第145回国会 外交・防衛委員会 第8号
平成十一年三月二十五日(木曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     森山  裕君     鹿熊 安正君
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     鹿熊 安正君     森山  裕君
     高橋紀世子君     山崎  力君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     立木  洋君     吉川 春子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         河本 英典君
    理 事
                依田 智治君
                柳田  稔君
                高野 博師君
                小泉 親司君
    委 員
                岩崎 純三君
                亀谷 博昭君
                佐々木知子君
                鈴木 正孝君
                村上 正邦君
                森山  裕君
                木俣 佳丈君
                齋藤  勁君
                吉田 之久君
                続  訓弘君
                吉川 春子君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                山崎  力君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     高村 正彦君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  野呂田芳成君
   政府委員
       内閣官房副長官  上杉 光弘君
       内閣官房内閣安
       全保障・危機管
       理室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障・
       危機管理室長   伊藤 康成君
       警察庁生活安全
       局長       小林 奉文君
       警察庁警備局長  金重 凱之君
       防衛庁長官官房
       長        守屋 武昌君
       防衛庁防衛局長  佐藤  謙君
       防衛庁運用局長  柳澤 協二君
       外務省総合外交
       政策局長     加藤 良三君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  竹内 行夫君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省条約局長  東郷 和彦君
       海上保安庁長官  楠木 行雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
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  本日の会議に付した案件
○外交、防衛等に関する調査
 (能登半島沖の不審船に関する件)

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○委員長(河本英典君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、高橋紀世子君が委員を辞任され、その補欠として山崎力君が選任されました。
 また、本日、立木洋君が委員を辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。
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○委員長(河本英典君) 外交、防衛等に関する調査のうち、能登半島沖の不審船に関する件を議題といたします。
 まず、本件について政府から報告を聴取いたします。
 初めに、防衛庁から報告を聴取いたします。野呂田防衛庁長官。
○国務大臣(野呂田芳成君) 三月二十三日、警戒監視活動を実施中の海上自衛隊の航空機P3Cが二隻の不審船舶を発見しました。このため、訓練に向かっていた護衛艦を現場に向かわせ不審船舶を確認し、海上保安庁に通報しました。
 概要は次のとおりです。
 まず、海上自衛隊の航空機P3Cが午前九時二十五分ごろ、能登半島東方約二十五海里の領海内において漁船二隻、すなわち第二十八信盛丸、第二大和丸を発見しました。以後、現場に進出した護衛艦「はるな」が午前十一時ごろ、船名を確認し、直ちに海上保安庁に連絡しました。第二十八信盛丸は追って不審船舶でないと確認しました。
 また、海上自衛隊の航空機P3Cが、午前六時四十二分ごろ、佐渡島西方約十海里の領海内において漁船第一大西丸を発見しました。以後、現場に進出した護衛艦「はるな」が午後十二時十分ごろ、船名を確認し、午後十三時ごろ、海上保安庁に連絡しました。
 これらの船舶には漁船の名称が表示されておりましたが、国旗を掲げず、漁具も積んでおらず、非常に不審なアンテナ等が装備されていたこと等から、不審船舶として海上保安庁に連絡したものであります。
 以後、海上保安庁の航空機及び巡視船艇によりこれを追跡し、まず現場に到着した航空機により停船命令を実施するとともに、さらに追尾した巡視船艇からも再度停船命令を実施しましたが、これに応じなかったことから、巡視船艇により威嚇射撃を実施する等必要な措置を講じましたが、速度を上げたため海上保安庁の巡視船艇等による追尾が困難となったものであります。
 これを受けて、政府として検討を行った結果、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のため特別の必要があると判断し、自衛隊法第八十二条に基づき海上における警備行動をもって対処することとしたところであります。
 不審船のうち、第二大和丸については、必死の追跡、停船命令、警告射撃にかかわらず、防空識別圏を越え北朝鮮方向に逃走しましたので、これ以上の追跡は相手国を刺激し、事態の拡大を招くおそれがあると判断したので、午前三時二十分、追尾を中止しました。
 その際、第二大和丸に対し、海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」は五インチ砲による警告射撃を十三回各一発、百五十キロ爆弾四発をもっての警告を発しました。また、第一大西丸に対しては護衛艦「はるな」が追跡、停船命令、五インチ砲を六回十発の警告射撃を行ったところであります。
 その後、第二大和丸を追跡していた「みょうこう」を「はるな」、「あぶくま」とともに第一大西丸の追尾に当て、全力を挙げ停船の実施に夜を徹して当たらせ、「はるな」は警告射撃を六回十二発、合計十二回二十二発を発射するとともに、百五十キロ爆弾を二回計八発を投下し、全力を尽くして停船を求めましたが、第一大西丸はこれを無視し、午前六時六分、我が国の防空識別圏を越え北朝鮮方向に逃走いたしました。
 これ以上の追跡は、第二大和丸の場合と同じ観点から追尾を中止するとのやむなきに至ったところであります。
 昭和二十九年に自衛隊発足後四十五年経過しましたが、今回初めて自衛隊法第八十二条の海上における警備行動を発動したところであり、結果は、十分に武器の使用ができない等の法律上の制約があり、不審船の逃走を許しましたが、この種の事案に対し、海上保安庁の対応だけでは不十分な場合には自衛隊がこれに当たるという断固たる我が国の決意を内外に示したことは、今後、この種の事案の発生に対する極めて大きな抑止力となるものと確信します。
 また、この種の事案に対し、第一義の所管官庁である海上保安庁と防衛庁の緊密な連携のあり方等については、今後、今回の経験を踏まえ、遺漏のなきよう万全を期してまいりたいと考えております。
 なお、その後、不審船舶が我が国の防空識別圏に配備した航空機P3Cからもレーダー探知できなくなるほど遠くに移動したこと、また我が国周辺海域も特異事象は見られなかったことから、私の命により、海上警備行動は昨日十五時三十分をもって終結することとしたものであります。
○委員長(河本英典君) 次に、海上保安庁から報告を聴取いたします。楠木海上保安庁長官。
○政府委員(楠木行雄君) まず第一番に、海上保安庁は、三月二十三日、海上自衛隊からの連絡を受けて、二隻の不審船の追尾等を行いましたが、その概要について御説明申し上げます。
 三月二十三日午前十一時ごろ、海上自衛隊から、能登半島東方約二十五海里の領海内において、漁船二隻を海上自衛隊の航空機が発見し、以後護衛艦が確認している旨の情報を入手し、その後、このうちの第二大和丸については兵庫県浜坂沖で操業中であることが確認されたため、情報のあった同名の漁船は不審船であると判断いたしました。
 また、同日午後一時ごろ、海上自衛隊から、護衛艦がさらに一隻の不審な漁船を発見した旨の情報を入手し、その後、この第一大西丸は漁船原簿から抹消されていることが確認されたため、情報のあった同名の漁船は、不審船であると判断いたしました。
 これらの確認作業と並行して、巡視船艇及び航空機の発動を指示し、現場海域に巡視船艇十五隻及び航空機十二機を動員いたしました。現場に到着した航空機は、午後一時十八分から二十一分までの間第二大和丸に対し、午後二時から六分までの間第一大西丸に対し、それぞれ漁業法第七十四条第三項に基づく検査等を行うため停船命令を実施しましたが、両船はこれを無視して北に向け十ノットの速度で逃走いたしました。
 そこで、巡視船艇、航空機により追跡を開始するとともに、停船命令を繰り返し行いましたが、両船はなおもこれを無視して速力を上げて逃走を続けたため、海上保安庁法第二十条に基づく威嚇射撃を実施いたしました。具体的には、第二大和丸に対しては、午後八時ごろに巡視船「ちくぜん」から二十ミリ機銃により五十発を、午後八時二十四分と午後九時一分ごろに巡視艇「はまゆき」から十三ミリ機銃により合計百九十五発を発射いたしました。また、第一大西丸に対しては、午後八時三十一分ごろ以降、巡視艇「なおづき」から自動小銃により千五十発を発射いたしました。
 しかしながら、両船はこの威嚇射撃をも無視して高速で逃走を続けたため、燃料不足から巡視艇「はまゆき」と「なおづき」は追尾を断念し、また、巡視船については、速力が遅いため次第に不審船から離され、第一大西丸は二十時十四分、第二大和丸は二十一時十二分それぞれ巡視船のレーダーから消えました。
 海上保安庁では、このような状況を内閣、防衛庁等の関係省庁に逐次連絡し、これを受けて政府としての対策が検討された結果、二十四日午前零時五十分、自衛隊法第八十二条に基づく海上警備行動が発動されるに至ったものであります。
 海上保安庁としては、残念ながら不審船を停船させることができませんでしたが、関係省庁と密接に連携しつつ、でき得る限りの措置を講じたものと考えております。
 今後は、今回の事案を踏まえ、問題点を分析するとともに、同種事案が発生した場合に、より適切に対処できるよう対策を検討していくこととしています。
 また、全国の管区本部に対しては、領海警備をより一層強化するよう既に指示しており、不審船の警戒に万全を期していく所存であります。
○委員長(河本英典君) 次に、外務省から報告を聴取いたします。高村外務大臣。
○国務大臣(高村正彦君) 二十三日、能登半島沖の我が国領海内で発見された二隻の不審船に対する追跡の経緯等については、ただいま防衛庁長官及び海上保安庁長官より説明のあったとおりであります。
 すなわち、本日朝の段階でこれまでの種々の情報を総合的に分析した結果、本日早朝までに二隻の不審船は北朝鮮北部の港湾に到達したものと判断されます。
 外務省といたしましても、本件事案の重大性にかんがみ、その発生以来、内閣及び関係省庁との緊密な連絡体制を維持すると同時に、米国及び韓国、中国、ロシアといった周辺国に対し、我が国在外公館あるいは各国の在京大使館を通じて自衛隊に対する海上における警備行動の発令を含めた事実関係、経緯等につき概要を説明してまいりました。
 特に、日米間では種々のレベルにおける密接な情報交換等、さまざまな協力が行われております。また、ロシアからも協力の申し入れがあり、我が国よりの情報提供を受けて本件不審船への追跡等の措置がとられたものと承知しております。今後とも、これら関係国に対し、必要に応じて説明を行うとともに、協力を求めていくこととしております。
 なお、北朝鮮に対しては、我が国領海において国内法違反の行為を行った船舶を捕獲して乗組員とともに我が方に引き渡すよう申し入れるべく、これまで我が国の在中国大使館及び国連代表部を通じて相手方への接触に努めてきたところであります。
 いずれにせよ、外務省としても、引き続き内閣及び関係省庁並びに関係各国との緊密な連絡を維持していく考えであります。
 ユーゴスラビア共和国連邦のコソボ自治州の現在の情勢について御報告をいたします。
 日本時間の二十五日未明、NATOによるユーゴに対する航空作戦が開始されました。作戦内容の詳細は不明ですが、作戦には米、英、仏、カナダ、スペイン等が参加し、ユーゴの防空システム等に対し、航空機及び水上艦艇からの巡航ミサイルによって行われた模様であります。
 欧米諸国の粘り強い外交努力にもかかわらず、ユーゴスラビア政府のかたくなな態度のために和平に関する合意が得られず、今回のような状態に至ったことは極めて残念であると考えております。
 今回のNATOによる行動は、ユーゴスラビア政府が和平合意案をかたくなに拒否し、他方で国連安保理決議に反した行動をとり続ける中で、今回のNATOによる武力行使はさらなる犠牲者の増加という人道上の惨劇を防止するためにやむを得ずとられた措置であったと理解しており、現在、事態の推移を重大な関心を持って見守っております。
 我が国としては、ユーゴスラビア政府がコンタクトグループの和平合意案を至急受け入れることを強く求めるものであります。
○委員長(河本英典君) 最後に、内閣官房から報告を聴取いたします。上杉内閣官房副長官。
○政府委員(上杉光弘君) 内閣としては、事案発生当日の三月二十三日午後から、各省庁からの情報を集約するなど、関係省庁が情報を共有し、政府が一体となって対応し得る体制を構築したところでございます。
 具体的には、同日夕、総理、内閣官房長官、外務大臣、防衛庁長官、運輸大臣の五閣僚等による関係閣僚会議を開催し、今後の対処方針について協議いたしますとともに、十八時十分に官邸内に対策室を設置したところでございます。その後、事態の推移に応じまして関係省庁の局長等会議を開催いたしまして、その時点での最新の情報を交換いたしますとともに、今後の対応について協議をいたしました。
 この間、不審船に対しては、海上保安庁の航空機及び巡視船艇によりこれを追跡し、数度の停船命令を発しますとともに、威嚇射撃を行うなど、必要な措置を講じてまいりましたが、不審船が速度を上げたため海上保安庁の巡視船艇による追尾が困難な状況となったわけでございます。
 このため、政府といたしましては、海上における治安の維持のため特別の必要があると判断し、安全保障会議及び閣議を経て、二十四日零時四十五分に内閣総理大臣が海上警備行動を承認し、同五十分に防衛庁長官が海上警備行動を発令、海上自衛隊の部隊が追跡等を実施いたしましたが、不審船を停止させ、立入検査をすることはできなかったわけでございます。
 二十四日朝、総理以下六閣僚等による関係閣僚会議を開催し、関係閣僚からの現状報告を受けますとともに、引き続きP3Cによる監視、周辺諸国への働きかけなどの対応について協議を行ってきたところでございます。
 最後に総理から、第一点は、今回の措置は不審船停船や立入検査の実施には至らなかったが、我が国としての安全の確保に対する意思を明示するものとして重要なものである、二つに、この種の事案はいつ発生するかもしれず、これに対して政府が一丸となって対応することが重要である、三つに、それぞれの閣僚においても、今回の教訓を謙虚に整理しつつ、今後の我が国の安全の確保及び危機管理に万全を期するよう努力されたいとの発言がございました。必要に応じてこの種の会合を開催していくこととなったところでございます。
 二十四日十五時三十分に至り、当該不審船は海上自衛隊のP3Cでレーダー探知ができなくなるほど遠くへ移動し、また我が国周辺海域にも特異事象は見られないことから、防衛庁長官の命により海上警備行動を終結することといたしました。同時に、内閣としても能登半島沖不審船に関する官邸対策室を閉鎖することにいたしたところであります。
 内閣としての対応の概要は以上のとおりでございますが、我が国の安全の確保及び危機管理に今後とも万全を期すよう努力をしてまいりたいと考えております。
○委員長(河本英典君) 以上で報告の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。
 外務大臣からコソボの問題を先ほど報告いただきましたが、きょうは時間がありませんので、今後とも重大な関心を持って見守りつつ、我が国としてもNATO諸国と一体となって事案の早期解決に努力していただくよう要望しておきます。
 そこで、この不審船の事件。
 まず、防衛庁長官にお伺いしたいんですが、戦後初の海上警備行動、海上保安庁の総力を挙げてもなお難しいという場合に最後の切り札として自衛隊が出た。しかし、いろいろ爆弾投下したり五インチ砲を相当撃って威嚇したけれども、結局逃走されたという残念な結果に終わった。それでも、全体的に見れば、今回の内閣初め政府の対応というのは相当毅然たるしっかりしたものであったなと感じております。結果において逃げられたということで、何かもともと逃がしたんじゃないかなというようなことを言う人もいます。
 そこで、防衛庁長官に聞きたいのは、テレビ等でも防衛庁長官が言っておりましたが、これは法令に不備があって逃がしちゃったのか、装備等の面で不備があって逃げられたのか、それとも現状においてもやり得るんだけれども、何分にもこういう問題についての捕捉とかこういう訓練が関係間でほとんどなされていないというそういう面から逃げられたのか、このあたりについてどのように感じておられるのか、この点を御報告していただきたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 防衛庁としては、今般の不審船の対処につきましては、今もお話がありましたが、自衛隊創設以来四十五年間に初めて海上警備行動を発令し、海上における治安の維持のため護衛艦やP3Cにより停船命令や警告射撃を実施するなど、なし得る限りの必要な措置を実施したところであります。
 今回の措置については、これ以上追跡しますと、相手国を刺激し事態の拡大を招くおそれがあると判断し、不審船の追跡を我が国防空識別圏内にとどめたところであります。この不審船を停船させ、立入検査を行うことこそできませんでしたが、海上警備行動を発動することにより不審船対処に断固たる決意を我が国が内外に示した、こういう意味で、この発動はこの種の事案に対する極めて大きな抑止力になったと思っております。逃がす気で逃がすなんという、そういうことは毛頭考えておりません。
 では、どうして捕まえられなかったかというと、防空識別圏で一応その後の事態の拡大を判断してそこでやめたということと、先ほども委員が触れられましたが、やはり武器の行使にもおのずから制限がある、こういうことがあると思います。その他、海上保安庁と防衛庁の連携等、今回の経験を謙虚に生かして、私どもも十全な働きができるような検討を加えたいと思っているところであります。
○依田智治君 これは、法令に不備があれば直さなきゃいかぬし、装備、訓練、今後再び同じ事件があって、同じようなことにならないように真剣にこれは我々としても考えなきゃいけないし、取り組んでいくべきものだと、こう考えております。
 そこで、海上保安庁長官、見えていただいていますが、警職法七条でも、正当防衛、緊急避難の場合以外に、やはり重大犯罪の場合には、これは相手方に場合によったら危害を加えてもいいということになっているわけですね、長期三年以上の懲役または禁錮に当たる重罪と。
 ただ、いろいろ法律を見ましても、出管法で領海侵犯といっても最高刑三年以下ですし、スパイだといっても我が国はスパイ防止法はない、通信法等でもそんな長期三年以上というような刑はないし、漁業法でもそんなのはないということになると、今回は、先ほどの報告では漁業法七十四条三項に基づく検査を行ったということですが、この船の容疑というか、これはどのように主管官庁としてとらえておるんですか。罪名とかその他。
○政府委員(楠木行雄君) 概略先生が今おっしゃいましたとおりでございまして、私どもの方としては、まず日本の漁船であるという風体をとっておる以上は漁業法違反という形で、しかもこれはまだ相手に入ってみないことには何もわかりませんので、海上保安官の立入検査を忌避、断ったという意味ですか、そういう罪だと。これが今、先生がおっしゃったようなことでございまして、そういうことでしか今の段階ではないと。
 もちろん、私どもといたしましては、これは立入検査をいたしまして、そのほかの罪状等出てくればそれはそれでまたその手続に入っていくわけでございますけれども、一番最初の段階としては漁業法の立入検査忌避である、これだけであると、こういうことでございます。
○依田智治君 結局、漁船を偽装して我が国の領海を侵し、かつスパイ行動等をやっておる大変な重大犯罪だというんですが、現行法的にはそういう危害要件にも当たらない、こういうことでございます。これは常識的には、こういう重大犯罪が国家として見逃されるということは大変問題だなと。これは今後いろいろ我々としても対応策を検討する面で研究する必要があるなという点だけ述べておきます。
 次に外務大臣、先ほどの報告で北朝鮮北部港湾に到達したものと判断されますと、こう言われていますが、これはあの二隻は北朝鮮に逃げ込んだと、こういう判断をしておるわけですね。
○国務大臣(高村正彦君) そういう判断をしております。
○依田智治君 それで、国交のない北朝鮮でございますし、あれですが、やっぱりこういう問題は見逃しにはできないんですが、先ほどの報告の中にもあったわけですが、今後外務省としてはどのような対応をしていく考えでございますか。
○国務大臣(高村正彦君) 北朝鮮に対しましては、我が国領海内において国内法違反行為を行ったと思われるこれらの船舶が北朝鮮の水域に入ったわけでありますから、恐らく港湾に到達したと思われるわけでありますから、北朝鮮に対しては当該船舶を捕獲し乗組員とともに我が方へ引き渡すよう申し入れるべく、ニューヨーク及び北京にて先方との連絡を試みているわけでありますが、既に申し入れの内容を文書にして先方に届けたところでございます。
 本件不審船が北朝鮮の港湾に到達したと判断されることを踏まえて、さらに申し入れを行うとともに、北朝鮮の工作船であるとこれは断定された場合には抗議の意を伝達することになる、こういうことでございます。
○依田智治君 なかなか難しいんですが、粘り強くひとつ解決に向けて努力していただきたいと思います。
 今回、ロシアも協力を申し出て、結局協力していただいたようですが、こういう国境侵犯犯罪みたいなものがあった場合に、周辺諸国との協力関係というものを非常に緊密にしておくということが重要である。特に、海上保安庁等は、周辺諸国のいわゆる警察機関等と密接に連絡をとって、こういう場合に緊密な連携で相手側に捕捉してもらうというような措置が非常に重要だと思うんですが、海保の場合どんな対策がとられているんですか。
○政府委員(楠木行雄君) 先生おっしゃるように、日本の近海、ロシアあるいは朝鮮半島それから中国、こういったところとの関係は特に海難救助とかふだんの状況からも大変大切でございますので、いろいろ実務機関同士の会合とかあるいは国際協定とか、そういった過程で接触がございます。
 今回の場合は、海上保安庁といたしましては、両船がその後どういうふうに、行方がはっきりしたのかということは確認できておりませんので、これはちょっと一般論で申し上げておるわけでございますけれども、今申し上げたように、平素から中国や韓国等の海上取り締まり機関との間でさまざまな協議を実施し連携を強化しておるところでございまして、こういう点を踏まえまして、今回の事件に関しても、三月二十三日時点におきまして韓国のカウンターパートに当たります海洋警察庁、ここに当該不審船に係る情報を提供し調整をしている、こういった状況でございます。
○依田智治君 この点、今後もこういう事案に際して緊密な連絡がとれるように、これは外務省にも周辺諸国との関係、こういう面でもしっかり対応をとるように御努力いただきたいと思います。
 そこで、ちょうどこの事件が発生したときに外交・防衛委員会が開かれていて、防衛庁、外務省からは何の報告もないのはおかしいじゃないか、国会軽視だというような話もありましたが、つらつら考えてみると、その時点では海上保安庁が主管官庁であったと。主管官庁である海上保安庁、当日は参議院においては交通・情報通信委員会とか地方行政・警察委員会とか、いろいろ関係するところが開かれていたんですが、何か報告したんですか。この点をちょっと。
○政府委員(楠木行雄君) 先生おっしゃる点、大変私どもも反省すべき点かと思います。
 当日はもう本当に徹夜状態でございましたが、きのうはあちこち関係の先生方のところにも逐次御説明には参っているところでございます。ただ、基本的には、この不審船を発見いたしましてその追尾等を行います行為自体は海上保安庁が通常業務として行っておるものでございまして、自衛隊への海上警備行動の下命に至るような事態であるかどうかというのは最初の段階ではちょっとわからなかったという点と、それから三月二十三日は、先ほど申し上げましたように二十四日の早朝まで不審船の事案が動いておりまして、いわば切れ目がなかったというようなところで、大変私どももそこは反省すべき点かと思っております。
○依田智治君 きょうは外務大臣、ちょうどコソボの報告もすぐしていただいたんですが、今後とも、やはり事案が発生した場合に早期に国会に報告して、我々としても対応できるように、その点ひとつしっかりと、これは各省庁ともよろしくお願いしたいと思います。
 時間がないので、最後に。お忙しい中を副長官に出ていただいておりますが、今回、内閣として、総理の承認ということ、安保会議並びに閣議を、聞くところによると準備しておいて二十分ぐらいのスピードで、持ち回りでやって承認したということでございます。
 潜水艦の場合には、閣議を経ずして総理がもう許可してよろしいというような閣議決定がなされているわけです。私は、こういう領域警備についての法制化という話もございますが、とりあえず、現行法令を迅速にやっていくためには、不審船発見みたいな場合に自衛隊が直ちに、できるだけ早く行動できるように、そういう総理承認手続なんかもあらかじめもう承認しておくというようなことが大変重要じゃないかと、この事案で改めて感じたわけでございます。
 そして、もっと早く、昼のうちに海上警備行動を発令して海上保安庁と一体になって挟撃して捕捉するというようなこともできるんじゃないか、こんな感じを持っています。これらの点について、官邸の方からの代表として副長官、どのようにお考えか、お願いします。
○政府委員(上杉光弘君) 御質問の点につきましては、今般の能登半島沖不審船の事案におきましては、防衛庁長官の海上における警備行動命令を承認するための手続は遅滞なく実施できたものと考えておるところでございます。
 ただし、今回のような種類の事案は、これは国内の漁船であったという認識もその前提にございますが、いつ発生するかもしれず、これに対して適切かつ迅速に対処いたしてまいるためにも、御指摘のような対応策を含め種々の検討を行うことが重要であると考えております。
 今後とも、我が国の安全の確保及び危機管理のために万全を期すよう努力してまいりたいと考えております。
○依田智治君 官邸としても、ぜひ迅速にそういう機能が発動されて危機管理の万全が期せられるように今後とも御尽力をお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
○齋藤勁君 民主党の齋藤勁です。
 最初に、今回の不審船の件でございますけれども、一連の防衛庁なりの御報告の中では、海上自衛隊の哨戒機P3Cが不審な船を発見したというところから私ども報告を受けておりますけれども、ある報道によりますと、その前日、米軍から、日本海周辺に国籍不明の船舶が航行しているとの情報が日本政府にもたらされていた、その後、米軍からのこうした情報は自動的に外務省、防衛庁、内閣情報調査室、警察庁に通報されるシステムになっているということで、もうこの二十二日の時点でP3Cを日本海に向けたけれども悪天候だったということで発見できなかったということが報じられています。
 こういうことが事実ならば、私どもへの報告もそういうところからスタートすべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 本件の不審船につきましては、警戒監視活動を実施中の海上自衛隊の哨戒機P3Cがこれを発見したところでありますけれども、その以前においては、二十一日の深夜から断片的な情報はありました。しかし、これはあくまでも断片的な情報でありまして、確実なものでは全くありませんでした。二十二日は、そういう断片的な情報を何とか確かめたいと思いましたが、通常監視活動の中で対応したというわけであります。
 二十三日は、先ほど説明したような状況になってきた、こういうことであります。
○齋藤勁君 そうしますと、今の長官の御説明ですと、私は、この報道で二十二日ということを言っているんですが、二十一日からもう既に断片的な情報が入っているということですが、それは我が国の海上自衛隊等の情報なのか、さて今私が冒頭申しました米軍からの情報なのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 全く我が方の独自の情報でございます。
○齋藤勁君 そうすると、二十二日の前日、米軍からの情報というのは、我が国の情報に加えて米軍からの情報がプラスされたと、こういう理解でよろしいんですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 米軍からも何らかの情報があったということは外務省から我が方に連絡がありましたので、外務省の方から答えた方がよろしいかと思います。
○齋藤勁君 今回のことは、自衛隊法八十二条のこともございますけれども、まず情報がどういうふうにして把握され、どういうふうに対応をとったかということについてきちんと私は点検する必要があると思うんです。したがって、この間、官邸でいろいろとってきたことについては私どもは逐一報告を受けていますが、まずどこからこの不審船が、問題が出てきたのかということについてつまびらかにする必要があると思います。
 そこで、今、外務省等の話も出ましたので、外務省の方の情報収集について御説明いただきたいと思います、米軍の情報等につきまして。
○政府委員(東郷和彦君) 日米間で本件につきましては種々なレベルで密接な情報交換等を行ってまいりました。米側からは本件不審船の追跡のために数機の偵察機を出動させる等、現場レベルでも密接な協力が行われてきているというふうに承知しております。
 ただ、米軍との情報の交換の内容につきましては、協力内容の詳細等、米軍の運用にかかわる問題等もあり、事柄の性質上お答えできない点があるという点については、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
○齋藤勁君 私ども、防衛庁あるいは海上保安庁も含めてですが、「三月二十三日から二十四日(発令前)にかけての不審船対処に係るクロノロジー」ということで時系列的にいただいているんですね、資料を。ですから、どうですか、各省庁協力していただいて、二十一日からそういう断片的情報が入ったのは、どこからどういうふうに情報が入って、どういうふうに対応したのかということを国会に報告してください。そのことを委員長、これはちょっと時間が余りありませんので、私は求めますので、ぜひ理事会で扱っていただきたいというふうに思います。よろしいですか、それは。
○委員長(河本英典君) 理事会でそれは協議します。
○齋藤勁君 それから、北朝鮮の船と判断をしていると、こう先ほど外務大臣はお話しになりました。先ほどの昼のニュースでも防衛庁長官が、北朝鮮の港に帰ったんではないかと、このようなたしかニュアンスで私もテレビ報道を聞いているんです。
 北朝鮮の船、北朝鮮の港に行った、この判断は、我が国独自のものあるいは米側とも連携をとって判断したのか、その根拠についてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) その根拠を申し述べる前に、私が北朝鮮の船だと言ったと、こうおっしゃった。私は北朝鮮の船だと言ったつもりはないわけでありまして、北朝鮮の港に入ったというふうな認識をしていると、こう申し上げたので、北朝鮮の工作船という可能性はもちろん排除できないわけですが、まだ我が国政府として断定しているわけではないということだけ、私の方からはそれだけ申し上げておきます。
○国務大臣(野呂田芳成君) 我が方が得ている情報が中心でありますが、いろいろな情報を総合的に見まして、北朝鮮の北部の港に入ったということを確認したわけであります。
 どういう情報でどこに入ったかは、これは大変重大な支障を来しますので、ここで申し上げることは差し控えたいと思います。
○齋藤勁君 また、本日のある新聞報道ですと、「逃走の不審船 北朝鮮籍と確認 羅津に帰港へ 政府、引き渡しを要請」と。これは一面です、これはある新聞の。これは「防衛庁筋は」と書いてあるんです。
 防衛庁筋は、不審船舶は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)北部の羅津(ラジン)から出港したもので、二十五日未明現在、羅津に戻りつつあることを確認、不審船舶が北朝鮮籍であることを事実上認めた。
こう断定的に記されていますが、防衛庁筋ということも明確になっていますので、この報道についての事実についてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) そのようなことを語った筋は私は防衛庁には存在しないと思います。そこの港も私は該当しないのじゃないかなということを申し上げておきます。
○齋藤勁君 そうですか。こういう筋は防衛庁の中には存在をしていないという、そういうことになりますと、日本の大きな新聞社の一面としては大変な勇み足といいましょうか、事実誤認の報道をしているということで、大変私は問題であるということを言わざるを得ないですね、防衛庁長官の御答弁ですと。
 さて、そこで限られた時間でございます。今回の高速艇といいましょうか、不審船が非常に速いと。速いということで、三十八ノットですか、最後の一番最高時。これはかつて宮崎に、いろいろ海上保安庁の御説明で、不審船、昭和六十年四月のときには、具体的事例として、これはやっぱり逃げられちゃったわけですね。二十二から二十三ノットの高速と。今回の最高三十八ノット出るということは、これはエンジンとか機能というのはどういうふうに分析をするのか、それから、これまでこういうような高速船といいましょうか不審船というのは全く見当がつかなかったのか、あるいは見当と申しましょうか把握できなかったのかどうか。この辺、いかがでしょうか。
○政府委員(柳澤協二君) 私ども、今先生御指摘の六十年の事例にせよ、今回、今回も最終的には私どもが確認したところでは三十五ノットの速度で逃げていったわけでありますが、その具体的な船の構造等を承知しているわけではありませんが、一般的に推測できますことは、例えば、ガスタービンエンジンのような極めて高速を出せるような機構になっているのではないかというふうに推測をしています。
 それから、過去に、私どもの日ごろの警戒監視あるいは情報収集活動で同種の、同種のというのは全く同種かどうかというところまで細かく分析はできておりませんけれども、類似の船舶も確認した例はございます。
○齋藤勁君 この種の不審船というのはあるということですね、今の御説明ですと。
○政府委員(柳澤協二君) なかなかこの種の不審船という定義は難しゅうございますが、いずれにしても類似の船は監視の過程でとらえた実績はございます。
○政府委員(楠木行雄君) 先生が例にもちょっと引かれましたように、昭和六十年の宮崎沖の不審船の場合は、私どもがこれを追跡したわけですが、停船命令を無視して、増減速を繰り返してジグザグに航走したわけで、そのとき最大約四十ノットを出しておるようでございます。
○齋藤勁君 今回の防衛庁長官の報告の中で、政府として、海上におきます人命もしくは財産の保護、または治安の維持のための特別の必要があると判断して、自衛隊法八十二条に基づき海上における警備行動で対処をした、こういう対処をされたわけですが、今回、この治安の維持のための特別の必要ということで対処されたというふうに思われますけれども、この宮崎の事例のときはこういう対処をしなかったわけですね。今回、治安の維持のため特別の必要があると判断したと。特別の必要があると判断したのはどういう違いがあるのか、このことについて御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 御案内のとおり、宮崎の場合は足かけ三日間海上保安庁の船で対応しておったわけです。だけれども、今回の場合は海上保安庁の船はたちどころに距離をつけられて、とても追跡が不能に近い状態に陥ってしまったということで、これでは不審船を手をこまねいてよそへ逃走されてしまったという事態になりかねなかったわけであります。
 それほど、今、委員も指摘されたとおり、普通の漁船ならば十ノットぐらいしかないのを、これは三十五ノット以上で走ったわけですから、そこでやむを得ずそれ以上の性能を持った海上自衛隊が出動しないと対応できないのじゃないかということになって、これをむざむざ逃がすのは、まさに八十二条の我が国の秩序を維持するために必要な特別の理由があると。そして、それに何とか対応できるのは海上自衛隊の船でありますから、この八十二条によって権限を付与されて出動したということになるわけであります。
○齋藤勁君 宮崎の方は今のお話、私も事実を拝見させていただきまして、三日間も逃げられているわけですね。今回は三日間も逃げられていない、まあ三日間かかってないわけですけれども。そうすると過去三日間も逃げられてしまった、次のときは自衛隊法八十二条、これを発動するぞ、こういうような次のときはというような、そんなことがあったのかどうか。今お聞きしても何か過去の判断のときの事例と今回の事例と、どうも整合性がとれないような説明ではないかというふうに私は思っているところでございます。
 そこで、最後に。海上保安庁、六十年のときの不審船が高速で逃走したということや今回の事例なんかで、海上保安庁としての能力、巡視船艇等の能力、これについてはどういうふうにこれから対応しようとしておりますか。
○政府委員(楠木行雄君) 先生御指摘のように、私どももこれは非常に大きな装備の問題として、大切な問題であると思っております。
 宮崎のときも、そのような教訓を踏まえまして小型の巡視船で高速のものをつくるというようなこととか、いろいろ配備を進めるというようなことをやっておりますけれども、今後ともやはりまず第一義的には、このような海上における事案につきまして警察機関たる海上保安庁がまず第一に対処するということになると考えておりますので、今回の事案を教訓として沿岸警備体制について過去の事案を整理し問題点を分析して、現在のマニュアル等に対する検討も実施をし、今後同種事案に対応できるように検討していきたいと考えております。
○齋藤勁君 時間ですから、終わります。
○高野博師君 今回の不審船舶の侵犯事件で、政府の対応が適切であったかどうかということについては、十分精査して議論する必要があると思います。
 そこで、まず幾つか具体的にお伺いしますが、今回、今のお話では二十一日あたりから断片的な情報がもたらされていたということですが、米軍等は偵察衛星の情報を持っているわけで、相当の情報が入っていたんではないかと思うんです。この報告によると、護衛艦二隻は訓練のために現場の方に向かっていたということになっていますが、これは事実なんでしょうか。二十一、二十二日あたりから情報が入っていたとすると、その確認のために向かっていたのとは違うんでしょうか。
○政府委員(柳澤協二君) 今、先生挙げられた護衛艦は「はるな」と「みょうこう」でございますが、自衛艦隊に所属するこの二隻については、たまたまその時期にその付近の海域で訓練のために所在していたということであります。
○高野博師君 二十二日と二十一日はどこにいましたか。
○政府委員(柳澤協二君) そういう訓練を予定しておりましたものですから二十二日の午後に出航したわけでありますが、それまで舞鶴で停泊して準備をしておりました。
○高野博師君 そうすると、二十一日には既に断片的な情報が入っていたわけで、その情報に基づいて二十二日に出航したということではないんでしょうか。
○政府委員(柳澤協二君) いずれにいたしましても、訓練で日本海の方に出かける予定を持っておったわけでございまして、要するに、これらの船がその現場にいた直接の、直接のといいましょうか、途中で別の任務を付与されたわけでありますけれども、動機なり契機なりというのは訓練のためということでございます。
○高野博師君 その点はちょっと釈然としません。
 それでは、警察庁にお伺いします。不審船の活動目的は何だったのかという点については、拿捕していないのでこれは判明していないわけですが、能登半島とかあるいは佐渡島等の近辺にいたということで、これは情報スパイ活動とかあるいは麻薬の密輸とかあるいは日本製の軍需物資の密輸、さらには拉致事件等の可能性も否定できないと思うんですが、国内側で何らかの行動をとったかどうか。例えば、工作員の侵入があったかどうか、あるいは国内の協力者がいたのかどうか、そういう点については警察庁は調査しているんでしょうか、そして何らかの情報は持っているんでしょうか。
○政府委員(金重凱之君) 北朝鮮の工作員の上陸等に備えて、警察としましては平素から沿岸の警備体制の強化を図っております。これは、北朝鮮工作員による不法出入国事案等や、それから最近も起こっております集団密航事件等が発生しておるというようなことからでございます。
 それで、平素からこの防止、発見、検挙ということで、私どもとしては、海上保安庁等関係機関との連携を図っておりますし、それからまた地元の沿岸住民の方々の御協力も得たりというような中で、海上におけるところの警戒だとか、あるいは沿岸部におけるパトロールだとか検問だとか等々、各種の対策を実施してきておるわけであります。
 こういうようなことから、北朝鮮関係の諜報事件の検挙、戦後約五十件ございます。それで、この中で、沿岸部において潜入、脱出等を企てた工作員等の事件を十五件ほど検挙しておるというような状況にございます。
 それからまた、集団密航事件でございますけれども、例えば昨年一年間で六十四件、千二十三人の検挙がありますし、それからまた、ことしも、昨日現在でございますけれども、十八件、二百四十四人の集団密航事件の検挙がある、こういうようなことでございまして、こういう沿岸警備の重要性にかんがみまして諸対策を推進しているところでございます。
 なお、御質問のものにつきまして特異な情報等には接しておりません。
○高野博師君 今のお話だと相当のいろんな事件が起きているということでありますので、これは警察としても相当の対応をすべきではないかと思います。
 それでは、今回の政府側の一連の措置、これは海上保安庁、防衛庁を含めまして、海上警備行動の発動等について、不審船が北朝鮮のものであるという可能性が極めて高いという前提で動いていたと思われますが、これはそういう認識でよろしいでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもは国籍不明の不審船であると思って対処しておったわけであります。
○高野博師君 もし不審船が中国とか韓国あるいはロシアの船であるという可能性が高かった場合に海上警備行動を発動していたかどうかという、この点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) どこの不審船でも同じ措置をとったと思います。
○高野博師君 ということは、今回の発動は、政治的な判断に基づいたのではなくて、純粋に法的な根拠に基づいてとったという理解でよろしいでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 純粋に国民の生命、財産、秩序の維持に特別必要な理由があると思ってやったわけであります。
○高野博師君 結果的には、北朝鮮に対して毅然たる態度をとった、措置をとった、抑止の点からも適切であったという評価は一応はできるんではないかと私は思います。
 しかし、北朝鮮の船でなかった場合には、これは相当不測の事態あるいは外交上の問題等に発展しかねなかったんではないかと思いますが、外務大臣はどういう認識をされていますか。
○国務大臣(高村正彦君) 不審船でありまして、海上保安庁の船も何度も停船命令を出しているときに一切応答がないということでありますから、それが北朝鮮の船でなくても、どこかそこの所属する国との間で外交問題が生ずる、そんな話ではなくて、仮に生ずるとすればこちらから抗議をするという話になるのではないか、こういうふうに思います。
○高野博師君 その点は全く同感であります。
 今回は海上警備行動を発動したという対応が適切であったのかどうか、海上保安庁の巡視船での対応では不十分であったのかどうかということ、その問題があると思うんですが、特に治安維持という観点についての判断はかなり難しいのではないかと私は思っておりますが、今回は深追いをすれば、北側が警戒態勢に入っていたという情報もあって、交戦あるいは戦闘に至る可能性も否定できなかった、こういうことが言われていますが、この点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもがこの海上警備行動を発動した最大の理由は、海上保安庁がまことに大変一生懸命に頑張って全力を挙げてやったんですが、とても不審船に追いつかないという事情がわかり、しかも刻々距離が離れていきますので、これでは、不審船が我が国の領海を侵しているのにただ逃走されるということでは日本の秩序維持にとって大変大きな問題があると思いまして、私が官房長官や総理に意見を上げまして、安全保障会議や閣議の議を経てこれを決めたということでありまして、それ以外の何物でもありません。
○高野博師君 この不審船が北朝鮮の北部に入ったということを確認されたということですが、これは北部の羅津という港でしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 二そうの不審船がけさ七時ごろ北朝鮮のある港に入ったということは、私どもは総合的な情報で判断したところであります。
 どういう情報でそれを確認し、具体的にどこの港に入ったかということは、現段階で大変大きな影響がありますので、ここで申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
○高野博師君 どういう影響があるのか。北朝鮮に入ったという確認をするためには、どこの港に入ったかという確認ができなければそれは言えないんじゃないでしょうか。どういう影響が考えられるのか、お伺いします。
○国務大臣(野呂田芳成君) これからのいろいろな情報収集等の体制に甚大な影響を与えると思います。港については、どうぞひとつ勘弁させていただきたいと思います。
○高野博師君 その点はちょっと理解できません。
 今回、拿捕できなかったという技術的な問題がある、あるいは法的な問題もあるということですが、自衛隊の行動は本来的には専守防衛ということでありますから極めて抑制的であるべきだと私は思いますが、十分な武器使用ができないということから拿捕できなかったということが言われていますが、これは事実でしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) あくまでも私どもは警職法七条の範囲内の行動しかとれないということで、したがって、本来海上保安庁がやっておる職務権限の範囲内でしか我々はできないということでありまして、そういう意味で私は申し上げているわけであります。
○高野博師君 法整備の必要性を認めて、これは法整備に着手するという考えでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもも、内部ではいろいろなケースを想定して勉強はしておりますけれども、これを立法化しようという意思は今のところはまだありません。
 ただ、国会において有事法制や領域警戒の法制を整備するべきではないかという御意見をしばしば承っておりますので、そういうことも含めて今後検討してみたいということを常に申し上げてきたところであります。
○高野博師君 外務大臣にお伺いしますが、北朝鮮がこの引き渡しに応じなかった場合には何らかの措置を考えているんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 引き続き粘り強くそういうことを申し上げますが、現時点で特別何らかの制裁的措置をするということを考えているわけではございません。
○高野博師君 今回の事件が日朝関係に与える影響をどのように見ておられますか。抑止と対話というこれまでの政府の政策に変更はないのでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 仮に北朝鮮が我が国に対する何らかの工作を意図していたものであれば、これは我が国の安全にかかわる問題で、日朝関係に水を差すものと言わざるを得ないということだと思います。
 ただ、北朝鮮との関係は、小渕総理が訪韓中に明らかにされたように、緊張を緩和していくための対話と不測の事態を防ぐための抑止の双方につき意を用いていく、これは基本原則でありますが、この基本的な立場は維持していきたい、こう思っております。安全保障の備えを確固たるものとすることと並行して、対話と交渉により北朝鮮との間に存する諸問題につき一つずつ解決していくという我が国の立場には、その基本的立場には変更はございません。
○高野博師君 今回の事件は、先ほど大臣がおっしゃられましたように日朝関係に水を差したということですが、これは非建設的な対応という見方をされているんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 先ほどから繰り返していますように、まだこの不審船を北朝鮮のものだと断定しているわけではないわけでありますが、そういう可能性はあるということで、もしそうであれば、それは我々が望むところではないわけで、建設的な対応とはとても言えない、非建設的な対応であるということは言わざるを得ないと思います。
○高野博師君 時間ですので、最後に防衛庁長官に。今回の事件から学んだ最大の教訓は何でしょうか、簡単にお答えください。
○国務大臣(野呂田芳成君) 官邸も含めまして、日本の平和と安全を守るために各省庁が一致協力して頑張ることだと思っております。
○高野博師君 終わります。
○小泉親司君 今回の問題について、幾つか質問させていただきます。
 私は、海上保安庁が領海の不審船舶に対して必要な処置をとるということは当然あり得ることだというふうに考えております。しかし、自衛隊の海上警備行動、今回の措置が妥当なものであったかどうかという点については、事態の全容を明らかにして究明していく必要があるというふうに考えております。
 そこで、幾つか質問しますが、まず、領海の警備は基本的には海上保安庁でやるということは明確なことでありますが、先ほどのお話ですと、二十一日から既に防衛庁は独自の情報を入手して不審船を探していたということでありますが、そういう種の情報は海上保安庁にはお話しになっておられるんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 二十二日の情報というのは、先ほども申し上げたとおりまことに断片的な情報でありまして、これが不審船であるというような状態には全く至っておりません。ですから、二十二日も通常の警備体制でその断片的な情報を注意しながら対処していたというのが現状であります。
○小泉親司君 海上保安庁は、その二十一日の段階からそういうふうな捜索もしていたんですか。
○政府委員(楠木行雄君) 私ども海上保安庁が今回の不審船の情報を初めて入手いたしましたのは、二十三日午前十一時ごろ、海上自衛隊からいただいたものでございます。
○小泉親司君 外務省は米軍から情報を入手したということでありますが、ベーコン国防総省報道官は、この議事録を見ますとP3Cが出たということを記者会見で認めておられます。しかも、ワシントンからの報道によると、アメリカ海軍のP3C一機か二機が不審船の追跡に協力しているという報道もあります。
 つまり、今度の米軍のP3Cの行動は見つけた段階なのか、それとも見つけた後の追跡行動もあわせてやっているのか、内容ではなくて、そういう行動をとっておられるのかどうなのか、その点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 今、委員が御指摘になったアメリカが発表したものは、我が国が追跡行動に入った後のことを言っているのだと思います。
○小泉親司君 私のお聞きしているのは、一緒に米海軍も追跡に協力したという報道があるんですが、米軍は一緒にやったのかということをお聞きしているんです。
○政府委員(柳澤協二君) 私どもの海上自衛隊との関係を申し上げますと、米海軍のP3Cから、これはたまたま米軍自身の通常の警戒等の運用であったようでありますが、米軍の運用の詳細は承知しておりませんけれども、我が方のP3Cに対して一定の情報等の支援は事実としてあったということを聞いております。
○小泉親司君 いや、一緒に追跡行動をやったのかという点をお聞きしているんです。
○政府委員(柳澤協二君) そういう意味では、一緒に今回の追尾なり、あるいは海上警備行動のオペレーションを行ったという事実はございません。
○小泉親司君 きのうも私防衛庁に資料をお願いしてあったんですが、きょういただいたものだと海上警備行動を発動した以降の自衛隊部隊の詳細は載っておりますが、それ以前にもう既に自衛隊は行動を起こしているわけで、そこの部隊はどことどこの部隊が出たというところを資料でお願いしたいということを要求してあったんですが、その点はちょっと不明なのでもしお答えできればと。
 つまり、私のお聞きしたいのは、きのうの御説明ですと八戸のP3Cだけだというお答えだったんですが、いつの間にか厚木四機、鹿屋一機、それからEP3という電子戦用のP3Cまで鹿屋から出動しているわけですね。これは既にもう海上警備行動を発令する前から鹿屋のP3C、特に電子戦作戦用のP3Cも出て行動していたんでしょうか。
○政府委員(柳澤協二君) まず、二十三日の早い時点では、何度も申し上げておりますとおり、通常の、私どもの日常の警戒監視態勢の中でP3Cが現場付近を飛行して、その最初の不審船といいましょうか、不審船らしい船を発見したというのは端緒でございます。
 それで、その当時は八戸に所属しているP3Cがそこを飛行しておりました。その後、海上保安庁との連絡によりまして、どうもそれがいわゆる不審な船舶であるということが非常にはっきりしてまいりましたので、私どもとしては、さらに警戒監視あるいは情報収集という観点から逐次機数をふやしていったことも確かでございますし、さらに情報収集のためのEP3というのもこれはかなりもう深夜遅くになってからでございますが、上げておることも事実でございます。
○小泉親司君 どうもこういう経過を見ますと、海上保安庁が第一義的というより海上自衛隊が第一義的のような印象をお受けいたします。海上保安白書を見ますと、九八年の白書では不法行為、不審行動船舶は三百件から四百件毎年あると。九七年では不審な行動をとった船舶三百十三隻に当該行動の中止を警告の上、退去命令をさせたということが報告されております。
 ところが、今回の海上保安庁の報告ですと、不審船は十八隻という報告なんです。海上保安庁の白書は毎年三百隻と言いながら、いつの間にか十八隻と極減した。それがきのうの委員会でいろいろ議論があって、十八隻というのは国籍が不明な船なんだと海上保安庁長官はおっしゃいましたけれども、実際三百十三隻も国籍の不明なものもあるわけで、一体どこでどういうふうにこの不審船十八隻と不審船三百十三隻の区分けができるのか。私は、十八隻といって、どうも今回のものは、数字は一体どこからどういうふうに抽出しているのか、その点を明快にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(楠木行雄君) この二つの区分でございますけれども、例えば今先生がおっしゃった数の多い方でございますが、これは不法行為だとか不審行動をした外国船舶というようなことで私どもが発表しておるものでございまして、確かに平成七年とか平成八年に三百隻台ございます。ただ、これはほとんどが漁船でございまして、どこどこの国の漁船というのは私たちにはわかっているわけです。そういうのが密漁とかで来るなという形で我々は把握をしておると。したがって、その段階では領海でやるのが法令違反、今ですと、いわゆる排他的経済水域ですとこうだということになりますから、そういうところから出て行けという指導をするということになるわけです。
 ところが、今先生がおっしゃった不審船というのは、日本周辺海域においては日本漁船に偽装をする、あるいは夜陰に乗じて不審な行動をとる国籍不明の高速小型船が出没することがあるわけでありまして、こういうようなものを不審船と言いまして、海上保安庁は創設して五十年ちょっとたちますが、そういうものは十八隻しか私どもは少なくとも確認をしていない、こういう区分でございます。
○小泉親司君 今回のものも漁船なわけでしょう、偽装はしていましたけれども。しかも、今おっしゃっていることからすれば、立入調査をしなければその国籍はわからないわけでしょう、そうでしょう。だからそのときに、発見しているときには国籍はわからないわけだから、そこら辺の区分けが非常にあいまいで、三百十三隻なのか十八隻なのかこれはえらい違いで、五十年間に十八隻しかないんだというのと年間三百十三隻もあるというのは、ちょっとその種のものが私は非常に不明確だということを指摘しておきます。
 問題は、やはりなぜ初めて自衛隊の警備行動が発令されたのかという点が大変大事な点だと思います。昭和六十年、一九八五年の四月に、先ほど同僚委員からも御指摘ありました、同じような事件が宮崎県でありました。どこが違うのか、あのときにはなぜ海上警備行動が発令されなかったのかという点について防衛庁長官は何とおっしゃったかというと、たちどころに高速で逃げたからだとおっしゃいました。
 ところが、私は八五年の新聞の切り抜きをほとんど集めて全部読みましたが、何て書いてあるかというと、初めにその不審船は日本領内の日南市沖二十キロをゆっくりと航行しており、近づいたところ急に速度を上げて逃げた。それから、最高速度は四十ノット前後にも達し、最高速度を誇る唐津海上保安部の「にじぐも」が三十ノットのフルスピードで追尾しても簡単に振り切ってしまったと、こう言っているわけです。
 だから、この点では一九八五年の事態と全然変わらないし、しかもこのときも、一つは高速艇であったこと、それから船名を擬製していたこと、国籍が不明であったこと、この点は今回の事件とほとんど同じです。今回の事件について、きのうの委員会では、なぜ違いがあるのかという点について、野呂田防衛庁長官はきょうのような答弁をしていないんですよ。悪質な行為であったとおっしゃっているんです。その悪質な行為のうち、五つを挙げているわけです。
 一つは、高度の情報収集機能を備え、スパイ行為をする機能を持っていること、二つ目は高速艇であること、三番目は名前を詐称していること、四番目は漁具や漁網を持っていないこと、五番目は類似の不審船を何度か確認していること、この五点を挙げておられます。これは、参議院の本会議の答弁でも同じことをおっしゃっておりますから、まずこの五点は間違いないと思うんです。
 ところが、今言った高速艇であることと、名前を詐称していることと、漁具や漁網を持っているかどうかというのは、これは非常にあいまいなんだけれども、その点については八五年の事態と同じなんです。違う点は、一つは高度の情報収集機能を備え、スパイ行為をする機能を持っていること、これが海上警備行動の理由の第一に挙げられておるわけでありますけれども、それではこの参議院本会議の答弁では、高度の情報収集機能を備えていることが判明したというふうに明確に述べておられますけれども、どのような手段で確認をしてどういうふうに判明をしたのか、その点をぜひお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 最初にお断りしておきますが、私は、船足が速くて逃げられそうになったということは、衆議院の安保委員会ではもう毎回のように答弁しておったから、それはもう委員の皆さんの中ではすべて了解済みだから、さらにある委員に問われたから今のものを挙げたというだけであるということをまず冒頭で御了解いただきたいと思います。
 御懇切な例を挙げての御質問でございますから、ちょっと御説明申し上げたいと思うんですが、昭和六十年四月の日向灘の不審船の追跡事案については、多数の巡視船艇が投入されました。不審船を約四十時間、これは足かけ三日くらいになると思うんですが、約六百海里にわたって海上保安庁の船が追尾したわけであります。それは、追尾可能でありました。しかし、同船の捕捉には至りませんでした。東シナ海において追跡中のヘリコプター搭載型巡視船のレーダーからそのときも映像が消滅したというふうに承知しております。
 今般の事案につきましては、三月二十三日に能登半島沖で発見された二そうの不審船を海上保安庁の航空機及び巡視船が追跡して一生懸命頑張ったのは、今海上保安庁長官から説明があったとおりであります。しかも、保安庁のたび重なる停船命令に応じず、巡視船艇により威嚇発射を実施する等の必要かつ十分な措置が講じられましたが、ただ一つ足りなかったのは、速度が速くて、とにかく最初は八ノットぐらいでいたんですが、それが十八になったり二十六になったり三十五になったりしまして、だんだんと海上保安庁の巡視船では追尾が困難になった。
 そこで、他に投入可能な海上保安庁の船艇等が近傍に所在していなかったので、不審船が速度を上げたために追尾が困難になった。こういうことで、政府としては、検討を行って、この不審船をむざむざ逃走させる、我が国としては何の手も打てなかったということになればこれは大変ですから、そういう協議を行った結果、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のために特別の必要があると判断し、自衛隊法の八十二条に基づき、海上における警備行動をもって対処することにした、正確に申し上げればそういうことになります。
 今、委員が挙げた五つの事案につきましては、何回も類似の質問が出ましたので、少し角度を変えて、こういうこともあるということをつけ加えたのでありまして、御了承いただきたいと思います。
○小泉親司君 長官が長くしゃべられるので時間がなくなってしまいましたが、参議院本会議で長官がおっしゃっていることを私がまとめているだけの話で、私が恣意的にまとめたわけじゃないんです、これは。だから、長官はそうおっしゃっているので、私の質問には何にも答えていないんですけれども、高度の情報収集機能を備えたスパイ行為をする悪質な船であったということが判明したから、それが海上警備行動の一つの理由になったんだとおっしゃっておられるから、だからそれはどのように判明したのかというお答えをしない限り、海上警備行動の理由が成り立たなくなっちゃうんじゃないですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) ありがとうございました。
 私が今申し上げたとおり、八十二条を適用するに当たりましてはやはり海上保安庁の船では対処できなかったというのが大きな原因でありまして、その結果やったということでありますが、さっきも申したとおりいろいろな方からいろいろな質問が出まして、追加して今、委員が挙げられた五つのことを言ったわけであります。その中で、委員が今質問されたかなり高度の情報収集の機能を備えている船だ、こういうふうに判断したのは、アンテナの配置とか集積度から見て、我が防衛庁のその方面の権威者から見れば相当な機能を持ったものだということをあらかじめ説明を受けておりましたので、そのように申し上げたわけであります。
○小泉親司君 時間がないので終わりますが、もう少し簡潔に御答弁をいただきたいというふうに思います。
○田英夫君 最初に確認で、揚げ足取りのようですけれども、防衛庁長官の先ほどの御報告の中で、護衛艦「みょうこう」が五インチ砲による警告射撃を十三回一発、続いて百五十キロ爆弾四発と書いてありますが、これは護衛艦がやったんじゃなくてP3Cがやったんだと思います。もう一つ次の部分でもありますけれども。これはP3Cとした方がいいんじゃないですか。
○政府委員(柳澤協二君) おっしゃるとおり、P3Cから対潜爆弾を警告のために落としたということであります。
○田英夫君 公式の御報告ですから、こういう誤解を招く、P3Cから爆撃したということは私から見ると重要な、重大なことなんですね。P3Cという対潜哨戒機、専守防衛のものだと防衛庁が繰り返して言ってこられたその飛行機から、確かに不審船が警告を無視して走っていたから威嚇射撃ということはあり得るわけですが、威嚇爆撃を飛行機からしたということは私は重大に受けとめておりますので、確認をいたしました。
 一つお聞きしたいのは、先ほどからの御報告や御答弁の中に出てこないんですが、この不審船のうちの一隻が途中で停止したという事態があったと報道はしておりますし、事実だろうと思いますが、それはどっちの船なのか。大西丸なのか大和丸なのか。そして、その時間は何時何分なのか。
○政府委員(柳澤協二君) 大西丸の方でございまして、時間は二十三時四十七分あたりであったと思います。
○田英夫君 報道も、二十三時四十七分、一隻が停止してと書いてありますね。そこまでは海上保安庁がやっている。その停止した段階から切りかわってくる。転機なんですね、そこから。海上保安庁から海上自衛隊に変わっていく。
 そして、いただいた資料で確認しますと、いわゆる海上警備行動が閣議決定されたのが二十四日午前零時四十五分。午前零時三十分に防衛庁長官から総理大臣に要請があって、それを閣議決定、安保会議という形で決定したのが午前零時四十五分、これでよろしゅうございますか。
○国務大臣(野呂田芳成君) はい。そのとおりでございます。
○田英夫君 ということは、二十三時四十七分にその船がとまって、そしてその直後に海上保安庁から海上自衛隊を中心とする海上警備行動に切りかわったというつながりになるんですが、時間的にはそうなりますが、この停止したというのはどういうふうに考えておられるんですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 何時にどの船が停止したかというのは今運用局長から答弁したとおりでありますが、私どもが想像するには、これは二十二分間停止したわけですが、これはガスタービンのトラブルであったのじゃないかと思います。
 その時点では、実は九時前に運輸大臣の方から私の方に連絡がありまして、この海上警備行動発動の協力要請ではなしに官庁間協力をやっていただきたいと、こういう要請がありまして、私どもは「はるな」という護衛艦を差し向けておりました。そして、とまった船の前方に私どもは護衛艦をとめまして、海上保安庁が到着するのを実は待ったのであります。そのときは官庁間協力ですから私どもは何にもやる権限がなかったわけですから、前方に船をとめて押さえる形で海上保安庁の到着を待ったんですが、到着する以前に二十二分の休止で出てしまった。三十メーターぐらいの船ですから回転が速くてすぐ出ちゃった。こっちは大きいものですから回転に時間がかかったというようなトラブルもあったわけですが、そういう状況であります。
○田英夫君 いずれにしても、ここで停止しなければそのまま海上保安庁の船は追尾できなくなっていたわけですから、終わっていたかもしれないんですね。
 過去の例からも、宮崎の例もありましたが、今までは、さっき海上保安庁長官の御答弁で過去に十八回あったというお話がありますが、追尾し威嚇をしたこともありますが、いずれにしても拿捕していない、海上保安庁で終わっている。
 今回は海上自衛隊に切りかわって、その上に、海上警備行動ですから違うのは当たり前かもしれませんが、爆撃までしている。そういうことは政府の領海侵犯ということに対する方針が変わったと、こう受け取っていいんですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 念のためにお断りしておきますが、私どもは爆撃したというのではなくて、これはあくまでも相手の船を攻撃したわけではないということだけは絶対に取り違えないでいただきたいと思います。
 私どもは警告をするために五百ヤードも前方に落としているわけで、そのものを攻撃のために用いたという事実は全くない。そういう爆弾を投下したということであるということを御理解いただきたいんです。
 なぜ八十二条を動員することになったかというのは、とまった時点で実は海上保安庁の船はあと三時間以上かからなきゃ追いつけないというような状態で、みすみす逃がすことになってしまうということは明白ですから、官邸の方でもそのことを判断して、運輸大臣からも協力要請がありましたから、そこで八十二条の動員に至ったという経過をたどったということであります。
○田英夫君 いずれにしても、従来の政府の方針と領海侵犯あるいは不審船に対する対応がなぜか今回変わっているというふうに受け取らざるを得ないので、ここのところは一つ宿題にしておきたいんです。
 それからもう一つ、爆撃にこだわるようですけれども、私も船のことについては若干若いころ旧海軍におりましたから承知しているところがあるんですが、船をとめるのに威嚇射撃という、爆撃を含めて、それだけしか方法がありませんか。今度も実はスクリューを撃とうとしたけれども、それは不測の事態を招くおそれがあるからやめた、しなかったというような報道もありますが、スクリューを撃たなくてもとめられるのじゃないですか。漁網が巻きついてよく漁船は動けなくなる、これは何かを教えているのじゃないかと思いますが、海上保安庁、海上自衛隊ともにこういう研究をする必要があるのじゃないですか。
○政府委員(楠木行雄君) あくまで一般論でございますけれども、私どもがふだん、漁船なんかが高速で逃げようとするときに、そういうものにつきまして、例えばブリッジのガラスが全部ペンキで覆われて見えなくなるような球を投げるとか、いろいろな工夫はしておるつもりでございます。
○国務大臣(野呂田芳成君) せっかくのサジェスチョンですからお答えしなきゃいかぬと思いますが、実は成功しなかったから私たちもそっとしてあるんですが、網も投げてみたんですが、うまくいきませんでした。
○田英夫君 私の感覚で言えば領海侵犯、領海侵犯といっても領海を走ってはいけないということはないのでありまして、無害航行権というのは国際法的に認められているわけですから、領海の中を走ったからいけない、全部領海侵犯だということにはならないはずなので、さっきから出ているような船の性格を把握して、それで領海侵犯ということを区別する。これは海上保安庁長官、そのとおりですね。
○政府委員(楠木行雄君) 先ほど別の委員の方から御質問ございましたように、なかなか船の見分け方というのは、漁船のタイプでいきますと難しいと、年間何百件もあるわけでございますので。今、田先生がおっしゃったようなことで我々の方はそれを見分けた上で、無害通航権というのがあるわけですから、それをやりながら対応しているというものでございます。
○田英夫君 今度の領海を侵した船を公海まで追っていくというのも、これは国連海洋法条約にはっきりそれをやることが許されている条項がありますからこれも違反ではないと思いますが、それはいいですね。
○政府委員(楠木行雄君) その前にちょっと一言私どもの立場を申し上げますと、国連海洋法条約に基づいてそういう侵犯を追跡するというのはもちろんございますけれども、そもそも日本漁船を標榜しておりますので、漁業法違反というのはずっとかかっていくわけでございます。したがって、私どもの方はそれの違反、立入検査の忌避ということで対応したわけでございます。
○田英夫君 外務大臣はさっきお答えになっていますけれども、北朝鮮に対する態度、政策は変わっていないと。しかし、国と国といえども人間同士のことですから、今度のようなことがあると影響を受けることは当然だと思いますが、せっかく先日小渕総理が訪韓されて、その中の話でいわゆる包容政策という金大中大統領の政策を支持するということが合意されてきているわけでありますし、また北朝鮮に対して対話をしようという政策を強調しておられた、先日のこの委員会でもそうですが。これは変わりませんか、確認をしておきます。
○国務大臣(高村正彦君) 対話と抑止、その基本的立場は変わっておりません。
 ただ、おっしゃったように、それぞれ国民感情というものがありますし、いろいろあると思いますが、対話と抑止の、対話という部分の中の対話と交渉、これを引っ込めてしまうと、そういうような考えは毛頭ありません。
○田英夫君 もう時間がありませんから、意見だけ申し上げます。
 金大中大統領が小渕総理に言われたという、非常に扱いにくい国ですという言い方は、私は長いつき合いもありますけれども同感のところがあります。
 しかし、なおさらその扱いにくい国との間にいい対話をしていくという努力が私はこれからますます必要じゃないか、今度のことを契機に対決姿勢に転ずるというようなことにならないようにお願いして、終わります。
○田村秀昭君 自由党は、二十三日の六時半から七時の間に防衛庁と運輸省に対して、自由党国防部会は、今回の不審船の二隻の件は我が国に対する主権の重大な侵害であるので、断固たる措置をとるように要請をいたしました。そして、昨日、自由党の幹事長から党見解を出しております。
 一、政府による今回の一連の措置が、政治決断により、従来に比べこれまでになく迅速・的確に行われたことは事実である。
 一、今回の警備行動にあたっては、海上警備行動発令前の自衛隊の活動の法的根拠が防衛庁設置法六条の「調査および研究」の規定であったこと、武器使用についての規定が明確でないことなどの法制上の不備、海上保安庁と海上自衛隊との連携、海上保安庁の巡視船の巡視能力、装備の不備などの体制上の問題が明らかになった。
 一、不審船の停船・立入検査という目的を達成できなかったことにかんがみ、政府・与党が一体となって可及的速やかに、危機管理体制の一層の整備を進めるとともに、有事法制の整備など、国家・国民の安全確保のための法制の確立を図る。
という党見解を発表しております。
 今回は、テポドンが飛んできたときあるいは阪神大震災があったときに比べて、防衛庁長官などは三時まで指揮をとられ、四時にはまた登庁され指揮をとられた。関係の皆さんに対して本当に御苦労さまでしたと申し上げたいと思います。
 今回の事件で、私は一つポイントがあると思うんですが、まず運用局長にお聞きしますけれども、防衛庁長官に対して日本海の気象情報について報告をされているのかどうか、お尋ねします。私もASMの標的実験で、冬場の日本海というのは大変に荒れているわけです、そういう気象情報というものを長官に刻々報告されているかどうか、お尋ねします。
○政府委員(柳澤協二君) 通常の私どもの訓練あるいは警戒監視のミッションとの関係で、気象情報を総括的に刻々御報告するといったようなことは行っておりません。
 ただ、今回は海上における警備行動の命令もいただいておりましたので、当該海域の気象については御報告を申し上げております。
○田村秀昭君 日本海というのは、大変冬場は荒れるのです。ですから、その不審船は初め八ノットしか出ていなかったというのは、これは天候が悪くて出ていないと私は認識しているんです。
 それで、天候が回復していますね、深夜から。そうすると、四十ノットでも五十ノットでもエンジンをたくさん積んでいたら出るわけです。そこのところの判断というのがきちっとされていたかどうかというのが、これを停船させ、しかも立入検査しようという防衛庁長官の命令ですから、命令を遂行できなかったことになるわけです。
 一般の国民から見ますと、もう機動隊がたくさん出ていったのに犯人を二人逃がしちゃったということですから。その点、どうなんですか。相手のこの不審船というのは、私は軍艦だと思っているわけです。これは普通の漁船じゃないんです、見ればわかる。だから、速やかに軍艦に対する対処を考えなきゃいけないと私は思うんですが、その不審船の性能と天候の状況についてはどういうふうな判断をしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(柳澤協二君) これは、私ども大臣には状況を逐次御報告する中で、例えば午後ですか、我が方のP3Cが撮影してきたビデオ等も大臣に御報告をしております。
 当時の状況で十二ノット程度の速度で走っているようでありまして、そのときの海の状況も見ております。また、その後、逐次現場の部隊は現場の状況、相手の船の速度というのは見ながら当然やっておるわけですが、そういうことを全部総合的に大臣に状況を報告しながら、もちろん気象だけ特出ししてということでも必ずしもございませんが、どういう対応ができそうだというようなことを大臣に御報告しながら行動の指示をいただいております。
○田村秀昭君 質問に的確に答えてください、時間がないんだから。
 まず、防衛庁あるいは海上保安庁は、この船が漁船ではなくてゲリラ船か軍艦だという判断をまずしなきゃいけない。それで、それはどういう性能を持ったものなのか、過去にもあれがあるんだから、それは天候によって速度が出なかったのか、回復したら出るのかという重要な判断を長官にしなきゃいけないと私は思うんです。その点はどうだったのかということを聞いているんです。的確にしているとか、していないとかを聞いているんじゃない。
○政府委員(柳澤協二君) そういう観点から申しますと、同種のものの性能等については大臣にも御報告をしておりますし、それからスピードの変化が、私ども必ずしも天候だけで左右されたというふうにも考えておりません。
○田村秀昭君 それは、こういうオペレーションをするのに非常に甘いんじゃないですか。何しろ荒波で速度が出ないんだから、出ないときは八ノットぐらいだと私は思うんです。だから、海のことがわからない人がオペレーションをしているからだめなんだ。
 それで、気象情報というのは、もう三十分置きに防衛庁長官なり海上保安庁長官なりに報告しなきゃいけない。今までの戦というのは全部天候によって左右されているんです。気象情報というのを非常にばかにしているようだけれども、それでもう大敗をした作戦もたくさん戦訓にあるんです。ですから、そういうところを、専門家なんだからきちっと防衛庁長官に御報告しなきゃいけない。そうしなければ、先ほど防衛庁長官は八ノットだったのが四十ノットになった、六十ノットになったりしたというようなことを言っておられますけれども、そんなのは急にならないんです、そんな急には。これは魔法遣いが来ているわけじゃないんだから。
 ですから、そこのところが非常に的確でなかったんじゃないかというふうに私は思うんです。もちろん法整備とかいろいろありますけれども、そこのところの判断というのが的確にされていないんではないか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 大変的確な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
 ただし、私は、八から四十とか六十と言ったんじゃなくて、これは八から十になり十二になり十六になり十八になり二十四になり、だんだん上がっていったわけで、突然飛び出したわけじゃないということだけは正確に申し上げておきます。確かに、そういう段階で気象条件との関係について正しく私が聞いたということについては多少欠けていると思いますので、以後の大変参考になります。ありがとうございます。
○田村秀昭君 時間がありませんので、最後の質問になります。
 自衛隊機が最初の不審船を発見してから海上保安庁に連絡するまで約六時間かかっているわけです。これはどうしてなのか。
 それでさらに、自衛隊に海上警備行動が発令されたときは、巡視船による追跡が始まってから十二時間後です。もう防空識別圏を出そうになってから海上警備行動を出しているんです。何でもっと早く断固たる処置をとらなかったのかというところに私はちょっと疑問を持ちますので、お答えいただければ幸いです。
○国務大臣(野呂田芳成君) 実は、六時四十五分でしたか、P3Cがどうも不審船らしいということを確認しまして、この連絡が入ったわけですが、それだけではわかりませんから、我が国の船かもしれませんから、船体を確認するために護衛艦がそちらへ向かいまして、それを追尾して、そばへ接近して船名を確かめた、案の定日本名であった。
 そういうことでありまして、この六時半ごろから一時ごろまでかかったのは、艦船を発見して具体的にその事実を確かめたために時間がかかった、こういうことを御了解いただきたいと思います。
○田村秀昭君 警備行動の方はどうですか。
○政府委員(柳澤協二君) 海警行動のタイミングにつきましては、大臣からいろいろ御答弁申し上げておりますように、海上保安庁だけでは対処が困難であるという状況はやはり必要な要件であると私ども思っておりまして、その状況を見ながら、かつできるだけ早く御判断いただくということでああいうタイミングになったものと思っております。
○田村秀昭君 これは質問じゃありませんけれども、相手が軍艦またはそれに類するものだという判断をした場合には、できるだけ早く自衛隊が出ていかなければ、それは何時間追尾したってだめなんです。ですから、そこのところの判断を今後間違えないようにしていただきたい。今回の御努力に対して敬意を表する次第であります。
 以上です。
○山崎力君 今回の問題ですけれども、こういった委員会を委員長その他の御尽力で急遽開催する、あるいは本会議でも取り上げるということは、非常に結構なことだと思うわけですが、それだけある意味では重要な問題だと思うんです。
 特に、私がまず問題にしたいのは、海上保安庁にとってこれは一番重要な問題、要するに今まで機動隊で対処していたのが対処し切れなくなって自衛隊の治安出動を要請したというのと同じことなんです、海の上においては。これは非常にそこのところに大きな海上保安庁の能力に関しての疑義があった、こう言わざるを得ない。本来であれば、長官自身がやめてもいいくらいの問題なんです。これは長官の責任というんじゃなくて、今まで営々と築いてきた海上保安庁の行政がここに来て欠陥が露呈した、すべての面でと、私は思うわけです。
 海上保安庁が処理していれば海上自衛隊の出る幕はなかったわけです。それができなかったということの反省ということが今までの中でほとんど聞こえてこないというのは、報道の仕方もあるかもしれませんが、私は非常にその点について遺憾に思います。
 その点で、まず第一に言えることは、日向沖の昭和六十年の事件、四十ノット出た。それについて、海上保安庁は十隻以上の三十五ノットの高速艇を予算請求しているわけです。もうできているわけです。ところが、配備が全然近くになかった。太平洋側あるいは九州の方に重点的に置いて、日本海側は舞鶴と浜田ですか、あっちの方にやって、行ったんだけれども全然やっていない。運用上の配置上のミスがここに結果的に露呈していると言わざるを得ない。
 そういった流れを含めて、全部まず私なりに今回の問題点を、全部ではないんですけれども、目についたところをさらってもかなりの部分があるということで、それを前提にしてまずお伺いしたい。先ほども出たんですが、海上自衛隊の方からいきますと最初で一番の問題は何か。発見してから海上保安庁に通告するということの時間のおくれです、先ほど同僚議員からも出ましたけれども。船名の確認に時間がかかった、そんなばかな話はないんです。
 不審船が国内にいるときに発見して通報するのは確かに見つけた海上自衛隊の仕事かもしれないけれども、それが本当に不審な船であるかどうかというデータを持っているのはどちらかといったら保安庁じゃないですか。こういう不審船がある、調べてみてくれと通報して、それから行くのが、それだけきめ細かく保安庁の巡視艇その他があるわけで、それを自分がおかしいというところまで海上自衛隊が確認して、何時間もたってようやく保安庁に通告するというのは、私はこれはどう考えてもおかしいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) そういう御議論を展開するならば、海上保安庁が全部やるべきことであって、私どもが通報するのも余計かという話に聞こえますが、私どもとしては、海上保安庁に……
○山崎力君 そんなことはないよ。そんなばかな話はないですよ。質問に答えてください。
○国務大臣(野呂田芳成君) ちょっと答弁聞いてくださいよ。私が答弁しているんだから聞いてください。
 ですから、私どもとしては、海上保安庁に通報する場合に、ある程度確実性を有していないものをやたらに通報するということは慎むべきだという前提でそういう時間をかけたという意味でありまして、その間懸命にやっておるわけでありますから、報告を怠っているというふうに言われるのは私は当たらないと思っております。
○山崎力君 懸命にやっているとおっしゃいますが、「はるな」という船がたまさか近くにいたからと、どのくらい近くかわかりませんけれども、それが現場に行くまで何時間かかっているんですか、それじゃ。その近くのところから保安庁の巡視艇なり小舟が行って見るのとどっちが早いかという計算もあるわけですよ。しかも、前日からそういった不審船が来ているというならば、それをまずやるべきだ、そう判断するのが役所の分掌上これは当然じゃないかと思うんですけれども、その疑問に対しての答えが出ていないということです。
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほど来、話が出ておりますように、私どもは二十一日の深夜からどうも不審なものがあるということは海上自衛隊としてはチェックしておったんですが、それは不審船だというふうに言うには非常に断片的なものであってだめだと。そこで、「はるな」等をその周辺に置いていつでも即応態勢ができるような手をとったわけであります。二十二日もそれをやらせていたわけであります。
 ただし、これは特別に不審船という意識を持ってやったわけじゃなくて、経常の監視行動の範囲内でやっておったわけで、二十三日に至って、どうもやっぱりそうらしいというのはP3Cからもそういう情報がもたらされたので、「はるな」等を派遣してそれをかなり確かめた上で海上保安庁に連絡をさせていただいたという必死の行動をやっておるわけでありまして、決して怠って連絡をおくらせたという事実とは理解しないでいただきたいと思っております。
○山崎力君 別に現場がサボっていたなんて一言も言っていないわけです。要するに引き継ぎの仕事をするのが、自分たちが確認して怪しいと思っても手が出せないものを、手が出せる人に連絡するのに本当の確証があるまで待っているというふうな考え方がおかしいんじゃないかと言っているわけです。
 それからもう一つ、今のお言葉で、この問題言いたくありませんけれども、言葉に気をつけていただきたいのは、先ほどの同僚議員への答弁では、「はるな」は通常の訓練によって舞鶴を出たと言っているわけです。それが今の長官のお言葉だと、事前にその情報があったから出動させたと言っているんです。全然意味が違ってきちゃうんですよ。
○国務大臣(野呂田芳成君) 通常の訓練で「はるな」が近くの方面にいたというのは事実ですから、それを利用したというだけの話を申し上げておるわけであります。
○山崎力君 ですから、そういうときは出動させたとは言わないんですよ。
○国務大臣(野呂田芳成君) ああ、そうですか。言葉は謝ります。
○山崎力君 だから、言わなくてもいいことをおっしゃるから、そういうふうによそにいくんです。その点が一つ。
 それから、一連の流れを見ますと、海上保安庁が本当にこれを停船させて中までやろうということの作戦、オペレーションが感じられない。その理由を申し上げます。
 一つは、トレース、航跡を見ますと、停船命令を最初に出したのは航空機なんですよ、海上保安庁の。それから現認、近くに海上保安庁の船が着いているのが何時間後だと思いますか。二時間以上たっている。飛行機で二時間前にとまれ、おまえは怪しいぞと言っておいてから、実際に保安庁の船が着くまでに二時間もかかっている。こんなばかな話はないんですよ。あんた、怪しいよと言っておいて、それからスピーカーで叫んでおいて、警察官が近くに来たのは二時間もたってからだと。自分がどうするかというのははっきりわかっている。
 それで、もう一つ言いますと、十七時四十九分、「はまゆき」が第二大和丸と約千メートルに接近して停船命令を実施した。それで十九時七分、高速で逃走開始、約一時間十分、この間どうなっているんだかよくわからない。
 そういったことで、これは通告していませんが、「はまゆき」を含めて、具体的に言うと保安庁の船はそのいわゆる不審船に最近何メートルまで近づいたんですか。
○政府委員(楠木行雄君) 事実関係は大体先生がおっしゃるとおりでございまして、「はまゆき」は約一千メーターのところに取りついております。
○山崎力君 ということは、それ以上近づくと危ないからということだと思うんですよ。これは先ほども私が言いましたように、現場にどういう指示が出ているか知りませんけれども、非常に現場の人には申しわけないし、そういう気持ちはないのだけれども、要するに、海上保安庁は、陸上の警察官でいえばこそ泥は捕まえるけれども、ピストルを持っているかもしらぬ暴力団のような組織犯罪には手を出せない。せいぜい遠くから見守って威嚇射撃するだけだと、空に向かって。この対応でやれるんですか。
 しかも、先ほども言いましたように、こういった例というのは現実に昭和六十年にあるわけです。それで、装備は四十ノット出るのに三十五ノットの船しかつくっていないんです。それから先ほどもいろいろ出ていましたけれども、スピードが足りなかったと言っているけれども、自衛隊で三十五ノット出る船というのはほとんどないわけですよ。三十二、三ノットですよ。スピードだけなら保安庁の巡視艇の方が出るんですよ。要するに、航続距離がなくて追い切れなかった。しかもその追い切れなかった後、それが判明してから政府に通告していくまでに二時間くらい時間があるわけです。
 燃料というのは、すぐなくなるわけじゃないんです。今のままのスピードで、燃料の減り方からいけばあと三十分後、一時間後にはもう追い切れなくなるというのはわかっているはずなんです。その時点というのは、もう八時過ぎにはわかっているはずですよ。ということは逃がしていいねということなんですよ。
 それから、保安庁も含めてなんですけれども、千メートルまでしか近づけなかった、それ以上近づけなかったということは、要するに強行接舷、向こうがとまってくれればもうけ物だけれども、そうじゃなかったら強行的にとめるということはできない。まして、ああいうふうなときは機関砲の方が効果があるんで、五インチ砲なんか撃ったって、射撃速度からいったって精度からいったってまさに牛刀をもってというあれですから、もう自衛隊はただ単に実戦練習をしただけですよ。捕まえろと言ったって具体的にそれを現場の人たちはどうやって捕まえるんだという話になるわけです。
 ということは、今回の事例は、要するに日本の不愉快さを相手国側といいますか、その船のところに知らせるだけで、いわゆる犯罪者を捕まえるということに対しては最善の努力をしていないと。それはわざとかどうか、政治的な判断でどうか知りませんけれども、そう言わざるを得ないような行動を政府側はとったとしか言えない。そういうふうな見方をされてもいたし方ないと思うんですけれども、どちらでも結構ですが、御見解ありますでしょうか。
○政府委員(楠木行雄君) 大変骨身にしみる御指摘だと私は思います。
 確かに、私ども、燃料の点とか相手を捕まえる工夫とかいう点はございますが、基本的には私どもの方はまず警察官庁として犯人を逮捕する、その逮捕に当たってどれだけの陣容、体制でやっていくかということでございまして、もともとの前提が漁業法違反とかそういうことに対する話でやっておるわけでございます。
 燃料につきましても、北は小樽から南は福岡に至る巡視船を出して、非常に遠くからも来ておるという点では、確かに御指摘もあろうかと思いますが、航続距離の問題もございました。また、百八十トン型の巡視船をもっと配備して、三十五ノットぐらいこれは出るわけですから、それだったらよかったんじゃないかと、これもたまたま御指摘のように舞鶴とか浜田というようなところにおったものですから、これは実は出ていたんですけれども、ちょっと間に合わなかった。
 それから、工夫につきましても、強行接舷なんかは、私どもは例えば対馬の不法操業漁船をやる場合はやっておりますし、例えば尖閣諸島なんかの警備においても、巡視船で挟み打ちするようなことまでやっております。ただ、今回の場合はちょっとスピードがそこまで行かなかったとか、いろいろ事情があったわけでございます。
 また、別の議員の方からも、そのときの気象状態をよく考えるべきじゃないかという御指摘がございましたが、当時は確かに風向、風速が九メートルを超えるとかうねりも五メートル行くとか、私たちの船の段階でいきますと、ちょっと普通のスピードよりも二、三ノット落ちるような事態でございました。いろんな状況が重なったわけでございます。
○山崎力君 いろいろ厳しいことを言いましたけれども、的確な判断だったかどうか、今回がよかったかどうかというのは、これは後を見なきゃいけませんけれども、少なくとも政府として全力を尽くしてやろうとしたというのは、この流れを見るととてもそんなことは言えない行動しかとっていない。
 何で漁業取り締まりの船のために一キロも離れて停船命令を出さなきゃいかぬのか。パトカーがスピード違反を追いかけて、五百メートルも後ろでとまって、相手の車がとまってから五百メートルもよちよち歩いて、あなたはスピード違反ですよと言いに行くようなものです。前にとまるか直後にとまるんです、パトカーというのは。その辺のところが全然なされていなかった。
 時間ですから、最後に一点。防空識別圏で自衛艦がとめた、それでしかも、「これ以上の追跡は相手国を刺激し、事態の拡大を招く恐れがある」というふうに言う以上、相手国はどこですか。それで、いかなる理由でこういう正当な刑事犯罪といいますか違反者を刺激すると判断したのか、そこの点だけお聞かせ願って私の質問を終わります。
○政府委員(柳澤協二君) おっしゃるとおり、防空識別圏と申しますのは、我が方が防空任務、あるいはスクランブル、領空侵犯措置の運用上定めておるものでございまして、特にそこを超えて法的に問題があるという認識は私どもも持っておりません。
 ただ、海上警備行動ということで海上自衛隊が出ていきます際に、日本海でございますから、いろいろ近隣の国がございまして、やはりこの手のオペレーションが、どこまで行けば相手を刺激するかというのは、いろいろ難しい判断の側面はありますけれども、私どもは大臣の御指導もいただきながら、全体として防空識別圏というのを一つの目安にしたということであります。
○山崎力君 答えになっていない。時間が過ぎて申しわけないんですけれども、相手国はどこか。ロシアじゃないと。このまま行けばロシア領なんです。北朝鮮の領海には全然遠いところで切っているわけです。
 それから、いかなる理由で刺激するのか。これ以上自衛艦が行くと、自分たちが勝手に決めた識別圏を超えて警察活動を続けることがいかなる国を刺激するのかということの理由が知りたいと聞いているわけです。
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほど、冒頭の御質問で答えたとおり、結果的には船は北朝鮮に入ったわけですから、今は私どもは北朝鮮の船だという認識がありますが、当時はどっちに向いているかよくわかりませんでした。北の方にひたすら走っている船もおりましたし。だから、私どもは北朝鮮方面という言葉を使っておったんでございます。だから、その時点で北朝鮮と断定して必ずしも対処したわけではございません。
 しかし、いずれにしても腹の中では私が申しているところで皆さんもおわかりいただけると思うんですが、北朝鮮を意識しないわけにはいかない状況でございましたので、防空識別圏を過ぎたあたり、これ以上突出すればこれは必ず大きなトラブルになるだろうと私は判断した次第であります。事実、私どもが船を引いた途端に北朝鮮の方から戦闘機が飛んできたということも起こりましたし、私たちの判断は誤りじゃなかったと思っております。
○佐藤道夫君 冒頭に、山崎議員が取り上げました問題を私もちょっと取り上げさせてください。事が重要だと思いますので、どうしても確認しておく必要があろうかと思います。
 要すれば、不審な船を我が領海内に発見してから海上保安庁に通報するまで数時間を要した。その理由は聞いてもよくわからぬのですが、何か船名の確認だとか身元の確認だとかそういうことで手間をとったんだと、こういうふうにも聞けるわけですけれども、我が領海内に不審船があるということは、これは密輸船か密入国のための船かあるいはまた北朝鮮のいわゆる工作船か、そのあたりだろうと思いまして、これにまずもって対応するのは言うまでもなく警察であります。
 海の警察と陸の警察が一体になりましてこれの検挙に当たる、これは当たり前のことでありますから、当然のこととして、海上自衛隊がそういう怪しげな船を発見いたしましたならば、まず捜査権を有する海の警察である保安庁とそれから陸の警察である警察に通報する。問題があるとすれば、なお調査中であるが一応連絡しておきます、不審な点はあろうかと思いますが、その点はお含みの上と、これだけのことでいいわけでありますから、何もきちっと確定するまで通報ができないなんて、そんな問題じゃないわけです。
 通報を受ける側は、これは捜査のプロですから、話を聞けば──ちょっと私の話を聞いておいてくださいよ、防衛庁長官。
○国務大臣(野呂田芳成君) いや、聞いています。
○佐藤道夫君 今、聞いている態度じゃないものですから、大変遺憾なことであります。
 警察とすれば、捜査のプロですから、そういう通報があればこれはどの程度確度の高い情報かどうか自分たちでもある程度わかるわけでありますし、特に北朝鮮の工作船の疑いがあるといえば、工作員を上陸させるおそれがある、あるいはまた海岸近くに工作員が待機しておりまして、船に乗るべく待ちかまえている。そういう状況にあるとすれば、陸の警察は直ちに非常線を張って検挙に当たる、そういうことも必要なわけで、空振りに終わってもそれはそれでやむを得ないことです、それが警察の仕事ですから。
 何をさておいても、まず、不確かではありまするけれども、こういう船がこの地点におりまして、大体北朝鮮の工作船と見られますけれども、念のためにお知らせいたしますと、これは当たり前のことだと私は思うんですけれども、これからも海上自衛隊とすれば身元の確認のために数時間を要すると。何かいかにも逃げてくれと言わんばかりのようにも聞こえるんですけれども、一体どうなんでしょうか。これからもやっぱりそのために時間を費やしますか、その点だけでも確認しておきたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもとしては、P3Cでは不審だという断定は全くできなかったわけであります。ですから、近くにいる艦艇を差し向けてある程度調べさせたということであります。そして、やっぱり不審船らしいということでありましたから、速やかに海上保安庁に通報したということであります。そのことにおいて、私たちは情報を怠ったとは全く思っておりません。
○佐藤道夫君 報道によりますれば、漁船といいながら漁具は一切ついていない。それから、不審なアンテナがいっぱい張り出してある。だれが見てもこれは何か特殊な工作船としか思えない。それはもうP3Cの情報で十分把握されていると思うんです。
 それ以上何を一体調査なさる必要があったのか。さらに必要があればもちろんおやりになることは結構ですけれども、こういう状況で不審な船を発見いたしました、海上保安庁あるいは陸の警察、よろしく調査をお願いしたい、これだけのことなんです。何の理由があってそんなに時間がかかったのか、さっぱりわからない。
○国務大臣(野呂田芳成君) 少しでも疑いがあれば、これから海上保安庁によく連絡したいと思います。
○佐藤道夫君 初めて本音を聞きました。どうかこれからよろしくそういう線で海上自衛隊を指揮してください。お願いいたします。大変大事なことですよ、笑い事じゃありません。
 それから次に、総理府の方にお尋ねいたしますけれども、内閣総理大臣がこの件を耳にしたのは正確に言うと何時何分でありましょうか。
○政府委員(伊藤康成君) 内閣総理大臣が、この点とおっしゃいます、この点というのがちょっと私もはっきりわかりませんが、私どもの方に、いわゆるオペレーションという言葉が適当かどうかわかりませんが、そういうオペレーションに係る情報として入ってまいりましたのは、二十三日の午後三時前でございます。その段階から私どもは、今後内閣官房で何らかの対策、対応をとる必要があるかもしれないということで行動を開始したということでございます。
 ただ、何らかの不審船舶があるという断片情報につきましては、それぞれの担当省庁から、防衛庁なり海上保安庁なりから入っていたのではないかと思いますが、私、今そこの点につきまして資料を持っておりません。
○佐藤道夫君 総理が耳にしたのはいつか、こういうことを聞いておるわけでありまして、しかも総理がどういう情報を第一にキャッチしたのか、そのことをちょっと説明してください。
○政府委員(伊藤康成君) 先ほど申し上げましたように、午後三時前に、不審船二隻が存在している、そして海上保安庁が追跡中であるという情報は私どもに入っておりまして……(「私どもじゃないんだ、総理と聞いているんだよ」と呼ぶ者あり)申しわけございません。それは秘書官を通じまして内閣総理大臣の方に報告しております。
○佐藤道夫君 基本的なことですけれども、発見したのは自衛隊、海上保安庁であって、海上保安庁もしかるべき対応を整えていって、場合によれば自衛隊法の発動の問題も起こり得る、そういう情報が普通ならば総理にきちっと上がる、それが上がったのはいつごろかと、こういうことを聞いているんです。
○政府委員(伊藤康成君) これまでの質疑の過程でもおわかりいただけると存じますが、当初からこの種の大変な事態になるということを予想して行動していたわけではないわけでございまして、それが場合によっては内閣官房、総理大臣まで上がるような事態になるかなというおそれということが、先ほど申し上げました三時ごろに担当省庁の方で認識されまして、私どもの方へも参ってきた、したがいまして総理に上げた、こういうことでございます。
○佐藤道夫君 先ほども話が出ましたけれども、テポドンが飛んできたときあるいは阪神のときにも総理の耳に入るのが非常に遅かった、一体何をやっているんだ、もっと手際よくいかないのか、極めて国の安否にかかわる大変な問題である、こういう認識がありまして、そういうふうな角度からの論評がされておりました。
 今回のケースも、午前六時に発見されまして、十一時ごろには海上保安庁に通報がなされて、これは北朝鮮の工作船であることがほぼ確定したんだろう、こう思います。そして、追跡というのか、拿捕すべく動きが始まっていると。
 今現在、北朝鮮の問題につきましては総理も非常に神経を高ぶらせておるんだろうと思います。そんなものはどうでもいい、おれはもっと重要な仕事があるとおっしゃるかもしれませんけれども、この問題だって決して等閑できないことだろうと思うんです。それがどうして三時ごろになってようやく総理のお耳に届いたのか。一体何でこんなにおくれたんだと。
 副長官、防衛庁あるいは保安庁に対して調べさせませんでしたか。もっと早く第一報ぐらいはすぐ入れろと。北朝鮮の工作船が我が領海内を右往左往していることはもう大変な問題なんだと。少なくとも総理が心得ておいて、しかるべき指揮を発する状況なんですよ、案件なんですよと。それを一体のんびりと今ごろ持ってくるとは何事だと。当然追及されたと思いますけれども、関係省庁の答えはどういうことでしたか。
○政府委員(上杉光弘君) 関係省庁から断片的な情報は入っていたと思います。しかし、事の重大性と申しますか、情報が断片的なものから各省庁のものがそろったものになってきたのが三時前ではなかったか、こう思います。
 したがいまして、断片的なものから、きちっとした情報というものを政府が集めると同時に判断をしなきゃならない、こういうことで三時十分に海上事案発生時の初動態勢というか、そういうものにどういう情報が各省庁あるのかというので、関係省庁の運輸と外務と警察、海保、水産に連絡をして、おくれましたが三時五十五分に連絡会議というものを開催した、こういうことであります。
 その間、時間がこういうおくれになったのは、断片的な情報でありましたがために、正確な判断をするためにさらに情報を集めていた、こういうことであります。
○佐藤道夫君 お言葉を返すようですけれども、これはそんなに難しい問題じゃないんですよ。我が領海内に北朝鮮の工作船らしい船が二隻おって、海上自衛隊が発見して、今海上保安庁が追跡中である、どうも北朝鮮方向に向けて逃走中であると。断片も何もないでしょう。これだけのことでありましょう。そして、それに対して総理が的確な指示を下すと。断片とか本格的だとかそんなことを私は聞いているわけでもありませんし、そんな区別できる問題でもないんですよ、これは。
 いかがなんでしょうか。もう少しきちっと、なるべく早い段階で一応の正式の報告というものを総理に上げて指揮を受けると。総理は決して凡人じゃありませんから、しかるべき的確な指揮を下すことになるわけでありまして、どうも何かさっぱり前回前々回の反省が生かされていない、こういう気がして仕方がないんです。
 もっと何か確度の高いしかるべき情報を集めて、それからゆっくり総理に上げて指揮を受けようかと、そんなのんびりした考えで事に臨んでいるとしか私には思えないんですけれども、いかがなんでしょうか、副長官。
○政府委員(上杉光弘君) それは、あくまで国内の問題として当初は、船体にも日本の船の名前が明示してあるし、そのことが私は時間がかかった一つの要因ではないかと。国内の問題であると。したがって、漁業法に基づく判断、前提を置いて取り組んできたところに御指摘の問題があった、こういうふうに思います。
○佐藤道夫君 ちょっと海上保安庁にお尋ねします。一体こういう北朝鮮の工作船を発見した場合にどういうふうに対応したらよろしいか。シミュレーションがきちっとつくられておりまして、それに乗っかって動く、半ば機械的に動いていっても最終的には拿捕できるというぐらいのシミュレーションがあり、また訓練をしているんだろうと思うんですけれども、どうも今まで聞いていますと、十八回ぐらいあって皆逃げられておりまして、今回も逃げられまして、六十年も逃げられましてと、その反省が全然生かされていない。
 そういたしますと、また来月ぐらいにこういう問題が起きると、また見事に逃げられましてと。余りに逃げられ方が立派だ、逃し方が水際立っているものですから、何か論者に言わせると、これは自作自演だ、捕まえる気が最初からないんだ、そうとしか思えないと、私もそう思いたくなるんですよ。
 過去の教訓を生かして、もうこんなことは二度と絶対にやらせないという、もう既に十年、二十年前にそういう決意があって、訓練があって、シミュレーションがあって、対応措置が講じられていたんだろうと思うんですけれども、さっぱりそうじゃない、見事に逃げられておるでしょう。まさに見事としか言いようがない。何なんですか、これは。
○政府委員(楠木行雄君) 先生は法律の専門家でいらっしゃいますから、無害通航で確認をするのがなかなか難しいということ自体は御存じだと思いますけれども、そういう中で私どもが勢力を結集したり、それからその確認をし対応をしていくというのにやはりちょっと最初に時間がかかるわけでございまして、その後どういうふうにやっていくかという点につきましてはいろいろ方法があるわけでございますが、ちょっとこれは捜査等々いろいろわたるものでございますので、そこは差し控えさせていただきたいと思います。
○佐藤道夫君 少なくとも、もう二度と逃がさないと。今度あらわれたら必ず拿捕するというぐらいのことははっきりとこの場で述べていただきたいと思います。結論だけでいいです、結論だけ。
○政府委員(楠木行雄君) 万全を期すよう、いろいろ問題点を整理して努力していきたいと思います。
○佐藤道夫君 最後になりましたけれども、この問題を契機として、やっぱり法体制に問題があるから逃げられたんだ、きちっとした法律が必要だと、こういう声が燎原の火のようにあちこちで沸き上がっておりまして、何かこれを奇貨としてやろうかと、そういうふうな疑いも持てるわけでありまするけれども、まずもって現行法でやれることをやってからの話だと私は思うのであります。
 先ほどからも議論が出ておりますけれども、体当たりをするとか、それから船の航行能力を奪うために網を使うとか、それからかじを破壊するとか、いろんなやり方があるわけです。
 それから、陸上の警察でも、犯人が車で逃走しようというときには、車のタイヤを撃ち抜いて逃走を不可能にする。しかし、これだって容易なことじゃない。猛訓練を重ねてようやくそこの域にまで達しているわけです。人に危害を加えないで車をとめるにはどうしたらいいかということを本当に訓練に訓練を重ねておるわけであります。海上保安庁も、それから海上自衛隊も同じことなので、人に危害を与えないで船をとめてこれを拿捕するためにはどうすればいいか、今ごろこんな議論をしていることは実は大変おかしい話だなと私は思うんです。
 最後に、この件につきましても、そう簡単に法律が悪いからだという逃げ口上を使わないで、今の法律を最大限に活用して頑張るところは頑張りますという決意のほどを防衛庁長官からお伺いして、終わりたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 貴重な御意見として承っておきたいと思います。
○委員長(河本英典君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十一分散会