第145回国会 予算委員会 第11号
平成十一年三月八日(月曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月五日
    辞任         補欠選任
     亀井 郁夫君     長谷川道郎君
     川橋 幸子君     福山 哲郎君
     円 より子君     齋藤  勁君
     益田 洋介君     高野 博師君
     市田 忠義君     小泉 親司君
    日下部禧代子君     田  英夫君
     菅川 健二君     山崎  力君
     西川きよし君     島袋 宗康君
 三月八日
    辞任         補欠選任
     広中和歌子君     和田 洋子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         倉田 寛之君
    理 事
                鴻池 祥肇君
                竹山  裕君
                林  芳正君
                矢野 哲朗君
                今井  澄君
                平田 健二君
                山下 栄一君
                笠井  亮君
                大渕 絹子君
    委 員
                市川 一朗君
                大野つや子君
                狩野  安君
                金田 勝年君
                岸  宏一君
                斉藤 滋宣君
                常田 享詳君
                長谷川道郎君
                松谷蒼一郎君
                溝手 顕正君
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                海野  徹君
                江田 五月君
                郡司  彰君
                齋藤  勁君
                内藤 正光君
                広中和歌子君
                福山 哲郎君
                柳田  稔君
                加藤 修一君
                高野 博師君
                浜田卓二郎君
                小池  晃君
                小泉 親司君
                須藤美也子君
                照屋 寛徳君
                田  英夫君
                入澤  肇君
                月原 茂皓君
                奥村 展三君
                山崎  力君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小渕 恵三君
       外務大臣     高村 正彦君
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
       自治大臣     野田  毅君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 野中 広務君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  野呂田芳成君
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   尾見 博武君
       内閣官房内閣安
       全保障・危機管
       理室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障・
       危機管理室長   伊藤 康成君
       内閣官房内閣情
       報調査室長    杉田 和博君
       内閣法制局長官  大森 政輔君
       内閣法制局第一
       部長       秋山  收君
       国際平和協力本
       部事務局長    茂田  宏君
       防衛庁長官官房
       長        守屋 武昌君
       防衛庁防衛局長  佐藤  謙君
       防衛庁運用局長  柳澤 協二君
       防衛庁人事教育
       局長       坂野  興君
       防衛庁装備局長  及川 耕造君
       防衛施設庁長官  大森 敬治君
       防衛施設庁総務
       部長       山中 昭栄君
       防衛施設庁施設
       部長       宝槻 吉昭君
       法務省刑事局長  松尾 邦弘君
       外務大臣官房長  浦部 和好君
       外務省総合外交
       政策局長     加藤 良三君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     上田 秀明君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  竹内 行夫君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省経済局長  大島正太郎君
       外務省条約局長  東郷 和彦君
       大蔵省主計局長  涌井 洋治君
       大蔵省国際局長  黒田 東彦君
       通商産業省貿易
       局長       佐野 忠克君
       海上保安庁長官  楠木 行雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宍戸  洋君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十一年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十一年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
 議院送付)

    ─────────────
○委員長(倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成十一年度一般会計予算、平成十一年度特別会計予算、平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、外交・防衛に関する集中審議を行います。
 質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。
 それでは、これより質疑を行います。依田智治君。
○依田智治君 おはようございます。自由民主党の依田智治でございます。
 きょうは、当予算委員会、総括質疑等も終わりまして、外交・防衛に関する集中審議ということで一日いただいたわけでございますが、総理もいろいろお忙しい中、本当に御苦労さまでございます。
 当予算委員会、もちろん平成十一年度予算の中には、防衛関係費また外交に関するいろいろ国際協力的なODA予算初め、さらに国連機関に多額な拠出をしておるそういう予算等盛り込まれておるわけでございまして、そういう視点からもできるだけ早期に当予算を通して、そして真に我が国の安全保障、それから国際的な面での平和というものの確立に我が国が本当に貢献できるような体制を早期につくっていくということが大変重要でございまして、そういう視点に立って幾つかの問題点について御質問させていただきたいと思っておるわけでございます。
 先回、総括質疑の際に片道十五分という時間をいただきまして、実はガイドライン関連基本法及び有事法制についての特に基本的と思われる点についてざっと質問させていただきまして、総理、外務大臣、防衛庁長官等からもそれぞれその重要性を踏まえた多少前向きな御答弁をいただいたというように認識しておるわけでございます。
 初めにきょうは、その際はやはりなかなか自分の、もうちょっとここを主張したいなというところもございましたんですが、時間の関係で質問していたらそれで終わっちゃうという構成でしたので、ちょっと言い残している点もございましたので、そういう視点に立って一、二の点、ガイドラインと有事法制について詰めさせていただく、まずこれから始めたいと思います。
 そこで、総理に最初、基本的認識、この間ガイドラインの法案を、これは三年前の日米安保共同宣言等を受け、もちろん冷戦構造崩壊後の国際情勢を踏まえて、我が国として日米同盟関係の重要性という面から真剣に取り組むべき、そして何ができるか詰めた結果を周辺事態において、少なくともこのぐらいのことはやらなければ同盟関係として大変重要だという視点に立って、この法案を早期に提出していただくという必要性について総理から再三御答弁いただいたわけでございまして、もうこの点はこれで十分かなという感じもしておるわけでございます。
 ただ一点、私はこの法案についての認識という点で、その後の当予算委員会の議論その他等を踏まえまして、我々としても考えておく必要があるなと思っておる点が一点ございますので、この点をまず申し上げて、総理に御見解なり御感想をお伺いしたい。
 それは、この周辺事態法というのは非常に国際的に眺めてみると特殊な法律、特異な法律だなという感じがしておるわけです。これは通常、この間も総括質疑で申し上げましたが、外務大臣からもお答えいただいて、日米同盟関係ということになりますと、通常の同盟関係というのはやはり同一の目的に向かって同盟国が同一の行動をとりましょうというのが本当の同盟関係。ところが、我が国の場合は憲法上の限界、私が言うまでもなく、我が国が攻められた場合は個別的自衛権を行使するけれども、同盟国が攻められているというような状況の中で、我が国がそこへ出かけていって武力を一体として行使するというようなことはしない。我々は集団的自衛権はあるけれども行使しないというか、政府の方はできないということ、私はあるけれども行使は控えているというように解釈しておるわけです。そういう言うなれば世界的には特異な法律理論を安全保障の基本政策としているわけで、これはまた後日憲法調査会等が設置されたら基本的に国家のあり方として議論する必要があると思うんです。
 そこで、それを踏まえますと、今回の周辺事態法というのは、集団的自衛権も行使しない、したがってこの盛り込まれている事態というのは集団的自衛権ではない、少なくとも武力行使はしないし、武力行使と一体化しない限り協力するということ、そういう趣旨でぎりぎり詰めてある。
 ところが、当委員会の議論等の中でも、兵たん活動なんというのはまさに戦闘行為を支える極めて重要な行為なので、後方地域支援といえどもそういう活動なんだから一体化しているじゃないかという議論があるわけですね。
 しかし、そういうことを言い出したら、そもそも周辺事態というのは、周辺で何か起こっている、しかも我が国の平和と安全にとって重要な影響を及ぼす事態が起こっている、周辺で戦闘が起こっているかもしらぬ。そういうときに、日米安保体制がなければ、当然我が国として独立国家として独自行動をとらざるを得ない。今回の法律は、我が国が主体的に行動する部分というのもあるわけですが、そういう点を考えますと、戦闘に何らかの形で関係しているというのは当たり前ですね。基地を貸すこと、基地を提供していること自体だってミサイル時代だったらまさに関係しているわけです。
 しかし、そういうことを言い出したら、何もしない、じゃどうやって国の安全を保つというのか、こういう基本論になるわけで、少なくとも武力行使をしない、戦闘行為には参加しない、しかも戦闘行為と一体化するような直接近接した行動は差し控えようということでこの法律をつくっている。そういうことで極めてこの法律は特殊な意義を持っている。そういうことで、この法律を実施するに当たっては、日米双方が本当に真剣にやって積み上げてきたものですが、さらに今後できるだけこの法律を早く通して、共同作戦計画とか相互協力計画とか、そういうものをじっくりとつくって、そして一致して政策を遂行していくということが大変重要だ、こう思うわけです。
 そういう点で、総理、この点を私は今るる述べましたが、そういう意味からしても、この法律は早期につくり、認識の一致を見ながら着実に政策を推進していくということが必要だと思いますが、総理も違う考えを持っていないと思いますが、改めて総理のお言葉でこの点についてのお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) まさに委員のお説のとおりでございまして、今回の周辺事態安全確保法は、我が国の平和と安全を確保するために極めて重要な法律でございまして、これをぜひ法律として確定をいたすことによりまして、安保条約の目的をさらにこれが確保されるものとしていかなければならないというふうに考えております。
 改めて周辺事態が我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であることにかんがみまして、国連憲章に基づいて日本の安全に寄与する米軍の活動に我が国として憲法の枠内で我が国の主体的判断のもとで一定の支援を行うとするものでございまして、こうした支援によりまして究極は我が国の平和と安全を確保する、このことをさらに確定していこうということでございまして、委員のおっしゃるとおりでございます。
○依田智治君 当委員会の総括質疑等の中でも、例えば英文が正文で、外務大臣も総理も読んだかというような議論もございました。
 私は、この法案の成立する過程、日米安保共同宣言以来の流れを見ますと、やはり日米で制服もあわせて本当にどういう協力の実態を確保したらいいのかという点について真剣に議論され、同一認識のもとに、一方は英文となり、一方はそれに最も実態に即した日本文ということができておるわけで、外務大臣も総理も十分日本文は熟読していただいていると思うんです。
 そういう意味で、ぜひとも、この法案をつくったらさらに相互協力計画とか、防衛庁長官等も含めて真剣に実態に即した協力計画というものを早期につくって日米安保の実を上げるということが大変重要だと思いますので、まずこの点は最初に申し上げておきたいと思います。
 次に、先般この有事法制についても総理及び防衛庁長官等からも、従来とは多少ニュアンスが変わったのかなという、翌日新聞も取り上げていただいていたので答弁いただいたと思うわけでございますが、この点をちょっと基本的認識という点で確認しておきたいのは、ガイドライン法、周辺事態法というのは、重要だといっても今何の根拠もないわけですから、多少主体的に行動する機雷掃海とかいう規定は九十九条とかございますが、ガイドライン法はないわけです。重要な同盟関係を維持していくための基本的なものがない。そこで、少なくとも安保体制を確保するために必要不可欠の法案として、この周辺事態法及びそれに関連する協定とか、若干自衛隊法の改正等が出ておる、こういうことだと思うんですね。
 ところが、防衛庁長官、現在も同じ認識だと思うんですが、有事法制という、我が国が攻撃を受けた場合とか我が国有事の場合にどういう行動をとるかという法制、これは何もないなら大変なんですが、私の理解するところではやはり骨幹はある。骨幹はあるんだけれども細部を詰めるとなお足らない点がいっぱいある。その足らない点をやはり法治国家ならば本来詰めておく必要があるんだけれども、研究はしたけれども研究段階にとどまっているところもあるし、まだ未研究なところがある、こういう認識だと思うんですね。
 そこで、防衛庁長官、どうでしょうか、現在の自衛隊法を含む法体系の中で、我が国が攻撃を受けた場合とか、いわゆる我が国有事の場合に関する法制の骨幹というのは我が国では一応整備されておるんだ、こう考えておるのかどうか、これは基本的問題ですのでまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) これは先生にいろいろ申し上げるのは釈迦に説法のたぐいでございますが、御案内のとおり現行の自衛隊法では、防衛出動の規定や、あるいは必要な武力の行使の問題や、防衛出動時の物資の収用といった防衛出動時における権限に関する規定が整備されております。そのほかに、航空法や電波法や火薬類取締法等の法律についての適用除外や特例が定められております。また道路交通法施行令においても、自衛隊車両も公安委員会の指定により緊急自動車となり得る等の特例が定められております。したがって、自衛隊の任務遂行に必要な法制の根幹は一応自衛隊法によって整備されていると認識しております。
 しかしながら、これまで委員が再々御指摘ありましたように、私どもがこれまで行ってきた有事法制の研究を踏まえると、現行法上なお不備な事項が残されていることも事実であります。自衛隊が本当の意味で有効かつ円滑に任務を遂行できる体制をつくるということは大変必要なことであると考えております。
○依田智治君 今、防衛庁長官からお話がございましたように、自衛隊法七十六条、防衛出動、我が国が攻撃を受けたような場合は自衛隊が武力等も行使して活動できる。当たり前のことであって、これができなかったら国が守れないわけです。周辺事態みたいな場合にはそういう法律はない、それで今回ぎりぎりの法律をつくっておるということでございます。
 そこで、細部をいろいろ点検して、各省庁所管というのは、今、防衛庁長官が言われたように、その法令の中で一応、道路、橋が壊れていたらそこを直さなきゃいかぬけれども、許可を得ている暇がなきゃ自衛隊ができるというような例外をつくってもらわなきゃいかぬ、野戦病院をつくるのに厚生省の許可を一々とっていたら間に合わぬというときには、例外措置を必要とするとか、そういう問題についての問題点は詰めた。
 だから、これはいずれの時期か法律にしておくということが、国民の権利義務とかその他法治国家において当然のことだと思うのですが、こういう研究すらしていない分野というのが、実は、いわゆる第三分類というのは各省庁の所管に属する事項、住民の避難、誘導等どうするのかとか、いろいろ交通、運輸の確保、特にいざ何か起こったときには、国民生活というものを円滑にできるだけ維持しつつ防衛目的を達成していかなきゃいかぬという問題があるわけですので、そういう点で法制上問題がないかという、こういうようなまさに基本的な問題。
 それから日米安保では、この前も防衛庁長官から多少前向きな御答弁をいただきましたが、米軍の行動にかかわる法制というのはまだ研究が本格的には行われていない。
 こういう点を考えますと、まず第一段階として、やはり骨幹は整備されていても、実際上それに基づく問題点というものを詰めていないと、いざというときには、やらざるを得ないとなれば何もないのにやらなきゃいけなくなっちゃうわけですから、問題点をやはり詰めておくということが大変重要で、この点はぜひ総理、これはこの前も総理にお話ししたんですが、研究するというのは、これは本当は役所自体が、そのために内閣にも安全保障・危機管理室というのもあり、調整しておるわけですので。しかし、ちょっとさらに第三分類について本格的研究を開始したなんて新聞記事が出ると、何か余計なことをしたなというようなことになるので、大体そこでおおむね研究がストップしているというのが実態であるわけです。
 私は、そういう国民生活に直結する各省の部分は、まず内閣の方で関係のところに集まってもらって、こういう点について、ではおたくの方がやってくれ、こういう点はこっちがやりましょうというようなことできちっと研究をする。これは当たり前のことなんですが、それはやっぱり総理から一言、そういう研究を各省しっかりしなさいというお言葉があればみんな安心してできるという問題でもありますし、米軍の行動に関する法制なんというのも、どういう点に問題点があるか、いざというときに大分問題点が大きかったなんというのでは、これは話になりませんので、そういう意味での研究を進める。法案化はそれらの問題が十分把握された中で、緊急の度合いの高いものから立法作業をしていくということで私はいいんじゃないかと思いますので、そういう研究に取り組む、これについての総理のぜひひとつ力強いお考えをお聞かせいただければありがたい。よろしくお願いします。
○国務大臣(小渕恵三君) いわゆる有事法制につきましては、今、依田委員御指摘のように、第一に自衛隊の行動にかかわる法制、第二に米軍の行動にかかわる法制、第三に自衛隊及び米軍の行動に直接かかわらない国民の生命、財産等の保護等のための法制の三つが考えられておるわけでございまして、政府がこれまで行っている有事法制の研究は、このうち一の自衛隊の行動にかかわる法制について研究が進められてきておるところでございます。
 そこで、有事法制の研究に当たりましては、法制上の問題点の整理を目的としており、近い将来に国会提出を予定した立法準備ではない旨、公表しておるところでございます。
 そこで、現実に法制化を図ることは高度の政治判断にかかわる問題であり、今直ちに法制化することを考えているわけではありませんが、政府としては、有事法制は重要な問題であると認識をいたしておりまして、国会における審議、国民世論の動向等を踏まえて適切に対処してまいりたいということでございます。
 先般の依田委員のお尋ねにも実はお答えをいたしましたが、これは、昭和五十二年の八月に、福田内閣総理大臣の了承のもとで三原防衛庁長官の指示によって開始をされておるわけでございます。当時の環境からいたしまして、こうした有事ということの言葉それ自体が非常に、何といいますか、おどろおどろしいというような印象を与えておりまして、そういう意味で、立法準備ではないという限定のもとに当時勉強を始めておるわけでございます。
 しかし、やはりその結論がそれぞれの分類におきましてまとまってまいったといたしますれば、それは一体、国民の名においてこれを認めるか認めないかという対応というものはおのずとあって、ただに研究をしておけばよろしいというのが国民に対する責務かどうかという判断が実はあるのではないかと思っております。
 そういう意味で、時代も変化してまいりましたし、国民の意識も相当変化しておるということでございますので、先ほど御答弁申し上げましたが、そうした世論の動向等も踏まえ、あるいは国会でのいろいろ御議論も踏まえながら、既に研究が進んでおる問題につきましてこれを立法化すべきかどうかということにつきましては、やはりその動向を見ながら考えていかなければならない課題であると、たしかそういうふうに前回お答えをいたしたと思っております。
 しかし、これは、あくまでも国民自体がこの問題について認識を持っていただき、日本の安全と平和のために国内的なもろもろの法律をきちんと定めておくことの方がより大切なことだという認識を持っていただけるかどうかにかかわっておることでございますので、政府といたしましては今の状況を少しく静かに検討させていただきたい、こういうことでございます。
○依田智治君 ぜひ、総理、問題点をまず把握する作業というのは整々と行われるように御指導いただければありがたいというわけでございます。
 この点、最後の問題に関連して、新聞紙上等を見ますと、防衛庁長官、防衛庁内でも重要事態対応会議とかそういうものもつくって検討しており、この間、衆議院の安保委等でも、我が国に外国のミサイルが一部落下したような場合どう対応するのかというような点について、防衛庁の基本的考え方について国会等でも答弁しているようなんですが、ちょっとこの基本的な考え方の部分を御報告いただければありがたいと思うんです。よろしくお願いします。
○国務大臣(野呂田芳成君) 重要事態対応会議は、自衛隊の出動が必要とされる等の重要事態が発生した場合における情報の収集や分析、伝達の円滑な実施の確保、あるいは所要の対応のあり方についてあらかじめ検討を行うために私のもとに設置されているものであります。
 この会議では、これまで、北朝鮮問題への対応とか、特にミサイルが発射された場合の防衛庁や自衛隊の対応についての一通りの検討や議論を行ってきたところでございます。しかしながら、委員御承知のとおり、会議の内容等については事柄の性質上公表を差し控えさせていただきたいと思いますが、この会議の性格自体が防衛庁の幹部が懸案事項について自由に検討、議論する場でありまして、その場において何らかの意思決定が行われるという性格のものではなく、したがってミサイル発射事案についてその対応方策を確定したというわけにはいかない、こういう実態でございます。
 今後ともこれは進めていきたいと思いますが、ぜひひとつ、いろいろな事態が起こったときに防衛庁内部が混乱しないように、私どもとしては平素からそういう気構えで対処してまいりたいと思っております。
○依田智治君 この問題は、自由民主党の中でも危機管理プロジェクトチームというのをつくって、現在毎週二回早朝から精力的に検討をしておるわけでございます。
 いろいろ我が国として足らないところはしっかり補い、検討を進めておくことは必要だという認識に立っておるのですが、ただ、きょうなぜこの質問をしたかというと、この間、新聞報道では、外国のミサイルの一部が我が国領土内に落下した場合の措置には自衛隊法八十三条の災害派遣の規定等を適用して自衛隊を派遣することも考慮するというようなことがあったのですが、一部新聞論調の中にも、我が国にミサイルが撃ち込まれて災害派遣という考えはちょっと甘いのじゃないかと。私も実はそう思ったのです、無警告で我が国上空を通るミサイルが撃たれて、それが我が国の大都市におっこったというのは災害じゃなくて攻撃ではないか。
 まさにこれは、それを攻撃と認定して、直ちに相手の基地を攻撃して日米安保体制のもとでたたく、それが全面的に第二次朝鮮動乱の引き金になるなんということになるとまた大変なことになるということはありますが、基本的には、何か知らない間に落ちて大変な災害になったから自衛隊を災害派遣するという問題じゃなくて、やっぱり心構えとしては、場合によったら防衛上の措置も考慮する、含めて対応していくということが私は重要じゃないか。そういう視点に立った詰めをやっておかないとなめられちゃうというか、ああ日本というのはそういう国か、こういうことになるのじゃないかなという心配をしたものですからちょっと聞いたのですが、これはこういうように答えられたのかどうか、その真意をちょっと防衛庁長官にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) たしか先般の質問は、ミサイルが発射された場合に自衛隊法の八十三条に規定する「天災地変その他の災害」で読むのは無理じゃないかという御質問であったと思うのですが、その趣旨は「天災地変」ではないからという意味を持っておったと思うのですが、私は「その他の災害」で読めるのじゃないかと。例えば、サリンなんかに対処するときも「その他の災害」で読んで自衛隊が出動しております。
 そういう意味で、「その他の災害」として自衛隊法八十三条に基づき災害派遣を実施するなど、適切に対処するという旨を説明したわけでございますが、今、委員が御指摘のとおり、当該事態が我が国に対する武力攻撃に該当する場合には、自衛隊は自衛隊法七十六条に基づき防衛出動により対応することとなります。ミサイルが我が国に着弾するような場合に、防衛出動せずに災害派遣のみで対応するというふうに私は申し上げたわけでは決してございません。
○依田智治君 新聞報道でそんな感じになっていましたので、やっぱり通常の災害じゃないので、これは我が国をまさに攻撃してもいいという、刑法上も未必の故意というのがありますが、やって落ちたら結構だというのは明らかに故意なんだという私も感じがしますから、そういう点も含めて我が国として、国民の生命、身体、財産を守るという決意をしっかりと表明していただく必要があるんじゃないか。
 この問題は以上、このガイドライン、有事法制、また衆議院の方でも議論が始まるようでございますし、参議院においてもこれはまたしっかりと各論的な議論を積み重ねていく必要があろうと思っていますので、これでやめます。
 次に、これは外務大臣、総理等にぜひお伺いしなきゃいかぬのは国連です。
 我が国の防衛の基本方針というのは、今さら私が申し上げるまでもなく、昭和三十年代の初め、三十一、二年でしたか、四項目。外交をしっかりする、当たり前。内政を安定する、それも当たり前。必要最小限の防衛力を漸進的に整備していく、これも当たり前。そして第四項目に実は日米安保、国連が機能するまでの間は日米安保でいく。こういうことになっていまして、我が国の究極の国際的な面での方針というのは、国連を世界の平和のために機能させる、そういうのが不十分な現在においてはやはり日米安保体制というものを維持して我が国の平和を維持していくということが基本だと。そこでガイドラインなんというのがあるわけです。
 ところが、最近いろいろ国連改革とかその他言われておりますが、なかなか進展しない。そういう状況の中で、むしろ国連よりも、ヨーロッパなんかはNATOの方が動かにゃいかぬ、またEUにも政治的、軍事的な意味を持たせる必要があるんじゃないかというような議論も出てきておるということで、ややもすると国連というものの影が薄くなる可能性があるわけです。やはり私は、例えば国連憲章の個別的自衛権、集団的自衛権を認めた五十一条でも、国連の安保理等が十分機能するまでは各国の自衛権で対応していくということになっていまして、そういう意味ですれば、国連というものは非常に重要で、我が国としてはまさにこれが本当に機能するように対応していくということが極めて重要だ、こう考えておるわけでございます。
 それでこの問題を取り上げたわけですが、総理も国連総会とか出席されたり、いろいろの場、また施政方針演説の中でも国連に対する基本方針等については述べられているわけでございますが、私が今申し述べたような視点に立って、総理はこの国際連合を我が国の安全保障という面でどのように位置づけておられるのか、総理の基本的考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 我が国は、国連を我が国を含む世界の平和と安全を確保するために主要な役割を果たす機関として位置づけ、国連への協力を外交の重要な柱としてまいっておるわけでございまして、国連の必要とする分担金につきましてもアメリカに次いで大変大きなシェアを果たさせていただいておるわけでございます。冷戦後の国際社会で国連の果たすべき役割がますます重要となってきておりまして、一層国連を重視した取り組みを行っていく考えにあることはもう申すまでもないことだろうと思っております。
 ただ、特に世界の平和と安全に関しましては、国連の内部におきまして主要な機関であるところの安全保障理事会、これが過去国連の中での平和活動の中核的な方針を決定してきたところでございますが、委員御案内のとおりに、この安保理に日本としても積極的参加をいたしたいという意思は表明いたしておるものの、今日の時点においてまだそのメンバーシップを与えられておらない。それは、特にこの安保理におきましては、いわゆるP5という五大国がいわゆる拒否権というものを行使されるということの中で、なかなか一致した行動がとりにくいという点が過去、例としてはあったわけでございまして、そういった意味で、日本としてはこの安保理に参加することと同時に、国連全体の機能を発揮できるためのいろいろな諸改革について提言をさせていただいております。
 現時点におきましては、そのことは十分果たし得ておりませんが、冒頭申し上げましたように、国連中心主義といいますか、日本の外交の大きな柱でありますから、粘り強く我が国の立場を主張いたしてまいりたいと思っております。
 一方、現実のいろいろの紛争処理のためには、先ほど委員が指摘されましたように、現実にはいろいろの集団安全保障体制の中で、例えばNATOというような形で今コソボ問題等にも取り組んでおられますけれども、実態的にはそういうところがかなり紛争解決のために大きな役割も果たしておるという現実も現実としては存在するわけでございまして、そういった意味で、それぞれの紛争処理のためにいろんな機関が働いてはおりますけれども、究極はやはり国連を中心にして問題の解決のできる体制をつくり上げていく、そのために日本としては積極的に協力をし、特に資金的な援助その他につきましてはかなり世界の中でその意思に基づいて協力をしておるということでございますので、ぜひ日本としては、本来的に国連を中心にして世界の平和が確保できるような体制、そのための国連の機能の十二分な発揮のできるような改革というものにつきましても、できる限り日本として積極的に取り組ませていただきたい、こう考えておるわけでございます。
○依田智治君 どうもありがとうございました。
 やはり我が国としては、結局、究極的には国連を中心とする集団的安全保障体制の中で我が国の安全というものを確保していくということが基本になるべきじゃないか、こう考えておるんです。
 そこで外務大臣、現在の国連というものは、そういう視点に立った場合に本当に機能しているんだろうか、十分機能しているのかどうか。それから、改革という形でいろいろ言われておるけれども、何かひところ言われていたよりスピードが落ちているような、いろいろ国際的な諸事情等ございますが、担当の大臣としまして、国連の現状というものをどのようにとらえ、そして我が国としてその改革のためにどういう点を重点に現在取り組んでおるのか、この点をまず御報告願いたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 紛争だとか貧困だとか環境等、現在の国際社会が直面している諸問題について、国連はそれなりの役割を果たしている、こういうふうに考えております。二十一世紀に向けて国連の果たすべき役割はますます重要になってきておりますが、国連がその役割を十分に果たすためには、機能強化のための国連改革が必要になっている、こういうふうに思います。
 我が国としては、国連改革について、安保理改革、開発分野の改革、財政改革、この三つを大きな柱として考えているわけであります。平和と開発はそれぞれが互いの前提条件であるという意味で表裏一体の関係にありますし、また、国連がこれらの分野で有効に活動するためには健全な財政基盤が必要であるわけであります。そのため、我が国はこの三つの分野の改革を均衡のとれた形で実現する必要があると考えており、積極的な取り組みを行っているところでございます。
○依田智治君 私は、この中でも特に安保理の改革というのは大変重要だなと思うわけです。いろいろ、数をどうするかとか、拒否権をどうするのかとか、また選出方式等でもいろいろ世界百八十何カ国、大変異論もあってなかなか進んでいません。しかし少なくとも、後ほど触れますが、多額な国連に対する拠出金を出している我が国として、安保理の常任理事国として世界の平和のために積極的に意見を述べ、活動していくということは極めて重要だと思うわけでございますが、総理、この点については基本的には同じ意見だと思いますが、一言総理のお考えをお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 先ほども御答弁申し上げたと思いますけれども、第二次世界大戦以降の国際連合の歩みの中で、世界の平和と安全を期するという意味で、いわゆる安保理が大きな役割を果たしてきたということでございますが、その安保理に我が国としても積極的に参加をして、ともに世界平和に貢献したいという気持ちを申し述べておるわけでございますが、現実には他の国の常任理事国入りとの絡みもございまして、なかなか今困難な状況に来っております。
 私自身もまた外務大臣も積極的に国連で努力をさせていただいておりますけれども、日本に対しての常任理事国入りにつきましては、百八十五の国もこれを否定する国はほとんどないということでありますが、ただこれから常任理事国をさらにメンバーを多くしていくということになりますと、それぞれの地区の代表をどうするかというような点もございますし、またヨーロッパにおきましては、あるいはドイツとかイタリアとかそれぞれ希望される国々がございますが、そうなりますと、ヨーロッパではフランスもイギリスも入っておる、そうすると、特に常任理事国についてヨーロッパの国々がたくさんあるというようなことで、アフリカやあるいは南米の諸国が一体どういうお立場になるかというようなことで、いろいろ錯綜しております。
 いずれにしても、安保理そのものが従来に増して大きな役割を果たしていかなければならないということであるとすれば、それは日本としても応分の責任を果たしていくということで、改めて常任理事国入りにつきましては積極的に取り組ませていただきたいと思っておる次第でございますが、現時点におきましてはなかなか各国との利害が一致をいたしませんで難しい状況ですが、改めて粘り強く努力をしていきたいと思っております。
○依田智治君 私は、この問題を改めて総理にお伺いしたのは、ややもすると、我が国の場合は憲法上の制約等もあって、入る場合でも我が国はこれしかできませんよとか、いろいろそういうようなことを言いながら入ろうとしておるというような面も従来あったわけですね。
 私は、それぞれ国情があり、我が国の場合には我が国の持ち味もあるわけでして、我が国にできないことはできないけれども、これだけ、国連に二割からのそれを、しかも滞納せずしっかりと納めている国なんてないわけですから、そういう意味で、本当に自信を持って入らせてもらって、入って、胸を張って国際舞台で活動していく。武力行使のために自衛隊を出さなきゃならなくなるなんて、日本の憲法上それがだめならそれは出ない。それぞれ得意とする国があるわけですから、私は、日本の得意とするところを発揮して国連の安保理の場でも十分活動していくということはできると思いますので、総理、外務大臣等自信を持ってこの点は推進していただく必要がある。
 それで、残念ながら現在は、この間、第八回目の非常任理事国の任期が切れちゃいまして、我が国は国連安保理等でも中で情報がとれない。これだけ、二〇%も一国で、何しろ安保理のアメリカが二五%ですが、その他四カ国を合わせたよりも日本の方がはるかに多く出しているわけですね。そういう国が、常任理事国のみならず非常任理事国からも外れて、今一生懸命、安保理があればちょっと飛んでいって情報をとったり、教えてくださいというようなことをしてやっているわけです。
 きょうは、時間も刻々となくなってきますので、実は外務大臣に、例えば先回二年の非常任理事国のときに我が国がどのぐらい活躍したかという話を聞かせていただこうと思ったんですが、これは大変な活躍をしておるんですね。グアテマラの情勢、この間日本がいなくなっちゃったら、今度中国が拒否権を発揮してPKOを引き揚げなきゃいかぬと。その前に思いとどまらせたんですよ、日本が。それから、アフリカの紛争の解決への取り組み、イラクの大量破壊兵器廃棄問題に関するときの決議、さらにインド、パキスタン核実験の際の決議、さらに北朝鮮ミサイル発射の対応の際にも安保理議長がプレス声明を発する、それは日本が陰で大変な力を発揮して、なかなか日本の外務省もやるもんだなというぐらいな気持ちで見ておったんです。ところが、十二月任期切れで、もう情報をとるとかなんとかそういうことになっちゃっているわけでして、私は非常任理事国でも日本がこれだけの活躍ができるのかな、こう思っているわけでして、ひとつ、いろいろ国連は拒否権問題とかその他難しい問題がありますが、積極的に国際のそういう、特に安保理等の場で活動する努力を続けていただければありがたい。
 財政問題は国連の極めて重要な問題で、これを取り上げようと思っていましたが、他に質問予定がございますので、いずれにしてもこれも本当に日本はせっせときちっと納めている。しかし、滞納している国もあるし、なかなか難しい。財政が再建されなければこれはなかなか国連としてもしっかりした活動ができないわけで、職員の削減とかその他いろいろ努力しているようです。
 そこで、ちょっと財政問題を飛ばしまして、国連における邦人職員、これは我が国としては二〇%も国連の拠出金を出しておる経済力からすれば相当な陣容を出していかなきゃならぬにもかかわらず、非常に少ないというように聞いておるわけですが、外務大臣、ここのところはどんな状況になっておるでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 国連事務局における邦人職員数は、昨年六月末現在百四名であります。国連が発表している望ましい職員数だと日本は二百二十六人から三百五人いていいはずだということで、大きく下回っているという状況でございます。
○依田智治君 半分以下ということで、本来望ましいというのももっと多くてもいいくらいじゃないかなという感じがします。
 国連事務職員は、現在一万人くらいおって、平均年齢が四十九歳というように聞いておりますが、今後十年間で少なくとも四千五百人くらいは退職していく、その補充をしていかなきゃいかぬ、こういう状況もありますし、関係国際機関すべてやると二万人近い、一万八千人とも聞いていますが、そういう状況があるわけです。
 やはり、安保理の常任理事国になるという一つの目的のほかに、国連で本当に実態をつかみ、世界の実情、明石さんなんかそういう例だったわけですが、緒方貞子さんも今活躍されておる。非常に数少ない。しかし、こういう国際化時代の中で、我が国としてできるだけ多くの国際舞台で活躍する青年をふやして、一体となりながら国際平和の確立という面で推進していくことが大変重要だ、こう思うわけですが、外務省の方でいろいろ邦人国際公務員の増強のための懇談会というのをつくり、その報告書が二年ばかり前に出ている。それも読ませていただきました。
 これはぜひ外務大臣、その中にも盛られている幾つかの施策、大変重要な問題がございますので、これを重点的に推進して、ぜひ前途有望な人間が国際舞台で我が国を代表しつつ国連の場で活躍していく、こういうようにしていただきたいと思いますが、この点に関して簡単で結構ですから外務省の見解を。
○国務大臣(高村正彦君) 政府といたしましても、邦人職員増強の必要性は十分認識しているわけでありまして、平成九年に提出された邦人国際公務員の増強のための懇談会報告書の提言を踏まえて、人材の発掘や国連に対する働きかけ等の取り組みを強化しているところでございます。
 この一環として、望ましい職員数に達することを目標として、我が方国連代表部に邦人職員増強支援委員会を設置したところでございます。
○依田智治君 大学その他いろんな機関との協力とかそういう問題もございますし、いろいろ国際的には人事、公務員採用とかそういうような問題、日本の場合には情報も公開され非常に透明性を持った人事採用なりができておるわけですが、こういう国際舞台、国際の場というのだとなかなか難しい面がある。そういうことで、人事情報をいち早くつかんで優秀な人材を送り込むとか、大変な努力が必要なようでございますので、外務省、ひとつぜひともこの点で力を発揮していただければありがたいと思うわけです。
 次いで、国連に関連してPKOの問題です。
 PKO、これは国連も国連憲章六章半の活動ということで大分やっておりますが、外務省の方、どうでしょうか。現在世界の何カ所で国連のPKO活動というのは行われているんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 二十カ所程度で行われていると承知しております。
○依田智治君 二十カ所程度なんて。外務省、現実に何カ所と決まっているんだよ。そうでしょう。私は知っているけれどもちょっと聞いてみたんだ。最近微妙な問題があって、十六カ所あったのが、マケドニアがなくなったとかアンゴラがなくなって、今十四カ所というように聞いておるわけです。
 この中で、二十年以上続いているというところは何カ所ありますか。ちょっと担当としてそのぐらいのことを承知していないようじゃだめですぞ、これは。
○政府委員(加藤良三君) どうも失礼いたしました。
 サイプラスの場合やUNDOF、これは相当長く存続しておると承知いたしております。
○依田智治君 これはもう外務省の出しているこんなのにだってぴちっと書いてあるんです。表が出ているじゃないですか。四カ所。中東とかサイプラス、印パのカシミール等で四カ所ある。長いのはもう相当、三十年以上。
 そこで、私の友人のギリシャ大使をこの間までしていたのと会ったら、日本は両方の国にも顔があるんだからもうちょっと積極的な努力をする必要があるんだというようなことを盛んに言っておる。そのとおりだ。言うなれば、これ結局両方対峙してエンドレスにずっと中に割って入っているわけですね。中東紛争にしてもサイプラス紛争にしてもカシミール紛争にしても、本当に両方怨念でやっている。何年でも、金が幾らかかってもちっとも事態が進展していかない。これはもとを正さなきゃならぬわけですが、そういう面で、ぜひ我が国は、こういう長期に続く紛争について本当に我が国としての全方位外交というのか、そういう力を発揮して、根本からこういう紛争を解決していく。自衛隊のゴラン高原ももう大分何回も繰り返してきていますが、その都度閣議決定で延ばして延ばしてやっています。
 いずれにしても、これはもうちょっと外務省としてしっかりとこういう問題に取り組んで、仲介して場を提供し、両国が基本的問題について合意する方向に努力するということが大変重要じゃないかなと思うんです。これまでも大分いろいろはやられておる。しかしなかなか進展しないところにこの問題の難しさがあるわけですが、この点について外務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 紛争を解決するためには、PKO以外にも個々の紛争の状況に応じ当事者への直接の働きかけ、国連等多国間の場における話し合い等、さまざまな協力を適切に組み合わせていくことが重要であります。
 より根本的には、信頼醸成措置等による紛争の未然防止、紛争解決後の復興も視野に入れた包括的な取り組みが必要とされているわけであります。
 我が国といたしましては、さきの外交演説でも述べた第二回アフリカ開発会議を初め、昨年一月に開催した紛争予防戦略に関する東京国際会議等さまざまなイニシアチブをとってきており、今後とも国連や各国とも協力しつつ、このような包括的な視点に立った紛争への取り組みを継続していく考えであります。
 我が国がやって成功した例とすれば、国内の話でありますが、カンボジアの中の両当事者に四項目提案というのをして成功した例もありますし、もう一回四項目提案ということで、この間中東に行った際、南レバノンの問題についてぜひ私たちが考える四項目で解決してほしいということを提示してきたところでありますが、このアフターケアもやってまいりたい、こういうふうに思っております。
○依田智治君 本当にいろいろ努力しておる点は十分承知の上で、さらに力強い努力をお願いしたいということで申し上げたわけでございます。
 あと、PKOに関連しては、この間自自連立で合意した際にも、PKFの凍結解除というような問題についても一項目言及されております。この点は、この法律ができたときのいきさつで現在凍結されているということでございますが、国際連合に対するきょういろいろ議論してきた我が国の基本的考えと立場ということからすれば、やはりそういう点も含めて我が国としてもしっかりと対応していくということが、国際連合を大事にする我が国にとって当然なことだなと私は思うわけです。
 ただ、この問題は、これもまたそういう具体的に問題になった時点で協議する必要があると思いますが、部隊を派遣する以上、武器使用の問題等について現在の法律体系で果たしていいんだろうか。武器防護規定も解除されていわゆる除外されておるというような状況とか、その他いろいろ考えますと、その際十分研究しておく必要がある。
 また、アジア地域においてもしそういう必要がある場合には、我が国としても率先していろいろそういうアジア諸国における平和の確立という面では努力していく必要があると思うわけです。カンボジアの場合なんかいち早く我が国は自衛隊の施設代替も含めて、選挙監視等も含めいろいろ多角的に貢献して効果を上げたわけです。
 将来の問題として、例えば東ティモール紛争等がある程度解決の方向に向かってもしPKO等が必要になるというような場合になってくれば、我が国としてもそういう問題についても十分対応するということが必要だと思います。この点は総理にお考えを伺おうと思っていましたが、凍結しているのは立法府でございますので、これは問題を指摘するにとどめて、次の問題に移りたいと思います。
 あと二十五分ということでございます。アジア諸国の情勢等についてやはり詰めておく必要があるということで、ちょっといろいろ聞きたいという項目があったんですが、ロシアです。
 外務大臣に北朝鮮、中国、ロシアと、いろいろ聞かせていただこうと思っていたんですが、ロシアは本当にこれ大丈夫なのかなという点が非常に気になっておるわけです。政治経済情勢について差し支えない範囲で、新聞報道等でも危機的状態にあるロシア経済とかいろいろ報道されておるという状況を見ますと、これはロシアがもし大変な事態になるということになれば北方領土問題とかの騒ぎではなくなっちゃうわけですし、そういう点も含めて、現在ロシアの政治経済情勢というものに対して外務大臣としてどのように御認識しておられて、それに対して我が国としては何らかの対応策をとっておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) ロシアにおいて進められている民主化及び市場経済化のための改革は、いろいろの困難に直面しつつありますけれども、大きな流れとしては基本的に定着しつつあるものと考えております。
 政府としては、ロシアが改革を推進することは、我が国のみならず世界全体の平和と安定に多大な利益をもたらすものと考えておりまして、そのため、こうしたロシア政府の改革努力を一層一貫して支持するとともに、各種の支援を行ってきているところでございます。
 また、政府としては、ロシアの改革を支援するに当たっては、G7諸国とも緊密に連絡をとってきております。今後もG7諸国と緊密に連絡をとりつつ支援を行っていく考えでございます。
○依田智治君 この間、ある報道で、ロシア経済の世紀末的状況というようなことで、若干ことしに入っておさまったというものの相当なインフレ等も起こり、為替レートも極めて不安定になっておるというような状態の中で、いわゆる影の経済というかシャドーエコノミーと言われる面が相当に前面に出てきて、相当厳しい状況にあるというように聞いておるわけです。
 IMFの対ロ融資交渉というのも進展しているわけでございますが、ひとつ我が国としても本当にG7諸国等とも協調しながらしっかりと対応していただくようによろしくお願いしたいと思います。
 きょうは時間の関係で、北朝鮮、中国の問題にもいろいろ触れたかったんですが、総理、これは話は違いますが、北朝鮮の拉致家族、これは警察の方では七件十人というものは明らかに疑惑でなくてもう拉致事件だというぐらいの認識を持って対応しており、国会議員団としても行ったり、また外務省もいろんな努力をしていますが、ほとんど進展していないというのが実態でございます。
 外務大臣、どうでしょうか。その後何か進展している状況はあるんですか。結局、質問通告していなかったんですが、こういうのは総理に聞くということだったので、その後もし何か多少でも進んでいる状況があれば報告していただくとありがたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(高村正彦君) 残念ながら、具体的に進展しているとは言えない状況にあります。あらゆる方面から努力をしたいと考えております。
○依田智治君 この点は当委員会でも同僚議員等からも質問があったわけですが、先日、横田めぐみさんのお父さん等を初め関係者が総理のところへお邪魔していろいろよろしくというお願いがあり、新聞報道等によりますと、総理は、あらゆる手段をとって対処していきたいということで、力強く家族の皆さんにお約束した。私も非常に心強いなと。
 あらゆる手段、ここで言えないことでも結構ですから、本当に我が国の平穏に暮らしていた方たちが国家主権を侵されたような形の中で拉致されて、そしてどこへ行っているかわからない。大変なことで、しかもこれはただこっちが勝手に言っている話でなくて、韓国等でいろいろ取り締まりを受けたりした北朝鮮の工作員と言われる人とか、石川県の宇出津事件なんというのは日本の警察が関係者を逮捕したというような事件でもございましたから、そういう点を見た場合に、本当にこれは我が国としても威信をかけて解決に向かって努力していただく必要がある。
 総理、あらゆる手段をとって対処していきたいという力強い約束をされたんですけれども、その決意を改めてこの場でお伺いしたいと思うわけです。
○国務大臣(小渕恵三君) 北朝鮮による拉致の疑いが持たれている事件につきましては、政府としては、我が国国民の生命と安全にかかわる重要な問題であるとの認識に立ち、従来より北朝鮮側に対しこの問題をしっかりと取り上げてきております。
 ただ、先方は、行方不明者に関する調査の結果、該当者はいなかったとする北朝鮮側の対応でございまして、到底受け入れられるものではなく、政府といたしましては、今後とも引き続き問題解決に向けて効果的な方法を追求しながら、あらゆる機会をとらえて北朝鮮側の真剣な対応を粘り強く求めていく考えでございます。
 本件につきましては、外務大臣時代にも、横田めぐみさんの御両親を初め皆さんのお気持ちを直接お伺いいたしました。私といたしましては、こうした事柄につきましては、広く公の立場で、公開でいたすことはいかがかという気も率直にいたしました。ただ、関係者の皆さんも、待ちに待てない、いわゆる拉致されたと言われておられる方々の年齢もはや壮年を迎えておるということであり、特に御両親を初めといたしましては、ひたすらに一日も早い再会をこいねがっておるわけでございまして、そうした意味で、身の安全というものについての不安もあるけれども、広く日本国民の皆さんのお気持ちにも訴えてお願いしたいということで、たくさんの署名簿を持参してまいられました。総理になりましてからも、先般改めてお訪ねをちょうだいいたしました。
 本件につきましては、今申し上げたように行方不明者ということで、この問題についてはそうした言葉を使って相手の調査をお願いしておることでございますが、現時点では、該当者はいないという公式の赤十字関係の御返答でございます。
 さはさりながら、あらゆる手段を講じて、あらゆるパイプを通じてこの問題について、最終的には肉親に再び会うことのできる日の一日も早いために、外交的なルートは一応今途絶えてはおりますけれども、さりながら、いろいろな接触の機会もあると思いますので、全力を尽くしていただいておりますし、また政党あるいは各議員、こうした方々も熱心にお取り組みいただいておりますから、そうした方々の御努力、善意、こういうものが実ることのできるように政府としても十分連絡を密にしながら対処していきたい、こう考えております。
○依田智治君 総理の力強いお言葉、ありがとうございました。我々としても、一体になって努力して、あらゆる手を尽くして実現に努力していきたい。ぜひともこの問題を解決していかなきゃいかぬ、こう思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 周辺地域の情勢の問題、米朝交渉が現在進展しておりますし、また中国でも全人代が開かれておるという状況の中で、今後、中国経済、財政がどうなるのか、さらに中台問題等についても質問したかったんですが、ちょっとこれはまた後日に譲りまして、本日最後に、コンピューター二〇〇〇年問題、特に軍における二〇〇〇年問題の対応というのはやはりしっかり考えておかなきゃいかぬなという点がありまして、この点を最後に取り上げておきたいと思います。
 この点で、まず外務省、防衛庁、役所側の二〇〇〇年問題対応というのは他の中小企業とか民間等に比べると比較的進んでおるということでございますが、その点、外務省、防衛庁、それぞれどんな状況でしょうか。ちょっと報告をお願いしたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 昨年十月に外務省内における該当するシステムの総点検を行いました。現在、その点検結果を踏まえて必要な対策をとっているところでございます。
 特に国民生活にかかわりのある旅券発給システムについては既に対応済みでありまして、査証発給システムについては本年七月までに対応完了予定であります。
 それから、本省と在外公館を結ぶ外務省の通信システムは、既にコンピューター二〇〇〇年問題に対応済みであります。
 他方、諸外国との通信インフラの対応状況については現在調査中であり、その調査結果を踏まえて、現地の通信インフラに依存せず、通信可能な衛星通信機器の在外公館への配備等、対応策を講ずることとしております。
○依田智治君 外交は一日の猶予もならぬわけでございますので、抜かりなくよろしくお願いしたいと。
 防衛庁の方はいかがでございましょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 大変大事な御指摘をいただきましたが、防衛庁におきましては平成八年度以降、一般の汎用電算機のみならずウエポンシステムも含めた調査を行っております。対応が必要なものについては、コンピューターの機能に支障が生じないように所要の措置について万全を期しているところでございます。
 さらに、高度情報通信社会推進本部のコンピューター二〇〇〇年問題に対する行動計画の決定を受けまして、装備局長を統括者とするコンピューター西暦二〇〇〇年問題対応プロジェクトチームを発足させ、防衛庁が保有するシステムのうち重要度の高いものに対して模擬テストをやったり、危機管理計画の作成を実施し、対策に万全を期しているところであります。
 予算当局におきましても十分な配慮をいただきまして、平成十年度予算では七億二千万円、十一年度は二億九千万円の予算をもって対処しているところでございます。
○依田智治君 防衛庁の場合、特に情報システムとか兵器システム、そういうところにも相当コンピューター等対応しておると思いますから、そういう点で万々抜かりのないように万全な対応策を講じていただくようにお願いする次第でございます。
 それで外務大臣、この間、マニラで第二回二〇〇〇年問題対応の国際的なサミットがあったというように聞いております。この問題は、今の国際化時代の中で、我が国がある程度の対策をとって済むという問題じゃなくて、国際的にやはり水準を上げていかなきゃならぬという問題があるわけです。
 何かこの間アメリカの方で、古い情報で上院の特別委員会では日本がおくれている、Cランクだなんて言われて、あれは古い資料で、Bでしたなんていうのはとんでもないことだなと思うんですが、そういう点も含めて、我が国があらゆる面でシステムを向上させると同時に、世界的なレベルでどうこれを認識して、今後、我が国としてもこういう問題についてどう対応していくのか、このあたりを、簡単で結構ですから基本的考えをお伺いしたい。
○国務大臣(高村正彦君) 御指摘の報告書、三月二日に公表されたわけでありますが、その中において、我が国の対応状況は、主要二十カ国のうち米国、スウェーデンに次ぎ、英国、カナダと同等のレベルであるという評価を一応得ているわけであります。
 ただ、その報告書の中に、アメリカの民間会社の調査として、日本が四段階評価のうち第三段階評価であるとの記述がありまして、これは御指摘のとおり、昨年の七―九月時点の調査でありまして、昨年九月以降の我が国の積極的な対応が全く反映されていないわけであります。この民間会社の調査内容は、その後、昨年十―十二月時点の調査に基づくものに改定中でありまして、この結果、日本は第二段階にランクされるというふうに聞いております。
 こうした調査において日本の最新の対応状況が正しく反映されることは大変重要でありますので、現在、在米日本大使館より関係者に対して、具体的な資料に基づいて我が国の最新の対応状況について説明をしているところでございます。
○依田智治君 防衛庁長官、この問題でやっぱり国際的にも十分考えていかなきゃいけないのは、軍のこの二〇〇〇年問題に対する取り組みというのは果たして大丈夫か、こういう問題だと思います。
 例えば、核攻撃システムが誤作動して発射されたというようなことになったら、これは大変です。アメリカの国防総省等によりますと、そういうことはあり得ない、もう自動的に停止した場合にも作動しないからミサイルが発射されることはない、こういうように言われていますが、果たしてそれでいいのか。さらに別な文献等を読みますと、むしろこの発射システムよりも早期警戒システム、そういうところがもし万が一コンピューターで誤作動した場合は、攻撃を受けて停止不能になったと同様な状態が発生して直ちに警戒態勢に入るというようなことにならぬか。
 いろいろ調べてみますと、一九五〇年一月にノルウェーの科学調査用のロケット打ち上げのときに、潜水艦発射弾道ミサイル攻撃を警戒するロシアのレーダーが誤作動した、態勢に入ったというような例もあるようです。また、北朝鮮については皆目状況はわからないんですが、ロシア製のスカッドミサイルを初め我が国上空に飛んできたノドン等いろいろあるわけで、そういうものが誤作動したりいろいろすることはないのか。韓国の方も、南北会談等をしながらこういう問題も提起して状況を把握していこうというような動きをしているようです。
 こういう兵器システムというのは二〇〇〇年問題で心配ないのかどうか、この点、防衛庁長官、何か報告を受けておれば。
○国務大臣(野呂田芳成君) これも大変大事な御指摘でございますので、私どももそのようなことがないように十分注意して対処してまいりたいと思っております。
 一般論としては、コンピューター二〇〇〇年問題の軍事的側面から特に注意しなければいけないのは、日付管理の問題であると思います。ミサイルとか戦車とか航空機等の本体よりも、修理データ等の履歴管理をする修理等の支援機材が影響を受けることが多いというふうに思われます。そういう面については、問題が起こらないように今十分対処しようとしているわけであります。
 委員から先ほど御指摘ありました指揮管制システムが誤作動をし、加えてそれにより担当者が誤った判断のもとにミサイルを発射するというようなこと、これは理論的には考え得ることであると思います。しかし他方、戦略ミサイルのような先端的でかつ大規模なシステムには偶発的な発射の可能性を低めるような措置が確保されているというのが一般的であり、重大な事態が生ずる可能性は少ないのじゃないかと私どもは考えております。
○依田智治君 アメリカ、ロシア等の間でもこの問題については協調体制をとって十分対応策を講じようというような話も進んでいるやに聞いておりますが、国際的にはいろいろミサイルその他を持っている国は我が国周辺でもあるわけでございまして、万が一にも誤作動事態等がないような対策というものを万全に講じておく必要があると思います。
 外務省等も、二〇〇〇年サミット等の場を通じ、また我が国としても独自な立場で各国と連携をとりながら事故の未然防止という面で本当に努力をしていく必要があると思うわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 きょうは以上、基本的問題、さらにミサイル問題、コンピューター問題等を含めて質問させていただきました。また、細部の問題につきましては、いろいろ個別の委員会等で今後さらに議論を深めて、より的確な安全保障政策の推進というものに努力していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
○委員長(倉田寛之君) 以上で依田智治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、柳田稔君の質疑を行います。柳田稔君。
○柳田稔君 おはようございます。
 きょうは冒頭、法務大臣に再度質問しようと思ったんですけれども、この予算委員会が始まる前にテレビで報道がありました。法務大臣が総理に対して辞意をお伝えした、官邸に向かったという報道が流れたのでありますけれども、事実関係はいかがでございましょうか。
○国務大臣(小渕恵三君) けさ九時に中村法務大臣が官邸に参られまして私あてに辞表を提出されまして、現在お預かりをいたしておるところでございます。
○柳田稔君 その辞意の理由というのはどういうふうになっておるんでしょうか。
○国務大臣(小渕恵三君) 現下国会におきまして最も重要な十一年度予算関係法案の審議の真っただ中でありまして、こうした中におきまして、現在、衆議院におきましての法務委員会あるいはまたこの予算委員会に関連をいたしまして、法務大臣の出席その他につきましていろいろと問題を惹起いたしておる、御本人としてはそうした事態に対して大変深く責任を痛感しておる、よって辞任をいたしたいと、こういう趣旨でございました。
○柳田稔君 当委員会で、数たくさんありますけれども、いろいろ御指摘された、それが理由でおやめになるのではなくて、国会の運営上支障を来すということでおやめになるというのが理由だと総理はおっしゃいましたけれども、この辞表に総理としてはどう対応されるのか。受理されるのか、それとも慰留に努められるのか、どうされるおつもりでございますか。
○国務大臣(小渕恵三君) 本質的には了といたしたいと思っておりますが、現在、法務大臣というお立場でございまして、もし受理をいたしますれば、その段階で新しい大臣を任命するか、私自身が兼任するかということにならなければなりません。そうした意味で今後の動きも大変大切なことでございますので、現時点におきましては、辞表を提出いたした中村法務大臣の御意思を十分承って、これからいかに対応すべきかということについて今の時点で私自身も考慮中と、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
○柳田稔君 法務大臣の件はこれぐらいにしまして、本来の集中審議の内容に移りたいと思います。
 私、この二十世紀後半の最大の出来事としてユーロの誕生というのがあるかと思うんですが、総理もヨーロッパを訪問されましたし、大蔵大臣もG7に出席をされた、いろんなことがおわかりになっているかと思うんですけれども、このユーロの誕生に対して政府としてはどういう所感をお持ちなのか。それから、あわせて言いますと、このユーロの誕生が世界にどう影響をするのか、また日本にとってどういう影響があるのか、教えていただければと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) ヨーロッパにおきましてユーロの誕生は欧州各国の強い政治的意思、経済構造改革の努力のたまものでありまして、その発足を評価いたしておるところでございます。米国と比肩する経済圏を背景とするユーロの動向は、世界経済全体に大きな影響を及ぼし得ると考えております。また、経済・通貨統合の成功は、今後欧州における政治分野での統合を一層加速するものと思われます。
 先般の欧州訪問におきまして、私は、ユーロ導入によって新たな歴史を開いた欧州の活力を目の当たりにいたしまして、日本としては、経済面だけでなく政治面でも今後ますます国際的に重要な役割を果たしていくと思われる欧州と一層関係を強化していくことが重要であると考えておりますが、いずれにいたしましても、通貨を統合するということは、かつての国家の存立の基礎であるところの自国通貨というものを離れて統合するということは大変な大きな意義があるんだろうと思います。
 その過程におきましては、国々それぞれの経済状況も違います中でかなり厳しい制約の中でこのユーロに合意をしたわけでございますから、国によりましてはそれぞれの条件を満たすために厳しい財政状況、赤字財政を厳しく制約するために国内における経済活動に対しましてもかなり条件を付したために、中には相当の失業率をそれぞれ自国の中に惹起いたした国がありましたが、そうした困難を乗り越えての今回のユーロの統一通貨の発足ということは、いずれは政治統合まで含めて大きな歩みをする第一歩になったんじゃないかということで、その努力に改めて敬意も表しておるし、また将来に対して、先行きに対して大きな期待も寄せております。
 日本といたしましては、いわゆる通貨といたしましては世界の通貨、貿易額におきましてもアメリカドルが大きなシェアを占めておるわけでございまして、それに対してユーロが今回大きな第二の基軸通貨としての存在が明らかになってくるのではないか、こう考えております。
 一方、日本の円につきましても、今後こうした二つの大きな基軸的通貨の存在する世界の経済の中で、一体日本の円がどのような立場に立つべきかということにつきましては、今回のユーロの発足と同時に我々としてもさらに真剣に取り組ませていただいておるわけでありまして、そういった意味で、円の国際化も含めて近々、いろいろな政策を打ち出させていただいておるのもそうした一環と、こう考えておる次第でございます。
○柳田稔君 総理がおっしゃるとおり、基軸通貨が二つできるのではないかと。先日、当予算委員会でも、公聴会でユーロについていろいろ発言がありました。余りユーロが基軸通貨として強くなり過ぎるとアメリカのドルが暴落をする可能性もなきにしもあらずと。日本として大変な額をアメリカに債権として貸しているわけですから、もしアメリカのドルが弱くなると日本にとっては大変なマイナスだというお話もあったわけであります。
 先ほど総理の方から、円についても国際化を図る必要もあるのかなというお話がありましたけれども、今後の日本の円としての通貨、何かお考えがあれば教えていただきたいのであります。大蔵大臣の方から、以前何か何百億ドルか拠出してというお話もありましたので、その辺も含めて教えていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) とにかくユーロが発足したということは、やはり何十年の背景の中で大きな出来事だったと思いますが、一月に発足いたしましてからきょうまでの間で、ほぼ六%ないし七%減価をいたしております。ただ、これは当事者がむしろ予想していたところでございますので、ヨーロッパ中央銀行総裁自身はむしろ強いユーロであるよりは物価の安定に資したいという気持ちでおられますので、この減価は大して問題とするに足りないと思います。
 ただ、さっき総理が言われましたように、ドイツ、フランス等々は二けたの失業を抱えておりますものですから、もう一つ金利を下げたいという気持ちがございます。このことは、しかし一体、金利を下げる権限、財政権は各国が持っておりますが金融行政はセントラルバンクになっているという、早くも難しい問題にちょっと逢着しております。おりますが、前途に暗雲を投げかけるようなことではない。発足の当時のいろいろな権限関係はやがて落ちついていくのであろうと思っております。
 それで、さっき総理が言われましたように、ドルの一極体制に対してユーロというものがとにかく誕生したということは、やはり画期的な出来事であろうと思います。ユーロの人たちに言わせますと、自分たちはパートナーになった、ジュニアパートナーになるのかどれだけのパートナーになるかわからないが、とにかく二極体制になったということはもう極めて明らかであろうと思います。
 我が国の場合は、御承知のように円というのは、もともと戦後最近まで円を国際通貨にするということについて日本政府そのものに長い間迷いがあると申しますか、余り積極的な気持ちがございませんで、それは全く戦後にさかのぼりますので、五十年もおかしなことですが、日本の経済がそれだけのものをしょっていいかどうかということについての迷いなり自信のなさがあったというふうに申し上げていいんでしょうか。また、正直申しますと、戦争中の東南アジアの国々との関係というものもどうしてもやはり記憶としていろいろ残っておったこともあろうと思います。
 今回のアジアの通貨変動等から、結果としては円との関連というものについて、一昨年の七月からでございますが、その経緯の中でドルだけにペッグをしていたということについての反省があったりいたしまして、円との関係というものが少しまた言われるようになりました。我が国は何とか役に立ちたいということで三百億ドルの支援を始めまして、そのうちもう五カ国全部、ワンラウンド済みまして、百五十億ドルほどコミットいたしました。残りまだ半分残っておるということでございます。
 そういうことでありますので、他方で円を持ってもらうということは、自然にそういうことになってくるのは好ましいことでありますけれども、従来、円を持ってもらってもそれを運用する場がなかったわけでございます。東京に円を活用するマーケットというものがなかった。それは半分意識的になかったと私は申し上げることができるだろうと思いますけれども、そのことも改めることにいたしました。
 さしずめ最近いたしましたことは、御承知のように、ファイナンシャルビルといったようなものをこの人たちに持ってもらって活用してもらうということが入り用でございますから、これを公募することにいたしまして、そして外国人には償還差益について源泉徴収をしないということにいたしましたので、大変に使い勝手がよくなりました。
 同時に、政府の利付国債につきましても、登録してもらっていれば外国人、為替外国人と申しますか、に対してはこれも源泉徴収をしないということになりましたので、この取引がようやく自由に、この四月からでございますか、自由になることになります。
 それで、初めて運用のマーケットができることになりますので、これで初めて円を持ってもらっても運用する場があるというところまで、今これが本当の始まりでございますが、だんだんにそういうことから、では円を持ってみるか、使ってみるかということになっていけば、私は方向としてはそれでいいんだろうと思いますが、何分にもそれはこれからのことでございまして、我々としても意識的にここに来ましてそういう努力をしていかなければならないだろう、ようやく考え始めたということでございます。
○柳田稔君 プラザ合意以来、日本の経済というのは何かドルに振り回された。特に製造業なんかも、物をつくることが基本なのに、何か為替の方にだけ目いっぱい頭がそっちへ行っちゃって大変な状況になったのかなという感じも私は持っていますので、大蔵大臣がおっしゃったような方向で一生懸命やっていただきたいな、そう思うんです。ただ、一方ではアメリカがいい顔をしなくなるんじゃないのかなという気もしますけれども、それはそれとして、私は方向性はそれで頑張っていただきたいなという気がいたしております。
 次に、私の持ち時間の関係もありますので、集団的自衛権について質問させてもらいたいと思います。
 今回、国会にガイドライン法案がかかっておりますけれども、これに関連をするというよりは基本になる問題だろうというふうな思いがしますので、この集団的自衛権について質問させてもらおうと思っております。
 昭和三十五年に締結されました日米安全保障条約の中に「個別的又は集団的自衛」の記載がございます。我が国は国連憲章に定める固有の権利を有している、両方の権利を有してはおるけれども、集団的自衛権の行使については云々とよく言われますが、その辺の今の立場を御説明願いたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) おっしゃるように、日米安保条約はその前文において、「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、」と規定しているわけであります。我が国が国際法上個別的及び集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然でありますが、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しております。
 したがって、個別的自衛権については、いわゆる自衛権発動の三要件に該当する場合に限り発動が許されますが、集団的自衛権を行使することは、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されない、こういうふうに考えております。
○柳田稔君 簡単に言うと、集団的自衛権の行使は認めていないと。
 世界に先進国はたくさんありますけれども、二つ権利があるはずですし、また行使できると思うんですけれども、世界の先進国の状況はどうでございましょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 国連憲章第五十一条は、国連加盟国が主権国家である以上、当然に有する固有の権利としての個別的及び集団的自衛権を有することを規定しているわけであります。国連加盟国である主要先進国は、こうした自衛権の存在を前提に国際法上の要件が満たされる範囲内で自衛権を行使するものと考えております。
○柳田稔君 集団的自衛権ですよ。今個別的……
○国務大臣(高村正彦君) いやいや、個別、集団にかかわらず、国連加盟の主要国みんな行使も制限していない、こういうふうに考えております。
○柳田稔君 世界の先進国は集団的自衛権も行使できるんですね。ほかの国ができて、なぜ日本が行使できないのか。その理由、またどこが違うんでしょうか、ほかの国と。
○国務大臣(高村正彦君) それは日本国憲法が存在し、第九条が存在しているからでございます。
○柳田稔君 私は、後々言おうかと思ったんですが、日本国も個別的自衛権は有し、そして行使ができる、これは当たり前のことなんですけれども、集団的自衛権も有し、そして行使できる、ただし憲法の許容内で制限を受けるとした方が世界の各国と同じではないのかな、そう思っているんです。
 戦後五十数年たって今日、大分世界の状況も変わったと思うんです。一番大きな出来事というと米ソの和解ですか、それ以前は大国同士の冷戦の中で日本の位置づけがあった。しかし、その冷戦が終わった後、各地に地域的な紛争がいろいろ行われている。その一つの例として北朝鮮の問題があるので、我々としては日本人の生命と財産を守るという責務があるわけですから、その観点に立って今回ガイドラインという法案を出してきたのではないのか。
 そういう時代の変化はいろいろあったと思うんですけれども、その変化については外務大臣、どういうふうに認識されておりますか。
○国務大臣(高村正彦君) 変化自体は委員とそんなに変わるところはないのではないかと思いますが、第二次世界大戦終了後、冷戦時においては圧倒的な軍事力を背景とする東西間の軍事的対峙が存在したわけであります。冷戦終了後、このような軍事的対峙の構造は消滅し、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいております。
 他方、複雑で多様な地域紛争の発生、大量破壊兵器の拡散といった危険が存在するなど、国際情勢は依然としてさまざまな流動的要素をはらんでおります。特に我が国が位置するアジア太平洋地域では、朝鮮半島における緊張の継続等、依然として不安定性及び不確実性が残されていると思います。
○柳田稔君 外務大臣がおっしゃるとおりだと思います。
 大国同士の冷戦のときは、日本独自でやったって、これは焼け石に水と言ったら怒られますけれども、その程度のものかなと私自身は思っていたのですが、今日、状況が変わってくると、やはり日本独自として他国の脅威に対して備えないといけないのではないかなと。そういう変化が出てきたと思うんです。
 先ほど他国との比較をちょっとしましたけれども、例えば戦後から今日まで日本と同じような国としてよくドイツが引き合いに出されます。
 このドイツ、湾岸戦争のときに大分国内で議論しましたね、自国の防衛について。そのときのドイツの変化といいますか、大きな変更をいろいろやられたと思うんですが、それについてはどういう御認識を持っていらっしゃいますか。
○国務大臣(高村正彦君) 湾岸戦争と言いましたか。
○柳田稔君 湾岸戦争のとき。
 私の認識では、ドイツは憲法があります。それで、その下に国を守るための基本法というのがあります。その基本法を見ますと、ドイツ軍が行動できるのはNATOの域内という限定がありました。ところが、湾岸戦争が起きて、それではドイツとしての安全と平和が保たれないということで、その基本法に書いてある域外にドイツの空軍を派遣して対処したということがあったと思うのであります。
 日本が戦争に負けて、戦後の経済復興、そしてそれなりの国になってきた。ドイツも戦争に負けて、そして自国の努力によって大きな経済力を持つようになってきた。似たような国なのでありますけれども、ドイツのこの変化、変更、これについては日本政府としてはどういうお考えをお持ちなのか、ちょっと教えていただきたいと思うんです。
○国務大臣(高村正彦君) 湾岸戦争のときに、たしかドイツはNATO域外にも軍を派遣できるようにしたと思いますが、日本と違ってもともと集団的自衛権の行使そのものをできないというふうにしていなかったわけでありますから、そこは日本と同一には論ぜられない、こういうふうに思います。
 どの法律でそういう手当てをしたかということは、必要であれば政府委員に答弁させます。
○柳田稔君 憲法にかわる基本法をいじったんですね。後で聞いてください、帰ってからでも結構ですから。
 要するに、憲法にかわるぐらいの大きな基本法を議論して、NATOの域外に出した。しかし、NATOの域内でしか活動できなかったのをNATOの域外に出したというのは大変な決断ですよ、これは。僕はそう思う。
 ちなみにお聞きしたいんですけれども、ドイツがこういう行動を湾岸戦争のときにとりましたけれども、その行動に対して日本政府としてはどういう評価をお持ちになったんでしょうか、当時。もしわからなければ政府委員でも結構ですけれども。
○政府委員(加藤良三君) 先ほど委員が御指摘の法律の関係について申しますと、もともとボン基本法の第二十四条の二項で、連邦は平和の維持のために相互的集団安全保障制度に加入することができるという規定がございまして、ドイツではこの規定を根拠にして、NATO及び西欧同盟を通じた集団的な自衛権の行使が認められる、こういう解釈があったわけでございますが、これに加えて、一九九四年の七月十二日にドイツの連邦憲法裁判所判決が出まして、これは今申し上げました法第二十四条二項を根拠にして、独連邦軍は国連の安保理決議を履行するためにNATO及び西欧同盟の行動の枠内で行われる活動に参加することが認められる云々という解釈を示しまして、ここで今度は在連邦軍のNATO及びWEUの、つまり西欧同盟の域外への派遣を条件つきで合憲とした、こういう流れがあると思います。
 そして、湾岸戦争の際におけるドイツの貢献というものについては、これは既に大臣答弁申し上げましたとおり、一定の国際的評価を得たというふうに認識いたしております。
○柳田稔君 国内のことは、ドイツもいろんなことをやられて、いろんな行動をとられると思うんですけれども、私が基本的に言いたいのは、日本国内の議論と世界の議論と大分かけ離れているんじゃないかな、そういう思いがあるのでこのドイツを持ち出したのであります。
 日本政府としても、この湾岸戦争のときのドイツのNATOの域外に対する派遣、それを評価された。私はこれを非難した国というのは聞いたことがないんです。ドイツがNATOの域外に、さっき政府委員がおっしゃったように基本法の解釈を変えて初めてドイツの空軍をトルコに派遣したと。このことに対して世界の各国が非難したというのは聞いたことがないんですが、外務大臣、どこかそんなことに対して非難をしたという国を御存じですか。
○国務大臣(高村正彦君) イラク以外に非難した国はないと思っています。
○柳田稔君 それが世界の常識だと思うんですよ、私は。ドイツが中でいろんな議論をすることは、これは当然ですよね。自国の憲法を持っていて、自分たちの国は何をできるか、それは当たり前の話なんです。だけれども、その前提として、集団的自衛権は行使できるというのがあるんです。
 ちょっとこれを翻ってみますと、日本の場合、日本も国連憲章の中では集団的自衛権も行使できるんですよね、当たり前として。ところが、日本が国内の勝手な理屈で行使できない、しないと。そして、その理由は日本国憲法ですとおっしゃっている。その辺が何か違うんじゃないかなと思うんです。多分ドイツにしてもいろんな各国にしても、日本も同じだと思うんですよ。自分の国の国民の生命と財産を守るのは、我々日本政府として、ほかの国の政府として当然の責任じゃないのかな。同じ責任を持ちながら、同じ目的を持ちながらなぜ違うのかなと僕は思うんですけれども、外務大臣どんなですか。
○国務大臣(高村正彦君) 日本政府が最善の努力をして日本国民あるいは日本国の平和と安全を守るのは当然のことでございますが、日本政府がやる場合には、憲法の範囲内でしかできないということも、憲法の制約があるということも当然のことでございます。
○委員長(倉田寛之君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
○委員長(倉田寛之君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十一年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。柳田稔君。
○柳田稔君 午前中は、世界の各国と比べて日本はちょっと異常ではありませんか、ちょっと違うんじゃありませんか、戦後の生い立ちを考えたときに、ドイツはいろんなことを変えてきたし、また行動してきた、そういう意味では日本も今の現状に合った国になるべきではないでしょうかという質問をさせてもらったわけです。
 私としては、世界の常識とか、国連で今後日本が活動しようと思ったときに、集団的自衛権を有し行使できると、ただし憲法の枠内でたががはめられていますというふうに変えた方がすっきりするんじゃないかと思いますので、これからPKO、多国籍軍、そして国連安保理の常任理事国になろうとしているわけですから、このことについてちょっと質問をしたいと思うんです。
 PKO、国連平和維持活動、私はこれは広い意味での集団的自衛権の行使だと思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 国連の平和維持活動は、一般に紛争当事者の間で停戦の合意が成立し、紛争当事者が当該活動が行われることに同意していることを前提に、中立、非強制の立場で停戦確保等の任務を遂行するものであります。近年は、文民による選挙監視、難民帰還、人権監視、行政事務に関する助言等、多岐にわたる分野の活動を含むものも多く見られるようになっているわけであります。
 一時期、例えばソマリアに強制活動を行う権限を付与されたPKOが派遣されたことがありますが、こうした経験も踏まえて、現在では停戦合意の存在、紛争当事者の受け入れ同意、中立性、自衛以外の場合の武器の不使用といった伝統的なPKOの原則の重要性が再認識されるに至っているわけであります。
 また、マケドニアの国連予防展開隊のように、紛争が現実に発生する前に受け入れ国の同意に基づきPKOが展開される例もあります。
 いずれにしても、特定の地域における特定の任務遂行のためのPKOの設立を決定するのは国連の安全保障理事会または総会であって、各国が独自にこれを判断するものではありません。また、PKO要員は国連事務総長の指図のもとで任務を遂行することとなっております。
 それで、今の御質問で広い意味での集団的自衛権ということをおっしゃいましたが、ちょっとその意味がよくわからないわけでありますが、私たちは、集団的自衛権とは、国際法上自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利だと思っていますし、一般的にもそうされているわけであります。集団的自衛権の行使につき決定するのは第一義的に各国であります。このようにPKOと集団的自衛権とは性格を異にするものだ、こう考えております。
○柳田稔君 国連にとってPKOというのはどういう解釈になっているのか。このPKOの法案を国会に提出する直前に、私は以前衆議院議員をやっていまして、そのときに衆議院の派遣ということで国連、ドイツ、スウェーデン、カナダへ調査に行ったんです。いろんなその国々の方々と話をする中で、やはり世界の平和をみんなで守ろうよと。PKOの場合は、互いに紛争状態ではない、その平和をどう守るかという目的ではあるんだけれども、広い意味では集団的自衛権ではないのかなという感じのことをおっしゃる国もあったわけです。
 というのは、カナダは軍隊を派遣します。スウェーデンは元軍人さんを派遣します。どちらかというと元軍人さん、前軍人で優秀な人をまたピックアップしてPKOに送る、そのときに大変な訓練をするわけですけれども。そういうふうなことを聞いていくと、やはり各国にとっては広い意味での集団的自衛権ではないのかなと。
 もっと言いますと、なぜあなたの国はPKOに人を派遣するんですかという質問をしたことがあるんです、実は。そうしますと、こう答えた国があったんです、これは我が国の安全保障の一環ですと。というのは、その国の歴史もあるんですけれども、これに参加することによって、我が国に何か起こった場合、世界の各国がいろいろと支援や協力をしてくれる。そのことも念頭に置きながら、国防の一環としてPKOに参加しておりますと言った国もあったわけです。
 とされると、私は広い意味での集団的自衛権になるんではないのかなと。そういう意味の広い意味なんですよ。どうでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) そういう意味で、安全保障の一環であるということは私もそのとおりだと思います。湾岸戦争のときに日本がお金を出すということについていろんな人に説明するのに、これは広い意味では日本の安全保障の一環であるということを私自身も言った覚えがあります。
 ただし、国連の中で集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利、実力をもって阻止する権利という定義が確立していますので、これをわざわざ広い意味では集団的自衛権はこうだと言う必要はないのではないか。ただし、その国その国が行動する場合に広い意味での安全保障の一環であるということは、それはそのとおりだと思います。
○柳田稔君 このことは余り深くするつもりはないんですけれども、要するにPKOというのは、いろんな国々と一緒になって、軍人も派遣をして平和を守ろう、維持しようということですね。だから、そういう意味で僕は広いというふうに使ったんですけれども、余り限定されるんだったらそれはそれとして。
 今、大臣の方から多国籍軍というのが出ましたけれども、この多国籍軍というのは集団的自衛権の行使には当たらないんですか。
○国務大臣(高村正彦君) 多国籍軍というのはいろんな形があるんだろうと思います。いろんな形があるんだろうと思いますが、湾岸危機の際に形成されたいわゆる多国籍軍は、関連安保理決議の実効性を確保するために各国が展開したものであり、当該多国籍軍によるイラクに対する武力行使は、国際の平和と安全を回復するためにあらゆる必要な権限を与えた安保理決議六七八に基づき行われたものであります。このような湾岸危機の際に形成された多国籍軍は、国連の集団安全保障制度のよって立つ基本的な考え方に沿ったものであります。
 また、ボスニア紛争におけるデイトン和平合意成立時に形成されたいわゆる多国籍軍は、すべての紛争当事者の合意のもとで同和平合意の軍事部門等の履行を確保するために各国が展開したものであり、湾岸危機の際の多国籍軍とは種々の点において性格が異なりますけれども、当該多国籍軍についても、国連の集団安全保障制度のよって立つ基本的な考え方に沿ったものであるとは言えるものであります。
 いずれにせよ、集団的自衛権の行使として説明されるものではないと思っております。
○柳田稔君 言葉が物すごく難しくなってきたんですけれども、集団的自衛権というのは、さっき大臣説明されましたけれども、それは特に湾岸戦争に当てはめて言うと合うんじゃないのかなと思うんですよ。イラクがクウェートを攻めたわけですね。そうすると、国連の仲間からいうと、自分たちの仲間の国が武力攻撃を受けたわけです。それに対して国連として対処しようといって編成したのが多国籍軍ではないんですか。とすると、先ほど大臣おっしゃった集団的自衛権の行使の定義と合致するんじゃありませんか。
○国務大臣(高村正彦君) 私、事実関係を一〇〇%知っているわけじゃありませんが、理屈の上でいうと、例えばクウェートと安全保障条約みたいなものを結んでいる国があったとして、イラクが攻め込んだ、そしてクウェートに味方してどこかの国が助けたとすると、それは集団自衛権の行使ということになるんだろうと思います。それは必ずしも安全保障条約があるなしにかかわらずそういうことは言い得るかもしれません。
 しかし、国連の安保理の六百七十八号という決議があって、そのもとに、まさにある意味の警察行動みたいな形で、全体でその加盟者の一人の違反者に対して物事を行うというような場合は、いわゆる国連の集団安全保障という言葉を使って、集団自衛権の行使ということとは概念上区別されていると承知をしております。
○柳田稔君 クウェートがある国と条約を結んだという意味ではなくて、世界で考えたときに、国連に加盟しておるある国が他国から攻撃を受けた、よって国連の中においてこれはおかしなことだと。これは警察の行動じゃなくて、実際にみんなが寄ってたかって相手と戦争したわけでしょう。とすると、決議がどうのこうの大臣おっしゃいますけれども、そういった基本を考えてみますと、ある国が攻撃を受けた、それによって国連は、各国みんな集団的自衛権を持っているし行使できるという認識のもとでみんなで決議をして、これはよくない、だから多国籍軍を編成しようといってやったということは、これは集団的自衛権の行使にならないのかなと私は思うんですよ、普通ぱっと考えたら。その私の考えと具体的にどこが違うんでしょうかね、湾岸戦争のときの多国籍軍は。ちょっと私が未熟だったら教えてほしいんですけれども。
○国務大臣(高村正彦君) 未熟でなくて非常に優秀な方だからそういうことをおっしゃるんだとは思いますけれども、一般的には、自国と友好関係にある、ある国を助けるために実力行使をする、それが集団自衛権とされていて、集団安全保障というのは、全体の秩序の維持のために、特に国連の行動なんかの場合によく言われることでありますが、まさに湾岸戦争のときのように、国連の安保理決議があって、国際の平和と安全のために、そして国際秩序の維持のためにやるような場合は、個々の集団自衛権の行使と離れて、集団安全保障と言われていると承知をしております。
○柳田稔君 午前中に湾岸戦争時のドイツのいろんな動きについてちょっとお話ししてもらいましたけれども、ドイツがあの作戦をとった理由は、ドイツにとっての集団的自衛権の行使ではなかったんでしょうか。そういう意味合いで、ドイツはいろいろと内部で議論をして、結果としてNATOの域外にも出られるといった変更をしてやった作戦ではなかったのかなと。
 だから、外務大臣は、自国では、日本国内ではこれは集団的自衛権の行使に当たらないと。しかし、ほかの国を見たときに、これは集団的自衛権の行使の一環というふうにとっているんじゃないのかなと。特にドイツの場合、私はそれが当てはまるんじゃないかと思うんですけれども、この辺はどうでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 集団的自衛権の行使ではないと思います。
 それは、ドイツは湾岸戦争のときに実力行使をしていないわけでありますし、そして、もともとドイツは、集団的自衛権の行使の制限を国内でされているというわけではなくて、集団的自衛権がいけないということではなくて、NATO域外に出ないという、集団的自衛権ということと別の観点から自国に一定の制限をしていた、こういうことだと理解をしております。
○柳田稔君 大臣、実力行使したんですよ。NATOの域外のトルコに空軍を送ったんです。というのは実力行使なんですよ。鉄砲を撃つ撃たないではなくて、配備をしたということは行使をしたんですよ。私はそれが普通だと思うんです。
 それから、ドイツは、集団的自衛権の行使というのはNATOの域内に限ると言っていたんです。だけれども、トルコに、その域外に出したということは、これは集団的自衛権行使の見直しをやったということなんですよ。どうでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 法的側面について御説明させていただきたいと存じます。
 そもそもドイツが、委員がおっしゃるような意味でNATOの域外に展開できるということを定めましたのは、これは湾岸戦争を契機としてのことではございませんで、午前中の質疑の際に申し上げましたように、九四年、むしろボスニア・ヘルツェゴビナとの関係で連邦裁の判決が出た、こういうことでございます。したがって、湾岸戦争の事態においてはそういう変化はまだ起こっておりません。
 そして、第二に、トルコはNATOのメンバーでございます。
 そういう枠内において、ドイツは、NATOのメンバー国であるトルコの領域にアルファジェット十八機を差し向けたということを午前中大臣の答弁で申し上げておりますが、武力行使には従事しなかったというのが事実であったと承知いたしております。
○柳田稔君 配備すれば僕はもう武力行使に当たると思うんです。力を使ったか使わないか、またそれは同じことだと僕は思っているんです。
 ただ、今おっしゃいましたけれども、あの当時に相当ドイツの国内で議論されましたね。その内容については先ほど説明されましたでしょう。それは、その議論の主たるテーマは集団的自衛権の行使の範囲の問題ではなかったんですか。
○政府委員(加藤良三君) 湾岸戦争に際してドイツがいかなる貢献を行うか、軍事的な側面のものも含めていかなる貢献を行うかということをめぐって非常に難しい議論があったんだろうと思います。
 と申しますのは、当時、九〇年八月に湾岸戦争が始まって、十月三日にはドイツ統一が成るわけでございます。その統一のコストというふうな問題もある中で、これから湾岸に対してどういう財政的貢献をするかといったような問題点も別途あったわけでございます。そのような点を含めて、
非常に広範な論議が湾岸戦争ということを軸にしてドイツで起こっていたと承知いたしております。
○柳田稔君 だから、その当時の大きなテーマの一つとして、ドイツの集団的自衛権の行使の変更について相当ドイツの中で議論されたんではないんですかと聞いているんですが。
○政府委員(加藤良三君) おっしゃるとおりでございまして、相当議論されたと思います。その帰結といたしまして、しかしこの機会にNATOの域外へのドイツ連邦軍の派遣というのが行われるというようなところまでには至りませんで、先ほど来申し上げましたとおり、NATOのメンバーであるところのトルコ、イラクと隣接するトルコにアルファジェットというものを抑止力の強化という観点から送るという結論に至ったものと承知しております。
○柳田稔君 要するに、ドイツは集団的自衛権の行使の変更で相当国内で議論されたんですよ。今も答弁されましたでしょう。集団的自衛権の行使ということで相当国内で議論があったんですね、もう一回聞きますけれども。
○国務大臣(高村正彦君) 日本の立場から言えば、私たちは集団的自衛権とか個別的自衛権というものに非常に敏感になっていますから、ドイツがいろんな議論をしたことを、ああ、これは集団的自衛権というものについてどうだと言うけれども、もともと集団的自衛権の行使はだめだとか、そういうことをドイツは言っていたわけではないわけでありますから、そういう中において、今、総政局長が述べたことは、実際に現実にどこまでやるかという政策論的な論争が非常にあったということを述べたものだ、こういうふうに考えております。
 そして、もちろんその前に、先ほど答弁がありましたように、憲法裁判所において憲法の法的考え方の問題についても、もちろん新しい判断が出たということはあるわけでありますが、湾岸戦争のときには、政策的にどこまで行くのか、それについて、それじゃ集団的自衛権をどこまで広げようかという話であったというふうに私たちがとらえるのは、それはそれの一つのとらえ方かもしれませんが、法律論的に集団的自衛権がいいんだとか悪いんだとか、そういう論争があったというふうには私は考えておりません。
○柳田稔君 私が言いたいのは、議論を戻しますと、多国籍軍というのは集団的自衛権の行使に当たるのではないですかというのが私の考えなんです。としたときに、大臣は違うとおっしゃるから、でもドイツでその集団的自衛権についてあのときにさんざん議論をしたんですよと。とすると、ほかの先進国においては、集団的な自衛権ということを念頭に置いて多国籍軍、相当議論される。しかし日本だけが違う。私はそれはちょっと違うのではないかなと。
○政府委員(東郷和彦君) 大臣より累次お答え申し上げる点につき、法律的観点から若干補足させていただきたいと思います。
 委員御案内のように、現下の国連憲章におきましては、第二条四項におきまして原則として武力行使というものが禁止されております。「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」。
 それで、この国連憲章の第二条四項に基づいて原則的に禁止されております武力行使につきまして、二つのケースにおいてはその違法性が阻却されるということは累次申し上げている点でございます。
 一つは、この国連憲章の広い意味での集団安全保障措置ということでございまして、これは平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為が発生したような場合に、国際社会が一致協力してこのような行為を行ったものに対して適切な措置をとることにより平和を回復しようとする概念でございまして、まさに国連憲章にそのための具体的措置が規定されているものでございます。
 それからもう一つ、これはいわゆる自衛権の行使でございまして、憲章五十一条に規定されておりますように、今申し上げた集団安全保障措置とは異なりまして、国連自体が組織してとる実力行使ではなく、国連が集団安全保障制度のもとで必要な措置をとるまでの間、武力攻撃を受けた国と何らかの連帯関係にある国が侵害を除去するために当該国の判断によってとることが許容される措置であるということでございます。
 そこで、今御質問の湾岸における多国籍軍、これは累次大臣が申し上げておりますように、国際社会の当時の認識といたしましては、広い意味での前者、その根本的な理由というのは国連決議、特に六七八に基づいて各国に必要な権限が与えられたと。その広い意味での前者に基づく措置として当時国際社会に理解されておったということでございまして、そこで累次申し上げているように、一義的には後者でございます集団的自衛権の行使というふうには認識されておらないということでございます。
 他方におきまして、ドイツの状況でございますけれども、ドイツはNATOのメンバーとしてどういう対応をするかということについて非常に真剣な判断を迫られたということでございます。そしてNATOそのもの、これはただいま申し上げました前者と後者との観点から申し上げますと、NATOそのものは集団的自衛権を体現する組織でございます。したがいまして、ドイツの議論の中に集団的自衛権としての観点が全くなかったかといえば、それはそういうことではないということだろうと思います。ただ、あくまで大臣が申し上げましたように、広い意味での国際社会での認識というのは国連決議に基づく国際社会、国連としての集団安全保障措置ということで当時の多国籍軍は理解されていたというふうに考えます。
○柳田稔君 集団的安全保障の措置の一環として湾岸の決議をされたとおっしゃいましたね。それは各国にとってどういう権利がもとなのか。個別的自衛権がもとになってそういうことが成り立ったのか、それとも各国の集団的自衛権の行使という権利があるということをもとにしてその決議が成り立ったのか、それ以外に何か権利があるんだったら教えてほしいのですが。
○政府委員(東郷和彦君) ただいま申し上げましたように、国連憲章のもとにおきます武力行使を行うよって来るゆえんというものは二つございまして、国連憲章に基づく国際社会としての集団的措置というものがある場合にはそれに従いまして武力行使をすることが可能になるということでございます。
 したがいまして、今御質問の集団的自衛権に基づく淵源かということに関しましては、基本的にはその前者、すなわち国連の集団安全保障措置ということそのものが権利の淵源になるというふうに考えてよろしいのではないかと思います。
○柳田稔君 だから、集団的な安全保障なんでしょう、国連では。国連ではそうおっしゃるわけでしょう。その措置の一環として湾岸戦争多国籍軍が編成されたとおっしゃったわけでしょう。だから、その集団的安全保障を形づくる各国の権限がないといけませんよね。国連に加盟する各国の何かの権限をもとにしてじゃないとできないんじゃないですか。
 つまり、私がもう一つ言いたいのは、国連がこういう状況だから、理事国を含めて各国これしろということは国連は絶対言えないんですよ。国連に加盟する各国がこれをすると言わない限りできないんですよ。としたときに、各国は何かの権利がない限り言えないじゃないですか。
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
 御質問の意味を必ずしも正確に把握しておらないかもしれませんが、ただいま申し上げましたように、各国が国連に加盟する、これは国連憲章に従って加盟するわけでございます。その国連憲章の基本的な考え方といたしまして、国連としての集団的な安全保障措置をとることができるということになっておるわけでございまして、その国連憲章に加盟するという行為をもってただいま申し上げたような武力行使の淵源というのが出てまいるというふうに考えております。
○柳田稔君 水かけ論になるんですけれども、要するに各国は何か持っていないとそれをできないわけでしょう。加盟する各国も何かがないとできないじゃないか。としたときに、各国は何を持っているかというと、個別的自衛権じゃない、根拠は。集団的自衛権の行使というのを各国が持っているからこそ成り立つ理屈ではないんですか。
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
 若干、歴史的にさかのぼって考えますれば、国連憲章ができる前の国際社会、これは各国とも戦争を行う権利というものを伝統的国際法に従って持っておりました。その状況から国際社会が発展いたしまして国連という新しい社会ができました。その新しい社会におきましては、原則として武力を行使すること、すなわち伝統的国際法に基づいて各国が持っていた戦争を行う権利そのものを否定したわけでございます。
 その否定した中から、二つの場合には武力行使というのは可能ではないかということになったわけでございます。二つのケースにおいてはその武力行使の違法性を阻却するということになったわけでございまして、その一つがただいま申し上げている集団安全保障の権利ということでございまして、したがってそれ自体が権利の淵源というふうに申し上げて差し支えないというふうに考えます。
○柳田稔君 要するに、自衛権は認めますということですね。個別的自衛権はあります、それは当然だと。
 その次に、国際的な問題として、各国の権利を見たら集団的自衛権の行使しかないじゃないかと私は思うんです。そこをもとにしない限り多国籍軍の編成なんてできないじゃないかと。もしそれがなくて、はい、すべて国連に加盟する国は個別的自衛権しかありませんとなれば多国籍軍なんか組めませんね。集団的自衛権があるからこそ多国籍軍が組めるのであり、国連軍が組めるようになるんじゃないのかなと、私はそう思うんです。答弁はいいです。僕はそれが世界の常識じゃないかなと思って質問しているわけです。
 次に、常任理事国という問題があるのですけれども、総理も国連の総会に行かれて常任理事国になる用意があると発言をされていますね。ところが、常任理事国になりますと、今問題にしました多国籍軍にしろ国連軍にしろ、PKOも私は広い意味の集団的自衛権の行使だと思っているんですけれども、この決議をしないといけませんね。この事案については多国籍軍を編成するという決議をしないといけませんね。としたときに、常任理事国になれば大変な発言力を持ちます。それと、言った以上は責任を持たないといけない。これは多分常識だと思うんですけれども、それについては、一般論として、総理、そうはお思いになりませんか。
○国務大臣(小渕恵三君) それは国連の中での仮定の問題でございますが、そこに入ればそこにおける責任は当然行使しなきゃならぬと思いますが、一方我が国としてのとるべき対応につきましては、我が国の基本的な憲法というものの存在というものもこれも一方では存在して、それに応じて対応するということにならざるを得ない、こういうことだろうと思います。
○柳田稔君 そのとおりなんです。
 また一般論でお聞きするんですけれども、日本だと思っても結構なんですが、例えばある国で集団的自衛権の行使はしませんとはっきり決めている国が常任理事国または安保理になられて、この事案は集団的自衛権を行使しないといけないという状況になった場合、否決しないといけませんね、それはだめと言って。そうですよね。国で絶対使っちゃいけないと言われている権利を国連の場だからといって行使していいというわけにはなりませんね。イエスも言えませんね。言えることはノーとしか言えないですね。
 だから、具体的に言うと、日本が集団的自衛権の行使はできません、しませんと言っておきながら、国連の場所に出るとそれについて賛成の意見を述べたりとか、変更の意見を述べたりできませんね。だめと言うしか方法はないですね、常識として。
 例えば、ここに国会があります。みんな各政党で集まっていますけれども、例えば私は民主党です。きょうの質問は民主党の路線から大分外れているんですけれども、後で怒られるかもしれませんが、党の中でだめと言われていることを、はい、国会の場ですから、まあ私個人ですからいいです、やりましょうと言えますか。言えませんね。党がだめと言ったらあくまでもだめなんですよ。その場合、離党しないといけませんけれどもね。だめなんですよ。
 そうすると、国連の常任理事国を考えたときに、日本から行った代表者がノーとしか言えませんよ、これ絶対に。イエスと言ったりとか、またはイエスだけれどもこうして変更してほしいと言ったら、これはもう日本の代表じゃありませんね。どうでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) みずからが参加できない行動はすべて反対しなければいけないという法理は私はないだろうと思います。
 例えば安保理常任理事国として国際の平和と安全に寄与するための道というのは、軍事的なもののみならず非軍事的なものを含め大変多岐にわたっているわけであります。特に、冷戦後は紛争の未然防止や紛争の根源にある貧困等の問題に取り組む開発への貢献の重要性は高まっているわけで、現在安保理で行われている議論の約六、七割はアフリカの問題について行われているわけであります。でありますから、日本のように憲法の禁ずる武力の行使は行わないという基本的な立場をとっている国であっても、そのことが安保理常任理事国になる上での障害となるということは私はないのだろう、こう思います。
 現に、国際社会の大多数の国が日本の憲法上の立場を知りつつ日本の常任理事国入りを支持しているという現実もあるわけで、日本ができないことはできないこと、だけれども日本が常任理事国になることは、これは一向に構わない、というよりも大変必要なことである、私はそう考えております。
○柳田稔君 いいんですよ、それで。いいんです。だけれども、集団的自衛権の行使とかいう話題の決議になった場合、そういう決議のとき、地域紛争が大分起きていますね。それに対して国連も何か対処しないといけない。その決議をしようといったときに、日本がもし常任理事国だったらば、これは集団的自衛権に当たるから絶対だめと言わざるを得ませんでしょう。国の国是ですよ。集団的自衛権の行使はだめというのは国是ですよ。その国是を国連の場所に行ったからといって変更していいわけはないじゃないですか。違いますか。そうしたら、日本の国は一体何なんですかとなりませんか。
○国務大臣(高村正彦君) 日本はやらないということを全体としてやることについて、やることが必要でやりたいと言っている国があるのに、日本がやれないからそれは反対しなきゃいけないという法理はないだろうということを先ほどから申し上げています。
○柳田稔君 またこれも政府委員に聞いた方がいいかもしれませんけれども、常任理事国がそんな理屈通りますか。
○政府委員(加藤良三君) 先ほど大臣の答弁にございましたとおりで、我が国が集団的自衛権を行使しない、そういう国であるということを前提にして日本はこれまでも安保理において十分活躍してきていると思いますし、また日本に安保理の常任国になってほしいと思っている国が相当数世界にあるというのが現実でございます。
○柳田稔君 安保理になりますよね。そこで国是の代表選手として出ている人が集団的自衛権の行使というのは認められませんね、どんな考えを持っていたとしても。我が国はできませんけれどもあなたはどうぞ勝手におやりくださいという言い方ができるとおっしゃるけれども、安保理の議決はどういう手続でやるのですか。例えば、日本は集団的自衛権は行使できませんからこれはできませんと言ったら終わりじゃないですか。違うのですか。
○政府委員(加藤良三君) 国連の安保理の手続ということについての御質問でございましたので、その側面について申し上げますが、まず常任理事国というのは拒否権を持っておりまして、この常任理事国の一つあるいはそれ以上が拒否権を行使しますれば安保理としての決議が得られないことになるわけでございます。しかし、常任理事国五カ国が賛成すると自動的に決議が成立するかというと、そういうことではございませんで、そこには憲章の規定にございますとおりある種の多数決原理が働いております。それは数で申しますと大体安保理の理事国の過半数プラス一、現在安保理が十五でございますので九カ国の賛成がないと決議も承認され得ない、こういう構成になっております。
○柳田稔君 もう時間がなくなったのでやめなきゃなりませんけれども、いろいろ海外の人と議論したときに非常に意見が合わないんですよ、実は。だから、私は、集団的自衛権も有し行使できるとした方がいろんなときに話がスムーズじゃないかな、ただしその行使に当たっては憲法の枠内で制限されるとした方が非常に物事がすっきりして話しやすいなという実感を今まで持ったから、きょうは特にそれを集中的にやらせてもらったんです。
 例えば、今度ガイドラインを審議する、このガイドライン法案は大変な法案だと私は思うんです。PKOは平和になった中でやる作戦行動ですけれども、今度のガイドラインは一触即発という事態もあり得るんですね。とすると、有事になってしまう。そうすると、国連の部隊もあるし日米安全保障もあるし韓国も出てくる。としたときに、前回質問した国内の有事について相当早く詰めないといけないのじゃないか、それから集団的安全保障の行使についてももっとはっきりした姿勢を出すべきではないのか、それが基本に相まってガイドラインの審議に入れるのではないのかなと私は思ったので、予算委員会の場を利用させてもらって有事とこの集団的安全保障の権利の行使について質問させてもらいましたけれども、自民党さんの中でも、特に与党ですから、政府の中でもいろいろと議論していただきたい、そう思います。
 質問を終わって、後は齋藤議員に譲りたいと思います。
○委員長(倉田寛之君) 関連質疑を許します。齋藤勁君。
○齋藤勁君 ぐっと次元が違いますけれども、関連質問をさせていただきたいというふうに思います。
 午前中、そして先ほどの本会議で、法務大臣が交代をしていくというそんな中でのやりとりもございました。さきに小渕内閣では額賀防衛庁長官がいわゆる防衛装備品の過大請求をめぐりまして昨年さまざまな動きの中で辞任をされまして、今、野呂田長官がつかれているわけでございます。
 先週の金曜日、この防衛庁背任、汚職にかかわりまして事件の初公判が東京地裁で行われました。これはこれからの公判の内容が待たれるところだろうと思いますが、ちょっと私が気になりましたのは、十三被告は起訴事実を全面的に認められました、元防衛施設庁長官の諸冨増夫被告あるいは元NEC幹部。ところが、上野憲一被告のみが無罪主張をされているわけでございますけれども、防衛庁長官、この初公判をめぐりましての所感についてお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 被告のほとんどが起訴事実を認めたのに上野被告だけがこれを否認したということは本人の意思でありますから、私からとやかく言うべきものではございませんが、私はあの日緊急に庁議を開きまして、このような事態が二度と起こらないようにみんなが心をそろえて緊張して仕事に臨もうということを再確認した次第でございます。
○齋藤勁君 一番最初に私はこのことを、前長官もやめざるを得なかった大変な重大な事件だったということを申し上げさせていただいたわけでございます。これは公判の内容ですから、この事実については法廷で裁かれると思うんですが、施設庁長官、諸冨氏も含めて全面的にこれを認めている。わいろを贈った側も認めているにもかかわらず、ただ一人、上野憲一元副本部長が全面的に無罪を主張されている。
 こういう異常な状況について、長官自身がさまざまな全体的な責任をとられてやめていったわけでございますが、このことに対する所感はいかがでしょうかというふうにお尋ねをさせていただいているんです。
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもも実は、個人的な見解としては、上野被告があのような態度をとったということは理解に苦しんでいるところでございます。額賀前長官が血を吐く思いで改革の基本方針を示して去られたわけですが、この基本方向に盛られた問題につきましては今月いっぱいでほとんど実現して四月一日から実施に移す、こういう体制でその教訓を生かしたいと思っているところでございます。
○齋藤勁君 報道といいましょうか、公判の方は上野被告を除いて分離をしていく、こういう動きもあるようでございます。いずれにしましても、この問題は他の委員会でもいろいろ質疑もあろうと思いますので、別な場に譲らさせていただきたいというふうに思います。
 次にお尋ねさせていただきますのは、先月の二月十七日に横浜の根岸の住宅地区の隣接地でがけ崩れがございました。これは、がけの上の部分が根岸の住宅地であり、がけ部分が民有地であり、がけの下の民有地のところにマンションががけ際に建っているということで、がけ崩れによりまして住宅が土砂で埋まり、今復旧作業に鋭意努力されているというふうに思います。私も横浜に住んでいる関係で幾たびか調査をさせていただきまして、今日まで横浜防衛施設局の方々の懸命なる昼夜分かたずの御努力には敬意を表したいというふうに思っております。
 さてそこで、現在の復旧作業の状況、そしてこの復旧作業によりまして今避難の市民の方々が別なホテルとか仮住まいをされているわけでございますけれども、復旧作業が順調にいっていつ戻れるのか、これの見通しについてお尋ねさせていただきたいと思います。
○政府委員(大森敬治君) お答え申し上げます。
 去る二月十七日、横浜市内に所在します米軍根岸住宅地区に隣接するがけ地が崩落し、その下に所在するマンションに土砂等が流出するという重大な事故が発生しましたことはまことに残念なことであり、施設・区域を管理します防衛施設庁といたしまして非常な責任を感じているところでございます。被災をされた皆様には心からお見舞いを申し上げるところでございます。
 現在、防衛施設庁といたしまして、流出いたしました土砂の搬出に努力いたしますと同時に、当面の復旧作業、応急措置につきまして検討をしているところでございます。土砂の除去につきましてはなるべく早くというふうに考えておりまして、今月半ばをめどに、何とか土砂の除去ができるように最大限の努力をしているところでございます。
 また、応急的な対策につきましても、被災をされた方々から、これから雨季のシーズン、梅雨のシーズンを迎えるという御不安が非常に強いようでございますので、何とか梅雨のシーズンを迎えるまでには応急的な対策がとられるべく現在努力しているところであります。
 また、あわせまして、恒久的な措置をとらなきゃいけませんので、これにつきましては部外の専門家の方に集まっていただきまして検討委員会をつくりまして、恒久対策につきまして今鋭意検討をしていただいているところでございます。
○齋藤勁君 今月の中旬をめどに最大限の努力をしていきたい、こういうお話でございます。
 さて、二月十七日以降、そのように復旧作業を努力されていますが、大変な費用もかかることではないかと思いますが、恒久対策は別にいたしまして、今復旧費についてはどの程度見込んでおられますか。
○政府委員(大森敬治君) 現在、応急的にとるべき対策につきまして鋭意検討しているところでございまして、具体的な予算がどの程度かということについて申し上げられないわけでございますけれども、私ども、予算的な措置は何とか講ずることといたしまして、とにかく住民の方の御要望も踏まえて応急対策に万全を尽くそうというふうに考えているところでございます。
○齋藤勁君 万全を尽くしたいという気持ちは理解するんですが、ただ一方、復旧費というのは国費であるわけですから、これは何も無制限に使うということではないわけでありまして、やはりおおむねの見積もり等はあろうというふうに思います。復旧費の総額についてどのぐらい今想定をしているんだというのは、当然作業をしている立場からいって考えられるのではないかと思います。
 加えて、昨日、たびたびこの種の会合は持たれているわけですけれども、地元住民、マンションの管理人組合の方々がいわゆる補償要求をされておりますが、補償要求の話し合いがどうもスムーズにいっていないということですが、防衛施設庁の方は補償については誠意を持って早期に対応したいと言っているにもかかわらず、昨日の会合ではそのことについて明確でなかったということで、地元から非難の声も上がっています。あわせてお尋ねさせていただきたいと思います。
○政府委員(大森敬治君) 御指摘のとおりでございまして、昨日、避難をしておられる方々を含めまして、マンションの住民の方とお話し合いをさせていただいたわけでございますけれども、横浜防衛施設局の方から、日常経費として現在支出しておられる経費につきましての補償としての仮払いを行いたいというふうな申し出を説明させていただきました。
 また、現在、六十八世帯の方がライフラインがとまるというようなこともありまして、仮の住居、ビジネスホテル等へお泊まりいただいているわけでございますけれども、補償につきましてはこのような方々を優先して補償を進めていきたいというふうな説明をしたところでございますけれども、確かに私どもの御説明のやや不十分だったところもございまして、補償の仮払いを行います時期、手続につきまして十分具体的に御説明できなかったところがありまして、御理解が得られなかったのは事実でございます。
 私どもといたしましては、早急にこの点を詰めまして、早速、できるだけ早い機会にまた御説明をさせたい、現在横浜防衛施設局に強く指示しているところでございます。
 また、仮住居への移転につきまして、直接被害といいますか災害に遭われた方ではなくて現在マンションに住んでおられる方からも御要望があるわけでございます。この辺につきましては、直接具体的な被害その他をよく聞かせていただきまして対応したいと思っているわけでございますけれども、一般的にはその辺が非常に難しいというふうなことで、昨日の横浜局の説明では困難であるというふうな説明になったようでございます。この辺につきましても、私どもよくまた説明し、御理解を得るように努力したいと思っております。
 いずれにいたしましても、昨日の説明会を踏まえましてさらに近い機会にまた説明の場を設けまして、できるだけ住民の方の御理解と御納得いただけるような対応策を進めていきたいと思っているところでございます。
○齋藤勁君 一生懸命御答弁いただいているんですけれども、そういった答弁が昨日の話し合いでもされていたのかなというのを今想像しておりました。いずれにしましても、すべての補償について前向きに検討するということが一昨日まで約束をされていたわけですけれども、きのうの会合では手続の開始の日時がわからないとか、こういうような話になったわけで、私は大変問題ではあるというふうに思います。
 先ほど復旧費についてお尋ねさせていただいたので、補償費はそれでは別にしまして、いわゆる土木的な部分を中心とした復旧費というのはどのぐらい見込んでいるんですか。再度お尋ねいたします。
○政府委員(大森敬治君) これも現在鋭意その対策について検討しているところでございますので、復旧費全体につきましてまだ具体的な数字をまとめるまでには至っておりませんので、まことに申しわけありませんけれども、私ども早急にこの辺を詰めまして具体的な財政の手当てをしていきたいというふうに考えております。
○齋藤勁君 非常に私不思議なんですね、お金の支払いの仕方というのが。防衛施設庁でやる仕事と、それから外部に、民間に委託して発注するんでしょうけれども、どういう委託、発注の契約になるんですか。仕事が終わったら請求してきて、後は幾らでも払いますよという形になるんですか。今重機が入っていますね。
○国務大臣(野呂田芳成君) 二月十七日にあのような事故を起こしてまことに残念なことであり、申しわけないことだと思っております。
 被害に遭われた方々に対しては心からお見舞いを申し上げますとともに、現在復旧工事に全力を挙げて取り組んでいるところでありまして、住民の方々から寄せられたいろいろな御要望に対しては誠心誠意対応してまいりたいと思っております。
 先ほど来委員から御質問のあります補償問題の取り組みにつきましては、まずマンション居住者に対しお見舞金をお渡ししたわけでございますが、ホテル等での生活を余儀なくされている住民の方々に対しては、仮住居のあっせんを含めて生活の安全と安定を確保するため、これからできるだけの努力をしたいと思います。また、損害賠償につきましても、被害調査の上、責任を持って対処していきたいと思います。
 交渉の過程で食い違いは当然どの場合も起こるわけでありますが、私どもの責任でありますから、私どもが責任を持ってこれについては今後適切に対処していきたい、こう思っております。
 それから、恒久対策につきましては、私から施設庁長官に指示をしまして、中だけではなくて外部から日本を代表する権威者を募って会議をつくって、もう二度とこういう事故が起こらないように対処しろということを命じたものですから、これが三月四日に設置されました。
 実は、この権威ある人たちの診断を待って私どもはどういう工事をするかということを考えなきゃいかぬものですから、そういう意味で、委員からの御質問でありましたが、かかる経費等についてはつまびらかに今の段階では申し上げられないということを申し上げておる次第でございますが、これらにつきましては万全にしたいと思っております。また、方針が出れば、私どもは建設省が定める競争入札によりまして厳正に適格者の企業に担当させたい、こう思っております。
 なおまた、先般、全国の防衛施設局長に対しまして、この案件ではなくて、全国でこんなことが二度と起こらないように厳正に所管のがけ地等について、傾斜地等について、現状を把握して報告をしてその対策を講ずるようにしろということを指示してありますので、ぜひひとつ御理解と御協力をいただきたいと思います。
○齋藤勁君 被害に遭った方々も国民であり、そしてまた地域外の方も国民であるわけで、早期の補償と、そしてどれぐらいの税が使われるんだろうかというのは当然の私は疑問であり、また説明を政府はされなきゃならないと思います。
 いずれにしましても、やりとりが続いても出てこないようでございますので、全体的な計数整理含めまして、そして早期に補償の具体化を、今、大臣の御説明でも国の責任ということを明確に言われておりますので、とっていただきたいと思います。
 この問題で時間をとるつもりなかったんですが、あともう一点だけお尋ねします。
 今回の事故が予測できなかったのか。大変私は気になりますのは、これは事前に防衛施設庁の方ともお話をしたんですけれども、神奈川県警が調査をしたところによりますと、岩盤に亀裂があったという報道がなされた。
 この話を聞いておられる方々はどういう場所なのかなかなか思い浮かばないかもわかりませんが、もともと急傾斜といいましょうか、非常に直角に近い形のがけでございまして、コンクリート、セメントの吹きつけをしてあるようなところで、そこが崩れたわけでありますけれども、その崩れたいわゆる岩盤に亀裂があったんだと、県警が確認をしているというふうな報道がございました。
 このことについて、その後いかがでしょうか、神奈川県警と防衛施設庁とやりとりはされておりますか。
○政府委員(大森敬治君) 私どももそのような報道があったことはよく承知しております。また、崩落原因等につきましては、御指摘のように警察の方でも今捜査しているわけでございます。私ども施設管理の責任を負っています防衛施設庁といたしましても、このようなことは重大なことであるといいますか、施設管理のあり方につきまして私どもも重大に考えていかなければいけないというふうに考えておるところであります。
 今後の管理につきましてのあり方、これは警察の捜査もさることながら、先ほど大臣の方から御答弁がありましたとおり専門家に集まっていただきまして、原因を含めまして恒久対策について御提言いただくということになっております。私ども、その中におきましてもいろいろまたこれからの施設管理につきましての徹底を図るべくやっていきたいと思いますし、今回のことにつきましては教訓事項を多く秘めているものというふうに認識しております。
○齋藤勁君 これは、私は岩盤に亀裂があったということが明らかになったらば大変なことだなというふうに思います。
 いずれにしましても、どういう原因があったかというのはこれは究明をしなきゃなりませんが、これは、今回崩落をした場所と隣接したところに県の急傾斜地の崩壊防止工事がしてあるところがございますね。その上にもまた住宅があるわけです。ここも同様な吹きつけをしてあったわけですから、ここだけ岩盤に亀裂があったのかということになると、場合によるとこっちの県の急傾斜地の方にも仮に岩盤に異常があるような状況になると、また隣接したところの住宅地も崩れていくというようなことも類推されるわけであります。
 この原因問題については、これから大臣は全国のいろいろ現状把握をしたいというそういった答弁でございましたけれども、大変な調査をされることになりますが、そのお覚悟はよろしいですね。
○政府委員(大森敬治君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおりでございまして、全国の自衛隊、米軍の施設につきましても、がけ地を中心といたしまして調査をさせております。また、今回のケースにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、部外の専門家の方に集まっていただきまして検討をしていただいているところでございますけれども、この検討の状況を踏まえて、私ども全国の施設につきましても必要な措置というものをとってまいりたいというふうに考えております。
○齋藤勁君 ぜひ真剣に調査をしていただきたいと思います。
 調査をした後何かあったというのでは今度は大変なことになるわけでありますし、私は、今の岩盤の亀裂を含めて、また隣接したところに同じ年代のがけですから、同じ場所であってもそのことを指摘せざるを得ないというふうに思います。
 次に、非核証明書の問題について何点かお尋ねさせていただきたいと思います。
 これはごく最近、高知県の橋本大二郎知事が非核港湾条例問題、大変新聞紙上、マスコミでも取り上げられているところでございます。
 この高知県の動きに対しまして、現職閣僚の方々がさまざまな御発言をされているわけでございますけれども、防衛庁長官のコメントもございましたし、高村外務大臣のコメントも報道に載っておりました。また、官房長官のコメントも読まさせていただいたわけでございますけれども、お三方それぞれお聞きするというのも、必要があればまたお尋ねいたしますが、まず外務大臣に、この高知県の非核港湾条例についての考え方についてお尋ねさせていただきたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 今国会において、総理、その他閣僚の答弁は、従来よりの政府の考え方を踏まえたものでありますが、国と地方公共団体とは相互に異なる次元においてそれぞれの事務を処理しており、非核三原則という国の基本政策に沿うものであるからという理由で、地方公共団体が国として責任を有する外交関係の処理を妨げるようなことが許されるわけではないわけであります。
 外国軍艦の本邦寄港は、外交関係の処理につき責任を有する立場から国がその是非を判断すべきものであります。地方自治法及び港湾法に基づき地方公共団体に認められている係留場所の指定等の港湾施設の使用に関する規則は、あくまでも港湾の適正な管理及び運営を図る観点からの港湾管理者としての地位に着目してのものにとどまるわけであります。
 地方公共団体が外国軍艦が核兵器を積載していないことを証する文書の提出を求め、その結果に基づき港湾施設の使用に関し決定を行うことは、外交関係の処理に当たる国の決定に地方公共団体が関与し、またはこれを制約するものであり、港湾管理者の権能を逸脱するものであって、地方公共団体の権限の行使としては許されない、これが国の考え方でございます。
○齋藤勁君 外務大臣は冒頭、国の考え方は従来と同じですというところから始まりました。そういうことでよろしいですか。国の考え方は従来と同じですと。
○国務大臣(高村正彦君) 従来と変わっておりません。
○齋藤勁君 防衛庁長官も官房長官も同じ考え方、お立ちにならなくてもいいんですが、感じで結構なんですが、同じ考えですね、もちろん。
 総理、お尋ねいたしますけれども、従来と同じじゃないんですね、これが。
 百一国会ですけれども、これは十五年前にさかのぼりますけれども、八四年の三月のこの参議院の予算委員会でのやりとりでございます。八四年と申しますと、八四年の一月に時の中曽根総理大臣が訪米をされた後でございまして、ロン・ヤス会談というか、呼称を呼び合いまして大変仲よかった、そういうお二人の総理と大統領の時代でございます。しかし、中曽根さんはアメリカへ行きまして、不沈空母発言とか三海峡封鎖とか、いろいろな物議を醸し出す、そんな発言もされてきたときでございます。そうすると、ああ、そういうときだったんだなというふうに時代背景も出てくるんじゃないかと思います。もう一つは、いわゆる東西冷戦のそんな時代でございました。
 この中曽根内閣のときに、神戸市の非核条例をめぐりまして、この非核三原則をめぐって、自治体の非核三原則、神戸市がいわゆる非核証明書を求めるということについて、むしろ自治体としては一生懸命やっているではないか、国はもっと非核三原則に基づいていろいろやるべきではないかという、そんなやりとりがこの三月十七日、そしてまた三月二十八日も予算委員会で同様な質疑がされておりまして、三月十七日のときには共産党の立木議員が、そして二十八日には喜屋武議員がされております。
 そのときの中曽根総理の答弁は、この神戸市の非核証明書をめぐりまして、「地方自治の本旨に基づいて神戸の市長及び市議会がとっておる一つのやり方でありまして、それはそれとして我々はよく理解できるところであります。」と、こういうところから始まります。それから、いわゆる地方自治の本旨に基づきと申し上げているわけであって、「国は国の政策、地方自治体は地方自治の本旨に基づいて、自治権に基づいてまたみずからいろいろな政策を実行している、独立にある程度やっております。それは当然のことで、国は国、地方自治体は固有の自治権に基づいて地方自治体の行為を行う、そういう次元が違うものであるというふうに御理解願いたいと思います。」。国は国、地方自治は地方自治という地方自治の本旨に基づいてというお話をしているところでございます。固有の権限なんだということで、そしてまた、「混交すると地方自治が侵害されることも起きかねまじきことになります。」というところまで答弁もされています。「自治体は自治体の固有の自律権がございますから、法律の範囲内において行うことについては我々もできるだけ協力するのが筋であろうと思いますが、しかしやはり非核三原則のこの国策という国の外交法上の大方針というものは、国家としては基本にある」。これは、当然非核三原則のこの外交法上の大方針は国としてはありますよと。しかし、前文において、できるだけ協力するのが筋であろうと、こうまで発言をされているんです。
 総理、外務大臣は、従来と国の考え方は変わらないということでのお話でございましたけれども、自治体、余計なことをするじゃないかというようなふうに私は今の答弁を聞いていて受けとめざるを得ませんが、違いますね、これは。違いませんか。違うのか違わないのか、お尋ねさせていただきます。
○国務大臣(小渕恵三君) 齋藤委員よくお調べになっておられまして、今経緯についてお話しされましたが、中曽根総理の答弁といたしましては、私ども昭和六十一年の十月三日、衆議院における予算委員会におきまして、不破委員の質問に答えて、「国防とか外交という問題は、これは中央政府の専管的な所掌事項である。」というのがその後の中曽根総理としての最終のといいますか、そういう答弁というふうに理解をいたしておりまして、そういう意味で、先ほど外務大臣が答弁されました趣旨と変わりないものだというふうに認識をしておるところでございます。
○齋藤勁君 総理、従来と同じでありますとおっしゃるんですけれども、言っていることとやっていることが違うんですね。言っていることも違うんですけれども。
 この高知の例は、幾つかもう特集も出ていますし、いろいろ報道でも出ておりましたけれども、九七年の三月に、二年前ですけれども県議会で、外国艦船の入港に非核証明を求める神戸方式で対応していきたいということを非核化について橋本知事が言明をしております。そして、この九七年の十二月には県議会も、県内の全港十九港で非核三原則を遵守することとした港湾の非核平和利用に関する決議を全会一致で可決をしております。
 こういう流れの中で、知事が非核港湾条例という条例あるいは要綱等について取り組みをしてきているわけですけれども、昨年の二月、三月、定例県議会に提案をしていたその件に対して、外務省は地元選出の国会議員を通じて、外交にかかわることということで難色を示して、提案を見送るように、そんな圧力をかけたんではないですか。
 それから、私は、このような高知県の動きがある中で、次から次へと閣僚が、好ましくないとか国の外交政策に対して妨げになるとか言うこと自体、いわゆる国と地方自治の仕事の役割分担について国がとやかく言うということについて、中曽根さんの言っていることと全然違うじゃないですか。その点についてお尋ねいたします。
○国務大臣(高村正彦君) 今、総理がはっきりお答えされましたように、中曽根総理答弁で、「国防とか外交という問題は、これは中央政府の専管的な所掌事項である。」ということを、この問題について、この問題というのは神戸の非核三原則との絡みではっきりおっしゃっているところでございますから、今までの取り扱いと全く変わらない、こういうふうに思っております。
○齋藤勁君 それぞれ大臣が妨げになるとか困るとか御発言になっているんでしょう、記者会見とか何かで。そういうことが地方自治の本旨について国としての逸脱した発言ではないですかというふうに私はお話をしているわけでございます。
 三月二十八日の喜屋武さんのこれまた再度の同様な質問に対して、「自治体がみずからの意思に基づいて自由におやりになることについて、私は中央政府としてとやかく言うべきことは差し控えた方が賢明だと、そう思っております。」と、こうまで明確に言っています。とやかく言うことは差し控えた方がいいと。とやかく言い過ぎるんじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(高村正彦君) 自治体が外国艦船がそこの港湾に入っていいかどうかという、まさに外交に関する問題に権限のないことをやろうとしている以上、政府とすればその外交権が妨げられないようにきっちり申し上げるのは当然の責務である、こういうふうに考えております。
○齋藤勁君 違いますね。
 総理、当時の十五年前の質疑と大幅に変更になっていますよ、この今の御発言については。いかがですか。私は、二回の議事録をずっと長々と引用させていただいたんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(小渕恵三君) ですから、申し上げましたように、中曽根総理の答弁もいろいろ御発言があったことは、委員お調べになっておられてそのことの御紹介もございましたが、最終的にと言うのもどうかと思いますけれども、中曽根総理として最後の御発言としては、今のような、御紹介したようなこととして最終の答弁をいたしておりまして、それ以降、政府の方向としてはその線上で対応させていただいておる、こういうことであると思います。
○齋藤勁君 総理の答弁が私は最も重みのある重要な答弁であるというふうに、今までもそうであったし今もこれからもそうであろうというふうに思います。
 外務大臣とどうも食い違うな、どうも外務大臣は一言二言言いたいなというふうなことがおありなので、これは明確に再度はっきりさせますが、当時の中曽根総理の答弁、自治体がみずからの意思に基づいて自由におやりになることについて、私は中央政府、総理大臣としてとやかく言うことは差し控えた方が賢明だ、こういうふうに御答弁されている。従来と同じなんだということなら、そういうことだということでよろしいですか。
○国務大臣(高村正彦君) 御指摘の当時の中曽根総理の答弁は、神戸市の方針は神戸市としての考え方を表明したものとして受けとめている趣旨を述べたものと考えております。
 そして同総理は、御指摘の答弁を行った際を含め累次の機会に、自治体がその考え方に基づき決議等を行うことは自由でありますが、非核三原則等外交上の問題は中央政府の専管的な所掌事項であること、国と地方公共団体とは相互に異なる次元においてそれぞれの事務を処理しており、はっきり分けて考えられるべきであるとの趣旨を繰り返し述べているところでございます。
 したがって、地方公共団体がいわゆる非核証明書を求め、その結果に基づいて港湾施設の使用に関する決定を行うことに対する政府の考え方は、当時の中曽根総理の一連の答弁の趣旨に沿うものと考えているところでございます。
○齋藤勁君 中曽根総理と、当時と変わりませんよということを言っているわけですよ、ずっと、外務大臣も。でも、外務大臣が言っているのはそうじゃないんです。ただ、小渕総理からはいろいろお調べになったということを言われ、私も議事録を今見て、これは急に見たわけじゃないんですけれども、先週から見ておりますけれども、そのとおりお尋ねしたらそのとおりですと言うんですが、どうも外務大臣の話は違う。
 神戸市というのは、これは三月十七日のときに確かに神戸市を事例に出してずっと話が出ているんですよ、予算委員会では。ただ、二十八日のこのときのやりとりの中では、この神戸市議会の方式は全国の地方自治体にいわゆる通用するものであり、このように理解するという中でのやりとりを喜屋武さんは中曽根さんに質問して、中曽根さんは神戸に限らず国と地方自治体のあり方で明確に答えているわけです。違うんですよ、理解が。首をかしげられている。私は頭が悪いんですか。総理、お答えください。
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘の中曽根総理の答弁は、神戸市の方針は神戸市としての考え方を表明したものとして受けとめているとの趣旨を述べたものと考えておりまして、また同総理が、御指摘の答弁を含めまして累次の機会に、自治体がその考え方に基づき決議等を行うことは自由であるが、非核三原則等の外交上の問題は中央政府の所管する問題である旨、繰り返し述べておるところでございまして、その述べられた最後のところについては、先ほど冒頭私が御答弁させていただいたところでございます。
 したがいまして、外務省から高知県に対して伝えた回答は、当時の中曽根総理の一連の答弁の趣旨にも符合するものと考えておりまして、したがいまして、ただいま高村外務大臣が答弁いたしたことも符合しておる、こう考えておる次第でございます。
○齋藤勁君 そうすると、地方自治体の権限を越えていないと。地方自治体の権限を越えていません、こういうことでよろしいですね。
○国務大臣(高村正彦君) 何度もお答えしていますように、核を積載しているかいないかによって地方自治体が外国艦船がその港に入ることを認めるか認めないかということを決めることは、明らかに自治体の権限を逸脱しております。
○齋藤勁君 委員長、お聞きになってわかると思うんですね。違うんですよ。
 地方自治体がみずからの意思に基づいておやりになることは結構ですと。国と地方自治体の役割分担はしていますよ、これは当時の中曽根総理でも。しかし、とやかく言わない、地方自治体は地方自治の立場に立ってどうぞおやりくださいというふうに言っているんですが、やってはだめだということでしょう、今の外務大臣のお話は。違うじゃないですか。自治体は国と独立、そして先ほど分権のお話がございましたけれども、本会議ですか、対等平等な関係でいくというのと明確に違うじゃないですか、これは。
 これじゃ続けられないですよ、外務大臣、質問継続できないですよ。
○委員長(倉田寛之君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(倉田寛之君) 速記を起こして。
○国務大臣(野中広務君) 委員御指摘の中曽根元総理の答弁でございますが、これは、「それは地方自治の本旨に基づいて神戸の市長及び市議会がとっておる一つのやり方でありまして、それはそれとして我々はよく理解できるところであります。」と、このようにおっしゃいまして、その後、「国は国、地方自治体は固有の自治権に基づいて地方自治体の行為を行う、そういう次元が違うものであるというふうに御理解願いたいと思います。」とおっしゃいまして、さらに、「国は外交という関係あるいは防衛という関係で国事をやっているわけで、それは日本全体に及ぼす普遍的政策として行っておるわけです。神戸市は神戸市という自治体の固有の権限に基づいて、神戸市に関することについてそのような処置をしておる。それはやっぱりはっきり分けられて考えるべきで、それを混交すると地方自治が侵害されることも起きかねまじきことになります。」と、このようにおっしゃっておるわけでございまして、当時と状況は変わらないわけでございます。
 委員御存じのように、地方自治法及び我が国憲法において、憲法は七十三条において内閣の職務について定めております。「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」ということで、二に「外交関係を処理すること。」といたしておるわけでございます。一方、地方自治法の二条第二項におきまして、「普通地方公共団体は、その公共事務及び法律又はこれに基く政令により普通地方公共団体に属するものの外、その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」となっておるわけでございまして、我が国は非核三原則を言い、そして外交、国防は国の事務としておるわけでございますので、この神戸市の中曽根元総理の答弁と今それぞれ外務大臣、総理が御答弁申し上げました点とは食い違いがないわけでございます。
 さらに、私の方も、会見を通じまして記者の皆さんから御指摘をいただきましても、そのことにつきましては明確に申し上げておるわけでございまして、先般記者の質問に答えましても、国と地方公共団体はそれぞれ国民及び県民に対して異なった職務と責任を有しておるわけでございますとお断りをして、そういう上において、ぜひ関係地方公共団体のそれぞれの方々が非核三原則を守っていく我が国の制度に信頼をいただき、現在の日米安保体制を堅持していく上で国、地方のあり方について御理解をいただきたいということを申しておるわけでございまして、地方公共団体のあり方について私どもはそれを否定しておるわけでございません。地方公共団体みずからが県民の安全のために港湾管理者として行われることを否定するわけではないわけでありますけれども、国の外交、防衛については国固有の事務であるということを申し上げておる次第でございます。
○齋藤勁君 そうすると、橋本大二郎さんが今度の高知県の議会に、いわゆる非核証明書を外務省に問い合わせるという方式、要綱、条例、これは国のやる仕事なんだ、国のやる仕事だからそんなこと自治体はやっちゃいけないと。国と地方の役割は、これは同じような説明がるるございましたけれども、具体的に今この非核証明書の問題、これは国の仕事なんだ、だから地方自治体というのはこんなこととやかく言っちゃいけないんだよと。わかりやすく説明してくれますか。
○国務大臣(野中広務君) 高知県の場合は、外国の艦船の寄港に当たりまして、いわゆる非核証明書の提出をその軍艦が所属する国の大使館に対して求めるのではなく外務省に対して求めると承知をしておるわけでございます。しかも、それは条例に盛らないで、条例から要綱に落として運用でやろうとおっしゃっておるわけでございまして、非核三原則に基づきまして我が国は、これを外務省に、条例に盛らないで運用でこれを照会されましても、米軍は核を積んでおれば事前に通告するのが当然でございますので、このことについて直接とかく我々が照会を受けて回答するという立場にはないことを御了承賜りたいと存ずる次第であります。
○齋藤勁君 高知県はいろいろ苦労しているんです。さっき言いましたように、二年前から県議会で全会一致でこれを決めて以降いろいろな動きがあって、当初神戸方式でしようではないかといったのをこの照会方式に切りかえているんですね、いろいろな考え方の中で。
 この非核証明書を要求するということ自体、地方自治体がやるということについては、だめなんですか。だめなのかどうか、これはっきりしてください、だめなのかどうか。
○国務大臣(高村正彦君) 非核証明書によって県がその外国艦船が核を積んでいるかいないかを判断して、そしてそのことによって入港を認めるか認めないかということは地方自治体の権限を逸脱している、こういうことを申し上げているわけであります。
○齋藤勁君 これは政府見解が変わっています、明確に。変わっているなら変わっているで、閣議決定して変わったんだと言えばいいじゃないですか、認めるか認めないかは違うけれども。これはまた別ですよ、認めるか認めないかは違う次元だけれども。今、官房長官は、港湾管理はある意味で自治体固有の一つの事務でというようなこともたしか御説明があったと思うんですけれども、それはまた……。
 外務大臣のお話ですと、自治体固有の事務、地方自治として地方自治体として許されるんだと。そうすると、今度、国に非核証明書を要求すること自体は、これは外交政策だから国防上の問題だからだめだというふうに受け取れますよ、それは、私の今の受けとめ方は。はっきりしてください。国に非核証明書を要求すること自体、これはだめなんですか、国と地方自治の役割分担の中で。どっちかはっきりしてください。
○国務大臣(高村正彦君) 何のために要求するかという話でありまして、先ほどから申し上げているように、地方自治体がその権限を逸脱して外国の艦船の入港を認めるか認めないかということの判断をするために国に証明書を求めるということは、それは許されないことであるということを申し上げています。
○齋藤勁君 自治体がそういうことをルールを決めて、自治体が条例なり要綱で決めてやるということについて国がとやかく言うべきではないというのが中曽根さんの説明なんです。自治体がやることはいいですよと。説明違うんです、答弁は。
○委員長(倉田寛之君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(倉田寛之君) 速記を起こして。
○国務大臣(野中広務君) 中曽根元総理の時代に答弁されましたことと現在申し上げておることと、私どもといたしましては全くそごがないと考えております。
 中曽根元総理がおっしゃいましたときは、市なり市議会として意見の表明をされ決議をされることは自由だがということで政府の立場を申し上げられておるわけでございまして、外務大臣及び私ども、総理を含めて申し上げておりますのは、条例という法令について外務省の意見を求められたので政府の見解を示したということでございます。
 あくまで、地方公共団体の港湾管理というのは港湾法の枠の中で行われるわけでございまして、国の外交、防衛というのは国の事務に属するものであるということを高知県知事にも御理解をいただきたいという立場には変わりはないわけでございます。
○齋藤勁君 非核証明書を要求するということを、県が、地方自治体が国に対して、これはできるんですか。いいんですか。そのことについてはとやかく言わないということですか。そのことをさっきから聞いているので、国に非核証明書を要求すること、このことについての是非を聞かせてください。
○国務大臣(高村正彦君) 質問が繰り返しでありますから、答弁も繰り返しになります。その……(「ちょっと委員長、今の発言、これは答弁者として問題だ」と呼ぶ者あり)
○委員長(倉田寛之君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(倉田寛之君) 速記を起こして。
○国務大臣(高村正彦君) 何のために要求するかということが問題で、その動機が、外国艦船の入港を認めるか認めないかということを決めるために非核証明書を要求するということがはっきりしているわけでありますから、これは権限を逸脱していると、こういうことを申し上げているわけであります。
○委員長(倉田寛之君) 齋藤君、質疑を続けてください。
○齋藤勁君 委員長、これは違いますよ、十五年前と全く違う。
 神戸市とそれから他の自治体にもこれから波及していくということもあるということで政府見解を求めているんですよ。神戸市方式、全然違う、中身について。非核証明書、非核三原則です、国の国是、これは本来ならば法制化すべきでしょうけれども。
 いずれにしろ、これだと全国の自治体と国との関係はおかしくなっていきます、こういうことを政府がずっと繰り返し言っているなら。幾ら十五年前と同じだ同じだと言ったって、これは違いますよ、議事録を読んでもわかるでしょう。このとおり読んでもらえばいいんです、このとおり、全部。どうですか、総理。
○国務大臣(小渕恵三君) 重ねてでございますけれども、私、現内閣総理大臣といたしましては、中曽根総理が六十一年十月三日に答弁されたこの趣旨を十分理解してその後の対応については対処をいたしておる、こういうことでございます。
○齋藤勁君 総理、国に非核証明書を要求するということ、これはよろしいんですよね。
○国務大臣(小渕恵三君) 政府が非核証明書を提出できない理由を述べた方が明らかだろうと思いますので申し上げますが、我が国は非核三原則を国の基本政策として堅持しており、国が外国軍艦に対して寄港の同意を与えるか否かについて決定する際には、このような基本政策を堅持するとの立場を踏まえて対処いたしております。
 米軍艦船につきましては、日米安保条約及びその関連取り決めに基づき我が国の港への出入りを認められているが、日米安保条約上いかなる核の持ち込みも事前協議の対象であり、核の持ち込みについての事前協議が行われる場合には政府としては常にこれを拒否するところであります。
 以上のように、政府の対応について非核三原則を堅持するとの我が国の立場は確保されておりますので、政府から個々の外国軍艦が核兵器を積載していないことを証明するような文書を発出することはそもそも必要ではなく、そのような文書を発出することは考えていないというのが政府の考え方であります。
○齋藤勁君 もう時間ですから終わりますが、「自治体がみずからの意思に基づいて自由におやりになることについて、私は中央政府としてとやかく言うべきことは差し控えた方が賢明だ」と中曽根さんは言っているんですよ。十五年前以降変わったのは、とやかく言っているんです。明確に答えないんですよ、非核証明書について。自治体がやるべきことはいいことだということでしょう。国と地方自治体の政策の違い、役割分担は、これは当然です。中曽根さんの答弁と全く違う、十五年前と。これはひどすぎます。
 時間がないから終わりますけれども、これは引き続き予算委員会あるいは他の委員会でもやらせていただきます。
○委員長(倉田寛之君) 以上で柳田稔君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、高野博師君の質疑を行います。高野博師君。
○高野博師君 日本国の憲法平和主義とそれから国際協調主義についてお尋ねいたします。
 最近の我が国の憲法、安保論議の中で軍事面というのが非常に強調され過ぎてはいないか。あるいは戦争不可避論的な意見も時々出ている。これはまた憲法の基本理念に対する理解がゆがめられつつあるんではないかということを私は懸念しております。
 そこで、重要なことでありますので何点か確認しておきたいと思います。
 自由党の小沢党首が「プレジデント」の二月号の手記で、「タブーなき改革でこの国を救う」という論文を書いておりますが、その中でこういうことを言っております。「皆で警察をつくって世界の治安を維持し、破壊活動を防止しようというのが国連の理念であり、それは日本国憲法の精神にも合致する。」、こういうことを言っております。また、別なところでは、「地球国家という発想をすれば、国連の存在も同様であり、その警察官の役割が危険だからといって日本だけが拒否するわけにはいかない。」、こういうことを書いておられます。
 また、テレビの討論等でも、国連のもとであれば軍事活動も国権の発動に当たらない、軍事に一切手を出さないというのは国際社会で通用しない、普通の国とはみなされない、こういうことも発言されているのでありますが、野田大臣は小沢党首と同じような考えでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 確かに国連憲章は今御指摘になったようなことでありますが、そもそも国連憲章、出だしにありますように、「われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、」というところから始まって、まさに「国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則」であるということを前文でうたい、第一条の目的の中で「国際の平和及び安全を維持すること。」ということがはっきり明記してあり、「そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに」云々と、こういうことがあり、具体的には、国連憲章第四十二条において、「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。」という、言うならば平和共生の具体的な措置を規定しておる。
 これは、まさにあの大戦の惨禍ということに顧みて、いわば人類の本当に恒久平和を願う気持ちを結集させてつくられたのが国連憲章であり、そういった意味において、日本国憲法においてもその影響を歴史的な環境の中にあっても十分に受けとめて形成されておるという小沢党首の考え方は、私は自由党として基本として軌を一にする部分であるという受けとめ方をいたしております。
 しかし、その国連憲章という中にあっても自衛権という存在については、やはりこれははっきりと憲章の中でもうたわれておるということでもあり、そういう意味において、平和主義なり国際協調主義ということと、そして自衛権という存在ということとは両立するという形の中であると。そういう意味で、平和主義あるいは国際協調主義というこの基本理念は、国連憲章であれ日本国憲法であれ同じ考え方ということで貫かれているということを、具体的な表現、私も党首がどういうふうにおっしゃったか、私自身ちょっとまだその発言の詳細にわたっては承知しておりませんが、同じ政党を組んだ者として、小沢党首の考え方というのは自由党の基本的考え方であるということは申し上げて差し支えないと思っております。
 今、私自身いろいろ申し上げましたが、小渕内閣の一員として、その自由党の考え方は政治家個人としてはあるものの、具体的な展開ということにおいては小渕内閣の閣僚の一員としての今日までの考え方ということを踏まえていかなければならぬ、そう考えております。
○高野博師君 小渕総理は国連の理念と日本国憲法の理念は同じだという、そういう見方をされていますか。
○国務大臣(小渕恵三君) 国連憲章の理念と我が国の憲法の理念というものに非常に類似点があることは承知をいたしております。
○高野博師君 類似点があるのは当然でありまして、野田大臣が言われたように軌を一にする部分もあると。当然だと思いますが、国連の場合は基本的には集団的安全保障という考え方に立っている。さまざまな紛争の平和的な解決のシステムも持っている。しかし、国際の平和を破壊する者、侵略者に対しては実力行使も辞さない、それによって平和を回復、維持するという考え方に立っている。
 しかるに、日本国憲法の理念というのは、これは憲法の前文で、平和主義と国際協調主義、高い理想を掲げて、それを実現するための方策として、軍事的な手段はとらない、軍事的手段以外の方法によってその理想を実現する、そういう選択をしたわけですね。その難しい困難な方法を今日まで続けてきた。これは政府の解釈でありますが、この点からいうと、日本国憲法の理念と国連のこの理念と基本的な考え方としては違うんではないかと思うんですが、どうでしょうか。簡潔にお答えください。
○国務大臣(野田毅君) 政府の考え方については今までいろいろ申し上げてきたとおりでありまして、ただ、今御質問は、政府の考え方というよりも自由党の考え方についての御質問なのかというふうに受けとめますが、それを前提として申し上げますならば、国連憲章そのものの考え方と日本国憲法の考え方が違う部分ははっきりございます。
 それは、国連憲章においては日本は旧敵国でございます。日本国は当時そういう意味で無条件降伏をした国家でございます。そういう環境の中でつくられている国連憲章であり日本国憲法であったということは事実でございます。そういう点で、日本国憲法の中で大それた事柄が表現できるようなことではなかったはずだ、私はそう思います。そのことが日本国憲法のさまざまな条項の中に反映されておるというのが新進党以来自由党の憲法制定における考え方であった。
 だから、それがいい悪いと申しておるのではない。そういう意味で、国連憲章と日本国憲法は、恒久平和を目指すという点で、あるいは国際協調主義、平和主義ということにおいて軌を一にする部分はあるが、個別の内容において全く同じものであるとは言えないということは申し上げることができると思います。
○高野博師君 旧敵国であったから大それたことが言えなかったという発言でありますが、むしろ日本の場合は、まさに憲法前文に言っているように、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と。非常に高い理想、国連よりもはるかに高い理想を掲げているのではないかと私は思うんです。
 そこで、自由党の考えというよりも政府の解釈を確認したいのでありますが、憲法第九条では自衛のための必要最小限度の実力行使は許している、それ以外の実力行使は憲法の禁止する武力の行使に当たり許されないと解される、たとえ国際協調のもとで行われる国際平和の維持、回復のためであっても実力の行使は禁止されている、こういう理解ですが、これ念のため確認したいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 常々申し上げておりますように、憲法前文にございます国民主権、基本的人権の尊重の理念とともに平和主義及び国際協調主義の理念がうたわれております。憲法第九条には、平和主義の理念を具体化した法規範として戦争と武力による威嚇または武力の行使の放棄、戦力の不保持等が規定され、憲法第九十八条第二項には、国際協調主義の理念を具体化した法規範として条約及び確立された国際法規の遵守が規定されております。
 しかし、日本国憲法は、平和主義、国際協調主義の高い理想を掲げ、軍事的な手段以外の方法によって世界の平和に貢献していくことによりこの理想を実現し、これを通じて国際社会において名誉ある地位を占めるとともに、国際的に信頼され、他国と対等な関係に立とうとしているのであって、その意味では両者の目指すところには差異はないと考えております。
 これらの理念は日本国憲法が制定されてから今日に至るまで一貫して国民から支持されてきたものであって、その理念を高く評価し、将来にわたっても堅持すべきものであるというのが政府の基本的考え方でございます。
○高野博師君 国際環境が変化した、あるいは日本の国際的な立場、こういうものを考慮すれば、これまでの政府解釈については妥当性を失っているのではないかという意見もかなりあります。しかし、解釈をなし崩し的に変えていく、これはやるべきではない、もし必要であれば憲法改正をするべきだと私は思っております。
 むしろ問題なのは、我が国が非軍事的な手段、例えば経済的、政治的な手段を使うといった平和戦略、これを真剣に考えて実行してこなかったんではないか、そこに問題があるのではないか。私は個人的な意見としては、ヒューマンセキュリティーとかソフトパワー、そういう理念、哲学
に基づいた外交あるいは国際貢献、これをもっともっとすべきではないのかなというふうに思っております。
 国連を錦の御旗に軍事的な貢献を広げれば平和に役立つというような考え方があるとすれば、それは誤った考えではないかと思うんですが、念のためそこだけ確認したいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 国連の認識について、多少、軍事優先的な考え方であるという認識をしておるとすればそれは誤りだという御指摘かと思います。
 それは全くそのとおりでありまして、もともと国連憲章最初の出だし、私が読み上げましたとおり、まさに大戦の悲惨な姿という中から何とかして恒久平和というものを求めて、そういう人類の知恵の中で国際的な平和を守っていく、平和をつくっていく、そのことをどうやって言葉でなくて具体的なアクションの中で達成していくかという、そういう真摯な中で生まれたものだと理解しております。
 それだけに紛争解決のいろんな手段を同時に出しておるわけであって、国際司法裁判所の話もそういう一環であったでありましょうし、あるいは最終的には平和強制措置という部分はあるにしても、そこへ行き着くまでのやはり具体的なステップということもかなり細々と規定をしてあることでありますから、必要やむを得ない最後のぎりぎりの選択肢であるということ、そういう位置づけになっておる、その点は私も全く、平和をまず優先するという国連の考え方は同じ認識だと思っております。
○高野博師君 同じこの論文の中で小沢さんが、
  湾岸戦争時、法制局長官は武力行使はもちろん、後方支援といえども武力行使と密接不可分の一体の行為であるから、一切やってはいけないとした。その解釈を今なお変えないと言いながら、ガイドラインでは無原則にそれを拡大しようとしている。しかし、日米協調の名の下に軍事行動、武力行使の範囲を無原則に拡大してはならない。小渕政権としてのきちんとした憲法解釈の原則、安全保障の原則を示すべきだと私は主張している
こう言っているんですが、その中で、「ガイドラインでは無原則にそれを拡大しようとしている。」という認識、あるいは「日米協調の名の下に軍事行動、武力行使の範囲を無原則に拡大してはならない。」、こういう言い方をしているんですが、この点についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) その点は同感でございまして、無原則で日米安保協力という名においてあらゆるケースにどんどん、あらゆる場合に日本が、自衛隊が米軍にいかなる形の協力も可能なんだということでいくべきではないという認識は当然だと思います。
 しかし、今回の政府提出の周辺事態法案というものが、じゃそういう形になっているかということを点検すれば、政府としてはそういうことにはなっていない、むしろきちんとした歯どめをかける中でやろうとしているのであるということをたびたび既に関係大臣からも答弁されておることだと思っております。私自身もそういう認識をいたしております。
 そういう点で、多少さらなるチェックといいますか、そういった点があるとすれば、それは審議をしていただく過程の中でいろいろ御議論をいただいていくということで、大変その点で審議が大事ではないかというふうに思っております。
○高野博師君 小沢さんは、「ガイドライン関連法案のように、明らかに戦争への参加、武力の行使に繋がるような法案に対しても、」と、こういう言い方をしているんです。こういう認識は野田大臣も同じでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 私自身がしゃべったことでないものですから、どういう脈絡でどこでどういうふうにおしゃべりになったかよくわからないんですが、多少、物事を強調する上で強目な表現が出たりということはあり得る世界の話ではあると思うんですが、内容において、今このガイドライン法案について私は申し上げましたとおり、このガイドライン法案が少なくとも今までの日米安保の枠を超えてどんどん拡大しているところに行くような方向性を持っている法案ではないというふうに私は認識をいたしております。
○高野博師君 小沢さんとは認識が違うということだと思います。
 そこで、ガイドラインについて少し入りたいと思うんです。このガイドラインについては、正文は英語だと思うんですが、日本語訳は政府の公式な訳なんでしょうか、それとも仮訳なんでしょうか、外務大臣。
○政府委員(竹内行夫君) お答え申し上げます。
 ガイドラインそのものは、条約とか国際約束といったものではないことは先生御承知のとおりでございますので、その意味で条約の正文とかいう意味での正文というものはございません。
 ただし、交渉におきまして日米間の協議を行うに当たりましては、いわば作業の言葉として主として英語を使ったということでございまして、もちろんその対象となりますいろんな概念、観念というものにつきましては、日米間の共通の認識に到達するために、日本から出した概念とか観念とかいうのもございますから、それは十分な説明をいたしましたけれども、作業の言葉としては英語で行った、こういうことでございます。
○高野博師君 それを聞いているんじゃありません。日本語訳は政府が責任を持つ訳なのかそうでないか、そこを確認したいんです。
○国務大臣(高村正彦君) 政府において責任を持つ訳でございます。
○高野博師君 責任を持つ訳だとすると意図的につくった誤訳が多過ぎる。これはどなたかも一回指摘していましたが、僕も一応読んでみました。いろいろ問題があります。これは責任持てるんでしょうか。
 例えば、主たる責任は日本側にあるという表現をしているところ。これは主体的に行動するとか、責任という言葉はほとんど訳していません、わずかに一カ所だけ。これは重大な話なんで、まさに無責任なんです。
 それから、一線を画すなんという言葉が、これは英語からは出てこない。この日本語の訳を英語に訳したら絶対もとには戻らない、これはおかしい。これが責任持てる政府の訳なんでしょうか。誤訳が多過ぎると思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(竹内行夫君) これは、先ほど申しましたとおり、作業の言葉としては英語を主として使ったわけでございます。
 例えば今、先生御指摘の問題点についてでございますが、主体的にという点につきまして、確かに英語ではプライマリー・レスポンシビリティーという言葉が使われております。これは、日本に対する武力攻撃がなされた場合の日本、すなわち自衛隊の活動に関する表現でございますが、その際に主体的にというふうな訳語を用いましたのは、もとより主な責任を持つことは当然でございますけれども、ここで指摘して言われておりますのは、そもそも我が国に対する武力攻撃がなされた場合には我が国が主体的に行動すべきであるということでありまして、かかる自衛隊の活動の主体性を強調するためにそういう言葉を用いたわけでございます。
○高野博師君 全然それは話が違う。日本が武力攻撃されたときに責任を持ってこれを防衛しなさいという言葉、表現なんです。主体的に行動する云々の話じゃないんで、責任を持てと言われているんです。そこを隠している、外している、これは重大な話だと思います。第一義的に責任をとれという表現なんです。
 それから、一線を画すというのは、これは一線論という言葉が出たぐらいいろんな議論がされたんですが、これはそういう表現は英語ではされていません。どうしてこういう表現をつくったのか。
 国民感情を考慮して軍事的な用語をトーンダウンしたいという気持ちはわからないでもない。しかし、国家の将来を決定する重要なこの合意文書について、できるだけ正確な訳をつくって、そして堂々と正面から国民に理解を求める、そういう努力をすべきではないか。その本質を隠すような訳をつくる、それは重大な問題だと思うんですが、どうでしょうか、大臣。
○政府委員(竹内行夫君) まず私の方から、先生が御指摘されました、一線を画されるという点について御説明させていただきとう存じます。
 これは、英語ではディスティングイッシュ・フロムという言葉が使われております。このディスティングイッシュ・フロムという言葉は、ちょっと英語の話になりますが、区別するとか識別するとかいう意味が辞書でも使われておるところでございます。例えばロングマンという英英辞典でも、このディスティングイッシュの意味といたしまして、ツー・メーク・オア・レコグナイズ・ディファレンスィズというような説明がされております。
 したがいまして、我々といたしましては、二つのものを地理的に峻別するという観点から、「一線を画される」というのがディスティングイッシュ・フロムに当たるというふうに考えているわけでございます。決して意図的に隠すとか別の意図を持って翻訳をしたということではございません。
○高野博師君 今の説明の中でも一線という言葉は出てこないと思います。もう明らかに危なくないような印象を持たせている。そういう訳を勝手に考え出している。それは問題があると思います。
 大臣、どうですか。今の質問について答えてください。
○国務大臣(高村正彦君) 相手方に対して日本からは外務省、防衛庁の英語遣いが出て、作業言語としてまさに英語を使っていろいろやっているわけで、お互いにその実態についての認識というものはきっちりその議論の中でできていて、そういう中で、まず英語でつくったものを、その実態をはっきりわかっている人間がそのまま訳したので、私は問題はない、こういうふうに考えております。
○高野博師君 全然答えになっていない。あの英語が正文だとすれば、例えば中国も韓国も北朝鮮もあの英語を見て理解しているわけです。日本国民はこの日本語だけで大半の人は理解をしているわけですね。大臣もそうでしょう。それが誤訳が多過ぎるということについては重大な問題だと思うんですね。これは正式な訳として、責任を持つ訳としてもう一回つくるべきだと思いますが、総理、どうでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 誤訳が多過ぎると思っていないということを従来から申し上げているところでございます。
○高野博師君 まさにそこが問題なんですよ。誤訳じゃないということがわかりますか。
 それでは、ガイドラインの中身について若干伺います。
 三番の「平素から行う協力」ですが、平素という言葉自体も問題があると思うんですが、まさに平時の協力だと思うんですが、その中で、「米国は、そのコミットメントを達成するため、核抑止力を保持するとともに、」云々と、こう書いてあるんです。この核抑止力という言葉をガイドラインの中に入れた経緯、理由は何でしょうか。
○政府委員(佐藤謙君) 経緯、理由というのを具体的に御説明するのは非常に難しいんですけれども、我々、米側とこの議論をするに当たりまして、平素から我が国の平和と安全を守るためにどういう体制でいたらどうかという議論をする中で、そのベースになりましたのは、一つは、例えば我が国の方でございますと防衛計画の大綱というものがございます。この防衛計画の大綱の中で核抑止力につきましても触れているところでございまして、米国のこの日本の平和と安全に果たす平素からの役割という面におきまして、こういったものも踏まえてここに記載している、こういうことでございます。
○高野博師君 そんな軽い話ではないと思います。日本側の新防衛計画大綱の中にはアメリカの核の傘のもとにあるという言葉が入っているんですが、アメリカ側は一切そういうことを言っていない。どこの文書にも出てこない。秘密文書があるかどうかわかりませんが、公式な文書の中でアメリカ側には、日本のために核の抑止力を使う、あるいは日本を核の傘のもとに置くというようなことは一切言っていない。しかし、二国間の合意であるガイドラインの中にこの言葉を入れたというのは非常に重要な意味があるんではないかと私は思うんですが、どういう議論がなされたのか、これについてもう一回確認したいと思います。
○政府委員(佐藤謙君) 今申しましたように、このガイドラインにつきましては、直接的には日米の安保共同宣言、こういったものを踏まえて、この新しい状況に対応する日米安保体制の信頼性向上を図るためにどういうことが必要かという観点から議論したわけでございます。
 その中で、先ほど触れましたように、私ども日本サイドの事情といたしましては、平成七年十一月に閣議決定いたしました防衛計画の大綱というところで、防衛力の役割等々につきまして閣議決定をした考え方がございますので、こういったものも踏まえながら議論をし、このような記述が盛り込まれている、こういう経緯でございます。
○高野博師君 この核の抑止力というのは日米安保体制の根幹、本質にかかわる言葉であると私は思うんです。そして、これは日米全般にもかかわる重要な問題だと思うんですが、非核三原則との関係で、具体的にどのような形でアメリカの核の抑止力を保持するのか。ここですべてを明らかにしろとは言いませんが、そういう議論は十分行ったのかどうか、これを確認したいと思います。
 もう一つ、コーエン国防長官が韓国を訪問されたときに、北朝鮮の武力攻撃に対しては核兵器での反撃も辞さない旨の発言もしておりますが、そういう報道がありますけれども、我が国に対しても同様の意思表示があったんでしょうか。二点聞きます。
○政府委員(佐藤謙君) まず、私の方から我が国としての立場を申しますと、今引用しました新防衛計画の大綱におきまして、「核兵器の脅威に対しては、核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮の国際的努力の中で積極的な役割を果たしつつ、米国の核抑止力に依存するものとする。」、こういう立場が我々の立場でございます。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
○高野博師君 総理にお伺いします。
 ガイドライン関連法案そのものが第三国に対して抑止的な効果を持つという意味もあると思うんです。それがあるとすれば、その最たるものはまさに核抑止力の保持という点にあるのではないかと思うんですが、総理はどういう認識をされていますか。
○国務大臣(小渕恵三君) 先ほど来御答弁ありましたが、米国の核抑止力については指針のみならず防衛計画の大綱にも明記されておるところでございまして、その効果、効力というものがあって我が国の安全も確保されておる、このように認識しております。
○高野博師君 それでは、周辺事態について若干伺いたいと思います。
 周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態である、事態の性質に着目したもので地理的概念ではないと耳にたこができるほど聞いているんですが、それでは日本の平和と安全とはどういう意味でしょうか、外務大臣。
○国務大臣(高村正彦君) 日本の平和と安全というのは極めて平易な言葉だとは思いますが、これを説明しろというのもなかなか難しい話であります。その平和と安全というのは、やはり軍事的観点を中心とした言葉だと理解していただいて結構でございます。
○高野博師君 そういう単純な理解ではないと僕は思います。
 日本というのはどういう概念なんでしょうか、外務大臣。
○国務大臣(高村正彦君) 日本というのは日本国のことでございます。それを説明しろといってもなかなか難しい話です。
○高野博師君 ここで言っている我が国の平和と安全という我が国とはどういうことかといいますと、我が国の領土、領海、領空、その中に存在するすべての国民の生命、財産、これが入るんだと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 基本的にそういうことだと思います。
○高野博師君 それでは、在外にいる邦人の生命、財産は入りますか。
○国務大臣(高村正彦君) 日本の平和と安全という言葉の中には入らないと思います。
○高野博師君 それでは、公海上あるいはその上空にある日本の船舶、航空機そのものと、その中にいる国民の生命、財産、これは入りますか。
○政府委員(竹内行夫君) お尋ねの点につきましては、状況と申しますか文脈によって意味が異なってくることがあろうかと思います。
 例えば、広い意味で日本の平和と安全ということを申しますれば、それは日本国民ということが含まれることがあろうかと思いますが、ここで我々が提出させていただいております周辺事態安全確保法ということで申しますれば、先ほど大臣から申し上げたとおり、周辺事態法に言う日本の平和と安全というのは在外にいる日本人の安全ということとはちょっと違う概念だろう、こう思います。
○高野博師君 僕が聞いているのは、公海上のと言っているんですよ。
○国務大臣(高村正彦君) 今、北米局長が言ったことは、領土、領海、領空内の日本国民は入るけれども、公海上はこの文脈の上では入らない、こういうことを言ったんだと思います。
○高野博師君 公海上は入らないという理解でいいんでしょうか。
 我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態と言った場合に、日本の近海にある公海で船が例えば直接攻撃をされたと。日本近海でなくてもいいんですが、インドネシア沖で日本のタンカーなり船舶が攻撃を受けた場合には、日本に対する直接的な攻撃だとみなしてこれは自衛権の発動になるのと違いますか。そこはどうでしょうか。
○政府委員(佐藤謙君) 一般的に公海上の船舶、これは航空機も含むと思いますけれども、船舶、航空機につきまして、それの保護権と申しましょうか、これは旗国にあるわけでございます。
 今、先生が設定されました事例でございますけれども、そのときの攻撃、事態の態様等によって、それが我が国に対する計画的、組織的な攻撃、いわば自衛権の発動になるようなそういった攻撃になるかどうかというのは判断されることになろうかと思います。
○高野博師君 これは政府の答弁で、平成五年に、日本の自衛隊の陸海空の艦船、航空機じゃなくても、一般の船舶であっても、それが公海上にあって組織的、計画的に攻撃を受けた場合には、これは日本の自衛権の発動になるという見解を示しております。
 それは間違いないでしょうか、防衛庁長官。
○国務大臣(野呂田芳成君) 計画的、組織的な攻撃であれば先生の見解でよろしいかと思います。
○高野博師君 これは僕の見解じゃありません、政府の見解です。
 そこで、直接攻撃を受けないような状況の中で、例えば日本の船舶のすぐそばに外国の艦船が来て、要するに攻撃の脅威にさらした、こういう状況になった場合には、これは周辺事態と言えるんでしょうか、言えないんでしょうか。
○政府委員(佐藤謙君) あくまでも周辺事態というのは「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」ということでございます。
 ですから、先生がお挙げになったような事態が果たして我が国の平和及び安全に重要な影響を与えるような事態になるか、その事態の態様、規模等、そういったものによろうかと思います。御設例の与件だけで判断するのは非常に難しいと思います。
○高野博師君 今あなたは、日本の周辺地域におけるというまさに地理的概念を使っているんじゃないでしょうか。それは矛盾しているんじゃないでしょうか。地理的概念ではないと言っているはずですが。
○政府委員(佐藤謙君) この周辺事態安全確保法の第一条でございますが、「この法律は、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」、これを周辺事態、こういうふうに定義をしているところでございます。
○高野博師君 僕は今具体的に聞いているんですね。日本の船舶、タンカーでもいいんですが、それが今まさに攻撃されようというような状況に置かれている、あるいは威嚇を受けている、脅威にさらされているというときに、これは周辺事態という認定ができるケースもあるんじゃないでしょうか。
○政府委員(佐藤謙君) 繰り返しで恐縮でございますが、まさにその事態が今申しましたこの法律で考えております我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態かどうか、これはその事態が我が国に及ぼす影響、事態の規模、態様その他、また軍事的な観点等も含めましてそれを判断するということでございますので、今お設例のそういう条件だけで判断をするというのは難しいかと思います。
○高野博師君 そういう一般的な話にすると見えなくなるんですが、こういう事態もあるという認識を僕はしているんだが、外務大臣、どうでしょうか。態様によってはあると。
○国務大臣(高村正彦君) 我が国の艦船に攻撃が加えられようとしている場合が日本の平和と安全に重要な影響を与えるような場合であればそうなるわけでありますから、理念的にそういうことは排除されない、こういうふうに思いますが、実際にそういうことがあるのかどうかということは今なかなかきっちり予断しにくい、そういうふうに思っております。
○高野博師君 こういう大事な話をきちんと議論して詰めておかなくてはいけないんじゃないでしょうか。いろんな態様によるとか文脈によるとか、わけのわからないことを言っていますが、こういう攻撃ではないけれどもまさに攻撃されようとするような状況は、これはまさに日本の平和と安全に重大な影響だと、それはもう当然じゃないんでしょうか。長官、どうでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) なかなか具体的な事例に即してこれはそうだということは答えにくいわけでありますが、周辺事態というのは、繰り返しになりますが、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、その事態の規模や態様等を総合的に判断して決めるということになっております。
 したがって、毎回申しておりますように、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできない、またそのような意味で周辺事態は地理的概念ではないということになっておりますが、今、先生が具体的な事例について明快に答えろということでありますが、以上申し上げたようなことから総合的に判断せざるを得ないと思っております。
○高野博師君 僕が言いたいのは、日本の平和と安全に重要な影響を与えるというその事態、それが幅があり過ぎる、いかようにも判断できるかもしれない、それであっては歯どめがきかないんじゃないかと思うんですね。私、今例を引きましたが、その態様によっては総合的に判断すればこれは周辺事態だと日本が認定した。しかし、その場合には、アメリカから見れば、日本の艦船だから、日本の船舶だから周辺事態ではないという判断をする可能性はあると思うんです。日本がこれは周辺事態だと認定した、アメリカがしていない、こういう場合に日本は独自の行動をとるんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 周辺事態の認定に当たっては、それぞれ自国の国益に立ってそれぞれの国が主体的に判断するということになっております。
 日本が周辺事態と認定し、アメリカが認定しないという事態が起こるかということでありますが、この点につきましては、私どもは周辺事態の認定に当たっては常続的な情報交換、意見の交換というのをきちっとやっておりまして、周辺事態のような事態が近くなってくるということになればそれがさらに密接に継続、反復して行われるわけで、そういう周辺事態の認定について日米両国にそごが生ずるということは想定しておりません。
○高野博師君 それは想定しておく必要があるんじゃないでしょうか。この周辺事態に地理的な枠をはめないといろんなケースが考えられる、そして自衛隊の行動が無制限に広がる可能性もあるわけです。
 そこで、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態とは一体どういうことかといろんなケースを考えてみても、これは結局、日本有事につながる可能性が極めて高い事態だということが言えないでしょうか。外務大臣、どうでしょうか。
○政府委員(佐藤謙君) ある事態が周辺事態に該当するか否かでございますけれども、その事態の発生した原因がいかなるものであるかを問わず、我が国の平和と安全に対し軍事的な観点を初めとする種々の観点から見て重要な影響を及ぼすか否か、これで判断をしていくということになろうかと思います。
○高野博師君 判断の基準も非常にあいまい、そして総合的に判断するとか文脈に応じてなんということを言っているようではだめだと思います。もう明らかにこれは日本有事につながる事態が周辺事態だと、私はそういう認識をしていますが、総理はどうでしょうか。
○国務大臣(小渕恵三君) あくまでも日本の安全のため、日本の事態を守るためになさなければならない態様であるというふうに考えます。
○高野博師君 時間がないので。
 周辺事態については小沢さんも中国に行かれていろんな議論をされてきたようでありますが、この周辺事態は地理的概念ではないということに対しては、物事の本質をぼかし、あいまいにするものだという政府批判をしております。
 これは野田大臣も同じような考えでしょうか。簡単に答えてください。
○国務大臣(野田毅君) いわゆる周辺事態というのはまさに、何といいますか、周辺地域という言葉だけで、あとの事態という、学校の地理のお勉強をしているのなら周辺地域ということだけで議論をするということの意味はあると思います。しかし、事柄はよりもっと本質的な安全保障にかかわる問題で、事態ということがどういう内容なのかということに意味のある言葉である、周辺事態というのはそういう意味であると、私はそうとらえております。
 したがって、切り分けて、言葉を分断して、そして前半部分だけでいろいろ議論をするということは余り安全保障の上で意味のある議論とは思わない。そういう意味で、事態というのがまさに日本の平和と安全に重要な影響を与える事態であるか否かということが大事な内容であるという意味において地理的概念ではないという今までの考え方はそのとおりだし、党首もまさにその両方のことを中国でお話しになってきたようです。両方のことをおっしゃっておると。前半部分だけでとらえて、あとの後段部分なしとするならばまさに入るんでしょうと。しかし、それだけじゃなくて、まさに後段の部分で意味があるんですということをお話しになってきたように思います。多少、報道は特定部分だけを大きく取り上げて報道されておるというふうに受けとめております。
○高野博師君 もうそんなことは百も承知なんです。ただ、物事の本質をぼかしてあいまいにしているんじゃないか、そこは同じかという認識を聞いたんですが、結構です。
 長官にお聞きしたいと思うんですが、三日の衆議院の委員会の中で、日本は先制攻撃ができるという発言をされていました。四日の報道によりますと、政府は憲法上先制攻撃は認められないというようなことを政府の見解として発表しておりますが、これは野呂田長官は政府見解とは違う意見を言ったんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 前に挙げられた新聞の方は私が先制攻撃ができると言ったと言っておりますが、議事録を見てもそのようなことは一言半句も申し上げておりません。どうしてそういう記事になったのか私はわからないのでありますが、その記事の源になった国会のやりとりは、昭和三十一年の政府統一見解で、我が国がいろいろな攻撃を受けた場合、座して死を待つということまで強制するものじゃないというのが憲法の趣旨だと、だから法理的には敵基地を攻撃する自衛権は持っておるという話をしたわけであります。
 それらに関連しまして、じゃ相手が武力攻撃をしてきた時期というのはいつかというやりとりになった際に、この武力攻撃のおそれがあるだけでは武力攻撃には当たらない、それから武力攻撃の結果被害をこうむらなければ武力攻撃があったということにはならない、相手が攻撃に着手したときをもって武力攻撃の行使だと思っていると、こういう答弁をしたことに関するものであります。
 後の方に委員が挙げられた記事は、正確な記事であると考えております。
○高野博師君 着手した時点というのは、わかる場合もあるし、わからない場合もあると思うんです。したがって、そもそも先制攻撃をするというこの言葉自体もこれはもう憲法に違反した言葉だと私は思っているんですが、この着手の時点というのはどういうふうに判断するんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 武力攻撃に着手した時期が具体的にいつかというのは大変慎重な判断を要すると思うんですが、そのときの国際情勢、相手国の明示された意図あるいは攻撃の手段、態様等について総合的に勘案して判断されるものであるというのが従来からの政府の統一見解でございます。
○高野博師君 政府はいつも総合的に勘案してと、こういう言葉を使うんですが、非常にあいまいな表現を使っているんです。
 この先制攻撃に対しては、韓国側がこれは反対だという表明をしております。当然だと思います。例えば、北の方に日本が先制攻撃をかけたときに韓国も被害を受けるのはもう当然ですから、十分な協議というか、そういう時間的な余裕があるのかどうかはわかりませんが、少なくとも韓国はこれに対して非常に神経をとがらせていると思うんですが、その点については外務大臣、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 一部の報道で、韓国が大変そのことを懸念されているという報道があったりしました。そこで、私どもの方から先制攻撃なんと言ったことは一度もない、国会のやりとりを詳しく日本から行っておる駐在武官にも申し上げましたし、先方の首脳の方に対しても趣旨を説明して問題はよく理解していただいたと思っております。
○高野博師君 時間ですので終わります。
○理事(竹山裕君) 以上で高野博師君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○理事(竹山裕君) 次に、小泉親司君の質疑を行います。小泉親司君。
○小泉親司君 日米ガイドラインについて質問をいたします。
 今度の新しい日米ガイドラインは、日本が武力攻撃を受けていない段階からアメリカが起こす戦争や紛争に自衛隊の部隊を後方支援だとか後方地域支援だとかいいまして出動させる内容だというふうに思います。
 そこで、まず私は自衛隊の後方支援問題について質問いたします。
 まず、総理にお尋ねいたしますが、宮澤大蔵大臣は九〇年十月の文芸春秋の中で、自衛隊の輸送や通信のようなロジスティックス、つまり括弧して「兵站」と書いてありましたが、これは戦争ではないと言いがたいということを述べておられますこの宮澤大蔵大臣の見解について、総理はどのような見解をお持ちなのか、まずお聞きします。
○国務大臣(小渕恵三君) どういう文脈といいますか、どういうところでそういうお話をされたのかということについて、今そのときの文章を承知いたしておりませんので、その部分だけを論ずることはちょっと難しいのではないかと思います。
○小泉親司君 大蔵大臣はいかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今御引用になりましたのは、一九九〇年十月でございますが、いわゆる湾岸戦争を論じたときに、どの程度まで日本がこの湾岸戦争に参画できるかということについての意見を求められて、私はそのときにこういうことを言っているわけです。
 無論、直接に外国において戦闘行動に入ることは許されない、そこははっきりしていますね。それなら、いわゆるロジスティックスというものはどこまで許されるかということについて、最初の設問は、自衛隊が出かけていって病院を設けてそこで人道的な見地から医療活動に当たるということはどうだということがありまして、これについては我が国の政治家のある方々は、医療活動をやって治った人はまた軍隊に復帰するわけだから、いかに人道的だといってもそれはやっぱり戦争に加担する行為である、だからそれはいかぬのじゃないかということを言っていらっしゃる方がある、おまえはどうだということですから、それはもう非常に難しい話でしょうと。純粋に人道的に赤十字のようにやるということまでいけないと言えるかどうか、それは問題があるでしょうと言ったその後に、湾岸の話でございますよ、戦争が起こっている湾岸の話ですが、それなら輸送や通信のようなロジスティックスはどうだと、こういう問いがあったので、いかに輸送や通信といっても戦闘行為の起こっているすぐ後ろでやるわけですから、相手方からいえばそれはやっぱり戦闘行為と考えるだろう、ということは戦闘に巻き込まれる危険が非常に大きいと、湾岸の場合ですよ、抽象的ではない、私はそう思いますねと、こういうことを申したわけです。
 ですから、私が言っておりますことは、海外において武力行使に入ることはいけないということの意味は、そういう危険が非常に多い場合も政策判断としては避けておいた方がいい、こういうことを言おうとしたわけです。それは確かに私は当時一人の国会議員として申しました。が、今私はこういう立場におりますから、このことをもう一遍私にコンファームしろとおっしゃっても、それはできません、自分の権限外でございますから。しかし、私人として申しましたことはそのとおりであります。
○小泉親司君 ということは、自衛隊や自衛隊の輸送や通信のようなロジスティックスは戦争でないとは言いがたいと、この点はお変わりにならないということでございますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 当時私が申しました基本の認識からいえば、もし輸送とかロジスティックスとかいうことが本当に戦闘行為に発展しない局面において行われるならば、それは何も日本の憲法は禁じていないだろう、ただ湾岸の場合には、それは向こうに行ってそれをやることはいかにも戦争に発展する、戦闘行為に発展する危険が多いでしょうと、こう申したのであります。
○小泉親司君 このやりとりはそういうことの背景もありますが、一般的に宮澤さんがおっしゃっておられることなんです。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
 同時に、先ほど有力な方とおっしゃったのは後藤田正晴さんなんですが、もう一つ大変重要な点は、後藤田さんが、負傷兵の治療は戦争に加担することになるからだめだということについてどう思うかと聞かれてあなたは、「私もそうだと思います、筋道としてはね。」と言っているわけです。
 ところが、今度の日米ガイドラインの合意と、御承知のとおり関連法案の中には、この負傷兵の治療ばかりじゃなくて輸送、こういうことも入っているわけです。戦争に加担すると宮澤さんがおっしゃった行為が日米ガイドラインや今度の法案の中に入っている。これは、私は重大な問題と思うんですが、総理、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もう一言つけ加えさせていただきます。
 「筋道としてはね。」という意味は、病人が治っちゃってまた軍隊へ帰ったら向こうのプラスになるだろう。それは、理屈はそうだが、しかし人がけがしたとき治療をするのは戦力の増強になるって本当に言うんでしょうか、人道的という立場もあるでしょうということを言おうとしたわけですね。それだけであります。
○小泉親司君 いいですか。実際にこの宮澤さんのやりとりはそんな背景のことを言っておられるんじゃないんですよ。明確に負傷兵の治療とかそういうものは戦争に加担するんだと言っておられるわけです。そして、一国の総理をやられた方がこういう公の場で、兵たんは戦争でないとは言いがたいとか、それから負傷兵の治療は戦争に加担する行為だということを認めておられるということは、私はやはり大変重大だというふうに思います。
 しかも、私はロジスティックスについていろんな文献を調べました。そうしましたら、あなた方が、つまり自衛隊がこれからやるいわゆる兵たんの行為、これはアメリカの海兵隊、アメリカの海軍、ロジスティックスという、宮澤大蔵大臣が言われた兵たん活動というようなことがいろいろ書いてあります。
 例えば、皆さん方が支援をする海兵隊、このロジスティックスに何て書いてあるかというと、兵たん、つまりロジスティックスは戦争の不可欠の一部であって分離できない一部なんだということを言っております。あわせましてどういうことを言っているかというと、兵たんなしに計画的で組織的な行動としての戦争は不可能なんだ、兵たんなしに軍事部隊が部隊を立ち上げたり武装することもできない、兵たんなしには部隊は戦場にたどり着けないし、兵たんがなければ兵器は弾薬なしとなり、車両は燃料なしとなり、装備は故障し使用されないままとなり、病人や傷病兵は治療を受けられず、前線部隊は衣料なしで過ごさなければならなくなる、こういうことを言っております。
 つまり、宮澤大蔵大臣が言っているように、後方支援は明確な戦争行為であって戦闘行動の一環だということをこのアメリカの海兵隊の文書は明確に言っております。
 総理、この点どのような検討をされているのか、お伺いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから、私がしつこいほど湾岸戦争のことを申し上げているんですよと言って、何度も申し上げたんです。
 今ここで御議論になっているのは、周辺において日本の危機が、日本の平和と安全が脅かされているんですから、そのときにはそれはけが人は私だって治しますよ、日本の平和と安全ですから。湾岸の話と違うじゃないですか。
○小泉親司君 それでは、よろしいですか。
 今度の、今の問題というのは、日本の平和と安全、先ほども議論がありましたけれども、日本の平和と安全における重大な事態ということで、日本有事のことを論じているんじゃないんですよ。日本が攻撃を受けていなくたって、あなた方はアメリカが武力行使をやる、それに対して自衛隊が支援するということを日米ガイドラインで決めているんでしょう。今度の周辺事態法というのはそこに最も重大な問題があるんです。
 あなたね、日本の有事と、よろしいですか、あなた方が言う周辺事態をごちゃごちゃにして論じちゃだめなんですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我々は、今カリフォルニアの沖で何か起こっている話をしているんじゃないんです。
○小泉親司君 実際、今度は部隊の関係でいけば、宮澤さんはいろんなところでおっしゃるからお話をいたしますが、あなたの「ワシントンの密談」、この中でもあなたは重要なことを言っておられるんですよ。実際に、今度は、あなたはカリフォルニア沖と言ったけれども、それじゃ戦闘部隊と後方部隊がどういう関係になるかということをあなたは「ワシントンの密談」の中で詳しく言っておられるでしょう。
 あなたは御存じかと思いますが、ちょっと御紹介しますと、一つの前線部隊が戦闘で第一線で働くためには、その後方に、維持とか補給とか、あるいはもっと直接に本部直属の、砲工とか戦車とか技術部隊のような膨大な後方部隊が必要なんだと、こう言って、あなたは何と言っておられるかというと、戦闘部隊と後方部隊は米軍とコカコーラみたいなもので、米軍あるところコカコーラあり、つまり戦闘部隊あるところ後方部隊あるんだと。だから、これは一体なんだとあなたはおっしゃっているわけですよ。
 そして、あなたはその米軍とコカコーラが大変気に入ったとお見えになって、この「戦後政治の証言」の中でもあなたは同じことを言っておられます。
 つまり、戦闘部隊と後方部隊が一体となって戦争をするということは国際社会の常識でありまして、私、宮澤さんの証言やこういう御発言を評価するわけではございませんが、私はこれは国際社会の常識だからこそ宮澤さんがおっしゃっているんだというふうに思います。
 ですから、これは私は自衛隊のさまざまな、輸送ですとかそれから負傷兵の治療ですとか、そういうものはやはり明確に戦闘部隊と一体となった、後方支援が一体となった活動であって、まさにこれ自体が私は戦争行為そのものだというふうに思います。
 総理、いかがですか、今のやりとりをお聞きになっていて。
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほどから委員がおっしゃっておりますことは、委員みずからおっしゃっておりますように、ロジスティックサポートのことを言っておられるわけで、これは明らかに後方支援と私どもは言っております。特に地域を限定した概念ではございません。
 私どもがこの周辺事態安全確保法で言っている後方支援というものは、リア・エリア・サポートを言っておるわけでありまして、これは法律の三条の一項四号に書いてありますとおり、「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲をいう。」のでありまして、そういった後方地域において行う後方支援でありまして、これは先ほどから委員が御指摘の後方支援と私どもがこの法律で言っている後方地域支援活動とは全く峻別されるべきものである、こういうふうに考えております。
○小泉親司君 私が言っておるのは、それこそあなた方こそ、ある戦闘地域があって、全然違うカリフォルニアの方に後方地域をつくって後方支援をするというんじゃないでしょう。あなた方が言っておられるのは、ある戦闘地域があって、さっき言いましたけれども、ディスティングイッシュ・フロム、つまりそこから、戦闘地域からは区分けされているけれども、その戦闘地域に直接結びつくことだってあり得るじゃないですか。あなた自身何とおっしゃっているかといえば、ロジスティックサポートとリア・エリア・サポートの違いは、ロジスティックサポートなんだけれども一方は場所を指定しているんだ、一方は一般的な概念だったとおっしゃっているんです、あなた予算委員会で。同じことを場所を変えてやるというだけの話で、今議論されている中身は後方部隊と戦闘部隊というのは一体だと。
 例えば、後藤田さんが同じ文春の中で、宮澤大蔵大臣はよくお読みになっているからおわかりかと思いますが、後藤田正晴さん、自民党の元副総理が何と言っているかといいますと、後方兵たんというのはいわばやりの柄で、これは穂先と柄があって初めてやりになるんだと。つまり、穂先という武力と後方兵たんという柄は一体となって初めてやりになるんだというふうに言っておられるんですよ。
 つまり、私はこれが国際的な常識だと思います。それを何か後方地域で分けられるとか、こんな議論をしていても始まらないと思いますよ。実際にあなたが責任を持ちます陸上自衛隊の教範、これ野外令だって何と言っているかというと、兵たんの目的は部隊の戦闘力を維持増進して作戦を支援する。つまり、部隊の戦闘力を維持するためにやるんだと。明白に武力行使と言っているではないですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 今問題になっております後方支援は、先ほどから申しますとおり、この法律において定義されている後方地域においてされるわけであります。後方地域は戦闘行為と一体となったものじゃないということは先ほどるる申し上げたとおりであります。
 では、後方地域の中で後方支援がちゃんと行われているかどうかということが今、委員が御指摘のように大変肝心なところでありますが、これにつきましては、軍事的な常識を踏まえながら自衛隊がさまざまな情報源や常続的な警戒監視活動によって収集した情報、さらには外務省が収集した情報、必要に応じ米軍から提供された情報等を勘案いたしまして、それを詳細に分析し、防衛庁長官が合理的に判断することができるものとしております。
 また、防衛庁長官は、それはこういう周辺事態でありますからどこからミサイルが飛んでくるかはわからない。それは何も後方地域の中じゃなくても東京へ飛んでくるかもしらぬという状況がありますから、そういう実施区域の全部または一部の法案に定められた要件を満たさないという事態が起こったら速やかに指定を変更したり、または活動の中断を命ずることになって、常にそういう第一線とは画された地域で支援活動をやるということが法律上担保されているわけであります。
○小泉親司君 ということは、一般的に戦闘部隊と後方兵たん部隊が一つのリンクとして結びついているということはお認めになるわけですね。
○政府委員(佐藤謙君) これまでの政府側の答弁の繰り返しになるかもしれませんが、まさに我々がこの法律に基づいて行う行為そのものは武力の行使ではございません、それ自体は武力の行使ではございません。ただ、憲法九条との関係でそれが武力の行使と一体化していると評価されるようなことがないように、その活動につきまして後方地域において行うということでございます。
 したがいまして、先生お話のような武力行使と一体化をするということにはならないものと考えております。
○小泉親司君 どこから評価されるわけですか。
○政府委員(佐藤謙君) ちょっと御発言が聞き取れなかったんですが。
○小泉親司君 あなたがどこかから評価されるとおっしゃったので、どこから評価されて、そういうふうに間違われないようにやるのかということをお聞きしているんです。
○政府委員(佐藤謙君) 私が申しましたのは、私どもがこの法律に基づいて行う行為そのものは、それ自体武力の行使ではないということはおわかりいただけると思います。
 ただ、それが、その行われる状況等によりまして米軍等の武力の行使と一体化するもの、こういうことによりそれ自体も武力の行使と一体化していると、こういうふうに評価をされることになりますと、憲法九条との関係で問題を生じますので、そういうことが起こらないように先ほど防衛庁長官から御説明したような仕組みでもって行動をとろうということでございます。
○小泉親司君 ですから、私が指摘しましたように、宮澤大蔵大臣もお認めになり、後藤田正晴さんという方もお認めになり、国際社会でも米軍がこれは戦闘部隊と後方兵たん部隊は一体なんだということを言っておられるわけですから、ほかの人たちがみんな評価するのは、こういう自衛隊の輸送だとか兵たんの活動は、これはもう武力行使と一体というより一つの部隊として動くんだから、それは米軍と自衛隊とは違いますよ、違うけれども、戦争行為としては一体で動くんですから、戦闘行動として一体で動くんですから、これこそ私は明白な戦争行為だというふうに思います。その点、総理、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ですけれども、コカコーラはやっぱり兵器じゃないですよ。
○小泉親司君 大蔵大臣、無責任なことを言っちゃだめですよ。そんなことはだれだっておわかりになる話じゃないですか。宮澤さんがコカコーラと言ったのは後方兵たん部隊のことなんですよ。あなたはあちこちでお書きになっているんですよ、それは。私はあなたの文章でお話ししたので、コカコーラが武器だなんて思う人はだれもいませんよ。そういう無責任な検討でこういう問題をやっちゃいかぬと思います、私は。あなた自身が戦争行為でしかも戦争とは言いがたいということが今度の法案の中に入っているんですから。こんな重大なことを、あなた、コカコーラで私はごまかすわけにはいかないと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の申そうとした真意は、我々が今議論しているのは日本の周辺で日本の危険が侵されているということを言っているのであって、湾岸戦争の話をしているんじゃないじゃないですかということを申し上げたいんです。
○小泉親司君 だから、先ほども言っておりますように、日本が武力行使をまだ受けていない段階から自衛隊がやるんでしょう。あなた方は日本有事日本有事と言うけれども、周辺事態は日本有事と違う概念としてあなた方は持ってきているんですよ。私が言っているのは、そんな日本有事とごちゃごちゃにしないということが私は重要だと思います。
 その点では、私はこの米海兵隊の教本ですとか、それから大蔵大臣のもとの御発言ですとか、そういうことを引きましたが、やはりこの自衛隊のさまざまな後方支援活動というのは戦闘行動と直接結びついている、戦闘行動と後方支援が一体であるというのが国際社会の常識であって、これが一体化しているとか後方地域でやるから大丈夫だなんという議論は私は国際社会では通用しない議論だと思います。その点では、今度の日米ガイドラインは、戦争放棄を定め、武力行使の禁止、武力の威嚇を禁止した私は憲法に明白に違反する行為だということを強く指摘して、次の問題に入らせていただきます。
 次には、日米ガイドラインに書いてあります相互協力計画という点について幾つかお聞きをいたします。
 日米ガイドラインの中には、「日米両国政府は、周辺事態に円滑かつ効果的に対応し得るよう、平素から相互協力計画についての検討を行う。」ということを明記しております。
 今まで政府は、日米共同作戦計画の立案については日米安保条約の第五条に基づくものだというふうに説明されておりますが、それではこの相互協力計画というのは安保条約のどの条項に基づくものなんですか。
○政府委員(柳澤協二君) ただいまのガイドラインで言っております相互協力計画、これは周辺事態における日米の協力のあり方についての検討を行うということでございまして、まさにこのガイドラインでそういう検討を行うということが決められたわけでございます。
○小泉親司君 安保条約の根拠がないということですね。
○政府委員(柳澤協二君) これはもうかねて、当委員会も含めまして、ガイドラインと、あるいは周辺事態法案と日米安保の関係ということでるるさまざま御答弁ありましたように、まさに安保条約の実効性を確保するといいましょうか、安保条約の実効性を高めるという方向で、そのためにつくられたガイドラインでございまして、そのガイドラインの中で、ガイドラインにおける日米の協力のさらに実効性を確保する手だてといたしまして、日本有事における日米の共同作戦計画と並んで、周辺事態における相互協力計画の検討を行うということが決められております。
○小泉親司君 総理はこれまで日米安保条約の枠内だ枠内だと言っておられましたけれども、日本有事の日米共同作戦計画は安保条約の五条に基づくものだと説明をしておいて、周辺事態における相互協力計画は、これは安保条約の実効性を図るためなんだという条項がどこにもないということは、総理、この点はお認めになるんですか。
○政府委員(竹内行夫君) 日米安保条約の中に相互協力計画に関する規定がないことは、もうそのとおりでございます。
 ただし、従来から繰り返し申し上げておりますとおり、ガイドラインと申しますのは日米安保条約の目的、すなわち我が国と極東の平和と安全の維持のために日米間で協力を行うという、その目的の範囲の中で日米間でいろいろ協力をするためのものでございます。それを実効性あらしめるために国内法制度を整備いたしたり、また日米間でいろいろな共同作業を行うということは当然安保条約が想定し、予想しているところであると考えます。御指摘のこの協力計画につきましても、そういう中で日米間で作業をしていく、こういうものでございます。
○小泉親司君 ということは、条約の枠外だということなんですね。
○国務大臣(高村正彦君) 今、北米局長が御説明申し上げたように、安保条約の目的の枠内でございます。
○小泉親司君 私、この相互協力計画は条約そのものでは規定はないと今外務省がおっしゃいましたので、条約の規定上はないものだということは言えると思います。だから、実際にこういうことを総理がこれまで日米安保条約の枠内だと条約論として言っておられるわけですから、私はこういう点は大変重要な問題があるというふうに思います。
 それでは、この相互協力計画がどういう内容を持つのか、この点について幾つかお聞きをいたします。
 日米ガイドラインでは、相互協力計画の結果が日米両政府のおのおのの計画に反映されるというふうに書いてありますが、これは相互協力計画の一部が今度の周辺事態の法案における基本計画に盛り込まれる、こういうことと理解して、総理、よろしいのでしょうか。
○政府委員(柳澤協二君) ガイドラインにおきましても、今、先生一部お読みになったように、日米おのおのの政府の政策に反映されることが期待されるという前提で検討作業を行いまして、これはガイドラインにもあることでありますが、このガイドラインのもとで行われる取り組みはおのおのの判断に従い具体的な政策や措置に適切な形で反映されることが期待される、こうなっております。
 具体的には、相互協力計画の検討を踏まえまして、実際の事態に即した形で日米おのおのの政府が判断をし、それを具体的には、周辺事態関連法案との関係で申し上げれば、基本計画という形で具体的に反映されてくるという関係にあると思っております。
○小泉親司君 この相互協力計画が基本計画に反映されると、私は大変その関係というのは非常に重要だというふうに思います。
 防衛庁はこれまで、相互協力計画について、いろいろな事態があるが、そのうち幾つかの対応を想定して検討することになるという答弁をされております。ということは、例えば朝鮮半島有事とか台湾危機とか東南アジアの危機とか、そういう個々の状況についてこれから検討する、そういうことになるんですか。
○政府委員(柳澤協二君) これは従来から申し上げていますとおり、ガイドラインそのものが特定の国、地域で事態が生じるということを前提にしたものではございませんし、また現在行っております相互協力計画検討の共同作業についても具体的な国、地域の特定の事態というものを想定して行っているということではなくて、むしろいろんな広範な協力の分野がございます、そういったことそれぞれについてどんな形のお互い活動が必要かという、そういうことを念頭に置いて検討しているわけでございます。
○小泉親司君 先日、いわゆる九四年の北朝鮮の核疑惑の際、日本の新千歳とか成田とか関西とか、福岡空港その他の八つの民間空港や、松山とか大阪、名古屋とか福岡、神戸の六つの民間の港湾、こういうものの使用を初め千五十九項目に上る対米支援を要求しているということが明らかにされました。
 私は、この中身は、民間空港や港湾の使用ばかりじゃなくて、輸送や補給や通信や警備など、大変全面的な支援の計画となっているというふうに思います。
 防衛庁長官、長官は、この点についていろいろ内部で検討があった、しかし政府部内には来なかったというふうな御答弁をされましたが、いわゆる米軍と自衛隊による軍事レベルの協議でこういうことも検討になるんですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 日米間においては、日米安保条約体制のもと、平素からさまざまなレベルで安全保障上の情報交換や意見交換を行っておることは当然であります。
 そこで、我が国に対して武力攻撃が行われた場合や周辺事態等に際しての日米協力については、今のガイドラインの見直し作業の中でもいろいろ検討が行われました。その検討経過について、平成八年九月に見直しの進捗状況や、あるいは平成九年六月の見直しに関する中間取りまとめという形で対外的にも公表し、御議論をいただいたところであります。この検討結果は、平成九年九月に新たな日米ガイドラインとして最終的に取りまとめられ、対外的に公表されたほか、同年十二月に国会にも御報告を行っているところであります。
 こういうような日米間の種々の意見交換や検討作業の中で、緊急事態に際して米軍に対する我が国の支援のあり方についてもさまざまな形で議論が行われたことは事実であります。御指摘のように、要望事項として私どもは、ある報道によれば、何か千何項目のまとまったものを政府として受領したというような報道もありましたが、そういう事実はまだありません。米側との関係もあるので、どういう意見交換やどういう検討作業が具体的に行われているかということは、対外的に明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、新しい指針のもとでは、日米防衛協力を効果的に進めるため、日米両国政府は緊急事態に際しての計画についての検討を行うこととされており、現在、包括的なメカニズムの中でそういう各種の検討を行っているところでありますが、今、委員から御指摘のあったような内容についても検討される、検討対象になり得る事項だと思っております。
○小泉親司君 私、この点は大変重要だと思います。
 それともう一つお聞きしたいのは、こういう相互協力計画では、自衛隊の運用ばかりじゃなくて、例えば自治体にどういう協力が必要なのかとか、それからどこどこの港湾をどういうふうに使用するとか、いわゆる自治体へのさまざまな要望ですとか、それから民間業者の輸送業者などに対してどういう協力項目が必要だとか、そういうことも全部検討されるということなんですか。
○政府委員(柳澤協二君) 今の大臣答弁にもございましたように、具体的な検討の状況等につきましては、周辺事態におきますところの米軍、自衛隊の行動に関係する部分が大変多うございますので、具体的にはちょっと申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、米軍も自衛隊も非常に広範なさまざまな活動を行います。その際に、お互いにどのように調整をしていくか、あるいは相互にどのように支援をしていくかというようなことをこの過程の中で詰めていきたいと考えておるわけであります。
○小泉親司君 私は具体的にお聞きしているので具体的にお答えしていただきたいんですが、例えば政府はこの間、自治体に示して、国会にも自治体、民間への十項目の協力例などをも示しておられます。そういうような項目もこの相互協力計画の中に入るのかどうなのかということをお聞きしているんです。長官、どうですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 必要に応じ、そういうものも対象になり得ると思います。
○小泉親司君 とすると、例えばどこの港湾をどういうふうに使用するとか、民間の船舶、民間の航空機、こういうものはどのくらいでどういうふうに調達するか、さまざまなこういうこともこの相互協力計画の中には書き込まれるということになるんですね。
○国務大臣(野呂田芳成君) 今お尋ねいただいております相互協力計画というものは、まだ具体的な内容が全く固まっておりません。今まで三回開いただけでありまして、この法案の成立と並行しながらこれから作業を進めていかなきゃいかぬ問題でありますが、まだこの中身が全く詰まっておりません。
 いずれにしましても、その内容については緊急事態における日米の対応ぶりにかかわってくる問題でありまして、事柄の性格上、私が国会においてその中身についてるる申し述べるということは差し控えたいと思います。
○小泉親司君 しかし、国民に関係する、つまり民間業者ですとかそれから自治体だとか、国民に直接関係することが何か着々と進められているというのは、そういう態度は私はおかしいと思います。
 例えば、この相互協力計画を検討している日米共同計画検討委員会は既に昨年三回、昨年の三月十三日、四月二十一日、十二月十五日、三回やられたというふうな資料が私どもに来ておりますが、この三回でどういうことをやったんですか、具体的に。それは詳細に、これこれこれだということを言えと言っているわけじゃないんですが、テーマはどういうことでやられたんですか。
○政府委員(柳澤協二君) 昨年の一月二十日の日米安保協議委員会におきまして包括的メカニズムの構成が承認をされまして、その中の一部として自衛隊と米軍のメンバーを中心としたBPCと申しますか、共同計画検討委員会ができまして、その作業の立ち上がりが先生今言われたように三月からでございます。具体的な内容は御勘弁いただきたいと思いますが、ごく大まかに申し上げれば、非常に広範な対象がございますので、まだ比較的入り口の認識合わせのところの作業をしておるというふうに御理解いただきたいと思います。
○小泉親司君 どういう部隊が参加してやっておるんですか。
○政府委員(柳澤協二君) これは日本側が統幕会議の事務局長をヘッドといたしまして統合幕僚会議事務局及び各幕僚監部の関係の担当の職員でございます。米側は在日米軍の副司令官を共同議長といたしまして在日米軍司令部の担当官が出てきておるということであります。
○小泉親司君 とすると、米軍と自衛隊の間でもう着々とそういう相互協力計画がいろんな検討の段階に入っておる。例えば、先ほど防衛庁長官が御答弁されましたが、既に九四年のいわゆる朝鮮半島有事の際のさまざまな計画なども、もうこの共同計画検討委員会の俎上にのっていると言っても、長官、差し支えないんですね。
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほど委員も、まだ三回しかやっていないということをよくお調べいただいてお尋ねいただいておるわけでありますが、今、運用局長から答弁しましたとおり、まだその入り口のところでやっているわけでありまして、お話のようなことについて着々とやっておるわけではない。
 先ほどお話がありましたが、民間人や公共団体に協力を求めたり依頼することができるということで、これは法律上は、言うことを聞いても何でも、拒否権もあるし罰則規定もないわけですからあれですけれども、そういう問題にも触れるわけでありますから、私どもはそういうことも考えながらこれから適切な協議を重ねてまとめていきたい、こう思っておるところであります。
○小泉親司君 ということは、この協力計画というのは、現在は在日米軍とそれから太平洋軍との、米軍と自衛隊の軍レベルでさまざまな検討をしておるということでありますけれども、これは例えば作成された場合は個々の事態に分けて、つまり台湾の危機ですとか東南アジアの危機ですとか、そういう個別の、特定の問題はともかく、個別の問題に対してさまざまな計画文書としてまとめられるんですか。そういう形にするんですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほどのガイドラインによりまして、今共同計画検討委員会、BPCと言っておりますが、本当にこの事務局長クラスの接触を三回ほどやったということであります。これから、今度は防衛協力小委員会、SDCという局長クラスの委員会が始まる、さらに日米安全保障協議委員会、大臣レベルの会議が行われる、こういうような手順を踏んで、総理大臣と大統領の必要があればそういうことも行われると思うのでありますが、まことにまだ入り口の問題でありまして、先生にお答えするほどの協議をやっていないというのが現状であります。
 しかし、計画についての検討作業は、その結果が日米おのおのの計画に適切に反映されることが期待されるという前提のもとで行われております。このことはガイドラインにもちゃんと書いてあります。その成果は防衛庁としての所要の検討準備等に反映されることと当然なります。また、日米は実際の状況に照らしておのおのの計画を調整することとされており、周辺事態に際して自衛隊が実施する例えば先ほど話題になりました後方地域支援のような内容等は、具体的には基本計画や実施要綱に基づき決定されるようなこととなるわけであります。
 その際に、計画についての検討作業の結果等を踏まえて、国益確保の観点から、我が国の主体的な判断が行われる、こういうことになると思います。
○小泉親司君 キャンベル国防次官補は、一昨年の九月十七日の国防総省の記者会見で、今度の相互協力計画について何と言っているかといいますと、この相互協力計画というのは、港を使用するとかそれから港湾を使用するとか、こういういろんな日本の後方地域支援について明確な保障と明確な了解をアメリカに提供することになっているんだと。例えば、多種多様な後方地域支援が非常にあるんだと。その取り決めは、単なる数ページとかそういうものじゃなくて、数百ページのものになる、膨大なものになるんだというふうに発言しておられます。
 先ほど長官の話ですと、何かでき上がったら大統領まで行くようなお話をされておりますが、そうなるとこの文書というのは当然国会には報告されるんですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 私は段階としてそういうことはあり得ると言っただけでありまして、現在は一番末端のレベルでの議論であります。キャンベルさんがどういうことを言ったか、それは私どもとしては公式に全く伺っておりません。
○小泉親司君 私、キャンベルさんのお話を聞いているんじゃなくて、相互協力計画というのは、あなた方繰り返し何か公表しないようなことを言っているけれども、大統領まで持っていくとあなたおっしゃったから、実際にはこれは当然基本計画の大もとになるわけですから、周辺事態を判断する基本計画の大もとになるこの相互協力計画というのは、それじゃ国会には提出しないんですか。国会は全く知らないまま進むということですか。どうですか。
○政府委員(柳澤協二君) まず、相互協力計画の検討の共同作業の性格についてちょっと補足的に申し上げさせていただきますと、これは何かまとまった計画書というような形でコンクリートなものが組まれるという性格のものではございませんで、まさにその一番活動の主体といいましょうか中心的な存在になります米軍と自衛隊の間で、どのような活動をしていくのかということを相互に認識を合わせて詰めていく作業をしておるわけでありまして、それがまさに適切な形でおのおのの判断に従って政府レベルの政策に反映されるというところは、これは大臣も申し上げた、必要に応じて局長級あるいは閣僚級の指示をいただきながら、政府としての対応というのはまた別途これは政府の判断でやっていただく必要があるだろう、そういう性格の作業だということを御認識いただきたいと思います。
○小泉親司君 ということは、あなた方がおっしゃるのは、米軍と自衛隊はいろんなさまざまな数百ページにも及ぶ相互協力計画というものをお互いに持っていて、お互いの共通認識になって、それで今度は政府が基本計画というものをつくるとなると、その引き出しから一枚か二枚ぐらいの紙を出して国会に提出しよう、こういうことなんですか。
○政府委員(柳澤協二君) まず、自衛隊と米軍の作業の成果というものがどんな形の文書になり、どんなボリュームになるかということについてはまだ実は私どもも予断をしておりません。
 いずれにしても、それはその段階で完結するものではなくて、それが政府レベルに報告され、政府レベルでその取り扱いを、先ほど大臣は自衛隊については防衛庁の防衛、警備に関する計画の中にそれを適切に反映していくということを申し上げましたけれども、政府レベルに、それはそれぞれ何かあったときというよりは双方の話がある程度詰まりましたところで節目節目で御報告をし、指示をいただきながら、いわばエンドレスに続けていく、そういう下作業という性格のものであります。
○小泉親司君 私、やはり米軍と自衛隊が着々と、長官は着々とじゃないと言っておられましたけれども、具体的な活動がどんどん進んで、実際にはこれをあなた方は非公開にして、どんどん軍レベルでは進めて、こういう重大な内容を持つ相互協力計画が基本計画の大もととして進められて、実際、基本計画の段になったらその相互協力計画の一部が発表されると。そういう点、総理、いかがですか。
 それは、私は国会のいろんな審議の状況からしても、非常にやはり国会の、いわゆるあなた方がシビリアンコントロールと言ってきたんですが、こういうことそのものにも反することなんじゃないんですか、総理。
○国務大臣(野呂田芳成君) 私どもが日ごろ膨大な資料をアメリカと日本でおのおの持ち合ってという状態には今ありません。これは今、局長から答弁したように、エンドレスに常にやる話でありますから、これから一生懸命やります。
 大事なことは基本計画や実施要綱に盛られてくるわけで、これらは国会に報告をして国会の御了解を得て動くということになりますので、中身の大事な部分は基本計画に盛られて国会に報告されるわけですから、国会はもちろん、国民にもよく熟知されるような公表を行われるということが担保されていると思います。
○小泉親司君 相互協力計画は公表するんですか。あなた今おっしゃったでしょう。
○国務大臣(野呂田芳成君) 基本計画は国会に報告されるわけですから隠しようがないと思います。
○小泉親司君 基本計画の話をしているんじゃないんですよ。相互協力計画の話をしているんですよ。相互協力計画も国会へ出すんですか。
○国務大臣(野呂田芳成君) では、もう少し詳しく申し上げますが、相互協力計画についての検討は日米両国政府が周辺事態に円満かつ効果的に対応するように平素から行っているものであります。周辺事態に係る日米協力の考え方や協力の対象はガイドラインに明記されているところであります。
 計画についての検討の具体的な内容については、緊急事態における日米の対応ぶりにかかわってくるものであり、事柄の性質上、その内容については対外的に明らかにすることは制約があると考えておりますが、指針のもとでの日米間の取り組みが指針に明記された基本的な前提及び考え方に従って行われることは当然のことであると思っております。
○小泉親司君 この基本計画の大もとになる相互協力計画が米軍と自衛隊によって着々と進められていく、それで国会には基本計画として出されると。やはり問題は、相互計画を秘密にしながら、実際に基本計画になったら日の目を見るというのは大変私は国会を無視したことだというふうに思います。
 この点を強く主張して、私の質問を終わります。
○委員長(倉田寛之君) 以上で小泉親司君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、田英夫君の質疑を行います。田英夫君。
○田英夫君 冒頭から厳しいことを申し上げなければならないんですが、ガイドライン関連法、国内法二つ、協定が一つ、既に国会に提出されてはいますけれども、政府の趣旨説明はまだ行われていないわけであります。にもかかわらず、与党と一部野党との間で修正の話が行われている、かなり公然と行われているということはまことに不可解であります。宮澤さんがこの中では一番議員歴がお古いと思いますが、総理も四十年近い国会の中の御経験から、恐らくこんなことは前代未聞じゃないかと思うんですよ。これはいわば国会の慣習、ルールとはいかがなものかと言わざるを得ないし、私ども社民党に対してはいわば無礼なやり方だと感ぜざるを得ないんです。
 こういうことであるならば、つまり趣旨説明が行われ審議が始まらないうちにもう修正をしなければならないというほど不完全な欠陥法案であるならば、一度取り下げて再提出をされるというおつもりはありませんか。
○国務大臣(小渕恵三君) 周辺事態安全確保法外案件につきましては、既に三国会にわたっておるわけでございます。当初、法案を提出させていただきまして、直ちに御審議をお願いいたさなきゃならなかったわけでありますが、金融二法を初めとして過ぐる臨時国会におきましては補正予算等がございまして今日になりました。したがいまして、今国会におきまして、衆議院におきましては特別委員会も設置をされたという状況でありますので、本格的な御論議が進められると思っております。ただ、極めて重要な法案でございますので、衆参ともに今日まで予算委員会を初めとしていろいろな角度からの御審議が進んでおることでございます。
 したがいまして、政府といたしましては、当然のことながら原案をこれから御説明申し上げて、その趣旨を明らかにし、改めて両院におきましてこの審議をお願いするということでございますので、今、田委員お話しではございますけれども、政府といたしましては、当初提出をいたしております法案をもとにいたしまして十分なる御審議を国会にお願いいたしたいというのが現時点でございます。
○田英夫君 まことに残念な状態だと言わざるを得ないんです。
 きょう参議院の予算委員会の集中審議、当然外交・防衛問題ということでガイドライン問題が中心でありますけれども、お聞きのように、参議院の良識といいましょうか、きょうの各党の御質問は、ガイドライン関連法案あるいは協定の内部に入った細かい御質問ではないのであります。
 もっと基本的な日米ガイドライン、防衛協力の指針そのものは実はもう両国政府間で一昨年、一九九七年九月に発動してしまっている。私どもは当時与党でありましたから、与党ガイドライン問題協議会、六月の中間発表以来四カ月間私も委員をいたしまして、自民党の皆さんと激論をいたしました。そして、四カ月間話し合った結果、合意に至らずという文書をつくって、与党間ではそれで終わったのでありますが、政府はその状態を横に置いて政府同士で発動してしまって、現在、実は政府間ではガイドラインというのはもう動いている、いつでも動かすことができるという状態じゃないんでしょうか。外務大臣、どうですか。
○国務大臣(高村正彦君) 動いているという意味がよくわかりませんが、確かに日米間で新しいガイドラインをつくって、これはまさに政治的意味を含めた日米間の文書でございますから、それに基づいて関連法案等もつくって国会にお諮りをしているところでございます。
○田英夫君 それでは伺いますけれども、いわゆる政府間で既に発動していると私が申し上げたガイドライン本体というものは、どういう条約に基づいて日米間でつくられたのか。安保条約とかあるいは国連憲章も入れてもいいと思いますが、根拠になる条約は何ですか。
○国務大臣(高村正彦君) 日米安保条約は、我が国及び極東の平和と安全の維持を目的としているわけでありますが、この目的を達成するためにこの条約が明示的に規定しているのは、第六条に基づく米軍に対する我が国の施設・区域の提供でありますが、この条約は、我が国が施設・区域の提供以外のいかなる協力も行わないということを定めているわけではなくて、日米安保条約に基づく日米安保体制は、安保条約の目的達成のために、地位協定等の関連取り決めや関連国内法令に基づき我が国が広範かつ緊密な協力を行うことを当然の前提としているわけでございます。
 そういう前提のもとに、このガイドライン、ひいては安保条約の実効性を高めるためにこの法案を提案させていただいている、こういうことでございます。
○田英夫君 私は法案のことを申し上げているんではなくて、さっき申し上げたように、法案というのはまだ審議の対象になっていないんですから、趣旨説明も聞いていないんですから、私が申し上げているのはガイドライン本体です。これはもう四十数項目にわたって米軍を支援するということが決められている。これはいかなる条約に基づいてこうした二国間の一つの取り決めをしたのか、こういうことを伺っているわけです。
 今ちょっと外務大臣が言われた安保条約第六条というのは、もう言うまでもなく、日本が米軍に日本の領土内に米軍基地を提供するということと、その基地を使って米軍が活動する範囲は極東である、そういう意味のことが書いてあるにすぎないんです、書いてあるだけなんですよ。別に、日本がアメリカの軍事行動に対して協力するとかしないとかいうことは、安保条約のどこに書いてありますか。どこにも書いていないでしょう。
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
 委員御質問の日米防衛協力のための指針、ガイドラインそのものがどういう条約に基づいているかという点でございますけれども、委員御案内のように、日米防衛協力のための指針の「基本的な前提及び考え方」、これはその第二項でございますけれども、そこに関連の規定がございます。
 一つは、「日米安全保障条約及びその関連取極に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは、変更されない。」。すなわち日米安保条約というものが日米ガイドラインを形づくる大きな基礎ということと思います。
 それから二番目に、今の第二項の中の第三点でございますが、「日米両国のすべての行為は、紛争の平和的解決及び主権平等を含む国際法の基本原則並びに国際連合憲章を始めとする関連する国際約束に合致するものである。」。国連憲章を中心とする現下の国際社会の中の基本的な枠組み、取り組み、これがもう一つの基礎になっている。
 この二つの大きな基礎の中に日米ガイドラインが形づくられたということかと思います。
○田英夫君 ということになりますと、これは新しい一つの約束、日米両国政府間の防衛にかかわる約束ができた、こういうふうに言わざるを得ないんです。
 そこで、過去の六〇年安保にさかのぼってこの問題を少し解明しておいた方がいいのではないかと思います。
 いわゆる六〇年安保のとき、一九六〇年二月一日に、当時の岸首相が施政方針演説の中で当然安保条約のことについて述べておられる。また二月九日には、藤山外務大臣がまさに安保条約の趣旨説明をしておられるわけです。その両方を読んでみても、今言われたようなことは全然想定をされていないのですよ。
 例えば、藤山外務大臣の趣旨説明は三つの点から成っています。
 一つは、日米安保体制というのは、今、東郷条約局長が言われたように、日米安保体制と国連との関係を明確にした、国連憲章を尊重するということを明確にした。そこで、趣旨説明の中で藤山さんは、安保条約に基づく実力措置は、外部よりの侵略のない限り絶対に発動することのない、純粋に防衛的なものであります、こういうことを言っておられる。これが後にいわゆる専守防衛という言葉に発展したんだと思います。
 また二番目に、アメリカの日本防衛援助義務を明確にしたものである。そして、日本の施政下にある領域に対して外部から武力攻撃が加えられた場合には、米国は日本とともに対処するよう行動することを規定している。これが安保条約第五条でしょう。
 三番目に、条約を実施していく中で特に重要な事項についてはいわゆる事前協議をする。そして、これにかかわって岸・ハーター交換公文が結ばれた、こういうことを藤山さんは述べておられる。
 こういう文脈の中から、さっき条約局長が言われたような日本がアメリカを支援するということは全く想定されていない、こう言わざるを得ないんですけれども、総理、いかがですか。
○国務大臣(小渕恵三君) 今回のガイドライン法は、要するに日本の平和と安全に対して協力をする米軍の支援ということでございますから、基本的には安保条約の根本的な精神に立脚しているものだ、こういうふうに認識をいたしておるところでございます。
○田英夫君 そういうことはどこにもないんですよ。今申し上げたように、日本が攻撃を受けた場合にはアメリカが日本を支援するということは第五条で決まっている。しかし、日本がアメリカの軍事行動を支援するということは全くないんです。
 岸首相は施政方針演説の中で、先ほど申し上げた二月一日ですが、「本条約は、国連憲章によって否認された侵略行為が発生しない限り、決して発動されることのない平和と自由のための条約なのであります。」、こういうことを言っておられて、これは最も基本的なところです。
 ということは、今度のガイドラインによると、いわゆる周辺事態というそのアメリカ側の判定でとにかく軍事行動を起こす、さあ日本、支援してくれと、こういう話になっていくわけでしょう。そういうことは今までの安保条約を含めて一体どこにありますかということを聞いているんですよ。そこを明快にしてください。
○国務大臣(高村正彦君) 新たな日米防衛協力のための指針でありますが、その基本的な前提及び考え方として、「日米両国のすべての行為は、紛争の平和的解決及び主権平等を含む国際法の基本原則並びに国際連合憲章を始めとする関連する国際約束に合致するものである。」旨、明記をしているわけであります。
 我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態において、事態の拡大の抑制収拾のため、国連憲章及び日米安保条約に従い行動する米軍に対し、我が国が後方地域支援を行うことはむしろ当然であり、国際法上も何ら問題はないと思っております。
 米軍がそうすれば必然的にやるとおっしゃいましたが、我が国は主体的に判断をするということにもしておりますし、それと同時に、その我が国の判断が、互いに密接に協議をしていますから、常に反映されるような仕組みになっているということも申し添えておきたいと思います。
○田英夫君 もう今のやりとりでおのずからお互いにわかってきたんじゃないかと思うんですけれども、今まであった安保条約というものを根拠にしては日本がアメリカの軍事行動を支援するということは出てこないんですから、新しい条約を結ばなくちゃいけないんじゃないですか。ということになれば、六〇年安保という言い方がありますが、九九年安保というものを結ぶべきだったんじゃないですか。その点はどう思われますか、政府は。
○国務大臣(高村正彦君) 先ほどから申し上げていますように、第六条で米軍に対して我が国の施設・区域を提供していますが、それはこの条約では、我が国が施設・区域の提供以外のいかなる協力も行わないということを定めているわけではないわけでありまして、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすような事態が出ているときに、そういう我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼさないように、米軍が活動しているときに日本がそのために後方地域で支援をする、そういったことはむしろ当然のことであろうと。そういうことの根拠を定める周辺事態安全確保法案は、そういうための根拠を定める法案をつくって国会にお諮りする、こういうことでございます。
○田英夫君 法案というのは国内法ですからね。日米安保条約というのは政府と政府で結ぶ二つの国の間の約束ですよ。今度のガイドラインも二つの政府間の約束でしょう。そんな国内法のことを聞いているんじゃないんです、私が伺ったのは。今の答弁は私の質問に対する答えになっていない。
 政府は一体、日本がアメリカの軍事行動を支援するという行動はどの条約に基づいていると思っておられるのか。安保条約六条はだめですよ、さっき申し上げたとおり基地を提供して極東の範囲で行動するというだけですから。第五条は日本の場合ですから、どこですかということを聞いているんです。
○国務大臣(高村正彦君) 日本とアメリカと、ほかの国でもいいわけでありますが、日本が他の国のために何らかの支援をするというのは、その両国間に何らかの条約があって、それに義務づけられていること以外にしてはいけないということではないわけであります。
 そして、日米安保条約六条が根拠だと言っているわけじゃなくて、六条があるからといってそれ以外やっちゃいけないということではありませんし、この安保条約の目的に関する限り、目的を見る限り、こういうことをやる方がよりこの安保条約の実効性が上がるだろうというのが我が国政府の判断でございます。
○田英夫君 では、ちょっと視点を変えて基本的な考え方を掘り下げてみたいと思うんです。
 先ほどから、お答えの中で国連憲章というものとのかかわりに触れておられる。実はこのことは、岸首相が六〇年安保のときに繰り返し繰り返し言っておられる。この新しい安保条約というのは国連憲章の精神に基づいているんですと。さっき申し上げた藤山外相の趣旨説明の中でも、一番冒頭に日米間の安保体制と国連との関係を、つまり国連の憲章との関係を明確にしたんだと、こういうふうに言っておられる。
 では、国連憲章と安保条約というのはどういうところでそういう関係があるのかということを見てみると、国連憲章前文に「共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則」とすると、一番先にそのことをうたっていますね。それから第一条で、平和的手段によって国際の平和及び安全を維持すると、こういうことを規定する。第二条で、国際紛争を平和的手段によって解決するという言葉が出てくる。国連憲章の主たる精神は平和主義だ、こういうふうに受け取れます。ただし、先ほど同僚委員の御質問の中でも出てきましたように、国連憲章は、第七章でいわゆる軍事力による解決というものを認めている、これが一つの特徴でしょうね。
 これに対して安保条約は、やはり第一条で「国際連合憲章に定めるところに従い、」と書いてある。そして、どこかで聞いたような言葉と同じなんですが、「武力による威嚇又は武力行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない」方法も慎むと。難しい言葉ですけれども、要するに武力による威嚇、武力の行使は慎むと。これは日本国憲法とつながってくるわけですね。こういう点で平和主義という共通点がある。
 基本は、国際紛争は軍事力によらずに平和的話し合いで解決すべきだということじゃないんでしょうか。この点は私ども社民党の考え方と全く一致すると言っていいんです。しかし、国連憲章は第七章がある。ここで私どもと違ってくるんです。こういう対比をした上で、日本国憲法第九条で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と。これは極めて明快ですね。
 この国連憲章、安保条約、日本国憲法と三つ並べて、総理、今お聞きになっての御感想を伺いたい。
○政府委員(東郷和彦君) 国連憲章と安保条約の関係につきまして、法的な観点からまず若干の補足を申し上げたいと思います。
 国連憲章に関しましては、まさに委員御指摘のように、第一条、第二条、ここで平和的な解決、国際問題の平和的な処理という点を強調した上で、第七章のところで、万やむを得ざる場合の武力の行使ということが述べられております。
 他方、安保条約につきましては、第一条におきまして、委員御指摘のように国連憲章に従った平和的解決の必要性というのを両国の義務と課した上で、委員御案内のように第五条における日本有事、それから第六条における施設・区域の米軍に対する提供というところにおきまして、万やむを得ざる場合の武力の行使ということについての規定がございます。
 その意味で、国連憲章の行動と安保条約の行動というのはパラレルをなしているというふうに考えます。
○田英夫君 そんなことは僕がとっくに言っているんだよ。総理。
○国務大臣(小渕恵三君) 国連憲章、日本国憲法、そしてまた安保条約を結びましたこと、それぞれの整合性の中で我々は安保条約を結び、そのことによって自国の平和と安全を維持していくということで、それぞれの理念、精神、こういうものを受けとめながらこの安保条約というものが成り立っているものと理解しております。
○田英夫君 今申し上げたように、いわゆる平和主義、国際紛争は平和的に解決するということをせっかく先輩が積み上げてきて、安保条約の中でもそのことをとにかく規定している。ところが、今度の新ガイドラインは全く違いますよ。これは、特別委員会なりで審議が始まったらこの点を本当に詳細に議論しなければならないと思います。
 日本に対する武力攻撃というのは安保条約第五条で規定している。それを受けて、一九七八年の旧ガイドライン、ここまでは百歩譲って認めるとしても、今度のは全然違う。根拠になる安保条約の中の規定もないまま、日本がアメリカの軍事行動を支援する。
 例えば、安保条約六条で米軍に基地を提供しているところまでは規定がありますけれども、米軍の活動に対して後方地域支援をやるというんですね。これは何が根拠ですか。安保条約の第何条でこういうことができるんですか。
○国務大臣(高村正彦君) 先ほどから申し上げていると思いますが、安保条約の何条でできるという直接の規定はないということを先ほどから申し上げているつもりであります。
 ただ、逆に安保条約上こういうことでそういうことができないということでもない、そして実際問題としてそういうことをやった方が安保条約の実効性、信頼性を高めると政府は判断している、そういうことで国会にお諮りをする、こういうことでございます。
○田英夫君 今度の新ガイドラインでは、日本の領土、領海、領空外に出て自衛隊が活動するということが出てきますね。これは今までの規定のどこからそういうことが許されるんですか。公海とか外へ出ていく、領域外に出ていくんです。これは外務大臣でも防衛庁長官でも。そういうことが起こるわけでしょう。
○政府委員(佐藤謙君) あるいはこれは直接のお答えにならないのかもしれませんが、領域外に対する活動という意味では、例えば機雷掃海の九十九条でも、これは領域外の活動もございますし、あるいは自衛隊の活動といたしましてはPKO法に基づきまして海外での活動、こういうところもあろうかと思います。
○田英夫君 PKOを出されましたけれども、この平和維持活動とは違うんですよ。しかも、六〇年安保のときの岸首相の答弁、一九六〇年三月十一日の安保の審議の中で岸首相は、自衛隊が日本の領域外に出ることはあり得ないのです、アメリカ軍が対応する場合を含め他から攻撃を受けた場合にも自衛隊が日本領域外に出ることは許されないのです、こう岸さんは言っておられます。
 ここにこんな膨大な速記録がある。これは六〇年安保のときのこうしたやりとりを全部収録したものです。これは衆議院外務委員会調査室の労作だと思いますけれども、条約の性格とか事前協議とか極東の範囲とか、項目別に質問と答えを上下に分けて収録している。これは大変貴重な資料だと思いますが、それを読みました。そういう中から今引用しているんです、岸首相や藤山外相のさっきからの発言は。
 繰り返しますけれども、岸首相は自衛隊が日本の領域外に出ることはあり得ない、こう言っているんですよ。今の答え、PKOなどを持ち出して苦しい答弁をされたけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(高村正彦君) 岸総理が述べられたのは安保条約の五条に関する場合のことでありまして、安保条約の五条は、いかなる場合においても日本の領土が武力攻撃を受けるのでありまして、領土外に出るという場合は絶対にないのであります。したがって、いわゆる集団的自衛権で日本の領域外、相手国の領域がやられているという場合にこれを自衛の義務において援助するという場合は含まない旨を答弁したことがあるということは承知をしております。
 すなわち、日米の共同対処行動が開始される要件は、我が国の施政のもとにある領域における日米いずれか一方に対する武力攻撃の発生であり、当時岸首相も、我が国の施政のもとにある領域外の区域、例えば米国が攻撃された場合に自衛隊が米国の領域に赴くことはないとの趣旨を述べていたわけであります。このような政府の考え方は現在も変わっておりません。
○田英夫君 変わっているんですよ。全く不勉強だと思います。それは、第五条が安保条約の中核なんですよ。日本が攻撃を受けたときには米軍がともに対応をするということが基本であって、だから当然領域外には出ない。では、領域外に出ていいという規定がありますか。第六条は、さっきから申し上げているように、基地を提供し、その基地を使って米軍は極東の範囲の中で活動するというだけのことなんですから、全く、さっき申し上げたように、九九年安保条約を結ばなくちゃだめだったんですよ。そうすべきなんですよ。
 先ほど取り下げなさいと申し上げたが、これは国内法の話ですから、九九年安保条約というものを改めておつくりになってガイドライン本体を取り下げるべきじゃないですか。アメリカ政府との間に本来そういう形で話し合いを進めるべきだったと私は思います。
 これは、やはり総理からお答えいただきたい。
○委員長(倉田寛之君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(倉田寛之君) 速記を起こして。
○国務大臣(小渕恵三君) まず、この日米安保条約の目的が、我が国及び極東の平和と安全の維持であることは申すまでもありません。
 そこで、周辺事態安全確保法案は、安保条約上の具体的条文を根拠とするものではありませんが、我が国の平和と安全の確保に資することを目的としており、日米安保条約の目的の枠内であります。
 また、周辺事態における日米協力は、あくまで日米安保条約の目的の枠内において行われるものであり、周辺事態安全確保法案第三条第一項第一号でも、周辺事態において我が国から協力の対象となる米軍は、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っておる米軍であることを明記いたしております。
 長い間、いろいろ歴史的経過も存じておられる田委員でございまして、新しい安保条約を制定の上ということではございますが、今回、新ガイドラインを結ぶに当たりましては、クリントン大統領、それから橋本総理、この間の首脳会談におきまして、現行安保条約のもとにおいてガイドラインを制定するという方針を判断いたしたわけでございますので、政府といたしましては、その方針に基づいてこのガイドライン法案を提出させていただいた、こういうことであります。
○田英夫君 この新ガイドラインができたいきさつは、総理が言われたとおり、橋本・クリントン会談、共同宣言、ここでガイドラインを新しくしようということになったのは十分存じておりますが、あそこから日本の防衛問題が逆におかしくなったと私は思っているんです。
 この問題については、今後、きょうの私が申し上げたことも十分お考えいただいて、条約的根拠のないこうした防衛にかかわる重大な変更というものは安易にやっていただきたくないし、また、国会の承認を必要としないああいう今回のようなやり方でやる問題ではないということを申し上げておきたい。
 最後に、もう一つ別の問題ですけれども、去る三月三日にフォーリー駐日アメリカ大使が、衆議院のガイドライン特別委員会の山崎委員長以下一部の野党の理事の方と一緒に会食をしたという報道があります。それは事実のようでありますが、フォーリー大使のこの会談の中の発言は、ガイドライン関係法案の国会審議の迅速性と実効性を保証されたい、つまり、修正をしたりして長引いてしまうのは困るという意味のことを述べ、野党の方は自分たちの修正についての考え方を述べられたというふうに言われておりますが、自民党総裁としてこの事実は御存じですか。
○国務大臣(小渕恵三君) 甚だ申しわけありませんが、そうした山崎委員長とフォーリー大使との話し合いのすべてを承知いたしておりませんので、この際、コメントすることはお許しいただきたいと思います。
○田英夫君 山崎委員長以下会われた方も実は問題でありますけれども、さらに問題なのは、フォーリー大使の発言、言動ではないかと思うんです。
 私ももう二十年来の親しい友人の一人でありますし、大変親日家でありますから、こういうことで取り上げるのは大変残念でありますけれども、今回のその発言は、外交関係ウィーン条約、一九六一年に採択をされた条約でありますが、その条約に違反していると言わざるを得ない重大な問題であります。
 この条約の第三条では、「使節団」と書いてありますが、これは外交団、つまり大使や大使館の人のことです。使節団は、「接受国の政府と交渉すること。」、また第四十一条の第一項では、「接受国の国内問題に介入しない義務を有する。」とはっきり書いてあるんです。そして第二項で、「接受国を相手とするすべての公の職務は、接受国の外務省を相手」としなければならないと書いてある。これは日本が六四年に批准をしている条約であります。
 フォーリー大使の今回の言動は、明らかに接受国日本の国内問題に介入をした、こう言わざるを得ないんですが、総理、いかがですか。
○国務大臣(高村正彦君) 確かに、委員が御指摘になったようなウィーン条約に規定はあるわけでありますが、他方、外交関係ウィーン条約は、外交使節団が、自国及び自国民の利益を保護し、任国の諸事情を報告し、また接受国との友好関係を増進するために、接受国の外務省以外の要人や一般国民と広く意見交換を行い、情報収集を行うことを排除しているわけではありません。このような活動は、外交使節団の任務として三条の一に規定されているわけであります。
 今般、フォーリー駐日米大使が日米防衛協力のための指針に関する特別委員会の山崎委員長及び他の理事と会談し、指針関連法案について意見交換を行った旨報じられておりますが、政府として承知している限り、すべて知っているわけではありませんけれども、フォーリー大使の行為は、日本国を相手とする外交交渉や協議に当たるものではなくて、外交関係ウィーン条約において認められている情報収集や意見交換に当たるものと考えております。また、このような情報収集や意見交換が接受国の国内問題への介入に当たるとは考えておりません。
○田英夫君 時間が来ましたので終わりますが、今の外務大臣の御答弁は全く納得ができません。
 終わります。
○委員長(倉田寛之君) 以上で田英夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、月原茂皓君の質疑を行います。月原茂皓君。
○月原茂皓君 まず、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 この前テレビを見ておったら、北朝鮮の危機に関するシナリオのテレビですが、そのときに、宮澤大蔵大臣、かつて総理大臣だったころの話かとも思いますが、米国の方から核の話を聞いたというふうに私は聞こえたんですけれども、現実にどういうお話をされたんでしょうか。
 もう既に外務大臣も答弁されておりますが、米国の政府機関の中には、北朝鮮が合意された枠組みの署名以前に、少なくとも一個、恐らく二個の核兵器が製造可能なプルトニウムを生産したと分析する者もありますがという表現で外務大臣が言われておるわけですが、宮澤大蔵大臣が発言されたので、あれと思って、それであえて聞くわけです。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、この三月四日の「ニュースステーション」のドキュメントであったそうでございますけれども、一九九四年だそうです。私が総理であったと言われたそうですけれども、それを聞いた人は、アメリカ政府の中には、人によって違うんですが、北朝鮮でしょう、核兵器一個ぐらいを製造できるプルトニウムは既にあるとか、こういうふうなことだそうです。
 私は、このことを記憶いたしておりませんけれども、ただこのころしきりにそういう話がありまして、一つあるとか六つあるとかいう話があったのは覚えている。私がここで言おうとしたのは、それはよくわからぬ、正式にはだれも何もわかっていない、いろんな話があるということと、しかし大事なのは、実はそれだけのプルトニウムがあるかないかじゃなくて、それをミサイルで運べるコンパクトな弾頭にできるかどうか、そこのところの方がよっぽど大事な話なんだということをたしかしたんじゃなかったかと思います。
○月原茂皓君 宮澤大蔵大臣のお話も、また先ほど紹介した高村外務大臣のお話にも、核の疑いがあるということは言えると思うんです、枠組みの話し合いの以前にあった核というものが残っておる問題。
 そういうことでありますが、そこで我々日本の国としてよく考えておかなければならないのは、私は常に強調しておるんですが、いろいろな手段を講じて米国とかもろもろの、韓国等も我々と協調していろんな行動をしていますが、しかし最後に残るものは何かといったら、その以前の核は残る可能性が非常に高い。それから、ミサイルは自国で開発したものだからといって、もし輸出が仮にとまったとしても、ノドンの配備を初めとするそういうものは残る。そしてまた、自国を守るためだということで、生物化学兵器の生産量も持っておる。そういう国と我々は海を一つ隔てて近いところに存在する国であるということが、私は日本の防衛の最も基本的な問題点だと思っております。
 そして次に、法務省の刑事局長、見えておると思うんですが、この前新聞を見ておったら、東シナ海の公海上での覚せい剤取締法違反に関し、米海軍に照会した結果を公判で出されておりますが、そのことについてお話し願いたいと思います。
○政府委員(松尾邦弘君) 御質問は、暴力団組長が、昨年の八月でございますが、配下の暴力団組員らと共謀の上、東シナ海の公海上で北朝鮮船籍の船舶と接触しまして、同船舶の乗組員から覚せい剤約三百キログラムを受領して本邦内に搬入して密輸入したという起訴事実等に基づきまして、現在東京地方裁判所に公判係属中の事件についてのお尋ねだと思います。
 本年三月二日に行われましたこの事件の公判におきまして、検察官は米海軍が我が国の警察に提供した公海上を航行中の不審船の写真を裁判所に証拠として請求しまして、これが証拠採用されたと承知しております。
○月原茂皓君 今、刑事局長のお話にもありましたが、麻薬の関係では我が日本の国が一番大きな市場なんだということが、先日、米国務省の九九年版国際麻薬対策戦略報告というものに出ておる。そして、目的ということでなしに、日本が北朝鮮の覚せい剤の大市場になっているとの情報があるということまで言明しておる。そして、過去の話でありますが、日本に関して言えば、九七年四月、日本の税関が北朝鮮の船に積まれたハチみつと記された貨物から覚せい剤六十五キロを接収した、こういうことが米国の国務省の報告書に出ておる。
 私は、そういうことから、今申し上げたような国が、我が国民を領土から拉致して、しかもまた覚せい剤まで持ってきておる、こういうふうな国家であるということを我々は深く認識しなければならないと思うのであります。
 それでは次に行きます。
 今申し上げたような国家に対して、ミサイルの部品が日本から出ておるんじゃないかということを言う評論家が非常に多いわけです。もう日本のものででき上がっているんだと。私はそういうことはないと思いますが、この点について対処しておるのが通産省だというふうに聞いております。
 北朝鮮のミサイル等に我が国から輸出された製品が使われているとの報道がたびたび行われているが、我が国はどのような輸出管理の体制を持っておるんだと、また今後どのようにそのことを担保しておるんだと、例えば何人ぐらいでそういう仕事をしておるんだということもあえてその上に教えていただけたらありがたいと思います。
○政府委員(佐野忠克君) お答えを申し上げます。
 我が国は、国際の平和及び安全の維持の観点から、委員御指摘のミサイル等の大量破壊兵器の輸出等に関しましては、外為法に基づいて厳格な輸出管理を実施いたしているところでございます。
 具体的には、ミサイル関連機材・技術輸出規制等々を行っておりますMTCR等の国際的な輸出管理レジームに基づきまして、大量破壊兵器の開発等に転用されるおそれのある貨物及び技術の輸出等を通産大臣の許可制度にかからしめておりまして、厳格な輸出管理を行っているところでございます。特に、北朝鮮向け輸出等につきましては、第三国経由も含め個別案件ごとに厳格な輸出審査を実施いたしているところでございまして、通産省貿易局の中には安全保障貿易管理課というのがございまして、約五十名の審査体制を講じているところでございます。
 今後とも、引き続き我が国から輸出された貨物や技術が大量破壊兵器の開発に転用されることがないよう万全を期してまいりたいと思っております。
○月原茂皓君 今のお話、本当に万全を期してもらいたいと思いますのは、もちろんこれは我が国のことではありますが、米本土に対して、この間テポドンの話から、アメリカの方はクリントン大統領はNMDの予算をつけたと。これは何かといったら、自分のところに飛んでくる核を落とすわけです。その代表選手の一つとして考えられるのが将来のテポドンだと、そういうものに仮に日本の部品が使われておったりしたら、これは大変なことになりますから、この管理を十分お願いしたいと思います。特に、下院のこの間議決したのを見ると、五十対三でNMDをつくれと、こういうふうな話でありますから、よく体制を整えていただきたいと思います。
 次に、防衛庁長官、ちょっとこれ新聞で見たので、きょうの委員会のお話でそれは間違っていたんだな、私が誤解しておったんだな、新聞が間違った報道をしたんだなと、こういうふうに思ったわけですが、これは繰り返しますが、先制攻撃ではなくて、要するに座して死を待つことはないんだと。ミサイルを撃ってきたら敵基地にミサイルを撃ち返すんだと、いや、ミサイルの基地をたたくんだという規定がありますが、現在の自衛隊の能力で、これは繰り返すようになるんですが、大臣どうなんでしょうか、能力ありと答えるのがいいのか。防衛局長はないと言って、この間新聞では答弁を読みましたが。
○国務大臣(野呂田芳成君) 新聞にいろいろ出るので、この際少し申し上げておきたいと思うんですが、私は、武力が行使されたかどうかということを判定する場合に、例えば相手がピストルを持ってちらつかせたのは、これはおそれがある場合で、これは武力攻撃があったとは見ない。しかし、相手が撃った。撃ったけど当たらなかった。だから、被害を受けていないから、被害を受けていない以上は武力攻撃と見ないというのはおかしいんで、やっぱりピストルを持って自分に撃ってきたら、これは正当防衛権が発生するわけで、だからやっぱりそういう攻撃に着手したときが武力行使の発生の時期というふうに私どもは考えているわけでございます。そういうことでこれまで答弁してきたということをひとつ御理解いただきたいと思います。
 今、月原委員からお話がありまして、私よりも詳しい委員にお答えするわけでございますが、我が国が現に保有する防衛力につきましては、個々の装備品というよりも、むしろ装備体系全体として判断すべきものと考えられます。現在の自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体系にはなっておりません。これに適した装備品を有していないということから考えますと、現時点において自衛隊が敵基地に対し軍事的に有効な攻撃を行い得るということは極めて難しいと考えております。
○月原茂皓君 それでは話を変えて、防衛庁長官、この間もお尋ねしましたが、中期防というのがもういよいよ終わりに近づいてきた、十二年度で終わる。そうした場合に、欠落した今の兵器体系というか、我が国の防衛体制で欠落している部分はどういうものがあって、そのうちこの中期防中にはこのものは対処したい、あとの問題は、その後計画ができるかどうかは別として、後の方の問題だと、そういうのをちょっと仕分けて、主なものというか、当面課題になっておることについてお話し願いたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) 御指摘の自衛隊の機能で欠落している装備というのは敵基地を攻撃することを目的とした装備体系を指すものじゃないかと考えられますが、もしそうであるとすれば、先ほどから申し上げたとおり、我が国が保有する防衛力については、現在そのような装備体系を保有することは念頭に置いていないというふうにお答えせざるを得ないと思います。
 ただ、現中期防でぜひ私どもが考えたいと思いますことが幾つかあります。例えば、空中給油機の問題なんかがそうであります。あるいは、中期防には書いていないけれども、現実の問題として、この間ホンジュラスに救援隊を出しましたが、自衛隊を乗せて五日も六日もかかって、各地にとまって給油してようやく目的地に達するというようなことではいかぬわけですから、できれば大型の輸送機を整備したいというような問題もあります。
 これらの問題については防衛庁部内において鋭意検討を行っているところでございますが、現在のところまだしっかりした結論が得られておりません。引き続き所要の検討を行いまして、結論を速やかに得た時点で適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
○月原茂皓君 この前のときにもお願いしたわけですが、今一つ言われた空中給油機の方は明らかに中期防の中に出ているわけであります。そして、もう一つの空輸機については、空中給油機との兼ね合いもあろうと思いますが、とにかくこの中期防が終わる十二年度の予算で決着をつけられるように検討をお願いしたいと思います。
○国務大臣(野呂田芳成君) ただいまの私の答弁が正確さをちょっと欠きましたので修正させていただきますが、中期防において、「輸送機(C1)の後継機に関し、検討の上、必要な措置を講ずる。」というものが言及されておりますので、空中給油機とともにこの問題は中期防の中で解決しなければいけない問題だと思います。
 きょうは予算委員会で、大蔵大臣がここで控えていただいているわけですから、月原委員とのやりとりを聞いて大蔵大臣も少しはその気になっていてくれるんじゃないかなと思って期待しているところでございます。
○月原茂皓君 どうもありがとうございました。大蔵大臣も笑顔でこたえていただいたので、喜んでおります。
 さて次に、情報収集衛星のことについてお伺いいたします。
 これは内閣情報室長にお願いするわけでありますが、これの各年度の予算、それから開発するについてどういう点が乗り越えなければならない技術的な問題であるのか、完成年度をどう考えておるのか、そしてその完成年度はなぜその年度に置いたのかということをお答え願いたいと思います。
○政府委員(杉田和博君) お答えをいたします。
 現在、情報収集衛星につきましては概念設計を検討中でございまして、正確な予算等について申し上げられませんけれども、あえて現時点で見込みを申し上げますと、衛星本体の開発につきましておよそ一千五百億円、そして地上システムの整備等について五百億であります。
 各年度について申し上げますと、さきの補正予算でおよそ三十六億円をお認めいただきまして、現在、十一年度予算で百十二億を御審議願っております。この後、十二年、十三年、十四年、この三カ年間で各年度おおよそ六百億前後を見込んでおるところであります。
 次に、二点目の今後の本衛星の開発要素の項目でありますけれども、一つは衛星システムの従来技術の改良、そして二つ目が光学センサー、そして合成開口レーダー、これを高分解能化するための技術開発・改良でございます。三つ目が、いわゆるデータを大量に伝送するための伝送システム、これを改良する必要がある。こういったところが主な開発の要素であります。
 三点目の御質問の、なぜ十四年度末かということでありますけれども、委員御存じのとおり、我が国を取り巻く情勢は大変厳しいものがございます。したがいまして、そういう中で我が国の安全保障さらに危機管理、こういうものの全きを期すためにはやはり衛星の導入というものをできるだけ早期にする必要があるということで、いわゆる利用可能な技術、こういうものを前提にいろんな角度から検討いたしました。おおむね十四年度末には何とかこの衛星の導入にこぎつけられるという、これは専門家の意見等も含めた検討結果でございまして、そこで十四年度末導入ということを目標にしたのでございます。
○月原茂皓君 なぜそのようなことをお尋ねしたかというと、情報偵察衛星の重要性はわかっておるわけですが、アメリカの外交評議会の一つの提言が過去において出ておりました。一九九八年五月、論座という雑誌に翻訳が出て、数十ページのものでありますが、その中に人工衛星について、私もかねがねこういう問題をアメリカは言うだろうなと思っておったことであります。
 「不確実性に満ちた世界にある以上、その情報能力を高めることは、日本の正当な利益である。」ということは断っておきながら、「米国がすでに何十億ドルもの資金をつぎ込んでいる軍事衛星情報システムを日本が後追いするのは、重複を意味するだけで、限られた防衛予算の無駄遣いであるばかりか、日米間で互換性のないシステムを誕生させるだけである。」と。
 今、室長が言われたように、これは必ずしも軍事衛星ではありませんからその目的が違うという立場もあるでしょうが、基本的にはこの問題は、今おっしゃったような点について精力的に取り組んで、ちゃんとした計画どおりつくるということでなければ、ここらで摩擦が起こってくる可能性があるからあえて私はお尋ねしたわけであります。
 それでは次に、情報というものについてのいろいろ難しい問題があるんですが、私は、首相が迅速に決断し、それを支える法制度やシステムというものの整備が大変大切だと思っております。
 クリントンさんとの話のときも、両国政府は国際情勢とりわけアジア太平洋地域についての情報及び意見の交換を一層強化するということでありますし、さらには防衛協力のための指針の中には、「日米両国政府は、正確な情報及び的確な分析が安全保障の基礎であると認識し、アジア太平洋地域の情勢を中心として、双方が関心を有する国際情勢についての情報及び意見の交換」を行うと。
 それで、今情報収集衛星のお話をしましたが、やはり情報というのはどの世界でも等価交換なんですね。一方的に情報をもらえるわけではないわけです、質のいい情報は。そういうことから考えて手足というもの、総理大臣のもとにある情報機関が手足を持つと。
 その意味では、非常に私は情報収集衛星は大きな役割を果たすと思いますが、その上に立って総理大臣が的確な判断を下せる、そういうふうな体制を今どのように考えられておられるか、そしてどういう決意でおられるか、そういうことをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 専守防衛を旨とする我が国にとりまして、その安全を確保する上で情報収集機能の充実強化を図ることは不可欠なことでございます。このため、関係行政機関と在外における情報収集機能の強化を図るとともに、情報が内閣において迅速的確に集約される体制を確立するなど、内閣の情報機能の強化を一層進めてまいらなければならないと考えております。
 いずれにいたしましても、情報を的確に把握し、それを分析し、そしてそれに基づいて行動するということが極めて重要なことでございます。内閣として改めてその重要性を認識し、こうした衛星もそうでありますが、的確に対応してまいりたいと思っております。
○月原茂皓君 最後に、防衛庁長官、一九九七年にペリー長官が離任されたわけですが、そのとき、長官は我々兵隊の生活のこと、身の回りのこと等をひとときも忘れたことがなかったといって海軍の総長の方が本当にペンタゴンで心を込めて語った。野呂田長官も大変隊員のことをお考えであります。
 そこで、海外派遣隊員の公務災害というものについて特別に法律をつくるなり、これで周辺の問題は安全だから、そんなものをつくるなら危機があるんじゃないかと何かロジックがおかしくなって、一番困るのは隊員なんですよ。だから、別の観点から、そういう派遣される隊員あるいはそういうことに活動する隊員に対して特別の法律をつくってちゃんと報いるようなことをお考えでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 実は第六次のゴラン高原に派遣した隊員からはクモ膜下の患者が出ました。第七次からは今度脳腫瘍の患者が出まして、最近相次いで公務上発病するというケースがふえております。せっかくの委員の御提案でありますから、私どももそのことについてひとつ真剣に検討してみたいと思います。
○月原茂皓君 終わります。
 ありがとうございました。
○理事(竹山裕君) 以上で月原茂皓君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○理事(竹山裕君) 次に、山崎力君の質疑を行います。山崎力君。
○山崎力君 この問題をずっと聞いておりまして、
やはり一番のポイントというのはどうしても集団的自衛権の問題に帰着するんではないかと思うんです。
 せんだっての予算委員会だったと思いますが、集団的自衛権の放棄といいますか、認めていない国はあるのかという質問に対して、外務大臣は例えばスイスがというふうなことをおっしゃいました。それで、若干調べさせていただいたんですが、要するに憲法で明示はしていないんだけれども、国の国是としての中立政策、条約を結んでの、それの帰結として集団的自衛権は使えない状況になっておるというような報告がございました。
 スウェーデンは若干違うようでございますけれども、要するに集団的自衛権を放棄するという問題は、中立政策、いわゆる中立国になるということであるならば非常にわかりやすいんですが、どこを見ても我が国は中立国ではないと考えられるわけで、日米同盟という言葉もあるくらいです。そういった中で集団的自衛権を認めないという法体系を持つということが果たして可能なんだろうかどうなんだろうかという改めての疑問が生じているわけですが、御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 中立国でなくて集団的自衛権の行使を制限しているという国がほかにあるかと言われれば、私も知らないわけでありますけれども、現実に日本はそういうことで長いことやってきたわけであります。そして、集団的自衛権の定義がこの前も申し上げましたように実力をもって阻止する権利、これは個別的自衛権もそうですが、最後は実力をもって阻止する権利、そこの行使を制限しながら、やはり中立国でない、ある国と同盟を結ぶ、日本としてはそういう道、珍しいといえば珍しいんですが、我が国の憲法のもとでこういう道を歩んでいるわけでございます。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
○山崎力君 お認めになったように、珍しいという言葉を言いかえれば特殊だということに相なるわけですが、その場合、我が国はそう思っているんだけれども、ほかの国から見てどうなのか。
 国際関係というのはまさにそういった形ですから、そういった中において、我が国はこういうみずから手を縛った、集団的自衛権をみずから行使することはないんだと言っているという政府側の見解はそれはそれとして、対外的に見てそういったことがいわゆる国際法上一般的に、何せ特殊だ、珍しいというわけですから、世界的に認められているものなんでしょうか、どうなんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 今、国際法上と言われましたが、国際法上ということでなくて事実上の問題として、日本がこういう憲法を持ってこういう政策を持ってやっているということは国際的にかなり知られていることで、逆にもし日本がこれから集団自衛権は行使しますよというようなことを言ったらびっくりする周辺諸国も随分あるのではないか、こういうふうに思います。
○山崎力君 逆に言えば、片務性だから集団的自衛権の行使に日米安保条約は違反しないんだということになろうかと思うんですけれども、ある意味において米軍が日本の防衛だけに日本の基地使用をするんだ、それ以外のことには一切使用しないんだということを明言しているんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 安保条約には五条と六条がありますから、六条の場合は極東の平和と安全のために使用することもあると承知しております。
○山崎力君 ということになれば、まさに日本だけではなくて日本周辺の極東においてアメリカ軍が、これは国連軍と言いかえてもいい部分もあろうかと思うんですが、日本の基地を使用する、そのときに武力行使をするということは当然予想されるわけでございます。
 そういったものが果たして対外的に見て、日米安保条約は日本が幾らそうは言っても、集団的自衛権をきちっとした形で、日本が言うとおりの形でやっているとは思えない。要するに、珍しい変則的なことをただやっているだけであって、国際的な関係の中においてやるときにはやるんだろう、ただ平時においてというか何かないときはそう言って、適当に自分たちのことを国内的に言っているだけではないのかというふうに私は見られているんじゃないかなという危惧を否定できないわけでございます。
 これは今回の議論を通じても本当に感じていることなんですが、そこのところで、あるんだけれども行使についてはこういう制約を加えると言った方が、同僚議員から前にも同じ主張があったと思うんですが、その方がよっぽど対外的には理解してもらえるんじゃないかなという気が私自身ぬぐえないわけですけれども、その辺についてこれからまた議論の余地があるかと思いますが、現時点でそういう考え方を持っている議員がいるということに関して、御見解があれば伺いたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 集団的自衛権の定義は実力をもって阻止する権利、これは個別的自衛権も最後は実力をもって阻止する権利でありますから、基地を提供したことが即実力をもって阻止したことにはならないというわけでありますが、委員御指摘のように、日本が武力攻撃された場合だけでなくて極東の平和と安全のために日本の基地を米軍が使用することがあるのは、それはそのとおりでありますし、その場合には当然事前協議という問題にもなってくるわけであります。
 そういう場合、日本は、国連中心主義で日本の平和と安全を守るということと、もう一つは日米安全保障条約で日本の平和と安全を守るということと、また自衛隊の節度ある防衛力を整備する、そういうこともやってきているわけでありますが、日本が日米安全保障条約を守る中で日本の憲法をどう生かしていくかとすれば、今のような解釈でずっとやってきた、こういうことでありますのでぜひ御理解を賜りたい、こう思います。
○山崎力君 がらっと話題を変えまして、非常に具体的な問題で海上保安庁の方になるんでしょうが、ちょっと具体例でお伺いしたいんです。
 周辺事態のときに、海上保安庁の任務及び活動というものは平時と変化するんでしょうか、しないんでしょうか。
○政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。
 海上保安庁は、海上の安全及び治安の確保を任務とする警察機関といたしまして、法令の海上における励行、あるいは海難救助、海洋汚染の防止、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕等の事務を行っておるところでございます。
 例えば日本海側におきましては、平素から必要な海域に巡視船艇、航空機、こういうものを配備いたしまして、日韓漁業協定の取り締まりとかあるいは不法入国事犯の取り締まり、海難救助等の業務を行うとともに、一般通航船舶の航行の安全に影響を及ぼし得る情報を得た場合等におきましては、その安全を確保するため航行警報を発する等の措置を講じているところでございます。
 先生お尋ねの、周辺事態に際して海上保安庁がとることとなる具体的対応措置につきましては、周辺事態安全確保法案の第四条の基本計画が決定される際に、事案に応じて、今申し上げましたような海上保安庁の任務及び所掌事務、体制等を勘案して現行法令に基づき具体的にいかなる対応が可能であるか検討されるものと認識しております。
○山崎力君 いろいろ長くおっしゃいましたが、要するに現時点では決まっていないと解釈してよろしいのでしょうか。
○政府委員(楠木行雄君) 基本法におきましては、私どもは関係行政機関ということになりますので、特に内閣が関与することによりまして総合的かつ効果的に実施する必要があるものとして私どもの仕事が基本計画に盛り込まれる、こういうことになるわけでございますが、そのときの状況とか四囲の情勢によって違うとは思いますけれども、今申し上げました平素の対応を参考に決定されるものと考えております。
○山崎力君 長々と答弁されるのはいいんですけれども、要するに平時と変わるのか変わらないかと聞いているんですから、まだそこの具体的なところ、変わるか変わらないかは決まっておりませんということなのかなと理解したんですが、またそうでもなくいろいろおっしゃっているんですけれども、私の質問したいところは、要するに変わるのか変わらないのかということですから、次の問題ではないわけで、その辺のところを短く的確にお答え願えればと思います。
 そういった中で、具体的なことで言えば、例えば我が国の排他的経済水域、そこのところの権益を守るために海上保安庁はある程度特殊な役割をするわけですが、そのときに周辺事態が発生した場合どうするのというようなこともあるわけです。だから、そういう具体的なことがどんどん出てくるときに、大きな方針を、ある程度めどを聞かせていただかないと細かい内容まで入っていけない、考え方に入っていけないということがあるわけで、その辺を御理解願って御答弁願えればと思うわけです。
 具体的な問題として防衛庁さんにお伺いしたいんですが、周辺事態におけるいわゆる捜索・救難活動、これは対象者がだれであっても、いわゆる民間人でも、アメリカの軍人でも国連軍の兵士でも、はたまた某国の、敵対国の軍人であっても、これは変わるんでしょうか、対応が変わらないんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 御案内のとおり、後方地域捜索救助活動は、戦闘行為により遭難した戦闘参加者を救助することを目的としたものであります。
 この場合、人道的な観点から、平和及び安全の回復のための活動に従事する米軍以外の戦闘参加者も救助の対象としているところであります。また、後方地域捜索救助活動の対象である戦闘参加者には民間人は一般に含まれないと解されておりますが、後方地域捜索救助活動を実施する場合には、戦闘参加者以外の遭難者があるときはこれを救助するものとしているところであります。
○山崎力君 ということは、このことはどちらかというと、いわゆる戦闘行為に付随する、周辺事態であったとしてですが、それに付随する自衛隊の協力というよりも、むしろいわゆる人道的見地から安全な場所だったならばそういった人をできるだけ救助しましょうよという立場からの行為ではないかなと、そう考えた方が素直ではないかという気がするわけです。
 端的に言えば、周辺事態かどうかは別として、そこまで認定するかは別として、自衛隊あるいは海上保安庁の救難でもいいわけですが、そういう戦争に巻き込まれない、戦闘に巻き込まれない地域であれば今度の周辺事態法その他に関係なくてもこれはやれるべきだし、やれるような法制度を整えるべきではないか。
 私自身の感覚からすれば、この問題というのはむしろ今回とは別の法体系の中でやるべきものではないかなというふうに考えておる次第であります。その辺のところが、もし御検討するあれがあれば次の機会にでもお答え願えればと思うんです。
 それでもう一つ異質なのは、今回のことで伝えられているところによると異質なのは、あくまでも国連安保理の決議があって初めてというのが一つだけ行為としてございます。臨検とか検査活動とか、そういった表現になされておりますが、それはそれとして、ちょっと振り返ってみますと、これは周辺事態なわけですが、日本有事の国連決議がまだないときに、いわゆる日本に対する侵攻国といいますか、交戦状態にある国に向かう船舶の検査を日本単独で憲法上可能なのかどうなのかということがちょっと議論されていない、抜けている部分ではないかと思うんですが、その辺はどうなっておりますか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 委員が簡単におっしゃればそうでありますが、日本侵略のために向かっておる軍艦かどうかということはなかなかこれ……
○山崎力君 いえ、違う。質問を理解していない。
○国務大臣(野呂田芳成君) そうしたら、どういう意味でおっしゃったのでございましょうか。
○委員長(倉田寛之君) それではもう一度、長官、お席に戻られて、質疑者に含意を伝えていただきます。
○山崎力君 要するに、日本に向かっている船ではなくて、日本に侵略している某国、交戦、日本有事の際の侵略対象国である某国に向かう船舶です。
 要するに、簡単な表現をすれば、日本へ落とす爆弾をその某国へ運ぶような船、それらしき船を見つけたときに、それに対しての国連決議がないときに日本が単独の国家行動としてその船の行動といいますか、あれを検査することができるか、こういうことです。
○政府委員(柳澤協二君) 非常に仮定の個別のケースでございますので、一概にお答えは難しいとは思いますが、一般的に申しますれば、いわゆる我が国有事でございますが、我が国の防衛のために必要な範囲で、要するに挙げられたようなケースでそうした行動をとることが我が国の防衛にとって不可欠な行為であるというようなケースであれば可能であると私どもは考えております。
○山崎力君 これはちょっと非常に微妙な問題でございまして、一般に船舶臨検と言われるのは、国際法上交戦国が第三国、中立国の船舶に対して、自国の安全その他に影響があると思料した場合、中立国の船舶であってもこれを臨検することができると。我が国周辺においては戦前の浅間丸事件というのが有名な事件として記録されているわけです。そのときは、浅間丸に乗船していた敵性外国人ドイツ人をイギリスの巡洋艦、重巡に臨検によって拘束されたという事案ですけれども、これは一般的に、私の解するところ、国の交戦権の一つの権利であるというふうに理解されているんですが、その辺を含めて、「国の交戦権は、これを認めない。」という九条二項の関連がどうなるのかというのが疑問で質問しているわけですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(大森政輔君) お尋ねは、要するに、我が国有事の際に、我が国に対する侵攻国に対して何らかの支援をしようとしている船舶に対する検査、こういうことであろうと思いますが、その場合には、憲法九条は、我が国を防衛するための最小限度の自衛行動というものは当然の前提として認めているわけでございますから、そのような我が国の自衛行動としてどうしても必要だということになれば、それは検査ができるわけでございまして、これは決して憲法九条二項が否定している交戦権に当たるというようなものではない、またこれは国連の決議がなければできないというようなものでもないというふうに考えます。
○山崎力君 そうすると、我が憲法九条における交戦権という意味はどういうことになるんでしょうか。法科で三十年以上前に私もちょっと聞いた記憶があるんですが、あそこに書かれた交戦権というものの意味合いはどういうことになるんでしょうか。
○政府委員(大森政輔君) 交戦権の定義いかんということでございますが、政府は従前から、この交戦権というのは戦いを交える権利という意味ではないと。交戦権は、国際法上有する種々の権利の総称であって、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政、中立船舶の臨検、敵性船舶の拿捕、このあたりが関係するんでしょうけれども、等を行うことを含むものである。こういうふうに説明しているわけでございますが、先ほど御答弁いたしましたように、当該船舶の検査が我が国を防衛するために必要最小限度の自衛行動として必要という場合には、交戦権はこれを有しないという交戦権には当たらないんだ、当然なし得ることになるんだということでございます。
○山崎力君 例示しているわけですよね、あのときに、中立国の検査あるいは拿捕。それが自衛権であるということであるならば、我が国が自衛戦争をするということであるならば、その条文はまさに無意味だと。あそこに書かれた九条二項の交戦権を有しないということは、まさに中身のない無意味な文章がそこにあるということになりませんか。
 自衛戦争において交戦国の占領あるいはそこへの軍政等の施行ということも、当然自衛戦争である以上、理論的には可能かもしれませんけれども、そこへ行って占領してそこで軍政をしく権利というものはあり得ないわけです。そうすると、今列挙されたことというのは、正直言って交戦権を有しないというのは全く無意味な規定になりはしないんでしょうか。
○政府委員(大森政輔君) そこが個別的自衛権に基づく自衛行動と、それから自衛戦争の違いでございまして、先ほど私が申し上げましたのは、個別的自衛権に基づく我が国を防衛するために必要最小限度の自衛行動というものは憲法が否定していないということを申し上げたのでございまして、いわゆる戦争の三分類による自衛戦争ができるんだということを申し上げたわけではないと。自衛戦争という場合には当然交戦権が伴うんでしょうけれども、先ほど我が国がなし得ると申し上げましたのは、自衛戦争という意味よりももう少し縮減された、あるいは次元の異なる個別的自衛権に基づく自衛行動というふうにお聞き取りいただきたいと思います。
○山崎力君 非常にわかりづらいんですが、自衛行動と自衛戦争がどこが違うかということは、これはちょっと質問通告をしていないんですが、これは国際法的に認められた概念の違いなんでしょうか、もしわかれば。──すぐぱっと専門家でも頭に出てこないということは、これはなかなか難しいことだろうと思うんですが、僕も自衛戦争と自衛行動とどこが違うのかという議論をこれからせにゃいかぬのかと思うと大変ちょっと気が重くなるんです。
 そこのところはきょうはそこまでといたしまして、最後にですが、法制局長官、今いろいろお答えになっていましたけれども、こういった国会答弁の性格で、今お答えになっている立場というのは閣僚と同格の立場なんでしょうか、それとも政府委員としてなんでしょうか。
○政府委員(大森政輔君) 私は、事前に質疑通告を受け、質問をいただくからお答えしているわけでございますが、あるいはそれに尽きるのかもしれません。
 ただ、もう少し正面から答えさせていただきますと、内閣法制局と申しますのは、二つの所掌事務がある。一つは内閣提出の法律案等を審査すること。もう一つが、法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べるという二つの大きな仕事を与えられているわけでございます。そこで私がこのような法律問題に関して、内閣を補佐する立場において誠心誠意与えられた職責を果たしているということがお答えでございます。
○山崎力君 突然でちょっと毛色の変わった質問で申しわけございませんでした。ただ、これは、今の自自連立内閣の一つの懸案である行政改革に伴う、政府委員をどこまでどうするかということに絡んでまいりまして、今までのこういった問題からいきますと、極めて内閣法制局長官が、次の状態によって答弁者としての立場が違ってくる可能性が十分あるということで、今この機会にお聞きした次第でございます。
 今後ともそういった点での審議というもの、いろいろ初めて聞くような言葉も多いものでございますから、これからまたさせていただくということで、時間でございますので質問を終えさせていただきます。
○委員長(倉田寛之君) 以上で山崎力君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
○島袋宗康君 私は、那覇軍港の浦添移設問題について質問をしたいと思います。
 去る二月十八日、十九日の両日にわたって、地元沖縄の琉球新報が一面トップで沖縄県民にとって大変ショッキングな報道がなされております。それによりますと、日米両政府が合意した米軍那覇軍港の移設先の構造が、これまで説明されてきたような単なる現軍港の機能維持、あるいは軍民共用などというようなものではなく、米軍の専用軍港をイメージした、いわゆる海兵隊の出撃拠点としての機能維持、そしてその軍港を構築するんだというような内容の報道であります。
 その報道について、事実であるのかないのか、それをお答え願いたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) お答えいたします。
 今、委員から御指摘のございました報道は承知をいたしておりますけれども、そのような案が米国側から提案されたという事実は全くございません。
○島袋宗康君 すると、それはいつごろ提案をされるか、あるいはまた政府に対してこういった報道が事実なのかどうかというふうな点についてはいつごろ皆さんとしては判明するのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(野中広務君) 地元から、従来から返還を強く要望されております那覇港湾の施設につきましては、委員十分御承知のとおりに、平成七年五月の日米合同委員会におきまして、代替施設が浦添埠頭地域へ移設されること等を条件にいたしまして返還する方針が承認をされたところでございます。
 これ以上の細部につきましては、日米間で合意しておる事実は先ほども申し上げましたように全くなく、移設先におきまして整備される施設の内容等につきましては、今後、地元の動きを見守りながら日米両国間で調整をすることとなっております。
○島袋宗康君 県民が知っているのは、浦添に移設をして三十五・五ヘクタールが軍港に使われるというような程度の問題でございます。そういうものが大々的にしかも一面トップで、軍港の整備をいわゆる出撃機能を有する軍港にしていくというような報道がなされているわけです。もしそれが仮に事実であれば、政府が今日まで説明をしてきた問題というのと非常に相反するものであります。
 そのことについて、どういう形でこれが米国から報道がされたのか、その辺についてもう少し詳しく、わかりやすく説明していただけませんか。
○国務大臣(野中広務君) 先ほども申し上げましたように、報道の事実は承知をいたしておりますけれども、報道されたような内容での協議は一切ございませんので、私どもとしてはそれ以上の御答弁を申し上げることはできません。
○島袋宗康君 それはおかしいんじゃないですか。次年度予算にちゃんと那覇軍港のいわゆる移設の費用として二千八百万円の予算が計上されております。こういうふうなものを想定しない限り、予算の調査費というものはつけられるはずがないんじゃないですか。
○国務大臣(野中広務君) これまた委員御承知のとおりに、那覇港湾の施設の移設をめぐりましては、平成十年に入りまして、移設先の浦添商工会議所の軍民共用によります受け入れ提言、あるいは浦添市の市議会がこれを採択されまして、沖縄県議会及び那覇市議会においても浦添地先への移設を決議されるなどの動きが出てきたことは十分委員御承知のとおりでございます。また、昨秋当選をされました稲嶺知事も前向きに検討する旨お考えでございます。宮城浦添市長も本日の市議会におかれまして具体的に検討いたしたいという前向きの表明をされたと承知いたしておるところでございます。
 政府は、先ほど御指摘をいただきましたように、平成十一年度の予算案について御審議をいただいておりますけれども、この予算案に約二千八百万円の調査費を計上したところでございますが、この経費は地元におきます先ほど申し上げましたような推進の動きに対応できるように計上をいたしたものでありまして、執行に当たりましては地元の動き等を十分踏まえて行っていきたいと存じておるところでございます。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後、稲嶺知事を初めとし、地元の御理解と御協力を賜りながら本問題の解決に努力をいたしてまいりたいと存じておるところでございます。
○島袋宗康君 いわゆる日米両政府の合意に基づいてそういった調査費が計上されるのが私は常識だというふうに考えております。
 確かに今の知事とかあるいは商工会議所あたりから、那覇軍港の浦添の移設先についてはいわゆる軍民共用というような形の要請がなされていることは私も承知しております。しかし、予算を計上する以上は、やはり何らかの日米の合意があって、そしてその推進のために予算が計上されて調査費がつくというのが常識じゃないでしょうか。
 私の質問がもし間違っておるんだったらそれは非常に残念に思いますけれども、私は、もしそうであればもっと詳しく調査費のいわゆる積算根拠、こういったものについてお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(大森敬治君) 御説明申し上げます。
 防衛施設庁といたしましても、先ほど官房長官が御答弁申し上げましたように、十年度に入りまして、浦添地先への移転につきましての市議会等のいろいろな動きを見まして、私どもも地元の動向に合わせたような格好で何らかの協力できる予算を組む必要があるというふうに考えたところでございまして、那覇軍港施設の移設に関連いたしまして民間と米軍等が併存する港湾に関する資料の収集等の経費といたしまして、十一年度予算といたしまして二千八百万円を計上しているところでございます。
○島袋宗康君 では、その調査費を計上して浦添施設に対してどういう形態で整備しようとするのかというようなこと、そういったふうな具体的な内容まで調査費として計上されるのか。その辺についてちょっと詳しくお願いいたします。
○政府委員(大森敬治君) 現在、先ほど申し上げましたように、民間と米軍等の併存する港湾に関する資料の調査というふうなことでございますけれども、この経費の執行に当たりましては、現在地元におきまして種々の御議論がなされているところでございます。私どもといたしましてもその辺をよく見させていただきまして、また、政府といたしましても、地元の検討の状況に合わせた支援グループができることになっておりますけれども、その辺を踏まえまして防衛施設庁といたしましては、二千八百万の執行につきましては地元の動き等を踏まえまして、十分に地元に御協力できるような形で執行したいというふうに考えているところでございます。
○島袋宗康君 具体的な内容がよくわかりませんが、時間がないので次に進めたいと思います。
 米軍嘉手納飛行場におけるパラシュート降下訓練についてお尋ねします。
 小渕総理は、昨年の五月三十日に実施された嘉手納飛行場における米軍パラシュート降下訓練に関して、昨年六月十七日の本委員会における質疑の際に、当時、小渕外務大臣として、この降下訓練につきましては米軍としては即応態勢の維持にとり極めて重要であると説明を受けているので実施せざるを得ないのが実情でありますと、この降下訓練を容認するというふうな立場をとられております。しかし、今回行われる訓練については中止を求めている。昨年は容認をし今回は中止を求める、こういうふうな裏腹な立場にありますけれども、その真意についてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 三月六日に予定されておりました嘉手納飛行場におけるパラシュート降下訓練に関しまして、高村外務大臣より、本訓練に対する沖縄県内の受けとめ方等を勘案し、今般の訓練は差し控えてもらいたい旨、米側に対し申し入れを行ったところでございます。
 政府といたしましては、日米安保条約の目的の達成のため、米軍が訓練を通じて即応態勢を維持することの必要性は理解をいたしておるところでございますが、今後ともSACO最終報告を念頭に置きつつ、パラシュート降下訓練につき日米間で話し合っていきたいと考えております。
 後段で申し上げたように、この訓練そのものは実施しなきゃならないのではないか、こういうふうに思っております。今般は、国会でも嘉手納の訓練につきまして、中止といいますか、それに対するいろいろの要望もございましたので、アメリカに対しましてそうした声のあることを申し伝えた、こういうことでございます。
○島袋宗康君 具体的に真意を、昨年とことしはどう違うかというふうな点で質問したわけでありますけれども、その御答弁は余り私ちょっと理解し得ないんです。
 ただ、これはやっぱり中止じゃなくして、沖縄のあの小さい島で、どの地域でもパラシュート降下訓練をやるということは非常に不適切な訓練でありますから、ぜひ政府といたしましてはこれからも中止じゃなくして廃止を求めていく、こういう立場について何らかのアクションを起こしていただきたい、こういうふうに思っておりますけれども、総理、お願いします。
○国務大臣(小渕恵三君) これは廃止するということは実質的になかなか困難であろうと思います。
 ただ、従来、その昔、読谷でいたしておりまして若干の事故等がございました。したがって、もっと広い嘉手納で行った方が安全性があるということですが、伊江島のSACOの約束がございましたが、これはまだ率直に申し上げて確実な姿に相なっておらないということでございます。この点につきましては、この訓練そのものはアメリカ軍としてはやらざるを得ない状況でございます。
 ただ、いろいろの不安その他県民の御意向もございますから、そうした意味でどこまで中止できるかという形の中で、外務大臣をして米側に申し上げさせていただいた結果、今般はそのような結果になった、こういうことでございます。
○島袋宗康君 終わります。
○委員長(倉田寛之君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて外交・防衛に関する集中審議は終了いたしました。
 明日は午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十四分散会