第145回国会 外交・防衛委員会 第5号
平成十一年三月十五日(月曜日)
   午後一時一分開会
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   委員の異動
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     山崎  力君     高橋紀世子君
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     高橋紀世子君     山崎  力君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         河本 英典君
    理 事
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                柳田  稔君
                高野 博師君
                小泉 親司君
    委 員
                岩崎 純三君
                亀谷 博昭君
                佐々木知子君
                鈴木 正孝君
                村上 正邦君
                森山  裕君
                齋藤  勁君
                吉田 之久君
                続  訓弘君
                立木  洋君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                山崎  力君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     高村 正彦君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  野呂田芳成君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       秋山  收君
       国際平和協力本
       部事務局長    茂田  宏君
       防衛庁長官官房
       長        守屋 武昌君
       防衛庁防衛局長  佐藤  謙君
       防衛庁運用局長  柳澤 協二君
       防衛庁人事教育
       局長       坂野  興君
       防衛庁経理局長  首藤 新悟君
       防衛庁装備局長  及川 耕造君
       防衛施設庁総務
       部長       山中 昭栄君
       外務大臣官房長  浦部 和好君
       外務省総合外交
       政策局長     加藤 良三君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  竹内 行夫君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省条約局長  東郷 和彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
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  本日の会議に付した案件
○平成十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十一年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十一年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(国際平和協力本部、防衛本庁、
 防衛施設庁)及び外務省所管)
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

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○委員長(河本英典君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十二日、山崎力君が委員を辞任され、その補欠として高橋紀世子君が選任されました。
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○委員長(河本英典君) 平成十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁並びに外務省所管を議題とし、去る十二日に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○高野博師君 最初に、防衛庁長官にお伺いいたします。先制攻撃について若干確認したいと思います。
 先制攻撃については、憲法上、理論的には可能だという見解ですが、最近の中国の新華社通信にこれを批判するような記事が出ておりまして、先制攻撃可能発言は中国を含めた周辺諸国の関心と不安を引き起こしているという批判をしております。周辺事態をめぐる自由党党首の発言とかあるいはTMD、さらには偵察衛星打ち上げ等、これが周辺諸国の抗議を呼んでいるという報道であります。その中で、歴史的な潮流に逆らう東京の一連の動きは軍事的役割の拡大をねらったものだという論説と、さらに相手の意図を根拠に他国を先制攻撃できるとすればこれ自体外部の世界に対する巨大な脅威となる、こういう批判をしておりますが、これについて長官はどういう受けとめをされておりますか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 実は、私は国会で、この間もこの委員会でも申し上げたとおりでございますが、先制攻撃という言葉は一回も使ってはおりません。どういうわけか、ごく一部の新聞だけが先制攻撃の発言をしたという記事になっておりますけれども、これは私としては正しくない報道だと思っております。
 御案内のとおり、我が国においては、憲法九条のもとで許容される自衛権を発動するためには、我が国に対する急迫不正の侵害があること、これを排除するのに他の適当な手段がないこと、それから必要最小限度の実力行使にとどめることに該当する場合に限られていると思っております。
 我が国に対する急迫不正の侵害がない場合において自衛権の行使として武力の行使をすることは、もちろん憲法上認められていないというのが政府の統一見解でございます。我が国に対する急迫不正の侵害がある場合については、従来から我が国に対する武力攻撃が発生した場合を指しているわけでありまして、武力攻撃が発生した場合とは、この侵害のおそれがあるときでもないし、また我が国が現実に被害を受けたときでもないし、侵略国が我が国に対して武力攻撃に着手したときである、こういうふうに一貫して申し上げているところであります。
 委員が御案内のとおり、敵基地への攻撃については昭和三十一年の政府統一見解がありまして、我が国に対して急迫不正の侵害が行われた場合、その手段として我が国に対し誘導弾等によって攻撃をされた場合、日本としては座して自滅を待つわけにはいかぬので、そういう場合においては、敵の誘導弾等の基地をたたくことは、他に手段がないと認められる限り、法理的に自衛の範囲に含まれるということで可能であるというふうに一貫して答弁してきたところであります。
 また、いわゆる先制攻撃というのは、武力攻撃のおそれがあると推量される場合に他国を攻撃することと考えているわけでありますから、私は各委員会において敵基地攻撃に関する従来からの政府としての考え方を説明の上、そのような場合には、武力攻撃のおそれがあると推量される場合ではなくて我が国に対し急迫不正の侵害がある場合、つまり我が国に対する武力攻撃が発生した場合であるということから、我が国に現実に被害が発生していない時点にあっても我が国として自衛権を発動し敵基地を攻撃することは法理的には可能である旨を答弁したわけでありまして、先制攻撃を認めたものではないということを改めて御答弁させていただきたいと思います。
○高野博師君 そうすると、相手が急迫不正の侵害をする、武力攻撃に着手したという段階ではあり得ると。これは先制攻撃とは言わないんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 相手が攻撃に着手した時点でそれに対応することは私は先制攻撃とは言わないということで、一貫して答弁しているわけであります。
○高野博師君 この先制攻撃という言葉がかなりひとり歩きしている面もありますので、いかなる国に対しても先制攻撃するつもりはないということを明言できるでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) それが伝統的な政府の見解でありますから、過般、韓国に対しても中国に対しても、そういう見解をまとめて、それぞれの駐在武官やあるいは我が国の先方の国に行っている駐在武官等を通じてきちっと日本の見解というものを申し入れて誤解を解いたところであります。
○高野博師君 それでは、念のため確認いたしますが、相手が急迫不正の侵害に着手したという段階でこちらが攻撃するという、その能力は今、日本は持っているんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 御案内のとおり、専守防衛ということでやってきたわけですから、今、防衛庁の装備体制というのは、直ちにそれに即応できるような装備は残念ながら保有していないというふうに考えます。
○高野博師君 それでは、そういうときに攻撃できる、攻撃に転用できる技術は持っているんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) そういうものがあれば対応できるような訓練は逐次進んでいると思います。
○高野博師君 具体的にどういう訓練をされているんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 具体的なことでありますから、防衛局長から答弁させます。
○政府委員(佐藤謙君) 今、大臣から御説明しましたように、現在のところ我が国としては、例えば昭和三十一年二月二十九日に言及されたような、そういった場合には敵基地を攻撃するような手段は保有していないということでございます。実際上、それに対する対応ということになりますれば、それは現状であれば日米安保体制のもとに基づく共同対処ということで、日米安保体制に依存をするということになろうかと思います。
 また、それに対する転用する技術ということになりますと、これは必ずしも明確ではございませんが、例えばそういったミサイル攻撃なんかに対する対応ということであれば、それこそBMDだとか、これは専ら防御的でございますけれども、そういったものの研究も進めるというようなこともあろうかと思います。
○高野博師君 日本独自ではそういう能力はない、日米安保体制というか、アメリカに依存するしかないという理解でよろしいでしょうね。
 それでは、防衛庁長官の所信表明の中で、「引き続き節度ある防衛力の整備に努める」という表現があるんですが、「節度ある防衛力」とはどういう意味でしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもが節度ある防衛力と使っているのは、これは厳格な意味で統一されているわけではありませんが、節度ある防衛力というのは何かと言われれば、例えば経済、財政事情も勘案しながら、所要の経費について抑制的な防衛力整備のありようを表現する場合に節度ある防衛力という言葉を使っているというのが通常であります。
○高野博師君 非常にこの言葉はあいまいで情緒的な表現だと思うんですが、これは憲法上認められている必要最小限度の防衛力と同じ意味だと理解してよろしいでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 御質問の必要最小限度の防衛力が、憲法九条の関連で言う自衛のための必要最小限度の実力ということであれば、我が国の防衛力は、憲法上保持し得る必要最小限度の実力の範囲内で、防衛計画の大綱に定める我が国が保有すべき防衛力の水準を目標として整備を進めているわけでありますが、その防衛力整備のありようを表現するものとして節度ある防衛力、あるいは適切な防衛力、あるいは効率的な防衛力といった文言を使っているということであります。
○高野博師君 今、長官がおっしゃられた適正な防衛力とか効率的な防衛力という表現は、これは必要最小限度というのとはかなり意味が、ニュアンスが違うんじゃないでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもが適切な防衛力という言葉を使う場合は、憲法や国防の基本方針とか、あるいは防衛計画の大綱など、防衛力整備の前提となる諸条件に合致するとともに、我が国として必要な規模、機能等を有する防衛力整備のありようを表現する場合にこういった適切な防衛力というものを使っているということであります。
 また、効率的な防衛力ということにつきましては、例えば多様な事態に対して有効に対処し得るような機能的、質的にすぐれた費用対効果等の高い防衛力の整備のありようを表現する場合に使用しているわけでありまして、これらはいずれにしても憲法上保持し得る必要最小限度の実力の範囲内のありようを説明している部分だと考えております。
○高野博師君 それでは、抑止力について若干お伺いいたします。
 抑止力という言葉は、特に核の抑止力というのは冷戦時代によく使われた言葉であり考え方なんですが、日米安保条約とかあるいは新ガイドライン、あるいはその関連法案、これが抑止力になるという議論があるんですが、これについてはどうお考えでしょうか。
○政府委員(佐藤謙君) 抑止力については先生御存じのようないろんな観点からの御議論があろうかと思います。したがいまして、厳密な意味ではそういった文脈でもって議論をしなければならないと思います。
 今、私どもが日米ガイドラインあるいはそれを実効あらしめるための法制整備で、これらのものがそういった事態の発生を抑止するために寄与する、こういうふうに申しておりますが、まさにそういった日本の平和と安全に影響を与えるような事態がそういう体制を整備することによって起こりにくくなると申しましょうか、そういう意味から申し上げているところでございます。
○高野博師君 具体的にどこに対してどういう抑止力かというのが大事だと思うんですが、日米安保体制あるいはガイドライン関連法案というのはどこに対しての抑止力でしょうか。
○政府委員(佐藤謙君) 今申しましたように、日米安保条約なりまたガイドラインなり、これにつきましては日本の平和と安全を確保するために整備されているわけでございまして、そういった意味ではどこと、こう言うよりもまさに日本の平和と安全に影響を及ぼし得るようなそういった事態が起こらないように、そういったことに寄与し得る、こういうことでございます。
○高野博師君 抑止力というのは、ある程度までそれが通じる相手には効果があると思うんですが、限度を超えれば相手から脅威とか挑発とか挑戦というふうにみなされる危険があると思うんですね。これに対して相手が過剰反応するということもあり得る。北朝鮮の場合は、金容淳書記が、日米韓が戦争挑発をしているというような発言もしている。
 その抑止の限界というのは非常に難しいと思うんですが、どういう観点からこれを見きわめるのでしょうか。これ以上抑止力を強めれば相手にとって脅威となるとかあるいは挑発になるという、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(佐藤謙君) ガイドラインの中でもそうでございますけれども、そういった事態が生じないように、あるいはそういった事態が生じそうなときにはそれをできるだけ抑制していくような、そういったための外交努力を含むあらゆる努力をするということが一方にございます。
 一方におきまして、万一の場合の備えということで我々整備をしようとしているわけでございまして、そのこと自体が外に対しまして脅威を与えるとかそういうものではないだろう、こういうふうに考えております。
○高野博師君 抑止力の背景には軍事的な力の対決というか力の均衡あるいは不均衡があるわけで、そのために恐怖とか不安ということが抑止力として働くんだと思うんですが、究極的にはこれは、ある段階までは抑止力というのは効果がある、必要であるかもしれませんが、本当に平和を達成する手段とはなり得ないのではないかというふうに思うんですが、その辺いかがでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 委員御指摘のとおりだと思います。だから私は、例えば外務大臣も折に触れて答弁されているとおり、北朝鮮に対しては外交の窓口を開くような努力がやはり並行して大事なことだと考えております。
○高野博師君 それでは、日米韓の防衛機構の創設というテーマについてお伺いいたします。
 最近アメリカの有力議員が、北東アジア弾道ミサイル防衛機構という、これの創設を提言したという報道がありますが、これはNATO型の機構を視野に入れてこういうものをつくろうということらしいのですが、これについてはどうお思いでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) ただいまの委員の御質問は、先般、米議会の有力議員がペリー北朝鮮政策調整官に対して日米韓三国の共同機構を設立して弾道ミサイル防衛の共同研究、開発、配備等を推進するよう提言したという報道が一部にありましたが、そういうことを踏まえた御発言かなと推察されますが、この前提で申し上げるとすれば、政府としては報道にあるような提言について具体的内容を一切承知しておりません。
 また、我が国の対応を含めコメントすることは困難だと思いますけれども、弾道ミサイルということについて申し上げますれば、政府としては御案内のとおり、昨年の十二月に平成十一年度より弾道ミサイル防衛に係る日米共同技術研究に着手するということを決定したところでありますが、この枠組みは第三国に広げるということは全く考えておらないところであります。
 なお、一般論として申し上げますと、北朝鮮情勢への対応に関し日米韓三国間の緊密かつ継続的な協議あるいは三国間の密接な政策調整が重要であるという点では、コーエン国防長官、ペリー政策調整官、千容宅韓国国防長官との間でも共有の認識を持っているところであります。
○高野博師君 この三国間のNATO型の防衛機構というのは集団的自衛権の行使なくてはあり得ないのだと私は思いますが、現在のガイドラインあるいはその関連法案についても、中国側から見ると既にこれは東のNATOだというようなとらえ方もしているという報道もあります。
 こういう考え方は、北朝鮮ばかりではなくて中国とかあるいはロシアの反発も相当受けるのではないかと思うのですが、現在のところはそういう考えはないという理解でよろしいですね。
○国務大臣(野呂田芳成君) はい、そのとおりでございます。
○高野博師君 それでは、ロシア関係についてお伺いいたします。
 平和条約締結の問題あるいは北方領土問題について、今ロシアとの関係はどういう現状にあるのでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 日ロ間の平和条約交渉については、昨年十一月の小渕総理訪ロの際に署名されたモスクワ宣言において、東京宣言、クラスノヤルスク合意及び川奈合意に基づいてこれを加速していくことで両国首脳が一致をし、平和条約を二〇〇〇年までに締結するよう全力を尽くすとの決意が再確認されているわけであります。
 先月二十一日にも私とイワノフ外相との間で平和条約締結問題日ロ合同委員会の共同議長間会合を行い、日ロ双方の案を踏まえて率直な話し合いを行いました。その結果、四月一日、二日には東京で国境画定委員会と共同経済活動委員会を開催することで一致いたしました。また、その後、私も改めて訪ロをする予定であります。
 もとより問題が難しいものであることは多言を要しませんが、政府としてはこれまでの日ロ間の合意及び宣言に従って今は文字どおり全力を尽くすべきときであると考えており、北方四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結して両国間の関係を完全に正常化するとの基本方針を堅持しつつ、交渉の推進を図っていく考えでございます。
○高野博師君 報道によればイワノフ外相が来られたときの交渉は平行線をたどったと。しかし、今、大臣がおっしゃられたようにロシア側が加速化したいという言葉を使われた、あるいは一連の合意宣言に沿って平和条約を締結するというモーメンタムは失いたくないというロシア側の発言に期待しているというような報道がありました。
 そこで、今、大臣がおっしゃられたように四月には高村外務大臣がロシアを訪問されるということでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) できれば四月ぐらい、若干時期はずれるかもしれませんが、訪ロをしたいとは思っております。
○高野博師君 もともと四月ごろはエリツィン大統領の訪日という予定が入っていたかと思うのですが、これは今どういうことになっていますか。
○国務大臣(高村正彦君) エリツィン大統領の訪日につきましては、昨年十一月の日ロ首脳会談において本年できるだけ早期に実現することで基本的に一致しているわけであります。
 これを踏まえて、二月小渕総理がヨルダンの故フセイン国王の葬儀に参列した際、ロシア政府関係者に対し今春にもエリツィン大統領に訪日いただきたい旨伝えられたところでございます。さきの日ロ外相会談においても改めてエリツィン大統領の訪日を本年できるだけ早期に実現することが確認されました。
 その具体的な時期につきましては、エリツィン大統領の健康回復や今後の両国間の政治対話の状況等を踏まえつつ、外交ルートを通じてロシア側との間で調整していくこととなっております。
○高野博師君 もう一つ。周辺事態の問題で、周辺事態、地理的概念ではないと言っているのですが、これはもう小沢党首なんかも含めてロシアが含まれるというような発言もありますが、もしロシアが含まれるのであれば、北方四島を日本に返還すれば当然米軍が駐留してくるのではないかということでロシア側の軍部が反発しているということなんですが、このガイドライン関連法案は北方領土問題には影響ないと考えてよろしいでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 周辺事態というのはあらかじめ一定の地域を定められるというような意味での地理的概念ではないということはたびたび申し上げているとおりでございまして、ですから、どこが入るとかどこが入らないとかということは言えないわけでありまして、イワノフ外相が訪日されたときも私から今のガイドライン関連法案についていろいろ御説明して、それなりに御理解をいただけた、こういうふうに思っているところでございます。
○高野博師君 要するにこのガイドライン関連法案の問題はロシア関係、日ロ関係に影響を与えないという理解でよろしいでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) ロシアの国内に、私は全然心配がない、懸念がないということは申し上げませんけれども、ロシア政府にはそれなりに御理解をいただいているというふうに思っております。
 先ほど、防衛庁長官が話しておられた問題についても、必ずしも政府関係者が言っていないことが報道で流れて心配するというふうなこともかなりあるわけでありますので、論理的に正しくてもなるべく誤解されにくいように言おう、そういう注意をしているところでございますが、本質的な意味で、特に北方領土問題についてガイドライン関連法案が悪い影響を及ぼすことはない、こういうふうに思っております。
○高野博師君 それではもう一つ、これはロシア政府が非公式に環境関係の円借款約二十億ドルを日本政府に要請した、これに対して日本側がこれを断ったという報道があるんですが、これは事実でしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) マスリュコフ第一副首相から私あてにロシアのエネルギー施設の近代化のための支援に関する親書が参りまして、既に私から同第一副首相に返書を発出しておりますが、ロシア側との関係もあり、やりとりの具体的詳細について御説明することは適当でないと考えますが、政府開発援助、ODAは原則として開発途上国を対象とするものであって、今G8のメンバーであるロシアに対して政府はこれまでODAを供与しておらず、現在この方針を変更することも考えていない、こういうことでございます。
○高野博師君 これは橋本前総理のときから、ロシアとの関係は経済的な関係、経済協力、そして政治問題、これは車の両輪として推進していくということ、そういう方針だったと思うんですが、これから特に環境問題についての円借款はODAの対象外じゃなくてもやる方向にあるのと違うんでしょうか、一般的に言いますと。そこはどうでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 一般的に言えば、円借款というのはまさにODAでありますから、やはり開発途上国を対象としたものであるということは言えるだろうと思います。
○高野博師君 北方領土問題はロシア側の国民の支持がないとなかなかうまくいかない。そのためには、ロシア国民の民生の安定というか生活の安定というのは非常に重要な点ではないかと思うんです。
 そういう意味でODAの対象外、一般的には対象外でありますが、これはもっと経済協力関係を強めるという観点から将来的にはこれは進めるべきではないかと私は思うんです。この点について、対象外ということでずっとやらないのか、あるいは将来ロシアも入れていくというような考えがおありなのかどうか、お伺いいたします。
○国務大臣(高村正彦君) 現時点で本件への対応と平和条約交渉の進展とを結びつけて論ずることは必ずしも適当ではないと考えているわけでありますが、一般論として申し上げれば、これは大変大規模なプロジェクトでありまして、我が国政府としていかなる関与ないし支援を行うかについて、これは案件が成熟した時点で当然のことながら二国間関係全般の状況を含めて種々の事情を総合的に考慮しつつ判断していくべきもの、こう考えております。
 そういう中に、先ほど申し上げた、一般的にはODAはロシアのような一応G8に入っているような国に供与していなくて、現在直ちにこれを変更することは考えていない。将来的には絶対にしないとか、そういうことまで申し上げるつもりはないということです。
○高野博師君 実は、きのうの夜、テレビのCBSのリポートを見ていたんですが、アメリカにとって最大の脅威は、ロシアの核兵器あるいは技術、技術者、核物質の流出だと。ロシアには現在、ソ連時代からつくっていた秘密都市が十カ所ぐらいある。その各都市には十万前後の人が住んでいて、核兵器の生産あるいはプルトニウムの製造に従事している、冷戦が終わっても依然として生産し続けているということで、そこにいる従業員は二カ月も三カ月も給料が払われていないということで、生活に非常に困っている。
 そういう事情の中から、核物質を売り渡すとかあるいは技術者がどんどん出ていくというおそれがあるということで、特にイラン、イラク、北朝鮮、ここに既に流れているのではないかというような疑いもあるんですが、これに対してアメリカがとりあえず四十二億ドルの援助をするというような報道がありました。日本は、こういう問題について将来的に援助するというようなことはお考えでしょうか。
○政府委員(西村六善君) 核物質の流出につきまして、諸外国、我が国を含めまして大きな関心を持っておることは先生のおっしゃるとおりでございます。既にこの方向でいろいろな協力が進められております。二国間の枠組みにおきましても協力が進められておりますし、多数国間の関係におきましても協力の枠組みが幾つかできておりまして、その枠組みのもとで協力が進められている状況でございます。
 幾つかのプログラムがございますので、プログラムの詳細に入って御説明する必要はないかと思いますけれども、そういうプログラムを多面的に活用いたしまして、我が国といたしましても国際協力の一環としまして協力を前向きに進めていく方針です。現にそういうことでやっている次第でございます。
○高野博師君 それでは、韓国の問題について伺います。
 小渕総理が近く韓国を訪問されるということですが、金大中大統領がある新聞のインタビューの中で、小渕総理との会談については、一つは、昨年秋の日韓共同宣言、これを着実に実行する方策を話し合う、もう一つは、日韓経済協力の一層の強化を図る、それから三つ目に、北東アジアの平和と安定についての方策について話し合いをするということを述べておりましたが、今回の訪韓について具体的に成果として何が期待できるんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 今回の小渕総理と金大中大統領との首脳会談においては、金大中大統領訪日の際に署名された日韓共同宣言及びその附属の行動計画の進捗ぶりについて点検し、今後の日韓関係の推進のあり方、とりわけ次代を担う日韓両国の青少年の交流やワールドカップに向けた文化交流関連事業等について両首脳間で率直な意見交換が行われる予定であります。また、日韓両国の安全保障にとって極めて重要である北朝鮮をめぐる問題についても両首脳間で突っ込んだ意見交換がなされる予定でございます。
 具体的にどのような成果と、こうおっしゃいましたが、両首脳という立場でするんですが、大きなそういう方向性みたいなことを話し合うということは大いに有意義なことだ、こういうふうに思っております。
○高野博師君 総理の訪韓の際に、日韓の文化交流会議みたいなものを設置して日本文化の開放を韓国側は図るという報道もありますが、これはどうでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 今の会議につきましては、昨年秋、金大中大統領の訪日の際、また十二月にハノイで両首脳が会談された際も韓国側から非常にこの設置に強い意欲が示されまして、小渕総理の方からもそういうことをぜひやろうと。
 こういう会議の場を通じて韓国の対日文化開放を慫慂していくというよりは、対日文化開放自体は韓国側の独自に進められることでございますけれども、そういう韓国側の姿勢を背景として、今後日韓間の文化交流を促進していく上でこの文化交流会議というものを活用していこうということは双方共通の理解がございます。今回の総理の御訪韓の際にもこの問題について、どういう構成にするかというようなもう少し具体的なお話し合いが行われるというふうに考えております。
○高野博師君 天皇陛下の訪韓については今どういう準備を進められているんでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) この問題は大変重要な問題でございます。小渕総理からも常々日韓両国で協力して天皇陛下の御訪韓が実現できるような環境を整えていきたいということを先方にもお伝えしている、こういうことでございます。
○高野博師君 環境整備、もう少し具体的に教えてもらえますか。
○政府委員(阿南惟茂君) 日本の国内での具体的な検討というよりは、現在日韓関係は昨秋の金大中大統領訪日を一つの契機として大変いい状態になり、さらにいい方向に向いているわけでございますが、こういう状況をさらに一層確固たるものにしていく、そういう形で陛下の御訪韓が実現できるような環境を整えていくという、いささか抽象的、一般的でございますが、そっちの方での環境を整えていくということを申し上げております。
○高野博師君 日韓関係は金大中大統領の訪日で非常に進展したと思うんですが、しかしまだ依然として従軍慰安婦の問題とか、あるいは漁業問題についても懸案の点が残っていると思うんですが、こういう問題について整備していくという理解でよろしいでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 今、高野先生が言及されましたような問題ももちろん課題としてございますが、私が先ほど申し上げましたのはもうちょっと幅広い意味で、確かに日韓関係はこのところ目覚ましい進展を示していい方向へ向かっているのであります。
 両国の中でそういうものを本当に定着させていくということ、そういう意味でまだまだ努力の必要があるというふうに考えておりますので、幾つかの具体的な問題を解決してという特定の問題を対象に関係改善を図る努力をしているということではございません。
○高野博師君 最後に、国旗と国歌に対しての認識についてお伺いしたいと思います。
 防衛庁長官は、日の丸と君が代に対してどのような感情、意識を持っておられますか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 国旗や国歌の位置づけに関しては、諸外国ではこれを法制化している国もあります。また、成文法を旨としている我が国にありましては、国旗や国歌についても成文法としてより明確に位置づけることについて検討する時期にあるんじゃないかというふうにも考えます。これは防衛庁長官としての意見というよりは、政府全体として今般国旗や国歌の法制化を含めて検討に着手することとしたものであると私は理解しております。
○高野博師君 もう少し突っ込んだ話を聞きたいんですが、外務大臣は個人的にはこの日の丸・君が代の問題に対してどういう認識をされておられるのか。
 ちょっと視点を変えて、最近の安全保障問題についていろんな論議がありますが、その背景と日の丸・君が代の問題、この法制化を図るという動き、これは政府の考えでもあるんですが、その背景には同じような何か一つの動向というか、あるいは思想というか、そういうものが存在するとお思いでしょうか、それとも全く関係ないとお思いでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 基本的に関係ないと思っています。関係づけて考える方も、両方のサイドと言うのがいいかどうかよくわかりませんが、あるかもしれませんが、基本的に関係ないだろうと私は思っています。
○高野博師君 終わります。
○小泉親司君 米軍機による低空飛行訓練についてお尋ねいたします。
 まず初めにお伺いしたいのは、青森県や秋田県にまたがる白神山地での米軍機による低空訓練の問題でございます。
 環境庁の出先の事務所ですとか青森県と秋田県でつくります白神山地世界遺産地域連絡会議が、三月八日に、この地域で米軍機か何かの航空機による低空訓練が行われておって、イヌワシの生息などに大変大きな影響を与えているという点を危惧されて、国に対してこの訓練について見直しの申し入れがされております。
 高村外務大臣は、この問題については参議院予算委員会でも取り上げられて、米軍機の可能性が高い、現在事実関係を照会中だというふうに答弁をされておられますが、どのようなことを米軍に言われて、事実関係はどうだったのか、まず初めにお伺いしたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 御指摘の件につきましては、米軍機の可能性があるという報道を踏まえまして、世界遺産にも登録された同地域の環境保全に対する地元住民の高い関心にも触れつつ、米側に対して事実関係を照会していたところでございます。
 これに対して、在日米軍からは当該地域上空では飛行訓練は行っておらず、通過地点として上空を飛行する場合があるのみであると。また、当該地域上空を通過する際も、航空法に規定される最低安全高度、人口密集地三百メートル、その他の地域百五十メートルをはるかに上回る五千フィート、千五百メートル以上の高度で飛行をしている旨の回答がありました。
○小泉親司君 ということは、通過であるだけならば、世界遺産の地域であるとか、イヌワシの生息が大変危惧される地域でも米軍機が通過をしてもよろしいということが外務省の御見解なんですか。
○国務大臣(高村正彦君) 今事実関係を報告しろと言うから事実関係を報告したところでございますが、さらにそれがいいかどうかという話をお尋ねになりました。
 まず一般論として申し上げれば、米軍が飛行訓練を通じてパイロットの技能の維持、向上を図ることは、即応体制を維持するという軍隊の機能を維持する上で不可欠の要素であり、日米安保条約の目的達成のために極めて重要であります。日米安保条約が米軍の我が国への駐留を認めていることは、同条約がこの目的の達成のため軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としており、米側に対し低空飛行訓練の一般的中止を要求することは考えていないわけでありますが、この白神山地は平成五年十二月に世界遺産条約に基づき世界遺産一覧表に登録されており、同地域の自然を守るため、関係法令、自然環境保護法等に基づき工作物の設置や植物の採取等に関する種々の規制がとられていると承知しております。
 ただ他方、この地域が世界遺産であるけれども、この地域上空の飛行につき特段の規制は設けられていないことから、米軍機であるか否かを問わず、航空機が同地域上空を飛行することがあり得ることについては御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 そしてさらに、本件について、航空機による飛行とイヌワシの繁殖や生息への影響との因果関係がいかなるものか必ずしも明らかでありませんし、現時点においてコメントすることは適切でないと考えておりますが、環境庁、林野庁、青森県、秋田県から成る白神山地世界遺産地域連絡会議における取り組みも見守りつつ、必要があれば米側にも情報提供したり、あるいはそこで懸念があるのであれば懸念を伝えるということも考えていかなければいけない、こういうふうに考えております。
○小泉親司君 環境庁がまとめられた報告書は、もうお手元にはあるんだろうと思いますが、例えばその報告書でどういうことが書かれているかというと、通常、イヌワシの飛行高度よりも低く飛ぶときが見えたとか、例えば二ツ森の方から海岸に抜けるのを二、三回見て、かなり低空でヘルメットが見える感じだと、真瀬川沿いに低空で進入し真瀬岳の手前で急に高度を上げて青森側に抜けていくとか、環境庁の事務所が、つまり白神山地は御承知のとおり巡視員の方々しか入れないから、その巡視員の方々が大変危惧されてそういう報告を出しておられるわけです。ですから、それは一般的に上を飛ぶとかそういう問題ではなくて、これ自体はかなり低空に近い、訓練かどうかというのはいろいろ異論があると思いますが、そういう飛行が行われているというのは明らかだというふうに私は思います。
 そもそも、やはり世界遺産に指定されて絶滅危惧種の生存を初め生態系が重要な問題になっている地域なんですから、少なくともこの地域を除外すべきだと、日本の外務大臣だったら私はそう言うべきだと思うんです。
 例えばアメリカ本国では、こういう生態系、野生生物が侵される環境問題なんといったら非常に重大な問題になるわけで、日本の外務大臣として、たとえ今言われたようなさまざまな問題があるにしても、この生態系へ影響を与えるような飛行が現実に指摘されているんですから、しっかりと米軍に対して、少なくともこの地域での低空の飛行及び低空の飛行訓練、こういうものは中止すべきだという点を外務大臣は強く要求すべきじゃないんですか。その点を外務大臣にお伺いします。
○国務大臣(高村正彦君) 重ねて申し上げますが、低空飛行訓練はこの地域では行っていないという回答が来ているわけであります。
 そういう回答が来たのは私の方から、私の方からというか外務省から、まさにそういう懸念を伝えたことに対して回答が来ているわけでありますので、さらに今後とも、今後ともというか低空飛行訓練はしないようにということは申し入れ、そういう趣旨で懸念を伝えていきたい、こういうふうに思っています。
○小泉親司君 私は、低空訓練かどうかは別にして、低空の飛行というのは少なくともこの地域で事実関係として環境庁の、私どもが言っているんじゃないですよ、私どもはもっと厳しいことを言っておりますが、少なくとも環境庁の事務所の巡視員の方々が言っておられるわけですから、それは国のお役所の事務所の方が言っておられるんですから、その点はしっかりと事実関係を再度把握して厳重に、米軍に外務大臣が申し入れるとおっしゃいましたので、その点をぜひきちんとやっていただきたいというふうに思います。
 同時に、外務省はことしの一月十四日に初めて「在日米軍による低空飛行訓練について」と題する日米合意を行いました。
 私たちはこの間、米軍による低空飛行訓練は、大変ひどい騒音ばかりじゃなくて国民に大変危険な状態を与えているということから、特にアメリカ本国では低空飛行訓練の訓練ルートを公表しているというような事実からして、日本も当然この飛行訓練については、少なくともまず訓練ルートを公表すべきだということを要求してまいりましたが、この日米合意で飛行ルートの公表問題についてなぜ触れられていないのか、この点をまず初めにお聞きします。
○国務大臣(高村正彦君) 米軍の飛行ルートにつきましては、米軍が飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすとの観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあることは承知しているわけであります。
 他方、実施区域を継続的に見直しており、具体的ルート等、詳細は米軍の運用にかかわる問題でありまして、承知していないわけであります。
 今、委員がおっしゃった、米国では確かに市販の航空図に軍の飛行ルートが記載されているわけでありますけれども、米軍機が五百フィート、百五十メートル以上の高度で有視界飛行する場合には、これらの記載されたルートに限定されることなく飛行訓練が可能であるというふうに承知しております。
 日本では、日本の航空法が適用になりまして、百五十メーター以下では一切低空飛行訓練してはいけないことになっているわけで、それより低いところでやるときには飛行ルートを公開しているというのが今のアメリカのところで、百五十メートルより高いところ、日本で許されているようなところについての飛行ルートというのは別に公開されていない、どこでもいいんだというふうになっているというふうに承知しております。
○小泉親司君 今度の合意では、「在日米軍は、低空飛行訓練を実施する区域を継続的に見直す。」ということが述べられております。私、飛行ルートの問題じゃなくて、今度の合意では「飛行訓練を実施する区域」、つまりエリアなんだということが今度の合意の中で新しい点だと思います。一体このエリアというのは、在日米軍が現にやっている、つまり現にやっているエリアがあるんだということをこの合意は示しているわけです。それを継続的に見直すというんですから、それではこの合意に示される低空飛行訓練を実施している区域、現にやっている区域というのはどことどこの区域なんですか。
○政府委員(竹内行夫君) ここで申します空域と申しますのは、まさしく低空飛行訓練を行うその空間でございまして、これは言うまでもございませんけれども、ただ、その辺につきましては先ほど来大臣が御答弁申し上げていますとおり、米軍がルートにつきまして一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあるということはございますけれども、継続的にそれを見直しておりますし、具体的ルート等の詳細については、米軍の運用にかかわることでございまして承知いたしていないということを従来から申し上げているところでございます。
○小泉親司君 ということは、現に行われている区域についても外務省は知らないんですね。
○政府委員(竹内行夫君) 具体的なルートの詳細については承知いたしておりません。
○小泉親司君 ということは、今、外務大臣が一定の区域で云々かんぬんということを言われたけれども、実際に外務省としては、見直す前、つまり現にやっている低空飛行訓練を実施する区域というのは外務省自身も全然知らないんでしょう。となったら、これを継続的に見直すなんということを書いても、どういうふうに継続的に見直しているかというのは、外務省はどういうふうに御判断されるんですか。
○政府委員(竹内行夫君) 先生御指摘のことしの一月に日米間で公表いたしました文書におきますその箇所でございますけれども、「最大限の安全性を確保するため、在日米軍は、低空飛行訓練を実施する区域を継続的に見直す。」というふうにされてございます。
 そこで、具体的には、低空飛行の間に在日米軍の航空機が、例えば原子力エネルギー施設とか民間空港の場所、そういうところを安全かつ実際的に回避するということとか、それから人口密集地域や公共の安全にかかわる学校であるとか病院でございますとかいった建造物には妥当な考慮を払うということで、これは継続的にまさに安全確保の観点から在日米軍において見直すということでございます。
○小泉親司君 つまり、除外するものだけは決めたけれども、あとは日本全国どこでも、低空飛行訓練はこの合意では在日米軍が、言葉は悪いですが自由勝手にやってよろしいと、こういうことでございますね。
○政府委員(竹内行夫君) 先ほど大臣から申しましたけれども、在日米軍の駐留が我が国の同意によって認められている以上、訓練等を、軍隊として当然行うべきことということが可能であるというのは一般論として該当するわけでございますが、もちろん在日米軍も我が国の公共の安全に対して妥当な十分な考慮を払わなきゃならないという一定の枠というものがあるわけでございます。
 その枠の中で特に注意すべき点として、改めてと申しますか、特定いたしまして、先ほど私が申しましたような原子力エネルギー施設であるとか学校であるとか病院であるとか、そういうところについて十分な注意を払うということを日米間で文書として、改めてと申しますか、最初でございますけれども、文書において明確にいたしたということにそれなりの十分な意義があるだろうというふうに考えております。
○小泉親司君 しかし、この文書を読む限りでは、日本政府がどういうことをやるかということは何ら書いていないんです。主語が全部「在日米軍は、」ということが書いてあるだけで、一体日本の外務省がこの低空飛行訓練についてどういうことが言えるのかというのは、ただ最後の六項で苦情処理を行いますというだけの話なんですよ、この合意というのは。
 ですから、例えば日米合意では、週末及び日本の祭日における低空飛行訓練については制限を加えておるかのように言っていますけれども、その後で、「米軍の運用即応態勢上の必要性から不可欠と認められるものに限定する。」というふうに書いてあります。米軍三沢基地での低空飛行訓練について、三沢基地自体は一般的に即応態勢を強化する訓練なんだと位置づけていますから、私はこれでは何ら制限がないんじゃないかというふうに思うんです。
 その点でもう一つ、ちょっと時間も差し迫ってきたのでお聞きしたいのは、いわゆる今度の初めての日米合意書で、低空飛行訓練と定義づけられましたが、この低空飛行訓練というのはどういう訓練を指すんですか。
○政府委員(竹内行夫君) これは、私、軍事の専門家ではございませんのでちょっと正確なお答えになるかどうかわかりませんが、文字どおり、米軍の航空機が通常の上空での飛行訓練というよりは、まさに低空において地形に沿った飛行を行うとか、低空においての戦技、技術を磨く、それからそれを維持する、そういうための訓練であるというふうに考えております。
○小泉親司君 それから、この合意書は、在日米軍のどこの部隊の航空機に適用されるんですか。
○政府委員(竹内行夫君) これは、在日米軍、日本で活動する米軍ということでございます。
○小泉親司君 ということは、すべての戦闘機、在日米軍に置かれているすべての戦闘機に適用する、戦闘機部隊に適用するということなんですか。
○政府委員(竹内行夫君) これは、日本におきまして米軍が、空軍、海軍、陸軍はないと思いますが、海兵隊等、日本で活動する米軍というものが日本で不可欠な訓練を行いますときに、その際に、我が国におきます安全の確保であるとか地元住民との関係ということを考慮したものであります。
○小泉親司君 もう一つお聞きしますが、米軍自身は低空飛行訓練ということを当然やっていますから義務づけているわけですが、具体的に在日米軍の米軍機に対してどういう義務づけを低空訓練で行っているんですか。その点は外務省は承知しているんですか。
○政府委員(竹内行夫君) ちょっと御質問の趣旨を私、正しくとらえているかどうかわかりませんが、米軍の所要と申しますか、運用上の所要という内部のこととして、訓練の回数であるとか頻度であるとかということでございますれば米軍の運用上の問題でございますので、私ども承知いたしておりません。
○小泉親司君 例えば、先ほど高村大臣は百五十メートル以下じゃないから大丈夫なんだ、こういう合意なんだと言っておられたけれども、実際にこの日米合意自身が余り有効な米軍に対する制限は私は全然ないということを前提にお話しします。
 例えば、三沢のF16の乗員マニュアルというのがインターネットでとれますので、皆さん方も引かれたらよろしいかと思います。米軍乗員の訓練マニュアルというのがインターネットでとれますので一度きちんとやられたらよろしいかと思いますが、F16の乗員に対して三つのことを義務づけているんです。一つは、今度の低空飛行訓練というのはどういう訓練かと。米軍機の訓練は一千マイル、つまり三百メートル以下の訓練を米軍としては低空訓練と言うんだということを前提にして、このF16の低空飛行訓練をやるためには資格が必要なんだ、その資格をとるために三段階あるんだと。その一段階、二段階、三段階の三段階というのはどういう飛行かというと、三百フィート以下、つまり百メートル以下の飛行もF16の乗員になるためには、つまり低空飛行訓練の乗員になるためにはそういう訓練も義務づけられているわけです。
 だから、先ほど、それは合意でなっているんだと一般的におっしゃっても、この間のいろんな全国の低空飛行訓練を見ても大変超低空の訓練もやられているわけで、私たちは、そういうF16の乗員マニュアルなども米軍に照会してきちんと調査して、実際こういう訓練がこの日本で現実に行われているのかどうなのか。先ほど、外務省は承知していないとおっしゃっているんで、そういう点もやはりきちんと厳正に調査して、米軍に問い合わせをすべきだというふうに思います。その点、最後にお聞きして質問を終わります。
○国務大臣(高村正彦君) 百五十メーター以下で飛ぶことは我が国の航空法に違反しておりますので、そんなことはないと思いますが、そういう疑問が呈された以上、問い合わせあるいは何らかのことをして私たちなりに調べてみたいと思います。
○政府委員(竹内行夫君) 一言。米軍からと申しますか米側とは、この文書で取り交わしましたように、日本の航空法の高度は尊重するといういわゆる法令尊重義務で米側としてはやっているわけでございます。それに対しまして、それが異なったことをやっているのではないかというのは、それはまさしく日米間の信頼関係にかかわる問題でございますので、そこのところはひとつ我々としては注意した物事の取り進め方をしなきゃいかぬと思います。
 それから、低空飛行をやります場合に、日本の領土の上でやるとは限りませんで、公海上の海上でやるということもございますので、これを含めた低空飛行の高度といったものが全体としては考えられるのではなかろうかという点もあろうかと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 先ほど私、我が国の航空法に違反という言葉はちょっと不正確でありまして、航空法そのものが適用をされるわけではないわけでありますが、航空法の尊重義務がある、その尊重義務に違反している、こういうことを申し上げたわけであります。
○小泉親司君 私が指摘したのは、エアフォースインストラクション11の2Fの16、一九九八年五月一日、フライングオペレーションズ、F16のエアクルートレーニングという乗員マニュアルです。これはインターネットでもとれて、だれだって見られるものですから、実際にきちんとやるべきだというふうに思います。
 その点で、今度の合意というのは、私は現実の米軍の超低空飛行訓練を追認しただけで何の実効性もないという点を強く指摘して、私の質問を終わります。
    ─────────────
○委員長(河本英典君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、高橋紀世子君が委員を辞任され、その補欠として山崎力君が選任されました。
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○立木洋君 防衛予算について長官にお尋ねします。
 来年度の防衛関連予算について、先日もお話がありましたけれども、対前年度比〇・二%減というふうなお話がございました。しかし、当初の概算要求から九八年度第三次補正に回った景気対策枠の八十一億円を合わせますと、対前年度若干のプラスを確保しているというふうにも述べられております。
 現在の日本の防衛予算を見てみますと、世界で第三位の規模であります。この内容は、アジアで見てみますと、中国、韓国、ASEAN諸国九カ国の軍事費の合計に比べて上回る金額になっています。日本では約四百十二億ドル、この九カ国の合計が三百五十七・五億ドルということであります。
 今日、中国などからいわゆる厳しい指摘を受けている弾道ミサイル防衛構想の日米共同技術研究に踏み切ったというふうな問題を考えるときに、こういう事態は、これほど莫大な防衛予算を維持し、アジアの軍拡に対して悪循環をもたらすような悪影響は考えられないのかという点について、まず最初に御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 今、委員から世界第三位の規模だというお話がございましたが、これは比較するときにいろいろな方法があると思うんです。
 各国の国防費の比較で一般的に行われているのが、各国の通貨で表示された国防費をドル表示に換算して比較するということになっているわけですが、そうなりますと、各国の国防費の定義とか範囲がまずかなりばらばらでございます。また、為替レートによる換算であれば、外国為替相場のレートの変動の影響をそのまま受けるというようなこともありまして、そういうことを考えますと、各国の国防費の実態を必ずしも正確にそのまま反映しているものではないという側面もあるということを御理解いただきたいと思うんです。
 私どもは平成十一年度の防衛関係費を御検討いただいているわけですけれども、中期防に基づきまして我が国の安全保障上の観点と、それから経済、財政事情等を勘案しまして、先ほども出た部分でありますが、節度ある防衛力の整備を計画的かつ継続的に行っていきたい、そういうことを基本方針としているわけですが、調達価格の抑制等、あらゆる経費について合理化、効率化を私どもなりに進めて大変努力してきたと思っております。
 そういうことで、平成十一年度も必要最小限度の経常費を計上することができたのじゃないかな、こう思っているところでありますが、何とぞひとつ御理解いただきたいと思います。
○立木洋君 さまざまな国際的な統計を見てみますと、それは基準についての違いが若干ある。その点については私は否定しませんけれども、国際的に見て、統計が出されておる内容から見れば、日本の軍事費というのは依然として第二位あるいは第三位というのはすべての統計によって示されているんです。この問題についてはよく考えていただく必要がある。
 特に、九九年度の正面装備契約額、これは九八・七%が後年度負担になっております。さらに、いわゆる後方分の後年度負担または前年度までの既定部分を合わせると、後年度負担の総額というのは三兆四百三十一億円、莫大なものになっているんです。国の予算は単年度主義ですから単年度ごとに計算されていますけれども、防衛費の場合にはこういうふうに三兆円を超える後年度負担として次年度以降の防衛費を先取りしているという状態になっている特殊な形態です。
 結局、このように歳出化経費の支払いを繰り延べして、見せかけでは減額というふうな形にはなるけれども、現実には将来にわたって防衛費の膨大なツケ回しをする。こういうあり方で現在三兆円以上のいわゆる後年度負担ということになっている事態をどのようにお考えになっているのか、先ほどの問題とあわせてお答えいただきたい。
○国務大臣(野呂田芳成君) 平成十一年度の予算における後年度負担額につきましては、将来の防衛関係費における柔軟性を確保したいという観点から、対前年で平成十一年度の予算で四百八十三億抑制を図ったところでございます。
 膨大なツケを後年度に回すことにより膨大な予算を招くことになるという御指摘は、私どももそういう必死の努力を重ねておりますので、必ずしも当たらないのじゃないかな、こう思っております。
 また、そもそも防衛関係費における後年度負担額というのは、艦船とか航空機などのような主要な装備品の中には、その調達に四年とか五年とか、物によってはもっとかかるものもありますので、そういうことを踏まえて後年度負担というのが必然的に出てくる側面もあるということもまた御理解いただきたいと思うのでございます。
○立木洋君 いろいろお述べになりたいというようなことは、結局は、今の支払いをしている防衛費が実際には四兆九千億ですか、しかし現実には三兆四百三十一億という金が後年度払いで、現実に合計すれば莫大な金額になるわけです。
 だから、こういうふうな形で問題を考える場合に、いわゆる軍事費については削減をすべきであるということが国際的な流れとして今出されてきている状況の中で、こういう形でやって、実際には国民には理解しにくい形で後年度払いというものがあって、単年度ではいわゆる〇・二%減少いたしましたといっても、現実には莫大な軍事費、防衛予算を組んでいるという実態は、国民にはなかなかわかりにくくされてしまうというふうなことはいかがなものか。そういう点について私は厳しい姿勢を持っていただかなければならないと思う。
 その点とあわせて申し上げたいのですけれども、防衛調達適正化予算というのが二億五千万円計上されております。
 これは、御承知のとおり、二重帳簿システムによるNECの水増し請求の実態は現在も特別調査中であります。ところで、昨年十月一日にNECに関しては取引停止の処分をしたわけです。ところが、九九年度もNECが主契約企業の新中央指揮システムを初めとしてNECとの契約を前提とした事業は約五百億円も計上されているんです。
 また、中島元防衛政務次官の贈収賄にかかわった富士重工に関しても、一年間の契約停止の制裁を決定しております。また、練習機T7などの見送り、救難飛行艇US1A改等々についても開発計画を見直すなどということが述べられていますけれども、一年間の制裁解除後は富士重工の受注もあり得るというふうにも述べておいでになる。
 こういうような甘い姿勢で、また調査中のものであるにもかかわらずいわゆる五百億にも上る契約をするなんというふうなことは、いわゆる防衛庁として本当に先般の事態を深刻に反省されたのかどうなのかというふうなことに極めて疑義の念を感ぜざるを得ないんです。
 この点についての長官のお考え、今後この問題に対してはどういうふうにきちっとけじめをつけられるのか。先般も、この所信表明の中でお触れにならなかったという御指摘も同僚議員の中からありましたし、これらの問題についてもあわせて、この事態と今後について長官がどのようにお考えになっているのか、明確にけじめをおつけになる、その点もあわせてひとつ御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) いろいろな御質問があったと思うんですが、まず前段の方につきましては、私どももあらゆる防衛経費についてこういった効率化を図って、節度ある防衛計画の整備を計画的、継続的にやっていかなきゃいかぬという、そういう御指摘については全くそのとおりで、今後そういう努力をしてまいりたいと思います。
 調達に関するNECや富士重工の問題がございました。NEC、富士重工、それぞれ全部取引停止を行っているところであり、また富士重工については、過払い額などについては厳正に対処して……。NECの問題につきましては、すべて取引停止を、NECも富士重工も、今詳しく先生触れられた企業に対してはやっているわけですが、そのうちNECについては、まだ取引する部分が多いじゃないかという御指摘もあったわけですが、これは実は、中央指揮所のように、もしこれまでずっとNECがやってきたものを今全部停止してしまうと大変高いものにつく。計画的にNECがやってきましたから経費も安くつくんですが、これを急遽切りかえてほかの企業にやれと言ったら、これは大変な初動調達のお金がかかってくるわけです、これは設備からやらなきゃいかぬわけですから。
 それからまた、技術的にもNECは非常に長い時間をかけて研究してきたものですから、にわかにほかへ振りかえてもこれはうまくいかない。そうすると、中央指揮所というのは建設すべき期限がきちっと切られていますので、その工期にも間に合わなくなってくることになるわけですから、真にやむを得ないほかに振りかえのきかないものがあるということです。それ以外のものについては、企業をかえたりあるいは減額したりして適正に対処していくということにしているわけですが、かなり細部の問題に触れますので、担当局長から説明させます。
○政府委員(及川耕造君) 一言だけ。
○立木洋君 いや、いいです。もういいです。
○政府委員(及川耕造君) NCCSにつきましても代替を一部させております。
○立木洋君 長官、結局今まで防衛庁の調達の問題に関して、結局特定の技術を持った特定の企業との取引なんだ、だからなかなかそれは難しいということが、悪くなっていけばだんだん一つの癒着の根源にもなっている。だから、そういう問題についてもきちっとメスを入れた調達制度を考えるべきだということも問題にされてきているんです。
 いや、そこでないと取引がなかなか難しくなるから、そこでやっぱりやらなければならないというようなことをずるずる続けていったら、結局調査が十分に完結していないにもかかわらず、いわゆる泥沼に落ち込んでいくことにもなりかねない、そういう面もあわせて真剣にお考えいただきたい。
 そういうことにしないと、困難だからというふうにおっしゃっていくと、いわゆる今までの問題での徹底した調達制度のあり方にメスを入れることにはなりませんよ。その点については十分に御検討いただきたいということを申し述べておきたいが、いかがでしょうか。一言で結構です。
○国務大臣(野呂田芳成君) 委員のおっしゃることは私どももよく理解できるんです。
 ただ、一言答弁させていただきますが、よく御理解いただいていますとおり、防衛装備品というのは、やはり大変高度な技術も要るし、設備も要るし、秘密も守らなきゃいかぬということで、やる企業というのは特定されて、しかも高いお金、研究費を払って設備をつくって出てきたものが武器輸出三原則によって制限されて、お客さんは防衛庁だけだと。
 こういうことで、先生が先ほどおっしゃったような、長い間に依存関係ができてきたということは否定できない側面なんですけれども、じゃ、そこをどうするかというようなことについて私ども今一番頭を痛めているところでございまして、引き続き御指摘のように真剣にひとつ検討してまいりたい、こう思っております。
○立木洋君 その点については次の機会に質問を譲ることにしまして、高村外務大臣にお尋ねします。
 憲法についての基本的な考え方の問題ですが、憲法の前文では、もう私がここで申し上げるまでもなく、高村外務大臣は十分御承知だろうと思うんです。政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにすることを決意し、そしてまた恒久平和を念願して、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意した。さらに、我々は、世界の諸国民が平和のうちに生存する権利を有することを確認する。また、国家の名誉にかけ、全力を挙げてこの崇高な理想と目的を達成することを誓うということを明記されて、第九条での戦争の放棄等を誓ったというふうになっているわけです。
 ですから、国際紛争の問題に関して、基本的な憲法の前文、第九条の立場に立つならば、国際紛争に際して何よりもまず在日米軍への協力、支援というふうなことが問題になるんではなくて、いわゆる憲法の前文や第九条一項にあるように、国際紛争を武力で解決しないという精神に基づいて処理するということがまず憲法の精神でとらなければならない姿勢だろうというふうにも考えるわけです。
 ですから、戦争や武力での解決を避けて、平和的な手段での解決を各国に働きかける、そういう立場を貫くということが日本のとるべき憲法の指し示した道ではないかというふうに考えますが、この憲法の基本的な認識の点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 今、委員がおっしゃったことに、私は別に真っ向から反対だというようなことは全くないわけで、そういうことなんだろうと思います。
 ただ一方、現実の問題として、やはり平和外交努力をするのと同時に、日本に万々が一それにもかかわらず攻撃があったような場合には、個別的自衛権の発動は憲法九条でも許されていると思いますし、あるいは、今の状況の中で、日本一国で守るということが非常に難しいのであれば日米安全保障条約というものを結んで、むしろ日本が一国で守れるだけの軍備を持つよりも、いろんな政策判断はあると思いますけれども、日米安保条約と我が国の節度ある防衛力、節度ある防衛力ではありますが、一方で精強な自衛隊の存在というものが抑止力になっている、これは平和外交努力と相まって日本の平和と安全、独立を保持していくんだと、こういうふうに思っています。
 ですから、基本的に委員がおっしゃったこと、私はそれを肯定した上で、そういうふうに思っております。
○立木洋君 そういうふうにおっしゃるならば、結局日本の新しい憲法で制定されているのは、戦争条項というのはこの憲法にはないわけです。一方的に放棄されているわけですね。
 つまり、国の安全保障を軍事力に依存する政策は憲法によって放棄された。これが基本なんです。ですから、米軍の戦争を維持し継続する軍事的な役割を担うという意味での協力を国家権力で行使するということは、憲法の前文及び第九条の平和的基本原則とは全く私は両立しないと思うんです。その基本原則を根本的に変えるということになるのではないですか。
 軍事力に依存して日本の安全保障を維持しようとすることは、憲法の基本的な原則から見てそれを根本的に変えようとすることになるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) もし委員が日本の個別的自衛権まで否定、憲法の基本原則が否定しているものだという御意見なら、それは私とそこは意見が分かれるということでありますし、日本を守るために米国の力をかりる日米安全保障条約がこれは憲法に違反するものだという御認識であれば、そこは私と、あるいは政府とと言ってもいいかもしれませんが、それは意見が違うということでございます。
 憲法の平和原則、平和理念というものは私は高く評価しておりますが、一方そういうことを前提にしても、やはり日本にはいざというとき日本を守る個別的自衛権というものはあるんだ、そういうふうに思っております。
○立木洋君 自衛権の問題に関して、いわゆる敵から攻撃を受けた場合、自衛権があるということは我々も否定しません。自衛権があるんです。自分たちの国は自分たちで守るという自衛権はあります。しかし、自衛権といわゆる自衛力というのは違うんです。戦力になっているんです、今の日本は。先ほど私が世界第三の規模の防衛予算になっているということを申し上げたのは、それと関係があるんです。世界で物すごく大変な戦力を持つまでに日本がなってきているんです。これを簡単に自衛権だ自衛権だということで問題を済ますということは私はちょっと違うんじゃないか。
 その点で言いたいのは、政府としてこれまで自衛隊を合憲だというふうに説明してきた内容としては、一つは自衛のための必要最小限の実力の保持というふうにおっしゃってきました。それからもう一つは、相手国から攻撃された場合に、自衛のための必要最小限度の武力を行使することは自衛権だから認められているというふうに述べてこられた。
 ところが、今はこれがなくなったんです。外国から我が国に対して武力攻撃が行われていなくても、周辺でアメリカの起こした戦争に対して協力する。戦争を放棄しておきながら、我が国が攻撃されていない事態で戦争に協力するということが何で憲法で認められるのでしょうか。なぜそれが合憲だと言われるのか、その根拠を憲法に基づいてお示しいただきたい。憲法に基づいてです。その根拠が憲法にあるかどうか。
○国務大臣(高村正彦君) 我が国が憲法でもって禁じられているのは、禁じられているというよりも実力行使が許されているのは、個別的自衛権の行使。ですから、米軍が行動しているところに対して、日本みずからが攻撃されていないのに武力行使をするとか、あるいは日本が米軍の武力行使と一体となるような行為はしてはいけない、それは私は重々承知をしているわけであります。
 しかし、日本の平和と安全に重要な影響があるような事態が起こって、その収拾あるいは拡大の防止のために米軍が国連憲章及び日米安全保障条約に基づいて行動している。これはまさに日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす、そういうことをなくそうと思って米軍が行動しているときに、それを日本は手をこまねいていなければ憲法の趣旨に反するというようなことは全然ないと私は考えておりますし、そういう場合であっても日本国憲法第九条によって、日本自身が武力行使、武力行使と一体となることはやってはいけませんが、そこに至らない行動でもって、日本の平和と安全に重要な影響を与えるようなことを収拾するために、あるいは拡大を阻止するために活動している米軍に対して何らかのお手伝いをするのは憲法の趣旨に何ら反しないと私は考えております。
○立木洋君 もう時間がなくなりました。ちょっと大きな問題を出し過ぎたかもしれません。この問題は引き続いて私はやりたいと思うんです。
 しかし、今、高村外務大臣がおっしゃったけれども、憲法に基づいてその根拠を示しておりません。憲法は米軍の行為と一体にならない。一体にならないなんて憲法のどこにも書いていないんです、そんなこと。
 問題をはっきりさせなければならないのは、周辺事態という問題自身が極めてあいまいなんです。この間、同僚議員もいろいろ指摘されましたけれども、「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」、これが極めて抽象的なんです。だから、一つの国が軍事に関する権力を発動するということを国家権力が行う場合には、国民の人権の制限だとかに直接かかわる問題でありますし、外国との関係にも重大な意味をもたらすものでありますから、この権力の乱用を未然に防がなければならない。そうであるならば、あいまいな規定は許されないということが近代民主主義国家での原則なんです。
 ほかの国で戦争の問題に関してどういうふうな規定がされているか、憲法やそれに関する基本法等々で問題にされています。憲法には戦争に関する規定というのは一切廃棄されているんです。ないんです、それは。だから、憲法にその根拠を求めることはできないんです、高村大臣。それは武力と一体なんていうことは憲法のどこにも書いていないんですから。だから、近代国家の民主主義的なあり方で踏まえるならば、この問題については極めて重大なので、ここで続いて質疑をしていくのには時間が足りません。
 次の機会に引き続いてやらせていただくということで、終わります。
○田英夫君 最初に社民党として政府に申し上げておきたいことがあります。
 それは、野中官房長官が先日記者会見で、社民党はガイドライン問題の法案をつくるときに与党として関与したにもかかわらず、今非核神戸方式を地方自治体に広げるということを党として支持しているけれども、これはおかしいという批判の談話を出されましたけれども、これは野中官房長官ともあろう方がいささか事実と違った受け取り方をしておられるので、はっきりさせておきたいと思います。
 一昨年、一九九七年六月八日にガイドライン本体の中間発表というのが日米両国政府から出されて、当時、与党ガイドライン問題協議会、自民、社民、さきがけ三党でつくりまして、六、七、八、九月と連日のように激論を闘わせたわけであります。最終的に九月になりまして意見が一致しなかったということで、意見の差異を埋めることができなかったという、ここにそのペーパーがありますが、「与党ガイドライン協議のまとめにあたって」という紙をつくりまして発表して、与党の協議は終わったのであります。
 そのとき、まだ周辺事態安全確保法案のような関連国内法案はできていなかった。そういう状態で意見が一致せず、これは社民党の与党離脱の原因の一つになったわけでありますが、そういう経過がありますから、今出てきている関連国内法については、私どもが関与してつくったというのは間違いであります。したがって、その第九条にある地方自治体の長に対して協力を求めるというこの問題に対しても私どもは関与しておりません。
 非核神戸方式というのは、全くそれとは関係なしに神戸市が議会においてつくられた。我々は非核三原則を国是としておりますが、特に社民党はこの点については大切に考えておりますので、この機会に高知県その他で起こっているこのことをぜひ各地方自治体も考えていただきたいということを、今地方の党の組織に指示を出しているということは事実でありまして、官房長官の非難は当たらないということをこの際申し上げておきたいと思います。
 この議論については、今ちょうど席を外された佐藤防衛局長は当時の与党ガイドライン問題協議会に出ておられて今政府側に座っておられる唯一の、あるいは竹内さんは条約局長で時に顔を出しておられたということはありますが、この点については以上のことを申し上げておきたいと思います。
 ガイドライン問題に関連して、台湾問題について、あるいは極東の範囲ということについて議論したいと思います。
 この問題は、ガイドラインの関連国内法の審議が始まる前から周辺事態の範囲というふうなことで修正話が出ているのはおかしいということを私は先日の予算委員会でも申し上げましたけれども、結局報道によると、極東という言葉を使うことを避けてと思いますが、周辺事態の範囲は安保条約の枠内という表現になるという報道がありますけれども、政府のお立場から見ると、周辺事態の範囲というのは、お経のように聞きましたから私覚えてしまいましたが、今もあの言葉と変わりありませんか。
○国務大臣(高村正彦君) 私もお経のように繰り返しましたが、私も余りよく覚えていないんですが、あの言葉と変わりございません。
○田英夫君 周辺事態という言葉、これは与党の一角をなす自由党の小沢党首も言っておられるのですが、日本語を正しく解釈すれば、周辺というのはある一つ、これは当然日本であって、その周りということですから、範囲が特定されなければおかしいんだと思います。
 これはしかしそれとして、極東の範囲というのは政府の統一見解でフィリピン以北、日本の周辺で、韓国、台湾を含むというのが統一見解として今も残っていると思いますが、それは変わりありませんか。
○国務大臣(高村正彦君) 変わりございません。
 もうちょっと申し上げますと、我が国の台湾をめぐる立場は日中共同声明に示されているとおりであり、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望しております。
 また、日中関係や日台間の交流の進展といった最近の国際的な状況において、こうした認識はますます広く共有されてきていると考えます。一方で、そもそも日中国交正常化も日中平和友好条約の締結も日米安全保障条約にかかわりなく達成されたものであることはこれまでも申し上げているところでございます。また、冷戦終結後も依然として不安定性、不確実性が存在している中で、日米安保条約に基づく日米安保体制の意義は不変であり、極東の範囲に関する昭和三十五年の政府統一見解を含め、日米安保条約及び当時の条約に関し政府が累次申し上げている立場に変更はありません。
 日米防衛協力のための指針においても、その「基本的な前提及び考え方」として、「日米安全保障条約及びその関連取極に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは、変更されない。」こととされているわけであります。
○田英夫君 私がこれから聞こうと思ったことまで答えていただいたんですけれども、要するに極東というものの中に台湾が入っていると。ところが、日中国交正常化、そしてそれに続く一九七八年の日中平和友好条約で台湾は中国の一部ということの中国の主張を尊重しという形で確認をしているわけです。だから、日中間において、これは国と国、政府と政府の約束として台湾は中国の一部ということが確認されております。
 極東の範囲の中に中国は入っていない。そうですね。となると、台湾は中国の一部ですから、当然自動的に、条約的に言えば一九七八年の日中平和友好条約ができた直後にこれを除外すべきだったんじゃないですか。いかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 先に答えてしまって申しわけございませんが、先ほど申し上げましたように、日中国交正常化も日中平和友好条約の締結も日米安保条約にかかわりなく達成されたものでありますから、その安保条約の極東の範囲というのは従来どおりと、こういうことでございます。
○田英夫君 それは大変筋が通っているようでいて詭弁なんです。私どもは、先輩の皆さんが何度も何度も繰り返し国会審議の中で極東の範囲はということを聞いて、結果的に統一見解というのが出てきたときには、それはまだ日中国交正常化前ですね。ですから台湾の問題がそのとおりするっと通ってしまっているわけです。
 しかし、安保条約とは関係なしということで、私もそれでいいと思いますが、安保条約とは関係なしに日中間で台湾は中国の一部ということをやったんだということで、筋が通りそうですけれども、実は安保条約とも関係なくても、極東という日本語は一体範囲はどこですか、こういう質問に切りかえてみるとどうなりますか。極東というのは一体どの範囲ですか。安保条約の第六条に出てくる極東、言葉は同じですけれども、安保条約と関係なしにとおっしゃるから、関係なしに日本語としての極東というのは範囲はどこですか。
○国務大臣(高村正彦君) 一般的に極東というのはどこからどこまでということは必ずしも定義されていないんだろうと思いますが、日米安全保障条約における極東ということは、昭和三十五年二月二十六日の政府統一見解で示されていると。それで、この政府統一見解の中にも、「一般的な用語としてつかわれる「極東」は、別に地理学上正確に画定されたものではない。」、こういうふうに言っているわけであります。
○田英夫君 そのとおりで、実はファーイーストですから、世界的に恐らくどこからどこまでとは言えないでしょう。ところが、安保条約の審議の中で今おっしゃったように統一見解が出てきて、それはフィリピン以北というさっきの言い方になった、こういう経緯があります。
 質問をちょっと変えますと、その後、同じ一九七八年、日本が日中平和友好条約を結んだその年に、アメリカはカーター大統領時代ですが、米中国交正常化をやりました。こっちが条約を結んだ年に、向こうは国交正常化をやりました。その直後の一九七八年十二月二十日の衆議院外務委員会で、土井たか子委員の質問に対して当時の園田外務大臣が、これは要するに、アメリカと中国が国交正常化をしたという状況の中で、その年にもう日本は平和友好条約を結んでいるわけですけれども、そういう二つの重なった状況の中で、園田外務大臣は「日本とアメリカが結んでおります安保条約の六条の中の解釈で、極東の範囲に台湾が入っておったわけでありますが、その必要はなくなったのではないか」と、こういう答弁をしておるわけです。
 ところが、不思議なことにその翌日、十二月二十一日、参議院の決算委員会で、秦豊君の質問に対して同じ園田外務大臣は「米台条約が切れた後、その必要がなくなったから第六条の極東の範囲の中の台湾地域というものが、これを取り除くのか、あるいはそのままやられるのか、これは私一人で断定できる問題ではありませんが、少なくとも米国と日本がある時期に話し合うべき問題である」と。一日置いたら今度はちょっと慎重になっているんですけれども、そういう二つの同じ園田外務大臣の答弁があります。
 いずれにしても、この問題はアメリカと話し合うか、とにかく今までのままでなくていいんじゃないかという意味のことを言っておられる。ところが現実は、現在に至るまで二十年間、そのままなんですよ。これはおかしくないですか。
○国務大臣(高村正彦君) 園田外務大臣みずからが、今御紹介のあった答弁の後、日中国交正常化及び米中正常化が日米安保条約にかかわりなく達成されたということを述べて、そして極東に関する昭和三十五年の政府統一見解に変更がないという趣旨を園田外務大臣自身が今御紹介のあった答弁の後におっしゃっているわけであります。
 いずれにしましても、極東に関する昭和三十五年の政府統一見解に変更はないというのが今の政府の見解でございます。
○田英夫君 こういうふうに条件が変わったにもかかわらずそのままにしてきたというところがおかしいのではないかということと、園田さんがその後またそういうことを言われたことも私も承知しております。同時に、園田さんはこの台湾の問題についてはアメリカと日本と中国がもっと率直に話すべきだということも別の機会に言っておられる。
 そして最近のところでは、クリントン大統領が昨年訪中されたときに、いわゆる三つのノーを言っておられます。アメリカ政府としては、第一は、台湾の独立を支持しない。二つの中国とか一つの台湾、一つの中国ということは支持しない。それから、台湾が国連などの国際機関に主権国家として参加することは支持しない、いわゆる三つのノーを言われた。これは中国との間で、中国は文書にしようと言ったのを口頭で言ったということがありましたけれども、いずれにしても確認をしております。
 ところが、そのアメリカはずっと前ですが、さっき申し上げた一九七八年の国交正常化の翌年の七九年に台湾関係法を締結している。ここに台湾関係法がありますけれども、日本語にすると大変難しい言葉が並んでおりますが、要するにアメリカは台湾に対して引き続き武器を供与するとか、台湾は中国の一部とか、あるいは三つのノーということとは全く矛盾する法律をアメリカは議会で可決をしてこれが現在もある、こういう状態はこれは明らかにアメリカの中の矛盾です。こういうことがありますと、特に日本にとっては台湾がアジアの重要な不安定要素になってしまうということで、園田さんが言われたように、ぜひこれは日本政府はイニシアチブを発揮されて、中国、アメリカと政府間でこの問題に正しい結論を出すために話し合われるべきではないですか。高村外務大臣はそういうおつもりはありませんか。
○国務大臣(高村正彦君) 台湾問題に関する我が国の基本的な立場でありますが、日中共同声明において表明されているとおりでありまして、我が国としては、台湾をめぐる問題が関係当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望しているわけであります。
 それで、我が国は、日中共同声明において中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認した上で、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重する、こういうことを言っているわけであります。
 今申し上げましたように、我が国は中国政府が台湾をめぐる問題は中国人同士の問題として平和的解決を目指していると承知しておりますし、このような基本的立場を堅持した上で、我が国としては台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望しているわけであります。
 米国の方でありますが、一九七九年の米中国交正常化の際、台湾問題の平和的解決に引き続き関心を有し、台湾問題が中国人自身により平和的に解決されることを期待する、こういうふうに述べております。この米国の立場にその後も変更がないことはそれ以降の米国の政策からも明らかだ、こう思います。昨年六月に中国を訪問したクリントン大統領も、江沢民主席に対し、中台間の対話を平和的解決への最善の道として追求するように促しているわけであります。
 日米両国間におきましては、日米安保体制の効果的な運用のため、極東における国際情勢を含め、これまでも広範かつ緊密な協議を行ってきております。そういうことで、日本とすれば米国とも中国とも緊密な対話を続けておりますし、日米関係も米中関係も基本的に大変良好なものである、そういうふうに私は思っているところでございます。
○田英夫君 言われたお気持ちはわかりますけれども、国際的な状況を客観的に見ると、台湾というのが一つアジアの中の非常に不安定な要因になっていることは事実なんです。
 ただ、私ごとですけれども、台湾の中に独立派がいる、それを大変また中国側は気にすることは事実ですけれども、やや誇大に言われている部分もあるんじゃないかな。その主張をしている政党としては民進党があるわけですけれども、民進党の総裁の許信良という人は、もともと国民党にいて、若くて知事になって、それが翻って国民党を脱党してアメリカへ亡命するというような非常に激しい変化をした人ですが、そのアメリカ亡命時代に何度かこの議員会館の私のところにも来たことがあります。来るたびに独立についての意見が微妙に違う。私ははっきり、あなたが台湾独立ということを考えているならあなたとつき合うわけにいかない、ここに来てもらっては困るということまで言いました。彼は、いやそれは違う、そういうつもりでいるわけじゃないと。しかし、あいまいであったことは事実です。
 ですから、私は提案して、あなたは一回北京へ行ってみたらどうですか、北京の指導的な人たちと会って、あなたの気持ちを率直に言ったらどうか、そういう話し合いを、これは内政干渉になるかもしれないけれども、私の立場からすればそれは中国の国内問題だけれども、あなた方がそういうことを話し合うことはいいことだと思うということで、実は中国の北京側のしかるべき人に紹介をして、彼は北京へ行きました。一カ月半ほど、中国でいろいろ議論してきたようです。
 そういうことをまた帰ってきてから聞いてみると、言われているほど独立ということが非常に深刻に台湾の中で広がっているというふうには言いがたい。民進党の中でもむしろ少数派である、独立派は。そういうことももちろん政府は御存じでしょうけれども、冷静に見きわめながら、ただ、アメリカの中に共和党を中心にして台湾に非常に肩入れをしているグループがいるからこそ台湾関係法が成立してしまったりするわけですから、そういうところを冷静に見きわめて、この間で話ができるのは日本じゃないんですか。そういうことを私はさっきから申し上げているつもりなんです。
 李登輝総統にもお会いしたことがありますけれども、むしろ総統という立場の人がこういうことを言ってもいいのかなと思うくらい、彼らの言葉で言えば大陸と言うわけですが、大陸との間の、海峡両岸の間の交流ということについて非常に熱心に話をしております。その言動から、独立をさせようなどというふうには全く受け取れなかったということも申し上げておきたいんです。
 したがって、台湾の問題というのも今度のガイドラインの問題で一つの焦点になってきておりますから、マイナス思考で考えるんじゃなくてプラス思考で、台湾問題を日本政府がむしろ推進役になって、アジアの不安定要素じゃないように解決していくにはどうしたらいいかということをお考えいただきたい、私どもも議論していきたいということを申し上げておきたいんですが、最後に外務大臣のそれに対する御意見なり御感想を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 台湾の問題は中国人同士の話し合いによって平和的に解決することを強く希望するということについては委員と私は全く同じ意見なんだろうと思います。
 日米安保条約そのものもそうですが、特にガイドライン関連法案、もともと特定の地域だとか特定の国を対象としてつくった法案ではないわけでありますから、周辺事態の中にこの場所は入っているとか入っていないとか、そういうことは言えないんだということはぜひ御理解をいただきたいと思いますし、日米安保条約における極東の範囲も、昭和三十五年の統一見解以来ずっと変わっていないというのが政府の立場であるということも、なかなか御理解いただけないと思いますが、ぜひ御理解をいただきたいと重ねてお願いします。
○田英夫君 終わります。
○田村秀昭君 防衛庁の、特に自衛官の再就職問題についてお尋ねしたいと思います。
 私の友人で、ちょうど六十一歳になる元陸上自衛隊の一佐の人ですが、まだ家のローンを払わなきゃならないということで、若年で定年になって第一回目は勤めたんですが、六十歳になってそこをやめまして、今いろいろ自分でも探して、やっと見つかったのが受験予備校の控え室で、学生が自習するようなところで、午後二時から夜の九時まで一時間七百円で決まったと。これは二月一日の話ですが、そういうのが現実の問題であります。いよいよ僕も一時間七百円の人間になってしまった、こういうふうに彼は述懐しておりました。
 命をかけて国を守る、そういう職責を持つ人たちに対して、どこの国でもその人たちの処遇については第三者機関が、いわゆる軍人の給与、処遇についてきちっと検討する機関を持っているわけです。ところが日本は、私はないと考えておるんですが、あるとしたらどこがあるのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(坂野興君) 公務員の処遇につきましては、基本的には一般職につきまして人事院がいろいろ調査いたしまして、公務員の給与とか諸手当とか、そういったものについて定めております。もちろん、それは最終的には国会の御審議を経て決めることになるわけでございます。
 自衛官の処遇につきましては、こうした一般職の処遇を基準といたしまして、一般職と自衛官との勤務の違いを処遇の面でどういうふうに反映させていくかということで今まで処遇の改善等が図られてまいりました。基本的には一般職を基準としておりますが、しかし、自衛官の特性ということにつきましてできるだけ広く部外の方々の御意見もお伺いするということで、これは全く私的な機関でございますが、防衛庁職員給与制度等研究会というものがございまして、そこでいろいろと御審議をいただいております。
 例えば、今までの実績で申しますと、賞じゅつ金、これは国家公務員でございます自衛官あるいは海上保安官、こういった方と、地方公務員である警察官あるいは消防官、こういった方との間で賞じゅつ金の取り扱いで大変大きな格差がありました。こういったことの格差を是正するということで、給与制度等研究会で御審議いただいて是正の実現が図られたわけでございますし、そのほか、予備自衛官制度が発足するに当たりまして、その処遇についてもこの研究会で御審議いただいた、そういうふうな実績もございます。
○田村秀昭君 結局、局長の言っておられることは、そういう第三者機関がないということを言っておられるんですね。あると言っておられるんですか、どっちですか。私はないと言っているんですよ。だから、ないならない、あるならある、はっきりしてください。
○政府委員(坂野興君) 人事院と並ぶようなそういう機関はございません。
○田村秀昭君 今おっしゃったように、ないんです。一般の公務員のいろいろな給与とか手当を準用しているだけなんです。だから、ぜひ私が申し上げたいのは、そういう一般の公務員と違うわけです、命をかけて国を守るということが。これは第三者機関できちっとやっていただきたい。それをやらないで、何となくごまかしていくといろんなことが起きると私は思うんです。だから、もう五十年もたっているわけですから、命をかけて国を守る人たちに対して国家がちゃんとその地位と誇りを与えるような機関をやはり日本国として設立しないといけないと私は思っているのです。
 これは、ぜひ防衛庁長官にどのようにお考えになっておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(坂野興君) 新しい機関を設けるということにつきましては、政府全体として行政改革を進めている折でございますので、大変難しい点はあろうかと思います。
 それから、人事院と並ぶようなそういう機関というのはございませんが、しかし給与制度等研究会という私的な機関でございますが、部外の立派な方々にお集まりいただいて御審議をいただいているということで、自衛官の処遇の改善にそれなりの寄与、また貢献もいたしているのじゃないかなというふうに考えております。
 ただ、先生のおっしゃいましたことにつきましては私どもとして十分検討させていただきたいというふうに思います。
○田村秀昭君 部外の識者にいろんな諮問をするということは悪いことではありません。だけれども、専門的にそういう人たちに対して、国家がそういう武力集団を持つならばきちっとそういうものをしないと私はいけないと思う。武装集団を持っていてそういう機関を持っていない、その人たちの処遇についてきちっと検討するところがない国は日本だけです。なぜ日本だけがそういう特殊なことをなさるのか私はお聞きしたい。なぜその特殊なことに甘んじたいと考えているのかということを聞いているのです。
○政府委員(坂野興君) これは、いろいろと防衛庁・自衛隊の発足以来の経緯もあったというふうに思います。
 ただ、自衛官の処遇につきましては、繰り返すようになりますが、基本的な公務員の処遇の中の一部門、もちろん特殊性はございます、そういった特殊性は踏まえつつも公務員制度の基本的な枠の中でいろいろ検討されてきて、その中でまた自衛官の特殊性ということを考えて行ってきた、そういったような経緯もございまして、人事院と並ぶようなそういう機関は今までなかったのではないかなというふうに考えております。
○田村秀昭君 米国では、勤続二十年以上の者に対しては退職時の基本給の七五%が支給される。若年定年で、五十三歳で定年になる自衛官も非常に多くいるわけです。六十歳までやる人というのは統幕議長と幕僚長ぐらいしかいない。あとみんな五十三か五十四か五十五で定年になります。その人たちに一番最終の給料の六〇%を七十歳まで払うというふうにお決めになったらいかがですか。
○政府委員(坂野興君) 自衛官は我が国の平和と独立を守るという崇高な任務を担っております。そういうことで、退職後の生活について憂えることなく安んじてその職務に精励することは非常に大事なことであろうというふうに考えております。
 ただいま諸外国との比較がございました。今回の検討会に当たりましても、諸外国の実例なんかも調べてまいりました。そうした調査の結果によりますと、先生今御指摘ございましたように、アメリカ、イギリス、フランス等各国につきましては退役軍人の生活を支えるために、もちろん就職もいたしておりますが、年金が中心になっております。他方、自衛官につきましては、退職するに当たりまして退職手当や若年定年退職者給付金が支給されておりますし、また一定の年齢に達しますと年金も支給されているというところでございます。
 もちろん各国との比較ということでございますと、その時々の為替レートとか、あるいは比較をする場合におきましても、階級の高い上の方、下の方ということで、いろいろ千差万別ではございますが、そういったことを比較いたしまして、私どもといたしましても、今後とも総合的に考えてバランスのとれた施策を検討していく必要があるのではないかなというふうに感じております。
○田村秀昭君 私は、そういうなし崩し的な御答弁を期待しているのではないのです。防衛庁はいつも一般のほかの省庁と比べている、倣っている。防衛庁は市場原理の働かない唯一の官庁なんです。テポドンが飛んでくるなんというのは市場原理に反する話なんです。だから、成熟した民主主義の市場、自由の市場原理を持った国がいかに市場原理を持たないところをのみ込んでいくか、包含していくかということが非常に重要な話だと私は思っているんです。
 それで、百年に一度あるか二百年に一度あるかわからない有事に対して国民の生命、財産をきちっと守る精鋭な部隊をつくっていかなきゃいけないんです。そのときにいつも防衛庁がお諮りになることは一般公務員並みということをいつも言われるんです。一般公務員と基本的に違うんだ。違うのを一般公務員並みとすることがおかしい。だからおかしいことがたくさん起きる。そうじゃないことをやっている人たちと、そうじゃない人たちと一緒にしようとしているから問題なんです。そこのところは、もしも本当に防衛庁が大改革をおやりになる気なら、覚悟を決めてきちっとおやりになったらいかがですか。そういう時期にもう来ているのじゃないですか。
○政府委員(坂野興君) ちょっと私の説明が舌足らずであればあれですけれども、別に一般公務員並みということではございませんで、一般公務員の処遇を前提といたしまして自衛官の特殊性をということでいろいろ検討してまいってきております。そして、検討の過程におきましては、防衛庁の内局、各幕僚監部、統幕等も含めましていろいろ検討してきておりますし、外に対して対外的にきちんと説明できるものにつきましてはきちんと説明して適切な処遇を図るということで、今までも努力してまいりました。
 その一例と申しますれば、先ほど申し上げましたように、賞じゅつ金の大幅な改善というのも、これも一つの私どもの努力の結果ではないかなというふうに感じております。
○田村秀昭君 今申し上げましたように、今までの一般公務員と準ずるということになりますと、普通の公務員よりも大体手当や何かは三、四年全部ビハインドしているんですよ。それが行われてから三、四年いつもビハインドしている。ですから、そういうやり方じゃ本当に命をかけて国を守る、国民の生命、財産を守るという人たちに対する処遇ではないのですよ、それは。普通の公務員よりも三、四年遅くなるわけですから。それはもう局長が内局におられて一番よく知っているのじゃないですか。だから、何でそんなことをいつまでも胸を張ってきちっとやらないのかと僕は言っているんですよ。
○政府委員(坂野興君) 一般職と同じ手当でございますれば、原則的には一般職が施行されるのと同様に実施されているというふうに理解いたしております。自衛官固有の諸手当等につきましては、私どもといたしましては自衛官の勤務の実態を踏まえまして胸を張って総務庁あるいは大蔵省の方に御説明し、御理解いただくように努力をいたしております。
○田村秀昭君 御努力はされていると思うのですけれども、例えば一番近い警察官、警察官と自衛官と比べたらお月さんとスッポンぐらい違いますよ、これは。殉職したときの弔慰金も全然違う。猛烈に違うんです。お巡りさんは立って歩き出したらもう手当がつくんですよ、私服手当もつくし。だから、兄弟で兄貴が自衛官で弟が警察官というのがいるんですが、話したら、それは本当かという話ですよ。
 そういうことをやっておいて、いざというときにおまえは命かけて死ねよと言えますか。あなたは一番よく知っているんだから、それ。それを一生懸命努力していると。あなたは努力しているかもしれないが、抜本的には何も解決していない。なぜかというと、私が一番初めに言ったように、そういう集団に対して、そういうところに勤務する、奉職する人間に対して、きちっとその人たちをどう扱うかということを真剣に考える部署がないからですよ。どうですか。
○政府委員(坂野興君) 自衛官と警察官との比較でどういう具体的な内容なのかちょっと私存じませんが、ただ基本的な制度といたしましては……
○田村秀昭君 給料の話をしているんじゃないよ。
○政府委員(坂野興君) 公務災害補償法できちんと、例えば殉職された場合のことでございますが、公務災害補償で同じような制度が適用されておりますし、また賞じゅつ金につきましても、かつては警察官と自衛官とで大きな格差がございましたが、これにつきましては国家公務員については基本的な賞じゅつ金の単価の二倍を支給するということで是正も図られたところでございます。
 また、ほかに警察官等と処遇の面で何か自衛官につきまして不利益な点があるということでございましたら、それは調べましてその是正にはさらにまた格段の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○田村秀昭君 坂野さん、私は格段の努力をしていないと言っているんじゃないんですよ。局長は一生懸命努力されているということはわかる。だけれども、何を言わんとしているかというと、今の警察官の話をしても、東京の警察官が神奈川で殉職した場合は東京都知事と神奈川県知事から両方から弔慰金が出るんですよ。自衛官はそんなことありませんよ。
 だから、そういうことを言っているんじゃないんです。私が言っているのは、命をかけて国を守る人たちに対して第三者機関がきちっと、その人の給与から手当から全部をきちっと見るような機関が必要だということを言っているんです。それをなぜおつくりになろうとしないのか、努力しないのかということを言っているんです。今の枠内で一生懸命努力していないということについて言っているんじゃないんです。なぜそういうふうに抜本的に変えようとしないのかということを言っているんです。
○国務大臣(野呂田芳成君) 防衛問題の権威者であって防衛庁の大先輩でもあります委員の御質問でありますから、私も先ほどから心して伺っておったのでございますが、本当はこういうものは自衛隊の特殊性から考えて、発足当時から人事院以外にそういうものを置くべきではなかったかと思うんですが、今、委員がおっしゃったとおり、五十年近く人事院の基準を準用しながらやってきたという経緯があるわけであります。
 今、世の中が行政改革一点張りでありまして、新しい機構を設けてやるということは大変困難だと思いますけれども、確かに伺っておって私どもも何かそういう自衛隊の特殊性から考えてそういうものを検討してみる必要があるんじゃないかということを感じますので、これはどういうことができるのかわかりませんがひとつ検討させていただきたいと、こう思っております。
 それから、先ほどから伺っておりますと、これはこのたび浜田政務次官を筆頭に部外の専門家も入れて調べてもらったんですが、先ほどから局長が答弁しておりますとおり、アメリカ、イギリス、フランスは退役軍人の生活を支えるための施策としては年金が中心になっております。我が国の方は退職手当とか若年定年退職者給付金とかそれから年金と、この三本立てになっておりまして、米英仏の方は年金が中心で、退職手当とか若年定年退職者給付金のようなものが考えられていないわけであります。
 そこで、調査に行った者たちの報告書を私も読んでみましたが、例えば自衛隊における二佐が五十五歳、アメリカにおける中佐、イギリスの中佐、フランスの中佐、これらを比較してみますと、日本の場合は二佐で退職すると大体三千六百万ほどの退職金が出ます。平均寿命七十七歳として、アメリカ、イギリス、フランスに合わせてこの三千六百万を七十七歳まで延ばして金利一%で計算させますと、年間退職金が百七十万円、給付金が三百二十五万円で、年間四百九十五万円ということになります。アメリカの場合は四百二十万円、これは年金ぽっちりで四百二十万円。イギリスの場合は年金ぽっちりに退職金が若干出まして六十万、これも年間合わせますと四百七十万円。フランスの場合は年金だけで三百八十万円ということで、今警察官との比較はありましたが、米英仏と比較してみますとそれほど条件が悪いわけではないということを私も今度の調査団の報告で知りました。
 そういうことも考えながら、これから処遇の改善ということは士気を高揚するために不可欠の問題でありますから、鋭意また検討していきたい、こういうふうに思っております。
○田村秀昭君 防衛庁長官からそのような御答弁をいただきまして、命をかけて国を守る特殊な人たちに対してきちっとした第三者の機関をも含めてお考えいただけるということでありますので、これ以上私何も申すことはございませんので、ぜひそれを期待して、質問を終わらせていただきたいと思います。
 大変ありがとうございました。
○山崎力君 私は、せんだっての予算委員会での質問の続きという形で入らせていただきます。
 それは、日本有事の際のいわゆる国連協力ではない日本独自の第三国船舶に対する臨検についてということで、防衛庁の方からはできると。その根拠として法制局の方では、いわゆる自衛権の行使、自衛戦争の際の交戦権の行使と自衛行動という言葉遣いで変えてこられたんですが、その辺のところの違い、自衛行動と自衛権の行使とは具体的にどう違うのかということあたりからお聞かせ願いたいと思います。内閣法制局の方、済みません。確認しないで申しわけない。
 ちょっと簡単に繰り返します。先般の予算委員会の続きで、自衛行動と自衛権の行使と言葉を変えられていたので、その違いは何かというところから入らせていただきます。
○政府委員(秋山收君) お尋ねの自衛行動と自衛権の行使の違いの問題でございますが、いわゆる自衛行動と申しますのは、我が国が憲法第九条のもとで許容されております自衛権の行使として行う武力の行使の内容を指すものというふうに考えております。
 それで、我が国が九条のもとで許容されております自衛権の発動につきましては、従来から自衛権発動の三要件ということで、その要件に該当する場合に限り自衛権の発動ができるというふうに解しておりますが、このことは自衛権の発動ということとそれから自衛行動ということと同じことでございますので、自衛行動につきましてもそのような要件がかぶるというふうに御理解いただきたいと思います。
○山崎力君 そうすると、またもとに戻ってしまいまして、いわゆる交戦権という中に例示として政府見解の中でもいわゆる船舶の臨検というのが入っていて、九条で交戦権を否定している。だから、そのことはできないんじゃないかという疑問に対して、それは自衛行動としてできるんだと、こういう御答弁だったわけです。そうすると、今のお答えだとその辺のなぜできるかできないかというところの区別が非常に聞き取りにくいんですが、もう少しわかりやすく説明していただければと思うんですが。
○政府委員(秋山收君) 少し長くなりますが、いわゆる自衛権、それから戦争、自衛戦争、それから交戦権、自衛行動、自衛行動権などといういろいろな言葉を申し上げておりますので、その辺を整理して一度御説明申し上げたいと思います。
 まず第一に戦争という言葉でございますが、これは一般に国際紛争を解決する最後の手段として国家の間で対等の立場で国権の発動として武力を行使し合うものを指すものと考えられております。国際法上特に制限された手段以外の自由な害敵手段を用いて相手国を屈服させるまで行うものであるというふうに考えております。
 自衛戦争というのは、国際法上確立した概念があるものではございませんが、したがいまして、法的な概念ではなく、一般的な概念として、国家が自己を防衛するために行う戦争を指すものと考えております。
 それで、このような戦争一般でございますが、交戦権を当然に伴うものであるとされておりますが、ここに言う交戦権、あるいはこれは憲法九条の交戦権も同じでございますが、単に戦いを交える権利という意味ではございませんで、伝統的な戦時国際法における交戦国が国際法上有する種々の権利の総称でありまして、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政、それから中立国船舶の臨検、敵性船舶の拿捕などを行うことを含むものを指すものというふうに従来からお答えしてきているところでございます。
 自衛戦争の際の交戦権というのも、自衛戦争におけるこのような意味の交戦権というふうに考えています。このような交戦権は、憲法九条二項で認めないものと書かれているところでございます。
 一方、自衛行動と申しますのは、我が国が憲法九条のもとで許容される自衛権の行使として行う武力の行使をその内容とするものでございまして、これは外国からの急迫不正の武力攻撃に対して、ほかに有効、適切な手段がない場合に、これを排除するために必要最小限の範囲内で行われる実力行使でございます。
 それで、自衛行動権という言葉は、このような自衛行動に伴う具体的な権能を説明するために政府が用いてきた概念でございまして、したがいまして、先ほどのような必要最小限度という要件に該当する場合には、この間、委員が御質問されましたような敵性国家に武器を運んでいるというような船舶に対してこれを検査し、場合によってはそれを没収、押収することもケースによっては含まれるものと考えております。
 ただ、そのような自衛行動権は、先に述べました戦争に伴う交戦権とは別の観念でありまして、例えば伝統的な戦時国際法では交戦権に含まれるとされます相手国領土の占領、あるいはそこにおける占領行政などは自衛のための必要最小限度を超えるものであって、我が国が保有していると考えられます自衛行動権にはこのようなものは含まない。その意味で自衛行動権は限定的なものであるというふうに考えている次第でございます。
○山崎力君 頭の悪いせいかわからないんですが、今の御説明を聞きますと、要するに一般的な、伝統的な交戦権のうち、憲法九条で許されているものを自衛行動権、あるいは自衛行動の内容とするというふうにとらえざるを得ないと思うんです。
 ただ、そこのところに何をもっていわゆる伝統的な交戦権のうち制約を受けた自衛行動権になるのか、及びその自衛交戦権の典型例とされている第三国の船に対する臨検並びに敵性船舶に対する拿捕等が可能なのかというところの位置づけといいますか理論づけがどうもよくわからない。僕のポイントはそこだったわけですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府委員(秋山收君) 憲法第九条のもとに認められております自衛行動と申しますのは、繰り返しになりますが、いわゆる自衛力発動の三要件、具体的な武力攻撃を受けていること、それからそれを排除するためにほかの適当な手段がないこと、それから発動の態様は必要最小限に限るということでございます。
 その範囲内で、それを裏づける具体的な権能として自衛行動権という概念を説明として用いているわけでございますが、伝統的な国際法上の交戦権がいかなるものを、総体的にどんなものを含んでいるか、そのメニューの中で自衛行動権として認められるものは何かということはなかなか具体的に確定することはできないわけでございまして、やはり先ほどの三要件に照らしまして認められる範囲で自衛行動権が認められると。
 したがって、典型的に申しまして交戦権には含まれるとされております相手国領土の占領、軍政の実施というようなものが含まれないということは申し上げているわけでございますが、それ以外のものがどこに境界が引かれるかということは、やはり具体的な状況に応じて判断せざるを得ない問題ではないかと考えております。
○山崎力君 この問題は後に続きますが、その具体的な事例に含まれるかどうか、具体的なケースに当たらなきゃわからぬということは、現実の交戦時において現場の自衛官がこの行動ができるかできないかを判断せざるを得ないということで、極めて立法政策上不適切な関係ではないかなという感じを私は持たざるを得ません。
 その辺はそこに置いておいて、次の問題として、日本有事のときに、今の絡みなんですけれども、どこまで日本が行動をとれるのかということが当然考えられるわけです。その辺について、国際法上許されている部分もあれば、今の作業によって許されないところも出てくると思うんですけれども、国際協力という面にまず絞って考えた場合、日本有事の際の国際協力、いわゆる戦争の国際協力ということになりますが、その辺はどの辺まで許されるとお感じでしょうか。これは外務省の方ですか。
○政府委員(東郷和彦君) 今、委員御質問の日本有事の場合、これは我が国に対する武力攻撃が発生した場合というようなことかとも思いますが、その場合は、委員御案内のように、日米安保条約第五条の事態になるということでございまして、日米安保条約第五条に基づいて我が国は米軍とともに共同対処をするということになるわけでございます。
 どこまで行動できるかという御質問の意味が必ずしもよくわかりませんので、明確に御指示を賜ればと。
○山崎力君 いわゆる今度のガイドライン絡みでもいろいろ言われているんですが、要するにどこまで共同作戦行動がとれるのかどうか。本当に組み込まれた一体化という問題はまた別の議論があるかもしれませんけれども、結果的に共同して相手、日本に対するその意味では攻撃国に対して当たることができるのか。もっと具体的に言えば、今回の場合問題とされている武器弾薬の補給をアメリカ側にできるのかどうか、その辺のところをお答え願えればと思います。
○政府委員(東郷和彦君) 今、委員御質問の事態といいますのは、我が国に対する武力攻撃が発生している場合でございます。その場合に、米国と共同対処をするということでございますので、今回御検討いただきます我が国に対する武力攻撃が発生している場合ではないところの周辺事態というものとは当然状況が異なるわけでございます。
 したがいまして、我が国がそういう場合に米国に対して行ういわゆる後方支援、これについてはいわゆる一体化論から生ずる制約というものを受けることはないというふうに考えております。
○山崎力君 ということは、周辺事態であれば、武器弾薬の、言葉は適当かどうかわかりませんけれども、後方地域におけるあれであっても制約はもちろん受けるし、あるいは砲側までのところは当然だめだ、水とかそういったものについてはと、こういう話なんですが。
 名前は挙げませんけれども、ある事態が想定されて、周辺事態だった、その事態に応じて、応じてといいますか、関連して我が国にその周辺事態の国から攻撃があったという場合、周辺事態でなくなったといった場合は、我が国の補給がある意味では前線近くまで行って、公海上であるならばどこでも協力して武器その他の弾薬の相互融通ができると考えて法律的にはよろしいんでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) 仮定の御質問ですので、私必ずしもよくお答えできないかもしれませんが、要するに今申し上げましたように、基本的には日本に対する攻撃が行われた、こういう事態でございます。したがいまして、日本は個別自衛権の発動としてこれに対処する、安保条約に従って米国と共同対処するということになるわけでございます。
 もちろん、今申し上げましたように、それでは日米の活動が全く無制約かというと、これは自衛権の要件を満たす限りにおいて活動が許されるということになるわけでございます。
○山崎力君 今、米軍との絡みが出てまいりましたけれども、もう一つ、国連軍と言うと非常に語弊があるんですが、国連との協力ということがある程度考えられるわけでございますけれども、その場合は米軍への協力と違った対応があるんでしょうか、ないんでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) また仮定の御質問でございますので、そういうものとして一般論として申し上げますが、我が国に対する直接の攻撃があった場合、条約上の権利義務関係として共同対処するということが現在法律的に取り決められているのは安保条約のみでございます。安保条約の五条に従って対処するということになろうと思います。
 その場合、国連がどういう活動をするのか、その活動をする国連に対して日本がどういうふうに対処するのか、これはそのときの諸般の情勢、それは大変複雑な状況になるかと思いますが、その状況に対応して考えるということしかないのではないかと考えます。
○山崎力君 もう少し具体的にといいますか、わかりやすく言いますと、要するに国連の多国籍軍であれ朝鮮国連軍であれ、そういった国連の軍隊が周辺事態でいて、そのときの協力体制というのはまた別にあるけれども、同じ国連が対処しようとしている国家あるいはそういった勢力から日本が攻撃を受けて日本の有事になった、こういった場合、これはあり得ることだろうと思うんですが、こういった場合、安保条約の米軍との協力ができている。そうすると、国連とはそこのところは具体的にまだ何も決まっていないというお答えだったわけですが、そこで国連と具体的な協力をする、そういったいろいろな取り決めを結ぶということは憲法上許されているのか許されていないのか、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) 非常に複雑な状況が発生する、その状況についての仮定の御質問ですので明確にはお答えできないかと思いますけれども、もし委員の御質問の点が、国連憲章四十二条、四十三条に基づく国連軍が組織されて、それに基づいて日本がどう対応するのかという御質問であれば、これは累次申し上げておりますように、今政府としてはその状況を研究しているという状況でございます。それ以上のことをちょっと私から申し上げるのは難しいかと思います。
 戦後五十年間、まだ一度も発動されておりませんこの国連憲章四十二条、四十三条に基づく国連軍ではない、国連の安保理決議が出た場合にどうかというお尋ねでありますれば、これは安保理決議というのは関係国に対して権限を付与する場合、あるいは勧告をする場合、いろいろございます。その安保理が関係国に対して権限を付与したりあるいは要請したり、その内容に応じて判断するということしかないのではないかと思われます。
○山崎力君 ちょっと視点を離れまして、先ほどからの御答弁の中で、伝統的なといいますか、戦争その他のあれがございました。その伝統的な戦争概念からいけば、国家間の争いということからいけば、一般論として戦争の種類分けのときに、いわゆる侵略戦争あるいは自衛戦争、もう一つ制裁戦争という概念、三つの概念がたしかあったと思います。それで、いわゆる国家でない、共同対処的な、特に国連というような形の集団が一つの国ないしなんなりに対して、具体的に言えば、さっきの湾岸戦争のイラクのような国に対して共同対処をする戦争というものは一種の制裁戦争であるというふうな説明を受けていた記憶があるんです。
 その辺のところの今の考え方、国際的な物の考え方、もう一つ言えば、そこのところの戦争に対して中立を守る、第三者的にいる、ただし中立を守る国はそれなりの権利といいますか、あれもあるかわりに義務も生じるよというようなことがあったんですが、その辺の概念といいますか考え方は、今、国際社会の中でどういうふうになっているのか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(東郷和彦君) 今、委員御質問の戦争及びそれに関連して言われておりました侵略戦争、自衛戦争、制裁戦争、まずこれについて申し上げます。
 先ほど法制局の方からも御説明ございましたけれども、かつ、もう何度も申し上げている点でございますけれども、戦争というものが国際法の中ではっきり認知されていたのは、少し一般的な表現になるかと思いますけれども、国連憲章以前の状況でございます。これは、国際紛争を解決する最後の手段として二つの国が対等の立場で国権の発動として武力を行使し合うということで、これは合法的に認められていたわけでございます。
 ただ、国権の発動として戦争が認められていた時代に、委員御指摘の侵略戦争、自衛戦争、制裁戦争、これが国際法上明確に定義されていたかといいますと、私どもの認識としては、それは必ずしもそういうことではなくて、いろいろな状況の中でそういうふうに呼ばれていたことは確かにございました。しかし、国際法上、この三つが明確に区分されていたということはなかったかと思います。
 委員御案内のように、国連憲章が成立した後は武力行使自体が原則として違法になったわけでございますから、そういう意味で戦争そのものが違法になったということでございます。
 その後、ただ、その違法性を阻却する事態として、累次申し上げておりますように、国連憲章のもとでの集団安全保障措置と、それからその措置が発動される前のところで考えられるいわゆる自衛権、この二つの状況において違法性が阻却された。そこで、国連憲章のもとでの集団安全保障措置、これは伝統的な国際法上で言われていたところの制裁戦争というのとは、これは少なくとも法理念上は全く観念を異にする新しい国際法と考えるべきではないかというふうに考えます。
 次に、中立についてのお尋ねでございますけれども、中立は、まさに今申し上げました戦争が合法的であった時代に二つの国が戦争を始める、そうすると、その戦争に参加しない国、これが伝統的な国際法上のもとでは中立の立場に立ったということでございます。
 しかし、国連憲章の成立した後、いわゆる戦争、武力行使というものが基本的に違法になった時代においては、この伝統的国際法のもとで有効に成立しておりましたところの交戦国あるいは中立国としての権利義務関係、これはそのままには適用されなくなったということでございます。そのままに適用されなかったということは、まさにそのままには適用されなくなったということでございまして、なかなか現時点でそれ以上に、中立というものが国連憲章のもとでどういう意味かということを御説明するのは大変難しい、確定的なことは申し上げにくいというのが現下の国際法の状況かと思います。
○山崎力君 ということになりますと、今いろいろな紛争その他の中で我々は中立だというふうなことを宣言するようなケースがかなりありますし、具体的にもそういったところはあるわけですけれども。そうすると、その辺の国際法的な裏づけといいますか、権利義務関係というか、どこが違反したかとかどうとかというのは一義的に決められない、ある意味では逆にその辺の中立概念というのははっきりしなくなっているのが現状だというふうに解してよろしいんでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) 御指摘のとおりかと思います。
 今申し上げましたように、伝統的な国際法に基づく交戦国、中立国、こういう概念はそのままに適用されなくなったということ以上に確定的なことを申し上げることは非常に困難かと思います。
 ただ、あえてもう一点申し上げさせていただければ、国連憲章が成立しておるわけでございます。国連憲章の理念では、国連憲章のもとでの集団安全保障、これはある国が侵略等を行った場合に当該国も加盟している国連自体の判断のもとに軍事的その他の強制措置によってかかる侵害行為を鎮圧し除去するという、こういう制度がございます。したがって、その国連憲章の制度を前提にして考えますれば、伝統的な意味での中立という概念が適用される、中立という状況が生ずるというのはなかなかに考えにくい事態だというふうに思われます。
 しかし、それではその先どういうふうに考えるのかということは確定的には申し上げられませんし、まさに今生起しております一つ一つの国家実行等を見ながら考えていくしかないのではないかと思います。
○山崎力君 というふうな現状を伺ってまいりますと、現実的な話として、安全保障措置というものが国連で制裁戦争とかわるものとして、国連としては平和を守るための担保措置として、概念として安全保障措置というものを持ってこようというような形になってきているとは思うんですが、現実の国連の姿を見ると、いわゆる安全保障理事会の常任理事国、これが拒否権を発動するという事態があれば現実にはそれは行使できないというのがあり得ると。
 こういうことになりますと、今の国連憲章下では、いわゆる安全保障理事会の常任理事国が密接に関係した、言葉をかえれば拒否権を発動しない戦争といいますか紛争以外、そういった意味での国連絡みの戦争というものはなくなる、ないというふうに考えられるわけでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) 委員御指摘のように、安全保障理事会を核とします国連の集団安全保障措置、これが戦後の国際社会の中で生起しているすべての紛争に対して常に有効に作用してきたということではないと思います。
 ただ、例えば過去の例で申し上げれば、朝鮮戦争あるいは湾岸の対イラク戦争等、安保理の決議に基づきまして国連がそれなりに機能してきたという例もあるわけで、冷戦終了後の国際社会の中におきまして国連の活動を有効ならしめるために関係国が大変な努力をしておるし、これからもその努力を傾けていきたいという状況にあるかと思います。
○山崎力君 これはお互い承知の上での話で余り進めたくないんですが、要するに一国が当事者になっている、一国というのは安全保障理事会の常任理事国が当事者になっている戦争は安全保障の措置の対象にならない。具体的に言えば、アフガニスタンの戦争であり、ベトナムの戦争であり、あるいは中国のベトナムへのそれこそ制裁戦争、そういったものは安全保障措置の対象にならないというのも一面の事実だろうということを私は申し上げたいわけでございます。
 この問題、いろいろ頭の中での問題があり得るわけですけれども、少なくとも中立という概念がなくなってきたと、今までの中立という概念、古典的な中立という概念が今の国際政治の中でそのまま受け入れられていないということは、僕自身も含めて余り国民に浸透していない事実だろうというふうに思うわけでございます。そういった背景を含めて、これからガイドラインを、衆議院が済んだ後にこちらの方でやるかと思うんですが、両大臣に、その辺を含めた形の国際情勢の中での御感想があればお伺いしたいと思います。特にございませんですか。
 ちょっと古い国際法の話、観念の話で討論になりましたけれども、定義の一つ一つをやっていきませんと、その辺で議論がすれ違いになるということも聞き及んでいますので、一応いい整理をさせていただいたということでお礼を申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。
○佐藤道夫君 大変次元の高い戦争論の次に、瑣末な問題で大変恐縮でありまするけれども、しばらくおつき合いください。私が最後であります。
 外務省にお尋ねいたしますが、最初は、日本、韓国間の逃亡犯罪人引き渡し条約の締結の進行状況についてであります。
 この件につきましては、昨年の秋、当委員会において私が尋ねましたところ、外務大臣から大変心強いお返事をいただいたというふうに記憶しております。積極的に意欲的にこの問題に取り組んでいきたいというような御返事でありまして、それから間もなく金大中韓国大統領が来日された際の日韓の共同声明においてもたしか取り上げられていたように思っております。その後、この条約締結のための進行状況はどうなっておるのか。なお、両国間でどういうことが今討議の材料、問題になっておるのか。最後に、見通しはどうなのか。この辺についてお願いいたします。
○国務大臣(高村正彦君) 委員から御指摘がありまして、これを受けて外務省としても積極的に取り組もう、そしてその結果、昨年十月の金大中大統領訪日の際の日韓共同宣言におきまして、日韓の両首脳は日韓逃亡犯罪人引き渡し条約の締結のための話し合いを開始することについて意見の一致を見たところであります。
 これに基づいて、現在、韓国側に我が方条約草案を提出すべく準備を終了しつつあるということでありまして、近く韓国側と条約の締結のための話し合いを開始したい。非公式には韓国と打ち合わせなんかを行っているわけでございますが、我が国自身の草案がまだ固まっていない。そろそろ固まる時期に来ている、こういうことであります。
○佐藤道夫君 問題点とお見通しぐらいをちょっとお願いしたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) ICPO、国際刑事警察機構の関連で、法務省と警察庁の間でちょっと意見の相違があるということを聞いておりますが、近くそれも調整できる見込みでありまして、そういうことから、先ほど、韓国側に我が方の草案を提出すべく準備を終了しつつある、こういうことを申し上げたわけでございます。
○佐藤道夫君 可及的速やかに両国間に条約が取りまとめられるということを本席におきましてもまた改めて希望いたしまして、次の問題に移ります。
 次は、橋本高知県知事が最近取り上げておる問題でありまして、入港する外国軍艦に対する非核証明書提出要請の問題であります。
 これにつきまして、私は基本的にまず疑問があるのは、橋本知事がなぜ今ごろこれを取り上げたのかということで、別にこれは回答を要求しているわけではございません。彼は知事になりまして既に八年近いわけでありますけれども、何か最近高知港が改築されたんだという話も聞いておりますけれども、いずれにしてもこれは地方自治にかかわる大問題であるという彼の認識のようですから、それならば知事に就任されて間もなくにしてこの問題を取り上げて、外国軍艦の入港する可能性の極めて高い横須賀を控える神奈川県知事、それから佐世保を控える長崎県知事、その他関係知事などにも働きかけて精力的にこの問題を取り上げて議論していくべきではなかったのか。最近ふっとこういうふうに思いつきみたいにして言い出されてきたので、皮肉な人に言わせると、選挙が近いからだ、最近人気に若干陰りがあるからだ、こんなことを言う人もいますけれども、そんなことはないと思います。
 しかし、いずれにしても、にわかに取り上げられたことについてちょっと私はいぶかしい思いもしておるわけであります。結論的に言いますと、何かだんだん構想がしぼんでいって、非核三原則を抽象的に取り上げるような条例案にしたい、それも議会の関係で継続審議になりそうだというふうにも伝えられておりますけれども、そのことはともかくといたしまして、これとの関連で議論されておる神戸方式について私はなかなか理解できないことがあるものですからお尋ねしておきたい、こう思うわけであります。
 最初に、神戸方式なるものの手続の関係なんですけれども、これは高知方式の方は条例で、神戸方式は市議会の議決でと、こうなっておるようでありますけれども、また市議会の議決も現になされておる。昭和五十年ですから二十数年前というわけであります。議決に基づいて市当局がどういう行動をとって、最終的に非核証明書なるものがどういうルートで市当局に入ってくるのか、その辺のところを説明していただければと思います。
○政府委員(竹内行夫君) まさに先生御指摘のとおり、神戸市議会は市議会におきまして決議をいたしました。それは昭和五十年のことでございます。核兵器積載艦艇の神戸港入港に関する決議という表題でございますが、その後、この決議を受けました神戸市当局の方は、運用といたしまして、すなわち条例や規則等を採択するとか決定するということではございませんで、運用上、外国軍艦が神戸港に入港する際にいわゆる非核証明書の提出を求めて、提出のないものは入港を許可しないとの対応をとっているということでございます。
 具体的に今お尋ねの点でございますけれども、現在のところ、例えば外務省に非核証明書の入手を当該外国大使館から外務省が入手するように求めるというような手続はとられておりません。我々の承知しているところは限られてはございますけれども、外務省に対してそういう証明書の提出の手続を求めてくるということはございませんで、恐らく直接相手国の大使館であるとか神戸の総領事館に対して提出を求めている、こういうことだと思います。
○佐藤道夫君 今の御説明によりますれば、市当局が直接外国の在外公館と折衝して軍艦に対して非核証明書の提出を求めておって、それをかつ入手している、こういうことだろうと思います。
 そこで、昭和五十年にこの制度が、制度と言っていいのかどうかわかりませんけれども、始まってから今までの運用実績、大体外国の軍艦の何隻ぐらいから証明書を徴取しているのか。それと、どんな国々があるのか、アメリカが含まれているのか含まれていないのか、その辺もちょっとお願いいたします。
○政府委員(竹内行夫君) 我々が承知いたしておりますものでは、昭和五十年以降でございますが、非核証明書を提出して神戸港に入港した外国軍艦と申しますのは七カ国で十七隻と承知いたしております。これは一九七五年から一九八七年までの間でございまして、一九八七年以降は一隻もそういう証明書を提出して入港したものはございませんと承知いたしております。
 国名といたしましては、例えば七五年から八七年の間にカナダとかオーストラリア、フランス、インド、イタリア、スウェーデン、チリといった国でございます。
○佐藤道夫君 証明書の提出を拒否して入港を拒否されたという例はありますでしょうか。
○政府委員(竹内行夫君) 証明書の提出を求められてそれを拒否したがゆえに入港を拒否されたという具体的な事例について、私つまびらかに存じませんが、最近の例で、これは委員の御記憶にあるかと思いますけれども、昨年五月にカナダ軍艦が非核証明書の提出を求められたということがございまして、これは訪問目的が阪神地区の親善訪問ということでございましたけれども、その際カナダは証明書を提出しなかった。しかし、結果としましては、カナダは神戸港には入港いたしませんでしたけれども、神戸市の方から外務省に対して照会を受けましたので、神戸市に対しましてカナダは核不拡散条約を締結した非核兵器国であるということを口頭で説明した経緯がございます。
○佐藤道夫君 昭和六十二年のチリの軍艦の入港が最後だというふうに報道されておりますけれども、それ以降どうして軍艦の入港が神戸港になくなったんでしょうか。何か理由があるんですか。わかれば説明してください。
○政府委員(竹内行夫君) その点につきましては、私どもの立場から明確な理由ということについては存じ上げておりません。
○佐藤道夫君 証明書の制度があるものだから外国の軍艦が嫌がって入港しないとか何かいろんな理由があるんだろうと思いますけれども、それぐらいのことはお調べになっていないんですか。
○政府委員(竹内行夫君) 先ほど申しましたとおり、入港の許可不許可ということにつきましては、我々としては外交関係の処理として外務省を中心として決定いたしますけれども、その後の神戸市とそれからほかの国とのやりとりについては、例外的な場合を除きまして一般的に存じ上げておらないということでございます。
○佐藤道夫君 若干無責任のような気もしますけれども、これはすぐれて外交問題でもありますでしょう。
 外国の軍艦が入港しようとする、しかしあの港は入港する際には証明書を要求される、そんなものを出せるかということで入港しないで別なところに行こうかとか、そういうことは私は外交問題そのものだと思うんですけれども、何か関心がないんですか。なきゃないでよろしいんですけれども。
○政府委員(竹内行夫君) 先ほど申しましたように、昨年五月、カナダの軍艦の入港の問題が起こりましたときには、まさしく先生御指摘のとおりの問題がございまして、それは大使館に対して外務省の方からいろいろ御説明を申し上げたこともございますし、そういうような経緯で努力はいたしているところでございます。
○佐藤道夫君 今回の高知県の問題につきましては、政府の態度、外務省の態度は極めて明快かつ極めてはっきりしている、こう言っていいと思うんです。外国の軍艦の入港を認めるかどうか、これはすぐれて外交問題である。そのとおりだと私も思います。
 そうしまして、憲法七十三条で外交は内閣が処理する、こういうことになっておる。地方公共団体の介入する問題では一切ありません。証明書を要求して、それを出さなければ入れないとか、記載内容いかんによっては入国を拒むとか、そんなことは国の政治の問題である、国政の問題である、こういう考え方だろうと思います。まさしくそのとおりなわけであります。
 行政庁というのは与えられた権限の範囲内で職権を行うわけですから、権限を越えればこれは明らかに逸脱して、違法である、無効であるということになるわけであります。わかりやすい例で言うと、ある日、突然外務省が犯罪捜査を始めたら、これは法務省の権限を侵しているということで、これは無効である、違法であると。当たり前のことだと思います。それで、証明書の交付を要求することは外交だと、こういう割り切りだろうと思います。
 それはそれで一応いいとして考えますると、この基本的な問題が、昭和五十年に神戸方式が始まってなぜ今まで放任されてきたんだろうか。私はそれがわからないわけであります。こんなことはもう決まり切った話ですから、昭和五十年に、それはおかしい、市当局のやる問題ではないと。結果いかんによっては入港を認めないということになるわけですから、すぐれて外交問題であると。だれが考えてもそういう議論がなされたんだろうと思いますし、そういう考えで外務省も行政を行ったんだろうと思いますけれども、そのとおりでございましょうか。その辺はどうなっておるんでしょうか。
○政府委員(竹内行夫君) 昭和五十年に神戸市議会の決議ができました後、先ほど御説明申しましたとおりの実際の運用で非核証明書を提出して入港を認められたという軍艦が現にあったわけでございます。
 これは、その当時、外務省におきましても、それが神戸市の市議会の決議でございました上、特別に神戸市から日本政府の見解を求めるというようなこともございませんでして、そういう処理がそのままなされていたということのようでございます。
 ただ、昭和五十九年から六十年ごろにかけましてこの問題が重要な問題として認識が深まったと申しますか、そういうことでございまして、その後一貫して現在の立場をとっておる、そういうことでございます。
○佐藤道夫君 ちょっとはっきりしないんですけれども、五十九年ごろにその問題が高まってどうされたというんですか。
○政府委員(竹内行夫君) 具体的には、国会でもこの問題が議論されるようになりまして、それで政府としての見解を取りまとめるという作業が政府部内で行われたということでございまして、それで外部からも照会が入るようになりましたし、国会でも政府の立場を明らかにするということがなされていった、こういうことでございます。
○佐藤道夫君 外務省の態度というのか政府の態度というのか、私は大変いぶかしいなと思うわけであります。
 五十年にこの問題が神戸市議会から提起された際に、なぜわかり切ったこの法律論、外交というのは国の専権事項である、地方自治体がそんなことをやれるわけはないんだと。外国軍艦に対して証明書の交付を要求する、その内容いかんによっては、あるいは態度いかんによっては入国を認めない、そんなことはもう市議会のできることではないんだと。当たり前のことをどうして五十年に言わなかったのか、神戸市当局に申し入れなかったのか。
 先ほど例を挙げましたけれども、外務省がいきなり犯罪捜査を始めたら法務省は黙ってはいないでしょう。向こうが何も言ってこないので黙っておりまして、最近何か問題になったようでありますから意見を申し述べましたと、そんなことじゃないんであります。役所というのは非常に権限にうるさいわけですから、自分の権限がつゆほどでも侵されたら神経を逆なでて厳重抗議するのが役所です。神武以来の日本の役所のしきたりであります。
 全然理解できないんですけれども、どうしてなんですか。十七件も既に証明書の発行を認めておるわけでしょう。これは国の外交権が侵害されているという認識はなかったんですか。ないとすれば、なぜ今ごろ騒ぎ立てているんですか。私はそれがわからなくて聞いているんです。
○政府委員(竹内行夫君) 先生の問題点はよく理解しているところでございます。昭和五十年の段階におきましては、今の先生の御指摘されるところは私も理解するところで十分にわかるところでございますが……
○佐藤道夫君 ちょっとはっきりしない。
○政府委員(竹内行夫君) 昭和五十年の当時の状況におきましては、市議会の決議というのが神戸市で一方的になされまして、それで神戸市の運用が行われたということでございまして、国として役所としての見解なり立場を明らかにするということがないまま事態が動いた、こういうのが実態、現実であろうかと思います、これは。
 それで、そのまま放置しておいて現在急に言い出したのかということを言われますと、先ほど来申し上げておりますとおり、昭和五十九年、六十年のころを境といたしましていろいろ検討いたしまして、例えば一九八五年、昭和六十年でございますか、内閣法制局の方で中心となりまして政府見解を取りまとめたわけでございます。その見解に基づきましていろいろの処理をその後一貫して行ってきている、こういうことでございます。
○佐藤道夫君 私はまた理解できないんですけれども、五十年に市議会の議決がある、そして証明書の交付を要求し出したと。これは報道もされておりましたし、情報としても外務省に当然入っているわけですから、それはおかしいということでどうして外務省から問題を提起して市議会に対して話し合いましょう、それはできないことですよと。これは当たり前のことでございましょう。向こうが何も言ってこないし、だれも問題にしないからほっておきましたと、こんな公務員が日本にいるんですか。全然私わかりません。
 ほっておいたについてはそれなりの何か理由があったんですか。これはちょっと皮肉な言い方ですけれども、佐藤首相はノーベル平和賞を受賞しておりますけれども、あれは沖縄の返還をなし遂げたことと、それからこの非核三原則を高々と唱えたことが理由になっているというふうに言われております。非核三原則を何か逆なでするような政府の態度はとれないということで、これはしばらく黙っていようかということで黙っていたんですか。何かそれ以外にちょっと理解できないんですけれども、どうして黙っていたんですか。
○政府委員(竹内行夫君) また繰り返しになって恐縮でございますけれども、神戸市議会が昭和五十年三月に決議を採択いたしましたけれども、これは議会における決議ということもございまして、当時神戸市から外務省に対して説明がなされたり、これに対する国の見解について照会がなされたということはなかったわけでございます。
 それで、昭和六十年に、先ほど申しましたような内閣法制局を中心とします統一見解、政府見解というものをまとめまして、そこで外国政府より我が国政府に対し外国軍艦の我が国への寄港について同意を求めてきた場合、右に同意を与えるか否かは地方公共団体ではなく国が決定するという見解をまとめたということでございまして、その後一貫して処理をしてきた、こういうことでございます。
○佐藤道夫君 子供じゃないんですから、こんなことは内閣法制局の意見を聞かなきゃわからないんですか。外国の軍艦の寄港を認めるかどうかはこれは外交問題だと、こういうふうに割り切った以上は、すべてこれは外交問題でございましょう。市議会の議決があった、それが報道されたら、それはおかしいと直ちに申し入れをして市議会と話し合えばいいわけです。それから、市当局がその議決に基づいてどんどん証明書を取り出したと、それは市当局に対してこれはできませんよ、おかしいですよと。当たり前のことでしょう。
 なぜ、そういう当たり前のことが言えなかったのか、そのことを私はお尋ねしているわけなんでありまして、決して無理難題を言っているようなつもりは全くないんです。いろんな事情がありましてと、その事情とはどういうことなんでしょうか。
 今回の高知県の問題に対応する上で、これはかなり重要な問題だと思うんです。神戸はああいうことをやっておると。うん、なるほど非核三原則を我が国は掲げておる、それならば大変結構なことではないか、我が県も我が市町村もやろうと知事さんや市長さんたちがそう考えるのも無理からぬ。政府は何も言わない、黙っていたと、では適法なんだな、こう考えることだって無理からぬことがありますでしょう。
 なぜ十年近くほっておかれたのか、それがわからないということを私は言っているんです。どうしても問題にできないような裏事情があったんでしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 当時の事情は私は申しわけないですがわかりませんが、そのころの外務省の対応は手ぬるかったという御批判はそのとおりだと思います。過ちては改むるにはばかることなかれで、政府全体として今正しい対応を、先ほど政府委員から紹介ありましたように、一九八五年には内閣としての方針を打ち出して、そしてその後はそういうきっちりした対応をしてきているということでございます。
○佐藤道夫君 地方自治体が権限外のことをやっている、それを見過ごしてきたことが手ぬるいの一言で済む問題なんだろうか。予算だってこれは不法支出の問題になりましょうし、もし職務命令を出しておるとすれば、それは職権の乱用というのか職務の強要罪にもなりかねないような問題なんであります。できないことをやらせるわけですから、やってはならないことをやりなさい、予算を使うと、こういうわけですから、政府がそういうことについて、それは憲法上許されないことなんだと一言言えば済むことなんでございましょう。それが理解できないということであります。
 それからもう一つは、ことしの二月十六日の衆議院の予算委員会で、野田自治大臣がこの問題を聞かれまして、聞いておられたと思いますけれども、一概に違法とは言えないが必ずしも適法ではないと、神戸方式につきましてそういう答弁をなさっておるわけです。一概に違法とは言えない、じゃ適法なのかと。違法か適法しか世の中ないわけですからね。じゃ、神戸方式は適法というふうにお認めになったのか、こう言いたくなるわけです。
 それから、必ずしも適当ではない、要するに党の政策問題だというのが野田大臣の理解のようですが、政策問題ならばこんなもの何のことはない、内閣がかわる、あるいは小渕さんがひょっと考えを変えましてあしたから神戸方式を認めようやと言えばそれはそれで済むことなんですね。そういう軽い問題なんですか。
 何かその席上でまた外務大臣は、権限を逸脱していることは明らかというふうなことも言っておりますけれども、これはお二方の大臣が政府を代表して出席して、政府の見解が真っ向からぶつかっているんですけれども、特別に問題になったということもなさそうですから、まあ仕方がないやということで衆議院の委員会は終わったんでしょうかね。大変いぶかしい話だと思うんです。
 いずれにしろ、この野田自治大臣の見解、一概に違法とは言えないが必ずしも適当とは言えない、これについて法律家でもあられる外務大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(高村正彦君) どの部分をとらえてそう言ったのかちょっと私わからないわけでありますが、市議会の決議だけをとらえているのか、それとも市が最後に現実にそういうものを求めたことを言っているのか、求めた上で決定するということをしているのか、そこのいろんな部分があるから何とも言えないんですが、私とすれば、全体的に見れば権限を逸脱していることは明らかだと、こういうのが私の見解であり政府の見解である、こういうふうに思っております。
○佐藤道夫君 神戸方式が問題になっている際の問答で出てきた答弁でありますから、神戸方式、つまり市議会が議決をして、それを受けて市当局が外国軍艦に証明書を要求して外国軍艦が発付する証明書の受領をしている、そして入港を認めている、こういうやり方についての見解、まさしく神戸方式そのものについて違法かどうかと、こういうことであります。今でもなお、神戸方式については違法ではないという考えが政府にあるんですね。いかがですか、その点は。
○国務大臣(高村正彦君) 今まさに委員が私の答弁を紹介してくださったように、全体をとらえればないんだろうと思います。
○佐藤道夫君 余り細かいことを言いたくないんですけれども、後先から言うと、野田自治大臣が答えてそれから若干間を置いて高村国務大臣が答えていますから、野田大臣の答弁はここで修正されていると、やっぱり違法なんだと、こういうふうな理解でよろしいんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) その流れ全体がちょっと私わかりませんので、後でまた私なりにその議事録を読んだ上でいたしますが、政府の見解は私が申し上げたことであるというふうにとっていただいて結構であります。
○佐藤道夫君 だんだん時間になりますけれども、新ガイドラインが今問題になっておりまして、半島有事の際にアメリカの軍艦が核を搭載して日本の領海内に入ってくる、これに対してもやっぱり非核三原則というのはさん然として生きておるわけでありまして、それをどこかでおろして日本の領海を通過して、そして朝鮮半島に向かってほしい、こういうことは常識上当然要望されるわけなんですね。
 一般論でも何でも結構なんですけれども、どうせ聞いたって言いっこないんだからないことにしようやというのが今までのやり方なんですけれども。しかし常識的に考えて、日本に核を持って入ってくる軍艦というのはまずアメリカしかないわけでありまして、それが半島有事の際に、日本の周辺有事の事態の際に、日本の領海に立ち入ってくる際に一々核を積みおろして入ってくるということはなかなか想定できないんですけれどもね。
 もっと率直に言いますと、非核三原則の三番目の持ち込ませずというのは、佐藤首相が格好をつけるために言ったんだろうと私はその当時から思っておりましたけれども、沖縄を控えまして持ち込ませずなんということが一体成り立つのかと常識ある人は皆考えたわけです。佐藤さんはそれを貫いたと、こう表面は言っておるんですけれども、裏では何かアメリカと密約を結んだんだというふうにまたうがった見方もされておりますけれども。
 もういつまでも建前と本音を使い分ける時代ではないと思うんですよ。国民に対してはっきりと、事実はこうです、半島有事でもう大変な事態ですと。一々アメリカの軍艦が核をおろして、そして日本の港に入ってくる、あるいは日本領海を通過する、そんな時代ではもうないんですということを、私、積極的に政府側から問題を提起して理解を求めていくべきではないのかという気もして仕方がないんですけれども、こういう考え、外務大臣、いかがでしょうか。
 なかなかとりにくいとは思いますよ。大変な問題になりますからね、こんなことうっかり口を滑らせたら。
○国務大臣(高村正彦君) おっしゃるとおり、委員の御意見はとりにくい問題で、私はそういう意見はとりません。当然事前協議の対象になりますし、もしそういうことで事前協議を求めてこられれば、日本は必ず拒否する、その場合にはノーしかない、これが非核三原則でございます。
○佐藤道夫君 高村さん、あなたもノーベル平和賞をもらえるかもしれません、大いに期待しておいていいんじゃないでしょうか。
 以上です。
○委員長(河本英典君) 以上をもちまして、平成十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁並びに外務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(河本英典君) 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。高村外務大臣。
○国務大臣(高村正彦君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について説明いたします。
 改正の第一は、ドイツの首都機能の移転に伴い、在ドイツ日本国大使館をボンからベルリンに移転するとともに、在ベルリン及び在ボンの各日本国総領事館を廃止することであります。
 改正の第二は、地名変更に伴い、在アガナ日本国総領事館の名称等を変更することであります。
 なお、在ドイツ日本国大使館の移転についてはドイツ外務省の移転に合わせて行う必要があり、また、在アガナ日本国総領事館の名称変更についても地名変更は既に行われていることから、できるだけ速やかな法改正が必要であります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ、よろしく御審議をお願いいたします。
○委員長(河本英典君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十九分散会