第147回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第2号
平成十二年三月七日(火曜日)
   午後三時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         前川 忠夫君
    理 事
                尾辻 秀久君
                山下八洲夫君
                渡辺 孝男君
    委 員
                太田 豊秋君
                河本 英典君
                久野 恒一君
                国井 正幸君
                山下 善彦君
                岡崎トミ子君
                長谷川 清君
                和田 洋子君
                弘友 和夫君
                緒方 靖夫君
                畑野 君枝君
                渕上 貞雄君
                三重野栄子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉谷 洸大君
   参考人
       国会等移転審議
       会会長      森   亘君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国会等の移転に関する調査
 (国会等移転審議会答申に関する件)

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○委員長(前川忠夫君) ただいまから国会等の移転に関する特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国会等の移転に関する調査のため、本日、参考人として国会等移転審議会会長森亘君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川忠夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(前川忠夫君) 国会等の移転に関する調査を議題とし、本日は、昨年十二月二十一日に国会等の移転に関する法律第十三条第二項の規定に基づき内閣から提出された国会等移転審議会答申に関する件について参考人から御意見を承ることといたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 森参考人におかれましては、御多忙のところ当委員会に御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
 本日は、国会等移転審議会答申につきまして忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人から国会等移転審議会答申について二十分程度御説明していただき、その後百分程度委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、参考人におかれましては、御説明、御答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、森参考人にお願いいたします。森参考人。
○参考人(森亘君) ありがとうございます。
 私は、国会等移転審議会の会長を仰せつかっております森亘でございます。
 本日、こうした場に参考人としてお招きいただきましたので、国会等移転審議会答申の内容、あるいはそういう答申をいたしますに至った経緯について若干の御報告を申し上げたいと存じます。
 お手元に二種類の資料が配付されているかと存じますが、ちょっと確認をさせていただきましょうか。薄手の方がやや色のついております答申の本文でございまして、厚手の方が白い参考資料でございます。これらに沿って御説明を申し上げたいと存じます。
 私どもの審議会におきましては、平成八年十二月に、時の内閣総理大臣から、国会等の移転先の候補地の選定及びこれに関連する事項について審議会の意見を求めたいという、そういう諮問をちょうだいいたしまして、以来、約三年にわたり審議を進めてまいりました。
 私どもに与えられた主たる第一義的な使命は、あくまで移転先候補地の選定であると理解いたしております。その後の具体的なもろもろの事柄は国会において御審議くださるものと、これも同様に理解いたしております。
 私どもの審議会では、首都機能移転というこの事柄が日本国の将来に深くかかわる問題であって、国政のあり方も左右する、それからまた対外的にも極めて重要な問題であり、五年、十年あるいは二十年といった短期的な事柄ではなしに、むしろ世紀を超えた大きな事業であるという、そういう基本的な認識を持ちました上で、約三年に及ぶ審議を続け、そして今、委員長からお話しいただきましたように、昨年の十二月二十日に開催されました第三十一回の審議会で答申を取りまとめ、そして内閣総理大臣に答申した次第でございます。御案内のとおり、翌二十一日には、移転法第十三条第二項に基づいてその答申が内閣総理大臣から国会に報告されたと、そのように伺っております。
 御説明いたします際に御理解いただきやすいように、結論から先に申し上げたいと存じます。
 この薄い方の答申本文の四ページにございますが、栃木・福島地域及び岐阜・愛知地域の二地域については総合評価の点数が高く、かつ数字に関する限り大きな差が認められないということから順位をつけずに候補地として選定するという、そういう答申をいたしました。さらに、この関連といたしまして、茨城地域は、栃木・福島地域及び岐阜・愛知地域の二つに比べて、いわばその二者に次いで総合評価の値が高く、自然災害に対して極めて安全であるといったようなすぐれた特徴を持っておりますことから、栃木・福島地域と連携してこれを支援、補完する役割が期待されるといたしました。こういう結論に至った経緯は後ほど御説明申し上げます。
 そしてさらに、三重・畿央地域については総合評価の点数は低うございますが、京都、大阪に近く、伝統の文化の厚みといったほかの地域には見られないような特徴があり、将来いろいろな事情が改善されれば候補地の一つとなる可能性があると、そのように答申いたしております。
 このように複数の候補地を答申いたしましたのは、先ほども申し上げました総合評価の結果、これといって飛び抜けて高い点数の候補地がない、大体全体として既に選ばれたものとはいえ粒ぞろいであったこと、それからまた、いわゆる北東、東海、三重・幾央といったその三つの方面ごとにそれぞれ異なった特徴あるいは可能性があるということで複数の選択肢をここにお示しいたしまして、国会でさらなる御議論をなさるのがいいのではないかという、そういう判断をしたからでございます。
 この選定の三段落目、四ページの三段落目には、首都機能の移転先では、初期段階からその地域だけではとてもその運営に十全を期することは容易でない、したがって東京あるいは仙台、名古屋、京都、大阪といった近傍の大きな都市を含めて広域的な協力、あるいは同じ調査対象地域内での幾つかの都市の協力というものが必要不可欠であるという、そういった意味のこともつけ加えてございます。
 そこで、このような結論に至った経緯について御説明したいと存じますが、これは答申の五ページを御参照いただきたいと存じます。
 私どもの審議会は、一番大切な事柄は客観性並びに公正さ、中立性ということであると判断いたしまして、専らそういった事柄を忘れることなく審議を進めてまいりました。
 第一段階といたしましては、全国を対象とした非常に広い範囲での選定を行いまして、平成十年一月でございましたか、詳細な調査を行うべき地域、これから将来に向かって、より詳細に調査すべき地域として非常に大きな三地域、北東、東海、三重・幾央と呼んでおりますけれども、非常に大きなこの三つの地域を設定いたしました。
 第二段階といたしましては、この大きな大きな地域の中からさらに細かい、より具体性のある地域を選ぶということでございましたが、そのためには十六程度の項目について詳細な調査を行って、それからまたその関係府県からも意見を伺い、それから審議会委員による現地調査あるいは公聴会、そういったことを重ねて、そして先ほど申し上げました三つの広い広い地域を十のより狭い地域に限定したわけでございます。
 そこに関しましては、より具体性あるいは実現性がある、それからまた同時に、利用すべき空港でありますとかあるいは鉄道その他の交通体系、そういったものも参考にいたしましたし、また先ほども申し上げましたように、関係府県の意向も聞き、あるいはまた幾つかの府県にまたがっております場合には、歴史でありますとか文化でありますとか人の流れでありますとか、そういう非常に多方面の事柄を参考にして、そしてより狭い十の地域を選んだわけでございます。
 私どもの一部と申してよかろうかと存じますけれども、七十名にも及ぶ専門家がおられましたので、この十のおのおのの地域についてそういった専門家の方々による厳密な判断を下していただいた。主として、先ほど申し上げました十六あるいは分け方によっては十八と分けることもできようかと思いますが、そういう項目について極めて専門的な評価を下していただきまして、それをあらわし得る範囲で数値として、数としてあらわしていただきました。
 ただ、私どもの経験といたしまして、いろいろな物事に関しては必ずしも数値で示し得るものがすべてではない、数値で示し得る範囲以外の、あるいは数値では示し得ないような事柄にも重要なことが幾つもあるということを経験しておりますので、委員会全体の意向として、こういう専門家によって示された数値というものは最大限に尊重しましょう、ただ数値以外の事柄もやはり同じく重要性を持つものとして参考にして、そして最後の結論に向かってまいりましょうという、そういう申し合わせと申しますか、むしろ大体皆さんの一致した意見だったと思いますけれども、そういう態度をとったわけでございます。
 さて、その次にいたしましたことは、このような専門家による判断というものは、それぞれいろいろな項目について大体平等に扱った均等な点数がついておりますけれども、委員の方々それぞれによって、例えば交通は非常に重要である、しかし景観といったものはそれほど重要でないとか、あるいは自然災害というものはこれは極度に重要である、しかし情報関係の事柄は将来つくればいいからそれほど重要ではないとか、そういういろいろなお考えがあるものですから、それぞれのお考えを尊重して、いわゆる重みづけということをしていただきました。それは、各委員のお考えによって、その専門家によって出された数字に、自分はこの項目についてどのぐらい重要と考えるか、この項目は重要ではあるけれども他に比べればやや重要度が低いのではないかという、そういう御判断をちょうだいしたわけであります。
 この方法については、もし御質問があれば後ほど詳しく申し上げることができようかと思いますが、いずれにいたしましてもそういう重みづけによって専門家が提出してくださった数字を若干補正いたしました。その結果として、各地域について点数が出てきたわけでございます。
 さてそこで、その十の地域全部を答申するわけにもまいりませんので、どうしても数を減らさなくてはならない。幾つかの方法がありましたけれども、私どもが選択いたしました方法は、まずそれでは数字にあらわし得ない特性といった事柄で第一次の選定と申しますか粗ぶるいをしましょう、そして第二次の選定としては数値によった厳密な選定を行いましょうという、そういうことを方針として決めたわけでございます。
 第一の、数字によらない各地域の特徴としての粗ぶるいということに関しましては、北東方面、それから愛知、いわゆる中央方面、それから三重・畿央というその三つの地域が、それぞれに数字にはあらわし得ない、そして他にないような特色を持っているということで選ばれ、それからそのほかに、現在の日本として多くの方々が非常に安全性ということに関心をお持ちであるということから、極めて自然災害に対して安全という評価を得ておりました茨城を加えて、そしてその十のうちの四つを残したわけでございます。ただ、茨城に関しましては、これは独立のものとして扱うよりも、北東方面のものの一部あるいはそれを補完するものとして一緒に扱った方がいいであろうということで、いわばそちらに吸収された形になりましたために、そこで最終的には四つと申すよりは三つのものが残ったわけでございます。
 それで、その次に数字に関して最終的な決定を見ましょうと。いわば第二次の選定でございますが、それに関しては、後ほどこの参考資料をごらんいただければ明確に示されておりますけれども、栃木・福島地域、それから岐阜・愛知地域、その二つのものが評点としては極めて高い、しかしその両者の間には大きな差はないということでございましたので、その両者を先ほど結論のときに申し上げたようなことで正式の候補として選定した次第でございます。そして、三重・畿央につきましては、先ほども申し上げたことでありますけれども、他に例を見ないようなすぐれた特性を持っている、しかし数値であらわされる評点に関する限りでは決して高くないということから、先ほど申し上げたような結論として答申の中に書き込んだわけでございます。
 それぞれの地域が持っております特徴はこの参考資料の中に示されておりますので、後ほどごらんいただければよろしいかと考えております。
 審議会におきましては、こうした移転先の候補地を選定することが第一義的な使命であるということは先ほども申しましたように十分心得ておりますけれども、関連する事項といたしまして、新都市のあり方などについてもいろいろな意見が交わされました。その中でも、移転先候補地の選定と密接に関連するものは四点、あわせて答申の中に書かせていただいております。
 その四点について簡単に御説明申し上げたいと存じますが、まず第一は、十六ページの第三章でございますけれども、新都市のあり方をまとめたものでございます。この第一点が実はさらに四つの項目に分かれておりまして、そのうちの一が「新しい情報ネットワークシステムの構築」、それから二が「環境への配慮」、三が「国際政治都市としての機能の確保」、そして四が「風格ある景観の形成」ということでございます。そして、さらに十八ページにお進みいただきますと、その四点の中の二番目といたしまして、「首都機能移転の意義、効果」、そういう事柄についても審議会で整理を行っております。そして、三番目といたしましては、二十ページになりますけれども、「答申後に検討されるべき事項」というものをここに掲げてございますが、そのうちの一が「国民合意形成の状況」、二が「社会経済情勢の諸事情」、三が「東京都との比較考量」ということでございます。そして、さらに四番目といたしましては、二十二ページ、第五章となっておりますが、「移転先候補地において配慮すべき事項」ということでまとめてございます。
 さて、そろそろ時間が参りますので、このあたりでまとめ的な説明を申し上げたいと存じますが、先ほど申し上げました重みづけを加えた作業結果の数字、そういったものは審議過程で整理いたしました各資料とともにこの分厚い参考資料集というものにまとめられております。これは広く配布もしておりますし、またインターネットのホームページにも掲載するなど、できるだけ情報公開に努めているところでございます。私どもの審議会といたしましては、この答申を契機にいたしまして、首都機能移転というものが決して単なる夢物語ではない、日本の将来にとってもよい事柄であるという認識を持っていただき、国民の一人一人に考えていただきたい。国会の方々はもちろんでありますけれども、国民の一人一人にも考えていただけるようにできるだけたくさんの資料を公開したつもりでございます。
 地方公共団体に対する要望を一言申し上げさせていただければ、首都機能移転ということについて一部ではやや大き過ぎる、過大な期待をお持ちであるところもあるように拝見しておりますけれども、実際にはいいことずくめの事柄ではない、つらいこともたくさんあるんだという冷静な対応をしていただきたいということを地方公共団体、殊に候補地になっておられるところには要望したいと存じます。
 首都機能移転という事柄に関してはこれまでもずっと国会が主導してこられたわけでありますから、国会におかれましてもこの答申を踏まえて、より大局的な見地から検討を十分にしていただいて、十分に検討をしていただきました上で速やかに結論に導いていただきたいというのが私ども審議会の願いでございます。
 一番最後になりますけれども、この答申をまとめるに当たりましては、審議会の委員あるいはその専門家のグループが大変努力いたしたことはこれはもちろんでございますが、これはある意味で当然のことでございます。ただ、表面にあらわれていない、目に見えない事柄といたしまして、公聴会などを通じて非常に多くの方々からいろんな意見をちょうだいしておりますし、それから特に候補地になったところは、最終的に残った残らないにかかわらず実に多くの資料を提供してくださり、また首都機能移転という事柄について大変まじめに考えてくださった。そして、この大きな事柄の意義とかあるいは効果についてもいろいろと私どもに教えてくださった。こういう関係する地方公共団体から資料をちょうだいしたこと、あるいは知恵をちょうだいしたことについてお礼を申し上げたい。
 それからまた、やや内輪のことではございますけれども、大変膨大な資料を整理し、あるいは新しい考えをまとめる手伝いをしてくださり、あるいはそのたびの会議のいろいろな雑事を引き受けてくれた事務局の人たちにも私は心からお礼を申し上げたいと考えております。
 大変雑な御報告でございましたが、差し当たってこれをもって私からの御説明を終わりたいと存じます。どうも失礼いたしました。
○委員長(前川忠夫君) ありがとうございました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日は、あらかじめ質疑者を定めず、委員には懇談形式で自由に質疑応答を行っていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。また、委員の一回の発言時間はおおむね三分程度とし、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
○山下善彦君 二点ほど先生にお伺いしたいと思います。
 今、概略の御説明をいただきました。三年の間、委員の皆さんには大変な御足労をおかけしたということで、本当に心から御礼を申し上げると同時に敬意を表する次第でございます。
 それで、具体的に今この資料を見させていただきまして、その中でどんなふうに思っておられるのか、会長としてのちょっと御意見を伺いたいと思います。
 今、この答申の説明をいただきました。この二十一ページの「東京都との比較考量」という項目が最終的に出てくるわけで、昨年の暮れにこの選定が終わってこれから東京都との比較考量を行う、こういう形にスケジュールとしてはなっているわけですが、現実に今の東京の既存の機能を考えた場合、東京以外の地域で、東京以上の機能があるところは現実にはないのではないかな、こういうふうに考えられるわけでございますが、どのような内容、判断基準でこの比較考量を行われるのか、その点もし御説明いただければ、一点まずお伺いしたいと思います。
○参考人(森亘君) それではお答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、私どもの審議会に与えられました使命は候補地の選定をするということでございまして、東京都との比較考量といった問題は非常に重要な問題であるという意識は持っておりますけれども、ちょっと言葉に語弊があるかもしれませんが、私どもの役目ではない、より高次の国会で御議論いただくべき事柄であるという、そういう認識を基本的には私は抱いておりました。ただ、今申し上げましたように、これは非常に大切な事柄であるからということで、私どもの間でも若干の議論はございました。それで、その結果をある程度まとめてございます。
 今の御質問にありました判断基準ということについてでございますが、これは全く私個人の意見でございまして、判断基準といったような国会でお考えになるべき事柄をここで申し上げることはやや僣越であろうかと思いますが、ちょっと思いつくことだけ申し上げるといたしますれば、やはり東京都としては恐らく首都機能を移転した場合には出ていかれる立場になられると思います。ですから、一般に世の中では、出ていくことだけを取り上げ考えて、出ていかれる方の立場ということに対する配慮なりあるいは考えというものがそれほど、東京都の方々は一生懸命論じておられますけれども、世の中一般には出ていく方のことを主として考えておられるかと思いますので、一つには、判断基準といたしましては、出ていく方の立場での物事の考え方と、それから出ていかれる方の立場での物事の考え方と、その両面があってよろしいかと考えております。
 それから、具体的な事柄といたしましては、やはり現在の東京都における過密状態、その過密と申しますとふだんの言葉といたしましては、例えば車が渋滞するとか家がたくさん立て込んでいるとかいう、そういう目に見える過密が問題になるかと思いますけれども、私どもが頭の中に抱いております過密という事柄は、むしろ目に見えない、例えば情報が集まり過ぎているとか、あるいは場合によってはいろんな権力が集まり過ぎているとか、そういう目に見えない過密というものもやはり判断基準の一つとして考えなくてはならないかと思っております。
 それからもう一つは、自然災害というものがいつ起こるかわからない。そうすると、現在の東京都、当然のことではありますけれども、これからいろいろと改善していかれると思いますが、それだけで果たして起こり得る自然災害に対処できるかどうか、そんなこともあろうかと存じます。
 繰り返しになりますけれども、これは私どもの間で議論はいたしましたし、現在の世の中の論議を整理はいたしましたけれども、基本的にはこちらで皆様方にお考えいただくことであるというのが私どもの基本的な認識でございます。
○弘友和夫君 ただいまのにちょっと関連させていただいて、平成五年でしたか八年でしたか、東京都との比較考量というのが入った改正がされたときに、これは実際この移転すること自体が非常に難しくなるんじゃないかなと感じた一人なんです。
 この審議会そのものの役割、先ほど参考人が候補地を選定することが第一義的だと、あとのもろもろは国会で決めてもらうことだと。ということは、候補地を選定された答申を出されて、そして東京都との比較考量だとかそういうのは国会の場で論議をして決めると、こういうあれになっているわけですね、法律そのものが。
 ただ、今の答申を拝見させていただきますと、「首都機能移転の意義、効果」というのも入っています、国政全般の改革だとか、一極集中の是正だとか、災害対応力の強化だとか。そういうことを拝見させていただくと、これは東京都と比較考量して、そうじゃない、一極集中じゃない、ほかのところに、今度の候補地のそういうところに移転した方がいいという判断を審議会の皆さん、先生方でされたと思うんです。
 ところが、その後の「答申後に検討されるべき事項」では、「東京都との比較考量」という中では、「「東京を改造しつつ国政全般の改革等を行うこと」と「首都機能の移転を契機に国政全般の改革等を行いつつ東京を世界都市として再生すること」を比較した場合、いずれが我が国の将来にとって最善の選択であるのか、という問題に帰着するものと考えられる。」と、こうなって、どちらとも言えないというか、そういう並列的な、比較してどちらということを選択するのであるというふうに書かれているわけです。
 だから、この法律のつくり方が悪いのかもしれませんけれども、やはり客観的、公正的に審議会の先生方に候補地を選択していただくのであれば、当然、東京都との比較考量も先生方にそれとも比較してどうなんだという結論を出していただくのが筋といいますか、それが当たり前じゃないかと思うんですけれども、法律はそうなっていませんから、候補地を選定してもらってその後に国会で比較考量すると、こうなっているから、そういう御答申だったと思います。
 率直に申しまして、参考人の、先ほど少し日本の将来というか、やはり変わった方がいいというふうなニュアンスでお話がありましたけれども、そこら辺の審議会全体としての御意見、それが率直にどうだったのかということをお聞かせいただければと思います。
○参考人(森亘君) 審議会全体としてというお問いかけでありますけれども、くどいようでありますが、実は審議会全体としては東京都との比較考量ということは結論を得るような目的では論議いたしませんでした。ただ、話題というような程度の話し合いをした程度でございます。
 したがって、審議会全体の結論なり意向というものをここで私が申し上げることはできない、できないというか実際ないのでございますけれども、もしお許しいただければ、私個人の、全く個人の考えを申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○弘友和夫君 はい、結構です。
○参考人(森亘君) 実は、私個人は、この審議会に参加させていただきまして以来、いかなる意味においても中立でなくてはいけないということを自分に言い聞かせておりました。
 それは、候補地の選定はもちろんのことでございますけれども、そもそも移転すべきかすべきでないかということに関してさえ自分は中立でなくてはいけないと言い聞かせておりましたので、決してその移転ということがもう厳として存在していてということで出発したわけではございません。ただ、私どもに与えられた使命は、これも先ほど申し上げましたとおり、どこか場所を選べという、そういうことでございました。
 したがって、私が自分に言い聞かせておりましたのは、できるだけ多くの方々の、例えば移転賛成の方も移転反対の方も、あるいは東京都の方も東京都以外の方も、できるだけ多くの方々の御意見を白紙の状態で伺って、それで決して足して二で割るとか、あるいは皆様方のできるだけ当たりさわりがないところといったような、そういう消極的な意味ではなしに、むしろ積極的な意味でできるだけ多くの方々に御満足できるような視点に立って候補地を選べばここではないかという、そういうことで、至らぬ進行ではありましたけれども会議を進行いたしてまいりましたので、本音を申し上げて、移転すべきかすべきでないかということに関しては私は今でも白紙でございます。ただ、できるだけ多くの方々の御意見を伺った上で候補地を選ぶとすればここがいいのではないかと。
 ただ、私は白紙でありますと申しましたけれども、やはりこういう答申を出させていただいた以上、これについては責任を感じておりますので、現在の立場なりあるいは向いております方向は決して移転反対ではございません。やはり、こういう候補地を目標として移転した方がいいと思っておりますけれども、東京都の考量にいたしましても、あるいはその他の事項に関しましても、むしろ移転すべきである、ないということに関しては白紙といいますか中立でございます。
 ですから、ぜひその点はこちらでお考えいただきたい。できるだけたくさんの材料は差し上げたつもりでございます。
○山下八洲夫君 参考人の森先生には貴重な答申の御報告をいただきまして、まずもって心からお礼申し上げたいと思います。
 私は、皆さんはちょっと御遠慮なさっているようでございますのではっきり申し上げたいと思いますが、岐阜県の東濃地域出身の山下でございます。
 そういう中で、この参考資料に首都機能移転に関する近年の主な経緯ということを書いてございますので多くは申し上げませんが、特に平成八年十二月からこの三年間、会長さんを中心に審議委員の皆さん方がそれこそ大変な調査やあるいはまた審議を重ねてこのようなすばらしい答申をなさっていただいたというふうに理解をいたしております。
 そういう中で、かなり高い数値で岐阜と愛知を入れていただいて私は感謝しているわけでございますが、率直に申し上げまして、平成二年の十一月に、衆議院、参議院で国会等の移転に関する決議、これがなされたんですが、当時、私はたまたま衆議院の議院運営委員会の理事をしておりまして、この決議案を起草した一人でもあるわけです。その中で、当時の、この資料にもあるわけでございますが、全部読みませんが、真ん中辺を特に、「わが国の現状は、政治、経済、文化等の中枢機能が首都東京へ集中した結果、人口の過密、地価の異常な高騰、良好な生活環境の欠如、災害時における都市機能の麻痺等」というようなことが決議されているわけでございます。
 まず、当時から見ますと、バブルが崩壊して難しいとか、そういう意見もよくあるわけでございますが、平成二年といいますと、もうバブルが大体はじけたころの決議でございますし、きょういただきましたこの答申の中にも、「社会経済情勢の諸事情」、特に中に「経済情勢等も勘案しつつ、」と。当時この決議をいたしましたときには、経済情勢を勘案しつつという考えはなく、まず東京から首都機能を移すべきじゃないかという決議をいたしているわけでございます。
 それに対します会長さんの御私見等がございましたらお聞かせいただきたいというのが一つでございます。
 それからもう一つは、これはお話ししづらいかわかりませんが、それこそ栃木・福島地域、茨城地域はこれを支援、補完の役割を期待されておるのですが、また三重や畿央地域につきましては、将来、交通のアクセスがよくなれば大変いい地域、可能性あるよというような状況で出されているわけですが、率直に申し上げまして、一つは、まず私は東京からどこの地域に移転するかは別にしまして、やはりこの決議から見ましても、首都機能は移転すべきではないかというふうに考えるものです。それに対する御感想。
 それからもう一つは、いろいろ答申を出す最終盤近くになってきまして、いろいろの地域の皆さん方がやっぱり御心配なさっているものですから、ひょっとしたら政治的な圧力もあったのではないかなというような気もしますが、その辺、もし差し支えない範囲でお話しできましたら教えていただきたい。
 以上でございます。
○参考人(森亘君) それではお答えいたしますが、まず第一点でございます。
 実は、参考資料の百二十二ページに今御紹介のありました国会等の移転に関する決議というのが添えられておりますので、恐らくこれを意味していただいたものかと存じますが、この平成二年の当時と今では経済状態その他は随分違うではないか、したがって云々といったようなお声を至るところで随分耳にいたしました。
 それで、私は自分でこの国会等の移転に関する決議を拝見いたしまして、少なくとも文章で読む限り、「地価の異常な高騰」という言葉はございますけれども、そのほかの部分は経済とは余り関係のないことでございます。
 したがって、私が外国人の特派員を含めて外部の方に申し上げていることは、これは決して政治家の方々におべっかを使うわけではございませんけれども、国会というものをもう少し信用してはいかがでございましょうかと。経済とかそういったものは比較的短期間で容易に変わり得ることであって、そういう短期間で容易に変わり得ることだけを物差しにしてこの何十年、何百年の大きな計画を国会でお決めになったとは思えないと。ですから、そういうことをお決めになった背景には、もちろん当時の経済情勢というものも影響がなかったとは言えないであろうけれども、もっともっと奥深い洞察があったはずだということを申し上げておりますので、繰り返しになりますが、この平成二年の国会等の移転に関する決議を拝見いたしましても、私は、少なくとも文言から受ける限りは、当時の経済情勢によって左右されてこういうものをお出しになったとは考えておりませんし、それから周りの者にもそうではないであろうということを申し上げております。それが第一点でございます。
 それから第二点は、私どもがこういう答申と申しますか結論を導くに至った経緯は先ほど申し上げたとおりでございまして、数字を尊重すべきだと。ただ、数字にあらわし得ない特性も大切だと。
 やや話が横道にそれて恐縮でございますけれども、私どもの経験といたしましても、大学の入学者を選抜する際に、ただ単に偏差値とか入試センター試験の点数だけというのは、これはそれ以外に方法がないということもございますけれども、結果を見ておりますと、必ずしもいい選択ばかりを行ったわけではないという反省を持っておりますが、こういう都会、都市といったようなものもある意味の生き物でございますから、数字だけであらわすことはできない要素がある。したがって、数字並びに数字であらわし得ない要素、特徴、その両者をともに大事にしましょうということで、先ほど申し上げましたように、まず第一に、粗ぶるいとしてそういう特性で粗ぶるいし、そして次に最終的な選定ということで数字に頼ったわけでございます。
 したがって、こういう経過は、これは決して私個人のではございませんで、委員全体の総意に基づく我々の理屈なり我々の理論で進めてきたことでございまして、外からの影響といったものは決して受けておりません。殊に、一番よく知っているのは自分自身でございますけれども、私自身に関してはどなたともこの件でお目にかかったこともございませんし、全くそういうことはございませんでした。どうぞ御安心ください。
○太田豊秋君 大変ありがとうございます。
 私も、実は今回指名をしていただきました福島県選出の和田洋子先生と同じで、今、与野党に分かれていますが、昔は同じ自民党で、今もこの首都機能問題については一生懸命に協力し合っている仲でありますが、こういった中で十六項目の重みづけというふうな形で、まさに今、先生がおっしゃったように公平に、そして何ら圧力なく、こういった問題が、まず基本的に二地点を主的な形で、そしてそこに従的な形でお選びになったということをお聞きしまして、そうなんだろうなと理解はするのであります。
 ただ、問題といたしまして、この三年の議論をしていただいている中で、やっぱりそれぞれの地域として、候補地に挙がったそれぞれの地域の県の費用というのは大変な費用をかけてやっていたわけですね、誘致運動というものを。この審議会の中で、先生方が二地点で、私は一地点に絞られて候補地が出てくるのかなと、そしてあとは東京都との比較という問題が後からこの法案の中に、法律の中に組み込まれた、東京都との比較という問題でいろいろな問題があって、それが一項目追加になって、そして法律として成立したわけですから、それだけがこれからの課題なのかなと、こう思って見ておりましたけれども、こういう形で答申を出されたと。しかし、これから残ったところの、今度、ここ一週間ぐらいの新聞を見ておりましたら、各県の来年度の予算を組むときに、候補地になったところについてはやや横ばいあるいは減少傾向での誘致の予算に国会等移転の予算はなるんだけれども、準候補地的になったところについては、今までよりもっとかさ上げした県の予算をとってやるようになるんだみたいなことがちょっと新聞でも報道されておりました。
 こういうことがもしこれからまたどんどんされていくと、それはある意味で経済の活性化につながっていくからいいんだといえばそうなっていくのかどうかわかりませんが、やはり選ばれて宙づりになっている地域の方々にとっては、これはこれから非常に大きな精神的な苦痛になっていくでありましょうし、それからその県の知事さんを初めとするいろいろな方々の御労苦というのは大変なことになっていくんだろうなと。こういうことがこのまま放置されていっていいんだろうかなという大変な疑問を持つわけなんですが、これらのことについて、選定されたときの重みづけの中で数値的なものにあらわれてこないという言い方だけではなくて、もっと何か方法として、地点がしっかりと絞られることができなかった原因、背景というのは何だったんでしょうか。
○参考人(森亘君) 御質問ではないと思いますけれども、前半のところでおっしゃったいろいろな府県が多大の費用と多大の労力を使っている、それはお言葉のとおりでありまして、それで私も、先ほど報告と申しますか説明の最後に申し上げましたように、そういう力を尽くしてくださったということは十分承知しておりますし、それからまた感謝と言うとちょっと言葉が適切でないかもしれませんが、感謝しております。この新しい首都機能移転という一つの構想は、決して候補地として残ったところの方々だけの努力ではなしに、今まで候補地であったところの方々の努力も非常に大きな貢献をしておられるわけでありますから、そういう総力を挙げての努力の結果であるという理解をいたしております。
 それから、宙づりという言葉をお使いになりましたけれども、そのお気持ちもよく私には理解できます。ただ、それを避けるためには、国会におかれまして十分な論議を尽くされるという条件はもちろん必要でございますけれども、その上で可及的速やかに結論をお出しいただくことがその宙づりの期間を少しでも短くすることにつながるのではないか、個人的にはそんな考えを持っております。
 そして最後の、これが本当の意味での御質問であったかと思いますが、一つに絞り切れなかったか、そういうことでございますが、二つのことを申し上げたいと存じます。
 一つは、先ほども申し上げましたように、点数において少なくとも上位二者の間では明確な差というものがなかった。ちょっと私の頭の中の概算で不正確かもしれませんが、例えば百点対九十五点という、そういう程度の差であったと思います。そういうものを本当に差ありということで明確に一位としてお出しするのがよかったかどうか。
 委員全体の意向をいろいろと聞いてみましたところが、当然、答申は一つの場所だけの方がいいという意見もございましたけれども、そのほかに、一つが理想だけれども複数になってもやむを得ない、あるいはむしろ複数の方がいいんだという御意見もかなり多うございまして、私の印象といたしましては、一つが理想だけれども二つになってもやむを得ないという御意見と複数の方がいいという御意見を足しますと大体委員全体の中の大部分を占めていたような、そういう印象がございます。
 したがって、明確な差がなかったということと、委員会あるいは審議会全体の意向として複数の答申がよかろうという、その二つのことからこういう結果になったということが申し上げたい第一点でございます。
 それから第二点は、私どもに与えられた使命は地域、土地の選定でございましたから、一カ所を申し上げるのが理想であったかもしれませんけれども、他方考えてみますと、この事柄に関して最終的なことは国会で御議論いただく、御議論いただいた上で最終的にまた新たな法律をつくるといったようなことになるようでございますが、そのために我々のなすべき努力あるいはなすべき仕事の一つは、こちらでできるだけいい議論がおできになるようにたくさんの資料を提出することではないか。できるだけたくさんの資料を提出して、そして私どもは審議会としての良識で選んだつもりでございますけれども、こちらはまたこちらでの良識を働かせて、そしてできるだけたくさんの資料を駆使してお考えになるということをお願いするのがむしろいいのではないか。
 すなわち、一言で申せば、できるだけいろいろな御議論がなされやすいようなたくさんの資料を提供するということも我々の使命の一つではないかという考えがございまして、結果としては複数答申、そして資料をたくさんつけるという、そういう結果になったわけでございますので、その辺のところを御理解いただければありがたいと考えております。
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 法律で定められている審議会の主な任務というのは候補地の選定ということです。さっきの話で、十の候補地を条件つきを含めて三つにしたわけです。しかしよく見ると、実際三つといっても十の候補地のほとんどが含まれているということになるわけです。
 それで、先ほど会長は、十というわけにいかない、数を減らすんだということを言われました。数を減らした結果こういう形になったと。会長のお立場が、移転すべきかどうかという決定については私の立場は白紙だと言われたこと、私は非常に興味深く伺ったわけですけれども、結局、選定が任務でありながら選定を実際には行っていない、国会の議論はまたもとに戻った。今、太田先生が言われたことと意見は大分違うと思うんですけれども、質問の趣旨は非常に共通していると思うんです。
 では、なぜ絞らなかったのか、あるいは絞れなかったのか。今のお話だと明確な差がなかったということと、それから複数でいいだろうという話だったと。複数といったって十のうち八つぐらい残っちゃっている、実際上は。そうすると、絞った話も何もないんです。複数、二つならまだいいけれども。だから、そうすると、結局その任務を果たしていないということにもなってしまう、そう思うんです。ですから、その点一つ、そう言えないかどうか。
 それから、法律上、審議会の任務は答申をもって終わっていると私は思うんですけれども、いつまで存立することになるのかという、これが第一点です。
 それから、別の話になりますけれども、この事業について世界の流れでいうと、やはり今、欧米で日本の公共事業のあり方が相当議論になっています。私はニューヨーク・タイムズとかフィナンシャル・タイムズとかそういうものをずっと見ていますけれども、今本当にかつてないほど議論になっているんです。こんなばからしい事業があっていいのか、その頂点に立っているのが、そのきわめつけが首都移転だという、そういう論評があるんです。これはニューヨーク・タイムズがそう書いております。
 そういうふうに考えたときに、例えば愛知万博でいうと、国際事務局と通産省の会談で非常に大規模な二十世紀型の土地開発だとあの規模で言われているわけです。しかも、もうそういうものと決別すべきだというのが批判されているわけですけれども、そういうことを考えたときに、世界のそういう動きがある。
 では、地元はどうかというと、私は全候補地を見て回りました、視察で。それからまた、この間、宇都宮大学のシンポジウムに行ってなるほどと思ったんですけれども、百十ページにNHKの「全国県民意識調査」というのがあります。
 これを見ますと、非常に興味深いんですけれども、それぞれの対象県で賛成だというのが相当高い率であります。そこで、同時に自分の県に来てほしいというのを見るとがくっと減るわけです、賛成も。それから、同様に、反対というのは一定の数がある。しかし、自分の県に来てほしくないというふうになるとがばっとふえるわけです。これは私の経験と非常に実感が共通していまして、各地そうなんです。しかも、同じ県の中でいうと、移転対象の候補地に挙がっている地元とそれから県全体でいうとまた同じ傾向がある。つまり、来てほしいという地元中の地元はやっぱりごめんだとある。これを各知事に質問すると、共通して説明不足だ、それからまた環境破壊が恐ろしいという気持ちがあるんだという説明をするんです。私はそのとおりだと思うんです。
 そうすると、環境破壊の問題等々でいうと、世界の流れからも大分問題がある。それから、肝心の地元でもそういう状況にある。これでいいのかな、そういう感じがするわけです。ですから、その点をどうお考えか。
 それから、最後にもう一点ですけれども、東京で国会でも都議会でも超党派の移転阻止議員連盟というのができています。私もそれに参加していますけれども、十二月十七日には体育館ででっかい集会をやって、石原知事からうちの不破委員長を含めてみんなが集まって、これストップだということでやったわけです。壇上で石原知事とうちの不破さんがこんな壇上で一緒になるのは初めてだねと言ったら、そうだねと言い合ったような、そういうエピソードもあるわけですけれども、私は、こういう審議会の審議、任務外とはいえ、東京でのこういう動きとか、反対の世論とか運動とか、それと無関係には議論は進まない、現実には、任務は任務としてありますけれども。ですから、その点でこういう反対運動と世論について会長はどうお考えか。
 以上、お尋ねいたします。
○渕上貞雄君 どうも先生、大変御苦労さまでございました。
 この国会移転等を議論していくときにやはり中間の意見はないですね。賛成か反対かしかないと思います。
 そこで、賛成をされるということになると、山下先生が言われたように、地元とのかかわりで非常に動いていく。今も東京は反対だと言われて、その意見が出てくる。その場合、この答申から見ると、結局、国会に付託する部分と、終わりの項で述べられておられますように、論議が進み、広範な国民の合意形成というふうに言われております。ですから、そこのところの相矛盾するような答申の仕方を出さざるを得ないというのが審議会の性格になったのか、そのことが三つの候補地に絞られたのか、こういうふうに推測するんです。
 もう一つは、国民の合意をどのようにしてやろうとされているのか。片一方では政治の責任というふうに言って、片一方では国民の広範な合意形成ということになる。そこらのところは今のお三方と関連をして、どのようにお考えなのか。
 それと、今やはり一番問題になっているところは環境破壊の問題というのが大変大きな問題になっているんですが、そこのところについて審議会の委員の中で反対があったのかどうか、環境問題についてどのような議論があったのかどうかというのをお聞かせいただければと思います。
 以上です。
○参考人(森亘君) それでは、ややまとめてのような形になろうかと存じますが、最初の御質問。
 まず、いわば審議会としての任務を全うしなかったのではないか、国会としてももとに戻ってしまったようなことで、ある意味で戸惑っているということをおっしゃったのであろうかと存じますけれども、複数の答申を差し上げたということで私は任務を放棄したとは実は考えておりませんで、選定というのも、一カ所を申し上げるのも選定でありますし、こういう形で複数を申し上げるのも選定であろうかと存じております。
 ただ、もとに戻ってしまったというお言葉でありますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、たくさんの専門家の人たちが随分努力して、いろいろと候補地についての調査をし、資料を集めてくれております。そういったものの粋を参考資料としてこちらに提出させていただく、あるいは必要とあらば、事務局はさらにほかの資料も持ち合わせていると思いますので、何なりとお問い合わせいただければ事務局からそういう資料を差し上げることは容易だろうと存じますので、ある意味では、平面的にはもとに戻ったような印象をお持ちであろうかと存じますけれども、三年間の審議なり、あるいは資料収集、検討というのは決してむだではなかったと私は信じておりますので、平面的にはもとへ戻ったようにごらんになるかもしれませんが、三次元で見ればやっぱりレベルを一つ上げて次の段階に到達した、そういうふうに御理解いただければありがたいかと存じます。
 それから二番目の、自分の県については、あるいは自分のところにはというお言葉で、NHKでしたか、その調査はそのとおりと私も理解いたしております。先ほどの環境のこととも関連することでございますが、確かに環境問題というのは今非常に大切なことでありますけれども、ただ人間がこれから生存を続けていく以上は破壊しないような配慮を加えながら、やっぱり環境にある程度の変化を加えていかなくてはならないということはこれはもうやむを得ないことであろうかと考えておりますので、審議会の中でも環境の重要性ということは複数の方の口から言葉として出ております。
 したがって、審議会としてもその辺の配慮は十分したつもりでございますが、先ほど御報告の最後に、当面する候補地となっている府県におかれても、いいことずくめではないんだ、御苦労が多分にあるということをお考えの上、冷静に対処していただきたいという言葉の中にはその問題が含まれておりまして、何らかの機能を迎えるに当たっても、環境ということを一方で大切にしながら十分そのあたりにも配慮して、そして迎える準備をしてほしい。そのためには、今まで予想しておられたよりもはるかにたくさんのお金を必要とするかもしれない、決していいことずくめではない、環境を考え、あるいはその他のことを考えればいろいろと難しいことがたくさんあるんですよということを多角的に冷静にお考えいただきたいという、そういう注文を出したつもりでございます。
 それから、三点目の阻止連盟ということで、それはいろいろな御活動があると拝見しておりますけれども、先ほども申し上げましたように、私どもと申しますか、少なくとも私個人の気持ちといたしましては、自分に忠実であるべきということを言い聞かせておりまして、そういう反対運動があることも十分承知いたしましたし、反対の方々の御意見にも耳を傾けたつもりでございます。ただ、同時にやはり賛成の方というのもおられまして、私は賛成の方々の御意見にも耳を傾けました。したがって、そういう賛成の方、反対の方、あるいはその他の方々のいろいろな御意見を踏まえて、そして候補地を選定するとすればこういうところがいいのではないかということで材料とともに答申させていただいたということでございますので、御理解いただければと存じます。
 最後に、国民の合意ということでございますが、国民の合意形成、これは私ども審議会にとって第一義的な使命とは心得ておりませんけれども、やはりこういうことを進める以上は手をこまぬいていてはいけないという、そういう自覚は十分に持っておりました。したがって、公聴会も開催して、私もできる限り出席して多くの方々のお言葉に耳を傾けて、若干こちらから申し上げたいことを申し上げたこともございます。それからまた、インターネットその他で資料を公にしているということも先ほど申し上げました。
 それからまた、先ほど審議会は法的にいつまで続くのかという御質問がありまして、私は実は答申を差し上げたらその時点でもう解散で、なくなるのかと思っておりましたら、何か法律上はまだ続いているそうでございまして、恐らく私どもの任期が若干残っておりますのでそのときまで続くんだと思いますけれども、差し当たっての最後の審議会の会合が第三十一回でございました。
 その折に委員の方々に申し上げたのは、ここまで随分御議論いただいた、それでその結果をどうか委員の方々一人一人がこれからいろんな機会に、国民の一人一人あるいは国民の団体の方々と接触して、そしてできるだけいろいろなことを国民に知っていただくように御努力願いたいということを委員の方々にお願いいたしました。したがって、恐らく事務局もそのつもりでいると思いますけれども、委員も、現在でもなおかつ審議会の委員という肩書をちょうだいしておりますので、いろいろな機会をつかまえて国民の合意形成といったような方にも努力すると思います。
 合意形成と申しますのは、必ずしも、その時点その時点での人気投票のようなことで、結果、イエス、ノーを集めるということだけでなしに、本当にいいと信ずることであれば、よくそれを説明してわかっていただくということも合意形成の一つの方法であろうかと思いますので、国会の方々におかれましても、国民に、賛成であろうが反対であろうが、とにかく関心を持ってもらう、あるいは考えてもらうという機会をできるだけお与えいただいて、やはりこれだけ候補地が決まったことでありますし、移転ということもその内容によって種々さまざまと存じますけれども、多くの方々が納得していただけるような移転の規模なりあるいは方法なり時期というものがどこかに見出せるものであるとすれば、そういった意味での合意形成に御努力賜ればありがたい、そんなふうに考えております。
○河本英典君 ちょっと変わったことを聞かせていただきたいと思うんですけれども、先ほど参考人が選定の中で非常に数値であるとかいろいろな総合的な評価をされたことはよく理解したわけでありますけれども、その数字にあらわれない部分についても考慮せなきゃならぬというお話がございました。
 本当にちょっと変なことを言うかもしれませんけれども、例えば我々は家を建てるときに、家相であるとか、それから都市であれば地政学とか、それから方位とか言うわけでありますし、千二百年前の平安京という都をつくったときも、これは結果として言われたのか、恐らくそのとき考えてつくったと思うんですけれども、東に川があって、西に大きな道があって、南に池があって、北は山だと。川には青竜がいて、南には朱雀がいて、朱雀が住んで、大道には白虎、白い虎が濶歩する、それから北には山があると。
 こういった一つの地勢ということを非常に大事に考えたわけでありますけれども、それは今の科学万能時代におきましては非科学的なことのように思われるかもしれませんけれども、私は決して非科学的じゃなしに、未科学的なことじゃないかなというふうに思っておるわけでありますけれども、参考人が審議会で委員の方々たちといろいろ話をされた中でそんな話が出なかったかどうかということと、それからこれからの議論の中にもどこか頭の中にはそういうことを入れておくことも私は非常に大事じゃないかなというふうに思うわけでございます。
 こういったことを笑われる方もおられるかもしれませんけれども、私は、都市計画という、地形ということについては非常に大切なことだというふうに思うんですけれども、この辺の意見を少しお聞かせ願いたいなというふうに思います。
○参考人(森亘君) 今おっしゃった事柄で、俗に言う非科学的な事柄ということで、私も実は自然科学者の一人でございますけれども、現在の科学で解明されていないからといってそういう事柄をばかにしてはいけないと個人的には考えております。
 ただ、この審議会では、やはり客観的な数値とか客観性とか、だれでもそれを見て納得できるものということを主体にいたしましたので、どうしても地勢にいたしましても数字であらわせるような事柄が取り上げられました。
 ただ、先ほどから繰り返し申しておりますように、数字であらわすことができない部分にも重要なものがあるということで、それが最初の粗ぶるいで三地域あるいは四地域を選んだときの経緯でございます。
 俗に古老の知恵とかあるいは経験に基づく何々といったようなことが言われておりまして、確かにおっしゃるようなことも無視はできない事柄だろうと存じます。そういうことを含めて、数字であらわせない部分ということで総称いたしておりますが、確かに説明できることだけがすべてでないという、その程度のある意味での謙虚さは私どもも持ち合わせているつもりでございます。
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 本当に三年間の審議、大変御苦労さまでございました。心から敬意を表したいと思います。
 先ほど、国民の合意形成ということがちょっと話になりましたので、本当に素朴な質問かもしれませんが、ちょっとこの点をお伺いしたいと思うんです。
 国会等移転とそれから首都機能移転という言葉の意味するものは、やはり首都とは何か、首都機能とは何かということと密接に関係していると思いまして、国民にとってもそのとらえ方が微妙に異なっている可能性があるわけです。国会等移転と首都機能移転の二つの言葉の意味するもの、それからまた首都の意味するものについて、これまで調査審議されてこられました会長の御意見をお伺いしたいということと、もし公式な発言でなければ、追加するものがあれば私的な御意見でも結構なんですが、その点に関して御意見をお伺いしたい、そのように思っております。
○参考人(森亘君) 首都とは何かとか首都機能とは何かとか国会等云々は何かといったような議論は、私どもの前段階と申してよろしいんでしょうか、いわゆる調査会で随分と御議論をいただいたように教えられております。私どもの審議会では改めてその言葉について論議することはいたしませんでした。
 ただ、拝見しておりまして、全体の委員の意向といいますか流れからいたしますと、首都移転という言葉は全く使われてもおりませんでしたし、それから首都移転という言葉が意味するような内容も恐らく今回の審議会の委員の頭の中にはなかったのではないかと考えております。
 それで、調査会の報告をごらんになりますと、新首都、新しい首都という言葉がたくさん出てまいります。機能を移したその町は新しい首都であるということで新首都という言葉がたくさん出てまいりますけれども、今回の私どものこの答申をごらんいただきますと、新首都という言葉は全く使っておりませんで、新都市という言葉を使っております。これは決して私の好みとかなんとかではございませんで、先ほど申し上げましたように、委員全体の意向が、これは首都の移転ではないんだと、首都機能の移転であるという、そういう意向であったと拝見しております。
 それで、確かに国会等という言葉と首都機能という言葉がありますけれども、移転に関する限りはこの両者は大体同じものを意味していると私は考えておりますけれども、首都移転と首都機能移転というこの二つは明らかに別のものを意味しているというふうに考えております。したがって、ちょっと話がもとに戻りますけれども、東京都との比較考量といったような場合でも、私が新聞で拝見しております限りですけれども、しばらく前は首都移転反対、首都移転反対という新聞記事が出ておりましたが、最近では首都機能移転反対というふうに表現が変わっているようであります。
 それは、首都機能が移転するにいたしましてもどのぐらいの量が移転するのか、あるいはどのぐらいの速度で移転するのか、あるいは実際に移転するとしても開始する時期はいつなのかといったようなことで、その内容に関しては非常に幅があるというふうに考えておりますので、もし首都機能を移転するという方向に決まりましても、今度はその次に、では実際にどういうことをやるのか。場合によっては、実際にどういうことをやるのかということが決まらなければ首都機能移転ということも決まらないのかもしれません。
 いずれにいたしましても、私どもは曲がりなりにも候補地を答申させていただきましたので、次の段階としては移転する実際の具体的な構想といったものをさらにお詰めになる必要があろうかと考えております。
○渡辺孝男君 それで、調査とかに行った相手先の候補地なんかも同じような考え方で、首都機能が移転するのであって、首都が移転するのでないというとらえ方でお答えになっていたんでしょうか。
○参考人(森亘君) これも全く私個人の経験と意見でございますが、今から二、三年ほど前でございましょうか、ある候補地のある方などは、いかにも首都機能移転が決まればもうあしたから自分のところが新しい日本の首都になるんだという、そういう印象で物事を語られた方がおられました。したがって、しばらく前までは、そういう意見が支配的であったかどうかは知りませんけれども、少なくとも一部には首都機能移転すなわち首都移転というようなお考えがかなりあったように思いますけれども、最近の一年ぐらいに関しましては、例えば公聴会などに伺いましても、私が今申し上げたようなことを申し上げて、特に反論といいますか異論と申しますか、そういうものは私の知る限りではございませんでした。
 したがって、多くの方は現在、首都機能移転は首都移転とは違うんだというふうに理解しておられると、そういうふうに考えます。
○長谷川清君 民主党の長谷川でございます。
 私は東京都連に所属をしておりまして、この二十一ページの一番冒頭のときの参考人の答えがございましたが、私個人としてと、東京の場合の問題として車であるとかビルであるとかという過密のみならず、情報の集中とか権力の集中とか、それから自然災害に耐え得るかどうかといった等々のお気持ちが披瀝されましたね。私は、個人とはいいながら、会長の見解でございますから非常に重いものがあると思います。例えば、これらがあるからやはり首都移転はしなければならぬというお考えで言ったのか。それとも、私の感じからいたしますと、例えばこの情報という問題も、今やもう情報化社会で、中央、地方、世界じゅう大体同時に同一の情報が得られるような、これはもうますますその方向を向いて時代は進んでおりますから、問題の解決は可能であると思います。
 それから、権力の集中という問題についても、これがあるから、だから外に出なければならぬというのではなくて、今現在も行政改革とかあるいは地方分権とか、日本の国のありようという構造に果たして三千三百の市町村は必要であるかとか、あるいは道州制や連邦制やいろんな事柄についてむしろそういう角度から分権の方向へと向かっておりますから、どこに首都が移っても、今、国会の中で政治が、作業をしていきたいと言っている方向性は、むしろこれは解決をしていく方向に、そういう視点からメスを入れていくべきなのではないだろうか。
 それから、自然災害という問題につきましても、これも確かにいろんな過密の中で自然災害、どこにありましてもこれは共通にあるわけでございますけれども、例えば今、石原知事になって、年内にでも一度、都民全体を巻き込んだ防災訓練もやろうとか、いわゆる都市の中における防災対策というものを年内にもやろうとしておりますね。
 年々歳々、時は移っておりますから、そういったいわゆる東京都の中における自助努力的な、あるいは時代の流れの中から生ずるあらゆる情報の分散化等々、そういう問題で解決が可能であると見るのか。私は、解決が可能な分野ではないか、こう思うんですけれども、そこら辺のところを会長御自身として、果たしてそういうことをも加味してみてもやはり課題が残る、こういうふうにお考えなのかどうか、その辺をひとつ聞いておきたいと思うんです。
○参考人(森亘君) これは、実は私としてお答えするのが非常に難しい事柄でございます。
 それで、今の御質問に真正面からお答えしようといたしますと、私がその東京都の御意見に反対して首都機能移転を推進しているというようなことになろうかと思いますけれども、決してそういう意味ではなしに、先ほども申し上げましたように、この事柄に関しては、賛成の方々もあり反対の方々もあるということを私が十分承知した上で、それじゃ賛成の方々はどういうことを言っておられるかという、そういう立場からの御返事でよろしゅうございますか。
○長谷川清君 はい。
○参考人(森亘君) それでは、そのようにさせていただきましょう。
 そうすると、まず最初に、例えば情報といったような事柄は幾らでも解決できるというお言葉でありましたが、これは私の経験ではございませんで友人から聞いているところでございますが、現在の、既成のと申しますか既存の情報システムというのは、最近数十年間の工業化社会をつくり上げるべく、どちらかというと縦型の構造になっているのだそうでございます。それで、これを一概に非難することはできず、こういった構造があったればこそ今日の工業化社会ができ、繁栄を招いたと聞かされております。
 ただ、今後そのままの延長でいいかということになりますと、やはり一つの転換を図って、地方分権を推進するためにも、あるいは中央省庁を小さくするためにも、むしろ横型の一つの情報のシステムというものをつくらなくてはいけないと、そのように教えられております。
 そうすると、現在あるものをすっかり壊してつくりかえるということは大変難しいことであって、場合によってはそういうものを新しいところにつくって、しかし現在あるものもそれなりに立派なものでありますから、二つのものをあわせ持って、そしてこれから新しい高度情報化社会に対処していくというのが一番選ぶべきいい道であろうと思うという、そういうことを情報に関する私の友人の専門家から聞かされておりますので、したがって現在あるものを直して使う、あるいはさらに発展させて使うということは、やってできないことではないようでありますけれども、非常な困難さと非常なお金を必要とするという、そういうことを聞かされております。
 それから、地方分権の推進あるいは過密の解消ということについてでありますけれども、現状を改革してそして新しい組織にするということは、当然これも可能なことでありますが、これも友人の言葉をそのまま伝えさせていただくといたしますと、やはりこういう改革を行うときにはやる気持ちというのが非常に大切であって、私も自分の口から申したことがございますけれども、首都機能を移転すればもうそれであと、地方分権の推進とか中央政府を小さくするといったような事柄は自然に自動的に進むんだといったような安易な気持ちをお持ちでは困るということを私自身も申したことがあります。
 いずれにいたしましても、そういう新しい改革をするときには、制度も必要でありましょうし、それから規則も必要でありましょうけれども、一番大切なのはやる気持ちだと。そのためには、首都機能移転といったような一つの大きな事柄を契機として、何かそういう契機となるようなものがあって初めて人間の心というのは動きやすいんだから、ただ新しいものをつくろう、改革しようと口で言うだけではなしに、そういう契機というものを必要とするんだという、こういう意見がございます。
 それから、防災に関して当然、東京都でもいろいろお考えになると思いますけれども、もし大きな地震が来たときにはいかに守りの姿勢を持ち、そして守りの設備を固めておりましても損害は免れ得ない。そういうときには、もう一カ所別のところを持っていて、そしてすぐにそこが取ってかわれるような体制を穏やかなときからつくっておくべきだという、そういう意見もかなり強いように聞いておりますので、いかにも私が東京都の御意見に反対するような言葉遣いをいたしましたけれども、繰り返しになりますが、これは移転を推進しようと考えている人たちの言葉を私が代弁させていただいたということで、お許しいただきたいと思います。
○岡崎トミ子君 どうも審議会会長として三年間御苦労さまでございました。
 このたび移転先に決定しました栃木・福島、そこからちょっと外れた北になるんですけれども、宮城選出の岡崎トミ子と申します。
 この審議が始まりました平成八年、NHKが「全国県民意識調査」というところで、もう既にこのときに宮城の場合には移転の賛否で、賛成が六七・二、反対が一一・九というこの数字から見ますと、期待をし注目をしていたのだなということを思います。
 その後、東京の石原慎太郎知事が首都機能移転反対、対して私どもの浅野知事が首都機能移転はすべきであるという、こういうことで国会でも意見を言っておりましたので、県民はまたまた注目をして期待をして待っていたのだろうなというふうに思っておりますけれども、残念ながらそこは決定されませんでした。客観性と公平性ということで、ここを重要視されたので、数字をずっと見てきますと、残念ながらそれはやっぱり届かなかったなという思いがございます。
 この中で、しかしこの移転先だけではできないので、こことの広域的な連携ということで、仙台の都市機能集積の活用が容易であろうということと、福島、山形との広域的な連携によるネットワークの、そういうような都市をつくっていったらどうかという審議会での内容がございますので、このことについて、どんなイメージで語られたのかについて教えていただきたいと思います。
○参考人(森亘君) 無責任なことを申すようでありますけれども、これも私個人の考えでありますけれども、もし首都機能移転というものが実現しました場合に、実際にどんなものになるかということは予測不可能だと思います。
 それで、私が時々、人に申し上げていることは、こういう計画を決めるということも大事だけれども、実際に大事なのは、いかにしてそれを将来育てていくかということの方が大事ではなかろうか。それについても人々のやる気というのを必要といたしますけれども、とにかく育てるということが非常に大切だということを感じてもおりますし、人にも申しております。
 どこかに新都市ができた場合に、その育ちようによっては、そこの限られた小さな面積に都会ができて、そして機能を果たしていくということだけでなしに、むしろそれを中心としたかなり広い範囲に直接、間接のいろんな影響が及ぶということが考えられます。
 それで、その新しくできようとしている都市の近くにある既存の大都市と連携を保つことはもちろんでありますけれども、そういったものを中心としてそこに新しい情勢が生まれるということは、どんなものが生まれるかは別といたしまして、新しいものが生まれるであろうということは考えられます。
 そのときに、いかに育てるかということで、先ほどお話のありました、悪く育てれば環境を破壊するおそれにもつながります。ただ、よく育てればその新しい一握りの新都市というものを中心としてその周辺に活性化が起こると申しますか、あるいはその新都市を中心としてそれよりもやや大きな一つの都市圏というようなものができるとか、そういう可能性があると思いますので、新都市を発展させていくためにはその周辺との連携なり一体化というものが非常に必要だと思います。
 私個人の考えといたしましては、その周辺にいろいろな、育て方いかんによってはいい影響がかなりの広範囲に及んでくるのではないか、そんなふうに考えておりますが、実態は、無責任なようでございますけれども、なかなかわかりませんです。
○国井正幸君 自民党の国井正幸でございます。
 私は、一番高い点数をいただきました北東地区の栃木県選出なのでありますが、実は私、きのう参議院の予算委員会でこの問題についてもちょっと質問を国土庁長官に対してさせていただいたんですが、先ほど先生がおっしゃられたように、この参考資料の百二十二ページないし百二十三ページ以降に、いわゆる国会等の移転に関する法律をつくる段階での、前段での国会決議あるいは法律が載っているわけです。
 この法律をつくったり、あるいは国会決議をした当時と比べると、何か逆戻りして議論しているような感じが一つ私はするわけでありますが、そういう状況の中にあって、審議会としては総理の諮問に応じて移転先候補地を選定して答申をしたわけですね。それが一カ所であるべきだ、いや複数でどうだというのは今いろいろ議論がありました。それで、総理に答申をして、そして総理から衆参両院の議長あてに今報告がなされていると。
 そして、こういう議論があって、そういう中で、先ほど会長おっしゃっていただいたように、それぞれの委員の先生方もこれまで何度も当委員会にも来ていただいたりしたんですが、その当時は、やっぱり審議会の委員という立場があってなかなか言いにくい状況もあったんだと思いますが、現在に至っては率直に委員の皆さんもお話をしていただけるということで、会長が三十一回の最後のときですか、言っていただいたことを委員の皆さんも真摯に受けとめて、非常にいいことだな、このように私も思ってはおるんです。
 さあ、いよいよ総理に答申がなされ国会に報告がされた。極めて個人的で結構でございますので、これから先どういうふうにやっていくかというのは、これは極めて国会の問題でもあるんです。私たちが議論しなくちゃならない問題でもあるんですが、これからが非常に重要なんです。どうも宙づりになったような形では事は進まないだろうというふうに思っているんです。
 こういう熱い思いを持って国会で決議をし法律をつくって、そして大変な労力をかけて先生方にお願いしてきて答申が出てきた。さあ、それを受けてこれからどういうふうに進めていくのか。これは政府においても国会においても大変重要な課題なんです。
 私はそこの部分を、昨日、政府としてどういうふうに考えておるんだということを国土庁長官に御質問をさせていただいたようなわけなんですが、国会も御案内のとおり事務局体制を含めてその推進をしていくという体制になかなかないというのが率直なところでございまして、どうしてもその起草する部分、原案をつくっていく部分、これは政府にその機能を期待する以外にないのかな、そんなことを私は思いながら国土庁長官に質問をさせていただき、長官の方からも、やはりそれは政府としてもそういう推進体制というか事務局体制等はつくらなけりゃならぬだろうというふうに私は考えておる、庁内ではそんな話をしておるというふうな御回答をいただいたわけであります。
 せっかくこの答申をおまとめいただいて総理に答申をしていただいた審議会の会長さんとして、今後、政府あるいは国会に対して、どんな思いの中でどういうことでこれからこれを具現化していったらよろしいか、極めて個人的な考えで結構でございますので、その辺のお考えをお聞かせいただければと思っています。
○参考人(森亘君) それも私などが申し上げるのはむしろ大変おこがましいことであろうと考えておりますけれども、なかなか困難な論議を前に控えておられると拝察いたします。
 ただ、やはりどうしてもその困難さを乗り越えていただきたい。そのためにはどうすればいいかという御質問であろうかと思いますが、総論的には、できるだけ論議をお尽くしいただいて、そして可及的速やかに結論をお出しいただければ日本の国民全体にとってありがたいのではないか、そんなふうに考えております。
 私がこの審議会で過ごしました年月を振り返ってみますと、実は私ども自身にとってもこうした決定あるいは論議は決して容易なことではございませんでした。ただ、それを支えてくれたといいますか、何とか可能にしてくれたのが専門家たちの意見であり、それからもう一つは事務局の努力であったと思います。
 したがって、国会におかれましても、いろいろと難しい前途を控えておられることはよくわかりますけれども、ここでもし必要とあらば、国会議員の方々が主導権をお持ちになった上で、専門家あるいは事務局、まあ政府という表現でよろしいんでしょうか、そういうところを存分にお使いになって、それでできるだけたくさんの資料に基づいて論議を進めていくと。
 ただ、そのときに、資料は実はここにとじてありますのは全体のごく一部でございまして、全体からすると膨大なものでございます。ですから、私どもでもそれらの中で本当にどれが必要な資料か、どれが見なくてもいい資料かといったような区別はなかなかつきませんので、そのあたりのえり分けなりあるいは資料の取りそろえということは、それはむしろ事務局、政府の方にお任せになって、それでできるだけ有効な論議をお進めになってはいかがかと。
 部外者でございますから勝手なことを申し上げましたが、今申し上げられるのはこの程度でございましょうか。どうかできるだけ、優秀な専門家がたくさんおりますので、こちらから御下問があれば喜んでお答えすると思っております。
○和田洋子君 私、出たり入ったりしていて皆さんの御意見をお聞きしていないので、重複したら大変申しわけないので、まず最初にごめんなさいと言っておきます。
 先生、きょうはどうもありがとうございます。
 審議委員の中で反対される人、賛成される人がいらっしゃったという御意見ですが、反対される人の中で、ではこのままの東京でいいのかということであったらどういう御意見が出るんだろうなという思いがします。
 そして、まず環境の問題を言われますが、このままの東京の環境でいいんだろうか。それならむしろ新しい候補地をすばらしい環境づくりのもとにという先生のさっきの御説明もありましたが、そういう方向に持っていくべきだと思いますし、このままの東京が国際的に景観のいいところであろうか何であろうかというふうに思った場合、果たして日本の代表されるところと言えるかどうか。そして、このままの東京が東京に住んでおられる人たちからしても安心できる東京なんだろうか。そうしたら、今度新しい、どこに選ばれるかわからないとしても、そういう人たちの中から東京を危機管理の補完地に私、私なんというと福島県になってしまうんですけれども、そういう意見ではなくて、太田先生、よろしくお願いします。
 福島県が東京をもっと安全な場所にしてさしあげますよという気持ちなんですね。東京と比較してどっちがいいかとかというんじゃなくて、東京の皆さんにもっと安心して、いやしの東京であったりゆとりの東京であったり、そういう地方のすばらしい、そういうものを東京の人にも味わっていただきたいなという思いで地方はいるというふうに思います。
 そして、先生がさっき行かれる方、行く方ということをおっしゃいましたけれども、何百年来、地方は行かれる方であったわけであります。行く方の東京はそのことをちっともお考えになっていないんじゃないかなと思います。
 地方は、人も食料も空気も水もそして電気も何でも出して、中央のために今までいたわけですから、そういう意味からしても、今度、地方に機能が移転されてもっともっと日本がバランスのとれた地域になるべきだというふうに思いますが、反対される人の中にこのままの東京がいいんだろうかという意見はなかったんでしょうか。
○参考人(森亘君) 審議会を通じて私が得た印象の一つに、審議会の委員はいろいろな分野の方がおられて、そしていろいろな経験なり素養を持っておられる。したがって、いろんな考えを持っておられる。そういう方々が本当に全く御自由に御自分の考えをおっしゃって、それで自由な意見の交換と申しますか、明朗な発言と申しますか、そういう雰囲気だったと考えております。
 それで、今おっしゃった反対というお言葉は、首都機能移転に反対という意味であろうかと存じますけれども、どなたかということはお許し願いたいと思いますけれども、反対という意見を述べられた方はお一人でありました。ですから、決して多くの方が反対ということではございません。
 それで、むしろこれは全く私の個人的な印象で、別に投票をしたわけでもございませんし、個人個人の御意向を伺ったわけでもございませんけれども、全く私個人の印象といたしましては、そのお一人の方を除いては多くの方々はやはりこういうふうに候補地を選ぶという使命を与えられている以上、どちらかというと前向きの姿勢で候補地を選ぶべきだというお考えであったようにはたから拝見しておりましたし、それから今おっしゃったように、むしろ東京を楽にしてあげるんだという、そういうことを実際におっしゃった方も何人かはおられます。
○久野恒一君 自由民主党の久野恒一でございます。
 茨城県選出でございますので、一番最初のとき、本当に審議会の先生方が三年もかかってこんなに一生懸命やっておられるということを私は存じ上げませんで、本当に新聞のアンケート的に発作的に手を挙げまして、ぜひ利根川を越えてなんてばかなことを言ってしまったので、大変失礼いたしました。
 今、改めて考えてみますと、厚い方の資料の百十ページにも書いてございます。日経新聞、平成八年のあれでございますけれども、早急にやるべきだ、時期尚早だというのが大体半数、四十数%ずつございます。そういう中で、やはり私自身の発作的に挙げたときのあの心境は何だったんだろうなというと、やはり災害に対して、あるいはいろんな諸事項に対してスペア的にもう一つの機能を持っているところがあってもいいんじゃないかと。インターネットの時代でございますから、十二階建てのビルが一つあって、十二階建ての省庁がありまして、それを東京とインターネットで結べばリアルタイムに情報が入る、そういう軽い程度でもって言ったわけでございます。
 しかし、国民福祉委員会でもってさんざん苦労して今やっているわけでございます。そういたしますと、平成八年当時の意識調査と今の意識調査の中では当然違いが出てくるのではないかなというふうに私は考えます。そうしますと、本当に私自身はどこかに行った方がいいんじゃないか、そういうスペア的なものが一つあっていいんじゃないかという気持ちが一方にはありますけれども、片方では四兆円もかけて二千億ずつ毎年使っていく、そういう時代なのかなと、そういうふうな感じもいたしまして、どうしていいか迷っているわけでございます。
 本音は、どこかに移ってスペアがあった方がよろしいというのが私の気持ちでございますので、先生方が平成八年にとったアンケートと今とではどのくらいの乖離があるのかというのをちょっとお尋ねしたいと思います。
○参考人(森亘君) 国民全般の意識と申しますか関心ということに関しては、恐らく事務局は正確な数字を持っていると思いますが、私の漠然とした印象を申し上げますと、インターネットなどを通じてアクセスを図るといいますか情報を得ようとする人の数がふえていると思います。
 それで、やはり最初のうちは首都機能移転、あるいはそれ以前ですと首都移転というような言葉を使っておりましても、大変漠然としていて形が見えない。こんなことではとても国民の中での論議も起こらないし、ましてや前向きの機運など起こりっこないよということを言われたものでございますが、答申などによって多少とも姿、形が見えてまいりますと、それにつれて国民の関心もやや高まっているというふうに漠然と考えております。具体的にインターネットに対してどのぐらいのアクセスがあるか、その他のことに関しては、もし必要であれば事務局で後刻、資料を差し上げることができると思います。
 それで、四兆円というお金を今の時期にというお言葉でありますが、先ほども申し上げましたように、首都機能移転という方向が仮に決まったといたしますと、次に考えることは、それではどのぐらいの規模のものをどのぐらいの期間をかけて移転するかということで、ある方は、こういう時代でもあるから最初は必要最小限のものを移転させて、そしてそれをゆっくり時間をかけて育てていく必要があるのではないか。そうすると、そのときには当然しばらくの間は東京とその土地と両方にまたがるようないろいろな仕事もたくさんできようことであるから、そういった意味では東京と連携が可能な地域が望ましいというようなことを言った方もあります。
 したがって、東京との連携云々は別にいたしましても、事柄、お金に関する限りはやはり相当の額の費用を必要とするとは思いますけれども、それも規模の大小あるいは移転速度の速い遅い、それからまた時期の選び方、そういうことによっていろいろな工夫ができるのではないか、そんなふうに個人的には考えております。
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 三点ほど伺いたいんですが、一つは、先ほどからもお話がありましたように、一つに絞り切れなかったという問題が今後どういう否定的な影響を及ぼすかという点についての森会長さんの受けとめを伺いたいんです。
 というのは、移転法によれば、審議会の答申が行われた後に国民合意形成の状況や社会経済情勢の諸事情に配慮してという部分があるんです。それで、今度の審議会の答申を受けて、その国民合意形成の状況にも関連してなんですけれども、特にマスコミの社説などでは大変厳しい意見が集中していると思うんです。
 例えば、「「どこでもあり」は無責任だ」という毎日新聞の声や、それから「白紙撤回のときを迎えた」という産経新聞の論立てまであるわけです。例えばそこでは、「バブルの最盛期で、東京一極集中の弊害や地価の異常高騰などを解消する手段として打ち出された。しかし、バブル崩壊とともに状況は大きく変化し、そのねらいも省庁再編や地方分権など日本の構造改革を促進するための起爆剤としての役割から、人心一新論まで様変わりしている。」と、こういう意見もありますし、それから「首都移転論議は中止も視野に」、読売新聞ですとか、「首都機能移転は国民の合意形成が先」だという日経新聞の、そういういろいろな意見が出されています。
 ですから、今回のこういう答申は、まさにその国民合意形成の状況にとってもそれが進まないという結果になるのではないか。そういう結果を生み出したという点での受けとめをどのようにされているかというのが一点なんです。
 それから、二つ目に伺いたいのは、候補地が出ました。時間がありませんので一つ一つについて伺いませんが、その一つとして三重・畿央地域について伺いたいんですけれども、「将来」というふうに書かれております。「将来新たな高速交通網等が整備されることになれば、移転先候補地になる可能性がある。」と。この「将来」というのは一体いつのことなのか。橋本内閣の時代に二〇〇四年に延びました。当然その前ということなんでしょうが、「将来」というのは、候補地になるためには一体いつだというふうに検討されたのかということです。
 それに関連して、交通網の整備を言われていますけれども、そこの地域では四つの国定公園や五つの自然公園がある。環境問題等も含めてどんな検討がされ、一体この交通網をするのに幾らの予算が検討されたのかということを伺いたいんです。
 それから三つ目に、いろいろな社説の中でも例えば朝日新聞などは、そうはいっても政府自身は首相官邸の新築をやっているではないかということなんです。一方、そういうことを進めていると。
 例えば、中央省庁の建てかえも九五年から二〇〇四年までで一千十億円も十カ年計画で使われているんですね。こういう実態を御存じか。例えば、首相官邸はそれでは一体幾らの予算で着工されているかということなども御存じでいらして、こういう事態についてはどのようにお考えか。
 以上、伺いたいと思います。
○参考人(森亘君) まず、最初の御質問でありますけれども、これはほかでも同じようなことをおっしゃっていただいたことがございまして、なぜ絞り切れなかったのかという御質問でございました。私がお答えいたしましたのは、いや、実は絞り切れなかったのではなくて絞り切らなかったのだという返事をいたしました。それは、先ほども申し上げましたように、委員の多数の考えがむしろ複数答申の方がよかろうというお考えであったことと、それから少なくとも上位二者に関する限りは数値の間で明確な差がなかったということに主たる理由がございます。
 それで、いろいろと新聞論調その他厳しいものがあるというお言葉でありますが、いずれにいたしましても、私どもといいますか、少なくとも私としてはこのような答申が最善の選択であったと今でも考えております。
 いろいろと否定的な影響がある、それから新聞論調としても、どこでもありというのは無責任だ、あるいはすべてを白紙撤回すべき時期に来たという、そういう論調があるというお言葉で、そのとおりだと思います。それはやはり甘んじて受けなくてはいけないと思いますが、ただ複数答申をしたことによって前向きの影響というのも私はあるかもしれないと考えております。
 それから、また同時に、こういうことは二つ並べて事を運ぶということが不可能でございますから実際にはできないことでありますけれども、もし一つを答申した場合に新聞がどんな社説を書いてくれたか私は読んでみたいと考えておりますが、これは全く不可能なことでございます。
 それから、二つ目の御質問の、三重・畿央に関して「将来」というのはいつごろを考えているか、あるいは予算。
 この予算に関しては、三重・畿央に限らず、ほかの地域に関してもでありますけれども、実際にお金がどのぐらいかかるかということをもう少し具体的に我々の審議会でも考えなくてはいけないんじゃないかという、そういう御意見が複数の委員からございました。
 それで、大ざっぱな額に関しては、その時点で事務局にお願いいたしまして試算をしてもらったことがあります。したがって、三重・畿央で交通網なりなんなりを整備するためにはどのぐらいの予算を必要とするか、それは今の時点での概算は出ていると思います。ただ、ちょっと私は今ここでは記憶いたしておりません。
 「将来」というのを何年後ぐらいというふうに考えているかという御質問に対しては、これはやや無責任でありますけれども、具体的に二年とか五年とかということの論議はそのときにございませんでした。ただ、漠然と「将来」という言葉を議論し実際に使ったという、それだけでございます。
 それから、首相官邸の問題でございますが、これはある公聴会で、全く今おっしゃったことと同様の大変厳しい御意見がございました。
 私がそのときにお答えいたしましたのは、実はこの問題は東京にある在外公館の外国人からも同じような質問をそれまでに何度も受けておりますので、事務局からいろいろ説明を聞いてみますと、とにかく現在の首相官邸というものは大変旧式であり老朽化している、それで首都機能が実際に移転してそこに首相官邸ができるとしてもそれは大分先のことになろうと思うので、こういった状態でこれほど危険の多い世の中に放置しておくことはできない、したがって早急にそういう手当てをすべきである、それからまたそれだけのお金を使って現在の首相官邸を直した場合には、それは将来決してむだになるものではなくてやはり使い道をきちっといろいろと考えているんだという、そういう事務局からの説明を受けておりましたので、事務局からはこういう説明を受けているけれども、少なくともイメージとしては、今、首相官邸を建て直す、あるいは霞が関の中に幾つか新しい庁舎ができているということは、理由を聞けばそれなりに理屈としては納得できるけれども、イメージとしてはこれは大変お国は損なことをなさったと思います、そういう返事を公聴会でいたしましたので、もうそのままをここで答えさせていただきます。
○三重野栄子君 福岡県選出の三重野栄子でございます。大変いろいろと御検討いただきましてありがとうございました。
 今、地方分権という時代でございます。各地区にそれぞれがまた、お城じゃありませんけれども、そういうのをきちんとしてやっていこうという状況の中で首都機能が移転をするというのはどういう意味を持つのかというのが一つあるんですけれども、それと同時に、会長もそれから国会議員の皆さんも海外をいろいろと御訪問なさっていると思いますが、例えば国会とそれからそれぞれの、裁判所だとか、各地に分かれています。二、三十分飛行機に乗らなくちゃ行けないところもあるし、そういうところへいろいろ分散してやっている国もございます。それから、私は三重にも行かせていただいたんですけれども、先ほどもちょっとありましたけれども、きれいなあの自然を壊してしまって、東京からどんとあそこに行ったらもったいないな、どっちももったいないなと思うんです。
 そういういろんなことを考えて、会長としてはどんなふうなことをお考えでしょうか。全くこの審議と関係なしに、今まで御研究なさったことを別にして、こんな首都になったらいいなというイメージをお話しいただけたらと思いますけれども、いかがでしょうか。
○参考人(森亘君) それはなかなか一言で申し上げることはできませんが、まず最初の、首都機能移転を今さら何で、どんな意義があるのかというお言葉でありますが、それはこの報告の十八ページ、十九ページに一応私どもの審議会で論議いたしました意義とか効果をまとめて記載してございますので、これでお許し願いたいと存じます。
 三重・畿央を例に引かれて、こういう自然を壊すことは大変もったいない、惜しいことである、どういう新都市をイメージするかというお言葉でありますが、今いろいろと事務局などでも新首都のイメージということで、ただ単に文章だけではなしに、視覚、目に訴えるような材料もつくっているようでございます。
 ただ、先ほども実は環境問題あるいは自然といったお言葉が御質問の中に出てまいりましたけれども、やはり今おっしゃったこれだけ美しい自然を壊してはというのは、これは恐らく今、日本人が共通して持っている考えであろうと思いますので、もしそういう候補地になるところが最終的に決まりましたら、そこには多少手間暇あるいはお金がかかろうとも自然なり環境ということに十分配慮していただきたいということを、私どももその立場にございませんけれども、個人レベルで申し上げるつもりですし、特に国会の方々はまさしくそのお立場にあられるわけでありますから、どうぞそういう点で、場合によっては厳しい注文をおつけいただいてよろしいのではないかと考えております。
○三重野栄子君 その場合に、さっき「将来」という問題がありましたけれども、日本人は大変せっかちですけれども、もう少しゆっくり二十年も三十年も議論をしながら、そしてこういうふうにしていこうとか、いろいろ決めたけれども、今の東京とどれぐらい、どれを変えたらもっと運営ができるとか、何しろ全部行かなくてもできるとかいろんな方法があろうかと思いますから、気長に経済と国民の意向も反映しながら立派な首都移転ができますように希望しておりますので、よろしく御指導をお願いいたします。
○委員長(前川忠夫君) 御意見も尽きないようですが、予定の時間が参りましたので、参考人に対する質疑はこれにて終了させていただきます。
 この際、参考人に一言お礼を申し上げます。
 森参考人におかれましては、大変お忙しい中、当委員会のために貴重な御意見をお述べいただき、また質疑に対して御懇切にお答えいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四分散会