第147回国会 外交・防衛委員会 第4号
平成十二年三月十五日(水曜日)
   午前十時三分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         矢野 哲朗君
    理 事
                鈴木 正孝君
                武見 敬三君
                小山 峰男君
                益田 洋介君
                小泉 親司君
    委 員
                佐々木知子君
                村上 正邦君
                森山  裕君
                山崎  力君
                山本 一太君
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                浅尾慶一郎君
                海野  徹君
                松前 達郎君
                荒木 清寛君
                立木  洋君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     河野 洋平君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  瓦   力君
   政務次官
       外務政務次官   東  祥三君
       外務政務次官   山本 一太君
       総理府政務次官  長峯  基君
       防衛政務次官   依田 智治君
       防衛政務次官   西川太一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      上田 正文君
       防衛庁参事官   小林 誠一君
       防衛施設庁長官  大森 敬治君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     上田 秀明君
       外務省条約局審
       議官       小松 一郎君
       大蔵省理財局次
       長        村井 博美君
       郵政省放送行政
       局長       金澤  薫君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇平成十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十二年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十二年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(国際平和協力本部、防衛本庁、
 防衛施設庁)、外務省所管及び内閣府所管(国
 際平和協力本部、防衛本庁、防衛施設庁))
〇就業が認められるための最低年齢に関する条約
 (第百三十八号)の締結について承認を求める
 の件(内閣提出)

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○委員長(矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁、外務省所管、内閣府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁についての審査のため、本日の委員会に防衛施設庁長官大森敬治君、防衛庁参事官小林誠一君、大蔵省理財局次長村井博美君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(矢野哲朗君) 昨日、予算委員会から、三月十五日の一日間、平成十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁、外務省所管、内閣府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題とし、順次予算の説明を聴取いたします。
 まず、外務省所管予算について説明を聴取いたします。河野外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) 平成十二年度外務省所管一般会計予算の概要について御説明申し上げます。
 外務省予算の総額は七千七百三十七億一千六百万円であり、これを平成十一年度予算と比較いたしますと百四十一億九千五百万円の増加であり、一・九%の伸びとなっております。
 新千年紀の幕をあけた現在、民族、宗教といった帰属意識の相克を乗り越え、対話と協調により問題を解決していく国際社会の構築に向け、たゆみない努力が続けられなければなりません。また、国際社会の持続的な安定と繁栄のため、社会的公正の確保や環境、貧困、社会的弱者への対応といった問題に対し引き続き国際社会が一致協力して対応することが必要であります。こうした課題を前に、我が国は増大する国際社会の期待にこたえ、その国際的地位、影響力にふさわしい積極的で創造性豊かな役割を果たしていく責任があります。
 このような観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重大であります。その使命を果たすために、平成十二年度におきましては、厳しい財政事情のもとではありますが、外交施策の充実強化と外交実施体制の強化の二点を重点事項とし、予算の効率的配分を図っております。
 まず、外交施策の充実強化に関する予算について申し上げます。
 外交施策の充実強化の五つの柱は、九州・沖縄サミットの円滑な実施、平和・安全、人間の安全保障の推進、対ロシア政策の推進、二国間援助等の推進、そして国際文化交流の推進であります。
 九州・沖縄サミットは平成十二年度における我が国外交の最重要課題であり、その円滑な実施に向けて百一億円を計上いたしております。
 次に、平和・安全、人間の安全保障の推進でありますが、我が国の国際的地位に見合った責務を果たすべく、紛争予防、予防外交への積極的取り組み、軍縮・不拡散分野における貢献、さらには人間個人に着目した人間の安全保障の観点から具体的な施策を講ずべく総額三百三十億円を計上いたしております。
 また、対ロシア政策の推進につきましては、平和条約の締結を目指し、日ロ関係の一層の進展を図るべく北方領土関連、支援委員会拠出金等に総額十六億円を計上いたしました。
 次に、二国間援助等の推進でありますが、平成十二年度政府開発援助につきましては、一般会計予算において政府全体で対前年度比〇・二%減の一兆四百六十六億円を計上しております。外務省のODA予算について見ますと、対前年度比〇・四%増の五千六百二億円となっております。
 このうち無償資金協力予算は対前年度比一・一%増の二千四百五億円を計上しておりますが、その内訳は経済開発等援助費が二千七十九億円、食糧増産等援助費が三百二十六億円であります。また、我が国技術協力の中核たる国際協力事業団につきましては対前年度比一・二%増の千七百九十二億円を計上しておりますが、特にシニア海外ボランティアにつきましては、対前年度比三百人増の四百名を派遣すべく予算を計上いたしております。
 さらに、国際文化交流の推進でありますが、九州・沖縄サミットの成功に向け、沖縄を初めとした我が国の多様な文化の紹介、また国際社会における正しい対日理解を促進するため、日本語普及等文化交流基盤の整備のために六十億円を計上しております。
 次に、外交実施体制の強化に関する予算について申し上げます。
 まず、定員の増強につきましては、危機管理・安全体制の強化を中心とし、本省及び在外公館合計で七十三名の増員を図り、平成十二年度末の外務省予算定員を合計五千二百八十九名といたしております。また、機構面では在ユジノサハリンスク総領事館の新設などを予定しております。
 さらに、在外公館の機能強化につきましては、在外公館施設等の強化及びキルギス邦人誘拐事件等の教訓を踏まえた危機管理体制、海外邦人安全対策の強化のために四百十三億円を計上しております。
 加えて、外交政策策定の基盤となる情勢判断に不可欠な情報・通信及び連絡網の整備に要する経費として八十五億円を計上しております。
 最後に、平成十二年五月一日以降に公示される衆議院議員選挙または参議院議員選挙から在外での投票が開始されることとなっており、このための経費として十三億円を計上しております。
 以上が外務省所管一般会計予算の概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(矢野哲朗君) 次に、総理府所管のうち防衛本庁及び防衛施設庁並びに内閣府所管のうち防衛本庁及び防衛施設庁の予算について説明を聴取いたします。瓦防衛庁長官。
○国務大臣(瓦力君) 平成十二年度防衛庁予算について御説明いたします。
 平成十二年度防衛関係費につきましては、平成九年十二月に安全保障会議及び閣議で決定された見直し後の中期防衛力整備計画の最終年度として、引き続き取得改革の推進等により経費の節減合理化に努めつつ、防衛力全体として均衡のとれた態勢の維持整備を図るとの考え方のもと編成しているところであります。
 まず、防衛本庁について申し上げます。
 平成十二年度の防衛本庁の歳出予算額は四兆三千三百六十三億四千九百万円で、前年度の当初予算額に比べますと三十億五千九百万円の減少となっております。
 新規継続費は、平成十二年度甲型警備艦建造費等で一千百四億六千五百万円となっており、また、新規国庫債務負担行為は、武器購入、航空機購入、艦船建造、装備品等整備等で一兆五千四百五十八億二千五百万円となっております。
 この予算の内容について申し上げます。
 平成十二年度防衛本庁の予算において特に重点を置いた事項について申し上げると、次のとおりであります。
 第一に、陸上装備、航空機、艦船等の主要装備については、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう、老朽装備の更新・近代化を基本としてその整備を進めることとし、九〇式戦車、支援戦闘機F2等の調達を行うほか、護衛艦四千六百トン型等の建造に着手することとしております。
 第二に、情報・指揮通信機能については、新たにコンピューターセキュリティー基盤の整備を図るとともに、引き続き情報本部の機能の充実、新中央指揮システム、固定式三次元レーダー装置等の整備等を進めることとしております。
 第三に、教育訓練については、国際化、装備品の高度化に対応するとともに、部隊の練度の維持向上を図ることとしております。
 第四に、隊員施策については、隊舎、宿舎等の生活関連施設等の整備を図るとともに、諸手当の改善、生活勤務環境の改善等を行い、隊員の処遇改善に努めることとしております。
 第五に、技術進歩の趨勢等を勘案し、新たに新通信電子妨害システム、七六ミリ砲用新近接信管の試作を行う等、装備品等の研究開発を推進することとしております。
 第六に、防衛大綱のもと、見直し後の中期防衛力整備計画に従い、基幹部隊の見直しを行うこととし、第十二師団の旅団への改編を行うとともに、あわせて即応予備自衛官を導入することとしております。
 第七に、不審船事案、ゲリラコマンド攻撃、NBC(核・生物・化学兵器)等、多様な事態に有効に対応し得るよう装備等の充実を図るとともに、弾道ミサイル防衛、BMDシステムに係る日米共同技術研究を推進することとしております。
 第八に、安全保障対話の充実等を図るため、太平洋地域陸軍管理セミナー、PAMS等各種の交流等を実施するとともに、外国人留学生の受け入れを促進することとしております。
 第九に、防衛調達改革については、装備品等契約企業の制度調査等を行うとともに、調達実施本部の廃止を含む調達機構改革を実施することとしております。
 また、取得改革につきましては、引き続きこれを推進することとし、予算単価の削減に努めているところであります。
 次に、防衛施設庁について申し上げます。
 平成十二年度の防衛施設庁の歳出予算額は、後述のSACO関係経費を除き五千八百五十一億二千四百万円で、前年度の当初予算額に比べますと四十七億五千四百万円の増となっております。
 また、新規国庫債務負担行為は一千八十四億三千八百万円となっております。
 この予算の内容について申し上げます。
 平成十二年度予算において特に重点を置いた事項は、次のとおりであります。
 第一に、基地周辺対策経費につきましては、基地の安定的使用を図るため、基地周辺地域における生活環境の整備等を推進することとしております。
 第二に、在日米軍駐留経費負担につきましては、在日米軍の円滑かつ効果的な運用に資するため、提供施設の整備を行うとともに、労務費、光熱水料等及び訓練移転費を負担することとしております。
 また、このほかにSACO関係経費として、SACO最終報告に盛り込まれた措置を着実に実施するため、歳出予算に百四十億三千万円を、新規国庫債務負担行為に十九億百万円をそれぞれ計上しております。
 以上申し述べました防衛本庁及び防衛施設庁予算に安全保障会議予算二億九千八百万円を加えた平成十二年度防衛関係費の総額は、SACO関係経費を除き四兆九千二百十七億七千百万円となり、前年度の当初予算額に比べ十六億九千八百万円の増となっております。
 なお、これにSACO関係経費を加えますと四兆九千三百五十八億百万円となり、前年度の当初予算額に比べ三十五億九千四百万円の増となっております。
 なお、平成十二年度における陸上自衛隊の研究本部の新設、第十二師団の旅団への改編、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数の変更並びに特別警備隊員手当の新設等については、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を提出し、別途御審議をお願い申し上げております。
 以上をもちまして、防衛本庁及び防衛施設庁の予算の概要説明を終わります。
○委員長(矢野哲朗君) 次に、総理府所管のうち国際平和協力本部並びに内閣府所管のうち国際平和協力本部の予算について説明を聴取いたします。長峯総理府政務次官。
○政務次官(長峯基君) 平成十二年度国際平和協力本部予算の概要について御説明申し上げます。
 平成十二年度一般会計予算につきましては、中央省庁等改革に伴う新体制移行を反映させたものとなっており、総理府所管に計上いたしました国際平和協力本部予算額は五億八百万円でありまして、新体制移行後は内閣府所管の同本部予算として五千九百万円の予算額を計上いたしております。ちなみに、これらを合わせて国際平和協力本部の予算額は五億六千七百万円であり、これを前年度当初予算額五億七千万円と比較いたしますと三百万円の減額となっております。
 次に、その内訳について御説明申し上げます。
 第一に、国際平和協力業務等普及啓発経費及び人道救援物資備蓄経費等の国際平和協力本部に必要な一般事務処理経費として四億七千万円、第二に、シリア・アラブ共和国南西部のゴラン高原における国際平和協力業務の実施等経費として九千七百万円を計上いたしております。
 以上が平成十二年度国際平和協力本部予算についての概要であります。
 よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
 以上です。
○委員長(矢野哲朗君) 以上で説明の聴取は終了いたしました。
 この際、お諮りいたします。
 外務省及び防衛庁関係予算の大要説明につきましては、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○小山峰男君 民主党の小山でございますが、きょうはいわゆる思いやり予算の関係とあわせて基地問題についてお伺いをしたいと思います。
 私は、基本的には日本の安全保障も含めてやっぱりある程度の基地は必要だというふうに考えております。もちろん縮小するなりあるいは移転するなり、あるいはその迷惑感を減少させるというようなこれからの努力は必要だというふうに思うわけでございます。
 まず、一点目としまして、一月に佐世保の基地等をこの委員会で現地調査してきたわけでございますが、大変アメリカ軍の司令官も気を使っておりまして、日本の大変な配慮でとか、あるいは地域と溶け込むために夏祭りに基地の皆さんが参加するとか、そういうような努力をしているというようなお話を伺ってきたわけでございまして、アメリカ側においてもかなり日本の国民の気持ちに配慮した形で対応しているんだなというのを感じさせていただいてきたわけでございます。
 佐世保港へ行ってまたいろいろ状況を拝見してきました。あそこは御存じのとおりアメリカ軍、それから海上自衛隊、それからSSK、佐世保重工業ですか、この三者があの港を共同利用しているというような状況で、大変いろいろの課題が多いと。県なり市長さんからも要望等をいろいろ受けてきたわけでございますし、またSSKの社長さん等からも大変な要望を受けてきているわけでございまして、一日も早く基地と共存するためにはそういう課題を一つずつ積極的に解決していく必要があるだろうというふうに思うわけでございます。ここはSSKだというようなすみ分けをぴしっとやることによって、SSKは何か艦船の建造なんかもちょっとドックがないというようなことで今お断りしているというような状況もあるというようなお話も聞いてきたわけでして、ぜひこの辺も含めてぴしっとしたすみ分けをすべきだと。
 現地でも、それぞれの代表者等が集まって調整の会議をというようなお話を聞いたんですが、私は、これは防衛施設庁の関係になるのか、もうちょっと、いわゆる外務省用語で言えば高官レベルで何かそういう調整機関あるいは協議機関をつくって積極的に対応していくという、そういう姿勢がなければ、基地というのはいつまでたっても何かそこに置かれた異物みたいな感触を国民に与えてしまうというふうに思うわけでございますが、そのすみ分けの関係、あるいはそういう調整機関を今後どういう形でやっていくのか、その点についてまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 小山委員には、現地を御視察いただきまして、またただいまは貴重な御意見を加えた御質問を賜り、ありがとうございます。
 佐世保地区における諸問題を抜本的に解決を図るためには、防衛施設の移転、集約を行い地元施設との分離を図る、このすみ分けの問題も含めて取り組む必要がある、かように考えるものでございます。佐世保地区全体の利用計画を検討する必要がございまして、この検討は、佐世保市、民間企業、米海軍、自衛隊等の多くの利害関係者相互の共存を図る必要上、中長期的な問題として取り組むべきものと考えております。今後、関係者の意見を聴取しながら検討してまいりたいと考えております。
 なお、平成十一年八月、佐世保地区における諸問題の円滑かつ適切な処理を図るために佐世保問題現地連絡協議会、これは長崎県、佐世保市、佐世保地方総監部及び福岡防衛施設局、この四者を構成員といたしまして設置されております。連絡協議会におきまして、現地レベルでの情報交換、問題点等の協議を進めているところでございまして、防衛庁といたしましても、佐世保地区の整備につきまして今後一層努力をしてまいりたい、かように考えております。
○小山峰男君 現地における調整機関としては、今、昨年の八月ですか、つくられたというお話をお聞きしたんですが、防衛庁あるいは防衛施設庁というような段階でもこの問題は積極的に対応しないと、やっぱり基地は嫌なんだというみんながそういう印象を持つ可能性があるというふうに思うので、今いろいろ意見を聞いてという、今後検討したいということですが、ぜひこの問題については積極的に対応していただきたいと御要望申し上げておきます。
 次に、通称思いやり予算の関係でございますが、外務省から資料をいただきました。きのうも小泉委員からお話があったわけでございますが、五十三年にスタートして、このときには日本側のシェアが三五%、それから米側の負担額が六五%というのが五十三年度時点の在日米軍駐留関連経費日米負担額、日米負担額というか、いわゆる関連経費の負担額の割合だと。現時点で、十一年度で見ますと、日本側の負担額のシェアが六六%、それから米側の負担額のシェアが三四%と、まさにこの五十三年のとき、今十一年になると漸増してきておりまして、日本側の負担が逆転をしているという状況の資料を今外務省からいただきました。
 これはこれでそれぞれ理由があってというふうに思うわけでございますが、やっぱりこういう問題についても国民の皆さんの理解を得ながらやっていくという必要があるし、これはこういうことで必要なんだというそういう説明がぴしっとなされないと、ただつかみでだんだんふえてきたなというような印象が残ってしまうと。そういう意味では、きちっとした説明を国民にすべきだというふうに思うわけですが、この点についてどうでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおりだと思います。相当な額を我が方で負担をする以上は十分に国民の理解を得る努力も一方で必要であろうと思っております。
 私どもといたしましては、日米安保条約の重要性、そしてその日米安保条約が効果的、機能的に運用されるように、つまり日本の安全保障がより効果的になされるように考えていかなければならないということが最も重要な点でございます。
 こうした点につきましても、広く国民の皆様、そして基地周辺を初めとして関係の皆様方にはとりわけ御理解をいただかなければならないというふうに考えておりまして、広報その他を通じてこうしたことを努力していくつもりでございます。
○小山峰男君 必要なものは必要なので、逃げる姿勢というか、あるいはごまかすような姿勢はやっぱり国民の不信感を招くというふうに思っているわけでして、情報公開も含めて、国民の皆さんの納得をぜひとりながらこういう問題をやっていってほしいというふうに思っているところでございます。
 次に、これらと関連しまして日米地位協定の問題に入るわけでございますが、まず、地位協定を改定する場合というのはどういう手続が要るのか、御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 日米地位協定の改定と申しますか改正する仕組みについて御説明を申し上げたいと思いますが、日米地位協定、協定上の仕組みにつきましては、同協定の第二十七条に改正に関する規定が設けられております。
 この規定によりますと、日米両締約国政府の一方が改正を希望する場合には、この規定に基づいて他方に対して改正を要請し、両政府間で交渉する、概略申し上げますとそういう仕組みでございます。
○小山峰男君 二月の十五日に沖縄へ行ったわけでございますが、そのときに、沖縄の地元紙の中で、「米軍機石垣空港に飛来」、「県の自粛要請受け入れず」と。この飛来については、いわゆる日米地位協定第五条でどこの空港なりあるいは港にも入れるんだという解釈で行われているというふうにこの新聞記事では言われておるわけでございます。
 それで、日米地位協定の五条を見ますと、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」と。
 これ、私なんか素直に読んで、ああそうか、着陸料とかそういうものは払わなくてもいいけれども、当然着陸の許可とかそういうものは要るだろうなという解釈をしたんですが、何かそういうものも要らないで空港に飛来ができるというような解釈がなされているのかどうか、その辺説明いただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、日米地位協定の第五条にただいま議員が読み上げられました文言が書いてございます。
 米軍の航空機は、第五条に基づきまして我が国の飛行場に出入りする権利が認められております。外務省は個々の出入りの詳細について把握しているわけではございませんけれども、米軍機が我が国の飛行場を使用することとなる場合には、米軍において当該航空関係当局と所要の手続と調整を行うということとなります。
 御指摘の米軍ヘリが石垣空港を使用した際にも、同空港の関係当局と所要の手続と調整を行ったものと承知しておりまして、このような使用は日米地位協定上、違法と申しますか問題があるとは考えておりません。
 政府としては、米軍が日米地位協定に従って我が国の飛行場を使用する際には、地元との関係にも配慮を払うことが必要だというふうに考えてはおります。
○小山峰男君 沖縄の少女暴行事件等でも地位協定の問題がかなりクローズアップされてきておりますし、私は基地が共存するための基礎的な条件として地位協定というのはあるだろうというふうに思っておりまして、やっぱり必要なものは必要らしく日本も主張をして改定をしていく努力をすべきだと。
 韓国における地位協定だとか、あるいはイタリアの地位協定だとかヨーロッパ、ドイツにおける地位協定だとか、それぞれ違いがあったりいろいろの特徴があるわけでございますが、今、日米の地位協定の中でどういう課題があるのか、今のとおりでいいのかどうか。その辺、外務省としてどういう認識を持っているのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 基地の存在は、その基地周辺の方々にいろいろな御負担をおかけしているということは事実だと思います。しかし一方、そこに基地を置くあるいは基地の存在は我が国の安全保障上の問題として重要であるということについても、また御理解を周辺の方々にいただく努力をする必要があると思っております。
 米軍に基地を提供する時点におきまして議員御指摘の地位協定というものが日米双方で協議され、その協定ができ上がっているわけでございまして、この地位協定があるためにと申しますよりは、基地があるために基地周辺の方々にかけている御負担といいますか一定の制約といいますか、そういったものも実はあるだろうと思います。しかし、そうしたものを必要最小限のものにすると同時に、基地そのものの機能が十分に発揮されるということもまた確保しなければならないわけでございまして、そうしたところに地位協定の存在というものがあるわけでございます。
 現在、日米安保条約に基づきます地位協定について、今、議員がお話しになりましたように、日米間にございます地位協定が、アメリカとNATOの間にある地位協定あるいはアメリカと韓国との間にあります地位協定と比べてみてそう違うものではないというふうに私どもは見ております。しかし、沖縄の皆さんを初めとして基地周辺の皆様方から幾つかの問題提起があることは事実でございます。
 その問題提起に際しまして、私どもは、その問題を解決するために、地位協定の改定という手段ではなくて地位協定の運用の改善という形で問題の解決に実は取り組んでいるわけでございまして、このことは地元の要請を受けて日米双方が協議をいたしました結果、いわゆるSACOの最終報告の中に九項目盛り込んでございまして、この九項目の地位協定の運用の改善につきましては、九項目とも既に実施ができるということになっております。
 したがいまして、もちろん私はこれで完全なもの、地元に全く問題がないというふうには思いませんけれども、少なくとも現時点で、地元からの御要請のあった問題を解決するための地位協定の運用の改善策は講ぜられているというふうに考えているわけでございます。
○小山峰男君 やっぱり基地があることによるいろいろの迷惑というのが当然あるし、それを最小限にする不断の努力、そういうものが要請されると。
 今必ずしも万全なものではないと思うけれどもというお話もあったわけでございますが、運用の改善という形でいくのか、あるいは本体の地位協定をぴしっと変えるのかという問題はあると思いますが、とにかくまずその辺を直さないと基地の問題というのは解決していかないというふうに思っていますので、外務省、防衛庁も含めて不断に努力をしていってほしいというふうに思います。
 それから、これも関連すると思いますが、いわゆる米軍による訓練の問題です。
 最近ちょっと来ないんですが、長野県でも伊那谷へかなり低空の飛行で来てすごい音を突然出すというようなことで、乳牛の乳の出が悪くなったとか、あるいは鶏が卵を産まなくなったとかというような話が当時あったわけでございますが、やっぱりこういうことはやめてもらうのが一番いいんですが、米軍としては常時訓練をしていないといざという場合に使えないという話もあるんですが、やめることができれば最高だと。事前通告というような形がとれないのかどうか。事前通告を受けたから、じゃそういう影響がゼロになるということもないわけですが、この辺の手続関係はどうなっているんでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘の低空飛行訓練につきましては、かなり各地から問題、危険が多いとか、今お話しのような問題が存在するということをおっしゃってこられる方が大勢いらっしゃるのを私は承知をいたしております。
 今、議員もお話しのとおり、この低空飛行訓練は米側の説明によれば、やはり何といっても技術を磨いておく不断の訓練が必要だということでございます。私もそれはそのとおりだろうと思います。そういう不断の努力によります技術を磨くことが安全を保障する米側の役割を果たすということになるわけでございますから、これらをやらないということにはならないんだろうと思うんです。
 問題は、いかに安全を確保するかという問題が一つあると思います。安全確保につきましては、私どもから米側に対しまして、安全面に最大の配慮を払ってほしい、地元の住民の方々に与える影響は非常に大きい、この影響を最小限にとどめる観点から十分な注意を払ってほしいということを繰り返し申し入れをいたしておりまして、一番最近では、私から当時のハムレ国防副長官に対しまして低空飛行訓練について六項目、具体的な問題提起をいたしております。米側はこの具体的措置を誠実に遵守しているということをその後も確認をいたしておりますが、この六項目につきましても、例えば国際基準や我が国の航空法に規定されている最低安全高度をきちっととってほしいというようなことを含めて六項目を申し入れをしているところでございます。
 議員が御指摘の事前通告でございますけれども、この点につきましては、なかなか事前通告制というシステムを先方と確認をすることまでまだいっておりません。これについてはいろいろと問題もあるようでございまして、そこまではいっておりませんが、少なくとも私どもからは、例えば土曜、日曜、休日の訓練は制限してほしいとか、そういったことにつきましてはかなりしっかり双方で話し合って確認をしておりまして、土曜、日曜及び休日における訓練を制限するということについては先方もよく理解をしているところでございます。
○小山峰男君 努力はされているのもわかりますが、これも地元住民にとっては大変な問題なんで、さらに住民の意向等も踏まえてアメリカ側と折衝をしながら改善をしていってほしいと要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
○海野徹君 おはようございます。民主党・新緑風会の海野であります。
 厚木基地の排煙問題につきまして、外務大臣、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
 昨日も、日米同盟を基軸とした我々日本の外交政策のあり方、私も全くそのとおりでありまして、その点についてひびが入ってはいけない、とげがあったらそれは早く抜いた方がいいというようなお話をさせていただきました。
 まず外務大臣にお伺いしますが、これはちょっとエピソードからお話しさせていただいて、それを念頭に置きながら質問に移っていきます。
 きょうの新聞に、IMFの次期専務理事にケーラー氏がなるであろうというのが載っておりました。これは、ドイツから入ってきた私の友人からの話ですと、もともとドイツはコッホウェザー氏を推薦していたと。しかしながら、クリントンがそれじゃだめだということで直接シュレーダー首相に電話して、じゃだれにしようかということでこのケーラー氏になったというようなことが情報として入っています。
 今回のこの排煙の問題も、クリントン大統領がやはり相当ないら立ちを持って首脳会談で表明したんですね。それで要するに動き出したというような経緯があるように聞いているんです。
 一九八〇年代と九〇年代に入ってからのアメリカの対日政策というのは変わってきているんじゃないか。それは、ある意味では対日政策の裏返しで対中政策も変わってきている、私はそう思っていまして、クリントン大統領が、ある意味では政権の一番最後の年あるいはその最後の年を迎えるような時期になって、なおかつ日本側の対応の遅さに対して大変ないら立ちを持っている。対中政策の変更に対して、同盟国である日本に対する信頼関係、非常にそれを懸念する声がアメリカの国内にあるということで、もうぎりぎりのところに来てしまったのかなと思っているわけなんですが、十日の日にこの問題で初めて関係閣僚会議が開かれた、早急に解決すべきだという認識で一致したということがありますね。
 きょうの早朝、防衛庁長官はヘリコプターか何かで現地を見に行かれたというお話なんですが、事ここに至るまで、提起されてからもう十年近くたつわけですよね。どうしてこんなに対応がおくれてしまったのか。その点について、まず外務大臣には外交上の関係、防衛庁長官は防衛庁長官として防衛庁内の要するに事情で、これは法的な問題がありますから、神奈川県の問題があるとか法的な問題はあると思います。しかしながら、その当時から大変重要な問題だとアメリカで認識されていたんですよね。その点について御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) いわゆる神環保問題と私ども言っておりますけれども、この神環保問題は、平成四年の四月に日米合同委員会のもとに設けられた環境分科委員会におきまして米側が正式議題として初めて提起をされた問題でございます。しかし、平成四年以来の問題でございますから、やはりかなり長きにわたってこの問題がいろいろと言われてまいりまして、これまでも政府関係者は相当真剣にこの問題を解決するために努力をしてこられたのでございます。
 問題の経緯などを私ずっと見てみますと、これはかなり関係省庁も絡んで、先方は民間企業でございますから、その民間企業に対して問題を解決するように説得をする、要請をするということもやってきたようでございますが、なかなかそうした協議がうまくいきませんで今日に至っております。
 この間、コーエン国防長官からは何度か高村前外務大臣に対して、あるいは野中前官房長官とか政府要人に対して、コーエン長官から何度もこの問題を早期に解決するようにという要請があったことも事実でございまして、平成十年十一月の日米首脳会談におきまして、大統領から小渕総理に本問題の解決要請が一番ハイレベルであったという状況でございます。
 この問題は、どういう解決方法があるかということでいろいろ解決方法を、神奈川県が一義的にはこの問題とはかかわるということにもなりますので、県も含めていろいろと協議をしてまいりました。関係省庁間の協議もこれまで繰り返し行われてきたところでございます。先般、関係閣僚も集まりまして、この問題の解決へ向かっての進捗状況あるいは今後の対策等について話し合い、確認をしたところでございます。何としてもこの問題をできるだけ早期に解決をしたいということを考えているところでございます。
○国務大臣(瓦力君) 外務大臣から経緯等につきまして詳細に御説明がございましたが、私、この一月にワシントンに参りまして、日米防衛首脳会談に臨みましたところ、コーエン国防長官から改めて厚木海軍飛行場内の米軍家族住宅地区の大気環境の保全に関する問題、今お話のありました神環保問題、社名も昨年変わりまして、エンバイロテックという社名に変わっておるわけでございますが、いずれにしろ、この問題につきまして早期に解決されるよう強く要請がございました。これについては、我々も生活者として限度を感じておるということでございました。
 これに対しまして、日本政府として事態を改善するために全力を挙げて取り組んでおりますこと、また高煙突化のための経費といたしまして約十一億円を平成十二年度予算案に防衛庁として計上いたしておりますこと、政府全体としても関係法令に基づいて施設の改善努力を行っている現状を説明し、さらに本問題の解決のため努力してまいるということを申し述べたところでございます。
○海野徹君 今、経緯のお話をお伺いしたわけですし、十二年度予算の高層化費用という話もあったんですが、余りにも対応が遅過ぎているのではないか。要するに、こちら側の認識が非常に低いのではないかなというような懸念をするんですね。
 これはたまたま私は、外務大臣あるいは防衛庁長官がアメリカへ行ったとき、アメリカの報道関係はどういうふうに日本の外務大臣、防衛庁長官が来て協議をやった内容を報道するのかということで、ワシントン・ポストなんかをずっと注目していたんですよ。そうしたら、二十二日のワシントン・ポスト、申しわけないんですが、お二人の動向というのは余り出ていなかった。しかしながら、二十二日のワシントン・ポスト、大変これは大きな問題だと、同盟にひびが入るという記事が載ったんです。大変大きく載った。しかもこれは、直接やくざと書いてあるんですね。経営者がやくざに関係している、あるいは、に近い人間だということで、日本側も対応に苦慮しているんじゃないかというようなことまで、直接やくざという言葉で表現して書いてあるんです。
 その辺が対応のおくれになっているわけなんですか。そういう経営者の背景にあるものが、ワシントン・ポストでこうやって表現されるような背景にあるものが対応のおくれになっているわけですか。
○国務大臣(河野洋平君) 私どもはそういうふうに聞いておりません。
 ただ、この問題は、昨年の二月に当時の神環保の会長が法人税法違反容疑で逮捕をされるというようなことがあったり、これまでにかなりいろいろな状況があったということはございまして、それから、神奈川県が大気汚染のためのモニタリングをやるということでモニタリングをやったところが、現地は谷合いにございまして、風の吹き方が非常に典型的な風の吹き方で、冬は北風でしたか、夏が南風でしたか、あるいは逆だったかもわかりませんが、とにかく季節によって風向きが非常にはっきりしている。
 その風向きが米軍住宅の方に風が吹くという状況のときには米軍住宅周辺では大変高い数値が出るというようなことも言われておるわけですけれども、たまたまモニタリングをやる季節がその季節でないと数値が下がってしまう、低い数値であるとかいろいろなことがございまして、それを何回もやっているうちに大体そうしたことがわかってきて、いずれにせよ、とにかく非常に高い数値が記録されているわけですから、その数値を何としても処理をしなければならないということで、民間施設に対しまして施設の改善方を非常に強く要求しているところでございます。
 方法についても、いろいろな方法があるということで幾つかの方法を提示したり、あるいは我が方でもこういうふうにすべきではないかということを言ったりしているわけですが、まだ完全な解決に至っていないというのが実態でございます。
○海野徹君 それじゃ、アメリカのワシントン・ポストが言うように、背景に暴力団関係者、やくざと表現してありますが、ワシントン・ポストは。そういうような背景はないということなんでしょうか、それが一点。
 それともう一つ。非常に不思議なのは、平成十年度に見舞金を出しているんです、十二億円。今度、十二年度で煙突を高層化するための予算、しかも防衛施設庁としては、これを六十億円で買い取りしようかというような交渉まで入ったというような事実もありますし、そういうような報道もされているわけなんです。
 その辺、民間企業に見舞金を出したとか、あるいは高層化するための予算を防衛施設庁でとったとか、あるいは買い取りをするとか、その辺の背景あるいは理由についてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(大森敬治君) 防衛施設庁といたしましてとっております現状につきまして御説明をいたしたいと思いますけれども、第一点のエンバイロテックといいますか、いわゆる旧神環保の会社の具体的な状況については、私どもちょっとどういうことかということを正確にはよくわかりませんが、いずれにしましても、防衛施設庁といたしまして、産業廃棄物処理業者でございますエンバイロテックとの民事的な話し合いでこの問題を解決しようということで当初始めたわけでございます。
 政府といたしましても、厚木周辺の環境問題、これは非常に重大であるということで、平成十年の九月十八日に大気環境を保全するために政府全体として必要な措置を講ずるために閣議了解がなされておりまして、これに基づきまして平成十一年の三月五日に防衛施設庁は、当時神環保と言っておりましたけれども、神環保と民事契約を結びまして、神環保側の当時の焼却許可量は一日九十トン持っていたわけでありますけれども、これを抑制して三十トンにしてもらうという民事契約を結びまして、神環保側に、RDFと言っておりますけれども、廃プラスチック類を固形燃料化する装置をつけさせたわけでございます。この民事契約上、神環保側につけさせたわけでございますけれども、この予算的な根拠が、今、先生御指摘の、予算上は施設運営等関連見舞金というふうな格好で約十二億円を神環保側に支出しているわけでございます。
 それで、現在の状況でございますけれども、昨年の夏、日米共同でモニタリングをいたしました結果、その周辺から基準値を大幅に超えるダイオキシンが検出されたというふうな状況で、これは生活環境保全上極めて問題となるというふうな認識に立ちまして、この時点におきまして、神奈川県が昨年十月にエンバイロテック側に対して焼却炉の構造等が廃棄物処理法に違反しているというふうなことで大幅な改善勧告を出しておりまして、現在それにのっとりまして、神環保側といいますか、エンバイロテック側がバグフィルターを設置し業務改善に努めているところでございます。
 また、政府といたしましては、バグフィルター設置後も、神環保側といいますか、エンバイロテック側を継続的に環境を調査するということでモニタリングを行うこととしております。
 また、御指摘の煙突の経費でございますけれども、防衛施設庁が十二年度予算といたしまして高煙突化のための工事費を約十一億円計上させていただきまして、現在御審議いただいているところでございます。
 煙突化につきましては、まずは基本的にエンバイロテック側の業務改善といいますか、健康上問題がないようにするということがまず重要であり、それを見きわめつつ行うことでございますけれども、先ほど外務大臣の方からも御説明がありました土地の構造上、エンバイロテックの方がくぼ地の方にありまして、厚木の基地がやや台形状の方にあります。また、季節によりまして、特に夏場、南風が吹きますときには家族住宅に直接煙が吹きつけるというふうな状況があります。その面で、心理的な面といいますか、そういう面も考慮して、発生源対策ということで高煙突化に取り組む必要があるということで予算を計上させていただいているわけでございます。
 いずれにしましても、現在は関係省庁、政府全体との連携の中で、エンバイロテックの環境改善を促すという努力を続けているところでございます。
○海野徹君 時間がありませんから、今、私は民間企業にそういうお金を出したかどうか、なぜ出せるんだ、なぜ出さざるを得ないんだという質問をしたんですが、もう時間がありませんから答弁はいいです。この次にまたさせていただきます。
 そして、ワシントン・ポストでこんなに詳しく述べているんですよね。やくざのと言われるような表現をする背景は、これはぜひ調べていただきたい。そのことを要望して終わります。
○益田洋介君 外務大臣にお伺いしたいんですが、NATOによります空爆が開始されましてから丸一年が経過しようとしておりますが、昨今、再びユーゴスラビアの情勢が緊迫しつつあるというふうな報道がなされておりまして、特に欧米諸国はユーゴ政府とアルバニア系の過激派の双方に挑発行為を禁止する旨の警告を発しているそうでございますが、これに対しましてユーゴのミロシェビッチ大統領は十三日、平和と自由を守るためにはしかしながらいかなる手段も辞さないつもりであるという公式な声明を発表して、相変わらず強硬姿勢を崩さないでいるという現状でございます。
 特に、外務大臣も訪問されたことと思いますが、コソボの火薬庫と言われているミトロビツァ、これはコソボの北東にございますが、この周辺におきましては両住民地域を隔てる橋がございます。その付近で衝突事故が続発している。既にアルバニア系は約数十人が死亡して、KFORのフランス軍の兵士を含む百人以上が負傷していると記録されております。
 一方、十三日からコソボを訪問中のアメリカのルービン国務次官補は、旧コソボ解放軍関係者を声を荒立てて批判するという現状が続いている。
 こうした状況について、我が国政府としてはどのような見解をお持ちか、また具体的に我が国政府として何か措置を講じようとされているのかどうか、その辺のお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) コソボ周辺の状況は、極めて議員御指摘のとおり流動的でございます。一時はやや安定の方向に向かって多民族社会建設に向けて動き出すかに見えておりましたけれども、なかなかそう簡単にいかないほど民族的な対立の根は深いのでございます。私どもといたしましては、少なくとも現状は現地の動きを十分注意深く見なければならないというふうに考えております。この状況がどういうふうに鎮静化するのか、あるいは残念ながら悪い方に向かっていってしまうのか、まだまだ不透明な状況だというふうに思います。
 最も早急に我々が見きわめなければなりませんことは、現地に相当多くのNGOの人たちもおられるわけでございまして、そうしたNGOの人たちの安全とかそういうことも大きなかかわりを持つわけでございますから、できるだけ早く事態の状況を把握しなければならないというふうに思っております。
○益田洋介君 これに関連しましてもう一問ございますが、EUが昨年暮れの首脳会議におきまして、兵力約五万人から六万人規模の緊急対応部隊の創設に合意をいたしました。部隊の編成は二〇〇三年を目途とするということで、いよいよ欧州の中での独自安保の構築の動きが表面化、現実化してきました。これはイニシアチブをとったのがトニー・ブレア英国首相とシラク・フランス大統領であったということでございますが、今までは経済統合を共通政策としてきた。ユーロが誕生し、三極通貨という一翼を担うほど今世界で力を経済的に持ってきている。
 それに加えまして、次はヨーロッパ全体が共通安保政策を、軍事力といった国家主権を各国が一部供出しようと、そういうふうな動きになってきている。こうした動きが直接的な導火線になりましたのは、やはり冷戦後の地域紛争が欧州の中で激化しまして、特に旧ユーゴスラビアの中のボスニアとかコソボの民族紛争が非常に激化した。その際、ヨーロッパ各国としては手をこまねいて見ているしかなかった。実質的にはNATO軍に頼るしか方策が何もなかったということの反省に立脚して、そして欧州独自、EU独自のこうした体制をとるべきであろうと。非常に積極的に安全保障に対する考え方を各国とも強調して表明をしてきている。それを実現しようとする今、一つの方途をたどってきているわけでございます。
 もちろん、NATO軍との軍備力の機能の重複、そういったものは避けなきゃいけない。これからNATOと相談しながら精査していく、準備を進めていくということでございますが、コソボとボスニア問題に端を発したこうした欧州各国の安全保障に対する姿勢、要するに自国のもの、あるいは安全保障に対しての自己責任、こういうものを果たしていくのは一つの政治の大きな役割である。そうした政治の面での各国の意思を明確にしているのが今回の動きである。
 翻って考えると、比較の対象にするのはおかしいのでしょうけれども、今さまざまな面で、きょうはその問題はお話ししませんが、有事立法というような話も盛んに進んでおります。我が国としても、こうしたヨーロッパの各国の切実な自己責任における安全保障の確立という姿勢に対して教えられるものがあるような私は気がしてならない。この点についての外務大臣の御所見、それから両政務次官の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 確かにEUの動きは極めてあらゆる面に意欲的、積極的であると思います。しかし、EU自身もいろいろな問題を抱えているわけでございまして、議員御承知のとおり、EUの中にもNATOに参加をしている国もあればNATOに参加をしていない国もあるわけでございます。スウェーデンは来年のEUの議長国でございますが、スウェーデンはNATOに参加をしておりません。そういう国がEUを代表する議長国になるという場面もあるわけでございまして、必ずしもEUの中の防衛問題が一本になっているということを今言うのはまだ少し早いのではないか。
 スウェーデンの意思、考え方などを聞いてみますと、スウェーデンはNATO軍に参加をするという気持ちは今極めて少ないということをはっきりと言っておられるわけでございまして、スウェーデンにはスウェーデン独自の、PKOを初めとするこれらの問題に対する独自の考え方がある。その独自の考え方にEU加盟の数カ国は合意するだろう、合意を既にしているというふうにも言っておられて、必ずしもEUが今一つの考え方としてEUの中にある方向にそのまま進んでいくというふうには私は思っておりません。この問題は、極めて真剣にかつ慎重に各国がみずからの考え方を確かめるテーマだろうというふうに思っております。
 ただ、議員が今おっしゃいましたように、ヨーロッパの地域統合は国家主権というものに対して大きな新しい考え方を投げかけていることは事実だと思います。昨日も本委員会で御議論がございましたように、新しい時代に国家主権と人権の尊重というこの二つの命題をどう調整するかということは、恐らく政治家に課せられた大きな国際問題であろうというふうに思います。
 政治体制の違いもございましょうし、それ以外にさまざまな歴史的、文化的な違い等もあって必ずしも一つの考え方にすぐに一致するというふうには思いませんけれども、先ほど申し上げましたように、ヨーロッパにおいて極めて新しい事態と申しますか、新しい時代にチャレンジしている、そういう感じを私は非常に強く受けていることは事実でございます。
○政務次官(東祥三君) 益田委員が御指摘になりました、冷戦構造が崩壊した後、国際社会における平和と安定に対する取り組みがそれぞれの地域において真剣に模索されていることは全く認識を共有いたします。
 とりわけEUにおきましては、EUそれ自体というよりも、御案内のとおりNATOですから、アメリカが一つの重要な核になり、そして地域の平和と安全保障に対して状況が何らかの形で動いてきたときにそこで動き出すという、そういう流れの中で、先ほど御指摘になりましたブレア首相と、そしてシラク大統領との間のいわゆる緊急展開部隊といいますか、ただ、それが今後どのように展開していくかということについてはちゃんと見守っていかなければならない、そういう問題なんだろうというふうに思います。
 とりわけコソボのあの問題というのは、国際社会全体に対して大きなチャレンジを与えたというふうに思います。それは、人道介入という名のもとに武力攻撃していいのかどうなのか。そういう問題に対して、やはり二十世紀後半における国際社会における安全保障に対しての大きな問いかけであり、それについての学説等も御案内のとおりまだ固まっていない。当然、冷戦構造が崩壊する前と、そして崩壊した後のまさに地球全体といいますか国際社会全体における動きが出てきているわけですから、とりわけ民族紛争あるいはまた宗教観における対立、そういった問題に対してどのように取り組んでいったらいいのか。
 これは全く政府の見解ではありませんけれども、一政治家として、日本というのも地域の状況を見たときに極めて不安定な状況が続いているわけですから、とりわけ国民の生命と財産を守るというところに究極の政治家の課題があるとするならば、それに対して真剣に取り組む、またどのような形でもってそれを担保しておくかということを常に模索しておかなければならないというふうに思います。そういう意味で、EUとりわけNATOの動きに対しては常に注視していかなければならないと思いますし、戦後におきます歴史的な展開といいますか、ドイツの動きも当然注視しておかなければならない、そのように私自身は思っております。
○政務次官(山本一太君) 今、EUとそれからEUが向かっていこうとする方向あるいはEUを取り巻く安全保障等につきましては河野大臣と東総括の方からお話がございましたので、繰り返しになってしまうものですから、私が感じていることをそれに関連して一言だけ申し上げたいと思います。
 先々週、私の妻が国連の仕事でコソボに行きまして、数日前に帰ってまいりました。改めてコソボ問題の難しさというのを妻との話の中で思うと同時に、コソボに展開しているいろんな関係者、国連、そしてOSCE、その活動を聞く上で一つ思ったことは、日本とヨーロッパというのはどういう関係をこれからつくっていったらいいのだろうと、こういう問題意識でございました。
 益田先生は特にイギリスに大変お詳しいということで、御本も読ませていただいたわけですが、今までいわばミッシングリンクともいうべき日本とヨーロッパの関係を考えていく上でこのコソボ問題なんかは一つの参考になるかと思うんですが、私は先生のおっしゃった安全保障の問題というのがもしかしたら一つのかぎになっていくのではないかなというふうに思います。
 アジア太平洋地域においてはなかなかOSCEのような安全保障のシステムはできにくいと言われておりますけれども、特に今のヨーロッパの安全保障の動きを見る中で、実は日本とかアジア太平洋が学べることは随分あるのではないかと。そして、日本がヨーロッパについて何ができるか、コソボについて何ができるか、安全保障の面でどういう協力ができるかという考えを進めていくことで、失われた日本とヨーロッパとの関係についてのいわゆるミッシングリンクを取り戻し、日欧関係を考えていく実は一番いいかぎになるのではないかなと思っていることだけ一言つけ加えたいと思います。
○益田洋介君 大変示唆に富んだ御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。
 次に、防衛庁長官にお尋ねしたいんですが、いよいよウィリアム・コーエン国防長官がお見えになるわけでございますが、きょう、その下調べの一環として朝早くから御苦労さまでございます。視察にお出かけになられてこの委員会に合わせて帰ってこられるということで、非常に激務の中を防衛庁長官に戻ってきていただいたわけでございます。
 私は、国防長官を迎えるに当たって、若干アジア諸国を歴訪された長官の今までの足跡のおさらいといったものをここでひとつ収れんをして、そして防衛庁長官がお迎えになられることだと思いますので、概略で結構でございますが、それぞれファン・バン・カイ総理、チャー国防大臣、特にチャー国防大臣との会見は非常に私も興味があって、地雷除去作業の協力とか軍事交流の定期化などの話がなされたというふうに漏れ聞いております。この辺についての長官のお考えを伺っておきたいと思います。
 特に南シナ海の南沙とか西沙諸島の領有権をめぐる問題についてはあるいは言及されたのではないかというふうな気持ちもありますし、さらにホーチミンに移動する前に昨日はルオン大統領とも会談をされた。多分、これはアメリカとベトナム関係の軍事面を含めた正常化についての意見交換を行われたのではないかと拝察いたしますが、長官、どのようにこれをごらんになって国防長官をお迎えになられるのか、その辺のお考え、また御決意もあればあわせて伺っておきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 防衛庁長官にお尋ねでございますけれども、外交上の問題もございますので、私から御答弁することをお許しいただきたいと思います。
 と申しましても、実は今、議員お話しのように、コーエン長官はベトナムに参りまして十三日から十五日までベトナム滞在というふうに聞いておりまして、ベトナムから真っすぐ日本へ来られるということに予定ではなっております。
 これも今、議員が既にお話しになりましたように、ベトナムにおきましてはファン・バン・チャー国防大臣の御招待でございますから、当然国防大臣との会談もされたと聞いておりますし、さらにファン・バン・カイ首相との会談もあったということは私ども承知をいたしております。
 しかし、会談の場でどういう話し合いが行われたかという内容につきましては、まだその詳細は報道されておりませんし、私どもも掌握をいたしておりません。これはむしろ、明日到着をされるコーエン大臣と瓦長官も会談が予定されておりますし、私も時間が都合がつけばぜひコーエン長官とはお目にかかりたいというふうに思っております。
 ただ、議員お話しがございましたけれども、御承知のとおり、アメリカとベトナムとの関係は、大変激しい戦争があって、その後現在のような外交関係を正常化して今日に至っているわけでございまして、依然として米軍のミッシングといいますか行方不明の米軍人あるいは遺骨の調査というようなことにアメリカの国防総省が大変大きな関心を持っているというふうに私どもも聞いておりますし、さらにファン・バン・カイ首相との会談の中には経済問題もあったというふうに言われておるところでございます。
 いずれにいたしましても、その詳細はコーエン長官から直接伺えるものならむしろ私ども直接伺いたいというふうに思っておりますので、若干のお時間をおかしいただきたいとお願いをいたします。
 なお、失礼しました、コーエン長官は今晩到着の予定でございました。私、間違えましたので訂正をさせていただきます。
○益田洋介君 防衛庁長官、一言お願いいたします。
○国務大臣(瓦力君) せっかくの御質問でございますが、所管される外務大臣が詳細にお述べいただいておりますし、私、コーエン長官がお見えになれば日米における安全保障の問題について協議をするという形になりますので、今晩お着きでございますが、明日それぞれの日程をこなされて、私は明日の夕刻の時間になろうかと思いますが、そういう日程になっておりますので、お許しをいただきたいと思います。
○益田洋介君 それでは、昨日の質問に続きまして、一点だけ防衛庁の艦船建造について御質問いたします。
 総括政務次官、端的にお答え願いたいと思います。
 昨日、私が提示しました入札の一つでございますが、今月中旬以降に予定されているというミサイル艇の入札、これは指名入札でございますが、これは昨日、日立造船、三井造船、三菱重工業が既に応札を内諾しているということでございます。入札予定日は本日だと伺いましたが、実際はずれ込むということも伺っております。いつになりますか。
○政務次官(依田智治君) ちょっと突然の質問でして、具体的に承知しておりません。申しわけありません。
 ミサイル艇については、日立造船、三井造船、三菱重工業三社を指名、入札は今後の予定ということで、私ども日にちをきょうだというようには実は伺っておりません。
○益田洋介君 わかりました。
 これは、本日予定されていたんですが、いろいろな事情で、特に当委員会での質疑がございました事情でおくれるということでございます。決まりましたら、当委員会に教えていただきたいと思います。
 以上でございます。
    ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) この際、政府参考人の出席要求についてお諮りいたします。
 本日の委嘱審査のため、郵政省放送行政局長金澤薫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○立木洋君 きょう、予算の問題と関連して、地位協定に関連してお尋ねしたいと思うんです。
 地位協定の問題については、いわゆるそれぞれ米軍の経費に関連してどの部分を日本側が負担しどの部分をアメリカ側が負担するかということは明確に決められております。しかし、このように決められた規定が、アメリカ側の要求、あるいはこの規定に基づく内容に反する、そういう姿勢によってこれがねじ曲げられてしまう事態というのが幾つかあります。その幾つかの問題について、例を挙げてお尋ねしていきたいと思うんです。
 第一に、横田基地の訴訟問題についてです。騒音訴訟の問題です。
 これは、平成七年四月十一日、参議院の外務委員会で私は河野外務大臣にお尋ねをしました。覚えておいでになるだろうと思うんです。そのとき大臣は、アメリカ側にはアメリカ側の言い分がある、日本側には日本側の言い分もある、初めてのことでもあるので協議をしっかり慎重にやろう、こういうことで、今協議中だということをぜひ御理解していただきたいと思うと、こういうふうに答弁されました。きのうも外交姿勢の問題に関して、言うべきことはきちっと言わなければならないということも大臣は強調されています。
 いわゆる横田基地の騒音訴訟の問題については、既に私が質問してからでも五年近くたっております。判決では米軍の行為によって損害が生じたということを明確に認定しております。そして、その損害賠償がどうなっているのか、アメリカ側の姿勢も含めて、現状をお知らせいただきたい。
○国務大臣(河野洋平君) 在日米軍横田基地の第三次訴訟についてのお尋ねでございます。
 当時も政府委員並びに私から御答弁を申し上げましたように、こうした訴訟の判決、そして今、議員が提起されましたような問題はこれまでになかったことでございます。こうした判決に基づいて、その賠償額をだれが支払うか、それは日米地位協定を引いて判断をするか云々と、こういう話でございました。
 その当時、私は御答弁を申し上げましたが、こういうケースは今までなかったケースであって、初めてのケースであるし、恐らく米側には米側の主張もあるだろう、もちろん日本側には日本側の主張もある、それから日米地位協定というものもある。こうしたことを踏まえて、これはよほど慎重にしっかり協議をしなきゃいけないということを御答弁申し上げてあるわけでございますが、その後もこの御指摘の損害賠償金の分担問題につきましては日米間で慎重な協議が行われておるところでございます。
 議員からはもう随分時間がたつじゃないかという御指摘でございますけれども、こうした問題でございまして、現在のところまだ決着がついておりません。引き続き協議を続けるということになっております。
○立木洋君 日本側としては、この問題を主張する立場といいますか、地位協定の何条を根拠として日本側の立場を主張しているんでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 第十八条第五項の(e)の(1)でございます。読み上げましょうか。
○立木洋君 はい、お願いします。
○国務大臣(河野洋平君) 第十八条は、先ほど議員のお話にありましたように、
 公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは被用者の作為若しくは不作為又は合衆国軍隊が法律上責任を有するその他の作為、不作為若しくは事故で、日本国において日本国政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権は、日本国が次の規定に従つて処理する。
こう第五条に書いてございまして、申しました(e)の(1)というのは、「合衆国のみが責任を有する場合には、裁定され、合意され、又は裁判により決定された額は、その二十五パーセントを日本国が、その七十五パーセントを合衆国が分担する。」、こう書いてございます。これを根拠に考えるというのが一つの考え方でございます。
 この考え方に基づいて判断をするか、もしくは別の理由、先ほど申し上げましたように、米側には米側の主張、理由があって、この条項で判断をするのではないという主張もあるわけでございますし、我が方が主張するとすればここが一つの根拠であろうというふうに思います。
○立木洋君 この十八条の第五項の内容について一部説明されました。それはそのとおり規定されております。それは根拠の一つに私はなり得るだろうと思うんです。
 しかし、問題は、これは日本側で裁判が行われたんです。裁判が行われました。ですから、十八条五項の(c)によれば、大臣御承知のように、「前記の支払」、どちら側がどれだけ支払うかという問題ですね、「又は支払を認めない旨の日本国の権限のある裁判所による確定した裁判は、両当事国に対し拘束力を有する最終的のものとする。」というふうに(c)項には明確に書いてあるんです。
 裁判では判決が出たんです。この損害はすべて米側の責任であるということも明確に認定されているんです。それに基づいて行うならば七五%米側が負担するというのは当然のことになるということを言わなければならない。ですから、これが横田の裁判で第三次まで行き、平成九年ですけれども、それから厚木の訴訟では第一次まで行った。この金額を見てみますと、当時の、合計しますと、私が計算しますと十億五千五百万円の七五%ですから、七億九千二百万円日本側に支払わなければならない。ところが、それがいまだに交渉しても支払っていない。
 なぜかということを調べてみますと、アメリカ政府が本件の訴訟について口上書を裁判所に提出しています。その訴状の一部を読み上げます。「訴状に記載されたいかなる活動も日米地位協定一八条による正当な請求を構成するものでないこと、日本の裁判所が最終的に原告の金銭請求を容認した場合、日本政府のみが責任を負うものであること、現在の協定により、在日米軍の活動のため十分な便宜をはかる責任を日本政府のみが負っていること、以上が米国の立場である。」。これは全く地位協定の内容に全面的に反しているじゃありませんか。これは、アメリカは日本の裁判所がいかなる判決を行おうともこれを我々は守る意思は全くないということを公言しているんですよ。
 これは(c)項で、先ほど言ったように、両方が両政府に対して拘束力を持つ最終的な結論だということがなされているにもかかわらず、そのことを向こう側は認めようとしない。また、日本側もそのことを取り上げて主張するというふうに、(c)項の問題に言及されなかった。私はこれは明らかに地位協定の明文に反する内容じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘の点が、実は日米双方で協議をしている大事なポイントだと私は思います。
 思いますというのは、ちょっと私そこの協議の実態まで現在承知をしておりませんのでそれ以上申し上げかねますが、恐らくそういうところ、そこがまさに大事なところなんだというふうに思っております。だからこそ両者の言い分というのがなかなか合意できないという問題だろうと思います。
○立木洋君 大臣御承知でしょうけれども、昭和四十年代、その前から二十五年以降、平和条約が締結されて以後問題になってきた問題の一つに、駐留米軍の私用電話料の支払いの問題が問題になりました。これも非常に長くかかりました。この問題については、日本側が主張したのは、地位協定の七条に基づいて日本側に請求権があるという立場をとりました。相手側は、二条と二十四条に基づいてこれはアメリカ側が支払う権利がないものだと、そういう義務はないものだと主張しました。これも非常に長い議論が行われました。
 しかし、この問題については、大臣の中では、当時木村俊夫先生が外務大臣だっただろうと思いますが、その木村大臣は、我が方としては請求権があるということを述べております。だから、したがって交渉でありますので、相手側がまだ我が方の請求権を認めていないという意味で確定していないんであって、これは引き続いてそういう立場で主張し続けますと。
 それから、河本国務大臣もこれと全く同様に、日本側に請求する権利があるということは地位協定で明確だということを主張して、そして昭和四十六年にこの問題の決着を見て、アメリカ側に追加分の支払いを請求し、完結しました。
 こういう姿勢が、私は言うべきことは言う、決められたことに基づいてやるという私は姿勢だろうと思うんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 私、昨日も申し上げましたように、米側に対しては言うべきことはきちっと言うと。お互いに、先方も我が方に言うべきことは言うでしょうし、我が方も先方に言うべきことはきちっと言うということが日米関係をよりよく、しかも長く続かせるゆえんのものだと考えておりますから、私は今の議員が挙げられました木村先輩、河本先輩の御主張は立派な御主張であったというふうに私も思います。
○立木洋君 では、次の問題に移ります。
 これは一九九一年発効した特別協定にしても、九六年発効した、河野外務大臣が署名された、クリストファー氏と署名された特別協定の内容についても関連があるわけですが、日本とアメリカとの地位協定の中には、第十一条のいわゆる関税の問題についても、あるいは第十二条のいわゆる一部の租税の問題に関連しても、これは公用と私用を明確に区別しております。そういう規定が明確になされております。
 それで、一九九一年以後発効した文書の中には、御承知のように、その後河野外務大臣が行われた、クリストファーさんと行われた特別協定の署名された内容についても、合衆国軍隊または公認調達機関が適当な証明書を付して日本国で公用のみ調達する次のものに係る料金として、公益事業によって使用される電気、ガス、水道及び下水道を挙げております。
 ここで言われているように、明確に「公用のため」というふうに明記されているわけですから、地位協定の解釈の概念と同様に、私用は一切だめ、公用のみということになることは明確だと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 一般論から申し上げて、当然私用のものはあくまで私用というふうに判断をするのが当然だろうというふうに思います。ただ、恐らく、一体公用と私用の境目をどうするか、どれが公用であってどれが私用であるかの判断をだれがするかという問題はあるだろうと思います。
 そこで、今、議員もお話しになりましたように、これは公用だと向こうが判断するものについては、公用だと判断をしてくれば、我が方はそれを公用と考えるという仕分けになっているというふうに思います。
○立木洋君 アメリカ側は、アメリカ合衆国軍隊またはその公認調達機関が適当な証明書を付して出してくるということは、公用だということをアメリカ側は判断してそういう形で提出してくるわけです。日本側の場合はそれが公用であるか私用であるかというチェックする機能やシステムというのはどうなっているんですか。明確に家族が使用している、いわゆるこれらの諸メーターが全部別個についているというふうな場合にはこれは点検可能なんです。だけれども、そういう場合にはどうなるんですか。
○国務大臣(河野洋平君) 今の議員の御指摘は一体どこまでが基地を構成するか、あるいはどこまでが日本の安全保障に意味のあるものであるかということも含めた判断が必要なんだろうと思います。外見上の問題だけではなくて、基地を構成する、つまり日米安保条約によって必要な基地、その基地を構成するもの、それをどこまで判断の中に入れるかということが問題だろうと思います。
 これまた一般的にと申し上げる以外にありませんけれども、私どもとしては、我々にはなかなかその判断を下す能力といいますか仕組みというものがない。いや、こういうものがあるじゃないかと、こう議員おっしゃるかもわかりませんが、それについても、個々具体に一つずつ当たれるかどうかということになると、それはなかなか難しいケースも多いわけでございまして、先ほど申し上げましたように、米側がこれは公用であるというふうに認定をしてきたものについては、我々としてはその経費の全部または一部を負担するということになっているというのが現状でございます。
○立木洋君 平成九年に、この問題について池田さんが外務大臣のときにお尋ねしたことがあります。
 米軍の公用のための水道料や光熱費のみを日本が負担すると協定では結ばれていると。ところが、公用のみでなくて、私的なものと思われるものであっても、それが区別ができないということで、アメリカの請求どおり日本は何ら検査のシステムをも確立しないで受け入れてしまうというふうなことは、アメリカが要求してきたらすべて出してやるという結果になってしまうじゃないですか、こういうものは改めるべきだと私は要求したら、池田外務大臣は、地位協定あるいは場合によっては特別協定などの規定に従って適正に対処してまいりたいと考えている次第でございますと述べたんですよ。
 現在でも池子では戸別にメーターがついているにもかかわらず、それをやっていないんですよ。公用のみということを明確に原則とするならば、公用のみでなければならない。だとしたら、私用というものと公用との区別をどうするのか。日本側としてはどういうふうな判断でそれを区別しているんですか。基準は何でしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 繰り返し御答弁で恐縮でございますが、在日米軍の光熱水料などの我が国の負担につき規定する特別協定第二条に言う公用の調達とは、米軍または米軍の公認調達機関が公用のものとして証明書を付して行うものを言うということにしておりますので、これはその規定に従えば、米軍または米軍の公認調達機関が公用として証明書をつけてくれば、それは信頼をすべきものというふうに思います。
○立木洋君 それじゃ、米軍の関係で来たと、家族も含めて。使われる私用の水道料、下水道料あるいは私用の電気代、私用の光熱費というのはどういうものなんですか。言ってください。どういうものを指しているんですか。
○国務大臣(河野洋平君) 正直、具体的に今すぐ挙げろと言われても、申し上げるだけの今材料を持ちません。
○立木洋君 結構です。答えられないんですよ。
 私用の上下水道料というのは何か、米軍が使っている。それは区別する根拠を、明確に日本側としては公用のみということを協定で結んでおりながら、日本側はその根拠を持っていない、どういうふうに区別するか。協定は、アメリカ軍の言いなりという結果にならざるを得ないということを私は指摘をしておきたい。次の問題に移りたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 申しわけありません、一言だけ。
 私どもは米軍との間の信頼関係というものを考えなければならないと思いますし、信頼関係が今十分あるというふうに考えております。これは性善説をとるか性悪説をとるかという違いでもあるかと思いますけれども、私どもは日米の信頼関係を大事にしたいと思います。
○立木洋君 大臣、その信頼関係の問題で言うとまた長々と議論が続きますから、きょうはそれについて私は避けます。
 次に移ります。
 NHKの受信料が一九七八年からNHKによって請求されました。ところが、アメリカ側はこれを拒否しております。米軍は地位協定十三条第一項の、米軍が保有し、使用する財産に租税などは課されないという規定に加えて、テレビを置くだけで受信料を徴収するなんというシステムには我々はなじみがないと、こう言って拒否してきた。ところが、NHKの方は明確に、これは御承知のように受信機を置けば聴取料を取るという規定になっているわけですから、ところが、この十六条では、日本の法令は尊重されなければならないという規定が地位協定にはあるんです。だから、我々になじみがないから払いませんなんというのは根拠にならないんですよ。
 この問題については、当時、井上一成郵政大臣が早い解決を目指して努力をする、話し合いを持つように努力をしたいと言われましたが、その後、日米合同委員会で話し合いはなされたのか。現在この問題は解決されたのか。郵政省からおいでいただいた方に一言お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(金澤薫君) 郵政省といたしましては、従来より、NHKの受信料は日米地位協定第十三条によりまして免除されております租税には該当しないという立場に立っております。このため、在日米軍人等にも放送法第三十二条に基づく受信契約を結ぶ義務があるというふうに考えております。また、それに基づく支払い義務があるものという認識でございます。その旨、外務省を通じて在日米国大使館及び在日米軍に折衝を行ってきたところでございます。
 郵政省といたしましては、外務省と協力し、我が国の主張に対して理解を得るべく米国側と折衝を続けておりまして、平成八年一月に日米間で実務レベルの会合を実施し、受信料の、先ほど申し上げましたような、法的性格につき説明したというところでございます。
 今後とも、受信料に対する日本側の主張を外務省と協力しながら根気よく米国側に説明し、この問題の解決に努めていきたいというふうに考えております。
○立木洋君 先ほど申し上げましたように、例えば金銭的な問題でいいますと、外務大臣、ちょっと私の話を、政務次官とは後で御相談してください。
○国務大臣(河野洋平君) 済みません。
○立木洋君 先ほど来申し上げましたように、裁判できちっと規定に基づいてお金を払うならば、七億九千万円というお金を平成九年までには払わなければならないということが地位協定で明確なんです。これは外務省においても、これは地位協定の十八条五項に関するものであり、日本側の主張があるということはこれまでも述べられている。しかし長引いている。
 それから、御承知のように、この上下水道料の家族住宅の問題について前回質問したときに、全国で家族住宅が一万四千六百戸存在している。
 私は池子で調査をしました。これは分離されてメーターがついていますから。そうしますと、あそこでは三百五十八戸の戸数で一年間に使用したこの水道から電気からガスから全部ひっくるめますと、二億一千四百万。だから、一戸当たり概算しますと約六十万、一年間にこの光熱水道料がかかっているんですよ、全部。一万四千六百戸にしますと、これは年間八十七億を超えるんです。これだけの金を実際には公用のみということを厳格にしないために余分に払っておるというふうに見られても仕方がない金額になる。
 今度、このNHKの受信料、これは、七八年から九五年までの計算で、当時質問に出されていましたけれども、十五億七千万円。ざっと現状まで計算していきますと二十億円を超えるだろうという金額になります。これは思いやり予算じゃないんですよ。これは明確に地位協定に基づいて米軍が支払うべきことを支払うということになったら、これだけの金額は日本側に入ってくる金額なんですよ。それを全部日本側が立てかえて払っているということになってしまう。
 それで、これがうやむやに解決されていくというようなことになれば重大なことだと。地位協定の中で最大限どちらがいわゆる駐留経費のどの部分を負担するかという問題については、地位協定の二十四条で明記されています。この原則に基づいて、速やかにこの原則に立ち戻るということがやはり日本としては必要だと。
 これまでの事情にはいろいろ経過があって、いわゆるアメリカに対する思いやり的なお金も出す、経済的にも困難だから出してやった方がいいんじゃないかという経過があったかもしれない。しかし、いち早く本来の姿に立ち戻って、地位協定に基づいて進めていくということを政府が主張なさるならば、その原則に立ち戻るということがいわゆる当然に必要ではないか。こういうふうな決められたことが次々と守られていかないというふうな外交姿勢では、何ぼ国民に理解と納得を得ようとしても、それはできかねるということを私ははっきり申し上げて、これらの問題、きょう三つほどしか申し上げませんでしたけれども、これらの問題についてはきちっとした外交姿勢をとるように強く要望して、私の質問を終わります。
○田英夫君 昨日、時間が足りなくて余り申し上げることができませんでしたから、引き続き日朝国交正常化交渉の問題を意見を交えて申し上げたいと思います。
 既に日朝赤十字会談が行われました。外務省佐々江参事官が出席しておられたようでありますから、ここにおいでになりますがきょうは質問はいたしませんけれども、その雰囲気を改めてまた別の機会に聞かせていただければと思います。今のところ、赤十字会談に関する限りいいスタートが切れているのではないかと私も思っておりますけれども、今後、日朝国交正常化交渉というのは、実は今まで戦後数多く行われてきた国交正常化にテーマを絞ってもいいんですが、そういう交渉の中で最も難しい交渉になるのではないか。
 思い出してみますと、ジャーナリストの時代から含めてですが、日ソ国交正常化の話は河野外務大臣の父上が関与されましたが、これも発端は非常に劇的な黒子役の方がおられて、そして軌道に乗っていくということができた。日中国交正常化交渉は、やはり非常に各界のいわば黒子役の方が息長くやられた結果ついに成功したというようなことになるわけでありますが、それから日韓基本条約が結ばれたときのことを考えても、過去のいきさつがありますから非常に困難なこともあったと思いますが、結果は実を結んだわけであります。
 これに比べると、戦後五十数年たってしまっているという状況も含めて、また率直に言って、北朝鮮という国の国民性といいますか特殊性といいますか、そういうことも含めて考えると大変難しい交渉になるのではないか。この交渉がうまくいくかどうかは、先ほど防衛庁から御説明のあった防衛予算の中にも明らかに北朝鮮を意識したものがあるということは言わざるを得ないわけでありまして、そうした今後の日本が平和にこのアジアの中で暮らしていけるかどうかということに直接かかわる問題でありますから、大変重要だと思っているわけです。
 一つ、これは私の経験から御参考までに申し上げたいことは、大変、こういう言い方が当たるかどうかわかりませんが、誇り高い民族だということを相当やはり意識してかからないといけないんじゃないかと思います。
 実は、一つの例として、中国の唐家セン外務大臣がこのことで特に私と話したときに体験談を語ってくれました。それは、彼が次官のときに黄長ヨプ書記が日本に来て、北京で亡命をした。その亡命の処理を唐家セン氏が担当したわけですが、そのときに何よりも私が配慮したのは、北朝鮮のその誇り高い民族ということを考えて、そのメンツ、体面に傷をつけないということ。それは当然そうでしょう、その黄長ヨプという人は北朝鮮の非常に高い地位にあった人が亡命をするわけで、しかも政治亡命ですから、一方でその人権を守らなければいけない。結果的には、御存じのとおり、フィリピン経由で韓国へ亡命しているわけですが、そうしたことにまた時間もかけたと思います。そんな話を聞いたことがあります。
 私自身の実は失敗談でありますけれども、ここでも話したことがありますが、もう今から十七、八年前、北朝鮮を訪問したときに、いろいろ話し合いがうまく進まないという不満もあったものですから、帰りがけにほぼ徹夜で長い書簡を金永南、現在ナンバーツーの人ですが、当時の外務大臣にあてて書きました。それは、私は友人という気持ちで率直に、もっと国際社会に門戸を開いて、具体的にこういうことをしたらどうですかというようなアドバイスをしたつもりでおりましたけれども、結果的にこれは唐家セン氏も既にそのことを知っていて私に指摘しておりましたが、田さん、あの人たちに説教しちゃいけませんねという、日本語で言いましたが、その説教というニュアンスは非常に見事だと思ったんですけれども、結果的にはそれ以後私は北朝鮮との関係が非常に悪くなりました。そういう体験もありまして、今後の交渉の中で何かのお役に立てばと思います。
 もう一つ、そういう意味で言いますと、日中国交正常化交渉が成功したのは、一つはLT貿易と言われる高碕達之助さんと廖承志さんの名前をとって、そのお二人の個人的な事務所という形で貿易事務所を北京と東京に置いて、実はそれが大きな役割を果たした。
 同時にもう一つ、記者交流ということをやりました。双方同数の数人、三人ぐらいでしたが記者を交流して、それが北京と東京に駐在することによってお互いの事情も報道されるし、同時に中国から来た、当時、呉学文とか丁拓とかという人でしたが、そういう人たちは日本に多くの友人をつくって、その広がりの中で話がうまく進んでいったという記憶があります。ただ、北朝鮮と話をするときに、中国ではこういうことをやってうまくいきましたからやりませんかという言い方は、これは厳禁だと思いますね。
 それで、今から三年ほど前に、当時の与党三党、自民、社会、さきがけという三党の代表団でピョンヤンを訪問したときに、宋朝日親善協会会長と話をする機会がありました。この人はアジア太平洋平和委員会の副委員長でもある。つまり、今重要なポストにいる人ですが、その人と話す機会があったので、どうですか、この国交正常化交渉が始まったら同時に記者交流をしたらどうでしょうかということを、もちろん非公式に個人的に提案をしました。即座に、私どもは日本のマスコミを信用していません、だめですと、こういう拒否の態度を表明いたしました。それ以上は話をしませんでしたけれども。
 そういうことが返ってくる可能性がありますね。中国の場合はうまくいきましたけれども、北朝鮮の場合は。実際、中国には日本新聞協会が責任を持って選んだ記者を日本側から派遣したわけでありまして、同じことをやれば決してうまくいかないことはないと思いますけれども、北朝鮮は入り口からそういうことは受け入れないと、以上御参考になればと思って申し上げたんですけれども。
 これからは御質問ですが、これからどういう段取りで進んで、公式な政府間交渉というものは進んでいくことになるとお思いでしょうか、外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) 先般、両国赤十字の会談が行われたわけでありますが、御案内のとおり、両国赤十字の会談は、かなり長時間にはわたりましたけれども、極めて実務的であり友好的な雰囲気であったという報告を聞いております。したがいまして、この赤十字会談を行いました後、私どもとしては、いわゆる国交正常化のための交渉のテーブルに着くということに順序からいえば当然なると思います。このことについては先方も異議はないというふうに私は聞いております。
 昨日も申し上げましたように、今回、赤十字会談がああしたことになりましたのを私が評価をすると言いましたのは、何よりもテーブルに着いて非常に冷静に、そして友好的に話し合いをしたというところが一番重要なことでありまして、これから先の国交正常化交渉につきましても、お互いが意見を述べ合う、主張を述べ合うところは十分主張を述べ合って、そしてまた先方の意見にも耳を傾ける、そういうことがまず最初に大事だろうというふうに思っているわけでございます。そういう話し合いの中から懸案の問題が解決される、あるいは解決の糸口をつかむことができるというふうに私は期待をしております。
 もちろん、双方ともにいろいろと主張もあると思います。いろいろ双方、相手国に対する思い、主張もあると思いますけれども、そのことはそのこととして、話し合いはやはり冷静に進められるということが重要であろうというふうに思っております。
 私は、今大事なことは、双方が相手国の体制というものを認め合う、その上で十分話し合うことが必要だというふうに思っているわけです。それぞれの国にはそれぞれの国の経緯があり、歴史があり、文化があり、そして今日のそれぞれの国の体制というものができているわけですから、そのことをやはり認めるということが前提であって、その上で話し合うということが必要ではないかというふうに私は思っております。
○田英夫君 最後に、これは私の不勉強で、政務次官陣営が強化されたわけですけれども、例えば今度の日朝国交正常化交渉というようなことが始まる、これは重要な外交課題であるわけですが、二人おられる政務次官の役割分担といいますか、総括という字がついているから総括政務次官は全部を見られるんだろうとは思いますけれども、そういう点で何か役割分担がおのずからあるのかどうか、総括政務次官からお答えいただければと思います。
○政務次官(東祥三君) 一般論として申し上げれば、田先生御案内のとおり、日本が相手にしなければならない、相手にしなければならないということはちょっと乱暴ですけれども、日本の外交を推進していく上で国連という社会で考えますと、百八十八カ国が加盟国ですから、日本を引くと百八十七カ国が日本と常に何らかの形で連携をとっていると言っても過言ではないと思うんです。日々そういうお客さんがたくさん来ますし、それを大臣がすべてお相手する時間が十分与えられればいいわけですけれども、それがない。そういう意味で、大臣のもとで私とそして山本政務次官との間で地理的な形での分担というのも一応仕切っております。
 さらにまた、その地域に起こる諸問題に対しても、当然種々のいろいろな方々との連携もとらなくちゃいけませんし、また、当然事務方の方々はその道のプロとして日々職務に精励しているわけですから、そこから上がってくる諸問題、また判断が必要なときに種々協議をしながら、そして自分自身の考え方も入れさせていただき、そしてそれを踏まえた上で大臣に決裁していただく、大ざっぱに言えばそういう枠組みでございます。
○田英夫君 終わります。
○田村秀昭君 私は、防衛庁の国防省への昇格問題につきまして私の考え方を述べて、防衛庁長官からお考えを聞きたいと思います。また、外務大臣の方には通告してございませんが、国会議員の大先輩としてあるいは外務の総括責任者としてお答えいただければと思います。
   〔委員長退席、理事鈴木正孝君着席〕
 平成九年十二月の行革会議の最終報告で、防衛庁の省への昇格問題については「政治の場で議論すべき課題である。」というふうにされておりまして、それ以来、既に二年二カ月余の歳月が経過しております。私は、今から申し上げる二、三の点について、ぜひ省への昇格が必要であるというふうに考えております。
 まず一つは、今の防衛庁の状況では危機管理体制が国家として完璧なものとならないということであります。
 防衛庁長官は防衛行政を担当する主任の大臣ではないことから、法律、政令の制定、改正や、自衛隊の部隊の重要な活動、派遣等に当たっての閣議の請求権を有しておりません。したがいまして、緊急な措置というものがとれない。しかも、内閣法を改正しないと、内閣総理大臣の決断で瞬時に自衛隊が行動できるようにすることが内閣法を変えないと現在ではできないということになっております。
 それから、自衛隊の予算の要求、執行、行政財産の取得等を長官名で実施できない。したがいまして、全部これを、私は一番ここのところが問題だと思っているんですが、自衛隊の礼式、自衛官の制服の採用、昇任、すべて総理府に説明をして、総理府を通じてそれを実施していくということになります。
 そうすると、総理府には一般の公務員がおられるわけであります。そうすると、政治が軍事をコントロールするんじゃなくて役人が軍事を規制するという、実態面としてそういうふうになってしまいます。そうしますと、役人の方というのは平時に非常に役立つ方が多いんですが、有事に役立たない場合が多いんです。平時に役立つ人というのは有事に役立つ人が非常に少ない。有事には有事に役立つような訓練をしないと役立たないわけです。そして、平時に求められる価値観と有事に役立つために求められる価値観とは違うわけです。
 したがいまして、今、防衛庁はすべて一般公務員並み、一般公務員並みということを言われて、給料からすべて一般公務員並みの扱いを受けている。そうすると、どういうことが起きるか。例えば一つの例を申し上げますと、一般の社会では、一般の公務員というのは事故は絶対起こしちゃいけない。自衛隊も事故は絶対起こしちゃいけないということになりますね。そうすると、自衛隊というのは、事故は絶対起こしてはいけないというのが一番究極のぎりぎりの価値観じゃないんです。
   〔理事鈴木正孝君退席、委員長着席〕
激しい訓練をしなきゃいけない、事故は極限に抑えなきゃいけないために指揮官というのが存在するわけです。もしも一般社会のように事故を起こしちゃいけないといったら、事故を起こさないような訓練しかしなければ指揮官というのは必要じゃないわけです。指揮官が存在する必要がなくなってくるわけです。ですから、有事に役立つためには激しい訓練をしないとだめなんです。
 例えば航空自衛隊でいいますと、艦船攻撃をするときに海面すれすれの飛行というのを昔やっていたわけです。これは船のレーダーに捕まらないために海面すれすれ一メートルぐらいの高さで訓練をやっていた。そうすると、人間というのは太陽というのは常に上にあるもの、頭上にあるものだというふうに思いますので、海面が光るとそれを太陽と間違えて海面の中に、引き上げようとするんですが、操縦桿を逆に海面の方に突っ込んでいって殉職をするという隊員が非常に昔は多かったわけです。これはバーティゴという現象なんですが、今はそういうことをしていないから、全然上の方を飛んでいるわけですから、そういう激しい訓練をしていない。事故を起こしちゃいけないわけですから、そういうふうになります。それは陸上自衛隊でも海上自衛隊もみんな一緒と。
 そうすると、激しい訓練をしないわけですから、有事のときに役立たないという現象が起きてくるわけです。役立たない戦闘集団を育成していることになってしまいます、結果的に。それで、これは一年とか二年だったらいいけれども五十年も百年もこんなことをしていたら、私は防衛大学に入ったころに税金泥棒と言われましたけれども、本当に税金泥棒と言われても仕方ないんじゃないかなというような状況になってしまう。私は非常にそれを危惧するわけです。
 したがいまして、この一点についても、ぜひ政令から、機関の命令をみずから制定、改案できるように防衛庁長官を昇格させていただいて主任の大臣としていただきたいというのが、私の防衛庁を昇格させるのにぜひ必要だと考える論点であります。
 したがいまして、どのようにお考えになっておられるか、まず防衛庁長官、それから外務大臣にお聞きして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 田村委員から御高説を踏まえて防衛庁の省昇格への見解もお述べになり、私の所見が求められたわけでございます。
 田村委員は、御経歴からいいましても、防衛庁でまた幹部をお務めになられましたから、私はいろんな経験をしておられる方だと存じております。また、御本人が今もお述べになりましたように税金泥棒と言われた時代があった、こういうことを述懐されましたが、確かに我が国の戦後の中で大変国民の目から見ても試練の中で過ごされた青春時代もあったかと思うわけでございます。
 経まして五十年、今、自衛官はそれぞれに規則を守り、また日々訓練を積み重ね、練度を高めておるわけでございまして、頼もしい存在になっておるということは、田村委員も私から申すまでもなくよく御存じのところでなかろうかと思います。
 今、庁から省への昇格につきましては、田村委員もお述べになられましたが、いわゆる総理府の外局として防衛庁が置かれておる状況、加えて予算でありますとか、また法律でありますとか、そういったことに対する幅広い検討がなされてもいいではないかというような御主張、私も理解をするところでございますし、さらにその使命は国の平和と独立を確保して、また国民の生命、財産を守るという崇高な使命を担っておるわけでございますから、私は、その組織が庁というよりは省であった方がふさわしいと、かように考えるものでございます。
 また、国を守るという本来の意味もさることながら、広く国際的に自衛隊、自衛官に求められる声が世界各国からございます。また、このために自衛隊は、現在、ゴランの方に派遣されておりますが、先般はチモールにも空輸隊が参りました。また、従前さまざまな形でそれぞれの地域での災害における活躍とか、それぞれは高い評価を受けておりますし、またそれらの訓練が秩序正しい日本の自衛官として実は尊敬に値するものであるという評価も得ていることは、私としては喜ばしい限りでございます。
 そういった環境の中でこれから一層私は国際的な信用も深め、またそういう役割を担っていく大事な一面と、それからいざというときには国を守るという、これは命がけの仕事でございますから、それらを完遂する自己完結型の組織というものを私は追求していくということは大切なことだと思っております。
 米軍のある指導者に会いましたら、よく日本の自衛官も努力、苦労はしておる、私はよく米軍の兵士にも言うと。おまえたちは秩序正しく市民や国民から尊敬される存在でならねばならぬ、日々の訓練は厳しい、しかしそれにも耐えなきゃならぬ、任期も長く一定のところにとどまることはできない、一年、二年すればすぐ転勤を命ぜられることもあるだろう、その上になおかつ国家のために命を出せという職業はほかにあろうか、給料はそんなに高くないぞ、それでも君たちの誇りがそこにあるとすれば、それは国家をしっかりと支えてくれる勇気ある若い連中だと、こういったことで私は激励をしているという話を聞きました。
 今、我が国におきましてもそういう自衛官が育っておるわけでございまして、それらの若人が新しい国際的な目標に向かって進むということであれば、私は庁よりも省の方がふさわしいと思っておるわけでございまして、私の所見も含めて、以上をもってお答えとさせていただきたいと思うわけであります。
○国務大臣(河野洋平君) お尋ねでございますが所管外のことでございまして確たることを申し上げられませんが、行革会議の最終報告によれば、庁から省への移行については別途新たな国際情勢のもとに考えるという文言で締めくくられております。
 私は、この問題は国内的な判断と、それから国際的な判断と両方の判断が、もちろん日本が自主的に決めるわけでございますけれども、判断の前提としては、国内的なさまざまな隊員の士気でありますとか、今、防衛庁長官がお話しになりましたいろいろな問題、さらに世論が一体何を考えるかということも十分見なければなりませんでしょう。さらには国際情勢ということにも目を向ける必要もあるだろうと思います。そうしたことを十分に配慮の上、行革の最終報告のとおり、政治的に議論があって最終判断が行われるべきものだというふうに思います。
○佐藤道夫君 私は、NECの水増し請求問題を取り上げまして、防衛庁長官にお尋ねいたしたいと思います。
 一昨年は防衛庁に対する部品納入業者、これが水増し請求をしていたという不正事件が発覚いたしまして大騒ぎになって、防衛庁の高官も何人か逮捕、起訴されたというふうなことでありました。
 その騒ぎの中で、NECが実は我々もやっておりましたと。いずれ逃れられないと腹を決めて自首してきたのでありましょう。防衛庁はそれを受けとめまして至急に調査をすると。NECの発表によりますと、五年間で五十億ぐらいの水増し請求をしていた、二重帳簿もつくっていたと、こういうふうなことでありましたので、速やかに調査を行ってほしいと国会でもいろんな議員さんからそういう要望もありました。しかし防衛庁の説明ですと、何しろ帳簿が読める者がいないとか、工数計算ができないとかもう大変なんですよと、しかし頑張ってやっていますということでありまして、なるべく早く調査をまとめて結果は国会に御報告したい、こういうふうになっておりましたが、なかなかそれがらちが明かない。
 それで去年の十二月になりまして、急に何か防衛庁がマスコミに発表したと。その中身によりますと、何と何と三百十八億の水増し請求がわかったと。しかしNECも反省してこれを返すというので、本件はこれでおしまいということで、国会には報告らしい報告というのは一体あったんだろうか、なかったんだろうかと。この前の長官の所信表明の中で、やはり木で鼻くくったように二行ぐらい、三百十八億ですか判明したので、これを返納させてこれでおしまいということがありました。
 少しく誠意を欠いているんじゃないか。これだけ国民が注目して一体どうなっているんだと、こう見ているところに、驚くべきことに三百十八億だという巨額とも言えるような水増し請求がわかったわけでありまして、それならば一体いつごろから始まって、どんなやり方でこれだけの巨額な水増し請求がなされたのか、それを一体防衛庁の係官は全く見抜けなかったのか。それともほかの会社と同じように、何か事実上もうなあなあでやっていたということなのか。その辺のところを調べたと思います、当然のこととして。
 その結果をやはり国会にきちっと報告していただくということが私は大事、国会に報告するということは国民に報告することですからね。そして国会の了解をとって、その上でNECも反省しているから取引停止は解除するとか、それが当然の措置だろうと思うんですよ。いつの間に防衛庁はそんな偉い役所になったのか。三百十八億もの巨額な水増し請求を返すと言っているからもういいだろうと、私は大変いぶかしいと思うんです。
 国民の存在をないがしろにするも甚だしい。どうして国会にきちっと、全貌はこうでありまして、可能な限り御報告いたしますればこうなっておりまする、ぜひとも御了解くださいませと、国会もわかったと。それがあって初めて取引停止の措置を解除するとか、そういうことになっていくんじゃないでしょうか。何か防衛庁の感覚、国会を、国民を軽視するも甚だしいと私は思っておるんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(瓦力君) 佐藤先生から累次また御質問もいただくと思うわけでございますが、多年にわたりましてこれらの問題につきまして厳しく御追及をいただきました。私どもも誠意を持ってこの問題に取り組んだわけでございますが、また記者会見等におきましても御報告をさせていただいておりますが、委員から国会の方への報告はどうなっておるかということを踏まえてきょうは御質問をいただいておるわけでございますので、また総括政務次官も含めまして誠意を持ってお答えをいたしますが、いわゆる日本電気の水増し請求事案につきまして、なぜ早期に発見できなかったのか、これらについて経緯を含めまして述べさせていただきたいと思います。
 日本電気によります過大請求事案につきましては、防衛庁として、委員からも御指摘のように、昨年十二月、事案の概要及び過払い額を取りまとめ公表した際に、同社の過大請求の方法に関しまして多年にわたり工数を水増しした見積もり資料を防衛庁に提出したほか、いわゆる二重帳簿を作成するなどいたしまして過大な代金の支払いを受けていた旨明らかにしているものでございます。
 その詳細について申しますと、今回の防衛庁の調査において、保存資料により遅くとも平成二年ころから過大請求が行われていることを確認するとともに、日本電気からは、明確に特定することは困難でございますが、昭和五十年代の早い時期から二重帳簿による過大請求が行われていたのではないかと推測されるとの説明も受けているわけでございます。
 なぜ早期に発見できなかったかという点につきましては、契約企業と防衛庁の長年の取引を通じて、防衛庁としては契約企業の提出する資料を真実のものと信用し、大変これは申しわけないことでございますが、これらの資料に虚偽があるという疑いを持たなかったというところに原因があると考えるものでございまして、以降、十分にこれらの問題については注意を払わなきゃならぬことだと考えております。
 防衛庁といたしましては、企業側から提出される資料の信頼性を確保するため、防衛庁が行う制度調査を受け入れる義務を防衛庁と契約する企業に課すとともに、企業側が不適切な資料を提出した場合は違約金を支払うこととする等の措置を実はとったところでございます。これにつきまして累次、また詳細事項いろいろございますので、委員の御指摘を受けながら説明をさせていただきたいと思います。
○佐藤道夫君 これだけの事件が末端の社員だけでやれたとは思いません。水増し請求というのは明らかに詐欺事件でありまするからね。当然会社の上層部、普通ならば取締役、取締役だけではなしに社長とか会長まで話が行って、会社ぐるみ、組織ぐるみでこれだけの犯罪が行われたと考えるのが国民の常識でありますけれども、一体その辺はどういうふうに調査の結果なっておりまするか、それを説明してください。
○政務次官(依田智治君) 若干、犯罪の捜査に関連する事件ですので、私の方から御説明させていただきます。
 今、先生御指摘の過大請求事案につきましては、防衛庁として調査したわけでございますが、この調査した最大の目的というのは、過大請求額は幾らであったのかという点に重点を置いて調査したところでございます。
 それで、先生御承知のように、詐欺罪の場合には個人の犯罪でございまして、社等を取り締まるいわゆる両罰規定はございません。私どもが調査した過程で不特定多数の従業員等が工数を水増しした資料等もあり、過大の支払いを認定したわけでございますが、個々の従業員についてそれぞれ明確な犯罪事実を把握できるという状況ではありませんでした。それで、行政機関として告発する以上、明確な犯罪事実に基づいて行うことが相当と考えまして、今のような状況では告発するのは適当でないと。これは昨年二月の過大請求額を算定した東洋通信機事案、ニコー電子事案、さらに昨年九月の日本航空電子工業事案についても同様な措置をとっておりまして、告発は行っていないという状況でございます。
 以上、御報告させていただきます。
○佐藤道夫君 公務員が犯罪を発見した場合には告訴する、告発する義務があるということになっております。改めて私が説明するまでもない、刑事訴訟法にそういう規定があります。
 これは、警察や検察とは違いますから調査能力の限界があることはわかりますけれども、明らかに三百十八億は詐欺した金ですから、それは我々の調査とすればこれが限界といえばその段階で告発をして、告訴をして捜査当局にお願いする、これが当たり前であり、かつ公務員の義務でもあるわけでしょう。それをどうしてやらないんですか。そんな難しい問題じゃない。我々はこれが我々の限界です、後は捜査当局でお願いいたしますと言えばいいだけの話でしょう、どうなんですか。
○政務次官(依田智治君) 裁判官をやられた先生からの御指摘でございますが、刑訴法二百三十九条で官公吏の告発義務というのはもちろんあるわけでございますが、「その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」、こうなっておるわけですが、この「犯罪があると思料するときは、」ということにつきまして、私どもとしては、先ほど御報告しましたように、行政機関として告発する以上、個々の犯罪について明確な犯罪事実に基づいて行うことが必要である、こういうように考えておりまして、あやふやな状態で告発することは適切でないと、こういうことで実はやっておらない状況でございます。
○佐藤道夫君 犯罪事実もあやふやなままに返納を命じてそれを受け取ったんですか。おかしいですよ。やっぱりその辺は捜査当局がきちっとメスを入れて額も確定する、それは捜査当局の仕事ですから彼らにやらせればいいんですよ。我々の限界はここまでです、後はお願いいたしますと、それだけの話なので、なぜそれがいけないんですか。犯罪があると思料したわけでしょう、水増し請求というのは明らかに詐欺ですからね、そう思料したわけでしょう。そして、告発をしない、告訴をしないというのは任務懈怠だと言われても仕方がないですよ。
○政務次官(依田智治君) 先ほど申し上げましたように、防衛庁が調査したのは過大請求額は幾らかというむしろ民法の不法行為という観点から額を特定するという方向で調査したわけでございまして、犯罪捜査という視点に立って実はやったわけでございませんので、今申し上げたようなところで明確に確認できない、それで告発は行っていない、こういうことでございます。
○佐藤道夫君 余り水かけ論的なことをしたくないんですけれども、これは二重帳簿までつくって過大な請求をしたんでしょう。常識で考えたって、これ詐欺でしょう。詐欺ではない、しかし何か民法上の不法行為だとか、そんなことをおっしゃるんですか。民法の不法行為だって故意または過失、これは詐欺なんですよ、基本的には、本件を当てはめていけば。そして、不法行為を構成するから返還を求めるとか、こういうことになるわけでありまして、警察出身の政務次官にしては何か全然とんちんかんなお答えとしか思えないんですけれどもね。
 当たり前のことでしょう、国の財産をだまし取ったんですから。我々は調査は限界がある、後は捜査当局にと、それだけの話なんですよ。なぜそういうことをやらないのか不思議で仕方がない。もう一度ちょっとお願いします。
○政務次官(依田智治君) これは、刑法二百四十六条、詐欺罪の解釈にもよると思うんですが、実行行為者とともにその者の属する法人または法人の代表者を罰する両罰規定はありません。個々の従業員等に係る犯罪、個別な犯罪として立証しなければ、私どもが調査した場合、全体の帳簿等からこういう額は幾らだというのは大体認定したんですが、では、それがどういう個人が関与してどういう状況でこれがなったかというのは実は把握されておりませんので、特定の個人を犯罪者として告発することはできない、こういうことでやっておりません。
○佐藤道夫君 もう全部御承知の上でそういうことをおっしゃっているんでしょう。普通は犯人がわからなければ、犯人不詳だが詐欺は間違いない、お願いしますという告訴状を提出すればいいだけですからね。名前がわからないから告訴できませんなんというのは、本当にいいかげんな答弁としか思えません。言い方がきつくて大変恐縮ですけれどもね。
 それと、日本には昔から、子供が泥棒をいたしますと親が厳しくしかる、そうすると子供が何かあっさりと、では返せばいいんだろうと。そうすると親はどうしたかというと、何をおまえは言うんだとより厳しくしかる。返せばいいと、そんなものではないんだ、おまえが一体どんな大変なことをしたのか、その反省から始まるんだということなんですけれども、これは何か承っておると、もう返したからこれはいいやということなんですけれども。NEC側の反省の弁も何も言われていない、新聞等にもあらわれていない。それから、社長や会長が一体どれだけの責任をとったのか。
 先ほど言いましたけれども、これ組織的な犯罪でありますから相当上の者が指導したり関与したりしていることは明らかなので、その辺を解明していくのもこれまた捜査当局の仕事なので、だれもこんなことを防衛庁に期待していませんよ。あなた方はこういう容疑があるからお調べいただきたいと申し出ればそれで十分なんですからね。それを、よくわからないから告訴もしないとかいうこと自身が大変おかしい。日本の公務員制度も本当におかしくなりつつあるなという気がして仕方がないんですけれども、大臣、いかがでしょうか。長官だ、失礼。
○国務大臣(瓦力君) いや、国務大臣でもありますから、長官と訂正されなくてもようございます。
 また、先生ほど実は法学的な知識もございませんが、私は、それぞれがある種の企業倫理といいますか、そういったものを携えながら私はこれからも襟を正して努めていただきたいと願うものでございます。
 防衛庁の行政目的を考えてみますと、過大請求額を算定し国損を回復することでございまして、過大請求の算定を終了した以上、調査の目的を達したものと、かように考えます。
 外部の者につきまして犯罪があったかどうかを明らかにするための調査を継続することは、私ども並びに防衛庁の職責を超えているものと考えるわけでございまして、これからもこういう事案が起こらないように細心の注意を払い、努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○佐藤道夫君 最後に。これからも起こらないようにと、こうおっしゃいますけれども、そういう甘い処分をしている限りこれからもどんどん防衛庁を舞台にした同じようなケース、なに発覚したらそのときに返せばいいやと、現にもうNECの先例がこれあるというようなことで、出入り業者たち、またいいかげんなことをしてきますよ。そのときはどうぞ責任をとっていただければという気もいたしますけれども。
 以上であります。
○委員長(矢野哲朗君) 以上をもちまして、平成十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁、外務省所管、内閣府所管のうち国際平和協力本部、防衛本庁及び防衛施設庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時半に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時四十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
○委員長(矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 就業が認められるための最低年齢に関する条約(第百三十八号)の締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に外務省総合外交政策局国際社会協力部長上田秀明君、外務省条約局審議官小松一郎君、警察庁長官官房審議官上田正文君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) 就業が認められるための最低年齢に関する条約(第百三十八号)の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○小山峰男君 それでは、この条約に関連して四点ほど御質問を申し上げます。
 まず一点でございますが、大臣の提案理由の説明また説明資料を見ましてもそうですが、この条約は昭和四十八年六月に云々というふうに書いてございまして、一瞬これを見たとき、一体日本政府は何を怠慢していたんだろうというまず印象を持ったんですが、多分いろいろ理由はあると思いますが、その辺説明いただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) この条約は、十五歳未満の者及び義務教育修了年齢に達していない者の就業を原則として禁止する一方で、一定の要件を満たす軽易な労働については加盟国が国内法令において十三歳以上十五歳未満の者による就業を認める旨定めることができるということを規定しております。
 我が国の労働基準法は、一定の要件を満たす軽易な労働が認められる最低年齢を十二歳と定めているなど、この条約を実施するために国内法令上措置する必要があるという部分がございました。他方、近年の児童労働問題に対する国際的な関心の高まりを踏まえまして、平成十年の労働基準法改正の際に、先進諸国における軽易な労働にかかわる最低年齢やこの条約の規定などを勘案し、一定の要件を満たす軽易な労働が認められる最低年齢を十三歳に引き上げるなどの改正が認められ、本年四月から施行されることになりましたため、この条約の実施が可能になったわけでございます。
 つまり、最低年齢を十二歳と定めていたものを十三歳に引き上げるかどうかということで大変長い間議論が続いていたということでございます。
○小山峰男君 そうすると大臣、我が国内法との調整で、結局四十八年にジュネーブで採択されたものがつい最近になってやっと十二歳が十三歳になったという理由なわけですか。
○国務大臣(河野洋平君) おっしゃることが理由の一つでございます。
 この条約は、児童労働の実効的な廃止を確保する観点から、それまで特定の経済分野ごとに就業の最低年齢を定めてきたILOの諸条約を一つにまとめてすべての経済分野を対象とした一律の基準を設けたものであります。この条約は、ILOにおいてその批准が強く求められている基本条約の一つでありまして、我が国がこの条約を締結することは、児童労働の廃止を達成するため国際的な取り組みを推進するとの見地から極めて重要という指摘がございました。
 しかし、我が国におきましても地域性の問題あるいは業種の問題等がございまして、なかなか先ほど申し上げました十二歳を十三歳に引き上げることなど合意ができなかったものでございます。
○小山峰男君 それでは、この条約を批准している国の状況、またいつごろ最初の国が批准をしたかというような、その批准の各国の状況というのはわかりますか。
○政府参考人(小松一郎君) この条約を批准している国の締結状況でございますが、二〇〇〇年二月一日現在で八十四カ国がこの条約を批准してございます。
 主な国でヨーロッパで申しますと、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、ノルウェー、スウェーデンそれからロシア、アジアでは中国、韓国等がこの中に入ってございます。
 御参考までにG8諸国のうちまだこの条約を批准しておりませんのはアメリカ、カナダ、イギリスそれから日本でございます。それから、EUの中ではイギリス、オーストリアでございます。また、いわゆる先進国の中では豪州、ニュージーランドは未批准でございます。
 それから、どのような国が一番最初に批准したのかという御質問でございますが、一九七五年三月にキューバが批准してございます。二番目が同じ一九七五年十一月ルーマニアでございます。
○小山峰男君 アメリカとか先進国でもまだ批准していない国がかなりあるようですが、これは外務省だけの責任ではないと思いますし、我々の責任でもあるわけですが、少なくとも昭和四十八年に採択された条約、やっぱりお互いにもう少し早く批准するような努力が必要だと、今改めてまたそんな思いを強くしたところでございます。
 次に、いわゆるこれができない、例えばアメリカなんかができないというのはどんな理由なのか、その辺ちょっとお聞きしたい。
○政府参考人(小松一郎君) アメリカがこの特定の条約を批准しておりません理由は、ちょっと今つまびらかにいたしませんけれども、実は先進国の中でアメリカはILOの条約を締結する数は非常に少のうございまして、一般論として連邦国家である、州ごとに労働法規等についていろいろと違いがあるというようなことが一つ原因になっているというふうに理解をしております。
○小山峰男君 そうすると、必ずしも低開発国のような状況の国とかそういう分け方じゃなくて、ただ未批准国とかそういうのがたくさんあるというふうに理解していいわけですか。
○政府参考人(小松一郎君) 先ほど御報告いたしましたとおり、いわゆる先進国の中ではアメリカ、カナダ、英国、オーストリア、豪州、ニュージーランド等が批准をしてございません。
 他方、ごく一般論でございますけれども、児童労働の問題というのは多分相対的に言えば、いわゆる開発途上にある国の方に深刻な問題があるということであろうかと思います。
 ただ、これも一般論でございますけれども、先進国、日本もそうでございますけれども、条約に入りますと非常に細かいところまで国内法で矛盾がないように非常に慎重にやるという点がございまして、そういうことから締結がおくれている国もあろうかと思っております。
○小山峰男君 このいわゆる主管省というのは労働省ですかということと、今までこの十二歳を十三歳にする、おくれてきた主たる、反対をしていたというか、原因というのはどんなところにあるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(上田秀明君) この条約にかかわりますこの十二歳を十三歳にするという点については、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、各地域によりましては、過疎地というようなところでは、例えば十二歳の小学校六年生の子供たちも軽易な労働、すなわち新聞配達とかそういうものをやっているわけでございまして、十三歳に上げると中学生以上ということになりますので、若干そういうところで経過措置として十二歳の子供たちでも当分の間できるようにするとかいうような手当てが必要であったという点が一つございます。
 それから、その他、今、条約局審議官の方から御説明いたしましたように、国内法との整合性を非常に厳密に図るためにいろいろな角度から検討してまいりましたが、この児童の就労年齢の問題に関することについてさほど御議論があったというふうには承知しておりませんで、労働基準法そのものの改正に関しまして、中央労働基準審議会等におきまして、いろいろな角度からその他の重要な問題、労働契約期間の上限でございますとか女性の労働時間でございますとか年次有給休暇でございますとか、さまざまな非常に重要な問題についていろいろな角度から御議論があって、それと一括して労働基準法の改正という段取りになったというふうに承知しております。
○益田洋介君 それでは、条約百三十八号の第三条の第一項、三ページでございますが、ここで述べておりますのは、「年少者の健康、安全若しくは道徳を損なうおそれのある性質を有する業務」とございます。
 我が国の場合、この「健康、安全若しくは道徳を損なうおそれのある性質を有する業務」というのは具体的にどういった業態を、業務を想定しているのか、その点をまず列挙するのではなく簡単に概要をお話し願いたいと思います。
○政府参考人(小松一郎君) 労働基準法第六十二条第一項でございますが、満十八歳に満たない者を危険な業務につかせること、また重量物を取り扱う業務につかせることを禁止してございます。それから、同条第二項でございますが、十八歳に満たない者を安全、衛生または福祉に有害な場所における業務につかせることを禁止してございます。
 具体的には年少者労働基準規則という労働省令、政令で定めてございまして、詳しくは申し上げませんけれども、例えば安全という観点からいえば、ボイラーを取り扱うとかクレーンとかそういったものを運転する、また火薬、爆発物を取り扱う、こういったようなものが想定されております。それから、健康の関係でございますが、これは病原体によって著しく汚染のおそれのある業務というようなものが挙げられております。あと、道徳を損なうおそれのある性質を有する業務ということでは、酒席に侍する業務、特殊の遊興的接客業における業務等が列挙されてございます。
○益田洋介君 その次の条文ですが、「又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務については、」というくだりですが、ここは読みかえるならば、前文からしますと、健康、安全もしくは道徳を損なうおそれのある性質は有さないが、読みかえるならば、健康、安全もしくは道徳を損なうおそれのある状況下というふうに読めるかと思いますが、これは具体的には何を想定していますか。
○政府参考人(小松一郎君) そのとおりでございまして、前段は業務の性質に着目いたしまして、その業務自体が危険であったり安全を損なう、こういうことでございますが、その業務の性質自体が健康を損なうとか安全を損なうおそれがなくても一定の状況下でその心配があるというものが、先ほども申しました労働省の政令でも具体例を挙げさせていただきますと、例えば異常気圧下における業務でございますとか寒冷な場所における業務、こういったものがこれに当たろうかと存じます。
○益田洋介君 それでは、第三条の第三項でございます。四ページです。
 ここの前段には、「1の規定にかかわらず、」という書き出しから始まって、三行目には、「適切なかつ特定の指導又は職業訓練を受けたことを条件として、十六歳からの就業については、これを国内法令又は権限のある機関により認めることができる。」と。この第三項については我が国の場合は適用されていないというふうに承知しておるわけでございますが、念のため、「適切なかつ特定の指導又は職業訓練」というのは何を指しているのか、つまり十六歳の就業を、十八歳から十六歳まで言ってみれば規制を緩和しているわけでございますが、二歳分この年代の子供たち、児童たちの就業を早めるための、それを可能にするための「特定の指導又は職業訓練」、条件たり得るそうした指導または訓練とは具体的に何を指しているのか伺いたいと思います。
○政府参考人(小松一郎君) この規定の立法趣旨でございますが、それはやはり、十五歳以上の者であっても若年者に対しては安全とか健康上の危険をはらんでいるような業務にはなるべく厳しくそこを規制して、その年少者の健康、安全等について保護しよう、こういうことから、原則として十八歳以上にそういうものを認める、こういうことになっているわけでございますが、一方におきまして、この条約の普遍性、多くの国がここに入れるということからいきますと、一部の経済発展段階が一定の状況にあるような国につきましては、年少者の、年少者と申しますか若年者の労働を経済上必要としているという事情のある国もあるわけでございまして、そういう国に対しては若年者に対する健康、安全に対して配慮をしつつ、原則の例外を認めて、ある程度就労を可能にしてやることがこの条約の普遍性を確保するという上で意義があると、これがこの規定の全体の趣旨でございます。
 それで、では具体的にどういうようなことかと申しますと、日本についてはこういうことは、日本の法制についてはそうなっておりませんけれども、例えば先ほど申し上げましたクレーン等を、重機と申しますか、そういうものを扱うという業務が原則として十八歳以上には禁止されているという場合でも特別の訓練をして、特別のそういった機械を取り扱う訓練を受けた者に対しては十六歳以上は認めるというようなことはあり得るという、これはあくまでも理論的なことを申し上げておりますけれども、それが条約の趣旨であろうかと思います。
 ただ、繰り返しになりますけれども、我が国におきましては、国内法上そういうことにはなってございません。
○益田洋介君 先ほどの「1の規定にかかわらず、」というところからもう一度フィードバックして、第三条の第一項の「又は」以降の条文をあわせ読みますと、健康、安全もしくは道徳を、私は関心が特にあります道徳を損なうおそれのある性質を有する業務ではないが、道徳を損なうおそれのある状況下、これは何を想定していますか。
○政府参考人(小松一郎君) この三条の文言につきましては、道徳につきましては、この条約の審議過程におきまして特段の議論が、そういう今のような御質問のような文脈の中で特別な議論が行われたというふうには記憶しておりません。
 ただ、その規定の読み方といたしまして、理論的には確かにおっしゃるとおりそういうところがあり得るわけでございますが、日本の法制上のことを申し上げますと、今申しましたように特段、例外として道徳に有害があり得るようなもので、特定の訓練をすれば認められるというようなことはないわけでございます。
○益田洋介君 この辺は、条約の締結にかかわっておりながら我が国が適用されないということは、例えば結婚適齢期の年代ですとか風俗産業に従事できる年代というのは、これは国によって異なるわけです。そういった背景があると思いますが、そうした国それぞれの千差万別の状況下というのは、就業規則のもとには根底として一つのコンセプトというのはあると思うんですが、この点を含めて、大臣、一般的にこれを早い機会に締結を促進したいとお考えになる、基本になるお考え、それを一言だけお伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど来お尋ねがございますように、この条約の締結が大変おくれておりますことは申しわけなく思っておるわけでございますが、この条約にうたってありますように、児童労働の実効的な廃止というものを確保するという意味から、すべての経済部門においての就業が認められるための最低年齢を定めるというのが国際社会で、つまりILOにおいて強く批准を求められているわけでございまして、我が国がこの条約を締結することは、児童労働の廃止を達成するための国際的な取り組みを推進するという見地から、極めて重要なことであるというふうに考えております。
○益田洋介君 ありがとうございました。
○立木洋君 外務大臣、昨年河野さんが再び外務大臣におなりになったときの所信の中で、今の国際情勢のもとで人権問題、これは非常に重視していかなければならないということを強調されました。それで、今後の施策の中で、この人権問題についても重視して努力をしていきたいとおっしゃったということが記憶に残っているわけです。しかし、国際情勢の全体の動きというのを見てみますと、人権に関する条約あるいは労働における基本原則に関する条約等々での批准というのは、国際的な水準から見ると決していい状況にはなっていないということは事実だろうと思うんです。
 その点をどういうふうに改善していく見通しをお持ちなのか、まず最初に基本的な見地だけちょっとお尋ねしておきたいと思うんです。
○国務大臣(河野洋平君) 人権問題につきましては、西欧諸国と我々が位置しますアジアの国々との間において、残念ながら歴史的経過その他で違いがある、あるいはおくれがあると言っていいかもしれませんが、スタンダードに遺憾ながら差があるということは認めないわけにいかないと思います。
 さらに、先ほど来から御議論がありますように、ヨーロッパの地域におきましては、国家主権を超えて人権問題の重要性を論ずるということが今一つの大きな流れになっている。それに比べてアジアの国々はまだまだ国家主権というものを非常に大事にするという風潮といいますか考え方がございまして、国家主権の中にあってそれぞれの国がそれぞれの考え方によって人権というものを守っていく、考えていく、そういう状況にあると思うのです。
 私は、そういう中にあって、日本は日本としての考え方をきちんと確立しなければならぬというふうに思っております。
○立木洋君 先ほども同僚議員からお話がありましたが、今回の本条約の批准がおくれたという点について御説明がありましたけれども、やっぱりそういう問題についてもできるだけ努力していく措置を今後一層強めていただきたいと改めて強調しておきたいと思うんです。
 この問題については、一九九八年、ILOの第八十六回総会で、労働における基本原則と権利に関する宣言及び宣言のフォローアップについての採択がなされました。この中では、これに関する措置を、七つの条約の批准に誠意ある努力をするようにということが述べられているわけですが、今回この本条約が批准されたとしても、まだ二つの条約は批准されていない。
 その一つは強制労働を禁止する百五号条約及び雇用における差別を禁止する百十一号条約、これが批准されていないという状況にあるんですが、この非常に重要な問題、七つの条約ということが提起されているわけですが、これらの問題について早急に批准する必要があるのではないかというふうに考えているんですが、この点についてのお考えを述べていただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) この手の問題は、今申し上げましたように、各国の政府あるいは労働者及び使用者のさまざまな関心というものが反映をされて、その批准が非常に早い時期になされる国もありますし、やや遅くなっているという国もあるんだろうと思います。それはその国の国情等が反映されているというふうに思う部分と、あるいは種々の分野における労働条件の改善を図るということ、まずそれがあって批准に時間がかかってしまうということもあるのだろうと思っております。
 いずれにいたしましても、今御指摘の未批准でございます強制労働及び雇用及び職業についての差別待遇に関する条約につきましては、我が国も国内法制と条約の整合性などにつきましてさらに検討する必要があるというのが現在の状況でございます。そういうことから現在未批准となっておりますが、こうした条約につきましては引き続き検討を進めてまいらなければならぬと思っております。
○立木洋君 この百三十八号条約を含めた七つの条約の批准の状況ですね、これを見てみますと、一九九七年から現在に至るまでの三年間に、七つの条約を新たに批准した国というのは延べで七十五カ国に上っているんです。非常に進み方が早いんです。それから同時に、本条約、百三十八号条約についても二十四カ国に達しているというふうになっております。だから、非常にこの間これらの問題についての批准という状況が国際的に進んできているということが言えると思うんです。
 そういう点で、今、大臣が述べられた点ですが、国内法令との整合性をさらに検討するというお話でございますけれども、これは整合させるべきは条約に対して国内法制を厳格にするということ。私はその逆であってはならないだろうと。だから、国際的にどうなっているかという進展をよく見ながら、やっぱりそれに追いつく方向で、日本がおくれていると言われている面でもそれに追いついていく、それできちっとそれを国民にそういう権利、それから人権の問題等も整備していくという努力をしないと、日本がこうなっているんだからそれに整合性を合わすというふうな言い分でおくれるということになると、それは逆になるだろうと思うんです。
 今申し上げたように、そういう点では批准の問題というのは進んできているわけですから、ぜひその点をお願いしたい。
 特に、昨年のILO総会で批准された児童労働に関する新条約、最悪の形態の児童労働に関する条約、百八十二号の条約が批准されてきております。この問題を見る場合に、ILOの調査では世界で二億五千万人もの児童労働者がいる。その六割がアジアであるということから考えてみても、やはりよりおくれた状態ではなくて、日本がそういうものを促進していくような方向での努力というのが必要になってくるだろうというふうに考える必要があるんではないかと思います。この百八十二号条約の批准について、我が国としては十分に検討し、速やかに批准するということが必要だと思うんですが、その点についてのお考えもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今、議員御指摘の第百八十二号条約につきましては、政府としてこの条約の重要性、この条約を締結する意義というものは十分に認識をいたしております。この批准につきましては、条約の内容と国内法制などの整合性などについて検討を進めてまいりますが、この重要性にかんがみまして、できるだけ努力をしたいというふうに考えております。
○立木洋君 最後に一つだけ。
 もう大臣先刻御承知のように、本年は子どもの権利に対する条約が国連で採択されて十周年であります。それから、日本政府としてもこれを批准して五周年の節目を迎えるという年でもあります。ですから、そういう点もあわせて、国際的に約束してきた内容についてはきちっと厳格に実行していけるような、そういう努力をぜひとも重ねて要望して、私の質問を終わりたいと思います。
○佐藤道夫君 条約の関係で二点お伺いいたします。
 一つは、この条約を批准した場合に国内法の手当てが必要になるのかどうなのか、もし手当てが必要だとすればいかなる法律のどういう項目なのかということをちょっとお教え願いたいと思います。
○政府参考人(小松一郎君) 国内法との関係でございますが、労働基準法で、先ほど来御答弁を申し上げているところでございますけれども、十五歳未満、十五歳を超えても義務教育の終了までは原則として労働を禁止する、認めてはならないという条約の規定でございまして、我が国の労働基準法は一つには十五歳と書いてございました。それを、十五歳を超えましても十五歳を超えて最初の三月三十一日、義務教育の終了まではということで、してはならないというふうに労働基準法を平成十年の改正で改めたわけでございます。これが第一点でございます。
 それから第二点に、先ほどから大臣から御答弁申し上げてございますが、十五歳未満で例外として就労が認められる場合として、教育との関係で支障にならないような軽易な労働、新聞配達のようなものという説明がございましたけれども、そういうような労働がございまして、それが、この条約では十三歳以上は認められる、こういう規定になっておりますが、我が国の労働基準法はそこが十二歳以上であればそういう軽易な労働ができるということになってございました。それを平成十年に、この条約との、若干細かな点ではございますけれども、整合性を完全にとるという、条約と国内法制の整合性を矛盾がないようにするという観点から、十二歳を十三歳に改めた次第でございます。
 平成十年の労働基準法改正で、その辺の手当てはできておりますので、国内法の手当ては条約上、条約の義務を担保するための国内法の整備は完了しております。
○佐藤道夫君 第二点は、この条約に対する関係各界の受けとめ方なんですけれども、例えば教育界、産業界、労働界、それから地方自治団体、なお婦人団体などもこういう問題についてはいろいろと関心を持っているだろうと思います。その辺のところをちょっとお教え願えれば参考になろうかと思います。
○政府参考人(小松一郎君) ILOの条約は、御案内のとおり政労使三者構成ということで、政労使がこの条約は締結すべきである、こういうコンセンサスがございまして出てくるわけでございます。
 そういうことで、例えば今おっしゃいました中で、我が国の労働団体の代表的なものでございます日本労働組合総連合会、いわゆる連合でございます、連合もILO条約勧告対策資料集というものの中で、早期に締結をすべきものということでこの条約を掲げてございます。
 それからもう一つ付言をさせていただきますと、平成十年に先ほど申しましたように労働基準法が改正をされたわけでございまして、それが衆議院の労働委員会それから参議院の労働・社会政策委員会でそれぞれ可決をされましたときに、それぞれ附帯決議が付されております。いずれもこの条約の早期批准に向けて検討を急ぐべきこと、こういう内容となってございます。
○佐藤道夫君 警察庁は見えておりますね。
 では、条約を離れまして、北朝鮮の問題を取り上げたいと思います。
 いろんな問題があるわけですけれども、きょうは北朝鮮からの覚せい剤の密輸入の件について触れたいと思います。
 かつて覚せい剤の輸出元というのは韓国ルートが非常に多かったわけですけれども、最近は中国やら北朝鮮が急激に伸びてきているということでありまして、何か年間二トンぐらいの覚せい剤のうち中国と北朝鮮でほとんど大部分を占めておると、しかも伸び率が極めて、成長率が北朝鮮の場合にはすさまじいというふうにも言われておりますけれども、その辺のところをちょっと御説明願えればと思います。
○政府参考人(上田正文君) 平成十一年中に覚せい剤一キロ以上の密輸入事件を十五件検挙しておりますが、その総押収量が千五百十二キロに上っております。そのうち、中国からのものが十一事件、八百四十三・三キロ、押収量の五五・八%、北朝鮮からのものが二事件で六百六十四・六キログラムで押収量の四四・〇%になります。
 また、本年については、密輸入事件二事件を検挙し四百六十八キログラムを押収しておりますが、二月五日、島根県温泉津港に二百五十キロ陸揚げされました事件については北朝鮮ルートであると判断をしております。そして、他の一事件につきましては、現在仕出地を捜査中であります。
○佐藤道夫君 北朝鮮からどういうルートで密輸出されてくるのか、大変興味のあることだと思います。何か聞く話によると、向こうの港に、北朝鮮の港に日本の漁船その他密輸船が行って品物を受け取ってくる、あるいは公海上で北朝鮮の工作船と行き違ってそこで荷物の受け渡しが行われるとか、いろんなことが言われておりますけれども、今まで検挙した人たちの供述というものがあろうかと思いますけれども、その辺を踏まえてどういうルートで一体日本に入ってくるのか、そこはいかがでしょうか。
○政府参考人(上田正文君) 今、委員もおっしゃいましたように、過去の検挙の事例で見ますと、北朝鮮の港で積み込んだというのもありますし、それから北朝鮮の沿海、要するに陸に大変近い沿海でありますが、沿海で密輸船に積み込んだというふうな例もございます。
○佐藤道夫君 そこで、外務大臣にお伺いいたしますけれども、北朝鮮のことですから、これは私が言っているわけじゃないんですけれども、国が関係していることは絶対間違いないと。むしろ、国の事業としてこういう密輸出をやっているんじゃないかと言う人もいるわけでありまして、何といっても使用する日本人が一番責任が重いんですけれども、それはそれとしても、やはり北朝鮮がそういうことを大がかりな一つの国家的な事業としてもしやっているようなことがあるんだとすれば、やっぱりきちっと申し入れをして、どういうルートを通じてやるかわかりませんけれども、きちっとお互いに議論をして、こういうことはやめましょうよということを言うのも大事なことだろうと思うんですけれども、いかがでしょうかね。
○国務大臣(河野洋平君) 覚せい剤の密輸あるいは密輸入というものが今国際的に最も非難されるべき犯罪というふうに私は考えております。こうした問題が根絶されることが今国際社会が望んでいる大きな問題でございます。
 私は、こうした覚せい剤事件と申しますか問題と申しますか、こういう問題には国際社会が一致して取り組まなければ問題は解決しないわけでございまして、国際社会としてこの問題に取り組む、そういう考えをぜひすべての国に持ってもらいたい、こう考えております。
○佐藤道夫君 最後に、今回は人道的見地から米の食糧支援を行うと。こういう場合にも、あらゆるルートをとらえて、通じて北朝鮮にきちっと申し入れをするというような外交姿勢を堅持してほしいということを要望して、私の質問を終わります。
○委員長(矢野哲朗君) 他に御発言もないようですから、本件の質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十分散会