第147回国会 国際問題に関する調査会 第7号
平成十二年五月十二日(金曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     浅尾慶一郎君     柳田  稔君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     塩崎 恭久君     加藤 紀文君
     馳   浩君     畑   恵君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         井上  裕君
    理 事
                河本 英典君
                鈴木 正孝君
                高野 博師君
                井上 美代君
                田  英夫君
                高橋 令則君
    委 員
                泉  信也君
                加藤 紀文君
                亀井 郁夫君
                佐々木知子君
                田村 公平君
                武見 敬三君
                月原 茂皓君
                野沢 太三君
                畑   恵君
                小林  元君
                広中和歌子君
                柳田  稔君
                魚住裕一郎君
                緒方 靖夫君
                島袋 宗康君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        鴫谷  潤君
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  本日の会議に付した案件
○国際問題に関する調査
 (「二十一世紀における世界と日本」のうち、
 国連の今日的役割について)

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○会長(井上裕君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、塩崎恭久君、馳浩君及び浅尾慶一郎君が委員を辞任され、その補欠として加藤紀文君、畑恵君及び柳田稔君が選任されました。
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○会長(井上裕君) 国際問題に関する調査を議題といたします。
 本日は、本調査会のテーマであります「二十一世紀における世界と日本」のうち、国連の今日的役割について各委員からの意見表明を行いたいと存じます。
 本調査会では、国連の今日的役割につきまして、これまで五回にわたり九名の参考人から御意見を伺い、また国連大学や在京の国連機関に視察を行うなど、重点的かつ多角的な調査を進めてまいりました。
 本日は、これらの調査を踏まえ、国連をめぐる全般的問題について、午後三時までを目途に各委員から御意見を承りたいと思います。
 それでは、これより各委員から御意見をお述べいただきますが、時間が限られておりますので、お一人五分程度でおまとめくださるようお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、御意見のある方は順次御発言を願いたいと思います。
○河本英典君 自由民主党の河本英典です。
 きょうは意見表明ということで、トップバッターでさせていただきます。
 本調査会は、国連の今日的役割について積極的かつ系統的な調査を行ってまいりました。国連のミレニアム総会を前にした参議院における本調査会の取り組みは大変意義深いものであるということをまず申し上げておきたいと思います。
 以下、我が国の国連外交の理念、国連への貢献、とりわけ国連改革などについて私なりの意見を述べてみたいと思います。
 我が国は、国際社会の多様な諸問題の解決や世界経済の持続的発展に向け積極的な役割を果たす必要があり、外交を多角的、重層的に進め、基軸たる日米関係や日米安保体制を維持強化することはもちろん、ロシア、中国、韓国など東アジア近隣諸国との関係をより平和で安定したものにする必要があります。
 冷戦終結後の世界では、地域紛争の多発、地球環境の悪化、人口問題など、一国だけでは対処できない問題が地球の未来を脅かしています。こうした諸課題に取り組むためには、国連とその関連機関を通じる取り組みが不可欠であります。主権国家から成る国家間機構である国連が冷戦終結後の国際情勢の変化に対応し得る機構となるには、我が国を初めとする加盟国のたゆまざる努力が不可欠であると考えます。
 我が国は、これまで国連の幅広い活動に積極的に取り組み、実質的な財政貢献は米国を抜き世界第一位でありますが、国連の中で国際社会の主要国にふさわしい地位等が与えられていないことも事実であります。我が国がみずからの安全と繁栄に密接不可分な世界の平和と繁栄を実現していく上で、国連に対し、財政面のみならず知的貢献や人的貢献を今後一層強めていくことは、世界の信頼を集め、ひいては我が国の国益にかなうものというふうに考えております。
 国連の役割に関しては昨今否定的な見解も一部には見受けられますが、例えば安全保障面で一国として繰り広げる活動に限界のある我が国にとっては、世界の百八十八カ国が集う国連は多国間外交の場として極めて有用です。我が国は、国連を二十一世紀の課題への挑戦にたえ得る機構にするため、現在行っている以上にその内側に深く飛び込み、提言し、行動する国となり、国際社会の期待に幅広くこたえ、国連中心外交を国民とともに進め、それをより実のあるものにするべきであると考えます。
 次に、国連に対する貢献や国連改革の問題について具体的に述べてみたいと思います。
 我が国は、平和維持活動や環境、飢餓、難民、医療といった人道的で平和につながる国際貢献に積極的に取り組んでいくべきです。そのことにより、世界のどの国、どの人々からも信頼される品格のある国際平和国家を目指すべきではないでしょうか。
 我が国と国連が新たな世界秩序を築くパートナーとして協力するためには、主として以下の三点における国連改革が必要であります。
 第一に、安保理改革と我が国の常任理事国入りの関係です。
 国連の紛争対処能力の向上には安保理の機能強化のための改革が必要であり、我が国は改革の実現に向け積極的に働きかけていくべきです。これまで、平和、安全から経済、社会、文化に至るまで多岐にわたる国連の活動に積極的に取り組み、財政面でも世界一の貢献をしてきた我が国が、安保理常任理事国の地位を得て国際の平和と安全の維持に主要な責任を果たすことは、国際社会の期待に幅広くこたえ、納税者たる国民への責任を果たすことであり、二十一世紀の日本の国連外交をより実のあるものにすると考えます。
 第二に、国連の財政改革についてであります。
 財政改革については、国連予算の効率化が推進されることが重要です。国連の安定した財政基盤確保には、まず主要国がその滞納を解消する努力を払うべきです。我が国の分担率は、二〇〇〇年には二〇%を超え、米国を除いた安保理常任理事国四国の合計である一三・七%を大きく上回っています。我が国は、あくまで通常予算分担金の支払いという国連憲章に基づく義務を果たすとの立場に立ちますが、公正な分担と分担に応じた責任との観点からこの分担率の問題に取り組み、国連の場でその主張の正当性につき他の加盟国の理解を得る必要があります。
 第三に、開発分野の改革についてです。
 国連や国連機関を通じる開発協力は、主として貧しい国を対象とする援助が中心であり、我が国は、これまで二国間援助と並行し、国際機関を通じての多国間協力に大きく貢献してきました。我が国の最近の厳しい財政状況を踏まえた上で、こうした活動への資金面や技術面での貢献をより効果的に行う努力を継続すべきです。
 国連や国連機関による開発に関しては、これまで、国連機関の間での本部や現地レベルでの調整の強化が必要であり、国連とブレトンウッズ機関、すなわちIMF、世銀との連携についても一層強化する必要があるとの指摘が行われてきました。こうした問題の解決のため、我が国も積極的に貢献すべきと考えています。
 以上で私の意見表明とさせていただきます。
○広中和歌子君 民主党の広中和歌子でございます。
 第二次世界大戦後、世界の人々が平和への希求と期待を込めて国連が創設されたわけですけれども、早くも五十余年がたちました。その後、世界はさまざまに変化し、冷戦下、そして冷戦後に各地で起こった数々の紛争に国連は十分に対応してきているとは言えないと思います。特に、安全保障理事会は、第二次世界大戦の力関係をそのまま引きずっており、しばしば機能不全を示していると思います。
 しかしながら、環境問題、人口問題、貧困、飢餓あるいは人権侵害などの諸課題が地球規模で対応すべきものとして国連を中心に数々の枠組みがつくられてきたことは、大いに評価してもいいのではないかと思います。
 特に、国連婦人年や国際児童年のような国際年の制定によりまして、女性や子供、少数民族など、人権をテーマにした問題提起がなされ、世界女性会議などの国際会議が開催されたこと、また地球環境や南北問題でUNEP、UNDPなどの国連機関が生まれ、国連環境会議の開催や地球温暖化防止条約等、数々の条約が生み出され、その結果として、それぞれの国での政策、取り組みに与えた影響が非常に大きいことも指摘したいと思います。日本でも一九九三年、環境基本法が生まれ、そのための行動計画も策定されました。各国の世論を喚起し、批准のための国内法の整備が進むなど、こうした国際世論の後押しを私どもは評価するべきだと思います。
 しかし、人口増加に伴って貧困の増加、特に絶対的貧困者の増加など、南北格差というのはさらに大きくなっており、またエチオピアにおける干ばつのように、環境劣化による飢餓は目を覆うばかりでございます。最近、特に海外のテレビなどでその報道がなされておりますけれども、本当にひどいものでございます。
 ODAでは日本はナンバーワンでございますけれども、今後ともODAを続けていくとともに、こうした貧困、飢餓の原因そのものを取り除くための地球規模の枠組み、政策づくりにもリーダーシップを発揮することが必要だろうと思います。そういう形での国連への貢献というものも日本は期待されているのではないかと思います。特に、今後、日本だけでなく世界じゅうのNGOとの連携を図りつつ、ODAの質を向上させることによっていわゆるグローバルガバナンスというんでしょうか、ODAにおけるグローバルガバナンスを推進していくことが必要だと思います。
 日本は、財政面での国連への貢献というのは非常に大きいにもかかわらず、安全保障理事会の常任理事国でないという事実がございます。それに対して政府、特に外務省高官はフラストレーションを感じているように見受けられますが、確かに第二次世界大戦を引きずった安全保障理事会の改組、組織改革は必要であり、そのための日本の具体的な問題提起は大切だと思います。しかし、そこに安保理加盟への意図がちらつくようではかえってマイナスというのでしょうか、逆効果になると思います。結果として推されて参加すべきものであるというふうに私は思っております。
 以上でございます。
○高野博師君 簡潔に私の意見を述べたいと思います。
 今日、国際社会が抱えるさまざまな地球的規模の問題、すなわち地球環境、貧困、麻薬、テロ、難民、エイズ等の問題に国連が果たすべき役割が極めて大きいことは論をまたないと思います。また、国連の最も重要な役割の一つである国際の平和と安全の維持についても、将来にわたり基本的にその重要性は変わらないと思います。
 これらの論点については、当調査会における各参考人の意見表明でもるる述べられているとおりでありますので、繰り返すことは避けたいと思います。
 そこで、国連がその重要な役割をより効果的に発揮するために国連改革が必要なことも論議されているとおりであります。安保理の改編を初めとして、経済社会理事会、信託統治理事会等についても抜本的な改革が必要であろうと思います。その改革のあり方についても大方方向性の議論は出尽くしていると思います。問題は、いかにそれを実現するかではないかと思います。
 私が強調したいのは、三点あります。
 一つは、国際社会における諸問題に対応する基本的な考え方、理念としては、これも多くの識者、専門家が強調しているように、人間の安全保障という考え方を広め、定着させていくことが大切ではないかと思います。また、国益よりも人類益を優先させるような潮流をつくる努力も必要であろうと思います。
 二つ目は、第一点との関連で、国連の果たす役割、使命をバックアップする各国の、あるいは国境を越えた市民団体、NGOの存在であります。国連がその機能を発揮するためには、政府、国家中心ではなく、幅広く市民団体が人類社会が抱えるさまざまな問題を提言し、政策決定に参加できるシステムをつくることではないかと思います。一案として、国連NGO総会のような枠組みの創設も検討に値するのではないかと思います。これらのNGOは、人間の安全保障とか人類益という視点から行動するものがほとんどでありますし、国連を支えるという国際世論も高まると思います。
 第三に、我が国の国連への積極的な関与であります。財政面での寄与は今後も継続すべきであると思いますが、国際の平和と安全に重要な役割を果たすという点からも、国連安保理の常任理事国入りは引き続き実現に向けて最大限の努力を行うべきであろうと思います。また、我が国が独自の主体的な判断で行動し、提言すべきでありまして、特に大国の国益優先の政策に左右されることなく、核廃絶を初めとして平和に関するテーマについては、予防外交の観点から積極的な努力を傾注すべきであろうと思います。
 なお、沖縄にアジア平和センター、これは仮称でありますが、これを設置することは、アジアと世界の平和の原点として極めて意義があるものと思っております。
 以上です。
○井上美代君 私は、国連とNGOの役割に限って発言をいたします。
 ことし四月三日に出されましたアナン国連事務総長の報告「われら人民 二十一世紀の国連の役割」の中で、国家間の戦争の頻度は低下したものの、過去十年間には内戦によって五百万人以上が命を失い、その数倍の人々がふるさとを追われた、同時に、大量破壊兵器は恐怖の影を投げかけている、私たちは今、安全保障を領土の防衛よりも人間の保護という観点でとらえている、残虐な紛争の脅威にはあらゆる段階で対処しなければならない、このように述べているということは重要です。
 さらに、その予防として、紛争は貧困、特に統治状態が悪く、民族あるいは宗教集団に際立った不平等などが存在する国で最も頻発する、これを防止する最善の方法は、人権、少数者の権利及びすべての集団が公平に代表される政治的仕組みを備えた健全でバランスのとれた経済発展を促進することにある、また、武器、資金あるいは天然資源の不正な移転を暴かなければならないと述べ、最後に、国連の再生のために各国首脳に求めている四項目の中に、非政府機関、NGOその他の非国家行為主体に国連の活動に不可欠な貢献が可能となるよう最大限の機会を付与するということを挙げていることに私は注目をいたしております。
 アナン事務総長の言うように、私は、今世界で大きい課題というのは、防衛という名の核兵器を含む軍備拡大や戦争ではない、貧困の撲滅、健全でバランスのとれた経済発展が重要であると考えております。
 では、このような問題の解決の方向を見出すのには何が必要かということになりますが、これまでにこの調査会で何人かの参考人が述べられましたが、NGOの役割が非常に重要であるということです。
 自分の体験を含め、具体的に言えば、ナイロビで開かれました第二回世界女性会議から十年目の一九九五年九月、北京で開催された第四回世界女性会議は、認証されたNGOを含め政府間会議には一万七千人、NGOフォーラムには三万人が参加しました。これらの会議には世界百八十九カ国が参加し、国連史上最大規模の会議となりました。私も、国連の女性の地位委員会で認証された国際婦人年連絡会や新日本婦人の会の役員として政府間会議とNGOフォーラムに参加しました。政府間会議で行動綱領と北京宣言が採択されました。
 ことし六月には、ニューヨークでナイロビ将来戦略及び北京行動綱領の実施に関する国連特別総会、女性二〇〇〇年会議が開催されます。ここでは、女性の地位向上のための八五年ナイロビ戦略及び九五年北京行動綱領の実施の再評価、検討を目的として開かれます。これには、日本の女性の四十九団体が加盟している国際婦人年連絡会の代表などが参加しますが、私もそこに参加する予定です。
 この会議の準備に当たっては、三月に国連の女性の地位委員会が開催されました。そこでは、世界のNGOがたくさん集まって意見の交換が行われ、六月のニューヨークでの女性二〇〇〇年会議で採択される文書について検討し、そして意見や対案をまとめて政府間会議に意見を反映させるようにしたのです。
 日本では、政府が昨年のうちに国連の北京行動綱領実施状況に関する質問状に対する回答を提出し、国内のNGOはこれに意見を集中、私どもの会も政府の回答文書に意見を出し、六月の女性二〇〇〇年会議の提出文書に盛り込むよう要請をしております。その要請の中には、例えば「女性と健康」という項がありますが、ここでは、日本政府報告は女性の健康問題を全面的にとらえておらず、実態に迫るものになっていない問題があります。また、「女性と武力紛争」の項では、唯一の被爆国でありながら核兵器問題に一言も触れていない問題などを指摘するなどして、政府間の討議と結論だけで終わることがないよう努力しています。
 意見を表明する場合に、各国にあるたくさんのNGOが会議に参加し、さまざまな見解を持つNGOが自由に意見を出し合って討論し、一致した意見を国連に提出し、行動する努力をしています。それによって世界の女性たちの声が国連の文書に反映されるわけです。
 さきのアナン・ミレニアム報告書の言う、国連の強化は、政府、特に民間セクター、非政府機関及び多国間機関などの合意によって解決策を探るその意志にかかっている、こういうふうに述べていますが、その行動がこうして各分野で前進しているということを感じています。
 NGOと国連の関係については、武者小路参考人は北京会議を例に挙げてその重要性を述べられました。NGOと国連との関係について参考人としてはおいでいただけませんでしたけれども、調査室でつくっていただいた十二年四月の資料の、国連の課題と我が国の果たすべき役割に関する調査メンバーの一人である弓削昭子さんの「国連と非国家行為主体との関係」という論文が参考になり、私もこの論文やこの間の調査会の審議を参考にして、国連改革をどのようにするのか、NGOの位置づけをどのようにするのかなど、さらに研究していきたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
○鈴木正孝君 自由民主党の鈴木正孝でございます。
 二十一世紀の国連を考えるに当たりまして、若干の考えを申し上げたいと思います。
 本年九月に、二十一世紀の国連像を明確にするためのミレニアム総会とミレニアム・サミットが予定されておりますが、二十一世紀に国際社会が直面する諸課題を整理して、国連がこうした課題に有効かつ適切に取り組むことができるよう、国連の改革や機能強化に道筋をつけることがぜひ必要であると思います。
 国連が二十一世紀の諸課題に適切に対処することは、自国の繁栄の基盤を世界に依存する我が国にとって不可欠なことであります。我が国は、国連の幅広い活動や財政にこれまで少なからぬ貢献をしてきております。二十一世紀への節目となるこの機会に、これまでの国連の現状を検証しつつ、我が国としても具体的な提案と行動が求められていると思います。
 平和の確保は国連の主要な任務でございますが、冷戦終結後、紛争の性格は大きく変化してきております。広い形で平和や安全の問題を考え、それにより永続する平和を地域や社会の中につくり出すことが非常に大きな課題になってきております。また、個々の人権を尊重し、貧困、病気、迫害、暴力などから守るという視点の、いわゆる人間の安全保障の考え方に立脚することも重要でございます。
 まず、平和、安全の分野ですが、紛争の解決と予防には、国連の集団安全保障メカニズムがその実効性を発揮し得るよう、特に安保理決議の履行確保などに対し、我が国は引き続き可能な限りの協力を行うことが必要であります。
 冷戦終結後、多発する地域紛争に対し、国連は必ずしも有効に対処できておらず、紛争の予防、解決から平和維持、平和構築、さらには貧困など紛争の潜在的要因の除去までを含めた対応が必要でございます。また、紛争解決には地域の現状に合わせた対応が必要であると思います。さらに、紛争後の平和構築においては、緊急人道援助から長期的な開発援助まで、国際的な支援が途切れることなく行われることが必要であり、我が国はこうした課題への貢献を強化する必要があると考えます。
 コソボや東ティモールには、紛争解決後、軍事部門から行政部門に至る幅広い任務を有する国連平和維持活動を展開しておりますが、我が国はこうした活動を支援し、人道支援、復興支援などを引き続き積極的に行っていくべきであります。また、いわゆるPKF本体業務の凍結解除などを早急に行い、PKO活動への人的貢献を今後一層充実強化していくべきであると考えます。
 軍縮と不拡散の問題については、国際的な緊張のレベルを低下させるために、核不拡散、核軍縮に関する現実的かつ具体的な措置を積み重ねるとともに、生物・化学兵器やミサイルなどの運搬手段に関する問題にも取り組む必要がございます。また、紛争の発生や激化を防ぐ観点から、対人地雷や小火器の問題にも積極的に取り組む必要があります。
 次に、経済、社会の分野では、まず開発につきましては、先進国と開発途上国が建設的な対話、協力を通じて開発問題に取り組もうとする新たな機運が生まれてきております。OECDの開発援助委員会が九六年に策定いたしました新開発戦略を推進し、開発資金の手当てを幅広く検討するとともに、貿易、投資から人づくりまで開発政策を包括的に検討して、開発の効率性を高める必要があると思います。
 そこで、開発途上国自身による主体的な開発への取り組みを尊重し、援助受け入れ国と国際機関、援助を行う国、NGOなどとの間の連携と協力をさらに推進する必要があります。二十一世紀においては、平和、開発、人権などの諸課題に包括的に取り組んでいく観点から、貧困撲滅を柱とする経済開発と社会開発、よい統治、すなわちガバナビリティーの確保、紛争予防、紛争後の開発の分野で積極的に施策を展開していく必要があります。
 次に、地球規模問題についての取り組みでございますが、昨今のグローバリゼーションは、環境悪化、国際組織犯罪、麻薬、テロ、感染症等の問題を助長するおそれがあります。これら国境を越えて個々の人間に直接脅威を及ぼす地球規模の問題については、国際社会全体での取り組みが必要でございます。
 地球環境については、先進国から温室効果ガスの排出抑制を規定した地球温暖化防止に関する京都議定書の早期発効に向け、交渉の進展を図るとともに、ODAを中心とする包括的な環境問題への協力を引き続き実施すべきでございます。また、国連機関、他の援助国、NGOと連携しながら、人口問題に引き続き取り組み、特に人口、エイズの分野で途上国支援を継続する必要があると考えております。
 最後に、国連改革でございますが、平和、開発、人権といった諸課題は相互に密接に関連しており、国連はこれらの課題に包括的に取り組んでいくべきでございます。また、国連強化のためには、安保理、財政分野、経済・社会分野での改革を一体として進める必要があります。
 安保理改革と日本の常任理事国入りに関しては私も河本理事と同意見であり、詳しくは申し上げませんが、我が国が安保理常任理事国の地位を得て、国際の平和と安全の維持に主要な責任を果たし、国連を我が国の理想とする方向に導いていく努力が必要であると思います。国民を代表する我が参議院の国際問題調査会として、安保理改革や我が国の常任理事国入りを大局的な見地に立って支持、支援すべきであると考えております。国民の大方には理解と支持を得られていると考えております。
 国連の財政改革に関しましても、日本として公正な負担と負担に応じた責任との観点から、加盟各国に訴えて理解を求めるべきであると考えております。
 それから、開発分野の改革に関しましては、私も国連機関の間での本部や現地レベルでの調整を一層強化する必要があると思います。我が国は、経済社会理事会を中心とする経済・社会・文化分野の国連改革の推進に今後一層努力していくべきであると思います。
 最後になりますけれども、国連憲章の旧敵国条項は二十世紀中に改正すべきであると思います。これは実質的に意味のない規定とはいいながらも、国連で中心的な責任を果たしてきた、また果たそうとしている我が国にとって決して快い規定ではございません。条項削除の手続の着手を求めた国連総会決議が九五年に採択されておりますことを踏まえて、改正手続への早急な着手を加盟各国に強力に訴えるべきである、このように思います。
 以上でございます。
○佐々木知子君 自民党の佐々木でございます。
 本調査会でのこれまでの系統的な幅広い調査を踏まえ、殊に冷戦終結後、紛争の性格が大きく変化し、多角的な広い観点から平和や安全の問題を考えていくことが求められていることにかんがみて、私は、主として国連の社会分野及び文化分野における我が国の活動がどうあるべきか、国連改革としては国連事務局の日本人職員採用問題や国連機関の我が国への誘致などについて意見を述べてみたいと思います。
 まず、社会分野ですけれども、冷戦の終結によりまして民主主義は普遍的な価値となっております。民主主義の基本要素である人権の重要性にかんがみて、アナン事務総長はこれを活動プログラムの五つの柱に位置づけ、分野横断的なものとして扱っておられますが、人権は、平和と安全を守るためにも、開発協力を進める上にも不可欠なものでございます。
 ただ、自分たち流の人権を他国に押しつけることは反感を招くもとになりますし、その点、我が国が他国の立場を理解し、援助にいたしましても、西洋流、キリスト教的な施しではなく、自助努力を促すという姿勢で来たことは評価されてしかるべきだと考えております。
 我が国としては、経済社会理事会の人権委員会、国連人権高等弁務官などによる国連の取り組みや、現在アジアの幾つかの途上国の要請によって実施しております法整備や司法・行政制度の充実、民主的選挙が実施されるための支援策などに今後とも継続して取り組んでいくことが必要と考えております。
 また、関連する基金への拠出等を通じて、女性の地位向上等の問題にも引き続き積極的な取り組みを行う必要があります。また、地域紛争の発生や天災地変による難民、避難民の発生など人道面での緊急事態への対応や、紛争後の円滑な復興、開発への移行は重要な課題でございます。コソボのみならず、世界各地の難民、避難民の問題に対し、国連難民高等弁務官事務所などの国連機関を中心とする取り組みを引き続き積極的に支援していくべきと考えております。
 次に、文化分野でございますが、冷戦後かえって地域紛争が多発するようになった背景には、人種、宗教、文化の複雑な対立がございます。グローバリゼーションの進行に伴って異なった文化同士の摩擦が生じやすくなっておりますが、文化の多様性への配慮が不可欠と考えております。
 ことし、西暦二〇〇〇年は国際平和の文化年に指定されておりますが、この文化年の中心的担い手でありますユネスコの事務局長に松浦駐仏大使が選出されたこともございまして、我が国が国連の文化面での取り組みを強化、支援する必要があると考えております。
 我が調査会は、国連大学本部を訪問し、私自身も関係者と意見を交換するという貴重な機会を得ることができました。
 国連大学は、人類の存続、発展等にかかわる世界的規模の問題を研究する学者、研究者の国際共同体と位置づけられておりますが、学生がいないために活力に欠け、国連のシンクタンクとしての機能も十分に果たしておりません。国連システムの中で果たすべき役割が必ずしも明確ではないと言えるかと思います。
 我が国は、国連大学の設立に決定的な役割を果たし、現在も財政面を含め多大な支援を行っておりますが、一般国民には、残念ながらその活動はおろか存在すら知られていないというのが現実ではないでしょうか。まずは国連大学の存在と活動内容を国民に知らしめるのが急務であると考えます。そして、若い研究者、学生を取り込み、研究と教育の両面において活性化する工夫をすべきだと考えます。日本やアジアの文化、視点を国連や世界に向け情報発信できる場に発展させるべきだと思います。
 また、現在国連大学ビルの八階にある国連広報センターを一階に移して、国民が利用しやすくするとともに、インターネットによる情報発信の充実など、広報の飛躍的な充実を図るべきではないでしょうか。
 最後に、国連改革でございますが、安保理改革と日本の常任理事国入り、国連の財政改革、国連の開発分野の改革については、先ほど河本理事ないしは鈴木理事が述べられたのと同じ意見でございます。
 そこで私は、国連事務局の日本人職員問題及び国連機関の日本誘致に絞って、議会人としての視点を交えて若干意見を述べてみたいと思います。
 まず、日本人職員問題でございますが、国連がその目的に沿って行った合意を現実に履行する上で、事務局による人材、組織、財源の適正な運営、管理は重要な課題でありまして、我が国でもこうした面でさらなる貢献が求められているのは言うまでもございません。
 ですが、小和田参考人、伊勢参考人も言及しておられましたが、国連機関で働く日本人職員の数は、殊に政策決定に関与できる課長級以上のポストが、我が国の通常予算分担率の高さに比して残念ながら極めて限られた状況にあるという非常に大きな問題が横たわっております。職員の公平な地理的配分に十分な配慮が払われるよう引き続き求めていく努力が必要と考えます。
 国連に総合的な人事政策がなく、いわば途上国高級人材の失業対策として、彼らがそれをいわば既得権として先進国支配に対する当然の権利と思っているらしいことはつとに指摘されているところでございますが、せめてIMFや世界銀行並みの客観的な人事評価システムを導入し、日本人職員が一人でも多く上級ポストに昇進できるよう、国連の人事政策改革に積極的に参画すべきと考えます。
 また、国際機関で通用する語学力や管理能力を有する人材を育成、発掘するため、国内体制を整備する必要がありますが、現在、国際関係学関連の大学院が次々とできております。そのプログラムの専門性を高め、ハイレベルの人材を国際機関に送り込むべきでしょう。殊に女性は有望と考えております。
 ここで提案なのですが、明石さんや緒方さんといった高官経験者を会長にして国連OB会といった非政府組織をつくり、外務省とは別の人事系統で、優秀な日本人スタッフをなるべく長い期間国際機関に送るというのはどうでございましょうか。国連プロパーの中には、言葉は悪いかもわかりませんが、個人主義的というか、他の日本人スタッフには余り関心がないといった側面もあるいはあるやもしれませんが、あこがれの対象でありまして、その経験に関心を抱いている人は現在大勢おります。実際、大学で教えられている場合には希望する学生を吸い上げる力もありましょうし、役所を抜きにしてプロパーの現職及びOBの情報交換を促進すれば、適材適所ということがもっと実現するのではないかと考えております。
 国連機関の日本誘致の問題でございますが、まず、国連機関を誘致することは国連及び他の加盟国の目に見える形での貢献であり、国連の政策決定に日本やアジアの視点を反映し、情報発信を行う機会になるといった意義がございます。
 アジア太平洋地域ではESCAPがバンコクに既に存在しておりますが、欧州ではジュネーブ、ウィーンの二つの都市が国連拠点としての機能を果たしております。横田参考人の意見にもございましたが、私も日本国内、例えば沖縄に国連事務所を設け、アジア太平洋地域の軍縮、環境、開発、人権などESCAPと競合しない課題に取り組むようにしてはと考えております。
 これは本当に最後になりますが、議会人としての提言でございます。
 アジア太平洋地域の議員懇談会を設置し、地域一円の国会議員が年に一度参集し、国連のアジア太平洋地域で抱える諸課題を討議し、国連や国際社会に向けた情報発信をすればどうだろうかと考えております。各国の議会人がそれぞれの国民のさまざまな意見を代表し、国連の取り組む地域的な課題について意見を交換し、地域におけるプレゼンスに対して意見を表明することは、国連の地域活動の実効性をより高めるものと考えております。
 以上、私の意見を終わります。ありがとうございました。
○田英夫君 私は、まず、国連の問題を考えるときに、国連憲章を改めて評価し、これを見直す必要があるのではないかと思っております。
 第二次世界大戦が終わろうとするときに起草されたこの国連憲章は、特に前文が二度にわたる悲惨な戦争の体験ということを書き出しで書いているように、まさに平和主義に徹していると思います。また、それは戦勝国あるいは日本のような戦争に敗れた国を問わず、戦争に対する憎悪感というものが極めて理想主義的に述べられている。このことを改めて冷静に見直す必要があるのではないかと思います。
 残念ながら、この理想主義的な平和主義の国連憲章は、その直後に起こった朝鮮戦争、そしてその根底にある米ソ対立冷戦構造というものが長い間続きましたために、現実には実らない場面が多かった。そういう状況を乗り越えて、冷戦構造が崩壊した二十一世紀に入ろうとする現在、この国連憲章を改めて冷静に見直す必要があると思っています。
 国連については、第二次世界大戦の結果を踏まえておりますから、書き出しから「われら連合国の人民は」とあるように、先ほども鈴木理事からも出ましたけれども、こうした敵国条項的文言などはやはり早急に削除をして改正していただきたいと思います。
 同時に、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会というようなこうした構造もまた現在見直す時期に来ているのではないか。
 まず、安全保障理事会について言えば、もう既に、日本を含めて常任理事国をふやし、また非常任理事国の数もふやして大体二十四ぐらいにしようというところでコンセンサスができつつありますから、安保理改革は進展すると思われますけれども、ただこの場合に、日本がなりふり構わず常任理事国になろうと各国に働きかけることは、私は反対であります。やはり世界から推されて平和な国の日本という形で安保理に自然に入っていくということが極めて今後の活動のためにも大切だと思っております。
 同時に、常任理事国の中の地域代表的なものについては、現在かなり困難な状況にある。例えば、インドとパキスタンの対立とか、アフリカをどこの国にする、中南米もどこの国にするというような問題がありますから、この辺もやはり国際世論の中で自然に角が立たない形で決まるようなそういう雰囲気の醸成ということが大切ではないかと思います。
 次に、経済社会理事会については、現在の状況に合わない部分があるといいますか、不足な部分がある。むしろ環境問題とか人権問題とか、そうした経済社会の社会に当たる部分について、例えば環境を独立させて一つの理事会にする、あるいは既に環境特別総会あるいは女性の問題をめぐる国連の国際会議というようなものが相次いで開かれていることを考えれば、そうした理事会なり特別委員会なりをつくっていくというそうした構造改革も必要かと思います。
 もう一つ大切なことは、軍縮問題についてのこれはやはり理事会をつくるべきだと思います。国連軍縮特別総会というのが数次にわたって開かれまして、私も参加といいますか国会議員の議員団としてこれを見たことがありますけれども、今もちろん国連を中心とした軍縮会議というのは存在しますけれども、国連の機構として軍縮、特に核軍縮を国連が中心になって仕切っていくということは大変大切ではないかと思います。核保有国同士で、例えば米ロでSTARTUとかVとかいうことをやっていっても核廃絶につながるとは思えません。したがって、やはり国連を舞台にして、国連という場で核軍縮を中心とした軍縮を進めるということがぜひ必要だと思います。
 信託統治理事会は、当然のことながらこれは廃止すべきだと思います。
 そして最後に、既に何人かの委員が言われましたが、沖縄に国連人権高等弁務官のアジア太平洋事務所を置くべきだという横田洋三参考人の御提案はまことに私も賛成でありますが、それを発展させて、軍縮、環境あるいは飢餓というような問題を担当するアジア国連センターを沖縄に置く、そして沖縄にウィーンやジュネーブと同じような国連シティーをつくるということを考えてはどうかと思います。
 その場合、佐々木委員も言われましたように、既にタイのバンコクにESCAPがありますから、そこと競合しないような配慮をすることは極めて重要だと思っております。
 以上です。
○月原茂皓君 国連の任務は、要するに平和、安全の維持であり、経済的、社会的、文化的、人道的な問題について諸国の行動の調和であるということは憲章に書いているところであります。
 冷戦崩壊後の今日的課題といたしましては、新たにクローズアップされておる問題としては宗教とか民族の対立等による紛争、そしてまたそれを未然防止すること、紛争後の安定というようなことが課題になっていると思います。
 また、生命、財産を保障する人間的、経済的保障ということも大切なことになっております。そして、テロリズムとか組織犯罪というようなものもあらわれておる。環境の問題、それから南北問題とも絡みますが貧富の差の拡大、こういうことがあるとともに、また経済的な面で見てもその他の面で見ても、多国籍主体の出現というか、例を挙げれば多国籍企業等もそうですが、そういうものが非常に大きくあらわれてきている。だから、国民国家の役割が低下してきておるというようなことも考えられるわけであります。
 考えてみたら、国連は戦勝国を中心とした国民国家の集まりとして発足したわけでありますが、今日、超大国、国民国家というもの自身もかつてのような考え方では律し切れない。先ほど申し上げたように、国民国家としての役割が低下してきているというところが私はあると思います。
 そこで、今後の課題ということでありますが、安保理の改定、これは国際情勢を反映した常任、非常任理事国の構成ということを考えなければならないと思います。そして、財政分野について言えば、これは健全な財政基盤がなければ活動できないわけでありますから、財政分野の改革が必要である。そして、開発分野についても、他の国連機関、NGOとの連携というものも含めて考えていかなければならないと思います。
 そして、少し次元が、角度が違いますが、平和、安全については、対象プロジェクトごとに対応していくということにしなければならないと思います。民族とか宗教とか地域紛争、そういうような問題を一律に律しようとするところに問題があるわけでありまして、文明的背景というものを考えながら、地域的グループというものを使いながらこれを解決していくということが必要だと思います。
 そして、経済について言えば、グローバル経済について適切な基準、それに適した規制、そういうようなものも取り組んでいかなければならないと思います。この間のアジアあるいはロシアにおける経済の変動というのがいかに世界に大きな変動を及ぼしたかということを考えたときに、そういうことが言えると思います。
 そこで、我が国の当面の課題として私が思うのは、安保理常任理事国として一層の責任を果たす用意があるということを既に外務大臣も国連総会等で表明しておりますが、当然のこととして常任理事国のその意思をさらに進めていくべきだと思います。
 そこで大切なことは、これはすべて国民の理解と協力なくして外交は展開できないわけでありまして、今までの惰性の流れとか単なる一部の者の誇りのために国連を使うということであってはならないと思います。ますます我が国の成熟社会、過去のような経済発展、成長を望めなくなった我が国においては、人的、物的支援をするについても、より一層国民の理解なくして行動できることではないと私は思っております。
 そして、国連というものはもちろん理想という、私たち中学のころは国連というのは、教科書でもうすべてここでやれば平和が保たれる、実現すると、こういうふうに教わったわけでありますが、現実として国連は国益を競う場である、安易な幻想は禁物である、そういうような姿勢をちゃんと持って、そして日本の国は対処していかなければならない、こういうふうに私は思うわけであります。
 以上、ありがとうございました。
○高橋令則君 意見を申し上げたいと思います。
 まず第一に、国連の役割と必要性についてでございます。
 国連の目的は、当然ながら憲章の第一条に規定されています。それによりますと、第一に、国際の平和及び安全の維持、そしてまた経済、社会、文化、人道的な性質を有する国際問題の解決とされています。これを実現するのが国連の役割でございます。
 今日の国際社会では、いかなる国も一国だけで自国の安全と繁栄を維持することは不可能であります。また、いかなる国も世界の混乱の中で完全にみずから隔離することはできません。世界の安全と平和は各国が協力しなければ維持できず、また、世界の安全と平和がなければそれぞれの国の安全と繁栄も保障されないと思います。これに取り組んでいけるのは、究極的には国連であり、現実的にはほかにない不可欠の機構であることを改めて認識すべきだと私は思います。
 第二に、国連の現状と改革の必要性についてでございます。
 国連は、一国では対応できない深刻な地球的な規模の多くの課題に直面しています。現実の国連は、その役割がますます重要となり、かつ拡大しつつあるにもかかわらず、これに効果的に対応できず、不十分な状態に置かれています。国連が国際社会で望まれる活動を積極的に展開していくためには、国連と加盟国ともに国連改革の必要性を強く認識し、その実現に努力すべきだと思います。
 改革すべき事項は、組織、手続、財政、広範にわたっていますが、現実的には大幅な憲章改正は極めて困難であり、必要最小限なものに限定して多くの加盟国が合意できる部分から取り組むのが得策ではないかと思っております。また、憲章改正を伴わない部分については早急に取り組むべきであります。例えば、当面憲章改正を必要とする事項は、安保理の常任理事国、非常任理事国の拡大、そしてまた旧敵国条項の削除等であり、また憲章改正を伴わない事項については、総会強化決議の活用、そして経済社会理事会の改組等が指摘されています。
 これらの緊要な事項について、国連そしてまた加盟国が早急に取り組み、実現を図ることが望まれます。
 最後に、国連と日本についてでございます。
 我が国は、日英同盟の解消、国際連盟の脱退、そしてまた第二次大戦という不幸な歴史を持っています。歴史の教訓を生かして我が国は、我が国のためにも国際社会のためにも国連の機能を改めて認識し、それを強力にするために積極的に参画すべきであります。
 我が国の外交は、二国間においても国連を含む国際間においても、今なおはっきりした顔が見えない受け身の対応に見えます。国連外交についても、我が国は国連中心主義を明確にして、安保理常任理事国入り、そして経済的な貢献はもとより、PKOを含む国連のもとにおける人的な貢献についても法改正を含む広範かつ積極的な対応が必要であると思います。
 また、国連を活性化するためにはアメリカの存在が不可欠であります。国連改革について、我が国は我が国にとってアメリカが最も重要な友好国であるという立場に立って、その実現に向けてアメリカに粘り強く働きかけていくことが望まれます。
 いずれ我が国は、憲法前文の中で国際社会において名誉ある地位を占めるとしておりますが、それにふさわしい国に変わっていくべきだと、私はそのように思っております。
 終わります。
○亀井郁夫君 自由民主党の亀井でございます。
 私が申すまでもなく、国連というのは第二次世界大戦の結果、その反省を踏まえてできたものであります。いろいろ問題はありますけれども、一応これまでの五十年間余り、世界の平和を維持するために果たした役割は大変大きなものがあるだろうと思います。しかし今、これまで先生方が御指摘になっておるたくさんの問題を抱えていることも事実ではないかと思います。
 日本の場合は財政的負担も大きく、大きい割にはなかなか認めてもらえないということでございますけれども、これも五十年を経た現在も第二次世界大戦のしこりを引きずっているというのが大きな原因だろうと思います。そうしたことの中で、やはりなかなか効果的な活動を展開することが難しい。ひがみかもしれませんけれども、そういうふうに思うわけであります。
 しかし、そうした中で日本が、先ほど田先生がおっしゃったように、他の国から自然な形で受け入れられるというような形での活動をどうしてやっていったらいいのかということもしっかり考えていかなきゃならないだろうと思うんですけれども、そのためには、平和の中で培ってきた日本の経済力、そういった経済的な活動を中心にしてやはり他の国に対していろんな形で応援していったらどうだろうかと思うわけであります。特に、アジア地域におけるリーダーシップというものをそういった経済活動を中心にしながら確立していく必要があるんではないかなというふうに思うわけであります。
 そうした場合、まず第一には、人材育成と技術移転の問題があるわけであります。
 日本のこうした発展した生産技術等を含めまして技術を移していく、それからまた、同時に人材の育成を図っていくということが一様に大事だと思いますけれども、その一つは留学生の受け入れをやっていかなきゃいかぬ。これについては、現在、財団法人の海外技術者研修協会がやっておりますけれども、そういう意味では、アジア諸国の中小企業の経営基盤の強化のための人材育成、どんどん留学生を呼び寄せていって、そして日本に対する理解を深めると同時に、そうした技術面でのバックアップをしていくことが必要じゃないかと思います。
 また、人材派遣の問題につきましても、今は財団法人の海外貿易開発協会が中心になってやっておりますけれども、技術面あるいはマネジメントの面での専門家をどんどんアジア諸国に派遣していくべきではないかと。人材の面では、定年退職者はもちろんですけれども、最近ではリストラで随分ハイレベルの技術を持った人たちが浮いてきておりますから、そういう意味では人材はたくさんあるわけでありますから、こうした人材を派遣して協力すべきではないかなというふうにも思うわけであります。
 二つ目は、企業に対する経営指導という問題であります。
 これは日本の場合、JICAが中心になってやっておりますけれども、アジアを初めとする発展途上国の中小企業の育成のために経営指導やあるいは中小企業振興策をつくったりということで、そういった形でのものを具体的に指導していく必要があるんではないかと思います。これもやはり人材が必要でございますけれども、先ほど申し上げましたように、定年退職者やリストラで会社をやめた大勢の優秀なスタッフがおりますから、こういう方々をどんどん使ってもっともっと積極的にやっていくべきではないかなというふうにも思います。
 それから三つ目は、資金面の援助でございます。
 後進国に対する経済的支援をずっと続けてきておるわけでありますけれども、昨年は新宮澤構想という形でアジア向けには中長期資金向けに百五十億ドル、短期資金向けで百五十億ドル、合わせて三百億ドル、日本円に直して三兆円余りになりますけれども、こうしたものが用意されまして、非常に今喜ばれておるわけでございます。
 こうしたことに絡んで、今大きな問題は、重債務貧困国と呼ばれる国の扱いだろうと思います。
 何かこの基準は、一人当たりのGNPが六百九十五ドルと七百ドル以下で、そしてまた債務の合計額が輸出額の二・二倍以上もしくはGNPの八〇%以上という国が一応重債務貧困国に該当するんだそうですが、これが何と四十カ国ぐらいあるということですから、国連加盟国の二〇%を超える国がこうした債務に、借金に悩んでいるというのが実態であるわけであります。そういう意味では、そうした国々に対する対応を十分考えていかなきゃいけない。この債務の総額を四十カ国全部足しますと十七兆円あるそうでありますが、日本の場合が大体一兆二千億ぐらいでございますけれども、こうした問題をどのようにして解決するかということをやはり親身になっていろいろ考えてやっていく必要があろうかと思います。
 アジア地域では、ベトナムとミャンマーとラオス三カ国しか入っておりません。中近東・アフリカが三十三カ国で中南米地域が四カ国ということで、中近東・アフリカが多いんですけれども、アジアにつきましても、ベトナムとかミャンマー、ラオスという日本と非常に緊密な関係のある国もこういう状況でございます。
 これにつきましても、八八年のトロント・サミットからこれが問題になって、このときに三三%削減が申し合わされました。それから九一年、九四年、九六年と、ずっと削減率が上がってまいりまして、昨年の九九年のケルン・サミットでは、ODA関係一〇〇%削除、非ODAは九〇%削除というところまで来まして、拡大HIPCイニシアチブということで呼ばれておりますけれども、こういう形で取り組もうというふうに動きが出てきておるわけであります。
 日本の場合もことしの四月十日に、沖縄サミットを控えまして、この問題について、非ODA関係についても九〇%を一〇〇%まで削減しようということを日本が発表したわけであります。しかし、これも一括無償にするのではなしに、債務救済無償方式という格好で長期にわたって見てあげようというような感じでありますけれども、これに対しては、御存じのようにジュビリー二〇〇〇という国際NGOがこれの全面的な削除、債権放棄を求めて活動しておるわけであります。
 そうした中で、日本もこういう問題に取り組んでいって、やはり恵まれない国に対してどのように具体的に貢献していくかということをすることによって自然のうちに日本というものを理解してくれる国がふえてくれるんではないかと思いますし、そういう形の中での国連活動というものが大事ではないかというふうに私は思います。
 簡単ですけれども、以上でございます。
○魚住裕一郎君 公明党・改革クラブの魚住裕一郎でございます。
 国連の今日的役割について、国連の二十一世紀的役割を考える観点から若干意見を申し述べます。
 まず、国連と市民社会との関係ということでございますが、国連が主権国家を前提とした組織であることは間違いございません。しかし、多くの参考人の御意見、またきょうもNGOという御意見がございましたけれども、私は、二十一世紀の国連はNGOを初めとする市民社会との連携、パートナーシップがますます重要になる、これからの国際政治は、主権国家間のみならずNGO等の非政府組織、市民社会と国連とのかかわり、国際的なかかわりを高めていくことが必要であるというふうに思っております。
 私は、このような観点から功刀参考人に、市民社会が国際政治の場に出るに当たり果たして正統性を持ち得ることができるのかというふうにお尋ねをいたしたところ、功刀参考人は、現代政治における正統性の概念が変わってきており事実を了知した上で納得するかどうかが大事である、それにはアカウンタビリティーを持ち、説明責任、結果責任が問われること、それを確保するためにはトランスペアレンシーが必要なこと、また新しい事態として注目されるのは、従来の代表制という手続上の問題より参加型の民主主義が重視され、市民が主権を持っているというデモクラシーの原点に戻ることであり、人々の判断能力の向上によりそれが可能な時代に入っているとの認識が示されました。また、参加を通じて政策の方向づけ、その実施へどのように貢献できるかという実態的な機能に焦点があるけれども、正統性の理論づけについては市民社会側で検討が始まっているがもう少し時間を要する、こういうようなお答えでございました。
 また、国際政治の場においてNGO等の市民社会との積極的な連携や活用をどのように考えるべきか。
 小和田参考人は、一般論として、政府として市民社会の動向をもっと政策形成の上で反映させていかなければならないことは外交分野に限らず重要なことであるし、外交分野でもそういうことになっているというような認識を示した上で、国連の政府間機関という性格を失わないでかつ市民社会の動向を反映させていくには、政府代表団の中に市民社会の声をどう取り入れていくかという問題で、既に第三委員会等には市民団体の代表が入っている、また市民社会の横のネットワークを通じて出てくる声をプロセスに間接的に反映させていく方法がある、地雷禁止条約の成立過程に見られるように、地雷禁止を求める市民団体の声が国際的なネットワークをつくり、政府の合意に参画する人たちの心を動かし立場を動かすことにより、そういうものが成立したと、このような指摘があります。つまり、二つの方法がこれからの国連における市民社会との関係において出てくるというようなお話でございました。
 また、正統性の確保の問題については、市民団体はプレッシャーグループないしは特定の利益を追求する利益集団と違いがないのではないかというような問題も出てくる、基本的には市民団体自身の自覚の問題であり良識の問題であるが、市民団体のそういうものを確保しながらその声をどう反映させていくかが日本のシビルソサエティーを考えるときの一番重要な問題であるとの指摘がありました。
 また、武者小路参考人からは、国家だけが出ると国益が先立って人類益がおくれるが、NGOが参加すると国の議論が現実問題に近づく、議論が豊かになるとの趣旨の御発言もございました。
 私は、二十一世紀の国連は、NGOを初めとする市民社会との連携、パートナーシップがますます重要になる、平成十年十二月にはいわゆるNPO法が施行されたところでございますが、市民社会との連携、活用のために税制改正などさらなる改善・育成措置が必要であるというふうに考えております。
 先般、私、台湾に行かせていただきました。李登輝総統ともお会いしたんですが、李登輝総統は、退任後はNGOをやりたい、しかも国際的なNGOをやりたいというふうな発言をされておりました。
 私は、本調査会でも、NGO等の非政府組織、市民社会と国連とのかかわり、国際的なかかわりをどう高めていくかをさらに議論し、日本外交の一環の中でさらなる市民社会等との連携、NGO等とのパートナーシップの涵養について、また市民社会等がどのような分野に参加することにより国連機能をどのように強化できるかという問題について具体的な提言にまで進むことができればというふうに考えております。
 次に、我が国も今まで以上に人権を念頭に置いた外交を展開すべきであるというような観点から申し述べます。
 私は、国際社会が人道問題に介入する場合、国連及び地域機構との役割分担について大泉参考人にお尋ねしたことがあります。大泉参考人は、国連全体のメカニズムの中にいかにして地域機構との間の連携をとっていくか考えるべきである、それを総合的なピースオペレーションズという形で再構築していくことが必要であるというお答えでございました。
 これはマルチの関係におけるアプローチでありますが、我が国は国連重視の外交方針をとっておりますから、この趣旨の発言も私は同感であります。むしろ、これとの関係において申し上げたいのは、人権がこれからの外交の表になっていくのが世界の趨勢であるのならば、我が国も人権外交をマルチのみならずバイの関係においても最重要視していくべきであるというふうに考えております。
 昨年の海外派遣の報告の中でも申し上げましたが、エルドン英国国連大使との意見交換において同大使は、いかなる政府も自国民に許されない行為がある、ジェノサイド、大量破壊、大量強制移送である、このような状況に対し、国際的な介入について国際的に明確な共通の理解が必要であるというような指摘がありました。また、韓国の朴泰俊自民連総裁、その後国務総理になりましたけれども、彼は、東ティモールへのPKO協力に関し、人権問題でもあるので積極的に援助するのが政府の方針であると、そういうような趣旨の発言もございました。
 このように、洋の東西、マルチ、バイを問わず、世界の趨勢とも言える外交の舞台における人権問題については、私は、内政不干渉の原則に配慮しつつも、我が国の人権外交への取り組みについてさらに議論を深めていく必要があるのではないか、特に我が国は人権問題でさらなる国際貢献を行うためにはどうしたらよいかを議論すべきであるというふうに考えます。
 さきの調査会では、横田参考人から、国連人権高等弁務官事務所のアジア太平洋地域事務所を沖縄県に設置して、それをコアにして徐々に条件整備を行っていくべきであるというような具体的な提言もございました。島袋委員からも発言がございましたけれども、私も全く同感であります。国連を通じた我が国の国際貢献を一層推進するためにも、また沖縄を日本の平和戦略の象徴の島としての役割を明確にする観点からも、国連にアジア本部あるいはアジア平和センターの創設を働きかけ、その拠点を沖縄に誘致することを調査会としてもぜひ前向きに検討していければというふうに考えております。
 最後に、時間の関係で詳細を省きますが、私は、国連ハウスを重要視しつつ、国連の機構・行財政改革はさらに推進する必要があると思います。特に、アメリカには国連分担金の支払いを説得し、現在の分担率のあり方の非合理性を指摘し、安保理の改革、改組についても積極的な発言を行っていくべきであるというふうに考えております。
 そのほか、国連職員の養成の問題あるいは主権国家の克服と国連の機能強化のあり方等々についてもさらに議論を深め、国連が二十一世紀を迎えるに当たり、我が国としてふさわしい国際貢献のあり方等について、調査会として意見を個別的、具体的な提言に集約していくよう、そういう調査を深めることを希望して、意見表明を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○島袋宗康君 二院クラブ・自由連合の島袋宗康でございます。ありがとうございます。
 ことしはいみじくも二十世紀の最終年であり、新しいミレニアムを迎える節目の年であります。
 顧みますと、二十世紀の前半には二つの世界大戦があり、なかんずく第二次世界大戦においては、我が国はアジア太平洋の諸地域の人々に多大の人的、物的な損害を与えるとともに、みずからも広島、長崎や我が沖縄に象徴されるような大きな犠牲を払いました。両大戦の教訓の中から第二次大戦後に現在の国際連合が誕生し、はや半世紀を超える歴史を有するに至ったわけであります。
 この五十余年の間に、国連は、二十世紀の後半を特徴づける東西対立の構図の中でさまざまな試練に遭遇したわけであります。我が国周辺のアジア諸国における朝鮮戦争やベトナム戦争を初めとする数々の争乱においても、国連が必ずしもその平和維持機能を十分に発揮し得たか否かという点については疑問なしと言えないような気がいたします。しかし一方では、もし二十世紀の後半にこの国際連合という機構が存在しなかったと仮定いたしますと、世界の混乱は想像を絶するものがあったのではないかというふうに思われます。
 我が国は、一九五六年の国連加盟以来、国連に対する期待と失望という相反する経験を経て今日に至ったわけでありますが、国連の現状がさまざまな問題を抱えており、その改革が叫ばれ、限界が言われております。
 しかし、私は、この間の調査を通じて国連の積極的な意義を肯定したいと思います。今日の国連における我が国の財政的貢献を初め、人的、物的なさまざまな貢献を通じて、国連を二十一世紀の世界における中核的な世界秩序維持の機構として育てていくべきであると強く感じているところであります。
 最後に、国連の機構と機能をさらに強化していくべきであるという文脈の中でアジアにおける国連の拠点をもっと強化すべきであり、その点で我が国はもっと積極的な姿勢をとるべきであると思います。
 一連の調査の中で、横田洋三参考人が、我が国に国連人権高等弁務官のアジア太平洋地域事務所を設置すること、特に沖縄が適地であることを提案されました。先ほど来、このことについては高野、佐々木、魚住、田先生からも御指摘がありましたように、私も沖縄の地域特性を生かして、この御提案に大賛成するものであります。ぜひ、そのような方向で政府が努力されんことを期待いたしまして、私の意見陳述といたします。
 ありがとうございました。
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 私は、国連が持つ平和と安全保障の今日的課題という点、一点に絞って見解を述べたいと思います。
 本調査会でもたびたびテーマになったことですけれども、国連憲章で認められていない軍事行動であっても人道的な理由で介入せざるを得ないような事態にこたえるための国連の新しい対応、こうした議論が横行しております。このいわゆる人道的介入論は俗耳に入りやすい装いを持っておりますけれども、こうした議論の本質を冷静に分析することが今日非常に重要であると痛感しております。
 この議論は、アメリカなどNATOのユーゴスラビア空爆を合理化するために頭をもたげてきたもので、私の国会質問でも、この空爆は国連の授権がないことを条約局長は認めております。本調査会でも、小和田参考人を初めとして少なからぬ方々が国連憲章、国際法違反と述べられました。その後で、しかし人道問題を看過できないという形で国連の新しい対応が求められると続くわけです。同時に条約局長は、人道的介入論は国際政治上も、学問上も学説上も確立していないことを認めております。
 私は、このユーゴ空爆の問題点を三点にわたって述べたいと思います。
 第一に、人道介入論は、コソボのアルバニア系住民が大量虐殺で犠牲になっているから加害者のユーゴへの空爆が正当化されるというものです。
 その大量殺りくの実態がどうかということが重要なわけですけれども、空爆前にアメリカの国務省が五十万の行方不明、死亡という数を発表いたしました。空爆後、確認された遺体の数が二千体余り、国務省も一万人と推定犠牲者の数を大幅に下方修正いたしました。バルカン問題の専門家の柴参考人は調査に基づいて、コソボにアウシュビッツがあったわけではない、アルバニア人の虐殺が行われたという事実はないと断言しております。
 空爆正当化の大前提であるセルビア側からのコソボに対する大量殺りくが果たして存在したのかどうか、この事実の解明が重要なポイントだと思います。この事実がないとすると、多くの専門家は今日そう指摘しているわけですけれども、ないというならばそもそも空爆を正当化できなくなるし、国連の新しい対応を求める必要がなくなるということになります。
 第二に、セルビア悪玉論、コソボ善玉論という大々的な宣伝はアメリカ側によって仕組まれた情報戦であったことも今日広く指摘されていることです。アメリカの大手広告会社が九〇年代から大々的にこの点を世界的にPRをしてこの図式を大宣伝してまいりました。その中には、セルビアによる民族浄化というキャッチコピーもあるとの証言もあります。
 私は、ユーゴスラビアを十数回訪問し、現地のこともよく承知しているつもりです。確かに、ミロシェビッチのもとで大セルビア主義があおられて民族憎悪の風潮が高められたことも承知しております。また、コソボについても、武装組織コソボ解放軍がアメリカ自身によって長くテロリストとして指摘されてきたけれども、空爆を正当化するために、解放軍と全く異なる評価が変えられたということも見てまいりました。
 第三に、この空爆によってコソボの民族紛争はさらに深刻化し複雑化し、解決どころか事態を一層泥沼に持ち込んでいることは事実が示しているところです。
 こうした検証を経て言えることは、ユーゴ空爆は、コソボでアウシュビッツが再現されているのに国際社会が手をこまねいていていいのかという大宣伝のもとに仕組まれた戦争だという点であります。こうした大宣伝の呪縛から逃れた国も初めから見抜いてきた国も、全体として国際社会の多数は、今日、国連憲章の原則や目的、つまり武力の不行使、主権擁護、内政不干渉の原則を守れという声を上げていることが事実であります。
 昨年九月の国連総会では、アナン事務総長が対ユーゴ戦争を、安全保障体制を掘り崩す危険はないのか、危険な先例にならないのかと問題提起をいたしました。それに対して中国の唐家セン外相は、対ユーゴ戦争は国連憲章と公認されている国際関係の準則に背いていると述べた上で、主権の平等と内政不干渉、国際紛争の平和解決を主張いたしました。
 ロシアのイワノフ外相は、国際社会は強制的な措置をとることもできるが、しかしそれは国連憲章に沿って安保理の決定に従って行わなければならない、非合法的な手段は正当な目的を掘り崩すことにしかならないと述べました。
 また、NATOの空爆に参加したフランス、ドイツのそれぞれの外相も、このやり方を例外としてとどめなければならないと指摘しております。
 また、このころ行われた非同盟諸国の外相会議においては、目的のために人権を利用することを許してはならないと強調し、国連憲章や国際法の一般原則に法的基礎を持たないいわゆる人道的干渉の権利を拒否すると宣言いたしました。
 今日、国連憲章に沿った世界平和秩序か、それとも国益を国連憲章よりも優先すると宣言しているアメリカ流の国際秩序かが問われております。当然のことですけれども、国連憲章の定めた平和のルール、第二次世界大戦の反省から生まれ、五十年余の国際社会の中で確認され確かめられてきた平和の秩序を守る、このことが肝要であります。
 国連には検討されるべき種々の問題点があることは事実でありますけれども、国際の平和と安全の根幹にかかわるこの原則を確固として擁護することが重要である、このことを主張するものであります。
 ありがとうございました。
○武見敬三君 国連及びその関連機関というものが、二十一世紀においてますます地球的な規模の問題が拡散をしていく過程でより重要な役割を担っていくことは、これは明白であります。また同時に、我が国の国益上も、国際機関におけるさまざまな政策決定というものが我が国の内政と極めて緊密な関係をより強く持つという傾向が着実に増大しているものですから、そうした観点からも、内政との連携でこうした国際機関のさまざまな政策決定というものにより注意を払い、そしてまた、必要な場合に我が国の国益を守るという影響力の行使が的確にできるようにしておかなければならない、こういうふうに私は考えるわけであります。
 こうした中で、残念ながら昨今の非常に厳しい経済状況とか財政事情というものの中で、世論はこうした国際機関等に対するさまざまな我が国の財政的な支援、協力といったものに非常に批判的な目を向けるようになってきております。これに対して、やはり私どもはかなりきちんとその説明責任を負い、そしてまたさらにその内容を精査し、そしてより計画的で目的の明確なものにしていくという努力をしていかなければならないんだろうと思います。
 その一つの重要な手段というのが、私どもが国際機関に出している拠出金などであります。
 一九九八年を見てみますと、拠出金の総額は二千五百九十億五千万円ということになっているわけであります。このうち、大蔵省が所轄している国際開発金融機関とIMFが一千七百七十五億五千万円を占めておりまして、その他の国連関係の専門機関等を含むところに対して五百二十二億八千万円、また、その他に三百一億二千万円と、こういうふうな内訳になってきております。
 これにはさまざまな我が国の各関係省庁が実際に所轄をしてこうした拠出金を支出しているわけでありますけれども、私、調べて驚いたことに、これを一元的にきちんと管理して、どのような形で我が国政府がこれらの国際機関に幾ら、どういう目的で拠出金を出しているのかということを一元的に把握している省が、何と我が国政府の中にどこにもなかったわけであります。これでは説明責任も負えません。
 特に大蔵省などは非常に非協力的でございまして、実際にこうした情報を収集する際にも、例えば外務省の所轄などから大蔵省等にもこうした支出の内容についてその資料を出してほしいなどということを通常の事務的にお願いをしますと、大体断られてしまうようなことが多分にございまして、いわゆる官僚機構の中で縦割り行政が余りにも厳し過ぎて、彼ら自身の自主的な政策決定能力ではこうした一元的な把握ができないという、実はとんでもない実情があるんだということがわかってきているわけであります。
 したがいまして、こうした状況に対峙していくためには、やはり健全な意味での政治力というものが立法府の中で確立をされて、そして各縦割りの行政機関に対してこうした資料を的確にきちんと提示させ、そして全体像が国民の目からきちんとわかるように、その透明性を確保していくための機能というものを立法府として確立をしていきませんと、この問題を恐らく解決していくことはできないというふうに私などは思うようになっているわけであります。
 したがって、そういう状態ですから、それぞれ拠出金をばらばらに出しておりまして、合計で二千六百億近くもお金を出しているわけでありますけれども、全体としてどういう政策体系の中でそれぞれの国際機関が位置づけられて、しかるがゆえに幾らの拠出金が出されているというような、こういう全体的な整合性のとれた政策立案というのは全くされておりません。したがって、それをやはりきちんとやる必要があるというのがまず第一点。
 先ほど魚住先生の方から人権を中心とした新たな外交の指針というようなこともお話しになられましたけれども、やはりこうした政策全体をきちんと律する理念と政策概念というものをきちんとつくりながら、こうした国連関係機関に対する全体的な政策の体系化ということを健全な政治的な指導力に基づいて確立をしていく必要があるように思います。
 そして、そうしたことを実行していく上で、さらにやはり残念に思いましたのが、いかんせんその拠出金の拠出率に見合った邦人職員というのがこうした国際機関の中で十分確保されていない。また同時に、そうした邦人職員というものを官民がきちんと協力をしながら育てて、かつ送り込むという戦略的な仕組みが我が国の中に十分確立されていないという点であります。やはり今までは、官僚の人たちがこうした国際機関に出向するという形が余りにも中核を占めてきておりまして、そうした新しい時代に即応したNGOや民間の人たちを活用するという姿勢をこれからはもっと計画的に実施していくということが必要になってきておるというふうに考える次第であります。
 なお、こうしたNGOと国連関係機関というものを上手に組み合わせて、なおかつそうした理念に裏づけられた我が国の政策というものを実施していくということによって、実は初めて我が国の国際社会に対する貢献というものがしっかりとした顔の見えるものになってくるというふうに思います。
 私自身は、日本が物資でいろんな緊急援助などをするときに、そこに日の丸をべたべた張りつけて、これが日本の顔の見える協力だというふうな人が中にはいるわけでありますけれども、私はそんな表面的なことだけが日本の顔の見える国際貢献だなどとはとても思えないわけでありまして、こういう二十一世紀の国際社会の中で、やはり知的な面における日本の貢献というものに裏づけられた顔の見える日本の、国連関係機関を中心としたそうした政策の確立というものが求められる、そして、それは今の縦割り行政のもとでは実行できない、したがって、いかに立法府が健全な政治的なリーダーシップを発揮するかということが問われているということを申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○会長(井上裕君) ありがとうございました。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○会長(井上裕君) 速記を起こして。
○小林元君 ただいま会長からお話がありました民主党・新緑風会藁科委員の意見を代読させていただきます。
 まず第一に、今日の国連には、人口、人権、貧困、エイズ、地球環境など、地球的諸問題へのアプローチが期待されているにもかかわらず、その解決機能は著しく低下しており、また国連改革そのものも、これまでの有識者からの報告にあったように、さほど進展していない状況にある。
 そうした状況の中で、今秋の国連ミレニアム総会は今後の国連のあり方を決する分水嶺になると考えるが、この総会の持つ意義を高めるためにも、我が国は国連改革について最大限の努力を行うべきであろう。
 このためにも、政府首脳は、各国との首脳会議、特に七月に開催される沖縄サミットやそのときに持たれる二国間の首脳会議の場など、あらゆる機会をとらえて我が国の国連改革に向けた決意と展望を訴える必要がある。
 第二、秋の総会に向けたアナン事務総長の報告は、最重要課題として「不足からの解放」を位置づけており、その判断は適切なものと言える。しかし、冷戦終結後の国連の取り組みと実績を振り返ると、機構、機能、財政などの面で余りにも非力であると言わざるを得ない。また、国連はこの間、経済のグローバル化と情報技術革命が格段に進展したために生ずるさまざまな国際問題への対応も迫られている。そして、国連の機能を補完するものとして、市民社会との連携、特にNPOからの支援やNPOとの連携活動が不可欠なものとなってきている。つまり、国連の本来の機能を取り戻すための挑戦は、市民社会との連携強化と国連の機構改革が同時並行的に進められたときに初めて大きな効果を上げると言える。
 したがって、我が国としても、国連の諸活動におけるNPOの役割を重視し、その活動を支援する措置を充実することが重要であると考える。
 第三、国連における日本の役割を高める上で、安保理の常任理事国加入問題は重要テーマであるが、それは同時に、慎重な対応が必要とされる課題でもある。
 まず、手続的には国連憲章の改正という大きな壁が立ちはだかっているが、何よりもアジア太平洋地域を代表するという立場から、これらの諸国の合意を得ることが前提とならなければならない。したがって、国連内におけるさまざまな活動領域において、今後、我が国がより積極的な役割を果たしていくことが重要であり、常任理事国入りへの環境整備を図っていかなければならない。
 以上でございます。
○野沢太三君 自由民主党の野沢でございます。
 これまで各委員からそれぞれ貴重な御意見をちょうだいいたしておりますけれども、ほとんど私としても共感、共鳴をすることが大部分でございますが、これまでの議論と重なりもあろうかと思いますが、私なりの考えを申し上げてみたいと思います。
 国連が結成されましてから半世紀余りを経過してまいりまして、この間、やはり国連が果たした役割、特に世界の平和維持機構としての仕事では大変大事な役割を演じたのではないかと思います。
 冷戦の続いていた時代には、大国の対立から安保理そのものも余り機能しなかったという問題もございましたが、冷戦終結後はまた逆に、内戦、内紛あるいは民族的な対立等々でいわゆる国家間の安全保障としての国連のあり方というものがある意味で限界を来しまして、むしろこれからの国連の果たす役割というものは、国家とあわせましていわゆる国民あるいは人類という大きなやはり共通の立場で問題を解決する、平和を維持する、そして人間の安全保障といった面から問題のアプローチをする必要が出てきているんじゃないかな、かように思うわけでございます。
 その意味でも、今の国連がそれに十分こたえられる形にはなっていないと思うわけでございまして、やはりこれにふさわしい形に変えていかなきゃいかぬかな、こう思うわけでございますが、その意味での国連改革の第一の課題はやはり、各委員も御指摘のとおり、安全保障理事会の改革が大変大事ではないかと思います。
 これまでの五つの常任理事国を加えた十五という枠組みをもう少しふやして、地域なりあるいは当事者能力の大きい日本、ドイツ、こういった国をぜひ入れたらという声は出てきておりますけれども、なかなかこれがまとまらない。特に、地域問題としては、ドイツに対してはイタリーというカウンターパートがいるし、あるいはインドという候補については、先ほども田委員からも御指摘のとおりパキスタンという相方がいる。その中で日本は比較的共感、共鳴をいただいてはおりますけれども、日本だけというわけにいかない。
 大変厳しい立場にございますが、これまでどおり着々とほかにできることがたくさんあるわけでございます。ODAにしろ、あるいは始まってまだそう日はたっておりませんが、PKOによります地域の貢献、平和の維持、そういった面でのやれることがたくさんあろうかと思いますので、その面での役割を重ねながら、重層的な共鳴、共感の輪を広げることが今大事ではないかと思うわけです。
 その意味では、むしろ経済社会理事会が必ずしも機能していないというわけでございますけれども、この理事会を実効あらしめることが今後の国連改革の中では非常に重要ではないかと思うわけでございます。貧困の解消であるとか、あるいは地球環境への取り組みであるとか、あるいはNGOの参加、多くの委員が御指摘をされましたその協力関係をこういった面から厚くしまして、国連そのものの全体の力を高める、これがやはり大事な仕事であろうかと思います。
 信託統治の機構については一応役割は終わったということではございますが、いまだにまだ自力でいわゆる行政、政府というものを構築できないような場面の現象が時々起こっているわけでございます。その意味で、この機構はある意味で休止をして、新しい事態に対して模様がえをしながら対応したらどうかなと思うわけでございます。
 そういったそれぞれのパート、パートの問題もさることながら、一番やはり大事なのは、私は国連の総会の機能をしっかりここで再構築することが大事ではないかと。加入の数がふえまして百八十八というような状況の中で考えますと、一国一票制というもののあり方自体もひとつ再検討すべきことかと思いますし、総会はいわゆる意思決定という面では勧告ということに特化されておりますから、その面では見かけほど強くない、そういった面を少し決定という形で機能させるためにも、例えば財政問題の解決等については総会マターとしてしっかり物を取り決めるということが大事ではないかなと、こう思うわけでございます。
 それから、総会も国連の枠組みである国家の集まりという制約を脱し切れないわけでございますので、ここでも参考人の皆様から何人か御指摘をいただいておりますけれども、NGOの意見をくみ上げられるような組織、総会にしていったらどうか、こんな考えもあるわけでございます。その意味で、国連に血を通わせる、市民活動の活力を取り入れる意味でも、総会にそういった性格を持たせることも一つの改革の道ではないかなと、こう思うわけでございます。
 こういった大きな課題については、日本の意思だけではとてもできない問題がございますが、差し当たり日本が今具体的にできることを積み重ねていくことがやはり大事だと思います。そのためにも、横田参考人からも御指摘がございましたが、日本としてイニシアチブのとれる発言を絶えず発信、繰り返すこと、例えば通常兵器の移転登録問題であるとか、それから小渕総理も情熱を傾けられました対人地雷の禁止の問題であるとか、平和国家である日本でなければ言えない、やれないということが多々あろうかと思うわけでございます。
 その意味で、各機関の中で日本がやはりやってくれたと、対米追随などと悪口を言われないように独自の発言を繰り返し、それによって実績を築いていくということが大事であろうかと思います。
 同時にまた、日本の立場というのは、アジアというものを意識しまして、アジアのグループの皆さんの代弁をするということが日本としては大変期待をされているんじゃないかなと、かようにも思いますので、いわゆるG8というような枠組みとあわせて、アジアでの枠組みの中で日本が何ができるか、何を言うべきか、これを絶えず考えた発言を重ねていくということがまず第一にあろうかと思います。
 それをやる意味でも、明石さんとか緒方さんとか立派な方もおられますが、そういった方々が今後とも輩出するような人材の送り込み、育成、これをやはり積極的、組織的に図ることが大事かと思います。
 例えば、大学のコースからそういった国際公務員養成のコースをつくる、あるいは外務省の職員の中からある割合は国際公務員として振り向けるんだと、そしてまた、実践の場にそういった人たちを送りましてトレーニングを重ねる、そして、そういった皆様が将来また任務が終わって帰ってきたときには、国内で手厚くこれを遇する道もまた開いていかなければ、なかなか手が挙がらないと思うわけでございます。
 二%程度の今職員しかいないという中で二〇%の分担金ということでありますから、せめて一〇%くらいの職員を国連に日本が送り込む、このくらいのことはこれからの取り組み次第ではできることというふうに考えるわけでございます。
 それからもう一点は、やはり財政問題でございます。アメリカが滞納しているということ、アメリカ以外にもございますけれども、こういった国々に対して呼びかけましてこういった当面の滞納をなくすということもございますが、国連の負担金のあり方について抜本的な私は改革をしなくちゃならぬかなと。
 今の国連の負担金は、いわゆる応能主義といいますか、能力のあるところに今たくさんかけるという形でやっておりますので、アメリカが二五で日本が二〇でということでありますし、それから途上国については〇・〇〇一というんですか、まことにもう微々たる負担しかしないということであります。権限と義務、これはもう両方くっついているんだということからすれば、少なくとも常任理事国に入っている、そしてさらにそれに準ずる国については、一定の固定費負担をした上でなお経済の実力に応じた応能主義にするなどの改革が十分できるんじゃないかと思うわけでございます。
 その意味でも、もう少し合理的な権限と責任に見合った負担のあり方について日本から提言をしていく、同時に、日本もまたそれをしっかりと義務を守るということが大事かと思っております。
 それから、日本にできる仕事といたしまして大変大事なのは、先般皆さんと御一緒に参りました国連大学などの存在とその活用であろうかと思います。
 国連大学は立派なことをやっておりますけれども、なかなかこれが知られていないというような限界、そしてまた、学生をとれないということからして一定の識者だけしかこれを活用できないということもございますので、ひとつこれをもっと開かれた大学にし、そしてここを通して国際公務員の育成であるとか、あるいは日本文化の世界への発信などを含めて文化面で日本がより一層国際的な貢献ができることが、大変回り道のようで世界に対する理解を深める近道かと、かように思います。
 大変どうもありがとうございました。
○会長(井上裕君) ありがとうございました。
 他に御発言はございませんか。
 この際、河本英典君から先ほどの意見表明に補足したい旨の申し出がありましたので、これを許します。河本君。
○河本英典君 会長のお許しをいただきまして、最後に、今後の調査等につきまして、意見といいますか要望を申し上げておきたいと思います。
 各調査会では、現在三年に一度の海外調査が行われておりますが、安全保障、国連問題など刻々と変化する国際情勢の重要課題を扱う本調査会では、毎年の海外調査が大変有意義であり、かつ不可欠のものと考えます。
 この問題につきましては、理事会等で各会派間の意見の一致を見ておりますが、さらに関係方面に本調査会の毎年の海外派遣の実現について改めて強く要望しておきたいと思います。
 本調査会は、二年目に「国連の今日的役割」について精力的に調査を進めてまいりましたが、それは国連本体の活動についての調査にとどまっており、経済社会理事会を通じ国連と連携関係にある専門機関には及びませんでした。
 専門機関には、ILOやWHOのように社会問題を扱う機関から、ユネスコのように文化を扱う機関まで多様な機関があります。これらの現状と課題、今後の展望と我が国の貢献に関しましても調査を進め、本調査会の調査をさらに幅広く充実したものにするためにも、三年目も引き続き国連の調査を行うように要望しておきます。
 以上でございます。
○会長(井上裕君) それでは、今の要望でございますが、私の方に一任させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。──はい。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十九分散会