第147回国会 外交・防衛委員会 第3号
平成十二年三月十四日(火曜日)
   午前十時二分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         矢野 哲朗君
    理 事
                鈴木 正孝君
                武見 敬三君
                小山 峰男君
                益田 洋介君
                小泉 親司君
    委 員
                佐々木知子君
                村上 正邦君
                山崎  力君
                山本 一太君
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                海野  徹君
                松前 達郎君
                荒木 清寛君
                立木  洋君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     河野 洋平君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  瓦   力君
   政務次官
       外務政務次官   東  祥三君
       外務政務次官   山本 一太君
       防衛政務次官   依田 智治君
       防衛政務次官   西川太一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   政府参考人
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       防衛庁防衛局長  首藤 新悟君
       防衛庁運用局長  柳澤 協二君
       防衛庁装備局長  及川 耕造君
       防衛施設庁長官  大森 敬治君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     上田 秀明君
       外務省アジア局
       長        槙田 邦彦君
       外務省欧亜局長  東郷 和彦君
       外務省経済協力
       局長       飯村  豊君
       大蔵省理財局次
       長        村井 博美君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (外交の基本方針に関する件)
 (国の防衛の基本方針に関する件)
〇就業が認められるための最低年齢に関する条約
 (第百三十八号)の締結について承認を求める
 の件(内閣提出)

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○委員長(矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に外務省アジア局長槙田邦彦君、外務省欧亜局長東郷和彦君、外務省経済協力局長飯村豊君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長上田秀明君、防衛施設庁長官大森敬治君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長柳澤協二君、防衛庁装備局長及川耕造君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、大蔵省理財局次長村井博美君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(矢野哲朗君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
 外交の基本方針及び国の防衛の基本方針につきまして質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○海野徹君 おはようございます。民主党の海野であります。
 きょうは、外交、防衛に関して若干の質問をさせていただくわけですが、大臣所信の内容でちょっと確認しておきたい点がありますから、その点について外務大臣あるいは防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
 まず第一の問題なんですが、我が国日本を取り巻く外交環境というのは大分この一、二年で変化したのではないかというふうに私は思います。これは、周辺事態法ももちろんそうなんですが、日米の問題でもあります。あるいは韓国が日本をどう見るかというような問題でもあります。あるいは中国が日本をどう評価するかということも変わってきたのではないかなと。あるいは日米韓の三極体制というのが構築されたというようなこともありまして、この一、二年で大変外交を取り巻く環境というのは変わってきている。それは、ある意味では外交史上まさに日本の分水嶺になるかもしれないという、そんな認識を私自身は持っておりますが、外務大臣、その点について御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 我が国周辺の国際的な環境の変化は、議員御指摘のとおり、近年大変な変化を遂げつつあると思います。
 我が国周辺でも、日本と中国の関係は、日中共同声明が発表せられてからもうすぐ三十年という状況でございますし、この間、両国関係は友好裏に進展をしていると思いますし、日韓関係は、今お話しのとおり、韓国大統領訪日以来大変大きく変化をしていると思います。朝鮮半島におきましても、今変化の兆しが見えていると申し上げても私はいいと思います。
 そういう状況ではありますけれども、他方、ここ数年、アジアにおきます大変な経済不況、金融危機に端を発した経済的な危機というものがございまして、一時国際経済の中でもスポットライトを浴びていたアジア経済というものが一たん非常に難しい事態に入るという状況でもございました。こうした状況下で、我が国としても、我が国の経済状況も極めて厳しい中ではありましたけれども、アジア経済に対してでき得る限りの支援をしようということもありまして、大変な努力をしたところでございます。
 おっしゃいますように、大きく変化を遂げつつありますけれども、経済的な状況を初めとして、まだまだ安定した状況というところまでは申し上げられないのではないかというふうに私は思います。
○海野徹君 その中で、日米韓、この首脳会談、初めての会談だったと思います。日米韓の協調体制、この構築というのは大変重要な意義を持っているんではないかなというふうに思いますが、ある意味では三カ国の共有の利益、二国間だけではない三カ国の共通の利益があるということで、三国間、日米韓の共同体制というもの、首脳会談が持たれたと思うんですね。
 その辺について、外交上あるいは防衛上の意義について外務大臣あるいは防衛庁長官からお話をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 議員が御指摘になりました日米韓という三カ国の協調体制は、まず大きなものは対北朝鮮政策についてでございます。これは、アメリカのペリー調整官を中心として、対北朝鮮政策というものを三カ国が集まって練り上げて、お互いの連携を強化しながらこの問題の解決を探るということで、非常に緊密に連絡をとり合いながら、現在まで非常にうまく連動してきているというふうに私は思います。
 アメリカは、米朝関係を進めるという点で、大変辛抱強い北朝鮮との会談を行って、現在はニューヨークに場を移してさらに一歩進めた形で会談を行っておりますし、韓国もまた、金大中大統領が先般ベルリンにおきまして演説を行いましたように、南北の関係改善に極めて意欲的でございます。
 我が方も北との間に国交正常化交渉を再開するという準備が、環境が整いつつあるということも、これらは大きな意味で日米韓三国の政策的な協調体制というものがその背景の一つになっているというふうに私は思います。
○国務大臣(瓦力君) 河野外務大臣からただいまレビューいただきましたが、日米韓三国間でおのおのの情勢認識でございますとか安全保障観についての相互理解を深め、また三国が共有する問題につきまして協議をし、また加えて地域の平和と安定のためのイニシアチブを発揮し得るもので、これはつながるものでございますから、私は重要な意義を有しておると考えております。
 防衛庁といたしましても、日米韓三国の防衛当局の実務者が安全保障上の諸問題について広く意見交換を行う日米韓防衛実務者協議を実施するとともに、北朝鮮政策をめぐる安全保障上の諸問題について日米韓三国の緊密な連携にさらに努めてまいりたいと考えております。
 東アジアにおける安定という問題を考えますと、北朝鮮問題というのは非常に重要な意義を持っておるわけでございまして、日米韓、お互い協力し合いながらこれらの問題をいかにそしゃくし解決をしていくかということは、我々に課せられた大きな課題であると思います。
 この一月初めに訪米をいたしましてペリー調整官をお訪ねしたときに、日本の訪朝議員団の意義、成果についてお尋ねがございました。
 大変、村山訪朝団の意義というものを評価しつつ、なお北朝鮮に対する疑念として、私は防衛庁長官でございますから、安定確保のためには懸念すべき問題があるということも指摘をしつつ、北朝鮮からの返事というもの、これがいつ返ってくるかを私どもは忍耐強く待たなければならないし、加えて言えば、ペリー長官の北朝鮮政策というものは非常に慎重にかつ時間をかけて丹念につくり上げようとする努力が見えるので、アジアにも理解がしやすいと。しかし、この方針を曲げてはならぬので、ぜひ積極的に北朝鮮を土俵に巻き込んでいただくような、そういう努力が必要だと考えますというようなことも申し上げてまいりました。
 いずれにいたしましても、私どもは、地域の安定を確保するためにはそういう努力をこれからも積み重ねていかなければならない、かように考えております。
○海野徹君 外交環境が変わった、それで日米韓の協調体制がある。しかしながら、二月の終わりから三月の初めころのアメリカの新聞紙上では、日米同盟というのは今大変な問題になっている、危機的状況ではないかというメッセージが伝わってきているんです。
 それは何かというと、名前が変わりましたが旧会社名は神環保、思いやり予算あるいは沖縄の問題、普天間基地の問題、こういうような問題がアメリカ側にとっては、日本側は本当に真剣に同盟関係を考えて対処しているのかというようなことで懸念が拡大している。そういう論調が非常にワシントン・ポストとかファイナンシャル・タイムズというのに多いわけなんですね。
 外務大臣とされては、日米同盟は二十一世紀、このまま確固たるものがずっと継続可能なのか、そのための要件は何なのか、端的にお答えいただきたい。
○国務大臣(河野洋平君) 私は、日本とアメリカは価値観を共有する国同士でございますから、いずれにせよ、この二国間関係というものはお互いに大事にし合いながら、二十一世紀も非常に友好的な国としてやっていくことに当然なるだろうと思っています。
 問題は、友好国として、あるいは同盟国として長く続いていくかどうかということについて申し上げるならば、やはり長く友好的につき合うためにはお互いが率直に忌憚のない意見を言い合うということが重要なんだろうと思うんです。忌憚のない意見をお互いにぶつけ合いながら、そしてお互いの真意を確認し合いながらつき合っていくということでなければ長続きしないだろうというふうに思っているわけでございます。
 アジア周辺の事態がどういう状況になるかということについてもいろいろと予測、推測はございますけれども、今日の状況を踏まえて、お互いが国際社会の平和と安定のためにも考えなければならないこともあるでしょう。あるいは、我が国は日本の平和と安全あるいは我が国周辺の平和と安全ということも十分考えていかなきゃならないのは当然のことでございますが、お互いに価値観を共有する先進国、もっと言えば経済先進国と言ってもいいのかもしれませんが、として、国際社会に貢献をするものとして友好的な関係を続けていくということが必要であろうと思っております。
○海野徹君 価値観を共有して率直に意見の交換をということでありますから、後ほどまた具体的な問題について、その辺の訪米された内容と協議の内容をお聞かせいただきたいと思います。
 その次に、やはり外務大臣にお伺いしたいんですが、大臣所信の中で「国民とともによりよき未来を開く外交」というようなことが述べられております。当然、国益を守り国民の財産を活用しながら外交をやるわけですし、主権者は国民ですから、そういう点で、もう少し具体的に内容をかみ砕いてお話しいただければありがたいです。
○国務大臣(河野洋平君) 「国民とともに」というのは、これはもう私が申し上げるまでもなく当然のことだと思いますけれども、私は、外交というものは極めて内政に近いといいますか、あるいは国民とともになければならないというふうに考えておりますし、よりよき未来という意味は、より平和で安定した未来、つまりこれは安全保障という意味にとっていただいても結構かと思いますが、さらにより繁栄した未来、豊かな未来というものを築いていくということが重要だということを申し上げたかったわけでありまして、あるいはさらに言えばより人間的な未来、つまりこれは基本的人権を尊重するというふうに考えていただいてもいいかと思いますが、そういうことを頭に置きつつ「よりよき未来を開く外交」ということを申し上げたわけでございます。
○海野徹君 それでは、次の問題なんですが、外務大臣のところ、あるいは防衛庁長官のお手元にある女子大学院生のコソボの救援活動の体験記のコピーが、文章がお届きになっているかと思うんですが、大変私は、これは日本が顔が見える国際貢献の中で非常にいろんな問題提起をしているし、あるいは一定の国際貢献のあり方をこれは示唆しているのではないかな、そういうふうに感ずるわけなんですね。
 大学院生ですからまだまだ若いんだなと思いながらも、文章を読んでいましたらかなりしっかりした内容が書いてありますし、歴史認識あるいは戦争、紛争そのものの認識というものを非常に冷静に考えている。しかも、それが異常な状況下に陥った人間の心理をなおかつ自分で理解しながら、極めて正常な感覚でその文章を書いて体験記を寄せているんですね。
 その点について、両大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 大変申しわけないことでございますが、中野さんの体験記を私は読んでおりませんで、議員から御指摘をいただきまして、その後概略を読ませていただきました。
 このコソボ救援活動体験記というものは、私にとっては大変興味のあるものでございました。それは、昨年の暮れに私もコソボへ行ってまいりまして、コソボでNGOの人たちと会って話をする機会がございまして、大変感銘を受けたといいますか、うれしかったのでございます。日本人のNGOの人たちがあのコソボという非常に難しい状況下、少なくとも政治的に言うとこれはとてもとても難しい状況の中で、非常に活発に活動をしておられる、目的意識を持って。一つ一つの仕事をしっかりやるんだという非常な責任感の伴った活動をしておられる状況を目の当たりに見て、あるいはそうした多くの方々とお話をしたものですから、ということで中野さんのこの体験記がそのときのこととダブって私には特に強い感銘を与えてくれました。
 こういうことを申し上げることが御答弁になるとは思いませんが、御承知のとおり、コソボは今大変難しい状況にあって、その難しい状況というのは民族的な対立が非常に難しい。アルバニア系の人に会ってもセルビア系の人に会っても話をされることは、多民族国家をつくるんだ、民主的多民族国家をつくるために努力をしているんだとおっしゃるんですけれども、実際にそれはできるだろうかと頭を抱え込むような事態であるというふうに思います。
 そしてまた、かなり危険も伴う状況下、しかも、私が参りましたときには割合と温暖な気候でございましたけれども、非常にやっぱり厳しい時期もあるだろうと思います。そういう中で、NGOとして非常に積極的に活動をされ、活動をされるだけではなくて、いろいろなことを感じ取られて体験記にまとめられたということを私は大変うれしく拝見をいたしました。
 確かにヨーロッパにおきましては、国家主権と人道上の問題というものが非常に難しい調整を要する事態になっておりまして、これをどう調整するかということはなかなか難しいのでございます。そうした中で中野さんは若い女性らしくすっきりと時には割り切り、時には悩んでおられるという姿を拝見いたしまして、こうした感受性の強い人たちがこうした現場で大変勉強にもなったんではないかというふうに感じたのが私の素直な読後感でございます。
○国務大臣(瓦力君) コソボ救援活動体験記、御紹介をいただいてありがとうございました。
 私、なかなかこの国会に入りまして物を読む時間も少なくなりましたが、若干拝見をして、改めてまた読ませていただきたいと思います。今、読後感につきまして申し上げますと、外務大臣もお触れになったように、この作家はまだ若いわけでございますが、NGOに参加して立派に活動されておられるわけでございますが、非常に新鮮な目で、私どもはバルカンであるとかそういったところに対する興味があるわけでございますが、非常に苦労の中を若い新鮮な目でこれを見ておられる、そのことについては改めて視点を変えて私は関心、興味を覚えておるところでございます。
 これからこの地域についていかなることができるかということは、私どもに対して投げかけておる問題もあるわけでございまして、今後とも国際平和協力業務でありますとかあるいは国際貢献を積極的に推進してまいる、その意味ではいろいろな視点を持たせてくれるというぐあいに考えております。
 これからもこういうようなことが、我々として体験しがたかったことが起こってくるわけでございますので、広く政治家のみならず一般の方々にも示唆を与えることにつながるであろうというぐあいに考えまして、改めてよく読ませていただきたいと思っております。
○海野徹君 私は読んでいまして、ある意味ではコソボの問題というのは人権尊重、内政不干渉の原則、そういう問題で、ある意味では外交姿勢として日本はどうその姿勢をとるかと、非常に問題もありますし、国際貢献のあり方、彼女はアメリカのチームの一員として行っている、こちらの日本人であるというような問題も抱えているものですから、その点についての質問はまた後ほどさせていただきます。
 防衛庁長官にお伺いしたいんですが、所信の中で、ゲリラコマンド攻撃及びNBC対処能力の確保ということが述べられています。これは現実の危険性があって、あるいはその影響の大きさが当然推量されてこういう表現がされていると思うんですが、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
○政務次官(依田智治君) では、私の方からお答えさせていただきます。
 具体的にどういうケースがあるのかということをここで言うのはちょっと差し控えさせていただきますが、我が国周辺等をまず見た場合に、例えば北朝鮮潜水艦による韓国領海侵入、また武装工作員の韓国領土侵入事案というのが数年前に起こっておりますし、また韓国海軍による北朝鮮半潜水艇の撃沈、また我が国に関連するものとしては能登半島沖不審船事案、こういうものが現実に起こっておるという状況。
 それから、一転して我が国の地勢的な面を考えますと、海岸線が非常に広い、それでまた都市化、市街化が進んでおる、沿岸線にも重要施設等がたくさんある、こういう状況を考えますと、地理的には極めて脆弱な状況にあるというように考えるわけでございます。
 一方、NBC兵器、生物・化学兵器、こういうものは安価で製造が容易であり大分拡散している傾向がありますし、そういうものを運搬するミサイル、長距離ミサイルというようなものも大分発達している残念な状況があるわけでございますから、こういうものに対応して我が国をどう守っていくかということは大変重要な問題じゃないかと。
 これまでの常識では、治安は警察、防衛は防衛庁・自衛隊ということですみ分けしてきましたが、やはりそのすき間のところでどう対応するかというのが我が国の場合には法制的にもまた体制的にも非常に弱いものがあるんじゃないか、こんなような認識に立っておりまして、十二年度予算におきましてもゲリラコマンド対処のためにいろいろ研究する予算とかNBC対処等も同様でございますが、そういう予算もお願いして、これらに対して我が国としてもしっかり、いかなる事案が発生しても現行法制下、また今後研究して、必要な法制があれば国会等でも御審議いただくというようなことで、国民が安心して暮らせるようにそういう体制をつくっていく必要がある、こんな問題認識でおるわけでございます。
○海野徹君 具体的な数量的、計量的な危険性の大きさというのは言えないけれども、相当な危険がある、それに対しては要するにハード面よりソフト面の充実を図る、そういうことですか。
○政務次官(依田智治君) ソフト面もありますし、また必要によってはそういうものに対応し得るやはり部隊といったようなものも、またそういう既存の部隊の訓練とか、訓練ならソフト面ですが、そういう面も含めて総合的に検討していく必要がある、こんなように考えておるわけでございます。また装備なんというのは、そういう面で大変重要じゃないかと考えておるわけでございます。
○海野徹君 現実的にその危険性が非常にあるということでよろしいですね。
 では、次の質問に入らせていただきます。
 個々具体的な質問に入らせていただきますが、外務大臣にお伺いしたいんですが、インターネット、デジタル衛星放送、要するに情報通信技術がどんどん発達しています。こういう情報技術が当然情報戦略につながっていきますから、ある意味では情報戦略というのは国とか企業の生命線とも言えるんです。グローバルな覇権を得るというそういった意味でも力になっていくはずなんです。
 今やとにかく情報というのは富であるし、富を生む源泉でありますから、情報戦略を持つか持たないかというのは非常に大きな問題ですし、情報化と世界化というのは同時並行していますよね。世界が並行することによって、ある意味じゃ独自の、要するに国家というものに対する帰属性というのは、あるいは経済活動なんかすぐ出ているわけなんですが、多国間が非常に距離が短くなってきていますから、インターネットの世界では。じゃ一体、自分が帰属するユニットというのは最小単位は何なのかということまで行ってしまって、ある意味じゃ世界化と同時にローカル化、グローバル化と同時にローカル化というものが同時進行しているんじゃないか、そんなことを思うわけなんですけれどもね。
 そういった意味で、インターネットが進むこと、情報化が進むこと、情報技術がますます進展することによって、我が国の外交政策というのはやはり情報戦略上変化はある、あるいは何らかの対応策を当然基本的に持っていかなくちゃいけないと思うんですが、その辺についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 議員がおっしゃるように、インターネットを使う、その他さまざまな近代情報システムを使うということは、もう今や常識になってきているんだと思います。
 これまではIT革命を非常に重視して、これによって他国が持たない情報を我が方だけ持とうと思った時期はあるかもしれませんけれども、今はそれをやらなければ、むしろ他国はみんなもう常識としてそういう情報を持てるのに、どこかの国はその情報が持てないというそういう時代に今もうなってきたんだと思います。
 したがって、情報を持つということは、これはもう常識としてそうした技術を持つというのは、やらなければならないことはもうはっきりしていると思うんですね。
 他方、今、議員がおっしゃったように、そのことによって、つまり国境がもう全くないに等しく情報が飛び交ってしまうということは、これは経済界においても既にそうした状況になってきているわけですが、政治の世界でもそうした情報が国境を越えて大変なスピードで相当大変な量が動き回るという状況下で、一体国家主権というものがどういうことになるかということについては、我々本当に真剣に考えなければならない場面だと思います。
 いつも申し上げることですけれども、ヨーロッパにおいてEUというものができ上がって、これがもう一つ一つの国が、国家主権にこだわらないと言うと言い過ぎですが、国家主権をどれだけ削ってでも地域の統合を行うことによって、その地域に住む人たちの安全とか利益とかというものを持つかということを真剣に考えて、つまり二十一世紀はそういうことが大事なんだと彼らは考えているようにも思えるんですね。
 国際社会の中にはますます国家主権というものにこだわる、国家主権の重要性を考えるそういう国あるいはそういう人と、あるいは国家主権というものをそんなに昔と同じような価値を持たずに、むしろもっと緩やかな地域統合というようなことを考える、さらにはその緩やかな地域統合が安全保障面にまで関心を持って相当強い地域的な統合に進む、そういうケースもあるわけです。これらを我々はどういうふうに見ていくかというのは大変大事なことだと思っています。
 地域統合というものを考えたときに、その地域周辺に同じような政治体制、同じような価値観を持つ国がずっと集まっていればいいですけれども、隣国は全く政治体制が違うとか価値観が違うというときには簡単にそういうわけにはいかないこともあるわけですから、利害が一致し、政治体制が一致している、あるいはそれを一致させる努力をするということがまずなければ簡単にはその方向に進むことはできないわけですけれども、私は、この情報革命というものはいろいろな意味で大きな変化をもたらす可能性を持っているということは申し上げられると思います。
○海野徹君 変化の可能性ということなんですが、具体的に外務省の中で、どういう点に問題点があって、どういう点を検討して、今何に手をつけようとされているわけですか。
○国務大臣(河野洋平君) 外務省は、各国に大使館、その他公館を置いてそこでこれまでは情報収集をしてきたわけです。それは一人一人の人と会って情報を得るとか、あるいは民間の力もかりて情報を得るというようなこともございました。しかし、それでは情報の量としてはそれほど多くないわけでございます。
 例えば、アメリカを初めとして情報衛星を飛ばして上から見たり、それからそれ以外にも科学技術を駆使してさまざまな情報を入手する努力というものが行われているわけでございまして、これらにおくれをとらないように、現在、内閣におきましては情報衛星についての作業を進めておられますし、外務省としても、ただ単に公館を利用して一対一で情報を入手するというだけにとどまらず、もちろんそれが一番基本的な作業でございますけれども、それにとどまらず、さらに大量の情報を得る努力をしなければならないというふうに思っております。
○海野徹君 情報化の中でのインターネットが普及する中での外交戦略という点ではまた後ほど議論させていただきたいと思います。
 防衛庁長官にお伺いしたいんですが、RMA、軍事における革命というのが非常に進んでいる、特にアメリカで進んでいる、格段の差がほかの国とあるということでありますが、その辺のアメリカの取り組みについて、防衛庁長官の方から。
○国務大臣(瓦力君) 今御質問のRMAでございますが、軍事における革命、大きな進展が期待され、また見られるわけでございますが、防衛庁において今専門に取り組んでおる防衛局長にかわって答弁をさせまして、その様子についてお答えをさせていただきたいと思います。
○政府参考人(首藤新悟君) 今、先生お述べになられましたRMA、英語でレボリューション・イン・ミリタリー・アフェアーズ、大臣申されたように、私どもこれは軍事における革命と称しておりますが、これはアメリカにおいて提唱された概念でございまして、一般に技術進歩等の変化、特に情報通信あるいはコンピューター、こういった面における飛躍的な進歩によりまして軍事作戦あるいは戦争そのものに生ずる大きな変革というものを指すと理解されております。
 アメリカは、不確実な将来におきましてもあらゆる範囲で軍事的な優位性を確保するというために、技術革新が軍事にもたらしますいわゆるRMAを活用いたしまして、将来の統合作戦能力の実現を図っておりまして、その際、創造的な運用構想、あるいは新たな編成といったものと並びまして、新たな情報システムを効果的に活用することが重視されていると私ども承知いたしております。
 このように、アメリカでは、このRMAは戦争や軍事作戦のあり方を一変させる可能性を有するものと認識されておりまして、この意味で、防衛庁としてもこういった議論の動向を注視しているところでございます。
○海野徹君 議論の動向を注視しているだけなんですか。それ以上のことは防衛庁としては今考えていないんですか、やっていないんですか。
○政府参考人(首藤新悟君) 今申しましたとおり、このRMAの中核を特になすという情報通信、さらにはコンピューターといったものは、私どもの自衛隊の防衛力整備、あらゆる多様な事態に対処する上での必要な機能、そういった上で当然重要なものでございますし、またアメリカとは同盟国でございますので、非常にそういった情報通信においても相互運用性を図らなければならないといったこと。
 さらには、私どもとして常に諸外国の軍事技術水準の動向に配意しなければいけないというようなことからいたしまして、常々防衛力整備においてはここを重視し、また今後における防衛力整備におきましても、これは一つの重点として取り組んでいくという心構えを持っているところでございます。
○海野徹君 それでは、情報化と外交防衛政策、細かな点で質問させていただきます。
 中央省庁のホームページにハッカーが侵入したわけなんですが、外務省、防衛庁は、その点については問題はなかったという御理解でよろしいですか。
○国務大臣(河野洋平君) ハッカーの侵入あるいはオウムのパソコン機器の導入ということで御心配をいただいておりますが、外務省におきましてはそうしたことはございません。
○政務次官(依田智治君) 防衛庁の関係では、本当に防衛の秘密に属するようなものにつきましては外部との遮断とかいろいろ対策を講じておるわけでございますが、今回問題になりましたのは、陸上自衛隊の通信システムで各自衛隊が各役所の方へ連絡したり、そういうような一般的な連絡システムを一般的な汎用のコンピューター等を使ってやるシステムということで、実はこれはコンピューター設置につきましても一般競争入札でやり、また一般競争入札で落ちた会社がさらにハード面なんかを他の会社に、さらに据えつけ等をその下請に出す。その孫請等の中に作業等で、ソフトの関係でオウムの関係者がいたという事実は警視庁の捜査等でも出ておるわけでございます。
 現在、私どもとしては、そういう一般的な競争入札によるような事案にしましても、関係者が知らぬうちに入ってくるというのは非常に、なかなか防ぐのは難しいんですが、やはり研究して、何かチェックする方法はないか、さらには、最終的にはやはり業者等が、いずれにしてもこの機材の設置その他で出入りする場合には必ず監視をつけて動向を十分見守るというような措置を講じております。
 また、契約した事案につきましても、三月早々に契約をやる予定でしたが、今その確認のために実際にそれを延ばしておるというような状況でございます。こんな状況でございます。
○海野徹君 十二年度の予算のことにちょっと入らせていただきますが、十三億円、ハッカー対策として計上されています。それで、具体的には、こういうような問題があるから、その辺のやっぱり問題点がある程度浮かび上がってその十三億円というのになったんですか。具体的にこの内容を教えていただきたい。
○政務次官(依田智治君) 十二年度予算につきましては、コンピューターセキュリティー基盤整備事業として、技術基盤及び人的基盤の整備を実施するための経費として十三億円、それからコンピューターセキュリティー要素技術の研究事業として、高度な保安基準に対応し得る要素技術の研究を実施するための経費として十三億円、計約二十七億円を計上しておるという状況でございます。
 主な内容としましては、技術的基盤の整備としましては、高度なセキュリティー機能を有するシステムを試験的に構築し、実装環境下における運用評価を実施して各種技術基準体系を確立するとかそういうようなことを含めまして、今後こういうハッカー等の問題はこれから、防衛庁に限らず、相当いろんな部面に出てくると思いますので、そういう面をしっかりと検討して対応するということを考えておるわけでございます。
○海野徹君 機密の保護については外部とのネットワークに接続していないから漏洩の問題はないということなんですが、同盟関係であるアメリカを初めとして、これから外部との接続というのは当然出てきますよね、情報化の進展の中で。そういった意味でも大丈夫と自信を持って言えるのかどうか、今現在の状況を教えていただきたい。
○政務次官(依田智治君) 完全に大丈夫かと、なかなかこれ、現時点では万全な体制をとるよう努力しておるわけでございますが、御承知のように、アメリカとの関係ではMDA協定等に基づく秘密保護法というのがあり、それに基づき秘密保全に関する訓令等を設けまして、厳重に事前調査を行い、秘密の保全上支障がないことを確認して契約するとかいろいろやっておるわけでありまして、今後の対策としても、基本的には、極めて重要なものは外部との接続を遮断する、またどうしても遮断できないものについては暗号の使用等による秘匿化というものを検討して、万全の措置をとるという方向で今努力しているところでございます。
○海野徹君 それでは、次の問題に入らせていただきますが、日朝関係についてお話をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
 昨日、十三日、北京で赤十字会談、これが行われました。新聞紙上でいろいろな報道はされていますが、今外務省がつかんでいらっしゃる内容を可能な限り詳細に御報告いただければありがたいんですが。
○国務大臣(河野洋平君) 十三日に北京におきまして日朝赤十字会談が開催をされました。日朝双方が互いに関心を持っているさまざまな人道問題について話し合われて、その結果は共同発表ということになりました。共同発表には双方署名がなされております。
 具体的に申し上げますと、今回の会談におきまして、日本人配偶者のふるさと訪問につきましては、第三回ふるさと訪問を四月ないし五月に実施することとし、その後も、日本の親族の希望も実現しつつ、このふるさと訪問を継続していくことというのが第一の合意事項でございます。
 二つ目は、拉致問題につきましては北朝鮮側より、当該機関がしっかりとした調査を開始したことに加え、仮に見つかれば日本側に通報し適切な措置をとるとの説明があり、その旨共同発表に盛り込まれました。この適切な措置とは、要するに本人の希望があれば日本への帰国を認めるということと理解しております。
 また、今後の赤十字会談において進捗状況を取り上げることとなりましたが、北朝鮮側からその都度進捗状況につき報告を受けるとともに、日本側からもいろいろと注文をするなどによって、納得のいく調査となるよう十分フォローしていくこととなっております。
 さらに、会談の席上、しっかりとした調査について日本側より、例えば新聞、放送その他の方法によって行方不明者の調査が北朝鮮内で周知されるよう求めました。これに対し北朝鮮側からは、この問題については今後一緒によく研究していきたいというふうに述べられております。
 食糧支援につきましては、我が国政府が世界食糧計画を通じて十万トンの支援を行う旨の発表を通報したのに対し、北朝鮮側より謝意の表明がございました。
 一九四五年以前に行方不明となった朝鮮人被害者の安否調査につきましては、先方より、赤十字の通常の方法に従って調査依頼がありました。
 今回の会談は、人道問題を取り扱う機関であります日朝双方の赤十字が話し合うために行われたものでありますが、双方の外務省関係者も出席し、政府としてもきちんと関与をしております。政府といたしましては、今次赤十字会談の成果も踏まえ、国交正常化交渉を含め、今後開催される日朝間の諸会談におきまして、日朝間の諸懸案などに粘り強く取り組んでいく考えでおります。
○海野徹君 諸懸案に取り組んでいくという話だったんですが、外務省も関与しているからこの辺の担保はできているんだというようなお話と思うんですけれども、前回の会談のとき、調査をする、調査を依頼するということで北朝鮮側に援助しているわけです。それに取りかかったのは二カ月、三カ月後だ、つい最近だという話がある。
 となると、今までずっと交渉過程の中で北朝鮮側の姿勢を見ると、できるだけ自分のものは出さない、得るものは多くというような外交姿勢があるということになると、この辺は極めて私は、国民は、十万トン、あるいは今回の交渉でそういう話がきちっと担保できていくのかどうか、非常に不透明さを感ずるわけなんですけれども、その点についてはどうなんでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 私は、今回の日朝赤十字会談に対しまして一定の評価をいたしております。それは、少なくとも遠く離れて一方的に物を言い合っていたという状況から、今度はテーブルを囲んでお互いにそれぞれの関心事項を述べ合って、それに対して応答をする、お互いに質問をし回答をし、話し合いがきちんとできたということがまず大事な点だと思います。そして、この会談をこれから先も、国交正常化本交渉といいますか本会談へ進めていくということになったということは、私は一歩前進ととらえていいというふうに思っているところでございます。
 そして、調査が進んでいないんじゃないかという今御指摘が委員からございましたけれども、両国の関係改善の流れを受けまして今回調査が再開されたということだと承知をしておりまして、各レベルで当該機関と連携しつつ、全国規模で調査を行うに際し一定の準備作業も必要だったというふうに我々は理解すべきだというふうに考えているわけでございまして、これから先、先ほど申しましたように、赤十字会談の際には先方から報告があるということでもございますから、そうした点について我が方からも、そうした調査の内容につきましては、我が方からも関心を持って先方にその都度申し述べていきたいというふうに思っております。
○海野徹君 米支援が拉致問題の解消につながれば、これは全く問題ないわけなんですが、それがもし進展しないとしたら、これは国民の外交政策に対する信頼を完全に失うことになる、私はそういうような重要な問題だと思っています。
 そもそも外務大臣、この日朝問題というのはどういう問題を中心テーマとして、何を解決するのが中心にあるとお考えなんですか。またそれから、その問題を解決するために戦略的な何らかの目標があると思うんですけれども、それについてもお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 日本と北朝鮮との関係は、議員御承知のとおり、我が国周辺で唯一残された国交のないまことに不正常な関係でございます。この不正常な関係を正常化していくということは、日本の外交にとってやらなければならない重要な仕事というふうにまず考えております。
 さらには、北朝鮮がテポドンの発射というような状況に軍事的に進んでいるということを考えましても、我が国の安全を考えれば、こうした問題もきちんと話し合わなきゃいけない。これは日朝関係だけではなくて、国際社会の中で核の不拡散という重要な問題点から考えれば、これは国際社会にとっても極めて重要な問題だというふうに思います。
 そして、さらに我が国にとって拉致事件というものは、ないがしろにできないというよりは最も重要な問題の一つというふうに私どもは認識をしておりまして、こうした問題を解決するために両国が話し合いを進めていく必要があるというふうに考えております。
○海野徹君 基本的な戦略目標についてもお答えいただきたかったんですが、もう私、与えられている時間がありません。日朝関係の問題、あるいは通告した問題がたくさんありましたが、すべてできかねるものですから、最後に防衛庁長官にお伺いしたいんですが、艦船の入札で問題があったということなんです。
 事前の通報どおり落札したということだったんですが、その入札経過をちょっとお伺いしたいと思います。その後に、予定価格が当然組みかえられたと思うんですが、その点についても御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 今、海野委員からの御質問でございますが、この御質問につきまして装備局長から、いわゆる具体的な問題も絡みますから重ねて答弁させたいと思います。
○政府参考人(及川耕造君) それでは、お答え申し上げます。
 これまで主要な艦艇のうち、輸送艦が二月二十九日から、それから護衛艦につきましては三月七日から入札が行われているところでございます。
 まず、輸送艦でございますけれども、応札は日立造船並びにマリンユナイテッドの二社の指名競争入札で行われたものでございます。
 入札の経緯につきましては、二月二十九日から入札が行われまして、落札者がなかったことから、同日、三回入札を行いました。三回目の入札においてマリンユナイテッドが辞退し、その結果、同日より日立造船と予決令第九十九条の二による商議を行いましたけれども、三月三日時点ではこれがまとまりませんでした。このため、改めて予定価格を再度算定いたしまして、三月六日に改めて二社による入札が行われましたところ、一回目の入札で日立造船が二百五十三億六千万円弱で落札をいたしたところでございます。
 それから、護衛艦でございますが、これはマリンユナイテッド、三井造船及び三菱重工の三社の指名競争で行われまして、三月七日から入札が行われました。
 同日、三回入札をされましたけれども、落札者はございませんでした。二回目の入札において三井造船、三回目の入札において三菱重工がそれぞれ辞退いたしましたので、同日、マリンユナイテッドと商議を行ったわけでございますが、その時点では不調でございました。このため、予定価格を再度算定いたしまして、三月八日に改めて三社による入札を行ったわけでございますけれども、二回目の入札におきまして三井造船と三菱は辞退いたしました。このため、同日、マリンユナイテッドと商議を行ったわけでございますが、この時点でもなおまとまりませんでした。したがいまして、予定価格を再度算定し、三月九日、改めて入札を行った結果、一回目の入札でマリンユナイテッドが二百四十六億七千五百万円で落札をいたした、こういう経緯でございます。
 ただ、その後御案内のとおり、報道等がございましたので、私どもは談合対応マニュアルにのっとりまして関係企業から事情聴取等を行ったところ、現時点ではすべて各社がそのようなことはないという回答をし、かつ誓約書を提出いたしているところでございます。
 以上でございます。
○委員長(矢野哲朗君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(矢野哲朗君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(瓦力君) 海野委員から政府委員の要求がなされていなかったわけでございまして、私も参考人としての装備局長に答弁をかわらせたわけでございますが、技術的な問題もこれあり、つい私はこれを見まして要求はなかったなということを気づきました。次の方に実は要求があったわけでございますので、この点おわびをいたしまして、答弁につきましてはさようお答えをさせていただいたというぐあいに了承いただきたいと思います。
○海野徹君 ちょっと混乱しまして、私どもも、申しわけございません。
 それで、入札経過はわかりました。当然、要するに予定価格を組みかえたわけですから差が出てきますよね。また細かな問題なんですが、その辺の差がどの程度ありましたか。
○国務大臣(瓦力君) 大変申しわけありませんが、よろしゅうございますか。
○海野徹君 それでは一度に質問していきます。その予定価格とか……
○国務大臣(瓦力君) ちょっと私も、それじゃお許しをいただければ、装備局長に今御質問の数点を答えさせたいと思います。よろしゅうございますか。
○委員長(矢野哲朗君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(矢野哲朗君) 速記を起こしてください。
○海野徹君 質問だけしておきます。
 とにかく二回、最初の予定価格と落札価格の差ということ、それと輸送艦、護衛艦の契約手続は終わっているのか終わっていないのかということ、疑惑を持たれたまま要するに契約するのかどうか、この三点についてお答えいただきたい。
 以上であります。
○政務次官(依田智治君) 予定価格は、差額はどうかということはちょっとお答えできないわけですが、輸送艦は約二百五十四億円、護衛艦は約二百四十七億円で落札したという状況でございます。あとは何でしたか、御質問は。
○海野徹君 手続は終わっていますか。
○政務次官(依田智治君) 契約につきましては現在契約手続中でございます。落札したので、契約手続中で……
○海野徹君 それは問題があるまま契約すると。
○委員長(矢野哲朗君) 海野徹君、時間が来ておりますので、ひとつよろしく。
○海野徹君 問題が持たれたまま契約しちゃうわけですか。
○政務次官(依田智治君) 私どもは、現時点でこれが談合であったとは考えておりませんが、いろいろ指摘もありますので、談合情報対応マニュアル等に基づきまして、三月十日に関係企業から事情を聴取する等行っているところでございまして、まだ手続中という状況でございます。
○海野徹君 済みません。質問時間が終わりましたので、終わります。
○益田洋介君 防衛庁長官、御苦労さまでございます。
 私は、まず長官に一点だけ確認をさせていただきたい。さらには、これは国会議員としての一つの願望でございますので、日本国とアメリカ政府、それから沖縄県、さらには名護市を含む問題でございますので、確認をさせていただきたい。
 それは普天間飛行場の移設問題に関しまして、昨年、岸本名護市長がこれを受け入れるということに転じまして、この問題の解決に向けて大きく前進したわけでございます。問題は、沖縄県と政府の間に亀裂が生じる要因をつくったことが生じました。それは十五年間の使用期限の問題でございまして、この問題を、使用期限という言葉を用いて初めて主張されたのは稲嶺知事でございまして、これは知事選のときの一つのオール・オア・ナッシングという現実的な対応ということでの選挙に向けての公約の一つでもあったわけでございました。
 この十五年間の使用期限問題はさらに尾を引きまして、本年一月上旬に日本政府がアメリカに対して沖縄の要求を、この稲嶺知事の要求を代弁して伝達をしたわけでございますが、アメリカはこれを無視している。沖縄は、一方では十五年が限界であって、要するに我慢の限界なんだと。それを沖縄がアメリカ軍の対応、アメリカ政府の対応に対して期待が大きく外れたということで、今回六月に控えております県会議員選挙、それから七月の沖縄サミット及びG8、そういった問題でかなり紛糾されるであろう、この問題をめぐって。
 それが長じてもともとの普天間移設の問題にまで亀裂を生じるのではないかということで、この使用期限問題をどのように打開するかというのは喫緊の課題であろうというふうに考えておるわけでございますが、私いろいろと資料を調べてみました。昨年の暮れ近く、十二月にまさにこの三者、米国政府、日本政府及び沖縄県及び名護市が希求していた解決策については、実は防衛庁長官が提案をなされている。覚えていらっしゃらないのかもしれませんが、記録には残っております。
 それはどういうことかというと、十五年の使用期限という言い方ではなく、長官がおっしゃったのは、十五年後に現在の合意を見直そうじゃないかという提案でございました。これであれば、妥協の産物という言い方はおかしいかもしれませんが、三者にとって、特にアメリカと県側にとっては受け入れが可能な提案であると現在でも考えることでございます。
 やはり沖縄の問題それからこの普天間の問題、それから使用期限の問題は、単に沖縄県とアメリカの問題あるいは日本の問題じゃなくて、もっと根の深い根本的にある、健全な日米関係を築くためにお互いが改善できるべきところは改善しまた妥協できるところは妥協していこう、そういうお互いの積み重ねた努力によって初めて形成されるものではないかと思うわけでございますし、十五年後のことを今予見できる人はだれもいないわけでございます。
 特に、国際関係とか極東情勢、台湾の問題もございますし、北朝鮮の問題もある。こうしたことで、沖縄というのは日本のみならず国際的な安全保障に大きな役割を今果たしているし、将来も果たしていくような展開でございますので、やはり十五年たって、その十五年をただ状況を看過しているだけじゃなしに、三者がいろいろと状況の分析をして判断を積み重ねて、その結果どのようにするかという努力をすることによって皆さんの理解を得ていくことが私は一番の方法じゃないか、至上の方法じゃないかと考えるわけでございます。
 そういうことで、私はここでもとの問題に、昨年十月の長官の提案に再び立ち戻って、そして関係各所の方々の理解を得られるようなキャンペーンを張っていくべきだ、それが一番現実的であり、また妥協を見出せる考え方ではないかと思っているわけでございますが、長官の御意見を拝聴させていただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 益田委員にお答えいたします。
 多少振り返って私も経過を申し上げながら御理解を得たいと思いますが、昨年暮れ、沖縄県知事並びに名護市長から受け入れの表明をいただいたわけでございます。
 政府といたしましては、このような経緯を踏まえまして、昨年十二月末に普天間飛行場の移設に係る政府方針を閣議決定したわけでございます。さらに、今後の取り組み方針を明らかにしたところでございまして、防衛庁といたしましても閣議決定のもと最大限努力をしていく、そういう所存でございます。
 この代替施設の使用期限につきまして、政府としては閣議にありますとおり、今、委員もお触れになりましたが、種々国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、沖縄県の稲嶺知事及び岸本名護市長から要請がありましたことを重く受けとめておりまして、先般これをコーエン国防長官に私から取り上げたところでございます。
 政府として閣議決定にあるとおり、今後「国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこと」といたしております。また、防衛庁といたしましても国際情勢が肯定的に変化していくよう努力してまいりたいと、かように考えております。
 私はかような発言を累次国会に報告また発言をいたしておりますが、大変沖縄県知事また名護市長の御要請は私どもとして重く受けとめており、また国際情勢につきましては極めて厳しい環境にあることを踏まえまして、この課題に取り組んでいかなければならないことを今重ねて申し上げておるところでございます。
 また沖縄との関係におきましては、これは私は国内問題であるというようなことも申し上げましたり、あるいは日米間におきましてこれらの問題をいかに日米安保体制の維持という中で考えていくべきかということを重ねて申し上げておるわけでございまして、この域を超える発言は私としてはいたしておりませんので、改めてこのことをお答えとさせていただきたいと思うわけであります。
○益田洋介君 慎重にお考えなさっていただきたい点でございまして、どのようにして活路を開くかというのは、これは長官並びに防衛庁の関係者の方々じゃなくて、私ども国会議員全員がやはり対応していかなきゃいけない、努力をしまた知恵を振り絞るところは絞って協力をしていかなきゃいけない問題だと思います。きょうは幸いにして両政務次官また外務政務次官もお見えでございますので、ぜひともこの点、大変重要な問題、私たちが直面する問題だと思いますので、お考えいただきたいとお願いしておきます。
 さて、次に防衛庁でございますが、今度は装備局長、これはお願いをしてございますので、答弁をお願いしたいと思います。
 昨日、私は予算委員会でこの問題を提起いたしました。それは今年度防衛庁が調達する艦船の建造の入札で談合による受注調整が行われたことは九日、明らかになったわけでございます。そして、これまでに行われた輸送艦、護衛艦各一隻合わせて邦貨にしまして五百億円程度の受注先が事前に某マスコミ機関に漏れていた、寄せられた情報どおりに受注先が決まった、こういう事実が判明いたしまして、防衛庁は調査を始めたということを受けまして、私はきのう予算委員会で委員長に、調査の進め方並びに調査結果が出たらばそれを予算委員会に提出をしていただきたい旨お願いしましたところ、すぐその日のうちに装備局長から書面をもって返答がございました。
 三項目ございましたが、一項目目は、既に公正取引委員会に昨十三日、月曜日、調査依頼をいたしたところでございます。この点はそういうことでよろしゅうございますか、御確認願いたいと思います。
○政府参考人(及川耕造君) 昨日、先生に御報告を申し上げましたとおり、調査を十日にいたしました。その結果をまとめ次第、公取に送付いたしたいというふうにお答えをしたかと思います。
○益田洋介君 公取にはいつ伝達する、また調査依頼を報告するつもりですか。
○政府参考人(及川耕造君) 早急に行いたいと思っております。
○益田洋介君 早急にというのはいつで、また公取からの反応は、回答はいつあるというふうに想定しておりますか。
○政府参考人(及川耕造君) 現実には誓約書をもう既にとりましたので、もう一両日中にできるかと思っております。
 ただ、具体的にはこういう事態がございますというのを私どもが公取に御報告いたしましても、公取の方からお返事がいただけるということは多分ないと思います。これは捜査にかかわる話になるかと思いますので、私どもはそういう情報を得ましたと、私どもなりにマニュアルに基づいて調査しました結果、例えば今申し上げましたように誓約書等でないという返事が返ってきております。こういった結果を御報告申し上げますと、そこから先は公取の方で御調査になるのではないかというふうに思っております。
○益田洋介君 今、二つ論点が出てまいりました。一つは公取に依頼をするということ、公取は捜査の対象とするから、どういうふうな時限を切って捜査が行われるかということについては防衛庁としてはあずかり知らない、しかし公取に依頼をするに当たってマニュアルに基づいた調査結果は既に入手している、手元におありになると。それを私は出してもらいたいんです。よろしゅうございますか。
○政府参考人(及川耕造君) 大変恐縮でございますけれども、私どもがただいま申し上げましたように、相手からどう、やったかやらないかというようなことを確認はいたします。その上で誓約書をとったわけでございます。その誓約書等について出していいかどうかというのにつきましては、当然相手の了解も得なければいけませんし、その取り扱いについては検討させていただきたいと存じます。
○益田洋介君 当然、それは当事者、相手当事者があることですから了解を得た上でございますが、この問題は非常に重大な要素を含んでいるんですよ。
 一つは、これからお話ししますが、もともとこれは国費です。納税者にこういう不明瞭な形で入札が行われ、落札して、しかも落札価格というのは、これから伺いますが、膨大な額でございます。価格の変動もあった。それから、入札予定価格の修正も行っている、入札の経過においてですよ。重大な関心事です、これは。だから、よくお話しになって、当局としても。相手方当事者の方に了解を得て、そして私どものこの委員会に提出してもらいたい。国民の前に開示してもらいたい、この情報を。また、そうするべき義務があなた方にあると思う、防衛庁には。
 きのうも残念なことで逮捕者まで出した。これは不祥事の連続ですよ。NECの問題だって、どのように総括されたかまだ報告を受けていない。こういう現状で国民は放置しませんよ。
 ましてや、市ヶ谷の靖国通り沿いに五棟もあんな巨大な本庁庁舎を建てて、大体、中小企業の人、経営者は自分の企業が困難になれば、まず自分の家を小さくするんだ。借家に移り住むんだ。そういう辛酸を国民は今なめている。そういう今、経済不況に当たって辛酸をなめている、国民は。その前で堂々と靖国神社の前に、これはまたきょうは大蔵省の方も来てもらっているけれども、予算の分析もあります。そんなことでのうのうとしておっちゃだめだ。必要なら、それは建てるもの、予算もついたんだから建てて当たり前かもしれないが、それとは別にきちっと納税者に対して報告義務があるんだ。そうじゃないですか。
 私は、これは厳正な委員長にお願いして、心構えとして、ぜひとも早急に今入手したその資料、各落札業者と話し合った上で当委員会に早急に提出していただきたいことをお願いしておきます。よろしゅうございますか。
○委員長(矢野哲朗君) 追って理事会で協議します。
○益田洋介君 さらに細部にわたりますが、今、同僚議員の質問に答弁予定者じゃない装備局長がお答えになったわけでございますが、輸送艦について、護衛艦について、それぞれ口頭で今御報告がありました。入札の経緯、特に輸送艦については二月二十九日午後九時に第一回目の入札、商議、二回目三月六日、この辺の詳しい時系列的な流れを報告していただきたい。あわせて、護衛艦、これはマリンユナイテッド、三井造船、三菱重工、その他。一回目、二回目、三回目、それぞれ三月七日十六時、八日十七時、九日十六時まで、この入札、それから商議の経緯についても時系列的に報告を願いたい。
 それから、護衛艦については毎日のように入札を繰り返してきた。七日、八日、九日。一方で輸送艦の方に戻ると、二十九日の午後四時に入札してから六日まで一週間入札が行われていない。この間、何が行われたのか。商議の内容も明らかにしてもらいたい。商議というのは一体何を目途としたものなのか。商議を重ねた後に入札価格、予定価格を修正している。上向きに修正している。どんどんどんどん、だから予算が膨れているんだ、これ、入札の過程を経るに従って。
 だから、落札価格は発表できるけれども、その当時の入札価格は発表できないというのはこれも間違いだ。おのおのの会議の、それぞれ輸送艦と護衛艦における一回目、二回目、三回目までにわたる予定価格、変更された予定価格、その当時の不調に終わったけれども入札価格、全部金額を出してもらいたい。
 これは第二点目の要求です。委員長、よろしゅうございますか。
○委員長(矢野哲朗君) 資料要求をしているわけですね。
○益田洋介君 はい。
○委員長(矢野哲朗君) 理事会で追って協議いたします。
○益田洋介君 協議のほど、よろしくお願いいたします。
 それから、私はもう一つ疑問に思っているんですが、特に護衛艦が、マリンユナイテッドとの間の商議の内容というのは非常に不明確だ。最後の三回目においては、一回目で落札が決定している。相当値段が詰められている。どんな内容なのか。金額にわたっても、これ話し合いが持たれたはずだ。その内容を明示してもらいたい。
 入札が回数を重ねるに従って国民の負担する税金はふえている。もともとそんなに不調に終わらなきゃいけないような予定価格を何で設定したのか。もともとの防衛庁の見積もりに何か誤りがある、不備がある。だから、こんなに何回も入札を積み重ねている。どんどんどんどんそのたびごとに値段がつり上がっている、予定価格が。最後には高い値段で落札している。きのう装備局長は、十年度に比べて値段が下がっています。輸送艦、護衛艦、細かい数字は今聞かなくてもいい。これはリポートの中に一緒に書いてもらえばいいんだけれども。そんなものは比較の対象にならないんです。
 むしろ私は、今明確にここでお聞きしたいことは、書類の中に記載していただきたいのは、それぞれの入札の機会の予定価格と入札価格、そしてそれが順次進んで落札価格にどのような金額の変化をもたらして値段が上がってきたのか、その間の商議の経緯、これを伺っておきたい。よろしゅうございますか。
○政府参考人(及川耕造君) 資料の御提出については、委員長の方で現在御検討されるというふうに伺いました。
 一つだけちょっと申し上げさせていただきたいのは、まだ契約がされていない段階でございますので、その前に予定価格等についてお示しすることだけは御容赦いただきたいと思います。
 また、契約後におきましても、その他の艦の入札等に影響があるかないか、その点を踏まえさせて検討させていただきたいということでございます。
 それから、商議というのがどういうものかというお尋ねがございました。これは、入札が不調に終わった場合、残った会社と随契を前提にして価格の交渉を行うものでございます。それすらもまとまらない場合には、新しい価格を設定いたしまして再度入札にかける、これが予決令で定められた手続になっております。今回も手続はそのように進めたわけでございます。
○益田洋介君 正式契約がなされないから発表できないという部分があるのはわかります。正式契約がなされるかどうかもわからないということもつけ加えておきたい。
 公取の捜査の結果に応じてはこれは契約なされない。じゃ、全部それは明示できないで済まされる、やみからやみに葬り去られるということなのか。そうであってはいけない。やはり私は、書類は出してもらわなきゃいけない。正式契約ができないから出せないなんて、そういうことではない。契約が実際なされなくなったらどうする。これは全部破棄して新たに入札し直すようなことになるかもしれない。だから、きょうまでの範囲においての今までの経緯の報告は当然すべきである。それを正式契約していないから提出できないということは理由にならない。
 したがって、再度、委員長にお願いして、今言った一連の書類については正式な書類要求としてお願いをしておきます。よろしゅうございますか。
○委員長(矢野哲朗君) その前に答弁はありますか。
○政府参考人(及川耕造君) 契約前は、少なくとも予定価格等についてお示しすることはお許しをいただきたいと思います。
 契約等が終わった時点で、先ほど申し上げましたように、どうすべきかを検討した上、御報告を申し上げたいというふうに思います。
○益田洋介君 契約というのは、正式契約が終わればそれで一つのセレモニーが終わるということじゃないんだ。契約に至るまでの過程を今問題にしているんだ。だから、契約ができるかどうかもわからないと、さっき僕が言ったばかりですよ。できなかったらどうなるのか。永久に発表できない、今までの経緯は。そういうことであっちゃいけないから、契約ができなくても、ぜひこういう事態で疑惑が生じているんだから全部出しなさいと言っているんだ。そんなことがわからないんですか。
○政府参考人(及川耕造君) 経緯につきましては、細かい予定価格等を除いては先ほど、失礼いたしました、昨日の予算委員会等でも政務次官の方から御報告申し上げたような経緯をたどっているわけでございますし、先生も今お話しのとおりの形になっているわけでございます。
 申し上げておりませんのは価格がどういう形で予定価格等を提示したかという点かと思いますけれども、それについては、ただいま申し上げましたように、契約前はまず御容赦いただきたいということと、契約後についても、なるべく前向きに考えたいとは存じますけれども、どういう影響があるか等を検討させた上でお答えを申し上げたい、こういうことでございます。
○益田洋介君 なるべく前向きというような姿勢じゃ困るんですよ。今まで、特に調達本部で明るみに出たNECの問題もそうだし、汚職の問題、それから水増し請求の問題、それは当局に捜査がゆだねられている。全部その結果が出てから、こんなことまでしていたのかという問題の繰り返しだった。その問題の繰り返しを今したくない、今後させちゃいけない。だから今この時点できちっと歯どめをかけるべきだ。だから慣例に従ってどうだとか正式契約がまだだとか、そんなことは問題にしないで、防衛庁長官、今回はここできちっと歯どめをかけてください。
 とどまるところを知らない、防衛庁の疑惑というのは。エンドレス疑惑じゃないですか、これは。だからしっかり出してもらいたい。支障を来すといって、今ここで何も明示しなかったらもっと支障を来しますよ。疑惑は膨らむばかりだ。だから、そういうことを国民に対する良心に基づいてきちっとここで歯どめをかけるべきだ。これが私の主張だ。長官、いかがですか。
○国務大臣(瓦力君) 益田委員の厳しい御追及に対しまして私どもは誠意を持ってお答えをいたしておりますし、また振り返って、累次起こりました不祥事に対しましても、国民いわゆるタックスペイヤーに対しまして理解が得られる、そういう透明度を持つべきだということで努力をしておるところでございます。
 今ほど委員からの御要請もございますが、これらの問題につきましては、委員長初め理事の方々のお取り扱い、ここにゆだねなければならない問題もございますが、私どもは全力を挙げて、また方針に沿って御協力をさせていただきたいと思っております。
 なお、契約上の問題とかいろいろこれらの問題につきましては御理解をいただきたい面もありますので、これらを踏まえて御指導を賜りたいと思っております。
 以上でございます。
○益田洋介君 ぜひここで決意も新たに、長官、この問題は長官の責任において国民に納得のいくような解決方法を示していただきたいと切に要望しておきます。
 小渕総理は、最近ある野党の党首の質問に答えまして、当面の我が国の最大の課題は景気浮揚策をどのように功を奏させるかだ、景気対策が一番である、したがって行財政改革とともに進めるのは二兎を追うことになる、二兎を追う者は一兎をも得ずということを総理は繰り返しおっしゃっていらっしゃる。私もそれは基本的には賛成です。とにかく景気をよくしなきゃいけない。
 しかし、かといってこういった不祥事あるいはたび重なる疑惑を見過ごしてはいけない、看過してはいけない。それは現在眼前にあるんですから、きちっとした対応をとるべきだ。だから一兎を追いながらもこういう身近にある問題、現実にもう姿をあらわしてきた問題については行政改革の一環として解決すべきです。一兎を追っているだけじゃなくて、この問題を解決すれば行革の一部もできるんです。一兎を追いながらも、具体的なこういう現実的な問題を解決することによって二兎を捕らえることだってできるんです。
 小渕内閣の一員として、責任ある閣僚として、どうかこの場で、きついことをおっしゃると不平を言われているようでございますが、内心このやろうと煮えくり返るような気持ちかもしれないけれども、私はあえて申し上げさせていただきます。
 私は、防衛庁はやはり、そういうことを言うと東次官に喜ばれるかもしれないけれども、国防省に一刻も早くなっていただきたい。そうでなければ、国民の皆さんの防衛庁の皆さんの仕事に対する見方が変わってくるんです。そこまで私は支援をしたい。先進国の中で、こんな何だかまま子扱いみたいにされておるような、僕は自由党じゃありませんけれども、僕は許しておけないんです。そのためにも、国民の理解を得るためにしっかりしてもらいたい。襟元を正せる時期なんだ、この問題は。
 もう一つ最後に、時間がちょっとございますから装備局長にもう一回聞きます。
 今月の中旬にミサイル艇の入札も行われることになっている。これはどういう手順で行われるのか。これは指名、応札業者が三社参加する予定になっている。具体的にどこの会社ですか。
○政府参考人(及川耕造君) 応札予定の企業でございますか、指名をした企業ですか。
○益田洋介君 両方です。
○政府参考人(及川耕造君) 三井造船、三菱重工、日立造船が指名の企業でございます。
○益田洋介君 きちっと通告しているんですからペーパーを見ないで答えるようにしてくださいよ。
 それからさらに、マリンユナイテッドという会社、これがよくわからない。これも僕はレポートを出してもらいたい。これは、聞くところによると、合弁会社か共同出資の会社かわからないけれども、例えば今年度の護衛艦を二百五十六億七千五百万円で落札したときにマリンユナイテッドから石川島播磨に実際は仕事が行っている。正式契約者はだれなんですか、当事者は。どういう経緯をもってマリンユナイテッドの名前をかりて入札して、落札した後に振り分けるんです、仕事を。どういうシステムになっているんですか、これ。さっぱりわからない。
○政府参考人(及川耕造君) マリンユナイテッドは、手元に資料がございませんけれども、住友重機とそれから先生御指摘の石川島播磨の合体してつくった会社でございます。この会社自体は直接造船所を保有しておりません。したがいまして、業務提携の形で受注いたしたものを、あるものは住友重機、あるものは石川島播磨の造船所等で建造する、こういうことになるわけでございます。
○委員長(矢野哲朗君) 定刻が過ぎております。
○益田洋介君 外務大臣、申しわけございませんでした。それから理財局次長、申しわけございません。
 以上で終わります。
○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。
 外務大臣と防衛庁長官の所信表明に対する質問をさせていただきます。
 まず初めに、沖縄の新しい基地の十五年の期限問題についてお伺いをいたします。
 先ほども同僚委員から議論がありましたが、この十五年期限問題については日米防衛首脳会談、一月の首脳会談、二月の日米外相会談でもそれぞれ取り上げられた。そのときに日本政府は、いわば重く受けとめるという話をした。しかし、コーエン国防長官は何て言ったかというのは日米防衛首脳会談の文書に載っているんですが、米軍の兵力構成を含む軍事態勢について緊密に協議を続けるというふうに発言したと言われていると。これは一体どういう意味なのか。アメリカ側は十五年期限についてはまだ結論を出していない、これから協議をするということなのか、それとも十五年期限問題というのはもう決着済みでアメリカ政府としてはもう受け入れられないということなのか、どっちなんですか。
○国務大臣(瓦力君) 小泉委員にお答えいたします。
 このいわゆる十五年期限問題につきましては経緯は申し述べる必要はないと思いますし、今までの経緯をさらに申し上げることもないと思いますが、今、委員からお話しのように、国際的な安全保障情勢において起こり得る変化に対応して、両国政府の必要性を最もよく満たすような防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について引き続き緊密に協議することとしているということが先般訪米した折のコーエン長官のこの発言に基づくものでございます。
 また、今日まで両国政府間では、首脳レベル会談、日米安全保障協議委員会、SCC、いわゆる2プラス2でございますが、また日米安全保障高級事務レベル協議、SSC等の場において、従来より広く日米安保関係につきまして緊密に協議は行っておるところでございます。
 政府といたしましては、昨年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢の変化に対応して普天間飛行場代替施設を含め在沖縄米軍の兵力構成等の軍事情勢につき米国政府と協議していくことといたしておるわけでございます。これは広く我が国のみならず地域の安定のために日米安保体制があるわけでございますし、それに伴う米軍の兵力構成というものはなされておるわけでございますから、これから軍事情勢の変化、そういうものを含めて私どもは各種のレベルで協議をしていくということになるわけでございます。
○小泉親司君 私が質問申し上げているのは、まだこれは継続審議ということなのか、それともアメリカ側はもう決着済みで、もうこれは絶対に受け入れられないんだと言っているのか、どっちなのかとお聞きしているんです。簡単に、二者択一の話をしているわけですから、協議しているということは何遍も言っておられますから、もう既にわかっております。問題はどっちなんですかとお聞きしているんです。
○国務大臣(瓦力君) たびたびお答えをいたしておりますが、これらの状況というものを踏まえながら両国政府で協議をしていくということでございますから、今後さらに情勢の変化、よりよい環境をつくるための努力、そういったものを重ねて継続しながら協議をしていくということでございます。
○小泉親司君 日米外相会談の終わった後、二月二十三日に、ベーコン国防総省の報道官、この方はいわゆる広報担当の国防長官補佐官でございますが、このベーコン報道官も、安全保障に制限を加えるべきではないということを我々は明確にしてきたんだ、沖縄に駐留する米軍に人為的な制限を加えるべきではない、つまり十五年問題というのは決着済みなんだ、それは広く知られたアメリカの見解だ、こういうことを二月二十三日にベーコン報道官の記者会見でもはっきり言っておられる。
 それから、続いて三月七日、今度コーエン長官が、日本に来る際の背景説明、バックグラウンドブリーフィングで国防総省高官は何と言っているかというと、十五年期限問題というのは東京と沖縄での問題で、アメリカの立場というのはもう常に明確にしてきているんだ、実際にこれは沖縄と東京の議論である、つまり前に防衛庁長官が言った言わないという問題になった国内問題なんだ、だからもう我々としては議論が尽くされた問題で、沖縄サミットを成功させるために問題はタイミングなんだということまで言っているわけです。
 実際、アメリカ政府の立場は明確で、もう期限はつけない、これは外相会談以降の話ですから。一体こういう米国の態度について、政府はこの十五年問題はまだ依然として協議事項なんだというふうにおっしゃるんですか。
○国務大臣(瓦力君) たび重ねてお答えいたしますが、先般の防衛首脳の話し合いにおきましてコーエン長官より、一九九六年の日米安保共同宣言を念頭に置きつつ、日米両国政府は国際安全保障環境の変化に対応して、両国政府の必要性を最もよく満たすような防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について緊密に協議を続けるべき旨発言があったところであります。これが米国政府としての考え方であると私は考えております。
 よって、今、委員から御質問が重ねてございますが、この日米間におきまして今後継続して協議されるべきことでございますが、我々もこの地域の安定のためにさらなる努力をしなければならない。また、アジアに複雑な問題があるわけでございますが、これらに対しましても積極的に私どもが努力をしていかなければならない、そういうことが安全保障の環境を整備していくことにつながるわけでございます。
 委員の御指摘のお立場からすれば、その必要性のありやなしかは政党によってまた考え方も異なるでありましょうが、私どもはそういう考え方で、日米安保体制は今後も地域の安定に資するところが大きい、また軍事態勢につきましても、兵力削減等の考え方、協議は引き続いて行われるべきである、かように考えておるところであります。
○小泉親司君 そもそも十五年問題というのは私たちが出した立場ではございません。自民党の担いだ沖縄の県知事が出した問題でございます、その問題について私はお聞きしているので。
 それについて、どうも防衛庁長官の御答弁は継続審議だと言っておられる。ところが、アメリカ側は継続審議じゃなくてもう既に決着済みだと言っておられる。一体どっちなんですか。それだったら、実際にこの報道できちんと私は指摘しましたので、こういう問題についてアメリカ側にそうじゃないじゃないかと言ったんですか。
○国務大臣(瓦力君) 決着済みであるということは申し上げておりません。また、そういうようなことは米側も言っておりません。決着済みであるということは言っておりません。
 また、沖縄県知事及び市長におきましては、多年にわたる沖縄におきましての歴史的、また御苦労、困難をしまして、十五年間の期限設定というものを主張なされ、また私どもはそれを重く受けとめておりますということも、累次委員会にも答弁をさせておるわけでございます。なおかつ、我が国政府としてはどう取り組むべきかという問題につきましても、答弁をさせていただいておるところであります。
○小泉親司君 重く受けとめているのであれば、こういう情報について幾つかの政府のコメントがあってしかるべきなんじゃないですか。外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(河野洋平君) 我が国政府の考え方、作業は、今、防衛庁長官が述べたとおりであります。
 ベーコン報道官がどういう発言をなさったにせよ、アメリカ国防省における最高責任者はコーエン長官でありますから、コーエン長官と防衛庁長官の話し合い、それがアメリカの最も責任ある発言ととるのは当然のことではないでしょうか。
 私は、防衛庁長官が日米防衛首脳会談でコーエン長官と直接話し合われたことを述べておられるわけですから、この防衛庁長官の発言をぜひきちんと受けとめていただきたいと思います。
○小泉親司君 そういう責任放棄じゃなくて、これは外務省のホームページでございます。外務大臣だって、オルブライトと会って、コーエン国防長官と瓦防衛庁長官の会談は同じ内容か、はいと。それじゃ、具体的にそういう日米協議の場を立ち上げられる予定はあるのかどうか、それに対してあなたは、これはまだそこまでとしか申し上げられない、そういう感じはまだ受け取れませんでしたと。
 ということは、協議する協議するといったって、協議する場なんというのはありませんよと、外務大臣、言っておられるんだから。それは日米防衛首脳会談、瓦・コーエン会談ばかりじゃないですよ。オルブライト・河野会談でもこういう問題が取り上げられて、そこであなたはこう言っておられるんです。
 だから、その問題は、一体協議を継続するということなのか、継続審議なのか、それとももうアメリカの立場というのは明確なのか、これ、どっちなのかということが極めて不鮮明だ。
 こんなことをしていたら、実際日本の国民や沖縄県民に対しては継続、継続と言っておきながら、実際はアメリカの態度は決まっておる、十五年なんていう約束はもうそういう意味では全然問題にならないんだというふうなことをいわば隠すような形の言明で、これは沖縄県民や日本国民に私、責任を持てないと。実際にあなた方がそういう公約をしたのであれば、必然的にこれを重く受けとめるのであれば、そういった問題についてアメリカ政府が一体どういう態度を示しているのか明確にすべき、これは日米間の当然対話としては極めて重要であるというふうに思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) 議員のお話でございますけれども、日米間で行われた会談における我が方の発言それから先方の発言は、先ほど防衛庁長官が述べられたことに尽きていると思います。
 アメリカはアメリカ政府の一貫した考え方がおありだというふうに思いますし、我が方は我が方としての現時点の主張があるわけでございまして、それらについて双方が防衛首脳会談あるいは外相会談、いずれも同じトーンでのやりとりが行われるということはむしろ正常なやりとりだと私どもは受けとめております。
○小泉親司君 ということは、コーエンさんがこれから来られると、その問題については当然のこととして極めて重要なテーマとして取り上げる、日本政府としては断固として十五年問題は譲れないんだとおっしゃるということなんですね。
○国務大臣(瓦力君) 私は、今、外務大臣がお述べになりましたように、日米両国にとりましては両国のそれぞれの立場もあります。また、もってする考え方もありますが、なるがゆえに協議があり、また会議があり議論があるものと考えております。その問題につきましては各般にわたり、同盟国でございますから、日米間におきましては間断なき対話であり会議が行われるわけでございます。
 また、今、委員から御指摘のように、コーエン長官が近々訪日されるわけでございますが、このときにおきましてそれではこの十五年問題を取り上げるのかということでございますが、私は、ワイドな協議がそれぞれなされるわけでございますが、地域情勢、国際情勢の変化について大きな変化があるかどうかということもこの会談においての要因をなすところでございまして、これらを踏まえて軍事態勢、それらについてアメリカ側はどう考えるかということを想定いたしますと、私は、一月に訪米した折、大きく変化はしていないというぐあいに考えます。
○小泉親司君 私はそういう問題を言っているんじゃないんですよ。
 十五年問題をあなた方が重く受けとめていると言うんだから、重く受けとめているのであれば、コーエンさんが来られたときに十五年というのは我々は重いんですよということを繰り返し言うべきなんじゃないですか、あなた方は日米協議をするとおっしゃっているんだから。だからその点を繰り返し言っても、もうあなた方の立場は極めて不鮮明で、私、この十五年問題だけについて言っても、これはアメリカはもう事実上、我々の立場は、先ほど御紹介しましたように、明確だと言っているし、もうつまり決着済みだと言っているし、その点では、幾ら日本政府が協議、協議と言うのは、私、国民だまし、県民だましのそういう言明だと思いますよ。その点だけ指摘しまして、次の問題に移らせていただきます。
 次の問題は、いわゆる米軍駐留経費、思いやり分担の問題でございます。
 この問題については、私、予算委員会で外務大臣に御質問いたしました。その際申し上げたのは、今度の思いやり予算問題というのは日米地位協定の二十四条のいわゆる特例的、一時的、暫定的措置として行われていると。当時、外務省は一番初めの八七年の特別協定の際にも、これは暫定的措置で五年たったらなくすんだ、この条約はなくなるんだと、その最大の理由にアメリカは財政赤字なんだ、こう言っておった。ところが、いつの間にかどんどんと拡大されて、八七年当時は日本の負担が約三〇%、アメリカの負担が、ちょっと数字は違いますが、約六〇%台、それが、九九年ですからこの十二年の間に全く逆転してしまった。つまり、二千七百億円という膨大な額になっている。
 やはり私は、アメリカの財政赤字が今全く好転した、黒字になったというような局面が変わったというもとで、この特別協定が暫定的、特例的、一時的な措置である以上、当然やはりこの思いやり予算の特別協定については断固として廃止をすべきだと、日本政府の立場を私は明確にすべきだというふうに思います。
 先ほどお話ししましたが、コーエン長官が来られますので、その点を外務大臣としては明確に私は日本政府の態度を伝えるべきだ、こういうふうに思いますが、外務大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) まず、コーエン長官が訪日をされまして、私も時間的な調整がつけばお目にかかりたいと思っております。極めて短時間の訪問でございますから、どういうことになるか、まだはっきり、判然といたしませんが、お目にかかりたいと思っております。
 お目にかかった際には、先ほど瓦長官もお話しになりましたように、日米の防衛責任者が話し合いになられる防衛首脳会議と相まって、私も日本を取り巻く安全保障についてのアメリカの考え方も聞かなければならないと思います。しかし、それだけでとどまらないと思います。日米両国関係についても話は及ぶだろうと私も当然考えております。
 その中で、いわゆる今御指摘の問題につきましても話題に上るということも想像にかたくありません。しかし、この問題については、これまでも累次にわたって私も米側には考え方を述べてきておりますから、そう長い時間を必要としないだろうというふうにも私は思っております。
 今、議員がお話しになりました特別協定につきましては、これは来年の三月までこの協定はあるわけでございますから、来年の三月までの間は協定にのっとってきちっと仕事はしなければならないと思います。
 問題は、三月以降どうするかということでございますが、これらは我が国国内におきまして関係省庁とも十分相談をしなければなりません。おまえはどうだと聞かれれば、私は外務大臣として日米関係というものを重要視しておりますし、日米安保体制というものが効果的に機能するということが重要だということも考えております。一方、我が国の財政事情というものを全く考えていないというわけではございません。これらを十分考えまして、私といたしましては関係各省庁との話し合いをこれから進めてまいりたい、こう考えているところでございます。
○小泉親司君 私は、関係各省と相談するより、日米間でよく日本の立場を明確にすべきだと。どうも外務大臣は、参議院予算委員会でも、財政事情は厳しいんだ、しかし日米安保も大事なんだと。私が申し上げたのは、日米安保堅持であろうが日米安保廃棄であろうが、日米関係が対等、平等であるというのであれば、当然日米地位協定を守るということが前提ですから、その特例的、暫定的措置なんだと、この特別協定は。そういう点で私は立場を明確にすべきだと思うんですよ。
 ところが、外務大臣の、これは私が先ほど御紹介した同じ外務大臣の会見記録、この中であなたは何とおっしゃっているかというと、同じように、財政が悪い、日米関係は大事だと、こういうことを前提にして、これは私が決めることではありませんから、私が削減だといったとかいうことではないと。つまり、思いやり予算も削減も言わないと、日米外相会談では。
 私、特別協定を廃止しろと言っているのに、この外務大臣の会見記録では削減も言っていないんですか、アメリカに対しては。私は、こういう態度で臨んだら、それはやはりアメリカがどんどんつけ上がるのは当たり前だと思いますよ。
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと御質問の意味がよくわからないんですが、もう一度お願いできますか。
○小泉親司君 日米外相会談で削減ということをあなたは言っておられないとここで言っているんです。言っていないんですか、それは問題ですと言っているんです。
○国務大臣(河野洋平君) 私は、この問題については米側には米側のお気持ちがあるだろうと思います。しかし、我が国には我が国の考え方があるわけで、本来自主的に判断すべき問題だろうというふうにまず思います。
 その自主的な判断の基礎として、つまり我が国は我が国の安全をどう考えるかということを考えなきゃなりませんから、安全保障上の側面も考え、そして財政的な面も考えるということをよく関係省庁で相談する必要が私は当然あると思います。大蔵省と相談をせずにこの問題だけをとやかく言うこともできません。それから、防衛庁と相談をしないでこの話を進めるわけにもいかないわけでございますから、関係各省と相談をするというのは当然のことじゃないでしょうか。
○小泉親司君 いや、私は関係各省で協議するなと言っているんじゃなくて、まず優先すべきは日本側の態度を明確にして、アメリカ側に、我々としては、私は特別協定は廃止すべきだということを要求しろと言っているんだけれども、あなた自身は削減も言っていないんですよ。何で削減も言えないのか。私は廃止しろと言っているけれども、削減も言わない、こんな異常な事態の中でやるというのは、私はそこを問題にしているんです。だれも大蔵省と相談して、いや削減はしないようにしようと大蔵大臣が言ったんですか。そうじゃないでしょう。実際にそういう、私は日米交渉が対等、平等であるのであれば、当然のこととして外務大臣は少なくとも削減を言わないというのは私はおかしいと思いますよ。そこを聞いているんです。
○国務大臣(河野洋平君) 私は、少し議員と意見が違います。そこははっきり申し上げておきたいと思います。
 私は、この問題が確かに一時的、暫定的、特例的なものであるということをかつて国会でも説明をしたということはございます。しかし、今日の状況を考えれば、日本を取り巻く安全保障の状況はどうかとか、そうしたことを全く考えないというわけにはいかないと私は思っているわけです。ですから、議員はもうやめろとおっしゃる、それは議員のお考えで、日本はもう全く安全で何もそうした心配はないとお考えになっておられる、そういう御認識であるかもしれませんけれども、私はそういう認識ではないのでございます。
○小泉親司君 私は予算委員会でも外務大臣に申し上げましたが、今、アメリカは国防予算権限法という法律ですべての同盟国に対して米軍軍人の給与以外、これの七五%を負担しなさいと言っているわけです。大統領がそう要求しなさいと。それを達成したのはサウジアラビアと日本だけ。例えば韓国についてはまだ四〇%だと。しかし、韓国だってアメリカの防衛だと言っているんだから、その防衛だから思いやり予算が必要だと、そういう論理にはならないんですよ。
 だから、私は当然のこととして今は特例的、暫定的措置で、それが最大の理由がアメリカの財政赤字であるならば、少なくともそういう点が要求されなくてはおかしいと私は思います。
 実際に私もいろいろと調べてみましたが、これは私、インターネットで、この次にやりますのでぜひとっておいていただきたいんですが、在日米軍が出した資料がインターネットに入っていますからよくお読みになっていただきたいと思いますが、これでは在日米軍のJ4、この前防衛庁にレクをお伺いしましたら、このJ4がやっておられると言うから、J4の資料では一九九三年の十月二十二日に会議をやっているんです、太平洋軍で。日本の思いやり予算についていろんな形で分析していますよ。そこの中で何と言っているかといったら、アメリカは今、日本の中で一ドルを出したら、日本が払うお金が何ドルだ。大臣、何ドルだと思いますか。
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと待ってください。
○小泉親司君 委員長、結構です。
 済みません。ちょっと言っていなかったから申し上げますと、アメリカが一ドル払ったら、日本政府は五十五ドルだというんです。五十五倍だというんですよ。これを在日米軍がやっていますから、防衛庁長官、そうじゃないと言わないで、あなた方調べてみたらよろしいですよ。これは私が秘密に入手したものでも何でもありません。ですから、SACO予算についてもぜひ私は質疑をしたいので、SACO予算についても分析をしております。
 私、いつまでも日本政府が削減を言わないで、日米安保が大事だ、防衛が大事だと言いながら、アメリカが言っているような予算権限法に基づいてどんどん日本の負担を増加させていく、こういう立場をとっているから、こういう形で、この日本政府自体の態度が非常にアメリカに唯々諾々と従う形でやっているから、アメリカも図に乗っているんだということなんですよ。
 だから、今度コーエン長官が来られたときには、この特別協定が暫定的な特例的な処置であって、次の議論のときにはぜひこの特別協定について、この廃止について主題で議論をすべきだということを外務大臣としてきちんと私は要求すべきだということをお聞きしたいと思いますが、その点ははっきりと明確にすべきじゃないんですか。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほども申し上げましたように、議員と今日の日本の安全保障を考える考え方に若干の考え方の違いがあるように思います。
 私はそうしたことも踏まえて、もちろん日本の財政状況等も考えないわけではありませんけれども、我が国が最もよくこれからも生き続けられるように努力をしてまいりたいと思います。
○小泉親司君 私、思いやり予算の問題でも十五年期限の問題でも、日本政府が明確な態度を示さないと、どっちなのかという明確な態度を示すことこそ独立国間の日米間の対等、平等の協議であるということを申し上げて、私の質問を終わります。
○委員長(矢野哲朗君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
○委員長(矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、外交、防衛等に関する調査を議題とし、外交の基本方針及び国の防衛の基本方針につきまして質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○武見敬三君 それではまず先に、外務大臣に日米同盟についての御質問をさせていただきたいと思います。特に日米同盟の我が国国内におけるその支持基盤という視点に立って御質問をさせていただきたいと思うんです。
 実は我が国の冷戦後の日米同盟というものの必要性についてなかなかまだ国民の中できちんと理解が得られていないという気がいたします。また同時に、その理解を十分に得るための努力というものがまだ政府の立場においても十分ではないのではないかという認識も多少私は持ち合わせているものであります。
 なぜこういうことを申し上げるかというと、実は我が国国内におけるアメリカ軍基地の問題あるいは軍事訓練の問題、こういった問題が、従来のような例えば共産党さんや社民党さんというようなところからのみの批判という枠にとどまらなくなりまして、冷戦終結後の昨今の状態を見てみますと、こうした不協和音はむしろ無党派層によって支持された既成の政党とは距離を置く知事さんたちによってこうした米軍基地の問題などが新たに取り上げられるようになってきた、このことは今後の日本の国内における日米安保に対する理解の動向を知る上において、実は非常に深刻な予兆として受けとめるべきではないかというふうに思っております。
 それは二つの方向で分けられていて、一つは無党派層に支持された知事さんたちを見てみても二つカテゴリーがあって、一つはやはり高知県の橋本知事や宮城県の浅野史郎知事、彼らがいずれも無党派層の支持を非常に手がたく受けとめられるその手法というのは、やはり市民社会志向の政治姿勢というものがその中で明確に出てきている。
 こういった形で出てきた知事さんたちというのが、ただ単に市民社会を構成する国民一人一人の個人の自由を尊重するというような考え方のみにとどまらないで、社会としてもより自主的、自立したものを、あるいは国家としてもより自立したものを求めるという志向性が出てきていて、そういった動きが国民の共感を得て、基地問題を取り上げるときにも支持をよりかたく新たに確保するという流れにつながっているんじゃないかと思います。
 もう一つは、石原慎太郎さんのようなケースで、これはやはり非常に伝統的な民族派ナショナリストとしてのお立場みたいなものが、東京のような都市部においても無党派層から改めてむしろ新鮮な形で受けとめられるような雰囲気がまた出てきている。それが例えば横田基地の共同利用などの公約に対する共感になってつながってきているように思います。
 こうした状況を私は非常に深刻に受けとめているのでありますが、外務大臣はどういうふうに、今こうした国内の日米同盟に対する支持基盤についてどういう御認識を持っておられるのか、まずそれをお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 個人にせよ地方自治体にせよ、みずからの主張というものがだんだんはっきりしてくるということは決して悪いことではないと思います。
 ただ、問題は個人にせよ自治体にせよ、十分な情報がその耳に届いている上でみずからの主張というものがはっきりしてくるということが大事だと思うんです。十分な情報がなくてみずからの思い込み、あるいは思い込みと言うと言い過ぎかもわかりませんが、みずからが手にすることができる限られた情報の中でみずからの主張というものが強く出てくるということでは、なかなか最後までその情報が正しいとは言えないんだろうと思います。
 私は、市民社会がこれから先いろいろ個人的な主張に耳を傾けて個人的な主張を取り入れていくという傾向、方向に行くと思いますけれども、その場合にはやはり十分な情報がそれぞれの市民に伝えられるということが大事なんだろうというふうに思っております。さらに、限られた一方的な情報だけが入る、そしてその情報に基づいた考え方が唯一無二の考え方であるということでも、これまた大変危険であろうというふうに思いまして、十分にバランスのとれた情報がその耳に届くということが何より大切だとまず一般的に思います。
 その上に立って日米関係について考えますと、私は、日本を取り巻く国際情勢が今非常に緊張しているか緊張していないか、あるいは非常に危険な状況であるかないかということもさることながら、米軍の存在というものが非常に地域の安定をつくっているかどうかということまで考えなければならないのであって、非常に流動的だ、あるいは危機的状況だ、だから米軍の存在が必要だというのではなくて、そこに存在することが安定をつくっているということもあるわけですから、そうしたことにも関心を持つ必要があるんだろうと。
 しかし、今はどうもそういう状況についての理解といいますか、そういう関心の持ち方というものが十分でない場合がよくあるということを大変心配をしているわけでございまして、かつて武見議員が外務省政務次官当時、外務省を率いて全国各地でいろいろ講演をなさった、あるいはシンポジウムに参加をされて現状について説明をされたということがどれだけ多くの成果を上げているかというふうに私どもは承知をしております。
 これから先、外務省が外交政策を進める上でも、国民とともにと私、先ほども申し上げましたけれども、国民の皆さんの理解を得るための十分な情報を提供する必要がある。それは、それぞれ出かけていって説明をするやり方もありましょうし、外務省がホームページを使って外務省の考え方あるいは現在日本が置かれている状況について説明をするということも必要なんだろうと思います。
○武見敬三君 ありがとうございます。外務大臣、もう結構です。
 防衛庁長官に同じような問題で御質問させていただきますが、大局的にこの日米同盟の必要性を国民がより広く理解するというのは、冷戦という時代に比べるとはるかに難しくなりました。今の外務大臣の御説明のように、わかりやすい危機というものがあってそれに対処するだけではない。この地域全体の平和と安定というものを維持するための、ある意味で国を単位とした軍事的な力の均衡というものを維持することが同時に極めてこのアジア太平洋地域で重要で、そのためのいわば柱として日米同盟があり、アメリカの軍事的プレゼンスがあるんだと。それを維持しているのが在日米軍等であり、そのプレゼンスというものを実効性のある形で今後も引き続き堅持していくことが重要だと。こういうことを国民にきちんと理解していただくのは私は簡単なことではないと思います。
 他方、実際に国内でこの日米同盟というものを運用するときの法的な枠組みとしては、昨年の通常国会で採択された周辺事態安全確保法など、確実にその枠組みは整備されてきているということははっきり言えるわけであります。
 しかし、その法的な枠組みの中を一つひもといてみますと、例えば周辺事態法の第九条の中では、こうした周辺事態に立ち至った場合に、各地方の港湾施設、空港施設などを使用するときには各地方自治体の長の了解を得るということが書き込まれているわけでございますから、そうした事態に対処するに際しても、やはり各知事及び県民、すなわち国民が同じく我が国がそうした周辺事態であると認識をし、米軍とともにそれに対応することの必要性というものを理解していただかないと、法律はつくったとしてもそれを円滑に運用することができないという国内政治的状況というものが想定されることになります。
 これはゆゆしき事態でございまして、そうした事態を招来させないために、事前にどれだけこうした日米同盟というものの重要性について国民にわかりやすく知らしめておくことが必要かということは、私は喫緊の課題ではないかというふうに思っているわけであります。
 この点についての防衛庁長官の御認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) ただいま武見委員から、大変私にとりまして、十分な答えといいますか、答え得ないような問題でございますから、また知恵もかりながら取り組んでまいりたい課題だと思っております。
 一つには、戦争を終えて半世紀を経ました。私どもの、今生存しておる世代というのは、ある面では戦中戦前というものをよく体験をし知っており、またある面では、第二次世界大戦を通じまして、戦争はどんなことがあってもこれは忌避したいという方々の層もありますし、また戦後、その困難の中で新しい理想を求めて、どういう日本をつくったらいいのかというようなことを自問自答しながら取り組んできた世代もありますし、またもう一つの世代は、もはやそういう時代を超えて、自由であり、また東西の冷戦構造もいえた今日となりますと、もう国際環境も極めて縦横、柔軟であるという考え方も存在しておると思うわけでございます。
 こういう中におきまして、我が国のこれからの安全保障、これらの問題についてどう取り組んでいくかという問題について広くコンセンサスを求めていくというのは並々ならぬ努力が要ると思っております。
 私どももそういう面では、防衛庁という大きな使命を持つ役所で、私もそれを責任ある立場に立って見ますると、自衛隊の諸君にとりましても、また防衛庁のそれぞれの職員にとりましても、かつて私どもは学生時代に税金泥棒と言われた時代を目前にしておったわけでございますが、今喜々としてPKO等でも第一線で活躍して尊敬も受けておるわけでございます。
 これらの青年に対しましても、もっと世間、国民と広くなじんで、国のあり方や国防のあり方というものを論じたり体験をしてもらうような一線に立ってもらう、そのことも必要な時代ではないかなと。そういう中で、我々がこれからの時代を迎えてどう対応するかという世論、国論をつくり上げていくことに大きな役割があるのではないかというような点も、今、委員から質問を受けまして感じたりする次第であります。
 きょうは、委員とは質疑というよりはそれを超えた話をしろということでございますので、のっけから大変重要な重いお話を受けてどぎまぎしておりますが、そういうふうなことを感じたりいたすわけでございます。
 私も実は子供のころに、中学校のときでございますが、校長先生はなかなかいきな方でございまして、まだ履くものもなくてはだしで学校へ通わなきゃならぬような田舎でございましたが、次の世の国民君に託すべく、わざ大なるを舞い上げていけということで、子供たちに大変たくましい勇気を与えてくれたということを考えると、今我々がどういう勇気を青年、子供たちに与えることができるか、そのことを問いながら、国づくり、国の平和というものをどう確保するかということを考え、つくり上げていきたいということを感ずる次第でございます。
○武見敬三君 私は、この問題はまさに国づくりの問題と直結してくるぐらいの基本的な課題だと実は思っているんです。
 要は、日米同盟を円滑に運用する際の国民の理解と支持というものを考えたときに、どうも我々は昨今、議論の仕方が極めて他人行儀になっているような気がいたします。実は、そういう事態というのは直接間接、我が国の安全にとって極めて重大な事態であることは明らかであって、本来ならば自分の国は自分で守るという気概を国民が一人一人きちんと持って、そうした事態に立ち至った場合にはきちんとコンセンサスがつくれて、そしてこれに対処し得るということでその支持基盤というものが私は初めて固まってくるんだろうと思います。
 そうした、いわば国民の支持と理解と協力というところまでやはりきちんとこの安全保障の政策については確立をしておくことが必要だと思いますけれども、残念ながら、戦後今日に至るまでそうした政治的な努力というものは私は十分なされてきてこなかっただろうと思います。
 したがって、それをまさに我々は政治家としての立場でやらなければいけないだろうという認識を強く持っているということを申し上げておきたいと思うわけであります。
 さて、きょうは各政務次官もいらっしゃるので、各政務次官の方にもいろいろお話を伺ってみたいと思うわけでありますけれども、東総括政務次官にお尋ねをいたします。
 我が国の特に東南アジアに対する諸政策を考えたときに、やはりその一つの強力なパートナーとして私は明らかにインドネシアという国があるだろうと思います。このインドネシアが、東チモール問題をきっかけとし、そしてさらに政権の交代、民主化という状況に直面する形で、ある意味で国難に立ち至っているだろうと思います。多くの島国によって構成されていて、多くの民族がおり、そしてまた多様な宗教が存在をしているということが、現実に今までスハルト体制という強力な政治体制の中で統合されてきていた。そうしたインドネシアが、民主化という新しい政治の流れの中でどのように国家としてそのインテグレーション、統合を維持して、そして我が国にとって友好的でそして安定した、そうしたパートナーとしてこれからも存続し得るかということは、我が国にとってもやはり大きな課題であろうかと思います。
 この点、御自身インドネシアを訪問されて、こうした実情についてどのような御認識をお持ちになったのか、お伺いしたいと思います。
○政務次官(東祥三君) 武見委員は極めて、私が答えたい視点に立っておっしゃってくださっているんじゃないのかと思うほど、基本的考え方が一致いたします。
 インドネシアは、御案内のとおり、二億二千万前後の国民を抱える巨大な国でありまして、またお話ありましたとおり、島の数も正確にはだれもわからないという、一万三千ともあるいは一万五千とも、潮の満ち引きによって数が変わってしまうほど、島によって構成されている。
 そういう状況の中で、長い間スハルト政権下においてインドネシアのある意味で表面的な安定性といいますかそういうものが保たれてきて、それが民主的な形でもって一挙に噴き出しているという、そういう状況を訪問する前にも実感していたところでございますが、改めて訪問させていただき、ワヒド大統領ともお話をさせていただき、大統領自身がただ単にインドネシアで勉学をされた人ではなくて、諸外国においても深い見識を得る、そういう活動をされてきて、そして最終的に大統領として改めて新しい方向性を見出しながら国づくりに励まれている。
 その地域の動静が、広くはアジア、東南アジア地域全体の平和と安定に大きな影響を与えていくことになりますし、その意味でも日本として、インドネシアとのこれまでの関係も踏まえた上で、さらにこのインドネシアという国が安定し発展し、そしてまたワヒド大統領が行おうとしている改革努力に対して全面的に支援していかなければならない、そのように思っております。また、そういうことも改めて感じました。
○武見敬三君 このインドネシアという国が日本にとって友好的な国であり、それから民主化が着実に進行し、非常に我が国とも価値観を共有する民主主義的な国であり、そしてまた政治的にも安定した国となるということは、これは極めてアジア太平洋全般の二十一世紀の平和と安定にとっても重要な課題であろうと思うわけであります。
 最後にちょっとだけ触れられましたけれども、では我が国として、従来よりインドネシアに対しては極めて大規模な経済的な支援あるいは金融支援というものを行ってきているわけでありますが、今後、こうした現状では多くの困難を抱えているインドネシアに対してどのような支援措置というものを我が国としては組み立てていくことができるのか、そのお考えをお聞かせいただけたらと思います。
○政務次官(東祥三君) 今、武見委員が御指摘なされているとおり、民主化の努力を精力的に進められている状況を踏まえ、ワヒド大統領のイニシアチブに基づいて改革努力が進められているわけでございますが、その改革努力を支援していくという、そういう方向性で進んでいかなければならないというふうに思います。
 他方において、御案内のとおり、国内の地域における種々の問題に直面していることも事実でございます。この問題に対しても、ワヒド大統領がそれぞれの地を訪問して、そして現地の人々と精力的な対話をしながら解決策を見出していこうとされている。そういうことに対しても日本が、インドネシア政府からの支援、こういう支援をしていただきたいということがあるならば、遠慮なく言っていただきたい。その上で、日本としてできる限りのことをさせていただくということを心がけておりますし、それに基づいてできる限りの支援をしていくという姿勢で今臨んでいるわけでございます。
○武見敬三君 その問題とも密接にかかわると思われる我が国の東チモールに対する政策であります。
 これは極めて国連にとっても大きな実験的な試みだろうというふうに思いますけれども、もう実際に東チモールの状況というものは大変破壊をされ、しかも国連がかなり支援をしないとその統治体制を受け持つ人材さえもがなかなか養成されてこない。まさに国づくりのイロハから国連がどっぷりつかって東チモールに対しコミットしなければならないという、そういう性格のものではないかと思います。
 そこで、いわば国連の東チモールに対する関与というその部分について、我が国としてこれにどのような形での協力ができるのか、お考えをお聞かせいただけたらと思います。
○政務次官(東祥三君) 国連の歴史の中でも極めて特別なオペレーションなんだろうというふうに思います。
 かつてカンボジアにおいても、国連カンボジア暫定機構という名のもとに、立法、行政、そして司法の枠組みをつくり出していくという試みがありました。ある意味で、言葉上は似ているんですけれども、カンボジアの場合にはやはりその前提となる国民の意識それ自体も、また国をつくり上げていく前提が、核が明確にあった。
 東チモールの場合は、御案内のとおり、昨年の八月三十日におきます住民の直接投票によって、それ以後、御案内のとおり治安が急激に悪化いたしまして、文字どおり、今御指摘になりましたとおり、何もない状況になってしまった。
 建物は存在するわけですが、その中にあるものがほとんどすべて焼かれている状況でございまして、そこに住む人々の生産手段、あるいはまた電気、水道、ライフラインが完全に断たれている。そういう状況の中で、これまたおっしゃられたとおり、立法、行政、司法、すべてにわたってつくり上げていかなくちゃいけない、文字どおりゼロからの国づくりである。
 そういう状況の中で、御案内のとおり、既に昨年の直接住民投票後、治安が急激に悪化して多くの避難民が発生して、西チモールを初めとする周辺地域にも多数の住民が流出した、難民化したわけでございます。これらの避難民に対して、主に国連難民高等弁務官事務所、UNHCRを初めとする国連人道援助機関がインドネシア政府と協議しつつ、また協力関係を保ちつつ、我が国としてもこういった国際機関の活動をさまざまな面で支援する形で初めのときから支援を行ってきたわけでございます。
 具体的に言えば、事態が急変しました直後の九月十六日に、UNHCR及び世界食糧計画の活動に対する合計二百万ドルの支援を決定し、またUNHCRの要請にこたえて、十月二十二日、テント、毛布等の物資協力を決定した。さらにその後、国連統一アピール等に対して約二千八百万ドルの支援を行った。
 お金だけではないのかということをよく聞かれますが、武見先生は現場をよく御存じですから、こういった緊急事態になったときに国連機関が活動するに当たっても、活動するためのちゃんとした財政的なバックアップがなされないと幾ら行動を起こそうと思ってもできない。そういったときに、いち早く日本が具体的な財政的な支援のバックアップをすることによって国連機関が立ち上がっていく。このときも国連機関の方から日本に対して、素早い行動に対する、また支援行動に対しての感謝の意が寄せられていたことは御案内のとおりだろうと思います。
 そういう状況を踏まえた上で、日本としても、昨年の十二月十六日、東京におきまして東チモール支援国会合を主催させていただき、共同議長に住民の代表でありますシャナナ・グスマン氏、そしてまたUNTAETの、国連暫定統治機構の特別代表でありますセルジオ・デ・メロ氏に共同議長をやっていただき、さらに世銀にも入っていただき、全世界から約三十カ国の代表とそして各国際機関の約二十の機関に参加していただき、これからの東チモールの国づくりのための支援国会合を開催させていただいた。
 そのときも我々として明確に申し上げたことは、あくまでも国づくりの初段階において、国際社会が一致団結してこの国づくりのために支援していくことが極めて重要であり、その主体者は国際社会が行うというよりも、あくまでもそこに住んでいらっしゃる約七十万から八十万の人々の自主的なまた主体的な努力によって国づくりが始まる、それを側面的に援助していくことが極めて重要なのではないのかということを一貫して主張させていただき、結果として、当初予定されている以上の世界各国からの東チモール支援に対しての賛同の意が寄せられ、五億ドル強に上る支援、手形でございますが、それが決定され、それに基づいて国連暫定統治機構が具体的な活動をしていく上でのまず枠組みがつくられた。そういう面においても日本は積極的な支援活動をさせていただいている。
 かてて加えて、御案内のとおり、十一月下旬から防衛庁の航空自衛隊の百名を超える方々が西チモールでスラバヤからクパン間における難民支援のための物資輸送を完璧な形でもってやっていただいている。それに対しても、西チモールの方々、インドネシア並びに国連関係者の方々から、本当に自衛隊の活動というのはまれに見るすばらしさである、とりわけ自衛隊の方々の規律正しい行動に対して高い評価を私は直接聞かせていただきました。これぐらいでよろしいでしょうか。
○武見敬三君 非常に詳細にわたって御説明をいただきありがとうございました。
 実は、先ほどの日米安保とのかかわり、日米同盟の方の質問とつなげて御質問すればよかったんですが、一つちょっとし忘れた質問がありますので、これを柳澤防衛庁運用局長にお尋ねをしておきたいと思います。
 この日米の新たなガイドラインに基づいて、実際に実務者間で共同の作戦を立案することがおおよそ決められているというふうに聞いております。その進捗状況はどうなっているのかということをお伺いしてみたいと思います。
 実は、二つの国ないし三つの国、これらが同盟関係を組んで何らかの事態に共同で対応するというのは、よほどの準備が必要となります。御存じのように、第二次世界大戦が始まる際にも、米国はこれに参戦する前に実は米英軍事会議、これは欧州のアルカディアというところで開かれたものですからアルカディア会議というふうに呼ばれておりますが、ここで共同作戦行動をとる際の指揮権についての整理が行われました。
 そしてさらに、それに基づいて、実はアメリカの軍も三軍がばらばらの指揮下にあったわけでありますけれども、それを統合するために統合参謀本部というものがその会議の決定に基づいて今度は米国内で確立をされて、そしてこうした同盟関係を円滑に運用するための国内の軍の指揮系統の整理さえもが行われたという経緯があったわけであります。
 したがって、過去のこうした幾つかの例というものに相応して我が国とアメリカとの間の同盟関係、そしてこのガイドラインに基づく新たな共同作戦の立案作業というものを考えたときに、私は非常にその持つ重要性というものを理解するものであります。したがって、その進捗状況がどういう状況であるのか、また、特にその中で指揮権の問題がどのように整理をされているのか、お尋ねをしておきたいと思います。
○政府参考人(柳澤協二君) 先生御指摘のとおり、ガイドラインにおきましても、そのガイドラインの実効性を確保するという観点から、平素から日米双方の間でいわゆる包括的メカニズムという場を通じまして、お互いの緊急事態から日本有事の事態における相互協力計画ないし共同作戦計画の検討を行うということがうたわれております。
 これを行うための機関といたしましては、一昨年の一月の2プラス2におきまして包括的メカニズムというものの構築を認めていただいて、そのもとで、実は制服同士の作業グループというのはBPC、共同計画検討委員会ということで、これが一番の下部機関といいますか実務レベルの会合ということで、日本の側は統合幕僚会議事務局、それから米軍の側は横田の在日米軍司令部の要員を中心といたしまして、今申し上げた相互協力計画なり共同作戦計画の検討作業を行ってきているところでありまして、一昨年の三月にスタートをしておりますが、昨年までの段階で四回これの会合を持っております。
 実は、具体的にどういう作業をしているかというのは事柄の性格上つまびらかに申し上げることはお許しいただきたいと思いますけれども、ガイドラインに書かれましたいわゆる周辺事態におきますところのいろいろな協力のあり方あるいはそういう場合の自衛隊、米軍相互の行動、そういったものを今順次詰めておるところでございます。
 そして、実はそのガイドラインができましたこと自体もそうでございますが、できましたと申しますか、見直しが行われましたこともそうでございますが、以前から、実は旧ガイドラインの時代から行われておりました、これは日本有事を念頭に置いたものでございますけれども、日米の共同訓練というのが順次積み重ねられてきておりまして、そういったものの積み重ねの上にそういう日米の制服同士の相互理解というものは相当進んできております。そういうベースの上に、今日の新ガイドラインのもとでの計画検討作業も存在しているということであると認識しております。
 それから、自衛隊の方でも統合という観点を非常に、新大綱でもうたわれておりますけれども、重視してきております。これも特に日米の共同行動ということを念頭に置いて、そういう共同訓練等を通じまして米軍の持っている統合機能というようなものを参考にしながら自衛隊における統合というのも、まだまだ具体的には課題はございますけれども、強めていくという問題意識は持っているわけでございます。
 先生お触れになりました指揮権の問題につきまして申し上げますと、従来からの日米、いわゆる日本有事におきますときの日米の共同対処の場合におきましても、自衛隊と米軍はそれぞれの指揮系統に従って行動するということは日米における共同対処の際の一つの原則として、これは旧ガイドラインの時代から、新ガイドラインでもそうでございますが、そのようにうたわれております。
   〔委員長退席、理事鈴木正孝君着席〕
 実は、そういう形で、指揮系統を別にした形で自衛隊と米軍が相互に協力をし、あるいは共同対処行動をとるにおきましては、それだけ相互に緊密な調整というものが必要であるということでございまして、その調整のあり方等については、申し上げました計画検討作業でありますとか、あるいは日米共同訓練を通じて日々演練しているという状況で、そういう形で日米同盟のといいましょうか、日米の協力ないし共同対処の実効性確保というのは、非常に地道な部分でございますが、私どもとしては問題意識を持って進めているということでございます。
○武見敬三君 まさにその作業というものは、実際非常に困難な事態に我が国が遭遇したときに実は最も重要なかなめになる部分であろうかと思いますので、ぜひ着実に、しかもその中で我が国の国益に基づく自主性というものをきちんと堅固に確保しながら米側との間で調整をしていただきたいということをお願いしておきたいと思うわけであります。
 そこで次に、また改めて外務省に中央アジア政策、今シルクロード外交などと呼ばれているわけでありますが、この点について欧亜局長の方から御答弁をいただきたいと思います。
   〔理事鈴木正孝君退席、委員長着席〕
 私もせんだって、タジキスタンの和平プロセスの最終段階にある議会選挙に我が国が派遣をした選挙監視団の団長として赴いたわけでありますけれども、タジキスタンというのは中央アジア五カ国の中で唯一いわゆるペルシャ系の言語を話すタジク人によって構成されているわけであります。そこにはウズベクであるとかほかにも他の民族もいるわけでありますが、タジキスタンというものが今後和平プロセスが終結した後も引き続き着実に安定化するかどうかということは、実はこの周辺の中央アジアの関係諸国が安定度を保ち得るかということを考えるときにも一つの重要なかぎになるだろうというふうに言われていると思います。
 したがいまして、欧亜局長より、シルクロード外交と言われている我が国の外交政策の中でタジクという国がどのように位置づけられているのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(東郷和彦君) お答え申し上げます。
 武見委員御指摘のように、タジキスタンの平和と安定、これは中央アジア地域全体の平和と安定にとって不可欠、極めて重要な位置づけにあるというふうに認識しております。
 我が国は、九七年の夏にいわゆるシルクロード外交という一つのコンセプトを出しまして、そこで三つの柱でもってシルクロード外交をやっていきたい。第一に信頼と相互理解の強化のための政治対話、第二に平和に協力するための経済協力や資源開発協力、第三に核不拡散や民主化、安定化による平和のための協力、この三点を柱とするシルク外交をやっていきたいということで過去数年間努力してまいりました。
 その中で、特にこの第三点の地域の平和の安定化というために私たちもいろいろな協力をやっていかなくちゃいけないという観点で、タジキスタンに対してこれまでも取り組んできたわけでございます。
 九七年六月に一応内戦の終結というのが行われまして、その後約二年半、三年近く非常に苦しい道程ながらタジキスタンの和平というものが一歩一歩進んできているというふうに認識しております。その一つの大きな結実点がただいま委員御指摘の選挙でございまして、委員が行かれました二月二十七日の下院選挙、それから近く行われます三月二十三日の上院選挙、このあたりをもって大きな節目が来るというふうに認識しております。
 そういう和平の進捗の中で私どもこれまで無償資金協力、それから研修員受け入れによる技術協力、こういうような経済協力、まだ小さなものでございますけれども、そういうものを幾つか実施しながらタジキスタンの安定のために貢献していきたいというふうに考えてまいりましたが、ただいま申し上げた和平の大きな結実点を迎えているここにおきまして、今後安定と復興に対するさらなる支援というものは求められる状況になってくると認識しております。
 これらのそういう安定と復興に対するさらなる支援というものについて前向きに検討してまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
○武見敬三君 ありがとうございました。
 そこで、経済協力局長の方に次に伺いたいんですけれども、このタジキスタンのケースというのはまさに実は隠れた予防外交の成果だというふうに言われております。それだけに、この議会選挙が終結した後にいわば安定化というものを関係各国がさらに支援するということが比較的効果的に、効率的に行い得る状況がそろっているように思います。
 ただ問題は、我が国が予防外交という観点から、例えばこういう地域に対してコミットしようとするときに経済協力のツールが実は残念ながらかなり限られているということがあるんじゃないかと思います。特に、まだ海外情報の安全度というところからは、人を派遣して実情を調査してODAを本格的に適用するというところにはなかなかなりにくいということがありますし、他方で、じゃ、そのほかでどういう支援の仕方があるかというと、お金を、資金的協力をして、UNDP等国連機関あるいはNGOなどを通じて多少の小さいパッケージの支援措置をするというぐらいのことしかできない。
 そうすると、本来こういうグレーゾーンみたいなところにもう一つ別な新たな経済協力等のツールを開拓して、多少リスクがあったとしても、そこに我が国が効果的に経済的な支援、技術協力などもできるような、そういう手法というものを私はつくっておく必要があるのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、この点についての経済協力局長のお考えをお聞かせください。
○政府参考人(飯村豊君) 今、委員御指摘の紛争予防という問題でございますけれども、これはタジキスタンに限らず、国際社会全般で紛争予防をどうして進めていくかということにつきまして大変な国際的な関心が高まっているわけでございます。
 紛争予防に取り組むに当たりましては、いろいろな段階があるのではないかと思われます。一つは紛争が発生する前の段階、それから二番目は紛争が起こっている最中、それから三番目は紛争が終了した後の段階のすべての局面で政治的あるいは経済社会政策、こういったことを含めた広範な分野を念頭に置いて紛争を予防し、あるいは拡大させないという措置をとっていく必要があるということで、国際的には包括的なアプローチが必要ではないかというふうに言われているわけでございます。
 その中で、開発協力あるいはODAというものがどういう役割を果たしていくかということを、各国が頭をひねって知恵を絞っているところでございます。特に、開発協力の観点からは、ODAを通じて貧困や経済格差といった紛争、対立の背景にある要因を緩和して紛争予防に寄与する、こういうことも可能であるかと思います。
 委員御指摘の点でございますけれども、他方、情勢が不安定な中でどういうことが開発協力、ODAの観点からできるかというところでございますけれども、これも現在国際的に広がりつつある認識は、こういった状況の中で迅速、機動的に活動を行い得る、そういう仕事を担い得るのはNGOの役割が大きいのではないかというふうに言われております。
 NGOは、紛争の早期発見あるいは緊張対立の緩和、さらに紛争が発生した場合の緊急人道支援、こういった分野におきまして大きな役割を果たしてきておりまして、私どもは、ODA、政府みずからがやる援助と手を携えてNGOと適切にあるいは効果的に連携をして支援していきたいというふうに考えております。
 こういった観点からは、私どももNGO支援策をさまざまとってきておりますけれども、まだまだアメリカの開発援助予算に占めるNGOの予算というのは三割をちょっと超したところでございますが、日本では数%のレベルであるということで、こういったNGOに対して、例えば草の根無償資金協力とか、あるいはNGO事業補助金とか、あるいは昨年から運用上開始しておりますけれども、緊急無償の枠組みを使ってNGOを支援をするとか、そういったことをさまざまやってきておりますが、さらに紛争予防の観点ということから何ができるか、私どもも考えていきたいというふうに考えております。
○武見敬三君 まさにそのNGOが一つの重要な新たなツールの媒体になるだろうというふうにも思えるわけでありますが、私がこのタジキスタンに選挙監視団で参ったときに、実際にはUNMOTという国連の機関と、それからOSCE、全欧安保協力機構というところの民主制度人権事務室ですか、そこが共同して選挙監視団を結成して、八十三か八十四チームぐらい二人一組でつくっていました。そして二千八百の投票所のうち三百カ所を実際に朝から晩まで監視をし、そして公正に民主的な手続で選挙が行われているかどうかということを実にきちんとチェックをするということをやっていました。
 やはり、ある意味で筋金入りの民主主義者たちだなという気が私にはしたわけでありますが、同時に、そうした信念の中で、危険なところをも含めてそうしたNGOの人たちがこれに協力して選挙監視を行うというそういう状況を見ながら、私は非常にたくましい平和主義というものを感じました。我が国の中にある平和主義というものの考え方の中に何か欠落しているものが実はここにはあるかなという認識を持ったわけでありまして、どうか新しいツールを開拓するときにも、そういう我が国の中でもたくましい平和主義というものが育つようなツールをNGOと協力して開拓をしていっていただくことを期待するものであります。
 さて、そのたくましい平和主義を裏づける一つの重要な理念、それは私はヒューマンセキュリティーであろうと思っているわけであります。これは、我が国の平和国家としての意思というものを表明しようとするときに、とかく戦後一気にそれを反軍事力思想というような形で画一化されてしまった感があります。そうではなくて、私自身はこの複雑な状況下における軍事力の持つ必要性というものをきちんと認識した上で、なおかつより中長期的に平和基盤を構築していくためのそういう理念が政策の中にきちんと裏づけられるということが、平和国家としての意思に基づく我が国の政策を組み立てる上での基本になると。それが、まさにヒューマンセキュリティーであり、そのヒューマンセキュリティーという考え方に基づく政策は外務省も既に幾つか打っておられる。
 そこで、その一つである国連本部に設立をしたヒューマンセキュリティーファンド、そのファンドを設置した目的、そしてどのような活動を現実にしておられるのか、若干御説明をしていただければ幸いであります。
○政府参考人(上田秀明君) 御指摘の人間の安全保障基金でございますけれども、一昨年の暮れ以来、小渕総理がいろいろな演説の中で二十一世紀は人間中心の世紀とすべきというようなお考えを示されまして、特にアジアの経済危機が背景にございましたので、人間の生存、尊厳、生活への脅威となっているような諸問題、貧困でありますとか環境破壊でありますとか、国際組織犯罪等への対応といったことでございますけれども、そういった問題の取り組みを強化すべきである、すなわち人間の安全保障を重視すべきであるというお考えを示されたわけでございます。
 この考え方に基づきまして、平成十年度の補正予算で手当てをしていただきまして、まず五億円を国連の本部事務局に拠出いたしましてこの基金を設置いたしました。その後、平成十一年度補正で今御議論になっております東チモールやあるいはコソボの復興、難民支援等々のために五十八億円を計上していただきまして、御審議の来年度予算ではまた二十五億円を手当てしていただけるようなことで、政府の要求が出されております。
 これまで国連に設けました人間の安全保障基金の実施状況でございますけれども、何といっても人間の自由とかあるいは人間が持つ創造的で価値のある人生を豊かにしていく、こういった考え方に基づいて、そういうことを妨げる諸要因、いろいろな脅威、これを取り除いていくというようなプロジェクト、国連機関が行うそういった活動に拠出をしておりまして、人間の尊厳イニシアチブ、これはESCAPでございますけれども、これに百万ドル。それから、先ほど来御議論のありますタジキスタンの民生向上、医療の質の向上ということでタジキスタン医療研修プロジェクト、これはUNDPが実施いたしましたが、これに十八万ドル。それから、同じくUNDPがセミパラチンスクの核実験によって被曝をして後遺症に苦しめられている方々のための国際的な支援を強めるということで、東京で行いました会議に支出をしております十二万ドルでございます。それから、今コソボ等で実施に移されたものといたしましては、ユニセフに実施を依頼しておりますコソボの初等教育の支援事業四十七万ドル、これは小学校を再建するものでございますけれども、そういったものがございます。
○武見敬三君 まさに、最後のユニセフのコソボの初等教育支援事業、これに参画、参加されておられるノーラ・スキナーさんという方から私たまたまEメールをもらいました。この方は、アシスタントエデュケーションオフィサーとして実際にこの二つのモデル学校の事業に参画をしているわけでありますけれども、この日本の提供した人間安全保障基金というものが着実にこうした深刻な地域における初等教育を再構築する基盤になっている、それに対するいわば感謝の意がこのノーラ・スキナーさんのEメールの中には書かれておりまして、こうした活動を我が国が着実に実施をし、より効果的にそれを実行していくということが私は国際社会の中でも求められているというふうに思うわけであります。
 特に昨今は、国家安全保障という観点からは、やはり日米同盟を基軸にした安全保障政策というものをより堅固にしていくこと、そしてその中で国民一人一人が自分の国は自分で守るという気概をその中にきちんと持っていくことが求められるという大きな柱があると思います。ただ、それはまた同時に、いつか来た道という実は多少の危険性というものも内包していることを私たちはやはり歴史の教訓から学んでおかなければならない。
 したがって、そういった戒めをもきちんと持ちつつも、我が国が国際社会で平和国家としてその意思を強固に有しているのだということを理解してもらうためにも、こうしたヒューマンセキュリティーといったような考え方を基礎にした政策というものを着実に実施をし、その評価を国際社会の中で得ておくということが私は必要になってきているように思います。
 以上で、私の質問は終わります。
○山崎力君 両大臣の所信表明になるべく沿って質問していきたいと思います。
 同僚議員の質問の内容も事前通告等に含まれておりますが、なるべくそれは省いていきたいと思っております。
 今、外務大臣は席にいらっしゃらない状況ですので、まず防衛庁関係の方を中心に質問をさせていただきたいと思います。その前に、こういった委員会の議論を深める観点から、単に私の質問に答えるというだけでなくて、私の質問の内容自体に、価値観的でもいいですし立論点でもいいんですが、疑念等があれば積極的にそちらの方から御指摘いただくということはむしろ大歓迎でございますので、御遠慮なく発言していただければと思っております。
 ただ、時間の関係もございますものですから、その際の答弁あるいは発言等はできるだけ簡潔にお願いしたいということです。まず、こちらの方の基本認識という点から発言をさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、ことし巷間言われましたミレニアム、二〇〇〇年、二十世紀から二十一世紀への橋渡しの年であるというふうに言われておりまして、我が国の外交、防衛を取り巻く環境というものも、大きな変化を必然的に起こすであろう、起こす可能性があるという状況が取り巻いております。
 もちろん、私どもの日本においてはことしじゅうに確実に衆議院の総選挙がある。アメリカでは大統領選挙がある。そして今週末には、一番ある意味では中期的に日本の周辺の中で問題となり得る中台関係を大きく左右する台湾の総統選挙がある。あるいは韓国で総選挙がある。またロシアでも大統領選挙がある。こういうふうに、我が国自体だけでなくて周辺も大きな変化の年になろうとしております。
 そういった中で、まず防衛庁長官の所信表明の中に、我が国を取り巻く中において、多くの国々が経済力の拡大などに伴い軍事力の拡充、近代化に努めてきたと。残念ながら、ポスト冷戦後いろいろな問題を抱えておりますが、そういったような状況にあるわけでございます。
 そしてまた一方、外務大臣の所信の中においては、人類は民族、宗教といったそれぞれの帰属意識の相克を乗り越え、対話と協調により問題を解決していかなければならない、このような観点からの発言がございました。
 そういった点からいって、これは後で質問の形で触れさせていただきますけれども、我が国を取り巻く東アジアの軍事情勢といいますか、そういった安全保障体制をどうするかという基本的な問題、それに我が日本がどう対応していくのかということをこの際もう一度考え直してみる時期ではなかろうか。ちょうど中期防の締めくくりのときでもあります。
 また、国民の感情といいますか、先ほども同僚議員から出てきた自分たちの気持ちの問題をどうするかというところをもう一回振り返った場合に、やはり我が国が、憲法自体を考えようという問題も国会内において行われるようになったということもございますけれども、今一番ある意味で大きな問題というのは、平和というものに関して、戦後我々はまさに敗戦国の国民として、しかもその戦争を起こしたということが世界じゅうから正義ではないというふうな指摘を受けたことに対しての総括をずるずる延ばしてきた。これの一種の総括としての表現が日本国憲法であったんでしょうけれども、その問題点が今まではある種のタブーとしてなかなか表面化してこなかったものが、半世紀を経てこれでいいのかね、もう一回考えようという時期に来たということが一番大きな背景としてあるんではないかと思っております。
 そして、そこのところで、外交問題を含めて一番基本的にあるのは人の命、人命が大切だということの位置づけであると思っております。人の命は地球より重い、巷間そういった説がありますけれども、もちろん国家というものは人が存在しなければ成り立たないわけですから、人の命というものは極めて大切なものであることは間違いないし、私どもも日本人として、戦後特にそういった点での教育あるいは世間的な風潮というものをほぼ確立しております。あるいは、西洋においてもそういった歴史的な背景で出てきてはおります。
 しかしながら、限られた人の命というものよりも、もっと重要なものがあるのではないかということの方で事を起こされたときにどう今の国際社会、現代社会が対応するのかということに関しては極めて脆弱な対応しかないというふうなことが、私自身、長期的に見て今現在解決しなければならない、あるいは解決までいかなくても真剣に考えなければならない問題だと思っております。その一つの例が私は中台問題であろうと思っております。
 台湾が独立宣言をしたら必ず戦争になる。人命が失われない戦争というものはあり得ないわけです。台湾の独立を黙認すれば、少なくとも中国大陸あるいは台湾における人命というものは損なわれることはない。しかしながら、中国政府はそういったことを、台湾側が今回の総統選挙で直というふうには思いませんけれども、宣戦布告する、戦争をやると言っているんです。すなわち、一つの中国というものは限られた人命よりも大切だという価値観を彼らは明白に世界に対して発信しているわけでございます。
 もっと古い私どもの若い時代のことでいえば、民族の独立は何物にもかえがたいということにおいて、当時の北ベトナムは南のベトコンと称された人とともに世界のアメリカに対してあれだけの犠牲を払いながらベトナム戦争を戦い抜いた、こういう事例も現実にあるわけでございます。
 そういった中で、これからどうしたらいいかということで、私の基本的な考え方から発した質問をこれからさせていただきたいと思います。
 まず最初の問題ですが、確かに経済力をつけた東アジア、特に中国の軍事力の近代化、拡充とは言いませんが、近代化はある意味で目をみはるものがございます。そういった点について、防衛庁長官の基本的な御認識から伺っていきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 山崎委員にお答えをいたします。
 今、委員からお話がありましたように、ミレニアムといいますか、大きな音を立てて冷戦後の国際的な軍事情勢あるいは経済情勢に変化が見られるわけでございまして、今御指摘のように、アジアにおきましての変化というものをどうとらえるかということは極めて重要な課題だと認識をいたしております。
 不安定な要因も数々ございますが、アジア太平洋地域の多くの国々におきましては、振り返ってみますと、一昨年以降の通貨・金融危機などの影響を考慮する必要がございますが、それまで著しい経済成長がこの地域で見られたわけでございます。そして、このような成長を背景にいたしまして、国防費の増額あるいは軍事力の拡充、近代化が行われてまいりました。
 とりわけ中国は、軍事力において量から質への転換を図り、核戦力及び海空軍を中心とした全軍の近代化を行いつつあります。近代戦に対応できる正規戦主体の体制へ移行しつつあるわけでもございます。しかしながら、中国は経済建設を当面の最重要課題といたしておりますことや財政赤字に直面していることなどから、軍事力の近代化は今後も漸進的に進むものと、かように見られます。
 いずれにいたしましても、このような各国の軍事力近代化の動向につきましては、私どもとして今後とも注目しておく必要がある、かように考えるわけでございます。
○山崎力君 それで、具体的な話に入っていきたいと思いますが、自衛隊の次期防と言っていいと思いますけれども、来年度予算その他含めて、これからの自衛隊をどうするかといったときに一つ大きな問題は、これだけ動いている近代化、動きの速くなった近代化、といってもちょっと旧来の近代化とは違いますが、そういった中でどのように自衛隊の装備あるいは訓練あるいは国民との会話というものをしていくか、情報交換をしていくかというのが、いわゆる従前のことをそのまま遅滞なくやっていればよろしいという形の行政手腕ではなかなかうまくいかなくなった。ほかの省庁でも、そういった部分でぼろが出てきてその立て直しに四苦八苦している、こういう状況にあるわけです。
 そういった中での具体的な問題でいえば、さきの東海村の事故のときに原子力災害に対して自衛隊が対応できなかった、そういったことでどうするんだということが現実にございました。また、ゲリラコマンド攻撃あるいはNBC、もちろんその中のNの核というのは先ほどの東海村と密接に関連するわけですけれども、そういう点、今までどのような点が不足というか問題があったのか、そして今後どのようにそれに対して対応していこうという考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○政務次官(依田智治君) お答えさせていただきます。
 自衛隊の任務というのは、あくまでも正面はやっぱり防衛、しかし必要に応じて公共の秩序維持に当たるという任務を持っておりまして、今、山崎委員御指摘のように、東海村のような原子力事故、治安は警察、防衛は自衛隊、しかしゲリラコマンドというのはそのすき間に生ずるような事案でございます。そういう点で、従来の自衛隊の装備とか訓練という面ではやや不足しておった。ややというか、むしろ大幅に不足しておった面があるということでございます。
 まず、御指摘の原子力災害、中性子線等に対応できなかったというような問題もございまして、十一年度補正予算では百五十二億というような予算を計上していただきまして、検知器材、防護装備、情報収集、緊急医療、除染、住民避難支援、こういったような予算をつけていただき、また十二年度予算においても、化学防護車や除染車の増強とかいろいろ教育体制の整備等、さらにNBC対処というようなことで、それに絡む研究とか装備の充実というのに努めておるところでございます。
 正面は防衛と言いながら、その持てる力を、いざ大災害とか通常の警察力等によって対応できないようなものはやはり自衛隊がバックアップできるしっかりした体制をつくるということが大変重要だというようなことで、今努力しておる状況でございます。
○山崎力君 この問題が非常にやっかいなのは、単に軍隊同士の戦闘に使われるというよりも、むしろNBCというのは民間人を巻き込む前提の兵器と考えなければいけないところがございます。
 そういった中での民間防衛、そういった体制というものはどちらが対応するのか。防衛庁がやるのか警察がやるのか、そういった点もこれから真剣に取り組めば取り組むほど大きな課題として出てくると思います。そういった点も含めて、これからの次期防の中でどこまでやれるかどうかわかりませんが、真剣に御議論願いたいし、あるいはその成果を早いところ我々あるいは国民の前に明らかにして、協力、理解を得るという姿勢をとっていただきたいと思います。
 そして、その具体的な中身で、次期防の整備計画の問題でございますけれども、今検討中ということで具体的なアウトラインというのはなかなか見えてきていないと思いますが、ただ、今までの情報といいますか報道等でも、空中給油機をどうするんだ、偵察衛星にどこまで関与するんだ、あるいは弾道ミサイル防衛をどうするんだというような大きな、プロジェクトと言うと言葉が変ですけれども、課題が山積みしている状況にございます。
 その辺について、今の現状、どの程度検討されているのか、明らかにできる範囲で結構ですから、お知らせ願いたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。
 現行の中期防衛力整備計画、いわゆる中期防は、平成十二年度で委員御承知のとおり終了するわけでございます。次期防は、十三年度以降、中期的な防衛力整備ということになるわけでございまして、今後の政府の検討に係るものであり、現在お答えできる段階にはございませんが、今、委員から御指摘の例えば空中給油機能につきましては、昨年十二月十七日の安全保障会議におきまして、次期防において速やかに整備を行うこととすること等が了承されたところでございます。防衛庁としましても、これを踏まえて適切に対応していきたいと考えております。
 また、弾道ミサイル防衛についてもお尋ねがございましたが、平成十一年度から海上配備型上層システム、NTWDを対象とした日米共同技術研究に着手し、平成十二年度も引き続き所要の予算計上をしているわけでございます。なお、開発段階への移行、配備段階への移行につきましては、これも委員御案内のとおり、別途判断をするということといたしております。
 さらに、自衛隊の情報収集態勢につきましては、防衛大綱にもありますとおり、情勢の変化を早期に察知いたしまして機敏な意思決定に資するための高度の情報機能を保有しておくことが重要と、かように考えているところでございます。
 なお、情報収集衛星の導入は、内閣官房を中心として政府全体で取り組んでいるところでございまして、防衛庁としては、これまでの画像情報業務を通じまして得た知見を活用しまして、情報収集衛星の運用態勢の整備等の面におきまして積極的に協力していきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、中期的な防衛力整備につきましては、自衛隊に与えられた任務を適切に遂行するという観点から、防衛庁としてもしかるべく検討してまいりたい、かように考えております。
○山崎力君 続いて、防衛庁の省への昇格問題について一言お尋ねしておきたいと思います。
 この議論というのはいろいろ今まで言われてきて、皆さん方議員各位並びに当局においても、議論の論点というものはすべからく出尽くした感がございます。問題は、いわゆる形式的な庁から省にということと同時に、それがある種の日本の軍事力強化というものの意思表示として外国に伝わるのではないだろうか、あるいは周辺諸国、そういったものだけでなくて国民にもそういった不安感を与えるのではないかという議論がございます。それが一つの大きな難点。
 ただ、実質的にそれじゃどうなのかということになると、非常にみみっちい話をすれば、六本木から市ヶ谷に移って防衛庁の住所が変わるときに名前も変われば、後で変わるよりも印刷代が少なくて済むねというようなことも言えるわけでございます。後でちょっとお金の話は触れさせていただきます。
 そういった誤解が、誤解と言えるかどうかは別として、懸念をいかに払拭して省に昇格させるかということは、これはやはり行政当局として考えなければならない、我々とまた別の立場で考えなければいけないことだと思いますが、どのようにその辺のところ努力される予定なのか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 委員十分御案内のことでございますが、行革会議の最終報告におきまして、これは平成九年十二月三日でございますが、「別途、新たな国際情勢の下におけるわが国の防衛基本問題については、政治の場で議論すべき課題である。」、かようにされたわけでございます。
 私といたしましては、政治の場で速やかに真剣な議論がなされることを期待しておる旨累次申し上げてきたところでございますが、いろいろ議員立法の動きも一面にはございまして、政治の場での議論がある面では活発に行われ、深められておるというぐあいに考え、望ましいことと思っておるわけでございますが、でき得れば広く国民の支持が得られるような、そういう体制でなければならぬと考えております。
 防衛庁が省に昇格する場合におきましても、専守防衛に徹して他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない。我が国の防衛政策に変わることはございませんし、また国民や周辺諸国に誤解が生ずることはないと考えておるわけでございますが、私どもとしましては、十分にこれらのことも踏まえて広報活動にも気を使っていかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、我が国の庁から省への昇格の問題というのは、アジアの安定のために資するこれからの努力、そういったものも踏まえ、また多くの国民の理解、支持を得て、庁が省として動き得るような体制は望ましい姿である、私はかように考えておりまして、御理解が得られるように努力を続けたい、こう考えておるところでございます。
○山崎力君 先ほど言いましたお金の問題について、余りお金のことについてどうこうということは言いたくない部分もあるんですけれども、やはり国防も予算と無関係でないどころか大いに関係のある部門でございます。国民側とすれば、これは保険と同じですけれども、最小の掛金で最大の効果があるようにというのはだれでも思うものでございます。
 そういった中で、自衛隊・防衛庁その他についてもここずっと同じような形でやってきて、本当にその辺の行財政改革の一環としての見直しが進められているんだろうかということについての疑問というものは、先ほど同僚議員からの発注の問題にもございましたけれども、その疑念というのが沸き上がっている。それをどうしたらいいかというのはなかなか見えてこない部分もあろうかと思います。そのことについては後で外務省さんの方にもお尋ねしますが、一つは在日米軍の駐留経費の問題あるいは普天間基地の移設の問題、これも金額的にいうと莫大な金額になるわけでございます。
 これは申しわけないんですが、国防の意味での自衛隊という立場からすれば、これは別枠でなければならないはずでございます。その辺のところをどういうふうにやっていけるのか。財政当局に防衛庁としてはお願いする立場ですから、その辺のところは努力するとしか言いようもないことはわかって、質問することではないんですけれども、例えば十五年の問題にしても、そこに幾らお金がかかって十五年で割ったら幾らになるんだということも、十五年のよしあしは別としても計算上出てくるわけでございます。十五年でなくなるものにこれだけの金をかけるのかということは当然出てくるわけでございます。
 それから、駐留軍の経費にしても、年間何千億もの金をかけるのであれば、その分で防衛力の整備をしたらどの程度のものができるんだ、核以外にアメリカに頼るものがあるのか、あるいはそれ以上のことをアメリカにしているのではないか。これは先ほど同僚議員の日米関係、同盟関係の強化、第一義的ということとずれますけれども、そういったことの検討を踏まえた上での同盟の強化でなければならないはずでございます。
 ですから、アメリカに言われるままに、これだけかかったんだからそのうちの七割なら七割、六割なら六割自動的に日本が払え、これは余りにも主権国家同士の対等な関係ではないということは言わずもがなでございまして、その辺のことを踏まえた上での対応をしていただいて、その対応の結果を国民の前に明らかにするという姿勢は、これだけはどうしてもどんな立場でもお願いせざるを得ないといいますか、当然の国民の声としてお聞き願わなければならないことだと思っております。
 そういった意味で、残念ながら今までの対米交渉に関して、その辺のところが国民の側にいま一つ満足する、納得するような、腑に落ちるような形の答弁が足りなかったのではないかという気がしておりますが、その辺について、御見解があれば伺いたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 私は、常々考えておるわけでございますが、防衛庁、国防にかかわる省のあり方でありますとか、あるいは将来に向けての予算のあり方というものにつきまして、国会や国民から多分に批判を受けることは、民主政治の場合はこれはありがたいことだと思っております。ある面では巨額の財政を必要といたしますし、また、若き青年を訓練していかなければなりません。
 よって、そのことにつきまして、疑惑、疑念を生むということは不幸なことでございますから、あらゆる面において合理化を図り、効率化を図り、また透明度も深めていく努力をしなければなりません。また、事柄の性質上、すべてそれでいいというわけにもいきませんが、あらゆる面におきましてそういう日ごろの努力というものがなければならぬと考えておるわけであります。
 よって、これからの厳しい財政事情を受けましても、それらのことを心得まして効率的に運営される、防衛あるいは予算につきまして私どもも国民に堂々と答えができるようなそういう体制づくりのために努力をしてまいりたいと考えておるわけであります。
 なお、ただいま委員からホスト・ネーション・サポートにつきまして御質問がございました。これは日米同盟における重要な問題と心得ております。
 この同盟関係につきましても、私が官房副長官のときに、大平総理が同盟関係というのを言葉でお使いになり、また鈴木内閣におきまして同盟という言葉をたしかステートメントに残したわけでございまして、それは共有する価値観、いわゆる自由でありますとかあるいは民主主義でありますとか、そういったものを大切にする国のかかわり、これをもって同盟関係と称して今日に至っておるわけであります。
 我々は、我が国の安全、また周辺の安全のためにこれから尽くしていかなければなりませんが、その中でホスト・ネーション・サポートは日米安保体制の中で重要な役割を果たしてきておる、かように考えております。
 コーエン長官からは、これまでの支援レベルを継続することが重要である旨発言がございました。また私から、この春でございますが、財政事情等の変化を踏まえる必要がありますが、また日本国民の理解を得る必要がありますが、これらの重要性については心得ておるということを申し上げたところでございます。
 納税者の理解を得られるような内容にする努力を行う必要がありますこと、また負担額の問題もございましょうが、削減といったようなことは実は述べてもおりませんが、これから国民の理解を得るためにいろいろ話し合いを詰めまして、ホスト・ネーションの取り組みを明確にしていきたいと、こう考えております。
○山崎力君 これは、同僚議員からこの問題、いろいろ指摘がございましたので、これ以上踏み込みませんが、やはり今までの経過とまた別の視点も必要であろうということで御努力願いたいと思います。
 そして、具体的にといいますか、装備品調達の問題、お金の問題でいくと、結局この問題の行き着くところは我が国の自衛隊が調達している主に武器類でございますが、単価が非常に高い、高単価であるという問題がつとに指摘されているところでございます。
 これは、武器輸出ができないということで、どうしても少量生産になってしまう。いわゆる大量生産のコスト削減ができないという手かせ足かせがあることは事実ですけれども、その事情は理解した上でも余りにも単価が高過ぎる、あるいは少量過ぎる、もう少し何とかならないか。あるいは、競争がないから、もう防衛庁が買ってくれるのはわかっているからこういうふうな形になるんで、外国製品とのいわゆる競争もしていいのではないか、こういう議論も当然出てくるわけでございます。
 そういった中で、いろいろ議論があった上で、一見してどうしてもこれはちょっとと思うのは、ちょっと私のあれでいけば、陸上自衛隊が一番わかりやすいのですが、八七式自走高射機関砲、これは調達両数が十年度、十一年度で一両ずつ。それから八九式装甲戦闘車、これは二両ずつ。年に一両、年に二両という形のものが果たして適当な調達数なんであろうかと。
 たくさんつくればいいというわけでもない、ある程度の製造プラントといいますか生産ラインの維持というために適正な両数というのはあるわけで、これはもう明らかに製造ラインを維持するために発注しているとしか思えない部分でございます。
 そういった点、もう少しめり張りのきいたといいますか、十年以上もかかって細々とつくり続けるということが、これは今までのやり方であればそういうことにならざるを得ないということはよくわかるんですが、将来、経済情勢、財政情勢がよくなる、非常によくなるとも思えません。ますますある意味においてはコスト計算といいますかコスト管理を充実させなければいけないときに、その辺のところはもう少し検討されてもいいと思うんですが、いかがでございましょうか。
○政務次官(依田智治君) 山崎先生、この防衛装備品というものは、やはり一挙に調達なり生産してやれば、その時点におければ単価は安くなると。
 しかし、これは少なくとも、例えば国産の場合等を考えました場合には、そういう防衛技術基盤を維持し、修理とかその他いろいろ、潜水艦なんかいい例ですが、やっぱりああいう特殊な技術というものをずっとつないでおく、技術者自体を確保していくということが安全保障上非常に重要だというような視点もあって、割合計画的に年次的にやっておるという要素があるわけでございます。
 単価的に見れば一挙に調達した方が早いという面があるんですが、そういう抗堪性の維持、防衛技術基盤の維持という視点に立った場合に、やはりある程度細く長くやることが安全保障的に重要だというような面もありまして我々は現在そういう政策をとっているんですが、このあたり、一括して導入する、じゃ買う方も日本からぽんと注文して他の国をとめて日本だけくれるというわけにもいきませんし、そのあたりをむしろ、どういう装備品、今ちょっと例が挙がりましたが、それだって大量に一挙につくれる生産工程を輸入先が持っているわけでもないというような場合にどうしたらいいのかなと。
 私が今述べたような視点に立って見た場合に、先生のもうちょっと突っ込んだお考えを伺えればありがたいと思うんですが。
○山崎力君 この問題、いろいろ防衛庁サイドに立てば言いたくても言えない部分がある。
 私が想像するところによれば、幾ら中期防とはいえ、予算的に単年度主義であるという大きな限界はあるわけで、その辺のところに余りにもとらわれ過ぎているんではないか。逆に、その点で言えば、こういった形で兵器、武器等の購入をしている国が諸外国にほとんど見当たらないということが言えると思います。
 例えば、ドイツにしろ、アメリカはちょっと量が多過ぎるのであれですけれども、イギリスにしろ、ある程度のまとまった時間で主要装備品は購入している。アメリカなんぞは、先ほど出てきた護衛艦なんかのあれももう一括してある造船所に何十隻も発注する、それを何年かに分けてやるというような形をして、そこで非常にコスト計算を重視したことをやっております。天下の大アメリカ軍ですらそれをやっているのに、そういうことにおいていろんな制約はあるとはいえ細々とライン確保のために発注すると。
 これが、もし日本しかできないものであればいいんですが、そうではない、諸外国に半額あるいは四分の一程度で同等の兵器があるというものに対して見れば、それこそ部品その他の問題あるいは修理の問題があるとはいえ、倍のものを買っていって半分デッドストックにしておいて部品をとった方が、四分の一の価格なら予算的には半分でできると。そっちの方が戦力的にはアップするんではないだろうかという感覚もできるわけです。
 そういった意味で、まさにここのところから突っ込んでいって、限られた製造業者と役所との癒着があるとは言いませんけれども、それが生じるおそれもあるわけです。ですから、そういった意味で非常に製造業者といいますか製造者が会社的にも少ない、逆に言えば護衛艦の場合はかえって多過ぎるという部分もあるのかもしれませんが、その辺をもう一回精査しないと、これからの予想される緊縮財政のもとで十分な装備すらできなくなるのではないかと。
 確かに、国内で製造してその技術を持つのはいいけれども、それがために高額になって、十台必要なところが二台、三台しか装備できないよりは、やはり輸入品であれ何であれ十台装備した方が、私は防衛力という点からいえばその方が上ではないかというふうに考えている次第ですが、お考えはいかがでしょうか。
○政務次官(依田智治君) 先生にいろいろ御指摘いただきましたけれども、防衛庁ではいろんな調達事案も踏まえまして、いわゆる調達の単年度主義等も踏まえて、やはり適正な調達のあり方というのをどうするかというのを真剣に大臣の御指示もあって検討しておる状況でございますので、先生のただいまの御意見等も十分念頭に置きながら適正な防衛調達のあり方を検討していきたい、このように考えております。
○山崎力君 外務大臣がお戻りになられたようですので、ちょっと外交の所信表明に関してお伺いしていきたいと思います。
 私自身、最近の経験でおやっと思ったことがございました。というのは、世の中、我々の教わったようなすんなりしたものではないなということは、実はオーストリアの新政権誕生に対するヨーロッパ、EU諸国の反応でございました。悪く言えばネオナチ政権だという非難もあったくらいでございます。
 それはともかくといたしまして、少なくとも極右とか右翼とか言われている政党、そういった思想の持ち主が当時党首を務めている政党、それが国民の投票により、民主的な選挙により政権の座に着いたということに対して、周辺の国が寄ってたかってと言うとオーバーかもしれませんが、嫌がらせといいますか不快感を表明したと。まさにある意味においては典型的な内政干渉的な行為であったわけですが、これはいわゆる二十世紀的といいますか、十九世紀的といいますか主権国家、国家主権の尊重、内政不干渉という考え方からすると、おいどうなっているんだというような、あの先進民主主義国家群のEUですらという気がしたわけでございます。
 先ほど御不在のときに、私の基本的考え方の中で、国民の全部とは言いませんが、ある程度の、人命以上の価値を国家は持っているんだと、それは中台関係のことで申し上げたわけですが、いわゆる我が国の人道的という感覚と、あるいは民主主義的、話せばわかるという感覚と世界がちょっと違っているんじゃないかという気がしているんですが、この辺の国民あるいは世界との関係について、その仲立ちと言える外交当局の責任者としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) オーストリアの問題は我々にいろんなことを示唆したと思います。もちろんオーストリアに対するEUの反応というのは、オーストリア自身がEUのメンバーであって、EUができ上がるときにEUの中で人権の尊重とかいろいろな項目での合意を確認しているわけで、そのEUの合意、EUの確認から見ればいささか少し違うなという感じを他のEU各国が持ったというのも不思議ではないと思います。それは、EUメンバーでない我々とEUメンバーである彼らとの間にはやはり受けとめ方の違いがある、これはやむを得ないことだと思います。
 もう一つは、ヨーロッパにおいてナチスが行ったあの行為というものをヨーロッパの中で許さない、これを再び許すわけにいかないという強い、そして深いこの問題に対する思いがあるということもまた我々は理解しなければ、この問題に対するEUの反応を理解できないことだというふうに思います。
 さらに、我々にとっては、アメリカが非常に強い反応をこの問題にいたしました。アメリカの強い反応は、やはりアメリカ社会の中に多くのユダヤ人社会というものが大変強い発言権を持って存在するということがこれの一つの理由であったかもしれません。いずれにしても、こうした極右と申しますか、歴史を引きずった問題について非常に強い反応をヨーロッパの諸国が起こしたということは、我々にやはり教えるものもあったように思います。
 また一方で、先ほど来からお話が出ておりますように、国家主権と人権の関係というものをどこで調整するかということは大変難しい問題でありますけれども、突きつけられた問題であって逃げられないということも事実です。
 私が先般アメリカへ参りましたときに、古いアメリカの先輩にお目にかかって話を聞きましたときには、このアメリカの先輩政治家は、自分は今のアメリカの反応は強過ぎるように思うとこの大先輩は言っておられました。しかし、これはあくまで個人的な考えだがと前置きをしての御意見でございましたが、アメリカにも、恐らくEUのあちこちの国の中にもいろいろな意見が実はあったんだというふうにつくづく思いました。
 ただ、繰り返しになりますが、EUはEUとして地域統合を進めていく上で、やはりそれぞれが確認し合ったルールといいますか約束事はきちんとしていかなきゃいけないということに多くの人たちは多くの配慮をしたんだろうというふうに思います。
 しかし一方で、ちょっと長くなって恐縮ですが、今お話がありましたように、極右政党とはいえ民主的な選挙を通じて一定の議員の当選を見たということは、これまた民主主義といいますか、民主的手続による国民の評価でございますから、それをすべて否定するというわけにはいかないところもあるだろうというふうに思います。適当な例でないかもしれませんけれども、しかし、かつてナチスのヒトラーは当初は民主的な手法によって選ばれた人であったわけでございまして、そういうことを語る関係者もおられるということでございます。
 しかし、さっき申し上げた大先輩、アメリカの先輩政治家は私に、随分今は状況が違うよ、情報化社会になったし、周辺はNATOに加盟している国々が周りにいっぱいいるじゃないか、そんな昔のことを持ってきて恐れおののいているわけにもいくまいよというようなことをおっしゃったこともございます。
 少し回りくどくなりましたが、もう一度我々は、やはり国家主権、そして人権というものをどういうふうに調整するか、これは恐らく歴史的な経緯とか、それから民族的な意識とかそういうものがあって、ヨーロッパにおける主権と人権の関係はアジアにおいても必ずしも同じであるかどうか。こういう言い方をすると、それじゃダブルスタンダードなのかというおしかりをいただくかもわかりませんが、その辺のところは慎重に調整をする努力が必要であろうというふうに思います。
○山崎力君 今の大臣の考え方、わかるところでございますけれども、ただ、私がこの問題で、いらっしゃらないときも申し上げたところがあるんですが、一番の問題はむしろその辺のところではなくて、我々は民主主義とはこういうものだよということを戦後教わってきた民主主義と違ったものが、感情論としてといいますか民族としての気持ちとか、あるいは宗教的な背景もあるのかもしれませんが、そういったものがあのヨーロッパですら国民の意識として内在しており、そしてそれに対応して政府が動いてしまった、国によってそれが違いますけれども。
 そういった民主主義というのは、僕たちの習ってきた、日本国民が教わってきた民主主義と違うんじゃないのと。少なくとも、いろんな考え方がある人たちはそれはそれで認められるべきだし、逆に言えば、野党でいる間はいいけれども、与党になったら許さないよというような政治という、政党というものが存在するんだということを西洋の国が対外的に明らかにしてしまった、そういう意味では非常に根の深い問題。それに輪をかけて、先ほども大臣がおっしゃられた我がアジア周辺においてをやと。こういった中で対話と協調で我が国平和外交をしていくんだと言いながら、非常に今まで以上に論が通りにくくなってきたのではないかなという懸念を持っているわけでございます。
 そういった中で、この問題というのは本当に底が深くていつまでやっていてもあれですが、そこのところで出てくるのがやはり我が国の外交でいえばODAの問題であり、あるいはそれに近い形としての北朝鮮への米支援の問題であろうかと思います。
 北朝鮮の米支援でいえば、今その賛否あった問題が決定とともに一応動き出しているということで、非常に明るい展望に立っております。それに水を差すつもりは全くありませんけれども、少なくとも、今回のことで動いたという外交判断は現時点においては正しかったと評価がなされていると思いますが、これは一面で、ここまで行ってもとのもくあみになれば国民に対して非常に大きな失望感を与えるという危険性を持っているというふうに申し上げたいと思っております。
 そこはそれとして、それでは日本のODAという、軍事力なく文化的に影響力なければ、一番のあれはお金であり技術であるという外交手段しか、ツールしか持たない我が国とすれば、その最大の武器というとおかしい、まさにツールとしてのODAがどのように使われているかということは、これは我が国外交にとって、単に金額、手法の問題ではなくて、一つの方策としては根幹にかかわる問題であろうと。その辺の検討をもう一回しなくてはいけないのではないかという気持ちを私は持っております。ということは、逆に言えば我が国が国として、対象国に対しての国家意思の表現としてのODAという考え方を持ってきてもそろそろいいのではないか。
 実例を挙げることでいいかどうかわかりませんが、例えば、レバノンで今拘留中の岡本公三という、テロリストとあえて言わせていただきますが、その人の問題についてレバノン政府も苦慮しているようでございます。あるいは引受国も苦慮している可能性がある。その原因というのに我が国のODAの発動のあれがあってもいいのではないかという考え方も出てくる。まさに、それが日本国家としての一番平和的な国家意思の表現ではないだろうかという考え方があると思うんですが、その辺についていかがお考えでございましょうか。
○国務大臣(河野洋平君) ODAについてはこれまた幾つか考え方があるのだと思います。
 今、議員がおっしゃるように、国家意思としての表現あるいは外交手段としてのツール、そういう意味でのODAというものが一つあると思います。それからもう一つは、やはり何といっても国際社会に対する貢献という意味でのODAというものがあると思います。
 日本の国がこの五十年間、ここまで経済成長を遂げてきた。しかし、考えてみるとその前半の五分の一ぐらいはやはり世界各国からの支援によって我々はあの焼け野原の中から立ち上がったわけです。その我々が今こうして経済的に経済的先進国と言われているのは、やはり国際社会の恩恵というものを我々は忘れてはならないということを考えれば、我々はまた国際社会に対して相当な貢献をする必要があるという意味でのODAというのもあると思うんです。
 それから、国民の皆さんからいただいた税金を使っているということからすれば、目に見える援助と申しますか、そういうものが必要だと。どこに使ったかよくわからぬという援助ではなくて、やはり目に見えなければならぬという御指摘もあると思うんです。それらはいずれも私は重要なことだというふうに思います。
 確かに、先ほど来お話がありましたように、コソボに参りましても、どこに参りましても、日本からの支援かどうかわからないということでいいのかということを言われれば、それはもうまさにそのとおり。しかし、一方で、とにかく持っていくものは全部日の丸を張っていけと、あるいは日本からのものだと大書して持っていけということだけでいいかどうかということになると、必ずしもそうでない部分もあると思うんです。
 例えば、アフリカの国の疾病率を下げるというためには、日本一国ではなかなかできない。国際社会がみんなで協力してこの疾病率を下げる仕事をしようと。金を出す人もいる、医者を出す人もいる、あるいはそれをコントロールする人もいる。それが世界各国が集まって、結果的にアフリカの疾病率が下がったと。これはやっぱり国際社会に対する貢献であって、そのときにはどこに日の丸を張るかといっても、それはそういうことができない場合もあるわけです。日の丸を張れないから嫌だというわけにはいかない部分もあると思うんですね。
 したがって、国民の皆様からお預かりをした税金の使い方として、ODAの使い方にはいろいろな種類があるということをまず考えなければならないと思います。そして、今、議員がおっしゃったように、日本の外交政策、外交手段のツールとしても使うべきだというのは、私はそれもそういう部分もあるだろうと思います。アフリカにおいて、あるいは中央アジアにおいて、あるいは南米において、我が国が最も重要視するパートナーとしてもいいような国により多くのODAを実施するということもまた必要なことであろうというふうに思います。
 議員は、レバノンのことをお話しになりましたけれども、レバノンの問題については依然として状況はまだ動いておりません。いや、岡本問題でございますが、状況は動いていないと承知しております。この問題は、今極めて機微なちょうど時期でございますから、この問題については発言を控えさせていただきますが、一般的に言って、外交手段として使うということも私は否定いたしませんということだけ申し上げたいと思います。
○山崎力君 この問題については時間がありませんので、質問というよりも希望だけ申し上げておきたいと思いますが、やはり私はこのODAが一番効果的な外交のツールである、それしかないんだと。軍事力も使えなければ、文化的に日本の文化で世界を教化してなんということもないわけでございます。
 そういった意味において、言われるままにお金を出しているというふうにやゆされるようなことだけは、これはもう絶対に避けなければいけない。国民のタックスペイヤーの立場からすれば、それに対するいら立ちというものは若干あろうかと思うわけです。それがある意味においては北朝鮮の拉致疑惑に対する被害者家族の行動にもあらわれている。その辺のところだけは、まず今まで以上にその辺のところを、国民が納得する道具としてこれだけのお金を使っているんだという説明が必要だということ。
 それと同時に、その使い方においては、エンドユーザーというとおかしいんですが、その使ったお金あるいは物、そういったものが最後にどういった形で使われた国においてなされているのかということを、私は内政干渉ということになりかねない部分があるのは重々承知の上で、外交当局としてもできるだけ協力して見せてもらうと。逆に言えば、そうじゃなくて、政府によこして、あとはこっちでやるから、それ以上日本が介入してくるのは内政干渉だというような国にはその分減らすというくらいの発想の行動が必要ではないかなというふうに思っております。
 時間の関係で最後に一言だけ。別の次元ですが、今度のWTOの新ラウンドの交渉、これは前回決裂と言っていいような状況で終わっているわけですが、次回もう一回決裂覚悟でやるのか、これはアメリカが前回同様の対応をしたという前提ですが、それとも何らかの対応策を考えて臨まれるのか、農産物も含めての形になろうかと思いますが、一言で結構ですからお答え願って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 前回、シアトルにおきますWTOの閣僚会議は、残念ながら合意を見ることができませんでした。
 しかし、アメリカを初めとして各国ともに、各国というのは自由貿易体制を大事にしようと考えている各国は、できるだけ早くWTOを立ち上げようという気持ちがあるようです。アメリカも、大統領の任期も近いからという向きもありましたけれども、クリントン大統領御自身が非常に強くWTOの閣僚会議の立ち上げを急げという指示を出されたというふうに私ども聞いておりますし、EUにおきましてもそういう気持ちを持っていると聞いております。
 したがいまして、私どももWTOの閣僚会議をもう一度立ち上げることに協力をいたしますということを考えているわけでございますが、そのためには、前回の失敗の轍を踏んではいけない、やはり譲るべきところは譲って、先進国同士でも十分話し合うし、開発途上国の気持ちを十分にくみ上げるということがなければ同じ轍を踏むことになるだろうというふうに思いまして、我々は、前回の経験を生かす、そして立ち上げのための努力をする、こういう気持ちで今対応しているところでございます。
○田英夫君 最初におわびいたしますが、きょうは外務大臣、外務省に御質問をいたしますので、防衛庁長官、お二人の政務次官には、御出席いただいているのに質問をいたしませんので、申しわけありません。また、槙田アジア局長、政府参考人として御出席いただいておりますが、時間が短いので、御質問することになるかどうか、そこはひとつお許しをいただきたいと思います。
 先ほど武見委員が取り上げられました日米同盟といいますか日米基軸という外交、それに伴うアメリカ軍基地の問題について、最近、共産党、社民党の反対だけではなくて、無党派層の人たちの意見がいろいろ出てきている、それをまた取り上げている若い知事さんがおられると名前を挙げられて、私は大変重要な、また同感をできる視点でお話しいただいたと思って、敬意を表したいと思いますが、同時に、これに対する河野外務大臣の御答弁の中で、限られた情報で市民の皆さんが判断をされるということの危険性という感じの御答弁をされたと思います。これもまた事実だと思います。長いこと市民が主人公の政治をと願っている一人として、実感としてそういうことを感じました。
 ただそこで、きょう私が取り上げようとしている問題とを結びつけると、外交とか防衛とかいう問題は大変難しい専門的なことがあることは事実でありますが、一国の総理大臣が、ことしの重要な外交日程となっている九州・沖縄サミットについて、繰り返し中国の何らかの形の参加を求めたいという意味の発言をしてこられた。これは、私のこの問題についていろいろ考えたところでは、中国の参加というのはあり得ないという結論を持っておりましたので、小渕総理がどうして熱心にこのことを主張されたのか、いまだによくわかりません。
 結論を先にお聞きしますけれども、大変意地の悪い質問ですけれども、もうあの小渕総理の御意見は消えたんでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 最近はとにかくマスコミが大変発達しておりまして、ほんの一言つぶやいてもそれが大きな活字になる、つぶやかなくても中くらいの活字になるという状況で、私は小渕総理から、サミット、いわゆるG8に中国の参加を求めろとか、あるいは求めたいということを直接聞いたことはありません。
 それは、G8サミットは、そのサミットの、G8メンバーの方が、まずだれを入れるか入れないかということをこのメンバーが先に議論をしないで、その中のだれか一人が、あれも入れたい、これも入れたいというようなことで決まっていく仕組みではないのはよく田議員御承知のとおりでございます。
 しかも、G8サミットは、いわゆる自由主義、民主主義という政治体制をとる国が、つまり共通の価値観のもとで自由な議論をしようということですから、そういう意味では、中国がG8サミットに参加をするというふうに中国も思わないであろうし、それからG8サミットのメンバーもまたそういうことをすぐに望むというふうには私は思っていないものですから、その辺のところは総理もよく承知をしておられるというふうに思います。
○田英夫君 ということだと大変結構だと思うんですが、実は、沖縄というところでサミットをやるという発想からすると、本当にいかにも中国に何らかの形で出てきて意見を言ってもらうということはよさそうですね。シュレーダー・ドイツ首相も昨年秋、来日したときにそういう意見を言っておられたと思います。ですから、今のG8の手続問題とか性格とかいうことはわかった上で、やはりアジアのこれから、しかも大きな役割を担う中国が出てくるということはよさそうであります。
 ところが、同時に中国はどう考えるかということは、これまた極めて重要なことで、白状いたしますと、昨年の夏に、六月末から七月の初めに中国を訪ねたときに私の方から、来年日本でサミットをやる、そこへあなた方が、江沢民主席なりが出てこられるというようなことは考えられるだろうかということを何人かの人たちにぶつけてみたことがあります。
 ですから、私もそれを、のっけから中国はだめだろうと思っていたわけじゃないんですが、驚いたことは、もちろん中国の外務省、名前は挙げませんが、トップの人たちですが、それから党の中国共産党、主として中央対外連絡部、いわゆる中連部というところ、外国の政党との交流をしているところの幹部の人たち、あるいは中国にもシンクタンクがたくさんありますから、その重要な人たちの意見を聞いてみたところがほとんど一致して同じ答えをしたんですね。それは、中国は国連の安保理の常任理事国としての役割を非常に重要に思っている、特にアジアから一国だけ常任理事国として出ているし、発展途上国の立場を重視するという中国の基本的な外交姿勢がある。そういうことからして、国連という機構については非常に重要視している。
 しかし、国連の枠の外で、特にこれは非常にはっきり申したことですが、アメリカが中心になってつくっている機構には中国は参加しないというのが原則ですと、こういう言い方を非常にはっきり言いました。特に、党やシンクタンクの人たちはそのことを非常にはっきり言いました。それはなるほどと思ったわけです。ですから、G8ということなると、まさしく参加をしないという原則に当てはまってしまう。
 こういうことで、これは中国はその意味からも出ないなということを考えていたんですが、これは率直に申し上げて、他党のことを申し上げるのは失礼なんですけれども、そういう感じを持っていたところに、昨年の秋、公明党の神崎代表が中国を訪問されて、胡錦濤副主席に中国は参加しませんかと、こういうことを言われたのに対して、胡錦濤副主席は、中国は参加をめぐってG8の八カ国の中で意見が一致しているとは思っていませんという言い方で非常に消極的な答えをされたということは報道されていて、私もちょっとこれは驚きました。
 外務省は、終始大体さっき外務大臣が言われたような御意見であろうと思っておりましたが、小渕さんだけではないということをそのときに感じて、ひょっとするとこれは私の知らないところでそういうことがあるのかなと。つまり、公明党は中国とは非常に太いパイプがかつておありになったと思っておりましたから、失礼ながらそういうことを考えました。その後、アメリカのピカリング外務次官が非常にはっきりとアメリカは中国を九番目の参加国にするという動きはしていませんと森幹事長に言われた。
 こうずっとつなげてくると、やはり小渕さんの願望であったのかなというふうに最近思っておりましたが、先ほどの外務大臣の御答弁ではっきり明快になったとは思います。しかし、翻って考えますと、中国はああいう国だから当然でしょうけれども、極めて明快な外交戦略を持っている。私のような者が行っていろいろ聞いても同じ答えが返ってくる。
 日本の場合、さっき外務大臣が言われたんですが、大変失礼ながら、無党派層の皆さんというのは今、日本の政治に対して非常な不満を持っておられる。特に、政党に対して不満を持っておられる。だから無党派なんですが、この人たちは決して政治に無関心なわけじゃない。非常に関心を持っている。ところが、じゃ外務省なり政府は、特に外務省は外交問題についてこの人たちに判断できるような的確な情報を出しているだろうか。
 今の中国のG8参加問題というのはその一つの典型的な例だと思うんですが、一般市民の無党派層の皆さんに聞くと、いや、出てきたらいいですね、それはいいことじゃないですかと言う人がかなり多いと思うんですよ、常識的に考えて。しかし、中国の方の立場は違うんだという情報が果たしてマスコミを含めて伝わっているだろうか、こういうことで日本の外交を進めていく上でいいんだろうかという疑問を今持っているんですが、外務大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 中国については、田議員は随分古い友人、中国の友人と言われて、多くの中国に知人、友人を持っておられるわけで、さまざまな中国側の意見、主張を聞かれる機会は多いのだと思います。しかし、最近の中国は随分と国際問題については敏感ですし、いろいろな変化をすることもある。必ずしも一度決めたことを一本調子に最後までやるかどうかというのはケース・バイ・ケースだというふうに思います。
 先ほど私の申し上げたことが、小渕さんだけが全く違う意見だったというふうにおとりになるとそれはちょっとそうではないのであって、小渕さん自身もかつて外務大臣をやられて外交戦略についてはそれは一番よく熟知しておられるわけですから、今、議員がおっしゃるように、沖縄にサミットの場所を決めて、そしていろいろなことを考えておられることも事実だと思うんです。
 そして、私は、本来G8サミットというものが経済問題を議論する場としてスタートをしたわけですけれども、それがいつの日か政治問題をやるようになって、私はこれがまた、いつの日かといいますか、とりわけことしのG8サミットなどは二十一世紀をずっとにらんで、むしろ文化論、文明論をやってほしいというふうにすら思うわけです。
 これは、私の個人的なかねてからの意見ですけれども、私は二十一世紀の世界を考えたときに、さっきも申し上げましたが、民族とか宗教の対立というものをどうやって克服するかということを考えると、それはハンチントン教授の「文明の衝突」の裏返し、イランのハタミ大統領が言われた文明の対話こそ今必要だと。そして、来年二〇〇一年には国連は文明対話の年と来年を規定しているわけですから、私は大いに文明の対話をやるべきではないかというふうに思って、G8サミットの場がそういう文明の対話の場になってほしいという気持ちすらあったわけです。
 そういうことになるとすると、それは政治論でもなく経済的なやりとりでもなく、東洋と西洋の文明論とかそういった議論、つまり東西文明の対話といいますか、そういったようなことがもしできるならばそれは大変おもしろいことではないかということを考えたとしても、それはおかしくはないと思うんです。しかし、これはあくまでも現在あるG8サミットの枠の中にはなかなか入らないことでございますが。
 したがって、私はやっぱり政治家ですから、いろいろな夢を描いてそれにチャレンジするということもまた決して悪いことではないので、小渕総理がそういうことを考えられたと仮にしても、それは私は大変すてきなことだなと、やや個人的にはそういうふうに思っております。
 それから、話が途中になりましたが、外務省の広報については、これはその畑におられた議員ですからなかなか説明は難しいわけですが、外交政策を進める上で、例えば今度の北朝鮮とのやりとりなどはなかなか難しい場面もあって、十分にどこまで説明ができるかという問題も実はあるということは御理解をいただかなければなりません。
 しかし、実際に過去に起きたファクトを説明をするということは、これは大事なことだと思います。それは努力をしたいと思います。
○田英夫君 今、北朝鮮の問題に触れられましたが、これも時間がありませんので十分申し上げられないんですが、今、外務大臣が言われたことは全く私も同感であります。沖縄サミットの文明論、文化論をやっていただきたいとも思います。
 また、北朝鮮問題については、ここまで来るまでにいろいろ御苦労があったろうと思います。北朝鮮という国の状況も考えますと、非常に難しい交渉をこれからもやらなくちゃいけないと思います。これはもうアジア局長は十分現地の方へ行かれたわけですからよく御存じだと思いますが、一つだけ参考になればと思うことを申し上げたいのは、もう二十年ほど前、韓国はまだ朴正熙政権のころ、北朝鮮が金日成政権のころに、特に朝鮮総連の人たちを含めて北と南の民主化をやろうとしている人たちの間で大論争がありました。
 それは、ここでも申し上げたことがあるんですが、一、民主、二、統一か、一、統一、二、民主かと、そういう議論なんですね。ということは、まず韓国の民主化、金大中さんや金泳三氏がやっていた、それをなし遂げることが第一で、それができなければ統一はできないという議論を主として韓国の民主化を支援していた人たちが主張し、これに対して北朝鮮系の人たちが反対をした。北朝鮮系の人たちは、一、統一だと、まず統一なんだと。統一すれば自然に韓国の民主化ができるという言い方をして大激論をした。今、それが実は現実には、一、民主がもうできているわけですね。
 それで、金大中大統領の太陽政策というのが、今、日本政府も支持しておられるけれども、逆にかつて一、統一、二、民主と主張した北朝鮮のその考え方は変わってないんじゃないかと思うんですよ。ですから、せっかくの太陽政策に対して北は乗ってないと。米朝を進め、今、日朝も進めようとしているにもかかわらず、南北というのは進まないという、そういう状況のときに日米韓という、先ほどもお話がありましたこの三国の協調の重要性は私も同感でありますが、その韓、一番当事者であるべき韓国が北から外されているというところが非常に難しいところではないかと思いますし、北はそこに一つの意味を持たせている、戦術として、こういうことを痛感いたします。
 ですから、日朝が今度の決断で緒につこうとしているときに、そのことは私は配慮すべきことではないかなと思っております。これはもう十分おわかりの皆さんですから、意見を申し上げるだけで、終わります。
○田村秀昭君 昨年の十一月二十二日に、中川一佐と門屋二佐が入間川の河川敷で市街地を避けて殉職をされた事件がありました。他人の命と自分の命の二者択一を迫られたとき、迷わず他人を選ぶ、この犠牲的精神は何と崇高なことかというような文章を、埼玉県の入間基地の近くにある狭山ケ丘高校の学校長の小川義男さんという人が「藤棚」という学校通信に、人間を矮小化してはならないという文章を高校三年生に出しております。これは、防衛庁長官のお話の中で事故の陳謝しかしていない、こういう自衛隊員の行動に対してみずからの命を犠牲にしたことはわかってやっていただきたいというようなことをなぜ言えなかったのかというような文章が書かれております。
 防衛庁長官は、かつて六十三年の七月二十三日に「なだしお」事件という潜水艦と釣り船の事故がありました。それで、長官は責任をとられて辞任をされております。隊員からも大変尊敬を受けている防衛庁長官だと私は認識しておりますが、マスコミが多分そういうことを書かなかったんではないかと。長官はいろいろなところでおっしゃっているかもしれないけれども、この学校の先生には伝わってないということであります。
 それで、私が本日申し上げたいことは、こういう現場で命をかけて守っている人たち、これは警察官もそうです、今不祥事があるかもしれませんが、現場のお巡りさん、消防士、みんな現場の人たちは命をかけて自分の任務を遂行している。そういうときにいろいろな不祥事件が起きて、その人たちの士気が非常に下がっているということは、これは政治がきちっとしないといけないんではないかと私は思うんです。
 そういうことが起きたらみんな、警察はだめで、防衛庁も自衛隊も全部だめで、消防署もみんなだめなのかどうか、政治が明確に判断しなきゃいけない。今、夜歩いて日本は治安が悪いですか、悪くないじゃないですか。それは命がけでそういう犯罪を、自分の命をかけて守っている警察官がいるからなんですよ。自衛隊もそうなんです。だから健全であるということですよ。そこを取り違えて、管区警察局長がおやめになりましたね。あの人も私が聞いている限り非常に部下思いの人だったというふうに聞いております。依田先生は警察だからよくおわかりになっている。そういうのがマスコミの書き方によって離職している、やめさせていると。何でやめさせなきゃいけないんですか。今、警察は治安を維持することですよ。国民が安心して夜中歩けるようなそういう町づくりをすることじゃないんですか。市街地を避けて自分の命を落としているパイロットがきちっといるんですよ。
 だから、ちょっとしたことが起きると、そこにわっと、新聞に書かれたことを政治家が一生懸命質問して、本当の姿が見失われるんじゃないかと私は思うんです。そういうことを防衛庁長官はきちっと言っていただきたい。外務大臣もきちっと言っていただきたい。そうしないと、日本の国はおかしくなりますよ。
 ここにも書かれているように「自らの政治生命ばかり大切にする最近の政治家の精神的貧しさが、ここには集中的に表れています。まことに残念なことであると思います。このような政治家、マスメディアが、人間の矮小化をさらに」、矮小化というのはどういうことかと言いますと、「つまり実存以上に小さく、卑しいものに貶めようとする文化が今日専らです。」と、こうつけ加えております。これは、僕が言っているんじゃないんですよ。学校長が言っているんですよ。すばらしい学校長だと思います。
 それで、その人に僕は電話をかけて、あなたはすばらしいねって言ったら、こういう本を送ってきた。「学校崩壊なんかさせるか」。善悪の区別、伝統の美点、国の誇りを信念を持って教え得る人が教師でなければならない。この小川さんというのは、そういう教師なんだ。
 こういうものをアメリカが占領政策で全部なくそうとしたわけですよ。それでもなおかつ我が国にはこういう命をかけて他人のために犠牲になろうとする人がいる。それが今一番我が国に欠けている点じゃないんでしょうかねと僕は思うんですよ。
 だから、こういう者を普通の殉職者扱いになぜするんですか。一階級特進でしょう、この中川君にしても。普通だったら金鵄勲章ですよ、こういうの、あればですよ、今ないからね。だから、一部の不祥事件に目をとられて、それで本当に一生懸命やっている人たちが士気をなくすようなことは、これはマスコミはいいけれども、政治家はしちゃだめだと私は思いますよ。
 そういう件について、防衛庁長官と外務大臣の御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 田村委員から、御所見をお述べになりながら幾つかの点につきましてお尋ねをちょうだいいたしました。
 私に対しましてといいますか、昨年十一月二十二日にとうとい自衛官の殉職があったわけでございますが、そのことに触れまして三点かと思うわけでございます。
 一つは、狭山ヶ丘高校校長の文書を読んで、長官としての所感を伺いたいということであり、もう一点は、事故を避けて殉職した隊員に対するいたわりの言葉がなかったではないかというようなことに触れ、さらに、犠牲的なこの殉職者の二名に対しまして、一階級特進という普通の扱いでは手厚く処遇するということにはならないということの三点かと思うわけでございます。
 累次お答えをしてまいりたいと思いますが、狭山ヶ丘高校の校長の書かれた文書につきまして触れますと、民家や学校への被害を避けるため、二名のパイロットは十分な高度での脱出をみずから選ばなかった。パイロットの行為を犠牲的精神、英雄的死という言葉で高く評価していただいております。大変ありがたいと思っております。
 このT33A型機の墜落事故の原因等の究明につきましては現在なお続いておりまして、若干日時をおかりいたすわけでございますが、間もなく原因究明を終えて発表できる段階に至ろうかと思うわけでございます。私はこの段階を経てまた所感を述べることが、お許しがあればさせていただきたいと思っておりますが、確かに人家等への被害を回避すべく最大限の努力を行いまして、その結果脱出時期がおくれ、とうとい命を犠牲にしたものと考えております。こういう意味で、結局殉死した二名のパイロット、中川尋史一等空佐及び門屋義廣二等空佐に対しまして、改めて敬意と哀悼の意を表したいと思っております。
 防衛庁といたしましても、二度とこのような事故が起きることのないよう、安全管理につきましても万全を期してまいりたいと、かように考えております。それにいたしましても、避けることのできない必死の覚悟の仕事であったというぐあいに評価をさせていただいておるわけであります。
 なお、この殉職した隊員に対するいたわりの言葉がなかったではないかということでございまして、私はこう述べましたということは申し上げるまでもございませんが、当日の記者会見を通じまして、実は痛ましい二名の隊員に対しまして哀悼の意を表したところでございますが、それぞれ記者といたしましては、限られた紙面であり、限られた時間内でありますので、それらのことにはお触れいただくことがなかったわけでございますが、私としては大変この二名の得がたい覚悟というものを今日なお評価をさせていただいておるわけであります。改めて哀悼の意を表させていただきたいと思っております。
 なお、さらに細部にわたります感想につきましては、今事故調査報告書、最終的な段階でございますので、私といたしますれば現段階のコメントはなるべく避けさせていただきたい、かように思っております。
 加えて、委員から特進の点につきましてもお触れをいただいております。
 自衛官が公務遂行中死亡した場合、当該隊員に故意の犯罪行為または重大な過失がないと認められるときは、通常一階級上位に特別昇任させております。また、二階級上位の階級への特別昇任につきましては、二佐以下の自衛官で、治安出動、海上警備行動、災害派遣、対領空侵犯措置、国際平和協力業務等で特に困難な状況において当該業務に従事することにより死亡または重度の心身障害の状態となった者を対象としておるわけでございます。
 今回の事故は、年間飛行訓練を実施し、入間基地への帰投中の事故であり、公務上の負傷により死亡した事故であって、また現時点で事故機の搭乗者に故意の犯罪行為または重大な過失を認められないことから、特別昇任の対象となるものではございますが、今回の事故はパイロットの技量を維持するための通常の年間飛行訓練であり、治安出動、海上警備行動、災害派遣、対領空侵犯措置、国際平和協力業務等に相当するような業務とは言えませんが、しかし防衛庁としては、現在、事故原因等について鋭意調査をいたしておりますところであり、業務の遂行中、他者からの攻撃とか厳しい気象条件下で行動せざるを得ないといったような特に困難な状況に相当するか否かについては、事故調査報告の結果を得てさらに精査する必要があることから、とりあえず従来の例に従いまして、殉職者二名をそれぞれ一階級上位の階級に特別昇任させたものでございます。
 以上、申し上げた諸点について委員の御理解を得ておきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 人の命のために自分の命を捨てるということは、どんなに表現しようとしても表現し切れないほどの大きなことだと思います。心から敬意と哀悼の意を表したいと思います。
 恐らくお二人の方にも愛する御家族もおられたに違いない、そうしたことを考えるにつけて本当に痛ましいことでもありますし、そのことがお二人の、仕事上の魂といいますか、そういうものがなせるとっさの判断であったんだろうと思います。
 考えてみると、現在、我々は平穏な社会で生活を送っておりますけれども、見えないところで深夜あるいは早朝から、社会の仕組みを守ってくださる多くの方々がいらっしゃるということに常に感謝の気持ちを持ちながら、できるだけ善意を持ってこの社会を生きていきたいというふうに思っております。
○田村秀昭君 終わります。
○佐藤道夫君 時間の関係もありまして、どうも防衛庁関係までには遺憾ながら及ばないということなので、御退席いただいて結構でございます。また次回に、しかし心して参っていただければと、こう思います。
 それでは、残られました外務省にお尋ねいたします。
 最初に、ペルー事件のその後の交渉経緯であります。
 ペルーを旅行中の早稲田の学生二名がペルー国軍隊に殺害されたという事件でありまして、この件につきましては河野外務大臣が殊のほか関心というのか問題意識をお持ちになりまして、知恵があったらかしていただきたいというお話もございまして、当委員会が昨年の十二月、委員会決議をいたしまして、そしてようやく腰の重かった外務省も動き出しまして、その後の御発表というのか御説明によりますと、何か在日のペルー大使を窓口として遺族とペルー国との折衝が始まっておるということでございましたが、その後いかになっておるのか、それと、大体いつごろ解決するであろうかという見通しも含めて御説明いただければと思います。
○国務大臣(河野洋平君) ペルーにおきます早大生殺害事件につきましては、本委員会に大変お世話になりまして、本委員会の御判断というものがこの事件を動かす大きなかぎであったということに改めて感謝をいたしたいと思います。
 今お尋ねでございますが、昨年末に両遺族は、弁護士を代理人としてアリトミ在京大使、ペルーの大使はアリトミさんとおっしゃる方ですが、アリトミ在京大使を通じてペルー政府に話し合いによる円満解決を希望する旨の要望書を提出いたしました。これに対しまして、ペルー側も話し合いによる円満解決を図ることについて同意をいたしました。これを受けて、両遺族は本年一月、具体的な内容を記載した賠償請求を提出したところであります。
 その後、アリトミ在京大使よりは、本件につき早期に回答すべくペルー本国政府において鋭意準備中であるとの説明を受けているところでございます。
○佐藤道夫君 先月の二十二日、当委員会におきまして近く海外に赴任されるという新任大使四人をお呼びいたしましていろんな御意見を承った。
 その中に、木谷ペルー大使もおられたわけでありますので、私から木谷大使に対しまして、ペルー国に赴任してフジモリ大統領に会うことがあるだろう、当然でありまするけれども、その際に本件の問題の速やかな解決方を話してほしいということが第一と、それから第二といたしまして、これはなおと言ってもいいんですけれども、昨年五月、フジモリ大統領が来日した際に、外務省のあっせんもなかったためかどうか知りませんけれども、遺族に会おうともしなかった、謝罪の言葉一つもなかった。これは日本人の血が流れておるフジモリさんらしくないことであるからして、これについては老婆心ながら御注意を申し上げるということではどうかと言いましたら、木谷大使も、わかりましたというこの委員会での返事でございました。
 国会に対してそういう返答をされたわけですから、当然、ペルー国に行きまして大統領に会ってその旨の話をしておって、そのことは外務省本省にもまた回答が来ているのだと思います。どんな内容で、どんなフジモリさんの返事であったのか、それをちょっと御披露していただければと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 木谷大使でございますが、十日にペルーに着任をいたしまして、昨日十三日に信任状を奉呈されたようでございます。したがいまして、フジモリ大統領その他ペルー政府関係者とまだ実質的な会談を持つに至っておりません。昨日、とにかく大使として認められたということでございます。
 いずれにいたしましても、昨年の当委員会の決議を踏まえて、遺族によります在京ペルー大使館を通じた和解交渉の進みぐあいも考慮することは当然でございます。必要な場合には、私からもさらに大使に、ペルー側に対する直接の働きかけについて報告を求め、あるいは指示をしたい、こう考えております。
○佐藤道夫君 ちょっと参考までなんですけれども、その新任大使さんたちの話を聞いた際に、同僚の田村議員が、何か年末か何かに発令になっているんですか、それで赴任するのが三月、一体何をやっているんだ、余りにも遅いじゃないかということをお尋ねしたら、いや間もなく着任するんですよということを言っていました、皆さん口をそろえて。随分遅いですね、その着任が。
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと正確な事実がわかりません。調べますが、たしか二月に発令、三月に赴任ということであったというふうに記憶をいたしております。もう一度正確に調べてみます。
○佐藤道夫君 その次に、日本、韓国との間の逃亡犯罪人引き渡し条約のこれまた締結交渉の経緯について御説明いただきたいと思います。
 これは一昨年、許永中被告が逃走いたしまして、それで私、問題である、一番問題となる韓国との間に逃亡犯罪人引き渡し条約がないのはいかがかということを当委員会で質問いたしまして、時の高村外務大臣が、まことにごもっともな指摘なので重く受けとめて直ちに事務当局に下命して準備を始めさせると、こういうことでありまして、その年、間もなく開かれました日韓の首脳会議でも共同声明の中にこの項目が盛り込まれておるわけでありますが、その後一度どうなったかと当委員会で尋ねましたら、何か関係省庁間の意見がなかなか合わなくて交渉が進みませんと、こういうお話でした。
 私が取り上げてから既に二年近くたっておるわけでありまして、関係省庁の利害がどういうふうに複雑に絡み合っているのかわかりませんけれども、その間の交渉経緯と何が障害なのか、これまたそれからいつぐらいに大体締結可能になるのか、その辺も踏まえてお答えいただければと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおりでございます。
 日韓逃亡犯罪人引き渡し条約締結につきましては、九八年十月の金大中大統領訪日の際の日韓共同宣言におきまして、日韓の両首脳の間で日韓逃亡犯罪人引き渡し条約の締結のための話し合いを開始するということにつきまして合意をいたしております。
 これに基づきまして、現在、韓国側に我が方条約草案を提出すべく関係省庁間で調整を行っているところであり、できるだけ早急に韓国側と条約の締結のための話し合いを開始したいと考えております。つまり、日韓では合意をして、この問題をやろうという首脳の合意はできたわけですが、日本側から現在の時点でまだ韓国に対して草案の提示ができていないというのが現状でございます。
 その理由は何かということでございますが、関係省庁間の調整がまだできていないということのようでございまして、これはまさしく関係省庁間の調整という以外には申し上げようがないのでございます。
○佐藤道夫君 もう少し具体的に、どこの省とどこの省の間にどういう問題で利害が対立していて、こんなに二年もかけてもなかなか解決しない。これは役人の縄張り根性なのかサボり根性なのか、それとしか言いようがない。日韓共同声明できちっと宣明されているのにかかわらず、やっぱり省庁が勝手なことを言って話が決まらないと。勝手なことを言っているというような問題じゃないんですよ。犯罪人が逃げてきた、逃げていった、捕まえて引き渡す、それだけのことですから、何も大議論をするような問題じゃないと私は思うんですけれども、もう少し具体的に説明願えればと思います。
○国務大臣(河野洋平君) この問題は、解決を先に延ばそうとか調整を先に延ばそうということは全くないことだけ申し上げておきたいと思います。
 できるだけ早く問題を解決したい、問題を解決したいといいますか、日本側の調整を終わらせて韓国側に草案を提示したいという気持ちでおります。私自身もそういう気持ちでおりますし、日韓間は大臣の行き来も大変盛んでございますから、首脳レベルあるいは各大臣レベル、頻繁に会合、会議が行われるわけでございますから、この問題について先に延ばさなければならない理由は全くないと思います。
 私もさらに関心を持ってこの問題の調整についてよく点検をしてみたいと思いますが、少なくとも今の時点では、幾つかの複数の省庁間の合意がまだできないということだけぜひ御理解をいただきたいと思います。
○佐藤道夫君 実は先般、当委員会の理事メンバーで韓国大使を囲む懇談会がありまして、私、この問題を持ち出して韓国大使の感触を承ってみましたけれども、要するに日本側が具体的な案を示してこないので動きがつかぬのだということを言っておりました。
 今、関係省庁間にと、こういうことを大臣おっしゃられましたが、この問題に関係するのは法務省と警察庁だけですから、警察庁は不祥事で忙しいのかどうか知りませんけれども。そして、先ほど言いましたけれども、犯罪者を捕まえて引き渡す、それだけのことですから、何も二年もかけて議論をするような問題は一切ないはずで、やっぱりこれは率直に言ってサボりとしか言いようがないんじゃないか。外務大臣からもう少し強く、関係省庁といっても二省しかないわけですから、申し入れて、問題を速やかに解決しなさい、どうしても決まらなきゃじゃんけんぽんで決めてもいいんですからね、大した問題でもないんですから、それぐらい強い態度でちょっと迫ってください。決意のほどをちょっと。
○国務大臣(河野洋平君) 参議院の外交・防衛委員会において非常に強い御意見があったということを伝えます。
○佐藤道夫君 次に、中国の政府関係機関の倒産問題というのか、それについてお尋ねいたします。
 これも昨年秋からことしにかけて各新聞に華々しく報ぜられた問題でありまして、中国の政府関係機関であるノンバンクが倒産した、そしてそこには日本の銀行が幾つか融資をしている、融資総額、融資総額というかその不良債権になった額が四千億だ、こう言っております。そして、これは中国政府が政府保証をしていた。そもそもそのノンバンクなるものは中国政府がつくったもので、融資する場合は政府が保証をしているということで日本の銀行も安心して融資をしたんだろうと思います。
 これにつきまして中国の最高人民法院、日本の最高裁判所に当たるところでありますけれども、これは政府の命令で、今後この債権者側の訴えは受けつけない、それから既に判決、支払い命令が出ている判決はこれは凍結をしてそのままにしておくという通達を下級裁判所に出しまして、それで支払いもストップしている、裁判も受けつけられないと。これ、近代文明国家でこんなことをする、政府が最高裁判所に命令する、最高裁判所が下級裁判所に命令する、こんな国はもはや文明国とも言えないんじゃないかというふうにしか思えないんですけれども、いずれにいたしましてもそういうことで支払いはストップと。
 昨年六月の何か日中の首脳会議で小渕総理が善処方を求めたら、向こうの回答は十分な調査をせずに融資した日本の銀行に責任があるんだと、こういう答弁だったと。これもまたおかしな話で、政府が保証しているんですから、だれも調査はしないでしょう。安心して融資をする、当たり前のことなんですが、それを返済してこない。
 これは、日本は中国に対してODA、膨大な額を投じておりますよ、有償、無償。過去二十年間で総額二兆円に近いようなODA、この中には有償もあれば無償もある。有償の場合には十年間据え置いて二十年間、計三十年で返させると、こういう大変な好条件でお金を融資している。
 率直に言いますと、借りるときは遠慮なく借りっ放しで、自分たちが保証して政府関係機関が民間から、日本の企業から借り受けた金は返さない、こんな虫のいい話はないし、これもペルーの実は殺害事件と同じように国対国の問題なんですね、大変大事なことですけれども。
 要すれば、政府は国民の生命、財産の保障をする、安全を確保する責務があるわけですよ。ですから、向こうの政府が、いわば政府が借りたお金ですから、それを政府が返さない、これについては日本政府はきちっとした対応をすべきなんでありますよ、何をさておいても。日中関係の友好とか、そんな問題じゃない。これは法治国家として法律を実施するかどうか、それだけの話なんでありまして、相手が共産国であろうがどこであろうが法律の概念というのは変わるわけはないんですから、借りたものは返せと、それだけのことなんですからね。
 これもペルーのときに私申し上げたんですけれども、ペルー政府がもし遺族に賠償しなければペルーに対するODAの中から差し引け、差し引いて遺族に払うべきではないのかと。日本政府はその命を守っていなかったわけですから。今度は銀行といえどもこれは国民なんですね。石原知事に言わせるとどうも国民じゃないみたいな言い方もしておられますけれども、銀行も国民、銀行の財産を守るのは政府の責務なんですよね、当然のことですけれども。
 そういたしまして、銀行が、そうですか、これは不良債権になりましたといって損金の処理をすると、その分税金がかからなくなる、経費から引かれる。しかし、政府は銀行が納めない税金をどうしてもどこからか都合する必要があるわけですから、その税金分はこれは国民全部、我々の肩にかかってくるんですよ。
 そういう意味でも、政府、特に外務省はこの問題に真剣に中国政府と交渉をして、やっぱりきちっと政府が保証した以上払うものは払いなさい、そうでもなきゃこれからODAでやるそういう援助、有償、無償か知りませんけれども、それからやっぱり差し引かざるを得ませんよということをきちっと中国政府に伝達すべきじゃないでしょうか、申し入れるべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか、外務大臣の御所見は。
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと御答弁申し上げる前に、木谷大使の問題でございますが、今確認をいたしましたが、一月十七日に発令をいたしておりまして、着任は三月七日になっております。少しその間期間が長いのは、若干健康上の問題、健康診断を受けたということがございまして、しかし、もう元気に三月七日に着任をいたしております。このことだけまず御報告をいたします。
 今のノンバンクの話でございますが、中国のノンバンクに対する邦銀の、我が国銀行の債権回収にかかわる問題につきましては、適切な解決が図られなければ我が国を含む海外からの対中融資にマイナスの影響をもたらすことになるだろう、これは当然のことだと思います。貸したものが返らぬということになれば、各国からの融資はそれ自体非常に難しくなってくるというふうに思います。その結果、日中経済関係のみならず中国の外資導入全体にも悪い影響を与える深刻な問題だろうというふうに思っております。
 これは当然のことだと思いますが、そういう状況について我々としては大変懸念を持っておりまして、政府としても、今お話しのように、昨年七月の小渕総理訪中の折、朱鎔基総理との日中首脳会談の場を含め中国側関係者に対してさまざまな場で日本側関係者の懸念とこの問題解決への要望を伝えまして、我が国金融機関が納得できる形でこの問題の早期解決が図られることを求めたという経緯がございます。
 しかし、事態はその後進展をしておりませんで、事態の進展について我が国の考え方及び要望を累次中国側に申し入れ、適切な対応をこれから先も求めなきゃいかぬというような状況でございます。まだ、現時点におきましてこの問題解決の状況になっておりませんことをまことに残念に思います。
○佐藤道夫君 中国政府はこの件について現在はどういうことを言っているんでしょうか。もうそんなものは払う気はないと、はっきりこう言っているんでしょうか。いかがなんでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど申し上げましたように、小渕総理よりの懸念表明の後に、有効な解決策についてはなかなかないようでございまして、朱総理はGITICについては救済が不可能となったので破産の決定をしたが、債権者の利益にも配慮している、債権者と債務者との間の話し合いが大切だというふうに述べておりまして、現在、中国は金融改革が何より必要であると述べた上で、日本の銀行の理解を求めているという状況でございます。
○佐藤道夫君 政府保証のしてある融資なんですよ。債権者対債務者の問題というのはそんなものじゃない。中国政府対債権者、先ほど言いましたけれども、むしろ国対国の問題なんだ、こういうことなんですよ。日本の銀行もいいかげんですから、これが取れなきゃどうせ税金を払うよりはもう欠損処理において済ましてしまおうと、そんなこともあるいは考えているのかもしれませんけれども。
 先ほど言いましたように、物事はめぐりめぐって我々国民の税金にかぶさってくるわけですから、大臣の払う税金にもまたかぶさってくるわけですから、どうか自分の問題だという受けとめ方をされて真剣に対応してもらいたい。ペルーの事件も外務大臣の一言で解決の方向に動き出したということもありますので、この問題、日本国の問題、国民の問題、自分たちの問題という受けとめ方をして、ODAから差し引くぞというぐらい言ったっていいんじゃないでしょうか。別に脅迫罪にはならないと思いますけれどもね。きちっと申し入れてみたらどうでしょうか。最後にどうぞ。
○国務大臣(河野洋平君) いかなる解決策があるかよく検討させていただきたいと思います。
○委員長(矢野哲朗君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) 次に、就業が認められるための最低年齢に関する条約(第百三十八号)の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。河野外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) ただいま議題となりました就業が認められるための最低年齢に関する条約(第百三十八号)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
 この条約は、昭和四十八年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の総会において採択されたものであります。
 この条約は、児童労働の実効的な廃止を確保する観点から、すべての経済部門において就業が認められるための最低年齢等について定めたものであります。
 我が国がこの条約を締結することは、児童労働の廃止を達成するための国際的な取り組みを推進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(矢野哲朗君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四分散会