第146回国会 法務委員会 第2号
平成十一年十一月十一日(木曜日)
   午前十時二分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         風間  昶君
    理 事
                北岡 秀二君
                塩崎 恭久君
                竹村 泰子君
                魚住裕一郎君
                平野 貞夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                岩崎 純三君
                岡野  裕君
                竹山  裕君
                服部三男雄君
                吉川 芳男君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                角田 義一君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                中村 敦夫君
                松田 岩夫君
   国務大臣
       法務大臣     臼井日出男君
   政務次官
       法務政務次官   山本 有二君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   金築 誠志君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   白木  勇君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革審
       議会事務局長   樋渡 利秋君
       警察庁長官官房
       長        石川 重明君
       警察庁長官官房
       総務審議官    吉村 博人君
       警察庁刑事局長  林  則清君
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  房村 精一君
       法務省民事局長  細川  清君
       法務省刑事局長  松尾 邦弘君
       法務省矯正局長  坂井 一郎君
       法務省人権擁護
       局長       横山 匡輝君
       法務省入国管理
       局長       町田 幸雄君
       公安調査庁長官  木藤 繁夫君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
○裁判官の報酬等に関する法律及び裁判官の育児
 休業に関する法律の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出)

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○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査並びに裁判官の報酬等に関する法律及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革審議会事務局長樋渡利秋君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁長官官房総務審議官吉村博人君、警察庁刑事局長林則清君及び法務省矯正局長坂井一郎君を政府参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(風間昶君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○塩崎恭久君 自由民主党の塩崎恭久でございます。きょうは先般の大臣からお話を承ったことについての質疑をまず行うということで、トップバッターを務めさせていただきたいと思います。
 この間お読み上げをいただいた文章は、恐らく大臣がいろいろ御注文をつけたとしてもお役所の言葉に近いなという感じがいたしまして、改めて今回、臼井大臣、きょうは山本総括政務次官もおいででございますけれども、政治家として、今回大臣として、この司法行政あるいは法務行政に対してどのような御決意で臨まれようとしているのか、今抱える問題点を含めてもう一回政治家の言葉でひとつ語っていただければなと、こんなことでございまして、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(臼井日出男君) いわゆる法務行政の基本というのは法秩序の維持、そして国民の権利の保全にあるというふうに言われております。私どももこうした役目を仰せつかってからその言葉は絶えず聞かされてきているところでございますけれども、そういうふうに聞きますと非常にかた苦しいといいますか抽象的な感じがいたすわけでございますが、実際上こうした立場になりましていろいろ勉強させていただきますと、法務行政そのものは大変国民の身近な問題、安心、安全のために大切な任務を担っているということが大変よく理解されるわけでございます。
 特に、最近の世の中が大変複雑化しておりますし、絶えず変化も激しいわけでございます。特に、国際化等も非常なテンポでもって進んでいる。そのような社会の変化の中で、法務行政の役割というのは大変重要なものになってきているように思います。私、法務委員会にお顔出しをしておりまして、法務関係の法律案が大変多いということも、今国会の特徴でもございますが、そうしたことを拝見いたしましてもそうしたことを感ずる次第でございます。そういう一般国民の信託、期待にこたえていくというためには、現在抱えている多くの国民の皆さん方が関心を持っている問題あるいは困っている問題、そういうものに対してはひとつ積極的に解決していく努力というものをしていかなきゃいかぬ、こういうふうに感じております。
 特に、今国会でもって御提出をさせていただいておりますいわゆるオウム対策法案、これらにつきましても、大変多くの国民の皆さん方が各地でもって大変な不安あるいは危惧を抱いて大きなトラブルも起こしている。こうした問題については国会におきましてもできる限り早く解決をしていただきまして国民に安心をしていただく、そうした行政、あるいは最近も破産等の状況が高い率で続いておりますので、そうした中小企業の破産、そういうものに対して国として破産に至らない状態の中でもって救済をしていく、また活力を持って経済にまた立ち向かっていただける、そういう環境をつくってさしあげること等々、いわゆる国民の身近な問題についてできるだけ早く解決をしてさしあげるということが我々の役目ではないか、こういうふうに思います。
 既に少年法の問題についても御提出をしてございますし、あるいは成年後見法の問題についてもできるだけ早く国会でもって通していただきまして、多くの方々にこういう法案が通ってよかったと喜んでいただける、まさにそうしたことによってそれぞれ御関係の皆さん方が我々のしている仕事というのは大変国民の身近な問題であるということが御理解をいただけるように思います。
 今申し上げましたとおり、世の中というのは大変大きく速く動いておりますので、その社会の変化に対応して我々法務行政というものも絶えず改革をしていく必要があると思います。いわば抽象的に見れば、司法改革審議会の皆様方に御審議をいただいておりますようなそうしたいろいろな司法全般の問題、あるいは国民にとってわかりやすい法務行政のあり方の問題、コストも高い、裁判も長くかかっている。全般的に見ますと決してそういうものだけではないわけでありますが、特殊な例というものがよくマスコミ等で取り上げられますのでそうした見方をされる方も多いわけでございますが、事実、オウム法案等に見られるように、特定のものについては大変長期間かかる。こうしたものについてもできるだけ早く処理できるような迅速性というものを求めていかなきゃならぬ、こうしたこともやっていかなければなりません。
 私、議員でございましたときから、友人に外国人の方を奥様に持たれている方がございまして、その方が、うちの女房は、もう結婚して長いんだが、折に触れて資格のことについて出かけていかなくちゃいかぬ、こういうことで、もっと何とかならぬかというふうな御指摘もちょうだいいたしまして、特にお祭りなんかに出ましても最近は大変外国の方がふえてきているということを感じます。そうした国際化の中でもって入管行政の大切さ、外国の方にとっては成田空港にお見えになった場合にはその場で感じるものがまず日本の第一印象になるわけでございますから、そうした意味でも非常に大切だと思っておりました。
 そうした入管の事務のこと、あるいは人権擁護、そういう大変幅広い仕事というものを担っているということを改めて拝見させていただきまして、まさにこれからこの法務行政というのはますます大切になってくるんじゃないかということを感じさせていただいております。
 今申し上げましたようないろいろ議会の皆様方にお願いをしてできるだけ早く通していただかなければならない法律案がございますので、委員長初め委員の皆様方の御指導をいただきながら、一日も早くそうした法案が成立をし、執行できますようにこれからも私も努力をいたしてまいりますので、一層の御指導をお願いいたしたいと思います。
○塩崎恭久君 ありがとうございました。
 時間があれば本当は山本政務次官にもお聞きしたいわけでありますが、またの機会にこれは譲ることにいたします。
 去年、自由民主党の中で金融再生トータルプランというのをつくりました。そのとき臼井大臣に御指導をいただいて一緒に夜中まで随分作業したことを覚えているわけでありますが、あの作業のかなりの部分が法務省の関係する法律にかかわっておりまして、そういう意味ではたくさんの仕事が、これは法務省の皆さん、今までも、今回の民事再生法にしても大変な作業だったとは思いますけれども、いってみれば宿題が随分たまっているということではないかと思います。
 外国などでは、必要なときにスタッフをふやして、公務員を雇うという意味じゃなくてパートタイムで百人ぐらいまで一部署でふやすとか、そういうようなことをしてでも大事な法律はつくっていく、こういうことをやっているようでありまして、去年も随分この話を自民党の中でもしたはずでございます。
 ですから法務省としても、必要なものは、人が足りないからできないとかそういうことは言わないようにしていただいて、やらなきゃいけないことはやらなければいけない、日本の経済がうまく回っていかないあるいは日本の社会がうまく回っていかない、そういうことがあるのであるならば、やっぱりすべての資金を投じて、私たち政治家の判断でもちろんやらなきゃいけない部分が多いわけでありますが、法務省もそのような覚悟でやってもらいたいというふうに思うわけでございます。
 きょうは包括的なお話を承ることになっておりますので、次に司法制度改革の問題についてお話をしたいと思います。
 おととし自民党の中に司法制度特別調査会というのができまして、私もそのメンバーの一人でございましたが、去年の六月に「二十一世紀の司法の確かな指針」ということでレポートをまとめ、今日の司法制度改革審議会に至っているわけでございます。
 橋本六大改革とよく言っておりましたが、この評価はともかくとして、私なりの解釈というのは、あの六大改革の中でやろうとしていたことは、言ってみれば日本型の三権分立のあり方というものをもう一回考え直そうじゃないか、特に行政と立法の関係というものを考え直そうという側面が非常に強かったと思います、大蔵改革なんかも特にそうだったと思いますが。
 そこで一つ抜けていたねということで私たち自民党の中でこの司法制度改革をやろうという話になったわけであります。言ってみれば、七番目の柱とよく言っておりましたが、この司法制度改革、今二年間かけて審議会でやるということになっておりますが、大臣の認識として、そもそも今までの司法制度のどこが問題だったのかということを含めて御所見を伺いたいと思うわけでございます。
 いろんなテーマが自民党のペーパーにも入っております。当然のことながら、審議会の委員の方々にはこれは行って説明も事務方の方からしてくれているんだと信じておりますが、その中に、例えば法曹人口をやっぱりふやさなきゃいけない、あるいはロースクール形式というのをどう考えるんだと。
 それから、弁護士というのは業務独占、七十二条で守られているわけでありますが、去年、私どもこれはやっぱりトータルプランの中でサービサーという法律をつくりました。これは言ってみれば初めて私ども立法府が弁護士界に対して一つの穴をあけさせていただいたと。もちろん協議をした上で、弁護士さんとの連携のもとでこのサービサーというものが初めて日本でできるようになったわけでありますが、そういう問題もございました。
 それから、ワンストップサービスというか、総合的な法律経済事務所を構えることをどう考えるのか。
 先ほどの業務独占では、例えば今商工ローンが大変問題になっております。きょう財金で二人の参考人を呼んでやることになっておりますが、地方でもいろんな被害が出ております。そういった際に、我々地方に住む者は弁護士さん非常に数が少ないわけでありまして、今回の司法制度改革、私はやっぱり三権分立のこの司法の確立と充実、そしてまたリーガルサービスが国民どこに行ってもあまねく受けられるということのために何ができるんだ、そしてまた質をどう上げるのか、こういうことだろうと思っているのです。
 例えば、司法書士さんであれば私ども地元にたくさんいる。しかし、さっきの業務独占の話があってなかなか法律相談などはできないようになっている。その辺の話は私どもの司法制度特別調査会の中で、自民党の中で、弁護士さんと司法書士さん両方呼んでやったり、いろいろ話し合った上でこれを決めていこうじゃないかと。つまり、リーガルサービスを均てんさせるためにどこまでの話し合いができるのかということを屈託のないところでやってもらいたいね、こういうことで言ったつもりであるわけであります。すなわち、今までややタブーであった領域にまで踏み込んでやるおつもりなのかどうか。
 それから、ロースクールとかいうことになれば、これは幅広い教育の問題、他の役所にもかかわってくることでもありますから、そういった問題もございましょうし、もろもろ含めて今回の司法制度改革、何が問題でそして何をおやりになろうとしているのか。
 三十七年から九年にかけて臨時司法制度調査会というのがありました。メニューを見てみますと、似たようなものもあるし、今回新たに入っているものもたくさんあるわけでありまして、その辺のことについて大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 自由民主党の中の研究、勉強会、大変精力的に御努力をいただきましてすばらしい成果を上げていただきました。そうした御討議というものを今回の司法制度審議会の審議にも大変参考にさせていただいているところでございます。ありがとうございます。
 今お話をいただきましたとおり、今回の司法制度審議会は、本年の七月に立ち上げができまして、二年間ということになっておりまして、本年中には主要論点というものを整理し、来年からは各界各層の皆さん方の御意見を聴取し、二年後にしっかりとお答えを出していただくということにいたしているところでございます。
 先ほど私申し上げましたとおり、社会が非常な勢いで動いている、変化をしている。同時に、規制緩和というのもどんどん進んでおりまして、事前規制型から事後チェック型になってきているということでございますので、司法の事後チェック、その仕組みというものはますます大切になってきているわけでございます。
 そこで、今回私どもがお願いをいたしておりますものの中には、例えば裁判が先ほど申し上げましたとおり大変長期間かかる、しかもお金もかかるというふうな点についてどういうふうに改革できるのかどうか。
 また、あるいは弁護士さんを活用するような場合もなかなか活用しにくいというふうなこともございますし、先ほどお話ございましたとおり、弁護士さんは弁護士さん、あるいは税理士さんは税理士さんと、それぞれの事務所というものを別にお願いしなければならない、そうした不便さというものもどうしたらいいか。
 この点につきましては、今委員お話しのとおり、議会の方でもっていろいろ御努力いただきまして、総合事務所等につきましては法律改正等せずに対応し得るというふうに私どもは考えているわけでございますけれども、そうした問題。
 また、あるいは国民の皆さん方に司法というものが使いにくい。そうした中にはいろんな状況がございましょうが、一方では弁護士さんの数も少ないんじゃないか、もっと多くあれば対応しやすいんじゃないか、そうした問題も含まれております。
 また、量をふやすと同時に質の問題も大変大きな問題になってくるわけでございまして、そうしたときに一体どういうふうに対応していったらいいのか。文部省におきましても大学審議会等で御答申をいただきましたとおり、いわゆる法科大学院、いわゆる日本型ロースクールというものについてどういうふうにしていったらいいのか。そうした問題。
 あるいは、ただいまお話ございました弁護士初めその周辺の隣接している業務との兼ね合いをどういうふうにしていったらいいのか。
 こうした問題等々につきましていろいろと御論議をいただきまして、二十一世紀に向けた司法というものがどういう方向でもって進むことが国民にとってより信頼性のある、理解していただきやすい、使いやすいものになるのか。幅広い御論議というものを今後お願いいたす、こういうことにいたしている次第でございます。
 私どもも所轄の省といたしまして、これらの審議というものがしっかりと御論議いただきまして結論を出していただけますようにさらに努力をいたしてまいりたいと思います。
○塩崎恭久君 聖域なき議論をするということではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 先ほど弁護士の数と司法書士の数を言いましたけれども、弁理士というのも私ども愛媛県にはたしか一人いるかいないかでありまして、やっぱり地方の時代ということであるならばこの辺も少し考えないといけないのかなというふうに思っております。
 自民党の中に司法制度調査会があるわけでありますけれども、改めてその中に小委員会というのをこの間つくりました。国民の訴訟解決を支援する小委員会、法律扶助制度を中心にですね、それから法曹一元化、陪審・参審制度等、国民の司法参加に関する小委員会、知的財産権の委員会、それから養成、教育、資格試験、こういったもの、あるいは裁判の迅速化、裁判のあり方。こういう五つの小委員会をつくりまして、私ども自民党の中でもやっていこうと思っております。
 大臣はこういうことはないと思いますが、私ども国会でいろんなものを決めてお役所にやっていただくようにお願いをする。我々政治家の悪いところは、ついつい丸投げをして、後はどうなっているのかフォローしないことが多いわけでありまして、そういうことであってはならないということを込めて、私ども自民党の中の司法制度調査会、各小委員会で、少しこっちがペースメーカーになるぐらいのつもりでやっていこうということでございますので、どうぞひとつ法務省の皆様方もフィードバックをきちっとして、インターネットに議事録を載せておられるようでありますが、どんどんやってもらいたいというふうに思います。
 最後に、ちょっと登録免許税の問題についてお話をさせていただきたいと思います。
 かねてから私ども自民党の税調の中でもいろいろ議論をしてまいりました。皆さんも御案内のように税率が物すごくたくさんございまして、何を根拠にやっているんだと言いたくなるほどでございまして、主税局流の発想でいけば、取れるところから取ろう、こういうことかなという感じがするわけであります。例えば不動産登記に係る登録免許税は、同じ所有権の移転であっても売買の場合は千分の五十、贈与の場合には千分の二十五、それから相続あるいは法人の合併の場合には千分の六ということになっている。
 ですから、売買をしたときには所得が発生するからそこは取れるから取ろう、こういうような発想かなと思うんですが、本来は私は個人的には手数料的なものであって、経済活動の途中段階で課税を余りするというのは、必ず経済活動をゆがめますから余りよろしくないんじゃないかというふうに思っております。それは金額の多寡に関係なく手数料で取ればいいというのが私の考えでありますが、今までずっといろいろやってきて、これをひとつ標準化、平準化しようじゃないかという議論が随分ありましたが、残念なるかな、今日までうまくいっていないということであります。
 今、その登録免許税に関係の深い、例えば司法書士の方からも話が出ているのは、相続・合併以外の原因による登記に際しては千分の十で登録免許税を標準化したらどうだ、こういう案が出ているわけでありますが、この点について法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘のとおり、不動産の関係につきまして種々の問題が起きているということも承知をいたしておる次第でございますけれども、いわゆる不動産登記に係る登録免許税というものは、登録免許税法によりまして登記を受ける者に課せられる国税である、登記を受けることによって利益を受ける、その点に着目して、その担税力に応じて課税をされるものということになっているわけでございます。
 今、委員御指摘のとおり、同じ所有権移転登記の場合であれば登記の原因が異なっても変わりがないわけでございまして、しかしながら現行の登免税におきましては、同じ所有権の移転登記であっても、売買、遺贈・贈与、共有物の分割あるいは相続・法人の合併等によりましてその率が変わっているということでございます。
 このことによりまして、近時、不当に税を回避するような目的で実態と異なる低い税率の登記原因、そういう登記申請が行われるといった事例も出てきておりまして、私どもといたしましては、このような事態というものが不動産の登記制度の機能の適正な維持そのものを阻害する、このように考えておりまして、これらのものは防止をする必要があると考えております。
 今後、不動産の所有権の移転登記に係る登免税、登録免許税の税率を平準化するということにつきましても、当省の平成十二年度の税制改正要望として大蔵省に対して要望いたしているところでございます。
○塩崎恭久君 さっき申し上げたように、担税力に応じてというのはやっぱり議論があるところだろうと思うんです。我々にとって大事なのは、こういうパブリックポリシーをやるときにその目的は何か、そしてそれをやることによってどういう影響が出てくるのかということを考えながらやらなければいけないわけであって、法務省としては登記をきちっとするということで権利関係をはっきりしようじゃないかというところが一番大事なことであって、担税力があるからということで売買の場合に五十というのをかけることによって、これを回避するというか、ずるをしようということで登記をやらないということになるのはやっぱりまずいわけであります。
 ですから、もちろんいわゆる財政当局というか、税収を上げたいという人たちの論理もある。しかしその一方で、ここに税を課すということがどういう結果をもたらすのかというところをよく考えた上でやらなければいけないのは法務省サイドの問題であろうと思いますので、その辺もよくお考えの上で、私も一応自民党の税調の幹事にことしなっておりますので、精いっぱい頑張っていきたいと思います。
 以上で終わらせていただきます。
○北岡秀二君 自民党の北岡でございます。
 御承知のとおり、私はつい先日、十月五日まで法務省の政務次官に就任をさせていただいておりました。大臣にはちょっと総論でまず何点かお伺いしたいんですが、今申し上げましたとおり、私は政務次官就任のときにいろいろな思いを法務省に持たせていただきました。
 まず第一点は、私はもう本当に門外漢だったんですが、中に入ってみて法務省をのぞかせていただきますと、大変重要な仕事をやっていらっしゃる、これはどこの省庁ともそうですが、私どもが外から見ている以上に重い、重要な仕事をやっているんだなということを感じたのが第一点でございます。
 そしてまた、なおかつ将来ということを見渡してみますときに、当然先ほどの話にもございましたが、司法制度改革、規制緩和社会に対応する新しい社会づくりの中で法務省が担っていかなければならない役割、そしてまた、最近いろんな見方がございますが、社会がどんどんいびつになりつつある、乱れてきておるというような状況の中で、法務省が果たしていかなければならない役割というのは非常に将来を見通しても大きな重大な責任があるというような感じがいたしたわけでございます。
 しかし、その一方、そういう状況にありながら、国民の目、あるいは世論も含めてそうでございますが、法務省に対する十分な御理解をいただいていないな、そういうようなことも感じますし、なおかつもろもろの環境面を考えてみますと、内外ともの環境、法務省内部、外部の環境面を考えてみますと、これから将来法務省が果たしていかなければならない役割を担うだけの環境づくりができておるんだろうかという部分に一抹の不安も感じたわけでございます。
 具体的に例えば申し上げますと、今継続の審議中でございますが、少年法。これはもう教育問題というのは、少年法を教育問題としてとらえるのはちょっと語弊があるかもわかりませんが、非常に大きな問題として社会的には注目を集めておる。これは一側面でございますが、子供の教育問題で、あるいは非行問題で、少年法の改正によって少年の非行の抑止力につながっていくんじゃなかろうか、そういう議論もございます。
 さらにもう一つ、これは私は特に推進をしていただきたいという思いなんですが、親の責任をどういうふうな形で少年法の改正にこれから盛り込んでいくか。これも教育問題で家庭の問題をどうするか。家庭に対してはなかなか切り込んでいけない、親に対してはなかなか切り込んでいけない、そういうような状況の中で、ともするとこれは手続上は非常に難しい話なんですが、家庭の問題、親の問題にもひょっとしたら少年法で切り込んでいける可能性もある。
 これは私、政務次官在任中にフランスの最高裁の長官と面談をさせていただいたときに、フランスでも同じような議論がある。法改正において親の責任追及をこれからどういうふうな形で法の精神に盛り込んでいくか。さらに、最近のアメリカの銃の乱射事件等々の中で親の責任追及をどういうふうな形で盛り込んでいくかというような議論もあるようでございます。これも今の教育問題という観点から考えてみましても、この法律がどういうふうな形になるかによっても非常に大きな役割を果たす可能性もある。
 これは本当に一例でございますが、もろもろのことを考えてみますと、今確かに日本社会はすばらしい社会を形成しておる。しかし、その反面、非常にいびつな状態になっておることも事実でございます。俗に言う戦後民主主義社会のゆがみも出てきておるんじゃなかろうかということを私は考えておる次第です。
 そういうような状況から申し上げると、危機管理の状況、観点から考えてもそうなんですが、今前段に私が申し上げましたとおり、国民の認知、そしてまた環境というのがいま一つ十分に整っていない。さらに、それであるがゆえに、私は将来のことを考えてみますと、今申し上げましたような法務行政、危機管理に関連する法務行政、どんどん積極的な施策を打ち出して、あえて国民にその信義を問うというようなことをやってもいいんじゃないかなというようなことを私は痛切に感じた次第でございます。
 そういったことを含めて、これは大臣の所信ということにもつながっていくだろうと思いますが、今置かれておる法務省の状況、なおかつ、これから担っていかなければならないその重責ということを考えてみますときに、大臣の姿勢というのをお伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 北岡先生は、政務次官も御経験されまして、そうした中でいろいろな深い思いを持たれておられる。そうした御意見というものは深く受けとめまして、これから大いに参考にさせていただきたい、このように考えている次第でございます。
 御承知のとおり、社会というものの変化に我々法務行政というのは絶えず対応し得るものでなきゃならない。一方、私が冒頭に申し上げましたとおり、法務行政の基本というものは、いわゆる法秩序の維持でありますとか、あるいは国民の権利の保全、こういうふうに一言で申し上げる限りにおいては甚だ抽象的で国民の皆さん方の理解に遠いということも現実でございまして、法務省といえども自分たちのこれからやろうとしていること、また国民にとって大切なことについてはやっぱり広報をしっかりしていく必要があるんじゃないかと思っておりまして、そういう点にはぜひとも心をとめて、国民の多くの皆様方に御理解をしていただけるような、そうしたことを配慮いたしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 また、先ほど申し上げましたとおり、それらの国民の皆様方に使いやすい、また理解のいく法務行政というものを考えますと、常に改革をしていかなければなりませんので、現在司法制度改革審議会等でもって御審議をいただいております二十一世紀に向けての各般の問題というものは、ぜひともしっかりとした形でもって国民の皆さん方に御提議をできるようにお願いをしたい、このように考えている次第でございます。
 教育の問題というのは大変幅広い多くの要素があるということは先生お話しのとおりだと思います。少年法の問題につきましても、今国会に御提議をさせていただいております法案ですべて問題が解決できるというふうな環境にもなっておりません。私は、ぜひとも引き続き、議員の先生方にはより幅広い立場で少年問題というものをどういうふうに考えていくのかということを御議論いただきまして、さらに問題点の解決のためにいい形でもってこの論議が進められますようにぜひとも御協力をお願いいたしたい、こう考えている次第でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○北岡秀二君 私、先ほど申し上げましたとおり、これは個人的な意見かもわかりませんが、戦後民主主義社会の総チェックの時期に入ってきておるだろうと思います。いろんな部分でそのほころびが出てきておることも事実でございます。
 大臣はもともと、もともとというか防衛庁長官も歴任されていらっしゃいます。危機管理ということから考えてみますと、私はこれからいろんな日本の国の中の法体系ということを考えてみますときに、いろんな面でこれから法務行政が担っていかなければならない部分のウエートというのは高くなっていきますので、先ほど申し上げましたとおり、あえて私は国民にその信を問うと。いろんな部分で、いろんなセクションセクションで積極的に大いに施策を出していただいて、国民の中で議論をぜひとも呼び起こしていただきたいと思う次第でございます。
 これに関連して、今申し上げましたとおり、法務省行政、いろんな意味でだんだんと大きな役割を担っていかなければならざるを得ない状況にあるだろうと思うわけでございますが、人的側面についてお伺いを申し上げます。
 これはもう御承知のとおり、行財政改革という流れの中で、法務省とて例外でなく人員削減、定員削減はやっていかなければならないというような大前提がございます。しかし、今申し上げました重要度が増してくるという状況の中で、人的体制がこれから本当に大丈夫なのか。これはいろんな部分で話はできるんですが、例えば出入国管理業務、これを見ても今の人員状況で大丈夫だろうか。さらには、司法制度改革に関連して、検事さんの数の問題もこれから出てくるだろうし、いろんな部分で、もう一つまだありますね、人権問題、これもこれから法務省のウエートというのがどんどん増してくる、この体制が十分に整うのか。どこを考えてみても、これからの重要度というのが増してくる部分というのはまだまだたくさんあります。
 そしてまた、とりわけ今国会で議論をされているオウム対策法に関連して、成立すれば果たして公安調査庁の体制が十分に整うことができるのかというような問題があるだろうと思います。
 ですから、その他もろもろのことも含めて、法務省の人的整備の側面を今後どのように考えていらっしゃるのか。公安調査庁の体制の問題も含めてお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員お話しのとおり、人員削減につきましては、中央省庁等改革推進本部が決定をしていただいているわけでございまして、中央省庁等改革の推進に関する方針というものが決まっておるわけでございます。いかに人員が制限されておっても、私ども法務省としての人的体制というものがしっかりと整備をされまして、そうした行財政改革の要請にも配慮しつつ、しかし現場においてしっかりと対応できるような体制というものを引き続いてつくっていくように努力をいたしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
 ただいま委員御指摘をいただきました公安調査庁の定員、この推進本部の決定でもって平成九年度末の定員に対しまして二百名以上の削減をするというふうに定められておるわけでございます。したがいまして、その実施というのは着実にしていかなければなりません。しかしながら、一方では、今お願いをいたしておりますいわゆるオウム対策立法等につきまして人員というものはしっかりと確保をしていかなければなりません。対象となる団体への立入検査、関連業務その他の法律執行のために体制整備というものはしっかりとしていかなければならない、このように私どもは認識をいたしているところでございます。
 限られた人員を最大限に活用いたしまして、法案が成立いたしました暁には、定める処分等につきましてその実効性をしっかりと確保するため全力で対処してまいりたい、こう考えておりますが、今後その人員等につきましては、必要に応じ所要の人的体制の整備につきましても十分検討いたしてまいりたいと考えております。
○北岡秀二君 ありがとうございます。
 続きまして、刑事手続における犯罪被害者保護について何点かお伺いをいたしたいと思います。
 御承知のとおり、最近、犯罪被害者の保護を求める声が大変高まってきております。各分野において活発な議論がなされており、この流れを受けまして本年三月に当時の陣内法務大臣が、犯罪によって被害を受けた方の権利、利益については捜査、公判を通した刑事手続の過程において十分な配慮が必要であり、早急に法整備に向けての検討を行うように指示をされたわけでございます。その指示を受けて、事務当局においてもその検討作業を進めているところであるということを私はお聞き申し上げておるわけでございますが、この法整備についての現在の検討状況をお伺い申し上げたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘をいただきましたとおり、本年の三月に陣内前法務大臣の御指示に基づきまして、犯罪被害者の保護に関する法整備に向けての検討を開始いたしております。
 この問題につきましては、事柄の性質上、広く国民の皆様方の御意見を聴取する必要があるということもございまして、本年七月中旬から八月末日までの間、インターネット上の法務省のホームページに意見募集の要領を掲載いたしまして、その保護に関する御意見等を募集させていただきました。そして、そのお寄せいただきました御意見を踏まえまして、本年十月二十六日に法制審議会に対しまして、刑事手続について犯罪被害者への適切な配慮を確保し、その一層の保護を図るための法整備についての諮問を出させていただいた次第でございます。現在は、法制審議会の刑事法部会におきまして御審議をいただいているところでございます。今後とも努力をいたしてまいりたいと考えます。
○北岡秀二君 時間も迫ってまいりましたので、ちょっとまとめて御質問を申し上げます。
 今のお話の、国民の意見をいろんな角度で聞かれたということでございますので、その国民の意見と反応というのはどういう状況であったのか。さらに、今のお話の中にございました法制審に先月下旬に諮問をされたということでございますが、どのような事項について諮問をされたのか、もうちょっと具体的にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきましたインターネットでもって御意見を募集したわけでございますが、その合計は百十件ございました。意見募集の要項に掲げました各項目について、大半は賛成の御意見をいただいておりまして、反対の御意見というものは極めてわずかであったというふうに伺っております。
 その御意見の内容につきまして例えば代表的なものを御紹介いたしますと、犯罪被害者は刑事裁判の蚊帳の外に置かれた状態にある、これは現実でございますが、事件の当事者として刑事裁判等においても格別の配慮はなされるべきである、こういった御意見が多かったわけでございます。刑事手続における犯罪被害者等の保護に関する法整備を図るに当たりまして貴重な御意見をちょうだいいたした、このように考えております。
 また、ただいま委員御質問のございましたどういう論点について法制審議会に諮問をいたしたかということについてお答えをさせていただくわけでございますが、早急に法整備が必要と思われる事項といたしまして、性犯罪の告訴期間の撤廃または延長の問題、ビデオリンク方式による証人尋問の問題、証人尋問の際の証人の遮へいの問題、証人尋問の際の証人への付き添いの問題、被害者等の傍聴に対する配慮の問題、被害者等による公判記録の閲覧及び謄写の問題、公判手続における被害者等による心情、意見等の陳述の問題、民事上の和解を記載した公判調書に対する執行力の付与の問題、さらに被害者回復に資するための没収及び追徴に関する制度の利用の問題、主として以上九項目にわたりましてその整備要綱の骨子を示されたい、こういうふうに諮問をいたした次第でございます。
○北岡秀二君 もう時間が迫ってまいりましたので、ちょっとまとめの質疑も含めて今の部分で一点だけお伺いしますが、ビデオリンク方式による証人尋問ということをおっしゃられましたが、ちょっと私どもも耳なれぬ言葉でございますので、具体的にどういう姿になるのかもちょっとお伺いしたいのと、最後の質疑として、この犯罪被害者保護につきまして国民の意見を聞いてもかなり積極的、そしてまた今の時代背景からしても何とか早く、この法案整備の必要性というのは非常に大きくあるだろうと思います。今後の法整備のスケジュールをどのような形でお考えになっていらっしゃるのかを含めてお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ビデオリンク方式というのは大変耳なれない言葉でございますけれども、性犯罪の被害者等の場合を考えてみますと、公開の法廷で直接被害者を含む訴訟関係人や傍聴人の面前でもって証言を求められる、こういうことになるわけでございますが、被害の具体的な状況を質問されたり、そうしたことによりまして大きな精神的な苦痛あるいは心理的な負担をこうむることがございます。そこで、こうした場合の証人に対しましては、被告人らと直接対面せずに証言できるように被告人らと別室でもって在室をさせましてテレビモニターを通じて証人尋問を行うということも考えられるわけでございます。これを今申し上げましたビデオリンク方式による証人尋問と呼んでいる次第でございます。
 この証人尋問の状況というものをビデオテープ等に録画いたしまして、犯罪の被害者等の負担を軽くするという見地から、被告人側に反対尋問の機会を保障した上で別の公判においてもそのビデオテープを証拠として使用できる、そうしたことも検討いたしている次第でございます。
 今お話をいたしましたように、刑事手続における犯罪被害者等の保護に関する法整備は大変重要な問題でございます。できるだけ早期にこの法整備を実現させる必要があるというふうに考えておりまして、法制審議会におきまして十分な御論議をしていただきたいと考えておる次第でございますが、私どもといたしましては来年の通常国会には法案を提出できるよう鋭意努力をいたしてまいりたいと考えている次第でございます。
○北岡秀二君 ありがとうございます。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 以前にこの当法務委員会に所属させていただいておりましたが、久しぶりに帰らせていただきまして、また張り切って委員を務めたいと思っております。
 今、お二人の自民党の委員からの質問がございましたけれども、法務行政、いろいろ思いというものが皆さんおありになると思うんですが、私は、前にある法務大臣が、国の基本となる要素というのは人と地面と統帥権だとおっしゃった大臣がおられて、人と地面という面では両方法務行政に係るものでございまして、そういう意味では国の大宗というか骨格をなすのが法務行政であるというふうに思っております。
 でありますから、時代によってどんどん変わればいいというのではなくして、やはり骨格というものをきっちり打ち立てて、それはどんな状況になっても変わらないという側面と、やはりこれは人間生活でございますので、いろんな社会の状況に適応しながら対処していく、両側面がある。
 ただ、どちらかというと、一般の、行け行けどんどん、やっていけばいいという行政とは違って、ある意味では保守的な側面もあろうかというふうに思っております。また、その要請が、ある意味では法秩序の維持あるいは人権の保護という側面があるわけでございまして、この法務行政、非常に大事な部門でございまして、先般、臼井大臣の法務行政に関する説明を拝聴いたしましたけれども、その辺の決意があらわれているなというふうに思う次第でございます。
 この先般の説明に関して二、三御質問をさせていただきたいと思いますが、まず出入国管理行政についての御説明がございました。
 その中で、不法滞在者、不法就労者については厳正に対処する、また、適法な入国者については円滑な受け入れを図り、人道的見地にも配慮した適正な行政を実現できるよう努めてまいります、そういう説明がなされました。
 さきの通常国会で出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案が審議、成立をいたしました。その中で、日本のバブル期以降かなりの外国人が入ってきておる、またそれが適法あるいは不法に入ってくるということもございますが、それに関連して委員の中で結構質問がなされておりまして、特に在留特別許可、これをどういう形で認めていくのか、そういうような質問がございました。
 当時、陣内先生が法務大臣をされておりまして、やはり一定の基準をつくった方がいいんではないか等、いろんなことを質問者がなされておりますが、陣内大臣、当時の大臣の御答弁の中では、上陸特別許可及び在留特別許可につきましては、「これらの許可に当たっては人道的な観点を十分に考慮いたしまして、事案に応じた処理に努めているところでありますが、今後ともより一層適切な運用に配慮してまいりたいと考えます。」、こういう御答弁がなされました。ことしの五月十三日の当委員会での御答弁でございます。
 また、先ほど申し上げたこの法律の一部を改正する法律案、当委員会における附帯決議もなされておりまして、その第六項には、「退去強制者の上陸拒否期間の延長、不法在留罪の新設等に伴い、退去強制手続、上陸特別許可、在留資格認定証明書の交付、在留特別許可等の各制度の運用に当たっては、当該外国人の在留中に生じた家族的結合等の実情を十分考慮すること。」、これは審議の中で大臣の御答弁等も踏まえた附帯決議というふうに考える次第でございますが、臼井大臣が御就任されてもこの面に関する、家族的結合とかいろいろありますけれども、こういう人道的観点にも十分配慮をした裁量の行使といいますか、それをお考えになっているかどうかという点についてちょっとコメントをいただければというふうに思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員が御指摘をいただきました在留特別許可制度、これは法務大臣に与えられた重要な権限でございますので、これまでも本邦に在留を希望する理由、例えば家族状況でございますとか素行あるいは内外の諸情勢を総合的に考慮いたしまして慎重に運用されてきているものと承知をいたしております。
 私といたしましても、陣内大臣の答弁を踏まえつつ、人道的観点に加えまして我が国における不法残留者への影響等、そういったものにもよく考慮をいたしまして事案に応じた適正な運用に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
○魚住裕一郎君 二十七万人とか言われている人たちもおるわけでございますけれども、不法であってもそれなりの生活事実を積み重ねていくといろんな結合が出てきますし、不法であっても人間であることはかわりないわけでございまして、そういうような配慮とともに、我が国人口比といいますか、あるいは労働人口とか、そういうふうなまた違った配慮も必要かもしれないわけでありますけれども、個別事情に対処していくわけでございますので、ぜひともその人道的見地からの御考慮というものも格段の御配慮をいただきたいというふうに思うところでございます。
 さて、法務行政の中で司法のあり方というものについて、今先行の二人の委員からも出ておりますが、ことしの七月からこの司法制度改革の審議会が始まったようでございます。国会閉会中もかなり審議が進んでいるのかなと思いますが、事務局の方からで結構ですが、今までの進捗ぐあい、あるいは今後のスケジュール等につきまして概略的にちょっと御説明をいただけますか。
○政府参考人(樋渡利秋君) お答えいたします。
 司法制度改革審議会は、これまで、本年十一月九日の会議に至りますまで計六回の会議が開催されました。
 まず、本年七月二十七日に総理大臣官邸において開催されました第一回の会議におきましては、小渕内閣総理大臣のごあいさつがなされました後、各委員の自己紹介及び抱負の披瀝に引き続きまして、会長の互選、会長代理の指名が行われました。その後、議事の公開のあり方につきまして審議が行われ、毎回の会議後、会長等が記者会見を行って議事の内容を説明するほか、毎回の会議後、速やかに議事概要を作成、公表し、議事録につきましてはその作成後これを公表する旨決定されました。なお、公開のあり方の一つであります会議の傍聴につきましては、さらに検討の上決定することとされております。
 第二回会議から第六回会議までは、有識者等からのヒアリングを実施しながら、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割等についての意見交換を行い、さらに当審議会において検討すべき事項に向けての論点整理を行っております。その過程で今後のおおよその審議のスケジュールが合意されました。
 さらに、当審議会設置法案の衆参両院法務委員会での議決の際の附帯決議におきまして、「既に一定の方向性の示されている法律扶助制度等の諸制度の充実を図ること。」とされ、現在政府において検討されております民事法律扶助の改革に関しまして、当審議会として合意した見解を会長談話の形で取りまとめ発表することが審議の上決定されております。
 審議会におきまして合意されました今後のおおよそのスケジュールといたしましては、有識者、司法制度のユーザー、法曹三者等からのヒアリングを行いながら、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割等につきましての意見交換などの審議を行い、本年十二月中に、審議の対象となる項目に向けての論点を整理決定してこれを公表した上で、平成十二年には、整理された論点につきまして一通りの審議の上、しかるべき時期に中間報告を公表し、これに対する国民の反応等を踏まえながらさらなる調査審議を行い、当審議会の設置期限であります平成十三年七月までに意見書を内閣に提出することとされております。
 以上でございます。
○魚住裕一郎君 概要をお聞きしたわけでございますけれども、大変重要な二十一世紀における我が国の司法制度、それは即日本のあり方、国家像みたいなものにも関連してくるんだろうというふうに思うんです。それで、かつ学識者等の意見も聴取しながら審議をしていくということで、非常にハイレベルな内容の濃い議論をされているなと。私も資料をちょうだいいたしまして、これを読むこと自体が、大変分厚い中身だなというふうに思っておるんですが、今事務局長のお話では、公開について会長なり会長代理がコメントをする、あるいは議事録も後ほど出されるということでありますが、やはり審議会自体、それ自体の公開が必要なんだろうというふうに思うんです。
 というのは、マスコミ等によればまだこの審議会に対する国民の関心は必ずしも高いとは言えない、あるいは国民的議論を起こしていく必要があるんではないか、そういうことが指摘されております。国民だれもが一般に傍聴できるということはないかもしれないけれども、やはり各マスコミの傍聴というのがその関心を生み、それがまた記事になって国民の皆様に伝えられる、それであって初めて国民的な関心を引き寄せて、かつ議論が巻き起こってくるんではないか、そんなふうに思うわけであります。
 一九六二年からの臨時司法制度調査会、何か不発に終わったようなイメージで私思っておりますけれども、やはり戦後五十年、半世紀を超え、二十一世紀に向けてこの司法のあり方というものを根本的に問うべき時代になっている。せっかく大事な議論をするわけですから、もっとオープンにしていくべきではないか。後ほど分厚い議事録をもらっても、なかなか国民の立場で読めるというものじゃない。そうすると、マスコミの司法を一生懸命担当している記者を入れることの方がもっと国民には知らせやすいのではないかというふうに私は考えるわけであります。
 かつて「審議会等の透明化、見直し等について」という平成七年九月二十九日の閣議決定というものがあります。いろんな審議会がありますけれども、法務省の中でも審議会いろいろあります。この法制度一般を論ずるような審議会については公開にしろというのが言われておりますし、個別の人員の適格性を論ずるような個別的な事案については審議会といえども公開しなくてもいいということになっていますが、法制度一般のようなことを論ずる審議会は公開しなさいというのが閣議決定であります。
 そういう趣旨から考えると、このような根本的な議論を今やっている最中ですから、この審議委員の皆さんの議論が年末までに出るんですか、ぜひ法務省においてもまた事務当局においてもマスコミ傍聴を含めた方向性で議論をしていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘のとおり、審議会等の公開につきましては私ども政府の姿勢でございます。その点につきましては今後とも積極的に行っていかなければならない、こういうふうに考えております。
 この審議会におきましても、ただいま参考人の方から御説明いたしましたとおり、いろいろな配慮をいたしましてこの公開に努めているところでございます。委員御指摘をいただきました傍聴の件につきましては、委員も既にお話しいただきましたわけでありますけれども、委員の間でさまざまな意見がございまして、それらの意見というものをそんたくした上で、さらに数回の会議の開催をした上で改めて審議会の席上におきまして検討される、こういうふうに伺っておりまして、この問題につきましては私は審議会として適切に配慮されるものと考えている次第でございます。
○魚住裕一郎君 意見にわたってしまいますけれども、これは今回の審議会については法律専門家は三名ですかね、あとはもう法律専門家以外の方がなっているということでございますけれども、専門家でない人が大宗を占めると、逆に言えば事務当局が議論を引っ張れるというような、そういうふうに言っている人もいるわけでございまして、ぜひそういう点も、変な片腹痛いところを探られるよりも、ぜひオープンにしていただけるようにお願いしたいというふうに思っております。
 ある新聞に特集記事が出ておりました。「司法 経済は問う」という特集記事でございまして、経済面から見た司法のあり方、これでいいのかなというものを特集されておったんですが、若干質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 先ほどもお話が出ましたけれども、非常に裁判所、訴訟が遅延しているということでございます。経済の状況にも追いつかず、日本で裁判するよりもアメリカへ行って裁判やった方が早いし、またPRにもなるというようなことも出ておりました。また、小さな司法ではないかという御指摘もあります。平成元年に比べて、新規訴訟受件数だけについて見ても現在はもう二倍以上になっている。だけれども、裁判官の数は三千名弱というような状況で、この十年間で百人ぐらいしかふえていないというような指摘もございました。
 司法の規模というか、この点につきましては法務省としてはどの程度の規模といいますか、余りにも追いついていないというか、それが経済界また一般国民の認識ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘のとおり、司法の国民に対して果たすべき役割というのは極めて重要でございます。また、二十一世紀の我が国の社会においてその重要性が一層高まっていくということを考えてみますと、これを担うべき司法の人口を増加させていくということは必要であると考えております。
 したがいまして、そのためには、従来司法試験合格者は毎年七百名程度でございましたけれども、本年度から約千名に増加をするということにいたしておりまして、先日発表されました本年度の最終合格者は千人と決定されたところでございます。
 我が国のあるべき司法人口につきましては、司法制度改革審議会におきまして国民的見地から審議がなされる、こういうふうに考えているわけでございますが、量の増加とともに質の大切さ、こういうものもしっかりと考えていかなければならないわけでございまして、法務省といたしましてもそうしたこともしっかりと見ながら審議に協力をいたしてまいりたいと考えている次第でございます。
○魚住裕一郎君 また、司法の一方の担い手であります弁護士のあり方につきましてこの新聞記事はコメントをしておりました、「競わぬ弁護士」だということで。一方で、もちろん弁護士自治という、これはまた大変大事な基本原則、これはどこまでも堅持していく必要があると私は思っておりますが、ただ敷居が高いといいますか、市民から余りにも遠い、これもまた困ったものだなと。
 今、法務大臣がおっしゃったように、司法試験合格者もふやして今千名だと言いましたけれども、今まで五百人だったものが千人になっても、法曹人口として十年間で五千人ふえるしか変わらないわけです。そうなると、本当に今このような状況で、抜本的に変えていく必要があるのではないか。
 一方で、やはりそれは質の維持、司法試験合格者を二百名ふやしただけで質が下がったという指摘も実はあるわけでございまして、また一方で、敷居が高いというところから弁護士を探すのも大変だと、逆の意味で。専門家を探すのが大変だ。アクセスということも大事だなというふうに思っておりますが、この辺につきましても今この審議会の中で議論をされていくというふうに考えていいんでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘のとおり、国民の基本的な人権を擁護していくという立場に立ちますと、弁護士の皆さん方のいわゆる法律専門家としての役目というのは大変重要であると思います。また、御努力もいただいていると思うわけでございますけれども、今お話しのとおり、どうも敷居が高いといったような見方もございまして、弁護士のあり方の問題につきましては各界からいろいろな御意見等もちょうだいをいたしているところでございます。
 審議会の中におきましては、例えば弁護士の地域偏在の問題あるいは広告規制、こういったものによって国民の身近なものになっていないのじゃないか、こういった問題をどうするのか。あるいは弁護士が国際化の社会の変化や専門的な知識を要する分野に十分対応できていないのではないか。今、委員御指摘の例えば知的所有権の問題については、日本の国内でやるよりはアメリカに行った方が早いといったような問題も現に起きてきているわけでございまして、国民の多様化するニーズに的確にこたえておらないのではないか、そうした問題が指摘をされているわけでございまして、このような問題につきましても当然のことながら御審議をいただけるものと考えているわけでございます。
 私どもも、これらの問題につきましても積極的に応援をしてまいりたいと思います。
○魚住裕一郎君 もう時間がなくなってしまったのであと一点だけお聞きしたいと思うんですが、この新聞記事の中で「法廷のベール」というような表題で書かれている部分がございました。
 それは、大事な社会のルールであるというところの具体的な事件に対する判決、判断というものが実際の実務担当者、企業の実務担当者にしてもなかなか手に入らないというようなことが指摘されておりました。また、学生にとってもなかなか判決書きを入手することが難しいというようなことが出ている。
 一方で、もちろん訴訟当事者のプライバシーとか機密の事項もあると思いますが、やはり事件の具体的な処理についての判例というかルールというものを知らしめていく必要があるかというふうに思います。判例時報とか判例タイムズで見るだけでは間に合わない時代になってきているのではないかなというふうに思うんですが、この点につきまして最高裁の方から、どのように改革をしていくべきか、ちょっとコメントがありましたらいただきたいんです。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 判例情報の提供についての問題でございますが、裁判所は先例、かつての判例情報の提供につきまして判例集を編さん、刊行しておりまして、これを国民の利用に供してきたところでございますが、御指摘のように、昨今のインターネットの急速な発展というふうな社会状況を踏まえまして、平成九年五月に最高裁判所のホームページを開設いたしました。このホームページにおきまして、最近の主要な最高裁判決の全文を言い渡し後早ければ当日のうちに掲載してきております。
 また、下級裁判所の判決につきましても、産業界等への影響が大きい知的財産権関係の判決の速報を求める国民のニーズに応じまして、本年の七月からホームページに「知的財産権判決速報」というコーナーを設けまして、東京の高裁、地裁、それから大阪の高裁、地裁の知的財産権訴訟の判決を中心に、でき得る限り言い渡し日の翌日までに判決全文を掲載して、国民が容易かつスピーディーに判決情報にアクセスできるように工夫を進めてきているところでございます。
 裁判所といたしましては、今後とも民間判例雑誌の掲載状況や民間の開発に係るデータベースの活用状況も勘案しながら、それから御指摘ありました事件関係者のプライバシー等にも配慮しながら、インターネットを通じた公開に対する国民のニーズを踏まえまして判例情報の提供のあり方について検討していきたいと思っております。
○魚住裕一郎君 終わります。
○橋本敦君 神奈川県警の元警部補の酒寄氏の覚せい剤取締法違反の事件について、神奈川県警が組織ぐるみでこれを隠ぺいしたという重大な事案が、これで警察はよいのかという厳しい国民批判が高まる中で今論議がされております。
 最初に警察庁にお聞きをしたいんですが、けさの新聞の報道でも、近く特捜班は調べを終えて、元県警本部長であった渡辺氏を初めとして幹部を含めて近く証拠隠滅、犯人隠避の容疑で送検するというように報道されておりますが、間違いございませんか。
○政府参考人(吉村博人君) ただいま神奈川県警察における覚せい剤をめぐる事案についてのお尋ねでございますが、平成八年の十二月に神奈川県警察本部の外事課に所属をしておりました元警部補が当直にみずから架電をしてまいりまして意味不明の言動をしたということから発覚をいたしまして、本人から飲食店勤務の女性と不適切な交際をしていたこと、あるいは同女から覚せい剤を打たれたこと、さらに同女から覚せい剤様のものを預かり、これを捨てたということなどを供述したわけであります。
 当時、県警は元警部補を、女性との不適切な交際があった事実によりまして十二月の十七日に当該警部補を諭旨免職処分としていたものでございます。しかしながら、当時の処理につきましては、その経緯に不明瞭な点が多いということで、ことしの九月に神奈川県警において特別チームを編成いたしまして事実関係の解明に努めてきたところでありまして、十一月の四日、当該元警部補を、平成八年十二月当時の覚せい剤の使用が裏づけられたとして同人らを逮捕したものであります。
 県警においては、以上のような経過でございますので、県警の内部で犯人隠避に当たる行為があった疑いがあるところから、現在事案の全容解明に向けて捜査中であります。
○橋本敦君 捜査中であることはわかっていますが、近く送検するという報道がありますが、そういう方向であることは間違いないかと聞いているんです。
○政府参考人(吉村博人君) 現時点におきまして詰めの捜査の最中でございますので、具体的に送致の時期等について申し上げられる段階にないということを御理解いただきたいと思います。
○橋本敦君 捜査の詰めの段階だから、捜査の結果、近く送検する方針でやっているのか、そのままで済ませてしまう方針なのか、はっきりしてくださいよ。またつぶすのか。
○政府参考人(吉村博人君) 詰めの捜査を行っておりますので、近々にそのような状況になるというふうに考えられます。
○橋本敦君 そのような状況とは送検するということで理解してよろしいんでしょう。答えてください。
○政府参考人(吉村博人君) 送致ということになろうかと思います。
○橋本敦君 時間がないんだからはっきり答えてくださいよ。
 法務大臣、この件については、犯罪を摘発し厳正に処分するその警察が、警察官が行った覚せい剤取締法違反という犯行を、警察がこれを隠ぺいしておったという重大な問題ですよね。警察としてあるまじき行為だということですよ。しかも、このことを県警本部長がそういった方向で幹部を指示してやらせたという疑いが濃厚なんですよね。こんなことが日本の警察としてあってよいことか。
 近く送検されるということなので伺いますが、法務大臣として、まずこの点どうお考えですか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員からお尋ねがございました元神奈川県警察本部長を初めとする同県県警の幹部職員らが、覚せい剤を使用し所持していた警官につき、犯人隠匿及び証拠隠滅を行ったという事件につきましては、検察といたしましても、本来法を守るべき立場にある警察幹部による犯行とされていることも考慮し、今後の捜査におきましてこの事件の全貌を解明し、法と証拠に基づき厳正に対処するものと承知をいたしております。
○橋本敦君 型どおりの答弁ではなくて、法務大臣として、法の秩序を預かるという重責にあられるあなたとして、警察がこんなことをやったということについて、これは許せぬじゃないかと、はっきりしたあなたの御見解、認識を伺っているんですが、いかがなんですかと、こういう意味です。こんなこと許せますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほどお話を申し上げましたとおり、本来法を守るべき立場にある者がこうしたことを起こしたということは大変遺憾であると思います。
○橋本敦君 遺憾であるどころか許せないことですよね。
 しかも、その中身たるや、私はもう日本の警察が始まって以来最大の恥ずべきことだと思うんですが、この本人をホテルに泊めて、尿検査をやって陽性反応が出ると、陰性になるまでやって、陰性になってからそれを届け出るということをやる。最初、本人が上申書で実は覚せい剤を使いましたと言ったら、そういう上申書を撤回させて、女性と不倫関係にあったという上申書を出させる。こういうことをやる。まさに組織的犯行隠滅でしょう。しかも、驚くべきことは、この外事課員の覚せい剤のような粉末を発見したのに、その粉末を発見したことも隠すためにこれを廃棄してしまった、こういうことも言われているんですよ。
 警察庁、どうですか。そういう事実、調べましたか。粉末を発見したけれどもそれを廃棄したと報道されていますよ。
○政府参考人(吉村博人君) 本件をめぐりましていろいろな報道がなされていることは承知をしておりますし、一部事実の部分もございますので、その点も含めまして、現在、刑事責任を問うべく詰めの捜査をやっているということで御了解いただきたいと思います。
○橋本敦君 明確に否定されなかった。
 そして、そういうふうに証拠を隠した上に、そして今言ったように尿検査で陰性になってから、それから後になって裁判所の令状に基づいて家宅捜索をし、正式な尿検査を実施した。陰性になりますよ。家宅捜索しても粉末はありませんよ。
 しかも、重大なことは、この酒寄容疑者宅でも注射器一本を発見したけれどもこれも廃棄をしている、警察が。その後で家宅捜索を令状をとってやっているというんですから、全部隠した後で、令状をとって家宅捜索しても何にも出ないという状況をつくってから裁判所の令状をもらって家宅捜索する。こんな警察が一体世界のどこにありますか。こんなことが許されますか。
 法務大臣、これはまさに、単なる証拠隠滅どころか、警察官の組織的な、法を踏みにじるどころかまさに国民の信頼を裏切る重大な事件だと思いますが、こんなことまでやる警察をどうお考えですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 強制捜査といった具体的な問題につきましてはお答えを差し控えさせていただきたい、こういうふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、先ほど来私が申し上げておりますとおり、このような事件の重大性というものにかんがみまして、私ども検察といたしましては、事件の全貌というものを解明するために徹底的な捜査を行い、法と証拠に基づきまして厳正な処分をいたすものと考えております。
○橋本敦君 そこへ行くまでに、法務大臣、法務大臣の大臣としての、政治家としての見解を聞きたいんですよ。こんなことを警察がやっていいんですかというんですよ。証拠を全部隠しちゃって、その後で裁判所の令状をとって家宅捜索して、何もありませんでしたと。こういうことを警察がやったというそのことについて、これは全く許せないじゃありませんか。あなたはどうお考えなんですか。これから厳正な捜査をするということじゃなくて、こんなことを警察がやったというそのことについて大臣の見解を言ってくださいよ。あなたは大臣なんですから。
○国務大臣(臼井日出男君) 本件につきましては、まだ真偽が確認できていないようにも伺っておりまして、しかしながら、もしこれが例えば事実であるとするならば、先ほど来申し上げておりますとおり大変遺憾なことである、こう申し上げております。
○橋本敦君 事実だとすれば遺憾である。当たり前ですよ。遺憾であるどころか、警察としてあるまじき、許しがたいことだと、そういう厳しい認識をお持ちですか。事実とすればあるまじきことだ、許せないことだという認識をお持ちですか。当然でしょう。
○国務大臣(臼井日出男君) 重ねて申し上げて恐縮でございますが、こうした事件が事実であるとするならばまことに遺憾である、このように考えております。
○橋本敦君 大臣の答弁が遺憾だと僕は思うね。なぜはっきり言えないんですか。こんなもの、だれが考えたって許せない、非道きわまることじゃありませんか。
 しかも、その当時、こういう結果に基づいて家宅捜索などをいたしました、本人からも聞きました、しかし証拠はありませんでしたので、尿検査の結果も陰性ですしということで、この点については証拠がないので事件としては立件をいたしませんということで、横浜地検にもそういう報告をしたと報道されています。これが事実だとしたら、どうですか。したがって、その担当検察官は、証拠がないなら仕方がないと立件を見送った。それはそうですよ、証拠がなかったらそうなりますよね。
 検察庁まで欺いているんですよ、検察庁まで。許せないじゃないですか。検察の公正、厳正を預かる法務大臣として、県警が組織ぐるみで犯行を隠ぺいした上、検察庁にまでこういう欺いた報告をしたということになったら、これは私はまさにその上にさらに重大な問題だと思いますが、検察庁としてこういうことで欺かれたということについてどう考えますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来から繰り返しお答えを申し上げておりまして恐縮でございますが、本来法を守るべき立場にある幹部による犯行、こうしたことが事実であるならば大変遺憾である、こういうふうに存じます。
○橋本敦君 大臣、遺憾であるのは当たり前なんですが、極めて悪質な事犯だという御認識をお持ちですか。そう聞きましょう。どうですか。悪質きわまるでしょう、検察庁までだますんだから。証拠を全部隠してシロにしておいて家宅捜索をやって、そして本人の上申書を書きかえさせている。悪質きわまる、厳しいそういう認識をお持ちでないと、これから検察庁は捜査をやるんですよ。大臣の姿勢が問われますよ。はっきり答えてください。極めて悪質な許しがたい事件だと国民は思っています。私もそう思います。遺憾だというだけでは済まない。どうですか。
○国務大臣(臼井日出男君) もしこのことが事実であるとするならば、悪質であると言わなければならないと思います。
○橋本敦君 おっしゃるとおりですね。まれに見る悪質な事犯ですよ。
 しかも、これは元県警本部長を先頭として監察室長その他がかかわっているんですよ。警察の中にある監察室がかかわって、警察官の非行を調査し取り締まる監察室までぐるみになってやったとなったら、一体、国民は警察のどこを信用していいんですか。大変な問題ですよ。
 だから、法務大臣はこういうことが事実だとすれば悪質だとおっしゃったが、そういう悪質な事犯が送検されてくるならば、検察庁は厳正な徹底的な捜査をやる、それは当然だと思います。
 この点をもう一遍改めて聞きます。刑事局長にお願いしたいと思うんですが、この事案が送検されれば、この悪質な事犯を徹底的に厳正に捜査をするということは約束されますか。
○政府参考人(松尾邦弘君) お尋ねの事案につきましては、大変重大な事案であると検察庁も承知していると思います。したがいまして、この事件が送致された場合には、検察としてはその全貌を解明するために相応の捜査体制を整えまして徹底した捜査を行って、法と証拠に基づいて厳正に対処するものと承知しております。
○橋本敦君 刑事局長は今、相応の体制をとって厳正に対処し捜査を遂げるということをお話しになりましたが、法務大臣もその点は先ほどからおっしゃっているとおり間違いありませんね。重ねて聞きます。
○国務大臣(臼井日出男君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 そこで、刑事局長、この重大な事案に対してもっと厳正な捜査をと国民は望んでいるんです。
 先日のテレビを見ても、末端の覚せい剤違反の酒寄容疑者、これは逮捕された。しかし、その証拠を警察ぐるみで隠滅工作をやって証拠隠滅、犯人隠避をやったという重大な頂点の人物について、元県警本部長や生活安全課長あるいは局長や監察室長、そういった皆さんに対しては、厳正な捜査といったって強制捜査、逮捕もしていないんですよ。
 だから世論調査では、そんな甘くていいのか、八〇%以上の国民がまさにそういう上部の責任者こそ逮捕して徹底的に事案の真相を明らかにしてほしい、こう言っているのはまさに国民世論です。
 この重大な事案は、そういう国民の世論を背景にして、検察庁としても警察に配慮や遠慮することなしに必要とあらば強制捜査も含めて徹底的に厳正な捜査をやるとはっきり答えていただけますか。刑事局長、どうですか。
○政府参考人(松尾邦弘君) 先ほども御答弁申し上げましたが、この事案が大変重大な事案であるということの認識については検察も同様に承知していると私も考えております。
 ただ、具体的な捜査につきまして、どういう捜査手法をとるのかというのは個々具体的な事件の内容にかかわりますので、この席で刑事局長として御答弁をするのは控えさせていただきたいと思っております。
○橋本敦君 刑事局長、緒方事件で盗聴事件があったときに、神奈川県警の組織的犯行だという認識を持って捜査したけれども、証拠がつかめなかったから起訴猶予にした、こうありました。
 あのときに、伊藤元検事総長が本を書かれて、その中で、警察という強大な組織を持っているそれと検察との関係で、今後の捜査の協力体制を考えるというような配慮をするならば、警察官憲に対して厳しい処分ということでやるのはなかなか難しい、これはおとぎの国の話だがと、こう書かれているところがあったでしょう。御存じで、お読みになったでしょう。
 おとぎの国の話じゃなくて、実際に日本の国のこういう警察の組織ぐるみの不正を徹底的に厳正にやるという場合に、検察庁は警察に対して今後の捜査協力、その他があるからといって遠慮だとか配慮なんかをやっていたら、甘やかして、これは厳正な捜査はできませんよ。
 だから、どういう捜査方法をとるか、ここではっきり言えとは言いません。言いませんが、しかし厳正な捜査をやるということの中には、末端だけを逮捕してやるというんじゃなくて、必要とあらば強制捜査を含めて厳重な捜査をやるというぐらいの腹構えではっきり物を言ってもらわないと国民は信頼できませんよ。
 もう一遍、そこのところをはっきり言ってください。逮捕するとかなんとかを言っているんじゃないんです。強制捜査を含めて徹底捜索をやる必要があればやりますと、それだけの決意がありますかと、こう聞いているんです。
○政府参考人(松尾邦弘君) この事件の重大性あるいはマスコミ等を通じて報道されている国民の中における議論、あるいはこの国会の場におけるさまざまな議論がなされております。そうしたことは当然検察でも承知していることと思います。そうしたこともすべて踏まえまして、送致を受けますと厳正公平、不偏不党の立場で徹底捜査を遂げて適切に処置するものと考えております。
○橋本敦君 もう時間が来ましたが、言葉じりがはっきりしないところも刑事局長はありましたけれども、必要とあらば強制捜査は当然でしょうね。家宅捜査も必要であればやるのは当たり前でしょうね。そういう当たり前のことは厳正な立場で当然必要とあらばやる、そしてこの悪質な事案に対しては厳しく対応していく、そういうことで私は今の答弁を理解したいと思いますが、それでよろしいですか。念を押しておきます。
○政府参考人(松尾邦弘君) 先ほどお答えしたとおりでございます。
○橋本敦君 私が今言ったような理解で先ほどお答えしたとおりはよろしいのですかと、こう聞いているんですよ。必要とあったらやるんでしょう、そういうことです。そこまでの決意を持ってやらなかったらこれはできませんよ。県警本部のトップぐるみの大事件ですよ。どうですか。
○政府参考人(松尾邦弘君) 大変重大な事件であるだけに、しかも現に具体的な捜査が進行中ということでございますので、具体的な捜査内容、手法に立ち入ったことにつきまして、私の立場からなお踏み込んだ答弁を申し上げるのは非常に難しいということで、御勘弁いただきたいと思っております。
○橋本敦君 こんなことでは国民の信頼を検察だって失いますよ、警察だって失いますよ。法務大臣は厳正な捜査をやるということを言われましたが、その厳正な捜査の中には、警察のこういう悪質な行為に対しては強制捜査を含めて国民の期待にこたえて徹底的捜査をやるとはっきり言ってもらいたい。これで私の質問を終わりますが、法務大臣、どうですか。一言でいいです。
○国務大臣(臼井日出男君) こうした事犯というものは法を守るべき立場の者としてあってはならないことだと思います。先ほど来申し上げておりますとおり、厳正に法と証拠に基づいて処置していきたいと思います。
○橋本敦君 終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。私も冒頭、神奈川県警の問題についてお聞きいたします。
 先日、決算委員会で一九九六年度決算、一九九七年度決算の審理が行われ警告が議決されました。三つ出ましたけれども、その三つの中の一つがこの警察の問題です。
  神奈川県警察を始めとする各地の都道府県警察において不祥事案が相次いで発生し、しかも、一部事案についてその処理や対応に適正を欠き、警察に対する国民の信頼を著しく失墜させたことは、遺憾である。
  政府は、都道府県警察における業務管理や警察職員の職業倫理教養等について指導を徹底し、この種事案の再発防止に努めるなど、警察に対する国民の早急な信頼回復に万全を期すべきである。
と警告が出ておりますが、どう取り組まれますか。
○政府参考人(吉村博人君) 警察庁といたしましては、不祥事案防止のためにこれまでも都道府県警察を指導してきたところでありますが、神奈川県警察を初めといたしました一連の不祥事案が発生をいたしまして、まことに遺憾に思いますと同時に、これを重く受けとめているところでございます。
 業務管理の徹底を初め職業倫理教養あるいは身上監督の一層の徹底等につきまして、官房長通達を発出いたしまして全国警察に対して厳しく指導をしているところでございますが、今後は決算委員会において決議のありました不祥事案の再発防止あるいは警察に対する国民の信頼回復につきまして、これまで指示をいたしました再発防止対策が全国の警察に徹底されるよう強力に推進いたしますとともに、全国警察が仕事で成果を上げまして一日も早く国民の信頼が回復されるよう努めてまいる所存であります。
 なお、先ほども申しましたように、一連の事案がまだ捜査中のものが続いておりますので、捜査が一区切りついた段階で事案の原因等を解明いたしまして、また今後に生かしてまいりたいと考えております。
○福島瑞穂君 決算委からもきっちりと警告が出ましたので、抽象的なことではなく具体的にどういう制度を設けられるのかということをお聞きしたいのですが、いかがですか。
○政府参考人(吉村博人君) ただいま申し上げましたように、柱といたしましては、まず仕事の、職務執行の過程での不祥事案が一番問題でありますので、業務管理の徹底ということがあろうかと思いますし、警察官個人個人の倫理意識の高まりを促すような諸施策をきちっとやっていく必要があろうかと思います。
 神奈川県警察の現在進行中の事案につきましては、ただいま申し上げましたように、個別の原因、動機をきちんと解明された時点で、やるべきことがあれば防止策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○福島瑞穂君 具体的なチェック機能、チェック機構を設けるということは検討中ですか。
○政府参考人(吉村博人君) 警察におきましては、不祥事案につきまして、まず監察部門が中心となって調査を行うわけでありますので、解明された事実関係に基づきまして、一般論で申し上げますと厳正な懲戒処分を行う、それにあわせて、刑罰法令に該当する部分があれば厳正な捜査を行って事件として立件をするということになろうかと思います。
 また、不祥事案の発生時あるいは懲戒処分時におきましては、都道府県のそれぞれの公安委員会に対しまして適時必要な報告を行いまして指導を受けるシステムになっておりますし、これを有効に活用してまいりたいと考えております。
○福島瑞穂君 従前の制度のもとで不祥事や組織的犯罪があったわけですから、どうやってそうでないかという新たな制度などについてまたぜひ取り組まれて、それを教えてください。
 次に、テーマを変えて選択的夫婦別姓と婚外子差別撤廃についてお聞きをいたします。
 ホームページやファクス、手紙を非常にもらうわけですが、ちょっと聞いてください。
  私は選択制夫婦別姓が一日でもはやく行えるようになって欲しいと思っています。
  私は幼少の頃、母方の家の都合で父方の姓から母方の姓に改姓をしました。要は父が婿養子に入ったのです。
  まだ小学生でしたが、そんな事情を知らない近所のおばさんから子供の私に対していろいろと言われました。
  例えば「お父さん、いなくなっちゃったの」などです。男性の姓が変わることはありえないので離婚したと思われたという訳で、夫がいながら姓が変わることは非常におかしなことという一般論が子供にぶつけられたのです。
  私のように父が改姓したという方は少数派ではないでしょうか。父がわざわざ苦労し、改姓してまで守った姓なので、私は今後も母方の姓を名乗っていきたいのです。
  本当は一日でも早く民法が改正され、旧姓を苦労なく使用できるようお願い申し上げます。
というようにホームページに来ております。
 法制審議会は答申をまとめて法務大臣に出されましたが、いまだ国会に上程をされておりません。なぜでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘をいただきました法制審議会におきましては、平成八年二月に選択的夫婦別氏制度の導入や、嫡子でない子と嫡子である子との相続分の同等化等を内容とする民法の一部を改正する法律案要綱を答申いたしております。
 しかしながら、これらの問題につきましては国民の間でもって非常に大きく意見が分かれておるわけでございます。例えば、選択的夫婦別氏制度の導入に賛成の意見が三二・五%、反対の意見が三九・八%、通称の使用は認めるべきとする意見は二二・五%ということになっておりますし、また地方議会から提出される意見書というものがあるわけでございますが、この中の夫婦別氏制度に関するものにつきましては、現時点で法務省に提出された意見のうち、導入に積極的の意見というものは四十四件、慎重ないし消極の意見というものは三百八十八件ということでございます。
 これらのことを見てもわかりますとおり、国民の間で非常に多く意見が分かれているということでございます。
 民法というものは基本法でもございますし、御指摘の問題のように、社会や家庭のあり方について国民生活に大変重要な影響というものを与える事柄につきましては、大方の国民の皆さん方の御理解が得られた状況の中でもって改正が行われるというのが相当であると私どもは考えている次第であります。
○福島瑞穂君 では、法務省は国民の理解を得るためにどういう努力をされていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 御指摘を私から今いたしましたとおり、国民の間で大変意見が大きく分かれている問題でございまして、国民の皆様方の各界の間でもって御議論が深まることを私どもとしては期待いたしている次第でございますが、法務省といたしましては、法制審議会の答申等を広く国民に公開いたしました。また、世論調査の結果等も公開するなどいたしているところでございます。
 このようにいたしまして、法務省として国民が議論をする上で参考と思われる情報を国民に提供しつつ、国民の各界各層の御議論の動向というものを注視してまいっておる次第でございます。
○福島瑞穂君 それで、いつごろ上程の予定でしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいまお話を申し上げましたとおり、こうした国民の幅広い御意見を必要とする、しかも現時点において極めてその意見が多様であるということでございますので、ただいま申し上げましたように、いろいろな各界各層の御意見も伺いながら、国民の動向というものを注視し、またその成熟を待って法案として提出するような時期が来ようかと思っております。
○福島瑞穂君 婚外子差別撤廃については、子どもの権利に関する条約の委員会、国際人権規約B規約の規約人権委員会から勧告が出ております。特にこれは人権という点から、子供の平等という点からずっと議論のあるところですが、世論を変えることこそ政府の役割ではないかといつも国連に言われております。もっと頑張って努力していただきたいと思うんです。法務省はまた夫婦別姓選択制のパンフレットをつくっていらっしゃいますが、それをもっと広く配布するなど努力をしていただきたいと思います。
 婚外子差別撤廃についての努力について教えてください。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま御意見がございましたとおり、昨年の国連規約人権委員会最終見解におきまして、市民的及び政治的権利に関する国際規約……
○福島瑞穂君 ごめんなさい。法務大臣、時間がもったいないので、努力についておっしゃっていただければ結構です。
○国務大臣(臼井日出男君) そうしたように、二十九項目についていろいろ御意見をいただきました。私どもで所轄をしております主たる八項目につきましてはしっかりとやってまいりたいと考えております。特に国民の皆さん方の御意見というものを十分配慮する必要があると思っておりますので、そうした動向を注視いたしまして判断をいたしてまいりたいと考えております。
○福島瑞穂君 国民を説得するために法務省がどういうふうに頑張っていらっしゃるかは今後楽しみにしておりますので、ぜひそれはよろしくお願いします。どういうことをやっていらっしゃるのか、ぜひ見せていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。それと、特に現在困っている人がいるという事実をぜひ法務省は重く受けとめていただきたいと思います。これからもよろしくお願いします。
 次に、被疑者段階での法律扶助制度の拡充について御質問いたします。
 法律扶助制度は、憲法三十二条の裁判を受ける権利を保障するための制度と言えると思います。刑事訴訟法は、被告人、被疑者の弁護人選任権を定めており、三十七条で被告人については国選弁護人をつけるとしておりますが、刑事被疑者段階における国選弁護制度は残念ながら今ありません。被疑者の大半は残念ながら資力のない人も多いわけで、その点では今非常に問題となっております。身体を拘束された被疑者の段階で例えば国選弁護制度を導入し、お金がなくても弁護人をつけるということが必要ではないか。諸外国の例でも、ヨーロッパ諸国の法律扶助は民事と刑事を分けておりませんし、イギリス、フランスなどでも同一の法律に規定されて実施をされております。日本は法律扶助が民事ということは非常に問題があるというふうに思っております。
 法務大臣にお聞きいたします。国民の視点での司法改革ということを言っていらっしゃいますので、司法扶助制度を刑事被疑者に拡充することは、司法制度改革審議会のスローガンとまさに一致するというふうに考えますが、被疑者段階での法律扶助を含める方向で、立案の検討作業を現在行われている民事法律扶助案で検討中かどうかについて教えてください。
○国務大臣(臼井日出男君) 司法改革審議会における審議の内容につきましては、現在非常に多くの部分について検討いたしておりまして、本年末までにそれを取りまとめるということになっておりますので、そうした問題につきましても当然のことながらテーマの一つとして検討されているものと考えております。
○福島瑞穂君 参考人の方でも結構ですが、法律扶助になぜ被疑者を含むことができないのかについて教えてください。
○政府参考人(横山匡輝君) お答えいたします。
 被疑者国選弁護を含む被疑者段階の弁護活動に対します国庫金の支出につきましては、捜査手続への影響など、刑事司法手続全体の構造との関連、適正な被疑者弁護活動のあり方、国の財政負担との関係、国民の理解、弁護士の偏在等、民事とは異なるさまざまな角度からの検討が必要とされる問題であると承知しております。
 現在、法曹三者におきまして、意見交換の場を設け、被疑者段階の刑事弁護に関する諸問題について幅広い議論が進められているところと承知しております。
○福島瑞穂君 被疑者段階でこそ弁護人が必要であるというふうに思いますし、日本は御存じのとおり法律扶助に対するお金が非常に少ないものがあります。国民のための司法ということが今テーマとして言われておりますので、ぜひ盛り込んでくださる方向で検討をよろしくお願いいたします。
 次に、家庭裁判所調査官研修所の廃止問題についてお聞きをいたします。
 家庭裁判所の研修所と書記官の研修所を統合して裁判所職員研修所をつくるということが予算の請求の中で出てきております。懸念が一つありまして、家庭裁判所の調査官は、家事事件、少年事件で大変お世話になるわけですが、心理学などの専攻をしている人たちで、法律家とは異なります。調査官の研修の独自性というものは今回の統合によって保障されるのでしょうか。それを教えてください。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 委員御指摘の研修所の統合に際しまして、私どもといたしましては、調査官の職責の重要性、その専門的なレベルの向上の必要性ということを考えまして、その研修の独自性については十分配慮してまいりたいと考えている次第でございます。
○福島瑞穂君 国際人権規約B規約の四回目の勧告が出たのが御存じのとおり去年です。この内容について、条約をどう実現していくかということが政府、国会議員、国民に求められているわけですが、現在の実現状況、勧告実現に向けての今後の見通しなどをお聞きしたいんですが、時間が余りなくなってしまったので午後に。
 残りの時間、最高裁判所にまたお聞きをいたします。
 例のタクシーのことに関して、雲助発言という判決があったということが大変議論になりました。B規約の勧告の中でも、法執行官に対する人権研修、それからこの法務委員会で以前も言いましたけれども、この勧告文も裁判官に配付するようにということが言われております。B規約の勧告のパラグラフ三十二ですけれども、裁判官に対する研修を行うことの必要性が強く勧告され、またこの見解が裁判官に配付されるべきであるとされております。それについてお聞きをしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御指摘のB規約人権委員会の最終見解の趣旨を踏まえまして、この最終見解と規約人権委員会の一般的な性格を有する意見につきまして裁判官に提供するという措置をとりました。
○福島瑞穂君 具体的な措置、具体的に個々の裁判官に対してこの見解は配付されたのでしょうか。裁判官は定義の解釈の専門家ですから、このとおり委員会が表明した見解が裁判官に配付されたかどうか、お聞きいたします。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) この最終見解では、裁判官に提供されるべきであるというふうに言っております。具体的に申しますと、この最終見解と意見を各裁判所に送付いたしまして裁判官が見たりすることができるようにする。各裁判所においては、それぞれしかるべく裁判官に配付するなり閲覧できるような措置をとったものと思っております。
○福島瑞穂君 規約人権委員会の委員が求めているのは、私たちの中にやはり差別や偏見があったりいろいろな思い込みがあったりするところをいかになくしていくのかということだと思います。単に送付をしただけでは本当に一人一人の意識そのものが果たして変わったのかどうかということがわからないと思いますので、研修について具体的に、例えば国際人権の観点から、研修所ではなく現職の裁判官に対して具体的にもっとやるべきだと思いますが、教えてください。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) この人権規約に関する研修につきましては、裁判官に任官した直後の研修、あるいは被疑者、被告人の身柄拘束に関する令状実務に関する研究、あるいは少年事件に関する研究会、そういったところで必要に応じてこの国際人権規約に触れる研究をしてきたところでございますが、さらにこの最終見解の趣旨を踏まえまして、司法研修所で行われる各種の裁判官の研究会で最終見解について説明するというふうなことをやっております。
○委員長(風間昶君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(風間昶君) 速記を起こしてください。
 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時四分開会
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○江田五月君 臼井大臣、御就任おめでとうございます。
 私は、ずっと以前に参議院に籍を置いていたことがありまして、そのときに法務委員会をちょっとだけ担当したことがありますが、全く久しぶりに、多分二十年ぶりぐらいに法務委員会にやってまいりました。素人ですので、ひとつよろしくお願いいたします。
 臼井大臣、山本総括政務次官御就任のころに、実は私ども民主党の方も党の大きなつくりかえがございました。
 この秋ですが、自民党が総裁選、私どもの方は代表選と申すわけですが行いまして、そしてその後、イギリスなどにあるシャドーキャビネットといいますか、やっぱり政治の議論というのは理屈の議論だけでなくて顔が見えた議論の方がいいだろう、臼井法務大臣が何かおっしゃる、それに対して野党の方が、ああこれが次の法務大臣なのかなという人が、顔が見えて議論が行われるということになれば、国民の中でも政治の議論がもっとわかりやすくなるんじゃないかと。そんなことでネクスト・キャビネットというのをつくりまして、イギリスのシャドーキャビネットではどうもシャドーというのは影ですから、それよりはネクストの方がいいだろうというので、ネクスト大臣、ネクスト・キャビネットというものをつくりました。
 私は、次に法務大臣になるかどうかそれは別として、鳩山新体制のもとでの民主党の司法ネクスト大臣という役を仰せつかることになっておりまして、臼井法務大臣のカウンターパートでございますので、ひとつよろしくお願いします。
 きょうは、その最初の議論ということで、法務行政、いろいろ細かな、しかし重要な課題は山ほどありますが、そういうものに先立って、ひとつ今の政治課題について政治家同士の議論をぜひさせていただきたいと思っております。
 実は、きょうは私、けさ八時半ごろ成田に着いてこちらに飛んで帰ってきた。それは何をやってきたかといいますと、私たちの羽田幹事長と二人で東ティモールへ行ってまいりました。
 東ティモール問題、これはもうことしの春過ぎ以降ぐらいですか、またとりわけ夏の終わりから九月、十月にかけて大変国際社会で大問題になったものですから法務大臣も御承知いただいているかと思いますが、一九七五年にポルトガルからの独立宣言をした。しかし、その直後にインドネシアが陸海空で侵攻して、自分の領土にしてしまった。国際社会はずっとこれを認めなかった。長い植民地の民族自決の運動がずっと起きて、でもインドネシアの政変に伴って、国際社会もこれはやはり住民自治、住民の皆さんの気持ちを尊重しようというところで住民投票をした。圧倒的多数で独立という答えが出た。
 しかし、その後、インドネシアの国軍あるいは民兵、こういう人が大暴れで、とにかくすごいですよ。私も行ってみたら、ディリというのがその東ティモールという州の、州といいますかこれから国になるんですが、この首都なんですが、もう家が全部焼かれているんですね。本当によくもあそこまで御丁寧に焼いたと思うぐらい完全に焼いて、外壁はあるけれども黒くすすで汚れて、中はもう完全に焼けただれている。山の奥の方の一軒家まで御丁寧に全部焼いているということでしてね。
 私もいろんなところを見てまいりましたが、修道院をちょっとのぞいたら、修道女の皆さんの部屋がずっと個別にあるわけですが、それぞれの部屋にそれぞれ居室があって、あと洗面所があります。洗面所に洗面台とトイレがある。これはもちろんセラミックですが、どこの部屋を見ても全部きれいに同じように完全に壊してある。よほどこれはすごい組織立った破壊工作だったと思うんですが、しかしそういうものにめげずこれを乗り越えて、国際社会もいろんな協力をして、INTERFETなども繰り出して、今独立の道をやっと歩むことになって国連暫定統治機構がスタートするということになっておるわけです。
 これは日本政府も役割を果たさなきゃならぬということをいろいろ言っていると思うんですが、閣議で東ティモール問題について議論されたことはございますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 私が閣僚になりましてからはそうした議論は行われておりません。
○江田五月君 閣議のあり方ということなんですが、私もわずか八カ月ではありますが科学技術庁長官を務めさせていただいている。恐らくあの当時と今と、私自身がそういう閣議の構成員であったから人のことを悪く言えないんですけれども、今も変わっていないと思うんですが、官房副長官が案件を読み上げる、各閣僚は皆一生懸命花押をサインするのに忙しくて、気がついたら閣議が終わっておる。やっぱりそういう閣議を今もやっていらっしゃいますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 恐らく、江田先生が大臣をやっておられたときとお話を伺いますとほとんど変わりないように思います。
○江田五月君 どうでしょう、ああいう閣議で本当にいいのか。もちろん国政のテーマはもう森羅万象、いっぱいありますから、それを一々すべてみんなの閣僚で議論してというわけにはいかないでしょうが、しかしやっぱり時々のテーマ、これはひとつ閣議でみんなで議論してみようというような議論が閣議にもなきゃならぬと思うんですが、どう思われますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 私も今回大臣にならせていただきまして、会議の状況を見ておりますと、まだ相当諸先生方緊張しておりましてなかなかほぐれてこない。閣議の中では御承知のとおり閣議といわゆる懇談会と二つに分かれておりまして、比較的自由な雰囲気の中でもって自由に発言するという場も用意されておりますので、そうしたものを十分使うことによって今おっしゃったような機能は十分に果たせるものと考えております。
○江田五月君 閣僚懇談会はどのくらいやっていらっしゃいますか。二回閣議がありますね、毎週。その後閣僚懇談会が必ずあるという感じですか。それとも、それほどはなくて何回かに一回というようなぐあいでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今までの中で全体を十とすれば七、八割方意見が出ているように思います。
○江田五月君 閣僚懇談会での閣僚の発言、これもあらかじめ事務方の用意したペーパーがあるんじゃありませんか。そんなことはないですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 他省庁のことはわかりませんが、私も二度ほど発言をいたしましたが、事務方に資料の用意はさせております。しかし、その場で発言をすべきと判断したのはもちろん私自身でございますし、発言の要旨はやはり法務省というものを背負っているという中で正確を期したいということで準備させたわけでございまして、そういう意味では私は、メモがあるなしというのは条件の一つにすぎないと思います。
○江田五月君 冒頭申しましたとおり、私自身も人を批判できる状態じゃなかったと思って内心じくじたる思いもかみしめながら申し上げているわけですが、自分の後ろに法務省がある、自分の後ろに科学技術庁がある。その障壁というか、省の意見を代弁して、閣僚懇談会でメモまでちゃんと用意してもらって発言するというのでは、やっぱり政治家の議論ではないと思うんです。(「賛成」と呼ぶ者あり)
 国会の議論も大いに変わらなきゃならぬ、閣議の議論のやり方も大いに変わらなきゃならぬ。本当に十分な議論の中で政治的な決断が下されていく、そういう政治に変わっていかなきゃならぬと思っています。賛成という声をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、自分自身法曹の出身ではありますが、だからといって法曹の実務からは離れて随分長いですから、余り細かなことまで今すぐに思い出すことはできないんですけれども、法務大臣の立場というもの、これは非常に重いものだと。法律というものの権威を大臣がいわば体で表現されているということでして、大変な重責だと思うんです。
 最近のことで言いますと、その法務大臣の資格がどうも疑われるんじゃないかということが国会で議論になったことがある。言うまでもなく、ことしの通常国会の予算委員会で議論が出まして辞任された中村元法務大臣のことなんです。私も予算委員会で取り上げさせていただいたんですが、いろんなテーマがあったんです。あれほど早くおやめになるとは思っていなかったら、あっという間にやめられていったんですが、しかし辞任は当然だと思うんです。
 そこで法務大臣、中村法務大臣はなぜ辞任しなければならなかったか、どのように認識をされていますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 大変恐縮でございますが、かつて法務大臣をされた先輩、もちろんだれにやめさせられたわけではなく、御自身の判断と決断でおやめになられたわけでございまして、そのことについて私から申し上げる立場にはないと思います。
○江田五月君 しかし、前者のいろんな経験というのはやはり後者の参考になるわけでして、前車の轍を踏んじゃいけない、よく吟味をされる必要があるんじゃないか。
 中村法務大臣の場合にはなかなか元気のいい方で、頭のかたい法曹界に対して、法曹界の中にいないいわば法律の素人であるからこそ、そこへ切り込んで法曹界の頭のかたさをぶち破ってやろう、そういう思いがあって、そこに一定の国民の期待があったことも事実だと思うんです。ですから、中村法務大臣に私なんかがかみつくと、何だ、あいつは法曹の出身じゃないか、頭のかたい法曹がぐるになってみんなで中村正ちゃんをやっつけようとしている、けしからぬなどという声もあった。そういう声もある程度わからないわけじゃないんです。しかし、やっぱり法務大臣にふさわしくない軽率な言動があったので、私は全部で八項目不適切な言動を批判いたしましたが、やっぱり致命的だったのは、中村大臣の指揮権発動に対する無知といいますか、理解がなかったということだと思うんです。
 中村大臣の場合に、就任早々法務省の担当の、きょうは松尾局長おみえですが、局長の皆さんから指揮権発動については十分レクチャーを受けておったということですが、臼井法務大臣は指揮権発動についてレクチャーをお受けになりましたか。レクチャーと言うとちょっと言い方はおかしいですが、説明をお受けになりましたか。
○国務大臣(臼井日出男君) 従来、法務大臣がどのような流れの中でもって歴代御発言しておられたかということは伺っております。
○江田五月君 いや、従来じゃなくて、あなたは指揮権発動というものについて説明はお受けになりましたか。
○国務大臣(臼井日出男君) したがいまして、従来どういうふうな形の発言だったということは聞いております。
○江田五月君 従来どういうものというように理解されてきたかという説明を受けたという意味ですかね。
 では、あなた自身は指揮権発動というものをどういうものだと認識されていますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 指揮権というのは行政権の一部をなすものであるということはそのとおりでございまして、内閣の一員である法務大臣としては検察権の行使、これは必要な指揮権を監督ができる、できなければならないというのはそのとおりだと思います。
 一方、司法権の独立を確保するためには検察権の独立というものも確保していかねばなりません。その職権は不党不偏、厳正公平で運用していかなければならない。したがいまして、検察権の行使につきましては、法務大臣が指揮権を行使するに当たってそのことを十分に考慮して行うべきものと考えております。
○江田五月君 指揮権というのは、検察庁というのは、検察一体の原則というので各検察官がすべて一つとなって検察業務、検察事務を行うわけですね。
 具体的な事件については、これはそれぞれの検事がそれぞれ自分の所掌の事件としてその職務を行うんだけれども、そのそれぞれの検事を指揮しちゃいけない、具体的な事件については。これは検事総長だけを指揮、そしてその場合には、しかし検事総長は自分の部下の検事を言われるとおりに指揮するかどうかというのは、今度は検事総長の職責をかけて、あるときには、大臣、それはいけませんと断ることもあり得る。そのときには検事総長は命をかけて断る。命をかけてと言うと大げさですが、職務をかけて断る、そういう構造になっていて、それだけ指揮権の発動の対応について検察庁法が一条を置いて、そこに物すごく微妙な、しかし大変な火花を散らすような力関係の衝突で調整をしているという、そのことはおわかりですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員がお話しの点は検察庁法第十四条に関することだと思っておりまして、法務大臣に対して検察権の行使に関する一般的な指揮権を規定いたしておりますが、一方では、具体的な事件に関する場合は検事総長のみを指揮することができる、こういうふうに定められております。
 検察権が行政に属することによる法務大臣の責任と検察権の独立確保の要請、この調和を図ったものであるというふうに解されておりますが、私といたしましては、具体的事件の捜査処理に関しては検察権の行使に不当な制約を加えるというようなことはいたさない、このように考えております。
○江田五月君 中村法務大臣の場合は就任早々、検事総長をたしか呼ばれたんですね、自分の法務大臣の部屋に。そして、検事総長といえども行政権の一部として自分のもとにあるので、そのことを十分理解して自分の、どういう言葉だったか言葉自体はちょっと正確に覚えていませんが、要するに自分の気持ちを十分体して検察行政をやるようにと、そういう一般的なことを言われた。ある意味では一般的ですが、ある意味ではこれは非常に微妙ですね。
 その後、法務大臣がいろんなことをおっしゃる。そうすると、最初にばっと網をかぶせているわけですから、そこで後で具体的なことをほかのところで言えば、それは言われた検事総長は、あの事件については法務大臣はそういうことを思っているのか、なるほどこれはそうしなきゃならぬなと思う、あるいはそういうふうに法務大臣は思えよと言っているのかと感ずる、そういうことがあってこれで問題になったんですが、臼井法務大臣はそのような指揮を検事総長に対してなさるお気持ちはありますか。
○国務大臣(臼井日出男君) ございません。
○江田五月君 もう一つ、中村法務大臣のときの勘違いは、自分が直接検事総長に言うのでなければ指揮権発動にならないと思った。だけれども、臼井法務大臣、法務省というのはあなた一人じゃないですね。法務行政をつかさどる行政庁というのは、法務大臣ただ一人ですが、その行政庁である法務大臣の職務の執行を助ける法務省の機構がございますね、特に刑事局、今の検事総長の関係では。その自分の手足として自分の意を体して動く行政システム、これを使って検事総長に対して指揮するということがあり得るわけですが、それはおわかりですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 承知をいたしております。
○江田五月君 あなたの手足として動くあなたの部下である刑事局の皆さんに、この事件についてはこういうふうにすべきだとかしろとか、あるいはそう受け取られかねないような言動、こういうことについては一切厳に慎まれる、そういう覚悟がおありかどうか聞かせてください。
○国務大臣(臼井日出男君) そのように心がけております。
○江田五月君 その辺は法曹の出身であろうがなかろうが、法務大臣としてはそこは絶対踏み間違えてはいけない非常に微妙な、しかし重要なポイントですので、ひとつよろしくお願いしますし、また補佐をされる法務省のお役人の皆さんにもぜひそこはよろしくお願いをしたいと思います。
 さて、いよいよ国会活性化法というんですか、施行されて、きのうは党首同士のクエスチョンタイムというのも初めて行われた。私自身は、先ほど申し上げたようにちょっと外国、東ティモールへ行っておりましたので直接拝見はできなかったんですが、いろんな国政上の問題について議論をされたと思っております。
 そこで、私も臼井法務大臣と小渕自自公連立政権の政治のあり方について若干の議論をしたいと思います。
 もし時間が許せば、その上でさらに今の法務行政の重大課題である司法制度改革であるとかオウム真理教の対策であるとかあるいは法務省の人権擁護政策の今後のあり方とか、いろいろ質問したいんですが、時間がどこまであるかちょっとわかりません。
 小渕新政権、これは私はどうもスタートから大きくつまずいたという気がいたします。これまでは小渕総理は真空総理で、何だかわからないけれども、あの人の顔を見ると安心するなという感じで支持率が随分高かったようですが、どうもそろそろ満月がだんだん欠ける時期に入ってきたのかな。初日から既に六連敗をしているのじゃないか。あと二つでいよいよ負け越しが決定だと思います。
 まず最初の黒星は九月三十日、東海村での臨界事故。我が国の原子力史上最悪の事故。その事故が起きて中性子がずっと放出され続けた。十九時間でしたか、その間、小渕さんは何をやっていたか。小渕さんは総裁選の報復人事に夢中になっていたのかどうか、加藤紘一さんと言い争いをして、あなたは私を追い出そうとしたじゃないかとか。一体何だこれはと。現に現場では中性子がずっと出続けていて、この現場から八十メートルのところでは、一般の人が年間に許容される量一ミリシーベルトの七十倍とか百倍とかというような放射能を、それも十数時間のうちに受けていたというようなことが起きていたのに、総理大臣を本部長とする事故対策本部ができたのは事故後十一時間近く。しかし、このときは臼井さんはまだ法務大臣に任命されていなかったんですね。
 二敗目は、これは参議院長野の補選の敗北で、どんどん行きますと、三敗目は西村政務次官の更迭、四敗目が藤波さんの議員辞職勧告問題、自民党の皆さんは勝ったとお思いかもしれませんが、そうじゃないと思います。
 五敗目は企業・団体献金策で右往左往、これも何だか随分みっともない右往左往。六敗目が選挙目当ての介護保険見直し。大体もうこれで六つ黒星。七つ目は何だろう、楽しみにしていますが。
 東海村の事故で、昨日発売された雑誌の中で、有馬前科学技術庁長官は、非常に申しわけない思いで反省をしていると率直に述べておられる。臼井さん、そのときはあなた大臣じゃなかったから、そのときあなたどうしましたかと聞くわけにいきませんが、政治家として、この事故に対する政府の対応をどういうふうに思われますか。反省すべき点があるかないか。あるとすればどこか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘ございました点につきましては、ただいま挙げられました六項目につきましても、他省庁に関係することがございましてなかなか発言しにくい部分もございますが、ある部分においては、個人的な意見ということでお聞きをいただきたいという部分もあるわけでございますが、やっぱりこうした災害、事故が起きた際には、もうできるだけ早くその情報というものを正確に知らせるということが大切でございまして、そういった意味で、日ごろから総理を中心とした防災対策会議というものも設けているわけでございまして、こうした情報を正しく早く伝えるという点については多くの反省があるものと思っております。
○江田五月君 他省庁に関することなのでお答えしにくいというのはよくわかります。しかし、その省庁のことをどうこうしろというふうに法務大臣におっしゃってくれと聞いているんじゃないので、そこはひとつ。
 今回の国会は補正予算が出るのが十一月の終わりだと、それから予算委員会というので、予算委員会で国政全般にわたってすべての大臣の皆さんに聞いていただきながら議論をするその場が持てていないんですね。
 そこで、私どももあえてこういう場でそれぞれの大臣の国政全般についての考え方をただしておるわけですが、私はこの事件で、これは十時三十五分に事故が起きて、十一時過ぎには現場、ジェー・シー・オーから科学技術庁に臨界事故の可能性ありという一報が届いているんです。それなのに、いや、臨界事故はぽっと起きたけれどももうおさまっちゃったんだろうというような対応だったので、全く甘かったんですが、それが一つ。
 もう一つ、これは法務省でもどこでも同じですが、いいですか、科学技術庁は現場でああいうマニュアル無視、裏マニュアル、その裏マニュアルさえ無視というようなことが行われていることはわからなかった。現場へ行って毎日毎日の作業を見ていればそれはわかるだろうけれども、まさか毎日現場へ行って見ておるわけにもいかない。現場の作業員がそういうマニュアルも無視、無視も大無視をされたんじゃ、それはどうにもならない。しかし、どうにもならないじゃ、これは国民に対して、いやそれはどうにもならないんですでは済まない話ですね。
 私は、これはどこでもあり得ると。法務行政についても、法務大臣も局長の皆さんも霞が関にいて事態を見ている。しかし、それじゃ刑務所の一番最先端で刑務官が受刑者に対してどういうふうなことをしているかということが必ずしもわからないことが起き得るんです。
 そういうことについて法務大臣、これからどういうふうにしていこうと思われますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先生お話しのとおり、このことは大変大きな、他山の石と言うと他人行儀になりますが、一つの事例として、私どもも心して、自分のこととして反省をしていかなければならないと思います。
 特に、私どもは、刑務所初め少年院、鑑別所それから入管あるいは人権擁護の場、それぞれ大変幅広い業務というものを統括しているわけでありまして、そういう意味では、それらの現場の皆さん方一人一人が非常に緊張していただいて、誠意を持ってその仕事に励んでいただくということが非常に大切だと思っておりまして、私も就任以来、できるだけ早くそうした現場を拝見させていただいて、皆さん方に元気を出していただくようにお願いをしてと、そう考えておりまして、今、暇をつくりながら、一生懸命に現場も視察をいたしているところでございます。
 これからも先生お話しのとおり、現場もあるいは本庁の方も、心を一つにして頑張っていくようにさらに努力をいたしてまいりたいと思います。
○江田五月君 そこは本当によく注意を行き届かせた行政を行っていただきたいと思うんですが、ただ、本庁も現場も皆心を一つにしてと。それはもういつでもそうですよ。だれでもそんなことは疑わない。それでも違った事態が起こり得る。刑務所も少年院もあるいは入管の場所でもいろんな話が聞こえてくるんです。中には、それはちょっと思い過ごしじゃないかとかいうこともあるでしょうが、中にはやっぱりちょっとこれはというようなこともある。
 私は、やっぱりそこは一つシステムのことを考えなきゃいけないと思うんです。一つには、やっぱり情報公開です。行刑現場、入管現場がどういう実態なのかということについて、もっともっと情報公開しなきゃいけないということ。それからもう一つは、現場のいろんな声に耳をそばだてなきゃいけない。一方通行行政というのはやっぱり間違ってしまうんです。見えるものが見えなくなってしまう。
 だから、法務省、法務大臣、ここでいろんなことをお考えになって、自分たちはこんなに一生懸命考えているということを幾ら一方通行で下へ落としていってみても、一方通行行政だとやっぱり声が聞こえない。そしていろんな皆さんの気持ちに反するようなことが起きてしまう。いやそれは自分たちの気持ちと違うのでと言ったって、それはだめ。
 ですから、やっぱり現場の皆さんの声がちゃんと上がってくるような、それは直接上がってくる場合もあるでしょうが、実際はなかなか直接上がってきません。そうすると、例えばその周辺の皆さん、それはマスコミであったり地域の社会であってみたり、あるいは被害者の皆さんであったり、そういう人たちの声に真剣に耳を傾けるという行政姿勢が必要だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) おっしゃるとおりだと思います。
○江田五月君 大変御理解いただいてありがたいんですが、おっしゃるとおりと言われてもちょっと困ってしまうのです。
 科技庁の場合だってそうなんです。現場ではああいう、まさかバケツでウランを扱っていたなんて、何か、トンネルにハンマー、ウランにバケツかなとかいう川柳があるらしいですけれども。まさかそんなと思っていてもそういうことが起きますので、それは、そういうことが起きないように、心がけだけじゃだめで、やっぱり何かシステムが必要だということだと思うんです。
 長野の補欠選挙が次にございましたが、この結果は法務大臣、どういうふうにごらんになっていますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 法務省のことと直接関係ございませんので、私の私的な、一議員としての見方でございますが、今回私どもが負けたということは極めて残念なことでございます。しかし、もともと長野県というところは私ども強いところでもございません。したがいまして、このたびの敗戦が政権に大きな影響を及ぼすというように私どもは理解をいたしておりません。
○江田五月君 この議論、いろいろしていたらもう時間もなくなってしまうのですが、やっぱり自由党の皆さん、公明党の皆さん、ついきのうおとといまで私ども一緒にやっておって、あれこれ差し出がましいことも言いたくないんですけれども、やっぱり自民党と自由党と公明党のこの関係というのは有権者には非常にわかりにくいんじゃないかという気がします。
 これは余り入らずに、次に、西村問題ですが、これはどこが問題で、なぜ更迭につながったのか。これも他省庁ですか、それともこの際自分は政治家としてこういうことは言っておきたいということはございますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 私もこうした立場になりまして、個人的な政治家としてのいろいろな思いあるいは心情と、立場上そうではないものと必ずしもすべてが一致するというわけにはまいりません。
 しかしながら、法務省という立場に立つ以上は、やはり法務省全体のことを考えて、従来からの流れ、そういったものをしっかりと見きわめていく必要があると思っておりまして、個人的な心情というものを公の場でもって披瀝をするということは好ましいことではございません。
○江田五月君 臼井大臣の場合に、私も大臣のこれまでのいろんな御発言などについてもちょっと拝見をしてみたんですが、この人はこんなことを言っているから追及をしてやろうというような発言がなかなかなくて、手がたい、大変法務大臣にふさわしいのかと思ったりもいたしますが、やっぱり自分の個人的な心情をそのまま言っていいという立場ではない、それはそのとおり。
 しかし、政務次官で、しかも制度が変わって政務次官の重要性が増したその人が、核兵器をすることも検討すべきかというようなことを言って、諸外国から日本は核兵器をつくろうとしているんじゃないか、だって重要な政務次官がそんなことを言っている。いや、そんなことはない。日本じゅうどこを見ても核兵器をやっているようなところはどこにもない。何を言っているんだ。あなた方の知らないところで、現場でバケツで核兵器なんて言われたら、これはもう諸外国にどういうふうに説明していいのか。説明できないんですね、これは。そういう言動がある人をそうと知りながら政務次官にというので、これは今、あなた任命権者でないからここで言ってもしようがないですけれども、やはりそういう問題が今の政治の中で起きているということは十分認識をしておいていただきたい。
 藤波元官房長官ですが、藤波さんの議員辞職勧告を私ども出させていただいておりまして、前には議員辞職勧告を一緒に出させていただいた同僚議員の皆さん方が今回はどういうことか反対だということになったり、だれがというわけじゃありませんが、なかなか微妙な問題ですけれども、この藤波さんはどうですか、議員をおやめになるべきだとお思いになりませんか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今回、藤波問題、辞職勧告決議案が出たということも承知をいたしておりますが、大変申しわけございませんが、この件につきましてはお答えをいたしかねます。
○江田五月君 なぜですか。答えを遠慮というのは、理由は何かおありですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 従来から、法務大臣としてはこうした個々の問題については言及をしないということにいたしております。
○江田五月君 それでは政治家としてはいかがですか、政治家として。もし衆議院で藤波さんの議員辞職勧告決議案が上程されたらあなたは賛成されますか、反対されますか。
○国務大臣(臼井日出男君) そうした仮定の問題にはお答えいたしかねます。
 なお、私は藤波先生をよく存じておりまして、こうしたことになりましたのは極めて残念だと思っております。
○江田五月君 いや、私もよく存じ上げています。あなたにはかなわぬかと思いますけれども。「控え目に生くる幸せ根深汁」、なかなか味のある川柳とか、一度私は話をしていて、政治家というのはとにかくあんなに外で大声ばかり張り上げて、だんだん頭の中空っぽになるんじゃないですか、自分でもじくじたる思いがあるとかいうことを言ったら、それでなお残る知性が本当の知性だよ君なんて言われて、そうかなと思ったりしたことがあります。
 しかし、そういう方がああいうことになっているというのは大変お気の毒ではあるけれども、やっぱり国会で法律を変えて、贈収賄で有罪が確定したら議員の資格を失うという法律をつくった。それに藤波さんも賛成をされたんですよ、たしか。それなのに、御自分の場合はその法律ができるより前だったからいいんだという、それはやっぱり国民に対して示しがつかない。うなずいておられるからあなたも同じお気持ちであろう、なおうなずいておられますのでそうであるというふうに理解をさせていただきますが、本当にここはけじめです。しっかりしたものをしなきゃいかぬと思っています。
 企業・団体献金の問題、それから介護保険の問題、大揺れに揺れております。しかし、今の藤波問題もそうですが、どうも政治にけじめというものが何かなくなって国民は困ってしまいます。介護保険だって、地方自治体の皆さん方はこれからいよいよ四月からこうなるということで一生懸命に、それこそ不眠不休で、認定のこともあるし、いろんなソフト、ハードの提供のこともあるし、財政の問題ももちろんあるし、やっておったら、突然何か足元がぐらつくということになったんじゃ、地方自治体の皆さんは国政は一体何をやっているんだという思いで見ているわけですよ。
 先日も私、ある人から手紙をもらって、自分は寝たきりで妻に大変迷惑をかけている、しかし妻がいろいろやってくれるから自分は生きていられる、その妻に一時金がもらえるのは本当にうれしいというその気持ちはよくわかる。よくわかるけれども、もう一つ考えてほしいのは、その奥さんが介護できなくなったときに一体どうするんですか、そのときのための制度をちゃんとつくっておかなきゃいけないんじゃないですかというところが今、そういう一時金で、選挙目当てなんでしょうけれども、先送りをしようという、これではやっぱり政治がきっちりけじめをつけながらやっていこうということになっていないと思うんです。
 そういう課題いろいろございます。法務行政としても、先ほどちょっと申し上げた司法改革、これはこれから二十一世紀を目指して大改革をしなきゃならぬという課題だと思いますので、またこうしたことについては後ほど時間を改めてずっとお伺いしておきたい。
 冒頭申し上げましたとおり、本当に我々は政府を追及する、重箱の隅をつついてでも追及して何とかぼろを引き出してというやり方ではなくて、堂々と国民の皆さんのためにどちらの方がよりいい行政サービスを提供できるかということで議論をしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 以上です。
○平野貞夫君 私は、ここ五年ぐらい、この参議院法務委員会でオウム真理教問題それから覚せい剤の問題を集中的に取り上げて、自分のライフワークとしてこの対応についていろいろ意見を言わせていただいておりますが、先日の大臣の発言の中にも、冒頭にいわゆるオウム新法の必要性について触れられております。
 平成七年三月にいわゆる地下鉄サリン事件が起こった直後、参議院の本会議で私はオウム真理教に破防法を適用すべきだという要請をしました。そのころは世論もそれから国会の中もひとつ抵抗のある話でございましたが、その後やはり破防法適用が本格的に検討され、結果は公安審査会の結論で適用されなかった。しかし、その後の様子を見てみますと、御承知のように多くの自治体では憲法の精神あるいは憲法にたがってでも住民を守りたいということで混乱が生じておるわけでございます。それを防ぐために今度の新法を出そうという趣旨だと思います。
 既に衆議院で審議中でございますが、これは参議院で審議のときに申し上げますが、私は与党でございますのでもちろん新法に反対という立場じゃございませんが、やはり法務省あるいは治安当局としてなぜ破防法を適用しなかったか、この反省そしてその責任というものをやっぱり棚上げにしてこの新法の議論はできないというふうな思いを持っております。
 きょうは時間がございませんので、そのことについてはまた改めて法案の審議の際に申し上げますが、このオウム問題でちょっと具体的なことを申し上げて、大臣及び総括政務次官の御見解をお聞きしたいと思います。
 実は高知県で発覚した問題でございますが、公金、これは国の金か県の金か町の金かわかりませんが、いずれにせよ公の金でオウム関連企業のパソコンとかそういったものの部品が買われた問題、要するに公金がオウム関連業者のそういうパソコン等の部品を買うのに使われて、結果としてオウムに流れる、こういうことが起こっております。
 四月十五日の高知新聞が朝刊と夕刊でこれを大々的に報道しております。しかし、全国的なニュースにもならずに一回の報道で終わっておりますが、私はそのオウム真理教に破防法を適用しろと、恐らく参議院では私が一番最初に言った者じゃないかと思いますが、そして法務委員会で破防法の適用についてしつこく当時の法務大臣に議論をした者として、公の金が結果としてオウムに流れる、これは金額の多少にかかわらず、そういうことが事実ならこれはもう何としても許せないという思いでございます。
 そして、法律、新法をつくってもつくらなくても、治安当局は法務大臣としてあるいは政府として、政府関係あるいは自治体、公の機関がこういうことがないようにすべきだと思います。
 そういう観点で、ちょっとその高知新聞の報道を要約いたしますと、これは平成九年ごろから始まっておるんですが、高知県知事がインターネット通信で知り合った森という人物を四国の山奥にあります池川町という町の地域情報化構想事業、これの技術責任者そして委託業者として推薦というか紹介するわけでございます。
 それで、池川町は知事からの推薦ですから、大変ありがたくそれを受けとめて、また森もそこに一生住むというようなことで、町では国土庁、県から補助金をもらって、廃校にしている小学校を改築してそこに情報化センターをつくって、森を住まわせて事業を始めたわけでございます。
 ところが、どうもこの人物が怪しいということでいろいろ周りから情報が出ました。一つはどうも非常に安い部品、パソコンを買って町の人たちに売る。これは自分の商売ですからそれはそれなりのことで、我々が批判すべきじゃないと思いますが、また町当局もそのパソコンを買ったり、それから国の補助や県の補助がどれだけどういうふうに入っているかというのは今のところ子細にわかりませんが、どうも情報化構想の事業の中にオウム関係業者の部品もある可能性も強い、そういう話が出る。
 それから、あろうことか覚せい剤の常習者で、町の娘さんや人妻たちにコーヒーの中とか紅茶の中に覚せい剤を入れて飲ませて、ちょっと変な気分にさせいたずらするという事件が発覚した。それで、一人いた仲間はすぐ逮捕されたんですが、この知事が紹介した森なる人物は逃亡する、結果は捕まる、そして今、高知裁判所で被告で裁判中でございます。前科があるようでございます。そして、覚せい剤取締法違反で今裁判中、こういうことでございます。
 明確に言えますのは、高知新聞の報道でもありますが、確実に森なる人物がオウムの関連企業の銀行口座に代金を振り込んでおる。ですから、取引があったということと、それから町の人に売った、あるいは町当局もそれを買ったということが明確なんですが、こういうことについてはやはりあらかじめ法務省としてもオウム関連企業との公共団体のつき合いというのはやめるべきだということをやっぱり指示すべきでしょう。
 また、この知事がこの問題について実に政治責任をとろうとしない。「地域の皆さまのお気持ちを考えると誠に残念で、深くおわびします。プライバシー調査が十分だったかどうかなど、ネット社会の陰の部分として十分反省しなければならない」と高知新聞にコメントしていますが、まるで他人事のような話です。
 したがって、私がまず大臣にお聞きしたいのは、個人の問題を言うと問題がありますので一般論としてお答えいただきたいんですが、地方自治体の長たる人間がこういうことでよろしいかどうか、どういう御見解かお聞きしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきました高知県池川町の地域情報化事業に関するいろいろな出来事、新聞の切り抜きもちょうだいしておりまして、この件については承知をいたしているところでございます。
 今、委員御指摘のとおり、もしこの情報が事実だとするならば、オウム関連と見られる事業者に多くの金が渡っている、こういうこともわかってきているわけでございまして、私どもといたしましては、こうしたことが起きるということは極めて残念なことだと考えております。
 いずれにいたしましても、今回、私どもがお願いをいたしております新法によりまして、こうした事案についてもしっかりと追及ができるようなそういう形というものを一刻も早くとりたいと思っておりまして、委員の皆様方の御協力をお願いいたしたいと思います。
○平野貞夫君 私も高知県の生まれでございますし、かつては高知県選挙区から出たこともございます。総括政務次官は高知三区の出身でございますし、私たちともども知事とも親しい、あるいは知り合いの仲でございますが、御感想をいただけませんか。
○政務次官(山本有二君) まず、オウム真理教の活動に何らか資するような行為は何人といえども決してとるべきではない、そういう感想が一つございます。そしてまた、本件、池川町での事案につきましては個別案件でございますから、職責上コメントする立場にはありませんが、あえて一般論として申し上げれば、犯罪者を地方公共団体に紹介するという行為は、事前に承知をしていなかったとしましても適切性を欠く点なきにしもあらずというように考えております。
○平野貞夫君 わかりました。私も総括政務次官と同じように、やはり相当な政治責任を考えるべきだという考えでございます。
 そこで、ローカルな話を何で私はここで出したかといいますと、この問題が池川町議会でも高知県議会でも一回も取り上げられていないんです。これは非常に残念な話でございまして、したがって、しようがないから私が本日ここで取り上げるわけでございます。たまたまきょうは高知知事選挙の告示日でございまして、若干の誤解もあるかもわかりませんが、これは天の配剤だと思います。そこでお願いがありますのは、これはすぐでなくて結構でございます、参議院にオウム新法が回ってきてからで結構でございますが、法務省として実際にこのケースで公の金がどういうふうにオウムに流れていったかということを調べていただきたい。
 というのは、町当局の人の話ですと、一度も警察は町当局に事情聴取していないというんです。覚せい剤の方で頭がいっぱいだったようなんですが、オウム問題を追及していた私にしてみればとてもやりきれない。事実、公金が流れたことは私もわかりますが、政府からの補助金が幾らで、県の補助金が幾らで、町の持ち分が幾らで、それがどういうふうにこの森なる人物を通してオウムのどういう行動になったかというのは、口座なんかもわかっていますから、調べられるはずなのでございます。ですから、本委員会でオウム新法を審議するときにまた聞きますので、ぜひ調査をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 個々の案件につきましてはコメントできないわけでございますが、一般論といたしまして、新法が成立いたしました際にはこれに対して適切に適応することができると思います。
 今御指摘の点につきましては、状況はよくわかりませんが、調べましてまた後ほど先生の方にも御報告をさせていただきたいと思います。
○平野貞夫君 残りの時間でちょっとお願いをしておきますが、オウム問題とも関連がありますが、実は公安調査庁のあり方の問題でございます。
 中央省庁の再編の問題で、法務省の外局である公安調査庁が今後どうあるべきかということは、これから我々議論していかなきゃいかぬと思いますが、オウム新法にもかかわってきますし、また今までのオウム問題とのつながりもありますので、私は、公安調査庁のあり方については、効率化と業務の内容の充実と、新しい時代に沿う組織にぜひ機能を充実していただきたいんです。
 聞くところによりますと、定員を削減して外務省とかあるいはほかの政府機関に回すという構想もあるようでございますが、これも私はだめだとは言いませんが、しかし公安職としていろいろ苦労された、そしてこれからも特別なノウハウを持っている人たちが、そういうよその官庁に行って自分たちの能力がないがしろにされないように、そして十分新しい職場で活動ができるように、ひとつ大臣、閣議とかあるいは関係省庁の大臣に大臣から直接そういう要請をしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
○中村敦夫君 中村敦夫です。
 十一月五日に、やみ経済のフィクサーと呼ばれていた、しばらく逃亡中だった許永中被告が当局に収監されたわけです。そこで、この人物に対する今日に至るまでの司法行政の側からの処分について幾つか疑問がありますので、質問をしたいと思います。質問は非常に一つ一つ簡単なものですから、お答えも簡潔、明瞭にお願いしたいんです。
 最初に、最高裁の方へお尋ねいたします。
 許永中被告が逮捕されたのは一九九一年七月なんですね。その二年半後、一九九三年に保釈されたわけです。このときの状況というのは、やはりバブル崩壊直後、さまざまな経済事件、疑惑、問題が噴出している真っ最中だったわけです。許永中被告は二つの大きな罪状で逮捕されたわけですけれども、その当時、今も続いておりますけれども、たくさんの経済事件が持ち上がっている多くのところにこの人物の名前が登場しているという状況だったわけです。
 そんな時期に保釈されるということで、私などはえっと驚いたわけなんです。というのは、この人物の人脈関係とか、それまでの活動ということを考えると、やはり単純に言って証拠隠滅とか、あるいは関係者たちと調整して証拠を捏造するとか、あるいは逃亡の疑いすらあるのではないかというのが一般的な判断だったわけです。
 こういう時点で裁判所が保釈を決定する、許可するということは、やはり納得がなかなかしにくいんですが、その判断の根拠というものは何だったんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) お答え申し上げます。
 具体的な事件につきまして担当裁判官がどのように考えて保釈を許可したのかということは、調査すること自体差し控えるべき事柄でございますので、お答えをしかねるところでございます。
 ただ、一般論として申し上げますと、裁判のことだけを考えますと、被告人の身柄を勾留して確保しておけば罪証隠滅も逃亡という事態も避けることができるわけでございます。しかしながら、被告人は有罪の判決が確定するまでは無罪の推定を受けることになっております。そのため、被告人の人権に配慮をして保釈という制度が設けられているところでございます。
 刑事訴訟法によりますと、単に逃亡のおそれがあるというだけでは保釈を拒否することはできません。それは保釈保証金を積ませて賄うという思想でございます。罪証隠滅のおそれがある場合には一般に保釈を拒否することができますが、裁判所の裁量によりまして保釈を許すことができることとなっております。
 この裁量に当たって考慮すべき事項としては、犯罪の性質とか被告人の経歴、性格その他もろもろの状況を考慮すべきものと解されているところでございますが、被告人に対して保釈を許可すべきかどうかにつきましては、ただいま申し上げましたように、裁判への影響であるとか被告人の人権に対する配慮を考慮すべき重要な問題でございまして、裁判官は難しい判断を迫られるものである点を御理解いただきたいと存じます。
○中村敦夫君 一般的にはそういうことだと思います。しかし、これは非常に特定の被告であり、特定の社会的存在の人物であるということですから、保釈の判断というのはあくまで裁判官のトータルな知性、あるいは状況認識、それから前例とか、そういういろいろなものでもって判断するわけです。ですから、判断こそが非常に重要だと思うんです。こういう人物に比べたらもっと保釈してもいいような人々がなかなか保釈されないというケースもたくさんあるわけですね。
 ですから、この特定の人物に関して一般社会の判断とその裁判官の判断とがかなりずれているんではないかなというふうに感じるわけです。そうすると、裁判官全員がそうなのかどうか知りませんが、雲助発言の裁判官もおりますし、時々非常に一般常識から差のあるような判断というものが出てくるんじゃないかなというふうに心配しているわけです。
 その次に、一九九七年、許永中被告は海外渡航するわけです。それで、これが九月二十七日から十月一日までという期限つきで、妻の実家の法事に参加するという理由で海外渡航を地裁は、この場合韓国ですが、許可したわけですね。しかし、こうした重要な事件に絡んでいる人物を妻の実家の法事ぐらいの理由で海外へ行かせてしまうということが非常に理解しにくいんですけれども、こういう理由でも海外渡航を許可してしまうというのは裁判所の一般的な基準なんですか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 一般的基準かどうかというお尋ねでございますが、事件は千差万別でございますので、一般的基準というようなものが必ずしもあるわけではございません。やはり具体的な事件におきましてさまざまな事情を勘案して判断がされるものでございますが、お尋ねの被告人の場合、それまで多数回海外渡航を許可して、その都度帰ってきて裁判にも出頭していたという事情があるようでございます。
○中村敦夫君 この場合、実際に法事があるのかどうかということは裁判所は確かめたんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 個別の事件につきましては承知いたしておりません。
○中村敦夫君 承知していないということは、確かめたかどうか今は答えられないということなんですか。あるいは、こういう場合には普通は必ず確かめてやるものなんですか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 通常、弁護人がついておりますが、この事件につきましても弁護人がついておりまして、その弁護人の方から種々事情は聴取されているとは思いますが、具体的にそれが行われたかどうかというようなことを私は今承知をいたしておりませんということでございます。
○中村敦夫君 いや、普通の場合のことについて尋ねているんですよ。保釈中の人物が海外へ何かの理由で行く、その理由が本当であるかどうかということを裁判所は調べないのかということを聞いているんです。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) それは裁判官が判断するに当たって心証がとれるかという問題でございまして、それは弁護人の方から事情をお伺いして、その弁護人の方のお話が信用できるということであればそれで判断がなされるでありましょうし、必ずしも十分納得できないという場合にはきちっとした疎明資料を出させるということになるんだろうと思います。
○中村敦夫君 それで、許永中被告の場合は実際に法事に出たんですか。法事はあったんですか、この期間に。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 個別の案件でございますので、私どもの方からそういったことを問い合わせることを差し控えておりまして、今承知をいたしておりません。
○中村敦夫君 そうしますと、相当な容疑を持った人物でも弁護士がそれらしいものを書けば渡航させてしまうというような感じになると思うんですね。これは司法的に余り適切な処置ではないという感想を抱かざるを得ないんです。
 ここで入管局長にちょっとお伺いしますけれども、こういう背景とこういう状況にある人物が裁判所の渡航許可さえもらえば無審査でパスしてしまうのかということをお聞きしたいんです。
○政府参考人(町田幸雄君) お答えいたします。
 現在の入管法上、外国人には我が国を出国する自由が認められております。この例外は、現に逮捕状、勾留状等が発せられている等、一定の事由があるとして関係機関から当局に対しまして通知があった場合にだけ入国審査官が最大限二十四時間その者の出国の確認を留保することができるという規定がございますが、それがない限り外国人は出国の自由があると。したがいまして、このような通知がなされていない場合には出国が自由ということになってしまうわけであります。
○中村敦夫君 許被告は途中で体調不良で入院して診断書を提出したという報道があるんですけれども、これが事実であればどこへ提出したのか。最高裁の方で。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 弁護人の方から診断書を添えて旅行期間延長許可申請が裁判所に対してなされたようでございます。
○中村敦夫君 そうすると、入院が長引いたような場合、期限つきの海外滞在の延長というのは認めるということになるんですね。そうすると、その扱いをする手続あるいは担当する所管というのは裁判所だというふうに考えていいんですか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) こういった場合、一般に旅行期間の延長を認めるかどうかということにつきましては、具体的な事案によりますので何とも申し上げられませんが、本件では裁判所はこれを認めなかったようでございます。
○中村敦夫君 期限が四日間過ぎても許被告は帰国しなかったわけなんですね。なぜ期限切れの時点で地裁は保釈の取り消しというのを決定しなかったのか。これはそうすべきだというふうになっているはずなんですけれども。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) これも具体的な事件につきましての裁判官の判断でございますのでお答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、期限を過ぎても本人の意思に基づかないで、例えば事故に遭ってやむなく条件を守れなかったという場合もあり得ますので、裁判所としてはその間の事情を調査するのが通常であろうかと思われます。
○中村敦夫君 そうしますと、たしか期限切れから二十日たってですから、公判に欠席したということでその日にやっと、もう二十日間もかかって保釈取り消しを決定しているんです。この二十日間というのは長過ぎるんじゃないか。その間裁判所は何をしていたわけなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) そのあたりのことは承知をいたしておりませんが、恐らく検察官に事情をお調べいただいていたのではないかと思われます。
○中村敦夫君 十月一日が期限切れだったわけです。十月六日に許被告は行方不明、逃亡するわけです。そういう時点で裁判所は被告の行動を監視するというような処置はとったんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 行動を監視するというシステムはございませんが、例えば家族の死去に伴う旅行許可をする場合、本人を監督することができます親族に裁判への出頭を必ずさせるという書面を提出させることがございます。もとより、保釈保証金を積ませて逃亡した場合にはこれを没取するという威嚇によって逃亡を防止するというのが保釈制度の本来の趣旨でございます。
○中村敦夫君 刑事局長の方にお伺いしますけれども、これはもう逃亡ですから大変な事態なわけです。そうすると、こういう段階で当局は韓国国内で実際に捜査をしたんでしょうか。もししたとするなら、どういうふうに具体的に動いたのか、説明していただきたい。
○政府参考人(松尾邦弘君) 刑事被告人の所在不明ということでございますので、大阪地方検察庁がこの公判を担当しておりますが、その関係で検察庁としては所在捜査を含めて所要の捜査を手を尽くしたものと考えていますが、具体的内容につきましては、どんなことをどういう形で行ったのかということについて言及するのは控えたいと思っております。
○中村敦夫君 九州の入管から入国の記録があったという報道もあるんです。これは事実なんでしょうか。その際の入国書類というのは本物の本人のものであったのか、それとも偽造のものであったのかということを聞きたいんです。
○政府参考人(町田幸雄君) 許永中被告人の入国記録につきましては、個人のプライバシーに属する事柄であります上に、入管法違反等を構成する可能性なしとしないので、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○中村敦夫君 しかし、入管に記録が残ってあれば別に差し控えるような性質の問題じゃないと思いますし、発表してだれが迷惑をこうむるというような話じゃないと思うんですけれども、非常に不思議な答えだなと思います。
 ちょっと時間がありませんので、急ぎます。
 次に移りますけれども、日本にいたということが言われています。きょう発売された週刊文春でも、あるジャーナリストがもう去年の十月に国内でインタビューしている、会っているという証言があるわけです。それが事実だとすれば、かなり長い前から日本に入っていると。そうすると、日本の調査力のすごい警察が、こうした非常に風貌も特殊な大きな巨体の人物を見逃すということはちょっと考えられないんですが、刑事局長は許被告がいつごろから入ってきているという判断で実際に捜査をしていたのかどうかということをお聞きしたいんです。
○政府参考人(松尾邦弘君) 先ほども答弁申し上げましたが、この重要な事件の被告人の所在不明という事態でございますので、大阪地検を初め捜査機関は懸命の所在捜査をしたものというふうに承知しております。
 確かに、委員御指摘のように、十月六日に福岡空港から入国したのではないかというような報道も一部あることは承知しております。そのことも含めまして、捜査機関はあらゆる情報を入手して所在捜査をしたというふうに承知しております。
○中村敦夫君 そこのところを含めて、この人物に対する司法の対応に関して、やはり世の中では釈然としない感情を持っているわけなんです。どうも普通ではないということなんです。特に許被告というのは大変、力のある経済人あるいは政治家などとのつき合いが深い、そしていろんな報道の中では、複数の政治家たちが許被告の詐欺的な虚業の推進に紹介者として協力したりしたことがあったというふうに書かれているわけですけれども、そうした面での調査というのは検察あるいは警察として今行っているのかどうかということをお聞きしたいんです。
○政府参考人(松尾邦弘君) お尋ねの人物につきましては、現在、三件の公訴事実で裁判に係属しております。また、そのほかに検察が当該人物に対していかなる捜査を行っているのかということは、具体的な捜査にかかわることでございますので言及するのは控えたいと思っております。
○中村敦夫君 これは最後の質問にしたいんですけれども、非常に長引いている、とにかく司法当局がこの人物を捕まえるまで長引いている、非常になぞである。それで、簡単に保釈されたり海外渡航が認められているということに関して二つの見方が今されているわけです。
 一つは、検察当局あるいは警察当局がいろいろ泳がせて情報を収集しているという捜査上の問題か。あるいは逆に、政治の側から司法に圧力がかかったんじゃないのかというような二つの見方がされているわけですけれども、特に政治の側からの圧力というものがあったのかどうか。もちろんお答えにくいと思いますが、刑事局長としてお答えを願います。
○政府参考人(松尾邦弘君) 先ほども申し上げましたが、検察を初めとする捜査機関、この許永中という人物の所在捜査について懸命の調査、捜査をしたということは私は承知しております。その点について具体的に今言及するのは避けますが、そのことだけは御理解いただきたいと思っております。
○中村敦夫君 終わります。
○委員長(風間昶君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(風間昶君) 裁判官の報酬等に関する法律及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 まず、両案について政府から趣旨説明を聴取いたします。臼井法務大臣。
○国務大臣(臼井日出男君) 裁判官の報酬等に関する法律及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。
 政府においては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。
 第一に、裁判官の報酬等に関する法律の別表に定める五号以下の判事補の報酬及び十号以下の簡易裁判所判事の報酬並びに検察官の俸給等に関する法律の別表に定める十三号以下の検事の俸給及び七号以下の副検事の俸給につきまして、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。
 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成十一年四月一日にさかのぼってこれを行うことといたしております。
 第二に、育児休業をしている裁判官に対し、国家公務員の育児休業等に関する法律の適用を受ける職員の例に準じて、期末手当、勤勉手当または期末特別手当を支給することといたしております。
 この育児休業をしている裁判官に対する期末手当等の支給は、平成十二年一月一日から行うことといたしております。
 以上が、裁判官の報酬等に関する法律及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(風間昶君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○北岡秀二君 午前中に引き続いて、給与法について質疑をさせていただきます。
 先ほど大臣から趣旨説明をいただきまして、私ども自由民主党といたしましては、基本的にはこの給与法関連の審議については賛成というような立場で何点かちょっと質疑をさせていただきたいと思います。
 午前中に申し上げましたとおり、法務行政というのはこれから非常に重要、重きをなしてくる、そしてまた、なおかつ司法制度改革を考えてみるときに、司法の立場も多分これからいろんな意味で重さを増してくるであろうというふうに想定がされるわけでございます。
 しかるに、このたびの給与法、今回の裁判官、検察官の給与の改定に関しましては、その給与の手取り額が現実に減るという厳しい状況になろうかと思うわけでございますが、今私が申し上げましたとおり、大変これから重要な役割を担っていかなければならないという大前提がある中で、お金がすべてではないだろうと思うんですが、裁判官、検察官の士気に影響しかねない部分もあるだろうと思いますし、なおかつ、いや十分にやれるんだと、こういういろんな状況があるから心配しなくともやれますよというような状況もあろうかと思うんです。
 給与が減るということに対して、裁判官、検事さんの士気が減るようなことがあるかどうか、そのあたりの大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま北岡委員の御発言がございました。委員の御懸念につきましては、検察官等の給与制度を所轄する者として大変ありがたく存じている次第でございますが、今回の措置は、我が国の現下の厳しい経済情勢を踏まえまして、民間給与等の動向も踏まえたやむを得ない措置であると考えておりまして、裁判官、検察官はいずれも国民の信託を受け、強い使命感のもとに司法制度の中核を担う職務に従事をいたしております。その士気に影響はないものと信じております。
○北岡秀二君 多分そうだろうと思いますので、ぜひとも今後いろんな、午前中にも申し上げましたとおり、重要なときを迎えてまいりますので、そういう精神的な士気の問題等々いろんなアフターフォローをぜひともお願い申し上げたいと思います。
 司法制度ということを考えてみますときに、裁判官、検察官というのはこれはもう大きな柱、その給与制度のあり方自体が、これも一つの考え方だろうと思うんですが、また一般の公務員とは違う物の見方をしていかなければならないという考え方もあろうかと思うんです。しかし、このたびの流れということを考えてみますと、人事院勧告に基づき一般の政府職員の給与が下がることに連動した結果というような流れになっておるようでございます。
 そういうシステムについて、司法の中核を担っている裁判官、検察官について人事院勧告に沿った改定を行うという改定方式については、どのような考えに基づいて行われておるのかお尋ねを申し上げたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 裁判官、検察官の報酬、俸給月額の改定につきましては、いわゆる対応金額スライド方式、すなわち特別職及び一般職の俸給表の俸給月額と対応させ、同じ改定率で改定額を定める、そうした方式をとっているわけでございます。このような方式による改定は、一般職の国家公務員の給与に関する人事院勧告の重要性を尊重しながら、裁判官、検察官の職務と責任の特殊性を給与体系に反映させる意味を持つものでございまして、相当の合理性を有するものと理解をいたしております。
○北岡秀二君 それともう一点、今回の法案の中で特に注目されますのは、裁判官の育児休業に関する法律の一部改正法案が提出されていることであろうと思うわけであります。
 この法案は、育児休業中の裁判官に対しても期末手当等を支給できるようにする内容とのことでございますが、法務大臣に対しまして、この改正法案の趣旨ないし背景についていま一つ詳しく御説明をいただけたらと思う次第でございます。
○国務大臣(臼井日出男君) 本年の人事院勧告におきましては、期末手当等の基準日に育児休業をしている職員について、勤務実績に応じて期末手当等の支給ができる措置を講ずる必要があると指摘をなされているところであります。
 これを踏まえまして、育児休業中の裁判官につきましても、一般職公務員の例に準じまして期末手当等の支給ができるようにするとの改正を行うものでございます。
 人事院勧告でこのような措置が必要であるとの指摘がなされましたその背景には、最近の民間事業所においては、勤務実績のある育児休業者に対して賞与を支給する例が多くなっていることに加えまして、近年、少子化傾向が進展する中で、安心して子育てに専念できる環境づくりへの社会的重要性が一層高まってきているという事情があると承知をいたしております。
○北岡秀二君 時間も時間でございますので、多少時間は余っておりますが、これで質問は終わりたいと思います。
 ただ、何度も申し上げますが、これから司法を取り巻く環境というのは非常に厳しい状況、そしてまた、なおかつ非常に重要な使命を担っていくということでございますので、当然それに関連して職場環境をいろんな意味で充実させていくということは非常に大切なことだろうと思います。そのあたり、トータル、十分に勘案していただいた上で、今後十分な対応をしていただけるよう心からお願いを申し上げまして、私の質問は多少時間を余らせて終わります。
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 今回の裁判官の報酬あるいは検察官の俸給の改定でございますが、裁判官や検察官の俸給は一般の公務員に比べて大体二〇%程度優遇されているということでございます。これは、ひとえにその職務の重要性にかんがみているということ、あるいは職務の独立性、そういったものにかんがみてということだと思うんですが、一番基本的に、検察官、裁判官の両方なんですが、初めに検察官の本来あるべき姿といいますか、この点について法務大臣がどのようなお考えをお持ちかお聞かせいただきたいんです。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘いただきました、裁判官、検察官はどのような人物であるべきか、こういうことでございますが、裁判官や検察官は、国民の権利、利益の実現や法秩序の維持という重大な職責を負っているものでございます。したがいまして、このような立場にある裁判官や検察官は、これらの社会のニーズに的確に対応していかなければならない。高度かつ複雑な法律問題にも対応できる法律専門家としての能力を持つことはもとよりでございますが、社会に対するいわゆる広い視野とか高い見識、あるいは柔軟な思考力、そして高い倫理観、あるいは豊かな人間性、そういったものが求められているように思います。
○小川敏夫君 どうもありがとうございます。
 あと、例えば検察官、裁判官両方とも、やはり一党一派に偏しない、あるいは同じ意味かもしれませんが、利益的な行動に走らないというような公正な立場に立って捜査に当たる、あるいは判断に当たるという厳正さも求められているんだと思いますが、その点はそういうことで法務大臣よろしゅうございますね。
○国務大臣(臼井日出男君) そのとおりだと思います。
○小川敏夫君 午前中も橋本先生ほかの委員の方から指摘がありました。
 例えば、神奈川県警の問題ですけれども、やはり検察官としては、警察と従前、従前といいますか、制度的に捜査を協力する立場にあるということなどにかんがみますとやりにくいという場合もあるかもしれませんし、あるいは検察庁に対して警察から圧力というようなことも一般論としては考えられるかもしれない。しかし、本来、検察官のあるべき姿としては、そういうことにも屈しないで職務を厳正に行う、犯罪があれば犯罪に対して厳正に処理するというふうになると思うんですが、一般論としてこういうことでよろしいでございますね。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員が御指摘のとおり、警察官、そして検察官、どちらも国民の信託を受ける上で、その立場で信頼を受けるような行動をしなければならないということは言うまでもございません。委員のおっしゃるとおりだと思います。
○小川敏夫君 今回の神奈川県警の覚せい剤事犯の組織的なもみ消し事件に対して厳正に対処するというお考えはいただきました。それは結構でございます。
 この検察官像あるいは裁判官像に関して、できれば、政務次官もいらっしゃいますので、政務次官からもそのあるべき姿に関して御意見をお聞かせいただければと思います。
○政務次官(山本有二君) 小川委員は、裁判官、検察官、弁護士全部を経験された有能な方であると承知しておりますので、むしろ先生からお伺いしたいぐらいでありますが、あえて申し上げるとするならば、大臣がお答えしたことにつけ加えて、最低限、常識、そして専門知識、判断力、加えて高い見識と柔軟な思考力、そして倫理観、使命感等々を持ち合わせて、尊敬に値する人物であるということが望ましいと思います。
○小川敏夫君 法務大臣、そのような検察官像、裁判官像、まさにそういうあるべき姿は私も全く同感でございます。
 今回の処遇問題等も踏まえまして、そのような検察官、裁判官が職務を適正に行えるということのためには、やはりそれにふさわしい処遇が必要かと思います。
 国民の一人の意見、これは国民の声の全部を反映しているわけではありません。一人の市井の人の意見ということで結構ですけれども、検事は悪い政治家、腐敗官僚あるいは巨悪をどんどんつかまえてほしいと、つかまえてくれるんだったら給料を倍にしてもいいんだというような意見を言う人もおります。別に今ここで給料の引き上げが少ないというわけではありませんけれども、やはり職務を厳正に行っていただくためにはそれ相応の処遇が必要だと思いますが、そういった観点に立って、大臣の御意見をお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来申し上げておりますとおり、裁判官、検察官は国民の期待にこたえられるようないろいろな資質というものを持っておらなければならないわけでございます。その養成に当たっては、単に法律的な知識だけではなく、幅広い教養や高い見識、倫理観を兼ね備えた法律家になるように養成をしていかなきゃならぬ、そのように思います。
 そのためには、法律家養成制度のよりよいあり方を十分に検討する必要がございますし、魅力ある職務体制や職場環境を提供して各種研修や研究の機会も充実をさせる、そういうことも必要でございましょう。また、給与面についても、それにふさわしい処遇をするということが必要だと思っております。
 そういう意味におきまして、これからもそれらの面についてさらに努力をいたしてまいりたいと思います。
○小川敏夫君 話は少し変わりますが、昨日最高裁で判決がありまして、現行の衆議院選挙制度につきまして合憲であるという判断がありましたが、二点につきまして少数意見がございました。
 一点は、議員定数の配分、過疎地域に偏していると。具体的に言いますと、都道府県にまず一人ずつ配置する。したがいまして、人口過疎、有権者百万人に満たない県が一名、一千万人近い有権者を抱えている東京都も一名ということで、不平等が生じていると。これは法のもとの平等に反するという少数意見がございました。それからもう一つ、政党に属しない無所属候補に関しまして、選挙運動のあり方が不公平であるという点に関しまして五名の少数意見が出ております。いずれも憲法違反、法のもとの平等に反するという意見でございます。
 私、これの判決を見て思いましたのは、反対意見を述べた方が皆さん弁護士出身あるいは一名外交官出身でございまして、いわゆる裁判官のキャリアあるいは検察官のキャリア出身の最高裁判事の方は全員多数意見であるということであります。この傾向は、昨日の判決に限らずそれ以前にもそういう傾向があるんです。
 そうしますと、例えば、私なりといいますか、一部の意見がありますと、どうも裁判官出身、検察官出身の方は少し体制に寄り過ぎているんじゃないか、あるいは既存のあり方を否定することに少し勇気が足らないんじゃないかというような見方もしておるんですが、どうでしょう。出身の職業によって最高裁の意見がはっきり分かれてしまうというのは、ある意味では最高裁の裁判官になる裁判官、要するに裁判官、検察官のあり方が体制的に過ぎないかという意見があるんですが、法務大臣としては、そういう考え方にどのような意見、考えをお持ちでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきました最高裁判所の裁判官につきましては、法令審査権を有する最終審判所の裁判官として、識見の高い、法律の素養のある四十歳以上の者の中から内閣が任命するということになっておりまして、その任命については国民の審査が付されるということになっております。また、最高裁判所の、裁判所には各裁判官の意見が表示をされるということにされております。
 したがいまして、最高裁判所の裁判官はその極めて重要な職責にかんがみまして、人格、識見、履歴、能力等において最もふさわしい人物が選定をされているものと承知をいたしております。その出身のいかんを問わず、高い見識を持って、その良心に従いその職権を執行しておられるものと私どもは存じております。
○小川敏夫君 制度のあり方としては法務大臣御説明のとおりなんでしょうけれども、実態として出た結論が余りにもはっきりと色分けがされてしまっているということから、私は先ほどのような考えを持っておるわけです。
 弁護士が反対意見を述べた先ほどの法のもとの平等の違反の点ですが、これは裁判そのものは選挙制度のこととして争われたんですが、法のもとの平等ということでありますと、これは不利益を受けた方の一つの人権問題でもあるわけです。つまり、投票権の行使ということに関して、過密地域の人は過疎地域の人よりも不利益な扱いを受けているという一つの人権問題だと思うんです。
 法務大臣、今のこの衆議院選挙制度において、一人の少数意見者が述べた、都道府県にまず一人ずつ議席を配分するという制度が法のもとの平等に反して憲法違反であるという意見に関して、法務大臣としては人権問題という観点から見てどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 個別の判決につきましては私から申し上げることはできないと考えておりますが、一般論として、今選挙に関しての判断というものは国会においてもさまざまな御意見がございます。
 過疎地域は当然のことながらその受け持ち範囲も広いということになる傾向が多うございまして、それぞれの意見に私はそれぞれの納得できる理由があるように思います。そうしたことにつきましては、国会におきましても、さらにこうした判決を受けて御論議をいただきたいと思います。
○小川敏夫君 裁判官、検察官ではない在野から見ますと、どうも在野、つまり弁護士出身の裁判官の方が世間常識に近いような判断、考え方を持っているような気もするんですが、その点はおきまして、今の裁判官、検察官、基本的に司法修習生を終了した段階で任官して、ずっと生涯裁判官なり検察官という方が多いようで、弁護士を経てから検察官になったり裁判官になったりという方は非常に少ない。ある意味では私は、それがどうも裁判官なり検察官の考え方の幅を少し狭めているんではないかと思っておるんです。
 弁護士の経験者を検察官に任用する、裁判官に任用する、きょうは最高裁判所はおりませんので検察官だけですが、そういう制度の導入あるいはあり方について、法務大臣のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 弁護士から裁判官及び検察官への任官につきましては、これを積極的に推進するために、平成三年十月に選考手続等につきまして法曹三者の合意がなされております。その後、平成四年度から平成十一年度までの間に裁判官は合計三十八名、検察官は合計六名任命をされております。
 弁護士任官制度は、その運用が適切に行われるならば、法曹界における法曹三者の経験の交流を深め、相互理解にも資するというふうに理解をいたしておりまして、法務省といたしましては、今後とも弁護士としての豊富な知識や経験を生かしていただきまして、検事として活躍しようと希望される方が多数生まれることを期待いたしております。
 また、裁判所におかれましても、弁護士の方が裁判官として任官することを希望されているというふうに伺っております。
○小川敏夫君 話はまた少し変わりますが、検察官は、今特に地検特捜部というような形で国民から大変に信頼されていると同時に、また活躍を嘱望されている。これは一つには政治家あるいは官僚の腐敗といったもの、あるいは巨悪、先ほど許永中という人の名前も出ましたか、そういった地下経済にうごめく庶民には想像もつかないような金額のお金をやみで動かすというような巨悪というのもあります。
 これにやはりきちんと対処して、厳正にそれを捜査し検挙する、そして国民の犯罪に対する正義感にこたえるというような、まさに一番信頼されているところは検察であると思うわけです。あるいはまた、神奈川県警のような、警察が多少信頼が足らないことがあって事件を起こしても、検察が厳正に対処していただくということはやはり国民の期待だと思います。
 その中で、どうも検察官が人手不足と。今ほかの事件で忙しいのでなかなかできないというようなことも間々聞くことがあるんですが、こうした検察官の充実あるいは検察官も含めた検察体制の充実ということについて、今後あるいは将来的な方向性についてはどのような状況になっていますでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 検察が近時の犯罪情勢の変化に適切かつ迅速に対応する、そして各種の捜査処理を適正に行うとともに、厳正な科刑を実現して治安を確保することを可能にする、そういうことが大切だと思っておりまして、平成八年度以降四年間で百三十一人の検事増員を実現いたしております。また、平成十二年度予算概算要求におきましても四十五人の検事増員を要求いたしておりまして、現在、関係当局と折衝をいたしているさなかでございます。
 今後とも、現下の厳しい財政状況というものを配慮しつつ、犯罪の動向や業務量の推移を踏まえ、適切に対応、対処いたしてまいりたいと考えております。
 裁判所はこれまでも事件動向等を踏まえて着実に裁判官の増員を実現してきておりまして、平成六年から同十一年までの間に百七人増員し、今年度もより適切、迅速な裁判の実現等を図るために七十名の裁判官の増員を要求しておられると私どもは承知をいたしております。
○小川敏夫君 まだ時間が十分あるようですが、この質問を最後に終わらせていただきます。
 裁判官の育児休業の問題がございました。検察官に関しても同じ措置がされているということでございますが、広い意味で女性の働きやすさ、あるいはもっと具体的に言いますと、それにプラスして育児休業というもの、これは母親だけでなく父親である男性もとれるという仕組みになっております。しかし、実際にはなかなか、母親ばかりがとって父親がということは少ないようです。
 そうした意味で、法務省あるいは検察庁、あるいは検事という職務でも結構でございますが、女性の働きやすさあるいは女性が働くことのバックアップ体制ということについてどのようにお取り組みか、お考えをお聞かせください。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘のように、検事が、検察官が働きやすい職場環境を整備するということは、検察体制の充実のためにも大変重要であると考えております。
 法務省といたしましては、これまで例えば女性検事が育児休業をしやすいように直ちに後任検事を補充する等の措置を講じてきたところでございますけれども、今後とも女性検事が働きやすい職場環境の整備に意を用いてまいりたい、このように考えている次第でございます。
 また、御指摘のように、これまでのところ育児休業取得者のほとんどは女性でございます。しかしながら、本制度の趣旨にかんがみ、育児休業がさらに取得しやすいよう職場環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○小川敏夫君 終わります。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住でございます。
 今回の給与法、若干俸給が上がるということなんでしょうけれども、偉い人というか、長官以下九号給、四号以上の方には〇%というような改定ですし、若い方は〇・三%から〇・六%ということで大体千円から千数百円ですか、そういう改定のようでございます。
 ただ、ここでは出ていないようですが、期末手当が下がるんですか、〇・三カ月ぐらいということで、最高裁長官なら百万円ちょっと減額になるんだろうし、検事総長で八十万円くらいですか。年収にしたら結構な額だなというふうに思うわけでございますが、この期末手当が報酬でないのかあるのか。
 憲法の規定では、特に裁判官でございますけれども、七十九条それから八十条に「裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受け」、「在任中、これを減額することができない。」、そういう規定になっていますが、恐らく期末手当はこの憲法の規定に言う報酬には当たらない、そういう解釈のもとでおられるんだろうというふうに思うんですが、これは本当にそうなのか。
 例えば若い方、任官されて五年、六年の方になりますと、この期末手当の減額でも年額十数万減額になるんだろうな。今回〇・三%とかアップするけれども、ちょっと間に合わない額ではないか。そうすると、実質、年収という意味では減りますね。だから、解釈としてはこの憲法の規定上当たらないとしても実質上はどうなのかなということと、それから、もしその期末手当はこの憲法の報酬には当たらないとしても、では本当に毎月の報酬一%でも下げた場合、この社会経済情勢に基づいて絶対だめなのか、いや一%は許せるけれども二%はどうなのか、その程度ぐあいというものもあろうかと思うんです。
 ちょっとその辺の解釈上の整理と、本当に本給部分といいますか、毎月もらう部分についてどの程度まで許されるとお考えになっているのか、その辺の法務大臣の御所見を賜りたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員お話しの憲法第七十九条六項、八十条二項に言ういわゆる報酬というものは、裁判官の職務に対する反対給付、すなわち公務員の基本給たる俸給と同じ意味である、こういうふうに考えておりまして、各種の手当とは明確に区別をされている、このように思います。したがいまして、委員御指摘のとおり、報酬以外の給与である期末手当等については憲法上減額禁止の保障は及ばない、このように考えております。
 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、いわゆる公務員の給与というものは民間の給与の動向等に応じて決められております。したがいまして、委員御指摘のように何%以上であればいいとか何%以下であればいけないということではなくて、それらの状況というものを勘案して総合的に判断すべきものだと思います。
○魚住裕一郎君 将来的に本当に毎月の報酬部分、反対給付としてのその部分にも踏み込まざるを得ないような状況ならば、そのとき本当にしっかり議論をしなければいけないなとは思っておるところであります。
 先ほど申し上げたように、やはり若手はかなりしんどいだろうなというふうに思うんですね。私も昔司法修習をやっていたときに、裁判官とか検事の官舎へ行って、ぼろぼろというかそういうところもかなりあるなと。司法改革が叫ばれている中で、若い優秀な人材がどんどん司法の分野にも集まってこられるような魅力ある職場というんですか、そういうことを考えると、若手の裁判官あるいは検察官の処遇というのが一番大事になってくるんではないかな。しかも、裁判官にしても検事にしても本当に大変な数の事件を抱えて一生懸命奮闘しているわけでありますが、この若手に対して処遇上どういうことを検討されているか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 若手の裁判官、検察官につきましては報酬、俸給の増額がございますものの、年間給与額が若干減額になることは委員御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、若手に対しては、処遇上の向上を図るために、制度といたしまして初任給調整手当が支給をされる等の処置が講じられているところでございまして、今回の措置が現在の厳しい経済・雇用情勢のもとで一般の政府職員に準じてのやむを得ない措置であることからするならば、特段の処遇上の問題は生じないものと考えております。
○魚住裕一郎君 次に、育児休業に関連してちょっとお聞きしたいんですけれども、当然裁判官の中にも検事の中にも女性はおられますし、育児は男がやってもいいわけでございますけれども、裁判官にしても検事にしてもどの程度の割合で女性がおられ、かつどの程度の割合でこの育児休業というものをとっているのか、事務当局で結構ですから、ちょっとお教えいただけますか。
○政府参考人(房村精一君) ただいま育児休業をとっております裁判官の数が十六名ございます。それから検察官が二名でございます。
 なお、ちなみに、女性裁判官の数は全部で三百八人、女性検察官の数は百三十人ということでございます。
○魚住裕一郎君 ただ、裁判官の数全体で三千人でございますので、今の数字は一割ぐらいかなと。それから、検事さんの数も千三百四人ですから、やはりこれも一割ぐらいだなというふうに思うんです。この率からして、裁判官の方は、女性でございますけれども十六名ということで、結構とっているなというイメージになるんですが、検事の方は二名ですね。単純に比率は比較できませんし、任官されている女性の年齢層とかいろいろあろうかと思いますが、ちょっと検事さんの方がこれは任務が重いのかなというか、育児休業をとったら出世できないのかなと、いろいろなことをちょっと邪推せざるを得ないような数字かなと思っておりますが、この辺はいかがなんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) ただいま検事で育児休業をとっておりますのは二名ということで非常に少なく見えますが、かなり年によってとっている時点で違いまして、延べ人数で申しますと、平成四年から現在まで十八名検察官はとっておりますので、今の二名というのは各年で見ましてもかなり低い数字になっております。一定期間、数カ月とって、そこで育児休業が終わってしまいますとその人数が現時点では減っておりますので、仮にネットで申しますと十一年度は五名とっておりますので、また先ほど大臣から申し上げましたとおり、できるだけ女性検事が育児休業をとりやすいようにという配慮は法務省として力を入れているところでございます。
○魚住裕一郎君 今のは女性の数というか、女性で育児休業をとった方という形でございますが、男性で育児休業をとった、あるいは裁判官なりでも結構ですが、そういうのはございましょうか。
 やはり一緒になって育てる、私も自分の家に帰ったら余りでかいこと言えませんが、そういう配慮が大事かなと思うんですが、その点事務当局と、大臣も所見がありましたらよろしくお願いします。
○政府参考人(房村精一君) 男性の育児休業の取得者でございますが、これは極めて少のうございますが、法務省で申し上げますと、平成四年から平成十一年までで合計七名の男性がとっております。女性はちなみにその間千四百六十八名でございますので、率で申し上げますと〇・五%になっております。
 ただ、全省庁で見ましても男性の取得率が〇・五%ということで、法務省の取得率も全省庁の平均という形になっておりますが、男性の育児休業の取得も可能になるように、先ほど大臣からもお話ししましたように、職場環境の整備には努めているところでございます。
○魚住裕一郎君 時間が若干余っていますけれども、これで終わりにしたいと思います。
○橋本敦君 今回の給与改定の根本問題ということで一つはっきりしておきたいことは、今回の給与改定でベアが極めてわずか、その上期末手当の特別給を〇・三カ月引き下げる、こういう結果すべての裁判官、検察官の年収が実際上一・〇%あるいは二・四%まで減額される、こういうことになるのが実態だと思いますが、これは間違いありませんか。
○国務大臣(臼井日出男君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 こういう改定が人勧と連動して引き下げということになったのは史上初めてのことだと私は思いますが、間違いありませんね。
○国務大臣(臼井日出男君) この件につきましては、昭和五十三年の検察官、裁判官の給与の改定の際に、当時の厳しい社会経済情勢を反映いたしまして期末手当の支給割合を引き下げた結果、給与は全体として減額になったということがございます。
○橋本敦君 そうすると、それ以来のことだということですね。
 それで、この問題で先ほども議論がありましたけれども、特に裁判官の問題では憲法上のかかわりをどう考えるかということが一つ重大な問題があるんです。ただでさえ今日の厳しい生活事情の中で年収が減額になるということは、裁判官の独立、職務意欲、検察官のやっぱり職務の独立性、厳正な職務の遂行という、先ほどから小川委員等がおっしゃっているそういうものを保障していく上で問題が一つはあるんだというように私は考えざるを得ないんです。とりわけ裁判官の場合は、先ほど法務大臣がおっしゃったように、憲法の七十九条、そしてさらには八十条という問題が出てくるわけですね。
 ここで法務大臣は、今度は減額するのは〇・三カ月、これは報酬ではない、特別給だ、だからしたがって憲法上の関係はこれは問題ないというようにおっしゃいました。最高裁も同じ考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 手当につきましては、憲法に言う報酬には入らないものというふうに理解しております。
○橋本敦君 理解じゃなくて、法務大臣及び最高裁に聞きますが、手当は報酬に入らないとどこか法律で決めてあるんですか、規則に決めてあるんですか。
○国務大臣(臼井日出男君) そのように解釈をいたしているわけであります。
○橋本敦君 決めていないんですよ。解釈なんですよね。
 解釈だと言うなら最高裁に伺いますが、民間の労働者の問題について、これは東京高裁判決ですけれども、昭和四十八年。会社で労働者に支給する賞与、つまり年末手当等ですが、これは従業員にとっては単なる会社の恩恵あるいは任意に支給される恩恵的金銭ではなくて、まさに会社が従業員に対し労働の対価としてその支払いを義務づけられた賃金の一部であると認めるのが相当であると判断しておる。私も弁護士時代から労働関係事件を多く扱ってきましたが、まさに手当と言おうが月給と言おうが、労働の対価として支払われるという関係にあればまさにそれは給与であり報酬である、こういうことですよね。この東京高裁判決は、これは間違った判断をした判決だというように最高裁は考えているんですか、法務大臣はお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御指摘の判決でございますが、東京高裁の判決でございますけれども、この判決の事案は、実質一律支給の賞与につきまして、対象期間に勤務しておりましたのに、その後会社をやめた人に対して、賞与を支給すべき対象者を原告がやめた後の会社在籍者だけを対象者にするというふうに会社側で一方的に決めまして、やめた人については賞与を一切支給しなかったという事案のようでございます。こういう事案でございますので、裁判官の期末手当が憲法上の報酬かどうかという問題とは相当側面の異なる、いわば事案を異にする問題ではないかと思っております。
○橋本敦君 はい、わかりました。
 これは言いわけ的答弁だと私は思いますよ。事案がどうであれ、労働の対価として、月給プラス手当、賞与というものはまさに支払いを義務づけられた賃金の一部であるとはっきり言っているんですよ。だから、そういう意味では裁判官に対する特別手当なるものも全体として報酬に準ずる、あるいは報酬の一部と考えるのが基本的に考え方としては当然の考え方であるし、そういう点からいくと今度の措置は、憲法の関係からいって到底是認できないというように私は思います。
 だから、法務大臣がおっしゃったように、法律でそう決めているわけじゃない、そういう解釈を政府がとっている、最高裁がとっているということですから、この点については憲法に照らして厳密に考え直していただきたい。
 例えば「註解日本国憲法」では、「報酬面から裁判官の身分の保障を図り、報酬の減額により間接的に裁判活動に影響を及ぼすことを防止するのを目的とする。」、これがさっきの憲法の規定だと、こう言っているんです。ここで言っている報酬の減額により裁判活動に影響を及ぼすことを防止するのを目的とする、こういう目的の理念からいえば、特別手当も含めて考えるというのが憲法上の当然の考えじゃありませんか。
 したがって、宮澤俊義氏が中心になってまとめられた「全訂日本国憲法」では、「一般的に裁判官の報酬を減らす措置は、これを個々の裁判官の立場から見れば、まさしく彼の報酬を減らす措置にほかならない。」。だから、法律を改正して一般の報酬を引き下げたときには、裁判官の身分保障を実効あらしめるという点からいうなら、その改正法は改正法施行後に任命される裁判官にのみ適用されるものと解すべきである、こういう解釈もおっしゃっているわけですね。まだまだ大いに議論しなきゃならぬ問題ですよ。
 だから、私は今回の措置は軽々に政府の解釈でそれで押し通していいというものではないということを指摘しておきたいと思います。
 次に、育児休業中の問題ですが、この裁判官に対する勤務実績に応じた特別給の支給は、これは私どもも賛成でございます。
 最高裁でお調べいただきました資料によりますと、育児休業をおとりになっている婦人裁判官は、平成八年度で出産者数十二名中十一名がおとりになる、平成九年度は十六名中十五名、平成十一年度は十四名中十四、十年度は十五名中十五と、一応全部おとりになっていらっしゃいます。
 問題は、この育児休業が十分に法が予定しているそれだけとれているかという点から見ますと、いただいた資料によりますと、平成八年度では三カ月たったらもう職場に帰られたという方が十一名中一人いらっしゃいます。そして、六カ月までが三名、九カ月までが三名、九カ月以上が四名ということですね。だから、法律に基づく権利としての育児休業をフルにとりますと九カ月、十カ月になるんですが、フルにとっている方は、平成八年度で十一名中四名しかいない。平成九年度は十五名中六名しかいない、三分の一ですよね。平成十年度は十五名中四名です、これも三分の一以下ですね。平成十一年度で十四名中七名ですから、ようやく半分になりました。
 そこで、育児休業の特別手当も結構ですが、十分に育児休業がとれる体制整備が裁判所としてももちろん検察庁としてもまだまだ必要ではないかと思うんですが、大臣及び最高裁の御見解はいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 育児休業をとりました裁判官は、委員御指摘のとおり、裁判所ではここ二年ばかり一〇〇%でございます。それから、請求された期間を短くしてくれということを裁判所側で言って短くしてもらったというふうな例もございません。
 確かに、御指摘のように、育児休業の取得期間が法律の認める最大限の期間でない人もいるわけでございますけれども、これは裁判所において制限しているわけではございませんで、取得期間の理由について特に調査したわけではございませんので推測にわたりますけれども、育児について助力を得られる方も結構いらっしゃるわけですね、親御さんが近くにおられるというふうなことで。そういうふうな方は、できるだけ早く職務に復帰したい、余り長い期間仕事を離れているといろいろな点で忘れたり仕事のなれが少しおくれる、そういうふうな問題でできるだけ早く復帰したいと、そういう御希望で比較的短い期間で職務に復帰しておられるケースも多いんじゃないかと思います。
 いずれにいたしましても、裁判官にとって育児休業を取得しやすい環境を整えるという問題は、一番大きな問題は、育児休業された場合にそのかわりの裁判官を補充するということが一番だろうと思いますが、この点につきましては、裁判官の異動計画を組む際に、妊娠をしておられて出産の予定があるという方については育児休業をとられるかどうか予定を聞きまして、とられるということならばその時点で後の方が行くように異動計画を組んでおります。
 そういうことで、裁判官が育児休業をとりにくくなる、あるいはできるだけ期間を短くするようにするということがないように、裁判所の方としても配慮しているつもりでございます。
○橋本敦君 厳密にきちっと調査した上でお答えになるのなら私はそれはそうは言いませんよ。しかし、早く職務につきたい、おくれたくない、自分の仕事を早くしたい、そういうお考えもあるからとか、余裕があるからとか、そんなもの、厳密な調査をしなくて言ったらだめですよ。
 逆に、私が聞いているところでは、やっぱり仕事が忙しい、みんなが大変だ、だから早く帰らにゃならぬ、そういう思いに自然に迫られているのが実態なんですよ。だから、最高裁は、この問題についてもっときっちり、育児休業ということを本当に責任持って体制づくりをやってもらわないとだめですよ。法務省にも私はこのことを言っておきたいと思う。
 それから、時間がないからあと一つぜひただしたいんですが、育児をする上で、検察官、裁判官にとって、私の友人も多いんですけれども、一番つらいのは、子供が就学年齢に達したときに三年ごとに転勤するという問題なんですよね。これは本当に深刻ですよ。ですから、中学から高校への受験期、高校から大学への受験期になりますと、子供を置いて転勤をする、あるいは母親がそこについて単身赴任するというケースも出てくるんですよね。
 「日独裁判官物語」という映画でもありましたけれども、ヨーロッパではこういう過酷なと市民的に言われる状況は余りないでしょう。
 ですから、私は三年ごとの転勤という問題は、育児が一番大事な年代の裁判官、検察官に対しては、手当を与えるだけじゃだめ、特別な配慮が要るのではないか。
 例えば九〇年六月に、最高裁長官の訓示で、草場長官は、司法の礎はすぐれた人材にある、司法行政でも十分な配慮が必要だ、裁判官がその能力を十分に発揮できるようにするためには、異動、執務環境、こういったものを含む処遇の面で配慮することも大事だ、司法行政上きめ細かな検討を加えていかなければならぬ、こうおっしゃっているんですよ。それから以後ずっと具体的に出てきていないんですよね。
 そこで私は、もう時間が来ましたから最後ですが、法務大臣に、検察官、裁判官も含めて異動という問題で育児に支障がないように、そして安心して任官が希望できる、そういう仕組みをつくるために一段と検討、研究を深めていただきたい。このことをお願いして質問を終わりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員は三年ごとの転勤、育児休業と関連してお述べになったわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、働きやすい職場環境というものをしっかりつくっていく、そうしたためにも、異動につきましてはできる限り個人の事情というものを配慮いたしまして行ってまいりたい、このように思います。
○橋本敦君 終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 これは質問通告をしていないのですが、今の話を聞いて、もしわかったら興味があるので教えてください。
 育児・介護休業法は御存じのとおり男女ともとれるものです。私の周りには男も育児をというグループや育児休業をとった男性が結構いらっしゃるんですが、裁判所は男性で育児休業をとった方は今までいらっしゃるんでしょうか。わかったら教えてください。検察官で今まで育児休業をとった男性がいれば教えてください。もしわからなければいいです。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) いないようでございます。
○国務大臣(臼井日出男君) 手元に資料がございませんので、大変申しわけございませんが、後ほどまた御報告させていただきます。
○福島瑞穂君 どうもありがとうございました。
 今ふと思い出しましたが、房村さんは育児休業をとられたんじゃなかったでしたか。
○政府参考人(房村精一君) 私は、当時まだ育児休業制度がございませんでしたので、とってはおりません。
○福島瑞穂君 通告なく聞いて済みません。裁判所あるいは検察庁も弁護士界も徐々に変わり始めてはいますが、やはり男性が非常に多かった職場ですので、男性がむしろ育児・介護休業をとるような環境づくりもぜひ給与とあわせてよろしくお願いいたします。
 では、次の本題に入ります。今の質問はちょっと済みませんでした。要望でお願いします。
 国際人権規約B規約の勧告を踏まえて、法務省、警察はどの点について改善をされたのかという点について教えてください。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘のいわゆる人権B規約につきましては二十九項目要望がございます。私どもの関係では主として八項目がその対象になっているわけでございます。
 例えば、その中の刑事罰を伴う外国人登録証明書の常時携帯義務の廃止、これにつきましては先般法律を通していただきまして前進をいたしたところでございます。
 また、人権擁護行政につきましては、人権擁護審議会における審議の結果を踏まえて人権侵害に対する救済を含めた新たな枠組みづくりというものをしよう、こういうことになっております。
 それからさらに、被疑者段階の刑事弁護に関しましては、現在、法曹三者におきまして意見の交換の場を設け、これに関する諸問題について幅広い論議を進めているところでございます。
 そのほかにも、重要な項目としては、嫡子でない子に関する差別的な規定の改正、あるいは死刑確定者の処遇の改正等々、あるいは検察官、行政官に対する人権教育、あるいは再入国許可制度の必要性への懸念等ございますが、先ほど来お答えした場面もございますが、検察官、行政官に対する人権教育につきましては担当官を招いて研修会を行ったりもいたしておりまして、これらのことにつきましてはさらに努力をいたしてまいりたいと考えております。
○福島瑞穂君 参考人として矯正局長にお聞きいたします。矯正の分野においていかなる改善があったかについてお聞かせください。
○政府参考人(坂井一郎君) 制度的なところまで行っているかどうかという問題はございますが、若干の改善をいたしております。
 一つは、問題になりました保護房、戒具の問題でございますが、若干遅いかもしれませんが今月の一日付で戒具、保護房の適正化を図る通達を出しているところでございます。
 それから、これは前からやっておりますけれども、いわゆる刑務所内における行動規制といいまして、例えばある場所からある場所へ行く場合にどういうふうな形で行くかというような行動規制につきましても、各種協議会におきまして行き過ぎのないようにというような指導をしておりますし、また具体的な事例を取り上げて改善の方向を図っております。
 それから、死刑の問題につきましては、これはすぐに何かできるというようなことはなかなか難しいところがございますけれども、死刑の確定囚の処遇につきましても、これは法の建前とは違って、現実的には裁判が確定してから執行されるまでの期間がかなり長期化する傾向がございますので、本来、死刑囚につきましては処遇ということを我々は予定はしていないわけでございますけれども、こういう問題が長期化するということを踏まえて、やはり何らかの処遇ということも考えなきゃいかぬのじゃないかということで、内部的な検討をしているというようなことがございます。
 ほかに細かいことはございますけれども、大きい点は以上のような点かと思っております。
○福島瑞穂君 どうもありがとうございます。戒具、保護房について通達が出たそうなので、ぜひまた後で資料を下さい。
 最後に死刑確定者の処遇について検討あるいは改善という旨おっしゃったと思うんですが、ちょっとその中身について教えてください。
○政府参考人(坂井一郎君) この死刑確定者の問題は非常に難しいものでございますので、まだ一足飛びに改正するというわけにいきませんけれども、先ほど申し上げましたとおり、法の建前と若干現実が変わってきているものでございますので、ということは、先ほども申し上げましたとおり確定してから執行されるまでが非常に長期化するということで、本来であれば、我々としては心情の安定を図るということだけでいいわけで、特に処遇ということは考えていなかったわけですけれども、長期化するという現実を考えると若干のことを考えざるを得ないんではないかということで、検討を始めたということでございます。
○福島瑞穂君 では、ぜひその検討内容についてまた教えてください。
 次に、警察の方にお聞きいたします。
 拷問禁止条約を日本は批准をしまして、第一回報告の提出期限は二〇〇〇年七月二十九日とされています。拷問禁止条約を批准してどの点について改善をしたかということについてお聞きをいたします。B規約の勧告の中身と拷問禁止条約の中身は若干重なっておりますので、あわせて質問をいたします。
 拷問禁止条約の中で、私は今一番やるべきことは二つあると思っています。
 一つは、教育訓練の点。これは例えば被拘禁者の国連準則がきちっとありますし、諸外国ではそれを簡単なパンフレットにして警察官に配付するというようなことも行っております。そういう教育訓練の具体的な中身、国連準則に合わせたマニュアルを例えば現場の警察官に配付する、指導するなどのことを考えていらっしゃるかという点。まずその点についてお聞きします。
○政府参考人(林則清君) お答えいたします。
 拷問禁止条約について何がという前段の部分につきましては、拷問禁止条約につきましては、現行の国内法との整合性について検討の上、新たな法律の制定や改正は必要としないという判断のもとに、国会においてその締結につき承認されたものと承知しております。したがいまして、警察業務に関して何らかの制度的な改正ということが必要になるとは考えておりません。
 なお、警察としては、従来から警察業務の適正な遂行に努めてきたところであり、今後とも一層業務の適正に努めたい。
 その上、後段は教育について云々ということでございました。拷問禁止の趣旨はもちろんのこと、適正な人権教育というのは、各昇任時であるとか、職場教養であるとか、学校教養であるとか、こういうところで徹底しておるつもりでございます。
○福島瑞穂君 もちろん教養も大事ですけれども、この二、三十年の国連のさまざまな活動の中で、被拘禁者などの準則やさまざまな国連の準則があります。それをもとに教育をされるおつもりはあるでしょうか。
○政府参考人(林則清君) 今のお尋ねは、国連なんかで警察を対象とした人権教育のための法執行のマニュアルを作成したが、それを云々ということでございましたが、警察官は、もちろんもう言うまでもなく、その職務の執行に当たっては人権というものについて最大限の配慮を払わなければならないということでありますので、御指摘の資料なども十分参考に入れながら、各都道府県に対する指導をいたしております。
○福島瑞穂君 ただ、外国のマニュアルを見てみますと、例えば、デモの警備をするときに人権を侵害しないためにどういう点に留意をしなければならないかといった具体的なマニュアルなどを、読みやすい形で現場の警察官に配付するなどやっています。人権は、抽象的に人権を守ろうと言っても実は人権を守ることはできませんから、そういう具体的な、特に諸外国におけるマニュアルやさまざまな準則、パンフレットを参考にして、ぜひ全員に徹底してくださるよう要望します。
○政府参考人(林則清君) 私が一言で人権教育についていろんな機会に教育しておるとお答え申し上げたので、抽象的ととられたのかもわかりませんけれども、捜査なら捜査、警備なら警備、あるいはいろんな場面なり局面なり、そういう観点、あるいは対被害者に対し、それぞれ細かく具体的にその場面における人権の教育を職場教養等で行っておるということでありますから、先生御指摘のような外国におけるそういうマニュアルももちろん参考にしながらでありますけれども、日本独自でもそういう具体的な場面に応じた人権教育を行っておるつもりであります。
○福島瑞穂君 代用監獄やさまざまな中での自白強要に基づいて裁判が無罪になるというケースは大変多くあります。
 B規約の勧告のパラグラフの二十五は次のように言っています。「委員会は、刑事裁判における多数の有罪判決が自白に基づいてなされているという事実に深い懸念を抱いている。圧迫により自白が引き出される可能性を排除するため、委員会は、警察の留置場すなわち代用監獄における被疑者の取り調べが厳格に監視され、また電気的な方法」、これはテープレコーダーやビデオレコーダーということですけれども、「により記録されることを強く勧告する。」と。
 イギリスで映画になった「父の祈りを」という有名な冤罪事件がありますが、それでテープにとるということが行われ、取り調べの結果を封印して署名をし、自白の強要、暴行のおそれがある場合にはそれが法廷に提出されるというようなことがとられています。ですから日本でも、今回の拷問禁止条約十一条には尋問に係る規則の体系的な見直しという条文が入っておりますので、このようなことは検討されていらっしゃるのでしょうか。
○政府参考人(林則清君) 今の御指摘でございますけれども、適正な取り調べを行った結果、被疑者ないしは被告人の多くが自白することになっておることについて問題があるというふうには全く考えておりません。
 仮に、我が国の有罪判決の多くが自白のみに基づいていると委員会が考えておるとするならば、それは事実に反します。これは法曹でもあられる先生でありますから、条文だけ申し上げますけれども、憲法の三十八条三項あるいは刑訴法の三百十九条二項、三項、こういうものがあるわけでありまして、公判廷において被告人が自白しても、さらに捜査段階において作成された書証や収集された証拠物等の証拠調べを経た上で犯罪事実が認定されることになっておるわけであります。
 また、被告人が起訴前に捜査官に対して自白していたか否かにかかわらず公判廷において犯罪事実を否認すれば、公判廷において弁護人に反対尋問の機会を与えつつ被害者と第三者に対する証人尋問を行うとした上で犯罪事実の認定が行われておるわけであります。
 また、仮に委員会が、刑事裁判において有罪判決を受けた被告人の多くが自白しておるという事実をもって、捜査段階において自白の強要が行われておるとみなすための根拠があるとしておるとすれば、それは大きな論理の飛躍があると言わざるを得ないと思います。
 それから、電気的手段による記録の実施という点にも触れられましたけれども、我が国においては刑事事件の真相解明を十全ならしめるために極めて詳細な取り調べを行っておく必要があり、こういう実情のもとで取り調べのいろんなそういう電気的手段による記録等を実施した場合に、その再生であるとか反訳等の膨大な時間と労力あるいは費用を要するという問題がある上に、取り調べにおける供述の任意性、信用性を担保する措置というのは制度的にも法的にも十分講ぜられておるのでありまして、取り調べをそういった電気的手段により記録する必要というようなものはないというふうに考えております。
○福島瑞穂君 時間になりましたので終わりますが、また質問を続けたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(風間昶君) 他に御発言もないようですから、両案の質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、本件両案に対し反対の意見を簡潔に述べたいと思います。
 反対の第一の理由は、裁判官の報酬並びに検察官の俸給を人事院勧告に準拠して極めて低額のベースアップに抑え、その上、期末手当などの特別給を年間〇・三カ月引き下げる措置をとり、これによってすべての裁判官、検察官の年収を一ないし二・四%減額しようとしていることであります。これは、職務の独立性の確保という点からいって、さらにまた、人格識見に秀で社会正義にあふれる法曹人が司法の場に多く求められている今日、こうした生活水準の引き下げにつながる給与改定は人材確保の社会的要請にも逆行するものであります。
 反対の第二の理由は、憲法は七十九条、八十条で「裁判官は、」「相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」、こう明記しております。したがって、裁判官について年収減という今回の給与改定は、この憲法の規定に真正面から抵触するおそれがあるわけであります。
 これに対し、政府、最高裁は、先ほども私の質問で明らかになったように、特段の法の定めはないまま、期末手当などの特別給は手当であって報酬には含まれないという解釈をとってこの問題をクリアしようとしています。しかし、私が指摘しましたように、東京高裁判決では、民間労働者の場合でありますが、賞与などは賃金の一部であるとはっきり判断をしているところであります。
 裁判官についても、長年にわたって月額報酬の何カ月分という仕組みで特別給が支払われてきましたが、まさにこれは報酬あるいは報酬に準じたものであると解するのが相当であって、政府、最高裁の見解には私は同意することができません。
 育児休業についての特別給の支給はもちろん賛成でありますが、以上の点がありますので、両案には反対の討論をする次第であります。
 以上です。
○委員長(風間昶君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより両案について順次採決を行います。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(風間昶君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(風間昶君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十七分散会