第147回国会 法務委員会 第2号
平成十二年三月十四日(火曜日)
   午後二時一分開会
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   委員の異動
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     小川 敏夫君     谷林 正昭君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         風間  昶君
    理 事
                北岡 秀二君
                塩崎 恭久君
                竹村 泰子君
                魚住裕一郎君
                平野 貞夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                岡野  裕君
                服部三男雄君
                吉川 芳男君
                江田 五月君
                谷林 正昭君
                角田 義一君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                中村 敦夫君
       発議者      福島 瑞穂君
       発議者      江田 五月君
   委員以外の議員
       発議者      千葉 景子君
       発議者      吉川 春子君
       発議者      円 より子君
       発議者      井上 美代君
   国務大臣
       法務大臣     臼井日出男君
   政務次官
       法務政務次官   山本 有二君
       運輸政務次官   鈴木 政二君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   白木  勇君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       人事院事務総局
       職員局長     中橋 芳弘君
       警察庁長官官房
       総務審議官    吉村 博人君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       警察庁刑事局刑
       事企画課長    縄田  修君
       警察庁警備局公
       安第一課特殊組
       織犯罪対策室長  福安 俊晴君
       法務省民事局長  細川  清君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省入国管理
       局長       町田 幸雄君
       公安調査庁長官  木藤 繁夫君
       大蔵大臣官房審
       議官       福田  進君
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  本日の会議に付した案件
○民法の一部を改正する法律案(千葉景子君外九
 名発議)
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
 (平成十二年度海難審判庁業務概況に関する件
 )

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○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、小川敏夫君が委員を辞任され、その補欠として谷林正昭君が選任されました。
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○委員長(風間昶君) 民法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 発議者千葉景子君から趣旨説明を聴取いたします。千葉景子君。
○千葉景子君 ただいま議題となりました民法の一部を改正する法律案につきまして、発議者を代表して、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
 戦後、個人の尊厳と両性の本質的平等を基本理念とする家族法改正が行われましたが、改正作業が急を要したため、旧家族法の規定をそのまま継承した部分が相当多くあり、近代化、民主化の点では必ずしも十分とは言いがたく、将来における改正を課題としたまま施行されました。
 こうした経緯から、昭和二十九年以来、法制審議会において家族法の全面的な見直しのための審議が続けられており、この当時で既に、夫婦の氏については、夫婦異姓を認むべきか否か等の問題につき、なお検討の必要があるとされていました。
 その後、約半世紀の間に、我が国の社会経済情勢、国民生活の著しい変化に伴い、家族の状況は変容し、個人の人生観、価値観も多様化し、婚姻に対する意識は大きく変わってきています。
 また、女性の社会進出に伴い、婚姻によって氏を改めることが社会的な不利益、不都合をもたらす事態が増加する一方、少子社会の進展によって、家名を維持するために婚姻をちゅうちょする事態も生じてきたため、この解決策として、夫婦の氏のあり方を見直す必要があります。
 法制審議会は、平成八年二月、個人を尊重し、男女間の対等な関係を確立しようとする観点から、選択的夫婦別氏制の導入を軸とする婚姻制度等の改正要綱を決定し、法務大臣に答申しました。この答申に基づく政府の民法改正案は、いまだ国会に提出されておりません。
 ところで、昨年六月には男女共同参画社会基本法が施行され、男女共同参画社会の形成を目指して、社会のあらゆる分野においてさまざまな制度の見直しが行われております。本法律案は、男女平等の実現に向けて、法制審議会の答申の趣旨に基づき、その内容をより進展させようとするものであります。
 以下、本法律案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、婚姻の成立要件につきましては、婚姻適齢を、女性について二歳引き上げて、男女とも満十八歳とするとともに、女性の再婚禁止期間を現行の六カ月から百日に短縮するものとしております。
 第二に、夫婦の氏につきましては、婚姻による改氏で生ずる不利益、不都合の解消、多様な価値観の許容等の観点から選択的夫婦別氏制を導入し、夫婦が婚姻の際に同氏を称するか別氏を称するかを選択することができるものとしております。
 なお、改正法施行前に婚姻した夫婦につきましては、改正法施行後二年以内に、夫婦の合意に基づいて届け出ることにより、別氏夫婦となることができるものとしております。
 第三に、別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父または母の氏を称するものとし、その協議が調わないとき、または協議することができないときは、家庭裁判所は、父または母の請求により、協議にかわる審判をすることができるものとしております。
 また、別氏夫婦がともに養子をする場合において、養子となる者が十五歳以上であるときは、縁組の際に養親となる者と養子となる者の協議で定める養親のいずれかの氏、養子となる者が十五歳未満であるときは、縁組の際に養親となる者の協議で定める養親のいずれかの氏を称するものとしております。
 第四に、相続の効力につきましては、個人の尊厳や平等を重視する観点から、また、子供に対する差別の禁止を定める子どもの権利条約の趣旨にかんがみ、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同一としております。
 このほか、所要の規定の整備を行うものとしております。
 以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(風間昶君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
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○委員長(風間昶君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に人事院事務総局職員局長中橋芳弘君、警察庁長官官房総務審議官吉村博人君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁刑事局刑事企画課長縄田修君、警察庁警備局公安第一課特殊組織犯罪対策室長福安俊晴君及び大蔵大臣官房審議官福田進君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(風間昶君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件並びに平成十二年度海難審判庁業務概況に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○塩崎恭久君 自民党の塩崎恭久でございます。
 さきの臼井大臣の所信に対しまして、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 この間の所信表明の中でいろいろな課題を取り上げていただきましたが、一番何といっても大きなのは、足の長い話で司法制度改革、この問題が目先の大変重要な問題として臼井大臣の所信の中にも取り上げられていたわけでございます。
 我々はこれから、言ってみれば事前的に予定調和でやってきた世界から、ルールを明確にしながら事後チェック型の社会にしていこう、そういう中で司法が本当に機能しなければ市民生活の安全が守られない、そして権利も守られない、こういうことだろうと思います。
 そういうことで広範に、今、改革審議会でも、そしてまた自民党ももちろんチームをつくっていろいろやっているわけでございますが、恐らくそれぞれの党でも御検討いただいているわけでございます。
 リーガルサービスというのがいかに国民にあまねく均てんをしていくのかということが大変大事なことだろうと思いますけれども、より利用しやすい司法ということで、今まで最前線で町におられたのは弁護士さんでありますが、我々のような地方に参りますと相対的に弁護士さんの数も少ないということで、言ってみれば隣接法律専門職種の皆さんの御活躍にもこれからは期待をしていかないといけないのではないだろうか、その辺の線引きをどうするのか、いろいろ問題があると思います。
 今国会で、これは通産省の関係かと思いますが、弁理士法の改正というのも出てくるわけでありますが、司法書士、この役割も大変重要でございますし、その他税理士等々いろいろあろうかと思います。
 特にこの司法書士は、さきの我々の臨時国会で成年後見制度の法律を通しましたが、各地域でサポートセンターをつくろうということで、私ども愛媛でも先週の土曜日か、この成年後見のサポートセンターができました。そういうようなことで司法書士さんも随分頑張っているわけでありますが、簡易裁判所における本人訴訟の割合というのを見てみますと、全体の九割を超えているということを聞いております。特に、その本人訴訟では、裁判所に提出する書類というものを自分でつくるというのはなかなか難しいわけでありまして、その辺の大体六割は司法書士さんが担っている、こういうふうに聞いているわけでございます。
 したがって、弁護士さんをサポートするということも含めて、これからの活躍というのが期待されるわけでありますが、これに関連して、先般成立をいたしました外国人登録法の登録原票記載事項証明書の交付請求、この問題についてちょっとお聞きをしたいと思うわけでございます。
 昨年の通常国会でこれ通ったわけでありますけれども、この改正案によりますと、今まで非公開とされていたこの登録原票について、一定の範囲で開示をしましょうと。その内容は、外国人本人、代理人あるいは同居の親族、国の機関あるいは地方公共団体のほかに、弁護士その他政令で定める者という人たちにこの交付請求を認めようじゃないか、こういうことでございます。
 この政令というのが出てまいりまして、それを拝見いたしました。その他政令で定める者を限定列挙しておりまして、日本赤十字社外三十四もの特殊法人の名前がだあっと書いてありました。何で今まで原則非公開だったものがこういったところにだあっとオープンになるのかいまいちよくわかりませんが、きょうはそのことはおいておきまして。
 問題は、先ほど申し上げましたように、訴状を提出するときに、訴状の作成を司法書士もできるわけでありますが、これが、司法書士が入っていないというところにやや疑問を感じているわけでございます。今まで弁護士会を通じて弁護士さんはこの交付請求ができることになっておりました。それに対して、司法書士はこんなものはないわけでありまして、いわゆる本人の代理人としてはもちろんできるわけでありますが、それでは不十分ではないだろうか。
 そういう意味で、この司法書士個人による職務上の請求権というのを認めるべきではないかというふうに思っているわけでありますけれども、この点についてのお考えをまずお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘をいただきましたとおり、昨年の外国人登録法の改正の中で外国人登録原票の開示等に関する規定を設けたわけでございますけれども、外国人登録原票は引き続き原則非公開とされておりまして、従前の実務運用において登録原票記載事項証明書の請求が認められていなかった司法書士に開示を認めるか否かについては慎重な検討が必要であると考えられたことから、外国人登録法施行令の請求者とはされておらないのでございます。
 しかしながら、御指摘の司法書士の司法制度における役割等をも踏まえまして、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
○塩崎恭久君 先ほど申し上げましたように、本人訴訟というのが大変ふえている中で、特に裁判になったときにその訴状を作成する、原告本人にかわって、それはそれでいいわけでありますけれども、相手方が外国人の場合に、これは言ってみれば敵対関係にあるわけでありますから、その方の代理人として交付請求をするということはあり得ないわけであります。
 したがって、これを、入管局の説明では、司法書士あるいは行政書士も本人にかわって関係行政機関に文書を提出することはできるということでありますから特に問題ではないんじゃないか、こう言っていますけれども、今申し上げたように、裁判になったときに、相手が外国人の場合にじゃだれがとりにいくのかというと、訴状をつくるときに相手がだれだということもよくわからないで訴状はつくれないということになると、やっぱりこれは行政書士ではできない。
 訴状を書くということについてはやっぱり司法書士であるわけでありますから、ここのところを認めないと私はまずいんではないのかなというふうに思うわけでありまして、いろいろ問題があるということは、それは大きな司法制度改革の中である議論、それは承知しておるわけでありますけれども、こういった点を考えると、司法書士については少しこれ、前向きに考えていかないといけないんではないのかなというふうに思うわけでありまして、本当は四月一日スタートする政令を直していただきたいぐらいの気持ちがあるわけでありますが、これはもう目の前でありますから、まあこれはしようがないとしても、これは少し考えていただかなきゃいけないんではないだろうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○政務次官(山本有二君) 先生御指摘のとおり、現行法では、弁護士業務あるいは訴訟代理業務は弁護士法で弁護士さんにすべて担っていただいておるわけでありますが、現実の社会では、司法書士さんのニーズあるいは現実の実際的な役割というのはもう既にある程度、本人訴訟という形ではあれ、訴訟の中にも大きな役割を担っているという認識はあり得るだろうというように思っております。
 今後、司法制度改革審議会等を通じて明らかになってくるわけでございますが、我々も慎重に検討していきたいと考えております。
○塩崎恭久君 政務次官、慎重にというお話でありますが、ぜひ早急に御検討いただいて、余り慎重じゃなくて結構でございますから。
 それで、例えば民事法律扶助の法律が今出ております。この中でもまた、弁護士さんだけではなくて司法書士さんの役割というのもふえることになっていて、例えばこの民事法律扶助の法律が施行になるころとか、そういうタイミングもあろうかと思うんですね。特にこの司法制度改革の結果を待たずしても、私は、今申し上げたように訴状を書くのは、弁護士さんができない場合には当然司法書士さんがお手伝いをしているし、さっきの本人訴訟の割合を見てみれば、やっぱり入管局長、いろいろ新しい入管政策について基本計画もおつくりをいただいておりますが、どんどん外国人が入ってきている。
 そういうことになりますと、裁判もふえてくるわけでありますから、当然そういうタイミングも考えてこの政令を直していくということが私は求められるんじゃないかと思うので、山本政務次官、その辺の御決意のほどをひとつお願い申し上げたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 民事法律扶助法の施行がこれからの司法書士さんの業務の拡大のきっかけになるだろうというお話もございました。確かに、民事法律扶助法案第二条第二号におきましては、司法書士の行う事務のうち、民事裁判等手続に必要な書類の作成につきまして法律扶助の対象とされております。こういうように徐々に各分野で司法書士の役割の高さ、質等が見直されて、そして公的な役割をますます担っていただけるという方向性にございますので、私もそれを踏まえて今後の法曹界のありよう、隣接業務のありようを検討してまいりたいというように考えております。
○塩崎恭久君 ありがとうございました。臼井大臣、山本政務次官、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、ストックオプションの問題につきまして幾つか質問させていただきたいと思います。
 御案内のように、これは、ストックオプションの制度を日本で導入いたしましたのはいろんな意味合いがありました。もちろん、新しい経済社会を迎えて、日本経済の発展のために大事なメカニズムとして新たに導入しようということでありまして、賛成の方が多かったと思いますけれども、導入の仕方が議員立法であった、法制審の議論を若干すっ飛ばしたということで法制審の先生方にもいろいろとおしかりもいただいたりしたわけでありますが、結果、いろんな形で経済活性化の一つの手だてとして私は機能しているのではないかと思っております。あのとき議論をして、私もそれにかかわって、あれは衆法でありましたから私は提案者になれませんでしたが、この場で質問に立たせていただきました。
 そういう意味で、とりあえず新しい制度は導入した。しかしながら、その後二年しかまだたっていないわけでありますけれども、いろいろと欠けていること、改善しなければいけないこと、疑問な点、あるいはグローバルスタンダードで考えてみると若干おくれているかな、もうちょっと何とかしないといけないのではないのかなということが出てきておりまして、これはオリックスの宮内さんがやっていらっしゃる委員会でも、あるいは政府の規制緩和の計画の中でも取り上げられておったり、それから経団連の中から要望が出てきたり、いろんな形で今議論が始まっているわけであります。
 そういうことで、きょうは特に親子会社の問題と外国法人が日本にある子会社の従業員ないしは役員に対して付与するストックオプションの扱い、そしてまたそれらの税の扱いということで、きょうは大蔵省にもおいでをいただいておりますけれども、これについてお話をしてみたいと思います。
 議員立法で十分じゃなかった点があるじゃないか、こう言われるかもわかりませんが、経済はどんどん変わっていくわけでありますから、新しいものはどんどんつくって、そしておかしなところはどんどん直して、今やまさに規模の経済学よりもスピードの経済学というのが大事であって、早くやればやるほどメリットはでかい、こういうことでありますので、ぜひ今までのようなペースじゃなくて直すべきものは直していきたい、こんなふうに考えております。
 まず第一に、外国法人が日本に持っている子会社の役員とか従業員にストックオプションを付与する場合の話でございます。
 これは皆さんも御案内だと思いますけれども、昨年、東京国税局がマクドナルドとか、あと名前はよくわかりませんが、いろいろな外資系の日本の子会社の役員、従業員に対するストックオプションについての税の申告のあり方について調査が行われて、修正申告をさせられるというケースが出ておりました。新聞に大分報道されておりましたから御案内のとおりでありますけれども、この問題でまずお尋ねをしたいと思うわけでございます。
 これはまず法務省にお尋ねをしたいと思いますが、親会社である外国会社の株式をその子会社である日本の会社の役員や従業員にストックオプションとして付与することが可能かどうか、これについてまずお伺いをいたしたいと思います。
○政府参考人(細川清君) 御質問は、外国法に準拠されて設立された株式会社が日本法に準拠して設立された子会社の役員等にストックオプションを与えることができるかという御質問だと理解いたしますが、その点につきましては、親会社である外国会社の設立準拠法にそれを認める旨の規定があればそれはできるわけでございまして、我が国の商法等の私法規定でこれを制限するものは全くございません。
○塩崎恭久君 今のように外国の法律によってできた会社が日本の中につくった子会社の従業員に対して、役員に対してストックオプションを与えることはできる、こういう話でありました。
 しかしながら、今回、新聞報道でありましたように、税の問題についてはあかん、こういうことで東京国税局にやられているようでありますけれども、外資系の企業の役員等が外国の親会社から取得するストックオプションに課税の繰り延べ、つまり我々が二年前に導入したやつは、ストックオプションを行使したときには課税をしないで売却時に課税をするというのが大きなメリットとして与えられたのが日本型のストックオプションであったわけであります。この課税繰り延べというのが外国法人の日本子会社の従業員等に与えた場合のストックオプションに与えられない、この理由を大蔵省お答えいただけませんでしょうか。
○政府参考人(福田進君) お答え申し上げます。
 ストックオプション制度につきましては、これは日本の株式会社の取締役、それから使用人の意欲や士気を高めまして、かつ優秀な人材確保の有効な手段として我が国の企業の業績向上や国際競争力の増大に資するとの観点から、まさに今先生御指摘のように、平成九年の商法改正により一般的に我が国でもその付与が認められたところでございます。その際、これに伴いまして、税負担の公平にも配意しつつ、その趣旨が生かされるよう、いわゆるストックオプション税制の措置がとられているところでございます。
 先生がおっしゃいましたように、課税繰り延べが起こるのが一点と、もう一つ、これは日本の場合非常に大きな点であろうかと思いますが、一定の要件のもとで行われる場合には、本来行われるべき給与課税、この場合には国、地方を合わせて最高五〇%の総合課税になるわけでございますが、これを行わないで、課税時期を先ほどお話がございましたように株式の譲渡時点まで繰り延べることとし、さらにより軽課ないわゆる株式譲渡益課税、国、地方合計で二六%の分離課税により課税する、そういった譲渡益課税に振りかえるものでございまして、税制上相当な優遇措置になっている、こういうことでございます。
 今申し上げましたようなストックオプション税制につきましては、商法の御提案の趣旨を踏まえまして、商法で認められたストックオプションについて一定の優遇措置を講ずることによりまして、まさに先ほど御指摘ございましたような我が国企業における優秀な人材確保等に資する、その効果を確かなものとするために設けられたいわゆる政策税制でございます。御質問のような外資系企業の役員等が親会社から取得するストックオプションのようなものまでは実は念頭に置いた制度ではないわけでございます。
 それから、これも事実でございますが、現在、子会社の取締役、従業員へ付与されたストックオプションに対する税制上の措置につきましては、我が国では一般の親子会社間においてはそもそもストックオプションの付与自体認められていない。それから、日本の親会社が外国の子会社の従業員にストックオプションを付与するということ、これも当然ではございますが、認められていないということでございます。
○塩崎恭久君 ストックオプションをなぜやるのかということについての議論は今大蔵省なりの御理解で御説明をいただきましたけれども、海外の会社が日本にある子会社の従業員、大半は日本人であるわけでありますけれども、この人たちにストックオプションを与えることがストックオプションの目的であるかどうかというのは、これはまた別途考えなければいけないことであって、そのときは余り想定しないでわっとつくったというのが我々の正直なところでありまして、日本人が日本で働いている、たまたま外国のもともとの資本の子会社であったりするということだけの話であって、日本での経済活動のためにやっているわけでありますから、ただし、どこを利するかということでいくと議論があるかもわからない。
 したがって、その問題はまた別に考えなければいけないわけであって、今、福田さんがおっしゃったのは、今の制度は、あるいはこの間つくったのはそういう理解のもとでつくりましたよね、そのための税の手当てですねと、こういうことだろうと思います。ですからまた、今回のようにいろいろ問題になって、米国商工会議所あたりも大分大蔵省に言って、これは何とかしてもらいたいということを言っているような話も聞いておりますが、やっぱりそれは考え直さなければいけないことだろうと思うんです、もう一回。
 もう一つ言えるのは、今、後でまた御質問申し上げますけれども、日本の会社が日本の子会社あるいは外国にある日本の子会社、これに対してストックオプションを付与できない、こういうことは事実でありますけれども、仮に、はっきり僕は知りませんけれども、例えばイギリスの会社がアメリカに子会社をつくっている、ドイツの会社がアメリカに子会社をつくっている、そこの従業員にストックオプションを与えた場合、じゃどういう扱いになっているのか。日本も例えば親子間でできるようになった場合に、日本の会社のアメリカの現地法人の子会社で働いている人たちがストックオプションを受けた場合に、アメリカの現行制度ではどういう扱いを、このストックオプションから発生する、向こうは給与所得になるんでしょうか、扱いをされているのか、仮定の話でありますけれども、向こうの構えというのは今どうなっているのか、これをちょっと教えていただきたいと思います。
○政府参考人(福田進君) 外国のところ、十分調査できていないかもわかりませんが、御指摘のアメリカということに限定して、例えばアメリカではどうなっているかというのを御説明させていただきますと、アメリカでは、海外にありますアメリカ国外の外国親会社からアメリカ国内の現地法人の役員等に付与されるストックオプションにつきましては、一定の要件を充足するものにつきましてはこれを税制適格ストックオプションとして、権利行使時のオプションゲイン、つまり権利行使時の株式の市場価格と権利行使価格との差額につきまして課税の繰り延べが認められているというふうに承知しているところでございます。
 なお、イギリス、フランスでも同様の制度があるようでございます。
○塩崎恭久君 したがいまして、今お聞きのとおり、一定の要件を満たしていれば課税の繰り延べが認められる制度を持っているということであって、当然ストックオプションというのはいろんな形があって、税制適格じゃないストックオプションを使っている会社もたくさんあるわけであって、ですから、それは形はどうあろうとも、税の観点から適格と考えられるものであれば本来はやっぱり認めるべきなんだろうと思うんです。
 ただ、日本の場合にはまだまだ整理しなきゃいけない、もともと日本の法人の親子の関係でも認められていないわけでありますから、ここのところを整理しなきゃいけない。しかしながら、今、海外の人たちから何で日本では認められないんだと。海外では認められる。例えば、GEという会社は全世界にいる全社員にストックオプションを与えているということなんですが、日本にいる社員については、ストックオプションを与えても、オプションを行使したときに課税が発生してしまいますから、結局できない、こういうことになっていて、一つのグローバル企業の中で日本だけが何かぽつんと取り残されているということが実は起きてしまっているわけなんです。
 したがって、リシプロシティーというか相互性という観点から見ても、条件はきちっとしなければ、外国のどんな株かもよくわからないものをどんどんストックオプションを認めるというわけにもなかなかこれはいかないわけであって、やっぱりある程度きちっと税制適格というようなジャンルのものについては認めるというふうに明確にしていくことが私は大事なんじゃないかなというふうに思います。
 これは大蔵省とちょっと見解が違うかもわからないけれども、これは日本の商法上で親子で認めるか認めないかということとはまた別の問題として考えていかなければいけない問題かもわからないなという気がいたします。
 したがって、もちろん日本の風土に合うとか合わないとかいうことで、日本の親子会社の間でのストックオプションについて議論をしていくことは、またこれから質問をいたしますが、それはそれで大切なことでありますけれども、課税当局としては、こういった、世界でどんどこ経済が回っていって、新しいものがどんどん導入されて、企業が発展して競争が激しくなっている中で、日本だけがこれを認めないということではちょっとまずいんじゃないかなと。ですから、ぜひ日本の中での親子の関係と同時に、同時並行で、税務当局としてもこれをどう考えるのかというのは、やっぱり考えてもらわなければいけないんじゃないかなというふうに思います。
 これは私の考えであり、また要望であり、また後で申し上げますけれども、このストックオプションというものは何だと、どこまでを認めて、どういうメリットを与えるんだということをもう抜本的に考え直さなきゃいけないと思っておりますので、大蔵省の方にも強くこれを要望いたしておきたいと思います。
 今、外国の会社の日本の子会社の従業員、役員に対するストックオプションでありますが、国内のいわゆる商法に基づく会社が与えるストックオプション、日本のストックオプションについてであります。
 商法上は、今は自分のその会社の従業員ないしは役員にしかストックオプションを与えられないということになっているわけでありますが、昨年、産業再生法というのが通りました。この中でいわゆる認定事業者というのを通産大臣が認定をするわけであります。これに限っていろんな税の恩典が出てきたりするということになっているわけでありますが、その認定事業者の特定関係事業者たる子会社、これに限ってはストックオプションを与えてもいいという商法の特例規定を設けているということになっております。
 そういう場合はストックオプションはいいんだと、こう言っているわけでありますが、私は、大体産業再生法みたいに、大臣が認定したものについては特別なことを認めるというのは、どうも法治主義ではなくて、いわゆる人治主義というか官治主義というか、官僚がいいと言うとこれはいいという、何かつまり普遍的な原則、答えを出すのが難しいものだから、とりあえず特例だと言って認めるような措置をやろうという傾向がどうも日本は強いんですね。そこに役人が出てきて、これはいいよ、あるいはこれはだめだよみたいなことで、この間のみずほグループが合併に関して登録免許税が高過ぎるじゃないかというんで、合併にするかどうかというんで大騒ぎをいたしましたけれども、これは産業再生法の世界の中でやってくださいということで、結局、登録免許税の抜本改正ができないものだから、とりあえずそこでやるということで、これは知恵といえば知恵ですけれども、どうも何かすっきりしない話なんですね。こういうときには認めているということであります。
 しかしながら、子会社にどうして認めないのかということ。それから特にこれからは、きのうも三和銀行と東海、あさひ、これは持ち株会社形式で一緒になるということが発表されておりましたけれども、こういった純粋持ち株会社の下にぶら下がる子会社というのは実はこれは上場されないわけですね。だから、そこにいる社員というのはストックオプションを親会社たるいわゆる純粋持ち株会社からもらわないと、上の持ち株会社だけが上場されるわけでありますから、親会社からもらわないと全然意味がないわけであります。これは結局今の論理でいけば産業再生法の適用を受ければいいじゃないかと、こうなるわけでありますけれども、何も、再生されなきゃいけなくたって産業再生法を適用せいというのは変な話であって、こういうことではやっぱりいけないというふうに思うわけであります。
 こういう親子間のストックオプションあるいは純粋子会社とそこにぶら下がっている子会社のストックオプションができるのかできないのか、まずこれから答えてもらいたいと思います。
○政府参考人(細川清君) 現在のストックオプションに関する商法の規定は、先ほど御指摘がありましたように、平成九年の議員提案で改正されたものでございまして、その規定におきましては、ストックオプションの付与対象者は当該会社の役員及び使用人に限定されておりまして、子会社の役員等はこの付与の対象とすることはできないとされているわけでございます。
 理由を申し上げますか。
○塩崎恭久君 理由。
○政府参考人(細川清君) はい、理由を申し上げます。
 ストックオプション制度は、会社の業績が向上して株価が上昇すれば、ストックオプションを付与された取締役または使用人はその値上がり分相当額の利益を得ることができるので、会社にとって有能な人材の確保に資し、業績向上へのインセンティブになるという趣旨から認められたというふうに理解しております。
 子会社の取締役、使用人に関しましては、それらの人たちの貢献によって子会社自体の業績向上は図られるわけですが、その親会社の株価は親会社の業績が主として反映されるものであって、子会社の業績が親会社に与える影響の有無とか大きさというのは一概に確定し得ない、こういうことから子会社の取締役等に親会社のストックオプションを認めなかったものというふうに私どもは理解しております。
○塩崎恭久君 これもさっきの人治主義のような感じでありますが、要するに全部に広げるにはルールがはっきりしないとなかなかできない、特に政府提案なんかでできないという話だろうと思いますけれども、しかし、子会社の人が頑張って、その子会社が発展をすることがひいては親会社の発展になるということは何ぼでもあるわけであって、その最たる例は、今の純粋持ち株会社の場合は、これは上は言ってみればがらんどうの形だけの持ち株会社でありますから、下の人たちが頑張ることがこの上の持ち株会社たるみずほフィナンシャルグループという上場される会社の発展になる。発展というか、これは株価ですよね。この株価は何かといったら、このがらみたいなものの将来価値そのものじゃなくて、このぶら下がっているところの将来価値の、言ってみれば加重平均みたいなものがここに株価としてあらわれてくる、こういうことではないかと思うので、一〇〇%の子会社でぶら下がっている持ち株会社のような場合には、明らかに子会社で頑張って子会社が発展することが親会社の発展につながることに完全に一〇〇%なるわけであって、この親子関係も認めないということになるとなかなかこれは難しい話だろうと。
 ただ、そうはいいながら、初め一〇〇%でスタートした子会社が、途中でいろんな株主構成が変わって発展もし、それで上場を自分でするということも純粋持ち株会社じゃなければあるかもわからない。だから、そういうところはなかなか難しいことがあるのかなとは思います。私もそうだと思いますけれども、だから一概に子会社が発展することは親会社の発展には結びつかないんじゃないか、あるいはその評価は難しいんじゃないかといって捨てるのはやっぱりおかしいんじゃないかと思っておりまして、むしろどういうケースならばそう言えるのかというものを拾い上げて、それをまさにストックオプションとして認める。さらに、それを先ほどの税制適格、これならば哲学的にも理解できるよねということになれば大蔵省も乗れるのもわからない、こういうことではないかと私は思っているんです。
 ちなみに、しかしそうはいいながら、産業再生法で特別に認めている、ストックオプションを付与することは認めている。しかし、これは税制適格ではないわけですね。さっきのいわゆる繰り延べは認められていないという、その認められていないかどうかという事実と、なぜそうしたのかということをちょっと説明してもらいたいと思います。
○政府参考人(福田進君) 産業活力再生特別措置法におきまして、一定の者についてストックオプションを、これは新株引受権方式により付与するということは御指摘のとおりでございます。
 このような一定の子会社等の取締役等に対しましてストックオプションの付与を認める特例に加えて、税制上このストックオプション制度について優遇措置の対象にするのかどうかということにつきましては、今法務省から御説明ございましたように、そもそも子会社等の取締役等の努力が親会社の業績、株価の向上につながるのか、その必然性の有無とストックオプション税制の趣旨との関係をどういうふうに考えるのかといった基本的な問題等があって、結局、税制上の措置を講じることはしなかった、こういうふうに承知しております。
○塩崎恭久君 いま一つ何かよくわからない答弁でありましたが、本来は親子関係の整理ができていればやりやすかったんではないかなと思うんです、まず第一に。しかし、それができていないものだから今のようなお答えになってしまったんだろうと思うんですが、いずれにしても、例えばさっきのみずほグループとか、今度の三和、東海、あさひが一緒になったときのこういう純粋持ち株会社の子会社の従業員、役員には与えられないんですよね。
 したがって、これは、さっき申し上げたように、確かにいろんな幅があり得る親子という関係でありますけれども、こういうものについてはやっぱり早く手を打たないと、この間、登録免許税でありましたけれども、実はこういった金融界での再編というのは国内だけの問題でやっているわけではなくて、やっぱり世界、グローバルな競争の中でやっているわけであって、いかに早く、おくれてしまった日本の金融の体質を強化していくのかということが大事であって、それは、優秀な日本人ですから、私は余り悲観をしておりませんけれども、やっぱりそこにいいインセンティブがあって、その一つはやっぱりこのストックオプションなのかなと。
 私もいろいろ聞いてみると、このストックオプションという制度を使いたいと銀行の人たちも考えているようでありますが、この再生法に一々行ってお願いする、オーケーになって付与しても、いざというときにはもうこれは税の恩典がないということで、非常に困っているという感触を私は聞いております。したがって、これについてはやっぱりちゃんと見直していかなければいけないなというふうに思います。
 その他も実はいろんな形で、例えば事細かに、例えば付与対象者であるとか、あるいは有価証券の募集または売り出しとみなされちゃって、これをやると、発行株総額が一億円以上の場合には有価証券届け出書といういわゆるフルディスクロージャーをやらなきゃいけないとかいろんな形で今、最初はやっぱり慎重にということでそうなったんだろうと思いますけれども、いろいろ使い勝手の悪さというのがあるようであります。
 これは行革委員会からも要望が出ていると思いますけれども、これについてはしっかりと見直さなければいけないんじゃないか。つまり、全面的にストックオプションの、もう既に二年余りやっていてかなりのところでもう付与されているわけです、日本でも。それから、さっき言ったように、海外からもやっている、付与されてきている、日本人がもらっているストックオプションというのもあって、この扱いで大分税務署にお呼びがかかっちゃっている人たちがいるわけでありまして、こういう人たちを本当にどうするか。ただ、税逃れはやっぱりいけないと思います。税逃れができないようにちゃんとして、しかしながら、インセンティブとしてちゃんとした税制の裏打ちのある、言ってみれば経済政策としてのストックオプションというものが仕組まれないといけないと思うわけであります。
 これはぜひ大臣に最後にお尋ねを申し上げたいと思うわけでありますが、今申し上げたようにいろいろと要望が来ています。大臣のところに届いているかどうかはわかりませんが、来ていますから、ぜひ一度お帰りをいただいて、どういうものが来ているのかということをごらんいただいて、これがこれからの日本の経済の再生にとって本当に必要なのかどうかということも含めて、ぜひお考えをいただきたい。
 そして、特に私は急ぐなと思うのは、さっき申し上げたように、純粋持ち株会社の場合はいわば今までの会社というのが子会社になっちゃうわけです。そういう意味では、実は、今までの会社のまた子会社にストックオプションを与えるかどうか、つまりホールディングカンパニーから見れば孫会社に与えるかどうかという問題も実は出てきて、子会社どころか孫会社にまで与えないと実際は回っていかない。さっきのみずほの例でいけば、例えば興銀の下にあったサービサーとかファクタリング会社とかあるいはカード会社とか、そういうところも全部、今までは子会社でしたけれども、持ち株会社になるとこれは孫会社になっちゃう。だから、本当はこの孫会社も頑張ってもらわないといかぬわけです、普通の子会社ですから。
 そういうようなところをどう整理するのかというのがとても大事であって、繰り返し申し上げますが、特に一〇〇%純粋持ち株会社の場合には早急に手当てをしないと物事がスタートしないんじゃないか。せっかくここで大合併がいろいろ起こってきて、うまくいくことを願っておりますが、これはひとえにこういう社員がどれだけ頑張って過去のおくれを取り戻すかというところにかかっているわけでありますので、大変大事な問題だと思います。
 したがって、大臣には、さまざまな要望が出ているけれども、全面的に見直すべきじゃないか。特にこの純粋持ち株会社の問題については早急に答えを出さなければまずいんじゃないか。そしてこれは、税の問題は大蔵省の問題ではありますけれども、海外の会社の日本の子会社で働いている役員や従業員はほとんどが日本人でありますから、この人たちに与えるものについての配慮というものも、税務当局ではありませんが、一緒にお答えをいただければありがたいなと思います。
○政務次官(山本有二君) 先生御指摘のように、古典的な商法の考え方だけでこれからの企業社会が運営できるものとは考えておりません。特に、平成九年の独占禁止法の改正により持ち株会社が解禁されたことを契機といたしまして、平成十一年の商法改正による株式交換制度の創設、今国会に提出している商法改正案による会社分割制度の創設等にかんがみますと、今後親子会社関係が増加することが予想される上、二〇〇〇年三月期からは証券取引法適用会社につき連結財務諸表の開示を中心とする制度が適用されるなど、企業グループ全体の損益が重視される情勢にあるものと認識しております。
 そして、そういうようにストックオプションを親子会社でもと、こういうニーズもあるけれども、他方で、既存の株主の利害に与える影響が大きいこと、会社の自己株式の取得及び保有に伴う弊害を防止する必要があること等の指摘もされておるのも事実でございまして、このような両方を相踏まえまして、ストックオプション制度の趣旨、既存の株主に対する影響等をなお検討しながら、ぜひ付与対象者の拡大については積極的に検討をしてまいりたいというように考えております。
○塩崎恭久君 山本政務次官から大変前向きなお答えをいただいて、大変力強く思っております。
 きょうは福田審議官おいででございますけれども、今度、会社分割というのがこの法務委員会でも議論をされるわけでありまして、これもそうなんですが、経済政策につながるようなこういったこれからの組織改編をやりやすくする手だてのポイントは、やっぱり税だと思うんです。いや、首をかしげておられますけれども、大体四〇一kなんかでもこれは税でありましたから。実に税の元締めの大蔵省主税局が前向きにいろいろお考えをいただくことは大変大事だと思います。もちろん、ずるずるになってどんどん何でも安売りをするのでは困るわけでありますが、分割でもやっぱり税であります。
 このストックオプションも大変税が大きな役割を果たしてまいります。行使をしたときに、取得するための費用とそれから税を一遍に払うというのはなかなかこれは厳しいわけであって、場合によって払える人だったらばそれはそれでいいわけですが、全社員とかいろんな形のものがあり得るわけでありますから、ぜひこれから大蔵省にも、これはもう要望でありますが、前向きに、山本政務次官も前向きにと言っていただきましたから、大蔵省の方も一緒にお考えをいただいて、機能する制度をつくり上げていただければなと思いますし、我々にも責任がありますので頑張っていきたいと思います。
 以上で終わります。
○江田五月君 臼井法務大臣、通常国会が始まって予算審議が衆参と続いておりまして、一番お疲れのころではないかと思います。
 昨年の十月の御就任以来、二度目の一般質疑ということでございますが、私は、民主党の次の内閣、ネクストキャビネットという言い方をしておるんですが、司法ネクスト大臣ということを承っておりまして、臼井法務大臣のカウンターパートということになっておりまして、私どもが勝手に言っているだけのことではございますが、二度目の大臣討論というのでありますか、総理大臣のはクエスチョンタイムといいますが、五十五分間ひとつよろしくお願いいたします。
 さて、最初から臼井大臣にとってはちょっと嫌な問題だと思います。私もどうも余りこういうことを聞くのは好きでも得意でもないんですが、しかしやはり聞いておかなきゃならぬ。しっかりお答えいただきたいと思うんですが、元秘書と脱税コンサルタント会社との事件、これを伺います。
 まず、事実関係でございます。ことしの二月十二日付の産経新聞夕刊です。ここに、大蔵官僚に資金提供をしていた元右翼の脱税コンサルタントが、昨年二月に四人の国会議員秘書らとコンパニオンの女性五人同伴で山梨県石和温泉に旅行をしたと。コンパニオンの女性同伴というのは、それ以上言うとなかなか品位にかかわるようなことでありますが。この中に臼井法務大臣の、昨年二月当時は在職をしていた私設秘書さんが参加をしていたという記事がここにあります。非常に衝撃的。
 続いて二月十四日の毎日新聞夕刊に、この脱税コンサルタントは国会議員の秘書に顧客を紹介してもらって、そして脱税指南をそのお客さんにする、そして多額のコンサルタント料を受け取って、その上で国会議員の秘書には多額の紹介料を支払っていた。臼井大臣の秘書の場合は七百万円ですか、これらが東京国税局の強制調査、いわゆる査察で明らかになった、こういう記事が出ている。これ事実関係だけです。
 そこで、二月十五日の衆議院予算委員会で取り上げられ、その後二月十八日の衆議院予算委員会と法務委員会、さらに二月二十二日、二十五日の衆議院予算委員会で取り上げられました。そして、二月二十九日に東京国税局は、この脱税コンサルタントと顧客の一部を東京地検に脱税容疑、すなわち法人税法違反、所得税法違反ということで告発をした。表にあらわれている資料だけでこれだけのことがわかる、こういう事件でございます。
 臼井大臣、現段階では、もちろんあなたが直接かかわった事件ではないようですが、しかしあなたの秘書、それも在職中のベテラン秘書がかかわった事件ということです。政治家と秘書との関係、これはもう今さら言うまでもありません。政治家の秘書は、その秘書個人に力量がある方はそれはおられるでしょうけれども、一般にはやはり自分が秘書として仕えている政治家の影響力のもとで活動をしている。あなたの場合にも、衆議院の答弁で、代理出席などをずっとしておられたというようなことも言っておられますが、相手から見るとその政治家の代理人と見られる立場にある。それだけに、臼井大臣にとってもこの事件は極めて重大な事件だろうと思います。
 我々、いつもこの議院手帳を持っておるわけですが、この議院手帳に政治倫理綱領というものがちゃんと印刷をしてある。これ単に印刷してあるだけじゃなくて、私どもはこれをちゃんと持っているわけですね、常に。その政治倫理綱領には、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」と、こう明記をされているわけです。
 さて、そこで臼井大臣、最初の質問ですが、まず、この事件に対する大臣の基本的な認識と、これにどのように対処をするお考えか。ちょっと漠然とした質問になりますが、基本的認識と、どのように対処するお考えか、これをお伺いします。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員から御指摘をいただきました点は事実でございまして、そのような御指摘に関しまして、仮に元秘書がそういう事実、ことをやっておったということであればまことに遺憾でございます。
 幾つかの御質問がございまして、さらに詳しく調べろという御指摘もございましたので、その後幾つかの点についてその御指摘に沿って調べたわけでございますが、現在では、私はその後こうした場で、秘書の申したこと、これも私直接ではございませんで秘書を通じてでございますが、御意見を申し上げないことにいたしているのでございます。既に税務当局並びに、引き続きまして検察当局のそれらに関する手も入っていることでもございます。
 私が秘書から聞くということは一方通行でございまして、その言っていることを他の方法でもって聞き合わせるということができる立場におりません。したがいまして、それらの言っていることをここでもってお話しするということが、むしろかえって後にいろんな御迷惑をおかけするようなことになるんじゃないだろうか、そう思っておりまして、それ以降、すべてこの問題につきましては当局の活動にお任せをするというふうに申し上げてきている次第でございます。
 いずれにいたしましても、監督不行き届きであったということで反省をいたしております。
○江田五月君 よくわからないですね。
 あなたの別の秘書を通じてその当該秘書にお尋ねになったことは幾つかあるにはあるんですよね。そして、国会での質疑もあった。また、あなたはよく調べてみるということも言われた。しかし、その後さらに詳しくよく調べてみる、国会で聞かれた後その秘書さんに尋ねられたんですか、尋ねられていないんですか。ちょっと今、聞き漏らしたような感じなんですが。
○国務大臣(臼井日出男君) 秘書を通じて尋ねたのでございます。
○江田五月君 そうすると、尋ねたのはもちろん衆議院でいろいろ質疑を受けた後ですね。尋ねて聞いたけれどもそのことはおっしゃらない、こういうことですか。
○国務大臣(臼井日出男君) そのとおりでございます。
○江田五月君 あなたは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑だと、このことは新聞にここまで書かれておる。あなたのところの非常に重要な、いわばかなめの秘書さんであったその人がこういうことを言われておる。これは単に秘書の疑惑だけでなくて、その秘書を雇っている国会議員、政治家本人にとっても疑惑であると。これはいかがですか、疑惑であることはお認めになりますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど申し上げましたとおり、その当時私の事務所にいたのでございますが、私に報告することなくそういうことをやったということであります。
○江田五月君 いや、大臣に報告することなくかどうかは別として、大臣が雇っておられた秘書さんがその在職中にここに書かれているようなことをやっていたというのは、その政治家、つまり大臣本人にとってもこれは疑惑であるということはどうなんですか。
○国務大臣(臼井日出男君) ですから、秘書に話を聞かせたわけですが、必ずしも新聞に書かれていることがそのまま事実であるとも思えないと思いましたが、しかし、そうしたことを一つ一つこうした場で申し上げることが、その秘書の言っていることが正しいかどうかということを私は確認できないわけですから、かえって混乱を増すことである、こういうふうに考えて、お話を申し上げない、こういうふうに申し上げているのでございます。
○江田五月君 私が聞いているのは、あなたは、今こういう記事が出たことによって、あるいは国会でもいろいろ聞かれたことによって、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれている。このことはお認めになりますか、なりませんかということ。
○国務大臣(臼井日出男君) 政治倫理綱領は、いわゆる本人のことに関してであると思います。私は関係いたしておりませんので、そうした疑惑が私に対して持たれているということは毫も感じておりません。
○江田五月君 そうすると、秘書と政治家との関係についての議論をしなきゃいけないことになるんですが、あなた自身はかかわっていないから、政治倫理についてあなた自身に反する事実があるとの疑惑を持たれていると思っていないと。
 これまで秘書がいろいろやっていたことについて、もちろん人間万能じゃありません、秘書を選ぶときでも必ずしも人物を完全に見抜いて選ぶということはなかなか容易じゃないです。私なんかの場合でも、秘書にいろいろ苦労することもあります。
 ですが、秘書が脱税コンサルタントにお客を紹介した紹介料、それも小さい金額じゃない多額のものを取っていた。しかも、事もあろうにそういう人たちとコンパニオン同伴の旅行をしている。そういうことが報道されている。
 秘書さんが個人として大変有能だからそういうことをしてもらったというわけじゃないでしょう。やはり、それは何といってもその後ろに臼井日出男代議士、今はもちろん大臣ですが、という方がおられるからそういう扱いをされるわけで、これはやはり監督不行き届きであったということを今言われましたが、監督不行き届きも含めてちゃんと責任を明らかにする、疑惑を解明する、こういうことをやる義務があるんじゃありませんか。
○国務大臣(臼井日出男君) 再三申し上げておりますとおり、既に税務当局もお調べをいたしておりますし、検察の方でも動いている、こういうことでございますので、その結果にまちたい、こういうふうに思うのでございます。
○江田五月君 今までのあなたの答弁にちょっとはっきりしない部分があります。それを順次聞いてみたいと思います。
 二月十五日から二十五日までの衆議院の予算委員会と法務委員会の会議録を見ますと、まずこの秘書さんは、松岡光さん。臼井事務所をおやめになった時期と事情ですが、昨年の二月二十六日と二十七日、このときはもちろん在職中、石和温泉一泊二日旅行、このことが昨年四月十四日の週刊現代五月一日号に掲載された。会議録だと、週刊誌の発売数日前に臼井事務所に雑誌社から電話があった。別の秘書経由であなたにも報告があった。四月十日前後だと。
 一方、当の松岡光さんは、あなたの国会答弁だと、三月の末に、体調が悪いということと、ほかの仕事をしたいということで臼井事務所をやめたと言われておる。この週刊誌が原因でやめたのではないと。あなたは、このことを秘書がやめた後に知ったのであって、つまり四月十日前後に知ったのであって、三月三十一日までは全く知らないと何度も答弁をされている。
 どうもわずか十日の違いで全く無関係にやめたというあなたの答弁、納得しがたいのですが、ことしの二月十四日の毎日新聞の夕刊だと、「臼井日出男法相と山口泰明・自民党衆議院議員側は、旅行や飲食の事実が昨年四月に週刊誌で報じられた時期に、秘書を事実上解任している。」というふうに書かれているんですが、これは、衆議院でいろいろ委員会で聞かれたその前にあなたが認知をされた事実、これについては既に衆議院で言っているが、その後の秘書を通じての調査でいろいろわかった事実はあるが、そのことは言わないと今言われたわけですが、じゃ、今ここで、あなたが衆議院で言われた事実、これはその後調べられた事実と違うんですか、同じなんですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 変わりありません。
○江田五月君 じゃ、この点については同じだと。
 十日の違いで、しかもこの前、何かどうも秘書の様子がおかしい、よく聞いてみると、体調が悪いとかほかの仕事をしたい、確かめるとそういうことだったからと言うんですが、なぜそうほかの仕事をしたくなったのか、体調が悪くなったのか。ちょっと疑惑、はっきりしない。
 二つ目行きましょう。
 松岡光氏の給料なんですが、あなたは、給料については必ずしも十分ではないが本人が生活するのには十分だったと。そして、その給料については友人の会社経営者が助けてくれていた、どのくらい助けてもらっていたかは確認していないと。これはその後に確認されたかされていないか。
○国務大臣(臼井日出男君) 私が申し上げましたのは、私のところで払っている給料は極めて少ないものであったと。それは私どもの、常勤というわけではありませんので、本人の働きに応じて出しておったわけで、しかし、本人がだからといって悪いことをするような給料ではないと、十分なものをその私の友人の会社でもって勤めておりましたのでもらっておるということを申し上げたのであります。私どもの会社の給料というのは九万六千円でございました。
○江田五月君 九万六千円、これは臼井大臣の事務所で払われていた給料。そして、友人の会社経営者に助けてもらっていたのはどのくらいですか。
○国務大臣(臼井日出男君) これにつきましては確認をいたしておりませんが、これは振り込みでもって本人のところに入っておりましたので、当然税務当局も確認をいたしておりますので、それは私が隠しているということではございません。
○江田五月君 お調べにはなったんですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 詳しい額は存じておりません。
○江田五月君 これはなかなか微妙なところなんですが、しかし内容によってはこれは寄附になると、政治資金規正法上の問題が生ずる可能性があるんですよね。これはだれの政治資金規正法上の問題かというと、会計担当者だとか何とかこういろいろ逃げの道もあるけれども、やはり政治家本人、臼井大臣、あなたの疑惑ということになるんじゃありませんか。しっかり調べて報告をされるべきじゃありませんか。
○国務大臣(臼井日出男君) 大変申しわけございませんが、直接現在かかわりございませんのでその企業の名前は申し上げられませんが、恐らく私のところでとっている数倍はいただいているんじゃないだろうか。したがいまして、本人の生活というものは心配するものではない、こう申し上げたのであります。
○江田五月君 この秘書、あなたのところの秘書にほかの会社から給与が支払われたというのは、これは政治資金規正法上の寄附に当たる。あるいは、そのやり方はいろいろ、これは我々の方は余り詳しくないので、自民党の皆さんは詳しいのかもしれませんが、そういう認識はおありですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 本人はその会社の従業員であり、当然のことながら机も持ち、向こうの業務も持ちやっておったわけでございます。
 一方、私の方も、人手の足りないときはお願いをする、私どもは私どもなりに正当な対価を払っている、このように考えております。
○江田五月君 これは、パートで臼井事務所へ来ていたと。それで、向こうの給料を払ってくれていた会社の従業員であってその仕事もしていたということになれば、これまた問題がなくなるのかもしれません。
 しかし、いずれにしても、そのあたりのことをつまびらかにしないと、やっぱり疑惑になっているじゃありませんか。その会社の名前とか、あるいは給料とか机が一体どういうふうにあったかとか、そういうことを明確に解明して初めて疑惑が晴れるので、政治倫理綱領はその疑惑解明の努力はまじめにやらなきゃいかぬ、真摯にと書いてあるんですが、それでもお答えになりませんか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今お話しの点につきましては、本問題と直接関係ないわけでございまして、それらのこの相手側の会社のどれくらいとっておったということは事実としてもう税務当局も把握をしております。
 したがいまして、私としては、私の方の本人の対価として正当に払ったものについては今御報告を申し上げたのでございます。
○江田五月君 本問題と直接関係ないと言われますが、冒頭申し上げたとおり嫌な話であり、私自身もそんな好きな話じゃない。しかし、臼井法務大臣自身の問題として聞いているわけでして、本問題という、コンパニオンと石和がどうとかという話とはそれは関係ないでしょう。それから、税務当局が把握しているといったって、政治資金規正法上の問題でして、これは税務当局の話と違うんですよね。さらに私どもこの点を明らかにするためにお話を伺いたいと思います。
 次に行きましょう。
 三つ目。この問題ばっかりやっていると、どうも本論、本当の話になかなか入れないんですが、新聞報道によると、松岡さんは脱税コンサルタントに遊技場経営会社の社長を紹介して、これはタツノレジャーという会社、臼井大臣もよく知っている社長さんだそうですが、脱税コンサルタントから七百万円の紹介料、謝礼金を受け取っていたことに今なっています、新聞報道。
 そしてあなたの答弁でも、松岡さんは一昨年に七百万円の修正申告をしたと。したがってこれは七百万円の収入はあった。しかし、それは、つまりは七百万円の別収入があったのは事実だが、脱税コンサルタントからの謝礼ではないというふうに松岡氏はあなたの別の秘書の事情聴取に対して主張しているとあなたは答弁をされている。ちょっとややこしいですが。
 答弁では、「本人の名誉のために申し上げておきますが、これは、新聞報道は一部でそう言っていることであって、果たしてそれが本当であるかどうかということはまだ定かじゃないと私は思っております。」とあなたは答弁されている。「私が申し上げたのは、本人がどこかからもらったということは事実だと思います。それがかのところの一カ所からもらったものなのかそうでないのかということは私も存じませんし、いろいろな事実があるんじゃないだろうか。真実は一つでございますが、それは本人だけが知っているのでございます。」と、こう言われているわけですね。
 七百万円の入金先、これはその後本人の主張をお聞きになりましたか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今いろいろ申し述べたわけでございますが、それらのことはすべて伝聞でございまして、私はそれを確認することはできない。したがいまして、以降そうした細かいことについては申し上げないのでございます。
 したがいまして、その七百万円の修正申告がどういう性質のものであるのかということは、私どもは確認をいたしておりません。
○江田五月君 伝聞であるということですが、どういう意味ですか、伝聞であるというのは。
○国務大臣(臼井日出男君) 松岡秘書の言っていることが正しいのかどうかということは、秘書一方からしか聞いておらないということであるとするなら、確認する方法がないと。したがいまして、言っていることが正しいのかどうかということは私も実はわからないわけで、そういう状態のものをこうした場でもって一つ一つ発言するということはかえって混乱を増すことでもあるということでありますので、以降お答えをしないということにいたしたのであります。
○江田五月君 言葉じりをとらえると申しわけないですが、それでも法務大臣ですから一言言っておきますと、いついつだれそれから私がお金をもらいましたと。これはこの本人の直接経験した事実です。そのことをだれかに言うと、これは伝聞じゃありません。それを秘書が聞いて、秘書が次の人に言ったときにそこに伝聞過程というのが入るんですね。
 だけれども、それはあなたの秘書ですから、ですから、伝聞だから言えないという言い方は多分正確じゃない。そうじゃなくて、今の、どういいますか、本人の言うことだけであって確認のしようがないからというようなことでお答えになる方がいいだろうと思いますが、余計なことです。
 しかし、その七百万円というのは小さな金額じゃないんで、そしていろいろマスコミなどでこの脱税コンサルタントから紹介料としてもらったということがこれだけ書かれていて、そして、いやそれはこの一カ所じゃない、ほかから。じゃ、ほかにもいっぱい何かいろんな疑惑があるのかという話になってしまう。
 この七百万円はさっきの別会社からもらったのに、今のようなあなたの説明だと、その別会社というのは松岡さんをちゃんと雇っておられてその給料として払っているということですから、これは修正申告とか何とかの話にならないですよね。やっぱり疑惑です。
 疑いを積極的に晴らすという意味で、もう一度ちゃんと松岡さんにお聞きになって、少なくともこういうことを本人は言っておるというぐらいのことは明らかにされた方がいいんじゃありませんか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来申し上げておりますとおり、もうこれ以上はこうした場でもって不明確なことはお話ししない方がよろしい、こう考えておりますので、御勘弁をいただきたいと思います。
○江田五月君 この事件は二月二十九日に東京地検に告発をされて、そしてあなたの元秘書も脱税幇助の罪に問われることがあるかもしれません。わかりません、わかりませんが、そういう可能性だって十分ある。報道された限りの事実だけ見てもそういう可能性は十分ある。
 そうなると、これは検察に指揮権を持つあなたの立場は大変難しいことになる。やはり重大な問題であると思います。
 衆議院の法務委員会では、私ども民主党と共産党それから社会民主党、三党それぞれ臼井大臣の元秘書松岡光氏、そして脱税コンサルタントの鈴木照次、この二人の証人喚問を要求しておりますが、参議院法務委員会においても御両名を証人として喚問する、このことを要求いたします。委員長、お取り計らいを。
○委員長(風間昶君) この件につきましては、後日の理事会で協議をさせていただきたいというふうに思います。
○江田五月君 次に行きましょう。
 司法制度改革について質問をします。
 臼井大臣の司法制度改革に対する基本的な考え方は大臣所信に示されておりますが、それはそれとして、臼井大臣として特に力を入れていきたい、司法制度の改革の中ではこういうところに力を入れていきたい、こういうものがありましたらお聞かせください。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、社会というものが大変早い速度で動いているわけでございまして、国際化も進んできている、非常に複雑になってきている、一方では規制緩和というものが進んできている。こうした速いテンポでもって変わっていく社会というものに我々法務、司法行政というものがおくれてはならない、こういうふうに考えておりまして、内閣の中に設置をされております司法制度改革審議会の審議の経過というものを私どもは大変関心深く見ていると同時に、また皆様方との御連絡等は私どもの責任、こういうことにもなっておりますので、しっかりと御報告をし、また御意見もちょうだいいたしたい、このように考えている次第でございます。
 いずれにいたしましても、これからの法務行政というのは今までどおり、今まで私どもが中心に考えてまいりました公平公正あるいは厳正中立、そういった正しさを追求するものから、それと同時に国民にわかりやすい司法、理解してもらい得る司法、そういったものも同時に求めていかなければならないと思っております。
○江田五月君 社会経済の動きが速い、それに追いつく、負けないように変化に対応できる司法、それと国民にわかりやすい司法、こういうお話です。
 つい先日、中坊公平さんが小渕首相にスカウトされた。内閣特別顧問になられました。どうも小渕さんの無原則、無定見なブレーンづくりというのはちょっと評価ができないと思っておりますが、中坊さんについては、私たち民主党はただ批判するんじゃなくて大いに働いてもらいたい。司法制度改革あるいは警察改革、産業廃棄物問題、不良債権問題、こういったいろんな課題がある。こうしたことでむしろ次期政権の先遣隊として、次期政権というのは私どもの政権と、こう言いたいわけですが、その先遣隊として活躍してほしいと考えております。
 その中坊さんが内閣特別顧問をお引き受けになった主たる動機の一つが司法制度改革、中でも法曹一元制度の実現であるんじゃないかと私はひそかに思っておるんですが、臼井法務大臣の法曹一元についてのお考え、その実現にどのくらいの熱意をお持ちになっているか、これを聞かせてください。
○国務大臣(臼井日出男君) 法曹一元制度につきましては、かつて昭和三十九年答申というものが出たのでございますが、その臨時司法制度調査会におきまして、これが円滑に実現されたならば一つの望ましい制度としつつも、これが実現されるための基盤となる諸条件というものはいまだ整備されていないとされたところでございます。
 司法制度の改革についての各界の御提言等にもこの制度について言及するものは少なくございません。司法制度改革審議会においても、平成十一年十二月二十一日に公表されました論点整理において論点項目の一つとして掲げられておるところでもございます。
 私ども法務省といたしましても、同審議会におきまして広く国民的な見地に立ちまして充実した審議がなされるように期待をいたしているところでございます。
○江田五月君 法務大臣、今、キャリアシステムというのが至るところでほころびが出てきているわけです。警察の問題というのは今一番燃え盛っているわけですけれども、そして私も警察のキャリアシステムというのは考え直していかなきゃならぬと思うんですが、事は警察だけじゃありません。キャリアシステムというのはもともと悪い制度だということはないんだろうと思うんですけれども、どうもしかし日本のキャリアシステムというのは制度疲労といいますか、かなり傷んでしまった。
 私は、裁判所の中のことはある程度はわかっているつもりなんですが、しかしかなり昔のことになりましたから大分忘れましたが、やっぱり裁判官もキャリアシステムの中でキャリアシステムの悪い影響というのにかなり染まってきたんじゃないか。つまり、若くして試験に受かって、一枚のペーパーテストじゃありません、いっぱいペーパーテストがありますから一枚じゃないけれども受かって、そして後はもう本当にかごの鳥といいますか、狭い世界の中で判事さん判事さんとみんなに持ち上げられてずっと育ってきて、それで本当に世情に通じた、人情に通じた血の通った裁判というものができるかというのが今問われているんです。
 まだ幸いなことに裁判官のいろんな不祥事というのが、ないわけじゃないんですが、警察みたいなことにはなっていないのでほっとしているわけですが、しかし危ないです、本当に危ない。
 私は、だからこれはやっぱりそういう裁判官のキャリアシステムの養成制度じゃなくて、時間がかかると思います、いろんな基盤整備をしなきゃいかぬと思います、いっぱいあると思います、難しい問題が山ほどあると思います。だけれども、それを乗り越えて、ここは弁護士その他の世間でもまれた人たちの中から裁判官を養成していくという制度に取り組む。人間というのはやっぱり社会の中でなければ育たない、限られた世界の中では育たないです。このことを今痛感している、我々みんな。
 ですから、これは臼井法務大臣、法曹一元制度は審議会に任せているという姿勢でなくて、ひとつもう、自民党の中にもいっぱいおられるんですよ、ここはやっぱり法曹一元やらなきゃいけないと言っている人が有力な方々の中にもおられるので、法務大臣としてもう少し積極的な気持ちを持っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 昨年の暮れ、審議会で論点整理が行われたわけでございますが、それに先駆けて、私ども法務省としてのいろいろ意見等も申し上げさせていただいたのでございます。
 その中で、この法曹一元につきましては、先ほど御報告申し上げました、かつて臨時司法制度調査会の意見書に示された諸条件の充足状況、あるいはキャリア裁判官につき指摘されている問題点を十分分析いたしまして、現行システムが果たしてきた役割というものを十分検証した上でもって、ひとつ将来に向けてその長所と短所というものをしっかり見きわめながら改善する点があるとするならば改善していこう、こういう議論をしていこうではないかというふうなことを指摘させていただいたわけでございます。
 私どもとしては、そうした意見も申し上げた上で、この審議会における議論の深まりをしっかりと見させていただきたい、このように考えております。
○江田五月君 法曹一元について最高裁の方からの意見というものが出ていまして、これを見ますと、どういいますか、非常に消極的なんですね。何か法曹一元とかというようなことになるとラフジャスティスになるんです。今の裁判官というのは、本当に精緻に細かく要件事実をちゃんと分析して、証拠を全部吟味して、それがいいんだと思い込んでしまって、どうもちょっと世間あるいは社会の普通の人たちの見方と大きなずれが出てきているという感じがします。
 私自身は、本当は司法改革というのは司法の世界の中で自主的に起こらなきゃいけない、外からいろんな影響があってというのは本当は難しい問題を、また別の問題をはらんでいるという気がするんですが、しかしどうも今の状況を見ると、やっぱりここはどこか外から少し刺激をしないと変わらない。その外からというのは何かというと、繰り返すようですが、問題をはらんでいることは事実ですが、やっぱり政治が国民の声をよく聞きながら、国民主権という原則に立ちながらやっていかなきゃならぬというところだろうと思うんです。
 陪審制とか参審制とか、これもそういう中の、法曹一元ほど抜本的なものじゃありませんが、やはり国民の司法への参加というテーマですが、これはいかがですか。簡単で結構です。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘をいただきました陪審制あるいは参審制につきましては種々の議論があるということは承知をいたしておりますが、これらの制度の導入につきましては、そのような制度による裁判に対する国民の信頼の確保、陪審員等としての責務を負うことについての国民の理解等々の観点から、慎重に検討しなければならないと考えております。
○江田五月君 慎重にというのは大体通常やらないということで、それではやっぱりまずい。司法制度審議会の議論がこれから進んでいきますから見たいと思いますが、私どももいろいろ積極的に提案をしていきたいと思います。
 私たち民主党が非常に力を入れているものの一つに、犯罪被害者法制というものがあります。政府としても今国会に刑事訴訟法の改正などで被害者の権利確保を考えておられます。その御努力は多としたいと思うんですが、私たちはもっと包括的に、一九八五年の国連被害者人権宣言というものが出ている、こういうものをもとに、被害者の権利、そして社会的な支援体制、こうしたものを明確に規定した犯罪被害者支援基本法を今国会に提出します。これによって包括的な犯罪被害者支援法制というものをつくりたいと思っておりますが、臼井大臣、今お出しになっているものは、さっき申し上げたように御努力は多とします、しかしそれだけじゃ足りないんだと。
 今、本当にマスコミなどでも犯罪被害者の皆さんの悲痛な声というのが出てきて、だから厳罰化、重罰化と、それはちょっと違うんだろうと思うんですよ。今の刑事司法、罪の重さがどうかという議論はそれはそれとしてあるとして、だけれども、被害者がこれほどかわいそうだから加害者をもっとやっつけろという話は違うんで、被害者を社会全体で支援していく、そういう包括的な法制度が要るんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘をいただきました犯罪被害者保護の問題につきましては、精神的、経済的な支援を含めまして多岐の分野にわたるものでございまして、御指摘の被害者基本法を制定すべきか否かという、そうした御意見があることは承知をいたしております。
 その必要性につきましては、既存のさまざまな対策を改善して、あるいは新しい具体的な施策を講じていく中で、内閣に設けられた犯罪被害者対策関係省庁連絡会議における御議論等も踏まえつつ総合的な見地から検討するのがよろしいのではないか、適当ではないかと考えているわけでございます。
 私ども法務省におきましては、刑事手続において、犯罪被害者への適切な配慮を確保いたしまして、その一層の保護を図るための法整備につきまして今回国会に所要の法律案を提出したいと考えておりますが、それ以外に、その所管する事項に関しどのような施策を行うのが適当であるかについて今後とも検討をいたしてまいりたいと思います。
○江田五月君 法務省の所管のことだけを考えると言えばそれはそれで一応その職責は果たされるわけですが、しかしやっぱり閣僚として、政治家として法務大臣やられているわけで、犯罪被害者の救済のことはもちろんいろんな役所にかかわってまいります。したがって、それは他の役所の領分ということになるにしても、やはりそこは政治家、大臣としてもっと積極的姿勢を持って、いわば犯罪被害者の総合的な体系的な支援体制をつくるためにイニシアチブを発揮していただきたいと思います。
 いずれにしても、司法制度改革、これはどうも最高裁に任せていたのだけではなかなか実現できそうにないし、今もお聞きすると、どうも法務省と最高裁だけでもなかなかできないのかなと。中坊さんには頑張ってほしいが、やはりいろんなところで市民の参加が何より大切で、特に市民、国民の意思のもとに政治家が頑張らなきゃならぬということだと思います。さらにこの点もこれから議論を深めていきたいと思います。
 時間がだんだん来ておりますが、警察問題が今これだけ大変で、警察を信頼する人がいなくなっちゃった。最近のNHKの世論調査で、今なお警察を信頼している人は八%しかいないと。九〇%以上の人が警察を信頼しない、あるいは信頼が低下したと答えて、これは私は、警察のことはそれこそ法務大臣の、法務省の所掌と違うということかもしれませんが、しかし法秩序の維持、ロー・アンド・オーダーについて一番の責任があるのはやっぱり法務大臣。
 今の警察問題について法務大臣の影が薄いと私は思うんですが、何ができるかというのはこれは難しいんですよ。本当に難しい。まさか検事総長を指揮してというのもどうも、ちょっと考えてもみたけれども、やっぱりなかなか言いにくい話でして、しかしこういうときは悩まなきゃいけない。役所がこうなっています、法律がこうなっていますがこうですと言うだけじゃなくて、やっぱり我々は立法者であり、法務大臣ももちろん政治家で、いろんな立法の提案もできるわけで、悩まなきゃいけない。
 臼井大臣は、法秩序の最高責任者として今の警察の状態をどう思われますか。何かあなたおっしゃいませんか。
○国務大臣(臼井日出男君) 国民の信頼をしっかりと保持するということは大変重要なことであるかと思うわけでございまして、御指摘の点、今回の事件は大変残念なことでございます。私どもとしては、これらの出来事というものを他山の石として、みずからを戒めながらしっかりとやっていかなければならない、こういうふうに考えております。
 なお、今、委員御指摘をいただきました警察の信頼確保の問題につきましては、まず警察当局でもって第一義的に対処するべきもの、こういうふうに考えております。
○江田五月君 法秩序というのは、これはみんなにとって大切なことなんですよ。今、国民はみんな怒っているけれども、警察がなくて済むと思っている者はいないですよ、泥棒はそれは警察がない方がいいかもしれぬけれども。やはり何とかして今の信頼できなくなった警察をもう一遍ちゃんと立て直さなきゃならぬ。それでなきゃ法秩序全体が信頼できない。
 今、信頼の崩壊というのは現代の一番日本が直面している危機だという気がするんです。法秩序維持について責任を負っている法務大臣が、今のこの事態について警察は警察のことだと言っている。あなたに悩みがないということは、私はゆゆしき事態だと思います。
 例えば新潟の問題は、図書券、ふうんと国民みんなが思っていると思いますよ。それで、局長が監察に行くから雪が見えるところとかなんとかと言って、贈収賄の関係だってこれは怪しいと思いますよ。
 ですから、そういう観点からすると、検察の方で、これはなかなか言いにくい話で、法務大臣に、あるいは法務省に検察にこう言えというわけにはいかないんですが、しかし、ひとり言みたいな話ですが、検察の方でちょっと関心を持ってこれは事実を認知されたらどうかなというような、あなたの方を向いて言える話じゃないんですけれども、そんな気もするんです。
 これは、もし告発なんかがあれば当然、今の賭博罪とかあるいは贈収賄とかで受理して捜査をするということになるでしょうね、一般論として。
○国務大臣(臼井日出男君) 従来から、今、委員御指摘をいただきました警察内部の事案でございましても、刑罰法令に触れるというものがあるならば、検察においても法と証拠に基づき厳正な処分を行ってきたところでございまして、今後とも同様に対処していくものと考えております。
○江田五月君 これはなかなかこれ以上言えないんですが、いらいらしているという感じだけはどうぞわかってください。
 警察改革、思い切った決断と実行が要るんだろう、臭い物にふたではいけないのでパンドラの箱をあける方がむしろいいという感じがしますが、こんな警察に盗聴法、すなわち通信傍受法の権限を与えることはできない。私たちは、この通信傍受法というのは憲法二十一条で保障された通信の秘密を侵すと強く反対をしました。成立の仕方も悪い。しかし、それはそれでできているけれども、その後にこれだけ警察というものが国民の信頼を失って、信頼すると言っているのは八%の人しかない。
 そんな状態で、この法律は昨年八月十八日の公布後一年以内に施行するということになっているんですが、まだ施行はされていません。さて、いつ施行されるつもりなんですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 現時点で確たる日付まで申し上げることはできませんが、昨年成立してから一年以内ということですので、本年八月を目途ということになるわけでございます。
○江田五月君 私たちは、これは今の警察の状態を見るととても、テロリストにミサイルと言うとちょっと言い過ぎでしょうからそうは言いませんけれども、盗聴法廃止法を近々同僚の皆さんと一緒に出したいと思っております。
 盗聴、通信傍受、そのこと自体についての問題もいろいろありますが、もう一つ、携帯電話の傍受というのが技術的に困難だと。一年以内に技術的に研究開発して実施するというようなお答えだったんですが、そして来年度予算に何がしかのものは盛り込まれているんでしょうが、施行日までにこの技術的問題は解決されるんですか。そのためにどのくらいの予算、お金が要ると思われていて、それをどういうふうに予算措置をしようとしておられるのか、これをお答えください。これは刑事局長。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘の携帯電話を対象とした傍受のシステム開発につきましては、昨年、傍受法が成立した直後の九月、第一種通信事業者及び第二種通信事業者を対象といたしまして説明会を実施し、必要な説明などを質疑応答もあわせて行ったわけです。
 その後、警察庁が中心となりまして、関係省庁が協力しながら通信事業者と個別に意見交換を行ってまいりまして、その過程で携帯電話の通信事業者を、これは使用する交換機の型式がいろいろ差がございます。その差によってグループに分けて技術的な問題点の検討などを行いました。
 その結果として、一定の条件におきまして通信傍受が可能な部分ももちろんございますし、既存の保守機器を転用すれば容易に傍受が可能となる部分も相当あることが明らかになったわけです。現在は、この検討を前提といたしまして、各通信事業者における技術革新や設備投資に対応するため、グループ別に検討を進めている状況でございます。
 現行の携帯電話システムにおいても、先ほど申し上げましたとおり、一定の条件では傍受が可能な部分もありますし、また、現存の技術や設備を転用すれば傍受が可能となる部分も相当ございますので、そういう意味では、この施行に向けまして傍受が相応に可能になるシステムの開発というのは可能だというふうに考えている次第です。
 なお、それにつきましての予算のお尋ねもございましたので御説明申し上げますと、法務省におきましては、傍受した電話等の電気通信を記録するための記録装置、それから捜査機関が記録したデータのうち犯罪に関係のない部分を消去するなどの機能を有する再生装置、それと携帯電話通信傍受システムの開発経費等が必要だと考えまして、この整備経費として、平成十二年度予算に二億三千二百万円を計上してございます。そのうち、携帯電話の傍受システムの開発経費については五千四百万円を計上しております。
○江田五月君 五千四百万程度で本当にできるのかなという感じがしますが、私たちは廃止法を提出する。しかし、政府の方もせめて傍受の対象を例えば暴対法で指定された指定暴力団、いわゆるオウム新法で観察処分などを受けた団体、すなわちこれはオウム真理教しか現実には考えられない、そのくらいに限定する、そういう努力をした方がいいと思います。
 昨年の国会では事業者の方に参考人として来ていただいて、いろんな新たな問題点が提起されたということもありますが、ぜひこの委員会で、さらに今どういう技術開発状態になっているか、関係の皆さんを参考人にお招きして御意見を伺う機会をつくっていただきたいと思っておりますので、この点もよろしくお願いします。
 最後の質問。最近の報道で、オウム真理教の信者のソフト会社が官公庁、大企業のコンピューターのコンピューターソフトの開発を担っていたという報道があった。刑事局長、通信傍受の技術開発の中で、下請やあるいは孫請まで含めてオウム関係者がかかわっているということは、これはないでしょうね。報道以降、厳しくチェックをされたかどうか。法務省の電話がオウム真理教に傍受されていたなんという笑えない事実があったら、これは大変なことですから。厳しくチェックをされましたか。覚悟のほどを最後にお伺いしておきたい。
○委員長(風間昶君) 古田刑事局長、江田委員の質疑時間はとうに過ぎておりますので、簡潔に答弁をしてください。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘の点については、十分注意してやっております。
○江田五月君 終わります。
○魚住裕一郎君 公明党・改革クラブの魚住裕一郎でございます。何点か質問をさせていただきたいと思います。
 今、江田委員の方からオウム真理教のお話が出たわけでございますけれども、やはり政治的には警察の問題がいろいろ取りざたされておりますけれども、やはりこのオウムの問題も目を離せない。
 それで、昨年末に団体規制法が成立し、施行し、いろんな形で観察処分という形になっていったわけでございますが、これは各自治体に報告をするというようなこともあったと思いますが、具体的に、この報告の形式といいますか内容について、概略お教えをいただきたいと思います。
○政府参考人(木藤繁夫君) 公安調査庁におきましては、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律三十二条の規定に基づきまして、オウム真理教施設が所在する十二の関係自治体から観察処分に基づく調査結果の提供について請求を受けております。三月十四日の本日現在、そのうち栃木県大田原市など九自治体に対しまして、大田原施設ほか五カ所の教団施設に対する立入検査の結果に関する調査結果を提供しております。
 これら自治体に対しましては、当委員会における団体規制法案採決の際に、「関係地域住民の不安と恐怖心を除去するため、公安調査庁長官は、調査の結果を関係地方公共団体に積極的に提供すること。」という附帯決議がなされているということにかんがみまして、提供時点におきまして可能な限り情報提供を行ったわけであります。提供先の各自治体におかれましては、これまで不透明でありました教団施設の状況などをある程度把握することができているわけでございまして、一応満足していただいているものと考えております。
○魚住裕一郎君 東京にも足立区に施設があったりして大変な問題になったわけでございますが、足立区では、この教団施設の所在地と責任者の氏名、あるいは施設ごとの居住者の人数や活動状況、あるいはこの信者の家族に小中学生がいるかどうか、要するに学校で受け入れるかどうかとか、そういうようなことを教えてくれと。
 地域の不安を解消するというのが目的だというふうに今お話ございましたけれども、やはりその程度まで踏み込んで提供しないといかぬのかなというふうに一方で思うんですが、その点はいかがですか。
○政府参考人(木藤繁夫君) 観察処分に基づく地方自治体への調査結果の提供につきましては、オウム新法の、法律の三十二条で、「個人の秘密又は公共の安全を害するおそれがあると認める事項」というのは提供の対象から除外するということになっているわけでございます。
 したがいまして、個々の提供内容につきましてはそうした法の趣旨を踏まえまして適切に対処してまいりましたし、今後、同様に適切に対処していきたいと考えております。
○魚住裕一郎君 ただ、そうなると、おおむね各自治体は満足をしていただいているというような先ほどお話ございましたけれども、必ずしもそうでもないんじゃないのかという気がするわけであります。
 ある県ですが、この調査結果報告提供書というんですか、これを県のホームページに全文掲載しているというようなこともありまして、そうすると、今おっしゃった、全世界に、これにもし信者の写真みたいなのがあったらまさに大問題になるなとは私も思うんでありますけれども、その辺のバランスをしっかり見て、不安解消とプライバシーの保護という点、よく検討をぜひしていただきたいなというふうに思うところであります。
 そこで、警察の方、お見えでしょうか。今、江田委員からもオウム関連企業がソフトを云々ということがございましたけれども、警視庁のシステムも受注していたというような内容の新聞報道がございますけれども、概略ちょっとまず説明をいただけますか。
○政府参考人(福安俊晴君) このシステムは警視庁の車両管理システムと申しまして、警視庁が保有しております捜査車両などの情報を一元管理するシステムでございます。装備課単独で運用する業務でございまして、いわば管理台帳にかわるものであります。
 このソフト開発の契約は、警視庁と日本IBMとの間で平成九年の十月に交わされております。
 本システムの委託状況でございますが、日本IBMが警視庁から受注しました一部を平成九年の十二月にIBMの共同開発会社に発注いたしまして、さらにこの共同開発会社は受注した一部を平成十年一月末、孫請会社に発注、さらにこの孫請会社が平成十年の二月にオウム関連のソフト会社に発注していたというものでございます。
○魚住裕一郎君 これはいつごろそれがわかったんですか、オウム関連企業に発注しているというのは。
○政府参考人(福安俊晴君) これは、発注の直後、二年前の時点で情報が捜査の結果から判明をいたしております。
○魚住裕一郎君 それで、判明してどう対処したんですか。新聞報道によると、車両データ、覆面パトカーもその後廃車にしなきゃいけないような事態もあったようですが。
○政府参考人(福安俊晴君) このシステムを開発するに当たりまして、データ開発用に、廃車車両そして現に運用しております車百十五台分のデータが渡っております。
 このうち、いわゆる白バイ、パトカーなど警察車両であるということが明らかにわかるものの台数が五十二台、捜査用が六十三台でございました。この六十三台のうち、廃車となりましたものが十一台ですので、五十二台の捜査用車両というものがございましたのでこれは直ちにナンバー変更をいたしております。
 このほか、このシステムは情報が判明次第中断をされておりまして、新たなシステムが再構築されておるところでございます。このナンバー変更は、念のために行ったものでございます。
○魚住裕一郎君 これは今回のオウムのコンピューターを押収して、ハードディスクの中から自分のところといいますか出てきたということでございますけれども、これは、このシステムにオウム関連が関与していたということは警察の庁内できちっと要注意でマークされていたんですか。
○政府参考人(福安俊晴君) これは、結論から申しまして、実害がなく措置済みということで引き継ぎが行われておりませんでした。
 この背景でございますけれども、現在とその平成十年二月の時点では、例えばオウム関連ソフト会社のソフトの開発件数でありますとか受注の納入状況、それからオウムの財政活動の重点がソフトに置かれているのかあるいはハードに置かれているのかという、このような観点から判断しまして当時は発表に至らなかったものであり、また引き継ぎもされていなかったという状況でございました。
○魚住裕一郎君 ただ、この新聞記事によれば、日本を代表するようなメーカーでありますとか銀行とか商事会社、あらゆるみんな知っている企業名がたくさんこのソフトで発注しているようなんです。やはり、二年前にきちっと公表といいますか要注意といいますか、気象情報じゃないですけれども警告といいますか、そういう意味でも表で発表していればもっと違っていたのではないかなというふうに思うんです。
 これは、ハードの時代からソフトの時代にというふうに世の中が流れていて、警察の自分のところまで来ているのであれば、これは社会的な使命といいますか、これはやはり自分のところであったとしてもきっちり対社会に発表すべきじゃなかったんですか。その点、どうでしょうか。
○政府参考人(福安俊晴君) 先ほど申し上げました内容でございますけれども、今回発表に至りました経緯は、納入していた官公庁、企業がもう合計百四十にも及んでおるということがわかったということでございますけれども、平成十年二月当時、残念ながらオウム関連ソフト会社の官公庁への関与を発見したのはまだこの警視庁一件だけでございました。
 それから、現在では開発に関与したソフトの多くがもう既に納入されていたことが確認されておるわけでありますが、平成十年二月当時、この車両管理システムは情報であるいは捜査でわかった段階でもう中断、排除されております。
 それから、現在、もちろんオウムはハードからソフトの方に移行したわけでありますけれども、当時はハードのオウム関連会社は十五社ございましたが、ソフトの会社というのは四社で、これも非常に業績は低く登記のみというような形でありまして、そういった御指摘の点に思いが至らなかったということでございます。
○魚住裕一郎君 いや、そうじゃなくて、要するに危機意識といいますか、時代の流れを読み、かつ、自分のところはうまく手前でそのソフトを扱わないということでいいかもしれないけれども、防衛庁まで行っているというような話もありますけれども、そういうことは警察として責任を持って、皆さん注意してくださいよと言うべきじゃないかという観点なんですよ。
 もう一度お願いします。
○政府参考人(福安俊晴君) 先ほど申し上げましたとおり、実態解明というものについてもちろん努力をしてきたところでありますけれども、平成十年二月当時においてオウム真理教がソフト開発の活動を活発化させていたということは十分に把握されていなかったという点でございまして、オウムの閉鎖性と申しますか、あるいは内部情報が得られない、またそれ以降の活動というものが計画的、組織的、あるいはオウムということを隠して行われていたという実情がございまして、今後はさらにこの方面における解明を進めて的確に対処してまいりたいと思っております。
○魚住裕一郎君 ぜひそういう危機意識を持って、しかも自分のところがうまく防げたからというようなことじゃなくて、もっと広く情報を与えていただきたいなというふうに思います。
 先ほど、質問の中で法務省は大丈夫なんでしょうかという話がありましたけれども、公安調査庁は大丈夫なんでしょうか、このオウム関連ソフトというのは。警視庁のこの車両管理システムでも、孫、ひ孫、さらにその下というような、発注価格が一千百三十七万というのがヴァンクールというところに来たら二百万になっているぐらいでございまして、相当しっかり調べなきゃいけないと思うんですけれども、その後調べた上で大丈夫なんでしょうか。
○政府参考人(木藤繁夫君) 公安調査庁といたしましては、現在までのところ法務省のコンピューターシステムの開発などにかかわった企業の中にオウム真理教の関連企業はないものと承知しております。
○魚住裕一郎君 話題を変えまして、先般、竹村理事から委員派遣の御報告がございました。
 島根県に伺わせていただいたわけでございますけれども、裁判所に所長、また検事正、弁護士会の会長さん、司法書士会の会長さんにお見えいただいて、そのときの状況、地域の事情というものを種々懇談の上お教えいただいたわけでございますが、外国人の事件というのが非常に多いと。島根県は非常に人口は少ないんですが、海に面しておって、そういうような犯罪も含めて外国人の事件が多いということでございます。
 そこで、最高裁、お見えになっていると思いますが、日本における外国人の裁判所の利用といいますか、あるいは被告人の場合もありますし、民事の方はともかくとして、どういうような推移になっておるでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) お答え申し上げます。
 地方裁判所におきまして、通訳、翻訳人が付されました被告人数は平成元年には六百八十九人と、終局人員五万二千七百五十五人のうち一・三%にすぎませんでしたけれども、その後急増いたしまして、平成五年には三千五百十三人となり、終局人員の七・二%になりました。さらに平成九年には七千二百十九人となりまして、終局人員の一二・六%を占めるに至っております。なお、平成十年は七千百人と、前年、平成九年に比べまして若干減少いたしておりますが、なお高い水準で推移をいたしております。
○魚住裕一郎君 裁判あるいは取り調べ等でやっぱり通訳というのはかなり大事になってくると思いますが、平成十二年度の予算における司法通訳というんでしょうか、どんなふうなぐあいになっているでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 国際化の進展に伴って増加している外国人事件につきまして、適正公正な捜査、裁判を実現するためには、刑事手続におきまして有能な通訳人を確保し正確公平な通訳がなされることが重要であると考えております。
 そこで、平成十二年度予算では、必要な通訳を確保するために、通訳謝金約五億五千六百万円を計上しているほか、通訳人セミナー開催経費等として約一千三百万円を計上しております。
○魚住裕一郎君 昨年五月末の当法務委員会において、小渕総理に御出席いただきまして、「将来、試験制度の創設など、検討課題としてまいりたいと思っております。」という御答弁をいただいたところでございますが、約十カ月ですか、どのような御検討をしていただいているのか、御説明をお願いしたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 国際化の進展に伴って増加している外国人事件につきまして、適正公平な捜査、裁判を実現するためには、刑事手続において有能な通訳人を確保し正確公平な通訳がなされることが重要であることはもとよりでございます。
 そこで、通訳人名簿のデータベース化等により通訳人の確保に努めるとともに、通訳人に我が国の刑事手続への理解を深めていただくため、刑事手続等をわかりやすく説明した通訳人向けの資料や法律用語対訳集を作成し、これを通訳人に配付するほか、全国規模で通訳人セミナーを実施してきたところでございます。
 また、近年、地検単位で行う通訳人との協議会の開催回数をふやすとともに、大学が主催する司法通訳トレーニングセミナーに職員を派遣し新たな情報の収集に努めるなどの施策を講じておりますが、今後とも有能な通訳人の確保のための施策の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、諸外国で採用されておりますいわゆる司法通訳制度、すなわち法廷通訳人等の資格認定制度につきましては調査検討を続ける必要があると認識しておりまして、このような観点から、来年度におきまして米国の司法通訳制度につきましての調査を予定しているところでございます。
○魚住裕一郎君 ぜひアメリカのような通訳認定制度みたいなものをしっかりつくっていきたいと思っておりますが、そうはいっても、アジア、アフリカなど、本当に人数が少ない、語族というのかよくわからない、言語があると思うんですが、そういうのもやはり育成をしていかなきゃいけないなと、しっかり私どもも議論をしていきたいと思っております。
 それで、取り調べあるいは法廷での通訳はそういう形になりますが、接見をするときの通訳、これも恐らく通訳料を払っておるというふうに思うところでございますけれども、これはどういう基準で、かつどういう根拠で支払われているのか、お教えいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 通訳料を幾らにするかということは、各裁判体が通訳の難易でございますとか、あるいは事件の内容、通訳時間の長短などを総合的にしんしゃくした上で裁判という形で個別に決定いたしておりますが、通訳料の支給にばらつきが生じないようにするため、多くの庁で裁判官の申し合わせがされているようでございます。
 それによりますと、国選弁護人が期日外に外国人である被告人と接見をする場合の通訳料は、公判期日の通訳料のおおむね七割程度としている庁が多いようでございます。
○魚住裕一郎君 国選だけだね。根拠はどうなっているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 公判における通訳料につきましては法的根拠があるのでございますが、接見時におきましては必ずしも法的根拠はない状況でございます。
○魚住裕一郎君 だから、それは何とかせにゃいかぬなということなんですが、具体的にはどういうふうにお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 実際の運用といたしましては、国選弁護人の方が接見にいらっしゃる場合に、弁護人は必ずしも通訳人を御存じではございませんので、公判で使われるであろう通訳の紹介を裁判所に頼んでおいでになります。その場合に、裁判所の方で公判で使う予定の通訳人を御紹介いたしまして、そして、その方を帯同して接見をなさると。実際の通訳料はその審理が終わった後で、それを勘案して、法廷の分と合わせてお支払いをしているということが多いと承知いたしております。
○魚住裕一郎君 それもきっちりした制度にしていきたいということで、今後私どもも議論をしていきたいし、また、さっき七割という表現がございましたけれども、その辺の報酬の見直しということも、通訳人の方々からかなり反発も出ているようなところもあります。通訳がうまければうまいほど短い時間で通訳できてしまって、そうすると、短い時間数しか例えば報酬をもらえないみたいな部分ももしかしたら生じているかもしれません。そんなことも考えながら検討をして、いい制度をつくっていきたいというふうに思っております。
 だんだん時間がなくなってきましたから、最後に一点だけ。
 被害者救済というお話も先ほどございましたけれども、先般の、一九八〇年に起きた富山長野連続誘拐殺人事件で、富山県の女子高校生が殺されて、かつ遺品の問題で、判決確定後に死刑囚に還付された、名古屋拘置所で廃棄処分をされたという問題がございました。大臣も記者会見で、この御遺族に確実に返還できるシステムを整備する必要があるというふうにおっしゃっているようでございますし、また現行システムの範囲内できちっと対応したいと、運用での改善策を検討するという方向のようでございますけれども、その改善策、具体的にどういうふうに検討され、今どのようになったんでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 本件につきましては、御遺族に大変御迷惑をおかけしたと思っております。
 今御指摘のケースのような被疑者等が遺棄した被害者の所有物を遺留物として領置した事案につきましては、一般的には当該遺留物を遺棄した被疑者等に対してではなく、被害者またはその遺族に直接返還すべきものであると考えられます。
 また、検察におきましては、従来から差し押さえや任意提出に係る証拠品が被害者等の所有に係るものである場合、被害者等に還付の希望の有無を確認し、還付を希望するときは被差し押さえ人等を説得して当該証拠物が被害者等に還付されるように努め、被差し押さえ人等が被害者等への返還に応じていないときは、当該証拠品の処分に先立って被害者等と連絡をとるなどして、被害者等がその権利を行使する機会を確保するなどの措置を講ずることなど指摘したものと承知をいたしております。
 さらに本年二月、刑事局所管課長から、全国の検察庁に対して、被害者等への配慮を一層徹底するように通知いたしました。また、矯正局所管課長から拘置所等の施設の長に対して通知を発出し、裁判所または検察庁からの連絡等により還付金、還付品が被害者の所有に係るものであると判明したような場合には、被収容者が廃棄を願い出ても、施設において保管し、あるいは被害者側に返還するなど、被害者やその遺族に十分配慮した取り扱いをするよう徹底を図ったところでございます。
 いずれにいたしましても、こうした事案につきましては、やっぱり担当の者がどれくらい心を込めてやっているかという問題が一番基本にあると思っておりまして、そうした意味においても私どもはさらに綱紀を引き締めて対処してまいりたいと思っております。
○魚住裕一郎君 終わります。
○橋本敦君 私は、今重大な問題になっております新潟県警問題で質問をいたします。
 まさにこの問題は、日本の警察全体にとって深刻な問題であり、今日の我が国政治でも重大な問題であります。小渕総理も、総理官邸における記者会見で、中田管区長や小林新潟県警本部長の行為はまさしく信用失墜行為であり、言語道断だと、こうまで述べているわけであります。まさに警察の信頼は地に落ち、国民の怒りは大きくわき起こっています。
 警察庁は、この国民の怒りは当然だというように真剣に受けとめていますか。
○政府参考人(吉村博人君) お答え申し上げます。
 昨年、神奈川県警を初めといたしまして、警察の不祥事が頻発をいたしました。それに対しまして、各種の対策を強力に講じていこうとしていたやさきに、新潟県警のこの種の事案が発生を見たところでございまして、処分の問題も含めまして、本件について厳しく対処し、また今後の不祥事防止対策をもう一度練り直して強力に推進していく必要があると考えております。
○橋本敦君 まず第一に、監察する側が監察される側と一緒に温泉ホテルで会食、遊興する、これはまさに国家公安委員会規則違反ではありませんか。端的に答えてください。
○政府参考人(吉村博人君) お尋ねのとおり、中田前関東管区の警察局長につきましては、一月二十八日に新潟県警に対しまして特別監察を実施しておるわけでございますが、総勢十五名で参りまして、管区の局長以外のチームにつきましては、新潟県警本部あるいは所要の警察署等につきまして特別監察をきちんと実施をしているところでありますが、本人につきましてはわずか県警本部に十五分間所在しただけということでありまして、夕刻は本部長等と飲食、遊興等ということでございますので、まことに不見識な行為があったというふうに認識をしております。
○橋本敦君 私は法令の問題を言っているんです。
 いいですか。特別監察における遵守義務、国家公安委員会規則で明白に、特別監察の趣旨を踏まえて、職務の公正を疑われるような懇親等は行わないこと、とはっきり書いてあるでしょう。これに違反することは明白でしょう。結論だけでいいです。はっきりしているじゃないですか。
○政府参考人(吉村博人君) お答え申し上げます。
 ただいまの一連の行為につきましては、関東管区の前警察局長につきまして、国家公務員法の第八十二条一項に、職員が、「この法律又はこの法律に基づく命令に違反した場合」、二号として「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」、三号として「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、この各号の一に該当する場合においては懲戒処分をすることができるという規定があるわけでございますが、少なくとも国家公務員法の九十九条「信用失墜行為」あるいは各種の内部の規定に違反をしたというふうに考えております。
○橋本敦君 各種の内部の規定には、今私が指摘した公安委員会規則、監察を受ける者と一緒に会食など飲食をともにしてはならぬ、これにも反することは明白でしょうと言っているんだ。結論だけでいいです。
○政府参考人(吉村博人君) 国家公務員法の第九十九条に「信用失墜行為の禁止」がございます。それから、国公法の百一条「職務に専念する義務」、警察職員の職務倫理及び服務に関する規則第三条の「服務の根本基準」あるいは第四条、第五条、それから警察庁の行う監察に関する訓令第七条等の規定に抵触をしているものと考えられます。
○橋本敦君 本当に公務員としての職責を自覚しない、公務員法や規則にもういっぱい違反している行為ですよ。いいですか。だから、まさにこういう行為は、中田前局長あるいは小林本部長は本来的にはまさに懲戒処分に該当する、そういう該当する事由、該当する事案だということは明白でしょう。結論だけでいいです。
○政府参考人(吉村博人君) 小林前本部長につきましては二月二十六日付で、端的に申しますと、女性監禁事件被害者の発見に伴いまして事実と異なる発表をさせた、それから、出張を取りやめ事件の指揮のために帰庁すべきところを遊興したこと等で減給百分の二十、一月の懲戒処分を二月二十六日付で行っているところであります。
 中田前局長にありましては、ただいま申し上げましたように、懲戒事由に該当する事実があると認められるところでございますが、本人が調査の過程でみずから当該事案を申告してきた、あるいは職を辞して責任をとるべき旨、厳しく警察庁長官から指摘をいたしましたところ、本件については深く反省をして、職を辞して責任をとる旨の申し出があったということから、任命権者である警察庁長官の判断において、中田前局長については引責辞任をさせたものと承知をしております。
○橋本敦君 時間とりますから簡単に言ってください。
 二人とも懲戒処分の事由に該当する、このことは明白だったね。
○政府参考人(吉村博人君) 懲戒処分に該当する事由があったと認められます。
○橋本敦君 人事院の見解は、今の答弁のとおりで、国家公務員法の適用については間違いない、同じ見解と伺ってよろしいですか。
○政府参考人(中橋芳弘君) 私どもといたしましては、事実の把握をしているわけではございませんけれども、国会での質疑における警察庁などのお話から見ますと、今回の事例は国家公務員法の懲戒処分に該当するとして差し支えないものと考えます。
○橋本敦君 人事院もはっきり認めたわけですよ。
 そこで、その処分の問題ですけれども、今人事院の方に伺いますが、人事院通知というのが平成九年一月十六日に出ておりまして、「職員の不祥事に対する厳正な対応について」という人事院事務総局職員局長の通知が出ています。
 これは非常に大事な通知であって、懲戒処分に該当することについて相当の事由があると思料される職員から辞職願が提出された場合には一たんこれを預かりなさい、「事実関係を十分把握した上で、懲戒処分に付す等厳正に対処すること。」と、はっきり書いてある。それからさらに、「幹部職員に対する処分等社会的にも影響の大きな事案については特に厳正に対処すること。」、こういうふうに指示がされています。
 これに従うならば、持ち回りで警察庁が説明をして国家公安委員会が、小林局長についてはわずか減給。今おっしゃったように中田管区局長については、本人がやめたいと言っているから、辞職したいと言っているから、そんなことを受けて簡単に処分もなしに辞職を容認する。そんなことは、この人事院通知からしたら到底許されないことじゃありませんか。人事院、どう考えますか。私は、この人事院通知を警察庁はじゅうりんしたと思いますが、人事院、いかがですか。あなたが出した通知だ。はっきり言ってください。
○政府参考人(中橋芳弘君) この平成九年一月に出しました、職員の不祥事に対する適正な対応という通知は、それまでに起こりました国家公務員の不祥事等を踏まえまして、私どもとして、任命権者である各懲戒処分権限を持っている方々に対して、こういうことを今後も踏まえた上で対応していただきたいということでお願いしているものでございまして、その趣旨は現在も変わっておりませんし、今後も各省庁に対して、この趣旨を踏まえて対応していっていただけるようお願いしてまいりたいとは思っております。
○橋本敦君 今回の処置はどうだと聞いているんです。質問に答えてください。今回の警察庁がとった国家公安委員会持ち回り、それで処分といった、このことはこの人事院通知を遵守していないということは明白ではないですか。人事院、責任を持って通知したんだから、今回の事態について判断してくださいよ。通知を踏みにじっているじゃないですか、警察庁が。
○政府参考人(中橋芳弘君) 私どもの通知につきましては、委員のお手元にあるかと思いますが、一から五まで注意していただくべきことが書いてあるわけでございます。
 そのうちの一つといたしましては、いわゆる事実関係を十分把握した上でやれというふうに書いてございます。これにつきましては、警察庁の方で把握をされてきているわけでございまして、私どもとして、現実としてここでどうのこうの申し上げるものではないかというふうに思っております。
 それから、二番目といたしまして、いろんな手続の問題が委員の方からお話がございましたが、私どもといたしましては、ここでは手続等につきましては一番最後のところで「懲戒処分の公平かつ厳格さを確保するため、処分の要否、内容等について審査を行う委員会の設置などの措置を検討すること。」と申しているわけでございまして、そのほかの手続について特にこの通達で申し上げているわけではございませんけれども、この趣旨を踏まえて厳正かつ公平に措置するためのことが各省において行われるよう期待をいたしているところでございます。
○橋本敦君 その期待に今度の処分は背いているんじゃないかと聞いているんです。たとえ辞職が出ても、重大な事案については一たん預かりなさい、その上で厳正に調査して処分は処分としてきっちりやりなさい、幹部職員については社会的に影響の大きな事案については特に厳正にやれと、あんたの出した通達ですよ。それを辞職願が出たから、預かりもしないで、それを認めて、持ち回りで国家公安委員会で合意ができたといってやってしまう。人事院としてこの通知を出しながらこんなことをやられていいんですか、そんなことないでしょうと聞いているんです。はっきり確信持って答えてください。だれが見たってこの通知から見ておかしい。何という答弁をするんだ。
○政府参考人(中橋芳弘君) 先ほど来お答えいたしておりますように、この通知において我々がお願いしていることは五点ございまして、一点は事実関係を十分把握した上で厳正に対処すること、それから、まだ把握ができないときは官房付等への配置といったようなことをお願いしているわけでございまして、各省庁、これに応じて的確にやっていただかなければならないというふうに思っているわけでございます。
○橋本敦君 今回はどうだと聞いているんです。適正なのか、これは、今回は。
○委員長(風間昶君) 橋本先生、今答弁中でございますので。
○政府参考人(中橋芳弘君) 今回は、警察において我々の通達を踏まえた上で厳格に対応していただいているものというふうに思っておりますが、さらに今後警察のお話などを聞きまして、対応していただける点で問題があるのであれば、今後我々としても十分指導をしてまいりたいというふうに思っております。
○橋本敦君 話にならぬ答弁だが、状況によっては今後指導していく、こういうことだから、きっちり指導することを求めておきましょう。少なくとも、今後は状況を見て指導しなきゃならぬということをあなたは認めたわけだ。
 そこでもう一つ刑事局長に伺いますが、この場でマージャンをやって図書券をかけておる。そこで私が伺いたいのは、刑法百八十五条で言う賭博罪の財物をかけるという、この財物というのは金銭に限りますか、どうですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 金銭には限りませんで、財産的価値のあるものすべてでございます。
○橋本敦君 図書券はこの財物に該当しますね。
○政府参考人(古田佑紀君) 図書券自体は財産的価値があるものと考えております。
○橋本敦君 九年間行方不明だった少女が発見される、それで虚偽の記者会見をすることを了承する、そして適当に電話で指示しただけで、八時ごろから午前零時半までかけマージャン、いわゆる図書券をかけてマージャンをする、こんなことが許されるわけないですよ。まさにこの行為は、刑法に言う賭博罪に該当する可能性があるのかないのか厳密に検討する必要があると私は思いますが、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員お尋ねの件につきましては、まことに遺憾な事件であると存じております。私どもといたしましては、他山の石として、今後、国民により理解をされる法務行政、国民により親しまれる法務行政を実現して、国民の皆様方から信頼される法務行政というものを目指して努力いたしてまいりたいと考えております。
○橋本敦君 大臣、正確に答えてほしいんです。刑法のどの本を見ても判例を見ても、賭博罪に言う財物というのは、これは種類を問わない、現金に限らない、広く財産上の利益を意味するというのは通説ですよ、大審院以来の判例も学説も。それで今の図書券はまさにこの財物に該当するわけだと。しかも、これをマージャンでかけてやっていることは、警察庁の報告でもはっきりと書いて報告されておるでしょう。言いますと、五百円の図書券を本部長が二十枚私費で購入した、そして満貫賞の景品として満貫以上の役で上がった者に対しその都度五百円の図書券一枚、これを配ったと、こういってはっきり警察庁の報告でも書いています。
 この行為が賭博罪に該当する可能性があるかどうか、これについては具体的な状況の判断ということが必要でしょうが、少なくとも警察のトップが図書券という刑法上賭博罪を成立させる財物に該当するもの、これをかけてマージャンするという、こんな行為をこのまま許していいのか。この問題については私は絶対に許されないと思いますが、法務大臣、こんなことを許していいですか、こう聞いているんです。
 政務次官に聞いていないよ。
○国務大臣(臼井日出男君) したがいまして、先ほどまことに遺憾であると申し上げたのでございます。
○橋本敦君 まことに遺憾ということで済まない遺憾な事態なんだ、今日の事態は。
 古田刑事局長に聞きますが、この中田局長や小林県警本部長の図書券をかけたマージャン行為というのは刑法の賭博罪に該当するとして告発ということを国民がやったならば、検察庁は真剣にこれをきちっと事実を調べますか。刑事局長、当然でしょう。
○政府参考人(古田佑紀君) 一般的なお答えになって恐縮でございますけれども、告発を受けた場合には検察庁としては法律と証拠に基づいて適宜適切に対処をすると考えております。
○橋本敦君 大臣、お聞きのとおり、告発があれば厳正に対処するという趣旨の答弁が刑事局長からなされました。大臣としても異論はございませんね。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま刑事局長が申し上げたとおりでございます。
○橋本敦君 検察庁の先輩である元最高検検事の、帝京大教授の土本武司氏は次のように言っております。
 九年余り不明で監禁されていた女性が保護されたという前代未聞の事件報告を受けたならば、本部長として直ちに県警に戻るべきではなかったか。その後も酒を飲みマージャンをしていたなど、県警トップとして指揮する立場の人間の感覚ではない。虚偽発表について本部長が承認したということは実質的に指示していたことと同じだ。警察の恥を隠したという行為が本部長了承の上で行われたことは醜悪で陰湿だ。被害者の長年の苦しみに加え、神奈川県警の不祥事で国民の批判があれだけ高まった後にまたしても起きたのだから、減給処分の上辞任というのは軽過ぎる、懲戒免職にすべきだ。
 これはまさに私は国民の声である、良識だと、こう思います。こういう声をなぜ警察庁はしっかり受けとめなかったのか、やすやすと辞任を認めたのか、許せぬじゃありませんか。
 最後に警察庁の見解を伺って終わります。
○政府参考人(吉村博人君) ただいま御説明を申し上げましたとおり、中田前局長、それから小林前本部長両名の行為につきましては、まことに不適切、遺憾きわまりないものであるという認識は私どもも同様でございます。
 ただ、小林本部長につきましては、国家公安委員会で判断をしていただきまして、百分の二十、一月、そして退職をしたということでありまして、中田前局長につきましては、任命権者が警察庁長官でございますから、警察庁長官の判断で先ほど申し上げたような経緯をたどって依願退職、引責辞職をしたということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○橋本敦君 そんな理解は国民ができないと言っているということをどう受けとめるかと聞いているんです。
 法務大臣、こんな軽い処分でいい、そう思われますか。最後にこれを聞いて終わりますが、はっきり答えてください。
○国務大臣(臼井日出男君) 私ども法務省といたしましては、先ほど刑事局長がお答えをいたしましたとおり、そうした告発がなされた場合には法と証拠に基づいてしっかりと審議をする、こういうことはもちろんでございます。
○橋本敦君 終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 昨年十二月十七日、二人に対して死刑の執行がなされました。佐川和男さんと小野照男さんです。佐川さんは人身保護請求の最中、そして小野照男さんは再審請求中です。
 そして小野照男さんが、非常に問題だと思うのは、弁護士が十二月十三日十六時四十九分付で彼に対して電報を打っております。「再審請求書長崎地裁に発送した 風邪引かず頑張れ」、これが十二月十三日十六時四十九分に出されております。
 これに対して、小野さんは心強く思ったのか、手紙を十四日に発送して十五日に届いております。
  拝啓だんと忙しくなります。
  師走の折り、クリスマス共に各の町々は慌ただしいことと思います。先生からの再審請求の提出のことの電報を受け取りました。有難う御座ます。追って書類を郵送致します。
  毎日が地獄ですが、この厳しさには負けず頑張ります。マイペースです。私には先生又沢山の皆様や神仏の内に見守っていられると思うと勇気百倍の心境です。一層宜しくお願い致します。所内に於ける紙袋作りの作業にも増々懸命に働いています。仕事は苦になりません。頑張ります。
  正月にはおだやかな元旦をお迎え下さい。又健康には特に注意をお願い致します。
                  合掌
 俳句
 ・念ずれば勇気百倍年の暮
 ・静まりて描く仏画の年の暮
 ・人権の平和の祈り去年今年
 弁護士宮川先生        小野照男
  十二月十四日
 この手紙が十四日に発送され、十五日に弁護士のところに届いております。しかし、十七日の日には死刑執行がなされました。弁護士が長崎地裁に初めて再審の書面を出し、そのことを本人に電報で伝え、本人は本当に勇気百倍、頑張りますというふうに出して、その直後に死刑の執行がされたわけです。
 法務大臣の前にまず刑事局長、この再審請求が行われてこのような手続が進んでいたことは知っていたのでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘の方について再審請求が当時なされていたということは承知しております。
○福島瑞穂君 大臣、大臣はこのことを知っておられましたか。
○国務大臣(臼井日出男君) 個々具体的な死刑執行に関する事項については答弁を差し控えさせていただきます。
○福島瑞穂君 いや、知っていたか知らないかということを聞いているのです。大臣が知っていたか知らないかを聞いているのです。答えてください。
○国務大臣(臼井日出男君) 存じておりました。
○福島瑞穂君 大臣、これは重要なことだと思います。この人は再審請求中で、本人でやっておりました。弁護士を頼んで、弁護士が初めて裁判所に再審請求を出したわけです、書面を出したわけです。それを本人に大至急伝え、本人は頑張ると言っていたのに、その直後に死刑の執行がされる。非常に思いを残して執行されたというふうに思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど個々の具体的な死刑執行に関する事項については答弁を差し控えさせていただくということをお話し申し上げました。
 なお、一般論として申し上げるならば、再審請求は法律上刑の執行停止の事由には当たらないとされておりますが、死刑執行命令を発するに当たっては、死刑執行のもたらす重大な結果にかんがみまして、再審請求された事由につき十分参酌することといたしているところでございます。
 他面、国の司法機関たる裁判所が言い渡し、最終的に確定した裁判を速やかに実現することも刑の執行の任に当たる者の重要な責務であるということは言うまでもございません。もし、再審請求の手続中はすべて執行命令を発しない取り扱いをするものということであるならば、死刑確定者が再審請求を繰り返す限り永久に刑の執行をなし得ないということになりまして、刑事裁判の実現を期するということは不可能になるものと言わなければならないところでございます。
 したがいまして、死刑確定者が再審請求中であったといたしましても、当然棄却されることを予想せざるを得ないような場合におきましては、執行を命ずることもやむを得ないと考えております。
○福島瑞穂君 ひどい答弁だと思うんですね。
 例えば、かつて無罪になりました再審の中で、免田栄事件、これは再審開始決定は第六次再審請求中になされております。島田事件、赤堀さんの事件は、これは再審請求決定は四次です。ほかにも、例えば徳島ラジオ商殺し、これは死刑の事件ではありませんけれども、再審請求が開始されたのは第六次再審請求の最中です。何度も何度もやる中でやっと弁護士の目にとまり、権利を行使してやるという中で再審の門がやっと開き、無罪が最終的にはかち取れたケースは、いずれも何次も再審請求をしているケースです。
 しかも、この小野さんが残酷だと思うのは、弁護士が書面を出し、本人も勇気百倍、頑張りますと言った直後に殺されている。それをどう考えるのかというふうに思います。本当に本人は権利行使の最中に突然断ち切られたというふうに思ったと思います。この宮川弁護士は死刑の執行を聞いて、当日拘置所に行って、夜十時過ぎまでも私はここに泊まると抗議をしてとどまられたというふうに聞いております。
 大臣、どうですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来、個々の死刑執行についてはお答えできないというふうに申し上げておりますが、一般論を申し上げれば、例えば再審請求中であっても当然棄却される理由、毎回同じような理由であって、それが何度も繰り返されたというような状況であるとするならば、死刑が実施をされるということも当然あるものでございます。
○福島瑞穂君 大臣が署名をされたのはいつですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 死刑執行の数日前でございます。
○福島瑞穂君 十三日というふうに聞いておりますけれども、閉会中になぜ死刑の執行をしたのでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) そのこととは、この死刑執行と開会中、閉会中ということは特に関係ございません。
○福島瑞穂君 閉会中になぜ執行したか。今、執行は常に閉会中の金曜日になされておりますけれども、なぜ閉会中に死刑の執行がなされたのかということをお聞きしております。
○国務大臣(臼井日出男君) 従来から開会中にも当然死刑執行されているわけでございますが、委員御存じのとおり、私も国会開会中は大変忙しく衆参駆け回っておりまして、やはりそうした状況の中でもって冷静な判断というのはできかねる、こういうことも含まれていると思います。
○福島瑞穂君 それはおかしいですね。大臣が署名をされたのは開会中、執行がされたのは閉会直後です。開会中お忙しい中で記録を十分精査される時間があったんですか。今お忙しいというふうにおっしゃったじゃないですか。
 それから、お聞きします。弁護士の再審請求と本人の再審請求には差があったんでしょうか、なかったんでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 御指摘の者については十分精査させていただきました。
 なお、再審請求につきましては、再審請求手続というものは非公開とされておりますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○福島瑞穂君 大臣は月曜日、十三日に署名をした。弁護士が十三日に電報を発信、本人は十五日に手紙を書いた。拘置所は検閲をしますから、この間の動きがわかるわけです。大臣は執行までの間、十三日以降、この事実を聞かれましたか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来申し上げておりますとおり、死刑執行についての具体的なことについてはお答えできないと申し上げております。
○福島瑞穂君 私は、その事情を知って死刑の執行をしたのであれば非常に問題だと思いますし、もしそういう事実がきちっと大臣のところに届いておらずということであればまた問題だと思います。
 死刑に関して言えば、過去三年四カ月死刑執行がない期間がありました。しかし、一九九三年三月、死刑が再開され、それ以来十二月の執行で全部で三十五名の人が処刑をされております。これは八〇年代と比べると五倍もの量です。しかも、今回の執行が問題なのは、本当に頑張りますと言った直後に殺されてしまうという、権利の行使をどう考えているのかということで私は強く抗議をしたいというふうに思います。
 では次に、戦時中の未払い賃金の供託の問題についてお聞きをします。戦時中、朝鮮半島より徴用、動員された労務者、軍人軍属等の未払い賃金等の扱いについてお聞きします。
 この未払い賃金は現在供託されているというふうに聞いておりますが、総額幾ら、何人分あると法務省は把握されていますか。
○政府参考人(細川清君) 御指摘のような供託事件は一般の弁済供託でございまして、そういうものとして特別に統計をとっておりませんので残念ながらちょっと資料がございません。お答えできません。御容赦を願います。
○福島瑞穂君 じゃ、またその統計などを後ほどでも教えてください。
 これは供託がされているわけですけれども、戦後すぐ供託がされた理由は何なんでしょうか。
○政府参考人(細川清君) 本来、工場等で働いた方には賃金を払う必要があるわけですが、その方々の住所、居所が明らかではないということで民法に基づいて弁済供託がされたというふうに理解しております。
○福島瑞穂君 でも、被徴用者に関しては基本的に本籍、住所が把握されておりますから、居所、住所不明の供託の理由には当てはまらないと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(細川清君) 供託の手続はいわゆる形式審査手続でございまして、提出された供託書の記載から供託事由があるかどうかということを判断して供託するわけでございます。
 したがいまして、供託書の記載に照らして、被供託者が所在不明というふうな状態にあるものと判断された場合には供託を受理するということになるわけでございます。
○福島瑞穂君 戦時中働いていた人たちはこれを全然受け取っていないわけですよね。本人たちの住所、本籍は会社側が把握されているわけですから、連絡ができないということには当てはまらないというふうに考えます。
 ところで、これは現在どのような状況で保管をされているのでしょうか。
○政府参考人(細川清君) これは通常の供託事件として多数の供託書と同じように扱われております。
○福島瑞穂君 本人あるいは遺族がその返還請求をすれば、それは受理することができるのでしょうか。
○政府参考人(細川清君) 被供託者ですから還付請求ということだと思いますが、法律上の要件があれば当然還付請求することができるということになります。
○福島瑞穂君 では、今還付請求をしますとこれは受け取れますか。
○政府参考人(細川清君) ですから、法律上の要件があるかどうかということを判断するわけでございますが、御指摘のような方の場合には、まず日韓請求権協定がございまして、それに基づいて法律が制定されておりますので、韓国籍の方につきましては特別法に基づいて請求権が消滅しているということになりますので、これは払い渡しに応ずることはできないという結論になるわけでございます。
○福島瑞穂君 新聞によれば、例えば六万余人がいたんじゃないかとか、未払いは二億三千七百万円ではないか。当時のお金で、調査団が調べたところによると三十三万人分、五千万円。当時の五千万円ですから物すごい金額になると思うんですね。
 それで、今、日韓協定の話がありましたが、一九九一年八月二十七日、柳井外務省条約局長は国会答弁で、日韓両国政府が国家として持っている外交保護権を相互に放棄したというだけにすぎず、個人の請求権を消滅したものではないと答えておりますが、いかがですか。
○政府参考人(細川清君) 柳井条約局長の答弁は承知しておりまして、私どももそのとおりだと考えております。
 供託金の、問題の供託金還付請求権は、日韓請求権協定自体によってなくなったわけではなくて、この協定を踏まえて制定された国内立法、これは非常に長い名前の法律でございますが、これによって消滅したということでございます。そういうふうに私どもは供託を担当する立場としては理解しているところでございます。
○福島瑞穂君 これもまた本当にひどい話だと思うのは、戦争中働いて賃金があった、その未払い賃金はでも戦後すぐ供託をされてしまった。この日韓条約ができるのは一九六五年です。戦後二十年間本人に通知がされなかったわけですね。本人たちは知ることができれば返せと言うことはできたと思うんですが、なぜこれは二十年間放置されたんでしょうか。
○政府参考人(細川清君) サンフランシスコ平和条約におきましてこれは別途取り決めるということになっておりまして、ただいま御指摘のときに日韓の間の協議が調って日韓請求権協定が締結された、このように理解しているところでございます。
○福島瑞穂君 日韓条約を締結するまでも時間があるのに、本人たちへ通知すらされなかったと。通知したけれども届かなかったということではないですね。通知すらされなかったと。それはやはり怠慢というか、問題があったと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(細川清君) これは供託自体が住居所不明ということで供託されておりますので、当然通知はできないわけでございます。
○福島瑞穂君 一度でも戸籍、住民票、住所のあるところに通知などはなされたんでしょうか。
○政府参考人(細川清君) ただいまお答え申し上げたとおりでございまして、供託所の方から通知を申し上げたことはありません。
○福島瑞穂君 先ほど日韓条約と法律百四十四号の話をされました。では、お聞きします。
 北朝鮮籍の人が返せと言ったら、これは返してもらえるんでしょうか。
○政府参考人(細川清君) 先ほど申し上げました請求権協定及び法律は、これは韓国の国籍のある方に適用があるわけでございますので、それ以外の方の場合には供託法の他の要件が満たされているということになれば払い渡し請求に応じることは可能でございます。
○福島瑞穂君 払い戻しの法的要件は満たしているのでしょうか。
○政府参考人(細川清君) 御本人である、あるいは御本人の相続人であるということを証明していただいて、あとは供託法の定める手続に従って払い渡し請求をしていただければよろしいわけでございます。
○福島瑞穂君 時間が来ましたので、これは今宙ぶらりんの状態で多額のお金が国に保管をされております。今の金額でも多額ですから、当時のお金に、当時と今との貨幣価値を考えれば莫大なお金が宙ぶらりんのまま保管をされています。これについてはきちっと対応する必要があると考えますので、また今後もよろしくお願いします。
○政府参考人(細川清君) 私、今、ただいま若干不正確なことを申し上げたんですが、政令二十二号、昭和二十五年の政令二十二号が適用あるものは、時効が別に政令で定める日まで来ないということになっていますから、この適用あるものは、先ほど言ったような方々については時効が来ていないので、そのほかの要件が満たされれば請求できるというのが一番正しいお答えでございます。
○福島瑞穂君 時間が来ましたので、最高裁とか呼んでいたのですが、ごめんなさい。ちょっと時間が来たので申しわけありません。
○平野貞夫君 自由党の平野でございます。
 私は、ちょうど一年前、昨年三月十五日に当委員会で、一昨年十月八日に茨城県牛久市で発生した中学生傷害致死事件、岡崎事件と言ってもいいと思う、岡崎少年事件と言わせていただきますが、これを取り上げました。被害者及び被害者の遺族の方たちに大変お気の毒な状況があったわけでございますので、その立場で問題を取り上げまして、当時の陣内法務大臣から「検察においては、少年事件に対しても御指摘の被害者の遺族の方々のお気持ちにも十分配慮して、事案の真相の解明に努めるなど適正に対処すべきである、このように考えます。」、こういう答弁をいただきまして、家裁で審理中でございましたのですが、再調査といいますか再捜査をしていただくようになったわけでございます。
 その結果、昨年八月十五日に水戸家庭裁判所土浦支部で審理が終了して決定が行われ、加害少年に対して保護観察に付す、こういうことが決まったわけでございます。これはわかりやすく言えば傷害致死に対して執行猶予、実質無罪ということだと思います。裁判の常識からいえばまことに異例なことでございます。
 そこで、私はその後収集いたしました、あるいは調査をいたしました資料に基づきまして、警察あるいは法務大臣にお尋ねしていきたいと思いますが、先ほどの理事会で、委員長からお諮りいただきまして八種類の資料を、これは主に公文書のコピーでございますが、委員会でお配りすることを御了解いただきましたので、ちょっと事務局に配っていただきたいと思います。
   〔資料配付〕
○平野貞夫君 私の発言の中でるるその資料の説明をしていきたいと思います。
 そういう裁判の常識から考えまして異例のことに対して、岡崎少年の両親は三つの裁判を提訴しております。一つは、県警と水戸地検に対して、偏見と予断による捜査が行われたということで、法務大臣と県知事ですか、個人の名前としては、を相手取った損害賠償を求める訴えを水戸地裁にしております。もう一つは、加害者の両親を相手に損害賠償民事訴訟を東京地裁に起こしています。それから、近く三つ目の提訴としまして、牛久市に対して、第一中学校の安全管理義務違反等について水戸地裁の土浦支部に提訴する予定だそうでございます。
 被害者の両親は、何も裁判を起こしてその加害少年あるいは加害者の家族に対して攻撃的な態度をとろうということではございません。息子さんの亡くなった真相を知りたい、そして家裁の審理の決定がまことに理不尽なものである、こういうこと、そして制度的にも再審制度あるいは上告制度がございませんので、この三つの提訴は事実上の再審請求、こういう性格のものになるわけでございます。
 そして、岡崎少年の両親が問題にしていますのは、加害少年のお父さんとお兄さんが現職警察官であった、そして身内かばいが行われたんではないか。そのために不当な捜査や、あるいは事件発生直後、警察のマスコミ発表が被害少年を悪者とするものであったようであります。また、地域、学校ぐるみで加害少年を守る運動が行われたというようなこともありまして、こういうことに対していたたまれない気持ちで事実上の再審請求をしたわけでございます。
 そこで、警察庁にお尋ねしますが、この被害者の両親の言う警察の身内かばい、こういうものはあったのかなかったのか、警察庁としてどういうふうに認識されているか、御所見をいただきたいと思います。
○政府参考人(黒澤正和君) お答え申し上げます。
 お尋ねの事件につきましては、平成十年の十月でございますが、茨城県の牛久市内で発生したものでございます。少年の身内に警察官がいたから身内かばいの捜査を行ったのではないかという御指摘でございますが、本件におきましては、事件発生当日、加害少年を逮捕した上で捜査が進められておりまして、検察庁に送致するなど所要の手続がとられており、御指摘のようなことはなかったものと認識をいたしております。
 なお、この事件におきましては、捜査の過程におきまして御遺族の心情に配慮した対応に欠け、捜査状況に関する説明が必ずしも十分でなかったと思われる点があったことから、茨城県警察におきましては、この点、心から御遺族におわび申し上げますとともに、改めて説明に努めてきたものでございます。
○平野貞夫君 なかったということですね、警察庁の答弁は。答えなくていいです。
 そこで、資料一を見ていただきたいと思います。資料一の二枚目、これは少年事件送致書でございます。二枚目に「犯罪の情状等に関する意見」、これは警察署から水戸地検に出されたものでございます。被疑者に対して、「家庭においては両親健在で観護能力がある。本件犯行は被害者から執拗に喧嘩しようと挑発された結果の事件で、その結果は死亡という余りにも重大であるが、父兄が警察官という環境で今後少年の立ち直りの観護が十分に期待でき、」云々ということが書いてあります。
 この文章は十日付で地検に着いているんですが、事件発生が十月八日ですから、恐らく次の日、九日につくって送ったものだと思います。次の日に、これ、身内をかばってくれという要請といいますか宣言じゃないですか。これ、答弁要りません。この資料を見れば、警察庁にも資料を渡しておいてください、明確じゃないですか。それが第一点。
 それからもう一点は、「被害者から執拗に喧嘩しようと挑発された結果の事件」。この後ろを見てください。この岡崎少年は、これは幾つもあるんですが中から代表的なものを取り上げたんですが、中学一年生のときには善行賞、平成八年の十二月です、正義感があるという善行賞というのを担任の先生からもらっていますし、その次、十年の二月にはスポーツ賞という賞状をもらって、市内小中学生の模範でありますということを教育長が表彰しているんです。こういう少年が執拗にけんかしようと挑発する生徒とは思えないんですが。これを一つ指摘しておきます。非常に重要な問題でございます。
 もう一つ警察庁に聞きますが、三月十日、茨城県議会で本件についてたしか文教治安委員会で公明党の足立寛作県会議員が質問をしていると思いますが、この事件について。県警がどういう答弁をしたか、要点を説明していただきたいと思います。
○政府参考人(黒澤正和君) 足立県議がこの事件につきまして当時質問したことがあったわけですが、少年審判中であり答えを控えたいということであったけれども、近ごろまた両親から訴えられたということで、今事実として教えていただけるものを聞きたい、こういう質問がございました。
 これに対しまして、篠崎生活安全部長でございますが、当時の捜査については公正適正に行うということで対応して進めてきたところである。それから、書面に関しても、刑事訴訟法に基づいて適正に行った。心電図、血のついた衣類等があったが、これについても実況見分を行いました。パンツの血の付着は医師の治療行為として出たという状況であります。これらについての捜査は適正に行ってきたが、被害者に対してはもう少し具体的に説明する必要があった。被害者の身になって対応しなければならないということでは反省しなければならないと考えている。
 このようなやりとりがございました。
○平野貞夫君 わかりました。
 この問題は、被害者の下着についていた血液が、茨城県警の説明ですと、医師の治療の行為のときに付着したということを県警ははっきり言っておるわけですが、そこで、資料の二というのをごらんいただきたいと思います。
 これは、事件発生直後、領置報告書というのがありまして、その領置報告書の二枚目「四、領置状況」として、「白色ブリーフには血痕ようのものが付着していることが認められた。」と。要するに、警察では、もう事件発生直後、血痕がもともとあるという。治療のときに付着する血液だったら、こんな領置報告を出しますか。これを指摘しておきます。
 それから、資料の三をごらんいただきたいと思います。
 これは、茨城県警の科研の鑑定書なんですが、一枚目に、外観検査の資料(3)というところで、「白色ブリーフには、その股部付近に、著明な血痕様斑痕が認められた。」。「著明な血痕様斑痕」ですよ。治療のときに出る血が著明な量ですか。
 それから、実は資料の四に、竜ヶ崎警察署から司法実況見分調書というのがございます。先生方にお配りした資料はカラーでないものですから見にくいと思いますが、ちょっとそのカラーの分だけのあれを先生方にごらんいただきたいと思います。
   〔資料配付〕
○平野貞夫君 これが治療のときについた血ですか。
 私は実物も見ました。これ、やっぱり尿も入っているようです。しかし、私は素人でございます。ただ、警察の鑑定の専門家である元東京都監察医務院長の上野博士は実物も見て、これは明らかに血尿だと指摘しています。これをひとつじっくりと、警察庁の方、よく見ていてください。
 さて、これはもうやっぱり県警は言い逃れできないと思うんですよ。明らかにこれは血尿であり、これは実物を遺族が持っていますから鑑定すればすぐわかることでございますが、これは明らかに三月十日の県警の県議会での答弁はうそをついています。早くこういうことを直すように、一日も早くそこのところを訂正するように注意してやってください。
 私の言うことに反論があるなら、後日言ってください。きょうは時間がないからいいですから、後刻言ってください。それ、やりましょう、どういうものかということを、実際、事実の解明というのを。それを要請しておきます。
 もし、これでうそをつくということなら、今、警察不祥事の新潟県警問題、神奈川県警問題とは別の質の、いわゆる警察から司法に至る国家の本質的な問題になりますよ、これ。そういうことを警告しておきます。
 さて、本件の問題点について若干詰めておきますが、以上のようなことで、明らかに警官である父兄の身内をかばっております。そういう証拠、証明するものがございます。それから、被害者の両親の調書を歪曲しております。それから、こういった警察の問題がありますが、地検土浦支部にも問題がございます。加害少年を実質的に取り調べていないんです。
 というのは、資料の六を見ていただきたいんですが、水戸地検土浦支部から「捜査メモ」なる作成者不明のメモが家裁に出されて、それが証拠として採用されていますが、何も書いてないんですよ、まあ少し書いていますけれども。こんなもので裁判が行われる、こんなことが国家にあっていいことですか。責任の所在はどこにもないじゃないですか、だれがつくったかわからぬ。
 それから、もう一つ水戸家裁土浦支部の問題点は、警察の要請で筑波大学の三沢教授が鑑定をしていますが、その鑑定が加害少年にとって不利だということで、かの有名な石山教授に再鑑定をこの家裁がさせているんですよ。
 この石山さんというのは弁護士さんならだれでも知っている方です、いいかげんな鑑定をすることで。例えば、島田事件、無罪になりましたね、再審で。弁護士さんの「自由と正義」なんかの本を読みますと、財田川事件とか山本老再審事件とか山下事件等々、ほとんど検察側の鑑定人になっておる。そしてこの方の癖は、初めに結論ありき。恣意的、非科学的で、事実をつくり上げる癖があるということで有名な方なんですよ。
 そういう人にわざわざ再鑑定を頼んで、その石山鑑定の死因がストレス心筋症と。三沢先生の判定は、腹部外圧によってできた神経性ショック。
 このストレス心筋症という死因の石山鑑定については多くの専門家から疑問が出ているんです。それは、人間の病名としてはまだ認定されていないようですよ。それは、委員長はお医者さんだからよく御存じだと思いますが、豚など動物のレベルの話。そして、石山鑑定の資料には猫の症例を添付しているんですよ、猫の症例を。そのくらいいいかげんな鑑定ですよ。
 そして、資料七を読んでいただければ、先ほど申しました上野博士がこの事件についての意見書を出していただいております。上野先生の説明によりますと、仮にストレス心筋症という悪条件があったとしても、死因はやっぱり神経性ショック、腹部を打たれた神経性ショックによる急死だというふうに言われて、その血尿、血痕のついた下着を石山教授がもし知っていたならば石山さんもそんな鑑定はしなかっただろうという意見書を書いております。そのくらい問題のあるこの処理なんですね。
 しかも、この岡崎少年というのは、石山鑑定は今にも亡くなりそうな重病人のような書き方をしておるんですが、資料の八を見ていただければおわかりだ、これは専門家の方じゃないとわからぬかもわかりませんが、学校の健康診断票なんです。学校には心電図もあるんです。この心電図には、専門家の話ですと、非常に健康なスポーツ選手だと。
 そういう少年を、いかにも何か今にも死にそうだというような前提をつくって、いわば鑑定の偽造と言ってもいいと思うんですよ。そういう犯罪的なことが起こっている。そして証拠隠し、身内かばい。こういうことを家裁も加担して行っている。私は、こういうことを非常に、こんな理不尽なことが近代国家にあっていいのかというふうに思っているわけでございます。
 そこで、もう時間が来たようでございますが、私は、この問題は、少年法という特殊な制度の問題じゃなくて、警察、検察、裁判所という司法の機能を国民が信頼できるかできないかという重大な問題だと思っています。
 また次回の機会に法務大臣に感想なり御意見を聞きますが、申し上げておきたいことは、法務大臣に三つの訴訟の中で改めて鑑定をやってくれということを遺族は言っております。しかも、その下着もありますし、心臓、脳、肺、さまざまなサンプルがまだ筑波大に残されておりまして、ぜひ、民事訴訟でございますが、裁判において明確に事実の真相を出していただきたいと思います。
 もし裁判所がそういうことをしないということになれば、私は、東京地裁が水戸家裁の土浦支部をかばったという重要な問題が発生すると思っております。そんなにまで司法は腐敗していないと思いますが、この問題については、私は国民とともに見守るということを申し上げて、この話の続きは次回またやっていきたいと思います。
 以上でございます。
○中村敦夫君 新潟県警の不祥事に関する質問をします。
 まず、警察庁の責任者にお答えいただきたいんですけれども、三月七日に警察庁から新潟県警察をめぐる事案に関する報告書というものが発表されました。これは、関係者などからいろいろ聞いたその聞いたことを単にレポートしたものなのか、それとも、いろいろと矛盾した証言をただしてみたり物的証拠を突きつけたりして最終的に警察庁がこれが事実であると判断した、あるいは認識したレポートなのかということをお聞きしたいんです。
○政府参考人(吉村博人君) お尋ねの三月七日付の新潟県警察をめぐる事案に関する報告書についてでございますが、警察庁では、二月二十日に調査チームを新潟県警に派遣いたしまして、現地において関係者からの事情聴取をもちろんいたしておりますが、それに加えて関係書類の点検、閲覧、あるいは後日新潟から警察庁に関係者に来ていただきましていろいろと聴取をいたしました。それらを総合判断いたしまして確認した事実に基づいて作成したものでございます。
○中村敦夫君 大変やはり不思議なことなんですけれども、前々から警察庁長官も言っていますし、この報告書にもありますが、図書券をかけてマージャンしたということ、こんなことを今でも警察庁長官は信じているわけですか。
○政府参考人(吉村博人君) 結論といたしますと、この調査報告書にも、マージャンにおきましては、満貫賞の景品として本部長が五百円の図書券二十枚を私費で購入、提供したということを認定しておりまして、本部長が購入をした図書券を満貫以上の役で上がった場合に景品として一枚が配られたとの報告を受けておりまして、そのように承知をしているところであります。
○中村敦夫君 警察庁長官もこういうことを信じたと、そして警察庁もそれを認定したということだと思うんですが、小林本部長、当時ですね、それから中田管区局長、これも当時、これはマージャンをやっていたわけですから、初めてやったわけじゃない、当然のこととしてマージャン愛好者だというふうに思われますけれども、この二人の方はマージャンをやるときはいつも図書券をかけていたんでしょうか。
○政府参考人(吉村博人君) 一月二十八日につきましては図書券を満貫賞で使ったということでございますが、今回の事案以外については承知をしておりません。
○中村敦夫君 承知していませんということじゃなくて、これは質問書を出しているんですよ。これまでも常に図書券をかけていたかどうかということなんですけれども、これは調べてもらえなかったんですか。
○政府参考人(吉村博人君) 二人につきまして、一月二十八日の夜のマージャンの経緯については詳しく聴取をしたところでありますが、それ以外の日にそれ以外の場所でどのようなことをしていたのか、マージャンをする場合にどのようにしているのかということについては、聴取をしていないということでございます。
○中村敦夫君 いないんじゃなくて、私の質問に書いているんですよ。これを調べてほしいということなんですね。これを調べないと、非常に希有なことですね、図書券をかける。突然この日にいきなり図書券を使ったということはちょっとよほどの事情がないと理解できないものなんですけれども、理解できるとすれば、ずっと図書券でやっていたと、だから何の疑問もなくやったというふうにしか理解できないわけですね。
 ですから、お聞きしたいんですけれども、警察官僚がマージャン好きだということはもうよく知られていることなんですけれども、図書券でマージャンをやるというのは警察の中で一般的な慣習なんですか。
○政府参考人(吉村博人君) それぞれのメンバーがどのようなルールでマージャンを行っているかについては承知をしておりません。
○中村敦夫君 そんなばかなことはないんじゃないですか、日常生活を送っているし、たくさんやっている人いますから。要するに、図書券でやっているのかやっていないかぐらいのことはわかるんじゃないですか。
○政府参考人(吉村博人君) 重ねてのお尋ねでございますが、どのようなルールで行っているのか、個々のメンバーそれぞれにルールを定めて遊技をしているというものでございますので、それらの内容について個々については承知をしていないということでございます。
○中村敦夫君 もしわからないなら私が教えてあげますけれども、図書券なんか使っていませんよ。これはもうだれでも知っている事実なんですね。
 万が一、この晩図書券でマージャンしたということを仮定したとしますね。図書券は広い意味で金券ですね、これは。その監察される対象が監察を免れて監察者を金券で接待したということなんですが、これは明らかに利害関係が発生していますから、贈収賄罪もしくは贈収賄約束罪に当たるのではないかと思うんですけれども、法務省の方の見解はどうでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 個別具体的な事実関係を前提としてのお話については答弁を差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げますと、公務員がその職務に関してわいろを収受し、またはその要求もしくは約束をした場合には収賄罪が成立することになるわけでございます。
○中村敦夫君 しかし、これは一般的にはそうかもしれないが、このケースはもう非常に明らかなんじゃないかと思うんです。そのことについて法務省は判断する、そういう義務はないんでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 個々の事案におきまして犯罪が成立するかどうかは、現実に収集いたしました証拠等に基づきまして法令に照らし判断されるべきものでございますので、先ほど申し上げたとおり、答弁は差し控えたいと存じます。
○中村敦夫君 刑法百八十五条に、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」とあるんです。かなりこれはあいまいな文章なんですが、この中で「一時の娯楽に供する物」とは具体的にどのようなものなんですか。あるいは、金銭的価値として、あるいは金銭的には幾らぐらいまでのことを言うんでしょうか。これも法務省の法的見解を聞きたいんです。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のただし書きの「一時の娯楽に供する物」に該当するかどうかという点につきましては、具体的な事案ごとにかけた物の種類でありますとかその数量あるいは価格、それからそれをかけた人の資産、収入などの具体的な事情に応じまして、社会的通念に基づいて判断されることとなるわけでございます。
 そういうことから、お尋ねに対しては一概にお答えできないものでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
○中村敦夫君 これはもう一度警察庁に聞きますけれども、当日のマージャンルールは五百円の図書券を取り合う満貫賞、要するに満貫以上の人に五百円の図書券が行くということなんですけれども、そのほかにはゲームのルールはなかったんですか。例えば、普通は点棒を取り合うというのがマージャンのルールなんですけれども、これは関係なかったんですか。
○政府参考人(吉村博人君) 本部長が購入をいたしました五百円の図書券を二十枚提供いたしまして、それをマージャンの景品としていたと。県警の調査によりますと、受け取った図書券は、県警の生活安全部長が四枚、生活安全企画課長が六枚、前本部長が七枚、そして前管区警察局長が二枚、それで残った一枚を前本部長が持って帰ったということの報告を受けております。
 もちろんゲームでありますから点棒のやりとりは行っていたと認められますが、これ以外に財物をかけていた事実はないという報告を受けております。
○中村敦夫君 長い間生きていますけれども、見たことも聞いたこともないようなルールなんですね、これ。あれだけ複雑なゲームをやって、満貫のときだけしか商品が当たらないと。では、ほかは何をやっているのか。じゃんけんをやった方がよっぽど早いわけでしょう、これだったらば。ですから、これは私はおかしいと思うんですよ。
 半チャンを大体何回やったんですか。それで、満貫以上は十九回出たということなんですね。
○政府参考人(吉村博人君) 調査結果によりますと、半チャンを四回やっております。ただ、このときに行われましたマージャンは、宿泊先での懇親後のいわば座興で行われたものと認識をしておりますし、本部長も再々中座をしているということでありますが、警察庁にていろいろ確認をしたわけでありますけれども、図書券以外の財物のやりとりが行われたことはなかったとの報告を受けているところであります。
○中村敦夫君 ちょうど二十枚図書券が用意されていて、四回半チャンをやって十九枚、非常に都合よくおさまったから幸いだったようですけれども、例えばこんなルールをやるんでしたら、これは要するに満貫が出やすいようにしてやらないと、全然上がれなかったら何をやっているのかわからないですね、四時間も。二十回以上出たらどうするつもりだったんですか。
○政府参考人(吉村博人君) そこまでの調査には至っておりません。
○中村敦夫君 今回、このマージャン事案の調査をした人間は何人いるんですか。それで、そのうち何人がマージャンのルールに関して通じている人間だったんでしょうか。
○政府参考人(吉村博人君) 警察庁の官房の監察官室のメンバーが調査にたしか二、三名当たりましたが、マージャンについての知識は濃淡あろうかと思いますが、一応マージャンのわかる人間が調査に当たったということであります。
○中村敦夫君 そうすれば、こういう話が本当かどうかということは調査する能力があったと思うんですよね。要するに、このルールのことを考えただけでもあり得ない話ですよ。ですから、これはうそだと思うんですね。今、世間で男が二、三人集まったらこの話でみんな大笑いするようになっている。それはあきれて笑っているわけですし、マージャン愛好者、その人口というのは大体一千万ぐらいいると思われますけれども、その中でだれ一人この話は信じないんですね。つまり、まず図書券をかけるという事実、もう一つは満貫だけでそれを取り合うというそんなゲームをやる人がいるという、この二つのことについてはまずだれも信じない。
 ところが、この調査報告ではそういうことになっていると言っているわけですから、これは二つしか理由がないんですね。本当に調査能力もない、判断力もない人たちがこの事件について調べたのか。もう一つは、それはもううそだと知りつつ警察庁も身内をかばうためにこれが事実だと言っているかという、この二つしか私には考えられないんですね。これはどちらなんですか。
○政府参考人(吉村博人君) 本件の一月二十八日の夜、飲食に引き続いて遊興にマージャンをやったということにつきましては、せんだって来から申し上げておりますように、まことに不見識きわまりないことであるという認識は強く持っておるわけであります。
 その上で、どのようなマージャンをやったのかということについて、もちろんお金をかけてやったのではないかという観点から強くいろいろと関係者を事情聴取いたしましたが、図書券を満貫賞として使ったということしか出てまいりませんので、それ以上のことはいかんとも判断しがたいというふうに考えます。
○中村敦夫君 それを信じて、これは事実だというふうにして公式に発表したんですね。これは黒いかばんを白だと言っているぐらい、通用しないですよ、この世の中で。こういうことが出ますと、要するに世の中の不信というのは警察ばかりじゃなくて、今度は警察庁に対しても大変に不信感が増大すると思うんです。その辺のことを考えて、こういう形の答弁はするべきではないと思います。
 ちょっとばかばかしいので、やめますよ、私はこれで。
○政府参考人(吉村博人君) 繰り返しで恐縮でございますが、最大限の努力をして調査をいたしましたけれども、今判明した、申し上げた事実しか出てこなかったということでございます。
○中村敦夫君 やめます。
○委員長(風間昶君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時三十六分散会