第147回国会 国民福祉委員会 第7号
平成十二年三月七日(火曜日)
   午前九時四十分開会
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   委員の異動
 二月二十九日
    辞任         補欠選任   
     日出 英輔君     尾辻 秀久君
     直嶋 正行君     松崎 俊久君
     堀  利和君     柳田  稔君
 三月六日
    辞任         補欠選任   
     尾辻 秀久君     加納 時男君
     松崎 俊久君     小宮山洋子君
     柳田  稔君     直嶋 正行君
 三月七日
    辞任         補欠選任   
     加納 時男君     森下 博之君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                加納 時男君
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                森下 博之君
                今井  澄君
                小宮山洋子君
                佐藤 泰介君
                直嶋 正行君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                入澤  肇君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
   政務次官
       厚生政務次官   大野由利子君
       労働政務次官   長勢 甚遠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       法務省矯正局長  鶴田 六郎君
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       社会保険庁運営
       部長       小島比登志君
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  本日の会議に付した案件
〇政府参考人の出席要求に関する件
〇国民年金法等の一部を改正する法律案(第百四
 十五回国会内閣提出、第百四十六回国会衆議院
 送付)(継続案件)
〇年金資金運用基金法案(第百四十五回国会内閣
 提出、第百四十六回国会衆議院送付)(継続案
 件)
〇年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関す
 る法律案(第百四十五回国会内閣提出、第百四
 十六回国会衆議院送付)(継続案件)

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○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十九日、堀利和君及び日出英輔君が委員を辞任され、その補欠として柳田稔君及び尾辻秀久君が選任されました。
 また、昨六日、松崎俊久君及び尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として小宮山洋子君及び加納時男君が選任されました。
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○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省矯正局長鶴田六郎君、厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省社会・援護局長炭谷茂君、厚生省児童家庭局長真野章君、厚生省年金局長矢野朝水君及び社会保険庁運営部長小島比登志君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(狩野安君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。
 今回、年金制度の改定ということなんですが、私は、大きく申し上げますと三つの点で大変な問題があるというふうに思っております。一つは、いわゆる六十五歳問題ということであります。現行の定年年齢と支給開始年齢との開き、つまり雇用と年金に大きな断絶があるということであります。二つ目には、年金給付水準の大幅な切り下げがなされるということでございます。三点目は、今申し上げた二つが、現在の最悪の雇用失業情勢、さらには勤労者所得が不況の中で低下している、さらに申し上げれば、財政赤字の中で将来の増税不安が言われている、こういう客観情勢のもとで実施をされようとしていることであります。本日は、これらについて厚生大臣を中心に御所見をお伺いしたいというふうに思います。
 まず最初に、六十五歳問題といいますか雇用の問題でありますが、厚生大臣にお伺いします。
 厚生大臣は、年金と雇用との関係をどのように考えておられますか。つまり、支給開始年齢と雇用の接続は私は必要不可欠だと、このように思っておりますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の支給開始年齢の引き上げでございますが、我が国の平均寿命は男性が七十七・一九歳、女性が八十三・八二歳と、世界で今や最も長寿が進んだ国になっておるわけでございます。さらに、欧米を見ましても六十五歳以上の支給が一般的な傾向になっている。こういうことを十分に考慮するとともに、何よりも私どもは将来世代の過重な負担を防ぐこと、さらに確実な給付を約束する、こういう前提に立ちまして必要な改正を行ったわけでございます。
 委員御指摘の雇用との関係でございます。かつては五十五歳で定年となっておりましたが、高齢化が進むに従いまして高齢者の労働力というものも大変重要なところに位置づけられるようになっております。既に定年が六十歳以上の企業が九九・二%と六十歳定年制が定着いたしております。私どもは、定年年齢が今後さらに引き上げられていく傾向にあると、このように考えておるわけでございます。また、六十歳代前半でも働いていらっしゃる方は平成十年で六〇%弱に達しておりまして、懸案でございます六十歳代前半までの雇用は着実に進んでおる、このように考えております。
 いずれにいたしましても、今回の厚生年金の支給開始年齢の引き上げは二〇一三年からでございます。十分な準備期間をとりまして、今後、シルバー人材センターの活用や職業能力開発の実施など、労働省とも十分に連携を図りながら高齢者の雇用の確保に取り組んでまいりたい、このように考えているような次第でございます。
○直嶋正行君 つまり、今は接続はされていない、だけれどもこれから二〇一三年まで時間があるので努力したい、こういう趣旨に受けとめさせていただきました。
 ということは、大臣は年金支給開始年齢と雇用との接続はやはり必要だ、こういうふうに思っておられるんですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 基本的にはそうあるべきだ、望ましいと考えております。
○直嶋正行君 それで、今の大臣の御答弁の中にもございました六十歳定年が定着していると。ただ、私もこれをさかのぼって調べてみますと、五十五歳から六十歳に定年を延ばそうという話が始まりましたのは実は昭和四十八年なんです。このときに労働省からそういう基本計画がつくられてスタートしたんです。御承知のように、いわゆる六十歳定年が法制化されて施行されたのは一九九八年、二年前です。つまり、この間二十数年かかったんです。
 ですから、今、大臣はあと十年でというふうにおっしゃったんですが、今のような雇用情勢を考えると私は極めて難しいんじゃないか、こういうふうに判断をしているんですが、この点に関しては厚生省等でも議論をされてきたんでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員御指摘のように、高齢者の就労機会というのはなかなか現実的には難しいということも私自身は十分に認識をいたしております。その一方で、急速に少子高齢化社会を迎えておるわけでございまして、労働力の確保という観点から、六十歳代前半の方にも元気で働ける方には働いていただかないと現実問題として雇用を確保することが難しい、こういうような事実があるわけでございます。
 なかなか、私も率直に申し上げて、パーフェクトにすべてがすべてどういうような、要するにおのおのの人生設計によって異なるわけでございます。中には、私の知り合いなんかは、もう六十まで四十年間も働いたから、後はこれまでの預金であるとか退職金などで暮らして、趣味であるとかボランティアで生きたいという方もいらっしゃいます。さまざまなそれぞれの人生のライフサイクルをお持ちでいらっしゃるわけでございますが、基本的には私どもは、働く意欲があって、そして働ける状況の方については労働力確保をするように全力を挙げていくし、そういう傾向に間違いなく進んできておる、このように確信をしています。
○直嶋正行君 問題は先ほどもお話し申し上げた雇用と年金の接続なんです。だから、大臣がおっしゃるように間違いなく進んでいくということは、多分そうだろうと思いますけれども、問題はこういう最悪のと言っていい雇用情勢下でそのことがなされようとしている、私はここに大変大きな問題があるというふうに思うんです。
 それで、労働省の方に、きょうはお忙しいところどうもありがとうございました、お伺いしたいと思うんですが、労働省は今回のこの年金改定が六十歳代前半の労働市場にどんな影響が出るというふうにお考えでしょうか。結局、年金の支給開始年齢をこれから先送りしていく、来年から具体的に始まるのですから、そういう意味では、今まで年金というのはある種雇用のインセンティブになったと思うんです。それがこれからもうだんだん薄くなるよと、こういうことになっていくわけですから、私は労働力需要の面で、つまり企業から見ると、求人という面でいいますと大変大きなマイナス効果を出すんじゃないか、このように見ているんですが、この点いかがでございましょうか。
○政務次官(長勢甚遠君) 雇用と年金の関係についての御質問でございますが、当然、生活の手段を雇用に頼っている方について、年金との接続が基本的に絶対に必要であるということはお説のとおりだと認識をいたしております。
 そういう中で、年金制度の安定的な運営ということがこれからの日本の社会において最も大事な問題であることは厚生大臣からも御答弁のあったとおりでございまして、そういう観点を踏まえて、労働行政はもちろん、社会全体で取り組んでいかなければならない議題であると思っております。
 今お尋ねの件でございますが、現実に年金があるがゆえに比較的雇用がしやすいという傾向があることは現実の事実でございます。しかし、これから年金制度がそういうふうに変わっていく中で、比較的安い賃金で年金受給者を雇用できるという考え方で企業経営を考えていいのかどうか、こういう社会だろうと思います。
 我々としては、ぜひ普通の勤務労働者としての扱いの中で高齢者雇用を考えていっていただく、勤務形態もいろんな形態をこれから考えていかなきゃならないと思いますが、そういう方向で高齢者雇用の確保にみんなで頑張っていかなければならない、そういうことを考えていかなければならない、このように思っております。
○直嶋正行君 私は今の御答弁、もちろん安い賃金で採用するんじゃなくて普通の形態でというふうに今おっしゃった、これはあり方としてはそうだと思います。ただ、問題は、今まで五年前から始まってきた部分就労、部分年金等の考え方を含めて、それを使って何とか六十歳代前半の雇用の確保をしようということで努力してきた。そういう点から考えますと、いきなりそのあり方論でやりますと言われても、これはちょっと私は難しいんじゃないかと、明らかにこれはマーケットに反することであるわけですから。しかも、今御承知のような雇用情勢です。ですから、そういう意味でいうと大変厳しい、特に働く人たちあるいは年金の給付を延長される人たちから見ると私は大変厳しい今回の政府の決定だと、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。
 それで、今ちょっとお話があったんですが、さっき厚生大臣がおっしゃった二〇一三年に向けて、では労働省としてはこういう状況下でどんなことをやって雇用を拡大していこうというふうにお考えなんでしょうか。
○政務次官(長勢甚遠君) 部分年金、部分就労という実態もあるわけでありまして、それが一足飛びにそんなに理屈だけでいくかとおっしゃる点につきましてはお説のとおりだと思います。
 長期的に高齢者の雇用のあり方というものを、社会全体の仕組み、企業の仕組みをそういう方向に持っていかなければならないということが労働省の基本的な考え方であります。今回、法案を提出させていただいておりますが、六十五歳までの継続雇用制度を定着させるということを基本にして、それに向けての諸般の助成措置を今後強力に進めたいと思っております。
 制度をつくっていただくということは、それを実現するためのいろんな職場の改善なり勤務の仕方なり、あるいは企業の人事の問題なり、いろいろ講じなければならない、解決しなければ制度化ができないわけでありますので、その取り組みが労使間で十分できるように、いろんな手だてを強力に進めていくことが我々の責務である、このように思っております。
 今春闘におきましても、労使間でこういう問題に向けて相当熱心な真剣な議論がなされておるというふうに伺っておるわけでございまして、これから少子高齢化がますます進む、年金の安定が大変大事である、こういう時代に労使のお取り組みをぜひ一生懸命やっていただきたいと思いますし、労働省としてもそのための強力な援助、指導を進めてまいりたい、このように思っております。
○直嶋正行君 今、政務次官の方からいろいろ労働省のお考えになっていることのお話があったんですが、厚生大臣もお聞きになっていてお気づきだと思いますが、要はこれからなんですよ、制度面も含めて、さっき賃金の問題とかさまざまなお話をされましたけれども。例えば、今六十歳代前半の方々の有効求人倍率というものを見ますと、これはずっともう〇・一を切っているんですね。直近が〇・〇六です。さかのぼって、前回の年金改正があった平成六年あるいは七年ごろ、このころも〇・〇六です。つまり、五年間ほとんど変わっていないんですよ。
 今、労働省は努力するとおっしゃっているんですけれども、私はこの状況を見ればもう火を見るより結果は明らかだと思うんです。特に、当面するこの数年間ですか、それは十年後は多少はよくなっているかもしれない。ですから、そのことをこの年金改正にもきちっと織り込んでいくべきだ、こう思うのでありますけれども、どうなんでしょうか、厚生大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 二年連続マイナス経済成長というようなバブルの後遺症によります大変異常な事態の中で、ことしは何とかプラス〇・六%ぐらい確保できる、こういう見通しに立っておるわけでございます。ですから、私はあくまでも我が国の経済は今後着実に景気回復の方に向かっていく、このように確信しておりますし、また国民の皆さん方のそういうような期待にこたえていかなければならない、まずそういう前提があるわけでございます。
 それと同時に、先ほど私から申し上げたことでございますけれども、急速な少子高齢化社会ということを考えますと、六十五歳の現役社会、こういうことを前提に置きながら年金制度を設計する必要があると考えております。少子高齢化社会が現に本格化した中においてこのようなことを打ち出すということは、かえって年金制度に対する信頼感を失うことになるわけでございます。私どもはそのような方向に向けて十分な準備をとりながら行っていく、こういう考え方に立つものでございます。
○直嶋正行君 今、厚生大臣は逆に延ばさないと年金制度に対する信頼を失うとおっしゃったんですが、今、年金不安と言われている中で一番不安を持っているのはどの層かというと四十代、五十代、これからもらう人たちなんです。その人たちが雇用的に言うと今一番厳しいところにいらっしゃるわけです。だから、私は不安を除くよりむしろ不安を今あおっているんじゃないか、こういうふうに思います。ですから、何で今やらなきゃいけないのか、よくわからないんです。
 もともとこの六十歳代前半の雇用の問題は、厚生省の改正案としては平成元年の改正のころから出されているんです。しかし、国会でいろんな議論があって、例えば前回の改正を申し上げますと、前回の改正の中で議論があったのは、六十歳代前半は賃金と年金を中心にして生活できるようにしよう、こういうことで二階部分の報酬比例の六十歳支給を残したわけです。
 ですから、五年前にそういう議論をして残した制度を、五年たって検証もよくしないで、しかも雇用情勢は改善されていないのに、なぜそれをやめなきゃいけないのか、そこのところが私は理解できない。どうも平成元年のころからの経緯でそのまま厚生省は今回の案をおつくりになったようにしか思えないんですが、どうなんでしょう、きちっとそういう議論があったのでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 当然のことながら、少子高齢化という、欧米に比べましても三倍ないし四倍のスピードで押し寄せてきております高齢化の大きな波ということを十分に勘案しながら、そして今、委員は四十代、五十代の方が一番不安だということもおっしゃいましたけれども、四十代、五十代の方も不安に思っていらっしゃるかもしれませんけれども、むしろもっとこれから年金に入っていただかなければならない方、あるいは二十代、三十代の方々が果たして自分たちの時代にきちんとした給付が受けられるかどうか、この点に私は大変な年金に対する不安が一部にあるのではないか、こう認識をいたしておるわけでございます。
 前回の改正のときもございましたけれども、これはあくまでも現役世代の負担を軽減するんだ。つまり、私が今さら委員に申し上げることは大変失礼でございますけれども、保険料と給付の関係においてどういうふうに位置づけていくのか、こういうことを考えますと、今のうちにきちんとしたこういう大きな流れというものをお示しすることが年金に対する信頼の回復につながる、私はこのように確信をいたしておるような次第でございます。
○直嶋正行君 今、大臣がお話しされたことでちょっと私なりに申し上げますと、四十代、五十代は不安なんです。二十代、三十代は不安じゃなくて不信なんです。年金制度に対する不信を持っている。この問題は、また改めて議論させていただきたいと思います。
 私は、今の四十代、五十代の方々が年金に対して不安を持っていることの大きな部分は雇用の問題があると思う。今、大臣は将来世代も含めて安定させるんだ、こういうふうにおっしゃった。これは財政的に安定させるという意味だと思います。この部分については、私たちもいろいろ異論はあります。しかし、仮に大臣がおっしゃっていることが正しいとしても、そのために今一番雇用のはざまに立っている六十歳代の前半をこの年金の対象から外していくということを決めていくこと自体に私は問題があると思う。
 それは、いろんなやり方があると思う。さっきも申し上げたように、五年前にさんざん議論をして、六十代前半は年金と賃金で組み合わせてやっていくんだ、こういうコンセンサスが国会でできたんですよ。今回、その考え方を変えていく、こういうことになってしまうわけですね。
 さっきも私は有効求人倍率のお話を申し上げましたけれども、この五年間はほとんど変わっていないんですよ。大臣はさっき、これから景気はよくなるというお話があったんですが、経済成長の変動と余りかかわりなく六十歳代前半の有効求人倍率というのは低いんです。ずっと〇・一を切っているんです。
 だから、ここに改善の手だてを打って改善に向かうということが見えるなら、大臣がおっしゃることは私はまだわかるんですが、現状はそうじゃなくて、全くマーケットとしては変わっていないところでなぜこれをやらなきゃいけないのかということが非常に私は疑問なんです。だから、少なくともこの部分はやはり政府としてきちっと本当に手だてをしていただきたいと思うんです。どうなんでしょう、重ねてお伺いします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは私からお答え申し上げるよりも、労働総括政務次官からお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、私の記憶でございますと、かつて、もう二十五年ぐらい前でございますか、有効求人倍率がやはり〇・五を切ったとか切らないとかいう大変な時代がございました。その後、いわゆる経済の成長の伸びに従いまして有効求人倍率が上がってまいりまして、最近の調査ですと有効求人倍率がちょっと好転をしているという報告を受けておりますし、基本的にまだまだ景気そのものは本格的な回復とまで行かないわけでございますけれども、そういう兆しが見えてきておるということでございます。
 問題は、六十代前半の方々の雇用の問題でございますけれども、先ほど来、労働総括政務次官の方からお話がございましたようなさまざまな施策を今後労働省を中心にして考えていかなければならないと思います。特に、来年からは厚生労働省になるわけでございますので、そういった意味において、この問題については特に十分に私どもは配慮していかなければならないと思います。
 同時に、実際にハローワークなどの話を聞いておりますと、いわゆるミスマッチというのが非常に高年齢者の中に多いということもございます。確かに、お年をとってから新しい訓練をするということはなかなか難しいということも十分私も承知いたしておりますけれども、そういうような道であるとか、それから御案内のように六十歳からでも希望すれば繰り上げ年金というものがもらえるという道が開かれておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、さまざまな形で私どもは六十歳代前半の皆さん方の生活を確保するように努力をしていきたい、このように考えております。
○直嶋正行君 私は、今の大臣の答弁は全然納得できないですよ。
 大臣がおっしゃった、最近ふえているというのは平均的な有効求人倍率、一月が〇・〇二ふえました。しかし、私が申し上げているのは、今議論しているのは六十歳代前半です。これはさっきも申し上げたように全然変わっていない。〇・〇六とか〇・〇七、こんな数字なんです。だからさっきから申し上げているんです。これはぜひ本当に改善していただきたいと思います。今回の法案の中で一番ここが私は納得できない。これは恐らく国民の多くの方が、さっきも四十代、五十代の不安を申し上げましたけれども、そう思っておられるのじゃないかと思う。
 それで、きょうは私はここまで言うつもりはなかったんですけれども、今、大臣のお答えを伺って、ちょっと申し上げたいと思う。
 さっきも言いましたように、二階部分も含めて六十五歳支給にしようという原案を厚生省は既に平成元年にお出しになっている。そのときは、国会の議論の中で雇用との関係が大議論になったんです。まだ定年六十歳もきちっとできていないのに延ばせるわけがないじゃないかということで実はこれは見送った。
 それで前回改定です。前回改定も、途中まで審議会の議論の中ではやはり二階部分を六十五歳まで延ばそうという議論になった。ところが、いろんな議論の中で、さっき申し上げたように、これから六十歳代前半の雇用が大事なんだから、少なくとも二階部分の報酬比例部分は六十歳から支給という制度を残して、そして六十歳代前半の雇用の手当てをしていこう。
 このときに、さっき労働政務次官からお話がありましたけれども、例えば企業に対して雇用継続給付金というのを前回の年金改定に合わせてスタートしたんです。だから、まさに今、大臣がおっしゃったように、年金と労働政策がそこで足並みをそろえて六十歳代前半の雇用を確保しようというふうに変わったんです。
 ところが、残念ながらこの長期不況もあって、さっき私がるる申し上げているように、はかばかしくないんです。これも向こう十年で本当に改善できるとは思えない状況なんです。
 ですから、もっと申し上げれば、状況を見て判断をしていってもこの部分については問題ないと思うんですよ、今回お決めになるのは二〇一三年以降の話ですから。そこのところをさっきから私は厚生大臣に申し上げているんですけれども、改めてもう一度、今私が申し上げたことも含めて、過去の経緯はやはり国会の議論ですから特に私は大切にしていただかないといけないと思うんです。どうなんでしょう。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 過去の経緯も十分私は承知いたしております。それから、そのときにどういうような議論がなされたかということも承知いたしておりますし、あの時点においてはとても六十歳の定年制などはちょっと不可能だというような議論が一部でなされていたというようなこともありまして、部分年金、部分就労、特に連合さんの強い要求がありまして、そういうようなことが決まったということも十分に承知いたしております。
 ただ、私どもは将来に対して責任を負わなければならないんだと、こういうことも十分に委員も御理解をいただけると思います。だからといって、今、四十代、五十代の方々をないがしろにしようということではありません。そのために、先ほどから申し上げておりますようなさまざまな形で、六十代前半の働く意欲のある方、働けるだけの健康体に恵まれた方については、これから高齢化社会が進む中において十分にその才能を生かして働いていただけるような、確保の努力をしなければならないということでございますし、それから、もしもそういう段階においても就労の機会が確保されない方に対しましては、当然のことながら六十歳からの繰り上げ年金の道が開かれておるということを御理解いただきたいと思っております。
○直嶋正行君 今、大臣は将来に対して責任を持たなきゃいけない、こうおっしゃっている。それは、恐らく私は年金財政的に見て、さっき御説明された、ですからその考え方を一〇〇%否定するつもりはないんです。もちろん財政は大事だと思います。しかし私は、やり方が悪い。なぜこの六十代前半のところを引き延ばしていくようなことをされるのか。しかも、それは五年前にようやく六十歳代前半の雇用、当時の厚生大臣も、私は当時の議事録を取り寄せて読んでみましたけれども、ここは物すごく強調されている。もちろん当時の政府委員の方々も強調されているんです。今回はこういう考え方で、さっき連合というお話もありましたが、労働組合の要請も当然あったと思うんです。ですから、そういう経過の中で入れられてきたんです。
 これはまだ、さっきから申し上げているように、そのことに関していうと、将来、二〇一三年に向けて本当にここのところが、六十歳代前半の雇用が確保されるのかということで見ると、残念ながら今の経済情勢もあってなかなか大変なんです。私はここを申し上げているんです。これは、いわゆる年金受給者でもいろんな方がいらっしゃると思うんですが、本当に年金を必要としている人たちにとってすごく切実な問題だと思うんですよ。
 ですから、私はさっきからしつこく再考をお願いしているんですが、労働省のいろんなデータを見ましてもまだ定年を、例えば六十五歳まで、実現をしているところもありますが、ごくわずかです、六%ぐらいのところです。それから、再雇用制度を入れても残念ながらまだ二割に満たない、二割ぐらいの数字です。ほとんどの、これは先日週刊誌が掲載しましたが、日本のトップ企業三十三社調べて、この中で再雇用制度で希望した人が全員再雇用できるという制度を取り入れているのは三十三社のうちまだわずか二社ですよ。きょうの朝の報道でも、鉄鋼労連が今この勤務延長を春の取り組みで取り組んでいますが、どうも難しいから一年先送りをということになっています。現状はこうなんですよ。
 私は、本当に今回の年金のこの部分に関しては大きな政策の判断ミスだと思うんです。これは大臣、ぜひ改めていただきたい。重ねてこれをお願い申し上げたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) これも私からお答えを申し上げるよりは労働総括政務次官から御答弁をいただいた方がより確かだと思いますが、今春闘において、報道記事でございますけれども、最大の問題は定年制の延長にあるんだということで、電機労連など大手企業においては定年制を延長する方向で労使が合意しつつあると、こういうような大変大きな流れがあるわけでございます。
 確かに、委員御指摘のように、六十代前半の雇用というのは、全般的に見ると、特に中小企業などにおいてはまだまだ厳しい面があるということは紛れもない事実でございますが、大きな流れの中においては私は間違いなく高齢者を雇用すると。雇用しないとまた実際問題として労働力を確保できない、こういう流れの中にあると思っておりますし、私どもはさらなる努力をしながら御懸念の問題点というものの解消に努めていきたい、このように考えている次第であります。
○直嶋正行君 もう私の持ち時間がなくなってきましたので、今、厚生大臣が御答弁されましたけれども、解消に努力していきたい、こういうようにおっしゃったけれども、それは本当に責任持てるんですか。
 さっきも申し上げたように、五十五歳から六十歳まで定年を延ばすのに、このことでさえ二十数年。しかも、昭和四十八年といったら日本の経済が一番高度成長のピークのときですよ。そこから始まって日本経済がおおむねまだ右肩上がりの時代にあってさえも二十数年かかった。今度は六十以上の方の雇用の話。日本経済だって、さっき大臣はこれから回復というふうにおっしゃったけれども、政府だって、経済が安定軌道に乗ったってせいぜい成長率が二、三%、こういうふうにおっしゃっている時代なんですよ。これは私は責任持てないと思うんですよ。本当に大臣、責任持てるんですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員の御指摘の問題でございますが、私は二つの角度から考えなければならないと思います。
 一つは、先ほど来申し上げておりますように、少子高齢化社会が大変深刻になっていく中において、いわゆる現役世代の負担というものをどの程度までお願いを申し上げるか。そして、将来にわたって確実な給付を約束するという面をまずきちんと私どもとしては確立させていかなければならないという問題と、それから、先ほど来委員が御指摘のように、そうはいっても六十代前半の雇用の問題は非常に深刻じゃないか、こういうような問題ではないかと、このように考えておるような次第でございます。
 私どもは、まず雇用と年金というのは基本的に連動といいますか、そういうような認識には変わりはないわけでございますけれども、しかし現実問題として今、年金、医療、介護という三本柱の中で、私は、最も中軸をなす年金制度そのものの根幹が揺らぎかねないという段階において、現役世代に対してやはりきちんとしたビジョンを示して、将来はこういう形で年金制度というものを私どもは維持していきます、堅持していきますということをお示しするということが何よりも大切だろうと。
 だからといって、先ほどから申し上げておりますように、六十代前半の雇用の問題についても重大な関心を持っていかざるを得ない、持っていくことは当然のことでございますし、先ほど来私からも、あるいは労働総括政務次官からも申し上げましたように、さまざまな形でその方向に向かって努力をしていく、こういうことではないか、こう思っております。
○直嶋正行君 私の持ち時間が終わりましたのでこれで終了したいと思うんですが、私は、さっきから申し上げておるように、大臣は安定した給付と年金、こういうふうにおっしゃっていますが、この仕組みで、今の改定で支給開始年齢を六十五歳まで先送りしてしまう、このことについて言いますと、さっきから申し上げていますように、本当に年金の必要な方に渡らない、このことは間違いないと思う。将来必ずここは大きな問題になると思うんです。
 それで、当初、質問を始めるに当たりまして三点お伺いしたい、こういうふうに申し上げたんですが、最初の雇用の問題だけできょうは持ち時間を使ってしまいました。あと二点、さっき大臣もおっしゃっておられた年金の給付水準でありますとか、あるいは今の国民不安の状況下での年金をどう考えるか、このことについては後日また改めて時間をちょうだいして論議をさせていただきたいというふうに思います。
 これで終わります。
○小宮山洋子君 民主党の小宮山洋子でございます。
 私からは、女性の年金につきまして厚生大臣に伺いたいと思います。
 現在、七十歳代の六割は女性で、そのうち配偶者がいる女性は三割ぐらいということですので、老後の暮らしを支える年金は女性にとって特に重要な問題だと考えております。年金審議会ばかりでなく、社会保障制度審議会などでも問題がたびたび指摘をされてきています。また、一九九六年に出されました男女共同参画ビジョン、それを受けての政府の行動計画である二〇〇〇年プランでも、性に偏りのある社会制度の見直しということが特に挙げられています。そして、昨年、九九年は男女共同参画社会基本法も成立しています。
 それなのに、女性の年金についてはなぜまた今回も改正が先送りなのか、簡潔明瞭に納得のいく御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 女性の年金の問題につきましては、第三号被保険者制度の問題であるとか、あるいは遺族年金や離婚の場合の取り扱いなど、年金制度の個人単位などについてこれまで年金審議会においてさまざまな議論がなされてきたところでございます。
 率直に申し上げて、例えば専業主婦の問題など、千二百万人を超えておるわけでございます。これらの方々に昭和六十年度の年金法の改正で女性の年金権というものを確立したわけでございますが、現実問題としては夫の保険料によって賄われている。それに対して、いわゆる働く女性の方々からは不公平ではないか、こういうような御意見も聞いておるような次第でございます。
 いずれにいたしましても、大変これは難しい問題でございまして、私どもはあっちを立てるとかこっちを立てるとかいう考え方は持っておりませんけれども、やはり国民の、特に女性の皆さん方の大方の合意を得ながら進めていかなければならない、こう考えております。
 いずれにいたしましても、さまざまな今申し上げたような問題点、それから就労状況であるとか賃金水準であるとか、女性の置かれております社会実態というものを十分に踏まえながら、単に年金制度の分野のみならず、いわゆる民法上の制度の問題もございます。幅広く検討しながら、この問題は私個人といたしましては五年後の、改正後の最大の課題になり得る問題だと、このように考えているような次第であります。
○小宮山洋子君 今、第三号被保険者、雇用者の被扶養の配偶者で年収百三十万までの人の数が九八年末現在で千百八十二万人、そして第一号のうち女性が千四十五万人、第二号が千二百六十一万人、おおよそ三分の一が第三号の被保険者であるわけです。
 それで、今、大臣は夫の保険料に上乗せしてとおっしゃいましたけれども、それは違うと思います。ずっと収入が少ない母子家庭の女性も負担しておりますし、夫が加入する年金制度の被保険者が全体で負担をしている。つまり、専業主婦などの年金費用は単身や共働きの男女の雇用者によって分担されている、この負担の不公平が問題になっているわけです。その辺の認識をもう一度伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども申し上げましたけれども、第三号被保険者の制度というのは、これは昭和六十年の改正においてサラリーマン世帯の専業主婦の方々にもみずからの基礎年金を保障するために導入されたものでございます。それまでサラリーマンの妻の方々は、国民年金制度へは任意加入とされておりましたし、三割の方々が加入をしなかったことから無年金であったというような経緯があるわけでございます。自分自身の所得のない第三号被保険者から保険料は徴収せず、被用者年金制度全体で給付に対する費用を負担する、こういうことでございますけれども、あくまでもこれは女性の年金権の確立を図ったものだという点を御理解いただきたい、このように考えているような次第でございます。
 それから第三号被保険者制度でございますが、先ほども申し上げましたけれども、いわゆる共働き世帯であるとか単身世帯の中でさまざまな意見が出ておるわけでございますけれども、現に所得のない方から保険料を徴収すべきではないのではないか、こういうような意見であるとか、それからさまざまないわゆる生活様式の変化が女性の間で、働く女性と専業主婦の方々の間では違いが見られるわけでございますので、こういったことも十分に考慮しなければならないのではないか、こういうことでございます。
 先ほども申し上げたわけでございますけれども、いずれにいたしましても女性の年金権の問題は、さまざまな現在の就労状況であるとか賃金水準であるとか、女性の皆さん方の置かれている社会実態というものを的確に踏まえながら幅広く検討していきたいと、このように考えております。
○小宮山洋子君 一九八六年の改正でできた第三号被保険者の問題ですけれども、今お話にもありましたように、それまでも七割から八割の専業主婦は自分で保険料を払って国民年金に入っていたわけです。それで現在も、今こういう仕組みになっていて、あなたの夫が払っているのではない、こうやって全体の女性たちも含めた保険に入っている人たちが専業主婦の皆さんの保険料を拠出しているということをしっかりお話ししますと、第三号の対象者の皆さんも、それなら払った方がいいという、本人がそう言っている声の方が多いという調査もございます。
 それからまた、収入のない人からは徴収できないとおっしゃいましたけれども、収入のない学生からも現在一万三千三百円を徴収しているわけですから、収入がないから保険料を徴収できないという論理はもう既に破綻しているのだと思います。第一号の女性も第二号の女性も、外で働くと同時に家事、育児、介護などをしているわけですから、ここのアンペイドワークの評価の問題が一方であるとしましても、なぜ専業主婦だけが払わないのか、その理屈はもう既に成り立たないと思います。
 まだこのことを伺いますので、まとめのお話は結構ですから、その部分だけ簡潔にお答えください。
○国務大臣(丹羽雄哉君) さまざまな見方なり考え方がございまして、委員は、専業主婦の皆さん方も進んでというか望んでというか、要するに保険料を払うということに抵抗感がないという御意見もございましたけれども、その一方で、収入のない方から保険料を取るということは大変難しいんだということもございます。
 それからもう一点でございますが、学生の保険料でございますが、そういうような御指摘も踏まえまして、今回の年金法の改正におきましては学生に対しましていわゆる猶予期間を与えると、こういうことでございますし、この四月からスタートするわけでございますので、一日も早くこの委員会において御審議いただいて、そして可決、成立をお願い申し上げます。
○小宮山洋子君 猶予したからその収入のない部分を取らないわけではないでしょう、先送りしただけですから。やはり、所得がないから取らないという論理は破綻しているということは申し上げておきたいと思います。
 そしてさらに、また第三号の中にはパートタイマーが含まれているわけです。九七年現在、七百四十六万人のパートタイマーの女性がいるとされておりますけれども、その中で就業調整をしている人がかなりいる。そういう意味では、能力を生かしてこれから男女共同参画社会の中で女性たちがきちんと働くためにも百三十万円の壁をなくして収入に応じて負担をする、その方が今の財政状況などいろいろな面からしてメリットがあると考えますが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 現に百三十万円というような線引きがなされているから、百三十万円まではパートで働いてそれ以上は働かないという方が少なくないという話も私自身お聞きをいたしておるような問題でございますし、このパートタイマーのあり方を含めて総合的に女性の年金権の問題というのは緊急に結論を出さなければならない問題だ、このように考えております。
○小宮山洋子君 今回の年金審議会でも、第三号被保険者から保険料を徴収するか否か、徴収するとすればどういった方法で行うか、第一号と同様に本人が払う、または勤めている配偶者の厚生年金保険料に上乗せして支払うなど、具体的な案と資料を提出して審議をされたというふうに聞いております。また、有識者調査でも第三号制度の見直しに肯定的な意見が多かったのに、なぜ見送ったのか私は納得がいきません。ぜひ一刻も早い見直しをお願いしたいと思っています。
 次に、年金分割のことについて伺いたいと思いますが、年金制度がさまざまな所得の再配分機能があるとしますと、夫婦間について所得の再配分をどう考えたらいいのか。
 現在、日本では女性の賃金というのは正社員の場合でも男性の六割、パートも加えますと五割、半分でしかないわけです。先進国の中で最大の性別の賃金格差があります。専業主婦も含めますと、男女の所得の格差は三対一から四対一にもなるということになります。この格差が当然、男女の年金額の格差につながってきます。家事、育児、介護など家庭での無償労働の九割近くを女性が担っていて、その夫である男性の職業生活を支えるという性別役割分業の影響が大きいと言えると思うんですね。
 そうしますと、夫婦間の所得格差イコール年金格差につきまして特別の再配分が必要なのではないかと考えますが、この点はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 基礎年金の部分は、これはもうそういうことで、六十年の改正で女性の年金権というのは確立されておるわけでございますが、その上の部分でございますけれども、この年金権を分割することにつきましては、現行の民法の中においては夫婦別産制というものをとっております。また、離婚後の妻の財産権というものが個別の事情に応じてさまざまな形で現に調整されておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この問題は大変大きな問題である、このように考えておりますし、女性の年金権の中において最大の課題である、このように認識をいたしておるような次第であります。
○小宮山洋子君 この問題は離婚した場合に一挙に大きな問題になります。老齢基礎年金だけになってしまうために、夫からの暴力を受けていても離婚できないというケースなども現実にあるわけです。
 夫婦それぞれが婚姻中に形成した年金勘定の差額の二分の一を多額の方から少額の方に分配する、自営業の場合も二階部分について夫婦の年金勘定を二分する方式をとる必要があると考えておりますけれども、重ねて伺います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今の委員の御提言は貴重な御意見として承らせていただきます。
 いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、この審議会の中で十分に女性の年金権、今の問題を含めまして御審議、御議論を賜りたい、このように考えているような次第でございます。
○小宮山洋子君 次に、遺族年金について伺いたいと思います。
 老齢厚生年金を受給している夫が死亡した場合、妻に厚生年金がないときは妻の基礎年金プラス夫の厚生年金の四分の三を受け取る。妻に厚生年金があるときは三つのケースの選択ということで、一つは妻の基礎年金プラス妻の厚生年金、二つ目が妻の基礎年金プラス夫の厚生年金の四分の三、三つ目は妻の基礎年金プラス夫の厚生年金の二分の一プラス妻の厚生年金の二分の一ということに現在なっております。
 妻に老齢厚生年金がありましても、先ほど申し上げたような所得格差などの事情で低い場合が多く、夫が死亡したときに夫の遺族年金を選択することになりまして、こうなると妻みずからの保険料が掛け捨てになるのは不合理だということがずっと以前から指摘されておりますが、この点についてはどういうふうにお考えになるでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御指摘の問題は、老齢年金と遺族年金との調整をどう取り扱っていくかという問題ではないかと思います。
 老齢年金と遺族年金を重複して支給するということは、これは過剰な給付になるわけでございます。何らかの調整が必要であるわけでございますし、賃金が低くて就労期間が短い女性の現実の就労実態というものを十分に考慮すれば、夫が亡くなった後、妻の生活保障を行う観点から遺族年金を支給するということは、これはより有利な選択肢を示した、このような考え方に立つものでございます。
○小宮山洋子君 またここでも、専業主婦に対して遺族年金を給付する費用を第二号被保険者が共同負担している、これが不公平だという問題もあるわけです。私は、夫婦間で年金分割ができれば遺族年金を廃止する、こういう方向も含めて検討していただきたいと思います。
 次に、女性の年金が結婚や就労などの変化によって左右されないように負担、給付とも個人単位に切りかえてほしいという声が強まっています。そうしますと、これまで取り上げました第三号被保険者の問題、遺族年金で、世帯の所得が同じなら専業主婦の方が共働きの妻より高い遺族年金を受け取るという問題、離婚すると老後の保障が薄くなる問題なども解決すると思います。賃金格差の問題など、経過措置が必要だとは考えますが、個人単位にすることについてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 働く女性の皆さん方が大変ふえておるわけでございますし、年金制度をいわゆる世帯単位中心から個人単位に変えていったらどうかと、こういうことでございますが、私は基本的には、私個人の考えでございますが、その方向が望ましい、こう考えております。
 しかし、先ほどから専業主婦の観点、第三号被保険者の観点でいろいろな問題点が、まだまだ現実問題としてクリアできない問題があるんだということを申し上げましたけれども、要するにサラリーマンの一千二百万人の専業主婦の皆さん方にも御負担を求める問題であるとか、あるいは遺族年金の廃止の問題であるとか、さらに給付水準の引き下げなどの制度変更を一部で伴うものでございますので、その辺も含めまして、現実の女性の就労実態というものを十分に直視しながらこの問題については取り組んでいきたい、こう考えているような次第でございます。
○小宮山洋子君 これは税の配偶者控除、配偶者特別控除あるいは医療保険、介護保険などもあわせて、省庁の壁を越えてぜひ早急に検討していただきたいと思います。
 最後に、この女性の問題を先送りしたことに関しまして検討会をつくると言われました。これは審議会の審議が終了したらすぐに私はつくられるべきだと思っておりましたけれども、この法案が国会を通るまではできないという何か理屈にならない理屈でまだ発足していません。
 その審議会につきまして、いつ発足するのか。メンバーは、できれば専業主婦、パートタイマー、派遣労働者、正社員、経営者、学者など幅広いメンバーで行うことがよいと思います。その点と、次の改正にこの審議の内容がきちんと反映されるお約束、そうしたことを含めてこの検討会について伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 総理の言葉じゃありませんけれども、二兎追う者は一兎をも得ず、こういうこともございますけれども、私どもは今この年金法の改正案の審議でもう本当に全エネルギーを費やしておるわけでございます。一つ一つ確実に、要するにこの年金制度の長期的、安定的な確立を目指すことが最大の私どもの使命であり役割である、このように考えています。
 この法案がこの委員会あるいは参議院の本会議においてお認めをいただき次第、大至急この問題に取り組んでいく決意でございます。
○小宮山洋子君 どうも小渕内閣では、総理だけではなくて大臣の皆さんも二兎追う者は一兎をも得ずなどというわけのわからないことをおっしゃっておりますけれども、私は、決してこれは二兎を追うことではない、並行してでも一刻も早く発足をさせるべきだと思います。重ねて、そこに幅広いメンバー、女性をきちんと加えていただくことをお願いしたいと思います。
 専業主婦の皆さんにとっても、今の状態が決していいわけではありません。例えば、新たに発足します四〇一k、確定拠出型年金からも掛金を払っていない、ですから、一人前の人格としてある意味では認められていないということで専業主婦は締め出されるという、そういう新しい仕組みにカウントされないという問題点もあるわけです。
 ぜひ、性によって偏りのない年金制度を初め、社会保障制度を確立されることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 年金財政の支え手をふやす問題と基礎年金の政策改定の問題について質問をさせていただきます。三十分しか時間がありませんので、途中になるかもしれませんけれども、まず最初に私は年金の支え手の問題について質問いたします。
 年金財政にとって、若年層はもちろんですけれども、高齢者やそしてまた女性など、支え手をどのぐらいふやしていくかということと深くかかわっているというふうに思います。その意味で、支え手をふやすということが今非常に重要な課題であるというふうに思います。私は、特に女性の支え手をどうふやしていくかということについて質問をしていきたいと思います。
 平成九年の就業構造基本調査によりますと、無業のうちの就業希望のある人、仕事につきたいと思っている人が男性で三百三十五万人おります。この男性の数を大きく上回りまして、女性では七百九十八万人が仕事につきたいという希望を出しております。
 この女性たち、約八百万人になるわけなんですけれども、この人たちが、いわゆる二号保険ですが、厚生年金に加入したとした場合には、これは保険料として相当のお金が入るというふうに思いますけれども、どれほど保険料の収入がふえるかということについて政府参考人にお聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 新たに七百九十八万人の女性の方が第二号被保険者になられた場合には、保険料収入は年当たりで約四兆円程度ふえることになります。
○井上美代君 今、四兆円ということですけれども、やはり働きたい人が声を上げているんですから、この四兆円というのは女性が働くことができるようになれば入ってくるというお金なんです。そういう意味で非常に重要なお金であるというふうに思います。
 女性と男性の賃金格差というのは非常にありまして、男性が一〇〇とした場合に、労働省の調査では五一%、男性の半分だということです。社会保険庁の事業年表によりますと五九・四%となります。ちょっと上がります。そして今、日本では女性が働くというのがなかなかできていないんですけれども、男性よりも多く働きたい、働きたいというけれども、なかなかそう簡単に働けないんですね。
 そういうことになっておりますが、ヨーロッパ方面は少し違っております。賃金におきましても男性の八割以上というところが幾つもあるんですけれども、そういうふうになりましたときに、今の計算方法でいきますと四・九兆円の増収になるということが、これは私、厚生省から試算していただきまして持っております。今度は二〇二五年ですけれども、ここまでずっといきますと、保険料の収入というのは約九兆円になるんです。これも大変なお金です。
 一方、政府がつい先日衆議院の予算委員会で、今回の制度改悪でどのぐらい給付がカットされるかというのに答えた数字があるんです。今回の制度改悪で二〇一〇年には三兆円カットされるんです。そして、これが二〇二五年になりましたら十一兆円の給付カットになるわけです。ということは、今度の制度改悪というものがそれだけのお金をカットしていくんだというふうになると思います。だから、国民の間に大変な不安が広がっているわけです。
 私は、このように国民犠牲をどんどん重くするのではなくて、こうした女性なり高齢者なり、また労働者なりが働きながら保険料を出していく、そういうことをやっていかなきゃいけないんじゃないか。そうなりましたら、先ほどの数字でいきますと、二〇二五年、十一兆円カットされるんですが、そのうちの九兆円については女性の労働によってカバーされるということが出てくるわけなんです。
 もう一つ申し上げたいんですが、ちょうど試算をいただきましたときに、その試算をいただいた年金局からの資料のところにコメントがついていたんです。そこに、
 女性について、財政再計算でベースとしている労働力率の見通し以上に労働力率が上昇するならば、被保険者数の増により保険料収入は増加することとなるが、このことは将来的には、年金給付額の増に結びつくこととなるものであり、さらに女性は寿命が長いといったこともあいまって、総じてみた場合、年金財政にはあまりプラスにならないものと考えられる。
というコメントが書いてあったんです。
 私は、これを読みましてびっくりしてしまいました。女性は確かに長生きをしますけれども、長生きするから年金財政には余りプラスにならない、このことは女性が年金に加入するとマイナスになるということなのかということを私は大臣にお聞きしたいんです。大臣、御答弁ください。
○政府参考人(矢野朝水君) これは大臣に相談することなく事務方で出した資料でございますので、私の方から申し上げます。
 女性が長生きするのが年金にとって悪いような、そういう受けとめ方をされましたら、これは大変誤解を招いたわけでございまして、申しわけないと思います。
 これはそういうことじゃございませんで、今回の改正でも、女性の就労が相当大幅に伸びるという労働省の将来推計がございまして、それに基づいて私どもは女性の就労アップということを前提に将来の財政計画を立てているわけでございます。
 そういったことをやったといたしましても、女性の就労がふえるということは年金の保険料が入ってまいりますので、一時的には年金にとってはプラスといいますか、財政的には好転するわけでございますけれども、いずれ女性の方は年金給付を受けられる、こういうことになるわけでございますので、そういった場合に、かなり女性の就労が伸びるということを前提といたしましても今の制度のままでは長もちしないということで制度全体の見直しが必要だと、こういう趣旨でああいった資料も提出をしたということでございます。
○井上美代君 今、政府参考人からお話がありましたけれども、余りプラスにならないということは女性が長生きすることを歓迎しないかのような言葉に聞こえてまいりましたが、長生きということはうれしいことですから。そういう意味で、このような考え方について、今、政府参考人は女性の就労率について一定の見通しは持ってやっているというふうに言われたように思いますけれども、私はその見通しについても怪しいと思っているわけです。
 それで、女性がやはり年金財政に加わっていくということが大事なことであって、そしてそれは年金財政を豊かにできるだけのことがあると思うんですね。だから、そういう意味で、年金の支え手として女性が働く、そういう労働環境、条件環境、そういうものをよくしていくということがどうしても必要だと思いますし、今、男女共同参画社会をつくるということで、言ってみれば政府も国を挙げてやっておられることで、そのことに力を入れてくださることによって女性がきちんと働き続けられるようにしていかなければいけない。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計がありますね。これは、出生率がある程度回復したとしても人口は二〇〇七年を頂点として減少に転じていく、そして二〇五〇年には約一億人になり、二一〇〇年には現在の人口の半分程度になっていく、こういうふうに人口が減っていくと言われておりますので、そういう意味でも、厚生省が、年金財政の支え手をふやすということ、これはもっと真剣に考えていかなければいけない課題ではないかというふうに思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか、長期的展望に立って。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 確かに女性の方々が社会進出を果たしてまいりますと年金財政の面から大変豊かになっていくということは事実でございますけれども、私個人といたしましては、女性の就労の問題を年金財政の観点から論ずるというのはいささかいかがかなという感じがしないでもないんですが、いずれにいたしましても女性の方々が社会参加すること自身は男女共同参画型社会の中で大変大切なことである、このように考えているような次第でございます。
 今回の財政再計算におきます女性の厚生年金被保険者数の生産年齢人口、つまり二十歳から六十四歳の人口に占める割合を見ますと、平成十年度から平成三十七年度へ向けまして、おおよそでございますが一・五倍になる見通しになっております。このように、女性のいわゆる社会的参加そのものによりまして厚生年金の被保険者数が上昇していくことは今後とも女性の労働力確保と相まってさらにふえていく、こう考えておりますし、私どもは財政再計算におきましても十分にその点を織り込んでおるような次第でございます。
○井上美代君 今、大臣が御答弁くださいましたけれども、私は、女性の年金計算について、やはり女性が働くということが非常に重要な重みを持っていると、年金財政とのかかわりで。そのことはお認めになりますでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 同じ認識には立っております。
○井上美代君 私は、同じ考えであるならば、このことは、仕事が欲しいという女性たちも大変ふえていて、力も意欲もある女性たちが大変ふえているわけで、そういう点でももう本当にすぐにでもしてほしいというふうに思っておりますので、その希望を述べながら、それに関連して次の質問をしていきたいと思います。
 皆様方のお手元に資料をお配りしております。カラーの資料と白黒の資料です。
 このカラーの資料を見ていただきたいんですけれども、二〇二五年の日本の場合は丸の緑というのであります。そのほか、現在の日本も、それからアメリカ、カナダ、スウェーデン、ドイツ、ノルウェー、これを見てください。いろいろ線がありますので見にくいかもしれませんけれども、一番はっきりしているのは、日本の場合はM字型というふうに言われているわけです。緑の日本の部分がぐっと下がっております。特に、現在のところでは三十から三十四歳のところがもう陥没しているというのが見えると思います。そしてまた、上のブルーの、これはスウェーデンですけれども、スウェーデンやノルウェーあたりの赤いのを見てください。上の方がM字型になっているでしょうか。全くM字型になっていないんです。ここに日本とヨーロッパ方面の違いがあるんです。
 だから、ここを改善していけばヨーロッパのようになるし、また年金財政としてもっと自信を持って厚生省が、長生きするのが困ったようにならないで話ができるんじゃないかというふうに思うんです。これは、数字ではもう一枚の上の方に出ております。だから、これを見ながら、やはり少子化を克服するという意味でもこのことが大事であるというふうに思いますので、まずはこれを見ていただきたい。
 そして、二枚目の下のグラフなんですけれども、ここに赤いのがつけてあると思いますが女性の潜在的有業率、これが大体八割ぐらいになっているのがずっとあります。これは八割の女性たちが潜在的に仕事が欲しいということでここに示されている線なんです、数なんです。現在の有業率がM字型になっておりますけれども、この潜在的なところを見るとM字が随分是正されているわけです。特に三十代、四十代の八〇%以上の女性たちが働きたいというのがこの線にあらわれているわけで、働き盛りの女性たちが仕事がないということが今ありますので、そういう点で、私は、年金財政を生み出すためにもこの線をしっかり見ながら国の政治をその方向で進めていかなければいけないというふうに思います。
 そこで、質問なんですけれども、国民に年金財政の重荷を押しつけていることになると私は思いまして、今度の年金法案については大変反対、もう廃止しかないと私は思っているんです。年金再計算のときにやってほしいというふうに思うんですけれども、その点については、いつ、どのようにこの可能性があるかということを大臣に、この表も、ヨーロッパ方面のも見た上での見解を述べていただきたいというふうに思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年金再計算をいつやるかという御指摘でございますね。
○井上美代君 今やってほしいんですけれども。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今、現に五年に一度年金再計算を行うということで、私どもが検討いたしました再計算に基づきまして法案を御審議いただいておるわけでございますし、五年後にはまた年金再計算をお願いすることになると思います。
○井上美代君 今のカラーの折れ線グラフなんですけれども、二〇二五年のところがありますね。ここの日本のところを見ますけれども、今二〇〇〇年ですから二十五年先なんですけれども、ここで見ますとM字型になっているんです。M字型というのは、これは子供を育てるというので一度家に戻ってまた出ていくということですから、だから働き続けるということができない今日の日本の現状があるんです。これを改善していかなきゃいけないということなんですけれども、こんなに日本がおくれているんです。
 そういう意味で、私は厚生省が労働省の統計を見て見通しを立てられたんだというふうに思うんですけれども、見通しは非常に低いところで立てられているというふうに思いますが、その辺はどうでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回、財政再計算をするに当たりまして、労働力をどう見るかというのは一つの大きなポイントであるわけです。この点につきまして、労働省の方で平成十年十月に将来の労働力率の見通しという推計を出されております。私どもはこれに従ったわけでございまして、これによりますと、男子では六十歳代前半の雇用が進む、それから女子につきましては全年齢につきまして雇用が伸びるということで、こういった前提に立ちまして私どもは年金の方の再計算をやったということでございます。
○井上美代君 労働省の統計でやったというふうに言っておられますけれども、このことにつきましては、やはり女性が今二十一世紀に向けまして大いに働きもしたい、そして家庭も両立させていきたい、しかしながら自分の能力を生かそうとすればなかなかということで非常に悩みが深い、そういう時期ですね。だから、そういう意味で、私は、ただ今日放置していたらこういうふうになるであろうというような展望ではなくて、どういうふうにそれを切り開いていきながら展望をつくっていくかということも含めて厚生省に今後の問題について考えてほしいというふうに思っております。
 私はここに「二十一世紀日本の構想」というのを持っていますけれども、これは首相が委嘱をされまして「二十一世紀日本の構想」懇談会が出した報告書だということなんですが、そして首相の所信表明にもいろいろと使われたということなんですけれども、ここに年金改悪についての項があるんです。そこに書いてありますけれども、
 その改革があまりにも安易に議論され、頻繁な制度変更が行われかねない状況にある。長期、安定的な年金制度の実現には、それを財政の側面からだけ論ずるのではなく、定年制のあり方、高齢者雇用の推進、医療・介護を含めた社会保障制度全体、経済全体の活性化策などを一体としてとらえて考えなければならない。
と、こういうふうに書いてありまして、年金の論理だけで改革してはいけないということを強調した報告書なんです。
 私は、この観点というのは非常に重要なんじゃないかと。きょうは厚生大臣がおいでくださっておりますが、厚生省だけでやれない問題も私はあるというふうに思うんです。そういう意味で、二十一世紀に向けまして、厚生省の責任も含めてこうした問題について検討をいただかなければいけないというふうに思いますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員から今さまざまな御指摘をいただきましたけれども、私も全く同じような考え方に立つものでございます。
○井上美代君 ぜひこの観点で二十一世紀を目指す立場で努力が要る、そのためには女性のこうした雇用と年金財政の問題などについても私はもっと深く四つに組んでやっていただかないと切り開けないと思うんです。今、男性も苦悩しているかもしれませんけれども、女性は本当に苦悩しているんです。だから、そこをやっぱり、女性の要求にもこたえながら年金財政もつくっていくということが大事ではないかなというふうに思います。
 私は今ここに労働省が労働力率の見通しを立てた際に使った女性労働力率関数という資料を持っております。これを見ますと、短時間雇用者や保育所の在所児などがふえれば労働力率は上がるとなっているんです。家族が触れ合う時間が持てるような労働時間の短縮を進める。これは厚生省の管轄ではありませんけれども、これがやっぱり深く関係しておりますし、保育所がふえれば労働力率も上がるということになるわけなんですね。
 今回の厚生省の年金改正の試算で明らかになったのは、年金財政の支え手としての女性の二号被保険者への異動、これを考えに入れていない政府のおくれの施策というのが私はあると思っているんです。二十一世紀の男女共同参画の進展に私は逆行していると思うんです。基本法までつくってやってきたわけですね。だから、今進行中ですけれども、それに沿った施策を出していくということが大事だというふうに思います。さらには、これが少子化対策を本当に進めていく、そういうことにもなっていく。だから、それを進めようと思えば今のような施策では私はだめだと思うんです。
 だから、女性の働きやすい環境を整備して、少子化対策にまじめに取り組んで、そしてむだな公共事業はやめる。もう時代おくれです。やめて財源をつくる。そして全会一致して決議を出しているじゃありませんか。国庫負担の二分の一を保障して、安心できる老後をつくっていくということが大事だと思います。
 そして、それは今、世界の流れとも関連して、非常に時代が流れて激動しているわけなんですけれども、世界の趨勢でもあるというふうに思うんです。やはり国民犠牲の年金、これは慎重に審議もし、そして私は今回無理に押して通す法案ではないというふうに思います。
 私は、きょうこの問題と、もう一つ基礎年金の政策決定問題について質問をしたいと思っているんですけれども、もうあと三分ぐらいしかありませんので、一問だけ質問をしまして、次に回させていただきたいと思います。
 基礎年金なんですけれども、国民全員が加入している国民年金基礎年金、これが大変低いということなんです。四十年保険料を納めた人でも毎月三万七千円程度で、生活保護水準以下なんですね。実際に受給している人の平均はさらに低くて、国民年金、そして基礎年金だけを受け取っている人が平均でも四万円程度なんです。
 今回の制度改正では厚生年金に注目が集まっておりますけれども、基礎年金についても重大な政策変更が行われているということは皆様御存じのとおりです。厚生年金の報酬比例部分については六十五歳以降は賃金スライドが事実上廃止されるということでありますけれども、基礎年金についても同じように政策改定が廃止されます。政策改定は数年に一度の年金財政の再計算の際に厚生年金の賃金スライドとあわせて実施されてきたものです。高齢者の生計費などを総合的に考慮して決めているというものなんです。
 基礎年金が一九八五年に導入されて以降、政策決定は八五年に一回、そして八九年、九四年、九九年と四回行われてきております。基礎年金導入直前の一九八五年に六十五歳で年金を受給し始めた人は満額で月々四万九千六百八十三円、この人は八十歳で六万七千十七円受け取っております。この人がもし今まで政策決定がなく物価スライドだけだったとしたら月々幾ら年金額が受けられるのかということをまずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 昭和六十年改正直前の満額国民年金額、これが四万九千六百八十三円でございまして、その後、物価の上昇だけで引き上げたといたしますと、平成十一年度には五万九千百三十六円になります。
○井上美代君 私、まず訂正をしますが、四十年保険料を納めた人でも毎月六万七千円というふうに訂正をさせていただきます。
 今、政府参考人がお答えくださいましたけれども、政策改定をやらなかったときがどうなるかということですけれども、やらなかったときとやったときを比較しますと、年間で十万円ぐらい違うんですね。低くなるんです。だから、そのことを指摘して、まだこれからずっと続くんですけれども、後日やらせていただきたいと思います。
 以上で終わります。
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 私は、今お二人から女性の年金について発言がありましたので、その問題で少し意見を言わせていただきたいと思います。
 私も女性の年金についてはこれまでも主張してまいりましたし、そしてこの女性の年金については、雇用の問題とか男女の賃金差の問題とか、いわゆる百三十万円の壁という税制の問題等、それらを総合的に検討して解決していかなきゃいけない問題であるということは大臣も答弁されましたし、私もそのことはよく認識をしているわけです。しかし、先ほど伺っていて、私は大臣自身がやっぱり認識が浅いんじゃないのかなというふうに思いました。
 まず、二月二十四日、私が質問しましたときも、大臣は女性の年金の問題は古くて新しい問題でありますなんて答えられたので、私はそんな認識では問題ですよと言って切ったんですけれども。古くて新しい問題じゃありません。これも非常に重要な問題が入っているわけですね。
 それで、その認識の違いというのは、さっき所得のない人から保険料を取れないというのは、では一号の保険は自由業の人、自営業の人です、農家の人とかそういう人たちは所得が妻になくても払わなきゃいけないんです、保険料は。そこでは所得がなくても払うのが年金の原則なんでしょう、本当は。三号だけが特例なんですよ。ですから、特例の方をまるで当たり前のごとくおっしゃるとそれは非常に問題がある。
 それから、三号のサラリーマンの妻の年金は二号保険に入っている、いわゆる厚生年金やそこに入っている人たちの男女がその年金を払うという、こういうまたおかしなシステムになっている、そういうことが非常に問題であるということを言っているわけですので、これらの問題は何もあっちを立ててこっちを立てずとかという問題じゃないんです。
 これはあくまで三号という、このサラリーマンの妻の扱いというのは、これは性別や役割分業の認識からこうなったと思いますけれども、それは女性だけの問題ではありません。ましてや、働く女性と専業主婦の対立といったレベルのそういう低次元の問題ではないんです。これは年金制度の今後の改革と維持、そして社会保障制度のあり方、そういう基本的な問題であるということをまずここで御認識いただいて、そしてそれは別に五年後まで待たなくて結構です。もう直ちにその改善のための策を立てていただきたい。
 大臣に私はここで明確に御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 前回の質疑におきまして私が古くて新しい問題だということを申し上げましたのは、かねてからの大変重要な問題であってなかなかこの問題について解決が見出せないことは大変残念だと、こういう思いで申し上げたわけでございまして、その際、清水委員から、そういうことでは女性の支持は得られませんと言われたことは胸にぐさりと刺さりまして、あの夜は眠れなかったような次第でございます。
 いずれにいたしましても、大変大きな問題でございまして、先ほどの答弁の中でも申し上げましたように、私どもといたしましては、女性の年金権の問題というのは次回における最大の課題であると、このように認識をいたしておるような次第であります。
○清水澄子君 では、一つだけ。
 いろいろ問題がありますが、ドイツなどでは子供を育てている期間、家族の介護をしている期間、その介護とか育児の大部分は女性が担っている、そういう点では女性が無償で担っている労働、それをきちんと評価して年金額に反映させているわけですね。ドイツ等ではこれは一九八六年から始まっているわけですけれども、育児期間というのをみなし賃金として、改善をしながら、ことし二〇〇〇年からは子供一人について三年間、平均賃金の一〇〇%までそれを評価して年金に加算しているんですね。
 こうした改善というのは日本でもすぐできることではないか、私はこのように思いますので、こういう点についてもぜひこのことを取り上げていただきたい。大臣、ひとつお約束いただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ちょっと不勉強で恐縮でございますが、ドイツのそういうような仕組みはまた後で勉強させていただきますし、当然よりよい年金制度の確立のために一つの検討課題として位置づけて結構ではないかと、個人的にはそう考えるような次第であります。
○清水澄子君 では次に、国庫負担二分の一の効果、二分の一負担することの効果についてお伺いしたいんですけれども、基礎年金の国庫負担率二分の一の実現というのは私は一日も早く実現すべきだと思っております。
 それでお伺いしたいのは、実際問題として基礎年金の国庫負担率を二分の一にした場合、国民年金、厚生年金その他の各種年金の保険料、それが毎月幾ら負担が下がるかという数字をお知らせください。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の法案におきましては「平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るもの」とされておるわけでございますけれども、今回の財政再計算では、二〇〇四年に国庫負担割合を二分の一に引き上げた場合には厚生年金の保険料率を一%、それから国民年金の保険料につきましては毎月三千円をそれぞれ軽減するということで計算をいたしておるところでございます。
○清水澄子君 他の制度はどうなりますか。
○政府参考人(矢野朝水君) 共済におきましても一階部分が、国庫負担割合が引き上がりますので、厚生年金とおおむね同じ、一%程度の引き下げ効果があるものと見ております。
○清水澄子君 二分の一に引き上げるということはいわゆる負担を低くすることになるわけですから、やはりそれは非常に私は大事な政策だと思います。
 そして同時に、それは女性の、さっきから言われている第三号被保険者の問題とか無年金者の問題をもここで一緒に解決していく、緩和していくという問題を含んでおりますので、これは一日も早く達成することを私は再度お願いしておきたいと思います。
 厚生大臣、もう一度よろしくお願いします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 個人的なことで恐縮でございますが、私は前回の改正時においても二分の一引き上げ論をいち早く主張申し上げた者の一人でございます。現在、若年世代の年金に対する不安を解消する、こういうような観点、さらに今、委員から御指摘がありました保険料率の引き下げ、こういうような観点から、私は基礎年金の国庫負担は二分の一までできるだけ早くしなければならない、こう考えておるような次第でございます。
 問題は財源をどうするかということでありまして、現時点で二兆二千億、要するに三分の一から二分の一に引き上げるわけでございますけれども、私といたしましては、こういった観点も総合的に勘案して、できるだけ早く安定した財源を確保しなければならないことは言うまでもないことでございます。ただ、これが何か消費税に結びつくとかそういう話ではなくて、やはりいろんな角度からできるだけ早く三分の一から二分の一に引き上げて老後に対する不安を解消することが何よりも大切だと、このような決意を持っておりますので、どうぞひとつ御指導、御支援のほどをお願い申し上げます。
○清水澄子君 大臣、どうぞ座って答弁してくださって結構です。
 次に、賃金スライド制の廃止についてですが、これは法律事項ではないのですけれども、非常にこのスライド制の廃止は重大な後退になると思います。政府案によりますと、現役の平均賃金ベースと年金額の格差が二〇%を超えたときに賃金スライドを復活すると言っているわけですが、そこでお伺いします。二〇%というのは何年先を考えていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の財政再計算では、賃金上昇率が二・五%、物価上昇率が一・五%、こういう前提で計算をしておるわけでございます。これに従いますと、今御質問のありました賃金スライドを受給開始後やらない場合とやった場合との差が二〇%開くのには約二十三年かかるということでございます。
○清水澄子君 今、年金を受給している人は三十五年後なんですね。ですから、みんな死んじゃった後、二〇%を超えたときには賃金スライドを復活しますよと。今度の新しい制度では二十三年後になるんですね。そんな先のことを、今ですら二、三年のことは言えないと総理が今の経済状況でおっしゃっているのに、どうしてそんな先の先まで見通しもなくこういう数字を決められたのか。この二〇%というのはありそうもない非常に高い格差ですね。なぜそういう想定をされたのか、その根拠をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) これから少子高齢化がさらに一段と厳しくなる、そういう中で将来の保険料負担を過重なものとしない、そのためには給付につきましてもこれから時間をかけてスリム化を図っていかなきゃいけない、こういうことでございます。そういった際に、一つの有力な手法として、欧米諸国で行われておりますように年金受給開始後は物価スライドだけで引き上げていく、物価スライドによりまして購買力を維持するといいますか、そういったことはしっかり保証しながら、将来の負担を抑えるための一つの方法としてこういう方法を今回改正法案で盛り込んだということでございます。
○清水澄子君 まさにペーパー上の算定ですね。みんな生きて生活しているわけですから。
 それでは、一九・五%の格差のときはどうするんでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) これは二〇%格差が開いた段階で賃金スライドを再開して、二〇%以上差が開かないように措置するということを私どもとしては考えておるということでございます。したがいまして、一九%ですと賃金スライドを再開するには至らないということでございます。
○清水澄子君 数字だけで、二〇%を超えなければ賃金スライドを復活させない、一九・九でもだめだと。局長はその時分はもうとっくにおやめになっていらっしゃいますからいいんですけれども、今私たちはこの政策を決定する段階ではとてもそういうペーパー的なプランをのむわけにはまいりません。
 賃金スライドについては、格差二〇%などというあり得ない期限までスライドを引き延ばしていくというのではなくて、やはりこれは今回もうちょっと経済状況に見合って考える、随時考える、そして同時に五年後さらに検討し直すということで、私は今回これを撤回することを求めますが、いかがでございましょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の改正の趣旨、目的は先ほどから申し上げているとおりでございまして、将来の保険料負担を重いものにしない、年収ベースで見まして二割が限度だ、その範囲内に保険料負担を抑えようということで、そのための手法として幾つか組み合わせをいたしまして、そのうちの大きな手法といたしまして、年金受給開始後六十五歳以降は、物価スライドはしっかり守りますけれども賃金スライドは我慢してください、こういう措置を今回提案したわけでございます。
 その際、いつまでも賃金スライドを復活しないということになりますと、長生きするにつれてどんどん現役とのバランスが崩れてくるわけでございますので、やはり現役世代との生活のバランス、こういったことを考えますと、二〇%程度が賃金スライド再開の目安としては適当じゃないか、こう判断したわけでございます。
 ただ、この問題といいますのは実は法律のどこにも、賃金スライドを実施するとか二〇%になったら再開するとか、こういった規定があるわけではございません。もともと賃金スライドは過去の標準報酬を再評価するということによって結果的に賃金スライドを実施する、こういうことにしておりますので、この賃金スライドの復活につきましては、五年ごとに財政再計算があるわけでございますので、その際にどうするかというのは最終的には判断すべき問題だと思います。
○清水澄子君 それでは、五年後にも再度これは検討し判断するというふうに御答弁いただきましたので、そういうふうに扱っていただきたいと思います。
 次に、繰り上げ支給の減額についてでございますが、現在、国民年金では六十歳で年金を受けようとすると減額率四二%ですね。二万八千円マイナスになってしまう。ですから、これは非常に大幅な値引きになっちゃうわけですね。これでは、六十歳で職がなくなって年金生活に入りたいと思っても、四二%も引かれてしまうと思えば、そしてこれがずっと続くわけですから、なかなか受けられない。
 繰り上げ受給者というのは一般に再就職ができない人だと思いますし、所得が低くて六十一歳から年金に全面的に頼らざるを得ない人たちであると思います。そういうのに比べて、六十五歳まで待てる人というのは、一定の所得である程度生活に計画が立てられる、または運よく再就職できた人になるだろうと思います。
 そういう意味で、最近の繰り上げ受給者の割合がどんどん下がっているわけですね。現在三三%まで下がっている。そういう仕事もなく年金もないという人たちの状況が数字にあらわれているわけですけれども、この四二%の減額率というのは昭和三十年に想定した数字でしょう。今、昭和三十年と言ったけれども、これはまだ人生五十年時代と言っていた時代です。今これだけ八十歳という時代になったわけですから、最近のいわゆる寿命というか生命表によって平均余命に置きかえたとき、当然受給額はもっとふえるはずですし、減額率はもっと下げられるはずだと思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 繰り上げ減額率につきましては、平成十三年度から新たに年金を受け始める方につきまして見直す方向で早急に検討を進めることにいたしたいと思っております。これは法律事項ではなくて政令事項でございますけれども、私の個人的な考え方でございますが、当然これが固まればこの委員会でこの姿をお示ししなければならないと、こう考えておるわけでございます。
 これは、今、委員が御指摘になりましたようなさまざまな要因、特に六十歳代前半の雇用の問題、こういうようなことも十分に考慮しながら、いずれにいたしましても来年度から、基礎年金でございますけれども、これも開始される、こういうことから、これはきちんと国民の皆さん方にお示しをしなければならない問題だと、このように考えているような次第でございます。
○清水澄子君 減額率をぜひ二〇%程度に、政策的な決断をよろしくお願いいたします。
 終わります。
○堂本暁子君 前回、前々回と女性の問題を質問してまいりましたけれども、きょう通告させていただいた検討会についての質問はもう同僚議員が質問されたので、二番目の質問から入らせていただきたいと思います。
 二番目の質問というのは、検討会で結果を待ってからではもう何年も、先ほどの答弁の中で大臣は五年後の改正までにはというふうにおっしゃいましたけれども、私はそんなに長い間不公正な制度に甘んじているべきではないというふうに思うんですね。その結果を待つまでもなく、離婚時の所得分割などはできるところからどんどんやるべきだと思っています。
 先ほどドイツのお話も出ましたけれども、最近カナダで夫婦間の年金受給権の均等分割の制度の改正がありまして、婚姻期間が一年以上たっている場合には離婚時でも自動的に分割される、それから例えば夫婦が六十歳以上の場合には分割できるというようなことが決まっているわけですね。日本の場合でしたら、二十年間結婚している方でも離婚されたら基礎年金しか手に入らないという状況は余りにも女性にとって不利益が多過ぎるので、五年というのは余りにも先延ばしだと思うのです。この審議が終わったらば直ちに改正できるところから改正していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど来申し上げております女性の年金権の問題でございますが、女性の社会進出であるとか人生設計の多様化であるとか、それから家族の就業形態の変化を踏まえまして、いずれにいたしましても早急に検討しなければならない、こういう問題でございまして、直ちにこの法案が決着し次第、検討しなければならない問題だと思っております。
 ただ、できるものからやるということなんですが、先ほど来申し上げておるわけでございますが、これは単なる年金だけの問題ではなくて、いわゆる民事上の法の問題もございますので、これは決して先延ばしということではないんです。なかなか難しい問題だからこれまで避けてきたということではないんですが、女性全体の大方の皆さん方の御理解をいただくためには、やはり相当開かれた議論をしなければならない問題もございます。
 いずれにいたしましても、私が先ほどから申し上げておりますように、基本的にはいかにしていわゆる家族、世帯単位から女性の個人単位の年金権の確立という方向に持っていけるかということの中で、さまざまな問題をクリアしていかなければならない、こう考えている次第であります。
○堂本暁子君 個人的には個人単位がいいということを先ほどもおっしゃっていらっしゃいましたけれども、私が申し上げたのは、税制その他すべてを一緒にするとなると五年たってもできないかもしれません。ですけれども、カナダがやったような夫婦の分割は税制の問題と必ずしも一致しなくていいわけです。それから、年金はすべての人にかかわる問題ですから、年金でそういう形でどんどんやっていくことによって政策誘導することも可能だというふうに思います。ですから、必ずしもほかのものと一緒にやるということではなくて、できるところからぜひやっていただきたい。
 特に、きのう厚生省に資料要求をさせていただいた中で大変注目すべきことは、二号被保険者が、すべての二号被保険者ですね、男性だろうが女性だろうが共稼ぎの方だろうが、三号被保険者のために提供している金額というのは一兆六千億になります。これはもう大変な額で、二号被保険者の数というのは三千八百八十一万人ですが、それを割りますと一人四万一千三百二十九円、それだけ三号被保険者の分を二号被保険者が負担しているということになるわけです。私なんか独身ですから、どなたかの奥様の分を負担していることになります。ずっと三十年間勤めていた間掛ける四万一千円というと相当な額になりますけれども、そういうことになっているわけです。
 これはもう本質的に不公正がそこにあるわけでございまして、そういった民法や税制の問題をどうのこうのということ以前に、先ほど同僚議員が申し上げたように、私は社会保障制度の根幹にかかわる問題がここにあるというふうに思いますので、絶対に先延ばしをしていただきたくないというふうに思います。
 次の質問に入る前に私は委員長にお願いしたいんですが、この審議が終わったら、例えばこの委員会でこの問題の小委員会をつくって、女性の年金権について立法府の方で審議を始めると申しますか、検討するぐらいのことをやってもいいんじゃないかと思います。
 私は、この問題についての審議会の議事録を見せていただきましたが、対立していてなかなか難しいと。難しいからやらなくていいことではないと思うんですね。行政府でできないのなら立法府でやってもいいんではないかと。ですから、そういう小委員会なり、全体の委員会でも結構ですが、そういったことをぜひ理事会で検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。これは委員長に。
○委員長(狩野安君) その件は理事会で検討させていただきます。
○堂本暁子君 はい、わかりました。
 では、私の質問が終わると理事会がございますから、そこで検討することにいたしましょう。
 もう一つは、先ほども出ましたけれども、専業主婦から保険料を徴収すべきかどうかということがあります。
 平成十年に厚生省の年金局が行われた調査があるんです。その調査によりますと、厚生省は盛んに六〇%が当面のあり方でいいと答えているというふうに書いておられます。当面または将来にわたり現行制度を維持すべきという意見は六四%となっているというのがこの最初のまとめのところにあるんですね。
 ところが、丁寧に読んでみますと、その数字というのはどういうものかというと、専業主婦からも保険料を徴収すべきであるというのが二七・二%、そして将来は見直すべきだ、当面は維持というのが四三・八%なんです。ですから、将来は見直すべきに重点を置くのか、当面維持をする方に置くかによって変わってくるわけですが、将来は見直すべきというふうに、これは平成十年ですからこれから将来になりますが、見直すべきということを言えば、もう七〇%の人が見直すべきだというふうに言っているわけなんです。ですから、それは民意からいってももう見直すべきだということがはっきりしているということだと思いますが、その点はどうお考えになりますか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから申し上げておりますように、基本的には見直すべきだということで、年金審議会の中でも検討をお願い申し上げたい、こういうことで申し上げておるわけでございます。
 その調査によりましても、さまざまな意見が分かれております。先ほど清水委員には、女性の支持が得られないということを先回言われて非常にショックだったということでありますが、支持が得られるとか得られないという問題ではなくて、やはり私は女性の社会進出ということを考えますと、基本的には女性の年金権を個人の単位という方向でいかにしてクリアしていくか、その際、また別な方の、一千二百万人の女性から不支持になる可能性もなきにしもあらずかな、こう考えております。
○堂本暁子君 厚生省のお出しになっているさまざまなこういう調査を見ますと、実際に、例えばこの調査は八年度の調査ですけれども、その中で、今パートタイムをしている、非常勤で仕事をしている、これは三号被保険者の数字ですね。それによりますと、今のこういう制度があるから自分は非常勤をやっているのだというのが三五・一%ですよ。三分の一の方がそう言っている。そして、しかも常勤で働きたいけれども職場がないというのが一五・六%。ということは、もうほとんどの、これを両方を足したら半分の三号被保険者がむしろ仕事をしたいと、さっき共産党からもお話が出ましたけれども、そういうふうに言っているわけです。ですから、その一千二百万人の恐らく六百万人はみんなこういうふうに考えている。それから、年齢が増すともっとそういうふうに考えていることがふえているので、それは厚生省の資料のつくり方、大臣への説明の仕方によってそういうことになっているのだと私は思いますが、次に移ります。
 そういった今の制度であるがゆえに非正規の雇用者がふえています。これらの多くが一号被保険者となっていますけれども、パートタイムの労働者になって非常に低い賃金で働いている。こういった方たちを厚生年金に入るように勧めるべきだと思うんです。必ずしも入っていない。こういった状況も非常に女性の無年金とか低い年金の状況をつくっています。こういった促進策についてはいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) パート労働者の問題、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、百三十万円までということでありまして、それ以上働いても課税はされるし、こういったような問題が出てくるという問題が社会進出の阻害の一因になっているということは紛れもない事実であります。そういった問題も当然のことながら十分に検討の対象になり得るだろう、このように考えております。
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 もう一つは、現行の公的年金は大企業優位、これはもう本当に知れば知るほどそう思います。私も比較的安定した企業におりましたけれども、その場合にはいろいろな形で優遇されています。しかし、中小企業あるいはこれから介護の面などで活躍するNPO、それから市民事業、あるいは個人事業、多種多様な就業形態がこれから二十一世紀に向けて出てくるわけですけれども、こうした事業形態それから就業形態に中立な制度を女性としてはぜひとも確立していただきたいと思いますけれども、その点はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 率直に申し上げて、これまでの長い経緯の中でそういうようなものが組み立てられまして、特に共済年金などにつきましては大幅な削減等を図ってまいってきておるわけでございますけれども、当然のことながら、今御指摘のようなことも今後の検討課題として、私ども、どの職業についても基本的にはやはりきちんと保険料を支払っていただける方に対しましては、当然賃金と連動するものでございますけれども、きちんとした給付が受けられることが望ましいと考えております。
○堂本暁子君 建前としては四分の三未満の勤務時間で百三十万円以上の収入のある主婦パートの方は、本来は厚生年金に入ることになっているんだと思うんです。しかし、現実には必ずしもそうではない。そのあたりを厚生省として促進するための何か施策を実現していらっしゃいますか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今、パートの女性の方は七百五十万人ぐらいいるということでございますが、これは年金の問題と課税の問題と両方相まっている問題でございまして、この問題につきましては当然のことながら今後の女性の年金権の確立の点において避けては通れない大きな問題であろうと、こう認識をいたしておるような次第であります。
○堂本暁子君 課税の問題、そして年金の問題が逆に賃金格差、先ほど男性の三分の一というような、半分ぐらいですね、そういったような年金格差に女性を追い込んでいるという実態が今あるのだと思います。ですから、決して私たちは年金の問題、税制の問題だけを主張しているのではなくて、社会保障制度が逆に女性を低賃金、そして、例えばもう年金に関しても魅力がない、あるいは男は仕事、女は家庭というようなところに追い込まれている。そういった制度的な大きな大きな問題を抱えているというふうに思うんです。
 最後に伺いたいのは、そういったことで、年金あるいは社会保障制度全体と言ってもいいかもしれませんけれども、それが本当に起爆剤となってむしろ女性の今受けている差別あるいは不利益が解消されていく、そういった誘導をやはり大臣としてはしていただくべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 社会保障というのは、男性であるから有利な給付を受けるとか、女性であるから非常に不利な給付、サービスだとかそういうものであってはならないし、そういうような仕組みになっておりません。
 問題は、先ほど来委員が御指摘のように、いわゆる女性の賃金が、例えばパートなどの場合には百三十万円というような頭打ちの問題があって、それ以上働かない方がいいんじゃないかというような問題であるとか、さまざまな要因によって現実的に女性の賃金が低くて、そして例えば年金にいたしましても加入期間が短くて結果的に女性の給付が少なくなってくる。こういうことでございますが、私も基本的にいわゆる男女参画型社会の中におきまして、それぞれの価値観、人生観にもよりますけれども、大きく変わっておるということは認識をいたしておるわけでございますし、当然のことながら、女性であるから、あるいは男性であるからというようなことが何か障害があるものならば、こういうものは撤廃する方向で今後とも努力していかなければならない、このような認識に立つものでございます。
○堂本暁子君 一九八五年の改正のときには、やはり専業主婦はずっと専業主婦である、あるいは余り離婚しない、そういうふうな考え方で制度がつくられたんですね。ですけれども、今では多様な就職の仕方をしているし、そしてちょうど制度が変わったときから二号の女性の方がふえているわけです。ずっとふえ続けて、先ほどの大臣の御答弁でも、平成三十年までには二号の女性が多分一・五倍になるだろうと、厚生省はそう思っていらっしゃるわけですね。そこまで実態が変わっている。それから離婚も数がふえている。
 そういった中で、ただ同意が得られないからというようなことでこういった不公正なものがずっと継続するということは、年金という生活にとって一番基本的な問題、もう本当に年をとって六十を過ぎたおばあさんにとっては、一万円余分にあるかないかというのは大変なことになるわけです。その日その日の生活にかかわってくる問題。ですから、かけがえのない問題です。厚生省の施策としては、なかなか同意が得られないからと。審議会のを読むとそのとおりです。
 でも、私は、その審議会の議論をずっと読ませていただいて、本当にここに書いてあることは当然だというふうに思いました。ここに書いてあるのは、今までは専業主婦をずっと当然だとしてつくられたものである、しかしそういった専業主婦の数をはるかに上回ったのが一九八三年です、これはどの委員かわかりませんが、そういうふうにおっしゃっている。そして、中立的に働くような社会の枠組みを確立していくことが必要なのだ、そのためには年金制度を調整する必要がある、そういった新しい問題が起こっていると。これはさんざん審議会で出ているにもかかわらず、それでも審議会でやはりそういう対立がある。これは当たり前かもしれません。だれだって自分にとって有利なことを主張するわけですから、対立がある。
 前回も申し上げたことですけれども、それでもそこに不公正があってはならないというのが行政でございまして、やはりそのリーダーシップをおとりになるのが私は大臣だと思うし、私たち立法府にも責任がありますから、ぜひとも私たち立法府でも直ちに検討に入らせていただきたいと委員長にもぜひお願いいたします。
 前回も同じことを申し上げました。もうこれは厚生官僚のレベルではなくて、どんなに官僚がそういうふうに大臣に説明しても、全部、大体白書に書いてあるようなことを答弁でもおっしゃるわけですが、そうではなくて、これは私は大臣の決断の問題だと思います。リーダーシップの問題だと思います。その御決意を最後に伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから、女性議員の皆様方こぞってこの女性の年金権のさまざまな問題について御質疑をいただきました。大変私は叱咤激励をされている思いがいたしております。
 いずれにいたしましても、大きな社会の流れの中で、皆さん方が男性だから、女性だからというような性的な差別を受けるのではなくて、女性も男性も同じ社会を形成する一員として同じ立場に置かれているということが大事であります。
 十分に先生方の御指摘のことを重く受けとめまして、なかなか私もリーダーシップがない男でございますが、一生懸命頑張っていく決意でございます。大変ありがたい激励の言葉として、謙虚に受けとめさせていただきたいと思います。
○西川きよし君 私は、先日は、精神に障害のある方そしてまた知的障害のある方々の年金、こういう関係で質問をさせていただきました。言うまでもなく、国民皆年金制度ですからすべての方々が対象となるわけですけれども、実は私はこれまでに刑務所、拘置所などの入所者と年金の問題について何度か取り上げさせていただきました。きょうは、少し視点を変えて、こういう内容で御質問をさせていただきたいと思います。
 長年にわたりまして拘置所や刑務所を定期的にお伺いいたしておりますけれども、最近はちょっと刑務所はごぶさたでございますが、拘置所の方には十二月にもお伺いをいたしました。そして、そういう中でいろんな方々にお話をお伺いし、高齢受刑者の問題、大変な問題ですけれども、例えば高齢受刑者につきましては再犯率が高い、一方で検挙の罪名ですけれども万引きや無銭飲食が多いわけです。そういった内容の中で、高齢者が社会復帰をする上で公的年金を受給できるかできないかというのは大変大きな意味合いがあると思います。
 こうした受刑者に対しまして、国民年金に加入すること、あるいは免除制度につきまして周知していただいておるのか、その対応を法務省、社会保険庁にもお願いいたしておりますが、まず法務省の方から御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答え申し上げます。
 受刑者等の年金問題につきましては、委員からの御指摘等も踏まえまして、平成六年に関係の訓令及び通達を発出いたしました。その後は、この訓令等に基づきまして、受刑者が受刑を開始する時期に行う指導の際に公的年金制度等の項目を設けて情報提供を行うこととしております。また、受刑者の釈放時期が近づいた際の指導におきましても、年金や健康保険等の社会保障制度についても指導することといたしております。
 さらに、平成十一年、昨年でございますけれども、十一月には、被収容者向けに作成しております「所内生活のしおり」等の冊子、これは所内での心得とか遵守事項といったものを記載して居房内に備えつけておくものでございますけれども、そういったものに国民年金制度の説明を記載することといたしまして、より一層の周知を図っているところでございます。
○西川きよし君 私自身、実を申しますと、刑務所などの入所者に対する年金問題につきましては、時間が短いものですからどんどんテンポアップをさせていただきますけれども、高齢受刑者あるいは若い方々、こういう方々について加入促進というのを念頭に置いていつも質問をさせていただいております。こうした中で、先日のことですけれども、こちらの方に一通の拘置所からのお便りをいただきました。障害年金の受給者からのお手紙でございます。
 今申しましたように、これまで老齢基礎年金の問題のみが念頭にあったわけですけれども、これをいただいたときに自分自身でも本当にはっとしたわけです。今まで気づかなかった問題として、障害年金受給者が拘置所なり刑務所などへ入るということはあるわけです。この場合、現況届の手続、あるいは有期認定の場合には診断書の作成、さらには無拠出制については全額が支給停止となることの是非についてなんですけれども、現状におきまして問題は全くないのか、それとも改善すべき問題があるのか、私といたしましては本当に純粋な気持ちできょうも質問させていただいているわけです。そうしましたときに、犯罪に悪いとかいいとかというのはないわけですけれども、今回、この一通のお便りをいただいたんです。
 この方の罪というのは大変卑劣な、僕は取り上げようかどうか本当に悩んだんですけれども、卑劣な犯行によりまして逮捕された方なんです。拘禁されていることがわかっているわけです。正直申し上げまして、今回このような質問をするというのは本当に悩んだんですけれども、罪を憎んで人を憎まず、こういう言葉もございます。犯罪を犯した者であっても、そこには奥さんがいたり子供がいたり、つまり家族がおるわけです。また、本人も社会復帰をしないといけない。こういう際に、当然といたしまして、自立をしてもらって、再度そういう矯正施設に入ることのないような社会復帰をしてもらわないといけないわけですけれども、そのための障害年金の役割というのは大変大きなものがあると僕自身も思います。単に手続面で環境整備と申しましょうか、それ以前に、いかなる罪を犯した者であったといたしましても、その権利の行使はやはり守らなければいけないというふうに私は思います。そういった基本的な部分を自分自身といたしましてもしっかりと認識を持たなければならないと、今も申し上げましたように大変複雑な気持ちで今回質問に挑んだわけです。
 そうした思いの中で大臣に御見解をぜひお伺いしたいのは、法律用語で言う監獄などの入所者に対する公的年金につきまして、罪を犯した者が社会復帰を果たす上におきまして社会保障問題はどのような役割を担っているのかというのをぜひ厚生大臣に御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 受刑者の方々も一般の方々、一般国民の皆さん方と同様にひとしく社会保障を受ける権利を有しておることは言うまでもありません。例えば、医療保険制度につきましては、出所後の住所地におきまして医療が保障されておりますし、また受刑者が生活困窮や障害を有する場合には、その困窮の程度に応じてそれぞれ必要な生活保護であるとか福祉施策が行われることになっておるわけでございます。市町村の現場におきましても、特に入院医療を必要とする者については、出所に先立ちまして刑務所から関係社会福祉事務所に連絡が入るようになっております。
 福祉部局と法務省関係部局との間で十分に連絡をとりながら、私どもはこういった方々の社会復帰を果たす上において十分なお手伝いをしなければならない、こう考えているような次第でございます。
○西川きよし君 今、拘禁をされたという部分の御説明をいただきましたんでしょうか。──はい、かしこまりました。
 では次に、五番目に移らせていただきたいと思います。
 大臣、お座りのままどうぞ御答弁ください。僕はちょっと立たないと自分がぴりっとしないものですから。
 そこで、改めてお伺いしたいんですけれども、無拠出制の障害基礎年金の受給者が監獄などに拘禁された場合の年金の取り扱いですけれども、支給の停止となる理由、また国民年金法第三十六条の二に「監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。」というふうに記してあるわけですけれども、具体的にどういった施設のどのような入所者が対象となるのか、そしてまたこういう方々の人数、現状を御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(小島比登志君) 国民年金法第三十六条の二第一項第二号に言う「監獄、労役場その他これらに準ずる施設」でございますが、これにつきましては、監獄法に規定されている監獄、労役場、監置場及び代用監獄として用いられた留置場を言うという扱いになっております。
 それから、お尋ねの支給停止の対象となっている人数でございますが、統計上は、今もおっしゃいました監獄あるいは少年院、あるいはまた日本国内に居住しない者も支給停止という扱いになっておりますが、それら一括でしか統計はとっておりませんで、平成十年度末現在におけるそれら事由によります支給停止件数は百三十一件、こういうふうになっております。
○西川きよし君 数字にいたしましてはさも少ないというふうな印象かもわかりませんけれども、我々は本当に庶民の代弁者といたしましては、声なき声、少ない声でもしっかりとここで頑張らなければいけない、こういうふうに思います。
 このような障害基礎年金の受給者がこういった施設に拘禁された場合に、直ちに年金の支給を停止するというのは少し矛盾があるんではないかなと私自身は感じるところがあるわけです。例えば、今回の私にお手紙をくれた方ですけれども、刑事被告人としてただいま拘置所に入所しているわけですけれども、事実、支給の停止が行われているわけです。一般にこのような刑事被告人については無罪の推定の原則が適用されると聞いておるわけですけれども、こういった点については法務省といたしましてはいかがでございましょうか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 無罪の推定というのは、疑わしきは被告人の利益にと、そういうふうにも言われる法原則でありますけれども、換言いたしますと、犯罪の嫌疑を受けて捜査の対象になっている者、それから公訴を提起、起訴されて裁判所の審理を受けている者については、有罪の判決が確定するまでは刑事手続におきましては罪を犯したものとして取り扱うことはしないというそういう原則でございます。
 この原則は、すべての被疑者または被告人について、勾留されているとかいないとかということにかかわり合いなく当てはまるものだということでございます。
○西川きよし君 ただいま御説明いただきました。
 刑事被告人には無罪推定の原則が適用されまして、有罪の判決を受けるまでは犯人扱いはされないという権利があるわけです。また、在宅起訴の場合は支給停止はないわけでございます。そういった点がさもバランスを欠くことではないかなというふうに私自身は思うわけです。もし、こうした無拠出制の障害基礎年金の受給者と生計を一にしていた家族がいる場合に、受給者が刑事被告人として拘置所に入所したことで直ちに障害年金が打ち切られることによる生活の影響というものも、これは先ほど奥様や子供さんのお話もさせていただいたんですけれども、大変な影響があると思うわけです。
 そこで、児童扶養手当につきまして一点お聞きしておきたいことがあるんですが、この手当の給付対象といたしまして父親が一年以上拘禁された場合についても、政令事項にございますけれども、これはどのような考え方からでございましょうか。
○政府参考人(真野章君) 先生御指摘のとおり、父親が法令によりまして引き続き一年以上拘禁されている場合には、母親に対しまして児童扶養手当が支給されるということになっております。児童扶養手当は、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するということを目的としておりますので、父親が拘禁されている場合や児童が遺棄された場合などにつきましては、父親が監護をしていない実態が一年以上の長期にわたる場合には、父母が離婚した児童や父が死亡した児童に準じて児童扶養手当を支給するということでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 セーフティーネットといいましょうか、あっちがあればこっちがあって、いろいろほっとしたり悩んだり大変心配にもなるわけですけれども、もしこうした状況にある家族にとってみれば、一年間という期間は大変長いと思いますし、また大変だと思います。少し角度を変えて考えてみますと、例えば監獄などに入所している場合に、こういう場合についても、要件さえ満たしていれば保険料の免除制度の対象としていただくとか、将来、少なくともそうしていただきますと三分の一については老齢基礎年金に反映されるということになるわけでございます。
 いずれにいたしましても、無罪と推定される刑事被告人に対して、拘置所に入所していることで一律に支給停止するということについては少し問題があるのではないかなと私自身は考えるわけです。先ほども申しましたように、国民年金法第三十六条の二の運用につきまして見直す必要があるのではないかな、こういうふうに考えますけれども、最後に厚生大臣にこのことについての御答弁をいただいて、本日の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員が先ほどから御指摘をなさっていらっしゃるわけでございますが、受刑者の家族の方々のことをもっと考えるべきではないかとか、あるいは無罪の推定がなされている未決囚までこのような取り扱いでよいのかということにつきましては、私は大変重要な指摘ではないか、こう考えております。
 これをいろいろ調べてみますると、今、条文をお挙げになって委員が御指摘になったわけでございますが、例えば無拠出制の障害基礎年金の受給者は保険料の負担を行っておりません。その費用は言うまでもなくほかの加入者の保険料であるとか国庫負担によって賄われているわけでございますし、監獄などの施設に拘禁されている間は収監者の生活に要する費用はすべて国で賄われている、こういうような経緯があることで支給停止になっておる、こういうことでございます。
 制定当初の福祉年金制度の創設からこのように取り扱われてきたわけでございますが、先ほどから先生のお話を聞いておりまして、私は現在の規定というのはややもすると、これも個人的見解でございますけれども、懲罰的な意味合いもなきにしもあらずだなと、こういうような感じを持っておるような次第でございます。
 未決囚までそういう扱いでいいのか、こういう問題で重要な指摘でございますので、今後十分検討していきたい、このように考えている次第でございます。
○西川きよし君 よろしくお願いします。
○委員長(狩野安君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時十五分開会
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、加納時男君が委員を辞任され、その補欠として森下博之君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(狩野安君) 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○田浦直君 私も先回の委員会で質疑をさせていただきましたけれども、その中で将来の現役世代の負担については年収の二割程度に抑制するとともに、給付水準については手取り年収のおおむね六割程度を将来にわたり確実に支給するということになっておるわけです。
 私は、この法案は非常によく練れた法案ではないかなというふうに理解をしております。これだけの改正で将来の年金のビジョンを明確に打ち出せる、今国民が抱いている漠然たる不安というものをそのことによって解消できるのじゃないかというふうな意味で私は高く評価をしたいというふうに思っております。
 この法案の中身は、国民からの強い要望を受けて、今年四月から実施される措置も織り込まれておるわけです。
 まず、今回の改正案では、学生期間中の国民年金保険料について納付を猶予する制度を創設するということになっております。あるいはまた、育児休業期間中の厚生年金保険料については、既に本人負担分はもう免除されておるわけですけれども、今回新たに事業主負担分についても免除するということとなっております。
 これは年金局長にお尋ねしたいと思いますが、この二つの制度の改正というものについての趣旨はどういうことなのか、お尋ねをいたします。
○政府参考人(矢野朝水君) まず、学生の納付特例でございますけれども、学生は平成三年度から国民年金が強制適用されております。これは、学生期間中にスポーツですとかアルバイトで障害になられる方が少なくないわけでございまして、生涯無年金になってしまう、こういったことを防ぎたいというのが目的だったわけでございますけれども、そのやり方については配慮を欠いたのではないかと反省をしておるわけでございます。
 つまり、学生にはほとんど収入がないわけでございますので親御さんが払っておるということでございまして、親がなぜ子供の年金のための保険料を払わなきゃいけないのか、こういう御指摘が多いわけでございます。あるいは、非常に教育でお金がかかるときにさらに保険料負担もかかるということで、親の非常に大きな負担になっているということでございました。
 こういった負担を解消することをねらいといたしまして、学生につきましては申請をしていただいて、本人の保険料の負担能力がない、ほとんどの方が負担能力がないわけでございますので、こういった方は十年間は納付を猶予する、卒業して働くようになってから納めていただくということでございます。そして、学生特例期間中の事故につきましては障害年金を満額支給する、こういうことで、当初のねらいはしっかり守っていこうということで、ことしの四月からこの制度を実施したい、こう考えておるわけでございます。
 それから、事業主の保険料につきまして育児休業期間中は保険料負担を免除する、これもことしの四月実施を予定しておるわけでございますけれども、これは少子化対策としていろんなことが言われておるわけでございますけれども、年金制度につきましても少子化対策を講ずる必要があるんじゃないか、こういう指摘がございます。
 ただ、これはいろいろ賛否両論あるわけでございまして、今回は育児休業期間中の事業主負担についてこれを免除する、こういう措置を講ずることにしたわけでございます。これによりまして育児休業がとりやすくなる、そして年金にも将来的には大変プラスになるんではないか、こう期待しておるわけでございます。
○田浦直君 これは国民の要望も強いことだと思いますから、我々も早くこの法案を成立させて、その期待にこたえなければならぬなというふうに思っておるんです。
 学生の場合は、これは免除にはできないんですか、猶予するという話ですけれども。育児休業の場合は免除になるわけですね。学生はどうですか。学生は学問をするのが本分でありまして、そのような意味でもこれも免除にしてあげたらいいんじゃないかなと私は思っておりますが、いかがですか。
○政府参考人(矢野朝水君) 学生もこれは自分で払っている方も実はいらっしゃるわけで、現在でも自分の収入によって支払ったという方が三・九%いらっしゃいます。そういうことで、学生あるいは大学院生、こういった方で、かなりの収入もある、自分で払いたい、こういう方も中にはいらっしゃいますので、そういった方についてはお支払いいただいたらどうだろうか、こう思っているわけでございます。
○田浦直君 だから、働いている方はそれでいいですけれども、働いていない方はどうかなと私なんかは思っておるわけです。これはいいです、そういうふうに法律がなっている、改正案に書いてありますから、ひとつ御検討をしていただきたいと思っております。
 それから、今回の年金制度改正法案は三つの法律案からできておるわけです。その中で、年金積立金の自主運用に関する部分、これはもう年金財政を支える重大なものです。年金制度の中心部分に位置づけられるということも言えるわけですけれども、この年金改革関連法案の中で一体として論議し、速やかにこれは成立をさせるべきだというふうに思うんです。
 この三法案の関係と一体処理の理由をひとつ明確に御説明をお願いしたいと思います。これは年金局長で結構です。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の改正案で、年金の自主運用のための新しい仕組みについて法案に盛り込んでおるわけでございますけれども、これは、もともとは行財政改革が進む中で、昨年、省庁再編法が成立したわけでございますけれども、その中で、財務省の編成方針といたしまして郵便貯金それから年金積立金、これについては資金運用部への預託を廃止する、こういったことが既にうたわれておるわけでございます。
 あるいは、閣議決定でございますけれども、平成九年六月の閣議決定を受けまして、平成十一年に行われる年金の財政再計算に合わせ年金資金の運用の新たなあり方について結論を得る、こういう閣議決定も行われたわけでございます。そこで、こういった閣議決定なり省庁再編成の法律を受けまして、今回自主運用の仕組みを提案させていただいたということでございます。
 そして、この自主運用でございますけれども、年金といいますと、通常、保険料を集める、それから年金を支給する、こういう徴収ですとか給付、これに専ら焦点が当てられておりますけれども、積立金の運用といいますのもこれは非常に大きな一つの年金の事務の要素でございます。積立金の運用がよくなればその分、保険料を安くしたり給付をよくしたりすることができるわけでございまして、これがうまくいかないと逆のことも起こり得るわけでございます。そこで、年金の積立金の運用につきまして、国民年金法それから厚生年金保険法上の運用の考え方、位置づけというものを法律上明確にしたわけでございます。
 これにあわせまして、自主運用を実施するための組織としまして年金資金運用基金法案を提案いたしております。それから、現在市場運用なりあるいは各種の還元融資事業を行っております年金福祉事業団の解散、それから事務の承継、これを円滑に進めるために年金福祉事業団の解散・承継法案をあわせて提出しているわけでございます。
 こういうことで、この三法案というのは積立金の運用という点につきましては一体として審議していただくのが適切だ、こういうことを考えまして三法案を提出したわけでございます。
○田浦直君 続いて、基礎年金の国庫負担分についてお尋ねをしたいと思います。
 これは午前中も論議がなされておりましたけれども、今回の改正法案では、国庫負担については平成十六年までの間に二分の一への引き上げを図るということになっておるわけです。現在でも国民年金については未納、未加入など制度の空洞化が指摘されており、また将来の保険料を考えると二分の一への引き上げを一刻も早くするということは必要だと思うんです。午前中、大臣もそういう御答弁をされておりました。
 しかし、そのためには長期的な制度の運営を可能にする必要があるわけで、いかにして財源を調達するか、これが一番大きな議題だというふうに思うんです。局長は、国庫負担を二分の一に引き上げるための財源としてはどういうものをお考えになっておられるのかということをお尋ねいたします。
○政府参考人(矢野朝水君) 二〇〇四年までの間に安定した財源を確保して二分の一への引き上げを図る、これが今回法案の附則にうたわれておるわけでございます。この国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる、これだけで毎年約二・二兆円、現在でも必要になってくるわけでございます。今後、受給者が増加してまいりますのでこの二・二兆円がさらにふえていく、こういうことでございますので、それにふさわしい安定した財源を確保する必要がある、こう思うわけでございます。
 また、これはもう大変巨額な財源ですし、国民生活に非常に大きな影響を与えるわけでございまして、これは一厚生省だけで議論するような、そんな問題ではないと認識しております。まさしく政治レベルあるいは国民的レベルで大いに議論していただかなければいけない大きな課題だと思っております。
 いろいろな考え方はあろうかと思いますけれども、国民年金の安定化、こういったためには今の三分の一の国庫負担ではなかなか難しいわけでございまして、一刻も早く二分の一に引き上げる必要性がある、こう思っております。そのための財源につきまして、一刻も早い国民的な議論、それと国民的な議論に基づきます結論をいただきたいというのが私どもの切なる願いでございます。
○田浦直君 厚生省の方でも三分の一から二分の一へ引き上げるということはおおよそコンセンサスはとれていると思うんです。だからこの法案に書き込んでおられると思うんです。
 しかし、今のお話では、財源はこれから探すんだというふうなことでは、本当に十六年になったときにそういう財源が見つかるのかというふうな気がいたします。法案の方が先取りしてしまっておるというふうな懸念を抱くわけですけれども、それについてはどうお考えでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 今回、法律に二分の一ということがうたわれたわけでございます。もちろん、安定した財源というのが前提でございます。前回は、この二分の一というのは附帯決議、それなりに非常に重いわけでございますけれども、今回法律に明記されておるわけでございまして、これはさらに一段と重いものだ、こう思います。
 したがいまして、財源ということについては、これは行政だけといいますか、政治あるいは国民的な議論をしていただいて、絶対これは見つけていただかなきゃ困るわけでございまして、そのために私どもとしてできる範囲内の努力はいたしますけれども、まさしくこれは国民的な議論が問われている大きな課題だ、こう思っておるわけでございます。
○田浦直君 これは大きく言えば政治の責任ということになりますから、我々もこの法案を出す以上は責任を持ってやらなければならないなというふうに思っておるところで、局長からの答弁はそれくらいなところでしかできないんじゃないかなということは理解できるわけです。
 私は、この年金の改正案というものが非常に難しいのは、この少子高齢化の社会の中で年金を負担する世代と給付を受ける世代、この両方の世代の調整をどうするかということが一番難しい問題じゃないかなと思うんです。
 改正案の給付適正化の幅が大きくなれば、それは老後の生活を賄う確実な給付という約束を破ることになるわけですね。しかしながら、制度をこのまま放置するのであれば、それは将来世代に過重な負担を及ぼすという意味で、これもやはり制度に対する信頼を裏切ることになると思うわけです。だから、この辺の調整が大変難しいんじゃないかなというふうに思うんですね。
 私は、この改正法案は、その中では非常に綿密に計算をされてクリアされている法案ではないかなという意味で、冒頭高く評価をしたいというふうに思っているということを申し上げたわけですけれども、やはり現役世代、高齢者世代ともに痛みを分かち合うという内容になっておるわけですね。したがいまして、私はこの改正法案をいかに国民にPRしていくかということが、この年金の改正法案を成功させる大きなもとになるんじゃないかなというふうに思うんです。
 そんな意味でひとつ、最後になりますけれども、この改正法案の内容について国民の皆様に理解していただくという、その改正内容の周知についてどのように行おうと考えておられるのか。恐らく、私どもですら詳しく中身を知らない、一般の人は漠然たる不安を持っている、その中でやっぱり何らかの方法で国民によく理解をしていただくような、そういうことをやらなければこれは成功しないんじゃないかなというふうに思いますので、この点を最後にお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 法案を成立させていただきますれば、今御指摘にございましたように、国民にわかりやすい形でできるだけ早くお知らせをしたいと考えておるわけでございます。
 そこで、法案が成立いたしました後どうするかということでございますけれども、新聞とかポスターによります一般的な広報、それから今回、学生の特例制度あるいは事業主の保険料、育児休業期間中の保険料免除、こういったものがございますので、学生用のパンフレットとか、あるいは事業主用のパンフレットをつくりまして対象者に的を絞った広報をやりたい、こう思っております。それ以外に、政府の広報あるいは関係誌等、いろいろな媒体を使った広報に努めていきたい、幅広い広報周知に全力を挙げたい、こう思っておる次第でございます。
○田浦直君 ぜひお願いをしたいと思うんです。午前中もそういうことについて四十歳、五十歳ぐらいの方々が一番不安を持っているという御指摘もあったようですので、国民に広く理解をしていただくように努力することをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○沢たまき君 公明党・改革クラブの沢たまきでございます。無年金障害者の問題について伺わせていただきます。
 無年金障害者の問題については、本会議や当委員会でも多くの先生が触れられております。年金審議会では「社会保険方式をとる現行の年金制度では、年金給付を行うことは困難である。」と結論づけて、「今後、障害者プランを踏まえ、適切な検討が必要である。」と述べていらっしゃいます。また、小渕総理は、福祉的措置をとることについて、無年金障害者に着目した施策を講じることは極めて困難と、かなり否定的な見解を示されております。これらの見解は、無年金障害者に対して、年金制度の側面からも福祉的側面からも障害年金給付の道は閉ざされたということなんでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 無年金障害者の問題でございますが、年金制度において何らかの給付を行うことは、保険料の負担に応じて給付を行う、負担と給付という年金制度の根幹にかかわる問題であるわけでございまして、今、委員御指摘のように、年金審議会の意見書において「現行の年金制度では、年金給付を行うことは困難である。」、このようにされております。
 また、障害者施策の中で福祉的措置をとることにつきまして、障害者の福祉施策は障害の内容や程度に応じて、公費によってホームヘルパーの派遣だとか各種福祉サービス、また特に重度の障害をお持ちの方の負担を軽減するために特別障害者手当を給付することを基本としております。無年金障害者であるということに着目した施策を講じることが可能なのかどうか、いろいろと問題があるなと、このように思っているところでございます。
○沢たまき君 例えば、無年金障害者に福祉的措置で手当を支給するとなると、一般会計から相当額の財政支出を毎年確保することが必要になって、一般財源を相当圧迫することは理解できないわけじゃありません。
 現在、無年金障害者の方は十万人いると伺っておりますが、例えば月々六万五千円支給されたとすると、年間七百八十億円の財源が必要ですね。福祉的措置で無年金障害者に着目した施策を講じることは困難とするという理由は、この財源の確保が困難というのが理由なんでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 委員の御指摘のように、こういう財源の確保の問題ということもございます。
 しかし、それだけではございませんで、今ちょっと申し上げましたように、障害者の福祉施策というのは、無年金障害者であるということに着目をしているのではなくて、障害の内容また程度に応じて、それぞれ必要に応じてホームヘルパーの派遣または各種福祉サービス、そしてまた重度の障害をお持ちの方にはその負担の軽減のための特別障害者手当を給付する、こういうふうなことを基本にしている、こういうこともございます。
 このようなこの問題については、解決に向けてなお難しい論点がいろいろあるなと思っておりますが、このままほっておくわけにもいかないという問題でもございますし、今後とも、関係方面の御意見も十分に伺いながら幅広い検討をしてまいりたい、このように思っております。
○沢たまき君 ありがとうございました。
 今日、基礎年金の財源について税方式にするか保険方式にするか、政党間でも議論が展開されております。私は、本来福祉というのは税方式で行うべきであると思っております。介護とか障害者対策は措置費で行って、税方式を導入することは妥当であると私は思っております。年金の場合はお互いに助け合う相互扶助の理念に基づく保険方式を適用されるべきだと思っております。税方式、保険方式のそれぞれの目的と本質はその適用範囲はおのずと違ってくると思いますが、厚生省はいかなる御所見をお持ちでしょうか、御見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 基礎年金につきまして、税方式なのか社会保険方式なのかといろいろ議論があるわけでございますけれども、私どもとしましては、今の社会保険方式の方が給付と負担の関係が明確で、日本の社会になじんでいるんじゃないか、こう考えております。
 ただ、基礎年金につきましては税方式に移行すべきだ、こういった有力な御意見もあるわけでございまして、税方式を含めまして、基礎年金のあり方というのは今後検討をしていかなきゃいけない課題だ、そう認識しておるわけでございます。
○沢たまき君 我が国の現行の年金保険制度というのは保険方式と税方式、それぞれの特質が混然一体となった制度になっているのではないかと思っております。このことが、同じ障害者でありながら、無年金障害者にとっては何か釈然としない思いがあるのではないでしょうか。
 そこでお伺いいたしますが、障害年金の受給状況はどうなっていますでしょうか。受給者の総数、受給額の算定、給付総額の状況について御報告をいただけませんでしょうか。
○政府参考人(小島比登志君) 平成十年度末現在の状況でございますが、国民年金の障害年金受給者数は百三十一万人、平均年金月額は七万六千四百八十四円、年金総額は一兆二千六十四億円となっております。
 また、同じく厚生年金の障害年金受給者数は三十一万人、平均年金月額は併給されます基礎年金額も含めまして十万四千三百六十円、それから年金総額は併給する基礎年金を除いて二千九百三十億円ということになっております。
○沢たまき君 障害年金受給者の保険料はどうなっているんでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 障害年金受給者の保険料は、現在、法定免除とされております。
○沢たまき君 では、無年金障害者の保険料の負担と年金の給付額はどうなっておりますでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) 無年金障害者の方の保険料は、法定免除とはされておりません。これは、負担能力がない場合には申請して免除を受ける、申請免除の制度の対象になっておるということでございます。
○沢たまき君 この御報告によりますと、同じ障害者でありながら格差が余りにも大き過ぎるのではないかなという感じがいたします。
 私は、ここでお断りしておきますが、決して障害年金を受給していらっしゃる方の年金を問題にしているわけじゃありません。くれぐれも誤解のないようにお願いしたいと思います。今日の年金制度が保険方式を採用していることによってこのような実態を生じせしめているということを指摘しているわけです。
 年金に加入していらっしゃる方は、三人の子供がいる一級障害者で百五十四万五千二百円が障害者となった時点から生涯給付されます。二級障害の人で年間百三十四万四千百円。この額でも障害者の方にとっては大変厳しいというのが現実です。保険料は障害者となった時点から法定免除され、納付しなくてもいいことになっています。
 一方、年金未加入者等いろんな要因によって無年金障害者になった方は、当然障害年金は一円もありません。保険料は障害者となっても、年収が百二十五万円以下は今おっしゃったように申請免除されますけれども、それ以上は保険料を納めなくてはいけません。そうしないと六十五歳からの老齢年金すらいただけません。
 この格差について、厚生省あるいは政務次官の御所見を賜りたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 障害年金を受給されている方は、今御指摘にありましたように一生涯障害年金を受給できるということでございますので、老後の所得保障については問題は少ない、こう考えられるわけでございます。したがって、法定免除にしているわけでございます。
 ところが、無年金障害者の方は、老後保障についてはやはり年金制度に加入して保険料を納めていただかなければ老齢年金が受給できないということでございまして、老後の所得保障のためにはやはり年金制度に加入していただくしかないということでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように申請免除は受けられますので、申請していただければ保険料は免除される、こういうことになっているわけでございます。
○沢たまき君 せめてその格差を解消するために、申請免除ではなくて障害年金受給者と同様に法定免除にしていただきたい、それから所得制限も撤廃していただきたいと思います。そうでなければ、同じ障害者であっても不公平過ぎるのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 無年金障害者の方々の御苦労を思いますと、何とかしてあげたいという委員の御指摘というのは大変理解ができますし、今後の検討課題であると。私も、個人的には無年金障害者の方々への何らかの対応ができないか、こういうことでは共通した共感を持っているわけでございますが、この問題については大変難しい論点が残されております。
 保険方式をとっているという現行制度上、無年金障害者については特例的な扱いができないという今現状の課題があるわけでございます。そういった意味では、障害年金受給者と無年金障害者は同列に扱うことができないという現行法上の課題はあるわけでございますが、無年金障害者について今後何らかのことができないかどうか、国民の皆さんに納得していただけるような何かできることがないかどうかについては今後さらなる検討をしてまいりたい、このように思っております。
○沢たまき君 ありがとうございます。
 保険方式というのをとっていればそうなってしまうんですけれども、だれ一人として好きで障害者になったわけではございません。また、元気なときはまさか自分が障害者になるとは夢にも思っていらっしゃらなかったでしょう。しかし、政府がいかに国民皆年金ですよ、強制加入ですよと叫んでも、現に未加入者がいたり滞納者がふえているということは、ここに社会保険方式の限界がある、限界を示しているというような思いがいたしますが、いかがでしょうか。
 そこで、政務次官に伺いますが、税方式の導入についていろんな議論がなされております。私は、健常者は現行の保険方式でいいのではないかと思いますが、国庫負担の引き上げとは全く別問題ですから引き上げることは構いません。一方、障害者に対しては税方式を採用して所得保障を行うことが今後の改革の方向ではないかなと思います。そのために、財源として国民の皆さんにそのための消費税みたいなものを導入するということは、皆さんの同意を得られることもあるんじゃないかなという気がしております。会計も全く別枠の会計にしたらいいんじゃないかなと思っております。
 基礎年金に税方式を導入する話が盛んに主張されていますけれども、無年金障害者に対する問題をなおざりにして基礎年金に税方式を導入するという議論は私は全く納得できません。まず、何よりも障害者の年金をどうするかを最優先にした上で、健常者の年金の検討がなされるべきだと思っていますが、政務次官の御所見を伺いたいと思っております。
○政務次官(大野由利子君) 諸外国の例を見ましても、公的年金制度におきましては、老齢とか障害とか死亡をいわゆる保険事故とみなして、これらの事態が発生した場合に年金を給付する、これが通例となっております。我が国も、制度創設時から社会保険の仕組みで年金給付を行っているわけでございます。老齢、障害、死亡を一体的にカバーする公的年金制度が必要と、このように考えているわけでございます。
 委員が御指摘になったのは、障害者に着目をして、障害者の方に対しては税で行ってはどうかというような御指摘だったかと思いますが、社会保険方式による公的年金制度から障害年金を外して、障害者に対する所得保障のみは税で行ってはどうか、これは一つの御意見かとは思いますが、これもまた大変難しい今後の大きな論点になるのかな、このように思っております。
○沢たまき君 保険方式と税方式は、保険方式の方は相互扶助、お互いに助け合う、後者は福祉です。無年金障害者の問題はその違いを明確にするものだと。今日、年金の滞納者がふえたり個人の損得勘定の意識が広がっているというのは、お互いに助け合うのだという精神が失われていることが大きな要因だろうと思います。年金制度における相互扶助の精神の崩壊は即年金制度の崩壊につながると私は確信しております。
 無年金障害者に対する福祉的側面での年金の成立を拡充することは、改めて年金制度が相互扶助の精神の上に立つものだということを国民に広くその意識を呼び覚ますきっかけになるんじゃないかと私は確信しておりますので、どうか今おっしゃってくださったように再検討をお願いして、このはざまで本当に不公平感で悩んでいらっしゃる方々のことにもぜひ思いをはせていただいて、改めて再検討をお願いしたいと申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○入澤肇君 もう既にかなり御質問を申し上げておりまして、それから各委員からも有益な質問が続出しておりますので、できるだけダブらないような範囲におきまして、年金をめぐる基礎的な事項について確認的な質問をきょうはしたいと思います。
 最初に、これは久野委員からも非常に貴重な御質問があったんですけれども、基礎年金の厚さの問題、基礎年金の水準あるいは性格は一体どのように考えたらいいのか。その物差しを当てるに当たって、生活保護との関係において若干の御説明を願いたいと思うんです。
 四十年加入して得られる基礎年金給付の満額、これに比べて生活扶助は住宅扶助を除いてもこの基礎年金の給付の満額を超えてしまうというふうな試算がございます。このような日本の基礎年金と生活保護の実態に比べまして各国の状況を見てみますと、公的年金に加えて生活保護に相当する生活扶助を給付すればいいじゃないかという立場がイギリスではとられている。それから、年金で最低生活を保障すべきじゃないかというのがスウェーデンの立場と、こういうふうに言われております。我が国では、生活保護世帯の生計費と生活保護に支出される経費、まずこれはどうなっているのでしょうか。
 それからもう一つ、四十年加入した平均的な基礎年金あるいはモデル的な基礎年金と実際に現在支給されている生活保護水準、この比較をちょっと教えていただきたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 生活保護は、御案内のとおり、お住まいの地域によって基準が異なっているわけでございます。例えば、先生がお住まいの川崎市では十二万三千円ということで、これは六十代の夫婦お二人の生活扶助基準でございます。これに対しまして老齢基礎年金は十三万四千円ということでございまして、決して生活保護と比べまして基礎年金が低いということではございません。ただ、都会地では、特にひとり暮らしの場合には生活保護基準の方が高い、こういう実態がございます。これは、生活保護と年金というのは制度の趣旨、目的が異なりますので、必ずしもそれを比較してよしあしを判断するべき問題ではないんじゃないかと、こう思っております。
 それから、基礎年金のモデルと平均でございますけれども、モデルは四十年加入ということで約六万七千円でございます。ただ、実際には早期受給をされたり加入期間が短い、そういう理由で現に受給される方は今五万円弱でございます。ただ、最近新たに受給される方につきましては五万円を若干上回る水準になっております。
○入澤肇君 これからいろんな検討をするに当たって、保険方式か税方式かということで、そのときに基礎年金の給付水準をどのレベルに置くかということは、私は決して生活保護水準と無関係に決められるものでないと思っております。両者は違うかもしれないけれども、大幅に生活保護の方が上回るということであれば、これは基礎年金制度として一つの大きな問題になるのじゃないかと思いますので、これはさらに両者の関係、沿革的な理由あるいは本質的な両制度の関係から検討を私はすべきじゃないかと思います。
 その次に、積立方式と賦課方式について幾つか確認を申し上げたいと思います。
 二〇二五年には国民年金と厚生年金で四百兆円もの巨額の基金の積み立てがあるというふうな試算がございます。我が国の年金制度そのものは修正賦課方式だとか何か言っていますけれども、今後もこの積立金を維持しようとすると、急速な高齢化それから財政悪化、いろんな理由から現役世代の負担増加が非常に懸念されるということが言われております。したがって、その意味では、今五・五年分の積立金を保有していますけれども、こんなに持つ必要はないんじゃないか、保険料の引き上げを抑制するためにはもっとこの積立金を取り崩していいんじゃないかというふうなことが言われていますけれども、この積立金についての基本的な考え方をここで確認しておきたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 現在の公的年金は積立方式と賦課方式の組み合わせによっているわけでございます。ただ、積立方式の要素が非常に強まっておる、こういうのが現状でございます。それで、これを放置しておきますと将来世代の負担が非常に増加いたしまして負担にたえられない、こういうことになりかねないわけでございます。そういうことから、今回、法案でお願いしているような将来に向けての給付のスリム化、それからもう一つは積立金の活用ということを考えておるわけでございます。
 確かに、名目額では今回の財政再計算によりまして将来四百兆円近い積立金が積み上がるという計算にはなっておりますけれども、これは積み立て度合いでいいますと現在がほぼピークでございまして、これからは積み立て度合いはどんどん低下していく、こういう状況でございます。したがいまして、積立金を持たないというのも一つの選択ではございますけれども、持たないということはそれだけ将来の保険料が高くなるということでございます。今回の財政再計算でも、積立金を全く有しない場合に比べますと将来の保険料が約六%引き下がる、こういう計算をしておるわけでございまして、そういう意味で積立金を活用して将来世代の負担を軽くするというのも一つの非常に大事なポイントではないかと思っております。
○入澤肇君 三つ目は、保険料徴収と行政コストの関係でございます。
 現在の定額保険料の国民年金、いろんな数字がございますけれども、未納者、未加入者が全国で四割近くいる、沖縄では六割を超えているところもあるやに、そういう数字がございます。これはもともと人頭税的な意味合いを持つんじゃないかと私は思います。
 この未納・未加入問題と裏腹の関係で、要するに保険方式というのは徴収コストがかかり過ぎるということが各方面で指摘されております。実際問題どのくらい徴収コストがかかっているのか、社会保険庁の職員の数、それから徴収に要する経費、人件費、それから各市町村の国民年金に携わっている方々の人数と使われている予算額、これについてお聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 平成十二年度の予算でございますけれども、社会保険庁全体で約三千百億でございます。事務費全体でございます。そのうち、国民年金関係事務が一千七百億円ということになっております。それから、社会保険庁では全体で職員が一万七千名おるわけでございますけれども、国民年金関係が約五千人でございます。
 それから、市町村の国民年金事務でございますけれども、事務費が先ほど国民年金一千七百億と申し上げましたけれども、このうち一千億円は市町村に対する事務費の補助ということでございます。それから、市町村の国民年金の職員は約一万二千人ということでございます。現在、今申し上げましたとおり予算ベースで見まして約一千七百億、これは市町村の事務費を含めまして国民年金の事務費がかかっておるわけでございます。保険料に比べまして約七・六%ということでございます。ただ、これは徴収だけでございませんで、各種の届け出の受理ですとか各種の相談、そういったいろいろな国民年金関係の事務トータルでこれだけかかっているということでございまして、徴収だけということになりますと、おおむねこの三分の一程度ではないかと考えております。
 そういうことで、事務費は低いにこしたことはないし、その努力は行っておるわけでございますけれども、国民年金は国民一人一人を対象にする仕事でございまして、ある程度事務費がかかるという事情はぜひ御理解いただきたいと思います。
○入澤肇君 徴税コストを見てみますと、国税の職員は大体五万八千人から六万人、それから地方税の職員が十三、四万人ですか。そして、国税の場合に百円徴収するのに一円五十数銭、地方税の場合に百円徴収するのに三円五十数銭という数字がございました。社会保険料は、今一万七千人で、そのうち五千人が徴収に携わっていて、そして千七百億ですか、七百億ですか、かかっているんですか、徴収コストに。こういうふうなことを考えてみますと、私は、将来、国税と地方税の一括徴収方式というのは、行政改革をやっていくに当たって必ずクリアしなきゃならない問題じゃないかというふうに考えておりますけれども、社会保険料についても同じような問題が発生するんじゃないかというふうに思います。
 六百四十五兆の国と地方の借金の残高を持ち出すまでもなく、行財政コストをいろんな意味で引き下げようとすれば、徴税コスト、保険料徴収コスト、それをトータルとして節減していく工夫がなされなきゃならない。税方式に移行する前に行財政の改革というのもなされなきゃならないということで、これは大きな問題として具体化していくんじゃないかと思いますので、ぜひいろんな角度から、あらかじめ転ばぬ先のつえで御検討していただきたいと思います。
 それから四番目は、午前中、直嶋委員からも御質問がございましたけれども、在職老齢年金と労働力需給の関係でございます。
 在職老齢年金というのは、一方で雇用に対する補助金の機能を持つと言われております。六十歳代前半層の場合、賃金が下がりますと労働力需要は大きくふえる、逆に賃金が上がれば労働力需要は大きく減少するというふうなことが学者の間で言われているんですけれども、厚生省としてはこのような事実を検証しておりますか。
○政府参考人(矢野朝水君) もともと、この在職老齢年金といいますのは、在職しておれば年金は出さないのが原則だったわけでございます。ただ、賃金が低くて賃金だけでは食えないということで、昭和四十年の改正で一部それじゃ年金を支給しましょうということで始まったのが在職老齢年金でございます。ただ、これがその後立場が変わりまして、年金収入があるんだから賃金は低くて構わないじゃないかということで賃金に対する補助金、こういった役割を現実的には果たしておるというのが実態ではないかと思います。
 この問題につきましては賛否両論がございまして、それによって高齢者雇用の確保につながっているということでプラス評価をする人もいますし、それはやはりおかしいじゃないか、こういう制度はやめるべきだ、こういう両方の御意見があるわけでございます。
○入澤肇君 在職老齢年金の性格論については、今答弁があったようなことが一つ言えるかもしれませんけれども、要するに賃金の上げ下げと労働力需給の関係、特に六十歳代前半の高齢者について検証しているかどうかということについて、もう一度お答え願いたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 在職老齢年金制度があるために、高齢者の雇用に役立っている面はかなりあると認識しております。
○入澤肇君 もっと踏み込んだ実証的な研究、調査結果を持っているかどうかということを私は聞きたかったんです。
 雇用と年金の接続については悩ましい問題で、各委員からもかなり質問が出ております。私は、これは厚生省だけで、年金制度だけで対応できるものじゃない、労働省に対してワークシェアリングの問題も含めて、あるいは定年延長の問題も含めて、厚生省の方から今回こういうふうな年金制度改革をやるんだから労働省の労働行政においてもこのようなことを検討してもらえないかということを申し入れた経緯はございますか。
○政府参考人(矢野朝水君) この支給開始年齢の問題と雇用の確保というのは非常に密接な関係がございます。したがいまして、前回改正もそうですし今回改正もそうですけれども、労働省の方とはよく連携をとって相談をしながらこの問題は進めております。
○入澤肇君 余りしつこく言うとあれですけれども、そういうことであれば、この間の雇用対策なんかでも高齢者の問題について特別な対策費を、補正予算であれだけ介護保険で要求しているわけですから、四月から施行するというこの年金改革についても補正予算で労働省に要求してもらったらどうかというぐらい実は私は思っているんですが、そこは意見だけ述べておきます。
 最後に、五番目の質問で、賃金スライド凍結の問題も先ほど清水委員の方からも非常に詳しい御質問がございました。この賃金スライドを導入したときのそもそもの考え方はどういう考え方なんでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) これは、将来世代の負担を過重なものにしない、そのためには給付を将来に向けてスリム化していく必要があると。その場合にいろいろな手法があるわけでございまして、外国の例などを参考にしますと、年金をもらい始めてからは物価スライドはしっかり守るけれども、賃金スライドをあわせてやっている国というのは実はないわけでございます。しかも、将来の世代の負担を軽くするのには、この手法は非常に効果的といいますか、そういったことが現にあるわけでございまして、そういったもろもろの状況を勘案いたしまして我が国におきましても賃金スライドは当分我慢していただいたらどうだろうか、こういう提案をさせていただいたわけでございます。
○入澤肇君 賃金スライド制度を導入したときには、現役世代との生活のバランスをとるとかいろんな年金制度の本質にかかわる理由から導入がなされたわけです。今回はそれをやめるわけですから、凍結するわけですから、やはり原則的な理念を放棄するためにはもう少し丁寧な説明があっていいんじゃないかと。いいかげんな、何といいますか枝葉的な理由で、枝葉的な理念をもってこの年金制度の中に入れ込んだものでないとすれば、これは相当な説明をもっとしなくてはならないと私は思うんです。この点についてひとつ考え方をお聞きして、質問を終わります。
○政府参考人(矢野朝水君) これは、年金受給開始後にどういったスライドをするかというのはいろいろな考え方があるわけでございます。私どもとしましては、物価スライドをしっかりこれは守っていくと。これが公的年金の命でございますので、これは引き続きしっかり守っていくわけでございますけれども、賃金スライドにつきましては、現役の生活水準の向上ということを反映させるというのがこれまでのやり方だったわけでございますけれども、現役の負担が高まる中でこういった受給者についても賃金スライドを実施するということが非常に厳しくなったということでございます。それから、諸外国の実情、こういったものも考慮いたしまして、将来世代の過重な負担を防ぐという観点から賃金スライドは当分我慢していただくと。
 ただ、これはしばしば申し上げていますように、賃金スライドをやめますと現役との生活水準というのが徐々に開くわけでございます。したがいまして、格差が二〇%になりましたら賃金スライドを再開いたしまして、それ以上の現役世代との生活水準の悪化は防止をするということをはっきりさせたいということでございます。
○入澤肇君 終わります。
○委員長(狩野安君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後二時十一分散会