第149回国会 国民福祉委員会 第1号
平成十二年八月九日(水曜日)
   午前八時四十七分開会
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   委員氏名
    委員長         狩野  安君
    理 事         田浦  直君
    理 事         勝木 健司君
    理 事         山本  保君
    理 事         小池  晃君
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                久野 恒一君
                中曽根弘文君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                山崎 正昭君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                松崎 俊久君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
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   委員の異動
 八月九日
    辞任         補欠選任   
     勝木 健司君     久保  亘君
     佐藤 泰介君     石田 美栄君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                勝木 健司君
                柳田  稔君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                久野 恒一君
                中曽根弘文君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                山崎 正昭君
                石田 美栄君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                松崎 俊久君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     津島 雄二君
   政務次官
       厚生政務次官   福島  豊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       文部省体育局長  遠藤純一郎君
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省生活衛生
       局長       西本  至君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
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  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
〇政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障等に関する調査
 (臓器移植に関する件)
 (雪印乳業食中毒事故に関する件)
 (長崎における原爆被爆地域の見直しに関する
 件)
 (社会保障制度改革に関する件)
 (HACCP制度に関する件)
 (アレルギー性疾患対策に関する件)
 (介護保険の施行状況に関する件)
 (児童に対する性的虐待の防止に関する件)
 (無認可保育所に関する件)
 (社会福祉施設等における食中毒予防に関する
 件)
○理事補欠選任の件
○介護保険の緊急改善、医療費自己負担引上げ反
 対に関する請願(第五九号)
○在宅介護利用料の引下げ等介護保険の緊急改善
 に関する請願(第六〇号外二件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件

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○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る七月二十七日、中原爽君が委員を辞任され、その補欠として中曽根弘文君が選任されました。
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○委員長(狩野安君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、社会保障等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(狩野安君) この際、津島厚生大臣及び福島厚生政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。津島厚生大臣。
○国務大臣(津島雄二君) 厚生大臣に就任いたしました津島雄二でございます。
 厚生行政という国民の皆様の生活に直結した分野を預かることとなり、その重責に身の引き締まる思いでございます。
 我が国におきましては、現在ほど社会保障の将来が問われているときはなく、我が国経済全体の動向とも調和を図りつつ、社会保障制度を国民の新たな需要に対応し将来にわたって安定的なものとすることが急務となっております。
 今後の社会保障については、給付と負担のあり方などが重要な課題であると認識しており、当委員会における御議論や各党のお考えを十分にお聞きするとともに、さきに総理のもとに置かれた社会保障構造の在り方について考える有識者会議での御議論も踏まえ、このような課題について検討を進めていく考えであります。
 また、さきに総理が示された日本新生プランにおきましても、社会保障の新生が一つの柱として位置づけられているところであり、担当大臣として、国民の合意形成を大切にしながら、将来に向けて安定的かつ効率的な制度の構築に全力を挙げてまいります。
 以下、厚生行政の主要施策について申し上げます。
 まず、医療制度につきましては、今後の急速な高齢化などによる医療費の増加を考えると、その抜本改革は避けて通れない課題であります。さきの国会において審議未了のため廃案となりました健康保険法等改正案及び医療法等改正案については、老人定率一割負担の導入や医療提供体制の見直しなど抜本改革に向けた第一歩であり、その早期実現を期してまいりたいと考えております。また、高齢者医療制度の見直しなどの課題についても全力を尽くしてまいります。
 介護保険につきましては、関係者の皆様方の御努力によりまして、本年四月からおおむね順調に実施されています。今後、現場の御意見に耳を傾けながら、国民の皆様とともに介護保険制度をよりよいものに育ててまいります。また、本年十月からは六十五歳以上の方々からの保険料の徴収も開始されることとなり、改めて介護保険は国民皆で支える制度であることについて国民の皆様に御理解をいただき、その円滑な施行に努めてまいる所存です。
 年金制度につきましては、本年三月に成立した年金制度改正法の円滑な施行と制度の長期的な安定に努めてまいります。また、老後の所得確保の一層の充実のため、公的年金に上乗せされる確定拠出年金制度の早期導入に全力で取り組んでまいります。
 少子化への対応につきましては、昨年末に少子化対策推進関係閣僚会議におきまして策定された少子化対策推進基本方針に基づき新エンゼルプランを策定したところであり、低年齢児の受け入れの拡大を初めとする保育サービスの充実など、総合的な少子化対策の一層の推進に取り組んでまいります。
 社会福祉制度につきましては、さきの国会において成立した利用者本位の制度の確立を目的とする社会福祉事業法等の改正法の円滑な施行を初め、社会福祉の増進のために積極的に取り組んでまいります。また、障害者の自立と社会参加を促進するため、障害者プランの推進に積極的に取り組んでまいります。
 食品の安全性につきましては、食中毒の防止に万全を期するとともに、遺伝子組みかえ食品、食品添加物などに対する国民の不安が解消されるよう食品保健対策の充実を図ってまいります。特に、雪印乳業の製品による食中毒事件につきましては、まことに遺憾であり、被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げます。厚生省としては、省内に対策本部を設置するとともに、全国の雪印乳業の工場に担当官を派遣して、衛生管理について確認を行ったところであります。今後、対策本部における検討結果を踏まえ、このような事故の再発防止に努めてまいります。
 廃棄物対策につきましては、循環型社会を構築するため、廃棄物の減量化やリサイクルを推進し、廃棄物の処理体制の整備に取り組んでまいります。
 保健医療行政につきましては、結核やインフルエンザなどの各種感染症対策に積極的に取り組んでまいります。特に、インフルエンザによる高齢者の死亡などが社会問題となったことから、その予防接種を推進するための施策に取り組んでまいります。
 医薬安全行政につきましては、医薬品などの安全性や有効性の確保に最大限の努力を重ねるとともに、血液事業の見直しを進めてまいります。
 このほか、関係者の高齢化を踏まえた援護施策の充実、慰霊事業などの実施、国立病院・療養所の再編成の推進などにも努めてまいります。
 さらに、医療福祉分野におけるIT革命の推進に取り組むとともに、次世代の先端科学や医療技術の活用により、働き盛りの国民に対する脅威である、がん、心臓病の克服と、寝たきりや痴呆にならない健康な高齢期の実現を目指してメディカルフロンティア戦略を推進してまいります。
 私は、これらの重要な課題に対し、委員各位の御指導を得て、全力で取り組んでまいりたいと考えております。今後とも、皆様のなお一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、私のごあいさつとさせていただきます。
○委員長(狩野安君) 福島厚生政務次官。
○政務次官(福島豊君) 先般、厚生総括政務次官に就任いたしました福島豊でございます。
 政務次官の役割が一層重要となっている中で、国民に最も身近で重要な分野である健康や福祉あるいは社会保険を担当することとなり、日々その責任の重さを痛感いたしております。
 厚生行政は、未曾有の少子高齢社会となる二十一世紀を目前に控え、経済社会の活力を維持しながら国民が安心して生活できる福祉社会を築くという大きな使命を担っております。私も、大臣を補佐し、厚生行政の推進に誠心誠意努力してまいる所存でございます。
 簡単ではございますが、最後に委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、私のごあいさつとさせていただきます。
 よろしくお願いをいたします。
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○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障等に関する調査のため、本日の委員会に文部省体育局長遠藤純一郎君、厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省生活衛生局長西本至君、厚生省社会・援護局長炭谷茂君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省児童家庭局長真野章君及び厚生省年金局長矢野朝水君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(狩野安君) 次に、社会保障等に関する調査を議題といたします。
 この際、臓器移植に関する件につきまして、津島厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。津島厚生大臣。
○国務大臣(津島雄二君) 臓器の移植に関する法律に係る附帯決議に基づき、臓器移植の実施状況等について御報告いたします。
 臓器の種類ごとの移植実施数としては、平成十一年度におきましては、脳死下及び心臓停止下における移植を合わせて、心臓は三名の提供者から三件の移植が、肺は一名の提供者から二件の移植が、肝臓は三名の提供者から三件の移植が、腎臓は八十二名の提供者から百四十八件の移植が、角膜は九百九十七名の提供者から千五百九十一件の移植が行われております。
 また、脳死した方の身体からの臓器提供につきましては、法施行から本年七月末までの間に九名の方からの臓器提供が行われております。
 臓器の種類ごとの移植希望登録者数は、本年六月末現在、心臓は四十二名、肺は十七名、肝臓は三十一名、腎臓は一万三千二百二十二名、膵臓は二十六名となっており、角膜につきましては、本年五月末現在、五千四百九十名となっております。
 脳死下での臓器提供施設につきましては、厚生省が作成した指針に基づく条件を整備した施設として、本年四月十五日現在、三百二十四施設がこれに該当しております。移植実施施設につきましては、本年六月末現在、心臓は三施設、肺は四施設、肝臓は八施設、膵臓は十三施設、小腸は九施設となっております。
 提供された臓器の移植を受ける患者の選択につきましては、厚生省が作成した移植希望者選択基準等に基づいて行われております。
 臓器移植の推進に当たって重要となる臓器提供意思表示カード等につきましては、厚生省では社団法人日本臓器移植ネットワークとともにその普及を図っており、本年六月末までに臓器提供意思表示カードは約六千九十三万枚、運転免許証用シールは約七十八万枚、医療保険の被保険者証用シールは約千百五十四万枚を配布しております。
 脳死下での臓器提供につきましては、一例目から四例目までの事例は公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会において検証が行われたところですが、五例目以降の事例につきましては、少なくとも臓器移植が一般の医療として国民の間に定着するまでの間、事後的に第三者の立場による検証を行うため、脳死下での臓器提供事例に係る検証会議を開催することとなったところであります。
 なお、これまでに脳死した方からの心臓の提供により移植手術を受けた五例については、すべて御存命であり、生着率、生存率が一〇〇%となっております。
 以上、御報告申し上げるとともに、厚生省としては、今後とも移植医療の推進に努めてまいる所存でありますので、委員の皆様におかれましては御理解を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(狩野安君) なお、本日、厚生省から提出されております報告書につきましては、これを会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 引き続き、雪印乳業食中毒事故に関する件につきまして、福島厚生政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。福島厚生政務次官。
○政務次官(福島豊君) 雪印乳業食中毒事故について、お手元にお配りをいたしました資料に沿って御報告をいたします。
 まず、今回の雪印乳業食中毒事故において被害を受けられた多くの方々に、心からお見舞いを申し上げます。
 今回の事故については、食品の安全性を所管する厚生省として、まことに遺憾であり、二度と起きてはならないと考えております。
 事故の概要でございますが、今回の食中毒事故は、六月二十七日以降雪印乳業大阪工場が製造した低脂肪乳等を喫食した消費者が嘔吐、下痢等の症状を呈したものであり、一万四千七百八十八人が体調不良を訴え、百九十五人が入院するなど大規模な被害となりました。
 原因物質は、黄色ブドウ球菌の毒素であり、大阪市は、低脂肪乳等について回収命令を行うとともに、当該工場に対して営業禁止処分をいたしました。また、雪印乳業においては、全国二十工場の操業を一時停止し、第三者機関による自主点検を実施いたしました。
 今回の雪印乳業大阪工場の衛生管理上の問題点としては、一、逆流防止弁の洗浄不良、二、仮設ホースによる配管の使用、また同ホースの洗浄不良、三、温度管理が行われていない屋外での脱脂粉乳溶解機による調合作業、四、品質保持期限切れのおそれのある製品の再利用、五、HACCPの虚偽申請が挙げられているところであります。
 厚生省の対応状況でありますが、関係自治体に協力して被害拡大の防止と原因究明に努めるとともに、再発防止策と全国の乳処理施設の安全点検を早急に進め、乳製品に対する消費者の信頼の早期回復を図るよう努めてきたところであります。
 具体的には、六月二十九日に大阪市からの連絡後、直ちに雪印乳業本社に対して自主回収の徹底等を指示いたしました。六月三十日には担当官を現地に派遣いたしております。そして、七月七日には政務次官及び生活衛生局長による現地調査の実施を行いまして、同日、生活衛生局長を本部長とする雪印乳業食中毒事故対策本部を設置いたしました。
 前後いたしますが、全国の乳処理施設の緊急一斉点検の指示を七月三日に行っております。そして、引き続く七月十四日に雪印乳業大阪工場に対する総合衛生管理製造過程(HACCP)承認の取り消しをいたしました。そして、七月十九日から二十三日、また七月二十七日から三十一日にかけまして、雪印乳業の乳処理施設、全国で二十工場ございますが、現地調査を実施いたしました。
 このように迅速な対応を講じてきたところでございます。
 ここで、全国の乳処理施設の緊急一斉点検については、七月二十四日に最終報告を取りまとめたところでございますが、現在操業中の全国七百四十七施設については衛生上大きな問題が認められなかったことを確認いたしました。なお、記録の実施等の衛生管理上の不備が指摘をされた施設については、八月中を目途に早急に改善させるよう指示をいたしました。
 また、雪印乳業の乳処理施設二十工場については、自主点検後に厚生省職員による現地調査を実施し、専門評価会議での評価を踏まえ、厚生大臣から安全性確認の発表を八月二日に行ったところであります。これにより、操業を停止していた雪印乳業の乳処理施設におきましては、専門評価会議での指示事項について確認を経た後、順次操業が再開されているところであります。
 今後の対応につきましては、
 一、雪印乳業の乳処理施設二十工場については、引き続き厚生省担当官が年内に二回立入検査を行い、指摘事項の実施確認を行うこととしております。
 二、また、雪印乳業以外の全国の乳処理施設において、今回の一斉点検で指導した施設については、改善の終了を八月中に確認することといたしております。
 三、次に、HACCP承認制度については、承認審査の方法の改善や、地方厚生局に専門職員を置いて行う現地調査、承認後の定期的な監視の充実、専門家による助言機関の設置等、一層の充実を図ることといたしております。
 四、さらに、HACCPについては、自主的衛生管理の手法であることから、企業の経営トップに対する指導やHACCP対象業種ごとの食品衛生講習会の開催を行うことといたしております。
 五、その他、加工乳等乳製品の再利用のあり方につきましては、有識者による検討会において検討することといたしております。
 六、なお、本件については、食中毒事故原因の原因調査の最終報告書がいまだに出されておりませんので、厚生省といたしましても、大阪市に全面的に協力をいたしまして、早急に取りまとめることといたしております。
 以上、御報告申し上げますとともに、厚生省としては、今後とも食品衛生の推進に全力で努めてまいる所存でありますので、委員の皆様におかれましては、御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
○委員長(狩野安君) これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○田浦直君 おはようございます。自由民主党の田浦直でございます。
 きょうは八月九日ということで、長崎の原爆記念日でございます。私も被爆者でございまして、三千八十メーターのところで被曝をした者でございます。そんな関係もありまして、きょうは長崎の原爆の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。時間が余りございませんので、もう単刀直入、核心からお尋ねをさせていただきます。
 平成三年に残留プルトニウムの調査を厚生省がされまして、その結果、長崎の原爆の中心地から東側の方にプルトニウムが残っているという結果が出ておるんですね。ところが、長崎の被爆指定地は南北の方に十二キロ、東西に七キロというふうなことで、この残留プルトニウムからいいますとちょっと矛盾しているんじゃないかというふうに思うわけです。東の方向に風が吹いて、これはもう原爆の当時の長崎測候所の記録にも載っておるんです。残留プルトニウムもそれを裏づけていると思うんですね。
 ところが、その地域の方々が被爆地として指定されずに、今回のプルトニウムの調査で出ていないところが指定されているというふうな結果になっておるわけでございまして、私はぜひこの点を是正していただきたいというふうに思うんですけれども、まずそれについて大臣からのお答えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) みずから被爆経験をお持ちになり、また医療の専門家である田浦先生の御質問でございます。
 今の長崎の指定の問題でございますが、三十二年に原爆医療法が制定されまして、その当時の地形も考慮し、爆心から連続している行政区域単位で被爆地域として指定したものでございますので、これは原爆放射線の広がりや人体影響に関する科学的な知見が蓄積されていない当時の状況下のやり方であったと思っております。
 御指摘の残留放射能プルトニウム調査報告書、平成三年でございますけれども、これで東部地域で現在指定されていない地域においての残留プルトニウムが有意に高い値が認められたとの報告もされておりますけれども、現在の知見によりますと、その値は健康に影響を及ぼす程度のものではないとされておるところであります。
 被爆地域の指定にはさまざまな経緯がございますけれども、基本的には科学的知見などによって判定をしなければならないというものでございまして、この意味では、今回の要望地域と既に指定された地域との間で指定に対する考え方が整合性に欠けるじゃないかという御説もございますけれども、私どもとしては、特にここは矛盾をしているものではないというふうに考えておるところでございます。
○田浦直君 過去の指定は行政区域によってやったということなんですね。だから、今回の調査で出ていないところもその指定に入っているんだと。そうしますと、今回の調査でプルトニウムが出ているところの住民の方々からいえば、それは行政として不公平じゃないか。自分たちのところはプルトニウムがたくさん残っておる、しかし残っていないところは指定する、これではやっぱり行政として大変私は不公平ではないか。住民としては、是正してほしいという希望あるいは声は当然あるんじゃないかなというふうに思うんですね。
 私は、政治も行政もやっぱり国民あるいは住民に対して公平でないといかぬと思うんです。まずその点について、行政としてそれでいいのかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 現在の考え方は、科学的な知見によって判断をするということになっておる。その一方で、かつて昭和三十二年に指定をいたしましたときは行政単位でやったというところから、今、委員が御指摘のような食い違いがあるじゃないかということであろうかと思います。
 要は、これまでの蓄積された科学的知見によりまして判断をするということから申しますと、平成三年の調査は残留放射線量による影響は認められないと結論づけておるものでございまして、調査のやり方におきましても、実施されたサンプリング方法も専門的に見ても妥当なものでございますので、科学的に調査報告書は信頼できる内容であると考えざるを得ないわけであります。
 そういう意味におきまして、今、地域指定を変えるという結論にはつながらないというふうに私どもは考えておるところであります。
○田浦直君 私は、先ほどから述べましたように、それではやっぱり住民に対して不公平ではないかということを一点申し上げておきます。
 それから、残留プルトニウムの健康に対する影響ということですが、実は私は残留プルトニウムの調査をするというときに反対をしたんです。戦後五十年ですよね。その五十年後に長崎の何十カ所かの土地のプルトニウム残留量を調査して、その結果、それが本当に人体に影響があるのかないのかという判断を本当にできるのかどうかということなんですね。
 私は逆に、五十年たってもプルトニウムが残っておる地域がたくさんある、このことに驚いたぐらいなんです。それが健康に影響があるのかないのかということは、そう簡単に私は決められる問題ではないと思うんですね。出ているのは二十シーベルトという数字が出ているわけです。これはもう五十シーベルトだと健康に害があって、がんが発生するという数字になっているんです。その辺が私はちょっと厚生省の判断が早過ぎるんじゃないか、あるいはちょっと正確ではないんではないかというふうに思うんです。
 そういうふうな意味を含めまして、本当に黒い雨が降って、放射能が残って、そしてそこで何人もの方々が亡くなっているんですよ。そこの地域が指定されないで、そして今度調べてみたら、全然出ていない、恐らく当時は放射能がたくさんあったかもしれません、でも残っていない、そこの地域は指定されている。それでは住民として、やっぱりこれは不公平だという声が上がるのは当然じゃないかと、こういうふうに私は申し上げておるところなんです。
 もう時間もございませんから、住民あるいは国民のそういう行政に対する不公平さということについて、この被爆地を指定しないというふうな厚生省のかたくなな姿勢で本当にこれは国民の理解を得られるのかということを申し上げて、最後に大臣から御所見などをお伺いさせていただければと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 確かに委員御指摘のとおり、三十二年当時の指定は地形を考慮しつつも行政区域で決めておりますから、御承知の長崎市のあの形からいいますと、被爆地域の指定として科学的知見と完全に整合しているかどうか、これは議論のあるところでございます。
 しかし、原爆放射線の広がりやその人体に対する影響ということになりますと、それは私もやっぱり全くの素人でございまして、専門家による科学的知見がどのように蓄積されてきたか、その結果としてどういう御判断が専門家によって行われているかということは、これは尊重せざるを得ないのは私の立場でございまして、そういうことから申しますと、地域指定を変更することは難しいのではないかと。被爆者援護法を立法いたしましたときも、あくまでも原爆放射能に起因する健康被害に着目して援護策を講じてほしい、こういうことでございますから、その原爆放射線に関する科学的知見によって判断をせよと、こういうふうに私どもは受けとめざるを得ないと思っております。
 なお、今回、長崎市を中心として原子爆弾被爆未指定地域証言調査報告書というものが出されておりまして、今、委員が御指摘のような指定地域以外に起こったことについて改めて資料が出されておりますが、これを貴重なものといたしまして、詳細に調査研究をさせていただきたいと思っております。
○田浦直君 終わります。
○入澤肇君 私も長崎原爆のことにつきまして若干御質問を申し上げたいと思います。
 きょうは八月九日で、一瞬にして七万四千名のとうとい生命が失われたわけでございますので、まず犠牲者の冥福と、また現在苦しんでいる方々に対するお見舞いを申し上げたいと思います。
 今、田浦委員から現場の実態に基づく御質問がございました。それから、私は、田浦委員がこの前にこの国民福祉委員会において質問された議事録も読ませていただきました。今の大臣の答弁は、みずから矛盾を認めているんじゃないかと思うんです。
 この長崎の原子爆弾は上空五百メートルの高さで爆発して、この被害は爆心地から同心円上に半径約十二キロにわたって被爆地と同程度の被害があったというふうに地元の専門家の方々は見ております。ところが、実際の地域指定は行政区域を単位に指定されたと。私も地図を見ましたけれども、山を越えないでまさに直接放射能が直進するような地域が指定されていないで、山を越えたところで指定されている。黒い雨が降ったところで指定されていない。非常にこれは矛盾しているんじゃないかと思います。
 科学的、合理的な根拠に基づいて指定するということであれば、放射能の性格そのものを十分に検証した上で、その上で指定するべきであって、行政区域で指定すること自身が科学的、合理的根拠がないというふうに言わざるを得ないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 入澤委員の御指摘の点は私は別に否定はしておりません。行政単位でやった、あのときは科学的知見を集積した上でやったものだと。それはそのとおりでございます。
 ですから、今いろいろの知識が集積をされてきたときにどうしたらいいのかということについては、先ほどから申し上げましたように、昭和五十五年に取りまとめられた被爆者対策基本問題懇談会意見によって、科学的、合理的な根拠のある場合に限って指定をすべきであるという方針を踏襲をして、させていただく以外にはないわけでございます。
 これはまた、現行の被爆者援護法制定のときの衆議院厚生委員会の附帯決議でも御決議をいただいておりますので、その方針で処理をさせていただきたいと思います。
○入澤肇君 非常にくどいようなんですけれども、昭和五十五年の原爆被爆者対策基本問題懇談会、この報告書で言及されている科学的、合理的根拠、一説によりますと土壌調査だけでやっているような感じがするんですけれども、具体的な内容としてはどんなものが考えられているんでしょうか。これは福島政務次官で結構です。
○政務次官(福島豊君) お答えいたします。
 科学的また合理的根拠としまして、原爆に由来する放射能を身体に直接に健康影響を与える線量以上住民が被曝したと推定されること、そしてまた住民に放射能によると推定される健康影響が実際に存在するということの二つの要素が必要であると考えております。
 具体的には、身体に健康影響を与える線量といたしましては十五センチグレイ程度でありまして、これは爆心地から約二・〇キロメートル地点のものでございます。また、放射能によると推定される健康影響につきましては、長崎原爆残留放射能プルトニウム調査で実施をいたしました土壌中の残留プルトニウム量の測定値も信頼ができ、科学的、合理的根拠となり得ると考えております。その調査による測定値におきましては、拡大要望地域の残留放射能は最大二・五センチグレイで、五十年間の自然放射線被曝または医療放射線被曝の四分の一程度であると評価ができるわけでございます。
 以上でございます。
○入澤肇君 そうしますと、この間、長崎県の原爆症認定訴訟で松谷さんが最高裁まで行って勝ちましたね。一審、二審は松谷さんが勝ったんですけれども、厚生省が最高裁まで上告した。
 一審、二審の考え方の理由の中に「相当程度の蓋然性があれば良い」としたのが、今度の最高裁では「高度の蓋然性を証明することが必要」ということを認めて、要するに原告の立証責任のハードルを高くとらえながらも、「放射線に原因があるとの認定を導くことも可能であって、それが経験則上許されないとまで断ずることはできない」というふうに結論づけて、要するに国の主張を退けているわけです。その科学的、合理的な根拠に基づいて地域指定したということ、その後に出てきたこの松谷さんの勝訴、これとは今の説明は違うわけですね。
 そうすると、この裁判の結果を受けて、今、長崎県、長崎市が挙げて地域指定を拡大してくれと、これ以上拡大する必要はないんだけれども今要求している分野までは最低限拡大してくれという非常に熾烈な要求をしておりますけれども、この裁判の結果を受けて見直すことが行政としては公平だし、適切な判断じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 最高裁の裁判はそのとおりでございますけれども、これはもう委員もすぐおわかりのとおり、裁判はあくまでも個別の事案について判定をされたわけでございまして、例えばこのほかにも判定を不服として司法手続で争っておられるケースは幾つかございます。そういうケースについても松谷判決があるからすぐというふうに私どもは受けとめておらないので、それぞれの方の個別の状況に応じて最高裁判所の判断の基準に照らしてどうなのかという議論がこれから行われるであろうと思っております。まして、一般的な地域指定について、松谷裁判が大きな政策の変更を示唆しているとは私どもは考えておりません。
○入澤肇君 これは水かけ論になるんですけれども、行政区域で指定したこと自身が非常に科学的、合理的でないと私は主張しているんです。その点を私は認めるか認めないかということが今回の問題、焦点だと思うんですね。これはやはり放射線ということの化学的な性質に基づいて指定すべきなんであって、行政区域で指定するということ自身が間違っているんじゃないかということを主張しているわけであります。
 では、例えば対象地域を仮にふやすとしますとどのくらいの人が今度は認定されるようになり、法律の救済の対象になり、どのくらいの財政負担がふえるんでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 今の数字については参考人から御聴取をいただきたいんですが、まず申し上げたいのは、先ほどから申し上げているように、最初の地域指定が科学的であったとは私は申し上げておりません。しかし、これからのやり方については科学的にやりなさいと、こういうふうに附帯決議でも言われておりますからそれに沿ってさせていただきたいと、こう申し上げているわけであります。
○入澤肇君 では、ぜひ、これからのやり方について、どういう科学的、合理的な根拠を求めて地域指定をし直すのかわかりませんけれども、地元の皆さん方の御要望を踏まえて、納得がいくような解決策をとっていただきたいと思うのであります。
 この放射線の問題というのは、例えば旧ソ連のチェルノブイリ原発事故におきましても放射能汚染の範囲とかその程度、それから住民の健康状態等に関して非常に不明な点があったというふうに私も論文でも読んでおりますし、テレビでも拝見いたしました。こういうふうなことを考えますと、放射線の影響に関する科学的知見といってもなかなか不確実な部分が現時点ではあるんじゃないかと思うんです。
 ですから、地域指定の範囲をどうするかについて、私も明確なことは言えないし、それからまた行政当局もなかなか一定の判断を下す以外ない、割り切る以外にないというふうな立場をとらざるを得ないというのはわかるんですけれども、地元の方々が非常に苦しんでいるという状況を踏まえまして、二十世紀で起こったことですから、二十一世紀に引き延ばさないようにぜひ善処されることを望んでおきたいと思います。
 それから、次にもう一点、HACCPについてお聞きしたいと思います。
 雪印乳業の問題につきまして、さっきHACCPの話がありました。私は、不明ながら、HACCPというのは単にハードの問題だけじゃなくてソフトの問題も含めているというふうなことは理解したんですけれども、HACCP自身、ハードそのものの中に自動的にいろんな警告システムが入っているんじゃないか。例えば、バルブのところで菌が発生しているとセンサーが働いて、中央のコンピューターのコントロールセンターに出てくるんじゃないかなというふうなことも考えたんですけれども、どうもそこまで行っていないようでございます。
 ぜひ精度を上げるために、ハードの部分で人間の不注意によってHACCPのこの制度が十分な機能を果たさなくなるということのないように、十分な機能を果たすように研究開発を進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか、福島政務次官。
○政務次官(福島豊君) 先生御指摘のように、HACCPの運営に関しての充実強化を今後とも図っていかなければいけないというのはそのとおりだと思います。
 HACCP自体が食品衛生管理のための一つのシステムを規定するものでございますから、まずはその人的な側面、適切な管理が行われているのかというところを強化する必要もあるところでございますけれども、先生御指摘のように、機械で、ハードでカバーできる部分が拡大するのであればそれは大変結構なことであるというふうにも考えますし、その面での研究というものを進めていく必要があると、そのように思います。
○入澤肇君 終わります。
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 厚生行政、社会保障制度の全般が非常に大変な時期に大臣、政務次官に就任されましたお二人の先生には本当に御苦労さまでございますと、お祝いよりもむしろ、非常に大変な時期に大変なお仕事を引き受けられたということで、まず、同情というのはおかしいんですけれども、一緒に頑張らせていただきたいと思って、そういう意味ではある意味のエールを送りたいと思っております。
 さて、私は質問の順番を変えまして、今お二人の先生から長崎の原爆被爆地の健康診断特例区域の拡大の問題が出ましたので、私も実はこの質問を準備してまいりましたので、続けてやらせていただきたいと思います。
 今、先生方がお話しになりました、今お配りいたしましたこの図面を見ていただくともう一目瞭然だと思いますけれども、一番外側の東と西にある黄色い地域が健康診断の特例区域に指定されていないんですね。縦長に指定されていて、東と西が同じ距離にありながら指定されていない。しかも、東側の地域は、先ほど田浦先生のお話のように、当日、東へ風が吹いていたという地域だと。これを見ただけで非常に不公平な行政が行われてきているということは一目瞭然だと思うんです。
 その経緯については、先ほど大臣の御答弁のように、昔は行政区域でとりあえず指定したと。しかしその後、これは科学的にということで残留プルトニウムをはかったりなんかやってきた結果、これ以上の指定は難しいんだというのも一つの行政の手法としてわからないわけではないんですが、しかしこれはどう見ても、地元の人だけではなく私たち現地にいない人間にとってみても余りにおかしいなと。では、この黄色い地域にいる人たちが何の被害も受けていない、何の訴えも持っていないというならばともかく、そうでないということが非常に問題だろうというふうに思います。
 さて、そこで質問の第一なんですけれども、実は先ほどの入澤委員の質問に対して、松谷判決は個別の問題であって、この地域指定というのはそう関係ないんだ、影響を受けないと。私は、大臣、これはとんでもない暴論だと思うんですよ。個別の事象事象を積み上げる中で、それが一般化できるのかどうか、そこに学ぶべき教訓がないのかどうかということからやはり行政のあり方を考えていかなければならないと思うんです。
 この七月十何日でしたか、松谷訴訟の判決が出た後、各界から、厚生省の認定業務について見直すべきだと。非常にかたくななある一つの方式に従って頑固にやって、結局認定が非常にされにくい、だから認定の申請を出すことすらあきらめている被爆者が多い、この姿勢を改めろという声がほうはいとして巻き起こっているわけですね。
 科学的、科学的とおっしゃいますけれども、ある時点で一応決めた、そしてそれが今正しいかどうか本当のところはわからない基準だけでかたくなにずっと続けている。このことが問われたわけですから、私は今度の認定の問題でも、科学的であるということは公平という意味でも大事なことだと思うんですね。大事なことだと思います。だけれども、この科学的ということは時代とともに変わることがあるわけですから、やっぱり考え直すべきじゃないかと思うんです。
 特に、最近はヒトゲノムの解析などが進みまして、発がんのメカニズムとか発病のメカニズムもだんだん明らかになってくると思うんです。そうしますと、単に残留放射能がどうだった、あるいは爆心のところから距離がどうだったから放射能はこうやって逓減するんだと。ある意味でいったらそれは科学的かもしれませんけれども、そういうことにこだわること自身が問題だろうと思うんです。
 大臣、松谷判決を受けての、これも被爆地域というか健康診断特例区域の拡大の要望なんです。このことについて一切変更がないという理由についてもう一度お聞かせいただきたいんですが。
○国務大臣(津島雄二君) 最初に、難しい厚生行政の担当になったことについて御理解をいただいたこと、ありがたく、これからもどうか御叱責を賜りますようにお願いを申し上げます。
 さて、長崎の健康診断特例区域の拡大の問題、先ほどからの御質疑にお答えしておるわけでありますが、松谷さんのケースについては最高裁の判決の内容についても大体理解しておるつもりでございますけれども、ここでは原爆放射能にその松谷さんの障害が起因しているかどうか、それからその治癒能力について放射能の影響を受けたかどうかということが争われて、その個別のケースについて、最高裁判所は高度の蓋然性を証明するという立場からいってもそれは関連が認められるという結論を出したと承知をいたしております。
 それはそれといたしまして、今問題になっておりますのは、健康診断特例区域の拡大が必要かどうかということでございまして、このことについては、先ほどから何度も申し上げておりますように、拡大についての科学的な根拠があるかどうかを確かめてやりなさいと。これは、立法府における附帯決議でも私ども指示をされておるわけでありますから、だからそのような科学的知見に従ってどうかということで、私どもは拡大をするという結論は導くことができないということを申し上げたわけであります。
 なお、委員御指摘の特例区域外にいろいろまだ問題があるではないかというお話につきましては、今回長崎市が中心となって取りまとめていただいた証言調査報告書がございますので、これを丹念に検討して勉強をさせていただいているというのが現状でございます。
○今井澄君 そのことなんですが、ここに「聞いて下さい!私たちの心のいたで」と。心の痛手だけではなく身体的なことについてもありますが、今、大臣からお話がありましたように、この調査ですけれども、昨年の四月からことしの三月にかけて長崎市内の七千八十二人、それからそれ以外のところでは去年の暮れからことしの三月にかけて千六百十八人、合計八千七百人を調査して、そのうちで七千八十六人から回答があった。うち三百十二人については専門の精神相談員等、専門の人の面接調査をして、それでこの証言集ができているんですね。これを大臣も多分全部ではなくてもお読みになったと思いますが、私も読みましたが、非常にショッキングなことが書いてあるんです。
 「どこの屋根も塵灰が降りつもり、茶褐色に染まって」いたとか、「黒煙が私達の上空を覆った時間はかなり長い間と記憶しています。」とか、「家の前の道路をゾロゾロと怪我をした人やらまっ黒にやけた人とかぼろぼろにやぶれた着物の人たちがずっと歩いていました。それからは家の広い縁がわはその人達で一杯になりました。」「怪我をした人の手当をしてやったりして喜ばれたのを嬉しく思っています。」。明らかに被爆直後の人と接触をしているわけですね。さらには、旅館に大勢収容されて亡くなった方を海岸で焼いたとか、こういう証言まであるわけですよ。
 そうしますと、この地図を見ても明らかなように、明らかに被爆地の人であることは間違いない。その人たちが健康診断をする特例区域に拡大してほしいと願っているのは、私は当然だと思います。ですから、これはこれまで科学的知見云々という残留プルトニウムの調査なんかしてきましたけれども、その後に生じた新しい事実だと私は思います。
 これを今、大臣のおっしゃったように十分精査をして、こういう人たちも今まで特例区域に拡大指定された人たちと変わりがないということが明らかになれば、やはり私は健康診断をきちっと国の責任でおやりになるべきだと思うんですが、もう一度大臣のお考えを確認して、この問題の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) この証言調査報告書に書かれておりますことは、私にとっても大変ショッキングでございます。私も戦災を受けましたけれども、あの戦災の記憶だってこんなに大変なのに、まして原子爆弾の場合にはどんなにひどかったか、それは想像を超えていると思います。
 まずそれを申し上げた上で、先ほどから何回も申し上げておりますように、行政の立場から地域指定を変えるということは科学的な根拠に基づいてやりなさいよというガイドラインが示されておりますので、そういうガイドラインに照らしてどうかということは、証言調査報告書に書かれていることも一つ一つ念査するということによってともに考えていく必要はあるかと思いますけれども、現在はそういうことでお答えをさせていただきたいと思います。
○今井澄君 長崎の原爆の問題はこれで終わりにしたいと思います。
 あと一つだけつけ加えさせていただきたいのは、実はこういう大変な被爆体験をお持ちの方たちにいわゆるPTSD、精神的な後遺症が非常に多く出ているということがありますが、これは特に阪神・淡路大震災後注目されるようになったわけで、旧来の被爆者援護法も原爆の放射能被害に限っているわけです。やっぱりこういう被害者に対するアフターケアの問題も、例えば物理的にけがをしたとか物理的に放射能を受けた、影響を受けたというだけではない厚生行政の転換を今後は考えないと、時代おくれの非常に即物的な厚生行政に終始するんじゃないかということを一言申し上げておきたいと思います。
 さて、本題に立ち返りまして、私、先ほど大変な厚生行政の中でと申し上げて、エールを送るとは申し上げたんですが、私はそうは申しながら、やはり大臣の先ほどのごあいさつに対して厳しい指摘というか批判をせざるを得ないと思うんです。
 最初の方で、日本新生プランの中で示された「社会保障の新生」ということを引用されました。これは、森総理が言われたから大臣としては仕方がないというものの、私は率直に言って「社会保障の新生」というのは全く無意味な言葉だと思うんですね。今、私たち社会保障行政に携わる者にとっては、医療保険改革だとか年金改革だとか、そういう新生なんというイメージのものじゃなくて改革、構造改革、このことだと思うんですけれども、この「社会保障の新生」というのは、大臣はどういう内容でお使いになられたのかお尋ねしたい。
○国務大臣(津島雄二君) 尊敬する今井委員のお話としては若干御議論したくなるところがあるわけでありますが、確かに御指摘のように今の日本の社会保障制度は現在の枠組みが守れるかどうか、そのこと自体問われているよと、そういう恐らく認識に基づいていると思うんですね。先に向けて新しい展開をするなんというのはまだまだその先だというお気持ちでおっしゃっているんだと思います。私は、そのお気持ちはわかりつつも、しかしあえて、今我々は新しい日本の社会保障制度の展開を図っていかなければならないという信念を持っております。
 それはなぜかと申しますと、まず二十一世紀というのは大変な高齢化社会になる。これはもう私から申し上げるまでもなく今までの人類の歴史になかったことだ。人間が七十、八十まで長生きをするという世界は歴史にはなかった。その社会をどのようにイメージしていくか、単に高齢化をしてだんだんと衰退していく姿で描くのか、それとも長生きを本当に享受できる生き生きとした新しい社会にするかという、私は今、分かれ道に来ていると思うのであります。
 そのような将来構想をどう持つかによって、今の日本の社会保障制度を現状の枠組みでもいいから守っていくという切り口でとらえるのか、それともこれまでの発想を乗り越えて我が国の新しい社会保障制度をつくっていくというふうにとらえるか。私は後者の方に重点を置きたい。つまり、今国民にお訴えをしたいのは日本の社会保障制度の新生ということを訴えたい、こういう気持ちで申し上げたわけであります。
 これが医療とか年金のどの分野に具体的に出てくるのかは、恐らく委員から御質問が出ると思いますから、逐次答えさせていただきたいと思います。
○今井澄君 いや、大臣、お言葉ですけれども、もしそういう意味で言われたんだとしたら、きょうのごあいさつはますます私はおかしいと思うんですよ。一ページから二ページ目の最初の三行にかけてのところは、どう読んでみても、財政的に非常に厳しいんだと、この財政的に厳しい中で給付と負担のあり方などが重要な課題であって、将来に向けて安定的で効率的なと、これはまさに大臣が今「新生」という言葉にもかけた意味は、今までの枠組みをどう守るかではなくてとおっしゃったことだとすれば、私はここの表現はおかしいと思うんですよ。これは終始財政問題しかないじゃないですか。
 大臣が今言われたように、私たちが年金制度でも医療制度でも介護制度でも考えていくのは、今進んでいる少子高齢化ですよね。例えば、今厚生行政の政策を立てる上で基礎になっているのは人口の将来推計ですね。ところが、これが狂ってくるわけです。狂ってくるから年金でも何でも次々と五年ごとに変えたりしなければならなくなる。非常に私たち苦しんでいるわけですよ。これは単に、今、大臣が言われたように今は超高齢社会にあるとかいう、そういうスタティックな静的な問題ではなくて、極めてダイナミックな、まさに日本は今変化しつつあるというところにあるんじゃないでしょうか。
 例えば、北欧のスウェーデンなどは、ある意味でかなり安定的な政策を展開できる。少子化、高齢化といってもある一定のレベルにあって将来予測ができる。安定的、まあ安定的というとおかしいですけれども、そういう中でやっているわけですね。ところが、日本は急速に今なお予測のつかない少子高齢化が進んでいる。だからこそある意味では非常に問題なんだと。
 だから、私たちが考えなければならないのは、財政的な安定はもちろん大事ですけれども、そのことも加味しながら、例えば少子高齢化がもっと進むとすればどうなるか。あるいは一方では、社会保障というのは雇用形態とも物すごい関係がありますね。雇用の流動化が進んでいく。そうすると、その中で十年後も十五年後も通用するような社会保障制度をどうするか。むしろそういうことだと私は思うんですよ。
 そうすると、私はこの一ページから二ページ目の三行目にかけてのところには、世界の先進国の中でもこういう特有の少子高齢化が急速に進んでいるとか、あるいは社会構造が変わっている、考え方や雇用形態も変わっていく、この中である意味では持続可能である、あるいはそういう変化に耐え得る社会保障政策、こういうふうになってこなきゃいけないと思うんですが、これが「我が国経済全体の動向とも調和を図りつつ、」、給付と負担の関係で、「将来に向けて安定的、かつ、効率的」というふうになりますと、財政しか見えないんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 私のこの文章について私が自分でどうこう言うには限度があると思いますけれども、私は今井委員のような聡明な方が、ここにある含意の中で、例えば高齢社会というものをスタティックなものとダイナミズム、私が訴えているダイナミズムを読み取っていただけなかったとすればまことに残念でありまして、これは私の表現力、文章力の限界なんだろうと思うんです。
 先ほどから申し上げておりますように、これから二十一世紀の高齢化がピークに達するまでが一つの勝負でございますが、これは大変に変化をする、非常に早く変化をする、ある意味では激動の社会だというふうに受けとめております。そのときに私たちは、しかしその負担をどうするかという財政問題を乗り越えていかなければならない。そういう意味で、財政の問題は我々の前に立ちはだかっていくわけでありますから、決して財政問題に尽きると言っているわけではない。
 逆に、経済問題に社会保障制度が与える逆の影響、つまりよりよい社会保障制度を構築すれば日本の経済や社会制度全体にとって非常にプラスな影響があるということも私はここで言いたいと思っておるわけであります。
 したがいまして、伺ってみると、今井先生と私との食い違いはこうやって議論してみると余りないんだろうと思うんですね。要は、これから私どもはある意味では党派の枠を超えて国民的な議論をして、そして社会保障制度というものがさらに躍進していく日本経済の中でどういう役割を果たしていくか、それを求めていく必要があると思うのであります。
 ですから、経済政策のあり方も無視できないのは、例えば日本の経済成長が今のアメリカのような高いレベルであるとすれば、しかもそれが持続的に保障できるとすれば、これは社会保障制度のすべての分野、例えば年金でも医療保険でも、これは考え方が変わってくるわけでありますから、その辺の関連を十分に頭に置きながら、最後は国民の皆さん方が社会保障の負担をどのように公平に分かち合うかということ、そのことについての国民合意を形成して、その合意に基づいて安定的な社会保障制度というものを示して、そして安心してさらに進んでいっていただく、こういうことを申し上げているわけでございます。
 ですから、医療保険や年金について一々また御議論があれば、そこで十分に御議論したいと思っております。
○今井澄君 きょうは時間がありませんので、医療も年金も介護も議論をしたいところでありますけれども、ちょっと抽象的な一般論にはなりますが、今、大臣も言われたように、考え方が基本的にそう違いがないとすれば私はそれは大変うれしいことだと思います。
 私も、ことしの通常国会で年金審議のときに、もう参議院は党派を超えて政策論議をしましょうよということをこの場でも提案をして、国会が閉会になった後も、あるいは年金改正法が通った後も、例えば年金問題小委員会をつくってやりませんかということも発言はしているわけで、別に党派的な対立にどうこう言うつもりはありませんので。
 それで、くどいようですが申し上げますが、どうもきょうのごあいさつの文章、けちをつけて申しわけないんですが、そういう意味では、本当に将来に向けての大臣の今お話しになったようなことの気迫と申しますか視点というのは伝わってこない。また、これもちょうどこの短い臨時国会の閉幕の日に出たものにしては、あたかも秋の臨時国会の冒頭のごあいさつのような文章になっていて、果たして時宜を得ているのかどうかということも非常に問題がある。
 医療制度、介護のことなんかは、今の時期、大事だと思います。そこで一つ、年金のことだけはちょっと質問させていただきたいと思います。
 この三月、年金法を改正されたわけです。言葉に一々こだわるつもりはありませんが、今、大臣のお話の中でも、日本がアメリカのように高い成長であるならばということで、また考え方、対処の仕方も違うかもしれないと言われたんですが、私は経済成長が高くても、例えば年金制度は今のままではどうにもならぬと思うんですよ。
   〔委員長退席、理事田浦直君着席〕
 これは厚生白書の中にも出ているように、今、三十代以降の世代は、事業主負担も含めれば拠出した分よりも給付される分が少ないというデータが出ているわけです。また、それをもとにして新聞などはきれいなカラーの図解入りで、片やもらえる金が風船で、片や払った金がおもしみたいになっていて、非常に一目瞭然のわかりやすいものを出して、ある意味では国民の年金不信がさらに深まるようなことをやっているわけです。
 これは経済成長の問題じゃないんですね。私は賦課方式でいいと思うんですけれども、賦課方式で今までのようなことをやっていく限りはやっぱり若者が年金に不信を持つわけですから、これは単に経済成長や財政だけの問題ではない。もう少し大きな問題だと思うんです。
 さて、それで年金改正によって本当に長期的に安定するようになったのか。ここには「長期的な安定に努めてまいります。」と極めて微妙なお話になっておりますが、長期的に安定するようになったとお考えになるのか。また、この改正によって国民の年金不信というのはある程度でも解消される方向に向かいつつあるのか、向かったのか、何かそういう証拠があるのか。その辺、御見解がおありでしたらお聞かせいただきたい。
○国務大臣(津島雄二君) これまでの委員との質疑を総括いたしまして、せんじ詰めて言えば、今、私どもの前にある問題というのは、社会保障制度、年金、医療、介護を横断的、総合的に見直さなきゃならないということ、そしてその中で世代間の給付と負担のバランスがとれるか、あるいは今御指摘になっている年金制度でもそうでございますが、持続可能な制度になっているかどうか、それから医療保険なんかについて言えることでございますけれども、制度の効率的運用ができるかどうか。こういう点で見直しを絶えずしていかなきゃならない、こういうことでございます。
 その際にやっぱり頭に置かなきゃならないのは、社会自身が変わってくるということでございまして、年金のこの間の改正の評価をする前に、これから一番大きい問題は、雇用体系が変わってくるのに今のままの年金制度がもつのか、企業年金が厚生年金と一緒になって大きな役割を果たしている、そのことでいいのかどうか、女性のライフスタイルに合うのかどうか、まずそういう大きな問題があるということ。これは、それを念頭に置いて、今、委員御指摘になったと思うので、そこはこれから私ども大いに検討していかなければならないと思うわけであります。
 それを申し上げた上で、本年三月の改革はどうであったかという御質問に対しまして、私は、保険料を年収の二割程度に抑える、それから給付は年収のおおむね六割程度を確保するというぎりぎりの将来構想については一応今度の改正でめどがついた、そういう意味では今後とも信頼できる年金制度の確立の第一歩になったというふうに評価をさせていただいておりますけれども、将来の問題についてはもっともっと改革をしなければならない。
 例えば、雇用環境が変わってきて人がどんどん移動するようになったときにどうかとか、そういう問題については次の国会においてもすぐに御議論をしていただかなきゃならないし、それから基礎年金部分について今のままでどうですかという議論も、これは前大臣が二分の一国庫負担という話は早くめどをつけてほしいと言っておられた、そのことをどのように実現するかという問題も目前にあるというふうに考えております。
○今井澄君 残念ながら、この三月に成立した改正法案で年金に対する国民の不信が少しでもおさまったという兆候はどこにもないように思うんですね。結局は、保険料の上がるのを抑えたとはいっても保険料は上がるわけです。それで給付は減るわけです。繰り返し私も言ってきましたけれども、将来どうなるのか、そのことについて一向に見えてこない。やっぱりそこのところが非常に問題だというふうに思います。
 それで、今、大臣からもお話のありました二分の一にすぐというのは前厚生大臣、丹羽さんはかねてからの持論なんですね、少しずつ上げて二分の一まで持っていこうと。だから、そういうあれはないとは思うんですけれども、選挙戦のさなかにあるところへ行って、財源の手当てもないのに突然言われたというのは、極めて政治的な何か色彩も匂いも感じたんですが。
 それはそれとして、昨日も与党の関係者、丹羽先生を中心としてお集まりになって、できるだけ早い時期に結論を出そうという与党の話し合いもされたということなので、それはそれでそういう方向に進んでいると思うんですが、この二分の一に上げるということはもう約束なんですね。
 そういうふうになっているわけですが、津島厚生大臣は、このことに関して基本的にどういう方向でお考えになっておられるんでしょうか。と申しますのは、二度目の厚生大臣に就任されて、各マスコミが新閣僚にインタビューをしているのを私ずっと全部見せていただきました。どの新聞にも大体出ているんですが、財源問題は要するに厚生省の問題じゃないんだというような、何かそういう一種の逃げと申しますか、財源当局任せみたいな発言が新聞には報道されているんですね。これではちょっと残念だなと思ったものですから、その点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 私は就任以来ずっと申し上げておりますが、国庫負担の割合、基礎年金について二分の一への引き上げをするという前大臣のお考えは大切にしたいというふうに申し上げております。
 しからば財源をどうするかということについて、今、委員は厚生省の話ではないと、何か人ごとみたいに言っておるとおっしゃるのであれば、それはお言葉を返したいのでありますが、私も閣僚の一人として内閣で信ずることは何でも主張はできるし、また国民負担というものは、社会保険ばかりでなくて税制度のあり方を含めて、これを私どもは大蔵省と対等に主張する立場にあると思っております。私も主張してまいります。
 ですから、私が申し上げたのは厚生省だけではと、こう申し上げただけで、財源のあり方について皆様方の御賛同、御協力を得て、よりよい方向を目指したいという意欲は十分にあると。ぜひとも委員におかれても私どもに御支援を賜りますようにお願い申し上げる次第であります。
○今井澄君 大臣がそういうお考えであればぜひ頑張っていただきたいと思います。私どももかねてから即座に今年度から上げるべきであるという主張もしてきたわけですし、それを一つのステップとして、基礎年金の税方式への転換も主張しているわけでありますけれども、お願いしたいと思います。どうしても国民にはいろいろマスコミを通じてとか、あるいは公式な文書を通じてということになりますので、大臣におかれましても、その熱意が伝わるような形で今後トップリーダーとしてはぜひ御配慮をいただきたいということも申し上げておきたいと思います。
 時間がなくなってきましたので、あと二問御質問いたしますが、一つは医療保険改革であります。
 今、焦眉の急、一番問題になっているのは老人医療制度、老人保健制度をどうするかということだと思うんですが、与党・自民党の医療基本問題調査会長の御発言を漏れ聞くところによりますと、まだ四合目、五合目と。これは大変なことだな、あと二年後大丈夫かなというふうに思うわけであります。特に、この老人医療の問題を中心として改革がおくれてきて、本当は今年度からのはずが、二年間空白だったとすらやゆされるような状況にあるわけですね。
 そこで、これは今までのやり方、どうも与党中心あるいは審議会中心、厚生省中心、あるいは厚生省も縦割りの中で、医療提供体制は医療提供体制、保険は保険というふうなことではなくて、あるいは利害関係者の利害調整というものももう限度に来たのではないかということから、社会保障制度調査会は、特別に法律をつくって医療臨調のようなものをつくってはどうかというふうに提案をしておられるわけです。
 これは前の厚生大臣にもお聞きしたわけですが、津島厚生大臣としては、この二年間の反省の上に立って今までのやり方の踏襲ではいけないんじゃないかとお考えかどうか、この医療臨調のような御提案についてどうお考えかをお尋ねいたします。
○国務大臣(津島雄二君) 一つの御見識であろうと思いますが、現実には施策を実行していく上で関係者が十分に協力できる体制でなきゃいけないという問題もあるものですから、その辺のところが難しいところでございまして、現時点では、新たな組織を設置するというよりも、極力関係者の理解を得る努力をする。審議会においてもそうですし、それから大事なことは国会における議論でございますね。国会における議論を通じて、国民全体が一緒に自分たちの問題として考えて方向を示してもらうということであろうと思います。
 そういう意味では、どうかお願いでございますが、通常国会に提出いたしました健康保険法等改正案自身がああいうことになってしまいまして、これを早く皆様方の御賛同を得て、まず成立をさせていただく。その中には老人定率一割負担制の導入といったような極めて重い政策決定が含まれているわけでございますが、そういうことを一つ一つやっていって、国民が全体としてよりよい医療保険制度と医療供給体制を実現するために動いていくという日本の姿をつくっていきたいと思っております。
○今井澄君 確かに、国会の場での議論というのは、しかもある意味で党派を超えてやっていくことは参議院の使命でもあると思います。
 そういう方向での議論ですが、先ほどの医療臨調の話ですけれども、利害関係者だけの、だけと言ったらおかしいですけれども、要するに支払い側と診療側の対立の中でこの二年間中止したということは、私はもう国民はよく見ていると思うんです。国民の意見が全然入っていないんです。
 私は、自分が医者をやってきた経験からして、個々の医師は、患者の立場に立って考え、行動しようと必死にやっていますよ。だけれども、残念ながら団体になりますと、医師会にしても病院団体にしても、ちょうど今度の雪印それから三菱自動車のように、結局は患者の立場、国民の立場を考えていないんですよ。もうこれは今明らかになっているんです、情報公開の問題、逆に言うと情報隠ぺいの問題を通じて。医師会だってカルテの公開に消極的なんです。私は、これは問題だと思うんですね。
 だから、やっぱりそういう意味では、本当にもうちょっと、そういう利害関係者をある意味では抜きにしたと言ったらおかしいですけれども、それは時々意見を聞くのはいいけれども、それが中心になるような会の進め方はやめた方がいいということを私はもう一度申し上げておきたいと思います。
 もう一問だけ。実は、きょうの中に「保健医療行政につきましては、結核やインフルエンザなどの各種感染症対策に」努めてと、これは大事なことだと思うんですが、私は、ここで非常に大事な感染症、C型肝炎のことが抜けているのはどうしてなのかと。非常に大事な問題だと思うんです。感染者は二百万人いると言われているんです。肝臓がんの死亡者は、今、日本でがん死亡の第四位にふえてきているんです。その中の大部分がC型肝炎だと言われているんですが、これについての取り組みの姿勢などありましたら、政務次官。
○政務次官(福島豊君) 委員御指摘のように、C型肝炎が極めて重要な感染症であるというふうに厚生省も考えております。
 先ほどの大臣のごあいさつの中でインフルエンザと結核を取り上げましたのは、一つには、インフルエンザに関しましてはさきの通常国会に提出して廃案となりました予防接種法の改正に関連をしておる、そしてまた結核に関しましては昨年緊急事態宣言というものを行ったということから例として示したわけでございまして、肝炎も含めた各種の感染症の対策に全力で取り組んでいくということは変わりはございません。
 そしてまた、このC型肝炎は、ただいま委員から御指摘ございましたけれども、全国に百万人から二百万人の感染者がおる。そしてまた、肝臓がんの死亡者が平成十年で三万三千四百三十三人になりますけれども、その七割はこのC型肝炎によるものである。そういう意味で、極めて大切な疾病であり、そしてまたその対策というものを推進していかなきゃいけない、そのように考えております。
 具体的には、厚生省としまして、これまで実態の把握、そしてまた治療法の開発、肝がんの予防と治療に関する研究班を設けてC型肝炎の研究を推進するとともに、また感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による発生動向調査、そしてまた啓発や血液製剤の安全性の向上など一次予防対策の充実、さらにインターフェロン等を含めました有効性や効率性が確認された治療法に対しての保険適用など、種々の対策を進めてまいりました。
 しかしながら、C型肝炎ウイルスの発見は十二年前でありまして、十分な治験が集積されたというにはまだ至っていないのではないかというふうに思っております。引き続き、厚生省としましても全力でその対策に取り組んでいきたいと思います。
○今井澄君 質問を終わりますが、実はC型肝炎というのは、厚生省が相当力を入れなきゃならないのは、これはある意味で医原病だというところに問題があると思うんです、別に、死亡者が多い、感染者が多い、悲惨だというだけではなくて。
 かつて戦後の混乱期にはヒロポンや覚せい剤の回し打ち、ああいうことで広がったと言われていますし、第二期は予防接種などで広がったんじゃないかと。それから、特定の医療機関で患者さんに注射をする、それを針もかえずにやっていくということでうつったんじゃないか。
 実は、私は医者時代肝炎をやっておりまして、私の時代はB型肝炎中心に母児感染の防止などをやっておりましたが、私の勤めていた病院の経営母体の一つでもある人口七千ほどの村ですが、そこが肝疾患の発生率が異常に高いというので調べたんですけれども、B型じゃなかったんですね。後にC型だとわかったんです。率直に言いますと、ある特定の医療機関で次から次へと患者さんに痛みどめとかなんかを注射する、針もかえない、注射器もかえない、そのことで広がったんじゃないかということがほぼ、余りみんなは大きな声では言いませんが、そういうことが全国各地にあるわけです、多発地域に。そういうことがあるんですね。
 ですから、これは厚生省の直接の責任でなくても、これは医原病なんですね。うつされた本人は本当に責任がないんです。しかも、もう今四十歳以上だけなんですよ、簡単に言えば。新規のC型肝炎の感染なんてほとんどないんです。今、献血も調べていますし、針も取りかえます。要するに、四十歳以上の問題なんです。四十年以上前に感染をさせられた人の問題なんですね。その人たちは、慢性肝炎なり肝硬変なり肝がんになる確率が非常に高い。
 治験も確かにまだ完成していない。だけれども、これはエイズの経験を厚生省はぜひ踏まえていただきたいんです。確実に一〇〇%わかってからやったんじゃ遅いんですよ。それ以前にわかったところからやっていくという対策にぜひ取り組んでいただきたいと要望して、私の質問を終わります。
○松崎俊久君 今井委員に引き続いて、民主党の松崎でございます。
 六月二十六日の午後に発病したとされる雪印のいわゆる食中毒問題についての質問をいたします。
 この雪印の一万四千から一万五千の間とされる中毒患者を生み出した食中毒問題でありますが、この食中毒問題に関して、日本じゅうの注目を集めたわけですけれども、全国の新聞あるいは雑誌などに掲載されたすべての情報を収集してみますと、この雪印の食中毒問題に対する会社側の対応の問題というのは非常に重大な問題があります。
 まず、六月二十七日、二十八日に食中毒と思われる症状の連絡があった。それに対して、大阪の保健所は雪印の牛乳に若干のその原因があると考え、立入検査を行った。そして、同時に製造自粛、あるいは回収、社告等を指示したにもかかわらず、雪印が応じなかったことを初めとして、もう新聞に報道された範囲内だけでも雪印の態度は二転三転、率直にその原因を認めるというような態度はみじんも見られず、二転三転をしています。
 これに対して、厚生省も非常にこれを問題視して、きちんと対応すべきだということを追及しておられますが、雪印は重大なこの一万四、五千というような食中毒患者を出したにもかかわらず、これに対する雪印の二転三転するこのいいかげんな態度に対してどのように厚生大臣が考えておられるのか、まずこれを伺いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 今回の雪印大阪工場における食中毒事件でありますが、大変にずさんな衛生管理が行われていたという疑いが濃く、国民の健康に直接かかわる食品を製造する企業としては安全確保に対する認識がまことに欠如していたのではないかと考えられ、まことに遺憾でございます。
 その上、事件発生後の公表のおくれや不正確な説明など、今、委員の御指摘のとおり不適切な対応が多々ございまして、トップメーカーとして社会的信用を失わせたばかりでなく、飲用乳全体に対する不信感を招来したところであり、まことに遺憾であると思っておるところでございます。
○松崎俊久君 雪印側の態度が基本的に問題であることは言うまでもありませんが、六月二十八日、夜の十時五十五分というふうに記録されておりますが、雪印に対しまして、大阪の保健所が製造自粛、回収、それから社告を出すようにという指示をしたにもかかわらず、大阪の保健所自体がそういう指示をしたということを公表しなかったという事実があります。
 そして、これは憶測かもしれませんが、その直前にあった埼玉の川越保健所のハム汚染問題において重大なミスを埼玉県が犯したことに対しての考慮があったのかもしれません。大阪の保健所の腰が引けて公表をせずに、それから約十七時間後、六月二十九日の午後四時に至って公表がされております。
 大阪の保健所のデータ並びに大阪の市役所から得ましたデータによりますと、この発表のおくれによって、一万四千名の発病者の中から最低三千名ないし五千名はこの発表が十七時間前にされていたならば恐らく防げたものというふうに推定します。
 この大阪の保健所の対応に対して厚生省はいかに考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(西本至君) この事故の情報公開の問題、特にこの公表のタイミングの問題でございますが、食中毒事故のような危害の発生時におきましては、危害事実がまず正確であるということと迅速であること、この二つのことが要請されるわけでございます。
 今回の大阪市におきましては、御指摘のように二十七日に一人、二十八日に三人の被害届があったわけでございますが、実際には結果的に六月二十九日に公表を大阪市が行ったと、こういうわけでございます。
 ただ、この段階、二十八日の段階で、大阪工場から出ております低脂肪乳は数にいたしまして数十万本、こういう数が市場に出回っておったわけでございまして、大阪市の方にも事情をお聞きしましたが、二十八日の段階で出た三件の件数だけで全体としての危険性について行政側として結論が非常に出しにくかったと。だから、川越のこともございましたけれども、そういうことではなく、全体の規模とそれから二十八日の届け出の数との関係で結論が非常に出しにくかったということで、非常に難しいケースであったのではないかというふうに私どもは理解をいたしております。もちろん、製造側におきましても、自己の製造管理に照らして迅速な対応ができなかったということは、これは問題点として残るものと考えております。
 ちなみに、私ども厚生省が大阪市から第一報をいただきましたのは二十九日の早朝、ファクスでと、こういう時間関係でございます。
 今回の事例を十分反省いたしまして、私どもも、今後、この公表の問題につきましては都道府県とともに迅速な対応ができるように指導してまいりたい、このように考えております。
○松崎俊久君 埼玉県の失敗が頭にあったということは、私ども民主党の調査団が大阪の市役所と対応した折のやりとりの中でもはっきりと我々が感じるほどに、要するに埼玉県の失敗を頭に置いて腰が引けていた状況というものが明確であります。
 要するに、問題は、国民の健康あるいは健康に対する侵害になる食中毒の問題、こういう問題に対してどちら側に顔を向けているかという、そういう本質的な問題がこの中にあるかと思います。しかし、私は、大阪の保健所の対応が、ここで重大な失敗があったにもかかわらず、その後、的確に大阪の保健所がこの雪印の問題の解決のために入れられたメスに対しては、やり方に対しては大変高く評価するものであります。
   〔理事田浦直君退席、委員長着席〕
 さて、問題はその後の問題でありますが、返品ないしは過剰となった乳製品、こういうものを新たな加工乳の原材料として再利用するという問題のことであります。
 七月十五日の朝日新聞によりますと、再利用の工程を含む工場の製品に対して厚生省がHACCPの承認を与え、一たんパック詰めした加工乳を新たな加工乳の原材料として使った製品を、事実上そういうやり方を厚生省が認めていたというふうに書かれております。
 ところが、七月十一日に厚生省は、全国自治体並びに乳業団体に対して新たな指示をしております。それは、十度C以下の保存、品質保持期限内に使用することの原則を初めて示して、その後、十四日に省内の対策本部で、加工乳を加工乳材料として再利用することは食品衛生法違反であるというふうに説明したというふうに報道されておりますが、この関西のメーカーだけではなくて幾つかの中小メーカーはこれに対して、再利用などというのはもってのほかというふうな態度を示している会社もあれば、再利用は厚生省が半ば認めていたことだというふうに考えている会社もあれば、さらに雪印のように炎天下で再利用のための処置工程をやっていたというふうな事実もあります。
 この問題に対して、厚生省の一貫しなかった、あるいは明確に再利用に対する規定、指導がなかった点が恐らくこの雪印の今度の事故を招いた一つの理由になっているかと思いますが、この点に関しての厚生省の見解を伺いたい。
○政府参考人(西本至君) 製品の再利用という問題につきましては、私どもは食品衛生法という法を所管している立場でございまして、基本的に、例えば一度店頭に並んでしまったようなもの、こういうようなものにつきましてはその間の衛生管理の状況が全く不明であると。ですから、このようなものを回収して再利用するということは、食品衛生上支障のない原材料を選択してもらいたいということを申しております私どもの観点からは当然避けていただきたいということでございます。したがいまして、今般その趣旨の徹底を図ったところでございます。
 それから、加工乳から加工乳への使用を禁止しておりますのは、これは食品衛生法の中に乳等省令という省令がございまして、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令という中でそのように明記しておるわけでございまして、加工乳から加工乳への再使用というものは明らかにやめていただきたい、こう言ってきたわけでございます。しかし、近年、加工乳というものが非常に多様化いたしております。また、資源の有効利用という観点、あるいはまた廃棄物を減量するというような観点からそれらを見直すべきではないかという意見が一方であることも事実でございます。
 したがいまして、私どもは今回のこの食中毒事件を契機といたしまして、この再利用の問題につきましても一度有識者等から成る検討会を開きまして御議論をいただきたいというふうに考えているわけでございます。
○松崎俊久君 今回の雪印の問題は食中毒という側面だけが強調され、そしてその雪印という会社が大分いいかげんな責任、このHACCPに違反するような製造工程を平気でやっていたということにのみ光が当てられております。しかし、私は、この雪印の問題というものの本質は、もちろんその問題は重要ではありますが、もっと重要な問題に光が当てられなければならないというふうに考えております。それは、要するに国民が牛乳に対する信頼を失った、信頼しなくなったという問題であります。
 御存じのように、日本は世界でも最も平均寿命の長い国であり、特に女性は男性よりもさらに七歳近い長寿であります。そして、女性特有のと言ってもいい骨粗鬆症に対する有効な対策というものはカルシウムの十分な摂取というふうに言われております。しかも、カルシウムの摂取はほとんど半分以上は牛乳からとられなければならないというのが常識でありますし、乳酸カルシウムの形態ではないカルシウムは非常に吸収が悪く、牛乳からのカルシウムの摂取というのが最も重要であるとされている。しかも、欧米では平均一人五百tの牛乳の摂取があるにもかかわらず、日本は百そこそこというように少ない。世界一の長寿である日本の女性。ということは、日本が二十一世紀に骨粗鬆症の発生が最も多くなる危険性というものを含んでいる。それに対する犯罪行為を雪印がやったのだと。要するに、骨粗鬆症の予防に対する最も重要な食品を雪印が国民の前に、みずからのミスによって牛乳の飲用を減らしていく危険性というものを生み出したという、こういう問題が私は雪印の今回の問題の最大の焦点であろうというふうに考えています。
 子供たちは、牛乳なんというのはもう飲めない、飲まない方がいい、そしてスポーツドリンクに走り、あるいは清涼飲料剤に走る、こういうような状況がつくられているのが現状であります。この牛乳に対する信頼を回復するということは、これから大変な問題だと思います。
 私がこれをあえて申し上げるのは、恐らく日本の医者の中で私ぐらい牛乳の重要性を終始一貫強調してきた人間はいないと自分で確信しているから申し上げるわけであります。どこの会社の製品をというふうなことは一切言ったことはありませんが、老年病を四十年間、この予防の問題に従事してきた中で、日本の寝たきりの製造のもとが骨粗鬆症と脳卒中であることは明らかでありますし、特に女性の問題はこの骨粗鬆症の問題が最も重要であります。今回の雪印の事件というものは、はっきり言って罪万死に値すると言っても間違いないぐらいとんでもない事件だろうというふうに考えております。
 これに対して、雪印は、恐らく厚生省のいわゆる安全宣言を受けて、もう大丈夫ですと、厚生省ももう牛乳は飲んでいいですというようなことを、多分そういうような流れになっていくだろうと思うんですが、問題はそういうことではないと思うんですね。
 この骨粗鬆症予防に最も重要な牛乳に致命的な打撃を与えた今回の事件に対して、厚生省並びに雪印、雪印に任せるのではなくて、厚生省自体が牛乳に対する失われた信頼をどのように回復するのか。こういう問題が二十一世紀をにらんで骨粗鬆症予防ということも頭に入れたこれからの牛乳の飲用拡大というような問題を、厚生省は、いわゆる健康日本21にも示されておりますけれども、それと関連してどのようにお考えになっているか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 今回の事件を契機といたしまして、問題の本質は国民の栄養摂取の問題であり、特にカルシウムの摂取が日本人にとっては大きな関心事であるという御指摘、松崎委員は老人医療の方でも専門家でいらっしゃいますので、私もお話を聞いて強く印象づけられた次第でございます。
 牛乳を中心とするカルシウムの摂取を、例えば、私はこの間教えていただいたのでありますが、女性の場合に二十歳前までにきちっとやっておかないと後の祭りになってしまうというような話もあるくらいでございますので、本当に今回の事件が牛乳離れを放置する結果になったら取り返しのつかないことになると私は思っております。
 厚生省といたしましては、委員御指摘のとおり、いわゆる健康日本21運動におきまして、牛乳・乳製品の摂取量の増加を目標として既に掲げてございますので、今後ともカルシウムを含めバランスのとれた栄養摂取に対する普及啓発、栄養指導を一層充実してまいりたいと思います。
 そして、今回の事件についてもう一言触れてみますと、やはり基本は食品を扱っている企業のトップを含めた意識を変えてもらわなければならないということでございまして、昨日衆議院におきまして集中審議を厚生委員会でやっていただいた帰りに責任者が私のところにお寄りになりまして、本当に今度は真剣な学習になった、自分たちがおごりを持っておればこういう結果を招くということを本当に強く感じたというふうに言っておりましたので、そのような意識で食品関係の企業の方々がこれから取り組んでいただければ事態は幾らか改善をされるんではないかというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、委員の御指摘の点を念頭に置きまして、これから一層国民世論の喚起に努めてまいりたいと思います。
○松崎俊久君 終わります。
○山本保君 公明党の山本保です。
 まず、先日の予算委員会のときにお尋ねしようと思っていたんですが、時間の都合もありまして、残したものについて少しお伺いしたいと思います。
 先般も申し上げましたけれども、この春、私どもの党、特に女性委員会が中心になりまして、子育て支援についての六とか七の具体的な項目を列記する形での署名運動、これは我が党としては初めての形だったんですけれども行いました。その中で、私も実際いろんな形でお聞きしましたときに意外と思いましたのは、お医者さんではもう当然だったかもしれないんですが、私どものようなものはちょっと初めてで驚いたのは、アレルギー性疾患に対して大変御家族が関心といいますか心配をされているということであります。
 そこで、このアレルギー性疾患対策について、私どもずっとこれまでもお願いをしてまいりましたので、最近のこの施策の進みぐあいについて御説明いただけますでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 山本委員御指摘のとおり、今日、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患に悩んでおられる方は、成人では約二二%、子供さんで約三五%と言われております。親御さんの話題の中に子供さんのアレルギー疾患が出てくることは非常に多いと私も受けとめておりますし、私の子供も若干そういう傾向がございました。
 厚生省といたしまして、ことしから免疫・アレルギーに関する研究費を、平成十一年度四億五千万円でございましたのを平成十二年度、今年度は六億五千万円に増額いたしました。増加率は非常に高いものがございますし、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどのアレルギー疾患の原因の解明や有効な治療法などの研究にこれによって努めてまいりたいと思っております。そして、これらの研究で得られた成果及び最新の医療技術などを全国的に普及しなければなりませんので、医療機関、研究機関、研究者等による連携体制を構築いたしまして、適切な治療法の普及啓発に努めてまいります。
 また、学識経験者から成る専門委員会を新たに設置して、免疫・アレルギー対策全般について幅広く検討していただこうと今考えておるところでございます。
○山本保君 先ほど出ていましたが、大変な重い難しい病気とは違うんじゃないかなという気もしていたんですけれども、なかなか治療法なども確立していないということで、私など素人としては意外な感を持ちました。ぜひ今後、この対応について引き続き努力いただきたいと思っております。
 それで、もう一つは実はこの子供のことで私のところによくお話が参りますのは、フェニルケトン尿症という難病の子供さんのことで参りまして、きょうは本当はこの方たちに対して、特に食事療法などを行っている者に対して公的な支援はできないだろうかということを、今、担当の方といろいろお話ししておるんですけれども、なかなか今のところ難しいということなので、それについてはまた次回にさせていただきます。
 対応の中で、特に子供さんがこういう病気を、また今お話にも出ましたアトピー性皮膚炎などで学校に行かれるときに、例えばケトン尿症の方などは食事療法ということで一般の給食を食べられない、また遠足とかそんなときにでもそういうことが必要になってくると。また皮膚炎の方などは、表面上、感染の危険はないそうでありますけれども、こういうことが子供さん同士、また場合によっては教職員の先生方の御指導によって、ただでさえいじめを生みやすいような画一的といいますか、そういう教育土壌がどうもあるようで残念なんですけれども、いじめの対象になりがちであるというようなことも聞いておるんです。
 この辺について、文部省の方からどういう指導を行っておられるのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 学校におきまして、アトピー性皮膚炎等の疾病がある児童生徒が理解不足等によりましていじめの対象となるようなことがあってはならないことでございます。学校におきましては、疾病に関する正しい知識を持ち、相手の気持ちを理解して、思いやりを持って接することができるよう、道徳を初め学校におけるいろんな場面を通じまして指導するようお願いをしているところでございます。
 文部省といたしましては、学校におきましてこれらの疾病がある児童生徒に対して適切な対応を行うことができるよう、養護教諭や保健主事の先生が中心になりまして、アトピー性皮膚炎を初めフェニルケトン尿症など疾病がある児童生徒の状況を把握した上で、保護者や学校医等と連携するとともに、教職員間の共通理解を図りまして、学校生活におきまして、例えば学校給食でございますとか体育でございますとか、そういったような必要な配慮を行うよう指導しているところでございます。
○山本保君 私自身、教育学の方をやりましてから福祉の方に移らせていただきまして、この辺が非常におもしろいといいますか、福祉の方の基本原則というのは、やはり個別対応という個々の対応というのがありますので、逆に行き過ぎますといかにも分け過ぎまして統一的なものが欠けるというようなものもあるんですが、学校教育の方は残念ながら反対で、これも本来の意味でいけば個別のはずなのに、個々の個性を伸ばす、人格の完成と基本法にあるわけですけれども、どうもそうではなくて画一的な方法をするという傾向があるようですので、一病気の子供さんへの対応というよりは、まさに教育の本質にかかわる問題だという気がいたしますので、どうぞこの辺についてはぜひしっかりお願いしたいと思っております。
 では次に、きょう大臣のごあいさつにもございましたが、先国会の最後でしたけれども、ぎりぎりで社会福祉事業法の改正が行われまして、これまでのいわば国の施策の恩恵を受けるというような受動的な立場の福祉の対象者ということから、主体者として選択をし、そして必要なサービスを求めると。これに対して、国、地方公共団体、専門家は、それに応じたサービスを提供しなければならないという大変画期的な法律改正ができたと思っております。
 そこで、まだ法律改正ができたばかりですから、これが実際にいろいろ運用されていくにはどうしたらいいのかということが今後の課題だと思いますけれども、私の方からもひとつ、特にこういうようなことについては抜本的な変革といいますか変更がなされるべきではないかという意味からお聞きしたいんです。
 それは、障害を持っている方に対する補装具というようなものの提供、これは今までの言葉で交付という、この言葉自体もいかにもお役所仕事のまだ前の法律だなという気がしますから、こんな言葉遣いからも変えなくちゃならないという気はするんです。
 実は、具体的に私のところにこういうお話が来ました。名古屋市の方なんですが、いわゆる人工肛門をつけておられて、その装具、ストマ用装具というんですか、そういうものをつけている。これが、二カ月に一度購入するときの交付券というんですか、それをもらいに行く手続をとらなくちゃならない。
 はっきり言って、大したお金の応援もないのに二カ月ごとに行っているというようなことをお聞きして、私、それを聞いて少し対応しましたら、何か最近は二枚で四カ月ごとになったというふうには聞いておるんです。しかし、こういう障害というのはそう簡単にその時々で変化しないはずなんでして、それを二カ月とか四カ月ごとにわざわざ障害を持った方が役所へ行かれて書類を毎回書いて出さなくちゃいけない、こういうやり方はどうかという気がしております。この辺は改善をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(今田寛睦君) 御指摘のように、ストマ用装具の交付と申し上げておりますが、交付につきましては、平成六年に申請者の負担の軽減を図るということで、今御指摘いただいたように、一回の申請で二カ月分の交付を行う交付券を二枚まで一括交付するというのが現在のやり方でございます。
 ただ、今御指摘のように、障害者の利便性という観点あるいはその疾病の特性という観点から、関係される方々からこれをさらに軽減できないかという御指摘もございます。私どもも、給付手続の簡素化という観点から御指摘の問題については積極的に検討して、改善できるものは改善していきたい、このように考えております。
○山本保君 まさにこれは簡素化という行政的な観点もありますけれども、国民が主体者であるという観点から法律改正があった。これに基づいてやはり基本的な関係を変えていくことが必要だというふうに思います。
 それで、もう一つ今度は別の事例でありまして、難聴の方の補聴器についても現場の方といろいろ対応させていただきました。つまり、一つの形として決められたものよりも、あなたの難度はこのぐらいなのでこの器械だと。いや、もっといいものが欲しいと。よりよいものをつけることは何もおかしくないはずですのに、しかし、今そういう形でなりますと、その場合はよほど特別の場合でなければ認められない。例えば、公的に保障しているお金よりも差額分だけ払えば買っていいではないか、当然そう思うんですが、それもどうも認められていない、こういうふうに聞いているんですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
○政府参考人(今田寛睦君) 補装具につきましては、体に適合させる、あるいはそのことによって障害を補うということのそれぞれの機能、どうしても備えておかなくちゃならない機能というものが当然必要なわけでありますし、そういったものを現物で給付することを原則としている。そこで御指摘のようなことが起こるわけであります。
 現在でも、交付決定をされた補装具の価格を超えて自分でも負担していい、このような場合に、一定の要件のもとで交付することの取り扱いはできることにはなってございます。ただ、必ずしもその趣旨について市町村が十分に理解していないという点もあろうかと思いますので、今御指摘の点も含めて、さらに市町村にそういった方法があるんだということについて周知をしていきたいと思っております。
○山本保君 それはぜひお願いしたいところです。
 もう一つ、またこれも細かい話になりますけれども、その補聴器なども普通ですと眼鏡屋さんに行けばどこでもあると思うんです。ところが、そこで購入できないんだと。実は市町村が決めた指定業者でなければ使えないと。これなども交付券を持っていき、そしてお金を払いますから、基本的に言えばどこで売っておられる方でも、その業者の方が交付券を今度お役所の方へ持っていけばお金が出るわけですから何ら不正が起こるはずがないわけですのに、なぜか非常に限定されている。これももっと拡大すべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府参考人(今田寛睦君) 確かに、今多くの市町村では、補装具を、必ずそこに行けばあるよということも含めて円滑な給付が確保できるということで、あらかじめ業者を指定している市町村が多うございます。したがって、障害者の方々はその業者に行けばすぐにでも物が手に入るという意味での指定をしていることのよさもあろうかと思います。
 それから一方で、利便性等を考えますと、そういった業者が非常に限られてしか存在しないというのは、これまた不便なことでございます。私どもも、できるだけ多くの事業者がこの補装具の給付をすることができる、そういう事業者をたくさんふやしていくべきだという考えにつきましては御指摘のとおりと私どもも思っております。
 それで、中には必ずしも業者を指定しなくてもいいような補装具もあるんじゃないかと、こういったことも含めて補装具を取り扱うことができる事業者をできるだけふやしてほしいという気持ちも私どもございます。このことはすぐにでもできることでありますので、都道府県等を通じまして市町村にも働きかけていきたいと、このように思っております。
○委員長(狩野安君) 時間です。
○山本保君 最後に一つ。
 これは質問ではございませんが、今のお話、大臣お聞きになったとおりでありまして、まさに役所の方がやってやるぞという、こういう形になっていた。これは法律がそうだったわけですが、それが変わったわけですから、ぜひここはこれを機に面目を一新されたいと思っております。
 もう一つ、ちょっとだけ難しい、今のちょうど補聴器などの例なんです。担当の方からいただいたんですが、こういう電子機器などというのはどんどん値段が下がって質がよくなっていくはずだと思うんです。ところが、今までのやり方は、お金を決め、機種を決める。つまり市場になっていない。ですから、見ましても値段は人件費と同じようにどんどん高くなっていく、同じ程度のものが。これはどう考えてもおかしなことだと思うんですね。もっとより安くていいものが使えるような市場が当然できるはずじゃないか。もちろんそのときに負担の問題などもありますから大変だと思いますけれども、きょうは問題提起だけさせていただきますので、ぜひこの辺検討いただきたいと思います。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 一万五千人の食中毒患者、二百人の入院という史上最悪の食中毒事件となった雪印乳業の事件についてお聞きをしたいと思います。
 これは販売店の営業にも深刻な影響を与えております。酪農家からは、厳しい基準をクリアするために衛生管理に細心の注意を払ってきたのに、今回の加工乳の事件で牛乳に対する信頼が失われたという怒りの声が寄せられています。
 この事件を起こした雪印の大阪工場はHACCP認定施設、いわば厚生省が特に安全だというふうに承認をした施設であります。そういう施設で不衛生な事態が放置をされていた。厚生省の責任というのはそういう意味では重大だと思うんですね。
 九五年の食品衛生法改正案の審議の参議院の本会議で我が党の西山議員がこのHACCPの問題を取り上げて、「安全性について国民的なコンセンサスも検証もないこのようなシステムの性急な導入はやめるべき」だと主張したのに対して、当時の井出厚生大臣はこう答えています。「この制度は、」「厚生省が安全性を十分検証した上で承認するものでありますので、安全性上何ら問題」ないと。
 大臣にお聞きしますけれども、今もこの御認識に変わりないんですか。
○国務大臣(津島雄二君) このHACCP導入に伴う法律改正のときは、私の知る限りでは御党以外は全党御賛成でございました。私どもは、立法府の御決定に従って、より実態に合い、より効率的で、そして全体としての規制緩和の流れにも即応するより近代的な衛生管理方法を導入するというふうに考えたものでございまして、この考え方は今でも私どもはよく理解をしておるところでございます。
 ただし、HACCPで決められたとおりやってもらえなければこれはしようがないわけでありますが、そのことはまた別の話でございます。
○小池晃君 安全上何ら問題ないというふうに答弁されているんですね。これは安全でなかったわけですから、現実にこういう大問題が起こっているわけですから、やはりこういう認識を改めるところが私はこの問題を考える出発点だと思うんですよ。そういう反省が全くないじゃないですか。
 私、持ってきましたけれども、厚生大臣、これは御存じだと思うんですが、HACCP認定を受けるとこういうマークがつくわけです。(図表掲示)厚生大臣のお墨つきがつくわけですね、安全だと。消費者はこれを見て、ああ、安全なんだなと思って買うわけであります。
 自治体の現場でどうだったかというふうにいうと、例えば自治体の現場あるいは食品製造の現場では、HACCP認定を受けたから大丈夫だという認識が蔓延していたと思うんですよ。HACCP神話とも言っていい。実際HACCP認定されると企業の食品衛生管理者の設置義務がなくなるわけです。雪印の大阪工場では、食品衛生法上は月一回の監視なのにHACCP認定後はどうなっていたかというと、九八年には年に八回、九九年には六回だった。さらに、我が党の調査団が宮崎の都城の雪印工場を視察した際に、都城の保健所の人は、HACCP認定を受けているから三カ月に一回の検査になっていると、こう説明しているわけであります。
 私は、これはやっぱりHACCP認定自体に問題があったんだと、そのことを率直に認めるべきだと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(津島雄二君) そこは全く見解が違うわけでありまして、委員はその食品関係の製造は全部一品一品国が責任を持てとおっしゃっているのであるとすれば、それは私は認識が違うと思っております。HACCPそのものはより安全なプロセスを承認するということでありまして、今回の事件はその承認に従わないことをやったからきているわけでありまして、問題をすり違えておられるのじゃございませんか。
○小池晃君 国が一品一品に責任を持たないというのは重大な発言だと思いますよ。だって、こういうお墨つきをつけているじゃないですか。厚生大臣承認ですよ。そういう商品に責任が持てないというのは、これは重大な発言だと思う。
 私は、もう少し具体的に見たいと思うんです。HACCPの中身を具体的に検討したい。
 HACCPは、これは今おっしゃったように事業者が危害分析を事前に行って、そして未然にトラブルを防ぐと、こういうシステムであります。そのためには事前の製造施設の届け出が正確に行われている、これが前提であります。しかし、全工場で容器詰めしたものの再利用工程というのは、これは届け出ていなかった。
 それからさらに、作業手順が標準化されて、これはマニュアルがきちっとある。これは記録をされるというのが前提でありますけれども、この点でも手洗浄の部分とか再利用に係る標準作業手順書というのはすべての工場でつくられていなかったと。それから、HACCPシステムの管理に当たる専門家チームの役割というのも重要だと思うんですけれども、これもその役割を果たしていなかったと。
 申請の段階でも作業手順でも、それからチェック体制の面でもHACCPは機能していなかったわけですから、これはたまたま運用が悪かったじゃ済まされないと思う。こういうことで、そういう認識自体、私は第二、第三の雪印事件、これが当然起こってくる危険があると思うんですよ。
 このHACCP制度全体について、これが本当に水も漏らさぬ制度なのかどうかということについて、やはり真剣に真正面から厚生省は反省して、検討すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(津島雄二君) HACCP制度の基本についての認識は私と余り違わないことを委員は言っておられると思うんですよ。つまり、HACCPで承認をしたとおりやっていなかったじゃありませんかということを今るるとおっしゃったわけであります。ですから、最初の御質問のHACCP自身を法律で認めたのは大変であるとか、HACCPで承認をしたとおりやらなかったのは国の責任であるとか、それは私としてはいただくことはできないわけであります。承認をする前提をしっかりとやってもらうのは、これはまず第一に企業者の責任でございます。
 その上で、技術的な話は参考人から答弁してもらいます。
○政府参考人(西本至君) ただいまの大臣の答弁に補足的に御説明をさせていただきます。
 まず、HACCPを導入するということは、現実には企業にとりましては設備でございますとか施設でございますとかいろいろな意味の負担がかかるわけでございます。
 したがいまして、私どもは、導入当時は一定規模のそれなりの企業が申請をしてこられるというふうに予測もしておりましたし、実際そういう流れでございました。そこには一定の信頼関係というのを置かざるを得ない、企業が自主的に管理をしていただくということでございますから、そこに信頼関係を置かざるを得ないということであったわけでございます。ただ、今回のようにトップメーカーの工場におきましてこういう食中毒事故が起こったということは、これは率直に受けとめざるを得ないと思います。
 したがいまして、私どもは、今後、総合衛生管理製造過程、いわゆるHACCPの問題につきましては、審査あるいは審査後の運用等につきましても大幅な見直しを行いたいというふうに考えております。
 少し具体的に申し上げますと、審査時におきましては、承認審査資料に設計図のすべての原本の写しを添付させる。あるいは、現地調査につきましても、これは実際には厚生省の職員が手薄ということもございまして都道府県の方にお願いをして行っていただいておったわけでございますが、当面の間、私どもの職員が現地にお伺いして調査をさせていただく。
 それから、承認につきましても、やはり専門家から成る助言機関のようなものを設けまして、そこからの御意見もいただきたいと、このように考えております。
 承認後の監視体制でございますけれども、これにつきましても、現在は都道府県の食品衛生監視員にお願いをしているという実態でございますが、私どもの職員がじかに立ち入ってHACCPが正確に運用されているかどうか、こういうことをチェックいたしたい。また、来年の一月から中央省庁の再編によりまして地方厚生局というものができるわけでございます。この局の中に担当職員を配置いたしまして、承認審査、指導監督のいろんな段階での実施体制を強化していきたい、このようなことを現在具体的に考えている次第でございます。
○小池晃君 参考人にお伺いしますけれども、そういう定期的な査察というのを決めたのは雪印の工場だけであって、HACCP承認施設全体についてそういう定期的なチェックをしていくということではないんじゃないですか。
○政府参考人(西本至君) 当該の雪印工場につきましては、全国二十工場につきまして向こう一年間、何らかの形で直接立ち入りをさせていただきます。
 それ以外の七百四十七の乳処理工場につきましては、雪印以外でございますけれども、問題がありそうなところ、例えばいろいろな苦情が出て異味、異臭が出たとか、そういうような問題が起こりましたところを優先的に直接立ち入りをしたいというふうに考えております。
○小池晃君 苦情が出てきてから立ち入るということではやはり遅いと思うんですよ。見直すというんだったらやはり徹底的に見直すべきだと。私は、承認についてそういう見直しをするというのはもう当然のことだと思います。
 さらに、HACCP認定企業でも食品衛生管理者を置くようにするとか、あるいはHACCP認定後も定期的な検査へ入っていく、行政が抜き打ち検査するということを実行することも含めてやはり根本的に見直すべきだと。その前提として、九五年のこういう安全上何ら問題はないというような認識を改めるというところに立ち戻るという姿勢が求められているんじゃないかと私は思います。そのことを指摘しておきたい。
 さらに、このHACCPの制度の問題点の背景に、我が国の食品衛生行政の立ちおくれという問題があるんじゃないだろうかというふうに思いますので、その問題について議論を進めたいと思います。
 私は、この食品衛生行政の体制について、諸外国の例もちょっと調べてみました。例えば、アメリカではどうか。アメリカのFDA、食品医薬品局の職員数というのは九千人であります。その中には二千百人の科学者がいて、そのうち化学の研究者が九百人、微生物学者が三百人含むと、これだけいるわけであります。そして、千百人の検査官が年間一万五千の事業所を訪問しているというふうに聞いています。そのほかにも、食肉や卵製品を監督している農務省の食品検査局、FSISというところは、全国六千五百の工場に七千五百人の検査官を常時配置して検査を行っているんだと。カナダのCFIA、食品安全検査局も職員数は四千六百人であります。
 ところで、お聞きしますけれども、日本の食品衛生行政にかかわる厚生省の生活衛生局の職員は何人でしょう。
○政府参考人(西本至君) 私ども厚生本省におきまして食品衛生行政に携わっております職員は、現在では三課二室、五十九名でございます。ただ、本年十月から六名増員をする予定となっております。
○小池晃君 けたが二つぐらい違うわけですね。悲しいほどささやかな増員であります。こういう人数では全く私は不十分だと思う。実際、雪印の工場のこのHACCP認定に当たって厚生省の担当官が直接現地調査したのは幾つだったかというと、二十一工場中七工場だけだったと。
 HACCP食品衛生行政にかかわる人員体制、これはHACCP認定にかかわる部分だけでも少なくとも大幅に私は増員すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(西本至君) 現実問題として大幅に増員というのはなかなか難しい面がございますが、そもそもHACCPを導入いたしました経緯の中に、大臣も先ほどお答えになりましたけれども、やはり規制緩和、地方分権という一つの方向がございます。そういうものもあって導入しようということでございまして、すべて国家公務員を増員して対応できるかどうかということにつきましては、導入当時の趣旨との矛盾と申しましょうか、こういう問題も出てこようかと思います。
 したがいまして、私どもといたしましては、やはり都道府県の職員の方々、例えば食品衛生監視員や指導員、推進員といろいろいらっしゃいますが、こういう方々とも協力をする体制の中で、めり張りをつけた監視体制をとっていかざるを得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。
○小池晃君 少なくとも五十人そこそこしかいないわけですから、別にそれをすぐに一万人にしろと言っているわけじゃないんです。この事件を踏まえて、大もとからやはりあり方を考えるべきだというふうに思いますよ。
 さらに、数だけの問題じゃないと。例えば、その検査員に対するトレーニングの問題、これはどうなっているか。実際にHACCPの承認の調査を行う都道府県の衛生監視員に対するHACCP研修というのはどういうふうに行われていますか。
○政府参考人(西本至君) 総合衛生管理製造過程承認制度実施要領、いわゆるHACCP実施要領というものを私どもはつくっておりまして、これに基づきまして、各都道府県等の食品衛生監視員を対象といたしまして、HACCPに対する講習会を三日間開催するという形で教育訓練を行っております。
 一日目は承認申請準備施設における実地研修、それから二日目は承認取得済み施設の現場における実地研修、そして最終日が報告と総合討議、こういう形でやっておりまして、平成八年度から十一年度まで四年間で三十二回実施しているところでございます。
○小池晃君 たった三日の研修では、大企業の本当に複雑なシステムを監視するなんというのはとても私はできないと思う。実際、素人が監視しているのに近いのが現状だという指摘もあるんですね。
 こういう面でも、例えばカナダではどうか。CFIAの検査員に対するトレーニング課程というのを調べてみました。まず、トレーニング専門の担当官が本部に六人いて、各地域事務所に二、三人いて、合計約二十人いる。スタッフを養成するトレーニングのためだけの職員がこれだけいる。
 そして、トレーニングというのは、ステップ一が二日間の講義と試験。ステップ二が二日間の講義。さらにステップ三というのは、これは第一段階、さらに第一部というのがあって、これは五週間の講義と試験がある。第二部というのは、一人のコーチに二、三人の生徒がついた実習をやる、実際のHACCP認定の現場を体験するんだと。最後には、実際の承認審査をやってみる、体験してみるんだと。第二段階は、さらに二日間の講義と試験、さらに実習をやる。こうやって一人前の検査官としてひとり立ちをしていくんだということだそうであります。日本とは余りにも取り組み方が違うというふうに言わざるを得ないと思うんですね。
 さらに、この食品衛生行政の最前線で仕事をしている保健所の問題を取り上げたいと思うんです。
 資料を配付していただいたと思うんですが、これは保健所の数であります。これは急激に減ってきているわけです。八九年、約十年前ですけれども、八百四十八カ所の全国の保健所が、直近の数字で二〇〇〇年の四月で五百九十四、三割も減った。
 雪印事件の起こった大阪市ではどうかというと、ことしの四月に大規模な統合をやっているんです。二十四行政区にあった保健所が、人口二百六十万の大阪市ではたった一カ所に統合されてしまったと。四月にそういうことをやられてこういう事件が起きている。大阪市ではさらに言うと、八九年にそれまで別々だった食品衛生監視員と環境衛生監視員が統合された。監視員一人当たりの対象施設が十年間で百件以上ふえたというふうに言われているんですね。六百五十四件を一人で見ている。これでは私は十分な監視なんというのはとてもできないだろうし、やはり月一回の少なくとも法定監視と十分なHACCPの施設の検証をできる体制が必要じゃないかと思うんです。
 先ほど地方分権でやられるというふうにおっしゃったけれども、私は、今回の事件を受けて、これはこういう保健所の統廃合とか食品衛生監視員の削減というのは直ちにやめて、少なくとも削ることはやめるべきだというふうに思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(津島雄二君) 保健所の数が近年減少しているのは、平成六年の地域保健法の制定において、生活者のニーズを重視する観点から、住民に身近な保健サービスは住民に身近な地方公共団体である市町村において提供するということで、そして先ほど御指摘ありましたように、保健事務は法定受託が市町村にされておるわけであります。都道府県では市町村における保健サービスの実施を支援するという形で役割分担をしておるわけでありますが、こういう都道府県と市町村の役割分担を見直して、保健所を地域保健対策の広域的、専門的、技術的拠点として位置づけたために、平成九年に地域保健法の全面施行後において、地方自治体において保健所の規模の拡大や機能の強化が進んでいるわけであります。
 生活者のニーズを重視するとともに、食品衛生等の専門的業務を保健所の業務に位置づけた新しい地域保健体系が今構築されつつあるわけでありまして、今後ともこういう地域保健対策の総合的な推進を図ってまいらなければならないと思っております。
 保健所に配置されている食品衛生監視員につきましては、十年前に比較して大幅な増減はありませんが、今後とも監視指導体制の充実、特に広域的な活動ができるようにいろいろと工夫をしていかなければならないと思っております。東京などにおいては、広域的に機動班をつくって監視体制を運用するような努力もしておるようでございます。
 そして、先ほど述べましたように、本年四月の地方分権推進法によりまして食品衛生監視指導の事務の一部が法定受託事務とされたわけでありまして、今後とも都道府県等において、従来から効率的、効果的な食品衛生監視の実施について取り組みをしておられますが、一層その方向で御努力をしていただきたいと思います。
 厚生省としては、食品の製造工場等、大規模施設に対する広域的、専門的な監視を行うため、いわゆる食品監視機動班等を組織して重点的監視を行うよう都道府県を指導してまいりたいと思っております。
 アメリカのように数をいっぱいいただければいいんですけれども、今そういう御時世じゃありませんから、いただいている人員をできるだけ有効に生かして御期待にこたえたいという努力をしておるところであります。
○小池晃君 広域化、重点化、専門化と言うけれども、きめの細かさというのはどんどん失われるんですよ。
 例えば保健所の統合についても、埼玉県は人口がふえているという理由で統合を行わない、大分県は過疎化に拍車をかけるということで平成九年度の実施を断念した、横浜でもこれはやらない。現場ではこういう方向じゃだめだという意見も出ているわけですから、やはり真剣にこれを見直すべきだ。
 私は、今まで議論してきましたけれども、HACCPの問題、九五年、HACCPが安心だ、安全だという認識も改めない。そして、人員についてもこれはふやそうともしない。保健所統合は少なくともやめるべきだ、減らすのぐらいやめるべきだということについてもこれに耳をかさないということでは、食品衛生行政はこのままでいいのかということは真剣に問われると思いますよ。やはりこういう点で本当に真剣な反省や見直しがない厚生省の姿勢というのは、私はこの場で厳しく批判をしておきたいというふうに思います。
 続いて、介護保険の問題について残った時間議論をしたいと思うんですけれども、実施から四カ月が経過をいたしました。この介護保険の現状についてお聞きしたいんですが、介護保険の利用状況の問題であります。
 現在、在宅サービスをどれだけの人が利用しているか、厚生省の推計をお示しいただきたい。
○政府参考人(大塚義治君) 介護保険実施後の具体的なデータに基づく整理はまだできておりませんので、今後もう少し時間をちょうだいいたしたいわけでございますが、現時点でございますと、介護保険実施直前の今年三月末時点での推計、これをもとにした推計ということになります。
 三月末時点で全国の市町村を対象に調査をいたしまして、サービスの利用状況を粗くではございますが推計いたしました。推計の域は出ませんけれども、それによりますと、私どもの見込みでは利用者約百五十万人程度と見込んでおります。
○小池晃君 百五十万人程度だと。
 ところで、昨年、概算請求時の厚生省の在宅サービスの利用者の予測、これは何人でしたでしょうか。
○政府参考人(大塚義治君) 平成十二年度の概算要求に際しまして、いろいろ市町村のデータをもとに概算要求の整理をいたしましたけれども、その時点におきましては利用者数という出し方はいたしておりません。ベースにいたしましたのは各市町村から出てまいりましたデータの積み上げでございますけれども、要介護状態におられる方、要支援から要介護五まで一応分類したもの、市町村の要支援、要介護者数というものを出しておりますが、これは直接利用者数ではございません。
 当時の要支援、要介護者数で申しますと百九十八万人でございますけれども、これは年間を通した数字ということになりますし、また、ただいま申しましたように実際に在宅サービスを利用される方というわけではございません。
○小池晃君 しかしこれは、百九十八万四千人、年間の数字ではないと言いましたけれども、介護保険スタート時は百五十万人というような推定だったと。最終的にこれはある程度はふえるでしょうけれども、スタート時の段階で厚生省が介護保険の在宅サービスの対象となるだろうと予測していた百九十八万人と比べると約五十万人も見通しより減った時点でのスタートだということは、これは事実だと思うんですね。このことは事実としては御確認いただけると思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(大塚義治君) ただいま申しましたように、概算要求時の数字百九十八万人につきましては要支援、要介護者の数字でございまして、利用者とはイコールではございません。その中から御希望に応じ、また地域の介護基盤の状況に応じ実際に利用される方がサービスを使われるわけでございますけれども、その後、六月末までに約三十万人の方がさらに認定申請をしておられますし、それの私どもの推計ですと、大ざっぱに申しますと、要支援、要介護者のうちの八割強ぐらいの方がとりあえずはサービスをすぐに利用されますので、そういったことを前提に置きますと、実はそう大きな差があるというふうに私どもは認識をいたしておりません。
 いずれにいたしましても、いずれの数字もいわば推計値でございますので厳密な議論はできませんけれども、私どもの感覚から申しますと、在宅サービスの利用者数は大きなそごはないのではないかというのが現時点における私どもの認識でございます。
○小池晃君 これは、大きなそごはないと言っても、それ以降ふえているというのはそれはもう事実としてはあると思いますけれども、ただ当初、施設については七十万人を見込んだわけですね。これが実際は六十万人だと。これは療養型病床群の介護保険の適用が進んでいないという問題だと思うんです。
 在宅については、やはり百九十八万人という利用対象を設定して当初、スタート時点で百五十万人。どこまで伸びるかわからないけれども、これはやはり当初の予測よりも下回っているということは間違いないと思うんです。介護保険は順調に進んでいると大臣もいろんな場でおっしゃっていますけれども、厚生省の当初の予想に比べて五十万人丸々減っているとは言わないまでも、やはり在宅の利用者の数が当初の予想よりも伸びていないという事実はこれは認められると思うんですね。これで順調だというふうに言えるんでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 申し上げますが、本年六月末現在の調査によりますと、要介護認定申請件数は本年三月末の約二百四十八万件から約三十二万件ふえて約二百八十万件に伸びてございます。それで、百九十八万というのはあくまでも概算基準のもとの数字でございまして、これをどんどん上回っていくことを期待しておりますし、上回ると思います。
○小池晃君 上回ると思うというのは全く科学的根拠は私はないと思いますよ。どういう根拠でそういうことをおっしゃるんだ。だって、今百五十万人でスタートして、それが年度途中である程度ふえたとしても、私は百九十八万人という最初に立てた概算請求だからいいかげんだとは言わせないですよ、それで予算請求しているんですから。この目標を達成できないことは明らかだと私は思うんです。
 こういうふうに在宅の利用が率直に言って進んでいない。以前のサービスに比べて進んでいるかどうかという議論をしているんじゃないんです。厚生省が当初予測した数字に比べて伸び悩んでいるというふうに率直に見ざるを得ない。
 私は、この原因として、やはり一割の利用料負担というのが大変この利用拡大にとって障害になっているんじゃないか、障害になっているいろんな問題はあるかもしれないけれども、その中の大きな要因の一つではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(津島雄二君) まず、基本的認識について、委員は減っていることは明らかであるとおっしゃっておりますが、私は全くそうは思っておりません。
 そのことをまず申し上げた上で、一割の利用者負担の考え方でございますけれども、これは利用者の方の中には所得の多い方も中にはございます。いろいろでございまして、もちろん低所得者層の方には一定の配慮をしてございます。
 それから、利用者負担という考え方は、この介護保険というのは国民が広くみんなで保険料を出し合って助け合うという制度、お互いに助け合う共助の制度でございます。そのときに自分で拠出できる方にも可能な範囲内で拠出をしていただく。それからまた、政府は政府で公のお手伝いをするというこの公助、共助、そして自助の三つの要素を組み合わせて進めていくのが私は社会保障の一番いい姿だと思っております。
 そういう意味で、この一割の利用者負担がどうかということについては、今後この利用者の実態を踏まえて検討はしなきゃなりませんけれども、とにかく利用者負担一割があるから問題がうまくいかないというふうには私は受けとめておりません。
○小池晃君 例えば、週刊東洋経済の七月二十九日付号にこう書いてあるんです。「実際に介護サービスを受けている人数は、厚生省の想定の六〇%。介護保険制度では、サービス報酬の一割が自己負担のため、利用者に自己規制が働いていると見られる。」。こういうマスコミ報道というのは後を絶たないんです。
 今、大臣がおっしゃったことというのは、本当に現場の実態とかけ離れていると思います。在宅サービスを受けている中で低所得者の比率というのはかなり高いわけです。今まで八割の人はホームヘルプサービスだって無料だったんです。そういう中で、介護保険が始まって利用料を払えないから介護を泣く泣く打ち切っているという例はいっぱいあるわけですね。
 見直すとおっしゃったけれども、やはり本当に現場の実態に立ち返って真剣に見直すべきだと。やはり、この利用料の問題というのが在宅サービスの利用拡大の私は最大の障害になっているという認識を持つべきだと思います。幾つかある問題の中の一つというようなことじゃなくて、この問題がやはり最大の障害になっているんだという認識を持つべきだと思うんですが、どうですか大臣。
   〔委員長退席、理事田浦直君着席〕
○国務大臣(津島雄二君) 委員のお立場はお立場といたしまして、重ねて申し上げますが、サービス利用時の利用者負担につきましては、高額介護サービス費により負担上限を設けて、低所得者については低い上限額を設定して配慮しております。また、従来ホームヘルパーを利用していた方の負担が急激に増大しないように、利用者負担を当面三年間三%に軽減するということもやっております。さらに、利用者負担が困難な方々に対しては、社会福祉法人によるデイサービス、ショートステイなどの利用者負担の軽減もしておりますし、生活福祉資金の貸し付けといったきめ細かな配慮を行っておるところでございます。
 これが利用者の実態に対してどうなのかということは、これから絶えずそれは検討はしていかなきゃならないと思いますが、ただこの制度はみんながお金を出し合って支え合っていく制度でございますから、したがってある程度の利用者負担というものもある方が、一般の保険料を払っている方々の理解を得るためにも、また公費の負担をしていることについて国民全体からの理解を得るためにも私は避けて通れないことであると考えております。
○小池晃君 私どもは、さきの予算委員会、さきの国会の予算委員会でもやはり利用料の軽減をすべきだと。今おっしゃった特別対策、それはあるんだけれども、新規利用者についても、あるいは在宅介護以外の在宅サービスについても三%の軽減をすべきではないか。とりあえずせめてそのぐらいはできないのか。ゼロにしろということも言っているんですけれども、せめてそのくらい、三%の軽減にすべきではないかというふうに言っているんです。こういうことぐらい今までの実態を見れば私は耳を傾けるべきじゃないかと。
 今おっしゃったことは介護保険が始まる前だったら通用したかもしれないけれども、始まって現実に利用料負担の重さで利用拡大が厚生省の想定より進んでいないという現実を見れば、ゼロにしろ、すぐにしろということではなくて、せめてそういう軽減策ぐらい耳を傾けるべきではないかと。
 そのことも含めて、先ほど検討するということの中身にあるんだというふうに理解してよろしいんですか。
○国務大臣(津島雄二君) この制度は新しい制度でありますから、私どもは常に謙虚に絶えず改善を図っていく努力は怠らないつもりでございます。
 しかし、重ねて申し上げますが、利用者にも応分の御負担をいただきながら、みんなで支え合って必要なサービスを受けていただくという基本的な考え方は大事にしていきたいと思います。
○小池晃君 利用料負担の重さでこれだけいろんな問題が起こっているわけですけれども、利用抑制は起こっていると思うんですが、この上、十月から一号保険料の徴収が始まるわけであります。経済的負担がさらに加われば抑制がさらに進むということは、これは明らかではないだろうかというふうに思うわけです。私は、この保険料徴収を見直すべきだ、延期すべきではないかというふうに考えるんですが、いかがですか。
○国務大臣(津島雄二君) 私ども厚生省といたしましては、国会でお決めいただいた介護保険法をお決めいただいたとおり誠実に実施していくのが我々のあるべき姿だと思っております。
○小池晃君 私は、介護保険が始まって順調だという一方的な認識ではなくて、やはり現場で起こっているさまざまな現実的な問題点、利用拡大が進んでいないという問題に正面から目を向けて、やはり謙虚に、改めるべきところは改めて、利用拡大の道を探る上でも利用料の軽減、保険料の見直し、これは断固としてやるべきだということを申し上げたいというふうに思います。
 さらに、残った時間でケアマネジャーのことをちょっと取り上げたいんですが、ケアマネジャーは今大変な努力を強いられているわけであります。
 厚生省は、ケアマネジャー一人で五十人のケアプランの給付管理を行うというふうに想定しているようでありますけれども、東京都の調査では一人当たり二十八・三人という数字も出てきています。アセスメントしながらきちっと管理するためには二十人ぐらいが限界じゃないかという声もある。
 しかし、そうした大変な仕事に対する報酬として、ケアプラン作成費の報酬が低過ぎるんじゃないかという指摘が出されている。六百五十単位から八百四十単位と。これでは、たとえ五十人分の給付管理をしたとしても、これは事業として成立しないじゃないかという声が上がっているんですが、どうですか。
○政府参考人(大塚義治君) ケアマネジャーの業務それ自体が全く新しくこの介護保険制度の導入に伴いましてスタートした仕事でございますから、それぞれのお立場、特に現場で業務に従事しておられる方々の不安とか御苦労は、これは私どもも十分に理解をするところでございます。
 御質問の報酬につきましては、ケアマネジャーの報酬のみではございませんけれども、基本的には、これまでさまざまな実態がございますから、その実態をつぶさに調査いたしまして、一方で全体としての介護サービス事業が運営できるように、こういう方針で介護報酬を設定いたしたわけでございます。ケアマネジャーにつきましては、これまでそれに類する業務ということになりますと在宅介護支援センターという施設、サービス機関がございましたので、ここの経費の実態をベースにいたしまして設定いたしたものでございます。
 ただ、いわゆる独立した業務としてケアマネジャーがすべての業務を遂行するという前提には立っておりませんで、ある程度他の介護サービス事業と兼務するということはその要素に入っておりますが、現実の姿に即して、根拠に基づいて設定をしたものでございます。
○小池晃君 独立した業務というふうに想定していない、兼務を想定したからこういう報酬になっているんだということでありますけれども、だとすれば、なおさら五十件の管理という基準は大変現実離れしている数字じゃないかと。二十件だって、独立した業務だって大変だという声が出ている中で、五十件の管理を兼務でやれという基準は、これは全く現実離れした基準じゃないかなと。それに対する報酬として七、八千円しかないということでは、これは事業として成り立たないという声が上がるのは当然だと思うんですね。
 兼務であることを前提としているという議論も大変おかしな議論で、厚生省はケアマネジャーの囲い込みをするなということも言っているわけでありまして、これでは、兼務しながら、事業体としてやりながらケアプランもつくるということでは、どんどん囲い込みが起こったってしようがないというふうにも逆に言えば言えるわけで、そういう点から見ても本当にケアマネジャーの人たちがその仕事が報われるような、そしてきちっとアセスメントをしてケアプランを立てることに対して正当な報酬が支払われる、これは介護保険制度を円滑に進めていく上でも当然必要なことではないかというふうに考えるんですけれども、大臣、いかがですか、この報酬のあり方。
○政府参考人(大塚義治君) ケアマネジャーの方々が大変御苦労をされておりますことについて私どもも認識していると先ほど申し上げましたが、特に制度施行時、ことしの四月一日の制度施行時の前からしばらくの間につきましては全体の作業が押せ押せであったと。もちろん初めての業務だということで大変な御苦労があったというのは、特に我々はそこは認識しているところでございます。この点については、現場で御苦労をいただいた方々に私どもとしても感謝と敬意を表する次第でございますが、制度がスタートいたしまして落ちついてまいりますと、ケアマネジャーの業務もいわば順調にルーティンに乗ってくるわけでございます。
 しかし、さまざまな課題があるということで、私どもも実際に現場でケアプランの作成などに従事しておられる方々にも参加をいただきましてケアマネジャーの業務を支援する、そういう会議を立ち上げたわけでございます。そうした場で実際の御苦労をお聞きいたしましても、例えば五十件につきましても、確かに決して楽な仕事ではございませんが、さらにそれを上回るケースを持ち、しかも利用者から大変感謝をされて立派にこなされている方もございます。経験やら、その方の置かれた勤務条件やらいろいろあるとは思いますが、そういうケースもございますので、五十件が一概に過大だというふうには私どもは考えておりません。
 いずれにいたしましても、新しい業務でございます。さまざまな支援対策、特に介護支援専門員に対する情報の提供でありますとか、相互の意見の交換でありますとか、そういった点も含めまして、国、地方を通じてバックアップしていこうと。同時に、今後のケアマネジャーの業務の状況もよく見守ってまいりたいという考えで現在はおるところでございます。
○小池晃君 最初は大変だったけれども、進んでくればルーティン業務になるというのは全く実態を見ていない。お年寄りの状態というのは日々変化しますし、やはり給付管理の業務自体が大変煩雑で、業務としては大変だという声がケアマネジャーの人たちからは上がっているんです。当初のケアプランの作成も大変だけれども、月々の給付管理や事業者との連絡をとったりするのも大変な業務だという声が上がっております。私は、この問題を真剣に、介護保険制度のかなめというふうに言えるケアマネジャーに対する厚生省の対応は、やはり根本的によく検討して見直していく必要がある部分だということを指摘しておきたいというふうに思います。
 最後に一問だけ聞きたいんですが、認定の問題なんですけれども、厚生省は審査会の二次判定で変更する指針として今月中に変更事例集を配付するというふうに聞いておりますが、以前モデル事業でこういう事例集を出して、これで拘束されたという苦情が大変出た。
 確認したいんですけれども、イエスかノーだけで結構ですが、このたび配付する資料というのはこれはあくまで参考資料であると。これに盛られている内容で変更しなくちゃいけないとか、これに盛られていない内容は変更しちゃいけないとか、そういう拘束的なものではなくて、あくまで認定審査会の二次判定が重視されるんだということでよろしいですね。
○政府参考人(大塚義治君) 各地域の介護認定審査会でもさまざまなケースに戸惑いを覚えるというようなこともあるようでございます。そういうこともお聞きをいたしますので、私どもとしては、今月中に参考となる事例を取りまとめて都道府県、市町村にお送りするつもりでございますけれども、これは審査判定を拘束するものではございませんで、あくまで認定審査会の参考資料として御活用いただきたい、こう考えております。
    ─────────────
○理事(田浦直君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、勝木健司君及び佐藤泰介君が委員を辞任され、その補欠として久保亘君及び石田美栄君が選任されました。
    ─────────────
○理事(田浦直君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、そのうち一名の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(田浦直君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に柳田稔君を指名いたします。
    ─────────────
○理事(田浦直君) 社会保障等に関する調査について、引き続き質疑を行います。
○清水澄子君 きょうは長崎の原爆記念日でございますので、既に田浦、入澤、今井委員からそれぞれこの問題について質問がございましたけれども、私も非常に重要な問題だと考えておりますので、重ねて質問をしたいと思います。
 先ほどもありましたけれども、七月十八日に最高裁で長崎の被爆者、松谷さん、この方はやはり長崎で被爆をして右半身麻痺などの障害を負っている女性ですけれども、そのお方が原爆症の認定を受けられなかったということで厚生省を訴えたわけですが、その裁判で勝利しているわけです。これに対して、やはり原爆症の認定について厚生省の考え方というのが、基準が非常におくれているんじゃないかということが先ほどからも議論があったと思います。
 この判決は、一審、二審の判決を支持するというものであったわけです。七年前の九三年にはやはり長崎地裁で、そして九七年には福岡高裁でこの松谷さんの主張を支持しているわけです、判決は。しかし、厚生省がそのたびに上告をして、現在まで十二年間引き延ばしたということになると思うんです。
 そのことは、厚生省は、自分たちの主張がすべてであるという先ほどの答弁を聞いていますと、この問題について本当に厚生省というのは一体どういう仕事をしているところかなと感ずるほど、人間の命とか人間の尊厳とかについていささかの感情も配慮も持たない役所だなというのをますます実感させてもらっております。上告がなければ十二年前から松谷さんは医療特別手当を受けられた。そういう意味と、自分の健康に対する不安、苦しみというものからも、そういう意味では自分の主張が貫かれて、私は心はある程度安らいだと思うのですね。
 そういう中で、今、大臣もあくまでもこの判決は個別のケースであるというふうなお答えでありました。そして同時に、長崎の市や県やそれから当事者たちみんなが要求しているこの健康診断地域の拡大という問題とは一切関係ありませんと余分なことまでおっしゃっているわけです。一言もおっしゃっていないのは、被害者に対して、本当に長い時間をかけて申しわけなかった、この言葉が先にあっておっしゃるなら、厚生省の立場というのを言いたいというのはまだ理解できますけれども、被害者に対して一言も謝罪をしていない。これが日本の官僚政治といいますか、厚生省というのは一番人間の健康とか命にかかわる省庁なんですね。それが、今この答弁を聞いていて非常に私は憤慨しております。
 現在被爆者の認定を受けている人というのは二十九万七千人ですけれども、この数は今後ふえては困るわけで、ふえないはずですね。高齢者が多くて、どちらかといえば減る一方です。その原爆症の認定を受けた人というのはわずか二千百六十六人、被爆者の中の〇・七%しかいないというのは、むしろ不自然ではないかと思うわけです。それは、重症の方が亡くなっていったということもあるでしょうけれども、やはり裁判で指摘されているように、非常に多くの人が私はその対象に当たるはずだと思っても、そういう厚生省が決めた基準によって人為的な選別が働いてきた、そういうふうにこの数字からも受けとめるわけです。
 そこで、もう裁判やそういう経過報告は要りませんから、大臣に伺います。
 科学的とか合理的とかという基準というのは、これはやはり時代の産物ではないでしょうか。科学がより人間尊重の方向で進歩していくとき、また時代の人権思想が変わっていくとき基準は変わっていくということがあり得ると。この点についてはどのようにお考えになりますか。その御認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) まず、機会を得なかったので申し上げますが、松谷裁判そのものについては、松谷さんが長い間、確定判決を得るまで苦労された、そのことについてはまことにお気の毒であると感じております。それからまた、判決を得て、行政上必要な措置、必要な手当の支払いは着実に進められていると伺っております。
 御質問の科学的な判定はどうかということでありますが、私はやはり政治家個人としてそれを申し上げられる立場じゃございませんので、やっぱりそれは、本当に専門的な方々が下される判断を尊重するというのが私ども行政の一番正しいあり方だというふうに考えさせていただいております。
 なお、今の指定地域以外からこういう不幸な大変なケースがあったという被爆者状況等についてのお話がたくさん出ておりますが、そのことについてはより詳細に検討いたしまして今後に生かしていきたいというのは、先ほど御答弁申し上げたとおりであります。
○清水澄子君 では、指定地域以外のところでの状況は再度調査をしていただけますか、研究をされますか。そういうふうに確認させてください。
○国務大臣(津島雄二君) 先ほども御答弁申し上げましたように、いろいろなケースについての大変にお気の毒な状況等が書かれてございますが、そのことについては詳細に調査検討をしているというふうに私は報告を受けております。
   〔理事田浦直君退席、委員長着席〕
○清水澄子君 やはりこれは残留プルトニウムだけの問題ではないと思います。松谷さんの場合も爆風という、原爆の被害というのは爆風とか熱風とかそういうもので被害を受けるときに、これは爆風の瓦でけがをしたんだというだけではやっぱり非常に乱暴な判断だったと思うわけです。
 そういう意味でも、日本でも広島と長崎だけですよね、特に爆心地であったというところは。この地域の両方の地理的な違いもあります。また、広島と長崎では山とか平面とか丘とかと、そういう状況によって違うわけですから、それだけにやっぱり一つの基準で決めるんじゃなくて、その地域の実態とか訴えに耳を傾ける。そして、このほど長崎市が自分たちで独自に調査をしておられる、このことに私はもっと耳を傾けるべきだと思うわけです。
 余りにも長い間拒否されているために、もう県民の皆さんたちも、自民党はだめですよ、政府はやってくれませんよと、皆そうおっしゃるんですね。私は、それはすごくおかしいことだと思います。やっぱり問題があれば明らかにそこに政策が必要になってくるわけですが、そのだめですよという中に、金がかかるから絶対やってくれないんだと、こういうことで言われているわけです。それが結局原因だろうと私も思います。
 私は、これからどんどん、むしろこれから被爆二世の問題についてもいろいろ問題が起きてくると思うわけです。ですから、私はここで調査なり研究をしていただくのであれば、やはり原爆の被害というのは残留プルトニウム調査だけではなくて、むしろ原爆の熱線とか爆風、そういうものについてもどういうふうな被害がそこにあるかと。これはもう既に長崎市の証言の中にはこれまでの学説を超えた証言が出ておるわけです。
 ですから、私はここで大臣に一つ約束をしていただきたいのですけれども、一度地元の皆さんの意見を聞く、そして自治体の皆さんの意見を聞くということをここでひとつ大臣お約束いただけないでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) この原子爆弾被爆未指定地域証言調査、私もいろいろな機会に拝見をしておりまして、大変なことであったと思っております。
 毎度御答弁しておりますように、個々のケースについてどのように扱うかは専門家による判断というものが大事であるというふうに考えておりますが、それを申し上げた上で、このようないろいろなお話については常に謙虚に耳を傾けて、そしてその中から新しい知見が得られるかどうか、それを検討していくのは当然であろうと思っております。
○清水澄子君 この長崎の証言なり調査を見ていますと、本当にいわゆるトラウマといいますか心的障害、その当時には考えられなかった問題も確かに出ているだろうと。指摘されると、私どもも、ああ、そちらまで気がつかなかったというふうに感ずるわけですね。
 ですから、ぜひ大臣はひとつ、皆さんと話し合ってみるということは決してそんなに恐れることではなくて、かつて水俣病の場合もなかなかこれは環境庁も行かなかったんですね、現場の人と話しに。しかし、現地の人たちは、一度直接話すことで大分心がおさまるんですね。私、おさめるために言っているんじゃないんですが、やはり本当に自分の耳で聞く、そして直接訴えを聞く、こういう厚生行政にしていただきたいんです。
 その点で、単に「プルトニウムの残留度」がどれだけあるかということだけではない、そういういろんな問題があるんだということで、私は広島と長崎の皆さんたちの健康の調査についてはぜひそのことを実現していただきたい。このことを大臣には本当にお願いいたしますが、もう一度約束してください。
○国務大臣(津島雄二君) きょうは、最初の田浦先生、入澤先生、今井先生初め、多数の先生方からそのようなお話をいただいておりまして、私としては証言調査報告書については、今、精査、研究しているということをお答えしたわけでありますが、なお、私を含めてきちっとお話を聞く努力をしなさいということであれば、それはできるだけの努力をさせていただきます。
○清水澄子君 ぜひよろしく実行していただきたいと思います。
 次に、児童の性的虐待に関係する問題なんですけれども、昨年、超党派の議員立法で児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律というのをつくりました。
 厚生省は、この法律の趣旨をどのように認識しておられるでしょうか。そして、職員に対して子供の人権ということについてどのような意識啓発をしておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(真野章君) 昨年十一月に施行されたわけでございますが、厚生省におきましては、昨年の十月二十七日に局長通知を出しまして、この法律において、心身に有害な影響を受けた児童の保護、それから心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備、そういうものが規定されており、児童の保護等について遺憾ないようお願いしたいということで、都道府県並びに関係機関に周知を行っております。
 昨年の十一月一日からことしの三月末までの間に、いわゆる児童買春、児童ポルノに係ります行為による被害児童というものにつきましては、九十件の相談が児童相談所に寄せられているというふうに承知をいたしております。
○清水澄子君 この法律の趣旨をどのように認識しておられるかということと、それから職員に対してどのような意識啓発をされておりますかということです。
○政府参考人(真野章君) 失礼しました。
 こういう買春、そういう行為によりまして子供たちが心身に有害な影響を受ける、それに対して保護をする必要がある。関係省庁またがっておりますが、厚生省の所管としては、そういう児童の保護、広報、啓発、そういうものが中心であって、そういう分野について自治体への周知を行ったということでございます。
 それから、職員に対する周知でございますが、これはいろんな職種につきまして施設長、職員その他を対象といたしました研修会がございます。これは国が行うものもございますし、自治体が行うものもございますが、そういう研修会を活用いたしまして、法の趣旨を説明し、周知を図っているところでございます。
○清水澄子君 この法律の趣旨は、大人が子供を性的な対象にするということは犯罪であるという考え方です。そして、そういうことをやることは子供の人権侵害に当たる、これが法律の趣旨であって、ですからこの犯罪を取り締まるという処罰と同時に、被害を受けたその子供に対しては身体的、精神的なケアをしなければならないということがあります。ですから、特にそういう仕事に携わる職員には子供の人権という視点でそのケアをする、保護をするという内容についても徹底した教育をするというのがこの法律の趣旨であるわけです。
 その法律の趣旨をどの程度厚生省がやっておられるのかという点で、研修会をきのう開きましたと言っても、それは形式的な、ただ表向きの、文章上は皆頭でわかります。だけれども、人権というのは、自分の日常の中で、自分の意識とかその子供に接するときの対応の中で自分を検証していかなきゃならないということがあると思うんです。
 そういう中で、私は七月二十七日の新聞で、宮城県中央児童相談所の所員が入所中の中学二年の少女にわいせつ行為を行って、そしてこれが児童福祉法違反、それから県の青少年保護条例違反で三人の職員、関係者が逮捕されているという記事を見ましたけれども、これはなぜこのような事件が起きたとお考えでしょうか、厚生大臣。この原因というのはどこにあるとお考えでしょうか。
○政府参考人(真野章君) そういう報道がございまして、児童相談所の一時保護所の職員が逮捕されるということは大変遺憾であると思っております。
 今まさに捜査中といいますか、その途中でございますので、なかなか確たるところはございませんが、例えば一時保護所の宿泊体制、二階、三階という構造になっておるようでございますが、例えば二階には男子、三階には女子。ところが、この事件が起こったとされておるときには、三階の一時保護所には被害を受けたという児童、女性一人でございまして、それに宿直をしていたのが男子職員、そういう状況でありました。
 そういう職員の職場の体制、また当然のことながら、児童相談所の職員が一時保護している児童に対して、仮にもそういう疑われることのないような接し方をする必要があるということでございますが、そういう部分についてのいわば教育というものがきちっとされていたのか、そういうようなところに問題があるのではないかというふうに思っております。
○清水澄子君 きのう、この質問をすることでちょっと聞いたときに、その少女はどうなりましたか、その少女のケアはどうなっていますかと伺いましたら、そんなの児童相談所をもう出ていったから知らないよということでした、厚生省のお答えが。
 児童相談所というのは一体何なのですか。子供を保護したり指導をしなければならない立場の職員が、入所が必要だから入所させていたわけでしょう。その入所していた少女にわいせつ行為をして、その子たちは出ちゃった、出たからもう知らない、それが児童相談所のありようですか。
 厚生行政というのは、児童の性的虐待とか人権という、こういう今法律も新たにでき、これも大きな今日的課題になっているときに、そういう状況で、子供がどこへ行っちゃったか知らないと。児童相談所というのはそういうことになっているんですか。
○政府参考人(真野章君) 昨日、その質問をお聞きしたときの対応としてはまことに申しわけなく思います。
 ただ、県から聞いておりますところでは、いわばまだ事案中ということでございまして、被害者といいますか、それの特定を警察側が公表されないというようなこともございまして、児童相談所側といいますか、県側といたしましては被害に遭ったと言われるその児童に対する特定並びにそれへの行動がとれない状態でございます。その辺のところ、もし言葉が足りなければ大変申しわけございませんが、そういう意味で、残念ながら、この被害を受けたという児童に対するケアを児童相談所側が積極的にやっているのかということに関しては、今のところはなかなか手が出せていない状況であるということでございます。
○清水澄子君 では、これはどうなんですか。その子供はどこかへ逃げちゃったんですか。どこか行方不明なんですか。
○政府参考人(真野章君) 若干微妙でございますが、一人の女性は、子供は中等少年院に今入っておられるんではないか、被害を受けた方の一人は。そういうようなことで、児童相談所としては今のところなかなかそこにアプローチする状況にない。
 それから、もう一人の女性につきましては、氏名その他も児童相談所側からすれば警察の方から公表を受けていないということで、それに対しても対応がとれない状況にあるということで、決して、そのまま児童相談所の一時保護所から出ていかれたのでその子供の行き先はわかりません、知りませんということではありませんで、今のところ事案中であって、警察の方の公表がないということから具体的な行動がとれないという状況でございます。
○清水澄子君 それで大体児童相談所の実態がわかりました。ということは、こういう法律が幾らできても、最も児童の保護と人権の保護に当たるべき厚生省の児童相談所においてこういう実態ですから、その他にはなかなかこれは。
 これまで、こういう子供たちのケアをどこでやりますか、それは児童相談所があります、そこでやりますとずっと言っておられたんですが、この児童相談所においてそういう事件が起きるわけですから、そこの職員の研修ということが非常にこの法律においても重視されているということは、単なる研修を何回やったということではないと思うんです。
 ですから、この問題で私は次への新しい政策というものの教訓をここから読み取る。そして、こういう問題は今までも起きていたわけで、逆に福祉施設の中でいろんな問題が起きているわけです。ですから、私らも何回も厚生省に職員の教育の仕方ということを提起してきましたけれども、こういう事件が出てみると非常に何かお粗末な対応の仕方というのでは、とてもこれは外に報告できる問題じゃないと思いますが、必ず改めていただくことをお願いします。
 さらに、二〇〇一年秋には第二回の児童の商業的な性搾取とか性虐待に反対する世界会議を日本で開くことが決まりました。これは、国際的な子供のそういう性的虐待をなくそうといういろんな団体や政府関係の人たちから日本への要望があって、そしてこれを開くことを決定したわけです。
 この会議を構成する主要な行政の一つが厚生省だと思いますけれども、その厚生省はこれに対してどういう取り組みの姿勢を持っていらっしゃるか。そして、これは国内行動計画をつくるということになっているんですが、それに対して厚生省はどのような課題を提起するということで今準備をされているのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 二〇〇一年に横浜で開かれる世界会議、これは私どもも大変に注目をいたしておりますし、平成八年のストックホルムにおける会議で清水委員は政府代表を務めていただいて、大変に大きな成果を上げられたと聞いております。委員からの御指摘もございますとおり、私たちもこの仕事をフォローいたしまして、成果の上がるように今度の横浜の二〇〇一年の会議の機会にも御協力をしなきゃならないと思っております。
 国内行動計画の策定が必要であるということは、私どももそのとおりだと思っておりますが、御承知のとおり、この問題は関係行政が警察行政であるとかいろいろ錯綜しておりますので、そこのところをしっかりとほぐしていかなきゃならない。ただ、そうだからといっていつまでも今のままではいけないと思いますので、この機会に大きく前進できるように私どもとしてもできるだけの努力をさせていただきたいと思います。
 なお、その前の宮城県のケースについて私から一言申し上げておきたいのは、児童相談所は自治事務でございます。ですから、厚生省は仕事の中身においては、福祉の面ではかかわりますけれども、児童相談所自身の管理、監督は自治事務として知事が持っております。
 この機会に私が申し上げたいのは、地方分権という流れの中で、厚生省のいろんな仕事、例えばベビーホテル、保育所でもこれは自治事務として全部お渡ししちゃったわけです。ですから、それぞれの地域でこういう問題や人権の問題に対して本気で取り組んでいただくということがやっぱり今ますます大事になってきた、そのために我々としてもできるだけの努力はさせていただきたい。そのことだけつけ加えさせていただきます。
○堂本暁子君 ベビーホテルについて、今、大臣が御指摘になって、その問題を私は早速伺おうと思うんです。
 今、確かに地方分権一括法が通った後で、特に保育所の問題というのは市町村が責任があるんだと思いますが、ベビーホテルの質問をさせていただくときには、児童福祉法の第五十九条というのがございまして、そこに行政庁の責任が書いてございますが、その五十九条のところに行政庁の定義というふうに書いてありまして、「この法律で行政庁とは、厚生大臣又は都道府県知事とする。」というふうに、このことは特別に書いてございます。ということで、きょう問題にさせていただく事業停止命令あるいは認可を受けない施設にかかわる調査については、これは知事の責任だけではないということを申し上げた上で質問をさせていただきたいと思います。
 ベビーホテルの問題なんですけれども、ちょうど私は二十年前にキャンペーンをいたしました。泊まり込んだり、それから何日も、一週間ぐらい一つところへ通ったりというような形で一年を過ごしたわけですが、恐らくその実態は今も変わっていないというふうに認識しております。
 最大の問題点は、一度ドアを閉めてしまうと中で何が起こっているかということが全く外にわからない。その密室性と申しますか隠ぺいされた世界、そこに子供たちがいるということが最大の問題だと思います。高度経済成長の中で、当時私たちはあだ花というような言い方をいたしましたけれども、子供たちが外と全く遮断された空間にいるということが一番大きな問題だというふうに私は思っています。
 それから次に、ゼロ歳児とか一歳とか二歳の子供たちというのは、どういうことをその日されたか、あるいは何が起きたかということをお母さんに訴えるそのすべを持ちません。それが二番目の問題です。
 それから三番目の問題は、だれでも経営者になれるという制度です。ですから、当時からダンプカーのおじさんもいましたし、キャバレーの経営者もいましたし、それからホステスさんが、自分の子供を預けるよりは自分がそういった経営者になった方がいいということで、別にそういう職業を差別して言うのではないのですが、その方たちが必ずしも保育の能力を持っていたとは限らない。それが三つ目の問題です。
 四つ目の問題は、五〇%の女性が働くようになった。そしてさらに、勤務時間が大変多様にもなりました。長時間の勤務もあれば、泊まり勤務の看護婦さんや、いろいろな職業がありました。それから、離婚した女性がなかなか就職できない、おのずとまずはどうしても夜のお仕事をするような女性が多かった。そういった人たちが夜間の保育にどうしても子供を預けてしまったということです。
 そういう中で、ミルク瓶を普通はお母さんが飲ませてあげますけれども、立てかけたままで窒息して死んだ赤ちゃんもいたし、それからうつ伏せに寝かされてそのまま何時間も置かれたまま亡くなった赤ちゃんもいたし、それから車の中に置き忘れて何時間かたって行ってみたらもう本当に熱くなった車の中で赤ちゃんが亡くなっていたというようなこともありました。こういう死亡事故というのは、そういう密室の中の出来事が外に見えたものです。今度の神奈川県の事件もそうです。
 問題なのは、その死亡事故なのではなくて、そういった一番人間の発達にとって大事な乳幼児期に、何がなされているのかわからない密室の中で大勢の子供が育っているということの方が大きな問題だと思います。本当に心身の健全な発達が可能なのかどうかということが問題なんです。
 私がこの委員会でこの間から何度もベビーホテル大変です、ベビーホテル大変です、厚生省何とかしてくださいという、もう本当に叫ぶようなつもりで申し上げたその最大の理由は、そのときも申し上げましたけれども、認可の保育園の保母さんたちが、最近またベビーホテルから子供が入るようになってきた。その子供たちというのは、まず大変言葉が遅い、それから情緒不安定である、運動神経が発達していない。これは当然なんですね。認可の保育園は園庭があって、毎日子供たちはそこで砂遊びをしたりお散歩したりいろいろしています。保母さんたちが大変努力しています。ベビーホテルは、いらっしゃればわかりますが、広い部屋に本当にほったらかされて子供だけが遊んでいるようなところが幾らでもあります。認可でもって子供たちがお昼寝をし、ちゃんと食事を食べさせてもらい、そしてもぐもぐとか、はい、かみかみといって保母さんたちが丁寧に指導するのから比べれば全然違う世界です。
 そういったベビーホテルで当時、私が一番忘れられないのは、一歳とか二歳の子供たちが、私がベビーホテルを後にしようとすると、足にこうやってしがみつくんですね。帰ってほしくないわけです。ちょっとでも自分と一緒にいた大人にしがみつく。それはもう本当に愛情欠乏症の子供たちの姿だと思います。
 私は、結局この子供たちの代弁をしなきゃならないんだ、出会っちゃったから代弁しなきゃならないと思ったから一年間テレビで放送し、キャンペーンをしたわけなんです。そのときちょうど児童福祉法も改正になりました。立入調査ができるようになりました。そして、劣悪なベビーホテルに対しては閉鎖命令が出せるようになったんです。
 でも、局長に伺いたいんですけれども、あれは一九八〇年ですから、ちょうどこの二十年間に何カ所を閉鎖命令で閉じることになりましたか。
○政府参考人(真野章君) 私どもに事前に相談がありましてそういう行政処分をしたという事例はございません。
○堂本暁子君 大臣、ゼロなんです。それだけ子供たちがテレビを通して訴え、命を落としながら、法律改正が行われ、閉鎖命令ができるというところまで国の行政がそういう決断をしながら、実際に一件もやっていない。これはもう本当に泣くに泣けない気持ちでいます。
 私は、当時はジャーナリストでしたからそういう報道で訴えましたけれども、今は国会議員ですからこの場でしか訴えようがないから、この間うち、二月にも申し上げましたし、五月にも申し上げました。それで、そのやさきにスマイルマム大和ルームで二人の子供が亡くなった。本当に残念に思います。この二十年間何だったんだろうと。私自身でいえば一番自分の大きな仕事でしたから、とても残念に思っています。
 でも、前のことを言ってみてもしようがないし、亡くなった子供の命が戻るわけでもないので、きょうは前向きにこれからこういうことをやっていただきたいということを幾つか提案させていただきたいと思います。もう大胆にやっていただきたいというふうに思っています。
 一つは、神奈川県はやっとおみこしを上げて緊急の相談窓口を開きました。きのう初日で三件電話相談があった。きょうは午前中だけで四件相談があったそうです。みんなだれだって子供を預けるのについて、どこへ預けたらいいんだろう、認可保育所に入れないのならどこがあるんだろうという相談を親はしたいわけです。やはり行政が、いや、こういうところがありますということで紹介することは相当責任のかかることですけれども、少なくとも、今もし大臣が都道府県知事に責任があるとおっしゃるのであれば、私は都道府県知事はそれだけの責任を負うべきだと思う。市町村長も負うべきだと思う。とすれば、私は神奈川県だけではなく、全都道府県あるいは市町村レベルでも相談窓口を親に対して開くべきだと思いますが、このことについて大臣、お答えいただきとう存じます。
○国務大臣(津島雄二君) 堂本先生の長い経験を踏まえたお話、まことに感銘を受けて聞かせていただきましたが、今回神奈川県で起こった事件を嚆矢として神奈川県で電話相談を始めたと。私は大変結構なことだと。また、テレビ等マスコミでも好意的に取り上げてくれているのもありがたいと思っております。
 これを広く各県にもお願いをするかということについては、私の知る限りこれは各県各地域で大分実態に違いがございまして、この場で申し上げるのもあれでございますが、神奈川県は認可保育所の整備は人口に対してかなりおくれているというふうに言われております。そういうことの中から無認可保育園、ベビーホテルの問題が出てきたのではなかろうかと。
 したがいまして、同じような事情にあるところはぜひこれを参考にしていただきたいと思いますが、このベビーホテルの問題を放置しておくわけにいきませんので、厚生省内にベビーホテルの実態などに詳しい専門家の助言チームをつくろうではないか、そしてさらに広く皆様方の御意見を伺いながら、今の御提案を含めて、何かもう少しお母さん方、父兄の皆さん、そして認可、無認可の保育に従事している方々にプラスになるようなことをやりたいなというふうに考えておるところであります。
○堂本暁子君 やはり一番大事なことは、密室性を打破するためには情報公開しかないというふうに思います。
 先日質問させていただいた後で、立入調査の結果、それから指導監督の内容を国に報告するようにという指示を出してくださったことは大変ありがたいと思っておりますが、同時にこの調査の結果を私は公表すべきだと思います。そのことによってしか親は判断できないわけですね。ですから、その詳細な情報を公開する、そうすれば親が選択する自由を持つことができる。
 ビラというのは、昔からそうですが、本当にいいことしか書いてありません、花園のようなベビーホテルとか、それから至れり尽くせりのお母さんのような保護をしますとか。それでやっぱり勘違いをお母さんがしてしまいます。ですから、正確な内容については情報を公開していただく方がいいと思いますが、局長に御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(真野章君) 私ども、もともと平成九年の児童福祉法の改正のときに保育所の利用方式を変更いたしました際に、市町村にいわば保育所に関する情報提供を義務づける、これは認可保育所でございますけれども、そういう情報提供の義務づけということを市町村にお願いいたしました。その際、あわせて認可外保育施設の情報につきましても、最低基準や指導基準への適合状況に配慮いたしまして、認可保育所に準じて住民への情報提供に努めるようにというお願いをいたしております。
 そういう意味では、窓口において十分な情報提供を行う、これは市町村にぜひお願いをしたいというふうに思っておりますし、また先日は自治体にお願いをいたしまして、いわば児童の保護の観点から放置できないような悪質な事案につきましては、これはもう積極的に公表してほしいということを先日、六月一日でございますが、お願いをいたしております。
○堂本暁子君 次の提案ですけれども、立入調査をする場所がわかっているわけですから、年に一回立ち入ったところでそのときだけきれいにしていれば絶対に実態はわかりません。ですから、その施設長、これはダンプカーの運転手さんもキャバレーのおじさんもいたと申しましたけれども、その人たちに少なくとも研修を義務づけていただきたい。研修をしているときに、研修の中であなたのところはどうやっていますかということをいろいろ聞けば、その人がそういう仕事をすることの適性があるかないかということは講師が見抜くことができます。そして、その研修を受けなければ業務の停止命令を出すというぐらいそれは厳しくやっていいことではないかというふうに思います。
 それから、保育者ですけれども、資格があるなし。この間の大和ルームについてもそうですが、調べていただいたことによると、資格を持っていない人が常勤で、資格を持っている人は全部非常勤なんですね、あそこの場合も。ですから、そういった名前だけを置いているような人がいても余り意味がない。ペーパーの報告というのは意味がありません。ですから、そういった保育者についてもきちっと研修をする。常勤の人は必ず全部来てもらって研修して、その人が虐待するような資質を持った人なのかどうか、それともちゃんと子供の面倒が見られる人なのかどうかを見抜いていただくということをぜひやっていただきたいので、そのこと。
 それから、次の質問を一緒にさせていただきますが、同時にベビーホテルを利用しているお母さんたちは往々にして認可の保育所を御存じない。だから、こういうベビーホテルイコール保育のような、それでここがいいんだと思って一生懸命預けちゃう場合もあるわけなので、ぜひとも認可保育園に、最低一カ月に一日行ければそれにこしたことないでしょうけれども、半年に一日でもいいと思うんです、ベビーホテルに子供を預けている親が、例えば認可保育所を土曜日か日曜日に一日あけていただいて、そこで認可の保母さんたちと一緒に遊んでもらう。認可の保母さんたちはもう専門家ですから、その子供たちがどういう状況にあるかということは見抜くことができます。
 それからもう一つは、事故防止のためにベビーホテルを使うについての注意事項、例えば食事についてはどうなのか、どういうものを食べさせているのか、遊ぶ道具はどういうものがあるのか、少なくとも半日あるいは一日は親がそこに一緒に子供といてみる、それから預けてくださいというような注意事項を、これは市町村の窓口やなんかでできるだけ広くお配りして間違いのないようにしていただく。
 この三点について局長に伺います。
○政府参考人(真野章君) 施設長の研修に関しましては、一昨日の予算委員会で大臣の方から、事業所内保育所のいわば施設長の研修を中心に取り組んでまいりたいという御答弁をさせていただきましたが、事業所内保育所だけではございませんで、現在も広くその他の無認可保育所の施設長さん方にも参加を呼びかけております。
 私どもとしては、できるだけそういうことに御参加をいただきたいということにより一層これからも努力をしてまいりたいと思いますし、また従業員の研修につきましてもこれはまたなかなか、認可保育所でも職員研修を全員やれるかというところはございますが、そういう問題につきましても努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 いわばどういう方法があるかでございますが、そういう研修に参加していたかどうかということを、例えば窓口で利用されようという方にお知らせするような方法がないのかというようなことも含めまして、できるだけ先生がおっしゃる密室性を打破するような努力をしたいというふうに思います。
 それからまた、真ん中の質問は大臣からお答えいただきますが、私も今回の事例で記者の方から認可保育所を利用されているお母さん方は知らないお母さんがおられるということを取材のときに聞きまして愕然といたしたわけでございますが、そういう意味でも市町村の保育の窓口でぜひいろんな形でチェックする。どういう形がいいか、また私どもも知恵を絞りますし、市町村にも知恵を絞ってほしいと思いますが、そういう指導ができるような方法はぜひ考えてみたいというふうに思っております。
○国務大臣(津島雄二君) 一つお答えが残っておりますが、子育て中のお母様方等に必要な子育て支援をするということでございますが、これについてはもう委員よく御存じのとおり、地域子育て支援センター事業として平成十一年には九百九十七カ所、新エンゼルプランにおいては平成十六年度には三千カ所までふやそうということでやっておりまして、これは平成九年の児童福祉法を改正して、認可保育所は、預かった措置をする子供さんばかりではなくて、広く地域の子育てに対してもう少し責任を負ってもらうという考え方の転換を背景にするものでございます。
 この延長線で、委員のお気持ちを体して言えば、このうち子育て支援センター事業はきちっと組み立てられているんですけれども、ここに該当しないものでも、地域の子育て家庭、つまりお母さん方を対象に育児講座とか、それから情報の提供とか、そういうコミュニケーションができる場合にはもう少し簡易な形で積極的に助成をしてみたらどうかということで、今、一事業二十五万ぐらいのあれを差し上げているそうですが、これの強化をできないか、今、先生の御質問を受けたこの機会に事務当局に検討を指示しておりますので、もう少し見守っていただきたいと思います。
 それから、もう一つ大事なことは、認可保育所に変わってもらうことが大事だと。そこで、ここで申し上げたいのは、この間の認可基準の軽減、土地、建物も所有しなくてもいいとか、それから人数は少し少なくてもいいとか、こういう大きな政策変更をしておることもプラスになるだろうというふうに思っております。
○堂本暁子君 地域の子育て支援センターだけではなく、すべての認可保育所の施設長並びに保母さんが、今、大臣がおっしゃったような問題意識で地域で働いていただきたいと思いますし、ベビーホテルに行っている子供たちも、排除するのではなくてむしろ入ってくるようなふうに、今、大臣がおっしゃったことに大変期待をさせていただきたいと思います。
 次に、女性に対しての暴力に関する質問をさせていただきたいんですが、先日、男女共同参画審議会から女性に対する暴力に関する基本的方策の答申が出されました。
 きょう伺いたいのは、夫やパートナーがその妻に暴力を振るった場合、東京にいたらどこまでも追っかけてこられるとか、そういうことで新潟から長崎、あるいは東京から北海道というような形で、大変保護を広域に行うことが大事だということも指摘されています。こういった広域化についてはどのような対応を今後厚生省としてはおとりになるでしょうか。
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま先生がおっしゃられましたように、暴力被害を受けた女性が加害者から追いかけられるという話を先日もこのような運動に携わっていらっしゃる民間の方々からお聞きしているわけでございます。そのためにも、必要によっては都道府県を超えた広域的な保護というものが必要なことでございます。そのために、既に平成十一年の四月にこの旨の通知を全国に発出いたしまして、明確にしているわけでございます。また、各種の会議を通じまして、都道府県に対して広域的な保護を活用するように積極的な取り組みをお願いしております。
 また、ここで一つ問題になりますのは、費用の問題でございます。費用はどちらの県が負担するのかというルールもやはり明確にする必要があろうかと思いますし、また実際、都道府県の方にお伺いしますと、広域の指定、今、先生がおっしゃいましたように、東京から北海道というような遠距離というようなことになりますと、その交通費がなかなか出てこない。これをどうしたらいいんだろうかというようなことで私ども聞いておるわけでございます。このようなものに対する財政的な支援のあり方というものについても検討していかなければいけないんじゃないかなというふうに考えております。
○堂本暁子君 もう一つの問題は、欧米、それからもう今や韓国や台湾に至るまで、女性に対しての暴力を防止する法律ができていろいろシェルターもつくられているんですが、残念ながら日本の場合にはまだそういった法制度がないために、被害を受けた女性、夜が多いそうですが、やはり路頭に迷ってしまう。警察に行っても、非常に地域差があって、婦警さんの宿直室に泊めてくださる警察もあるそうですが、これは婦人相談所へ行きなさいと言われて婦人相談所へ行くと、婦人相談所は夜はやっていないからと言われたりということで、たらい回しになる。
 とても大事なことは、そういった被害を受けた女性を公的な施設で緊急に保護すること。安全面や、それから夜間、休日の対応、それから緊急一時保護、そういった体制が必要だというふうに思います。夜中に起こることなので二十四時間体制でやらなければならないということで、これについては局長に御答弁いただきたいと思います。
 それから次に、大臣に伺いたいことなんですけれども、先日、シェルターネットというものの会議が開かれましたが、今のたらい回しの行政、警察とか厚生省の部分もあるでしょうし、児童相談所とか婦人相談所あるいは福祉事務所、そういったところがお互いになかなかこの問題で連携がとれないということがございます。これはどうしても、今、局長にお答えいただこうと思っていることと、もう一つダイナミックに二十四時間体制で、法律がいつできるのか、私たち一生懸命参議院ではこれからやろうとしておりますけれども、とにもかくにもそういった命からがらの場合なんかにどう対応したらいいかということを伺いたいと思います。
 まず局長から。
○政府参考人(炭谷茂君) まず、被害を受けた女性の緊急的な保護については、私ども、婦人相談所の一時保護というところで対応しているところでございます。
 問題は、夜間等に生じた場合でございますけれども、そのような場合は、夜間であっても職員はいるわけでございますので、一時的に、緊急的にそこに保護するというような弾力的な取り扱いでいろいろと地方において工夫されているというふうにお伺いしているわけでございます。
 ただ、問題は、これも先生ただいま言われましたように、全国女性シェルターネットの二〇〇〇年大会でも指摘されましたけれども、加害者がこういうところへやってくるというような事態がかなり想定される、また現実に起こっている。そして、婦人相談所の職員の中にはけがをされるという事態も生じているわけでございます。特に、先生御指摘されましたように、夜間の警備が大変手薄でございます。これについて、やはり現在私どもやや手薄じゃないのかなというふうに考えておりますので、これについての新たなる国の財政支援措置が必要ではないのかなというふうに考えておりますので、現在前向きな検討を加えているところでございます。
○国務大臣(津島雄二君) 堂本委員御指摘の女性に対する暴力問題、体制が大変に不備であるという認識を私も持っております。
 本年七月三十一日に総理府の男女共同参画審議会から内閣総理大臣に対しまして、女性に対する暴力に関する基本的方策についての答申がなされたことは御承知のとおりでありまして、その中にはっきり二十四時間体制の窓口をつくれと言っておられる。これはもうやらなきゃいかぬと思います。
 そこで、今、委員の御指摘になったように、警察、司法機関、人権擁護機関、そして厚生省関係、福祉関係の機関と錯綜しておりまして、今のままだとたらい回しになっちゃう。この問題について関係各省と積極的に話し合いまして、この御提言の趣旨が実現できるように私としても最大限努力をいたします。
 それにつきましても、先般、児童虐待について防止の立法をしていただいたことは大変助かったのでございますけれども、今、委員初め皆様方が御検討中の立法面からくるサポートもいただければ大変ありがたいというふうに思っております。
○堂本暁子君 本当にこれは深刻な問題だと思っております。家庭の中で暴力が日常化してそれをずっと我慢していると、それを見て育った子供たちは、またその子供たちの中で暴力を振るうことは悪いことなのだという感覚が麻痺してしまうんだそうです。ですから、暴力を振るう方の大半は暴力家庭の中で育った。あるいは、最近大変ふえています覚せい剤とかアルコールの影響、そして現代社会のストレスというような原因もあると思いますが、これは非常に現代的な問題ではないかと思います。
 今、大臣お答えくださったことにたくさんの期待を寄せまして、私たちは立法の方も頑張りたいと思っておりますけれども、厚生省にもぜひともいろいろな施策を展開していただきたいとお願いをして、終わらせていただきます。
○西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、私の方からは、食品衛生に関連をいたしました質問をいたしたいと思います。
 冒頭、まず厚生大臣にお伺いいたします。
 就任早々、雪印事件が発生をいたしまして大変御苦労でございます。今回の一連の報道、いろいろございましたけれども、まず私がびっくりいたしましたのは、パック詰め前に殺菌をするからマニュアルどおりに洗浄しなくても大丈夫と思ったという従業員の方のコメントがございました。今回のケースは黄色ブドウ球菌でしたけれども、食品現場におきましてそうしたものに対する知識が十分ではないという現実に大変本当に驚きを感じました。
 今後、今回の事件を教訓といたしまして、健康被害を防ぐための従業員の教育に対して厚生省としてどのようにサポートしていかれるのか。また、食品の安全性に対する公衆衛生学の研究は大変重要になってまいると思います。こうした点について、まず厚生大臣に冒頭お伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) けさから雪印乳業食中毒問題、いろいろと取り上げられてまいりましたが、西川委員から大変前向きな、大事な問題点を御指摘いただいたと思っております。
 それは、食品製造施設の従業員に対する衛生指導や教育訓練がどうなっているかと。HACCP自体がよかったか悪かったか、その認可を出したのがよかったか悪かったかという問題もそれは議論がありましたけれども、しかし、それをやっている人たちがちゃんとやってくれなきゃならないというのはまことに重大な問題点でございまして、そのような御指摘を私どもは真剣に受けとめたいと思っております。
 厚生省としては、これまで乳処理及び食肉製品製造業等の関係団体に対しまして、衛生管理を実施する従業者に対するHACCPの専門技術等の衛生指導を実施するよう指導してきたところでございます。やってはきたと。しかし、今回の雪印乳業食中毒事件を契機といたしまして、やはり問題が随分あった。したがって、HACCP対象業種ごとに製造施設の従業者を対象とした食品衛生講習会を開催して一層指導を行っていかなければならないと思っておりますし、製造施設の従業者に対する教育訓練については必要な協力を積極的に行ってまいりたいと思っております。
 それから、大切なことは、やはり経営陣の心構えを変えてもらいたい。食品を製造して、そして上手に販売をするということばかりでなくて、やはり従業員を含めて食品の安全について本当に徹底した厳粛な気持ちを持ってもらう。そういう意味で、経営陣の教育も必要だと私は思っております。
○西川きよし君 そのあたりも含めまして、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そこで、きょうも出ましたけれども、特に牛乳に対する信用が失墜したと。朝昼夜と一日に三度飲んだり食べたりする。これは本当に毎日の生活の大切なことでありますので、食中毒防止対策として、特に福祉施設や学校に対する衛生行政についてきょうはぜひお伺いをしてみたいと思います。
 平成八年に発生いたしました大阪堺市のO157事件は記憶に新しいところですけれども、先日も名古屋の特別養護老人ホームにおきましてもO157の集団感染が発生をいたしました。福祉施設などで食中毒が発生する事故が本当に後を絶たないわけですけれども、こうした福祉施設や病院、学校などの食中毒事故の近年の発生状況について、また最近は食中毒の病原体である菌あるいはウイルスなどは健康障害を起こすようなものに変わってきているというお話もお伺いをいたします。このあたりを厚生省の方からお伺いしたいと思います。
○政府参考人(西本至君) 平成十一年におきます食中毒の発生状況につきましては、社会福祉施設では事件数が六十七件、患者数は二千八百九十七人、学校におきましては事件数が二十一件、患者数二千五百三十八人、病院では事件数二十三件、患者数九百三十二人となってございます。なお、いずれの施設からも亡くなられた方は出ておりません。
 それから、これらの施設におきます食中毒の原因物質といたしまして、サルモネラ属菌、小型球形ウイルス、腸管出血性大腸菌以外の病原大腸菌が上位を占めているところでございまして、これまでに無害であったものが人に健康被害を起こすようなものに変わってきたというような事実は私どもは承知をいたしておりません。
○西川きよし君 御答弁の数字を聞いただけでも本当に不安になるわけですけれども、こうした福祉施設、病院、学校など、許可を要しないという集団給食施設は全国で一体どれぐらいあるのか。そしてまた、そうした施設に対する衛生面での助言、指導体制の現状はどうなっているのか。そして、厚生省が策定しておられます大量調理施設衛生管理マニュアル、文部省の学校給食に対する衛生基準マニュアル、それぞれの趣旨と内容について、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
○政府参考人(西本至君) 食品衛生法に基づく都道府県知事等の営業許可を必要としないいわゆる集団給食施設の数は、平成十年度現在におきまして八万五千百六十一施設となってございます。集団給食施設につきましては、都道府県の保健所等に所属する食品衛生監視員が、平成九年に厚生省が策定いたしました大量調理施設衛生管理マニュアル等に基づきまして、監視、指導を実施しているところでございます。
 この大量調理施設衛生管理マニュアルにおきましては、集団給食施設等における食中毒を予防するために、HACCPの概念に基づきまして、調理過程における重要管理事項といたしまして四項目定めてございます。
 一つは、原材料受け入れ及び下処理段階における管理を徹底するということでございます。第二は、加熱調理食品につきましては、中心部まで十分に加熱をし、食中毒菌を死滅させること。第三は、加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染防止を徹底すること。第四は、食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐために、原材料及び調理後の食品の温度管理を徹底することとなってございます。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 学校給食の関係についてお答えをさせていただきます。
 食品衛生法で営業の許可を必要としないとされております学校給食施設でございますが、平成十二年五月現在で約一万七千施設になっております。
 また、文部省におきましては、従来から衛生管理の徹底など、食中毒発生の防止を目的としまして通知を発出するなど指導を行ってきたところでございますが、平成八年に発生しましたO157による食中毒事件を契機に、従来の指導通達等を集約整理するとともに、新たな事項を盛り込みまして、学校給食の衛生管理のより一層の徹底を図るため、学校給食衛生管理の基準を平成九年の四月に策定しました。
 この基準では、例えば、整備すべき施設・設備ということにつきましては、直接手や指を触れないような自動の給水栓方式であること等を内容としておりますし、学校給食従事者に対する健康管理の内容といたしましては、健康診断は年三回実施する、検便は月二回以上実施するといったようなことを内容としておるわけでございます。
○西川きよし君 細やかに御答弁いただきましてありがとうございます。
 今御答弁いただいたマニュアルをすべて守っていただければ本当に不安はないわけです。
 そういう意味で、次に、厚生省ではこうした社会福祉施設そして学校給食施設などの給食の一斉点検をされているわけですけれども、今度はその結果についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(西本至君) 平成八年の七月に学校給食施設における腸管出血性大腸菌、いわゆるO157の大規模食中毒の発生がございまして、それを契機といたしまして、平成八年九月より全国の約一万六千の学校給食施設に対しまして一斉点検を開始いたしました。その後、年に一回ずつ一斉点検を実施しているところでございます。また、全国の三万一千の社会福祉施設等給食施設に対しましても平成十年より同様に一斉点検を実施しているところでございます。また、これらの一斉点検の内容は、大量調理施設衛生管理マニュアルに基づきまして点検を実施しておりますが、不十分な項目について改善計画を提出させ指導するといったようなものでございます。
 平成十一年度における学校給食施設の一斉点検の結果でございますが、全体として改善計画に沿って順調に改善がなされておるところでありますけれども、設備構造を伴うもの及び温度管理等の記録等不十分なものも見受けられるところであります。また、社会福祉施設等給食施設におきましても全体として改善がなされておりますが、原材料の定期的検査の実施等の改善が不十分な項目も見受けられる状況でございます。
 今後とも、一斉点検の結果を踏まえまして、施設に対してできる限り早く改善するように都道府県等を通じて指導してまいりたいと考えております。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 学校給食施設の点検の結果について若干詳しく御説明させていただきますと、単独校の調理場につきましては、食品洗浄用の流しと食器具洗浄用の流しが用途別に設置されていないといったようなこと、あるいは食材の納入業者から微生物検査等の結果の提出を受けていないといったようなことが多かったということでございます。共同調理場につきましては、運搬などの配送過程におきまして適切な温度管理と記録がなされていないといったようなことでございました。
 この結果につきましては、文部省から各都道府県教育委員会に通知するとともに、早期に改善を行うよう指導しているところでございます。
○西川きよし君 そこで、文部省にお伺いしたいと思うわけですけれども、学校について問題のある項目についてはそれが改善されない場合は改善勧告が出されております。しかし、その改善勧告が出されたにもかかわらず改善をされていない施設がまだまだ多くございます。その背景には、改築または増築するための予算、お金の問題も多々あるというふうにお伺いをしております。
 今後、改善を徹底させるために予算面での対応も含めましてどのように取り組んでいかれるのか、高齢そしてまた少子、子供たちの命を大切にしたい、そういう意味での文部省からの御答弁もいただきたいと思います。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 改善の取り組みでございますが、全般的に言えば、御指摘のように着実に改善が進んでいると承知はしておりますが、やはり一部財政措置が必要な項目については改善の進みぐあいが鈍いという項目もある、こう承知しております。
 文部省としましては、衛生管理の改善の早急な実施につきまして都道府県の教育委員会等に指導通知を出して指導の徹底を図るとともに、ドライシステム化や施設の改修整備などの補助金を交付するなど、施設設備面の改善にも努めているところでございます。
 さらに、各都道府県におきまして給食関係者を対象にして実際の施設や調理作業を題材とする研修会を文部省で実施してございますが、その研修会に衛生管理の専門家を派遣しまして、衛生管理の徹底を図っているところでございます。
 学校給食は何よりも安全であることが重要でございますので、学校給食を実施するそれぞれの市町村が一斉点検の結果を真摯に受けとめまして対応することが必要であると考えておりまして、今後とも指導の徹底を図ってまいりたい、こう思っております。
○西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。お金の問題で危険とともに生活をしていかないといけないということは本当に寂しい限りであります。
 次に、社会福祉施設などについて厚生省にお伺いしたいと思うんですけれども、こちらの場合は学校と違って改善に対する指導はされておりますが、改善勧告までは行われていないというのはどういうことなのかということをぜひお伺いしたいことと、例えば幾ら指導しても改善されないケースについては改善勧告も視野に入れた取り組みが必要ではないかと思うわけですけれども、この点についてはどのようにお考えであるのか。またさらに、悪質なケースについて改善命令を出すことが現行制度で可能であるかという点についてもあわせて御答弁をいただきたいと思います。
○政務次官(福島豊君) お答えさせていただきます。
 社会福祉施設におきましても、多数の食中毒が発生をしておるという先ほどの報告がございましたが、その一つの衛生管理というものに対しては万全を期さなければならないというふうに考えております。
 先ほど局長から答弁がございましたけれども、平成十年の四月から一斉点検を開始いたしました。そして、その後どうするのかということが大切でございます。平成十二年の六月に施設に対して改善勧告を実施するように都道府県等に指導をしたところでございます。これは、まずきちっとやっていただくということが大事だと考えております。
 そして、この改善勧告を実施した社会福祉等給食施設に対しては、不十分な項目については改善計画をつくっていただきまして、それを提出させ、その改善計画に基づいて、施設に対してできる限り早く改善するよう都道府県等を通じて指導してまいりたいと思います。まずこれが一番最初の段階としてきちっとやらなければならない、そのように考えております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 ことしの四月から介護保険が導入をされまして、老人介護サービスの一環として給食サービスが行われているわけです。今後におきましても小さな規模での集団給食施設がふえてくると予想されているわけですけれども、そうした中で食品衛生法におきましてこうした集団給食施設への対応が十分であるのかどうか。そしてまた、今御説明をいただきました厚生省の大量調理施設衛生管理マニュアルのさらなる強化が必要ではないのかというふうにも思うわけです。そういった声も大きいわけですけれども、この大量調理施設衛生管理マニュアルにつきまして、文部省より御説明をいただいた学校給食に対する衛生基準マニュアル、これよりも基準が少し甘いのではないか、あるいは二つのマニュアルの整合性を図る必要があるのではないかという指摘もございます。
 厚生省では、このマニュアルの見直しについて検討されているということもお伺いをしておるわけですけれども、この点につきまして文部、そして厚生両省から御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 文部省で定めております学校給食衛生管理の基準でございますが、学校給食が学校における教育活動の一環として行われている、こういう特質を踏まえた内容にさせていただいておるわけでございます。
 このため、この基準におきましては、例えば大量調理施設マニュアル、厚生省のマニュアルでございますが、これでは月一回となっている担当者の検便については月二回とするといったようなこと、あるいは今度は逆に、大量調理施設マニュアルにはきちんと書いておりますけれどもこちらの方には書いていないというのは、例えば共同調理場から各学校へ配送することにつきましては、毎日同一校に同一時間に配送を行う、こういうことで配送時間の記録を求めていないといったような違いもあるわけでございます。
 そういう異なったこともあるわけでございまして、文部省といたしましても必要に応じ学校給食衛生管理の基準を見直すこととしておりますが、その際には厚生省と十分協議の上、両基準の整合性ということにつきまして配慮をしてまいりたい、こう考えております。
○政務次官(福島豊君) 先ほどの先生の御質問に対しまして答弁漏れがございましたので、補足をさせていただきたいと思います。
 社会福祉施設などの集団給食の衛生管理において、食品衛生法上どういう行政措置をとることができるかということでございますけれども、同法の第二十九条第三項によりまして、一般の営業施設等に適用される都道府県知事等による監視指導や違反物品の廃棄命令、そしてまた業務の禁止または停止等の行政処分等の規定が準用されて、そして食品の衛生確保が図られることとなっております。
 そして、ただいまの御質問でございますけれども、大量調理施設衛生管理マニュアルでございますけれども、これはまずこのマニュアルをきちっと関係者が適切に遵守して衛生管理を図っていただくということが大切であると思っております。
 ただいま文部省から御説明がございましたけれども、文部省の策定されたマニュアルと厚生省の策定したマニュアルと若干中身に違いがあるということでございます。これは、厚生省のつくりましたマニュアルはその対象が学校給食施設だけではなくて、より広範な社会福祉施設等を含めました集団給食の施設が対象となっているというところにその規定の違いがあるとは思います。
 しかしながら、状況に応じまして、必要に応じこの大量調理施設衛生管理マニュアルというものの見直しを進めていかなければいけないということは先生御指摘のとおりでございまして、その見直しにおきましては、文部省とよく協議をしながら両マニュアルの整合性について配慮してまいりたい、そのように考えております。
○西川きよし君 次に、食品衛生法での対応についてお伺いをしたいと思います。
 こうした社会福祉施設などの集団給食の衛生管理についてですけれども、食品衛生法上においてどのような対応策が可能であるかお伺いしたいと思います。
○政府参考人(西本至君) 社会福祉施設等の集団給食施設というものは、いわゆる私どもの食品衛生法上の営業というものには該当はいたしませんが、「不特定又は多数の者に食品を供与する場合」というものに該当いたしまして、この場合は同法第二十九条第三項によりまして、一般の営業施設等に適用される都道府県知事等による監視、指導、あるいは違反物品の廃棄命令、業務の禁停止等の行政処分等の規定が準用されまして、食品の衛生確保が図られることとなってございます。
○西川きよし君 こうした集団給食施設につきましては、営業行為ではありませんから許可を必要としておりませんし、衛生面での届け出も必要としない。そうなりますと、例えば、どこでどのような施設で集団給食がつくられているのかその把握さえもできない状況で、保健所を通じての助言や指導もされていないという現状でございます。
 また、食品衛生責任者でありますとか管理運営基準が適用されていないということで、例えば東京都ではこうした規制の強化に向けた新たな条例案が検討されているということもお伺いしております。
 今後、ボランティアによる給食サービスなども広がっていくのではないかと思うわけですけれども、そうしたときに行政側からの情報提供であるとか衛生面での助言、指導というものも必要になってくるのではないかと思います。
 本当に、平和だとかこういう食べ物だとか、我々は余りにも安心をし過ぎるというんですか、今回は本当にびっくりいたしました。今後こうした集団給食施設におきましても食品衛生法上の新たな対応がぜひ必要ではないかなと思いますが、最後に厚生大臣のお答えをいただいて終わりにしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 確かに、委員御指摘のとおり、集団給食施設につきましては営業じゃございませんですから、営業許可をするとか取り消すとかいう規定は準用されていないわけでありますが、だからといってこれを放置しておくわけにもいかないということで、社会福祉等関連部局と連携しながらその実態の把握に努めてきたところでありますけれども、今後とも大量調理施設衛生管理マニュアルに基づいて衛生確保が図られるよう指導してまいらなければならないと思っております。
 最近の努力としては、社会福祉関係あるいは学校については毎年一斉点検をやれというようなこともしているようでございますが、日々一層の努力が必要で、これを進めてまいりたいと思っております。
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 終わります。
○委員長(狩野安君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、請願の審査を行います。
 第五九号介護保険の緊急改善、医療費自己負担引上げ反対に関する請願外三件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留することに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五分散会