第147回国会 国民福祉委員会 第1号
平成十二年二月三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         狩野  安君
    理 事         田浦  直君
    理 事         勝木 健司君
    理 事         山本  保君
    理 事         小池  晃君
                尾辻 秀久君
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                山崎 正昭君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                松崎 俊久君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                入澤  肇君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
    ─────────────
   委員の異動
 二月三日
    辞任         補欠選任   
     尾辻 秀久君     岩城 光英君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                山本  保君
    委 員
                岩城 光英君
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                沢 たまき君
                入澤  肇君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
   政務次官
       厚生政務次官   大野由利子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       労働省職業安定
       局長       渡邊  信君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
〇政府参考人の出席要求に関する件
〇国民年金法等の一部を改正する法律案(第百四
 十五回国会内閣提出、第百四十六回国会衆議院
 送付)(継続案件)
〇年金資金運用基金法案(第百四十五回国会内閣
 提出、第百四十六回国会衆議院送付)(継続案
 件)
〇年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関す
 る法律案(第百四十五回国会内閣提出、第百四
 十六回国会衆議院送付)(継続案件)

    ─────────────
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 この際、申し上げます。
 民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び参議院の会所属委員に対し出席を要請いたしましたが、出席を得られませんので、再度出席を要請いたしたいと存じます。しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(狩野安君) 速記を起こしてください。
 民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び参議院の会所属委員に対し出席を要請いたしましたが、出席を得ることができませんでしたので、やむを得ず議事を進めます。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る一月十八日、水島裕君が委員を辞任され、その補欠として山崎正昭君が選任されました。
 また、一月十九日、常田享詳君が委員を辞任され、その補欠として水島裕君が選任されました。
 また、本日、尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として岩城光英君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に山崎正昭君を指名いたします。
    ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、社会保障等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生省児童家庭局長真野章君、厚生省年金局長矢野朝水君及び労働省職業安定局長渡邊信君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案を一括して議題といたします。
 三案につきましては前国会におきまして趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○入澤肇君 自由党の入澤でございます。
 衆議院からの継続案件になっております年金制度につきましてきょうから質疑が始まるわけでございますけれども、この年金制度は国民生活のセーフティーネットの極めて重要な一環をなしているわけでございます。この重要な法案の審議に当たりまして、日ごろよく勉強され真剣な議論をされております清水委員、小池委員、堂本委員、今井委員等、私が常に尊敬している議員の皆さん方が出席されないことを非常に残念に思います。与党だけでやるということじゃなくて、西川委員が入っておりますので若干救われた気持ちがあるんですけれども、私は野党の分も含めてやるような気持ちで真剣に質疑をしたいと思っております。
 この年金制度は五年ごとに財政再計算が行われます。そのたびごとに給付水準が抑制的に調整される、さらに一方で保険料の引き上げがある、要するに負担が増加する。こういうことが繰り返されて行われてきたために、国民一般に将来への不安、年金制度は一体どうなるのだろうかという不安が満ち満ちております。それが国民年金の保険料の未納あるいは未加入、そういういわゆる空洞化につながっているのではないかというふうに一般に認識されております。その意味では、そういう年金制度の根幹にかかわる問題につきまして、この制度改革の質疑を通じて問題を明らかにし、今後の対応を探っていくということが必要で、極めて重要な委員会ではないかと思います。
 私は今回を皮切りに何回か質問させていただきますけれども、年金制度一般はかなり難しい制度でございます。そこで、できるだけわかりやすく政府の考え方を国民一般に明示していただくために、連合の出している案を参考にしながら、連合の案は一体どういう認識のもとに案が練られているのか、つくられているのか、それに対する政府の見解をただし、さらに連合の案に対して政府の案はどのような考え方に基づいてできているのかということをまずきょうは質問させていただきたいと思います。
 連合の案の中でも非常に共感を覚える項目がございます。一つは、いずれ基礎年金の部分は税方式に改めていこうじゃないかということが提言されておりますし、それから支給開始年齢の引き上げについては当面反対していますけれども、しかし少子高齢化、リストラで失業者がふえている、高齢者の職業の場の確保が極めて重要であるということから、雇用と年金の接続が極めて重要な課題であるということも連合の案では指摘されております。これについては私も同感でございまして、なかなかいい意見だなというふうに思っているわけでございます。
 ただ、具体的な数字を見ますと疑問の点が多々ある。この点につきまして具体的に政府当局はどういうふうに認識されておられるか、また政府案ではどのような考え方のもとにこの案ができているのかということについてまずお話をお聞きしたいと思います。
 二つの観点からアプローチをしてみたいと思います。一つは給付水準の問題であります。それからもう一つは将来の保険料負担の見通しでございます。
 まず第一点目、年金額の表示につきまして連合のパンフレットを見ますと、二〇二五年の年金額は、四十年フル加入モデルを適用しますと額面で十九万円程度、手取り額で約十六万円程度というふうに言っておりますし、平均で約十七万円、これは手取りでは十四・五万円、十四万五千円というふうに言っておりまして、この平均の十七万円、それから手取りの十四万五千円、これは東京一級地での生活保護水準とほとんど変わらないじゃないかというふうなことが述べられております。
 これに対しまして、政府のモデル年金額では一九九九年で二十三・八万円、二〇二五年では四十一・八万円というふうになっておりまして、連合のその金額はいかにも低いじゃないかというふうに見られます。どうしてこういう計算ができるのだろうかということで、よくよく考えてみますと、どうも連合の案はこれからずっと未来永劫に名目賃金が固定されたままで計算されているんじゃないかというふうに見受けられるんですけれども、よくわかりません。
 そこで、この連合の試算について、前提としてどのような数字を、あるいは考え方をとっているのかについての政府の認識をお聞きしたいと思いますし、それから政府案はどのような基礎的な数値をもとにして年金の額を計算しているのかについてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 年金制度は言うまでもなく非常に長期の制度でございます。したがいまして、将来見通しを立てる際には長期的な見通しに立つ必要がある。いろいろな経済前提の見通しも長期的な観点から見通しを立てているわけでございます。
 それで、私どもの長期見通しの前提でございますけれども、これは過去の実績あるいは将来の経済見通し、こういった点から物価上昇率一・五%、手取り賃金上昇率二・三%、こういった数字に基づきまして計算をしております。
 今後、現役世代の税とか社会保険料の負担が増大していくことが見込まれておりますけれども、手取り賃金ベースで見ましても、経済成長がある限りこれは上昇する、こう考えております。したがいまして、年金額についてもこれに応じて上昇いたしまして、ただいま御指摘のございましたように、私どもとしましては、二〇二五年時点で標準的なサラリーマン世帯の場合に月額四十一万八千円になる、こういう試算を行っているわけでございます。
○入澤肇君 その次に、非常に新しい概念なんですけれども、連合の案を見ますと、年金について手取り額という概念を導入しております。
 通常の現役世代につきましては手取り賃金という議論はございます。連合の資料を見ますと、年金受給世代につきましても、年金額から税とか社会保険負担、いわゆる公租公課を除いたものをもって手取り額という考え方をとっているようでございますけれども、一般的に高齢者世帯の貯蓄の現在高は平均で二千万を超えておりますし、これは標準世帯の三倍にも達しておると言われております。
 税や社会保険料の負担につきましてはすべて公的年金から支弁しているわけじゃない。もとより国民の中には低所得の方もおります。この低所得者対策というのはまた別途取り組まなくちゃいけない重要な課題であると思いますけれども、年金から公租公課を引いて手取り額という概念を導入すると、逆に年金制度そのものがあいまいになってしまうのじゃないかというふうにも考えられるんですけれども、政府としてはどのようなお考え方を持っているか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) これは税とかあるいは社会保険の分野におきましても、高齢者というのは必ずしも貧しいばかりではない、豊かな高齢者も少なくはない、こういうことから、それぞれ税なり社会保険料なり今後負担をふやすべきじゃないか、こういう御議論もあるわけでございます。その場合には、これは何も年金だけに着目をしているわけではございませんで、今申し上げたように、高齢者の方には貯蓄が多いとかあるいは別途収入がある、こういった点に着目して御負担を求めよう、こういう考え方でございます。
 したがいまして、手取り年金額という概念というのは、そういった税とか社会保険料、これはすべて年金から出すんだ、だからその分年金が下がるんだと。連合の試算を見ますと、一五%年金が減ってしまう、こういう試算をされておりますけれども、こういったやり方は適当ではないんじゃないか、こう思うわけでございます。結局、税とか社会保険料をほかの分野で高齢者の負担能力に着目いたしましてその負担を求めよう、こういった場合に、それを年金で全部穴埋めする、こういうことになりますと、ますます将来の若い世代の負担が重くなっていくわけでございます。
 そういうことで、こういった手取り年金額といったような概念は適当ではないんじゃないかというのが私どもの立場でございます。
○入澤肇君 もう一つ、給付水準について、連合では、これも新しい概念なんですけれども、平均的な年金額という概念を導入しております。いわゆるフルペンション、すなわち二十歳から六十歳までの四十年間フル加入した場合のモデルケース、満期満額の年金を受ける受給者というのは極めて少ないという前提で、よくわからないんですけれども、定量的な根拠は明確になっていないんですけれども、平均的な年金額はモデル額の九割程度にすぎないというふうに仮定計算を行っております。
 すなわち、この点を勘案しまして、政府の年金額の表示は約一〇%引き下げられて計算されているわけであります。つまり、二〇二五年、年金の平均的な水準は額面で十九万円、手取りでは十六万円だと、先ほど申しましたような数字をパンフレットに書いているわけでございます。
 この点につきまして政府はどのような考え方を持っているのか。特に、フルペンションの受給者は極めて少ないという前提、これは将来的に政府はどの程度ふえていくというふうに見ているかについてもつけ加えて御答弁願いたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 現在、年金を受給されている方、六十代後半から七十代以降の方、こういった方は日本が高度成長時代、つまり昭和三十年代後半から四十年代ごろにかけて農村から都会に出てこられてサラリーマンになられた、こういった方が少なくないわけでございます。したがって加入期間が短い、こういう実態がございます。しかし、これからこの加入期間につきましてはモデル年金額に近づく、私どもはそう見ているわけでございます。
 そこで、年金額の将来の見通しを立てる場合も、年金というのは非常に長期の制度でございますので、そういうことで長期的な視野に立って考える必要があると思っておりますし、制度にフル加入したフル年金、こういった方を標準にして将来の見通しを立てるべきだ、こう思っておるわけでございます。
○入澤肇君 もう一つ、給付水準の第四点目でございますけれども、改正案によりますと給付水準が低下するんだと。要するに、今もらっている年金額が今よりも低くなるんだという印象を与えるような説明があるわけでございます。
 すなわち、連合の案によりますと、今回の改正によりまして厚生年金の報酬比例部分は五%適正化すると言っていますね、政府は。私は、この適正化という言葉がいいのかどうかわかりませんけれども、調整するぐらいの言葉の方がいいんじゃないか。本来、前の制度であればこれだけもらえるところを新しく制度の改正をしますと五%程度引き下げられる、手取り額が。それを適正化と言っているから何が適正化なのかよくわからないんですけれども、厚生年金の報酬比例部分は五%適正化するというふうに政府の案では言われております。これに六十五歳以降の賃金スライドの停止によりまして年金額が一〇%低下するんだと。年金額が一〇%低下するということが誤解されて、要するに今受け取っている年金額が一割低くなるんだというふうに受け取られるおそれがあります。
 この点についての厚生省の説明をもっと明確にやっていただきたいと思うんですけれども、一般の国民の皆さん方、私もそうでございますけれども、年金制度の仕組みが非常に難しいものですから、あいまいな、適正化だとかそれから調整だとか、あるいは引き下げだとかいうことを使いますと、今もらっている受益権がそのまま何割か減らされるというふうな誤解を招くんじゃないかと思うんです。これにつきましてひとつ丁寧な御説明をお願いしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 今回の改正案におきましては、厚生年金の報酬比例部分の御指摘ありましたような五%の適正化と六十五歳以降は物価スライドのみにする、こういうことでございますが、これは将来の年金の伸びを抑制するということでありまして、現在の年金額が下がるということではございません。
 ですから、改正後も年金額はもらい始めてからも少なくとも物価スライドの、物価の伸びに応じて伸びていくわけでございまして、年金額が低下をすることは全くございません。
○入澤肇君 今の政務次官の御答弁で明確になったと思いますけれども、もう一度確認いたしますと、要するに連合が手取り額の概念あるいは平均的な概念を用いて政府案よりも低く低く数字を見せようとしていますけれども、それは必ずしも適切でない。それから、将来的に五%の適正化だとかあるいは賃金スライドの停止によりまして年金額は一〇%低下するというのも、今の水準よりも低くなるものではないということは明確になったと思います。しかし、ちょっと見るとこのような誤解を生ずるおそれがありますので、政府としてはこれからの広報活動におきまして十分な説明をされることが必要じゃないかと思います。
 次に、負担面からアプローチをしてみたいと思います。
 まず、保険料負担についてでございますけれども、連合の案によりますと、保険料負担につきまして、政府案のように給付の適正化を行わなくても二〇二五年の保険料は国庫負担二分の一のベースで見ますと二五・四%、それから今三分の一ですね、いずれ二分の一になるんですけれども、今の三分の一のベースで見ますと二八%程度への上昇にとどまるというふうに言っております。一方で、政府の試算では、二〇二五年以降の厚生年金の保険料というのは、現行の給付構造を放置した場合には三四・五%となってしまうという数字を示しております。
 この二八%と三四・五%、大変数字の間に乖離がございます。これは一体どういうところからこのような乖離ができているのか、連合の試算については政府はどのように認識しているのか、政府の考え方の根拠は一体どういうものなのかということにつきまして教えていただきたいと思うんです。私、連合の案を見ていまして、高齢化の真のピークは二〇二五年ではなく二〇五〇年と推定されておりますし、この点についての配慮あるいは考慮が十分になされていない結果、このような低い水準の保険料ということが維持できるんだということが言われているんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 御指摘のように、将来の人口推計によりますと、二〇二五年の時点では現役人口が二人で六十五歳以上の高齢者一人を支える、しかし二〇五〇年では現役人口一・五人で高齢者を一人支えるということで、最も高齢化のピークは二〇五〇年でございます。
 そういう意味では、政府の財政再計算におきましては、高齢化のピークであります二〇五〇年前後を含めて、それ以降においても将来にわたり収支を均衡できるようなこういう最終保険料率を設定しているわけでございます。
 なお、その際、保険料を段階的に引き上げまして積立金を確保することにより、その運用収入で将来世代の保険料負担を軽減する、このようにしております。
 年金制度は、二十歳から六十歳までの四十年間の加入、またその後は生涯にわたって受給をするという長期の制度でございます。年金制度の安定的な運営を図るためには、二〇二五年ではなくて二〇五〇年という高齢化の最もピークのときを含めて、将来にわたる給付と負担の均衡を図ることができるように改革をしていくことが必要である、このように思っております。
○入澤肇君 さらに、連合の試算によりますと、二〇二五年の時点におきまして、性別とか年齢あるいは加入期間、それから過去の報酬等々、受給者はさまざまな条件を抱えているわけでございますけれども、どうもこれを一律に割り切って、一つの仮定のもとに二〇二五年の給付コストを見積もるという手法をとっているんじゃないかというふうにも見られます。こういうふうに割り切って考えているために、どうも将来の給付費が政府案よりも少なく見積もられているんじゃないかなという感じもするわけであります。
 しかし、年金の給付は、これは制度の難しさの根底にあると思うんですけれども、改正するたびごとに大数の法則にのっとって、いろんな要素をつけ加えながら極めて緻密に積み上げた計算がなされている。この連合の一つの割り切り方というのは、ある意味では国民一般には理解しやすい手法でもあると思うんですけれども、しかし実際に精緻な継続性のある年金制度を維持するという観点からしますと、余りにも大胆に割り切り過ぎているというふうにも考えられないわけではないと。
 この連合の割り切り方に対する政府案の考え方、認識、それから政府案の根底にある考え方について若干の御説明をお願いしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 私どもはコンピューターを活用いたしまして非常に厳密な積み上げ計算をやっておるわけでございます。そういった計算に基づいて将来の給付費を推計しております。
 具体的に申し上げますと、例えば新規裁定の老齢年金でございますけれども、これにつきましては、支給開始年齢に到達した加入者につきまして、現役時代の加入期間それから報酬、こういったものをもとに制度内容に沿いました年金額を算定いたしまして、これを積み上げておるわけでございます。
 また、一度裁定した後の年金額の推計でございますけれども、これは死亡率等によりまして受給者が減っていくわけでございますけれども、そういう死亡率に従った受給者数の推計を行いつつ、また一方では年金額の改定も受給額に反映させる、こういった非常に細かな計算をして積み上げていっておる、それで将来の給付費を計算しておるということでございます。
○入澤肇君 次に、積立金の保険料率引き下げ効果についての考え方なんですけれども、連合案では、積立金の運用収入のうち物価上昇分以外は保険料引き下げに活用するとして、それが要するに二〇二五年の保険料率を二・四%引き下げる効果があるというふうに計算している。
 この積立金の使い方についてはいろんな方がいろんな意見を言っております。しかし、この数字の妥当性以前の問題として、年金給付費総額は今後の受給者増加などによりまして物価上昇率より大きく上昇するということが認められておりますし、ある一定額の積立金の運用収入による保険料引き下げ効果というのは、いずれにしても徐々に小さくなっていくことは一般的に考えられるわけであります。
 にもかかわらず、二〇二五年時点で積立金の運用収入のうち物価上昇分以外はすべて給付財源に回して、そのときの保険料率をその分低くするという方式、これは結局積立金の先食いになるんじゃないかというふうにも考えられます。そうしますと、積立金があるがゆえに本来保険料が上がっているところが抑制されるということが言えると思うんですけれども、将来の保険料率はこの先食いによってかなり上昇するということになります。政府の試算にあります、現行のままでいけば、二〇二五年以降の保険料率は月収ベースでは三四・五%という既に過重な水準をさらに超えて上昇することも積立金を先食いすれば考えられるわけであります。
 これに対して、政府案では積立金についてはどのような試算を行っているか。また、積立金について今後どのような考え方で、いろんな意見があります、五・五年分あるいは五年分近く持つのは多過ぎるんじゃないかとか、あるいは諸外国のように半年とか一年分でいいじゃないかという考え方もありますけれども、これについての政府の見解をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 今の年金制度について、特に若い人からの不満、不信というのは、世代間で非常に不公平が大きい、こういう不満が非常に強いわけでございます。こういった世代間の不公平といったような問題、これはできるだけ少なくしていく必要があるんじゃないか、こう思うわけでございます。
 日本の場合には、特にヨーロッパと比べましても少子高齢化が急速に進む、そのスピードが非常に速いということと、高齢化のピークというのが非常に高い、六十五歳以上人口が三〇%を超える、こういう超高齢化社会が見込まれておるわけでございます。したがいまして、そういう世代間の不公平をできるだけ是正して将来の過大な保険料負担を避ける、このためにはやはり積立金を活用いたしまして、それによりまして将来の負担を少しでも軽減する、こういうことが非常に重要なことではないか、こう思っておるわけでございます。
 それで、先ほど政務次官が答弁いたしましたように、私どもの年金の将来計画というのは、二〇二五年以降も、二〇五〇年といったような高齢化のピークも見据えまして将来計画をつくっているわけでございまして、二〇二五年度以降も長期的に積立金を保有していることによりまして積立金の運用収入を活用する、その分保険料を継続的に低くすることができるということで、厚生年金の場合で申し上げますと、二〇五〇年前後のピーク時点では保険料を六%程度抑制できる、こういう計画になっているわけでございます。
 何よりも日本の場合というのは、先ほど申し上げましたような急激なスピードで超高齢化が来るということで、将来の保険料負担をできるだけ抑えるというためにはやはり積立金を有効に活用する、こういう視点が必要だと思っているわけでございます。
○入澤肇君 もう一つ連合の案と政府案とで際立った違いが見られますのは、いわゆる労働力率、これの上昇によりまして保険料引き下げ効果が大いにあるんだというのが連合の案の根底にあるようにも見受けられます。
 連合の案は政府見積もりよりも大きな労働力率の上昇を見込んでいる。これは、私は労働省にもかなり注文しているんですけれども、政府が労働力率を高める政策を十全にやらないと経済成長そのものにも大きな影響を与えるので、政策努力によって引き上げることが十分なされるべきだというふうに主張して、労働省もそのように答弁をいただいているんですけれども、二〇二五年時点の保険料率を連合は労働力率の上昇によって一%程度引き下げて計算しているわけですね。政府はそうでない。
 この労働力率の上昇についての政府の考え方はどうなっているかにつきましてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の財政再計算におきましては、労働力の見通しというのは、これは労働省で平成十年十月に発表されました労働力率の将来見通しを基礎にして年金の将来見通しをつくっているわけでございます。
 この平成十年の労働力率の見通し、これによりますと、六十歳から六十四歳、特に高齢期の男子の労働力率が高くなる、それから女子につきましては全年齢を通じて労働力率が高まる、こういった見通しが立てられておりまして、私どもの年金におきましてもこれを前提にして将来の収支計画を立てたということでございます。
 そして、仮にこの平成十年の労働省の見通しよりもさらに高齢者なり女性の就労が増加した場合、この場合に年金財政にどういう影響を与えるか、こういう問題でございますけれども、これにつきましては、当面の効果といたしましては、労働力率が高まるということは、女性でいいますと、専業主婦からサラリーマンになる、厚生年金の加入になる、こういうことでございますから、収入がふえるということになりまして、短期的に見ますると財政的にプラスに働くわけでございます。
 しかし、これはいずれ受給にはね返ってまいります。したがいまして、私どもの考え方によりますと、今のような社会の実態、例えば女性の場合はどうしても給与が低いとか、そういう実態もございます。あるいは男性に比べると長生きをされる、これも当然でございます。こういった実態から見ますると、今のような制度を放置いたしますれば結局給付にその分はね返ってくるわけですので、年金財政にプラスに働くところは非常に少ないんじゃないか、そういうふうに考えているわけでございます。
○入澤肇君 以上、連合の案と政府案との極めて明確な違いにつきまして、基本的な部分だけを御質問させていただいたわけでございます。要するに、政府案は、見通しが当たるかどうかということもあるんですけれども、かなり過去のデータからして緻密な数理計算を行って、その前提の上で制度を仕組んでおります。一方、連合は、わかりやすくということで新しい概念を非常に割り切った形で出されております。
 政府案と連合の案との対比につきまして、その妥当性、合理性ということを十分に政府は吟味した上で、政府案の妥当性、この法案の現時点における適切性、これをもっと強く広報活動を通じて主張すべきじゃないかというふうに私は考えております。
 最後に、政府案の基本的な考え方をもう一度明確に端的に述べていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 政府案は、少子高齢化の急速な進展、世界一のスピードでございますが、この少子高齢化の進展、また経済の低成長という年金を取り巻く大変厳しい環境を直視して、今御指摘のように、今回の改正案を出した次第でございまして、将来世代の過重な負担を防ぐとともに確実な給付を保障する、こういう立場で全般的な制度の見直しをやっているところでございます。
 具体的には、高齢化のピーク時におきましても保険料を年収の二割程度に抑える、そしてまた給付の方も年金を受け始める時点において現役世代のおおむね六割程度を保障する、こういうことをねらいにしているわけでございまして、将来にわたって安心ができる、信頼ができる、こういう年金制度の確立に努めているところでございます。
○入澤肇君 終わります。
○沢たまき君 入澤先生もおっしゃいましたが、まことに残念ですが、本日は一部の議員の皆様が欠席という中での審議になりました。民主党、社民党、共産党さんは、昨年来、徹底抗戦ということを頻繁におっしゃっております。報道によると、対案も出さないということでした。議会制民主主義を貫くのであれば、審議に参加して徹底抗戦をすることが本筋ではないかと思います。
 いずれにしましても、このような不正常な審議ではありますが、年金という大変大事な問題で私たちは国民の期待にこたえる責任があります。そのために十分な審議がなされますよう委員長にも要請して、質問に入りたいと思います。
 今回の改正案は五年ごとの財政再計算に基づいて給付と負担の将来見通しを見直したものであります。ところが、今回の改正に対し、厚生年金五%給付切り下げ、賃金スライド廃止で給付水準が一〇%下がるという、何か現行の年金給付額から一〇%カットされるような誤解が先走りしているのではないかと懸念しております。特に、今回の改正の骨格になっている五%適正化、賃金スライド廃止、報酬比例部分の支給開始の六十五歳繰り上げの理由と目的について改めて確認をさせていただきます。
 また、現在の年金給付者の年金額に対しいかなる影響があるのか、あわせて確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の制度改正は、将来の保険料負担を負担可能な限度におさめる、それは私どもは年収の二割程度と考えておるわけですけれども、そういった負担可能な限度に抑える、このため給付につきましても将来に向けて伸びを調整していく、こういう考え方に立っておるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、ただいま御指摘のありましたような幾つかの手法をとることにしておりますけれども、支給開始年齢につきましては、非常に平均寿命も延びておるわけでございますし、あるいは諸外国では六十五歳支給というのが基本になっておる、こういったことから十分な時間をとって段階的に支給開始年齢を引き上げていきたい、こういったことを盛り込んでいるわけでございます。
 あるいは年金を受給し始めましてから、六十五歳以降では、物価スライドはもうしっかり守っていきますけれども、賃金スライドは将来の負担を軽減するために当分は我慢していただきたい、こういったことも盛り込んでおります。
 それからまた、厚生年金の報酬比例部分の五%の適正化でございますけれども、これはいろいろな調査を見ましても、今の厚生年金の水準はちょっといいんじゃないか、これは将来の負担を抑えるためには若干我慢することはやむを得ないんじゃないか、こういう意見も多いわけでございます。そういったことで、今回こういった手法を改正案に盛り込んでいるわけでございます。
 これはあくまで将来に向けての措置でございますので、今もらっている方の年金額が減るということはございません。これはむしろ物価が上がればそれに応じて上がるわけでございますし、これからもらう人も従来もらっている人よりも年金額が減る、こういったことは絶対ないわけでございますので、そこはぜひ御安心をいただきたいと思います。
○沢たまき君 はい、わかりました。
 賃金スライドをカットしているわけですが、賃金の推移については長期的にはいかなる見通しをしていらっしゃるんでしょうか。衆議院では、賃金スライドの累積が二〇%になった場合、賃金スライドを回復すると答弁していらっしゃいますが、この二〇%の基準は現状の賃金の長期的見通しからは基準が高過ぎるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の改正で六十五歳以降は賃金スライドを停止するということにしておりますけれども、将来これをどうするかということにつきましては、これは五年ごとの財政再計算があるわけでございますので、そのたびごとに現役世代の賃金の伸びですとかあるいは生活水準、それから逆に今度は受給者の置かれたいろいろな経済条件、あるいは受給者の生活実態、こういったものを総合して賃金スライドを再開するかどうか、実施するかどうかというのはその時点その時点でまた御判断いただく、こういうことになるわけでございます。
 ただ、今回私どもが将来の収支見通しを立てました場合には、受給開始後、賃金スライドを停止する、その場合に現役世代との水準がどんどん開いていくわけでございまして、物価スライドだけをやっていた場合と賃金スライドを従来どおりやっていた場合との格差が二〇%生じた、こういった場合には賃金スライドを再開する、こういう考え方で年金の将来見通しを立てたということでございます。
 したがいまして、この問題というのは、今後の社会経済実態あるいは高齢者の生活実態、こういうのを踏まえまして五年ごとに判断していただく、こういうことになるわけでございます。
○沢たまき君 今回の財政再計算では、物価スライドが一・五%、賃金スライドが二・三%で、差し引き賃金スライド分が〇・八%カットされることになります。これが二〇%にならないと賃金スライドが回復しないとなると、単純に計算して二十五年間は賃金スライドはないということになります。しかも、賃金の見通しの伸びがさらに低い現状では、もっと期間は長くなるということになります。賃金スライド回復の基準を一〇%ぐらいにすべきだと思いますが、再検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) これはまさしく今後の我が国の経済社会がどうなるのかということにかかっておるわけでございまして、年金制度は五年ごとに財政再計算をする、そのときに制度を見直すと、こういうことになっております。
 したがって、そういった際に、現役世代の賃金がどうなっているのか、高齢者の生活実態がどうなっているのか、あるいは年金財政の状況、こういったものを判断いたしまして賃金スライドを再開するかどうかというのを判断していただくと、こういうことになるわけでございます。したがって、二〇%差が開かないと賃金スライドを絶対実施しないと、そういったことが法律に書いてあるわけではございませんし、決まっているわけではございません。この問題は、そのときそのとき、五年ごとに判断をしていただくと、こういう問題でございます。
 先ほど申し上げましたように、ただし私どもの将来の財政見通しの上では二〇%格差が開きますと賃金スライドを再度実施すると、そういうことで将来の保険料負担を計算したということでございます。
○沢たまき君 一〇%にはなるかならないかわからないわけですね。
 基礎年金、御夫婦二人分合わせて現役世代の手取り年収のおおむね六割を確保するとおっしゃいましたが、六割確保がなされるというその根拠をお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 現在の厚生年金の給付水準六割を今回も確保したいと、こう申し上げているわけでございますけれども、これは標準的なサラリーマン世帯の場合、夫婦そろって六十五歳以上の平均的なモデルの場合でございますけれども、裁定時で見ますと、夫婦お二人の基礎年金が二人分で十三万四千円ございます。それから二階部分の厚生年金の報酬比例部分が十万四千円程度でございます。合計で見ますと二十三万八千円というのがモデル年金でございまして、これが現役世代の平均的な手取り年収のおおむね六割に相当するわけでございます。そして、この裁定時の年金額というものにつきましては、現役世代の手取り年収が伸びていきますと、それに応じまして増額されていくわけでございまして、この六割という水準は維持されるということになるわけでございます。
 ちなみに、二〇二五年で物価上昇が一・五%、それから手取り賃金の伸びが二・三%、こういった一定の前提で算定いたしますと、先ほどの二十三万八千円というのが、二〇二五年時点ではモデルで見ますと、基礎年金二人分で二十三万七千円、それから厚生年金の報酬比例部分が十八万一千円ということで、合計で四十一万八千円ということでございまして、この場合にもそのときの現役世代の手取り年収のおおむね六割ということになるわけでございます。
○沢たまき君 この六割が確保されるということですが、現行の保険料で長期的に確保されるというふうに理解されて、非常に誤解を与える危険性があります。もっと国民の皆さんに正しく理解していただくことが重要ではないかと思います。
 私は議員になって一年七カ月になりますが、常日ごろ感じるのは、国民に正しく理解を得る努力というのがちょっと不足しているんではないか。お役人の皆さんとか我々だけが、自分たちだけが理解しているということは一番よくないことではないか。入澤先生もちょっとおっしゃいましたが、だれにでもわかりやすく正確に理解できる広報宣伝活動を行っていくことが大変大事だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 年金というのは、私は本質的には非常に単純な仕組みだと思っております。しかし、先生が今おっしゃられましたように、年金というと複雑だ、わかりにくいというそういうイメージが一般化しておるということは非常に残念ですし、これはこれまで私どもの努力が足りなかったということで反省もしているわけでございます。
 それで、この情報公開ということとわかりやすく広報するということで私どもなりにいろいろ努力しておるわけでございますけれども、特に今回改正に当たりましては、情報公開を徹底するということで、例えば年金審議会での議論はすべてもうそのままオープンにすると。これは厚生省のホームページでもオープンにしております。それからいろんな資料をたくさん提供する。それから、年金白書というのをちょうど三年前からつくるようにいたしまして、この中で年金に関する情報をわかりやすくオープンにするということで努力をしております。これからも年金に対する徹底した情報公開、わかりやすい広報ということでさらに努力してまいりたい、こう思っております。
○沢たまき君 本来であれば野党の皆さんの対案と比較して論じたいんですが、残念ながらありません。そこで、入澤先生と同じように、連合さんが年金改正について御意見をお持ちなので、連合さんには大変申しわけありませんが、連合さんの御意見を取り上げさせていただきます。
 連合の「なぜ連合は、年金制度にこだわるのか」の資料を拝見しますと、一、国庫負担割合の二分の一への引き上げ、二、現役年収の五五%の現行水準を維持、三、賃金スライドの維持、四、報酬比例部分の六十歳支給の堅持を挙げられております。これで試算した場合、二〇二五年の厚生年金保険料は、国庫負担が二分の一の場合、年収の一九・五%程度、いわゆる政府目標の二〇%の枠におさまる、また税方式の場合は年収の一四%程度と、十分負担可能な水準となると言われております。
 この試算は二〇二五年をめどにして試算されているようでありますが、本来、高齢化のピークは先ほど政務次官もおっしゃったように二〇五〇年ごろに到来するのではないでしょうか。二〇〇〇年、ことしが三・九人で一人、二五年で二・〇人で一人、二〇五〇年で一・五人で一人と。政府はどういう時間的なスパンで計算しているのか。また、基礎年金部分二分の一国庫負担の即時実施と最終的には税方式を考えていられると思われますが、即時実施が可能なのでしょうか。大野政務次官にお伺いしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 政府の財政再計算におきましては、委員が御指摘のように高齢化のピークであります二〇五〇年であるということを踏まえて、その後も安定して収支が均衡するようにという、こういうことで最終保険料率を設定している次第でございます。保険料の引き上げと、またその積立金を確保することによって、その運用によって将来世代の保険料負担を軽減すると、このようにしているわけでございます。負担と給付が長期にわたってバランスがとれるように、こういう改革を意図して今回の改正をやっているわけでございます。
 それから、基礎年金の国庫負担二分の一への引き上げ、即時にとおっしゃいましたけれども、この引き上げにはもう膨大な財源が必要でございますので、現下の厳しい財政状況の中では、今回の年金改正ではとてもできない、困難である、今後の課題であると、このように思っております。
 今回の年金改正におきまして、「基礎年金については、財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」との附則が法律に設けられているところであり、安定した財源確保のための具体的な方法と一体として検討する必要がある、このように思っております。
 それから、税方式への移行につきましてはさまざまな検討が指摘されておりまして、その中の一つの御指摘ではないか。基礎年金のあり方につきましては財源も含めて今後の検討にしてまいりたい、このように思います。
○沢たまき君 先ほどの六割確保という政府の説明にしろ、また連合さんの説明も、どうも実態から乖離した議論に思えてなりません。実態に即した議論をしないとむなしい議論になってしまうと思いますが、今、最も大切なことは、もっとありのままの議論が大事なのではないでしょうか。大野政務次官の御感想を伺いたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 今回の改正では、現役世代の負担を年収のおおむね二割程度、そして給付は、年金のもらい始めの時期において現役世代のおおむね六割程度を確保する、このようにしているわけでございます。
 この六割程度のという給付水準におきましては、今後の人口構成の変化とか景気動向に左右されるのは御指摘のとおり事実ではございますが、五年ごとの財政再計算ごとに大きく変わるということであれば、この年金制度への国民の皆さんの信頼も損なわれるわけでございますので、このおおむね六割という水準は極力維持ができるよう努めてまいりたい、このように思っております。
○沢たまき君 今回、政府改正法案の附則で、基礎年金については、財政方式を含めてそのあり方を幅広く検討し、当面十六年までの間に安定した財源を確保し、国庫負担を二分の一に引き上げるよう図ると今おっしゃってくださいましたが、十六年までの基礎年金の国庫負担二分の一引き上げは明確にしているわけですけれども、実施に至るまでは条件の整備など大変厳しい状況があることも理解はできますが、実施するための決意のほどを政務次官にお伺いしておきたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 御指摘のとおり、今回の改正では無理ではございますが、今回の年金改正法案の中に附則できちっと明記をされていることでございますので、今後はこれらはできる限り実現を図る方向で努力をしてまいりたい、このように思います。
○沢たまき君 ありがとうございます。
 次に、衆議院においては公明党を中心とした与党の提案の中で、国庫負担の引き上げを図る際、基礎年金のあり方の検討に当たっては給付水準を含めて検討する旨の修正が行われました。
 国民年金の老齢年金受給者の平均給付月額は、平成十年度で四万八千九百二円、夫婦二人で九万七千八百四円となっていますが、生活保護費と事情が違いますので比較の対象にはなりませんが、結果として逆転現象も起きています。国民年金受給者から見れば不信感にもつながって国民年金の空洞化になりつつありますし、つながっていると思っております。基礎年金の引き上げは急ぐべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 基礎年金につきまして、今回の修正は、今後、財政方式だとか基礎年金の水準も含めてそのあり方を幅広く検討することを定めたものと、このように受けとめているわけでございますが、お尋ねの基礎年金の水準につきましては、安定した財源を確保し、国庫負担を二分の一に引き上げる、これも附則に明記されているわけでございますので、この国庫負担を二分の一に引き上げる際にあわせて検討をしてまいりたいと思います。
○沢たまき君 今回の改正の大きな柱である報酬比例部分の支給開始年齢引き上げが平成二十五年から実施されることになっておりますが、年金は国民にとって老後の所得保障の中核をなすものであります。しかし、今日の少子化そして高齢化社会進展の中で次世代の負担を考えるとき、支給開始年齢の引き上げはやむを得ないとも言えます。
 保険方式は、給付と負担のバランスを無視しますと崩壊の憂き目に遭うことは明らかです。負担しなければ給付を受けられないというのも相互扶助で成り立っている以上やむを得ないと言えます。それでも支給開始年齢の引き上げは極力避けなければなりません。政府はそのためにいかなる努力をなされているんでしょうか、また平成二十五年から実施とした根拠は何でしょうか、お伺いします。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回、厚生年金の報酬比例部分でございますけれども、支給開始年齢を十分な時間をとって六十五歳に段階的に引き上げる、こういうことを改正案で予定しておるわけでございます。これは、日本人の平均寿命が非常に延びている、世界の最長寿国である、こういったことですとか、外国におきましても六十五歳支給が原則になっておる、こういったいろいろな事情を勘案したわけでございます。
 ただ、この六十五歳支給というのは非常に大きな影響を国民に与えるわけでございます。したがいまして、私どもは、この改正案をまとめたのは実は平成十年十月でございますけれども、十月の初めに年金審議会の御意見をいただいて、それをもとに改正案をつくったわけでございます。
 その際も三案実は考えまして、一案というのは、支給開始年齢を段階的に六十五に上げます、そのかわり給付水準の適正化は小幅にとどめますというのが一案でございます。二案、三案というのは、支給開始年齢は現行どおりといたします、しかしそのかわりに将来世代の負担を軽減するために給付水準自体を大幅に切り込まざるを得ませんと。そういう三案を御提示して関係方面とも御相談したわけですけれども、そういう中でやはり六十五歳支給というのはやむを得ないということで今回の政府案につながったわけでございます。
 それから、平成二十五年度から二階部分の支給開始年齢を引き上げていくわけでございますけれども、前回、平成六年の制度改正によりまして一階の定額部分、これにつきましては二〇〇一年から二〇一三年までに段階的に六十五歳に引き上げる、こういう改正が既に成立いたしております。したがって、この一階部分の引き上げが完了する二〇一三年度から二階部分の引き上げを段階的にスタートさせまして、二〇二五年時点で完了をいたしたい、こう考えた次第でございます。
○沢たまき君 今回の改正で高齢化社会のピーク時は乗り切れるんでしょうか。若い世代からは、自分たちが払った保険料に見合う年金がもらえるだろうかという不信の声が聞かれます。長期的に安定して信頼できる年金制度とすることが必要でありますけれども、今回の改正案で二〇五〇年のピーク時に若い世代が六十五歳から確実に年金がもらえるようになるということでしょうか、伺います。
○政府参考人(矢野朝水君) 年金が破綻してもらえなくなる、こういった声が少なくないわけでございますけれども、年金が破綻してもらえなくなるというようなことは、これはもうあり得ないことでございますので、そういった心配は私は必要ないと思います。
 ただ、こういった若い人が、年金が破綻するんじゃないか、こう思われるのもそれなりの理由があるわけでございまして、少子化が進む中で保険料がどんどん上がっていって負担し切れないんじゃないか、こういう心配が一番強いんじゃないかと思います。
 したがいまして、今回の制度改正では、将来世代も高齢化のピーク時でも負担できる限度内にその保険料負担を抑える、これをその改正の一番の柱にしたわけでございます。将来世代の負担を過重にしない、そしてまた年金受給につきましても、今の制度よりも将来に向けてもらえる分が少し減るわけでございますけれども、確実な年金をお約束する、こういうことをねらっているわけでございます。
 今回の制度改正が成立をいたしますれば、私は将来に対する不安というのは相当程度解消できるんじゃないか、こう思っているわけでございます。
○沢たまき君 先ほどの広報活動にもありましたが、こういう若い方にもぜひそういう広報活動をしていただきたいと思います。
 この支給開始年齢の引き上げで、六十歳から六十四歳までの、年金支給までの生活設計について厚生省はどう考えていらっしゃるでしょうか、また労働省は雇用対策についてどう取り組んでいらっしゃるでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(矢野朝水君) 高齢者の就労というのは今非常に厳しい状況にございます。足元は非常に深刻でございますけれども、もう少し長期的に見ますると、これから労働力人口が減少していくわけでございますし、日本の社会経済システムを守っていくためには六十五歳現役社会の実現が必要だと、こういうことが各方面から指摘されているわけでございます。したがいまして、私どもとしましてはこれから十分時間をとって、雇用対策と連携をとるというのは当然でございますけれども、そういう施策を講じながら支給開始年齢を六十五歳に持っていく。六十五歳までは何らかの形で働いていただける、こういう社会をつくるべきだし、年金制度もそういった社会づくりに対応した仕組みに改めていく必要がある、こう思っているわけでございます。
 しかし、いろんな事情で六十歳から六十五歳の間は働けないという方もいらっしゃるわけでございますので、今回の制度改正でも、希望すれば六十歳から繰り上げ年金を受給できる、こういう道も開いているわけでございます。
○政府参考人(渡邊信君) 労働行政におきましては、六十五歳現役ということで従来から取り組んでまいっております。
 ただ、現状を見ますと、定年制を今有している企業の中で六十五歳定年というものを持っているものは六%程度ということでありますし、さらに、雇用を延長しまして希望者全員が六十五まで働ける継続雇用の制度というものを持っているのは定年制がある企業のうちの一二%ということで、同じ企業で六十五まで働き続けることができるというものは現状では二〇%ぐらいの企業ということになっております。もちろん、このほかに、規模が小さくなればなるほど定年制そのものがないというふうな零細企業が多いわけでありますが、ということで現状では六十五歳現役という目標に対してはまだまだ達成率が低いかというふうに思っております。
 ただ、これからは高齢化が大変進みますし、特に二〇〇五年からは若い人の労働力供給、トータルとしての労働力供給が絶対的に減少していくという社会に日本はもう突入していくわけでありまして、高齢者の方が能力を十分に発揮して働き続けるということは大変大きな課題だろうというふうに私ども考えているところであります。
 今般、そういったことからこの通常国会に高齢者雇用安定法の改正案もお出しをいたしまして、定年の引き上げ等についてさらに格段の努力をしていきたいというふうに思っております。
○沢たまき君 労働省の高齢者雇用対策の見直しについて拝見しますと、一、定年引き上げの促進、二、六十五歳までの雇用確保のための新たな仕組みの整備、三、高年齢者の多様な雇用・就業機会の確保の促進を挙げていますけれども、率直に六十五歳定年延長はかなり厳しくなるのが現実ではないのかなと思っていますが、実際、嘱託などの継続雇用に主体がならざるを得ないと思うんですが、労働省のお考えはいかがでしょうか。
○政府参考人(渡邊信君) 先ほど申し上げましたように、定年制ありという企業の中で六十五歳定年というのはまだ六%ぐらいでありまして、そのほかに何らかの形の勤務延長制度あるいは雇用継続制度というものを持っておるものは七割ぐらいの企業ということになっております。ただ、この七割も、希望者全員が六十五というまで必ずしもいきませんし、会社のつくった基準に適合する人を再採用するといったふうなことでございます。ただ、いずれにいたしましても、定年の延長よりも継続雇用制度の方が我が国ではずっと先行して普及しておりますし、これからもそういった傾向で推移をしていくだろうというふうに思います。
 ただ、現在、御案内のように鉄鋼や繊維あるいは電機、こういった産業界におきまして労使が雇用の延長ということで随分大きな取り組みをしておりますし、社会的にもかなり機運が今盛り上がってきているかというふうにも見ているわけでございます。
 当面は、六十五までの継続雇用、そういったことの普及を図りながら、定年制そのものについても引き上げの努力をしていただきたいということで、先ほど申しました法律の改正も含めて、そういった取り組みも続けていきたいというふうに考えております。
○沢たまき君 私は、高齢者が体力に応じて人生を楽しみながら働けるというのは、六十五歳までは週四日で二十八時間ぐらい、また六十五歳の方は週三日、二十一時間ぐらい、この就業機会の促進、ワークシェアリングですけれども、こういうのをもう積極的に取り組んでいく時期に来ていると思うんですが、労働省のお考えを伺いたいと思います。
○政府参考人(渡邊信君) 六十歳を超えますと労働者個人個人の就労に対する希望もいろいろでありまして、今、委員がおっしゃいましたように、必ずしもフル雇用ということでなくて、フル就業でなくて、体力に見合った仕事をしたい、短時間勤務をしたいというふうな希望もふえてくるわけでございます。
 そういったことでは高齢者の方はいろんな就業のニーズがあると思いますので、例えば労働行政ではシルバー人材センター業務の普及というようなことを行っておりますし、これから我が国も例えばNPOというような活動も大変活発になってくると思いますが、そういったものについても行政の視野の中に入れながら、高齢者の多様な就業ニーズへの対応ということでいろんな働く形というものを考えていきたいと思います。
○沢たまき君 介護、医療と年金、少子化対策の社会保障の総合的ビジョンを検討する有識者懇談会が総理のもとにできることを厚生大臣から先般お伺いいたしましたけれども、厚生政務次官からもワークシェアリングの導入についてはぜひ御提案いただくように要望いたしておきます。御答弁は要りません。
 年金と深い関係にある少子化対策に関して伺います。
 連立与党の少子化対策検討会が総合的少子化対策の推進に関する提言を行いましたが、提案の実現の状況はいかがでしょうか。また、この与党提案をどう評価していられるでしょうか。大野政務次官に伺います。
○政務次官(大野由利子君) 高齢化対策とあわせまして、安心して子供を産み育てることができる環境づくり、子育てに夢と希望を持てる環境づくりをしていくということが非常に大事であろう、このように思っておりまして、連立与党の少子化対策検討会におきましても、公明党の提言も踏まえて今熱心な議論が行われております。
 総合的少子化対策の推進に関する提言が取りまとめられたところでございますが、政府における少子化対策の検討はこの提言を十分踏まえて行い、昨年十二月に策定した新エンゼルプランにおきまして、一つ、低年齢児の受け入れの拡大などの保育サービスの充実、二つ、周産期医療ネットワークなどの母子保健医療体制の整備、三つ、育児休業制度のさらなる充実、四つ、育英奨学事業の充実、五つ、住まいづくりや町づくりによる子育ての支援などを提言に沿って盛り込んだところでございます。
 政府も、与党の御提言は大変総合的で具体的なものだ、このように評価をしているところでございますし、この提言を踏まえた施策の実施に全力を尽くしてまいりたいと思います。
○沢たまき君 私は、昨年、世田谷区内の駒留中学校に保育所を併設している施設を視察いたしました。中学生と児童たちが兄弟のように大変麗しい形で運営をされておりました。この形態を高く評価しているんですが、その視察時に聞いたことは、当初公立に話を持っていったが応じてもらえず、私立がその保育所を引き受けることになったと。民間の参入を促進すべきだなとそのとき痛感いたしました。
 政府は保育所への民間の参入を検討されていると伺っていますが、その検討の状況はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(真野章君) 御視察ありがとうございました。
 保育所の設置・経営主体でございますが、都道府県知事が設置認可を行う際の取り扱いの方針といたしまして、原則地方公共団体または社会福祉法人とするように指導をしてまいっております。
 この主体規制に関しましては、都市部におきます待機児童が大変多い状況の中で、政府の規制緩和推進三カ年計画、また産業構造転換・雇用対策本部決定を踏まえまして、最低基準を満たします認可保育所をつくりやすくし、待機児童の解消などの課題に各地方自治体が柔軟に対応するようにできるという観点からこの設置主体制限を撤廃することといたしております。現在、実務的な検討を部内で進めておりまして、平成十一年度、今年度中に所要の措置を行って実施したいというふうに考えております。
 新エンゼルプランにございますように、必要なときに利用できる多様な保育サービスの整備を図るということが重要であると考えておりまして、現状におきましても社会福祉法人などの民営の保育所の方が延長保育、一時保育などにより多く取り組んでおられまして、今回の主体制限の撤廃を契機といたしまして必要な保育サービスの整備が一層進むことを期待しております。
○沢たまき君 ちょっと時間がなくなりましたので一つ飛ばします。
 次に、女性の年金権について伺います。
 現在の年金制度は、伝統的な働く夫と専業主婦という役割分業型の類型に基づいた制度になっております。しかし、今日、男女共同参画社会、男女雇用機会均等など、時代は男女平等社会へ大きく変化しております。したがって、年金制度がその社会の構造の変化と乖離しているため女性の中から不満の声が上がっております。働く女性からは、世帯中心の考え方から個人単位の制度にしていくべきだという声が上がっております。
 大野政務次官、いかがでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 女性と年金の問題につきましてはさまざまな御議論があるところでございますし、働く女性もふえてまいりました。家族のあり方や生活形態の多様化を踏まえていろいろ御意見があるわけでございますが、その中に年金制度を世帯単位から個人単位にという、こういうのが望ましいという御意見があることも承知をしておりますが、今後そういう方向への御意見が強まることも当然考えられるわけでございます。
 しかし、個人単位にするとするとさまざまにこれまた多くの課題があることも事実でございまして、サラリーマンの専業主婦にもその負担を求めるようになることとか、また遺族年金がその場合に当然廃止になることとか、女性の賃金収入がまだ低いわけでございますので、現実的にはそういうふうに個人単位になったときには女性が受ける給付も低い水準になってしまうのではないか、このようなさまざまな問題がございます。
 また、年金制度の分野だけにとどまらないで関連する諸制度について幅広く検討する必要もあり、厚生省としましても今後それぞれの専門家の方々から成る新たな検討の場を設けて早急に検討をしてまいりたい、このように思います。
○沢たまき君 二十三分まで、もう一つ伺いたかったんですが、次の機会に回します。
 ありがとうございました。
○田浦直君 自由民主党の田浦でございます。
 私は、自由民主党を代表いたしまして、今回の年金制度改正法案について質問をしたいというふうに思っております。
 まず初めに、きょうから本委員会で本法案が審議されるということになったわけですけれども、本委員会においては衆議院で見られたような実力行使による審議阻止やいたずらな審議引き延ばしということが行われないように、参議院は参議院らしく良識の府として審議が行われることを希望したいというふうに思っております。
 この年金関連法案は国民の関心も非常に高いものでありまして、その中で、平成十二年四月からの施行が予定されている学生の保険料納付猶予、あるいは育児休業期間中の事業主負担の保険料の免除なども含まれておるわけなんですね。国民の皆さんから強く要望されている改正事項もありますので、審議の促進というものが必要ではないかなというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事山崎正昭君着席〕
 さて、今回の改正案についてですけれども、おおむね政府・与党の考え方を反映して、制度の長期的安定を確たるものにするという案としては評価したいというふうに思っております。年金制度は、今日では加入者数約七千万人、受給権者数約二千七百万人、年金総額三十六兆円に達しておるわけでございます。また、高齢者世帯のうち公的年金等を受給している家庭は九七%に上っております。平均所得に占める年金の割合は六割を超えるなど、年金制度が老後生活に果たす役割は極めて大きなものになっているということも言えますし、また同時に年金に対する期待というものも非常に大きなものがあるというふうに思うわけでございます。
 しかしながら、年金に対する期待が高まる一方で、御存じのように年金制度を取り巻く環境は少子高齢化の急速な進展など大きな変化がありまして、現状の制度を維持した場合には将来世代の負担が今の倍になるということも見込まれておるところでございます。また、このような過剰な負担に対して、若年世代から年金の将来に対する不安の声が聞かれている。先ほどからも何度も質問があっているとおりでございます。
 今回の改正に際しては、いかにしてこれらの制度に対する不安を解消し、年金制度を長期的に安定した信頼できる制度にするのか、これが最大の課題ではないかというふうに思っております。政府におかれましてもこの課題に立ち向かうべく、平成九年以来、年金審議会や自民党の年金制度調査会などさまざまな場で検討が行われて、その数は優に五十回を超えるというふうに聞いておるわけですけれども、そういう意味では相当慎重に経緯を経てこの法案がまとめられたものであり、制度の抱える課題に正面から取り組んだものだというふうには評価をしたいというふうに思います。
 そこで、まず初めに政務次官にお尋ねしたいのですけれども、今回の改正案で力を入れたこと、改正案に込められた国民の皆様へのメッセージともいうべき、そういうふうな基本的な考え方はどういうものであるのかということをお尋ねしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 委員が御指摘のように、少子高齢化の急速な進展に伴って国民の間に老後の不安が高まっている現状がございます。国民の老後を支える年金制度を将来にわたって安心して、また信頼できるものにしなければならない、この最大の命題の中で今回の改正は、将来の少子高齢化の進展や経済の低成長を踏まえながら、高齢化のピーク時にも保険料を年収の大体二割程度に抑える、そしてまた二割程度に抑えて将来世代の過剰な負担にならないようにするということと、給付におきましても、年金の受給時において現役世代の大体手取りの六割程度を確保することができるように、こうした安定した給付と負担、こういうものが基本的な考え方になっております。
○田浦直君 年金制度は現役世代と高齢者世代から成る全国民にわたる制度なわけでして、その改正に際しては、現役世代の視点あるいは高齢者世代の視点のどちらか一方のみを考慮して改正案を考えるということは、世代間の助け合いという年金制度の根本をも否定しますので極めて危険なことだというふうに思うんです。
   〔理事山崎正昭君退席、委員長着席〕
 先ほどから論議があっておりますように、一部の主張においては、将来の現役世代の負担を考えることなく、ただただ給付維持を主張するということもあるようですけれども、こうした偏った考え方は私は無責任ではないかなというふうに思っておるところでございます。改正を考えるに当たっては、こういった無責任な考え方でなくして、将来の負担はどれくらいかという負担に対する不安と、それから将来の年金はどれくらいもらえるのかという給付に対する不安、この二つの不安を同時に解消することを考えていかなければならないというふうに思うわけです。
 そこで、まず将来の負担に対する不安の解消という観点からお尋ねをしたいと思います。
 現行の制度を維持した場合には、厚生年金の保険料率は今の二倍に当たる約三五%まで上昇すると言われておるんですが、私はそれでは将来世代の理解は得られないというふうに思っておるわけです。今、政務次官もおっしゃられたように二割ぐらいではないかなというふうに思うんですが、この点、局長は将来世代の負担についてどの程度が限界であると考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 少子高齢化が急速に進むわけでございますので、年金保険料も今よりもある程度引き上げていただかなければ困るわけでございますけれども、ただ将来世代が負担し切れないような重い負担を課す、こういうことになりますともう制度自体がおかしくなってしまう、こういうことでございますので、やはり将来世代が負担し切れる範囲内に負担を抑えなきゃいけない、これが年金制度を守っていくために一番大事なことだと、こう思っておるわけでございます。
 それから、負担を考える場合には、年金保険料の負担だけではなくて税金の負担もございます、あるいは医療の負担もある、介護の負担もあると、こういったトータル負担、こういう視点も非常に重要なポイントじゃないかと思っております。
 こういった点から、将来の負担の限界ということを年金審議会等でもいろいろ御議論いただいたわけですし、いろいろな調査もやったわけでございます。
 そういう中で、先ほど御指摘のありましたように、将来世代の負担は年収ベースで見まして二割、御本人の負担が一割、あとの一割は事業主負担、これが限界ではないかと、こう考えたわけでございます。
 この根拠といたしましては、一つはヨーロッパの例がございます。ヨーロッパ諸国は、我が国よりもいち早く高齢化を迎えたということで保険料をどんどん上げていったわけです。その場合に年収の二〇%、これが限界でございまして、これ以上上げようと思っても上げられない、上げようとするともう大変な議論になりましてとても国民的な合意が得られないと、こういう実態がございます。これが一つでございます。
 それからもう一つは、平成十年五月でございますけれども、有識者調査というのを私どもが実施いたしました。そういう中で、将来保険料負担の限界ということをお尋ねしたわけでございますけれども、その場合も年収の二割程度というのが一番御意見として多かったわけでございます。
 そういうことから、今回、制度改正に当たりましては年収の二割と。現在は、厚生年金は一七・三五%の保険料率でございますけれども、これは月収が基本でございますので、年収ベースで見ますと一三・五%程度でございます。これが現状でございますけれども、どんなことがあっても年収の二割を超えないような保険料負担におさめたいということで今回の制度改正を考えたわけでございます。
○田浦直君 今の御説明だと、今回の改正では二割程度、正確に言うと一九・六%ぐらいになるんじゃないかというふうに思うんですね。私も、大体これくらいまでだと負担するということが了解を受ける、国民の理解を受けるんじゃないかなというふうに思っております。
 今度はそれじゃなくして給付の方の話をしたいと思いますが、将来の給付に対する不安という面です。これはもう残念なことですけれども、今回の改正案に対しては、特に厚生年金の給付水準の五%をカットするというふうになるわけですね。
 これは、先ほどからも御質問の中であっていますように、年金の実際の額が減るのではないかというふうなイメージを与える、誤解を与えるということが多いのではないかなと私は感じておるところでございます。また、将来の給付水準に対してきちんとした理解がされていないために、年金に対する不安感が必要以上に強調されているようなところがあるんですね。年金に入っても将来もらえないのじゃないかとか、年金を納めると掛け損になるんじゃないかとか、そういうふうな不安がたくさん出ているような気がするわけです。
 そこで、年金局長に私は確認をしたいんですけれども、今回の改正案における厚生年金の給付水準の考え方はどのようなものなのか、改正後の年金の実際の額が減るのではないかという誤解にも答えるというような意味で御答弁をお願いしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の改正は、先ほど申し上げましたように、将来の負担を負担可能な限度に抑える、将来とも将来の保険料負担を過重なものとしないと、こういう基本的な考え方に立っておるわけでございます。
 そのためには、年金の給付につきましてもその見直しが当然必要になってくるわけでございますけれども、その場合にまず一番重要だと考えましたのは、今もらっている年金額は絶対下げない、それからこれから新しくもらう人も今よりも年金額は減る、こういうことは絶対避けよう、こういう考え方に立ったわけでございます。
 したがいまして、給付を見直しするといっても、将来に向けて伸びを抑えていく、伸びを調整する、こういうことを考えたわけでございますけれども、その場合もいろいろな手法があるわけです。例えば、支給開始年齢を上げるとか、あるいは、今回も提案しておりますけれども、年金受給開始後六十五歳以降は物価スライドはしっかりやりますけれども賃金スライドはしばらく我慢していただくとか、それから給付水準自体を将来に向けて下げていくと、こういう考え方もいろいろあるわけでございますけれども、そういう中で、給付水準自体の引き下げというのはできるだけ避ける、その他の手法を優先して年金額が将来に向けてある程度下がるとしてもその下げ幅はできるだけ少なく抑えると、こういう考え方で給付の見直しを行ったわけでございます。
 その結果といたしまして、給付水準につきましては、これはあくまで裁定時の水準でございますけれども、現役世代の手取り年収のおおむね六割を確保しようと、こういうことで今回の給付水準の設定ということを決めたわけでございます。
 繰り返しになりますけれども、今もらっている年金額はもう下がることは絶対ありません。むしろ物価が上がればそれに応じて上げるということで、年金額が急に下がるということは絶対あり得ませんから、この点は重々御安心いただきたいと思うわけでございます。
○田浦直君 私どもは理解して安心をしているわけですけれども、やっぱり国民の皆さんからいうと、少子高齢化の時代ですから、保険料を納める人が減って年金をもらう人が当然ふえてくるというのがもうわかっているわけです。したがいまして、それを解消するには、年金額を減らすか保険料をふやすか、あるいは支給開始年齢をおくらせるか、これしかないわけなんです。
 そういうふうに考えますと、やはり自分が納めたものは戻らぬのじゃないかなという気を持つというのは、これはもう自然なことじゃないかなと私は思うんですね。
 私は、一つの考えとして、公的な年金ですから、これにはもう随分公的な資金がたくさん入っているわけですね。それから、先ほども話がありましたように、事業主もこの保険料を払うわけですね。そういうふうなことからいうと、それだけのお金は余分にあるわけですから、民間の保険、あるいは自分でためていくというものに比べるとこれは有利ではないか、そういうふうな説明の仕方なんかがわかりやすいんじゃないかなと私は思っているんです。公的なお金をたくさん入れるわけですから、それだけはもう余分にあるわけですから、というふうなこともひとつ参考にしていただければなというふうに思っております。
 これも給付に関連した話ですけれども、今回の改正法案の中で不安の声が多い項目の一つとして厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げというものがあると思うんです。特に現在の高齢者雇用の状況や、企業の定年がようやく六十歳定年になろうとしている段階で先に引き上げを決めてしまうということに対しても強い不安があるというふうに私は思っているわけです。
 法案を見ますと、実施時期は二〇一三年からということで、それまでにはさらなる定年の引き上げや高齢者雇用の場の拡大の措置を講じる必要があるというふうに思うわけなんです。
 局長にそこでお尋ねしたいんですが、今回の支給開始年齢引き上げの趣旨はどのようなものなのか、また引き上げに際して雇用と年金の接続を図るためにどのような措置を講ずるおつもりなのか、このことについてお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回、厚生年金の二階部分、報酬比例部分でございますけれども、十分時間をかけて六十五歳支給に引き上げる、こういう措置を改正案に盛り込んでおるわけでございます。
 これは我が国の平均寿命が非常に延びたということでございまして、現在、男性で七十七歳、女性で八十三・八歳ということで、世界で最長寿国でございます。一方、欧米では年金の支給開始年齢というのは大体六十五歳が原則になっておるわけでございます。平均寿命が延びたということでございますし、これはやはり年金の支給開始年齢をおくらせなければその分また負担が膨らむということで、将来世代の負担をできるだけ抑える、こういう観点から支給開始年齢の引き上げというのはこれはやむを得ないことではないかと、こう思った次第でございます。
 それから、より大きく我が国の社会を見ますと、これから労働力人口が減少していくわけでございます。そこで、我が国の社会経済を少なくとも現状以上に保っていくためには、高齢者の方あるいは女性の方がもっと社会で働いていただく、こういうことがない限り日本全体としての活力が失われかねないと、こういう心配もございます。これは六十五歳現役社会ということが各方面から言われておりますし、労働省でもそういう観点から各種施策を行っておるわけでございまして、私どもはそれに対応して、年金制度もそういう六十五歳現役社会に向けて改めていく必要があるんじゃないかと、こういうことも考えた次第でございます。
 それで問題は、雇用対策との連携、雇用と年金の接続ということでございます。これにつきましては、データで申し上げますと、六十歳代前半で働いて収入を得ている方は平成十年で五七%に上っておりまして、近年着実にふえておるわけでございます。それから、定年制を設けている企業では六十歳定年制が定着しておりまして、今後、定年年齢の引き上げですとか何らかの形での雇用継続、こういった取り組みも行われておるということも伺っておるわけでございます。
 こういった雇用面での対策が非常に大事になってくるわけでございまして、今度厚生省と労働省一緒になりまして厚生労働省になる、こういうことですから、従来以上に年金と雇用との連携を図って雇用の受け入れ体制、受け皿対策を進めていきたいと思っております。
 何しろ支給開始年齢の引き上げといいますと、もうあしたからすぐ引き上げられるというようなそういう誤解もあるわけでございますけれども、そういうことではもちろんないわけでございまして、二〇一三年から二〇二五年にかけて段階的に引き上げていく、さらに女性の方は五年おくれでございます。こういう十分時間をとって段階的に進めてまいりますので、この点につきましても、なかなか厳しいといえば厳しいんですけれども、ぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○田浦直君 やっぱりこの辺に縦割り行政というものの、弊害とまでは言いませんけれども、出てくるんじゃないかなというふうに思うんです。年金は年金の財政的な事情で年齢を引き上げていくということをやらざるを得ない。しかし、労働の方は、これは労働省で高齢者の雇用についていろいろ検討をするというふうなことになっているような気がするんですね。
 これは、先ほど沢委員からも話がありましたけれども、少子化対策についても同じことだと思うんですね。この年金改正を行わなければならないという一番の理由は、少子化が原因になっているわけなんですね。働く方々、保険料を納める方々が減ってきているということから端を発しているというふうに思うわけですから、ここに本当は、これは厚生省の問題ですから、少子化対策というものにこれは年金からも取り組んでもらいたいなというふうに思うんです。
 私は、労働は労働だ、少子化対策は少子化だということではなくして、やはりこの年金一つ考えても総合的な判断が必要ではないかなというふうに思うんですけれども、局長、どうでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 年金がなぜ厳しくなったかといいますと、これを支える現役の若い人たちがこれから減っていく、ここが一番の原因でございます。したがって、少子化対策といいますものは年金にとって極めて重大ですし、非常に密接な関係のある大きな課題だと、こう思っております。
 この少子化対策をどうするかというのは、これは政府を挙げて取り組んでおるわけでございまして、年金だけの問題ではございませんけれども、年金の分野でも少子化対策に資する問題が多々あるんじゃないかと、こういうことで実は年金審議会でも随分御議論をいただいたわけです。
 考え方といたしましては、例えば子供のいらっしゃる世帯は保険料を安くするとか、そういった負担面で何らかの軽減措置を講ずる、こういうことが考えられるんじゃないか。あるいは、給付面では、今度は逆に子供さんがいるところは年金をたくさん支給するようにする、あるいは子育て期間は休んでいても年金に加入したとみなしてその分は年金に反映させるようにしたらどうかとか、あるいは子供が生まれた場合には年金から一時金、お祝い金を出したらどうかとか、あるいはその前にも結婚段階で、結婚しないということが子供が減っている一番の理由ですから、結婚のお祝い金を年金から出したらどうかと、いろいろな御議論があったわけでございます。
 ただ、この問題につきましては、年金サイドで金銭給付をやる、保険料を安くしたり年金をたくさん出したりということで、そういうことをやっても少子化対策として本当に効果があるんだろうか、少子化対策というのは別の形でやるべきじゃないかとか、いろいろ批判論もございました。そして、結局この問題につきましては審議会あるいはいろんな調査結果でもなかなか意見が集約できなかったわけでございます。唯一、今回の制度改正で盛り込んでおりますのは、育児休業期間中の厚生年金保険料につきまして事業主負担分も免除をする、本人負担分は既に免除になっておりますので事業主負担分を免除する、これによりまして育児休業をとりやすくする、これが少子化対策にもなるんじゃないか、こういうことで今回の改正案に盛り込んでおるわけでございます。
 年金制度としての少子化対策というのは、そういうことで引き続き検討すべき課題だという認識をいたしております。
○田浦直君 私は、これは年金の問題じゃないですけれども、やはり国を思えば少子化対策に取り組むということは本当に政府を挙げてやらなければならぬことだというふうに思うんです。
 今、話がありましたように、審議会でいろんな意見が出ているけれども、具体的には取り組んでおられないですね。私は少子化対策はもう出そろっていると思うんです。もういろんなところからいろんな答申が出て対策は出ているんです。そのどれをやるのか、どれをやれば一番少子化対策になるのか、そういうことを早く決めていただいて、そしてそれを実行に移すという段階に来ているんじゃないかなと思うんです。そこに私は少し不満があるわけですが、年金局長にそれを言っても始まりませんのでこれくらいにしておきますけれども、やはり基本的なものは少子化対策ではないかなというふうに思っております。
 きょうは初めですから少し総論的な話をさせていただこうと思っておりますが、それでは年金の積立金の自主運用についてお尋ねをしたいと思っております。
 現在、年金福祉事業団において実施されている資金運用事業は、平成十年末で時価にして約一兆二千億円の赤字となっておるわけです。そういうことで、これはちょっと政務次官にお尋ねをしたいと思うのですけれども、例えば厚生年金基金の資金を運用している他の機関投資家と比較して年金福祉事業団の運用成績はどのようになっておるのか、また赤字が出ている原因は何であるのか、こうした点について提案されている新しい自主運用の仕組みにおいてどのような改善が図られているのか、そういうことについて政務次官から御答弁をお願いいたします。
○政務次官(大野由利子君) 今、委員の方から年金福祉事業団の運用実績が結果として赤字である、こういう御質問がございました。これは衆議院の審議におきましてもたびたび取り上げられたことでございますが、平成十一年度、昨年十二月末現在の時価ベースにおきましてこれが赤字から黒字に転換をいたしました。これをまず初めに、きょう初めてだと思いますが、御報告をさせていただいて、具体的な一つ一つの御報告をこれからさせていただきたいと思います。
 まず、年金福祉事業団の運用実績は他の年金資金を運用しております機関投資家と比較して全く遜色のない運用収益を確保しております。
 直近十年間の平均で申し上げますと、年金福祉事業団は四・四%、信託銀行は三・八%でございます。信託銀行は企業年金等々の一番の大きな委託先になっているわけでございますが、これを見ても、直近十年間、年金福祉事業団は他の機関投資家に比べて遜色のない運用を上げていることはおわかりになっていただけると思います。
 それからもう一つ、年金は特別会計から資金運用部に一たん預託をして、そして年金福祉事業団はこの資金運用部から長期固定金利で資金を借り入れて市場で運用を行っておりまして、近年の大変な低金利、また株価の低迷、こういったことがございまして、運用収益が資金運用部から借りている利払いよりも下回っていた、こういうことがあって、平成十年度末には時価ベースで約一兆二千億の累積欠損が生じていたわけでございます。
 しかし、この累積欠損につきましては、今年度に入ってから国内株式などの収益が大変貢献をして解消に向かっておりまして、一定の前提条件を置いて試算した結果、昨年十二月末現在の時価ベースにおいてこれまでの累積赤字を解消いたしまして、七千五百億円の黒字に転換をしております。十年間続いた累積赤字が現時点では解消をいたしました。今後、資金運用部からの借り入れコストの一層の低下が見込まれるわけでございますので、収益のさらなる改善に向けて最大限の努力をしてまいりたい、こう思います。
 それからまた、委員の御指摘もありましたように、改正によりまして、新しい自主運用の仕組みにおきましては、資金運用部から借り入れて運用するというのではなくて、年金の特別会計から直接供給される資金を運用して本来長期運用が可能な年金資金の特性が十分生かされた効率的な運用が可能になる。以上でございます。
○田浦直君 年金福祉事業団が黒字に今度は転じたということは大変喜ばしいことだというふうに思っております。その一つが資金運用部への借入金利の支払いがなくなったというふうなお話ですけれども、これから恐らく黒字がだんだんふえていくだろうというふうに希望を申し上げておきたいと思っております。
 これは次官よりも局長にちょっとお尋ねしたいのですけれども、グリーンピア事業というのをやられておりましたね。これはもう結構な欠損金を出している。これの処理はどういうふうにされておるのか、お尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) グリーンピアにつきましては、年金福祉事業団が資金運用部から資金を借り受けまして土地の購入ですとか施設の整備を図ってきておるわけでございます。こういったものがこれまで二千億ほど借り入れがございます。ただ、この借り入れにつきましては年金特別会計から元本利子を返済するということにしておりまして、約半分は既に返し終わっております。
 そして、グリーンピアにつきましては行革の中で撤退をする、こういう方針が決められたわけでございます。私どもとしましては、このグリーンピアがある地元の自治体に引き取っていただきたい、その場合には一定の割引をいたしましょうということで、今地元と話し合いをしておるわけでございます。そして、地元で引き受けていただけない、そういった場合には最終的には民間を含めて処分せざるを得ないということで話し合いを今地元と進めております。
 最終的にこれがどうなるかということでございますけれども、もし売却をしてその分購入価格と比べて赤字になる、こういった場合には年金福祉事業団の出資金でもって処理をする、こういうことになっております。
 それから、今申し上げましたのはあくまで土地と施設整備の関係でございまして、運営につきましては独立採算で運営をしていただくということになっております。したがって、運営費について赤字が生じた場合も運用を受託している財団なりで処理をしていただくということでございまして、その分について国の一般会計なりあるいは年金の特別会計が負担をする、こういうことにはなっておらないわけでございます。
○田浦直君 この点も私はやっぱり事業をするということがどうなのかなという疑問を持っているわけですけれども、事業をされる以上は責任を持ってやっていただきたいなというふうに思っております。
 この年金積立金は平成十年度末で約百四十兆円という巨大な額になっておるわけです。これで政務次官にちょっとお尋ねをしたいのですが、このような巨額な積立金を厚生大臣が運用するに当たっては、市場に悪影響を与えないこと、また責任体制の明確化や透明性の確保といったことが最も重要な課題になるのではないかと思うんです。これらの点についてどのような手当てをなされておられるのかについてお尋ねをいたしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 委員御指摘のとおり、年金積立金の自主運用に当たりましては、市場の影響への配慮、それから責任体制の明確化、透明性の確保といったことが大変重要である、このように思っております。
 まず、市場への影響についてでございますが、昨年厚生省の研究会で検討されました資産構成割合の例では、債券が七から八割程度、国内株式が一割程度、このようにされておりまして、それを前提とすれば、国内株式の資産割合は百四十兆円の中のごく一部、一割程度、こういうことでございます。この一割程度を一定の期間をかけて、大体十年から十五年かけて徐々に市場運用に移行するわけでございます。年金積立金の運用が市場に悪影響を及ぼすことがないようにしてまいりたい、このように思います。
 また、責任体制につきましては、厚生省の運用関係職員や年金資金運用基金の役職員に対しまして、法律上忠実義務や注意義務を定めるとともに、違反者に対しては厳正な処分を行う責任体制の明確化を図っているところでございます。
○田浦直君 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 私も国会の方にお世話になりまして今回の財政再計算、三回目を迎えます。当時は社会労働委員会で最初お世話になりまして、今回三回目ということで、毎回私は、一回目、二回目、三回目、私自身が感じることではありますが、私は年老いた親と生活を一緒にしておりますが、当然両親は年金受給者であります。毎回毎回、定期的に決まった収入が入ってくることを大変両親は楽しみにしておりますし、いただいたときには本当に幸せな顔をしております。体全体に心のゆとりと申しましょうか、そんなものを感じます。
 そして、我々一緒に住んでおります、同居する息子、嫁、孫に至るまで心のゆとりと申しましょうか、三世代、四世代、同居をするそういう生活の中の幸せというものを成立させるための大きな一つの柱になっているように私自身は感じております。
 これがまた別居世帯におきましては、離れて暮らす親への経済的な不安を安心へと結びつけている。そういう意味においても、公的年金制度は本当に守らなければならない、絶対に破綻をさせてはならない、そういうふうな強い気持ちを私自身は持ちます。年金を政争の具にするようなことがあっては絶対にいけないと思います。私は、今回の改正案については現状においては必要な改正であるという立場にございます。
 その上で、現行の公的年金制度における国民の声なき声、いつも当委員会でもお願いをしておりますが、なかなか取り上げてもらえないような小さなこと、これからも何回かこの委員会が行われるわけですから、次回のときには障害者の皆さん方の年金等々、いろいろまた御質問をしたいと思います。本日は、与えられました時間を有効に使う、そして政府に私の気持ちをお伝えし、御見解をお伺いしたいと思います。
 まず、お忙しい中、厚生大臣、まことにありがとうございました。
 まず、基本的ではありますけれども、それぞれ一軒一軒の家族における公的年金制度の役割、そういった部分から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、本日午前中、御案内のように衆議院の予算委員会が開かれておりまして、総理以下全閣僚出席という中でお開きをいただきまして、政務次官がかわって出席させていただきましたことをお許しいただきましたことに対しまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 まず、西川委員の御指摘の、いわゆる老後生活における年金制度の役割でございますが、現に老後の収入の全額を年金であるとかあるいは恩給であるとか、こういったようなものに頼っているお年寄りというのは高齢者世帯全体の六割を占めているなど、公的年金というものは我が国の老後生活の柱として終身にわたりまして確実に支えるという大変重要な役割を年々果たしてきている、こういうような認識をいたしておる次第でございます。
 そういう中において、委員も公的年金の必要性、今回の改正の必要性についてお触れをいただいたわけでございますが、私どもは今後の現役世代の方々が不安を持たずに長期的に安定した制度の確立を目指していくことが国民の皆さん方の老後に対する不安の解消に役立つ、このように考えている次第でございます。
○西川きよし君 実際、毎日の生活の中で、核家族化が進みまして同居率というものがだんだん低下してきているわけですけれども、私が思うには、現世代、若者の意識の中では若干世代間扶養に対する意識が低下してきているのではないかというふうに、そんな印象を持ちます。
 そんな中で、つい先日ですけれども、デンマークの社会大臣カレン・イエスパーセンさんが来日されました。皆さん御存じだと思うんですけれども、その中の講演で次のように報道されております。
 その報道の文面をちょっと読ませていただきたいんですけれども、デンマークはいわゆる福祉先進国。制度と実態を学ぶためにデンマークへ研修に行く日本人は多い。しかし、イエスパーセン氏は、デンマークが日本に学ぶこともありますと述べました。デンマークの福祉は、高齢者を弱者ととらえて、機器を開発することと十分な年金を与えることに重点を置いてきた。しかし、それは誤りだったという。弱さを物とお金で何とかしようとしていたのです。でも、お金があってもひとりぼっちでは仕方がないとして、よりよい福祉社会をつくるためには人間的要素、人間関係という潤滑剤を忘れてはいけません、こう主張なさいました。
 まさしくこのとおりだと思います。年金が充実したといいましても安心した老後が送れるか、これは大変な疑問であります。でも、お金なくして、もう本当にこういう部分が毎日の生活の中でも、我々もそうですけれども、不安な部分です。やはり家族のきずな、世代間の支え合い、地域における支え合い、これが本当に大切であると思いますし、我々も後世に責任を持って伝えていかないといけないというふうに思います。そうした家族を支えるための総合的な社会保障システムの確立がされてこそ年金制度の役割が発揮できるのではないかなというふうに私は思います。
 二十一世紀に向けてどのような姿の社会保障システムを目指していくのか、またその中で公的年金というのはどうあるべきか、そのあたりを厚生大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) デンマークのイエスパーセン社会担当大臣が訪日をなさった際、実は私も厚生省でお目にかかりまして、かなりの時間お話をお聞きいたしました。そして、実は私、この一月でございますけれども、お許しをいただきまして、介護保険がこの四月から導入されるということを念頭に置きながら、五年前に既にスタートしておりますドイツの実情、五年たってどういうふうになっているのか。そしてまた、デンマークの方へ行ってまいりました。そして、イエスパーセン氏のお話、またデンマークで実際に私が感じましたことも、まさに今、委員が御指摘になりましたような思いを改めて強くしたような次第でございます。
 いずれにいたしましても、今後国民の皆さん方が真に豊かな老後というものを確保するためには、まず高齢者の皆さん方が自立をして、そしてこれからは社会に参画をしていく、こういうようなことが極めて私は重要ではないか、こう考えているような次第であります。
 それと、みずからの収入、資産や、将来にわたって安定した、先ほどから申し上げております公的年金制度による社会保障、所得保障とともに、御指摘のような家族あるいは地域の中で支え合っていくということが何よりも大切である、こう痛感をいたしたような次第でございます。
 例えば、介護が必要になった場合、家族の肉体的、精神的、また経済的な介護負担を軽減するために介護保険制度の導入というのをお願いしておるわけでございます。必要なサービスの基盤整備と充実を図っていかなければならず、こうしたいわゆる公的な制度。それから、もうどうしても限界があるわけでございます、家族であるとかそれから地域、特にボランティアの方々。いわゆるお年寄り全体を考えますと、例えば自立と判定されたけれども、ちょっとやっぱり話を聞いていただきたいとか、ひとりぼっちで生活していらっしゃる、こういう方々に対しまして、みんなで支え合っていこう、こういうようなことがなされなければ、真の意味での私は豊かな老後を過ごすことができないのではないか、こう思っておるような次第であります。
 いずれにいたしましても、委員が御指摘のような高齢者と若い世代のいわゆる社会的な連帯、このことなくしては私は我が国の社会保障というのは成り立たない、こう考えておるような次第でございます。
 特に、年金の場合は御案内のように、現在年金をいただいている方々は若い方の保険料によって賄われている賦課方式というものを採用しておるわけでございますので、こういったような観点からも、要するに人生というのは七十年間、あるいは人によっては八十年間生きる方もいろいろあると思いますけれども、とにかくやっぱりお互いにやがて老いて病んで消えていく運命であります。そういう中において、老いも若きもお互いに助け合って支え合っていく、このことがなければ我が国の社会保障というものは成り立たない。まさにイエスパーセン氏も同じことを申し上げていたような次第でございます。
○西川きよし君 御丁寧な御答弁をいただいてありがとうございます。
 福祉機器とか器具とか、機械をいかに温かく皆さんで活用するかということも大変大きなテーマでありますし、本当に外国の方もこうおっしゃっているぐらいやっぱり大いに日本のいい部分は伸ばしていきたいと思います。
 三十四分まででございますので少しスピードアップをさせていただきたいと思います。
 本日、この委員会に当たりまして、本当に皆さん方に、とにかくこの年金の問題はどうなっているんだ、きよしさん、早く行っていろんなことを一つでも多く、奥行きのある、そしてまた幅のある、そういう質問をしてきてくれと。まず本日は、基礎年金に対する政府の考え方を問いただしていきたいと思います。
 確認の意味で衆議院の議事録も目を通させていただいたんですけれども、国庫負担の引き上げについてまずお伺いしますが、当面この平成十六年までの間に安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引き上げを図るものということですけれども、平成十六年までに引き上げることは既に今決定しているわけです。当然それまでに財源のあり方も決めるということですけれども、仮にこの財源のあり方が決まらない、決まらないから引き上げもしないというようなことはあり得ないということなんでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) いわゆる若年世代の中で、もし自分たちが年金をいただく時代になった場合に、自分たちの保険料を支払いながらひょっとしてもらえないんじゃないかと。こんなような話は、これは実際現実にあり得ないお話なんですけれども、こういうような話が流布されているということも紛れもない事実であります。そういう中において、年金に対する国民の一部の中に不満あるいは不信というものがあるということも、これも現実問題として否定し得ない問題であります。
 そういうことから、私どもはとにかくさまざまな形で、先ほど申し上げたように、今国会のいわゆる年金法の改正案においては、将来、長期的にも安定的な年金制度というものを確立するためにさまざまな諸施策というものを取り入れておるわけでございますが、同時にいわゆる国庫負担の問題でございます。
 現在、国庫負担は御案内のように基礎年金の三分の一、国の方から補助されておるわけでございます。これを今回の法律案の中では、附則でございますが、二分の一に引き上げていくんだ、こういうことでございます。その前提がございまして、安定した財源を確保した、こういうことでありますが、率直に申し上げて現在でも三分の一から二分の一に引き上げるには二・二兆円の巨額の財源を要するわけでございます。これは単年度ではない、継続的にこれからもずっと必要になってくる。
 そこで、これが見つからない限りはもう上げないのかどうか、こういうような御指摘だと思いますけれども、私はやはり安定した財源の確保のためにできるだけ速やかに実施する方向で検討していかなければならないと思います。
 ただ、率直に申し上げて、今保険料が凍結状態になっております。私は、基本的にはこの保険料の凍結、前国会で衆議院でも申し上げたのでございますが、保険料の凍結の解除の時期と、それから国庫負担の基礎年金を三分の一から二分の一へ引き上げる時期とをやはり同時に考えていくべきだ、こういう考え方に立っておるわけでありますし、現にいつまでもこの保険料を凍結しておくわけにもいかないわけでございます。これは率直に申し上げて、極めて財政、経済状況が非常に悪いときにおいて減税の効果がなくなるのではないかというような政治的な配慮から一時的に凍結したものであって、これは本来凍結すべきものではなくて、西川委員が御指摘のように、やはりこういうものに左右されるものではなかったんですが、あの当時は率直に申し上げて我が国が……(「大臣、簡単に。時間がないから」と呼ぶ者あり)
 では、短くさせていただきます。大変厳しい経済情勢の中にあって、景気最優先という形からそういうものをとらせていただいたわけでございます。
 財源のあり方につきましては、私はいろいろな方法があると思いますが、いずれにいたしましても知恵を出して総合的観点から財源というものを見出して、これがすべてすぐに消費税に結びつくということでもなくて、国民の皆さん方の理解を得ながら、いずれにしても私としては早く二分の一に実現をして、要するに年金をより安定させていかなければならない、こう考えております。
○西川きよし君 御丁寧にありがとうございました。
 次の問題で実務的なものも含めまして局長にちょっと今の問題は質問をさせていただきたかったんですけれども、私も基本的には凍結は反対でございます。将来世代への先送りというような観点からもそうだと思いますし、国庫負担の引き上げと必ずしも連動させる必要があるのかということも考えますし、できるだけ早い段階でこの凍結の解除を行うべきではないか。
 実務的な部分から局長何か答弁がございましたら簡単に、三十四分までですので、よろしいでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) これは、年金の安定のためには保険料の凍結というのはできるだけ早く解除していただきたいということでございます。
 したがいまして、景気の回復を待ちましてできるだけ早く凍結を解除していただきたいわけですし、解除する場合にはどうしてもこれまでの凍結期間がございますので保険料が一挙に高くなる、こういう心配もございます。したがいまして、国庫負担の引き上げによりまして保険料引き下げ効果も図りつつ同時決着が望ましい、こう考えております。
○西川きよし君 ありがとうございます。
 局長のいろいろ書き物なども読ませていただきますと、基本はやっぱり経済だということでございますけれども、次に給付水準についてお伺いしたいと思うんです。
 現在、六万七千円という給付水準をどうお考えになるのか。やはり地域差の問題があると思うんですけれども、あるいはひとり暮らしか夫婦暮らしか、それぞれの状況によって考え方も変わってくると思うんですけれども、現在、基礎年金水準を設定する際にどのような内容が勘案されているのかというのを引き続き局長にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 基礎年金の給付水準でございますけれども、これはサラリーマンとか自営業者の区別なく全国民に共通する老後の所得保障を行おうとするものでございます。
 そして、基礎年金は老後生活のすべてを賄う、こういうことではございませんで、その基礎的な部分、すなわち食料、住居、光熱水道、被服及び履物、こういったものを賄う、こういう考え方に立って設定されておるわけでございます。
○西川きよし君 この年金水準、お年寄り夫婦の世帯、そしてまたひとり暮らしの方、たくさんいらっしゃるわけですけれども、この年金をどう考えるかという問題、あるいは高齢者の消費額の全国平均値をもっと地域差に着目をしてより低い額にすべきではないか、こういう御指摘もあったと思うわけですけれども、矢野局長のお書きになったものの中でも、どちらかといえば基礎年金の給付水準の引き下げについてもタブーとしない、このようなお考えにも僕らはとれるわけですけれども、この基礎年金の給付水準のあり方、これを矢野局長にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 基礎年金は先ほど申し上げましたように老後生活の基礎的な部分を賄う、こういう考え方に立っておるわけでございます。そして具体的な給付水準は、その時々の現役世代の負担能力、現役世帯の消費水準ですとか高齢者の生活の実態、こういったものを総合的に判断して毎回設定されておるわけでございます。
 この基礎年金の水準については、昔から地域差を勘案すべきだとか、それからひとり暮らしと二人暮らしで区別すべきだとかいろいろございます。ただ、負担につきましては、全国一律の定額負担ということもございまして、今申し上げたような問題については、議論はありますけれども具体的な方向は示されておらないわけでございます。
 今回、この問題につきましては、実は衆議院の方で修正がございまして、基礎年金について給付水準を含めてそのあり方を検討する、こういう改正が行われました。したがいまして、今御指摘のような問題を含めて基礎年金の水準についてはこれからも国民的な議論をしていく必要があると思っております。
○西川きよし君 ありがとうございます。
 「年金と雇用」、そして議事録、週刊朝日の特集等々も局長がお書きになったりアナウンスされたようなことは目を通させていただいているんですけれども、次に、今回の抜本改革がつじつま合わせというくだりが、もうざっくばらんにお話をされているわけですけれども、つじつま合わせ、いわゆるつじつまが合わなくなったら年金の死、年金破綻である、年金が破綻すればパニックを招きます、つじつま合わせは年金の宿命なのです、このようにございますけれども、つじつま合わせか抜本改革か、この意味をひとつお伺いしておきたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 何か私のつたない文章を読んでいただいて非常に恐縮なんですけれども、ここで申し上げたかったのは、年金につきまして誤解とか偏見とか、これが少なくないわけでございまして、正しい姿を知っていただきたいという気持ちで書いたものでございます。
 ここで私が特に申し上げたかったのは、政府案につきまして、これは単なる財政のつじつま合わせだ、抜本改革先送りだ、こういう御批判もあるわけでございますけれども、つじつま合わせといいますのは、要は給付と負担のバランスを図る、これが年金制度を安定的に運営していくためのやはり一番の重要な問題であって、収支均衡を図る、将来負担を重くしない、そういう中できちんとした年金をお支払いする、こういう制度にしていく必要がある、こういうことを言いたかったわけでございます。
 それからもう一つは、抜本改革というのはバラ色の世界が一挙に広がるわけじゃございませんで、いろいろ問題が、プラスの反面マイナス面もあるわけでございまして、これはやはり個々人の給付なり負担がどうなるのか、こういった非常に厳密なあるいは慎重な国民的議論が必要じゃないか、こういうことを申し上げたかったわけでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 それに対して僕は別に悪意を持って質問したわけでも何でもございません。これからも永久に五年に一回のつじつま合わせは続くと思うんですけれども、よりよい方向に、本当に毎日の生活に密着して、本当に真剣に、まじめに、そして全国の方々が安心をして、そして幸せなお暮らしをいただけるというようなことの委員会ですので、しっかりそういう面も聞いておきたかったわけでございます。損とか得とかということも、今、局長の方からお話がございましたけれども、その抜本改革の中には当然、基礎年金の税方式、この問題があります。
 私個人といたしましてもそうですけれども、今回の改正段階において国庫負担の二分の一への引き上げ、着実に移すことが最優先課題であるというふうに思うわけですけれども、これは皆さんそうだと思います。
 ただ、基礎年金を完全な税方式にするべきであるとお考えになる学者さんだとか各種団体の方とか有識者とかというような方々の声が大変大きくなっておりますし、現状の社会保険方式を維持するというような考え方よりもより強くなっているように自分自身も感じるわけです。これから基礎年金の財源のあり方については本当に国民合意に向けた検討が必要になるわけですけれども、これは本当に間違いのないことですけれども、一つここでただしておきたいのは、現状において税方式化をめぐる今の問題、これに対して矢野局長はどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 基礎年金の税方式化はいろいろなメリットも十分ございます。しかし反面、この膨大な税負担をどうやって賄うのか、あるいは税金で賄われた場合には、これは前の大臣がよくおっしゃっていたんですけれども、総理大臣だって基礎年金をそれじゃ支給するのか、総理大臣はやはり遠慮してもらわなきゃいかぬだろうということで、そうしますと、そういう所得とか資産によって受給が制限されるとか、あるいは税収が上がらない場合には年金水準自体が引き下げられるんじゃないか等、いろいろな問題もあるわけでございます。
 したがって、この問題はプラスマイナスを含めてやはり国民的な議論が必要じゃないか、こう思っておるわけでございます。
○西川きよし君 本当に難しい問題だと思います。
 最後の質問にさせていただきたいと思います。厚生大臣によろしくお願い申し上げます。
 今後、国民的議論へ発展させていく中で国民が社会保険方式か税方式かいずれを選択するのか。いずれかは選択するわけですけれども、どうも政府の説明は社会保険方式に偏っているのではないかなというような印象を皆さん持っておられます。
 社会保険方式、税方式、この両案のメリットそしてデメリット、先ほどからいろいろ細かい、細やかな、そして本当にまじめな質問が、入澤先生、沢先生、田浦先生、本当にいろんな角度からの質問がございましたけれども、最後に僕がお伺いしたいのは、社会保険方式、税方式、この両案のメリット、デメリットを整理する、この中で国民が選択しやすい環境の整備に努めていただきたいのがきょうの委員会で皆さん方にお願いする僕の立場だと思うんですが、この御答弁をいただいて、質問を最後とさせていただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま局長の方から答弁をいたしましたけれども、基礎年金につきまして税方式であるというのも大変有力な意見であるということは私も十分認識をいたしております。ただ、今後これから幅広く検討していかなければならない問題である、こう考えておりますが、私といたしましては、制度の長期的、安定的な運営をしていくという観点、それから何よりも給付と負担との関係が社会保険方式だと明確である、こういうことではないか、こう考えております。
 先ほどもちょっと二分の一、三分の一のときに話が出たんですが、要するにもし税方式にした場合には税率の引き上げによる巨額の財源が必要になります。現に、現在の基礎年金を全額税で賄う場合には総額十四兆円必要になります。ということは、消費税率一%当たり一兆八千億円といたしまして七・六%消費税率を、これが必要になってくる、こういう問題が一つはございます。
 それから、社会保険方式と異なって……
○西川きよし君 先ほどの消費税の一・七……
○国務大臣(丹羽雄哉君) 要するに一%当たり一・八兆円、国の分ですよ、国の分です。要するに三二%、みんな除いたあれです。
 それから、問題は、所得や資産に応じた、今話もありましたけれども、総理大臣云々がありますけれども、いわゆる所得の制限が避けられないのではないか、こういったような問題がございます。
 いずれにいたしましても、国民の皆さん方がどちらを選択するかということが一番大切なことであって、これからこれは実は与党三党の間でも議論するということになっておりますけれども、大いに議論を、幅広く国民的な議論が必要であって、そういう中で決着をつけていきたい、こう考えているような次第でございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(狩野安君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会