をしなきゃいけない。
 次は、発言の自由。発言が制限されるということがあったらこれは本当の民主主義にならない。
 そして同時に、お互いに相手の立場を思いやってみること、お互いに相互浸透すること。これがなければ民主主義と言えない。
 そして、もちろん多数決というのは民主主義の大原則です。しかし、多数決の数え方にもいろんな数え方があるんです。拍手もあるでしょう。挙手もあるでしょう。記名投票もその一つの重要な数え方です。
 そして、最後にもう一つ、少数意見はあくまで尊重されなきゃならぬ。いつ少数意見が多数意見に変わるかわからない、その可能性を常に信ずるのが民主主義の原則です。
 そして、そういう大原則のもとにしっかりとあるのはやはり寛容の精神なんですよ。ジョン・ロックの民主主義論というのがその寛容を説いている。寛容で一番大切なのは何ですか。寛容で一番大切なのは何ですか。それは、自分と反対の意見に対してこそ寛容の気持ちが示されるということなんです。(発言する者多し)皆さんとたとえ私の意見が違っても、そうやってやじり倒そうというような態度では、寛容、民主主義とは言えない。ぜひそこはわかってほしい。(拍手)
 もちろん、自分の意見と反対といっても、その反対論が例えば侮辱にわたるとかセクシュアルハラスメントにわたるとか、あるいはまた差別の発言とか、それではいけません。
 フィリバスターというのは御存じでしょうか。
 昔、映画を見たことがあります。モノクロームの古い映画で「スミス氏都へ行く」。ある正義の士が田舎の方の州から上院に出ていくんですね。アメリカの映画です。その田舎の方ではダムの汚職があった。その汚職に対して、これではいかぬというので、あえて勇を鼓して上院に出ていった田舎上院議員が、本当にだれにも信じられない、だれにも相手にされない、しかし、田舎にある一つの新聞社と提携し合って、そして壇上に立つ。二十四時間でしたかね、議論をしてして、しまくって、初めは相手にされない、だれにもわかってもらえない。しかし、次第に、彼があそこまで一生懸命言っているのは何かあるんじゃないか、だんだんと人の心が変わってくる、だんだん議場の雰囲気が変わってくる。そして、このダムの汚職がついに明らかになっていった。こういうのが、皆さん、これが言論の府のあり方なんでしょう。
 フィリバスターに対してなぜそんなに怒るのか、フィリバスターに対してなぜそんなに神経を高ぶらせるのか。ぜひ反省をしていただきたいと思います。(拍手)
 こうやって議論するときのその内容もさることながら、やはりそういう表現に対する、表現をするときの態度というものもあるんです。一生懸命やる。先ほどの円より子さん、けなげじゃないですか。私は、やっぱりあれは感動しなかったら民主主義の精神を持っているとは思えないですよ。ぜひそういうことをわかってほしい。(発言する者多し)
 今、私のこの発言も……
○副議長(菅野久光君) 江田君、時間が超過しました。おまとめ願います。
○江田五月君(続) 間もなく整理します。
 私の発言も時間が制約をされております。盗聴法について私の言いたいこともあったけれども、それを申し上げる時間はありません。しかし、皆さん、私ども野党出身の副議長に迷惑をかけてはいけません。(発言する者多し)
 ただ、私は、一つ、私の単独で提案をしたい。
 時間制限をなしにしようじゃないですか。言論で勝負をしようじゃないですか。(発言する者多し)一時間、二時間しゃべらせてくださいよ。体の限り訴えて訴えて、そのかわり採決は私は押しボタンでいいと思う。ぜひ、そういう新しい議会のあり方をつくろうじゃありませんか。(拍手)
 そういう新しい議会のあり方に逆行する態度をおとりになった斎藤議長を不信任とする、以上が私の不信任の理由です。
 どうぞよろしくお願いします。(拍手)
    ─────────────
○副議長(菅野久光君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。鶴保庸介君。
   〔鶴保庸介君登壇、拍手〕
○鶴保庸介君 ただいま議題となりました斎藤議長に対する不信任決議案に対しまして、自由民主党、公明党、自由党を代表して、断固反対の討論をいたします。(拍手)
 斎藤議長が参議院議長として、いかに参議院の円滑な運営に努力され、改革に取り組まれてきたか、その御功績から見て今回の不信任がいかに不当なものか、まず申し上げたいと思います。
 斎藤議長におかれましては、平成七年七月に全会派の賛成により議長に選任されて以来、公平、中立、適正な議会運営を常に心がけ、しかも参議院制度改革の先頭に立たれてこられました。昨年の通常国会から本会議の押しボタン方式が導入され、本会議における表決の効率化とあわせ投票責任の明確化が図られるとともに、常任委員会の再編や行政監視委員会が設置される等、着々とその成果を上げつつあることは御案内のとおりであります。
 斎藤議長は、参議院改革及び参議院運営に常に情熱を持って取り組まれ、その実施のために各会派の代表者との話し合いも粘り強く積み重ね、その意見によく耳を傾けられ、議会運営をリードされてきたことは、今回不信任案を提出された会派の諸君におかれましても十分御理解、御評価をいただいているものと確信いたします。
 民主、共産、社民が提出した斎藤議長不信任の理由には、与野党協議がまとまらない中で議長職権によって会議の開会を強行決定したとか、発言時間等を制限する動議の投票に際し、議長の議事整理権と称して強硬に投票行動を制限し、不当にも採決を途中で打ち切った、与党の党利党略に加担した、本院の権威を失墜させたなどというものであります。
 しかし、国会は十分な議論を行い、最終的には民主主義のルールで結論をつけるものであり、その議論は無限定、無目的に延々となすものではありません。
 翻ってみますと、組織犯罪対策三法案は六月一日に本院に送付されており、その後、公聴会等も含め衆議院における審議時間を大幅に上回る約五十時間に及ぶ審議を尽くされたのであります。また、送付後六十日以内に本院で採決しない場合、憲法五十九条にある、いわゆるみなし否決規定の適用が可能となりますが、既に本日で送付後七十二日目を迎えております。本院がいつまでも法案の採決を行わず、その結果みなし否決規定が適用されるようなことになれば、本院の存在意義そのものが問われることになります。
 このような状況を踏まえつつも、残された会期が極めて少ないという現時点まで、このぎりぎりの時点まで野党の理解を求めるべく努力された上での本会議開会の決断は、大局に立った議長の決断としてはまことにやむを得ないものであろうと察します。
 与野党がまとまらない中で、議長職権によって会議の開会を強行したという事実は全くありません。また、発言時間、討論時間等を制限するための投票を途中で議長の議事整理権で制限したことは、議会政治の常識を破った牛歩戦術が、いたずらに投票の議事を引き延ばし、議長みずから何度も何度も促した、そのための時間にも配慮したにもかかわらず、投票を行わない。やむを得ず行ったことであります。
 むしろ、議長が野党に配慮し過ぎるという声が与党側から上がっているということは、感情に走らない冷静かつ公正な議長の判断をあらわすものであります。この議場に出席していた議員ならば、だれでも周知のことであろうと思います。
 みずから混乱を意図的につくり、混乱した議事や議決を無効とか公正でないと主張することは、全くの党利党略であり、議会政治の本旨に反するものであります。(拍手)
 この際、不信任提出に至った会派と議員各位に猛省を促すとともに、本決議案に断固反対の意思を表明して、私の討論を終わります。(拍手)
○副議長(菅野久光君) 齋藤勁君。
   〔齋藤勁君登壇、拍手〕
○齋藤勁君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました斎藤十朗議長の不信任決議案に賛成する立場で討論を行います。(拍手)
 先ほど、我が会派の江田議員も述べました。私自身の全く素直な心情は、大先輩であり、そして経験豊かな議員であり議長である実績を持つ斎藤十朗議長、その斎藤十朗議長に、今ここで不信任決議案に賛成をする、甚だ残念でなりません。
 しかし、今日の政治状況を見るにつけ、現憲法下、二院制のもとで、我が良識の府参議院の存在がますます重要になってきている折、今回の斎藤十朗議長のとった行為は、参議院改革の先頭に立ってこられた議長と同じ人なのかと目を疑いたくなる、そんな気持ちでございます。
 さて、本件の提案説明にあるとおり、本日未明、法務委員長荒木清寛君解任決議案並びに自民党提出の発言時間、討論時間等を制限するの動議の投票に際し、いまだ多数の議員が投票の意思を示していたにもかかわらず……(「促したじゃないですか」「事実じゃないよ」と呼ぶ者あり)事実ではないですか。議長の議事整理権と称して、強行に投票行動を制限し、投票箱を閉め、不当にも表決を途中で打ち切りました。しかも、これを実に四たび繰り返しました。いかに信頼をしてきました斎藤十朗議長といえども、この行為は断じて許すことができません。
 もとより、この投票行動に至った経緯は、組織犯罪対策三法案を審議してきた法務委員会で荒木清寛委員長は、まだ質疑者が多くいる中、しかも連合審査やさらに総理出席の総括質疑を求めていた我が会派円より子議員の質疑中に、あまつさえ荒木清寛委員長は、この発言を受けとめた上で、理事会協議を約束しているにもかかわらず強行採決に至ったことを議題とするものであり、まさに議会制民主主義の立場からも重要なものでありました。組織犯罪対策三法案の委員会採決は、質疑打ち切り動議さえ採決をされておらず、ましてや法案そのものを採決する行為は行われていないんです。
 いかに荒木委員長が委員会報告書を作成し、議長に提出し、それを議長が受理しても、委員会の議事録やその模様を報じたテレビは、その真実の姿を国民の前に明らかにしております。国民の目をごまかすわけにはいきません。
 議長、あなたの問責の理由をもう一つ加えなければなりません。
 本案が本会議の議題となるに際し、議院運営委員会理事会で与野党協議がまとまらない中で、あなたが議長職権によって会議の開会を強行決定したことであります。当院の運営に関する最高の権威と指揮権を有する議長としては、このような法務委員会の審議経過を見るならば、円満、慎重な審議を行わなければならないはずであります。しかるに、議長の今回の数度にわたる投票権を奪った行為は、参議院のあり方を考えると、まさに逆行するものであります。
 議長、あなたのとるべき方法は、法務委員会の荒木委員長からの報告書は真実と違う、議運委員会にもきちんとそのことを伝え、改めて審議途中からやり直すことを指示すべきであった、このことであります。
 かくして、衆議院をチェックし、抑制機関として参議院が作用することをみずから放棄し、また衆議院の足らざるところを補充する補完機能をも放棄したものと言わざるを得ません。参議院みずからによる二院制の憲法的意義の抹殺であります。参議院の存在意義を根本的に問わなければならない事態を招いた斎藤十朗議長の責任は極めて重大であります。
 斎藤十朗議長、今回あなたのおとりになった行為は、なりふり構わず突き進む自自公路線、その一つのあかしである今回の組織的犯罪対策法案、いわゆる盗聴法の強行採決にくみしたものと言わざるを得ません。議長としての公正公平な職分、権限を忘失したものであります。
 かつて本院は、長い間、参議院制度の改革に多くの先輩、そして現同志も含めまして、さまざまな議論を積み重ね、今日に至っているところであります。
 今回、私は登壇するに当たりまして、参議院五十年史を、わずかな時間でありますけれども再びひもとく時間を得、改めて昭和四十六年九月二十三日、参議院問題懇談会の「参議院運営の改革に関する意見書」の項を読ませていただきました。参議院の現状に対してさまざまな批判が加えられている、そういう書き出しであります。
 とりわけ、限られた時間でございますので、「参議院の独自性と自主性の確保」の項で、いわゆる議長及び副議長の党籍離脱について、こう書かれているところであります。
  議長及び副議長は党籍を離脱することが望ましい。党籍離脱は形式にすぎないとの考え方もあるが、議長として公正な運営を意図していても、党籍を有していればとかくの疑惑を招きやすいのでこれを避ける必要があること、所属政党内の紛争及び所属政党と他の政党との紛争にまきこまれないようにすること等の理由からいっても、党籍離脱は意義のあることである。なお、議長の裁定、調停等が各会派によって受け入れられやすい態勢を作るためにもこのことは必要なことと思われる。
以下、さまざまな視点からこの参議院制度改革に対する意見が述べられております。
 今、私は、この昭和四十六年九月二十三日の参議院問題懇談会の意見書の一部を紹介させていただきましたが、この紹介の前にお話しさせていただきました、今回議長がおとりになった行為は、なりふり構わず突き進む自自公路線、その一つのあかしである今回の組織的犯罪対策法案、いわゆる盗聴法の強行採決にくみしたものと言わざるを得ない。議長としての公正公平な職分、権限を忘失したものであります。このことを私は危惧し、あえて指摘させていただいた次第でございます。
 議長、あとわずかな議員ではなかったじゃないでしょうか。あとわずかな時間が待てなかったのか、残念でなりません。
 以上、私は、民主党・新緑風会を代表いたしましての斎藤十朗議長不信任決議に賛成する理由を述べ、多くの議員の賛同を得るため、ぜひ皆さん方の真摯なる御判断をお願いし、討論を終わらさせていただきます。(拍手)
○副議長(菅野久光君) 筆坂秀世君。
   〔筆坂秀世君登壇、拍手〕
○筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました斎藤十朗議長不信任決議案に賛成の立場から討論を行うものであります。
 斎藤議長が昨年七月三十日、第百四十三国会で議長に選任された際、「まことに身に余る光栄であり、心より皆様に御礼申し上げますとともに、その責任の重大さを痛感いたしております。この上は、公正無私を旨として、議院の正常かつ円満な運営を図る」と言明されました。我が党は、この言明を信頼して斎藤議長の選任に賛成をしました。ところが斎藤議長の議会運営は、みずからの言明も、我が党などの信頼も大きく裏切るものだったと言わなければなりません。
 中でも看過できないことの第一は、斎藤議長が、今開かれているまさにこの本会議で、みずからの職責を忘れ、参議院史上例を見ない不公正で横暴勝手な運営を行ったことであります。
 言うまでもなく、主権者国民の代表として選ばれた議員にとって表決権は最も重要な権能とも言うべきものであります。だからこそ「注解参議院規則」は、表決について、「表決とは、議員が問題に対して賛否の意思を表明する行為であって、議員としての最も基本的な権能である。」と明記しているのであります。
 ところが、斎藤議長は、既にこの本会議で実に四度にわたって我々の表決権を剥奪するという絶対にあってはならない暴挙を行ったのであります。これは、公正な運営を否定しない立場に立つ議長であるなら絶対に両立し得ないものであり、参議院の歴史にぬぐいがたい汚点を記したものと言わなければなりません。
 参議院の歴史を振り返っても、PKO国会と言われた九二年六月の議院運営委員長解任決議案は十三時間、内閣総理大臣問責決議案は七時間、PKO特別委員長問責決議案は十三時間かけて記名投票が行われました。このときの長田裕二議長は時間制限などは行わない公正な運営を行われました。これと比較しても、斎藤議長の運営の異常さは明瞭であり、ここには天地の差があると言わなければなりません。
 長田議長がこういう運営を行われたのはゆえなきことではありません。これこそが議会制民主主義の原理原則に照らして当然だったからであります。なぜなら、いわゆる牛歩戦術のような抵抗は議会制民主主義のもとにおける少数党の当然の抵抗の権利だからであります。
 もし、こういう抵抗が認められないなら、今の自自公体制がそうであるように、多数党の数の力による横暴がまかり通るからであります。議会制民主主義は単純な多数決原理などではないからであります。多数決原理は、それが国民多数の世論、意思にかなってこそ裏づけを持ち、正当性を持つというのがいわばイロハのイであります。このことを斎藤議長がもし知らないとすれば、それだけでも議長の職責を務める資格はない、こう言わざるを得ません。
 少数党が議会運営の民主的ルールに基づき合法的な手段、方法を駆使して抵抗することが当然の権利であることは欧米諸国でも同様であります。イギリスではオブストラクション、アメリカではフィリバスターなどが野党の抵抗戦術の制度的慣行として定着しているのはそのためであります。我が国でも実は当然のことであります。
 私は、九二年五月二十七日の毎日新聞のコピーを見ました。それによれば、新憲法下の第一回国会、一九四七年、この国会で牛歩を採用したのは自由党だった。時の政府は、社会、民主、国協三党連立の片山内閣。炭鉱国営法案に反対した自由党は、衆議院本会議での記名投票の際、議席から演壇の投票箱までのんびり歩いて時間稼ぎをした。このため、採決は十一月二十日から二十四日までかかったとあります。何と五日間であります。牛歩戦術は、実は今ここで牛歩に反対している自民党、自由党両党の先輩の皆さんが始めたことなのであります。
 河本敏夫元国務大臣も、読売新聞でかつて次のように語っておられました。牛歩戦術や不信任案連発は少数野党の反対手段として残すべきもので、物理的抵抗ではない、これが河本元国務大臣の言明でありました。あるいは学説でも、牛歩は違法な物理的抵抗や議事妨害とはせず、多数決の前提たる諸条件が満たされていないことに対する少数党の公明正大な抵抗として容認するというものであります。
 今、日本経済は未曾有の消費不況に陥っていますが、その最大の原因をつくっている消費税導入に反対したときには、我が党や社会党が牛歩で徹底抗戦しました。このとき、ある新聞の社説は、参議院本会議では八十歳を超えた議員も十三年ぶりの徹夜牛歩に臨み、野党の意地を見せた。消費税には各種世論調査では大半が反対している。その世論を受けて、声なき声を代弁しようとする姿にある種の感動を覚えた人も多いはずだと評価しました。ここにこそ形骸化した議会制民主主義ではなく、国民の声を生かした生きた議会制民主主義の姿があると言わなければなりません。(拍手)実際、国民の意思を、声を反映して、このときさらなる徹底審議を行い、消費税の導入を見合わせていたなら、今日の消費不況はこれほどまでに深刻にはならなかったでしょう。
 斎藤十朗議長の不信任に賛成する第二の理由は、だれもが異常と認める法務委員会の不正常を正す努力について何らの努力もしなかったことであります。そして、我が党や民主党、社民党などが同委員会に強く差し戻しを要求したにもかかわらず、本院の法務委員会において犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、いわゆる盗聴法案など三法案が採決されたとして、あえて本会議開会を公報に職権で掲載、昨日からの本会議を強引に開催するという、院の運営に公正であるべき議長にあるまじき行為を行ったのであります。
 議長がやるべきは、表決権の剥奪などではありません。不公正で異常な法務委員会の運営を正す方向での努力ではありませんか。やるべきことが全く逆立ちしていると言わなければなりません。これこそ参議院改革を標榜する議長の最大の任務でありながら、それを全く放棄したのですから、到底議長の職責を任せるわけにいかないのは当然ではありませんか。(拍手)
 そもそも、この不正常な状態は、自民、公明、自由各党と法務委員長によるあり得べからざる暴力的な委員会運営で盗聴法など三法案を採決したと強弁していることから事の発端が生まれたのであります。
 法務委員会の事態は、この間、何度もこの場で明らかにされたとおり、およそ委員会の民主的で公正な運営とはほど遠いものでありました。事実は、議員が質問しているさなか質疑打ち切り動議なるものを提出し、我が党議員や委員外小会派議員などの質問時間を不当にも打ち切って、委員長が指名もしていないいわば単なる不規則発言を質疑打ち切り動議と称して動議は可決されたなどとしたにすぎません。委員会運営の先例に反して、もともとなかった動議を可決することなどできるわけがありません。そして、その上に、さらに採決したという偽りをつけ加えただけであります。
 この間、法務委員会では盗聴法案について、審議をすればするほど法案の反民主主義的な内容が明らかにされてきました。したがって、この法案の問題点を徹底的に解明するのは、国民から負託された国会の重大な責務であるにもかかわらず、我が党議員などの質問までも多数の力で強引に打ち切るなどは、議会制民主主義を根本から覆すものと言わなければなりません。(拍手)
 こういう事態のもと、斎藤議長の果たすべき役割は、先ほど指摘したとおり、質疑打ち切り動議や採決なるものの経過を本院の先例などに照らして調査し、その無効を指摘して、法務委員会に差し戻すことであります。
 かつて、一九七三年七月、運輸委員会、内閣委員会、文教委員会で審議の行われた国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、さらには国立学校設置法等の一部を改正する法律案は、それぞれ採決が強行された後、再び委員会において質疑されたことが現にあるのであります。とりわけ、運輸委員会では、採決後に六回もの審議を重ね、改めて採決のやり直しを行いました。
 本院にはこのようなすぐれた先例があり、委員会に差し戻すことは可能であったにもかかわらず、斎藤議長は、法務委員会の経過の調査を全く行わなかったばかりか、正常に復する努力を一切しなかったのであります。
 盗聴法はもともと「通信の秘密は、これを侵してはならない。」との憲法二十一条の原則を真っ向から踏みにじり、国民の基本的人権を侵害する盗聴を合法化しようとするものであり、このような法案は本来廃案とすべきものであります。その上に、議会の民主的手続のじゅうりんをたび重ねて強引に強行成立させるなど、絶対にあってはならないことであります。(拍手)
 斎藤議長の行ってきたたび重なる民主的運営のじゅうりんは、院の民主的運営に尽くさなければならない議長の任に全くふさわしくないことは明らかであり、不信任は当然だということを重ねて強調して、私の賛成討論を終わるものであります。(拍手)
○副議長(菅野久光君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇、拍手〕
○照屋寛徳君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました斎藤十朗議長不信任決議案に対し、賛成の討論を行います。
 不信任の第一の理由は、斎藤十朗議長は、本院法務委員会において、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の組織犯罪対策三法案が採択されたとして、我が党などが強く法務委員会へ法案審議の差し戻しを要求しているにもかかわらず、あえて本会議に上程した点であります。
 去る八月九日、法務委員会の審議が荒木清寛委員長によって突如として打ち切られ、そのことをもって自民、自由、公明の三党は、いわゆる組織犯罪対策三法案が採決されたと主張いたしております。しかし、荒木清寛法務委員長は、審議打ち切りの動議に対し賛成を求めたにすぎず、動議の内容も不明であり、採決の確認すらも正常には行われておりません。当然、法案に対する採決も存在していないのであります。まさに採決なき強行採決と断ぜざるを得ません。
 ところで、先ほど、議長不信任決議案に対する反対討論の中で、民主主義のルールについて語っている人がおりました。法務委員会における採決なき強行採決に加担をする議員が、どうしてこの参議院の場で民主主義のルールを語る資格があるんでしょうか。(拍手)
 法務委員会における法案審議は、いまだ中断されたままなのであります。公正な議会運営を行う責務のある議長は、議会政治のルールを厳格に守り、民主的な議事運営を行うため、みずから汗をかいて法務委員会の正常化に努力すべきでありました。しかるに斎藤十朗議長は、我が党が野党各党とともに強く差し戻しを要求していたにもかかわらず、組織犯罪対策三法案についての審議を不当に中断された状態の法務委員会に法案を差し戻すのではなく、また与野党で十分な協議も行うことなく、与党の党利党略に加担し、本会議の開会を強行したのであります。
 このような斎藤十朗議長の行為は、議長としての職責を放棄し、三権の長としての権威をみずからおとしめるものとして強く糾弾されるべき暴挙であります。
 言うまでもなく、組織犯罪対策三法案は、歴史の汚点として後世に語り継がれるであろう希有の悪法であります。いわゆる盗聴法は、日本国憲法二十一条の保障する通信の秘密そしてプライバシーの権利を侵害し、憲法の基本原則である基本的人権を否定するものであります。戦前の暗黒の天皇制ファシズム国家体制のもとで、日本は戦争への道をひた走りましたが、その反省として設けられたのが日本国憲法なのであります。主権在民、基本的人権の尊重、平和主義の三大原則は、まさに戦争体制を否定し、平和と人権を保障する新生日本づくりのために設けられたものであります。
 そもそも、法律は権力をチェックするためにつくられるものであり、重大なことは権力の横暴に対する抑制機能であります。通信の秘密もその重大な要素の一つであり、何人によっても侵されない権利として保障されているのです。憲法のどこに通信の秘密について「公共の福祉に反しない限り」という制限があるのでしょうか。
 しかるに盗聴法案は、組織的犯罪を対象とすることを口実に、国民すべてを権力による盗聴の対象とし、国家が国民に対して盗聴という憲法違反の重大な犯罪を犯すことを認める法案であります。
 さらに、ピケを張れば威力業務妨害、労働争議の解決金は犯罪収益とする組織的犯罪対策法案は、まさに労働運動や市民運動の不当弾圧に道を開くものであり、労働三権の否定であり、国民の政治的自由の圧殺を図ろうとするものと言わざるを得ません。
 加えて、刑事訴訟法改正案は、証人保護を口実に、捜査当局による証人のでっち上げを可能にするものであり、いつ国民一人一人が犯罪者にでっち上げられるのか、わかったものでありません。警察の思うがままの暗黒の警察国家に時計の針を逆戻りさせるものであります。
 そもそも、本会議が深夜、未明、早朝という異常な開会となったのは、このような日本国憲法に挑戦する違憲の法案を良識の府として慎重に審議していたにもかかわらず、円議員の質疑中に与党が数の暴力に任せて行った採決なき強行採決に端を発しているのであります。審議すればするほど問題点が浮かび上がってくる法案を、会期末を理由にいたずらに採決を急ごうとするのは、国権の最高機関としての国会、なかんずく良識の府としての参議院の責務の放棄であり、国民の本院への期待を大きく損なうものでありましょう。
 斎藤十朗議長を信任しない第二の理由は、法務委員長解任決議案及び自民党提出の発言時間、討論時間等を制限するの動議、そして小渕内閣総理大臣問責決議案、議院運営委員長解任決議案に対する動議と立て続けに強権的な投票行動の制限を行い、我が党の議員の投票の機会を奪ったことであります。これは、PKO法案審議の際にも行われたことのないまさに暴挙であり、私たちは絶対に許すことはできません。
 また、あらかじめ投票時間の制限の注意はなく、投票の意思を表示していたにもかかわらず、機械的に議長職権を発動し、我が党議員の投票の権利を奪ったことは言語道断であります。
 斎藤十朗議長の行為は、国民の負託を受けた国会議員の投票権を奪うものであり、ひいては少数意見の封殺、国民の世論に対する挑戦であると言わざるを得ません。
 私たちは、国民の代表としての意思表示の機会を斎藤十朗議長によって一方的に奪われたものであり、激しい怒りを持って抗議するものであります。
 以上、斎藤十朗議長の議事運営は極めて不公正なものであり、与党の党利党略に加担し、二十一世紀の日本の進路を根本的に転換し、戦争への危険な道に日本を導く重要な役割を果たそうとするものであり、その責任は極めて重大であります。議長としての責務を放棄し、本院の権威を失墜させるものであり、斎藤十朗議長は議長としての任にとどまる資格は全くないと言わざるを得ません。
 よって、社会民主党・護憲連合は、斎藤十朗議長の不信任決議案に賛成をするものであります。
 終わります。(拍手)
○副議長(菅野久光君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○副議長(菅野久光君) これより本決議案の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。御協力お願いいたします。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○副議長(菅野久光君) 速やかに投票願います。
 なお、順番は決まっておりませんので、健康的な理由だとかいろいろありましたら、どうぞ順番にかかわりなく投票をお願いいたします。(拍手)──速やかに御投票をお願いいたします。なお、後ろの方が詰まっておりますので、少し間隔を詰めていただきたいと思います。──速やかに御投票願います。──速やかに投票をお願いいたします。──照屋さん、照屋さん、階段はこちらでございますので。──速やかに御投票願います。
 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○副議長(菅野久光君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十一票  
  白色票           九十二票  
  青色票          百三十九票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
   〔副議長退席、議長着席〕
○議長(斎藤十朗君) 上野公成君外一名から、賛成者を得て、
 日程第二乃至第四を一括して直ちに議題とすることの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。歩いてください。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票ください。前へ歩いてください。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。
 投票時間の制限をいたします。(拍手)ただいま行われております投票につきましては、自後、五分間に制限いたします。時間が参りますれば投票箱を閉鎖いたします。速やかに御投票願います。──速やかに御投票ください。──間もなく制限時間になります。投票の御意思のある方は直ちに御投票ください。直ちに御投票にならない場合は、投票の意思のないものとみなします。──間もなく制限の五分になります。投票の意思のある方は直ちに御投票ください。御投票にならない方は投票の意思がないものと認めざるを得ません。
 制限時間に達しました。投票箱閉鎖。(拍手)
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
○議長(斎藤十朗君) 壇上からおりてください。議員は議席にお戻りください。
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百六票  
  白色票          百三十八票  
  青色票           六十八票  
 よって、本動議は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案
 日程第三 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案
 日程第四 刑事訴訟法の一部を改正する法律案
  (いずれも第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)
 以上三案を前会に引き続き一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長荒木清寛君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔荒木清寛君登壇、拍手〕
○荒木清寛君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。(発言する者多く、議場騒然)
○議長(斎藤十朗君) 御静粛に願います。
○荒木清寛君(続) まず、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案は、最近における組織的犯罪の実情及び国際的動向等にかんがみ、組織的に行われた一定の犯罪に対する処罰を強化すること、犯罪収益を隠匿するいわゆるマネーロンダリング行為を処罰すること等について定めようとするものであります。
 なお、衆議院において、犯罪収益が生じる前提犯罪に児童買春周旋罪を加えるなどの修正が行われております。
 次に、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案は、犯罪捜査のために強制処分として行う電気通信の傍受に関し、その要件、手続、その他必要な事項を定めようとするものであります。(発言する者多く、議場騒然)
○議長(斎藤十朗君) 御静粛に願います。
○荒木清寛君(続) なお、衆議院において、通信傍受の対象犯罪を、薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航に関する罪及び組織的な殺人の罪に限定するなどの修正が行われております。
 次に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案は、電気通信の傍受を行う強制処分についてその根拠を定めるとともに、証人等の身体または財産への加害行為等の防止を図るための措置について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、三法律案を一括して議題とし、組織的犯罪対策の必要性と諸外国の動向、捜査手法としての通信傍受の必要性、憲法の通信の秘密との関係……(発言する者多く、議場騒然)
○議長(斎藤十朗君) 御静粛に願います。
○荒木清寛君(続) 通信傍受の乱用に対する歯どめ、捜査機関の信頼性、携帯電話及びインターネット通信の傍受方法等について質疑を行いました。
 また、東日本電信電話株式会社東京支店において現地視察を行うとともに、公聴会を開催したほか、参考人から意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終局し、三法律案を一括して採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 海野徹君外三名から、賛成者を得て、
 三案を法務委員会に再付託することの動議が提出されました。(拍手)
 これより本動議の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──速やかに御投票願います。──速やかに投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票ください。──どうぞ投票してください。前へ進んでください。はい左、右、左、右。
 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十四票
  白色票           九十五票
  青色票          百三十九票
 よって、本動議は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。小川敏夫君。
   〔小川敏夫君登壇、拍手〕
○小川敏夫君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいまの三法案に対し、反対の立場で討論いたします。
 まず最初に、去る八月九日に行われた委員会の採決というものについて、その事実経過について説明いたします。
 私は、当日、法務委員としてその審議に参加しておりました。そして、円理事が荒木委員長に対し質疑を行っていたところ、荒木委員長が返答中、突然、鈴木正孝理事が手を挙げて立ち上がり、発言を始めました。この発言につきましては、これまで多くの人から指摘があったように、委員長の指名を受けないで勝手に発言を始めたものであります。
 そして、さらに重要なことを一つ指摘しなければならないのは、鈴木正孝理事の席にはマイクが備えてあるのに、鈴木理事はそのマイクを殊さら外して、マイクに音声が入らないような方法でただいまの動議と称する発言を述べたことであります。
 これは、私が聞き漏らしたのではないということは、速記者にも聞こえていない、すなわち全く記録されていないことから明らかであります。また、ビデオテープを繰り返し見ても、鈴木正孝理事の発言は全く音声が入っておりません。すなわち、マイクが自席の前にあるのにそのマイクに入らないような発言方法で発言をしたということでございます。これは大変に重要なことであります。動議を採決するのに、いかなる動議が委員に提案されその内容が示されたのかわからなければ賛否のしようがないからであります。
 私は、何やら鈴木正孝理事が挙手して発言を始め、荒木委員長は当初それに気がつかなかったようでしたが、何かその鈴木正孝理事の不規則発言に答えるような行動をとるしぐさをいたしました。それで私は、何を発言しているのか、何が行われようとしているのか、それを法務委員として確認するため、直ちに委員長席の前に駆けつけました。しかし、鈴木正孝理事の発言は全く聞こえませんでした。
 すなわち、委員長の指名も受けないで勝手に不規則に発言し、あらかじめその内容を知っていると思われる与党の方や委員長の方に内容はわかっても、それ以外の私を含めた野党の委員には内容が全くわからない、この発言をもってなぜ動議と言えるのでしょうか。
 これをもって動議とし、突然動議についてその採決をとったという荒木委員長、その発言は確かにあったようでありますが、しかし動議と認められないこのようなものについて採決をとったとしても、それが動議の採決とならないことは明らかでありますし、またその採決についていかなる者が何名挙手をしたのか全く明らかになっていないということを荒木委員長自身がテレビのインタビューで述べておりました。
 さらに重要なことは、私が法務委員として不規則発言をしている鈴木正孝理事の発言や委員長が何をしようとしているのか確認するために委員長席の前に駆けつけたところ、法務委員ではない自民党の議員が数名で私の体に飛びつき、私の委員としての職務の執行を不可能にいたしました。私の体に飛びついた委員の中には、御本人はその認識がないかもしれませんが、私の右手をとって高く取り上げた者もおります。まるであたかも私が動議に賛成の挙手を強いられているような外形的事実がありました。恐らく本人はそこまで思ってしたことではないと信じておりますが、そのような外形的な行為も暴力行為として私は受けたということを指摘いたします。現に私は、何者かにけ飛ばされたために足にあざがありますし、ねじり上げられた右腕に今でも痛みを覚えております。
 委員長はこのような法務委員会の秩序を適正に保つために、私が法務委員として発言の内容を確認している、それを数人の自民党議員が寄ってたかってその職務を妨害し私を取り押さえた、そうしたことを適正に中止し、議事の進行を進めなければならないのに、そのようなことは全く行いませんでした。やはり大変に不適当だと思います。
 そして、私は、委員長席の一番前で、委員長がいかなる発言をし、いかなる行為を行うのか実際に注視しておりましたが、法案の採決に至るというそのような行為はありませんでした。ないまま自民党の議員から委員長を退席させろという指示のもと、委員長を取り巻いていた与党の方と思われる多数の議員が委員長を室外に連れ出してしまったものであります。
 このように、動議の採決の事実、法案の採決の事実も全くありません。あると言っておられた荒木委員長の報告は事実に反するものであります。このような事実に反する採決と称するものが採決として認められ、法案が成立するならば、いずれ歴史がこれを裁くことになるでしょう。
 私は、本法案に反対の立場で、本法案、通信傍受法案について憲法上の視点から、この法案が著しい憲法違反、あるいはその精神に反するものであるということを次に述べさせていただきます。
 通信傍受法案は、憲法二十一条で保障された通信の秘密を犯罪の捜査という公共の福祉によって制限しようとするものであります。この性質上、通信の秘密の制限は必要最小限でなくてはならないことは言うまでもありません。
 本法案の審議は、十分な論議が尽くされないまま法務委員会における審議が打ち切られ、採決の実態がないのにこれがあったものとして今ここで採決がなされようとしておりますが、その不十分な審議の中においても、本法案の重大な欠陥が指摘されるなど、多くの問題が明らかになっております。
 まず第一に、本法案が予定する通信傍受は、その実効性が乏しいことが明らかとなっております。
 審議を通じて、当局が期待する傍受の手段は携帯電話を傍受することであることがわかりました。ところが、審議が後半に入ってから、通信事業者の参考人質疑によって、現在の携帯電話システムにおいては、発信については傍受不可能で、着信については傍受は著しく困難であることが判明しました。着信の場合、使用回線を探索するのに二十分程度もの時間を要し、また通話区域が移動すれば探索を最初からやり直すことになるからであります。
 このような重要な事実を説明しないまま法案の審議を求めていた政府当局の議会軽視は強く非難されるべきことであります。
 携帯電話が技術的に傍受できないのでは、本法案の実効性は余りにも乏しいものと言えます。当局は、この点について、予算措置を講じ、通信事業者に対し通信システムを傍受が可能となるように変更してもらうよう要請すると説明しております。しかし、その具体的方法や相当に高額と予想される費用について具体的な説明はありません。
 このような技術的問題ばかりでなく、この問題は通信事業者の経営に重大な影響を及ぼします。事業者の一部が当局の要請に応じなかった場合や、仮に現在の事業者のすべてが応じたとしても、新規参入事業者が登場した場合、通信傍受が不可能なシステムによる携帯電話だけが普及し、当局の要請に応じた事業者が競争上著しく不利になると考えられるからであります。この面についての対策には、その是非は別として、法的措置を講ずる必要があると考えられるのに、これについては何の対処もされていません。
 このように、携帯電話について、傍受が不可能な携帯電話が普及する余地を少なからず残したまま本法を施行しても、組織犯罪者は当然に傍受不可能な携帯電話を選んで使用するでしょうから、結局は携帯電話を傍受するとの本法の実効性は著しく乏しいと断じざるを得ません。
 また、衛星通信を用いた携帯電話は現在も将来も傍受不可能であることは当局も認めています。
 これから飛躍的に普及増大すると見込まれるインターネット通信の場合、高度な暗号技術を用いられた場合、これを解読することはほとんど不可能であります。与党が招致したインターネット事業者の参考人も同旨述べております。仮に、ある暗号を解読する技術を取得したとしても、そのときにはさらに高度な暗号が登場しているでしょう。犯罪のプロは当然このような防御措置をとるでしょうから、この点においても本法の実効性が乏しいことは明らかです。
 前述のとおり、本法案は憲法で保障された基本的人権である通信の秘密に犯罪捜査の必要性という公共性によって制約を加えるものであります。したがって、……
○議長(斎藤十朗君) 小川君、時間が超過しております。簡単にお願いします。
○小川敏夫君(続) はい、間もなく終わります。間もなく終わります。
 したがって、犯罪捜査の必要性は高度に緊急性、実効性が高いものでなければならず、この点は人の考え方にゆだねられているものではありません。しかしながら、ただいま述べたとおり、実効性が著しく乏しいのが本法の実際の姿です。これでは、通信の秘密に制約を加えるだけの合理的必要性に欠ける結果、本法は憲法に違反することに帰着します。
 そして、通信の秘密に制約を加える以上、その制約は必要最小限度にとどまらなければならないとともに、最小化原則が制度的に保障される措置が講じられる必要があります。本法は、該当性判断のための傍受などが認められていますが、その実施については、最小化原則を具体的に定める規定がなく、当局の自主的判断に任せることになっており、最小化原則が制度的には担保されていません。
 また、本法は、捜査官の乱用を防止する制度的保障が極めて不十分であります。この点については、本法に対する代表質疑の際に具体的にしたとおりでありますので簡略に述べます。
 通信傍受を裁判官の発する令状によるとする事前審査は、有効なチェック機能ですが、必ずしも完全でないことは、過去に露見した令状の不正取得事件や、松本サリン事件のように完全な誤認捜査においても令状が発付されてしまった例などから明らかです。
○議長(斎藤十朗君) 小川君、時間が超過しております。簡単に願います。
○小川敏夫君(続) はい、間もなく終わります。間もなく終わります。
 そして、令状は、令状を発付した後の執行に関しては何らチェック機能を発揮しないという制度の本質からくる制約がありますので、令状による事前審査だけでは乱用防止が十分とは言えません。
 本法では、令状の執行すなわち傍受時においては立会人の制度が設けられていますが、立会人は外形判断のみのチェックにとどまるもので、傍受の内容には関知しません。したがって、立会人制度による乱用防止機能は脆弱であると言わざるを得ません。
 であるなら、事後的なチェック機能が絶対に必要であります。しかしながら、乱用にわたる傍受の通信当事者には傍受の通知がなされないので、本法が規定している当事者による通信記録の確認や不服申し立てによる事後チェックは全く機能しません。
 以上述べたとおり、本法は、憲法で保障された基本的人権を制約するためには絶対に必要である制約の最小化原則及び乱用防止の制度的担保が実質的になされていないと同様であり、したがって、本法はこの点からも憲法の精神に違反するものであります。
 なお、本法に賛成する立場の参考人や公述人らが、賛成の前提として乱用防止が十分に担保されることを強調していたことを付言します。(発言する者多し)
 本法は、強制捜査を実施した傍受対象者本人であっても、傍受記録を作成しなければ、強制処分を行ったのにその通知を行わないもので、憲法の保障する適正手続の精神に違反します。
 また、逆探知の場合、令状もないまま通信事業者に協力義務を課していることは、逆探知の事業者が傍受に係る通信事業者と異なる場合には令状主義を定めた憲法に違反します。
 最後に申し述べます。
 仮に本法が成立することになれば、近い将来に必ずやこれを成立させた国会に対する批判の目が向けられるでしょう。私たちは本法に真摯に反対したことを誇りとして、語り続けられることを述べて、私の反対討論とさせていただきます。
 どうも済みませんでした。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 服部三男雄君。
   〔服部三男雄君登壇、拍手〕
○服部三男雄君 私は、自由民主党及び公明党、自由党を代表して、組織的犯罪対策三法案に対し賛成の討論を行います。
 近年、我が国では、暴力団犯罪、薬物・銃器犯罪、外国人による犯罪が一層深刻化し、重大な脅威となっております。また、オウム真理教による未曾有の組織的犯罪は、我々の記憶に新しいところでございます。
 特に、覚せい剤事犯につきましては、戦後第三次の乱用期に突入していると言われておりまして、既に、女性、高校生、中学生にまで広く蔓延している状況にございます。
 また、銃器犯罪についても、善良な一般市民が暴力団の対立抗争の巻き添えになるなど、もはや一刻の油断もできない状況となってきております。来日外国人による組織的犯罪も同様、しかりでございます。
 さらに、組織的犯罪から生じる不法な収益も莫大なものであり、不法収益が健全な経済の維持発展に重大な悪影響を及ぼしている現状にございます。
 一方、犯罪組織集団は、国境を越えて活動し、国際社会においても重大な問題となっており、先進国首脳会議や国際連合等の国際会議においても最重要課題と位置づけられております。
 今回の組織的犯罪対策三法案は、我々が憎むべき犯罪組織に対抗するために必要不可欠なものであると考えております。
 以下、賛成の理由を述べたいと思います。
 その第一は、組織的に行われる殺人等の行為に対する処罰の強化、犯罪収益の隠匿及び収受、いわゆるマネーロンダリング行為の処罰などの犯罪に対する規制の強化は、犯罪組織を撲滅するために必要不可欠なものであり、それが現在我が国が問われている喫緊の課題にこたえるものであると確信する次第であります。
 第二に、犯罪捜査のための通信傍受は、これら組織的犯罪の捜査のために必要不可欠な捜査手法であるからであります。
 犯罪組織は、予備の段階から実行、さらには証拠隠滅、犯人の逃亡その他証拠隠滅工作が徹底して組織的に行われるため、極めて密行性が高く、従来の捜査手法のみでは真相解明が極めて困難でございます。さらに、技術革新に伴い、組織的な犯罪も相互の指示・連絡等が電話等の電気通信を利用して行われるということが現状にあります。
 こうした現状を踏まえますと、通信傍受という捜査手法は、組織的な犯罪の解明には必要不可欠であると確信いたします。
 この通信傍受につきまして、今回の審議でさまざまな問題が提起されました。しかし、憲法二十一条二項後段は、通信の秘密を保障しておりますが、それは最大限保障しなければならないといたしましても、絶対無制限なものではありません。憲法十二条及び十三条の公共の福祉の制限を受けることは最高裁判所の判例によっても明らかなところでございます。
 そして、通信傍受の制度も犯罪捜査という公共の福祉のため必要最小限の範囲で行うものであるとされており、また、乱用に対する歯どめも十分と言えるものでございます。
 すなわち、対象犯罪の限定や、裁判官の令状に基づく傍受の実施、通信事業者等による常時立ち会い、傍受した通信についてはすべて記録し裁判官が保管するものとしていること、傍受記録に記録されている通信当事者に通知義務を課していること、不服申し立て手続が整備されていること、通信傍受の運用状況を国会に報告し公表すること、通信の秘密を侵す行為の罰則が設けられたこと等、諸外国に比しても非常に厳格な規定にしております。
 通信傍受に対しては、反対の立場からさまざまな意見が述べられました。捜査員が乱用した場合のチェックの問題、傍受記録に記載されていない者に対する通知の問題、マスコミに対する通信傍受の問題、携帯電話及びインターネット通信等の傍受のあり方の問題、暗号の問題、通信事業者の協力の問題等でございます。
 しかし、これらの問題点に関しましては、先ほど述べた制度的な保障に加えまして、政府の答弁により、通信傍受の捜査のためのマニュアルの作成、事前のトレーニングの実施、内部監査の徹底等による捜査員の通信傍受制度の乱用防止策の徹底、マスコミに対する通信傍受を行わないこと、携帯電話を傍受するためのプログラム開発費用の負担等を含め通信事業者に過重な負担となるようなことは行わないこと、暗号規制は行う予定がないこと等が明言されました。捜査当局は、通信の秘密を最大限尊重し、いやしくも乱用されるおそれがないことを明言したわけでございます。
 よって、反対論者の心配は杞憂であると確信いたします。(拍手)
 第三は、本法律案で定める証人等の身体、財産への加害行為等の防止を図るための措置は、これら組織的犯罪を立証するために協力する証人等を保護することは必要不可欠であるからであります。
 組織的犯罪においては、目撃者等がいわゆるお礼参り等を恐れ証人等となることを渋るケースが少なくなく、刑事司法の適切な運営を実現する上で大きな問題となってきております。
 これに対し、証人等の氏名及び住居等を秘密にすることは、被告人の防御権、弁護権の行使を制限するとの批判がございますが、しかし、この制限は、「被告人の防御に関し必要がある場合を除き、」ということになっておりまして、何ら防御権、弁護権の行使を妨げるものではございません。
 以上、賛成の理由を申し上げてまいりましたが、最後に、組織的犯罪対策三法案は、善良な一般市民の人権を侵害するものではなく、組織的犯罪から平和な社会生活や健全な社会経済の維持発展を守るため、一般市民の人権を守るために必要不可欠なものであることを強く訴えまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 橋本敦君。
   〔橋本敦君登壇、拍手〕
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法案外二法案について反対の討論を行います。
 何よりもまず、法務委員会における自民党などによる盗聴法案の恥ずべき強行採決の暴挙、これでまともな法案の採決があったなどと参議院の良心にかけて言えるのでしょうか。この異常な混乱の中でそもそも法案採決などは不存在と言うほかはなく、本法案は直ちに法務委員会に差し戻すことこそ、議会制民主主義の本旨に基づき本院のとるべき当然の措置であることは明らかではありませんか。
 ところが、我々野党が共同で法務委員会への本法案の差し戻し付託の動議を提出しましたが、残念ながら自自公三党の反対で討論さえなしに否決されたことは、まことに遺憾と言うほかはありません。
 反対の第一の理由は、本法案の通信傍受・盗聴を実際に実行する警察の姿勢と体質の問題であります。
 一九九七年六月二十六日、東京高等裁判所は、我が党の元国際部長緒方議員宅の盗聴事件について、これが神奈川県警による組織的犯行であることをはっきりと認めた上、憲法上保障されている重要な人権である通信の秘密を初め、プライバシーの権利、政治的活動の自由などが警察官による電話の盗聴という違法行為によって侵害されたもので、極めて重大であると明確に判断を下しました。
 ところが、今日に至るも警察は、この公正な司法の判断に背き、組織的盗聴を行った事実はないなどと、不誠実きわまりない態度をとり続けているのであります。この盗聴事件について、警察がみずから国民の前に事実の全容解明を行い、緒方議員など関係者に誠実に謝罪することは、まさしく本法案審議の根本的前提ではありませんか。
 このような警察に対して、盗聴を合法化し、国民の自由と人権を侵害する危険な武器を容認することなど、絶対に国民は納得できないのであります。
 反対理由の第二は、本通信傍受・盗聴法案が、憲法二十一条の通信の秘密を侵し、さらに憲法三十五条の刑事手続における人権保障の令状主義に真っ向から違反する違憲立法だからであります。
 我が憲法第二十一条は、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と明確に宣言しています。言うまでもなく、法律の範囲内では信書の秘密を侵すことが認められていた旧憲法とはっきり異なって、この憲法規定は不可侵の極めて重いものであります。だからこそ東京高等裁判所判決も、警察による通信傍受は憲法二十一条の通信の秘密を侵害する行為であり、犯罪捜査のためといえども原則としてこれが許されないことは言うまでもないとはっきり判示しているではありませんか。
 ところが、本法案による通信傍受は、一たん裁判官の傍受令状が出されると、その後の盗聴実施については司法によるチェックは全くなくて、当事者のいずれの同意も得ないままに、有線電話はもちろん、公衆電話、携帯電話を初め、広範なコンピューター通信に至るまで、犯罪関連通信があると疑うに足りる状況があるとされれば、捜査官憲の任意の判断によって、別件盗聴も含めると何と百八十五種類にも上る広範な犯罪にとどまらず、さらに該当性判断のためと称していわゆる試し聞きができますから、事実上、無限定的に市民の通信が盗聴されるおそれ、可能性が避けがたいのであります。
 本法案は、この試し聞きを最小限にとどめるとしています。しかし、この最小化措置なるものも、実際は警察内部のスポットモニタリングマニュアルの運用に任されているのみで、これの乱用防止のためには何ら客観的な法的チェック体制はないのであります。しかも、ファクスや電子メールに対してはこのスポットモニタリングは技術上不可能であるため、この最小化措置なるものも全く機能せず、結局、通信の全部が捜査官に見られてしまうのであります。
 その上、立会人には被疑事実は知らされません。しかも、犯罪に関連のない通信を切断するという最も重要な権限は認められておりません。これでは、米司法省のワイヤタッピングレポートでも明らかなとおり、何と八一%を超える犯罪に関連のない一般市民の通話が盗聴されているアメリカの事例を見るまでもなく、捜査権力の乱用による通信の秘密侵害のおそれは極めて重大であり、憲法二十一条違反は明白であります。
 さらに、そもそも通信傍受いわゆる盗聴なるものが、当事者には通知もせず、令状も示さずひそかに行われるという点で、本来的に、本質的に憲法の令状主義に反する基本的性格を持っているのであります。それに加えて法案では、裁判官の令状もなしに多数の犯罪について別件盗聴が行われ、その上、捜査官の全くの任意の判断によって傍受した通信に対し、これまた裁判官の令状なしで市民の氏名、住所などが逆探知できるのであります。明らかに令状主義を定めた憲法三十五条に反すると言わねばなりません。
 法学者有志四百五十一名の異例の声明が、もともと日本が諸外国と異なりこれまで盗聴法を認めてこなかったのは、戦前における捜査官憲による深刻な基本的人権侵害に対する深い反省に根差すものであり、通信手段が高度に発展し市民生活に広く根差している現在、もしこの盗聴法案が実施されれば深刻な人権侵害が生ずることは必至であると、こう述べているとおりなのであります。
 自自公三党の修正によっても、以上に述べた本法案の危険な本質は何ら変わらないのであります。
 反対理由の第三は、本法案では、不当に通信の秘密を侵害された国民に対し、適正な権利救済の措置が全くないことであります。
 盗聴された事実が知らされるのは、警察官が犯罪関連通信として刑事手続用の傍受記録をつくり、これに記載された人に対してのみであります。ですから、盗聴されても、犯罪に関係がない通信が傍受されれば、多くの国民は、それはみずからのプライバシーを侵害されたにもかかわらず全く知らされないままなのであります。そのため、国民にとっては、その権利侵害に対する不服の申し立てや損害賠償を求める道が永久的に閉ざされています。主権在民、恒久平和とともに、国民の基本的人権尊重を至上の根本原則とする我が憲法のもとで、およそこのような政府権力による人権侵害の野放しが許されないことは明白ではありませんか。
 さらに、犯罪に関連のない通信のコピーやメモ等のこうした書面は警察が消去するとされています。これが信用できますか。それが確実になされるかどうかを裁判官も国民も何一つチェックできる客観的保障はこの法律のどこにもありません。
 そのため、ひそかに警察がこうした通信傍受をして、それを消去せず、警備公安対策のためなどとしてこれらの市民情報を収集する、こういったことをやるならば、これでは警察による市民監視体制が強まり、まさしく国民の政治的・市民的自由が侵される重大なおそれがあるのであります。
 最後に、悪質な組織的犯罪を厳しく取り締まるのは当然であります。しかし、だからといって無法な捜査権の拡大が許されるわけでは絶対ありません。そもそも国家権力による盗聴という最悪の権力犯罪を合法化し、事実上これを野放しにして、どうして自由で安定した市民社会がつくれるのでしょうか。
 アメリカの自由人権協会が発行した「プライバシーの権利」という本がありますが、これによれば、一九八〇年代シンシナティーで、地方警察が、千二百件もの多数に上る盗聴を地方議員や政治家や実業家や政治活動家に対して行っていた、現在、これは連邦大陪審で審査中であるとはっきり書いています。
 盗聴法の導入によって、このような権力による市民の人権侵害や自由に対する脅威をもたらす、このような不正義な社会をもたらすことを断じて許せないではありませんか。
 日本共産党は、審議すればするほど違憲性と捜査権力による乱用、その人権侵害のおそれがいよいよ明らかになっているこの盗聴法案の強行成立によって、我が国の民主主義と議会政治の歴史に重大な汚点を残すことを断じて容認することはできません。盗聴法案などは廃案にすることこそが、二十一世紀に向かって憲法と国民の政治的・市民的自由を誠実に守る我が国会と政治の責任であることを強く訴えて、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 福島瑞穂君。
   〔福島瑞穂君登壇、拍手〕
○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となっております犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、いわゆる組織犯罪対策三法案すべてに反対する立場から討論いたします。
 まず強調したいことは、委員会において採決は全く存在していないということです。そのことは、現場での体験、ビデオ、議事録から明白であります。にもかかわらず、この本会議において盗聴法、組織的犯罪対策法の採決が議題となっていることに強い怒りを表明したいと思います。(拍手)
 私たちは絶対に許すことはできません。委員会での採決なくして本会議で議論することは、全く違法なものです。これは参議院への国民の信頼を失墜させ、国民に対し、政治を唾棄すべきものと考えるものであります。
 民主主義を踏みにじってまで押し通そうとする盗聴法、組織的犯罪対策法案は、まさに希代の悪法です。盗聴法は、言うまでもなくプライバシーの権利、通信の秘密を侵害し、日本国憲法の精神を根本から否定するものにほかなりません。
 盗聴法、組織的犯罪対策法案は、衆議院の法務委員会でも本会議でも強行採決が行われ、参議院の法務委員会では強行採決が企てられ、しかも失敗に終わったのです。言語道断の強行採決という形でしか通せないということが、この三法案が自由と民主主義を破壊するものであることを何よりもあらわしております。自由と民主主義を破壊する法律は、自由と民主主義を破壊する形でしか通せなかったのです。
 この法案の前提として、過去において警察が行った違法盗聴についての徹底的な解明と謝罪がなければなりません。しかし、それはなされておりません。この法案において違法盗聴の歯どめはありません。今まで情報収集としてなされてきた違法盗聴は、この盗聴法の成立後に一体どうなるのでしょうか。強大な権限を唯々諾々と警察にゆだねることは、私は国会議員一人一人、国会そしてすべての役所にとって将来自分たちの首を絞めるものになるだろう、そういうふうに考えております。警察国家になれば実は私たち一人一人の自由が侵害をされる。国会議員とてその例外ではまさにありません。
 そして、参議院の議論の中で明らかになったことは、盗聴法が古典的な電話を想定してつくられ、ファクス、電子メール、インターネットなどについては当てはめることができない欠陥法案であるということです。そういう意味でもこの法案は廃案にするしかありません。
 そして、私たちが盗聴法に対して危惧を持つのは、盗聴が個人の内心の秘密に対する著しい侵害性を持つにもかかわらず、既に存在している犯罪の証拠物件を対象とするのではなく、これから話される個人の会話を対象とするため強制処分の範囲が全く特定されない、そういう性質を持っているからです。実質的に見ても盗聴制度は地びき網的捜査方法であり、自己増殖していく性質を持っております。
 会話は個人の内面に直接触れるプライバシーの中核部分をなします。現実に盗聴の対象とされるのは、アメリカ、フランス、ロシアなどの例を見ても、与野党を問わない政治的反対派、ジャーナリスト、市民運動などであり、犯罪プロ集団は電話などの通信手段を使わなくなります。
 盗聴捜査の先進国アメリカでも、盗聴捜査は莫大なコストがかかる割にその捜査の効率が現実に低下をしております。とりわけ、テロ犯罪の摘発には全く役に立っておりません。捜査手段としての盗聴制度を導入することの正当性、合理性が鋭く問われているのです。
 そして、この法案で問題なのは、将来対象犯罪を犯すおそれがあり、その準備のために軽微な犯罪を犯したとされる段階で盗聴できるという事前盗聴の規定を設けていることです。
 犯罪捜査とは、既に発生した犯罪に対するものであるということが刑事司法の大前提です。今まで犯罪は初めに犯罪ありき、それが事前盗聴となる。事前盗聴は、いかに限定を加えても将来起きるおそれのある犯罪を対象とすることは私たちにとって非常に危険なものです。予防検束、それはできません。どんなにその人がふらちなことを考えていても、どんなにけしからぬことを考えていても、まだ犯罪が発生していない場合には決して捜査は開始してはいけません。予備捜索は認められません。しかし、この盗聴法は、事前盗聴をはっきり認めております。
 また、この法案は、令状記載の犯罪以外の別件盗聴を認めております。このようなことを認めること自体が必要最小限の原則に反するものです。別件盗聴を制度として認めれば、全く予測もできない別件犯罪に関する会話が行われる可能性があったという理由で、すべての通信の盗聴を続ける理由とする可能性もできます。別件盗聴は認められません。
 また、この法案のもとで立会人は、被疑事実を告げられませんし、会話内容も聞くことはできないとされております。このような立会人が常時立ち会っても、全く意味がわかりません。会話内容も犯罪事実もわからない立会人は、一体何を監視し、どのようにして意見を述べればよいのでしょうか。
 また、傍受記録の適切な管理、利用ができるのかという問題もあります。
 また、盗聴の事実の大半は、当事者に通知をされません。刑事手続用記録に記録された通信の当事者に、盗聴の終了後三十日以内に通信の傍受を通知しなければなりません。しかし、刑事手続用の記録に記録されなかった大部分の通信については通知はされません。犯罪と無関係な通信の当事者は、裁判所に記録は保管されているのに、盗聴の事実すら知ることはできません。自分が盗聴されたのか、されているのか、そのことは一生わからないのです。これは強制処分という考え方からは非常に異例なものです。現実に強制処分が行われているが、通知がされないのです。一生それを知ることはできません。したがって、準抗告、国家賠償請求訴訟などをすることはできません。
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案では、一定の組織的な犯罪に刑を加重するとして、その対象となる団体について「共同の目的を有する多数人の継続的結合体」と定義をしております。これは、要するに二人以上集まればすべて刑の加重の対象となる団体になるということではないでしょうか。しかも、加重対象となる犯罪には、これまで労働運動、市民運動などに対して恣意的に適用されてきた罪名がずらりと並んでいるのであります。労働運動、市民運動などが不当に弾圧されることも十分あり得ます。
 刑事訴訟法の一部を改正する法律案についても、匿名証人が可能になれば、証人はいるがその詳細は明らかにされないということになり、弁護側はその証言の当否を検証できないだけではなく、場合によっては捜査当局による証言のでっち上げの危険すらはらんでおり、当然ながら認めることはできません。
 アメリカでも、盗聴制度は政治的な目的のために使われております。
 一九六〇年代の初頭にロバート・ケネディ司法長官は、マルチン・ルーサー・キング牧師の家や事務所を盗聴することを許可いたしました。ニクソン大統領も、敵のリストに掲げられた政治家、ジャーナリストなどの盗聴を常習的に行っておりました。ウォーターゲート事件は、民主党本部に仕掛けられた盗聴器に端を発しております。七〇年代には、ベトナム反戦運動の活動家が盗聴の対象、そういうふうにされました。
 アメリカの盗聴法タイトルスリーは、通信のデジタル化や電子メールなどのコンピューター通信を予想していなかったので、FBIは盗聴の効率が低下することを恐れてデジタル・テレフォニー法を成立させました。しかし、当初FBIは費用は五億ドル程度と見積もっていましたが、実際には数十億ドルが必要ということがわかり、法律の施行が延期されている状態です。当初法案の成立を促進した議員の中にもFBIにだまされたという声が上がっております。
○議長(斎藤十朗君) 福島君、時間が超過しています。
○福島瑞穂君(続) 私は、この法案が国会提出されたこと自体が民主主義に対する背理であると考えるものであります。いわんや法案を成立させるなど、議会人の良心にかけて許すことはできません。
 私は、良識の府と呼ばれてきた参議院の議員各位に訴えたいのであります。今こそ政党政派を超えて民主主義を守る側に立つのか、それとも国家主義の復活を望むのか……(発言する者多く、議場騒然)
○議長(斎藤十朗君) 静粛に願います。
○福島瑞穂君(続) 組対法の賛否はその分水嶺です。
 では、最後に……(発言する者多く、議場騒然)
○議長(斎藤十朗君) 静粛に願います。静粛に願います。
 福島君、時間が超過しています。
○福島瑞穂君(続) はい。
 私は、法案すべての廃案を断固として要求するものであります。この法案に反対するリベラル勢力がいずれ政権をとり、この法案を葬り去ることを国民にお誓いして、私の反対討論を終わります。(拍手、議場騒然)
○議長(斎藤十朗君) 御静粛に願います。
 水野誠一君。
   〔水野誠一君登壇、拍手〕
○水野誠一君 私は時間を守って討論をしたいと思います。
 私は、参議院の会の同僚議員の許しを得て、組織犯罪対策関連三法案に残念ながら反対の立場から討論を行います。(拍手)
 なぜ残念ながらと申し上げたかといえば、従前より私は、近年の国内犯罪においてはその凶悪化、巧妙化といった著しい質の変化が進行しており、捜査機能にも時代に対応した能力の向上が求められているという認識のもと、通信傍受法案についてもその必要性には一定の理解を示してきたからであります。
 しかし、捜査手法としての通信傍受はまさに一種の劇薬であり、その効果のみを期待して安易に導入を図るのは危険であると言わざるを得ません。厳格な運用が担保され得るのか否か、開かれた場である国会の委員会審議を通じての十分な議論が必要だったはずであります。
 平成十年当時のさきがけが政府原案の提出を容認したのも、まさに開かれた場での十分な論議が不可欠であるとの判断に基づくものでありました。
 そうした観点から見ると、一連の法務委員会の審議時間はともかくとしても、今月九日の委員会における乱闘騒ぎの中、いわゆる強行採決がされたと言われることは、残念ながらこれが国民に納得の得られる審議のあり方であるとは言いがたいと考えるものであります。(拍手)
 また、内容的な面からは、これまでの本法案の審議の過程において、幾つかの論点につき法務省側の答弁に微妙な揺らぎが見られたことについて申し上げなければなりません。
 例えば先月六日、私自身、委員外委員として法務委員会での質問の機会をいただき、法案十一条のいわゆる通信事業者の協力義務の問題について触れさせていただきました。
 インターネットプロバイダーなどの事業者が捜査官への協力を拒んだ場合に通信傍受は実行されるかという問いに対して、無理やりそれを押してまで傍受をすることはあり得ないという答弁がなされました。これは、以前聞いていた、事業者が協力を拒んだ場合には捜査機関が自力執行することになり、結果としては傍受の実施がなされるという法務省からの説明とは大きく異なるものであります。
 また、いかなる手法によって通信記録を採取するのかといった専門的、技術的な点についての答弁もあいまいなものでした。
 これらの問題からもわかるように、インターネットの傍受に関して言えば、電話とはシステムやその成熟度が全く異なるものなのに、十分な検討がなされないまま法案の中に組み込まれようとしているという拙速の感は免れないものだと思います。
 また、法案十五条に関連し、報道機関等も通信傍受の対象から除外すべきであるという一部の主張があります。法務省はこれに配慮して、ある時期以降、運用上配慮するという趣旨の説明がなされております。これによって残った問題は、報道機関等の範囲をどう定義するかという点ではなく、逆に、憲法上保護されるべき通信の秘密の範囲が、その職種等によって、しかも運用上変わり得るということを認めているという問題であります。
 つまり、法律に定められる場合を除き、保障されるべき通信の秘密は万人に対してひとしくあるべきで、かつ最高レベルの配慮であることはもとより当然であり、運用において差があり得るという説明にはいささか奇異な印象をぬぐえないものであります。
 委員会審議の過程において政府側答弁がこうした揺らぎを見せていることが、法案自体しっかりとしたシステムに裏打ちされていないという印象を国民に与えてしまったことは大いに残念であるとともに、逆に言えば現場での大幅な裁量を許すことになるのではという懸念にほかなりません。厳格な運用という観点からも疑問が残ります。
 また一方では、一般的な盗聴行為を取り締まる法律が電気通信事業法、有線電気通信法以外にないという事実や、盗聴器がちまたで大量に安価で販売されていることが放置されている事実などについても、十分な対応が論議されないままに通信傍受法案だけがひとり歩きし始めるというアンバランスさも看過することができません。
 私は、六月九日に行われました本法案に対する代表質問において、通信傍受法案に関しては、国民の基本的人権にかかわる多くの論点を含んでおり、衆議院において十分な審議が行われないまま強行採決に及んだことについて、そうした秩序を欠いた法案審議のあり方が、立法府の歴史においてあしき先例となるばかりか、国民生活の将来に重大な禍根を残す結果を招きかねないということを強く指摘させていただきました。
 さらに、こうした重要法案の審議に当たり、万一良識の府たる参議院においても同様のことが行われれば、それはまさに立法府の機能不全をみずから露呈するものであり、真摯な議論を望む国民の信頼を回復することがますます難しくなることを我々は肝に銘じるべきであるとも申し上げさせていただきました。
 かくして、組織犯罪対策関連三法案が六月一日に参議院に送付されて以来およそ七十日、その間に法務委員会では、趣旨説明一回、対政府質疑八回、参考人聴取二回、公聴会一回と、計十二回、約五十時間の審議が行われました。これは、実質二十三時間程度と言われている衆議院の審議時間を大幅に上回るものであります。
 しかし、時間数で衆議院を超えたかどうかは国民には余り重要な関心事ではありません。むしろ、七十日間という審議日数があったにもかかわらず、将来の国民生活に多大な影響を与える本法案が、終局場面で委員長席に与野党議員が詰め寄り、つかみ合いの中で強行採決が行われるという異常事態を迎えざるを得なかったということが極めて不適切であります。これは立法府が、そして良識の府たる参議院が、そのあるべき姿から遠くかけ離れた現状にあることを国民に露呈したものと言わざるを得ません。
 さらにつけ加えれば、参議院での委員会審議に衆議院議員が多数押しかけ、あまつさえその後の乱闘に加わったという出来事は異常な事態であり、許せない行為と言わざるを得ません。
 残念ながら、こんな状態で重要なこの三法案を立法することは、それがいかに必要な法律であったとしても、国民に対して大きな不信感を与え、何かうさん臭いものに見せてしまう結果となりました。これは将来に大きな禍根を残すものと考えざるを得ません。
 以上の理由により、いま一度審議を深めるべきであり、現時点での拙速な法案成立については残念ながら賛成することはできません。
 しかしながら、本日の本会議における議長の注意を無視した一部の議員の態度、そこから起きた混乱については、原因がいかなるものであったにせよ、良識の府たる参議院にふさわしいものではない。そして、議長の権威、ひいては参議院の権威失墜につながるものであることについて、私たち参議院の会一同、遺憾に感じていることを申し添えて、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) これより三案を一括して採決いたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──まだ投票をされていない諸君は速やかに御投票ください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──木俣君、立ちどまらないように。──速やかに御投票ください。前へ歩いてください。──速やかに御投票ください。──速やかに御投票ください。どうぞ前へ出てください。──どうぞ投票してください。どうぞ。──投票願います、どうぞ。──投票が終わったら降壇してください。投票が終わったら降壇してください。ここは議長の許可がなければ登れないところです。どうぞ、さっさとおりてください。──投票が終わったら降壇してください、速やかに。──どうぞ速やかにおりてください、そこは。理事の皆さんの通路でもありますしね。どうぞ。──ここは議長の許可がないと登れないところですからね。──用が済んだら直ちに降壇してください。──速やかに御投票願います。速やかに御投票願います。──投票が終わった皆さんは速やかに降壇してください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票ください。──どうぞ順次御投票ください。──どうぞ、どうぞ。──御投票ください。──速やかに御投票ください。──どうぞ歩いてください、一歩一歩前へ。──歩いて。歩いて、歩いて。右、左、右、左。──速やかに御投票願います。──進む方向へ真っすぐ歩いてください。──どうぞ投票してください。──御苦労さま。──はい、速やかに御投票願います。──投票箱の方へ向かって歩いてください、あさっての方を向いているんじゃなくて。──後ろから押してあげてください。──速やかに御投票願います。立ちどまらないでください。後ろが渋滞していますから、立ちどまらないでください。一時停止禁止です。方向が違いますよ。小池君、方向が違います。──どうぞ御投票いただきますように。お疲れでしょうから、速くお歩きになった方が。──投票が終わりましたら、どうぞ早くおりてください。事は済んだんだからさっさとやったらいいですよ。──もう一歩です。もう一歩です。──どうぞ投票してください。──どうぞ投票してください。──速やかに投票してください。どうぞ歩いてください。礼なんかしていないでいいから歩いて、前へ歩いて。──速やかに御投票願います。──そっちの方向じゃないですよ、こっちの方向。──投票してください。──投票してください。──もう一歩前へ出て。──投票してください。──投票してください。──速やかに御投票ください。──速やかに投票してください。──投票してください。──速やかに投票願います。──このままでいきますと投票時間を制限せざるを得なくなります。(拍手)ですから早く投票してください。──ですから早く投票してください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票ください。どうぞ前へ進んでください。──もう少し早く。──どうぞ前へお進みください。もう三歩お進みください。──どうぞ投票してください。──投票してください。──投票してください、手を前へ出して。──速やかに御投票ください。──御投票ください。どうぞ。どうぞ。──御投票ください。──速やかに御投票願います。──早く御投票いただきませんと、投票時間の制限をせざるを得なくなります。どうぞ投票してください。──速やかに御投票ください。──御投票ください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──どうぞ御投票ください。──どうぞ御投票ください。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。前へ歩いて。──歩いて、歩いて。──御投票願います。──御投票願います。どうぞ前へお進みください。──速やかに御投票願います。前へ歩いてください。前進してください。もう一歩。もう一歩。──前進してください。──もう一歩出てください。──前進してください。──速やかに御投票願います。──どうぞ御投票願います。──速やかに御投票願います。──前へ進んでください。──御投票願います。どうぞ投票してください。──御投票願います。どうぞ、どうぞ、どうぞ渡してください。渡してください。──投票してください。照屋君、照屋君、照屋君、照屋君、投票してください。──どうぞ投票してください。木札を渡してください。──どうぞ、もういいでしょう。──どうぞ。──早く渡して、早く。──どうぞ投票してください。
 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百四十一票  
  白色票          百四十二票  
  青色票           九十九票  
 よって、三案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) このまましばらくお待ちください。
 ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。
 これにて午後三時まで休憩いたします。
   午後二時二分休憩
     ─────・─────
   午後三時三十七分開議
○議長(斎藤十朗君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 山下八洲夫君外五名から、賛成者を得て、
 自治大臣野田毅君問責決議案(山下八洲夫君外五名発議)(委員会審査省略要求事件)を議事日程に追加するの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百二十七票  
  白色票           九十一票  
  青色票          百三十六票  
 よって、本動議は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) 上野公成君外一名から、賛成者を得て、
 地方行政・警察委員会において審査中の住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、速やかに地方行政・警察委員長の中間報告を求めることの動議(上野公成君外一名提出)をこの際議題とすることの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十二票  
  白色票          百三十八票  
  青色票           九十四票  
 よって、本動議は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) 地方行政・警察委員会において審査中の住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、速やかに地方行政・警察委員長の中間報告を求めることの動議を議題といたします。
 本動議に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。高嶋良充君。
   〔高嶋良充君登壇、拍手〕
○高嶋良充君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提出をされました暴挙とも言える中間報告を求めることの動議に対して、怒りを込めて反対の討論をいたします。
 今、提出された動議のように、確かに国会法の第五十六条の三では「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」となっています。しかし、動議の趣旨には「特に必要がある」との理由は全く見当たらないのであります。
 私は、本日、昭和二十二年の第一回国会から昨年の第百四十四国会までの審議状況と中間報告について調べさせていただきました。参議院においては、約七千件の議案がこの間審議をされてまいりましたが、そのうち中間報告を求められたのはわずか十三回しかないのであります。
 初めての中間報告は、昭和二十八年の第十六回国会の電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案であり、最後の第十三回目の中間報告は、昭和五十年の第七十五国会における公職選挙法の一部を改正する法律案及び政治資金規正法の一部を改正する法律案であり、それ以降二十四年間も使われていない、まさに禁じ手であります。
 国会において異例中の異例の、まさに禁じ手である中間報告を求めるには、それだけこの法案を成立させる緊急性がなければなりません。
 しかし、皆さん、この住民基本台帳法改正案には全く緊急性があるとは考えられないのであります。なぜならば、この法律の施行期日は「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」となっているからであります。公布の日から起算して三年の猶予とは二〇〇二年からの施行であります。二〇〇二年から施行する法律に対して、今なぜ中間報告を行う必要があるのでしょうか。全く理解に苦しむものであります。
 この住民基本台帳法の一部を改正する法律案は、国民の利便性と逆にプライバシーにかかわる法案であるため、今まで与党の皆さん方も、そして野党の私どもも真摯に、かつ慎重に審議を行ってまいりました。
 さらに、地行・警察委員会は八月九日、十日、そして昨日も委員会を設定しており、審議を残していることを理事懇で合意しているわけであります。これは当然、与党の理事も認められたことであります。
 それなのに審議が行われなかったのは、通信傍受法、いわゆる盗聴法が法務委員会での採決なしの強行採決によって国会が不正常な状態に陥ったためであります。不正常な状態に陥って二日間の審議ができなかった理由は、まさに法務委員会における暴挙が原因であります。これはすべて自民、自由の与党と公明党の責任であります。
 住基法改正案にとって今必要なのは、国会の審議の基本である委員会審議を尽くすことであり、会期が切れれば、三年間の猶予があるわけでありますから、次回国会で審議を尽くすことであろうと思います。院はその審議のありようを慎重に見守るべきでありましょう。それが良識の府と言われる参議院のとる道ではないでしょうか。
 この法案の審議になぜ慎重を期さなければならないのか、その理由について申し上げたいと思います。
 この住基ネットの導入が個人情報の漏えいの危険性を持つとともに、将来なし崩し的に利用分野が拡大することで、結果として国民総背番号制となり、国家が多様な国民の情報を一元管理するためのシステムになるのではないか等の懸念が国民の中に大きくあるためであります。国民の基本的な人権にかかわる問題だけに、何よりも国民の皆さん方の理解を得ることこそが必要なのであります。
 なのに、参議院においては、六月二十八日に本会議で趣旨説明、質疑が行われて以来、審議時間は二十七時間二十五分でしかありません。そして、審議が深まれば深まるほど問題点がクローズアップされてきたのであります。
 この法案が衆議院より審議時間をなぜ参議院で多くとらなければならないのかという理由についても申し上げたいと思います。
 その理由は、衆議院において修正されているからであります。修正内容は、附則第一条に第二項を追加して、「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」という全く意味不明の修正が行われたわけであります。そして、この「所要の措置」について、自治大臣と総理大臣答弁でその内容が補強されたというのが衆議院の実情であります。
 だから、私どもは、これらの修正が衆議院の、そしてさらに採決直前に行われたために、参議院ではこの内容を十分に解明する審議時間が必要であるとの認識に立っていたわけであります。そのため、私どもは審議冒頭から修正内容を解明するための慎重審議を続けてまいりました。
 そうした審議の中で、個人情報保護措置について、修正案を提出された自民、自由、公明党の三党が民間利用も含む包括的な個人情報保護措置を合意されていたということが明らかになりましたが、しかし政府側を追及すると、政府内の小渕総理を本部長とする高度情報通信社会推進本部の検討部会では、分野別に法制化を検討しており、整合性がなく大きな隔たりがあることも判明したのであります。だから、いまだにマスコミも報道しているように、個人情報保護法の具体像はない、また国民総背番号制への不安は消えていない、このような問題点を指摘しているのであります。
 こうした意見は、国民の間にも幅広くある住基ネットに対する懸念や不安を代弁していると言っても言い過ぎではないと思います。
 また、与党である自由党の小沢党首が、住基ネットは安全保障や治安維持に使わなければ意味がないと経団連で講演をされました。いわゆる盗聴法との関連で、治安維持に利用されるのではないかといった疑念も払拭をされていないわけであります。
 本来、住民基本台帳にかかわる業務は地方自治体の自治事務であります。その地方自治体からも、住民基本台帳オンライン化について多くの問題点も指摘をされているわけであります。
 一つは、オンライン化に要する費用は四百億円、その後のランニングコストは二百億円とも言われており、地方負担が懸念をされているわけであります。地方自治体からすると、オンライン化にこれだけの費用をかけるだけの市民サービス面での価値があるのかという素朴な疑問も生まれているわけであります。
 また、もう一つには、個人情報保護条例を施行している自治体では、オンライン等個人情報の新規取り扱いについては個人情報保護運営審議会に諮らなければならないことになっていますが、法改正はこうした制度の否定を意味しているわけであります。
 さらには、住民基本台帳の大量閲覧を認めていない自治体もあります。これは、個人情報保護の観点から、長年にわたる行政努力の成果であったわけですが、オンライン化されることによって、今後は全国どこでも住民票がとれると同時に、全国どこでも大量閲覧を許すことになり、これらの市の努力はすべて水泡に帰してしまうことになるのであります。
 以上挙げましたほかにも、今回の法改正によって地方自治体はさまざまな問題に直面をすることとなります。法改正は直接当事者である地方自治体や地方議会の十分な議論をも保障しなくてはならないと思います。そのためにも、国会審議は慎重かつ十分な審議を必要としているのであります。
 このように、本法案はまだまだ国民の十分な理解を得るに至ったとは決して言いがたく、委員会でより一層審議を尽くさなければなりません。そして、何よりも、まだ中央公聴会も開いていないのであります。国会が直ちにやらなくてはならないことは、今すぐに中央公聴会を開いて国民の意見を聞き、国民の不安や疑念にこたえることであろうと思います。
 地方行政・警察委員会の小山峰男委員長は、この法案を成立させる前提として、社会的合意が必要だということをしっかりと認識され、議会制民主主義のルールにのっとりながら中立公平な立場で、沈着冷静に、そして真摯に審議を進行されてまいりました。それにもかかわらず、ここでなぜ中間報告を求められなければならないのか、私たちには全く理解できないのであります。
 国会法の第五十六条の三に基づいて、今、中間報告を求めることのねらいは、報告後直ちに本会議による審議と採決を強行しようとするのではないか。もしそうであるならば、この法案の今までの委員会での審議の積み重ねが全く無に帰することになるでありましょう。このような委員会審議を軽視することは、委員会の審議権を侵害することであり、絶対に容認することはできません。今後の国会運営にも大きな禍根を残すこととなるでしょう。(拍手)
 私は、禁じ手である無謀な中間報告の強要に断固反対をいたします。
 また、参議院本会議においてもし直接審議、採決が行われるならば、それは議会制民主主義をみずから否定することであり、自殺行為であると言わねばならないと思います。
 私は、このような委員会の審議権を侵害する中間報告の強要に断固抗議を申し上げ、反対討論といたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 八田ひろ子君。
   〔八田ひろ子君登壇、拍手〕
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方行政・警察委員会において審査中の住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、速やかに地方行政・警察委員長の中間報告を求めることの動議に対しまして、この法案の審議を行ってきた一人としても怒りを持って反対の討論を行うものであります。(拍手)
 そもそも、国会法五十六条の三に定める中間報告は、特別に必要な場合に限ってのみ許されることとされているのであります。そうでなければ、本会議から付託された委員会の審議権、審査権と自主性を奪い、議会制民主主義のルールをじゅうりんすることになることは明白であります。したがって、中間報告はこれを必要とする明確かつ具体的な理由が認められる場合でなければなりません。
 しかし、地方行政・警察委員会における審議は各党理事の民主的協議の上に正常に行われてまいりました。委員会審議に何らの不正常もありません。それなのにこのような暴挙を許せるわけはありません。
 次に、これまでの委員会での質疑を通じて法案の持つ問題点が明白になってまいりました。
 その第一は、お年寄りから赤ちゃんまで、すべての国民が本人の意思と関係なく個人を認識する共通番号として十けたの番号をつけられる本法案のシステムによって、一人一人の生活が行政の管理のもとに置かれるのではないかという不安はこの審議の間にも国民の間に大きく広がり、このようなシステムを史上初めて導入するというのなら国民合意がなければならないのに、この国民合意が得られていない、反対の意見がますます広がっている状況であります。
 第二に、プライバシー個人情報保護の問題であります。個人のコード番号、氏名、生年月日、性別、住所や付随情報が全国センターなどに蓄積され、全国をつなぐネットワークの専用回線を住民基本台帳の情報が飛び交うというこのコンピューターネットワークシステムによって、個人のプライバシーや個人情報が全国的に流出する危険性が一層高まるのではないかとの疑念は、払拭されるどころか、さらに深まってまいりました。しかも、このネットワークシステムには、四情報プラスコード番号だけでなく、実は住民基本台帳のすべての情報が流れるというのが明らかになってまいりました。
 第三に、このネットワークシステムは国民にとって本当に便利になるのか、必要なのかという問題です。政府は国民の利便性が増すと言っておりますが、委員会審議の中で、住民票の広域交付にせよ、ICカードにせよ、利便性はほとんどないに等しいことが明らかになってまいりました。
 四番目は、地方財政に重大な負担を強いるのがこのネットワークシステムであります。
 そして第五に、改正案は四十六条しかない住民基本台帳法に新たに四十三条分をつけ加えるなど、本体以上に新設部分が多いというのも異例のものです。内容的にも異質のものが入ってきて、住民基本台帳の制度を定めるとした法律からネットワーク法とでも言うべきものになっている。
 委員会での参考人質疑でも、日弁連の代表は住民基本台帳法を逸脱していると話され、マスコミ分野の参考人も、本来は別の法律とすべきだと述べておられました。将来いろいろな分野で統一的な個人認証が必要だというのなら、国民的な合意を得ながら別の法律として提起すべきものであるのは、この審議の中でも明らかであります。
 第六に、本改正案は、衆議院通過の際に、包括的個人情報保護の法整備を含めたシステムなどの所要の措置を講ずることとの修正が加えられました。ところが、この包括的個人情報保護の法整備を含めたシステムなるものは、自治大臣みずからが次元の違うものと答弁しているように、本改正案の前提となるものではないことが明らかになりました。しかも、その内容はこれから検討が始まったばかりということであり、どのようなものになるかは全くわからないものであります。
 多くの国民が個人情報やプライバシーの保護を求めているのに、その検討を先送りにして本改正案を先に成立させるというのでは順序が全く逆であり、本改正案は個人情報の保護法ができてから改めて出し直すべきであります。
 以上、本法案に関する幾つかの問題点を挙げてまいりましたが、個人の希望でコード番号を変更することもできるから押しつけではないという説明でありましたが、実際にはこのコード番号は変更をしたとしても旧番号がきちんと蓄積されついて回るなど、審議を行えば行うほど正すべき問題点が広がっている。
 国民一人一人が尊重されるべきことをうたった憲法第十三条の精神から見ても本法案の欠陥は明らかである。それなのに中間報告という形でこのような採決を進めていこうというやり方には断固反対をし、以上をもって中間報告を求めることの動議の反対討論といたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇、拍手〕
○照屋寛徳君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました地方行政・警察委員会において審査中の住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、速やかに地方行政・警察委員長の中間報告を求めることの動議について、反対の討論を行います。
 いや、実はこの動議が出て大変に驚きました。よもや住民基本台帳法の一部を改正する法律案について与党がこの本会議場において中間報告を求める動議を提出し、そのような手続を実行するとは予想しませんでした。その上、動議に対する討論があるというのをただいま本会議場で知りました。
 さて、私は、住民基本台帳法の一部を改正する法律案の中身に関するさまざまな問題点について論ずる前に、国会法五十六条の三の中間報告をなぜこの時点で本議院に求めなければならないのか、その必要性などを中心に、主に手続論について議論を進めてまいりたいと思います。
 住民基本台帳法の一部を改正する法律案が、去る六月十五日に衆議院において、「政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」との附則が付された上で修正可決され、現在、参議院地方行政・警察委員会において現に審議をしておる法案でございます。
 この法案が地方行政・警察委員会に送られてまいりまして、七月十五日に浜松市、豊田町の住民票広域交付センターの視察を行い、八月五日に大宮市で地方公聴会を開催するとともに、参考人質疑を二回行い、この間、並行して法案に対する質疑を続行してまいりました。しかも、八月十日、十一日と法案に対する質疑を行うことを、小山委員長のもとで、理事懇談会の全員一致の合意で決定いたしておったのであります。私も、その期日における法案質疑のために、既に二十数項目の質問事項を通告し、自治省の担当者との間で質問レクも済ませておったのであります。
 このようにして、委員会審議は、理事懇談会において定例日の定時定刻に質疑を行うという確認のもとに、これまで真剣に議論が尽くされてきたのであります。
 したがって、地方行政・警察委員会において著しく審議が遅延したとか、あるいは地方行政・警察委員会が法案審議を殊さら怠ったという事実は全く存在しないのであります。つまり、地方行政・警察委員会における法案審議は尽くされていないのであります。
 しかるに、本日のこの本会議で、国会法第五十六条の三を適用し、地方行政・警察委員会における審議を尽くし、採決を行うことなく、本会議での中間報告を求めることは、国会法が定める委員会審議第一主義の原則に明白に違反するものであると断ぜざるを得ないのであります。
 今回の地方行政・警察委員会における法案審議や公聴会や参考人に対する質疑、このことを踏まえますと、国会法第五十六条の三を適用する要件を欠いており、まさに私は多数与党の横暴による議会制民主主義の破壊であると言わざるを得ません。そもそも一九七五年以来二十四年間、一度も行われていないあしき前例を再び利用することは、多数による少数党の意見の封殺そして委員の質疑権の略奪以外の何物でもありません。
 この中間報告の問題が初めて新聞で報道されたのは私どもが大宮市の地方公聴会に出かけた朝でございまして、一部の新聞がそのことを報道いたしました。私どもは理事懇談会の席上、与党・自民党の筆頭理事に対して、よもや中間報告を求めるような手続は考えておられないでしょうねということを念を押してきた。そういうことはありませんということでありました。そうでしたね、松村理事。(「知らないと言ったんだよ」と呼ぶ者あり)
 ところが、現に中間報告を求める動議が提出されるという事態になりました。八月十日、十一日に予定をされておった法案質疑がそもそもできなくなったのは、地方行政・警察委員会の委員が審議をサボったからじゃないんです。その直接的な原因は、法務委員会において荒木清寛委員長が採決なき強行採決と言われる盗聴法の強行採決をした国会混乱がその原因であります。
 我が国は、そして国際社会は情報化社会であります。高度のコンピューターネットワーク社会であります。その中にあって、住民基本台帳法の一部を改正する法律案と深くかかわってくるのが国民のプライバシーの権利であります。私はプライバシーの権利は、勝手みだりに個人の私生活を公表されないという、そういう消極的な権利概念にとどまらず、憲法十三条の幸福追求権に基づく自己情報コントロール権であるというふうに考えております。
 住民基本台帳法はたくさんの問題点をはらんでおりますけれども、一番大きな問題はプライバシーとのかかわりであります。今必要なのは、引き続いて地方行政・警察委員会においてさまざまな議論を尽くすことが大事であり、同時に、高度情報化社会の中で個人情報や個人信用情報が漏えいをされ、流出をし、売り買いをされて、そういうことで商品化される社会状況の中で、私ども社会民主党は、包括的な個人情報保護法の制定こそが今緊急に求められておる、そういう意味で、本動議には反対であります。
 以上、終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) これより中間報告を求めることの動議の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十一票
  白色票          百三十八票
  青色票           九十三票
 よって、中間報告を求めることの動議は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) これにて一時間休憩いたします。
   午後四時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後五時五十七分開議
○議長(斎藤十朗君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 これより、住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、地方行政・警察委員長の中間報告を求めます。地方行政・警察委員長小山峰男君。
   〔小山峰男君登壇、拍手〕
○小山峰男君 住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきまして、院議をもって中間報告を求められましたので、現在までの委員会の審査の経過を御報告申し上げます。
 まず初めに、このような中間報告を突如求められましたことは、私にとりまして青天のへきれきでございました。
 私は、これまで、理事会等を通じて必要かつ十分な話し合いを続けつつ、各会派の合意を得て終始円満な委員会運営に努めてまいりました。このような事態に至ったことは、私といたしましては極めて遺憾であり、断腸の思いであります。
 地方行政・警察委員会といたしましては、本法律案につきまして可能な限りの手段によって審議に最大限努めてまいりましたし、さらに残余の多くの疑問点を解明するため、引き続き委員会を開会できるよう努力を続けてきたところであります。
 良識の府であるここ参議院で、法律案等の審議において従来から委員会中心主義を貫き、実質的審議を深めてこられましたのは、偉大な我々の諸先輩が築いてこられた伝統と努力のたまものであります。そのいずれにもかえがたいよき伝統をいとも簡単に踏みにじる今回の理不尽きわまりない中間報告であります。
 私にとっては全く不本意であり、言語に絶する事態でありますが、法律の規定に従いまして粛々と以下御報告を申し上げます。
 本法律案は、住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資するため、第一に、住民票の記載事項として新たに住民票コードを加えることとし、市町村長は、住民票に、転入した住民については転入前の住民票コードを、初めて住民票を作成される住民には全国で重複しない住民票コードを記載すること。
 第二に、住民は、住所地以外の市町村長に住民票の写しの交付を請求でき、住民基本台帳カードの交付を受けている住民は、住所異動の際に、転出地の市役所や町村役場に出向いて転出証明書の交付を受けることを不要とする手続を設けること。
 第三に、市町村長は、住民票の作成を行ったときは、本人確認情報として、住民票に記載された氏名、生年月日、性別、住所のいわゆる四情報及び住民票コードなどを電気通信回線を通じて都道府県知事に通知し、都道府県知事は、国の機関等からの住民の居住関係の確認の求めに限り、本人確認情報を提供すること。
 第四に、都道府県知事は、指定情報処理機関に本人確認情報処理事務を行わせることができること。
 第五に、市町村長、都道府県知事、指定情報処理機関及び本人確認情報の受領者である国の機関等について、本人確認情報の目的外の利用、提供の禁止を初め、関係者に対して情報に関する秘密保持義務を課し、違反者には通常の公務員の秘密保持義務違反よりも重い罰則を科することにしていること、また、民間において住民票コードの利用を制限するため、この告知を求めることを禁止すること。
 第六に、住民は、市町村長に対し住民基本台帳カードの交付を求めることができ、市町村は住民基本台帳カードを条例で定める独自の目的のために利用することができることなどを内容とするものであります。
 本案につきましては、衆議院において、今後、地方公共団体が主体となって全国民を対象としたネットワークシステムを円滑に導入していくためには、プライバシー保護に対する不安や懸念を払拭し、国民の十分な理解を得る必要があるため、法施行に当たっては個人情報の保護に万全を期するための施策の充実を図ることが不可欠であるとの認識から、政府原案の附則に、新たに「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」との一項を追加するという修正が加えられております。
 本案は、六月二十八日、本会議における趣旨説明及び質疑の後、直ちに委員会に付託されました。次いで七月八日、地方行政・警察委員会では、野田自治大臣から趣旨説明を、衆議院における修正部分については修正案提出者である衆議院議員宮路和明君から説明を聴取いたしました。
 その後、地方行政・警察委員会といたしましては、本法律案の審議の進め方について、理事会、理事懇談会において各会派が熱心かつ協力的な話し合いを行い、特に斎藤参議院議長の提唱されている、衆議院とは一味違った、切り口の異なる審議を行うべきであるという点で各会派の意見が一致し、これまで極めて円満に、さまざまな委員会審査の手法を用いて審議を行ってまいりました。
 その実質的な審査の最初として、まず地方視察を行いました。
 七月十五日、委員会全員二十一名のところ、そのうちの十七名もの多くの方々の参加を得て静岡県に出向き、まず磐田郡豊田町に参りました。同町では、希望する住民には地域カードが交付され、住民票の写しと印鑑登録証明書が発行できる自動交付機を役場に設置してあり、カードには定期検診や予防接種の情報などが記録され、図書カードとしても利用できるほか、キャッシュカードとしての機能も持たせることができるということでありました。
 次いで、住民票の広域交付を行っている浜松市に参りました。同市を含む二十二の市町村間におきましては、事務委託方式により、ファクスにより、どの市町村にいてもみずからの住民票の写しの交付を受けられるということであります。このような実情をつぶさに拝見してまいり、その後の委員会審議に大変役立った次第であります。
 七月二十二日の委員会におきましては、各党一巡方式の一回目として質疑を行い、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党が、修正案提出者である衆議院議員宮路和明君、同桝屋敬悟君、同鰐淵俊之君、野田自治大臣及び政府委員に対し、それぞれ質疑を行いました。
 七月二十七日の委員会におきましては、午前中は一回目の残余である日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会がそれぞれ質疑を行い、午後からは一回目の参考人質疑を行い、中央大学法学部教授堀部政男君、筑波大学社会科学系教授内野正幸君、東京大学国際・産学共同研究センター教授安田浩君及び情報処理振興事業協会セキュリティセンター所長前川徹君の四名の方々に出席をお願いし、本法律案の、特に個人情報保護など法律的な分野及びセキュリティー問題を初めとしたコンピューター技術の分野についてそれぞれ貴重な意見を聴取し、さまざまな角度から各会派が質疑を行っております。
 七月二十九日の委員会におきましては、各党一巡方式の二巡目としてすべての会派が質疑を行いました。
 八月三日の委員会におきましては、午前中は第二回目の参考人質疑として、前回の参考人質疑とは異なった分野について、すなわちマスコミ、各種団体及び地方公共団体の関係者の出席を求めて質疑を行いました。
 参考人は、毎日新聞社論説副委員長中村啓三君、日本弁護士連合会国民総背番号制度問題等対策協議会座長野村務君及び岐阜県知事梶原拓君の三名の方々であり、本法律案に対するマスコミや世論の見方、法律家から見た問題点及び自治体の長にとっての制度の利便性などについてそれぞれ貴重な意見が述べられ、委員からはいろいろの角度から質疑が行われました。
 午後は、三巡目の質疑として、自由民主党及び自由党を除いた各会派がそれぞれ質疑を行っております。
 八月五日は、委員長の私を初め十名の委員が午前中に埼玉県大宮市に出向き、地方公聴会を開催いたしました。
 公述人は、与野市長井原勇君、埼玉県総合政策部長青木信之君、埼玉県北埼玉地域県政モニター協議会会長品川寛子君及びプライバシーアクション運営委員江原昇君の四名で、公述の要旨は、制度導入に際しての市町村の財政負担に対する国からの支援の必要性、住民票広域交付のメリットとICカードの持つ利便性、複数市町村が共同して行う住民サービス拠点整備への県の協力、県・市町村間の情報通信ネットワーク整備による公共サービスの実現、一市民にとっての住民票の果たす役割、ボランティア活動で知った高齢者にとっての住民基本台帳ネットワークの利便性、本改正が市区町村窓口業務に与える影響及び個人情報保護に関する制度の問題点などであり、それぞれの立場から意見が述べられました。
 これらの公述人の意見に対して各委員より、住民サービス向上と行政改革推進のためのコンピューターの重要性、本制度導入へ向けての県における検討状況、個人情報を扱う自治体職員のモラルの向上策、広域交付による住民票を使った行政手続を行う窓口での混乱発生の懸念、不要情報の消去及び情報保存期間が法律で規定されていない問題点、高度情報化社会における地方公共団体としての基本的認識と留意点、利便性・効率性の観点からICカードに付加が見込まれる情報の内容などについて大変熱心に質疑が交わされました。
 その日のうちに国会に戻り、午後には委員会を開会し、まず地方公聴会に関して派遣委員から報告を聴取いたし、その後、政府に対して各会派がそれぞれ四巡目の質疑を行いました。
 これまでの委員会における質疑は、民間部門を含む包括的な個人情報保護法の必要性、本人確認情報の利用範囲拡大の可能性、住民基本台帳ネットワークシステムの費用と効果及びプライバシー保護対策、納税者番号制度への住民票コード活用の可能性、過去の住民基本台帳情報の漏洩事件、自治体の条例等によるオンライン結合禁止条項と本法律案との関係、住民基本台帳ネットワークシステムと国民総背番号制度の違い、使用済み本人確認情報の消去規定の必要性、衆議院における修正の理由と「所要の措置」の内容、政府における包括的な個人情報保護法の検討状況及び指定情報処理機関を認可法人とする理由など、各般にわたって熱心な論議が行われてまいりました。
 委員会における法案審査の経過と概要は以上でありますが、委員長としては、今日まで、ただいま御報告いたしましたように、すべての可能な委員会の定例日を活用し、限られた期間内にまことに充実した審議を重ねてまいりましたが、今後も審議すべき点が残っており、八月九日の理事懇談会において、定例日である翌十日には自由民主党と自由党を除いた各会派が五巡目の法案審議を行うことで意見の一致を見たところであります。
 しかるに、九日の夜、本院の法務委員会において、与党による組織犯罪対策三法に関する民主党・新緑風会の質疑中に質疑打ち切り、強行採決という、言論の府である国会における自由闊達な議論を数の暴力によって封じ込める、議会制民主主義を根底から否定する事態を引き起こしたのであります。質疑を予定した各委員は、せっかく、法案の問題点を政府等にただす機会を奪われ、本院の委員会活動は異常な事態を迎えるに至りました。かかる事態を招いた与党の責任はまことに重大であります。(拍手)
 それでも、当委員会といたしましては、何とか委員会審議を進めるために、八月十日は、理事懇談会を開催して協議を重ねてまいりましたが、意見の一致を見ることができず、委員会を開会するに至りませんでした。
 翌十一日は、当委員会の定例日ではなかったのでありますが、本通常国会も会期末まであと数日を残すこととなり、審議すべき内容がたくさん残っている現状では、定例日にこだわらずに積極的に審議し、衆議院とは異なった充実した審議を行うという各会派の一致した意見に従いまして、午前十時から開会を予定しておりました。
 ところが、与党と公明党が強引に引き起こした法務委員会における強行採決による本院の不正常な状況に変化がないばかりではなく、衆議院において内閣不信任案が提出されたため、まさに最大級の異常事態となったのであります。その後も本院における不正常な事態が続いていたことは御承知のとおりであります。
 しかし、当地方行政・警察委員会といたしましては、国民のプライバシーが守られるかどうかという大変重要な法律案でもありますから、さらに審議を深めていきたいと、私、委員長だけではなく、各会派の委員も同じ思いであろうと思いますし、まだ会期も本日を含めて二日ありますので、審議を続行したいと思っておりましたところ、本日、突然、本法案について本会議における中間報告を求める動議が提出され、可決され、中間報告を行うことを余儀なくされた次第であります。
 このような中間報告を求められましたことは、院議をもって選任された国会役員の一人として、これまで、厳正、公正、一党一派に偏することなく、中立を旨として円満な委員会運営に腐心してきた私といたしましては、憲政に汚点を残すこのような事態となりましたことを大変遺憾に存じている次第でございます。
 国会法第五十六条の三は、本来、委員会において、野党による物理的な抵抗あるいはサボタージュなどによって、審議が停滞、中断したような極めて不正常な事態となった場合に発動されるべきものであり、それは、これまでたった十三例しかなく、しかも昭和五十年以降皆無であったことが如実に物語っております。
 したがって、本法律案のように、粛々と各委員が真摯にかつ精力的に質疑を続け、徐々に法案の問題点が浮き彫りになってまいりましたそのやさきに、このような中間報告を強制することは、良識の府である参議院の行うべきことではありません。(拍手)
 理念なき数合わせの多数によって、今後続行されるべき委員会審議が阻止される事態は委員会の審議権を剥奪するものであり、これはまさに議会制民主主義を踏みにじる暴挙であります。猛省を促し、議員各位の良識ある今後の行動に御期待を申し上げます。
 以上、内閣提出の本法律案に対する現在までの地方行政・警察委員会における審査の経過の報告を終わります。(拍手)
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) 上野公成君外一名から、賛成者を得て、
 地方行政・警察委員長から中間報告があった住民基本台帳法の一部を改正する法律案は議院の会議において直ちに審議することの動議が提出されました。
 よって、本動議を議題といたします。
 本動議に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。藤井俊男君。
   〔藤井俊男君登壇、拍手〕
○藤井俊男君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提出されました住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議院の会議において直ちに審議することの動議に対し、反対の討論を行うものであります。
 まず、自自公三党の強引な議決により、地方行政・警察委員長に対し中間報告を強要し、委員会の審議権を著しく侵害する行為について、強く抗議するものであります。(拍手)
 さて、本法律案につきましては、その内容の国民生活に与える影響の大きさ及び国民総背番号制に対する国民の懸念にかんがみ、我が民主党は、かねてから拙速を避け、慎重審議を求めてまいりました。
 こうした観点から、六月二十八日の本会議における趣旨説明、質疑を受け、地方行政・警察委員会におきまして、先ほど小山委員長から報告があったように、現地視察や参考人からの意見聴取、地方公聴会の開催など、委員会の定例日をフルに使い、精力的な審査を行ってまいりました。
 そして、各党各会派も審議拒否など行うことなく、まことに熱心に議論を深めてまいり、本法案の持つさまざまな問題点を明らかにしてまいりました。ここまではまさに良識の府としての参議院にふさわしい慎重かつ濃密な審査を行ってきたのであります。
 こうした委員会の努力にもかかわらず、自自公三党は、今国会における成立を強行すべく、数を頼んで国会法第五十六条の三を強引に適用して当委員会に対し中間報告を求め、今また委員会から法案を取り上げて委員会採決抜きの本会議議決を強行しようとしているのであります。こうした自自公三党の暴挙を断じて許すわけにはいきません。(拍手)
 言うまでもなく、国会法は議案審査につきまして委員会中心主義をとり、委員会に大幅な審査の権限を与えております。当委員会がこうした権限を放棄して審査をサボタージュしていたというのであればともかく、当委員会は、委員会に許されたさまざまな審査方法を用いて、政府に対して法案の疑問点、問題点をただし、参考人の方々からは専門的見地からの意見を聴取し、また委員会みずから地方に足を運んで現地視察を行って現状把握を行い、また地方公聴会を開催して本法案に対するさまざまな立場からの国民の意見の聴取に努めるなど、他のどの委員会にも負けない精力的な審査を行ってきたと自負しております。
 こうした審査の結果、本法案についてはさまざまな問題点が浮かび上がっております。
 その第一として、個人情報のプライバシー保護に関する法制度が不備である点であります。高度情報化社会の進展に対応して、行政も情報化の努力を行うことは当然でありますが、それは行政が持つ個人情報の保護措置がとられていることが最低条件であります。
 本法律案におきましては、氏名、生年月日、性別、住所の四情報と住民票コード及びその付随情報が専用回線を通じて全国規模で流通することとしておりますが、このことにより個人情報に係る人数、機会がふえることになり、それだけ情報の漏えいの機会も飛躍的にふえることになります。
 現在、国の保有する個人情報についてのみ法的な保護措置がとられておりますが、地方公共団体においては個人情報保護条例を持つ団体は全体の約四割にとどまっております。さらに、民間部門におきましては、法的拘束力のないガイドラインの策定にとどまっており、事実上、野放しの状態にあります。
 包括的な個人情報保護法が必要なことは、衆議院段階において本法律案の附則に、政府は個人情報の保護に万全を期するため、速やかに所要の措置を講ずるものとする旨の一項が追加されており、自自公三党も認めているのであります。
 こうしたことから、本法律案の成立を殊さらに急ぐことは全く理由がなく、包括的な個人情報保護法の整備と一体として考えるべきものであります。
 第二に、改正の目的である国民の利便性の向上や、行政の簡素化、効率化により得られる効果と費用の関係が不明瞭であることであります。
 政府は、住民基本台帳ネットワークシステムの導入に必要な経費として、初期投資額四百億円、年間経費二百億円と説明しており、システム導入により得られるベネフィットは五百十億円としております。導入経費だけでも巨額でありますが、しかしこの経費の国と地方公共団体それぞれの負担については試算さえしておらず、全く根拠のあいまいな数字であります。
 また、この試算値には人件費が算入されておらず、各自治体に専門的な職員を配置することが必要になること、さらに住民基本台帳カードの発行にかかわる経費などをも考慮すれば、真に必要な経費がさらに膨張するのは必定であり、システム導入に必要なコストとそれから得られるベネフィットが合っているのかは大変疑問であります。
 もし、これが国の予算によって行われる事業であったならば、このようなずさんな経費の試算は許されなかったでありましょう。しかし、この法案は地方自治体それぞれに経常的に大きな財政的負担を強いるものであることが明らかになったのであります。そして、それは当然ながら、国民の税金に最終的にツケ回されることになるのであります。
 第三に、住民基本台帳カードの問題であります。
 本法案におきましては、交付を希望する者に対し、ICカードによる住民基本台帳カードを交付し、転出転入手続の簡素化やIDカードとしての活用ができることにするほか、地方自治体の条例によりカードの利用分野を拡大することができることとしております。
 しかしながら、磁気カードに比して大変な高価なICカードを使いながら、実際の効果は大変限られております。私は地方行政・警察委員会の視察委員の一員として、自治省の施策である地域カード事業を実施している静岡県豊田町を視察してまいりました。そこでは確かに住民票の写しや印鑑登録証明書の自動交付、保健・医療情報のカード利用が行われておりましたが、その発行枚数や利用状況を見ても必ずしも定着しているとは言い切れず、他の実施団体では軒並み撤退、縮小を余儀なくされており、この自治省のICカード事業は惨たんたる結果に終わっているのであります。
 こうしたことから、住民基本台帳カードの事業性については甚だ疑問であり、カード導入の真の目的は、国民にカードを国内版パスポートとして常時携帯させ、国民管理の手段に使うことではないかとの疑問を抱かざるを得ないのであります。
 本法案の抱える問題点はまだまだ指摘することができますが、こうした問題点、疑問点が何ら解決されないまま委員会から議案そのものを取り上げ、本会議において採決を強行しようとすることは言語道断の暴挙と言うべきものであります。(拍手)
 しかも、委員会は今日まで精力的に審査をこなし、委員会には何らの瑕疵もないのであります。にもかかわらず、多数の横暴により、委員会審査を封殺して、無謀にも議院における審議を強行しようとしているのであります。こうした自自公三党の態度には、同じ議院に籍を置く我々としましては、怒りを通り越して悲しみの念さえ抱かざるを得ないのであります。
 なるほど、国会法第五十六条の三は、中間報告を行った案件について「委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる。」と規定しております。しかしながら、これには前提条件として「議院が特に緊急を要すると認めたとき」と定められております。
 果たして本法律案が緊急に採決されなければならないものと言えるのでしょうか。委員会から議案を取り上げてまで緊急に採決しなければ国民が重大な被害をこうむる事態にあるのでしょうか。そのような事態にあるとは私には到底認識できません。むしろ、審議を尽くさず本案を拙速に議了しようとする態度こそ国民の信頼に背くものと考えるものであります。
 良識の府である参議院が今行わなければならないことは、違法な委員会採決抜きの本会議採決を強行することではなく、本法律案が国民生活に重大な影響を及ぼすことにかんがみ、十二分に審議を尽くして、国民の前にその内容を明らかにすることであり、これこそが議会制民主主義の常道であると思うのであります。
 私は、中間報告後も、地方行政・警察委員会において、残された問題点についてさらに審査を続行し、国民の納得のいくような審査を尽くすべきであることを強く主張して、本会議において直ちに審議することの動議に反対する私の討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 富樫練三君。
   〔富樫練三君登壇、拍手〕
○富樫練三君 私は、ただいま議題となりました住民基本台帳法改正案を議院の会議において直ちに審議することの動議に対し、反対の討論を行います。
 本動議は、国民のすべてに番号をつけて住民基本台帳の個人情報を新しいコンピューターネットワークに載せて国の行政機関などに利用しようとする住民基本台帳法改正案を、プライバシー権との関係などに寄せる国民の不安や心配を無視して、参議院でこそ慎重審議をと求める国民の声をも無視して、地方行政・警察委員会で審議が続けられているにもかかわらず、不当にも与党の多数の力をもって委員会審議を打ち切り、本会議で中間報告を求め強行成立させようとするものであり、到底認めることはできません。(拍手)
 このような不当な行為に対して、私は、この法案の重要性に照らして、良識の府とされている参議院の名において、断固として反対するものであります。
 反対の第一の理由は、衆参両院の審議の中で最大の焦点となった個人情報保護措置が、衆議院での修正を経てもなお不十分であるにもかかわらず、まだ委員会審議が不十分であることであります。
 憲法第十三条の国民の幸福追求権に根拠を置くプライバシーの権利とは自己の情報をコントロールする権利とされていますけれども、今、日本社会に必要なことは、この権利を保障するために個人情報保護に万全を尽くすことであります。
 ところが、包括的個人情報保護法も個人情報オンブズマン制度もない日本の現状のもとで、氏名、住所、生年月日、性別の四情報と住民票コードを全国ネットで結ぶこのシステムを導入するなら、今でも後を絶たない個人情報漏えい事件がさらに広がり、大量の個人情報が流出する危険が飛躍的に高まることは間違いありません。
 国民のプライバシー権侵害の危険は、不正利用された場合の中止請求権がないこと、行政機関による個人データの目的外使用についての刑罰規定もないこと、利用後の情報消去の条文規定もないこと、民間でのデータベース作成についても、二回目以降が知事の中止勧告の対象になるだけで、民間への住民票コードの任意提供を禁止する有効な対策がないことなどにも示されております。
 特に重大なことは、政府はこれまで、ネットワークシステムに載せるものは住所、氏名、生年月日、性別の四情報に限るから安全だと説明してきたわけでありますけれども、住民基本台帳事務の上からの必要性から、実際は世帯主、続柄その他の情報もこのネットワークに載せることが明らかになったことであります。これでは、これまでの国会審議と国民への説明で政府はうそをついてきたことになるわけであります。
 これらの重要な問題点について、国民が納得できるまでの解明がなされておらず、これでは参議院の存在理由が問われており、委員会審議打ち切りなどの暴挙は到底認めることはできません。
 第二は、我が国史上初めて全国民に共通番号がつけられることへの国民的合意ができていないということであります。
 参議院での審議が始まった後に発表されましたNHKの世論調査では、国民の五一%が反対であり、賛成はわずか二三・三%にとどまっております。参考人や地方公聴会の意見でも、死ぬまで個人識別番号がつけられ、その番号によって管理される社会へと踏み出すことへの大きな不安が寄せられております。審議を通じて、年金業務や納税者番号制度への利用など住民票コードをマスターキーにして利用範囲を拡大していく政府の意図も明らかになりました。
 国民総背番号制につながるこの危険な道を進むのかどうか、共通番号制度の導入が憲法に抵触しないのかどうか、広く国民的な討議にかけ、慎重な検討がなお必要であるにもかかわらず委員会審議を打ち切るような暴挙は到底認められません。
 第三は、この制度が地方自治体を主体とする分権型システムではなく、政府・自治省主導の中央集権型、情報一元化を意図したものであるということについて、まだ委員会審議が不十分であるという問題であります。
 指定情報処理機関と国の行政機関との接続が専用回線とされるなど、このネットワークシステムの中に国の行政機関が完全に組み込まれています。五百六十五の地方自治体が個人情報保護条例の中でオンラインを全面的に禁止する条項を持っていますが、これらの条例はこの法案の成立によって廃棄されることになり、地方自治体が営々と築いてきた個人情報保護措置が水泡に帰すことになるのであります。
 また、広域交付で得られる四情報だけの住民票は利用範囲が狭く、転出届省略が可能なのはカード提示及び転出届と引きかえとされるなど、国民にはさしたる利便がないにもかかわらず巨額の費用を国民と自治体に負担させることなどの問題点について、政府は十分な答弁をしておりません。
 これらの重要な問題点について、国民が納得できるような徹底審議をこれから委員会で尽くす必要があるにもかかわらず委員会審議を打ち切るような、このような暴挙を到底認められないのは当然であります。
 第四に、私は、本動議がいかに根拠なく党利党略のものであるかについて指摘をしたいと思います。
 中間報告を求めることができる要件について、国会法は第五十六条の三で「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」と規定されておりますが、しかし、国民の多くが不安と心配を寄せている法案であり、委員会で慎重な審議を続けているにもかかわらず、党利党略で中間報告を求めることは全く不当であります。しかも、中間報告があった案件について、議院の会議において審議することができる要件として国会法は特に緊急を要すると認めるときと規定しているにもかかわらず、与党は何ら緊急性の根拠をも示されませんでした。
 このような根拠のない党利党略の動議、国民の願いを裏切るような不当な動議を到底認めるわけにはいかないわけであります。
 最後に、私は、主婦連合会の反対要請にも示されているように、包括的個人情報保護法も個人情報オンブズマン制度もない日本の現状のもとで政府案による個人情報のコンピューターネットワークシステムを不用意に導入すれば、国民のプライバシー権に被害が拡大することを重ねて指摘し、国民の願いにこたえるため、本法律案は直ちに地方行政・警察委員会に差し戻し、十分な審議をなすべきであることを強く主張し、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇、拍手〕
○照屋寛徳君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました地方行政・警察委員長から中間報告があった住民基本台帳法の一部を改正する法律案は、議院の会議において直ちに審議することの動議に反対する討論を行います。
 先ほど、地方行政・警察委員会の小山委員長の中間報告を心を澄ませて聞いておりました。小山委員長は、中間報告を求められたことに対し、青天のへきれきである、極めて遺憾である、断腸の思いである、中間報告を求めることは理不尽きわまりない、こういうふうにおっしゃっておりました。あの人格者であられる温厚な小山委員長の、私は、参議院議員としての、政治家としての、本当に生きた言葉であったというふうに受けとめました。(拍手)
 ところが、さきに中間報告を求める動議を提出した方は、動議提出の理由、賛成理由をこの壇上で明らかにしなかったじゃありませんか。また、今回もなぜ会議において直ちに審議をする必要があるのか、動議提出者は一切明らかにしていないのであります。
 逆に、私や小山委員長の中間報告を、私みずからが地方行政・警察委員会の一委員であるがゆえに、その内容を大きな感動と感銘を持って聞かせていただきました。
 委員長の中間報告にありましたように、地方行政・警察委員会では、原則として定例日、定時定刻の審議を尽くしながら、例外的に定例日でない日にも法案審議をこの間尽くしてきたのであります。しかも、その上に、衆議院では行われなかった地方公聴会すら実現をし、参議院らしい創造的な審議を小山委員長のもとで全委員が合意の上に進めてきたことは間違いのないことであります。
 さて、国会法五十六条の三に「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」と定めております。したがって、中間報告を求める動議を出した人は、「特に必要がある」という、その要件をこの会議場で明らかにしなければならないわけであります。
 また、「中間報告があった案件について、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる。」と定めております。すなわち、国会法第五十六条の三第二項で、緊急の必要性を証明しなければならないにもかかわらず、そのことを一切明らかにできないではありませんか。
 私は、先ほど住民基本台帳法案の持っているさまざまな問題の少しばかりに触れさせていただきました。私ども社会民主党は、住民基本台帳法案は十分な審議を尽くした上で廃案にすべきだというふうな考えを持っております。少なくとも継続審議にして、慎重なそして十分な審議を尽くすべきでありました。
 御承知のように、今は番号社会であります。さまざまな、情報化社会の中で効率や利便性を追求する余り、番号でもってその手段にせんとする傾向が強くなってまいりました。住民基本台帳法の一部を改正する法律案は、我が国で初めて番号に法的な根拠を与える法律であります。
 一方で、先ほど委員長の報告にありましたように、委員会審議の中で内野参考人が、みずからの存在証明を番号にしたくないという考え方もあり、かかる少数意見も尊重されるような社会でなければならないということを語っておりました。
 住民基本台帳法案、これは住民票コードですべての国民に十けたの番号を付すものであります。しかしながら、本来、住民基本台帳法が予定をしておる住民というのは、これは人格を持った尊厳ある存在としての人間であります。本住民基本台帳法の一部を改正する法律案に多くの国民が個人の非人格化を感じ、人間が番号によって管理されることの不安感、嫌悪感を持っておることはもう私たちは理解をし認めることができるだろう、私はこういうふうに思っておるわけであります。
 先ほども申し上げましたように、修正案を提出した修正案提出者が、委員会において、政府原案のままであれば個人情報の保護との関係で漠然たる不安がぬぐい去れない、こういうことをおっしゃっておりました。そのためにも、先ほどもこの壇上で申し上げましたが、民間を含む包括的な個人情報保護法の制定こそが私は急がれなければならないと思うものであります。
 本動議は委員会の審査権の略奪であり、ひいては良識の府としての参議院の権威の失墜を招くものであります。
 社会民主党・護憲連合は、多くの重要な問題が残されており、しかもいたずらにきょう採決する理由のない本法案を直ちに審議することについて、激しい憤りをもって反対をするものであります。
 終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) これより本動議の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十三票
  白色票          百三十八票
  青色票           九十五票
 よって、本動議は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) 住民基本台帳法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)を議題といたします。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。山下八洲夫君。
   〔山下八洲夫君登壇、拍手〕
○山下八洲夫君 私は、民主党・新緑風会を代表して、住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、反対する立場から討論を行います。
 討論に先立ち、今回極めて異例な措置である国会法五十六条の三の中間報告が二十四年ぶりに強行発動されましたことに対し、賛成した議員各位に対し苦言を申さなければなりません。同時に、むなしさを感じます。
 周知のように、近年、民主主義を採用する諸国においては、議会の復権を目指した各種の取り組みがなされており、我が国においても国会改革が大きな課題とされてきたところであります。
 この点に関しては、御承知のように、参議院におきましては、これまで歴代の議長のもとで参議院改革協議会や参議院制度改革検討会を中心に、参議院のあり方に関する諸問題等について真剣に検討されてきており、その貴重な成果に基づいて多くの改革が実施されてきたところでございます。委員会の審査及び調査の充実確保についても、その運営の改善措置について取りまとめが行われております。
 その内容をもう一度かみしめてもらうためにもここで御紹介をいたしますと、まず第一は、充実した審査及び調査を行うには審議時間を十分に確保すべきであると確認されています。
 そして第二には、特に重要議案については、これまでも二十日間の審議日数の確保を衆議院に申し入れてきたところでもあり、この点について改めて衆議院にこの旨の確認を求めるとしております。
 第三には、特に会期末に十分な審議時間がないままに衆議院から法案等が送付されてきた場合には、参議院は継続審査にするか、または会期延長を要求するようにすべきであると既に指摘されています。
 第四は、参議院は衆議院の状況に影響されることなく運営されるべきである旨を各会派間で申し合わせることも必要であるとの意見が既に出されておりました。
 以上の点から見て、住民基本台帳法案の審査のあり方は果たして妥当であったのか疑問だらけであります。議員各位におかれましては、胸に手を当てて真摯に考えていただきたいと存じます。
 地方行政・警察委員会では、限られた会期を有効に活用するために、定例日は必ず委員会を開会するなど審査等を積極的に行うとともに、質疑時間の割り当てについて小会派に配慮するなど、柔軟な委員会運営がなされるよう小山委員長を中心に努めてきたところであります。
 ところが、現場の委員会における真摯な議論とスムーズな委員会運営を無視し、本日、中間報告の、特に緊急を要すると判断し得ない本法案について、委員会採決を経ずに本会議で審議、採決を行う中間報告が強行されたのであります。
 このような暴挙は、委員会の存在意義を揺るがすゆゆしき問題であり、これまでの審議を根底から否定することにつながり、議員として無力感さえ覚えるものであります。また、こうしたこそくな手法は、国民には到底説明できないばかりではなく、これまで築き上げてきた良識の府としての参議院の存在意義を踏みにじり、参議院改革の火を消すことになりかねないのであります。
 さて、改正案は、すべての国民にコード番号をつけ、その番号と氏名、性別、生年月日、住所の四情報及び付随情報を指定情報処理機関で管理し、市町村の区域を超えた事務処理や国の機関等への本人確認情報の提供を行えるようにするためのネットワークシステムの導入を図るものであります。
 衆参を通じて、システム全体の構成とねらい、費用対効果、将来の利用分野の拡大、ネットワークのセキュリティー、ICカードの可能性と問題点、個人プライバシー保護制度と情報公開のあり方、行政改革と地方分権との関係、そして諸外国における番号制度の状況など、いろいろな角度から審議が行われ、理解を深めるとともに課題も明らかにされてきました。しかしながら、新制度が個人情報の大量流出をもたらし、国による国民監視システムにつながるのではないかといった疑問や不安が払拭されたとはまだ言えません。
 特に、住民番号コードは、基礎年金番号や運転免許証の番号など、従来、行政分野ごとに特定の目的に使用されてきた限定番号と異なり、一人の個人が持つあらゆる情報にたどり着く検索ナンバー、もしくはマスターキーともなり得る共通番号であります。政府、行政に対する国民の不信感も相まって、通信傍受法案とともに国民のプライバシーが裸にされるのではないか、利用分野が次々に拡大されて、将来、国民総背番号制の基礎コードとして利用されるのではないかという強い疑念と警戒が生じているのであります。こういう状況で住民基本台帳ネットワークの導入を図るのは、時期尚早と言わざるを得ません。
 以下、順次反対の理由を申し述べます。
 まず第一に、個人プライバシー保護に係る法制度の不備の点でございます。
 高度情報化の進展の中で、人々は、心当たりのない、皆様方もそうだと思いますが、ダイレクトメールが送られてきたり、個人情報の大量漏えい事件が多発していることに対して、行政や企業が自分の知らないうちに個人情報を収集、蓄積して活用しているのではないかという不安と不信を抱いている現状がございます。現に、電話番号をもとに、家族構成や年齢はもとより、預金や負債の残高まで容易に情報が集められている事例が明らかになっています。
 全国民に付される住民票コードが導入され、一カ所で一元的に管理されることになると、クラッカー等の侵入あるいは不法な個人情報の収集、蓄積の危険性は飛躍的に高まってまいります。個人情報を保護する措置は、この法案だけで完結できるものではなく、民間を含めた包括的で厳格な個人情報保護法を制定することが不可欠でございます。まず、個人情報保護法を制定すべきでございます。
 第二に、本法案自体の個人情報保護措置が不十分な点でございます。
 行政機関の目的外利用は禁止されていますが、これに違反した場合の処罰規定がなく、目的に沿って使用した情報を消去する規定も明記されていません。不正に情報を使用された国民の中止請求権も規定されていません。使用済み情報の消去規定は自治省令で定めるということでありますが、このような重大な事項を政省令にゆだねるのは政治の責任を放棄したもので、その手法自体、納得ができません。
 また、住民票コードの民間利用を禁止していますが、企業等が内部で使用するため住民票コードを含むデータベースを構成しても違反行為とはされず、仮に違反行為をしても処罰されるのは、違反を繰り返すおそれがある場合に知事が勧告・中止命令を出し、それにも応じなかったときとされています。さらに、漏えいしたデータの回収、原状回復の措置がないなど、到底実効ある措置とは言えません。
 第三に、改正の目的である国民の利便性の向上や行政の簡素化、効率化と利用分野の限定の関連が明確でございません。
 私は、行政の簡素化、効率化はどんどん進めるべきだし、高度情報化にも対応していかなければならないと思っています。しかし、そのことで基本的人権であるプライバシーを犠牲にするようなことがあってはなりません。
 改正案では、市町村を越えた住民票の交付ができるようになり、一定の、国の機関等への住民票提出が不要になるなどの措置が盛り込まれており、それによって国民の利便性が増すと言われていますが、本人確認情報の提供を受ける事務を十六省庁九十二事務として利用分野を限定いたしております。この程度の事務処理効率化のために膨大な費用と人手をかけて、プライバシーの侵害の危険性を含むネットワーク化を図る必要があるのか、住民票コード導入の必要があるかという疑問は、私はいまだに解明されていないと確信をいたしております。逆に、行政の効率化、利便性向上を目指して利用分野がどんどん拡大されると、利用分野の限定を前提にした本法案の個人情報保護措置が形骸化することになります。
 政府は、プライバシー侵害を危惧する意見に対しては利用分野の限定を強調し、効率や利便性を求める意見には将来の利用分野拡大を示唆するというように使い分けているのであります。将来、納税者番号としての利用も視野にあるようですが、それならば堂々とそのことを国民の前に示して、議論に供する必要があるのではないでしょうか。これでは責任ある立法態度とは言えません。
 さらに、警察等の権力的機関に対しても条例で定めれば情報提供が可能となり、既に利用分野限定のセーフティーネットは破れております。治安維持に利用するという意見が与党サイドから出ていることとあわせて、この住民基本台帳ネットワークシステム導入の意図がどこにあるのか、疑惑と不信がますます深まっています。
 最後に、ICカード発行の問題でございます。
 八千字もの、数年すれば三万字ぐらいに簡単になると思いますが、八千字もの情報が入力できる住民票カードを希望者に発行するということですが、住民票コードと四情報については全国規模で統一し、カードの残りのエリアは自治体が条例で定めて活用することとしております。本人確認情報に関するカードの利便性はさほどのものではなく、自治体の意向とは無関係にさまざまな個人情報を集める器を国が用意しようとするのは、余計なお世話でございます。現時点では、本人申請とはいえ、将来、有権者カードとして電子投票に活用することも一部議員が主張しており、事実上強制となる可能性もあります。
 住民票コードとカードを一体にして導入することについては、プライバシー保護の観点からも重大な疑義が指摘されているところでございます。
 終わりに当たり、我が国が高度情報化社会を迎え、住民に高度で充実した行政サービスを提供するためのシステムの構築には、少なくとも、情報統制、プライバシー侵害という国民の抜きがたい不安を完全に払拭しておくことは不可欠であります。このことは今後の安定した社会経済の揺るぎなき発展のためには当然のことでございます。
 こうした国民の声にもかかわらず、このシステムのネットワーク構築を急ぐ余り、政府は各界から猛烈な批判を浴びることとなったことは皆様方も御承知のとおりであります。そのため政府は、その後、改正試案を公表したものの、番号制度やプライバシー保護に関する懸念が依然としてぬぐい切れないことから、与党の了解が得られない事態ともなったのであります。そこで、本法案は再度手直しを経て、昨年国会に提出されたという経緯がございます。
 こうした点からも、地方行政・警察委員会におきましては、懸命な審議が続けられ、その結果、多くの疑問点が明確になり、現在その解明の道半ばであります。また、与党の自民党から提案された総理に対する質問の必要性も痛感されていたところでありました。
 小渕総理は、住民基本台帳ネットワークを実施する前提として、民間を含めた個人情報保護の法整備を約束しております。つまり、個人情報保護法の制定が先決であることを総理みずからが認めているわけですから、この際、住民基本台帳法改正案は一たん廃案にして、やり直すべきであることを強調いたします。この廃案にする決断が重要でございます。
 私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 松村龍二君。
   〔松村龍二君登壇、拍手〕
○松村龍二君 私は、自由民主党及び自由党を代表して、住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 今国会で、いわゆる地方分権法が成立いたしまして、地方が工夫を凝らし、その地域の独自性を生かした行政が可能な時代になりました。一方、国、地方の財政は今後ますます厳しくなり、行政事務の効率化を一層進めなければならない状況にあります。
 また、皆様御承知のとおり、デジタル革命と言われるように、インターネットの普及が数年前に比べて飛躍的にふえておりますように、年々電子情報化の時代は進んでおるところでございます。
 本法案は、市町村が管理しております住民基本台帳の情報のうち、氏名、住所、性別、生年月日の四情報と住民票コード等を全国ネット化するものであります。これによりまして、住民の利便性の向上や国、地方を通じた行政事務の合理化が図られ、五百億円以上の経費削減等の経済効果も指摘されておるところであります。近年の高度に発達した情報化に対応したシステムの導入として高く評価するものであります。
 以下、賛成の主な理由を具体的に申し述べます。
 賛成の第一は、このシステムは市町村と都道府県が協力してこれに当たるものであるところから、現在、地方自治体の広域化ということが指摘されるわけでございますが、まさに地方公共団体自身が地域的、全国的な広域連携を図っていくことは地方分権の精神に合致するものであり、時宜を得た政策として特筆すべきものであり、大いに賛同するものであります。
 そして、そのような観点から、このたび地方行政・警察委員会に参考人にお呼びした岐阜県知事や地方公聴会で埼玉県に参りましたときに与野市長さんは、コンピューター・デジタル革命の時代に地方自治体の行政のコンピューター化が今鋭意進められているけれども、その心棒に当たる住民基本台帳ネットワークシステム、これを一日も早く完成させていただきたい、やはり、一日おくれると、いろいろ地方がやるコンピューター化にむだができるというような指摘で、一日も早く実現していただきたいという声でございました。
 賛成の第二は、全国どの市町村でも住民票の交付が受けられること、転出入の手続が転入先での手続一回で済むこと、恩給、共済の年金等の受給資格の申請や受験等の行政手続の際に住民票の写しを添付しなくても済むようになることなど、きめの細かいサービスの提供ができるようになります。
 さらに、住民基本台帳カード、いわゆるICカードの活用によりまして、身分証明書として活用できるほか、多様なサービス、例えば印鑑登録カードとか施設利用カード、そのような広域的なサービスの提供等が可能になる等々、自治体が知恵を出すことによるいろいろなメリットが期待されるものであります。
 また、埼玉県に参りましたときに地域のボランティアの方が言っておられましたけれども、寝たきりのおじいさんが年金をもらうために生存証明をもらうというようなことで役所に行くことが大変である、ぜひこのようなICカードを活用するようにしていただきたいといった指摘もありまして、地域の福祉の問題に直結する可能性を秘めておるところでございます。
 賛成の第三は、国、地方を通じた事務の省力化、効率化等、行政改革にも大いに資するものであります。すなわち、窓口業務の簡素化によりまして人員配置が弾力化され、今後、地方公共団体の役割が増大する分野に効果的に人材を振り向けることが可能となります。
 このネットワークのシステムは、十六省庁、九十二事務が全国センターにオンラインに、オンラインといいますか線をつなぎまして、ぜひ使わせてほしいと。このセンターは省庁からは情報は一切もらわない、一方的にこのネットワークの情報を提供するわけでありますが、そのようなことによりまして、今まで各市町村が一々これらの役所に通知をして、生存その他住所の移転について通知をしなければならない事務がすべて省けるといったことから、合理化が図られるという点、大いなるものがあると思います。また、年金の本人確認等にこのシステムから情報の提供を受けることにより、事務の簡素化、効率化が図られるなど、数多くのメリットがあるところでございます。
 賛成の第四は、この住民基本台帳は、国民総背番号制ということで批判をされるわけでありますが、十けたのコードにつきましては本人の申し出で変更が可能となっておりまして、いわゆる背番号制という暗いイメージを脱しておるわけでございます。
 また、利用範囲の拡大等につきましては、この四情報に限られておるのでありまして、利用につきましても法改正を一々必要としておるということで、国による一元的な個人情報の収集、管理は、絶対に法律によらなければ、この国会を通らなければ管理ができない、さらに広げることはできない仕組みになっている等、十分な対応が講じられておりまして、このような批判は当たらないものとなっております。
 賛成の第五は、このシステムが円滑に運営されるためにはプライバシー保護を含む万全の対策が必要でありますが、長年にわたる検討の経緯を踏まえまして、保護措置の技術的な、専用回線暗号化、認証チェック、その他の利用、民間の利用禁止、守秘義務、刑罰の強化、センターの情報は限定した情報だけ持つというようなことによって万全を期しておるわけでございます。
 この委員会の審議の過程におきまして、野党の諸先生から鋭い、あるいは公明党の先生から鋭い人権感覚に基づきますお話等もございましたけれども、参考人等のお話によりましても、現在のこの法律は万全であるということでございます。
 また、静岡県浜松市・豊田町への現地視察、二度にわたる参考人質疑、さらには埼玉県大宮市における地方公聴会と、慎重な審議に加えて多角的、多面的、専門的な審議を十分尽くしてまいりまして、その結果、本法案による住民基本台帳システムは、適切であり、かつ国際的にも評価できるものとなっております。
 さらに、修正の問題につきましては、先ほど御指摘があったとおりでございます。自由民主党、公明党、自由党は、個人情報の保護に関する法律について、年内に基本的枠組みの取りまとめを行い、三年以内に法制化を図るとの合意に基づき、去る六月二十三日に早速三党間において個人情報保護システム検討会を設置し、既に三回にわたる検討を行っております。
 また、政府においても、個人情報の保護のあり方について総合的に検討を進めるため、去る七月十四日に小渕総理を本部長とする高度情報通信社会推進本部のもとに個人情報保護検討部会を設置し、法制化の問題を含めまして検討を開始されたと聞いております。
 一日も早く民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかにそろえることが必要であります。
 御承知のとおり、情報公開ということと、個人の秘密情報の保護ということは二律背反する非常に難しい問題でありますが、この問題につきまして、鋭意、解決に向かって努力するところでございます。
 今や、デジタル革命と言われる時代、どうしても行政情報の基礎中の基礎のネット化は時代の必然であるという観点から、本法案の成立にぜひ御賛同賜るよう、お願い申し上げる次第でございます。
 さらに、小山委員長が大変真摯なまじめなお方で、公平な判断で、鋭意我々地方行政委員会の審議について努力してこられたところでございます。そして衆議院の総質疑時間を上回る二十七時間二十五分の質疑を行ったわけでありますが、最初に指摘されましたように、決して質疑時間を誇るのでなくて、参考人あるいは地方事情視察を踏まえて質の高い質疑を重ねるということでまいったわけでございます。また、静岡県への地方視察には、二十一名の委員のうち十七名の地方行政委員が参加いたしまして、大変に熱心にやってまいったわけでございます。
 そして、議論を尽くした後には採決をするというのは民主主義の原則でございます。我々も、その議論が堂々めぐりになってまいりましたので、ぜひ採決をしていただきたいということを理事会において重ねて主張してまいったところでございます。
 以上をもって、私の討論といたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 富樫練三君。
   〔富樫練三君登壇、拍手〕
○富樫練三君 私は、日本共産党を代表して、住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 ただいま自民党から賛成の討論がありましたけれども、先ほどの討論の中で、今回、中間報告という形で緊急に採決をするということについての理由は一切明らかになっていないではないか、こういう指摘が各党からありました。これについて何らかの回答があるものというふうに期待して私は今聞いていたわけでありますけれども、強いて言えば、一日も早くこれを通してもらいたい、施行してもらいたい、こういう意見が公聴会のときにあったと、こういうお話がありました。
 しかし、皆さん、この法案は、採決され、例えば法律ができても、施行されるのは三年後からであります。きょう、あすを争うような状況ではないということは皆さんが一番よく知っていることではないでしょうか。(拍手)
 しかも、質疑を十分やったんだ、現地調査もやった、公聴会もやった、参考人の意見も聞いた、こういうふうに言っております。だからもう採決をするのが民主主義だ、こういうふうに言いましたけれども、皆さん、どうでしょうか。それは、十分な審議をやって法案の心配な点をきちんと解決をする、解明をしてその穴を埋める、その結果として法案が改正をされる、あるいは修正される、そういうことで採決されるのが民主主義ではないでしょうか。こういう点から考えても、きょうの段階で緊急に採決をしなければならない理由は全くないと言わなければなりません。(拍手)
 この点については、先ほど地方行政・警察委員会の小山委員長から報告があったとおりであります。私もこの委員会の理事の一人として、委員長とともに十分な審議を民主的に進めよう、こういうことでほかの皆さんと力を合わせてきたわけでありますけれども、こういう状況の中で、まだまだ審議が不十分であるにもかかわらず強硬に採決をしようとしていたのは自民党であり、自由党であり、公明党であったわけであります。
 皆さん、これでは本当に十分な参議院らしい審議ができる、こういう状況にはなりません。この点でも改めて十分な審議を主張するものであります。
 さて、私ども日本共産党は、高度情報化社会、こう言われる中で、行政事務をコンピューターによって処理し住民サービスの向上や事務の効率化を図ることについて、機械的に反対するものではありません。しかし、今回出されております住民基本台帳法の改正案は、全国民に識別番号をつけて、自治体と国の行政機関を結び、個人情報を利用する新しいネットワークをつくる、こういうものであります。
 私どもは、こういうシステムを我が国が初めて全国的に採用する、導入する、そのことに当たっては、それが憲法第十三条の国民の幸福追求権やプライバシー保護などに照らして、主権者国民にとってどういう利便があるのか、またどういう弊害があるのか、諸外国の経験にもきちんと学びながら、技術的にも制度的にも十分な検討を尽くさなければならない、このように考えているわけであります。
 私は、政府の態度に見られるように、国際化や情報化への対応を急げ急げという財界の要求に押されて、国民の暮らしへの影響やあるいは検討を軽視するならば、日本社会の未来に障害を招きかねない、このことを指摘しつつ、以下、具体的に反対の理由を申し上げます。
 反対の理由の第一は、先ほども触れましたけれども、審議の中で、審議を進めれば進めるほどこの法案は大変穴だらけであり、不十分なものだということがはっきりしてきたということであります。
 例えば、この法案に関してこういう意見が出されております。
 住民基本台帳法、この改正問題について、日本弁護士連合会、税理士会、市民団体、学者や文化人の皆さん、そして婦人団体、市町村議会、さらに労働組合など多くの団体や個人が不安、心配、疑問、反対の声を上げておりますが、参議院でもこの法案の慎重な審議を求める声がたくさん要請されているわけであります。
 八月四日の主婦連合会の会長名による要請文書、「住民基本台帳法案について」という中では、「住民基本台帳のネットワーク化は、引っ越しの際に一つの窓口で行政手続きが済むといった便利性のある一方、将来は利用が広がり、国民の一人ひとりが生まれたときから番号をつけて行政管理がされ、納税、年金、福祉、教育など各自のプライバシーが行政内部で裸にされ、さらに、意図しなくても民間による利用が重なって個人の尊厳が犯される危険性をはらんでいます。また、生まれてから死ぬまで同一番号となりますので、一度漏洩したプライバシーは永久に回復できないという怖さをもっています。」、このように主婦の連合会は、会長さんが言っているわけであります。
 あるいは、東京都足立区の外郭団体に届け出た個人情報が漏れて銀行口座から預金が引き出されていた被害や、京都府宇治市では、住民基本台帳リストに関連し、二十一万七千人もの台帳掲載データをもとに作成した乳幼児健診用のデータが外部委託業者の従業員によって持ち出されたものがひそかに売り出されていた、こういう事例などもあります。
 今日の日本社会の状況は、国民のプライバシー被害が広がる深刻な事態になっているわけであります。したがって、改めて制度面や技術面、運用面にわたって個人情報の保護に万全の措置が講じられるよう、こういう体制をしなければ心配だというのが圧倒的な国民の声になっているわけであります。
 衆議院での審議を通じて、プライバシー権確保のために、民間部門をも網羅する包括的な個人情報保護法の制定が本法案施行の前提であることを全会派が求めましたが、参議院の審議の中では政府はそれを約束はしておりません。ネットワークシステムの法施行は急ぐとの態度は示したわけでありますけれども、これは全会派の一致した要求に背くものであります。包括的な個人情報保護法の制定を待って、これと同時に本法案の審議を尽くした上で施行する、このことが国民が納得する筋道ではないでしょうか。
 反対理由の第二の問題、先ほども触れましたけれども、我が国史上初めて全国民に共通番号がつけられることになります。
 この番号というのは、生まれたときにつけられたのは死ぬまでつくわけでありますけれども、本人の申請によって変更は可能であります。ところが、個人確認情報としてオンラインに乗せられる情報は、住所や氏名などの四情報プラスこの住民票コードであります。プラス付随情報というのがあります。それは、転居の経歴や、あるいは名前が変わった、こういうのも含まれるわけでありますけれども、実はこのコードナンバー、これも一緒にくっついてくるということでありますから、変更した意味が全くなくなるわけであります。
 こういう中で、国民の心配は非常に大きい、国民的な合意ができないというのが現状であります。NHKの調査の結果は先ほども申し上げました。反対が半分以上であります。
 委員会の中では、大臣が、四年前からこれを準備してきて、一年半前に国会に提出したんだ、国会ではきちんと説明をしてきた、こういうふうに答弁をいたしました。四年前から準備して、一年半にわたって国会で説明した割には、それでも賛成者は二三%にしかすぎない、反対者が五一%いるわけであります。ここにこの法案の不十分さ、これがはっきりとあらわれているではありませんか。
 さらに、第三の問題でありますけれども、この制度が政府の言うような地方自治体主体、先ほども自民党からの討論にありましたけれども、分権型システムだ、こういうふうに言っております。
 しかしながら、実際の問題は、地方自治体にあるそれぞれのコンピューターから都道府県レベルのコンピューターにその情報が送られ、そのコンピューターから全国一本の全国センター、指定された情報処理機関、これはただ一つでありますけれども、ここにすべての情報が集約されるわけであります。しかも、その全国センターから国の十六省庁、九十二事務には、その全国の個人情報がすべて九十二事務とここが接続される、こういうぐあいになっているわけでありますから、それが全部専用回線でつながるということになっているわけでありますから、まさに中央集権体制、一元化、そういう仕組みであります。説明では地方分権と言いますけれども、実態はまさに中央集権であります。
 しかもその中身は、自治大臣が認可した全国センターでなければこれができない、こういうふうになっているわけでありますから、まさに国が一億二千万の国民の個人情報をすべて握ることができる、こういうふうになっているではありませんか。この点でも、地方分権型というのは言葉だけで中身はそうではない、このことがはっきりしているわけであります。
 あわせて、地方分権型だと言うならば、先ほど私が指摘をしましたけれども、今、全国の自治体の中で、自治体が持っておりますコンピューターと県や国などの外部のコンピューターとはオンライン接続を全面的に禁止している、そういうところが五百六十五自治体あるわけでありますが、今度の住民基本台帳法が改定されるならば、これらの自治体の条例は、そこの部分については無効になるわけであります。条例よりは法律の方が上でありますから。
 こうやって地方自治体がみずから決めたことを頭ごなしにそれを否定すること、これが何で地方分権だと言えるんでしょうか。この点から見ても、まさに国が法律でもって地方自治体の地方自治権を侵害する、こういう中身になっていると言わなければなりません。
 以上、私は、プライバシーの保護の問題、あるいはネットワークシステムそのものが持っている問題、そして市民の利便性や費用の問題、また中央集権型のシステムであるということ、あらゆる点から見てこの法律は問題が多過ぎるものであります。だからこそ、国民的な合意をしっかりとつくり上げてからこの法律をつくること、このことが大事であります。施行が三年後であるにもかかわらず、なぜ急ぐのか、その理由も明らかにされておりません。
 以上、幾つかの点を申し上げましたけれども、こういう理由によりまして、私は、この住民基本台帳法の改定に反対するものであります。
 以上でございます。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇、拍手〕
○照屋寛徳君 仏の顔も三度までと言いますから、お許しをいただきたいと思います。
 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました住民基本台帳法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 冒頭私は、先ほどの賛成討論の中で、民主主義の社会では審議を尽くしたら採決をすべきだというお話がありました。そんなことは百も承知、二百も合点であります。ところが、問題なのは、八月十日、十一日に、まだ審議が尽くされていないということで、賛成討論をされた理事を含めて全理事者が理事懇談会で、審議を尽くそう、こういう合意を見たにもかかわらず、本日は、委員長に対して中間報告を求める必要性も、中間報告を受けてこの場で審議をする緊急性について一片の理由も述べることなく多数をもって採決をすることこそ、私は民主主義に反することだというふうに思います。(拍手)
 住民基本台帳法の一部を改正する法律案は、住民基本台帳を基礎に、全国民に漏れなく十けたの統一したコード番号を付し、この住民票コードと氏名、住所、性別、生年月日のいわゆる本人確認情報をコンピューターネットワークシステムで管理せんとするものであります。
 現代社会は、高度情報化社会であり、コンピューターシステム社会であります。かかる情報化社会では、効率化の名のもとに番号が国民管理の手段として使われることになります。本改正法案によって導入される住民票コードの番号こそは、我が国で初めて法的根拠を付与される番号と言えます。
 本来、住民基本台帳法は、市町村において住民の居住関係の公証などに資することを目的としており、本改正法案が目指す住民基本台帳ネットワークを構築し、全国規模で本人確認を行うことなどは全く予定をしていないのであります。
 さて、本改正法案の是非を論ずる場合、最も重視されなければならないのは、国民のプライバシーの権利とのかかわりであります。
 先ほども申し上げました。私は、プライバシーの権利を、憲法十三条の幸福追求権に基づく自己情報のコントロールの権利であると理解をいたします。
 従来、プライバシーの権利は、単に私生活をみだりに公開されないという意味での消極的な権利として理解をされておりました。だが、今日の高度情報化社会にあっては、憲法上の幸福追求権という視点から、みずからに関する情報の取得、収集、保有、利用、伝播といったさまざまな段階において、自分に関する情報をだれにどこまで知らせるのか教えないのかを自分で判断し決定する権利として理解すべきであります。
 かかるプライバシーの権利の視点で本改正法案を考察いたしますと、本改正法案は、国家による国民の一元的管理を実現し、プライバシーの権利を侵害するものであると断ぜざるを得ません。だからこそ、多くの国民が本改正法案を国民総背番号制と批判するゆえんであります。
 私は、現在の我が国において個人情報やさまざまな個人信用情報が漏えいし、流出し、商品として流通に置かれ、売り買いされ、結果的にプライバシーが侵害されている現状にあって、今緊急に取り組まなければならないのは、包括的個人情報保護法の制定だと思います。
 本改正法案には、プライバシーの権利を侵害する具体的な危険性以外にも、次のような問題をはらんでおります。
 まず第一に、住民基本台帳ネットワークシステムと住民票コードの導入は、国民にさしたる利便をもたらさないということであります。住民票の広域交付が可能になることは事実であります。だがしかし、広域交付でもらう住民票の写しは本籍の表示を省略したものでありまして、パスポートや運転免許証の申請には全く役に立たない、使用できないのであります。また、転入転出手続にしても、転出証明書の添付が省略されただけで、ほとんど簡素化あるいは利便には役立たないのであります。そのようなシステムをつくるのに、初期の投資で四百億円、一年間の維持費に二百億円かかるというんです。
 第二に、本改正法案は、本人確認情報の提供を受けた者に対し、単に目的外使用をしてはならない旨規定するのみで、データベースの構築を禁止せず、使用済みの本人確認情報の消去も規定しておりません。提供目的違反に対しての刑罰の定めもなく、国民の側からの中止請求権も認められておらないのであります。
 第三に、本改正法案は、民間での住民票コード告知要求を禁止し、住民票コードの記載されたデータベースの構築を禁止しておりますが、任意ないし任意を装った住民票コードの告知は抑止されておりません。自家用と申しましょうか、自社用のそれは禁止されていないのであります。もちろん、本改正法案にはこれらの問題点以外にも、地方分権、地方主権とのかかわりなど多くの論点がございますが、時間の都合で論究することはままなりません。
 この間の地方行政・警察委員会に法案付託後の審議については、先ほど中間報告で小山委員長から詳細に説明がなされました。
 繰り返し申し上げますが、地方行政委員会における審議は、著しく遅延したこともなく、また地方行政委員会が本法案の審議を殊さら怠った事実も全くございません。むしろ、法案審議は十分尽くされていないというのが真実であります。
 しかるに、本日の本会議で、国会法第五十六条の三を適用し、委員会での審議を尽くし採決を行うことなく、本会議での中間報告をもって法案の本会議採決に持ち込んだことは、国会法が定める委員会審議中心主義の原則に明確に違反するものであります。今回の場合、国会法第五十六条の三を適用する要件を明確に欠いており、多数与党の横暴による議会制民主主義の破壊であると断ぜざるを得ません。一九七五年以来一度も行われていないあしき前例を再び利用することは、多数による少数党の意見の封殺、委員の質疑権の剥奪以外の何物でもありません。
 しかも、本改正案の施行の前提として包括的個人情報保護法の必要性を認めるのであれば、引き続き慎重に審議を続ける余裕は十分にあり、採決をいたずらに急ぐ理由はないのであります。
 しかも、修正案提案者は、どのような包括的個人情報保護法を目指すのか、その理念や中身について一切国民に明らかにしていないではありませんか。それにもかかわらず、中間報告を求める理由も明らかにしない、この本会議で審議、採決をする緊急性も何ら明らかにしない、こういうことで本当によろしいんでしょうか。
 会期末が迫ったというそれだけの理由で国民の権利義務に関する重要法案の採決を強行することに対し、満身の怒りを込めて弾劾する気持ちであります。
 社会民主党は、実効性ある包括的個人情報保護法の制定に全力を挙げるとともに、その保障なき与党体制のもとにおける住民基本台帳のコード化、ネットワーク化の廃止を今後とも粘り強く求めてまいります。
 最後に、いよいよ第百四十五回国会は、あしたをもって閉会となります。この国会でさまざまな重要法案が十二分な審議が尽くされないままに、そして国民的な理解、合意が得られないままに、まるで在庫一掃セールのごとく成立をした。極めて残念であります。これから暑い夏に向かって、国民は夏服を求めておるのに、国民は夏服を欲しているのに、まるでオーバーやコートを押し売りするような理不尽なやり方であります。
 小渕総理は今国会の冒頭、みずからの政治信念、政治哲学を富国有徳とおっしゃいました。新ガイドライン関連法の強行成立、地方分権推進一括法の名のもとにおける自治事務に対しても国家の関与が強化される、そして日の丸・君が代法制化の強行、盗聴法の制定、これらを見た場合に、私は小渕総理が言う富国有徳という政治信念、政治哲学は、恐らく後世の歴史家、そして今この日本に生きている多くの国民は、富国有徳ではなく国を滅ぼし徳に背く亡国背徳である、こういうふうに言うであろうことを申し述べて、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) これより住民基本台帳法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十九票  
  白色票          百四十六票  
  青色票           九十三票  
 よって、住民基本台帳法の一部を改正する法律案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。
 簗瀬進君外四名発議に係る法務大臣陣内孝雄君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。簗瀬進君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔簗瀬進君登壇、拍手〕
○簗瀬進君 私は、ただいま議題となりました民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合の三党共同提案に係る法務大臣陣内孝雄君問責決議案につきまして、発議者を代表し提案いたします。
 まず、問責決議案の案文及び理由を朗読いたします。
    法務大臣陣内孝雄君問責決議案
  本院は、法務大臣陣内孝雄君を問責する。
  右決議する。
  理由
 一、 法務大臣は、我が国の法秩序を守り、人権を擁護することを任務としており、その職責は、法治国家たる我が国において、極めて重要なものである。
   特に、陣内孝雄君は、事実上更迭された中村前法務大臣の後任として、任命されたのであり、法務行政の信頼を回復することに全力を傾注することが強く期待されていたのである。
   しかるに、陣内法務大臣は、前任者同様、その職責を自覚することなく、法務行政の停滞を招き、我が国の法秩序を乱し、人権侵害を深刻化させており、法務大臣として全く不適格である。
   法務行政の正常化を図るためには、陣内孝雄君が、法務大臣の職から退くことが唯一の解決策である。
 以上が本問責決議案を提出する理由であります。
 次に、提案の理由を具体的に説明申し上げます。
 まず第一に、いわゆる組織的犯罪対策三法案に関する法務大臣としての指揮監督についてであります。
 昨日、今世紀最後の皆既日食があらわれました。まさに民主主義という太陽が黒いベールに覆われていく、そんな印象を持ったのは私一人だけではないと思います。
 私も、実はこの本会議において初めての牛歩を経験させていただきました。決して好きこのんでやったわけではありません、正直申し上げますと。歩きながら、じゅうたんを見、あるいはこの天井のガラスを見ながら、なぜ牛歩という戦術に訴えざるを得なかったのかということを真剣に考えさせていただきました。
 まず第一番目に、私もかつて衆議院を二期やらせていただきました。そういう中で、委員会のいろいろな議論を聞かせていただきましたが、今回の盗聴法の議論ほど立法者の立法趣旨が見事に委員会で全く矛盾したものであるということが立証された委員会はなかったと思いますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 このような明らかな矛盾、犯罪捜査といいながら実は犯罪捜査にほとんど役立たない、携帯電話の傍受ができないということはまさに犯罪捜査では全く無力であるということが見事に立証された、まさにそういう意味では、立法の目的が見事に達成されていないということが委員会では立証されたと思いませんでしょうか。にもかかわらず、与党は数の多数を頼んでそれを実現しようとする。そして、野党、もちろん我々も、国会の中での議席の数が少ないということは我々認識をいたしております。しかし、やむにやまれぬ気持ちで、やはり言論に訴え、そしてまた討論、その上での採決の手段に訴えていく、そういう結果になってしまいました。
 私は、このことを見ながら、先ほど牛歩のときの心情を若干触れさせていただきましたけれども、民主主義とは一体どうあるべきなのかということを個人として真剣に考えさせていただきました。
 多数決を尊重しなければならない、これは当然だと思います。しかし、それだけでは足りないと皆さん思いませんか。もう一つは反対意見の尊重、少数意見の尊重、まさにそこにあるのではないか。この二つが両々相まって初めて、国民にとって、賛成と反対の二つの立場を超えた、本当に国民にとってプラスの結論が出ると思いませんでしょうか。
 まさに、そのために我々日本の国会がやっていることはまだまだ、正直申し上げると、民主主義のレベルとしてはもう少し向上させていかなければならないのではないかと思っているのは私一人ではないと思います。(発言する者あり)
 そして、発言をボリュームで封じようとするこの不規則発言。私は、議会の華は不規則発言であると言ってもいいと思います。しかし、それはまさに案件にぴしっとそぐった、まさに問題の核心をついたようなやじがお互いに与党から野党から飛び交うような、そういう活発なやじが華になれるような、そういう国会であってほしいと思うのは私だけではないと思います。
 しかし、この議論の中でのやじのあり方はどうであったでありましょうか。本案とは関係ない、法律の審議とは全く関係ない個人的事情に対する中傷。例えば、我が党の千葉議員に対して難聴という、そういうやじが飛び交いました。それは、まさに難聴者に対する身体的な差別発言をやじという形で堂々とおやりになっている。これは円議員に対する発言だけではありません。
 まさに、皆さん、やじこそ議会の華にしましょう。そして、やじこそ本当の意味での議論にぴたっと、しかもウイットがあってお互いの笑いがとれるような、そういうやじを心がけようではありませんか。
 ちょっと余計なことを言わせていただきました。
 さて、陣内法務大臣の問責決議の理由であります。
 三法案が提出されたとき陣内君は法務大臣ではなかったために、その提出の責任まで問うつもりはありません。しかしながら、その後の衆議院及び本院での審議を通じ、その審議時間は全く不十分であったにもかかわらず多くの問題点、疑問点が指摘され、法務省の答弁も二転三転する、そしてこれら三法案のいろいろな欠陥が明らかになってまいりました。
 犯罪にかかわりのない個人や団体の通信の秘密、まさに民主主義の根幹の内心の自由を担保しているその部分を直撃するような憲法違反の疑いが大変強いものであるにもかかわらず、陣内法務大臣は、人権を擁護するという法務大臣としての大切な職責を顧みず、これら欠陥三法案を撤回することなく、今日に至るまで専ら官僚が用意した原稿を棒読みすることに終始してきたのであります。大臣とは行政機関に送り込まれた国民の代表であり、また国民の権利を守る守り手でなければならない。既に決まったことをただ機械的に遂行するだけであれば、これは官僚で十分務まります。
 さらに、陣内法務大臣は、組織犯罪対策法の必要性を強調しようとする余り、テレビ番組の中で、盗聴法案があればオウム真理教による地下鉄サリン事件は防げたかのように軽率に発言し、後で慌てて撤回する。公共放送を使って国民に根拠のない情報を流し、そして盗聴法を意図的に過大評価させようとする態度、まさに法務大臣としての基本的な資質を欠くことは明白であると思いますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 さらに、通信傍受法案の審議に当たって、法務省は、あたかも我が国が国際的な場面において捜査機関による通信傍受を合法化することを要請されているかのような答弁を繰り返し、このような誤った事実が流布されることを一切黙認してまいりました。このような職務怠慢は断固として容認できるものではないと思います。
 さて、第二の理由であります。
 今国会で審議されている入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について触れさせてください。
 国連の規約人権委員会は、入国管理法について日本に勧告をしてまいりました。我が国で出生した在日韓国・朝鮮人のような永住資格を持つ外国人については、我が国へ再入国する際、一々事前にその許可を取得する必要性をなくすように、こういうふうな勧告であります。
 にもかかわらず、法務省は、このような正式な国際機関からの要請については、先ほど説明した盗聴法と全く逆であります。盗聴法では要らないことを積極的に流しながら、必要なことについては一切法的措置をとろうとしないのであります。
 さらに、こうした国際的要請があること自体を入管法改正案の説明資料の中でも一切触れておりません。外交に関する事項を恣意的に取捨選択して国民に伝えようとすることは、国民を欺き国政を誤らせるものであります。全くもって許しがたい。
 まさにこのような理由から、法務大臣に対する資質を欠いていると指摘せざるを得ないわけであります。
 第三の理由、これは則定前東京高検検事長の女性スキャンダルに伴う処分及び法務省の綱紀粛正であります。
 東京高検検事長という、社会正義の実現という重大な職責を担いながら、そして強力な権力を掌握するがゆえに公私にわたって一般の公務員よりもはるかに高い倫理性が要求される者が、公費で女性を同伴して出張したとされ、その際、旅館業法に違反して偽名を用いてホテルに宿泊し、その女性に対し小切手で五十万、現金三十万の合計八十万円を手渡し、また、民間業者から銀座の高級クラブなどでたび重なる接待を受けていたとされる、まことに許しがたき不祥事の疑惑があったにもかかわらず、法務省はおざなりの調査をして無罪放免にしたのであります。
 刑罰権を独占する検察にあっては、まさに検察のスローガン、秋霜烈日、厳しい自己規律が必要なのは当然であります。そして、このような不祥事が二度と行われないような厳格な調査と峻厳な処分が必要であることも言うをまちません。
 しかるに、身内をかばおうとする法務省官僚のいいかげんな報告をうのみにし、さらに、これを契機として何らの具体的な綱紀粛正策を講じていないのは全く理解できません。
 第四の理由は、公安調査庁が特定議員に対し選挙情報、地元情報を横流ししているという疑惑であります。
 現在、公安調査庁に対しては、その組織のあり方、あるいは必要性がチェックされており、政府における行革論議においても不要論があったところであり、現に、地方支分局の大幅縮小、人員削減が決定されているところであります。
 しかるに、公安調査庁は、みずからの組織を防衛するためには公安調査庁に理解を示す議員との関係を深める必要があるとして、共産党など公安調査庁得意分野に焦点を当てた地元選挙情報を作成し、説明することが効果的であるとしているかのようであります。
 公務員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないとされ、厳しい罰則が定められている。しかるに、陣内法務大臣は、部下の中に違法行為を働いている者がいる、そんな報道があるにもかかわらず何ら調査もしていないのは明らかな職務怠慢であり、法務行政への国民の信頼を失わせるもの以外の何物でもありません。
 第五の理由は、今国会で審議された司法制度改革審議会設置法に関連するものでありますが、陣内法務大臣は、法務省の最大の課題とされている司法制度改革について積極的なリーダーシップを全く発揮していないという点であります。
 司法制度改革審議会設置法は、内閣に司法制度改革を審議する機関を設置することを内容とする法律でありますが、同法は、政府提出原案においてはその審議すべき内容について全く具体的な規定を欠いていたため、審議会が、結局は司法の行政化と、それをさらなる推進をしていく、すなわち弱体化したままの司法を維持するための道具とされかねなかったのであります。
 そこで、我々野党は、審議会が審議すべき内容について方向性を明確にすべきであると主張し、国民により身近で利用しやすい司法制度の構築、国民の司法手続への関与、法曹の質及び量の強化という具体的課題を列挙するよう法改正を実現したところであります。
 第六の理由でありますが、現在、内閣が衆議院に提出している少年法改正案についてであります。
 少年法はその立法目的を少年の健全な育成を期すこととしております。しかるに、政府提出の改正案は、審理に検察官の関与を認めるとともに、検察官に対して事実認定及び法令の適用に関する抗告権を付与しようとするものであり、家庭的な雰囲気の中で少年の更生を図ろうとする少年法の趣旨をゆがめ、少年を成人と同様の裁判方式のもとで厳しく弾劾しようとするものであります。これは、まさに少年法の基本を変えるものである。
 このような改正案を何の疑問もなく提出し、そしてそれをそのまま維持しようとするのは法務大臣としての適格性を欠くことの明瞭なあかしである、私はそのように言わざるを得ないわけであります。
 以上、六点にわたり説明申し上げました。
 聞くところによりますと、佐賀県御出身の陣内法務大臣、佐賀県からは今まで六人の法務大臣が出ているそうであります。第一番目は明治の司法をつくった初代司法卿江藤新平であります。江藤新平は薩長藩閥と戦い、まさに秋霜烈日の言葉どおり厳しい自己規律のもとに明治の司法を確立しようとした。そこに新しい明治という国家が生まれてきたわけであります。
 どうか大臣はこの江藤新平さんの秋霜烈日の精神をよく学んでいただくよう心からお願いを申し上げまして、私の提案理由の説明とさせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。鈴木正孝君。
   〔鈴木正孝君登壇、拍手〕
○鈴木正孝君 私は、自由民主党及び公明党、自由党を代表して、ただいま議題となりました陣内孝雄法務大臣問責決議案に対し、断固反対の討論を行うものであります。
 陣内法務大臣は、今年三月に就任されて以来、法秩序の維持と国民の権利の保護を全うすべき法務行政に課せられた使命を深く認識され、国民が豊かで安心して暮らせる社会をつくるため、司法制度改革、犯罪被害者対策等の新たな視点からの施策を含む民事、刑事の基本法の整備、治安の確保及び法秩序の維持等の重要課題に積極的に取り組まれ、的確かつ厳正に法務省のトップとしての職務を遂行され、山積する重要問題を精力的かつ適切に誠意を持って処理をしてこられました。
 特に、今国会におきましては、継続審査とされた法案も含めて、法務省所管の多くの重要法案が提出されておりましたが、陣内法務大臣におかれては、国会における審議等において高潔な人柄と高い見識を持ってまことに真摯かつ誠実に対応されてきたことは皆さん御承知のとおりでございます。(拍手)
 ところで、我が国におきましては、現在、暴力団等による薬物、銃器等の取引やこれらの組織的な不正な権益の獲得等を目的とした各種の犯罪のほか、オウム真理教事件のような組織的な殺人事犯、法人組織を利用した詐欺商法等の経済犯罪など組織的な犯罪が少なからず発生し、我が国の平穏な市民生活を脅かし、健全な社会経済の維持発展に悪影響を及ぼすという深刻な状況にあるとともに、最近における国際連合の会議や主要国首脳会議等においても組織犯罪対策が最も重要な課題の一つとして継続的に取り上げられ、国際的にも協調した対応が求められているところは皆さん御承知のとおりであります。
 組織犯罪対策三法は、このような国内外の状況に的確に対処するために必要不可欠なものであります。陣内法務大臣は、これら三法の成立のために誠心誠意全力を尽くしてこられました。そして本日、先ほど三法が成立したのは、陣内法務大臣の御尽力に負うところがまことに大きいものであります。(拍手)
 これら三法のうち、特に犯罪捜査のための通信傍受に関する法律につきましては、一部に誤解や曲解に基づくと思われる反対論もありましたが、陣内法務大臣は、議員各位及び国民の皆様に御理解をいただけるよう努められ、粘り強く、誠意を持って対応されました。その結果、安全で安心のできる日本社会の再構築のためには不可欠なものとして国民の大方の御理解と御支持を得るに至ったと確信するものであります。
 むしろ、責められるべきは、我が国における組織犯罪対策の重要性、緊急性を全く理解せず、そのために必要不可欠な法整備に対して反対のための反対を行い、国民が安心して暮らせる安全で平穏な社会をないがしろにするばかりか、十分な審議を尽くした上は多数決によって結論を得るという民主主義の基本的ルールに従おうとはせず、全く理不尽な問責決議案の提出まで行うという硬直的な野党の態度であります。
 そして、陣内法務大臣には、組織犯罪対策三法の適正な執行を図るべく、引き続きその指導力を遺憾なく発揮していただくことが不可欠であると考えるところでありまして、陣内法務大臣こそ法務大臣の任に最もふさわしい人物であるということをいささかも疑う余地のないところでございます。
 このように、称賛されこそすれ、何ら非難されるいわれのない法務大臣に対する理不尽な、そして大変わかりにくい先ほどの問責決議案の趣旨、これは断固否決されるべきものである、このように確信をいたします。
 陣内法務大臣が、今後とも、内外の期待に適切にこたえ、その高い見識と指導力を持って遺憾なく発揮されることを願い、ここに正義と良心を持って国民の負託にこたえようとする議員各位とともに、本問責決議案に断固反対するという意見を表明いたしまして、私の反対討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 櫻井充君。
   〔櫻井充君登壇、拍手〕
○櫻井充君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました陣内法務大臣の問責決議案に断固賛成の立場で討論いたします。
 本日、組織犯罪対策三法、そして住民基本台帳法が、国民から信任されていない、ゆがんだ数の力で成立いたしました。昨年の七月の参議院選挙で打倒自民党で戦ったはずの自由党、そして公明党がたった一年で与党にすり寄っていくのでは、民意が反映されるはずがありません。(拍手)
 一年前、だれがこの自自公の連立政権を予想したでしょうか。この会期末においての暴挙の数々を見ると、今や間接民主主義の危機と言ってもいいのではないでしょうか。
 さて、誤解のないように申し上げますが、いわゆる盗聴法にて犯罪が取り締まることができ、かつプライバシーが守られるのであれば、私は盗聴法が必要であると考えています。しかし、今回の盗聴法では、プライバシーの保護も不十分であり、かつ議論を重ねているうちに犯罪の防止にはほとんど役に立たない法律であることが判明したため、私たちは執拗なまでの反対行動をとりました。私が陣内法務大臣の問責決議案に賛成する最大の理由は、この欠陥法案の所轄大臣だからであります。(拍手)
 これまで、この法案の欠点がいろいろ指摘されてまいりました。私は、特にインターネットを用いた通信には全くそぐわないと考えています。
 例えば、通信傍受法十三条に、プライバシー保護のため、該当性判断のための傍受ができると定めてあります。これは、傍受すべき通信に該当するのか判断するため、いわゆる試し聞きをするわけです。確かに、一般の電話では該当性判断のための傍受は可能ですが、インターネットの場合、該当性判断の傍受は不可能です。この条文一つをとっても、この法律はいわゆる一般の電話を念頭に置いて作成されたものであるということがわかります。
 委員会の議論の中で、現在の技術では携帯電話の盗聴は不可能であるということも判明しました。委員会での議論がされたか定かではありませんが、その他CATVを使ったインターネット通信は盗聴できないこともわかっています。CATVを使った通信は、固定料金制の上低価格なので、急速に普及してきています。その仕組みは、ユーザー全員が同軸ケーブルまたは光ファイバーで結ばれたLANに接続しているのと同じであって、そこには不特定多数の人の通信が混在しています。容疑者の通信を特定することは困難です。LANの回線を盗聴することができないのと同様に、CATVのユーザーの通信を盗聴することもできません。
 また、アメリカでは盗聴法の拡大使用が問題になっていますが、政府はこの案では傍受令状を裁判所に請求しなければならないので、拡大使用を防ぐことができると答弁しています。しかし、逆探知の場合には傍受令状の提示の必要はありません。電話の場合は逆探知の必要はそれほど多くないかもしれません。しかし、ホームページを盗聴するときにはそれがすべて逆探知になります。ホームページにアクセスしてくる件数は、一般の電話の比ではありません。このすべてに傍受令状が不必要ですから、拡大使用される可能性があります。
 この他、数多くの問題が指摘されており、本来であればこの盗聴法の適用からインターネット通信を外すべきと考えています。
 第二に、これまでの委員会審議での答弁や、テレビでの陣内法務大臣の発言を聞いていますと、この組織犯罪対策三法を十分に理解していないように思われるからです。
 例えば、テレビに出演されたとき、この法案があればオウム事件を防げたと言っておりましたが、その後に発言を取り消されております。また、七月六日の法務委員会において、私の質問に対して不十分な回答であったり、また、委員からの質問に対しては、ほとんど松尾局長が答弁されており、また、御自分で答弁されるときは官僚のつくった答弁書を読むことが多かったからです。
 七月六日の法務委員会において、私は次のようなことを質問しました。
 電子メールを盗聴する際、プロバイダーのサーバーで行うわけですが、このサーバーのメールボックスに既にメールが蓄積されている場合には押収差し押さえを用い、その後は通信傍受法案を用いて電子メールの盗聴を行います。押収した場合には刑事訴訟法百二十条の押収目録の交付が義務づけられています。しかし、この盗聴法には傍受記録を作成した場合にのみ通信の当事者に対する通知義務があるだけです。つまり、盗聴された電子メールの場合には必ずしも当事者に知らせる必要はないのです。刑事訴訟の証拠のために電子メールをサーバーから持っていく場合、同じ刑事訴訟法の中の法律でこれだけ取り扱いが違うのです。すなわち、押収差し押さえの場合には当事者に必ず通知しなければならないが、通信傍受の場合には通知が不必要であるということは法律上整合性がないのではないかとただしたところ、以下のように答弁されました。
 その点について今まで刑事局長がるる御説明しておるわけでございますが、私は刑事局長の説明でもって理解できるというふうに考えております。今、Eメールの問題、既にストックになっているものとこれから流れていこうというそのことについての細部をきわめようということで質疑されておるわけでございますけれども、既に蓄えられたEメールについては手紙とか文書の通信の場合と同じでございますが、それが今流れておる電話で聞いているのと同じような状態にあるEメールにつきましては、それを傍受したものを立会人が封印して裁判所に届けるわけでございますし、そのことはまた裁判所に対して不服申請等ができるように捜査の方から本人に通知するわけでございますので、そういう意味では均衡のとれた措置であると私は考えております。こういう答弁でございました。
 この答弁からもわかるように、残念ながら私の質問の意味は全く理解されておらず、そしてこの法案の内容も十分に理解されていない、そういうふうに思われます。
 第三の理由は、八月九日の法務委員会における強行採決の件です。このとき陣内法務大臣は委員会室におられ、事の始終を見ておられました。この成立しているとは思えない採決に対して、採決は有効であり、法案が成立したと言っているからです。このときの状況はきのうから何回も同僚議員が申しておりますので詳細は避けますが、あの採決で法案が可決されたと認める人には法務大臣の資格はないと思います。(拍手)
 第四に、昨日の本会議中、円より子議員が演説している最中に、何と居眠りをしていたからです。今であれば一日二十四時間以上も会議を続けているわけですから居眠りするのも仕方ないかもしれません。きのうはこれから決戦だというところで、居眠りをしている議員など見かけませんでした。しかも、荒木法務委員長の解任決議案という重要な案件の審議中に、法務大臣ともあろう方が居眠りしているなど言語道断でございます。
 それでは、なぜ中村前法務大臣と同様適任とは思えない大臣が誕生するのでしょうか。それは、小渕内閣総理大臣が誕生した場合と同様、派閥の順送りで大臣を決定する自民党のシステムそのものに問題があるのではないでしょうか。
 以上が私が陣内法務大臣の問責決議案に賛成する理由であり、多くの方々に御賛同いただくことをお願い申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 緒方靖夫君。
   〔緒方靖夫君登壇、拍手〕
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました陣内法務大臣問責決議案に対し、賛成の討論を行います。
 賛成する第一の理由は、大臣が法務委員会強行採決の翌十日、記者会見で三法案について、国会で審議を尽くしたということで採決が行われたと述べたことであります。
 審議を尽くした、これはとんでもないことですけれども、大臣は何をもって採決が行われたと言うのでしょうか。速記録に残されているのは、「鈴木君提出の動議に賛成の方の挙手を願います。(議場騒然、聴取不能) 〔委員長退席〕」、これだけではありませんか。
 陣内大臣は委員会室の正面に陣取っておられました。そのときの様子はあなたもごらんになっていたはずです。私も現場で見ておりました。テレビを通じて国民も見ており、ほとんどの人々が、何事が起こったのか、混乱だけしかわからない、一方的に審議は打ち切られたと受け取ったのであります。国民だれもが採決があったなどと認めていないではありませんか。採決は存在しなかった。あると言うならば、それは虚構か捏造以外にありません。真実は一つしかない。数の暴力でもこの真実を変えることはできません。
 大臣はなぜ、採決が行われた、このように言われたのか。少なくとも、動議採決、三法案の採決をするならば数回の挙手が必要だったはずなのに、与党議員はたった一回の挙手、これしかやっていないじゃありませんか。それに対して、事実を大臣はみずからの目で見ておきながら、行政府の所管責任者であるあなたが、このように、立法府の問題について事実に反するそうした立ち入った発言をしたことは、実に重大と言わなければなりません。
 また、質疑を野党議員の発言の最中に打ち切ったことにも見られるように、また審議の中で、携帯、PHSなどの通信傍受は技術的にも問題が多く、法案のずさんさが浮き彫りとなり、審議を尽くしたなどと到底言えないことも明らかではありませんか。
 大臣、あなたは六月十五日、私の事件で真相究明を求める運動をしてきた地元町田市民の代表に対して、徹底した慎重審議を進めると約束されました。あなたの態度は、みずからの約束をほごにし、国民を欺くものではありませんか。
 第二の理由は、法案審議に当たっての姿勢と言動に見過ごせないことがあるからであります。
 陣内大臣は、この法案が参議院で審議されている時期にテレビに出演し、オウム真理教による坂本堤弁護士一家殺害事件を利用して、坂本一家殺人事件はこの法律ができれば防げたと、通信傍受法成立に向けたキャンペーンの一翼を担う役割を果たしたのであります。この発言は、真実とも相違し、国民の理解を誤らせるものであり、盗聴法案の提出責任者としての資格のみならず、その重い責任が問われるものであります。
 盗聴法案といえども、これから行われる組織的殺人の準備行為などを対象に盗聴することは、本来の法の建前からはできないことになっているのであります。そして、坂本事件について言うならば、我が党や関係者などが、これは単なる失踪事件ではない、オウムが関与した重大な事件の可能性がある、厳正に捜査すべきだということを言ったのに対して、警察庁は、事もあろうに単なる失踪事件だとして、いろいろとこれから検討してまいりますとこの国会で答えたではありませんか。今になってみれば、オウムの犯行であることが明らかになっているのでありますけれども、警察の初動捜査の決定的な立ちおくれという問題の反省を抜きにして、通信傍受ができたらなどと言うことは、まさに人を欺くものであることを厳しく指摘しなければなりません。(拍手)
 私は、坂本堤さんとは一緒に憲法劇「がんばれッ日本国憲法」に出演したり、その活動をやってよく知っております。その関係でこの捜索活動をともにしてまいりました。そのときに神奈川県警の幹部はこんな暴言を吐きました。我々に対して、坂本一家は失踪だ、拉致ではない、そのうち坂本らが出てきたら、君ら大恥をかくぞ、これが皆さん、警察の態度でありました。まさに捜査をサボタージュしてまいりました。また、坂本堤さんのアパートからオウムのバッジ、プルシャが発見されたことも無視してまいりました。ある警察庁幹部OBは、警察本来の捜査であれば、事件が発覚した時点で警察はオウムを強制捜査すべきだったと述べております。
 こうした警察本来の捜査が行われていれば、松本サリン事件も起こらなかった、地下鉄サリン事件もなかった、あれだけ多数の死傷者を出さずに済んだではありませんか。警察の捜査の大ミスを棚に上げて、盗聴法があれば坂本事件は防げたなどと言うのは、とんでもない虚構であります。それにもかかわらず、こうした程度のことを認識できない陣内大臣に法務大臣の資格はない、このことは明白ではありませんか。(拍手)
 第三の理由は、私が日本共産党の国際部長であった時期に、東京町田にある私の家に対する警察による電話盗聴事件についての大臣の認識の問題であります。
 この事件について大臣は、神奈川県警に所属する警察官二名が緒方議員宅の電話の通信内容を盗聴しようとした、そう答え、同時に、これは未遂に終わった、このように答弁されました。法務委員会で我が党の橋本議員がこれを厳しく追及したことに対して、大臣は、盗聴しようとした、未遂であるというふうに私どもは認定せざるを得なかった、したという事実は見つからなかったということでございますと言い張りました。
 大臣、本当に私の事件は未遂なのですか。これは実に重大です。被告・国は、上告せずに東京高裁の判決を確定いたしました。法務大臣ともあろうものが確定した判決を尊重しないというのは、一体どういうことですか。重く受けとめるという姿勢はみじんも見せなかったではありませんか。
 我が党と私は、政治活動の自由とプライバシーを侵害されたこの事件の被害者であり、また十三年間この事件の真相追求のために闘ってきた者として、また国民の一人として大臣のこうした言葉を見過ごすことはできません。
 高裁判決は、私の自宅の近くに警察などが借りたアパートで、昭和六十年十一月ごろから昭和六十一年二月十四日ごろまでの間に開始され、その後、同年十一月二十七日まで盗聴が行われたものであって、もしも同日これが発覚しなければ、さらに継続して行われていた、このように述べております。少なくとも九カ月間は既遂である、これが裁判所の判断であります。
 また、検察庁が関係警察官を二度にわたって不起訴にした、この責任も重大であります。
 大臣には、検察の立場に固執して真実に迫ろうとする姿勢がないばかりか、法の適正な執行から逸脱する警察の姿勢を正す、そうした努力もなく、警察権力の暴走を食いとめる検察に対する国民の信頼も低下させているではありませんか。
 最後に、大臣、あなたのもとで強行された民主主義と人権を抑圧する希代の悪法は必ずや歴史の審判を受けるだろう、このことを述べ、賛成討論といたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 大脇雅子君。
   〔大脇雅子君登壇、拍手〕
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、陣内孝雄法務大臣の問責決議案に賛成の討論をいたします。
 まず、去る八月九日法務委員会において、同業の弁護士である荒木清寛委員長が、法を守るべき高度の遵守義務を負うべき立場にありながら強行した採決なき強行採決の暴挙は、まさに議会制民主主義の否定であり、国権の最高機関である国会であってはならないことであったということをここに強く抗議を表明するものです。
 そもそも、このような法案審議のやり方がなぜあらわれたのか。それは、余りにも問題の多い組織犯罪対策関連三法案、とりわけ通信傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法案の成立を推進した法務大臣の責任にも負うところが大であることを申し上げねばなりません。
 法案の具体的な欠陥については既に多くの方々が触れておられるので、私はここで触れることはいたしません。
 この審議に当たって、私はかつて学生時代に読んだイギリスの作家、ジョージ・オーウェルが一九四九年に描いた「一九八四年」という小説を思い出します。全体主義が近い将来世界を支配しかねないと予測したオーウェルが、その危機を警告するために書いた逆ユートピアの物語です。行政は四分され、平和省は戦争を、愛省は思想取り締まりを、豊富省は窮乏を、真実省は宣伝を計画遂行し、それらを党が統括しています。生活は厳しく統制され、夜も昼も監視されていて、個人的思考や感情は一切許されません。その中で主人公は、でっち上げられない過去を知ろうとし、恋愛もします。人間的に生きようとする二人は捕らえられ、生けるしかばねに変えられます。そのときの必要に応じて事実を歪曲、捏造し、個人生活を破壊し、人間性を踏みにじる全体主義、自由、平等、真実、愛などの人間的な価値を押し殺していく国家主義の悪が浮き彫りにされ、陰惨、恐怖的な未来の風景が描かれています。
 今、犯罪組織関連三法案の成立に当たり、かつて、だれかに見張られていて当人がこれを知らないという不気味な社会が到来するかもしれないという予見に私は身震いしたことを思い出します。そこでは人間の信頼関係が破壊され、市民社会はずたずたに断ち切られます。このようなテクノファシズムとも言うべき盗聴社会が今、私たちの社会で現実に起ころうとしているのです。本法案成立を強行した人は、そのような社会の到来に積極的に手をかす人たちであります。
 我が党の保坂展人衆議院議員がテレビ朝日記者との会話を盗聴された後、これが新聞報道されますと、保坂議員に対する親和的な電話は激減しました。議員活動を抑圧する盗聴の効果を見事に示しております。
 この法案が国会を通過した今、日本の法治の形がどのようになるのでしょうか。
 まず第一は、令状主義の理念と実務の変質です。
 我が国では令状主義により、官憲の捏造によって引き起こされる市民への権利に対する侵害を防止しています。我が国の令状、逮捕状、勾留状、勾引状の却下率は低い状況にあります。しかも、それが今回の立法で補足性の原則に立つことなく、将来の犯罪までを射程距離に入れ、かつ別件傍受までも認めるというのですから、さらなる制度の緩み、乱用を許すことになりましょう。
 この点について、法務大臣は本当に日本の将来を危惧しておられるのでしょうか。
 第二は、人権の危機であります。
 二十一世紀は人権の世紀と言われています。人権なくしては私たちの日々の生活を安心して営むことができないことは明らかです。人権は外からつけ加わる衣ではなく、生きた人間の背骨であり、プライバシーは私生活と内在的な自由の感覚にほかなりません。二十一世紀の法治国の大臣の高い志であるべきものです。そうではありませんか。警察権力が異常に肥大化していく社会は、私たちの国のあるべき形でしょうか。無罪推定が遠い他国のおとぎ話ではなく、犯罪におけるデュープロセス、適正手続こそ国民が命がけで守るべき私たちの国の人権立国としての品格にほかなりません。
 我が国の同質的社会が生きにくいのは、プライバシー権を侵害されることによる苦痛への痛覚が、近代社会としては余りにも鈍いところに原因があります。今急務なのは、プライバシー保護法の制定であります。
 陣内法務大臣は、我が国の法治の形をどのように考えておられるのでしょうか。
 第三に、民主主義の危機であります。生産と交通が心なきテクノロジーによって支配され、管理され、人々の自由と自立性が崩壊することです。そこには真の民主主義の死骸があるのみです。国家がすべての人間を潜在的な犯罪者とみなす社会では、実際に監視が行われていなくとも、監視されているのではないかというおそれが人々を萎縮させ、自制させる効果を持つからです。市民活動や労働運動への影響も大きなものがありましょう。
 組織的犯罪防止という、いかにも正しい言説をもって人々を脅迫する法案を提出し、日本の法治の形を変容させる危険に全く無神経な陣内孝雄法務大臣の行為には重大な疑義があります。
 法務大臣は、テレビで、オウム関連の坂本事件が盗聴法があれば防げたと発言し、その後撤回されました。何を根拠にこのようなあいまいで非科学的な発言をなさるのでしょうか。法律学は確かに予見の科学と言われますが、それは厳密な実証と経験の上に立つ科学的なものでなければなりません。法の執行をあずかる大臣の言辞としては余りに軽率のそしりを免れません。
 一九九〇年から一九九一年のいわゆるバブル崩壊以降、我が国の社会では、目に見えないが、しかし現実にある種の息苦しさや閉塞感が増大しています。それに皆様はお気づきでしょうか。栄華を極めた高度資本主義イコール高度消費社会システムが九〇年の初めに失速し、それまで後ろにのいていた歴史的・伝統的システムや、同質の強要による抑圧感が息苦しさとしてあらわれているからではないでしょうか。盗聴法はこの抑圧性と管理の道を舗装するローラーの役割を果たすと思います。
 このような法案を推進される陣内法務大臣を問責される趣旨に私は賛成をするものであります。
 加えて、中村前法相の専権が組織として直ったのか綱紀が向上したのか、その保証は何も見えておりません。加えて、趣旨説明のすべての件について賛意をあらわし、社会民主党が法務大臣の問責決議に賛成する理由と私の討論を終えさせていただきます。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(斎藤十朗君) これより本決議案の採決をいたします。
 足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百二十八票  
  白色票           九十一票  
  青色票          百三十七票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後九時三十三分散会
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