第147回国会 国民福祉委員会 第19号
平成十二年五月十一日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月十日
    辞任         補欠選任   
     小宮山洋子君     松崎 俊久君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                松崎 俊久君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
   政務次官
       大蔵政務次官   大野 功統君
       厚生政務次官   大野由利子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       大蔵大臣官房審
       議官       福田  進君
       大蔵省主計局次
       長        藤井 秀人君
       文部大臣官房総
       務審議官     本間 政雄君
       文部省初等中等
       教育局長     御手洗 康君
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
       労働省女性局長  藤井 龍子君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)

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○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十日、小宮山洋子君が委員を辞任され、その補欠として松崎俊久君が選任されました。
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○委員長(狩野安君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 児童手当法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 児童手当法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に大蔵大臣官房審議官福田進君、大蔵省主計局次長藤井秀人君、文部大臣官房総務審議官本間政雄君、文部省初等中等教育局長御手洗康君、厚生省児童家庭局長真野章君及び労働省女性局長藤井龍子君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(狩野安君) 次に、児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○久野恒一君 自由民主党の久野恒一でございます。
 一昨日、本委員会で諸先生方からいろんな質疑があったわけでございます。それぞれもっともな質疑であったわけでございますけれども、非常に私にとって勉強になったわけでございます。
 私は一期生で議運で活動しております。そういう意味では、議運の委員長に、一期生はどんどんとピントが外れていても発言して少しはなれろ、そういうことでございますので、あえて質問をさせていただくわけでございます。既に話は出ておりますから重複する部分もあろうかと思いますけれども、私なりに考えて発言させていただきたいと思います。
 この児童手当法というものは社会福祉全体を総合的に考えていかなければ解決できない問題も入っているのではなかろうかなと、そういうふうに思うわけでございます。したがいまして、切り口を変えまして、私なりの質問をさせていただきます。
 まず、少子化の要因についてお尋ね申し上げます。
 特殊出生率が一・三八と過去最低になったわけでございます。少子化が進展してまいりますれば、社会経済全体が大きく影響をこうむるのではないか、そういうふうに思うわけでございまして、我が国の経済がこの少子化によって大変変動してくる、かように思うわけでございます。それを、二十一世紀の我々の子孫にどのような夢を持った明るい希望の持てる社会を引き継いでいくかというのが我々の使命ではなかろうか、そういうふうに思うわけでございます。
 そこで、近年の少子化の原因は晩婚化とか未婚化とかいろいろあるわけでございますけれども、その状況について、またその原因、どういう点が問題なのか、まず厚生省の方にお伺いいたしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 今、委員が御指摘のように、近年、日本は晩婚化、未婚化が大変進んでおりまして、例えば二十歳代後半の女性の未婚率は昭和六十年から平成七年の十年間に三割から五割に上昇しております。また、これに伴いまして、平均初婚年齢は昭和四十七年の夫二十六・七歳、妻二十四・二歳から一貫して上昇を続け、平成十年には夫二十八・六歳、妻二十六・七歳となっているところでございます。
 一方、未婚の男女いずれもその九割がいずれは結婚するつもりと、このように答えておりまして、必ずしも一生結婚しないという選択をする人たちがふえているわけではない、このように思っております。
 こうしたことから、近年の晩婚化が進む背景には、個人の結婚観や価値観の変化とあわせまして、男女の固定的な性別役割分担や職場優先の企業風土、また核家族化、また都市化の進行などによりまして特に都会では母親が子育てで孤立している、このように言われております。また、家庭での子育てにかかるさまざまな負担感、子育てと仕事の両立が難しい、こういった負担感が増大をしております。
 今後、子供を持つことによりますさまざまな負担感を除去し、減らすことが重要である。そして、結婚して家庭を持ち、子供を持つことに夢と希望が持てるような社会にしていくことが少子化対策として大変重要ではなかろうか、このように思っております。
○久野恒一君 そういう負担感のためにだんだんと晩婚化している、あるいは結婚なさらない人も一割方いる、そういうお答えでございましたけれども、その点につきましては後でもってまた触れさせていただきたいと思います。
 まず、少子化を何としても食いとめなければならないというふうに私自身は思っているわけでございまして、この少子化をどういうふうにしてとめていくのか。一部には、少子化が進めばかえって受験戦争がなくなって、人口密度が下がって、よい面も出てくるのではないかという議論もございますけれども、これに高齢化が重なっているから問題なのでありまして、この少子化が社会経済全体に及ぼす影響、私は悪い方向に向かっていくのではないかな、そういうふうに思います。
 厚生省といたしましては、少子化の進行が社会経済にどのような影響を与えると考えておられるのか、この点についてお尋ね申し上げます。
○政務次官(大野由利子君) 少子化にはさまざまな面があるかと思いますが、特に我が国では今少子化が大変急速なスピードで進行をしている、このことの与える影響は大変大きいものがあろうかと思っております。
 我が国の経済面においては、労働力人口の減少、また高齢者比率の上昇とか市場規模の減少、こうしたことを通じまして我が国の経済にマイナスの影響を与えることが大変懸念されております。また、社会面におきましても、子供数の減少によりまして、子供の健全成長への影響、家族形態の変容、また過疎化の進行など広範な影響を与えることが懸念されております。
○久野恒一君 ありがとうございました。
 過疎化の点につきましてはまた後で触れさせていただきます。
 少子化は、ただいま政務次官がおっしゃられたように、さまざまな要素が絡んでいると私ども認識しております。その要因の一つに高学歴社会の進展があるのではなかろうかなと私は思っております。したがいまして、この二、三十年の間に大学とか専門学校への進学率は一体どのように進んできているのか、これを文部省の方にお尋ね申し上げたいと思います。
○政府参考人(本間政雄君) 進学率でございますが、文部省では毎年、学校基本調査というものを行っておりますが、まず大学、短期大学への進学率でございますが、今から三十年前の昭和四十四年度、この時点では二一・四%でございました。その後、経済水準が上昇をしたとかさまざまな要因がございますけれども、平成十一年度で見てみますと、これが四九・一%ということになっております。
 また、専修学校の専門課程、いわゆる専門学校でございますが、この進学率につきまして見てみますと、この制度が創設されましたのが昭和五十一年度でございますが、この時点で三・五%であったものが平成十一年度には二〇%に上昇しているという状況でございまして、大学、短大、専門学校を合計いたしますと進学率は六九・一%ということに相なっております。
○久野恒一君 大体、昭和四十四年と平成十一年度では倍以上も進学率が高くなっていると。いわゆる高学歴の進展ということ自体は悪いことではないと思います。
 しかし、最近、パラサイトシングルと申しますか、学生の間やさらに就職してからも学費とか生活費、遊びのお金さえも親に仕送りをしてもらっている、そういう人も出てきているわけでございまして、いわゆる親に寄生している若者がだんだん多くなってきている。このような若者はなかなか結婚しないのではないか、少子化の一因になっているのではないか、そういうふうに思うわけでございます。
 私は、若者の自立を促していく施策も必要ではないかというふうに考えるものでございまして、例えば奨学金制度をもらいやすくするとかあるいは拡充するとか、そういう施策について文部省としてはどういうふうに展開していくつもりなのか、お教え願いたいと思います。
○政府参考人(本間政雄君) 奨学金制度の現状と今後の拡充方策についてのお尋ねでございますが、現在、日本育英会というところを中心に奨学金制度を組み立てております。
 この制度の趣旨につきましては、学生が自立をして学べるようにするために、奨学金を希望する学生が貸与を受けられるようその拡充を図っているということでございます。
 平成十二年度について見てみますと、現在、無利子と有利子の貸与奨学金というものの二本立てになっておりますが、人数で見ますと対前年度比約四万六千人増の約六十九万一千人に対して事業費総額約四千百五十億円、十一年度に比べますと約三百七十億円の増でございますが、こういう規模の事業を平成十二年度において行っているところでございます。
 今年度予算について特色を見てみますと、一つは大学進学希望者が安心して勉学に取り組めるようにするために進学前に奨学金の予約を行う予約採用人員というものを行っておりまして、これを二千七百名増員しております。また、これと同時に、最近の経済状況、大変難しい状況にあるわけでございますが、家計支持者の失職等によりまして家計が急変をする、そういう中で緊急に奨学金を必要とする学生生徒に対応するために緊急採用奨学金制度、一万人規模でございますが、これを実施することにしております。また、昨年度から有利子奨学金につきましては貸与にかかわります学力基準を実質的になくしまして、学習意欲のある者については貸与を認めていくということにいたしまして、家計基準につきましても大幅な緩和を図ったところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも学生が経済的に自立をして勉学に打ち込める環境づくり、こういうものを目指しまして奨学金の充実を図っていきたいというふうに考えております。
○久野恒一君 ありがとうございます。
 着実に幾らかずつ進んでいるというお答えだったと思います。
 よく、教育にはお金がかかる、したがってなかなか子供をつくらないという御家庭もあるようでございます。最近では、義務教育の段階でも学校だけではなく塾や予備校に通うのが一般化しております。一方では学級崩壊なども指摘されているわけでございますが、教育のあり方は国の基本にかかわる重要な問題であります。少子化対策という観点からも、教育改革を進めていく、そういうことが極めて重要であると私は思います。
 また、今回の児童手当改正法案では義務教育の就学前まで支給を拡大するということですが、義務教育には既に巨額な公費が投入されている、そういう点からすれば一応は整合性がとれているのかなとも思うわけでございますけれども、教育改革の実現に向けた今後の取り組み、また義務教育に投入している国庫負担金、そういうものをお教え願いたいと思います。
○政府参考人(本間政雄君) 義務教育に対しましてどのくらいの公費が投ぜられているかというお尋ねでございますが、義務教育につきましては、国民として必要な基礎的な資質を培うという趣旨によりまして教育の機会均等と全国的な教育水準の維持向上を図るということは国の重要な責務でございます。そういう観点から、国は義務教育費国庫負担制度というものによりまして公立の義務教育諸学校の教職員の人件費につきましてその二分の一を負担しているところでございます。平成十二年度で見ますと、三兆二百三十三億円という金額になっております。
 委員御指摘のとおり、教育にお金がかかるということが少子化の要因の一つとして指摘をされているところでございまして、文部省といたしましても、次代を担う子供たちが豊かな創造性を持ってたくましく心豊かに成長できるように教育改革を不断に推進していくことは少子化対策の観点からも重要ではないかと考えております。
 委員の方から学級崩壊というような御指摘がございましたが、現在、学校や教育を取り巻く環境というものは、いじめがあったり校内暴力が頻発するというようなことで、親の方々が子供を産んで育てるということに不安を持ってしまう、そういう一つの原因になっております。したがいまして、先般、中央教育審議会におきまして少子化と教育について報告をいただきましたが、先ほど申し上げましたような教育改革を進めていくということが長い目で見ますと少子化の解消に向けての環境整備を図っていくというふうに考えておりまして、今後とも少子化対策への取り組みを積極的に推進すると同時に、子供たち一人一人の能力、適性、興味、関心等を伸ばすことができるように教育改革に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○久野恒一君 ありがとうございます。
 ぜひそのように進めていっていただきたいと思います。
 高学歴化が進むのとあわせて女性の職場への進出が進んでおります。最近では女性管理職も珍しくなくなっております。
 そこで、女性の職場進出の現状について藤井局長によろしくお願いいたします、どのようになっているのか。
○政府参考人(藤井龍子君) 女性の職場進出の現状についてでございますが、昭和六十一年に男女雇用機会均等法、職場における男女差別を禁止するという内容の法律ができましてから女性の雇用者数というのが着実に年々増加してきておりまして、平成十一年には二千百十六万人、全雇用労働者の三九・七%を占めるに至っておりまして、我が国産業経済の重要な担い手となっていると申し上げてよろしいかと思います。また同時に、職域の拡大、勤続年数の伸長など質的な変化も見られるというところでございます。
 これに伴いまして、御指摘のとおり女性管理職のすそ野というのも着実に広がってきておりまして、平成十年度の調査によりますと、部長相当職などかなり上の方のレベルになりますとまだまだ伸び悩みが見られるのでございますが、課長相当職あるいは係長相当職というところになりますと女性の割合は着実に増加しているという状況でございます。昨年の四月から改正男女雇用機会均等法が施行されまして、配置、昇進についての差別がこれまでの努力義務規定から禁止規定に変わりましたものですから、今後さらに女性の職域の拡大、また管理職への登用というのは進むのではないかと見通しているところでございます。
○久野恒一君 ありがとうございます。
 大変御丁寧に答弁いただいて、私の持ち時間というのがだんだん少なくなってきておりますので、なるべく簡単によろしくお願いいたします。
 今御説明がありましたように、女性の職場への進出に対して、先ほど大野政務次官がおっしゃられたように、子育てに対する家庭生活あるいは職業生活、両立することが大変難しいということでもって少子化が進んでいるんだろうと私も思います。
 そこで、労働時間の短縮だとか育児休業をとりやすくするなど、少子化への対応といいますか、そういうものが雇用の各施策、雇用関係施策の充実、雇用環境の整備にどのように取り組んでおられるのか。この点につきましては女性局長にもう一度質問したいと存じます。
○政府参考人(藤井龍子君) それでは、簡潔にお答えさせていただきます。
 先生御指摘のとおり、女性が働くのが当たり前という時代になりましたので、仕事と家庭の両立というのは大変重要な課題でございます。そのため、昨年末に策定いたしました少子化対策推進基本方針の中でも雇用環境の整備というのは重要な柱の一つに挙げさせていただいております。
 具体的には、育児休業給付の給付水準を二五%から四〇%に引き上げるということ。それから、代替要員を雇って原職に戻す方々に対する助成金制度を創設した。それから、千八百時間の達成、定着に向けて労働時間短縮には積極的に取り組んでいるというところでございます。
 さらには、その少子化方針に基づきまして、現在、育児休業制度等の実態を大規模調査してございまして、その調査結果を踏まえまして、法的整備も含めまして幅広い観点から議論を進め、必要な措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
○久野恒一君 そこで、民間企業ということを申し上げると、これは通告していないので余分なことになっちゃいますけれども、民間企業というのは、育児休業をとられると一年間なりそのくらい休まれるわけでございますので、代用のパートにしろ何にしろ採用しなくちゃならない。そういう意味では、民間企業はなかなかそういう育児休業をとらせる環境にありにくいのではないかと思いますので、その点をよろしく御配慮願いたいと、そういうふうに要望だけしておきます。
 次に、エンゼルプランについて。このエンゼルプランの中には、我が国の母子保健、これは世界一乳児死亡率が低い、そういうことは国際的にも評価されているわけでございますけれども、妊産婦死亡率はまだまだ改善の余地があるのではなかろうかなと、そういうふうに思うわけでございます。
 周産期センター、この整備状況はどのようになっているのか、エンゼルプランの中でどのように位置づけされているのか、政務次官にお尋ね申し上げたいと思います。
○政府参考人(真野章君) 母子保健施策は、安心して子供を産み、健やかに育てるという基礎でございますので、私どもも大変重要であると考えております。
 先生御指摘のとおり、母子保健の状況でございますが、我が国の乳児死亡率は世界でも最も低い水準にあるということで、かなり誇っていい水準にあるのではないかと思っておりますが、一方、御指摘もいただきました妊産婦の死亡率は先進諸国の中ではやや高い水準にとどまっている。また、近年では不妊治療の普及などによりまして低出生体重児の出生割合が増加している。また、小児救急の医療に従事している方々が不足をしているというような課題があるというふうに考えております。
 昨年末に策定いたしました新エンゼルプランにおきましては、一般の産科医院などから高度な医療機関に母体や出生児を搬送し適切な医療を提供する体制であります周産期医療ネットワーク、これを、現在十県でございますが、四十七都道府県全県に整備をしたい。また、小児専門の救急医療体制を二次医療圏すべてに整備をする。また、不妊に悩む方に対する専門的な相談体制を四十七カ所、各県に一つずつ整備をしていくということを予定しておりますし、それから母子保健分野のナショナルセンターでございます、仮称でございますが、国立成育医療センター、これの開設ということをこの新エンゼルプランには盛り込んでおりまして、この着実な実施に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○久野恒一君 まだ十県と聞いております。本当にまだまだ、四十七都道府県ございますので、どんどん進めていただきたい。また、私の言いたいことは、農山村地域とか離島、そういうところでの問題でございまして、そういうところにこそスポットライトを当ててやらないと、だんだん若い人は都心に集まってしまって、残る農山村地帯は、介護保険も含めてですけれども、だんだん置いてきぼりにされてしまう。そういうふうになりますと大変困った状態になるのではなかろうかなというふうに考えますので、ネットワークをつくった中でもってそういうところも考慮に入れてほしいというのが要望でございます。
 次に、もう時間がないので急いでやらせていただきますけれども、ことしの一月に健康日本21が策定されました。二〇一〇年までの施策ということでございますけれども、母子保健の分野にも目を向けるばかりではなくて、学校保健との関連もあわせて視野に入れて幅広い施策を展開していってほしいなというふうに思うわけでございまして、これについては、もう時間もございませんので、一応要望だけにとどめておきたいと思います。
 次に、少子化全般についていろいろお聞きしてまいりましたけれども、今回の児童手当改正は、このような幅広い取り組みの中で位置づけられていくべきであると私は思うわけでございます。
 今回の改正案に対して、改正の意義、特に少子化対策、どう対応していくのか、少子化対策の意義についてお尋ね申し上げます。
○政務次官(大野由利子君) 今回の改正によりまして新たに支給対象となる子供が約三百万人増加をいたしまして、合計で五百七十万人になります。
 このような支給対象の児童が一挙に倍増することになるわけでございますが、一部、年少扶養控除が減額される人たちもいらっしゃいますが、経過措置として御理解をいただくことにいたしまして、子育てを単に親任せではなくて、子供は次代を担う宝である、社会で支え合っていこうというこういう社会を目指して、子供を産み育てることに夢を持てる社会を築くという観点から大きな意義があるものと考えております。
 少子化対策につきましては、雇用環境の整備とか保育サービスの充実、また教育・住宅環境の整備など、政府全体の幅広い分野にわたる施策の充実を総合的に実施していくことが必要であり、そのような観点から、子育て家庭の経済的な負担を軽減することにより、子供を産み育てやすい環境を整備することも総合的な少子化対策の一つとして位置づけることができると考えております。
○久野恒一君 ありがとうございました。ぜひそう願いたいと思います。
 最後に、厚生大臣にお尋ねいたします。
 児童手当制度を含む少子化対策については一層の充実を図る必要があろうかと思うわけでございます。今後の少子化対策の推進に大臣としてどのように取り組んでいくのか、その決意と御見解をお述べいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 少子化の原因といたしましては、先ほど来御議論をいただいておりますように、育児そのものの負担感であるとか、あるいは育児と仕事の両立の問題であるとか、さらに個人の価値観の問題であるとか、さまざまな要因があると、こう考えておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても社会全体でこの問題について幅広く取り組んでいく課題である、このように考えているところでございます。
 そこで、政府といたしましては、少子化対策推進関係閣僚会議におきまして策定いたしました少子化対策推進基本方針であるとか、あるいは関係六省庁によりまして策定いたしました新エンゼルプランなどに沿いまして、保育、雇用、教育、住宅などの分野における環境整備を着実に進めていきたい、このように考えているような次第でございます。
 また、あわせまして、これは先ほどから申し上げておりますけれども、民間団体の皆様方のいわゆる御協力も必要なところでございますので、関係団体の代表者などから成ります少子化への対応を推進する国民会議を通じましてこの推進に努めていきたい、このように考えているような次第でございます。
○久野恒一君 どうもありがとうございました。
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 児童手当の改正問題について質疑をさせていただきたいと思います。
 私どもは、御承知のとおり、昨年の通常国会に税制改正に伴って扶養控除の廃止を全面的に行うと同時に、児童手当を十八歳あるいは二十三歳まで一部含めて拡充するという案を出したわけであります。そういう観点から、年少扶養控除を廃止して児童手当を拡充する、こういう基本的な方向はむしろ我が党の方針であるわけであります。
 しかしながら、今回の案にはどうしても賛成することができないんです。それは、今回の案というのが非常に小手先の中途半端な案だということ、しかも一部負担増になる人まで出てくる、そういうことがあるとか、それからそもそもこの児童手当と扶養控除を含めてどうするのかということが政府部内でも与党内でも完全に考え方が一致していないままに出てきたというところに非常に問題がある。
 実は、我が党も対案を出そうと思っていろいろ考えたわけであります、負担増にならないようなもうちょっといい案はないのかと。それで、いろいろやったんですけれども、結局、第一子、第二子五千円、第三子以降一万円という現状の額を維持しながら、しかも負担増にならないように、しかも財源が今こういう状況ですから、赤字国債を発行しないでやるようにするためにはどうしても所得制限をある程度のところで設けざるを得ない。そうすると、七百万とか九百万とかその辺の所得制限になってしまって、これでは一体何のための児童手当かということになりまして、なかなか今の財政状況では出せないということで、対案提出をあきらめたという経緯もあるわけなんです。
 ですから、児童手当の拡充に反対するということではないんですけれども、しかし今回のような案は余りにもいいかげんであるということで反対をする、こういう基本的な立場を最初に申し上げておいて、御質問をさせていただきたいと思います。
 何のために児童手当を出すのかということですね。これは、子育てにお金もかかるわけですから出すのは当然という考え方も一方にあるわけです。しかし、実際にいろいろな施策としてやっていく場合には、現物給付がいいのか現金給付がいいのか、果たして現金給付というのはその目的どおりに使われるのか、この児童手当法にもちゃんと目的どおりに使えということが書いてあるわけですから、こういうことも含めて何のために児童手当を出すのかということの、しかもこれを今回拡充するのか、位置づけをはっきりさせなければならないと思うのです。
 そこで、まず厚生大臣にお尋ねしたいんですが、これまでも本会議あるいは本委員会でも同僚議員がいろいろお尋ねしているんですが、趣旨説明にもありますように「今回の改正は、こうした総合的な少子化対策を推進する一環として」ということで御答弁があるんです。
 私は、少子化対策としての児童手当というのは、実はこういう表現はちょっとやめた方がいいんじゃないかと思うんです。金を出せば子供を産みますか。そんなばかなことはありっこないわけですね。だから、少なくとも子育ての支援としての児童手当というのならわかるんですけれども、総合的な少子化対策という、いかにもばかにしたような、金を出すから子供を産めよみたいに誤解される、私はこういう表現はできるだけやめた方がいいんじゃないかと実は思っているんです。
 御答弁にもありました、先ほどの久野先生の御質問にもありましたが、政府の方でも少子化対策基本方針を策定されたり、あるいは関係四省庁で新エンゼルプランを策定していろいろやっておられるわけですが、それとの関係で少し少子化対策についてお尋ねいたします。
 まず、わかっているようで抽象的にしか言われていない、大臣答弁の中でも抽象的に言われている「近年の急速な少子化の進展は、我が国の社会経済にさまざまな影響を与える」ということなんですが、一体具体的にどういう影響が生じてくると分析しておられるのか、またその中で、非常に決定的であるということはどういうことなのか、あるいはプラスの面はないのか。一般的に少子化というと悪いことだ、そうすると何でも役所の方でやれというふうに短絡的になるわけですが、まずこの根本に立ち返って、少子化問題の社会経済的影響ということについての御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、人口がどの程度が一番適当なのかという問題にもさかのぼるわけでございますけれども、ちょうど百年前の一九〇〇年の当時は四千万人であったわけでございます。そして現在が一億二千万人、こういうことでございますけれども、例えば仮に出生率が一・六であった場合に、今一・三八と言われておるわけでございますけれども、百年後には半減するだろう、こういうような推測がなされておるわけでございます。
 そういう中で、当然のことながら、これだけ我が国の経済の規模そのものが大変大きく広がっている中におきまして、労働力の人口の減少をもたらすのではないか、こういった問題、それに従いましていわゆる市場経済そのものが縮小するのではないかということで、経済そのものにマイナスの影響を与えることは避けがたいものではないか、こう考えているような次第でございます。
 それから、子供さんの間では、やはり大勢の子供さんがいた方がどちらかというとさまざまな意味で交流もあって、そして子供の健全な成長への影響や、あるいは家族へのさまざまな形のいわゆる家族愛と申しますか、そういったような大勢の中で、今、一人っ子、二人っ子ということでございますが、そういう中においてさまざまな形で情操面に与える影響というものも少なくないのではないか、このような指摘がなされておるわけでございます。
 そのほかさまざまな形があると思いますけれども、私も率直に申し上げて、どの程度の人口が最もふさわしいかという問題につきましては今ここでお答えできるだけの十分な勉強はしておりませんけれども、ただ、だんだん少子化になっていくということによりましてそういったようなマイナスがあるということであります。
 一方におきまして、プラスの面でございますけれども、当然のことながら、先ほど久野委員からもお話がございましたけれども、子供さんの数が少なくなれば受験戦争というものは緩和されるのではないか、こういうことも考えられますし、全般的にゆとりのある生活環境というものができ上がるのではないか、こう考えているような次第でございますけれども、全般的には私はやはりこの少子化の問題というものはプラスよりもマイナスの方が大きいのではないか、このように考えているような次第でございます。
○今井澄君 この問題は、議論し出すと非常に広範な問題ですし、価値観も含む問題ですが、やはり私は一つここで注意しなければならないのは、確かに日本という国あるいは日本民族ということを考えた場合に、今の繁栄あるいは豊かさをどう維持するのかという観点からの考え方があると思うんですけれども、もう少しグローバルな見方もあると思うんです。
 今、世界では食料危機の問題、飢えの問題が出ておりますし、また砂漠化の問題なんかもあるわけであります。私もこの前聞いたところでは、改めて聞いてびっくりしたわけですが、例えば世界の四大文明の発祥地と言われるところは、今大体砂漠のところが多いんですが、実は非常に緑豊かなところであったと。そこに人々が大勢住みついて、土地を耕して農業をやって水を使っているうちに砂漠になってしまったんだと。こういう歴史的な、いろいろ分析をしますと非常に豊かな森があったということがわかるということ、それを聞きますとやっぱりある意味でぞっとするわけです。人類がふえ過ぎて自然に対しての負荷が多過ぎるのではないかということなどを考えたりします。
 日本でも、今後移民をどうするか、外国人労働者をどうするかということなどを幅広く考えると、確かに私も子供を産みたい人が産めない、育てられないというのはこれは何とかしなきゃならないと思いますが、これは単純に、少子化ということで余りヒステリックに叫んでやるべきことではなくて、もっと冷静に分析しながらじっくり取り組むべきことのような気がいたしております。
 そこで、そういうことと関係して、きょう久野先生の御質問への御答弁でも、これまでも御答弁あったんですが、少子化対策としての総合的な対策を体系的に、政府としては政府全体でこうやっている、厚生省ではこうやっているとか、あるいはこういう面ではこうやる、子育て支援ではこうやっているとか、そういうことがどういう柱立てになってやっているのか、総合的な体系を御説明いただきたいんですが、そうお願いしておいて、一方で時間の関係もあるので簡潔にという矛盾する要望なんですけれども、わかりやすくその体系を御説明いただけないでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 先ほどお話が出ましたように、少子化の背景にはさまざまな要因がございます。結婚や出産はあくまで個人の自由な選択にゆだねられるべきものでございますが、政府といたしましては、少子化の要因になっている仕事と子育ての両立の負担感とか、子育ての負担感とか、こういうものを緩和することが必要だろうということで、少子化対策推進基本方針とか新エンゼルプランに沿った総合的な少子化対策を推進することにしているわけでございます。
 お尋ねの具体的な方針でございますが、一つは利用者の多様な需要に対応した保育サービスの整備、二つに仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備、三つ目として安心して子供を産み、ゆとりを持って健やかに育てられるような母子保健医療体制の整備、四つとして子供が夢を持ってのびのびと生活できるような教育の推進、五つとして子育てを支援する住宅の普及など生活環境の整備、六つとして子育ての経済的負担の軽減のための児童手当の拡充など、こういった施策を推進することとしております。
○今井澄君 簡潔に御説明をいただいたわけですが、最後の六つ目に経済的支援ということがあったんですが、昨年十二月十七日の少子化対策推進基本方針、関係閣僚会議、これはほとんど全部の閣僚が入っておられるわけですから政府全体。それから、それに引き続いて大蔵、文部、厚生、労働、建設、自治、六大臣合意の新エンゼルプラン、これを見ましても、経済的な支援ということの柱立てが明確でないんですね。
 というのは、この推進基本方針を見ましても、児童手当は三番の「安心して子供を産み、ゆとりをもって健やかに育てるための家庭や地域の環境づくり」の中に、母子保健とか相談体制とか児童虐待への対応とか農山漁村におけるとか犯罪から守るとかとずらずらと項目がある中の八番目の最後のところに突然ぽつんと「児童手当」と出てきているんです。それから、新エンゼルプランの中には当然児童手当の話なんて一言も触れていないわけです。
 経済的な支援というのは、私はこれはかなり大きな柱だと思うんですね、子育て支援。ところが、今、大野政務次官がおっしゃられた中でちゃんと六番目の柱立てになっていますけれども、これまでの中にないんですね。その点いかがなんでしょうか。ちょっと整理が足りなかったのか、視点が欠けていたのか、その辺の御説明を。
○国務大臣(丹羽雄哉君) この少子化対策推進基本方針というのは、今、委員からも御指摘がございましたように各省庁網羅しておるわけでございまして、児童手当だけが行数が三行しか書かれていないということじゃなくて、ほかもみんな同じようなことでありまして、とりあえず基本的な考え方というものを示したという経過があるわけでございます。
 それから、新エンゼルプランでございますけれども、これは委員も御指摘のように、これまでの緊急保育対策五カ年事業の延長線上と申しますか、これを新たにつくったわけでございまして、その中で特に私どもこの五カ年計画の中では具体的に施設整備の数値目標、こういうものを取りまとめたわけでございますが、児童手当というのは数値目標を示すというものではございませんので、そういったことでなじまないということでこの中には盛り込まれておらない、こういうような経緯があるわけでございます。
○今井澄君 そうですか。新エンゼルプランにはなじまないと。
○国務大臣(丹羽雄哉君) いや、なじまないというのは数値目標がですよ。
○今井澄君 いずれにしましても、先ほど政務次官の方から御整理いただいたように、経済的支援というのは実は非常に大事だと思うんですね。実際に産みたい子供の数に比べて産んで育てている子供の数が少ないという数々のデータ、その背景にあるのは、もちろん仕事がおもしろいから一生懸命やっているうちに晩婚になっちゃった、そうすると今さらそんな大勢産めないとか、そういうこともあるにしても、もう一つは非常に経済的なプレッシャーが多くて子供をなかなか産めないということをよく聞きます。これは非常に大きいことだと思うので、この経済的な支援をどうするか。
 もちろん、経済というのは基本的にはこれは今の資本主義経済、自由主義経済のもとでは個人の責任なんですね。今も例えばいろいろ火山とか地震とか、そういうことの被災者に対する支援についても一体これをどうするのかということについて大きな議論のあるところだと思いますから、何でも経済的支援でお金を出せばいいという問題でもないんです。
 そこで、まず第一に、経済的支援というのをこの子育て支援策の重要な一環として考える、あるいは少子化問題を分析する上で考えるとすると、一体子供にかかる費用というのはどういうふうにかかっているのかというのをきちっと調査し分析する必要があると思うんです。その上に立って政策を立てていかなければならないだろうということなんです。
 子供を育てる上でかかる費用というのもいろいろあります。衣食住という最小限のいわゆる養育費みたいなものもありますし、もう一つは子供に特有の、先ほど久野先生のお話にも出ました教育費の問題、そういうことがありますし、また教育の問題がいろいろこうなってきていますし、また今度は子供の遊び、最近では遊ぶ道具が非常に高いようでありまして、昔のように手づくりとか親から伝えられるとか、あるいは兄弟も少なくなっておりますから兄弟から伝えられるとかそういうものもなくなっているようですが、そういうものの分析はどうなのかということですね。
 昔、私が子供の時代は、子供は食いぶちを持って生まれてくる、こういうふうに言われていた時代で、子育ては経済的には余りかからない。例えば、おしめはもうお兄ちゃん、お姉ちゃんのがあるし、近所で子育てが終わったのがどんどん回ってくるという時代でした。着物も大体お古を着て、上が女の子だと下の男の子は赤いものを着せられたとか、それでも平気で、うちの子供なんかもそうなんですね、うちの長男は長女の赤い服を着て平気で育っていた、そういう時代もあるわけなんです。
 それが時代が大きく変わってきている。そうすると、この時代の変化の中で子育てにどのような費用がかかるのか、こういうことについて考えなければいけないと思います。特に今度の児童手当というのは、第一子、第二子五千円、第三子以降一万円というのは一体どの部分を支援しようとしているのか、どの部分のどのパーセンテージを支援しようとしているのか、その辺についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 児童手当は子育てに対する経済的な支援に対する一助として昭和四十七年に創設したわけでございます。いろいろな経過がございますけれども、率直に申し上げて、この部分に着目してとか、ではどの部分まで公的なこういうものを支給するのが適当かということを今私どもの方が打ち出すということはなかなか難しい問題ではないかと思っております。
 それは、国民の皆さん方から見れば、多ければ多いほどいいというふうにおっしゃるかもしれません。しかしまた、今井委員が今おっしゃったように、あくまでも個人的な生活というものは個人的なものだということであります。私どもは、そういう中で子育て支援に対する一助として象徴的なものとしてこういう児童手当の拡充というものを打ち出しておるわけでございまして、委員の御指摘のような、どの部分に充ててどのぐらいが適当かということを今この場において明確な答弁を申し上げるということはなかなか難しい問題ではないかと思っております。
 ただ、こういうものがさらに議論を積み重ねる中において、国民的な集約が得られる中において、今後の検討課題の一つであるという認識は持っておるような次第でございます。
○今井澄君 前回のこの委員会で同僚の佐藤議員の方からの質問のときにこの創設当時の話が出ました。創設当時は、一般のサラリーマンの給与が三万から六万という時代に三千円というのは非常に大きな額だったんじゃないかと。そしてそれは、やはりそういう経済的な支援という意味では、一定の意味とか調査をも踏まえてやられたわけですね。ところが、その後、この児童手当制度はその都度随分改正されてきたんですね。
 調査室がつくってくださったこの改正資料、厚生省の資料にはこういう詳しいのはないわけで、厚生省から発行されているのはなかなかないんですね。これを見ますと、支給開始年齢を変えてみたり額を変えてみたり、いろいろ毎年のように苦労して変えてきているという経過がわかるわけです。
 その都度いろんなことを考えられたと思うんですが、例えば昭和五十三年から十年間近くは市町村民税所得割非課税者には増額して支払うというようなことで、言い方は悪いですけれども一種の救貧対策というか低所得者対策に比重を置いたような児童手当の支給の仕方をした時期もあった。そういうふうなことがありますし、この創設当時には子供がいるのは当たり前で、ただ大勢子供がいるのは大変だろうからというのでまず第三子以降から始まったとか、この経過を見るだけでも考え方がいろいろ変遷してきたんだなということがわかるわけです。大変な試行錯誤だと思うんです。
 ただ、この中で、この前の委員会で清水議員の方からの質問でしょうか、しかし一貫して支給総額は全然変わっていないと。創設以来ほとんど二千億以内の枠でこの何十年間推移してきているんですね。ということは、財源が決められた中で児童手当についてどう変えようかということで苦労して考えてきただけで、財源に左右されて、実は児童手当はこうあるべきだという自由な議論ができなかったという経過があるんではないだろうかなと思うんです。そうしますと、実は今度の改正案も、財源が決められた中で児童手当のあるべき姿が議論されないままに出てきちゃったという、その繰り返しであるということが非常に今回の改正案で問題なんだと思うんですね。
 そういう意味では、この財源問題、今まで突破できなかった、二千億の枠の中でしか議論できなかったという中での児童手当の議論、そういうことの中で一体厚生省としてはこの児童手当というのをどういうふうに扱ってきたのか。聞くところによると、こんなものはなくしてしまえというふうな中でずっと守ってきたということもお聞きするんですけれども。
 それで、先ほどの久野委員の質問に対しての政務次官のお答えでは、今度倍増したんだ、ここに意義があるんだということですが、財源がふえたということは喜ばしいことなんですが、ただ倍増しただけでは意味がないので、では一体どういう方向でこの児童手当を、過去のそういう財源的にほとんど一定額の中におさめられてきたものを突破する方向で、今後拡充する方向でいくのか、その辺を過去の経緯も踏まえてお答えいただければと思うんです。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 児童手当制度のこれまでの歴史といいますか経緯といいますか、委員が御指摘のようなさまざまな議論がございます。この問題につきましても、この委員会でも申し上げたわけでございますけれども、各政党は大体足並みがそろってきておる、拡充の方向でありますけれども、一部のマスコミの中にはこれに対する批判的な論調があることも事実でございます。率直に申し上げて、そういう中において、児童手当のいわゆる位置づけというものが必ずしもきちんと明確にされてこなかったんじゃないか、こういうような嫌いがなきにしもあらずと、こういったことは率直に認めざるを得ないと思っております。
 私どもは、そういう中におきまして、いわゆる少子化対策の中において児童手当の占める役割といいますか、こういうもののウエートが、国民の中において議論が非常に高まっている、こういう中で今回拡充ということのお願いを申し上げたような次第でございます。いずれにいたしましても、こういった問題につきましてさまざまな国民的な合意を得ながら今後進めていかなければならないと思います。
 また、まだ私どもが整理しなければならない問題といたしましては、例えば税制、扶養控除との絡み。これも委員は扶養控除をやめてというような御意見でございます。そういったような御意見の党もほかにもございますし、また一方においてはそうではないんだというような意見もありますし、その辺のところを十分今後議論をしていかなければならない。そういう中で、私どもといたしましては、少子化対策の中において重要な柱の一つとして位置づけさせていただいておると、こういうような経過があるわけでございます。
○今井澄君 実はその扶養控除との関係もお聞きしようと思って、きょう質疑通告にはないんですが、まず大蔵省にお聞きいたします。大蔵政務次官、御苦労さまでございます。その後で大臣それから政務次官の方にもちょっと御意見をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 児童、子供への支援あるいは子育てへの支援ということでは、一方で税制上の扶養控除というものがあるわけですし、一方では家族手当、児童扶養手当などという母子家庭へのものもあるわけです。
 そこで、今度の児童手当と扶養控除との関係なんですけれども、本会議での我が党の小宮山議員の質問に対して、宮澤大蔵大臣は先進各国の例をいろいろ出しました。アメリカには扶養控除はあるけれども児童手当はない、またある国はその逆なんだと、両方ある国もあるというふうなことを例に出されまして、さまざまな観点から議論する必要があるんだと。しかも、それは税制の方からも、また社会保障制度のあり方の方からも議論していく必要があるというふうな御答弁だったわけであります。
 これも整理していかなければならない問題で、過去の政策を見ますと、去年は年少扶養控除ということで十万ふやしてみたり、それを急にことしはやめて、そのやめた分でこの児童手当を増額するとやってみたり、ここのところがふらふらしているから国民には見えないということなんです。
 さて、そこで大蔵省の見解として、一昨日の当委員会で審議官がこちらの席に座っておられまして、扶養控除を児童手当に振りかえることはあり得ないという趣旨の、いろいろ言われましたけれども、最終的にはそういうふうに断言されたように思うんですね。これは私だけの感想ではなくて、その後の厚生大臣がどなたに対する答弁でしたか、木で鼻をくくったような答弁だというふうに評されたと。これは多分会議録にも載っているんではないかと思うんです。
 そこで、改めて大蔵省の見解として、この扶養控除と児童手当との関係について現在どう考えているのか、今後どういうふうに解決していくのか、こういうことについてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○政務次官(大野功統君) まず、少子化対策を児童手当という政策目的でやるのか、それとも税制面で人的所得控除でやるのか、こういう問題で、今井先生のお考えは歳出面でやった方がいいじゃないかと。この御意見は御意見としてよくわかります。
 問題点は、昨年末、与党協議でいわば所得税におきます扶養控除制度あるいは個人住民税におきます扶養控除制度の見直しについて合意したわけでございますが、その議論の際の論点は三つあると思います。
 一つは、児童手当というのは社会保障制度全体の整合性の中で考えようじゃないか、これが第一点だと思います。第二点は、やはり税制のあり方との関係で考えようじゃないか。それからもう一つの問題点は、先ほども御議論なさっていましたけれども、いわば財源をどうするんだ、その費用をだれが負担するんだと。今回の改正案でも事業主がかなり負担してくれることになっていますから、総額では三千二百億円という数字になっておりまして、減税額に見合うものよりもずっと大きくなっているわけでございますが、だれが負担するのか。
 そこで、税制について考えますと、今の税制の人的控除というのは大ぐくりでくくって考えましても九項目にわたる人的控除があります。その中でやはり歴史的ないろんな変化があると思うんですが、例えば勤労学生所得控除、これはもうほとんど今使われていないと思いますけれども、残っているようなものもございます。こういう人的控除がいっぱいあるものですから、タックスペイヤーにとりましては非常に難しい制度になっているんじゃないかという印象も与えてしまっている。ですから、それをどのように簡素化していくかという課題が一つあるかと思います。それが第一の問題点だと思います。
 それから第二の問題点としましては、税で少子化対策をやる場合には幾つかの問題点がある。つまり、税金を払っていない、非常に所得の低い方には何の恩典もいかないという問題がある。それから、所得制限をどう設定するか、天井をどうつくるか、こういう問題があるわけでございますが、そういう問題以前にいわば税金というのは非常に公平なものでなければいけません。ですから、例えば基礎控除をやって、それから配偶者控除をやって、では子供の控除をどうするんだと。これは児童手当と全く切り離したところで考えていかなきゃいけないと思うんです。
 ですから、税で少子化対策をやる場合には二つ目的が重なってしまっているわけです。一つは税本来のあり方、そしてそこへ少子化対策というのがダブって影をつくっている、こういうことでございますので、根本的な所得控除のあり方の中でいわば少子化対策の面も考えるべきだ、このように私は思っております。
○今井澄君 総合的に考えなければならないという御答弁をいただいたわけですが、まさにそのとおりだと思います。
 それで、ここは国民福祉委員会の場ですから税制の議論はあれですけれども、私どもの鳩山代表が課税最低限を引き下げるべきだというふうに言っているとマスコミに取り上げられて、低所得者に非常に厳しいと言われているんですが、実はそうではなくて、私どもはやっぱり税制は簡素化しなければならないと。
 それで、あの控除この控除というのがあって、結果的に課税最低限が上がっちゃっていることで非常に不透明になっている、また逆に税金を払わなくていい人が非常に大勢出てきちゃっている。むしろ、国民としてはたとえ百円でも二百円でも税金を払った上で発言する、そういう社会にしていくべきなんじゃないかということと、もう一つは、課税最低限が上がっちゃうと、税制上で何か対策をしようとするときに低所得者に何も関係がないんですよ。まさにそういうふうになってきているから、私たちはもう少しいただくものはいただいて、そのかわりサービスするものはサービスするというふうにした方がいいんじゃないかということで言っているわけです。
 それはそれとして、そこで大臣それから政務次官、個々にお尋ねしたいんですが、今度の改正案に一部そういう傾向が見られたように、これは今後、子供に関する扶養控除については基本的に税制としては廃止をしてむしろ手当として出していくべきだ、あるいは手当が現金だけじゃなくほかにいろんな方法があるかもしれませんが、そういう給付としてやっていくべきだと私は考えているんですが、いかがお考えでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 扶養控除の方は、先ほどの御議論にもありましたように、どちらかというと高額所得者にとってはメリットが大きいですが、税金を払っていない人にはメリットが全くない、また小さな子供を抱えて所得の少ない若い夫婦にはメリットがほとんどないかゼロ、そういう意味では私は児童手当制度の方がある面では大変公平ではないか、このように思っている次第でございます。
 しかし、先ほど大蔵総括政務次官からの御答弁にもございましたように、この扶養控除の制度というのは子育て支援という面だけで結論が出せる問題ではございませんので、これは総合的に判断をしていかなきゃいけない、検討をしていかなきゃいけない、こういうことではなかろうかと思っております。昨年末の与党合意の中でも社会保障制度全般の改革の方向との整合性や扶養控除の見直しなど税制のあり方についても総合的に検討する、このようにされておりますので、こうした検討を踏まえつつ、今後の児童手当制度、子育て支援というものをどのようにしていくべきかについてしっかり検討をしていきたい、このように思っております。
○国務大臣(丹羽雄哉君) この問題につきましては、今後とも議論を深めていかなければならない問題でございます。
 私の個人的な見解でございますけれども、いわゆる年少を対象とした扶養控除のみならず、お年寄りに対しましてもかなりの控除というのがありまして、これを要するにどういう形にするかということも大変大きな問題でございます。
 ただ、一般的に言えますことは、いわゆる扶養控除そのものを否定する立場ではありませんけれども、目につきやすいという形においてはいわゆる給付の方が目につきやすいんではないか、一般的にこういうような印象を持っているのではないかと思いますが、その一方で、いわゆる税金を集めてまたさらにばらまくというような印象に対して一部の批判があるということも紛れもない事実でございまして、その辺のところを十分に議論をしていかなければならないと思います。
 児童手当につきましては、基本的な大きな流れといたしましては、やはり扶養控除よりは児童手当によって拡充していくというような大きな流れというものがあるのではないか。しかし、現在、さまざまな形で、今回の審議に当たりましてはいわゆる三十八万円から四十八万円の十万円の分の赤字国債を発行しないという前提のもとにさせていただいたわけでございますが、そういう中でどこまで児童に対する扶養控除というものを制限するのかという問題につきましてはさまざまな議論があるわけでございますので、十分にこれから議論を深めていかなければならない問題だと考えております。
○今井澄君 なかなかお二人とも歯切れの悪い、お立場上そういうことにもなるんでしょうけれども、まさに今、厚生大臣が言われたように、理論的にはどっちがいいかということがあっても、税金を集めてそれを現金で配るとばらまきという批判が出てくる。批判だけではなくてその使い方、だから現物給付がいいのか、現金給付がいいのか、また現物給付ができるのかという問題にもいろいろなるんだろうと思うんですが、その辺の議論は、基本的な方向は大体控除より給付というふうな方向のように私としては受け取って、次へ質問を進めさせていただきます。
 さて、それで今回の改正案の具体的なことなんですが、そもそもこの改正案が出てくるスタートは公明党さんの児童手当の拡充案が基礎になっていたと思うんです。この案は、たしか十六歳未満の児童には所得制限なしに、そして現行の手当の倍額をそれぞれ支給しようということだったと思うんです。それが今回のようなことになってきて、しかも今回、ふえる人もあるんですけれども、一方で税金の方がふえるために負担がふえる人も出てきちゃったんです。
 どうしてこういう経過になったのかについて政務次官の方から、これでやむを得ないのかどうかも含めてお答えをいただきたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 委員が御指摘のように、公明党では、昨年、支給対象年齢を十六歳未満、手当額を現在の倍額、所得制限の撤廃、こういうような内容の新しい児童手当制度を提案したわけでございますが、連立政権に昨年の十月参加をいたしまして、与党三党で少子化対策検討会の場でいろいろ検討が行われてまいりました。現下の厳しい経済情勢の中で、赤字国債を出さないで児童手当を拡充するという、こういう状況の中で、ことしの児童手当は来年度の抜本改革へ向けての経過的措置として今回の改正を行うということで合意をしたものでございます。
○今井澄君 結局、財源がないということで大きく変わっちゃったわけですね。
 これは後でもお聞きしようと思っているんですけれども、例えば児童手当に所得制限をつけるのかつけないのかという根本的な考え方の違いが実はあるんです。
 それで、こういうふうに当初の案が大きく変わってしまったということについて、これは私、率直に外から見ておりまして、今の連立政権、自自公から自公保ということに変わったようでありますけれども、とにかく今の児童手当にしろ、さきの年金法にしろ、あるいは審議されないで葬り去られようとしている健康保険法にしろ、これは自自公政権のもとで出てきたわけですから、私は、過去のものとはいえ自自公政権のことをちょっと問題にしたいと思うんですが、余りにも政策の不一致が大き過ぎる連立政権のように思うんです。これはやっぱりおかしいと思うんです。
 連立政権というのは、ある一定の政策目的、政策を実現するためにつくられるわけですから、少なくとも主要な政策が一致していないということは非常に困ることです。細かいところはそれはいろいろ違うでしょう。だけれども、少なくとも国会に出てくる法律には連立政権の考え方はある程度一致してこないと、ただ金がなかったから右と左の考え方を足して二で割りましてこうなりましたとか、これじゃやっぱり政策じゃないわけですね。
 つい最近総理府から発表されました国民の意識調査によりますと、やっぱり何といっても社会保障、将来、老後、こういうことについての国民の不安感というか関心度が一番高いわけです。そうすると、社会保障についての政策が少なくとも基本的なところで一致していることが連立政権を組む場合の必要条件だし、そういうことがなきゃやっぱり国民はわけがわからぬと思うんです。
 そういう意味で、例えば去年から見てきても、年金の問題でさきの厚生大臣は大変御苦労されたわけですね。閣議決定もなかなかできないままにずるずるとこうなってくるということです。それから、今度の児童手当の問題だって、果たしてただ財源がないからというだけなのか、やっぱり児童手当というものについての考え方が違うんではないのか、例えば子育てというのは家庭でやるべきものであって国が支援すべきでないという考え方などがあるいはあるんではないだろうかというふうな感じがするわけです。
 だから、今の政務次官のお答えのように、現実的には確かに財源があればできたのかもしれませんが、財源がないという厳しい状況があったんですが、それでも財源をどこかから捻出してでも、例えば公明党さんが主張しておられたように年金積立金が百四十兆とも百七十兆とも言えるぐらいあるじゃないか。そうすると、年金を支える世代に対する児童手当にこの積立金からとりあえず出す方法はないのかということだってたしか提案されたと思うんです。
 私は、財源問題だけではない、この社会保障をめぐる政策の不一致が今の連立政権あるいは今まで続いてきた自自公の中に実は大きくあって、国民に対して非常にわかりにくいこういう変な法律改正案を出してくることになってきているんじゃないか。その点、非常に重大だと思うんですが、それは厚生大臣、いかがですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今、自民党は自自公政権を解消いたしまして自公保政権を樹立いたしておるわけでございます。当然のことながら、自民党には自民党の政策があり、公明党には公明党の政策があり、そして保守党には保守党の政策がある。そういう中において、いわゆる政策責任者の間で協議をしてできるだけ政策の一致を見出していって、そしてこの問題につきましても政府としてこの法案を提出させていただいておるわけでございます。当然のことながら、政党が異なるわけでございますので、こういったような問題について違いがあるということは、当然とは申しませんけれども、やむを得ないことではないかと思っています。
 これは、例えば民主党さんなんかでも、大変失礼な言い方でございますけれども、日の丸と君が代の問題につきましては一票差で、たしか四十六対四十七でございましたでしたかということでもう真っ二つに割れている。同じ政党でありながらそういうことでありますし、当然、私どもは社会保障にかける、要するに福祉を向上していくという点においては公明党さんもあるいは保守党さんも同じ考え方であって、ただ財源の問題につきまして、少子高齢化社会を迎えて、そして先ほどから委員も御指摘になっているような大変な赤字国債を抱えている中においてどういうことが現実的だというところにおいてまだまだ十分な議論をしなければならない、そういう中において二〇〇五年までに結論を出していこうじゃないか、こういうことでございます。それがまさに連立政権ではないか、このように考えているような次第でございます。
 私どもが、与党三党が社会保障の充実にかける情熱ということについてはいささかも、三党とも同じ考え方を持っておるような次第でございます。
○今井澄君 要するに、連立を組む場合も閣外、閣内いろいろあると思いますし、少数で政権を運営している国だってあるわけです。
 だから、私が先ほどから申し上げているのは、社会保障政策というのは実は国民にとっても一番関心がある一番大事な政策だ。そうすると、この社会保障について根本的に違うようなところが連立を組むとおかしなことになってくるということを申し上げたんです。それは違いはいろいろあっていいでしょう。党が違うんだから考え方が違うに決まっています。同じ党の中でもおっしゃるようにいろいろ考え方が違うところがある。だけれども、大事なところではやっぱり一致していなきゃならないと思うんです。それが余りにも社会保障政策で意見が不一致な点が多過ぎるんじゃないですか、この間の政権は。それが国民にも混乱を与えるし、出てくる法案の中身にも混乱を与えて、中途半端なことになっているんじゃないですかと。こういうことをお聞きしたんですけれども、どうですか。社会保障政策、非常に大事じゃないですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私も厚生大臣になる前に党の政調会長代理といたしましてこの問題にかかわってきた者でございますが、例えば今回の国会に提案をさせていただいております循環型社会の基本法であるとか、そういったさまざまな点におきまして、大筋において三党間において合意を得ておるわけでございます。基本的な方向においては同じ考え方に立つ、こういうふうに考えておるような次第でございます。
 ただ、率直に申し上げて、財源のあり方などにつきまして、私どもは社会保険方式ということでございますし、当時の自由党さん、そして現在同じ政策を掲げていらっしゃいます保守党さんはいわゆる税方式においてやっていく、こういったような問題があるわけでございます。
 しかし、それだけをもって、いや、連立政権を組んではならないということには当てはまらないんで、要は国民生活にとって、そして社会福祉の充実のためにどうあるべきか、こういう考え方に立って連立政権というものは運営されるべきものであって、一つの、いわゆる小異のみを強調してこの連立政権はけしからぬというようなことは、私はいささか乱暴な御意見ではないか、小異を捨てて大同につくというのがまさに連立政権のあり方ではないか、このように考えているような次第であります。
○今井澄君 私は、決して小さな違いではない、かなり大きな違いのところが実は問題なんじゃないかと思っているんですが、それは水かけ論にもなりますから先にします。
 ところで、これは何回もこの委員会でも出されたんですが、今回の改正案に戻りますけれども、経済的支援と言いながら負担増になる世帯が出てくると。これはいかにもまずい改正案ですね。だれが見てもおかしい。要するに、負担減になるのは今回拡充された三歳から六歳未満の就学前までであって、それ以外の子供を持っている家庭、子供に注目すればすべてについて、三百万人プラスになったけれども千六百万人の子供がマイナスになるという、いかにもこれはおかしな案になっているんですね。
 そこで、大臣は何で三歳から六歳、就学前までの拡充をしたかということについて、こういうふうにお答えになっているんです。義務教育就学の前後では子育てに伴う家庭の精神的、経済的な負担にも違いがあるということを唯一の論拠にしておられると思うんです。ここで精神的な負担ということも述べられているんですが、これは何か特別な意味があれば御説明をいただきたいと思うんです。また、精神的な負担に対して手当を支給する意味があるのかないのか、これは多分ちょっと違うことなんだろうと思います。
 それから二点目は、義務教育就学前後で経済的な負担に相違があるという根拠ですね。私は、小学校に行った方がむしろ経済的にはかかるんじゃないかという気がするんですが、それ以前の方が経済的負担があるという。では、義務教育就学児童の家庭では増税になってもいいと、どうしてそれは容認されるのかということですね。
 それから、義務教育就学前であっても、先ほど言いましたように、これまでももらっている三歳未満のところについては手当が別にふえるわけではありませんから、年少扶養控除が廃止される分だけ負担になるんですが、この点についてこれでもいいんだという理由を御説明願いたいんです。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、精神的な問題でありますけれども、一般論として、子供さんがようやく学校に入学するというような時点においてさまざまな形でその保護者の皆さん方の養育に対する精神的な負担が解放される、いわゆるこれまでよりさらに大きくなったということによって、よちよち歩きから学校に行くことによってそういう精神的な負担がいささか変わってくるのではないかということが一般的に言われておるということを申し上げたわけでございます。
 それから、当然のことながら、就学をいたしますと、例えば小学校に行けばこれは義務教育でございますし授業料はかからない、こういうような問題が挙げられるのではないかと思っておるわけでございます。そのほか、塾に行くとか行かないとか、そういうさまざまな問題も現にあるようでございますけれども、いわゆる幼稚園であるとか保育園で上げます保育料であるとかというのに比べまして、こういったような負担というものが軽減するのではないか、こう考えているような次第でございます。
 それからもう一点でございますが、先ほど来、大野厚生総括政務次官の方からお話がございましたけれども、今回、率直に申し上げて、与党三党の中で大変な議論をなした中において、まず初めに今回は児童手当を拡充しようではないか、こういう議論があって、そしてその中においてそれでは扶養控除をどこまでカットするか、こういうような議論もあった経緯がございます。そういう中において今回の扶養控除のカットの中においてこのよう結果がなされたということであって、だからといって私は決して就学後の方々の負担がふえるということの容認を申し上げているわけではございません。
 しかし、これは全体的に判断をするべきだということでありまして、私どもは児童手当のみならず、例えば奨学金の拡充であるとか、それから少子化対策といたしまして今度基金の方に積立金を四百億円ほどふやしまして、こういった方々に対するさまざまな形で児童の健全な育成のために役立たせていきたい、こういうような願いを持っておるような次第でございます。
 ただ、議論の過程の中で、これは与党でお決めいただいたことでございますけれども、大野総括政務次官からもお話がございましたけれども、とにかく扶養控除というのはお金のある方もお金のない方も、お金のない方は免除される、非課税世帯は免除される、お金のある方よりまずとりあえず、現在のこういうような限られた財源の中において、所得制限を設けるべきじゃないという御意見もあると先ほどからお話しになっておりますけれども、とりあえず低所得者の方々に対して手厚くする方が政治のあるべき姿ではないか、こういうような過程からこのような結果がなされた、このように聞いておるような次第でございます。
○今井澄君 どうも私がお聞きしたことについては明確な根拠、数字、データ等が示されなかったようです。要するに、理屈があってこうなったのではなくて、財源的にこうならざるを得なかったということしか理解できないように思うんです。
 ところで、大蔵総括政務次官にもお尋ねしたいんですが、宮澤大蔵大臣も本会議で、負担のふえる世帯とそうでない世帯とに分かれる、確かにそのとおりだが、それはそのような政策の目的意思によるものだということで答弁されているんです。それで、一体その政策の目的意思ということになりますと、明らかに今回は三歳から就学前まで手厚くして、それ以外にはむしろ手薄くというか、マイナスにするというのは一体どのような政策の目的意思と理解していいのか、非常にこれが理解しがたいという点が一点です。
 それから、大蔵大臣も今の厚生大臣と同じように義務教育就学前の扶養親族を有する方は子育てについて相対的に負担感が大きいと。では、どうして就学後より大きいのか、そういうことについての何か根拠がおありになれば同じようにお答えいただきたい。
○政務次官(大野功統君) まず第一点の政策目的でございますが、これはもう申し上げるまでもございません、就学前の児童を対象とするということで、そこにスポットライトを当てているということと、もう一つは、議論されてきましたけれども、やはり税で対応いたしますと納税していない者に恩典が行き渡らない、したがいまして低所得者、中所得者、こういうところにスポットライトを当てていこう、こういう政策目的かと存じます。
 ただ、十分御注意いただきたいのは、さはさりとて年少扶養控除というのは制度が三十八万円ということで残っていますから、いわば歳出面と歳入面の両方でこの少子化対策をやっている、この事実は注意すべきだと思います。
 それから、就学前児童の親は負担感が多い、こういうことでございますが、第一点はやはり親御さんが若いわけですから当然収入が少ない、こういう問題が一つあります。
 それからもう一つ、子供さんが小さいうちはやっぱり例えばお母さんがいつも面倒を見ていなきゃいけない、したがいまして例えばアルバイトに行くとかあるいは会社勤めを始める、こういうことがなかなかできないんじゃないか。したがいまして、ダブルインカムにならないものですからどうしてもそういうところに手厚くスポットライトを当てていくべきじゃないか、こういうことでございます。したがいまして、昭和六十一年にも就学前の児童に手当てをしておりますけれども、やはり同じような考え方でやっているようでございます。
○今井澄君 その辺はやっぱりきちっとした調査のデータがないとにわかには信じがたいことですが、そういうふうな御説明でありました。
 ところで、大蔵総括政務次官はお忙しいそうですので、私の方はこれで結構です。ありがとうございました。
 さて、それであと一、二点お尋ねしたいんですが、一つは一昨日の本委員会でも大臣の御答弁の中にもあったんですが、今度は児童手当の財源問題という狭い範囲に限りますけれども、従来は事業主と公費とが七、三ないし二、一だったのが今度は逆転だということになって、これは非常に厳しい社会経済環境によるということで、恐らく事業主負担をこれ以上求められない、むしろ軽減の要求があると、こういう理由じゃないかと思うんですね。これは、社会保障制度の将来像を考える上で私は実に重大な問題を含んでいると思うんです。
 これまで、年金にしろ医療保険にしろ、そういうすべてのものは企業の中で、しかも比較的大きな企業の中で労使の共済制度としてできてきたものが、だんだん発展して国全体の制度になったという歴史的な経緯があると思うので、もともとが事業主と働く人、労働組合等が話し合って出てきた制度が歴史的には年金でも医療でも大体どの国でもそういう歴史がありますね。そういうところにあるんですが、今やそれが一企業の制度にとどまらずに社会全体の制度になってきたという中で、改めて事業主負担、事業主の社会保障制度に対する責任というのが問われていると思うんです。
 そこで、大臣にお尋ねしますが、今、事業主の負担が厳しいというのは一般論としてわかります。国際競争とか国内の景気とか、一般論としてわかります。しかし、客観的なデータから見ると、昨年版の厚生白書に出ておりますけれども、これは六十四ページと七十二ページでしたか、ちょっときょうここに厚生白書を持ってまいりませんでしたが出ておりますように、日本の企業の事業主負担は国際比較で重いかというと、むしろ軽いというデータが厚生白書にも出ているんです。
 やはり企業というのも一つの法人として社会的に責任を負っているわけです。そして、社会的にも、電気も使い水も使い、それから道路も企業の車が走り、個人と同じように、個々人が社会から恩恵を受けながら社会の中で暮らしているように企業も社会から恩恵を受けながら暮らしているわけですから、企業は企業なりに一応負担をする必要があると思うんです。今、何か経済的に厳しい、国際競争が厳しいから企業負担は減らしていいんだと、こういう風潮が全体的に出てきているのは非常に問題だと思うんです。
 ですから、この児童手当の場合は、そもそもこういう趣旨の手当だからこれは税金で出すべきだとか、あるいは事業主が負担すべきだとか、こういう議論をしないで、ただ単に企業が今経済的に苦しいから企業負担を減らすという考え方はいかがなものかと思うんですが、この点、大臣はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは、私が昨年の就任以来申し上げてきたわけでございますけれども、委員の認識と同じでございます。もともと、児童手当につきましては、先ほど総括政務次官からもお話がございましたけれども、いわゆる従業員に対する福利厚生的な色彩からスタートしたのではないかと。それがこういうような、事業主負担が三分の二であって国が三分の一である、国と地方、公費が三分の一である。
 私といたしましては、少子化対策の重要性というのを柱として考えていくならば、もっとさらに国がこの問題について積極的に姿勢を示す必要があるんだということを繰り返し申し上げてきたわけでございます。そして、今回の改正におきましてこれがまさに逆転をしたわけでございます。
 事業主が社会保障全般についてどの程度まで御負担をいただけるかということについてはさまざまな御議論があると思いますし、今後当然のことながらこの問題も深めていかなければならないわけでございますが、一方において、社会保障そのものをいわゆる消費税によって賄うんだと、こういうような御主張もあるようでございます。その場合に、事業主負担というのはどういうふうに位置づけるのか、こういったものを総合的に勘案しながら決めていくべきものではないか、こう考えているような次第でございます。
 私どもは、今我が国の経済が極めて厳しいから事業主負担がどうのこうのというような考え方ではなくて、率直に申し上げて、今回の場合は初めに児童手当の拡充ありきというようなことがいわゆる与党の三党協議の中で始まりまして、そういう中において経過的措置としてこのような措置をとらせていただいた、こういうことでございますが、将来のあり方につきましては十分に議論をしていかなければならない、こう考えているような次第でございます。
○今井澄君 今の厚生大臣のお考えは非常に大事にしていただきたいと思うんですけれども、消費税論というのは、財源論として非常にすっきりしている面がある反面、事業主負担をどうするのかということを抜きにすると大変なことになることがあるわけです。
 私は、今の社会はやはり連帯という言葉を一つのキーワードにして社会の再建を図るべきじゃないかと最近思っているんです。つい過日もフランスに行ってまいりましたが、フランスでは雇用・連帯省と言うんですね。日本でも来年一月から厚生労働省になりますけれども、社会保障というのを連帯制度としてどう構築し直すか、みんなが考えるか、非常に大事だと思うんです。介護保険でも事業主は負担から逃げようとしましたけれども、でも一応今保険料を納めてくれているわけですね。これは非常に大事なことだと思うのです。直接の保険料であれ何であれ、やはり個人も法人もこの社会を構成する以上、社会保障は全体のものだということが非常に大事なような気がします。
 そこで、先ほどもちょっと申し上げましたが、これは厚生政務次官にお尋ねしたいんですが、実は私どもの出した昨年の案も所得制限なしなんです。これはまたいろいろな考え方があるんですが、児童手当というのは、親がお金持ちであれ貧乏であれ、親がどういう考えを持っていても子供がある程度自力で生きていける、そのための保障、全額与えるかどうかはともかくとして、そのための手当であるべきだという考え方もあるんです。親がお金がかかるからそれに対して幾らか補助してあげようというより、子供のための手当なんだという考え方もある。そうすると、所得制限というのはなくしていくという考え方にもなると思うんです。
   〔委員長退席、理事山崎正昭君着席〕
 そこで、この所得制限についても、つけるべきかつけるべきでないかという考え方について、ちょっとお考えをお願いしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 現在、我が国の子育て支援は、年少扶養控除と児童手当、この両方で行われているのが実態であろうと思っております。これがもし万一児童手当一本になれば、委員が御指摘のように所得制限を設けるのは根拠がない、こういうふうになるのではないかと思いますけれども、今、児童手当の対象外になっている御家庭は扶養控除の方の恩恵を受けているという現状もございますし、児童養育費がさほど家計の負担となっていない所得階層には現状においては手当の支給を受ける必要性やその効果が比較的少ない、このように考えられるところから、現状においては所得制限を設けて、そして支給額がおおむね七割となるような限度額を設定しているところでございます。
 しかし、委員が御指摘のように、この社会保障制度における所得制限のあり方については、制度の目的とか性格とか財源の問題を含めて検討をしなきゃいけない、総合的に勘案しなければいけない、こういう問題であろうと思いますので、児童手当につきましてもこれからこの問題については十分に議論をしていかなければいけない課題であろう、このように思っております。
○今井澄君 どうも時間がちょっとオーバーしちゃいましたので。
 最後に、先ほどからずっとやってきたことなんですが、大臣、この児童手当、位置づけとか何かいろいろ変遷をしてきた、そして財源ということに縛られながら、あるいは場合によっては各党の思惑というか考え方のあれで政策目的なり理念なりがはっきりしないままにゆがめられてきてわかりにくくなっていると思うんです。
 そこで、根本に立ち返って、この制度創設当時きちっと調査もしたわけですから、そして衆議院でも我が党の同僚議員の質問に対して養育費等の調査をするとお答えいただいたようですので、その点、もう一度きちっと現在の子育ての実態、経済的な実態も含めて調査をして、児童手当制度について根本的に、筋論として、あるべき姿として見直していくということについてどのようにお考えか、決意の御表明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども答弁を申し上げたわけでございますけれども、児童手当が児童の養育に必要な費用のどの部分をどのぐらいの割合でカバーするかという問題については、大変重要な問題でありますけれどもなかなか難しい問題である、こういうことを申し上げたわけでございます。
 今後、この養育費の状況というものは当然のことながら把握をしなければならない、手当額につきましては制度全体のあり方の中で検討していくべき問題ではないか、このように考えているような次第でございます。
○柳田稔君 昨日、厚生省の人にいろいろと質問について意見交換をさせてもらったんですけれども、それから大幅に離れて質問いたしますのでよろしくお願いしたいと思います。
 まず、この児童手当法は今の政府がお出しになりましたし、この法案は予算とも連動いたしております。それでお聞きしたいのでありますけれども、この法案並びに予算案、今の内閣そして与党の皆様はこれがベストだということでお出しになったんだろうと私は思います。もしかしたら何かの要因が働いて、しようがないけれどもまあ出すかということで出したのか、どちらなんでしょうか、大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 与党間におきましてさまざまな協議をいたしまして、最善の策としてお決めいただいたものを政府として責任を持って提出させていただいた次第でございます。
○柳田稔君 手続について私は聞いているのではなくて、丹羽先生は自民党の、政策では決定権を持つとまでは言いませんけれども、相当重要な発言もできるようになっていると思うんですが、そういう立場も勘案して、自民党さんもこの法案並びに予算案がベストだ、そういう信念を持ってお出しになったのですか、それとももしかしたら何かの要因が働いて、しようがないけれどもまあいいか、出すかといって出されたのか、どちらなんですかと聞いているんです。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 最善のものとして提出させていただいたような次第でございます。
○柳田稔君 ごもっともだと思うんです。
 先ほど今井先生の質問に対して、個人的な発言ということもありましたけれども、法案を出した以上、予算を国会に出した以上、内閣も与党も責任を持って出したわけですから、これは与党の政策が一致してこういう方針だから出します、これがベストですといって出されたと私は思うんです。
 そこで、時間が余りないので大分はしょりますが、今回の児童手当法の改正の趣旨ですけれども、「総合的な少子化対策を推進する一環として」と書いてありますね。そのためにはこの児童手当の拡充、具体的に言いますと倍増以上です、予算案としては、実質上。幾らでしたか、きのう聞いたら千八百億を三千九百億ぐらいに倍増以上しましたとおっしゃいました。
 過去私も、当時、丹羽先生も社労委員会でしたけれども、衆議院時代、我々野党は児童手当をもっと充実、拡充してほしいと強く申し上げました。ところが、当時の自民党さんは、それはできない、難しいと。いろいろと聞きましたら、大蔵省の方から、できればこれはなくした方がいいという意見も大分聞かされたんです。とすると、自民党の過去から今日までの児童手当に対する考え方は、拡充もなし、充実もなし、従来のままの程度で維持していけばいいやということが基本にあったのかなと私は思ったわけです。ところが、今回見たら倍増以上ですものね。私はよくやったと思っているんです。
 そこで聞きたいんですが、自民党の政策は児童手当を今後さらに拡充、充実していく方針に変わったのかどうかを聞きたいんです。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 古い過去の話につきまして私も記憶が定かでございませんので、今ここで、過去、自民党はどちらかというと消極的であって、そして先生は民社党でいらっしゃいましたか、民社党は積極的であったということにつきまして、ちょっとまだ十分な記憶がよみがえらないわけでございます。
 ただ、言えますことは、近年のいわゆる少子化問題の中において児童手当というものがさまざまな重要な柱の中の一つ、このように位置づけられてきておる。こういう中において、自民党においても児童手当を拡充すべきだ、これまでは三歳まででございましたけれども、積極的に公費を導入して拡充をしていくべきだというような考え方に立つものでございます。
○柳田稔君 特に、先ほど今井先生も数値のことを少しおっしゃっていましたし、佐藤先生も先日おっしゃったかと思うんですけれども、トータルの額がほとんど変わっていないんです、平成二年までは。ところが、今回倍増以上にされたんです。これはすばらしいことだなと私は評価している。やっと自民党も少子化対策を推進する一環として、環境づくりの一つとして児童手当は必要だ、さらに充実、拡充しなきゃならない、その方針を多分確認されて倍増以上にされたんだろう、そう思うんです。その方針は自民党の方針として現在あるということをはっきりさせてもらいたいんです。
   〔理事山崎正昭君退席、委員長着席〕
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども申し上げましたけれども、これまではどちらかというと事業主の負担の割合が七であって、公費の負担の割合が三であると。しかし、少子化対策の重要な柱としてこの問題が大きく国民的な議論を呼んでいる今日、やはり公費というものが積極的にこれに対してもっとわかりやすい形で協力をする必要があるんじゃないか、こういう中で倍増をさせていただいたわけでございます。その大きな流れは、私どもは党内においても先生方と同じ認識を持つものと、このように考えているような次第でございます。
○柳田稔君 初めてそういう答弁を聞かせてもらいまして感激いたしております。
 従来は、僕らが与党にそう言っていたわけです。すると、与党は何と言ったかというと、児童手当というのはまあないよりあった方がいいかなという程度だ、それよりは住環境とか教育環境とか雇用環境を整える方が先だ、だから児童手当についてはちょっと待ってくれやというのがずっと今日までだった。ところが、きょう大臣が自民党としてもとおっしゃいましたので、自民党としても児童手当の拡充、充実というのは基本でありますとおっしゃったので、大変評価したいと思うんです。
 この法案を読みますと「当分の間の措置として」と書いてあるんです。ということは、「当分の間」というこの期限を問うつもりは何にもないんですけれども、与党の話し合いで漏れ伝わってくるところを聞くと、来年ぐらいという、来年には何かまたしよう、平成十三年ぐらいには何かしようということなので、ということは、さらなる充実を望めるなと大臣の答弁を聞いて非常に期待を持っているんですけれども、どうでしょうか。自民党の政策の幹部として、さらには内閣の重要閣僚の一人としてどうでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) この問題は、まさに先ほどからお話を申し上げておりますように、与党三党間におきます児童手当のあり方というものは特に公明党さんが強く御主張なさっておるわけでございますし、大変重要な課題の一つであると考えておるわけでございます。
 したがいまして、この問題につきましては引き続き検討をしていただく、こういうことでございますし、私どもといたしましては当然のことながら与党間の協議の推移というものも十分に見守りながら、そして一番大きな問題は、先ほど来議論がなされておるところでございますけれども、いわゆる年少扶養控除と児童手当のあり方についてまださまざまな御意見もあるわけでございますし、また一部に児童手当に対する手厳しい批判もあるということも事実でございます。やっぱりこういう一つ一つの政策を進めていくには、国民の皆さん方の御理解と同意を得ながら進めていかなければならない。しかし、基本的な流れというものはそういう手続を踏みながら、先ほどから申し上げているような同じ認識に立つ、こういうことでございます。
○柳田稔君 突っ込んで聞かない方がよかったかなと思うんですけれども。いろいろ批判もある、国民の声も聞きながら、自民党はよく言うんですよ、国民から批判があれどもこれが正しいからこの政策をやってきましたとよく言いますね。この児童手当については、大臣、今認めたじゃないですか、自民党も充実、拡充が要るという基本方針です、内閣もそうですと。それプラス公明党さんはさらなる充実を求めているわけですから、援軍じゃないですか。
 ですから、最初、大臣から大変いい答弁をしてもらった、それプラス当分の間の措置ということは、漏れ伝わると来年ぐらいになるのかなと思うので、その方針にのっとって、公明党さんの援軍も得て、さらなる充実をしますと言ったって何もおかしいことはないじゃないですか。何で批判があるからとか、国民の声を聞いてからとか、どこかの政党がよく聞くような話かなと思ったりせぬでもないぐらい何かおかしな答弁なんですけれども、どうなんですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私ども、一貫して責任政党として果たすべきことは、時には国民の皆さん方の御叱責を受けながらも、例えば消費税の導入であるとか引き上げであるとか、こういうときには果敢に将来のことを考えて、直間比率の見直しであるとか少子高齢化社会、こういうものを見据えて行ったわけでございます。その結果、私どもは大変手厳しい国民の皆さんから審判を受けたわけでございますが、今日に至りましてはこの選択は間違っていなかった、こう自負をいたしておるわけでございます。
 今度の児童手当というのは、ある意味においては、国民の皆さん方から手厳しい御批判を浴びるというよりは、国民の皆さん方に給付をいたすわけでございますので、余計なことをしてもらっては困るんだというようなことがあってはならないわけでございますし、この児童手当の拡充の意味というものを十分に説明しなければならない、こういうことでございます。決して論理が矛盾しているわけではございません。
○柳田稔君 消費税を引き合いに出されましたけれども、あれは今にして思えばいい制度をつくったのかなと。我々は、やり方の手順が違うと当時民社党は言って、必要だけれども手順が悪いんじゃないのということで反対せざるを得なかったんですけれども、消費税が根っからだめだと言っておったわけではなかったんですよ。ただ、今思うとほとんど皆さん賛成じゃないですか。特に、我が民主党なんかそれを財源にしてと言うぐらいですから、評価してもらってもいいと思うんですよ、我々は。そこまで成長したんですから。
 だから、自民党さんが児童手当は要るんだ、さらなる充実を必要とするといって決めたと言うんだから、方針として決めたんでしょう。「当分の間」というのは来年ぐらいにやってもらったらどうですかと。幸いにして政務次官は公明党さんの出身で、今回の改正よりもさらにもっとやろうという立場なんですから、何も不都合ないじゃないですか。あとは自民党が方針を決めたらそれを守ってやるだけの話じゃないですか。やると言ってくださいよ、大臣、自民党として、内閣の一員として。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私どもは、これが抜本的な改革だとは思っておりません。先ほどから申し上げておりますように、さまざまな問題点があることも十分に承知いたしております。
 ただ、少子化対策の重要な柱の中において、これまでは三歳未満の対象をとりあえず倍にした、こういうことでございますけれども、まずはこの法案を通していただかなければ次の議論ができないわけでございますので、一刻も早くこの法案を通していただくように御協力をお願い申し上げる次第であります。
○柳田稔君 大臣、間違えないでください、三歳までを小学校に入るまでに延ばしましたとか。前は縮めたんですよ、逆に。知っていますか。額を上げるために縮めたり、いろんな小細工はしているんです。──失礼しました、小細工と言ってはなんですけれども、いろんな方策は講じてきているわけですよ。それは総額を上げないためですよ、基本的に。
 今回はそれを倍増以上にされたんだから、それは自民党も基本方針として、基本政策の一つとして児童手当は要るんだ、充実、拡充しないといけないんだ、だから予算にも組んだし法案も出してきたんじゃないですか。それは僕は評価しますと言っているわけですよ。私も十年近く聞いていましたけれども、初めて聞いたので、さすが変わったなと。
 その上に、「当分の間」とこの法案に書いてあるので、さらに充実してくれたらどうですかとただ聞いているだけなんですよ。年齢をどうのとか、税制をどうのこうのという細かい話をするつもりは一切ないんですよ。そういう方針を決めたのなら、さらにやりますという答弁をしてくださいよ。政務次官もそう期待するでしょう。
 まず、では政務次官、期待しますと言ってくださいよ、自分の党の立場なんですから。否定はしないでくださいよ。
○政務次官(大野由利子君) 与党合意の中で平成十三年度の抜本改革へ向けての経過措置として、今年度における最善の策として法案を提出させていただいておりますが、さらに抜本改革へ向けて今後検討する、こういうふうな与党合意があるものと承知をしております。
○柳田稔君 それは手続としてわかっています。ですから、大野先生の所属している公明党さんもそうですし、大野先生自身も過去そうであったように、これはもっともっと必要なんだよ、充実するべきだという主張があったじゃないですか。ですから、その主張を与党内でもっとやってほしい。自民党もやっと方針転換してくれて、充実しますと言ってくれたんですから、今、大臣が。さらにもっと応援だってやってくださいよ。さっき大臣に聞いていたら、国民がどうのこうの、批判がどうのこうのと何か弱々しいことを言うから、それは私に任せて、私もやるから一緒にやりましょうと言ってくださいよ。そうじゃないと物事は前へ進みませんよ。大野先生もそう思いませんか。もう一回やりますと言ってくださいよ。そうしたら大臣がそれを受けてやりますと言うでしょう。どうでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 厚生大臣は国民的合意を得ながらという意味でおっしゃったんだと思います。意見の食い違いがあるわけじゃないと思いますので、それは委員の御指摘のようにしっかり国民的合意を図りながら進めてまいりたい。国民的合意を図るというのは当然でございますし、委員のおっしゃっていることと我々の考えていることに何ら差はないと、このように認識をしております。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 現時点において、最善の法案として審議をしている段階において次のことを申し上げるということは担当大臣として大変僣越なことでございますし、厳に戒めなければならない。ただ、率直に申し上げて、この問題につきましては与党間で協議があったもので、引き続き協議はさせていただけるものと、このように私どもは期待をいたしておるような次第でございます。
○柳田稔君 大臣、逃げちゃいけませんよ。僕はこれでやめようかと思ったんですけれども、また何で逃げるんですか。
 さっき、自民党はその方針を確認して法案を出したんですと言ったじゃないですか。予算も出しましたと自信を持っておっしゃったじゃないですか。だから、児童手当はさらに充実すべきだという方針に変わったとおっしゃったじゃないですか。それで倍増してやったんでしょう。最近、倍増以上やる予算なんというのはないですよ、項目を見て。珍しいことですよ。それは大自民党が方針を決めてくれたからでしょう。隣に座っている公明党さんはもっとやってほしいという立場なんだし、自民党も方針を変えたんだから。
 変えていないなら変えていないと言ってくださいよ。従来のままだと言ってくださいよ。変えたのなら、変えたと言ったんだから、その方針にのっとってやりますと言えばいいじゃないですか。違うんですか。私の方が間違っていますか。大臣の方がおかしいですよ、言っていることが。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 方針を変えたとか云々という話は別として、拡充する方向でありますから、委員から評価されておりますような倍増の拡充案を出させていただいた、こういうことを申し上げたわけでございます。
○柳田稔君 そうなんです。今はこれでいいでしょうと。細かい話は何か変な面もあるもので反対するそうですけれども、うちの党は。
 だから、今度は「当分の間」と書いてあるから、それは来年なんだというふうに漏れ伝わって聞いているんで、それに向けてもっとやってくださいよと言っているだけなんです、私は。細かい話を言うつもりはないんです。税制がどうのこうの言うつもりは何もないんですよ。さらに充実してやってください、後退などとよもや言うまいなと思っているだけなんです。だから、そのことを自民党として、今の内閣としてちゃんと答弁してほしいと言っているだけなんです。やってください。もう時間ですから。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから私も大野総括政務次官からも御答弁を申し上げておるわけでございますけれども、引き続き三党間でこの問題について検討するものと認識をいたしておるような次第でございます。
○柳田稔君 いや、手続を僕は聞いているんじゃないんです、大臣。手続の話を聞いているんじゃないんです。三党間の合意というのは、自民党がこうだと、公明党さんはさらにこうするんだと言っているわけじゃないですか。どこを見ても後退はないじゃないですか。だから、できるだけ公明党さんの考えに近い方に進むとかもっと充実しますとか、そういう答弁しかあり得ないんですよ。三党間の合意の手続というのはそうでしょう。自民党がそう決めたんだし、公明党はもっとやってくれと言っているわけでしょう。そうしたら、どちらかというともっと充実する方向しかないじゃないですか。だからそのことを一言言ってほしいなと言っているだけなんです。どうでしょうか。私、間違っていますか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) いや、三党の政策責任者の方々で協議するという問題を政府側におります私が申し上げるということは大変僣越ではないかと、こういうことでございます。
 当然のことながら、さまざまな問題点があるわけでございますが、そうしたハードルを一つ一つクリアして、国民の皆さん方の間に児童手当というものが定着できるよう期待をいたしておるようなところでございます。
○柳田稔君 時間ですので。
○委員長(狩野安君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十一分開会
   〔理事山崎正昭君委員長席に着く〕
○理事(山崎正昭君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、児童手当法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○沢たまき君 よろしくお願いいたします。
 私は、少子化対策について伺ってまいります。
 九七年十月の人口問題審議会は、報告書の中で、少子化対策の対応の基本的な考え方として二点にわたる基本的な考え方を示しております。一つは少子化の進行による社会経済全体へのマイナスの影響を小さくする方策を少子化の影響への対応として、二つ目は少子化の進行の背景にある要因自体を軽減する方策を少子化の要因への対応として示しております。いわゆる影響への対応と要因への対応です。
 当審議会の見解によりますと、総理主宰の少子化への対応を考える有識者会議は、要因への対応を中心に据えた議論として、影響への対応については要因への対応が進む中で結果として展望できるとしています。したがって、有識者会議の提言を受けた政府の少子化対策推進基本方針及び新エンゼルプランもその方向で考えられているのか、少子化への基本的取り組みについての御認識を厚生省に伺いたいと思います。
○政府参考人(真野章君) 先生御指摘のとおり、少子化の影響への対応と要因への対応というのを人口問題審議会から御指摘をいただきました。いわば、より根本的な部分が少子化の要因への対応ということであろうかと思います。今御指摘いただいた点は基本的にはそのとおりというふうに思っております。
 私ども、このような出生率の低下の要因というものに対しまして、その要因は未婚率の上昇だと、そしてその背景には、結婚に関する意識の変化とともに、男は仕事、女は家庭という固定的な性別役割を前提とした職場優先の企業風土、核家族化や都市化の進行などによる子育てや子育てと仕事の両立の負担感の増大というようなものがあると。人口問題審議会からの御指摘もそのようなことであろうかと思いまして、そういうようなさまざまな要因を除去していく、そして安心して子育てができるような環境整備を進めようという基本的な考え方に立ちまして、少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランなどを策定し、これに沿って施策を推進していこうとしているわけでございます。
○沢たまき君 私は、新エンゼルプランについては政府の努力を高く評価しております。したがって、新エンゼルプランの目標達成のために私たち自身も全力を尽くしていかなければならないと思っております。
 新エンゼルプランの着実な推進によって広範囲にわたる少子化の問題が改善なされていくことはよく理解できます。今日の少子高齢化社会はまだまだ、これからが本格的な少子高齢化が到来するわけでございます。ですから、制度の改善を推進するとともに、さらに一歩進んで制度の抜本的な改革もなされていかないと乗り切れないのではないかと思いますが、大野政務次官の御見解を伺いたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 新エンゼルプランは、昨年末に少子化対策推進関係閣僚会議で決定されました少子化対策推進基本方針を踏まえた重点施策の具体的な実施計画といたしまして関係各省庁によって策定されたものでございます。例えば、保育所の低年齢児の受け入れ枠も平成十六年度までに十万人拡大するとか、延長保育も七千カ所から一万カ所に拡大する等、大変具体的な数値目標を掲げてやっております。また、社会保障だけではなくて、雇用とか教育、住宅などの分野を含めました総合的な少子化対策を推進するためのプランでございまして、委員御指摘のような抜本的な施策に向けて第一歩を踏み出したところである、このように認識をしております。
 厚生省といたしましては、近年の急速な少子化の進行に対応するため、まずこの新エンゼルプランの着実な推進や御審議をお願いしております児童手当の拡充を行いたいと考えておりますが、将来を見据えて社会保障全体の見直しを行っていくことも大変重要である、このように思っております。
○沢たまき君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 現在、少子化社会対策基本法案が当時の与党三党と民主党の共同提案で衆議院において提出されております。この基本法では、施策の基本理念を明確にして、国の責務、地方公共団体の責務、事業主の責務、国民の責務及び必要な財政上の措置、年次報告書の提出、基本施策等を明記して定めたものです。
 現在の政府の少子化対策推進基本方針に基づいた少子化対策に対して基本法を定めることは、法的根拠を明確にして、少子化対策を国民的運動にまで広げ、実効性を確保することに資すると思いますが、政務次官の御見解を伺いたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 少子化社会対策基本法案は、超党派の少子化社会対策議員連盟の議員の皆さんによって取りまとめられたものであり、昨年の十二月に国会に提出されております。
 私といたしましても、近年の大変な少子化の進行に危機感を持って、大変御熱心に御議論をいただいて法案としてまとめていただいた皆様の御苦労に対して敬意を表したいと思っております。
 法案そのものは議員立法でもございますし、政府の立場でコメントすることは差し控えたいと思っておりますが、国民各層の皆さんの御理解をいただきながら、御協力をいただきながら少子化対策へ向けて大きく施策が進んでいくことは大変有意義なことである、このように思っております。
○沢たまき君 ぜひ基本法の制定に向けて厚生省も積極的に御協力いただきたいと思います。
 次に、少子化への対応を推進するために国民会議が設置されております。この設置目的及び少子化対策全体に対する位置づけと役割について御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(真野章君) 平成十年十二月に少子化への対応を考える有識者会議から御提言をいただきました。この有識者会議はいろんな、若い方にも入っていただいて、百五十ぐらいの項目について御提言をいただいたわけですが、その中で少子化対策の推進につきまして二つの方策を御提言いただいております。一つが、国が実施主体となるべき方策を推進するための閣僚レベルの取り組み体制を整備するということ、さらに少子化の問題は国民的な問題だというようなことで、国民的な広がりのある取り組みを推進するための各界関係者の参加による国民会議を設置して取り組みを推進すると、この二つの御提言をいただきました。
 この提言を踏まえまして、平成十一年五月に政府の方では少子化対策推進関係閣僚会議を設置いたしまして、十二月に先ほど来出ております少子化対策推進基本方針を策定いたしました。それから、もう一つの国民的な運動ということで、平成十一年六月に、内閣総理大臣の主宰のもとに、広く各界から御参加をいただきまして、今、先生御指摘の少子化への対応を推進する国民会議というものを設置いたしました。
 この国民会議では、有識者会議が提言いたしました百五十ぐらいございます具体的方策につきまして、それぞれ担当する施策を推進するとともに、その進捗状況及び今後の実施方法などにつきまして情報を交換し各施策の推進に資する、さらには少子化への対応に関しまして広く国民に向けた情報発信を行うこととされているわけでございます。
○沢たまき君 概略を御説明いただきましたけれども、その開催をなさった状況とか審議の内容について、それからさらに今おっしゃいました広く国民に向けた情報発信というのは具体的にはどうしていらっしゃるか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(真野章君) 国民会議の第一回会合は、昨年の六月三十日に開催されました。先ほど申し上げましたように、有識者会議の提言の具体的方策につきましてそれぞれ情報交換をし推進していこう、それから少子化への対応に関しまして広く国民に向けた情報発信を行おうというこの二つを会議の課題とし、実際には実務者レベルで構成いたします国民会議幹事会というものを設けまして、そこでいわば具体的な検討を行おうということになりました。
 この幹事会は昨年の八月以来七回開催されまして、それぞれ参加団体でどういう取り組みを行っているか、そういうような報告を受けましたり意見交換をし、または国民会議として今後どういうふうに取り組んでいこうかという検討を行ってまいりました。
 国民会議の第二回会合は、先月の四月二十五日に開催されまして、幹事会で検討してまいりました国民会議の当面の取り組み方針「国民的な広がりのある取組みの推進について」というものを決定いたしました。これは、いわばどういう課題についてどういう実施主体が取り組んでいこうと、そういうものをそれぞれの参加団体が私どもはこういうことをやりますということを意見表明していただいたものの集大成でございますが、それを国民会議として決定していただきまして、広くそれぞれの参加団体で鋭意取り組みをしていただこうということになりました。
 また、同日には、その若干前でございますが、四月二十日に日本経営者団体連盟と日本労働組合総連合会の間で取りまとめられました「子どもを産み育てやすい社会をめざして」と題しました少子化問題についての労使の共同アピール、労使の取り組みとして共同でやっていこう、そういうアピールについても意見交換を行ったわけでございまして、それぞれ参加団体の取り組みの鋭意推進をお願いしたわけでございます。
 具体的には、国民会議では、ことしの三月に国民会議とともに考える少子化問題シンポジウムというものを国民会議と関係団体で開催を行いまして、少子化問題に対するイベントの後援を行ったわけでございます。
 また、第二回国民会議で了承されました取り組みの推進に基づきまして、例えば家庭や子育てに夢を持つことができるような環境整備を地域、職場、学校で進めていくことを呼びかける全国的なキャンペーンを実施することといたしております。
 さらに、国民会議の参加団体、日本経営者団体連盟でありますとか日本商工会議所、また全国地域婦人団体連絡協議会、全国農業協同組合中央会、日本PTA全国協議会、それぞれの分野で各団体が会報、ホームページ等によりまして積極的に広報をしていただこうということで取り組んでおります。
○沢たまき君 ありがとうございました。
 いずれにしましても、少子化は政府と民間が一体となって取り組まなければならない問題ですし、国民会議がその意味で機能することを期待しております。
 少子化自体は先進国における世界的な傾向でありますし、日本独自の問題ではありませんが、問題は諸外国においては低下傾向がほぼ底をついており、出生率も上昇に転じています。出生率の最も低いドイツにおいても回復の傾向にあります。その中で日本だけがなぜ低下傾向にあるのか、大変心配です。
 先日のこどもの日、総務庁が発表した人口推計によると、十五歳未満の子供の数は一千八百五十八万人で去年より三十万人減っている、十九年連続で前年を下回って少子化への傾向はなお続いていると出ておりました。
 私は、日本の出生率について、一・三八から現在なお低下傾向にあると認識しておりますが、出生率の低下に対する危機感の認識はいかがでございましょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、先ほどから御議論を賜っておるわけでございますけれども、近年の急速な少子化の進行によりまして、我が国の経済のみならず社会全体に大変な影響を与えるのではないかと私ども懸念をいたしておるような次第でございます。
 特に、我が国の社会面におきましては、子供の数の減少などによりまして、子供の健全育成への影響であるとか家族の変容、さらに過疎化の進行などのマイナスの影響を与えることが懸念されておるわけでございますし、先ほど来御議論を賜っておるように、社会全体で取り組むべき喫緊の課題であると考えておるような次第でございます。
 御案内のように、現在は一億二千六百七十四万人、出生率が一・三八でございますけれども、一・六一まで回復いたしましても将来の人口推移は六千七百三十七万人に半減するということで、私どもは大変な危機意識を持っているような次第でございます。
 先ほど来申し上げておりますように、結婚や出産はあくまでも個人の自由な選択にゆだねられるべきものでございますけれども、政府といたしましては、こうした少子化の背景に対応して、子育てであるとか仕事と子育ての両立の負担感を緩和するためのさまざまな環境整備というものを進めていかなければならないし、そして若い男女の方々が結婚や出産を望んで、その希望が実現できるような社会を確立していくことが何よりも先決である、このように考えているような次第でございます。
○沢たまき君 本当に危機感を持って今後も十分警戒していく必要があろうと思います。
 次に、児童手当に関して伺ってまいります。
 本法律案についてお母さん方から大変関心が高く、いつからいただけるのかとの問い合わせがたくさん来ております。
 そこで、まず、本法律案の児童手当の支給開始時期、それから認定請求手続開始時期、認定要件について確認しておきたいと思いますので、簡単で結構です、あと十分しかありませんので、御説明いただければと思います。
○政府参考人(真野章君) 今回の改正は、本年六月一日からの施行を予定しております。児童手当の支給は年に三回でございまして、二月、六月、十月にそれぞれ前月までの分、四カ月分を支払うということが原則になっておりまして、今回の改正による新たな手当の支給は原則として十月から開始されるということになります。
 また、新たな手当の認定請求につきましては、経過措置といたしまして、六月一日における支給要件に該当することを条件に、改正法の公布の日から行うことができるということにいたしております。
 また、児童手当は申請月の翌月から支給されるというのが原則でございますが、この原則に対しまして、九月末までに認定請求を行っていただければ六月分からさかのぼって支給する経過措置も講じております。
 それから、新たな手当の認定要件でございますが、三歳以上義務教育就学前の児童を監護していること、それから養育者が児童と生計を同じくしていること、一定の所得制限額を超えないことでございます。
○沢たまき君 済みません。ちょっと時間がなくなりましたので、一つ飛ばさせていただきまして、児童の養育に対する税制のあり方について大蔵省に伺います。
 少子化対策の具体的施策であります新エンゼルプランについて大蔵省も関係しているわけですが、新エンゼルプランに対する大蔵省の役割について概略御報告いただければと思います。
○政府参考人(藤井秀人君) お答えいたします。
 政府といたしましては、これまでもエンゼルプランあるいは緊急保育対策等五カ年事業というような計画に基づきまして、各般にわたり所要の対策を推進してきたところでございます。
 御案内のとおり、昨年の十二月、少子化対策推進基本方針、これが策定されたわけでございますが、これを踏まえまして、雇用、保育、教育、住宅等各分野におきます重点施策、その具体的実施計画といたしまして、今御指摘のとおり、大蔵大臣を含めまして六大臣の合意によりまして新エンゼルプランが策定されたところでございます。
 同プランを踏まえまして、平成十二年度予算におきましても、保育サービスなどの子育て支援サービスの充実あるいは仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備を初めといたしまして、総合的な少子化対策を推進するため、例えば厚生省で申し上げますと、厚生省の新エンゼルプラン関係予算、十二年度で二千九百四十一億円ということでございますが、そのような重点的な予算の配分を行ったところでございます。
 今後とも、財政当局といたしましても、引き続きこのプランの着実な推進に努めるべく各年度の予算編成で努力をしてまいりたいというように考えております。
○沢たまき君 ありがとうございました。
 次に、有識者会議の提言によりますと、子育ての経済的負担、社会保障制度のあり方を検討することとして、具体的に六点について政策としての有効性と効率性などの観点に着目しながら検討を進めることとなっております。連立与党少子化対策検討会の総合的少子化対策の推進に関する提言では、児童手当については、将来のあり方と財源については所得課税の諸控除の整理等及び社会保障制度との関連等にも留意しつつ引き続き検討をすることとしております。
 大蔵省は所得課税の諸控除の整理についてはどういうお考えをお持ちなのか、お伺いいたします。
○政府参考人(福田進君) 一般論といたしまして、扶養控除を含みます各種の控除制度につきましては、これが非常に数が多い、あるいは複雑になっているという御指摘もございまして、私どもといたしましては、社会経済情勢の変化、その創設の趣旨、目的に照らしつつ、その整理合理化について今後とも幅広く検討していく必要があると考えております。
○沢たまき君 そこで、少し具体的に伺いますが、現行の年少扶養控除は、夫、妻、十六歳未満の子供三人で計五人家族の場合、所得税、住民税の扶養控除は、二〇〇〇年の三十八万円で計算していただきますと、年収百五十万、三百万、六百万、九百万、千五百万円で、それぞれ扶養控除の減税の額はどうなりますか、ちょっと御報告いただけますか。
○政府参考人(福田進君) 今、先生御質問のように、夫婦それから十六歳未満の子供三人の合計五人家族の場合、扶養控除三十八万円といたしまして、この適用があるのかないのかによる所得税、個人住民税への影響額でございますが、年収百五十万円の場合にはゼロでございます。年収三百万円の場合には、所得税で四万五千六百円、個人住民税で三万六百円、合わせて七万六千二百円でございます。年収六百万円では、所得税九万一千二百円、個人住民税八万三百二十五円、合わせて十七万一千五百二十五円でございます。九百万円のケースでは、所得税が十八万二千四百円、個人住民税九万九千円、合わせて二十八万一千四百円でございます。千五百万円のケースでは、所得税三十四万二千円、個人住民税十二万八千七百円、合わせて四十七万七百円でございます。
○沢たまき君 年収百五十万円以下はゼロ、年収千五百万で四十七万七百円、これはちょっと不公平で、児童養育という面から見るとちょっと信じられませんね。反社会的と言っても過言ではないのではないかと思います。
 宮澤大蔵大臣は私の代表質問に対して、扶養控除から直接給付への統合について、税制の面からは、各種の控除があって、扶養控除を廃止、縮小すると扶養控除があるかないかで世帯構成に配慮した税負担の調整機能が失われる、あるいはそのほかの人的控除とのバランスをどうするかという問題があるので、そのような点も含めて議論し、検討していかなければならないというお話でございました。
 ただ、このように今御報告いただきました高額の所得者ほど恩恵をこうむることになることに対して、少子化対策の点から問題意識をお持ちなんでしょうか、その点を確認させていただきたいと思います。
○政府参考人(福田進君) 基礎的なことを申し上げて恐縮でございますが、そもそも個人所得課税におきましては、納税者本人の所得の多寡にかかわらず、世帯構成に応じて基礎的な人的控除を差し引くことによりましてまず担税力に応じた課税所得を算出いたしまして、これから重要なんですが、これに累進的な負担を求めていく、一〇%、二〇%、三〇%、三七%、これは所得税のケースでございますが、こういった累進の負担を求めていくわけでございます。納税者に扶養親族がおられる場合には、その人数等に応じた扶養控除を適用することによって税負担に配慮しているところでございます。
 したがいまして、今申し上げましたように、所得税が所得再分配の効果をねらって累進的な税率構造をとっております以上、控除によりましてベースが縮小する、つまり負担を調整する場合も、裏返しとして、その反面の効果として高額所得者の方が税額への影響は当然大きくなる、これはある意味においては当たり前で、システムとしては当たり前でございます。したがって、この話と、それから先生今御指摘のように児童手当等との関係でどういうふうに考えるかというのは私は別の次元の問題ではなかろうかと思っています。
 いずれにいたしましても、今御議論ございますように、扶養控除あるいは児童手当のあり方につきましては、所得控除全体の見直し、あるいは社会保障制度のあり方との関連において慎重な検討を要するものと考えております。
○沢たまき君 別の次元とおっしゃいましたけれども。
 次に、児童手当の財源として、これも大臣に伺ったとき、年金積立金などの活用については、丹羽厚生大臣は性格が違うということで慎重な検討が必要であるという御答弁をちょうだいいたしました。このことはよく理解できます。
 しかし、今日、若い世代からは残念ながら年金に対する不信感は大変強いものがあります。それは何といっても世代間の不公平ということが主な要因であろうと思っております。冒頭に抜本的改革が必要だと申し上げましたのはここにあるわけでございまして、したがって、若い世代が遠い将来に受けるであろう年金の運用益と申しましょうかその本体自身といいましょうか、その範囲内において児童手当の財源に充てることによって若い世代が年金を身近に感じることができる、私はそういう意味でメリットがあるのではないかと思っております。
 少子化対策を社会全体で見る、責任を持っていくということからも、世代間の公平という観点からも大変合理性があって、国民の理解も得やすいのではないかと私は思っておりますが、丹羽厚生大臣の御見解をまた改めて伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、年金の積立金の運用益を児童手当の方に流用してはどうかと、こういうような御指摘でございますが、最近のこの運用収益でございますが、平成十一年度が五兆一千億、平成十二年度が四兆七千億でございます。その一方で、いわゆる保険料の収入というものが二十三兆一千億、二十三兆二千億、これは十一年度、十二年度でございますが、こういうこともございまして、十一年度、十二年度は運用収益を実は既に一部使用しておると、こういう状況でございます。
 前回も申し上げまして、また繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、委員も御指摘がございましたように、年金の積立金はあくまでも将来の年金給付に充てるという約束のもとに積み立てているものでございます。これをこういった別の目的を持つ制度の財源として使うということが果たして年金の拠出者の理解が得られるかという問題がまず第一点としてあるんではないか。
 それから、今申し上げましたように、年金財政は、昨年度から保険料を凍結いたしておりますために保険料収入が支出を下回っていると。こういうことで、既に運用益というものを充当せざるを得ないような状態になってきているんだと、こういうことではないかと思っております。
 今回の年金制度の改正は、将来世代の負担の軽減と給付の抑制を図るということがねらいでございます。その一方で、委員が御指摘のような若い方々が年金に対する不安を持っておるわけでございますので、将来世代の保険料の軽減に充てるべき年金の積立金を使って新たな給付を創設するということは将来世代へのツケの回しになるんではないかと、こういうような心配があるわけでございます。
 私は、年金の問題は、今回の改正におきましても、例えば学生の十年間の猶予であるとか半額の免除制度というものを決めました。それから、これは附則でございますけれども、できるだけ早いうちに国庫負担というものを三分の一から二分の一に引き上げるということが附則で認められておるわけでございますので、こういった問題を一つ一つ解決することによって若年世代の御理解をいただけるものと確信いたしておるような次第でございます。
○沢たまき君 終わります。
○井上美代君 一昨日に引き続きまして質問をさせていただきます。
   〔理事山崎正昭君退席、委員長着席〕
 私は、まず大臣に御質問させていただきますが、先日、静岡で三十五歳の母親が六歳の子供をせっかん死させたという報道がありました。非常に大きなショックを受けておりますが、離婚をきっかけに三人の子供のうち一人を自分が育てていたわけです。そして、四月から放浪生活をやっていたというのですけれども、その背景に経済問題というのが大きくあったということが報道されております。
 この子供の場合には、児童手当、そしてまた児童扶養手当は受けられるはずだったんです。額は少ないといっても、それが受けられていたら少しの希望はあったのではないかというふうに思っているのですが、どのようになっていたのか、行政とのかかわりでお聞きしたいと思います。
 以前、埼玉で母子家庭の子供が餓死をするという事件があり、厚生省は制度の周知徹底の指導を行われました。事実関係を調査するべきだというふうに思っているのですが、行政として申請しなければ支給はないのだと、そういう言い方で済むのかという気がするのですけれども、いかがでしょうか。大臣にお願いをいたします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員が御指摘の平成十二年五月、みずから連れていた児童を母親が殴ったりけったりして死に至らしめたということはまことに痛ましいことでございまして、経済問題ということで片づけるには余りにも問題の重要性というものが大きいのではないかと、私はそう思っておるような次第でございます。
 厚生省といたしましては、児童の虐待の発生を未然に防止し、健やかな親子関係をはぐくむために、地域において子育ての悩みあるいは養育に関する相談体制を整備するということが何よりも大切であると、こう考えているような次第でございます。児童相談所の体制整備を初め、保育所を活用した地域子育て支援センターであるとか児童家庭支援センターなど、こういった問題が身近に相談できる体制の整備に努めていくことが何よりも必要だと思います。
 なお、この方の場合には児童扶養手当もいただいてはおるというふうに聞いておるわけでございますので、経済的な問題もさることながら、そういったような問題も私どもは十分にケアをしなければならないと考えている次第でございます。
○井上美代君 今の社会状況からすれば、大臣が言われたことは早急に必要だと思うんです。次の犠牲者が出るということは十分あり得るわけで、そういう意味でも身近なところでそういうものがあるんだということも知らせていかなきゃいけませんし、いつでも迎え入れられるところをつくっておくということが大事かというふうに思います。
 次に進みますけれども、前回の審議の中で、一昨日ですけれども、経過措置ということを随分言われました。過渡的な措置とも言われたのですけれども、私は、大臣が言われておりますこと、経過措置とか過渡的なことというだけで、私たちがああそうですかと信じられるほどに現実は甘くないです。そういう点では、やはりきちんとやってくださることがこの手に乗らない限りは、経過措置や過渡的措置ということで見過ごすことはできないということははっきりしているというふうに思います。
 大臣は児童手当を具体的にいつやろうと思っておられるのか。それから、支給の年齢を上げなければいけないという方向にあるやに私は受けとめておりますけれども、いつどのようにしてやろうとしておられるのか。その答えは一昨日はなかったんですね。それで、与党の意見も集約できていないというふうに言われた。支給年齢も支給額もそれから事業主の負担のあり方も、はっきりした方針を持たないでちぐはぐなままに法案を提出しておられるというところに問題があるのではないか。このままでやっていくのかどうかということです。だから、やはりいつどこでどのようにというのを大臣には答えていただきたいというふうに思います。
 児童手当の目的というのがあるわけなんですが、この目的に照らしても、今の支給のやり方が支給額においても、そしてまた年齢においても本当にふさわしいものになっていないということは、一昨日、私は繰り返し申し上げたんですけれども、そういうことだと思うんです。大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) この問題につきましては、繰り返し答弁をさせていただいておるわけでございますが、昨年の予算編成時におきまして与党三党の合意を受けましてこのような結果になったわけでございます。
 確かに、委員が御指摘のような財源の問題であるとか、さらに事業主の負担のあり方であるとか、そして将来この対象年齢をどうするのか。そもそもの児童手当の位置づけ、こういった問題について十分な議論を深める中においてきちんとした方向性というものを見出さなければならないと、こう認識をいたしておるわけでございますが、御案内のような少子化対策の中において、その一つの象徴的なものとしてこの児童手当の問題が国民的に大変大きな議論を呼んでおるわけでございます。
 そういう中において、扶養控除との絡みでございますけれども、とにかく赤字国債を発行しないでその中においてこの児童手当をまず拡充することが先決である、午前中もさまざまな御指摘を賜ったわけでございますから、そういうことからスタートしたわけでございます。
 それから、私がかねてから申し上げておるわけでございますけれども、事業主の負担が七であって公費の負担が三であるということは、本来のあるべき姿からしてもっと公費というものが積極的にこの問題に関与していっていいのではないかと、こういうようなことで、今回、先ほど来御質疑が行われておりますように、とにもかくにも対象年齢が就学前までの倍に引き上がったということ、そして額が二倍になったと、こういうことであります。
 私どもといたしましては、この児童手当の問題につきましてさらに国民的な定着あるいは深まりというものを目指しながら、今後与党間で十分に協議し、私どももその場において申し上げることは申し上げて、ひとつ国民の皆さん方にあえて児童手当というものが少子化対策の重要な柱の一つとして位置づけられるように期待をいたしておるところでございます。
○井上美代君 御答弁いただきましたけれども、話し合いでやっていくというのをもう一息確約してもらわないと。しかも、私は今の大臣の御答弁を聞いていて思うのですが、六歳未満までにしたということをぐっと前に押し出されますけれども、それは一千六百万の子供たちの子育て増税で埋めるわけでしょう。そのことを私はもっと一緒に出してほしいと思うんですよ。
 それはもちろん大蔵省の問題だ、異なる問題だということも言われましたけれども、そうではないんです。もらう子供たちにしてみれば、一方には六歳未満、一方には増税と来ているわけですから、これは本当に国民にとって矛盾を起こしているんですね。だから、やったやったでは済まないんだということを認識してほしいというふうに思います。
 それで、増税の一千六百万人ですけれども、やはり一千六百万人の子育て増税が出る、ここのところには今日の非常に深刻な暮らしがあるわけです。きょうも傍聴人が見えておりますけれども、皆さん方の生活というのは聞けば聞くほど大変なんですね。
 私が会長をしております新日本婦人の会の家計簿調査というのがあります。もう既に二十五年間続けておりまして、九九年五月の数字を見ました。五月というのは、国民の生活状況からしても一番その特徴がわかる月なんですね、年間の中で。だから五月をとって見たわけですけれども、医療費はこの五月は若干低くなっていますけれども、大体年間を通じて平均的な数字が出てくるわけなんです。子どもの数も二人とか三人とかいろいろなんですけれども、それを見ますと、長子が未就学の世帯の場合とそれから中学生の場合のサンプルを調べております。
 医療費とそれから教育・育児費を見てみますけれども、医療費は未就学の場合は三万五千二百六十八円ということで、これは高いです。上の子が中学生という場合は一万五千百二十三円です。また、教育・育児費を見ますと、未就学の場合は二万三千五百五十七円です。しかしながら、中学生の場合は十万三千二百三十二円となります。そして、中学生の場合は学校の納入金が二万四千八百三十八円とかとありまして、また塾やおけいこ代もかかります。そのほか給食代だとか放課後などの部活にもお金がかかるし、それから通学費用などを入れてもそのほか三万五千六百九十六円というふうにお金がかかります。未就学の場合も医療費が非常に高いんですね。小中学生になればかからなくなるのですけれども、未就学のときには医療費がかかるということがあります。そしてまた、小学生、中学生の場合には食欲がありますので、食費が未就学世帯の一・五倍ぐらいかかっておりまして、金額でいいますと十万九千円かかっているんですね。
 こういう数字を拾って見ておりますと、先ほど学校に行けば授業料もかからないからお金はかからないようなお話があったんですけれども、小学校、中学校という義務教育でもこれだけのお金がかかっているということを、ちょっと数字がややこしくてわかりにくかったと思いますけれども、訴えさせていただきました。
 児童手当の目的からして、支給額も今のままではだめだというふうに思うんです。だから、支給額をふやして、支給年齢を十六歳未満にするという決断をしていくことが重要だと思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) この問題につきましては先般来さまざまな御意見が出されておるわけでございますけれども、今回、私どもはこれまでの三歳未満児から就学前までに延長する、こういう方向を打ち出させていただいた次第でございます。
 その前提といたしまして、これもさまざまな党から賛同を得ておるわけでございますけれども、扶養控除と児童手当のあり方について議論をしたらどうか、こういうようなことでございますし、結局、赤字国債を残して子供さんたちに差し上げることによって、その子供さんたちが将来赤字を負担するということは避けるべきだというようなことが大多数の意見ではないか、こう考えているような次第でございます。
 そういった観点で、とにかく私どもは、今御審議をいただいておりますのは就学前でございますので、それを通り越して何歳以上がいいとか悪いとかということを今申し上げることは適当ではない、こう考えているような次第でございます。まずは、こういったような中で法案が提出されておるわけでございますので、御賛同を賜りまして、そして今後、先ほどから申し上げておりますような扶養控除と児童手当のあり方、さらに対象年齢の問題、それから所得制限の問題、こういった問題について議論をさせていただくことが最も現実的ではないか、このように考えているような次第でございます。
○井上美代君 今御答弁いただいて、大臣のお気持ちはわかりますけれども、やはり十六歳未満まで増税にするということで来ておりますので、やはりそこのところをきちんとやっていくということなしに増税は認められないというふうに思うんですよ。だから、十六歳未満までの児童手当の支給の方向を出してほしいんですけれども、いかがですか。検討というふうに言われても困るんです。だからそこを出していただきたいんです。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 増税は認められないということでございますけれども、その前提といたしまして、やはり扶養控除と児童手当の制度の位置づけというものを議論しないで負担が重くなったかどうかということは、ちょっと私は問題を残すのではないかと思っています。
 私どもは、先般来申し上げておりますように、扶養控除というものはどちらかというと高所得者に対して大きい効果を有するんだ、それから非課税世帯には効果がないんだ、こういうような観点でございますし、一方で児童手当というのは定額で高所得者には所得制限がある。こういう違いを、政策的な判断でございますので、十分に勘案をしながら、そして財政、税制を通じて私どもは少子化対策の重点化を図る、こういう観点からこのような法案を限られた財源の中で出させていただいたということをぜひとも御理解賜りたいと思っておるわけでございます。
 また、この子育て支援基金というものを、現在九百億円から四百億円計上いたしまして千三百億円になりまして、小中学生や小中学生の家庭に対する支援事業、ボランティアなど民間団体の子育て支援、こういうものに活用させていただくということでありまして、単に負担が重くなったか重くならないかという視点だけで議論できる問題ではない。総合的に御理解をいただきたい。そして、これも児童手当と同時に、私どもは奨学金制度の拡充、こういうものを図っているんだということをぜひとも御理解賜りたいと思っております。
○井上美代君 大臣に認識していただきたいのは、扶養控除と児童手当の関係、一方を増税して、それで三百万人に児童手当。一千九百万人を増税して、そして三百万人のところに充てるという、子供たち一人一人がこのことを知ったら子供たち同士でけんかになる、そういうやり方をしているところに問題があるということを申し上げているんです。
 しかしながら、ここだけあれしていても時間が過ぎていきますので、次に移らせていただきます。子育て支援基金四百億についてはこの後でまたお聞きしたいと思います。
 私は、国民の生活実態を本当につかまれているのかなというのが非常に大きな疑問です。ある家庭の例を挙げますけれども、九歳と六歳、三歳の子供を持つ四十歳の女性の声があります。その方は、うちは企業の宣伝物をつくる事業をしていて、国民年金に加入しています。ことしになってほとんど仕事がありません。国保料を減免してもらい、そして就学援助を受けながら不況の中で必死に子育てしています。なのに一円も児童手当をもらえませんと。急に所得が減った場合どうなりますかと区役所に行ったら、次の年度でしかもらえないと言われたというんです。仕事がなくなって一番欲しいときになぜもらえないのかという疑問を投げかけておられるんです。
 これは法律の上ではそうなっているのかもしれないけれども、しかしながら現状というのは非常に深刻になっているわけです。だから、国保の減免や就学援助というのはその時点での収入の実態を評価されるのに、児童手当は前年の所得で判断されるためだということがわかったわけです。そして、その所得制限が余りにも低過ぎるということなんです。
 そこで、非被用者、自営業の人は扶養家族三人の場合で所得二百八十四万円、収入で四百三十二万円を超えると児童手当がない。この人の場合、ほとんど仕事がなくなったというのになぜ考慮されないのか。
 大臣は、高額所得者とは児童手当の所得制限を超える人が高額所得者だと回答されましたけれども、児童手当の所得制限はどのような根拠で決まっているのか、参考人、よろしくお願いします。
○政府参考人(真野章君) 児童手当の所得制限でございますが、扶養親族の数に応じて政令で定めるということにされております。具体的な所得制限限度額につきましては、毎年、予算編成の中で所得等の伸びを勘案して設定するということでございまして、現在、支給率がおおむね七割となるよう限度額を設定しているわけでございます。
○井上美代君 私は、国保料や就学援助はその時点で評価されるのに、なぜ児童手当はできないかと。しかも、今日の長引く不況の中ではその矛盾というのが本当に露骨に見えてきているんです。だから、そういう意味でこうした問題についてもきちんと検討していかなければいけないんじゃないか、どうしていくかということをやっぱり考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 所得の把握の問題だと思いますけれども、当然のことながら前年の所得を把握して、そしてそれに基づいて所得制限なり、給付するものは給付するということが、これは児童手当だけでなく、さまざまな問題においてもそのような措置がとられているものと承知いたしております。
○井上美代君 生活の現状の厳しさを思い、私はこうした問題について検討をしてほしいと思っています。
 また生活の大変なところにいきますけれども、児童手当の所得制限が今二重にやられておりますね。これは衆議院でも質問が出ておりましたし、はっきりしているわけです。この説明では、自営業者と被用者とで所得の形態が違うからと。自営業については扶養親族二人で二百四十六万円と低く抑えられております。所得制限について二つの所得制限があるというのは児童手当にしかないこと、これは四月十四日に衆議院で日本共産党の瀬古議員に答えておられますけれども、児童手当にしかない二重の所得制限がかかっているんです。
 これはこの制度ならではの矛盾だというふうに思っております。これは何回かこの間も言っていますけれども、被用者と非被用者、いわゆるサラリーマンと自営業と説明されているんですけれども、非被用者に含まれている自営業者、非被用者に入っている人たちは事業者だけなのかということをお聞きしたいと思います。
 児童手当における事業主の拠出金は厚生年金に上乗せされて拠出されているのですけれども、そうなると、厚生年金に加入していない事業所で働いている労働者、サラリーマンの場合の所得制限はどうなるのかということですね。
 また、先日の完全失業率が男性で五%を超えて五・二%でした。そして、過去最高ということで男女合わせまして三百四十九万人の失業者が出ているわけなんです。この失業者の場合にはどういう扱いになるのかお聞きしたいのです。
○政府参考人(真野章君) 児童手当制度におきましては、制度発足当時から事業主負担を求めるというようなこともございまして、適用関係につきまして、いわば公的年金の適用関係を土台として制度を組み立てるということをやってまいりました。
 したがいまして、児童手当制度の被用者というグループは、厚生年金の適用を受けているグループを被用者としておるわけでございまして、共済年金を除くそれ以外の方々については被用者でない人、そこを便宜自営業者というふうに表現してきておりますので、若干表現上問題があろうかと思います。
 整理といたしましては、厚生年金の適用を受けている方々を被用者とし、それ以外をその他というふうに区分をしているということでございまして、今御指摘がありました厚生年金に加入していない、厚生年金の適用事業所でないところに働いておられる方、また失業して働いておられない方というのはいわゆる被用者でないグループに属するということになります。
○井上美代君 今御答弁がありましたけれども、非被用者の中には厚生年金に加入していない人も含まれるというのが今の答弁です。したがって、前年の所得で判断されるので、失業者でも前年所得があれば支給されないということです。これは、本当に低所得者が今ふえている、失業者がふえている、厚生年金を外れる人がふえている、そういう中でやはりこの問題というのは検討をされなければいけない矛盾を持っているというふうに思います。
 次へ進みますけれども、児童手当における受給資格が消滅状況になっているということですが、どういう状況になっているかということをお聞きしたいと思います。
 特に多いのは、所得制限で収入が六百七十万円までの特例給付を受けている人が非被用者となったことです。それで、その人数なんですけれども、一万九千二百十三人資格を失ったということなんですね。その内訳、いわゆる状況を教えていただきたいんですけれども、参考人、お願いいたします。
○政府参考人(真野章君) 平成十年度で非被用者となったことによりましていわゆる特例児童手当の受給資格を消滅された方は、今、先生おっしゃられましたように一万九千二百十三人ということでございます。ただ、私どもは、統計上どういう理由で非被用者となったかということを調査はいたしておりませんので、いわば受給資格が消滅することとなった理由のその詳しい内容というのは残念ながら把握をいたしておりません。
○井上美代君 やはりここの中に失業者や自営業への転身、こういう者が入っているということは確かだと思います。厚生省からいただきました資料には、リストラによる失業者、会社勤めをやめ自営業を始めた者、会社の倒産による失業などというのが明記してありますので、そういう人たちが入るということがはっきりしているというふうに思います。
 ここで確認をしたいわけですが、厚生年金未加入になった人も入るということでよろしいんですね。
○政府参考人(真野章君) 厚生年金未加入というのはちょっと意味が必ずしもはっきりしておりませんが、勤められておって、そしてそこから厚生年金の適用を受けなくなったという方が今いわゆる非被用者、要するに被用者ではなくなるということに関してはそのとおりでございます。
○井上美代君 ということで、今質問したことによりまして、いかにリストラの中で苦しくなった人たちが受けられないかということがはっきりしてきていると思います。
 二重の所得制限があるために、収入は減ったのに児童手当がもらえなくなるというケースが生まれてきているということ、これはおかしいですね。現実としてはおかしいです。我々人間の生身の生活をやらなきゃいけない私たちにとっては非常におかしなことだと思うんです。失業、リストラ、それから事業悪化による厚生年金脱退者などの事態が起こる中で受給資格の消滅というのは、このように本当に多方面で起きているということが問題だと思います。
 事業主により拠出金が厚生年金に上乗せをされているのはあくまでも便宜上のことで、厚生年金に入っていなければ自営業者とみなされ、そして児童手当が、低い方の所得制限に押さえられて支給されないということ、それは法的な根拠というのはないわけです。特例給付は、先ほど参考人が言われましたように、労働者が失業すると収入が不安定となるわけなんです、最も苦しいときなんです、その人にとっては。そこで児童手当が支給打ち切りになるのでとても大変だということですけれども、これをどういうふうに考えておられるのか。
 そしてまた、これら児童手当の目的というのがあります。目的はすばらしい目的なんです。児童手当というのがなぜ出るかということは、「生活の安定に寄与するとともに、次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資する」と書いてあるんです。この目的からしても私は目的に反するのではないかと思っているわけなんです。
 厚生年金の保険料に上乗せをして事業主から児童手当の拠出を徴収するというのはあくまでも便宜上やっていることで、便宜上の第二次的なものが目的達成を阻む理由になっているのは本末転倒ではないかというふうに思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか、参考人のお話も伺いながら。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ちょっと十分にまだ理解できない点があって恐縮でございますが、要するにこれまではサラリーマンとして所得制限の中にあった者がサラリーマンではなくなって自営業者として受けた場合にどう扱われるかという問題でございますけれども、児童手当につきましてはさまざまな経緯、午前中も申し上げましたけれども、こういう経緯の中でいわゆる所得制限というのが二段階に分かれておるわけでございます。
 一つは、御案内のような特例給付というものが設けられておりまして、サラリーマンの場合には六百七十万まででございますし、自営業者の場合には四百三十二万五千円というふうになっておるわけでございます。今、委員が御指摘になりましたように、失業している方については、現に被用者でなくなっている以上は事業主が拠出金を納めていらっしゃらない、自営業者と同様に所得制限を適用していくということ、論理的にそういうような適用をされるものと、こう考えておるわけでございます。
○井上美代君 目的との関係は。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 目的はあくまでも、ですから所得に応じてこのような所得制限というものが設けられておるわけでございますし、目的そのものは変わらないということであります。ただ、大変不幸なことでございますけれども、サラリーマンでいらっしゃっても、現に今、委員が御指摘のような問題が生じた場合にはこういったような自営業者と同じような対象になる、このように理解をいたしておるような次第であります。
○井上美代君 児童手当の目的というのが立派に据わっておりますので、これにきちんとふさわしくやっていかなきゃいけない。私は、低所得者と一口で言いますけれども、それがどんなぐあいに深刻なのかというのを一つ一つ家計簿から順々に、そして倒れた例を挙げながら言っているんです。そして、そういう人たちがもう倒れた途端に捨てられちゃうんです。はじかれちゃうんです。そういうのはどうなのかということを大臣にお聞きしているわけなんです。
 また、私はこれまで二重の所得制限があることについて、さらに雇用者と自営業者では所得形態が違うからと言ってきました。しかし、厚生年金未加入の雇用者も自営業者とみなされ、同じ所得形態であるにもかかわらず低い所得制限でカットされるのは納得できないということを言っているんです。
 また例を具体的に言いたいんですけれども、厚生年金の加入率は大企業よりも中小企業の事業所の方が低くなっているんです。それは厚生大臣も御存じと思いますが、厚生年金の加入率が中小企業の方が低くなっていて、厚生年金に加入義務のない四人以下、いわゆる中小零細業者ですけれども、ここで働く場合には男性の平均所得というのは二百五十万円ほどなんです。そうすると、厚生年金に未加入の場合、所得制限に引っかかって児童手当を支給されない人が出てくるということなんです。
 例えば、今財界が進めている雇用流動化という政策があるわけですけれども、七十万人ほどの派遣労働者がいます。この部分の厚生年金加入というのは非常におくれています。それでもひところよりは随分入れているんです。大体六割しか加入していないということが東京都の調査で出ております。だから、東京の基準ですけれども、大体その辺が一つのめどになるかなというふうに思います。こうした派遣労働者についても低所得者ということが言えると思うんですが、今日の不況の中で、不安定で所得が低い人ほど児童手当がもらいにくくなる、次々出てくる人たちがそういうふうになっているわけなんです。
 それで、児童手当が拡充された三歳以上の就学前の児童がいるサラリーマンや公務員の特例給付部分、つまり年収が六百七十万円までは今回全額公費で支給されることに変更されたのですけれども、厚生年金に加入できない人についてはその部分が支給されないというふうになっているのは先ほど申し上げたとおりでございます。
 被用者、非被用者という言葉がまた全然どういう人たちなのかわかりにくいかと思いますが、すべての児童が特例給付の所得制限のところまでせめて支給されるとなれば、支給額というのは一体どのぐらい要るのか教えていただきたいと思います。参考人の方、よろしくお願いします。
○政府参考人(真野章君) かなり難しい推計でございまして、相当粗っぽい推計をしたということで御承知おきをいただきたいと思います。
 現在は、先ほど来申し上げておりますように、所得制限におきます支給率を約七割程度と見込んでいるわけですが、御質問のように非被用者の所得限度額を被用者と同じようにした場合には、大変粗い試算でございますが、おおむね九割程度になるのではないかというふうに見ております。
 今回の非被用者に対する給付総額は、対象拡大を実施いたしました満年度ベースに換算をいたしますと約七百六十億というふうに見込んでおりますので、追加所要額として約二百二十億程度さらに公費が必要とされるというふうに計算をいたしております。
○井上美代君 今計算が出ましたように、二百二十億ということです。お金がない、お金がないということなんですけれども、少子化を乗り越えようと言っているわけですから、私は二百二十億というのは、先ほど大臣が言われましたいわゆる子育て支援基金に入れる四百億というのがあるわけなんです。これを使えば当然埋められるというふうに思っているわけなんですけれども、そういう金額が出てきております。私は、この新しい事態の中で出ている、先ほどから幾つも貧困な家庭の問題を出しました。そして、労働者の問題も出しました。ぜひ御検討を願いたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御意見として承っておきます。
○井上美代君 サラリーマンなどの場合、特例給付が出ているわけなんですけれども、年収六百七十万円というのは、先日も紹介させていただいたように非常にお金がかかっている。住宅ローンもあるし、マンションにいていろんなお金の支払いも月々十七万ぐらいあるということを例で話しましたけれども、今、連合などの労働組合から所得制限を八百万円に緩和してほしいというのが出ていますね。だから、所得制限を一本化して、かつ所得制限は基本的には撤廃するという方式、二重の所得制限ではなくて撤廃するという方式で、例えばせめて当面八百万に緩和するということが考えられないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 児童手当でございますが、児童の養育費を負担する親などの負担を軽減するということでございまして、これによって子供がけんかするということはあり得ないと思っていますが、児童養育費がさほど家庭の負担と感じないような所得階層には手当の支給を受ける必要性あるいは効果が比較的薄いのではないか、こういうような判断もございまして所得制限というものを設けることにいたしておるような次第でございます。
 それから、先ほど来政府参考人からも答弁をいたしておりますけれども、支給率はおおむね七割ということになるように限度額を設定いたしておるような次第でございます。
 そこで、いわゆる所得制限のあり方でございますけれども、これは制度の目的であるとか性格、それから当然のことながら財源なども総合的に勘案して定められるべきであると考えておるわけでございますし、また、児童手当制度の所得制限のあり方につきましてはいろいろな意見があることも十分に承知はいたしております。
 今後、十分に与党及び国会での議論を踏まえながら、児童手当制度全体のあり方について議論をしていく中で検討すべき一つの大きな問題である、このように認識をいたしておるような次第でございます。
○井上美代君 次に、国庫負担の問題について御質問したいと思います。
 年少扶養控除の特例廃止による増税分を除いて、国が新たに児童手当支給について前年度よりもふやした額は幾らになるのかをまずお聞きしたいと思います。そして、二〇〇〇年度の予算でいうとそれは幾らになるのか、増税分を除いて、国庫負担をふやした額だけでいいのです。教えてください。
○政府参考人(真野章君) 今回の児童手当制度の拡充によりまして、国庫負担それから地方財政負担、満年度ベースでいいますと二千二百億ということでございます。私ども財政当局から聞いておるところでは、年少扶養控除によります十万円分というのは二千三十億と聞いておりますから、残り約百七十億程度は厚生省予算全体の中で対応したということでございます。
 また、十二年度でございますが、初年度でございますので公費で千五百億が必要でございます。残り七百億につきましては事務費、それから子育て基金の拡充、地方財政措置ということでございます。
○井上美代君 今年度について国庫負担というのはふえているのでしょうか、どうなんでしょうか、そこのところは。
○政府参考人(真野章君) 約一千億程度増加をいたしております。
○井上美代君 四百億というのは先ほどから大臣が言っておられるんですけれども、四百億がどういうふうにして出てくるのかについて参考人に、時間がもうたくさんありませんので、お答え願いたいのです。
○政府参考人(真野章君) 今申し上げましたように、満年度で約二千二百億と、そして初年度でございますので、六月からの施行ということで先ほど御説明いたしましたように八月分の給付ということでございますので、給付費として約千五百億、その差七百億ございますが、事務費として約百億かかりますし、地方財政措置としては二百億かかるということで、引き算をいたしまして四百億を子育て基金の拡充に充てたということでございます。
○井上美代君 国庫負担についてはふやしていないということでいいですね。
○政府参考人(真野章君) その千五百億の三分の二が国庫負担でございまして、六分の一ずつが都道府県、市町村の負担ということになっております。
○井上美代君 私は、子育て支援基金のことで大臣がずっと答弁されておりますけれども、この四百億円をどのように使っているのか具体的な事業についてお聞きしたいのです。子育て支援基金についてです。よろしくお願いします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 子育て支援基金につきましては、平成十一年度におきましては、これまでの九百億円をベースにいたしましておよそ十億円の助成費によりまして、民間団体のそれぞれの創意工夫を生かしましたさまざまな子育て支援事業として全部で計二百四十四の事業に対しまして助成を行っておるわけでございます。
 それから、御案内のような四百億円の追加出資によりまして助成額も大幅に拡充されるものでございます。これにつきましては、その有効的な活用を図るために、小中学生や小中学生のいる御家庭に対する支援事業を中心にして幅広い子育て支援の取り組みを助成していきたい、このように考えているような次第でございます。
○井上美代君 この四百億というのは、言ってみれば今年度増税で余ったお金になるわけですね。それを今子育て支援基金に入れるということを言っておられるわけなんです。そして、その事業は、今、大臣は小中学生に充てていくと言っておられるんですけれども、小中学生というのは一千六百万人増税になったわけですから、そういう点では私はこのお金というのは有効に使っていかなければいけないと思っております。
 特に、この四百億円で使えるお金というのは四百億円丸々使えるんですか、運用益の問題があると思いますが。御答弁ください、参考人。
○政府参考人(真野章君) 四百億追加をいたしましたが、初年度でもございますし、我々もできるだけ果実を出したいと思っておりますが、運用益は約四億程度でございまして、この運用益を活用するということになります。
○井上美代君 ということで、それは四百億というふうに言われておりますけれども、四億円ということですね。だから、非常に私たちが細かく見ていかないとわからない内容がこの中に入っているということです。
 次に、現在八十六カ国で児童手当制度がやられているわけですけれども、外国の例を挙げると、大臣は、税制や賃金制度などがあり比べられないと、こういうふうにおっしゃいます。賃金制度でいえば、日本はこれまでは言ってみれば年功型の賃金でありました。今、それが年功序列型を変えてきておるということはもう皆様方の方がよく御存じだと思います。
 購買力を考慮した労働省の推計を見てみますと、購買力の平価換算では、日本を一〇〇とするとアメリカは一四一です。そしてドイツが一七一、フランスが一二七で、年功型となっていても全体水準が低いということがこの購買力の平価換算でわかります。税制上の措置と、そして児童手当の措置とあわせて考えても、ほかの国と比べて日本がいかに貧困であるかというのがはっきりするわけです。
 育児給付の手取り年収比率は、税制と社会保障の児童手当を入れると、ベルギーが一八・六%、オーストリアが一六・八%、イタリアが九・五%などと続き、日本はこの中で最低の二・一%です。標準勤労者世帯での各国比較では、日本の場合は標準家庭だと所得制限があって児童手当がもらえないというふうになっているわけです。
 大臣が総合的に見ていくと言うことは、私は方向としてはいいというふうに思うんです。しかしながら、育児支援給付は貧困だということをぜひ御認識いただきたいというふうに思います。いかがでしょうか、大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) この問題は、率直に申し上げて、欧米などに比べてまだまだ立ちおくれている事実がある面を私も率直に認めざるを得ないと思います。これはそれぞれの国柄の事情、こういったようなものも当然のことながら反映されているのではないかと思っております。
 特に、私は個人的に、いわゆる年功序列型賃金のあり方そのものを考え直していかなければ、なかなか今景気の問題で大きな問題となっております個人消費の問題というものも回復に向かっていかないのではないか、こう思っております。
 と申しますのは、やはり実際問題として、一番個人消費が期待される年代よりも年をとるに従って賃金がふえていく、こういうことでございまして、使えるときに使えないというような問題があるのではないかと思います。
 これは私が答える問題ではないと思いますけれども、そういった問題につきまして、それぞれの企業が今改革といいますか、変わりつつあるということも新聞報道などで承知いたしておりますけれども、そういった問題と相まって考えていかなければならない、こう考えているような次第でございます。基本的に、先ほどから申し上げているような先生の御指摘は私も同じ認識を持っておるような次第であります。
○井上美代君 今、労働者の問題も非常に変わってきておりまして、そういう点でもぜひ細かく見ながら、分析しながら御検討を願いたいと思います。
 私は、この一千六百万人の増税の問題についてこだわるわけなんですけれども、今回の拡充というのは余りにも過小だというふうに思っているんです。少子化対策のために同じ子育て世代への制度から漏れてくる、先ほど私は子供だったらわかったらけんかをするだろうというふうに言ったんですけれども、言ってみればまさにタコ足、自分の足を食べているようなタコ足政策だというふうに思うわけなんです。いろいろ言っても、児童手当を国が本当に責任を持って出していく、やっていく構えというのがないというのがはっきりするというふうに思うんです。
 一九八〇年に、国は公務員分を含めて八百十三億を児童手当に充ててきました。しかし、その後どんどん減って、一九九八年には二百八十六億、八百十三億が二百八十六億円と実質の額で三五%に激減していくわけなんです。一般会計に占める児童手当の国庫負担は、七七年で〇・二七%に比べて九八年、九九年は〇・〇四%というようにけたが違ってきます。そして、今回拡充したとしても、二〇〇〇年は〇・一三です。七〇年代と比べても半分になってしまっているんです。保育サービスがありますけれども、これも総合的政策の中に入っているわけです。保育所の運営費というのが出されておりますけれども、それと合わせてみても子育て支援のためには一%も使われていないというのが今の現状なんです。これが今の政治なんです。
 私は、個々の要因はいろいろあると思いますけれども、政治の結果このようになっている。社会保障、とりわけ子育て支援を後退させてきたことに対するやはり国の責任というのがあると思うんです。大臣、その辺はどのようにお考えになっているでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 児童手当につきましては、午前中の答弁でも申し上げましたが、昭和四十七年の一月に施行されて以来さまざまな経緯がございまして、もう一つ国民の間でも十分に論議定着されない部分があったわけでございます。そういう中におきまして、国庫負担につきましては昭和五十五年度をピークにいたしまして減少の傾向にあったことも事実でございます。
 今回の児童手当を拡充するに当たりまして、厳しい財政状況でございますけれども、必要な費用は公費で負担をすることといたしまして、国庫負担は改正前の平成十一年度の総給付費の二割程度から、改正を実施した場合に満年度で四割強増大する、こういうことでございます。
 いろいろな変遷と申しますか歴史があったわけでございますけれども、私どもは、午前中の質疑でも申し上げましたけれども、少子化対策の中の一つの大きな柱として位置づけて、そしていわゆる額の方も大幅に引き上げたということについて御評価をいただければ幸いだ、このように考えているような次第であります。
○井上美代君 四百億の問題を大臣はとても誇らしげにおっしゃるんですけれども、私は、四百億というのがどんなお金かということをやっぱりきちんと皆さんのところで押さえておかなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんです。これは増税によって得た金、そしてそれを三百万という六歳未満までの児童手当に充てたわけなんです。それの残りなんです。だから税金を取り過ぎたんですね、大臣。そういうふうになって四百億、しかもその四百億は運用益四億しか使えないという中身だということです。私は、これはごまかしの子育て増税だというふうに思います。
 これで質問を終わります。
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 まず大臣に、一昨日のこの委員会での私の質問のときに、子どもの権利条約と児童手当の関係を十分にとらえていかなきゃいけないということを申し上げました。ところが、そのとき大臣は、これをそこまで広げるなとは言わないけれども、やはり政府、私どもの考えとしては、児童養育費はさほど家庭の負担を感じないような階層に対する手当の支給なのだ、このようなこととして位置づけさせていただいておりますというお答えでありました。
 そうすると、児童手当というのは今度は児童養育費になっちゃうのかなと思いますし、どこか基本的な考えが非常に不明確ではないかと思うんです。特に、子どもの権利条約については、今まで児童福祉法の改正などのときには非常に原則的なことを明確に答えておられたわけです。
 御承知のように、なぜ子どもの権利条約というものが最近になってできたかというのは、人間の権利というのは、歴史的に考えたときに、それは当然、近代の人権思想が前提になっているんですけれども、しかしその人権というのがユニバーサリズム、普遍主義の中で認識されるというのはそれは歴史的な段階を踏んでいるわけです。ですから、女性も人間として認めているじゃないかと言うけれども、社会的、法的にも女性の人権というのは、最近になってようやく人間としての人格権というので差別撤廃条約とか女性の人権のための法律がいろいろ見直されているわけです。
 子供なんかもかつては親の附属物という認識があったわけです。それがやはり子供はあくまでも一人の人間としての人権の主体なんだと、そのように社会的に子供の人権を位置づけて、そしてその児童に最善の利益を保障しなければならないというのが子どもの権利条約の趣旨であり、それを批准したときもそれはみんなで確認したことだと思います。ただ、意識というのがなかなかそこまで進まないというのはあるんですけれども、そういうふうに世の中というのは一歩ずつ前進していくんだと思います。
 そういう中で、この権利条約の中では、児童手当を考えていく場合、今後根本的な抜本的な改正をするとすれば、なおさらその視点というのは非常に重要になってくるという観点から、私はこの間もこの条約との関係で、子供自身の生存権、そういう問題も非常に明確に認識していく必要があるんじゃないかということをお尋ねしたわけです。
 この条約の中には、この条約を締約した国は児童の福祉に必要な保護及び養護、養護までも確保する、このため、すべての適当な立法それから行政上の措置をとるとか、そしてこの間も申し上げたんですけれども、父母とか保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たってこれらの者に対して適当な援助を与えなきゃいけない。そして次に、締約国はすべての児童が、ということはこれは児童そのものを主体者として、主権者として見ているわけです。すべての児童が社会保険その他の社会保障からの給付を受ける権利を認めなきゃいけない。そして、自国の国内法に従ってこの権利の完全な実現を達成するために必要な措置をとるというふうな、まだいっぱいあります。
 そういうことで、子供を人権の主体にした、そして子供が社会保障からの給付を受ける権利というのは、まさに児童手当などは現金給付、サービスの給付もそうですが、ここでは特に児童手当であれば現金給付、これは子供自身に対する生存権を保障していく、そういう考え方が要るのではないかということを申し上げたんですけれども、大臣のお答えはちょっと違っています。
 ですから、児童福祉法を議論するときはこの条約のそれをちゃんと承知しておりますという答えになるし、この問題でやるときは違っちゃうというのでは、私は、それが本当の意味でその視点をとらえた、子供の権利を中心にしたこれからの子供に対する政策というのは必要だと思っているわけです。
 ですから、私は、大臣が子どもの権利条約と児童手当の関係についてどういうふうに基本的にお考えになるかということをもう一度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 前回の話と基本的に私の認識は変わっておらないわけでございまして、委員の御納得のできる答弁ができるかどうかちょっと自信がないわけでございます。
 児童手当というものは、あくまでも子育て家庭の経済的な負担を軽減する、これによって子供を産み育てやすいような環境を整備する、こういうことでございまして、今回の改正も総合的な少子化対策の重要な一つの柱として位置づけているということを繰り返し申し上げてきたわけでございます。
 この問題と、今、清水委員が御指摘のいわゆる子どもの権利条約との関係でございます。
 この条約の二十六条では「すべての児童が社会保険その他の社会保障からの給付を受ける権利を認めるものとし、自国の国内法に従い、この権利の完全な実現を達成するための必要な措置をとる。」と、こう規定されておるわけでございますけれども、当然のことながら、児童手当というものもここに申し上げております社会保障に含まれておるということは言うまでもないわけでございます。
 これは直接児童に対して社会保障というものを給付するということを求めているものではないんだということでございまして、そういった観点から委員の、子どもの権利条約に基づいてこの児童手当というものも支給されるべきだという意見も、一つの意見としては私なりに理解できないことはないという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、御主張として承っておるわけでございますけれども、私は、この問題は子供の権利の問題ではなくて、現に支給される者はいわゆる保護者でございますので、そういったことからちょっと性格を異にするのではないかということを前回以来御答弁を申し上げているところでございます。
○清水澄子君 現在はそうであっても、私は抜本改正のときにはそういう視点でこの問題を見直す必要があるんじゃないですかということを申し上げたんですから、その点はやはり私は当然必要になると思いますので、あえて申し上げておきます。
 そこで、それならば、我が国の児童手当政策の歴史を見ましたとき、せんだっても言いましたけれども、行ったり来たりの繰り返しで非常に一貫性がないわけです。何を目的にしているか非常に理解ができない、いわゆるその理念が明確じゃないんですけれども、比較的新しいところで制度切りかえになったのが八九年、平成元年七月の児童手当制度基本問題研究会の報告があります。この報告の中で初めて児童手当という理念と育児手当という理念は別のものだということがはっきりなっているわけですね。そして、このときには、子供のある世帯と働く母親を支援する家族政策、この必要性が論じられたわけです。この報告書ではっきり児童手当に育児手当的な性格を強化させようと、それだから児童手当は支給期間を短縮するということになって年齢が下がっていっているわけです。
 その場合は、それは結局、育児手当式な内容になっているわけです。児童そのものの生活権ではないんだということでしょう。そうであるならば、このときに実際に年齢は当時は九歳未満まで、就学前まであったわけですが、これを五歳に下げていく、そして平成四年になるとまた三歳に下げていく。何か子育ての支援というのはどんどん下へ下げてきたわけでしょう。
 この引き下げてきた、対象者を縮小した理由というのは、一方ではそういう理念的なことを言いながら、実は財源縮小の目的でしかなかったわけです。ですから、その辺が、こういうふうに質問していると理念的なことをおっしゃるんだけれども、現実は、ではその理念を実行されてきたのかというと、全然そうじゃないわけです。しかも、平成三年度以降は今度は支給月額も下げて引き上げられないわけです。ですから、さっきから言うように、総額は平成四年度の二千百億円をピークにずっと下がり続けてきたということなんです。
 ですから、本当に、今、大臣がおっしゃるように、これはあくまでも子育て支援で、そういう子供を持つ家庭への支援なんだ、育児手当としての強化を図っているんだということになれば、今度の改正案というのは本当にそうだろうかということになりますし、ではなぜ今まで本当に育児手当式に金額を増額しなかったのかということをお聞きしたいんです。そして、そういう意味で、政府がこれまで育児手当的な児童手当で来たんだというのであれば、児童手当政策でもう一本児童手当というのが必要になってくるんですね。
 ですから、そういう意味で、やはり今までずっと一貫して、これは全部大臣がその当時やっておられたわけじゃありませんから、その責任というんじゃないんですけれども、やはり大臣自身も、ずっと今までの児童手当が発足してからの理念とその実態との関係が絶えず整合性がないんですね。その点についてはどのように総括なさるんでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 昭和四十七年にこの児童手当制度が施行されまして以来さまざまな変遷を経てまいりまして、率直に申し上げて、どちらかというと児童の問題よりはややもすると高齢者の問題について議論が高まってきた、こういうような嫌いがなきにしもあらずと認めざるを得ないわけでございます。こういうような反省の上に立ちまして、児童の福祉の問題につきましては近年とみに高まってきておるわけでございます。そういう中で、今回このような措置をとらせていただいたということについて御理解を賜りたいと思っておるような次第でございます。
 特に、この児童手当の問題につきまして、この国会の場で議論もなされてはきたわけでございますけれども、どちらかというと今申し上げたような高齢者のお年寄りの問題の嫌いがあって、この問題がややもすると、発足をしたもののその後の位置づけについて必ずしも国民の合意が得られなかった。
 それから、先ほど来申し上げておるわけでございますけれども、私どもは今回の児童手当について、一つのこれまでの児童手当制度のあり方、つまり事業主のいわゆる社会福利的な色彩から一歩踏み込んで公的なものがもっと関与すべきだというようなことを打ち出しておるわけでございますが、これにつきましても、委員も御案内のように、マスコミにおいてはこれはもうばらまき福祉の象徴であるというようなところが一、二だけでなく数多く見られるということも紛れもない事実でございます、マスコミがすべてだとは申しませんけれども。
 こういった意味において、私どもはさまざまなハードルというものを越えながら着実にこの問題について取り組んでいかなければ、先ほどの話ではございませんけれども、国民にとって善意なことが曲解されているということがあってはならない、こう思っておるような次第でございます。そこをどうやって国民の皆様方に理解と合意を得ながらやっていくかということが大きな問題であって、それなくして、先ほど来おしかりも受けておるわけでございますけれども、なかなかこれは拡充拡充といっても、この年少扶養控除をこちらに切りかえて児童手当というものを打ち出したことに対する手厳しい批判も浴びていることも紛れもない事実である。その辺のところを私どもは、これから十分に議論を深めていく中において国民の皆さん方に真に喜んでいただけるような児童手当の拡充、あり方、こういうものをこれから検討、模索していかなければならない問題だ、このように認識をいたしておるような次第でございます。
○清水澄子君 それでは、やはり一昨日の委員会の中で、大臣は、国際的にはどういう国が参考になるかとお伺いしたときに、スウェーデンの児童手当についてこれが我が国の参考になるかもしれないとおっしゃったわけですね。
 そこで、スウェーデンは、児童手当は第一子から十六歳未満、そして金額は第一子、第二子とも一万九百円ですね、第三子は一万三千九百円。諸外国の支給対象年齢も大体十八歳、十六歳ですね。
 そういう中で、これは財源についても、どういう財源にしていくかというのも当然根本的な議論が必要になってくるわけですけれども、大臣がスウェーデンが参考になるとおっしゃったのは日本でどのような児童手当の姿を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私の記憶に間違いなければ、スウェーデンというよりは、ヨーロッパの国々が我が国に比べてこの児童手当の問題に積極的に取り組んでいるというような趣旨のことを申し上げたと思っておるわけでございます。
 諸外国でございますけれども、アメリカは御案内のように児童手当制度がないわけでございます。イギリスであるとかドイツであるとかフランス、スウェーデン、こういう四カ国につきましては、給付財源は、フランスにおいては事業主それから自営業者から徴収した保険料などを財源といたしておるわけでございますし、さまざまな形でそれぞれの国によって異なっていくわけでございます。
 ほかの諸国とのいわゆる児童手当、これは先ほどから申し上げておりますけれども、いわゆる賃金のあり方、税制のあり方等から踏まえまして一概に比較することはできませんけれども、この児童手当あるいは家族手当等を含めますと、我が国の水準は低いということは紛れもない事実ではないかと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○清水澄子君 この間は、もうこれは言いませんけれども、スウェーデンを例に挙げて、私はスウェーデンがモデルになると思うとおっしゃったんです。そこはもう結構です。
 それで、国際比較の場合、金額もそうなんですが、やはり日本が目立って立ちおくれているのは支給対象年齢だと思います。
 ですから、これまでもそうであったんですけれども、政府も一度は長い間、義務教育終了前という線を保っておられましたよね。そして、これだけでは十分と思いませんけれども、長年にわたって義務教育終了前としてきたのが三歳までに下げたとかということがあるんですけれども、そういうふうな、義務教育終了前まで必要だというその根拠は何だったんですか、そのときは。年齢が下がったり上がったりする理由です。
○政府参考人(真野章君) 児童手当制度発足当時から昭和六十年の第一回の改正まで第三子でございましたが、支給期間は義務教育終了前ということで、先生御指摘のとおりでございます。
 創設当時の議論で三点ほど理由があると言われておりまして、第一点は、十五歳未満の場合、労働基準法によって就労を禁止または制限されている。それから二つ目といたしましては、高等学校の教育がいわば義務教育ではなくなる。その当時、中学校を卒業した者のうち約三割はそのまま就業していた。それから、義務教育終了前の期間が児童の人間形成にとって重要な意味を持つ。そういう三つほど、当時としては義務教育終了前までにする理由として挙げていたというふうに承知をしております。
○清水澄子君 いや、ですから、私はその年齢を、やっぱり一番お金のかかるのはもう少し上の方でしょう。ですから、それらも整合性がないんですよね、説明がされても。
 それで、私は十六歳、十八歳というところまで設定するべきじゃないかと思っている一人ですけれども、この児童手当法には「この法律において「児童」とは、十八歳」と書いてあるんですね、現行のこの法律は。これは法律と関係ないんですか、児童手当法というのは。児童手当法の現行法は「この法律において「児童」とは、十八歳に達する」「最初の三月三十一日までの間にある者をいう。」ということで、支給対象の方はもう一つ年齢を別に下げているんですけれども、一体法律というのはこういうのでいいんでしょうかね。そういう意味でも非常に理解しにくいわけです。
 ですから、どの国でも大体十六歳から十八歳であるわけですし、そして今本当に、子供を持つ家庭への経済支援だとおっしゃるわけですが、そうであるならば、子供の年齢によって家計がどのくらいの負担があるのかという、これも先ほど今井議員も言っていましたけれども、調査もないとおっしゃっていましたが、平成六年の総務庁統計局の全国消費実態調査によれば、これは教育関係費だけに絞って、夫婦と子供二人の世帯でも平均四万一千円かかりますと。そして、長子が高校生であると七万二千円かかるといった統計が出ておりますね。それから、夫婦と子供三人以上の世帯では平均五万円かかる。長子が高校生では十九万一千円かかると。
 せっかく政府内にこういう統計があるわけです。そうしたら、子供が大きくなればなるほどお金がかかる。そのほかに、さらに食費、被服費、住宅費とかかるわけなんです。
 そういうことと、今回の説明との関係がわからないわけです。それと、今の現行法の第三条の「この法律において「児童」とは、十八歳」というのとどういう関係になるのか。法の目的はどうなさるおつもりなんでしょうか、お伺いします。
○政府参考人(真野章君) 児童手当法上、児童を十八歳未満としておりますのは、児童福祉法上からもそういうことでございますが、例えば一子、二子、三子の数え方といたしまして、支給対象児童は、今回お願いをいたしまして三歳から就学前にしようといたしておりますが、その子供が第一子であるのか第二子であるのか第三子であるのか。そういう一子、二子、三子の数える場合の対象として、その家庭におられる十八歳未満の子供を対象として計算するんだと。十九歳、二十歳の子供がおられても、それは一子、二子、三子にはカウントしないんだと。そういうことから定義上そういう定義規定を置いているわけでございます。
○清水澄子君 それはいつからそういう、何年何月何日のときからそういう定義になったか、すぐお答えください。
○政府参考人(真野章君) これは当初法からそういうふうに十八歳というふうに、そして制度当初は三子から出していたわけですから、その当時からも、そういう計算をしないといわば支給対象児童に該当するかどうかというのが判定できませんので、そういう意味ではそういうふうに規定をしていたというふうに思っております。
○清水澄子君 いや、法律を読んでそれが理解できる人は多いでしょうか。
 だから、皆さんも支給対象年齢はもっと引き上げるべきだという議論があるわけでしょう。それが理想とされていたんだと思うんですが、そうじゃなかったんですか。これはただ上限を一応決めておくためにのみ使ったわけですか、この年齢は。
○政府参考人(真野章君) 児童手当の支給対象の方にはまた支給要件児童という定義がございまして、こちらの方は、今申し上げておりますように、現行は三歳まででございますし、当初法は三子以上の場合には義務教育終了前ということで、いわば対象児童を書き分けておるわけでございますので、それはそういう趣旨で当初からそうだったのではないかというふうに思います。
○清水澄子君 それでは、ぜひそれの法的根拠といいますか、理論的、法的根拠をお示しいただくように委員会に資料を下さい。私はそういうのは今初めてわかりましたので、そういう考えでずっとこれまで児童手当というのは現実の財政的な問題とか政策で非常にこれを軽視してきたということで出てきたことはわかるんですけれども、この法律をつくったときにそういう目的で十八歳と入れたのかどうか、その根拠を私は世間に明確にしていただきたいと思いますので、その資料をとっていただきたいと思います。委員会で要求させていただきたいと思います。
 あと一つしかできないんですけれども、この費用負担の方法などは今後いろいろ議論しなければならないと思いますけれども、財源の徴収については国によってそれぞれ独自の方法がとられているとは思います。しかし、日本の方法というのは非常に統一性が欠けているんじゃないかと思います。
 例えば、フランスなんかでは家族給付は全額雇用主負担にしてあって、あとは広義の家族手当等なんかは家族手当金庫をつくって包括的に運営がされております。ところが、日本では児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当と幾つかあるんですが、全部財源の負担の仕方が違っているわけですね。この中で、事業主負担があるのはこの児童手当だけなんですけれども、やはりこの児童手当というのも本当はさっきから事業主との関係がありますけれども、こういう非常に無理な、何というんですか、一貫性のない財源負担のあり方というのは、根拠は非常に不明確だと思います。
 ですから、私は先ほどからもっと、ユニバーサルシステムをとっているスウェーデンとかドイツ、イギリスとか、そういうところでの児童手当のあり方を大いに参考にして今後とも根本的な政策をつくり直すべきだということを、その討論もやらなきゃいけないということをずっと申し上げてきたわけです。
 そして、やはりもう一つは、スウェーデンなどは、手当と福祉サービスというのは、サービスというのは個人個人のニーズが違うわけですね。子供を保育所に入れるとか、それから障害を持つ子供とか、そういうふうに個人個人のニーズに対応する、それに必要なパーソナルサービスについてはこれは市町村が担うとか、所得保障は国が責任を持つ、しかしその他のサービスは自治体という、非常にきちんとそれぞれの役割を明確にしながら全国的に統一的なとてもわかりやすい制度になっています。
 ですから、そういう点でも私は、本当は事業主の負担のところも議論したかったですが、もう時間がありませんので、この費用負担方法についても見れば見るほど物すごく議論がしにくい中身ですから、その点も今度根本的に見直しをしていただきたい。大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 児童手当制度の財源に絡む問題でございますけれども、この児童手当制度というものは、そもそも今回提出させていただいております法案以前は事業主の負担が七割で公費負担が三割と、こういうことにも示されますように、従業員に対します福利厚生的な性格からスタートしたということでございます。そういう中で、いわゆるサラリーマンに対する特例措置を設けて、そして事業主と、こういうような非常に複雑な二つの制限を設けておる、こういうような嫌いがあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今回は、先ほど来申し上げておりますように、思い切って公費の負担をふやして、そして対象年齢を拡大したと、こういうことでございますけれども、当然、委員が御指摘のように、いわゆる児童手当制度の財源構成のあり方、諸外国におきましても財源につきましてはさまざまな方法がとられておるわけでございますけれども、その辺を含めまして十分に検討して、そして国民の皆さん方にも十分に理解され、合意が得られるような制度にしていかなければならない。これが、まさに私どものこの児童手当に対する国民の皆さん方の評価につながっていくものと確信をいたしておるような次第でございます。
○堂本暁子君 きょう大臣は高齢者のことにフォーカスが当たっていささか子供の問題に照準が当たらずに来たということを大変正直におっしゃってくださいましたし、私もそうだったと思っています。だからといって、子供の問題がないがしろにされていいということは全くないわけですし、それから政策の一貫性というのも大変必要だろうというふうに思っています。
 その意味で児童手当を少子化対策の根幹というか目玉に据えていらっしゃるわけですが、私は、広い意味での少子化対策といったときに、やはり保育の問題を避けて通るわけにはいかないということで、前回に続いて保育の問題について伺いたいというふうに思っています。
 もう恐らく三十年、四十年前からでしょうか、幼保一元化が問題になってまいりましたけれども、やっと幼保一元化の問題が出てきて、一番私が危惧するのは、幼稚園というのは育てるというか教育するところではあるけれども、お昼寝とかしつけをするとか食事、離乳食の問題とか、そういったところまでをどういうふうにこれから幼稚園の先生たちは展開していくのかなという危惧なんかも持っています。
 前回も文部省にお越しいただいたんですが、きょうもお越しいただきましてありがとうございました。前回、しり切れトンボになってしまいました。前回伺ったのは、年金の問題でもそうですし、きょうるる出ている税制から響いてくる児童手当の不公平性なんかもみんな同じだというふうに思うんですけれども、そういった中で非常に大きいのが男女の性役割分業の問題です。
 前回そのことを伺ったところが、文部省からは男女平等という答弁が返ってきて、若い方もそうなんでしょうけれども、ジェンダー教育とか、それからこれは厚生白書なんかには明確に書かれている性役割分業の固定化の社会に与える弊害というようなものを文部省が認識していないということを逆に私は知って、大変危惧を今抱いております。
 きのう文部省には同じような答弁はもう絶対困るということで申し上げましたし、幼児教育に限らず、文部省が男女平等しか考えていなくてジェンダーの視点を持っていないとすれば、これは日本の教育の中で大問題だというふうに思っているので、きょうあえていらしていただきました。再度同じことをお答えいただきたい。
○政府参考人(御手洗康君) 先日のお答え、私が十分御質問の趣旨を体せずにお答え申し上げましたことをおわび申し上げたいと思います。
 御指摘がございましたように、幼児期から個性を尊重して男女の固定的な役割分担意識にとらわれない男女共同参画の視点に立った教育を学校はもとより家庭、地域を含めて推進していくということは極めて重要な教育上の課題でございます。
 文部省といたしましては、今年度より幼児期から男女共同参画の視点に立った教育を家庭、地域で推進するという観点から、ゼロ歳からのジェンダー教育推進のモデル事業を実施することとしているわけでございます。また、幼稚園におきましても、先日申し上げましたように、具体的に学習指導の中で、男女の固定的な役割分担意識の問題については直接触れておりませんけれども、教師がさまざまな遊びの場面を通じまして、指導する際に性別による固定的な役割分業意識を植えつけないというような観点からの役割を果たしていくのは極めて大切なことと考えております。
 具体的には、砂場や園庭で子供がさまざまな遊びをする際に、男女を問わず砂遊びをする、あるいは縄跳びをする、サッカーをするというような形で平等な活動を積極的に経験させるように配慮していくというようなことも大事でございますし、また、ままごと遊びなどにおきましても、とりわけ男子、女子の役割分担を固定的にしないようにという形での指導事例というようなことに積極的に取り組んでいるところでございます。また、スモックなども男女の色の区別をしないというような形での取り組みも積極的に行われております。
 文部省といたしましても、これらの取り組みをより一層推進するという観点から、各種の会議や教員の研修会を通じましてこのような考え方をより一層強めてまいりたいと考えております。
○堂本暁子君 局長に伺いますけれども、今までお砂遊びはどっちがやっていてどっちがやっていなかったのですか。
○政府参考人(御手洗康君) 答弁がまずくて申しわけございませんけれども、子供を自由に遊ばせるという形での自由遊びという時間がかなり大きな比重を占めるわけでございますけれども、これはほっておきますと、幼稚園に来るまでのさまざまな家庭なり地域なりの、例えばお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが誕生日にプレゼントをするというようなことも含めまして、自然に女の子は砂場の周りでおだんごづくりにまず集中していく、ところが男の子はどちらかというとシャベルを持って体を動かしてやっているというような形が見られる。そういう場合に、教師がそこに入っていくことによって、子供たちが自由にどちらの遊びにも加わっていくというような具体的な事例等も私ども伺っておるものですから、そういうお話を申し上げましたけれども、そういったことのないように、教師の役割が重要であるということを申し上げたかったわけでございます。
○堂本暁子君 私は大変おてんばな女の子でしたから、幼稚園へ行く前から木登りしたり暴れてばかりいましたから、必ずしもそういうふうになっているかどうか、その話は。ただ、文部省の答弁としてはいささか、その事例をおっしゃるのは余りにも消極的というか、やはり政策がないとしか申し上げようがありません。
 実はこの間の本会議でも私は同じ質問を文部大臣にしたんですが、そのときも男女共同参画という御答弁しかなくて、こちらが期待したような答えは全くありませんでした。
 というのは、そういうことを申し上げているのではなくて、例えば今度ストーカー法を出そうとか、今家庭の中でのドメスティック・バイオレンスというのは九五%までが男性による女性に対しての性暴力です。それから、学校の中でのいじめにしてもいろいろあります。そういった中で、どれだけ本当に女の子が男の子の心も体も大事にする、逆に男の子も女の子の心と体をどれだけ大事にするか、そういったことできちっと両性のあり方を幼児のときからどう育てていくかということが問題なのであって、お砂遊びの問題ではないんです、今お願いしていることは。
 これは私が文教委員会にいる間じゅう、厚生の方でもずっと同じことを申し上げていますけれども、文教委員会の間にもずっと同じことを言ってきました。
 スウェーデンの幼稚園の教科書も日本語になっています。そして、ちゃんと女の子の体、男の子の体はこうだ、だけれどもお互いにどういうふうに大事にしていかなきゃいけないかという性教育を幼稚園から大学までやっているんです。そういうことがあるからそれから先の生き方というのがわかっていくことだと思いますけれども、残念ながら日本は女の仕様書と。「鍵の仕様書」という本も出ました。「女の仕様書」という本も出ました。それがベストセラーになる国です。女を物化するような、そういった風潮があるわけです。
 テレクラがどれだけ中学ではやっているか、高校ではやっているか。これは文教委員会で私はずっと一年間言い通しに言ってきました。今、思春期の妊娠がどれだけふえているか。これは幼児期からの教育が一番大事なんです。ですから、今度、厚生省に対してもそのことは思春期の問題でるるお願いしていますけれども、これは文部省にとっても物すごく大事な問題なんですね。
 ここでそのことを局長とお話ししてもしようがないので、あえてきょうもう一度いらしていただいたんですが、私はお砂場の話を期待していたのではなくて、やはり二十一世紀に向けての日本の教育というのが全人的な教育を、もしこれから幼保一元化をするならば、保育園の保母さんというのはちゃんとそういうことをやっているんですよ、はっきり言って。幼稚園に行ったら非常に少ない。ですからこそ危惧しているところでございますので、これから大いに文部省は研究していただきたい。そして、文部省の官僚が今は男女共同参画室の室長でもいらっしゃるわけですし、その辺のジェンダー教育という視点を文部省は幼稚園から大学までもう少し研究していただく必要があるんじゃないかという感想を持ちました。
 きょうはどうもありがとうございました。
 続けて厚生省の方に伺います。
 この間ベビーホテルのことで伺ったんですが、ベビーホテルが大変ふえております。昭和五十六年の児童福祉法の改正のときに、いずれベビーホテルを含んだ無認可を認可保育所に吸収していくという方針を厚生省はお立てになりました。二十年たって、認可保育所に吸収されるどころか、五百二十ぐらい、一万人程度と言われたベビーホテルが今や八百三十八カ所。これは厚生省の統計ですから実際はもっと多いと思いますが、厚生省は方針をお変えになったんでしょうか。これは政府参考人に伺います。
○政府参考人(真野章君) 残念ながら、先生御指摘のように、ここ数年、箇所数がふえているというのは非常に残念に思っております。ただ、私どもは、先生がおっしゃいました、できるだけ認可保育所にして一定の最低基準を守った保育所で保育をしていく、この方針を決して変えたわけではございません。
 そういう意味では、そういう状態でありながらなぜふえているんだ、こういうおしかりだとは思いますが、私どもはエンゼルプランでも低年齢児の拡大、延長保育の拡大ということをやってまいりましたけれども、残念ながら認可保育所がその需要のすべてを吸収できるほど整備が追いつかなかった。そこは私どもも謙虚に反省する必要があるというふうに思っております。
○堂本暁子君 二十年前も同じでしたけれども、園児募集とかそういうのを見ますと、一時間二百五十円、月決め保育で二万二千円、ゼロ歳児が。きのう厚生省に伺ったところでは、今は国レベルで月額十五万五千五百十八円、東京都は五十万から六十万、それだけ月にかかっているわけです。
 二万二千円で、しかも宣伝している方、経営者を集めている方によりますと、大体四十万は月に収入が上がる。そういった状態で一体何ができるのか。これはもう本当に恐ろしいです。生まれたてのゼロ歳児がそういったところに預けられている。お泊まりコースで午後四時から翌朝の十時までが八千五百円。
 こういうような状況で安全に保育ができるというふうに厚生省はお考えでしょうか。
○政府参考人(真野章君) それぞれどういうふうな格好で費用を設定しているか、なかなか私どももわかりかねるところがございますが、おっしゃるように、全体として認可保育所よりも保育単価が低い傾向にあるというのはそのとおりだろうと思います。
 認可外保育施設に対する対応、これはもう先生よくよく御存じのことでございまして、私どもとしても、児童福祉法の改正以降、当面の指導基準ということで、いわば全く手が出せなかったといいますか出す手段がなかった部分に対して指導監督ができるような方法ができまして、そういうようなことを通じて、大体年に一回は少なくとも都道府県、政令市の担当職員がそういう調査ができ、そしていわば指導を行っているという状況でございます。
○堂本暁子君 年に一回見ただけではわかるはずがないと思います。私もベビーホテルの数にかけては恐らく人後に落ちないと今でも思っていますけれども、窓一つないところで、そしてゼロ歳児から五歳児ぐらいまで同じ食事を食べさせるというところが幾らでもあったわけですね。今でも、そういうことをやっていても、年に一回行っただけでは、あとの三百六十何日かはどういうことをやっているかわからないはずです。こんなことで一体厚生省としては最低基準の八割を満たしていると言えるのかどうか。
 それから、これは大臣にぜひはっきり伺いたいんですけれども、私は新宿の児童相談所に二十年ほど前に行きました。そこに三歳の男の子が収容されていました。たまたまチフスだと言われたので、その子は仕方なく連れてこられたんですね、児相に。連れてこられて、見たら、体の発達は一歳児にまでしか発達していなかった。言葉は一切出ない。そして、一番驚いたことは一切表情がなかったんです。そういう子供がいたわけです。これはベビーホテルがもし伝染病だと困ると思って児相へ連れてきちゃった、実際そうじゃなかったんですが。そういうわけで、その子はそれから養護施設へ行きましたけれども、ドクターが診察したら、一歳児程度の発達だと。でも実際はそうなんです。それでいながら、児相にその子よりも二つぐらい上の子供が来ていたんですね。食事のときになったら、その子をぶったり、その子のおそばを全部こぼしたり、自分より年上の子を泣かせたり。そういう子供を見て、一体この子が十八、二十になったらどういう子供になるだろうかと思うとぞっとしました。
 今、青少年の犯罪の問題がたくさん出ています。それから不登校の問題も出ています。そして、最近、認可保育所の保母さんたちがおっしゃっているのには、ベビーホテルがふえてきたと。それで、ゼロ歳児を、公立の保育園なんかでも今はまだ少ないですから、ゼロ歳児の間にベビーホテルへ連れていく。それから、認可保育所に入ってきた子供に共通して言えることは、情緒の不安定、それからもう一つは運動神経が大変に鈍い。そして、言葉が足りない。これはもう二十年前と一切変わっていないんですね。
 そういうゼロ歳のときの子供の育て方がどんなに大事かということを考えたときに、あえて劣悪という言葉を使わせていただきますが、月に二万二千円で何ができるのか、ゼロ歳児に。五十万かけたって足りないぐらいのものかもしれません。そういう子供たちが二万人日本じゅうに、この厚生省の統計を信じて育っているとしたら、それはもう大変に恐ろしいことです。恐らく私は三分の一も実際に統計としては出てこないんじゃないかと思うぐらいこれは水面下の問題です。
 ここに「フランチャイズ」という広告が、これは大阪ですけれども、それから福岡のも、全国展開しているのは「保育所のフランチャイズ」というのが出ていますね。それで、必ず百万ぐらいもうかりますと。どうして二万二千円で百万ももうかるのかわかりませんけれども、「安心の二十四時間保育」とか、もうこういうのがちょうど二十年前と同じようにそこらじゅうに広告が出ている。これはほっておいていいのかどうか。
 だから、一方で企業が保育に参入するという、民間の参入という規制緩和をなさった。しかし、一方で必要な規制というのがあるんだと思いますね。今、日本は完全に保育事業は野放しです。だれでも、もうダンプカーのおじさんだろうが、それから私が探したときはキャバレーのおじさんもいました。そういう職業を私はないがしろにしようとは思いませんけれども、ダンプカーを運転することと子育てとは別です。キャバレーの経営と子育てとは別です。そういったものをほっておいていいのかどうか。これは大臣に伺いたい。
○政府参考人(真野章君) 一年に一回で本当に把握できるのかという御指摘でございますが、それぞれ努力をして行っているということで、少なくとも一年に一回は見に行って、そしてそれに対して文書指導しておりますし、先ほど先生御指摘のように、そういう形で把握をすれば直ちに調査に行くと。先日も御指摘をいただきまして北九州の調査をお願いいたしましたが、そういう格好で、何も一年に一回でいいと申し上げているわけではございませんで、指導したらその分のフォローアップをきちっとしていく、そういうことで都道府県、市町村を指導したいと思います。
○堂本暁子君 幾ら指導してもやっぱり無理です、大臣、これは。二十年前に私はもう全部廃止してほしいと思ったんですよ、当時。だけれども、厚生省はその当時、五年後、十年後にこういうものはなくすような政策をとりますということで、少なくとも当時、七階のところで火事が出て、もう三階以上でやってはいけないということまでははっきり消防の規制ができました。しかし、子供の発達とか死亡ということに関しての危険性の歯どめはなかったわけですね。唯一、児童福祉法を一行変えて、今、局長がおっしゃった立入調査ができるようにしただけです。にもかかわらず、ここのところへ来て、減らすどころか、吸収するどころか、むしろふえている。これはまた同じ危険が起こる可能性がある。前回も申し上げたように、また子供のお棺が出てはいけないと思うんですね。
 ですから、当時、厚生省としてはなくす方針だからもう少し待ってくれと私はさんざん言われたんです、横尾さんが当時の課長でしたけれども。そういう時代でした。
 大臣に伺いたいのは、これはやっぱりほっておいてはいけないのではないか。お考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ベビーホテルが最近増加の傾向にある。厚生省の調査によりましても、二万人を超える子供さんたちがベビーホテルに入居しているといいますか預けられている。そういう中において、いわゆる良好な環境ではなくて、さまざまな障害が起きておる、こういうような御指摘でございます。
 先ほど真野局長の方から答弁をさせたわけでございますけれども、一年に一回指導基準について重点的に調査をしておる、こういうことでございますが、今、委員のお話をお聞きいたしておりますと、必ずしもそれによって十分な良好な環境というものがなされているとは言いがたい面があるのではないかと思っています。
 いずれにいたしましても、ベビーホテル全体の問題について一度、総点検という言葉はともかくとして、どういうような実態にあるかということを私どもが的確に把握をして、その上でどういうような問題が解消できるか、こういった観点からこの問題について検討する必要があるのではないかと思っております。
 特に人員の問題であるとか面積の問題であるとか、それから実際にそこに預けられております子供さんの処遇の問題、こういったような問題を含めまして、大分差があるということをお聞きしておるわけでございますけれども、ひとつどういうことが一番の問題かということを、委員の御質問、たびたびなさっていただいておるわけでございますけれども、さらにこれを契機にいたしまして一度実態というものを調査してみたい、こう考えております。
○堂本暁子君 ぜひお願いしたいと思います。
 面積と大臣はおっしゃいますけれども、私が見た一番ひどいところは京都の清水寺の裏のところにあったベビーホテルで、掘っ立て小屋で、せいぜい子供のいるところが六畳あったかないかですが、大体トイレもなかったんです。トイレもなければ、そのダンプカーのおじさんが自分でつくった台所ともつかないところがあって、ゼロ歳の赤ちゃんがいましたけれども、この赤ちゃんは幾つと聞いたら、まあ、幾つだろうね、わかんないねということで、年齢もわからない、何カ月かもわからない。そして、ただ立てかけてあるだけの哺乳瓶があって、こうやって赤ちゃんは飲んでいました。そして、そのままかぎをかけて外へ出て、ほかの子供たちを、夜のお仕事をしているお母さんの子供たちをマイクロバスに乗っけてまた連れてくるわけですが、その間、そのゼロ歳の子供はそこに置かれっ放し。消防に伺ったら、いつ漏電してもおかしくないというような建物だったんですね、そこは。そういう建築的にも全くひどい。
 大騒ぎをして、幸い国会でもさんざん取り上げられたのでもうなくなりましたけれども、そのぐらいひどいところなんです。窓が一つもない。それから、中でどういうことをされているか、子供たちは言うことができません、ゼロ歳の子供は。ただ、近くへ行くと引きつったように泣くのでおかしいと思ったというお母さんはいらっしゃいました。私たちがキャンペーンをしているときに、後から保母さんが余りにひどいのでということで内部告発をしてくださったことでわかったこともあります。でも、ゼロ歳の子供を含めて三十人ぐらいの子供たちをたった一人の保母が見ているというような実態です。
 そういったところで行き届いたことができるはずがない。そこでいい子供が育つはずがない。そして、私が児相で見た三歳の男の子のように、その子たちがどうなっていくのか。三歳で終わるわけじゃないですね。必ず十歳、また十七歳になるわけです。十七歳になったとき、その子供たちが社会の中でどういう生き方をするのかということを考えたときに、やはり身の毛のよだつ思いがいたします。
 ここはやはり国の責任として、当時もさんざん同じようなことを申しましたけれども、当時ジャーナリストとして言ったんですが、そのとき厚生省は、最初に申し上げたように、必ず認可保育所に吸収していくと、それまでは認可の八割で。吸収していくということは減っていくということを意味するわけです。二十年たちました。一時はちょっと減りましたけれども、今また八百にふえた。これじゃ児童手当と同じように余りにも方針がきちっと守られていないわけですね。
 そのことで今でも決して忘れることができないのは、アメリカというのは日本に比べれば保育が非常におくれている国です。ハーバードまで行ったときに、日本はいいと。日本はちゃんと保育の制度があるからいいけれども、アメリカはどこでもだれでもが保育を、ベビーシッターができると。おかげで劣悪な保育が全国にはびこっているんだということをハーバードの先生がおっしゃっていた。まさに今でもはっきり覚えていますけれども、日本はこういうフランチャイズをやらせることだけはいけないんだと。一回この委員会で申し上げましたけれども、そのハーバードの先生は、ケンタッキーフライドチキンのフランチャイズはいいだろう、しかしアメリカで失敗したのはケンタッキーフライドチルドレンができちゃったことだと。日本はアメリカのやった失敗を繰り返してはいけない。
 そのとき、今は宮城県の知事になられましたけれども、浅野さんが厚生省からワシントンに出向しておられて、すっかり面倒を見ていただいたんですが、当時アメリカの国務省の保育担当の人が、日本の保育にこれだけの予算があるということは全く信じられない、けたが二つぐらい違うんじゃないかというふうに言いました。それで、浅野さんがそばにおられたから、浅野さん、私の計算は違っているかしらと言ったら、いや、違っていない、日本の保育はこれだけ充実しているんだというふうにおっしゃったのを今でもはっきり覚えています。
 そういったように、外国から見ても日本の保育は本当にいいんです。とすれば、こんな悪いことを、悪いことと言ったらおかしいですけれども、アメリカがした失敗を日本で繰り返すことだけは大臣のときにぜひとめていただきたい。
 終わります。
 ありがとうございました。
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。
 本日、私の方からは少子化あるいは少子化対策につきまして、生活者の皆さんがどういうふうにお考えであるのか、直接皆さん方の御意見を応用しながら厚生大臣にお尋ねしようと思っておりました。ところが、一昨日の質疑が終わりまして、ある自治体が今回の改正案につきまして各家庭に出している通知を目にいたしまして、自分自身が若干の疑念を持ったものですから、まず本日はこの点からお伺いをしてまいりたいと思います。
 大臣は何度か御答弁されておられますけれども、今回の改正案でございますが、いわゆる税と手当の関係につきまして、一部には負担の増につながる人がいるかもしれないけれども、全体のことを考えてこのような政策判断をしたんだという御答弁でございましたが、まずこのあたりからお伺いをしてまいりたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の児童手当制度の改正につきましては、先ほど来申し上げておりますように、少子化が大変進行いたしておるわけでございます。そういう中におきまして、特に保育の充実とともに経済的負担、こういったことを挙げる方が大変ふえてきておるわけでございます。そういう中において、児童手当制度の拡充というものを私どもは今回の改正におきましてお願いいたしておるわけでございます。
 児童手当制度の拡充につきましては、これまで三歳児未満を対象にいたしておったわけでございますけれども、今回は限られた財源の中におきまして義務教育の就学前までを対象にいたしたわけでございます。さまざまな議論がございますけれども、いずれにいたしましても私どもといたしましては、年少扶養控除と児童手当の関係、こういうような関係からこのような措置をとらせていただいたわけでございますし、今後、先ほど来申し上げておりますように、年少扶養控除と児童手当のあり方、さらに対象者をどこまでにするのか、額をどこまでするか、こういったような問題を当然議論していただかなければならないと思っておるような次第でございます。
 今回のこの措置によりまして、いずれにいたしましても確かに義務教育前から十六歳までの方は年少扶養控除が四十八万円が廃止になって三十八万円、これが充てられたわけでございますので、いわゆる負担増というものがあるわけでございますけれども、私どもは、扶養控除は高額所得者に対してより有効的な大きな効果はあるが、所得の低い方に対してはないと。しかし、今回の児童手当につきまして、これまで恩恵を受けていなかった低所得者に対して給付されるということをぜひとも御理解いただきたいと、こう思っておるような次第でございます。
○西川きよし君 今回の改正案の内容では、各先生方からいろんな御議論があるわけですけれども、児童手当が拡充されたとしてもなかなか手放しでは喜べない。先ほども御質問したように、そこにはやはり負担のふえる方がいらっしゃるわけですから、そうした方々の理解を求めるという努力は本当に必要であると思います。
 再度申し上げますけれども、そういう意味では今後この制度の改正内容の広報のあり方というものにかなり配慮していただかないと、住民の方々に混乱を与えるのではないかと私の方も心配をいたします。
 この手当と税との関係につきまして、国民の皆さん方にどういった点でどういうふうな技術を使って理解を求めるかというのを、今度は政務次官にお伺いしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 西川委員の御指摘はまさにごもっともなことであろうと、このように思っております。
 今、丹羽大臣から御答弁がございましたけれども、今回、年少扶養控除、平成十一年度において十万円加算された分が減額になって、そして児童手当の対象児童が約倍になったというようなことでございますが、これは大蔵省とか国税庁任せにするのではなくて、厚生省といたしましても、今回の改正内容や扶養控除と児童手当の関係の問題について国民の皆様に広く周知徹底といいますか広報に努めていかなければいけない、このように思っているところでございます。
 厚生省といたしましても、改正法の施行に際しましてできる限りの工夫をして十分な周知広報に努めてまいりたい、このように思います。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 そこで、もちろん現在はこの法案の成立前でございますけれども、市町村から地域の住民に対して今回の改正案の内容が広報されているわけです。この児童手当の拡充という点については国民の関心も高いわけですから、その内容をできるだけ詳しく情報提供を行うことは、これは大変に重要なことであると思うわけです。
 しかし、現在は国会審議の段階で、成立しているわけでもないし、もちろん法の施行が行われているわけでもございません。そういう段階での広報のあり方というものは住民に誤解を与えないように十分な配慮というものが必要であると思うわけですけれども、この法施行前の広報のあり方、これは厚生省としてはどのようにお考えでございましょうか。政府参考人の方にお願いいたします。
○政府参考人(真野章君) 申し上げるまでもなく、とにかく法に基づいて行政としてはいろんな事務を執行していくということでございますので法律の改正前に決まったかのようなことをするというのはないわけでございますが、一方では、こういうような改正をお願いしている、そしてその内容をできるだけ理解していただく、こういうこともまた重要であろうかと思います。
 しかしながら、そのPRの仕方ということは、当然、今、先生おっしゃられたように法律施行前の、成立前の状態である、そしてこれはまだまだ案の段階であって、国会で今審議をしていただいているということを前提にといいますかそういうことを十分説明した上で、そして周知、PRに努力すべきものであるというふうに思っておりまして、今御指摘がございましたような、そういう基本的なルールを逸脱したというようなことにつきましては大変遺憾であるというふうに思っております。
○西川きよし君 遺憾というお話が出たんですけれども、そこで今から、冒頭で申し上げましたが、この通知を目にいたしまして自分自身が驚いたということですが、実は埼玉県の大宮市が五月八日付で児童手当支給対象保護者様ということでもはや通知を出されているわけですけれども、少しだけ通知の内容を御紹介させていただきたいと思います。
            平成十二年五月八日 
 児童手当支給対象(三歳から義務教育就学前)保護者様
   児童手当制度の見直しに伴う対象年齢の拡大について(お知らせ)
  時下、皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
  さて、現在三歳未満を対象に行っている児童手当の支給が、平成十二年六月一日より制度改正に伴い三歳から義務教育就学前までに拡大されることになります。
  ついては、下記の要領で申請手続きを行なうようお知らせいたします。
    記
 一 支給対象児童 三歳〜義務教育就学前まで(六歳到達後最初の年度末まで)※平成六年四月二日〜平成九年五月三十一日に生まれた児童
 二 支給開始 平成十二年六月分の手当より(最初の振込は十月になります)
 三 手当額 児童が一人目・二人目のときは五千円/月 三人目以降のときは一万円/月
 四 窓口受付 平成十二年五月十日(水)〜五月三十一日(水)(土・日は除きます)午前九時から午後五時まで(今回に限り郵送でも受付します)
こういうふうに通知が行っておるわけです、こちらの方には申請書も届いておるわけですけれども。もちろん、まだ法律が施行されているわけでもありませんけれども、きのうから申請の受け付けが始まっているわけです。
 法施行前でもこれは有効でしょうかということを素朴な疑問としてお伺いしたいことと、一部ではあってもこうした通知が既に家庭に配付されているということを厚生省といたしましてはどのように把握をしておられるか。本当に素朴な疑問で、きょうはこの前の質問の続きをやらせていただこうと思ったんですけれどもこれを目にしたものですから、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(真野章君) 大変申しわけなく思います。今の件につきましては、まことに申しわけないことながら先生からの御指摘で初めて知ったというような状態でございまして、管轄の埼玉県も知らなかったということで、大変申しわけなく思います。
 こういう事例、私どももまさかということでございまして、法律も通っておりませんし、当然のことながらそれを施行いたします施行令、施行規則、それからいろんな事務処理要領、これもお示しをいたしておりませんので、まさか具体的なこういう形の事務を始める自治体があるというのは本当に想定もしていなかったわけでございます。
 昨日、少し泥縄ではございますが全国の状況を把握いたしましたが、どうも大宮市近隣の数市においてそういうことを行っているということを遅まきながら把握いたしました。これらの市町村に対しまして、県を通じてしっかり指導をしたいというふうに思っております。
○西川きよし君 もう私も三期目で十四年になるわけですけれども、今まででもあれをしろこれをしろというような悪意を持って質問をさせていただいたことはまだ一度もございませんけれども、これはどうしても本日お伺いしておかないといけないと思いまして御質問をさせていただいているわけです。
 現実のお話をお伺いしたんですけれども、昨日、この通知が家庭に届いてから、幼稚園に子供を迎えに行かれたお母さん方の間で児童手当の増額が大変に話題になっていたそうです。どんな反応かとお伺いをしてみますと、小学校に入るまで児童手当がもらえるようになった、しかも三人目からは一万円だと、これで幼稚園の月謝代が助かるわ、これはもう当たり前のことだと思うんですけれども、一様にお母さん方は喜んでおられたそうでございます。
 しかし、まさに本委員会で今議論をしております所得制限のこと、さらには扶養控除のことまでは情報が行き届いていないわけでございまして、児童手当の拡充の部分だけがひとり歩きをしているような現状ではないか、こういうふうに思うわけです。こうした現状が一部かもしれませんけれども実際にあるということについて、再び政務次官にお伺いをしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 私も今初めてそのような事実があったということを伺いまして驚いているわけでございますが、児童手当に所得制限があるというふうなこととか今回の改正において年少扶養控除の見直しが行われる、このような改正にまつわる正確な情報というものをきちっと国民の皆さんに御理解いただく、これは大変重要なことであろう、このように思っております。
 そういった意味で、今回そのようなことがあったとすれば大変残念な、遺憾なことだと思いますし、今後、厚生省といたしましても、国民の皆様に混乱を招かないように制度の運営に努めながら市町村への周知徹底に努力をしてまいりたいと思います。
○西川きよし君 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 わずかなスペースで手当の拡充と税との関係を説明するというのは本当に困難なことであるとは思いますけれども、しかし後々、例えば所得制限で申請が却下されたり、さらには給料の手取りが減っているのを見たときに、大阪弁で何でやろというふうに我々はいつも言うわけですが、何でこんなことになるんだろうと。実は児童手当の拡充がされたときに扶養控除が引き下げられていたんだということでは、これは本当に皆さん不満に思われると思いますし、また政治だとか行政だとかということに本当に不信感を抱くというふうに思うわけです。
 こういったことに対しては、厚生大臣としてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは児童手当だけではございません。社会保障全般につきましてまだまだ国民の皆さん方の御理解が十分に行き届かない面があるわけでございます。
 私事で恐縮でございますけれども、今回の年金法の改正で一部の新聞でいわゆる負担増になったと、こういう話ですね。これは御案内のように、負担増ではなくて将来にわたって現役世代の保険料を軽減する、しかし伸び率が減ったということでありますけれども、私の地元の新聞では負担増になったということを書かれまして、非常に衝撃を受けておりまして、マスコミですらその程度の認識かなと、こういうことであります。やはり、きちんとこの点は正確に情報開示をして、お知らせをして、そして御説明をしなければならないな、こう思ったような次第でございます。
 今回のこの問題につきましても、まさにこれは勇み足でありまして、またまさに審議をお願い申し上げている最中で大変申しわけないことである、このように考えておるわけでございます。今後、厚生省といたしましては、政府広報などの活用などによりまして今回の改正の内容というものを国民の皆さん方に正しくPRをしていく、このことが何よりも必要ではないか、このように考えているような次第でございます。
○西川きよし君 ありがとうございます。
 今、年金のお話も出ましたけれども、実は、大臣からお話が出ましたので私も一言つけ加えたいと思うんです。
 私は与党でもないのに賛成をしたということで全国からいろいろな声もいただきましたし、また地元へ帰りましてもそうですけれども、お一人お一人説明をさせていただきまして、もちろん納得をしていただいた方もたくさんいるわけですが、本当に政治というのは難しい。こちらからは見えるんですがあちらからはなかなかこちらが見えないという難しさ、理解ができないということがありますので、本当にいつも細やかなことですけれどもいろいろとこうして御質問をさせていただいているわけです。
 そこで、今回このような対応をとった自治体にとっても、決して悪意や他意があったわけではないと思います。住民側へ配慮された上での判断であるというふうに私自身は理解をしておるわけです。また、法案の中には九月三十日までに申請すればよいということも書き加えられておりますし、申請漏れ等々に配慮していることも理解をさせていただきます。
 しかし、それでもこのように少しでも早く対応されているということについては、自治体側からすれば、六月一日の施行で、それからの手続では申請漏れであるといった不安なり御心配があるんだろうと思うわけです。この改正後の自治体の事務手続について厚生省としてはどのような配慮をされているのか、政府参考人にお伺いします。
○政府参考人(真野章君) 今回の拡充によりまして支給対象が就学前まで拡大されるということは、現在おられる方の倍以上の方が、しかもいっときに申請されるということになります。したがいまして、自治体側とすれば非常に業務が一時期にピークが来るという心配をされている。
 これは、私ども、法律改正をお願いするときから、自治体側にもできるだけ業務をなだらかにする、今、先生から御指摘のありましたように、次のといいますか法改正後初めての支給月になると思われる十月前の、要するに九月末までであれば六月にさかのぼって支給すると。児童手当法上では申請月の翌月からの支給という原則をこういう形で猶予期間、経過措置を設けまして、その間に手続をしていただければ市町村側の事務処理も可能になるような配慮を私どもとしてはしたつもりでございますが、自治体側からすれば、それもいつどういう形で申請が来るかという心配をしているということもあろうかと思います。
 私どもとしては、できるだけ広報をお願いいたしておりますし、また市町村では大部分が住民登録は電算化されているわけでございますので、対象児童というのはほぼ把握されていると思います。そういう意味におきまして、今回、児童手当の、所得制限はございますけれども、年齢として対象になりますよというPRもやっていただけるというようなことで、できる限り漏れなく対応できるような体制で、私ども事務費その他でもできるだけの市町村に対する配慮をしているつもりでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 よく御答弁の内容も理解させていただきたいと思います。九月三十日までということでございますので、そういうことを聞きますと、今度は聞く側にとりましては、それならゆっくり、大丈夫だなということになるとも思いますし、またそうするといっときになるということにもなるでしょうし、今の御答弁の内容の中では理解をさせていただきます。
 この質問を最後にしたいと思うんですけれども、今後、仮に法案が成立しまして法が施行された場合には、それこそ十分な広報が必要であると思うわけですが、この手当の拡充の部分だけではなくて、ぜひその背景なり必要性、どうしてこういった判断をしたのかというような部分をできるだけ詳しく皆さん方に広報していただきたいと思います。
 最後は大臣に御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 改正法の施行につきましては、実際に児童手当の支給事務を行います各市町村において支給対象者に向けまして周知広報することをまずお願いするわけでございますが、厚生省といたしましても、万全を期してこの周知徹底をする必要があると思っておるわけでございます。当然のことながら、政府広報のほか、インターネットの厚生省ホームページによります情報提供であるとか、あるいは各種資料の作成などを行うことを考えているような次第でございます。
 また、委員からも御指摘がございましたようなこの改正に当たります背景であるとか必要性であるとか、こういったものを正確に国民の皆さん方に情報をきちんとお知らせするということが私どもの使命である、このように考えているような次第でございます。
 いずれにいたしましても、社会保障全般については国民の皆さん方の正しい御理解をいただくことが何よりも社会保障に対する信頼のもと、このように考えているような次第でございます。
○西川きよし君 終わります。
○委員長(狩野安君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時二十七分散会