第145回国会 地方行政・警察委員会 第18号
平成十一年八月五日(木曜日)
   午後三時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         小山 峰男君
    理 事
                釜本 邦茂君
                松村 龍二君
                輿石  東君
                山下八洲夫君
                富樫 練三君
    委 員
                井上 吉夫君
                岩瀬 良三君
                鎌田 要人君
                木村  仁君
                久世 公堯君
                谷川 秀善君
                保坂 三蔵君
                高嶋 良充君
                藤井 俊男君
                魚住裕一郎君
                白浜 一良君
                八田ひろ子君
                照屋 寛徳君
                高橋 令則君
                松岡滿壽男君
   衆議院議員
       政治倫理の確立
       及び公職選挙法
       改正に関する特
       別委員長     桜井  新君
   国務大臣
       自治大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    野田  毅君
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        竹島 一彦君
       自治大臣官房長  嶋津  昭君
       自治省行政局長
       兼内閣審議官   鈴木 正明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        入内島 修君
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  本日の会議に付した案件
〇派遣委員の報告
〇住民基本台帳法の一部を改正する法律案(第百
 四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議
 院送付)
〇不正アクセス行為の禁止等に関する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
〇公職選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提
 出)

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○委員長(小山峰男君) ただいまから地方行政・警察委員会を開会いたします。
 住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、本日当委員会が行いました委員派遣について派遣委員の報告を聴取いたします。輿石東君。
○輿石東君 委員派遣につきまして御報告申し上げます。
 派遣委員は、小山峰男委員長を団長として、釜本邦茂理事、松村龍二理事、富樫練三理事、藤井俊男委員、魚住裕一郎委員、照屋寛徳委員、高橋令則委員、松岡滿壽男委員及び私、輿石東の十名で、本日午前、埼玉県において地方公聴会を開催し、住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきまして、四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。
 まず、与野市長井原勇君、埼玉県総合政策部長青木信之君、埼玉県北埼玉地域県政モニター協議会会長品川寛子君、プライバシーアクション運営委員江原昇君の四名の公述人から意見を聴取いたしました。
 以下、公述の要旨を簡単に御報告申し上げますと、制度導入に際しての市町村の財政負担に対する国からの支援の必要性、住民票広域交付のメリットとICカードの持つ利便性、複数市町村が共同して行う住民サービス拠点整備への県の協力、
県・市町村間の情報通信ネットワーク整備による公共サービスの実現、一市民にとっての住民票の果たす役割、ボランティア活動で知った高齢者にとっての住民基本台帳ネットワークの利便性、本改正が市区町村窓口業務に与える影響、個人情報保護に関する制度の問題点などについてそれぞれの立場から意見が述べられました。
 公述人の意見に対し、各委員より、住民サービスの向上と行政改革推進のためのコンピューターの重要性、本制度導入へ向けての県における検討状況、個人情報を扱う自治体職員のモラルの向上策、広域交付による住民票を使った行政手続を行う窓口での混乱発生の懸念、不要情報の消去及び情報保存期間が法律で規定されていない問題点、高度情報化社会における地方公共団体としての基本的認識と留意点、利便性・効率性の観点からICカードに付加が見込まれる情報の内容などについて質疑が行われました。
 会議の内容は速記により記録をいたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
 以上、御報告申し上げます。
○委員長(小山峰男君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 なお、地方公聴会の速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。
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○委員長(小山峰男君) 住民基本台帳法の一部を改正する法律案の質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○久世公堯君 自由民主党の久世公堯でございます。
 住民基本台帳法の審議もきょうで四巡目を迎えました。思い起こしますと、この法律案の発端となった研究会は、たしか平成六年の八月に発足、平成七年の三月に中間報告、そして平成八年の三月には最終報告が公表されております。その後、幅広く意見を聞くために自治大臣を囲む懇談会が設置され、この意見の概要が平成八年の十二月に公表されますと、早速衆参両院におきましてこれをめぐっての論議が行われました。
 これらの論議の中で、法律できちんと手当てをするように、しかもいきなり法律ではなくて、たたき台を示すことによって議論をしようということになって、自治省から平成九年の六月に住民基本台帳法の一部改正試案が公表されました。その後、さらに各党の意見を聴取したようでございます。
 このような推移を経て、昨年の二月に法律案の骨子が公表され、その後、自民党において修正が加えられ、昨年の三月十日に国会に提出。考えますと、平成六年から平成十年までの約四年の歳月をかけて法律案が提出されたということになります。昨年の三月十日に提出されましたが、衆議院の本会議で趣旨説明を行ったのは今年の四月十三日、ちょうど四百日目に当たるわけでございます。その後は集中的に審議が行われ、衆議院から参議院に移って本日で衆議院の本会議から三カ月強が経過しております。
 最近はパブリックコメントということが言われておりますが、このような推移から見ますと、法案が提出されるまでに研究会の報告、懇談会の意見、改正試案と、その考え方を示し、幅広く意見を聞いた上で、いわばパブリックコメント的な形で公表されて、それについて国会の審議も含めて議論があり、法案の提出後も各党においていろいろと勉強が続けられているわけでございます。
 もう一つここで申し上げたいのは、ここ数年来技術の進歩によるネットワーク化が急速に進展をいたしております。今回導入される住民票コード、住民基本台帳カードといったものが当初考えていた以上に広がっております。将来はさらにこれが伸びていくという可能性を秘めているわけです。ワンストップサービス、電子申請、さらにはインターネットを通じた電子商取引などがあります。こういったネットワーク社会の中での本人確認、本人認証といったものの大きな土台が住民基本台帳法の改正であろうかと思います。
 現在のレベルは、まだ住民票という紙をどこでもとれるとか、あるいは網羅的なネットワークによって住所異動などの申請が要らなくなるとか、そういうレベルかもしれません。しかし、二十一世紀におけるネットワーク社会ではオンライン上で本人確認が可能になります。今回の改正はその礎を築くことになるし、将来の見通しも見えてまいっております。当面は、十六省庁九十二事務であり、メリットもまだ限られているかもしれませんが、今後の大きな可能性を秘めていると思います。二十一世紀におけるデジタル革命あるいはネットワーク社会のインフラをつくるべく議論を広げたいと思っております。
 この地方行政委員会には、地方行政の経験者が非常に多うございます。小山委員長を初め五人の委員が副知事を経験されておられます。また、知事、市長あるいは都会議員、県会議員、市会議員の経験者の方も多数おられるわけでございます。私自身も四十年余り地方行政に携わった者でございます。
 地方行政というのは非常に地道で派手なものはありません。マスコミに取り上げられることも余りございません。しかし、住民生活を支える行政の基本は地方行政にあると思います。国政を支えているのも地方行政と言っても過言ではないと思います。地方行政は、地道で目立たないけれども、社会また行政を支えている大きな役割があります。社会基盤あるいは社会的なインフラと言ってもいいでしょう。
 この地方行政の中における住民基本台帳法改正の意義は大きいと思います。住民基本台帳をネットワーク化し、住民票コードさらには住民基本台帳カードを導入し、このカードについても、将来の電子認証あるいはインターネット上での本人確認、そういった可能性まで含んでおります。今日の行政の基礎であると同時に、未来の展望の中でそのインフラとなるべきものだろうと思います。
 いよいよ参議院審議も詰めの段階を迎えております。この住民基本台帳法、前身は住民登録法でございますが、これは参議院が先議し、衆議院へ回って成立をいたしました。今回の大改正は衆議院から参議院へと。衆議院でも十分なる審議をやられましたが、参議院におきましては、聡明なる委員長、理事の皆さん方が参議院らしい審議をという方針によっていろいろと工夫を凝らされました。豊田町、浜松市の現地視察を行いましたときには、十九名というほぼこの委員会全員に近い参加者がございました。参考人質疑も二回にわたって行われました。そして、本日は地方公聴会が行われたわけでございます。それぞれ貴重な御意見を賜りました。
 また、きょうはおいでになっておられませんが、修正案提案者の衆議院の宮路、鰐淵、桝屋各理事にもそれぞれ適切なお答えをいただいたと思います。
 質疑の方も、自由民主党では松村筆頭理事が口火を切り、木村委員はひとり言をも含めて熱弁を振るわれました。民主党の方では、山下筆頭理事は、いかにも高度情報化社会あるいはネットワーク社会にふさわしくCD―ROMを取り出して議論を展開されました。また、輿石、高嶋、藤井の各委員、四人の方全部が質問にお立ちになりましたし、公明党、共産党、社民党、自由党、参議院の会の皆様方も、一度ならずバッターに立っていただき、御熱心な議論を展開されました。
 私もこの地方行政委員会にかなり長くおらせていただいておりまして、理事も二、三回経験をいたしました。しかし、その経験から見ても、今回の法律は非常に慎重審議かつ完璧に近い質疑だと思ったわけでございます。
 また、地方公共団体もこの法案の審議あるいはその内容を見守っております。この法律ができてからいろいろなシステム開発なりカードなりを進めていこうという意欲に満ちております。きょうの公聴会でも与野市長さんから、コンピューター時代だから早くスタートをしてくれという御要望があったと承っております。
 慎重な審議に加えまして、多角的、多面的、専門的に審議をするという参議院としての職責はほぼ果たせたと思います。そろそろ結論を得るべく、委員長を初め理事、委員の各位にお願いを申し上げたいと思います。
 そこで、私はこれから自治大臣に三、四の点について基本的な問題をお尋ねしたいと思います。
 去る七月八日に地方分権一括法が成立をいたしました。来年の四月一日から施行になりますが、この法律の成立によって、我々地方自治に携わる者にとって長年の懸案であった地方分権は現実のものとなります。いよいよ地方分権時代の幕あけを迎えることになります。こうした大きな時代の転換期において、この住民基本台帳ネットワークは基礎的自治体である市町村をベースとしたものであり、また都道府県に四つの情報と住民票コードを送り、都道府県が連携して構築するものであることから、このシステムはまさに地方分権の精神を貫こうと努力しているものであると思いますが、大臣のお考えを承りたいと思います。
 加えて、この法律案については、マスコミの報道などでもよく国民総背番号であると批判されておりました。国民総背番号といいますのはまさにマスコミ用語でございまして、そのまま定義をしてみますと、国民につけた番号をもとにして国がありとあらゆる個人情報を一元的に集め管理する制度、このように言えるかもしれません。しかし、これまでの議論を通じて理解されましたのは、このシステムについてはおよそこのようなマスコミ的あるいは感情的な批判は全く当たらないものであると考えます。そして、地方分権に根差し、地方分権の精神を貫くものになっていると思われるわけでございます。
 この点につきましては、先日の本会議で小渕総理からも明快な答弁があり、野田自治大臣からも繰り返し答弁をいただいておりますが、この際もう一度、このシステムがいわゆる国民総背番号につながるものではないということについて大臣から明快な御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) この住民基本台帳ネットワークシステムというものは、御指摘のとおり市町村が住民基本台帳制度を運営するという現行制度の基本的枠組みを変更することなく、その上に立って全国的に市町村の区域を越えた本人確認ができるような仕組みを付加しようというものでございます。
 したがって、このシステムはあくまでも広域的な地方公共団体である都道府県が主体的に運営をするものでありまして、国が運営するというものではない。市町村と都道府県が連携して構築するシステムということといたしておりますので、まさに御指摘のとおり地方分権の考えに沿ったものであるということを申し上げたいと存じます。
 それからいま一つ、いわゆる国民総背番号制、こういったものにつながるのではないかという懸念に対してどうかということでございます。これにつきましても、もう既にいろいろ御指摘もございましたが、この住民基本台帳ネットワークシステムというのは地方公共団体共同のシステムである、これは今申し上げたとおりでございます。国が一元的に管理するシステムではないということが第一点言えます。
 それから、保有される情報は、本人確認のために必要な氏名、住所、性別、生年月日という四情報のほかに住民票コード、それから付随情報のみに限定されるということでございまして、いろんな広範な情報を集中して管理しようというものではないということ。
 それから三番目に、国の機関等へのデータ提供というのは住民の居住関係の確認のための求めがあったときに限定をする。個別の目的ごとに法律上の根拠が必要でありますし、また目的外利用も禁止をいたしております。
 こういうようなことから、さまざまな個人情報を一元的に収集、管理するということを法律上認めていないという仕組みになっておるわけでございます。したがって、国民につけた番号のもとに国があらゆる個人情報を一元的に収集、管理する、いわゆる国民総背番号制というのはそういうイメージかと思いますが、そういう国民総背番号制というものとは仕組みにおいても発想においても全く異なっているということを重ねて申し上げておきたいと存じます。
○久世公堯君 ありがとうございました。
 次にお尋ねをいたしたいのは、現在はこの法律案で本人確認情報を利用できる事務というのは恩給の支給事務とか共済年金の支給事務、あるいは不動産鑑定士の登録事務、給付とか資格に係るものに限って十六省庁九十二事務が対象とされております。
 縦割り行政と言われる中でこれだけのものが集まったというのは、ある意味では評価できるかもしれません。しかし、これではまだ少ないと思います。行政改革の観点から見ても、効率化の問題とあわせて住民サービスの向上も行政改革の一つであると思います。将来的には介護保険などこの活用分野をもっと拡大すべきと思いますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、今後国の機関などが本人確認情報の提供を受けて処理することができるような事務、今の九十二の事務ということに限定をしないでもっともっと活用分野をふやしていったらどうだという御指摘、そのことによってさらに住民サービスを向上させることが可能になるのではないかという御指摘はそのとおりであろうかと存じます。
 また、活用分野を拡大していくということが、国及び地方公共団体の行政の合理化に一層資することを可能にするのではないかという御指摘もそのとおりだと存じます。やはり本人確認事務ということに費やすそういったものをもっともっとより質の高い行政サービスの方に精力を注いでいくということになればはるかに、いわゆる行政の簡素効率化ということ以上に大事な意味合いも出てくるのではないかということも考えられるわけでございます。
 ただ、このシステムの活用分野の拡大につきましては、国会における審議が行われて、その上で法律改正を通じて初めて可能となるわけでございます。そういう点で、本人確認情報の保護に配慮した上で十分な検討が国会において行われるということを前提としてこの活用の分野が拡大されるということは、私は大変いい方向に向かうだろうというふうに考えております。
○久世公堯君 それでは次に、この法案の中で個人情報保護については現在の国の個人情報保護法よりもレベルが高うございます。当委員会におきましても個人情報の保護についてはたびたび御議論があったわけでございますが、また、参考人としてお呼びいたしました堀部先生は、セクトラル方式として一つのまとまりを持ったものとして述べておられました。
 ただ、衆議院の修正によって、民間をも対象とした法整備を含めたシステムを構築するという大きな課題を背負っているわけでございます。自民、自由、公明の三党が既に検討会を開始して、現在までに四回の会合をいたしております。政府におきましても、高度情報通信社会推進本部、総理が本部長になっておられますが、ここに個人情報保護の部会を設置されております。この法案の審議を通じて、民間を含めた個人情報保護の議論が高まったと位置づけられております。何より、今後の我が国における個人情報保護のあり方を議論する上で、いわばこの法案は原点となると思います。プライバシー保護措置が十分に講じられるべきと思います。
 この際、大臣から、住民基本台帳ネットワークシステムにおいて十分なプライバシー保護措置が講じられていることについて、改めて明快な御答弁をいただきたいと思います。
 なお、これまでの審議で、二十一世紀を切り開くためにこのようなシステムをつくることはぜひとも必要であると思いますが、いろいろな懸念があればそれに対して適切に対応していく、とりわけ今申し上げました個人情報の保護については、単に法律を守っていくというだけではなくて、技術的あるいは運営面でも今後きちんとした対応をとっていただきたい。これを進める大臣の御決意を承りたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、今回の住民基本台帳ネットワークシステムを構築しようという本法案におきましては、従来の他の法律に規定をいたしております以上の厳しい個人情報保護に関する手当てをいたしておるところでございます。制度面、システム面、技術面といいますか、さらに人を中心とした運用面における手当て、こういった三方面から今日までの対応の中でできる限りの万全の保護措置、安全のための保護措置をとってきたというふうにかねていろいろ申し上げております。
 具体的には、多少長くなりますけれども、制度面の保護として、第一に本人確認情報の提供先や利用目的を法律によって具体的に限定していること、第二に関係職員に対する安全確保措置及び秘密保持の義務づけ、第三に提供先が本人確認情報を目的外利用することを禁止していること、第四に民間部門の住民票コードの利用禁止をいたしております。こういうような措置を講ずることにいたしております。
 次に、システム面のプライバシー保護措置としては、第一にICカードや暗証番号によるコンピューター操作者の厳重な確認、第二に通信相手となるコンピューターとの相互認証、第三に専用回線上の本人確認情報の暗号化、第四にネットワークシステムに蓄積されているデータへの接続制限、第五にデータ通信の履歴管理及び操作者の履歴管理などを講ずることにいたしております。
 さらに、運用面のプライバシー保護措置として、第一に情報保護管理者の設置、第二に安全確保等のための委員会の開催、第三に監査等の管理体制に関する措置、第四に個人情報保護意識の向上に関する措置、第五に安全、正確性の確保措置の研修などを講ずることといたしておるわけでございます。
 そういう点で、本法案におきまして少なくとも今日時点において必要な措置は講じていることであると認識をいたしておりますものの、御指摘のとおり、技術の面におきましては日進月歩の世界ということでもございます。そういう点で、これが実際に施行されるに至るまでの数年間におけるいろんな技術進歩にはもちろんしっかりとキャッチアップし、それを上回るような対応をしていかなければいけないという努力を引き続きなしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○久世公堯君 今、二十一世紀に向けてあらゆる分野で構造改革ということが叫ばれております。経済構造改革あるいは社会保障構造改革というふうに構造改革が叫ばれておりますが、二十一世紀の高度情報化社会における行政インフラとなるこの住民基本台帳ネットワークシステムの構築は、私は今直ちに行うべき大事な構造改革であると考えます。
 以上をもちまして、私の質疑を終えたいと思います。
○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋でございます。
 私は、七月二十二日の本委員会の質問で、私の持論でもございます、納番制と住基システム、そして民間利用も含む包括的な個人情報保護法というのを三点セットで議論していくべきではないか、そういう観点に立って政府見解をただしてまいりました。しかし、自治大臣の答弁では、現時点ではまだまだそういう環境が整備をされていない、いわば現時点では無理だ、こういう答弁をいただいておるわけでございます。では、納番制への活用を前提にしないということであるならば、まず本法案の内容をより充実させていくということが必要なのではないだろうか、そういう観点に立ってきょうは質問をさせていただきたいというふうに思っているわけであります。
 確かに、先ほど久世先生からも御意見がございましたけれども、住基ネットシステムの研究会の中間報告が出されてからこの法案をつくられるまでの間に、関係諸団体等の意見も取り入れてかなり改善がされているということについては否定をいたしませんし、また、自治体関係者の中からもおおむね評価できるのではないかということが言われていることについても十分承知をしているわけであります。しかし、この法律が成立をして三年先にこのシステムを運用していくという前提に立った場合に、実際にそこで運用にかかわる自治体の現場から見た場合どうなんだという点がございます。
 今、これらの問題について自治体の現場から、まだまだ不明な点がある、あるいは危惧すべき点があるんだということで、この間、私のもとにもいろんな要望が寄せられておりまして、この機会にぜひ解明をしてほしい、こういうことでもございます。それらも含めて、きょうは四十分という短い時間でございますけれども、質問をさせていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
 まず、これは前回の質問のときに時間がなかったので聞けなかった部分がございますので、それについて最初にお伺いしたいというふうに思います。
 改正案の第三十条の八の第二項に、都道府県なり執行機関への本人確認情報の提供があるわけであります。これは条例で定めればどこにでも確認情報が提供できるというふうに解釈できるわけですけれども、ある程度やっぱり限定をしておく必要があるのではないかというふうに私は思っているんです。情報提供の目的、事務、相手方の限定、これは中央との絡みでなしに都道府県内という観点でございますが、それらについて自治省としてどのように考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 今御指摘の三十条の八という規定は都道府県での本人確認情報の利用ということでございます。都道府県知事は、当該都道府県の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったときは、条例で定めるところにより、本人確認情報を提供するものとする、こういうことでございます。
 地方公共団体、特に都道府県につきましては、このネットワークシステムの運営主体という立場でございます。市町村はさらにこの住民基本台帳情報のいわば固有事務として管理している団体ということで、いわば地方分権の考え方でこのシステムを組んでいるということで、本人確認情報の提供を受ける国の機関とは立場を異にするということでございまして、国の機関の情報提供については法律で明定する、都道府県の中での利用につきましては県の条例で規定する、こういう考え方でございます。
 したがいまして、都道府県が本人確認情報を提供する場合にはそれぞれの議会におきまして条例を定めるということでございまして、条例に定める場合に限りまして提供事務、また提供先について条例で定めた上で提供が行われるということでございます。
 もとより、住民基本台帳法の趣旨を適切に踏まえた上で十分な御議論、検討がなされるべきものだと考えております。
○高嶋良充君 条例で定めれば都道府県の他の執行機関にも情報がすべて提供できる、こういうふうに今の答弁であれば理解をしなければならないんですが。
 では具体的に聞きますが、都道府県条例によって都道府県から都道府県の公安委員会に本人確認情報を提供することが可能だというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。また、この場合に、条例で定めるということになれば当然のこととして都道府県の公安委員会が今度は国家公安委員会にその提供された本人確認情報を再提供するということが可能だというふうになるのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 このシステムにおきましては、都道府県の条例で定めた場合には知事が他の執行機関に本人確認情報、ですから四情報プラス住民票コード及び付随情報、これを提供できることとされております。都道府県公安委員会も一つの執行機関でございますので、条例に定めた場合に限り条例に定める事務の処理のために公安委員会に提供することができると考えております。
 この利用につきましては、地方自治の原則に基づきまして条例制定権を尊重しているという考え方でございます。条例の制定に当たりましては地域住民の広い理解が得られるということが重要でありまして、住民の利便向上、福祉の増進などにつながるという住民基本台帳法の趣旨を十分に踏まえた上で慎重に検討されるべきものだと考えております。
 それから、県の公安委員会から再提供ということでございますが、具体的イメージがちょっと不明な面もありますが、一般論として申し上げれば、本人確認情報の提供を受けた都道府県の執行機関などの受領者が、その受領者はその本人確認情報の提供を受けた目的のために使うのであって目的外のために使うことはできませんので、受領した本人確認情報を目的外のために利用、提供してはならないというふうに考えております。
○高嶋良充君 私は、前回も質問いたしました自由党党首の小沢さんの治安維持に活用すべきだという発言との絡みで、若干公安委員会の部分で危惧をしているわけでございます。国家公安委員会も含めて、持っておられる情報とこのコード番号が結合すれば、将来小沢さんが言われるように治安維持にも使えるという状況になるのではないか。とりわけ、高速道路なんかにはカメラで車体番号から人の顔まで写して保管されているという部分があるようですから、それは心配事なら心配事でいいんですけれども。
 いずれにしても、利用分野の拡大という観点からいけば、今も局長から答弁がありましたけれども、より慎重を期するということは当然のことだろうというふうに思いますし、情報提供については、その目的もきちっとしながら、住民の利便向上や福祉の増進という基本台帳法第一条の目的をきちっとやっぱり踏まえてもらう必要があるのではないかというふうに思っています。
 これらの観点については前回大臣からも答弁をいただいていますが、改めてこの利用拡大を含めた部分についての見解をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 今回の改正案というのは、かねて申し上げておりますが、まず基本的に、継続的に行われるような給付行政または資格付与にかかわる分野で国民に関係の深い行政事務というものを法律の別表にきちんと掲げるということに限定をしておるわけでございます。それ以外には利用をしないということをはっきりさせております。
 では今後、その法律の別表に掲げる事務の範囲をどういうふうに拡大するのか。いろんなところに無制限に広がるということは非常に懸念があるではないかといういろんな御議論もあったわけですが、今御指摘ありましたように、基本的にこの住民基本台帳法の目的、つまり住民の利便の増進及び行政の合理化、こういう目的を十分に踏まえた上で慎重に行われなければならないということは当然のことだと思います。
 ただ、今言及がございましたように、治安維持に使うという言い方がよくあるんですが、どういうことを想定してどういうようなやり方で治安維持に使うかというのはちょっとイメージとして出てこないんです。ただ漠然と国が国民を監視するというか管理するというかそういう角度の中から使うのではないかということであるとすれば、それは先ほど来いろいろ申し上げておりますけれども、国が一元的に個人の情報を収集、管理してやっていくというようなものであってはならないことからこの仕組みをスタートしているということをまずきちんと申し上げなければならぬ、こう思っております。
○高嶋良充君 かなり質問を欲張っていますので次に進みますが、指定情報処理機関の関係について三点ほど質問させてもらいたいと思います。
 まず一点目は、第三十条の十一の第三項に、指定情報処理機関は、本人確認情報を磁気ディスクに記録し、政令で定める期間保存しなければならない、こういうふうになっています。この保存情報は、四つの情報と住民票コードだというふうに私は理解をしているんですが、それでいいのかどうかということです。
 ただ、危惧をするのは、この住民票の写しを広域交付する場合に、各市町村間のコミュニケーションサーバー間でデータ送信がされるわけですけれども、それが指定情報処理機関と都道府県のコンピューターを当然経由するということになるんですが、そういう情報は保存をされないできちっと消去されるのかどうか、そこも含めて御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 まず、住民票の写しの広域交付などに必要な情報、これは四情報と住民票コード以外もございますが、それらの情報につきましてもネットワークシステム上で送受信するということになるわけでございますが、こうした情報はネットワーク上を流れるのみでございまして、コミュニケーションサーバーには保存されないということでございます。
 改正法案におきまして、都道府県及び指定情報処理機関が保有する情報は、氏名、住所、性別、生年月日の四情報及び付随情報と住民票コードを内容とする本人確認情報、このように法律上明確に規定をしておりますので、お尋ねの件については、法律上そのように書いているということでございます。
○高嶋良充君 これはとりわけ研究会報告の中で、この種のセンターのファイルについては四情報以外の情報は記録されないものとする必要があるということできちっと出されています。ただ、法案の部分ではその法的担保がどこにあるのか探しても見当たらなかったものですから今お聞きをしたわけで、法案では四情報とはこうだというふうにしているから、わざわざ法律で定めなくてもいいという理解でいいんですか、簡単に。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 住民基本台帳の情報は市町村がいわば責任を持って集め管理するという考え方でございまして、法律に今回規定することにより、都道府県あるいは指定情報処理機関が本人確認情報を扱える、また保有する、こういう考え方でございますので、その必要な部分を法律で書いている、こういうことでございます。
○高嶋良充君 では、次に、三十条の二十二の第二項、都道府県知事は指定情報処理機関に対して事務の適正な実施のために必要な指示をすることができるという条文がございます。
 自治大臣から指定情報処理機関へ命令をする場合については、違反した場合については指定の取り消し等のペナルティー、罰則を科すということが規定をされているわけですが、ただ自治大臣にはその項目があるんですけれども、今申し上げましたように、都道府県知事が指定情報処理機関に対して事務を適正に処理するようにという指示をした場合について、それに違反した処理機関は一体どうなるのかという規定が見当たらないんです。ということは、この指示が確実に履行される法的な担保がここには明記されていないのではないかなというふうに思うんですが、これはもう自治大臣の命令だけで事済むと、そういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 指定情報処理機関の本来の性格は、本人確認情報に係る事務を合理的かつ効率的に運用させるための組織でございまして、県知事から委任するということでございまして、委任した知事が処理すべき事務をかわりに行う、こういう性格のもので、公益性が高い組織ということでございます。
 したがいまして、業務運営に当たりましては、この委任した都道府県の意向が反映されることが必要ということで、御指摘の点も含めて、例えば事業計画の際に意見を述べるとか、本人確認情報管理規程について意見を述べるとか、立入検査、報告とか、都道府県知事の監督権というものも自治大臣の監督権とあわせてこの指定情報処理機関には及ぶということで、全体として委任した都道府県の意向というものが反映されるような仕組みといたしております。お話しのように、適正な実施を確保するために必要があると認めるときには委任都道府県知事は指示することができるという規定を置いておりまして、必要な措置を講ずべきことを機関に対して求められる、こういうことでございます。
 したがいまして、この指示権と相まちまして、全体の監督権の中で適切な運営というものが行われるというふうに考えますが、こうした指示に従わなかった場合に都道府県としてとり得ることは、委任をやめるということは可能でございます。都道府県の意向というものが反映されるような監督規定というものを全体として規定している、こういうことで御理解いただきたいと思います。
○高嶋良充君 わかりました。
 では、行政監督というか監督権の中でそういう指示をした部分の命令に従わなかった場合については委任の取り消しも含めてできる、そういうことで理解させていただいていいわけですね。
 次に、三十条の二十三の関係なんですけれども、自治大臣または知事ということだろうと思いますが、必要なときに指定情報処理機関の事務所に立ち入り、検査ができる、こういう条文がございますね。
 それはそれで結構なんですけれども、この指定情報処理機関が業務を委託できるというふうに解釈できるわけですけれども、では、この立入検査というのは指定情報処理機関の事務所と規定をされているということは、ここから先に委託をした委託先については立入検査ができるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 御指摘の点も含めまして、自治大臣あるいは都道府県知事には指定情報処理機関に対して全体的な監督指導の権限というか責任があるという形になっております。
 そこで、電算処理業務などの外部委託に際しましては、委託先の業者にいわば安全確保措置の実施を義務づけております。また、通常より重い罰則によりまして秘密保持というものを義務づけているということで、本人確認情報の保護という面では十分な対策をとっているところでございます。
 お尋ねの立入調査のことでございますが、どこまでだれが監督することが適切であるかという議論とも関連するんですが、やはり指定情報処理機関の責任において電算処理業務などの委託を行い、または委託業者に対する監督というものもやってもらう必要があるということで、通常は業者との委託契約の中において定期検査または随時の検査などの実施の内容を盛り込むということによって、指定情報処理機関の責任で実地の確認ということも可能になると考えております。
○高嶋良充君 委託契約の内容でそれを盛り込ませるという、言うならこれはそういう契約にしろということを含めて行政指導でやられるというふうに理解していいんでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) 指定情報処理機関の適切な運営ということで、私どもも十分その点について留意をして指導してまいりたいと考えております。
○高嶋良充君 では次に、安全確保措置について二点ほどお伺いをいたします。
 まず、三十条の二十九の第一、二項で、知事なり指定情報処理機関は、本人確認情報の安全確保の措置を講じなければならない。安全確保の措置というふうに条文ではなっていません、適切な管理のための措置、こういうふうに書かれているんですが、いずれにしてもこれは安全確保措置だ、こういうふうに理解をするわけですけれども、その部分についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
 市町村長や都道府県知事あるいは指定情報処理機関及びこれらの、先ほどもありましたけれども、委託を受けた者が本人確認情報の電子計算機処理を行うに当たっての漏えい防止等については、これは法文の中にかなり厳しくというか厳格に規定をされているわけですね。
 しかし、これらの電子計算機をつなぐ電気通信回線から漏えいした部分については、では一体どこの責任で適切な管理のための措置、すなわち安全確保の措置を講ずるのかという、その規定が見当たらないので、もしほかにあれば教えてほしいんですが、見当たらないのではないかというふうに私は思っているんです。
 そういう関係からいうと、電気通信回線からの漏えいを防ぐための法的な担保というのは一体どうなんだろうかなというふうに思っています。確かに、不正アクセス防止法というのが、まだ成立はしていませんが、これから参議院でも審議をされるということですから、それがあれば法的担保はとれているんだと、こういうことなのか。いずれにしても、電気通信回線に本人確認情報の提供を受けられない者がアクセスをした場合に、これらを処罰することは可能なのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 電気通信回線といたしましては専用回線を用いるということを考えております。この専用回線は通信相手を特定できますので、不特定多数の利用を前提とした公衆回線に比べて極めて高い安全性を持つということでございます。また、このシステムでは、より高度な安全性を確保するということで、専用回線上に流れる送受信についての情報、本人確認情報を暗号化して送受信するということといたしておりますし、通信先のコンピューターとの相互の認証を行う、また蓄積されているデータへの接続を制限するということを予定いたしているところでございますので、電気通信回線からの漏えいが起こらないという適切な措置を講じておりますし、今後とも、技術の進展に応じた措置を講じていきたいと考えております。
 それで、それぞれの安全確保措置を義務づけておりますので、市町村、都道府県、指定情報処理機関は、それぞれの責任分野において責任を果たしてもらう。この安全確保措置義務を怠ったために本人確認情報の漏えいということが万一に行われたとすれば、その漏えいや盗用が行われたところが責任を負うというのが一般的な考え方でございます。
○高嶋良充君 では次の問題で、もう一つ安全確保措置で質問しておきたいんですが、漏えいをさせた場合のそこの職員の罰則等についてはきちっと規定をされているんですけれども、漏えいをさせたデータ等の回収というか原状回復措置、これについてはこの法案では欠落をしているのではないかというふうに思うんです。
 もし職員が漏えいをさせた場合、データをすぐに回収するというようなことを通じてプライバシーの侵害の影響を最小限にとどめる必要があるというふうに思うんですが、それらに対する法的な対抗手段、担保というものが必要であるというふうに私は思うんですが、この問題についての見解を伺いたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 不正アクセス防止法を現在御審議いただいているところでございますが、このシステムにおいて、電気通信回線に接続される市町村のコミュニケーションサーバーあるいは県とか指定情報処理機関のコンピューターにつきましても、不正アクセス行為の禁止等に関する法律案というものが適用され得るものだというふうに考えております。
 そこで、このシステムにおいては、プライバシー保護というものを重要課題と考えておりまして、本人確認情報が外部に漏えいしないように、制度面、システム面、運用面のいずれの面でも厳格な措置を講じているところでございます。
 仮に本人確認情報が権限のない者に漏えいした場合、今回の法案においては、住民票コードの民間利用の禁止の措置といたしまして、権限のない者が住民票コードの記録されたデータベースを構成することを禁止する、こういう措置を講じてございます。この禁止規定に違反する者がある場合には、都道府県知事はその違反した者に対し、当該行為を中止すべきことを勧告して、さらにそれについての命令権ということを講じているところでございます。
 そこで、都道府県知事の具体的な命令権の実施ということにつきましては、あくまでもそれぞれのケース、個別具体のケースによるものでありますが、お話しの漏えいした住民票コードの民間利用の禁止、データベースの構成ということを行っている場合には、住民票コードを記録されたデータベースというものを回収するということも検討の対象になり得るもの、このように考えております。
○高嶋良充君 ちょっと理解しにくい部分もあるんですが、いいです。罰則、行政指導との絡みで再度お聞きをしますので、重複は避けたいというふうに思います。三十条の四十三の第二項から四項までの間の条文を簡略に解釈すると、都道府県知事は、住民票コードの告知要求、それからデータベースの構成など、違反行為の反復のおそれのあるときは、当該行為の中止等を勧告することができる、こういうふうになっていますね。
 先ほどは、職員が漏らした場合の原状回復措置をどうするんだ、こういうふうにお聞きしたんですが、今度この条文で言う都道府県知事が中止勧告等の勧告ができるというその勧告の中身に、先ほど申し上げましたような原状回復、住民票コードデータが漏えいした場合は、これを破棄させるとか、あるいはデータベースの破棄等についての原状回復を求めるということがこの勧告という意味の中に盛り込まれているのかどうかということについて、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 この「行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずべきことを勧告する」という勧告と、「当該行為を中止すべきことを勧告」する、この二つの勧告ができます。
 それで、「当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずべきこと」と。この「必要な措置を講ずべきこと」の中にいろいろなケース、具体的なケースによりますけれども、住民票コードが記録されたデータベースを回収するということも検討の対象になる、こういうことでございます。
○高嶋良充君 時間があと五分になりましたので、ちょっと自治大臣に後で一緒にお答えいただきたいのです。
 まず先に関連で申し上げておきますが、違反行為の反復のおそれのあるということになっていますね。反復というのは一回以上、こういうことだろうと思うんですが、一回目はこういう勧告はしない、こういうことですから、一回はそういう情報データが漏えいしてもいいんだ、こういうことに受け取れるんですけれども、なぜ即刻中止命令を出せるようにしないのか。これは前々回ですか、富樫委員の方からも出されましたけれども、そういう意味では、この反復のおそれという要件についてはやっぱり私は削除すべきではないかと思いますが、その見解をお伺いしたいということ。これは後で結構でございます。
 そして、罰則の関係で自治省にお伺いをいたしますけれども、重科罰は「二年以下の懲役又は百万円以下の罰金」、こういうことになっているわけですが、重科罰の対象となる秘密漏えい、この秘密というのは一体何なのかということをどこを探してもその秘密の規定が見当たらないんですね。ただ、「秘密」と書いておるだけだという。
 それで、私はこの中で考えると、秘密というのは四情報と住民票コードなのかなと。今までの議論で言われていますように、四情報というのは一般に公開をされる部分ですが、住民票コードはそうではありません。ただ、住民票コードも家族の一員であればこれは知らせてもらえる、こういうことになっているわけです。そういう観点から言うと、これらを漏らして、二年以下の懲役、百万円以下の罰金という、その辺の秘密の規定が明確でない。ほかにそういう秘密という部分が法令できちっとされるのかどうか、そこのところを聞きたいというふうに思っています。同時に、自治大臣の方から、この秘密の認定というのは、法令に書かれていない以上、だれが何を根拠に認定をするのかということと、重科罰の適用に際して恣意的な判断がされるおそれはないのかどうか、その辺についてお尋ねをしたい。
 それで終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○政府委員(鈴木正明君) 幾つかの点のお尋ねがございましたが、お答えいたします。
 まず、契約条件としての住民票コードの告知要求、あるいは住民票コードの記録されたデータベースの構成の禁止ということでございます。
 この禁止規定は、知事の勧告、命令というものを経た上で罰せられる、科せられる罰則によって担保されているわけでございまして、御指摘のように、「更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、」ということで勧告ができるということとされております。仮に、一回しか違反していない場合であっても、個別具体の事情に応じて知事の勧告の対象となり得るということでございます。
 今回の改正法案においては、これらの行為に対しては直接に罰則を科することはしないで、都道府県知事が中止勧告、命令を行うとともに、命令権の行使については県の審議会の意見も聞かなければならないということで、その命令違反に対して罰則を科する、こういうふうにしているわけでございまして、禁止行為を具体的に限定して、その上で罰則により担保された行政上の規制措置を行うということを認める規定を置いているわけでございます。違反事実が発覚した場合には行政として強制力を持って具体的な対応というものが可能になるということで規制の実効性は十分にある、こういうように考えております。
 それから次に、秘密の関係でございますが、特に、三十条の三十一、三十条の三十五で、従事する職員は、「本人確認情報に関する秘密」と、または「電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない。」ということで、本人確認情報ですと、住民票コードを含めてそれと一緒になった四情報、こういうふうに御理解いただけると思います。
 また、「電子計算機処理等に関する秘密」というのは、ちょっとこの定義がいろいろなところの条文に入っちゃっているものでわかりにくいんですが、例えば、情報の入力のための準備作業に関するものとか、それから磁気ディスクの保管に関するものだとか、本人確認情報の電子計算機処理に係るセキュリティー関連のプログラムとかシステム設計とか、そういうものが対象になるということでございます。
 それで、秘密性の議論につきましては、秘密の内容については多様なものが存在、想定されるということと、それから、現行のいろんな法律における守秘義務での規定の中でも秘密の具体的な内容について政省令にゆだねているという例はないということで、このような改正法の規定といたしております。
 それで、認定につきましては、一般的な解釈につきましてはこの住民基本台帳法を所管いたしております自治省がお示しするということになりますが、具体的な適用関係につきましては当然最終的には司法の判断にゆだねられる、このように考えております。
○高嶋良充君 では、大臣、いいですよ。また次の機会に。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 前回に引き続きまして、問題点を二、三、確認かたがた質問させていただきます。
 前回ちょっとカードの関連を中心に聞かせていただきましたけれども、若干残りましたのですが、例えば転出する場合にはカードを返す、そして転出証明書をもらうという形になっておりますが、このカードの中には、各地方公共団体で付加情報をつけ得るということでいろんな福祉情報とか医療情報とかがたまっていくと思うんですね。
 きょう地方公聴会で、何が知られたら嫌かというような中で、自分の病歴が漏らされるのが嫌だ、そういうような御意見がございました。もっともだなと。糖尿病であれ、がんであれ、あるいは血液に関する病気であれ、非常に個人のプライバシーに直結するという話でございます。
 そのカードを返すときに、カードの中にそういう情報が入っていた場合、この消去をきちっと本人が確認できるのかどうか。間違いなく破棄しますから、後ほど消しておきますから、そういうようなことで果たしてきちっと自分のプライバシーという部分を守り得るのか非常に心もとない思いをするんだろうというふうに思うんですが、このカード返却時における付加情報の消去というものについてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 今御指摘の点は、市町村がこのカードを利用して独自の行政に活用するといった場合の付加情報をこのカードの専用エリアに記録させている、そのお話だと思います。
 転出等を行った場合にはカードを返していただくわけでございますが、そのとき、いずれの手続においても、住民基本台帳カードが返納された場合には、そのカードに付加された付加情報につきましてもカード自体とあわせて廃棄されるべきだ、こう考えております。
 それで、その基本台帳カードを市町村が独自の行政として活用するという場合には、議会で御議論をいただいて条例で定めて、それで条例に基づいて活用するということになるわけでございます。したがいまして、今御指摘の付加情報が不要になった場合の消去なども含めまして、この付加情報部分についての個人情報保護措置につきましては各市町村で条例で定めていただくということが適当である、当然個人情報保護ということを十分念頭に置いて、議会で十分な御審議の上、必要な規定を定めるということが適切である、このように考えております。
○魚住裕一郎君 ということは、どういう条文になるかは各条例による、三千二百にすべて任せよう、そういう話になるわけですが、自治省としてはそういう条例の内容について、もちろん地方分権でございますけれども、こういうような案文もあり得ますよという参照条例の案みたいなものを考えておられるということですか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 不要となったカードの中の情報の消去あるいは廃棄カード自身の廃棄の扱い、そういったものについてはやはり条例で定めることが必要だと思いますので、特に市町村等に対しまして必要な私どもとしての情報提供はしてまいりたいと考えております。
○魚住裕一郎君 先ほどの地方公聴会での話もございましたので、本人が目に見えるような形で消去される、そういうようなことが担保できるようにしていただきたいなと。これは意見でございますが、よろしくお願いをいたします。
 次に、指定情報処理機関の関係で、本人確認情報保護委員会、この間も途中までお聞きしたんですが、実際の組織運営の中で、本人からクレームが出た、この点はおかしいじゃないかといった場合、委員会としては意見を述べることができるんだろうと思いますが、いろいろなところに調査をして確かめるということも必要でありましょうし、その上で判断をして意見を述べるということになるんだろうと思いますが、本人からクレームがついて、これを本人にきちっとどういう状況であるかということを御通知するんでしょうか。要するに、本人の申し立て権の裏腹の問題としてどのように保護委員会が機能するのかということを教えていただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 指定情報処理機関につきましては、本人確認情報の事務処理の実施につきまして、住民の方本人からの苦情につきましては、苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならないということと法律上いたしております。
 したがいまして、指定情報処理機関自身としてこのような処理に当たると思いますが、御指摘のように、その際に本人確認情報保護委員会というものを中に置くわけでございますので、そこにおいて苦情の処理につきましても当然検討をしていただきますし、これに関しこの委員会が必要と認める場合には、その意見というものを代表者に述べることができることとされておりますので、お話しのような役割、住民からの苦情や相談についてもそれなりの役割を果たすことができるというふうに考えております。
○魚住裕一郎君 いや、代表にその意見を述べるということじゃなくして、本人からの苦情処理に対して本人にきちっとその決定内容なりを通知するのかということです。ナシのつぶてにするのかということです、国民からの苦情処理に対して。代表にはこういうふうにやっていくべきだという意見を言うかもしれないけれども、苦情を言った国民本人に対して何も、知らぬ存ぜぬでいくんですか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 苦情の適切かつ迅速な処理ということで、御本人に苦情についてのとった措置あるいは考え方については十分連絡するということが適切であるというふうに考えておりますので、指定情報処理機関もそのような対応がなされるものと考えております。
○魚住裕一郎君 若干、行政手続内の異議申し立てのような構図になってきつつあると思いますけれども、本人確認情報保護委員会というような非常に立派な名前になるわけでございますが、これだけプライバシーの問題が浮き上がっていく中で、やはりこの委員会というものは第三者機関といいますか、オンブズパーソンといいますか、そんなふうに構成をしていくべきではないかというふうに私は考える次第でございますが、この点につきまして、大臣あるいは自治省としてお考えがあれば。
○国務大臣(野田毅君) 局長から今答弁申し上げたとおりで、本人確認情報保護委員会の委員の独立性、あるいは当事者からの苦情に対する対応はできるのではないかというふうに考えております。
○魚住裕一郎君 これはまた、いずれ改正が議論になったときにしっかりこの辺も議論をしたいと思っております。
 先ほど、安全確保措置ということが議論になっておりましたけれども、これは十六省庁九十二事務ということで国の機関等に情報提供をするわけでございますが、この十六省庁の安全確保措置といいますか、これはどのような形になるんでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) 本人確認情報を受領します国の機関等、ここがいわば適切な管理のための措置を講ずる内容といたしましては、情報保護管理者の設置、あるいは安全確保等のための委員会の開催、監査等の管理体制に関する措置、こういったものが一つあります。また第二に、個人情報保護意識の向上、あるいは安全、正確性の確保措置の研修に関する措置、こういう内容のものがあります。また第三に、アクセス制限、データの暗号化、アクセス記録などのいわば個人情報の管理に関する措置。それから四点目は、本人確認情報の内部管理規程の制定。また五点目としては、電算機、端末機等のオペレーションの管理に関する措置。
 こういったものが安全確保措置として考えられますので、国の機関に対しましてはこうした措置を適切に講ずるように自治省として要請してまいりたいと考えております。
○魚住裕一郎君 それは自治省として要請するということでございますが、指定情報処理機関として各省庁に対して今おっしゃったような安全確保措置のチェックはできるんでしょうか。
 つまり、こういうふうにやりますよといっても、膨大な量の情報を提供する情報の相手先がしっかりした措置がとられているかどうか、やはり提供元としてはその辺はチェックしてしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 今御指摘の、国の機関等の安全確保措置義務の実施ということでございます。
 これらの機関は、この法律によりまして本人確認情報を問い合わすことが特に認められた公的機関、または法律により定められた機関ということでございますので、各種の安全確保措置が適切に講じられて保護が達成されるという考え方に立っております。
 自治省としては、この国の機関等に対しましては、先ほどお答えいたしました措置を適切に講ずるように要請をしてまいりたいということでございます。
○魚住裕一郎君 自治省として要請するだけで、指定情報処理機関としては何も言えないということなんですか。
○政府委員(鈴木正明君) 国の機関等におきまして、国の個人情報保護法も適用になりますし、またそれぞれみずからのコンピューターシステムについての安全措置というものも講じております。また、政府の関係者で申し合わせによりまして統一した形で安全確保措置というものを講じていくという努力もなされているところでございまして、自治省としましては、この住民基本台帳に基づく本人確認情報を提供する、国の機関からいうと受領するということに応じました措置というものにつきましては、国の機関等においても適切に講じてもらうように要請していくということでございます。
○魚住裕一郎君 要するに、できないということですね、結論は。
 それから、個人情報の民間利用を禁止しているわけでございますけれども、罰則も重くなっております。これは、流出した個人情報がデータベースになっていくと仮定して、さらに行った先にまでこの罰則というものは適用になるんでしょうか。第一義的に告知をずっと受けてつくってきたものは、その人だけが罰則の対象になって、そこから先に行ったものは特に罰則の適用はないということなんでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 的確に御質問の趣旨をとらえているかどうかわかりませんが、民間におけるデータベースの構築ということにつきましては、住民票コードを利用してデータベースを構築するということは、一義的だろうと二義的だろうと、そういうことをする場合にはこの禁止規定の適用があるということでございます。
○魚住裕一郎君 任意提供を受けてそのコードを知って、それをもとにデータベースをつくることはいいんでしょう、この法律の構成では。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 この改正法案の全体の仕組みをちょっと説明させていただきたいんですが、民間での住民票コードの利用を規制するということで告知要求は禁止をいたしております。住民票コードの記録されたデータベースを構成することを禁止いたしておりますから、任意提供されたもの、そういう住民票コードについても、業としてデータベースを構成するということは、この適用を受けるということで禁止されております。
○魚住裕一郎君 任意提供をしてもらった場合、あるいは告知要求をして中止勧告が出るまでの間に集まった住民票コードであったとしても、それをもとにしてデータベースをつくっちゃいけないよと。だけれども、つくってしまった場合はこれは押収なり消去という手続になっていくわけですね。その手続はどういうふうにやるんですか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 任意提供されたものでも、住民票コードの記録されたデータベースでいわば他に提供されることを予定しているものを構成してはならないということでございますので、そういうことを行っている場合には勧告それから命令、こういう流れになるわけでございまして、その行為が中止されることを確保するために必要な措置ということで、いろいろなケースはありましょうけれども、その中に回収ということも検討の対象にはなり得る、こういうことでございます。
○魚住裕一郎君 それは、一般の刑事手続の押収として考えているということですか。犯罪構成物というか、そういう発想のもとで。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 基本的には、この住基法の世界において中止すべきことを勧告、またはその勧告を受けた者が勧告に従わないときは審議会の意見を聞きますが、期限を定めて勧告に従うべきことを命ずることができるということで命令をする、それについて罰則で担保しているということでございますので、その命令に従わない場合には罰則がかかっていく、こういうことでございます。
○魚住裕一郎君 いや、だから、その罰則はわかっているんですけれども、でき上がったデータベースはどうなのかという問題です。罰則といっても懲役とか罰金ですから。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 一般的には、先ほど申し上げました必要な措置を講ずることを命ずるわけでございまして、その必要な措置の中に、ケースによってはそのデータベースの廃棄とか回収とかいうことを命ずる場合がありまして、それについてはそれに従うように罰則で担保しているということでございますので、従わない場合には罰則がかかってくる、こういうことでございます。
○魚住裕一郎君 従わないから罰則になるわけであって、消去を命じても従わなければそのデータベースが残るわけでしょう、従っていないんだから。これをどうするかと聞いているんです。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 住民票コードの記録されたデータベースを構成することを禁止するということにしておりまして、お話しのように、今回の改正案においては、これらに違反した場合には都道府県知事の中止の勧告、命令ということで、命令違反に対する罰則ということでございます。このように、禁止行為というものを具体的に限定して、罰則で担保された行政上の規制措置ということでの、そういう仕組みをとっているところでございます。
 違反事実が発覚した場合には、そういった今御指摘のようなデータベースなりデータの回収ということも含めて命令をかける、それについては罰則で担保することによって行政としての強制力を持って具体的な対応ができる、こういう考え方でこの法律を仕組んでいるところでございます。したがいまして、実効性という点については十分確保される、こういうふうに考えております。
○魚住裕一郎君 いや、だから、結局そこまで詰めていないんだろうと思うんですね。
 要するに代執行ができるかということを私は聞いているわけです。自分で命令して、従わないから罰則だ。それは罰則はわかった、ちょっと臭い飯を食ってくるよ、だけれども貴重なデータベースはできたよと。これがずっとあった場合どうするかということをお聞きしたわけでございます。だから、本当は、これは告知要求はもちろんしちゃいけないけれども、任意提供自体も禁じていく、私はそれさえもやっちゃいけないというふうにしていくべきなんだろうと思うところでございます。
 それで、銀行とかからお金を借りる場合、告知要求しちゃいけないよということでございますが、例えば郵便局からお金を借りたいというような場合は、郵便局はこの告知要求はできるんでしょうか、できないんでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 郵便局における預金の際の住民票コードの告知要求につきましては、この法案の別表で規定をいたしておりませんのでできないというふうに考えます。
○魚住裕一郎君 郵便局からお金を借りる場合ですよ、今の場合は。
 県から融資を受ける、こういう場合はどうですか。あるいは県の信用保証協会の保証をもらう、そのとき、ではコード番号を告知してくださいと言われた場合はどうですか。
○政府委員(鈴木正明君) 都道府県から融資を受ける場合の住民票コードの告知の要求ということでございます。
 条例でそういったことにつきまして明確に定めている場合には告知要求ができる、住民票コードというものを活用できる、このように考えております。
○魚住裕一郎君 例えば、市の保育園に子供を入れたいよという場合、子供のコードというものを告知しなさいというようなことも、そうすると今と同じように条例で定めればオーケーですよということなんでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 住民基本台帳の事務につきまして、住民基本台帳の情報も含めてですけれども、市町村の固有の事務として取り組んでいる、それからみずから集めてみずから管理している情報という考え方でございますので、市町村の場合につきましては、自分のところの住民につきましては住民票コードの告知を求める、利用するということはできます。
 都道府県の場合ですと、この法律によって市町村からこの四情報プラス住民票コードを特に扱えるという立場でございますので、条例の規定が必要だ、こういうことでございます。
○魚住裕一郎君 ただ、今、市区町村においてはかなり電算化されていて、そしてその電算化処理に当たって、市区町村の条例というものがあってかなり厳格に住民基本台帳の電算処理について気を使って扱っていると思うんです。だから、同じ市の市役所の中でも市民税と住民基本台帳の関係でリンクしていないところが多いんじゃないかと思うんです。それでどうするかということで、結構、市の方で職員を併任したりして、事実上は人間におけるマッチングみたいなことをやっているということを考えると、直ちに局長が今おっしゃったようなことにはならないと思うんですが、もう一度その点お願いいたします。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 市町村において特に電算化というものをどういう形で実施しているかと。お話しのように、トータルな形で運営しているところとそれぞれの行政分野ごとに電算化を進めているところとあろうかと思います。
 それで、この住民票コードの利用、告知要求ということでございますが、それぞれの行政分野で使うということにつきましては可能であるということでございます。このシステムができ上がりまして、市町村行政の面でもかなりのインパクトがあろうかと思いまして、コンピューター化、情報通信化について市町村でもいろいろな工夫なり改革というものも行われてくると思いますが、それぞれの行政分野で扱うこの個人確認情報というものを利用するということは可能である、こういうことでございます。
○魚住裕一郎君 あと一点だけ確認させてください。
 ちょっと違うことでございますが、よくコードと四情報というふうに言われますが、付随情報という言葉も出てまいりますが、付随情報というのはどこまでなのか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) 今回の法律案におきましては、四情報と住民票コードと付随情報というものを本人確認情報といたしております。それで、例えば住民票の記載とか消除を行った場合とか、それから修正を行った場合につきまして、これを電気通信回線を通じまして四情報とコードとあわせまして通知をするということといたしているわけでございます。それにつきましては、一つは住民票の記載とか記載の修正とか消除のうちのいずれを行ったのか、あるいはどのような事由によりそれを行ったのか、またその事由がいつ生じたのかということについても通知を受ける必要があるということで、このような住民票の記載等に関する最小限の付随的な情報というものを付随情報というふうに考えております。
 したがいまして、付随情報はこういった情報に限定されておりまして、四情報や住民票コードに係るもの以外、そのものについては付随情報として情報が通知されることはないということでございます。しかも、保存期間ということでございまして、この保存期間の範囲内において付随情報というものを管理する、具体的には政令で明らかにする、こういうことでございます。
○魚住裕一郎君 終わります。
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
 私は、この住民基本台帳法案で前回質問を予定しておりましたけれども時間がなくてできなかった分をきょう質問させていただきたいというふうに思うんです。きょうもたくさんの皆さんが傍聴においでになっておりまして、本当にいろいろな立場の委員の皆さんが問題点を指摘し、本当に大きな問題、もっともっと私も時間をいただいて質問をしたいんですけれども、きょうは三十分しかありませんので、その時間の範囲内でやらせていただきたいというふうに思います。
 今もありましたように、この四情報とコード番号、そして付随情報ということで、例えば結婚や離婚で姓が変わればそれが付随情報の中にあるわけですよね。また、住所が変わるということになりますと、この政令で定める保存期間の間は、例えば学校の寮にいれば学歴が類推されるとか、そういうまさに本人のプライバシーにかかわる重要な問題がここにあるので、心配が大きく広がっているのではないかというふうに思います。
 きのう私は、ここに持ってまいりましたが、主婦連合会から要請を、毎日のようにいろんな団体から要請をいただいているわけなんですけれども、ここには、国民一人一人に生まれたときから番号をつけるという問題点、そして行政機関の電算機処理部分だけは法的な個人情報保護が図られているけれども、今まで民間も含めて大変な漏えい事件で被害に遭っているんだ、だからもう大変心配だということが書かれて、主婦連合会はこのネットワーク化に反対をいたします、参議院におかれましては、個人情報保護の立法化は推進するとともに、住民基本台帳法案については改正はなされませんよう要望いたしますという声が審議をしている最中にも上がってくるわけです。
 こういった世論を反映しまして、例えば衆議院を通りました六月十六日の毎日新聞の社説では、包括的個人情報保護法というのが、政府においてもそういうことが必要なんだというふうに認めたんだ、こういう社説が出ているんですけれども、今一般の国民の間では、包括的個人情報保護法が前提だ、こういう強い世論があるんですけれども、そういう世論に対して大臣はどういうふうにお答えになるでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 何をもって世論というか、いろんな角度からの御意見がたくさんある現実の中で、これが世論だと断定するのは難しいと思います。ただ、そういう中で、今御指摘がありましたような、特に個人情報の保護という問題についてよりセンシティブに考えるべきではないか、より充実した角度から対応すべきではないかという御意見があることも十分承知をいたしております。
 そういう点で、私どもは、少なくとも今回の問題、この法案を作成する過程の中で、今日現時点において可能な限りの対応を、あるいは法律面なりシステム面なり運用面なり、その三つの分野の中で万全と思うような対応を考えておりますということはたびたび申し上げておるところであります。
 しかし、これが実施に移される間の数年の間にも日進月歩の技術の進歩ということがあるわけで、それをどうやって乗り越えていくかという意味で、この法案が成立した後においても、実施に至るまでの間に必要な技術進歩に十分キャッチアップしていかなきゃならぬということは申し上げてきたとおりです。
 それと同時に、この法案の審議をしていく過程の中で、この法案の欠陥というような意味ではなくて、今も御指摘がありましたが、この住民基本台帳ネットワークシステム固有の問題というものではなくて、それとは別途の世界の中でいろんな場面で個人の情報が漏えいしているというようなことが指摘をされている。特に、これから今回の法案を審議していく過程の中で、デジタル革命という言葉も使われておりますが、そういう高度情報ネットワーク社会というものがこれからかなり加速されて進んでいくという時代になれば、当然のことながらそういう時代における一般的な民間分野をも含めた個人情報保護のあり方について総合的な検討がなされてしかるべきではないか。今まで政府の行政分野においてそれぞれの分野ごとにそれなりの法的手当てはなされておるものの、この際、民間分野まで含めた総合的なものがあっていいのではないか。
 そういう意味で、包括的個人情報保護という言い方をすると特定の法体系ということをイメージすることになりかねないということで、包括的な個人情報保護に関する法整備を含めたシステム、こういうような表現で、どういうやり方がいいかというようなことで、これは自治省という行政の一つの分野だけではなくて、政府全体の中で対応しなければならぬ。あるいは政府だけではやっぱり十分ではないのではないか、各党それぞれ対応すべきではないかということで、既に三党の中で具体的な検討会が設けられて御検討がスタートしているということでございます。
 そういう点で、本法案のいわゆる条件的な前提といいますか、制度的前提としての個人情報保護に関する法整備を含めたシステムの形成という意味というよりも、むしろそういうデジタル化が進んでいく、そういう社会においてその環境整備という意味での前提として、この法律が実際に、このシステムが実際に施行される前に、そういうような個人情報保護に関する法整備を含めたシステムが構築されるということが非常に大事なことだという合意に至って、たびたび総理からも御答弁申し上げたり、私からも申し上げておるということであると考えております。
○八田ひろ子君 そうしますと、この法改正の施行の前に今おっしゃった包括的な法整備をすることなんだという御回答ですね。
 私、そこでお伺いをしたいんですけれども、今おっしゃいました包括的な個人情報保護の法整備にかかわってなんですけれども、政府は基本方針というのをお出しになっております。これは昨年ですか、十一月九日に、先ほどもお話がありました高度情報通信社会推進本部の決定という基本方針です。ここを見ますと、今おっしゃいました包括的な個人情報保護法の中身、「プライバシー保護」という部分がございまして、ここを見ますと、「個人信用情報や医療情報等、機密性が高く、かつ、漏洩の場合の被害の大きい分野について」ということで、「政府としては、民間による自主的取組みを促進するとともに、法律による規制も視野に入れた検討」と。
 これを見ますと、包括的な個人情報保護法というのはこういう分野別の基本方針があるというふうに見てよろしいんでしょうか。
○政府委員(竹島一彦君) 今御指摘いただきました昨年十一月九日に決定されました政府の基本方針は、一言で申し上げますと、EU型のオムニバス方式ではなくて、アメリカ型の言ってみるとセクトラル方式といいますか、特定の分野については法規制が必要であり、その他については情報の自由な流通を阻害しないという趣旨から実効性の上がる自主規制、そういうものを組み合わせて総体としての個人情報保護が守られるという考え方に立ってこの基本方針が書かれているのはそのとおりでございます。
 そうでございますが、その後、御案内のような経緯、この委員会でもたびたび御答弁申し上げていますが、この高度情報通信社会推進本部の決定に基づく検討部会という経緯もございますが、一方で、住基法案をめぐる衆議院における御審議の結果、三党においても検討会が設けられる。その三党の検討会と政府の方の作業とよく連携をとって進めていかなきゃならない。こういう事情も加わりまして、したがいまして、政府において設けました、七月二十三日でございますけれども、高度情報通信社会推進本部のもとに個人情報保護検討部会が設けられておりますけれども、ここにおきましては、政府の基本方針を踏まえつつも、幅広く包括的な個人情報保護法というお考えも御指摘のとおりございますので、そういうもろもろの御意見をよくそしゃくして、要は日本として実効性の上がる個人情報保護システムはいかなるものかと。それがオムニバスなのかいわゆるセクトラル方式なのかということにいずれは結論を持っていかなきゃなりませんけれども、それは初めから一方に決めてかかるということではなくて、幅広く検討をしていただけるものと考えております。
○八田ひろ子君 政府は、基本方針はあるけれども、それを変更して総括的な個人情報保護法も含めてこれから考えるんだ、それは今論議をしておりますこの法施行までにつくるんだと。そういうふうに確認させていただいてよろしいでしょうか。
○政府委員(竹島一彦君) もろもろの御意見、アイデアを幅広く検討していただくということでございまして、基本方針の変更を含みとしてこの作業をやっていくということまでは申し上げられません。あくまでも検討部会において幅広く検討していただくということでございまして、基本方針を変更するという含みを持って検討をされるというふうに受け取っていただくと差しさわりがあるというふうに考えております。
○八田ひろ子君 何か大臣は違う御意見をお持ちなんですか。今のとちょっと何か違うみたいですが、それでよろしいんですか。──はい、わかりました。
 今のお話ですと、三党合意で三年以内に法律をつくるということで、それならば慌ててこの法律だけ先に通す必要が全くないんじゃないかというふうに私は思って、国民が安心できるしっかりした包括的な個人情報保護法というのが本当にできるだろうかということが実はこの前法曹界からも御意見があったものですから、そうであるなら余計に慌てて大急ぎでこれを通して施行だというふうにはますます思えなくなりました。
 次に、前回の続きなんですけれども、このシステムをつくって住民がいかに便利になるか、この続きをちょっと質問したいというふうに思います。
 先日の質問の中で、今回の法改正によって住民の利便性というのが、住民票の広域交付という面で利便が向上するのかということで今実験をしている静岡県、ここはファクスだったんですけれども、あるいは岐阜県の益田郡、こういう例を挙げさせていただいて、こういう例からすると、ICカードを今すぐ導入するというのは時期尚早なんではないか、こういうふうに私は思ったわけなんです。
 先日、岐阜県の知事さんも参考人として来ていただきました。ここで私もお尋ねをしたんですが、実際にICカードの発行数というのは、ある町では人口比四%、ここで大体三カ月に四枚、広域交付ですね。それから、ある町では人口比二%のICカードの発行数、ここでは三カ月に七枚。大体五色町でも三カ月に五、六枚なものですから、今実験をやっていらっしゃるところの広域交付というのはこんなものかなというふうに思うんです。
 そこで、改めて伺いたいんですけれども、このネットワークシステムをつくって、住民の皆さんに直接的に便利になること、ICカードのある方、ICカードのない方に分けてお示しください。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 このシステムにおきまして住民基本台帳カードを活用した場合の住民サイドのメリットでございますが、転出転入の手続の面で、転入先での手続一回で済むということ、また全国どこの市町村においても簡易に自分の住民票の写しがとれるということ、それから住民基本台帳カードを利用した場合には、それぞれの市町村が独自に単独でまたは共同していろいろな行政サービスあるいは広域的なサービスを実施する場合には、そういう面でカードの活用が可能となりますので、そのサービスが受けられる、それから希望すればカードというものを身分証明書として利用できる、それから成り済まし転出等の不正行為をこのカードを使って防止することができるというメリットがあります。さらに、将来的には電子申請とかワンストップサービスにおいて本人確認に活用することが可能になるということも想定されるわけでございます。
 仮にカードがない場合にはこういった住民側のメリットというものは失われる、このように考えております。
○八田ひろ子君 そうすると、ICカードをつくるのは自由だけれども、ICカードがないと今度のシステムのメリットは何も受けることができないんですという御説明ですね。
 このカード利用、カードがあるとサービス向上だということなんですけれども、例えば転出転入の特例なんですが、これは現行でも郵送でやりとりをすれば役所へ行くのは転入先だけでいいわけですよね。転出証明書を郵送でもらえばいいことですし、また伺いますと、このICカードが発行されたときでも前の役所に対して転出届を出さなくちゃいかぬわけですね。これは今のマスコミなんかを見ていますと、カードがあるとそれを持ってひょいと行くと転入ができるようにもとれるような書き方がされて、これはマスコミのせいですけれども、実際には前にいたところの転出届は出さなくちゃいけない。そうすると何かカードがあってもなくても転出入の場合は余り変わらないなという感じがいたします。
 そこで、自動交付の問題で伺いますけれども、自動交付の活用として買い物のついでとかいろいろな利便性をおっしゃっていますが、カードを発行してもらうとしますと、どこででも自動交付機で住民票が広域も含めてとれるようになるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 まず、転出転入の関係をちょっと申し上げますと、現行制度における手続は、転出届は原則は対面による確実な本人確認を行うということが重要でございまして、原則として転出地の窓口に直接出向きまして転出届をして、それで市町村から転出証明書の交付を受ける。これが成り済ましの問題の一番原因でございますので、原則は対面で確認をするということでございます。それで転出証明書をもらって、転入地の市町村に転出証明書をつけて転入届をするということでございます。
 それで、今お話のございましたように、現行制度でも郵送による転出届というのがなされた場合に転出証明書を郵送で交付するという場合があり得ます。これは、急に住所を移動することが決定して時間的余裕がないという場合が考えられるために、やむを得ず例外的に認めている措置でございます。
 今回の改正では、お話しのように、郵送で転出届をすれば、カードの交付を受けている人は転入地にカードを添えて転入届を行えばそれで済むということで、カードによりまして厳格な本人確認ができますので、それで転入届に転出証明書を添付するということは要らなくなるということでございます。このために転出地の市町村の窓口に行く必要がなくなる、こういうメリットがあるということをお話ししているわけでございます。
 それで、住民票の写しの自動交付との関係でございますけれども、住民票の写しの広域交付の場合には、交付地の市町村の窓口で交付するということもありましょうし、またカードに対応した自動交付機が設置されればそれによって交付するという、それぞれの場合があろうかと思います。
○八田ひろ子君 広域でもできるのですね。
○政府委員(鈴木正明君) このシステムができますと、広域的に自動交付機が交付できるように仕組むというか、置いた場合には自動交付機によって交付が可能となります。
○八田ひろ子君 広域で自動交付ができるといいますと、それはまた暗証番号が要るのではないかというふうに思うんですが、その暗証番号はどういうふうに規定されるんでしょうか。
 今、広域の自動交付ができるというふうにおっしゃったものですから、そうしますと、そのカードだけ持っていって差し込めばすぐ出てくる自動的なものなら、落としたのをすぐ拾ってどこかでやるとそれがざっと出てくるということも考えられますので、そういうふうになるのでしたら、当然暗証番号とか何か本人確認をするのがあると思うんですが、だからそれはどういうふうな規定があるのでしょうかと伺ったんです。
 いろいろこれを見ましたけれども、ICカードの暗証番号についての規定とか、そういうのはこのシステムの中にはないんですね。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 住民基本台帳カードは本人確認の手段ですから、具体的にお使いになる場合には、暗証番号とそれからこのカードによる本人確認、同一性の確認ということ二つによりまして本人確認が、カードを持っている人が正当な所持者であるということ、それからカードと本人が同一であるということの確認をこの二つの方式でやるということでございます。
 それで暗証番号は、したがいまして本人以外に漏えいすることのないようにきちっと管理してもらうということは当然であります。
○八田ひろ子君 私が伺いましたのは、その暗証番号を規定しているのがここのどこにもないんですね。このシステムというのは、この四情報と住民票コードとそれに付随する情報ということが規定されているだけで、あとは暗証番号、今四けたとかいろいろな暗証番号がありますが、そういうのがそうすると全国を駆けめぐるわけですね、そのオンラインを通じて。それはどういう規定になっているんですか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 具体的にカードを使っていく場合に、やはりパスワード、暗証番号というのは必要でございますが、技術上のことでございますので、実施していく、このネットワークを構築していくということで、今後関係者で協議をして具体的に決めていく、こういうことでございます。
○八田ひろ子君 このネットワークシステムの中にないものを暗証番号としてまた入れるというのは私は非常におかしいと思いますが、ちょっときょうは時間がありませんので、次のICカードについての質問に移ります。
 ICカードの活用、先ほどもそれぞれの市町村での付加価値というのをおっしゃったんですが、市町村の創意工夫と言われるんですけれども、医療分野などでは医療保険との関係とか医師会との関係なども生まれまして、各市町村の工夫とかそういうことではできない分野が大きいのではないかと思うんですけれども、それはどうなんでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 それぞれの市町村におきまして、このカードのいわば専用エリアというものを活用して医療カードとして使っていくという場合に、お話しのように医療圏というものは必ずしも市町村の区域と一緒でありませんので、かなり広域的な方が関係医療機関も利用可能でございますので利用率が高まるということも実施上の問題としてお話を伺っているところでございます。
 いずれにいたしましても、医療機関それから市町村というものとでそれぞれ協議いただいて、どのような施策としてどのようなシステムを組んでいくかということは、これからこのカードの活用方法と絡んできますので、最終的には議会の条例でお決めいただくということになろうかと思います。
○八田ひろ子君 私が伺いましたのは、前回、出雲市の例で、ここの場合は医療情報とか福祉、保健、救急、教育というのが入っておりました。ところが、こういうところが実際に医師会、それぞれのお医者さんでいいますと医療点数の関係とか、そういうので一つの自治体ではなかなかできないということでおやめになるという事例をお示ししたわけで、各省の横断的な専門的な検討がないと、最初のときに利用率のお話をしましたけれども、実際、毎日の生活に必要だというふうにならなければどなたもこのICカードなんというのはお持ちにならないんです。だから数%という、実験をやっていてもあるわけなんです。だから、住民票発行のために基本台帳法を改正するだけで、ICカードを持つと何かいいことがあるといっても、それは自治体に対してはやっぱり大変な負担をかけるんじゃないかというふうに思うんです。
 負担といいますと、このICカード、住民が求めれば全国どこでも発行するということがここに書いてあります。ですから、ICカードを発行することはすべての自治体で義務づけになりますね。そうしますと、発行のための機器が必要ですし、各自治体では全国どこかから来る人の読み取りのための機器が必需品になりますね。これらのお見込みは、前回ネットワークシステムのベネフィットをいただいたんですけれども、ここにはこういうものは含まれていないんですけれども、こういう所要の措置というのは大体どれぐらい見込まれているのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 この住民基本台帳カードというものがそれぞれの市町村で発行されるわけでございます。いわば地方公共団体共同で、ICカードを活用したハードと基本的なソフトの部分が共同で開発されるということになります。
 それで、本人確認情報につきまして専用エリアでこのカードの中に保存される。そのほかの専用エリアを活用して、それぞれの市町村において今お話しのような医療関係、福祉関係あるいは公共施設の関係等いろいろな利用というものがあろうかと思います。
 その場合に、単独または共同して地域でまとまってその活用というものを考えるということが当然あろうかと思いますが、この住民基本台帳カードが共同で、ハードと、いわばICカードと基本的な基盤というものがこれによりできますので、それぞれの市町村が利用できるという分野は非常に広いだろうというふうに思っております。
 それで、お話しの、そのときのハードの関係で読み取り機とか発行機につきましては、具体的に今ちょっと数字は持っておりませんけれども、このシステムの中にその部分は見込んでカウントをいたしております。
○八田ひろ子君 終わります。
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。
 自治大臣並びに局長、大変御苦労さまでございます。
 私どももきょう朝早くから大宮市で地方公聴会をやってまいりました。四名の公述人からそれぞれ大変貴重な御意見を拝聴いたしたところでございます。非常に参考になりました。とりわけ私は、練馬区役所で長年に及んで住民登録の事務に直接携わっておられるという江原公述人の意見を聞いたときに、どうもこの住民基本台帳法、私どもが審議をしている改正法では、住民票の広域交付という直接的なかつ具体的な国民の利便というのはその限りにおいてはよくわかるけれども、それほど自治省が言っているような国民の利便はないのではないかという思いを深くいたしたところであります。
 ともあれ、公聴会から帰ってまいりまして、また法案に対する質疑を続けておるわけでありますが、私は、けさ大変驚きましたのは、毎日新聞など一部の新聞報道、もちろん新聞報道の限りでございますが、私どもがこれだけ地方公聴会をやり、より衆議院と違う参議院らしい審議を尽くそう、こういうことで真剣にかつ熱心に法案審議をやっている、地方公聴会をやり、参考人の意見を聞く、こういうさなかに、この法案について、国会法五十六条の三による中間報告を求めて、そして議院で、要するに本会議で審議をするんだ、採決をするんだ、こういうことが報道されて、実は大変驚いたわけであります。
 それで、公聴会から帰ってまいりまして、私は改めて国会法五十六条、当該条文を読み返してみました。私は、国会法の精神というのは、これは言うまでもなく、委員会中心主義というんでしょうか、すべての法案については委員会を中心に議論をする、審議をするというのが国会法の精神だというふうに思っております。しかしながら、中間報告を求めて本会議で審議をするということになりますと、その時点でもう私どもの委員会に対する議案の付託そのものが消滅してしまうんです、調べたところによりますと。それは私は、やっぱり国会の審議のあり方として、立法府の本来あるべき使命との関係で大変大きな問題だなということをきょうは痛感いたしたところであります。しかも、参議院においては一九七五年、四半世紀前に事例があったようですけれども、その後二十四年間行われていない。
 そういうふうな、委員会審議を無視するようなやり方があってはならぬという問題意識を私は冒頭御披瀝しておきたいというふうに思っております。
 きょうは小会派なるがゆえに質問時間もわずか二十分しか与えられておりません。それで、これまでの質疑の中でただすことができませんでした指定情報処理機関を中心に質問をさせていただきたいと思います。
 本改正法案でつくられることになる指定情報処理機関、これは局長、恐らく複数の機関が存在するんじゃなくして、全国に一つだけというか、そういうことを法律は想定しておるんでしょうね。
○政府委員(鈴木正明君) 御指摘のように、自治大臣が指定するわけですが、その基準としては、ほかに指定を受けた者がないこととしておりますので、全国で一つということでございます。
○照屋寛徳君 そうすると、全国で一つだけということになりますね。
 法案では、さまざま指定情報処理機関の機能というか、目的、役割等について定めておるわけでありますが、各都道府県はこの一つだけしかつくられない指定情報処理機関に事務委任をする。するしないの自由というのは、この法案ではどういうふうに担保されるんでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 この指定情報処理機関は、地方公共団体が出資しているというんですか、基本財産を拠出している公益法人ということが一つの要件になっております。それで、なおかつ情報処理ができるだけの財政的な、また人的、組織的な力を持つ者というのが指定の基準ということになっているわけでございまして、都道府県はこの法律に基づきますみずからの事務をこの指定情報処理機関に委任することができるということでございますので、都道府県はそういう判断が可能でございます。
 しかし、指定情報処理機関というのは、いわば機械的な事務については、正確性の面からいっても効率性の面からいっても一本の機関が行う方が適切であろうということで指定機関制度とというものを考えておりますので、全都道府県が委任されるということを期待しているわけでございます。
○照屋寛徳君 今答弁がありましたように、指定情報処理機関は民間機関ではなくしていわゆる公益法人になるわけですね。そうすると、各都道府県は、指定情報処理機関に事務を委任してもいいし、みずからやってもいい。しかしながら、立法者である自治省の皆さん方としては、恐らく全都道府県が全国に一つだけつくられる指定情報処理機関に事務委任をするだろう、することを期待している、こういうことですか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 指定情報処理機関につきまして、例えば住民票コードというものをランダムにつくりますが、それを県ごとあるいは市町村ごとに指定するというのは機械的な仕事ですから、そういう業務とか、情報を法律に定めます機関に提供するということなど、そういった事務についてこの指定情報処理機関に県の事務を委任するということでございますので、法律上は都道府県知事は指定情報処理機関に委任することができるということで規定をいたしております。
 地方自治ということで、規定を置いておりますが、効率的な処理また正確性の確保ということから、指定情報処理機関に全都道府県が委任されることを期待している、こういうことでございます。
○照屋寛徳君 そもそも国民にすべからく住民票コードで十けたの番号をつけよう、こういうわけですから、この改正法の趣旨からすると、都道府県知事はその指定情報処理機関に事務委任をすることができる、するしないの選択権があるんだと。そうは言っても、じゃそうだからということで、それぞれの都道府県がみずからその事務をやろう、つくった指定情報処理機関に事務委任をしないと。そういうことで都道府県がそれぞれに事務委任をしないということでやりますと、この改正法で目指している住民基本台帳のネットワークシステム、そのシステムの維持という点からは非常に困るんでしょう、本音のところは。
○政府委員(鈴木正明君) この指定情報処理機関の固有の業務としては、全国の本人確認情報というものを通知を受けまして記録して保存するという機能が本来の機能でございまして、それを先ほど言いましたように国の機関等必要なところに提供していくという業務を都道府県から委任を受けるということでございます。
 それで、効率性の面から、また正確性を確保するという面からいって指定情報処理機関に委任されるということが望ましい、期待していると。指定情報処理機関はそれだけの組織的にも人的にも財政的にも基盤を持つ者を指定するという考え方でございますので、そういうところに委任されることが望ましい、こういうふうに私どもは考えております。
○照屋寛徳君 なかなか本音をおっしゃらないんですが、望ましい望ましいと言うんですけれども、結局はそれぞれの都道府県の主体的な選択ができない、都道府県としては指定情報処理機関に事務委任をせざるを得ないような、そういう仕組みにこの法案はなっているんじゃないかと私は思うんです。違うと言うんであればまた御意見をお伺いしたいんですが。
 それで、今の局長の御答弁によりますと、指定情報処理機関は、それぞれの本人確認情報というんでしょうか、それの記録、通知、保管、こういう機能を持っているということでございました。
 そうすると、一つ聞きたいのは、従来、本人確認情報、住所、氏名、生年月日、性別、それに住民票コードということ、この五情報と、それから一定期間はその履歴というんでしょうか、それも含まれるわけですね。まずその点。
○政府委員(鈴木正明君) 指定情報処理機関が扱います本人確認情報は、四情報に住民票コードと先ほど申し上げました付随情報でございます。
○照屋寛徳君 その本人確認情報の記録、通知、保管、その機能以外にこの指定情報処理機関というのは本改正法が想定をしております住民基本台帳ネットワークシステムの保守管理、そういう業務などとの関係はどうなるんでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) 指定情報処理機関につきましては、先ほどお話のありましたもののほかに、例えば住民票コードの指定といった仕事もあります。それから、県からの情報の正確性をチェックして誤りがある場合には県の方に通報するといった機能もありますし、それから国の情報提供の状況について報告書を作成して公表するということもあります。また、お話しの点と絡みますが、ネットワークの適正な運営のために技術的な助言というものを都道府県に行うという機能もあります。それぞれのコンピューターの管理については、市町村、県、指定情報処理機関、それぞれ責任を持って当たる、こういうことでございます。
○照屋寛徳君 私は、この指定情報処理機関の運用をきちんとやらないと、これは国民のプライバシーが侵害される具体的な危険を招来する、そういうふうに思っておりますので、そのことは意見として申し上げておきます。
 もう一点は、現行の住民基本台帳では、住所、氏名、生年月日、性別以外のおよそ十四項目ぐらいの別の情報も記録されているわけですね。そうすると、今度のシステムで、いわゆる縦横のネットワークがそれぞれあるわけですが、特に市町村と県を結ぶ、あるいは市町村相互のネットワーク、そういうものを通して、言われている本人確認情報、六情報以外の住民基本台帳に記載をされている、そして電算処理をされている情報が漏えいする可能性はないんでしょうか。また、それを防ぐような手だてというのは具体的にどういうふうに考えられておるんでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) このシステムは、それぞれの市町村における既存の住民基本台帳システムを、それぞれの市町村でコミュニケーションサーバーというものを新しく設置していただいて、それを介して全国的にネットワーク化をする、こういうことにいたしております。
 したがいまして、既存のそれぞれの市町村の住基システムというものにはお話しのようにこのネットワークでは使わない情報も入っているわけでございますが、この既存の住民基本台帳システムとそれぞれの市町村のコミュニケーションサーバーとは直接接続しないという考え方でシステムを組みたいと思います。趣旨は個人情報保護を最大限尊重するということでございます。既存の住民基本台帳システムとは直接接続しないということで、遮断する形でネットを組む、こういうことで、コミュニケーションサーバーから都道府県、全国センターと、これを専用回線で結ぶシステム、こういうことで考えております。
 したがいまして、制度面、システム面、運用面でも本人確認情報を保護するための措置を講ずるということといたしているところでございます。本人確認情報はもちろんですが、その他の、お話しの本人確認情報以外の情報についてもこのシステムで漏えいするということはない、このように考えております。
○照屋寛徳君 局長にお伺いいたします。これは通告しておりませんが、しかし答えられないことじゃないと思います。
 なぜこういう質問をするかというと、公聴会で公述人から意見を聞いて、私もそこまで思いが至らなかった、不勉強だった点を含めて質問させていただきますが、新規に法律をつくったりあるいは法改正をする際には、それぞれ立法意思みたいなものがあるわけですよね。それで、現行法上、転入届等を怠った場合には五千円以下の過料に処せられることになっています。ところが、改正法では、これが五万円以下の過料ということで、十倍その刑罰が重くなるわけであります。その考え方、なぜ過料を十倍にしたのか、その立法意思というんでしょうか、そのことをお伺いして、私の質問を終わります。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 今お話しの点は、住民票の写しなどの不正請求をした場合には五万円以下の過料、虚偽の届け出または届け出の懈怠をした場合には五千円以下の過料に処する、こういうふうにされていたもの、これを改定している、こういうことの理由でございますが、このネットワークシステムということとは直接関連しているわけでございませんが、経済の実態に照らしてみまして、行政罰としての実効性を有するかどうかということで問題がありまして、社会通念上もこのような額は少額に過ぎるのではないかということでございます。
 それからまた、住民基本台帳の届け出と関連いたします国民年金法、また国民健康保険法、介護保険法におきましても過料の額を十万円以下としておりまして、それらとのバランスということで、従来の過料の額は均衡を失するというふうに考えた次第でございます。法務省とも御相談をいたしまして、私人の違反行為に対する過料の額については最低五万円以下というお考えもあるわけでございます。そういったことで、今回過料を、五千円以下の過料としていたものにつきましてはその過料を五万円以下に引き上げることといたした次第でございます。
○照屋寛徳君 終わります。
○松岡滿壽男君 今回のシステムで絶対に便利になるのは、やはり転入と転出の手続だろうというふうに思うんです。一年間全国で転入転出の手続が何件ぐらいあるか、またその費用、コスト、これが推計でどのぐらいになるのかということを伺いたいと思います。また、利用者の負担についても推計で把握していればお伺いしたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 転出転入の関係では、平成九年度ということで全国単位で見ますと、転入届の数が四百六十万件、転出届の数は約四百二十万件ということでございます。
 これに関連します費用でございますが、このシステムの導入による効果ということで金額換算、メリット換算をいたしておりますので、それで御説明させていただきたいと思いますが、住民サイドで申し上げますと、導入によりまして節減時間、また、その者の時間当たりの標準的な人件費といったことで、数値化可能なものだけを一定の仮定のもとで試算いたしますと、転入転出の簡素化によりまして手続時間が省略されまして約三十二億円、それから住民票の写しの広域交付によりまして手続時間が省略できますのでそれで九十九億円、また、写しの交付の省略ということで役場に行かなくて済みますのでその手続時間の省略で百三十七億円ということで、毎年、住民サイドでは合計二百七十億円のメリットが出る、こういうふうに見込んでおります。
○松岡滿壽男君 きょう、地方公聴会で話を聞いておったんですけれども、質問通告しておりませんけれども、今、照屋先生もちょっと言われましたが、刑罰について情報を漏えいした場合の懲役二年以下、百万円以下の罰金という形で、今回のあれについてはかつてない刑罰を科するということであります。
 ところが、現状の住民票の現在行われているものの罰則は、結局地方公務員法の守秘義務違反が適当だと。そうすると、そちらは一年以下の懲役または三万円以下の罰金という形で、非常に差が出てくるんですね。現在、地方自治体で行っているものの方がいろんな情報がくっついている。今度は確かに一億二千万人というふうに規模を拡大するわけだけれども、そちらは四情報しかないわけですね。余りにも刑罰の差があり過ぎると思うんですが、その辺についてはどういうふうにお考えなんですか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 お話しのように、今回のネットワークシステムの関連におきましては、特に本人確認情報、その中でも住民票コード、それから住民票コードと一緒になった形での住所、氏名、そういうものについては、非常に秘密性が高く保護すべき度合いというものが高い、こういうことでございます。そういった趣旨で、プライバシーの保護という観点から特に重い罰則を科すこととした。いわば、このネットワークシステムをセキュリティー性の高いものとして維持していくということで、その部門に限って刑罰を重くした。
 公務員法の守秘義務及び罰則につきましては、おっしゃるように一般的な規定でございますから、例えば税の分野については税の規定がまたございますが、扱う秘密性の度合いというのもかなり幅があるわけでございまして、そういった面で一年幾ら以下の罰金、こういうことになっているんだと思います。このシステムではこのシステムのセキュリティーを確保するという趣旨で重くいたしているところでございます。
○松岡滿壽男君 時間がありませんからもうこれで終わりますけれども、結局デジタル化とかいろんな新しい情報化の中での法整備のおくれは法務省も認めておるわけですし、こういう新しい事態に応じた刑罰、法体系のあり方ということをやっぱりきちっとこの際見直していかなきゃいかぬのだろうというふうに思います。
 そういう意見だけ申し上げて、時間がありませんので終わります。
○委員長(小山峰男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(小山峰男君) 不正アクセス行為の禁止等に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。野田国家公安委員会委員長。
○国務大臣(野田毅君) ただいま議題となりました不正アクセス行為の禁止等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。
 近年の情報通信分野における技術の発達とサービスの多様化、高度化に伴い、著しいスピードで我が国の経済、社会の諸分野におけるネットワーク化が進展しており、コンピューターネットワークがますます社会の基盤としての役割を果たすようになっております。一方で、情報通信技術を悪用したハイテク犯罪も年々増加しており、主要国首脳会議等の国際会議においても、ハイテク犯罪に国際的に協調して対処するための方策について議論されているところであります。
 しかしながら、このようなハイテク犯罪を助長するとともに、ネットワークの秩序を乱し、ひいては高度情報通信社会の健全な発展を阻害することとなる不正アクセス行為について、我が国においてはいまだこれを禁止、処罰する法整備が行われていない状況にあります。
 そこで、この法律案は、このような状況を踏まえ、電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪の防止及びアクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図るため、不正アクセス行為を禁止するとともに、これについての罰則及びその再発防止のための都道府県公安委員会による援助措置等を定めることを内容としております。
 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
 第一は、不正アクセス行為の禁止、処罰についてであります。
 これは、特定電子計算機、すなわち電気通信回線に接続している電子計算機のうち、アクセス制御機能によりその利用を制限されているものに、電気通信回線を通じて、他人の識別符号等を入力して作動させ、その制限されている利用をし得る状態にさせる行為を不正アクセス行為とし、これを禁止、処罰するものであります。
 第二は、不正アクセス行為を助長する行為の禁止、処罰についてであります。
 これは、他人の識別符号を無断で第三者に提供する行為を禁止、処罰するものであります。
 第三は、アクセス管理者による防御措置についてであります。
 これは、アクセス管理者は、識別符号等の適正な管理に努めるとともに、特定電子計算機を不正アクセス行為から防御するため必要な措置を講ずるよう努めるものとするものであります。
 第四は、都道府県公安委員会による援助等についてであります。
 その一は、都道府県公安委員会は、不正アクセス行為に係るアクセス管理者に対し、その申し出に基づき、再発防止のための援助を行うものとするものであります。
 その二は、国家公安委員会、通商産業大臣及び郵政大臣は、毎年少なくとも一回、不正アクセス行為の発生状況等を公表するものとするほか、国は、不正アクセス行為からの防御に関する啓発及び知識の普及に努めなければならないこととするものであります。
 なお、この法律の施行日は、一部を除き、公布の日から起算して六月を経過した日としております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概略であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
○委員長(小山峰男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
○委員長(小山峰男君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長桜井新君から趣旨説明を聴取いたします。桜井新君。
○衆議院議員(桜井新君) ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 第一は、公職にある間に犯した収賄罪等の刑に処せられた者の被選挙権停止期間の延長についてであります。
 現行法では、公職にある間に犯した収賄罪等により実刑に処せられた者は、実刑期間及びその後の五年間、選挙権及び被選挙権を有しないこととされております。
 本案は、政治に対する国民の信頼を高めるため、公職にある間に犯した収賄罪等の罪で刑に処せられ、その執行を終わりまたはその執行の免除を受けた者でその執行を終わりまたはその執行の免除を受けた日から五年を経過したものは、なお五年間被選挙権を有しないことといたしております。
 第二は、船員の洋上投票についてであります。
 船員については、その就業形態が特別であることから、現行法においても、一般の不在者投票制度に加え、指定港における不在者投票、船舶内における不在者投票、さらには指定船舶における不在者投票など特例的な制度が設けられております。しかし、船舶が外洋を航行中である場合は、現行の制度では、不在者投票用紙の送致が困難であるという問題があります。
 本案は、選挙人で遠洋区域を航行区域とする船舶その他これに準ずるものとして自治省令で定める船舶に乗って本邦以外の区域を航海する船員であるもののうち選挙の当日職務または業務に従事すると見込まれるものの衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙における投票につきましては、政令で定めるところにより、不在者投票管理者の管理する場所において、自治省令で定める投票送信用紙に投票の記載をし、これを自治省令で指定する市町村の選挙管理委員会の委員長にファクシミリ装置を用いて送信する方法により、行わせることができることといたしております。
 第三は、選挙運動の期間前に掲示された政治活動用ポスターの撤去についてであります。
 現行法では、政党その他の政治団体は、選挙期間中は、確認団体のポスターを除き、選挙の行われる区域において政治活動用ポスターの掲示をすることができないこととされており、これに違反して掲示したポスターについては、選挙管理委員会が撤去させることができることとされております。しかし、この規制は、選挙期間中の新たな掲示に対する規制であって、公示または告示の前に掲示してある政党の政治活動用ポスターには規制が及んでおりません。
 本案は、衆議院議員、参議院議員、都道府県の議会の議員、都道府県知事、指定都市の議会の議員または市長の選挙については、選挙の期日の公示または告示の前に政党その他の政治活動を行う団体がその政治活動のために使用するポスターを掲示した者は、当該ポスターにその氏名またはその氏名が類推されるような事項を記載された者が候補者となったときは、候補者となった日のうちに、当該選挙区において、ポスターを撤去しなければならないこととし、都道府県または市町村の選挙管理委員会は、これに違反して撤去しないポスターがあると認めるときは、撤去させることができることといたしております。
 なお、被選挙権停止期間の延長に係る規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとし、施行の日以後にした行為により刑に処せられた者について適用することといたしております。
 また、洋上投票に係る規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、施行の日以後初めてその期日を公示される衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙から適用することといたしております。
 また、政治活動用ポスターの撤去に係る規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとし、施行の日以後初めてその期日を公示されまたは告示される選挙から適用することといたしております。
 以上のほか、これらの改正に伴う所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が本案の提案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(小山峰男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十二分散会
     ────・────
   〔参照〕
   大宮地方公聴会速記録
 期日 平成十一年八月五日(木曜日)
 場所 大宮市 パレスホテル大宮
   派遣委員
    団長 委員長      小山 峰男君
       理 事      釜本 邦茂君
       理 事      松村 龍二君
       理 事      輿石  東君
       理 事      富樫 練三君
                藤井 俊男君
                魚住裕一郎君
                照屋 寛徳君
                高橋 令則君
                松岡滿壽男君
   公述人
       与野市長     井原  勇君
       埼玉県総合政策
       部長       青木 信之君
       埼玉県北埼玉地
       域県政モニター
       協議会会長    品川 寛子君
       プライバシーア
       クション運営委
       員        江原  昇君
    ─────────────
   〔午前九時三十分開会〕
○団長(小山峰男君) ただいまから参議院地方行政・警察委員会大宮地方公聴会を開会いたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします地方行政・警察委員長の小山峰男でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、私どもの委員を御紹介いたします。
 自由民主党所属の松村龍二理事でございます。
 同じく自由民主党所属の釜本邦茂理事でございます。
 民主党・新緑風会所属の輿石東理事でございます。
 日本共産党所属の富樫練三理事でございます。
 民主党・新緑風会所属の藤井俊男委員でございます。
 公明党所属の魚住裕一郎委員でございます。
 社会民主党・護憲連合所属の照屋寛徳委員でございます。
 自由党所属の高橋令則委員でございます。
 参議院の会所属の松岡滿壽男委員でございます。
 以上十名でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 参議院地方行政・警察委員会におきましては、目下、住民基本台帳法の一部を改正する法律案について審査を行っておりますが、本日は、本法律案について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を賜るため、当地において地方公聴会を開催することといたしました。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。
 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
 与野市長井原勇公述人でございます。
 埼玉県総合政策部長青木信之公述人でございます。
 埼玉県北埼玉地域県政モニター協議会会長品川寛子公述人でございます。
 プライバシーアクション運営委員江原昇公述人でございます。
 以上四名の方々でございます。
 この際、公述人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様方には、大変御多忙のところを御出席いただき、厚く御礼を申し上げます。
 本法律案につきまして皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の委員会審査の参考にいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、公述人の方々からお一人十五分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。
 まず、井原公述人にお願いいたします。
○公述人(井原勇君) 御紹介をいただきました与野市長の井原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 住民基本台帳に直接携わっている自治体の代表として意見を述べさせていただきたいと思います。
 改めて申し上げるまでもございませんが、今、私たちの生活はコンピューターのおかげで随分便利に、そして快適になってきているのではないでしょうか。銀行のオンライン化や交通機関の予約などの身近なサービスは、多くの方たちがその利便性を実感されているのではないかと思います。
 私ども自治体行政におきましても、こうした流れの中で、より効率のよい行政を目指し、住民の皆様の要望にこたえられるように業務処理の電算化を進めてまいりました。
 このたびの住民基本台帳法の改正につきましても、住民サービスの向上とさらに一層の行政事務の効率化を図ることがその大きな目的だというふうに認識をいたしておりますので、歓迎をいたしておるところでございます。
 本日は、私どもの与野市におきます電算化あるいは情報管理などの実情と取り組みなどを紹介しながら意見を述べさせていただきたいと思います。
 初めに、与野市の人口動態の特徴でございますが、与野市の人口は住民基本台帳によればおよそ八万一千人程度で、ここ数年増減を繰り返しながら少しずつ増加いたしております。住民の方からは、公共下水道や道路を初めとする基盤整備に対しまして高い評価をいただいておりますほか、彩の国さいたま芸術劇場等での文化、教育活動などにつきましても大変に好評をいただいております。
 東京への通勤人口は、平成七年度の国勢調査結果から見てみますと、総就業者数の約三八%に当たる一万六千二十八人に上り、平成二年度に比較してわずか五年間で約千人も増加しておりまして、今後ますます増加する傾向にございます。
 このようなことから、転出入件数は平成十年度の実績で、転出が六千八百人、転入が七千百三十人で、人口との比率で見ると埼玉県内平均の約二倍近くの高率でございます。
 また、住民票の発行件数も平成十年度実績で六万一千二百七十六件で、これも年々増加の傾向にございます。
 以上が当与野市の最近における人口動態でございます。
 次に、住民基本台帳の業務処理体制でございますが、現在は申請、審査、電算処理、発行といった作業を職員十名体制で対応いたしております。
 与野市の特徴といたしまして、自宅から半径二キロメートルを基準にして公民館など市内の三カ所に設けた市民課連絡所で住民票等の発行手続などを行っており、身近なところで受け取ることができるように市民の利便性の向上を図っております。中でも、需要が多い住民票や印鑑証明、年金証明などの事務につきましては、週休二日制が施行されました後も住民サービスの充実に努めております。
 この市民課連絡所は全国でも余り例のない画期的なシステムでございまして、年間約一万二千件、処理全体の約一割の利用があり、市民の皆様に喜ばれております。市民課連絡所を設置するに当たりましては、市役所が閉庁いたしている土曜日にも開いている公民館やコミュニティーホールを充て、そこで通常業務をしている職員を市民課と併任させることで新たな費用などをかけることなく設置、運営しております。
 そのほか、平成十一年度からは、申請時には印鑑がなくても自署でできるように手続の改善を図ってまいりました。
 また、現在、埼玉県ではすべての自治体で電算処理体制を整えておりますが、与野市の電算処理は県内でも比較的早く、昭和四十年に税関系バッチ業務(一括大量処理)を外部計算センターに委託したことから始まり、昭和六十二年に市役所内にホストコンピューターを設置し、住民記録・印鑑オンラインシステムを導入いたしまして、現在では可能と思われる業務につきましてはあらかた電算処理に移行いたしております。
 これらの住民基本台帳事務処理経費につきましては、平成十一年度の当初予算で申し上げますと、三億五千二百十二万九千円になっております。
 次に、電算処理体制についてでございます。特にセキュリティー対策でございますが、当市におきましては、住民記録、印鑑登録を初めとして市民税、資産税あるいは福祉システムといったさまざまな業務を処理していく中で、個人情報保護のためのさまざまな安全対策をとっております。
 近年の行政需要の多様化と電子計算機処理の浸透は、大量の個人情報の利用と蓄積をもたらしており、市民の皆様からは、市はどのような個人情報を保有し利用しているのか知りたい、外部への漏えい防止やプライバシー保護のための適正な方策を講じてほしい、さらには自己のデータを開示請求し誤りがあった場合には訂正や削除の請求をしたいという要望が高まっております。
 このため与野市では、現在ある与野市電子計算組織に係る個人情報の保護に関する条例にかわり、平成十一年十月一日より与野市個人情報保護条例を施行いたしまして、市が保有する個人情報について今まで以上に厳正な取り扱いを確保することといたしました。
 この条例の中では、個人情報をその目的外に利用、提供することは原則として禁止されております。目的外の利用や提供は、本人の同意を得ている場合や、提供することに相当の理由がありかつ市民の権利、利益を侵害するおそれがない場合に限られております。また、通信回線による電子計算機の結合は、市内の代表者で組織している審議会の同意を得られなければできないように定めてあります。
 また、組織的な予防措置として、個人情報の保護に関し職員の義務、事務処理の委託を受けた業者の義務を明確にし、責任体制として各課に個人情報保護管理者を定め、個人情報の適正な管理を行うよう体制を整えております。
 システム面では、例えば市民課の端末では、担当業務外の税情報は利用できないといった端末ごとの利用業務制限、課別に登録された利用者以外は端末が利用できないようにパスワードによる利用制限などの対策をとっておりますほか、ネットワークによる侵入防止という点につきましては、庁外施設との接続は専用回線を使うこと、または相互に電話番号を確認して接続するシステムの導入などの安全対策をとっております。
 さらに、運用面での安全対策といたしましては、市関係施設以外への接続禁止、職員研修時のOA機器利用ルールの徹底など、厳格な取り扱いに最大限の配慮をいたしております。
 こうした取り組みは、個人情報の保護を図るためには職員の意識向上こそが安全対策の第一歩という考え方のもとに実践をしているからでございます。
 そのほかの例を申し上げますと、フロッピーディスクの取り扱い、機器の利用方法、使用後の帳票類の取り扱いなどの措置についても基準を設け、適正に運用しているところでございます。
 また、処理時間につきましても、住民の方からは強い要望がございますが、電算の導入以降システムの改善によりまして中間処理のスピードアップを図ってまいりまして、現在は通常ですと五分程度で発行いたしております。さらに、先ほども申し上げましたように、事務処理要領の改正により自署でも住民票を発行することができるようになったことから、窓口での手続の簡素化にも努めてまいりました。
 そのほか、市民の皆様からは、最近夫婦共働きがふえていることもあり、他市町村の就労場所でも住民票などを発行できないかという広域的な対応につきまして要望がふえてきている状況にあります。
 以上が私どもの与野市における実情並びに取り組み状況でございます。
 次に、住民基本台帳法の改正に伴うメリットでございますが、市民の皆様にとってのメリットといたしまして、開庁時間内及び土曜日午前中の連絡所における発行業務のみならず郵送による申請も増加していることから、市民の都合のよいとき全国どこでも発行できるようになるということは、時間、手間等を考えるとメリットが大きいと思っております。
 さらに、市役所にとってのメリットといたしまして、各種資格の住所調査などは窓口においでいただくか郵送により行っておりますが、この業務が減ることにより、他の業務や市民に対しより多くの時間がとれるようになり、対応も今以上にスムーズに行えるものと思っております。
 住民基本台帳カードの活用につきましても、本人しか知り得ない暗証番号により安全性を確保した上で、住民票、転入届、その他印鑑証明などもできるようになれば、行政としても多方面でメリットが多くなります。また、このカードの交付により、転入転出の手続が一度で済むということは、利用者である市民にとっても大きなメリットでないかと思っております。
 以上、いろいろと申し上げましたが、この法案につきましては、特に個人情報の保護という点につきまして危惧の念を示される意見があるようでございますが、私といたしましては、改正案はプライバシー保護にも随分配慮されているのではないかと思っております。
 情報をこの法律で定める事務以外に使用することはできませんし、個々の行政機関の情報を一カ所に集めることも禁止されているようです。加えて、秘密保持義務者の違反には通常の違反より重い罰則があるほか、コードの民間利用も全面禁止とされているなど、個人情報の保護にかなり配慮されているのではないかと受けとめております。
 とはいいましても、この問題は情報管理に直接かかわっている行政に対する信用ということでもございますので、私どもといたしましては、より厳重な情報の管理ということを肝に銘じていかなければならないと強く感じているところでございます。
 また、政府におかれましても、こうした多くの方の懸念にこたえるため、より一層の個人情報保護対策に取り組んでいただければと思います。
 いずれにいたしましても、このシステムが稼働することにより、全国のどこの市町村でも住民票の交付が受けられるほか、恩給給付など法律で定められた九十二の行政事務について本人確認も簡単になるなど、住民サービスの面で画期的に向上することが期待されるわけでございます。
 また、将来的には、さまざまな業務への利活用なども考えられますので、一日も早く本格稼働していただきたいと思っております。
 なお、このたびの改正に伴い財政的な負担が出てくると思いますので、すべての市町村が円滑に新しいシステムに移行できるよう、政府としても十分な財政支援をお願いしたいと思います。
 以上で私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。
○団長(小山峰男君) どうもありがとうございました。
 次に、青木公述人にお願いいたします。
○公述人(青木信之君) 青木でございます。よろしくお願いいたします。
 埼玉県の総合政策部長の青木でございます。県の施策の立案あるいは行政改革あるいは市町村などに対する指導等を担当させていただいている担当部長でございます。
 本日は、住民サービスの向上と行政改革といった視点から、住基台帳法の改正に係る部分について幾つかお話を申し上げたいと思います。
 本県は知事を先頭に行政改革に取り組んでおりますけれども、そのポイントは、第一に経営感覚、コスト意識を持っていかにコストを下げるか、二番目に限られた資源、財源をいかに活用して県民の満足度を向上していくか、その二点であるというふうに理解しております。
 したがいまして、県行政は市町村の御協力をいただきながらいろいろ改革を進めていこうということで取り組んでおりますが、そのポイントは、サービスの受け手である県民の立場に立って仕事のやり方を見直していこうということでございます。
 こういう視点に立って、この法律の改正とも関係あるような諸点について御紹介させていただきたいと思います。
 埼玉県の場合、お手元に簡単な資料を五ページのものを用意しましたけれども、資料の一ページでございますが、若い県で人口もふえてまいっております。特に東京への通勤、通学者が平成七年の国調ベースで百十五万人と相当な人数に上っておるわけで、またそういう方々がさらにふえてきておるわけです。市町村間の移動ももとより、相当多くの方々が東京に行かれている。買い物で東京に行かれる方を入れればもっと多くの数になるわけでございます。したがいまして、県民に対するサービスということを考えるときに、この県民の方々の移動というのを常に頭に置いて対応していかざるを得ない、いかなければならない、こういう状況でございます。
 そうした中で埼玉独自の取り組みとして実は平成八年十月に、お手元の資料2になりますが、埼玉県情報センター新宿というものを新宿のあるビルの中に開設させていただいております。お手元にはパンフレットもお配りさせていただいておりますが、ごらんになっていただければと存じますが、東京への通勤通学者のサービスの拠点ということでこの施設を設けたところでございます。
 主な業務は、資料2に書いてございますが、パスポートの発給、住民票の写しの交付請求、戸籍あるいは医師、看護婦等の免許の申請等々、そのほか県政情報、さまざまな情報の提供をここでしようということでございます。また、この資料に書いてございませんけれども、災害時の連絡拠点ということで、東京都庁とも連携をとれる場所ということでこのセンターを設置させていただきました。
 このセンターではパスポートの発給というのが一つの大きな眼目でございまして、昨年度一年間で二万九千件、県内のパスポート発券数の約九%に当たりますが、発給させていただいております。住民票の写しの発給は千四百件程度ということでございますが、これは実は事情がございまして、住民票の方は申請を受け付けてファクスで関係市町村に送り、そして御本人に郵送で届くということで、その場で住民票がとれないということもありまして千四百件程度にとどまっておるのではないかと思いますし、また与野の市長さんからお話がありましたように、住民票の交付については市町村でも随分まめに駅前に出張所を設ける等の対応をしていただいている、そんなこともあったせいもあり千四百件程度となっていることでございます。
 この住民票の発給等の事務は当然ながら市町村の事務でございますので、この情報センター新宿は基本的には県の施設で県の職員が働いておりますから、すべての職員を九十二市町村の職員に併任させ多少無理をしてこういった事務を実施しているということでございます。実際に利用者の方々に話を聞きますと、さらにサービスを強化してほしい、もっと便利にしてくれ、住民票の発給も含めて考えてくれ、こういう声を我々も随分聞いておるわけでございます。
 この情報センター新宿と似たような話といたしまして、お手元の資料4でございますが、パスポートの日曜交付という話でございます。住民基本台帳、住民票とは特に関係がない話でございますが一例として申し上げたいわけでございますけれども、この七月から、外務省の大変な御理解を得まして、全国で初めて試行ということではございますがパスポートの日曜日の発給ということを県内のパスポートセンターでやっております。
 四日間で約一万二千件の交付をしているということで平日の二・六倍、日曜日が四割、平日が六割の発給数、こういうことに七月一カ月を見ますとなっております。極めて評判もよろしいわけでございまして、いかに県民の方々が自分がついでに交付をしてもらうといったようなことを願っているかということの一つのあらわれであろうかと思っております。パスポートにつきましては、十年に一度ないしは五年に一度発給してもらえればいい、そういうことであるにもかかわらず、県民の方々はそれでも仕事を休みたくないということを非常に強く望んでいるわけでございます。そういうことからすると、今回の住民票に関しましては、数カ月に一回取得しなければいけない場合も多いかと思います、そういう意味では今回のネットワークができれば大いに利用されるのではないかというふうに考えているところでございます。
 本県では、こういったパスポートの問題も含めて、できる限り住民の立場に立っていろんな利用法を深めていく、利用しやすい環境をつくっていこうということでございまして、例えば県庁の会議室も土日は開放しますよ、高等学校の図書館も使ってもらっていいですよ、それから県立図書館も祝日はあいていませんでしたけれどもあけます、夏休みは公園も水族館も遅くまであけますよ、こういうことをやっておりますが、とにかくニーズに合わせていこうということをさらに徹底する必要があろうかというふうに考えているところでございます。
 市町村側でもいろんな御努力をいただいているわけでございまして、住民票の発給ということについて申し上げれば、県内九十二市町村ございますけれども、九十二市町村のうち五十四の市町村におきまして支所、出張所、連絡所等を設けて住民票の交付あるいは印鑑証明の交付などのサービスの提供をしておるところでございまして、与野市の実態につきましては先ほど与野の市長さんからお話があったとおりでございます。
 そうした中で、市町村が連携をして対応していこうという動きが出てまいりまして、それがお手元の資料3でございます。お手元の資料3に、地域拠点情報センターの開設ということでまとめさせていただいておりますが、川越の駅前に拠点を設けようということでございます。
 実はこの川越、御案内のとおり西武線、東武線、JRと交通の結節点でございまして、毎日六万人の方々が通勤通学等利用されております。したがって、こういった交通の結節点にさまざまなサービス拠点を設けていきたい、これは県としてもそう願っていたわけでございまして、川越市といろいろ相談をしたところ、川越駅前に川越市の住民サービスを行う拠点がございまして川越市民のために住民票を発給する出張所があったわけでございますが、そこを少し広げてそのうち近隣地域の四市三町の方々の住民票の発給ということもできるようにしよう、こういう話になったわけでございます。
 あわせて、せっかくそういう場所をつくるのであれば、各種イベントの情報提供をそこで行えるようにするとか、県の情報あるいは県内各地域の観光情報等も提供できるような一つの情報の拠点にしていこう。県としてはそういった施設にかかる改修の費用を持たせていただいて、残りの維持管理費は全部市町村が持ちます、人については全部川越市の方で手当てしますよと非常に温かいお話で、こういったセンターもこの九月に開設される見通しでございます。いわば先ほど申し上げた彩の国領事館、情報センター新宿の川越版ということでございますが、県といたしましてはこうした拠点をなお一層広げていきたいというふうに考えております。
 ただ、ここで行われる住民票の写しも、先ほどの新宿と同じパターンで、申請があったら関係市町村にファクスで送り、残りは郵送というとりあえずのシステムですので、利用者とするとすぐに住民票がとれるということではございませんが、それでも多くの方々が少しでも利用していただければと思っているところでございます。
 これは一つの例でございますが、私どもといたしましては、今後地方分権が進む中で住民サービスの向上を図るということを進めていくためには、今後とも市町村が相互に連携していただく、その中に場合によっては県も協力していく、そういうことで対応を進めていかざるを得ないのではないかというように考えているところでございます。
 このほか、例えば図書館の共通カードをつくれないか、一部の地域においては近隣市町村間で図書館の共通カードを設けてその共通カードの対象となる市町村の図書館の利用ができるようになっておりますが、それをさらに広げられないだろうか、さらに文化・スポーツ施設の相互利用といったような点もさらに考えていくべきものかというふうに考えております。
 この市町村との連携ということに関しては、埼玉県独自の取り組みとしては、この七月に県と九十二市町村が構成団体となっております人づくり広域連合なるものが設立されまして、広域連合長は隣に座っております与野の市長さんでございますが、分権が進みますとなかなか人材の手当てが大変だ、人が少ないところでは介護、ケアといってもなかなか専門職の方がおられない、OT、PTもおられない、そういったところにこういったところから人を派遣しようあるいは育成していこう、相互に交流していこう、研修も大きなパイでレベルの高いものができるのではないだろうか、そういったような観点から人づくりを対象とする広域連合をつくったわけでございます。これも今後県と市町村の連携をしながらサービスを向上していきたいという一つの目標を持った取り組みの一つでございます。
 そういう取り組みと同時に、埼玉県における情報化ということもこの住基台帳法の改正と随分絡んでこようと思いますので、資料5でございますが、県としても、行政としての県だけではなく市町村も含めた情報化の推進ということに取り組んでおるわけでございます。県のホームページへのアクセスも一年間で二十三万件と随分ふえておりますし、それから行政の申請も今後電子申請といったようなことになってこようか、そういう状況でございますので情報化を進めていくわけでございますが、特に我々としては県民サービスの向上とコストの削減、これがこの情報化の推進の一つの眼目であるというふうに考えております。
 したがいまして、県民の方々がある場所に来ればすべて用が足せる、あるいは在宅でも一定の情報は確保できる、そういう体制を確保できるような取り組みを進めていこうということで、この資料5にございますように埼玉県情報化推進計画といったものを定めて今対応を進めているところでございます。
 現在の状況といたしますと、情報センター新宿のほかに県庁内にLANを整備いたしまして、本庁で今部分稼働ということで、これが本格的な稼働をしてまいります。そのほか市町村等を結ぶネットワークとしては、彩の国情報ネットワーク。県、市町村間の行政事務情報の相互交換、それと公立文化施設どこどこでどういう行事がやっていますよ、チケットはどこどこで買ってください、まだあきがありますよ、そういった情報の提供をするようなネットワークを整備しているところでございます。こういったネットワークをさらに整備、強化していく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
 例えば、スポーツ施設、文化施設でどこにあきがあるかというのを市町村施設、県立施設を含めて一覧できるという施設があれば大変便利だと思いますし、これからの高齢化社会を迎えて、介護ニーズの把握といったものももう少し明確にコンピューターでできることもまた重要なのかもしれません。あるいは、地味なことではありますが、運転免許証等についても即日交付というのをできる限り広げていこう、そういうことも含めた今取り組みを進めているところでございます。
 そうした中で、この資料5の今後の方向あるいは最後の埼玉WANの整備と書いてありますが、市町村とのネットワークの整備というのがどうしても必要になってこようかというふうに考えております。ただ、このネットワーク自体は恐らくこの住民基本台帳のネットワークとは別のものになるだろうというふうには考えておりますけれども、いずれにしても、県としてもこの情報インフラの整備というのをいろんな形で市町村と連携をして進めていかなければならないというふうに考えております。
 そうした中で、今回のこの住基台帳ネットワークというのは、ある意味で非常に流れに乗った、時機を得たものというふうに私どもは理解をしておるところでございます。
 こうした仕組みが構築されるならば、先ほどの多少県民の方々に不便を申し上げている埼玉領事館、情報センター新宿における住民票の交付の実態といったような問題も解決できるわけでございますし、また経費の節減という点についても大変大きな効果があるのではないだろうか。実際に事務に携わる方々の人件費も含めて考えると、かなり大きな額になるのではないだろうか。今地方団体はどこの県でも相当な無理をして経費節減努力を人件費も含めてやってきておるわけでございますが、そういった点でも無視できないことと思います。
 私ども、今後の県民サービスの向上という点では、距離そして時間、また距離という中には社会との距離、高齢者等社会的弱者の対策を含めたそういった距離を埋めていくバリアを克服していくサービスの実現ということが一番重要なことであろうかというふうに考えております。
 したがいまして、今回のネットワークというのはそういう意味で非常に大きな意味を持つと思いますし、社会的弱者の方々から見れば、本人の確認という点では非常に重要な要素を持っているというふうに考えております。
 県といたしましては、個人情報の保護ということに徹底して取り組んでいただきまして、このネットワークが我が国におきます地方相互の先導的なネットワークとして確立されるということを望むところでございます。
 私からは以上でございます。
○団長(小山峰男君) どうもありがとうございました。
 次に、品川公述人にお願いいたします。
○公述人(品川寛子君) 品川寛子でございます。
 専業主婦でして、ボランティアをしております。
 ここにあります埼玉県北埼玉地域県政モニター協議会もボランティア活動の一つでございまして、そのほか、町で子供たちを集めて子供会の育成会の会長をしたり、あと老人給食サービスということでひとり暮らしのお年寄りの給食を宅配する、そういう活動もしております。そのほか障害のある方、心身障害それから知的障害、老人であろうと何であろうと、子供からお年寄りまですべて含んだボランティア活動で日々送らせていただいております。
 私が住んでおりますところは、利根川が五十二年ほど前でしたでしょうか切れたところであります大利根町でございます。昭和五十一年、アメリカから引き揚げてきまして初めてその町に住みました。その町に住みましたのも自然があって豊かなところだと思って住んだわけですので、本当にきょうこのような場所にただ普通の一般の主婦がこういう場をいただけたということが大変ありがたく、そしてまたうれしく、感謝しております。
 何がここでお話ができるか本当に正直を申し上げますと考えましたけれども、今私が考えていること、思っていることを正直にお話しすればそれで一番いいのかなというふうに思いましたので、いろいろ不行き届きの点、失礼な点も多々ございますかもわかりませんが、その点お許しいただきたいと思います。
 そのように私は日々それこそ朝から晩まで主婦でありながら地域の中に暮らしているわけですので、その暮らしの中でふと思ったときに、今回いただきましたテーマで、住民票を私がいつどこで一番先に手にしたのかなということを思い起こしてみました。そのときに私が思い当たったのは、高校を卒業して大学に入るとき、親元を離れたときに、そのころはまだ米穀通帳と一緒に持ってその大学の市役所に行ったことを覚えております。それから、たびたびあちらこちら、家に帰ってみたりお勤めをしたり結婚したり、それからアメリカまで行ってみたり、また日本に引き揚げてきたり、私が生きていく中で住民票というものが大変大きい役を果たしていたなと思います。
 今でこそ米穀通帳がありませんのでこれは本当に楽になったような気がするんですが、次々利用していく中で、転入の場合は十四日以内、転出もそうだったでしょうか、何か転入の場合は十四日以内にするんですよということを書かれておりますと、ついつい、ああ、やっぱり十四日以内に行かなくてはというふうに常に思っておりましたので、これがもっと広いところで取れるといいなというのは常々思っておりましたが、最近とみに思うようになっております。
 と申しますのは、それと同時に、私に娘がいるんですが、この子が浪人をしたときに彼女の身分証明書になるものがなかったんです。それで、ああそうだ、子供もそうだけれども、主婦である私にも、運転免許証はございますが、主人と一緒になっている保険証はありますが、私自身の自分であるということのあかしである身分証明はないなということにそのときも気がつきました。それで、私の娘だけではなくて、浪人をしたり例えば高校を中退した子供たちには学校の出す学生証がございませんので、これはもしかしたらその子たちは自分の身分証明がないんじゃないかなと思いました。保険証であらわすしかないということに気がつきました。
 それとまた、海外で、アメリカで生活しているときでしたが、ソーシャルセキュリティーがないと本当に困るわけで、私も向こうで入院したことがありますし、あちらで近くの銀行で口座を開くときもそれが必要でしたので、本当にそのときは何が何だかわからなかったんですけれども、ありがたいなと思っておりました。
 そのような形で暮らしの中で考えてみると、私たちだけではなくて多くの人たちが、先ほどから出ております恩給であれ年金であれ、例えば現況でしょうか、あなたは生きていますか死んでいますかというああいうようなものを自分が報告しなくてはならないときに、やはりお年寄りの場合は非常に困難であるということがよく言われます。
 先ほどから話していますが、老人給食の場合は、五十四年ぐらいに、それこそまだ埼玉でもどこでもやっていないころ、しかも在宅で家に運ぶというようなことをしているグループはありませんでしたが、長いこと続けている中で、ひとり暮らしのお年寄りが一番困るのは、ちょっと役場に住民票が要るんだよ、何か届けで判こが要るんだよというとき、その人たちは本当にだれに頼んだらいいのかなと。もし同居している方がおられれば、同居の孫にお小遣いを上げて悪いけどちょっと休んで連れていってくれないとか、お嫁さんに頼んだりしているみたいですが、ひとり暮らしの方の場合は本当にこういうことが大変困難になっております。
 それともう一つ、私は老人給食だけではなくてほかに俳句なども少しかじっているんですが、その俳句を教えてくださっている先生が昨年定年になりまして、ひょっと気がついてその方は運転をしないものですから、先生は一体何で身分証明してもらえるんですか、何か身分証明はありますかとお聞きしたら、ありませんと。世間では名が通った方であっても、例えば会社とか学校とか何かそういうものでその方の身分証明が出ればこそ、男性も運転免許証がなくても何とかふだん常に身につけていますからいいんでしょうが、退職すると本当にパスポートもしくは運転免許証がないと常に確認ができないというようなところがあるわけです。
 それからまた先にもう一つ進んで考えてみましたら、もしかしたら中小企業の方にしても農業をなさっていらっしゃる方にしてもそういうことが起きているのではないかなと思いました。どれがどうとか難しいことは私などが話すことではないと思いますので、サービスを受ける側として私は今ここで話させていただいているわけですから、それは女性の中でも、たとえ専業主婦でなくてパートに出ている女性の方にしてもそれから非常勤で働いている女の人にしても、やはりそのところからは身分証明はもらっていないんです。
 ですから、こういうふうな形で今度新しく住民基本台帳法を一部改正して少し違う形で進んでいくというならば、またこれもいろいろ問題はあるとしても、そういう私たちのような者たちにとりますと非常にありがたいなというふうに思っております。パスポートを持っているか、運転免許証もしくは国が出すであろう各種免許証がない、または保険証が常に携帯できないというような場合には、私は今度のようなカードもあってもいいのかなというふうに考えております。
 この話を伺ってから、身近の人何人かにどう思うって聞いてみました。そうしましたら、これがプライバシーの方でどういうふうな形になっていくかというのが一番皆さんやはり心配していらっしゃいましたけれども、私は、プライバシー保護のためにデータ保護法として法律の上できちんとしてくだされば、そしてまた県、市町村のレベルでは条例できちっとしていただければありがたいと思っております。
 それと同時に、私は自分自身が「私が私であるために」と四番目に書いておりますが、これは、例えば郵便局で郵便物を配達してきて留守になりますと、書留だとか小包のときにはとりに来てくださいというのが入ってきます。それで行きますと、必ず身分証明を出してくださいと言われるんです。そのときも、私が私なのになと、だけれども私は免許証を出しますからパスしますけれども、こういう例は多々あるのではないかなと。そして、それと同時に、私は、やはり自分が自分であるということは、例えば主人の保険証の中の一員として提示するのではなくて、自分は自分としての提示ができる身分を保障されるというのはうれしいなと思っております。
 それから、プライバシーもどうかしますと自分自身、個人にも責任がある場合があるのではないかと考えております。気がつかないうちに自分がプライバシーをさらけ出してしゃべっていたり、記入していたり、それがどこかで回り回って返ってきているということも自分自身がちゃんとわかった上でそれを選択することも必要ではないかと思います。
 きょうここに来ることで主人にこの話をしました。基本台帳の住民票をとるのに、普通の人だったら半日ぐらいお休みをして、例えば東京に通っている方が私どもの町でとろうとすると半日は休まなくちゃならないよね、だからこういうのができてどう思うと言ったら、本人はいつも私にとりに行ってくれと頼んでいるわけですから、余りぴんとこないようなところがあるんです、男性は、はっきり言いますと。多分いつも奥さんやだれかに頼んでいたり、もし偉い方でしたら秘書かどなたか代行のできる方にお願いしているわけですから、余りぴんとこなかったみたいで、とんでもない、私はそのために結構あなたのために時間を費やしていますよと言っておりましたら、ああそうだね、そう言われたらそうだねというふうに我が家の中では話がまとまりました。
 きちんとした話もできませんが、お年寄りが、痴呆の方が自分の帰る家も忘れ住所も忘れさまようこともありますし、そして本当にひとり暮らしですと緊急で倒れたときにこの方がどういう状況なのかということもわからないことも多々あります。プライバシーをきちんとそれこそこれ以上ないと言いながらなさっていても一〇〇%ということはないかもしれませんが、やはり私は何かをするときには勇気を持って前に進んでいくということも大事ではないかと思います。
 以上でございます。
○団長(小山峰男君) どうもありがとうございました。
 次に、江原公述人にお願いいたします。
○公述人(江原昇君) プライバシーアクションの運営委員をやっております江原と申します。よろしくお願いいたします。
 本日はお招きいただきましてまことにありがとうございます。本来私の役回りというのは、今回の法案がプライバシーをいかに侵害するのか、この辺を申し上げるべきであろうというふうに思うんですが、一方で私は練馬区役所の区民部管理課の職員といたしまして十六年間住民基本台帳事務に従事しております。その立場から今回の法案を見ますと、法案そのものに相当の問題があるというふうに認識しております。これらを具体的に検証し、申し上げることによって、翻って衆議院の方では包括的な個人情報保護を行うんだという修正で通過されましたけれども、それだけではとてもこの法案は及第点には達しないんだということを論証していきたいというふうに思います。
 時間が余りございませんので、それぞれかいつまんだ説明になると思いますが、質疑の中で不足した部分については説明を申し上げていきたいというふうに思います。
 資料の方、二ページ目をごらんください。六つのポイントの一つ目でございます。本法案は、市区町村での営みの成果を簒奪する極めて問題の多い法であるということです。本法案が成立する前提として九八%以上の自治体、九九%以上の人口が既に住基電算として電算に登録されている、これが前提になるのが当然でございます。
 しかし、これらの電算は各市区町村がそれぞれ独自に頑張ってつくり、維持発展させてきたシステムでございます。練馬区では昭和六十年、一九八五年の二月に電算化を稼働いたしました。その際はすべて一般財源です。区民のために使うべきお金をどこに割り振るのか練馬区として決め、そして使ってきた。区民の利便と福祉の向上のために使ってきたわけです。
 その際に、私どもは個人情報保護条例、電算条例をあわせて施行いたしました。そこではオンライン結合の禁止というのを明言してございます。原則ということではなく、すべてにわたって禁止しております。つまり、今回審議されております法案であるとかあるいは国民総背番号制、こういったものにつながることを目的としたわけではありませんよということをうたって電算化したわけです。
 今回法律が変わってネットワークを結ぶということになりますと、私どもがこれまでつくってまいりましたシステムの目的外使用ということになります。したがいまして、システム修正に要するお金だけではなく、これまで私どもがシステムをつくるに当たって使ってきた区民の税金、これをやはり国から返していただくのが筋ではないかというふうに私は思います。
 二点目です。住民にとってのメリットも実は極めて少ないんだということについて申し上げていきたいと思います。
 住民票の広域交付、確かに便利になる方がいらっしゃることは事実でございます。しかし、法案の中では、本籍の省略した住民票しか交付ができないというふうになっております。この理由は私ども全く聞いておりません。窓口で何でこれ本籍入りが出せないんだと言われても、法律にそう書いてあるからですという以上の説明はできません。
 では、本籍の入っていない住民票はどのような役に立つのか、あるいは本籍がないと何に困るのか。本籍の省略等ができるようになりましたのは、昭和六十一年に施行された法改正です。そのときに、国の質疑応答集ということで自治省の振興課長通達が出ております。その問二十二の中では、官公署に住民票の写しを提出する場合には本籍や続柄の記載を必要とする場合が多いのでということで、次ページに掲げてございますけれども、三十九の事務が本籍の記載が必要だ、二十九の事務が続柄の記載が必要だというふうに例示をされております。これで済むわけではございません。これ以外にたくさんございます。
 本人確認情報の提供先として九十を超える事務が掲げてございますけれども、そこの事務に該当される国民の方々と昭和六十一年の質疑応答集に載っている事務、免許証、パスポートあるいは高齢になっての年金の裁定請求など非常に多くの国民の方々に影響する事務、これらは本籍や続柄が必要だというふうになっているわけです。広域交付での住民票では役に立ちません。また、九十二の事務に提供される本人確認情報、四情報しかありませんから、これも役に立たないんです。不思議なことに、この別表の方に手書きでつけました米印マーク、これは九十二の事務に入っております。
 そうしますと私どもは、本来必要のない本籍や続柄の入った住民票を今出しているということになるのか、あるいはまた法が施行されてもこれらの事務については本籍や続柄の入った住民票の提出が改めて求められるのか、どちらかだろうと思います。住民票の広域交付や本人確認情報の提供によるメリットは極めて少ないんです。
 また、転入届が一回で済むようになるというお話がございました。これは先ほどの与野市長の御発言にもあったところでございます。しかし、今回の法案を正しく読みますと、一番、カードの交付を受けている人が、二番、政令で規定する事項を付記した転出届を提出した場合に限って、三番、転入届に添付すべき転出証明書のかわりにカードを提示すればよいということなんです。
 一番、二番、三番とありますが、宣伝されておりますのは一番と三番だけです。転出届は引き続き必要です。そしてまた、現行においても転出届は郵送でできます。現在でも窓口においでいただくのは一回だけでいいんです。一回だけになるのではありません。利便性がこの点について極めて疑問でございます。
 さらに、事務が軽減されるというふうに言われておりますけれども、私どもの区では、例えば一番込んでいる日、転入届が一日で七百九件ございました。七百九件の転入届をすべて、あるいは半分でもいいです、このカード方式で転入届があった場合に、転出証明書をお持ちの場合には転出証明書と転入届に書かれた内容を確認すれば転入は受け付けできるんです。職員の数をふやしていけばお客さんの待ち時間を短くすることができます。
 ところが今度は、仮に大宮市から練馬区に転入された。カードを持ってきた。私どもは大宮市に対して電気通信回線でデータを送ってくれというふうにまず通信を流す。そして、大宮市から電気通信回線で練馬区にデータが来る。それが届いて初めて受け付けができるんです。電気通信回線の能力がどれぐらいあるのかわかりませんけれども、職員の数をふやしたって能力には限界があるんです。お客さんの待ち時間は膨大になります。どうかすると一日で済まないかもしれません。七百人の方がいらして、これに三分ずつかかったとしても二千百分。あるいはその間に住民票の広域交付もあります。練馬区から転出された方へのデータ送信もあります。私どもの窓口は確実にパンクいたします。
 これらの利便性につきましては五年以内の実施というふうになっております。このためには大変金もかかります。三年後に本人確認情報のセンターへの集約はされても、果たして五年後に住民の方の利便性が実現できるかどうか、私は担当者として全く自信がございません。
 次に行きます。三番の政令、省令への委任が極めて多く、国会の権限を軽視したものである。
 今回の法案の中では、政令、省令への委任が極めて多い。全部で五十三の事項が政令、省令委任になっております。この委任につきましては、六ページ、七ページに一覧表として付してございます。例えば、プライバシー保護のために専用回線を使うとか暗号化をするとか、そういったことはすべて政令、省令事項でございます。法律には書いてございません。
 一番妙だなと思いますのは、本人確認情報の提供先として掲げられております九十二の事務、これは厚生省もあったり労働省もあったり各省庁にわたるわけですね、これがすべて自治省令で規定するとなっております。変だと思いませんか。厚生省の事務についてなぜ自治省令で規定をするんでしょうか。住基事務の中には戸籍の付票というのがございます。この戸籍については法務大臣が主管されている事務です。戸籍の付票に関する部分について現行法では、自治省令と法務省令というふうになっております。法務省令、自治省令によって戸籍の付票の交付の仕方などは規定するというふうになっております。それならば、本人確認情報の提供について厚生省令、自治省令あるいは労働省令、自治省令というふうにするのが筋じゃないでしょうか。あるいは、少なくとも政令にするべきです。
 そしてまた、カードの交付を受けた人について、例えばカードに記録された内容の変更があった場合に届け出が義務づけられるのではないかというふうにうわさされております。事実かどうかは私はわかりません。しかし、住基法の目的は、一つの異動があった際にその届け出が一回で済むようにするというのが、住民登録法から住民基本台帳法に変わったときの趣旨です。カードをお持ちの方が本籍地で、例えば養子縁組みをした、婚姻届をした、名前が変わった、カードの書きかえのために再度自分の居住している市役所なり区役所なりに行かなければいけない。新たな義務が加わるわけです。それも法令には何も書いてございません。政令でそれをやろうとしている。一回で済ませるための法律なのに、それに違反するような政令が出てくるとすれば、それは間違いだろうというふうに思います。
 八ページに行きます。閲覧に供される四情報と本人確認情報、これは質が違うんだということを申し上げたい。
 住基法の第十一条では閲覧が可能です。だれでもできます。住所、氏名、性別、生年月日、これは見ることができるんだから本人確認情報はこれはプライバシーではないという論議がありますが、私はそれは違うと思います。閲覧では現在の情報しか見られません。ところが、本人確認情報では政令で定める期間データが蓄積されます。したがって、前の住所あるいはその前の住所も把握ができるわけです。そうしますと、例えば刑務所にいた方、精神病院にいた方、これらもわかるんです。あるいは大学、高校の寮にいた方は学歴もわかる。宗教団体の設置した施設に住民登録を置いていらっしゃる方もあると思います。そういった方は自分の信仰している宗教もわかります。蓄積された情報というのは現在の情報を閲覧できるからいいんだということとは全く質的に違うんだということを申し上げたいと思います。
 五番目、本人確認は住民基本台帳法の趣旨とはなじみません。カードの問題です。カードについて法律に書いてありますのは、転出届のときの省略と住民票の広域交付、あとは条例だけです。これらの交付であれば、その転出証明書が本人でなされたものであるかどうかのその程度の注意を払えば交付をしていいんだなというふうに思っておりましたところ、そうではない。自治大臣あるいは自治省の方々がおっしゃるには、厳格な本人確認手段であると。
 住民基本台帳法の目的はだれがどこに住んでいるのかを証明することです。今、目の前に来てしゃべっております私が本当に江原であるかどうかを証明することは、住民基本台帳法の本来の趣旨ではありません。こんなことは原理的に不可能なんです。練馬区で六十五万人いて、目の前に来たお客さんが本人であるかどうかなんて私どもわかりません。
 もしも間違えて他人に渡してしまった場合、そして自治大臣がおっしゃるにはこれは厳格な本人確認手段なんだと、江原と書かれたカードを持ってきたから私は江原さんにお金を貸すんだなということで金を貸した。ところが、そのカードを持ってきたのは江原本人じゃなかった。練馬区さん、練馬区長さん、これはもう練馬区長さんが間違えてカードを渡したんだから損害賠償してくださいよということだって十分あり得ると思います。私どもがどこまでその責任を果たさなければならないんでしょうか。
 六番目、今回の法案の問題はさまざまございます。個人情報保護についての十全な措置をとったというふうに言われておりますが、私の言葉では縦のネットワーク、横のネットワークと言っております住民票の広域交付や転入届の際のデータの送信、これらは本人確認の四情報、六情報以外のデータも、例えば続柄であるとか戸籍の表示、住民となった年月日、その他幾つかの情報が相互送信されます。このデータを漏えいした場合の罰則は法案の中には全くありません。
 これについてかつて、私も自治労の組合員ですので、自治省のヒアリングを行いました。そこでこの質問をいたしました、その場合の罰則はどうなりますかと。地方公務員法の守秘義務違反だということなんです。こちらの罰則は一年以下の懲役または三万円以下の罰金です。本人確認情報は二年以下の懲役または百万円以下の罰金ですよ。全く差がある。果たしてこのような状態でいいんでしょうか。
 あるいは、今回地方分権に資するものだ、都道府県の事務なんだから。都道府県の事務だといっても、そのほとんどは指定情報処理機関に委任をいたします。委任をした場合にそっちがやります。委任をしない自由というのが法的に確保されているならば、都道府県が主体的な判断で委任をするしないを決めればいいんです。ところが、今度の法案の中には委任をしない自由というのがありません。時間がありませんのでその内容については質問があればお答えしたいと思います。
 さらに、住民への罰則も強化されております。現在、届け出十四日以内をおくれた方の罰則は五千円以下の過料です。今回の法案では一挙に五万円になります。これも一年以内の施行というふうになっております。
 世の中には住民票の移動ができない方がいっぱいいらっしゃいます。例えば、家庭内暴力で夫の暴力から逃げ出している方。転入届を出しましたら夫は確実にその住所がわかるんです。だから転入届を出さない方がいっぱいいる。さきに地域振興券の交付という事務がございました。その際にもそういった方々について自治省から特段の指示がございました。そういった母子家庭にも三万円の交付券を配るようにと。三万円の交付券をもらっても、そういった方々が問題が解決して転入届を出したら五万円の過料がかかります。こういうのを血も涙もない政策だというふうに申し上げられると思います。
 そのほか法案にも矛盾がございますけれども、時間がございません、割愛をしたいと思います。
 最後のページ、まとめでございます。
 こういった六点の問題を概括しながら、次のような仮説が浮上してまいります。今回の法案について自治省の目的は、全国民にオリジナルな番号を振るその作業とその番号の使用対象をみずからの手で管理すること、同じく自治省が規格を決めるICカードを国民に配付するその端緒をつくること、この二点にあったのではないか。一方で、地方分権という時代でございますので、これを自治省が全部やるんだということはさすがに言えなかった。それで都道府県の事務というのが新設された。ただし、新設されてもそれは全部管理運営を握っている指定情報処理機関の方に事務は集約される、それ以外の道については極めてずさんな法案になっている。それだけでもまだ国民の理解は得られない。国民の理解を得るために利便性というものを前面に打ち出している。しかし、その利便性というのが十分検討されたものでないというのは今申し上げたことからもおわかりいただけるだろうと思います。
 この仮説が当たっているかどうかは私はわかりません。しかし、こういった懸念を現場の職員として持っているというのは事実でございます。これらを十分国会の中で審議していただきたい。時間がないというのであるならば、一遍廃案にして改めて国民的な議論をしていくべきであろうというふうに思います。
 御清聴ありがとうございました。
○団長(小山峰男君) どうもありがとうございました。
 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
 なお、委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
 また、御発言は私の指名を待ってからお願いいたします。
 それでは質疑のある方は順次御発言を願います。
○釜本邦茂君 自由民主党の釜本邦茂でございます。
 まず、貴重な御意見をいただきました四人の公述人の皆さんに厚くお礼を申し上げます。
 まず、与野市長の井原公述人にお伺いいたします。
 与野市におかれましては、従来からコンピューター技術を活用して土曜日にも住民票を市内三カ所で交付されていると今お聞きしましたが、現場の地方自治体の長として常に住民の立場に立ち住民サービスの向上に努力されている姿に心から敬服する次第であります。
 お話の公民館などでの土曜日の住民票交付につきましては、コンピューターのオンラインネットワークという技術があって初めて可能になるものでありまして、技術を住民サービスの向上に活用した効果的な例の一つであると考えます。今回の住民基本台帳ネットワークにつきましても、まさに最新技術を活用して住民サービスの向上を図ろうとする点で同じ方向性にあると考えております。
 そこでお尋ねしますが、行政改革を進めながら住民サービスの向上を図るためには、コンピューターや通信などの最新技術を積極的に活用すべきだと考えますが、井原公述人の御意見をお伺いしたいと思います。
○公述人(井原勇君) 今のコンピューターの発展は本当にすばらしいものだと思います。今コンピューターがなかったらこの社会が成り立たないというくらいになってきております。
 私は、地方自治体あるいは政治関係においてどれだけコンピューターを有効に活用しているだろうかと思ったときに、私どもで考えられる範囲内の事務はほとんどコンピューター化いたしました。しかし、まだまだ合理化しなければならないものは多くございます。と申しますことは、これから特に福祉業務等広域行政も必要でございます。そういった意味におきまして、コンピューター化することによって住民サービスの向上、これはさらにさらにしなければならないというふうに思っておりますので、私はもっともっとコンピューターを有効に効率的に活用することを考えるべきではないかという考えでございます。
○釜本邦茂君 ありがとうございます。
 私も社会人になりまして初めて会社に勤めたときの職場がコンピューター導入に対することでございました。その係でございました。しかし、余りにも当時横文字がたくさんあったものですからこれは私の性に合わないということで、あのときもうちょっと勉強しておけばよかったなというようなことを今さらながら思うわけでございます。
 次に、埼玉県の青木公述人にお伺いしたいと思います。
 埼玉県におかれましては、県が率先して市町村と連携し埼玉領事館を初め住民サービスの向上のための施策に積極的に取り組んでおられ、大変参考になるお話でございました。改正法の住民基本台帳ネットワークは都道府県と市町村が共同してつくり上げるネットワークでありまして、都道府県と市町村との連携を全国規模で促進するものであると言えるのではないかと思います。地方分権時代において地方自治体が真に地域のニーズに合致した施策を展開するためには、各地方自治体においてそれぞれ創意工夫を行いつつ、必要に応じて広域的地方自治体であります都道府県と市町村とが連携、共同することも必要かと思います。
 そこで、公述人にお尋ねしますが、埼玉県では住民サービスの向上のための県、市町村の連携について、先ほどお触れになりましたが、青木公述人といたしましては、二十一世紀を見据えてどのようにお考えでありましょうか、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(青木信之君) 県と市町村の連携という点でございますが、とにかくお金がないわけでございます。そういう中で、県民のいろんなニーズにしかも分権が進む中で対応していかなきゃいけないということでございますので、私ども県と市町村が協力していかに効率的な仕事をしていくか、その体制をつくり上げていくかというのがこれからの最大の課題である、そういう認識のもとに知事のもとにやっておるわけでございますが、具体的には二つあろうかと思うんです。
 一つは、いろんな仕事についてできる限り助け合って工夫をしてやるということだと思います。具体的には、例えば道路一つをとっても、県道をどうせ整備するならば関連市町村道が一体的に整備できるようなところから順次整備していくとか、あるいは環境問題であれば野焼きとかいろんな問題がありますけれども、これも市町村、県の事務を離れてお互い協力していくといったようなことがあろうかと思います。
 二番目には、各市町村独自の対応ではもともと難しい、特に中小の市町村では対応が難しいという話が多うございまして、それにしかし市町村は胸を張って対応していかなきゃいけないというのがこれからの時代であろうかと思います。その後押しをしてやるという点で、県と市町村の連携というのがこれからなお一層必要になろうかと思っています。特に、福祉の分野ではどうしても専門的な人材というのが要るわけでございまして、そういった方々に対する対応というのはある程度県がして支えていかなければ間に合わないだろうと思いますし、先ほど申し上げた人づくり広域連合ということの設置もそういった考えに基づくものであろうかと思います。
 またもう一つ、いろいろ広域的な取り組み、せっかく市町村もいろいろな公共施設がございます、県もございます、少しでも多くの方々に使っていただく、あるいはいろんな意味でのサービスの向上を図るためには広域的な連携というのはなお一層していく必要があろうかと思います。
 そういう意味で、今後、県と市町村がなお一層連携していく、市町村間の連携も深めていただく。与野の市長さんにもお願いしているんですが、与野は下水道の普及率が一〇〇%です。近くの市ではまだ三〇%のところもございます。そうであれば、専門的なノウハウのある方々を派遣してもらえないだろうか、こんな今お願いもしているわけでございますが、そういった連携を含めて今後いろんな行政サービスの向上が図れればと考えているところでございます。
 以上でございます。
○釜本邦茂君 この件につきまして、市町村側といたしまして井原公述人はどのようにお考えでございましょうか。
○公述人(井原勇君) 済みません、もう一度ちょっとその質問の内容の意味を教えていただきたいんですが。
○釜本邦茂君 青木公述人が今県側の御意見を御発言になったわけでございますが、市町村側の代表としては県とどのようにうまく連携していくかということについて。
○公述人(井原勇君) これは私ども、県と市町村、九十二市町村がございますが、どちらかというと九十二市町村は多過ぎると思っております。もっともっと本当は合理化されるべきだろうと思いますけれども、とにかく県と連携していろんな事務を、特にこれからの介護保険とかいろんな事務を連携するためには、やっぱり県との連携は十分にとっていかなければいけないと思っております。
 今、各市が余りにもコンピューターをそれぞれが別々に導入してしまったので、ソフトがみんな別々でございます。そんな関係が、ある意味においてはやはり系統立ててということもございませんけれども、県との仕事がスムーズにいくようにもう少し改良すべきではないか、私はそのように思っております。
○釜本邦茂君 次に、品川公述人にお伺いしたいと思います。
 まず、生活の現場からの貴重な御意見をありがとうございました。私も実生活の中で住民票が必要だということになりますと、家内にとりに行ってこいというようなことで、簡単にそういうぐあいに言っていた者の一人でございますけれども、グローバリゼーション、国際化が本当に進んでいく中で個人の自立ということが言われておりますが、個人の自立ということを考えますとき、先ほどお話がございましたように、本当に自分自身が何者であるかということの証明が非常に重要であるというぐあいに思います。本当に名刺一つ出して私はこういう者ですと言っても、それが本当にその人のものなのかどうかというようなことも疑問に感じるようなときもなきにしもあらずじゃないかというぐあいに思います。
 その点、住民基本台帳カードは国民のだれしもが身分証明としても活用できる唯一の仕組みではないかというぐあいに思います。そしてまた、非常に多くのメリットをもたらすことになるかと考えております。
 そこでまず、海外居住も経験されている品川公述人に、先ほどお話にございましたような個人の自己証明ということについてどのようにお考えになっているのか、また海外居住の経験、ボランティア活動などの経験を踏まえお話ししていただければと思います。
○公述人(品川寛子君) おっしゃるとおり、本当に自分自身を自分であるという証明が非常に難しいのがやはり海外でしたし、外にいると常にそれだけ意識しない日本というものを大変意識せざるを得ないところにおりました。常にパスポートがないと私が私でなくなるんだなという思いがありましたから、私は本当に自分自身の証明が必要だと常に思います。
 それと同時にまた、おっしゃってくださいました個人の確立といいますか自立といいますか、私は常に個の確立ということを考えております。私は常に大勢の子供たちを預かってジュニアリーダーの研修だとかいろんなことをさせる中でも、子供たちにそれを常に言っております。みんなね、それぞれ個人個人は違うんだけれども、そこで自分自身がしっかり足を地につけて、自分で物を考え自分で判断でき、そして人のせいにしないで自分で何かをできるようにする、それが大事なんだよ。それができて初めてみんなで協調して団体もいろんなことができるんだよというふうに私は小さい子供たちに話してきておりますから、本当に個の確立、個人が自分で自立するということがひいては、子供のときからそうしていますと、年をとって泣かない老人ができるのではないか、すべて人のせいにするのではないという、そういう人間ができるのではないかと思っています。
 そして、海外でそれこそ昭和四十七年から五十一年までニューヨークに住んでおりましたので本当に古い古いアメリカにおりましたけれども、その中でいまだに忘れられない出来事は、オイルショックのときに本当にガソリンがなくなって、あれだけ車でなくては動けないところが、ナンバーできょうは奇数きょうは偶数というようなことが出されたときに、それをみんなそれぞれが守ったということ。そして、どんどん品物が上がってなくなっていったときに、ここはね今みんなが我慢したら値段が下がってくるんだからという張り紙があったり、お互いが話し合ったりしていって、それが実現できたときに、ああ、アメリカという国は、確かに国もでしょうけれども、それぞれの個人が、まず自分が何をするか自分の責任は何なのか自分が何ができるか、義務を果たすこと、権利を主張するならば義務も果たさなくてはいけないんだということも身につけていたなということをとても思いました。
 それで、今おっしゃいましたように、私はこのどれでも同じような、どなたにも平等に与えられるであろう、それはいろんなカードの中で、また本人が申告してもらえるのかもわかりませんが、システムとしてはどなたにも平等にあるということは大変ありがたいし、本当にいいと思っております。
 以上です。
○釜本邦茂君 ありがとうございました。
 ボランティア活動にも非常に積極的に弱者に対する活動をなされているということを先ほどお話を聞きました。私ごとではないというぐあいに思うんですけれども、二〇〇二年にワールドカップがこの埼玉県でも開催されるということでどうしてもたくさんのボランティア活動の皆さん方の御支援を賜らなきゃいけないということもあろうかと思いますので、ひとつまたよろしくお願いしたいと思います。
 次に、江原公述人にお伺いしたいと思います。
 貴重な御意見をありがとうございました。これまで非常に長きにわたって委員会審議の中で、情報のセキュリティーの問題がたびたび取り上げられております。本人確認情報が外部に漏えいする可能性として、先般の技術者の方々のお話では、技術上ではほとんど問題はない、しかし人的なことで介在した場合に情報の漏えいがある、こういう御指摘がございました。過去の実例でも、内部の職員の方々の介在している例があるとされておりまして、今回の改正で全国ネットワーク化すれば一層危険が高まるという懸念が表明されているものであります。
 しかし、私が見るところでは、各市町村においても住民基本台帳事務が電算化され大量の個人情報がスピーディーに処理されるようになってからかなりの年月が経過したにもかかわらず、日々の業務量から考えれば、むしろその漏えいの例はまことに少ないと言えるのではないでしょうか。
 そこで、公述人にお伺いしますが、日本の公務員のモラルは決して低くないのではないか。むしろモラルは高く、個人情報の取り扱いについても十分に信頼してよいのではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。
○公述人(江原昇君) 同感です。極めてモラルは高いというふうに思っております。
 ただし、何百万人かいる中で全く悪人がゼロだというふうに言い切れる状況ではないと思います。そして、今回の法案で、全国の住民票とネットワークを持てるそこのポストにたまたま悪人がいた場合、従前であれば、練馬区であれば六十五万人の情報しかないけれども、今度は一億二千五百万人のデータをその気になれば漏えいできるということは極めて問題だろうというふうに思います。
○釜本邦茂君 ありがとうございました。これで結構です。
○藤井俊男君 おはようございます。民主党・新緑風会の藤井俊男でございます。
 日ごろ、地元の皆さんには大変お世話になっております。また、本日は地元大宮市におきまして地方公聴会が開催できますことを私は非常にうれしく思っております。
 ただいま公述人の方々から貴重な御意見を賜りまして、大変ありがとうございました。限られた時間ですが、何点か公述人の方々に質問させていただきたいと思っております。
 今国会もこの八月の十三日が最終日になっておりまして、法案処理も大詰めになってまいっております。この住民基本台帳改正法案も七月八日でございますけれども参議院に提案されまして、これまで審議を重ねまして、そして静岡県浜松市等視察を実施しまして、また七名の参考人の方々からも御意見を賜ってまいったところでございます。
 賛否両論はいろいろあるところでございますが、昭和四十二年七月に制定されたこの住民基本台帳法でございますが、これまであるときには住民の利便を図り有効な地方自治制度の一環として取り組まれたことは承知をいたすところでございます。
 そこで、与野の井原市長さんに。これまで地方自治行政畑で非常に長い間取り組んできた井原市長さんでございますが、特に市長会の会長も長年やられた中で、この法案の改正に当たって率直な感想をまずお聞かせ賜りたいと思います。
○公述人(井原勇君) この法案は今までずっと継続審議されてきておるという状況下に確かにあると思います。一方、社会情勢は日進月歩といいますか、特にコンピューター関係の進歩というものは大きなものがございます。
 そういたしますと、私どももいろいろと業務をコンピューター化しているわけでございますが、おくれればおくれるほど、今度またほかの市町村と連携をしようとするときにソフトをもう一度やり直さなければならないというふうなことが必ず起きてまいるわけでございますので、私は、できるならばこれを早く通していただいて、そしてスタートを切っていただきたい。
 スタートを切ってから三年後にこう、五年後にこうという話を聞いておりますけれども、とにかく早くスタートを切っていただかないというと、我々としては将来的にもっともっと多額の費用をかけてしなければならなくなってくるのではないかというふうに、私は率直にそう思っております。
○藤井俊男君 そこで、先日、地方自治体の根幹であります地方分権推進法案を我が委員会で審議したわけです、四百七十五本の法律でありますけれども。これにつきましては各自治体でそれぞれの受け皿づくりに取り組まれたわけですが、大変だったろうと思うんです。
 そこで、この法案につきまして、市として市長さんとして、どんな行政の対応、受け皿づくり、あるいは役所内部でどんなような議論をしたか、お聞かせ賜りたいと思うんです。
○公述人(井原勇君) 地方分権法を私もそう詳しく勉強しているわけではございませんけれども、こうなってまいりまして、ますます地方としてはそれこそ人的にも力をつけていかなければいけない、いろんなことでもって力を持っていかなければいけない。そのために、県といたしましても、九十二市町村でもって今度は人材の育成をしようというふうな組織もできてきたわけでございますけれども、我々としてはそういった意味において、地方分権の時代になってきましたからこそ、市町村あるいは県も人的に力を持っていかなければいけないというふうな気持ちを持っております。
 さらにそこに、私の個人的な意見でございますけれども、果たして九十二市町村でよろしいんだろうか、もっともっと集約した形の中において行政ができるような形にしていく必要があるのではないかなというふうな気がしておりまして、県内でもJCその他からいろんな機運が盛り上がってきていることは藤井議員さんも御承知かと思います。
○藤井俊男君 何の事業におきましても、財源それから権限、金、人、物ですね、これらが言われるわけであります。私ども、静岡県の豊田町、二万八千人のところを視察させていただきましたけれども、このシステムをつくるのに費用が一億九千万円かかったということであります。先ほど市長さんの方からも財源の関係にちょっと触れられておりますが、豊田町は補助金で大半を賄ったわけでありますが、この財源の関係はしからばどうですか。
○公述人(井原勇君) 財源につきましては、私どもの方でもお願い申し上げておるとおり、やはり国の方でもある程度見ていただきたいということはお願いしてございます。
 ただ、我々は、地方分権の時代になってまいりますれば、地方としてもやはりそれなりの努力はしていかなければいけないというふうなつもりも持っております。
○藤井俊男君 次に、青木公述人にお尋ねしたいと思うんですが、私はちょうど青木さんと入れかわりましてこれまで県議会議員をやっていたものですから、県の行政については一定程度理解していると思っております。
 埼玉県ではインターネットによる情報公開に積極的に今取り組まれておりまして、県と市の連携は非常に誇れるものがあろうと私は思っております。そこで、電算化、オンライン化している中でこの四情報がカード情報システムに使われるということですが、中間に位置する埼玉県として総合的にどんなふうな検討をしているか、お聞かせを賜りたいと思うんです。
○公述人(青木信之君) 住基台帳ネットワークができて、それについて県としてどのように活用するかを含めた検討という趣旨の御質問だと思いますが、正直なところここまでこのネットワークということを主体とした検討というのはそれほど詰めてきてはおりません。
 ただ、このネットワーク自体ができますと、本人確認ということをベースにさまざまな行政事務についていろいろ効率化が図れるのではないかと考えております。将来的には特に福祉部門、対人サービスの点で利用が図れる分野があるのではないだろうか。そういったようなことについて今やっと検討を始めたという段階でございます。
○藤井俊男君 やっと検討を始めたということですが、県に何らかの関係で自治省からこれまでお話がありましたか。
○公述人(青木信之君) 情報はいただき、その情報について市町村にも提供させていただいております。
○藤井俊男君 この導入に当たりまして専門的な知識の人が、これはコンピューターですからハードの関係者が必要だということでありますが、聞くところによると、参考人からは二人ぐらい専門家がいないと無理だろうということでお聞きいたしておるんですが、九十二市町村でいきますと、これはもう端的に計算しても百八十四名になりますね、そういう人の取り組みをしなければなりません。これについてはどのように感じますか。
○公述人(青木信之君) 今回のシステムは、通常のシステムのみならず、市町村でコミュニケーションサーバーというのをまた別途設置することによって情報の保護に資するための対策を講じていますので、今まで以上の取り組みが必要かとは存じますが、本県下の市町村の場合、九十二市町村すべてにおいて住民基本台帳に関しては電算化がなされておりますし、与野市長さんからもお話がありましたが、それ以外の事務についても相当のコンピューター化を進めておりますので、実態として大きな問題が生じることはないというふうに理解をしております。また、そういった点で必要があれば県としても専門的な支援をするということも場合によっては必要かと考えております。
○藤井俊男君 さらにお聞かせを賜りたいと思うんですが、自治体としてこれまで特殊法人を含めていろいろ外部委託の関係があるわけでありますけれども、これらについて個人情報保護条例が整備されているところとされていないところ、いろいろ不備な点もあるわけですが、外部委託についての個人情報の漏えいの関係について一番心配するんですけれども、この辺についてどうですか、県として。
○公述人(青木信之君) 今回の法律に関しては、委託された法人に対しても厳しい罰則規定を設けているなど、相当厳しい法案になっているというふうに理解をしております。
 本県の個人情報保護条例上は、委託業者に対してしかるべき対応をしろということを要請する責務規定が設けられております。個人情報保護条例の第十条におきまして、委託を受ける者に対して適切な管理のために必要な措置を講ずるよう求めなければならないという規定でございます。
 今回のこの住基台帳法の改正の内容を見まして、今後本県の個人情報保護条例のあり方についてもさらに厳しい規定が必要かどうかについての検討はしなければいけないというふうに考えてはおります。
○藤井俊男君 ありがとうございました。
 続きまして、品川公述人にお聞きしたいと思うんですが、率直な、素朴な感じというんでしょうか、疑問をお示ししていただきまして本当にありがとうございます。
 身分証明になるということ、私は先般豊田町でこのカードをモデルとしてやってきたんです。一枚千四百十一円かかるそうであります。この住民基本台帳カードの関係で問題点もいろいろ指摘をされておるところでありますが、このカードはICの集積回路で四情報で約八千字入る、こういうことなんです。身分証明にも使えるんじゃないか、あるいは免許証、パスポート、いろいろお示し等もありましたけれども、このカードについてどう思いますか。まずその辺。
○公述人(品川寛子君) 私は、それはできたら持ちたいと思います。もし、それができるようになれば私自身は持ちたいなと思います。
○藤井俊男君 そこで、持ちたいという中で、このカードが紛失とか盗難とかあるいは偽造とかあった場合、プライバシーの侵害にもなるおそれがある、こういうことが指摘されているんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○公述人(品川寛子君) 確かに盗難とか、どこかに置き忘れたとか、プライバシーもありますが、やはりそれを管理するのは自分にある、一番の基本はまず自分だなと思います。カードを管理することはまず自分に一番大きな責任がある。どこかに紛失しないようにすることも自分の責任だし、どこかに置き忘れたなということのないように、常にこれは自分にとってとても大事なものだという認識をカードを持った者自身が持つことがまず一番にあるのではないか。幾らこういうのがあります、ああいうのがありますとメニューをたくさん下さったとしても、それを使いこなすのはこちら側だと私は考えるんです。そしてプライバシーも、八千字入ると言いますが、全部八千字入っちゃうのかな、その辺がちょっとわからないのであれなんですが、持つこともそれを持ちたいと思うことも自分自身の意識でしょうし責任だと思いますので、私はそういうふうに考えております。
○藤井俊男君 ありがとうございました。
 江原公述人にお聞かせを賜りたいと思うんです。非常に長い間練馬区役所で実際の職員として勤めながらプライバシーアクションに十六年間取り組まれているということですが、非常にこれにつきましては関心を呼んで、私どもにもそれらの要旨を非常に事細かに資料等もいただいておるところでございます。
 そこで、現場経験の中から、ただいま私品川公述人にもお伺いしましたけれども、個人に関する大量な情報がこの中で四情報以外に記録されるのではないかという疑問点とか、あるいは技術的に偽造の防止とか盗難防止とかが図られる必要を私はお話ししたんですけれども、そういう中での罰則の強化もいまいちのような気もするんですけれども、この辺についてはどうですか。
○公述人(江原昇君) カードという形ではありませんが、品川先生がおっしゃったような形、自分のアイデンティティーを証明するようなものを区で発行してほしいという声は確かに私ども承っております。
 その際に私ども回答いたしましたのは、そういったことをやることは確かに望まれていることではあるけれども、偽造であるとかあるいは他人が成り済ましてカードを取得してしまうというようなことも当然想定しながらその事務を設定していく必要があるだろう。
 したがって、私どもがそういった事務をやるとするならば、カードの様式というのも明らかにしていく必要があるだろうし、交付に当たってどのような本人確認をするのかも条例で決めていく必要がある。そしてまた、改ざんをされたり成り済ましをした人に対してどういった罰則を与えることができるのか、これらも明らかにしていく必要があるだろう。
 そのときにはまだこの法案が法案という形では出ていないころでございましたので、研究会報告等でカードの話も出ており、当然法案の中で今申し上げた幾つかの点がきっちりと整理をされて国会にかかるんだろう、私どもはとりあえずそれを待たしていただきたいというふうに回答した経過がございます。
 今回の法案は今申し上げた点が全く触れられてございません。もしも他人にカードを渡してしまった場合、今品川先生がおっしゃったように、自分が自分のカードをもらってきちんと管理する、これは住民の方々が自分でできる作業です。ところが、他人に渡してしまうというのは私ども窓口職員の責任になります。しかし、原理的に目の前にいる人がだれであるのかということを証明する方法というのはないんですね。もうあとは罰則でやっていくしかないんですけれども、それもないということで、今回のカードの問題極めて危惧をしているところでございます。
○藤井俊男君 危惧をしているということですが、個人情報保護条例の不備な点もあるのではないかと思うんです。原則として個人情報の目的外利用、外部に提供禁止となっておりますが、人間ですから、人ですから魔が差すということがございますので、この辺についてやっぱりひとつ私も大きな心配をいたすところですが、この辺についてはどうですか。
○公述人(江原昇君) 確かにデータについては、個々のデータあるいは固まったデータについて漏えいをしてしまうおそれというのは否定し切れないだろうというふうに思うんですね。従事している職員の人間の問題でございますので、機械的にあるいは法制度的に幾ら制限をしたとしても、全国で何百万人かの職員の中で魔が差してしまうということが出てくることは当然あり得るだろうというふうに思うんです。
 その中で、先ほども申しましたように、本人確認情報六情報については厳格な守秘義務と罰則が用意されている。しかし、横のネットワークで取得した情報についてこれが全く罰則がない。罰金と過料の違いはありますが、転入届け出がおくれた人が五万円です。横の情報を漏えいした場合の罰金は三万円。魔が差した職員はある意味でラッキーなのかなというふうに思います。
○藤井俊男君 ありがとうございました。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 四名の公述人の皆様、本当に朝から御苦労さまでございます。ありがとうございます。順次質問をさせていただきます。
 まず、井原公述人にお聞きしたいんですが、三点お聞きしたいと思います。
 一点目は、今魔が差すという話がございましたが、この住民基本台帳のネットワークシステムでいろんな保護措置、セキュリティーをやっても最後は人間系で貴重な個人情報が漏れてしまうのではないかということが非常に懸念されておりまして、職員のモラル、先ほども日本の市役所あるいは区役所の皆さんの職員のモラルは高いということはありますが、やはりそこはモラル向上策が必要であろうと思うんです。市長さんとしてどのような住民基本台帳の係の皆さんのモラル向上策をお考えになっているかという点が一点目。
 二点目は、住民基本台帳のカードというものがつくられるんですが、このカードの余白部分、かなり実際には、今八千字と言われておりますが、施行時には三万あるいは十万文字入るかもしれない膨大な余白部分、いろんな活用が考えられると思うんですが、この活用策について今お考えになっていることがありましたらお聞かせをいただきたい。
 あともう一点なんですが、先ほど個人情報保護条例の関係で、オンラインには審議会の同意がなければ結合できませんというお話がございましたが、住民基本台帳のこの改正案が通った場合には審議会の同意は得られるんであろうというように現時点において御判断をなされているのかどうか。
 この三点、お願いをいたします。
○公述人(井原勇君) まず最初のモラルの問題でございますけれども、これはいろんな問題で地方自治体が新聞、マスコミを騒がしている問題がいろいろ出ております。全く残念といいますか、恥ずかしいといいますか状況だと私は思っております。
 私どもの市内においては少なくもそういう状況はここ二十年来ございません。やはり教育といいますか、いろいろそういったことに対して最善を尽くさなければいけないし、それはもちろん個人のみならず、上司の人もそれに対するやはり意を用いなければいけない。そういったことで、周りがお互いに注意しながら、そういう事件が発生しないようにするということは必要だろうと思います。これはモラルの問題でございますし、人間社会はお互いに信用で成り立っているわけでございますので、信用していかなければ、不信不信でもって行くという考え方は私は持っておりませんけれども、そういった意味におきまして、モラルは極めて大切なことと思っておりますし、今後とも気をつけていかなければいけないことというふうに私は思っております。
 それから、二番目にカードの問題をおっしゃいました。
 カードが非常に今現在多いんですね。実に金融機関でもそれぞれ通帳が違えば別のまたカード、そんなことでカードを何枚も持っていて、暗証番号も場合によっては忘れちゃうかもしれない。また、そういった意味でもって暗証番号の必要のないカードも、場合によっては病院に行ってくるのにカード、あるいは図書館に行くときはカード、どこへ行けばカードとみんなカードが非常に多いんです。
 ですから、それが必要なものどういうものに集約されるかは別といたしまして、一枚ですべてのことができるならばこんな便利なことはないというように思いますし、それが紛失したときにはすぐ届け出ることによってそれを安全管理できるというシステムをつくっておけば、私は紛失してもそれは問題はないというふうに思います。ですから、そういった点で心配はないわけじゃございませんけれども、いろいろ手だてを講じて、やはりこれからは一枚のカードでもってすべての日常生活ができるといいますか、そういった形になってくれれば私としてはベターじゃないのかなというふうに思っております。まだまだいろいろ問題はあろうかと思いますけれども、そういうふうなシステムづくりをぜひともしていただければありがたいなというふうに思っております。
 それから、三番目の問題は、オンラインの問題でございます。
 これは、当然今までのあれと違ってといいますか、これは全国的にオンライン化されると思いますし、どこででも四つの限られた情報だけは提出できるということでございますから、それについて私はやはりいろいろと法的な中において秘密を守るといいますか、いろいろの保護条例によって私はやむを得ないというふうに思っております。
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
 青木公述人にお願いしたいんですが、先ほど徹底した個人情報保護をと最後でおっしゃったんですが、今度県も県センターをつくったりする場合もあると思うんですけれども、この住民基本台帳ネットワークシステムの中で。その場合、県としても条例をお考え得るのか。それから、指定情報処理機関ということもありますが、県でもセンターそして個人情報保護のための審議会というようなものもお考え得るようでございますが、これについての対応を現時点においてどのようにお考えなのか、簡潔にお教えいただきたいと思います。
○公述人(青木信之君) 県としての条例措置ということは、県として今この法律の別表で定められているもの以外に独自に活用する方途も含めてということの御質問かと思いますが、具体的な内容まで今正直なところ詰めた検討はしておらない状況ではございます。
 ただ、このネットワーク、まずは必ず必要になると思いますのは、災害があったときに重要なバックアップ機能であるということは当然認識しておりますので、そういった点ではまず活用させていただくことはあり得るかと思いますが、そのほかのものとしては、本人確認がベースとなる行政サービスとの関係、先ほども申し上げましたけれども、福祉関係などについてあり得るのではないだろうかな。そういったことを含めて、これからこの法案が通りましたならばということでございますが、各関係の方々といろいろ議論を県内でしていく必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
 審議会の問題についても同様でございます。
○魚住裕一郎君 品川公述人にお聞きいたします。
 先ほどアメリカでのお暮らしのお話がありました。ソーシャルセキュリティーのナンバーも話が出たんですが、ある留学経験のある方のお話を私も聞いたことがありまして、大学で卒業か何かのときにその番号が必要になって、それを出した。そうしたら、大学当局の方から、大学内における駐車違反の処理ができていませんねという、そういう指摘があったと。それは結局、その番号というものが単位の取得とかそういう問題だけじゃなくして社会生活にもかかわっていて、それがすべて管理されているというような、一面便利なんだけれども、全然違うところで江戸のかたきが長崎で簡単に討たれちゃうという、そういうような状況も出ているのではないか、そういうような御指摘があったんです。
 ちょっと事案としてきちっと正確に今申し上げられたかどうかわかりませんけれども、アメリカでお暮らしの中でソーシャルセキュリティーがないと困るという先ほどお話がございましたけれども、かえってあることによってちょっと変だなというふうにお感じになったことはございませんか。
○公述人(品川寛子君) 私は、別にそれがあることによって変だとは思いませんでした。
 といいますのは逆に、税金を納めたり、その場に住んでいる人間には平等に扱ってもらえているということを思いました。そして、子供を連れて行っていますので、ただ旅行とか短期の生活ではないものですから、その中で生きていくということになりますと、本当にたかが私がこんな人間であっても、日本の女の人ってあなたみたいですかとなるわけです。そうなりますと、小さな個人が日本という国を担いでいるような、ささやかですがそういう思いをやはり持たざるを得ないんです。
 となりますと、何が大事かなと思ったときに、自分がやっぱり自分をきちっと律するというものが出てくるんです。というのは、何かがあるとみんな日本人はそうかというようなとらえ方をされるものですから、私は、ソーシャルセキュリティーがいただけていてよかったね、もう昔の話でしたけれども、子供たちは枝番だったかななんて言いながら話しました。
 そして、今アメリカ留学経験のある方が江戸のかたきは長崎でみたいな形でとられたではないかというお話をなさいましたけれども、逆にこの方がもし学校の中で駐車違反をなさっていたものをきちんとクリアされていれば、卒業のときに、その方はされているかどうかわかりませんが、多分今ちょっとお聞きしたときにそれがクリアされていなかったので問題になったということを言われたというのは、これは当然なことだと私は思います。自分がやったことに対してきちんと責任を果たしてそこで処理をしていれば、卒業のときにそういう事態は起こらなかったのではないかというふうに考えております。
 以上です。
○魚住裕一郎君 それから、私が私であるために、まさにそのとおりでありますし、私もそういう思いでやっていきたいと思いますが、確かに個の確立というのは古今東西これはもうずっと求められるというか追求していくものなんだろうなと思うんですが、市役所から番号をもらって、他人から証明してもらって、今多分恐らく公述人は深い意味での個の確立という趣旨なんだろうと思うんですけれども、カードをもらったからあるいは番号がついたからということで個の確立に結びつくものなのかなというような思いがあるんです。
 それから、カードに顔写真が入ったりしますと、今度それが確かにいろんな社会生活において自分であることの証明というのは簡単にできていくんでしょうけれども、簡単だから逆に国内版のパスポートというか、そんなふうになっていきやしないのか。逆に持っていないことが何でおかしいじゃないのというふうに言われかねないというか、そういう事態になるのではなかろうかと思って、その点についての危惧はいかがですか。
○公述人(品川寛子君) 私が個の確立と申し上げましたのは、番号をもらってその証明書をもらうからそれで個が確立されるということで話したわけではありません。私たちそれぞれが自分というものがあるわけですから、そのことを個の確立だということで、私もすべて周りの人も、相手に対しても子供たちに対しても、障害があろうとなかろうと、お年寄りであろうとなかろうと、女性でも男性でも、地位がある方ない方すべて同じように個の確立を考えて私は思っております。
 なお、先ほど国内版のパスポートで市役所が番号を打ってくれることがどうなのかということをおっしゃっていらっしゃいますが、市役所が番号を打ってくれるというふうにとるとそうなるかもわかりません。市役所が番号を打ってくれたんだから、じゃ、それがそうかと言われればそうかもしれませんが、そこに住んでいるということが自分がそこで証明されているわけですから、自分がそこにいるということ、例えば海外にいますと日本がふるさとですし、日本の中にいますと私は今埼玉でそして大利根におりますから、そこが私のふるさとであり居住地ですから、やはりそれが一番大事なところでしたら、私はそこを選んで自分が住んでいるわけですから、市から町から番号をもらったよ、与えられたというような意識は余りありません。
 そして同時に、顔写真、国内版のパスポートではないかとおっしゃいますが、確かに国内版のパスポートになれるほどであれば、なおもっとパスポートを持って歩く緊張感、そしてこれがあることで自分が日本人であるということ、ここにいるということを証明されているというような思いがありますから、私は余り重み、すべて考え方とか、与えられるからこうだとかじゃなくて、自分がやっぱり手を挙げてこのカードでも、もしあれでしたら手を挙げてするとか、そういうふうに考えて、自分が選んでそこに住んでいるんだというふうにとれば、余りそういうふうに思わないんですが。お答えになるかどうかわかりませんが。
○魚住裕一郎君 江原公述人にお願いいたします。
 住民基本台帳の現場から貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。先ほど、各市区町村の営みの成果を簒奪するのではないかというようなお話でございました。この改正案でこういうシステムができると、後々市区町村は全体のシステムの入力の担当者に成り下がるのではないか、そういうような意見ももちろんあるわけでございます。
 先ほど自治労というお話が出ましたけれども、この住民基本台帳のコードも納税者番号制とリンクするのであれば賛成だ、もちろん個人情報保護が前提ですけれども、そういうような自治労としてはお立場のようなんですが、そのお立場について公述人はどのようにお考えになるか、これが一点目。
 もう一点は、練馬区としてはかなり厳格な個人情報保護条例というものがあるようでございますが、しかるべきところからちょっとこれは緩めないかというような御意見が来たことがあるかどうか、その点についてお聞かせください。
○公述人(江原昇君) まず一点目、私も自治労の組合員ではございますけれども、自治労全体を代表する立場ではない。これは練馬区の職員で発言しているが練馬区全体を代表するわけではもちろんないのと同じでございます。個人として申し上げます。
 まず、納税者番号制としてこの番号を使用するというのは、民間での使用を禁止した現法案と真っ向からぶつかる中身になっているというのが一点。そしてまた、納税者番号制によって果たして所得がすべて把握できるのか、制度的な問題があるというのが二点目でございます。
 そして、プライバシーアクションの一員として申しますと、プライバシーを守るということはそれなりにコストがかかる社会になるのは当然だというふうに思います。プライバシーを守らなくていいというふうにみんながくくっちゃえばコストをかけずに納番ですべての商取引をすべて国に登録していくというようなこともあるいは可能かもしれませんけれども、でもそのやり方をしたってかなりコストはかかるわけです。ということで、こちらについては私は個人としては納番制への利用も含めて反対でございます。
 二点目です。練馬区の条例を緩めるというような動きは、少なくとも私が職務上かかわっている範囲においてはございません。
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
 終わります。
○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。
 きょうは、地元埼玉で地方公聴会ということで、四人の公述人の皆さん本当にありがとうございます。
 いわゆる高度情報化社会というふうに言われているわけですけれども、そういう中で事務処理がコンピューターによって能率的に、効率的に行われるということ、これは当然ですし、推進をしていくということが大事だと思います。
 そういう点で、基本的に事務の能率化や効率化を進めることは大いに進めるべきだというふうに思います。それが住民サービスの向上に大いに生かされること、同時に一方でプライバシーをきちんと保護していくという側面、ここも見逃すことはできないというふうに考えております。同時に、費用と効果のバランスがちゃんととれているのか、こういう問題もあるだろうというふうに考えております。
 今回のこの法改正を見た場合に、そういう角度から見ると幾つかのなかなかわかりにくいんだけれども問題点があるのではないかというふうに思います。
 そこで、問題をわかりやすくするために、最初に実務をずっとやっていらっしゃいます江原公述人に伺いたいと思うんです。
 全国どこの市区町村でも住民票の交付を受けることができるのだから、サービスが向上するというふうに自治省は説明しております。これは通勤者に朗報だというわけでありますけれども、ここで受けられる広域交付の場合には、氏名、住所、生年月日、性別の四項目が記載された住民票、こういうことになりまして、続柄や本籍などは入っていない、先ほどそういうお話もございました。したがって、自動車の免許証やパスポートにはこの広域で交付されたものは使えない、自分が住んでいるところの役所でもらったものは使えるけれどもと、こういう関係になっていると思うんです。
 次の場合、私六項目伺いますので、この六項目について、広域で交付された住民票で通用するのかどうかというところをちょっと伺いたいんです。これは住民の暮らしと一番直結するところで、一つは特別児童扶養手当の申請、もう一つは児童手当の申請、三つ目は公立高等学校の入学志願の申請、それから先ほどちょっと品川公述人からお話がありました大学の入学試験の申請、五つ目が公営住宅、市営住宅とか県営住宅ですね、こういうところの入居の申請、それから六つ目が雇用保険の基本手当の申請、この六項目は日常的に私どもと大変関連の深いものでありますけれども、これについては広域交付の四項目だけの住民票で可能でしょうか、いかがでしょうか。
○公述人(江原昇君) まず、大変恐縮なんですが、質問の前提について私の理解を申し上げます。
 広域交付で交付される住民票は四情報だけではありません。これにつきまして自治省の局長さんもそのような回答をされたような議事録を読んだことがございますけれども、住民基本台帳法上、四情報だけ載せたものは住民票記載事項証明書というようになっております。
 住民票の写しというのは項目といたしまして、その四情報に加えまして、本籍、続柄、住民となった年月日、一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者についてはその住所を定めた年月日、新たに市町村の区域内に住所を定めた者についてはその住所を定めた旨の届け出の年月日及び従前の住所、そのほか国保、年金の情報など幾つかの情報が入っております。これらをすべて記載したものが住民票の写しでございます。
 本法案の中で広域交付で理由はわかりませんがだめだと言われているのは、本籍情報だけでございます。したがいまして、本籍の入った住民票が必要だというふうにされるものにつきましては役に立たないということになりますので、児童扶養手当、特別児童扶養手当、こちらにつきましては広域交付で交付された住民票では役に立ちません。入学あるいは公営住宅、こちらにつきましては、続柄が入っていれば、あるいは入学の場合には続柄の不要な学校もございますので、役に立つだろうというふうに思っております。それから、雇用保険の方ですけれども、こちらの方は本籍事項は不要ですので、これも役に立つと思います。
 以上でございます。
○富樫練三君 ありがとうございました。
 そうしますと、仕組みについてもうちょっと伺いたいんですけれども、各市町村は今コンピューターで住民基本台帳を処理しています。そのコンピューターとは別にコミュニケーションサーバーを設けますね。今まであるコンピューターから四情報についてコミュニケーションサーバーを通じて県のセンター、全国センターに行きます。ここで情報が流れていくと、これが各県を通じて市町村にも流れる。したがって、他市でも住民票の写しがとれる、こういう関係になっていますね、今度のネットワークシステムそのものは。
 そうすると、その四情報は本人確認情報ということだけであって、いわゆる住民票を他市町村でとるときは別途そこにはほかの情報も流すということになりますか。
○公述人(江原昇君) どのような回線を通じるのかは自治省での説明というレベルで、法案に直接書かれているわけではございませんけれども、このネットワークの回線を通じて例えば住所を定めた年月日、前住所など本人確認情報六情報以外の情報が流れるものだろうというふうに想定しております。
 ただし、例えば練馬区の場合、東京都が指定情報処理機関に委任をしないということも論理的にはあり得るわけです。そうすると、どの回線を通じてやりとりをするのかは全く不明でございます。
○富樫練三君 そうすると、そこのところはまだこれからはっきりさせなければならない問題ということが言えると思うんですけれども、先ほどの住民サービスとの関係なんですけれども、例えば児童扶養手当の申請については、広域で交付された住民票を仮に自分の住んでいるところの窓口に持っていってもこれは通用しないということになった場合に、今回から便利になるんだということで、広域交付で例えば東京に通っている人が東京の方で住民票をもらってきて、日曜日とかなかなか行けないということでウイークデーにそういうふうにした。あるときに申請に行ったら、いや、この住民票では役に立ちませんよ、本籍も入っているものを持ってきてくださいというふうに、そこで混乱が起こりはしないかということがちょっと心配があるんです。窓口の方も大変でしょうし、市民の方もでは広域交付でもらったのは役に立たないのかと。こういう窓口での問題点というのは、可能性の問題としてはどうでしょうか。
○公述人(江原昇君) 極めて高いと思います。
 一つには、本籍情報について載せない理由を私ども説明ができません。法律に書いてあるからとしか言いようがないんです。先ほどどういう回線を通じるのかわからないとは申しましたけれども、同じ回線で転入届けの際の情報のやりとりはするわけです。そこでは本籍のやりとりを必ずします。同じ回線で来る情報なのに、法律で定まっているから本籍が載せられませんという説明しか私どもはできません。役に立たないじゃないかと言われても、それは国会でお決めになったことなんですからというふうにしか言いようがございません。
 以上です。
○富樫練三君 次に、与野の市長さんに伺いたいと思うんです。
 この住民基本台帳法の改定案が国会に提案されたのは昨年三月なんです。その提案された日に閣議決定して、すぐに国会に提出されたわけですけれども、その去年三月の段階で、実は高槻市議会から意見書が国の方に出されたんです。その意見書には、住民基本台帳事務は地方自治体の固有の事務であるけれども、その地方自治体の側から法案提出の昨年三月までの間にオンライン化を求めたことはない、自治体の側から国に対してそういうことはないんだ。今回の改正案を国会に提出するに当たって、当事者である地方自治体に対して自治省からの説明も事情聴取もない。こういうふうに去年三月の段階で言っているんです。
 国会に提出してからは、さまざまな形で地方自治体に説明したり、そういうこともあろうかと思いますけれども、先ほど青木公述人のお話では、自治省から連絡があってそれを各市町村にも流した、こういうふうにおっしゃっております。
 そこで、市長さんは県の市長会の会長さんもやっていらっしゃるわけですけれども、去年三月以前の段階、実はそれから四年前に準備は進めてきたわけなんです。そういう時点で、市長会の御意見を聴取するとかあるいは市長会に説明するとか、あるいは各単位市町村に説明されたり意見を聞いたり、そういうことというのはあったのかどうか、この辺はもし記憶にございましたら教えていただければと思うんです。
○公述人(井原勇君) この件につきましては、たしか市長会の行政部会におきましていろいろと説明はあったというふうに私は思っております。
 高槻市さんからそういうあれが出ていたということは、私ちょっとうかつで知りませんけれども、市長会の中においてはいろいろ部会がございますけれども、行政部会の中でもってこのことは説明はあったというふうに聞いております。それと同時に、市長会としてはやはり政府の方に早く実施の方へ移してほしいという要請も出ておるはずでございます。
○富樫練三君 もう一点伺いたいんですけれども、今度は財政の問題について伺いたいんです。
 今度のネットワークシステムを構築する場合に、その設備に全国で約四百億円かかる。それから、運営、維持管理のために大体毎年二百億円ぐらいかかる。ですから、当初は六百億ぐらいかかりまして、その後は毎年二百億ぐらいかかるというのが自治省の試算になっているわけなんです。
 このネットワークシステムというのは、もともと国がやることではない、地方自治体がやるべきことなので、国の方としてはその費用は地方自治体が全額負担するんだ、こういうことなんです。国はどこを負担するのかというと、そのネットワークの中の一番上のところ、全国センターと十六省庁を結びます回線の使用料、これは情報を受け取る国の方が負担しましょう、それ以外はあとは全部地方自治体の負担ですよ、こういうことになっているわけなんです。
 そうしますと、今地方自治体は財政的には非常に大変なわけで、そのサービスとかかる費用との関係で住民の皆さんが納得できるような費用負担なものなのかどうか。市としては税金から出さざるを得ないわけですので、住民の皆さん方が納得できるような中身なのだろうか、この点も今までも議論されてきているところなんです。
 この辺については市の財政状況との兼ね合いで率直にどのように考えているかということなんですが、先ほど地方も努力するけれども国の方も埋めてもらいたいんだ、こういうお話がございましたけれども、もうちょっとそこら辺のところをお聞かせいただければと思います。
○公述人(井原勇君) 御承知かと思いますが、今二〇〇〇年問題で各自治体で相当のコンピューターに対する費用をつぎ込んでおります。ですから、それを合計したら今の額をさらに上回るものと私は思いますし、そのくらいやはりコンピューターというものは、これは信頼されるものでございますから、間違っては困ることでございますので、それなりに責任を持って措置をしていかなければいけない。苦しい財政の中からでもやはりそのように地方としては措置をし、国の方からは地方交付税という形でどの程度見ていただいているか私も詳しいことはわかりませんけれども、各地方自治体としてはそのように二〇〇〇年問題の処理にも真剣に取り組んでいるはずでございますので、将来に向けていいということになるならば、やはりかけるものにかけることはいたし方がないというふうに私は思っております。
○富樫練三君 県の青木公述人に伺いたいと思います。
 今度のネットワークシステムで県の段階でどのようなメリットがあるかという点について、先ほど本人確認の問題と特にそれは福祉部門での活用と、こういう御意見がございました。
 今度のネットワークシステムというのは全体の仕組みが、市町村の場合は住民基本台帳事務を直接取り扱っていますからかなり関係するということになるわけですけれども、県は県レベルでのセンターをつくりますね。それで全国センターにここが事務も委託をする。県としてはその県がつくったセンターに全面的に委任をする。ですから、市町村から、県から委任された県センターと県から国に委任された全国センター、ここが専用回線で直結する、こういう仕組みになるわけなんです。
 ですから、考えてみると、県というのは住民基本台帳事務を行うということは直接はないわけで、あわせて福祉部門で活用するとはいっても直接やる部分というのはかなり市町村の部分じゃないのか。例えば、今回の介護保険の問題をとってみても、県の果たす役割は非常に大きいんだけれども、直接の実行部隊は市町村、こういうことになるわけなんです。そういうふうに考えた場合に、今回のネットワークシステムそのもので県のメリットというのはどういうところにあるのかという点なんですけれども、いかがでしょうか。
○公述人(青木信之君) まずは、この法律で随分多くの事務について住民票の提出等を求める必要がなくなるわけですから、その中には県の事務もあるわけなんで、そういう意味で事務の効率化という点では県にも資することは事実だと思うんです。
 問題は、この法律の外側において県が独自にどういうことについて活用されるかという点についての御質問だと思うんですが、先ほど来申し上げているように、この法案にいろんな意味での重要性があるわけでございますので、我々としても相当慎重な議論をして対応していかなければいけないだろうと思うんです。したがいまして、そういった議論の推移の中で進んでいく課題だろうというふうには思っておるんですが、実際に将来的な可能性ということで申し上げれば、やっぱり本人確認ということとの関係で出てくる事務について県で活用しようと思えば活用できる可能性はあるわけなので、そういった点について議論を深めていくんだろうというふうに理解をしておるわけです。
○富樫練三君 最後になりまして恐縮なんですが、品川公述人に伺いたいと思います。
 先ほどプライバシー保護の問題で、カードについてやっぱり本人がきちんと管理することが第一ではないかと。私もカードの場合はそういうふうに思います。本人がしっかりすることが何よりも大事だというふうに思っているんです。
 この間、本人の関知しないところでの個人情報の流出というのが随分ありまして、実は九一年には東京の日野市で社会保険労務士の方が市民の戸籍謄本を興信所に流していたということとか、九〇年代に入ってからでも、札幌市では住民基本台帳のリスト百七十一万人分が流出をする、これが複製されて販売される。商品になるわけなんですね、名簿というのは。それから、九二年に北海道の佐呂間町というところで住民基本台帳の個人データが町の商工会の方に流れた、こういうのがございましたり、九五年には埼玉県の志木市で全市民分の住民基本台帳のコピーが名簿業者に流出していたこういうことがあったわけです。これは住民基本台帳と関連する事件なんですけれども、それ以外に、例えば先日報道されましたNTTの情報流出事件であるとか、民間で起こっている問題もたくさんあるわけなんです。これらは被害者である市民とは直接関係ないところで起こっている。
 あわせて、公務員の皆さんの名誉のために申し上げたいんですけれども、この間、住民基本台帳関係では十件あったんです。よく調べましたら、地方公務員の方が直接関連したというのはわずか一件なんです。あとは公務員とは関係ないところから流出する、こういう格好になっているわけなんですけれども、問題なのは、高度情報化社会という中でプライバシーの保護は緊急の課題であるにもかかわらず、世界的に見て日本の場合は保護体制が法律の整備も含めて極めておくれている中でこういう問題が発生してきているということだと思うんです。
 したがって、自己の確立の問題、自分が自分であること、プライバシーの保護は自分自身の問題なんだという立場は大変よく理解した上で、自分とは関係ないところで流出する、これを防ぐための体制をつくることが大事ではないかというふうに実は私は考えているわけなんです。
 この点について、品川公述人の御意見がございましたらぜひお聞かせいただきたいんですが。
○公述人(品川寛子君) おっしゃるとおり、個人がわからないところで流れていくという、こういうプライバシーの流出は本当に困りますし、問題だろうと思います。
 しかし、やはり普通一般の普通の生活をしている人は、どちらかというと行政にタッチしている人はそういうことはしません、少ないですよとおっしゃっているように、やはり信用しているんです。市町村の人、県の人、国の人たちがそういうことをするはずがないというふうな思いがあります、はっきり言いまして。そして、そのほかのそれに関係のない人から流れていったということは、民間の方だろうと思うんです。
 そうしますと、民間の方の、このことに関連してくるかもしれない、今は関連していない法案をつくろうとしているわけですけれども、だからその法案は法案として置いておいても、民間のプライバシーの保護についての強化というものとか、そういうものはまた今話しているものと別個にして考えていただけるとありがたいかなと思ったりしております。
 そして、民間だけではなくて確かにいろんなところから、かかわっておりますと、ちょっとした名簿でも売ってくれ、欲しいと言ってきます。ですから、そういうことも含めて、すべて割と国民といいますか私たち自身も何かのんびりしたところがあるのかもわかりませんが、やはりそういう意味の条例であり法律でありそういうものを、法律は皆様方の方でつくってくださることであろうし、条例は県の方でまた市町村でつくってくださることでしょうし、個人は個人でまた自分は自分で守るべきことでしょうしというふうな形で私は考えております。
○富樫練三君 ありがとうございました。
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。
 本日は公述人の方々から貴重な御意見をいただきまして、心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。
 私は、この法案を審議する過程で、プライバシーの権利というのをしっかりとらまえることがとても大事だということを言い続けてまいりました。今まさに高度情報化社会であります。あるいはコンピューターネットワーク社会と言ってもいいのかもしれません。そういう情報化社会だからこそ、私はプライバシーの保護については行政の場面でも、もちろん政治や私たちの日常生活の場面でも、これはもう細心の配慮を払わなければならない、こういうふうに思うわけであります。
 特に、我が国では個人情報あるいは個人の信用情報が漏えいをされ、そして流出をし、それが商品となって売買される、こういう実態があるわけでありますから、なおさら私はやっぱりプライバシーの権利の保護については大事にしなければいけない、こういうふうに考えているわけです。
 私自身は、プライバシーの権利というのは、単にみずからの私生活をみだりに公開されないという、そういう消極的なものではなくして、憲法で保障された、憲法十三条の幸福追求権の一環として自己情報をみずからコントロールする、こういう性質のものとして理解をいたしたいのであります。
 私は二十七年間弁護士をやっております。そういう弁護士という仕事を通しても住民基本台帳あるいは住民基本台帳制度に具体的にかかわる仕事もやってきたわけでありますが、一等最初に青木公述人と江原公述人に同じ質問をいたしますが、そもそも現行の住民基本台帳制度というのは全国単位で本人確認を行うということは全く予定をしておらないのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○公述人(青木信之君) 今回の法改正の趣旨が、全国レベルにおいてそういう確認をしようという改正をしているわけでありまして、この法律自体の前提がどうであるかどうかという議論をしても私としてはせん方ないのかなという気がいたしております。
 そもそもの法律の趣旨については、私もこの法を所管する立場におりませんので非常に詳しいわけではございませんが、この法のもともとの趣旨がどうであれ、今の現実のいろんな行政サービスの中で必要なのであれば、新しくそういうことについても法律の中に盛り込んで対応していけばいいのではないかというふうに考えております。
○公述人(江原昇君) 現行法におきましても本人確認というのはその趣旨ではございません。住基法というのはあくまで居住関係の公証にございます。そして、改正案全体の中でも居住関係の公証が目的であるということについては変わりがなく、本人確認を例えばカードの交付等によって行うんだというような規定もございません。用語として本人確認というのが使われておりますのは、六情報のことを本人確認情報と呼んでいる仕切りだけでございます。本人確認が改正後も私は住民基本台帳法上の目的というふうになるはずはないものだというふうに確信しております。
○照屋寛徳君 江原公述人にお伺いいたしますが、今度の改正法案では十六省庁九十二の事務でしたか、そういう六つの本人確認情報の提供を受けた行政機関、この行政機関に対して目的外利用をしてはならないという定めはございます。しかし、この使用した六つの本人確認情報を使用後に消去するという規定はございませんね。そうすると、これは情報が蓄積をされるのじゃないか。しかも、そのことについて罰則規定もないし、それから国民一人一人がただすこともできない。それでは私は困ると思っていますが、どうでしょうか、江原さん。
○公述人(江原昇君) 全く同感でございます。
 先ほど十五分の中で申し上げましたように、蓄積されることによってプライバシーが侵害されるという事例が多数考えられます。これが一点。
 それから二点目。本人確認情報について、指定情報処理機関や都道府県においても政令で定める期間保存をするというふうになっております。住基法関係の政令の中で一番長い保存期間は八十年というのがございます。大もとの方でも八十年保存される。ましてや各省庁の方での廃棄規定がない。これはそれ自体極めて大きな問題だというふうに理解しております。
○照屋寛徳君 行政文書に限らず、司法の文書もそうですけれども、それぞれ文書によって保存期間が定められておって、一定の保存期間が経過すると廃棄をする、こういう仕組みになっています。
 私が今の点を自治省に確認したら、これから省令か何かで廃棄規定をつくるんだとかおっしゃるわけです。私は、これは省令に任せられるようなものじゃない、むしろ法律事項として明確に定めなければ、本人確認情報六情報とはいえ、みずからの本人確認情報がどの機関がどう使ったのか、何のために使ったのか、そしてその情報が保存されておるのか廃棄されておるのか全くわからないというのでは、これは極めてプライバシーの権利にとって憂慮すべき事態で、そういうことは本来私はあってはいかぬというふうに思いますが、保存期間とかそれから省令への委任の問題とかということについて、江原公述人の意見はいかがでしょうか。
○公述人(江原昇君) 総論として全く照屋先生のおっしゃるとおりだと思います。保存期間の問題もあると思います。それから、自己の情報の管理をするというのがプライバシーの権利だというふうに私も思います。
 指定情報処理機関や都道府県に対して自己情報、自分の本人確認情報の開示請求はできるというふうになっておりますが、どこに提供されたのか、これが開示対象になっておりません。国会の議事録等を読みますと、法律等でどういうルートがあるんだというふうに明示されているからというふうに答弁があったように記憶しておりますけれども、私個人で言えば、どんな道があるのかを聞きたいのではなく、その道を私の情報が走っていったのかどうか、これが確認したいわけです。ところが、それが確認できない、そしてそこでどれだけ保存されているのかもわからない。これは極めて憂慮すべきプライバシーが全く守られない困った状況になるのではないかというふうに思います。
○照屋寛徳君 それから、民間の利用の問題。本法律案では民間での住民票コードの告知要求を禁止しております。ところが、任意の提供というんでしょうか、そういうところまで踏み込んできちんとやらないと実効性が伴わないのではないかというふうに私は思うわけです。
 要するに、任意提供の禁止、それから任意提供を受けた者に対する制裁規定、こういったものは本法案には全くないわけです。そうすると、私は、包括的な個人情報保護法がない段階で本法案が法律として成立をしてしまうと、民間で事実上利用が行われてしまうというふうになりはせぬかと思いますが、実務をやっておられる江原公述人いかがでございますでしょうか。
○公述人(江原昇君) 二点について申し上げたいと思います。
 現行におきましても、住民基本台帳法第十一条で閲覧という制度があります。ここでは住所、氏名、性別、生年月日、この四情報についてだれでも閲覧することができるということになっております。ダイレクトメール等の一体何で私の住所にこんなものが来たのという形でマスコミ等でも取り上げられておりますが、これらの第一次情報はほとんどこの閲覧制度によるものです。そのこと自体がプライバシー保護上いかがなものかという論議がかなり沸き上がっているのは事実でございます。私もそのとおりだと思います。
 二点目です。住民票コード、これは四情報とは別だということなんですけれども、任意の提供が禁止されていないどころか、法案をつぶさに見ますと、むしろそれは認められているというふうに解釈するのが正しいのではないかと思うんです。
 三十条の四十三の第三項には、データベースの構築の禁止ということがございます。しかし、このデータベースの構築は、データベースそのものが禁止されているのではなく、「当該住民票コードの記録されたデータベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているものを構成してはならない。」というふうになっております。よそに提供するデータベースはだめだ、しかし自社の中で使用するデータベースは構わぬというふうに読み取りができるわけです。つまり、ではどうやって任意の提供以外に知り得るのか。この法案の中ではあり得ないわけですから、任意の提供を妨げるどころか、むしろそれを推進するような読み取り方もできるのではないかというふうに理解しております。これもまた困ったものだというふうに思います。
○照屋寛徳君 今、江原公述人がおっしゃるように、他に提供するためのデータベースの構築はだめだけれども、自家用というか自社用は構わぬ、こういうことですよね。それは私は立法論としても非常におかしいし、それからまさに民間における利用禁止を実効あらしめるための処置としては、これはもう、表現はちょっときついかもしれませんけれども、ざる法みたいなものと言わざるを得ないというふうに思います。
 これまで住民票で記載されている情報がいろんな名簿業者によって流出する、商品化されるという状況がございます。ところが、現行法上は、何に使うんだと使用目的を特定して閲覧なり交付請求をするわけです。しかしながら、自社用、自家用とはいえデータベースが構築されるということは、私はその構築された情報が広範囲にかつ大量にさまざまなところに流出する可能性を持っているんじゃないか、こういうふうに危惧するわけですが、いかがなものでしょうか。
○公述人(江原昇君) 全く同感です。特に高度情報化社会になりますと、大量な情報が瞬時で送れる、あるいは保管できる、販売ができるという状況になっております。データベースを構築するということは、そこに蓄積された何百万人かあるいは一億を超えるようなデータが極めて簡単に売り買いできる。そしてそれに対して実効性ある対応策は私ども持っていないわけです。
 例えば閲覧について、名簿屋だと思われるような、違法な行為ではないかと思われるようなところもございます。ところが、そこに踏み込んでいって、おまえら売っているじゃないかというように規制する手段を私ども今のところ持ち合わせておりません。住民の方からどうなっているんだというふうな催促もされますけれども、何とも手をこまねいているというのが一方の今現在の現状としてございます。
 それからまた、コピーをされてしまうということで普及する、そういった問題も当然電算化の中であるわけです。一カ所、紙であればそれを焼却しちゃえば済むんでしょうけれども、一遍データベースに組まれてしまったものは、それが消却されたのか抹消されたのかの確認の方法もございません。そのように、プライバシー全体が極めて危機的な状況に今あるんだ、今現在あるし、この法案ではさらに危機的状況が増していくんだということを訴えたいと思います。
○照屋寛徳君 実務に携わった経験とそれから本法案を江原公述人が精査して、今度は住民基本台帳カードの問題ですけれども、カード発行に当たっての本人確認の方法というのは御承知のようにこの法案上は明定されておりませんね、それからカードを偽造した場合の罰則規定もございません。そこらあたりどうですか、実務を担当した経験から、本人確認の方法というのは本当に十分担保されるんでしょうか。
○公述人(江原昇君) 私どもの窓口でやっております事務の中で、本人確認を必要とされるものの一つに印鑑登録証明制度というのがございます。来庁された方が御本人であることを確認し、その印影を登録して印鑑証明を発行するということです。この事務でもかなりの事故が起きております。他人がやってきて本人であると偽った申請を行い、印鑑証明を発行する、こういった事故の件数は毎年毎年練馬区の中でも二けたの数があります。全国で見れば相当な数が出てくるだろうと思います。カードの交付は極めて事故の発生率が高いということを前提に組まなければいけないと思います。
 また、昨年の六月に都道府県の担当者を呼んで自治省が会議を開きました。その中で、転入届の簡素化に当たって、このカードの提示以外だめなのか、免許証等ではだめなのかという質問がありました。これに対しての自治省の回答は、厳格な本人確認手段であるカード以外はだめだという形の回答になっております。したがいまして、私どもがこのカードを交付するに当たって、免許証を提示されたとしてもまだ疑ってかからなければならない。事務的には極めて煩雑なものになりますし、また確実に本人に渡したというような保証はどうやってもとれません。そして、そこで事故が起きたときに、発行した練馬区長の責任だということで追及されてしまう。また、事故を起こした人間については何の罰則もない。
 このような制度を決められることは、私ども市区町村の職員にとって困ったものなんです。絶対にこれだけは困るというふうに断言ができる中身だと思います。
○高橋令則君 四人の公述人の皆様方には大変御苦労さまでございます。私は自由党の高橋と申します。何点か御質問を申し上げたいというふうに思います。
 まず最初に、青木公述人にお聞かせをいただきたいと思います。
 一つは、今の社会というのは、カードそしてまたコンピューターがないとできない、実態的にはそうなんですね。それで、それがどんどん進んでいる。ネットワークの使い方を見ていると本当に年々すごく増してきているんですね。
 そういった点から、行政としてはやっぱりコンピューターあるいはカードを含んで高度情報化というのは避けられない。それに対して、受けるんではなくてやっぱり攻めるというんですか、積極的にそれを利用してそして善用していく、活用していくということが必要ではないかと私は思っているんです。
 まず、埼玉県では、高度情報化の取り組みについては資料もいただきましたけれども、今後の重点的な取り組みの方向といったものはどういうふうに進めておられますか、考え方としては。
○公述人(青木信之君) 今後の情報化でいろんな課題があるんですが、一つは、先ほど十五分の最初の公述で申し上げましたように、県民の方々がどこからでもアクセスできて情報を入手できる、もちろん個人情報じゃない情報ですが、というようなシステムをつくってやっていく必要があるだろうというふうに思っています。
 その中で特に必要なのが公共施設に関する情報です。どこが使える、どこがあいていない、どこがこういうことをやっている。それからもう一つは、生活面でのいろいろなサポートに関する情報だろうと思うんです。それは保健であり医療であり、あるいは災害時にどうするかといったようなことなんだろうと思うんです。そういう意味で、そういうようなネットワークの構築に向けて今いろいろ検討をしているという段階であります。
 そういった今申し上げたような生活面のほかに、いろんなデータベース、埼玉県として過去いろんな蓄積があるわけですので、歴史や文化、地域のいろんな題材もございます、そういったデータベース化、それと今後いろいろ進むであろう電子商取引等に伴う対応策、そして最後に先ほど申し上げました市町村と全体とのネットワーク、大体このあたりを重点に基盤整備を進めていく検討を今し始めた、そういう状況にございます。
○高橋令則君 ありがとうございます。
 それに関連して、そういう光というんですか、その必要性あるいは効用というものが感じられますけれども、それに伴っての影というんですか、プライバシーの問題とかいろいろあると思うんですけれども、そういう進める過程の中でこういった点に留意しなければならないというふうに県として考えておられる点があればお聞かせをいただきたいと思います。
○公述人(青木信之君) 個人情報がどこかで入る部分がございますので、情報を峻別して考えていくというふうに理解をしております。したがいまして、今申し上げたようなものの中で、どういう情報であれば、ある情報に関しては多くの県民からアクセスしてもらってできる限り見てもらうことが大切な情報という情報もあれば、ある情報についてはできるだけきちっとした保護をしない限り使用してはいけない情報もたくさんあろうかと思うんです。その辺の情報を峻別してネットワークを形成していくことだというふうに理解しております。
○高橋令則君 同じような質問になるんですけれども、井原市長さんにお聞かせをいただきたいんですけれども。
 私の認識は、今の流れの中では高度情報化というのは好むと好まざるとにかかわらずもう避けられない。したがって、そういうふうな流れに対して県市町村いわゆる地方公共団体としては、受けるんではなくてむしろ積極的に取り組んで、メリットを強調して、そしてサービスしていくというふうな姿勢が必要ではないかと私は思っているんですけれども、市町村の立場でこういうコンピューターあるいはそのコードの利用というふうな観点についての基本的な認識について改めてお聞かせいただきたいと思います。
 それからもう一つは、それに伴っての光と影という話がありますけれども、これから進める中で留意しなければならない点もあると思うんです。プライバシーの問題などもそうなんですけれども、そういった点を含めて御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○公述人(井原勇君) 私どもの市でも情報公開条例といいますか、それをきちっと決めましてそれでやっておりますけれども、情報公開するのはこれはもう我々としては当然の義務といいますか、それくらいのつもりで情報公開には取り組ませていただいております。
 それで、情報公開とプライバシーの問題ということでございますけれども、やはり個人のプライバシーは尊重しなければいかぬと思いますし、ただ、それがどういうところにどういうふうになるかという具体的な問題については私は今ここでもって申し上げるわけにはまいりませんけれども、やはり個人のプライバシーの維持といいますか、それは当然必要というふうに私も思います。
○高橋令則君 ありがとうございます。
 プライバシーの問題に関連しますけれども、これを確保するためには、都道府県並みの、例えば条例がそうでしょうし、それから委託等があればそれに対する規約、約束ですね、そういうふうなことで取り組んでおられると思うんですけれども、法律に我々取り組んでいるわけですけれども、そういう問題を含んで制度化という観点については、県、市町村の取り組みとそれから国に対する要求というんですか、そういった点については、このプライバシーの問題についてはいかがですか。
○公述人(井原勇君) 私もいろんな方にお目にかかったり、いろんなことをお話し合いしたりするのでございますけれども、よく法務局から指定されております保護司さんの関係とかあるいはいろんなそういった関係の方がいらっしゃいますね、そういったことは我々は知ることはできないし、聞くこともできないわけです。それは、やはり法で守られているといいますか、そういうことでなされているんだろうと思うわけでございますが、あえて聞くことももちろんできない。ですから、そういう情報はもちろん入ってまいりません。それは、個人のところあるいは警察は把握しているのかどうかわかりませんけれども、行政の長である私のところにはそういう情報は一切入ってこない、またそういうことを求めることもできないということで、そういった意味での具体的な例としてそういうものは保護されているのかなというふうな気はいたします。
○高橋令則君 ありがとうございました。ちょっと違った角度で大変申しわけなかったのでございますが。
 実は、今の国の法制では、包括的な、全体的な個人情報保護、そういう問題についての取り組みというか、今のところ十分ではありませんで、ばらばらになっているんですね。そして、何といいますか、法律ではなくてそれぞれのところでやっていくというのが実態でありまして、今それがこの住基の問題に絡んで、それでは不十分ではないか、やっぱり法律をつくってきちっとプライバシーの問題については保護をしなければならないのではないかという方向になっておりまして、今それなりに取り組みに入っているという状態であります。そういった面で、これから市長さんあるいは県の方でもそういう面で期待していただきたいと思いますし、その過程で御要望があればまたいろんな機会でお聞かせをいただきたいというふうに思っております。
 このプライバシーの問題は非常に重要なんですけれども、それはそれとして、やっぱりカードあるいはコンピューターのメリットといったものはもう避けられない問題であります。この問題の取り組みは、どうしてもこれは個人にとっても非常に重要なことでありますので、品川公述人に、今他の委員等からもお話があったわけですけれども、生活に根差したこういうシステムの必要性といったものについて改めてまたお聞かせをいただきたいと思うんです。
○公述人(品川寛子君) 皆様方がお話しなさることと質問なさってくださるやりとりを聞いておりましても、一般の者たちは余りいろいろなことを詳しく知らない面もあるのかなと思いながら聞いておりました。
 そして、もうこれは全く私個人の考えなんですけれども、一つのことだけを大きく取り上げて考える、またこちらだけ大きく取り上げて考えるとこれは何も成り立たないのであって、もしそれを二つ合わせたときに、確かにもろ刃の剣にはなるかもしれませんが、それは使い方によって非常に生きてくるのではないかというのが私の感想です。
 そして、個人情報が漏れるということ、それから一つにネットワークされるということが問題だということもありますけれども、よく言われるのが、各市町村でも県でもそうだと思うんですが、すべて縦割り社会で、縦割り社会で困るんだ困るんだと言いながら、じゃ、何かを一つにまとめようじゃないかと言うと、それはまた困るんだというような議論も出てくる。そして、情報公開しなくてはいけないんだと言いながら、情報公開をすると、今度はし過ぎておかしいんじゃないか、それは違うんじゃないかと。一体どっちがどうなのかなというのが、本当に申しわけないんですけれども、正直な私の今の気持ちです。
 そして、このプライバシーのことにつきましても、つい先日一緒に子供たちを連れて山に行っていた仲間に聞きましたら、僕なんか大したプライバシーはないから別に何てことはないけれども、もしかしたらきちっとした立派な人の方がこれが問題になるのかななんて。これは本当に普通の市井のその辺にある者たちの言葉だと思います。
 以上です。
○高橋令則君 ありがとうございました。
 江原公述人にお願いしたいと思うんですけれども、大きな問題と違い、ミクロの問題をお聞かせいただきたいと思うんです。
 マクロ的には、コンピューターとかあるいはカードを使っての効用とか何かというものは避けられないのではないかと私は思っているんですけれども、その過程でいわゆる集中のメリットとそれから分散のデメリットがあると思うんです。このメリット・デメリットの関係について少しマクロ的に公述人のお考え方をお聞かせいただけませんか。
○公述人(江原昇君) 私も、高度情報化社会がこれだけ進展してきております、コンピューターやあるいはカードそのものを全面否定しようというような物の考え方に立つものではございません。しかし、これらの活用が、先ほどもろ刃の剣という言葉がありましたように、必ず光と影二つの問題が出てくる。そうすると、それをどうルール化していくのかということがまず第一に問題になってくるだろうと思うんですね。
 そこの部分でこのルール、現在審議いただいているルールはこういった欠点がありますよ、ああいった欠点がありますよということを私専ら申し上げてまいりました。ルールがきちんと整っていない中で光の部分だけを追い求めていくことは極めて危険なことだろうというふうに思います。影がある、既に想定されるものがこれだけあるんだ、それをまずルールとしてそういったことのないようなものを決めていく、これが一番必要なことなんじゃないでしょうか。
 例えば、プライバシーの保護について自治体の集約したデータについてで申しますと、やはり少なくとも三つのポイントが必要だと思うんですね。個人が自分のプライバシーをどう守るのか。それからまた、その情報を管理している、練馬区であれば練馬区長が、大宮市であれば大宮市長がどれだけ管理監督の権限が及ぶのか。そしてまた、その自治体が、場合によると自治体あるいは自治体職員が不正をするかもしれない、第三者がそれがきちんとなされているかどうか管理をしていく。こういった三つの側面がきちんと整わない限りルールとしては不備だろうというふうに思います。本法案は、そういった点からもまた問題だろうというふうに理解しております。
○高橋令則君 ありがとうございます。
 もう一つは、ミクロというんですか、具体的におやりになっている現場の感覚として、そうはいってもコンピューターを使っておやりにならなきゃならないし、おやりになっているわけですね。その過程で、これをやっていくためのおやりになって管理上の問題というんですか、このコンピューター社会の問題というか、例えばこういうシステムについてはこういう問題があるとか、プライバシーの問題もそうなんですけれども、住基の問題については実務的にこういった面が非常に困る、そういった点を具体的な話でお聞かせをいただきたい。ポイントをいただきたいと思うんですけれども。
○公述人(江原昇君) 住基事務というのは市区町村の事務の基礎的データです。住基の電算化をして、それをベースに国保、年金、税そして今回は介護保険と、さまざまな事務がその根っこの上に大きなそれぞれが枝分かれした幹のように作成されてくるわけです。
 ところが、住基法の方もいろいろと変わってまいりました。例えば、続柄がかつては長男長女というふうになっていたのが全部子になるとか、あるいは在外投票制度によって付票の保存期間が延びるとか、細かな変化というのがさまざま加わります。ところが、練馬区のシステムの根幹になっておりますから、この住基のシステムを一ついじりますと、税、国保、年金、介護保険、これらの事務にすべて影響が出てくるわけなんです。全国ネットワークの中で、恐らく二通りの住民票の形式になってくると思うんです、練馬区が今発行している形式と全国で広域交付するものと。形は違うと思うんですよ、自治体によって全部形が違いますから。個人票、世帯票というふうに法令で決まっているものもありますし、それぞれ歴史的な経過があります。
 住民の方々から将来にわたってきっとこれは、二つあるのは勘弁してくれよという声が上がってくるのはもう必定だと思うんです。練馬区も全国形式に合わせなくちゃいけないよという話になってくると思うんです。そうすると、これは住基法の世界だけではなく、練馬区の住民システム全部を入れかえることになるんです。これは恐らく何十億という金がかかるんじゃないかというふうに思います。
 ミクロの世界の方でも、住基事務の位置づけと困難性というのはその辺に現在ございます。
 以上です。
○高橋令則君 終わります。
○松岡滿壽男君 参議院の会の松岡滿壽男です。
 公述人の皆さん方、本当に長時間御苦労さまです。まだ質問があるのかというような顔をしないでください。七番目でありますし、ごらんのように国会というところは数の順番でずっと質問の順番も座る順番も決まっておりまして、私のところは十人しかいないものですから。ところが、国会の運営は十人以上が議運に入れる、いわゆる交渉会派。だから、私どもはばらばらで一人ずつおったんですけれども、これじゃいつまでたっても紋次郎さんみたいに法務委員会しかおれない、一人二人でいたってどうしようもないわけですよ。
 そういうことで、無所属の皆さん方が十人集まって参議院の会。参議院はやはり衆議院と違う部分を出していかなきゃいかぬ。二重の話をしたって意味ないじゃないか。特に、今度憲法調査会ができまして、二院制の問題も論議されるわけですし、いわゆる九条の問題だけじゃないわけです。それと、やはり自自連立で五十人衆議院比例を減らそうと、そうしたら参議院は何人減らすんだと。参議院のあるべき姿は何かという議論をずっと我々は、参議院の改革をやろうということで参議院の会へ集まりました。
 そのかわり、厄介なことに党議拘束一切なし。だから、賛成反対自由にお互いに議論して国民の立場でやっていこうという、参議院の良識の府のまた良識の会ということでございまして、余り調子のいいことを言うなというようなお話でございますけれども。
 そういうことで、衆議院が長時間審議をしまして、八人の参考人を呼んだんです。私は、参議院は参考人を国会に呼びつけぬでもいいじゃないかと。だけれども、とうとう七人呼びました。ただ、衆議院と変わったところは、やはり現場へ出ていこうと。先ほど来お話がありましたように、浜松とか豊田町に行きましたし、地方公聴会を絶対やろうと。国会に市長さんや皆さんを呼びつけてやるというんじゃなくて、やっぱり我々が出ていって、きょう品川さんのお話も伺いましたけれども、生の国民の声を聞いていこう、そして今の国会の状況とかいろいろ意見交換をしようじゃないかということで、やっと実現ができたわけです。
 七番目になるとさすがに皆さん方もお疲れのようですが、しかしせっかく大宮まで参ったわけでありますから、少しずつお話を伺っていきたい。きょう三時から、帰りまして皆さん方の御意見をもとにして質疑をすることになっておりますので、また七番目だと思いますけれども、皆さん方の御意見を伺いたいと思います。
 まず、市長さん。私も十二年ほど市長をやりまして、いろいろ話を聞いておるんですが、一つひっかかっていますのは、自治省は、いや、市長会からの要望出ていますよと。それは去年の市長会でおざなりな要望だけ一応出した形をとっておるんですけれども、これをやった場合に本当に業務量が減るとか。埼玉県は広域で川越とかいろいろやっておられるわけでしょう、広域での住民票の。広域行政で我々周南四市四町でやっぱりやっているわけです。独自の、市町村だけじゃなくて広域的に住民票がとれる仕組みをつくっているわけです。それ以上に今回、国全体でたったこの四情報であれば個人情報の秘密でも何でもないわけですよ、だけれどもそれだけで済まぬだろうと思うから、いろいろ議論が出ているわけです。
 これは市長会で本当に今回のような国レベルでやってほしいという熱い要望と議論があったんでしょうか。
○公述人(井原勇君) 市長会の中でもって議論があったかどうかは、私は正直確認いたしておりません。
 ただ、私どもの市だけを調べてみましても、住民票あるいは印鑑証明をとられる方が大変多いわけでございます、年々ふえてきているわけでございますけれども、やはり自分のところだけでなしに私どもは土曜日でもやっておりますからそちらの方がふえているとか、あるいはほかの市町村でとれれば便利だとか、それはいろんな方がいらっしゃいますので、私としてはこれはやるべきではなかろうかと。
 それと、先ほど来申し忘れておったんですけれども、物事は信用です。とにかくカードを持ってくれば、これはこの人だとどうしてもそう思う。今でも印鑑登録、これは印鑑登録の票を持っております。そうしまして、前には委任状を持ってきてその登録票も持ってこなけりゃだめだったんですけれども、そうじゃなくて、今は印鑑登録票を持ってくればもうその人だということを信用する。おばあちゃんが大変年をとって役所へ来られない。だから、娘さんが来た。それで印鑑証明を欲しいと言ってくれば、もうそれはその人だと思って信用する。
 ですから、そういった意味において、カードというものになったときには確実に自分がやっぱり責任を持って管理するといいますか、紛失したらきちっとそれは届け出れば解消できるというふうなことで、私は世の中は信用で成り立っているというふうに思います。今の印鑑登録の関係もほかの市では問題がなきにしもあらず、発生しているところもあるやにも聞きますけれども、私のところではそういうことは一件も発生いたしておりません。これはもしそれがおかしく発生した場合には裁判ざたになるんだろうと思いますけれども、そういうこともございません。
 ですから、私は、カード方式にするということは非常に便利な社会になるのかなというふうに思っております。
○松岡滿壽男君 参考人のお話を伺ってみましても、例えば電子商取引、インターネットで売り買いするとか、そういうものが今六十兆円ぐらい一年間あるらしいけれども、五年以内に恐らく二百兆円ぐらいに膨らむだろうと。そういう新しい情報化の進展に対していわゆるデジタル経済基盤というのができ上がってきておるわけです。どんどん進みよるわけです。いやでも情報化の世界に我々は引きずり込まれていく。これはもう阻止できないわけです。
 それに対して、例えば法務省あたりが、さっき刑罰の話が出ましたけれども、きちっとした法整備がおくれているわけです。今度だって四情報全国でやるということについて、一応自治省はそれを漏らした公務員に対しては懲役二年以下、百万円以下の罰金だと言って胸を張っていますが、いずれにしましても、こういうものも法整備それから刑罰のあり方も、グローバル化が進むということはやっぱり性善説から性悪説に移っていかなきゃいかぬ。これも厳しくせぬと大変な事態になってくるだろうと思うんです。
 そういう中で、今回四情報を導入して、それで市町村にとって本当にいわゆる利便性という面から見れば、ないよりはあった方がいいに決まっているわけです。しかし、利便性とコストという面を考えると、私も委員会でいろいろ言っているんですけれども、先ほども話が出ましたが、新たに全国基盤でやるということになると六百億円かかるわけです。
 それで、既に市町村はそれぞれ独自に先ほどから市長さんが言っておられるようにコンピューター化して、それが恐らくその議論をしておってもお金が何ぼかかったかというのが国においてもつかまえられていないんです。しかし、八百億円ぐらいはかかっているだろう。ランニングコストを入れて一年間で大体その程度のものだろうと。それに六百億円乗せるわけですから、そうすれば、やった以上はこれは利便性とコストのバランスですね、便利はよくなったがやたらコストがかかるだけじゃどうにもならない。しかし、コストをかけた以上は使わなきゃいかぬという面から見ると、市町村の立場から見て、四情報以外に何かつけていくとしたら、どういうものをつけたらその利便性というのがより向上するというふうにお考えですか。
○公述人(井原勇君) これはいろいろございまして、四情報だけでは確かに私も個人的な見解として合わないと思いますよ、四情報だけでは。さらにもっともっと利用されるべきであると。
 それが何に利用されるかということをいろいろともちろん市町村としても検討していかなければいけないでしょうけれども、例えば旅券の発行についてもこれであれすればいいとか、あるいはどういうものについてはこれによって手続してくださいとか、研究課題はございますが、四項目だけは第一歩と。私自身の受けとめ方はそういう受けとめ方をいたしております。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
 青木さんにちょっと伺いたいんですけれども、県の方から見ると、これは降ってわいたような話だと思うんですね、今まで住民基本台帳は全然関係していなかったわけですから。これを進める県レベルから見たメリット、これからいろいろ広域で行政も進んでおられるだろうし、所沢ではダイオキシンの問題その他いろいろあってこれから広域で焼却とか高熱焼却とか、あるいは介護保険の問題とかいろいろ出てきていますし、国会でも地方分権一括法が通りました。だから、新しい事態が出てきているわけですね、地方自治体の中で。そういう面から見て、これを導入することによってどういうメリットを感じておられるのかということが一点。
 それからもう一つは、そのコスト。これは県でまとめられてセンターとを結ぶわけですから、当然市町村が危惧しておられるような市町村の負担というものはあり得ないだろうと思うんですが、県のレベルではどの程度の費用というものを考えておられるんでしょうか。
○公述人(青木信之君) 県としてのメリットということですが、さまざまな事務の効率化が進むということのほかに、先ほども申し上げましたように、やっぱり県とすると市町村で何かあったときに非常に心配なんです。あったときというのは、災害とか大きな爆発とかそういうことなんですね。そんなようなときに、バックデータとして使えるというのは非常に大きな意味があるのではないかというふうに思っておるんです。それ以外に、使う用途というのは検討していけば幾らでも出てこようと思うんです。
 ただ、先ほど来私の方で多少慎重な言い方を申し上げているのは、審議中の法案でもありますし、また私どもが利用しようと思うと当然ながら市町村と一緒に議論していかないとできないということもあって、多少慎重な言い回しで恐縮なんですが、思いつくようなことをずっと申し上げていけば、福祉面ではいろいろ出てこようかと思います。またそのICカードに血液型とかそういうことが入っていれば、いざというときに、その人が事故に遭ったときとかいうときの対応というのはやっぱり早くできるだろうというようなこともあり得るでしょうし、先ほど申し上げた図書館のカードも、今ある一定の十市町村ぐらいでしか使われていないんですね、共通カードが。もし例えば全県下で使えれば、大体今の市立の図書館はみんな電算化されていますので、そういったことで全県どこでも必要な図書を借りられるといったようなサービスも提供できるわけなんです。
 ただ、そういうことにこのシステムをどこまで使うのかどうか。もしそういうシステムをつくるとして、このシステムを活用していくのか別のシステムでいくのか、そういったことも含めて相当な議論を経ていかなければならないとは思うんです。
 そういった中で、システムが実際にできて、ある程度定着をして、もっとこんな方に使ったらいいんじゃないかということであれば、私は県として使える余地というのは相当のものがあるというふうに理解をしております。
 それとコスト面ですが、まだ余り細かな計算ができる段階ではありませんし、私どもその四百億、二百億の積算も知りませんので、実際にどうかという点ですが、余りそれほど多くの事務がふえるという意識はそう持っておりません。
 一方で、このシステムによってかなりのコストが減るということも考えておかなきゃいけないと思います。実際に幾つかの事務は法律の中でもう住民票等が不要になるわけですから、そういうコストの減もあるでしょうし、市町村の方では台帳事務の効率化というのも私は進むのではないかというふうに思っております。それから、カードをどこまで使うかという議論もいろいろあろうかと思いますけれども、与野の市長さんが言われたように、積極的に使われた場合にはその部分に関してもコストが減る余地はあろうと思うんです。
 プラス・マイナスがどうか、県としてどのぐらいプラスになるのかというところまではもちろん計算ができていませんけれども、少なくとも県のレベルの問題としてこのことが財政運営上極めて大きな問題になるようなコストであることだけはないレベルの額である。額的には、二兆円の予算の埼玉県でございますので、それは特段問題になる話ではないだろうと。
 問題は、もしこのシステムが入るのであれば、いかに活用して利用できるかということだろうというふうに理解をしております。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
 品川さん、大変御苦労さまです。
 先ほどのお話を伺ってみて、私もこの前デパートに買い物に行きましたら、そのデパートの会員になったら五%引きだ、なられた方がいいですよと、こういう話だったんです。それで、じゃ入れてくださいと言ったら、身分証明書を見せてくださいと。それで、考えてみたら、国会議員も身分証明書はないわけですよ。ないわけだ、本当に。だから、先ほどのお話伺ってみて、それで、その次に要求されたのは免許証。私は免許証を持っておるけれども、常には持っておりませんからね、東京へ来たら大体ほかの車に乗っていますので。ぎくっとしたんですけれども、そういう身近な生活の中からのお話を聞かせていただいたということは非常に参考になりました。
 ただ、先ほど来議論がありますように、四情報じゃ余り使いがいがない、六百億もかけて何やるんやと。しかし、今の時代の情報化の流れの中では、これはやっぱり必要だろう。そうすれば、個人情報の保護というものをきちっとやる。利便性は追求しながらも、これだけのコストをかけてやる必要があるのか。
 もちろんいろんなプライバシーの中には、この前、岐阜県の梶原知事が参考人で来られて、もう地方分権だから国の言うことなんか聞かない、変な情報を出せと言ったって、そんなものは今の力関係で断固頑張りますというような話をされました。
 だから、そういう状況の変化はあるわけですけれども、やっぱり皆さん方が非常に心配しておられるプライバシーの問題、そういう点で素朴に一番保護してもらいたいという情報ですね、個人としての。例えば電話番号という話もあるんですよ。だけれども、我々国会議員は、御存じのように、国会便覧に私どもの自宅の電話も載っているわけです。だけれども、一般的なレベルで見てやっぱりこれだけは絶対に出してもらいたくないという、そういう情報についての素朴な御意見がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○公述人(品川寛子君) ありがとうございます。
 本当に、ここに出させていただいてとても勉強になりました。そして、またこれをそれぞれの私の知っている人たちとかいろんな場でお話しさせていただけたら一番いいのかなと今思いました。
 御質問の中にありました何が一番嫌ですかというところでは、私は、もし自分自身のことを言われるとしたら、やっぱり病歴かなと思いました。
 といいますのは、今ここにこうして、これも自分自身でプライバシーをしゃべっているわけですからおかしなことですけれども、それこそがんセンターから脱出してきた人間ですから、そういう者がおかげさまで元気で今こうしておりますから、ボランティアとして十年もその上も生かしてもらって生きておりますからいいんですが、もし情報の中に書かれたとしたら、今元気でいてもやっぱり嫌だなというのはあります、正直言いますと。
 そして、糖尿の方はあった方がいいのかなと思って私もちょっと聞いてみました。糖尿病の方がもし意識を失って倒れているときに情報が入っていたらどうだろうと思いましてお聞きしたら、糖尿であることを自分は隠したいんだ、もし倒れたときにはどこかに自分のところに持っているからそれは要らないんだと言われました。
 そして、障害者の方はどうかしらと思ってお聞きしましたら、障害者には障害者手帳があるからそれもいいよと言われました。
 そして、まだここでこれから出てくるであろうその他もろもろ、血液に関係する病気の人もおられますから、血液型でしたらRhマイナスだとか、例えばAB型の人で新鮮血が欲しいと言われるときに非常に苦労をしますから、そこまでぐらいはまだいいのかなと思いますが、病歴は私はやはり、自分はもうおかげで元気でいるんですけれども、もし何が嫌だと言われると、嫌です。
 あなた、生きていたのかい、死んだって聞いたけれどもというような激しいことを言われながらも、おかげさまでここにこうしておらせていただけて、まして何が嫌かと聞かれるようなところにおらせていただけたことを大変ありがたく思っています。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
 江原さん、さっき刑罰について、一年以下と三万円以下ですか、しかし今度の四情報の漏えいについては、御存じのように国会の議論の中で、自治省の方の説明では二年以下の懲役それから百万円以下の罰金という形になっているんです。この問題についてはどういうふうに受けとめておられますか。
○公述人(江原昇君) 二年以下の懲役、百万円以下の罰金が加わりますのは、本人確認情報の漏えいと電算システムの秘密に関する漏えいです。本人確認情報は、先ほど来先生がおっしゃっていらっしゃる四情報プラス個人コードそのほかです。
 ところが、住民票の広域交付、転出届、転入届の簡素化、これでは六情報以外の情報も入ってきます。そこには例えば続柄も入ります。だれとだれとは、妻(未届け)というような続柄もあるわけです。何だ、夫婦だと言いながら法律婚ではないじゃないかというような人もいます。これらの情報について漏えいしてはいかぬという規定がないんです。本人確認情報は百万円以下の罰金、二年以下の懲役となっていますが、横のネットワークで取得した六情報以外の情報を漏えいした場合の罰則がない。それでは何の罰則がありますかというふうにお伺いしたところ、これは地方公務員法の守秘義務違反だから一年以下の懲役、三万円以下の罰金だということを申し上げております。
○松岡滿壽男君 本当に済みません、時間外で、ありがとうございました。
○団長(小山峰男君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の皆さん方に一言御礼を申し上げたいと思います。
 皆さん方には、大変長時間にわたり有益な御意見をお述べいただいたわけでございまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。拝聴いたしました御意見等につきましては、本委員会の審査に十分生かしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。委員会を代表いたしまして改めて厚く御礼を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
 以上をもちまして参議院地方行政・警察委員会大宮地方公聴会を閉会いたします。
   〔午後零時五十四分閉会〕