第150回国会 国民福祉委員会 第4号
平成十二年十一月十六日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十一月十四日
    辞任         補欠選任   
     八田ひろ子君     井上 美代君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                田浦  直君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                武見 敬三君
                南野知惠子君
                今井  澄君
                小宮山洋子君
                堀  利和君
                松崎 俊久君
                山本  保君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     津島 雄二君
   政務次官
       厚生政務次官   福島  豊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       総務庁行政監察
       局長       塚本 壽雄君
       文部大臣官房審
       議官       清水  潔君
       厚生大臣官房審
       議官       堺  宣道君
       厚生省健康政策
       局長       伊藤 雅治君
       厚生省保健医療
       局長       篠崎 英夫君
       厚生省保健医療
       局国立病院部長  河村 博江君
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       厚生省保険局長  近藤純五郎君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第二局長   関本 匡邦君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)

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○委員長(中島眞人君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、八田ひろ子君が委員を辞任され、その補欠として井上美代君が選任されました。
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○委員長(中島眞人君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(中島眞人君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に総務庁行政監察局長塚本壽雄君、文部大臣官房審議官清水潔君、厚生大臣官房審議官堺宣道君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、厚生省保健医療局長篠崎英夫君、厚生省保健医療局国立病院部長河村博江君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君及び厚生省保険局長近藤純五郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(中島眞人君) 次に、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○清水澄子君 おはようございます。
 まず、医療制度の抜本改革の時期、そして改革の段取りの確認をさせていただきたいと思います。
 厚生省は、医療制度の抜本改革について平成十四年度からの実施を目指して検討を進めるとしているわけですけれども、医療制度の抜本改革は平成十四年度から実施するということなのか、その辺が非常にはっきりしておりませんので、ぜひここで明快な御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 医療制度の抜本改革につきましては、その方向に向けて、今回、健康保険法等の改正あるいは医療法の改正を第一歩としてお願いしておりますけれども、引き続き残された問題、例えば高齢者医療制度のあり方、またそれにかかわる医療供給体制のあり方について全力を挙げて検討し、平成十四年度を目途に具体的な措置について成案を得た上で、平成十四年度の通常国会に法案の提出を目指してまいりたいと思っております。
○清水澄子君 では、これははっきり平成十四年度の通常国会に抜本改革についての法案の提出をするということを、ここでそのように受けとめてよろしいですね。
○国務大臣(津島雄二君) 今御答弁申し上げたとおりであります。
○清水澄子君 それでは、この平成十四年度から実施するためには、非常に残された時間が少ないわけですけれども、今後どのようなスケジュールで取り組んでいかれるのか、御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほど大臣から申し上げましたように、医療制度の抜本改革につきましては、平成十四年度に法案提出ということで精力的に検討を進めたいと考えているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、私ども事務当局といたしましては高齢者医療制度の改革推進本部をつくっておりまして、これまでもかなり精力的に検討を進めておりますけれども、この速度を速めたいと思っております。
 それから、もっと大きな組織といたしましては、先般の有識者会議の報告書を受けまして、十四日の閣議におきまして社会保障改革の関係閣僚会議が設置されたわけでございまして、今後、政府・与党の連携のもとで社会保障改革の全体像を明らかにする、この中で医療制度の改革というものも内容とするということで、大綱ともいうべきものを取りまとめたいということに、大綱だけでもちろん済むわけではございませんので、これに基づいて具体的な措置を検討していく、こういうふうに考えている次第でございます。
○清水澄子君 有識者会議で大綱を出されるということですけれども、社会保障制度審議会が医療保険制度の改正について出しました答申によりますと、そこで医療臨調のような組織を設けたらどうかという提案をしていると思うんです。
 これまで抜本改革ということがずっと主張されながら、また具体的提起がありながら絶えず変更されてきた陰には、いろんな関係者の利害やいろんな既得権益を持つ団体との調整がとれないということで今日までおくれてきていると思うんです。そういう意味でも、やはりこの第三者機関のようなこれまでとは違った関係者の利害や既得権益を離れたところで検討できるような、そういう本当の意味の抜本改革の論議ができるような手段をとられるのかどうか、その決意は大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 医療制度の改革につきましては、第三者機関の設置を含めていろいろな考え方はあり得ると思いますけれども、現実にその施策を実行する場合には関係者が本当に理解をし、それを協力し、また推進していただかなければならないということもまた事実でございます。
 いずれにいたしましても、医療制度をめぐる問題の所在や改革のあり方につきましては、結局は幅広く国民的な議論を喚起し、利害や立場を超えて国民、関係者の御理解を得て抜本改革を実現するということに尽きるのではないかと思っております。
○清水澄子君 そういう機関を設けるという御答弁はなかったんですけれども、国民の理解を求めるというのは当然なんですが、まずそういう新たな機関、どのような機関でこれを決定していこうと考えていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 政府がどのような機関を設けるかというのは一つの議論の材料かもしれませんが、私はこの国会で先生含めて御議論いただくことがやっぱり一番国民的な議論を喚起する道だと思っております。これを超える議論というのはないと。そういう意味では、私は真剣に当委員会あるいは国会において御議論をしていただくことを尊重してまいりたいと思っております。
○清水澄子君 それは非常に公式的な御答弁ですから、国会で議論することが最も国民的な了解を求めることであるし、それからそれこそ公平な、公正な議論の場であるというのであれば、非常にこれは早く提起をしていただかないといけないと思います。ですから、それではもう次の通常国会の冒頭やらないと、十四年というのは本当に実施していこうとするならばとても時間がない。そして、今までも厚生省は、そういうふうに国会の審議を尊重するというよりも、やはり審議会とかいろんなところでお決めになったし、特に医療についてはいろいろ利害団体の圧力に屈してきたというのはもうみんな周知の事実だと思います。ですから、そういうふうな抽象的なお話じゃなくて、本当にその決意を私は述べていただきたいと思ったわけですけれども、そこはぼやかしておられる。しかし、ぜひ私は社会保障制度審議会の答申を尊重していただきたい。この点はいかがですか。
○国務大臣(津島雄二君) 委員も長らく本院においでになっておわかりのとおり、前回の大きな改正は委員初め御党の方々と一緒になってやったわけであります。そして、あれを実現するに当たっては、国会で私も衆議院の一人でやっておりましたけれども、真剣な議論をやって、政府から出てきた案に必要な改正を加えて実現したことは御承知のとおりであります。
 そういう意味で、どういう舞台で政府側が議論するかということについては、きょうの御意見を踏まえて我々もいろいろ議論してみますけれども、やっぱり最後は国会の議論であり、それから政治のリーダーシップの問題であると。だから、平成十四年度に向けて私たちは重ね重ねて抜本改革を実現していきたいと申し上げていることに尽きるし、そのために与野党の枠を超えて先生方の御参加をいただき、できればいい案を御提案いただければ大変ありがたいと思っております。
○清水澄子君 では、そのお言葉のように十分な審議ができるように、そういうことで私どもも当然その責任を果たしたいと思いますが、やはり政府の方も本当に、抜本改革がこれまでずっと引き延ばされてきたという経緯の上でこういう質問になるわけですから、その点もやはり責任を持って早く御提起をいただきたいと思います。
 そこで、先ほど国民的な理解が必要だと。私はそれがまず第一ではないかなと思うんですけれども、いつでも国会がすべてそうであるといいましても、国会でこの短い時間で審議して、国民の皆さんに徹底するときというのはずっともうそれは遅いんですね。そのことは皆さん自身が御存じだと思いますけれども。ですから、国民の理解を得るためにはどういう方法をお考えなのか。もっと国民に、どういうことが議論されているか、国民の意見はこういうことだということで議論に参加をしていける工夫、手段というのをどのようにお考えになっているか、そのことをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 国民的な議論をあらゆる手段を尽くして守り立てていかなければならないという御質問、そのとおりであろうと思います。私どもも高齢者医療制度の見直し等について、問題の所在や改革のあり方について、例えばわかりやすい読みやすい出版物、パンフレットのようなものを作成し、制度の現実の姿や問題点、それから今後の目指すべき方向をできるだけわかりやすくお示しして、国民的な議論をやっていただきたいと思っております。
 委員の御指摘の線に沿って努力をすることはお約束したいと思いますが、同時に、こうしたプロセスを経て立場や利害を超えた合意形成を図っていくについて、やはり政治の場における与野党の枠を超えた議論もまた大事でございますから、私どもとしては御党含めて各党から具体的な御提案をいただくことは大変ありがたいと、かように思っておるところでございます。
○清水澄子君 私は、まず一つの方法としては、今、日本の国の医療の実態というものがどのような状況にあるのか、そういう情報をぜひ国民に公開していただきたい。そして、やはり国民的な議論ができるような素材を提供していただきたいと思うんです。
 前の年金の審議のときには、あれはまた非常に年金財政の不安ばかりで、むしろ非常に悪い役割を年金白書はやったわけですけれども、しかしそういう悪い面じゃなくて、国会に医療と医療保険に関する年次報告というようなものをやはり報告していただきたい。そして、それでやはりみんなが共通の素材のもとで議論ができるようにしたいと思いますが、ぜひそういうことをお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 今、特別に医療制度に限定した年次報告はつくっておりませんけれども、御案内のとおり厚生白書を毎年出しておりまして、その中では医療制度の現状について触れておりますし、また年によっては特集を設けておるわけでございまして、特別なそういう白書を出す必要は今のところ感じておらないのでございます。しかし、政府ばかりでなくて関係団体等におきましても常時報告書を出し、資料を国民に提供しておるわけでありますから、むしろこれを政治の場を含めてみんながどのように活用するかということの方が大事ではないか、かように思っております。
○清水澄子君 私どもが今必要だと思っていることを申し上げているわけですから、厚生省のあの情報だけではやっぱり、本当の抜本改革をしなきゃならないという、これは医療制度の改革というのは大変大きな改革なものですから、ですからそのことをぜひ、医療と医療保険に関する情報を提起してほしいということをあえて私は要望しておきたいと思います。
 次に、厚生省が示されております「医療制度抜本改革の進め方について」ですけれども、その中でまず薬価制度の見直しについてです。
 十四年度に新たな薬価算定のルールを導入するとされているわけですけれども、その新たな薬価算定のルールというのは一体どういうものをお考えなのでしょうか。それで、十四年度導入であるというならば、これは来年の夏ごろまでには案をまとめなくてはならないと思うわけですけれども、今後どのような方向でどのような段取りで検討を進めていかれるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 薬価制度の算定ルールにつきましては、これは基本的には中医協における議論が中心になろうかと思うわけでございますが、中医協は大体二年に一回程度大きな改革をやってきているわけでございまして、十四年度に実施すると、こういうことで、これから中医協における議論になろうかと思うわけでございます。
 薬価の算定ルールにつきましては、今まで市場実勢価格の加重平均値にいわゆるR幅、リーズナブルゾーンというR幅の上乗せをしてきたわけでございます。今回この率を二%という形に決めたわけでございますが、このままでいいのか、それとも新しい考え方のもとに新しいルールをつくるべきではないか、こういう議論がございますので、これを一つどうしてもやらなきゃいかぬと思っております。
 それから、先発の薬と後発の薬、これを同じ競争条件のもとで競争していただく、こういうときにどういう薬価算定ルールがいいだろうか、こういうこと。
 それから、画期的新薬というのは現在でもあるわけでございますけれども、ほとんどがこの対象にならないということで、新しい算定ルールである程度これに該当するものが出るようにというふうな要請がございますので、そういうルールの決め方をしたいというふうに考えているわけでございます。現在、中医協に薬価専門部会というのがつくられているわけでございまして、十四年の四月に実施できますようにこれから審議を深めていただきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
○清水澄子君 これまで厚生省はこの日本型参照価格制度を提唱しておられたと思います。それから、医師会とか製薬メーカー等もいろんな価格制度を提案しておりましたですね。それらが白紙に戻された経緯というのは何なのかということ。そして、厚生省は今後この日本型参照価格制度の導入というのはもう出さないのか、あきらめたのかどうか、どういう方向づけを考えていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) いわゆる日本型参照価格制度でございますけれども、先生御指摘のように旧連立与党のときに検討されて提案を受けたわけでございまして、それの具体案をつくる、こういうことで審議会の方で大変御議論をいただいたわけです。大変な激論であったわけでございます。
 厚生省としてはこの案でまとめたいと、こういう意向でやってきたわけでございますけれども、一つは、参照価格を上回る部分につきまして患者負担をする、こういうことになってございましたので、これに強く反対する御意見がございました。
 それから、この参照価格というのは薬剤費を削減するんじゃないか、こういうことで提案されたわけでございますけれども、委員の一部には、削減効果というのは期待できない、これはドイツなんかの例で一時的なものであると、こんなような御意見が出まして関係者の意見が集約できなかったわけでございます。これは、その後、政府・与党で相談いたしまして、昨年の四月に白紙に戻したわけでございます。
 いずれにしましても、薬価差というものをなくしていかなきゃいかぬ、こういうことで第三の道を探るということにしたわけでございます。一部実現できたものがことしの四月から行われたわけでございまして、薬価改定におきましてR幅の縮小、五%から二%にしたということで、薬価差益のさらなる縮小が図られたわけでございます。
 それから、与党協でもございました価格の決定手続を透明化する、これについてはこの十月からその実施できる組織をつくったわけでございます。
 それからもう一つは、やっぱり後発品をもう少し使って、安価でしかも実質的には先発と内容が同じものである、こういうものを使ってほしいということで、先発品と後発品の価格ルールを改めまして、これについて先発と後発が公平に競争できるように、こういう条件整備を十四年度で図りたい、こんなようなことを考えているわけでございまして、今のところ参照価格制度に戻るという考えはございません。
○清水澄子君 次に、診療報酬体系についてですけれども、今回の医療法の改正でその他の病床が一般病床と療養病床に区分されるわけですが、これは近い将来、医療サイドで、療養病床については包括払いを基本として、一般病床については出来高払いと包括払いの組み合わせをしていくという、そういう診療報酬の見直しに結びついていく前提としてつくられているんですか。これはどういう意図なのか、お聞かせください。
○政府参考人(近藤純五郎君) 現在、療養型病床群に係ります入院料でございますけれども、これは検査とか投薬等を包括化いたしているわけでございまして、医療法改正後の療養病床につきましても恐らく同じ評価にするということになろうかと思うわけでございます。包括化を進める、こういうことで、全部が全部包括化になるわけではございませんけれども基本的には包括化を進めると、こういうことでございます。
 それから、ことしの四月の診療報酬におきましても慢性期の入院医療につきましては包括払いを推進する、こういう形で進めておりますので、今後とも恐らく慢性的な医療につきましては包括化を進めていく、こういう方向だというふうに考えております。
○清水澄子君 そうしますと、これは老人保健福祉局長にお尋ねすることになりますけれども、介護保険の療養型病床群、慢性的な病床ですね、これは介護だけじゃなくて病気の治療も必要としているんでしょうけれども、医療法の上で区分された療養病院の診療報酬との関係というのは今後どういうふうになっていくんでしょうか。これはちゃんと議論されていて、何か方向性というのはつくられているんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 同じ療養型病床群であるわけでございますけれども、一つは介護型、一つは医療型、こういうふうに分かれているわけでございまして、医療型の療養型病床群につきましては複雑なリハビリなど、より医療的な色彩の強いサービスを提供するという位置づけでございます。
 それから、介護型の療養型病床群につきましては、長期にわたりまして療養を必要とする方で病状が安定期にある方、しかも要介護認定を受けられた方、こういう方に対しまして療養上の管理等をする施設であるわけでございます。
 確かに似たような方が入っておられるわけでございますけれども、サービスの内容が違うということでございまして、医療型は医療的な色彩が強い、介護型は介護の色彩が強いということでございます。ただ、両者の関係、かなり似通ったものがあるわけでございますので、これらの報酬上の設定につきましても両方をにらみながら当然やっていかなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。ことしの診療報酬改定あるいは介護施設の設定につきましてはそれも踏まえた上で、両方の機能にふさわしいという形であるわけでございますけれども、多少入り繰りはございますけれども、ほぼ同程度の報酬を設定しているわけでございます。
○清水澄子君 何かよくまだわからないんですけれども、こういうそれぞれの制度がいろいろ途中から細分化されたり、抜本改正なしの中でこういうことが起きてくると、なかなか理解しにくいということがあります。こういうものをやっぱり明確に早く方針を提起していただきたいと思います。
 次に、高齢者医療制度なんですけれども、これもいわゆる独立型とか突き抜け型とかリスク構造調整案とか一本化とか、四つぐらいの提案があるわけです。厚生省としては、高齢者医療制度をどうするのかというのが最も大きな課題になっていると思いますが、これについてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 高齢者医療制度の見直しは本当に根本的な問題を含んでおりまして、これまでも各方面からさまざまな考え方が提起され、昨年八月の医療保険福祉審議会の意見書では、今、委員おっしゃったような四つの方式に整理して、それぞれの制度の持っている問題点を議論しておるところでございますが、どの制度にもそれぞれ難しいところ、一長一短がございますし、それからどの制度を目指すにしても、現実にある今の制度との関係で大変に厳しい調整がどれをとってもあり得るわけでございます。
 そういうことで、今後のあり方については、今の現実の姿、それから今後の選択肢、それから問題点をわかりやすく解析しながら、国民的な議論で何が実現可能なもののうちでいいものかというところを目指して私どもは意見を集約していかなければならない。四つの制度のどれがいいという選び方よりも、それを参考にしながら、どのようなものが現実的でしかも一番いいかという選択をする、これからの最大の問題点になると思っております。
○清水澄子君 私どもも今までの四つの中の幾つかの意見は持っていたわけですけれども、今後の医療保険というのはむしろ地域医療という、そこに重点を置いていくという姿勢が必要かなと。それで、高齢者と現役世代を区別していくことではなくて、それと国保をどう再建するかということもあるわけですので、やはり地域保険に一元化していく、そして地域保険者間でリスク構造の調整を図っていけるような財源措置が国で行われるとか、もう少し根本的な議論をする必要があると考えているんです。
 これは今、まだ私どももどういう政策を打ち出すべきかというところで真剣に議論をしておりますが、やはりそういう意味でも政府の方はもっと議論ができるようにより早く問題提起を急いでいただきたい。そして、各党が本当に、党派を超えてとおっしゃるならば、そういう政策を突き合わせて調整できるようなそういう場をやっぱり設定していく、そういう意気込みを持っていただきたいと思います。
 次に、健康保険法の改正のところで、薬剤の一部負担というのはそもそもいかなる理由で導入をされたのでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 薬剤の一部負担でございますが、これは平成九年の健康保険法の改正で行われたわけでございます。そのときの考え方でございますが、医療保険制度の安定的な運営を確保するということで、制度の財政的な面と、それから薬剤の関係で薬剤についてのコスト意識を喚起する、そういうことによりまして薬剤使用の適正化を図るという薬剤の適正化、こういうことで、薬剤の種類数でございますとか日数に応じました御負担をお願いしたということでございます。
○清水澄子君 それでは、薬剤の一部負担の導入による財政効果というのは一体どの程度あったんでしょうか。それから、多剤投薬というのは減少したのでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 平成九年から導入されたわけでございますが、このときは、薬剤一部負担だけでなくて、老人医療につきましては四回の定額払いとか、それから若い人につきましては一割が二割になるとか、こういうことで両方の効果があったと思いますけれども、機械的に計算をいたしますと、給付費が満年度、九年度ベースでございますけれども、約七千九百億円程度減少した、このうち老人分は三千三百億、こういうことでございます。
 もう一つ、多剤投与の関係でございますが、多剤投与の関係につきましても減少をいたしております。実績で申し上げますと、平成九年五月の診療分で三・九三、これは老人の分でございますが、三・九三種類であったものが十年の五月では三・四九になっております。それから、若い人で見ますと、九年の五月の診療分では三・〇種類であったものが平成十年の五月の診療分では二・七三ということで、従来から少しずつは減ってきたわけでございますけれども、かなりこの一年間で減ったと、こういうふうな効果が出ております。
○清水澄子君 それほど効果があったものをなぜ廃止するんでしょうか。それには何か状況の変化というものが、どういう変化があったのでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 薬剤の一部負担は、先ほど申し上げましたように、薬剤に対しますコスト意識を喚起して薬剤使用の適正化を図る、こういうことで導入したわけでございますけれども、これは法律の審議の段階からも議論があったわけでございますけれども、制度が複雑であるとか二重負担である、こういうふうな御批判があったわけでございます。
 これは前々から定率制という議論が老人医療にもあったわけでございまして、若い人とのバランスを考えて定率制にしてはどうかと、こういうことであったわけでございます。今回の改正では定率制を導入する、こういうことで薬剤の費用に含めまして、これも包括をいたしまして、かかった費用に応じまして御負担をいただく、こういう制度にいたしたわけでございますので薬剤の一部負担というものを廃止したと、こういうことであるわけでございます。
 したがいまして、かかった費用に応じまして御負担をいただく。これまでの薬剤の一部負担ではどちらかといえば剤数に比例して御負担をいただく、今回はかかった費用に応じまして御負担をいただく、こういうことでございますから、引き続き薬剤に対するコスト意識の喚起、それから多剤投与の適正化、こういったものについてまだ効果があるんではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
○清水澄子君 高齢者の薬剤の一部負担の実質廃止というのは日本医師会と自民党が九八年の八月に覚書を交わしている、そのことが背景になっていると聞いていますけれども、その点はどうなんですか。一つの団体の要望でこういうふうに変わっていく、これが厚生省の行政だと考えていいんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 確かに、この薬剤一部負担についての導入、これに伴った制度につきましての御批判は日本医師会からあったわけでございます。特に、二重負担ではないのか、こういう御批判が非常に強かったわけでございます。そういう意味で、我々にもそれから与党の方にも働きかけがあったということは承知いたしております。
 今回の改正というのは、そういう面も若干はあろうかと思いますけれども、定率負担にする、これも薬剤に係る費用も包括して定率負担を設定する、こういうことでございますので、この点で制度化を図ったと、こういうことでございます。
○清水澄子君 そこはいろいろ審議会でも大いに批判があったところですが、そこはちょっと飛ばします。
 若年者に係る薬剤一部負担というのを平成十四年度までに財源を確保した上で廃止するとしておられますけれども、その財源というのはどのように考えていらっしゃるんですか。その薬剤の一部負担に見合う負担をまた別の形で患者に求めていくことはないというふうにこれは断言できますか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 今回、老人の薬剤の一部負担を廃止いたしますので、同時に若い人のものも廃止したらどうか、こういう意見があったし、我々も検討したわけでございますけれども、これを廃止いたしますと医療保険財政非常に厳しい折にさらに打撃を与える。これを廃止いたしますと約二千七百億円程度の財政効果になろうかと思うわけでございまして、若人分がでございますが、そういう問題もございまして今回では廃止できない、したがって次の十四年度の段階で財源を見つける、こういうことでございますから、はっきり申し上げれば保険財政に迷惑がかからないような形で何とか財源を見つけたいというのがこの条文を置いた趣旨でございます。
○清水澄子君 では、そこをはっきり、これ以上患者には負担はかけない、そういう方針だということですね。
○政府参考人(近藤純五郎君) 患者負担の問題につきましては全体の中でさらに検討する必要があるわけでございますけれども、大変厳しい保険財政でございますので、保険財政の負担にならないような形で考えたいというのがこの十四年度の薬剤一部負担の廃止の条文の趣旨でございます。
○清水澄子君 次に、この老人に係る外来の一部負担金のことですけれども、今回の改正というのは非常に複雑だと思うんですね。
 診療所と二百床未満の病院が上限額三千円とか、二百床以上の病院は五千円とか、診療所は八百円掛ける月四回の定額制、それを選択できるとありますけれども、これはなかなか患者が選択するにもまず情報がないですね。さらに、院内処方と院外処方でも支払い方法が異なるという、こういう定額制、それから上限額設定の定率制、そして上限額というこの三つの種類の根拠というのは、一体この整合性というのは何なんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 今回、原則として定率制にしたわけでございますけれども、診療所の一部には、定率制にしたとはいいましても比較的低い上限を設定したわけでございまして、こうなりますればこれは医療機関あるいは薬局で限度額の管理をしていただく必要がある。こうなりますと、小さな診療所でそれができるかな、こういうふうな問題がございまして診療所につきましては定率負担制というものを認めたと、こういうことでございます。
○清水澄子君 それは病院、診療側の裁量の方を言っていると思いますけれども、これが実施されたとき、患者は自分が一カ月のうちで一体幾らになっているかということは、医療機関も患者自身も絶えずチェックしないと非常にわかりにくい。だから、そういう意味でも双方が、医療機関あるいは患者の方がこれで十分対応できると考えておられるのかどうか。
 それから、同じ医療費でも、診療所と二百床未満の病院であるかどうか、それ以上の病院か、さらに診療所においては定額なのかどうなのか、そして院内処方か院外処方かによって窓口負担が皆同じ病気でも違うという、こういう複雑な制度を選んで、これで患者にとって非常にこれは理想的な医療システムとお考えになっていらっしゃいますか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほどちょっと言い間違えまして、診療所については定額制を認めた、こういうことでございます。定率と申し上げたかもわかりませんが、定額制を認めたということでございます。
 それで、先生の御質問でございますが、確かに今回の改正では原則定率制を導入しながら比較的低い上限額を引いた、こういうことで、どうしても医療機関サイドの方で限度額管理をしてもらう必要がある、こういうことで複雑な仕組みにならざるを得なかったわけでございます。これについては特に御老人の方に御理解をいただかなきゃいかぬわけでございますので、当然のことでございますけれども、地方公共団体あるいは各保険者、さらに老人クラブ、こういった関係団体にも御協力をいただきまして、地域ごと、職域ごとにきめ細かな周知を図っていただく必要があるというふうに考えておりまして、私どもはこれに全力を挙げて工夫してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 具体的にちょっと申し上げますと、地域や医療現場におきます周知、広報というのが一番大事でございますので、医療機関や薬局の中の見やすい場所に、月額の上限額でございますとか定額、定率負担の別などの一部負担に関します事項を明確に掲示していただきたいと思っております。この内容につきましては私どもも協力してポスターなどをつくりたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
 それから、個々の医療機関に行かないとわからないということでは困りますので、そういった個々の医療機関についての情報というものを一元的に市町村の窓口などで管理していただく、こういうふうなことで窓口で一覧表が見られる、こういうふうなことも考えたいというふうに考えているわけでございます。何とか、こういう内容でございますので、内容とその趣旨につきまして広報活動に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○清水澄子君 医者にかかる人の立場というのを全然考えていらっしゃらないと思いますね。余りにも、自分たちの方が非常に複雑に決めておいて、そして複雑だと思うとやはりそれは感じておられて、それをわざわざポスターを張って知ってもらう、そういう余分の手間とか予算を使って、そして市町村の窓口にチラシを置くと。
 では、窓口まで病気になったら見に行って来るんですか。そんなことは普通の生活にはないですね。ですから、どういうふうに何が変わったかというのはなかなか皆わからない。ということは、結局こういう複雑な制度をつくっていくという厚生省の医療行政について、やはり患者の立場というものを全く軽視しているという、そのあらわれがこういう制度になってくるんだと思うんですね。
 ですから、これらすべてのことは、国民的議論とおっしゃるけれども、患者の立場というものを本当に考慮されていない。一々患者がこの診療所はどっちかななんて、普通はなかなかわからないんですよ。病気だったらなじみのところに行くというようなことになりますし、とにかく近くの病院に走るということになると思います。
 ですから、それを徹底していく、そういう余分の手間よりも、もっとすっきりした抜本改正をきちんとすることが先でないかなと思います。これは医療機関にどれを選ぶかという選択権を与えていますけれども、もっと患者自身が選択権を持てるような、そういう制度というのをぜひ考えていただきたいんですが、どうなんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 今回の改正におきましては診療所の事務能力、こういったものとかいろいろ考えまして、事務処理が可能なようにという形で定額制なり定率制を選択できる、こういう形にいたしているわけでございます。
 患者さんが選択できるということになりますと、これは恐らく事務処理的には無理ではないか、こういうふうなことで、まあやむを得ないわけでございますけれども、医療機関単位ということにさせていただきたいというふうに考えているわけでございます。そういうことでございますので御理解をお願い申し上げたいと思います。
○清水澄子君 私が患者すべてにかわって理解しましたと言うわけにはいきませんし、それから一月一日までに間に合うのかどうか、これは大変なことだなと思いますが、まずそういう意味で、ここにはやっぱり厚生省の基本姿勢が見え見えだと思います。
 そこで、この月額上限について、病床規模で差をつけているわけですけれども、なぜ二百床という基準なんでしょうか。これによって大病院への患者集中が避けられるのか。そういうことであるならば、こういう病院機能の峻別によって、それが患者負担によるものではなく、医療提供体制の抜本改革ということにおいてなされるべきだと考えますが、その点についてはどのようにお考えですか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 二百床で上限額を分けたというのは先生御指摘のとおりでございまして、かかりつけ医機能を担う医療機関と高度の医療機能を持っている医療機関との機能分担を図りたい、こういうことで二百床で分けているケースが今まで多いわけでございますので、そういう分け方をいたしているわけでございます。
 確かにこの五千と三千だけで本当にかかりつけ医の方にふえて大病院志向が減るのかと、こういうことは恐らく、多少の効果はあると思いますけれども、これだけで機能分化が進むとは私どもも考えていないわけでございまして、やはり診療報酬上の措置も含めまして医療提供体制の改革というものがないとこういう大病院集中というのは改まらないだろうと、こういうふうに考えております。
○清水澄子君 この上限額というのが今後さらに引き上げられていくということは絶対ないでしょうか。絶対というのは、やはり抜本改革がない限り、今、月額上限とかこういう制度をつくって、またそれが上がっていくというようなことは絶対にやらないということをお約束していただけますか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 十四年度に改革をする、そういう中で改めて患者負担のあり方も公費負担あるいは保険料負担に並んで当然考えなきゃいかぬ課題であるわけでございまして、その改革の一環として考えたいということで、それなくしてこの分だけをいじるということは難しいかなと、こういうふうに考えております。
○清水澄子君 次に、高額療養費制度に係る自己負担限度額についてですけれども、この上位所得者というのは被保険者の何%に該当するんでしょうか。そして、上位所得者というのはどういう基準に基づいて、そしてこういう区分を設けることの意義は一体何なのか。そして、今後の抜本改革においてもこの概念をずっと用いていくのかどうか、このことについての説明をいただきたい。
○政府参考人(近藤純五郎君) この上位所得者に該当する人の割合でございますが、被用者保険で一五・九%、それから国民健康保険で八・三%の方が該当すると見込んでおります。
 この上位所得者の考え方でございますが、家計調査におきまして、収入別の五分位階級の最上位に該当する方々でございまして、標準報酬に換算いたしますと五十六万円以上の方で比較的負担能力が高い層だというふうに考えているわけでございます。
 こういう考え方を持ち込んだ趣旨でございますが、現在の高額療養費におきましては、低所得者の方を除きますと一律六万三千六百円という自己負担の限度額になっているわけでございまして、所得が高い人ほど実質的な負担率が低いということで負担の均てん化を図る、こういうことから今回は比較的所得の高い方にも一般の平均的な月収の方と同じ程度の負担率でお願いしたい、こういう趣旨であるわけでございます。
 これをこれからどうするかということでございますが、考え方として、まさに家計の負担能力に対します患者負担の割合を完全に一致させるということで、例えば標準報酬比例というふうなこともあるわけでございますけれども、これはさらに制度を複雑にするということでございますので、今回は上位所得者の概念を入れたわけでございますけれども、今後、負担の均てん化、こういう観点からさらに検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
○清水澄子君 今回はこういう概念を用いたと。今後はまた違った概念を入れるという可能性があるということですか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 事務処理の問題もございますのでそれほど複雑な形には当然できないわけでございますけれども、負担の均てん化という問題があるわけでございますのでさらに検討する必要があると、こういうふうに考えているわけでございます。
○清水澄子君 そこで、低所得者以外の高額医療費の一%の根拠、これは一体何なのか。自己負担限度額を超える医療費についての定率負担の導入というのは、これは医療費が増加すればするほど、いわゆる青天井と言われるほど際限なく負担が重くなる。こういう制度は社会保障として適切なものであると考えていらっしゃいますか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 高額医療費につきましても被保険者のどなたかが負担しているわけでございまして、医療を受ける方と受けない方とのバランスというのはあるわけでございます。医療を受ける方にも応分の負担、いわゆる受益者負担というものが基本的に必要であると考えているわけでございます。
 それで、そういう趣旨で提案させていただいているわけでございますけれども、そうはいいましても自己負担が過度なものになっちゃいかぬわけでございますので、比較的低い率の一%という率を適用させていただいているわけでございます。さらに、低所得者の方でございますとか、高額の負担が長く続くとこれは大変なことになりますので、四回以上続いている方については四回目からは低い額ということで一%ルールも使わない、それから長期にわたりまして高額な医療費を必要といたします血友病等の患者さんには求めないことにいたしているわけでございます。
 こういうふうな配慮をいたしておりますので、この医療保険制度というのが疾病や負傷によります経済負担を社会全体で軽減して生活の安定を図る、こういうことで疾病等によりまして生活困窮に陥るのを予防する、こういう趣旨でございますので医療保険制度の理念に反するものではない、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。
○清水澄子君 時間ですので、それでは続きはまた次のときに質問いたします。
○堂本暁子君 今、大臣は清水議員にお答えになって、国会での議論が大変大事だというふうにおっしゃいました。私は、その抜本的な改正と申しますか、日本の医療を考えるに当たって国会の議論は確かに大事だと思います。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 私自身そういう医療体制の抜本改革ということに関与いたしましたのは、三年前の健康保険法の一部改正のときです。ですから、国会で大事だということをおっしゃったんですけれども、この間、今井先生も、まさに自社さのときに清水さんも今井先生も大変おっしゃって、私も今井先生と同じ思いがございます、あのときあれだけやったのにと。ここにずらりと並んでいらっしゃる役所の方も週に一回、多いときは二回も、もう本当に何時間と、半日近くみんなで時間をかけ、努力してつくり上げた私たちの改正案というのは一体どうなってしまったのかという思いが大変強うございます。
 当時は、高齢化が進んで医療費が毎年一兆円以上も増加していくという中で、医療保険財政がもう危機的な状況にあるということで持ち上がったのが、被用者本人の負担を一割から二割に上げるという改正案でございました。
 でも、そのときは、たまたま自社さの連立政権の中でしたけれども、本当に医療費にむだがないのか、あるいは三時間待ちの三分診療とか薬漬けといった状況を改善しないで、患者さんの倍増ですから、負担をそれだけ上げていいのかということで、とにかく抜本的な医療制度の改革を行わない限り改正案をのむことはできないというのが当時の与党、当時の社会党にしろ、さきがけにしろ、それから私個人の主張でもございました。その結果、半年かけて与党の医療保険制度改革協議会というのがまとめたのが「二十一世紀の国民医療 良質な医療と皆保険制度確保への指針」です。
 私は、本当に一番そこに精力を自分でもかけたと思っていますから、そんなに悪い報告ではなかった。それを受けて厚生省から出された報告も、そんなに見直さなければならないものだったとは今でも思っていません。全面的に賛成だったわけではありません、もっと自分自身としてはやりたいことがたくさんありましたけれども、少なくとも当時の連立の中で、合意できるぎりぎりのところで相当進んだことがあったというふうに思っているんです。
 その徹底した視点というのは、医療費がむだに使われていないのか、それとも効率的に使われているのかという、その視点から私は見直しをしたというふうに思っています、一人一人の患者あるいは健康管理とか健康増進の立場から医療提供体制とそれから医療保険の両方を見ると。そういう抜本改革に着手するという作業だったし、このプロセスは本当に大変な仕事だったと思うんですけれども、先日、今井先生もまさにおっしゃいましたけれども、それが実行されなかった。
 今井ドクターは、お医者さんの立場からその抜本改革について当時の報告を超えて御自分の御意見をおっしゃったんですが、私は当時から、三年前から考えていた患者の側、あるいはだれも病気になりたくないわけですし、けがもしたくないわけですから、そういった一人の日本人、被保険者、患者になる側の一人一人の日本人の立場から、一体抜本改革とは何なのかということを、ただ大臣や厚生省に伺うんじゃなくて、こういうことをすべきなんじゃないか、そういうことをしてから今回の改正だって本当はやるべきなんじゃないかということをきょうは質問したいというふうに思っております。
 また、当時の医療協の報告に戻りますけれども、その中で一番大事だったことは、幾つかありますけれども、一つはやっぱり薬価制度だろうというふうに思っています。日本型参照価格というのを、あの当時大変はやった言い方ですけれども言いました。それで、薬価基準を廃止して日本型参照価格制度を導入する、給付基準額を上回る額は患者の自己負担にするというのが当時出された報告でしたし、審議会の答申もそのように出された。
 大変これに関して不満なことは、連立が解消されて自民党の部会で一晩でこれが白紙撤回されてしまった。半年間自民党の方たちも一緒にずっとつくり上げてきたものがどうして一晩で白紙撤回されたのか。当時、こういうふうにして物を申し上げる機会はございませんでしたけれども、やはりあのときにきちっと薬価の問題をやり始めていれば、よほど今は経済的な状況はよくなっていたのではないかというふうに申し上げざるを得ないというふうに思っております。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長君着席〕
 それから、診療報酬体系についても同じように思っています。あのときには、私たちは、急性期の医療は入院当初は出来高払いにしても一定期間したら定額払いにしたらどうなのか、あるいは慢性期の入院は一日の定額払いで、外来は急性期でも慢性期でも原則出来高払いというふうな考え方を出しているわけなんですが、こういった道筋をつけていたんですけれども、いつまでたってもやはり出来高払いが続いている。それでは医療費がどこまでも高齢化の中でふえていくということはもうやむを得ないんじゃないかというふうにも思うわけですね。
 あと、医療提供体制の問題もありますし、それから医療保険の問題もありますけれども、これを一々ここで繰り返す必要はないと思うんですが、しかしこういった形で当時も私たちが毎日のようにというか週に一度ぐらい検討をしていましたときに、丹羽前厚生大臣が座長をしていらして少ない人数で検討をしておりましたときに、既に厚生省の方はよくおっしゃったものです。これは十年前にやらなきゃいけないことだった、事によったらもっと、二十年前にやらなきゃいけないことだった、それがたまたまいろいろ政治の事情その他で改正できずにここまで来ていると。
 私たちも連立というシステムの中で何とかこれをやろうということでやったわけですけれども、それから三年たって、今、清水議員が質問なすったように、また平成十四年にやるということで、事は先送り先送りで、本当は私も二十年前に着手しているべきことだったというふうに思います。
 高齢化というのは、人口動向というのは、これはもう変わるわけではなくて、厚生省はちゃんと人口研究所もあるし、どういう人口の構造になっていくかということははっきりわかっているわけですから、そこの中での政策を先取りして立てていくということの方が私は厚生行政の責任だろう、医療改革の責任だろうというふうに思っていますけれども、なぜかいつも自転車操業的な改正の繰り返しになっています。一体だれのためにそういうことが起こっているのか。
 実際に、私たちも抜本改正に関与したときに、随分医師会の先生たちとかそれから製薬会社の方たちとかとお話をしなければならない場面もたくさんありました。それから、審議会でも中医協の場でもいろいろな利害が対立しているというような局面もたくさんありました。
 今、大臣がおっしゃったのは、政治のリーダーシップが大事だと。三年前もそれを発揮しようと私たち政治家は思ったわけです。それから後も、自自公の連立の中で、それから自公保の連立の中で、またいろいろな案が出てきています。もう私にはフォローできないぐらいいろいろな改正案が出てきているようですけれども、結局、そういった本当に国民の立場に立って、この国では抜本的な医療の改正ができなくて、こういったような自転車操業をなぜ続けなければならないのか。これは国民一人一人にとっても、それから日本の国家財政の中でも、余りにも医療費は大きいですから、大変大きな不幸だというふうに私は思っております。
 大臣は、大蔵省のことにもお詳しいわけですし、こういう状況が続いたら日本はどうなるのかということは百も御承知なんだろうと思うんですけれども、それでは一体これからどうするのかということの質問は山のように出ました。ですから、そのことをあえて伺おうとは思わないのですけれども、一番やはり伺いたいのは、こんなに改正をしたらば、もう多岐にわたっての改正です、今回も。細かいことまでいっぱい変わるような改正案ですね。
 こういうことになっていくと、国民にもわかりにくい、ドクターたちにもわかりにくい、病院の方たちにもわかりにくい。もっとやはり単純化して、本当に安心して一人一人の日本人が生きられるようなまずは抜本改正をして、そしてその抜本改正の上に初めて今度は医療保険の問題、健康保険の問題というのは乗るべきものではないか。土台がなしにどんどん屋根の色を変えるとか、ちょっとここが足りないから台所を継ぎ足すとか、そういったような改正をやっている間は私は相当亡国論的なやり方なんじゃないかと、極端に言えばそう思うぐらいに、やはりもっと長期的なビジョンをきちっと示していただく。細かいことではなくて、こういう方向に行くのだ、そのもとにおいて今回は、例えばこの前の場合だったら一〇%の負担から二〇%に上げなきゃならないのですと。
 私たちはそのお約束をしましたから、少なくとも国民にお示ししたつもりでいます。ベストの案じゃなかったかもしれませんけれども、少なくとも私たちは報告書を出しました。しかし、一番残念なのは、その報告書が何らこの三年間実行されないで、目途は平成十二年、二〇〇〇年でした。今その年なんですね。二〇〇〇年であり、十二年なんです。その年までが目途で、私たちがあそこに書いた、いろいろなことがありました。例えば、カルテの開示ということもありましたし、いろんな細かいことに至って、看護婦の配置の問題とかいろいろございました。ですけれども、そういったことが実行されないまままた改正を迎えたということに、私はやはり何か歯車のかみ方が間違っているのではないかというふうに思わざるを得ないわけでございます。
 このような複雑なものを積み重ねていくことは決してよくない。これは年金制度も同じだと思っておりますけれども、医療制度も同じ、医療保険も同じだというふうに思うんです。その点、こんな複雑にしてしまっていいのか、こんなにどんどんおくらせていいのかということについて大臣の御所見を伺いたく思います。
○国務大臣(津島雄二君) 堂本委員のこれまでの御努力、それから御経験を踏まえたお話、私は非常に共感するものがあります。
 その上で申し上げさせていただきますと、ここにおります皆様方の中で、恐らく一番古くからこのことにかかわってまいりました一人が私であろうと思います。ちょうど十六年前、厚生政務次官をいたしましたときに老人保健制度が導入されました。私もそのときから答弁に立ちました。
 当時言われておった問題、つまり高齢者は若い人に比べて大体五倍ぐらいの病気の可能性がある、コストもかかる、この高齢化がふえていく中でどうしたらいいんだろうかと。より適切な医療供給体制を考えなきゃならないというその問題は、委員御指摘のとおり、いまだに大問題として残っている。それはおっしゃるとおりでございます。
 また、医療保険の問題を議論する場合にも、いわゆる財政側の話をあげつらっているだけでは不十分でございまして、御指摘のとおり、医療供給体制のあり方から、何が一番医療としていいかということに絶えず我々は返りながら議論していかなければならない、それもそのとおりでございます。
 それを申し上げた上で、私は二つだけ言わせていただきたい。
 一つは、前回の改正、堂本先生も御参加になって大きい決定をしていただいた後で、薬の問題について実は挫折をしてしまったじゃないかと。私は、実はそのお考えには完全には賛成できないんです。それは、あれだけの苦しみをして、あのときに薬についての特別な負担をお願いした。その制度は物すごく複雑であった。これは衆議院の方もよくなかったと言いますとあれでございますが、私は衆議院の筆頭理事で、当時の各党の理事の先生方とあの制度を最終的には導入したわけであります。
 しかし、あの制度の導入によりまして、先ほども参考人から御答弁をいたしましたように、何がしかの薬のコストの適正化は実は実現しておるわけであります。そういうことの中で、参照薬価制度というものは採用されなかったけれども、いわゆるR幅を縮小するような薬価制度の改正を行って、今、医療の現場では薬価差額で医療機関を運営するようなことはもう考えないともう専門家の皆様方が言うようになったという、この大きな変化というものはやっぱり評価していただいていいんではないだろうか。
 それからもう一つ、医療供給体制につきまして、今度御提案しております療養型の病床群を導入すると。そういうところで科学的な根拠があることを前提にしながらいわゆる包括化というのもやっていこうと。このことについても基本的な合意はできてきておる。
 そういうことを考えますと、確かにあるべき姿からいえば一歩、二歩おくれて進んではおりますけれども、私はそれなりに努力をし、これは厚生省ばかりでなくて国会の皆様方も努力をしていただきまして前進があった。今や残された問題についてやはり思い切った結論を出さなきゃならないというところに来ているというのが抜本改革の話だと思います。
 委員から厳しいお言葉があったことをしっかり受けとめながら、どうか力を合わせていい改革を目指してまいりたい。私の方からお願いをいたしまして、御答弁とさせていただきます。
○堂本暁子君 薬価のことに余り深入りしたいとは思っておりませんけれども、当時も、多分今も余り変わっていないと思いますが、日本の薬の輸出高というのはわずか五%ぐらいのもので、ほとんど国内需要です。変わっていませんよね。そのくらいだと思いますが、調べてきているわけじゃございませんが、多分変わっていない。
 ということは、確かに大臣おっしゃるように、日本の薬価差がなくなってきたということは事実かもしれません。しかし、金融ばかりが護送船団方式だったんじゃなくて、製薬会社だって護送船団方式で、そこからいまだに脱皮しているわけではないし、国際競争力がついているわけでもないと思います。日本で本当に開発される先鋭的な薬というのも非常に少ないというふうに聞いておりますし、まだまだそういう意味で満足のいくような状況にはないんじゃないかと思いますが、このことは今私もその後フォローしていないし、余り詳しくないのでそのことだけ申し上げて、次へ行きます。
 この「二十一世紀の国民医療」の中で、ここにいらっしゃる役所の方も、尾辻先生なんかもいらっしゃるので、御一緒に考えた中で、私が年じゅうしつこく言って入れていただいた文言がございます。それは、「さらに、少子高齢社会を迎えて、増大する一方の高齢者の医療費を老いも若きもすべての国民が公平に支える制度を確立するとともに、予防、健康増進から治療まで、生涯を通しての総合的な国民医療の実現を目指すものである。」というふうに書いてある部分、本当の頭の部分、前書きの部分ですが、そこの「予防、健康増進から治療まで、」ということを非常にしつこく主張させていただいて入れていただいたわけです。
 と申しますのは、この医療協のときにも終始一貫私は主張し続けたことで、結局予算の配分その他で実現しなかったことなんですけれども、やはり日本の医療改革の根本でやるべきことは予防医療なのであると、そして特に一次予防の必要性、重要性について主張したつもりでおります。そうすることが一人一人の国民にとって一番幸福なことだ、病気にならずに済むと。
 ですから、今の医療体制はやはり治療が主です。現実の問題として、病気になることをまるで待たれているようなところさえあるんですね。高齢者にしてもそうです。病気にならなければというようなことがよくあるわけです。介護保険だってそうです。いろんなものがそういう仕組みになってしまっている。そうではなくて、病気にならないための医療と申しますか保健指導、それこそが私は基礎になければいけない。そして、地域医療もそういう中で大事でありましょう。その中で初めて本当の意味の医療費の抑制、削減が可能になるし、それこそが一番理想とする削減の仕方であろうというふうに思うわけです。
 ですから、そのときももっともっと書きたかった。だけれども、なかなか、ある方の収入にならないと書けないという事情があるということを私はわかりましたけれども、要するに、やっとここに「予防、健康増進から治療まで、」、そして「生涯を通しての総合的な国民医療の実現を目指す」ということだけは相当粘って入れていただいたわけです。今でもその考えは変わっておりません。
 抜本改革というのは、小手先の改革なのではなくて、そういったことをどういうふうにしてやるかということだと思っています。二つあります。一つは、きちっと予防という視点で全部の医療体制を見直すということが一つです。それから、ここに生涯にわたってということが書いてありますけれども、これは後で質問させていただきますが、例えば女性、例えば高齢者、そういった人たちの健康について、縦割り的な分断ではなくて、本当に包括的、総括的に全部をきちっととらえる、そういった医療体制を組むことによって一人一人がより健康に幸福な生涯を送れるというふうに信じているわけです。厚生省の言葉で言えばいわゆる健康寿命、いかにして健康寿命を長くするのか。絶対的な寿命ではなくて、健康寿命を長くするのか。
 ちょっと私ごとになりますけれども、ちょうどこの医療協をやっておりますときに私はひざが悪くなりまして、一カ月ほど入院していて車いすで病院から医療協に通ったんです。そうしましたら、私の視点は完全に車いすの視点、それから患者さんの視点になってしまいました。歩けないということが高齢者にとってどういうことか。そして、理想は恐らく死ぬその日まで自分の足で歩いてトイレに行けることなんだろう。そして、そういうことに近づけるための体制をつくることが本当に国民のための医療なのではないかというふうに、自分の体でそう思い込んだわけです。それが今でも間違っていたとは思っておりませんし、恐らく一人一人の高齢者は全部そう思っていると思います。死ぬまで人の世話にならないでトイレに行きたい、だれでもそう思っています。
 そのことを実現するために、日本の厚生行政はまだそこのところが熟していない。今、健康日本21というのはやっていらっしゃいます。しかし、これではまだ不十分じゃないか。もっと予防ということに、そして、もし一たん病気になったらその病気を徹底的にリハビリをして再発しないようにするという、より健康であることのための政策を充実することが大事だと思いますが、大臣の御見解を伺いたい。
○国務大臣(津島雄二君) 長い間の御経験を踏まえてのお話、大変感銘を受けましたし、ほとんど全部賛成でございます。
 これまでいろいろと努力をしてきたが、歩みが遅々として遅いのではないかということであれば、それはお認めするにやぶさかではございませんが、ようやく老人保健制度も長い間の経験を踏まえて定着してきた、ゴールドプランも打ち出されてきた、それから介護保険制度もようやく発足をした。さあ残る問題は、今言われたとおり、どれだけ日本人に健康寿命というものを保証することができるかということになっているわけでございまして、そのために厚生省は健康日本21というのを政策の一つの柱として打ち立てて、今さまざまな努力をしておるところでございます。また、介護保険の分野におきましても、要介護の状態になった方の問題ばかりでなくて、予防というものもやらなければならないということも重視をいたしております。
 したがいまして、これからの抜本改革を考える場合に、やはりその目標としてあるところが、健康寿命というものを延ばしていくということでなければならぬ。ですから、医療保険制度をどうするか、高齢者医療制度をどうするかということにとどまらず、そこまでを総合的に見て政策を立ててくれということについては全く賛成でございます。
○堂本暁子君 賛成してくださるのはいいんですけれども、具体的にやはり私は予防が弱いと思っております。
 健康日本21の前の、これは平成六年、七年度の同じような健康増進特別事業の報告を私読みました。今回読んだんではなくて三年前に読んだんですが、報告にいろいろあります。例えば、地域ぐるみリハビリテーション推進事業、健康な町づくりのための地域活動、それから骨粗鬆症予防を中心とした健康づくり、これは島根県ですね。そういったように、各市町村が全部報告を出している。
 この報告書を読んで、なぜ私が健康日本21がだめかというと、結局全部マスなんです。個人ではない。みんな集めて、栄養についてはこうなさい、運動はこうなさい。だけれども、健康というのは一人一人全部ばらばらなんですね。みんな顔が違うように違う。そのときに課長に、どうして一人一人の、あなたの食事はこうして、あなたの運動はこうがよくてそしてこういうふうにということのメニューが出ないのかと言ったら、それはそれだけの予算がついていないからだというふうなことでした。
 これはもうわかっていることなのであえて御答弁いただく必要ないと思いますけれども、予防医学を徹底するのでしたら、きちっとやはり一人一人に対してお医者さんが、薬のメニューは出しますね、薬漬けといわれるほど日本は薬のメニューは出してきた。病気になれば栄養士さんが指導する。しかし、病気の一歩手前での運動の指導も、それから栄養の指導も一人一人のメニューがつくれないんです。検査まではしています、いっぱい。日本じゅうの市町村が検査しています。検査で終わりなんです。あとは全部大勢、三十人でも四十人でもその市町村の方を集めてこういうふうに一般的な話をなさる。これでは中途半端なんです。途中までなんです。きちっと一人一人に対しての健康管理、保健指導をするということがこれからの医療費を抑制していくことの最大のことだと思うんです。なぜこれができないかということをこの前の医療協で私は知りました。結局、これはドクターの収入にならないからなんです。もっとパラメディカルな方たち、保健婦さんだとか、それから理学療法士とか、そういった人たちの活動の場です。
 この間、今井先生は、長野県と同じようにすれば一兆円医療費が減るとおっしゃった。長野は調べてみたら保健婦さんが大活躍をした。結局、長野がなぜ低いかというと、今井先生は賛成なさるかどうか知りませんけれども、ある意味ではそういった治療の前の保健指導を保健婦さんたちがやっていたからじゃないかと私は考えたりするんですね。そういうことを日本全国でやればいいわけです。そうすれば北海道のようにならない。
 今井先生のあの図は何度も見せていただきましたけれども、大変示唆に富んだ図だと思うんです。今井先生は、ベッド数を半分にすればいいとおっしゃった。でも私は、ベッド数を半分にする以前に、みんなもっと長野県みたいに保健婦さんたちが丁寧に一人一人の指導をするという体制を日本全国でやるべきだということを申し上げたいと思っています。
 次に移りますが、今度は女性の問題に入りたいと思います。
 十年前、大臣は何をしていらっしゃいましたか。
○国務大臣(津島雄二君) もう一遍お願いします。
○堂本暁子君 十年前、ちょうど十年前。
○国務大臣(津島雄二君) 厚生大臣をしておりました。
○堂本暁子君 そうでございます。
 私は、一九九〇年の五月二十八日、参議院の予算委員会で津島厚生大臣にこのような質問を申し上げました。女性の健康という観点からどのような施策を大臣はおとりになるのですかという質問を申し上げました。
 答弁を読ませていただきます。
 女性が安心して社会活動をしながら子育てをする環境が整っているとは言えない。保育所や育児、子育てに関係する婦人の健康問題に力を入れて取り組んでいる。具体的には、昭和五十三年から自営業の婦人に健康診査の機会を提供するようにしているし、食改善などをやっている。母子保健の立場から、保健所や医療機関における妊産婦の健康診査、それから保健指導、栄養指導などをやっている。これらに加えて、生涯を通じる包括的な健康対策をしなければならないと思っている。そうしないと少子化が進み、年金会計もおかしくなる。日本の社会が大変なことになると危機感を持って取り組んでいきたいというふうにお答えになったんですね。
 私は、そのときと今と残念ながらこの十年間で状況が全く変わっていないというふうに思います。大臣が厚生大臣をおやめになってからも、私はリプロダクティブヘルス、リプロダクティブヘルスと言って、母子保健だけではなくて、生涯にわたって女性の健康をちゃんと増進できるような課が行政の中に欲しい、女性保健課でもいいし女性健康課でもいいと十年叫び続けてまいりましたけれども、この十年間で実現しませんでした。
 カイロや北京でも、女性の健康を担保するための制度が必要だということは国際的にも合意していますけれども、日本はそこのところが一向に進んでいない。これは別の委員会で政務次官ともこの間お話をしたところなんですけれども、ここのところは日本の国は大変誤解があって、どうもリプロダクティブヘルス、女性の健康という言葉を出しただけで、まるで中絶に賛成、反対というふうに厚生省がとっておしまいになる。そして、世論を深めてとか議論を深めてということで、そこから先に政策が進みません。
 大臣は、このときは多分、きょうもそうですが、官僚の書いた答弁をお読みになったのではなくて御自分の言葉で、生涯を通ずる包括的な健康対策をしなければならないと思っている、そうしないと少子化が進むというふうに十年前にお答えになったんです。私は、きょう同じ質問をしても、多分大臣は同じことをおっしゃると思うんです。
 そのことで、それを先に進めて申し上げたいんですけれども、今、思春期の子供たちに中絶がふえています。それはなぜかといえば、やはり十分なカウンセリングの場がない、そしてここも日本の場合は予防的に福祉のサービスがないんです。ですから、望まない妊娠をしてしまって中絶がふえている。それから、健康に妊娠し健康に出産するということのための相談、そういったサービスも徹底していません。大臣があのときに予算をつけてくださったのを覚えていますけれども、それ以後もほんのもう微々たる予算でリプロの予算というのは来ました。それで、今現在どういうことになっているかというと、若い女性の中に無月経の女性などがふえてきている。
 こういうことになると、本当に子供を産むなどということは無理なことになってきてしまいます。なぜそうなるのかという、そこに対しての研究も調査もないのではないでしょうか。そこに対しての政策も余りないというふうに思います。医師のみならず、保健婦さんだとか助産婦さんだとか看護婦さんだとか、それからそういった方たちじゃなくても、若い女性たちにいろんな健康の指導ができるわけですね。今、若い女の子たちのことを申し上げておりますけれども、生涯にわたって女性に対しての政策が必要だと思うんです。
 もう十年前と同じ質問を私は繰り返す必要はないと思います。同じことをお答えになるんであったら、むしろ一歩先へ進んで、女性の健康なり、ジェンダーの視点なり、リプロダクティブヘルスの視点からやはり厚生・医療行政を見直す必要があるんじゃないかと私は思うんですが、この点について、できれば大臣に、もしなんだったら参考人の方に伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(津島雄二君) 十年前の私の答弁、今伺いまして、いい答弁していると思います。そして、今同じ御質問を受ければ同じ答えをしなきゃならないというのは本当に残念だと思っております。
 私は、事務当局の方できょうリプロダクティブヘルスについて書いていただいたこの答弁要旨を見まして一言けさ申しましたのは、僕はこれを読む勇気はないよと。女性に対する全体としての施策が大変に進まないというか、おくれているというのは私の正直な気持ちですよと。これをここで私は素直に申し上げます。
 人口問題、少子化問題、これだけ言われている中で、本当に、女性がだんだんと思春期になり、母親になり、子供を育てるということについて、エンゼルプランという数字はございますけれども、私は血の通った政策はまだまだ不足をしているということを認めることはやぶさかでございません。私がこう申し上げるのは残念でございますけれども、そのとおりだと思います。
○堂本暁子君 書かれた答弁ではなく、大臣としては、そういった女性の健康の視点から生涯にわたっての女性の健康について、福祉、医療、そういった政策をもう一回チェックする方向をお考えいただけますでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 一生懸命方向を検討させていただきます。
○堂本暁子君 実は、二十一世紀の医療は女性の医療と言われているんだそうです。私もこれは存じませんでした。と申しますのは、アメリカははるかに早いわけですね。お隣の清水澄子さんが編集なさった「更年期」という本がここにございます。これは国会図書館からきのう借りてきたのですが、更年期の本というのはこれ一冊しかないんです、私たちが読めるような本が。
 アメリカでどういうことをやっているかといいますと、生理学研究、お薬やなんかをどういうふうに飲んだらいいかということの研究は常に男性が対象だそうです。女性は月経があるから女性にはやらない。そして、私も存じませんでしたが、ドクターの方はみんな御存じだと思いますが、男性で研究をする。女性が除外されないのは生殖器、乳腺に関するものだけだそうです。それを除外してあとは男性のみを対象に実施している。その結果、女性は何の疑問もなく今までそれでお薬をもらってきているわけです。
 ところが、それがおかしいということが最近問題になり出しました。生涯にわたる女性の疾病予防、診断、治療の向上と関連する基礎研究、これを英語ではジェンダー・スペシフィック・メディスンといっていますけれども、性特異的生物医学研究、大変何か日本語にならない翻訳がついていますが、これをアメリカでは実施している。一九五七年にアメリカのジャーナリストがそういう運動を始めたんですね、女性の健康をもっと考えるべきだと。
 アメリカは国としてどういうことを始めたかといいますと、一九九〇年、ナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルス、NIHといって有名なところですが、そこの所長にたまたま女性の循環器のドクターが就任した。それで、女性の健康調査研究所というのを開設して、そして何と、信じられない数なんですが、一九九四年から十年間にわたって十六万三千人の閉経後の中高年女性を対象に女性の健康についての調査のプロジェクトを開始した。十年です。そして総額六億二千万ドル、日本のお金にして八百億円です。これだけのものをかけて今進んでいるところです。結果は二〇〇五年に報告される予定ですが、アメリカの場合にはこのときに初めて女性の心身に与えるさまざまな影響、ホルモンの補充療法とか食事療法、栄養療法といったようなもの、運動などについての心血管疾患に関する疾病の予防とか、それからどのような効果が出てくるかということの情報が出てくるというふうに予想されています。
 たまたま私は大変親しい循環器の女の先生がいらっしゃるんですが、その先生が実際にいろんな症例で見たところ、男性だったらすぐに心電図や何かに出る、ところが女性では出ないというようなことがあるんだそうです。今の彼女の専門の領域ではこういったことがだんだんはっきりしてきた。基礎研究でも、細胞とか組織単位でも性差を研究する分野が今出てきて、ジェンダー・ベース・バイオロジー、分子生物学でこれをジェンダー分子生物学というのだそうですが、それは医学でも決して例外ではない。
 そういった形で、何も中絶とかそういうことだけがジェンダーの問題とか女性、リプロの問題じゃございません。生まれてから死ぬまで、日本では更年期、清水さんのこの本でもはっきりわかりますけれども、それから富士見産婦人科の事件なんかが一番はっきりしておりますけれども、更年期、非常に重い方はがんに誤診されたり、とんでもない病気にほとんどの方が誤診されてしまう。なぜなら、日本の場合にはこんな十年かけて十六万人を対象としているようなそんな研究はやっていない。
 日本でも例えば心筋梗塞とかそういうものもどんどん七十代、八十代になると男性と同じようにふえてきています。でも、それじゃホルモンの影響がどういう形で男性と違った形で出てくるのか、骨に対しての影響はどうなのかということを果たして日本で何が研究しているんでしょうか。全然ないんですね、そういうものが。ですから、私の申し上げる女性の視点ということは、何もこれは女性だけのことではないと思います。
 たまたまこの研究でおもしろいのは、脱線するので余り時間を食いたくないと思いますが、英語の本の著者は、御夫婦で心臓の専門家です。あるとき男の先生の方の心臓が痛くなって、それを夢中になって女の先生が治療をしていたら、自分も痛くなったわけです。そうしたらば、全くそのデータが別だということで、二人の、妻と夫の先生たちが、おかしい、男と女は違うんだ、同じ薬とか同じ検査ではだめなんだということに気がついたのがきっかけだというふうに書いてありました。
 これは一つの例でしかありません。心臓を今例にとって、更年期を例にとって申し上げておりますけれども、ありとあらゆることが、そのようなことが今わかってきた。にもかかわらず、日本には女性の健康という科をつくるのなら男性の健康科もつくらなきゃだめでしょうというようなことをおっしゃる方もいらっしゃいます。そうじゃないと思います。妊娠、出産という機能を持った女性、そして女性ホルモンがどのように女性の体に五十歳以降、今、八十まで平均年齢が延びている、そこに影響するのかということをきちっと調べて、そしてそれに対しての先ほど申し上げた予防的な医学なり健康指導、保健指導を展開することで寝たきりの高齢者を減らすことになっていくんだと思います。大変長い道のりのようですけれども、私はこの話を聞いてさすがにアメリカだと思いました。
 日本の健康日本21に一番欠けていること、それは長期ビジョンでございます。ですから、私は三年でももったいないと思っちゃうわけなんですね。本当の健康指導をやろうと思ったら、恐らく二十からやらなきゃいけない。今、ある大学で子供たちの骨密度をはかったら、男も女も六十代の骨密度だったというんです。そんな人たちが六十になったら関節炎になることはもう間違いないというようなことをドクターはおっしゃっていました。ですから、本当に健康をつくろうと思えば、それは半世紀かかる仕事なんです。
 そういったビジョンで考えた場合に、今回のこの法改正は余りにも重箱の隅っこのような気がしてならないわけですね。やはり時代を先取りした医学、今、私はたまたま女性を例にとって申し上げましたが、老人医学でも同じことが言えると専門家はおっしゃっていました。日本では果たして何十万人の老人を対象にして若い人と違った医療をどうやってやるのかということの研究があるのでしょうか。
 私の母は九十六歳なんですが、たまたまこの間風邪を引きまして病院へ行って薬をいただいた。飲んだ途端にふらふらになって気持ち悪くなっちゃった。やはりドクターたちが九十六歳の老人に処方すべき量というのをわかっていないんじゃないかと思ったんですね。それは一事が万事そういうことが言えます。
 二十一世紀の医療のあり方というのは、そういった意味で女性の医療の時代が来るということは非常に象徴的な言い方でございまして、いかにして予防をするのか、そういった研究ができるところまで医療の学問が進んだという時代に、日本は単に財政的なことで考えているのではなくて、これは大臣だけに申し上げるのではなくて厚生省の方皆さんに申し上げたいけれども、もっともっとやっぱり次の二十一世紀の後半に生きる人たちまでのことを考えて私は予防医療の抜本的な改正に着手していただきたい。この健康日本21では大変不満です。そういった意味で、今申し上げたような研究を日本でもやるべきだと思います。
 もっとおもしろいことには、アメリカのそういった検査ですね、更年期の女性の場合ですけれども、これは日本人と全然違うんだそうです。日本人だと、この清水さんの本に書いてあるんですが、いろいろな症状がいっぱい書いてあるんですね。ところが、アメリカの場合は、ただ、非常に熱っぽくなるとか、そういうことだけが症状として書いてある。だから、アメリカで幾ら研究ができたからといってそれが日本には適用されない。きちっと日本の女性を対象に、日本の高齢者を対象にやらなければ日本の国民のための医療はできないわけです。そのことを私はきょう珍しく一時間もいただいたので、めったに一時間なんてないんですけれども、そういうときにやはりこういうことをきちっと私はどうしても伺いたかったわけです。
 リプロダクティブヘルス・ライツというのはまるで中絶賛成、反対みたいなところで、厚生省のお役所の方の書く答弁は、何回も何回も私は質問しましたからもう暗記していますけれども、世論の動向を見てと、深めてと。そういう問題じゃないんです。もっと全国民の、これから生まれてくるであろう子供たち、お母さんたちの健康、夫の健康、中年の健康、そして年をとって人生を全うするまでの健康をきちっとどのように守っていくのかということが皆様のお仕事なんじゃないですか。
 そういうことからいいますと、私は、先ほどからずっと出ています十四年度の抜本改正の内容にしても、小手先とは申しませんけれども、まだいささか制度的なものに偏っているのではないか。もっと本質的な人間の健康という視点から考えていただきたいというふうに思います。
 本当はあと健康保険証のことの質問もしたいんですけれども、とにかく今のことについて大臣、そしてもしなんだったら政務次官にもぜひ御答弁いただきたいと思います。
○政務次官(福島豊君) 先生が御指摘いただきましたことはまことに私も同感でございまして、そのとおりだというふうに思っております。
 ジェンダー・スペシフィック・メディスン、性差があるということは、疾病の罹患率にしましても、そしてまた薬物の代謝ということにおきましても広く知られていることでございますけれども、そういうことが具体的に個々の疾病においてどう反映してくるのかということについては今後研究が深められていく必要があろうと思いますし、私どもも厚生科学研究を進めていく中でそうした考え方というものは適切に反映をさせていかなきゃいけない、そのように思っております。
 そして、生涯を通じて女性の健康というものを縦軸で考えていくということだというふうに私は思います。現在、厚生省の行っております老人保健事業にしましても、さまざまな事業というのは世代ごとに分かれているということが一つありまして、実はその中でどういうふうに連携をとっていくのかということではないかというふうに私は思っております。
 がんの検診にしましても、これは男性と女性と分けてやる方が効率的なのかというと、例えば胃がんであれば、これは男性でもなりますし女性でもなります。ですから、そういうものは男性、女性と分け隔てなくやるということが必要だと思いますけれども、しかしながら、そういう横軸で切られたものを縦軸で再度整理し直すというような考え方というものは必要だろうと思いますし、十分な連携をとっていかなきゃいけないと思います。
 そして、先ほど先生、二十から健康づくりをしなきゃいけないという話は本当に大切なところでございまして、それは健康日本21の中でも生まれたときからということでずっと書いてあるわけでございます。そういう意味では、今までの健康づくりよりもさらに一歩進んだ内容になっていると私は思っておりますけれども、それをどういうふうに個別的な予防ということにつなげていくのか。実は、本年から個別指導ということを始めさせていただきました。これは本当に大切なことでして、マスで教育をするだけでは一人一人の行動の変容ということを伴わない。予防というのは行動の変容を伴って初めて結果が出るわけですから、そういう個別指導というものを今後さらに充実していかなきゃいけないというふうに思っております。
 今回提出させていただきました健康保険法、そしてまた医療法の改正は改正としまして、この予防に関しての取り組みというものは二十一世紀に向かってさらに厚生省として力を注いでいかなければならない、そういう分野だと思っておりますし、そのために努力をしてまいりたいと思います。
○堂本暁子君 大臣に伺いたいのは、来年の一月に労働省と厚生省が一緒になりますけれども、せめてその機会に、母子保健は余りにも女性の、今、政務次官がおっしゃったように、縦割りで生涯にわたって考えなきゃいけないというときに、母子手帳のあるときだけ女性がそのサービスを受けるというのは私は不十分だと思います。人生八十年になった女性のそういう時代に制度が見合っていない、行政事業がそれに対応していないというふうに思うんです。ですから、名前は女性健康課なのか、女性保健課でもいいと思いますけれども、そういったものをぜひつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 大変に感銘を受けて聞かせていただきました。
 ちょうど労働省と一体となるときがこの問題について縦軸でずっと女性を一つの問題点として医療そして福祉のあり方を考えるいいチャンスになると思いますので、熱心に検討し、できれば何か成果を上げて、先生初め委員会の皆様方に評価をしていただきたいと思います。
○堂本暁子君 では、これはちょっとつけ足しの質問になってしまいますが、参考人の方にお願いいたします。
 厚生省は、だれが健康保険に加入すべきかと考えていらっしゃるかということなんです。四分の三条項というのがあるようですけれども、これは年金の方と関係がありまして、女性が三号になるか二号になるかによって違いがある。フルタイムの労働の四分の三に達しているかどうかということのようですが、法的な根拠はないということですね。各種の健康保険組合が従来からそのように運用されてきていますけれども、人事院の公務員の非常勤の定義が常勤者の労働時間の四分の三を超えないものというのが一つの参考ということになっています。
 根拠もなく四分の三の基準を維持し続けないで、早急にふえつつある派遣労働などに対しての実態を勘案して再検討すべきではないかと思いますが、この点について参考人から御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 被用者保険でございます健康保険の適用、あるいは厚生年金の適用の関係でございますけれども、これは実質的には、被用者保険というのは事業所と実質的に常用的な雇用関係にある、こういうのを対象にして、その他は国民健康保険になる、こういう整理になっておりまして、そのほかに所得が低ければ被用者保険の被扶養者になれる、こういう関係になっているわけでございます。
 常用的な被用関係というのをどう判断するかということでございますが、これを労働時間あるいは労働日数の四分の三、こういうことで、二十年前からこういう運用をいたしているわけでございまして、常用かどうかというのを考える一つの割り切りだというふうに理解をいたしているわけでございますが、いずれにいたしましても、こういうのをどこまで被用者保険として見るのかどうかというのがこれからの課題だというふうに考えているわけでございまして、四分の三よりさらに下回って、常用かどうかわからない人までも被用者保険の方に取り込むということになりますと、現在の枠組みそのもの、給付のあり方そのものまで変わってくるということでございますので、これはやっぱり慎重に検討せざるを得ないのではないか、こういうふうに考えております。
○堂本暁子君 最後の質問ですけれども、これは年金の方とこれまた関係がありますけれども、生命保険などの場合に、短期のアルバイトでも社会保険にほかで加入しているにもかかわらず、また実際に本人に健康保険証を手渡さないで健康保険に入ったような手続をとられてしまうというようなことがあるということです。これはやはり社会保険庁がちゃんとチェックしていかなければいけないことではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 短期のアルバイトの場合ということで、新聞の事例かと思いますが、ちょっと事例そのものが新聞社に聞いても内容を明らかにしていただけませんので事例としてよくわからないんですが、短期のアルバイトということで二カ月以上、短期でも割合と常勤的な雇用関係があって二カ月以上続くということになりますと医療保険あるいは厚生年金に適用になる、医療保険でも健康保険あるいは厚生年金に適用ということになるわけでございますが、二カ月未満でありますれば厚生年金にもそれから健康保険にも適用しないというのが一般的な取り扱いになっているわけでございまして、今回のケースがどういう形になるのか。
 政府管掌健康保険でありますればこれは当然チェックできたと思いますけれども、生保ということであれば健康保険組合ではないのかなというふうに推測されるわけでございまして、どういう意図かわかりませんが、厚生年金だけ適用して健康保険組合には手続をしていないのではないか。専業主婦の方でございましたから、恐らくだんなさんの方の被用者保険にそのままカバーされているということでその手続を怠ったのではないのかということであるわけでございますが、これはどちらかといえば健康保険の適用の方が正しくて、厚生年金に適用したこと自体が誤りであったのではないかな、こんな感じをいたしているわけでございます。
 いずれにいたしましても、その辺の事情をよく勘案してこの問題は対処すべきではないか、こういうふうに考えております。
○堂本暁子君 終わります。
○委員長(中島眞人君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(中島眞人君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○西川きよし君 西川でございます。午後からもよろしくお願い申し上げます。
 本日、まず私は、国民健康保険組合の今後のあり方についてお伺いをしてまいりたいと思います。厚生省の皆さん、よろしくお願い申し上げます。
 この国保組合の問題につきましては、今まででも委員会におきまして何度か質問をさせていただきました。それはやはり、国民的な視点に立ちまして公平かつ公正な制度となっているのかどうか、もちろん、小集団としてのメリットというものは確かにあるわけですけれども、しかし、ごく一部の限られた人のみが損得の計算で保険者を選択できることがいいのかという、そういう意識はぬぐい切れません。
 この制度には沿革的なものもかなりあるということも承知の上で質問をさせていただきたいんですけれども、これまでの制度において、この制度が果たしてきた役割、そして逆にどのような点がまた問題となっているのか、冒頭まず大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 国保組合は、昭和三十四年の国民健康保険制度創設以来、市町村国保を補完するものとして、国民皆保険体制の基盤的役割を果たす国保事業の運営を支えてきたところでございます。
 国保組合は、同じ職業に従事する方々の相互扶助の精神に基づき、それぞれの実情に応じたきめの細かな運営が行えるなどの長所を有しているものと考えております。
 現状でございますけれども、百六十六組合がございますけれども、そのうち五十九組合は赤字組合でございまして、約三六%ということで、全体として厳しい財政状況にございます。しかし一方、職域保険である健康保険との整合性という点からいいますと、国庫補助の見直しが必要ではないかという指摘もあることは事実でございます。
 こうした指摘等も踏まえ、これまで国保組合に対してはさまざまな見直しを行ってきたところでございますが、歴史的経緯や市町村国保との関係等を踏まえつつ、引き続き必要な見直しを検討してまいりたいと思っております。
○西川きよし君 この国保組合については、例えば平成九年の法律改正において、新規に加入する方や家族については医療給付費の補助率を三二%から一三・七%に引き下げるなどの見直しが行われたわけですけれども、また今年度からも補助金についての減額調整の強化を図っておられます。こうした措置をおとりになってこられた趣旨をお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 国保組合に対しましては、療養給付費に対しまして定率三二%の補助と、それから財政調整分といたしまして一五%の範囲内におきまして調整補助、これは普通と特別と両方ございますが、この一五%の枠内で補助を行っているわけでございます。これまでも御指摘のように、国保組合の運営状況でございますとか健康保険との均衡、こういったものを踏まえまして必要な見直しを行ってきたわけでございます。
 平成九年の改正におきまして、健康保険の適用除外承認、これは健康保険の適用になるような対象者につきまして例外的に適用除外をしているわけでございますけれども、こういう方々につきましては、平成九年九月以降に新たに国保組合に加入される者に対します定率補助につきましては、従来の三二%から、政府管掌健康保険の国庫補助と同程度の国庫補助率に引き下げる見直しを行ってきたわけでございます。
 また、政管健保とか健康保険組合におきましては、かつては九割であったわけですが、現在では八割給付になっているわけでございますが、国民健康保険組合におきましては十割給付のところもある、九割給付のところもあるわけでございまして、これにつきましては、国庫負担の公平化という見地から、以前の健康保険の給付率でございます九割を基準といたしまして、それより高いところのものについては減額の措置をとってきたわけでございましたが、本年度からは八割給付というものを基準にいたしまして、それを上回る給付の組合に対しまして、対象を拡大いたしまして減額措置を段階的に講ずると、こういうことでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 そこで、ことしの六月ですが、総務庁の行政監察局より、国保組合に対する国庫補助率についての調査結果と厚生省に対する勧告が報告されておるわけですけれども、この勧告内容といたしましては、「国保組合の財政力を的確に把握することにより、財政力が高い国保組合に対する国庫補助率の引下げを検討するとともに、各組合に対する国庫補助率の適用の適切化を図ること。」、このような勧告が行われているわけですけれども、この勧告の背景にはどのような問題があるのか、そしてまた厚生省といたしましてこの調査結果をどのように受けとめられているのか、また勧告を受けてどのような対策を講じていかれるこれからのお考えがあるのかをお伺いしたい。
 そこでまず、総務庁にお伺いしたいと思います。そもそもこの問題を監察テーマとして取り上げられた理由をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(塚本壽雄君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘の行政監察でございますが、全体といたしましては国民健康保険事業に関する行政監察ということで調査を行いました。
 この国民健康保険事業は、申すまでもなく、事業そのものといたしましては、被保険者数が私どもの調査開始時の十年度末という段階でも四千五百四十五万人と承知しておりましたけれども、その事業としては国民皆保険を支える重要な柱の一つであるということでございます。
 そのような中で、近時、高齢化が進行する、あるいは医療の高度化が進む中で、国保の支出額あるいは国保への国庫補助額は年々増加の一途をたどるという状況にございました。また、市区町村の行われます事業、その経営状況を見ますと、当時の段階でも全国約半数の市区町村が経常収支で赤字を計上しているということで、事業そのものとしては、事業の健全化が大変大きな課題であるというふうな認識でおりました。
 その中で、さらに国民健康保険組合についてでございますけれども、平成十二年度予算では三千百五十二億円の国庫補助が行われているというふうに承知しておりますが、総じて組合員の所得が高額である組合というものに対しましても高率の国庫補助が行われているというような指摘が、監察企画当時、関係者の間でもございました。そのようなことを踏まえまして、厳しい国家財政の中ではその見直しを求めることが必要ではないだろうかということで、この監察、特にその中でも国民健康保険の問題につきましても取り上げることにしたということでございます。
○西川きよし君 引き続きまして、この調査の内容を拝見いたしますと、三つの項目について調査結果が紹介されているわけですけれども、その一点目として、国保組合に対する補助率の適用が現在の国保組合の財政力を反映したものとなっていないと、このような指摘がございますけれども、この点について、調査結果について引き続き御答弁をお願いいたします。
○政府参考人(塚本壽雄君) ただいま御指摘の点でございますけれども、国保組合に対します補助率は組合の財政力に応じて定められるということでございます。さらに、国庫補助金の国民健康保険組合別の補助率の算定基礎となります各組合の財政力といいますものは、組合の被保険者の所得と国民健康保険組合が負担している療養給付費等の額をもとに算定するものというふうにされているわけでございます。しかし、私どもの調査時点で見ますと、各組合に適用されておりました補助率と申しますものは、昭和五十八年度に実施されました被保険者の所得調査の結果等から算定された組合の財政力に基づいて昭和五十九年度に定められたものでございまして、その後そのまま見直しが行われていないという状況であったわけでございます。
 そのため、当庁が調査をいたしました二十三の国民健康保険組合のうち、私どもが被保険者の所得を把握できました四組合について見てみますと、財政力をあらわす数字としてとらえました被保険者一人当たりの所得に対する補助対象療養給付費の割合というものが例えば三四・一%である組合、これに対します補助率は四二%というものに対しまして、この割合が一九・六%とより財政力のあると認められます組合の補助率が、逆に四七%と高いというような状況になっておりました。
 こういうことから、私どもとしましては、補助率の適用が国保組合の財政力を反映したものとなっていないんではないか、こういうことを結果として申し上げたところでございます。
○西川きよし君 この補助率の算定基礎ですけれども、算定基礎となる財政力については昭和五十九年以後見直しが行われていないわけですけれども、しかも現在の適用が財政力を反映されることなく交付されている。このこと自体、大変大きな疑問を感じるわけですけれども、そのあたりはどのような実情があるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 国保組合に対します国庫補助の中で、普通調整補助につきましては、被保険者の所得でございますとか医療費を勘案いたしまして、国保組合の財政力に応じまして補助をいたしているわけでございますが、医療給付費の一・五%から二〇%の五段階に分かれているわけでございます。市町村の国民健康保険に対しましては、同じように財政力に応じまして支給をいたしているわけでございますけれども、これは、まさに毎年毎年調査をしていただきまして、その上でそれを的確に反映した補助金を出しているわけでございますけれども、国保組合につきましては、はっきり言って、五段階という大ざっぱな分け方にもともとしているわけでございます。
 この財政力の判断につきましては、先ほど御指摘のように五十八年の被保険者の所得と医療費に基づきまして決定したものを使っているわけでございまして、現在の国保組合の財政力を反映しているかどうかわからないような状況にあるのは確かでございます。
 それで、どうしてこういうことかということでございますけれども、一つは、先ほど申し上げましたように、調整の一五%の枠内においての百六十六組合の補助の配分のあり方である、こういうふうな、はっきり言えば相対的な関係である、こういう関係に一つあるわけでございます。
 それから、市町村の場合、所得の把握が実務的にも把握しやすい状況にあるわけでございますが、特に市町村民税の非課税の世帯についてどういうふうに把握したらいいのかという問題がございまして、これを国が一々やるわけにはいかぬということで国保組合にお願いするわけでございますけれども、その把握というのがいわゆる自計ということで自分で調査するということになるものでございますので、それが本当に正確かどうかというのはなかなか担保しがたい、こういうふうな実務的な問題もございまして残念ながらおくれてきたわけでございます。
 調査結果をどういうふうに五段階に当てはめをするかというのもなかなか難しい作業でございまして、私、たまたまこの五十八年の調査と当てはめを担当した担当課長であったわけでございますけれども、なかなか実務的には難しい面があったという記憶があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても国庫補助金というのが適正かつ公平に交付されるというのは当然必要なわけでございますので、時期や方法の問題はございますけれども、組合関係者の理解を得ながら適切に対応してまいりたい、できれば調査もしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、総務庁にお伺いします。
 国庫補助を受けている国保組合の財政状況ですけれども、財政状況についての調査が行われておりますが、この点についても御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(塚本壽雄君) 私どもの調査の点についてでございますが、あわせて、それに関連します補助率との関係も含めて申し上げたいと思います。
 まず、当庁の調査によりまして、組合の財政状況に関しまして私どもが把握いたしました一つの状況でございますけれども、例えば平成九年度の主たる組合員の平均所得が約二千六百万円である、また組合員の療養費の自己負担がないというようなことから、財政力が高いものというふうに考えられるものがございます。これに対しまして国庫補助率は三三・五%、これは下限プラス一・五ということでございますけれども、数字としてはそういう数字のものが適用されていたという例がございました。
 なお、これに関連しますと、一方、他の公的医療保険でございますと、組合健康保険の健康保険組合の場合は、平成九年度の被保険者の平均所得は約六百五万円ということでございまして、しかも国庫補助は原則としてない、あるいは政府管掌健康保険につきましては、平成九年度の被保険者平均所得は約四百十四万円ということでございますけれども、国庫補助率は療養給付費の一三%及び老人保健医療費拠出金の一六・四%という実態があるということが一つでございます。
 また、もう一つの状況でございますけれども、国民健康保険の療養給付費におきます一部負担金、これは療養給付費の三割ということで、これを減ずることもできるということでございます。
 国民健康保険のうち、市区町村が実施しておりますものにおきましては、調査いたしました百十の市区町村のうち、三割を下回っている、より有利といいますか負担が少ないものは一市区町村のみということでございました。
 一方、国民健康保険組合におきましては、平成十一年四月一日現在で、組合員本人について自己負担金を三割としておりますものは百六十六のうちの四十ということでございまして、八十七は一割以下の負担で、負担のないものも私どもの把握では十四組合あったということでございました。この点から総じて保険財政が豊かな状況がうかがわれる、こういうふうに判断したわけでございます。
 そこで、私どもといたしましては、国民健康保険組合に対します国庫補助につきまして、その適切化を図るという観点から、国民健康保険組合の財政力を的確に把握することによりまして、財政力が高い組合に対します国庫補助率の引き下げを検討していただく、また各組合に対します国庫補助率の適用の適切化を図るようにしていただきたい、この旨の勧告を申し上げたところでございます。
○西川きよし君 どうもありがとうございました。
 今、総務庁より調査結果をお伺いしたわけですけれども、今度は保険局長に御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 国保組合の財政状況でございますが、先ほど大臣から申し上げましたように、かなりの数の保険者が赤字財政になっているわけでございまして、確かに一部に財政力の高い組合が存在するわけでございますけれども全体としては厳しい財政状況にある、こういうふうに認識しているわけでございます。
 一人当たりの保険料の関係でございますけれども、例えば平成元年と平成十年、十年間で比較いたしますと、国保組合は五一%ふえているわけでございますが、政管健保ではこの間三九%、それから組合健保では四一%ということで、だんだん縮小の傾向にあることは確かだろうと思っているわけでございます。
 それから、給付費についてでございますが、確かに十割給付というのも存在するわけでございますけれども、給付率が九割以上の組合は、平成八年は百十一組合あったわけでございますが、十年度には八十三組合に減ってきております。十割給付の組合は、この間、三十六組合から九組合に減ってきております。どんどんこの十割給付それから九割給付というのも減ってきつつある段階だと、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、先ほど非常に高額な所得があるということでございましたけれども、恐らく医師国保のことをおっしゃっているんだと思いますけれども、医師国保は、お医者さんも確かにいらっしゃいますけれども、従業員の方も入ってきているわけでございます。
 それと、国民健康保険組合につきましては、政府管掌健康保険との比較ということで御指摘があるわけでございますけれども、基本的には市町村の国民健康保険との関係で補助率は決まってきているわけでございまして、これは事業主負担がないという事情もございまして、市町村国保につきましては五割の負担になっていっているわけでございますけれども、それに準じたような形で国保組合につきましても、若干低いわけでございますけれども補助率が決まっているわけでございます。
 それから、先ほど申し上げました、比較的大きな病院みたいなところにつきましては、これは例外的に適用除外をしているわけですが、これにつきましては、新たに加入される方については政府管掌健康保険と同じぐらいの水準にしているわけでございます。
 いずれにいたしましても、給付率の適正化というのはさらに私どもも指導してまいりたいと考えておりますし、この国保組合というのが国民皆保険の基盤的な国保事業の一環ということでございますので、必要な見直しを行うということで安定的な運営を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○西川きよし君 ありがとうございます。
 二年ほど前ですけれども、この国保組合の問題を私、御質問をさせていただきました。当時の保険局長さんはこのような答弁をされました。「これは、正直申し上げまして、かなり政治的なバックグラウンドもありますから、」「そういった中で、しかしながら国民的な視点に立ってきちっとすべきものはきちっとしていく、」、こういった答弁をいただきました。
 今日、医療保険財政が厳しい状況にある中で、高齢者にも新たな仕組みで負担をしてもらわなければならないと。そんな中で、一方では、一部負担がないような財政力が高い組合に対しましても高額な補助金が出されている。
 そして、総務庁が出された勧告といたしましては、「厚生省は、国保組合に対する国庫補助の適切化を図る観点から、国保組合の財政力を的確に把握することにより、財政力が高い国保組合に対する国庫補助率の引下げを検討するとともに、各組合に対する国庫補助率の適用の適切化を図る必要がある。」、こういうことですけれども、この勧告に対して今後どのような方向で検討されていかれるのか、局長にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 補助のあり方でございますけれども、先ほど来申し上げておりますようにいろいろないきさつがあって、沿革的な理由で今のような姿になってきているわけでございます。
 私どもとして、やはり国民健康保険あるいは政府管掌健康保険、こういった他の医療保険制度とのバランスというのも当然考えなければいかぬというふうに考えているわけでございまして、そういった状況あるいは国保組合の運営状況、こういったものを考慮しながら、必要に応じまして国庫補助の見直しをしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 この問題は最後にしたいと思いますけれども、平成十四年の抜本改革に向けまして、将来の国保組合のあり方について、どのような姿が望ましいか、どういったお考えでこれから進めていかれるのか。この最後の御答弁は厚生大臣にぜひお願いをしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 国保組合は、同じ職業に従事する方々の相互扶助の精神に基づきまして、それぞれの実情に応じたきめの細かい運営が行えるなどの長所がございます。また、国民皆保険体制の基盤的役割を果たす国保事業の運営を支えてきたものであり、今後とも健全かつ適正な事業運営を図っていくことが必要でございます。
 今後のあり方につきましては、歴史的経緯や市町村国保との関係、その運営状況等を踏まえつつ検討する必要がございますが、この場合、国庫補助のあり方も含めて、他の医療保険制度との公平に特に配慮する必要があると考えております。
○西川きよし君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 次に、医療費適正化に関連をいたしまして質問を申し上げます。
 柔道整復に対する療養給付のあり方ですが、まずは現在の療養費の総額、そしてまたその中の柔道整復に対する療養費についてお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 十年度の数字でございますが、療養費の総額は三千六十三億円でございます。そのうちで柔道整復の施術に係りますものは二千五百四十二億円でございます。
○西川きよし君 この柔道整復いわゆる骨接ぎといいますと、我々子供のころは町の中でもよく見かけました。よく御世話になりました。僕の年代で言いますと、病院というよりも町の骨接ぎ屋さんの先生に診てもらうということで、皆さんもそういう御経験があると思いますけれども、これまでの歴史の中でも、整形医が不足をしていた当時には、治療を受ける場の確保という点からしましても大変に貢献されてきたと思います。
 その柔道整復師の方々が今日まで果たされてきた役割について、どのように厚生省は評価をされているのか、厚生大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 柔道整復は、我が国において伝統的に行われてまいりました療法として国民に広く受け入れられており、これを担う柔道整復師の方々は、捻挫、打撲、脱臼、骨折の患者に対して施術を行うことによって国民保健の向上に御尽力いただいてきたと評価をさせていただいております。
○西川きよし君 大多数の柔道整復師あるいは施術所におきまして、日々患者保護の観点から本当にお力添えをいただいているわけですけれども、しかし一方で、先ほどの御答弁にもございましたけれども、療養費が約三千億円を超えるうち、二千五百億円以上がこの柔道整復に係るということでございます。そうした中で、例えば昨年の東京新聞ですけれども、この柔道整復による不正請求、不当請求という大きな見出しで報道されているわけです。
 実は、実際に柔道整復師として接骨院を経営されている方からお便りをいただきました。少し読ませていただきたいと思います。
  突然御手紙を差し出します無礼をお許し下さい。私は愛知県で接骨院を経営している者です。
  接骨院は本来急性の症状のみ施術が許されています。骨折、脱臼、打撲や捻挫、挫傷と言われるもので、骨折、脱臼に関しては医師の同意が必要な為、ほとんどの場合、骨折や脱臼はレントゲンを撮影できないほねつぎには来院せず、整形外科などに行きます。そうなると、はっきり言ってほねつぎの経営は成り立ちません。急性と限られていても慢性のものにも手を出しているのが現状です。どこまでが急性のものでいつからが慢性のものか、線引きがない為、原因のあるものが急性、ないものが慢性とか、無理やり正当化しようとして試行錯誤の毎日です。それを裏付ける事実として、何年も何十年も同じ患者さんが通院しています。ただし、経営者も考えていて、三ケ月したら病名を変更したり、三ケ月したら一ケ月通院していない状態にして、又、通院させたりしています。これは本来違法行為です。これによって、医療費は、うなぎのぼりの一途の一因です。保険であんま・マッサージをしてもらっているのです。病院へ行っても、電気治療のみで、さわってもくれません。だから、患者さんは自己負担が数十円から数百円で揉んでくれるほねつぎに来院します。しかし、その結果、医療費は何兆円にもなります。未だに医療費の中でほねつぎの延びは突出しています。
  私は不正は嫌いです。ですから初診から三ケ月以上は保険を使えないことにしました。たとえ、一年間治療期間が空いていてもダメです。従って患者さんは減り経営も苦しいです。又、近所の方から悪口を言われたり、本当の急性の方にも大変迷惑をかけます。でも、「私も急性です。私もです。」と言われれば、「あなたは違いますね」とは言えません。だれでも保険でやってほしいですものね。だから、私は三ケ月と決めました。そしてもう一つ窓口で、昨日今日に受傷したか聞いて、それ以前、たとえ三日前でも保険で治療せず実費にします。ですから、窓口で何人もの方が帰ります。
  でも、他の人達を責める気にはなりません。本当に苦しんでいる人、本当にお金がなくて体の具合いの悪い人々の治療の場を失わせてしまうからです。ですから、この事については、もっと考えなければいけないと思います。
という、今お手紙を御紹介させていただいたんです。
 このお便りにもあるわけですが、柔道整復師さんのところへ行った場合に、どのような場合が保険の対象となってどのような場合が対象外となると、その境界が大変に難しい、理解ができないわけですけれども、例えばどこかにぶつけたとか転んだとかということでなければ行けないけれども、腰が痛いということで整形外科に行った場合、また、あんまやマッサージ、はり、きゅうに行った場合、そして柔道整復に行った場合、それぞれ保険対象としてはどのように整理をされているのか、少しきょうはその基本的な部分をお伺いしたいなと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 柔道整復で保険の対象になりますのは、先生御指摘の、骨折それから脱臼、打撲、捻挫の四つの外傷性の疾患でございます。このうち、骨折、脱臼につきましては医師の同意が必要である、こういうことになっているわけでございます。
 こういった一定の条件を満たす場合だけ療養費の支給対象になるわけでございまして、捻挫とか打撲というのを、いつの時点での打撲とかなんとかというのは確かに判定しがたいわけでございますけれども、制度の趣旨からいたしますと、当然のことながら急性期のものであると、こういうふうに私どもは理解いたしているわけでございまして、そうであるかないかという個々の認定というのは別にいたしまして、そういう考え方を持っているわけでございます。
○西川きよし君 そのあたり本当に非常に境界線がわかりにくい、難しいと思います。腰が痛いというのが、捻挫なのか、単なる疲労によります腰痛なのか、接骨院の先生のお話では、寝ている間にも捻挫をするというようなことも聞きました。結局のところ、先生が捻挫と言えば捻挫にならざるを得ないわけですが、逆に患者にとってみれば、腰が痛いわけですからとにかく治してほしい、痛みをとってもらいたい、その原因によって保険の対象になったりならなかったりするわけです。本当に難しいと思いますが、この境界がわかりにくいと思うわけです。
 この問題につきましては、これまでに会計検査院においても調査と是正改善の処置要求が行われております。このときに報告されました検査の結果の内容について、本日は会計検査院より御答弁をいただきたいと思います。
○説明員(関本匡邦君) 柔道整復師の施術に係る療養費につきましては、その支給が適正に行われているかということなどにつきまして平成五年に検査を実施しております。そして、三十六都道府県に所在いたします療養費の支給額が多い九十四の施術所の柔道整復師について検査いたしましたところ、療養費の請求が適切に行われたとは認められない事態が見受けられたわけでございます。
 まず、柔道整復師に係る施術料は、医療機関の治療を受けている負傷部位については支給対象とはならず、また神経痛等の内因性疾患については施術対象とはならないとされておりますが、医療機関の治療を受けている患者や神経痛等の患者に施術を行っている施術所が多数見受けられたわけでございます。
 それから次に、施術は療養上必要な範囲及び限度で行うものとし、特に長期または濃厚な施術とはならないよう努めなければならないとされておりますが、通常一部位あるいは二部位であります負傷部位数が三部位以上となっておりましたり、あるいは患者に対してほとんど毎日施術を行っていたり、あるいは三カ月を超える長期施術を行っていたりしておりまして、療養上必要な範囲及び限度を超えて施術を行っている施術所が多数見受けられたということがございます。
 それからまた、施術に係る療養費は、患者からの受領委任を受けた柔道整復師に支給することになっております。そして、受領委任は、請求金額等が記載された申請書に、患者の自筆で住所、氏名等を記入いたしまして押印することになっておりますが、大部分の施術所では、療養費額等について、患者自身による確認がないまま受領委任状が作成されておりましたり、あるいは施術所が署名及び押印を行っていたりしておりました。
 また、申請書に負傷原因を具体的に記載されていないために、療養費の支給の適否を確認できない施術所もあったということでございます。
 そして、調査いたしました九十四の施術所におきましては、これらの事態のいずれかに該当しておったということでございます。
 こうしたことから、厚生大臣に対しまして、柔道整復師の施術に係る療養費についてその適正な支給を期するために、柔道整復師あるいは保険者等に対しまして療養費制度及び受領委任制度の趣旨を周知徹底させることはもとよりのことでございますが、算定基準等を適正なものにしたり、あるいは審査基準を明確にするなど審査体制の整備を図ること、あるいは施術所に対する指導、監査の体制の整備を図ることにつきまして是正改善の処置を要求したところでございます。
 これに対しまして、厚生省では、本院の指摘の趣旨に沿いまして十一年、昨年の十月までに所要の処置を講じたということでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 この検査が行われたのが平成四年ということでございますけれども、厚生省といたしましては、当時はそういう実情を御認識されていたのか、それとも会計検査院の方から指摘があってからおわかりになったんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 制度の仕組みが十分でなかったというのは厚生省でも当然認識していたと思いますし、その指摘を踏まえまして改革の措置をとったわけでございます。
 平成五年当時のことを若干申し上げますと、柔道整復師の施術に係ります療養費の算定基準というのが不明確であったわけでございます。それから、審査や指導、監査体制についても全国統一的な基準がなかった、こういうふうな実情があったわけでございまして、平成九年の通知によりまして算定基準の明確化を図ってございます。それから、それを周知徹底させる、こういうことで講習会の開催等も行う通知を出しているわけでございます。
 それから、昨年の通知でございますけれども、審査委員会の体制を整備する。それから、指導、監査の体制というのも、これまで各県ばらばらで行われていたわけでございますけれども、これを統一的な基準にする、審査も厳正にやる。それから、監査、指導というのも厳正に行う。こういうふうなことで体制ができたということで、これからまさにその実施の時期である、こういうふうに考えているわけでございます。
○西川きよし君 そこで、会計検査院から指摘された後、今日まで厚生省としてはどのような措置をとってこられたのかお伺いいたします。
 そして、まず、この療養費制度及び受領委任制度の趣旨と周知徹底という項目ですけれども、そもそもこの受領委任制度について、さまざまな角度からの御意見がございます。例えば、あんまマッサージ、はり、きゅうについてはこの制度が認められていないわけですから、なぜ柔道整復が認められるのか。あるいは、そもそもこの例外を認めることが果たして必要なのかどうかという疑問もあるわけですけれども、厚生省はこの受領委任制度の必要性としてはどういうお考えでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほど申し上げましたように、会計検査院の指摘を受けまして、施術に係ります療養費の算定基準の明確化でございますとか、あるいは審査体制の充実、それから指導・監査体制の整備を図ったわけでございます。
 受領委任制度がなぜ柔道整復だけにあるのか、こういうことでございますが、主として慣行的といいますか、沿革的な理由であるわけでございまして、整形外科のお医者さんが不足した時代に治療を受ける機会の確保、こういうことで、患者の保護ということで療養給付に近い形を認めたわけでございまして、特に応急手当ての場合には医師の同意なくして手術ができるお医者さんの代替機能を有していた、こういうふうな事情から受領委任払い制度が認められているわけでございまして、これは既に制度の仕組みとして成り立っておりますので今さら廃止ということにはならぬと思いますが、この制度は公正にやっていくということが大切だ、こういうふうに考えているわけでございまして、本年の一月から、会計検査院の御指摘も受けまして受領委任の取り扱いを改正しております。
 従来は各保険者ごとに締結いたしておりました協定につきまして、ことしからでございますが、地方社会保険事務局長と都道府県知事が健康保険組合等の保険者から委任を受けまして一括して協定を締結する、そういうことで受領委任の取り扱いの統一化を図ったわけでございます。
 以上でございます。
○西川きよし君 そこで、この受領委任の取り扱いについて、ことし一月に改正されたと聞いておるわけですけれども、その内容と目的をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほど申し上げましたように、個々に各保険者ごとで協定を結んでいた、こういうものを地方社会保険事務局長なり都道府県知事が一括して協定を結ぶ、こういう形にしたわけでございまして、これによりまして、内容の公正化といいますか、透明化というのが図られるものではないか、こういうふうに考えております。
○西川きよし君 そこで、この受領委任制度については、私は、むしろ患者さんに対して周知の徹底が必要ではないか、こういうふうに思うわけです。
 例えば、この療養費の支給申請書のコピーなんですけれども、これを私もコピーをいただいたんですけれども、施術の内容として、負傷名があって、いつからいつまでどのような施術を行ったのか、つまり治療を行ったのか。そしてその費用が幾らで、幾らを療養費として請求するのか、こうしたことの説明があって、納得をして初めて受領を委任しますということで署名をするわけです。当然のことだと思うわけですが、そのあたりがどこまで徹底されたのか、疑問のやっぱりあるところです。
 そういう意味では、御答弁でも再三おっしゃっておられますけれども、やはり患者さんにもコスト意識を持っていただく、あるいは本来の保険給付の趣旨なり目的を確認していただくということの意味におきましては、この利用者に対する周知の徹底というものが必要ではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょう。
○政府参考人(近藤純五郎君) 御指摘のとおりであるわけでございまして、保険の対象になりますものの範囲とか請求の手続、こういったものを十分患者さんに知っていただく必要があるわけでございまして、これは役割としては私どもも責任があるわけでございますけれども、各保険者がやっぱり積極的にその周知をしていただく必要がある、こういうふうに考えているわけでございまして、各保険者に対します指導を私どももこれからやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 確かに、患者さんがどこまで保険の対象になっているのかどうかわからない面も多いかと思うわけでございますので、そうしたことで、手続だけじゃなくて、どこまでが保険で受けられるんですよということも含めて保険者の方で十分な周知をしていただかなきゃいかぬ、こういうふうに思っているわけでございます。
○西川きよし君 ありがとうございます。
 それにいたしましても、本当に小さくて、見えにくくて、窓口でお伺いいたしますと、なかなか署名をするところの部分だけしか出ないようなことのお話もたくさんお伺いします。
 次に、審査体制についてもお伺いしておきたいと思うんですけれども、これまでの指摘の中でも、審査委員会の設置が行われていない都道府県がある、あるいは審査委員の構成に偏りがあるなど審査体制が不十分であることの問題点が言われておるわけですけれども、審査委員会として、また指導、監査についてはどのような対処が行われているのか、そしてまた現在の全国の状況等々、御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 審査委員会につきましては、平成十年七月に全都道府県に設置されたところでございますが、その構成については、施術者が多いんではないか、本来なら施術者と保険者と学識経験者の三者構成であるわけでございますけれども、施術者と保険者の代表が同数でない、こういった県も散見されるわけでございまして、その是正について指導してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、指導、監査の関係はよろしゅうございますか。
○西川きよし君 今御質問いたしました指導、監査、そして審査委員の偏りがあるという点について是正をされているか、どの程度あるかというような部分もできればお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 是正の関係はまだ現在指導中ということでございまして、徐々に解消してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、指導、監査の関係でございますけれども、今度の地方分権の関係で、これまでは県の方で一括という形だったわけでございますけれども、この四月からは地方社会保険事務局というのができましたので、その事務局長と都道府県知事が連携をする。知事さんの方は国民健康保険の関係ということでございますが、二つに分かれましたので、この連携というのが非常に大事になったわけでございます。
 具体的には、まず集団指導それから個別指導を行いまして、それでも改善がないという場合につきましては監査を行うことになってきているわけでございまして、不正、不当の請求を行った者につきましては受領委任の取り扱いを中止する、こういう形をとっているわけでございます。
○西川きよし君 次に、この不正に対する対応ですけれども、この点についてはどういったお取り組みがございましょうか。お伺いしたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほどの監査をするということでございますが、その監査をした結果、不正とか不当な請求というのが判明いたしました柔道整復師に対しましては受領委任の中止を行うということでございます。この中止の期間でございますが、これまで二年ということであったわけでございますが、これを五年に拡大いたしております。ですから、五年間はこの受領委任払いを認めませんよと、こういう形で不正請求に対する対応の強化を図ったわけでございます。
 これまで、ことしでございますけれども、この受領委任払いが中止になりました件は二件と聞いております。
○西川きよし君 この不正の対応も二年から五年ということでございますけれども、強化をされたということで評価をする声もたくさん聞きます。
 その一方で、例えば、不正がわかっていてその受領委任の取り扱い契約が中止をされたとしても名前を公表されない、あるいは受領委任ができなくなっても保険者に申請すれば療養費が戻ってくる、こういった点についてさらなる強化が必要ではないかなというような指摘も行われているんですが、いかがでございましょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 確かに御指摘のような意見もあるわけでございますが、私どもは、まずはことし統一的な指導監査要綱をつくったわけでございます。これの強化によってどこまでできるかということがあるわけでございまして、今すぐさらなる強化というのは難しいかと思うわけでございますが、これからも不正防止の効果が上がりますよう、まずは指導、監査の充実ということで対応してまいりたい。
 公表問題につきましては、これは別途検討させていただきたいと思います。
○西川きよし君 ありがとうございます。
 新聞によりますと、もう国家免許も取り上げてしまえというような新聞もあるぐらいですけれども、やはりこの保険制度が求められている内容と、実際に高齢の方が多く、たくさんの方々が来られるわけですし、今までの経過を見ていましても、本当に恐ろしいほどの勢いで上がってきているわけですけれども、そうした方々が求めているものとはかなりかけ離れているものがあるのではないかな、それが実情ではないかなと思うわけでございます。
 しかし、それはそれといたしまして、今後お年寄りにも負担を分かち合っていただかなければならないという状況の中で、ただいまお伺いをいたしました国保組合や療養費制度について、ごく限られた一部ではありますけれども、不透明感や不公平感というのはやっぱり払拭をしていただかなければいけないと思います。厚生省がそういった意味におきましても地道に取り組まれていることの理解は十分させていただいておりますが、今後とも、それぞれの分野において、公平かつ公正な保険給付とは何かということを検証し、検討していただきたいと思います。
 この点につきまして、最後に厚生大臣に御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 我が国の医療保険制度は、国民皆保険制度により国民にひとしく良質な医療を保障するものであり、すべての国民によって支えられなければならない制度でございます。このため、給付と負担の両面において公平であり、その運営が公正に行われるということは、委員御指摘のとおり、制度に対する国民の信頼を確保し、国民皆保険を維持していく上で最も重要であると考えられます。
 今後とも、御指摘のような分野も含めまして、給付と負担の両面において公平な制度であるよう不断の見直しを進めてまいりますとともに、制度の公正な運営を図ることによって国民の方々の納得が得られるように努力をしてまいりたいと思います。
○西川きよし君 ありがとうございました。
○堀利和君 法改正が、抜本改正が十四年まで延びたといえども、抜本改正と言う限りは理想なり理念というものがあって、それに基づいてさまざまな手続が行われると思うんです。社会保障のあり方や医療制度など、国によって当然違うわけですけれども、それは国の政治形態や国民の生活に対するさまざまな考え方で分かれているかと思うんです。例えば、アメリカでは最高の医学と医療技術を提供する、同時にそれは個人責任、個人負担というふうになるわけです。イギリスでは、揺りかごから墓場までということで、国費の医療が制度化されているわけですけれども、また一方では、上流階層の方々はハーレー街の自由診療ということでそれなりの高度の医療を受けている。これがまたイギリスの姿であるわけです。
 御案内のように、日本では国民皆保険制度が創設されて、国民すべてがどこでもだれもが同じように医療が受けられる。まさに、言うなれば戦後の平等主義といいますか、そういう観点で創設されたわけでございまして、私はこれは世界に誇るべき制度だと思っております。こういうすぐれた保険制度によって、私たちは安心して医療機関に行って病気を治すことができるわけです。これは本当に、貧富の差なく、すべての人が患者として医療を受けられる、大変結構だと思います。
 ただ、九〇年代に入りましては、高齢化率が上がり、またその一方で経済成長が鈍化するということで、経済成長率よりも高齢化率の方がアップする、したがって社会保障の財政が悪化するという、こういう状況の中で制度を変えていかなきゃならない、こういう状況だと思うんです。
 少子高齢社会なり、経済の低成長なり、あるいは働き方、労働あるいは家族の姿もまた少しずつ変わってきている。そういう中で、どうも議論を見ていますと、財政的に保険が破綻しそうだ、危ない、仕組みを少し変えよう、こっちからあっちに少しお金を負担してもらおうというような議論が見えてきてならないわけです。それはどうも既得権益を擁護する動きなりあるいは高齢者医療費の負担の押しつけ合いとでもいうような動きもあるわけでして、私は、先ほど申し上げたように、二十一世紀にたえ得る抜本改革であれば、当然それなりの理念、理想があると思うんですね。国民皆保険制度を創設したと同様の大きな期待、理想、理念があると思うんですけれども、その辺のところを大臣はどのようにお考えか、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 堀委員がこれまでの社会保障制度あるいは福祉をめぐる制度について、各国における議論、それから歴史的な変遷というものを念頭に置いての御質問でございました。
 まず、私から申し上げたいのは、社会保障の理念というのが一つぽんとあって、それが変えられない何かであるということではないことは委員も御承知のとおりでございます。ヨーロッパにおける社会保障の理念についても、例えばイギリスの議論を聞いてもおわかりのとおり、またスウェーデンで政権交代があったときに何が起こったかということも御承知のとおりでございまして、片方では必要なセーフティーネットを国民の皆様方にひとしく提供するという基本的な要請があると同時に、それが社会経済の変化にうまく即応するようなものでなければいけない。
 特に、非常に長寿な社会に先進国がなってきたときに、数のふえてくる高齢者に対する医療や年金のあり方はどうするのか。戦前に考えられていたものよりもはるかに国民経済の中で大きなウエートを占めるようになってくるとすれば、それが持続可能な制度として運営されていくにはどうしたらいいか。また、逆に言えば、そういうものであればあるほど国民経済の発展にできればプラスになるような制度でなければならない。こういうふうに、福祉の理念というのは一つあるのではなくて、やはり歴史的な過程を経て変遷、発展をしてきているのだと私は受けとめておるところでございます。
 今、我々にとって社会保障制度を基本的にどうしたらいいかということが問われているときに、医療の分野におきましても、まず国民すべての方に必要なセーフティーネットはしっかりと構築するということを基本としながらも、今後の日本の社会経済に一番合った姿、合った制度は何かという議論をしていくことが大事だと、私はそういうふうにお答えをしたいと思っております。
○堀利和君 もちろん、医療制度なり医療保険制度だけで問題が片づくわけではありませんで、さらに言えば、それを取り巻く年金なり介護、福祉制度を含めて社会保障全体がどうあるべきかということがまたさらに基本的な観念として重要だと思うんです。
 ただ、そう言いながらも、今回のといいますか、これまでのと言ってもいいと思うんですが、医療保険制度の見直しを見てみましても、仕組みなり枠組みなりを手直しするところに議論がどうも収れんされてしまっているのではないかなと思うんですね。
 そういう意味では、確かに持続的な安定した運営ということで医療保険制度をつくっていかなきゃならないことも確かなんです。それはそれで当然認めるところなんですけれども、しかし高齢者医療をどうするのか、薬価制度をどうするのか、あるいは医療提供体制をどうするのか、診療報酬体系のこともございますけれども、そういうような形で、どうもこういう制度、枠組み論の中で議論が閉じ込められてしまっている。
 もちろん、それは重要なんですが、そこで私は一つ、国民性と言っていいのかどうかわかりませんけれども、医療文化といいますか、医療に対して我が国の国民が持つイメージとか、観念といいますか意識といいますか、そういうところにもう少し踏み込んで議論すべきではないのかなと思うんですね。
 つまり、外科的処置よりも内科的処置の方を好むのか好まないか、あるいは薬漬けはよくないと言いながらも薬に頼りたがる側面があるのかないのかどうなのか、あるいは末期のターミナル医療についても、審議会の中ではこういう末期医療に係る給付はやめた方がいいというような発言もあったやに聞いておりますけれども、私はちょっとそこは戸惑うんです。そういう生命なり、あるいは遺伝子治療も含めて、国民の医療に対しての意識、こういうところも踏み込んで考えていかないと、財政的に苦しいから、枠組みをこう変えて、財源を少しこちらを減らしてということである程度押さえつけるようなところでやるというのも、私はちょっとそこのところは、今申し上げたようなところも含めて検討すべきかなと思うんですけれども、大臣はその辺のところはどんなふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 堀委員が御指摘の点は、私は非常に広がりのある論点を示唆しておられるんだと思います。確かに、医療という切り口で私どもが国民の健康を考える場合にも、非常に広い社会的、文化的、歴史的な要因とつながっていくということを意味しておられるんだろうと思いますし、またそのことを無視して一挙に白紙に物を書くようにやることはできない、これはそのとおりでございます。
 その一方で、もう一つおっしゃった、例えば薬価制度であるとか医療提供体制であるとか診療報酬体系であるとか、そういうことを技術的に小出しにやるのでは意味がないじゃないかと。それはそのとおりでございますが、ここまでいろいろと国会も行政側もやってきたことをそういうふうに一挙に総括されるのではちょっと無理があるんじゃないだろうか。
 私ども議論するときには、例えば診療報酬の話、医療供給体制の話、あるいは高齢者医療の話を議論しつつも、その後ろにあるトータルとしての医療をどう考えるか、そしてさらには広く国民の健康をどう守るかということを視野に入れながら議論している、またしていかなきゃならぬ。もしそういう視点が見えていないとすれば私どもの努力の不足であるというふうにお答えをすべきだと思いますが、そういう構えで物事に当たってほしいということは私はまず同感であるというふうにお答えをいたします。
 ただ、これを申し上げた上で、それでは日本の、あるいはある国の医療に対する国民の一般的な考え方が変わらないものかどうか。それは歴史的、文化的にこういうものであるから、それは動かせないのかといったら、私はそうではないと思いますよ。
 例えば、相当数の先進工業国で、病院のベッド数をそんなにふやすことなしに、しかも入院日数をむしろ減らしながら高度医療に集中してやってきたというのは、実は昔からそうであったんでなくて、みんながその必要性を理解したときにぐっと変わっていっている。あるいは終末医療のあり方についても、それはある意味では歴史観とか宗教観につながる面もございますけれども、こういうあり方がいいんだということはやはりいい方向へ変わっていくんだと。
 そういうことを考えますと、私どもは変えるべきところは変えていく勇気は持たなきゃならない、それが国民と一緒に議論をしながらいい制度をつくっていくよすがであるということも申し添えなければならないと思っております。
○堀利和君 そういう点で、当然政治家として、あるいは厚生大臣なり厚生省としての責任というのは、このまま手をこまねいていたのでは明らかに保険制度が破綻するというときには、これはもう政治的な決意で、決断で手だてをしなきゃならないというのは、そのとおりだと思うんですね。
 ただ、私が先ほど申し上げたかったのは、そういう際に、やはり国民の医療に対する意識、医療文化といいますか、そういったものも踏まえながら、あるいはお年寄りの世代と若者の世代とでどの程度の意識が共通なのか、また違っているのか、これも私ははっきりしたことは言えませんけれども、そういった世代のスパン、時間の流れを見ながら、やはり国民には十分理解を得ながら、しかしやるべきことはやらなきゃならないときがあると思うんです。そんなふうにぜひ考えていただきたいし、そこは大臣も十分おわかりいただいているところだと思います。そういう生意気なことを言うつもりはないんですけれども。
 そんなところで、今回の医療法なり保険制度の改革を見ましても、やはりそこのところで保険制度のありようとか、医療体制、供給体制の供給側のありようとかがどうも前面に出てきてしまっているんじゃないのかなと。つまり、医療のさまざまな制度を変えるときに私は何を切り口にするかといいますと、私なりの考えですけれども、患者という立場、医療を受ける側の立場でやはり安心して信頼のできる質の高いサービスを受けたいし、そのためにどうするのか。そのことを実現するために制度をこう変えましょうということの説得力の中で、後でも取り上げたいと思うんですけれども、例えば高齢者もふえますから、自然増ということでも当然それは負担が大きくなってくるわけです。そういうような、やはり国民が何を望んで、そのために負担もやむなしなんだとか、そのために制度もこう変えようとかいう形の制度改革ということへの向かい合いだと私は思っています。
 先ほども、午前中も堂本先生がこの改革についての一つの考えとして、予防が非常に大事だと。病気になってから治療にだけ傾注して、そこに専念するんではなくて、まさに健康でいられるようにするということ。ライフステージに応じて、生まれてから亡くなるまでの、本当にその瞬間までいかに健康でいたいという、そういうものをやはりどうやったら実現できるかということだと思うんですね。
 そういう点で、繰り返しになりますけれども、そういった切り口のところが若干伝わってこないのかなと。あるいは国民の側からすると、これは仕方がないことで、負担だけが目につくんですね、どうしても。その辺について、もう一度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 恐らく、堀委員が御指摘しておられることと私たちが考えていることと、基本的にはそんなに違いはないと思うのでございます。けさの堂本委員の御質問の、病気を治すことも大事だが、しかし基本的には健康寿命を延ばすということが大事だよと、そういう全体像を見失うことなしに施策を組み立てていってほしいと。その点は私どもも同じ気持ちだと思います。
 ですから、医療制度そのものに絞ってみても、質のよい医療を提供するということが先であって、断じて高齢者の医療をただ切り捨てるとか、あるいはサービスをお金がないから何でもいいから切ってしまえとか、それから単なるコストを切ることだけを考える、そうなってはいけないと思うのでございます。それは我々全く同じ気持ちだと思います。
 その一方で、やっぱり申し上げておかなきゃならないのは、いい制度でございませんと、やたらと医療費は伸びていったってちっとも国民は健康にならない、あるいはやたらと制度上はいいことをおっしゃっていてもちっとも医療制度が機能しないという場合も私ども歴史的に見ているわけでございます。
 御質問にないのに申し上げてあれでありますが、ちょうど十年前、私が厚生大臣をやっておりましたときに、東ヨーロッパの国は次々と社会が大変な変革に見舞われました。それで、WHOが先導して、各国の先進国の厚生大臣を集めて、一体どうやってこの東欧諸国の医療制度を立て直すかという議論をやった。そのとき、私、びっくりしましたのは、制度上は、当時の共産政権の制度でございましたが、医療費は全額国が持つと書いてある。ところが、末期においては今の医療を支える基金がゼロになりまして、事実上は全額患者負担になっていた。つまり、そういうことになりますと、制度としてはいいことを書いてありましても、それが社会の中で機能しなければだめなんですね。
 ですから、日本の経済社会がこういうふうに変わってくる中で、やっぱり我々が目指していく医療制度というものも社会の中できちっと機能するものでなければならないという視点は持たなければならない、これは堀委員も恐らく同意をされることだと思っております。
○堀利和君 私も後ほど議論したいと思いますけれども、もう負担増は私は避けられないという意味で、それをみんなでどうお互いに合意しながら負担していくかという観点も含めて、当然、医療制度、保険制度が壊れたら大変なことですから、そこはもう私も大臣と全く同じであります。
 それから、もう少しそこで言わせていただきたいのは、やはり国民皆保険というのは私は大変すばらしいと思っています。貧富の差のない医療をある程度受けられるということは大変すばらしいことなんですね。それで、中には自由診療あるいは混合診療という提案、提言される団体なり個人もいらっしゃるわけですけれども、国民皆保険制度の一つの大きな利点というかメリットは、結果的には統制経済的な側面がありますので、医療費の総額をある程度コントロールというか抑えることができると思うんですね。その上で、先ほど申し上げたように、どこでもだれもが医療にアクセスできるということで、ここの基本は維持すべきだろうというのが私の考え方なんです。
 今申し上げたように、混合診療なり自由診療というのは、確かに余力のある、負担能力のある方々がそれなりに見合った高度な医療を、よりよい医療を受けるというのはそれはそれで自由なんだといえばそうなんですが、私はそういう形のいわゆる混合診療なり自由診療ということで、私的な保険なり自立投資ということでこれを認めて拡大していくと、やはり公的な国民皆保険制度そのものが、保険料なり税で支えてきたものが侵食されて、そして社会資源としての医療の分野が混合診療なり自由診療の中でどんどんパイが広がっていって、それに引きずられるような形で、結果的に私は国民皆保険の財源も膨らんでいってしまうんではないのかなというふうに心配もするわけであります。
 そういう点では、現在の国民皆保険制度の根幹は維持して、ある程度の混合診療なり自由診療の主張は規制緩和で理解できないわけじゃないけれども、そこはある意味で国民の全体の立場に立って、このすばらしい国民皆保険制度というものは私は維持すべきだと思うんですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 混合診療につきましては、ただいま先生から御指摘いただいたことと基本的には同じ考え方でございます。
 現在、混合診療については原則禁止をされております。その考え方、根拠となりますのは、患者負担が不当に増加するということを防止する、これが一点目でございます。二点目は、有効性、安全性の確立していない診療行為を回避するという理由が挙げられております。
 今後も、医療の本質的な部分に関しまして、費用徴収を自由化するということについては、医療の標準化や医療にかかわる情報提供等の環境整備が行われているかなどについて十分な国民的議論をする必要があります。そして、不当な患者負担の増大を招くことを回避するため、慎重に対応すべきであるというふうに考えております。
 ただ、一方では、本質的な部分ではない部分ということも当然あるわけでございます。現行の制度におきましても、先端的な医療技術や特別な療養環境などについては特定療養費制度というものがございまして、一部負担金とは別に費用を徴収できることとしてきたところでございます。
 したがって、本質的な部分につきまして、混合診療についてはさまざまな問題があるということを指摘しつつ、同時にアメニティーを含めたさまざまな医療に関しての国民のニーズというものが多様化している部分については、この特定療養費制度を活用していくことが必要ではないかというように考えております。
○堀利和君 次に、少し話は変わりますけれども、当然医療分野でも、今政府が進めているIT革命という観点からすれば、国民が受ける医療の質を落とさないように、配置基準を落とさないようにと考えれば、じゃ、どこがある程度効率よく経費削減できるかというと、私はIT革命、情報技術、機器等を活用して、レセプト処理などの事務的な業務というか、作業のところで効率性を図ることで経費を少しでも削減すべきかなと思いつつあるんですが、その辺の現状と今後の取り組みについてどのようにお考えか、お聞かせください。
○政務次官(福島豊君) 医療の分野におきましてもIT化というものを進めていく必要があるというふうに私どもは考えております。具体的に現状がどうなっているのかということについて御報告をさせていただきたいと思います。
 まず、レセプト処理につきましては、業務の軽減や事務処理の迅速化が図られるように、磁気媒体で提出できるように、これはレセプト電算処理というふうに言っておりますけれども、これは推進をしておるところでございます。
 このレセプトの電算処理に係ります受け入れ体制につきましては、平成十年度に都道府県の審査支払い機関の電算処理機器等の整備を行いました。全国どこでも磁気レセプトの受け取りや処理が可能となる体制が整っております。一方、レセプトを提出する側の医療機関でございますけれども、本年十月現在では二百五十四の医療機関が参加をいたしております。近年では国立病院や社会保険病院などの大病院の参加が進んできておるところでございます。
 こうしたレセプトの電算処理の推進によりまして、医療機関の請求事務の効率化や審査支払い機関の事務の効率化が図られると考えております。今後ともその推進に向けて計画的に取り組んでまいりたいと考えております。
 これ以外にも、病院におきますカルテの電子化ですとか、そしてまた医事会計の電算処理の推進など、これは医療機関の業務の効率化に大きく資するものであろうと思います。効率化を進めながら医療の質を保つという意味で、今後とも医療分野におけるIT化に私どもは取り組んでまいりたいと考えております。
○堀利和君 次に、精神病床、精神病院について、精神障害者の問題について取り上げたいと思います。
 障害者プラン、七カ年戦略を策定する際に、精神病院には余りにも社会的入院が多過ぎる、二割から三割はいるというふうにも言われる中で、しかしプランを立てた際にはそこまで社会復帰を見込むことができなかったという苦い経験がございます。私は、何よりもまず、社会復帰施設なり地域生活支援のシステム、そういう形で精神病者、精神障害者が一人でも多く退院して、地域生活を送れるように福祉的施策を充実しなきゃいけないというように思っております。ただ同時に、もう言われてもおりますけれども、余りにも精神病院の療養環境が劣悪だということで、人権侵害さえ起こっているというのが現状であるわけです。
 そこで、現行医療法における精神病床の人員の配置基準についてお伺いしますけれども、昭和三十三年に事務次官通知なり医務局長通知で、本則と違って、精神病の患者を収容する病院において医師の確保が困難な事由がある場合には、暫定的にこれを考慮し、運用することもやむを得ないことということで、これを知事が判断するわけですけれども、このいわゆる精神科特例の基準、配置がどうなっているのか。
 今回の法改正では、要するに病床区分の制度化ですから、いわゆる特例化というのがなくなって、本来、特例というのは暫定的にやむを得ないというものを、病床区分を制度化することで特例というのが消えて、本則といいますか、それでよしとなってしまう懸念があるんです。当然そこは私は見直すべきだと思うんですけれども、その辺の状況はどういうふうになっていますでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 先生御指摘のように、事務次官通知によりまして精神科特例というものが現在存在するわけでございます。その精神科特例に定めております人員配置基準は、医師が入院患者四十八人に対して一人、看護婦は入院患者六人に対して一人となっております。
 今回の医療法改正におきましては、精神病床の人員配置については新たに厚生省令で精神疾患の特性にふさわしい基準を定めることといたしております。その内容につきましては、公衆衛生審議会から精神病床以外の病床とできるだけ格差のないものとすべきという意見をいただいておりまして、これを踏まえて、現在、同審議会の精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会において審議をされているところでございます。
 私どもとしましては、この審議を踏まえ、精神病の患者のさまざまな病態に応じた精神病床にふさわしい基準を定めたいと考えております。
○堀利和君 これは昭和三十三年、もう四十年ほど前から国際的にも批判されている事柄なんですね。何ゆえ精神病床、精神病院ではこれほど人員配置基準が低くていいのかということですけれども、この現行の基準は今日においても合理的だというふうにお考えなんでしょうか、どうなんでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 精神科特例が通知されたときの精神科医療の状況について若干御説明いたしますと、これは古い数字でございますけれども、昭和二十九年の数値がございます。百三十万人の精神障害者のうち、入院を要する患者は当時四十六万人というふうに推定されておりましたけれども、精神病床はその十分の一にも満たない状況でございました。精神障害者に適切な医療を提供できないということにかんがみ、医療法の中で精神科病床について人員の配置基準等を特例として設けて精神医療の充実を推進してきたと、まずそういう対応をすることが必要であったということだろうというふうに理解をいたしております。
 その後、この精神科特例についてさまざまな議論があったということも承知をいたしておりますけれども、限られた医療資源の中で精神病床の整備を推し進める。その間、人員配置について診療報酬上の引き上げを図ったりとか、そしてまた精神保健福祉士や作業療法士などのコメディカルスタッフの養成を進めるなど、さまざまな形で精神病院の治療環境の改善に努めてきたことも一方では事実であったというふうに私は思っております。
 今回の医療法改正によりまして、新たに定める人員配置基準については、精神疾患の特性に十分配慮しつつ、一般の病床とできるだけ格差のないものとすべきであると、先ほど申し上げましたけれども、公衆衛生審議会の指摘というものを踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
○堀利和君 私は、やはり厚生省の怠慢だということを一言失礼ながら言わせていただきたいと思います。
 そこで、精神病床の構造設備基準についてお伺いしますけれども、医療法の施行規則では、精神病患者を精神病床以外の病室に収容しないことというふうになっておりまして、さらに精神病室には危害防止のために遮断その他の方法を講ずることという規定がありまして、こういう規定は精神障害者に対して極めて差別的な感情を呼び起こすといいますか、差別を助長する規定だろうと思います。
 そういう意味で、これをやはり改善すべきだと思うんですけれども、少なくとも特別な病室への入院の必要性というのは全く否定できないにしても、それは例外規定というふうに本来すべきだろうと思います。また、一時的な使用に限定している保護室というものが一般病床のように使用されて、医療計画上の病床数に算定されている。人権の観点から見ても非常に大きな問題を感じるわけですけれども、その辺についてどのようにお考えかをお伺いしたいと思います。
 そういう意味で、今回の医療法等の改正に合わせてこの規定等を改正すべきだと私は思っておりましたけれども、まあ今回無理でしょうけれども、その辺についてもどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○政務次官(福島豊君) まず、医療法施行規則の第十六条について申し上げたいと思います。
 第十六条の六項におきましては、「精神病室、感染症病室及び結核病室には、病院又は診療所の他の部分及び外部に対して危害防止又は感染予防のためにしや断その他必要な方法を講ずること。」というふうに書いてあるわけでございます。「危害」ということが書いてあるわけですけれども、これは必ずしも他人に危害を及ぼすことだけではなくて、自分自身を傷つけることもあるということから設けられた規定でございます。しかしながら、この「危害」という言葉が精神障害者の人権上の観点から不適切な表現であるという意見を、先ほども申し上げました精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会においてもちょうだいいたしておりまして、見直しを検討してまいりたいというふうに考えております。
 次に、第十条関係でございますけれども、三項に「精神病患者又は感染症患者をそれぞれ精神病室又は感染症病室でない病室に収容しないこと。」というふうに書かれているわけでございます。これは、精神障害者の方につきましては、その医療と保護を適切に図るという観点から一定の行動制限を受けることがある、そのために設けた規定でございます。しかしながら、合併症を有する場合など、合理的な理由がある場合には一般病室に収容するということを認めているわけでございまして、そうしたことが妨げられているわけではございません。
 保護室につきましては、これは公衆衛生局長の通知でございますけれども、その基準について、時には普通病室として使用し得るような配慮も必要であると、さまざまな人権に配慮した形でその整備がなされるように定められております。そしてまた、医療法上の許可を保護室についても受けているということから、医療計画における病床数として取り扱うというふうに定めているところでございます。
 以上でございます。
○堀利和君 わかりました。
 とにかく私自身の問題意識は先ほど申し上げたところでございまして、時間がありませんので先に進ませていただきます。
 次に、国際人権規約についてお伺いしたいと思いますけれども、人権規約には二つございまして、一九六六年に国際連合が採択した基本的人権条約、つまり社会権規約と自由権規約でございます。我が国は一九七九年にこれを批准しております。したがいまして、法的にこれを遵守するという義務があるわけですけれども、これについて現状どのようにお考えなのか、まずお伺いしたいのが一つです。
 さらには、社会権規約の二条、自由権規約の二条と二十六条は、今のことをさらに直ちに実施しなければならない義務があるというふうにさえ言っているわけですけれども、現状についてはどういうふうに御認識なのか、お伺いしたいと思います。
○政務次官(福島豊君) 先生御指摘の国際人権規約、すなわち社会権規約及び自由権規約につきまして、我が国は締結国でございますので、憲法九十八条第二項に従いましてこれを誠実に遵守をするということが必要であると、そのように考えております。
 御指摘の第二条につきましてでございますけれども、平等に関する原則につきましても我が国は遵守する必要があると考えております。
○堀利和君 そこで、社会権規約委員会は、締約国の政府報告書をもとにしまして、各締約国の政府の活動を活性化するために一般意見、ゼネラルコメントを既に十四まで明らかにしておりまして、出しておりまして、その規約十二条は健康に関する権利というのが示されているわけですけれども、この点についてどのように御認識されているか、お伺いしたいと思います。
 また、一般意見ナンバー十四には「健康は、他の人権を行使するためにも、基本的で不可欠な人権である。」ということを言っておりまして、十二のaの「供給の可能性」というところにつきましては、医学的専門家の人材供給に言及しております。十二のbの「利用可能性」という項目のところで、保健ケア施設、物資、サービスについては差別のないアクセスにしなきゃならぬというふうに言及しているわけです。
 さらには、二十六の項目のところでは障害者に触れておりまして、障害者において、公的セクターのみならず、私立のサービス提供者もまた障害を持つ人々への非差別の原則ということで、原則を強調しているわけですけれども、現行の医療法、いわゆる精神科特例との関係、この社会権規約委員会の一般意見に照らして、この非差別の原則ということをどのように御認識なのか、お伺いしたいと思います。
 さらに、来年の八月までに日本政府は政府の報告書を提出しなければならないわけですけれども、当然原局として厚生省はその任に当たると思うんです。この精神障害者の医療サービスへの差別のないアクセスというような観点からもどのように取り組むのか、そういう点での御努力を期待しながら、お伺いしたいと思います。
○政務次官(福島豊君) 先生から御指摘のございました障害者の権利と社会権規約第十二条「健康の権利」におきまして、保健サービスに対してのアクセスについて公平に、平等に提供されなければならないということが定められているわけでございますけれども、我が国におきましても、医療サービスの提供に当たりまして、精神障害者の方に対しても必要な精神医療サービスが差別なく提供されるということが必要である、そのように考えております。
 一方で、精神病床の基準ということでございますけれども、これは広く精神疾患の特性に応じた医療を確保するために設けられたものでございまして、精神障害者に対しての保健医療サービスの提供というものを差別するものではない、したがって社会権規約に違反するものではないと、そのように厚生省としては考えております。
 そして、今回の医療法改正におきまして、先ほどから御説明いたしておりますように、精神疾患の特性に応じて質の高い精神医療サービスを提供できる新たな省令における基準を定めることといたしておりまして、そうしたことを踏まえて、来年の日本政府の報告書の作成というものに当たることになろうかと思います。
○堀利和君 私は、政府が自分に都合の悪いような報告書は恐らく書かないのでしょうと思っているんですね。確かに、制度上といいますか、形式的には条約のもとですから、国内法というのは整備されているというふうになってしまうと思うんですね。
 しかし、先ほどから現行法の精神科特例のことを取り上げてまいりましたけれども、これは当時の事情は当時としてあったにしても、つまり暫定的であったものが四十年間続いて、それが今日に至っているわけです。今回の医療法改正のもとでは病床区分ということで、今度はもう特例というふうにはならないわけですね。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 精神病床の配置基準として、言うなれば法律として、特例ではなく、定められるわけです。一見これは極めて合理的に見えますけれども、私としては、特例化、特例化基準という以上は何とか特例でないように水準を上げようという努力が本来あると思うんですね。
 私は、先ほど申し上げたように、どうも厚生省はそこを怠慢に、やってこなかったというふうに御指摘させてもらいましたけれども、しかし特例という以上は何とか本来のあるべき姿にしていこうという後ろめたさを持って私は本来努力するところが、今回の法改正ではこれが病床区分でいわゆる考え方としては特例でなくなってしまう。つまり、現状のままで、もともとが特例と言われたものが法改正によってただ特例でなくなってしまって、いわゆる法律上はそれでよしとされてしまう。これは私は本来の解決の仕方ではないと思っています。
 確かに、一般病床なり療養病床なり、そういう形での、大きな枠組みでの医療供給体制の改革ではあるけれども、そうなればそうなったで、今御検討中というふうに、審議会で進められているということもお聞きしましたけれども、やはり厚生省としては、これまで特例化であったものが特例がなくなったからやれやれというふうには、ぜひそのような対応はしないでいただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
 次に、今回の法改正でもコスト意識を高めるというふうにも言われております。
 労働組合の連合が明細書を明らかにした形での領収書を請求する運動をしております。私は、こういうきちんとした明細を見ることで患者が自分がかかった医療の中身を細かく知ることもできますし、そういう意味ではコスト意識も出てくる。したがって、そういう点ではよりよい医療サービスというのも患者として考えていかなきゃならない。そういう点で、この明細書の領収書についてどのようにこういう請求を評価し、今後どういう形で厚生省としては取り組むおつもりか、お聞きしたいと思います。
○政務次官(福島豊君) 先生御指摘のように、内容のわかる領収書の発行というものは、患者に対しての適切な医療情報の提供の観点から重要であると私どもも考えております。
 本年度の診療報酬改定時におきます中央社会保険医療協議会、中医協の審議を踏まえまして、本年三月に各保険医療機関等は体制を整え、医療費の内容のわかる領収書の発行に努めることについて改めて周知徹底がされたところでございます。これは、日本医師会を初めとしました関係団体におきましても同様の趣旨の周知徹底が図られたところでございます。
 今後とも、こうした各医療機関における積極的な対応が前進するということを期待いたしておりまして、こうした措置の状況というものを踏まえて、今後の対応というものを検討してまいりたいと考えております。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
○堀利和君 ぜひ前向きにお願いしたいと思います。
 次に、ことしの厚生白書では新たなイメージのといいますか、認識の高齢者像が示されたわけです。私は、確かに高齢者すべてが弱者だとかお気の毒だとか、かわいそうだというふうには思いません。単なる保護の対象というのでもないはずなんですね。これまで障害者も往々にしてそのような見方をされてきましたけれども、必ずしもそうではないわけです。ただ、もちろん自力でといいますか、自分の持っている力で自立生活ができるかというと、なかなかできない。そういう方には行政あるいは社会的にも十分な支援、援助というのはもう当然必要だと思うんです。
 話が行ったり来たりしますけれども、私はそういう意味で、これからの社会を構成する一員として高齢者も当然責任を負わなきゃならないと思うんです。そういう意味でのゆとりある社会なり、これからの高齢社会づくりに一つのイメージとして、私も同様なんですけれども、大臣もその辺についてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 委員述べられたとおり、高齢化が進んでまいりますけれども、二十一世紀に日本の社会がいい社会であり得るかどうかは、高齢者を含めてできるだけみんなが元気で活力がある状態でいていただくことに尽きると思います。そういう意味で、みんなで社会保障を支え合ってセーフティーネットをしっかりと構築していく、そして力のある方、元気のある方は健康寿命を延ばして社会活動をする、それが大事なところだと思います。
 そのような観点から、一体高齢者がどういう状況になっているかやっぱりしっかり調べてみる必要があるということで、厚生白書におきまして高齢者の社会的、経済的実像についていろいろ分析を行ったわけでございます。
 そこから浮き彫りにされてまいりましたことは、かなり経済的に力のある方もある、それから総じて年金制度が発達をしてまいりましたから、昔考えられたよりも、平均的な高齢者というのは一定水準の所得を確保しておられる方が多い。その一方で、やはり大変に問題を抱えている方々もある。例えば、一例を挙げると、専業主婦であった方々が御主人を亡くするとか、あるいは御主人が退職をされたような場合とか、両面がちゃんと浮き彫りにされてきていると思うんですね。そういう実態を踏まえながら、みんなで、力のある方はそれに応じて参加をしていただくという高齢社会づくりをしていこうということでございまして、委員のお考えはこの白書が意図した線に沿っておるものだと思います。
 そういう立場から申しますと、例えば今まで高齢者は気の毒であるから負担はない方がいい、そういう議論は私は我が身に照らして理解ができないんですね。私は、例えばいい医療をしていただいた場合に、そのコストの中で私ができる部分はやっぱり若い人にかぶせるより私は払いたいんですよ。ところが、今までの考え方だと、一切高齢者から取っちゃいけない、自己負担はだめだとおっしゃるから負担もできないじゃありませんか。だから、こういうことは改めていただきたいということも申し上げざるを得ないわけでございます。
 今後、社会保障の負担が増加していく中で、給付の増加の大半が医療の場合は高齢者を対象とするものであることを考えますと、高齢者の経済的能力や心身の状態が一様でないことに十分配慮しつつも、高齢者にもそれぞれの能力に応じて若い世代とともに負担を分かち合っていただく。堀委員も御賛成であろうと思っております。
○堀利和君 そこで、私なりに今の問題で申し上げたいんですが、給付と負担ということのありようは大変重要で、高齢者すべてが弱者だから何でも無料でとか、負担をさほどしないままに給付をというふうには、もう認めるか認めないかではなくて、どうもそうはなっていかないだろうと思うんですね。みんなで支え合う、つまり現役世代と高齢世代、高齢世代の中で支え合うも含めて、私はそうなっていかざるを得ないんだろうと思うんです。そのためには、効率のいい、むだのない給付というものがどう実現できるのか、そしてそのあるべき給付を支えるための負担が公平、公正、透明のもとでどうできるのかということだと思うんです。
 つまり、私は何を言いたいかといいますと、高齢者はみんな弱者だよとなると余り負担をしなくていい、そうすると、そういう社会はこれからなかなか難しいわけですけれども、余力のある方も含めて負担をしなくてもいいということの不公平感というのが、やはり社会保障一つとってもその信頼性を維持するというのは大変難しいと思うんです。
 ではもう一つ、今度それを動かして、みんなが負担をすべきで、低所得者も関係なくすべきだとなると、これはまた大変な話なんですね。ただ、それぞれの負担能力に応じて負担すべきだよというときには、その一人一人の高齢者がどこまで負担能力があるかということをきちっと把握し、とらえなきゃならないと思うんです。そうすることで、逆に負担能力の非常に厳しい方はしなくてもいいよということが、私はそこははっきりしてくると思うんですね。
 厚生省は、介護保険にしろ、今回の一割負担にしても、なかなか低所得者という定義が、把握ができないんだということをずっと言われているんです。私は、高齢者も一人の個人として負担をするという以上は、きちんとそこの低所得者の定義をして、把握をして、払っていただくべき方にはきちっと払っていただく、だからこそ払えない方々にはきちんとした支援、援助をするというめり張りをつけることが私は必要だと思うんです。そのことのめり張りをつけるためには、すべて弱者だよというよりは、負担能力のある方には少し負担していただこうというシステムで、結局、払えない方は払えなくても結構ですというのがはっきり見えてくると思うんです。
 そういう意味で、大臣の言われたことなり厚生白書の書かれていることを支持するわけです。高齢者はとにかく負担するんだったら全部負担しなさいということを私は認めているわけではございませんので、そこを誤解のないように指摘させていただきながら、そこのところのめり張りをしっかりしていただきたいということなんです。
 もう一度、大臣、そこのところを、私の思うところが伝わったかどうかも含めてお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(津島雄二君) 全くそのとおりだと思います。そして、恐らく次の社会的な要請は、それぞれの方に、国民一人一人について、おおむね必要な限りにおいて経済的な力が把握できるようになればいいなという議論は出てくると思いますが、これもまたプライバシーの問題があるから慎重に議論しなきゃいけませんけれども、お考えは私は賛成であります。
○堀利和君 時間がありませんので、一つだけ最後に。
 抜本改正、十四年までにやるというのであれば、なぜ附則にそれを明記しなかったのか、最後にそれをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 医療制度の抜本改革につきましては、平成九年より関係審議会などによって鋭意検討を行ってきましたが、テーマが極めて広範に及び、かつ関係者の利害が錯綜したため、議論の取りまとめができなかったわけでございます。幾多の議論を経て、本年度より、抜本改革の一環として、薬価制度や診療報酬について、薬価差の縮小や高齢者の慢性期入院医療における包括化などを進めてきたところでございます。
 今回の健康保険法や医療法の改正案は、医療保険制度の安定を図るとともに、良質で効率的な医療提供体制を確立することを目的とするものでございまして、抜本改革に向けての第一歩と考えているところでございます。
 御指摘の附則の規定で抜本改革の時期について明示しておりませんが、厚生省としては、これまでの取り組みを踏まえ、平成十四年度を目途に改革のための具体的措置について取りまとめ、制度改革を行ってまいる方針でございます。
○小宮山洋子君 民主党の小宮山洋子でございます。
 私は、患者の立場、生活者の立場ということで、持ち時間四十分でございますので、私にもわかるように、わかりやすく簡潔に御答弁をまず最初にお願いしたいと思います。
 最初に、制度の抜本改革について伺いたいと思います。
 何人かの委員が既に伺っていますけれども、たび重なる抜本改革へのいわば約束違反、負担だけ押しつけられることに国民は怒っていると思います。先ほどから再三国民と一緒に議論をとおっしゃっているのに、そうなってこなかったから、なぜ先送りかわからないから怒っているのだと思うんですが、抜本改革を今年度行うこと、それは政府の公約でもあったはずなのに、なぜまた先送りされたのかをわかりやすくお話しいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) その点についてはもうずっと御議論をしてきたとおりでございまして、医療制度の改革というものが多くの方にいろいろな影響を及ぼす非常に広範にして困難なテーマでございますので、議論の取りまとめに至らなかった経緯は、恐らく政府・与党ばかりでなくて、国会に身を置いている方はほとんど肌で感じてこられたと思っております。
 本年度より、抜本改革の一環として、薬価制度や診療報酬について、薬価差の縮小や高齢者の慢性期入院医療における包括化などを進めてきたことは御承知のとおりでございます。
 今回の健康保険法や医療法の改正案は、医療保険制度の安定を図るために良質で効率的な医療提供体制を確立することを目的としたものでございまして、抜本改革に向けて第一歩を踏み出そうというものでございます。
 残された主要な課題、幾つかございますけれども、高齢者医療制度のあり方、それと関連して医療供給体制をどうするかという問題でございますが、老人医療費の今後の伸びの問題、各保険者の負担のあり方の問題等々、まだ解決を得るに至っていない難しい問題がございますけれども、ぜひとも平成十四年度までに意見を集約いたしまして抜本改革を実現したいと考えておるところでございます。
○小宮山洋子君 今、広範で難しい問題とおっしゃいましたが、それは前回の改正のときからわかっていたことなんじゃないでしょうか。その十年の改正のときに法律の付記に明記されたことはどういう意味があるのでしょうか。
 当時の小泉厚生大臣が国民福祉委員会で、どのように抜本的に制度改革をしていくか、ほぼ議論は出尽くしていると思うので、できるだけ早く結論をまとめて平成十二年度実施に向けて全力投球をしていきたいと御答弁なさっています。そしてまた、九年九月の与党の確認事項でも「平成一二年を目途」と明記してありますし、社会保障制度審議会、また医療保険福祉審議会の運営部会でも、緊急的な措置でなく抜本改革がなければ国民の理解は得られないと、前回のときに同じようなことが繰り返されているのではないでしょうか。何をもって平成十四年度と約束をされるのかを伺いたいと思います、改めて。
○国務大臣(津島雄二君) 今おっしゃったような経緯をたどっておりますほど難しい問題でございますが、現在の医療保険制度の現状や高齢者医療の問題等々を考えますともう猶予を許さないところに来ていると私どもは思って、そのように考え、努力をしておるところであります。
○小宮山洋子君 前回もその猶予を許さないことだったのではないでしょうか。そのとき約束されたことが守られなかったのに、次の十四年度はやりますということをどうやってみんなに信用しろというのかということを伺っているのです。
 そして、今回の審議の中でも平成十四年度に抜本改革に着手をするとかいろんな言い方をされていて、十四年度に一体その抜本改革の何がスタートをするのか、全部トータルとして行われるのか、そのようなこともはっきりしないんですけれども、十四年度には抜本改革についてどういう状態になるということをおっしゃっているんでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 委員がいろいろこれまでの大臣の発言を言われたとおり、それは難しい問題です。ですから、答弁してできるのならば、それはそんなに難しくないんです。これから我々がどれだけのことをやるか、それから国民的にどのくらいのサポートをかち取るか、それは我々は最大限の努力をして十四年度に実現したいと私は何度も申し上げているところで、これ以上でも以下でもありません。
○小宮山洋子君 私は、衆議院の厚生委員会での議事録をずっと読みましたけれども、十月十八日、近藤保険局長は、平成十四年度を目途に改革の具体的な措置を提案できるように取り組むとおっしゃっています。そして、二十五日には津島厚生大臣が、平成十四年度には抜本改革に着手したい、あるいは十四年から取りかかれるようにするとおっしゃっています。そして、十一月一日には大臣は、平成十四年度までに抜本改革の全体像を示し実施できるものから実施する、十四年度中に実施できないものも出てくるとおっしゃっています。
 そこのところを、難しいということはもうみんなわかっていることですので、どういうことを十四年度までにトータルとして抜本改革が実施できるのか、そのあたりを再度伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(津島雄二君) 今いろいろお読みになった中で、私は言っていないこともありますよ。いや、議事録の中で一つ、実施できないものは実施できないなんとは申し上げておりません。
 私は言葉の遊びはしたくありません。ですからもう一遍お答えをいたします。
 医療制度の抜本改革については、引き続き高齢者医療制度の見直しなどに全力を挙げて取り組み、平成十四年度の改革を実現したいと考えております。それ以上でも以下でもありません。
○小宮山洋子君 何度も繰り返し質問をして申しわけないんですが、わからないのでもう一度。
 十四年度の改革をということは、そこからスタートするということなんですか、なかなか難しいと思いますが。トータルあるうちのまたほんのちょっとだけをやって、あとはまた先送りということにならないということを、もう一度お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 先ほど御答弁したとおりでございます。
○小宮山洋子君 なかなか私はわかりません。納得がいきませんが。
 先ほど、午前中の清水委員へのお答えの中で、国会で議論をする、これを超える議論はない、政治のリーダーシップでとおっしゃっていますが、十四年度から実施をするということは、国会で議論をするためには来年の通常国会にはある程度のたたき台が出て議論をしないといけないのではないかと思うんです。これも、衆議院の委員会質疑の中で津島厚生大臣は、改革案を出すと約束するほど私は政治経歴が短くないと、これはここに書いてございますけれども、お答えになっているんですが、これは先ほどからおっしゃっていることとどういう意味合いのお話だったのかを伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 今の委員の私の答弁の読み方も正しくありませんよ。私がお答えしたのは、あれはどの委員に聞かれたかちゃんと覚えています、その御質問に簡潔にとか短絡的にと言ったはずです、お答えするほど私は政治経歴は短くないと、こう申し上げたわけであります。
○小宮山洋子君 今申し上げた前段の方の質問ですけれども、これからの手順ですが、国会へはそれではいつそのたたき台が出されて、十四年度、実施できるようになるのでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 大変忙しいことになると思います、平成十四年度の改革を実現するために。大変に忙しくやらなきゃならないと思っています。
○小宮山洋子君 私は全然医療保険制度の専門家でも何でもございませんので、もちろん国会議員ではございますから御質問をしているんですけれども、生活者の立場、国民の立場から伺いたいと申し上げたので、こちらの永田町の用語でお答えいただくとわからないのですね。
 忙しいということは、めどとしてはいつごろまでに国会にお出しいただけるのか、十四年度実施ということはやはり来年中の国会の中で審議をしなければできないわけですから。そこのところをもう一度お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 来年中に議論しなきゃ実現できません。
○小宮山洋子君 どうもストレートにお答えいただけないので私は混乱してしまうのですが、来年度中にやらなければいけないということは、来年度中に国会に提出をなさるということですね。イエスかノーかでお答えください。
○国務大臣(津島雄二君) 当然そういうことになると思いますよ、提出しなきゃ議論できませんから。
○小宮山洋子君 もう一回伺います。
 来年度中に法案を提出されて審議をするのですねということを伺ったのです。
○国務大臣(津島雄二君) そうでなければ実現できないと思います。
○小宮山洋子君 わかりました。
 次に、抜本改革をしないままの今回の健保法改正の目的、そして老人の薬剤一部負担制を実質廃止したこととの関係について伺いたいと思います。
 老人の薬剤一部負担は、薬剤に係るコスト意識を喚起して薬剤使用の適正化を図る観点から九年の法律改正で導入されてきた。それで、午前中の審議でも、これは財政上もそれから投与量の減少という意味でも効果があったとおっしゃっていますが、その効果があったものを今回廃止するのはなぜなのか、お聞かせください。
○政務次官(福島豊君) 今回の改正におきましては、高齢者の皆様に定率一割負担というものを求めているわけでございます。これはさまざまな理由がございますけれども、一つは若人の定率負担とのバランスの問題、そしてまた全体として負担を分かち合うという観点、さらにコスト意識を喚起する、そういうようなことが理由でございます。
 この定率一割負担におきましては、従来の定額負担と異なりまして、薬剤に係る費用も包括して定率の一割負担を求めるということでございます。この観点から、薬剤の別途一部負担というものは廃止をさせていただいたということでございます。
 そしてまた、薬剤の別途一部負担につきましては、医療費に占める薬剤費の割合が日本においては諸外国に比べると大きいのではないか、そしてまた薬価差ということがあるのではないかというような御指摘もあったわけでございます。これにつきましては、本年度の薬価の見直しにおきまして、薬価差の解消のためにR幅を一律二%にするという改革もいたしましたし、そしてまた先発品と後発品との間の新たな薬価算定のルールの導入に向けての検討のための組織も設置をしたということで、薬価をめぐるさまざまな課題については別途負担ということではない措置も同時に進めているということから廃止をしたわけでございます。
○小宮山洋子君 この廃止には、これも午前中の審議でもございましたが、日本医師会が自民党に働きかけて覚書を交わしたことが背景になっているというふうに聞いています。午前中は厚生省や与党へも働きかけがあったとはお答えになっていますが、そして衆議院の質問でもあったと思うという答弁がされていますけれども、日本医師会と自民党の間に覚書が交わされたということがあったのかどうかを伺いたいと思います。
○政務次官(福島豊君) 私はそうした経緯について存知する立場ではございませんけれども、医療制度の考え方とすれば、そういったことがあるとかないとかということ以前に、当時、薬剤の別途一部負担を導入するに当たって、制度が非常に複雑である、高齢者の方にとってもわかりにくいという御指摘が当初からあったことも事実でございます。そしてまた、平成九年の健保法の改正の段階で、むしろすっきりと定率一割負担を導入した方がいいのではないかというような御指摘が一方であったことも事実でございます。
 そういうことを踏まえますと、そういう政治的な経緯ということは別としまして、今回私どもが改正案を出すというのは、当時の議論も十分踏まえた上での御提案になっていると私は考えております。
○小宮山洋子君 今回の一部負担の実質廃止につきましては、平成十一年度の予算編成時にその一部負担の免除を決定して臨時特例措置として千二百七十億円を計上し、そのように行ったことについて、医療保険福祉審議会の運営部会、これは塩野谷さんが部会長をしていらっしゃるところですけれども、この特例措置について、今後かかるルール無視、審議会軽視の措置を重ねて行うことのないよう申し入れるという異例の意見書が取りまとめられておりますけれども、このことと今回実質廃止することとの関係といいましょうか、こういうことがあるのに今回廃止したというのはどうも私はまだ納得がいかないのですけれども。
○政務次官(福島豊君) 塩野谷委員長の取りまとめられたその意見書につきましても、さまざまな立場の方、そしてまたさまざまな意見が交わされ、そしてまたそういう議論の中で出されてきたものであろうというふうに私は思います。
 しかしながら、今回薬剤一部負担を廃止するという観点については、これはそういう経緯は経緯としまして、制度の簡素化という観点からいえば適切なものであると私は思います。
○小宮山洋子君 今のことについて、大臣からもお答えを伺いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 総括政務次官の御答弁のとおりでございます。
○小宮山洋子君 審議会というのは、今直接国民がなかなか審議に参加することができないわけですから。審議会というのは国民の代表ですよね。国民を交えて一緒に議論をしていこうというのに、その審議会から出たことについてそういうお答えというのは私は納得できないのですが。
○政府参考人(近藤純五郎君) 私も日本医師会と自民党の間のいきさつの詳細については存じ上げませんけれども、これは十一年度予算の予算編成の過程だったと思いますけれども、その過程の中で与党の方から御提案もございまして、予算編成というのは政府と与党が合意の上で作成していく、こういう過程でございますので、与党と政府においていろいろ協議した上で老人につきまして薬剤の臨時特例措置を十一年の七月から実施すると、こういうことで予算化になったわけでございます。
○小宮山洋子君 そこには国民の意見というのは入ってこないわけですね。
 このことをこれ以上伺ってもしようがないと思いますが、今回、老人の薬剤一部負担制を実質廃止して、それで先ほどのお話にもありましたけれども、若い人の負担はまだ続くわけですね、その一部負担を廃止して定率制にしたことについて、若い人とのバランスをというお話が先ほど次官からありましたけれども、薬剤費の負担を若い人に残すということは、そのバランスからいうとどういう御説明になるのでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 当初、若人の薬剤の一部負担につきましても廃止するという検討を進めたわけでございますけれども、しかしながら財政的に薬剤一部負担の廃止にかわる財源の確保というものが同時に必要となります。その解消に向けて我々は今後も検討を進めてまいりたいと思いますけれども、財政にかかわる検討も同時に必要であるということから直ちに実施することにならなかったという経緯でございます。
○小宮山洋子君 そうしますと、若い人の部分の薬剤の一部負担も将来は廃止されるということでよろしいんでしょうか。
○政務次官(福島豊君) そういう方向で検討を進めていく所存でございます。
○小宮山洋子君 今回、薬剤の一部負担制を実質廃止して定率制という形をとることについて、定率制にしても老人の負担は現行と大きく変わらないというふうにおっしゃっていると思うんですけれども、その大きく変わらないという根拠をお示しいただきたいと思います。
○政務次官(福島豊君) 個々のケースによりましては、この委員会でも御指摘がありましたように、老人の自己負担というものがふえる場合もあれば減る場合もある。さまざまなケースがあるということは事実でございます。しかしながら、全体として考えますと、現行における老人の医療費に占める自己負担というのは、これは薬剤の一部負担を含めてでございますけれども、七・七%でございますが、今回の改正によりましてこれは七・九%になります。〇・二%の変化であるということから大きな変化ではないというふうに私どもは申し上げております。特に、外来につきましては七・一%のものが七・二%、そして入院につきましては八・三%のものが八・六%、そういう内訳になります。
○小宮山洋子君 今回の定率負担の意味合いにつきまして、医療を受ける人と受けない人との均衡を図る、コスト意識を喚起するという御答弁が当初あったかと思うんですが、審議の後半の方になりまして、医療機関によっては終末医療などもあり、コスト意識が見られないケースがあるからという、医療機関のコスト意識の方にどうも答弁が変わってきているのではないかという印象を持つのですが、定率負担の意味合いについてはどちらにウエートを置いていらっしゃるんでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 委員会での答弁につきまして先生から御指摘いただいておりますのは、別の箇所での議論を御指摘いただいているのではないかという気もいたしますけれども、いずれにしましても、コスト意識というのは、医療を受けるサイド、そしてまた医療を提供するサイド、両方に関するものであると私は思います。
○小宮山洋子君 ということは、受ける側の人と医療機関と両方のコスト意識を促すと。その医療機関のコスト意識というところで終末医療などもあってコスト意識が見られないケースがあるというのは、終末医療はコストを考えて余りやらない方がいいということではないわけですね。
○政務次官(福島豊君) これはさまざまな議論があります。例えば、一カ月に一千万円以上の医療費を使うようなケースで、実際に生存率というものがどのくらいあるのかというような報告が今までにはなされたこともあります。それに対して、これは厚生省がということではなくて、さまざまな立場の方からこういう形での医療費の、医療資源でございますけれども、医療資源の使用というものが、果たしてその医療を受ける患者さんのクオリティー・オブ・ライフの改善につながるわけでもないのでどうなんだろうかという指摘があるということは事実だと私は思います。
 これは、お金がかかるからそれはけしからぬというような意味では決してございません。そうではなくて、医療を受ける側、先ほども先生がおっしゃられましたけれども、受ける側にとって本当にいい医療というのは、とにかく最後までたくさん薬を使って、最後まで人工呼吸器を使ってさまざまなことをするということが果たしていいことなんだろうかどうなんだろうかという議論があるということは事実でございますし、これについては、厚生省としてこうでなければならないという意見を現時点で持っているわけではございませんけれども、マスコミにおきましてもそういうことについての特集が最近散見されるようになってまいりました。国民の間での議論というものは十分必要だと私どもは思っております。
○小宮山洋子君 確かに、医療費がこれだけ膨大になってくる中で、コスト意識ということがわからないわけではありませんけれども、やはり先ほど大臣もセーフティーネットが大事だとおっしゃいましたよね。安心して受けられるセーフティーネットというところにやはり私はウエートが置かれるべきだと思いますので、そのあたり、患者の側が、コスト意識が余りに重視されるために自分が受けたい医療が受けられないのではないかという心配を持たないような表現をしていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 次に、高額療養費の自己負担限度額の見直しについて伺いたいと思います。
 標準報酬月額五十六万円以上の上位所得者について限度額を十二万一千八百円に引き上げたこと、そして限度額を超えた医療額の一%を上乗せするということが今回の改正で行われようとしていますけれども、それによって財政上どれぐらいの効果があるのか、それとその患者の負担とのバランスをどうお考えなのかということを伺いたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 高額療養費によります影響額でございますが、満年度ベースで六百五十億でございます。
○小宮山洋子君 今おっしゃったのは、上位所得者をつくったことと、それから一%上乗せしたことと、それぞれどういうふうになっていますか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 申しわけございません。
 合計六百五十億でございまして、上位所得者をつくることによりまして四百六十億、それから一%ということで約百九十億でございます。合計いたしますと六百五十億程度になります。
○小宮山洋子君 このことによって、高額療養費の制度というのはもともとそういう大変な高額の医療を受けなければいけない人の自己負担額を軽減するというために導入されているわけですよね。そのことの根幹にかかわることなのではないかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 高額療養費の制度の根幹というのは、確かに先生おっしゃられますように、高額の医療を受けた場合に家計が多大な影響を受けることを回避するという観点で設けられたと私も承知をいたしております。しかしながら、一方で、家計で御負担できるような形で高額な医療に関しても負担を分かち合っていただくという観点も、限られた医療資源の中では大切な観点であろうというふうに私は思います。両方の考え方があると。
 そして、今回、上位所得者の区分を新設したということは、これまで高額療養費の水準というのが月収の二二%程度の水準に定められたわけでございますけれども、これは逆に上位所得の方にとっては月収の一一%程度の負担ということで、負担の割合が低くなっているという事実があります。公平に御負担をいただくという観点、そしてまた家計の観点、両方踏まえても、これは一般の方と同程度の御負担をお願いするということは決して無理な話ではないし、負担の公平ということからは私は適切な考え方ではないかというふうに思います。
 そして、一%の上乗せということでございますけれども、これも実際に百万円の医療費でも七万円程度ということでございます。そしてまた、これがずっと続くということであれば家計に対しての影響というのは非常に大きいというふうに私は思いますけれども、低所得の方、そしてまた四回以上続くようなケースとか、そしてまたより高額な医療費を必要とするような血友病等の場合には求めないというふうに、除外規定を設けることによって合理的な形で御負担を求められるような形になっていると私どもは判断をいたしております。
○小宮山洋子君 今、幾つかの配慮があるというお話はありましたけれども、その一%上乗せというところが、ごくわずかの人かもしれませんけれども、その人にとってはかなり大きな負担になる可能性があるのではないかということを心配しているんです。
 例えば、健保連がまとめました平成十一年度の高額レセプト上位者の自己負担額というものを見てみますと、一番多い二十八歳の狭心症の方が、医療費の合計が一月に二千二十四万円余り、これが一般の人でいうと二十六万二千八百三十二円、上位所得者の場合は三十一万八千百二十二円になると。それから、次に多い五十一歳の急性心筋梗塞の方が月額合計で二千十六万円余りかかっていまして、これが一般だと二十六万二千九十四円、上位所得者では三十一万七千三百八十四円。このように一千万を超えている者というのがこうずらっとあるんですけれども、こういう方たちにとってはかなり重い負担なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) まず、委員が引用された資料で申し上げますと、第二位の狭心症の方は二千万で、二十八歳でございますが、残念ながらお亡くなりになっておる。それから、その次の方は二千万でございますが、今治療中であると。それから、あと五位、六位と参りまして、不幸にして成功しなかった方々がずっと並んでいるわけですね。
 それで、高額医療費というのは、確かにその立場になられた方からいえば大変なことでございまして、必要に応じてはどんな所得の方でも立派な高額医療を受けられるようにしなきゃいかぬと、これはもう全くそのとおりだと思います。
 それと同時に、今、私どもの案でございますと、一般の方、高額医療費の平均医療費でいいますと六十六万が平均になっていますね。その方は一般で、今度の案だと六万七千円になる。これをどう考えるかなんです。それからまた、一千万円の高額医療費をかけて立派な治療をしていただいて、一般の方は十六万、私ども国会議員なんかは二十一万です。
 それで、率直に申しますと、コスト意識という立場から申しますと、高額医療の場合には患者さんの立場からいってコストを選ぶことはできないと思うんですよ、これはもう重篤なあれでございますから。まずそれは私も認めます。しかし、今度は逆に、それはほかの若い方や一般の方が払っておられる。例えば、私の立場から言わせますと、私は払いたい、それは。それは今の制度じゃ払えないじゃありませんか。
 ですから、そういうことを頭に置いて、一体どの辺のところが多くの方の理解を得られるかという議論を私どもは随分いたしました。若い方々から、いや聞いてみると、日本の医療の現場では随分高い医療費をかけても余り効果が上がらなかったり、それから巨万の富を持っておる方でもそれは全然払わなくて済むよというようなことになったら、これは日本の医療制度をみんなで支えようということにはならないじゃございませんかと。一番わかりやすい言い方をすると、そういう議論からこれは始まっているわけでございます。
 ですから、いろいろ御指摘になるその金額が適正かどうかという議論は、私たちはこれで国民の理解を得られる、また理解してもらわなければならないということで御提案しておりますけれども、どうか皆様方もひとついろいろなお立場でお考えをいただきたいと思います。
○小宮山洋子君 先ほどから再三おっしゃっていますけれども、大臣がお払いになりたいかどうかということではなくて、一般の人たちにこれはあまねく通じる制度になるわけですから、ちょっとそこは区別をして考えていただきたいと思うんですね。
 それで、病気になったときに安心して療養できるのが健保の制度であるはずで、特に重い病気になって高額医療を受ける方は数が少ないからそれは仕方がないということではないはずなんですね。高額医療費がかかる重篤な病気にかかった人は、その分負担は多くても仕方がない、コスト意識を持てと言われても、おっしゃったように病人がコスト意識を持つわけではありませんから、ある意味ではそこが二重の苦しみになってしまう。その辺はぜひよくよくお考えいただきたいというふうに思います。
 そして、負担はこうした健保の制度だけではなくて、保険運用外のサービスにかかった費用として医療機関が求めている保険外負担というのがあるのだと思います。例えば、おむつ代、テレビ代、理髪、クリーニングなどの日常生活のものとか差額ベッド代とか、中には入院協力費と称して月に十四万四千円も払っているというようなケースもあります。その基準があいまいなのではないかと思いますけれども、この点はどういうふうにお考えですか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 実態把握ということだろうと思いますけれども、差額ベッドにつきましては、これは毎年、実態調査という形で実施いたしているわけでございます。これは制度的なものでございますので毎年把握するということでございますが、平成十一年七月一日現在で申し上げますと、一日当たり千円から三千円というのが一番多いケースでございまして、ここ数年このシェアは変わっておりませんで、大体三割程度がこういうことでございまして、平均的に見ますと五千円弱ということでございます。
 ただ、おむつ代等につきましては、今制度的なものでございませんので、実態調査は、このところ行っております一番新しい例では平成五年ということでございますので、今後この辺については実態を私どもとしても把握する必要があるのかなと、こういうふうに考えているわけでございます。
 それで、差額ベッドに係ります患者負担につきましては、従来から文書により事前に同意を確認する等の扱いを示していたわけでございますが、おむつ代等に係ります患者負担につきましても先般通知を出しまして同様の扱いにしたいと、こういうふうに考えておりまして、この扱いに基づきまして私どももこれからそういったものについての実態把握というのも考える必要がある、こういうふうに考えております。
○小宮山洋子君 やはりしっかりその辺の実態把握をしていただく。払う側からしますと、ここの部分が何のお金でということではなくて、入院した場合に十日なりあるいは半月単位でまとめて払うわけですから、そのあたりのことがあいまいなもので非常に負担が多くなると、トータルとして負担がとても大きくなるということになると思います。
 十一月十日に指針を出されていると思うんですけれども、その同意を求めるという指針も実効性をしっかり担保できるようにチェックをしていっていただきたいし、実態調査の方もしっかりしていただきたいというふうに思っております。
 私の持ち時間はもうわずかですけれども、今回が抜本改革の第一歩とおっしゃるんですが、一歩と言うからには改革の目標がありまして、その方向へ一歩踏み出すから第一歩なのであって、抜本改革の方向が見えない中で一歩と言われても、それは横を向いての一歩かも、後ろを向いての一歩かもわからないというのが国民の気持ちだと思うんですね。
 ですから、このような場当たりの改正と私には見えるんですけれども、そういうことではなくて、先ほどから何回か念押しを冒頭しつこいほどいたしましたけれども、平成十四年度からの実施、できることならその期限を法律の附則などに明記していただきたいと思いますが、材料をしっかりお約束どおり来年の国会に出していただいて、国会だけではなくて、もっと広く国民と一緒に議論できるような形で、間違いなく抜本改革を進める責任が政府の方としてもおありだと思いますので、そういうことに対してのお約束をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 我が国の医療保険制度は、国民皆保険制度のもと、国民にひとしく良質な医療が提供されておるところでございます。
 医療制度の抜本改革は、国民皆保険制度を維持しつつ、二十一世紀の高齢社会においても医療保険制度を将来にわたって持続可能で安定的なものとするためのものでございまして、是が非でも平成十四年度の実現を期したいと考えております。
○松崎俊久君 民主党・新緑風会の松崎でございます。
 私は、この健康保険の問題と医療法の問題について、六日の本会議で総理並びに厚生大臣に質問申し上げました。お答えについては非常に不満なものがたくさんあります。改めてその問題を少し伺いたいと思います。
 問題は、今回の改正案が健保赤字財政、高齢化、皆保険というキーワードの上に成り立っているわけでありますが、この赤字の問題あるいは健保財政が崩壊する危険に対してだれもそれに応分の負担をすることに絶対に反対だと言っているわけではありません。合理的なものはもちろん負担もする。しかし、問題は、そういう負担をする以上、ただいま小宮山委員も質問されましたように、抜本改革の姿をきちんと描き、見せ、納得してもらった上での第一歩、そういう踏み出し方をしていただきたいわけでありますが、残念ながらそれが見えません。
 しかも、私は総理の御回答並びに厚生大臣の御答弁の中に重大な事実誤認があるのを感じました。それは、日本の医療水準が極めて高い、そしてその高いのはこういう成果があるからわかるだろうと言わんばかりに、世界一の平均寿命と低い乳児死亡率、これを実現している以上、日本の医療水準は高いのだというような意味の、そして高いからこそこういうものが実現できたと言わんばかりの回答をなさっております。
 この認識の上に立っての発言はすべて誤りであります。今さら厚生大臣が寿命が医療水準で保証されているなどという認識をされて、あちこちで発言されるようでは困ります。むしろ笑われてしまいます。世界一の平均寿命あるいは乳児の低い死亡率というものは、要するに公衆衛生体制の整い方、あるいはその背景にあります経済の高度成長、さらに食生活の充実というものにほぼ起因するのでありまして、医療がそれにプラスしたのはたかだか一割もあるかないかという程度でありまして、この医療水準の問題と絡めての厚生大臣の高い医療水準、だから問題はないという考え方、これに私は基本的に反対であります。むしろ世界一在院日数が長く、世界一ベッド数が多く、世界一文明国の中で看護婦の数が少ない、こういうような状態を医療水準が低いと言うのであります。これがおわかりにならぬようでは、これは論議のしようもありません。
 そこで、とにかくもう一度伺います。抜本改正の基本は、私は少なくとも制度疲労化した医療構造すなわち医療提供体制に基本的にメスを入れて、そして合理的に再編成し、その上で国民の負担をきちんと納得できるように決める、こういうことが私は基本的な抜本改革だと思いますが、厚生大臣のお考えになる抜本改革をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 専門家の松崎委員でございますので、慎重に答えさせていただきます。
 最初に、一つ、私から訂正をお願いしたいと思います。総理も私も日本の医療制度は世界一と思うと、私が思うと言ったことはないと思います。WHOの最近の評価におきましてはそのような評価が行われておりますよということを申し上げたわけであります。
 まずこれを申し上げた上で、今、委員が御指摘のような点は、先般、今井委員、この方も専門家で手ごわい方でありますけれども、的確に御指摘いただいて、私はそれには反論いたしませんでした。率直に言うと、そこのところはもうほとんど同意見でございます。
 それを認めながら、我が国の医療提供体制は皆保険と相まってすべての方に必要な医療サービスを提供してきたということはやっぱり認めなきゃならないし、社会のセーフティーネットとしてこれを守っていかなければならない。その仕事を一緒にやっていこうではございませんか、これが抜本改革を目指す道であると、こういうことをお願いしているわけでございまして、委員も大変な専門家でいらっしゃるので、いろいろ御提案や御叱責をいただければ大変幸いでございます。
○松崎俊久君 次に質問しますのは、この前も申し上げましたが、とんでもない世界一の病院大国、ベッド数は断トツの世界一と。人口割合にしてアメリカの五倍、こういうようなとんでもないベッド数が医療費の高騰を誘っていることは事実であります。
 一昨日の同僚の今井委員の質問の中にもありましたように、高知県が飛び離れてベッド数が多く、そして医療費がとんでもなく高い、その正反対に位置する長野県の問題というふうな形で説明されておられたように、私もその説明は一、二年前にも当委員会でしたことがありますが、とにかくこんなにまで膨大に膨れ上がったベッド数、これはいかなる理由で膨らんできたのか、そしてその経過をまず手短に御説明いただきたいと思います。
○政務次官(福島豊君) 先生もよく御存じのことと思います、釈迦に説法かというふうに思いますけれども、我が国の人口当たりの病床数が他の先進諸国に比べて多いということはさまざまな理由があると思います。
 一つは、長期にわたって療養を必要とする患者さんがそれ以外の患者さんと混在した状態で入院医療を受けている。そしてまた、介護提供体制の整備がおくれていたということから主として介護サービスを必要とする患者さんの入院が見られる、社会的入院ということでございます。そしてまた、診療報酬制度におきましても出来高払いを基本としていることから、病院、病床の効率的な運用のためのインセンティブが働きにくいというようなことがあります。そしてまた、先生もよく御存じのように、日本の病院というものは、戦後、診療所が規模を拡大して病院になっていくというケースが非常に多かったわけでございます。そういう歴史的な背景のもとで、現在の先進諸国と比べて非常に多い病床数というものが存在すると、そのように理解いたしております。
○松崎俊久君 何かいろいろな背景があってそれで自然にふえていっちゃったようなお答えでありますが、それはおかしいと思うんですね。医療行政に対する何のコントロールも牽制も考え方も厚生省が持たなかったということを告白されているに等しい。
 とにかく、外国のデータがすべて、十五年、二十年という間に二十何%も先進国ではベッド数が減ってるんです。ベッドの回転がよくなってきているからです。逆に日本は、二〇%近くベッド数がこの同じ期間にふえているんです。世界に逆行する日本の医療、世界の大勢とは全く反対に歩んでいる日本の医療、これを厚生省がどう見ていたのか、野放しにしていたのかという問題を私はお聞きしているのであります。お答えいただきます。
○政府参考人(伊藤雅治君) 我が国の病床数についての厚生省の歴史的な政策の変遷というものを手短に述べさせていただきたいと思います。
 御案内のように、昭和二十三年に医療法ができておりますが、当時いかに病床を量的に拡大していくかということが最大の厚生省の課題でございまして、ちょうど昭和三十六年、皆保険制度達成のころまでは、いかに医療機関の数そのものをふやしていくかということが流れでございました。
 その後、皆保険制度が達成されまして、三十六年以降七〇年代くらいまでは、救急医療体制でございますとか僻地医療でございますとか小児病院、つまり医療機関の機能分化に着目した医療の提供体制というものを整備し、そして終戦から量的拡大の時代には公的病院を中心に整備してまいりましたが、昭和三十五年に民間医療機関の育成を図るという観点から医療金融公庫を創設いたしまして、民間医療機関に対する政策金融によりまして自由開業制のもとに私的医療機関をふやしていったという経緯がございます。
 こういう経緯の中で、一九八〇年代、九〇年代に経済成長がとまりまして、そして社会保障全体が負担と給付の関係が議論されるようになりまして、医療の提供体制の面におきましては、いわゆる第一次医療法改正の中で医療計画制度というものが導入されまして、以後一貫いたしまして第二次医療法改正におきます特定機能病院と療養型病床群の制度化、そして三次医療法改正におきます地域医療支援病院の制度化、そして今回の病床の新たな区分ということで、第一次から第四次に至る医療法改正は一貫して病床の機能分化と連携の体制というものを考えてやってきたわけでございます。それと相まちまして、八〇年代、九〇年代からようやく介護基盤の整備が始まりまして、現在、若干ではございますが平均在院日数の減少とそれから病床数全体の伸びがとまっている、こういうことでございまして、私どもとしては全く手をこまねいていたということではございませんで、それなりの努力をしてきたということを御紹介させていただいたわけでございます。
○松崎俊久君 これ以上この問題でやり合っていても切りがありませんが、とにかく日本のカビの生えた法律の代表が農林省の所管する食管法とそれから厚生省が所管する健康保険法並びに医療法だというのは外国に有名な話であります。
 私は、健康保険法には特に愛着を感じています。私の家内の祖父が与党の幹事長時代に、医者でもあったのですが、この法律を提案した中心人物でありますし、健康保険法が日本にとって非常に重大な役割を果たしたこともわかりますが、カビが生えてきたらやっぱり直さなきゃいけません。そういう意味で、とにかく大胆な抜本改革の時期は目の前に迫っているわけでありますから、その姿を、勇気を持って科学的に支える論理性を持った内容として発表していただきたい。
 さて、ちょっとベッドの問題を触れられましたので。
 先日、百二十六万床のその他の病床、これを一般病床と療養型病床に分けていきたいというふうに発表されておりますが、その前に私が伺ったときには、療養型病床の当面の目標は十九万床というふうに伺った覚えがあるんですが、近い将来、この百二十六万床の区分、一般病床にどのぐらい、療養型病床にどのぐらいというふうにお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(伊藤雅治君) 現在のところ、将来的に一般病床、療養病床をそれぞれどれくらいの数字を目標にするかという目標については設定しておりません。
○松崎俊久君 すべてそのお答えに典型的にあらわれているように目標がないんですね、常に。目標がなくて旗だけ上げると。これはもうナンセンスな論理だと私は思います。国民に対して少なくとも責任を持って大改正を今やろうとしている時期に、姿も見せずに目標も示さずに、そして負担だけを要請するというやり方だから反対運動が広がるんです。国民は何も負担を嫌だと言っているんではないんです。応分の負担はするよ、しかしはっきり論理的にだれもが納得できる内容を説明しろと言っているわけであります。それができないようでは、私は厚生省のこれからの道は非常に暗いなというふうに感じます。
 とにかく、日本の病棟は、厚生省が御説明になっているように、あるいはデータが示すように、非常に在院日数が長く、それは厚生大臣もおっしゃったように療養型と急性病床が混合しているからだと。これはもうそのとおりであります。ところが、これをはっきり分けていかないと医療設備にも膨大なむだがありますし、だれが聞いたって、日本の在院日数の平均が四十四日、アメリカは八日と聞いたら、もうあきれて一体日本の医療はどうなっているんだと、だれだって聞くわけであります。
 少なくとも現在の在院日数を半分に減らすことができれば、それにはもちろん裏づけがないと減りませんが、少なくとも百二十六万床のうちの半分以下を、大体半分ぐらいでいいかと思うんですが急性病床にし、あとは慢性病床。厚生省が考えている療養型病床というのは、全部特養と同じレベルへ持っていくべきだと私は考えています。
 そして同時に、これを実現するためには看護婦の背景がなければなりません。
 看護婦の数でありますが、これもこの間、とんと納得がいきませんでした。今は入院患者四に対して一人の看護婦、これを三対一にするのだから前進だろうと言わんばかりのお答えでありますが、そもそも厚生省の原案が二・五対一だった。これがまず三に後退した理由を伺いたいし、それと同時に、これは患者幾つに対して看護婦一というから聞きづらいんです。患者一人に対して看護婦幾つというふうに整理し直した方が比較しやすいし、理解しやすい。アメリカは患者一対三であります。どんな低い病院でも二から三。日本は一対〇・五、これが一番いい病院です。ひどい病院は〇・二ぐらいです。ヨーロッパは一対一。
 この間、私は中国へODAの問題で視察に参りましたが、日本の全額援助ででき上がっている中日友好病院でさえ一対一、シンガポールも一対一。日本が援助してきたそういう病院すら日本の医療水準を、看護婦の水準を追い抜いている。こういうような現状を今さら患者三に対して一。二対一だって私は納得できないと思うんです、看護婦さんも皆納得しないと思うんですが。これを三対一までに後退させてしまった理由を伺いたいと思います。
○政府参考人(伊藤雅治君) 看護婦の一般病床におきます配置基準につきましては、医療審議会で御議論をいただいたわけでございます。当初、事務局が議論のためのたたき台といたしまして、看護婦の配置基準が二・五対一を境に平均在院日数に大きな差が見られることから二・五対一を提案させていただいたわけでございますが、医療審議会の議論におきまして、まだ我が国におきましては看護婦の需給関係にかなり地域的な偏在があるということがまず第一点。
 それから第二点目といたしまして、昭和二十三年の医療法制定以来約半世紀にわたるこの最低基準の引き上げということについては慎重な配慮が必要であるということが二点目としてございました。
 そして、三点目といたしましては、ぎりぎり二・八体制を維持できるのが三対一だということで、結論といたしましてはこの三対一ということになったわけでございます。
○松崎俊久君 非常にきれいに御説明されたようでありますが、納得できません。
 では、二・五対一という原案は大体どういう根拠でおつくりになったのでしょうか。どの新聞もが書き立てているように、二・五対一を三対一に後退させたのは日本医師会を中心とする諸団体であるというふうに伺っております。私は何も日医を攻撃したくはないのでありますが、筋の合わないものはやっぱりはっきりディスカッションすべきだと思っています。坪井会長は私の三年上の同窓生でもあり、私と同じ郷里でありますから、何も日医を攻撃したいと思ってやっているわけじゃありませんが。
 後退したのは、むしろ中小病院に基盤を置いている日本医師会が反対しているからという意味じゃないんですか。それを、何か看護婦が地方に偏っているとか、二・八体制を維持するのに三対一でいいとかというようなことで御説明なさるのは、ちょっと本質と違うと私は思いますが、どうでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 二・五対一の根拠についてのお尋ねでございますが、調査の結果、病院の平均在院日数のいわゆる累積分布をグラフにかきますと、看護婦の配置基準の差によりまして累積曲線が違うわけでございます。そこで、この二・五対一を境に平均在院日数の累積度数曲線に大きな差が出てくるということを一つの根拠に提案させていただいたというわけでございます。
 その結果、医療審議会におきまして三対一になった経緯については今御説明させていただいたとおりでございますが、医療法におきます基準は最低基準という考え方でございまして、それぞれの病院におきましては最低基準をベースに、さらに非常に看護婦の配置を厚くする必要がある病棟につきましては、それぞれ病院管理者の判断におきまして手厚い配置をした場合に診療報酬において対応していると、そういうことも踏まえての判断であったわけでございます。
○松崎俊久君 今最後におっしゃった問題点ですが、まず私は、日本の経済力あるいは日本の保険財政が世界で最低だとは思わないわけです。東南アジアの中で進んだ国ですら、あるいは西ヨーロッパはすべて日本の看護婦の倍の配置をしているということになぜ追いつけないのか。日本だけが追いつけない理由を一つもこれでは国民は理解しません。医師会が反対しているのか、あるいは看護婦に金を払いたくないのか知りませんが、とにかく日本のこんなに低い看護婦配置は、これはどこに行ったって納得される問題ではありません。それを地方偏在であるとかというようなことで説明されても納得できません。
 一体、最低基準を、今回の三対一を将来はどこまで持っていかれる目標を持っておいでなのか、伺います。
○政府参考人(伊藤雅治君) 松崎委員が御指摘の我が国の医療提供体制の最も根本的な課題は、病床数が多いということと看護婦等の配置基準が薄いということと平均在院日数の問題であるということは、私ども、全く基本的にその点については同じ認識を持っているわけでございます。
 しかしながら、これを将来どのようにしていくかということにつきましては、やはりこの五十年間続いてきた構造を一気に変えていくということはなかなか難しいわけでございまして、現時点におきましても医師数、看護婦数等につきましては人口対で見ればそこそこの水準にあるわけでございます。これを将来的にはベッド数を減らしながら看護婦等の配置基準を厚くしていく、この方向には変わりないわけでございます。
 そういう観点からいたしますと、今回の医療法改正による一般病床、療養病床の区分はその第一歩であるという考え方を持っておりまして、さらに今後におきます高齢者医療制度のあり方、それから介護保険制度の実施状況を見ながら、さらに次にどのような対応が可能かということを現実的に検討していくということが必要になってくるものと考えております。
○松崎俊久君 今のお答えは内容が全くわかりませんし、ありません。内容なしで、言葉できれいに表面を飾り抜いたけれども、一枚皮をめくってみたら中は空っぽというような感じがいたします。
 これでは、だから国民が納得しないんです、今回の医療費の負担増に対して。いわゆるプログラムを持たないで負担だけちょうだいというのでは納得できるわけがない。納得させたかったら、むしろきちんと改革の目標、全貌を明示すべきである。それを後出しに二年後にやりますなどというのでは、これは非常に下手なやり方だなというふうに感じます。
 看護婦の問題が出たついでですから伺います。
 一九九六年、厚生省と看護協会、それから医師会が一たん合意した准看廃止の問題であります。これがその翌年に日本医師会の反対でどこかへ飛んでしまいました。そして、そのままになっているようでありますが、一体この准看問題をどうなさるおつもりですか。これは看護婦の質的強化、量的強化の問題に重大な影響がある問題ですから伺います。
○政府参考人(伊藤雅治君) 准看護婦制度の取り扱いにつきましては、平成八年十二月に取りまとめられました准看護婦問題調査検討会の報告書におきまして、二十一世紀初頭の早い段階を目途に看護婦養成制度の統合に努めることが提言されたところでございます。
 その後、この提言を受けまして、具体的にどうするかということで二つの検討会を設置させていただきました。一つは准看護婦の資質の向上、それから現にこの准看護婦になっている人たちに看護婦への道を開く移行教育制度の検討をする、この二つの検討会を設置いたしまして、それぞれ御提言をいただいたところでございます。
 結論から申し上げますと、現在四十万を超える准看護婦が就業しているという実態等もございまして、今直ちにこの准看護婦制度を廃止するという状況にはございませんが、こういう状況の中で准看護婦の資質の向上を図るという観点から、厚生省といたしましては、昨年十二月に准看護婦の教育カリキュラムの時間数を現行の千五百時間から千八百九十時間に増加させる等の指定規則の改正を行いまして、この件につきましては平成十四年の四月から実施をする予定でございます。
 また、平成十一年四月に取りまとめられました准看護婦の移行教育に関する検討会の報告を受けまして、現在、准看護婦の看護婦への移行教育の開始時期につきまして関係者と調整を図っているところでございまして、鋭意調整に努めてまいりたいと考えております。
○松崎俊久君 次に、DRGの問題をお聞きします。
 私自身はわかっているつもりではありますが、傍聴の方もたくさんおいでですし、委員すべてがいわゆるこの問題の専門家でもありませんので、ディスカッションをよく理解していただくためにも、まず厚生省が国立病院を中心として十の病院に今実験的におやりになったDRGについて、簡単にわかりやすく御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 私ども、DRGについて現在試行をやっているわけでございますが、急性期の入院医療につきまして、定額払い方式と呼んでいるわけでございまして、診断群の分類に応じまして定額の報酬をお支払いする、こういう方式であるわけでございまして、現在、十の国立病院におきまして試行を行っているわけでございます。平成十年十一月一日から試行を開始いたしまして、先日、一年間の実績につきまして試行の結果というものが取りまとめられた、こういう状況でございます。
○松崎俊久君 ちょっとこれは今の御説明で少しわかりにくいかと思いますが、とにかく日本の場合は病名主義というのが保険制度を貫いてまいりました。
 例えば、私たちの年齢の者が仮に脳血管障害、脳梗塞か脳出血かは別といたしまして脳卒中と呼ばれる脳血管障害で倒れたとしますと、急性期は脳卒中という病名あるいは脳血管障害、あるいはもっと精密に診断ができて脳梗塞という病名でよろしいかと思います。ところが、日本は病名主義でありますから、これが五年も十年も引きずるわけであります。そうすると、片手、片足が麻痺しても、脳卒中あるいは脳梗塞という病名のままの医療行為が続けられます。こういうようなことが過剰診療を招いている。私は、赤字の相当部分がこれだとにらんでおります。
 ですから、こういうようなものをそろばんできちんとはじくアメリカの私的保険などは、こういうのは受け付けません。三カ月たったら脳卒中という病名はなくなるのであります。消えてしまう。もう急性期を脱したと。実際、医学でもそうです。脳卒中は三カ月過ぎたら治らないものは治らないし、だめなものはだめで、治療は離れる。もう治療する必要はありません。あとはリハビリテーションだけであります。もっとも、高血圧があれば降圧剤がちょっと出されるということはありますけれども、治療の必要はないわけで、それがいつまでも治療というようなレベルの病名主義のもとにとどまる。
 これがDRGになりますと、右足不全麻痺、言語障害がある、なしというようなものがついていくだけで、分類症状群で分類されるわけであります。そうしますと、これはリハビリテーション中心の、どんなに薬を使っても医療保険は払われません。このような私的保険が入ってくるレベルでは、こういうような制度は当然厳しい支払い条件を求めてまいります。これは当たり前です。
 この私的保険が入ってくるのは、私は二十一世紀、そう遠いことではない、間もなくだろうと考えています。それを最も経営感覚のない、最も競争原理の働かない国立病院に実験させたという感覚に私はあきれているのです。私的病院にやらせるべきだったのです、私立病院。でかい私立病院、千ベッドぐらい抱えている私立の病院は幾らでもあります。国立病院から出るものなど信用できるわけがない。
 そういう意味で、DRGの実験を国立病院にやらせたのを、まあ国立病院の競争感覚、経営感覚のなさを暴露するのもいいかもしれませんから、さらに私立の病院を同じ数だけ追加されて実験を続けられるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほど申し上げましたように、国立病院の十病院につきましての試行の調査結果が一たんまとまったわけでございますので、これを踏まえて現在見直しの作業を行っているところでございます。
 診断群の分類を活用いたしました診療内容の分析、こういう観点からは御指摘のとおり国立病院だけでは当然足りないわけでございまして、同じような規模で同じような機能を果たしているような民間病院についてもこれは診療内容を調査すべきではないか、こういう議論が現在行われているところでございます。現在、最終的な決定はまだしておりませんけれども、こういう民間病院が手を挙げていただきまして、こういう民間病院につきまして試行の枠組みとか調査内容、こういったものにも追加しようと、こういうことで議論を進めているところでございます。
○松崎俊久君 本日、初めて前向きの御返事をいただきました。これがきょうの私の唯一の収穫でございます。
 次に、研修医の問題をお尋ねします。
 現在、医学部、医科大学を出て医師免許を取った医者は、伺うところによると八七%が研修医という課程を経ていると聞いております。
 今度、歯科医師は一年、医師は二年という臨床研修医の期間を設けるということでありますが、私は古いインターン制の時代にインターンを経験した覚えがあります。よもやこのような昔のインターンの制度に戻る気はないと思いますが、研修医の問題というのはこのごろ多くの人が興味を持って眺めております。NHKのチャンネル一で放送しております「ER」の影響なんだそうでありますが、救急医療室のアメリカの病院、あそこにアメリカの研修医がかなり重要な位置づけで出てまいりますが、とにかく研修医の問題についてまず私はぜひともやっていただきたいことがありますので、それを先に提案します。
 二年間のうちに、必ず研修医は周産期並びに乳幼児の実習は必修にしていただきたい。内科系、外科系を問わずすべて必修にしていただきたい。特に、不採算部門として小児科がどんどんつぶされている現状を見ますとぜひともこれは実行していただきたいと思いますが、これはいかがでございましょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 医師の場合、二年間の臨床期間中に何をどのように研修していただくかということにつきましては、今回、この臨床研修必修化の目的が、診療に従事しようとするすべての医師が将来の専門性を問わず患者さんを全人的に見るという基本的な診療能力を身につけることを目的に必修化するわけでございます。したがいまして、改正案成立後、大学病院、臨床研修病院等の関係者から成る検討会を設置いたしまして、まず研修医が研修すべき事項なり目標をどのように考えていくのか、そしてそのための研修プログラムのあり方をどのように考えるか、さらにその研修修了の評価方法等につきまして検討していきたいと考えているわけでございます。
 そこで、御提案の小児医療なり乳幼児、周産期医療については必ず必修にすべきではないかというような御提案でございますが、これらにつきましては、いろいろ関係者の間に御意見がございます。さらに、今、先生御指摘の乳幼児、周産期等の問題のほかに、例えば救急医療の問題でございますとか、それから精神科医療についても必要最低限のことについて必修にすべきではないか等いろいろな御意見がございますので、私どもといたしましては、この研修制度の必修化の目的に照らして、具体的に何を必要最低限の必修科目にするかというようなことにつきましては、専門家の意見を十分伺いながら、所期の目的に照らした研修制度になるようなプログラムを設定していきたいと考えているところでございます。
○松崎俊久君 研修医の問題を考える場合、これは昔のインターン制度の悪い点に絶対戻らないようにするためには、まず、もう彼らは医者であります。医師免許を持って研修に入るわけであります。それで、研修という名前ではありますが、どの病院も新米の医者たちに対し仕事をさせるわけであります。ということは、労働力として組み込んでいる、こういう事実がきちんとあります。したがって、労働対価は払われなければなりません。これがまちまちに今なっています。
 例えば、十一月二日の新聞に、関西医大附属病院の研修医だった長男が忙しくて突然死したという記事があって、月六万円しかもらっていなかった、それで朝から晩までこき使われたように書いてあります。
 病院にある程度の援助を国はなさっているようですが、国立も私立も問わず、いわゆる最低の賃金を厚生省はきちんと明示しなければこの研修医を実行すべきではないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 臨床研修の必修化に当たりまして、研修医の最低限の給与を保障すべきであるという御提言でございます。私どもも、この臨床研修の必修化に際しましては、具体的な身分保障といいますか手当につきまして、臨床研修に専念できる、そういう体制を整備していく一環として対応を考えていきたいと考えておるところでございます。
 そこで、現時点におきましては、現行の制度で申し上げますと、研修医のための図書購入費など臨床研修病院の経費につきましては国の補助により手当てをしているわけでございますが、研修医の給与につきましては、診療行為の対価として診療報酬が支払われている。こういう現実に着目をいたしまして、今後、これら経費の具体的な対応につきましては、関係審議会におきまして整理をして決めていくということになろうかと思います。
 したがいまして、研修医の給与水準のあり方などにつきましては、実態把握をした上で関係審議会等で議論を深め、そして臨床研修に専念できる体制というものを念頭に置いて社会的な合意を形成していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
○松崎俊久君 低い賃金に決めますと、研修医たちは、もう医学部を出ておりますし医者になっておりますから、中には結婚している者もたくさんいます。当然食えませんから、病院を綱渡りのように渡り歩いてアルバイトをするようになるのが現状であります。こういうようなことをやっていますと、これは次に医療事故に遭遇するのはもう当然予想されるところでありまして、研修医が研修医らしくその病院で落ちついた研修をするためには、きちんとした一人前の給料が支払われるのが原則であります。その最低賃金をぜひ厚生省はすべての病院に明示して、それが実行されるようにやっていただきたいと思います。
 それから、研修内容の一環でありますが、私はゆうべ、ある人から、これはパイロットでありますが、非常におもしろい意見を聞きました。偶然話をしていましたら、パイロットが一人前になるには、飛行機を動かすことを習いながらも何時間飛ばなければだめというような時間規定がある。医者はそれがありますかと。例えば患者を何人診た、どの手術を何例立ち会った、こういうようなケース別の研さんをどれだけ積んだというような第三者の評価にたえる研修をやったかどうかと。そうでないと、二年間どこの病院にいた、どの科を回ったというだけでは研修の内容がわからないではないかというようなことを言われました。非常に説得性のある内容でありましたが、これをぜひ参考にしていただきたいと思います。
 と同時に、研修病院でありますが、どんな小さな病院でも、例えば心臓病の高度な水準の病院とか、あるいはがんの高度な能力を持った治療病院であるとか、いろんな病院がありますが、今は十一以上の診療科目がないと研修病院に登録できないというようなことを聞いておりますが、どんな小さな病院でも非常に高度な能力を持った病院は研修病院の中に組み込み、そしてそういう病院の組み合わせで幾つかの科がマスターできるようにぜひやっていただきたい。そうでないと、研修医に対して高い医療水準が伝達されませんので、これをぜひとも御考慮願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 臨床研修指定病院の指定の基準につきましても、今回必修化に当たりまして改めて見直しをしたいと考えているところでございます。
 現行の制度につきまして、いろいろ関係者から御指摘の点はある程度やむを得ない面もあるわけでございますが、例えば臨床研修指定病院につきましては、ベッド数でございますとか、医師数でございますとか、剖検数でございますとか、そういうことを基本に決められているわけでございますが、やはり今後の研修病院の指定の考え方なり、それから研修修了の評価方法につきましては、やはり二年間でその研修医が具体的にどういうことを習得したか、そしてそれを客観的にどうやって評価するかということを念頭に置きまして、今、先生から御提言のあったことを十分踏まえまして、関係審議会におきまして検討させていただきたいと考えておるところでございます。
○松崎俊久君 最後に大臣に伺います。
 とにかく、最初に述べました抜本改革の成功のためには、またこの際、二十一世紀の医療をつくり上げるためには、私述べましたように、何よりもまず看護婦の増員、一にも二にも看護婦の増員と、それからベッドの機能化分類を診療単科別にあるいは看護婦の配置別にもっとこれを強化した基準にし、分解を促進し、急性医療ベッドを大きく急性病棟と慢性病棟、それから介護療養型病棟というふうに三種類に分けながら、同時にここの基準、手法としてDRGを採用しという、極めて大胆ではあっても革命をやらなければこの医療改革は成功しないと。
 医師会の顔をうかがい、そしていろいろな業界団体の鼻息をうかがうようではとてもこの二十一世紀の医療革命は成功しません。ぜひとも国民の立場に立ち、そして迫りくる高齢化社会というとんでもない、お年寄りがたくさんいる、そして若者が非常に少ない、その場合の医療のあり方というものを、ドイツ・フランス型の道を歩むのか、アメリカ型の道を歩むのか、両者混合なのか、哲学的にもこういう内容をはっきり国民に明示しつつ、その上で国民に負担してもらうものは負担してもらうということを大胆に言わないと、二十一世紀初頭の医療改革は成功しないと思います。
 最後に、大臣の御所見、御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 我が国の医療制度は、国民皆保険制度のもとですべての国民が自由に医療機関にかかることができるということの中から世界最高水準の平均寿命などを実現してきたことは間違いのないところでございますが、しかしこれからの高齢化の社会の変化を控えて、このままでは持続可能な良質な医療体制は構築できないであろうという御指摘であったと思います。
 専門家としての松崎委員の御提言、私も幾つか大変に参考になるお話をきょうは伺えたと思っておりますが、特に長期療養者とそれ以外の入院患者が混在をしている、病床の機能的な組み立てができていない、それから病床当たりの看護婦数や病床面積が不足している、あるいは平均日数がまことに長い、これはもうそのとおりでございます。
 ここで一つだけこれまでの参考人等の答弁で十分に申し上げていなかった点を私なりに申し上げますと、例えば療養型病床群については診療報酬の上で一定の改善を試みたわけでありますけれども、問題は病院から出ていく方々の社会的な受け皿が十分できていなかった。これが今度の介護保険体制によって最後の制度的な構築ができたということでございまして、委員から御指摘のとおり随分遅かったじゃないかと言われればそれは認めるにやぶさかではございませんけれども、そういう面の政策が十分にできないとどうしてもその辺には大きな問題が残るということを御理解いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、今回の医療法の改正案を提出いたしましたところで、これらの問題点を順次改善していきたいというふうに我々は希望しておるわけでありますが、しかし抜本改革をする上では病床区分の見直しや臨床研修の必修化、あるいは看護婦さんの問題等について、医療提供体制の問題を一つの中心に据えて私ども努力してまいりたいと思います。
 委員の御指摘、大変参考になりましたが、今後ともどうぞ御叱責を賜りますようにお願い申し上げます。
○松崎俊久君 終わります。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 きょうは、医療法の問題を中心にお聞きをしたいと思います。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 まず、臨床研修の必修化についてでありますけれども、最初に厚生大臣に御認識をお伺いしたいんですが、今、国民は一体どういう医師を求めているんだろうか、その医師を育てるためにはどういう臨床研修が必要だというふうにお考えか、まず御認識をお願いします。
○国務大臣(津島雄二君) 近年、医学、医療技術が飛躍的に進歩いたしまして、臨床医の専門分化も進んでおるわけでありますが、しかし二十一世紀の高齢社会の到来を控えて、すべての医師が専門性ばかりでなくて患者を全人的に診る基本的な診察能力を取得し、患者とよりよい信頼関係をつくり上げて診療に従事することが求められていると考えております。
 このようなことから、今日の改正法案では、現在は医師の努力義務とされている免許取得後の臨床研修を、診療に従事しようとするすべての医師に対して必修化しようということを御提案申し上げているところであります。
○小池晃君 どういう医師が求められているのかは一致をするわけですが、それがなぜ臨床研修必修化なのかということはちょっと理解できません、私。
 その問題を議論していきたいと思うんですが、研修の場というのは、大きく分ければ大学病院か臨床研修指定病院であります。この臨床研修指定病院の実態でありますけれども、果たして十分機能しているんだろうか。山梨、高知、宮崎の三県というのは、県内に臨床研修指定病院が一つしかありません。
 さらに、臨床研修指定病院の研修医の数、一年目の研修医と二年目の研修医の数、これは全国で一体どうなっているか、お示しいただきたい。
○政府参考人(伊藤雅治君) まず、臨床研修指定病院が県内に一カ所しかない県につきまして……
○小池晃君 それはいい。
○政府参考人(伊藤雅治君) はい。
 それから、一年次、二年次の研修医の数でございますが、平成十一年度におきます研修医数につては、現在、各病院からの報告を精査しているところでございますが、報告のあった研修実人数を単純に合計いたしますと、精神病院単独指定を除く臨床研修病院の平成十一年度におきます研修医数は、一年次が千三百三十五人、二年次が二千三百八十一人でございます。そして、一年目の研修医のみがゼロの病院数でございますが、これは六十一病院でございまして、二百三十九の臨床研修病院全体の一八・五%となっております。
○小池晃君 次のところまでお答えになってしまったようでありますけれども、要するに、これは大変おかしな数字なんです。毎年毎年同じ卒業生が出るのに、一年目より二年目の方が千人も多いわけです。
 なぜそうなっているかというと、一年目の研修医がいない病院というのが何と二割もあるんだと。これはどういうことかと申しますと、要するに、大学を卒業して直後の研修医を受け入れない。二年目ぐらいになって大学の医局からの派遣で研修しているという臨床研修指定病院が実際は多いんだということなわけですね。
 これは、いろいろと県で見てみますと、例えば長崎県は四つの研修指定病院があるんですが、一年目を受け入れているのは一つだけなんです。それから、福井も島根も三病院あるんですけれども一病院だけなんです。こういう県は一体どうなっているかというと、要するに、大学を卒業して研修先を選ぶときに、事実上、大学病院以外には一年目の研修医の受け入れ先というのはほとんどないという実態があるわけですね。
 私、こういう実態を見るときに、数そのものも大変少ないということもあるんですが、数をふやすと同時に、やはり一年目の研修医からしっかり育てる臨床研修指定病院の数を本当は大幅にふやしていく必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) まず、今の御質問に答える前に、先ほどの答弁の数字につきまして、二百三十九と申し上げましたが、三百二十九の間違いでございますので、訂正をさせていただきたいと思います。
 それで、お尋ねの件でございますが、平成十一年二月の医療関係者審議会の取りまとめにおきまして、各臨床研修病院等は卒後臨床研修目標に基づきまして研修期間の二年間を通じ一貫したプログラムを作成することとするとされているところでございますが、現状といたしましては、先ほど述べました一年次、二年次、数がかなり違うわけでございます。
 私どもといたしましては、これまでも、二年間一貫したプログラムの作成とこれに基づく研修の実施について関係者に理解を求めてきたところでございまして、適切な研修プログラムのもとに病院群などによる多様な研修も認めてきたところでございます。
 今後とも、一貫したプログラムの実施に向けまして、研修の目標や研修プログラム、研修病院の指定基準等の具体的な検討を進め、一年目の研修医を受け入れる体制を強化していきたいと考えているところでございます。
○小池晃君 その基準の問題なんですが、先ほども議論がありました臨床研修指定病院の基準が果たして妥当なのかと。現行基準は三百床以上で十一の診療科がそろっているいわば総合病院、大病院。
 しかし、卒業直後の研修医に一番必要なのは一体何かと。これは、例えば腹痛で入ってきた、理学的所見をきっちりとって、問診をとって、腹痛といってもいろいろ原因があるわけです、胃潰瘍であったり胆石であったり急性膵炎であったり、あるいは心筋梗塞が腹痛に出るということだってあるし、そういう病気なのかどうかということを見きわめるということが一番大切なわけですね。頭痛だったらどうか。脳出血かどうか、あるいは脳腫瘍かどうか、髄膜炎や脳炎ではないか、あるいは単なる偏頭痛なのか。そういう基本的なトレーニングを受ける場として果たして大病院、大学病院というのはふさわしいんだろうかと。
 もちろん、大学病院での研修に意味がないとは私申しませんけれども、こういう病院というのは、言ってみれば、町場の病院にかかって選択されて、難しいとか大変な重病であるということでセレクトされた患者であったり、あるいは例えば大学病院の産婦人科なんてほとんど正常分娩を診ない、そういう実態もあるわけですよね。そういった場が果たして研修の場にふさわしいんだろうか。
 京都に舞鶴市民病院というのがありますけれども、大変研修では有名な病院です。アメリカから臨床指導者を呼んで研修指導をやっている、そんな病院なんですね。この病院は臨床研修指定病院になれないんです。なぜかというと、二百三十六床だから。
 私、こういう指定基準というのは、やはり国民が求める、先ほど大臣、大臣今いらっしゃいませんが、大臣のおっしゃったそういう全人的な診療能力というのを育成しようと思うのであれば、今のこの三百床十一科という指定基準というのは、これは妥当ではないんではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 現在、臨床研修病院につきましては、委員御指摘のように、病床数、診療科数、医師数等の基準に基づいて指定をしているところでございます。これまでも、研修医が幅広い研修が行えるように、病院群による臨床研修病院群の指定でございますとか研修施設群の考え方を導入しておりまして、診療所等で研修を行うことができるようになるなど改善に努めてきたところでございます。
 しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、今回、臨床研修の必修化に伴いまして、研修の質の確保の観点から、現行の臨床研修指定病院の指定基準につきましては、研修指導体制を含む新たな基準を示すと医療関係者審議会の議論でなされておりまして、改正法案の成立後、関係者の意見も伺いながら、柔軟に対応できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 病院群の指定とか施設群の指定とおっしゃるんだけれども、それでは解決しないんですよ。
 例えば、舞鶴市民病院みたいなところは単独ではなれない。では、病院群になればいいじゃないか、施設群に入ればいいじゃないかと。それは一定の大病院の傘下に入るということになるわけですよね。それはできないということで、単独で今研修医を受け入れてやっているわけですね。そういう病院というのはたくさんあるんです、全国に。だから、私、病院群や施設群で解決するんだという考え方は基本的に間違いだと思う。やっぱり単独でもそういう中小の第一線医療機関がきちっと研修施設として認定されるべきだというふうに思うんです。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 局長は先ほども答弁されました、どういう症例を二年間で経験できるのか、そのことを踏まえた新たな基準と。要するに、これは、今までのように三百床十一科がそろっているという、そういう病院のハード面に着目して認定することはもうやめて、ソフト面に着目した基準に切りかえていくんだということでよろしいんですね。
○政府参考人(伊藤雅治君) 今後、医療関係者審議会におきまして臨床研修指定病院の指定基準の御議論をお願いすべき際に、今、委員から御指摘のございましたように、単に病院の医師数ですとかベッド数というそういう面だけではなくて、それぞれの臨床研修医が二年間で当該病院においてどのような研修ができるかなどをより重視して臨床研修病院の指定基準というものを具体的に検討していきたいと考えているところでございます。
○小池晃君 ということは、今までのように舞鶴病院のような三百床を切っているような病院も臨床研修指定病院になっていく道が開かれると、そう理解してよろしいんですね。
○政府参考人(伊藤雅治君) 再三申し上げておりますように、関係審議会の意見を伺いながら、より適切な新たな臨床研修指定病院の基準というものをつくっていきたいと考えております。
○小池晃君 さらに、財源のことをお伺いしたいと思うんです。
 研修を必修化した際の財源の枠組みということなんですが、今の枠組みは、先ほど言われたように、補助金があって図書費などを見ている、それから人件費については対価としての診療報酬があるんだ、これが枠組みだという御説明でした。この枠組みを変更することも含めて検討していくということに、先ほどの御答弁がありましたけれども、理解してよろしいんでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 今後、財源につきましては、現状を踏まえて整理をしていくというのが現在までの関係審議会におきます基本的な考え方でございます。
○小池晃君 いま一つわからないわけでありますけれども、枠組み自体もこれは検討課題だと。補助金プラス診療報酬という枠組み自体も検討課題だということなんですね。
○政府参考人(伊藤雅治君) 現状を整理し、そして社会的に妥当な給与の額等を念頭に置きまして、財源をどこにどのように求めるかということ自体が今後の検討課題でございます。
○小池晃君 文部省にお聞きしたいと思います。
 国立大学病院の研修医に対する費用が今出されていると思うんですが、これはどういう基準で今出されているんでしょうか。
○政府参考人(清水潔君) 国立大学附属病院の受け入れ研修医の給与基準につきましては、医療職(一)の初任給相当額を参考に設定しているところでございます。
 具体的には、仮に月二十一日勤務ということでありますとすれば、十九万六千円弱ということになるわけでございます。
○小池晃君 今、一人当たりの予算額、これ月額でおっしゃったわけですよね。年額で。あと、医療職の分からマイナスしている分もあると思うんですが、そこについて御説明いただきたいんですけれども。
○政府参考人(清水潔君) 失礼いたしました。今、臨床医の給与基準ということで申し上げました。
 一人当たりの予算額ということでございますが、平成十二年度の一人当たりの予算額は二百四十六万四千円、うち人件費が二百十七万八千円となっているところでございます。
○小池晃君 一人当たり二百四十六万四千円だと。
 これに対して、厚生省の臨床研修指定病院あるいは公私立大学病院に出されている一人当たりの補助金額は幾らになるんでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 厚生省から出しております補助金につきまして御説明させていただきます。
 まず、臨床研修に係る費用負担につきましては、研修医のための図書購入費など臨床研修病院の経費については国の補助により手当てをしているわけでございます。
 そして、この臨床研修費補助金の概要でございますが、まず内科系、外科系の各一診療科、小児科及び救急診療部門を研修する総合診療方式については研修医一人当たり月十九万五千円でございます。それから、内科系、外科系の各一診療科を研修するいわゆるローテート方式については研修医一人月十一万九千円、これ以外の研修医につきましては月五万円となっておりまして、こういう今申し上げたような基準額が定められておるわけでございます。
 これと、指導医への謝金、研修医のための図書購入費、それから光熱水料などの経費を比較しまして低い方の額、つまり実際にかかった額を補助しているということでございます。
 したがいまして、厚生省が補助金として出しておりますのは研修の関連経費でございまして、一方、人件費につきましては、開設者である国立病院が臨床研修医を引き受けている場合に給与費としてこれとは別途計上している、そういう形になっているわけでございます。
○小池晃君 私が聞いたのはそういうことじゃなくて、実態として一人当たり幾ら出ているんですかということを端的にお答えいただけますか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 平成十年度の予算の総額を研修医数で単純に割りますと、公私立の大学医学部附属病院及び臨床研修病院における研修費一人当たりの補助金は、年間で約五十二万四千円でございます。
○小池晃君 要するに、国立大学附属病院の研修医は年額二百四十六万四千円の人件費が出ていると。それに対して、公私立大学病院や臨床研修指定病院の研修医一人当たりの補助金額というのは五十二万四千百円なんです。だから本当に国立大学だって僕は少ないと思いますよ、これ。それに比べて、厚生省の出している公私立大学病院や臨床研修指定病院に対する補助金というのは本当に少ないと。だから、私立大学病院の研修医の給与が五万、六万だという実態がそのまま続いているんですよ。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、これは大臣、答弁では研修を必修化するのであれば若い医師が研修に専念できるような待遇にしなければならないというふうにおっしゃっています。そうであるならば、これはやっぱり大幅に増額する必要があるんじゃないか。
 私、先ほど枠組み自体も検討課題だというふうに理解をいたしましたけれども、補助金と診療報酬の対価というような、言ってみれば非常にこそくなやり方はやめて、これはやはり一般会計からしっかり出すべきだと。やっぱり未来を担う医者をどう育てるかということは、大変これ医療政策の根幹だと思うんですよ。そういう点では、額も思い切って大幅に増額をするし、同時にこの出し方も枠組みを見直していくと。必修化するんだというのであれば、そのくらいのことをやっぱりやるというのは最低条件じゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 今の枠組みについては、参考人から御答弁いたしましたように、図書購入費等の臨床研修病院の経費に対する補助と、それから研修医の給与については診療行為の対価として診療報酬が実際支払われておりますから、そういう仕組みになっておるわけであります。
 このことについて、平成十一年二月の医療関係者審議会医師臨床研修部会の取りまとめによりますと、研修に要する費用の負担については、国及び医療保険の双方が負担しているという今申し上げましたような現状をまず頭に入れた上で、今後そのあり方を整理するとされているところでございまして、研修医の給与水準のあり方などについては、さらにどういう実態になっているのか、これを把握した上、関係審議会等で議論を深め、社会的な合意を形成していくことが適当であろうと考えております。
○小池晃君 実態は先ほど松崎委員からもお話あったような実態なんですよ。特に私立大学附属病院の研修医なんというのは大変過酷な条件に置かれているんですよ。
 これは昭和四十三年にインターン制度が廃止されました。現在の研修制度ができたときであります。このときの一人当たりの予算措置を見ると三十八万円出ているんですね、一人当たり年額。当時の国会審議ではこれでも少ないという議論をしているんです。
 どんなことを言っているかというと、当時の園田直厚生大臣、答弁でこう言っています。「予算の面において、あるいは制度の面において、不十分な点がございまするが、この点は将来必ずこれを改善する」と。三十年以上前ですよ。年額三十八万円の予算措置が大変少ない、これは何とかするというふうに厚生大臣が答弁されているんです。
 ところが、その三十八万円が三十数年たって五十二万四千円だと。この昭和四十三年の時点の国家公務員の大卒初任給で見ると年額三十六万二千四百四十円。大体同じぐらいだったんです、そのときは。それが大卒初任給が今どうなっているかというと、二百九十二万円、約八倍であります。補助金という性格の違いはあっても、やはりこの差が今の研修医の非常に過酷な生活実態に私はあらわれているんじゃないか。やはりこの三十年間極めて低く抑えられてきた研修補助金、こういう経過を見れば、やはり必修化すればその分検討して出しますよというふうに口で幾ら言われても、研修医や医学生は安心して、ああそうですかと言うわけにいかないじゃないですか。ぜひやはりこの面でも思い切って抜本的に踏み込んだ増額をするんだと、ぜひこれは大臣答えていただきたい。
○政府参考人(伊藤雅治君) 先ほど委員の方から厚生省の補助金は国立大学附属病院の人件費に比べて非常に少ないではないかという御指摘ございましたが、この点につきまして少し御説明をさせていただきたいと思いますが……
○小池晃君 それはわかっています。さっき言ったでしょう。
○政府参考人(伊藤雅治君) 厚生省の補助金は人件費が入っておらないものでございまして、人件費の入ったものと入っていないものを比較するというのは非常に誤解を招くというおそれがございますので、あえてそのことを御説明させていただきたく手を挙げた次第でございます。
○小池晃君 わかっています。
○国務大臣(津島雄二君) 今のようなお答えは、要するに実態がどうなっているかをきちっと把握した上で関係審議会等で審議を深めて適切な御意見をいただきたいということでありますが、必修化する以上は、みんな腹据えてやっていただけるようにするというのが私の気持ちであります。
○小池晃君 補助金だから人件費は入っていないんだとおっしゃるけれども、先ほど言ったように大卒初任給と比べると、当初は人件費部分を含めた金額として設定されていたんじゃないかと思うんですね、昭和四十三年、インターン制度が廃止されたときというのは。それだけの分、見ようじゃないかということで出されていたと思うんですよ。それがだんだん変質していったんじゃないだろうか。これはやはり腹据えてやると、徹底的にやっていただきたいと思います。
 やはり日本の医師、どういう医師が育つかというのは日本の医療制度の根幹ですから、それに対して大臣、ちゃんと聞いていただきたい。きちっとやはり責任を持って国が財源も示すし、増額を抜本的にするということが最低条件だと思います。
 この問題は以上にして、次に、病床区分の問題と看護基準の問題について議論させていただきたいと思います。これは今回の医療法改定の柱でもあるわけです。
 看護婦の今の労働実態でありますけれども、看護婦需給見通し、それから九二年に制定された基本指針、これは今年度終了するわけですけれども、健政局長も大まかに申し上げますと順調に推移しているというふうにこの間国会でも答弁されている。
 そこで聞きますけれども、看護婦確保法と基本指針の中で改善が求められていた月八日以内の夜勤、それから完全週休二日制、この実施状況はどうなっていますでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 平成三年に策定されました現行の看護婦需給見通しにおきましては、週四十時間勤務、夜勤回数は月平均八回以内等、これを前提に需要を算定しているわけでございます。
 そこで、平成十年末時点の就業者実績は百九万三千人と就業見込み数百八万六千人を上回り、需要見込み数百十一万七千人に対する達成率は九七・八%となっておりまして、平成十二年には百十五万九千人で需給が均衡すると見込まれているところでございます。
 二・八体制の達成状況につきましては、日本看護協会が行った調査によりますと、平成十一年で、一般病棟のうち三交代制をとっている病棟で二人以上の夜勤体制の病棟は九九・二%、夜勤の平均回数は七・九回となっております。
○小池晃君 この調査の問題ですけれども、医労連、日本医療労働組合連合会が昨日看護現場の実態調査というのを発表しました。今の御答弁では、看護婦需給は順調にいっているんだというお答えですけれども、実態はこんなことが報告されている。
 これによれば、終業後に仕事をする平均時間というのは四十二・八分。患者さんに十分な看護が提供できていますかという問いに、できているというのはわずか八・一%です。できていないが五六・六%。その結果、看護婦をやめたいと思う理由は何ですかという問いに対して一番多かった答えは、仕事が忙し過ぎるから。これは五六・一%なんです。
 こういう実態が一方である中で、これで本当に現場の看護婦さんの需給を十分満たしているんだと、机上の計算でつじつまを合わせているのかもしれませんが、こういう現場の声に照らして、需給が足りているというふうに胸を張って言えますか、局長。
○政府参考人(伊藤雅治君) 委員御指摘の医労連の調査結果によりますと、月八日以内の夜勤の割合が七九%であるという今回の調査結果は私どもも承知をしているところでございます。この基本指針策定時の平成四年に同じく医労連が実施しました調査結果によりますと五〇・五%でございまして、それに比べますと年々改善されているという結果が出ているわけでございます。
 しかしながら、今後とも、私どもといたしましては、基本指針の目標達成に向けて看護職員の処遇改善を含めた人材確保対策の実施に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○小池晃君 こういういろんな実態調査があるわけですけれども、今、需給見直し、各県で作業がやられています。こういう看護現場の実態の調査結果を今策定している需給計画の見直し作業に反映させるべきだと私は思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(伊藤雅治君) 今、平成十三年度以降の新たな需給見通しを策定するため、看護職員の需給に関する検討会を設置し、検討を行っているところでございます。
 この検討会におきましては、急速な少子高齢化の進行、高度医療の進展、それから今回新たに介護保険法の施行、さらに今回の医療法改正、現行の需給見通し以降のさまざまな新しい要素を加えまして、安心、信頼できる医療への強い国民のニーズなど、看護職員を取り巻く状況変化にも十分留意しながら御審議をお願いしているところでございます。
 そこで、今回、具体的には、勤務条件といたしまして、都道府県に作業をしていただいております目安といたしまして、週四十時間労働を基本とするということ、さらに休業、休暇等につきましては妊娠、出産した者全員が取得することを基本とすることでございますとか、育児休業につきましては出産した者全員が取得することを基本とする、さらに年次有給休暇その他の休暇につきましても容易に取得できるように考慮する等の基本的な推計についての考え方を付して、各都道府県に需給見通しの策定をお願いしているところでございます。
○小池晃君 私が言ったのは、こういう実態調査の結果を反映させるかということを言ったので、そのことにイエスかノーかで答えていただきたい。
○政府参考人(伊藤雅治君) 各都道府県の結果を厚生省の検討会において積み上げまして、今、私の方から申し上げましたこれらの推計に当たっての基本的な考え方を踏まえて新たな需給見通しを策定していきたいと考えております。
○小池晃君 ちょっと議論が進まないので、先に行きたいと思います。
 三対一の看護基準の問題でありますけれども、これについて、きょうも不十分だという議論がありました。不十分だと指摘をすると、これは最低基準だというふうにおっしゃるわけです。最低基準だから、より手厚い看護体制についてはきちっと評価をしているんだと、診療報酬でちゃんと見ておりますというようなことを言われている。
 なるほど、これが三対一というのが最低基準であって、上に伸ばそうと思えばどんどん手厚くやっているというのが実態、本当であれば納得しようと。しかし、果たしてそうなのか。これは実態も大変疑わしいと思うんですね。
 私、まずお聞きしたいのは、手厚く体制をとればきちっと評価しているのかどうかという点で、ことしの診療報酬の改定で一・五対一の看護を実現してほしいという要求を出されたはずです。この要望、日本看護協会の資料によれば、夜間においても患者十人程度に看護婦一人を配置するための基準として一・五対一という看護を示しているんですね。やはりこれは私、医療の高度化の中で当然の要求だと思うんですが、なぜこの一・五対一看護を入れなかったんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 診療報酬の改定を行うごとに各関係団体、学界等から御意見をいただく通例になっているわけでございまして、限られた改定財源の中で措置をするわけでございますが、本年の四月の改定におきましては、病床種別に応じました入院機能の分化を図る、こういう観点から入院基本料というものを新設いたしたわけでございます。これによる改善措置を講じたわけでございまして、看護職員の関係もこの中に包括をしたと、こういうことでございます。
○小池晃君 一・五対一をなぜ拒否したのかの理由はおっしゃらない。こういう伸ばそうという努力に果たしてこたえているんだろうか。こたえてないじゃないですか。
 さらに聞きます。お配りした資料で、これは現在、これは今お話あったように入院基本料という形にされました。ですから、看護料ということで直接見ることができないので、入院基本料から従来の入院環境料、入院時医学管理料に相当する額を引いて、大体これが看護料に今まででいえば相当するんだろうという額を算定させていただいたグラフであります。
 これで見ますと、それぞれの看護区分に応じて、看護職員当たりの年間看護料相当といいますか、どれだけお金が病院に入るのかということで見ますと、例えば看護婦比率七〇%以上だと、二・五対一看護にするのが一番病院にとっては収入が入りやすいという仕組みになっている、ピークになっている。それから、看護婦比率四〇%以上だと三対一が一番いいわけです。何と二〇%以上だと四対一が一番いいということになるんですね。確かにこれは看護料じゃないとおっしゃると思いますよ。これは無理やり計算しているわけですから、ある意味では。でも、こうした形じゃないと看護料が見えてこない仕組みになりましたから、こうせざるを得なかったんです。
 結局こういうことでいえば、財政的に見れば、看護婦さんをふやせばふやすほど、例えば二対一なんかにすると病院の持ち出しになっちゃうと。病院にとってメリットがないということになるんですよね、これ。看護婦数はこの数字でいえばピークの二・五対一ぐらいにしておいた方がいいということになってしまう。これは収益の面だけ見ればそういうふうなインセンティブが働くわけです。
 私、こういう報酬設定には問題があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 入院基本料につきましては、先ほど先生御指摘のように、従来の入院環境料とか入院時医学管理料とか看護料、全部含めた総括的な評価ということでございます。
 それから、看護婦さんの提供するサービスにつきましての評価というのはここに尽きているわけではないわけでございまして、当然、診療の補助という形で評価を受けているわけでございまして、そういうものも全体を考慮した上で判断されるべきものではないかな、こういうふうに考えております。
○小池晃君 個別診療報酬に対価として看護に対する評価が含まれる、当たり前のことなんです。
 私が言っているのは、看護婦さんを配置したというそのものに対する評価がここに出てくるわけですから、看護配置そのものに対する基本報酬が看護婦数の増加に応じて伸びているという形になっていないというのは問題なんじゃないだろうかと。その上で、個々の診療行為に対して対価として評価をするということがあるべきであって、基本的に看護婦さんがふえればふえるほど病院のやはりそれに対して報酬が出るという仕組みにすべきじゃないですかと言っているんです。
 三対一は最低基準だと、上に厚くするとそれに対してはちゃんと手厚く処置しておりますというけれども、一・五対一やってくれという看護協会の要望にも応じなかったと。看護料の体系を見ると、上に伸ばせば伸ばすほど収入が入るという仕組みになっていないという実態があるわけですね。
 一方で、療養病床はどうか。一般病棟と同様に、療養病床は六対一という看護基準が今度医療法で提起されている。これも皆さんは最低基準だとおっしゃるわけですね。最低基準だから病院が努力すればその分は上乗せするんだとおっしゃるが、では現在ある療養型病棟ですけれども、この診療報酬上の最高の看護基準というのは一体どうなっているんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 療養病床に対します看護配置の診療報酬上の評価でございますけれども、現在、五対一の看護ということになっているわけでございますが、療養病床の性格をやっぱり考えなきゃいかぬということでございまして、介護保険の対象になる施設も当然あるわけでございます。看護職員だけではなくて介護職員も配置されているわけでございまして、介護を重点で見るか医療を重点で見るかというふうなことにもなるわけでございまして、性格に応じまして適切な組み合わせというので合計いたしまして評価をしていただく必要があるんではないか、こういうふうに考えております。
○小池晃君 六対一が最低基準だと言いながら、実際は五対一が最高基準で、その間しかないわけですよ。看護補助者も合わせて見ればいいんだとおっしゃるけれども、やはり看護婦さんがいることによってしかできない仕事というのはいっぱいあるわけですよ、介護の現場であっても。
 例えば、「二十一世紀に向けての入院医療の在り方に関する検討会報告書」、これを見ると、療養病床でも治療の効率化や療養環境の充実等による長期入院の改善が図られると。要するに、そういったところでもマンパワー、特に看護婦さんでなきゃできないような仕事によって療養環境を改善したり、長期入院だったらもうずっと入院していればいいというわけじゃないですから、やはり少しでもよくしていく、ケアしていくということができるということも書かれているわけでありまして、やはり療養病棟について五対一が看護基準で最高だというのはこれは余りにも貧しい。四対一を三対一にするのであれば、当然四対一の療養病床だってあり得べしだと私は思うんです。
 この五対一というのが最高ということを見直すつもりはありませんか。もっと伸ばす必要があると思いませんか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 五対一が最高だということではございませんで、脳卒中とか大腿骨折、頸部骨折等の入院患者に対しまして回復期のリハビリを行う、特にリハビリに力を入れる、こういうところにつきましては三対一、こういうふうな看護配置も行っているわけでございます。療養病床であれば最低でもこの程度にするということではなくて、やはり評価すべきところに重点的に看護婦さんを配置していくという方向がいいんではないかと。介護が中心である、こういう施設については介護職員をふやす、こういう方向ではないか、こういうふうに考えております。
○小池晃君 回復期リハビリテーション病棟のことをおっしゃいますけれども、これは非常に限定的なんですね。対象疾患も限定されているし、百八十日が限度という縛りもあるし、こういう例外中の例外みたいなものを持ち出してやっているんだというのはやめた方がいいですよ。これは三十四しか医療機関とっていないわけですから。やはり基本的な体系の中にもっともっと看護基準を厚いものを私は盛り込むことを当然やるべきだと。
 しかしながら、一方で逆に、例えば介護保険の報酬の世界では、これは一番トータルで見れば厚い看護婦六対一、看護補助者三対一。六・一、三・一というふうに一般的に言われていますが、この基準は二〇〇三年に廃止するという方向なわけですよね。おかしいじゃないかと思うんです。こういう基準の介護あるいは看護の水準を要する患者だって介護病棟だっているだろうと。これは廃止するべきじゃないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(大塚義治君) お話しございましたように、介護保険によります介護報酬に関連いたしまして、介護保険施行時に診療報酬において六カ月以上いわゆる六・一、三・一で置かれていた療養型病床群が介護型病床群というふうな申請をいただきますと、平成十五年三月三十一日までに限り算定をする、こういうことになっておりますのは御指摘のとおりでございます。
 介護保険によります施設サービス、どういう施設でどういう介護報酬をお支払いするかということになるわけでございますが、御案内のように、施設としては特別養護老人ホーム、老人保健施設、そして療養型病床群のうちの相当部分を想定した介護型療養病床群、こういうことになるわけでございますが、特別養護老人ホームや老人保健施設とのバランスもございます。
 しかし一方で、療養型病床群、つまり医療保険の体系の中で運営されてきたそういう施設もございますから、その中で御申請があるならば経過的に三年間このまま適用し、三年後にはいわば介護報酬の体系の中で運営をいただく、こういう整理をしたわけでございます。
○小池晃君 これは三年後に廃止するということは、その時点でまた検討するとか、やはり見直すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(大塚義治君) 介護報酬の検討は、私どもとしては基本的には三年を一つのサイクルといたしまして見直しをするということを一応念頭に置いてございます。
 したがいまして、その時点で専門の審議会で御審議を賜るということになるわけでございまして、現時点におきましては、まだ制度発足当初でございますし、施設体系としては一応バランスのとれたものとなっておりますので、今の時点で三年後における検討の内容について言及することは、申しわけございませんができないわけでございます。
○小池晃君 逆に言えば、三年後にもう一回見直すということも含めて検討対象になっているというふうに理解してよろしいわけですね、ということだと思うんです。
○政府参考人(大塚義治君) 同じことを申して恐縮でございますが、この新しい現在の介護報酬体系も審議会で何度も御議論を賜り、こういうことで整理をいたしたわけでございます。しかも、まだ施行して半年余りでございますから、三年後の見直しの具体的な方向づけなどにつきまして、私の立場から内容を論及するわけにはまいらないということを御理解賜りたいと存じます。
○小池晃君 大臣にお伺いしたいんですが、看護婦さんがふえれば逆に病院の収益が減ってしまうような仕組みというのは、やっぱり私はとんでもないんじゃないかなと思うんです。やはり少なくとも配置された看護婦さんの数に応じて基本的な報酬が病院に払われるということは、私はこれは当然やるべきだと思うし、さらに厚く看護体制を上に伸ばしていくんだ、充実させたところにはきちっと評価するんだとおっしゃるのであれば、そういう配置をしたところにはきちっと報酬も出すという仕組みを、そういうインセンティブを報酬の中に盛り込んでいくということは、私これは当然の仕組みじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) よく聞いていただきました。
 小池委員の御議論を聞いていますと、病床が非常に多い日本の医療の現場で、それを前提としてとにかく看護婦さんをいっぱいつければよくなる、今の現状を前提としてどんどんふやしなさいと、こういうふうに聞こえるわけであります。
 私は、きょうの午後、午前中もありましたけれども、何人かの専門家からの御議論をいただいたことをやっぱり大事にしなければならない。つまり、今のままの医療体制でただ人をつければいいというインセンティブ、これは決して日本の医療をよくしない。ですから、本当にいい医療、急性期なら急性期に合ったような医療を提供するために看護婦をきちっとつけて高度の医療を積極的にやったところはどんどん患者さんが集まってきて、そこは収支がよくなるという形にしなさいと、私はそういうふうにけさからアドバイスを受けていると思っておるわけであります。
 そうであるとすれば、今おっしゃったように、ただ基本料のところが、これは定額ですから看護婦がふえればずっとならされて減るじゃないかという議論は実は余り正しくない。もし立派に体制ができて看護婦さんも配置をされ、そして積極的な医療ができて患者さんは早く治って出ていくと、どんどんそこのところは忙しく働けば、それは診療報酬もふえていく、そういうサイクルを私たちはこれから目指していかなきゃならないんです。
 ですから、そういう議論と一緒に議論してください。今のままで、とにかく今のままの病床で三対一より二・五の方がいいという議論だけでは私は物事の半面しか見えない、かように思っておるところであります。
○小池晃君 私がなぜこういう議論をしたのかと申し上げますと、一方で、今回の医療法の改定の中に盛り込まれている基準病床数の設定があります。この基準病床数の設定はどうなっているか。平均在院日数がまずあって、平均在院日数が減ればどんどんベッド数が減っていく仕組みであります。それから、入院率というのも設定されていて、これは地域ごとの入院率の違いはあるけれども、全国の基準を決めて、基準の値もしくは都道府県値が基準値よりも低ければその値で設定をするという中身であります。
 全体として見れば、もうこれはこの五年間で一〇・八%平均在院日数は減っているわけですよね。そういうトレンドでこれからも日本のベッド数を減らしていくという、そういう仕組みが盛り込まれているじゃないですか、医療法の中に。そういうベッド数は減らしていくという仕組みをつくっておきながら、では看護婦さんをどうやってふやすのかと。最低基準だと言いながら看護婦さんをどうやってふやしていくのか、仕組みは全くないし、人が多けりゃいいわけじゃない、そういうふうにおっしゃるわけでしょう。それじゃ現場は希望も何もないんですよ。
 だから、私が言っているのは一面的な議論じゃなくて、ただ単にベッドを減らすのはけしからぬと言っているんじゃないです。ベッドを減らそうということで言うのであれば、それにふさわしい財源的な裏づけがないじゃないか。看護体制をふやすという仕組みが全く今回の提案の中に盛り込まれていないじゃないか。看護婦さんをふやしていこうという現場の努力の芽を結果として摘むようなやり方になっているんじゃないかというふうに申し上げているんです。どうですか。
○国務大臣(津島雄二君) それは正しい御理解ではないと思いますよ。私どもが言っているのは、最低基準はこうだと言っているんです。その最低基準で満足せずに、さらにもっといい配置をしていい医療をやっていただくところにはどんどんと患者さんが集まって、診療報酬が伸びていくというのがいいことである。ですから、小池委員の指摘するように、基本料金だけで物を考えちゃ困るよということを言っておる。
 そして、私はけさから答弁しておりますけれども、看護婦さんの配置はやっぱりもっと充実をしていかなければならないということは申し上げておるわけでありまして、それは同時に、今の病床の合理化と一緒にやっていくことが望ましいということを言っているわけであります。
○小池晃君 診療報酬の中で、基本的に看護婦さんを配置したことそのものに対する評価がやはりできていないですよ。だから、診療行為に対する対価が、看護婦さんがふえればそれは医療行為、診療行為ふえますよ。看護行為は当然ふえますよ。それに対して対価が支払われるというのはこれは当然のことであって、私が申し上げているのは、基本的な看護婦さんを配置したというそのものに対して、やはりそれを育成していく、経済的に誘導していくという、そういう政策を全くとってないじゃないかと。きちっと評価してございますというふうに答弁しているけれども、していないじゃないですかと申し上げているんです。
 その一方で、今回の医療法の体系の中では、ベッドはこれは減っていくという仕組みが自動的に、自動ベッド削減装置みたいな仕組みが盛り込まれるわけですよ。そういうことで日本の医療の二十一世紀の未来はあるのかと申し上げたい。
 もう時間が来ましたけれども、この医療法の問題だけでも私、二十一世紀の日本の医療の針路を決めるような大変な問題だと思いますよ。インターン制度が廃止されたときの医師法改正のときの議事録です、これ。研修の問題だけでこれだけ議論しているんですよ、私、全部見ましたけれども。
 それに比べて、今回、この医療法、将来、日本の医師はどうあるべきかという大事な議論です。日本の病院というのがどうあるべきかという大事な議論が今度の医療法の改定でしょう。この議論を与党の中からは、政局がいろいろ激動しているから一刻も早く決着をつけるような、そんなような御発言もあるやに聞いておりますけれども、これはとんでもない話だと。徹底的に議論しなくちゃいけない問題ですよ。二国会、三国会かけたって私は惜しくないような重大問題だと。
 これは引き続き徹底的に議論したいというふうに申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 答弁を一言だけさせていただきます。
 委員のお考えですと、医療の中身、病床の機能を発揮させるということを抜きにして、とにかく看護婦さんさえふやせば、どんどん収入がふえるようにした方がいいというふうに私は聞こえましたが、そうであれば思想を異にするということだけ申し上げておきます。
○委員長(中島眞人君) 時間です。
○小池晃君 いや、ちょっと今言ったから反論権があります。反論権。
○委員長(中島眞人君) もう時間ですので。
○小池晃君 一言だけ。一言。
○委員長(中島眞人君) 時間です。
○小池晃君 一言。
 私は、それだけが、看護婦さんをふやせばいい、それだけが病院の機能などとは一言も申しておりません。
○委員長(中島眞人君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会