第145回国会 経済・産業委員会 第1号
平成十一年十月二十日(水曜日)
   午前十時開会
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   委員長の異動
 八月十三日須藤良太郎君委員長辞任につき、そ
 の補欠として成瀬守重君を議院において委員長
 に選任した。
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   委員の異動
 八月十三日
    辞任         補欠選任
     平田 健二君     勝木 健司君
 十月十三日
    辞任         補欠選任
     中曽根弘文君     久野 恒一君
 十月十九日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     木俣 佳丈君
     前川 忠夫君     郡司  彰君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         成瀬 守重君
    理 事
                畑   恵君
                簗瀬  進君
                山下 芳生君
                梶原 敬義君
    委 員
                加納 時男君
                久野 恒一君
                倉田 寛之君
                小山 孝雄君
                陣内 孝雄君
                須藤良太郎君
                末広まきこ君
                木俣 佳丈君
                郡司  彰君
                長谷川 清君
                福山 哲郎君
                海野 義孝君
                加藤 修一君
                西山登紀子君
                渡辺 秀央君
                水野 誠一君
   国務大臣
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       中曽根弘文君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   説明員
       原子力安全委員
       会委員長     佐藤 一男君
       科学技術庁原子
       力局長      興  直孝君
       科学技術庁原子
       力安全局長    間宮  馨君
       通商産業省工業
       技術院長     梶村 皓二君
       資源エネルギー
       庁長官      河野 博文君
   参考人
       株式会社ジェー
       ・シー・オー代
       表取締役社長   木谷 宏治君
       株式会社ジェー
       ・シー・オー常
       務取締役東海事
       業所長      越島 建三君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査
 (東海村核燃料加工施設事故に関する件)



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○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 去る八月十三日の本会議におきまして経済・産業委員長に選任されました成瀬守重でございます。
 理事及び委員の皆様方の御支援、御協力を賜りまして、公正な委員会運営に努めてまいりたいと存じます。
 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
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○委員長(成瀬守重君) 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、平田健二君、中曽根弘文君及び前川忠夫君が委員を辞任され、補欠として久野恒一君、木俣佳丈君及び郡司彰君が選任されました。
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○委員長(成瀬守重君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のうち、東海村核燃料加工施設事故に関する件の調査のため、本日の委員会に参考人として株式会社ジェー・シー・オー代表取締役社長木谷宏治君及び同社常務取締役東海事業所長越島建三君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(成瀬守重君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(成瀬守重君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のうち、去る九月三十日発生いたしました東海村核燃料加工施設事故に関する件を議題といたします。
 まず、政府から報告を聴取いたします。中曽根科学技術庁長官。
○国務大臣(中曽根弘文君) このたび、小渕第二次改造内閣の発足に伴い、科学技術庁長官を拝命いたしました中曽根弘文でございます。
 委員長を初め委員の皆様方におかれましては、日ごろより原子力行政の推進に当たり格段の御理解、御支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 去る九月三十日に茨城県東海村で発生いたしましたウラン加工施設の事故につきましては、我が国で初めての臨界事故であり、周辺の住民の方々に避難、屋内退避という御迷惑をおかけし、また多くの方々が被曝をしたということから、極めて重大な事故と大変厳しく受けとめているところでございます。
 事故の経過及び政府がとりました対応につきましては後ほど担当局長より詳しく説明いたさせますが、九月三十日の午前十時三十五分ごろ、株式会社ジェー・シー・オー東海事業所で濃縮度一八・八%のウラン溶液を沈殿槽に入れる作業をしていたところ、臨界事故が発生いたしました。
 これに対し、政府では、科学技術庁長官を本部長とする政府事故対策本部、さらには総理大臣を本部長とする政府対策本部を設け、原子力安全委員会緊急技術助言組織からの助言を得つつ事態収拾に努めました。この結果、十月一日早朝には臨界の終息に至った次第です。これを受けて、同日午後、施設から十キロメートル圏内の住民の方々の屋内退避が解除され、また翌二日夕刻には、三百五十メートル圏内の避難措置が解除されました。
 私自身、この事故の重大性にかんがみ、長官就任の翌日には総理とともに現地に赴き、現場を自分の目で見るとともに、茨城県知事、東海村長、地元の災害対策関係者や住民の方々とお話をし、現地の状況の把握に努めたところであります。
 当庁といたしましては、十月四日の政府対策本部における今後の対応措置の決定を受け、直ちに事故原因の究明を行う事故調査対策本部を設置するとともに、事故のあった施設と類似の施設を含む二十施設について緊急総点検を実施いたしました。また、原子力安全委員会は事故調査委員会を設置し、原子力以外の分野の専門家も含め、幅広い見地からの事故原因の究明と再発防止対策の調査審議が行われております。
 私は、この事故原因の徹底究明、再発防止等を現下の最重要課題として取り組み、原子力に対する国民の信頼回復に最大限の努力をしてまいる所存であります。今後とも、委員長を初め委員の皆様方の御指導、御協力を賜りますよう心からお願いを申し上げます。
○委員長(成瀬守重君) 間宮原子力安全局長。
○説明員(間宮馨君) ジェー・シー・オーの核燃料物質加工施設の事故概要について御報告申し上げます。
 まず、事故発生の状況でございますが、九月三十日午前十時三十五分ごろ、ジェー・シー・オーの東海事業所で、濃縮度一八・八%のウラン溶液を沈殿槽に入れる作業をしていたところ、臨界事故が発生いたしました。
 この事故によりまして従業員三名が被曝をいたしました。現在、一名は放射線医学総合研究所に、一名は東大病院に、一名は東大医科学研究所に入院中でございます。現在までに微量のものも含め事故による被曝が確認された者は、これら三名を含めて消防署員など六十九名。また、臨界終息のための冷却水抜き等への従事者二十四名が被曝をいたしております。
 事故後の対応でございますが、九月三十日午後になりましても施設周辺の放射線量が低減しなかったということで、科学技術庁は、有馬大臣を本部長とした関係省庁を構成員とする災害対策基本法に基づく事故対策本部を設置いたしました。
 さらに、政府は、事態の深刻さを考慮して、小渕総理を本部長とし関係閣僚を構成員とする政府対策本部を設置いたしました。また、稲葉科学技術政務次官を本部長とする現地対策本部を設置いたしました。
 東海村、茨城県では、地域住民に対して、三百五十メートル圏内の避難、十キロメートル圏内の屋内退避を勧告いたしました。
 十月一日午前、原子力安全委員会の緊急技術助言組織の助言を受けて、臨界反応を停止させるため、核分裂をより起こりやすくする働きをする冷却水を抜く作業を実施いたしまして、これが成功いたしまして臨界反応は停止をいたしました。
 周辺環境の状況につきましては、原子力安全委員会の緊急技術助言組織による周辺環境のモニタリング結果の確認を受けまして、政府対策本部の判断が示されております。その結果、茨城県等により、十月一日午後、十キロメートル圏内の屋内退避が解除され、翌十月二日午後、三百五十メートル圏内の避難が解除されております。
 事故原因の究明、再発防止等でございますが、地元の状況が安定してきましたのを受けまして、科学技術庁は十月三日から原子炉等規制法に基づく立入検査を実施いたしております。また、総理が本部長の政府対策本部の決定を受けまして、十月四日から他の加工事業者、再処理事業者等の二十事業所について原子炉等規制法に基づく立入検査を実施いたしております。基本的な安全性を確認し、結果を公表いたしております。ただし、合計九事業所につきましては一層の安全確保のため改善を指示いたしております。
 科学技術庁は十月五日に事故調査対策本部を、また原子力安全委員会は十月七日にウラン加工工場臨界事故調査委員会を設置いたしまして、事故原因の徹底究明と再発防止策の確立を図ることにいたしております。
 科学技術庁は、通商産業省と合同で、原子力安全・防災対策室を設置いたしまして、原子力防災対策のための新法、原子炉等規制法の改正等について検討に着手をいたしております。
 臨界により生成したと考えられるガス状物質が放出され、広範囲の複数の地点において空間放射線量率が上昇いたしました。また、核種分析の結果、一部の試料から臨界の生成物である短半減期の沃素及び希ガスの崩壊生成物並びに臨界により発生した中性子によりまして放射化されたと考えられるナトリウム24、マンガン56が検出されております。
 施設から放出されたガス状物質による空間ガンマ線量率の上昇は最大でも数マイクログレイ・パー・アワーでありかつ短時間であったこと、また事故に起因して検出された環境中の放射性物質のレベルは十分に小さくかつ短時間に減衰してしまう核種であったことから、これらは住民の健康及び環境に影響を及ぼすものではないと考えられます。
 今後は、事故に起因して検出された環境中の放射性物質による被曝線量評価を行うなど、住民の健康及び環境への影響を定量的に評価するため、第二段階のモニタリングを進めることといたしております。
 茨城県は、十月二日から四日にかけましてジェー・シー・オーからおおむね五百メートル以内の周辺住民等について健康調査を実施いたしまして、直接の放射線障害が疑われる者はいなかった等との結果を十月十二日に発表してございます。
 以上でございます。
○委員長(成瀬守重君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○加納時男君 加納時男でございます。
 今回の事故はまことに遺憾であったというのは、中曽根長官が言われたとおりであります。日本初の臨界事故。今まで原子力では、メディアでは事故だ事故だと言っていますけれども、国際的に見るとアクシデントというのは一件も起こっていなかった。今回が初めての国際的に見てもアクシデントという事故レベルのもの、現実に放射線による影響が出た事故でございます。
 また、今回の事故は、ジェー・シー・オーの違法な作業、違法行為とあえて言いたいと思いますが、違法な作業によって引き起こされたものであり、その根底には臨界事故に対する危機意識が欠けていたと言わざるを得ない、これが第二の特徴。
 第三には、現実に放射線の被害者が出たということ、緊急避難を初め地元の方々に大変な不自由と迷惑、不安、社会的な影響、農林、水産、畜産、商業、工業、観光と多方面にわたる影響を与えた極めて遺憾な事故であるという認識は長官と共通するものであります。
 そこで、長官にまず所感を伺いたいと思います。先ほど長官は、就任されて直ちに現地に総理とともに行かれたということ、そして事態をつぶさにごらんになった。さらに、厳しく受けとめておられるという表現がただいまございました。十月四日の政府対策本部の決定を推進していくということ、これはもちろん大切でございますが、今おっしゃった厳しく受けとめているというのはどのように受けとめていらっしゃるのか、所感を伺いたいと思います。
 言葉をかえて言えば、科学技術庁として今回はあくまでも民間の会社が違法な行為を行ったということで、それだけを重く受けとめておられるのか、科学技術庁として責任はお感じになっておられるのかおられないのか、責任を感じておられるとすればどのような責任をお感じになっておられるのか、所感を伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) このたびの事故は、今委員がお述べになられましたように、日本初の臨界事故であります。従業員が重篤な被曝を受けるとともに多くの方々が被曝を受けられ、そして周辺住民の避難や屋内退避が行われた、絶対に起こってはならない極めて重大な事故と認識をしております。原子力行政を預かる者といたしまして、地元の皆さんを初め国民の皆様方に大変な御心配とまた御迷惑をおかけしたということを極めて厳しく受けとめているところでございます。
 今回の事故の原因につきましては、今局長からも説明をいたしましたとおりでございますけれども、科学技術行政の責任者といたしましては、安全審査あるいは日ごろの検査体制等に問題がなかったのかどうか、そういう点も含めまして今反省をしているところでございます。今後、二度とこのような事故がないように、現在事故原因の究明に当たっているわけでありますけれども、法的な整備も含めまして全力で取り組んでいきたい、そういうふうに考えているところでございます。
○加納時男君 そのような方向でぜひ責任を果たしていただきたいと思っております。
 少し具体的なことに入りたいと思います。もうかなり事故の経過等につきましては議論されておりますので、きょうは少し各論ベースの突っ込んだことを伺いたいと思います。
 先ほど間宮さんの方から御報告があった一ページ目のところで、2の(1)、「同日午後になっても、施設周辺の放射線量が低減せず、」と、こうあります。これについてまず伺いたいと思います。
 事故発生後も転換試験棟の南西側の敷地境界で中性子線量が継続的に三ないし四ミリシーベルト・パー・アワーを示していたと思います。このことは臨界が継続していたということを示すのだと思いますけれども、一たん臨界に達したものが直ちに終息せずに引き続き継続しているようにチャートから私は読んだのですが、そうだとすると、なぜ臨界が継続したのでしょうか。きょうわかる範囲で教えていただきたいと思います。
○説明員(間宮馨君) お答え申し上げます。
 今回の事故につきましては、中性子線が継続して放出されていたということから臨界反応が継続していたものと考えておりますが、その原因の詳細についてはさらなる検討が必要と考えております。
 現在、原子力安全委員会の事故調査委員会等におきまして徹底的な原因究明が行われておりますが、今後事業者が採取する予定の当該沈殿槽内のウラン溶液の分析結果等も踏まえつつ、事故時の状況の詳細把握を行ってまいりたいと思っております。
○加納時男君 何か非常に抽象的なお答えなんですが、もうちょっと具体的にきょうはなるべく話してほしいんですよ。きょうは当事者のジェー・シー・オーの方もお見えになっていますので、随時ジェー・シー・オーの方にも伺います。それについてのまた科学技術庁の見解を伺いますが、抽象的な回答はきょうは結構ですから、なるべく具体的に、わからなきゃわからない、わからない責任をとるとか、具体的に言っていただきたいと思います。
 これはもうちょっと具体的に言いますと、私も現地へ行っています、写真も見ています。事故があったのですぐ現地へ飛んだわけですけれども、ジェー・シー・オーの方にもお会いし、それから政府対策本部の方に伺って随分いろんなことがわかったと思います。沈殿槽というのは、こういうとき使っちゃいけない、バケツに入れてはいけないものなんです。きょうはその話はもう終わったことにして、沈殿槽の周りに冷却水がありまして、水が回っているわけです。この冷却水がいわばウオータージャケットというんですか中性子をはね返す作用をやったので臨界が続いたのではないかと思うのですけれども、そういうことでよろしいのかどうか。だからこそ、決死隊といいますけれども、ジェー・シー・オーの職員の方は、本当につらかったと思いますけれども、身を挺して冷却水を抜くために交代で突貫したわけですね、後で。
 ということは、私の質問は、臨界が継続したというのはウオータージャケットが原因の一つと考えられるけれども、そういう認識でしょうか。だからこそウオータージャケットの水を抜いた、水が抜けなかったからアルゴンガスで水を追い出したというのが現地の話なんですよ。
 きょうはなるべく具体的な話をしてください。
○説明員(間宮馨君) 申しわけございません。
 具体的に申し上げますと、今回とった措置等も含めますと、先ほど申されました沈殿槽の周りの水のジャケット、これが中性子線を反射して臨界状態を持続させたということはまず間違いないのではないかと思っております。
○加納時男君 ジェー・シー・オーの方に伺いたいと思います。社長さん、事業所長さん、きょうお見えでございます。臨界事故と認識したのはいつでしょうか。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 私どもで、九月三十日十時三十五分にアラームが鳴りまして、これは連続的に部屋の空間線量率のガンマ線をはかっている計器から発せられたものですが、これで警報発報後、全員がグラウンドへ退避いたしました。グラウンドへ退避した時点で放管の職員がサーベイメーターを持ってまいりまして、サーベイメーターの針が、通常はゼロなんですけれども、このときは振れていました。これはただごとではないと思って職員をさらに遠くへ誘導して、十分後ぐらいにまだ離れても針が振れておるということで、この施設でこういう事態として考えられるのは臨界以外に考えられないと。確信は持てませんでしたけれども、事態の認識としては臨界以外に考えられないというところで、その時点で判断を下しました。
○加納時男君 今重要なことを言われたと思うのです。臨界以外考えられない、サーベイメーターが振り切れた、そういうことを今言われました。
 そこで、それをだれにいつ伝えたでしょうか。臨界ではないかということをどこにいつ伝えたんでしょうか。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 事態が起きまして、すぐ事故対策本部を設置いたしまして、関係機関への連絡の手続に入りました。それで、十一時十五分から関係諸機関に第一報をお伝えしたわけでございますが、そのときに臨界事故の可能性ありということを追記してお知らせしております。
○加納時男君 これは重大な発言だと思います。十一時十五分には臨界事故の可能性があると注記したと言うんですけれども、そういう事実はあったでしょうか。科技庁に伺いたいと思います。
○説明員(間宮馨君) ジェー・シー・オーから十一時十五分発のファクスが当庁に届いたのは十一時十九分ごろでございまして、そのファクスの中には臨界の可能性ありという文言が書かれておりました。
○加納時男君 臨界の可能性があるということを知ったということだと今の答弁で確認しました。つまり、ジェー・シー・オーさんの言っていることは間違いないということだと思います。だとすると、それを受けて科技庁としては臨界ではないかというおそれを頭に置きながら対応したのだとすると、今回の対処ではいろいろ問題が出てくるのではないかと思います。
 これについてはどのようにお考えでしょうか。科学技術庁に伺います。
○説明員(間宮馨君) 今申しましたとおり、第一報で臨界の可能性ありとございましたし、その後の一時四十二分の報告、第五報でございますが、十六キログラムのUを沈殿槽に移入しているとき青い光が出たと記されていたということから、当然ながら当初から事件発生において臨界事故の可能性が十分認識されていたということでございます。
 他方、もう一つのポイントとしては臨界が継続しているかどうかということでございますが、これにつきましては、継続する可能性がないとは言えないという議論はございまして、我々も安全委員会のその指摘は十分踏まえながら考えていたわけでございますが、一般に臨界が短時間に終息するということがございますのと、ガンマ線の値が当時若干減少ぎみにあったということから、注意深く事態の推移を注視しながら対応に当たったということでございます。
 ただし、ガンマ線の量もかなりのものでございましたので、当初から現地に職員を派遣するなどの対応はいたしておりました。
○加納時男君 ガンマ線が減ってきたからということでは、ちょっと私は答えにならないと思います。これは実際に放射性物質が外へ出た、そこからガンマ線が出ているという話ではなくて、今回のはあくまでもごく微量の放射性物質、希ガス等は出たと思いますけれども、固体の粒子がほとんど出ていない。実際出ていなかったと思うんです、フィルターでとれていますし、爆発事故じゃないですから。問題は放射線事故で中性子線による影響だったわけですよね。ですから、今のお答えではちょっとまだ不十分かと思います。
 ちょっと観点を変えて、安全審査の問題ともこれは関係しますので伺ってみたいと思います。
 この問題が、現実の事故が起こったところに私は行きましていろいろ聞いたんですが、そこで非常に重要だったということは、すべてこれは臨界が起こらない設計になっているからそのとおりやれば事故が起き得なかったということで、私も現実に話を聞きながら自分なりに理解したんですけれども、正規のマニュアルどおりであれば臨界は起こり得ない、これはよくわかるんです。
 ところで、恐らく安全審査したときには、核燃料施設安全審査基本指針という原子力安全委員会の決定に基づいて審査をしていると思うんです。そのときに、こういう文句があるんですね。「誤操作等により臨界事故の発生するおそれのある核燃料施設においては、万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられていること。」、こういうのがある。これは当然科技庁の方も御存じだしジェー・シー・オーの方も御存じだと思うんですが、まずジェー・シー・オーさんに伺いたいと思います。
 今申し上げた、万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられていなければならないという、そういう審査基準があることは当然御存じで安全審査を申請されたと思いますけれども、この指針に沿ってどんな対策を講じていたのでしょうか、万一の臨界事故が起こったときに対する適切な対策として何を講じていたのでしょうか、講じていなかったのでしょうか、伺います。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 設計上、臨界が起きないようにという設計はしておりました。しかしながら、臨界が起きたときにどういう対策をとるかということに関しては、特に考慮はいたしておりませんでした。
○加納時男君 これも、私は非常にこの回答は納得いかないですね。つまり、「万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられている」ということを特にやっていないとなるとこれは大変なことでございます。やっていたんだけれどもそれを無視して今回非常に乱暴な作業が行われたというふうに私は理解していたんですが、もし今のお答えのとおりだとするとこれはちょっと大変なことだと思います。
 科学技術庁の見解を伺います。今の安全指針、「万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられている」として審査がされたんでしょうか、されなかったんでしょうか。
○説明員(間宮馨君) お答え申し上げます。
 今般、臨界事故が発生いたしましたジェー・シー・オーの転換試験棟につきましては、濃縮度五%以上のウランを取り扱うことから、核燃料施設安全審査基本指針に基づきまして安全審査を実施したところでございます。その際、設計と実際の運転によって適切な臨界管理が行われること、誤操作等を考慮しても臨界に至らないということを確認いたしてございます。このように、多重、多段階の臨界防止策が講じられているということから、臨界事故が発生するおそれがないと認めて、臨界事故に対する考慮は要しないと判断いたしたものでございます。
 また、設計及び工事の方法の認可に際しましては、技術基準に関する総理府令が定められているところでございます。同総理府令は、たとえ指針に基づく安全審査において臨界事故が発生しないと認められ放射線遮へいのための設備の設置等を要しない場合であっても、臨界質量以上のウラン等を取り扱う際には、臨界事故が発生した場合の避難に資するよう警報設備等の設置を求めるものでございます。
 転換試験棟につきましては、警報機能を有するエリアモニターが設置されておりまして、現行法に照らして適法に事業の許可、設計及び工事の方法の認可が行われているものと認識いたしております。
○加納時男君 認識をしているということだけじゃ不十分だと思うので、ちょっと今のをもう少し突っ込んで聞きたいと思います。
 今、二つの基準を例に出されています。一つは、さっき私が質問のときに使った安全審査基本指針、これでは「万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられていること。」。それから、後で言われたのは総理府令のことですね。この総理府令というのは、加工施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する総理府令のことを今引用されたと思います。
 ここの三条の一項というのは重要なことが書いてありまして、「加工施設は、核燃料物質が臨界に達するおそれがないようにするため、核的に安全な形状寸法にすることその他の適切な措置が講じられているものでなければならない。」。これを読みますと、形状基準ということがどうも明示されているんじゃないか。
 今の間宮さんのお答えは、質量基準のことは触れていると思うんです。今回のような中程度、五%から二〇%ぐらいの濃縮されたウランは、こういったものについては特に気をつけて扱わなきゃいけないわけですから、臨界を阻止するために質量基準を厳密にやっている。これは今回の工場でも実はそういう建前にもちろんなっていて、マニュアルもそのとおりになっていたと思うんです。と同時に、質量に加えて、今の読み上げたところに形状寸法とありますから、形状基準もあるのではないか。
 私も現地へ行って調べたんですが、形状基準と質量基準、全部こうあるんですけれども、今度事故を起こした沈殿槽は質量基準でチェックされている。これが守られていればもちろん臨界事故は絶対起きないわけですから、これは私は間違ってはいないと思うんですけれども、不適切ではなかったのか。つまり、形状基準がないのは不適切、違法ではないけれども不適切かどうか、今の総理府令と照らしてどうなのか。
 それからもう一つ、総理府令の三条二項にこれまた重要なことが書いてあります。濃縮度五%以上のウラン、今回の事故であります、これを「取り扱う加工施設は、臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。」とあります。
 これから読むと、例えば臨界警報装置というのは、さっき越島参考人が言われたように、空間線量率が非常に高かったというんですけれども、これは何をはかったのかというと、私の理解が間違っていたら訂正してほしいんですが、ガンマ線を主として測定したのではないかと思います。中性子線ははかっていないと私は思っています。また、そういう装置がなかった。
 臨界警報装置の設置をしていなければならないというのに対して、臨界警報装置と言えるものがあったのかなかったのか、再質問になりますけれども、これはまず越島参考人に伺いたいと思います。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 私どもが転換試験棟に設置しておりますものはガンマ線を測定する連続的なエリアモニターでございます。
○加納時男君 これは妥当でしょうか、科学技術庁の見解を伺います。
○説明員(間宮馨君) 臨界状態に至った場合でございますが、核燃料の核分裂による中性子線及び核分裂によって生成される核分裂生成物からの強いガンマ線が放出されます。すなわち、臨界事故の際には中性子線あるいはガンマ線を検出する検出装置が設置されていて、エリアモニターが吹鳴するということで臨界状態を知らせる仕組みとなっております。
 申し上げたいのは、中性子線あるいはガンマ線と、いずれにつきましても臨界状態を確実にキャッチできるということでございます。
○加納時男君 今の回答は科学技術庁としては審査に違法な点はなかったということでしょうけれども、今後の対策を考えるに当たって今回の事故から何を学び取るかというのが今大事なんですね。そういうときに、この問題を厳しく、今の点も厳しく受けとめて、これは対策の場面でぜひともまた議論をしたいと思っています。私は、今の回答では不十分だと思っていることを指摘しておきたいと思います。
 それから、運転管理専門官についてもぜひ伺いたいと思います。限られた時間なのでポイントだけ答えていただきたいと思います。
 科学技術庁の運転管理専門官が東海村にもいたと思いますけれども、東海村には常時何人、どこにいて何をしているのでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 東海村には常時一名の運転管理専門官が駐在いたしております。事故当時、この一名の運転管理専門官が施設の操作状況、放射線管理状況、放射性廃棄物の管理状況等巡視を行っていたわけでございますが、この運転管理専門官は平成十年四月一日に着任したものでございまして、それ以来、平成十年四月十六日、九月三日、平成十一年三月四日の三回、このジェー・シー・オーの事業所、転換試験棟に対しまして、施設の操作状況、放射線の管理状況、放射性廃棄物の管理状況等について巡視を行ってきたところでございます。
 一般に、運転管理専門官が今回のような許認可を受けていない手順で作業を行っている場所を現場で確認すれば、直ちに改善を指示したということは当然のことでございます。しかしながら、ジェー・シー・オーが核燃料サイクル機構に比べて小さな事業所でございましたし、また同事業所においては軽水炉用の燃料のそういう転換施設に比べまして事故の起こった施設の規模が小さいということから、巡視の実施頻度が少なくならざるを得なかったということでございます。
 このため、十年四月に運転管理専門官が設置された後において、転換試験棟で許認可を受けていないステンレス製の容器を用いた作業を確認することはかなり困難になっていたと思われます。
 なお、現場の作業員がかかる作業の違法性を認識し運転管理専門官が来訪した際に事実を隠そうとした場合には、かかる作業の違法性を通常の運転管理業務の中で特定することはなかなか困難ではなかったかと思料しております。
○加納時男君 事実はわかりました。事故当時、運転管理専門官は何をしていたのでしょうか、何をしたのでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 事故当日は、我々の指令に基づきまして、運転管理専門官は村の方へ行っていろいろ対応する、あるいは現地の本部を立ち上げる際にいろいろ動くというような、いわば間を縫って動くような機能を果たしておりました。
○加納時男君 今、間宮さんの回答の中で、小規模であるということ、このジェー・シー・オーの東海事業所は確かに小規模ですよね、それから主として軽水炉用の燃料、これはウラン濃縮度五%未満、三、四%ですよね、それをメーンにしている、これはそのとおりだと思います。しかし、この事業所では同時に高速増殖炉実験炉の「常陽」用の中レベルの濃縮度のウラン、これは日本ではそんな濃縮をやっていませんから、フランスから輸入したウランですよね。一八・八%の濃縮度のウランをやっているということは当然知っていたのではないかと思ったのですが、そういう認識は全くなかったんでしょうか。
 たまたまこの工場は常時メーンとして運転しているのは軽水炉用だと、これは事実だと思います。この中レベル用のものは、今回事故を起こしたものはバッチ処理で時々やるんだと。たまたま行ったときに見なかったということなんでしょうか。この試験棟を見なかった理由が今のようなことであるとすると、ちょっとお答えとしては不十分だと思うんですけれども、どういうことだったんでしょうか。なぜ転換試験棟を見なかったんでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 「常陽」用の燃料を扱っていたということは当然知っておりました。ただ、「常陽」用燃料の作業というのは、ほとんど常時行われているというような作業と違いまして、年間の四分の一程度であり、彼が行ってからそういう作業が行われていたということは、行った当初若干あっただけで後はございませんで、今回また行われたということです。そういう間欠的な作業でございましたので、これまで意識はしていたわけでございますけれども、なかなか現場にめぐり会えなかった。今回も本人から私直接話を聞いたわけですが、今回の作業中に行くという予定でいたようでございますが、逆にその直前に事故が起きた、こういうふうにも聞いております。
○加納時男君 この問題はこれからの対策のところでもまた出てくる話だと思います。
 つまり、科学技術庁として、現地に対して運転管理専門官が十分であるのかないのか、そしてその方々が現地に行くのに、いつごろなら都合がいいですかと言って行くのか、あるいは必要だと思ったならば突然訪問する、突然この場所を見たいと言って見るべきだというのがポイントになると思います。
 今の点では体制が不備だということもあったのかもしれませんが、非常に私はこの今までの査察といいますか現地立ち入りのやり方には、今の回答を聞きますと、原子炉に対する運転管理専門官は常駐しておりまして絶えずプラントの中を見回っているわけです、これとは随分落差を感じます。非常に核燃料加工施設というごく全体から見ると小さな分野の、しかも扱っている物質の量もごく小さい、しかも常時的には臨界なんかのおそれのない軽水炉用の燃料をマニュアルどおりやっていれば絶対問題はないと思った。これは私は同情の余地はないではないんですけれども、現実に事故が起こった以上は厳しくやっぱりこの問題は追及しなければならないということであります。
 今回の事故は放射線事故なんです、基本的には。よく放射能事故、放射線事故と言いますけれども、放射性物質を外にばらまくようなそんなような事故ではない。基本的には放射能は沈殿槽の中、建屋の中に閉じこもっておって、一部希ガス等が外へ若干出ましたけれども、一番の問題は放射線、中性子線なんですけれども、これが外へ出たというのが、一部ガンマ線もありましたけれども、これがポイントだったと思います。ごくわずかとはいえ放射性物質、主としてガス体でありますが、これが外へ出たのは事実だと思います。
 どんな物質が出たのか、今この紙を配っていただいたので、見てから本当は質問しなきゃいけないんですけれども、見ながらの質問で恐縮ですけれども、沃素131とか133が検出されていると思いますけれども、これは半減期が非常に短いと思いますが、どのぐらいでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 一般的に半減期の短いものでございます。
○加納時男君 具体的に教えてほしいんですけれども。例えば、沃素131の半減期は八日間であるとか五日間であるとか、そういうふうに答えていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。私の理解が違っていると話が先に進まないものですから。
○説明員(間宮馨君) 今回一番注目されています沃素131でございますが、これは八・一日です。沃素133、これが二十・八時間、沃素135でございますが、六・六時間でございます。
○加納時男君 わずかではあるが、半減期は短いというんですけれども、外へ出たことは出た。ですから、大切なことは、これが健康に影響があるのかどうか、食物に影響があるのかどうかだと思うんです。
 そのことを今度は聞きたいと思います。具体的に、こういう物質が外へ出た、これによって食物に対する影響はあるのかないのか、それはどのようにして確認したのか、これを国民の前に明らかにしてほしいと思います。
○説明員(間宮馨君) これまでの網羅的かつ厳密な測定結果によりまして、食物に対する影響はないという結論でございます。
○加納時男君 きょう一貫して申し上げているんですけれども、具体的に答えてほしいんです。例えば、食物摂取限度というのがあるんです、二ベクレル・パー・グラムとか。それに対して、今回は何百ベクレルでしたから、何十分の一とか、何分の一とか、いや何倍だったから危険だったとか、国民が知りたいのはそれなんですよ。具体的に答えてください。
○説明員(間宮馨君) 農作物の被害でございますけれども、沃素131の濃度は最大で〇・〇三七ベクレル・パー・グラムでございまして、飲食物摂取制限に関する指標、これでは野菜では二ベクレル・パー・グラム以上の約五十分の一のレベルでございます。
 あと、沃素133及び沃素135の濃度も極めて低くて、半減期がそれぞれ二十一時間、六・六時間と短いということから、これら核種による住民の健康及び環境への影響は十分に小さいと考えられるという結論でございます。
○加納時男君 今のように私の聞いたことになるべく具体的に答えていただけると審議が前を向くと思いますので、ぜひ御協力をこれはお願いいたしたいと思います。
 わかりました。非常に少なかった。今のは非常に大事なことなんですね。食物摂取限度が二ベクレル・パー・グラムだとして、それの五十分の一であったから安全だ、こう言うと国民はわかるんですよ。非常に少ないからもう安全です、心配しないでください、これはだめなんですよ。だから、数字を言ったら国民はわからないなんということはありません、国民の知識レベルは非常に高いですから。二割る〇・〇三とか〇四とか今おっしゃったけれども、そういうのはちゃんと計算できますから。安全かどうかは国民が判断します。ですから数字を言ってください。限度はこう、実態はこう、これでいいと思うんです。
 ちょっと意地の悪い質問になりますけれども、これはいつはかったんでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 事故直後からはかっておりまして、この結果が出たのが、ちょっと日にち正確なところがわかりませんが、……
○加納時男君 委員長、済みません、議事進行。
 これは待っている間に時間がたちますので、今のは即答は結構ですから、私の質問あと三十分ちょっと残っていますので、その間にわかればで結構ですから教えてください。わからない場合にはこの委員会あてに報告していただくよう、これは理事会でまたお諮りいただきたいと思います。そういうことで、話を先に進めたいと思います。わからないのはわからないと言って結構ですよ。私決してわからないからけしからぬとか言いません、人間限界がありますから。限界なんて言っちゃいけません、結構でございますから、わかる範囲で教えてください。
 私の言いたいのは、何を言いたいと思って質問したのかというと、事故直後すぐはかったということであれば私は納得します。事故から何日もたって、十日もたってはかって大丈夫ですと言うのは、ちょっとこれは私は納得しません。なぜなら、半減期の短いものが多いんですね。今の沃素131は八日間ですよね。だから、何十年もかかるような、例えば原爆実験なんかがあったときに出たセシウム137なんというのは、あれは三十年ぐらいの半減期ですから、これはいつはかってもちょこちょこ出てくるわけです。このように半減期の短い場合には、すぐはかってないとちょっと説得力がないということなので、すぐはかってほしいということであります。わかりましたでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 失礼いたしました。
 先ほど申し上げました点でございますが、十月五日に採取した結果を七日に県の方から発表したものでございます。
○加納時男君 ちょっとこれも不思議な答えだと思うんです。半減期八日ですよね。だから、十月五日にはかったということは、事故は九月三十日ですから、これはまた計算しなきゃいけませんけれども、六日か七日たっているところでありますね。そうすると、大体半分におっこちちゃっている。だから、逆算していっても私は十分クリアできると思いますけれども、直後にはかっていなかったというのはよくわからないです。採取しなかったんでしょうか、発見されなかったんでしょうか、教えてください。
○説明員(間宮馨君) 直後にもはかりましたが、直後には出てきておりませんで、一番早いのが、野菜は四日でございます。
○加納時男君 これは確かに、試料と言っていますけれども、どの土壌をとるとかどの野菜をとるとか、そういうところから採取していく。もっとも安全の範囲内のレベルの話でありますから、私は、だからこれは危険だったと言うつもりは全くありませんけれども、こういったときの試料の採取の方法、それからそのデータの公表、こういうことは非常に重要だということだけはぜひこの場で指摘しておきたいと思います。
 それと同時に、大事なことなんですけれども、今回、排気筒にフィルターがついていますね。粒子等がそういうので仮に出たとしてもほとんどとれちゃうというので、ガスが若干出る、これはあり得ると思うんですが、これはジェー・シー・オーさんに伺います。例えば、排気筒に設置されたフィルターを通すと、フィルターがしっかりしていれば沃素131なども大気中への放出はもっと防げたのかどうか、これが限界であったのか、伺いたいと思います。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 事故後、転換試験棟にはきょう予定されておりますサンプリング以前には立ち入っておりませんので、フィルターの健全性等は現時点では確認されておりません。設置しておるのは事実でございますが、健全性等については現時点では確認されておりません。
○加納時男君 越島さんは、ベテランといいますか、住友金属鉱山に入社されたエリートの技術屋さんであって、住友金属鉱山さんで幹部、トップに近いところまで務められ、そしてまた今の事業所の方に来られて活躍されていらっしゃる方なので、当然御存じだと思うんです。
 私は質問します。この排気筒のフィルターというのはこれまでにいつ点検して、いつ取りかえていたんでしょうか。
○参考人(越島建三君) 申しわけありませんが、その時期については私今存じておりません。
○加納時男君 当然これは、越島さんは偉い方ですからわからないかもしれない、担当の方は知っている。恐らく取りかえていると私は信じたいんですけれども。
 では、ちょっと技術的な質問だけします。このフィルターはチャコールフィルターですか。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 チャコールフィルターではなくて、通常のいわゆるHEPAフィルターと呼ばれているものでございます。
○加納時男君 今の回答について、科学技術庁はどんな感想を持たれますか。
○説明員(間宮馨君) この事故のありました転換試験棟には、空気中に存在する微粒子状の放射性物質を捕集する目的で高性能のエアフィルターが設置されてございました。今回発生いたしました沃素131は核分裂によって生成した物質でございまして、ガス状で放出されるため、高性能エアフィルターでの捕集は期待されておりません。
 転換試験棟内設備の形状管理、質量管理等を行うことで臨界防止対策が講じられているということから今回のような重大な違反ということが想定されていなかったということでございまして、いずれにいたしましても、今我々がやっておりますのは、沃素についてはすべての沃素を出さないということ、かつ内部を低減するということで、あらゆる沃素を捕集できるチャコールフィルターを設置するようにこれまで助言をしてきましたし、現実にそのチャコールフィルターが設置されて外に出なくなったということと、中の沃素成分がどんどん減っているということでございます。
○加納時男君 今回、数日たっても微量ではあったけれども沃素が出ていたというのは事実なんですね。ですから、これはフィルターが、私は違法ではないけれども妥当でないと今回随分感ずるところがいっぱいあるわけですけれども、これもその一つかと思うんですね。
 それで、沃素のさっきの、十月八日に測定したんですか、何かこれもちょっと変だと思ったけれども、最初は五日だったですか、それも疑問があったんですけれども、フィルターについてもどういうフィルターでどの種類のものがどの程度とれるというのは当然わかっているわけですよね。
 だから、そういう点について今回の対策に抜かりがなかったと言えるかどうか、この辺はどうでしょうか。あるいは反省するところがあれば、きょうは何か責任追及というよりも、私はこれからの対策に生かすために今回の事故からつらいけれどもいかに教訓を学ぶかというところに重点を置いて質問しているつもりなので、そういう観点で答えてください。要するに、フィルターについて今回の対策は手抜かりがなかったかどうか。
○説明員(間宮馨君) 我々の考え方といたしましては、まず住民の方々への影響でございまして、これに関しましては、先ほど申し上げましたように周辺環境を徹底的に調べておりまして、影響がないという中で十月八日にジェー・シー・オーの排気口で初めてサンプリングが行われたということでございまして、それがわかった後は我々としても積極的にいわば介入いたしまして、助言を続けて今日に至ったということでございまして、この間におきまして、もちろん遅かったのではないかという御批判はございますけれども、我々としては全力を挙げて早期に外に出ない措置を講じてきたつもりでございます。
○加納時男君 それでは、被曝の状況について質問を移したいと思います。
 先ほど配っていただいた資料、いきなり配られたので今一生懸命読みながら質問しているところですけれども、四ページ目のところに「事故に伴う被ばくの状況について(別添1)」というのがあるので、これに基づいて質問したいと思います。
 細かくいろいろ書いてあるんですけれども、大きく考えたときに、今回の事故はまず第一には基本的には放射線事故である、放射能事故ではない、放射能はごくわずかしか外へ出ていない。したがって、被害の状況も広い範囲で放射性物質がばらまかれて大勢の人が大量に被曝したというものでは全然ない。これは事実だと思います。
 ただし、大量に放射線を受けた人が三名いる。これは一番上に書いてある三名というのがそうだと思います。これは作業を実際にやられたジェー・シー・オーの作業員、いわば今回の違法作業をやった方々。大変言葉はつらいんですけれども、自分でやったものの報いを受けられた方が三名、非常に大量の線量を受けられたというのがあります。
 次のランクは何人おられるのかというのが私の質問であります。これで見ますと、一番下に「従業員」、水抜きと硼酸水注入で合計二十四名とあります。〇・〇五ミリシーベルト、これは非常に小さなものだと思いますが、緊急事態にみずからの危険を顧みずに勇気を奮って突入された、ある意味では私は胸が熱くなるような、責任感を持ったジェー・シー・オーの職員の方だと思います。自分のところで事故を起こした、自分の会社が悪いんだ、だけれども今何とかしなきゃいけないというので、ジェー・シー・オーの職員の方が本当に決死隊のようなつもりで短期間の線量ですぐ戻ってくるんだという指示のもとに次々と飛んでいかれたということを私は現地で伺って胸が熱くなったわけでありますが、その方々が受けられた線量は、限界はどのぐらいなのか。
 私の理解しているところでは、普通は五十ミリシーベルトというのが今までのICRP基準を前提にした国内の基準で、放射線に関して従事する人は五十ミリシーベルトだと理解しているんですが、緊急時の場合には若干違うと思うんですが、この辺は科技庁でお答えいただきたいと思います。緊急時の場合には、何ミリシーベルトまでがこういう緊急作業の場合認められているんでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 緊急時の数値は百ミリシーベルトでございます。
○加納時男君 だとすると、水抜き作業の人、これは新聞ではたしか百十九ミリシーベルト、きょうこれを見たら約百二十ミリシーベルトですから合っているわけですけれども、若干超えたと思うんです。
 これについてはいろんな議論が原子力安全委員会でもあったと思います。緊急事態だと百ミリシーベルトというのが今まで考えられていたものだけれども、今回、この際若干リスクを冒してもやらなきゃいけないのじゃないかという意見もあった。けれども、百ミリシーベルトを守ろうということで、わずかですけれども超えた。だから、直ちに身体に影響の出るような線量では到底ないと私は理解しています。
 これは一シーベルトとか十シーベルトとかいろんなランクがあって、一番たくさん受けているのは作業を直接やった方、これは十シーベルトとか十七シーベルトとか大変な線量を受けていますから、この方は非常に私は大変な危機的な状況だと思いますが、この従業員の方々は百ミリシーベルトぐらいが限界、そこに行かないようにというのがたまたまちょっと超えてしまったということだろうと思うのでありますが、この方々が第二のグループだと思います。大規模に受けた方、中規模に受けた方。
 それ以外の方がどうなのかということであります。これを今見ているんですけれども、グレイと書いてあるんですね、ミリグレイ。下はミリシーベルトと書いてあって、グレイからシーベルトに換算するというのはちょっと手間はかかるかもしれませんけれども、例えば中性子線が大体このぐらい、それからガンマ線がこのぐらいというふうに換算できるわけですけれども、どのぐらいのシーベルトでしょうか。そうしないと、国民の方もわからないと思うんですね。みんなが知っているのは、一ミリシーベルトとか、それから作業員の人は年間五十ミリシーベルトとか、今、ICRPから五年間で百ミリシーベルトという勧告が来ているとか、そういうのは新聞によく載っていますけれども、突然ここでグレイが出てくると、まあグレイというのは、違うグレイはわかってもこのグレイはちょっとわからないと思うので、ぜひここは、大体このぐらいで結構ですから、わかればで結構ですから教えてください。
○説明員(間宮馨君) 今おっしゃいましたとおり、グレイからシーベルトへの換算につきましては若干複雑なところがございまして、その放射線のエネルギーレベルによりまして換算係数が変わってまいります。最大十倍ぐらいまで変わってまいりますので、これにつきましては今厳密な作業をしておりますので、でき次第御報告したいと思います。
○加納時男君 はい、わかりました。
 私もこの換算に時間がかかるのは正直言ってわかりますので、今すぐでなくて結構ですけれども、これもこの委員会に提出していただくことを求め、その扱いについては委員長によろしくお図りいただければと思っております。
 さて、今後の対策について残った時間で伺いたいと思っております。
 今回いろんな反省事項があります。これを何とか今後の原子力安全のために生かしていきたい。今回のは確かに原子炉という本体の事故ではない、また大規模な核燃料を扱っているというよりも小規模なところで起こったとはいえ、この社会的な影響は非常に大きいことを私は力説したいと思っております。
 まず第一に、今後の情報連絡体制を強化しなきゃいけないと思っていますが、今回の事故からどこをどう学ぶのか。
 例えば、ジェー・シー・オーにまず伺いたいと思うんですが、さっきジェー・シー・オーさんとして今回第一報を十一時十五分に注書きをして送ったと。きょう、これは私はちょっとびっくりした話だったのでございますが、こういうことで情報連絡について、村とか県とか国とかいろいろあると思うんですね、今回どういうところが不十分、不適切だったのか。答えにくいと思うんですけれども、前を向いて、これからこういうことを二度と起こさないために、また被害をミニマムにするために勇気を持ってお答えいただけたらと思います。国に対する注文でも結構です。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 事態が臨界ではないかと認識したのは発生から十分後、それでさらに十一時十五分から関係部門、科学技術庁さん、それから県、村等関係諸機関に連絡を始めたのが十一時十五分でございます。
 その間、事故対策組織というものをつくって連絡班にその連絡を任せたりしたんですけれども、やはりいろいろ情報の混乱といいますか、そういうことを出していいかどうかという判断も非常に難しいところがございまして、そこで三十分ぐらいすぐ経過してしまったというところはございます。
 第一報についてはそういうところでございます。
○加納時男君 頭にもなかったといいますか、想像もしなかった事故が起こったというのでかなり現場が混乱したというのは、これは後になってみても理解できるところでありますが、情報連絡について、私は地域住民に対して的確な情報が早く行くということが何といっても大事だろうと思います。
 もちろん、県、国、村、それぞれの役割があります。これが役割を相互に連携をとりながらやっていくということで、今回は現地対策本部が、初めといいますか、こういった種類の事故は初めてですけれども、その初めての事故に際して現地に設置された。そこに関係者が集まっている。そこに私も行きました。これは今までの議論からいたしますと一歩前進したところであるとは思いますけれども、情報の共有化なり早期の連絡について反省するところはいっぱいあったと思いますが、科技庁ではどのように受けとめておられますか。
○説明員(間宮馨君) 国、県、村の連絡体制でございますが、我々としては状況の早期把握ということをまず第一義といたしまして動いておりましたところ、状況の展開が極めて早くて、その間に村の方で独自の判断で避難をさせるとかそういう事態が起きたわけでございまして、そこら辺につきましては我々としてはもう少し違ったやり方があったかもしれないということで非常に反省をいたしております。
 その後につきましては基本的には大きい流れとしてはそんなにそごはなかったと思いますが、やはり細かい点で今回何が起こったかというと、原子力研究所の東海事業所の中に我々としては関係者を一堂に集めたいわゆるオフサイトセンターをつくりたいということで動いたわけでございまして、県とか村の方も参加いただいたんですが、そこの機能と県とか村、そこの連携が必ずしもうまくいかなかったというところを非常に反省いたしております。
 先ほどの沃素の影響につきまして若干言い方が前後したんですが、一日から測定を始めておりまして、先ほど五日に出たというのは最高値が出た日にちでございますので、ちょっとここら辺まとめてわかりやすく後ほど御報告させていただきたいと思います。
○加納時男君 今の後段の話はわかりました。
 前段のお話ですけれども、確かに県と国と村との連絡体制、これはこれからも改善を要する点として議論しなきゃいけないし、早急にこういった仕組みをつくっていくことが大事だ。それからモニタリングですね、今原研の方にも実は中性子線を測定する装置があるわけです。今回はそこからのデータも非常に重要だったわけでありますが、こういったデータが早期に共有できて対策に生かされるという情報のネットワーク化、モニタリングデータのネットワーク化といったことも重要な反省点に挙げておきたいと思っております。
 今回の影響というのは、経済的な影響が非常に大きいと思うんです。直接の放射能によるあるいは放射線による影響というのは限られているというのが今回の特徴だったんですが、しかし反面、間接的な影響といいますか、さっき申し上げた茨城県の農産物に対する不安だとかそういったことがありました。これはもう十分に調べて安全レベルであるということは明確になったので、これはこの席をかりてあえて強調したいところでありますけれども、しかしその間に実際に出荷がとまってしまった、あるいは売れなかった、こういった経済的影響は非常に大きいわけであります。観光施設でのキャンセルが続いた、大変な損害が出ていると思うんです。
 加えて、地域の方々、現実にホール・ボディー・カウンターで調べてもいろんなデータで調べてもともかく放射線による影響はなくても、放射線が通過した、あるいはちょっとでも体に当たったということによる心の痛手といいますか、心のケアが緊急の課題だと思い、いろいろ対策をとっておられると思います。
 こういったことについて、今どのようなところが一番取り組んでおられるところか、ポイントを御説明いただきたいと思います。
○説明員(興直孝君) お答え申し上げます。
 ただいま先生お話しございましたもののうち、心のケアで非常に今重要なのは健康相談、健康管理に関することでないか、このように考えてございます。今回の事故で、茨城県、東海村が住民の方々のこのような不安を和らげるためにさまざまな対策がとられてきてございます。国といたしましても、県、村からの御要望を踏まえる形で、住民の心のケアを含む健康相談や被曝者等の健康管理の面におきます対応をとってきているところでございます。
 具体的には、厚生省で茨城県の行いました周辺住民に対します健康影響調査さらには健康相談等の支援を実施しているほか、私ども科学技術庁といたしましても、東海村役場の中に相談窓口を設置し、職員を派遣し、村との連携協力体制をとってきているところでございます。
 そのほか放射線の測定器、このあたりは皆さん方にお使いいただきますように対応しております。また、東海村からの要請にこたえまして、住民の健康不安にこたえる観点から、放射線医学総合研究所の医師等を派遣しまして住民の方々に対しまして放射線の生体影響に関します、健康に関する説明会をこの十八日に行ったところでございまして、二百名ぐらいの方々が御参加になられたところでございます。また、週に二日、放医研のお医者さんが東海村役場におきまして専門的立場からの御相談に応ずる、こういう形で健康不安の払拭に努めてきているところでございます。
 また、茨城県は、近隣住民を対象としました心のトラブル相談、さらには幼稚園、小学校の先生方を対象とした研修会まで実施されてございます。
 厚生省、科学技術庁とも互いに協力し合いまして、県、村からの御要望も十分踏まえまして、最大限の支援、協力を行っていきたい、このように考えておる次第でございます。
 また、先ほど先生お話しになられましたいわゆる経済的な問題、このあたりもあろうかと思いますけれども、まず一番今住民の方々にとってはそういう健康上の心の問題が非常に大きいかと思います。経済的な問題につきましては、原賠法であるとかあるいはそのあたりの所要の対応がありますので、またそのような段階での御質問があればその段階でお答えさせてください。
○加納時男君 今原賠法と言われましたが、原子力損害の賠償に関する法律という法律がございまして、原子炉等の事故については保険限度額が三百億円、もちろん今回の法律改正でこの限度額を引き上げる予定でありますが、現行では核燃料加工施設については十億円なんです。今回の事故はどの程度の影響があるのか、いずれにしても原子力損害賠償に関する法律では無限責任、無制限なんです、責任は。ただ、保険は十億円を限度としているというのが現状です。ですから、この保険限度額の改定ということも視野に当然入っているわけだと思います。
 ジェー・シー・オーの木谷社長がお見えなので社長に伺いたいと思いますが、今回の事故、科技庁の責任も私いろいろきょう言いましたけれども、根本は何といってもジェー・シー・オーさんの作業員の方の違法な行為、裏マニュアルをつくり、しかも裏マニュアルすらも破った行為であります。こういうことによって大きな社会的な影響が出ていますが、社長としてどのような責任を感じていらっしゃるのか、またこの経済的な損害等についてどのようなお考えで当たられるつもりなのか伺いたいと思います。
○参考人(木谷宏治君) お答えいたします。
 まず、今回の臨界事故を発生させてしまった企業の経営責任者として、国民の皆様に深くおわび申し上げたいと存じます。
 私どもは、小さい存在ではございますけれども核燃料サイクルの一角でエネルギーの安定供給のために尽くしたいということで使命感を持って長らくやってまいったわけでございますけれども、今回のこのような事故を起こしまして、多くの被曝者を出し、地域住民、広くは国民の皆様に大変な御迷惑をおかけし、さらに原子力の利用につきまして大変悪い影響を与えたということで、返す返すも残念でございまして、痛恨のきわみでございます。おわびの言葉もございません。
 こういう事態を真剣に受けとめまして、この先、失われた信頼回復のためにあらゆる最善の努力を尽くしてまいりたいというふうに存じております。
 それで、経済的な被害についてでございますけれども、これにつきましては最善の努力を尽くし、誠心誠意対応してまいりたいというふうに存じております。
 十月四日には東海村の東海駅の近くに相談窓口を設置いたしまして、そこで皆様のお声を聞いてございます。きのうの段階で二千百四十件のお声をちょうだいしております。これらにつきまして具体的な対応を進めてまいりたいというふうに思っております。
 既に原子力プールの方でも基準をお出しになっているやに聞いておりますけれども、それにのっとって順次できるだけ早く対応を開始してまいりたいと思っておりまして、近々、相談窓口は今まで承るところでございましたけれども、補償に関する窓口を設置してまいりたいというふうに存じております。いずれにしても誠心誠意対応したいと存じます。
○加納時男君 時間が迫ってまいりましたので、最後に大臣に伺いたいと思います。
 質問事項は、今回の事故により、これまで日本が進めてきた、政府が進めてきたエネルギー政策、原子力政策に変更があるのかどうかという点でございます。
 私の問題意識を先に申し上げますと、今回の事故は、冒頭に申し上げたように、違法な作業によるまことに遺憾な事故である。これを厳しく受けとめて、徹底的な原因分析と責任の追及、そして再発防止対策、これは抜本対策を早急に講じなければならないということで、我々議会にある者として立法の早期化を図りたいと思うわけでございます。このことは厳しい話であります。
 しかし一方、原子力発電や原子燃料サイクルの開発は重要であると私は思っております。今回の事故が起こったからもう原子力はやめちゃおうとか、全くエネルギーの量とか質とか価格とか時間とかというのを抜いちゃって、ほかのエネルギー、自然エネルギーがあるからもう原子力はなくてもいいというのは私は到底合理的な議論とは思いません。
 原子力が現実に日本の電力のベースロードとして電力量全体の三五%以上を占め、この東京あたりで見ますと、ここで使っている電気の約四五%近くは原子力になっているというのが現実の話であります。そしてまた、エネルギーの安全保障、安定供給の面で原子力の果たす役割は少しも変わらない。また、COP3の公約を初め温室効果ガスを削減する上で果たしてきた最大のエースは実は原子力発電なんですね。こういったことも謙虚に見ていかなきゃいけない。
 ですから、一つ悪ければ全部だめというんじゃなくて、悪いものはしっかり分析し追及する。また、悪くなかった人たちもこの悪かったところからいかに教訓を学び取るか。既に、今回直接は関係なかったんですが、原子力発電事業者の呼びかけによって原子力に関係するすべての企業が、原子力の安全文化、セーフティーカルチャーを共有しよう、情報を交換しよう、お互いに友人としてのアドバイス、ピアレビューといいますけれども、これをやっていこうという、そこまで踏み切ったことは、これは直接の原因者ではないけれども、私はこの気持ちは大切にしたいと思っています。
 そういうことで、先週、決算委員会の場で深谷通産大臣に伺ったところ、深谷大臣は、今回の事故は極めてけしからぬということをおっしゃった上で、しかし原子力の重要性は変わらない、プルサーマル、バックエンドを含め着実にこれは推進したいと言われたんですが、きょうは科学技術庁長官、中曽根大臣の御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 先ほども申し上げましたように、今回の事故は本当に起こってはならない、また起こしてはならない大変重大な事故でございます。
 また、原子力行政という面から見ますと、安全確保を大前提に推進をずっと図ってきたわけでありますけれども、今回の事故によりまして、我が国の原子力行政、また原子力事業に対する地元の皆さんはもとより国際的な信頼まで失墜をしてしまったということは大変残念であるわけでございます。
 委員が御指摘のように、原子力の重要性というものは大変に、今我が国のエネルギーの供給面でもうなくてはならないものになっているわけであります。
 今回の事故を大いに私どもも反省いたしまして、先ほどから御議論いただいておりますような再発防止策、すなわち局長からも申し上げましたけれども、情報連絡等がうまくいっていたのか、あるいは自治体との連携がちゃんとできたのか、そういうような点を今回白紙から見直しをいたしまして、御案内と思いますけれども、防災対策の新しい法律の制定も含めまして全面的なこの対策を図っていきたい、そういうふうに思っております。
 資源に非常に乏しい我が国が社会経済の安定的な発展と地球環境の保全を図るためには原子力抜きのエネルギー供給は不可能である、そういうふうに考えておりまして、安全確保を大前提にその開発、利用を進めることが必要だと私も思っております。
 このため、事故原因の徹底究明がまず第一だと思っておりますし、今申し上げましたような再発防止策の確立に着実に取り組んでまいりまして、失われた信頼の回復に最大限の努力をしていきたいと思っております。
 それから、御質問とはちょっと離れますけれども、私ども、地域住民の皆さんの御不安、健康問題あるいは風評による農水産物の被害等、こういう面におきましても大変重大に認識しておりまして、政府全体でこれらについても一日も早く地域の皆さん方が平常な生活に戻れるように努力をしたい、そういうふうに思っております。
 委員の御指導をよろしくお願い申し上げます。
○加納時男君 ありがとうございました。
 私は、今の大臣のお言葉を実践されることを期待しております。
 これで質問を終わります。ありがとうございました。
○渡辺秀央君 冒頭に、各党、各委員の皆さんに、このたびの質問の時間を変更させていただきまして大変恐縮でございました、御礼を申し上げたいと思います。
 なおまた、質問に入ります前に、今ほどもお話がありましたが、この事故による放射線災害を受けられました被曝者の皆さんあるいはまた地域の皆さんに心から私はお見舞いを申し上げ、かつまた、一日も早い正常な健康な生活に戻られるようにお祈りを申し上げ、かつまたそのための万全の政府関係者並びに皆様方の御努力を心からお願い申し上げたいと思っております。
 さらには、中曽根大臣には就任のお祝いを冒頭、最初でありますので申し上げたいと思いますが、本当におめでたいと同時に御苦労さまと申し上げたい気持ちでいっぱいであります。就任早々、科学技術行政のかなめとなっている原子力行政においてこのように極めて重大な欠陥を露呈してしまった今回の事故処理に忙殺され、心の温まる暇もないこととお察しを申し上げます。何とぞ、原子力に対する科学技術行政の信頼回復とさらにその向上のために積極果断に取り組んでいただきますよう御期待を申し上げたいと思う次第であります。
 そこで質問でありますが、時間もございませんので、ちょっとまとめてまいりましたので口早に申し上げます。
 この三、四年の間に、動燃の「もんじゅ」事故を初めとして、東海アスファルト固化処理施設火災爆発事故、敦賀原子力発電所の一次冷却水漏えい事故、使用済み燃料輸送容器のデータ改ざん問題などの事故があるいはまた不祥事がここのところ頻繁に起きて、原子力に対する国民の信頼感を著しく損ねる結果となりつつありますことはまことに遺憾であり残念であります。
 特に、今回の東海村ウラン加工施設事故は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故、米国のスリーマイルアイランド原発事故に次ぐ、我が国として最悪の原子力施設、原発ではありませんけれども、しかし原子力施設事故であって、国民の不信感を増幅させる結果となっている。原子力の平和利用問題に一抹の影を与えてしまったことだけは事実であり、本当に返す返すも私は残念であり、非常に悔いが残るところである。ほんのわずかな数人の不注意がこういう重大な結果を招いたということに対して、私は憤りを隠すことはできません。
 政府においては、事故原因の徹底究明、被曝者の健康管理、災害復旧のための経済支援、再発防止対策など、諸対策を講ぜられているようでありますけれども、調査結果や対応状況を中間報告の形でもいいから逐次国会に報告をしてもらいたいということをまず一点申し上げて、後でお答えをいただきたいと思います。
 と申しますのも、原子力損害賠償法の第十九条では、「政府は、相当規模の原子力損害が生じた場合には、できる限りすみやかに、その損害の状況及び」「政府のとつた措置を国会に報告しなければならない。」という規定があります。いずれにしても報告しなければならないでしょうが、事故の原因、結果が出る最終報告まで待っていたのでは、その間国民も断片的にマスコミ報道だけで事実を知るのでは原子力に対する不信が一層増幅すると私は思います。
 したがいまして、政府として責任の持てる正確な情報を国民の代表から成る国会に報告することによって国民は少しでも不安を払拭することができるのではないかと信じます。大臣の御見解、御所見を承りたいと思うのであります。
○国務大臣(中曽根弘文君) 科学技術庁では、今回の事故によります被害状況の把握や被害者の相談への対応を適切に行いますために、まず、賠償主体たるジェー・シー・オーに責任を持って被害者状況の取りまとめ及び被害者救済に当たらせるべく相談窓口の開設を指導したところでございます。ジェー・シー・オーも早速相談窓口を開きまして、これまでに二千件程度の相談、被害請求が寄せられていると聞いております。
 今、渡辺委員御指摘のとおり、また御説明のとおり、原子力損害賠償法第十九条に基づきまして国会に報告する義務があるわけでありますけれども、科学技術庁といたしましては、今回の事故による原子力損害の全容を把握すべく、現在、関係省庁や日本原子力保険プール等と連携をとりつつ調査を進めているところでございます。調査に区切りがつき次第、政府のとりました措置とあわせてできる限り速やかに国会に御報告をするつもりでございます。
○渡辺秀央君 次に、原子力防災対策について伺います。
 現在、原子力発電所などにおける災害については、災害対策基本法に基づいて国、地方自治体、事業者などが必要な防護対策を実施することになっております。しかしながら、原子力防災については、自然災害とは異なって放射線による被曝は通常五感に感じられません。また、みずからの判断で対処するためには、放射線などに関する概略的な知識を必要といたします。
 したがって、原子力防災については、自然災害とは異なるその特殊性にかんがみて、大臣も先ほども若干述べられましたが、もう一度決意を申し述べていただきたいと思いますけれども、特別立法がどうしても喫緊に必要であるというふうに私は思います。地方自治体からも原子力防災対策実施のための特別の法的措置を講じてほしいとの要望が出されていることは御存じのとおりだと思います。
 時間がないので余り申し上げられませんが、私の出身地新潟県においても、とにかく国内最大の原子力発電所がある、あるいはまた巻原発といいまだまだ未解決の問題もある。地域の人たちというのはいろいろな問題が起こるたびごとに不安になっていくわけであります。
 このような御要望に対して住民の安全、健康、福祉を保持することは地方自治法に基づく地方自治団体の責務ではあるけれども、国がすべて対応してしまっていいのかという議論があることはこれは私もよくわかっておりますが、しかし原子力発電についてはまさに国策として進めてきているわけですから、国がもっと前面に出てしかるべきではないかというふうに私は思います。
 国が前面に出るということは、今回の例でいえば避難や屋内退避、風評による農産物、これはさっきもお話がありましたが、きのうのニュースなどを聞きますと、恐らく農産物だけでも約十億近い風評被害ではないかと現地で言っておられました。そういうものの販売あるいは経済的なあらゆる面の損害、事故を起こした事業者はもとより、国としても無過失責任を負うくらいの気概を持ってもらいたい。私は、国はこれは逃げてはいかぬというふうに思います。
 新聞報道によれば、大臣は原子力防災法の制定の必要性については認識されておられるようですが、改めて御所見を伺って、ある程度、立法作業がどのように進んでいるのか、国会提出のめどがついているのか、次の臨時国会か、通常国会などというようなのんびりした話ではないのではないかというような感じもいたします。その辺の所見を承りたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今回の事故を教訓といたしまして、原子力防災対策の抜本的な強化を図るということがぜひ必要である、そういうふうに私どもも認識をいたしております。委員御案内のとおり、原子力防災に関する新法の制定に向けまして、総理からの直接の御指示もございまして、通商産業省を初めとする関係省庁と協力のもとに今鋭意検討作業を進めているところでございます。
 具体的には、先ほど国が前面に出るべきというお話がありましたけれども、国と地方自治体との連携の強化、あるいは原子力災害の特殊性に応じた国の緊急時の対応体制の強化。例えば、原子力災害におきましてはその被害が住民の皆さんの五感に感じられない等の特殊性があると先ほど放射線のお話がありましたけれども、そういうようなことから、専門的な知識を有する国がやはり前面に出て通常の自然災害以上に積極的に関与をしていく必要があると認識しておりまして、今回の検討すべき重要なポイントの一つと考えております。
 それから、原子力事業者の防災対策上の責務の明確化といいました課題につきまして、今そのあり方を検討しているところでございます。
 いずれにいたしましても、これまで茨城県やそれから今回の東海村等からもいろいろ御意見等を伺っておりますので、これらの御意見とか御要望を十分に踏まえつつ、一層実効性のある原子力防災体制の構築に向けて早急に法案の内容を固めてまいりたいと思っております。次期臨時国会でぜひ提出させていただいて成立できるように、また委員の皆さん方にも御指導、御協力をお願い申し上げる次第でございます。
○渡辺秀央君 ぜひ早急な対応を整えるべきだと。これは政府だけでなく我々立法府の構成員として国民に対する責任であるというふうに思います。
 次に、原子力安全委員会のあり方について伺います。
 今回の事故の調査結果はいまだ出ていませんけれども、新聞報道などによりますと、会社のずさんな安全管理が極めて重大な事故を引き起こしたという見方が一般的でありますが、まさに人為事故だということだと思うんです。
 その責任の徹底的な所在究明が会社側に課せられているということであると思いますけれども、私は会社の責任もさることながら、後ほども若干参考人に意見を聞きますが、我が国原子力安全行政のかなめとも言える原子力安全委員会や科学技術庁にもこの問題がなかったとは言えない。科学技術庁の中にこういった問題点に取り組む姿勢が一つは問題があったんじゃないのか。科学技術庁にもかなりのいろんな問題点がある。それは、長年こんな違法行為をやっていることを見逃してきたということは、既に科学技術庁の、現場の問題だけじゃなくて行政の責任者の問題であると私は思います。
 現在の原子力安全委員会ができた経緯を見ると、昭和四十九年に起きた原子力船「むつ」の放射線漏れの事故を契機として原子力行政懇談会の意見書が出されて、そして原子力基本法が改正され、その結果設置された組織であるということは私もよく承知はいたしております。
 原子力安全委員会を三条機関である行政委員会とするか八条機関である審議会とするか、いろんな議論があったんです。現在の原子力安全委員会は原子力基本法第四条及び原子力委員会及び原子力安全委員会設置法に基づき設置されていますが、その任務は「原子力の研究、開発及び利用に関する事項のうち、安全の確保に関する事項について企画し、審議し、及び決定する。」ということになっているんですね。
 ただ、同じ審議会でも、一般の審議会とは八条といいながらも若干違うわけです。調査審議する機関ではないようではありますけれども、若干独立性は保っている。しかし、設置法の第二十三条では、内閣総理大臣は原子力安全委員会の決定について報告を受けたとき、これを十分に尊重しなければならないとされていますが、尊重しなければならないとされているだけであって、義務というのは課せられていない。また、公正取引委員会のように職権行使の独立性が保障されているわけでもないわけです。
 しかも、原子力安全委員会の委員は五人、そのもとに置かれている安全審査会や各部会の委員は約四百人程度にすぎません。約三千人以上の職員を抱えている米国原子力規制委員会のように独立した組織と比較すると、まことに心もとない感じがいたします。
 今回の事故が起きたからというだけじゃありませんよ。今回の事故を顧みると、私は、国民の信頼にこたえられる原子力安全規制行政を果たしていくために、これまでの八条機関でよかったのかを含め原子力安全委員会のあり方について再検討する必要があるのではないかという感じすらいたしておるのでありまして、もし御意見があれば承っておきたいというふうに思います。
 さらに、新聞報道を見ておりますと、マスコミに対する発表は科学技術庁の責任者でなくて原子力安全委員会委員長が行ってまいりましたね。だから私はこの質問をするわけなんです。原子力安全委員会は審議機関であるのに三条機関のような対応をするのはおかしいのではないか。原子力安全局長は、前面に出て記者会見なり、あるいは科学行政の責任ある行政者として、これはもう解除するとか、あるいはその範囲はこういうことでやるべきであるとか、なぜやらなかったのか。まことにもって中途半端な対応であった。
 臨界状態の終息宣言は佐藤原子力安全委員会委員長が行った。国民の生命にも影響する重大な事項の発表は内閣のしかるべき責任者が行うべきではないでしょうか。例えば、あなたがやらなかったら、局長がやらなかったら、対策本部というのを設けられたんだから、そこでやるべきではないか。いわゆる危機管理の問題等もあります。せめて科学技術庁の次官あるいは原子力安全局長が国民の前面に出てきて、日本の科学技術行政の信頼回復のために行政の責任者としての責務を果たしていく必要があったのではないかということを私は指摘して、御意見があれば簡単に承って、時間がないですから。
○説明員(間宮馨君) まず前半部分でございますが、NRCとの比較の議論でございます。
 我々といたしましては、日本において行われております行政庁と安全委員会におけるダブルチェック体制、これはこれとして十分機能すると思っておりまして、ただいわゆる行政庁の各部門につきましては今後さらに強力な強化が必要ではないかと思っております。
 後段の部分でございますが、こういう災害への対処ということに関しましては、行政、専門家、事業体が一体となって対応することが重要であると思っておりまして、今回は政府の方では本部を設け、現地にも本部を設けて、いわば現地の方をかなり主体的に動けるようにいわゆるオフサイトセンター化をするということで、ここは政府が主導的に動いたわけでございます。
 ただ、専門的な事項に関しましてやはり権威のある助言組織あるいは安全委員会の意見を聞くということは不可欠でございまして、先ほど申されました臨界状態の終息の判定につきましては、すぐれて専門的な事項でございまして、日本国民の心情といたしましても原子力安全委員会のトップがそういう判定をするということが最も説得力のある伝達の方法であったのではないかということでございます。
 政府といたしましては、今回の事故に対しまして最大限対応してきたつもりでございまして、長官が本部長の事故対策本部、さらには総理を本部長とした政府対策本部において関係省庁挙げて対応したという意識でございます。科学技術庁といたしましては、この総理本部長の政府対策本部の決定を踏まえまして、今後とも原因究明、再発防止対策の確立に主体的に努めてまいる所存でございます。
○渡辺秀央君 それは言いわけですよ。やっぱり科学技術庁として前面に出て、そのために科学技術庁というのがあるのであって、それはもう全く私はおかしいと思う。主客転倒だと思う。こういうときにこそ科学技術庁の存在あるいは責任というものを国民に明らかにしながら、責任を持って、安全委員会が権威であるのか何か助言組織が権威であるのか、これはまるでわからない。そんな安全委員会の構成がありますか。助言者の意見を聞いてから安全委員会を開くとか、そんなのだったら安全委員会じゃなくて助言者の組織だけでいいじゃないですかということになるんです。
 だから私は、そういう二重構造、三重構造というのは日本の国の行政機関としては今までやってきたことだ、しかし危機管理のときにはそれは一遍で行政の責任者として国民に対する信頼あるいは安心感を与える措置というのが行われてしかるべきだと。そういう意味においては、何か安全委員会の委員長が内閣総理大臣よりもあるいはまた科学技術庁全体よりもっと権威があるみたいな今の話じゃ、それはだめ、納得できません。きょうはしようがないですから、これで終わります。
 放射線、放射能防護のための対応について次に伺います。
 さきの国会で成立した原子炉等規制法の審議のときに、これは五月二十七日だったと思うんですが、私は、放射能が漏れた場合、放射線防護服は地元の警察や消防署に常備されていますかという質問をこの場でいたしました。これに対して当時の稲川資源エネルギー庁長官は、発電所にある程度の防護服を備蓄しておりますという答弁だったと思います。そこで私は、発電所ではなくて、警察、地元の消防、発電所立地市町村などにも置く必要があるのではないかという趣旨を、柏崎原発のことを頭に置いて、ここで申し上げた記憶がございます。
 新聞報道によりますと、今回の事故の避難場所となっていた舟石川コミュニティセンターですか、原子力事故用の防護服は全く備えられていなかった。また、自衛隊もガンマ線や中性子線を遮断する防護服は備えられていなかったようであります。中性子線防護というのはなかなかちょっと思いつかなかったみたいですけれども、そこもちょっとうかつな話でして、これだけ科学が発達してこれだけの原子力エネルギーをやろうとしているのに、まことにそれはお粗末な話だとは思う。こうしたことから、警察庁ではおくればせながらガンマ線、中性子線に対応可能な防護服の研究開発に取り組み始めたようでありますが、私が申し上げた点を直ちに実行していればもっと迅速な対応ができたのではないか、これはちょっと手前みそですけれども、そう思います。
 また、今回の事故では、放射能の危険性があるために現場の事故処理ははかどらなかったわけですが、中性子などの強い放射線環境下でも稼働できるロボットの研究開発はされているのでしょうか、これは工業技術院関係のことも含めて。原子力プラント内の保守点検作業については、工技院の電子技術総合研究所が平成十一年度の予算で約五千万円計上している。これは原子力ロボットの研究開発ということで、いわゆる事故防護のためのということではないようでありますけれども、しかしそういうものの応用を考えたらどうか。原子力発電施設でなく、今回のような核燃料施設における事故処理のためのロボット開発についてはどのように考えておられますでしょうか。ちょっと時間がありませんが一言だけお聞きをして、あと参考人にせっかくですから一言申し上げたいと思います。簡単でいいですから。
○説明員(梶村皓二君) 工業技術院の国立研究機関におきましては、原子力の安全性、信頼性の向上を図っていくという観点から、ロボットを用いた原子力施設の点検技術、そして原子力施設内での作業技術の確立に向けた研究開発に取り組んでいるところでございます。具体的には、国立研究所の持っております高度なセンサー技術、情報処理技術、機械技術といったものを融合、応用していくことによりまして、原子力施設における異常の早期発見、異常に応じた点検の的確な実施を可能にするようなロボットの開発のための基礎的な研究を実施してまいっております。
 こうした研究開発を通じまして、国立試験研究機関の有する技術が原子力の安全性、信頼性の向上につながるように、今後とも強力に推進してまいる所存でございます。
○渡辺秀央君 ごくわずかな時間しか残っておりませんので、残念なるかな一つの質問は省きます。それは、実はこの事故によって、エネ庁長官に来てもらっておりますが、いわゆる沸騰水型原子炉が日本でできなくなってしまう、海外に全部依存するということになりはしないのか。そうなると、日本の原子力政策、いわゆる国策としてやってきたことの一角が崩れるおそれがあるということについて懸念をいたしております。いずれのときでもいいですから、一回お聞かせをいただきたいと思います。
 参考人に質問をいたしますが、極めて重大な事故を起こしたと先ほど反省の弁はありましたけれども、反省するんだったら猿でも反省するのであって、反省では追っつかない。本当に私はあなたの言葉に尽くせないぐらいのことだろうとは察するけれども、しかし大変なミスをしてくださったなという感じですよ。私もこの原子力政策を進めてきた、極めて強力に推進してきた一人としてこの憤りは隠すことはできません。私は、そういう意味において御社が行ってきたことに対してはもっと糾弾をしたいところでありますが、残念なるかな時間がありませんので。
 ただどうもこれは、まあこう言ってはおかしいけれども、裏マニュアルみたいなものをつくって短縮工程をとったというのはコスト問題にあるというような記事が一部に出ておりましたね。だから私は、今実はここで同僚議員と話をしておったのですが、原子力発電所で起こった問題ではない。原料、燃料、発電所というこの三段階における問題点の中で、あなたたちの役割というのは、確かに原子力行政の中での一分野なんです。だからそれを使用する発電所、いわゆる電力、そういうところにもこれは究極に行くなら問題がある。あるいは我々政治家自身、原子力の平和利用を進めてきて核エネルギーを推進してきた私たち政治家にも責任はあると思う、私は。そういうきめ細かな行政について指摘をしてこなかった、原子力発電所というものだけにとらわれてきたということは間違いない事実なんです。そういう意味においてはこれは電力においても問題はなしとは言えない。
 そういう意味で私は、あなたたちはコストを落とすためにこういう手間を省いたのかどうなのか、それをはっきりとこの場で証言をしてほしいと思います。
○参考人(木谷宏治君) お答えいたします。
 コストダウンのことについてまず全般的なお答えをしたいと思いますが、今日、産業界で激烈な競争は一般的でございまして、これは共通の問題であると思っています。数年前から海外との競争が激化しましたので、それに対抗するために生産体制を最適生産体制に変えました。そのために人も減らしましたけれども、安全を軽視するだとか労働強化だとか、そういうことは行っていないというふうに信じております。
○渡辺秀央君 コストはどうですか、コスト。答えていない。
○参考人(越島建三君) 今御指摘の工程を省いた理由という観点からお答えいたしますが、今回の操作につきましては、入れることになっておりました貯塔に入れないで沈殿槽に入れた。これは、最終的に溶液を混合攪拌する時間を短縮したかったという作業者の証言が報道等によって出ておりますけれども、私どもとしては、安全上あるいは品質管理上に必要な手続を省いてまで工程の効率化を進めなさいというような指示は一切しておりませんし、そういう観点でのコストダウンは考えてまいりませんでした。
○渡辺秀央君 まだまだ質問し足りませんが、あとは同僚議員にこの後ぜひひとつ詰めていただくことをお願いして、ちょっと時間を超過したことをおわびしながら、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(成瀬守重君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。
   午前十一時四十五分休憩
     ─────・─────
   午後零時四十分開会
○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のうち、東海村核燃料加工施設事故に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 きょうは、核燃料物質加工施設で発生いたしました臨界事故について質問させていただきます。
 今回の事故は、従業員三名の方の被曝に始まり、確認された方で六十九名、そして本当に決死の覚悟で冷却水抜きの作業をされた二十四名が被曝をされ、また近隣、茨城県民、そして日本国すべての国民が大変恐怖と不安の毎日を送ったという点で大変遺憾に思っているとともに、被曝をされた皆さん、近隣住民の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 私は、率直に今思うのは、半径十キロ圏内に屋内退避の指令を出されて屋内退避があった、しかしそのときに実は茨城県民の皆さんの非常に良識的な適切な判断があったんだと思うんです。例えばだれか一人でも、こんなところにいるのは危ないんじゃないかというふうな思いがあって、おい、ここからすぐ抜け出そうやということで、車に乗ってだれかが移動し出した途端に、みんなが我も我もといって家の外に出ていって、それで予期せぬ被曝に遭ってしまったり、交通の麻痺があったり、そういう二次的、三次的なパニックも十分この事故は想定ができたはずだというふうに思っています。
 そこは私の感覚で言いますと、政府の初動がおくれたり、茨城県民、東海村の皆さんに情報の伝達不正確だったこととか、そういった政府の足らざるところを逆に言うと茨城県民の皆さんの本当に良識で補完をしていただいた。それで二次的、三次的な災害にならなくて余計なパニックが起こらなかったことというのは、逆に言うと我々、政府も含めて、政治を預かる者としては本当に茨城県民の皆さんに感謝をしなければいけないのではないかというのを私はまず冒頭申し上げたいというふうに思います。
 そういった点から考えまして、政府はこれまでどんなことを言ってきたかといいますと、絶対に起こってはならない事故が起こったとか、安全を最優先に進めていくなどという発言を本当に我々は耳にたこができるぐらい聞いています。そして、官房長官に関しては、もう我々が予期せぬ事故だったのだというような、予期しない事故であった、率直に言ってこれに対応するマニュアル、措置などが十分でなかったことを改めて知らされたというような話をされているわけです。この姿勢自身が私は大変問題だと思いますし、予想外だったので対応がおくれたとか、初めてだったから時間がかかったという、これはまさに阪神大震災のときもそういう発言に終始したわけです。そのときの教訓が一体どこにあるのか。
 私は、この問題というのは、先ほど自民党の加納委員からもありましたように、たくさんの問題がかかわっていると思います。未然防止の問題、初動対応のおくれの問題、住民の安全確保、そして今後の補償の問題、それから先ほど長官も言われました原子力災害防止法の新たなる制定の問題。本当にいろんな問題をはらんでいると思いますので、到底きょう一日の審議ではおぼつかない話なので、私は少し安全審査、未然に防げなかったのかという点にきょうは的を絞ってお伺いしたいと思います。きのうの衆議院の質問とも多少重なるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 まず最初に、少し観点が変わるんですが、三十日、資源エネルギー庁長官がある発言をしています。今回、施設から半径十キロ圏内の住民の方々に対する屋内退避が解除されたのが十月一日午後四時半です。そして、半径三百五十メートル以内の住民の方々に対する避難勧告が解除されたのが二日の六時半でございます。事故発生から二日以上たっているわけです。それまで住民の方は見えない不安におびえながら本当に不自由な生活を強いられていた。
 ところが、事故当日の三十日の深夜でございます。実質は一日の未明だったと思いますが、資源エネルギー庁長官が記者会見でどのようなことを話されたか、お答えをいただけますか。
○説明員(河野博文君) 九月三十日、これは図らずも深夜でございましたけれども、御案内のとおり、この事故に関します一次情報は科学技術庁で累次にわたって公表してこられたわけでございます。しかしながら、通産省においでの記者の皆さん方もこの問題には当然のことながら非常に重大な関心を持っておられる。そこで、この深夜になりましても多くの記者の方がおられた状況にありました。
 そこで、私どもは、特にこの事故に関しての一次情報は科学技術庁の方で御発表であるということも申し上げ、しかし私どもとしてこの問題については全面的に協力をさせていただきたいと思っておりましたし、また原子力発電所の立地市町村などにできるだけ的確な情報を流したいということで私どもなりの対応策をしておりましたので、それを御紹介するという目的で説明の場を設けさせていただきました。
 具体的に申し上げましたのは、この事故に対します最大限の協力、あるいは原子力関係者への情報提供をさせていただくために資源エネルギー庁内に東海村核燃料施設事故協力・情報センターを設置したということ、それから当省から現地の対策本部に職員を数名派遣したということ、それから地元にあります日本原子力発電、これは発電所でございますけれども、そこに最大限の協力をしてほしい旨お願いをしたということ、そして電気事業連合会に対しても、いずれいろいろな協力をお願いするであろうから準備をお願いしますということを要請したことなどについてまず御説明をしたわけでございます。
 御指摘の点は、原子力発電に関する方針について御質問がありましたので、原因の徹底究明、対策に全力を尽くすということを申し上げた上で、日本の置かれている立場にかんがみまして、原子力の重要性については変わらないという趣旨のお答えを質疑応答の中でさせていただきました。それが全体像でございます。
○福山哲郎君 私は、資源エネルギー庁長官も大変厳しい状況の中での記者会見だったということはお察し申し上げます。しかし、「世界的な地球環境問題への対応という大きな課題が日本にはある一方で、日本経済を支えるという問題もあり、この連立方程式を解いていくためには、原発の重要性は変わらない。」、その後段です、「先程申し上げたとおり、日本の置かれている立場、原子力の重要性を鑑みて、私どもの認識は変えていないということ。」ということを述べられているわけです。
 私は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設のときにも申し上げましたけれども、原発が必要ないとか原発をやめろとか、そういう感情的な議論をする気は毛頭ありません。しかし、このときにはひょっとするとまだ臨界が続いているかもしれない、そして住民の皆さんはまだ屋内退避と避難をしている。この状況のときに資源エネルギー庁長官が原発についての方針は変わらないというようなことを、臨界が終息していない状況のときにこういう発言をされれば国民は何を感じるかというと、事故が起きようが放射能が漏れようが国は方針は変えないんだなということをやっぱり感じるわけです。そこが原子力行政に対する国民の不信感のもとなんです。
 先ほどの午前中の答弁でも、中曽根長官がそのことを何回も言われました。私はそれを聞いて、そうではない、それよりもやることがあるだろうと。原因の徹底究明をし、そしてなぜこんな状況が起こったのかを国民に明らかにし、それから初めて原子力を見直すのかとか原子力をこれまでどおり推進するのかということを、それこそ国民挙げてもう一度議論をしていこうということが私は政府としての当然あるべき姿勢であろうし、立場だというふうに思います。
 先ほど私が申し上げましたように、茨城県民の皆さんの大変良識的な判断で二次的、三次的な災害が防げたという中で、まだ臨界が続いている中でこういうことを発せられる根拠が一体どこにあるのか。事故中なんですよ、まだ。どこに根拠を持って方針が変わらないということが言えるのか。私は少し感覚的な問題として疑問に思うんですが、エネルギー庁長官、いかがですか。
○説明員(河野博文君) 私といたしましては、先ほど申し上げたような趣旨で記者の皆様方に、当時私として差し上げられる情報を説明させていただくことが趣旨でお目にかかったわけでございますけれども、そういう質疑の中でそういうやりとりになりました。
 ただ、申し上げさせていただきますのは、あわせて原因の徹底究明、そして対策に全力を尽くすということもあわせて申し上げさせていただいているのでございます。
○福山哲郎君 歴代の科学技術庁長官も資源エネルギー庁長官も国民の理解を得つつと、この間の中間貯蔵施設のときも、これからその候補地を探していくのに情報を開示して原子力行政として本当に積極的に国民と対話を進めていくんだという言葉が、やっぱりこういう発言があると絵そらごとに聞こえるわけです。逆に言うと、国民にとって原子力行政に対する不信感を高めるという意味で、私はマイナスの効果もあるのではないかと思うぐらい二言目にはこういう発言が出る。これ、中曽根長官、今のお話でいかがお考えですか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 委員のただいまの御指摘は、私は大変大切なことだ、そういうふうに思っております。
 原子力事業また原子力行政は昭和二十年代の後半から進められてきたわけでありますが、今日に至りますまでには、もちろん地域の皆さん方の本当に温かい御理解、それから関係者の皆さんの大変な御努力の積み重ねでここまでやってきたわけでありますが、最近のいろいろな問題を初めとして今回の事故は、そういう意味でそういう方々の期待を、信頼を裏切るという意味において大変残念にも思っておりますし、私の立場でも責任を感じているところでございます。
 たびたび申し上げておりますけれども、今一番大切なことは、事故原因の徹底究明、再発防止策、それから住民の皆さんの御不安を取り除く、大きく分けますとこの三点だと思っております。これらが整備された上で、改めて国民の皆さんにこういう手当てをしました、今度は絶対大丈夫ですと。今までもそういう言い方をしてきたかもしれませんけれども、そういうような整備を行った上でもう一回一から、白紙から国民の皆さんの御理解をいただくように努力すべきだ、私はそういうふうに思っておりまして、午前中の発言で原子力の重要性を申し上げましたけれども、気持ちはそういう形で再出発だ、そういう気持ちであることをここで述べさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 かなり踏み込んだ御発言をいただいて、ありがとうございます。
 本当に国民はそういう言葉を待っているんだと思いますし、そうでないと、本当に東海村という原子力行政に非常に理解を示した村民の皆さんに対して逆に私は失礼だというふうに思いますので、今後もぜひそういう立場を長官にはお願いしたいというふうに思います。
 では、具体的なお話に進みたいと思います。
 今回事故があったウランという物質は、もうきょう皆さん御案内ですので繰り返し述べませんが、一歩間違えれば、一つ間違えれば大きな事故を引き起こしてしまうという大変危険な物質なわけです。それに対して核燃料施設安全審査基本指針というもので許可をされたということを伺っていますが、もう一度確認のために伺います。
 今回の転換試験棟に対しての変更申請に関しては、この核燃料施設安全審査基本指針をもとに許可をされたわけですね。
○説明員(間宮馨君) そのとおりでございます。
○福山哲郎君 そうすると、一つ疑問が出てきます。
 この核燃料施設安全審査基本指針というところの最後に、「なお、本基本指針に基づき、各種核燃料施設について、その特質に応じた個別の安全審査指針を整備するものとする。」というふうにあるんですが、今回のウラン加工施設、特に転換試験棟についての個別安全指針はなかったわけですね。
○説明員(間宮馨君) 五%以上のものに対しての個別指針はございませんでした。
○福山哲郎君 おかしいじゃないですか。何でつくらなかったんですか。だって、もともと議論になっていますウラン加工施設安全審査指針、これは五%以下のものですね。この五%以下のものについては安全指針ができている。何で五%以上のものについては安全指針をつくらなかったんですか。何で五%で区切られているか。その二点について明確に述べてください。
○説明員(間宮馨君) 五%以下の濃縮ウランを取り扱う加工施設につきましては、施設数が多いということと臨界事故が起こる可能性が極めて低いという特徴を反映させまして、特にウラン加工施設安全審査指針を取りまとめているものでございます。
 一方、五%以上の濃縮ウランの加工施設に対しましては、先ほど申し上げましたように、核燃料施設安全審査基本指針が適用されるということでございます。これは、五%以上の濃縮ウランを取り扱う加工施設は五%以下のものと比べまして臨界事故が起こるおそれが高いということと、施設自体の数が少ないということから基本指針を直接適用することとしているものでございます。
○福山哲郎君 数が多いから安全指針をつくった、数が少ないから安全指針はつくらなかった。わかりました。
 じゃ、もう一つ伺います。
 再処理施設は幾つありますか。
○説明員(間宮馨君) 現在、東海村と六ケ所、六ケ所の分はまだ建設途上でございますが、完成したものは一つでございます。
○福山哲郎君 再処理施設に対する安全指針はできていますか、いませんか。
○説明員(間宮馨君) それはございます。
○福山哲郎君 ちょっと待ってください。今、一カ所でしょう、再処理施設は。再処理施設は一カ所とおっしゃって、安全指針はできていたわけでしょう。ウラン加工施設の五%未満についてはたくさんあるからつくりましたと。五%以上で再処理施設ではない今回のジェー・シー・オーのようなものに関しては、数が少ないからつくらなかった。再処理施設一カ所だけどできているじゃないですか。何でつくらなかったんですか。
○説明員(間宮馨君) 先ほどの区別は、五%以上、以下ということで申し上げました。再処理施設につきましては非常に全体システムが複雑でございまして、そういう特殊性も加味して特別につくられたものでございます。
○福山哲郎君 それは納得できないですね。
 同じウランという大変危険度の高いものを使っていて、そして五%以下という危険が少ないものは数が多いからつくりました、五%以上は危険度は高いが数が少ないからつくりませんでした、それよりも上の再処理のものについては一カ所だけど数が少ないけれどもつくりました。これはどう考えても私は論理矛盾だと思うんですが、いかがですか。
○説明員(間宮馨君) 今申し上げましたように、指針を直接適用して審査をしても、いわばその審査が妥当に行われるあるいは円滑に行われるというところに関しまして指針をどのように整備していくかという観点があるわけでございまして、加工施設の場合と再処理施設の場合はその対象となるシステムの複雑性というところに着目をして、ある方は指針なしで直接基本指針の方から審査ができる、もう一つの方はやはりそのための指針をつくっておくべきであるという議論でそこが分かれたというふうに認識しております。
○福山哲郎君 今のも納得できないですね。
 再処理は複雑だ、加工施設は複雑でないからつくっていないと。でも、五%以下はつくっているわけですね。これはどう考えても論理矛盾だと思うんです。
 もう一つ追加してお伺いをすれば、原子力安全委員会の勧告等については、政府は、基本的には科学技術庁はできる限り尊重しなければいけない尊重義務がございますね。いかがですか。
○説明員(間宮馨君) そのように理解しております。
○福山哲郎君 そうすると、これは安全委員会の委員長にお伺いしたいんです。
 安全委員会から出ている核燃料施設安全審査基本指針に「本基本指針に基づき、各種核燃料施設について、その特質に応じた個別の安全審査指針を整備するものとする。」と書いてあるわけです。これに沿って再処理施設の安全審査指針とウラン加工施設の安全審査指針はできているわけです。五%以上のもの、今回のジェー・シー・オーのものに関してだけはできていなかったわけです。
 これは、尊重義務があるものに対して、安全委員会の委員長としてどのように見解をお持ちですか。
○説明員(佐藤一男君) まさに御指摘のとおり、五%以上のものについてのそういう特定の指針というのは用意されておりませんでした。ただし、基本指針の要求事項を見ますと、少なくともそこに書かれている限りでは、この五%以上の施設についても十分適用可能である、それでカバーしているという形に形の上ではなっていたわけでございます。
 ただ、今回のこのような事故が起こりますと、本当にそれで十分だったのかという疑問は生ずるわけでございまして、この点につきましては政府の対策本部会議の決定も受けまして、この事故調査委員会というものを今つくっておりまして、そこで十分この点についても御審議いただき、ひとつ遠慮のない御指摘をいただきたいというふうに考えているところでございます。
○福山哲郎君 安全委員会の委員長におかれましては大変御苦労されていると思いますが、先の話は結構でございます。過去につくらなかったことに対してどうお考えか。安全委員会の勧告に対して、こういう基本指針をつくれというものに対して、では科学技術庁は安全委員会から出てきたものに対して自分の恣意でつくったりつくらなかったりできるわけですか、自分の判断で。
○説明員(佐藤一男君) その審査指針と申しますものは安全委員会の指針でございます。これは、科学技術庁、行政庁がつくるものではございません。したがいまして、それを用意していなかったのは不行き届きではないかという御指摘は、これは安全委員会が承ることでございます。それについてのこれまでの考え方、今後の考え方等についてはただいま申し上げたとおりでございます。
○福山哲郎君 そうすると、今回はこちらの核燃料施設の安全指針でもう一回許可を出したということを確認した上でお伺いします。
 なぜ臨界事故に対する考慮が必要ないと判断されたのか、お答えください。
○説明員(間宮馨君) お答え申し上げます。
 臨界安全性にかかわる安全審査に当たりましては、核燃料施設安全審査基本指針に基づきまして、単一ユニット、貯塔、仮焼炉、還元炉等及び複数ユニット、こういう単一ユニットの相互間の関係に対しまして誤操作を含む臨界安全対策を講ずるとともに、加水分解から沈殿までの一連の工程をワンバッチ、いわゆるウラン濃縮度一八・八%で申しますと二・四キログラムウランで管理することを確認いたしております。
 これらのことから臨界事故の発生するおそれはないと確認をいたしておりまして、臨界事故に対する考慮を要しないという判断が行われたものでございます。
○福山哲郎君 済みません、そこなんですが、実はワンバッチ以上入れないということで問題の沈殿槽が安全確認をされたという議論、沈殿槽のあり方自身の議論はあるんです。だって現実には五十何キロ入ったわけでしょう。ワンバッチ以上入れないといったって現実には入ったわけですから、それは形状的に全くもって安全管理できていなかったわけですよ。質量管理だけだったわけでしょう。その質量管理もワンバッチ以下でやると。ここにありますよ、ジェー・シー・オーが出されている核燃料物質加工事業の変更の申請書にそう書いてあります。だけれども、現実には形状では全然安全管理ができなかった。できないだけの量が入るものだったわけじゃないですか。
 この議論はもちろんあるんですが、私が細かく言いたいのは、単一ユニットと複数ユニットの臨界管理があれば臨界事故を想定する必要はないと一体どこに書いてあるんですか。一体、核燃料施設安全審査基本指針のどこに書いてあるんですか。
○説明員(間宮馨君) 審査におきまして、今申し上げたようなことから、臨界事故の発生するおそれはないということを結論したものでございまして、その結論に基づきまして、先ほど申し上げましたような臨界発生時の措置は必要がないということになっているものでございます。
○福山哲郎君 これは大変問題なんですけれども、いわゆる五%以下のウラン加工施設の安全審査指針に対しては、十、十一、先ほど局長が言われました単一ユニットの臨界安全、指針十一の複数ユニットの臨界安全、そして指針十二の臨界事故に対する考慮、ここでウラン加工施設の指針には、「ウラン加工施設においては、指針十及び指針十一を満足するかぎり、臨界事故に対する考慮は要しない。」、五%以下のウラン加工施設に関しては十、十一があれば十二は考慮しなくていいと書いてあるわけです。さっきからはっきりおっしゃっているように、核燃料施設安全審査基本指針、今回許可を出したこれには十、十一があれば十二は考慮しなくていいなんて一言も書いてないじゃないですか。
 つまり、我々が類推するには、これに関してはウラン加工施設の安全指針を準用して臨界を想定しなかったとしか考えられないわけですよ。そうすると、はっきり言って、先ほど冒頭申し上げたように、五%以下は指針をつくった、再処理施設は指針をつくった、今回のジェー・シー・オーは指針がなかった、ある意味で言うとダブルスタンダードだったわけです。片方では臨界を想定しないというウラン加工施設指針を利用して、片方ではこちらの核燃料施設の安全指針を利用したというふうな話と感じられるんですが、それはいかがですか。
○説明員(間宮馨君) 一部の例えば耐震設計であるとか、そこら辺についてウラン指針をいわば準用したケースはございますが、全体としては基本指針の中で審査が行われております。
 基本指針の方はいわば上のレベルの指針でございますので、その中で先ほど申されましたような五%未満のような形についての判断があったとしても、それはいわば包含されている世界でございますので、矛盾にはならないということでございます。
○福山哲郎君 今、大変重要なことを言われたんですよ。一部分はウラン施設のを準用した、でもこのウラン施設じゃない方に関しては包含しているからいいと。包含しているんだったら、当然包含している方が優先じゃないですか。
 では、そのウラン加工施設の安全指針のうちの一番重要な臨界事故に対する考慮を省いていいというところだけ準用したんですか。こんなばかげた話がありますか。一番重要な危険についてだけこの指針をもってやって、あとに関してはやらなかったなんて、そんなばかな話はないでしょう、局長。
○説明員(間宮馨君) 正確に申し上げますと、本指針とウラン指針というのは当然ございますが、本指針が本件に関しては適用されたものであるわけです。しかしながら、幾つかの部分につきましては、このウラン指針はウラン指針でいろんな議論をしているわけですから、いわば本指針の世界でも使える部分があるわけでございます。
 それは、本指針に照らして使ってもいいと思われるところだけを抜いて使っているものでございまして、個別具体的に申し上げますと、平常時の条件であるとか、閉じ込めの機能であるとか、放射線被曝管理であるとか、地震に対する考慮、ここら辺についてはウラン指針の方は当然個別具体的でございますし、かつ本指針に照らしても十分使えるということで、その部分だけは準用してございますが、いわゆる単一ユニットの臨界管理、複数ユニットの臨界管理、臨界事故に対する考慮の部分については一切使っておりません。
 そういう峻別をして、いわば全体として最も審査が厳密になされるようにやられたものでございます。
○福山哲郎君 今のも大変重要なことを言っているんですよ。部分的にはウラン加工のものも使ったと言っているわけですね。今もおっしゃっているわけです。それは逆に言うと、指針というのはあくまでもきちっとそれに適合して安全を確保するためにできているものを、科学技術庁が恣意的に自分の判断で、これはウランでも適用できる、こっちは核燃料施設でも適用できると判断して、総合的に見てこれでいいでしょうといって臨界を考慮に入れなかったとしたら、これは大問題じゃないですか。五%以上の指針はできていない、さらには状況によっては、片方だけはウラン加工施設の指針を準用して、片方では核燃料指針を準用してという話では、これは大問題でしょう。
○説明員(間宮馨君) 混乱を避けるために今厳密に申し上げたわけでございまして、基本指針を適用したというのがまず第一でございます。基本指針を適用する中で、部分的に共通なものも当然あるわけでございまして、その厳密さを失わない中での共通な部分につきまして参考としたというものでございまして、参考にとどまっておりますので、いわゆる本指針を適用したということに関してはいささかも崩れはございません。
○福山哲郎君 でも、この核燃料施設安全審査基本指針には、十と十一を満足すれば指針十二は考慮を要しないなんて一言も書いてないじゃないですか。一言も書いてないじゃないですか。こっちは書いてありますよ。十、十一を満たせば臨界に関しては考慮は要しないと書いてあります。今、はっきりおっしゃいましたよね、本指針だと。本指針には一言も臨界の想定を省いていいなんて書いてないじゃないですか。
○説明員(間宮馨君) いわゆる基本指針の方は、ウランの指針に比べまして、まさにまだレベルが高いということでございますので、具体性においては少し欠けるところがあるわけでございます。
 この基本指針に照らしての審査の特徴といたしましては、極めて個別具体的、余りパターン化されていないような形での審査が行われるわけでございまして、その中の個別判断としていわゆる臨界事故の発生するおそれがないというようなことが結論されたものでございます。
○福山哲郎君 おかしいじゃないですか。具体性がないんでしょう、基本指針には。それで、具体性がないのに五%以上のものは勝手に五%以下のものの指針で判断したんでしょう。おかしいじゃないですか。でも、これを言っていると切りがないので、もうあれなんですけれども。
 そうすると、さらにこの総理府令の問題が出てくるわけです。きのうも衆議院でさんざん議論になりましたが、五%以上、臨界質量以上のウランに関しては、「臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。」という総理府令の第三条の二項に違反しているのではないかという議論に対して、局長は、警報装置がついているから、それを考慮に入れたんだという御答弁をされていますが、それは正しいですね。
○説明員(間宮馨君) そのとおりでございます。
○福山哲郎君 私、ここに申請書を持っているんですよ、変更の申請書。これ、ガンマ線エリアモニターというのがあるんです。これが先ほどから越島参考人が言われている警報器なんです。これは決して臨界警報装置ではありませんよね。
○説明員(間宮馨君) 午前中も申し上げましたが、臨界が生じた場合、非常に強いガンマ線が出るということでございますので、臨界が生じれば確実にキャッチできると認識しております。
○福山哲郎君 キャッチはできます。警報も鳴ります。しかし、臨界を察知する、臨界かどうかを判断する警報装置ではありませんよね。だって、さっき越島参考人が言われていたじゃないですか、臨界かどうかはわからなかったので、確信は持てないが判断した。アラームは鳴った。しかし、それはガンマ線のエリアモニターが反応しただけで、別に臨界を知らせるアラームが鳴ったわけではないわけです。
 もっとはっきり申し上げますと、この施設では、第一加工棟にも第二加工棟にも同じガンマ線エリアモニターはついているわけです。臨界を知らせる警報器ではないわけです。つまり、きのう衆議院で局長が答弁をされている、臨界の警報装置、あなたは臨界という言葉をあえて言わないで、警報装置、警報装置と言われていましたけれども、この総理府令の「臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置」の両方ともこの転換試験棟は満たしていないということですよね。
○説明員(間宮馨君) 再度申し上げますが、臨界状態になりますと、核燃料の核分裂による中性子線及び核分裂によって生成される核分裂生成物からの強いガンマ線が放出されます。すなわち、臨界事故の際には、中性子線あるいはガンマ線を検出器が検知してエリアモニターが吹鳴するということで臨界状態を知らせる仕組みとなっております。
 したがいまして、もちろんその中性子モニターが不要と言っているわけでは決してございませんで、今回の事例にかんがみますと、中性子モニターも併設をしなければいけないと思っておりますが、ガンマ線によって確実に臨界がキャッチできるということはそのとおりでございます。
○福山哲郎君 私が言っているのは、臨界をキャッチするという話をしているわけではないです。臨界をキャッチするのは当たり前なんです、ガンマ線のエリアモニターは。それが臨界かどうか知らせる臨界警報装置というのが恐らくこの総理府令が求めている警報装置であって、ガンマ線エリアモニターというのは、さっき申し上げましたように、第一加工棟、第二加工棟、両方、何でもついているわけです。五%以下のところにもついているわけですよ。
 要は、この総理府令の二項にある臨界質量以上のウランのときに必要な措置は講じられていなかったということですねとお伺いしているわけです。
○説明員(間宮馨君) 我々としては、この総理府令を満たす最低限の基準はこのガンマ線のエリアモニターであったというふうに認識しております。
○福山哲郎君 今のじゃ全然答えになっていないですよ。だって、ガンマ線のエリアモニターというのは第一加工棟も第二加工棟もついているわけです。これは五%以下の施設なわけです。総理府令は、五%以上のものに対しては臨界警報装置をつけろと言っている。
 さらに言いますと、私は今、東海村の再処理施設のこれを持ってきました、ホームページ。ここにはれっきとした臨界警報装置というのがガンマ線エリアモニター以外についているんです。
 では、これと同じ作用がガンマ線エリアモニターにはついていて、それが臨界警報装置だというふうに局長はおっしゃるんですか。
○説明員(間宮馨君) いずれにしましても、中性子線かガンマ線をキャッチするというのが臨界を知らせる警報装置の必須条件でございまして、ガンマ線につきまして測定できる機能であれば臨界は確実にキャッチできるわけでございます。そういう意味におきましては、最低限の基準は満たしているというのが我々の認識でございます。
○福山哲郎君 越島参考人、先ほどの御答弁をもう一度言っていただきたいんですが、ガンマ線エリアモニターが鳴っても、それが臨界かどうかは皆さんはわからないんですよね。臨界警報装置が鳴ったという認識はありませんね。
○参考人(越島建三君) 先ほど申し上げましたとおり、避難した場所でサーベイメーターの針が振れている、こういう現象は私どもの加工施設では臨界の状態以外は考えられないのではないかということで臨界ではないかと判断したということでございます。
○福山哲郎君 それは、臨界警報装置が鳴ったということではなくて、臨界の可能性があると判断したということですね。イエスかノーかでお答えください。
○参考人(越島建三君) 臨界ではないかというふうに判断したということでございます。
○福山哲郎君 どうですか、局長、今の越島参考人のお話を伺って。臨界の警報装置が鳴ったんじゃないですよね。きのうの衆議院の答弁、あなたは警報装置があるからこの総理府令に関しては問題ないと答弁されていましたけれども、臨界警報装置も、それに対する適切な措置もとられていないんです。両方ともこの要件を満たしていないんです。いかがですか。
○説明員(間宮馨君) 繰り返しになってまことに申しわけございませんが、ガンマ線の検知によって臨界は検知できるということでございますので、最低限の基準は満たしていると考えております。
○福山哲郎君 委員長、これは次へ進められないです。
○委員長(成瀬守重君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(成瀬守重君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 では、お伺いします。
 臨界警報装置は、この転換試験棟についてはついていなかったわけですね。
○説明員(間宮馨君) まず、臨界を確実に臨界であるというふうに判断をするという場合においては、確かにガンマ線だけというよりは中性子線モニターということが適当かと思いますが、先ほど申し上げましたのは、そういう中におきまして、必要十分ではないですけれども、必要条件として臨界があれば必ず鳴るという意味のぎりぎりの最低条件ということで申し上げたものでございます。
○福山哲郎君 百歩譲って今の御答弁を認めたとしても、そもそももう矛盾が出てきているわけです。
 最初、臨界を想定していない施設なわけですから、もともと臨界を想定していない施設で臨界に対する警報装置をつけるわけがないわけです。それを今おっしゃられたようにガンマ線エリアモニターで代用していたわけですよね。ということは、もともとの総理府令の二項に関しては臨界警報装置も臨界事故を想定した適切な措置も全くとられていなかったということになると思います。
 それから、もう一つ申し上げますと、これは申請書の最後のところにあるんです。誤作動のところにこう書いてあるんです。例の沈殿槽のところです。「貯塔、貯槽類には溶液のオーバフロー防止のため液面制御計又は警報計を設置する。」と。オーバーフローです。あふれることです。「したがって本工程でウランの設備からの漏洩があるとすれば大部分が作業者のハンドリングミスによるものである。」と書いてあります。つまり、オーバーフローがあるということは、ハンドリングミスによることはあり得ると書いてあるわけです。
 ということは、誤操作の可能性があるとなったら臨界を肯定しなきゃいけないじゃないですか、考慮に入れなきゃいけないじゃないですか。これはジェー・シー・オーからの申請書に書いてあるんですよ。いいですか。
○説明員(間宮馨君) そこら辺の誤操作の範囲でございますが、いわば計測を、例えば最初の段階での溶解のところでの計測を怠ったとしても沈殿槽の前でもう一回必ず計測をするということになっております。そういう二重計測があって、一回忘れても後の方でチェックできる。あるいはワンバッチ入れるということで成り立っておるシステムでございますが、ワンバッチ既に入っている、それを作業員がうっかり忘れてもうワンバッチ入れたとする、それでも臨界に至らないというような意味においての誤操作でございまして、今回のようなそれをはるかに超えるものについては想定されていなかったということでございます。
○福山哲郎君 もう私の持ち時間が少なくなってまいりました。非常に残念なんですが、参考人に少しお伺いしたいと思います。
 ジェー・シー・オーでは、いわゆる裏マニュアルも含めて十年ほど前から申請をしていたものとは違う工程をこの転換試験棟ではやられていたというふうに伺っておりますが、第一加工棟、第二加工棟、いわゆる五%以下の通常の軽水炉の燃料加工の状況の中では、申請に反するような裏マニュアルなり違う工程で作業が行われていたことは一切ございませんか。
○参考人(越島建三君) 第一加工棟、第二加工棟は、原料を入れましたら最終製品まで連続した工程で流れますので、例えばこういう転換試験棟のように途中で物を抜いて途中から物を入れるというような工程はございません。
○福山哲郎君 ということは、それは全部自動で機械でやられているということですか。
○参考人(越島建三君) 一部工程は遠隔制御の自動でやれるところもございますが、次の工程へ動かすのは人間がボタン操作等で液を動かすというようなマニュアルと自動制御の合体でございます。
○福山哲郎君 そうすると、今捜査が入っているようですが、後になってから第一加工棟、第二加工棟でもいろんな形でジェー・シー・オーは申請以外の工程をやっていたとか省いていたとか、そういうことは出てこないというふうに判断してよろしいわけですね。
○参考人(越島建三君) 私、細かいところまでチェックというか頭に入っておりませんので、現時点では絶対ということは申し上げられません。
○福山哲郎君 もう終わりますが、とにかく私はこれをジェー・シー・オーの人為的なミスだということにしてはいけないと思っています。逆に安全性を確保するためにも、この五%以上のウラン加工施設に対して安全指針をつくってこなかったこと、それからこの警報装置の総理府令違反の問題、科学技術庁の問題については欠落している点は多々あるわけで、責任は十分その未然防止についてはあるというふうに思いますので、最後に一言、中曽根長官から、今のやりとりを聞いていただいての御答弁をいただいて終わりたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今、委員からいろいろな安全審査面について御指摘がありました。御指摘のような点も参考にしながら今後の安全策を図っていきたいと思っております。
○郡司彰君 民主党の郡司でございます。
 私も、被曝に遭われた方の回復、それから地元で本当に献身的な努力をされてこられました方々に敬意を表しまして、まず冒頭お伺いをしたいと思います。
 今回の事故のレベルにつきましては、暫定で四というような発表がございました。その後、現地におきまして、例えばグリーンピース・ジャパンでありますとかが五という評価をなさったり、あるいは科技庁の方におきましても、六日以降、評価委員会というものを開いて、もしかするとレベル五ではないか、そのような検討をされているというふうに聞いておりますが、いかがですか。
○説明員(間宮馨君) お答え申し上げます。
 現時点で科学技術庁がレベル五に変更する検討を行っているという事実はございません。
 現在、事故原因の究明等が進められているところでございますが、事故調査の結果がまとまった段階で、影響度評価委員会という委員会がございますが、この検討作業を経まして最終的なレベルの値が決められていくことになるというふうに承知しております。
○郡司彰君 今のお答えですと、あくまでも現在はレベル四、評価委員会の方の作業が終わった段階で幾つになるかは今のところ予断をもって答えることはできない、そのようなことでよろしいですか。
○説明員(間宮馨君) そのとおりでございます。
○郡司彰君 これは報道ですから科技庁の方で知らないと言えばそのことなんでしょうけれども、例えば安全文化の欠如というようなことがその際には問題になるのではないかというような報道がございました。安全文化というようなことを素直に受け取れば、これまでも話がいろいろ出ましたけれども、特に日本におきまして平和利用あるいは軍事利用に限らず、核に対する国民の特別な感情が生ずるような歴史を背負っている。その中で、日本の原子力行政につきましては固有の安全性という言葉まで世界から冠されるほどにいろんな方が努力をしてこられた。しかしながら、今回の事故によってそれがもろくも崩れ去ったというようなことにもなっているのではないかと思っております。
 そういう意味で、安全教育というものが改めて問題になってくるかと思っておりますけれども、例えば制度面でこの安全教育をかかわる事業者の方々にきちんと行っていく、あるいは意識面でもふだんからそういうものを行っていく姿勢というものが非常に大事になってくると思いますけれども、長官どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今回の事故は、現場での作業が決められたとおり、許可されたとおりでないということがまず第一でありますし、またいろいろな委員の皆様方の御指摘にありますような安全審査面あるいは検査面等反省しなければならない点も多々あろうかと思いますけれども、委員おっしゃいますように、何といいましても現場での作業員を初め経営者の方々まで含めてのモラルの問題も大変重要だ、そういうふうに思っております。
○郡司彰君 今モラルだけではなくて、制度的にも携わる方々がきちんとその安全教育を徹底しなければ従事できないということが必要だろうと思いますので、そこのところについてはどうでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 制度的に申し上げますと、核燃料物質の加工事業に係る保安規定というのがございまして、「教育訓練」という項がございます。第十一条に、「安全主管者は、毎年度、加工施設の保安に必要な従業員等の教育訓練計画を定める。」、「安全主管者は、前項の教育訓練計画を定めるにあたっては、核燃料取扱主任者の意見を求める。」、「各管理統括者は、第一項の教育訓練計画に基づき、教育訓練を実施する。」ということになってございます。
○郡司彰君 私は実はこの間の十キロの退避勧告を受けた中に住んでおりまして、常日ごろ、そこではありませんけれども、いろんなところの事業所で働く方々と話をする機会があります。その中で、通常社員と呼ばれる方、あるいは作業員と呼ばれる方、いろいろあるわけでありますけれども、本当にふだんからそのような訓練がされているのかどうか疑義を持つような、そういう話も日常、ふだん聞かされておりますので、ここのところはきちんと徹底をしておいていただきたい。
 それから、先ほどの議論の中でも中性子というものが出てまいりましたけれども、どうもこの現地におりますと、中性子をはかるものが原電の方にあって、いろいろ調査といいますか、測定をした。しかしながら、そこではグレイという単位で直接中性子の線量をはかる。しかし、新聞に出てくるときには人体への影響ということでシーベルトという言葉が使われているわけでありますけれども、このグレイからシーベルトに換算をするというのも一様にできるような形ではないのだろうと思いますが、現段階で人体への影響を測定する機器というものはございますでしょうか。
○説明員(間宮馨君) グレイからシーベルトへの換算は、中性子線に関しまして、非常に中性子のエネルギーによって換算係数が違うということがございまして、一様でございません。
 今お尋ねは、計測できる装置があるかということに聞こえましたが、いわゆる一番完全なものとしてはホール・ボディー・カウンターというのがございまして、この装置にかけて測定するのが最も正確かと思っております。
○郡司彰君 時間の関係で次に入ります。
 対策本部がそれぞれ科技庁あるいは政府の中にも設置をされました。また、現地におきましても村、県の方で設置をされたわけでありますが、そこの情報伝達についてはいろいろこれまでも議論がなされたことと思います。私どもも実際にその現場におりまして感じましたのは、例えば事故から二時間後に県の方から東海村に、値は通常値に戻りつつある、そのようなファクスが流れた。村の方はそれをそのまま広報でもって流して鎮静化するかと思いきや、その後二時十分ごろにジェー・シー・オーの社員の方が村の方に参って、村長の方に避難を勧告してくれ、そのようなことがあった。村長の方は、社員の方は今どこにいらっしゃいますか、ジェー・シー・オーの社員の方は避難をしております、関東軍みたいだなというふうに村長がおっしゃったそうでありますけれども。いずれにしても、そのような形で三時二十分に村の広報無線でもって三百五十メートル以内の方々については避難をしてください、そのような形になったわけであります。
 これは非常に一村長として、例えば災害基本法の関係で言えばそのような権能も与えられているのかもしれませんけれども、一方で原子力関連の関係につきましては安全審査委員会の指示といいますか、指揮を待ってというふうなことにもなるだろうと思うんです。そのような形で今回三百五十メートル以内の方については村長の決断がなされた。これは、原子力行政のあるべき姿からいって、今回の村長の措置は指弾されるべきものでしょうか、それとも褒められるべきものなんでしょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) まず、最初に御指摘ありました今回の事故発生後の国や地方自治体の活動、連携のことでございますけれども、災害が発生いたしますと多数の関係機関間でまず正確な情報が共有されることが大切だと思いますし、またそれに基づいて的確な判断が行われ、一貫性のある防災活動が実施されることが重要でございます。今回の事故対応におきましても、国の現地対策本部に関係省庁、それから県、村等の関係者が集まりまして迅速な調整と一体的な活動の実現に努力をしたところでございます。
 今回の事故ではいろいろな教訓がございますけれども、これらを踏まえまして防災対策をより実効性のあるものとするために、午前の質疑からもございましたような、原子力防災のための新法の制定を含めまして今検討を行っているところでございます。御指摘の観点も踏まえて、国、県、市町村の連携のあり方について検討していきたいと思っております。
 なお、村長の今の行動といいますか、判断につきましては、局長の方からちょっと補足していただきたいと思います。
○説明員(間宮馨君) お答え申し上げます。
 災害対策基本法六十条におきましては、「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に」、「特に必要があると認めるときは、市町村長は、」「避難のための立退きを勧告」等をすることができるとされておりまして、今回の事故における三百五十メートル圏内の住民の避難につきましては、これに基づいて村長が実施されたものでございまして、原子力安全委員会の緊急技術助言組織においても措置は妥当であったと判断しているところでございます。
○郡司彰君 村長の措置は結果として妥当であったろうと私自身も思っております。しかし、そういう判断を一村長がせざるを得ないような状況に追い込んだというのは、これは別問題でありまして、そこのところがやっぱり今回問題になってきている。
 例えば、私は十時半に家におりまして、屋内に退避をしなさいという放送をじかに聞いたわけでありますけれども、それは事前に、もう一時間ほど前にテレビの方で流して、それを見ているわけです。しかしながら、現地の方はテレビを見て知った、対策本部そのものがテレビを見て知ったというような形であります。
 そういうことからいくと、それぞれ支援、努力をしたというふうなことでありますけれども、今回非常に不手際があった、そのことだけはよくしっかりと押さえておいていただいて、今後そのようなことがないような形だけはきちんととっていただきたいと思っております。
 それから次に、原子力損害賠償責任保険の関係でありますけれども、十億あるいは三百億というような区切りがございまして、それにかかわらず無限責任でございますよと、そのような話でありますから、いずれにしても損害があった場合にはしかるべく行っていただきたいというふうに思うわけであります。
 先ほどの議論とも重ねてですけれども、十億、三百億というこの区切りは、保険でありますから、例えば掛金の問題が事業所の規模に対してどうのこうのという説明は、それは十分過ぎるほど普通の経済活動の中でわかるわけであります。しかし、本来あってはならないような事故、ないんだと、もともとそういう事故は想定しなくていいんだということでの十億であったとすれば、これはやはりおかしかったのではないか。
 そのようなことで、地元の方では常に、原発でなくてそれ以外のところも臨界事故というのは原則前提として起こらない、そういうことの上に行政が成り立っているというふうに理解をしている者が多いわけでありますけれども、ここのところの関連についてどうでしょうか。
○説明員(興直孝君) お答え申し上げます。
 原子力損害の賠償に関する法律第七条におきまして、被害者保護とともに、原子力事業の健全な発達に資するとの法目的に照らしまして、原子力施設の種類に応じて法定措置額三百億円を下回る賠償措置額を定めるとなっておりまして、政令に委任されているところでございます。
 今回、この当該施設は、先生御指摘になられましたとおり、十億円がその賠償措置額として定められているものでございますが、原子力事業者の取り扱う物質の特性とか、あるいはその行為の態様をもとに勘案されて設定されているものでございます。
 この十億円の賠償措置額につきましては、なお念のためではございますけれども、さきの通常国会におきまして原子力損害賠償法の改正がとり行われたところでございまして、明年一月一日、新たなる政令でもって賠償措置額を改めて定めるという形になってございます。
○郡司彰君 今回のようなことは想定をしていなかったので、例えば明確な因果関係でありますとか物的なとか、そういう損害があるなしにかかわらず一定程度柔軟に考えていこう、そのような考え方を政府の方でもお持ちではないかと思います。地元の方は、損害のアンケートは出したけれども、いつどこからどれだけのお金が損害として来るんだ、そのことに一番関心を持っておりまして、早急にその法改正をさかのぼってでも行っていただきたい。
 それから、私が今質問をしたのは、そもそも起こり得ないという想定のもとにつくっていたとすれば、それは十億を超えるもの、速やかに国会の方の決議でもって、国が負うべきような責任があればそのような形でもって支出をするべきだろう、そのようにも考えているわけであります。
 そして、さらに一つ一つの事例で申し上げますと、本当にそれぞれが該当するのかしないのかというところで判断に迷っている部分がございますので、これらの指針について早急にお示しをいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 原子力損害賠償制度におきましては、原子力事業者の賠償責任に制限を設けておりません。無限責任となっております。仮に賠償責任額が賠償措置額を超える場合でありましても、今回の場合はジェー・シー・オーはみずから資金を調達して賠償を行う責任がございます。しかし、ジェー・シー・オー側の支払い能力に限界がある等、政府が必要と認める場合は、国会の議決によりまして、政府に属せられた権限の範囲内で必要な援助を行うこととなっております。
 また、損害賠償の手続は、基本的には被害者とジェー・シー・オーの話し合いを中心に進められるものと考えられますが、科学技術庁といたしましては、これをサポートするために損害の認定及び損害賠償に知見を有する専門家を集めまして、原子力損害調査研究会を発足させ、損害認定の円滑化、迅速化を図ることとしております。
 さらに、原子力損害の賠償に関し紛争が生じました場合に和解の仲介を行わせるための公的機関として原子力損害賠償紛争審査会を設置することを昨日の閣議で決定したところでございます。
 このほか、科学技術庁では、地方自治体とも協力、連携いたしまして、賠償制度に関する被害者からの相談への対応を水戸原子力事務所や東海村役場におきまして行っております。当庁ではこのような主体的な姿勢で原子力損害賠償制度の適切な運用に努めており、今後迅速、円滑な被害者救済を図っていきたいと思っております。
○郡司彰君 ジェー・シー・オーの責任は免れないだろうと思っております。その必要な損害賠償も行っていただきたい。しかし、地元の声は、これは国も責任を逃れることはできないという声もありますので、十分にそこのところを考えていただきたい。
 それから、先ほど福山議員の方からも、今回の事故の中でプラス面に評価をすることがあるとすれば、それは住民の冷静、沈着な行動だったのではないかというふうなことがありました。私も実に同じような考えを持っております。
 例えば、TMIのときの一定程度パニックが起こった事例もございます。あるいはチェルノブイリの場合には、十三万人の中の当初の数万人を移動するために千百台のバスをチャーターして移送したとか、いろんな形でもって、退避、避難に対するマニュアルはなかったのかもしれませんが、臨機にそのような形をとった。
 今回、私どもの方で随分素直に屋内にいた、これは結果として本当に偶然が重なった形だろうと思っております。例えば、冷却水のパイプが屋外にあってそこから水を抜くことができたり、あるいは形状的にも一定程度完全な密閉ではないような、そういう形状のもとでの偶然も重なった上での形であった。十六キログラムのウランは依然としてまだ残っているわけであります。例えば、分量からいいますと長崎に落とされましたあの原爆のウランのキロ数は七キログラムでございます、拡散したのは大体一キロぐらいというふうに言われておりますけれども。非常に大きな危険を伴っていた、その中で冷静、沈着な行動があったということを、後々、これからのために、いろんな意味で技術的な側面の検証というものは非常に多く出てくるだろうと思いますが、なぜみんながそのような行動をとったのか、このことを社会学的にきちんと考察をしていく必要があるのではないか。
 例えば、日本の中には世界に類を見ないようないろんな行政、自治体の制度もあるわけでありますから、その辺のところを踏まえて、今後よしんばというふうなことは余り考えたくありませんけれども、今回のことを一つの教訓として十分に社会学的な考察を行っていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○説明員(間宮馨君) このたびの事故は非常に重大な事故であったという認識はございます。その中にありまして、今回の事故に対し周辺住民の方々が極めて冷静に対応されてパニック状態が起こらなかったということは本当に幸運であったと考えております。
 今後、今回の事故を教訓といたしまして、原子力防災対策の実効性の一層の向上を図って万全の体制を整備していくことに当たりましては、御指摘の社会科学的観点も踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 このため、原子力安全委員会に設置されました事故調査委員会に社会科学系統の専門家にも御参加いただいているところでございます。
○郡司彰君 時間がありませんので簡潔にいたしますが、今回の避難の関係につきましては、例えば、よしんば三百五十メートル以外のところまで避難というものが広がった場合でも、実は職業の種類によりましては避難ができない人たちが職業的にたくさんいらっしゃいます。例えば役場の方でありますとか、あるいは病院、消防の方もそうでありましょうし、あるいは学校の先生等もそういうようなことになるのかもしれません。いざというときに即座に退避が、避難ができない人たち、そういう職業についている人たち、この人たちに対するマニュアルというものも早急につくっていただきたい。
 それから、例えば一つの事例として、子供さんが学校からお戻りになる、戻ったときにそのまま遊びに行っているような方もいらっしゃいました。その場合には、今回のようなときには、行ったらばうちで手を洗うんですよ、着ているものは脱いで、あるいはビニールの袋に全部入れておいてください、そういうようなきめ細かなマニュアルというものが当然必要になってくると思います。これはまだ幾つもあるわけでありますけれども、時間の関係で、そのような一つ一つ細かいものが今回の場合で出てきたことをお知らせしたい。
 それから次に、実際に事故が起こりました転換試験棟でありますけれども、これについては今遮へいをされているというふうなことになっております。しかし、私ども視覚的に見えるところにおりますと、例えば土のうが積まれている、あるいは窓枠であるとかすき間のところに目張りがしてあるということが、本当にこれは遮へいなのか、もっと完全な遮へいをすべきではないかというような声を多く聞かされます。その場合に当然問題になりますのは、今、中にありますところの十六キロのウラン溶液、これをどうするんだということもありましょうし、その段階、そこまでいつ入れるんだということもありましょうけれども、現地の方では一日も早くあの建物からおよそ漏れることがないように、そして今のようなものではない完全な遮へいというものを望んでおりますけれども、これについて時期的にどのような考え、あるいは現在の技術的な状況をお知らせいただきたい。
○説明員(間宮馨君) ジェー・シー・オーにおきましては、敷地周辺のモニタリングを三時間ごと十六ポイントについて、敷地内につきましては六時間ごと三十六ポイントについてそれぞれ中性子・ガンマ線を測定しております。現在までの測定結果では、敷地周辺の中性子線は検出限界以下、ガンマ線は通常レベルの値を示しておりまして、敷地内でも転換試験棟直近の二点について若干高いわけですが、ほかは平常値を示しております。この高い地点についても日ごとに低下してきております。
 しかしながら、御心配の点は非常に我々も理解できるわけでございまして、コンクリートブロックによる遮へいの補強も検討して遮へい対策に万全を期しつつ、放射線源である放射性物質の除去、処理を実施することといたしております。
 実はきょう、ちょうど今ごろでございますが、科学技術庁の職員が施設の中に入りまして、問題の放射性物質の一部を採取しつつございます。スタートしたかしていないか、ぎりぎりのところでございますが、現実に今入りつつございます。したがいまして、まず中に入っているものが一体どういうものであるのかを至急分析いたします。その結果を踏まえまして、一つは中性子線の評価をするということと、もう一つは問題となっている物質の除去、処理を今後どういうふうにすればいいかということを決めていきたいと思っております。
○郡司彰君 時間がありませんので、次に移ります。
 最初に三十五分に事故がわかった、そして四十五分には救急車が到着をしているわけであります。この時点で第一報がそれぞれのところに流れていて、十一時十五分、臨界事故の可能性あり、二名が被曝し、救急車にて原研診療所、それを消してあって水戸国立ということになっておりますが、これは第一報ではなくて、多分後から修正をしたんだと思います。
 実は、救急車が到着をしてから出発するまでに六十七分かかっているわけです。これは、こういうふうな事故があったときに送る用紙はでき上がっているわけです。事故、軽微な事故あるいはウラン加工施設で従事者の被曝まで、これ打ってあるわけですから。これをつくっているということは、被曝をしたときに被曝をした方をどこの病院に連れていくというようなことはジェー・シー・オーの方ではあったんですか、マニュアルとして。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 こういう大量の被曝をした人をどこへ運んでいくかというのは、社内には特にマニュアルでは定めておりませんでした。当時、どこへ行くかというところでは水戸の国立ぐらいしか思い浮かばなかったので、そちらの方に運ばせていただきました。
○郡司彰君 時間がないので最後にしますけれども、初めに救急車を呼んだときには急病だということで言って、後から救急隊員の方は、急病だと言うからそのままの格好で行った、事故ならばそれなりの支度をして行ったというふうなこともございました。しかしながら、いずれにしてもこの三名の被曝に遭われた方は、到着するまで十分、それから水戸の国立病院へ出発するまでが六十七分、それからヘリコプターで国立病院から飛び立つまでにまた七十三分かかっているわけです。
 茨城県になぜこういうような治療の病院、施設がないんだということをだれもが口にするわけでありますけれども、このところについて、時間がありません、簡単に科技庁の方からお聞きして終わります。
○説明員(間宮馨君) 緊急時の被曝の医療に関しましては三つの段階がございまして、まず第一次医療というのがございます。これは軽度な段階のものですけれども、一定以上の被曝を受けた患者が発生した場合には、地方自治体の指定する公的病院で除染等の措置を行う第二次医療、さらに専門的な措置が必要となった場合には放射線障害専門病院が対応する第三次医療という体制が組まれております。茨城県の場合、この第二次医療に該当するわけでございます。
 この三人の方につきましては、非常にひどいということで、第二次医療ではだめだということで、放射線障害の専門病院である放射線医学総合研究所に移送したということでございます。
 緊急時医療体制の強化につきましては今鋭意進めているところでございますが、今回の事故の発生を踏まえまして、当庁といたしましては、安全委員会の報告をさらに一層強力に進めていきたいというふうに考えております。
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 我が党は、事故が発生した九月三十日に対策本部をつくりまして、翌一日には現地の視察をしてまいりました。私もその中の一員として行ってきたわけであります。
 今回の臨界事故については、私は非常に深刻な事態が起こったものだなと思っておりますし、国際的な事故の評価レベルで、先ほどもほかの委員から話がありましたように、我が国としては最悪のレベル4ということでございます。これは、私は原子力行政にとって非常に大きな痛手であると思います。こういった原子力行政ということだけではなくして、最も重要な問題としては、やはり生命、健康に直接的にかかわる極めて重大なことである。こういった点を離れて、安全性の確保を離れて議論をしたとしても、それは不毛であろう。そういった意味では、科学技術においてはやはりヒューマニズム、これをきちっと位置づけをしていかなければいけないと私は思っているところでございます。
 私は、やはり原子力行政そのもの、それ自体についてもより一層透明性が上がる形でやっていくべきだと思いますし、将来こういう形で進んでいくならば、この形というのは、このような似たような事故がずっとここ起こっているわけでありますけれども、日本というのは危機管理について非常に甘いというふうな話になりまして、今や放射能の問題についても、場合によっては、その規模の大きさによっては国際的な影響を与えるということになりかねない、そういった部分もあるわけですから、海外から危機管理について極めて生ぬるい、危険な国であるというふうに言われかねない局面になっては困りますから、十分この辺については対処を強化していただきたいと思います。
 そういった観点から考えた場合は、例えば原子炉のメルトダウン、これを伴う最悪のシナリオ分析、こういったことも私は必要ではないかと思います。ドイツのケースでは、これはビブリス原子力発電所の最悪シナリオということで、メルトダウンのときに放射性物質が噴出した、そして周辺の環境を汚染した、そういった最悪のパターンについてのいわゆる戦慄のシミュレーションという形でつい先日もテレビでやっていたわけであります。そういう最悪のケース、今回の場合は原子炉という話ではございませんけれども、そういった最悪のパターン、シミュレーション、そういったことも踏まえて対応を十分強化していく必要があるのではないかと思います。
 それと、先日、橋本龍太郎前総理が、六日の日でございますけれども、憲政記念館で、地球環境国際議員連盟、GLOBEと言っておりますけれども、COP5に向けたシンポジウムの席上、次のような話をしております。
 どういう話かといいますと、東海村の臨界事故について一つのコメントを出しているわけですけれども、「事故の影響は長期的に見ていかなければわからない。この事故はエネルギー政策全体、温暖化対策、京都議定書の議論を根底から揺るがす」、そういうふうに言った後で、「温暖化対策の柱としての原子力政策を再考することが必要との認識を示した。」というふうに新聞記事には書かれているわけでございます。
 この点を含めて、先ほど来長官からもお話がございましたけれども、事故の徹底した解明と原因の徹底した究明、そういったことについてまず最初に長官からお言葉をいただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 午前中からも各委員からいろいろ御指摘がありました。反省すべき点、また検討すべき点、見直すべき点、多々ありますけれども、まず事故の原因調査が第一と考えております。
 今、安全委員会のもとでの事故調査委員会がそれらについて調査をしていただいているわけでありますけれども、再発防止のためにこの事故の調査の結果を受けていろいろな政策を法律等の整備を含めて行っていきたい、そういうふうに思っております。
○加藤修一君 ぜひしっかりと頑張っていただきたいと思います。
 ジェー・シー・オーの方にお聞きしたいわけですけれども、平成五年十一月に核燃料物質加工事業変更許可申請書、百六十数ページにわたる内容になっております。これはJCO―FL―九三〇五というふうに書いてございますけれども、私は最新の変更の内容ではないかと思っています。こういう資料があることは当然のことながら認識しておりますね。
○参考人(越島建三君) 加工事業の変更許可申請書はそういう案件があるたびに提出しておりますので、承知しております。
○加藤修一君 その内容について科技庁にもちょっと確認の質問をしたいと思います。
 この事故を起こした沈殿槽が独立した二重の臨界防止装置設計になっていなかったこと、これがこの申請書の添付資料の大きな三番、二十三ページに書いてあるわけですけれども、要するに二重の臨界防止設計になっていなかったということについてはどう思いますか。
○説明員(間宮馨君) 審査の行われ方でございますが、部分的な変更申請に関しまして、その部分に必ずしも書いてないことでございましても全体の審査はそれ以前から行われておりまして、その全体の審査の中でその部分についても位置づけられるという構造になってございます。
○加藤修一君 それでは、濃縮度五%のウランと濃縮度一八・八%、今回のケースでございますけれども、一つの施設で共有することをきちんと審査したかどうか、あるいは転換試験棟で記載されているプロセスは通常の濃縮度五%のウランに対するものであって、先ほどから議論になっておりますが、濃縮度一八・八%のウランに対する正規のプロセスは書かれていない、そういうふうに理解しておりますけれども、どうですか。
○説明員(間宮馨君) 先ほど申し上げましたように、変更許可申請時におきましては変更該当部分のみが申請されるということでございまして、ただ、記載のない部分につきましては既に許可された内容が継続して適用されるということでございます。
○加藤修一君 それでは、今回の事故に関して、許認可体制にかかわる非常に重要な構造的な問題というところもあるように私は考えておりますけれども、マクロ的には規制と推進を行う、規制をする組織あるいは推進を行う組織、そういったものが一つの組織の中に併存しているというのは、ある意味で私は非常に不自然じゃないかと思うんです。
 科技庁がそれを両方とも行っているということは問題があるのではないかというふうに考えているわけです。二〇〇一年から省庁の再編が始まるわけで、その中で原子力安全院ですか、それを経済産業省の中に統合する方針であるというふうに伺っておりますけれども、これもやはり規制と推進が一体となっているわけです。こういうあり方は問題があるのではないかと私は認識しておりますけれども、この辺についてはどのようにお考えですか。
○説明員(間宮馨君) 今の点でございますが、事務局はいわゆる局の段階では分かれておりまして、原子力局と原子力安全局が明確に分かれております。
 ここら辺のところにつきましては、国際条約がございまして機能の分離ということをうたわれているわけでございますが、このレビューの会合におきましてもそこら辺の分離の状況は詳しく説明してございまして、そこでは特に問題になってございません。
○加藤修一君 いや、問題があるからこういう今回のようなケースも出てくるというふうに私は認識していますけれども、それについてはどうでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 今申し上げましたように、機能的には完全に分離されておりまして、推進側にどうこうということで安全行政を進めているわけでございませんので、その点については完全に独立である、問題は生じていないというふうに考えております。
○加藤修一君 それでは、中央省庁の再編の関係で、費用対効果とかそういった行政の評価をどう考えていくかということが非常に大きなポイントになっているわけですけれども、こういった面について行政評価という観点からどのようにお考えですか、将来に向けて。今検討中ですか、こういった点については。
○説明員(間宮馨君) 行政評価、ちょっと私詳しくございませんが、あるいは総理府か内閣の方で行われるのではないかと思いますが、いずれにしましても、安全を効率性とかそういう物差しではかるべきではないと思っておりまして、我々としては安全面に関しては十分な措置を講じてまいりたいと思っております。
○加藤修一君 いや、経済的な効率性とか、それだけを言っているわけじゃなくて、やはり行政の評価の仕方でありますから、安全性において効果的なあり方、それをどう評価するかということについては当然考えていく内容を持っていると思いますけれども、どうですか。
○説明員(間宮馨君) 今回の事故に関しまして申し上げますと、今現在、原子力安全委員会の中に事故調査委員会が設けられておりまして、この事故調査委員会におきましては、原因究明、全容解明も行われますが、これまでのやり方に関する評価も行われるものと期待しておりまして、それも一つの行政評価ではないか、つまり安全行政に対する評価ではないかというふうに考えております。
○加藤修一君 それから、安全宣言とかそういった問題についてなんですけれども、質問通告をしているわけじゃありませんが、茨城県が安全宣言をしたと。さらに、どうもこの辺がちょっと錯綜している部分があるかもしれませんが、臨界が継続し、中性子線量が上昇していると、そういった中で、さらに十分懸念されていたわけでありますけれども、沃素を初めさまざまな汚染が民間の調査で明らかになる前に、小渕総理がメロンを食べて安全宣言をしたと。あるいは、過去の話でございますけれども、ホウレンソウを食べて安全宣言をしたとかカイワレダイコンを食べて安全宣言をしたとか、こういうことを随分と聞いていて、見ていて、私なんかは不審に思うんです。
 やはり科学的な根拠を明確にした中で安全宣言という形はわかるんですけれども、総理を引っ張り出してリトマス試験の役割を果たさせるようなことをすべきではないと思います。非常に失礼なやり方だと思いますけれども、この辺については私は善処を要求したいと思いますが、どうですか。
○説明員(間宮馨君) 午前中の御審議でもございましたように、我々としては、住民の安全というのを最大の重要目標といたしましてこれまで物事を行ってきております。
 周辺のモニタリングも徹底してやっておりまして、これまでは周辺の環境あるいは健康に影響を及ぼす事態はないということを申し上げてきたところでございまして、食べ物につきましてもそのようなことは既に公表されてございます。先日、総理が行かれてのことでございましょうが、あのときは既にそういう宣言が行われていたということでございますので、我々としてはそういう真摯な態度でやってきたつもりでございます。
○加藤修一君 午前中も長官から事故究明を徹底して行うという話がございましたけれども、私は、その構造的な要因ということに対してどう対応するかということも極めて重要なポイントではないかと思います。例えば科学的な事故調査をするということで、原子力安全委員会のウラン加工工場臨界事故調査委員会がどこまで構造的な要因に入れるかということが非常に私は重要な視点ではないかなと思うんです。
 それから、午前中に渡辺委員からも話がございましたコストの問題ということでございますけれども、これについては、利益圧力を低下させるという意味もありますし、それから原発に関して考えていきますと、四十日に短縮された定期点検期間の見直しとか、あるいは、こういった事故の要因をきちっと構造的に把握していく、構造的な面についてもアプローチしていくという点から考えていった場合には、やはり中立的な第三者レビュー機関、そういったものをつくる必要が私は十分あり得ると思いますけれども、この辺については積極的に考えていただきたいと思いますので、検討をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 現在、安全委員会に設けられております事故調査委員会におきましては、非常に中立性の強い委員の参加を求めておりまして、かつ経済社会学的な観点からも議論できる委員の参加を求めております。
 したがいまして、先生おっしゃいました諸点につきましても、今現在議論されているというふうに承知しております。
○加藤修一君 それでは、私は、前国会におきまして賠償法の問題とか、電事法の改正の問題とか、あるいは原子炉等規制法の問題でさまざまな角度から質問をさせていただいたわけでありますけれども、非常に密接に関係している事柄がございますので、それを改めて申し上げたいと思います。
 ICRPが一九九〇年に、現行の年間被曝線量五十ミリシーベルトは危険だから半分以下の二十ミリシーベルトに引き下げるように勧告しているわけですけれども、これについて政府の答弁は、二〇〇一年の四月から改正法令を施行すると、こういうふうに言っております。今回、原子力災害の関係の特別措置法等を検討するというふうに聞いておりますけれども、こういった点についても前倒しにやる必要があるんではないかと思います。どうでしょうか。
○説明員(間宮馨君) ICRPの一九九〇年勧告につきましては、放射線審議会から平成十年六月、関係行政機関に関係法令の取り入れに係る意見具申がなされておりまして、これを受けまして、十一年八月、関係七省庁から放射線審議会に対して、放射線業務従事者の被曝線量限度の変更など、関係法令の取り入れについて諮問がなされて、現在、鋭意検討が行われているところでございます。
 非常に時間を要しておりますけれども、慎重審議ということと、やはりいろんなことがございますということで審議に時間がかかっているということでございますが、今後この審議会から答申を受けた後に、二〇〇一年四月から改正法令を施行するという予定で今現在進められております。
○加藤修一君 質問に対する答弁になっていないという理解でいますけれども。
 一九九〇年に勧告を受けて、今ようやっと検討して二〇〇一年からやるという話ですけれども、慎重という中身はどういうことですか。一九九〇年に勧告された内容を慎重に対処して、今ようやっと出てきて、それで二〇〇一年から始める。今もってそれは変わらないんですか。二〇〇一年の段階ですか。それとも、今回の原子力災害関係の新法を含めて検討していく中に、こういった面についての前倒しを検討すべきだと私は思うんですけれども、何か別の理由がございますか。慎重という中身がよくわからないんですけれども。
○説明員(間宮馨君) 確かに非常に時間がかかっているように見えますけれども、関係各国も結果的には同様のペースになってきておりまして、七省庁絡むということもございまして時間がかかっているということでございます。
 今回、こういう事態が発生したということではございますが、もちろんいたずらに時間をかけるつもりは毛頭ございませんで、可能な限り早目に物事を進めていきたいと思っておりますが、いずれにしましても中身が絡む問題でございますので、ここで即答はちょっと差し控えさせていただきたいと思っております。
○加藤修一君 積極的な対応をお願いしたいと思います。
 私は、前回の国会の中でも原子力防災特別措置法をつくるべきだというふうに言ったわけですけれども、そのときは政府は、原子力防災対策の実効性を向上させる、それで十分であるというふうに答弁されたわけであります。
 この法律を具体的な内容としてどういうふうに考えているか、そしていつやるのか、あるいは予算措置を含めてどういうふうな考え方を今お持ちであるか、その辺についてわかる範囲でお答えいただければと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 原子力防災に関する新法につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、通産省を初め関係省庁と連携協力のもと、今検討作業を進めているところでございます。
 原子力災害につきましては、その被害が五感に感じられない等の特殊性があることから、専門的な知識を有する国が通常の自然災害以上に積極的に関与していく必要があると認識をいたしておりまして、これも検討すべき重要なポイントの一つと考えております。
 当委員会での各委員の皆様方の御指摘、それからこれまでの自治体からの御意見や御要望を十分に踏まえつつ、一層実効性のある原子力防災体制の構築に向けて、国の関与のあり方も含めて早急に法案の内容を固めてまいりたいと思っております。
 総理からも、この件につきましては早急に検討するようにという御指示もございまして、また、準備ができ次第、国会に法案として提出をさせていただきたいと思っておりますが、臨時国会で御審議をいただければと、そういうふうに思っているところでございます。
○加藤修一君 私は、その内容にはさまざまな項目が考えられなければいけないと思っているわけです。
 新聞紙上でも、指揮命令系統の国への一元化。あるいは原子力レスキュー隊、これは私も前国会で申し上げているところであります。あるいは、原子力発電所の運転管理専門官、これは定員割れしている現状でありますけれども、そこに防災関係の研修を強化する、そして国の初動態勢を強化する、こういった項目も私は必要ではないかなと思います。さらに、事故想定アセスメントとそれから緊急避難実施計画の策定の義務化、これも必要であろう。あるいは、国、自治体、事業者、地域住民が一体となった防災訓練の実施、防護体制の有機的連携。六番目としては、環境保全計画の策定、あるいは放射性物質の観測体制の強化及び義務化。七点目には、原発等関連施設従事労働者、地域住民の健康調査。あるいは八点目としては、関連施設周辺地域の放射能の疫学的な調査、そういったことも必要であろう。あるいは国際的な影響、こういったことも当然考えていかなければいけないということで、そういった点からの防災への国際的協力、そのためにはどういった体制が必要であるか、そういったことも含めて私は検討をしていくべきではないかなと思います。それから、避難対策、健康診断、防災対策などの地方公共団体の財政負担について国の十分な措置も必要であろう。あるいは核燃料物質に係る施設の川上から川下に至る連続的なリスク計測及びリスク管理体制の整備、こういったこともひとつ私は検討の対象にすべきではないかなと思っております。それを提唱しておきたいと思います。
 それでは次に、住民参加の避難訓練についてでありますけれども、参加訓練、この点については、事故の様相、態様がどういうものであるかによって非常に私は違ってくると思うんですけれども、例えば中性子線放射型と放射能飛散型ではその対応が当然のことながら違ってくる。これも含めてやはり避難教育が必要であるということについては言うまでもないと思いますけれども、そもそもこういった面での件。
 それから、私は先ほど一つ申し上げましたけれども、原子力発電所の運転管理専門官、これは今定員が四十七名でございますけれども、定員割れを起こしている。これについては、前国会のときに、この状況は事の重大性にかんがみまして解消すべく努力いたしますと、そういうふうに答弁いただいているわけであります。その専門官の研修に当たっては八週間行う、防災の件については入っていない。今回の事故でますます運転管理専門官の重要性が高まっていると私は理解しておりますけれども、当時の質問以降、これに対してどのように対応を考えてこられているか、御説明をいただきたいと思います。
○説明員(河野博文君) 前国会におきまして、先生から、運転管理専門官の重要性、そして人数の問題について御指摘を賜りました。現在の状況を御報告申し上げますと、定員四十七名に対しまして併任の者を含めまして合計四十六名という状況でございます。
 また、研修制度につきましては、現在の運転管理専門官の役割として防災面は考慮されておりませんでした。これは今後の検討課題だと思っておりますけれども、研修につきましては、既に着任しております者の着任後の一週間単位の研修というのがございますけれども、ここには防災のための研修を組み込んでおります。
 さらに、御指摘がありましたように、今後この運転管理専門官が防災におきまして果たす役割、これは私ども真剣に考えていかなければなりませんので、着任時の三週間ないし八週間にわたる研修の中で防災に関します研修も組み込んでいくことが私どもの使命だというふうに思っております。
○加藤修一君 それから、前回も同じように質問して、具体的にどういうふうにその後対応されているかについて確認の質問ですけれども、いわゆる既存の原発関連の施設の疫学調査をするように私は言っておりました。それは岩崎論文のいかに間違っているかを指摘しながら言ったわけでありますけれども、この辺についてはそれ以降科技庁さんの方ではどういう対応を考えていらっしゃいますか。
○説明員(興直孝君) お答え申し上げます。
 かつて放医研にいらっしゃった岩崎博士の関係で、さきの通常国会で本件問題について御議論があったことに関連してのお話でございますが、放射線の疫学調査につきましては、かねて平成二年度から実施されてきておるところでございます。第一期の調査が平成二年度から六年度まで五年間の調査が行われました上で、平成七年度から第二期の調査が今行われておりますけれども、そういう疫学調査に加えまして、前回の加藤先生の御指摘を踏まえて放射線医学総合研究所の方でこの問題についてのさらなる調査研究を進めてきているところでございます。
 具体的には、放医研の中に放射線疫学調査検討委員会というものをつくりまして、放射線医学総合研究所のみならず日本の関係する学会の先生方にお入りいただきまして、当該関係の論文をもとにさらにいわゆる母数と申しましょうか、関係する対象の方々を広げた上での疫学調査を行っていこうというふうなことで作業を進めてございます。
 その際、加藤先生の方からお話しございましたジャーナル・オブ・ラジオロジカル・プロテクションという組織との関係においての連携も、コンタクトもとってございまして、日本におけるさらなる調査結果を踏まえてその成果を出していただきたい、こういうふうな話まで来ておるところでございます。
○加藤修一君 厚生省の人口動態の関係資料を使ってやるというふうに前回も聞いておりますけれども、それを二十年間か何年間になるかわかりませんが、いずれにしても、十年とか十五年とかというふうに調査期間がかかるわけじゃないと思うんです。どのぐらいのめどで考えているか。いつ質問しても調査中、調査中ということでは私は理解できない。
 岩崎論文はそんなに時間をかけておりませんから、その辺についてはめどをどこに置いて考えていらっしゃるか、明確にできる範囲で御答弁いただきたいと思います。
○説明員(興直孝君) 放医研においては、岩崎氏が実施されました調査に関しまして、既に厚生省から人口動態統計の一九八八年以降の十年分のデータも得まして、統計的信頼性を向上させた分析を行うべく先ほどの調査を行おうとしてきたところでございます。
 その中で、先ほど申し上げました外部有識者によります疫学調査検討委員会を設置し、客観的かつ科学的な解析方法の検討に着手したところでございまして、来年度中を目途に解析結果を取りまとめる予定でございます。
○加藤修一君 それでは、きょうは参考人としてお二人の方が見えていられますので、質問をしたいと思います。
 確認的な質問になりますけれども、新聞等に掲載されている内容の中に、特に私は非常に憤りを覚えるわけですけれども、裏マニュアル、この裏マニュアルはいつからあったわけですか。これはどこの部署がつくってどこが決裁し、上層部はどこまで知っていたか、明言していただきたいと思います。
○参考人(越島建三君) 現在、ちまたで裏マニュアルと呼ばれておりますのは、一九九七年に改訂されました溶液製造のマニュアルでございます。これにつきましては、製造部門が作成して、関連部門の審査を経まして製造部門の責任者が承認して発行しております。これのオリジナルといいますか、八九年に初版が発行されておるわけでございますが、これについては文書の所在がちょっと不明でございます。
 それから、上層部が承知していたかどうかとかいうことにつきましては、退職した方もいらっしゃいます。なおかつ、今関連書類が警察に押収されている状況でございますので、現在調査中でございまして、いましばらくこれに関するお答えについてはお時間をちょうだいしたいと思っています。
○加藤修一君 どこの部署がつくり、どこが決裁し、上層部のどこまで知っていたかということについては後ほど可能になった範囲で出していただけますか。
○参考人(越島建三君) これにつきましては私どもでも調査を進めてまいりますし、事故調でも調査されていますし、警察でも調査されています。その辺で、私どもの方でちゃんとお答えできる時期になったらお知らせしたいと思います。
○加藤修一君 所長自身はこの辺についてはどうでしょうか。どういう判断をされていますか。どういう認識でずっと仕事をされてきましたか。
○参考人(越島建三君) 私自身はずっと工場で勤務してまいりまして、最近所長になったばかりでございますが、私がどのように関与してきたかということに関して、マニュアルの存在そのものは、私としては私のところに回ってこないという意味で認識しておりません。
○加藤修一君 そのいわゆる裏マニュアルについては所長の部屋には来ていない、所長も見ていない、全然関与していない、全くしていない、そういう理解でよろしいですか。
○参考人(越島建三君) 私どもの文書管理要領というのが社内にございまして、手順書はその手順書を作成する現場の方で作成されまして、基本的にその部門の責任者が承認するというシステムをとっております。したがいまして、所長のところに回らないということもございます。
○加藤修一君 非常に不思議な会社の管理システムだと私は思います。重要だと私はその辺は認識しているのですけれども、所長が御存じない、全く知らなかったという話ですか、裏で物事が、裏マニュアルで進められていたという理解をしてよろしいですか。所長の権限は全く働いていないと。
○参考人(越島建三君) マニュアルといいますのは所内に非常にたくさんございます。というのは、設備を具体的にどういうふうに操作する、あるいはほかの部門でいきますと、分析の方法はサンプルをこういうふうにとってこういうふうに分析するとか。ですから、社内にあるマニュアルというのは膨大な数がございます。したがいまして、そのマニュアルそのものの管理、運用に関してはその部門にお任せする。安全上重要なことに関しては安全専門委員会というチェック機構がございまして、そこで審査することになっております。
○加藤修一君 安全上にかかわる問題については、所長も実はこの件に関しては全然関与していないというふうに理解してくださいということですか。
○参考人(越島建三君) この時期に関してはかなり前かと承知していまして、少なくとも私の記憶の中では私が関与したかどうかというのははっきり覚えておりません。
○加藤修一君 精査してきちっと国会の方に提出していただきたいと思います。
 違法な作業工程についてですけれども、バケツから貯塔に入れずに沈殿槽に入れたのはだれの指示なんですか。これはいつからですか。上層部はこの点についてどこまで知っておりましたか。
○参考人(越島建三君) 転換試験棟で最終製品の溶液をつくる仕事は、しばらく間があいておったわけでございまして、今回作業した三人は作業経験はございますけれども、二人が新人でございまして一人が経験者でございました。
 それで、前回に溶液をつくった作業者は別の人間がいたわけでございますけれども、その人間からヒアリングした状況では沈殿槽に入れるという行為は全くやっていなかったし、そういう工程は全く考えたこともなかったというふうに聞いておりますので、以前は沈殿槽に入れるという行為はなかったというふうに認識しております。
○加藤修一君 最終工程だけではなくて精製段階でも工程を省略していた、そういうふうに報道されている面もありますけれども、それは裏マニュアルにあったのか、それとも現場で指示したということであるのか、どちらでしょう。両方でしょうか、どうでしょうか。
○参考人(越島建三君) 済みません、もう一度質問の趣旨を確認させていただきたいんですが、今精製工程とおっしゃいましたが、溶液をつくる今回の作業のことでございましょうか。ちょっと済みません、確認させてください。
○加藤修一君 最終工程だけではなくて精製段階でも工程を省略していたと言われていますけれども、それは裏マニュアルにあったのかどうなのかということです。
○参考人(越島建三君) この仕事は、不純物を含んだ酸化物からそれを除去して精製した酸化物にする工程と、それを溶解して溶液をつくる工程とステップとしては二つに分かれております。
 今、委員の方からおっしゃいましたのは、最初の精製の工程で工程を飛ばしたかという趣旨に理解したわけでございますが、そこで違法な容器を使って溶解したという行為はございましたけれども、工程を省略したということはございません。
○加藤修一君 これも確認の質問ですけれども、作業員が臨界を知っていたかどうか、いわゆる青い光を臨界と知っていたかどうか、そしてそういった状態になったときに多量の放射線を浴びるとどうなるか、非常に基本的な質問でありますけれども、この辺については知っていたかどうかということの確認です。
○参考人(越島建三君) 青い光が臨界であるということを知っていたかどうか、ただいま三人の作業者は入院中でございまして、そういう観点での事情の聴取はできておりません。
 最近、医者の方から刺激が多いということで社員の接触がとめられておりますので、そういう確認はできておりませんが、作業をしていたときに青い光が出て同時にエリアモニターの警報が吹鳴したので、急遽慌てて退室したというふうに理解しております。
○加藤修一君 一九八〇年代の初期に弗化水素の関係で何か事故があったというふうに私は聞いておりますけれども、そういったものあるいはそれに類する関係の外に知らされていない事故があったかないか、これについてどうでしょうか。
○参考人(越島建三君) 今具体例として御指摘の件は、昭和五十年代にございました。これはいわゆるウランの加工施設の外で起きたトラブルでございますが、施設の周辺の方に、植物に対して被害を若干及ぼしてしまったということはございます。
 その他について外部に御報告するようなトラブルあるいは事故は起こしておりません。
○加藤修一君 最後の質問になりますけれども、ジェー・シー・オーで出していられるパンフレットですけれども、めくりますと「人に優しいエネルギー」というふうに書いてありまして、最後の方に「人と環境の安全を第一に」というふうにありまして、「防護隊活動」、この中身が「万一の非常事態発生時に災害の拡大防止・鎮圧が迅速に行えるよう、日頃から防護隊の訓練活動を行っています。」というふうに書かれてございますけれども、この活動の記録がございますか。
 具体的に一体何をされていたのか、あるいはこの活動の中で仮に事故が起こったときに周辺地域住民との関係性はどういうふうにとらえていたのか、それから今回は具体的に何をやったのか、効果はあったのか、これについて今後さらにどう考えていらっしゃるか、その辺のことについてお願いしたいと思います。
○参考人(越島建三君) 私どもの所内には防護隊という組織がございます。具体的には例えばウランを扱う管理区域内を担当する部門、あるいは私ども弗素を処理する職場がございますのでそこを担当する部門、あるいは消防班あるいは工場の設備を担当する工務班等々ございます。
 それで、各グループは定期的に毎月班長会議というのを開いておりまして、具体的に訓練することを決めて実施しております。例えば、ウランを扱う管理区域内の防護隊員の訓練等は何か起きたときに防護スーツを着て現場に入る、そのための酸素マスクの装着訓練等を一定の頻度で繰り返しやっておりますし、消防班は放水訓練等をやっております。これは防護隊の中で記録として残っております。これはあくまでも所内的な活動を想定したものでありまして、所外の活動に対しては想定しておりません。
 今回の事故におきましては、放射線事故ということもありまして、防護隊がどう活動するかというところは初期の段階では非常に難しゅうございまして、具体的にその活動の成果が出ましたのは、水抜き作業に行くときに酸素ボンベを装着していったわけでございますが、それを防護隊の倉庫から持ってきて実際の作業に当たった人間に迅速に適用したというところで、そういう活動の成果は今回の中で生きたと思います。
 以上でございます。
○加藤修一君 最近一年間の記録を提出してください。答えていませんから。
○委員長(成瀬守重君) 持ち時間が超過しましたので。
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 我が党は、今回の東海村の核燃料工場で起こりました臨界事故については、生命にかかわる被曝者を出し、また広範な地域に放射能汚染の危険をもたらした我が国最悪の放射能事故となったと理解をいたしまして、志位書記局長を対策本部長とする対策本部を直ちにつくり、十月一日に総理大臣に緊急の申し入れをし、今全国調査をやっておりまして、真相の究明と同時に直ちにとれる安全対策を要望しているわけでございます。
 そこで、まず最初に、大臣のこの事故に対する御認識についてお伺いをしたいわけでございます。
 この事故が発生をいたしまして新しい自自公政権内閣の発足自体が少しおくれたということなんですが、実は十月四日の自自公三党の合意文書がここにございますけれども、私は何度見てもこの合意文書の中にこの重大な東海村の臨界事故に触れた箇所は見当たりません。何度探してもないんです。十月四日の合意文書です。内閣は十月五日に発足をいたしました。これを見る限りにおいて、私は、重大な事故という認識が全く欠落しているんじゃないか、そこから生ずることは、本当に国民の安全を守る原子力行政の見直し、それもまた空白じゃないか、そういう大変な懸念を持たざるを得ませんでした。
 では、国際的にはどうかということで、私、調査室の方にお願いをいたしまして、事故直後の国際的なマスコミ等々、集めていただきました。
 十月一日のイズベスチヤですが、東京から百六十キロの地点で九月三十日核非常事態が起こる、こういう報道をいたしております。またロシア新聞十月二日は、日本のチェルノブイリだ、こういう報道をしているわけです。さらに十月一日のタイムズも持ってまいりましたし、またイギリスの十月一日のインディペンデント、この見出しは、青い閃光が走り日本は再び原子核の悪夢に直面させられている。再びというのは、広島、長崎に次いで、あるいは三・一のビキニに次いで、こういうことだと思いますが、日本は再び核の悪夢に直面させられている、こういう見出しがついているわけです。
 イギリスのガーディアンはどうかというと、これは十月一日に、チェルノブイリ以来の最悪のアクシデントだ、大見出しですよ、こういう大きな見出しで報道をしているわけでございます。そして、同じくガーディアンは十月二日に、世界は原子力の安全性を懸念しているということを大見出しでまた伝えているわけでございます。このガーディアンの二枚目には、ジェー・シー・オーの木谷社長が土下座をしている写真まで報道されているわけでございます。世界に報道されたわけでございます。
 あとはル・モンド、言うに及びません。
 このような国際的な非常に重視した報道、また国内の国民の皆さんの懸念の声に大臣はどのようにおこたえになるか、今回の重大な事故の御認識についてお伺いをいたします。
○国務大臣(中曽根弘文君) 先ほどからも申し上げておりますように、今回の事故は日本初の臨界事故であります。大変に重大な事故でございますし、また多くの方々が、特に従業員の方が重篤な被曝を受けられました。また、住民の方にも大変な御迷惑をおかけいたしました。避難や屋内退避が行われたわけでありまして、本当に重大な事故と認識をいたしております。
 まず、原子力行政を預かる者として、地元の皆さんを初め国民の皆様方に多大な御心配と御迷惑をおかけしたことを極めて厳しく受けとめておるわけでございます。
 今、委員から、自自公いわゆる三党での合意文書についての御指摘がございました。党の中での御協議のことですから私からの発言は控えさせていただきたいとは思いますが、私が大臣に就任いたす前、すなわち十月五日以前のことでございますけれども、当時の状況を申し上げますと、私は自民党の本件の災害対策本部の副本部長に就任をいたしまして、事故の翌日のたしか十月一日であったと思いますけれども、朝から党本部でこの事故についての会議を開いておったわけでありまして、決して自民党におきましても認識が欠落していたということはなかったと思います。また、公明党さん、自由党さんも同様であったと思います。現在は大臣という立場でございますので、事故原因の究明と、それから再発防止に全力で取り組むのが私の仕事と思っておるわけでございます。
 また、海外のいろいろなマスコミでの報道をただいま御紹介ございました。国際的な信用を著しく失墜したということは大変残念であります。また、国民の皆様の原子力に対する信頼、また御理解というものも著しく低下したものと思っておりますが、先ほども申し上げましたけれども、今後の万全の対策を整備いたしまして、そして国民の皆様方にもう一度一から、白紙から私は原子力に対する御理解をお願いしていくべきではないか、そういうふうに思っておるところでございます。
○西山登紀子君 次に、参考人の木谷社長にお伺いをしたいわけですけれども、我が国で最初の臨界事故を起こしたという第一義的な責任はもちろん事業者にあります。そのことはもちろんお認めになりますね。その上であなたがなすべきことは、このように土下座をして謝るということではなくて真実を語り尽くすこと、そして被害者に誠意を持って報いることだということを前提に申し上げまして、質問をしたいと思うわけです。
 あなたの会社は、一九八三年十一月二十二日付で核燃料物質加工事業変更許可申請書を総理大臣に提出をしているわけです。
 事態を理解するために少しこの申請書の中身を言わせていただきますと、その変更の内容というのは、従来の加工施設に転換試験棟を加えること、そこで処理する核燃料物質は二〇%未満の濃縮ウランを最大処理能力年間三トンウラン、さらに実験用として二〇%以上五〇%未満の濃縮ウランを最大年間二十キログラム扱いたいという変更の理由を出していらっしゃる。そして、これまで実験的に使用していた装置を加工事業として利用するために変更したいと、こういうように申請書に書かれているわけです。これも間違いないこと、お読みしているわけですから。
 さらに、この申請書には、臨界事故については「いかなる場合でも安全であるよう十分な設計がなされているので臨界事故は起り得ない。」と明確に書いている。ところが、現実には重大な臨界事故が起こりました。この申請書は極めて無責任な、ずさんな申請書と言わざるを得ませんけれども、国民に納得のいく説明をしてください。
○参考人(木谷宏治君) 大変な事故を起こしました会社の責任者として、その責任を心から強く感じております。私の責任は、事故の原因究明、安全回復・確保、それから再発の防止、さらには被害への対応、そういう面であらゆる最善の努力を尽くすことだというふうに考えております。
 ただ、ただいまの申請書の内容につきましては事業所の操業に関することでございまして、その点につきましては操業を預かっておる所長の方から御説明したいと思います。
○参考人(越島建三君) 御指摘の加工事業変更許可は昭和五十九年の案件だと認識しておりますが、よろしゅうございますか。
 そのときは、「常陽」の設計が変わりまして、設計濃縮度が一二%から一八・八%に変わるということで、設備を一八・八%を扱えるものに改造するということで変更許可を出したというふうに記憶しております。そのときの表現につきまして、実験段階を脱したので次のステップに進むというふうに書いてあったかどうか、これは私は認識をしておりませんが、その変更許可を出した経緯は以上のようなものでございます。
 それから、安全に関しましては、これは科学技術庁さんに審査をしていただいたわけでございますが、基本的に核燃料の安全審査の基本指針にのっとりまして、ウラン加工指針を準用するという形で御指導いただいたというふうに記憶しております。
 以上でございます。
○西山登紀子君 今言われたように、基本指針に沿って申請をしたのだから問題はなかった、こういうことでございましょうか。基本指針に沿って申請書をつくって申請をしたんだから問題はなかったと。
○参考人(越島建三君) 特に、今回のトラブルとの関係で申し上げますと臨界に関してだと思いますが、例えば私どもの方では、できる限り形状制限を取り入れましてヒューマンエラーを防ぐ、なおかつ、一番臨界を起こす可能性が高いといいますか、溶液あるいは沈殿というような工程に関しては、その工程には一バッチしか投入しないとかいうようなことで多重防護的な思想を入れて操業する、そういう設計になっております。
 それで、そういう設備を設計し、そういうハンドリングをすれば臨界は起こり得ないと、一回の取り扱いの質量制限値には二・三の安全ファクターを含んでいるとか、そういうもろもろのことを加味して臨界は起こり得ないということで話を進めさせていただきました。
○西山登紀子君 先に進みます。
 申請書は、一月三十一日と四月二日、二回補正をしていらっしゃいます。その際、科学技術庁の指導や助言は受けられましたでしょうか。またその際、それまでの試験棟を五%以上五〇%未満のウランを取り扱う商業用の施設にするという上で、特別の注意やアドバイスを受けましたか。
○参考人(越島建三君) 最初の二点の補正でございますが、これは科学技術庁さんとの御相談の上で補正申請をさせていただいたと思います、私、今その内容については存じておりませんが。
 それから、商業的というふうな表現ではあろうかと思いますが、基本的に扱う量はそう大きく変わったものじゃなくて、表現だけの問題じゃないかなと思います。
○西山登紀子君 ちょっと最後の部分、聞こえにくかったんですが、何ですか。
○参考人(越島建三君) 失礼しました。
 商業的規模という表現が使われているということでございますが、取扱量が飛躍的に増加するとかそういうことはございません。基本的にその施設は「常陽」のためにつくった施設でございまして、量的に大幅にふえるということはなくて、そのときに商業的と書いた趣旨はちょっとわかりませんが、表現だけの問題じゃないかというふうに今は理解しています。
○西山登紀子君 ちょっと今重大なことをおっしゃったと思うんですけれども、これは試験棟でしたよね、実験をしていた。いろいろな濃度のものをいろいろつくっていた。それを商業用にするために年間三トンウランをつくるための商業用に変えたいんだという変更ですね。ところが、今所長がおっしゃったのは、いや量はそんなに変わっていない、今までもそれぐらいはつくっていたんだと、こういうことですが、そうだったんですか。
○参考人(越島建三君) この施設は、加工事業になる前はいわゆる使用施設ということで許可をいただきました。使用施設でつくったときも、最初から今と同じようなプロセスでつくっております。
 それから、もう一つの三トンという能力でございますが、これはいわゆる許認可能力としてそれだけの能力がある施設として申請してお認めいただいたということで、必ずしも年間三トンをフルに扱うという意味ではございません。
○西山登紀子君 科学技術庁からこういう申請書をつくるに当たっての特別なアドバイスは受けてはいなかったということですね。その事実だけでいいんです。受けていませんよね、そうでしょう。
○参考人(越島建三君) ちょっと質問させていただきたいんですが、特別のアドバイスというのはどういうことでしょうか。
○西山登紀子君 五%以上五〇%未満のウランを扱う商業用の加工用の工場にするんだということについての特別のアドバイスです。なければいいんです、それで。
○参考人(越島建三君) 今おっしゃいましたのは表現の問題かと思います。
 私どもは、設計の内容あるいは取り扱いの内容について実質的な審査をお願いしたというふうに理解しております。
○西山登紀子君 非常に私は納得いきませんけれども、時間の関係で先に行きます。
 この事故について、国民の中には、政府の安全審査や指導について厳しい批判が出ているわけです。朝からジェー・シー・オーのほんの数人の不始末あるいは違法行為、あるいはモラルを問題にするような立場からの御質問もあったわけですけれども、そこのところに帰していたのでは根本的な安全対策の改善の方向は見えてこないと思います。政府の責任は非常に重大だと思うわけです。
 科学技術庁のジェー・シー・オーの変更許可申請に関する安全審査書というのがあるわけですけれども、これを見ますと、核燃料施設安全審査基本指針に基づいたほか、ウラン加工施設安全審査指針を準用して審査をした結果、ジェー・シー・オーの変更に係る施設が、「これまで述べたように充分な安全対策が講じられており、一般公衆に対し過度の放射線被ばくを及ぼす事故が起こるとは考えられない。」としております。これは間違いありませんね。
○説明員(間宮馨君) 事実でございます。
○西山登紀子君 次に、ダブルチェックをした、一九八四年四月二十六日、原子力安全委員会の答申も見せていただきますと、最後のところですが、「以上のことから、臨界管理は妥当なものと判断する。」と明確に記載されておりますが、これも間違いありませんね。
○説明員(間宮馨君) 間違いございません。
○西山登紀子君 そこで、確認をしたいんですけれども、ジェー・シー・オーの施設の臨界安全審査、これは核燃料施設安全審査基本指針で行ったのか、それともウラン加工施設安全審査指針で行ったのか、先ほど来議論のあるところですけれども、はっきりお答えいただきたいと思います。
○説明員(間宮馨君) 本件の変更許可申請に対する安全審査では、核燃料施設安全審査基本指針に基づき審査を行っております。
○西山登紀子君 そこで、その基本指針なるものは一体何を明記しているかということで、私も少し勉強させてもらいました。その基本指針の「臨界安全」に関する指針の部分、指針十、十一、十二というところです。
 この指針十は「単一ユニットの臨界管理」ということで、「核燃料施設における単一ユニットは、技術的にみて想定されるいかなる場合でも臨界を防止する対策が講じられていること。」、指針十一は「複数ユニットの臨界管理」で、「核燃料施設内に単一ユニットが二つ以上存在する場合には、ユニット相互間の中性子相互干渉を考慮し、技術的にみて想定されるいかなる場合でも臨界を防止する対策が講じられていること。」、また、指針の十二は「臨界事故に対する考慮」となっていて、「誤操作等により臨界事故の発生するおそれのある核燃料施設においては、万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられていること。」、こういうふうになっているわけです。
 ところが、ジェー・シー・オーの今回の事故を見る限り、このいずれの対策も十分でなかったということは明らかでございます。二重の大穴があいていたと私たちは申し上げておりますけれども、未然の防止策も事故発生の後の抑制制御の策も全くとられていなかった。つまり、この基本指針が全く守られていない、こういう結果ではないかと思うわけです。
 そこで、では守らなかったのはジェー・シー・オーだけかということでありますが、私は、この施設に対して許可を与えた政府もやはりこの基本指針を守らなかった、こういうふうに言えるんじゃないかと思うわけです。原子力施設のあらゆる工程について政府は直接責任をとる必要があるわけですが、このジェー・シー・オーの変更申請が許可されたのはどうしてなんでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 今先生、指針の中の三つの条項、指針十、十一、十二を御紹介されました。
 まず、指針十の件でございますけれども、申請概要で形状制限値というのがございます。これに関しましては、信頼度の高い文献に基づき、形状制限値、安全質量を定めているという判断が審査の中で行われております。
 安全質量というのがございます。これはウラン濃縮度一八・八%で二・四キログラム、これをワンバッチと言っております、以下ということでございますが、これに関しましては、安全質量については誤操作、つまり誤って二回投入したとしても臨界に達しないという対策がとられているという審査判断がございます。
 三番目は、溶解工程でワンバッチの溶解量を工程に入れる前に秤量する、沈殿工程でワンバッチの取扱量を前々工程の加水分解工程において秤量するという申請でございますが、この申請に対しましては、ウランの計量を二回実施しチェックしているということでの審査判断がなされております。
 四番目は、沈殿工程に送る前にウランの濃度と液量を測定するというのが申請でございますが、加水分解から沈殿までの一連の工程をワンバッチで管理するとしているということでございますが、これは補正を加えた後のことでございまして、ここの段階では厳しく指摘をして、そういうふうにしなさいということで向こうの方が補正を受けて、結果的には今申し上げたように加水分解から沈殿までワンバッチで管理ということで審査判断されております。
 五番目は、加水分解から沈殿までの一連の工程をワンバッチで管理、これは今申し上げましたが、補正で行われております。
 指針十一に関しましては、まず一つは、貯蔵施設と変換工程は三十・五センチ以上のコンクリート層で仕切るということでございますが、これに関しましてはユニット間距離が信頼度の高い文献値以上であるという審査判断でございます。
 二つ目、設備機器は表面間距離を三十・五センチ以上となるようにということで、これは今のところに含まれております。
 それと三番目は、立体角は一定値以下ということですが、これに対しましては立体角法による解析を満足する配置であるという審査判断でございます。ここまでで、まず指針十一に関しましては、複数ユニットの臨界安全は妥当であるということでございます。
 あと指針十二に関しましてですが、「いかなる場合でも安全であるよう十分な設計がなされているので臨界事故は起り得ない。」というのが申請に書いてございますが、これに関しましては、単一ユニット及び複数ユニットに対する臨界安全対策は妥当であるということで審査判断が行われております。
 以上のような過程でございますが、先ほど申し上げましたように、審査の過程におきまして、いわゆる各部分部分で一バッチということでは不十分である、加水分解から沈殿までの一連の工程を一バッチで管理すべきであるという意見が反映されて補正がなされているということでございます。
○西山登紀子君 先ほどジェー・シー・オーの方も言われたように、全く臨界事故に対する対策はとっていなかった。基本指針に基づいて行ったと。
 今のお話だと、指針十二で適切な対策を講じるように特別に見ていないわけですね。おそれがない施設というふうに判断をしたというふうに理解をしていいんですか。指針十二に言う「誤操作等により臨界事故の発生するおそれのある核燃料施設」というふうには見ていなかった、こういうことでしょうか。だから適切な対策を講じていなくてもいいよとお墨つきを与えた、こういうことですか。
○説明員(間宮馨君) そのように判断されたということでございます。
○西山登紀子君 おそれがないと判断した根拠というのは一体何なんでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 今申し上げましたように、例えば一回前段階で測定をしなかった、あるいは測定の誤りがあったといたしましても、沈殿槽に至るまでにもう一回測定をしなければいけないということで、そこで誤りが発見できるということ。それと、二重装荷と申しますが、一回ワンバッチ分を入れたと、入れたにもかかわらず忘れてもう一回分を追加した、こういう場合においても臨界に至らないというような、いわば裕度が見込まれているということにおいて臨界に至らないという判断がなされたものと理解しております。
○西山登紀子君 私はそれこそが安全神話じゃないかと思うわけです。
 この指針の十二は、「誤操作等により臨界事故の発生するおそれのある核燃料施設においては、万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられていること。」というふうに明確に述べられているにもかかわらず、審査の段階で、この施設はもうおそれがない施設だというふうにして除外してしまう、免除してしまう。だから、現場では対策はとらなくてもいいんだということでとっていない。しかし、現実にこういう事故が起こってしまったわけでございます。科学技術庁のこの審査がやっぱり間違っていた、基本指針を守っていなかった、こういうふうに私は断ぜざるを得ないわけです。
 臨界事故を防止するための当時の知見というのは一体どうだったのか。いろいろ教えていただきまして、実はここに一九八四年に出されました日本原子力研究所の「核燃料取扱い施設における臨界事故例の解析」という報告書を持ってまいりました。これを読んでみますと、私は非常に重大な研究をなさっているというふうに思いました。
 この研究の目的、「序」のところで、「一九八三年九月二十三日にアルゼンチンの研究所で臨界事故が発生し、作業員が一名死亡した。」、ずっと述べられてあって、「特に我が国では現在、プルトニウム燃料加工施設が増設され、第二再処理施設の設計が開始されるなど、大型の核燃料処理施設が増加しつつあり、臨界安全性の課題を正しく評価すべき時期にあるといえよう。」。これが一九八四年、つまりジェー・シー・オーの施設に国が安全マークをつけたときの状態を研究者はこういうふうに述べているわけです。
 そして、その研究の中身ですけれども、先ほど誤操作などはないということで安全マークを押したとおっしゃったんですけれども、この研究の中では、日本ではありませんけれども、米国民間再処理施設における事故原因の区分という資料がございます。その資料を見てみますと、事故の原因の五〇%は作業員のミスだという統計の結果がきちっと出ているわけです。半分は作業員のミスだ、誤操作だ。ですから、私は、もうこういう核燃料施設というのは誤操作があって当たり前、こういうことを前提にした設計もしなきゃいけないし審査もしなきゃいけなかったんじゃないかというふうに思うわけです。
 さらに、この研究では「結び」にこのように述べています。「臨界事故の安全対策は、事故防止と事故時対策によって行われる。前者は、臨界安全設計の改良(信頼性の高い臨界実験データに基づく核計算コードの改良、モニタ等を駆使した工程管理システムの確立)、理解度の高い作業員の養成ならびに労働衛生環境の改善等が必要であり、後者は、放射線遮蔽と放射性物質の閉じ込め能力の向上、臨界警報器の改良ならびに避難法の確立等が重要である。」、このように結んでいるわけです。
 これは外国の研究でも何でもありません。日本原子力研究所が一九八四年当時に研究をし、発表されている研究でございます。私は、やはり安全審査というのはこういう知見に基づいて厳正に行うべきであったと思いますが、大臣のお考えをお伺いします。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今回の事故の原因等につきまして、私どもの立場でいろいろと検証しておるところでございます。委員御指摘のような点もあろうかとも思っておりまして、今後の再発防止策の参考にさせていただきたい、そういうふうに思っております。
○西山登紀子君 次に、ジェー・シー・オーの変更許可申請書に対する科学技術庁の審査書の中に、基本指針を用いたことに加えて濃縮度五%以下の施設に対するウラン加工施設安全審査指針を準用した、こういう文言がございます。原子力安全委員会の方は参考にしたというふうに言葉を変えていますけれども、一体申請書のどの部分に対してこの五%未満のウラン加工施設安全審査指針を準用ないし参考にされたのでしょうか。
○説明員(間宮馨君) いわゆる今回の審査が基本指針で行われたということがまずございまして、その基本指針の中で行う際に、いわばウラン指針にあって基本指針として本件を扱う際に参考になる部分に限って、そういうものについては参考にしたということでございまして、参考にした部分は、平常時の条件であるとか閉じ込めの機能であるとか放射線被曝管理、地震に対する考慮といったものでございまして、単一ユニットの臨界管理、複数ユニットの臨界管理、臨界事故に対する考慮については本指針に基づきまして個別に審査されたということでございます。
○西山登紀子君 ちょっとお答えになっていないと思うんです。
 ウラン加工施設安全審査指針を申請書のどの部分に適用したのかというんですよ。臨界のところを適用したんですか。
○説明員(間宮馨君) もう一度申し上げますが、ウラン指針を参考にした部分でございますが、平常時の条件、閉じ込めの機能、放射線被曝管理、地震に対する考慮、この部分のみを参考にいたしまして、臨界管理に関するところは全く参考にしてございません。
○西山登紀子君 しかし、臨界管理の部分も参考にしたんじゃないかというふうに見られないかというと、少し苦しいところはあるんです。臨界のところは基本指針でやったと言うんですけれども、その基本指針でやったということについては、基本指針でやったところが、おそれがないということで免除してしまったという点では、結果的には五%未満のウラン加工施設と同じような結果になってしまっているということについては指摘をしておきたいと思います。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、ウラン加工施設安全審査指針、五%未満のこの指針を私見ておりまして、五%未満のウラン加工施設ではそれでは臨界の危険性がないのかというと、そうではありませんね。臨界の危険性はあります。ところが、この加工指針そのものが実は基本指針を薄めて大きな穴をあけている、私はこういう懸念がいたします。
 例えば指針十の六というのがあるんですけれども、ここには「核的制限値の維持・管理については、起こるとは考えられない独立した二つ以上の異常が同時に起こらない限り臨界に達しないものであること。」、こういう防止策でよろしいよとなっています。また、複数の場合も、同じく指針十一の四のところで、「起こるとは考えられない独立した二つ以上の異常が、同時に起こらない限り臨界に達しないものであること。」と、こうなっています。さらには、問題は指針十二、ここでは「ウラン加工施設においては、指針十及び指針十一を満足するかぎり、臨界事故に対する考慮は要しない。」、つまり基本指針十二、「臨界事故に対する考慮 誤操作等により臨界事故の発生するおそれのある核燃料施設においては、万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられていること。」というこの基本指針の部分は考慮しなくてよろしいと、はなからもう免除している、こういうことなんですよ。これは私は極めて重大であると思います。
 ですから、この点の見直し、五%未満の場合だってもっと厳重にする必要があるし、それから臨界が起こった場合の対策もきちっと直ちに私はとる必要があるというのが一点です。
 時間の関係で次の質問も同時にさせていただきます。
 いかなる場合にも防止をしなきゃいけないとなっている基本指針のナンバー十とナンバー十一を適用して審査をしたというんですけれども、例えば今回の事故を起こしたジェー・シー・オーの転換試験棟というのは、呼び名のとおり試験装置であったものを商業用の施設に変更したものであります。素人が考えても非常に無理があったなというふうに思うわけです。低濃度のウランと二〇%もの高濃度のウランを使うということについては、臨界の危険度というのは格段の質的な違いがあるんだということは専門家の間では常識でございます。ところが、ジェー・シー・オーの転換試験棟では、商業用に変更するときにその点が同時にできるように申請がされておりまして、今日まで運用がされてきたわけであります。
 濃縮度の異なるウランの処理は、やっぱりそれぞれ設備を分けて設置すべきではなかったか、本格的な商業施設に転換するのであれば安全性が確保できる新しい設備をつくるべきではなかったか、このことが問われていると思います。企業の採算を優先したずさんな安全管理を行ってきたということについては非難は免れませんし、そういうことについて見逃したという政府の責任もまた免れません。
 そういう点を指摘しながら、今回の事故の教訓からも、沈殿槽が形状管理されていないというような問題になっているわけですが、例えば、これは提案ですけれども、硼素を多く含んだ硼珪酸ガラスを内側にライニングするだとか、硼素をすぐに注入できるような装置をつけるだとか、こういう専門家の意見も、これは五%未満であれ以上であれ、ウラン加工施設の臨界事故の防止に対する安全確保のためにはどうしても、また直ちにすべきことではないかというふうに思います。
 大臣、整理してお聞きいたしますけれども、五%未満のウラン加工施設の安全についても、直ちに今できる対策、臨界を未然に防ぐ、また起こった場合にも直ちに制御できる防止策、これを直ちに行っていただきたい、こういうことを御質問させていただいて、終わりたいと思います。
○説明員(間宮馨君) 今、先生おっしゃいました点につきまして、我々といたしましても、過去においてある考えのもとに審査が行われてきておりますが、今回こういう事故が発生したという事実は事実でございまして、これを深く受けとめております。したがいまして今回、安全委員会の事故調査委員会で非常に厳しい議論が行われておりますので、それも踏まえながら適切な対応をしてまいりたいと思っております。
○国務大臣(中曽根弘文君) 委員御指摘の安全審査指針につきましては、安全委員会がこれを定めるものであります。いろいろな御意見がございますけれども、幅広く専門家の皆様方の御意見を承りながら安全委員会の方でいろいろ検討されることと思っております。
○西山登紀子君 委員長、一言。
 安全委員会の意見はいいんですが、今私、直接申し上げたでしょう。そのことについても、大臣、改善の中に含めて検討してください。五%未満だって臨界事故が起こる危険性はあるんです。それを免除しないこと。それから、五%以上については、硼素を多く含んだこういうふうなものをライニングするとかいろいろ未然に防ぐ対策があるわけですから、それを直ちにやること。それを直ちにやらないと、あすまた事故が起こらないという保証はないでしょう。
○国務大臣(中曽根弘文君) 現在、事故調査委員会がいろいろ原因究明等を行っておりますけれども、この調査結果を踏まえて、できるだけ速やかに防止対策に努めていきたいと思っております。
○梶原敬義君 社民党の梶原です。
 短い時間ですが、素朴な質問を変わった角度からいたしますので、率直に答えていただきたいと思います。
 株式会社ジェー・シー・オーの木谷社長は六月から就任されたようですが、前の社長の高木さんというのは、前は通産省の立地公害局長で、私はよく知っているんです。彼は、長崎の炭鉱で爆発事故がありまして何人か亡くなったときの審議官か何かをやっておりまして、よく存じ上げておるんです。木谷社長は住友金属鉱山の役員をされておりましたが、今はこちらのジェー・シー・オーに専従をされているのかどうなのか。
○参考人(木谷宏治君) お答え申し上げます。
 ことしの六月二十九日に住友金属鉱山常務取締役を退任いたしまして、同社の常任顧問及び株式会社ジェー・シー・オーの社長に就任しております。
○梶原敬義君 社長、東海村あるいは県が退避勧告をしましたね。これについて社長とすればどのような評価をされているのか。
 特に私は、皆さんがこれは臨界事故じゃないかという一報を科学技術庁に入れたのが十一時十九分ですね。これで東海村が三百五十メーター範囲内の人たちに避難勧告を出したというのが十五時ですね。四時間半ぐらいたっているんですよ。これは大きな事故であれば全滅のところなんです。この辺のところは会社としてはどのように評価をされているんですか。
○参考人(木谷宏治君) 済みません、ただいまの御質問につきましては、当時、現場で指揮をとっておりました所長からお答えしたいと存じます。
○参考人(越島建三君) ただいまの質問にお答えいたします。
 私が、臨界が起きたに違いない、それ以外はなかなか考えにくいということで判断したのは、事故後十分でございます。
○梶原敬義君 事故後十分。
○参考人(越島建三君) はい。要するに、臨界かもしれない、そのほかは考えにくいというような判断をしたのはその時間でございます。
 ですから、私どもの施設でこういうことは起きるはずがないという意識もございまして確信が持てなかったものですから、施設の外の線量、私どもそのときはガンマ線をはかる測定器しか持っていなかったんですが、ガンマ線の測定器を持って施設の外の線量をはかりました。
 通常、臨界というのは、私の知っている知識の中では、最初に大きな反応が起こりまして終息していくという現象がよく見受けられるということもございまして、しばらく時間を置いてもう一度施設外の同じ位置の線量を測定いたしました。線量は時間を置いても下がらないということで、何らかの反応が継続しているのじゃないか、このまま、継続したまま放置しますと、施設の外、特に近くにおられる方に被曝をどんどんふやしてしまうということがございまして、これは私の判断でございますが、あるエリアを地図の上にかきまして、こういう範囲の方はすぐに避難させていただけませんかということで村長のところへお持ちしたわけでございます。
○梶原敬義君 科技庁にはたしか十一時十九分だったね、臨界事故の可能性があるという第一報が入ったのは。(「十一時十五分」と呼ぶ者あり)十一時十五分ですか。科技庁はそれを受けて、東海村の村長さんあたりに対して即刻行動をとったと思うので、所長はすぐ村長にそれを言いに行っているんですよね。科技庁は一体瞬時にどのような対応をしたのか。
○説明員(間宮馨君) 第一報を受けました後のことでございますが、我々としては、情報が断片的であったということで、もう少し正確な情報を収集すべく努力をしたわけですが、残念ながらなかなか情報が入らないという状況がございました。
 それで、我々としては、まず動かなきゃいけないということで、官邸の方に報告をするということ、それと、当局の次長を現地に担当官を二人つけまして至急派遣するということ、それと同時に、いわゆるサイクル機構その他関係のところとのいろんな連携を図ろうということで動いたわけでございます。
 ただ、先生御指摘の村長さんとの交信につきましては、そういう中で少しうまくいかなかったということでございまして、村長さんの方もこちらにアプローチされたのではないかと思いますが、うまくいかなかったということでございます。
○梶原敬義君 官邸が先なのか、その周辺の住民の命が先なのか。それはわかり切ったことですが、あえて聞きましょう。それが一つ。
 それから、村長に対して指導助言というのはいつやったのか、時間的に。
○説明員(間宮馨君) いずれにいたしましても、若干混乱している状況の中で、最初の三百五十メートルからの避難につきましては、我々が承知しておりますのは、ジェー・シー・オーが村に直接行って、村長さんがみずから判断されたということで、その時点では間に合っておりません。
 ただ、その後の、例えば十キロメートル圏内の屋内退避であるとか、逆にそれの解除、三百五十メートルの避難の解除、そこら辺につきましては、我々の方、役所及び安全委員会の技術助言組織の助言も受けまして、我々が取り次いで地方の方で動いていただいたということでございます。
○梶原敬義君 十一時十五分に第一報が現地から入って、そして十五時。県に言ったのは二十時ですか、後の方ですから、それは後にして。
 では、その間、臨界に対する避難とかあるいは即刻現地での対応というものは、科学技術庁というのはもう何も手が打てなかったんですね。わからなかったのか、それとも判断をちゅうちょしたのか。原子力物理か何かやった人がおるんじゃないか。あなたは電子工学か何かで、あなたの判断が鈍ったのか、あるいは科学技術庁の実際の担当者が判断し切れなかったのか、どっちなんですか。
○説明員(間宮馨君) いずれにしましても、我々、こちらにいては情勢がわからないということで次長を派遣したわけでございまして、次長の一行は三時過ぎには現地に着きまして村の方にも行っておりますし、その中の一人はそれ以降村長のところに張りつけておりまして、村長さんからのいろんな御相談にも応じているということでございますので、こちらで判断するのが若干おくれた嫌いはございますけれども、現地の方では活動が行われていたということでございます。
○梶原敬義君 だから、判断がなぜおくれたのかということをちょっと聞きたいわけです、判断がなぜおくれたかということを。
○説明員(間宮馨君) いわゆる臨界事故が起こったであろうということはつとに我々も認識をして動いております。ただ、入ってくるデータがガンマ線のデータのみであったということでございます。ガンマ線のデータをもとにいろいろ推測するわけですが、なかなかその実態がよくわからない。これはもう現地に行って直ちに状況を把握してこちらに報告をして、それをもとに動かなきゃいかぬということで、まず現地に向けて人を派遣したということでございます。
○梶原敬義君 でも、さっき冒頭に言ったように、これがもっと大きな事故だったら間に合わないんじゃないのか。
 だから、科学技術庁とジェー・シー・オーの所長との間の連絡は、直接、電話でもいつでもとれるんだから、それは恐らくとったはずで、何分後ぐらいにそれは確認したのか。
○説明員(間宮馨君) 運転管理専門官が現地におりまして、我々は第一報をもらいまして直ちに、まさに十一時二十何分というオーダーでございますが、運転管理専門官に村の方へ行ってくれということで、運転管理専門官は五十何分にはもう着いております。そういう意味では、現地対応におきましては、運転管理専門官がまず動いたということでございます。
○梶原敬義君 科学技術庁へジェー・シー・オーから第一報が入ったのは十一時十五分ですか。ジェー・シー・オーから入ったんでしょう。それに対して、ジェー・シー・オーと科学技術庁の本部の皆さんのところとの状況確認は電話か何かでやられたんじゃないんですか。やっていないのか。
○説明員(間宮馨君) ジェー・シー・オーに対しては、直ちに電話で連絡を入れまして、状況をもう少し教えてくれということは言っております。
○梶原敬義君 そのときは、ジェー・シー・オーの方には何分おくれぐらいに今の話があったんですか、科学技術庁から。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 私は事故対策組織の責任者として全体の指揮をとっておりましたので、科技庁さんと連絡をとったのは別の人間かと思います。
 そのお話は、そのばたばたしている状況で私が聞いたかどうか、今記憶にございません。
○梶原敬義君 それは、では科学技術庁、電話をしたと言うなら何分後にしたんですか、第一報が入った後。
○説明員(間宮馨君) まず、資料の方で我々が情報を受け取ったのは十一時十五分と書いてございますが、一回書きましてそのまま残っているんですが、正確には十一時十九分にまず我々に連絡が来ておりまして、直ちに、つまり十一時十九分ころに電話をかけております。
○梶原敬義君 かけている。
○説明員(間宮馨君) はい、ジェー・シー・オー社に電話をかけております。
○梶原敬義君 そうすると、ジェー・シー・オーさんとすれば、その電話で、これは臨界事故で大変だ、急を要するということは、そういう話があったんですか。
○説明員(間宮馨君) いずれにしましても、我々、相手からしっかりした情報が来ないという状況が続いたわけでございますので、必ずしも返答が得られなかったというふうに理解しております。(「来るのを待っていたんじゃないのか」と呼ぶ者あり)いや、電話をして答えが得られなかったという状況が続いたと思っております。
○梶原敬義君 弱い者にしわ寄せするようなことをしてはいかぬですよ、ジェー・シー・オーの責任にしては。
 そういうことを言っているんじゃなくて、やっぱりそこらを素直に、お互いにそこのところははっきりさせておく必要があるんです。なぜ十時三十五分から十五時に避難勧告が出るまで時間がかかったのか。これは今後のこともあるんで、それはおくれたか。それはもう今いろいろ言われてもどうも納得できない。もし納得させるものがあるというなら答えていただきたいし、ないのなら後日出していただきたい。
○説明員(間宮馨君) 弁解と言われると弁解になるかもしれませんが、現地におきまして、先ほど申し上げましたように十一時二十二分に運転管理専門官に指示を出しまして、先ほど村と申し上げましたが、ジェー・シー・オーの会社に急がせておりまして、二十五分には、その後急いで会社の方に向かって、そこで情報収集に当たったということでございます。
○梶原敬義君 今、何かジェー・シー・オーに指導したというようなことを言っているが、ジェー・シー・オーは、これは危ないということで所長は村長さんにすぐ十分後に言っているじゃない。違うの。
○参考人(越島建三君) 先ほどの情報は正確ではございませんで、私が臨界ではないかと認識したのは事故の十分後でございます。その後、施設の周辺がどうかということで十一時四十分にサーベイをしております。そのときのデータが、ガンマ線でございますが、〇・八ミリシーベルト・パー・アワーぐらいの値だったと思います。
 私はあのときには中性子を測定する設備がございませんのでガンマ線のレベルで物事を判断せざるを得なかったわけですが、この線量は少し下がっていくかもしれないということもありまして二回目のサーベイをしています。そのときに、ほとんど線量が下がっていない、これは反応が継続しているということで、周りの人に避難していただかないと大変だと。
 私はそのときはガンマ線のことしか考えていなかったんですが、例えば〇・八ミリシーベルト・パー・アワーですと、一時間もいれば年間の許容限度は超えてしまうというような頭があったんですけれども、下がるかどうかの確認をしないと、周りの方に避難していただくということが我々の方でできるかどうかということがわからなかったわけですが、とにかくエリアをかいて村長さんの方に伺って、このエリアの方をどうか避難させてくださいというふうに申し上げたのが、いろいろありまして二時ぐらいでございます。ですから、その間三時間半ぐらいたっております。
○梶原敬義君 それはまた今度、さっきのと少し話が変わりましたが、いずれにしても十四時ごろ連絡をしたということですが、私が言いたいのは、十時三十五分に起こって十五時に避難勧告が出るというのは、これは異常な事態ですから、こういう状況の問題点というのをやっぱり洗い出していただきたい、このように思います。
 次に移りますが、ジェー・シー・オーの経営状況が年々悪化をしておるようです、私もちょっと調べてみましたが。それに伴って、企業の合理化、人減らしが大分進んでおると思います。九四年に売り上げが年間三十億円あったのが、このときに従業員百八十人。九八年の三月期決算は十八億ですね。人の数は百十人。生産性も大分落ちているようでありますが、急激に社員数が減っておりまして、この間に希望退職とか人員整理とか、そういうものを会社の方でもやっておられたのかどうなのか、まずそこからお尋ねします。
○参考人(木谷宏治君) お答え申し上げます。
 数年前から海外との競争が激化しまして、受注それから販売単価が下がってまいりました。そのために、受注に見合う最適生産体制を構築してコストダウンを図ろうということでそういうことをやりました。その結果、人員は削減されましたが、この人員につきましてはいわゆる首切りではございませんで、親会社等のグループ企業あるいは東海村所在の諸機関へ有期限で出向あるいは業務従事するということをやっております。
 生産性については余り大きな増減がなかったんじゃないかというふうに記憶しておりますけれども、いずれにしても、そのために安全性を無視しただとか労働強化になったというふうなことはないかと思っております。例えば労働面では、残業時間は月十時間程度で変わっておりませんし、有休の取得率も以前と変わっていないというふうに理解してございます。
○梶原敬義君 いずれにしても、企業がなかなか経営成績もよくない、人も多い、コストを削減すると。大体、三井炭鉱でもあるいは長崎の事故でもそういうときに往々にしてやっているんですよね。経営環境の悪化とかあるいは過度の経営効率を求めるとか、こういうものがやはり労働者の知らず知らずの意識の中に、頭の中に何か残るものが出てくる、そういう状況というのは、やっぱり私は心配があったんじゃないか、このように思うんです。
 労働組合もあったようですが、安全衛生問題に関して、御社も安全衛生委員会というのが、労働安全衛生法の第十七条あるいは労働安全衛生規則の二十三条、これは月に一回開催するようになっておりますが、ここらのことはちゃんとやっておられたのかどうなのか。
○参考人(越島建三君) 私どもの会社では、労安法の定めにもありますように、毎月一回、安全衛生委員会というものを開催しています。
 それで、安全衛生委員会の構成メンバーは、いわゆる会社側の代表あるいは半分は組合側の代表ということで構成されております。
 そこでは、会社の安全成績、これは特に一般労働災害を中心にした安全成績が中心でございましたけれども、種々安全の問題については話し合っております。
○梶原敬義君 その安全衛生委員会、労働組合が出て行う安全衛生委員会の中で、ステンレスのバケツで今回ウランを溶解して、そして沈殿槽に入れるというような、高濃度の濃縮ウランをそういう形でやるということに対する安全面とか衛生面という、そういう話は社内では出なかったのですか。
○参考人(越島建三君) 安全衛生委員会での議題は、通常、一般労働安全といいますか、例えば作業者がけがをしないように職場がそういうふうになっているかというところが中心でございまして、安全にかかわる設備等の審議というのは、保安規定の下部規定に安全専門委員会という組織がございまして、そこでやることになっておりますので、安全衛生委員会ではそういうことは議題には特に上がっておりません。
○梶原敬義君 こういう職場の手抜きというか、バケツで濃縮ウランを溶解する、そういうようなことは、例えば労使協議の場で、これはやれるとかやれないとか危ないとか、そういう話は出ていないんですか。
○参考人(越島建三君) 今までは労使の間でそういう形の話は出ておりません。
○梶原敬義君 おたくの会社は、やっぱりある程度会社のイニシアチブというか、会社が引き回せば大体労働組合もそう抵抗なく追従するというような形になっているんですか。
○参考人(木谷宏治君) お答えします。
 状況の厳しさについては労使ともに理解がございまして、会社を守ろうというふうな見地からいろいろ御協力をいただいたというふうに思っております。
○梶原敬義君 そうですか。そこがうまくいっていてそういう事故が起こるというのは、私の経験からはどうも納得できないんですけれども。
 次に、それでは変わりますが、濃縮ウランを溶解して沈殿槽に入れる作業の指示系統についてちょっと教えていただきたい。
 先ほど、三名の中で二人は素人だとお答えがあったんですが、篠原さんと大内さんについては、三十九歳、三十五歳、五十九年二月と五十八年四月からおたくの会社に入っておりますが、彼らは正社員ですか、この二人については。
○参考人(越島建三君) 正社員でございます。
○梶原敬義君 副長の上には組長というのがおるんですか。組長の上は課長ですか。あなたに行き着くまでの職制の流れを言ってください。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 三人の構成は、副長が一名、作業者がその下に二名おりまして、副長の上は製造グループの職場長、それから職場長の上は製造グループ長、製造グループ長の上は製造部長でございますが、現在は製造部長が製造グループ長を兼務しております。製造グループ長の上に所長がおります。
○梶原敬義君 それでは、組長は、職場長あるいはグループ長、その辺の人にバケツで溶解するような作業については、ここら辺の了解は得ているんですね。
○参考人(越島建三君) 少なくとも、職場長は副長と現場の仕事について打ち合わせて種々指示を与える立場におりましたから、その辺は承知していたと思います。
○梶原敬義君 それでは、たくさん用意をしたんですが、時間がありませんからこれで終わりますが、ちょっと会社の方にも、わからないことがあれば資料をこれから出していただきたいと思いますが、要請して、終わります。
○水野誠一君 参議院の会の水野誠一でございます。
 各委員からいろいろ御質問がもう既に出ておりまして、私は、この事故というのが単に経済的なあるいは六十九名の被曝者を出したというような問題だけではなくて、日本の原子力行政の安全神話を崩壊させてしまったということの意味の大きさ、これをひとつしっかりと認識をしていただきたいと思うわけであります。事故も大問題なんですが、またさらにその後の対応のまずさ、それによる不信感が倍加するという問題、これは特に日本が今持っている大きな問題点をそこにあらわしているのではないかな、そんな感じが私はいたします。
 そこで、まず科学技術庁に確認をしたいんですが、もう既に何人かの委員の方から御質問がありましたグレイという被曝数値、それとシーベルトという単位の問題でございます。
 これは、今回の被曝量の発表数値がグレイという数値であらわされているわけでありますが、これがガンマ線なのか中性子線なのかによって大変な大きな差が出てくる。つまり、ガンマ線であれば一グレイが一シーベルトであるのに対して、中性子線ですと一グレイ十シーベルトということで、特にこの中性子線が人体に与える影響というのは大変大きいということで、その分析、それがどんな割合なのかということが今話題になっている。
 先ほど間宮局長の御答弁としては現在計算中だということなのでありますが、この計算には相当時間がかかるものなのでしょうか。
○説明員(間宮馨君) お答え申し上げます。
 いわゆる中性子線の評価に関しましては、最後的にはエネルギーレベルが関与してまいります。そこら辺を解析いたしますためには、今現在、沈殿槽の中にある溶液のサンプルを採取し、分析するという作業が必要になります。先ほど入った情報によりますと、きょう無事にサンプルが採取されて今原研に向かって移送中であるということでございますので、まずこの分析を急ぎたいと思っております。その分析結果をもとに解析を進めてまいりたいと思いますので、ちょっと今いつということは申し上げられませんが、なるべく急いでやりたいと思っております。
○水野誠一君 ところが、今発売されております週刊現代という週刊誌を見ますと、実はジェー・シー・オーの中に、ジェー・シー・オーが核燃料サイクル開発機構に協力を依頼して調査、作成をした極秘データがあると。それによると、四十三名分の被曝者の具体的氏名と、中性子線とベータ・ガンマ線の被曝量がそれぞれ別に明記されていて、中性子線の被曝量も一目瞭然の資料があって、それを入手したという記事が出ているわけなんです。
 そうするとこれは、これ自体が本当なのかどうか、こういう資料がジェー・シー・オーの中に本当に存在するのかどうか、これについてジェー・シー・オーからお答えいただければと思います。
○参考人(越島建三君) 私どもの方で事故後にサイクル機構さんにホール・ボディーをお願いしたもののデータは私どもとしては所有しております。
○水野誠一君 それはあれですか、今私が申し上げたようにベータ・ガンマ線と中性子線との被曝量というのが明記されているものですか。
○参考人(越島建三君) その資料については、中性子線とガンマ線についての数値はありますけれども、一点ではなく、ある幅でいただいております。
○水野誠一君 そうすると、よくわからなくなっちゃうんですが、今、科学技術庁がやられている調査、そしてそこから算定するそれぞれの中性子線とガンマ線の量というものと、ジェー・シー・オーが社内資料としてお持ちになっているものとはかなり精度の差がある、したがってそれはジェー・シー・オーとしては発表されていない、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○参考人(越島建三君) 現時点では、きょうサンプルがとられたということですが、それによって当時の核分裂の状況等、いろいろ解析されると思いますけれども、確かにグレイからシーベルトの換算は中性子のエネルギーとかその辺をきちっと分析しないと換算係数が出ないということでございまして、私どもとしては、そのデータはホール・ボディーでこれだけのレベルの被曝をしているということで、正確な被曝量については後日、今申し上げたようなことを考えて評価されていくものだと認識していまして、現在私どもはそのデータをもちまして私どもの従業員の今後の作業計画とかそういうものを考えるのに利用させていただいております。
○水野誠一君 この点はちょっとまた後日に譲っていきたいと思うんです。
 次に、科学技術庁の立入検査の問題、これもいろいろ御指摘があるように、八五年から九二年まではほぼ年一回のペースで行われていた、それが九二年以降は行われていない、こういう問題があるわけです。
 これは、同業他社である三菱原子燃料で見た場合に、この三菱原燃に対する検査というのも九二年以降行われていないということなんですか、あるいはジェー・シー・オーだけの特殊事情なんでしょうか。
○説明員(間宮馨君) 三菱原子燃料株式会社に対しましては、保安規定遵守状況調査という形で昭和五十九、六十、六十一、六十三、平成元年、平成三年ということで実施しておりますが、平成三年以降については実施してございません。そういう意味では似たような状況に立ち至っております。
○水野誠一君 それはなぜ実施されなくなったんですか。
○説明員(間宮馨君) いわゆるこの種の調査といいますのは法律に基づくということではございませんで、行政指導の一環という形で行われてきておりまして、いわば任意の調査ということでございます。
 ここら辺を考える際の遠因と申しましょうか、我々今そう考えざるを得ないかと思っておりますのは、平成五年度以降に民間事業者による濃縮、再処理の事業の認可、こういうのが行われまして、関連の許認可、検査に係る業務が急増してございます。法令上必須の検査でございますこれらの施設に対する検査が優先されまして、任意事項である保安規定遵守状況に関する調査が実施しにくくなったという事情があるのではないかというふうに考えております。
○水野誠一君 この点も、またほかの委員からもいろいろ御質問ございましたのでこれくらいにしたいと思うんです。
 次に、ジェー・シー・オーの事業許可の取り消しという可能性があるとの報道があるわけでありますが、この検討状況あるいは今後のスケジュールの見込みについて科学技術庁に伺いたいと思います。
 それから、もう一つあわせて伺いますが、事業者に対する事業許可を取り消した場合のその後の事業者に生ずる責務にはどんなものがあるのか、この点についても伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 現在、事故の原因を究明し、また現場の安全確保を図るためにジェー・シー・オーに対して原子炉等規制法第六十八条に基づく立入検査等を継続して行っているところでございますが、ジェー・シー・オーに対する行政処分につきましては、この立入検査等の結果を踏まえて、また聴聞の実施等、所要の手続を経た上で決定することとなります。現段階では原因究明や現場の安全確保が最優先でありまして、行政処分の内容や時期については確定しておりませんが、いずれにせよ厳正に対処をしていきたいと思っております。
 また、先生御質問のジェー・シー・オーの責務でございますけれども、仮に事業許可の取り消し処分がなされた場合には、当然のことながら許可に係る加工の事業を行えなくなるわけであります。また、核燃料物質を譲り渡し、核燃料物質による汚染を除去する等の措置を講じなければならないわけであります。さらに、取り消しの日から二年間は事業の許可を改めて得ることができない、こういうことになっております。
○水野誠一君 今のお答えをベースにジェー・シー・オーに伺いたいわけですが、ジェー・シー・オーでは事故以前の操業に当たって、いわゆる放射性廃棄物、例えば作業着や工場内の使用済み機器などといった低レベル放射性廃棄物は発生していたのかどうか、そしてまた、その処分方法はどうなさっていたのか、この点についてお答えください。
○参考人(越島建三君) 現在、私どもはドラム缶に入ったウラン廃棄物を約七千本保管しております。これにつきましては、まだ処理処分の方向づけがなされていないので、当面の間は保管せざるを得ないというふうに考えております。
○水野誠一君 そうすると、もしか事業許可が取り消しになってしまうということを考えると、その七千本の保管中の低レベル廃棄物、これはどうなるんでしょうか。
○参考人(越島建三君) 私どもとしては、どこも今のところ持っていくところがないですから、私どもの施設で保管せざるを得ないというふうに考えています。
○水野誠一君 今のお答えにもあったわけですけれども、事業許可の取り消しとなった場合に、施設の放射線除去あるいは放射性廃棄物の処理がどうなるか、こういう非常に重要な問題が片方に残るわけであります。この燃料加工業者、事業者などから出るこうした放射性廃棄物の処理については科学技術庁内で今検討されているようにも聞いているわけですが、この状況はどうなのか、許可の取り消しがあり得るということは想定していなかったのかどうか、こういうことも含めてこの対応、相当大変な問題が後に残ると思うんですが、科学技術庁の方からお答えいただければと思います。
○説明員(間宮馨君) いずれにいたしましても、この種の業務をしている事業体に関しましては、最後的にそういう廃棄物も含めましてきちんと譲り渡すなり処分をする責務が生じるわけでございまして、事故現場のまず安全確保につきましては、問題が生じないように原子炉等規制法の二十一条の三に基づきまして保安のために必要な措置の命令の発動を含めて必要な措置を検討し実施していくということでございますが、万々が一の事業許可の取り消し後には、核燃料物質によって汚染されたものを廃棄する等の責務を事業者は負う、これは法の第六十六条でございまして、その責務が十全に果たされるよう厳正に対処してまいりたいと思っております。
 先ほど週刊現代の記事のことがございましたので申し上げておきますが、いわゆる水抜き作業に従事した方の記録、被曝データ、あるいはそれ以前に被曝された方々のデータはすべて事故調査委員会に提出してございまして、公表されてございます。
○水野誠一君 先ほど例に挙げた三菱原燃などの燃料加工業者も同様に実は低レベル廃棄物をドラム缶に詰めて施設内で保管している、こういう状況なわけでありまして、発電所から出る低レベル放射性廃棄物についての処理、これを六ケ所村に持っていくというような話はよく出るわけですが、実はこういった関連企業の中から生じている低レベル廃棄物の問題というのは比較的今まで余り論じられないできたということ、これはやはり今回この問題によって大きくクローズアップされてくることではないかと思います。したがいまして、この事業許可の取り消しがあるなしにかかわらず、今後やはり非常に重要な問題としてぜひ科技庁としてはこの問題を受けとめていただきたいというふうに思います。
 それから、ジェー・シー・オーにもう一つ伺いたいんですが、今回の事故があってから、三菱原燃とジェー・シー・オー、これは同業でありコンペティターでもあるという関係にあるわけですが、その両者の比較というのがよくマスコミなんかでもされる。そこでは、三菱原燃ではできていた安全対策投資がジェー・シー・オーではおくれていたというような印象を私たち素人は受けるんですが、それはどうなのか、経営者としてごらんになって、そういうおくれを認識されていたのかどうか。あるいは、同じような条件で同じような事業をやっておられる企業に差があったとすればそれはなぜなのか、この点について認識を伺いたいと思います。
○参考人(越島建三君) 今御指摘の三菱原燃さんの例えば安全管理の状況、あるいはそこに従事されている人、あるいはそこに投資されている費用等については私ども知るところがございませんので比較の上ではお話しできませんが、少なくとも私どものやっています再転換の事業を運営していく上で必要な人員と機材は私どもとしても保持しているつもりでございます。
○水野誠一君 それが本当にできていたらこういう事故は起きなかったわけでありまして、私はこの際、やはり経営の体質の問題だけではなくて、特に経営合理化という今企業が求められている責務、これは先ほどからお話のある海外との競争激化によって、なおかつ低コストの燃料を供給しなければならないというような市場の状況ということも含めて、私は、ジェー・シー・オーの中にあった合理化を求めていく一つのプレッシャーというもの、これがどんなものだったかということをやはりしっかりと見ていかなければいけないと思います。
 そういう中で、例えばこれも仄聞でありますが、社内の効率化を改善するための社内提案に対して褒賞金を出す制度があった、そんなことも聞いております。普通、どんな企業でも社内で社員からこういう知恵を集めていく、これはまた自然なことではあるんですが、例えば、こういう事故が起きたときに、こういった手抜きと言われている裏マニュアル的なものが社内の提案とかあるいは合理化提案という中で出てきたものなのかどうか、この辺はいかがなんでしょうか。
○参考人(越島建三君) お答えいたします。
 今御指摘の件は、例えば改善提案制度とかいうものかと理解しておりますけれども、そのほかに、例えば安全標語の募集であるとか安全イラストの募集とかそういうこと、あるいは今申し上げました改善提案の制度等はございます。確かにそれに対しては、優秀なものについては褒賞するという対応をとっております。
 今お話にございました、例えば改善提案の制度の中から出てきたものがそのまま現場の実際の改善になって結びついているんじゃないかというような御懸念等もございましたけれども、改善提案は必ず職場で副長あるいは職場長のレベルでチェックされまして、そこでやるやらないの基本的な判断がなされてまいります。それから、優秀な提案については、その上に改善提案の審査委員会というのがございまして、そこで審査されるシステムになっていまして、現場の例えば個人の提案がそのままひとりでに設備の変更になっているというような事態はございません。
○水野誠一君 私は、この問題というのは単にジェー・シー・オーの問題だけではないんじゃないかという危機感を持っておりまして、競争力を持った海外の事業者の存在が経営を圧迫するなど、こういう結果、十分な安全体制を維持することに困難を来している原子力関連事業者がほかにある可能性も大きいんじゃないかと思っておりました。そうしましたところが、昨日の科技庁の発表でも、関連の二十施設のうち約半数の九施設でマニュアル不備などの問題点がある、こういう発表がなされております。ということは、私の危惧は必ずしも杞憂ではない、現実のものになり得るということをそこから感じたわけでありますが、この点について科技庁そしてエネルギー庁双方の御見解を一言で結構でございます、伺いたいと思います。
○説明員(間宮馨君) いずれにしましても、この種の問題がいわゆる類似の施設で起きないということを確保するために一斉の緊急総点検を行ったわけでございまして、この中では実際に使用している施設設備等、実際の作業・運転方法等、教育訓練の実施状況等を確認したわけでございます。基本的な安全性の確保はなされているということが確認されてございます。しかしながら、作業記録の不明確化あるいは教育頻度等につきまして我々としては指導しているところでございます。
 今後とも、こういう形の総点検、指導等は行ってまいりたいと思っております。
○説明員(河野博文君) 私どもは、たしか十月四日にジェー・シー・オーの方の記者会見などで違法なマニュアルといいますか手順書といいますか、そういったものがあるやに伺いましたので、その時点で、電気事業者の皆さんに対しましては、保安規定に基づいて不適切な手順書などがないかどうか至急点検をしていただきたいということをお願いいたしまして、十四日に、電気事業者みずからのチェックではそういったものはないという報告を受けましたけれども、さらにヒアリングを重ねておりまして、今週の月曜日と火曜日、私どもの職員をすべての発電所に派遣いたしまして、再度私どもの手でその点をチェックいたしております。できるだけ早く報告書をまとめたいというふうに思っております。
○水野誠一君 私は、前国会のこの委員会において、中間貯蔵施設に関する法案の審議が行われましたときに、原子炉が運転を終えて廃炉となる際のコスト、あるいは高速増殖炉に対する毎年の開発投資、さらに次期通常国会に法案提出予定と言われております高レベル放射性廃棄物の処理費用の問題などを引き合いに出しまして、現在一キロワット当たり九円とされている政府の原子力発電コスト、モデル計算に対して疑問を指摘させていただいたわけです。
 安全というのはもちろんただではないということは当然であります。今後、国のエネルギー需要を満たすために原子力がますます重要な役割を果たしてくるとするならば、原子力の特色とされる安くて安全という点に国民の理解を得続けることはますます難しくなるのではないかと考えるわけであります。言ってみれば、一キロワット当たり九円という試算、算定に余りこだわることなく、安全性を十分確保した上での新しいコスト算定、これも必要になるのではないかなと思うわけでありますが、この点について資源エネルギー庁長官の御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○説明員(河野博文君) 原子力のエネルギー全体に占めます重要性は先生も御指摘のとおりでございます。
 原子力の重要性という点では、御指摘のとおり、経済性そしてCOP3に代表されますような地球環境問題への対応そして安定供給の問題、こういった三つの要素があるというふうに思っております。
 中でも、コストの問題については御指摘のようなこともありまして、現在でも経済的優位性はあるように思っておりますけれども、先ほど過去の九円の試算にこだわらず再点検せよというお話でございますので、最新の稼働状況ですとかあるいは設備の耐用年数の問題ですとか、そういった点も考慮に入れた試算を試みているところでございます。また結果が出ましたら御報告させていただきたいと思います。
○水野誠一君 終わります。
○委員長(成瀬守重君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時十七分散会