第145回国会 総務委員会 第4号
平成十一年三月十二日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     千葉 景子君     今井  澄君
     堂本 暁子君     椎名 素夫君
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     福島 瑞穂君     山本 正和君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹村 泰子君
    理 事
                海老原義彦君
                佐藤 泰三君
                江田 五月君
                月原 茂皓君
                椎名 素夫君
    委 員
                石井 道子君
                岡  利定君
                鴻池 祥肇君
                森田 次夫君
                矢野 哲朗君
                足立 良平君
                今井  澄君
                松田 岩夫君
                浜四津敏子君
                日笠 勝之君
                阿部 幸代君
                吉川 春子君
                山本 正和君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣官房長官) 野中 広務君
       国務大臣
       (総務庁長官)  太田 誠一君
        ─────
       会計検査院長   疋田 周朗君
        ─────
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   尾見 博武君
       内閣審議官
       兼中央省庁等改
       革推進本部事務
       局次長      松田 隆利君
       内閣官房内閣安
       全保障・危機管
       理室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障・
       危機管理室長   伊藤 康成君
       内閣官房内閣情
       報調査室長事務
       代理       橋本 逸男君
       内閣総理大臣官
       房審議官     佐藤 正紀君
       警察庁刑事局長  林  則清君
       総務庁長官官房
       長        菊池 光興君
       総務庁長官官房
       審議官      大坪 正彦君
       総務庁長官官房
       審議官      西村 正紀君
       総務庁行政管理
       局長       瀧上 信光君
       総務庁恩給局長  桑原  博君
       防衛施設庁施設
       部長       宝槻 吉昭君
       沖縄開発庁総務
       局長       玉城 一夫君
       労働省女性局長  藤井 龍子君
       資源エネルギー
       庁石炭・新エネ
       ルギー部長    北畑 隆生君
       自治省行政局選
       挙部長      片木  淳君
   事務局側
       事務総長     堀川 久士君
       常任委員会専門
       員        志村 昌俊君
   衆議院事務局側
       事務総長     谷  福丸君
   裁判官弾劾裁判所事務局側
       事務局長     藤田 教稔君
   裁判官訴追委員会事務局側
       事務局長     濱井 一夫君
   国立国会図書館側
       館長       戸張 正雄君
   説明員
       警察庁交通局交
       通企画課長    矢代 隆義君
       法務大臣官房審
       議官       渡邉 一弘君
       会計検査院事務
       総局次長     深田 烝治君
       会計検査院事務
       総局第二局長   諸田 敏朗君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○平成十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十一年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十一年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所
 管及び総理府所管(総理本府、宮内庁、総務庁
 (北方対策本部を除く)))
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)

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○委員長(竹村泰子君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日、千葉景子さん及び堂本暁子さんが委員を辞任され、その補欠として今井澄さん及び椎名素夫さんが選任されました。
 また、本日、福島瑞穂さんが委員を辞任され、その補欠として山本正和さんが選任されました。
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○委員長(竹村泰子君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹村泰子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に椎名素夫さんを指名いたします。
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○委員長(竹村泰子君) 去る三月十日、予算委員会から、三月十二日から十六日正午までの間、平成十一年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁について審査の委嘱がありましたので、御報告をいたします。
 この際、本件を議題とし、順次予算の説明を聴取いたします。
 予算の説明につきましては、国会所管及び会計検査院所管以外は去る三月四日の本委員会におきまして既にこれを聴取しておりますので、この際、国会所管及び会計検査院所管の予算の説明を聴取いたします。
 まず、国会所管のうち衆議院関係予算の説明を求めます。谷衆議院事務総長。
○衆議院事務総長(谷福丸君) 平成十一年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十一年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は七百八億七千七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと九億九千五百万円余の減少となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、六百六十五億一千二百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十四億七千五百万円余の増加となっております。その主なものは、議員歳費等の人件費、議員会館整備基本構想策定調査費、新国会構想調査検討経費及び国会審議インターネット放送経費等の増加によるものであります。
 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、四十三億五千七百万円余を計上いたしております。
 この主なものは、衆議院議長公邸増改築費、国会審議テレビ中継施設の新築費及び本館等庁舎の諸整備等に要する経費でございます。
 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。
 以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(竹村泰子君) 次に、参議院関係予算の説明を求めます。堀川参議院事務総長。
○事務総長(堀川久士君) 平成十一年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十一年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は四百二十二億八千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと三十二億六百万円余の減少となっております。
 これは主として、平成十年度予算に計上されました参議院の通常選挙に伴う改選関係経費の減少、本館等庁舎整備費等の十年度第三次補正予算への計上によるものであります。
 次に、その概略を御説明申し上げます。
 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、三百九十八億二千二百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、インターネット国会審議中継のための経費や情報化の一層の推進のための経費等を新たに計上いたしております。
 第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十四億五千八百万円余を計上いたしております。これは第二別館の増築、本館その他庁舎の整備等に要する経費であります。
 第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。
 以上、平成十一年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(竹村泰子君) 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。戸張国立国会図書館長。
○国立国会図書館長(戸張正雄君) 国立国会図書館の平成十一年度歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十一年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は二百五十三億七千百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと三十一億五千万円余の減額となっております。
 次に、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百四十八億二千八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと一億八千二百万円余の増額となっております。これは主として、電子図書館基盤システム等システム化経費に加えて、国際子ども図書館につきまして、平成十二年一月に機構として設置し、平成十二年度に第一期開館を迎えるために、職員の増員等の措置を講ずるとともに、開館に必要な経費を計上したことによるものでございます。
 第二は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、六億八千八百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと一億円余の増額となっております。
 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、九十八億五千三百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと三十四億三千三百万円余の減額となっております。これは主として、関西館、国際子ども図書館の建設費を計上しているものの、平成十一年度に計上することを予定していた関西館用地取得に要する経費等につきまして、平成十年度第三次補正予算に計上したことによる減額であります。
 以上、国立国会図書館の平成十一年度歳出予算要求について御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(竹村泰子君) 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。藤田裁判官弾劾裁判所事務局長。
○裁判官弾劾裁判所参事(藤田教稔君) 平成十一年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十一年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は一億二千二百一万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと二十万円余の増加となっております。
 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費であります。
 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(竹村泰子君) 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。濱井裁判官訴追委員会事務局長。
○裁判官訴追委員会参事(濱井一夫君) 平成十一年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十一年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は一億四千四百四十四万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと三百九十三万円余の増加となっております。
 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費であります。
 以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○委員長(竹村泰子君) 以上で国会所管の予算の説明聴取は終わりました。
 次に、会計検査院所管予算の説明を求めます。疋田会計検査院長。
○会計検査院長(疋田周朗君) 平成十一年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。
 会計検査院の平成十一年度予定経費要求額は百六十五億四千百五十三万余円でありまして、これは日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく本院の検査業務及び一般事務処理を行うために必要な経費であります。
 今、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として百四十億一千三百五十六万余円を計上いたしました。これは総額の八四・七%に当たっております。
 旅費として八億五千百六十三万余円を計上いたしました。このうち主なものは、検査旅費が七億二千四百七十四万余円、海外検査等外国旅費が三千六百五十五万余円であります。
 施設整備費として八千六百九十二万余円を計上いたしました。これは庁舎改修工事費であります。
 その他の経費として十五億八千九百四十一万円を計上いたしました。このうちには、会計検査の充実強化のための経費三億二千七百四十七万余円、有効性検査の強化のための経費四千百五十八万余円、会計検査情報システムの開発及び運用のための経費五億九千四十万余円及び研修・研究体制の整備経費二億六千九百八十四万余円が含まれております。
 ただいま申し上げました平成十一年度予定経費要求額百六十五億四千百五十三万余円を前年度予算額と比較いたしますと、三億六千百六十四万余円の増加となっております。
 以上、簡単でありますが、本院の平成十一年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○委員長(竹村泰子君) 以上で予算の説明聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○海老原義彦君 自民党の海老原義彦でございます。
 初めに、官房長官に伺います。
 一昨日の予算委員会の審議におきまして国旗・国歌の問題が矢野先生、松谷先生から出ておりまして、内閣総理大臣を初め出席の大臣方の御答弁をいただいているところでございます。私もこの国旗・国歌の問題について憂えるところは全くおとといの質問者の皆様方と同じでございます。
 また、きのうは政務次官会議において国旗・国歌の問題が取り上げられ、熱心な御討議があったという話も漏れ承っております。
 この国旗・国歌の問題については、日本国民だけでなくて国際的にもかなり注目されておるということが、実はきのうの産経新聞の投書に台湾からの投書が出ておりましたので、短いものでございますからちょっと読ませていただきたいと思います。
 投書をした方は、現地読みを知りませんので日本読みすれば黄守礼さん、元大学教授、台北市在住の方でございます。
  広島県立世羅高校の校長が卒業式に日の丸の掲揚と君が代の斉唱をすべきかどうかで苦しみ、命をかけなければならなかったことに対し謹んで哀悼の意を表します。
  日の丸は日本の国旗であり、君が代は日本の国歌です。それは日本が一つの独立した国であることを象徴するものです。私は日本の全国民がそれらを心から愛し、尊敬をして、大切にすべきだと思います。外国人の私でさえ、オリンピックで日本の選手が優勝したとき、日の丸が揚がり、君が代が演奏され、優勝者が涙ぐんでいるのを見ていると、高まる感動を抑えきることができません。ましてや日本国民として感激しない人がいるでしょうか。
  私は台湾人として自分の国家、国旗、国歌がないことに深い悲しみを持っております。オリンピックで台湾の選手が優勝したとしても、国旗ではなくて臨時の参加旗が掲げられるだけです。私は日本人に対してよき国に生まれた幸運をとてもうらやましく感じております。「在福中不知福」という言葉がありますが、日本人は幸福のなかにいながら自分が幸せであることを自覚していないと思います。
  台湾は世界のほとんどの国から独立した国家だとは認められてはおりません。国連から弾き出された世界の孤児なのです。現在のように国際交流が盛んな時代に国連にも入れない国の人間は悲しいものです。海外旅行をするとき、日本人はパスポートを出せば、どこの国でもすぐに通関することができます。それは貴方が日本人だからなのです。日本が独立した国家と世界中が認めているからです。
  ところが、台湾人がパスポートを出すと、あれこれ難題をかけられたりして、なかなか簡単には通関できないことがあります。もしも貴方が日本人ではなく台湾人の立場にいたならば、こういう不平等や待遇に対してどう感じることでしょうか。
  「きけわだつみのこえ」や「同期の桜」などを読んでおります。太平洋戦争の時に祖国の行方を案じ、決然として命を投げ出して死地に赴いた日本の若者たちの心情を思いやりますと、とても涙なしでは読めません。国のため、一身をささげた純真無垢な若者たちの精神は世界の歴史において、最も美しい犠牲行為でしたので、世界で尊敬されております。
  靖国神社はその人たちの霊魂が眠っているところです。首相や国民は、参拝することに他国がとやかく言ったとしても、気にかける必要は全くないと思います。どうか、そのことをよく理解してください。
ということを日本語で御投稿いただいたということでございます。
 この投書者の方は恐らく私と同じぐらいの年代の方だろうと思います。ここにも太平洋戦争のことが書いてありますけれども、太平洋戦争が終わった八月十五日の日、官房長官も同じような御心境だったと思いますが、これは、日本は大変なことになったという思い、それから平和になってよかったという思い、いろいろな思いが錯綜したと思います。
 でも、あの太平洋戦争の中において、私は太平洋戦争という言葉は余り使いたくないんですが、大東亜戦争の中において多くの方々が日本の国旗を掲げ、君が代を歌い、それで日本の国民としてとうとい犠牲をささげた。この精神は、私は国旗・国歌を日本の侵略の旗であるとか天皇制の歌であるとかいう一部の間違った方々の世論に動かされてはならないと思うのであります。
 私の青春の体験を申しますと、あの時代に本当に国のために尽くさなきゃならぬ、一億玉砕だという話もいずれ来るんだろうな、アメリカが上陸したら何をするかというところまで考えておった。そういう時代を経た者として、日本の国が戦後これだけ復興してすばらしいものになった、これに対しては、あの戦争で打ちひしがれた状態を知っているだけに、その間の国民の努力は大変なことだったという反面、日本はやはり戦後のアメリカのいわば占領政策によりまして国民性がゆがめられてきた、この情けない状況をどうしたらいいんだろうかということが常に念頭から離れないのでございます。
 国のために尽くすということ、これは公のため、社会、公共のために尽くすということでありまして、そういう精神が失われたことはまことに嘆かわしい。そういう精神、いわば今の感覚でいえば身を捨ててボランティアとして尽くすというその精神を失った国というものは本当に将来が思いやられるわけでございます。
 こういった日本人の精神、自分の身が第一でなくて公のために尽くす心を忘れない、こういうことのためにも、日本の象徴である国旗・国歌の尊厳が守られないというような状況はまことに憂うべきことでありまして、あの広島県の教育界の状況などは本当に、きのうの予算委員会を傍聴しておりまして、私も大変なことになったなと思っておるわけでございます。
 この際、国旗・国歌について改めて法律をつくろうというお話が進んでいるやに聞きますが、そのあたりまで含めまして、官房長官のこういった諸問題に対する御見解の御披露をいただきたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 今、海老原委員から、同じ世代を共有する者としてのいろんな思いをかけながらの御指摘を賜ったわけでございます。
 今御紹介されました台湾の大学教授の方の国旗のある日本がうらやましいという表現につきまして、私は前段の方は同じ世代を共有する者として非常に共鳴をするものでございます。ただ、後段につきましては、いろいろ私自身のまた思いも別にあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、海老原委員が御指摘になりましたように、過ぐる戦争は我が国国民はもちろんのこと世界に多数の犠牲者を出し、そしてその傷跡を今なお残し、もうはや五十年を過ぎようとしてしまったわけでございます。一九九九年という一九〇〇年代の最後を終わるときに、私どもはこの百年を振り返りながら、さきの五十年は戦争に明け暮れた犠牲の多い、そして他国に犠牲を強いた大変な時代を経験したわけでございます。
 恐らく私自身も、あの戦争があと一年も続いておったらこうしてこの場で答弁を申し上げるような命をいただいてこの世に生かさせていただくことなどなかったと思うと、戦争を経験した世代の人間として、この一九〇〇年代を締めくくるに当たって、新しい世紀に我々がさまざま積み残してきた問題を解決し次なる世紀に結びつけていかなくてはならない、あるいは次なる世紀に大きな荷物を背負わせる、そんなことを少しでも避けるべきだという思いで政治の一角に参画しておるわけでございます。
 御指摘になりました国旗・国歌につきましては、政府といたしましては、長年の慣行によりまして国民の間に日の丸あるいは君が代が国旗・国歌であるとの認識が既に定着をしておるものと認識をしております。
 けれども、私自身、数多く今日まで行政の立場にそれぞれ市町村、府県の理事者としても議会人としても参画をしてまいりました。特に、教育現場におきます卒業式とか入学式に参画をいたしまして、指導要領に基づいて国旗・国歌を卒業式の儀式に入れようとする際に、国歌やあるいは国旗の掲揚について反対をする組合との激しい交渉もそれぞれ目の当たりにして見ることもございました。あるいは、式典に出て国旗に礼をしない人、国歌斉唱やあるいは国歌が演奏されるときに起立をする生徒、起立をしない生徒、起立をする先生、起立をしない先生、そしてまたそれぞれ同じような立場をとられる父兄。こういうものを見てきたときに、我が国教育のあり方として本当にこれがいいのかどうかということを痛切に考え、またみずから交渉の場に立って、そしてどこに根拠があるんだということで非常に困惑しておる人たちの実情を見た一人といたしまして、先般の広島における世羅高校の石川校長の事件はまことにとうとい生命を犠牲にされた一つのこの問題の大きな犠牲者であったと思うときに、一九〇〇年代を締めくくる我々のまた責任の一つでもあるんではなかろうかと痛切に考え、総理とも御協議を申し上げたところでございます
 そのような中で、新しい世紀を迎えるに当たりまして、我が国でも国旗・国歌を成文化して位置づけることについて検討する時期が来たのではないかということを考えまして、今回、国旗・国歌の法制化も含めた検討を、古川官房副長官をヘッドにして今鋭意検討をさせておるところでございます。
 尊重をする責務がある旨の精神規定を置くべきかどうかという問題については、御提案も含めまして、いずれにいたしましても最高機関である国会の御議論を踏まえまして、今後十分検討をさせていただかなくてはならないと思うわけでございます。
 法案の提出時期につきましては、最高機関である国会の御議論等を踏まえながら、また内閣におきましてもさまざまな点で検討をいたしまして、できれば今国会に法案を提出できる運びにすることが望ましいと現在考えさせていただいておるところでございます。
○海老原義彦君 できれば今国会に御提出くださるというお話、ありがたく受けとめました。できるだけ早い時期に御提出いただきたいと要望する次第でございます。
 また、その内容につきましては、官房長官が既にお触れになりましたけれども、これから御検討くださるということでありますが、やはり国旗・国歌というものが日本の象徴であるということを踏まえてこれを尊重する、あるいは敬愛する、そういった心が国民の間に流れていくように国としても推進していく。地方公共団体としてもそういったことの推進を図るというような基本法的な性格、基本法的と私が申しまするのは精神規定をたっぷり入れまして現実の具体的な技術的な問題には触れないという、そういう基本法的な性格を目指すべきではないかと思うわけでございますが、このあたりについてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(野中広務君) 国民に対しまして、例えば法律によって国旗の掲揚とか君が代の斉唱を義務づけるべきであるとか尊重責任を詳細に入れるべきであるとか、こういった御議論もあるわけでございますけれども、基本的には私、思想及び良心の自由、すなわち憲法十九条にあります関係等を十分踏まえて、そしてこれは対処をしていかなくてはならない問題であると思うわけでございます。
 委員が御指摘になりました、みずから生存する国を愛していくという基本に立ちながら、尊重する責務をいわゆる精神規定として置くことにつきましては、十分事務的にも検討をさせていただきたいと考えておる次第でございます。
○海老原義彦君 国旗を敬愛し、尊敬するということ、そういった心の醸成を図るということが国の責務であるあるいは都道府県の責務である、こういうことを盛り込みませんと、せっかく法律を制定しても文部省の教育指導要領は一体何なんだということになってくるわけでございます。やはりこれは国なり地方公共団体の責務としていろいろあらゆる手を尽くしていかなければならないんだ、その一環として文部省の指導要領も位置づけるというようになっていくのかなと思うわけでございますので、そういったこれまでのいろいろな施策の上に立つ基本法としての性格づけのもとに作業を検討していただきたいと思うわけでございます。
 大分時間もたちましたので、国旗・国歌についてなお伺いたいことが大分ございますけれども、ほんの一、二だけにとどめたいと思います。
 世界各国において国旗・国歌の制定形式、いろいろあると思います。憲法で決められておる国、それから法律で決められておる国、憲法でも法律でもなくて慣習法と申しますか、要するに英米系の慣習法の国ではもうそれでもいいんだという考え方もあり得ると思うんです。
 一体、法律で決められていない国というのはどんなものがあるのか、まずその点。憲法、法律の違いはあっても、何らかの法定がある国とない国とに分けて、私は恐らくない国というのは慣習法系のイギリスぐらいだろうと思いますが、イギリスでも国旗については法律で制定されているんですね。だから、あとはないんじゃないかと思うんですが、そこら辺のお調べは事務当局からお答えいただきたいと思います。
○政府委員(佐藤正紀君) 各国におきます国旗・国歌の制定形式について平成六年に調べたことがございます。
 それによりますと、国旗の制定形式につきまして憲法で定めている国というものがフランス、ドイツ、スペイン、中国等がございます。それから、法律で定めている国といたしまして、アメリカ、オーストラリア、タイ、スウェーデン、オーストリア等がございます。それから、法律に至りませんその他の文書あるいは慣習等で定めているという国がございますが、イギリス、韓国、カナダ、オランダ、デンマークなどでございます。
 それから、国歌につきましては、憲法で定めている国といたしましては、フランス、インドネシア、ハンガリーなど。それから、法律で定めている国といたしまして、アメリカ、カナダ、スペイン等がございます。それから、法律以下の文書または慣習等で定めている国といたしまして、イギリス、韓国、タイ等がございます。
○海老原義彦君 今、伺いますと、イギリスの系統の国と、それから初めて伺ったんですが、韓国、タイなど、これは日本と同じような事情があるのかなという気もいたしますけれども、我が国としてこの法制化という問題を考えていけば、恐らく韓国においても真剣に検討される、またタイにおいても同様だろうと思うわけでございます。
 先ほどの投書にもございましたように、国旗・国歌というものは国として存立するからこそ持てるんだ、持ちたいけれども持てなかったという国が多数あるわけでございます。幸い独立して、旗を持ってオリンピックにも掲げたというクロアチアのような国もあるわけでございます。
 そういった方々を考えますと、日本は余りにもぜいたくである、せっかく旗を掲げる権利を持ちながら法制化もしておらぬというのは、少しやはり、私はあえて申しますけれども、金持ちぼけしておるのではないかという気がするわけでございます。日本の国がこれから経済環境も厳しくなり非常に厳しい中に耐えて生きていく、国際的な非常に厳しい中においての日本の前途を考えるときに、やはり国旗・国歌というものを我々が掲げていくということ、非常に重要なことかと考えますので、どうぞよろしく御配慮をお願いいたしたいと思います。
 次に、総務庁関係に移りますが、これは国籍の問題でございます。
 国籍と言っても、総務庁の所管する国籍はちょっと非常に限定的でございますが、恩給法というものを総務庁は所管でございますけれども、恩給法では恩給の受給要件として日本国籍を有する者というふうに限定されておるわけでございます。
 これは、私思いまするに、恩給は公務員制度の一環である、戦前からつながっている公務員制度は、今でもこれはある程度続いておりますけれども、極めて戦前的な概念で申しますれば、お雇い外国人というような者はいたけれども、基本的にはそれは別の制度で処理するものであって、公務員制度では日本国民だけが公務員である、そういうふうに考えたわけです。公務員制度の一環である恩給についてもそれはそうだろうな、だから恩給は日本国籍を有する者にしか出さぬ、こういうことになったわけでございます。
 先ほど、昭和二十年八月十五日の話を申し上げましたけれども、二十年八月十五日以前においてはそれは非常に正しかった。そのころでも、恩給権を持ちながら海外に移民して向こうの国籍を取得したというような方もおりましたでしょうけれども、そういう少数の方々は御納得いただいた上で恩給権を放棄したということになるわけでございまして、これは正しいことだったと思うんです。
 ところが、この八月十五日を境にいたしまして、それまで日本国民の義務として軍人になって戦争に行っておった台湾人、朝鮮人の、当時は台湾人、朝鮮人とは言いません、みんな一視同仁日本の国民でございますから、銃を持って南方において戦っておった、あるいは飛行機に乗って戦っておった。
 こういう方々が八月十五日を境目にしておまえは日本人じゃないんだ、だから恩給はやらぬぞ、こういうふうになってしまった。それは国際間の条約、日韓、日中の条約もいろいろございますから、そういったものに根拠を置いて日本政府として出す義務はないんだという議論は一つございます。そういう議論はございますけれども、恩給制度としてはこれはどうも完結しない変な制度になってしまったな、日本の公務員として一生懸命働いた者が、恩給権を取得しながらその恩給権は実はないと同様なんだ、日本国籍持たなくなったからやらないんだ。
 私は、制度論としてまことにおかしな制度になってしまったと嘆いておるわけでございますが、ここら辺について大臣の御感触を聞く前に、局長に諸外国で国籍条項がある国、ない国に分けたら一体どういうことになるか。また、国籍条項がない国でも、実効的に植民地が独立した後の植民地軍の軍人にも恩給を出しているというようなところもございますでしょうから、そういったことも含めてちょっと事務的な御解説をいただきたいと思います。
○政府委員(桑原博君) お答え申し上げます。
 欧米各国の年金制度については、それぞれの沿革や制度の基本的な考え方が必ずしも日本と一致しているわけではございませんので、単純に比較するのは適当かどうかわかりません。
 今、委員のお尋ねでございます外国の例でございますが、ヨーロッパの諸国、例えばフランス、ドイツ、イタリア等の国は法文上国籍条項というのを入れてございます。アメリカとかイギリスについては国籍条項がございません。ただ、アメリカでも恩給法自体には国籍条項を書いてございませんけれども、第二次世界大戦中にアメリカ軍に従軍したフィリピン人またはアメリカ人と同様な仕事に従事しておりましたフィリピン偵察部隊隊員等に対してはアメリカ人の半分、五〇%の年金を支給しているといったような形で、一つ一つ細かくその経緯に照らして処遇をしているわけでございます。
 先ほど申し上げました国籍条項を有しているフランス等におきましては、それ以外の者につきましては個別の法律でもって処理をされております。例えばセネガル人に対する年金というのは、現地通貨でといいますか、現地の物価水準に合わせて払うといったような規定があるものもございます。それからイタリア等につきましても、旧イタリア属領ソマリアの方々に対する年金といいますか、そういうものの適用についての特別の法律といったものを制定してそれぞれ中身を決めているといった実態にございます。
○海老原義彦君 そこで総務庁長官に伺いますが、今、恩給局長の解説にもありましたとおり、諸外国においては国籍条項がそもそもないか、あるいはあっても別の法律でもって植民地軍にも支給するようになっておる。
 例えば、イギリスの場合でございますと、戦争中インド軍が随分戦ったわけでございますが、戦後インドは独立しております。おまえはもう英国民じゃないんだ、だから恩給は出さぬぞということはしていないわけです。それからフランスにおいても、今お話のありましたようにセネガルにも出しておる。外人部隊で有名なモロッコだって、外人部隊を徴集しながら現地軍があったわけでございます。この現地軍の将兵、当時はフランス国民として働いたわけでございますけれども、その後独立しましたが、やはり出ておる。
 そういうような状況で、国際的に見て日本の恩給法における国籍条項というのは、これは恩給が老後の生活を考え、またあるいは給与の後払いという説もあり、いろいろな学説がございますけれども、いずれの面から見ても恩給法としてまことに完結しないものです。働かせて、そのかわりに働いたことによる自己の減耗に対して恩給を給するというのが今の基本的な思想だろうと思うんですが、そういった基本精神から考えて、非常な減耗を強いて戦地において戦わせた、ところが何も支給しないというのはまことにおかしな制度でございます。
 それを他の法律あるいは実効上予算措置などで救っている例も、例えば台湾義勇軍の場合などはございますけれども、そういうふうに継ぎはぎ細工でやっていくよりも、これは根本の恩給でしっかり考えてみなきゃならぬ問題かなと思うのでございますが、その辺、総務庁長官の御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(太田誠一君) 海老原委員がおっしゃることはまことにそのとおりだと思います。
 そこで、総務庁としてのこれまで守ってきた法律の体系と申しますか、法律の考え方というものからすれば、かつて取り交わされた約束事をきちんと守っていく、それをゆるがせにした途端にいろいろなものが整合性を欠いていくということを恐れる気持ちは当然一方でなければならない。ですから、現にあるこれまでの法律の体系、考え方とは別に、立法としてどうするかということになろうかと思います。
 その際に、総務庁だけではなくて、例えば日韓の関係については条約を締結するときのさまざまないきさつがあったりすると想像いたしておりますので、あくまでも行政各部から離れて内閣としてどのような立法についての考え方を持つかということになろうかと思いますし、さらに言えば、本来の憲法上の唯一の立法機関とされる国会においてどのようなお考えが形成されるかということもまたあろうかと思うのでございます。
 もう少し私たちも視野を広く持って、人間としての責任というようなことを考えていかなければいけない。前回の委員会における官房長官の御意見の御開陳もあり、そのようなことを踏まえて政治家として考えてまいりたいと思います。
○海老原義彦君 恩給は国家補償であるということは、常日ごろ総務庁長官からも官房長官からも承っております。その国家補償という面から考えても、片手落ちな恩給制度は本当におかしいぞと思うわけでございます。
 さて、官房長官、こういったようなやりとりをわきでお聞きになっておられまして、恩給制度所管ではございませんけれども、官房長官としてこういった問題に関連して何らかのお気持ちの発露をいただければと思うのでございます。
○国務大臣(野中広務君) 今、国籍法の問題、あるいはこれをめぐる恩給法に関連する問題につきましては太田総務庁長官が申されたとおりでございます。
 この問題は現行の恩給法等ではとても解決のつかないものであるということを十分承知をいたした上で、委員がおっしゃるようなさまざまな問題をはらんでおるわけでございまして、二十世紀を締めくくっていく上で新しい世紀に対する道を開こうとする現代、我々は人道的にも国際的にも大きな見地からこれを政治の場にある者として十分考えていかなければならないという、ある意味におけるこの時代に生きた政治家としての責任と、そして私自身の信念を持っておるわけでございます。
 かつて、我が国が拘留された米国の処置、あるいはドイツが行った戦後処置等も学びながら、我々は余りにも多くの問題を先送りしてきた反省をこの今世紀末にしなくてはならないのではないかという気持ちを持っておる次第でございます。
○海老原義彦君 ありがとうございました。
○足立良平君 民主党の足立でございます。
 公務員関係につきまして、まず前半、太田長官にお聞きをいたしたいと思います。
 これは、総理の所信表明演説をずっと見ておりましても、ちょっと短いところだけ紹介いたしますと、「独立行政法人化等や業務の徹底した見直し、事前規制型から事後チェック型への行政の転換を基本とする規制緩和、地方分権の推進を通じ、中央省庁のスリム化を図ります。 以上の取り組みの結果として、十年の間に、国家公務員の定員は二〇%、コストは三〇%の削減を実現するよう努力をいたします。」と、このように小渕総理は所信表明演説でその考え方を提示されているわけであります。
 私は、ちょっとこれで長官にお聞きをしたいんですが、今まで国家公務員の定員の問題、これは政府としては昭和四十年代の前半から定員の削減という問題についてずっと取り組んでおられる歴史がある。よく言われるようにパーキンソンの法則とか、普通ほっておきますとどんどんこれは肥大化していく傾向を持っている中でそういう取り組みをしてきたという実績は私はそれなりにきちんと評価をしなければいけないだろうというふうに思います。
 ただそこで、定員を削減するという一次から九次まで今計画をしたんですが、削減をするという言葉と、それから一方で増員をするという言葉がございます、実績として。官僚なりこういう政治の場にいますとそれは一応定義としてはわからないわけではないんですが、これは一体どういうことなのかというふうに率直に言ってちょっと感じるんですが、長官、何かお考えございますか。
○国務大臣(太田誠一君) 私も去年の七月に総務庁に参りましたときに、今、足立委員がお感じになっておりますのと同じような感じを持ったわけでございます。何か見せかけのことをやっておるのではないかというふうに思ったわけでございますけれども、実は純増とか純減とかそういうことだけが意義があるのかというと、決してそうではなくて、そのときの事務つまり仕事の種類というものを固定した場合には、明らかにそこでは定員削減というグロス概念、ネットではなくてグロス概念というのは意味があるわけであります。すなわち、新陳代謝を進めていくという意味はあるわけでございますから、むしろ定員削減という言葉よりも、定員削減率ということよりも新陳代謝の速度というふうに言うべきではないか、あるいはもっといい表現はないかというふうなことを当初言っておりました。
 しかし、なかなかそのいい呼び方を思いつかないまま今日に至っているわけでございますけれども、グロスの定員削減はそれはそれとして意味のあることでございます。しかしながら、それがあたかも純減であるかのごとく装うことは間違いでありまして、正直にそこは言わなければいけないことだろうと思います。グロスの定員削減とネットの純減というものを両方見ながら我々は公務員の全体の数を管理していかなくちゃいかぬというふうに考えております。
○足立良平君 今おっしゃるような意味で確かにそういうふうに使われているんです。ただ私は、これから政治の場でやっぱり注意をしなければならないのは、政府としてあるいはまた政党も政治家も含めまして、国民にどういうふうなメッセージをわかりやすく発信するかということは大変重要なことだろうと思います。
 そうしますと、小渕総理は先ほど申しましたように、国家公務員の定員は二〇%、コストは三〇%の削減を実現する云々と、こういうふうにおっしゃっている。その意味は、今、総務庁長官がおっしゃった意味とは、世間一般が受けとめる、国民が受けとめるものとは全然違っているということについて、私はこれで本当にいいのだろうか、実際問題として。それは今までの例えば本年度の衆参における予算委員会とかいろんな委員会の中で、それはまやかしであるとかどうとかいろんな議論がされておりますし、私は今ここで繰り返そうとは思いません。それはちょっと横に置きましょう、同じことを言っても意味がありませんから。けれども、そういう面では、いわゆる政府としてなりあるいは政治家としてのメッセージの発信方に対する大変無神経な言葉として使われているのではないかというふうに私はちょっとあえて申し上げておきたいと思うんです。
 それで、その上でもう一つお聞きをしておきたいと思いますのは、一般の民間の企業、私も民間企業にもいたりなんかして経験もあるんですが、現在というのは大変な不況だと、経企庁が今見方を変えるか変えないかという話もちょっとあるそうでありますけれども、それも横に置いて、本当に生き抜きに対して大変なリストラとかいうものをやっている。そういうときに、実際問題としては民間の企業で定員という概念は全くない、そして削減という概念も余りない、いいか悪いかは別です。そういう状態になっている。そうすると、公務員だけ定員というものがあって、そしてその定員の問題についてこれを削減するとか増員するとかという議論になっているところに、国民の側から見るとまさに世間離れをした議論をしているような感じになってしまうということも私あえてここで申し上げておきたいと思うんです。
 さて、その上で、ちょっと長官にお聞きしたいんですが、これ本当に削減をする目的というのは一体どういうふうにお考えになっているんでしょうか。
○国務大臣(太田誠一君) 一つは、行政がある時代に定めた制度、こういう政策にのっとった行政というものをやりたいということを考えて定めた制度というものがそういつまでも意義があるわけではないわけでありますから、それは絶えずその仕事は今なお必要なのかどうか整理していかなくちゃいけない。そして、その整理していくときに、そこに人が配置されておって一生懸命やっておるということがあるいはネックになるかもしれないということがあるわけでございますから、仕事の整理は仕事の整理でしなければいけないけれども、現実にはそこに人がいるということをどうするかということがあるわけでございますから、絶えず新陳代謝、さっき言いましたグロスの定員削減をかけていくということの意味があると思うんです。常に行政の役割そのものが新陳代謝しなくちゃいけないことが定員の配置におけるグロスの定員削減になると思います。
 それと、もちろんこれは全体として政府の役割というものが一方で、日本だけではなくてイギリスにおいてもアメリカにおいてもヨーロッパにおいても少し大きくなり過ぎたのではないかということの反省から、その純減を図っていくという意義があろうかと思うのでございます。
 ただし、これはもう申し上げるまでもないことでございますが、現在の我が国の国家公務員の人口当たりの数というのは大変少ないわけでございまして、アメリカに比べれば半分ぐらいだと言われております。ただ、それは単にそういうことでもって、じゃ非常に日本のあれが効率的で小さな政府かというとそれはだれもそうも思っていないわけであります。少なくても多くてもどういう役目を果たしているかということについても見直しを当然違った目で見なければいけませんけれども、そういう全体としてのスリム化それから政策の見直しということの二つの意味があると思います。
○足立良平君 なるほどそうなのかもしれません。ただ、ここでちょっとお聞きしたいのは、政策の見直しというふうに今おっしゃいました。大きくなり過ぎたか小さいかという問題については、これはそれぞれの見方、立場によって少し違いがあるのではないかと思います。
 それで、この定員、一般的に私はここであえて国家公務員なり公務員制度というものとそれから民間、いわゆる国民の視点の立場でちょっと今お聞きをしているわけなんです。考えてみると、この定員という問題について、国家公務員は全部で、現業等ほかのいろんなものを入れまして百万超しているわけです。現業というのは比較的定員が決めやすい。ところが、いわゆる大多数の一般的な事務職は定員というのはなかなか決めにくい。政策というものあるいはまた行政上の要請にしてもあるいはまた社会経済にしても日々今変化をしてきています。
 そうすると、実際問題としてここで定員というものの決め方、例えば総務庁では定員を仮に四千名なら四千名とする。けれども、本当にその四千名が正しいか正しくないのかという議論はなかなかしにくいんだろうと思います。
 ですから、そういう面からすると、先ほど長官が、定員削減の目的は一体なんですかと申し上げたら二つおっしゃった。そういう面では、政策の変更とかどうとかという関係では、この定員を固定化することによって極めて臨機応変に物事に対応することができないのではないのかなという感じするんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(太田誠一君) 今の足立委員の御議論の背後に、ちょっと民間の場合と国家公務員の場合の違いというのが私はあると思うのであります。それは、昔からわかり切ったことでありますけれども、国家公務員の場合には身分保障が基本的にあるわけでございまして、例えば途中解雇というふうな言葉は民間ではあるんだけれども、国家公務員の世界にはないわけでございます。退職という言葉しかないわけであります。
 一たん国と雇用関係を結ぶと終生それに対して雇用関係が守られるという大前提があるわけでございますので、そこで定員という言葉も重みを持ってくるわけでありますし、いわゆる戦略的な雇用というよりもある程度長い時間の中で調整をしていかなくちゃいかぬということになろうかと思うのでございます。
 ただ、その一方で、そういう身分保障があるということの反面として、例えば民間が非常に景気がいいときに賃金が上がってもこちら側はそこそこのものであるとかいうふうなことが前提としてあったわけでございますけれども、それは本当にそうなのかという議論も、また例えば国家公務員なり地方公務員などにはあるのかもしれませんけれども、そこは別といたしました。
○足立良平君 これで議論するとまたどんどん横へ行ってしまうんですが、それはやっぱり長官、今のはちょっと私は正直言って余りいただけないと思うんですよ。
 私は、定員の固定、定員というものがいわゆる仕事の流れの弾力性を若干阻害しているんではないかというふうに申し上げたんです。この定員の問題が身分保障との関係でということをおっしゃいますと、これはいささか議論としては少しまずいなというふうに思いますから、私はそれ以上きょうは余り時間ありませんから申しません。
 それで、ちょっとだけお聞きしておきたいと思うんですが、今まで第一次から第九次まで、今は九次の中途でありますが、定員削減計画というものがずっと進んできました。この定員削減計画の中で、いわゆる定員法に基づく定員というのは変わっていないんですね。そのように考えていいんでしょうか。
○国務大臣(太田誠一君) ちょっともう一度。
○足立良平君 今までそれぞれ長官も予算委員会なりいろんなところで総定員法の定員が五十四万八千人というふうに数字を挙げて説明をされているわけでありますが、実際的には結局今まで第一次、第二次とずっと九次まで来ています、定員削減。そうすると、例えばこの五年間に五%とかというふうな目標を定めて、ずっと定員を減らしてきている、努力をしてきている。けれども、いわゆるこの総定員法の定員というのは変わっていないと、こういうふうに考えていいんですね。
○国務大臣(太田誠一君) 総定員法における定員というのも、あるいは普通、総定員法という同じ土俵の上で考える定員というのと実はさまざまな、そのときに応じて違ったことを言っている場合があるわけでございます。私も気がつかないで言っている場合があるわけでございます。しかし、基本的には今おっしゃる総定員法で言う数のことを問題にしておって、さっき言いました定員削減が二〇%とか二五%とか言っているときはそのことを念頭に置いて言っております。
 ただし、後でちょっと詳しく説明してもらいますけれども、今度の中央省庁改革がありますと、自然にその定義が変わってくるところが既にもう早くもあるわけでございますので、ちょっとその辺は……
○足立良平君 時間も余りございませんから、疑問の点はまた改めて事務方から聞くということにいたしましょう。
 それで、今いみじくも長官がおっしゃったんですが、私も実はずっとこれを見ていましてちょっと違うのかなというふうに思いましたのは、今回の場合には、長官の今までの答弁の中では、独立法人として六万七千人を外に外しちゃうから相当これはもう変わってきますということを力説されています。いい悪いは別です、これは議論があるところですから。きょうはまだそれも詰めません。けれども、少なくともこの論理をしますと、従来の一次から九次までの定員削減というのは、一方で計画として削減の問題があります。そして、各省庁の新たな仕事がふえたということで増員計画があります。それで、純減というのか純増か知らぬけれども、純減という言葉は私の安物の字引には入っていないんですが、実際は。
 いずれにしろ、そういう面からすると定員法の定員というのは変わらずにずっと今日まで来ている。けれども、今回の総理が提起をされた二〇%であるのか二五%であるのか、自自では二五となっていますから二五でしょう。これは十年間で公務員の定員の二五%を削減するということになるわけですね。そのように私は理解をするんですが、それで間違いございませんか。
○国務大臣(太田誠一君) 今、先生おっしゃったような意味であります。
○足立良平君 ただ、私はここで一つだけちょっと提起をしておきたいと思いますのは、先ほど規制緩和の問題ということで、総理の所信表明の中にも文言が入っています。定員を削減するかしないかというふうな問題は、働く側の問題がどうかということはちょっとこれも議論としてありますから、これも横に置きます。けれども、実際的に規制緩和をこれからどんどん進めていくということがはっきりしている。
 今までの裁量行政というんでしょうか、あるいはまた総理の言葉で言うなら事前規制型から事後チェック型に切りかえていくということ、これはいずれにしろ一緒でしょう。これは、裁量行政のところの公務員の数と事後チェックにおける公務員の数というのはおのずから変わってくる。むしろ、私は、これは市場万能主義者という方がおいでになるかもしれないけれども、市場にすべてゆだねてしまっては大変社会的に不公平が生じてきますし、あるいは経済的に大変な問題が生じる。
 そういう面からすると、私はいわゆる規制緩和を進めていかなきゃいけないと思っていますけれども、同時にこの規制緩和をどんどん進めていけば、それをどういうふうに公正な委員会できちっとチェックするかということは、これからの行政にとっては実は大変重要な問題だろう。極端に言うなら、公正取引委員会、アメリカと日本の人間の数とかその他いろんな委員会の数を日米間で比較をしてみると、私は日本の体制というのは大変に貧弱というんですか、弱い体制になっていることは事実だと思いますから、そういう面では、これはちょっとまた別のところで議論させていただきたいと思いますが、一概にこれを今からさらにこの十三万何がしをどんと減らしたらそれでいいということにつながるものではない。
 ただ私は、もう一つあえて言わせていただくなら、当然これは公務員の側における職種転換という考え方をきちんとこれから導入していく必要があるんだろうと思いますが、その点、もし長官にお考え方があればちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(太田誠一君) 今おっしゃった事前調整型から事後チェック型へと移行するということなんですけれども、事前調整型については、おっしゃるように規制緩和をすれば人が減ってくるはずでございます。一方、それに対して事後チェックというのは、すなわちこれは人がふえざるを得ないわけでございます。そして、アングロサクソンの国々の常識に近づけるならば、それもただのふえ方ではなくて飛躍的にふえなければ、言っておるような事後チェック型社会にならないわけでございますから、発想をどこかで変えないと、この国家公務員の定員管理についても考え方を変えないと、とても今の状態ではおさまり切れる話ではないと思っております。
 そこで、これは私の所管ではありませんけれども、司法制度改革の審議会がこの間スタートをするということが私はそれが一つの答えになっていくのではないか。すなわち、今の裁判所などの純粋な司法機関のほかに、準司法的な領域というものを別に確立していかなければ、今、先生が提起された問題、まさにそのとおりで、このような従来の総定員法の管理という考え方では対応できなくなると思っております。
○足立良平君 時間も余りございませんので、これ官房長官にお聞きをいたしたいと思います。
 これはもう大分昔、一九九七年四月ですね、長官が衆議院の本会議で、審議が大政翼賛会的にならないよう若い人に云々とおっしゃったこと、私はマスコミを通じて承知をいたしておりまして、本当にそういう面ではまさにこれは民主主義の真髄といいますか、的確な表現であったと思うんです。
 すべての審議、これはいいか悪いかは別として、それぞれの物事に対して違った立場で議論をして、そしてそれを深めていって一番公平な結論を導き出していくというその姿勢は大変必要なことだろう。
 事実、例えばイギリスの議会制度の中では、政党助成金は野党にだけ交付する、与党には交付していない。これは、考え方としては私はなるほどそうだろうと思うんです。少なくとも議会というのは与党と野党が存在していて、そして与党というのは後ろにずっと優秀な人材がそろっていますので、情報から含めていろんな何をきちんととれる。けれども、野党の方はそういう基盤を持っていない、野党のときは。そうすると、その与党と対等に議論をして、与党と議論を闘わせて本当の意味でいいものを導き出していこうとするなら、野党が本当にきちんとしたものでないといけないのではないかというところにイギリスの議会制度の根幹があるのではないか、私はそういうふうに解釈しているんです。
 それで、そういう面でちょっとお聞きをしておきたいと思うんですが、野中長官、今、中選挙区制の議論があります。これは、今までの中選挙区制から小選挙区に変わってきた経過を振り返ってみますといろんな、ちょっと時間が余りございませんから何ですが、この提案理由説明を見ましても、これは政党助成法の提案理由なんですが、「政党の機能の重要性にかんがみ、選挙制度及び政治資金制度の改革と軌を一にして、国が政党に対する助成を行う制度を創設することとし、これにより政党の政治活動の健全な発達を」云々、こういうふうにして「民主政治の健全な発展」と、こういうふうにした。結局、選挙制度の改正の問題と軌を一にしてこの政党助成法というものを一緒に提起した今日の経過、考え方がございます。
 例えば中選挙区制に、これはちょっとまた別の場所で議論いたしたいと思いますが、中選挙区制にそれを戻してしまうということになるなら、ある面ではこれは派閥選挙でやっていかざるを得ない。でなければ、仮に今よく俗に言われているように一選挙区三名となるともう全部三分の一ずつの政党ができちゃう、極端に言うなら。だから、派閥選挙になってくるでしょう、中選挙区制になってくると。そうなってまいりますと、政党助成金をつくる助成法の概念からするといかがかなというふうに実は私ふと思ったりするんですが、長官、何かお考えございますでしょうか。
○国務大臣(野中広務君) 官房長官としてこの席に出まして、政治改革に関連する政党助成等について御答弁申し上げることは全く適切でないと思うわけでございまして、ただ、過去の経緯から私自身の考えを、委員長にお許しいただけるならば私は申し上げたいと思うわけでございます。
 少なくともさきの政治改革といいますのは、あのロッキード事件とかリクルート事件とかああいう忌まわしい事件の中から、とにかく選挙制度を変えていかなくてはならない、そして政治活動そのものが政党中心にやっていけるような状態にしなくてはいけない、こういう大義に基づいて私はやられてきたと思うわけでございます。
 当時、私は政治改革そのものは肯定しながらも、政治改革の旗のもとで安易に政党が税金から金をとっていく、それが本当に政治改革なのかどうかということに非常な疑問を持ちまして、今、我が党の総務会長をやっております深谷隆司氏を代表世話人にいたしまして、政党助成を慎重に考える会というのを組織いたしまして、そしてこれに対して批判的、反対をする行動をやりました。けれども、当時は我々の主張は守旧派とレッテルを張られまして、こういう時の流れに反するものはすべて守旧派で、新しい制度に行くものは改革派だという、そういうもう政治の場だけでなくすべてがマスコミを通じても大きな批判を受けた。そして、あの制度は参議院で否決されたにもかかわらず、深夜、両代表がペンを交換して、そして合意をされた。それがあたかももうそれでなければならないというそういう状態でやられて、私は今も非常に無念と矛盾を持っておる一人でございます。
 参議院に比例制度があるのに、衆議院に比例制度を導入することが本当にいいのかどうか。あるいはその結果によりまして、東京都内等では一つの区よりも小さいところで衆議院議員が出てくる。今それぞれ統一地方選挙を前にしておりますけれども、そこから出た議員は区会議員にも都会議員にも頭が上がらない、こういう状態。あるいはかつて、そのとき総理でありました細川さん自身が後日言われたんですが、熊本や大分でも市内が二つに分かれております。細川さんは私に、私もこの制度を選択しましたけれども、熊本市内を回ってみて、自分の選挙区がどこからどこまでかさっぱりわからぬと、こう述懐をされたわけでございます。
 こういう制度が、仮にこれから地方分権をやってきて、市長一期ぐらいやって、そして市民に受けのいいことをだっとやったら、ぽっともう衆議院議員にくらがえすることは可能だし、本当に政治を小さくしてしまうんじゃないか。あるいは比例制度重複立候補ということをやりましたために、亡くなったら必ず四十九日の忌明けの日には投票日になると、こういうことを繰り返してまいりました。また、選挙候補者が辞任をした場合は比例区から候補者が立候補するとか、こういう状態のさまざまな問題やら供託金やあるいは法定得票数に満たなくても当選できたり、あるいは二位が落選をして三位、四位が当選するといったような矛盾を持ってみたり、こういうことを本当にしていいのか。
 私は、やっぱり民主主義の議会制度を守るのには三極ぐらいに制度的に分かれておることが本当にいいのではないか。そんなことをしたら、今自民党にとって決していいことではありません、そんなに一つの選挙区で二人とれるようなところは絶対ないわけですから。また、一つの選挙区で当選してそこを温床としておる人にしますと、こんな制度でまた新しいところで広げてやらなきゃならぬということについて問題を感じる人もあります。
 私などもう年齢ですからそんなに長くやらないわけでございますけれども、我が国の将来を考えたときに、本当にこの制度が我が国の民主主義、議会制度の健全な発展に資するのかどうかということを私は常に疑問を持っておる一人です。非常に私の思いを率直に申し上げるためにいろいろ御批判をいただいておるわけでございますが、繰り返して当初に戻りますけれども、政治改革という名に隠れて税金から安易に政党助成を受けたというのは、国民に民主主義のコストを負担してもらうんだという大義を立てたとしても、私はなかなかすんなりといまだに自分自身残念ながら納得のできない状態であるということを過去を振り返りながら申し上げて、そのお許しをいただきたいと思います。
○足立良平君 もう時間が参りましたから、これはまた別の場で議論をいたしたいと思います。
 今の官房長官が提起されました、例えば参議院と衆議院の比例代表の問題についても、これは今の選挙制度なり衆議院と参議院のあり方の問題とかいうことを含めて、あるいはまた今日持っている選挙制度の問題点ということとの関係があるわけでして、これはまた議論は楽しみにいたしたいと思います。
 ただ私は、この政党助成という問題、あるいはまた政治改革という問題、これは政治を改革していかなきゃいけないということについてはもう私は全く異存はないわけでありますし、国民の皆さんからすると、政治に対する、あるいはまた政党、政治家に対する信頼感というものは本当に地に落ちてきているということもこれまた事実だと思いますから、そういう面で議論をいたしたいと思いますけれども、私は、政党助成というものも、やはりこの選挙制度の改革と一体で進んできたということもあったのではないかということをあえて提起をさせていただきたいと思います。
 以上です。
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
 まず、会計検査院、きょうは委嘱審査でございまして、先ほど予算の説明もございました。何点かお伺いを申し上げたいと思っております。
 まず第一点は、この会計検査院のパンフレットを見ますと、平成九年の場合の決算検査報告でございますが、いわゆる指摘された金額としては約二百四十四億円でございます。そうしますと、現在予定定員が千二百五十人ほどでございますから、一人あたりの指摘金額は二千万円ぐらいになるわけですね。千二百五十人で二百四十四億円の指摘金額を決算報告にされております。ということは、これを割りますと一人で二千万円の指摘金額。いろいろ努力をされておられることは承知しておりますが、費用対効果から見てどうなのか。一生懸命一年間やって一人で、収入、支出ともにでございますが、二千万の指摘である。それからもう一つ、会計検査院の年間の予算は、先ほどございました百六十五億円でございますから、百六十五億円の予算をかけて二百四十四億の金額を指摘された、一・五倍ほどでございます。
 そういうことを考えますと、費用対効果は一体これはどうなのだろうか。諸外国に比べてどうなのだろうか、こういう疑念を持つわけでございますが、院長、どういうお考えでございますか。
○会計検査院長(疋田周朗君) お答えいたします。
 確かに今、委員がおっしゃいましたように、私ども指摘金額を在籍人員で割る、あるいは会計検査院の予算額と検査報告の指摘金額を対比するという考え方でまいりますと、今、委員おっしゃったとおりのような結論になるわけでございますが、私どもの行っております検査活動は非常に多角的な観点から検査を行っているところでございまして、先ほど委員がおっしゃいました指摘金額と申しますのは、私どもの検査の結果、必ずしも適切な財政運営が行われていない、会計経理が行われていないということで不適切な金額として指摘したものでございます。そのほかに、必ずしも不適切とは言えないわけではございますけれども、やはり財政運営としてさらに是正、改善を図っていただきたい、こういうような事項も多々ございます。
 また、あわせまして、私どもが厳正な検査を行うということによりまして、これが国の財政運営あるいは会計経理の適切な執行に相当な牽制効果を及ぼしているというようないろいろな効用の面もあるわけでございまして、そういった点を総合的に御勘案いただけたらと、私どもとしてはそういったことで御理解を賜りたいと思っております。
 なお、会計検査院といたしましても、さらに検査活動の充実を期するよう鋭意努力を積み重ねてまいりたいと考えております。
○日笠勝之君 諸外国と比べてはどうなんですか。
○会計検査院長(疋田周朗君) 世界の各国には必ず私ども会計検査院と同じような組織がございまして、それぞれ検査活動を行っているわけでございますが、中にはアメリカのGAOのような形で議会の附属機関になっていて、議会からの要請を主に検査対象として活動しているというようなところもございます。また、我が国と同じような形で独立機関というような形で財政監督活動を行っている機関もございます。
 それぞれ非常に細かい点ではその国その国によりまして歴史的な沿革もございまして、検査結果の取りまとめ方に必ずしも統一的なものがございませんが、私ども日本の会計検査院といたしましては、世界各国の会計検査院の検査活動につきまして、常時密接な連携を保ちながら学ぶべきところは学んでいくということで検査の充実を図っていくよう努めているところでございます。
○日笠勝之君 通告していなかったんですが、では、諸外国でいろいろカウントの仕方が違うかと思いますが、指摘金額を人数で割った一人当たりの指摘金額と、予算から見て指摘金額がどれぐらいの割合なのかとか、後ほどまたデータを出していただければと思います。
 それから、当委員会は情報公開法を今審議しておりますが、先ほどの予算説明の中に会計検査院の交際費が平成十一年度百七十七万六千円ほど計上されております。これは、内閣から独立した機関ではありますけれども、ちゃんと情報公開法の中にも情報公開対象機関として会計検査院は入っておるわけです。ですから、情報公開法が成立して二年を目途に政令で施行されるわけでございますが、もしそうなった場合、この会計検査院の交際費というのは全面的に公開をされるんですか、それともどういうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○会計検査院長(疋田周朗君) ただいまお尋ねのありました本院の交際費につきましては、金額は先ほど委員御指摘のとおり年額で百七十七万円程度でございますが、主に職員あるいは元職員、さらには検査対象機関などにおきましていろいろ御不幸があったような場合に、例えば社会通念に従いまして生花をお出しする、あるいは弔電をお出しするというような経費に使われているのが大部分でございます。こういった交際費に係る文書の公開につきましては、具体的な請求があった段階で個々に判断を行う必要があると考えておりまして、現時点では公開がどこまでできるか、この場で的確にお答えすることは非常に困難ではないかと考えております。
 いずれにいたしましても、情報公開法の施行後、この法律に基づく開示要求がありました場合には適正に対処してまいりたい、このように考えております。
○日笠勝之君 これは総務庁長官にも関係するんですが、不開示になるおそれもあるようなお話をこの前もされました、例えば総務庁の交際費というと。ですけれども、これは先日テレビで見た話なんですが、ある県は全部公開しているんですね、知事部局の交際費は名前まで全部公開。ですから、大変失礼な言い方をすると、ある県の知事部局の交際費、衆議院議員何のだれべえさん叙勲のお祝い金五千円、そこまで公開しておるわけです。
 ですから、この情報公開法、いろいろ御質問していますと、外務省も官房長官も先日申されましたが、機密費と称する報償費はなじまないと。実は皇室費の中にも報償費があるんですが、きょうはちょっとお呼びしておりませんが、こういう交際費とか報償費の基準というものをつくらないと、せっかく国民に開かれた行政と言いながら、これはできません、これはここまでしかできません、こういうことでございます。
 総務庁長官、やはり公開基準というものを、特に交際費なんかはこれは官房長官でしょうか、全省庁を挙げてここまではやるということを明確に施行までに公表しないと、開示請求手数料を出したらだめでしたなんというようなことがしょっちゅうあちらこちらで起こるわけでございますから、この点ひとつよくインプットしておいていただければと思うわけでございます。
 それから、会計検査院にもう一度質問いたしますが、防衛庁の調達本部のいわゆる水増し請求事件というのがありました。その後、どのような検査をされておられるのか、お伺いしたいと思います。
○会計検査院長(疋田周朗君) 防衛庁におきまして装備品の調達にかかわる事案が生じましたことにつきまして、会計検査院として未然にこういった事案を発見できなかったということにつきましては重く受けとめているところでございます。昨年、早速、会計検査院内部におきまして委員会などを設けまして、これまでの検査のあり方などを全面的に洗い直しを行ったところでございます。
 それで、まず、会計検査院内部におきまして、公認会計士の資格を持っている調査官あるいは企業会計に詳しい調査官、こういった者もおりますので、こういった職員を選抜いたしまして専門班を設置して検査体制の充実強化に努めているところでございます。
 それからまた、従来、調達先の会社につきましては、調達実施本部職員の立ち会いのもとでいわゆる肩越し検査というような形で検査を実施してまいったわけでございますけれども、今後は必要と認められる場合には会計検査院法第二十三条に直接検査指定を行って検査するという権限も認められておりますので、この会計検査院法第二十三条を発動いたしまして、直接会社検査を実施することを考えております。
 それからまた、ただいま御審議をいただいております平成十一年度予算には非常勤職員手当が増額計上されておりますので、これによりまして外部の専門家を活用するということも考慮いたしまして、今後の検査に万全を期してまいりたいと考えております。
○日笠勝之君 恐らくだめだと思います、私の感触では。
 なぜかというと、受注業者は防衛庁なり会計検査院が来られた場合に示す表向きの帳簿と裏向きの帳簿と分けておるわけです。ですから、受注業者へ部品を納めている納入業者まで行かないとわからない。これは実際にそういう担当をしている人から聞いた話です。
 防衛庁価格といいまして、例えば一万円で受注業者に納めた部品、実際は五千円とか三千円で、検収が終わってお金をもらって払った。その後、相殺伝票を起こして、実際あれは一万円で納入してもらったけれども五千円なんですよ、わかっていますねと、こういうことをやっておるわけです。
 ですから、いわゆる受注業者へ納入しているところまで行かないと本当のことはわからない。そこまでできるんですか、今の会計検査院法で。
○会計検査院長(疋田周朗君) 今、委員がおっしゃいましたように、受注業者へ納入している業者につきましては、私どもも会計検査院法上、直接検査する権限はございません。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、必要に応じて納入業者の方を検査するという検査の一環といたしまして、さらにその納入業者がどのような形でほかの業者からその部品あるいは原材料品などを購入しているかということにつきましては、従来と同じように調達実施本部、防衛庁職員の立ち会いのもとに肩越し検査ということで対応する手段もあるわけでございますので、私ども会計検査院といたしましては、検査手法にさらに創意工夫を凝らしながら検査に万全を期してまいりたい、このように考えております。
○日笠勝之君 一番いいのは、受注業者の原価計算している人をスカウトして中途採用されれば一番わかりますよ。それは、やっているんですから、全業者が間違いなく。ですから、そういう意味では会計検査院の中の公認会計士とか企業会計に詳しい人だってわからない、裏帳簿でやっておるわけですから。ですから、その辺のところを踏まえながら今後検査を続けていただきたい。わからなければいつでもまたお聞きくださればお教えいたしますから。
 次は、国会図書館の方でございますが、先日十九歳の学生が国会図書館を利用しようと思って行きましたら入館を拒否されたと、これはどうしてですか。
○国立国会図書館長(戸張正雄君) 国立国会図書館には国会議員の皆さんの職務執行に資するという大きな目的がございます。また、納本制度というものを通しまして、国内の出版物を網羅的に集めてこれを文化財として後世に保存するという大きな職務もございます。そういったところから、一般の公共図書館といささか趣が異なりまして、また一方、受け入れ側の施設、人員にも制限がありまして、昭和二十三年の開館当初から利用できる人々を二十歳以上の方というふうにしてまいりました。
 ただ、初めのころは大学などの学生につきましては二十歳未満の方にも利用を認めていたわけでございますが、大学の数もふえ、学生の数もふえてまいりますとなかなか十分に受け入れることができなくなりました。また一方、大学の図書館の整備も進みましたので、学生につきましてはもう例外を認めずにまず大学の図書館を使っていただきたい、そういう制度に昭和六十一年からしているわけでございます。
 また、今おっしゃいましたような、おいでになってお断りする場合には、大学の図書館などの御紹介があれば国会図書館を使用していただくことにしておりますので、そういう制度があるということをお話ししながら利用をお断りしているわけでございます。それが現状でございます。
○日笠勝之君 余りそういうことが各大学にPRされていないんじゃないかと思うんです。
 インターネットでホームページを出されていますね。明確にそういうことはインプットされているんですか。
○国立国会図書館長(戸張正雄君) 今おっしゃいましたように、これはあくまでも例外措置でございますので公には公表いたしておりませんが、ただ大学の図書館あるいは公共図書館に図書館協力ハンドブックとかそういったパンフレットを配りまして、その旨をお知らせしております。ただ、それが十分に行き渡っているかどうかはわかりませんが、私どもとしてはそういうPRをいたしまして周知徹底方を図っているところでございます。また、一年に一遍、大学図書館長との懇談というのがございまして、大学図書館長と私ども接触いたしますので、そういう機会にもその趣旨のことを申し上げているわけでございます。
 ただ、今おっしゃいましたように、そういうケースがあるということは十分に徹底されていないということでございますから、これからも私どもその趣旨を徹底させていくことはやぶさかではございません。
 以上です。
○日笠勝之君 国会図書館はたしか関西館を今準備されていますね。そうすると、利用者も向こうへ振り分けられたりすることも可能ですよね。ですから、高校を卒業して専門学校、大学、短大の学生証を持っている方は、国立国会図書館資料利用規則第三条に「満二十歳以上の者とする。」という一応規則があるわけですね。もう少し国会図書館も開かれた国会図書館ということで、今後はそういう今申し上げたように関西館も考えておりますし、ぜひ規制緩和の方向で前向きにお考えいただいた方がいいんじゃないか。
 ただ、これはまた衆参の議運の図書館小委員会ですか、そこらあたりで規則を変えなきゃいけないということですが、ぜひ御賛同いただける委員の皆さんはそれぞれの党の議運の方々にこのことを要請していただければ大変ありがたいと思うんです。せっかく遠くから来た、知らなかった、十九歳、学生証を持っている、だめですよ、これじゃ幾ら何でも行政サービスをモットーとする日本国政府としては大変お気の毒な話でございますから、まずはPRをしっかりしていただく、それから議運の図書館小委員会等々でこれを前向きに改正していただく、こういうことでひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、官房長官、実は昨日御質問する予定でございましたが、予算委員会の方でお時間がなかったもので積み残しになりました件につきまして何点かお伺いしたいと思います。情報公開の絡みでございます。
 情報公開法、これは官房長官の所管でないと言われるかもしれませんが、各大臣と連携をとって総理を補佐すると先日の所信表明でもおっしゃっておられましたので、あえて官房長官にお伺いするわけです。この情報公開法の十八条、ここからずっといわゆる情報公開審査会がどうだとか事務局がどうだとかいうのが出てくるわけですが、この「情報公開審査会は、委員九人をもって組織する。」、こうあります。もちろん、これは両院の同意を得て内閣総理大臣が任命するわけですが、両院の同意を得るまでにいろいろと精査されて出されてくるわけだと思います。ということでございますが、きのうもどなたかが両院の同意なんというのは形式だけだとおっしゃっておられまして、それは本当はいかぬのですけれども。そこでもう一つは、事務局の体制でございます。二十六条に、事務局を置くことができて、「事務局長のほか、所要の職員を置く。」、こうあります。
 そこで、私は、やはり身内が身内の不服申し立てを、元身内、官僚OBが自分の出身の省庁からも出てくるかもしれませんね。ですから、この情報公開審査会の委員とか事務局長はもちろん両院の同意を必要とするわけでございますが、原則はやはり官僚OBを排して民間人でもって構成すべきではなかろうか、このように思いますが、官房長官はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(野中広務君) 情報公開審査会は、委員御承知のとおりに行政機関の長の行った開示、不開示の決定に対する不服申し立ての裁決または決定に当たりまして、第三者的な立場からの合理的かつ客観的な評価を加味するものでありまして、開示請求権の制度のかなめとなる機関でありますだけに、委員から今御指摘ございました審査会の委員はもちろん、それを補佐する事務局が果たすべき役割も大変重要であると認識をしておるところでございます。
 審査会の委員及び事務局長の任命権は内閣総理大臣にあるわけでございまして、その人選については私からコメントは差し控えたいと存じますけれども、その職責にふさわしい識見と能力を持った人が選任されるものと考えておりますし、私の方もそのようなことを総理にも御進言申し上げたいと存じております。
○日笠勝之君 官僚OBの方が委員になったり事務局長になりますと、恣意的なことで不開示になったんではないかという疑念が国民一般に広がると思いますので、ぜひ私の要望を総理に伝えていただければと思います。
 それから、委員は再任されることができるわけです。しかし、再任の任期は書いてないんですね。一期が三年でございますが、再任できる。再々任とか、また四選とか五選とか、これ一体どういうふうなイメージを持っておられるのか、委員の再任について何期までとかイメージがあればちょっとお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(太田誠一君) 審査会の委員につきましては、委員の長期留任は特別の事由のない限り行わない旨の閣議口頭了解が行われております。これによると、任期三年の委員は三期までを原則とすることとなっております。
 情報公開審査会委員の再任については、任命権を有する内閣総理大臣において、この閣議口頭了解を踏まえその都度適切に判断されるものと考えます。
○日笠勝之君 わかりました。
 それから、いわゆるこの情報公開法は、附則に、この法律の公布後二年を目途として法制上の措置を講ずる。公布になってから二年を目途でございますが、昨年の三月に衆議院に出されて、継続継続でやっと今、日の目を見ようかなという状況でございます。一年たっておるわけです。
 ですから、二年以内と言わずに、もっと早くやはりこれを施行できるように御尽力をいただきたいと思うわけでございます。もっと早くがいいかもしれませんが、できれば二〇〇一年一月から中央省庁再編が行われると思うわけでございますが、それに合わせて情報公開法も施行されたらばいいんではないかな、ちょうど整合性が保たれると思うわけであります。
 というのは、その間に例えば厚生省に開示請求したと、これが何か労働省と一緒になっちゃうと、一体その省の窓口はだれでどうのこうのということになりますから、再編と同時にやはりこの開示請求ができるように、せめて二〇〇一年一月から遅くともスタートできるように御尽力をいただけないのかな、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(太田誠一君) 情報公開法が施行されるまでの間に、政府及び各行政機関においては施行準備にかかわる大量の事務作業が見込まれるところであります。政府としては、その施行のための政令、施行通達等の策定、施行制度の周知広報、全国に置く総合案内所の整備などを行う必要がある。また、各行政機関においては行政文書の管理に関する定めを制定し、開示請求に適正かつ円滑に対応するため、この定めに従って保有する大量の行政文書の目録の整備などを行うことが必要となるほか、審査基準の策定、窓口の整備などを行う必要がある。
 これは、できるだけ早い時期に施行したいと私も思っておりますけれども、一体どんなことが必要なのかということがちょっと想像もつかないこともございまして、というのは今までここでもたびたび御発言ありましたように、我が国の省庁の体質はこういうことを想定してできていなかったわけでございますから、それに適応するための時間というのはどのぐらいかかるのか、ちょっと検討がつかないというところがございますので、簡単に本当はもうおっしゃるとおりに繰り上げて前倒しでやりたい、こう申し上げたいところなんですけれども、そうはいかないのではないか。未知の部分が多過ぎるということでございます。
○日笠勝之君 では、総務庁長官は前倒しでやりたいという熱意はある、こういう理解でよろしいですか、ありますね。──ありますと言ってくださいよ、熱意はあると。
○国務大臣(太田誠一君) 熱意はございます。
○日笠勝之君 時間もたちました。昨日の質問で政令がたしか十五カ所ほどございますが、これからまだ審議も情報公開法はある予定でございますので、政令の骨子をぜひ当委員会へお出しいただきたいことを御要望して質問を終わります。
○阿部幸代君 官房長官に質問いたします。
 私は、昨年、いわゆる従軍慰安婦問題の法的解決の必要性について質問させていただきました。二十世紀のうちにぜひとも解決をしたいいわゆる戦後補償問題はほかにもいろいろありまして、きょうはその中で香港軍票問題について質問いたします。
 日本軍が占領中に発行した軍票は、大日本帝国政府が責任を持って発行したもので、戦後日本国政府が責任を持って交換、整理すべきものでした。ここに実物があります。「大日本帝國政府 軍用手票 拾圓」の実例です。
 軍票の交換、整理は国家の国際的威信にかかわる問題ですから、大蔵省の記録によっても日露戦争、第一次大戦などの際発行された軍票はほぼすべてが整理されています。ところが、香港で発行した軍票については交換、整理が行われないまま今日に至っています。
 どうしてこういうことになったのか。大蔵省によると、連合軍司令部によって無効無価値にすることを命じられたと責任を連合軍司令部になすりつけています。無効無価値というのは、取引において授受を禁止するということであって、日本政府の責任がなくなったわけではないというふうに私は思うんです。
 とにかく、占領中、経過的にどのような事情があったにせよ、大日本帝国政府の名で発行した軍票の最終責任は日本政府が持っているのではないでしょうか、何らかの措置をとって一刻も早く解決すべきなのではないでしょうか。
○国務大臣(野中広務君) 委員が御指摘されましたように、さきの大戦によりまして賠償、財産請求権等の問題につきましては、我が国といたしまして、基本的にはサンフランシスコ平和条約あるいは二国間の平和条約及び他の関連する条約等に従いまして誠実に対応をしてきたところでございます。
 我が国といたしましては、一九九五年八月十五日の村山内閣総理大臣談話を基本といたしまして、我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略によりまして多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って、世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくという考えでございます。この考えに基づきまして、アジアの近隣諸国とも一層良好な関係を築くべく努力をしていくというのが基本でございます。
 今、委員が御指摘になりました香港の軍票問題に対する我が国政府の立場でございますが、我が国は過去の一時期に、今申し上げましたように、植民地支配と侵略によりまして多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめなければならないと思っておるわけでございます。
 しかし、それぞれ香港における戦争の被害に係る請求権の問題には、先ほど申し上げましたように、サンフランシスコ平和条約の規定によりまして我が国と英国との間に既に解決がついておるということになるわけでございまして、サンフランシスコ平和条約に基づき英国政府が請求権を放棄したことにより法的に解決のついておるということでございますが、一般香港住民の方々にとりますと、対日補償の要求運動というものが今日なお行われておるわけでございまして、近くその判決が出ることとされておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、それぞれ台湾等におきましても軍票問題というのが今なお残っておるわけでございまして、私どもその戦争の傷跡の大きさを今さらながら五十数年たって厳粛に受けとめておるわけでございます。
 先ほど来も申し上げておりますように、こういう幾つかの問題が残されておりますけれども、今までの経過は経過として、二十世紀を締めくくる段階における総括をやらなくてはならないと考え、まず軍票問題は、来る六月ごろに予定される判決を踏まえながら、その判決の結果をも十分注視してまいりたいと考えております。
○阿部幸代君 何か微妙な物言いをなさっていて、何らかの総括が必要だということをおっしゃっていたというふうに思うんですが、ここに軍票問題で九三年八月十三日に裁判に訴えている香港住民の声明があります。その判決が近々ということだと思うんですが、一部紹介したいと思うんです。
 「最も特筆すべき一事は、日本軍が香港を占領後、香港市民が使用していた香港ドルを日本貨幣及び軍票に強制的に交換させたということです。当初香港ドル二元で軍票一元、一九四二年七月からは香港ドル四元で軍票一元と交換し、並びに香港ドルの流通を厳重に禁止し、従わない者は死刑―首を斬る、としたのです。」。香港索償協会の「会員梁心さんはかつて友人が香港ドルを隠していたのを発見され、銃殺され首を斬られたのを目の当たりにしました。」。「一九四五年戦争が終わって日本軍政府は撤退したまま何の沙汰もありません。軍票及び日本貨幣は変じて紙屑となりました。多くの市民は一夜にして破産、無一文となり、落ちぶれて乞食となったのです。 当時日本軍政府は香港で十九億元の軍票を発行しましたが、別に日本と台湾から持ってきて使った軍票もおびただしい額にのぼっています。今に至ってもなお、五億四千万元の軍票がわたくしたちの手元にあり、すべてはまさに揺るぎない証拠なのです。」。
 この訴えをこのまま放置しておいてよいというふうに私には考えられません。
 報道によりますと、官房長官は九日の衆議院内閣委員会で、旧日本軍に徴兵されながら、日本国籍がないため軍人恩給が受けられない在日韓国人について、法律の経過は経過として、救済的配慮があってよいのではないか、こういう前向きの姿勢を示されました。香港住民の軍票問題についても何らかの救済的措置を検討するべきではないでしょうか。
○国務大臣(野中広務君) 詳細な経過は、必要とあれば政府委員が参っておりますので報告させますけれども、従来の法律経過を申し上げる以外に方法はないと思うわけでございます。
 ただ、この軍票問題につきましては、従来英国政府が一貫してこれは既に法的解決のついたものだという主張をしておられるわけでございまして、私ども日本国政府としても、英国政府のこの方針を方針として受けて今日まで取り組んでまいったところでございます。
 ただ、委員がおっしゃいましたように、現在東京高裁において裁判が続行中でございます。恐らく近くこの判決が出る模様でございまして、そういうものをも私どもとしては注視していかなくてはならないと思っております。
○阿部幸代君 私は、風格ある国家というのは、こうした人々の願いに誠実にこたえていく、そういう姿勢を示すことによって築かれていくものだというふうに思っています。
 次の質問に移ります。
 交通安全対策についてなんですけれども、交通事故による負傷者数並びに死亡者数、中でも高齢者の死亡事故の実態などについて、最近の推移についてお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(矢代隆義君) 御説明いたします。
 平成十年中におきます高齢者の、六十五歳以上の方でございますが、交通事故死傷者数は、死者が三千百七十四人で、全死傷者数の三四・五%、負傷者数が九万七百六人で、全負傷者数の九・二%を占めております。人口十万人当たりの死者は、全年齢平均の約二倍でございます。
 この高齢者の交通事故死傷者数は最近増加傾向にございまして、平成二年と比較いたしますと、それぞれ死者数では一八・七%、負傷者数では七二・八%増加しております。その内訳は、歩行中の死者が多くございまして、高齢死者全体の四九・五%でございます。また、このところ自動車乗車中の死者が増加しておりまして、高齢者の死者中に占める割合が二〇・六%に至っております。
○阿部幸代君 交通安全白書を見ますと大変わかりやすい数字が出てくるのですけれども、昨年一年間の交通事故による負傷者数は九十八万九千二百九十七名、これは第一次交通戦争と言われた一九七〇年を上回っているというふうにあります。
 また、我が国の交通事故の特徴として、高齢者の犠牲が多いということで、特に交通事故死亡者の中で高齢者の占める割合は九一年二五・五%から九七年三二・七%へと年々増加しています。高齢者のこの死亡者構成率が人口構成率の二倍と極端に高い、これは欧米諸国と比べてみても異常な事態だというふうにも指摘がされています。
 そこで、信号機の設置問題なんですが、交通事故の発生場所というのは、交差点内と交差点付近の事故が四五・五%を占めているというふうにあります。ですから、信号機の設置は重要だと思うんですが、具体例として埼玉県の例を挙げてみますと、信号機の設置要望が毎年一千二百件前後出されているにもかかわらず、九七年度百四十九基、九八年度百四十七基、九九年度予算で百三基にとどまっています。こうした傾向は全国的にも言えるんでしょうか。
○説明員(矢代隆義君) 御説明申し上げます。
 確かに、信号機の設置要望は各県とも多うございます。それに対しまして、予算の制約もございますが、全体の道路交通の状況を勘案しながら総合的に設置の可否を検討し、優先度の高いところから設置しているところでございます。
○阿部幸代君 どうも予算面で大変苦しい状況に警察もあるということなんですね。第六次交通安全基本計画が昨年、財政構造改革法で事業量はそのままで五カ年から七カ年に延期されています。信号機などの年平均の整備数がもともと少ないのに、一層減るわけなんです。この影響が埼玉にも出ています。
 公共事業については、今年度一〇・五%増という措置がとられながら、交通事故がふえ、高齢者の死亡事故がふえているというのに計画を後退させ、交通安全対策予算を後回しにする、とんでもないことだと思います。信号機の抜本的な増設など、交通安全対策にもっと本腰を入れるべきだと思いますが、総務庁長官の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(太田誠一君) 高齢者の交通安全の問題というのは大変深刻なものになっておると思います。諸外国に比べても大変交通事故死亡者数に占める高齢者の割合が高いわけでございます。したがって、総務庁は十省庁の取りまとめという役目でございますので、各省庁においてもそれぞれ努力をしていただいておりますけれども、今後とも強力に推進してまいりたいと思います。
○委員長(竹村泰子君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(竹村泰子君) ただいまから総務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十一年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○吉川春子君 ポジティブアクションとレディス・ハローワークの問題について質問をいたします。
 私は、一月、女性のための職安、大阪のレディス・ハローワークを視察しました。場所は難波の御堂筋の中心街にあり、便利で、ピンクを基調にしたフロアはお役所のかた苦しい雰囲気も余りなくて、フロアは八十人以上の女性であふれていました。特徴的なのは、入り口に男子進入禁止の交通標識になぞらえた赤いマークがありまして、男性は利用できない。そして、あなたもヒロインとか、それからレディス・ハローワーク幸せ探しのパートナー、ちょっと結婚式場の案内かなとも思うような、これは実はここで出していまして、そして再就職支援の情報が満載されています。(資料を示す)そしてまた、これは職安にお見えになった方の手記なんですけれども、こういうものも何年かまとめて出していらっしゃるという、大変努力をされております。
 就職紹介とか件数でも大きな実績を上げていますが、これは大阪だけではありませんで、全国十二カ所にあるんですが、その実績について御報告いただきたいと思います。
○政府委員(藤井龍子君) 吉川先生には、大変お忙しいところ難波のレディス・ハローワークを御視察賜りまして、大変ありがとうございます。
 レディス・ハローワークは全国に十二カ所設置されておりまして、平成九年度における利用状況は、まず、新規求職者数は十一万二千八百三十三人、新規求人数が六十万七千七百五十五人、職業紹介件数が十三万九千三百七十六人、就職件数が三万二千五百七十六人となっております。
○吉川春子君 今数字でお示しいただきましたように、大変大きな実績を上げております。
 それで、これは実は平成九年につくりました政府の女性政策、男女共同参画プランの中にもレディス・ハローワークの記述がありますね。そこをちょっと御紹介ください。
○政府委員(佐藤正紀君) 平成八年に策定いたしました男女共同参画二〇〇〇年プランの中の「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立支援」という事項の中に「レディス・ハローワークにおける再就職支援」という項目がございます。
 内容は、
 女性の職業紹介を専門に取り扱う公共職業安定所(レディス・ハローワーク)において、就業意欲を持ちながら育児・介護等の理由で就職が困難な女性に対して、きめ細かな職業相談・職業紹介等により再就職を援助する。
 以上でございます。
○吉川春子君 女性はパート労働者が大変多い。失業率も高い。賃金も男性の約二分の一と低い。社会保険の加入率も低い。こういう女性を雇用の入り口で支援しようとする政府の施策でございます。
 それで、官房長官、今国会に男女共同参画社会基本法が提案されております。その中に積極的な差別是正措置、私たちポジティブアクションと呼んでおりますけれども、そういう考えが入っております。この法律の基本的な考え方とも言えるものだと思いますが、この内容について御説明いただけませんでしょうか。
○国務大臣(野中広務君) 吉川委員お尋ねのいわゆるポジティブアクションでありますが、男女共同参画社会基本法案におきましては、積極的な改善措置といたしまして規定をしておるところでありまして、男女共同参画社会の形成の促進のためには、活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善をいたしますための必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、機会を積極的に提供することも必要であると考える次第であります。
 このため、この基本法案におきましては、積極的な改善措置を定義いたしますとともに、これを含めた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的に策定をいたしまして、実施する責務というものを国が有することとしたところでございます。いわゆるここに言われるような一つの例といたしましては、ポジティブアクションの例といたしまして、国の審議会等の委員への女性の登用のための目標値の設定及び女性委員の人数等の定期的な調査分析の実施、これは昭和五十年から実施をされております。また、企業におきます管理職登用等のための女性のみを対象とした研修の実施、あるいは女子職員、社員の採用計画の作成、地方公共団体等におきます女性リーダー養成のための海外派遣あるいは女性起業者に対する地方公共団体によります支援、すなわち融資とか講座の実施等を施策として含んでおる次第であります。
○吉川春子君 この共同参画基本法はこれから審議に入るわけですが、このポジティブアクションは、一足早く雇用機会均等法、四月から施行されますここの中で取り入れられているわけですけれども、この趣旨はどういうことでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(藤井龍子君) 今般の男女雇用機会均等法の改正によりまして、新たにポジティブアクションについて国が支援するという規定を設けたわけでございますが、これは事業主がポジティブアクションをとる場合に国が援助するということでございます。これは、長い間の慣行あるいは固定的な男女の役割分担意識等のために非常に女性の能力の活用がおくれているというような分野につきまして、事業主さんに積極的に女性の採用、活用をしていただきたい、それにつきまして、私どもの方で、国の方で援助をしてまいるという趣旨でございます。
○吉川春子君 実は今回、さきに御紹介しましたレディス・ハローワーク、女性のための職安が看板をかけかえる、廃止するとは言わないんでしょうが、看板をかけかえるということなんですけれども、このレディス・ハローワークは機会均等法の改正法のどこかに抵触するんでしょうか。
○政府委員(藤井龍子君) さきの均等法改正によりまして、男女の均等な機会と待遇の確保を一層促進させるという改正を行わせていただきました。それに合わせまして、従来女性一般を対象としたような職業指導、職業能力開発などの就業援助の規定を廃止したわけでございます。これは女性を一くくりにして弱者として位置づける必要はないという判断で削除をしたものでございます。
 それから、あわせまして、今回の改正均等法におきましては、女性のみに対する募集というのが原則として禁止されたところでございます。レディス・ハローワークにつきましては、この均等法で原則禁止される女性のみ求人の展示、紹介を行っているとの誤解を招く可能性があるということで、今般、レディス・ハローワークの名称あるいは事業内容について改正均等法の趣旨に照らして再考することが適当であると考えたところでございます。
○吉川春子君 官房長官、ちょっとお聞きいただきたいんですけれども、この女性だけの職安というのは非常に女性が利用しやすくて、今言ったようにきめの細かいいろんな事業をしておりまして大好評なんです。今、職安は朝行きますと、失業者が多いものですから、求職者がいて、シャッターが徐々に上がる、そこにもう男性が足を突っ込んでわっと求人票に殺到する。あるいは職安の窓口で、女性専用のところで女性に対する勧誘とかいろいろなことがあって、それは十分職安の方でも注意していただいているんですけれども、レディス・ハローワークがなくなって男の人も入ってくるということになると、女性が職安に行くことが大変困難になるし、本来の趣旨が損なわれるんじゃないかと思うんです。
 男女雇用機会均等法というのは、企業の努力義務規定を義務規定にするとか、そういう形で男女の平等ということを強化する形で改正されたものと私は感じているんですけれども、そういう法律の施行と一緒に、これだけ実績を上げている女性だけの職業安定所が廃止されるということはちょっと何かそぐわないし、多くの女性からも実は廃止しないでほしいという要望も来ているんです。そういう点について何とかこれは、まだスタートしたわけじゃないんですけれども、お考えいただきたいと思うんです。
 それで、労働省に聞きましたら、レディス・ハローワークという言葉は残すというんです。ただ、旧レディス・ハローワークとする、それで何か新しい看板をつける。しかも、これはある所長なんですけれども、旧レディス・ハロー・ワークの方を赤く大きく書いて、今度の新しい名前は小さくしようかという案もあるんです。
 ですから、本当にこれは評価されている制度だけに、ここで何かそういう形で廃止しなくてもいいんじゃないかと思うんですけれども、官房長官、ちょっと御感想を伺いたいんです。
○国務大臣(野中広務君) 小渕総理が、最近の厳しい雇用情勢の中から、先般来市民各層の皆さんの御意見を率直に現場に出て聞く機会を設けております。そういう中で、今、委員が御指摘になりましたように、職業の安定を求める職業安定所に足を運ばれる皆さんが、土、日が休まれておるために大変難儀をしておられるというお話を聞きまして、労働大臣とも話をいたしまして、主要都市におきまして休日の日にも窓口を開けるような措置をいたして、積極的な御協力もいただいてまいったところでございます。
 今、委員から御指摘をいただきました問題についても、いわゆる男女共同参画社会を形成していく上においてもなお重要な課題の一つであると思いますので、労働省ともよく協議をし、行革担当の太田総務庁長官もここにおられますので、そういう意味においてよく協議をしてまいりたいと考えております。
○吉川春子君 私は、官房長官がそう言ってくださったので大いに期待をしております。
 局長にもう一つお伺いしたいんですが、女性を一束にして全部弱いものじゃないというふうにおっしゃって、だから今度変えるということでしたが、ここに来られる女性は弱者なんです、女性の中でも。レディス・ハローワークに来られる人は、育児、介護など家事でもって仕事を中断して今失業中だと。そして、その人が再就職するための支援ということで設けられていたから、一束にして、確かに局長のような強い女性もいらっしゃるけれども、しかしまだ全部が強くはなっていない。そういうふうに考えて、これは弱者対象の職安だというふうにはお考えいただけませんか。
○政府委員(藤井龍子君) このレディス・ハローワークにつきましては、均等法改正に伴う措置ということで先ほど御説明申し上げましたが、もう一つ、平成七年に育児休業法を改正いたしました。育児・介護休業法になっておりますが、この二十五条に育児や介護で退職した男女労働者について再就職の援助を国が行うという規定が設けられているわけでございます。
 したがいまして、これを受けまして、今般レディス・ハローワークにつきましては、育児や介護で退職なさった方で、これから再就職をしたい、仕事と家庭を両立する形で再就職をしたいと思っておられる男女労働者の方々につきまして、就職希望登録とか職業講習、きめ細かな職業相談、職業紹介などを専門に行う職業安定所、ハローワークということで位置づけしてまいりたいと思っておるところでございます。したがいまして、名前もレディス・ハローワークということではなく、両立支援を目的とするハローワークという形にしたいと思っておるところでございます。
 それにつけ加えまして、このように名称あるいは業務内容等を変更いたしますが、これまで御利用いただいていた方々にはこれまで同様十分気持ちよく御利用いただけますよう、レイアウトや業務の取り扱い等を工夫することによりまして、女性の求職者の方々に親しまれて十分利用されるよう配慮をしてまいりたいと思っておるところでございます。
○吉川春子君 時間ですので終わりますが、よく労働大臣にも申し上げていただいて、官房長官がおっしゃっていただいたようにぜひ検討をしていただきたいと再度お願いして終わりたいと思います。
○山本正和君 どうも私は「さん」と呼ばれるよりも君と言っていただいた方がありがたいんですが、これは私の一方的な希望でございまして、できましたら山本君と言っていただきます方がしゃべりやすいと、これだけ申し上げておきます。
 実はこの前、どういう質問をするんだというのがありまして、官房長官に対する質問をちょっと二、三用意したんですが、冒頭に海老原先生の方から日の丸・君が代でお話がございましたので、私もちょっとそれに触れて感想を述べ、先ほどの官房長官の御答弁にもし加えることがあればいただきたいと思って質問したいと思います。
 海老原先生は随分お年寄りに見えますが私よりも大分若いので、私がこの前調べましたら、参議院で私よりも年上の方が十一名おるんです。そして、私の時代が最後の兵役なんです。兵役というのは頭の上から足の下まで全部すっぽんぽんになって徹底的に検査を受けるんです。今の若い子だったら自殺します。それぐらいのむちゃくちゃな検査を受けた世代の最後が私でございまして、一期上が官房長官だと思うんです。いずれもすっぽんぽんの経験者です。
 しかし、ここで私が申し上げたいのは、私は実は最後に、戦争に負けまして二年間、中国の満州、今の東北地区に留用されました。留用期間中に鉄砲の弾も食らったんです。本当に戦争というものはどれぐらい怖いか。小便がちびるとかなんとか言いますけれども、弾が飛んできたら大変なんです。人間が人間じゃなくなります。そういう中では正直言ってむちゃくちゃもやります。それぐらい戦争というものは激しいものだと、こういうことを前提にして申し上げておきたい。
 その私が、二年たって、いよいよ引き揚げ船に乗って、もう九月の末なんですけれども、それから日本の国に帰るのに何と一月かかった。向こうは雪が降っておるんですよ。雪が積もっておる。日の丸の旗を掲げた引き揚げ船が来た。うれしくてうれしくて、涙が出るぐらいうれしかった。日本人というのはだれでもそんなものなんです。
 ただし、そのことと先ほど海老原先生が言われたこととちょっと中身が違うんです。それはどこが違うかというと、私は子供のときに、これも恐らく経験があるのは官房長官と私ぐらいだと思うんですけれども、小学校、中学校を通じて、何か話をするとき、校長先生や教官から天皇陛下という言葉が出ますとばっとこうしなきゃいけない、その瞬間に。そして、小学校から中学校に行ったら校長の教育勅語の奉読があります。そのときに、校長が手袋を持ってこうやって上を指す、しわぶき一つしたらぶん殴られる、け飛ばされる。そして軍歌にもあります。またこれも官房長官、私どもが一番よく知っている歌ですけれども、「海行かば」の歌があります。「大君の辺にこそ死なめ顧みはせじ」とこう言った、海軍で、我々。
 そのとおり、お国のためにと言うけれども、天皇陛下万歳と言ってみんな死んだんです。天皇陛下は神様だと、そういう時代の君が代の思い出がある私どもとそうじゃない人との間にいろんな時代的な感覚の差があります。したがって、日本国憲法の中に言う思想、信条の自由。
 しかし、そうはいって、私は、実は昭和天皇時代に青年団長をしていましたから、昭和二十年代に陛下がおみえになって五メートル前でこう眺めていたんですよ。涙が出て涙が出て仕方がないんですよ。神様を目の前にしたわけだから。そんな思いを私たちはしてきたんです。
 ただ、一番腹が立つのは、八十代の政治家がおれは命がけで戦ってきたんだ、今の若い者は命がけで戦う気概がないと、こういうことを言うのを聞くと腹が立つんです。その人は弾を食っていないんですよ、大本営の中におっただけです。
 私は、そんなことを含めて、だから日本の国民の中にある国旗・国歌というものの感情の整理をするためにはさまざまな議論をしなきゃいけない、このことを申し上げたい。私は日の丸大好きです、今でも。特に、親方日の丸とか母ちゃんと日の丸大好き。日の丸大好きです。
 しかし、ここで申し上げておきたいのは、どんなことを言っても、私と同じ年の連中は兵役というのは義務なんです。いや応ないんです。どんな子供でも男であれば全部そういう目に遭っている。その兵役の中で戦ってきた者は君が代というのは天皇陛下の歌だという教えを受けてきているんです。どんなに文部省がいろんなこと言おうと、私どもにとっては君が代というのは天皇陛下万歳の歌なんです。そういう歴史があったということですね。そのことは十分に御理解いただきたい。私は、国旗と国歌は必要だと思うんです。しかし、その国旗と国歌がどうあるべきかは本当にいろんな議論をしなきゃいけない、こういうことを申し上げておきたい。そして、日本の国を愛さない日本人があってはいけないと思うんです。
 もう一つここで申し上げたい。アメリカの青年は、星条旗よ永遠なれでもう一生懸命やりますよ。ところが、私はアメリカの教科書を調べた、何が書いてあるか、アメリカの独立なんですよ。イギリスとフランスからやってきた移民ですよね。徹底的に本国に搾取された、戦いの中で戦い抜いて独立をかち取った。したがって、アメリカの憲法というのはすばらしい憲法なんです、改正しますよ。そして、アメリカ人はそういう独立のもとにアメリカンデモクラシーという新しい思想を出した。そういうものに対する誇りがある、アメリカ国憲法、星条旗に対する、アメリカは立派な国だという誇りがあるんですよね。
 中国がなぜあれやったか。清朝以来ずっと西洋から抑圧されてきた中を独立した、解放した。解放の印があの旗なんですよ。旗を命がけで守ろうと、中国人民の誇りがあるんですよ。
 ドイツはどうか。ナチスによってむちゃくちゃだった時代を、これを本当の平和な国にしようと、あの第一次大戦後の、もう一遍平和国家に戻そうというので新しい国家をつくった、国旗をつくった。国に対する誇りがあるんですよ。
 我が日本は戦争に負けてからどのような誇りを持ってきただろうかというのが、私は自分自身の年齢から感じて恥ずかしくて仕方がないんです、若い人たちに対して。なぜもっと日本の国はすばらしい国ですと言えるように私どもの世代がしてこなかったのか。私より年上が参議院には十一名います。衆議院にはもっとおる。その七十歳以上の年齢の責任なんです、これは。その辺の者がもっと考えなきゃいけない。これをちょっと先ほどのお話に関連して申し上げておきたい。十分な議論が必要であるということだけまず申し上げておきたいと思います。
 ちょっと御感想があったらひとつ。
○国務大臣(野中広務君) 同じ経験を持つ山本委員から当時を振り返りながら非常に深刻なお話を承りまして、私も共有するところまことに大でございます。
 私ども、海外に出まして初めて日本という国がどんなにすばらしい国であるかということを誇りに思い、またそれを大変誇りに考えてこの国を愛してまいりました。けれども、あの戦争の最中には、委員がおっしゃるように教育の恐ろしさと申しますか、いかにして国民をここまで狂わせてしまうのかということをたびたび後日になって思うことがございます。そして、四海、海に囲まれた我が国とそれぞれ道一つを境界にして国境を接しておる国との国に対する認識の違いというのを私は思いますときに、戦後教育のあり方、あるいは物、金におぼれてきて、そして国家の形のありようやあるいは日本人の心のありようを大切に考える、そういう余裕すらなしにひた走りに走ってきた戦後の五十年を思いますときに、委員と同様まことにざんきにたえない問題を感じるものでございます。
 ただ、戦争中私どもが目にいたしましたのは、日の丸を軍国主義の象徴に使うことよりも、いかに伝統ある連隊旗を死守するか、連隊旗を失おうものならそれこそ銃刑に処せられるというような連隊旗。あるいは海軍は、失礼ですが、今の朝日新聞の旗によく似たようなのを大切にして、むしろ日の丸というよりも、日の丸は出征するときにみんな武運長久を祈って署名をしてやるということに重きを置かれた。そして、ある意味においては富国強兵、景気が悪くなれば戦争という手段に訴えるというあの一九〇〇年代前半の五十年の手段に使われたと思うわけでございます。
 我々はやはり、この国を愛しそして誇りに思い、長い間国民の間に定着してきた日の丸、国旗というものをある意味において成文化することによってより根拠をはっきりして、国民がこれを尊敬し、そして尊重する、そういう風土をこの国の中に育てていくというのが一つの時代に生きた者の責任であるのではなかろうか。また、とうとい経験をしておかげさまで生かさせていただいておる私どもの世代の責任でもあるのではなかろうか、こんなように思っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、委員おっしゃるように国会の場におきましてもさまざまな議論をいただいていかなくてはならないと思っております。
○委員長(竹村泰子君) たっての御要望ですから、山本正和君。
○山本正和君 はい。ありがとうございます。
 本当に私も実は日の丸は大好きなんです。かつて若いときに、二十何年前に私は教員組合の委員長をしておりまして、そうしたら、日の丸絶対けしからぬと言う諸君に何十人と囲まれて、けしからぬと言うんですが、絶対日の丸は正しいと、私は日の丸大好きですと、日本の国旗として一番ふさわしいと言い続けたんです。闘い抜いてきたんです、私は、日の丸を守るのに。それは何でかといったら、軍国主義としての日の丸じゃないんです。日本の国がずっと昔からある、やおよろずの神様と言います。どこに行っても太陽をあがめるというのが日本列島の中にずっとつながっているんです。そのシンボルが私は日の丸の旗だと思っている。日本の国というのは何よりも太陽を大切にする、そういう中で生まれてきている国だという思いがあるから、私はもし国旗と言ったら日の丸と真っ先に言いますよ。ただし、君が代は先ほど言ったようにどうしてもまだしこりがあります。これは改めて国民の中で議論したいと私は思うんですけれども、それはそれで別であります。
 しかし、ここで次の用意した質問の方に移るんですが、関連しますから官房長官に申し上げたいんですけれども、私は沖縄に復帰する前に一遍と復帰後何遍も行きました。そのときは、まだ復帰前の沖縄の皆さんは日の丸と日本国憲法をかざして本土復帰で死に物狂いだったんです、アメリカの軍政下で。日本の国の日の丸を掲げたい、日本国の憲法のもとに帰りたい、大変な思いでやっておられた。と同時に、戦後何遍も私も行きましたけれども、あのひめゆりの塔や健児の塔へ参ります。そうすると、私よりも年が二つ三つ下の中学生、私の妹みたいな女学生が戦ったんです。むちゃくちゃに死んだんですよ。そして死ぬときに何を言ったか。天皇陛下万歳と言って死んだんです。日本の国を守るためと言って死んでいったんです。本当に大変な中で、そして、もしも沖縄のあの決戦が何カ月もかからなかったら、もし一週間で通過しておったら私は九州に上陸したと思います。あるいは茨城県に上陸したかもしれぬですよ。沖縄があれだけの物すごい戦いをしたからまだ本土上陸をためらった。
 そういう経過の中で、沖縄の皆さんが何で東京の所得と比べて沖縄県民は半分なんですかと、半分なんですよね。その思いがいろんな意味で基地の問題にも何もかも全部影響すると私は思うんです。
 そういう中で私は、官房長官が内閣の大番頭として大変御苦労いただいていることはよくわかりますし、アメリカとのいろんな問題で大変な御苦労をいただいていること、私はよくわかるんです。
 私は、アメリカという国は好きです。アメリカのヒューマニズム大好きです。しかし私は、日本政府はけしからぬと思っていることが一つある。それは何かと言ったら、アメリカは日本政府が一九四五年七月には完全に手を上げてポツダム宣言受諾の交渉をしていることを知っているんだ。にもかかわらず、八月六日に広島に、落としたら三十万人が焼け死ぬことを知っている爆弾を落とした。これは人類に対する罪なんです。あるいはその数日後に長崎にまた落としている。アメリカに対してこれは人類に対する罪だということを日本政府は言わなきゃいけない。いまだかつて国会でこの論議をしたことはありません。私は、これは非常に不愉快で仕方がないんですね。
 そうかといって、アメリカが今世界の中で取り組んでいるさまざまな善意に満ちた行動、あるいは世界平和のためにやっている貢献、私はそれを否定しません。アメリカ人が明るいのは、これは大好きですよ。友人もいます。しかし、それはそれとして、言うべきことは言わなきゃいけない。それと似たことが一つは沖縄の基地問題だと私は思うんです。
 だから、そういう中で私は、官房長官にここで具体的なことをお答えいただくつもりはありませんけれども、何とか沖縄県民の皆さんの気持ちに沿って、アメリカとの交渉にさまざまな角度でいろんな配慮が必要だと思いますけれども、臨んでいただきたい。
 聞くところによりますと、基地を持ってきてもいいという人もおるらしい、そういう地区もあるらしいですよね、沖縄の中には。あるいは絶対反対という人もおる。そういう中で、県民皆さんの合意を得られるような格好で基地問題の解決のために官房長官のひとつ格段の御努力を願いたいと思います。
 もし、それにつきましてお気持ちがございましたら、何かお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 沖縄につきましては、私も山本委員と同じように復帰前の昭和三十七年、初めて沖縄に足を入れました。自来、沖縄には熱い思いを持ってきた一人であります。
 しかも、今お話がございましたように、我が国領土の中でたった一つ戦火を交え、そして、軍人も亡くなりましたけれども、県民の十数万人が犠牲になって今なおその傷跡を大きく残し、かつ米軍の占領下にあり、本土復帰後も米軍施設・区域が七五%も所在をして沖縄に多くの負担をかけておるということは委員が御指摘のとおりでございます。沖縄県民の長年にわたる大変な御苦労、歴史の痛み、それを、私どもではとても修復しかねますけれども、少しでも政府といたしましてその負担を国民全体で分かち合うようにしていかなければ戦後はいまだ終わらず、このように考える一人であります。
 政府といたしましては、SACOの最終報告を着実に実施して、沖縄県民の皆さん方の御負担を一歩一歩軽減することが最も確実な道であると考えておりまして、昨秋当選をされました稲嶺知事も、SACOの合意事項を踏まえまして県民の理解と協力を得ながら段階的な米軍施設・区域の整理、縮小の実現に力を入れていくということを強く表明しておられ、数回も私どもにもいろんな提言をいただいておるところでございます。
 政府といたしましては、沖縄の米軍施設・区域の整理、縮小、統合ということにつきまして、この知事のお考えを十分に拝聴しながら、政府が頭ごなしに沖縄に何かをやるんじゃなしに、県民を初め知事を先頭にした沖縄県の御理解を得ながらSACOの最終報告を踏まえて真剣に取り組んでいき、橋本総理も、また引き続いて政権を担当いたしました小渕総理も非常に熱心に沖縄問題と取り組んでいらっしゃいますし、私どももその姿勢の中で予算の充実を行いながら、知事初め、県議会、関係市町村一体となりまして、微力でございますが、沖縄の発展のために尽くしてまいりたいと考えておるわけでございます。
 もちろん、沖縄の経済状況あるいは失業率等は深刻でございますけれども、ここ数カ月、逐次、従来と違い、また本土における失業率のふえる度合いと違いまして、沖縄においては失業率及び消費動向というのがそれぞれ月を追って改善をされておるということは、非常に私どもに、努力をすればやれるんだ、そうすれば本土並みの沖縄に一日も早くなっていただくことができるという弾みをつけられたような思いでございます。
 今後も、委員の御指摘を大切にしながら、沖縄振興発展のために、そして沖縄の長い痛みを少しでも和らげるように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○山本正和君 今度、知事選挙がございまして新しい知事さんにかわったわけでありますが、その前の知事さんも今度の知事さんも言っておられるのは、沖縄の開発といいますか、経済の程度を上げるという中の手段の非常に大きなものとして、自由港、関税に対する特別な措置、そういうものを含めた、要するに東南アジアの中でシンガポールが占める位置というものから考えても、沖縄の位置、そういうことを含めたら、自由港にすることによって沖縄地区は大変な発展をする、こういうことを沖縄の現地の方々も、また国内の経済学者の何人かの方々も主張しておられる。そういう意味でこの自由港構想、これを政府として何としても実現していただきたいというふうに私は思うわけであります。
 また後ほどお伺いしたいのでありますが、もう一点。重なって二つ申し上げますが、もう一つは、実は私は宮古島へ参りましたら、宮古島にオランダのような風車がだっと回っているんですね。そして太陽光の屋根がずっとついている。どういう状況ですかと聞いたら、宮古島では民需の電力はすべてこの風力と太陽光で賄いますというのであります。
 御承知のようにあそこは離れ島ですから、沖縄電力から電気を運ぶのにもし電線をつくるとなったら大変なことです。しかし、そういう中で宮古島がそうやって風力と太陽光でもって少なくとも民需を何とかする。石油を燃やす、天然ガスを燃やすということによる炭酸ガスの問題もありますけれども、それ以上に、そういう努力をすればできる、そういうことを今、宮古島はやっておられるんです。
 あわせて、沖縄へ行ってずっと回ったときにつくづく思ったのは、あのすばらしい太陽の熱なんです。その熱を何とかエネルギーに転換できないか。そして、我が国には九電力会社があります。この前、石油が値下がりしたり天然ガスが値下がりしたものですから一斉に電力料金を値下げしようといった。一番値下げ率の高いのはどこかといったら沖縄電力と中部電力なんです。これなぜか、沖縄電力は原子力発電所が一つもありません。中部電力は原子力発電所が一基あるだけです。
 そして、原子力発電所というのは非常に重要です。私も、これをなくせなんて言わぬですよ。原子力発電所の廃棄物処理のために一生懸命お金を使わなきゃいけない、もっと、世界のためにも。また、現在ある原子力発電所の安全を守るためにさまざまな政府は金が必要です。
 しかし、過去三十五年間、政府は一兆円ずつのお金を原子力発電所に、事実上の補助金です、全部出資してきているんです。形はいろいろ違いますよ。一兆円です、これは間違いありません、調べてみるとわかる。三十五兆円というお金をほうり込んだんです。
 そういう中で、しかも原子力発電に伴うさまざまな産業がありますから、こんなもの全廃なんかしたらもう日本の国はひっくり返りますから、大変なことになる。そんなこと私は言わないんです。
 しかし、日本の国が生きる道を沖縄で示したらどうかと私は思う。沖縄の自然エネルギー、あそこは大変な風も来る、太陽光がある。しかも、もっと言えば波動のエネルギー、私の三重県では波動エネルギーの開発をやっていますけれども、そういう自然エネルギーの開発を思い切って沖縄にほうり込む。一兆円とは言いません、せめて一千億円、沖縄に自然エネルギー、新しいエネルギーの開発のために金をほうり込んで試験的にやれば、これは世界に対して物すごい貢献になる。
 そして、蒙古で、パオで暮らしておる人たちが、日本の企業が持っていった太陽光発電をつけたら電気がついた。今まで動物の脂で火を燃やして明かりをつけていたのが、電気がついたといって大変に喜んでいる。私は、日本の国の技術者は物すごい優秀だと思う。製造技術も大変なものですよ。今や、屋根のかわらが全部発電できるような状況になってきている。
 それから、電池の話。アメリカが既に開発しているナトリウム電池というのは、従来の電池の六倍から十倍の蓄電量を持っているんです。アメリカでは自動車が、これからあるいはガソリンエンジンや何かよりも、そのナトリウム電池でもって電気自動車にどんどん切りかわる。下手すると日産も本田もひどい目に遭うかもしれない。物すごい勢いでアメリカのような石油のある国がそれをやっているんです。
 ですから、私が思うのは、沖縄を先進的なエネルギー開発県として、日本の国がそこにお金をどんとほうり込んで、ひとつ太陽光だとか風力だとか、あるいは今の新しい発電機、これはマイクロタービンと言うんだそうですが、あるいは屋根の発電、そういうのを含めて、沖縄に対して一千億ぐらい毎年ほうり込む。開発しますし、それに伴って日本の国の産業ももっと興るんですよ。
 私は、こっそり言いますけれども、こっそりじゃない、載っておるから言いますけれども、ことし三月号の中央公論で、京セラの稲盛さんと中坊さんです、この人たちが何を言っているかといったら、太陽光発電で日本じゅうの住宅の屋根をやったらお金がどれぐらい要るかと、一兆か二兆あればいいんだ、大きな航空母艦一隻や二隻沈めるつもりでやるんだったら日本の国は一遍によくなるよという話をしておるんです。あんな偉い人、頭のいい人が。
 私は、そういうことも含めて考えたいのは、沖縄を自由港にする。そして、まさにアジアのあのポジションを利用して、いろいろと世界じゅうの交易の中心にするということについて、何とか政府は取り組んでくれぬかということが一つと、もう一つは、新しいエネルギーの開発の拠点として沖縄に先行投資して、政府がどんどんやっていくというふうなことを今後考える。ことしの予算はもう提案していますから無理でしょうけれども、今後の構想の中にそういうものは置いていただきたい。
 私は、いろんなことを言いますけれども、別に七十代が威張るわけじゃないけれども、どうも五十代、六十代は、今まで安全だからこうしようとか、過去こうだからこうしようとかいう人が多いから、七十代の我々がそういう新しいことを考えてやったらどうかと思うので、官房長官にひとつそういうことを申し上げて、御感想を伺いたいんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(野中広務君) 最初に御指摘ございました沖縄の振興策といたしまして、本土にはない特別自由貿易地域の実施について積極的に取り組むようにという御指摘でございますが、去る三月の八日に、稲嶺沖縄県知事から沖縄開発庁長官としての私に対しまして、特別自由貿易地域として中城湾港新港地区を指定してほしいという申請が正式に出されたところでございます。
 これは、昨年の沖縄振興開発特別措置法の改正によりまして創設をされました法人税の所得控除など、我が国におきまして他に例を見ない税制上の優遇措置が講じられた特別自由貿易地域制度が実際に活用される段階に向けて着実に進んでまいったと認識をしておるところでございます。
 この申請を受けまして、直ちに沖縄振興開発審議会の御審議をお願いいたし、関係行政機関の長との協議を整えまして指定をしていくことになるわけでございますが、沖縄県の強い御意向でもございますので、できるだけ速やかにこの手続を進めて、早期に指定をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 さらに、委員が宮古を御視察されまして、太陽と風に恵まれた沖縄県の特色を生かした沖縄県における太陽光発電とさらには風力発電による自然エネルギーについて強い御示唆を賜ったわけでございます。これはもう御承知のように、地球環境問題への対応やエネルギーセキュリティーの確保の観点から、太陽光発電あるいは風力発電等の新エネルギーにつきましては、積極的な導入が重要でありますことは言をまたないのでございます。
 委員が御指摘のように、沖縄県は、その持つ自然的条件から見まして、新しいエネルギー導入の適地の最たるものでありまして、これまで新エネルギー・産業技術総合開発機構によりまして太陽光発電システムや風力発電システムの事業を行うほか、平成九年には、沖縄振興開発特別措置法の一環といたしまして新しいエネルギーのそれぞれ調査を実施するなど、積極的に措置してきたところでございます。今後とも、太陽光発電あるいは風力発電の新しいエネルギーの促進を行うために、沖縄県の案件につきまして、この諸制度を活用して支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 特に、宮古島におきましては、現在、太陽エネルギーの発電につきましては七百五十キロワットを平成二年から八年度までの事業としてやっておりますし、公共施設には、宜野座村の老人ホームあるいは那覇国際高校等にこれが導入をされておるわけでございます。
 風力発電の実証実験におきましても、宮古の平良におきまして千七百キロワット、五基を既に行っておりまして、また北谷町におきましても四百九十キロワットを昨年行ったところでございます。
 通産省におきましても、新エネルギーの賦存量の調査を一昨年行いまして、これからも新エネルギーのビジョンを確立するために、それぞれ沖縄県の八市町村にわたりまして逐次予算をつけてこの開発に取り組んでまいりたいと存じておるところでございます。
 まだ十分ではありませんが、委員が御指摘ございましたように、約八百七十五億円を投じまして新エネルギーの開発促進に努力をいたしておるところでございます。
○山本正和君 終わります。
○月原茂皓君 自由党の月原です。
 きょうは、官房長官を中心にして、全般、お尋ねしたいと思います。
 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、諸外国の例も見ながら、内閣としてはどのような機構をつくったのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 国家の安全と繁栄を維持し、国民の生命、財産を守るということは、政府の最も重要な責務であると認識をいたします。不幸にして起きましたあの阪神・淡路大震災のとうとい犠牲の教訓を踏まえまして危機管理体制の整備を行うことといたしたわけでございまして、米国の連邦緊急事態管理庁等、諸外国におきます危機管理体制の実情につきましても調査研究を行いまして、被害状況の迅速な集約や早期に行政の総合力が発揮できる体制の整備等を図ってまいったところでございます。
 具体的には、平成十年四月に、緊急の事態に内閣として必要な措置について第一次的に判断をし、初動措置について関係省庁と迅速に総合調整を行うこと等を任務といたします内閣危機管理監を設置いたしまして、同月、危機管理に対する初動措置の重要性等にかんがみまして、この重大なテロ事件等発生時の政府の初動措置について閣議決定をいたします等、危機管理体制の充実強化に努めてまいったところでございます。
 したがいまして、災害対策基本法を改正いたしましたり、あるいは情報機能の強化を行いましたり、官邸の別館に危機管理センターを改装し、そして危機管理監以下所要の職員を置きまして二十四時間体制で対応をいたしましたり、関係閣僚の緊急参集体制の整備を行います等、それぞれ整備を行ってきたところでございます。
 また、行政改革会議の提言も受けまして危機管理体制の強化を行って、先ほど申し上げました内閣危機管理監の設置や内閣危機管理監の補佐体制の整備等を行って、現在におきましては可能な限り、先般来のいろんな災害、あるいはインドネシアの危機、あるいは米空軍によりますイラクの空爆、国内におきましては栃木、福島におきます豪雨災害、あるいは岩手県内の北部を震源といたしました地震等々に果敢かつ敏速に対応をしてきたと存じておるところでございます。
○月原茂皓君 今お話しのように、阪神・淡路大震災の教訓から、米国のFEMAを参考として新しい組織づくりをされ内閣に危機管理監を置かれた、こういうことで、それは既にインドネシアの事件でもその効果があらわれたというお話であります。
 そこで、危機管理監を置いてよかった、こんな点がよかったですよと、今お話の中にありましたが、改めてその点を御説明願いたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 先ほども申し上げましたように、危機管理監を置きまして、全体として室長以下三十八名、これに危機管理担当を十三名置きまして危機管理監が統括をしておるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、昨年のインドネシアの危機等の緊急事態に際しましては、内閣総理大臣のリーダーシップのもとに、危機管理監を中心といたしまして関係各省庁との緊密な連携を確保いたしまして各種情報を早期に収集し、迅速かつ的確な対処措置を実施することができましたし、従前に比較いたしまして政府としてより適切な対応ができたのではないかと考えておるところでございます。
 また、平素におきましても、内閣危機管理監の主導によりまして緊急事態に対応するマニュアルの整備を進めておりますほか、各種の勉強会、訓練等を行いまして危機管理意識の向上を図りますなど、政府全体としての危機管理機能の強化が着実に図られておるものと存じておるところでございます。
 今後も、先ほど報告いたしましたが、たび重なる災害等を含めまして、国民に安心感を与えるような対応を実現できるように、それを重大な視点と心がけて、内閣危機管理監を中心に政府の一体となった危機管理機能の一層の強化を進めてまいりたいと存じておるところでございます。
○月原茂皓君 これは担当の方で結構なんですが、要するに内閣情報集約センターというのが一つの大きな力、それに基づいていろんな行動が行われるわけですが、この内閣情報集約センターというのはどういう役割を持って、特に重要な情報の集約はどのようにして行われていくかということをお願いいたします。
○政府委員(橋本逸男君) 内閣情報集約センターは、一年三百六十五日、二十四時間体制でもちまして内外の情報を収集、集約し、内閣総理大臣等に速やかな情報連絡を行うことを任務としており、大規模な災害、事件、事故等の緊急事態の発生時におきましては、関係省庁、民間、公共機関等からの情報の集約、内閣総理大臣等への情報の連絡、緊急参集実施のための各種支援業務などの役割を担っております。
 そして、重大な緊急事態発生等、特に重要な情報の集約につきましては、警察庁、防衛庁、外務省、消防庁等関係省庁との連携を特に緊密に図りまして、ヘリコプター、テレビジョンの活用等にもより現地映像を直接官邸で受けるなどの対応も図っております。
 また、大規模災害の発生時においては、情報の集約のため、関係省庁の局長クラスの緊急参集チームの参集を図っているところでございます。
○月原茂皓君 そこで、これから起こるいろいろな事象のうち、特に目に見えて議論されておるのが二〇〇〇年問題です。二〇〇〇年問題についてお尋ねするんではなくて、私の希望としては、内閣の方に二〇〇〇年問題を考えるチームをつくられたというお話を聞いておりますけれども、やはり国の基本的な組織というものは、今危機管理監を中心にしてでき上がった組織をその骨格として、どういう問題も必ずそこにはね返ってきてその組織というものが常に使われる。そういうことでないと、新しいことが起こったら別の組織をつくる、これは世間受けはよくするんです。しかし、常に中心にあるところはどんな問題でも集まってきて、切磋琢磨しながらそこをよりよい経験を通じた組織に成長させていかないといかぬと思うんです。そういう点を私は強く希望したいと思います。
 それともう一つは、国内の事象と外交・安全保障に関する情報の収集というのはおのずから違うと思います。
 外交・安全保障関係の情報については、既に内閣の方で情報収集衛星についても検討されておる。この間、防衛庁長官はそのほかの話もされておりました。その他プラスする話もされておりましたが、とにかくそういう点の手足というものをたくさんつくらなければ、総理大臣がリーダーシップを発揮しようと思っても、誤った情報、そういうもので我が国を誤るおそれがあると思いますので、よろしくお願いします。
 皆さん御承知のように、ミュンヘンの会議でも、あと一年待てば軍事力がドイツの方が上がるという腹で、そういう具体的な背景もありながら、ヒトラーは一見融和政策のようなことを言って、チェンバレンはおれは勝った勝ったと言っておったけれども、一年後に完全にたたきのめされたわけでありますから、そういうことでもおわかりのように、よりよい分析をして総理大臣を助ける、日本の国の責務を全うするというふうな組織に常に磨いていただきたいと思います。
 次に、官房長官にお尋ねいたします。
 緊急事態が発生した際には、総理が迅速に各行政部を指揮監督することができるということは大切なことですが、行政改革会議の最終報告において内閣総理大臣の指導性の強化がうたわれております。中央省庁改編によって、内閣総理大臣の各行政部に対する指揮監督の強化についてどのような検討が行われたんでしょうか。現行は各部を指導すると憲法に書いていながら、現実の問題としては国民一般はそういうふうに理解していないんですが、法律的に言えば内閣で決めたその方針に従って総理大臣がするということで、国民が考えている一番偉くて思いのとおり動かせるんだなということにはなっていないわけですが、その点どのように今後変えようとされておるのか。
○国務大臣(野中広務君) 危機管理関係につきましては、行政改革会議の最終報告におきまして、月原委員御指摘のように、突発的な事態の態様に応じた対処の基本方針についてあらかじめ所要の閣議決定をしておき、総理大臣が迅速に行政各部を指揮監督できるようにすることが求められるところであります。これを受けまして、政府におきましては、既に昨年四月に「重大テロ事件等発生時の政府の初動措置について」を閣議決定を行いますなど、それぞれ所要の措置を講じたところでございます。
 中央省庁等改革におきましては、機動的でかつ迅速な意思決定を可能とする等のために、内閣の首長であります内閣総理大臣がリーダーシップをより発揮しやすい仕組みを整えることといたしまして、内閣総理大臣の指導性の明確化、内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制の強化等、内閣機能の強化を図ることといたしておるところでございます。
 これらの具体化のための必要な措置を講じますための内閣法改正法案や内閣府設置法案等の作成を現在鋭意国会にお願いをするべく進めておるところでございます。
○月原茂皓君 そこで、新しい官邸が整備されるというお話がありますが、今、官房長官お話しのように、総理大臣がリーダーシップを持つ、そのためには危機管理機構として新官邸の中ではどういうことを考えておられるのか。
○国務大臣(野中広務君) 今お話しのように、危機管理機能の強化は近年ますます重要な課題となってきておるところでございまして、新しく官邸の整備を考えておるところでございますけれども、現在の官邸におきましても情報集約センターや危機管理センターの開設等によりまして一応の強化を図っておるところでございます。
 しかし、委員御承知のように、例えば在ペルー日本国大使公邸の占拠事件やナホトカの流出油災害のように、複数の事態が同時に発生をした場合の対応や事態の長期化が想定されます場合の対応等は、今の官邸ではとても不可能な状態にあるわけでございます。
 このため、新しく計画をいたしております新官邸におきましては、政府の危機管理の中枢となる危機管理センターとして高度な情報通信機能を備えた対策本部会議室、対策事務室、幹部打ち合わせ室、二十四時間体制で情報収集に当たる情報集約室を配備いたしますとともに、敷地内に危機管理用の臨時宿泊施設を配備することなどによりまして、これらの課題に十分対応できるようにいたしてまいる用意をしておるわけでございます。また、災害時等におきましても官邸としての十分な機能を発揮できますよう、耐震性を含む新官邸建物の安全性、信頼性を確保しておるところでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたような複数事態への対応、あるいは事態の長期化、セキュリティーの確保、バックアップ体制、こういう問題を重点にいたしまして新官邸の準備を進めさせていただいておる次第であります。
○月原茂皓君 希望としては今お話しのようなものは早急につくっていただきたいわけですが、往々にしてそれに至るまでの過程は、それができるんだからいいんじゃないかとか、あるいは新しい建物をつくっている間は能力が落ちたりするのが多くの場合です。しかし、事が事だけにその間、能力を維持しながら移行できるように考えていただきたい、このように思いますが、官房長官、当然のことですがお願いします。
○国務大臣(野中広務君) 当然のこと、月原委員御指摘のように、現在の官邸におきましても危機管理は国民の生命維持管理のための最重要課題でございますし、政府の重点的な責任でもございますので、新官邸に及ぶ間、万遺憾なきを期して努力してまいりたいと考えております。
○月原茂皓君 それでは警察庁にお伺いしたいと思います。
 ちょっとこの場所からいうと警察庁に質問するのはおかしいじゃないかと思われるんですが、公務員制度全体を扱っておるというところでお願いしたわけであります。
 昭和三十八年に吉展ちゃん事件というのがあって、そしてそのときに警察の方は刑事警察というものの力が衰えておる、これを何とか上げなければならないということで相当の努力をされ、そういう要綱までつくられたと思うわけであります。その後、何回かそういうものについても改正を見、状況に応じた体制をつくられておると思いますけれども、それから現在に至るまでの間、刑事警察としてはどういうふうな社会的変化が大きく刑事警察に影響したのか。そして、それについて吉展ちゃん事件後にした、要するに刑事警察を担当する者が誇りを持って仕事に邁進できるためにいろいろな方策を打ったんですが、その方策が現在どういうふうになっているんだろうかということをお話し願いたいと思います。
○政府委員(林則清君) 今御指摘のとおり、吉展ちゃん誘拐事件等を契機に、刑事警察の力が少し弱っているのではないかということを契機といたしまして、昭和三十八年に刑事警察強化対策要綱を制定して刑事警察の充実強化ということを図ってきたところであります。先ほど御指摘にもありましたように、以降も社会情勢等に合わせて、暴力団犯罪に見られますように悪質化、巧妙化する犯罪でありますとか、あるいは社会がこういった広域的犯罪をさらに生むというような状況、あるいは国際化するというような状況に的確に対処すべく、それぞれ刑事警察の充実強化に努めてまいったところであります。
 刑事警察の充実強化のためには、御指摘にもありましたように、捜査体制や捜査資機材、こういったものを整備していくということはもちろんでありますけれども、やはり個々の捜査員の捜査力の向上を図るということが何よりも重要であると一貫してそういうふうに考えておりまして、すぐれた捜査員を育成するために、各級捜査員に対し刑事専門の各種教養を十分実施するほか、ベテラン捜査員から若手捜査員へマン・ツー・マン方式の実践的な教養をさらに充実させて実施するというようなことをやってまいったわけであります。
 また、お尋ねのありました人事面につきましても、勤務成績や実務能力に特に秀でた者を選抜する、そういうことで昇任を図るというような配意を行ってきたところであります。
 また、近年では、情報通信システムの高度化に伴うハイテク犯罪が出現する、あるいは経済情勢を反映した金融、不良債権関連事犯が激増する、あるいはまた国際化に伴う来日外国人犯罪の増加、こういった大きな情勢の変化に十分対処するためにハイテク犯罪捜査、それからあるいは財務解析、国際犯罪捜査の専門捜査能力と申しますか、こういったものが従来以上に求められておるわけであります。このため、情報処理技術者あるいは公認会計士、海外経験の大変豊富な人、こういった人を積極的に中途採用するなどして、そういった専門的なことに当たっていただくという施策を進めておるところでございます。
 また、いわゆる俗に名人と言われるような捜査員がおりますので、そういった専門的技能等を有する捜査員を広域捜査技能指導官ということで警察庁で指定をいたしまして、そして都道府県の枠を越えてそういった広域捜査や捜査員に対する教養を行わせ、それぞれ専門能力の向上ということに努めて一人一人の捜査員の能力アップを図る、そして全体として底上げをするということを懸命に行っておるところでございます。
○月原茂皓君 私は、なぜこういうことをわざわざ質問させていただき、刑事局長に答弁願ったかといいますと、警察から刑事警察というものを除いたら、例えば、そういうことはないんだけれども、どういうふうになるだろうか。交通ももちろん大事だ、公安も大事だ。いろんな分野大事なことは間違いありませんけれども、国民の最も接触する場面であり、国民が最も希望する日々の平穏な生活のために最も接触するし信頼が置かれておる、これが刑事警察の基礎、それが警察全体を支えておるんだということで、吉展ちゃん事件以降どのようになっておるのかということをお尋ねいたしました。今のお話のように、その時代に適応して、国際化とかそれから経済の問題とかあるいはハイテクの問題とかいろいろなことで努力されておること、それからまた、教養の面でもそれにこたえるようにされておることは非常に適切なことだと思います。
 私は、今のお話にもありましたが、あのころ、昇任する場合に昇任の数が少ないじゃないかというのが当時の状況でした。そこで、もちろん試験制度がある、しかし推薦制度がある、それから選考制度がある、そういうところの枠を広げて上げていかなければならない。当時、たしか高松さんが捜査一課長だったと思うんですが、刑事警察を上げるために全力で力を尽くされていたことを思い出すんですが、昇任というような赤裸々な話になるんですが、そういう点からも一応報いられるような体制になっているんでしょうか。
○政府委員(林則清君) 昇任制度でございますけれども、先生御指摘のような、ちょうど吉展ちゃん事件当時以降、主として警察の昇任試験というのはペーパーテストを軸とする試験、あと勤務成績その他を加えた試験が主でありました。そこで、当時としてはなかなか朝から晩まで捜査に専念しておる者は昇任ができなくて、そうでない者が昇任をしちゃうというようなことがよくあったわけであります。
 そういうことにかんがみまして、昇任制度を三つぐらいに分けまして、それは今もちょっと御指摘ありましたけれども、いわゆる従来型の試験制度、それから選考制度、選抜制度、大体この三つのコースで昇任するようになりました。選抜、選考の方は試験というものを抜きに、勤務成績はもとよりでありますけれども、例えば刑事で言えば捜査の実務能力が高い、こういった者を試験なしで昇任させる。それから、さっきの試験制度におきましても、従来の何々法、何々法といういわゆるそっちの方に点数が高いというのではなくて、実務能力そのものを試す部分の配点を高くする、専門試験と言っておりますが、そういうものを取り入れるなど、まさに御指摘ありました、本当に日夜捜査に全身全霊を打ち込んで勉強する時間はないという者がちゃんと昇任し、処遇されるように改善をいたしているところでございます。
○月原茂皓君 よくわかりました。
 それで、私の希望としては、今後、やはり刑事警察、ほかの部門の警察も大切ですが、一番接点なんだということで、そこに皆さんが生きがいを感ずる、そういうふうなシステムをさらに進めていただきたい、そして時代に適応したものにしていただきたいと思います。
 刑事警察の方は、私は特に思うんですが、警察全体はもちろん法律に従って行動するわけでありますが、デュー・プロセスというものをたたき込めるのは一番刑事警察だと私は思っております。だから、どんな人でも一度はその経験を踏ませて他の部門に行くというぐらいの気持ちでいなければ、国民の信頼から離れるおそれがありますので、その点御配慮を願えたらと思います。
 最後に、法務省にお尋ねいたします。
 今、警察庁刑事局長からお話がありましたが、国際化あるいは組織化、ハイテクの問題とか、そういうふうな犯罪がふえておりますが、それについて法務省は警察から受け取り、もちろんみずからも捜査するでしょうが、そしてちゃんと有罪に持っていけるだけの体制をつくらなければならないんですが、そういうところにおいてどういう手を打たれておるか、御説明願いたいと思います。
○説明員(渡邉一弘君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、近時、暴力団関係者や外国人による犯罪を含め、各種の組織的な犯罪が少なからず発生しております。我が国の平穏な市民生活を脅かすとともに健全な社会経済の維持発展に悪影響を及ぼす状況にあります。また、この種の犯罪の国際化に伴いまして、これに適切に対処するための国際的な協調が求められているところでございます。
 この種の犯罪に適切に対処するためには、犯罪により得られた収益が犯罪組織の維持拡大や将来の犯罪活動に用いられたり、あるいは事業活動に投資されることによって合法的な経済活動に悪影響を及ぼすことを規制することや、背後にある首謀者を含めて犯行に関与した者の特定が困難な密行性の強い事件、強い犯罪を解明するための新たな捜査手法を導入する必要性があるなど、刑事実体法及び手続法の整備が重要かつ喫緊の課題となっております。
 そこで、このような状況に適切に対処するため、組織的な犯罪に対する刑の加重、あるいは犯罪収益に係る隠匿、収受等の処罰、あるいは令状による犯罪捜査のための通信の傍受を盛り込んだ組織的な犯罪対策三法案を第百四十二回国会に提出し、引き続き御審議をいただいているところでございます。
 他方、本検察におきましては、このような犯罪に的確に対処する捜査体制の整備等の観点から、検察庁職員の法的知識あるいは捜査、公判等の実務能力の向上並びに一般教養の涵養を図るべく、日常の執務の中で個々の職員に対する指導を行うとともに、経験年数に応じまして検察実務一般についての知識、技能に対する研修や、知能犯事件等の捜査、公判についての専門的な知識、技能に関する研修等を実施するなど、各職員の実務の経験や能力に応じて段階的な多様な研修を実施させていただいているところでございます。
○月原茂皓君 大変ありがとうございました。
 官房長官、今わざわざ刑事局長とそれから法務省の審議官にお話しいただいて、お聞きになっていただいたと思いますが、ぜひそういうものが実現するように、担当大臣ではないんでしょうが、側面的によろしくお願いしたいんですが、決意をひとつ。
○国務大臣(野中広務君) 私どももよく御意見のあるところを踏まえまして、努力をしてまいりたいと存じております。
○月原茂皓君 どうもありがとうございました。
○椎名素夫君 最近、国の内外で随分大変変化が起こってまいりまして、日本もさまざまなところで改革をしなきゃいかぬ、新しい角度からの政策などをいろいろ考えていかなきゃいけないという時代になっているかと思うのです。今よく言われていることは、今まで官僚主導で何もかもやってきた、これじゃいかぬという話であります。もう少し立法府はしっかりしろという声は随分強いんだと思うんですね。
 そこで、特に我々参議院でありますけれども、参議院に求められることは、長期的、大局的な見地に立って補完とチェックの機能を持たなきゃいかぬということですが、今までのように官僚組織の方に相当情報は集まり、分析の力とかいうようなものもすっかりそこに集まっているということでありますと、例えばチェック機能というようなことからいっても、何かが起きたときにチェックするためには物差しが要るわけですが、この物差しも行政府からみんな借りてしまうというようなことになりかねないし、また実際そういう傾向が強い。また、長期的な立場に立って、さまざまなこと、これから一体どういうようなことが起きてくるだろうかというような意味でも、補完をするためにはやはり前広にいろいろ調査をし、分析をしておくということが非常に大事だと思うんです。
 そういう意味からいって、私はこの国会の中の調査、研究、分析あるいは立案、立法というような機能は非常に大事だと思うんですが、それをまたバックアップするのは国会図書館の調査及び立法考査局というような機能を持っているところ、そこで、その実力、腕力を相当強めないと、今までさまざま批判されていたようなことがそのまま続くんじゃないかと思うんです。
 このところ数年間、日本は景気が回復しないで大変苦しんでいるわけですが、ある意味では非常におせっかいですけれども、自分でどうも考えられないらしいというようなことを言いまして、アメリカを初めとするよその国がこうしたらどうかああしたらどうか、あるいはしばしばですが、こうしろとか、こうせよああせよというようなことを言い出されて、日本人は自分で考える力もないのかというようなことを言われたりすることもある。非常に残念なことであります。我々、海外の人に比べて特に頭が悪いと思っているわけじゃないのに、やっぱり一つの構えができていないとなかなかいい知恵も複数で出てくるということがない。
 とりあえず、参議院あるいは国立国会図書館で調査機能、分析機能というようなところにどのぐらいの予算を使っておられるのかということを伺います。時間を節約するためにそちらから言っていただかなくてもいいんですが、国会図書館の方では二億九千二百五十五万九千円という数をいただきましたし、それから参議院は一億六千七百二十六万七千円というようなことですが、考えてみると随分小さな数だと思うんですね。
 日本のシンクタンクというのは、民間にもあり、またNIRAみたいなものもありますが、そういうところと比べて現在の我々の手持ちの規模というのは一体どういう感じになるのか、事務総長と館長と二人にちょっと伺いたい。
○事務総長(堀川久士君) 先生お尋ねの外部のシンクタンクあるいは参議院の調査機能の規模はどのぐらいかというお尋ねでございますが、私どもも、例えばシンクタンクと言われる野村総研とか日本総研というおおよその人数その他は承知しておりますが、具体的にその予算の数字等承知しておりませんので、その比較はちょっといたしかねるというか、申し上げにくいかと存じます。
 事務局といたしましても、先生御指摘のように、国政調査とかあるいは議員立法の補佐体制の充実ということは大変重要な課題だということは重々承知いたしておりまして、平成十一年度の予算におきましても、常任委員会調査室とか特別委員会調査室、法制局の機能強化に係る経費ということで、先ほど先生が数字をお示しになりましたが、一億六千七百万円というものを計上いたしております。また、機構や定員にいたしましても、若干ではございますが、次席調査員、調査員等につきましても今度の予算で増員を図らさせていただいております。
 それから、あわせまして参議院の情報化の一環ということで調査室、法制局に係る議員立法の補佐システムの構築などを進めまして、できる限り内外を問わない資料の収集の充実等を図るということで、これからも先生方に対する情報提供の環境整備に努めさせていただきたい、このように考えております。
○国立国会図書館長(戸張正雄君) 私の方も民間のシンクタンクなどの規模は承知いたしておりますけれども、これと比較して国会図書館がどうかということになりますと、具体的にどう表現していいか、ちょっとお答えに窮するところでございます。
 しかし、今、先生がおっしゃいましたように、私ども二億九千万円余の予算を持っておりますが、この中で、特に国会レファレンス総合システムの構築とかあるいは国会会議録フルテキスト・データベースの構築とかこういうものに力を入れまして、当面国会図書館の調査立法考査局で両院の議員の皆様方の調査のお手伝いを十分にしていこうという意気込みだけは持っております。
 もう少しお尋ねがあれば内容の詳しいことを申し上げたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。
○椎名素夫君 結構です。そのうち詳しいことはまた別に伺うことにいたします。
 私の経験なんですけれども、私は前に衆議院議員をやっておりましたが、それよりも前ですから、一九七〇年代ぐらい、アメリカにある講演みたいなことで呼ばれて行きましたら、その中にアメリカの国会図書館の国際部の部長というのがおりまして、それでぜひ時間をつくってうちの連中と懇談会をやってくれと、こう言われた。それで、これはおもしろいと思って行ったんですが、行きましたら、二十人ぐらいずっと並んでおりまして、これは世界じゅうの各地域の専門家なんです。後で聞きましたら、博士号を持ったのが六十数人国際部におって、国内問題の人たちはその三、四倍の数がいるというような感じでした。ああでもないこうでもないで、私は大変たじたじとしたんですが、四時間ぐらい搾り上げられて、これはすごいことだなと本当に思いました。当時がそうですから、まだそれから膨張していると思うんですね。ああいうのが一つ。
 それからもう一つは、各委員会のスタッフというのがまた膨大な数がおりまして、年じゅう日本などにもやってくる。どこへ行ったのかといったら、アジアの数カ国を回って二週間ぐらい旅行しながら各地でヒアリングをやって、そしてそういうものは全部議員の知識としてインプットされるというようなことをやっているわけです。ですから、とんでもないことが世界で起こりますけども、大体どこで何が起こりそうだということは、アメリカの国会図書館、あるいは全体として国会に既にインプットされているというような状況がある。
 アメリカというのは世界じゅうを見る責任があるんだからそのぐらいのことは当たり前かもしれませんけれども、やはり時々はノーと言ったりなんかしなきゃいかぬ。そのノーの根拠は一体何だと言われてたじたじとしたりするのは非常に残念なことでありますし、我々はそういうような構えというものをぜひつくりたいと思っているわけです。
 この部門を充実するのは最終的には我々議員の責任です。ですから、事務総長あるいは図書館長に、本当はこうしたいんだけれどもというお話があれば実は伺いたいんですが、恐らくそれをおっしゃるわけにもいかないと思いますのであえて申しません。こういう問題が実は日本のこれからの政治を展開し、しかも政治主導で展開していく上には大変大事なことだと思っておりますので、この点はただ指摘するだけにいたしますが、委員の先生方もぜひこれから少し御一緒に勉強して、こういう機能を強くすることに努力してまいりたいということだけを申し上げておきます。
 お聞きするということを申しておりませんけれども、官房長官、総務庁長官、政治家として、今の日本は、さっきも言いましたように、頭のいい人はたくさんいるけれども、いい知恵が早く出てこないというのはここにも原因があるし、あるいは民間にも本当の意味での強靱な体質を持ったシンクタンクができない。そしてマスコミもやはり今までの癖で、お役所から情報をとってそのまま書きなぐって新聞に流すというようなことが続きますと、余りはかばかしいことはなかなかできないんじゃないかと思うんです。しようがないから政府がさまざまな審議会をつくったりなんかしてそのばらばらの知恵を集約するということは、これまた政府の手で行われるということだけでは非常に寂しい話でありまして、審議会などというものはやはり最終的には一つの結論を得なきゃいかぬということになりますので、最初から絞り込んでいって、多様な知恵というものが出てこない。
 そういうような実情をどういうふうにお考えになるのか、そしてまたどうすればこの状況から脱却できるのか、御感想がありましたらお二人に伺いたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 衆参両院を経験されまして、海外におきましても豊富な人脈と識見と経験をお持ちの椎名委員から、今、立法府としての院のあり方、あるいはこういう改革期に臨む衆議院、参議院としての国会のあり方についてそれぞれ御指摘を賜って、私ごときがちょうちょう申し上げるべきでございませんけれども、立法府が立法府としての機能を十分発揮していきますためには、国会の調査機能を初め、委員が御指摘になりましたチェック機能等、十分な機能が果たせるような努力をさらにしていき、また議院内閣制でありますだけに、政府としても予算を含めてこれを強力にバックアップしていかなくてはならないと思うわけでございます。
 また一方におきまして、今、国会のあり方を含め、副大臣、政務官等の審議もされておるところでございます。これに対応する国会審議のあり方、国会改革のあり方というものがあわせて私は議論をされなければ、これは十分な成果を生み出すことができないと思っておるわけでございます。
 ただ、率直な感想を許していただければ、私は衆議院に籍を置かせていただいておりますけれども、ここ数年間の参議院の院としての改革あるいはそれぞれの委員会のありよう、あるいは情報化というのはもう衆議院の比ではなく、抜群の改革と進歩が行われておるわけでございまして、私ども、参議院に比べて衆議院のおくれを大変実感しておるところでございます。
 今後なお、衆参あわせて今、委員が御指摘になりましたような方向が一歩でも二歩でも築かれるように、我々もまた微力を尽くしてまいりたいと存じておるところでございます。
○国務大臣(太田誠一君) 衆議院のことしか知らないものですから的確なあれになるか、間違ったことを申し上げるかもしれませんけれども、結局のところ、これは衆議院において問題はもっと深刻だと思います。議会の今言ったような調査など、あるいは国会図書館もそうでありますけれども、我々の知りたいことはだれが知っているのか、どういう人がそれに答えてくれるのか、どういうチームをつくり得るのかというのは、こちら側が人事権を持っていなければできない話だと思うんです。
 こちらが人事権を持っていないところでそういう体制を幾らつくっていただいても、それは出前を頼んでそのものがないという状態であれば、これはシンクタンクとして活用のしようがないわけであります。椎名先生あるいは国会議員一般が関心を持つようなことについて、その体制を整えるような人をやっぱり指名していかなければ、私はその体制はできないと思っております。
 それからまた、予算についてもそうでありますけれども、予算は両院の場合は裁判所と一緒で二重予算ということになっておりまして、本来ならば一般の行政府の予算とは別にこれは取り扱われなければいけないと思いますし、そのような予算についても議会の中で議論をした上で、こういうふうにいこうということを決めればよいのだと思うのでございます。もちろん、一般の行政府との調整はありますけれども、それはできない話ではないと思います。
 また、私もたびたびそういうことを思い立って果たせないで今日まで来ておりますので、これは一つの感想でありますけれども、そういう話になりますと必ず議院運営委員会の仕事であるというふうに整理をされてしまうわけでございますけれども、実際には議院運営委員会は日々の国会運営のことに追われておりますので、やはり国会の長期的なそういう課題に取り組むものは別に委員会として建てるべきではないか、衆議院のことについては私はそういうふうに思っております。
 ちよっと私見だけを申し上げました。
○椎名素夫君 お二人の大臣、ありがとうございました。
 この問題は、今審議しております情報公開法などにも関連があるし、官房長官から御指摘があったように国会全体のありようというような改革の問題とも大いにかかわってくることでありますが、もっと広く言えば、せっかく潜在的にある日本の頭脳の力をむだにしないでどうやって生かしていくかということにかかわってまいりますので、ぜひ関心を持ち続けていただきたいということをお願い申し上げまして、きょうは金曜日でもありますから、これで終わりにさせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(竹村泰子君) 他に御発言もなければ、これをもって平成十一年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹村泰子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(竹村泰子君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。太田総務庁長官。
○国務大臣(太田誠一君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、恩給年額及び各種加算額を増額すること等により、恩給受給者に対する処遇の改善を図ろうとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。
 これは、平成十年における公務員給与の改定、消費者物価の動向、その他の諸事情を総合勘案し、平成十一年四月分から恩給年額を〇・七%引き上げようとするものであります。
 第二点は、傷病者遺族特別年金及び実在職年六年未満の者に係る普通扶助料の最低保障額の上積みであります。
 これは、低額恩給の改善を図るため、傷病者遺族特別年金については千五百円、実在職年六年未満の者に係る普通扶助料の最低保障額については千円の上積みを行おうとするものであります。
 第三点は、遺族加算及び寡婦加算の年額の増額であります。
 これは、遺族加算の年額について、戦没者遺族等に対する処遇の改善を図るため、平成十一年四月分から、公務関係扶助料に係るものにあっては十三万九千七百円に、傷病者遺族特別年金に係るものにあっては九万千九百十円にそれぞれ引き上げるとともに、寡婦加算の年額について、平成十一年四月分から、普通扶助料を受ける六十歳以上の妻または扶養遺族である子が一人ある妻に係るものにあっては十五万四千二百円等に引き上げようとするものであります。
 第四点は、妻に係る扶養加給の年額の増額であります。
 これは、傷病恩給受給者の妻に係る扶養加給の年額を十九万三千二百円に引き上げようとするものであります。
 第五点は、短期在職の旧軍人等の仮定俸給の改善であります。
 これは、六十歳以上の短期在職の旧軍人に給する普通恩給またはその妻子に給する扶助料等について、老齢者、寡婦等の優遇の趣旨により、平成十一年四月分からその年額の計算の基礎となる仮定俸給の俸給の格付を一号俸引き上げようとするものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(竹村泰子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十四分散会