第147回国会 国土・環境委員会 第15号
平成十二年五月十一日(木曜日)
   午前九時三十分開会
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   委員の異動
 五月十日
    辞任         補欠選任   
     坂野 重信君     青木 幹雄君
 五月十一日
    辞任         補欠選任   
     青木 幹雄君     久野 恒一君
     奥村 展三君     松岡滿壽男君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         石渡 清元君
    理 事
                市川 一朗君
                田村 公平君
                岡崎トミ子君
                高野 博師君
                緒方 靖夫君
    委 員
                上野 公成君
                太田 豊秋君
                久野 恒一君
                末広まきこ君
                月原 茂皓君
                山下 善彦君
                脇  雅史君
                北澤 俊美君
                佐藤 雄平君
                福山 哲郎君
                森本 晃司君
                岩佐 恵美君
                大渕 絹子君
                松岡滿壽男君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       建設大臣     中山 正暉君
   政務次官
       建設政務次官   加藤 卓二君
       建設政務次官   岸田 文雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉谷 洸大君
   政府参考人
       運輸省鉄道局長  安富 正文君
       建設省建設経済
       局長       風岡 典之君
       建設省都市局長  山本 正堯君
       建設省住宅局長  那珂  正君
   参考人
       慶應義塾大学大
       学院政策・メデ
       ィア研究科客員
       教授       伊藤  滋君
       都市プランナー
       法政大学法学部
       非常勤講師    野口 和雄君
       神戸市長     笹山 幸俊君
       日本福祉大学情
       報社会科学部教
       授        片方 信也君
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  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)

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○委員長(石渡清元君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、坂野重信君が委員を辞任され、その補欠として青木幹雄君が選任されました。
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○委員長(石渡清元君) 理事の辞任についてお諮りいたします。
 福山哲郎君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石渡清元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石渡清元君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に岡崎トミ子君を指名いたします。
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○委員長(石渡清元君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、運輸省鉄道局長安富正文君、建設省建設経済局長風岡典之君、建設省都市局長山本正堯君及び建設省住宅局長那珂正君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石渡清元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(石渡清元君) 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、本案の審査のため、参考人として慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科客員教授伊藤滋君、都市プランナー・法政大学法学部非常勤講師野口和雄君、神戸市長笹山幸俊君及び日本福祉大学情報社会科学部教授片方信也君の四名に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、大変御多忙のところを本委員会に出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 参考人の方々には、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 本日の会議の進め方について御説明いたします。
 まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の方々の意見陳述は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず伊藤滋参考人にお願いをいたします。伊藤参考人。
○参考人(伊藤滋君) それでは、これから私の意見を申し上げます。
 お手元にA4の資料が二枚ございますでしょうか。これに基づいて話を進めていきます。
 今回、都市計画制度を見直しましたのは、これまでの都市計画法が、昭和四十三年だったと思いますが、そのときに非常に大きく戦後の民主主義制度を踏まえた形で変わりました。それの基本は、都市計画は都道府県が行うということが中心であったわけです。それから三十年以上たちまして、基本的に世の中が大きく変わりました。それに昭和四十三年のときの都市計画法が合うかどうか考えますと、必ずしもうまくいっていないということがいろいろな面で出てきました。それに従いまして都市計画法を見直そう、これが一点でございます。
 それから、御存じのように、地方分権推進法に基づきまして地方分権をいろいろなことでやらなければいけない。そこの中で、多分三年ぐらい前だったと思いますが、地方分権推進委員会で、地方分権をやる一等初めの課題は都市計画であるというので、真っ先に都市計画が地方分権の対象になりました。これで少し都市計画の地方分権に関することを手直ししましたが、それと同時に、やはり住民参加の考え方が非常に強くなってきておりますので、こういう二点をもとにして都市計画制度の見直しをやろうということで、今回の法律の案を都市計画中央審議会として審議会答申という形で大臣に出した次第でございます。
 中央審議会では、基本政策部会の下に計画制度小委員会をつくりまして集中的に審議いたしました。小委員会と申しますが、ここには会長も、副会長でしたか、会長代理でしたか、要するに学者の若い先生方だけではなくて中央審議会の基幹となる委員もしょっちゅう出席しておりまして、実態としては中央審議会挙げて審議をした次第でございます。
 これは、約一年間で十五回小委員会をやりましたから、相当激しくやりまして、私が思いますのは、間延びして十五回やるよりも詰めて十五回やるというのは、頭の中にホットな情報が残っていて、それがずっと動きますので、こういうやり方は大変よかったなと。時間をセーブしながら議論を集中的にやるというので、新しい審議のやり方かなと思っている次第でございます。
 そこの中で非常に重要なことを一つ行いましたのは、私たちはパブリックコメントという言葉で言っておりますが、中間報告についてホームページを主体にしまして広く専門家、地方公共団体あるいは国民に意見を求めましたら、五百五十通出ました。これは私の予想以上でございまして、ここの中には個人の方の御意見もございます。
 これについては、かなり細かくパブリックコメントの概要について都市局がまとめておりますので、また必要があったらごらんいただきたいと思いますが、このまとめのところを見ますと、個人でこういう意見があった、それから学界としてこういう意見があった、業界としてこういう意見があった、町としてこういう意見があった、政令指定都市としてこういう意見があったと非常にうまく意見の幅の広さがわかるようにまとめてございます。
 このパブリックコメントをもとにして中間報告で二点直したわけでございます。
 それは、まず都道府県が定める都市計画のマスタープラン、これにつきましては、特に市町村の首長様方から都道府県が市町村を統括する危険性があるということで相当激しく御意見がございました。これは私も当然だと思っておりました。
 それの帰結として、県ごとに都市計画区域の数は違うんです。率直に申し上げますと、埼玉県などは一つの市、一つの町が都市計画区域になっておりますが、兵庫県はたしか三つか四つぐらいに都市計画区域がまとまっているんです。ですから、都市計画区域を単位とするといっても実態は相当違ってくると思います。いずれにせよ、県ではなくて都市計画区域を単位にして市町村を越えた大きい都市計画の基本方針を定めるということにいたしました。
 それから二番目は、これもいろいろ新聞にも出ておりましたが、ショッピングセンターとか、あるいは大病院とか大規模な建築物がいろいろ田園地域、農村地域に出てきているわけですが、これに対して、都市計画の方として都市計画の筋としてはこうすべきだということを言うべきではないかという議論が出てまいりました。
 しかし、結論としましては、私たちのやれる限度というのは勧告にとどまる、勧告というのはどうもパンチがきかないということで、これについてはこういう建物は建ててはいけないと。
 例えば、都市計画で何も用途地域を指定していないところが都市計画区域の中にございます。いっぱい地方にございます、用途地域が決まっていないところ。そういうところについては、こういう建物を建ててはいけないという用途を市町村が決めることができる、そういうふうにいたしました。この特定用途制限地域というのは、私にとっては相当できのいい制度をつくったと思っている次第でございます。
 以上が中央審議会での審議の経過でございます。
 それならば、今回の改正のポイント、これはどこにあるか。ここで八つほど書いております。時間がございませんから手短に申し上げます。
 線引き制度の都道府県の選択制。
 これについては、都道府県が場合によっては、例えば山形県の鶴岡市や庄内地域について山形県庁が線引き制度をやめた方がいいなんということを言う可能性をつくり出したわけです。もちろん、三大都市圏のような非常に人口が集まっていろいろ商業活動、建築活動が活発なところでは線引き制度は守ることにいたしますが、地方ではやはり必ずしも線引き制度をやらなくてもいいという実態がございます。これについては後で別な観点から時間があったら申し上げたいと思いますが、この選択制へ移行いたしました。
 それから、先ほど申し上げましたように、すべての都市計画についてマスタープランの策定。
 このマスタープランというのは都市計画の方針とお書き直しいただきたいと思います。都市計画の方針を県の都市計画審議会はつくらなければいけない。
 それから三番目、開発許可の基準の地域の実情に応じた弾力化。
 これは、開発許可の基準は北海道から沖縄まで同じではございません。それから、漁村地域と山村地域でも全く同じではございません。県庁所在都市におきましても、盛岡の郊外の開発基準と長崎市の郊外の開発基準とは違っていいわけです。これについては、開発許可権者、これは多分県庁あるいは政令指定都市になると思いますが、地域の実情に応じて弾力化しよう、その方が実情に合うではないかということが三番目でございます。
 それから四番目が、先ほど言いましたように、非線引き白地地域というのは、例えば鶴岡市、私はよく行っておりますから、市川さんがいて東北のことを申し上げて申しわけないんですけれども、鶴岡市は線引きをしていないんです、人口が十万人ぐらいで。そこのところでは、用途地域の後ろに農振農用地とかがあるんですけれども、そういうところに最近ショッピングセンターが建ちそうだとかいうのがあるんです。あるいは、パチンコ屋、連れ込みホテル、カラオケ、こういうのが沿道にずっと出るんです。これは、鶴岡市長というのはまじめな市長ですから、一番けしからぬと言っているんです。だから、そういう用途地域のない白地というところにはパチンコだめ、カラオケだめ、連れ込み旅館だめ、場合によってはショッピングセンターもだめということを、これは特定用途制限地域ですから鶴岡市の都市計画審議会が決めることができる。たしか市でいいはずです。これは、専門用語で言いますと特別用途地域と同じ考え方であるということです。
 それから、既成市街地の土地の有効利用のための新しい仕組み。
 これは二つございまして、一つは、私が考えておりますのに、例えば東京駅を三階建てにするときに、東京駅は容積がいっぱいあるんです。東京駅を三階にするのに百億か二百億ぐらいかかるわけですけれども、そうすると、JR東日本も容積をどこかへ売ってそのお金で東京駅を三階にしたいなんという話も出てまいります。お寺さんもそうです。
 ですから、そういう点で、既成市街地の中でこれから文化財を守っていくなんという場合に、これは公共の建物なら税金を使って直せるんですが、企業とか私個人のものは税金を使えませんから、そういうときに容積をうまく使って文化財を守るなんというやり方があっていいんじゃないかという話もございました。これについてはいろいろ議論がございますが、私はそういうことに使えるかなと思っております。
 それからもう一つ、既成市街地の土地の有効利用のための新たな仕組みというのは、地権者とか地権者に深くかかわっている利用者、建物を使っている人、消費者でもいいですが、それから見てこの土地はどうも区役所が怠けていてとか市役所が怠けていてちっともいい形で使ってくれない、そういうことについて、地権者とかそれを利用する側から、この土地にもっと公園をつくれとか駅前広場をつくれとか病院をつくれというような、あるいは地区計画でそういうことができるようなことを区役所や市役所へ申し出る、そういうことを考えていいだろう。これが二つ、この既成市街地の土地の有効利用の仕組みでございます。
 それから五番目は、これが私は一番重要だと思っておりまして、都市計画区域外というと、これはよくおわかりにならないと思うんですが、山の中でもこのごろショッピングセンターができちゃうんです。あるいは、山の中でも余りよくない墓地がよく出てきております。山の中でも特別養護老人ホームができたりする。そういうところは全部都市計画区域の外です。
 これからそういう場所がいっぱい出てきそうなのは、皆様にかかわりのある高速自動車道路のインターチェンジです。第二東名なんかはその一つの事例です。そういう周りを何とかしなきゃいけないということで、そういう山の中でも、インターチェンジの周りとか集落の周りとかというところで住宅が建ったり病院が建ったり店が建ったりするところはやっぱり厳しくしようということで、準都市計画区域という指定をいたしまして、ここには相当厳しい土地利用規制をすることを可能にしようということです。厳しいというのは、建ぺい率が三〇%の容積率が五〇%のそういう用途地域を準都市計画区域のインターチェンジのちょっと後ろぐらいにやっておこうなんということが可能になったわけです。
 それから、ここまでは比較的物理的というんですか都市計画技術的な話でございますが、七番目、都市計画手続の一層の透明化というのは、これは都市計画というのは非常にぶっきらぼうなやり方で皆さんに都市計画がこうなったというふうに、そういうスタイルでこれまで来ました。親切に説明をしない。したがいまして、この七番目は、どういう理由でこの都市計画をやったかという理由を市民の皆様に広く開示しよう、それの方が都市計画について多くの市民の共感を呼ぶだろうと。都市計画について、やった理由、それから審議経過、こういうことも全部はっきりとホームページなどを使いながら皆さんにわかるようにしよう、そういうことです。
 それから八番目は、このごろの情報社会の進展から見ますと、一番役に立つのはホームページでございます。知識の普及、情報の提供。それから、このごろ建設省もわりあい頭がよくなりまして、非常にわかりやすいこういうパンフレットを今度つくるんです。これで僕は一時間しゃべることができるんです。これは非常によくなりました。これは御婦人方に好評でございました。
 それから、もう時間がございませんから最後に、住民参加の促進をするためには、実は都市計画に民間の専門家をもっと使って、嘱託とか何かいろんな名前でいいんですが、民間の専門家、野口さんなんかもそうなんですけれども、民間で頑張っている、貧乏している都市計画の専門家に仕事をうんとしてもらう。そうしないと、かた苦しい役人の持っている都市計画では硬直化して反感を買うだけである、これが重要だと。以上を入れて都市計画中央審議会の答申として建設省に出した次第でございます。
 どうも失礼いたしました。
○委員長(石渡清元君) 次に、野口和雄参考人にお願いをいたします。野口参考人。
○参考人(野口和雄君) 野口です。今言われました貧乏な民間の都市計画家でございます。
 伊藤先生から概要と評価点をお話ししていただいたので、僕はやや辛口で済みませんがコメントをさせていただければと思います。
 今回の改正法について、どうも建設省が発表している言葉を使うと何か評価ばっかりしちゃうんです。私のメモは、私なりの言葉でまとめ、下の方に作成野口和雄となっておりますが、連休中にちょっと時間を見てつくったものを参考にお配りをしています。大きなB4判です。
 今回の改正法につきましては、二点ほどちょっと印象を持っていることがあります。
 一つは、やや都市計画法の基本的な欠陥というか、問題なのではないかと思うんですが、その問題点が、二年に一回ぐらい都市計画法は改正になっているんですが、そのたびにどうも基本的な問題点をおいておいて少しずつ制度改正をやるものだから、僕は複雑骨折と言っているんですが、初めちょっと骨折していたのが、いろんなことの制度をつくるからだんだん複雑骨折になって、治療するにもえらいことになっていまして、建設省ないしは伊藤先生なりに頑張って制度改正でこの骨折を治そうとされていると思うんですが、ただ、一カ所治すとほかでまた骨折が起きてくるという、骨粗鬆症みたいな話で大変なことになっているというのが私の第一点目の印象であります。
 特に複雑骨折については三点ありまして、一つは、これは皆さん都市計画をやられている方は言われるんですが、土地利用について基本的に自由なんです。自由ということを前提にしながらきつい制度ばっかりつくるものだからよく体系がわからなくなってきている。
 私も二年に一回都市計画法を改正があるので読むんですが、そのたびに法律の文章が何を変えようとしているのか、どうしようとしているのかさっぱりわからない。体系もわからないし、条文も読んでもさっぱりわからない。恐らく建設省の方々しかわからないんじゃないかと。おかげさまでそのために我々が解説本を書いて売れるわけですが、国民からしたらさっぱりわからないという制度になっているということです。
 もう一点は、伊藤先生も権限移譲をずっと進めてきたんだよというふうに言われているんですが、どうもこれは本当かなというふうに思っているんです。
 といいますのは、基本的な制度は国がつくって、これを市町村や都道府県は使いなさいと。それから、使い方についてもマニュアルを一生懸命つくって、マニュアルどおりに一応使いなさいというような言い方をしている。したがって、市町村ができるのは使い方だけでありまして、使い方をどうするかということは市町村がやれるけれども、どうも基本的な制度の枠組み、実は枠組みだけではなくて細かいところについても法律、制度でつくり過ぎているんではないかなという印象があります。これはアメリカの都市計画制度との決定的な実は違いでありまして、そういう意味では、地方分権といいながらどうも国の統制下で市町村が動いているという感じを非常にしておりまして、市町村の担当者は非常にこの点で苦労されているというのが実態であります。
 それから、三点目なんですが、これとも関係するんですが、どうも自治体の自主的な町づくりの権限をやっぱり縛っているんではないかなというふうに思います。
 最近は、神戸市さんもそうですが、独自の町づくりをするために国のばらばらな制度を市町村としてまとめて、少し市町村に独自な制度を入れ込んでまちづくり条例という形でやろうとしているんですが、こういうものに国の制度はどうもブレーキをかける方向で制度改正が進んでいるんではないかなという印象をちょっと持っております。どうもそういうことによっての複雑骨折になっている。一見地方分権と言われるけれども、複雑骨折になっているというのが特徴なんだろうと思っています。
 それから、もう一点の特徴は、これは非常に基本的なことで、ここを実は議論していただきたいというふうに思うんですが、一九九二年に大きな改正を都市計画法はされました。このときに市町村に大分権限をおろすということで、特に私が重要だと思ったのが、市町村が都市計画のマスタープランをつくれる、これは非常に重要なことでありまして、ちょっと時間がかかっているけれども、市町村なりに頑張っていろんな実は取り組みをされてきているんですが、今回の改正であれというふうに思うことが出てきました。
 それは、都道府県が都市計画区域のマスタープランをつくる、実はそれだけではありませんで、都市計画決定をする。これは、従来から線引きと同時に都市計画決定をしたわけです。ただ、これは整備、開発、保全の方針といいますが、ほとんど附属文書のような形で決定をされてきたというような形で明確に出てこなかった。
 それからさらに、どうも今回、再開発方針のような個別分野のマスタープランでさえも都市計画決定するという、要するに都道府県がつくるマスタープランがいっぱい出てきてしまうと。しかも、市町村のマスタープランは、たしか九二年法のときに、都市計画審議会の議は要るけれども都市計画決定の必要はないというふうなことだったわけです。これはなぜかというと、土地利用を拘束しないから都市計画決定は必要ないんだという言い方をたしか建設省の方はされたと思うんです。
 では、何で今回都道府県の都市計画のマスタープランは都市計画決定するかということであります。単に都市計画決定するということだけにとどまらず、実はもう一つ、昨年の地方分権一括法の中で市町村の都市計画事務は自治事務と、都道府県もそうなんですが、なったのはいいんですが、市町村の都市計画については基本的に都道府県の同意つき協議になったわけです。
 この二つを考えてください。都道府県のマスタープランは都市計画決定する。市町村のマスタープランは都市計画決定しない。一方で、市町村の都市計画は県の同意つき協議が必要である。そうすると、市町村の都市計画というのはどうなるでしょうか。市町村が一生懸命いろんなソフトなマスタープランをつくっているにもかかわらず、都道府県がマスタープランをつくり都市計画決定されてしまうと、これに即すると言っていますが、事実上従わざるを得ない。そうはいっても、都道府県のマスタープラン、恐らく伊藤先生に言わせれば、適当につくるよ、方針なんだからそんな細かいことは言わないよというふうに言われても、一方で具体的な都市計画を市町村がやろうとすると今度は同意つき協議になる。これは簡単に言えば、そう簡単に独自の市町村の都市計画ができなくなるということです。
 同意つき協議ということと、県のマスタープランを都市計画決定し、なおかつ県のいろんな部局でつくるマスタープランの再開発方針とか何か全部都市計画決定になるとすると、市町村はこれらに全部事実上拘束されることになってしまう。これは、どうも市町村の都市計画が都道府県を通して統制されてしまうんではないかという危機感を非常に市町村の都市計画の担当者、あるいは都市計画についてよくわかっておられる首長の皆さんはそういう意見を持っているということであります。これはぜひ、大変重要なことでありますので御議論をいただきたいというふうに思っています。
 というのがやや私の辛口の評価であるんですが、少し時間もありますので、もう少し細かい点について触れたいと思います。
 まず、先ほど伊藤先生も非常に画期的なことだと言われたのが、都市計画区域外も準都市計画区域として何か都市計画みたいなことができる。それから、従来、我々は白地と言っていますが、未線引きで用途地域が定まっていないところ、東京近辺、大阪近辺ではそんなにないんですが、地方では圧倒的に、都市計画区域には入っているけれども線引きされていない、簡単に言えば、何でもできてしまう、都市計画区域だけれども土地利用制限がないというところが実はほとんどなんです。ここでショッピングセンター開発やいろんな先ほど出ました開発がされているんですが、ここは基本的に開発や建築が自由なわけです。パチンコ屋でも非常に大きなマンションでもショッピングセンターでも、その横に墓地ができたりしているわけですが、ここをどうしようかということで今回の制度改正がありました。
 これは考え方としては確かに非常にすばらしいと思うんですが、ただ問題が出てきた。どういうことかというと、自由な区域が広がっているところにぽつんと厳しい区域をかけたらどうなるかということです。これは非常に簡単です。厳しいところでは開発しなくなります。自由度があるところで開発します。
 例えば、ショッピングセンターは準都市計画区域や特別用途何やら区域というふうになったところでは厳しいから開発をしない。そのわきでやったら、厳しいところのわきでやるわけですから、近くにはショッピングセンターが建たないわけですから、これはショッピングセンターにとっては最高なわけです。したがって、ここで起きてくることは、恐らく指定された区域の横、周りでいろんな開発が起きてくるんではないかなということです。
 これは、実際にそういう事態が起きているというところがあります。それは、先ほど言いました都市計画区域内だけれども白地のところのわきに線引きがされていないにもかかわらず用途地域というのが定まっているところ、例えば埼玉県の秩父あたりに行くと相当あるんですが、ここで今起きていることは、用途地域が決められたところは地価もやや高い、それから規制も厳しいから、ここで実は人口が伸びていないんです。どこで人口が伸びて開発されているかというと、山林の、森林計画対象民有林というんですが、一ヘクタール未満は伐採の届けだけでいいとか、農振でも農振区域の農用地区域にはなっていないところで実は住宅が建っていく、それからショッピングセンターが建っていく、墓地がある、いろんな施設が建っていくわけです。結果として、一生懸命都市計画で頑張ろうと指定していたところに開発されないでその周りで開発がされてしまう。この構造をそっくり都市計画区域外にも持っていっているわけですから、当然準都市計画区域となったところで開発されないで、その周りでされてしまう可能性があるということです。
 恐らくインターチェンジ周辺では、区画整理なんかを、基盤整備をやられると思うんですが、そこでは一応ショッピングセンターを入れますが、ただ、そこでショッピングセンターを一生懸命自治体が誘致しても、その周りの何でも建てていいところにショッピングセンターが出てしまったら、どっちが勝つかといったら、それは安い地価のところで建ったショッピングセンターの方が絶対勝つに決まっているわけです。そういう恐らく矛盾がこれによって出てくる。その結果、場合によってはこういう制度が使われなくなる可能性も非常にあるんではないかなという、一生懸命つくられているにもかかわらずちょっと危機感というかを持っています。
 さらに、これは恐らく官僚の皆さん方では解決できないことだと思うんですが、農振法あるいは農地法と都市計画とがちゃんとリンクしないとだめだということです。
 どういうことかといいますと、準都市計画区域だとか特別用途制限地域ですとか、これは恐らく農振区域の農用地区域では指定できないのではないかなというふうにこの法律の条文を読む限り私は思うんです。恐らくそれは農水省は了解するわけはないというふうに思うんです。なぜかというと、農水省の厳しいゾーニングがかかっているわけですから、何で宅地化を目的とした都市計画のゾーニングをやるんだと、これは当たり前の論理なわけです。
 ところが、今、農家の分家、大きなショッピングセンター、大きな住宅開発がどこで起きているかというと、実は農振区域の農用地区域で起きているということです。ここは農水省が頑張って補助金を出して基盤整備をやっているんですが、実は基盤整備をやっても、俗に八年破りというふうに我々の中では言っているわけですが、農村地域の活性化を目的とした開発であれば場合によっては農用地区域から除外してもいいよという制度があります。これは今議論の対象になっているかと思うんですが、こういう考え方があるわけですから、基盤整備をやったところというのは道路がしっかりしていますからこういうところで大規模開発が起きてくる。そうすると、ここは実は先ほど言いました都市計画のゾーニングがかかっていないわけですから勝手にいろんな開発がされてしまうという問題が出てくるということです。
 そういう意味で、ここはぜひ御検討いただきたいんですが、土地利用というのはばらばらな法制度に実はなっていまして、これをやっぱり統合して、本当に農村地域にとって何がいいのか何が悪いのかということをしっかり考えた全体的な制度をつくらない限り、官僚の皆さんに任せておくとこういう基本的な矛盾が解決されないまま実は制度が進んでしまう。そうすると、農振区域であっても、これは実際農村出身の方はおわかりになるかと思いますが、農業委員会の権限が相当強い。ただ、農業委員会は、農業の状況が悪いから開発の意向が出てくると認めてしまおうと。俗に農転委員会という言い方をしていますが、農地転用するのが農業委員会だという言われ方をしています。実態としてはそう動いているわけです。ここをやっぱり何とかしないといけないというのが私の主張であります。
 時間もないので、もう一点だけお話をしたいと思いますが、国の制度は、先ほども言いましたが、どうもメニューばかりつくっている。そのメニューが使いやすければいいんだけれども、非常に使いづらい。
 例えば、今回の改正で都市計画区域内だけれども線引きがされていないところ、無指定地域というのがあるわけですが、ここについてまたメニューをふやしているんです。容積率について五〇%、八〇%を追加することができる、建ぺい率について三〇%、四〇%追加することができる。これは一九九二年の都市計画法のときに何とか容積率が一〇〇%まで、建ぺい率が五〇%までメニューを加えたんですが、八年たってようやく容積率が五〇%、八〇%というのが加わった。容積率を五〇%に落とすために何と八年もかかっているわけです。
 ところが、白地区域というのはどんどん開発が進んでいる。今さら恐らくこれをやっても間に合わない。あるいは、場合によっては容積率の五〇%というのは僕は非常に甘いんではないかなと思うんです。ショッピングセンターをつくるときに建ぺい率を三〇%なんて言ったらほとんど実はこれはクリアされているんじゃないかなと思うんです。そういう制度をつくるんだったら、こんな権限は市町村に任せちゃったらどうかと。わざわざ国がパーセンテージを決めないで、市町村が自分たちの土地を見ながらやってみたらどうですかということをしたらどうかと。
 しかも、このメニューがあって、さらに道路斜線とか隣地斜線の制限を追加してみたり、さらに先ほどいいました特定用途制限地域をやってみたり、この制度はみんなばらばらなんです。特定用途制限地域という制度と容積率、建ぺい率を追加するという制度と道路斜線を厳しくするという制度をばらばらにやっているんです。これをばらばらにやらないで一括してゾーニングをかけて、市町村がそこから何をやるか選んだらどうですかとやれば簡単に済んでしまう。しかも、こんな法律改正はそんなに難しくはないと思うんです。
 こういうふうに、これは一例なんですが、すべてについてばらばらに制度をつくっているものだからわけがわからなくなってくる。市町村も非常に使いづらくなってくる。だから、分権が必要なわけです。一括してこういう制度をつくったから市町村がこの制度をしっかり運用したらどうですかという法律改正をすればいいところを、細かくメニューをつくるものだから、しかもマニュアルつきの制度ですから非常に市町村は使い勝手について悪いという印象を皆さん持っておられるということでありまして、ぜひ、そういう抜本的にどうしたらいいかということについて御検討いただきたいというふうに思っています。
 以上です。
○委員長(石渡清元君) 次に、笹山幸俊参考人にお願いをいたします。笹山参考人。
○参考人(笹山幸俊君) ありがとうございます。
 それでは、特に公共団体としてやっておる仕事と今回の改正につきましてのいろんなそれをどう利用していくか、活用していくかという御議論になってくると思います。これは、今、伊藤先生初め野口さんからもお話がありましたように、公共団体として現在やっている仕事について非常に利用しやすくなるという面と、非常に厳しくなるのではないか、手間がかかるのではないか、こういった議論になると思います。
 これにつきましては、当然市町村がその地域の実情に応じましてそれぞれその地域の町づくりとしてはこれが一番いいという判断をすれば、それが現在の改正していただいている制度の趣旨に合うのではないかと。柔軟に対応できるとは言いません、もし利用できないということになれば当然やめてもいいのではないか、こういう判断を現在しておりますので。過去いろんな制度が変更になってきておりますけれども、これを少なくとも柔軟に公共団体は利用できる、使用できると。これも住民の皆さん方の意見も聞きながらということで、非常に幅を持った制度改革が一部ございます。
 しかし、今、野口さんからのお話のように、反対方向のものもないとは言えません。今回の中央審議会での審議過程でいろいろと公共団体あるいは個別のヒアリングをしていただいておりますし、市長会から関係団体の意見も聴取していただきまして、それぞれの立場を配慮して立案していただいたと思います。これにつきましては、今までに余りなかった例でございまして、今後の方向づけとしては一番いい方法ではなかったかなと、こう思っております。
 特に今回の改正案の内容で神戸市がやっておりますことを、これは参考的にお聞きいただければいいんですが、特に町づくりについて過去にやってきた中で、最近震災復興もあったということでございますので、その地域地域によって町づくりというものは一体何をしたらいいのか、こういうことになるんだと思います。ですから、今回は特に、神戸の場合は震災で教訓を大分いただいたわけでございまして、要はその地域の皆さん方にとって最小の単位は一体何だろうか、こういうことを考えております。
 極端に言いましたら、私はアメリカへ行って聞かれたんですけれども、日本にはいわゆる向こう三軒両隣あるいは町内会というものがあったではないか、それが現在はむしろアメリカでそれを進めておるんだ、こういう議論がありました。
 ですから、やはり町は地域の方々にとって安心して暮らせる、そういう町でないといけないということから、よく言われておりますけれども、コンパクトタウンあるいはコンパクトシティーというものを考える。これは何も、新しい表現をしておりますけれども、内容は、過去の都市計画で例えば近隣住区とか現在出ております地区計画制度とかいろんなものがあって、それをうまく使いこなせていなかったのではないかということでございますので、このコンパクトシティー計画というものを私どもは考えております。
 これは区域的に見まして、指定市ですから区があります。それから、区別の計画というのがあるんですが、その上にマスタープランがある。区別の計画は今回は各区の方々につくってもらいました。ですから、それを参考にしてコンパクトタウンというのはどういう範囲を言うかといいますと、大体小学校区が二つ、中学校区、こういう範囲を言おうと、こういうぐあいに考えております。この中には、昔から言いますように道路とか公園とかというものを普通は考えてきたんですけれども、そうではないと。これはその区域内、面積的にいえば約二百ヘクタールぐらい、あるいは人口的には二万人台ということになりますので、中学校が要るわけですが、そういう要素だけではなくて、それぞれの生活に必要な利便施設あるいは福祉施設、そういったもの、それとまたその隣の区域に同じようなものがずっと要りますから、そういうもの、あるいはその地域での歴史的なまた文化的な自然、そういったものを保存しながら、あるいはつくっていきながらその町をつくろう、こういうことを今ねらっております。
 ですから、こういった区域の皆さん、市民にとって、確かにこれを何とか自分たちの町という愛情を持っていただくということのためのやり方ではないかなということでやらせていただいております。
 そういう意味で、いろんなその中で起こってくる問題というのがあります。建物を建てれば高さの問題、建ぺい率の問題、また業種によってはそこの地域では排除したいという施設が入ってくる可能性がある、それを排除したい、こういった御意見を伺う。そういう単位を考えながらやっていけば全体的に、例えば区なら区レベルのバランスがとれていくんではないかなと、こういう気持ちで今考えております。
 ですから、今回の線引きの問題でも、神戸市の場合は全市域が一つの都市計画区域でございますので、先ほど野口さんから、また伊藤先生からもお話がありましたように、市街化区域と調整区域というふうに分かれております。ですから、それぞれ制限が違います。調整区域は用途が決めてありません。ですから、それぞれの計画を立てる段階で自然環境、あるいは道路の関係でいえば沿道関係、そういったものの土地利用について非常に過去苦労してきたというのが実情ではないかと思います。
 そういうことで、今回の改正で市街化調整区域の中の土地利用というものが出てまいります。ですから、建設省の方でも調整区域の中の集落、特に既存宅地がございますけれども、そういった問題についての制度があります。しかし、これは許可制になっておりませんので、今回許可制にしていただける、こういうことになってまいりました。ですから、そういったことで開発許可をすることによってその地域のスプロール化というものを防げる、こういう考え方で、非常にいい案ではないかと私は思っております。
 そのための前提として、神戸市の場合は、調整区域の中、特に先ほどもお話がありましたように、例えば農政関係でいえば農振地域があります。優良農地がこれだけあります。あるいは国立公園もあります。それから風致地区も決まっております。こういった既に決まっておるものについてはいいんですけれども、市街化区域と例えば農振区域との間、これを私どもは白地区と言っておったんですけれども、これには制限がございません。ですから、それをある程度制限する必要があるということで山林地域と農村地域、こういった問題についての条例を実はつくってございます。
 山林地域については、先ほど言いましたように国立公園、風致地区それから保安林、そういったものもございますので、これは緑地の保全、育成及び市民利用に関する条例を平成三年につくっております。そういうことで、緑の保存地域あるいは緑の保全区域あるいは緑の育成区域を指定しております。
 そして、それと同時に発足したんですが、震災の関係で少しおくれましたが、平成十年度に、農用地区、農振地区がございますので、農村地域につきましては人と自然との共生ゾーンの指定等に関する条例、これを制定いたしております。これは、農村用途地域とそれぞれの分野での土地利用の区分けをしていく、そして全体的には、よく言っておるんですが、里づくりという名称で農村環境の整備を進めていく、こういうことにいたしております。
 そういうことから見まして、区域割りあるいは土地利用についての許可制、こういったものについては、非常にこれの法的な裏づけをしていただけるということを私どもはありがたく思っております。これは一般の条例でやっておりますので最終的な規制ということにはかかわりませんので、今回は法による条例ということになります。
 それともう一つは、市街地等それぞれの地域に対しての地区計画の手続の問題ですけれども、これにつきましては、住民から提案を受ける、こういうことを過去に私どももやってまいりまして、地区計画及びまちづくり協定等に関する条例、いわゆるまちづくり条例というのを昭和五十七年に定めております。
 これは、地域の皆さん方が自分の町をどういう町にしたいかということをみずから考えて、ここをこうしようということを決めていただいて提案していただく、それに対して支援をするということになります。このまちづくり協定その他につきましては、市だけではなくて民間の専門家の皆さんにそれの中に入っていただいて指導していただくという制度になってございます。
 ですから、こういったものがどんどん進んでまいりますと、これがルールとしてはずっと、町の考え方が変わってくる場合でも柔軟に対応できるのではないかと、こう思っております。町はそういう意味で永久的な問題ではございませんので、ある時期が来ますと地域の皆さん方の考え方もそれぞれ変わってくると、これはよく言われております、ニュータウンが現在オールドタウンになっているわけですから、オールドタウンということは規制市街地の最たるものと。
 そうすると、それをどう改善していくかというのは、やはり地域の皆さん方のそれぞれの町のつくり方、あり方についての議論をする場、そういうものが必要になってきているのが現状ではないかと、こう思いますので、そういった問題についていろいろと地区計画等の中で、これは市街地あるいはそれぞれの周辺地域、そういった問題にかかわってまいりますので、今回の特例容積率適用区域、こういったものも確かにその地域での容積の問題あるいは高さの問題あるいは建ぺい率の問題、そういったものが出てきますし、文化財保護、そういったものも出てまいります。そういったことで、よく言われておりますように、容積移転というものをその地区あるいは街区、私どもは実は街区という考え方もあったんですけれども、今回は地区で容積移転が可能というようなことになってまいります。ですから、その区域を高度利用を図っていくということについては非常にいいんではないかと。
 私どものモデルとしては、旧居留地というのがございますが、その旧居留地ではそういった町づくりになっておりまして、言えばヨーロッパ型であるわけですが、戦後どんどん変わってまいりましてアメリカ型に変わりつつあります。どちらをとるかということは非常に難しいんですけれども、私どもは、神戸はヨーロッパ型なんでヨーロッパ型にしてほしいという気持ちは持っておりますが、現在はアメリカ型になっております。
 ですから、例えば容積率と建ぺい率ということを認めていきますと高さ制限が外れてきますから高さを決めた方がいいんではないかということで、中心にフラワーロードという新神戸から税関までの道路がありますが、これは実は景観条例と別の条例で高さ制限をしております。そういったことが、先ほどのお話じゃないんですが、いろんな制度が順次出てきますので非常に混乱するということは確かでございまして、その地域によってそれを選択する場合に話が非常に難しくなる、わかりにくくなる、こういうことがあると思います。
 それから、お話があって、それ以外の立体的な都市計画決定を可能にしていただけると、これは非常に私どもはありがたいと思います。といいますのは、将来必ずここにはいろんな地下の、あるいは空中の都市計画決定をする必要のある場所というものがありますし施設があるんです。それが同時にできないものですから、例えば地下鉄があってその下を道路が通る、あるいはその上を道路が通る、こういった場合に非常にむだな工事をやらざるを得ない、こういうことになりますので、同時に決定ができればありがたい、こう思っております。
 今後、こういった問題について、いろいろと教えをいただかないといけない問題は、特にこういった新しい法律でございますので、ぜひ国におかれましてはそういった運用のガイドラインあるいは必要な情報、こういったものの提供をしていただきたい、こう思っております。
 ですから、共通の問題もあろうと思いますけれども、それぞれの地域あるいは市の考えておることにつきましては十分お聞きをいただいて、そしてそれに対して適切な御指導をいただければと、こう思っております。
 それともう一つ最後に、この都市計画決定につきましては、決定はそういうことであります。実際に問題になりますのは事業をやるということなんです。事業をやらないと、決定だけでは十年も二十年もそんな必要はなかったのではないかという議論が出ますので、その事業化に対する支援というもの、御指導をぜひお願いしたいと思います。
 ちょうど時間になりました。以上でございます。
 ありがとうございました。
○委員長(石渡清元君) 次に、片方信也参考人にお願いをいたします。片方参考人。
○参考人(片方信也君) 御指名を受けました日本福祉大学の片方と言います。よろしくお願いします。
 お手元に資料をお配りしておりますので、適宜御参照いただきたいと思います。
 私は、今回の改正案には改善点として評価すべきところがあると思っております。
 例えば、風致地区の条令による規制権限は、都道府県としていたものを市町村を含む地方公共団体に改められております。用途地域を定めない区域での建築行為の容積率、建ぺい率制限により厳しい側の数値をメニューに追加し、密集市街地の建てかえでは一定条件のもとでの建ぺい率緩和が盛り込まれております。また、都市計画決定の手続で、市町村が都道府県の都市計画の内容に関して定めるべき事項を申し出ることができるとしたことや都市計画の縦覧に際して従来の計画案に理由書を付加することにしたことなどがあります。国、地方公共団体が都市計画に関する知識の普及、情報提供に努めねばならないとしたことも評価してよいと考えております。
 反面、これらの改善点の少なからぬ事項は、実質がどこまで伴うのか疑問の面を残した部分もあります。
 例えば、知識の普及、情報の提供の義務は抽象的な規定になっております。市町村にとって大きな意味を持ち得る都道府県の都市計画への申し出も、それがどのように尊重され、反映されるのかは規定上は明確にされているわけではありません。これらの点が実質的に効果を発揮できるようにするためには、公聴会の義務化や申し出の調整ルールの明示が必要であると考えられます。
 しかし、改正案の基本的な背景には、土地の有効利用を掲げた大都市の改造及び区域区分の選択制といわば裏腹に新たな開発圧力にこたえようとするところがあると考えられます。
 改正案は、二月八日における都市計画中央審議会の第二次答申、「今後の都市政策は、いかにあるべきか」、これは以下都計審答申と申し上げますが、これと建築審議会報告、「建築基準法における都市計画制度の見直し等に関連した課題への対応について」、これは以下建築審報告というふうに申し上げますが、これに基づいて提案されております。
 都計審答申を一読して第一に読み取れることは、現行法制定の一九六八年以来どのような都市空間が形成されてきたのかが十分に検討されていないということです。
 例えば、見直しの背景では、少子高齢化、都市への人口集中の沈静化、あるいはモータリゼーションの進展等で都市機能を支える産業等の立地上の制約要因がなくなりつつあるなどという認識が示されております。また、地球環境の保全が重要な課題となっており、都市計画上の対応が求められているとされております。
 しかし、これらは状況の変化を並べているだけで、六八年の新法制定以来、都市計画により進められた市街地の開発やそれに伴う生活環境の改変が、その原因解明を含めてどのようなものであったかが振り返られておりません。
 例えば、線引きでは、市街化区域が見直しのたびに大幅に拡張される傾向が強く、都市周辺の農用地は相変わらずスプロール状に宅地化されてまいりました。都市計画制度が住民にとって望ましい生活空間をいかに創造するかという論理ではなくて、土地の高度利用による経済効率を優先してきたことが市街地の様子を一変させてきたと言えます。
 地方中小都市、大都市のいずれにおいても、もとは人々の居住地であったところが歯抜け状態になり、ついにはゴーストタウンへと変貌してまいりました。これと裏腹に、ボーナス制度、割り増し制度などによる容積率緩和や日影規制の大幅な規制緩和措置の導入がディベロッパーなどの大企業の求める都市改造のてことして利用されておりますし、長く住み続けてきた住民を追い出してきたとも言えます。後背人口を失った既存商店街は活力を失い、衰退の一途をたどってまいりました。道路や鉄道沿線での住宅地開発や大型店の立地による郊外開発が農用地や丘陵地などを壊廃し、市街地が星雲状、リボン状に広がりました。これほどまでに郊外開発が進展したのは、都市計画がモータリゼーション政策と結びついてきたことによります。
 都計審答申、建築審報告は、本来このような問題点に今後都市計画がどう向かっていくべきかを根本から検討すべきでありましたが、前者は、「今日においては、スプロールが全国一律の課題という状況ではなくなっており、線引きという手段により都市計画区域の無秩序な市街化を防止する必要があるか否かは、都市計画区域を指定する主体であり、都市計画の方針を定める主体でもある都道府県が、地域の実情を踏まえて判断することが適切な状況」であるとしております。また、後者は、「市街化調整区域における開発の抑制が地域の活性化の阻害要因になっているという議論もある」とさえ指摘しております。
 大都市圏等では区域区分は義務制となりますが、それ以外の都道府県では選択制とするということは、都道府県の自主性尊重という面もございますが、地方都市の周辺開発の新たな規制緩和になると危惧される面があります。大都市圏に比べて開発圧力が相対的に弱い地方都市では、逆線引きを実施し、都市化の拡散の傾向により衰退する既成市街地の有効な再生に資する必要があると考えられます。どの程度の逆線引きが可能かは地域によって事情が異なるでありましょうし、各市町村の判断と決定に際しての主体性が重要となると思われます。
 大都市圏等でも市街化調整区域の開発許可制度の緩和が行われます。市街化区域に隣接するか、あるいは近くで一定規模の市街化が進みつつあれば区域を指定して開発が許可されることになります。これは、実質的には市街化区域の予備群を確保するもので、市街地の一層の拡散につながる危険があります。
 さらに、都計審答申では、指定された区域内であれば開発審査会の議を経ずに定型的に開発行為が可能となります。これは、一定の類型に当てはまれば実務的に許可の手続ができるという手続の緩和措置です。開発行為は、どのようなものであれ、固有の周辺環境を改変し、住民の生活環境に影響を与えます。その影響も地域の事情によって一つ一つ異なるでしょう。したがって、どの開発も、現地に即し住民の意見を十分に反映させて判断する必要があろうかと思います。むしろ、開発審査会がそのような機能を十分果たせるように、審査委員の選出など、そのあり方を問題としなければならないと言えます。どのような開発であれ、住民の生活環境にかかわる以上、これについて意見を申し出るのは住民の基本的な権利です。その機会をふやすことで人々は生活空間の具体的なイメージをつかみ、発展させることができるのであると考えております。
 すべての都市計画区域で新しく整備、開発、保全の方針を定めることになります。これは、都計審答申では都道府県の定める都市計画、マスタープランと位置づけられております。市町村の定めるマスタープランは、この都市計画に即し、矛盾しないように定められなければならないとされております。都計審答申では、「その内容が、都市計画の方針にできるだけ反映されるべきである。」とされておりましたが、改正案の条文上はその趣旨が明記されておりません。ただ市町村が都道府県の都市計画に定めるべき事項を申し出ることができることになっているにすぎず、その道筋がどのように生かされるかは未知数でございます。
 そもそも、都道府県の段階でマスタープランが必要とされるでしょうか。この点は従来の整備、開発、保全の方針についても同様な疑問を私は持っておりました。
 市町村にマスタープランの決定権限が付与された段階で、これは一九九二年の改正時でございますけれども、整備、開発、保全の方針への適合義務はむしろ廃止されるべきであったと考えられます。ところが、今回の改正案では新しい整備、開発、保全の方針としてマスタープランの位置づけを明確にし、市町村マスタープランに対する都道府県の関与がより明確にされております。
 都市計画の主体を住民にとって最も身近な市町村であるとしたことは九二年法の積極面でありました。現在六百以上の市町村が策定しているのは、その趣旨が一定のレベルで定着しつつあることを示しているでしょう。この流れをさらに発展させる視点から判断して、都道府県マスタープランはかえって阻害要因になる危険があると言えます。
 そもそも、都市計画は生活空間の創造にかかわった住民にとって最も身近な仕事です。この仕事は生活空間の総合性を確保し、まとまりのある日常的な生活圏を整備発展させていかねばならないという課題を背負っております。市町村は、住民の要求をそれぞれの地域の状況に即して把握し、マスタープランへと積み上げ、集約していくことになると思います。
 広域にわたる場合に想定されるのは、例えば幹線道路、都市河川や丘陵などの複数の市町村にまたがる区域の利用や開発をめぐる調整であろうかと思います。全国総合開発計画や首都圏整備計画などによる規定事項をそのまま都道府県のマスタープランに位置づけて市町村の計画を左右する従来の計画のあり方は、ますます市町村との矛盾を深めていくことにならざるを得ません。
 市町村マスタープランが真に住民の求める生活空間を創造できるように、市町村の主体性を一層明確に位置づけることが法改正に求められております。さらに、府県レベルの住民参加を進めるのにも困難があり、マスタープランに屋上屋を重ねることは避けるべきであると考えます。
 都道府県については、市町村間の都市計画の調整の基本的なルールを定めることが必要です。例えば、市町村にまたがる区域の土地利用計画等に矛盾が生じるような場合、住民が十分に納得しない間はマスタープランの決定事項からは保留とします。矛盾が避けられるまで住民間で協議を続けることができるとか、複数市町村の住民が参加する第三者機関による計画の事前評価を行うように支援することも重要です。一定の段階では、市町村の都市計画審議会間の相互協議、合同協議などを仲介する機能も求められるでしょう。このような役割は、制度的に明確に規定しておく事項であると考えられます。
 大都市の商業地域では特例容積率適用区域制度が導入されます。建築審報告では、「地区全体の高度利用のための条件が整っているにもかかわらず、高度利用が十分に実現されていない場合」を想定しております。都計審答申では、さらに具体的に、「歴史的建造物や劇場など建築物の特殊性等により、指定された容積率の限度まで利用することが困難又は不適切なものがあり、地域全体として土地の有効高度利用が十分に図られていない場合がある。」とされております。
 これは、都市空間の改造につながる重大な規制緩和であり、ディベロッパーなどの開発側にますます有利に働く制度です。指摘されているような歴史的建造物の周辺は、むしろ相当広い範囲にわたって低容積率、低層の建築物のみが可という区域にすべきであり、不十分ながら美観地区の指定がその役割を担っております。
 また、商業地域でありながら京都の都心地域では、建築物の高さを指定の高さよりも低く抑えて町並み保存を目指す建築物協定、地区計画を結んでいる地区に接する形で指定容積率、高さを目いっぱい利用した高層マンションの建設ラッシュが続いております。周囲の山並みへの眺望や見おろしの眺めが開発のメリットにされているのであります。これらの建築行為は現行制度には抵触しないという理由で野放しになっており、住民の間で重大な問題になっております。
 また、都心では、町家居住を中心とする居住地の大部分が用途地域や商業地域及び容積率で四〇〇%の過大容積率が指定されております。
 例えば、高層マンションの開発では、これらの指定条件は住民のクレームを退けようとするのに有利に働き、低層高密を特徴とする伝統的であり、かつ今日的な機能を発揮している町家とその町並みが崩れ去ろうとしております。特定容積率適用区域制度の導入は、このような傾向を合理化するだけでなく、容積率移転で高さ制限緩和の新たなきっかけになる危険があります。もしそうなれば、景観の乱ぐい化は新たな次元を画することになるだろうと思われます。
 市街化区域ならどこでも地区計画を結べる条件が改正法案に盛り込まれておりますが、商業地域から近隣商業地域への変更、容積率の切り下げ、いわゆるダウンゾーニングですけれども、こういうことが可能になるならば、そのメニューを拡大するという意味で法改正の意義はあろうかと思います。
 最後に、準都市計画区域の設定に触れておきたいと思います。
 これは、区域区分の選択制への移行に伴う制度の新設です。都市計画のマスタープランは一つであるというのが私の主張ですけれども、それと同様に都市計画区域も一本に統一すべきではないかというのが私の主張です。その上で、従来の都市計画区域外での開発については、都市計画区域を新たに設定するとか、あるいは飛び地的に市街化調整区域を設定するなどが考えられないかというふうに思っております。どういう都市空間をつくるか、そのビジョンのプログラムや住民のコンセンサスを得る手続のあり方を正面に据えて検討する必要があるというふうに思います。
 以上、改正案に即してその基本的な問題点を指摘するとともに、法制度として当面する課題について問題点に対応する形で見解を申し述べました。
 御清聴ありがとうございました。
○委員長(石渡清元君) ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様からの意見聴取は終わりました。
 それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。
 きょうは四人の先生方、早朝からお越しをいただきまして、大変有意義なお話をいただきまして、ありがとうございました。
 お話をお伺いしておりまして、参考人質疑というのは大体かた苦しくなるわけですけれども、冒頭からおもしろいお話がありまして、法文を読んでいますとさっぱりわからない難しい話で弱ったなと思っておりましたら、四人の先生方のお話で問題点の所在が非常によくわかったような気がしております。そういう意味でも本当にありがとうございました。
 四人の先生方のお話をずっと伺っていますと、これもまた異例なことですけれども、通常は、やはりお呼びした事情があって、賛成だとか反対だとか、かなり意見が割れることが多いわけでありますが、きょうはお四方とも言われていることはベクトルの方向としては一緒なのかな、なるほどなということで、これもまた非常におもしろく聞かせていただきまして、今後の参考になるのではないかという印象を持ちました。
 初めに伊藤先生にお話をお伺いしたいわけでありますが、よくも悪くも、悪いところはないのかもしれませんが、伊藤先生はずっと日本の都市計画の中心に位置された方でございますので、都市計画法そのものを評価するときにも先生を抜きには語れないわけです。
 片方先生からお話がありましたが、まず現在の評価をしてみると、都計法によって都市が全部できたわけではありませんから、現在の都市を評価してそのまま都計法のせいにしたのではちょっと気の毒な気はいたしますが、少なくとも日本の都市の現状はどうなんだろうか。多くの人がよく言われますが、欧米に比べて何ともがちゃがちゃしていてよくないと。私は余り否定的に考えなくてもいいとは思うんですが、それこそ住民の一人一人が暮らしやすい都市になっているなと余り感じないんじゃないだろうかと。これは、現在の大規模改正された都計法がもう三十年以上たっているわけですから、時間がない間はしようがないけれども、三十年たっても余りましなものができていないとすれば、やはりその根本的なところが少し違うんじゃないかというような疑問を持ってもいいんじゃないかと思うんです。
 そういう意味で、私は唖然としたんですが、先生方はおられませんでしたけれども、一昨日の質疑で群馬県の玉村町の状況が上野委員から話があったんですが、前橋、高崎、伊勢崎というそれぞれ数十万人に囲まれた真ん中の小さな町、そこで人口が二万数千人が三万数千人に、この何年かで一万人以上ふえた。そのふえた中身を見ると、何と市街化区域の中でふえたのは数百人、残りの一万人を超える人が調整区域でふえている。こんな皮肉な話はないので、少なくとも玉村町について言えば都計法は全く無力であったとしか言いようがないわけですね。
 神戸市は日本の中ではただ一ついい町になっているのかもしれませんが、押しなべて玉村町ほどではないにせよ、どうも余りうまくいっていないんじゃないかと。都計法の評価としては少し深刻に考えざるを得ない。もちろん税制その他さまざまなものが影響しているわけですから、先ほど申し上げましたが、都計法だけのせいではないんですが、ぜひその辺のことについて、中心人物の伊藤先生に感想といいましょうか、御意見をお伺いしたいわけであります。
○参考人(伊藤滋君) いろんな理由がございますが、二つ申し上げます。
 一つは、日本の都市計画の多く、野口さんも、多分片方さんも同じなんですが、目標はヨーロッパ型の都市計画をつくりたいということです。町並みがきちっとしていて街路樹もきれいで公園もたっぷりあって、これはだれも反対をすることはないんですが、問題はそれに見合うだけの社会制度が日本にあったかというと、私はそう思っていないんです。
 僕はよく言うんですが、日本の土地所有者の数は三千七百万ぐらいあるんです、たしか。三千七百万というのは、大体一世帯一つ土地を持っているとお考えになってもいい、一世帯四人としますと。皆さん土地を持っていますから、自分の土地が大事だと思って、それを孫子に伝えたいとか子供に三つに分けてやりたいとかという極めて農村的な感覚で土地を守るわけです。
 問題は、これと都市計画の専門家がヨーロッパ型の町をつくりたいというのは根本的に議論するベースが違って、そこの接点がないままに私は来たんじゃないかと思うんです。一番の象徴は、私は住宅地については最低限敷地というのをきちっと決めるべきだと常日ごろ言っているんですが、これは必ずしもうまくいっていないんです。
 つらつら思いますのに、そうこうしている間にアメリカ大資本が入ってきまして、やっぱりアメリカ大資本とつき合わないと日本の経済はつぶれますから、これはもう完璧にそうなんです、四半世紀で。この事実を無視した形で市街地の整備をすることはもうできないんです。ますます日本はアメリカの大資本を意識しないと国政ができなくなる。結果としてアメリカ型へ行っちゃったわけです。
 しかし、二十一世紀の現時点で考えますと、私が先ほど言いましたように、土地制度の根本で、やっぱりこの三千五百万人もの地主さん方が、それぞれの自分の土地を大事にして孫子に伝えたい、子供にやりたいという根本的なその考え方についてやっぱり考え直すということですね。これは、広い意味では土地は国民のもので、市民のものである、その使い方は。
 それから二番目は、それをもとにして、笹山市長も野口さんも片方さんも三人共通なんですが、まとまりのいい都市をつくろうということです。
 これは、結果として地球環境に非常に貢献する。私は、これから日本の都市計画は形態論よりも地球環境に貢献することに一つ一つ取り組んでいくべきだと。そういうときに土地制度の根本的な再検討をしていく。そういうことになれば、私は現在用意してある都市計画法は物すごく生きてくると思います。それ抜きに、基盤抜きに都市計画制度を一つ一つつくっていましても、大変恐縮なんですが、負ける戦争で機関銃を持っていって戦えというようなそういう状況でございます。これも多分野口さんも僕も同じ意見です、実務をやっていますから。
 以上です。まだしゃべりたいことはありますけれども、とりあえず。
○脇雅史君 大変ありがとうございました。
 次に野口先生にお尋ねをしたいわけでありますが、都計法、押しなべて皆さん方一緒だったわけですけれども、できるだけ自由度を増して、しかも市町村にゆだねるべきだというお話がございまして、私も全くそのとおりだというふうに思うわけであります。
 一つ私の経験を申し上げますと、国の役人がなぜ地方に権限をおろすことにためらうかというと、まことに不遜な言い方なんですけれども、例えば河川で見ますと、国が管理していた場合と都道府県、市町村とおりていくに従って、どうしてもその公的な部分というのがいじめられちゃうんですね、確保しておくべき公的な部分。それは、社会的な制限、公的な制限、いろいろかけているわけですけれども、ちょっといいじゃないかということに、とりあえず使わせてくれということでずるずると日を追って悪くなっていって、結果として例えば持っていた空き地がなくなっちゃうとか、そんなことが起こり得ていたんですね、今までは。
 なぜそうかというと、日本では私的な権利、権限の方が強過ぎるんです、今のお話にもありましたが。公的な権限ということが非常に弱い。これは都計法だけではなくて、あらゆる法律の原点、つまり憲法上の問題ではないかと思うのですが、その公的な部分というのをきちっと位置づけて、今の憲法でも、読めば私的制限は当然受けることになっているわけですけれども、それを非常に臆病になってうまく使っていないということがあると思うのです。そんなことがあって、できるだけ現場から遠い人が管理していた方がいい管理ができるということは現実にはあったんです。
 それで、なかなか県、市町村におりてきませんし、また、市町村、県も管理が難しいものですから、できるだけ上へ上げたがる、国で管理してくれという話になるのがそういうことなんです。お金の面ももちろんございますけれども、そういう実態的な管理の中身という話があって、国が悪いと言っているからだめだぞと言った方が地元に断りやすい、おまえの権限でできるじゃないかという話はなかなか断れないということが現実にはあるんです。ですけれども、それではだめなんで、もうそれを承知しながら市町村に任せざるを得ない、そういう時代になってきているというふうに私も思うんです。
 片や憲法その他で公的な部分をしっかりするということとともに、そこはもう飛びおりなければいけない。今回の法律でもかなりそういう方向に行っていると思うんですけれども、市町村に任せるという考え方の中で私の意見を申し上げましたが、野口先生のお話をもう一回お聞きしたいと思うんです。
○参考人(野口和雄君) 大変重要な御指摘だと思います。
 私も状況としてはそういうふうに認識をしておりますが、問題は、公的な権限が実は弱い部分と強い部分があるというふうに私は思っていまして、住民、土地所有者に対しては非常に弱い、一方で地方自治体に対しては非常に強いという実は関係になっているから問題である。これは逆にしなければいけないのではないか。
 先ほどから皆さんに共通しているのは、土地所有は自由主義である限り自由でしかるべきだろうと思うのですが、土地の利用というのは明らかに公的な部分なわけで、ここについて権利者の自由に任せていくというのは、自由ではなくて通常我々はわがままというふうに言っているわけでありまして、ここは基本的にわがままにしてはいけない。
 基本的に土地の利用というものは公的に決めていくんだということは明確にしなければいけないという意味では大賛成でありますが、実はここが土地所有者に対しては弱いにもかかわらず、この土地所有者に対して何とかいい町をつくるために、ちょっとここの農地やここの山林は未来の子供たちのために守ろうよというふうに言っている部分について自治体がやろうとすると、どうも国の権限が強過ぎて、例えば神戸市さんとか、最近でいけば穂高町さんとか、一生懸命まちづくり条例をつくるんだけれども、いやその部分はちょっとやり過ぎだから、違法性が強いからちょっと注意しろよと。注意しろよというのは事実上できないということなわけです。要するに、違法性があるからできないということなんですが、そういう部分で国は権限を強くするという力関係にあって、これはぜひ逆にしていただきたいというふうに一つは思います。
 それからもう一つは、特にいろんな施設で国や都道府県や市町村で分担する事務がこれは明らかにある。といいますのは、いろんな施設や土地利用について広域的に処理をすべきことと地域の中で決めればいいことだというのは、例えば道路、河川をとってみれば当然広域的にやらなければいけない。河川とか幹線道路というのはそうだと思います。市町村ごとに反対、賛成が分かれていたんでは道路は一本にならないわけですから、これは当たり前です。ただ、昨今の問題は、広域的なことについて国だけが権限を持ってやった結果として、住民からの半ば反乱に遭って、できるものも、やらなければいけないものもできなくなってしまうという事態が起きている。
 ここは、やはり民主主義国家である限り住民の理解を十分得るという措置を講じなきゃいけない。そこがまさに住民参加、あるいは市町村の意見がちゃんと国の政策に反映されるという、ボトムアップというふうに我々は言っていますが、これにやっぱり時間をかけていくということをやらざるを得ないんじゃないかと思っていまして、そういう意味で、広域的な施設についても住民や市町村の十分な理解を得てやるためにも、僕はボトムアップ形式に、国が一方的にこれは重要だからやりますよという論理ではなくて、これはまさに地域の住民にとっても防災上も重要なんだということをちゃんと説明して、合意形成を図りながら決定していくというシステムがやっぱり必要なんだろうというふうに思います。それによって初めて広域的ないろんな施設について国民の理解が得られるようになるんではないかなというふうに思っております。
○脇雅史君 大変示唆に富んだお話をありがとうございました。
 あと時間が一、二分しかなくて恐縮なんですが、笹山参考人に簡単にお答えをいただきたいんです。
 都計法上のいろんな問題がありますが、実際に数多くの町づくりの非常に深い経験をされた笹山参考人として、法の運用上どんなことが一番不自由、問題と感じてきたのか、今までの御経験の中でこれだけはぜひ建設省にこの場で言っておきたいということがございましたら、ひとつ聞かせてあげていただきたいと思います。
○参考人(笹山幸俊君) 先ほども少し触れましたけれども、今回の制度の変更等によりまして地方に任せてやろうともうはっきり言っていただいておりますので、それに対する勉強を実はしないといけないと思います。そのためにいろんな情報についてはぜひお願いします。
 それともう一つは、それが事業化できるかどうかという問題。
 これは、今度は地方の方の責任になってまいります。ですから、事業化するためのいろんな制度というものが、また先ほどから非常に核心に触れた御意見がありましたけれども、事業化するために、まだ決定するまでに時間がかかるということでございます。ですから、こういった時間についてはもう一回原点に返って、都市計画で決められている法律一条から三条ぐらいの間をどう考えていくのかという議論はあってもいいんではないかと私は思っております。
 都市には環境的、これは物的あるいは自然的な容量がありますけれども、その容量を超して都市計画をその地域がみずから考えていくということは少し行き過ぎではないかと私は思っております。ですから、それぞれの地域が持っておるこういった環境的な容量というものを超さないように、そしてできるだけコンパクトにその町をつくり上げていくというところへ持っていくべきだろう、こう思っています。
○脇雅史君 もう時間が参りましたので、片方参考人にお話が聞けませんで、失礼いたしました。
 終わります。
○岡崎トミ子君 四人の参考人の皆様、本日はありがとうございました。
 私は一昨年の都市計画法改正案に対する質疑にも参加をいたしました。そのときに、地域住民が主役となってデザインをする、そして自治体主導の総合的な町づくりを提案いたしました。その実現を阻む都市計画制度ということについての問題点を指摘したわけなんですけれども、今回もその都市計画制度の矛盾について、わかるように対応するために改正案をつくっているわけなんですけれども、その目的が本当に達せられるのかどうかということについて、前回の質疑や今回の参考人の皆様のお話を伺いながら大変疑問に感じたわけなんです。
 野口先生は非常にこの複雑な問題に関して複雑骨折というような表現をされ、住民や自治体にとって非常に使い勝手が悪い、ますます複雑になったと、本当に議員の皆さんたちがそんなふうに言っているわけなんですけれども、継ぎはぎによる対応はやめまして抜本的な改正をしなくてはならないんだということについても、また改めてその意を強くしたわけなんです。
 きょうは、この参考人の質疑の後で午後からも総括質疑が行われますので、その質疑の糧ともさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、伊藤参考人にお伺いしたいと思います。
 今回は都市計画マスタープランの充実が盛り込まれました。九月の都市計画中央審議会でのその審議の状況について大変わかりやすくお話をいただいたんですけれども、その中の小委員会の「都市計画制度の見直しに当たって」、この中で、都道府県のマスタープランについて都道府県の全域を対象とした、そして隣接する都道府県とのかかわりも踏まえて策定するんだということで、さらに自然的環境や景観の保全に関する事項、あるいは環境負荷の低減に関する事項、高齢者や障害者、福祉に関する事項、こういうことについても明記する必要があるのではないかというふうに問いかけているわけなんです。ところが、今回の改正案の中では、都市計画区域のみを対象として、内容的にも従来の整備、開発又は保全の方針を都道府県マスタープランとして策定するにとどまってしまったというふうに思うんです。
 どうして議論がこんなふうになってしまったのか、将来の方向性に向けて、都市計画中央審議会の会長としては言えなくても、一研究者としてのお考えを伺えれば幸いでございますが、よろしくお願いします。
○参考人(伊藤滋君) 後ろに変なのがおりますので、気をつけながらしゃべります。私は不規則発言をするというので有名な男なんです。
 冒頭申し上げますと、市町村マスタープランは、皆様の御支援もいただきまして、非常に順調に私は動いていると思っております。
 私も三つぐらい具体的な市町村マスタープランをつくることにかかわりました。その中で、習熟過程がありまして、住民参加とか意見をどういうふうにうまく計画にまとめるか、それぞれの市町村が勉強をしてきたと思っております。この実力は都道府県も無視できないと私は思っております。これは非常に重要なことなんです。
 ですから、形式論として都道府県が都市計画区域ごとに都市計画の方針を定めるということになっておりますが、法律の方はよく知りませんが、この答申の方には、市町村マスタープランを既につくっているところはそれを全部飲み込めと、県の、そう書いてあるんです。相当オーバーかな。基本的には大体いいんでしょう。飲み込めと書いてあるんです。ですから、早急に市町村は、大変だと思うところは市町村マスタープランをスタートさせていくべきだと思っております。それをもとにして都道府県が都市計画ごとのマスタープランをつくるということになります。
 二番目に申し上げますが、じゃ、都市計画区域のマスタープランは何か、具体的に。これは率直に、まだ決まっておりません。
 決まっておりませんが、これから私見を申し上げますと、そこの中で市町村が嫌なことというのがあるんです。例えば、本当は市町村の中で河川緑地が欲しいんだけれども、それを書いちゃうと市町村の議会の議員さんとかいろいろの住民団体に怒られちゃうから書けないとか、そういうのがあるんです、実態として。
 あるいは、どうしても広域の、市町村を越える道路、これは都市計画にかかわる自動車専用道路もございますし、地域高規格だったかな、何かそういう道路、これについては非常に微妙でございまして、総論賛成、各論反対になります。各論は市町村が反対、大体そういうふうになるんです、四車線ぐらいの道路が来ますから。そういうときに、例えば南関東全体から見てどうしてもこの道路が必要だというのをやっぱり都道府県がはっきりと明示する方がいいだろうと私は思うんです。
 一言で言いますと、市町村マスタープランで住民がなかなか口をもごもごして言いたくないものとか、あるいはこれはどうも市町村としては反対だけれども総論として必要かなというようなことに対してだれがやるべきかというと、ここはちょっと不規則発言なんですが、私は国が責任を持ってやるということがあったっていいと思っているんです、河川とか道路は。しかし、今はそういう御時世ではございません、国は全部たたかれますから。だから、市町村は市町村の主体性を持って国に対しても文句を言えと、市町村にも十分に説明せよと、そういうふうになるんじゃないかと思うんです。そういうものが多分県の市町村マスタープランに入っていくんじゃないかと。それを四の五の、ここを住宅地域にして、ここに公園をつくってなんということをもし書くとしたら市町村マスタープランを再掲するということになるんじゃないかと。都道府県のやるべきマスタープランをどうするのかというのはこれからの重要な課題ですが、案がどこにあるかというと、ございません。
 ただ、さっきから探しているんですが、前に神奈川県の都市計画方針をつくろうといったときに、どんなものだと言ったので、例えばというので出てきたのは、まあこんなのなら県がつくったっていいじゃないかという程度のものでございまして、これよりもうちょっと正確にしたらいいと思うんですが、僕の手元にあるのでさっきから探しているんですが、場合によっては差し上げます。
 以上です。
○岡崎トミ子君 ありがとうございました。
 次に、野口参考人に具体的にお伺いしたいと思います。
 野口参考人が主張する地方分権をどのように進めるかということなんですけれども、今回の改正法案の中で、どの条項をどういうふうに修正すればそれが進むのかということについての御提案をお伺いしたいと思います。
○参考人(野口和雄君) 大変難しい御質問なんですが、今回の改正について必ずしも僕は全面否定しているわけではありませんで、幾つかの条項を変えることによって相当分権型に行くんではないかなというふうに思っているところが幾つかあります。
 その一つは、都道府県がつくる都市計画について市町村が提案することができるという条項がたしかあったかと思いますけれども、その部分について、実は実態として今市町村が提案といってだれが提案しているか、簡単に言えば都市計画の担当者が提案しているにすぎないわけです。これは市町村としての提案ではないわけです。市町村としての提案というと、例えば議会でありますとか住民の方の、それだったら県に提案したらどうかと、こういう合意を得て初めて都道府県に提案できるわけです。
 例えば、一九九二年の市町村マスタープランのときにどういう事態が起きたかというと、ある大きな都道府県の中で都道府県の整備、開発、保全の方針を変えるに当たって市町村に意見を求めたんです。市町村から、こういう土地利用にしたい、あるいはここにこういう施設が欲しいということについて提案を出せと言ったんですが、このとき都道府県の担当者は、住民や議会に諮っていたら時間がかかって合意形成ができないから、担当者の意見でもいいからまず出せよというふうに言って持ち上げて都道府県の整備、開発、保全の方針を変更したという事実があるわけです。これは、今この条項であると、それでも提案を受けたということに場合によってはなるんではないかなと。
 そこで、例えばこの提案については、市町村の住民にちゃんと縦覧をして意見をもらった上で、要するに公表してアカウンタビリティーをしっかりやって、議会の承認を受けた上で県に持ち上げるというシステム、これが地方分権なわけで、僕は必ずしも都道府県のマスタープランを否定しているわけではなくて、これは必要なわけですから、つくるときにやっぱり市町村の総意、市町村の総意というのは、行政の意見ではなくてまさに議会の意見が僕は市町村の総意なんだろうと思うんですが、この意見を得て承認を得てちゃんと都道府県に提出するというシステムをつくり、なおかつこれについて都道府県が採用するか採用しないか、採用しないとすれば何で採用しないかということも、これもアカウンタビリティーですね、きちんと説明を当該市町村にした上でマスタープランをつくる、そういうことが私が言っているボトムアップなわけです。そういうことをしっかりやるということはそんなに難しいことではありません。
 というのは、私の資料の二枚目に、一九九二年の都市計画法改正のときに野党案というのが画期的に出ているんですが、この野党案の中ではこういうシステムが実は提案をされておりまして、この提案を今回の改正法の中に入れ込んでしまえばこれは簡単に私はできるんではないかなというふうに思っているということです。
 こういう事例が条文の中に幾つか実はありまして、今回の改正法の基本的な枠組みを生かしながら、少し幾つかの条項を加えることによって地方分権型に行きそうだなというのがあります。
 もう一つなんですが、これはやや抜本的なことなんですが、四者の参考人からも意見が出ておりませんし、皆さんからも意見が出ていないところで大変重要なことがあります。
 それは、開発等についての公共管理者としての同意、市町村長が同意をするわけですが、これについてはもっと明確にするということで、例えば、この開発は住民や議会が反対しているから市町村長が公共管理者としてこの開発について実際上判こをつかない、同意しないということがまちづくり条例や開発指導要綱で従来やられてきた、その結果開発がストップしてきたという事実があるわけです。そういうことについて、いや公共管理者の権限はもっと狭いものだからそこに限定しようじゃないかというどうも改正法があるようですが、一方でまちづくり条例、例えば神戸市さんがやっている共生何とか条例とか、これは全部実は適法にしないで一部について相変わらず違法状態になっているということなわけです。条例について違法状態にしながら市町村の同意条項を限定させてしまうという改正があるわけで、ここは相当抜本的に変えていただきたいなというふうに思っておりまして、ここは恐らく市長さんとして非常に苦労されているところなんではないかと思うんです。
 という形で、多少の条文の改正でもって結構うまく運用できそうだなというところは実は相当ありますが、一方で、抜本的に変えないといけないなということもあるんではないかなというふうに感じております。
○岡崎トミ子君 実は野口参考人には財産権の制約の問題をお伺いしようと思ったら脇議員がおっしゃったので、もう一度、市町村の権限移譲について、市町村の力量の問題で格差が出てしまったら国民の不公平につながっていくんじゃないかという問題点についてもお伺いしたいと思ったんですけれども、きょうはわざわざ神戸からお越しくださっておりますので、笹山参考人に一言お伺いしたいと思います。
 NPOと行政との共同ということをなさったと思いますけれども、そうした都市計画の決定過程の中でのNPO、そこで学んだこと、教訓、それを合わせてどんなことをお考えになっていらっしゃるか、一言お伺いしたいと思います。
○参考人(笹山幸俊君) 特に今回の震災でNPOの活躍といいますか、こういった問題が非常にクローズアップされました。これは当然といえば当然の話でして、お互いに助け合うという気持ちになればそういう状態というのはあり得るわけでございますが、それが実際に出てきたということで、今回はNPOの法人化がまず第一に出ております。
 それともう一つは、そういう活動をする拠点、これをつくる、そして連絡調整、その他情報交換をやる、こういったことで皆さん方にぜひ参加をしていただきたい、こういうことを申し上げております。ただ、参加の仕方、またNPO自身のシステム、組織、こういった問題も十分考えていただかないと、ただ何人かが寄ってNPOの仕事をやっていますということだけでは地域との信頼関係というのが非常に難しくなりますので、こういったことについての注意をお願いすると。
 こういうことで、全般的に見ましたら、拠点づくりから法人化、そういった問題についての制度をもう既に発足をいたしておりますので、それぞれその方々にも、実際には事都市計画的な問題あるいは町づくりの問題については非常に専門的なことがありますので、必ず専門家の意見を聞く、あるいは大学の専門家の先生方に聞く、こういうシステムにしていただかないと、町づくりそのものだけの議論になってしまって、周辺に及ぼす影響というものがつい忘れられるということがあってトラブルが起こる、こういうことでございますから、そういう意味での避ける一つの方法というのが、そういった情報交換、あるいは先生方のいろんな情報を聞いて考えていくというようにお願いしております。
○岡崎トミ子君 ありがとうございました。
 片方参考人には、時のアセスの問題が入っていなかったのでこのことについてお伺いしたかったのですが、時間が来てしまいましたので後ほどお伺いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○高野博師君 公明党の高野でございます。
 四人の参考人の先生方には、貴重な御意見を大変ありがとうございます。
 最初に、野口参考人にお伺いしたいんですが、私の理解がちょっと浅いのかもしれませんが、秩父の話が出ましたので、私は地元が埼玉なものですから、秩父のどの辺のことを言っておられるのかなと。本来自由であるべき区域に厳しい規制をしたことによって、その周りにショッピングセンター等ができちゃうということなんですが、今回の法改正によって都市計画区域と準都市計画区域ができるわけですね。それ以外については開発許可制度というのがあるわけですからそういうことはあり得ないのではないかと僕はそう理解していたのですが、そこをちょっと簡単に御説明をお願いします。
○参考人(野口和雄君) ちょっと私の話は長いようなので、簡単に申し上げます。
 例えば、自治体名は申しわけありませんが伏せますけれども、あるところで、市街地があるにもかかわらず一部山林が伐採されて、リゾート開発のときですが、住宅が建ってしまいました。そこは森林法が適用になっております。森林法上、森林計画対象民有林というのですが、ここは一ヘクタール未満については単に樹木の伐採の届け出だけでいいということです。
 今回の開発許可については一ヘクタール以上ということに都市計画区域外等についてはなりそうだというふうに私は聞いておるんですが、そうすると、一ヘクタール未満の連檐していく開発はどうやって扱うかということです。県の名誉があって言いづらいのですが、実は森林計画上の開発許可は一ヘクタール以上になると手続が非常に面倒くさいので、県としては一ヘクタール未満で何とか処理しようとする。そうすると、簡単に言えば九千九百九十平米の森林が、ディベロッパーも変え、連檐して開発される。そうすると、事実上数十ヘクタールになってしまうわけです。
 これは、実はショッピングセンターについても同じような事態が発生する。さらにいけば、開発許可の対象になったとしても、都市計画区域外でありますので、例えば用途の制限とか建物の制限をどこまで一体開発許可でできるかということについては相当制約があるのではないか。
 都市計画区域内であれば、それは都市計画の趣旨に基づいて、ショッピングセンターはいけないとか、ショッピングセンターでも、場合によってはこういう店舗については問題があるかもしれないと言えるかもしれないけれども、都市計画区域外というのは基本的にそういう思想ではないわけですから、どこまで一体都道府県がきめ細かく土地利用上制限できるかということについては、必ずしもそう楽観視できない。
 現行の開発許可でも、開発許可できるできないの基準が法律上明確になってしまっているというところがありますので、都道府県でも相当つらいのではないか、自主的には運用できないのではないかという気がしておりまして、実はそういうところが現行法の不備としてある。したがって、制度ができて、一般的にこの制度があれば使えそうだという気はするのですが、よく制度の条文を読んでみると、なかなか使えないなということになるということであります。
○高野博師君 それでは笹山神戸市長にお伺いしますが、神戸市長におかれては、震災の復興について大変な御尽力をされているということに対しまして、まず敬意を表したいと思います。
 そこで、神戸市が、先ほどお話ありましたように市街化調整区域内で独自に条例をつくられて、人と自然との共生ゾーンとか、あるいは緑の保全、育成等を指定してこられた、また条例によって町づくりへの住民参加を進めてこられたということでありまして、いわば今回の都市計画法の改正の重要な部分を先取りしてきたのかなという感じがいたしますが、神戸市から見て、今回の改正の全体的な評価についてお伺いしたいと思います。
 先ほど野口参考人が、マスタープラン等で市町村が都道府県を通じて国の統制を受けるのではないかとか、あるいは国の制度は自治体の自主性にブレーキをかけるのではないか、また今回の法律改正案については使い勝手が悪いのではないか、こういう御意見なんですが、自治体の市長さんから見て使い勝手がいいのか悪いのか、その辺も含めて、簡単で結構でございますので、全体的な評価についてお伺いいたします。
○参考人(笹山幸俊君) 今回の震災でいろんなことを学んだわけでございますが、町の形そのものと、そこに住んでおられる市民の皆さん方の生活様式、態度というんですか、そういうものがそれぞれの地域によって相当の違いがあるということと、町のでき上がっていった経過も歴史も違う、こういった状況の中で震災というのが起こった。ですから、お考えいただいております地域の方々の考え方というものが多少のずれがあるということは、もうこれは確かでございます。
 そういうことで、今回、いろんな計画をつくる場合に、まず先ほども申し上げました各区別の計画をつくってくださいと。これは各区、例えば兵庫区なら兵庫区、それを土台にしてマスタープランを変えていく。
 マスタープランといいますのは、もともと四十五年からあるんですけれども、何回か変えまして、今回震災による復興計画をつくりました。その段階で、それに取り組みながら新しく整理をしていく、こういう段取りになっておりまして、その震災の前後に考えていたことを今回の改正で一部入れていただきました。これは法律による制度ですから、私どもの任意の条例ではございませんので非常に心強く思っておりまして、実施する段階では非常に自信を持って話ができるのではないかと。
 それともう一つは、国あるいは県に対しまして、そういった計画については必ず同意を得るためのいろんな時間的な問題というのがあります。
 例えば、都市計画決定をやる場合に、一つ変更したいということでいろんなそれに関連するものが出てきます。それをどういうふうにやるかということなんですが、最近では他の法律で、例えば環境アセスメントを同時にやりなさい、あるいはそれ以前からやっているものについては並行してやりなさい、こういうことが同時に出てきておりますので、それの時限的な扱い方がちょっと違います。
 こっちは都市計画審議会にかける、一方では環境影響評価委員会にかける、それが多少ずれます。そうすると、ごく簡単なことでも国にお願いをし、また説明をしながら同意を求める協議をやるんですけれども、こちらの事務的な方が逆に言えばそういった制度の問題からいって時間がかかっていく。ですから、非常に簡単な問題でも一年近くかかっていくのではないかと。
 アセスの段取りをずっと進めていきますと、どうしてもずれてくるわけです。その辺の調整については、他の法律がたくさんあるんですけれども、それの調整が今後非常に難しい、時間がかかるのではないかと。先ほどちょっと時間がかかると申し上げましたのは、そういう意味と住民とのいろんな話し合いの問題と両方に時間がかかる。
 こういうのが今後の私どもの解決または工夫をする一つの大きな問題ではないかなと、こう思っております。県あるいは国の大きな広域幹線道路その他の仕事については国がみずから絵をかいて現にやっていただいております。例えば、山陽自動車道とか本四とかああいう大きな問題は国に直接やっていただいておりますので、現地説明も公団なら公団、建設省は建設省、直接説明していただいておりますから、これは今のようなシステムが一番いいのかなと思っておりまして、私どもはそれの住民の皆さん方に対する、いわば地域の方々に対する説明をやっていく。
 こういうことで、そういった大きな計画についての説明は国にしていただいておりますので、これをもう少し、先ほどの話じゃないですけれども、わかりやすく、地域の道路一つにしてもその影響は沿線だけではないんだということ、これがいつも忘れられるんです。それによっていろんな社会活動あるいは経済活動、そういった問題がうまくいっているんだという実例も挙げて説明していく時代ではないか、こう思います。
○高野博師君 私は埼玉で、埼玉新都心が今度できまして、これからまさに都市開発が進むんだと思うんですが、そういう意味では、兵庫県の神戸の市長さんに参考になる点をお伺いしたいなということであります。
 阪神大震災の教訓を踏まえて、今回の法改正というのは都市防災という観点から有効かどうかという点についてお伺いいたします。
○参考人(笹山幸俊君) 都市防災となりますと、自然災害あるいは都市災害と言われますいろんな災害によって相当変わってまいりますが、要はライフラインその他生活に必要なもの、経済活動に必要なもの、こういったものが一遍に壊れる場合に、それのいわゆる、よく言われますようにバイパスを必ずつくるということではないかと思います。
 たまたま神戸の場合は、幹線道路では四十三号線、二号線、山手幹線、こうあるんですが、山手幹線は実は連続して大阪まで行っていません。途中で途切れておるわけです。ところが、二号線、四十三号線はあそこは通れたわけですが、高速道路が通れない。こういうことで、いわゆる道路状態というのが震災の大きさ、内容によって、全然あっても使えない、こういう状態というのが起こり得るわけなんです。
 例えば、地下の関係あるいは上空の関係によって閉鎖される。都市計画的には警戒道路と、こう言うんですけれども、警戒道路をまずつくっておく必要がある。それと避難所、避難場所が要る。これは連続していないと困るわけです。そういうものがあって、それに対する場所を決めておく。これはもう皆さん決めておられると思います、大都市では。しかし、途中が壊れたんではそこへ行けないというような状態があります。
 ですから、神戸の場合はたまたま東西が途切れました。しかし、南北のトンネルが二本あるわけです。それから、西においては一本ありますから三本あります。それらが非常に有効に使えたわけです。といいますのは、北側から六甲山のトンネルを通って市街地に出られた、これの救いというのは非常に大きかったわけです。
 それともう一つは、電気あるいはガス、ガスにしても西からと東側からと両方ラインがあるんです。それは、西側からの分はすぐに回復しました、東側は回復がおくれた。そういったことで、必ずこちらが壊れればこちらでというバイパス的な機能を都市そのものに持たせる、これは情報通信から上下水道から全部にかかわります。こういった町づくりというのが大都市周辺も含めて必要ではないか。
 特に周辺も含めてと申し上げましたのは、その周辺を通っているバイパスが壊れますと必ずどこかが助かるというふうなことを想定しないと、全部つぶれることを前提に物を考えますともうお手上げと、こうなりますので、どれかを立派なものにして、これだけはもうどんなことがあっても守るというところがそれぞれの都市にあっていいんではないか、こういうぐあいに思っていますので、ぜひまたいろいろと御協力を賜れればと、こう思っております。
○高野博師君 それでは、最後にもう一つだけ。
 先ほど笹山市長が、今回の法改正は土地の利用の規制に関するもので、事業そのものを進めなくちゃいかぬということを言われたんですが、具体的にどういう事業なのか。そして、そういう事業は国の補助事業等であれば、市町村の独自性というようなもの、あるいは市の個性化というか、そういうものが損なわれはしないかどうか、その辺について簡単で結構でございますので、お伺いいたします。
○参考人(笹山幸俊君) 事業そのものは、今後いろいろと、今までもそうですが、本省の方にお願いするわけですが、その採択基準というのがあるんです。補助事業の中に基準があります。その基準がありますから、それに合っているかどうかということを議論していただく。全然合っていないという仕事については、そうあるわけじゃないんですが、単独費でやる部門、一般道路、あるいは都市計画街路、あるいは街路、そういったものについてはそれぞれ制度がありますから、それのできるだけ基準を緩和していただきたいと。震災の場合には非常に緩和していただきました。
 例えば採択を、十二メーターの道路あるいは八メーターの道路を六メーターにするとか、そういった制度の緩和をしていただいておりますが、一般の場合でもそういった非常に重要な道路である、しかし幅員は狭い、四メーター以上でないと困りますので、六メーターあるいは八メーター、歩道をつけようと思えば十一メーター以上十二メーター、こういったところでそれぞれ補助をいただいております。
 ですから、その理由として、今の防災上の観点から言いますと、先ほど言いましたコンパクトタウン的なゾーンを見て、そしてその中でのいろんな計画を総合的に判断していただきまして、というのは、これも一般会計と補助の出ないものとあります。そういうものについての採択基準がありますから、それを判断していただくために、今度は統合補助制度を国の方でつくっていただいておりますので、区域内で起こり得る事業そのものについては総額幾らぐらいと、こういうようなことでお願いができる制度になりました。これは非常に私どもについては新しい制度で、そういったことで勝手に使ったらいいというわけではございませんので、これはそういった基準に伴って使っていく。
 しかし、時間です。三年なら三年でやりなさいということになると思いますけれども、いろんな地元との関係でできない部分もありますので、そういったところについての柔軟な対応をしていただければ非常にありがたい。これは、地域の防災的な問題で、ここはどうしてもこうしておきたい、こういうようなことが各所にありますので、お願いできればと思っております。
○高野博師君 ありがとうございました。
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 きょうは、四人の先生方、本当にありがとうございました。
 最初に片方先生にお聞きしたいと思うんですけれども、町づくりでいろいろ苦労をされている金沢市長が、町づくりは土地利用政策でしっかり押さえてほしいという、そういう意見を述べられております。
 私も、ヨーロッパなんかでは土地利用は原則不自由という考え方、日本ではそれは自由ということでかなり大きな違いがあるとは思うんですけれども、この現状の中で、土地利用政策という点でどういう形でやっていけば町づくりに寄与するのか、ちょっと漠とした質問でありますけれども、その点についての先生の御提言といいますか、お考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(片方信也君) 今の御質問に関してですが、土地利用に関する政策的な内容といいますのは、日本の場合は、先ほどもありましたようにやはり私権が強いということがありますものですから、それにどの程度土地利用という公の利益を優先させるかというところが絶えず問われているのでありまして、現状からいうと、率直に申し上げますが、大変難しい面があります。
 しかし、市町村のマスタープランという仕組みができたわけですし、そのことがそれぞれの地域地域の、市町村の区域内の整備の方向を指し示すということになっておりますから、ある意味ではそれは限界は持っておりますけれども、既存の用途地域制度や容積制度といったいわば現行制度で言う土地利用上の制度がございますけれども、それとはニュアンスを異にした目標は立てられることになっているわけです。
 問題は、そうなったときに用途地域や容積率の内容を変更できるかどうかというところが焦点になっていると思うんです。残念ながら、それは制度上変更が難しい、ないしはできないということになっておりますので、市町村のマスタープランの土地利用方針に沿って既存の用途地域や容積率を見直すことができるということを明確にさせると事態は住民にとってよりよい生活空間をつくる上でその方向に変わり得るんではないかというふうに考えております。
○緒方靖夫君 野口先生にお伺いいたします。
 私は、先生が書かれた「地方分権と都市づくり制度」という本、これは法制度が複雑なおかげでできた解説書かもしれませんけれども、それを読ませていただきました。そういう中で、先生がマスタープランを市町村の町づくりの憲法にするためには議会の議決によって決定されなきゃならないと明確に述べられておりまして、私は、これは本当に同感なんです。その点についての考え方をちょっと敷衍して述べていただきたいという点が一点。
 それともう一点は、先ほど先生は、今の都市計画制度のあり方、現状について骨粗鬆症状態だと、私も思いつかないような酷評をされました。これは、実は住民の要求が非常に強い問題で、もう絶えずいろんな要望が出されて、私もいつも建設省に要請に行くという、そういう中身で、ですから確かにひどい状況なんだけれどもドイツの都市計画法を日本に今ぱっと持ってくるわけにはいかないわけで、やはり日本の今の現状のもとでどうするかということがどうしても提起されるわけです。
 そうすると、先生の酷評の中でも、結局、今回の改定の中で、これはこれから住民の中あるいは市町村でこうやって使えるぞ、これはこうやって活用できるじゃないかという、そういうプラスの面、その辺について先生のお考えをお聞かせいただきたい。
 その二点をお伺いいたします。
○参考人(野口和雄君) まず議会の関与なんですが、これはここで議論すべきことかどうかちょっとわからないんですが、少なくとも現行の都市計画法及び関連法で非常に歴史的に軽視されているのが地方議会の関与でありまして、法律上、見る限り恐らく議会という言葉が出てくるのはほとんどないんではないか、私も調べたことはありませんが、というふうに思っています。これは、歴史的にそういう思想でもって法律ができてきたという非常に重要なことがあるんですが、地方自治を語る上で議会の位置づけというのはもっと重視しなければいけない。
 というのは、基本的に民意が反映されるのは議会である、国会がそうであるように、というふうに思っておりまして、いろいろな市町村の本来決定すべき事項について、都市計画審議会の議を得て決定する程度では民意が反映されないわけで、基本的には議会の議決を得て決定するというような改正に持っていかなければいけない。その最たるものがマスタープランであるというふうに思っています。
 地方自治法上の基本構想というのは議会の議決が必要でありますし、国土利用計画法に基づく国土利用計画の市町村計画、これも議会の議決は必要なんですが、ただ非常にあいまいな計画でありまして、これに加えて、実は本来住民参加を得るべき土地利用でありますとか、道路とか河川とかいろいろな施設についてこそ僕は住民参加が図られ、その民意の反映の場では議会の議決、議会の関与というのは明確にすべきではないかなというふうに思っておりまして、そういう意味では、市町村の都市マスタープランの段階で議会の議決を得るというのは極めて当たり前なこと、諸外国では極めて当たり前なことのようにやられている。これが何で日本でやられていないのかというのは、僕は明らかに政治軽視、議会軽視であるんではないかなというふうに思っております。
 それから、これも二点目と関係するんですが、制度のあり方。今回の改正法の中で僕が非常に使える、よくこういう条項をつくっていただいたなというふうに思うのが、都市計画決定の手続の中で、どういう表現かちょっと忘れましたが、市町村が手続上のいろいろな措置を加えることができるというような条項が入っておりまして、これは非常に僕は画期的なことである、こういうことを法律改正でどんどんやらなければいけないと思っています。
 といいますのは、例えばまちづくり条例、いろいろな自治体でまちづくり条例をつくっておりますが、多くの自治体では、議会の議決を得ていろんな決定をするということや住民参加の最後の判断として議会の判断を得るというような条項を加えている自治体もある。あるいは、神戸市さんのまちづくり条例等々もそうですが、住民の多数の合意を得ていろんな協定について決定をするというようなことがあります。こういうことをいろんなまちづくり条例でやっておるんですが、今までは非常に苦労していた。というのは、国の法律的な根拠がないものだから本当にやっていいかどうか非常に苦慮していた。
 それが、せんだってできました富山県滑川市のまちづくり条例では、実はこういうことについて議会で相当議論になって、行政からはこれは問題があるんではないかという意見まで出されている。このときにこういう改正法をつくっていただくと、手続について条例で付加することができるわけですから、例えば真鶴のまちづくり条例のように、マスタープランは最終的に議会の議決を得るという条例は適法になるという形でいろいろな条例がつくられるようになるんではないかというふうに思っておりまして、そういう意味では、この条項は極めて僕は画期的であると。
 ただ、できれば、たしか条文上は非常に何か回りくどい条文だったような気がするので、ここは回りくどくなく、もっとすきっと書いたらもっと国民にわかりやすいんではないかなということは思っております。
○緒方靖夫君 次に、伊藤先生にお伺いいたします。
 都計審の審議の状況について局長などに伺うと非常にきれいに説明されるわけです。先生は当事者として生々しく話をしていただけたら大変ありがたいと思うんです。
 それで、一点なんですけれども、私は九月の中間報告を読みました。それから、二月の第二次答申も読みました。比べてみると、例えば緑地の保全とか景観の保護、それが全部削除されている。それからまた、大規模建築物の立地、知事への届け出の義務づけとか必要な勧告を行うという点もやっぱりすっぽり落ちているわけです。
 これは、実は、先ほど先生も言われた意見の中で、市町村会とかいろんな団体が要求してきた、緑なんかではそういう経過があると思うんです。ですから、これが何で落ちたのかということはやっぱり非常に大きな問題で、しかも、これが結局今回の法改正にも直結するという問題で、なぜ落ちたのかということを生々しく語っていただけたらと思います。
○参考人(伊藤滋君) では、具体的に申し上げます。
 前半の緑は、本当は買い取りぐらいを市町村がやることを書きたかったんです。ところが、財源が何もないんです。問題はすべて財源です。財源抜きにそんなことをやったって、建築基準法違反と同じようなことになります。だから、これはもう身構えているんです。買い取り条例をつくって、それでどうしようもなくなったときには市町村が買いに出る財源をぜひ確保してもらいたい。それがあったらさっと書きます。
 それから、大規模建築物の助言勧告ですが、これは極めてデリケートでございまして、率直に言うと、通産省と建設省との、よくわかりませんが、きっと行ったり来いとか、まあ、これについては、これの意見分布も大変幅が広いんです。今回、この意見分布で大体七割から八割ぐらい同じ方向だというのは直ったんです。例えば、都市計画を県版でするなと。都市計画区域でするというのも、県庁はもしかすると横暴をきわめるかもしれない、だから未然に防止するために分割しておけという、大体そういう意見が多いんです。それでやったんです。
 それから、特定地域は、要するにパチンコ、連れ込み、もうこれはだれが見てもおかしい。これも意見分布は大体共通です。大体七割か八割ぐらいは意見がある方向に行ったのは入れようということをやりました。
 それからもう一つ、実はこの際申し上げたいのは、これを読んでいただくとわかりますが、条例をうんと使ってくださいと書いてあります。条例は厳しくする条例もどうぞおつくりください、緩和だけではなくて。ですから、先ほどの鶴岡市長が白地地域で三〇、五〇とあるのを条例で二〇、四〇にするというのは起こり得ると思うんです。だから、法律の範囲で助言度というのがありまして、大体アローアンスというのがありますよね、基準があって。僕の感じでは、三〇、五〇が最低なら、条例を厳しくしても構わないというのですから二〇、四〇があったっていいと思うんです。要するに、条例は物すごく使ってくれと、条例は必ず議会の議決を経なきゃいけませんから、間接的なんですが。
 ただ、野口さんと一緒で、ちょっとこれは会長を離れて言いますと、市町村マスタープランはぜひ議会の議決にした方がいいと。そうしますと、基本構想は全く意味がなくなります、地方自治法上の。あんなのはなくったっていいんです。市町村マスタープランがきちっと市町村議会で議決されれば、まさにこれが地方自治法で言う基本構想の実態を担保します。今の基本構想の実態は非常に問題が多い、特に土地利用については何も書いていないと私は思っておりますので。これは個人的意見です。
○緒方靖夫君 生々しい御意見の開陳、大変ありがとうございました。これこそ参考人質疑の重要性を浮き彫りにするやりとりだったと思います。
 最後に簡潔に伊藤先生にお伺いします。
 日米構造協議で土地の有効利用とか土地の流動化とか、あるいは線引きを見直しせよとか、そういうことがアメリカから出てきたということがありますね。こういう事柄がストレートに今日につながっているとは到底私は思いません。しかし、底流として、流れとしてやっぱりそれがあるのかなという感じがしているんですけれども、その点についてまさに当事者の先生の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(伊藤滋君) 農林省の六兆円というのはまさにそうだったですね、ウルグアイ・ラウンドの。あれは非常によくないことだったと思います。六兆円もあんな形で使うというのを今まで引きずってきたのは政治に問題があるからです。あれも日米構造協議です。
 私は、日米構造協議、これはもう都市計画法を離れて申し上げますけれども、ノーと言わなきゃいけないんですよ。日本人は、いつもアメリカ人と議論をやるときはイエス、イエス、バットなんです、そういうふうに日本語ができているんですけれども。しかし、アメリカ人とやるときはノー、ハウエバーなんです。そういう形でやらない限りはだめなんです。だから、商調協とか土地利用とかすべてそういうスタイルがない限りは、これは都市計画法だけじゃございません、農業から日米交渉すべてに私は当てはまると思っております。
○緒方靖夫君 ありがとうございました。
○大渕絹子君 四人の参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございました。大変有意義な御意見を聞かせていただいております。
 まず、伊藤参考人にお伺いをいたします。
 答申をつくられてこの法案の改正に大変大きな御尽力をされてきたというふうに思います。今また生々しく盛り込まれなかった部分の御事情についても御発言がありましたけれども、今回の改正に当たって社会背景、経済背景が随分と四十三年につくられたときとは変わってきておりまして、都市計画法そのものを本当に根本的に変えなければならないという議論も中であったろうと思うんです。それにしては手ぬるいなという思いがいたします。
 さっき野口参考人もおっしゃいましたけれども、非常に複雑でかえってわかりづらくなった。私などは全くの素人ですので、条文を読んでも、都市計画法を見て、建築基準法をもう一回見て、それから農振法も調べて、ああ、ここはこうなんだという、そういうことで非常に質疑も私たちは複雑でわかりづらいんですけれども、本当に根本的に今の時代に合った都市計画法に変えて、今までのものは今までのものとしてきれいにして、新たにこれから必要な計画にしようというような議論はなかったのでしょうか。
○参考人(伊藤滋君) 中央審議会でもちょこちょことございましたが、終わってから非常に議論がありました。
 ですから、先生のおっしゃる問題はずっと底流として私は四半世紀続いていると思います。それは、まず農振法、農用地法と都市計画法との関係、基準法と都市計画法の関係、それから基準法と場合によってはもしかすると農用地法があるかもしれません。そういう中でうごめいてきたわけです。
 そこの中で、市民参加とか分権化という流れを受けながらどうしたらいいかといったときに、では国土利用計画法から農地法から都市計画法から基準法の集団規定から全部入れて法律をつくるなんということは、到底ビューロクラシーは考えもつかないです、そんなことは。学者は、論文として書けますけれども実際にどうするかはできないんです。これこそ政治家が怠けていたんじゃないかと思います、まさに。政治があちこち右顧左べんするからこういう複雑骨折の状況をつくってきたと。
 そういう点で、簡単に申し上げますと、もし先生がそういうことでしたら、私が作業いたします、作業部隊で。議員立法をするならぜひお手伝いさせていただきたい。そういうことは官僚に要求しても無理なんです。議員がみずから政策をつくっていかなきゃいけない。そうすると官僚はそれを実務的にこなす。その問題がずっとこの四半世紀尾を引いています。
 以上です。
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 国会の怠慢を思い知らされまして、同僚議員と一緒に頑張らなきゃいけないなと思います。
 野口参考人にお伺いをいたします。
 都市プランナーとして、専門家としてのお立場からちょっとお聞きをいたしたいと思います。
 私、新潟県なんですけれども、新潟にも城下町あり門前町あり、あるいはまた職人の町ありで、それぞれ江戸時代からずっと発展してきた旧市街地、オールド市街地というのでしょうか、それが核にありながらその周りには十年ほど前まで栄えていた市街地がありまして、その外側に今巨大なショッピングセンター街がつくられる。しかも、都市計画の中の区域外。十万人以下の都市にそういうことが非常に顕著になっていて、この都市計画法だけではもう対応し切れなくなっているんじゃないかという思いがいたします。
 辻々で私などは選挙演説などをするときにも、本当に衰退した町並みを見ながら、この町をどう活用し、二十一世紀の町づくりの核にしていくのかということを具体的に主張しなければならない立場にあるわけですけれども、なかなかそれがイメージとしてわかないのです。
 旧市街地をどう生かして、今の外側に出てしまったショッピング街、巨大なマーケットとつなげて町づくりができていくのかというようなことを教えていただけないでしょうか。
○参考人(野口和雄君) 大変難しい話でありますが、私も同様な問題意識を持っておりまして、新潟県下を大分調べて回ったという記憶があります。
 新潟県下の特徴だけではなくて全国的にそうであるわけですが、特に新潟県下は幾つかの中核的な都市の周りでショッピングセンターが大分建つ、これが市町村間の振興競争みたいな形で起きている。その結果、市町村があらゆるところで実は土地利用上混乱をしてきている。
 一番重大なのが、今言われた、本来コミュニティーの中心であったはずの中心市街地が崩壊して中心市街地に残っておられるのは、率直に言って御高齢の方でしかもひとり暮らしの方が残っておられて、中心市街地から最寄りの店舗から行政施設からみんななくなってしまうので、ここがオールドタウンどころではなくてゴーストタウンになってくる。そこでごみ出しだとかを一生懸命やっておられるのが実は七十代、八十代の御高齢の方で、一生懸命コミュニティーを守るために日夜努力されているというのが実態でありまして、ここを何とかしなければいけないというのは、確かに都市計画法だけの問題ではないんですが、専らやっぱり都市計画法上の理由というか原因が大きいのではないか。そこが実は今回の改正法でも非常に大きく議論された。これは都市計画審議会だけではなくて、いろんな場で議論されたことなんだろうと思うんです。
 まずやらなければいけないのは郊外に無秩序に出てしまう大型店、最近は大型店とは言えませんで、大型店と複合施設、文化施設や場合によっては行政的な施設も一体になってこれが整備されるというところに実は最大の問題があるんですが、これはしばらくちょっと御勘弁いただいて、まず、中心市街地がもう一度よく再生していくために努力を払っていく。
 例えば、今中心市街地で再開発等々をやっておりますが、再開発を十年二十年かけてやっている最中に郊外地で大型店ができるわけですから、この再開発に投資するお金がむだになっていくということなわけです。
 一方で、中心市街地で道路をつくるのは実は大変なので、郊外地に行けば極めて短期間に効果的に道路ができてしまうので大型店も出ていってしまうということなんですが、そういうことを相対としてまず中心市街地に投資を向ける。投資を向けるだけではだめなので、郊外地のいろんな開発についてまずは一たんストップするということをしなければいけない。
 一たん郊外地の開発をストップすることについて今回の都市計画法の改正とかいろんな法改正が役に立つかといえば、先ほど言いましたとおり、スポット的には規制されるけれども、相変わらずその周りに規制が行き届かない地域が残ってしまっている。しかも、新潟県下でいけば、中心市街地からたった三十分車で行ったところが都市計画区域外なわけです。ここが野方図に広がって都市計画道路がどんどん広がっていますから、一カ所だけ規制してもほかの都市計画道路沿いにショッピングセンターが出ていく。あるいは大きなショッピングセンターだけではなくて、我々はコバンザメというふうに称していますが、大きなショッピングセンターの周りあるいは都市計画道路の沿道に小さいショッピングセンターができて、これがいつの間にかつながって商店街を形成してしまうという事態が起きているので、この事態に対して今回の改正法というのはどうも十分機能しないのではないかというふうに思っています。
 そういう意味では、中心市街地を御高齢の方を含めて守るために、郊外地のいろいろな開発についてはまずは一たんストップしていただいて、中心市街地を再生して、その上で競争するんだったら場合によってはいいかなというふうには思うんですが、まずそれをやるのが本当は法改正の重要な役割なのではないかというふうに思っていまして、その上で、神戸市さんもやられているように、市町村が頑張ってまちづくり条例をつくって、そのまちづくり条例で中心市街地を支援して郊外地は規制をしていく、住民参加でもってやっていくということを市町村はぜひやられたらいいのではないかなというふうに思っております。
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 笹山参考人にお伺いいたします。
 行政の立場で大変御努力をなさっておられているというふうに思いますが、区画整理事業なんかをやるときに地元の住民の皆さんから反対などが起こることがしばしばあるわけでございますけれども、住民の反対が起こったときにどんな手続をしながら理解を求める、住民参加を願っていくことをなされておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(笹山幸俊君) 一般的なやり方ですと、震災の場合はちょっと後で申し上げますが、先ほど申し上げましたまちづくり協議会をつくって、皆さんで自分のところの町についてはどうしたいかという話をまず出します。そのために、なぜ何かをしないとこの町はおかしくなるかという資料を提供して説明しなければいけません。その中には、話が進んでいるところは協議会ができて、こうしましょうと。こういったところの区域の方々は今回の震災に当たっては、きょう会って、あしたその方向で行こうということで皆さんが一斉に集まりました、役員の方々が。そして、この方向でいいか悪いか、こういうことを判断してもらって前に進み出した。しかし、それをやっていない区域、これが時間がかかったわけです、そういうことを今までやっていませんから。
 ですから、任意的に地域の方々がなぜこの地域はおかしいのかということを知っていただきたいと。現在私どもが考えていますいろんな情報提供、構造的な問題もあるんですけれども、町そのものの中にどれだけの幅の道路がありますと。それから、建物の建った年代、特に大きいところは大正の初めから昭和の前半に立った建物が非常に多いわけです。ですから、よく私の方ではインナー問題、こう言っておりますが、建物の老朽化、あるいはその地域と商店街との関連、こういったものを全部調べまして、特に調べたのは都市の空間です。空き地、そういうものが不足しているではないか。だから、何か起こったときに、一般の場合のときでも消防車は入れない、そして類焼はしやすい、こういったことがありますので、そういった情報提供をしていく、これが今後のやり方かなと。
 特に現在、神戸の場合は山ろく部、阪急電車というのがありますが、山ろく部についてはそういった問題が非常に残っています。ですから、それは今私どもは白地区と言っていますが、白地区の情報提供をしていこう、こう思っております。
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 片方参考人にお伺いをいたします。
 高齢社会に突入をしておりまして、町づくり、高齢社会というものを支点にしながらつくっていかなければならない時代になってきたと思います。高齢社会それから循環社会を迎えるこれからの日本の社会、町づくりについて先生の理論といいますか、お考えの町づくりを教えていただきたいと思います。
○参考人(片方信也君) 御指摘の点ですが、高齢社会に到達してきたということで、言うなればこれまで本当に死に物狂いで日本の経済やその他のことを支えてきた人たちがこれからどのように安心して暮らせる環境をつくるかという、そういう課題に直面していることは事実です。
 私は、そのためには本来、これまでも十分に時間をかけていわば市街地として熟成していけるようなそういう仕組みを考えるべきであったというふうに思っておりますが、言いかえますと、我が国の都市政策、都市計画に基づく政策というのは、言うなればスクラップ・アンド・ビルド、つくればすぐ壊すという、そういう論理でせっかちにやってきたわけです。そういうせっかちな仕組みをもう一度、高齢者や社会的な弱者、身体障害者等を含めたそういう人々にとって本当に優しいわかりやすい仕組みをつくっていくことがこれからの二十一世紀社会の課題ではないかというように考えております。
 それから、循環型社会の問題につきましても、実は都市の一番大きなごみ、産業廃棄物は建設廃材であるわけです。ここに一つの大きな問題点があろうかと思います。この建設廃材として出ていくようなそういうことではなくて、やはり一たんつくったものを例えば将来一〇〇に価値を上げていくために、今は確かに三〇や五〇しかないけれども、時間をかければ一〇〇とか一五〇になっていくような、そういう使い方を理念としても持つ必要があるのではないかというふうに思います。
 よく言われますように、私は昨年メキシコなどにも行ってまいりましたけれども、メキシコなどでも、特に地方都市などでは都心地域が非常に緩やかな変化を受け入れていきながら、そこが市民生活の中心であり、かつ歴史的な街区でもあるという、そういうことをやっているわけです。ですから、そのような仕組みをぜひとも日本の都市計画の中にも取り入れていくべきではないかというふうに思います。
 せっかちはこの際もうやめるということを申し上げたいと思います。
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 終わります。
○島袋宗康君 四名の先生方から大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。これほど参考人の皆さんと和気あいあいと和やかな委員会が開かれるのは初めてでございます。大変そういった面では濃密なお互いの意見交換ができたというふうに評価をしております。
 先ほど伊藤先生のお話の中で、日本の地主が三千七百万おるというふうなことになりますと、野口先生がおっしゃったように、この都市計画法に基づいた都市計画をいかにして成功させるかというふうなことについては、地主との関係が相当複雑な関係が生じますね。
 私は去年十月ごろにデンバーに行く機会がありました。デンバーの飛行場が新しくできたということでその説明がありましたけれども、あんな広大な土地をわずか三名の地主の承諾を得てつくったということからいたしますと、これを日本に置きかえた場合には、恐らく何千、何万というふうな地主になってくるんじゃないかというふうなことを考えますと、これは都市計画というものはままならないなという感じを持ったわけです。
 それほどに日本の都市計画そのものが非常にあちこちの都市でいびつな状況になっているということは、私は沖縄の出身でありますけれども、特に米軍基地というものが存在をいたしまして、なかなか都市計画が思うように住民の側からできないというふうな状況が今日もあります。
 そういったようなことは恐らく本土でも同じようなことが起きているんじゃないかというふうに思いますけれども、そういった日本の都市計画がこれからどうあるべきかということと、この法律改正案によってどういうふうなことが機能していくのか、あるいはまた、法改正あるいは今日までのこの都市計画法の問題点、あるいはこれからの問題点というものをもし御指摘いただけるんでしたら、その面を四名の方々の先生から御指摘いただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
○参考人(伊藤滋君) 私は、端的に申し上げますと、住宅地で、昔の言葉で言いますと二十坪とか十五坪の敷地の上に建物を建てるということは絶対やめさせるべきだと。それだけでも日本の都市計画はよくなります。住宅地です。商業とか近隣商業はいろいろ事情がございます。
 それから第二点は、私は五分の四ルールと言っているんです、三分の二じゃなくて。八割の人が賛成したら、大体役所はやれ、そこはきちっと言っていいんじゃないかと思うんです。それがないともう都市計画というのは全然動かないんです。先ほど言ったように、都市計画の一番致命傷は事業ができないことです。事業ができないのは、笹山参考人がおっしゃったけれども、権利者の説得なんです。最後の一人まで収用法はかけません。収用法をかけていいといってもかけないんです。
 だから、ここのところは、収用法はかける、五分の四の賛成ならやる。それは何もかにもじゃないですよ。市町村マスタープランレベルはとことん議論していいと思います、生活に関連して。しかし、先ほどから言っているように、都市災害とか、あるいは国土の災害問題とか緊急事態とかにかかわるような水とか人を動かすこと、物を動かすこと、そういうことにかかわる施設についてはやっぱり収用法と五分の四ルールというのを改めて考えるべきだろうと。
 三番目は、都市計画は何を目的とするかというと、私は基本的にコンパクトな町というのもいいんですが、これから世界じゅうが都市型社会になっていきます。そのときに起きるむだなもの、いろいろ産業廃棄物、エネルギーあるいは人の動き、そういう世界の発展途上国あるいは中進国がこれから引き起こす都市環境に対するいろいろなむだ、それを日本の都市が解決している、そういう実験工場だと、それをきちっとこの十五年ぐらいの間に日本が宣言できれば、日本は誇り高き都市国家になるんじゃないかと。
 以上です。
○参考人(野口和雄君) 大変根本的なお話であると思いますが、私も伊藤先生が言われることに基本的に賛成なんですが、ただ、決定をするプロセスや決定をしたことの保証をどうするかというのが実は大変な問題であります。
 日本の現行法制度を引きずる限り実は決定に当たってのプロセスが非常に不透明であるという問題があって、ここが徹底して議論されない、あるいは住民に対して情報が公開されない。例えば、都市計画道路やいろんな用途地域なんかもそうなんですが、住民は知らないという方が実はほとんどだと。これは住民にも問題があるんですが、行政側も、きちっと説明をする、説明をしたら議論をする、議論をしたら必ず反対があるので、反対に対して行政の主張が何で正しいのかということを説明するだけじゃなくてきちんと証明をしてみせるということが大変重要なんだと。
 この中に例えば環境アセスメントというのをちゃんと位置づけてみる。アメリカでいけば、マスタープランをつくるのも環境アセスメントの対象になるわけで、こういうふうにして手続、これをデュープロセス、適正な手続というんですが、その手続に従って、その中の反対意見も当然重視して、反対意見に対して、それは何で採用されないのかという理由をきちんと証明しながら最終的にはやっぱり僕は議会で議決すると。それで、議会で強権的に決定してしまってはだめなわけで、きちっとしたデュープロセスが保証されて初めて、どこかでやっぱり物事は決定しなきゃいけないので決定するというのが僕は非常に正しいことなんだろうと。
 繰り返して言いますが、まさにデュープロセスが日本の制度の中では決定的に欠けているから、実は決定した後も住民は協力してくれないということになる。
 それからもう一つ、補償ということがあるんですが、例えば都市計画道路というのが最たるものでありまして、この辺のデュープロセスを飛ばしちゃうものですから、決定をして事業化になっていない都市計画道路はどのくらいあるんでしょうか。決定をして事業化になっていない間この地権者はどうですか。ずっと権利制限があるんですよ。補償も何もされないわけです。これをどうやってこれから処理していくのかというのに僕は大変興味があるんですが、というものも含めて、決定をする過程をしっかりやって、決定をしたらちゃんと権利者の補償をして早目に事業をやっていくというような制度に変えていかないと、先生が言われるような、いろんな意味で決定をして権利が非常に複雑に今なっているので、これをきちっと整理をしていく。整理をというのは、やるべきことはきちっとやるということではないかなというふうに思っております。
○参考人(笹山幸俊君) 前段の問題につきましては、確かに伊藤先生のお話のとおり、私も国のある機関で申し上げたんですけれども、収用法というのが最終的にはあるんです。しかし、それに対しては実際にはほとんど実行されていないということがあります。
 これは、なぜそういうことになっているのかというのは、例えば十軒の家にそれぞれ協力をしていただいていろんな方法で移転をしていただいた。しかし、あとの一軒がどうしてもそれに対して不服だという場合、ほかの方々に対しては逆に今度はなぜ早くしないのかという問題が出てくる。これは法律上の問題ですということをもし言えば、じゃ、あしたからやりなさいと、こうなります。しかし、実際にはいろいろ条件がありましてと、こういった話になるんです。これは、ある時期が来ましたら、むしろ時間と費用の面から見ましたら、早く結論を出して早くやるということの方が住民の皆さん方のためになるということを十分説明してやっていく必要があるだろうと、こう思っております。
 それから、環境問題がございます。これは、特に私が最初に都市に環境の容量がありますと申し上げたのは、自分の地域の中で、例えば自然ということになりますと、まず空気もそうですが、水ですね、水を使えば必ず処理をしなければいけない。それから、生産物などのいわゆる廃棄物が、もし家庭用のものあるいは営業用のものが出てくればそれは処理をしなければいかぬ。これがその地域でできないというのが現在の都市だと思います。
 ですから、これができないということはその都市にとって少しいびつな格好になっているのではないか。だから、みずから出したものはみずから処理していくというようなことを第一義的に考える。それからはみ出すものについては、現在でもほとんどの大都市がそうですね、よその都市にお願いしている。こういうことでは、地域の皆さん方はそういったところで御迷惑をかけていることについて御存じないんです。これは非常にいびつな形になっているんではないか、こう思っておりますので、やはり私は環境容量と申し上げておりますのは、そういうことで言っていきたい、こう思っております。
○参考人(片方信也君) 何点か申し上げたいと思います。
 一つは都市計画の理念上の問題。これは、今までの経済効率を優先させるという、そういう考え方から生活空間を優先して整備するという、そういう方向に切りかえる必要があるというふうに思います。
 先ほどもこれは触れた点ですけれども、せっかちではいけないということを申し上げましたが、私はやっぱり都市計画というのは百年の大計だと思うんです。ですから、すぐにその効果を求めるという、そういう発想で町をつくってきたように思いますけれども、その結果が、この委員会の冒頭でもありましたように、振り返ってみると人々にとって住みにくい都市になっているのではないかという御指摘がありました。そういう反省の上に立ってもう一度、生活する人にとって安心して暮らせるような、また快適に暮らせるような生活空間づくりの大計をつくり上げていくという、そういうことこそ、二十一世紀の初頭を迎えますけれども、そういう時代にふさわしい都市計画のあり方ではないかというふうに思います。
 それから二つ目には、何といっても住民にとってわかりやすいかどうかということがやはり根本だと思うんです。担当されるお役所の方がなかなかわからないことが住民にとってわかりやすいかというと、ほとんどそれは不可能に近いと思います。担当されるお役人のところでわかりにくいかどうかということもありますけれども、やはり原点は地域の住民の皆さん方にとってわかりやすいものであるのかどうかということが基本にあるべきだというふうに思います。
 その上で、マスタープランについては議会の関与という御指摘がありましたし、私も同感でありますが、同時に、都市計画というのはやっぱりまとまりのある生活空間をつくるということでありますので、その意味では住民の方々がいわば直接民主主義の仕組みをきちんと大事にするということが大切ではないかと思います。
 その点で申し上げますと、今回の法案改正の条項の中に従来の縦覧文書に理由書を添付するということが盛られております。これは意味のあることだと思うんです。
 従来の縦覧文書というのは、それを見ましても一体どういう町ができるのかということはほとんどイメージできません。私もたびたび縦覧文書を拝見したことがありますけれども、イメージできないんです。それを補って、その事業によって、計画によって自分の住む町がどういう町になるのかということをイメージさせるような、そういう理由書をぜひ添付してほしいというふうに思うんです。現実の仕組み上ではそのあたりのところが大変重要ではないかというように思います。
 同時に、住民の皆さん方の都市計画についてかかわる機会を多くするということです。その際には、私はあえて申し上げたいのですけれども、すべての都市計画決定については、必要があればということではなくて、公聴会を義務づける。そういうことで、可能な限り住民の方々が都市計画の内容について関心を払ってかかわれるという条件をこの際整備すべきであるというふうに思います。
 それから最後に、やはり人間の感覚を大事にする都市をつくりたいと思うんです。そういう意味では、風土、風を感じることができる、また周辺の緑の変化によって季節を感じ取ることができる、そういう人間の感覚を大事にした都市づくりが必要だというふうに思います。
 私は情報社会科学部におりますが、実は人間の得る情報の大部分は、私たちが町を歩いたりするというようなことを通して、景色を眺めることによって得ているんです。ある学者によりますと、情報の大部分は、つまり九割方の情報はそういう形で得ていると。ところが、ビルがだんだんふえたり高速道路がのたうち回るように広がったりすることによって、むしろそういう感覚を奪われているのではないかという指摘をする学者もおります。
 そういう意味で、改めて人間の感覚を大切にするような、そういう都市づくりの仕組みをこの際築き上げたいというふうに念願しております。
 以上です。
○島袋宗康君 大変貴重な御意見を賜って、本当にありがとうございました。
 どうもありがとうございました。
○委員長(石渡清元君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、それぞれお差し繰りをいただきまして、長時間にわたりまして有益な意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表して、一言御礼申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 午後二時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ─────・─────
   午後二時開会
○委員長(石渡清元君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○緒方靖夫君 けさ、参考人質疑がありまして、そこで非常に有益な意見が伺えたと思います。
 それで、私、そういうことも踏まえながら最初にお聞きしたいのは、都市計画マスタープランの問題です。この問題について、参考人の中で、今日の都市計画法の体系を複雑骨折で骨粗鬆症状態だと評価したその方と、また中央都計審のこういう内容をまとめられる方が一致して述べたことがありました。ちょうど脇委員がきょうの参考人の質疑は非常にいい質疑だ、やはり大局的に同じ方向、同じベクトルを向いているのかなと言われた評価は、私もそれがなるほどなと思うところがありました。
 例えばその一点を挙げますと、市町村のマスタープラン、これを議会の決議にしたらどうかということを述べたことに対して、会長という立場を離れたらということで伊藤先生が、それはそのとおりだ、そして地方自治法にある基本構想というのは結局それがあれば意味がなくなる、議決は基本構想を担保するものだと、そういう評価をされて、私もそれは非常に興味深く伺ったんです。
 その点で、こういう見解に対して建設省はどのようにお考えなのか、そのことについて最初にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本正堯君) きょう午前中の参考人の先生方の質疑の中で、市町村マスタープランについて議会の議決を義務づけるべきじゃないかといいますか、そういう議会の議決についての話がございました。
 御案内のとおり、市町村のマスタープランは平成四年に制定をされたわけでございまして、現在順次六百八市町村について策定されておるわけでございまして、今着実に整備されつつある、こういう状況であろうかと思いますし、市町村が非常にマスタープランについての重要性を認識して今策定中であるというふうに思っております。
 これは御案内のとおり、町づくりの基本的方向を定めるということでございまして、地域住民の意見を十分尊重して定めるべきものであるけれども、一方で具体の都市計画と同様に、専門的、技術的な判断が必要であるということでございます。市町村マスタープランは、市町村が定める都市計画についての基本的な方向、それから将来のビジョン等について定めるということでございますので、非常に専門的、技術的な判断が必要である、こういうことであろうかと思います。
 このために、都市計画における専門技術性の尊重の要請といったようなもの、それから一方で地方自治、あるいはまた国民の権利保護と要請といったような調和を図る観点から、市町村マスタープランにつきましては、市町村の議会の議決を経て定められた今先生おっしゃいましたような基本構想、地方自治法に基づく基本構想に即して定めなければならない、こういう格好になっておるわけでございます。したがいまして、市町村の議会の議決を経て定めました基本構想に即して市町村マスタープランが定められる、こういう格好になっておるわけでございます。
 なお、市町村マスタープランの策定に係る事務は当然のことながら自治事務でございますので、市町村の議会の議決を経ることが必要である、そういう手続をとることが必要であるといったようなお考えということであれば、議会の議決を経ることは当然可能でございます。したがいまして、その旨をあらかじめ条例等で定めることも可能である、こういうことでございます。これはしたがいまして各市町村の意思に任せるべきである、こういうふうに考えておるところでございます。
○緒方靖夫君 最後の方で答弁があったような気がいたします。
 それで、私はその辺がやっぱり非常に重要な問題だと思います。局長は技術的、専門的なものだからと言われましたけれども、それは国会でももっとそうしなきゃいけないというきょう議論がありましたけれども、地方議会でもやっぱりだんだん力をつけてそういうものにも対応できる議員も育ちつつある、そう思います。ですから、そこはやはり議会を、そしてまた議員を信頼して大胆にそういう方向を打ち出すということも必要じゃないかと思います。ですから、そういうことが可能だという答弁をいただき、またその点も考え方としてはっきりしたと思いますので、次に進みたいんです。
 今、市町村のマスタープラン、六百八市町村で策定されているということが言われました。この中間報告への募集意見でも、全国市長会、町村会、全国農業会議所、各自治体から、都道府県マスタープランの法制化は市町村の自主的かつ主体的な町づくりを制約する、それにつながるおそれがある、そういう意見が出されました。また、多くの自治体から、都道府県マスタープランは市町村マスタープランを拘束しないもの、都道府県マスタープランに即するとするのは不適切、その自主性を損なうことがないようにすべきだという意見も出されております。
 そういうことで考えますと、前回私が質問させていただいた、ちょうど市町村の独自の町づくりと都道府県との関係、そういう問題、この点で市町村のプランが都道府県の都市計画に拘束されたりあるいは退けられたりとか、そういうおそれはないのかどうか、その法的な保障、それはどうなっているのか、その点についてお伺いいたします。
○政府参考人(山本正堯君) 都市計画区域のマスタープランは、御案内のとおり今回独立した都市計画ということで決定をするわけでございます。したがいまして、都道府県が都市計画区域のマスタープランを定める際には、法定の都市計画決定の手続に従いましてあらかじめ関係市町村の意見を聞くということが義務づけられております。
 それからまた、今回の改正によりまして、都道府県が定める都市計画の案につきまして、市町村から自主的にその内容の申し出ができるという制度も今回新たに入れさせていただこうということでございます。こういうことによりまして、都市計画区域のマスタープランにつきましても市町村から都道府県に対してその案の内容について当然申し出ることができる、こういうことでございます。
 そういうことでございますので、都道府県はこれらの措置によりまして示された市町村の意向をできる限り尊重して都市計画区域のマスタープランを定めるということでございます。各市町村の自主性や独自性は、そういう都市計画区域のマスタープランに十分反映をされるというふうに考えておるところでございます。
○緒方靖夫君 今答弁にありました仕組みの上で申し出ることができる、そしてできるだけということで、それが十分に反映できるというところにどうつながるのか、そこが大きな問題なわけです。ですから、仕組みはそうなっているわけで、これは今後の運用ということにかかわってくると思いますけれども、その点について非常に大きな懸念が寄せられているということは建設省としても十分に自覚していただいて進めていただきたい、そういうふうに思います。
 次に、線引きの問題です。
 今回の法改正で線引きを選択することができる制度、これがつくられるわけです。線引きを選択しない場合、これまでの市街化調整区域に指定されていた地域、これが白地地域になる、そういうこともあるわけです。
 これまで市街化が抑制されていた反動、そういうことも相まって、開発行為が急増して大規模店舗の進出等無秩序な市街地が形成される、そういう可能性は、この可能性は大小いろいろあると思いますけれども、これは可能性があることは否定できないと思いますけれども、その可能性はなしと断言できますか。
○政府参考人(山本正堯君) 都市計画区域が非線引きを選択するということによりまして、非線引き都市計画区域、白地地域ができてくる、こういうことでございます。したがって、非線引き白地のところについて、乱開発といいますか開発がされる可能性が出てくるということは、先生おっしゃるとおり確かだと思います。
○緒方靖夫君 そういうことを踏まえた可能性、これは小さな可能性もあるだろうし大きな可能性もあるでしょうから、やっぱりそうすると町づくり、これが乱開発に結びつく、そっちに至るという可能性もあるわけで、その点は十分に自覚していただきたい、そのように思う次第です。
 審議会では、こうした制度の導入の理由に市街化圧力が弱まった、あるいは地域の実情に応じて適用する、こういうことを挙げているわけですけれども、私はここで日米構造協議にかかわる問題をちょっと提起しておきたいと思うんです。
 一九九〇年に発表されました日米構造協議の最終報告、ここに全文があるわけですけれども、これを見ますと、「土地利用」、一の「基本認識」の中に、「線引き等の見直し及び個別の規制緩和の推進。」、こういうことが書かれております。それから、続いて二の「対応策」では、「土地の有効利用促進及び市街化区域内農地の計画的宅地化の促進の観点から、線引きや用途地域変更について、適時・適切な見直しを推進する。特に、大都市地域においては、増大する住宅需要に応じて、線引きの見直しを推進する。」、こう明記されているわけです。
 今回の法改正の際に、いわば全体は規制緩和の流れなわけですけれども、こういう底流や背景、これがあったのかなかったのか、それが問題ではないかと思うんですね。その点について建設省としてはどういうふうにお考えなのか、どうとらえられているのか、お伺いいたします。
○政府参考人(山本正堯君) 今先生御指摘の一九九〇年のときの日米構造協議の最終報告の指摘でございますが、今先生がお読みになりましたように特に大都市において、実際に都市計画決定されている線引きについての線の見直しといいますか、要するに制度の見直しということじゃなくて、書いてございますように具体的な線引きの線の見直しを適時適切に行うことを求めたものということでございます。線引き制度自体の見直しを求めたということではなくて、線引き自体が、個別の全国の線引きがその都度適時見直されてこなかったということについて適時適切に見直せと、こういう趣旨の指摘でございます。
 線引きの具体的な線の適切な見直しにつきましては、この線引き制度の創設以降、例えば昭和五十七年の人口保留フレーム方式の導入でありますとか、ちょっと細かくなりますけれども、そういったような運用の改善等について数度にわたり通達を出し、関係の公共団体について改善方を求めてきたということでございます。日米構造協議の指摘も、この流れの中の一つの動きというふうに認識をいたしております。
 今回、私どもが改正をさせていただく趣旨は、先ほど来御説明を申し上げておりますように経済社会情勢が三十数年たって非常に変わってきた、将来にわたって少子高齢化がより一層進むといったようなそういう状況の中で、一方、また地方分権といったような流れの中で線引きを行うかどうかを地方公共団体が地域の実情に即して判断する、より自由に土地利用の計画的な整序を行えるように制度自体の見直しを行うものでございまして、規制の緩和といったような流れではなくて、経済社会情勢の流れ、それから地方分権の流れの中で今回の改正が行われるということで御理解をいただきたいと思います。
○緒方靖夫君 今、制度の見直しだということを言われました。もちろん線引きをどうこうなんという話じゃなくてね。
 アメリカ側から提起された問題も、また合意されている問題も、私はこの交渉については行革特でも取り上げたことがあるんですけれども、アメリカの交渉に当たってのポジションペーパー、内部文書ですけれども手に入れて、それを見まして、そこには日本国土の大改造ということが書かれているわけですね。GNPの一〇%を公共事業に充てる、これが四百三十兆円、さらには六百三十兆円に通じる問題になったわけですけれども、そのほか、土地の流動化をもっと進めるとか、長期計画をばんばんつくれとか、大規模開発をもっとやれとか、その上で障害なのはやはり今網をかけられている線引き制度であるという、そういうことがるる述べられているわけです。そういうことは初めて聞かれるかもしれません、首をかしげられているので。やっぱりその問題はぜひ研究していただきたいと思うんです。
 日米構造協議というのは、アメリカの通商代表部、日本では通産省がイニシアチブをとって大蔵省と外務省を抑えてやった交渉です、皆さんよく御存じのとおり。ですから、国土の問題等々はかなり議論されているにもかかわらず建設省はほとんど関与できなかった。しかし、結果として六百三十兆円に建設省は大変歓喜したかどうかわかりませんけれども、と言われている、そういう交渉なんです。
 ですから、局長がこの問題で首をかしげているというのは、やはりよく研究して、この問題、アメリカとの絡み、アメリカが日本の国土についてどういうことを述べてきたのか。それからまた、日本の都市計画制度、それまで述べているわけですね。さらに言えば、アメリカが自分たちの業者を参入させるために、日本には談合がある、それがけしからぬ、だから談合を摘発した者に対する報奨制度をつくれとか、そんなことまでアメリカは二百四十項目の提案の中で述べているわけです。
 ですから、そういうことについてちょっとそれは知らないよと言うのでしたら、私はこれ以上言いません。しかし、ここでお願いしたいのは、こうしたアメリカとの絡み、日本の国土の関係でアメリカとの絡みでもそうした問題があるという問題提起に対して、やはりこうした問題も視野に入れて今後研究してみる。そういったことについて、その意思ありやなしやを伺いたいと思います。
○政府参考人(山本正堯君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、一九九〇年の日米構造協議、私どももいろいろ資料をもとに調べました。そのところで言われておりますのは、その周辺のいろんな議論があっただろうと思います。
 ただ、最終的に構造協議最終報告の中で言われておりますのは、今申し上げましたように線引きとかあるいは用途地域変更について適時適切に見直す、特に大都市地域においては住宅需要に応じて線引きの見直しを推進する、こういうことでございます。したがいまして、「対応策」という格好で書かれておりますのは、間違いなく具体的な線引き、大都市圏についての線引きについても見直す、その線を見直すということの対応策ということであったのであろうというふうに思っております。
 全体的に、今先生おっしゃいましたように線引き制度自体についての見直しについては、今回選択制を導入するといったようなところも含めて制度自体の見直しを今回図ろうとしておるわけでございます。そういう意味で、私どもとしても線引き制度自体についての課題、あるいはまたそういう点についても従来から指摘を受け、いろんなところから議論を重ねてきた。その結果、今回こういう改正をお願いするということで考えておるわけでございます。
○緒方靖夫君 局長、私の質問は、そういう問題についても研究し尽くしているというふうに断言されるならともかく、やはり首をかしげているという状況があるわけで、また全部把握されていない事実も恐らくあるだろう。
 その中で、そういう問題についても視野に入れて今後研究されるのかどうか、その点についてお尋ねしているので、長い答弁でしたけれども、答弁がありませんでしたので、再度。
○政府参考人(山本正堯君) 制度の見直しそのものにつきましては、私どもも都市計画審議会の議論を経て、そういう格好で一つの成案を得て今回提案させていただいている、こういうことでございます。
○緒方靖夫君 それで、質問については。
○政府参考人(山本正堯君) 今先生がおっしゃっておられます趣旨につきましては、私どもとしても線引き制度の見直しについては適時こういう格好でやっていく必要があるというふうに思っております。
○緒方靖夫君 私が述べているのは、線引きという、そこから入りましたけれども、そういう問題じゃなくて、やはり今の国づくりの流れ等とそれとアメリカのかかわりを述べているわけです。ですから、ここで研究するといったら義務を負ってしまうというおそれがあってそのことはどうしても言いたくないのかもしれませんけれども、今後やはりそういったことも視野に入れて研究を進めていただきたいということをお願いしておきたいと思うんです。
 それで、私は思うんですけれども、今回出された改正の中に取り上げられている中身というのは景気対策ということも当然入っているんだろうと思うんです。景気対策ということはあるんじゃありませんか。
○政府参考人(山本正堯君) 今回の改正を含めまして、本来都市計画制度というのは、社会的な規制を中心に土地利用のあり方等々についての土地の整序あるいは都市の町づくりといったような点について本来のあり方を考える、本来の制度を規定している、こういうところでございます。
 したがいまして、経済対策、景気対策といったような点につきましても、結果としてそれが経済状況の中で経営活発化に資するといったようなことは当然あろうかと思いますけれども、本来の目的は今申し上げましたような町づくり、都市の整備、開発、保全といったようなところが基本的な目的であるというふうに考えております。
○緒方靖夫君 結果としてあるということは認められたと思います。
 それで、私はここにいわゆる樋口レポート、これは九九年二月の経済戦略会議の答申なわけですけれども、正式名称は「日本経済再生への戦略」、これを持ってまいりました。そこには非常に率直に書かれているんです。
 その答申は、「バブル経済の本格清算と二十一世紀型金融システムの構築」として、不良債権の処理のためのスキーム構築として都市の再構築を提示しているわけです。その中の「都市計画・建築規制の緩和措置の積極的な活用」、そういう項があるわけですけれども、ちょっと中身を紹介したいと思います、御存じかもしれませんけれども。「政府が地方自治体に対し強力なリーダーシップを発揮し、「高層住居誘導地区制度」「機能更新型高度利用地区制度」等の規制緩和措置を積極的に活用し、土地の高度有効利用を促進する。」、「各種容積率移転制度の要件緩和、利用促進等を進める。」、さらに「都市計画の線引きについて廃止または縮小を視野に入れ見直す。」、こういうことが書かれているわけです。
 この全体の流れというのは景気対策として描かれているわけです。ですから、結果として景気対策ということは、今局長が言われたようにこれは間違いないわけですけれども、私は、そもそも動機としてあるいは目的として景気対策があると、この樋口レポートを見てもそのことははっきりしているかなと思うわけです。
○政府参考人(山本正堯君) 先生今御指摘の高層住居誘導地区制度でございますけれども、これは都心部における職住接近を推進するために、一定の都心部のところにおいて一定の建物の中で住居を付加する、一定率以上の住宅を確保する人に対して容積率のボーナスを与える、こういったような制度でございます。したがいまして、職住接近あるいは都心部における活性化を図るといったような点からこの制度が都市計画制度、都市、町づくりの中の一助となる、非常に効果があるということで私どもが制度改正を行わさせていただいた、こういうことでございます。
 それが、先生おっしゃいますようにそれは景気対策そのものじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、それは私どもとしては景気対策の目的としてやっているんではなくて、今、職住接近、町づくりの大きな目標の中でそういう格好でやっておる。したがって、制度の活用がされることによりまして職住接近が行われるということによって経済の活性化が図られるということは当然あるというふうに考えております。
○緒方靖夫君 わかりました。結果としてということと同時に、そういう職住接近等々の目的と同時に景気対策ということが並んであるということだろうと、そういうふうに解釈いたしました。
 そこで、横浜国立大学の田代洋一教授が「農政改革と行政改革」という論文を書かれているわけですけれども、その論文で農地、特に都市農業の危機的状況を論じた中で以下のように書いているんです。「そのような危惧をいだかせるのが、「都市計画の線引きについては廃止または縮小を視野に入れ見直す」という経済戦略会議の最終答申である。しかもそれは「不良債権の実質処理促進のためのスキーム構築」の柱として打ち出されている。そして不良債権のこげつき先の大半は虫食い「未」利用土地であり、それも含めてゼネコン・銀行救済のための線引き廃止論だといえる。」、そういうふうに述べて、これが実施されれば都市農業の命取りにもなりかねない、そういうように指摘しているわけです。
 私は、都市農業にとって命取りというだけではなくて、やはり町づくりにとっても大きな問題をもたらすと思うんです。このような指摘、農業に限って言っていただいて結構ですけれども、農業についてはこういう問題というのは、きょうの午前中の参考人の方々の意見の陳述でもやはりこの点は指摘されておりましたけれども、このことは否定されないでしょう。
○政府参考人(山本正堯君) 都市計画と町づくりといったようなものと農業農村、食糧自給といったようなものは私は相反するものではないというふうに思っております。都市計画法におきましても、都市計画の基本理念として農林漁業との調和を図りながら都市計画、町づくりをやっていくんだという基本理念がございます。
 したがいまして、私どもの考え方としまして、農業政策との調和を図るということで、例えば現行都市計画法におきましても、市街化区域につきましては優良な集団農地は原則として含まないとかいったようなことでありますとか、市街化区域内で特に保全すべき農地については生産緑地といったように指定をするとか、農業と都市づくり、町づくりといったようなものは相均衡を保ちながら、調整を図りながらやっていく、こういうことであろうかと思います。
 もちろん今回、農業・農村政策、食料・農業・農村基本法等が制定されまして、食糧自給率でありますとか今後の農業政策についてのいろんな基本的な方向が出されておりますが、それと私どもの都市政策、都市計画とも十分調和を図っていく必要がある、こういうふうに考えております。今回の法律の中でも、そういう点について細かく農業との調整を図るという規定も入れさせていただいておるところでございます。
○緒方靖夫君 均衡を図りながらと、言葉はいつも美しいわけですが。それからまた、今局長が言われたように農業基本法が出され、そこで都市農業の位置づけが行われたと。これは私は前に質問でも取り上げさせていただきましたけれども、非常に重要なことで、これは非常に私も歓迎しているところなんです。
 しかし、均衡を図りながらという局長のお言葉にもかかわらず、やはり現実には、きょうの参考人の意見の表明の中にもありました、農地がどんどんつぶされていく、宅地化されていく、あるいは大規模店舗ができていく、こういう現実が次から次へと実際には起こっているわけです。そこをどうするのかということが問題なわけです。
 一つの例を挙げたいんですけれども、九〇年から九九年の十年間に国への第一種大規模店舗届け出数、これは約五千二百件ありました。そのうち、店舗面積が上位にある富山県高岡市に進出する北陸ジャスコが核テナントのイオン高岡ショッピングセンターというのがあります。出店予定地域が市街化調整区域で、極めて優良な農地です。地元では、農振法の適用を受け多くの税金を投入して育てた第一級の農地を一企業のために農振法を除外して開発するのはおかしい、そういう声が出ているわけです。この出店の背景に現在県が進めている線引き見直し作業がある、このように指摘されております。私は、県の担当者に聞いてみました。すると、出店地域は市街化区域に編入する予定で作業中ということでした。進出する企業は、こうした線引き見直し作業を見越して市街化調整区域にある農地に進出しているわけです。
 今回の見直しはこうした傾向をやはり全国的に一段と加速する、そう思えるわけです。少なくともそういう可能性があると思うわけです。よもやそういう可能性は全くないと局長は断言できないと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(山本正堯君) 線引きの見直しを初めとして今回の法律改正をお願いしておるわけでございますけれども、例えば線引きの見直しにつきましても、市街化圧力が非常に高い、無秩序な市街化を防止する必要のある都市計画区域については当然のことながら引き続き線引き制度が維持されるということでございます。
 また、線引きを廃止した場合においても、その非線引き白地におけるところについて農用地があるとすれば、そういうところについても当然のことながらそういうことを守るということも必要があろうかと思います。特定用途制限地域といったようなもの、あるいは特定行政庁の容積率、建ぺい率の選択的適用といったようなことによりまして、無秩序な土地利用の進展の防止を図ろうということでございます。
 今申し上げましたような特定用途制限地域でありますとか特定行政庁による容積率、建ぺい率の選択的適用といったようなものについては、営農環境の悪化とか農地の壊廃を防止するといったようなものについても資するということではないかというふうに思っております。先生今御指摘のように、この線引き制度が例えば廃止される、あるいはまた今、高岡の例をお引きになりましたけれども、そういうところについて都市計画制度をより一層適切に運用するということによりまして、今おっしゃったような農地の壊廃を防止していこうということでございます。
○緒方靖夫君 局長、どういうふうに適切に運用したら、今現実に進みつつある、第一級の農地がそういう店舗に変えられてしまっているというその現実をストップできるのか、これが大きな問題で、地元でそれを悩んでいるわけです。
 ですから、言葉で言うのは簡単なんだけれども、そういう事態が、私は一例を挙げているにすぎないんだけれども、そういう例が各地で起きていて問題になっているわけです。これだけじゃないんです。これが全国でかなり起きている。しかも、今度の改正によってそれが加速されるんじゃないかという問題提起なんです。きょう、午前中に参考人からもあった問題提起と通ずると思います。
 ですから、適切に運用されるだろうということではなくて、ここで私はこれ以上議論いたしませんけれども、一つ提案なんですけれども、今各地でいろいろある中で、大規模店舗の届け出の中で規模の大きい一つの例として高岡のショッピングセンターの例があるわけです。この例を建設省としてもう把握されているかもしれませんけれども、それなら大変失礼な話になりますけれども、把握されて、どういうふうに適切に運用したら現法制度のもとで、あるいは改正された後の法制度のもとでどう立ち行くのかということについてのテストケースをお示しいただきたい、そうお願いしたいと思います。
○政府参考人(山本正堯君) 今、高岡のケースにつきまして、具体的な詳細については私どもとしてもまだ把握していない部分がございますけれども、従来から御説明申し上げておりますように、都市計画法は直接商業の需給調整を行うようなところを目的とする法律ではございませんけれども、大規模な店舗のそういう郊外での立地を抑制するというようなところについては、今申し上げましたような非線引き白地についての特定用途制限地域でありますとか容積率、建ぺい坪率の規制値の強化でありますとか、あるいは都市計画区域外でありましたら準都市計画区域の制度でありますとか、そういったような制度を新たなツールとして私ども今回提供させていただくということでございます。
 それについて、先ほどから申し上げておりますように各市町村、各地方公共団体がその地域の実情に応じてどのツールをどういうふうに使っていくかということについて十分な運用をしていただきたい、それについて私どもとしては適時適切な技術的な助言、指導をやっていきたい、こういうことでございます。
 高岡の例につきましても、私ども具体的なケースとしてそういう点についても注視をしていきたい。注目して、いろいろ制度の運用、どういう格好で運用がなされるかといったような点、あるいはまた私どもとしても、そういう点についての技術的な助言等が必要があればやることになろうかというふうに思っております。
○緒方靖夫君 助言はいただけると、それから注視するという話でしたけれども、これは地元から要請があるかどうかは別として、せっかくこういう国会の審議の場で問題になったわけです。ですから、これについて局長、建設省として、これが市町村で適切に運用されるだろうという話じゃなくて、今の制度のもとでこうしたらこうできるという、それを示していただきたい。これが私の質問趣旨です。
 いつも長い答弁をいただくんだけれども、すっきりと答弁をいただきたい。
○政府参考人(山本正堯君) 大変恐縮でございます。
 いろんなツールを私どもは示し、それからさせていただいております。基本的に自治事務でございますので、どこまで言えるかということがございますけれども、私どもとしては自治事務の範囲で、私どもが国としてやれる範囲内で、いろんな具体のほかのケースも研究し、この具体的なケースについても研究し、指導できるものはやっていきたい、こういうことでございます。
○緒方靖夫君 その研究の成果を、後日ぜひ聞かせていただきたいと思います。そのことをお願いしておきます。
 山本局長自身が、私は読ませていただきましたけれども、日経の二月十三日付でこんなことをインタビューで答えられております。「都道府県が「線引きせず」を選択した場合、開発を規制する市街化調整区域は設定されないことになります。その結果として一部地区が乱開発される心配があります。」と、これはこのとおりだと思うんです。
 また同時に、石川県金沢市の山出市長は、線引きを「原則残すべきだと考えています。」「スプロール対策は、せめて土地利用政策でしっかり押さえておきたい。」と語っているわけです。
 第二次答申は、市街化圧力が弱まったことを線引き不要の理由にしているわけですけれども、市街化圧力が高まった場合にはもう一度もとに戻す、もとに戻すということは容易ではない、このことはだれもが認めることだと思うんです。とすると、こうした扱いについて、ちょうど山本局長が懸念されているようなことが起こるわけですね、まさに言われているわけですから。そうすると極力慎重な対応が必要だと思うわけですけれども、それについてどのように対応されるのか、お尋ねいたします。
○政府参考人(山本正堯君) 線引き地域を非線引きに変更するということでございますが、そういうふうに移行する状態ということは、すなわちその区域の人口、産業の動向、あるいは市街地の現状、開発可能性を勘案してみると市街化の圧力が非常に低くなってきている、あるいはまた、線引きによる開発規制によらなくても大きな意味での乱開発が生じるおそれが少ないという場合に線引きを廃止するということであろうかと思います。
 線引きにつきましては、市街化区域、市街化調整区域につきましては、例えば市街化調整区域については市街化を抑制するべき区域でありますし、市街化区域についても十年、二十年先を見て、今後十年間に市街化すべき区域について市街化区域にする、こういうことになっておりますので、線引きをするかどうか、あるいは線引きをやめるかどうかといったような点については、中長期的な将来の人口、産業見通しのもとに線引きをやる、あるいは線引きの廃止をやる、こういうことであるというふうに考えております。したがいまして、今先生がおっしゃいましたように、線引きが廃止されたからといって乱開発がすぐ今起こる、あるいは起こりそうなところの線引きを廃止するといったようなことは、基本的には私どもはそういう判断はされないだろうというふうに思っております。
 ただ、先ほども申し上げましたように、線引きが廃止されることによりまして一般的に開発の自由度あるいは開発の可能性が高まってくるというところは当然ございますから、そういう点については先ほど来申し上げておりますように、特定用途制限地域でありますとか、容積率、建ぺい率のきちっとした規制値を決めますとか、そういったような制度をあわせて使うということであろうかと思います。
 これの使い方等につきましても、国として基本的な基準とか、あるいはどういうときにどういう格好で使っていくんだという具体的な技術指導をやっていきたい、こういうことでございます。
○緒方靖夫君 やはり慎重に長中期的に判断するということが大事だと思うんですね。確かに開発圧力が弱まっていると判断しても、それが何らかの社会経済的な動向の変化によって高まるということだってあり得るわけですからそのことを述べているわけで、その点は慎重にということを述べておきたいと思います。
 次に、きょうの午前中の参考人質疑でもかなりいろいろ出ました大規模施設の建設の届け出義務の問題、このことについてもお伺いしたいと思うんです。
 この問題では私はきょう午前中に、中間報告とそれから第二次答申との間で届け出義務、勧告の問題が結局報告では落ちてしまっているということを指摘いたしました。この問題について伊藤先生は極めてリアルな回答をされまして、これこそ極めてデリケートだ、そしてこれは通産省と建設省の関係だということを言っておりました。私も、通産省が相当程度の大きな役割を果たしているということはそのとおりだと思うんですね。ただ、私が建設省に通産省との関係でもやはり国づくりのために頑張ってほしいと思うのは、これはやっぱり非常に強い要求になっていると思うんです。
 私たちは今回の法改正に当たりましても、各階層、団体、専門家の方々と懇談いたしました。その一つに全国商工会連合会があるわけです。ここは言うまでもなく全国の町村の商工会を対象として全都道府県に連合会があって、二千八百余の商工会を結集し、会員数は百十万人という大きな組織です。同会は日本商工会議所など十一団体でまちづくり推進協議会を組織して、そこで中間報告に対する意見募集でも意見をいろいろ述べているわけです。その意見表明の中で、「都市計画区域内外を問わず、大規模建築物等について届出制度を導入すること」、あるいはさらに進んで、「大規模建築物等は、その建築物単体で、周辺地域の都市計画・事業、街づくり計画・事業等が想定した前提条件を覆し、都市の発展方向や街づくりに影響を与え」空洞化をもたらす主要因だ、そういう意見を述べているわけです。
 こういう点からして、私は第二次答申でなぜこれが落ちたのか、リアルな答弁が午前中ありましたのでこれは聞きません。聞きませんけれども、やはり私はその点で大手の流通業界からこの点についてさまざまな意見があったということを考えるわけです。どんな意見があったかということについては、わかりますか。
○政府参考人(山本正堯君) 大規模店舗についての届け出勧告制でございますけれども、パブリックコメントをやりました結果、非常に賛否両論、いろんな御意見をいただきました。
 基本的には、例えばあらかじめ規制対象区域を定めないということになりますと、どこで事後的に勧告をするといったようなことになるかという点から、あらかじめどういう想定をされてどういうようなものを立地しようかといったような点についての明示性に欠けるということで、それについての経済活動上、あるいはまたいろいろ勧告を受けてしまうといったような場合には、それについてどう対応するんだというところが非常に難しいといったような点からの慎重論もございました。
 あるいはまた、逆に届け出勧告制についてはかえって生ぬるいじゃないか、もっと基本的に許可制にやるべきじゃないかといったような御意見がございました。あるいはまた、届け出勧告制については逆に過度な行政指導が行われないように、もしやるとしても指導をもう少しきちっとやるべきじゃないかといったような点、今先生がおっしゃいましたような商工会等のそういう方々からは、こういう立地を規制することに逆に賛成だという御意見ももちろんいただいております。
 制度構成に係るいろんな提案をいただいておるわけでございますけれども、そういう点についていろいろ関係等々と協議をし、あるいはまたいろんなところと検討をさせていただいた結果、今申し上げましたように都市計画区域外全体についての届け出勧告制といったようなことではございませんけれども、特定用途制限地域とか準都市計画区域とか、そういったような点についての制度という格好で、当初の大規模建築物の規制を含めて土地利用の適切な規制が行える、そういう一つのツールとしては行えるんじゃないかということで今回その制度改正をさせていただくということでございます。
○緒方靖夫君 やはり伊藤先生の方がはるかにリアルな説明をされていたと思います。
 そういう意見でいえば、大手流通業界の意見表明として、大規模建築物等のみを対象とした届け出制度の導入には反対する、あるいは大規模小売店舗の規制の内容と同様の手続を設けることは不要とか、そういう意見が出されていたわけです。それが、通産省の動きと相まってこれが落ちるということになったと。建設省としては不本意なのかどうか、その辺はわかりませんけれども、全体の力関係ではやはり通産省のそういう動きが上回ったんだろう、そういうふうに思うわけです。
 ですから、私はその点で、今回都市計画区域外での届け出勧告制度の導入が取りやめられた、そのことの経過ははっきりしていると思うんです。また、そうなった契機もはっきりしていると思います。私はその点で、自治体や国民との関係でいえば、そちらを重視するというよりも、この点では業界寄りの改正だ、そう言われてもそのそしりを免れないだろう、そのように感じる次第です。
 さて、もう時間がありませんので、大臣、最後になりますけれども、前回そして今回のいろんなやりとりをお聞きになって、町づくりの問題それから都市計画の問題では大臣御自身さまざまな経験を持たれて、またいろいろな御所見をお持ちだと思います。その点で大臣の自由な御所見、それをひとつお伺いしたい。
 そして、あわせて最後にもう一つ、やはりこの問題というのは本当に住民がこうしてほしい、ああしてほしいという非常に要求の強い問題で、熱い要求の問題だと思うんです。ですから、その点で今の国土それから都市づくり、これを進めていく上で大臣としてこうやっていくんだというその決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(中山正暉君) 朝のいろいろな先生方の意見の御陳述、御審議いただきまして感謝をしておりますが、大変今回の改正案というのは建設省がまろやかな、みんなの意見を調整するいい形の法律の改正案になったと自分では自負をいたしております。
 今、通産省の意見であれが落ちたこれが落ちたというお話がございましたが、やっぱりこれからそういう調和をするための方式というのを私は建設省が主体になって、またそういう企業家の善意というものに期待をするといいますか、人間の性は善か悪かというのはいろいろ問題があると思いますが、フルに自分の財産権を行使しようというエゴの世界から、地域住民の皆さん方のそういう地元に対する愛情とか、それから景観を保ちたいとか、いろんな願望がある。それからまた、地方自治体とそれから議会との関係とか、そんなものをうまくミックスしていい結果を生むような調整を、皆さんの善意に期待をしながらそれを主導的に建設省が考えていくというような、そういう協調を図りながら取り組んでいく必要があるという認識のもとに私はできたものだ、こう思っております。
 国といたしまして、関係する各主体の意見を十分に聞きながら、それを踏まえて、それから町づくりを推進するための基礎的な枠組みの構築や、それからまた地方公共団体のさまざまな取り組みに対する支援とか、住民に対する特にそういうきれいにブレンドされたものをつくっていただくためには、やっぱり住民の理解というのが私は一番大事な根底になってくると思いますので、そのためにこういうことで考えておりますという国の知識、国が持っております皆さんにお知らせするべき知識の普及とか、それから情報の提供、これが今言いましたような、先生から欠点が出ないようにという御指摘がありましたが、そういうものに対する調整の役割というのは今度の法律の改正ではないか。
 確かに、外国からのいろんな問題もありますでしょう。我々が日本人として気づかなかったこと、しかし日本人としての独自性は守らなきゃいけないという形の中で、新たな日本のこの進展、日本は平和を望む国でございますから、何といっても経済発展を遂げていって経済的に貢献するというのが日本の大きな一番の世界平和のための私は使命であろうと思っております。その意味で、日本の経済が地域と兼ね合いながら、外国との調和をとりながら進展していくことこそが、日本国土の構築という意味で、経済繁栄をもたらしますための日本の新しい二十一世紀への出発点。それにはそういう物づくりというものの、公正でそして透明性があって、そして皆さんから喜んでもらえるような町づくりみたいなものの根底が築かれていくことに私は期待を持っております。
 そういうふうに考えさせていただきたいと思っております。
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 本日も九日に引き続きまして質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど緒方委員、また今も大臣からお話がありましたように、午前中の参考人の質疑が大変充実しておりまして、私も大変勉強になった午前中でございます。ところが大変勉強になったのはいいんですが、きょう伺おうと思っていたことをほとんど参考人の方が言われて、答えまで言われて帰られた。こういうことを申し上げると大変いけないんですが、先日局長さんとかから返ってきた答えよりもずっと明快に答えておられまして、困っちゃったなというふうに思っております。私も質問する回数は多いんですが、こんなに困っている質問は初めてでございまして、それだけ参考人の質疑が充実していたということで、いろいろ重複する質問もあると思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 ちょっと都計法から離れて、大臣は先日も言っておられましたけれども、ドイツに行かれて美しい町並みを見て大変うらやましく思ったというふうに述べておられます。私もフライブルクという環境では有名な都市と、首都でありましたボンを訪れたことがありまして、大変町並みがきれいですし、いわゆるパークアンドライドですか、周辺に駐車場があって町に車が入ってこれないようになっていて、そこが非常にショッピングも含めて栄えていたり、教会がありまして、そこがドイツの人に言わせると、我々の町のシンボルの教会であると。その教会の聖堂の高さに合わせるようにみんな屋根の高さを決めているからこれだけ一様な屋根の高さで、なおかつ色もある程度教会の聖堂と同系色で町をつくっているからこれだけ整然としているんですというような説明を市の方から伺って、私などは、この間も申し上げましたけれども京都でございますから、中心にお寺とかがあって町並みをどうするかというのが大変課題でございまして、ああいいなドイツはと思って、大臣と同じ感想を持ってきたわけです。
 もう一度、ではドイツの一体どういう政策的なものとか、ドイツの政治の考え方、建設行政の考え方などでどのように大臣が参考にされている、もしくはどんな感想を持たれたか、もう一度お聞かせいただければと思います。
○国務大臣(中山正暉君) えらいことを覚えておいていただいておりまして、恐縮でございます。
 確かに、私も四十三日間ぐらいハンブルクからずっとラインガイドを下りましてオランダの方へ出て、それから今度はマインツへ出て、マインツから今度は列車に乗ってヨーロッパ四十三日間、先生ぐらいの年齢のときに行ったことがございます。
 それで、その町々へ行きますと、土曜日、日曜日なんかには観光客のために昔の衣装を着て出ることまで条例で決めていましたり、ケルンにはケルンドームというのがあります。六百年かかって教会をつくっております。六百年かかるためには、しっくいの技術とかステンドグラスの技術とか、それからいろんな石積みの技術、それをつくるためにロッジというのをつくって、日本でライオンズクラブとかロータリークラブが一業種一人というのはあの伝統を守っているのだそうです。ですから、ロッジとよくライオンズクラブで、ロータリークラブのロッジと言いますが、そこに一業種一人だけメンバーに加えるというのは、その伝統が狂わないようにと。
 これは、もうケルンドームなんというのは六百年かかってつくっている。あれは、キリストが生まれたときに三聖人が東方から行って、これは聖者だということを決めた人がお祭りしてある。しかし、ドイツを爆撃するときにはケルンドームをシンボルにして、あれはつぶさないようにして周りを、爆撃のシンボルにした。
 いろんな悲劇とか、いろんなヨーロッパの歴史を見ておりますと、ライン川というのは、北から蛮族が入ってくるのをとめる。だから、ライン川の両側にはお城がずっと建って、北から蛮人が入ってくるのをどうとめるかという、そういう平たんなヨーロッパ。ポーランドなんというのは、ポーリアというのは平たなところというふうな意味で、平たなところというのがポーランドという意味だそうでございますから、そういうところにどんどん外敵が入ってくるのを、いかに城郭を築いてその中に町づくりをするか。それには大変な私は強制力があったと思うんです。どこに何をつくっちゃいかぬとか、こうしろああしろと。
 日本は島国でございますから、日本が外国から侵略をされたことがないのは百万の軍隊に海が匹敵しているということもありますから、そういう町の中核として城をつくったというのと、その違いかなと。それから、平たんで川も急流ではない。まるでとうとうと流れる川といいますか、日本の川みたいにしゃっと浅くて岩の間を水しぶきを立てながら流れていく川と違って、その意味での差が、やっぱり自分の本当の都市国家としての地域地域をつくり上げた。それが我々から見たら、全くエキゾチックに見えてうらやましいと思うもとなのかなというふうに考えております。
 AIPHという国際造園家協会がありますが、国際造園家協会なんかでも、いわゆる城の庭づくり、教会の庭づくり、それから大地主の庭づくり、庭づくりの伝統というのを守ったのがAIPHという国際造園家協会だと。そういうヨーロッパ同士の暗黙の、何かそういう都市づくりみたいなもののすばらしいルールがあるみたいで、そこにそれぞれワインのお祭りとか、いろいろな伝統のお祭りが絡み合って落ちついた現代のEUに発展していく。ローマ帝国の私は再現だと思っております、あれは。三億五千万のアメリカより大きな国家ができる。
 そのときに、今ボンというのは十万人しか人口をふやしちゃいかぬ、ここは首都ではない、首都はベルリンだという、その根性が、ボンという田舎の小さな町に首都を移したドイツ人の気概みたいなものがあります。それを今度はベルリンに変えるわけですが、ベルリンは僕は首都にならないと思っております。国際都市としてベルギーのブラッセルが私はEUの首都になると、こう見ていますけれども、その意味での、私は新しい都市国家がそれぞれ統合したEUという大国家に対する期待みたいなものも、アジアからの人間として、いわゆるヨーロッパ的な町づくり、それに今度はアジアの日本の伝統を守りながらどんなふうに町をつくっていくかということが日本にこれから課せられた、そして向こうから見て今度は日本がエキゾチックに見えるように。
 アジアへ行ったら日本は中国と違うんだなと。人によっては日本と中国と韓国と見分けがつかないような、ヨーロッパの人から見るとそう見えるようでございます。アメリカ映画なんかを見ましても、すぐに最初の場面でバーンとどらが鳴ったりして、ああ中国と間違っているなという気がしますので。勝手に演説をして申しわけございません。さっき緒方先生が演説してくださったので余り答弁しなかったものですから。
 先生みたいなお若い方に私は期待をしておりますので、どうぞひとついろんな意味で、京都御出身の日本の歴史と伝統。私はこの間の予算委員会でも申しましたが、戦後は戦争反省の時代、わだつみの時代、その次が経済繁栄の時代、今落ちついて伝統見直しの時代、それから新しい国家目標を見つける時代が私は先生の使命だと思っておりますから、どうぞひとつ、そういう意味ではよろしくお願いします。
○福山哲郎君 御期待までいただいたので、もう質問を終わらなければいけないかなと思いながら、大変御丁寧にお答えいただきましてありがとうございます。私が質問に困っているというふうに申し上げたので、かえってお気遣いをいただいて御答弁をいただいたというふうに大変感謝をいたしております。
 ケルンの制度は本当にそうですね。私もあのとき行ってもうぶったまげて、六百年かかって一つのものをつくるという時間のタームで都市がつくられている。それを納得している市民がいる。では職人さんは全部引き継ぎがあるわけですねと言ったら今大臣がおっしゃったようなことを御説明いただいて、本当に時間の感覚が日本とは違うなと。やはりヨーロッパはストックの文明だと言われておりまして、日本ももともとはストックの文明のところだったはずなんですが、だんだんフローでスクラップ・アンド・ビルドというような話になってまいりまして、やっぱりそこはきちっと今大臣が言われたように残すものは残すというような形をつくっていかなければいけないなと私も思っております。
 それで、きょうは二問だけ。運輸省さんにも来ていただいたんですが、ドイツには路面電車が走っておりまして、ライトレールと言われる最新型の電車で、約三十都市ドイツでは走っています。これはもちろんフライブルクでもボンでも走っておるんですが、このライトレールというのは、温暖化や大気汚染など環境問題が出てきて、CO2や大気汚染物質を出さないクリーンな交通手段として大変今注目をされているんです。
 もう一つありまして、この間交通バリアフリー法案というのが運輸省さんの御努力で、こちらはまだこれからですけれども、法案ができているわけですが、道路に路面電車を走らせるわけですから要は高齢者とか障害者にとって大変利用しやすい状態でございますし、駅にエレベーターやエスカレーターをわざわざ設置する必要もないということで、財政難に悩む地方自治体にとっては道路にある程度ライトレールを走らせるということは非常に簡便なわけです。おりてすぐそのまま町の中に入れる。
 これは実は、この都市計画法で何回も各委員の先生が問題にされた、いわゆる郊外にいろんなものが出ていってしまって、市街地にいるお年寄りがほとんど、さっきの参考人の話にもありましたけれども、お年寄りが古くからのコミュニティーを守っているけれども現実にはそこがどんどん寂れていってしまうという状況の中の移動の手段とかいうことも含めてライトレールというのは少し注目してもいいかなと。熊本とか広島では熱心に自治体が取り組まれているようなことがあるわけですが、このライトレールについて政府はどのように評価をしているのかということについて、運輸省さんに来ていただいていますので、御説明いただければと思います。
○政府参考人(安富正文君) お答えいたします。
 先ほど先生の方からも御指摘がありましたように、ライトレールトランジット、これはエネルギーあるいは環境問題ということが非常に世間的に関心を集めておるわけですけれども、そういう観点からしましても、いわゆる都市内の交通として非常に有意性を持った乗り物であると我々は考えております。特に、先ほどの指摘にもありましたが、高齢者あるいは身体障害者といったようなバリアフリーという観点から見ましても非常に利用しやすい、特に最近では低床式の車両というものが開発されてきておりますので、そういうLRTの開発導入ということを考えますと、今後非常に見直されてくるんではないかと我々も非常に期待しているところでございます。
 しかしながら、実は我が国でも路面電車というのは昔は六十五都市八十二事業者が実際に走っていたわけですが、残念なことに現在においては二十都市二十事業者というふうになってきております。これは、いわゆる自動車交通との関係がございまして、自動車交通の問題によって路面電車が外されてきたという歴史を持っております。
 そういう意味で、この路面電車の導入拡充を進めるためには、既に自動車が普及している市街地において、この道路の中でどういう導入空間を確保していくかということが不可欠になってまいります。このためには、当然地域における町づくりといいますか、そういう取り組みの中でこのライトレールトランジットをどう組み込んでいくのか、車優先の町づくりというものを軌道修正してこのライトレールを生かした町づくりというものをどう形成していくかということが非常に重要ではないかと考えております。
 そういう意味で、運輸省としてもこのような地域の取り組みが少しでも円滑に進みますように、特に低床式の車両、LRTの導入に対しては助成措置を講じておりますが、この助成措置を効果的に活用しながら今後建設省とも十分に連携を図って路面電車事業の活性化を支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○福山哲郎君 私は、路面電車について別に、どうしてもこれを導入していかなければ我が国の町づくりや都市がうまくいかないというような議論をする気は毛頭ございませんし、先ほど言われましたように自動車の普及ということがあるわけですけれども、ただ自動車が障害を持った方やこれからふえていくお年寄りの町中の移動に対して本当に適切なのかどうかということも含めて、人口密集地域で車がたくさんあるところでこの路面電車を入れるのがどうかは別問題として、いろんな形でひとつ柔軟性を持って選択肢としては考えられるのではないかなというふうに思っています。
 ただ、そこで一つ気になることがありまして、この路面電車やライトレールというのは軌道法という法律で定めてあるんですが、これは何と大正十年にできているんですね。大正十年ではるか昔にできているんですが、その法律に基づいて軌道運転規則というのが定められている。それを見ますと、車両を連結して運転するときは全長が三十メートル以内でなければならないというふうに、三十メートル以内というふうに書かれているんですけれども、それは路面電車が自動車交通の妨げになるからという理由なんですが、それはよくわかるんです。最高速度四十キロ、平均速度三十キロなんですね。
 しかし、山手線の車両は通常一両が二十メーターなわけです。山手線というのは一両は二十メーターなのに、最新式のライトレールでも今だと山手線一・五両分ぐらいしか走らせられないわけです。これはやっぱりさすがにちょっと、人口もふえていますしいいのかなということもあって、一つだけ、これはいろんな規則のただし書きの運用を解釈していろいろなところで数字の変化は起こっているんですけれども、この辺の規則の妥当性、それから今後の必要性みたいなことを先ほどちょっと評価されるような御答弁をいただきましたので、評価をされるということはこの辺についても何かお考えがあるのかどうか、お知らせをいただければと思います。
○政府参考人(安富正文君) お答えいたします。
 先生御指摘のように、現在、軌道法に基づきまして軌道運転規則に規定しております併用軌道における連結車両の長さというのは三十メートルということで規制されております。それから、運転速度についても時速四十キロメートルという規制がございます。これは、先生の方からもお話がありましたように、いわゆる路面電車が他の道路交通と競合するということから、道路交通上の安全性を確保するという観点から定められているものでございます。ただ、道路以外の場所、いわゆる占用といいますか新設の軌道につきましては、これらの制限を受けることはございません。
 しかしながら、道路上に併設される場合にはこういう制限を受けるわけでございますが、ただこの規定の中にも特別の事由がある場合には、その線区の道路状況あるいは交通量等を勘案して、軌道運転規則の定めによらないことを許可する取り扱いというのができる形になっておりますので、まだ少のうございますが、現にそういう特別な許可をした例もございます。
 したがいまして、いわゆる最新型の路面電車であるライトレールというものが実際に導入される場合には、我々としても現行の軌道運転規則を適切に運用するという形で何とか対応できるような措置がとれるのではないかというふうに考えているところでございます。
○福山哲郎君 わかりました。積極的にいろいろ考えておられるみたいなので、具体的な話とかはまたお伺いをしたいと思います。運輸省さんはこれで結構でございます。どうもありがとうございました。
 都市計画行政に戻りたいと思います。
 先ほどから出てきています市町村のマスタープランと都道府県のマスタープランの整合性等についての議論が、はっきり申し上げて先ほどから出ていますように参考人の方の思いがほぼ同じようなベクトルだったということもあるので、そこについてだけもうしばらくしつこいようですが伺っていきたいというふうに思います。
 現実には、この都計法の改正につきまして、やはり地方分権ということをかなり念頭に置いた上で改正をされているように思っているんですが、大臣、そこのところはもう一度確認をさせていただいてよろしいでしょうか。
○国務大臣(中山正暉君) 当然そういう時代の風潮といいますか、いわゆる地方分権で中央省庁も一府十二省という形になるわけでございますし、そういう日本の地方分権的な民主主義も育ってきた。地方自治制度というものに戸惑いがだんだんなくなってきて、私は地方の個性を尊重する時代が来たというような意味で受け取っておりまして、国、地方公共団体それから民間事業者、地域住民など町づくりにかかわるさまざまな主体が緊密に連携を講じながら取り組んでいくべきものでございますけれども、中でも地方公共団体とか、特に住民に最も近い市町村が中心的な主体となるべき時代の風潮を私は先取りしたものだと思っております。
 こんな考え方の中で、既に施行済みの地方分権に係る都市計画法、これは平成十年、十二年と改正を二回にわたってやっておりますけれども、都市計画の決定等に係る事務を地方公共団体の自治事務とし、また従来都道府県が定めることとされていました用途地域や市街地開発事業等の一部を市町村が定めることとするなど、市町村の都市計画決定権限は大幅に拡充をされたものと思っております。地方分権による改正の前後で、都市計画決定の件数に占める市町村の役割は約六割から約四分の三に増加をした、七五%になったという認識でございます。
 今回の改正におきまして、この考え方を踏まえながら、新たに創設する特定用途制限地域に関する都市計画及び準都市計画区域について定められる都市計画はすべて市町村決定としているところでございまして、さらに従来すべての都道府県決定であった風致地区に関しましても、小規模なものについては市町村がきめ細かな規制を行えるよう必要な措置を講じようとするものでございます。また、都道府県が定める都市計画に対しましても、住民に最も近い市町村の意向がより反映されるように、今回の改正によりまして市町村からの案の申し出ができることとするものとする。
 それからまた、今回の改正は、地方公共団体が主体となって地域ごとの課題に的確に対応し得るものとなるように、都市計画の現場において必要な都市計画が柔軟に決定し得る透明性の高い制度を目指して現行制度を大幅にそういう意味で見直したものでございまして、地方分権の実が上がることに私どもは大きな期待を寄せての改正案と考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 そこで、しつこいようなんですが、都道府県のマスタープランに即して市町村のマスタープランを、案の申し出はできるというような話がありますが、この間、同僚の佐藤先生への御答弁の中では、即して市町村のマスタープランをつくるというようなことを局長は御答弁いただいたんですが、その即するというのはどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(山本正堯君) 都道府県の都市計画区域のマスタープランは、都道府県の都市計画区域全体についての線引きをするかどうかといったような是非でありますとかその都市計画区域についての将来の姿、あるいはその都市計画区域の中におきます都市計画あるいは市街地事業、土地利用規制等々についての基本的な方針を書くということでございます。
 それに対しまして、今一方で先生おっしゃいましたように市町村のマスタープラン、これは平成四年に制定されたわけでございますが、市町村マスタープランは原則市町村が決定する都市計画に関する基本的な考え方について書く、市町村の区域についての将来像等についてもこういうところで書く、こういうことでございます。したがいまして、一市町村がつくります市町村マスタープランにつきましては、都道府県都市計画区域、広い都市計画区域のマスタープランと十分整合性を保ち、その中で市町村のマスタープランはそれに適合するように、整合性があるようにつくっていく、こういうことでございます。
 したがいまして、都市計画区域のマスタープランで都市計画区域全体の基本的な土地利用のあり方でありますとか都市計画区域の用途地域でありますとか、そういったような点についての基本的な方針を書いてあるわけでございますが、それに適合した市町村のマスタープランの中身が必要である、こういうことでございます。
○福山哲郎君 既にマスタープランを作成している市町村というのはどのぐらいありますか。
○政府参考人(山本正堯君) 平成四年から大体五十から百、ずっとやってまいりまして、今順次やっております。
 全体で六百八市町村が市町村のマスタープランを今策定済みでございます。
○福山哲郎君 先ほどの参考人も言われていましたけれども、一生懸命市町村のマスタープランをつくっているところがあって、間違いなくその市町村の能力というかマスタープランをつくる力というのは上がっていて努力をしているというような話がありましたが、このもうできている六百八のマスタープランと新たな都市計画区域についてのマスタープランということに対する整合性はどうなるんでしょうか。
○政府参考人(山本正堯君) ただいま申し上げましたように、既存の市町村マスタープランは六百八あるわけでございますが、今回の都道府県のマスタープランを定める際には、都市計画として都道府県マスタープランを定めるということでございます。したがいまして、都市計画手続の中で必ず関係市町村の意見を聞く、こういう手続が必要になってございます。
 そういう点で、市町村は、市町村マスタープランとの整合性の観点から、自分がつくりました市町村マスタープランの中身について都道府県マスタープランの策定に当たって都道府県に対して意見を述べる中で、自分がつくった市町村マスタープランについて都道府県マスタープランに十分反映させることが可能であるということであります。
 また、今回の改正によりまして、都道府県が定める都市計画の案の内容となるべき事項につきまして市町村が申し出をすることができる、都道府県の都市計画の案に対して市町村から申し出ることができる、こういう規定を入れさせていただいておりますが、そういう点からも都道府県マスタープランについても、必要に応じて市町村が市町村マスタープランの内容を踏まえてその案の申し出を行うことになるということでございます。したがいまして、その内容を踏まえて、都道府県はその市町村の意向をできる限り尊重して都道府県マスタープランを定める、こういう格好になろうかと思います。
○福山哲郎君 少し具体的な話をします。
 都道府県が都市計画区域としなかった、つまり一定の開発を認めた土地について当該市町村がやっぱりそこは規制してほしいと。例えば、保全をしたいと思ってみずからのマスタープランの中に今回のメニューで加わった準都市区域に指定し開発を厳しく規制するということは、都道府県が都市計画区域としなかったところに対して、市町村がやっぱりそこは規制をしていきたいので準都市区域に指定をしていきたいというようなことは可能なんでしょうか。
○政府参考人(山本正堯君) 今申し上げましたように、都市計画法上、市町村マスタープランは都道府県が定める都市計画マスタープランに即して定めなきゃいかぬ、こういう格好になってございます。都道府県のマスタープランを定める際は、また都市計画手続の中で、先ほど申しましたように必ず関係市町村の意見を聞くということ、その場合に、先ほども申しましたように市町村は都道府県に対して案の申し出をできるという格好になってございます。
 今具体的な例をお示しになりました準都市計画区域、これは市町村が定めるものでございますが、市町村がそういうことを定めたい、こういうことでございますと、市町村が都道府県マスタープランに、そういう格好がつくられるとき、あるいはそういうときについては意見を言うということで整合性が保たれる。
 あるいはまた、今申し上げましたように、市町村マスタープランは都道府県マスタープランに即してつくらなきゃいかぬ、こういうことになっておりますので、そこのところについては整合性が図られる必要がある、こういうことでございます。
○福山哲郎君 だから、簡単な話、意見を言うこともわかりますし、都道府県マスタープランに即して市町村マスタープランをつくらなきゃいけないのはわかるんですが、例えば都道府県が都市計画区域としなかったところについてある市町村が、いやそこは準都市計画区域にしてほしいんだ、規制をしたいんだといって意見を申し出たときには、その市町村はそこを準都市計画区域に指定を現実にできるのかということです。
○政府参考人(山本正堯君) 大変失礼いたしました。
 準都市計画区域は都市計画区域の外について定めるということになってございます。したがいまして、準都市計画区域につきましては、今も言われておりますマスタープランとの整合性の問題は出てこない、こういうことでございます。
○福山哲郎君 ただ、都道府県の意見をそれでも聞かなきゃいけないんですよね。
○政府参考人(山本正堯君) 準都市計画区域につきましては市町村が決められるわけでございますが、準都市計画区域につきましては都市計画でございますので、市町村の都市計画につきましては都道府県の同意つき協議がかかっております。
 したがいまして、準都市計画区域につきましては都道府県の同意が必要である、こういうことでございます。
○福山哲郎君 ということは、やっぱり都道府県の同意が要るわけでしょう。要は、都市計画区域からは外れたところであっても、市町村がいや私のところはそこは準都市計画区域にしたいんですよといった場合には、都道府県の同意が要るんですよね。
○政府参考人(山本正堯君) 先生今御指摘のとおりでございます。
 準都市計画区域の中について、開発許可でありますとか、あるいは建物が建つときの建築確認とか、そういう点が準都市計画区域の中でいろんな開発行為が行われるときには必要でございます。そういう点から見まして、市町村の都市計画につきまして都道府県の同意が要る、こういうことでございます。
○福山哲郎君 都道府県が反対したらどうなるんですか。同意しなかったらどうなるんですか。
○政府参考人(山本正堯君) 一般論でございますが、市町村が行います都市計画について、都道府県が同意つきの協議をやるわけでございますので、一般的にはそこは調整が図られるというふうに考えております。
 先生がおっしゃるような反対したということは基本的には都市計画決定のときにはない、十分調整が図られるというふうに思っております。
○福山哲郎君 十分調整が図られるということは、最終的には市町村は準都市計画区域に指定ができるということをおっしゃられているんですか。
○政府参考人(山本正堯君) 基本的には市町村が行う都市計画でございますので、これにつきましては市町村が即地的に第一義的には意向が尊重されるということであろうかと思います。
 したがいまして、準都市計画区域を市町村が決めるに当たりましては、基本的には今も言われましたように準都市計画区域が決められる、尊重される、こういうことであろうかと思います。
○福山哲郎君 そうすると、市町村が最終的にそれで指定ができるんだったら、都道府県マスタープランに即して市町村のマスタープランをつくる、即するということに対してどうなるのかよくわからないんです。
 だって、都道府県マスタープランに即して市町村のマスタープランはつくれと言われているんですが、今の話だと、最終的には市町村の言うとおりに調整するということは、最終的には市町村の判断で指定できるとおっしゃられたわけですから、それはなぜそういう結果になるんでしょうか。
○政府参考人(山本正堯君) 先ほどから申し上げておりますように、準都市計画区域につきましては、都市計画区域外で行われる行為、区域指定でございます。したがいまして、都市計画マスタープランの中とは関係ございませんということでございます。
○福山哲郎君 要は、もともとの都道府県のマスタープランの中からは外れているということでしょう。
 それだったら、何で同意づきが要るんですか。
○政府参考人(山本正堯君) 先ほどもちょっと御説明がまずかったかと思いますが、準都市計画区域につきましては都市計画区域の中からは外れているわけでございますが、準都市計画区域の中のいろんな建築行為あるいは開発行為につきましては、建築確認とか開発許可とか、そういうことが必要でございます。建築確認とか開発許可という事務は、基本は都道府県の事務でございます。
 したがいまして、準都市計画区域を定めること自体は都市計画外であり市町村が定められるんですが、建築確認とか開発許可、そこで行われるそういうようなものについては都道府県の事務でございますので、市町村は都道府県の同意つき協議が必要だ、こういうことでございます。
○福山哲郎君 では、もう一つお伺いします。
 産廃施設を例えば自分のところにはつくりたくないと思っている市町村があったとします。そうしたら、自分のところの土地を特定用途制限地域に指定して、産廃施設の建設を規制することは可能ですか。
○政府参考人(山本正堯君) 産廃施設といいますのは都市に必要な施設でございます。そういうところで特定用途制限地域等をかけられるかどうかといったような点でございますけれども、線引きを廃止した場合には特定用途制限地域を必要に応じてかけられるということでございますが、これは市街化調整区域であった区域の環境の悪化を防止するといったような、良好な環境を確保するといったような観点から創設されたものでございまして、都市に必要な施設を都市全域から排除するといったような制度の趣旨ではないということでございます。
 仮に、市町村が特定用途制限地域によって都市において必要な施設の立地を制限しよう、産廃施設等について立地を制限しようというようなことがありましても、都道府県知事が公益的観点からそれを不適切、不適当と判断すれば、その同意を与えないことによって都市計画は決定できないということになるわけでございます。このため、産廃施設など都市において必ず必要な施設が都市全域で排除されるといったようなことはあり得ないというふうに思っております。
 先生がおっしゃいますような都市にとって本来必要な施設につきましては、廃棄物行政等々とも関連をとりながら積極的に都市計画決定をしていく必要がある、そういうふうに国としても地方公共団体に対して技術的な助言等々を積極的に行っていく必要があると、こういうふうに考えております。
○福山哲郎君 ということは、迷惑施設が必要なことがあるから、市町村としては、それを目的として特定用途制限をする場合に都道府県が同意を与えない場合があるということですね。市町村のマスタープランをつくる際に、同意を与えないということがあるということですね。
○政府参考人(山本正堯君) マスタープランとの関係ということではございませんが、今申し上げておりますのは、例えば特定用途制限地域をかけた場合に、その特定用途制限ということで迷惑施設を産廃ということで排除できるか、こういうことでございます。
 マスタープランとの関係で申し上げますと、今申し上げましたように廃棄物施設等については都市として非常に必要な施設である、都市計画決定も積極的にやっていくべきであるというようなことでございますので、そういう施設については今後積極的に都市計画の中で位置づけ、そういうことの整備を図るべきだといったような基本的な方針をマスタープランの中には書き得るということであろうかと思います。それに基づいてといいますか、それの基本方針を踏まえて、今申し上げましたように産業廃棄物処理施設について積極的に都市計画決定をする、あるいはまた特定用途制限地域から排除するようなことはない、こういうことで整理させていただいております。
○福山哲郎君 そうすると、そこは都道府県の判断だということですね。ちょっと具体的な話をさせていただきます。
 一九七〇年代、古い話で恐縮なんですが、栃木県で準工業地域指定をめぐる市と県の争いというのがあって、市がある地域に対して準工業地域指定を望んだのに対して、県は住居地域指定を提案して対立したということがありました。市町村と都道府県の方針が対立したと。それで、結果としては、市側の要望が通って準工業地域に指定されたわけです。これは、県側の住居地域指定が負けたというか、おりたわけです。つまり、広域的な見地から県は住居地域指定にしようと思ったんですが、市は準工業地域を指定したと。この一九七〇年のこの二つの対立、この事件については建設省はどのようにお考えですか。
○政府参考人(山本正堯君) 今の具体的な点について、十分承知しているわけではございません。
 基本的な考え方でございますが、栃木県の今御指摘の準工業地域、これは市が決める用途地域だと思います。そのときに、県と市が対立していたといいますか、異なった意見になっていたということでございます。それと、そのときには県がいろんな都市施設でありますとか、あるいはいろんな土地利用についての規制を県として決める都市計画がございます。それと、今申し上げました市が決める用途地域との調整ということになろうかと思います。
 そのときに、市が決める用途地域は市が権限を持っているわけでございますから、基本的には市の方が尊重されるということになろうかと思いますが、ただ、具体的なケースのときに、どういう場合にどういう立場でどういう状況の中で県が住居専用地域を主張していたのかというところについて具体的に承知をいたしておりませんが、基本的には今申し上げたような整理をさせていただく必要があるということだと思っております。
○福山哲郎君 今ので言うと、市側のが尊重されるんだというふうに言われたんですね。
○政府参考人(山本正堯君) 今申し上げましたように、基本的には県と市の調整の問題でございます。
 もう少し一般論で申し上げますと、市の方は、市が具体的にその地域について決める都市計画、それの利害の中で決めるということでございます。県が決めるのは、広域的な観点、広域的な利害を有する観点から決める、こういうことでございます。一般論としてはそういうような観点からそれぞれの立場で調整を図ると、こういうことであろうというふうに考えております。
○福山哲郎君 要は、この場合には県側の広域的な観点が優先されなかったというふうに判断していいわけですか、調整の結果。
○政府参考人(山本正堯君) 具体的な理由につきましては詳細に承知しておりませんが、今先生がおっしゃったような方向での判断だったというふうに思っております。
○福山哲郎君 別に重箱の隅をつつく気はないんですが、要は、このような市と県が別々のときのようなことが今回の制度設計では起こるのではないかなということを危惧しているわけです。
 この栃木のときには、地域住民は大変抗議をしたわけです。そうすると、市は県が決定したことですと言って言い逃れまして、県は県で市の要望だから県としては手がありませんと言って両者とも意思決定の責任をある意味でいうと回避した。住民は市の決めた準工業地域に指定したことに対して裁判にまで持ち込んだんですが、結局勝てなかったわけです。
   〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕
 私は、市が準工業地域に指定したことが正しいとか正しくないとかいう判断をしていることが言いたいわけではありません。それはそれでよしなんですが、今のような状態が起こるようなことというのは、今回の制度設計上可能性はどうなんでしょうか、局長。ないと言えるんでしょうか。
○政府参考人(山本正堯君) 先ほども申し上げましたように、市と県がそれぞれの観点から調整を行うということになっております。したがいまして、今申し上げましたように対立して指定ができない、最終的にそういうことがないようにということでございます。
 今申し上げましたように、例えば先ほども先生から御指摘がございましたように、市町村のマスタープランは都道府県のマスタープランに即してつくらなきゃいかぬというようなこともございます。市町村が決定する都市計画につきましては都道府県の協議つき同意が必要である、こういうことでございます。都道府県の協議つき同意の観点も、今申し上げましたように広域的な観点でありますとか地域全体の観点からの同意ということでございますので、それぞれの観点、それぞれの立場からそういう格好での調整が図られるということであろうかというふうに思っております。
○福山哲郎君 今も言われました、同意が必要だ、それから都道府県のマスタープランに即してつくらなければいけないと、はっきり二つ言われたわけです。
 最初に僕が地方分権についてと言ったら、大臣は本当に御丁寧に地方分権の先進的なこととしてこの法律をというような話をされた。先ほど大臣は、特にその中で、僕がさっき質問した準都市計画区域については地方分権の目玉として取り上げていると。でも、今の局長の話を聞けば、都道府県の同意が要る、もしくはマスタープランに即さなければいけないという話を聞くと、きょうもあった話なのであれなんですけれども、何か制度設計がちょっとうやむやで、これでは結局市町村は常に都道府県の方を向いてしか仕事をしないんじゃないかなと。本当に市町村の独自性とか市町村がそこでつくりたい町づくりではなくて、結局都道府県がどういう意向なのかなというふうに、県の意向を見ながらしか物事が動かないんじゃないかなということを非常に懸念するんですが、そこは局長いかがですか。
○政府参考人(山本正堯君) 先ほども御答弁を申し上げましたが、町づくりの主体はあくまでも私は市町村だと思います。
 広域的な都市計画については、例えば国道の都市計画決定でありますとか大きな公園の都市計画決定でありますとか、そういったものについては都道府県が行う。ただ、市町村が行う都市計画決定のものにつきましても都道府県が広域的な観点から調整を行う、こういう格好であろうかと思います。そういう点で、基本的には町づくりについては市町村が主体である。しかも、今回改正をさせていただき、あるいはまた新しいツールとして導入させていただきます例えば準都市計画区域の指定でありますとか特定用途の指定でありますとかいったような基本は、市町村が決めるということでございます。
 したがいまして、市町村が自主性を持って決めるものについては、今申し上げましたように非常に地方分権の流れの中で今回の制度設計をさせていただいている。ただ、公益的な観点から調整を図るとかあるいはそういったようなものについては、従来の制度の中で協議つき同意といったようなことの整理をさせていただいている、こういうことでございます。
○福山哲郎君 少し観点を変えます。
 もう皆さんも御案内の真鶴町まちづくり条例というのがありまして、これはさまざまな建築の規制基準を数値ではなくて美という主観的な基準でつくっています。条例の第十条には、「まちづくり計画に基づいて、自然環境、生活環境及び歴史的文化的環境を守り、かつ発展させるために、次の各号に掲げる美の原則に配慮する」となっていて、場所については、「建築は場所を尊重し、風景を支配しないようにしなければならない。」とか、「調和 建築は青い海と輝く緑の自然に調和し、かつ町全体と調和しなければならない。」とか、「材料 建築は町の材料を活かして作らなければならない。」とか、「眺め 建築は人々の眺めの中にあり、美しい眺めを育てるためにあらゆる努力をしなければならない。」というような規定があります。それぞれにデザインコードが定められている。こういう独自色の強い取り組み。
 私は前から言っていますように京都でございますので、美とか景観とかという非常に主観的なもので町がもめます。建築基準法や都計法ではそういう規制手法を取り入れる余地がありません。だから、逆に言うとこのまちづくり条例にも強制力は持たせられない。だから、この真鶴では違反があった場合、水道法違反になるのを承知で、例えば高層マンションとかには水道の水を供給しないというようなことを言って高層マンションが建たないような状況をつくっているわけです。そんな本筋の話じゃないわけですね、マンションを建たせるのをやめさせるための一つが水道供給停止なんというのは。これは、水道法違反で訴えられるのを覚悟して町長は現実に真鶴の町並みを守ろうとしているわけです。
 これが財産権の問題とか制限の問題とかからいって、本当に私はどちらがいいのかがよくわからないからちょっと最後にお伺いをしたいんですが、この都計法の改正や建築基準法の改正も含めて、そういうこの真鶴の美とかいうような価値に対して今どのような評価をされているのかということについて、お答えをいただければと思います。
○政府参考人(山本正堯君) 真鶴町の条例でございますが、これは平成五年につくられた条例でございまして、大変ユニークな条例、先生の御指摘のように美の原則でありますとか美の基準というようなものをつくって、それを保全する区域であるとか誘導する区域であるとか決めておるわけでございます。それについて、そういうところに建築をするときに規制がかかっておりまして、それに違反をした場合には氏名の公表であるとかそういうところの制度であるというふうに理解をしております。
 こういうまちづくり条例は全国いろいろなところでつくられておるわけでございますが、この真鶴町まちづくり条例においては、今申し上げたような事前届け出制あるいは美の基準というようなものへの適合を求める、そういう規定が設けられているわけでございますが、一方、都市計画法に基づく開発許可とか建築基準法に基づく建築確認といったようなものとは、これは地方自治法に基づく条例でございますので連動していないわけでございます。強制力を持つものではない、こういうことでございます。
 こういうことでございますので、こういう条例について都市計画法あるいは建築基準法に基づくそういう強制力を持たせるような格好で今回の措置の方に移行しようということであれば、またそういう格好で可能性がある。ただ、そこまで強い行政の指導力を発揮するのではなくて、氏名の公表とかそういったような点ぐらいのところで全体の町の美の基準に基づくいろんな町づくりを推進しようといったようなところであれば、この条例そのものを今後引き続き推進していくということであろうかと思いまして、この条例そのものについては私どもとしてはもちろん有効であるというふうに考えておるところでございます。
○福山哲郎君 済みません、これで最後にします。
 これは質問通告していませんが、先ほど野口先生とお話をしていていろいろな御示唆をいただいたんですが、例の容積の話なんです。答えられるかどうかは、事前通告しておりませんので結構でございますが。
 商業地域の中での関係権利者の合意に基づいて容積率の移転ができるという話なんですが、京都は多分商業地域のところにお寺がいっぱい建っていまして、お寺に高いビルが建つことはあり得ないんです。そうしたら、お寺が、自分のところは高く建てないからといってどこかに移転をして、お寺は絶対上は建たないからみたいな話で商業ビルとかにそれを移転して必要以上に高くなるようなことというのは、今回これは可能なんでしょうか。
 済みません。今本当にただ申し上げただけなんで、答えられなければ後でまたお調べいただければ結構なんですが。
○政府参考人(那珂正君) ただいま御指摘の特例容積率適用区域制度の運用でございますが、この制度の根幹は、まずその対象地域を、先生ちょっと御指摘でもありましたけれども、十分な公共施設がきちっと整っている商業地域という一定の枠が決められております。そういうところで未利用容積率を活用して、区域全体として土地の高度利用を図っていくんだという基本的な目的があるわけです。
 それで、実際、御指摘のような歴史的な町並みあるいは保存すべき景観があるような地域が仮にその商業地域の中にあったとしてどうかという御質問だと思います。一般的には、容積の有効利用を図る区域と景観やそういうものを保存していく区域とが基本的にはダブるということはないと思いますが、ただそういう地域が隣接しているような場合というのは大いに考えられるわけでありまして、その上でさらに保存すべき地域の保存措置をきちっとするということ、かつその未利用容積率を有効に利用するということが矛盾しないでその区域全体として配置されるようなことも考えられると思います。
 それは特例容積率制度だけではちょっとあれだと思いますが、例えば高度地区とか美観地区とかを併用することによって、こちらの保存すべき地域の容積をきちっと低く抑えて、かつその未利用容積率を高度利用すべき地区の方で有効に活用するという措置が観念的には考えられると思います。
○福山哲郎君 ということは、可能だということですね。
○政府参考人(那珂正君) 可能でございます。
○福山哲郎君 わかりました。
 僕は、今、可能だという前提でまたいろいろ悩んでお伺いしたいと思います。
○政府参考人(那珂正君) 若干補足させていただきますと、いずれにしても先ほど申し上げました一定の区域の中で可能だということでありまして、とんでもないところに飛んでいくということではございません。一定の区域の中で提供するということでございます。
○福山哲郎君 もちろんそうです。
 では、お寺がおれの空間の容積率を渡していいよと言ったらそれは売買可能なんですか、その一定の区域では。
○政府参考人(那珂正君) まず二つ問題がありまして、売買が可能かどうかということについては、この制度としては、これは容積率というのはそもそも公的規制値でありまして、直接に容積率自体に権利性があるわけではありませんので、売買ということを、私どもはそういう概念を用いていないわけでございますが、特例容積率の適用ということがお寺を含んだ地域でできる、それは可能だと思います。
   〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕
 ただし、それについても、全体の区域については都市計画決定という手続がございますし、特例容積を複数の敷地で適用するわけですが、それぞれについて、こちらは下げた方がより合理的だ、こちらは上げた方がより合理的だという個々の敷地の審査はございます。それぞれに交通上、安全上、防火上、衛生上支障がないかどうかという特定行政庁の審査はございますけれども、そういった意味で、そういう一定の要件を満たせば特例容積をすることは可能でございます。
○福山哲郎君 済みません、よくまだ頭が整理できていないんでわからないんですけれども、そこはちゃんと運用状況を監視していただかないと、売買という概念はないのかもしれないですけれども、現実には起こり得る可能性というのがある。だって、お寺なんて絶対そこを上に上げることはあり得ないわけですから、お寺とは限りませんが、そういうことは十分起こり得ますし、新たな問題が出てくる可能性がありますので、ぜひそこはしっかりと運用状況を見ていただいて、また機会があればいろいろお伺いしたいと思います。
 きょうはちょっと早いですが、これで終わります。
○大渕絹子君 それでは、よろしくお願いいたします。
 今まで、町づくりといいますと恐らく公共の福祉ということが優先をされてきましたので、個人の財産ということに対しては、そこが侵害されるよりも公共の福祉優先だというようなことで割り切られてきたと思います。
 きょうの参考人質疑の中でも、八割の同意が得られればもう断行していいんだということをおっしゃった方もいらっしゃるわけでございますが、個人の所有土地について厳しく制限を加える区域指定は憲法二十九条の財産権の侵害には当たらないのかどうか。多分この法律がつくられたときからこの問題はずっと審議をされてきていると思いますけれども、改めて今回の改正に当たってただしておきたいと思います。
○政務次官(岸田文雄君) 線引きと私有財産権の保障につきまして先生から御質問いただきまして、今お話がありましたように昭和四十三年、この制度がスタートする当時もこの問題につきまして大変議論が行われたようであります。
 まず、線引きによりまして都市計画区域内の土地は市街化区域と市街化調整区域に区別されるわけですが、市街化調整区域というものは、市街化区域が優先的かつ計画的に市街化を図るべき地域とされていることとの相対的な関係によりまして市街化を抑制すべき区域と位置づけられているわけでありまして、全面的に建築や開発が禁止されているわけではありません。事実、二十九条あるいは三十三条、三十四条等で開発許可について規定されているわけですが、周辺の市街化を促進するおそれがないと認められる開発行為につきましては、市街化調整区域内におきましても許容されているわけであります。また、その後の人口とか産業の動向、あるいは整備状況、こういった状況を見た上で市街化区域に編入される、こうした変更も行われるわけであります。
 こうした状況を考えるときに、この市街化調整区域における開発行為は都市計画区域の計画的な市街化という公共の福祉から財産権に内在する制約と位置づけられ、そういった理屈から憲法二十九条には違反しない、そういった考えに立っているということでございます。
○大渕絹子君 今まではそれが立件をされ、それから判決の中でもそういう判決で推移してきたことは承知をしていますけれども、それはあくまでも線引きをすることによって今の既成市街地がよりよくなっていくことが前提にありますね。ところが、今は線引きが行われて、実際に中心街が空洞化してきて、発展よりもむしろ発展が抑えられる、あるいは人口流出などが起こって空洞化してくる。そして、思わない、これは法律も思わなかったでしょうし、つくった当時も思わなかったと思いますけれども、実際には自分の財産というものがこれによって物すごく価値が下がってしまっているというような状況も起きてくるというふうに思うんです。
 そうなったときに、これから先さらに空洞化が進んでいって、自分の財産が損なわれたといって訴訟が起こった場合、都市計画区域を引くということは行政処分ですね。その行政処分が不服である、自分は著しく損害をこうむったといって訴訟を起こされたときに、今までは対抗できました、公共の福祉ということで。だけれども、それが著しく自分たちの思う方向と違う、発展をしなかったという状況が起こってきたときに対抗し得るんでしょうか。
○政務次官(岸田文雄君) 先生の御指摘のような問題に対応する意味からも、今回線引きにつきましても選択という制度を設けて、より現実に適応した選択を現実を最もよくわかっている都道府県、地方自治体が判断することができる、こういった制度をつくることになっているわけであります。
 今回の法改正によりまして、地域が選択することができるこうしたさまざまな制度やツールをつくることによりまして、中心市街地においてはより活性化し、そして郊外部におきましてはより豊かな地域をつくることができる、そういった目的を果たすことができる法改正を今目指しているんだと、これからの問題としてはそういうふうに考えております。
○大渕絹子君 私は、建設大臣が被告になるのか知事にその被告席を譲ったのかと、こういうような改正になるんじゃないか、端的に言えばそういうふうに思っているんです。非常に多くの問題点がもう日本じゅうで噴出をしてくるだろうと思います、財産権に関与して、このままの形で推移をしていった場合に。
 それで今回、区域区分を定めることは基本的には都道府県の自主性にゆだねられる、都道府県知事の決定にゆだねられるというのは今政務次官がおっしゃったとおりですね。しかし、法律では三大都市圏、あるいは「(1)に掲げるもののほか、大都市に係る都市計画区域」というのは政令指定都市でしょうか、ここは相変わらず強制的に線引きを義務づける。
 これは、それではどういう意義があるのか、教えてください。
○政務次官(岸田文雄君) 今先生御指摘いただきましたように、首都圏、近畿圏、中部圏、この三大都市圏の既成市街地、近郊整備地帯、そして政令指定都市を含む都市計画区域につきまして引き続き線引きを義務づけているわけでありますが、この地域の共通点としまして、まず総じて都市への人口流入の圧力が高いということ、またその実態から見て開発圧力が高くて一体として計画的市街化を図る必要があるということ、それから三点目としまして、都市圏整備計画等国土レベルでの地域振興計画、開発計画によりまして計画的な市街化が必要な区域というふうに位置づけられていること、この三点につきまして三大都市圏あるいは政令指定都市を含む都市計画区域は、ほかの地域と大きな違いを現実に生じているというふうに考えています。
 人口流入あるいは開発圧力につきましても、三大都市圏につきましてはその他の地域と比べまして圧倒的に違いが生じている、こうした現実の認識のもとにこの地域につきましてはほかの地域との差別を行った、そのように認識しております。
○大渕絹子君 ほかの都道府県よりも強制的な措置がとられているということだと思います。強制的な措置がとられればとられるほど、財産権を保障した憲法二十九条からは遠くなっていくということになるだろうと思います。
 そこは認めますね。
○政務次官(岸田文雄君) その部分をほかの地域と別の扱いをするというのはおっしゃるとおりですが、要するに見方が逆でありまして、三大都市圏及び政令指定都市につきましては従来どおりの扱いということで、それ以外の地域が選択制になるということですから、それ以外の地域の部分について現状と変化を生じる、そういうことかと思います。
○大渕絹子君 法改正の必要な背景というのを前回のこの委員会のときにも皆質問されていたし、あなたは答えられていましたね。必要な時期が来ていて改正をする、そして以前のままだから問題ないというのはおかしいんです。
 実際に、国民一人一人のそこに住まわっている人たちの価値観というのは非常に多様化してきています。従来のように、高度成長を続けていって非常に近代国家を目指していたときには、道路も広く、そしてすてきな住宅街が建って都市整備がしていかれれば、それはそこが理想的な住まい、空間だったかもしれないけれども、今は現実的にはそうはなっておらない。自分が住んでいる今の地域が、もし昔の町並みを残している地域であるならばそれをいとおしいと思う人たちもいる。そして、自分が便利になって、きれいなというか近代的な都市につくりかえられるよりも、自分は今の地域にいたいと。
 そして、例えばこの法律にのっとって土地区画整理などがなされて、いい計画が出されてきたとしても、それは私の嗜好には合わないというような人がふえているんですね、個人の嗜好では。自分の土地が減歩されてまでそういうことに協力をしたくないと思う人たちも出てくる、そういう時代になってきているんですね、実際には。かつてはそういうことは言わせなかった。言わせる余地がなかったというか国民もそういう判断をしなかったけれども、今はそういう時代になっている中で、その財産権を侵害されたと思う人たちというのはふえてくるのではないかと思いますので、そのことを言っているわけです。
 都道府県が既存の区域区分の存続や廃止、あるいは新たな区域区分の指定を決定するときに一定程度のガイドラインがないと難しいだろうというふうに思うんですけれども、そういうものは早急につくるのでしょうか。
○政務次官(岸田文雄君) そういった指針になるような技術的な基準、こういったものは建設省としても示していかなければいけない、そのように感じております。
○大渕絹子君 それでは、現在、区域区分を定めている都市計画区域において地域区分を廃止した場合、従前、市街化調整区域に指定されていた区域は用途地域の指定のない区域になり、非常に乱開発のおそれがありますけれども、その防止策はどうなさるのか、具体的に述べてください。
○政務次官(岸田文雄君) 今回、線引きにつきまして選択制になったわけでありますが、市街化の圧力が高くて、線引きを廃止にすることによって、そして土地利用の規制を緩和した場合に無秩序な開発が見込まれるような場合、これはまずもって線引きを引き続き選択するものというふうに考えております。
 しかし、そういった無秩序な開発をする懸念がない場合に線引きが廃止されることがあります。そして、その場合にそういった白地地域につきまして開発が行われること、これは可能性としては出てくるわけでありますが、そういった地域につきまして、市町村の判断でその立地の制限等を行うことができる、そういった手段、ツールとしまして特定用途制限地域制度というのを今回創設したということでございます。この仕組みをつくることによりまして、この線引き等制限が外れた場合に市町村の判断でその土地利用を制限することができる、そういった仕組みができていると考えております。
○大渕絹子君 都市計画をするのに非常に住民参加ということが必要でございますが、住民の意思を統一していくためには、きょう参考人に来られました神戸市長さんは徹底的に情報公開、もう計画が始まったところから情報公開をして住民から理解を求めて、そして住民参加をしていただいて町づくりする以外に区画整理や都市計画は実現しないということをおっしゃったわけで、私も全くそのとおりだろうというふうに思うんです。
 私のところに、ある市の駅周辺の土地区画整理事業に反対をする住民の皆さん、そこの地域の住民のおおよそ二分の一の人たちが反対をしているという計画がございます。それに対して、建設省に対しまして平成十年、まだこの法律ができない時点ですから行政不服審査請求というのを出したんですけれども、計画の段階では処分性がないということで却下をされたというふうに言われているんです。
 しかし、住民は、計画の段階でやめてくれと言わない限り、決定されて工事が始まってからではもう手がつけられないわけなんですけれども、こういうことに対して法改正では今度はどういうふうになるのでしょうか。
○政務次官(岸田文雄君) 先生御指摘のように、線引きというものは最も根本的な都市計画でありまして、この決定はその地域にとりまして大きな影響があると考えておりますので、情報公開とか地域の理解というものが大切であるということ、これは十分認識しております。
 そして、そういった考えのもとに、従来の制度としまして、都道府県が区域区分の案を作成するに当たって説明会や公聴会を行う、そしてそういったことによってつくった案につきましては公告を行う、そして公告を行った案を一般公衆の縦覧に供した上で住民や利害関係人から意見書の提出を受ける、そしてそういった手続を受けて都道府県の都市計画審議会において審議を行う、こうした手続を踏んできたわけであります。
 こうした手続に加えまして、今回の法改正におきまして、より地域に密着した基礎的な自治体であります市町村からこの案の申し出ができるようにする、そして逆に都道府県の方から市町村に対しまして資料の提出を求められるように措置をする、こういった措置を加えております。またさらに、先ほど言いました都市計画案の縦覧に際しまして当該都市計画を定める理由を記載した書面を添付すること、こうしたことを法律の中に規定しているわけでありますし、また法律の規定に反しない限りにおいて条例により法定の手続を付加あるいは詳細化できるということになっているわけであります。ですから、その条例によりまして、例えば縦覧期間を延長するとか公聴会を設けるとか、こういったことも法律の規定に反しない限り条例において定めるというような仕組みも盛り込んでいるところであります。
 先ほど言いました従来の仕組みに加えまして、今回の法改正案の中におきます仕組みを加えまして、こうした手続の積み重ねによりまして国民の皆さんにより多くの情報を提供して、そして意見を反映させていただく仕組みをつくっているというふうに考えております。
 こうした仕組みをぜひ活用できるようにこれからもしっかりと指導していかなければいけない、そのように考えております。
○大渕絹子君 現に起こっている問題について、どうしたらそれが住民の声をくみ上げることができるのかというふうに聞いたわけですけれども、それに答えてもらいたいと思います。
○政務次官(岸田文雄君) 済みません。今ちょっと私の説明が悪かったかもしれませんが、前半申し上げました説明会から都市計画審議会までの手続、これは従来の手続であります。そして、今回の法改正につきまして、それに加えました市町村の案の申し出ですとか、縦覧に際しまして書面を添付するとか、あるいは条例において手続の追加をすることができる、こうした手続を今回の法改正で加えた、そういうことでございます。
○大渕絹子君 同じ答えを聞いているわけでなくて、平成十年にそういうことが実際に起こっているわけですね。土地区画整理事業が起こって、その地域の住民の半分ぐらいがやっぱり納得できない、その計画は市がつくったわけですから、あなたが言うように市が条例をつくってやめさせるということにはならない。市がつくった計画なんです。それを県が認めているんですね。そういう中なんです。
 しかも、その上には国のあるいは都のマスタープランでしょうかモノレールを敷くという大構想があって、そのモノレールの用地を減歩で出さなければならない中で強制的に区画整理が行われるというような背景があるわけなんです。それはだからさっき言ったように、住民の皆さんは、ここの町に住んでいたい、今の町に住んでいたいというような人たち、そして自分の土地がもう三八%も減歩されるということは耐えられないというふうに言っている。それで、減歩するだけの土地がない小さな坪数しか持たない人たちは、強制的に精算金を拠出しなければならないということで網をかけられちゃっているわけです。
 そういう状況の中で、反対をしたい、反対なんだということでいって、建設省に、まだこれは建設省が所管をしていた時代ですから。ところが、これは十年かなんかの法改正で今度は建設省ではなくなったわけでしょう。それは都道府県にゆだねられる自治事務として変えられていってしまっているわけですから、建設省にはそれは今度は出すことはできないわけなんです。そういうものを救済できる仕組みが今回の改正にあるのかということを聞いているんです。
○政務次官(岸田文雄君) 地元の皆さんのこういった意向というのをくみ取る仕組みとしまして、まず第一に尊重しなければいけないのは、地域におきまして実情を最も把握できる立場にある市町村、こうした市町村の判断を尊重しなければいけないというふうに思っております。そうした市町村、そして次には都道府県、こうした地元の努力におきまして、地元の方々、住民の方々の意向をしっかりとくみ上げていただく、そういったことが大切かと思っております。
 ですから、この仕組みの中で、説明責任を徹底させるということ、これは大切なことだと思っておりますし、この新たに仕組みを加えまして、市町村そして都道府県、こうしたまずもって地方自治体の努力によってより住民の皆さんの意向がくみ上げられるように運用していかなければいけない、そのように感じております。
○大渕絹子君 建設省はそれを指導できますか。そういうことを市町村に指導できますか。
○政務次官(岸田文雄君) 説明責任を果たす、情報をしっかりと提供する、了解を取りまとめる、そういったことにつきまして、そういった責任をしっかり果たすように指導する、それは建設省としてやらなければいけないと思っております。
○大渕絹子君 大臣、今のを聞いていてわかりますか。私はよくわからない。
 私は、具体的に例示をしながら、こういう問題でこじれてもうどうにもならない状況になっているときに、建設省は乗り出していける仕組みがこの法律にあるかどうかを、簡単にはそういうことです。それを聞いているんですけれども、要領を得ないのですけれども、大臣、どう解決しますか。
○国務大臣(中山正暉君) 区画整理、私もこの間も御答弁申し上げました中に、新大阪駅、昭和三十九年、市から条例案として区画整理案が出てきまして、それが市議会にかかって、そして市議会の了承を得て、それが実施に。新幹線が三十九年、オリンピック前に区画整理のど真ん中に買収で入ってきて、もう大変苦労したことがございます。
 私が今住んでおります地域も、淀川の右岸になるわけでございますが、そこも豊里地域の区画整理区域で、いまだにまだもめて区画整理の最終段階に来ていないところがあります。大阪の十三というところで、戦災地の区画整理復興区域部分でございますが、大阪の十三駅の周りというのは、まだ不法占拠で、そこの立派なビルに伝統のお菓子屋がありましたり、この区画整理というのはなかなかこれは、特に戦後の混乱の中でやりましたいろんな区画整理の実情を、自分の三十六年か七年にわたります地方議会から国会に通じての経験で見てまいりました。
 ですが、今度の場合は、先ほどの御質問にもありました地方自治法の中には指定都市に関する特例というのがありまして、指定都市の場合には府県が持っている権限を、一般事務に対して十七件か十八件は指定都市が持っておるわけでございます。そういう指定都市としての権限を、今十二ありますか、仙台が入りましたり千葉まで入りましたりして指定都市は随分ふえておりますけれども、そういういろんないわゆる地方自治体としての段差ができております中を調整するのに、今お話がございましたような、いわゆる地域で反対の人たちを、これは条例が通ってしまって実施にいっているときには、どんなふうに区画整理審議員の方々が加わってそれを調整していくか。それに対して建設省が、今政務次官からるる御説明を申し上げましたが、情報を提供して、それがうまく運んでいくようにと。
 この法案の根底は地方自治体とか、それから府県とか、それから建設省というのは善意で物事が進むように持っていこうといういわゆる性善説みたいなものを根底にしておりますので、その意味で私はこういう調整ができる時代のムードになってきたのではないか。先ほどから先生が私権の問題、それから公共の福祉にそれをどう適合させるかという問題で、そこらの調整も建設省としては懸命にやっていける。この法案を通していただきましたら、そういう調整の役割を大いに主導的な立場でやっていくものと、こう私は自信を持っております。
○大渕絹子君 住民参加の機会拡大を保障するために、法律による規定がぜひとも必要になるのではないかなというふうに思うのです。
 先ほどの件なども、もう一度計画策定のところまで戻って、ボタンのかけ違いがあるのならもう一度最初からやり直させるぐらいの強制的なものがないとなかなかうまくいかないというふうに思いますけれども、そこの点はいかがでしょうか。
○国務大臣(中山正暉君) 現行の都市計画法上、都市計画の決定に当たりましては、都市計画案の公告、縦覧、意見書の提出、それから都市計画審議会への付議等の必要な手続をすることとされておりますけれども、これは都市計画決定が国民の財産権に対する具体の制限内容を決定する性格を有するものであるために、当該制限内容を定めるために必要最小限の手続として定められているものでございまして、現行制度上は都市計画案の作成に際して住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものと規定いたしております。
 具体的にどのような措置を講ずるかにつきましては、土地利用の状況等の地域の実情や決定すべき都市計画の内容に応じまして、地域に密着した地方公共団体が的確に判断をすべき性格のものでございます。したがって、このような住民参加を拡充するための都市計画手続の付加等については、地方自治の本旨にかんがみると、地方公共団体の立法である条例によることが最も適当でございます。
 このため、今回の改正案においては、都市計画決定手続について条例により公聴会の開催義務づけ、それから縦覧期間の延長等、手続を付加し得ることなどを明確化したものでございます。これは、条例によりまして土地区画審議員の選挙なんというのも経験的に私も体験をいたしておりますが、審議員の方々と、それから地方自治体との協議を重ねていきながら、それがいい方向に結びついていくようないわゆる調整を、情報を提供いたしましたり、それから住民の方々に御理解を得たり。区画整理というのは最終プラス・マイマス・ゼロにして、有利なところへ移っていただく方からは精算金をいただき、不利なところへ行く方にはそれをお渡しして、表通りにいた方が突然裏に変わる場合もありますから、区画整理というのは。そういう方には精算金をお渡しして、そしてプラス・マイナス・ゼロにして、区画整理全部の事業をゼロにして終わらせるというのがその形でございます。
 そういうもののために、地域のために道路がきれいになり、そして蛇行していた道路がきれいな碁盤の目になるような、そんな区画整理を、どんなふうにこれからの地域の発展。そうしましたら、私権を制限することになっていることもあるかもわかりませんが、全体としてはその方の持っていた権利がもっと価値が出る、そういうことを趣旨にするのが私は区画整理だと思っております。
○大渕絹子君 今の大臣のお答えだと、昨日私が冒頭聞いたときに大臣がおっしゃったことと矛盾をしていますね。個人の住む価値というのは限りなく変わってきているというふうにおっしゃって、私も先ほど言いましたけれども、それぞれが住みたい場所は碁盤の目のように整備されたところに住みたいと思う人もいるかもしれないけれども、そうでない人たちもいるということをやっぱりわからないと、これは建設省が、もし今大臣がおっしゃるように皆ばあんときれいになった都市がこれがいいのだといって、出されたものをみんなが、わあ、これはうれしいと言って飛びつくと思っておられると、私はこの都市計画法というのは間違うというふうに思っております。
 もう結構です。時間ですので、いいのですけれども、きょうも参考人の皆さんからたくさん御意見を聞かせていただいた中に、非常に複雑になっているこの都市計画法は上手に使うことが市町村でも都道府県でも困難な部分も非常に多いというような御指摘もいただいておりまして、私も一昨日の質問にはそのことを言いましたけれども、もう少し使い勝手のいい土地利用計画法みたいなものを包括的につくっていくというようなことが二十一世紀には必要だと思いますけれども、建設大臣としての御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中山正暉君) 御趣旨、私は先生のおっしゃっていることと余り違ったことを言っていないと思うのでございます。いわゆる田んぼとかそういうものがあるところは区画整理できちっきちっと区画整理し、それから家の建っているところ、そんなところは再開発事業とか、その場所によってそれを適合させる、そういうものを調整して自治体と都道府県と建設省がやるというのがあれでございます。もう家の建っているところの区画整理なんか、私は昭和三十八年の大阪市の新駅周辺の区画整理、田んぼもいっぱいありましたけれども、建物が建っている大都市のど真ん中で区画整理なんかやるのは間違いじゃないかと言って議論したことがあるんです。
 ですから、その場所をどんなふうに使っているかということでそれを当てはめるのがいいのではないかと思いますので、その辺を建設省がしっかりと調整するということでございます。どうぞひとつ御理解いただいて御結論をいただきたいと思います。
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 終わります。
○委員長(石渡清元君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
○委員長(石渡清元君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、奥村展三君及び青木幹雄君が委員を辞任され、その補欠として松岡滿壽男君及び久野恒一君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(石渡清元君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 改正案には、全体的な基本問題にもかかわらず、一定評価すべきところもあります。それは、風致地区の条例による規制権限の都道府県から市町村への移譲、用途地域の指定のない地域の建築物の容積率、建ぺい率制限により厳しい数値の追加をしていること、都市計画決定の手続で、市町村が都道府県の都市計画の内容に関して定めるべき事項の申し出、都市計画の縦覧に際し理由書の付加などです。
 しかし、改正案には、以下述べるような土地の有効利用を掲げた大都市改造、規制緩和、開発を許してしまうような大きな問題があります。
 順次、反対の理由を申し上げます。
 初めに、市街化区域と市街化調整区域の区分、いわゆる線引き制度の都道府県の選択制です。自治体の自主性に基づいた町づくり目標を計画化できる機会という面もありますが、やはり規制緩和自由化の側面も強いものです。線引きを選択しない場合、市街化調整区域が用途地域の指定のないいわゆる白地地域となり、開発行為が急増し無秩序な開発を許すことになりかねません。
 次に、特例容積率適用区域の指定についてです。これは超過密大都市改造に直結する重大な規制緩和策で、大企業などの開発側にますます有利に働く制度です。用途地域の変更や容積率の切り下げ、ダウンゾーニングは良好な住環境を求める市町村や住民の間で根強いものです。低層の町屋住居や歴史的建造物のある京都などでは、住民が建築物の高さを指定よりも低く抑える建築協定、地区計画設定地域などを設定し町並み保存に努力していますが、それに逆行するものであります。
 最後に、市街化調整区域の開発緩和です。これは、実質的には市街化区域の予備地域を確保するもので、市街地の一層の拡散となります。しかも、区域及び開発行為を類型化し、開発審査会の議を経ずに許可するのは問題です。開発行為を定型化しフリーパスさせることは乱開発を助長することになりかねません。
 以上が反対の理由です。
 最後に、日本共産党は、開発野放しにつながる都市改造ではなく、そこに住む住民の声が生かされる計画的で民主的な町づくり制度確立を目指して全力を尽くす決意を表明して、討論を終わります。
○委員長(石渡清元君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(石渡清元君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 岡崎トミ子君から発言を求められておりますので、これを許します。岡崎トミ子君。
○岡崎トミ子君 私は、ただいま可決されました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、社会民主党・護憲連合、参議院クラブ及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一、現行都市計画法施行から三十年余を経て、都市をめぐる状況が大きく転換していることにかんがみ、都市計画制度の構築及び都市計画行政の遂行に当たっては、環境問題、少子高齢化への対応等都市の抱える諸課題に的確な対応を図るという理念のもとに取り組むこと。
   また、地方分権の観点から、地方公共団体における都市計画決定等の事務が円滑かつ適正に推進されるよう、情報の提供、専門家の育成など、その執行体制を支援するための特段の配慮を図るよう努めること。
 二、市街化区域と市街化調整区域との区分の都道府県による選択制への移行、開発許可制度に係る技術基準の条例による弾力化等を行うに当たっては、郊外部の無秩序な市街化、中心市街地の衰退を招くことのないよう、土地利用状況を十分把握する等必要な措置を講じるよう努めること。
 三、都道府県の都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の策定に当たっては、市町村との合意形成を十分に図り、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針と整合性が保たれるよう努めること。
 四、都道府県の定める都市計画の案に対する市町村の申し出制度及び地区計画等の案に対する住民の申し出制度については、それぞれの意向を十分尊重するとともに、円滑な都市計画決定がなされるよう努めること。
 五、都市計画区域外における秩序ある土地利用を図るため、準都市計画区域制度の積極的な活用と開発許可制度の適正な運用が図られるよう努めること。
 六、特例容積率適用区域制度の適用に当たっては、指定した特例容積率の限度を広く周知する等、本制度について関係者の理解を深める観点から必要な措置が図られるよう努めるとともに、歴史的建築物の保全、緑地の確保等市街地環境の維持向上に配慮すること。
 七、@都市と農村等の土地利用の管理に係るより一元的な仕組み、A都道府県全域を対象とした都市計画に関する基本的な方針、B緑地等自然的環境や景観の保持、C既成市街地の再整備のための諸制度の再編整理及び利便性の向上等、土地利用に関する総合的枠組みのあり方について、引き続き検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(石渡清元君) ただいま岡崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(石渡清元君) 多数と認めます。よって、岡崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中山建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中山建設大臣。
○国務大臣(中山正暉君) 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま御可決いただきましたことを深く感謝申し上げます。
 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました都市の抱える諸課題への的確な対応、地方公共団体における都市計画決定等の事務の円滑かつ適正な推進に対する配慮等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
 どうもありがとうございました。
○委員長(石渡清元君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石渡清元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十分散会