第150回国会 法務委員会 第5号
平成十二年十一月九日(木曜日)
   午前十時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         日笠 勝之君
    理 事
                石渡 清元君
                久野 恒一君
                佐々木知子君
                江田 五月君
                魚住裕一郎君
    委 員
                阿部 正俊君
                岡野  裕君
                鴻池 祥肇君
                竹山  裕君
                小川 敏夫君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                平野 貞夫君
                斎藤 十朗君
                中村 敦夫君
   衆議院議員
       発議者      麻生 太郎君
       発議者      杉浦 正健君
       発議者      谷垣 禎一君
       発議者      漆原 良夫君
       発議者      高木 陽介君
   国務大臣
       法務大臣     保岡 興治君
   政務次官
       法務政務次官   上田  勇君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       犯罪被害者対策
       室長       安田 貴彦君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省矯正局長  鶴田 六郎君
       法務省保護局長  馬場 義宣君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○少年法等の一部を改正する法律案(衆議院提出
 )

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○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 少年法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁長官官房犯罪被害者対策室長安田貴彦君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、法務大臣官房長但木敬一君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君及び法務省保護局長馬場義宣君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(日笠勝之君) 少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○石渡清元君 自民党の石渡でございます。
 いよいよ少年法が参議院に参りまして、慎重にまた十分に審議をしていきたいと考えておるところでございます。
 現在の少年法ができて五十年、現在の少年非行が非常に話題になっておりますけれども、それを取り巻く社会環境をどう認識し、少年の非行の現状並びに犯罪傾向、またその原因は何なのか、そしてそれに対する対策等をどう考えているか、まずお伺いをいたします。
○衆議院議員(麻生太郎君) 少年法が最初にできました昭和二十年代、終戦直後のことでもありましたので、その当時はやっぱり戦災孤児を初め、極めて日本の経済状況が貧しい時期でもありましたので、少年の犯す犯罪の内容も、生きるために食料品の盗み、かっぱらい等々が極めて大きな比率を占めておった時代と、飽食の時代と言われる昨今、盗み、かっぱらいの内容はゲームソフトであったりするかもしれませんが、少なくとも食べるものを飢えているがゆえに盗み、かっぱらいという例は当時とは全く異なった状況になっておる、社会的状況から申し上げればそのような状況になると思っております。
 他方、犯しております犯罪の内容が極めて重大、重大という表現だと漠然とし過ぎておりますが、何となく凶悪化しておるという内容は、少なくとも殺すという経験をしてみたかったがゆえになどという発想は五十年前はとても考えられなかったと思います。そういった状況が出てきているというのは、少なくともこの五十年間の時代の変化というものを如実に示した事件の一つだったと思います。
 いずれにいたしましても、少年犯罪を取り巻く社会環境というものは明らかにこの法律ができ上がったころとは大きく変わった、そのような認識をいたしております。
○石渡清元君 おっしゃるとおり、過去、戦後五十年、その間に貧困から高度経済成長時代がございまして、今、安定成長に入ったところでございます。
 ただ、子供たちに非常に夢がなくなるというか、子供たちの肉体自身はかなり発達しているんですけれども、精神的にそれが伴っていない、社会的な訓練ができていない。そういう中で、特に学校での不適応あるいは挫折感の体験というのか、そういったようなものがとみに少年を取り巻く現状として強まってきているのが近年の状況ではないか。
 特に提案者の麻生先生は子供の悪書等々については非常に御見識があろうかと思いますが、学校現場でもかなりの変化が起きていると私は考えておるんですけれども、その辺の何か御意見がございましたら御披瀝をいただければと思っておるところでございます。
○衆議院議員(麻生太郎君) できましたその当時の学校というのを見ますと、やっぱり学校の状況というものも随分違ったと思っております。終戦直後は、有名校、早稲田だ、慶応だ、学習院だというようなところですら制服を着ていなかった子供が三割以上、革のランドセルをしょっている子は全校で一人なんという状況であったと私ども小学校のときに記憶しますけれども、今ランドセルを買ってもらえない子なんというのは一人もいないと思いますし、そういった状況では家庭における経済環境も著しく変わったと思っております。
 当時、家庭内における子供の数も比率も違ったと思います。最近のような結婚している家庭で子供の平均が二・二人という、合計特殊出生率とは別に既婚者の女性が産む子供の数は二・二人と、たしか昨今ではそうなっていると思いますが、そういった状況の中にあって、やはり子供の数が家庭内においても少ない。したがって、子供のときから家庭の中において兄弟同士でのコミュニケーションというのが自動的にはぐくまれたものが、学校において初めて多くの子供と一緒になる等々、近所の子供と遊ぶ機会が少ない。いろんな理由は、もう数え上げれば幾らでも出てくるんだと思いますが、そういった中において、子供が他の子供とのコミュニケーション、いわゆる意思の伝達をするというのがなかなか難しくなってきた、機会が少なくなってきた。
 加えて、子供がひとりで、自分だけで遊べるという道具はテレビゲームを初めたくさんありますのは御存じのとおりでして、そういった意味では、親子の対話、子供同士の対話、そういった他人との意思疎通をする機会の減少というものも子供が何となく孤立感を深めていった大きな理由の一つかなと思えないでもないぐらい、数え上げれば多くの理由があると思います。少なくともそういったようなもろもろのことが、やっぱり精神がまだしっかりでき上がっていない状況においていろいろな意味での他人との接触の絶対量の不足というのは一つの大きな原因だと思っております。
 ただ、そういった状況の中にありましてもまともに育っている子もいっぱいいるのであって、そういった状況は、学校が悪いとか家庭が悪いとか本人が悪いとか、幾らでも理由をほかに探せばできるとは思いますが、同じ環境の中にあってもまともに育っている子の方が多いわけですから、そういった意味でいきますと、一概にこれだからという答えがなかなか見つけにくいところだというように理解をいたしております。
○石渡清元君 そういう社会の変化の中で、きのうの参議院本会議の質疑にもございましたけれども、この法が成立したから犯罪は減るのかとか、そういう議論もございました。法律をつくったからすぐなくなるということでもございませんし、それには犯罪予防のための総合的な施策というのが非常に大事になってくるんではないかと思います。その施策について御意見があったら、政務次官、お願いできますか。
○政務次官(上田勇君) お答えいたします。
 今、石渡先生が御指摘をいただいた点は全くそのとおりであるというふうに思います。
 少年犯罪、少年非行に適切に対処してそれを予防し、また青少年の健全な育成を図っていくという中に、現在御提案をいただいて御審議をいただいておりますこの少年法の改正も一つの重要な柱であるというふうには思いますけれども、それにとどまらず、教育、文化、社会福祉、その他全般にわたります総合的な行政施策と相まって初めて少年の保護者や少年を取り巻く地域社会を初めとする国民全体の幅広い理解と不断の努力が必要であるというふうに考えているところでございます。
○石渡清元君 今、麻生提案者の方からも、いい子、悪い子、普通の子と分ければ、悪い子というのは一部ということになるわけでありますけれども、やはりその一部の子をかなり手当て、ケアをしていかなければいけないんではないかと思います。
 特にその犯罪傾向、日本の場合はすぐアメリカと比較をいたしますけれども、きのうのテレビでしたか、アメリカにスクールポリスという、学校に生徒担当の警察官を配置して、それで子供たちを見守る、あるいは外部の社会の犯罪の誘惑から学校、生徒を守る、そういったような制度がありまして、ロサンゼルスなどは学校をサボってぶらぶらしている生徒まで補導、指導をするといったような制度があります。
 日本でも、授業中立ち上がって出ていったり、もう非常に規律が今学校現場では乱れているというふうに聞いております。文部省は来年度、注意欠陥多動性障害、注意力が散漫、欠陥して、教室内を徘回したり出ていったりする多動性障害の調査をするというようなことも発表されておりますけれども、やはりいろんな部分で、特に少年ですから学校生活との関係が非常に強いわけですので、そういったようなところとかなり密接に、今、政務次官から多岐にわたってという御答弁はありましたけれども、どうしても法務政務次官としての枠の中にあるような気がしてならないわけでございます。
 そういう意味でもっと積極的に、法務省の方がいろんな事実、現状というのをおわかりですので、それに適切な施策なりあるいは提案なり、そういったようなものを他省庁も含めて、それが本当の総合的な施策、またそれが非常に具体的にいい結果をもたらすというふうに考えておりますけれども、もう一度その辺の御決意をお願いいたします。
○政務次官(上田勇君) 今、先生から御指摘をいただいたとおりでございまして、法務省もこの少年犯罪、少年非行、それぞれ現場での矯正施設あるいは鑑別所等でそういう事例にも多く専門家が対処しているところではございます。
 そうした中でいろいろな研究等も行っているところでございますので、そういった成果も踏まえて、特に学校関係の方々や地域の中で活動されている方々とも連携をしながら、いかにしてそういう犯罪を防止したり、あるいは青少年の健全育成を図っていくかということを積極的に進めていきたい、取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、今後とも御指導いただきますようよろしくお願いをいたします。
○石渡清元君 ありがとうございました。
 少し遠回りなようですけれども、やはりそういったような施策をきめ細かくやることが最終的には一番効果のあることではないかと思いましてお伺いをしたわけでございます。
 前置きはこの程度にいたしまして、少年法に入っていきたいと思います。
 現在の少年事件の手続、流れについて御説明をお願いいたします。
○政府参考人(古田佑紀君) 現行少年法におきます少年保護事件の手続の概略を申し上げますと、おおむね次のようになっております。
 まず、少年事件につきましては、警察、検察等で捜査をした場合、犯罪の嫌疑があると認められるものについては、すべての事件を家庭裁判所に送致することとなっております。家庭裁判所ではその送致を受けまして審判を行うわけですが、手続としては一人の裁判官が行うことになっております。その審判を的確なものにするために家庭裁判所による調査が行われ、その結果を踏まえて審判が行われます。なお、審判自体は非公開でございまして、検察官等の関与は認められておりません。
 次に、審判の結果、非行事実が認められるという場合には、少年院送致や保護観察などの保護処分を言い渡すことになります。中には、軽いものについては不処分ということで済むものもあるわけでございます。ただ、事件あるいは少年の事情によりまして刑事処分が適当だと認められる場合もあるわけでございまして、そういうときには家庭裁判所から検察官に再び事件が送致されます。
 ただ、この検察官に対する送致は、現行法では十六歳以上の少年に限られることになっております。検察官はこのいわゆる逆送があった場合には、その事件を普通の裁判所、地方裁判所でございますが、などに起訴をするということになるわけでございます。
 なお、裁判所の保護処分の決定につきましては、少年側が高等裁判所に抗告という形で不服を申し立てることができるようになっておりますが、ほかからはそういう道はございません。
 概略、以上でございます。
○石渡清元君 現状の流れを聞きましたので、それでは今回の改正案のねらいと改正の理由をお願いいたします。
○衆議院議員(麻生太郎君) 昨日、当委員会で、また参議院の本会議でも趣旨の説明を申し上げた際にその背景等々は申し上げましたが、昨今の少年犯罪の動向、傾向というものはまことに憂慮すべき状況にあるということは、これは多くの方々の御理解を得ているところだと思っております。また、その中にあって、事実認定手続というものに関しましていろいろ御意見の出るところでもありますし、また加害者の人権と同時に、被害者並びに被害者の家族等々に対しても当然しかるべき配慮をするべきではないかというようなことが多く言われているところであります。
 したがいまして、本改正案の趣旨は基本的に三点に絞られると思いますが、改正の目的は、やっぱり何といっても青少年の健全育成というものを図りますために、加害者、特にその保護者に対してより一層の責任を求めるというのが一点、それから少年審判における事実認定手続というものをより一層明確化すること、そして三点目はいわゆる被害者に対する配慮というものを充実させること等々、多分この三つに大きくまとめられる、要約できると思いますが、こういったものを主なものとして本改正案を提案させていただいたということであります。
○石渡清元君 具体的に各論に入る前に、もう一回少年法について申し上げます。
 懲役刑を科すということが日本のみならず世界的に出てきたのが十六世紀後半というふうに言われておりますけれども、大人と同じように刑罰を科す、ところがこれじゃいけないということでいわゆる少年院とか保護観察が始まり、いわゆる保護処分の原型というのが十九世紀の末ごろにできた。そして、ずっと来ているうちに今度は子供たちの犯罪がやや低年齢化したから、これから刑事処分年齢についても各論でお伺いをいたしますけれども、それを下げていこうと。
 というと、流れからいいますと、スタートして、これじゃいけないと緩くなって、今度はまたアメリカでもどんどん今強く厳しく厳罰主義に行っているそうでありますけれども、やはり刑罰万能主義に、昔に戻りつつある流れなのか、そういうことなんでしょうか。多少波があるわけでございますけれども、少年法全体の流れということを考えたときに、昔に戻ったような感じですか、そうでもないですか。
○衆議院議員(麻生太郎君) 何というのかしら、刑事責任を問われる刑事責任年齢と刑事処分可能年齢というものにある程度差があるというのが日本の場合ですけれども、そういった中にあって、少なくとも各国、犯罪が低年齢化しているという傾向に合わせていろいろ国によって法律を変えておられると思いますが、イギリスはたしか十歳に引き下げたと思っております。
 今イギリスは少年犯罪の刑事処分可能年齢はたしか十歳になっていると思いますが、いずれにいたしましても国によって状況は違うと思いますし、アメリカのように学校に入るときに金属探知機が学校の入り口に置いてあるというようなところ、まだ日本じゃそれほどいってはおらぬとは思いますけれども、少なくともアメリカはそのような状況になっておりますし、学校内に銃を持ち込んで乱射するというような事件があれだけ起きてくると、当然のこととして子供を学校にやらない。
 今アメリカで一番の問題は、これはどこでも、いわゆる家族の所得に関係なく、義務教育の年齢であるにもかかわらず親が子供を学校にやらない。これは理由は簡単で、危ないからという理由であります。これは今アメリカでは結構話題になっておるところでして、ブッシュ、ゴア、まだ結論が出ていない、あと何時間かまだかかると思いますが、出ていないと思いますが、教育問題が最大のイシュー、問題になりました。
 そういった状況の中にあって、国によって随分状況が違うとは思いますが、どういう傾向にあるかといえば、犯罪が低年齢化しているというのは間違いなく傾向として申し上げられると思っております。それに対する対応というものに関しましては、当然その犯罪がふえてきて、被害者がそういったものに関していろいろ発想も変わってきますし、いろんな意味で低年齢化しているというのに対応して、厳罰化だけとは申し上げられないと思いますが、厳罰化する方向はもちろんですけれども、同時にいろんなことも考えられて対策をしておられる。これはどの国だろうと一つ一つ挙げていくといろいろ出てくると思いますが、傾向としては犯罪が低年齢化しているという傾向だけは言えるのではないか、さように考えております。
○石渡清元君 年齢を引き下げるということは、一つの刑罰万能思想というそういう意味も含まれているんですけれども、非常に世界的な傾向として下げていく傾向に今あるような気がいたします。特にもうアメリカなんかの場合は、有権者の受けをねらって強めれば強めるほど選挙に有利に働くということをちょっとあるところで読んだことがあるわけでございますけれども。
 そこで、具体的に処分等のあり方の見直し、特に刑事処分可能年齢についてお伺いをいたします。
 ある新聞社の電話の世論調査では、刑事罰対象年齢の引き下げ十四歳に賛成八二%と、そういう調査結果を見たわけでありますけれども、現行法では十四歳、十五歳は責任能力はあるが刑罰を受けない。現行法のその理由をまず御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) お尋ねの点につきましては、現行少年法立案の際に、当時GHQからそのような提案があったことによるということは承知しておりますけれども、ではその実質的な理由はどういうことであったのかということになりますと、少年法の政府の提案理由説明その他の記録上、どうもそれに具体的に触れているものがないというのが実情でございます。したがいまして、いろんな推測というのは可能ではございますけれども、当時どういう考えであったのかということを実質的に示す記録というものがございませんので、明確なことを申し上げられないというのが実際でございます。
○石渡清元君 それでは、今回の改正の十四歳、十五歳にも刑事処分を科すべき理由、この改正点の理由を御説明いただきたいと思います。
○衆議院議員(麻生太郎君) 今、役所の方からの話にも出ておりましたが、何で十四歳なのかというのは、与党三党にこれを提案いたしました私どものプロジェクトチームでも結構な話題になったところであります。数えだったからじゃないかとか、満と数えと大分違うんじゃないかという当時のあれもありましたし、また日本では十三歳でみんな小学校から中学に入ってまいりますので、十三歳からする方がむしろ普通なんじゃないのかとか、わかりやすい中学生からというようにした方がいいんじゃないかという御意見もありました。
 いろんな意味でこの話はいろいろ議論になったところではありますけれども、少なくとも十四歳というのは、今現行十四歳ということになっておる、刑事責任年齢というものが十四歳ということになっておりますので、今回はそれまでにさせていただいたんです。
 刑事処分可能ということに関しましては、やはり少年の犯罪というのをこの二、三年間、現場を見られた方、またテレビ等々でその状況を見られた方も多いと思いますが、十分に自覚をしておられるのであって、いわゆる未必の故意とかまた過剰防衛によって死に至ったとか、それからたまたま過失によってそれが死に至った、致死になったとかいうような例ならともかくも、隣のうちの人から疑われたことをもってその人に対して報復する明らかな意識を持って殺人を犯しておる。殺すという意識はもう明確なわけですから、そういった子供というのが少なくとも十四歳、十五歳で出てくる。
 また、出てきて外に出ると、いきなり報道陣の方に向かって、写真を撮ってもいいですよ、だってどのみち写せないんでしょう、僕の写真は載らないんですからなんという調子で警察から出てこられたりなんかすると、これは被害者側はもちろんのこと、周りで見ている方々も、そういった子供というものを予想してこの法律ができました五十数年前とはもう状況は全然変わっておりますし、子供の意識というものも、そういった子供がかなりの数出てきているという状況になれば、それに対応して法律というものも変えざるを得ないというのは当然のことだと私どもは思っておりますので、今回は基本的にはそういった子供でも、少なくとも人様の命をあやめる、殺人を犯すというような重大な犯罪を犯したときには、それは明らかにその社会的責任は問わねばならぬという規範というものはきっちりさせるというのがまずは第一と私どもはそう思っております。
 これですべて解決とは思いませんけれども、少なくともそれなくしてその他のものを幾らやってもなかなか効果は生まれないのではないか、私どもはそう思って、刑事責任年齢と刑事処分可能年齢を一致させるという意味で今回の法改正を提案させていただいたということであります。
○石渡清元君 結局、刑法では刑事責任年齢を十四歳以上、少年法では十六歳以上でなければ刑事処分ができないということ、これはもういわゆるダブルスタンダードという考え方でいいんですかね。
○衆議院議員(麻生太郎君) ダブルスタンダードと言われると、当時のいろいろ考え方があったと思いますが、ダブルスタンダードというのであれば今回そのダブルスタンダードは解消される法案になっておりますというように御理解いただければよろしいのではないかと存じます。
○石渡清元君 年齢にこだわるわけではございませんけれども、この年齢問題について、なぜ法制審議会でのテーマ、審議にならなかったのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいまの点につきましては、少年非行のいろんな状況を踏まえまして、与党三党におかれまして、国民世論なども考慮して少年法のあり方について御議論を尽くされた上、迅速な対応が必要であるという御判断になって、そういう迅速な対応が必要な国民的課題に適切に立法府として対応するために、立法府に属する議員としてこの法案を提出するという御判断をなされたと理解しているわけでございます。
 そのような経過にかんがみまして、この問題につきましては、議員提案で法案を提出されるということでもありますので、あえて法制審議会に諮問するという手続はとらなかったものでございます。
○石渡清元君 それでは、次に参ります。
 原則逆送制度、この制度を設けた理由と原則逆送となる重大犯罪の罪名を御説明いただきたいと思います。
○衆議院議員(杉浦正健君) 原則逆送制度につきましては、自民党内の議論におきましても三党協議の中におきましても最も議論が集中したところでございます。
 最終的にこの案に落ちついたわけでありますが、もう皆さんも御案内のとおり、故意の行為によって人を死亡させるという行為は、自分の犯罪意図を実現するために何物にもかえがたい人命を奪うという点で、極めて反社会性、反倫理性の高い許しがたい行為であることは申すまでもございません。このような重大な罪を犯した場合には少年であっても刑事処分の対象となるという原則を明示することが少年の規範意識を育て、健全な成長を図る上で重要なことであると考えたわけであります。
 したがって、罪を犯すとき十六歳以上の少年が故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた場合には原則として検察官送致決定、いわゆる逆送する制度を導入することとした次第であります。もっとも、ケースによっては、犯行後の動機及び態様、犯行の情況、少年の性格、行状及び環境等の事情を家庭裁判所がきめ細かく検討し、保護処分が適当と考えられる場合には逆送せずに保護手続を選択することもできるようにただし書きで相なっております。
 刑事処分と申しますか、逆送されて起訴された場合におきましても、これは少年法五十五条に規定しておりますが、「裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。」ということがございまして、審理を尽くした結果、保護処分で家裁へ戻るという措置も講じられておるところでございますので、少年の保護に遺漏はないものと考えております。
 このようなことを我々が導入した背景といたしましては、一つには現在の少年法でも刑事処分相当の場合は逆送できる、しなければならないとなっておるわけですが、現実に逆送されている例が極めて少ないという、これは家庭裁判所五十年の運用の結果がございます。
 例えば殺人事件一つをとりましても、大体ここのところの逆送率は二〇%から三〇%という程度であります。凶悪犯罪と言われておりますのは、殺人、強盗、強姦、その致死傷を含みますが、凶悪犯罪をとってみますと逆送率が五%程度、これは事実でありますが、あるわけでございます。いかにも家裁の逆送率が低いのではないかという認識が一つはあるわけであります。
 もう一つは、被害者の方々に対する配慮の問題がございます。これは後ほどまた御質問もあるところと存じますが、被害者の会ができて私どもも陳情を受けましたが、その被害者の会でやり場のない不満を持たれておられる方々のほとんどがかけがえのないお子様方を死に至らしめられた方々であります。その方々が一番言われることは、家裁の審理に参加できない、傍聴もできなければ内容も教えてもらえない、何をやられておるのかわからない、記録も見せてもらえない、事情聴取も、法文上はできるようになっておりますが、ほとんどと言っていいぐらい行われない、被害者の気持ちを受け入れてくれる場所がないという現実がございました。
 公開の法廷になりますれば、検察官は訴追いたします。傍聴はできます。場合によれば証人に立って被害感情を述べることもできるでありましょう。そして、刑事記録も一定の範囲内で法律で定めるところにより閲覧できるわけでございまして、公開法廷に持ち出されることによって被害者の方々の被害感情の大部分が、お子さんを死に至らしめられた場合には全部が治癒するとは申しませんが、今持っておられる御不満が解消するというような背景もあったことは申し添えさせていただいてよろしいかと思います。
○石渡清元君 被害者への配慮については後で最後の方にと思っておるわけでありますけれども、罪名は……
○衆議院議員(杉浦正健君) 失礼しました。答弁漏れです。
 罪のあれでございますが、故意による犯罪行為及びそれによる死の結果が犯罪構成要件となっている罪を対象といたしております。典型的なものは、殺人のほか、傷害致死、強盗致死、強姦致死等がございますが、ざっと拾ってみますと三十数項目の犯罪がございます。一々述べますと時間がございませんので省きますが、決闘殺人とか決闘傷害致死とかいうようなものも入っております。
○石渡清元君 杉浦先生はもう御専門でございますので、さらに具体的にお伺いいたしますが、原則逆送とされる罪を犯しても保護処分が適当とされるケースというのはどういうケースか、お答えを願いたいと思います。
○衆議院議員(杉浦正健君) 例外的に保護処分になる場合は先ほど申し上げたとおりでございますが、少年事件の場合はよくあるんですが、例えばグループで一人の子をめった打ちにする、その結果亡くなってしまうという場合が典型的なんですが、そういう場合に、例えば五人、六人でやっても、中には付和雷同的に参加したとかさせられたというような子もいる場合があると思うんです。そういう場合には、主犯格といいますか、の少年と違って、同じ傷害致死でも刑事処分にしないでもいいのではないかというようなことも考えられると思います。また、このところ少女が子供を産む場合が多いんですけれども、子供が生まれてしまった。子供ですから、対応に困って捨てたりして死に至らしめるというような場合もあるかと思います。
 そのケースケースによって事情は千変万化だと思いますけれども、保護処分の方がいいのではないかというふうに判断される場合があると思います。そういったケースについては、家庭裁判所が十分調査をされて適切な保護処分ができるというふうにするのが妥当だと考えている次第であります。
○石渡清元君 原則逆送の制度の導入によって要保護性の調査がちょっとないがしろにされて、自動的に検察官送致されて、事実上は検察官先議のような形になる、そういう可能性はありますか。
○衆議院議員(杉浦正健君) そのような御批判は全く当たらないと思っております。
 少年法第八条では、検察官等から少年事件の送致を受けたときは「事件について調査しなければならない」と定めておりまして、この部分についてはいささかも変更いたしておりません。したがいまして、家庭裁判所は、罪質や犯行の動機、態様、犯行後の情況等の客観的要素に加えまして、少年の性格、年齢、行状、環境等の事情をきめ細かく調査しなければならないことに相なっております。その結果、逆送決定をしなくてもいい場合があるのはもとよりのことでございます。
 この改正法案が成立した場合においても、裁判所においてこのような法の趣旨を踏まえた適切な運用がなされるということを期待し信頼しておる次第であります。
○石渡清元君 次にお伺いいたしますが、少年に対する死刑、無期刑、この軽減に関する改正理由をお願いいたします。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 現行少年法には少年に対する死刑や無期刑を緩和する規定がございまして、これは少年の人格の可塑性であるとか、あるいは年少の少年はまだ人格的に成熟していないことによって責任が軽いと考えられる場合が多いことや、あるいは社会から見た場合の少年に対する追及心と申しますか、そういうものも比較的軽い場合があり得る、こういうようなことに着目して軽減の規定が設けられているわけだろうと思います。
 それで、犯行時十八歳未満の者につきましては、死刑をもって処断すべきときには無期刑を科する、これは五十一条でございますが、他方、五十八条では、少年が罪を犯して無期刑に処せられた場合には最低七年間で仮出獄が可能とされておりまして、成人の場合は仮出獄には少なくとも十年必要だというように、これは刑法二十八条でございますが、それよりも緩和されているわけですね。
 しかし、こういう場合に、死刑を軽減して無期刑とした上でさらに仮出獄期間についても緩和するということになりますと、いわば二重に刑を緩和することになる。本来死刑に処すべき者であっても、無期懲役相当の者と同じ期間で社会復帰をする可能性を認めるということになって、罪刑のバランスあるいは被害者感情、国民感情等々の点からも問題があるのではないかと考えたわけでございます。
 そこで、死刑を緩和して無期刑を科した場合には仮出獄期間の特則は適用しない、これが今度の改正法案五十八条第二項でございます。ただ、七年または十年という期間はもちろん仮釈放が許されない最低の期間を定めたものでございますから、個々の事案においては関係機関において適切な仮釈放の運用を行っていただくべきものと思っております。
 それから、現行少年法の五十一条は、犯行時十八歳未満の者につきまして、無期刑をもって処断すべきときには十年以上十五年以下、この範囲内で有期刑を科する、これが現行法でございます。しかし、本来無期刑を相当とする場合でございまして、事実によっては十八歳未満の者であっても実際に無期刑を科すことの方が適当ではないかという場合も考え得るので、無期刑を科すか有期刑を科すかは裁判所が選択できることにいたしましたのが今度の改正五十一条第二項でございます。
○石渡清元君 次に、保護者の責任に関する改正というのはどういう考え方で改正をされたか、お願いいたします。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 少年非行の場合には、本人に問題がある場合ももちろんたくさんあるわけでございますけれども、家庭と申しますか保護者にむしろ問題があるという場合も少なくないわけでございます。
 それで、少年の再非行を防止してその健全な育成を図っていくためには、その少年に対して保護処分をするだけではどうも足らない。少年の保護者にその責任を自覚させて、少年の改善更生に向けた努力をさせることが大事である、こういう場合も極めて多いんだろうと、こう思うわけでございます。
 そこで、今度の改正案におきましては、少年の保護者にその責任を自覚させて、少年の再非行の防止を図るために家庭裁判所や家裁の調査官が保護者に対して訓戒とか指導、そのほか適当な措置をとることができることを明文で規定いたしまして、保護者の位置づけと果たすべき役割について明確にしていこう、こういう趣旨で改正案をつくったわけでございます。
○石渡清元君 まさに保護者の責任というのは非常に大きいものがあると思います。同時に、広げて言うならば、冒頭申し上げましたとおり、少年の社会環境というふうに考えたときに、やはり大人の責任、これが非常に大きいんじゃないか。ある法律家は、極端に言うと大人も共犯者じゃないかなということを言う方もいるぐらいでございますので、この保護者に関する改正後の運用がぜひ実効あるものになるように考えておるところでございます。
 それから次に、和やかな審判を行う、これもまた強調されている一面でありますけれども、その改正の部分の御説明をお願いいたします。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 今、石渡議員がおっしゃいましたように、現行法の二十二条第一項は「審判は、懇切を旨として、なごやかに、これを行わなければならない。」と書いてございます。これは、少年審判の手続が少年を保護して教育をする場であるという考え方に基づいてこういうふうに決められていると考えるわけでございますが、少年の年齢や性格に即してわかりやすく、少年や保護者の信頼を得られるような雰囲気のもとで審判を行わなければならない、こういう趣旨だろうと思います。
 しかし、こういう規定のもとにおきましても、ただ甘やかせばよいというわけではもちろんございませんで、少年に自分の犯した非行について真摯に反省を促す必要がある場合、これは当然こういうことがあるわけでございまして、その場合には裁判所といえども、少年審判といえども毅然とした態度で少年に臨まなければならないということがあろうかと思います。
 こういうことは当然現行の法のもとでも想定されていたことでございますけれども、法文上は必ずしも明確になっていなかったということで、今回の改正においては審判を通じて非行のある少年に対して内省を促すことができるものとしなければならない、こういうことをはっきりさせたという趣旨でございます。
○石渡清元君 ありがとうございました。
 次に、少年審判の事実認定手続の適正化についてお伺いをいたしますが、まず裁定合議制度、これは法定合議制度でなくなぜ裁定合議制度になったのか、その理由をお願いいたします。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 今回の改正で裁定合議制度を採用いたしましたのは、少年事件でも複雑なもの、それから事実認定に困難を伴う事案というものが見られるようになってきておりますので、それで事案に応じて、今までは単独の裁判官でやっていたわけでありますが、事案に応じて三人の裁判官の合議体で審理を行うことができるようにしようということでこういう規定を設けました。
 しかしながら、一定の重大事件だからと申しましても、非行事実が争われていないとか、あるいは事実認定が極めて単純に行える、こういうものももちろんあるわけでございますから、すべてを法定合議制というふうにしてしまうことは必ずしも適当ではないのでないか。
 他方で、法定刑が比較的軽微なものでございましても、共犯者がたくさんあるとか、その供述がいろいろ複雑で、内容をよく分析していかなければ真実が明らかにならない、こういうものもございますので、合議制の対象をこういうものと一概に規定してしまうのは柔軟性を失うのではないかというふうに考えまして、すべての事件を対象にして、具体的事件に応じて合議制をとることができるようにするのが一番妥当ではないか、こういうことで裁定合議制をとったということでございます。
○石渡清元君 そうしますと、裁定合議制の導入で少年が真実を伝えにくいとか、そういったような障害になる可能性というのは出てきますか。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 私どもも、そうそうたる委員の皆様がたくさんおられる前に出ますと若干気おくれを感じたりすることがないとは申せませんが、やはりそれぞれ人間でございますから、相性等、一人の裁判官では必ずしも十分に物を言えないけれども、それぞれの裁判官の、三人おりますと自分の年齢に比較的近い者、あるいは自分と波長の合う方がいたり、そういうのでかえって思うことを話せるという場合もあろうかと思います。
 要は、先ほどおっしゃいましたように、和やかに行う、こういうことが書いてあるわけでございますけれども、この合議制、三人の裁判官が少年法の趣旨をよく理解されて、適切にこの運用を図ることによって十分な事実審理の実を上げられるようにしていくということではないかと思います。三人いたから気おくれを感ずるというようなことは運用によって回避していただかなければならないことだろうと思います。
○石渡清元君 それでは、触法少年とか虞犯少年の少年審判に対する裁定合議制についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 触法少年や虞犯少年、触法少年であれば十四歳未満、虞犯少年であれば犯罪というには当たらないということでございますけれども、そういう場合に、では判断が常に簡単にできるかというと、必ずしもそうは言えない。そういう場合でも判断に困難を伴う事案というものが必ずしも想定されないわけではございませんので、そういう事件については一律に合議制から外すというようなことはいたしておりません。どの事件について合議体で審理をしていくのかというのは裁判所の適正な判断にゆだねたい、これが今回の考え方でございます。
○石渡清元君 それでは次に、検察官の関与についてお伺いをいたしますが、検察官の関与の対象となるいわゆる非行事実に、犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関係する重要事実が含まれておりますけれども、その趣旨について御説明をお願いいたします。
○衆議院議員(杉浦正健君) 御指摘のように、改正法第二十二条の二第三項に定めておるわけでございます。非行事実の認定に資するため必要な限度で審判に関与するということになっておりまして、またその非行事実とは、第五条の二第一項で「犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。」と規定されております。
 少年審判において解明を求められているのは、犯罪の構成要件に該当する事実だけでなくて、ここにあるような周辺事実と申しますか、密接に関連する重要な事実、非行事実でありますが、それらが解明されて初めて事件の真相が明らかになると言ってよろしいかと思います。
 それ以外に、要保護性と言われている本人のいろいろな人格的な問題の調査が家裁では行われておるわけですが、それは検察官の関与する、審判に関与するあれには含まれておりませんが、非行事実の解明に検察官が関与することによりまして真相が明らかになり、適切な処分が可能になるというふうに考えた次第であります。
○石渡清元君 それでは、触法少年の事件がこの検察官関与には認められておりませんけれども、その理由はどういうところにあるんでしょうか。
○衆議院議員(杉浦正健君) 御案内のとおり、十四歳未満の触法少年につきましては、事件は犯罪とはなりません。また、処分に当たっても、子供ですから要保護性がより重視されるということは当然でございまして、そのような場合にまで検察官関与を認める必要はない、こう判断した次第であります。
○石渡清元君 それでは、検察官の関与が少年審判について今回の改正でどういうふうに変わったのか、あるいは検察官の関与によりまして審判廷が少年を追及する場になっちゃうんじゃないかという批判が一部あるようでございますけれども、それに対する考え方、あるいは検察官の関与により冤罪がふえる可能性というのがあるのかどうか、それをお伺いいたします。
○衆議院議員(杉浦正健君) 今の御質問の点につきましては、検察官の関与は、あくまでも現在の職権主義的審理構造といいますか、そういう中でのものであります。何条でしたか、はっきり書いてありますが、裁判官の指揮によって運営されるわけでございまして、その指揮に検察官は服しております。
 検察官が関与する場合には、必ず付添人、いない場合には国選の付添人、弁護士を付することになっておりまして、弁護士も同様にその構造の中で適切な審判に参与するわけでございますので、検察官と弁護士がどなり合ったりするようなことが、まあないとは思いますが、仮にあるとすれば、裁判官が適切に指揮をして、別室へ行って協議するとか、その審判の進行に適切な措置が講じられるというふうに思うところでございますし、御心配の向きはいろいろございますが、そういう心配は当たらないように配慮したつもりでございます。
○石渡清元君 残り時間が少なくなってまいりました。
 いずれにいたしましても、いかに社会の病理現象、病巣をなくしていくかということにある大人の責任というのは非常に大きいと思います。したがって、先ほど政務次官が述べられたように、かなり幅広い総合的な施策というのに積極的に踏み込んでいかなければいけないと思っております。
 そこで最後に、大臣に、この改正に対するこれからの大臣の心構えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(保岡興治君) 冒頭に先生の御質問で、上田総括政務次官からお話がございましたとおり、少年の非行をめぐる問題は非常に幅が広いわけでございまして、少年の非行は社会の鏡であると言われているようなこともありまして、これは本当に総合的に社会のあり方を含めて二十一世紀の日本の気質、体質というようなことにつながっていくわけですから、この際、将来の日本を背負う少年の健全なあり方を求めて少年法を中心にいろいろ議論したことは大変意義のあることだと思っております。
 また、今度の改正案が成立しました後は、当然家庭裁判所において改正の趣旨を踏まえていろいろ工夫をされまして適切な運用を図られていくものと思いますが、検察官についても、少年審判に検察官が関与するということは、いろいろ御議論がありましたが、これは審判に協力して、やはり少年法の目的、審判の理念というものに力を尽くしていく、検察官の立場でもそれに協力していくということでございますので、そういった少年事件の特質に配慮しながら、先ほど来中心に議論されました的確な事実認定というものに努力をしていくものと考えております。
 また、矯正当局においても、少年院に収容された少年受刑者あるいは少年などに、大変皆様方、大方から少年院の処遇のあり方については評価もいただいたところでございますけれども、さらに適切な教育的処遇その他、改善更生、社会復帰に向けて、改正法の趣旨に沿った運用に努めてまいりたいと考えております。
○石渡清元君 まだ抗告申し立て制度あるいは観護措置期間の問題、保護処分終了後の非行救済手段あるいは被害者への配慮等々お伺いをしたかったんですけれども、時間が参りましたので、これで質問を終わります。
○委員長(日笠勝之君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(日笠勝之君) 速記を起こして。
○竹村泰子君 おはようございます。
 この少年法の審議が国会で、衆議院で始まりましてから私ども法務委員のところに本当に多くの国民の皆様からのたくさんの声が寄せられております。提案者の皆様のところへも同様であると思いますけれども、きのう私のところへ届きました「少年法の厳罰化に反対する法学者の緊急声明」というのがございます。これが法務大臣及び提案者の皆様のところへ届いているかどうかはちょっと私わからないんですけれども、憲法学、教育法学、刑事法学の五十六名の方たちが呼びかけ人になられまして署名を集められまして、十一月六日現在、二百二十七名の法学関係の学者たちが「厳罰化に反対する法学者の緊急声明」というのをお出しになっていらっしゃいます。
 御存じだったでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) その内容については、法務省等で承知しているかもしれませんが、まだ私のところには届いておりません。
○竹村泰子君 通告しておりませんで失礼をいたしましたが、後ほどお届けいたします。
 この中には、「少年法の教育主義の理念を決定的に後退させるものである。私たち法学者は、事態を深く憂慮するとともに、」「すみやかに廃案にするよう要求する。」とうたってありまして、「少年法は、非行少年のみならず、広く子どもの教育の根幹にかかわる法律でもある。」ということで、「少年非行は社会の歪みを映す鏡といわれる。少年が非行へと至る原因は複雑であり、」「刑罰の威嚇によって、少年非行が効果的に防止される可能性は少ない。」と、御紹介をすれば長くなりますのでやめますけれども、こういう非常に緊急な声明が届いている。私たちはこのことに耳を傾けなければならないということを冒頭申し上げておきたいと思います。
 もともと与党案の提案理由はもう衆議院の段階からいろいろお聞きしておりますけれども、最近の少年犯罪の動向等にかんがみ、少年及びその保護者に対してその責任について自覚を促す、それから少年審判における事実認定手続の一層の適正化を図る、被害者等に対する配慮を実現するため、記録の閲覧、謄写、被害者の申し出による意見の聴取の制度を導入する必要があると。細かいところは省いて申しわけございませんが、以上でよろしいかと思いますが、最近の少年犯罪の動向という意味は、少年犯罪の凶悪化、低年齢化であるという説明がされています。
 しかし、この点について提案者は短期間の件数の変動をおっしゃるだけで、全面的な統計分析をしようとしておられない。戦後日本における長期的な減少傾向とその要因について説明を求めても、説明をきちんとなさらなかった。衆議院の最終日の民主党の山花議員の質問に対して、谷垣議員が若干の私見をお述べになっただけでございます。また、個別ケースの分析を通じて凶悪化、低年齢化していないことを論証した大阪弁護士会の報告も、何名もの野党議員によって言及されましたけれども、与党はこれへの反論を全然しておられません。
 これをどのように提案者はお考えでしょうか。
○衆議院議員(麻生太郎君) 見解の相違なんだと思いますが、いろいろ御説はございまして、少年犯罪は戦後一貫して伸びておると、これは今年十月に発売になった本にもありますけれども、一貫して伸びておると。最近伸びていない理由は検挙率が六〇%から四〇%へ下がっておるからなんであって、現実問題としてはそれを六〇%に戻してもらえば一貫して伸びておるという御説もあって、これはもう実に種々なんです。
 したがいまして、今のそれらの先生の方々の、竹村先生の読まれた資料をもとにされるのと我々の資料と、これはいろいろありますので、どれが正しいかというのは見解の相違としか申し上げられないので、私どもとしては、今ある状況をこのままにしていいという発想だけはとてもついていけないところであります。
 私どもとしては何らかの対策を持たねばならぬ。そのためには、では厳罰化だけすればいいのかといえば、それはもう先ほどからいろいろな方が申し上げておりますように、いろいろな複雑なものが絡み合っておりますから、これは厳罰化すれば急激に犯罪発生率が激減するなどと言う気は全くありませんけれども、少なくともそういったような罪を犯せば刑事罰の対象になり得るということをきちんとさせるということは大事な規範というものを育てていく非常に大事なものの一つだということだけははっきりいたしております。
 また、検挙の人員につきましては、昭和五十八年以降間違いなく減ってきているということは私どもも存じているところですが、平成七年を境に増加の傾向に再び転じておりまして、平成九年には二十万人の大台を突破して、平成十一年はさらにふえてきておるというのが私どもの持っておる数字であります。その内容も凶悪化しておりますことはもう御存じのとおりだと思っておりますので、こういった状況を考えて、これは早急に対応すべきということが私ども提案者側の見解であります。
○竹村泰子君 検挙人員、年齢層別検挙人員とか、犯罪白書にもデータが示されておりますことは、私、きのうの本会議でも申し上げましたけれども、今おっしゃいましたように、八〇年代にピークとなりまして、その後数年そういう状態が続いておりますが、平成に入りましてからぐっと低下しておりますね。そして、この平成九、十年あたりで検挙数が少し上がってきている。
 先ほどからもお答えになっておられましたとおり、多様化しております。非常に今までにはなかった傾向の犯罪も確かにあります。しかし、そういった特異な犯罪が目立つようになったからといって、少年犯罪が非常にふえている、凶悪化している、低年齢化しているというふうな根拠もなく、それを立法の理由になさるということについては、衆議院の審議の段階から異議が唱えられているというふうに思いますけれども、このことを今提案者の皆様にお聞きしても同じような答えが返ってくるだけだと思いますのでやめます。
 むしろ、子供はなぜ犯罪を犯すのか、子供は今どんな状態に置かれているのか、その抱えているストレスや社会的な未熟性をどう見るのか。野党や参考人から衆議院段階でも触れられましたけれども、この点の基本的な論議がもっともっと必要なのではないでしょうか。法制審にもかけず、いきなり与党の議員立法で急いでお出しになった、そういう点でも少年犯罪ということを本当に真剣に考えておられるのかと私は疑問に思います。矯正関係者が少年犯罪の本質は未熟性のゆえであると認識していると木島議員は発言なさっておられますけれども、これは非常に重要なことだと思います。
 大臣はこれらのことについてどうお思いになりますか。
○国務大臣(保岡興治君) まず、基本的なところで、法制審になぜかけなかったのかというお尋ねから申し上げますが、これは先ほどの石渡委員の御質問に刑事局長が答弁したとおりでございまして、さきの通常国会の終盤で衆議院において立法措置を含む少年犯罪対策については早急に検討すべしというものもございますし、また各党で少年事犯の重大化、問題性というものを御議論されてきたいろいろな提言その他もございますし、また選挙を通じて国民から広く少年非行について少年法改正を含めて対応を急ぐべしという、そういう意見も非常に強かった。
 そういうようなことを受けて、与党として少年法の改正をいろいろ熱心に議論されて成案を得られ、かつさきの通常国会で廃案になった政府の提案したところの内容もその中に取り込んでいただいたということなどを踏まえまして、与党の議員立法の御意向に我々も沿って対応しようということで、緊急的な課題、迅速な対応を必要とする問題と認識して、与党の提案に我々も協力して少年法の適正な見直しに臨もうということにした次第でございます。
 また、ストレスや社会的な未熟性というものをどうとらえているのかということでございますが、先ほど来、最近の少年の犯罪、非行の傾向ということが議論されておりますけれども、最近は非常に動機が希薄だとか遊び半分にやるとか、あるいは少年法を認識して、我々は免罪符を持っているというような錯誤というんでしょうか錯覚というんでしょうか、そういう確信を持って犯罪を敢行する、あるいは集団化している、そういったいろいろな少年事犯の、少年非行、犯罪の傾向というものがあるわけです。こういったものに非常に国民が不安に思って、将来の日本にとってこれは看過できない、緊急に対応しなきゃならぬ課題だという大きな位置づけをしているんだろうと思います。
 そういったものに対応して、与党でも真剣に考えて少年法改正を提案され、国会でもさまざまな角度から議論されている。これは先ほどから委員が御指摘のように決して生半可な気持ちでこの問題をみんなが議論しているものではないということは、これははっきりしていて、もしそういう見方をする人がいるとすれば、今、少年の持つ問題性、あるいはそれに向けて少年法改正を提案し、かつ国会で審議している状況を正しく見ていない人の考え方ではないか、まあそういうことは決してない、そういう方はわずかである、そう信じておるところでございます。
 また、今申し上げたような少年の犯罪あるいは非行の特性に着目した審判のあり方や処遇のあり方をこの国会で真剣に議論して、その議論の成果を将来に生かそうと努力をしているものだと思いますし、今回の与党提案の少年法はそういった意味で非常に大きな意義を持っていると私は考えております。
○竹村泰子君 生半可な気持ちでやっていらっしゃるとは思いません、そんなことをされたらたまったものじゃありませんから。しかし、私たちは、まだまだもっともっと国民、市民的な議論が足りないのではないかというところを言っているわけです。
 今ちょっと大臣もお触れくださいましたが、法改正の目的として一体それではどんな効果があるのだろうかと。犯罪抑止効果というようなことも言っておられますけれども、犯罪抑止効果については提案理由には出てまいりません。
 初めに年齢引き下げ問題を言い出した九八年九月の法務省の少年犯罪に対する年齢上の区分の改正に関する基本法案というのがございますが、現在の少年法は保護優先主義に基づいて定められているが、犯罪の抑止という観点からの検討も必要ではないかと言い、始められた。そして、九八年十二月の自民党の小委員会の報告では、保護育成の理念で非行の凶悪化、低年齢化の傾向に十分な抑止力になり得るかという提起がなされております。いずれも年齢引き下げには犯罪抑止効果があるという前提であります。それがことし五月の自民党小委員会の方針では、罪を犯せば罰せられるとの法規範を明示し犯罪を抑止する必要があるとなり、端的な犯罪抑止ではなく、法規範の明示を通じての犯罪抑止となった。そして、さらに今回の提案理由では犯罪抑止という言葉が消えて、責任の自覚となり、規範意識の強化と説明されている。
 私がこう申し上げて、何かおっしゃることがおありでしょうか。
○衆議院議員(麻生太郎君) 流れをずっと御説明いただきましたけれども、基本的にそれだけ多くの議論がなされたということであります。
○竹村泰子君 今、犯罪抑止について私はしゃべっているところでございまして、法務官僚を代弁される上田政務次官はアメリカの例も含めて厳罰化と犯罪の増減との関連はわからないとおっしゃっていますね。
 きわめつきは、二十五日の我が党の水島議員の犯罪抑止効果を期待して法律改正をするのであれば根拠となるデータはあるのかとの問いに対して、保岡大臣はしばらく口ごもられた後、総合的、体系的なしっかりとした調査の結果、何をやればどういう効果があるというデータはないと自認してしまわれました。
 さらに、厳罰化はかえって犯罪を増加させるのではないかという指摘がアメリカの、私もきのうアメリカと韓国の例を持ち出して、事実増大しておりますから、教訓を踏まえて指摘されていると葛野参考人もおっしゃっておられます。
 与党は、これにきちんと答えるべきではないでしょうか。大臣と提案者にお伺いいたします。
○衆議院議員(麻生太郎君) 厳罰化されていなければもっと犯罪がふえていたかもしれぬという観点も同時に考えられねばならぬところだと思うんです。厳罰化されても犯罪はふえたということが事実と仮にいたしましても、私、ちょっとアメリカの例と韓国の例を引かれましたのを昨日拝聴させていただきましたが、もしそれがされていなければという前提条件というのをもう一回別に考えないと、これは法律をつくる側からすれば当然考えておかねばならぬところだと思いますので、そういった意味では厳罰化できたがゆえにさらに悪くなったというのは、私どもの見解とは少し違うような感じがいたしております。
○国務大臣(保岡興治君) 私は、犯罪あるいは非行、こういった少年をめぐる問題のすべてを、その原因を知り尽くして、その上、一つ一つの原因について統計的な数字を挙げてこの立法の必要性を論証することは難しいという趣旨で申し上げたわけです。
 ただ、私が先ほどから申し上げているように、そういう科学的な分析検討もいろいろ出ておりますから、それもいろいろな角度から見方によって、統計のとり方によっていろいろさまざまあるということは、先ほど麻生議員からも御説明したとおりで、一義的にきちっと原因と答えを総合的に論証するということは難しい問題であるということは、これはもうだれもが認めていることでございます。
 ですから、あらゆる角度から少年非行、犯罪について対策を講じ、今度の少年法改正もその一助として、重要な柱として今提案され、議論されているものだと認識いたしております。
○竹村泰子君 提案者の麻生議員の、もし厳罰化しなかったらもっとふえていたかもしれないという、想像による、推察による、よその国に対してそのような根拠もないことをおっしゃっていることに対しては、私は大変失礼な話だと思います。もしアメリカや韓国の人が聞いたら怒るんじゃないでしょうか。
 何かおっしゃりたいことがありますか。
○衆議院議員(麻生太郎君) そういうことも、それも想像だと思います。御意見も想像だと思います。
 アメリカの人が、おまえよく言ったと、そう言ってくれる人もいらっしゃるのではないかという点もあるんじゃないでしょうか。それはだからお互いさまですから、これはなかなか想像が難しいので、これにしなければどうだったかと言われますと、そうじゃなかった場合の例も申し上げぬといかぬと申し上げているだけです。
○竹村泰子君 それはひどい御答弁だと思います。私は、アメリカや韓国はちゃんとデータに基づいてふえていると言っているのでありまして、厳罰化を行った結果ふえているというデータに基づいて言っておりますので、そんないいかげんなことを言ってもらっちゃ困ります。(「委員長」と呼ぶ者あり)
○委員長(日笠勝之君) どうしますか。
○竹村泰子君 結構です、時間がありませんので。提案者の皆様にはあとまだたくさんお聞きすることがありますので、申しわけございません。
 あいまいな規範意識の強化ということで、それでは犯罪抑止効果のかわりとなった規範意識というのは一体何でございますか。
○衆議院議員(麻生太郎君) 社会生活を営む上でそのルールを守ろうとする意識、基本的にはこれが規範意識と呼ばれるものだと理解をしております。
○竹村泰子君 その社会生活でルールを守ろうとする意識という意味であれば、それが育つためには子供が社会の一員としての自覚が持てるように幼いときから一個の人格として尊重されることが大切であり、愛されることも大切であると思います。そうすることが青少年の犯罪の予防になるというのが国連のガイドラインの考え方であります。
 しかし、与党の言う規範意識の強化というのはちょっと違うんじゃないですか。罪を犯したら罰せられるということを明示することと、十日、河村議員に杉浦議員がお答えになっております。怖い存在が犯罪抑止になるという発言、これも十月二十九日の日経の杉浦先生の御発言でもありますけれども、怖い存在が犯罪抑止になるというように、結局、大人から子供への一方通告の威嚇にすぎないんじゃないですか。このことは、法務大臣が社会全体の規範意識の強化のためには憲法や教育基本法の改正が必要であり、それは義務や責任を重視することだという趣旨の発言と共通しているのではないかと思います。結局、国家が国民全体を管理し統制しようという発想から出ているのではないか。市民社会のメンバー相互のルールの尊重、子供も一個の人間として尊重されるということとは全く逆の発想である、私はそう考えます。
 厳罰化は正しい意味での規範意識の強化に役立たないということを申し上げたいのでございまして、規範意識の希薄化は、法務大臣が少年犯罪は社会の鏡と答弁されたように、社会一般の傾向であるかもしれません。規範意識を強化するために少年法を改正するというのはどういう論理なのでしょうか、はっきりとお答えいただきたいと思います。大臣と提案者と双方にお伺いいたします。
○国務大臣(保岡興治君) 先ほど私が憲法や教育基本法の議論が必要だということを申し上げましたのは、これは一政治家として、やはり新しい二十一世紀の日本というものは権利や自由だけではいい社会にならない、そこに内在する義務、責任というものとのバランスをきちっととって、要するに世の中にはルールというものがある、そういったルールというものを大切にすることが全体がまたよくなっていくもとだと。他人の幸せはまた自分の幸せにつながるという他人との関係、共同社会との関係、こういった共同体に対する個人の義務、責任というのもとても大切だと。そういうことがおかしくなっているから、日本全体の気質というものの中に、社会に自浄作用というような、免疫力と言っていいんでしょうか、そういう少年を含む犯罪、そういったものに対する力が薄れているんじゃないかという認識を申し上げたわけです。竹村先生が今言われたような解説をされて、それを前提にされることは非常に遺憾なことでございます。
 それからもう一つ、先ほどから議論になっていることについてお答えしたいと思いますが、規範意識というものはやはりこれから日本にとってとても大切なことだと思うんです。これは、今まで権利や自由というものが非常にまだ熟して庶民のものになっていないという見方もあるでしょうが、またこれからは世界と調和して自由にいろいろ知恵や努力を競っていくという時代には、やはりルールというものが世界に調和し我が国にも行われなければいけない。そういった和の世界も大事だが、調和の世界も大事だが、ルールというものに対してしっかりした考えを持たなければ日本国民がこれからしっかりした国民として世界に対応していけないという、そういう根本的なところをやはり考える。
 少年の規範意識というのも、将来の国民になる少年の健全育成の上では非常に重要な位置づけをしなきゃならない問題で、教育においてもさまざまな問題においてもこれは今後重視していく問題だということを、私も閣僚の一人ですから、国務大臣として申し上げたいと思います。
○衆議院議員(杉浦正健君) 私の名前が出ましたので立たせていただきましたが、私自身の個人的な体験を若干話させていただきます。
 物心ついたころ、戦争直前か戦争中、小学校五年生で終戦でございましたが、小さいころ、私は祖母、おばあさんに朝晩仏壇にお参りするときに、座ったというか座らされました。それで、おばあさんからこの世のこと、来世のこと、仏教にまつわる話を聞いたわけであります。悪いことをやると地獄へ行くよ、地獄へ行くと閻魔様がおって、うそついたら閻魔様に舌を引き抜かれるよ、地獄には針の山があって、血の池があって、悪いことをするとそこへ閻魔様にほうり込まれるよというようなことを子供心に再三再四言われたわけであります。年をとりまして知恵がつきましたら、地獄なんかないよなんて悪知恵がつきましたが、私自身の規範意識と申しますか、抽象的な言葉になりますが、今でもそのおばあさんの言葉は生きております。
 子供たち、小学校へ入る前も大事だと思うんですけれども、やっていいことと悪いこと、これはやはり親、それから祖父母、周りからきちっとたたき込まれることが私は大事じゃないか、こう思うんです。
 人を殺したり人を傷つけたり、動物をいじめたりすることも入るかもしれませんが、やってはいかぬことはやってはいかぬよ、ルールに反したら、閻魔様じゃありませんが、厳しく罰せられるよということを社会として、国として子供たちに示すことは私は大事なことじゃないか、こう思っている次第であります。
○竹村泰子君 私も道徳や宗教は非常に重要だ、大事なことだと思っております。しかし、それは少年法の改正と別に関係ありませんし、規範意識ということとはちょっと違うと思います。現行の少年法でも犯罪を犯していいとは言っていないわけですから、改正しなければならない理由の一つにそれが、杉浦先生が今おっしゃってくださったことがあるとは思いません、申しわけありませんが。でも、御高説ありがとうございました。
 規範意識とは何ぞやということはもうちょっと議論を重ねないといけないことなのかもしれないと思いますけれども、時間が許す限りもう少し質問を続けたいと思います。
 今の規範意識の強化ということのむなしさを補うためか、政府・与党の説明は提案理由の言葉から規範意識という言葉がどんどん離れていって、被害者感情や国民の危機意識などというふうに変わっていっております。
 衆議院の参考人においでいただいた中で、私も新聞やいろいろなことから拝見しておりましたけれども、被害者遺族の御心情も、人間としての本当に深い苦しみのふちというか、悲しみの極というか、そういうところにあって、しかもそこから立ち直ろうとして国会に出てきて証言をしてくださっている、そういう御心情、当然のことですが、明らかにいろいろ揺れておられます。
 二十七日の塚本参考人は、国の被害者支援のないところで加害者への処分を問われれば厳罰を求めると言うしかないではないか、しかしそれはあだ討ちと同じことで、その前に国は被害者支援を最重点にしてほしいと強調された重い御意見があります。つまり、被害者に対する罪は加害者の本当の更生によってしか償われないとおっしゃったのも重要なことであると思います。二十七日の岡崎参考人は、法律をいじるのではなく、これからの子供をどう育てるのかを議論してほしいと述べられました。
 被害者支援をおろそかにしながら被害者感情を理由に厳罰化を正当化するのは、果たして正当なことなんでしょうか。もちろん厳罰を望む被害者遺族の御意見もまた国民の声であり、私たちも随分耳にしております。国の施策の決定に当たっては、被害者遺族の声をきちんと受けとめた上で社会全体の見地から適切な選択をする責務があるはずであります。
 しかし、公約数的に言えることは、被害者の立ち直りのために公的な援助が必要なことは被害者給付の見直しも急務であるというふうに私も思います。塚本さんの御意見もそのようにおっしゃっております。犯罪被害者給付金は事件から半年たったが支給されない、被害者の生活を支援し立ち直らせてほしい、その上で更生がある。社会復帰した少年が初任給を持ってきて霊前に花も供え、それを十年続けたら、よくやったと許せるかもしれない。更生は被害者も救うことだとおっしゃっておられます。
 被害者基本法をこの給付金も含めて超党派で早急に成立させることが必要ではないのでしょうか。私ども民主党は犯罪被害者基本法案を提出しておりますけれども、これを与党の皆様も御一緒に急いで成立させる必要があると思いますが、提案議員と大臣と双方の御意見をお伺いします。
○国務大臣(保岡興治君) 犯罪被害者に対する配慮というものは現行法でもいろんな制度としてつくられてまいりました。それなりの努力をしてまいりましたけれども、先生が今御指摘されたように、かわいい子供さんを少年によって殺害された御家族の方たちと対話してみたり、犯罪の被害に遭われた被害者の代表の方とお話をしてみたりしますと、やはりまだまだ被害者の立場に立っていろいろ努力をしていかなきゃいけないなということを感じております。
 ただ、御案内のとおり、今回の少年法改正の中にも被害者に対する配慮は三つの柱が入れてあって、そういった意味では大きな前進を今度の改正法の中にも具体化しているのではないか、そう思っているところでございます。
 今、先生がおっしゃった犯罪被害者給付金制度の見直しについては、これは所管が警察庁でございますから、むしろ西田国家公安委員長の所管でございますけれども、私としては、交通事故などで、あるいは交通犯罪というんでしょうか、そういったことで被害に遭われた方々の被害の補償の制度の給付額に比べて余りにも少ないんじゃないかなという感は否めないんです、正直言って。今、その点については警察庁で鋭意検討していると思いますので、またそこでの答えがこういった議論を踏まえて適切になされることを期待したいと存じます。
 今犯罪被害者基本法を超党派でというお話がございましたけれども、これは非常に多岐の分野にわたることは先生が御案内のとおりでございまして、政府でも各省庁の連絡会議を設けて議論をいろいろいたしておりまして、こういった具体的な現実的な施策に努力するということがまず必要なことだというふうに政府は認識して頑張ってまいりました。
 基本法の必要性でございますが、こういったいろいろな個別具体的な施策を講じていく中で総合的に考えるということが大切であって、基本法をつくることの意義はあるかと存じますが、その際、検討するに際して、例えば我々の所管からすれば被疑者、被告人の防衛、その他刑事司法制度の適正な運用に与える影響などもあるわけですから、そういったことだけではありませんが、いろいろな角度から慎重に検討する必要もある、こういうふうに考えております。
○竹村泰子君 そう言い続けてきたんですよね。それで、被害者の方たちは、私さっきもちょっと言いましたが、ほとんど無権利状態に置かれておられた。つまり、裁判がいつ開かれて、どういう判決を受けて、その人がどういう処遇を受けて、そしていつ仮出獄のような形でまた目の前にあらわれるかもしれない。閲覧もできない、謄写もできない、本当に何もできない中で無権利状態に置かれておられた犯罪被害者、我が国ではですね、外国ではかなりいろいろな施策が進んでいるというふうにお聞きしておりますけれども。
 大臣、今、前半で少しくこれまでのことも触れてお述べくださいましたけれども、こういう状態に置かれていた犯罪被害者の方たちへの配慮、この少年法の中で多少はよくなってくるわけでありまして、私たちがこの改正案、与党案で評価できるのはこの被害者への配慮のところが最も大きいわけでありまして、本当はここだけ切り離して賛成ができたらいいなと思うんですけれども、そういう乱暴なことを言ってはいけませんが、そういう配慮の至らなかったことについて、大臣、少しくお考えがあれば、反省を込めて。
○国務大臣(保岡興治君) 先生が御指摘のように、加害者の人権ということだけじゃなくて、またその犯罪の事実を解明してそういったことが二度と起こらないようにいろいろ手だてをするという、そういった施策のみならず、被害者に配慮すべしという、これは国民的な関心がこのところ非常に強くなってきたわけでありまして、いろいろなところでいろんな提言も行われるようになり、我々も被害者の方々に直接お話しいただく機会も得られると。このところの数年の傾向は私は高く評価すべきだと思います。
 そういった被害者への配慮の観点に立った施策は、先ほど申し上げたように、政府も連絡省庁会議を設けて鋭意検討を進めて、最近のそういった国民的な関心にこたえてきていると思いますし、また今回の少年法も、先生が今評価していただいたように、それにこたえる一環であり、これからも被害者に対する配慮はみんなで力を合わせて努力していくべきものだと思っております。決して今まで意図的におろそかにしたとか、のけものにしていたという性質のものではないと私は思います。
○竹村泰子君 大臣の今のお言葉を非常に重く重要に受けとめたいというふうに思います。
 今回、法務大臣は三十一日に至って国民の危機意識ということを盛んに強調されました、十月の終わりになってですね。では、その危機意識はどのようにして形成されたのか。この点について、マスコミ参考人でありました飯室参考人は、厳罰化を望む世論が強いが、そうなったのにはマスコミにも責任があるとお述べになりました。
 与党はいわば意図的につくられた国民の危機意識を利用して厳罰化を正当化しておられると言ったら過言でしょうか。しかも、国民は厳罰化によって犯罪抑止効果があり犯罪が減少することを期待したはずであります。国民の不安は選挙票集めに利用されただけであり、犯罪減少の期待は裏切られたということになっては大変。言い過ぎなんでしょうか、大臣。
○国務大臣(保岡興治君) 私は、率直に申し上げて、先生の御議論を伺っていますと、厳罰は悪、教育保護は善と決めて御議論されているように思えてなりません。
 私は、当然、少年には社会人の一人として、やはり社会に生きる以上は年齢に応じてそれなりの責任というものがあると思います。ですから、それに対して社会が対応するのに、刑罰をもってする場合もあれば保護をもってする場合もあることは、現行法でそれが行われているということを先生自身が今お認めになったとおりでありまして、やはり責任を問うという背景があって処遇改善も効果がある。少年も責任を自覚することによって更生改善のスタートを切るという、そういう意味で、やっぱり刑罰をもって対応することと保護をもって対応することとはバランスよく、個々の事案に応じて、少年の特性に応じて、あるいは社会の変化、被害者の意識の変化、あるいはそれに対する国民の関心の高まり、こういったものを総合的に考えて適切な答えを求めていくと。
 今度の少年法の改正でも、厳罰、処罰と言われますが、これは成人と同じような裁判の手続によるものでございますが、それをするかどうかはあくまでも家庭裁判所の裁量にゆだねられているということが強調されていますし、また少年法の健全育成という目的を堅持していくことも明確にしております。
 例えば被害者が本当に無念な思いをする、悔しい思いをする、やり場のない怒りと言いようのない悲しみに、本当に衝撃的な、悲痛な気持ちに襲われる。こういった方々から聞いた話には、あれだけ重大な犯罪を犯したのに、人をこんなに殺した人がすぐ出てきている、理解できないという意見もある。そういう国民感情も大切にしなきゃならないし、また今時の社会の状況や少年犯罪の特質を見て非常に不安に思って、一体これは何だろう、原因は何だろう、そういう議論をしなきゃいけないという危機感は当然今度の少年法改正やそれをめぐる少年非行、犯罪についての国会のまじめな議論につながっている、国民のみんなの心配がここに全部あらわれている、私はそういうふうにこの国会での審議を高く意義のあるものと考えております。
○衆議院議員(杉浦正健君) 竹村先生のお話を伺っておって、こちらは参議院の先生方なんですが、我々衆議院でこの間選挙をやってきた、戦陣を駆け抜けてきた立場と少し温度差が違うような感じがするわけであります。マスコミに責任があるとか国民の危機意識を利用してとか、こう言われますが、あの選挙の間、多くの有権者の方々から、しっかりやってくれ、少年法を、そういうむしろ励ましともおしかりとも言われる声を我々はもうあの選挙を勝ち抜く過程で、別に利用するとかじゃなしに、耳にして戻ってまいったわけでございます。
 十四歳、十五歳の子供たちによる凶悪犯罪がずっと報道されているというのはもう御案内のとおりです。あの芦屋の少年は十四歳でした。バットであれした事件もそうですし、この間は大分県で十五歳の高校生が一家を殺傷した。それから、コンビニ強盗も中学生が多いという報道もございます。遊ぶ金欲しさにコンビニへ押し入る、そういうことも多々報道されて、身の回りにも起こっておるわけでありまして、十四歳、十五歳の少年をこのままほっておいていいんですかと。もう先進諸国で十四歳、十五歳を罰していないのは日本だけと言ってもいい状態、それはみんな知っています。何で日本だけ十四、十五歳が罰せられないでいいのかということをむしろ有権者から我々がしかられるような状態で選挙を戦ってまいったわけでございます。
 だから、利用してというのは当たらないし、国民の不安を利用してというのも私どもは理解に苦しむわけでありまして、そういう声に謙虚に耳を傾けて、やはりどう対応したらいいかということを我々議員提案者として真剣に議論したんだということは御理解いただきたいと思います。
 来年、参議院選挙がありますから、参議院選挙をやられるとまた国民から言われて身にしみられるんじゃないかと思いますが。大変失礼なことを申し上げたかもしれませんが。
○竹村泰子君 いろんな声があると思います。そういう声もあると思います。
 再犯防止と加害少年の真の更生のために何が必要だとお思いでしょうか。私はどうも与党案を見ていると余りこのことには関心がないのではないかという気もするんです。私たちが最も重視しなければならないのは、罪を犯してしまった少年たちがどのように、生き返れるかというと変ですが、更生できるか、社会に戻れるかということであると思います。
 少しはしょって失礼ですが、上田政務次官、この点についてどのようにお考えでしょうか。
○政務次官(上田勇君) もちろんこの少年法の最大の目的というのは、一たん犯罪を犯してしまった少年をいかに更生させて、二度と再び再犯をすることがないように適正な矯正処遇を行うことであるということはもう先生が今おっしゃったとおりであるというふうに思います。これまでも、刑罰を科す場合であっても保護処分に付する場合であったとしても、その少年の更生、再犯防止というのをするための矯正処遇に努力してきたところでありますけれども、改正案のように少年の個々の事案によりまして場合によっては必要な刑罰を科すということも、これはあくまで少年の更生と再犯防止という意味で意義のあることではないかというふうに考えております。
○竹村泰子君 少年院が子供の立ち直りのために成果を上げてきたことは、与党がお呼びになった推薦の参考人もそのようにお述べになっていると思います。少年院退院者の再犯率の低さを見ても明らかであり、それを評価するならばなぜ少年院送致ではだめなのか、提案者の答弁を求めます。
○衆議院議員(杉浦正健君) 少年院を仮退院して保護観察を受けている子たちの再犯率が低いのは事実であります。おおむね二〇%台でしょうか。平成十一年では二二・五%でございますが、先進諸国の中では低い数字になっていると言っていいと思うんです。
 さまざまな見方があると思いますけれども、私ども衆議院で多摩少年院を見てまいりました。視察してまいりましたが、非常に現場ではよくやっておられるんですね。もう率先垂範、少年院の子たちと指導教官が一対一で魂の触れ合いをしておられる姿を拝見してまいりました。非常に適切な矯正教育が行われているなという印象を受けてまいったわけですが、そういった矯正保護の第一線の方々、保護司も含めまして、大変な御努力をされているということもその低さにつながっているんじゃないかと思います。
 先生も先ほど来おっしゃっていますが、罪を犯した少年についてもそれ相応の処罰なり保護処分が、ふさわしいものがなされなきゃいけない。子供たちが更生の道を歩むということは、これはもう人間として願っているところなんですが、この改正少年法、私どもの目指している少年法もそういった保護すべき少年には適切な保護処分をしていくという考え方は貫いておるつもりでございますし、改正法施行後も関係者の御努力によって少年の改善更生へ向けた有効な処遇が適切に行われていくと期待している次第であります。
○竹村泰子君 再犯率が低いのは評価されるんですね。評価されるならば、なぜ少年院送致ではだめなのかと私はお聞きしたんですが。
○衆議院議員(杉浦正健君) したがいまして、仮に十四歳、十五歳で刑罰、懲役なり禁錮刑を科せられる少年も出てまいる場合もあるかと思いますが、余り多いとは思いませんが、そういった少年も十四歳、十五歳の間は、義務教育期間中は少年院に収容して矯正教育をするということにいたしております。
 私どもは実際問題として十四歳、十五歳で刑事処分を受ける少年は多いとは思いませんが、そういう規範を明確にすることによりまして、少年たちに人の命の大切さを教える、罪を犯せば罰せられるんだよということを明示して規範意識を育て、社会生活における責任を自覚してもらうことが何よりも大切だと考えてこういうふうにしたわけでありますし、またそれによって少年犯罪の抑止にも効果があると考えているところであります。
○竹村泰子君 全然質問に答えていただいていないんですが、大臣、いかがですか、今のをお聞きになっていて。
○国務大臣(保岡興治君) 少年院がいろいろ教育改善、社会復帰に大きく貢献していて大方の皆様から高く評価されている、私はこれは日本の一つの大きな財産だと思いますが……
○竹村泰子君 再犯率。
○国務大臣(保岡興治君) 再犯率が何ですか。
○竹村泰子君 ごめんなさい、もう一回質問します。
 少年院の退院者の再犯率の低さを評価すると先ほど提案者がおっしゃいましたから、評価するならばなぜ少年院送致では、つまり現状ではだめなのかと聞いているわけです。
○国務大臣(保岡興治君) だから、先生、再犯率が低いから全部少年院に送ればいいというものでないことは現行制度も前提としております。刑罰を前提としなきゃならない重大事犯、あるいは被害者の気持ちを考えたり、それから少年に対しても、一般予防という観点から、こういうことをしたらこういう刑罰を受けるんだということを示すという要素もあるわけです。そういう要素も加味して、現行法でも刑罰を科す場合と少年院に送るケースとがあるわけです。
 そのバランスがどうあるべきかということを我々はいろんな角度から議論しているのであって、少年院に送れば教育改善ができるから全部少年院に送るということではないと思うんですが、質問の趣旨がよくわからないので、もう一度お尋ねください。
○竹村泰子君 いや、今の現行法ではなぜだめなのかということです。現行法でももちろん特別の場合には少年刑務所に送られたりするわけですけれども、そうではなくて、わざわざこの少年法改正でそこをお変えになるのはなぜなのかと言っているわけでして、同じお答えなら結構ですが。
○国務大臣(保岡興治君) 私は思うに、これは提案者にお答えいただくのがいいかもしれませんけれども、人をあやめるというか故意の犯罪の結果そういうことになるということは、取り返しのつかない、かけがえのない人命を奪う、そういったことがまた再び起こる可能性がないようにするためには、これは社会にも少年刑事司法にも大きな責任があると思うんです。そういった観点から、今度の改正は、十四歳、十五歳であってもそういう可能性は法として用意しよう、幅の広い選択肢を持ってある意味での一般予防的な作用もこの中に組み込もうということを先ほどから杉浦先生も強調されているんだと思います。
 また、十六歳の原則逆送についても、先ほど申し上げたように保護に傾き過ぎてきて、それが少年が少年法を甘く見て、免罪符があるがごとき錯覚に陥った犯罪がこのところ多いんじゃないか、また国民にもそういう認識が非常に広がっている、そしてまた社会全体の将来の健全性を確保する意味でも、一般予防の見地からそういう要素も十分ケースに応じて配慮しろということを今度の与党の改正案は盛り込んでいるんだろうと思います。
 そういった意味で、何が何でも厳罰、刑罰に科さなきゃならぬとか、そういうことを決めているわけじゃないので、その趣旨についてむしろ具体的にお聞きいただいて、ここが悪い、こういうケースがこうなるのが悪いと言っていただかないと議論にならないと私は思います。
○衆議院議員(杉浦正健君) 先ほどちょっと触れましたような少年による深刻な凶悪事件、マスコミで報道されましたが、それが後を絶たない憂慮すべき現状であると私どもは考えておるわけであります。これらの少年犯罪、凶悪な深刻な少年犯罪、形の上ではごくごく一部の少年が行為に及ぶわけですが、それに対する適切な対策を講じることがもう喫緊の国民的課題だと言ってよろしいかと思います。もう選挙を通じて皆さんからも強く言われて、我々は国会に戻ってまいったわけであります。
○竹村泰子君 少し具体的にとおっしゃいますので、具体的にお聞きしていきたいと思いますけれども、今のお答えで私は決して満足しているわけではありませんので、この後もまだ審議が続くと思いますので続けてお聞きしていきたいと思います。
 申しわけないんですが少し順番を飛ばしまして、検察官の関与のところへ入りたいと思います。
 検察官が少年審判に立ち会って、何をどのようにするんでしょうか。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 今度の改正案では、一定の重大事件、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪、あるいは短期二年以上の懲役もしくは禁錮に当たる罪、こういう一定の重大事件については非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要がある、こういうふうに裁判所が認めたときは検察官を関与させることができると規定しているわけです。
 この規定の趣旨は、こういう重大事件につきましては、証拠を当然ながら集めて、その証拠を評価しながら事実は一体何だったのかということを確かめていくわけですが、検察官が関与することによってその多角的な証拠の収集なりあるいは評価というものができるであろうということが一つございます。
 それから、今までは裁判官と非行をした少年が、付添人がついている場合ももちろんあるわけでございますが、向かい合ってやっておりますと、和やかな雰囲気でやれというふうに条文に書いてあるわけでございますけれども、場合によりますと事実をめぐって激しく裁判官と少年がやり合わなきゃならない場合が今までもあったと思うんです。しかし、余り裁判官と少年が向かい合っている状況で激しく追及していくということになりますと、少年もなかなか心を開きにくい、こういうことがあったというふうに聞いておりまして、少しそこに役割分担みたいなものが必要ではないか、こういう配慮もございます。
 それから、これは被害者側と申しますか、あるいは世間から見ました場合に、裁判所はその非行を犯した少年の言い分だけを聞いて結論を出しているんじゃないか、こういうふうに見ている向きも、そういう人ばかりとは限りませんが、そういうふうに見られる場合も今までなしとはしなかったと。そういうことになりますと、やはり多角的に考え方を取り入れるということにした方が事実認定手続に対する国民の信頼を確保する上でも資するのではないか、こういうふうに考えまして、一定の重大事件については裁判所が必要と認めた場合は検察官を関与させることができるとしたわけです。
○竹村泰子君 検察官関与により審判廷が少年を追及する場になるのではないかという懸念が多く寄せられております。私もそう心配いたしますが、検察官に抗告受理申し立て権が必要な理由は何でしょうか。
○衆議院議員(杉浦正健君) 検察官関与の導入に伴って審判廷が少年を追及する場になってしまうのではないかというような御懸念は当たらないということは、前の石渡委員のときにお答えしたとおりであります。
 抗告受理申し立て制度を導入した理由は、例の山形マット事件というのがそうだったんですが、おおむね家庭裁判所においては審理を尽くされ適切な判断をされていると思うんです、ほとんどだと思うんですが、判断が間違う場合もある。典型例が山形マット事件であります。家裁の認定と抗告審の高裁の事実認定が食い違いまして、主犯格の少年が家裁のあれで漏れておった。これは無罪だと言ったのが高裁では主犯格だと認定されたわけでございまして、誤っている場合もあり得る。
 このような場合に、現在の家庭裁判所の審理構造では、家裁の判断に対して少年側は抗告、要するに高裁の判断を求めることができるんですが、例えば被害者も国民も、この少年以外はだれも抗告できない仕組みになっておりますので、家庭裁判所が万一誤って少年に非行事実が認められないと判断した場合には、これを是正する手段がないことになるわけであります。そういう場合には、この罪を免れた少年は、うまくやったというのかどうかわかりませんが、その健全な育成がかえって妨げられるだけではなくて、山形マット事件もそうですが、被害者やその遺族の納得は到底得られないわけであります。
 検察官による抗告受理申し立ては抗告権ではありません。抗告審の審査を検察官が求める権利ではありませんが、高等裁判所が相当と認めた場合には検察官の申し立てを受理して、抗告審として事件を審理することができるようにしたものでございまして、これによりまして、家庭裁判所の判断が万一誤った場合にそれを是正できるようになって、少年審判における事実認定の適正化やこれに対する被害者を初めとする国民の信頼確保に資するところが大なるものである、こう期待しておるところであります。
○竹村泰子君 実際には抗告権と同じではないかというのを私これから質問しようと思ったんですけれども。
 受理申し立て権とされていますが、高等裁判所が即座に却下することはまずあり得ないと。受理をして、それからじっくり記録を読むことになります。したがって、抗告受理申し立て権という名称であっても、実態は抗告権と同じものではないか。また、同様な制度として民事訴訟法の上告受理申し立て権というのがありますけれども、これは法令違反だけを対象としており、事実誤認は対象とされていない。事実誤認をも対象としている抗告受理申し立て権の導入はこの意味でも抗告権と同じではないかと今お聞きしようと思っていたんですが、もうお答えをなさっていただいたようでございますが、私どもはそう考えます。
 弁護士たる付添人ということにつきましても、付添人を必要的に選任するのは家庭裁判所が検察官を関与させる決定をした場合に限定していらっしゃいますが、これでは弁護士が公費により少年を援助する事件の範囲が狭過ぎるのではないでしょうか。少年が弁護士の援助を受ける権利は子どもの権利条約に明記されているところでもありますし、せめて家庭裁判所で観護措置決定をした事件はすべて弁護士を付すべきだというふうに思います。
 日本では、少年の一般保護事件で弁護士を付するケースはわずか二%しかありません。殺人事件でも三割から四割は弁護士をつけておりません。ちなみに、中国では少年事件のすべてに国費で弁護士をつけているということであります。日本の人権に対する意識は極めて低いものと言わざるを得ないと思いますが、提案者の皆さんはいかがお考えでしょうか。
○衆議院議員(谷垣禎一君) いわゆる逆送をいたしまして刑事手続に行きます場合は弁護人というものがつくわけでございまして、国選弁護の制度も整えられているわけでありますが、少年審判の場合は刑事法廷のように被告人と検察官が両方対峙し合って攻撃、防御をしていくというような仕組みになっておりませんで、裁判官が少年を保護するという観点から審判を主宰するということになっておりますので、必ずしも刑事訴訟と同じように考える必要はないのではないか。そういう少年審判手続の特色を踏まえた上で、国選付添人が必要とされる場合は、今回定めたわけでございます。
 それからまた、現行少年法の十条によって少年及びその保護者は弁護士たる付添人を選任するということが認められておりますので、少年が弁護士の援助を受ける権利というものは現行法においても実質的に保障されているというふうに考えております。
○竹村泰子君 私もこの数字を改めて見まして本当にびっくりしたんですが、一般の事件では二%しかいない、三割、四割は殺人事件でも弁護士をつけていない、そういう現状でありまして、それは可能か不可能かという問題は現実としてあると思いますけれども、しかし司法改革も今議論をされているところでありまして、やはりでき得る限りきちんと弁護士たる付添人を拡大していかなければならないと強く要望をしておきたいと思います。
 家庭裁判所の人的な体制についてお伺いいたします。
 事実認定手続の改革は家庭裁判所の意向に基づくものでありました。家庭裁判所の裁判官には裁判官任官五年未満の未特例判事補も多いというふうにお聞きしておりますが、そうでしょうか。事実認定に困難が生じている実情もあるとお聞きしております。五十一年前、家庭裁判所の発足当時のあの情熱、熱い情熱を思い起こしてほしいと思いますが、どなたがお答えいただけるでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 家庭裁判所におきましては、今、委員から御指摘のありましたとおり、これまでも裁判官が個々の事件を目の前にいたしまして、その事案の的確な事実認定を行い、そしてその処遇選択を行うという面について心血を注いでまいったことは御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、昨今の少年事件を見ておりますと、その非行事実について激しく争われる場合がある。少数ではありながらそういった場合がある。こういった場合についても種々の運営上の工夫等を重ねてまいったわけでございますが、裁判官としては、やはりこの運営上の工夫だけではなくして、制度的な手当てをしていただいて検察官の関与の道を広げていただきたい、こういった思いを持つ裁判官が大多数であるのが現状であるわけでございまして、そういった中から今回の事実認定の適正化の議論が始まったというふうに承知しているところでございます。
 以上でございます。
○竹村泰子君 ぜひ人的な体制を、もちろんこれは予算も伴うことでありますから大変厳しいこともわかりますけれども、人的な体制も整えていただかなければならないというふうに思います。
 次に、検察官への送致に関する規定、原則逆送の制度の導入によりまして要保護性の調査が骨抜きにされ、機械的に検察官送致されるようになって、事実上の検察官先議とはなりませんでしょうか。いかがでしょうか。
○衆議院議員(杉浦正健君) 先ほど石渡委員の御質問に詳細お答えしたとおりでございまして、そういう御心配は当たらないと考えております。
 八条の調査は要保護性を含めましてきちんとやらねばならないことになっておりまして、この点についてはいささかの変更も加えておりません。家庭裁判所において十分に調査をされた上で、逆送すべきかどうか、保護処分の方がいいかどうか、重大凶悪事件については検察官、弁護士の立ち会いもあることになると思いますが、審理の上決定されることになると思いますので、御心配は当たらないと思っております。
○竹村泰子君 原則逆送の範囲をできる限り狭めることが必要であると私たちは考えております。私どもの修正案にもその旨非常に重要な部分として入っておりますので、ぜひ修正協議に乗っていただきたいというふうに思います。
 今、提案者の方から八条の調査というお話が出ましたので、ちょっと確認的にお伺いをしておきたいと思いますが、調査というのは一体何なんでしょうか。
 少年法で調査と言う場合には、普通、家庭裁判所調査官の調査を指しますよね。しかし、最近、法的調査、特に家裁調査官以外の者、例えば書記官などが記録を読んで法律的吟味をして一定の事項につき結論を出す場合があると聞いております。
 二十条二項ただし書きの調査及び八条一項の調査は、このような法的調査ではなく、家裁調査官によるきちんとした調査と理解してよろしいかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 少年法における調査の意義につきましては、今、委員御指摘のとおり、広く申しますと法的調査と社会調査と二通りあると申し上げてよろしいかと思います。個々の場面においてどちらの調査を行うのかということにつきましては、その置かれている規定の状況から理解をしていくというのが現在の解釈、運用であろうと承知しているわけでございますが、ただ法的調査につきましては、これは家庭裁判所が行う調査のみを指していると理解しておりまして、これについて書記官が行う調査は少年法の手続上はないと承知しているところでございます。
 一方、今御指摘の家裁調査官による調査の関係でございますけれども、これは裁判官の個々具体的な命令によりまして家裁調査官が少年あるいは保護者に面接を重ねるなど、またさらには学校へ赴くなどいたしまして、その少年の生い立ちでありますとか性格であるとか家族関係、友人関係等についての情報を集めて、これを多角的、科学的な分析を行ってその非行の背景を理解する、こういった調査を指しているものでございます。
 そして、今、委員が御指摘になっており、さらに議論になっております二十条二項ただし書きに言う調査につきましては、今申し上げたような意味における家裁調査官による調査というものが予定されていると理解しているところでございます。
 以上でございます。
○竹村泰子君 それでは、少年犯罪において法的調査、家裁調査官による調査以外の調査はあり得ないという確認でよろしいですね。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) この少年法二十条二項ただし書きによる調査として行うものは家裁調査官による調査と理解しております。
○竹村泰子君 時間がほとんどなくなってしまいました。
 最後の質問になると思いますが、十六歳未満の受刑者の処遇、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、少年院と少年刑務所における矯正教育はどのように違うのでしょうか。少年院に受刑者を収容するメリットは何なのでしょうか。少年院に受刑者を収容することがほかの少年院収容者へ影響をしないのだろうか。
 済みません、ちょっとまとめて言わせていただきますが、十六歳未満の受刑者は十六歳まで少年院で過ごして、十六歳の誕生日を迎えると少年刑務所に送られるわけですね。これでは少年院での社会復帰に向けた改善教育は無に帰するのではないかと思うわけです。少年院ではこのような少年受刑者に対して、つまり移送されることになる受刑者に対してどのような教育を行うことになるのだろうか。十六歳未満の少年に対して、少年院において刑を執行できるものとせず、少年刑務所において所定の作業にかえて必要な教育を授けるものとしてはどうなのでしょうか。この場合、各地域の少年刑務所に松本少年刑務所のように中学校の分校を併設させてはどうなのでしょうか。
 五つまとめてお伺いして申しわけございませんが、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(保岡興治君) 最後の方の、十六歳未満の少年受刑者についての義務教育については、義務教育未了の少年もこれを終えた少年もおるわけでございます。個々の少年によって事情が異なりますので、その少年の処遇に当たっても、当該少年の特性に応じて柔軟な対応ができるように配慮することが肝要であって、今度の少年法改正の趣旨を十二分に踏まえて、社会復帰に向けて、少年受刑者の教育改善のあり方、あるいは少年刑務所に移送してからの教育改善のあり方、そのカリキュラムの一貫性、その他いろんな工夫を尽くしていかなければならないと考えております。
 ほかの御質問は政務次官からお願いしたいと思います。
○政務次官(上田勇君) お答えいたします。
 今、先生から御質問がありましたように、今度のこの改正案におきましては、十六歳未満の少年で懲役または禁錮の言い渡しを受けた場合には、少年院に収容してその刑を執行し、矯正教育を授けることができるということにしております。これは義務教育を受けるべき年齢であること等を配慮したものであるというふうに理解しておりますが、そうなりますと、少年院に収容している間は原則として少年院法に基づきまして少年院在院者と法的には同様の処遇を行うこととなるというふうに考えております。
 他方、少年の年齢や義務教育の履修課程によりましては、あえて少年院に収容するよりも、というのはこれは義務教育がほとんど終わっているとか、年齢によってはもう既に義務教育を終了しているというような場合もあろうかというふうに思いますので、そういった場合には当初から少年刑務所に拘置して一貫した矯正処遇を施した方が有効であるというような場合も考えられますので、そうした場合には少年刑務所におきまして必要に応じて教育を施すということも可能であるというふうに考えておりまして、これは個々の事案に応じて適切な処遇を行うことになるというふうに思われます。
 もう一つ、少年院で処遇するメリットのことでございますが、少年院におきましては、少年を社会生活に適応させるために、小学校、中学校で必要とする教科に関する教科教育はもちろんのことでありますけれども、そのほか職業補導とか訓練等も行っておりまして、従来からこれは十六歳未満の年齢の少年、年少少年を収容してそれなりの成果を上げてきているということがあります。そこで、年少少年で十六歳に達するまではそういった教育環境や実績が整った少年院において刑を執行し教育を授けることができるようにすることによりまして、そのような少年に対しても年齢にふさわしい十分な教育が施せるのではないかというふうに考えているところでございます。
 また、これはほかの場面でも御質問があったことでありますが、少年院収容受刑者と少年院で同じになることによる影響というような御指摘もあるんですが、これは法的には同様の処遇を行うということでありますけれども、これから具体的な処遇の方法については十分検討していかなければいけないわけであります。現場の担当官等々のいろいろなお話を伺っている中で、現時点では、居室を初め、原則として保護処分による在院者とは分離して教科教育、生活指導に重点を置いた処遇を行うのが適当ではないかというふうに考えているわけでございます。ほかの一般収容者との関係で悪影響が生ずることがないように、万全な配慮をしていきたいというふうに考えているところでございます。
 少年院が少年院収容受刑者にどういう教育を行うのかという点も御質問があったんですが、これはもちろん、まず義務教育未終了者に対しては義務教育を行うというのが第一義的にありますが、加えて非行の重大性を認識させるための罪の意識の覚せいを図ることや生命のとうとさを認識させる、そういうような人間性を涵養することなどにも重点を置いた教育をする必要があるというふうに考えております。
 もちろん十六歳に達した後には少年刑務所の方に移送されることでありますので、その導入教育についても配慮をしていきたいというふうに考えております。
○竹村泰子君 終わります。
○委員長(日笠勝之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ─────・─────
   午後一時十五分開会
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、少年法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 提案者の先生方には、近時の少年犯罪増加、いろいろ説がございますが、確かに一般国民の耳目を驚かすような事犯が多発している中で、適時適切な少年法の改正案を作成されて提案されましたこと、まず心から敬意を表する次第でございます。
 昨日の本会議でも、またきょうの午前中の質疑でも、要するに少年犯罪はふえているのか減っているのかといろいろ議論があったところでございますが、もう一度、何回も出てくる話ではございますが、少年犯罪の傾向性、その数でありますとか罪種でありますとか、最近どうなっているのか、いろんな白書では第四のピークで上がってきているのかなとは思うんですが、その辺、法務当局から御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) 少年刑法犯全体について申し上げますと、その検挙人員は昭和五十八年以降次第に減少しておりました。しかしながら、平成七年を境に増加の傾向に転じまして、平成九年には二十万人の大台を突破し、平成十一年にもやはり同様のレベルを維持しております。
 ところで、少年による犯罪の中でも、殺人、強盗、放火及び強姦といういわゆる凶悪犯の検挙人員、これも平成七年を境に増加の傾向に転じまして、二千人を大きく超えるに至っております。特に、平成十一年の少年刑法犯全体の検挙人員が平成十年に比べ減少しておりますにもかかわらず、凶悪犯の検挙人員は増加しております。これを絶対数ではなくて人口比で見ましても、平成二年以降一貫して増加の傾向にございます。
 この凶悪犯について少し罪名別に見ますと、強盗犯の増加が特に著しいという傾向がございまして、平成十年からは一千人台後半に及んでおり、平成十一年には千六百四十人余りとなっております。また、殺人につきましても、平成十年からは百人を超え、平成十一年には百十一人を数える。こういうふうな凶悪重大事犯と呼ばれるものが増加しているという状態が認められるように思います。
 また、ただいま御指摘もありましたように、その中でも社会が非常に大きな衝撃を受けるような事件というのが相次いでいるということも一つの特徴であろうと思われます。
○魚住裕一郎君 今、示していただいた傾向性というものを踏まえての改正案になるわけでございますが、新聞報道等マスコミ、この審議の中でも厳罰化という表現が結構使われているんですが、どうもこの法案、私も拝見をいたしまして、必ずしもいわゆる厳罰化というようなものとはちょっと違うんじゃないのかなというふうに思っているところなんですが、ただそうはいっても重きに振れるというような内容になっているようでございます。
 午前中、他の先行質問者からも出ましたが、厳罰化ということと犯罪の抑止の効果があるや否やという点でございますが、質問者はアメリカとか韓国は厳罰化したから犯罪がふえたんだという言い方も耳に残っておるんですが、どうも私は厳罰化と犯罪の増加というものは本当に科学的な条件関係というのがしっかり立証されているんだろうかというふうに考えるところでございます。
 提案者といたしましては、いわゆる厳罰化した場合の犯罪の抑止というものについてはどのようにお考えなのか、御意見を御披瀝ください。
○衆議院議員(高木陽介君) 今、厳罰化のことについて御質問がございましたけれども、午前中にも委員今御指摘のアメリカ、韓国の例も引かれましたが、実はデータの読み方、これはなかなか難しいかなと思います。
 そんな中で、ことしの九月九日の日経新聞に載っているんですけれども、東京都立大学の前田教授がこういう記事を書かれております。「なお、米国で、八〇年代以降少年犯罪が沈静化した事実も重要である。「米国では厳罰化政策は失敗した」ともとれる論述が見られるが、少なくとも、少年厳罰化により少年犯罪の全体数が抑え込まれた事実だけは否定し得ない。」と、こういうような記事も載っております。ですから、データをどのような角度から分析するかということで、それが効果があった、もしくはなかった、いろんな言い方ができると思います。
 ただ、私たち発議者の方は、今回の少年法の改正に当たって、まず少年が非行に至る背景という問題、これもいろいろと論議してまいりました。そういった中で、これは家庭だとか学校だとか、またいろんな社会環境等さまざまな要因があって、それが関連し複雑に絡み合って、そしてそういった中で事件が起きてくるというように認識しております。
 この少年法の改正だけですべての少年犯罪がなくなるか、そうは私たちもとらえておりませんが、そういった中で、先ほどからこれも論議となりましたけれども、基本的に原則逆送の制度を導入する、またその非行の重大さをそういったことで十分認識してもらおう、また最小限の規範意識ということが先ほどからいろいろと論議を呼びましたけれども、この規範意識を持たせていこう、やはり人の命を奪った場合にはそれなりのことがあるんですと、こういったことをやろうということで、しっかりと認識してもらうことによって犯罪を防止するその一助にはなるというふうに認識しております。
○魚住裕一郎君 いろんな要因が絡んで少年犯罪というものが起きる、まさに私もそのとおりだなというふうに思うんです。大人と違っていろんな特別な配慮をして少年法というのができていて、健全育成を目的として保護処分優先主義という形で組み上げられているわけでございますが、提案者としてたまたま公明党の先生方がおられますが、この少年という存在をどういうふうに提案者の皆様方は見ておられるのか、大人と違ったということでどのようにお考えでしょうか。
○衆議院議員(高木陽介君) 私も三人の子供の父親をしておりますけれども、まさに少年、子供というのはこれからの日本の将来を担っていく上において本当に重要な国としての財産でもあり私たち国民の財産でもある、そのように認識しております。
 そういった中で、子供の場合には本当に可能性がある、大人はないということではないんですけれども、やはり真っ白なキャンバスにいろんな絵が描かれていくような、そういった中で私たち大人がしっかりと子供の健全育成に対しては責任を負わなければいけない。それは、教育の問題もそうでしょうし、家庭の問題も、そして地域社会の問題も、またあらゆる分野においてすべてが子供の健全育成にかかわっていくんだ、そういう認識で私たち提案者はとらえております。
○魚住裕一郎君 そういうある意味では真っ白なキャンバスという存在である少年たちがたまたま、たまたまといいますか、犯してしまった犯罪、これに対して今回少年法改正という形で提案がなされているわけでございます。提案者の皆さんはもう何回も御答弁になられていると思いますが、少年法を改正したからといって、成立以降すぐ効果があらわれるといいますか、少年犯罪が大幅に減少する、それを期待するわけでありますけれども、それだけではないというふうに考えるわけでございます。
 公明党におかれましては、少年犯罪に対してどういうような基本的なお考えなのかということを聞かせていただきたいと思います。非常に国民的にも注目されておりますし、きょうも子育ての最中あるいは終わったと思われます国民の皆さんが傍聴に来られているところでございまして、その辺を具体的にお示しいただきたいと思います。
○衆議院議員(高木陽介君) 私ども公明党といたしましても、今回の少年法改正に当たりましてさまざまな角度から論じてまいりましたし、そして与党三党のプロジェクトとして論議を積み重ねてまいりました。
 そういった中にあって、先ほどちらっと申し上げましたけれども、何も少年法の改正だけですべての問題が解決するというふうには私たちも認識しておりません。私たちが党内で論議したことには、少年犯罪について特に重要なことは三点あると。
 まず第一に、どのように少年犯罪を防止していくのか。先ほど子供は白いキャンバスだという言い方をしましたけれども、最初から犯罪を犯すような子供は一人もいません。ですから、そうならないためにどうしたらいいのか、これがまず第一。第二に、もしそういった中でも犯罪を犯してしまった場合、その少年にどう対処していったらいいのか、これを二番目の角度として論議してまいりました。そして第三点目として、その犯罪を犯した少年に今度は更生してもらう、どういうふうにして更生していったらいいのかという、この三つの角度が重要である、こういう認識に立って論議をしてまいりました。そして、今回の少年法改正というのは、特にこの二番のどう対処していくかという問題について論議を詰めてきた。
 ただ、その中にあっても、原則逆送の問題ですとか、または刑事処分年齢の引き下げですとか、そういった中でマスコミ等は厳罰というふうにただ一言で決めつけている部分もあるかと思うんですが、やはり事案によっては厳しい処分をすること、これも先ほどから申し上げている規範意識、ルールということを認識してもらう、そういった目的に沿って、健全育成という形でもそれは必要である、そのようにとらえております。
○魚住裕一郎君 今、高木提案者がおっしゃったような基本的考え方で今回の改正案をお考えになってきたと思いますが、もちろん公明党だけではないわけで、今の与党三党で考えてきたということでございます。
 私の手元に「少年法改正に関しての与党三党合意」という文書があるわけでございますが、今おっしゃったような趣旨は、この合意事項の第四項に「青少年健全育成・非行防止策、社会復帰更生策につき、引き続き検討する。」、こういう文言が盛られているところでございます。提案者の中でこのプロジェクトに入っておられます漆原提案者におかれましては、これはどういう趣旨でこういう項目を入れたのか、またこの第四項につきまして今後どう取り組みを行われようとしているのか、御答弁をいただきたいと思います。
○衆議院議員(漆原良夫君) 今お話がありましたように、少年法の問題は刑罰を重くすれば済むという問題ではないということは今同僚から申し上げさせてもらったとおりでございます。
 問題は、どういうふうにしてこの少年の事件を未然に防いで、また過ちを犯した少年をどういうふうに更生させるか、これが一番大事だろう。この刑罰と少年の処遇の問題、そして今後の少年の更生の問題を両輪の輪のごとくやっていかなければならない、こんな基本認識でいるところでございます。
 そんなことから、公明党でも青少年健全育成等プロジェクトをつくりまして、施設の視察だとかいろんなことをやってまいりまして、今回、高木提案者を中心にして総理に対して今後の非行防止策の総合的な申し入れをしたところでございますので、その点は同僚からお話しさせていただきたいと思います。
○衆議院議員(高木陽介君) 今、漆原議員の方からもお話がございましたけれども、先日、十一月二日になりますけれども、私ども党内でまとめまして、これまた与党三党でもさらに詰めていかなければいけないと思うんですが、まずは緊急な提言として総理の方に申し入れをさせていただきました。それが「少年の更生・社会復帰への支援拡充等に関する緊急提言 少年法改正にあたって実施すべき施策について」ということで、十項目にわたっていろいろと提案をさせていただきました。
 具体的なことを少し述べさせていただきますと、例えば非行を犯した少年が社会復帰する、スムーズに社会復帰しなければならない。いろんな抵抗もあります。そういった中で、再犯を完全防止するために、自宅及び社会生活に戻るまでの中間施設、そういうグループホーム、こういう制度を創設すべきであるだとか、また更生保護施設への支援強化。さまざまな角度の更生施設というのがあるのですけれども、それも例えば職員の人数が足りないだとか、そういった現実的な問題もあると思いますが、これはやはり政府としてしっかりと取り組んでもらいたい。
 また、被害者・少年等協議プログラムの導入。あとまた、社会奉仕命令制度や命をはぐくむ作業。これもいろいろな視察をさせていただく中で現場の声を聞いたんですけれども、例えばその少年たちが何か人のためにやって、ありがとうと感謝をされたときに、今までいじめられたりまたは疎外されてきたことで逆に感動を呼び、こういうことがあるんだという実感を持った、そういう話もいろいろと承ってまいりました。
 そういった形で、その制度をシステムとして政府として対応してもらいたいということで総理に申し入れたところ、総理は総理で、実はこれは私も知らなかったのですが、総理自身が法務省の定める篤志面接委員というのをして、何かかなり少年院などにもよく足を運んでいて、そういう話も実際問題、総理自身も聞いているということで、こういった問題をしっかりとやっていきたいというお話も承りました。
 これは今後当局の方でしっかりと検討を重ねて早急にしてもらいたいということで私たちも提言をしてまいりましたので、その旨申し上げたいと思います。
○魚住裕一郎君 今までのお取り組み、大変よくわかりましたし、またしっかりやっていただきたいなというふうに思うところでございます。
 麻生先生にお話を伺いたいんですが、今回の改正案は先生が中心になっておまとめになられたということでございますし、また与党三党の合意も先生のもとで合意されたというふうに承知をしておるところでございます。今この第四項、特に青少年健全育成、それから社会復帰更生策について公明党の先生に党としての取り組みをお披瀝していただいたわけでございますが、座長という立場でこの青少年問題に真剣に取り組んでこられた麻生提案者といたしまして、今後のこの健全育成、復帰策につきましてどのように取り組んでいかれる御所存か、御意見をちょうだいしたいと思います。
○衆議院議員(麻生太郎君) 青少年と名のつく課なり担当の室を持っておられる役所の数は実に十八省庁だか十三省庁だか、ちょっと正確には覚えていませんけれども、むちゃくちゃにこれは多いので、文部省とか法務省ぐらいで対応できる騒ぎではとてもありません。
 これを全部やるというのは、今抱えております与党三党のプロジェクトチーム約十名内外でここまでさせていただいたんですが、とてもこんなものでできるような話ではありません、十八省庁全部やらにゃいかぬというので。これぐらいまたがります関連の多いものというのは、多分私の記憶では在住外国人の労働者問題、外国人問題というのを前に一回やらせていただいたとき以来、あれはたしか十四省庁だとも記憶しますけれども、そういったときに匹敵するぐらいの数なものですから、これはちょっとそう簡単に、ではこれは継続でこのままでいこうかというような種類の問題ではないと、まずそれが大前提だと思っております。
 加えて、この話というのは、これは皆さんそれぞれ御自分の周りにいっぱいそういった例を御存じかと思いますけれども、同じ少年が学校じゃいじめっ子だけれども、塾へ行ったら超優等生でまじめな子なんというのもいっぱいありますし、そういった意味では、同じ人物が場所によってはいい子だったり悪い子だったり完全に使い分けができているということになると、それは対応する側に問題があるんじゃないか、場所によってはえらくいい子になるわけですから。そういったことなど考えますと、同じ場所でも対応する人物とか対応する指導官によってこんな差が出るというのはもう幾つも例があるところなので、同じ子供でも対応によっては双子でも同じ屋根の下で育って全然違うのが出てくるのと同じようなことになりますので、簡単にはいく話ではないとは思います。
 ただ、この種の問題は法律だけ厳しくすればすべて解決するというほど単純な話じゃないことだけははっきりしていますので、いろんな意味でこの問題はもう少し角度を広げて物を考えないといかぬのであって、私どもとしては、少なくとも同じ状況にありながら、その状況下で悪い子もできれば、その状況に耐えて頑張っている子も出てきますので、こっちの頑張っている子の方が被害者で、頑張っていない子の方が加害者で、何となくこっちの方が割りを食っているという状況のまま放置するのはとてもできないということで、少なくとも今、まずこの法律から手をつけたところです。
 こっちの加害者の方の側につきましても、今それの更生なり加害者になるまでの段階で何とかしておかないといかぬというところなので、犯罪を未然に予防するというのであれば、なかなか今のような状況で、学校一つとりましても、具体的な例でいけば今いじめが多分その一番最初に出てくる。いじめが行き過ぎて殺人に至るケースが非常に多いんです。
 その例でいきますと、いじめが起きる状況は何かというと、これはもう非常にはっきりしていまして、いじめはほとんど逃げられないところ、いじめられたら逃げるか戦うか方法は二つしかないんですが、そのときに逃げるか戦うかということのできない人が結果的にぐあいの悪いことになります。軍隊と刑務所が一番にそういう状況が激しく起きる可能性が多い、これはもう世界じゅう皆同じようなことになっております。
 日本の場合はそれがどういうところで起きているかというと、これはもうはっきりしておりますので、そういった意味では、そういう状況をもっと自由にして、逃げられるような状況、すなわち転校が簡単にできるとか、そういったようなことを含めて、未然に防ぐとすればそういうところかなと。
 いろんなことを考えておるんですが、正直これだけやりますだけでも大問題になりますので、プロジェクトチームをよほどきちっと分類してやらぬといかぬと思います。どこから手をつけるかなというぐらい、正直なところ問題が大きいということだけぜひ御認識いただいた上で、私ども附帯決議を上げさせていただいてはおりますけれども、そういった背景をぜひ御理解いただいた上、この問題は真剣に取り組みたいと思っております。
○魚住裕一郎君 麻生先生の座長のもとでのこの少年問題に関する与党のプロジェクトチームの中でこのような三党合意というふうにできたものですから、ぜひ引き続き先生のリーダーシップを発揮していただきたいなというふうに思うところでございます。
 今御答弁の中にもございましたが、十八省庁というような話もございました。これはもう与党で一生懸命知恵をもちろん絞るわけでございますが、政府も一体となって取り組むべきではないかというふうに思うところでございますが、この青少年健全育成あるいは社会復帰更生策につきまして、法務大臣としての御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(保岡興治君) 与党三党の合意の第四項について政府はどう対応するかというお尋ねでございますが、法務省として、これまでも少年非行防止対策の一環として、一つには検察庁における少年事件の適正な処理ということがございます。それから二つに、少年の福祉を害する事犯、こういったものに対して厳正な処分と科刑の実現をする、それから非行少年の改善更生に必要な矯正保護機能の充実強化を図る、これを大きな三本柱にしながらさまざまな施策に意を用いてまいりました。また、先生御指摘のように、政府としても関係省庁の青少年問題対策協議会を設けて、各省でずっと協議をしてまいっております。
 ただいま審議されている少年法の改正が行われた後も、我々としては、改正少年法の運用状況や今後の少年による犯罪情勢等を見ながら、非行少年の更生、社会復帰のための施策、例えばこの委員会で議論のありました少年院における処遇や教育の充実にさらなる改善をすると。これは処遇の個別化の一層の推進とか被害者の視点に立った教育の一層の充実とか、いろいろな角度から、今先生が、また提案者からもお話があった公明党の青少年健全育成等プロジェクトの緊急提言、総理にお出しになったという提言や、あるいはこの委員会の議論とか、あるいはまた各方面から今度の少年法改正をめぐっていろんな意見がたくさん出ておりますから、そういったものを十分踏まえて一生懸命頑張って、そして未来を担う青少年の健全育成に対しては全力を挙げて政府としても取り組んでいくべきだと考えておるところでございます。
○魚住裕一郎君 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 今回の少年法改正案は、いろんな社会事象を見ながら、そしてまた本年の五月二十三日ですか、衆議院法務委員会における少年非行対策に関する件という決議に基づいてこのような改正案が出てきたところでございますが、廃案となりました旧閣法といいますか、それとは違って、年齢の問題あるいは原則逆送の問題とか、あるいは被害者への配慮も大幅に取り入れたというような内容になっているところでございますが、本法案に対する法務大臣の、概括的で結構でございますが、所感をいただきたいと思います。
○国務大臣(保岡興治君) 少年法の改正問題は、午前中からるる申し上げてきたとおりでございまして、国民にとって喫緊の課題、日本の将来にとっても重要なテーマであると考えております。
 今度の改正案というのは、こういった課題や国民の期待にこたえるため、与党三党において、最近の年少少年の犯罪動向などを踏まえて、さまざまな角度から精力的に御論議を尽くされた結果おまとめをいただいたもので、その御苦労に対しては敬意を表して、この改正少年法が一日も早く成立することを願っております。
 内容につきましても、廃案となった政府提出の法案の内容に加えて、少年に対してその責任について一層の自覚を促して少年の健全な成長を図るために、刑事処分可能年齢の引き下げや被害者へのさらなる配慮が加えられておりまして、非常に意義ある内容になっていると思っております。
 処罰かあるいは保護かという対立的な議論もありますけれども、私は、両方をバランスよく、個別具体的な事案や少年の特性において家庭裁判所が判断をなさる、そのための選択の幅が大きくなった今度の改正案というものはそういう点において適切な内容になっていると存じておるところでございます。
○魚住裕一郎君 それでは、具体的な事項に入っていきたいと思います。
 衆議院の決議におかれても年齢問題というものが四文字で書いてあったところでございますが、年齢問題は三つあると思うんですね。今、少年は二十までと、これをどうするのか。十八歳まで下げるのかわからないですけれども、十七かもしれません、そういうような問題。それから、逆送可能年齢といいますか刑事処分可能年齢、今まで十六歳以上となっていたものをこれをどうするのか、今回提案の中では十四歳以上というふうになったわけでありますが。さらには、イギリスの法制度を見ますと、十歳以上は刑事責任がある。今、日本では十四歳がこの刑事責任年齢になっています。この三つがあると思うんですね。
 十六から十四に引き下げたというのは提案でわかったんですが、二十の問題、あるいは刑事責任年齢の十四歳の問題は提案者の皆さんにおかれてはどのようにお考えでございましょうか。
○衆議院議員(漆原良夫君) 年齢問題は今回の改正でも非常に重要で微妙な問題でございました。
 まず第一点は、少年法適用年齢を二十歳から十八歳に下げたらどうかと、こういう意見もございまして議論をしましたが、この問題については、成長過程にある少年をどういうふうに取り扱うのか、こういう刑事司法全般にわたる大変基本的な問題を含んでおると考えております。
 したがって、時代の変遷だとか主要各国の現状、あるいは年齢について定めている選挙法とか民法とかいろんな法律がありますが、その法律との整合性の問題、あるいは犯罪の動向とか、また万一、十八歳に引き下げた場合に、仮に執行猶予になった場合には保護処分を行うことができなくなるというふうな問題もあります。したがって、種々の観点から検討する必要があるから今回はその点は見送った、こういう経緯でございます。
 それから、もう一点お尋ねでございましたが、十四歳の刑事責任年齢を下げないのかと、これも議論があったことは確かでございますが、この刑事責任年齢というのは少年法ではなくて刑法に定めているところであって、刑法の根幹にかかわる大変基本的な問題でございます。十二歳、十三歳の少年の成熟度、あるいはこれらの者の重大犯罪がどれほど発生しているのか。特にこの年齢は場合によっては小学生である場合もあるわけですね。したがって、初等教育を終えていない者にまで刑事責任を負わせていいのかという問題もありますので、慎重に検討することが相当であるということで、この十四歳は下げなかったという経緯でございます。
○魚住裕一郎君 今回、年齢問題もしっかり議論をされて御提案になっているわけでございますが、先ほど話が出ていました通常国会で廃案となりました政府提出の少年法改正案でございますが、これは年齢問題は全然出ていなかったわけでございます。これはどうして出ていなかったのか。あるいは、その前に法制審でも議論をしていなかったというふうに承知しておりますが、この辺はどのようになっておりますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のいわゆる閣法につきましては、これは御存じのとおり、いわゆる山形マット死事件、これをきっかけといたしまして、少年審判手続におきます事実認定をもっとしっかりしたものにすべきではないかという点が非常に大きな問題となったわけでございます。
 その後も少年による社会の耳目を集める事件が相次いで発生したということもありますが、そういうことから、事実認定をもっとしっかりできるようにすべきだという当時の問題意識の状況を前提といたしまして、その時点で早期に対応すべき問題として、事実認定手続の一層の適正化を図るための法整備ということで法制審に対し諮問が行われたものでございます。したがいまして、その中にはいわゆる年齢問題というのは含まれていなかったわけでございます。
○魚住裕一郎君 ちょっと新聞か何かで読んだような記憶があるんですが、どうも法曹三者の中で年齢問題は法制審で扱わないんだみたいな合意があるやに読んだ記憶があるのでございますが、刑事局長、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 年齢問題は扱わないという合意があったというのはちょっと不正確なんだろうと思うんですけれども、当時の状況として、まず事実認定手続の適正化の問題を議論しよう、そういうことであったことは間違いないわけでございます。
○魚住裕一郎君 それで、今回、逆送可能年齢、刑事処分可能年齢が十四歳以上というふうになったわけでございますが、この趣旨というものはどういうことで引き下げになったのか、もう一度説明をいただきたいと思います。
○衆議院議員(漆原良夫君) 十六歳未満の少年は、刑法ではおっしゃったように十四歳が刑事責任年齢となっておるわけですけれども、この刑法の規定にかかわらず、どんなに重大凶悪な事件を犯そうとも刑事処分の対象とならない、これが現在の少年法でございます。しかし、近年、十四歳、十五歳の年少少年による凶悪重大事件がたくさん起きております。この年齢層の少年であっても罪を犯せば処罰されるんだということを明らかにすることによって社会生活における責任を自覚させて、その健全な成長を図る必要があると考えられます。そのために刑事処分可能年齢を刑法における刑事責任年齢と一致させて十四歳まで引き下げたわけでございます。
○魚住裕一郎君 そこで、今度、十六歳以上でございますか、原則逆送というような表現で使われているわけでございますが、この原則逆送というその内容を御説明いただきたいと思います。
○衆議院議員(漆原良夫君) 故意の行為によって人を死亡させるという重大な罪を犯した場合には少年であっても刑事処分の対象となるという原則を示すことによって、何物にもかえがたい人命を尊重するという基本的な考え方を明らかにしております。そして、少年に対して自覚と自省を求めるとともに、事案と当該少年に応じた適切な処分を行うためにこういう制度を設けたわけでありますが、そこで、罪を犯すとき、十六歳以上の少年が殺人、傷害致死、強盗致死等、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた場合には原則として検察官送致、いわゆる逆送するという制度を設けたわけであります。
 もっとも、個々の事案においては、犯行の動機、態様、あるいは犯行後の情況、少年の性格、行状、また環境等の事情を家庭裁判所がきめ細かく検討して、場合によっては保護処分が相当であるというふうに考えられる場合には逆送しないで保護手続を選択することとなっておりまして、裁判所において最もその少年にとっていい、妥当と思われる処分が選択されるものと考えております。
○魚住裕一郎君 今の御説明によりますと、家庭裁判所の裁判官がその事件あるいは少年に対してしっかり判断をした上で逆送するかどうかを決めるということになろうかと思いますので、原則逆送、何も調べずに何かそのまま返してしまうというような、そういうイメージとは全く違うものだなということがよくわかったところでございます。
 それで、凶悪重大な事件があるから改正しようということでございますが、なぜ被害者を死亡させた場合に限定したのかということなんですね。例えば愛知か何かでの五千万円ぐらいの恐喝事件はやっぱり凶悪ではないのか。あるいは、死に至らなくても植物人間になってしまったというようなこともあろうかと思うんですが、この限定をされた趣旨というものをもう一度、限定といいますか、凶悪なものはいっぱいあると思うんですが、あえて被害者を死亡させたところというような案件に限定された趣旨というものを御説明いただきたいと思います。
○衆議院議員(漆原良夫君) どういう範囲の事件を原則逆送にするかという点についても与党内で議論をさせていただきました。生命に限るというのもあるし、あるいはもっと広く、おっしゃった恐喝まで含んでもいいじゃないかといういろんな議論があったんですが、今回はやっぱり何物にもかえがたい人の生命を尊重させようという、こういう観点で故意の犯罪行為によって生命を奪った事案についてだけは原則逆送にしようではないか、こう決意させていただきました。
 そしてまた、今おっしゃったように、原則逆送ではない犯罪についても、これは家庭裁判所が相当と認めれば一般原則によって逆送することもできるわけですから、十分対応できる、家庭裁判所の判断が十分尊重されるというふうに考えております。
○魚住裕一郎君 失敗は取り戻せても人の命は取り戻せないというようなことかなと思いまして、今の御説明、よくわかりました。
 それで、いわゆる原則逆送というような制度を導入されることによりまして、捜査でありますとかあるいは家庭裁判所の審判にどういうような影響を与えるかというところでございますが、まず警察庁、それから法務当局、最高裁、御答弁よろしくお願いをいたします。
○政府参考人(黒澤正和君) お答え申し上げます。
 原則逆送につきましては、家庭裁判所の決定に関するものでございまして、警察といたしましては、捜査を遂げました後に事件を家庭裁判所にゆだねているという点におきましては現在と変わるものではないと認識しております。
 少年事件捜査につきましても成人事件と同様に適正捜査に努めているところでございますが、今後とも基礎捜査を徹底いたしまして、広範な証拠の収集に努めるなど、科学的、合理的な捜査を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
○政府参考人(古田佑紀君) 少年事件につきましても、検察当局は少年事件の特殊性等を十分考慮しながら事案の解明に必要な捜査をしてきたものでございまして、ただいま御指摘のような少年法の改正が行われましたといたしましても、そのことにはいささかも変わることはなく、引き続き的確な捜査の実現に努めていくものと考えております。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 具体的な審判の進め方という観点から見た場合には、もとよりこれは裁判官の個別な判断があるわけでございますけれども、今回の二十条二項の表現ぶりでございますとか、提案者からの御説明等を踏まえますと、基本的には従前同様に家裁調査官に対して調査命令を発して審理することが予定されていると理解しておるところでございます。
 さらに、原則検送と言われている制度の導入によりまして、重大事件の処分がどうなっていくかという観点につきましては、今後どういった事件が発生するかということにもよることでありますし、また最終的には個別の事件についての具体的な裁判官の判断にかかわることでございますから、私の立場から申し上げることは差し控えたいと思うわけでございますけれども、家裁といたしましては、国会での御審議を踏まえ、立法趣旨にのっとって個々の事件について適切な処遇選択を行っていくものと考えているところでございます。
 以上でございます。
○魚住裕一郎君 ちょうど時間が来てしまいました。あと三項目ほど残っておるところでございますが、提案者の皆様方の御説明を聞きますと、なるほどそういう趣旨で改正していくんだというのが本当に納得できるところでございます。
 残された質問事項等につきましてはまた後日質問させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○橋本敦君 日本共産党の橋本です。
 私は全く納得できない立場から質問をさせていただきます。
 まず最初に、竹村委員からも質問があったんですが、法務大臣に伺いますが、この少年法という重大な法案を政府が国会に政府として提案をするということになれば、当然、我が国法制の中の重要な一環ですから、法制審議会少年法部会にかけて国民を代表する各層の意見を聞き、その上で提案するというのが原則的なルールである、これは間違いありませんね、法務大臣。
○政府参考人(古田佑紀君) 閣法として提出する場合には、原則として法制審議会に諮問を発することになると考えます。
○橋本敦君 間違いないわけでしょう。なぜ法務大臣お答えにならなかったのかわかりませんけれども、なぜですか。
○国務大臣(保岡興治君) いや、ちょっと最後の語尾が聞き取れなかったものですから答えを譲ったんですが。
 今、刑事局長が言われたとおり、原則はそういう仕組みになっておりますが、今回は、るる述べてきたとおり、特別な理由で与党の議員立法に沿う趣旨でおるところでございます。
○橋本敦君 提案者の漆原議員も百四十五国会の衆議院法務委員会の質疑の中で、この少年法の問題については、これはぜひ法制審で審議をすべきだという意見が松尾さんという少年法部会の部会長から述べられているが、私もこういう少年法という基本法にかかわる問題についてはやはり専門家の意見をまず聞くべきではないのか、まず政治家が先なんだという理屈もわかるんだが、しかし専門的な法律問題ですから、これは専門家の意見をまず聞いた上で国会が判断する、こうなる、これが筋だと、したがって法制審にぜひかけるべきだと、こういう御意見を述べられているのが議事録にありますが、このお考えは変わっていないんでしょうね。
○衆議院議員(漆原良夫君) おっしゃるとおり、閣法でお出しになる場合はその方がよかろうというふうに考えております。
○橋本敦君 それを、その手続を経ないで、閣法にしないで出したのはなぜなのか。
 十一月一日の朝日新聞の記事を読んで私は大変に驚いたんですが、その前に、十月二十五日、衆議院の法務委員会における議論で杉浦議員が次のようにおっしゃっていますね。「法制審にかけるべきかどうかという抜本的変更については、年齢引き下げの点が一番だろうと思うわけでありますが、これらを含めまして与党三党で検討した」と。「法務省の方で、年齢問題については、恐らく私どもの推測では、法制審での議論よりもむしろこれは高度の政治マターだから、国民から選ばれた議員間の議論で変更すべきかどうかを決めた方がより民意にも合致するし、時代の流れにも合致するということで、むしろ議員提案でやっていただきたいというようなお話もございましたので」皆さんが考えられたと、こう言われています。
 議員提案でやってほしい、法制審にかけるよりそれがいいというようにここにお述べになっておりますように、法務省の方から言われたと、こう言うんですが、刑事局長、言ったんですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 今回の少年法の改正の御提案に当たりまして、与党におきましてこれを取りまとめ提出されるに当たり、法務省としても意見を申し上げさせていただいたところではございますが、議員提案により改正法案を提出するということをお願いしたということは、私どもとしてはない、ありません。
○橋本敦君 そうすると、杉浦さん、ないと言っていますよ、どうですか、ないことをあると言われたらおかしいですよね。
○衆議院議員(杉浦正健君) 委員御指摘のような答弁をしたことに間違いはございません。ただ、やや舌足らずで十分意を尽くしていなかった点はあるかと思います。
 改正法案につきましては、法制審にかけていないという御指摘もあるわけですが、実は、法制審を通過いたしました、廃案になった原案を基礎といたしまして、もちろんそれに大幅な修正を加えておりますが、基礎といたしております。そして、法制審の原案に全く含まれていなかった事項といえば年齢の問題、それから原則逆送も入っていないといえば言えるかもしれません。これは修正に相なろうかと思いますが、その点ぐらいだろうと思います。あと細々した点は修正に属すると思います。被害者対策もそうであります。
 私ども、この間の選挙の前に与党三党でPTを立ち上げまして、プロジェクトチームをつくりまして検討に入ったわけですが、実質は選挙が終わってから本格的なスタートをしたわけでございます。その中におきまして、私どもは、選挙直後ということもありまして、この問題については早期に成立を図る必要がある、三党として次の臨時国会中に成立させようという点においてまず基本的合意を見まして、そして作業に入ったわけであります。
 そして、法務省からも意見を聴取いたしましたが、法務省は、閣法として提出するには相当の期間を要する、はっきり言って臨時国会では間に合わないという御意見がございましたので、私どもとしては、喫緊の課題と考えたことから、立法府に属する議員といたしましてこの法案を提出することとしたものでございまして、積極的に議員提案でしてくれと言われたわけではございません。
○橋本敦君 そうおっしゃいますけれども、法務省の方で議員提出でやっていただきたい、こう言ったとはっきり議事録に残っているんですから、どう読んだって舌足らずじゃなくて、はっきりわかるんですよ。
 急ぐので議員立法でやってくれと法務省から言われたと。刑事局長、これは事実ですか。
○政府参考人(古田佑紀君) ややちょっとニュアンスが違うような気がいたしますが、要するに、先ほど杉浦議員からの御答弁にもありましたように、もしこの臨時国会に提出するというような非常に緊急を要する日程ということになると閣法として出すのには準備が相当困難であるということを申し上げたわけでございます。
○橋本敦君 要するに、法務省は無責任だよ。法制審議会で今まで議論してきたし、当然議論すべきだと、そういう重要法案だということを、これは原則としてそうだと言いながら、早くやるならそれは議員立法でやってくれ、こう言って議員立法に任せた。まさに拙速主義じゃありませんか。
 そして、問題は、なぜそうなったかということについて大事なのは、先ほど魚住委員も触れられた新聞がこの十一月一日の新聞なんですが、法制審の少年法部会が一九九八年七月に二十二年ぶりで開かれて、政府案をまとめたときのことを振り返って、いろいろ議論した。そのときに、少年法部会の再開に賛否両論があった。その中で、弁護士会は、年齢問題、これは引き下げはだめよという意見が強かった。このことについて、法務省も年齢問題を入れないと約束した。そういう経過があるので法制審にかけたらこれは結論が出ないから、だから議員立法でやってくれと、こういうことになったということが、これが法務省の幹部の一人が語ったとして新聞に出ているんですよ。
 この新聞、間違いですか。間違いだったら訂正を新聞社に言ってください。どうですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり……
○橋本敦君 間違いか、間違いでないかでいいよ。
○政府参考人(古田佑紀君) 要するに、端的に申し上げますと、法制審議会で早急に結論を得るということには相当の困難があるということを申し上げているということでございます。
○橋本敦君 指摘を半分認めたような答弁なんですか、それは、私の指摘を。この新聞に書いてあることは間違いだとは言えないんでしょう。そういう意味でしょう。はっきりしなさいよ。
○国務大臣(保岡興治君) その点については、先ほど刑事局長から他の委員に対する答えで、法制審議会を開始した当時は、山形マット死事件を契機に、まず事実認定の適正化を図るということを優先して議論していこうということで、年齢問題等、今度の与党改正案の内容になっているテーマはその諮問項目に入らなかったと。したがって、政府としては、事実認定を中心とする改正案の内容を答申をいただいて閣法として提出したのであって、そのような約束はないということを先ほど申し上げたところでございます。
○橋本敦君 全く私の指摘した問題の真偽の疑惑は晴れませんね。
 要するに、少年法という重大な問題について、今国民は相次ぐ少年犯罪凶悪化で心を痛めているわけですよ。そしてまた、被害者の方も、被害者の側からすれば、被害者救済あるいは人権保障、こういう問題についていろいろと言いたいことがいっぱいある。そして、次代の二十一世紀に向かって若者たちをどう育てるか、大きな国民的課題でしょう。
 ですから、議員立法で早くなんということじゃないんですよ。法制審にもかけ、各界の意見も聞き、慎重に論議をして、まさに次代を担う青年をどう保護育成、教育理念に基づいてやっていくか、そしてまた少年犯罪を具体的に防止する手だてをどうするか、国民的論議と合意が必要なそういう大問題でしょうが。それを今のような形で、選挙が済んで急ぐからというようなことで、議員立法で法制審にもかけずに出されたという点について私は絶対に納得できないということを指摘して、次の問題に入ります。
 この少年法の改正問題について、先ほどから厳罰化という言い方は気に食わぬというお話が提案者からありました、一言で言えばですよ。しかし、刑罰適用年齢を十四歳、十五歳の中学生の年齢まで引き下げる、刑事裁判にかけるよう道を開く、それからさらに重要な犯罪については現行法で家庭裁判所の裁判官が保護処分にするか刑事処分にするか判断すればいいと、こうなっているものを原則として重要犯罪については検察官に逆送するということをやる、これはまさに厳罰化の方向じゃありませんか。これ、厳罰化でなくして何と言うんですか。
 私は、そういう意味で、厳罰化という問題については重要な問題でありますから、これはもう到底納得できませんが、この問題は時間がかかりますから次回に譲ります。
 もう一つ私が指摘をした被害者の側に対する配慮という問題でも、現行法のままでいいのかどうかといいますと、私はまだまだ改善すべきだと思います。そういう点で、きょうは被害者対策ということに絞って質問をさせていただくことにしたいと思います。
 この問題については、まず第一は、何といっても被害者の皆さんに対する情報開示の問題があるわけです。
 これにつきましては、ノンフィクションライターで黒沼克史さんという方がいらっしゃって、「少年法を問い直す」という本も出していらっしゃるんですが、被害者は全く蚊帳の外ではないかということを心配されているんですね、現行少年法では。
 そして、多く論議をされましたあの山形のマット死事件ですね。この事件で亡くなった児玉有平君、この有平君の命を奪われて、御家族の方は、莫大な訴訟費用を負担して民事訴訟を提起されまして、ようやくその中で事件の概要がわかってきたと。お父さんの昭平さんは著書「被害者の人権」の中で次のように書いておられます。
 「私たち家族は何とか訴訟費用を捻出することができました。しかし、訴訟費用がなければ泣き寝入りをしろ、ということです。わが子が殺された理由さえ知ることができないのです。」。そして、「お金がないから、なぜ、お前が殺されたのかもわからないままだった」と。こういうことでいいのでしょうか。「その無念さ、辛さがわかりますか。」、こうおっしゃっています。その気持ちは非常によくわかります。
 そこで、提案者に伺いますが、本法では三十一条の二の第一項で、「少年に係る事件を終局させる決定をした場合において、最高裁判所規則の定めるところにより当該事件の被害者等から申出が」あれば、「少年及びその法定代理人の氏名及び住居」、「決定の年月日、主文及び理由の要旨」、これを告げる、こうなっていますが、この情報の開示という問題は、これは事件を終局させる決定をした場合以前はだめなんですか。
○衆議院議員(杉浦正健君) 決定の前は内容を通知するということはございません。ないと御理解をいただいていいと思います。
 ただ、衆議院の法務委員会の際に明らかになりましたが、警察、検察等で一定の範囲で被害者の方々に通知する手続を決めて実施しておりますので、そういう意味でかなり救済されるのではないかというふうに思っております。
○橋本敦君 では、警察に伺いますが、現在、被害者のそういう希望を入れて一定の情報開示はなさっているわけですか。
○政府参考人(黒澤正和君) お答え申し上げます。
 警察では、犯罪被害者対策として、被害者に対しまして事件に関する情報の適切な連絡などに努めておるところでございます。
 具体的には、殺人、性犯罪、傷害などの身体犯等の事件の被害者あるいは御遺族の方に対しまして、支障のない範囲での捜査の状況のほか、被疑者を検挙した場合には、その旨及び被疑者の氏名、年齢、住所あるいは起訴、不起訴等の処分結果等につきまして連絡をすることといたしております。
 なお、少年事件の場合でございますが、その特性にかんがみまして、少年の健全育成を期する観点から、少年の健全育成を害するおそれがあると認められるようなときには、例えば被疑少年の氏名にかえてその保護者の氏名の連絡にとどめたり、連絡の際に少年の健全育成の重要性について説明を行うなどの配慮を行っているところでございます。
○橋本敦君 私は結構だと思いますね。そういう意味では、本法は現実の運用よりおくれているんじゃありませんか。その点については、私は本法でいいということにならないということはもう既に実証されていると思いますよ。
 日弁連がことしの三月に少年事件被害者の少年事件手続への関与等に関する規定というのを出して、今言ったような問題を提起しております。一つは、家庭裁判所に送致する前の警察段階、検察段階においても、被害者に対してその請求によって、今お話がありましたような、被疑少年に関連をして、年齢、逮捕・勾留の事実や捜査状況、それから送致先、それから家庭裁判所の送致年月日、こういったものを通知するということを日弁連も言っておりますが、これは今言ったように、実際に現実にはもう既に運用されておる。
 これは提案者に伺いますが、こういう実情が進んで運営されているのに、今私が提起をした三十一条の二の第一項で「少年に係る事件を終局させる決定をした場合において、」と限定したのは何か理由があるんですか。
○衆議院議員(杉浦正健君) お答え申し上げる前に、警察とか検察当局がそういう手続制度を始めましたのは、私ども自民党が少年法小委員会をつくりまして、被害者対策を含めて議論を始めて、この程度のことをやるべきじゃないか、法律の制定を待たずしてということも強く言っておったわけであります。そのようなことがその実施に影響したんだということをまずもって申し上げさせていただきたいと思います。
 そういうことを前提といたしまして、この通知については、通知事項が「決定の年月日、主文及び理由の要旨」ということでありますから、決定がない場合にはできないことは明らかでございますので、法律としてはこうなったわけであります。
○橋本敦君 納得できる説明じゃないですね。改正案の方がおくれているわけですよ。もっと被害者対策をきちっとやるようにすべきですよね。
 次の問題に移りますけれども、その被害者に対する対策として大事なのは被害者の皆さんに対する救済と、それからやっぱり情報周知に加えてケアが大事なんですね。こういう点について提案者としてはどうお考えですか。
○衆議院議員(杉浦正健君) 委員のおっしゃることはそのとおりであります。
 少年法としての対応としてさまざまな対応を、私どもは最大限のものを盛り込んだつもりでございますが、被害者の方々の心のケアの問題、あるいは損害賠償が、事実上、損害賠償能力のない加害者、その保護者が多いという実情にかんがみまして、そういうような方の手当ても必要であろうと。
 警察庁の方で例の被害者補償法の検討をしておるようでありますから、私ども与党のプロジェクトチームとしてもその状況を見守っておりますけれども、さまざまな形で被害に遭われた方の物的あるいは精神的な被害の回復という方途を我々国としても考えていく必要があるということは恐らく委員も同じお考えだと思うんですが、同じ考えでおります。
○橋本敦君 現状の被害者対策というのは極めて不十分だというのは杉浦議員もお認めになったとおりで、例えば衆議院で参考人に出られたバスジャック事件でお母さんを亡くされた塚本参考人ですが、その方が、犯罪被害者救済給付金制度はありますけれども半年たった今まだ支給されておりません、サラリーマンでない自営業の私、例えば大黒柱である私が殺害された場合に、半年という時間というのは、その間、葬儀費用も出なければあすへの生活費も出ないことになってしまうんですよ、給付金が支給されるのは半年から一年先だと聞きます、新しく立ち直っていくということの前に一家離散してしまうじゃありませんか、こういう状況なんです、こういう状況で政府は被害者に対して具体的に何の援助もしないということは問題ですと、こう言っておられるのはそのとおりですね。
 そして、この塚本さんがおっしゃる非常に大事なことは、まず被害者を立ち直らせること、生活を立て直す保護を政府自身が政府の責任でしっかりやること、そういうことが犯罪を犯した少年を社会に復帰させていくということにも、その子供のそういった更生にも役立っていくという、そういう観点でやることが大事だということを言っておられる。私はこれは非常に大事な指摘だと思うんですね。
 だから、犯罪を犯した少年に罪の自覚、そして自分の犯した行為の問題の重さを自覚させる、そういうことのためにも被害者に対する十分な救済を国も社会もきっちりやるということは少年の更生にも役立つという観点で、この問題は被害者だけの問題じゃなくて見ていかなくちゃならぬ、こういう問題だと私は思いますが、法務大臣の御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) この問題は、犯罪被害者等が受けた被害の回復や、精神的、経済的支援、これは精神的支援としては相談窓口などを設けて犯罪被害者に対する心のケアなどがありますし、経済的支援としては犯罪被害者等給付金の充実などがあります。また、出所情報の問題などもございます。
 こういった非常に広い範囲にわたって検討し対策を講じていかなければならないと考えておりますが、法務省といたしましても、関係省庁と連携しつつ検討を行い、議論が熟し、答えが適切に得られたものから対応したいと考えているところでございます。
○橋本敦君 そういう方向で、少年法の改正を急ぐだけじゃなく、その大事なことを、大臣がおっしゃったように、関係省庁と協議をして早く進めていただきたい、今のお答えを具体的に早く実践していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。これは本当に非常に大事なことです。
 時間がありませんから、諸外国の例、詳しいことは申し上げませんけれども、この点で我が国は非常におくれているということは、これはもう言うまでもありません。欧米では、没収金、追徴金、罰金、反則金、受刑者刑務所作業資金、こういったものを財源として、独自の工夫をしてこういう補償対策に十分予算をつけて対応しているということがありますから、そういったことを含めて考えても早くやっていただく必要がある、こう思うんです。
 次の問題に移りますが、もう一つは、被害者の保護、それから気持ちのケアと同時に、犯罪を犯した少年の更生という点で、アメリカでも行われておりますが、適切な裁判官の判断もしくは家庭裁判所調査官の判断等を踏まえて、少年の更生に資することが可能であり適切だとすれば、加害少年と被害者側と直接対面をして、そしてその中に専門的なケアのできる精神医、あるいは家庭関係でケースを多く経験されたそういう民間の人も入って、いろんなケーススタディーとして、対面によって少年が罪を本当に自覚して更生にいくという決意をする、また被害者の方は自分たちの気持ちを直接聞いてもらえたということで被害者救済にもなる、こういうケースがアメリカのケーススタディーを通じて多くの文献でも出てきています。
 こういう方向も私は検討すべきだ、この法案にはないけれども検討すべき大事な課題だと、こう思うんですが、提案者のどなたでも結構ですが、お考えがありましたら御答弁いただけますか。
○衆議院議員(麻生太郎君) いわゆるリストラティブジャスティスという話ですね、この話は、それを御質問だと思いますが。
 日本の場合、これは感情論の話でして、加害者の少年と被害者の遺族が面会、ほとんど頼みに行っても拒否です。少年を見たらいきなり、この間たしか西ドイツだと思いますが、裁判所に出廷した被害者の母親が主犯の少年に裁判所内で発砲して射殺、たしかそういう事件も西ドイツで、ことしだったと思いますが、あれが起きて、何とか事件といって結構有名になりましたが、そういうのもありますので、被害者と加害者が面会してというようなのは、確かに理想論としてお互いに、まあまあおれも反省しているから許してやろうと、そんな感情的にうまくいくものでしょうかというのは、これはケースによって大分違うと思いますので、そういった手法もないわけではない。
 事実、日本では執行猶予やら起訴猶予やらになった少年に対して、いわゆる被害者側の方がそれで何となく納得をして、少年も反省しているようだからといって訴訟を取り下げるとかいうような話は日本にも昔からある手法でもありますので、何もヨーロッパから言われて改めて日本もびっくりしたような顔をしてそんなのもあるのかと、英語で聞いたからびっくりするだけのことであって、日本では昔からやっている手口なんだと思うんです、こんなのは。
 だから、日本の方がよっぽど昔からやっておったということも思いますので、改めてと言われると、なかなかちょっと正直そういった感じがしないわけでもありませんけれども、今申し上げたような一つ一つの事案によって対応を少し変えなきゃいかぬということなんであって、一つの手法としては十分に考えられる手法だと考えております。
○橋本敦君 私もすべてと言っているわけじゃなくて、被害者の報復感情が高いときには適切ではないんです。ですから、そこらの判断を家裁の裁判官なり調査官なり、あるいは専門的なケアのできる人が判断をして、ケース・バイ・ケースでやることによって効果が上げられるという、そういうケーススタディーがありますから、我が国でも検討の余地があるということの検討をさらにしていただきたいということで申し上げたわけでございます。
 時間が来ましたので、きょうはこれで終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 刑務所と少年院は何が違うのでしょうか。
○委員長(日笠勝之君) どなたですか。
○福島瑞穂君 では、政府にお願いします。法務省。
○政府参考人(鶴田六郎君) 突然のお尋ねですので。
 少年刑務所と少年院との違いということですね。
○福島瑞穂君 要するに、お聞きしたいのは、少年院受刑者という概念が出てきておりますので、刑務所と少年院、特に処遇は何が違うんですか。
○政府参考人(鶴田六郎君) 一般的に申し上げますと、刑務所の場合は刑の執行を行うところでありまして、刑務所に収容して刑務作業を科し、そういったことを通じて受刑者の改善更生を図っていく。少年院の方は家庭裁判所から少年院送致の決定を受けた少年を収容して矯正教育を施す施設であるというふうに理解しております。
○福島瑞穂君 十四歳で逆送可能年齢にするということは、義務教育年齢で刑務所に送るということです。
 きのう本会議で質問いたしましたが、少年院受刑者の立場はどうなるのかと質問しましたら、受刑者としての法的地位であるというふうに説明がありました。
 ところで、お尋ねいたします。少年院と刑務所では適用される法律が違います。監獄法の適用があるかという点も違います。権利義務が違います。面会に関する規則、規律、懲罰、不服申し立てなど御存じのとおり違いますし、監獄法によって苦情処理はできますが、少年院ではできません。どうなるのでしょうか。
○政務次官(上田勇君) 今、福島先生からお話がありましたように、少年院収容の受刑者も懲役刑または禁錮刑の執行を受ける受刑者としての法的地位にあるわけであります。しかし、今回の改正案によりまして、少年院に収容している間は原則として少年院在院者と法的には同様の処遇を行う、つまり原則として少年院法に基づく処遇を行うということでありまして、改正後の少年院法第十七条の六において、受刑者としての地位から当然準用が必要となる出所等に関する規定に限って監獄法を準用することとされたものというふうになっております。
○福島瑞穂君 そうすると、苦情処理やその他の点については少年院として扱うということでよろしいですか。
○政務次官(上田勇君) そのようになるものと理解しております。
○福島瑞穂君 そうであるならば、なぜ刑務所の処遇というふうにするんですか。つまり、素朴な疑問で、少年院で処遇をする、適用法令は基本的に少年院の適用でやるとするなら、なぜわざわざ義務教育年齢の人間に受刑者というふうにレッテルを張る必要があるのでしょうか、何のためにやるのでしょうか。
○政務次官(上田勇君) 今度の改正によりまして十六歳未満の少年が少年院収容受刑者になることがあり得るわけでありますけれども、今度の法案の趣旨によりまして、これもあくまで刑事手続を踏んでの刑事罰ということでございますので、その法的な地位という意味におきましてはこれは受刑者ということになるわけでありますが、同時に、少年院におきましてそれを処遇することができる、収容することができるというふうになっておりますので、収容している間は教育的な観点からほかの少年院在院者と同様に扱うことが適当だろうということで、そのような形にしているわけでございます。
○福島瑞穂君 いや、わからないんですね。つまり、少年院受刑者は受刑者なわけですよね。でも、適用される法令、規則は出所を除いて全部少年院であれば、そもそも少年院の処遇でやればいいじゃないですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 私からお答えするのが適当かどうか、ちょっとわからないところもございますけれども……
○福島瑞穂君 では結構です。発議者、お願いします。
○衆議院議員(漆原良夫君) 我々の考えたのは、十四歳、十五歳、十六歳以下の少年は、先ほど上田総括が言ったように、刑事手続を経て刑を受けた者ですから、やっぱり受刑者なんですね。
 そうすると、それは本来は少年刑務所でやれれば全部やるのが一貫性があると思います。しかし、物的な問題、人的な問題がございまして、全部今の少年刑務所で十六歳以下を引き取るだけの能力がない、また人的な施設もない、ノウハウもない。そのノウハウを持っているのは少年院だと。では、少年院も場合によっては利用させてもらおうではないかと。
 そうすると、少年院に行っている間はどうするか。受刑者としての地位をそのままにして少年院で一時矯正できるわけですから、少年院へ行った場合は、少年院の施設を利用する場合はほかの少年と同じように取り扱おうではないか、こんなふうな観点から考えた次第でございます。
○福島瑞穂君 現場は大混乱になりますし、今私たちが聞いてもわからないんですね。つまり、刑務所に送ると更生のノウハウやいろんなものがないから少年院で扱ってもらうのであれば、そもそも少年院で扱うというふうにすればいいと思うんです。
 それから、少年院受刑者を管理するのは刑務官ですか、それとも少年院の管理者ですか。
○衆議院議員(高木陽介君) もう一度今のを整理いたしますと、少年受刑者というか、犯罪を犯したときに、いわゆる検察に送致されて刑事裁判、刑事手続によって刑が確定をした場合、これは今まで十六歳以上ですと少年刑務所です。それ以外の保護の場合には少年院で更生をしていく、こういうふうな立て分けがあったと思います。
 今回は十四歳、十五歳であっても、これは今までだと少年院ですけれども、そういう重大な犯罪を犯した場合には刑事手続を経て、そしていわゆる懲役、禁錮、そういった刑事罰を受ける。ただ、今申し上げましたように、十四歳、十五歳は、いわゆる義務教育課程の場合、これはそのまま少年刑務所に送っていいかどうか。現実の対応の問題として少年院でやりましょうと、こういう形で立て分けています。
 そして、その上で、刑が例えば懲役五年の場合、刑は残っているわけですから、少年院で当初保護としてやった場合には二年、三年いて、それで更生をして出てくるわけです。しかし、今回の場合にはこれは受刑者ですから、例えば仮に五年の場合には、二年間少年院でいた、その後少年刑務所として刑を執行するという、こういう立て分けで考えています。
○福島瑞穂君 済みません、先ほどの管理するのは刑務官か少年院の人間かについてはどうですか。
○衆議院議員(高木陽介君) 少年院の方になります。
○福島瑞穂君 またわからないんですね。つまり、地方裁判所などで懲役五年と出る、懲役五年と裁判官が出して、だけれども行くところは少年院で、受刑者なんだけれども少年院の処遇で、刑務所ではなく少年院に従うと。懲役はどうなるんですか。
○衆議院議員(高木陽介君) 基本的には十四歳、十五歳、義務教育課程ということで、少年院において義務教育のそういった形を行っていくということで、そういうことは行いません。
○福島瑞穂君 では、どこが受刑者なんですか。なぜ懲役五年と出す意味があるんですか。
○衆議院議員(高木陽介君) 重大な犯罪を犯したときに、例えば殺人みたいな重大な犯罪、これはケース・バイ・ケースで保護という形で少年院送致ということもあるでしょうけれども、いわゆるそれ以上、これは審判によってまたは家庭裁判所の判断によって逆送をして判断するわけですから……
○福島瑞穂君 済みません、質問は、裁判所が懲役五年という判決を出して、なぜ少年院によって懲役に付されないんですか。要するに、判決とそれが違ってくるわけですよね。しかも、懲役をやらないのであれば、全く少年院であるのであれば、なぜ刑務所というか受刑者とわざわざやるんですか。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 今の福島先生のあれに直接お答えになるかどうかわかりませんが、我々の考え方と先生のお考えの違いにあるものは、先生は多分非行を犯した少年の処遇とか改善とか教育というものに重点を置いてお考えですから、それならば、少年院で処遇を受けるなら、もともと少年審判の対象にして少年院で処遇すればよいじゃないか、こういう御発想があるんだろうと思うんですね。
 それで、私どもは、重い犯罪を犯した場合には保護教育の対象というわけでは必ずしもなくて、やはり国家の刑事司法の過程で裁かれる場合があるんだと、そこでやはり規範というものに直面してもらおうと、あるいは公開の法廷できちっと裁くということがあり得るんだと、こちらの方を重視しておりますので。
 そういう少年が懲役刑を受けた場合に、後どう処遇をしていくかということで、もちろん先ほど高木さんが御答弁されましたように、少年刑務所の中ですべて処遇のものが完備していればそれでやるのが一番首尾一貫した方法でございますけれども、現状においては、少年を矯正したりするものに対して十分人的、物的な対応が少年刑務所において必ずしもできるとは思えない、こういうことである意味では便宜少年院の今までのノウハウや施設を利用する、こういう考え方に立っているということでございます。
○福島瑞穂君 要するに、保護処分にするのか刑事罰に処するのかというところで分けているわけですね。
 それで、これは保護処分ではなくて刑事罰、懲役というふうにしながら少年院に送って、処遇の中身は、つまり、提案者は保護処分ではなく刑罰による制裁によって規範意識をと言いながら、行った先は少年院じゃないですか。法的地位は受刑者だけれども、やられていることは少年院ですよ。矛盾しているじゃないですか。
○衆議院議員(麻生太郎君) 矛盾しているというところがよく理解できないんですが、私どものところに来ますと、今の福島瑞穂先生のお話をそのまま受け取ると、刑事罰を与えるのだったら十四歳でも最初から真っすぐ刑務所に送ってしまえと。そうすると、義務教育の方はどうなるかという問題が出てくるんだと思うんですね。最初から少年刑務所等々に送った場合は、その中において十四歳、十五歳の義務教育を受けるというのが、今現実問題として少年刑務所の中にはそのようなものがありませんので、それだけのノウハウを少年院の方で拝借させていただく、現実的な問題としてはそれしかないと申し上げておるんです。
○福島瑞穂君 私は、十四歳から十六歳の間は義務教育年齢ですから刑事罰に処さないで、従来どおり年齢引き下げでやらない方が論理が一貫すると思っているわけです。つまり、十四歳に引き下げて公判廷で刑事処罰の対象にしながら、にもかかわらず義務教育だということを思い出して処遇を突然少年院でやろうとするから混乱が起きるのだと思います。
 ところで、先ほど少年院の中で分離して教育をするという意見が出ました。ただ、教育というのは要するに子供は集団生活やお互いの中で人間関係をつくっていくわけですから、例えば、場合によっては少年院受刑者がたった一人で分離勉強みたいなことをする形になって、それはむしろその少年にとって百害あって一利なしというふうに考えますが、いかがでしょうか。食事や入浴や運動などはどうなるのでしょうか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 先ほど少年院収容受刑者の処遇をどうするかということでお尋ねがあったわけですけれども、今後検討していかなければならない点があるわけですが、現時点で考えた場合に、確かに一方は少年受刑者という立場で、他方、同じ施設の中に保護処分として少年院送致を受けた者がいるわけです。十六歳までという期間もありますので、その中でできる限り、個々の少年のいろいろな特性があるわけですので、それに応じていわば個別処遇を行うという観点から、通常考えられる場合としては、現時点では居室等は分離した方がいいだろうというふうに考えております。また、その指導、教育の内容等も罪の意識を覚せいさせるとか生命尊重とか、教育的なことを重視した処遇をしていくことが重要だと思います。
 いずれにしても、個々の少年の特性に応じて、場合によれば行事とかあるいは食事等、そういうことも一緒にやった方が適当という者もおるわけですので、その辺の事情はまさしくそれぞれの対象となる個々の受刑者に応じて原則的には考えていかなきゃいけないと、今の段階ではそういうふうに考えております。
○福島瑞穂君 個々人に応じてケーススタディーをやるというのであれば、それは今の少年院が非常に得意とする、第一としてやってきた、成果を上げてきたことではないでしょうか。
 先ほど答弁の中で、分離して行うという答弁があり、今、食事などは一緒ということでしたが、教育は別々に行うんですか。入浴や運動、運動などは重要ですが、それは別々なんですか。分離というのは何を分離するのかについて教えてください。
○政府参考人(鶴田六郎君) 先ほども申し上げましたように、個々の受刑者の特性等に応じてケース・バイ・ケースで柔軟に対応しなければいけないと思いますので、今の段階で確たることは申し上げられませんけれども、現時点でどういうふうになるだろうかなということで部内で検討したりするときに、やはり居室については、これはできる限り個室という取り扱いの方がいいのではないかというような考えで部内で議論しているということですが、いずれにしても、これは将来、改正案が成立した場合におきましては、どういう形にするかいろいろな検討をしていかなければならないということでございます。
○福島瑞穂君 居室は別として、勉強はどうなんですか。みんなと別々なんですか、一緒なんですか。
○政府参考人(鶴田六郎君) ちょっと仮定の話になりますので、いろいろ今の段階で確定的なことは申し上げられませんけれども、やはり義務教育を施すということになりますと、また対象者の数にもよると思いますが、原則的には個別に指導していく、教育していく……
○福島瑞穂君 分離なのか分離でないのかだけお答えください。
○政府参考人(鶴田六郎君) ですから、今言ったように、その受刑者に対しまして個別に教科教育を施していくのが適当な場合が多いであろうというふうに想定しております。
○国務大臣(保岡興治君) 先ほど上田政務次官からもお答えがあった中に含まれているんですけれども、受刑者である地位があるために、逃走した場合などは逃走罪が成立するわけですよ。少年院収容者の場合はそれがないんです。したがって、そういう違いに着目して、今、局長が言われたように、個室にするのが適当ではないだろうかという議論が今省内で始まっているわけですね。
 あくまでも少年院の収容者、少年院に収容することで立法者が目的としたところをどう具体的に生かすかということはこれから決めていくと。少年院収容者と同様な処遇ができる可能性がこの法で生まれたわけですから、それをケースに応じて適切に対応できるようにいろんな処遇方法を工夫したい、こういうことです。
○福島瑞穂君 刑務所は訪ねていけば塀がとても高いですし、少年院の中には塀で囲っていないところも多いわけですよね。おっしゃるとおり、逃走罪の適用など違います。そうすると、変なことを言うと、そのたくさんいる少年のうち受刑者の少年だけやっぱり特別視することになるんではないかという危惧もありますし、今、発議者が提案していることが本当にその少年院の中のみんなの処遇にとっていいのかという、非常に私は疑問を感じております。
 しかも、懲役五年と裁判官が判決を出しました。先ほどの話のとおり、二年間少年院で処遇し、通常であれば、少年院から出ていくときはみんなで徐々に徐々にリハビリをやり、みんなでさようなら、元気で頑張ってということで励まして出ていくわけですけれども、誕生日が来て義務教育が終わり、少年院を出た途端、刑務所に行く車が待っていて、そこで刑務所に連れていかれるわけですよね、うんうんとうなずいていらっしゃいますが。
 そうすると、全体の更生プログラムなどは一体どうなるんですか。
○衆議院議員(麻生太郎君) プログラムの方は担当者の方から説明させるとして、それだけ犯した罪は重たいんです、人を殺しているんですからという点はぜひ御理解いただかないと。かわいそう、かわいそうだけで済ませる話ではありません。少年院を出た段階で少年刑務所に移送される、それはそれだけ犯した罪が重かったという点も本人に自覚してもらわなきゃならぬところだと思います。
○福島瑞穂君 どうやって更生するかが重要だと先ほど麻生発議者もおっしゃいましたけれども、更生プログラムなどはどうなるんでしょうか。
○政務次官(上田勇君) 基本的には、義務教育の対象年齢でありますので、義務教育の教科教育を行うわけでありますが、そのほか、やはり重大な犯罪を犯しているということから、その犯した犯罪の重大性を認識させるような、そういう覚せいを図っていくプログラムであるとか、生命のとうとさを認識させてもらうような、そういう人間性を涵養するためのプログラムであるとか、そういったところに重点を置いた処遇計画を考えているところでありますし、少年刑務所に移送後も同じような考えに基づく、引き続いてそういうようなプログラムを行っていくことが重要ではないかというふうに思っております。
 したがいまして、これで少年院から少年刑務所の方に移送されるということでありますけれども、これから具体的な点は詰めていきますが、少年院と少年刑務所との協力、連携のもとに立って一貫性のある処遇をこれから策定していきたいというふうに考えておりますので、それによって、ただし混乱に陥るというようなことには、御懸念はないように万全を期していきたいというふうに思っております。
○福島瑞穂君 刑務所は更生プログラムが十分でないので少年院に入れたいという向きの答弁で、今その切断されることについて、一貫したという答弁があったんですが、同じ人間が途中で、少年院から出た途端にまた移送されるというような問題が生ずるということは私は重要な問題だと思います。
 それで、五月、自民党が改正案を出したときには、犯罪の抑止ということが提案理由に書いてありました。しかし、今回は犯罪の抑止は提案理由から落ちております。九月の与党案では落ちております。なぜこれは落ちたのでしょうか。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 提案理由等にどう書いてあったか、私はっきり記憶がないんですが、現在におきましてもこの少年法を改正することによって少年非行の抑止に役立てていきたいという発想は私たちにございます。
○福島瑞穂君 犯罪の抑止に役立てたいというのはわかるのですが、きのう本会議でも質問しましたが、大臣は、総合的なしっかりした調査の結果、何をやればどういう効果があるというデータはないという答弁をされています。
 私は、やはりわからないのは、犯罪の抑止と言って、次に規範意識というのが出てきています。しかし、規範意識というのは、本当にその子供に何が正しく何が間違って責任を感ずるというケーススタディー的に一人一人にきちっとやるべきことですから、それは今の少年法でもできることではないかというふうに考えているんです。
 それで、先ほどからずっと出ているのは、高木さん、麻生さんの方から、例えばいじめの問題、さまざまなたくさんの問題がある、少年の事件の背景には家族の問題、学校の問題、いじめの問題、たくさんあると。なぜ少年法の改正が出てきたのか、やっぱりわからないんです。選挙が終わったからとかいうのも、もっと何かわからなくなってしまうんです。なぜ少年法改正をやるのか。
 つまり、たくさん少年事件の原因はあるわけですよね。その中でなぜ少年法の改正なのか。少年事件がふえているというのはトートロジーです。少年事件の起きている背景にたくさんの問題があって、その中でなぜ今少年法改正なんですか。
○衆議院議員(高木陽介君) 先ほど魚住委員のときにもお話ししたと思いますけれども、今指摘されました今回の少年の事件、非行の問題というのは一つだけの問題ではないというふうに私も申し上げました。これは一貫した、提案者、これは皆さん方もそうだと思うんですけれども、そういう認識でいると思います。
 その中で、なぜ少年法かというのは、まず閣法が出たとき、これは山形のマット死事件が大きなきっかけとなったというふうにきょうの委員会の質疑でもございましたけれども、そういう流れの中にあって、まずは事実認定の手続を明確にしていきましょうと。そういった中で、特に近年、少年犯罪の凶悪化という、これはマスコミの影響もあると思いますが、それがかなり大きく影響として私はあったと思います。
 そういった中で、犯罪の抑止につながるかどうか、きのうの大臣答弁ではそういうデータがないというふうなお話があったというふうに今御指摘がありましたけれども、基本的に親が子供に対して、これはいいこと、悪いこと、または地域社会で大人たちが子供の健全育成のために、これはやっちゃいけない、これは善、悪、こういうことを明確に言うことが大切であると思いますけれども、ただ国家の意思としても、人を殺す、いわゆる故意によって命を奪うということが大変な問題なんだということを明確にする、こういった意味を含めて今回の少年法のさまざまな改正部分に取り組んだということ、これを認識しております。
○国務大臣(保岡興治君) 今、福島委員から御指摘のあった私の発言は、短く言ったので誤解を受けたかもしれませんが、少年の非行、犯罪には非常に多岐にわたる奥深い原因があるわけです。その原因ごとに、一つ一つこれが犯罪を何%ふやしたかとか、これでどれだけ抑止ができるかとか、そういう計量的な犯罪抑止の予測は難しい、そういうことを全部科学的に系統立てて体系的に示すことは無理ですよというお話をしたつもりでございます。
○衆議院議員(杉浦正健君) 委員の御指摘で、自民党の「少年法の在り方について」を読み直してみたわけですが、その第二で「少年法の見直しの方針」、「一 少年法の理念」の中に「犯罪を抑止する必要があるとともに、」という、「抑止」という言葉が出てまいります。ただ、この少年法の理念については、読んでいただければわかりますが、少年の健全育成という基本理念は今後も堅持する、しかし「少年に自己の行為について責任を自覚させ、自省を求めることも、我が国の将来を担う少年の健全育成を図るという観点から重要であるとの見地から、」あり方を見直そうという理念を我が党として明示したわけであります。
 それで、これに基づきまして、実は党の方でも、少年法第一条、この文言を変えるべきであるという議論をかなりいたしました。三党のPTでもいたしましたが、このような理念であるべきという見直しの方針ではありますが、第一条については修正すべきであるという結論には相なりませんでしたので、抑止する必要があることは皆認めながら、この修正案では落ちるといえば落ちたわけであります。
○福島瑞穂君 もう時間ですので。
 人を殺すのは悪いことだということを子供たちに教えるのに少年法を改正する必要はないんではないかと私は思います。
 たくさん質問、聞きたい疑問なことがあるので、またおつき合いをお願いします。
 ありがとうございました。
○平野貞夫君 自由党の平野貞夫でございます。
 私はここ二年ぐらい少年犯罪と少年法の改正についてかなり集中的に取り組んでまいりました。そのきっかけは茨城県牛久市の中学生岡崎君の殺傷事件で、実は正直に申しまして身内でございまして、相談を持ってきまして、私は身内の問題を国会で取り上げることについてちゅうちょしたんですが、よく話を聞いてみますと、やはり少年犯罪、特に少年法のさまざまな不備の問題というものに気がつきましたので、あえて取り上げさせていただいたわけでございます。
 そして、私は率直に言いまして少年法改正論者でございます。特に事実認定手続の適正化の問題と被害者の救済については精力的に、積極的に国会で発言し、そしてことしの通常国会に少年法が政府からの提案という形に、私その流れを承知しております。
 そこで、私は率直に言いまして、あの政府案ぐらいな程度のことが今の段階では十分ではないか、適当ではないかと、実はそういう思いがありまして、政府案が廃案になって改めて与党三党から出された議員立法、現在議題になっているものを見まして、いささかちょっと悩みに悩んでいるところでございます。自由党は衆議院で賛成しましたし、我々が主張したことはかなり入れられておりますので、私もここで今さら大反対だ、阻止だなんていうことはなかなか言いにくいことでございますが、正直言いましてアメリカ大統領選のフロリダ州の有権者ぐらいな悩みを持っております。
 根本は、なぜ今少年の凶悪犯罪が多いか、その原因は何かという認識が提案者の皆さんにどういうふうに整理されているかということに対してかなり疑いを持っているからでございます。
 そこで、これだけの重要な法案を出すに当たっては、かつて大変お世話になった谷垣先生、麻生先生が率いられていますから、それぞれの哲学を持ってお臨みだと思います。麻生先生はけさの御答弁の中で、昭和七年ごろから凶悪化してきたという話を……(「平成だよ」と呼ぶ者あり)失礼しました。昭和七年といったら僕らが生まれていないですから、まだ。平成七年からそういう現象が目立ってきたということを発言されていたんですが、その原因については、さまざまな原因ではいけませんね、何か具体的に代表的な原因をどうお考えか、麻生先生、ひとつ。
○衆議院議員(麻生太郎君) 私どもの場合、これはなかなか、身近な情報を周りの話から分析するというのも一つの方法ですし、選挙区の中でいろいろな人から話を聞かせていただくのも一つの方法だとは思いますが、十三歳の少年の話がやたら出始めましたのが約四年前なんです。それが今ちょうど約四年たちましてということになっているような感じはしないでもないんですが、いずれにいたしましても、この時期に何が起きてきたかというと、これは本当に、正直これが原因ですと言うことはなかなか難しいんだと思うんです。
 ただ、同じような状況にあって、バブルがはじけたからとかいろんなことを言っておられる方もいっぱいいらっしゃいますけれども、収入が減ったのは確かでしょうけれども、では本当に食えないほど減ったかといえば、昭和二十年代に比べれば、どんな状況でも明らかに今の方が状況は悪くありません。
 そういった意味では、事実問題として盗み、かっぱらいの対象物が食料品というのはほとんどございません。遊びと言われるもの、いわゆるゲームソフト等々の盗み、かっぱらい、万引きはそっちの方が多いというのも数字の上ではっきりしております。
 そういった意味で、これが理由で平成七年以降から数字の上で上がってきていることは確かだと思いますが、これが主な原因というのを、ちょっとどういうのでおまえ考えているかと言われると、私個人でいえば個別のものはいろいろございますので、それを言えと言われれば申し上げられないわけじゃありませんけれども、正直申し上げて、これはそれぞれ皆さん方なり、ここにお見えの方々なり、また社会全般で持っておられる話とは少し違うと思いますが、私個人的にはというのを聞いておられるわけじゃないと思いますので。
○平野貞夫君 私、岡崎事件を取り上げてから、政界再編論者じゃなくて人権派になりまして、もう全国からいろんな少年犯罪とか、あるいは権力が被害者を救済しないという話とか、いっぱいいろんなファクスとかお手紙いただくんですが、この案が衆議院で審議されるようになってから、毎日五十通ぐらいのいろんなものをちょうだいしております。
 それで、その中に、実は世の中には大変見識のある方がいられると思いまして、私は本当に頭をたたかれたといいますか、目からうろこが落ちたという話を、情報というか見解を持ってきていただいた方がおりますので、今の凶悪犯罪の具体的な原因論なんですが、これを御紹介します。私もここまで知りませんで大変勉強になったんですが、ちょっと要点を読み上げます。これは大宮市の堀沢さんという女性の方でございます。
 「最近の青少年犯罪の凶悪化は、大人に追いつめられた子ども達の一揆なのです。何に抗議しているのかと申しますと、心の自由を奪われていることへの抵抗なのです。今の子達は、学歴社会という現実の中で、高校は卒業しなければ社会は認めてくれない為、高校入試は大きな価値をもちます。その入試に使われる内申書に思想、信条、価値観、生き方までも拘束する観点別評価が導入されたのです。教師の主観による人格評価ですから、教師にとってのよい子を競わされるのです。それは多大なストレスとなり、いじめたり、いじめられたりし、そのストレスが人を殺すに至ったり、自分を殺すに至ったりしています。誰かが殺せと命令したなどと犯人が言っていることから、分裂症に至っていると言えます。」。
 中はちょっと略しまして、ストレスによる発達障害という論なんですね、これは。
 そして、「十四、十五歳の凶悪犯、不登校、覚せい剤犯、売春犯、器物損壊など、すべて内申書重視の導入の平成七年から突然急増していることがそれを裏づけてます。今、事件を起こしている十七歳も、中学期に受けたストレスの後遺症だと思われます。」、「普通の子の異常な行動は同じく平成七年以降起きています。この事からも、内申書による強制であることが証明されます。」。
 感性の強い子供が結構こういう犯罪を犯している可能性があります。私はそんなに感性が強くありませんが、私が子供だったら間違いなく落ちこぼれるか何かやっておると思います、この今の社会に対してですね。
 いろいろ文部省の批判等もあるんですが、「今、大人が子ども達の行動を警告ととらず、制圧してしまえば、大人が弱い立場になった時、老いて自由がきかなくなった時に大きなしっぺ返しを覚悟しなければならないでしょう。どうか子ども達の苦しみを理解して、少年法の厳罰化をおやめ下さい。」というファクスでございます。
 私はこれを読んでフロリダの有権者のようになっておるんですが、そこでこういう非常に貴重な意見があるということをひとつ御認識ください。
 これはやっぱり閣僚である法務大臣にこういう意見についての御所見をいただきたいんですが。
○国務大臣(保岡興治君) ただいまの御紹介あったお手紙については、それなりの考え方をお述べになっていると思うんですが、これがどれだけこのところの少年非行犯罪に因果関係としてつながっているかどうか、これは一概には今ここで申し上げることはできません。ただ、内申書の少年に与える影響というものは、これは正しく行えば正しく機能するでしょうし、正しく行える体制になっているかどうか、担う先生がそれにふさわしい評価をされているかどうかとか、いろんな問題も関係すると思うんです。
 私としては、文部省が今少年の問題行動について総合的な調査を始めたかに伺っておるわけです。これは多分来年の三月末まで、春までに答えを出すということで、専門家など集めて鋭意検討をしていると。その調査結果も貴重な結果になるんじゃないかと思いますが、こういった教育まで掘り下げた少年非行、犯罪に対する影響というものは、こういう改正案がこの国会に出たからこそ全国から国民のいろんな意見が出てくる、我々も真剣に考える、そしてその中からいろんな対策が生まれていく、対応も生まれていくということで、私としては先生御指摘のお手紙もそういうことの一つの参考になるのではないかと思っております。
○平野貞夫君 法務大臣、あなたはかつてから政治改革に非常に熱心な方で、私らは同志としてやったこともあるんですが、こういった論理の因果関係なんという法律家的な発想をしちゃいけませんよ、政治家ですからね。私は正直に言いまして、文部省の調査だとか今の既成の専門家のやっていることは一切信用しません。悪くするだけですよ、こういう本質的な問題を。
 そこで、ぜひひとつ少年の問題、少年犯罪の問題という立場から、閣議なりいろいろな場で文部省をチェックしていてくださいよ。今も教育審議会か何かやっていますけれども、日本の国を本当によくするためにやっているんじゃないですよ。僕はそういう批判の目で見ています。そういう意味で、ぜひ幅広く、大臣は政治家ですから、法律家じゃないですから、幅広くこういった問題をとらえていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(保岡興治君) 大島文部大臣とかねて隣り合わせに座ることが多いものですから、この法務委員会で少年法改正をめぐる議論を聞いているとほとんど文部大臣が答えなきゃならぬような問題が多いよと申し上げましたら、文部大臣もこの委員会の議事録をよく読んでいるということをおっしゃっていました。
 まさに先生が言われるように、役所のやる対策もそれなりの意味や位置づけを必要とすると思いますが、こういった問題は、国民から直接声の聞ける政治家がよくよく考えて、将来の日本の社会のあり方、それは将来の社会を構成する少年のあり方というものに深く思いをいたして議論をしていく、また対策を講じていくということで、私も先生の御趣旨を体してこれから頑張りたいと思います。
○平野貞夫君 大島文部大臣も自民党内では改革派で、昨年はクエスチョンタイム、国会活性化の諸制度を私どもと一緒につくった方でございますので、どうか保岡・大島コンビで、この少年の問題、教育の問題というものをひとつ掘り下げていっていただきたいと思います。
 それから、与党の先生方の前でまことに申しにくいんですが、私は、文部省や教育の問題だけじゃなくて、非行大人、これがやっぱり根本原因だと思います。経済界ではそごうなんかの問題があるんですが、何といっても非行政治家の問題ですよ。例えば、医師の記者会見や医者の診断書を出さずに総理大臣をやめさせるとか、それから約束を守らずに選挙制度の抜本的なものを突然出して議長を辞職に追い込むとか、こういう今やっている、ここのところやっている与党の政治、政権運営、これは青少年に僕は物すごく悪い影響を与えていると思うんです。
 そういう意味で、こういった原因というのは私は明確だと思うんですよ、凶悪化の少年の。そういうものをよく踏まえて御理解いただきたいと思います。答弁は結構です。
 さて次に、厳罰化と言われるものの効果ですが、けさからいろんな議論を聞いてみますと、片一方では犯罪減少させるんだという論ですし、片一方ではいやそうじゃない、反対の場合もあるんだという論なんですが、私は両方あると思います。
 といいますのは、ちょっと御紹介しますが、私は去年から福島県のいわき市の私立大学に現代日本政治論というわけのわからぬ学問を教えに行っていますが、去年、いわゆる単位にレポートを出して採点したんです。それで、レポートは自由なことを書けと言いましたら、八十人のうち十人がこの少年法と少年犯罪の問題を出してきたんです。私は別にこれを出せと言ってテーマにしていないんです。これは十八、九ですね、一年生、二年生ですから。ところが、これはおもしろいと言ったらあれですけれども、真っ二つに分かれています。
 一人はこういう意見なんです。今の少年は昔のように目上の人々を尊敬し純粋な心を持っていないのである、私も十八歳だけれどもそうだと。逆に大人をばかにし未成年とは思えないような犯罪を犯していると。現在の少年は日本国憲法が制定されたころとは全く変わっているのである、僕もまだ未成年である、しかし周りの友達だけでなくほとんどの少年が法を犯している、いろんなことをやっている、現在の少年法がやっぱり緩いからだと。家族との関係も非常に悪い、家族の温かさも知らないと。そこで、少年法という法律はやっぱり現在の少年たちには合っていない、そして今の少年の正しいあり方として新しい法律をつくってくれという、そういう意見です。これは立派な見識だと思います。
 それから、一方では逆でございまして、少年犯罪をなくしていくには大人が変わらなきゃだめだと。子供は大人を手本にするから、今の社会は大人がやっていることは何をやってもいいんだというようになっているんだと、子供の世界で。国会も大の大人が見苦しいけんかをしている場面がある、クエスチョンタイムもくだらない質問が出ていたなんていうことを書いていますが、よく見ているんですよ。
 そこで、この法律は、私もやむを得ず賛成で、成立していくと思いますが、問題は成立した後の、これだけ大きな問題を抱えてこれをどう運営していくか、そこの問題が非常に重要なんです。
 岡崎問題も、私はあそこで勉強しましたのは、やっぱり事実認定手続の適正化と被害者救済はやってもらわなきゃいかぬという意見だったんですが、本質問題は現行の少年法でも対応できるんです。問題は、現行の警察、それから地方の検察、家裁、こういうところが少年犯罪についてまともに取り組もうという姿勢でないということなんです。みんな斜めを向いて、仕組みもルーズだから適当にやっておけばそれで済むんだという、そういう運営する人間の姿勢に根本問題があると思います。ですから、今度、整備といいますかハード化した少年法の中で、関係者がそういう気持ちだったらこれはだめなんですよ。余計悪くなると思うんですよ。
 そういう意味で、ひとつ法務大臣にお聞きしますが、施行に当たって誠意を持って少年問題に法曹関係者がかかわってくるということを厳重に法務大臣から要請をしておかれたいということを私は要望したいと思います。いかがでございましょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 青少年の非行、犯罪問題はいろんな省庁で担当していて、それを密接に連携して総合的な観点から施策を実現していこうという省庁の連絡会議があるわけです。それは総理府にありまして、本来なら続長官が主宰してやっていく仕組みになっておりますが、もちろん法務省もそれに参加しております。
 警察を含めて、裁判所もそうでありますし、あらゆる役所がこの少年法改正に当たっていろんな議論をした成果、国民から出てきたいろんな意見、そういったものを参考にさらに議論を深めていい方向性がますます生まれるように、そして少年法が的確に改正の趣旨に沿って運用されるように努めてまいりたいと思います。
○衆議院議員(杉浦正健君) 平野先生のただいまの御指摘はまさにそのとおりだと思います。運用している家庭裁判所裁判官、調査官、検察官、警察官、そういう方々の意識を変えてほしいというのが私としては切なる願いであります。ただ、御案内のとおり、家裁の裁判官は独立の原則があります。家庭局長といえども、最高裁判所長官でも、おまえさん考え方を変えろ、この扱いは甘過ぎるぞという指揮命令はできません。
 戦後五十年にわたって今の少年法でずっと運用が定着してきておるわけであります。先ほど警察は、法律が変わったから特に捜査方法を変えることはない、今までどおりきちっとやりますと言っていましたが、私に言わせれば、今まで検察官も警察も、手抜き捜査をしていたとは言いませんが、もう少しきちっとやってほしい、世の親はみんなそう言っていますよ。
 ここでは絶対に今までどおりきちっとやりますとしか言えません、彼らの立場からは。ですけれども、先生がおっしゃるように甘かった、全件送致ですから。自分らの捜査を結局家裁が決めるんだから、いいかげんとは言いませんが、ちゃんと捜査はしているんですが、十分に捜査を尽くしたかどうかとなると、個々のケースによりますけれども、そういう思いはあったと思います。
 私どもは、先生のおっしゃるとおり、今の少年法でも逆送はできるんですから、なぜ殺人罪を犯した少年を逆送しないんだと。二〇%か三〇%しか逆送していませんから被害者の方は怒っておられる。何をやっているかわからない、家裁は密室の中ですから。傍聴もできない、記録も見られない。だから、原則逆送にしたのは、公開の裁判にすれば傍聴もできますし、証人にも場合によっては立てるし、オープンになるじゃないかと。その結果、裁判所がこれは保護処分の方がいいという判断をすれば、また家裁に戻せるんですね。だから、少年の保護について欠けるところはないと思うんです。だから、家庭裁判所あるいは検察官を中心とする今の司法システムを、社会の変化、子供たちも変わってきています、僕らのころの子供と違います、よくわかりますよ、そういう新しい変化にきちっと対応してほしい。今のままこの少年法をほうっておいたら、果たして家裁を中心とするシステムの運用は変わるのかどうかという疑問があるわけです。
 ですから、先生のお言葉をそのままかりさせていただければ、フロリダの有権者と同じような気持ちで何とか対応しなきゃいかぬ、そういう思いで、私は、やはり裁判官は憲法と法に従って裁判をするわけですから、原則逆送とする、十四歳、十五歳も刑事罰対象にすると選択権を与えて、法律に従って今度は運用は変わらざるを得ないと思います。その運用を見守りたい、こう思っている次第であります。
○国務大臣(保岡興治君) 法務省、そして警察は所管でありませんが、恐らく先ほどの答弁から伺ってそう思いますけれども、捜査の考え方とか理念というものが今度の逆送の見直しで変わるべきものではないが、従来より以上にさらに適正な捜査を遂行するように努めてまいりたいと思います。
○平野貞夫君 大変よく理解できる御答弁をいただいておりますが、例えば岡崎事件は、もちろん関係者の、言葉を悪く言えば無関心、怠慢という部分があるんですけれども、基本的には権力の、自分たちのやったことの誤りの隠ぺい行動なんです。明らかに証拠隠滅もやっていますし、明らかに一種の国家が犯罪を犯しているんですよ、権力が。
 したがって、被害者は今国家賠償請求とかあるいは損害賠償要求という民事訴訟でやっておるわけなんですが、これは決して金が欲しいわけじゃないんです。真実が権力によって、警察によって隠ぺいされているからなんですよ。ですから、私は我が国の社会はまだまだ決して近代社会じゃないと思うんです。格好だけ近代社会だと思っている、みんなが。だから、そういう根っこの本当の意識の改革というのが必要だと思っておりますから、そういう面もひとつ気をつけていただきたい。
 それから、きょうは総論的なお話だけにしたいと思っていますから、一言、法務大臣にお聞きしますが、例の刑事処罰対象可能十六を十四に下げたという問題なんです。非常に悩ましい問題なんですよ。
 それで、私の友人でかつて法務省にいましたOBは、これはひどい、十四で刑務所じゃと。私なんかはむしろ最初はそれでもいいんじゃないかという思いだったんですが、いろいろな人の意見を聞いてみたら、やはりこれは議員立法じゃなくて、その部分は法制審とかでもうちょっと時間をかけて、適正な年齢が幾つであるかということはもうちょっと慎重に決めるべきだったんじゃないか、あるいは法務省の本音はそこのところはさわってもらいたくなかったんじゃないかというような気を私は持っているんですが、ちょっと一言。
○国務大臣(保岡興治君) 法務省はこの問題について、特に私も自民党の少年法改正案をまとめる立場で、一員として麻生先生や皆様方と御一緒に検討した時代がありますが、法務省がその点について消極的な意見を述べたような記憶はありません。事実、私個人は、どちらかというと前から引き下げには賛成する立場でございました。
○衆議院議員(杉浦正健君) 私は、全く個人的な意見なんですが、戦後占領下で少年法を変えるときに、この十四歳、十五歳を処罰しなくしたことがそもそも間違いだと思っています。戦前は十四歳からやっておりました、刑法で。あの当時はアメリカは振れておったんですね、保護主義に。その後すぐ戻ったんです、すぐでもありませんが時間をかけて。時代の変化に法律が追いついていなかったというのが私は現実だと思っております。
 もう侍は十五歳で元服して腹もかっ切ったんですから、数えで十五というのは十四ですか。ですから、まあそういう議論は別にして、十四歳から、中学二年生ですか、処罰していいと私はそもそも思っておりました。だから、私個人としてはこの低年化することに対して何のためらいもありませんでした。
○平野貞夫君 率直な意見の交換をこれからもしたいと思います。
○中村敦夫君 中村敦夫です。
 よろしくお願いします。
 今、世の中が大分暗くて不安な時代が続いています。バブル崩壊以後は国の財政赤字も増大の一方ですし、また大企業がばたばたと倒れ、外国企業に吸収されていく、リストラもどんどんふえていく。そんな中で、政界、官界、財界の不正、腐敗というのもどんどん広がっていて明らかになってくる。教育現場も崩壊している。こういう状況で、本当にオリンピックで女子選手が金メダルを取ったことぐらいしか明るい材料がないんですね。ですから、国民は非常に臆病になりながらいらいらとしている、ストレスもたまってきている。
 そんな中で、昨年、ことし、連続的に簡単には理解できない動機の凶悪な形をとる犯罪が、少年による犯罪が出てきた。この犯罪が出てくるときというのは、意外と重なって出てきたりしばらくなかったりと。定期的に出てくるものでもないんですね、今まで。
 それで、社会を震撼させる凶悪犯罪ということでマスコミは飛びつくわけですけれども、大きな少年犯罪というのは昔から常にありまして、そのたびに社会を震撼させるというふうに書かれてきたんですね。私は、マスコミの側から、そこで働いてきた経験から、非常に商売になるんですよ、これは。そして、商売になりますから、報道が非常に広く厚くなってきて、かなり精密に、前よりもそこを強調して書くということもありますので、国民はなおさら不安になる。特に去年、ことしあたりの少年による凶悪な犯罪というものに接して、こうしたいらいらしている人々が、ええっ子供までかというふうなすごい衝撃を受けたと思うんですね。子供ぐらいは大丈夫だろうというようなものがあったにもかかわらず、一番大事な子供たちがこんなことを始めた、さあ大変だという、そういう状況というのが心理的に生まれたんじゃないかなと。
 私はこれがいきなり少年法の改正というところへばあんと飛んだところに非常に違和感を覚えるんですね。何でそこへ直接行っちゃうんだと、これはいろいろな原因があるわけですから。法律の問題、そこへ行けばいいのかと。そして、そうだそうだという声も大分あったんですが、そうだそうだと言っている方々の多くは少年法というものを余り知らないだろうし、実際にそれが施行されている現場のことについても知らないケースがあったのではないかなというふうに思うんですね。
 ですから、今回の改正においても、発議者の方は真剣にいろいろと理由を説明していらっしゃるんですが、何かいま一つ迫力がないというか、非常に足が地についていないようなところで物を言っておられるような感じもするし、また質問する我々の側もどこのところを焦点にして質問していいかわからないというような、非常に奇妙な空間の中で議論をしているような、そういう感じを受けるんですね。
 ですから、私は、この問題を解決するときには、今はっきりわかっている現実的なこと、具体的なことをベースに、余り遠い理念だとか夢だとか理想だとかというところへ飛ばないで、もう少しわかっている事柄、現実的な事柄を話し合うことによって、この法律について冷静に話し合った方がいいんじゃないかなというふうに考えているわけですね。
 そこで、発議者のどなたでもいいですからお尋ねしたいんですが、基本的な問題について質問します。
 この少年法というのは、非行した少年をいかに更生させるかという、そういう取り扱いを定めた法律なわけですね。非常に具体的な、現実的な法律なんですね。その理念としては、教育・福祉政策、それから刑事政策という両面があると思います。
 この少年法の第一の目的というのは、簡単に言うと少年犯罪を減らすという、そこに一番の目的があるんじゃないかということについて確認いたしたいんですが、いかがでしょう。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 今、中村委員がおっしゃった具体的なところから議論をしようというのは、私は大賛成でございまして、この少年法の議論は、実は私若いころから思っているんですが、よく言えば哲学的といいますか、悪く言えばイデオロギー的と申しますか、ややそういう議論が目立つ分野ではないかなという気がしておりますので、具体的なところから議論をしようという委員の御提案は私はまことに我が意を得たという思いがいたします。
 それから、犯罪を減らすことにあるのかという前に、もう一つ今おっしゃったことで私感じていることがございまして、それは、最近非常に社会の耳目を聳動するようなセンセーショナルな犯罪が起きてきて、みんな、わあ大変だと浮き足立ったところがあるんじゃないか。確かにそういう危機感があることは私は事実だと思います。
 それで、衆議院からこちら参議院まで議論が続いてまいりまして、この間の本会議における質疑でも、福島委員が御質問の中で、少年法改正を支える立法事実はないんだというふうにいわば断定をされたわけでございます。私つくづく思っておりますのは、この提案者とこれに反対される方の間でいろんな統計の数字、同じ数字を見ておりながら非常に読み方が違うという感じがしているわけですね。
 それで、私どこかでこれは一度議論の中で申し上げたいなと思っていたのは、確かに今まで、昭和二十六年、それから三十九年、五十八年という少年犯罪のピークがあって、その三番目の五十八年のピークがだんだんおさまってきて、先ほど平野委員のお話にありましたように、平成七年あたりからまたちょっと第四のピークに来ているのか来ていないのか、ここがまたいろいろ議論があるところだと思うんですが、その前提として、ことしの犯罪白書を見ますと、第一のピークの昭和二十六年には検挙率が六九・四%です。これは少年犯罪だけではありません。交通関係業務上過失を除く刑法犯全部の検挙率が六九・四%です。それが第二のピークの昭和三十九年になりますと六三・九%。これはその間上がったり下がったりがありますから余り意味のある差ではないだろうと思います。それから、昭和五十八年、第三のピークになりますと六〇・三%。大体七割から六割台を維持してきた。それが平成に入りましてから五割を割って四〇%、それから三〇%台になり、また四〇%台を残して、平成十年が三八%、平成十一年が三三・八%というふうに検挙率がかつての半分ぐらいに落ちている。
 この原因がどこにあるのかというのは私も実はよくわかっていないんですが、こういう数字を前提にして先ほどの少年犯罪の数字を考えますと、それを直ちにでは検挙率が半分になったから少年犯罪の数字を倍にしていいかどうかというのはわかりませんけれども、かなり憂慮すべき数字というものがやっぱりあるんじゃないかということは一度この委員会の御質疑の中で申し上げておきたいと思っておりました。これはこれからの議論で吟味していただけばいいと思います。
 それで、ちょっとさっきの抑止かどうかと。抑止は、先ほども申し上げましたけれども、私たちは抑止をしていくという観点を維持しておりますし、今回の改正の目的は非行を犯した少年の再非行の防止を図るというのが一番の観点だろうと思います。
○中村敦夫君 検挙率と少年犯罪の検挙率との説明は今ないわけですから、ちょっとそこのところはわからない問題だと思います。
 ただ、そのことで一番はっきりしていることを言えば、少年犯罪の九割近くは軽犯罪なんですね。それは確かなことです。ですから、これは検挙しようがしまいが大体そういう割合になると思うんです。しかも、自転車泥棒とか単車の泥棒とか、それがもうほとんどなんです、軽犯罪。これは確かなことですね。解釈しようがない。
 それで、それじゃ一番極端な、凶悪だと言われる殺人というところを見ると、これは十年以上長期にわたってずっと低いレベルなんですね。百から百十とかというところ。だから、十ふえたからそれが多くなったというふうに言えないこともないですけれども、そういうレベルで来ているということは、世の中で言っているほど少年たちばかりが犯罪をしているかどうかという話にはならない。逆に言えば、親が子供に保険を掛けて殺したり、幼児虐待なんというのが物すごく出てきているわけでしょう。だから、子供のところばかり攻めていくと非常にバランスの悪い判断になってしまうのではないかなというふうに思うんですね。
 とにかく改正案というのは少年犯罪の減少に寄与するものでなければならないということなんですね。それで、それを判断する材料は、やっぱり更生というのがうまくいっているかどうかということが一番大事なんですね。犯罪というのはやはり再犯が非常に多いわけですよ。大人の社会だったら半分近いぐらいの再犯でふえるという形をとりますね。
 そういう意味でいいますと、十月十七日の衆議院法務委員会において、元最高裁家庭審議官で与党推薦の原口幹雄さんという参考人が、家裁で処分を受けた者が再犯する比率が顕著に減少している、そして家裁が大筋において適正な処遇をしてきたと評価していると、こういうふうに与党の参考人が言っているわけですね。具体的な数字も提示しているわけですよ。一九九〇年、十年前ですけれども、家裁に再犯で来た少年の率が一九・五%だったと。これも低いんですけれども、一九九八年、八年後には一三・二%に減少しているということなんですね。これははっきりしているわけです。
 そうしますと、現行の審判と処分手続が効果を上げているという、こういう現実があるわけですね。そうしますと、いろいろな問題が多分現場であると思います。施設の問題とか人員の問題とかやり方の問題とか、そういうことはどんどん改良していいんですけれども、つまり失敗しているならば法律で変えるべきかもしれませんけれども、うまくいっているというときにその法律を変えるというところが私は単純にわからないんです。この点、いかがでしょうか。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 従来、現行の少年法に基づく制度がある程度うまく機能してきたというのは、私は中村委員のおっしゃるとおりだと思います。私たちが実感として割合安全感を持って日本で生活できたということがその裏づけだろうと思うんですね。
 ただ、先ほど申し上げましたように、平成七年を境に増加の傾向に入っている、それからそれは決して先ほど委員がおっしゃるように耳目を聳動するような理解の不能な事件が起こったという、これはある意味で氷山の頂点みたいなものかもしれませんが、そうではなくて、それ以下の、氷山の下のような部分もかなりふえてきているのではないかという認識に我々は立っているわけでございます。
 先ほど少年事件は軽微な事件が多いんだとおっしゃったことも私は確かにそのとおりだと思います。それから、殺人をお挙げになって、殺人はそう変化がないというふうにおっしゃったこともある意味でそのとおりだと思いますが、凶悪な犯罪を語りますときに、殺人だけではなく強盗やそのほかのものも見ていかなければならないということもあわせて指摘をさせていただきたいと思います。
○中村敦夫君 強盗にするか窃盗にするかというところが現場では大変難しくて、この数字はなかなか分けられないから私は殺人というわかりやすいところで申し上げたわけなんですね。
 それで、同じことなんですね。要するに、凶悪犯罪において原則逆送ということにするんですが、そうなった場合、家裁の処分と刑事罰、どちらの方が更生率が高いのかということも一つの論点になりますね。そうすると、今年度版の犯罪白書によりますと、一九九九年の新受刑者のうち再入受刑者の比率は四四・五%にも及ぶと。これは大人ですよね。半分近く再犯で入ってくる。ところが、同じ年で少年院の仮退院者の再入院率は実に一四・八%と非常に低いわけです。それに懲役、禁錮刑の者を加えても一五・六%という、これは私は世界から比べたらかなり成績のよいあり方じゃないかなというふうに考えているんですね。
 ですから、やはり今は現行のやり方と現行の法律というものが思春期の非常に複雑な少年たちのいろんな問題を、いろいろ細かい欠陥はあるとしても、うまくすくい取って処理している、つまり刑事罰を与えるよりも適切であるという結果が出ているのではないか。ですから、何も原則逆送にわざわざ改める必然性というのがあるのかどうかということをお聞きしたい。
○衆議院議員(谷垣禎一君) 今、全受刑者の場合と少年院の場合と再犯の率が違うというふうにおっしゃいまして、それは私はある意味で当然だろうと思います。ある程度人格も固まり犯罪傾向の進んだ者と、それから少年の場合にこのような保護手続をとっておりますのは、やっぱり少年の場合は人格が固まり切っていない、だから教育によって再犯を防止できるような効果も上がるということでこういう少年審判のような保護手続をとっているわけですので、そこにこういう保護手続をとる理由もあるわけです。
 ですから、やはり少年と大人の違いというものはそこにあると思いまして、今の理由だけで、今の中村委員のおっしゃったことだけで、では全部保護でやればいいということにはならないと思います。
○中村敦夫君 全部保護でやればいいということにはならないというのは、余り意見という感じじゃないですね。私はわかりやすいことを確かめながら話をしてきて、だけれどもいろいろあると言われても、抽象的な話になってしまいますね。だから、私はだれもが認められるような事実と数値というものからこういう非常に実務的な法律の問題というのは話すべきじゃないかなと。
 ですから、要するに刑事罰年齢を引き下げるという問題も、あるいは逆送するというその部分でも、効果が上がっているのになぜ変えなきゃいけないのか。それは抑止力だというのであれば、では変えればさらに抑止力が期待できるのかということを、今やっている事柄が上げているよい成績に比べてどうやって証明できるのか。最低限の社会的規範ということでも、何もそれは少年だけの問題じゃないだろうと。政治の世界でそれを一番先にやった方がいいんじゃないかというような状況の中で、この二つの点を変えることによって抑止力が出ると確信できなければ変えるべきではないと思うんですね。ある程度の目安なしに、やってみなければわからないというような話では法律を軽々しく変えるべきではないと私は思いますが、いかがですか。
○衆議院議員(杉浦正健君) 中村委員の御指摘は、家裁に送られている事件の大部分については当たっていると思います。
 統計をとり始める十歳から二十歳までの少年は約千六百三十万人おります。そのうち触法少年というのは、家裁へ送られてくる子は二十万人ちょっとおるわけですが、そのうちいわゆる凶悪犯と言われている殺人、強盗、強姦、その致死傷、凶悪犯罪を犯す子たちは二千人台でしょうか、このところ。
 問題は、私どもが考えているのは凶悪犯罪についての司法システムの対応を問題にしているわけであって、それ以外の凶悪犯でない犯罪、これは少年も争わない部分が多いし、特に初犯の子なんかは家裁の指導によって矯正される面も随分ありますし、その部分について家裁が果たしている機能というのは、戦後五十年、現在も有効に機能しているという認識は持っております。
 私は、私どもはと言ってもいいかもしれませんが、問題は凶悪犯罪に対して司法システムの対応が今のままではずれているんじゃないかという基本認識があるわけであります。
 先ほど岡崎さんのケースを平野委員が出されましたが、岡崎さんは、お父さんに衆議院で参考人に来ていただきました。詳しく伺いました。本当に涙の出る思いがしましたし、警察、検察庁に対して腹立たしい思いをしたわけであります。あの事件、いろいろな見方があるかと思いますが、仮に原則逆送だというこのシステムになっておったとしたら、警察も検察庁も公判請求を前提に考えますから、もっときちっと捜査したんじゃないかと私は思うわけなんです。
 結局、家裁へ送られる。家裁へ送られて、言ってみればあの程度の事件であれば逆送されるケースは非常に少ないわけですね、現実に。傷害致死でございましょう。殺人ですら大体年間百人ぐらいの少年が犯すんですが、逆送されているケースは二割から三割。傷害致死ですともっと逆送されるケースは少ないわけでありまして、先ほど非常に暴言を使ったわけですが、手を抜いた捜査をしているわけではないとは思いますが、しかし検察官、警察が公判請求があり得るという前提であれば、それに耐えられるようにきちっと捜査をし、調書もとり、事実も調べ、いろいろと対応して、それで家裁へ送るということになると思うんです。
 いろいろな見方があると思います。平野先生にはまた後ほど個人的にでもお伺いしたいんですが、原則逆送に改めることは、凶悪犯罪に対して事実認定から始まってきちっと対応すると。公判請求しても、これは保護処分にした方がいいと裁判所が判断すればまた戻せるんです、五十五条で。そういう安全装置もあるわけですから、オープンなところできちっとやった方がいいというふうに考えておる次第であります。
○中村敦夫君 私がお聞きしたのは、原則逆送と刑事罰の低年齢化によって抑止力が上がるということの、つまり裏づけがあるのかということをお聞きしたわけです。
 今のお答えをお聞きしていると、もう逆送するのが善だという前提に立ってやられているけれども、家裁だって今までいろいろ慎重にやって、それは一つ二つ間違うこともあるかもしれませんね、裁判だってそうですから。そういうことはあるかもしれないけれども、そこだけを見て変えなきゃいけないという理由にはならない。やはりトータルに実際の現実というものを大事に考えなきゃいけないなというふうに思うんですね。でも、これは言い合いになりますからね。だって、逆送したくてしようがないわけでしょう。だから、これはもうそれがすべてだと考えられている方と私の考えとは全く違うわけなんですね。
 ですから、別な問題の聞き方をしたいんです。要するに、現行のあり方の中でさらに私はリストラティブジャスティス、いわゆる修復的司法というものを採用して再犯率をさらに下げるというようなこと、そういう方向に向かった方がより効果的であり現実的であるというふうな考えを持っておりますけれども、いかがでしょうか。
○衆議院議員(麻生太郎君) 先ほどどなたかの御質問に答えたところでも申し上げたんですが、この修復的司法かな、リストラティブジャスティス、適当な日本語がないので多分横文字、片仮名を使っておられるんだと思いますが、修復的司法という方法は、先ほど御答弁申し上げましたように、ケースによってはその方がうまくいくケースが十分にあり得ます。これは私ども基本的にそう思っております。また事実、これまでも起訴というか公判請求を取り下げたり、家族の方々というのがその少年を、現実的に対応して、その人の話を聞いて訴訟取り下げ等々の例はありますので、これは日本でもほかに例がないわけではありません、事実、昔からいっぱいありますので。そこのところはケース・バイ・ケースで対応できるとは思います。
 ただ、家裁へ行かれたかどうか知りませんが、こんな広い部屋じゃなくて、ここの八分の一ぐらいだったと思いますが、もうすぐそこにいる、距離が全くありませんから、全くというか全然近いところなものですから、何となくこれはもう、これが自分のせがれを殺したやつなんということになって、状況としてはかなり、感情としてはなかなか難しいところだと思いますので、裁判官がよほどうまく指導するということをやらなきゃいかぬところだとは思います。裁判所の指導する腕が問われるところになろうかと思いますが、そういったことも含めてこの問題は検討し得ることだと思っております。
○中村敦夫君 私はこれは欧米のものをそのまままねてやる必要ないと思うんですね。日本には日本の伝統文化があり、そういう装置みたいなものはお寺のお坊さんだとか、あるいは横町の御隠居とか、いろいろやってきた役割というのがあるわけですから、そうしたいいものを取り入れながらそれを積極的に制度化していくという実験、そういう方向へ改革というものを向けていった方がいいのではないかという私論なんですね。
 それで、次の質問へ移りますけれども、専門家によりますと、少年の非行というのを幾つかに類別しているんです。新しい極端な犯罪だというふうに報道はされますが、私は犯罪の本質というのは、人間である以上、古今東西そんなに変わらないと思うんですよ。ただ、時代に応じてその表現の仕方、形、環境というものが変わりますから新しく見えるものですが、実際問題としては、専門家が分類しているように、一つは生存型、要するに生活のため、あるいは物が欲しいからという欲望型の古典的なものですね。それから、遊び型、いたずらしてやろうというような形で大きなことをやってしまうというようなものがあります。反社会型、これはある意味では政治的な形の犯罪、それから非社会型、確信型、こういうふうに分けられているようでございますね。
 今一番目立っているのはこの非社会型という、この世の中の、先ほど平野議員がおっしゃられたような、そういう管理ストレス社会、それが子供に集中しているという中で切れていく。ですから、そこには整合性とか論理とかがない、突然の犯罪というのが起こってしまう。しかも、意外と今までいい子だった人間がそれをやってしまうというふうな、それは現象としては新しいわけですけれども、これは原因がわかります。また、本来猟奇的な事件として扱われていたような、精神病理学とか心理学の関係に属するような妄想から来るような犯罪というのもかなり目立って出てきていると思いますね。
 この非社会型の犯罪というものを少年がやってしまったときに、特に精神病理学あるいは心理学に属するような部分の問題になりますと、なぜだなぜだと、みんなは知りたいのにぴたっとふたをされてしまって、憶測のいろんな解説が流れていく。なおさらわからなくなって不安になるということがありますよね。
 この辺で、日本のそういうものを扱う専門家のレベルというのはどういうふうになっているのかなというふうな疑問がいつもあるんですが。
○衆議院議員(麻生太郎君) お答えになるかどうかわかりませんけれども、過日、日本の小児学会で発表された詩があります。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」というのに当てた本の話なんですが、一つの社会現象を小児学会でこういう意識を持っているということの一つの参考になられると思います、作者は不詳ということになっておりますが。
 雨ニモアテズ 風ニモアテズ 雪ニモ 夏ノ暑サニモアテズ ブヨブヨノ体ニ タクサン着コミ 意欲モナク 体力モナク イツモブツブツ 不満ヲイツテイル
 毎日 塾ニ追ワレ テレビニ 吸イツイテ遊バズ 朝カラ アクビヲシ 集会ガアレバ 貧血ヲ起コシ アラユルコトヲ 自分ノタメダケ考エテカエリミズ 作業ハグズグズ 注意散漫スグニアキ ソシテスグ忘レ リツパナ家ノ 自分ノ部屋ニ閉ジコモツテイテ
 東ニ病人アレバ 医者ガ悪イトイイ 西ニツカレタ母アレバ 養老院ニ行ケトイイ 南ニ死ニソウナ人アレバ 寿命ダトイイ 北ニケンカヤソシヨウガアレバ ナガメテカカワラズ ヒデリノトキハ 冷房ヲツケ ミンナニ 勉強勉強トイワレ
 叱ラレモセズ コワイモノモシラズ コンナ現代ツ子ニ ダレガシタ
これはことしの小児学会で発表になった詩だそうです。
 現実問題として、小児学会というのはこういうのを扱う専門のプロですよ。それですらこういう事態になっているということですから、政治家が一法律をつくっただけで簡単に対応できるはずはあり得ない。それは私どもの共通の認識です。しかし、その上でやっぱり何かせにゃいかぬということだと思いますが。
○中村敦夫君 今読まれた詩は作者が森首相じゃないことを祈りますが、その詩の内容自体、単なる怠け者の歌であって、精神病理学とかの問題ではないと思います。
 だから、そこで発生した事件、こういうものはかなりみんなに衝撃を与えているんですよ、実は。そして、それに対する解明をだれができるのかという不安感というのがあるわけですね。最も衝撃を与えるこのタイプの問題も、逆送と刑事罰の引き下げということでは解決できないんですよ。全く縁遠い問題なんですね。
 だから、そのことをよくお考えいただいて、もうちょっとこの法律についてはまじめに、まじめにはやっているんですが、地に足のついた議論と、本当に将来のために現実的な方向を探る研究の時間をとった方がいいのではないかというふうな私の感想を申し上げまして、質問を終わります。
○委員長(日笠勝之君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三分散会