第150回国会 国民福祉委員会 第6号
平成十二年十一月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任   
     小宮山洋子君     本岡 昭次君
 十一月二十四日
    辞任         補欠選任   
     本岡 昭次君     小宮山洋子君
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任   
     小宮山洋子君     小林  元君
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任   
     小林  元君     小宮山洋子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                田浦  直君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                武見 敬三君
                南野知惠子君
                今井  澄君
                小林  元君
                堀  利和君
                松崎 俊久君
                山本  保君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     津島 雄二君
   政務次官
       厚生政務次官   福島  豊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       大蔵大臣官房審
       議官       竹内  洋君
       文部省体育局長  遠藤純一郎君
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省健康政策
       局長       伊藤 雅治君
       厚生省保健医療
       局長       篠崎 英夫君
       厚生省保健医療
       局国立病院部長  河村 博江君
       厚生省医薬安全
       局長       丸田 和夫君
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
       厚生省保険局長  近藤純五郎君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       社会保険庁運営
       部長       小島比登志君
       自治省行政局公
       務員部長     木寺  久君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)

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○委員長(中島眞人君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、小宮山洋子君が委員を辞任され、その補欠として小林元君が選任されました。
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○委員長(中島眞人君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に大蔵大臣官房審議官竹内洋君、文部省体育局長遠藤純一郎君、厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、厚生省保健医療局長篠崎英夫君、厚生省保健医療局国立病院部長河村博江君、厚生省医薬安全局長丸田和夫君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省児童家庭局長真野章君、厚生省保険局長近藤純五郎君、厚生省年金局長矢野朝水君、社会保険庁運営部長小島比登志君及び自治省行政局公務員部長木寺久君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(中島眞人君) 次に、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○今井澄君 おはようございます。民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 これから質疑をさせていただきますが、どうも私も非常に恥ずかしいことにちょっと風邪を引いてしまいまして、昔だと風邪を引くなんてめったになかったんですが、やはり年をとってきますと健康に気をつけなければならないなと痛感しております。こんな風邪を引きながら余り偉そうな質問もできないかもしれませんが、我が身を反省しつつ質問させていただきたいと思います。
 私は、きょうは主としてこの間の議論で出てまいりました二〇〇二年度、平成十四年度までには抜本改革の案を出すというその中身の高齢者医療制度の問題を中心にやりたいと思うんですが、そのほかに幾つか質疑をさせていただきたいことがございまして、時間が七十五分ということなのでどういうことになりますか、老人医療制度の議論だけをやっていますとそれだけでも二時間、三時間必要になりそうなので、最初に幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、医師の研修制度のことなんですが、後ほど同僚の松崎議員の方からも質疑をすると思いますので、私はその一部をさせていただきたいと思います。
 やはり、人の命にあずかるわけですし、関係してくるわけですし、また人の心の問題にも大変大きくかかわるということで、医師が大学で授業を受ける、実習をする、国家試験を通る、それだけで一人前の医師になるとはだれも思っておりませんし、研修は当然必要だろうと。現に九割近くの方が研修指定病院というところで研修を受けているということですが、あえてここで義務化をするということは、私はそれはそれで必要なことなんだろうと思うんです。
 しかし、問題は、私も実は昭和四十三年に卒業予定が四十五年に延びました。二年間延びた理由は、インターン廃止闘争からそれに引き続く大学闘争で延びたわけですが、このインターン制度がなぜ廃止されたのかということをきっちり踏まえないと、ただ研修を義務化すればいいという問題ではないと思うんですね。
 インターン制度、戦後アメリカから導入されたこの制度は、制度としては非常にいいものだったと思うんです、その趣旨としては。卒業しても二年間の臨床研修をしなければ医師国家試験を受けさせないと。医師国家試験を受けて免許を取るということは医師として一人前ということですから、それはそれでよかったんですが、私どもは一貫してインターン制度の三悪、三つの欠点ということを申し上げてきました。
 それは、一つは、臨床研修といいながら実は指導医がいない、指導体制がない、指導カリキュラムもない。それから、研修医という名のもとで、医者ではないですからただ働き同然で経済的保障がない。それからもう一つは、身分保障がないということ、こういうことを申し上げてきたわけです。例えば定期券一つ買うにしても、学生定期も買えなければ通勤定期も買えないという状況、それに対して、改善要求がどうにもならないので廃止ということでやってきたわけです。
 今この義務化をするに当たって、ではかつてインターン制度が廃止されたその原因になったようなことが根本的に解決されるのかどうかということですが、きょう資料としてお配りいたしました資料三、四を見ていただきたいと思います。つい最近の新聞に載ったものであります。
 資料の三についてまずお尋ねいたしますが、私は、研修を義務化するということは、卒業後二年間程度は、まだ未熟な医師であるということで当然指導医がいなければ診療行為ができないものだというふうに考えるわけです。したがって、単独で診療することはこれは禁止されるべきだと思うんです。
 例えば、その単独診療の一番いい例がアルバイトです。私どもも、インターン制度を廃止されてもすぐ正式の職員にはなかなか採用されない。研修をしながら生活保障のためにアルバイトに通うわけですね。今でも、例えば私立大学の一番低いところでは月二万五千円だそうです。これが三カ月ごとにまとめて一度に支払われる。こういうことでは当然生活ができないわけですから、バイトに行くわけです。普通に行って診察や何かのバイトをする場合に、相場が今都内では時給一万円だそうです。それから夜の泊まり、当直などは五万から六万、もちろん土、日など続けて泊まるときには十何万もらう人もあるようですが、そうやって稼ぎながらやっているわけですから、当然バイト先では指導医なんかいないわけです。
 こういうことは禁止されるべきだと思いますが、どうですか、大臣。
○政務次官(福島豊君) 臨床研修中にアルバイトをするようなことについてはいかがかという御指摘だというふうに思います。
 今回、私どもの医療法等の改正、そしてまた医師法等の改正に当たりまして、臨床研修というものにつきましては、医師の資質の向上を図るという目的のために研修に専念をすることが必要である、それが原則として置かれているわけでございます。具体的には「臨床研修を受けている医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならない。」というふうに法律上に規定されている。したがって、この法律上に規定された趣旨に沿って臨床研修というものが行われる必要があるというふうに思います。
 研修中にアルバイトをするというようなことは、専念という観点からいうとこの趣旨に沿ったものではないというふうに思いますし、そして研修内容、研修修了の認定方法なども、この専念義務に沿った形で具体的に検討を進め、定められる必要があるというふうに考えております。
○今井澄君 バイトについては当然のことだと思うんですが、例えば研修指定病院にいても、多くの場合、一日に二回くらいしか指導医の上の先生が一緒にいてくれない、教えてくれない、こういう声をよく聞くんですね。したがって、これは指導医の体制というのをきちっとつけないと、何も二十四時間べったりとは言いませんけれども、そういう意味でも財政措置も必要だと思うんですけれども、そういうバイトだけではなく研修指定病院における研修においても、やはり一日二回とか三回とか、そんな程度ではなくて、もっときっちり指導医のもとでやるべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 臨床研修におきまして指導医が適切に指導する体制を構築するということは極めて大切なことだと思います。一日二回というような御指摘ございましたけれども、何回という規定ではなくて、必要な事柄に対して必要な指導がなされるというような体制を構築していくべきだと、そのように考えております。
○今井澄君 私は、やっぱりこの単独診療の禁止ということは何らかの形で、義務化に伴ってこれを法律に書くということはなかなか難しいんだろうと思いますね。医師免許を与える以上、法的な整合性があると思いますが、これは省令なりあるいは通知なり、何らかの形でぜひやっていただきたいということを要望しておきます。
 さて、もう一つ、臨床研修の場でありますけれども、前回の質疑でも私申しましたが、日本の医療行政、厚生行政というのは、どうも外から見た形、大きさ、数、そういうものにとらわれているものが非常に多い。例えば、ベッドの数が多いからいい病院だとか質が高い病院だみたいなことですね。私は、これはそろそろ脱却する必要があると思うんです。
 これは松崎委員の質問の中にも出てきましたけれども、日本で五百床なんというのはかなりの大病院だと思われていたって、平均在院日数が長いわけですから、平均在院日数を外国並みにすれば、外国でいえば二百床ぐらいの病院にしか当たらない病院だってあるわけですよ。病床数の大きさが問題ではなくて、質だと思うんです。
 その際、今の臨床研修指定病院の指定の仕方は、病床数から始まって、眼科とか耳鼻科とかいう科にも指導医が二名いなきゃならないとか、剖検率も非常に高いとか、これは非常に現実の臨床とは離れた要件が強過ぎると思います。そういう要件が強過ぎるために、大学で研修する、大学が研修指定病院の中心になっちゃう、みんな大学に行かざるを得ない。それは、研修だけではなくて、一つは将来の就職のことを考えて、今の若いお医者さんたちも寄らば大樹の陰で大学に行くという悪いところがありますが。
 しかし、大学病院の医療レベルがどうかというのをこの前の参考人質疑でお聞きしたときに、三人の参考人が口をそろえて日本の大学病院の臨床レベルは国際的に見て低いと言われた。事実、臨床レベルは私は高くないと思いますね。それだけではありません。大学病院では診断のついた患者しか診れないとか、ごく普通の患者が診れないという医師の研修にとっては基本的な欠点があるわけですよ。それが、今何と約八割が大学病院で研修しているそうです。しかも、大学病院で研修するときには、縦割りが多いですから、幾つかの科を満遍なく研修するという理想的な研修形態にならない。縦割りの中で閉じられたことになるおそれがあるわけです。
 そういう意味では、臨床研修病院の指定の要件を根本から見直さない限り実を上げることはできないと私は思います。その点、どうお考えでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 臨床研修病院の指定ということにつきまして、現在までの議論でどうなっているかということでございますけれども、医療関係者審議会での議論では、現行の臨床研修病院の指定基準については、研修指導体制を含む新たな基準を示すというふうにされておりまして、この改正案が成立いたしましたら、関係者の意見も伺いながら、そしてまた、今、先生御指摘がありますように、質を高めるためには抜本的な検討ということが必要であるという御指摘であったかと思いますけれども、その先生の御指摘も含めて検討を進めてまいりたいと思います。
○今井澄君 前回、参考人質疑のときに、三上先生が京都からお越しになりました。私も、京都の堀川病院とか南病院とか地域医療をやる兄弟病院として何回も伺いました。非常に一方で肌のぬくもりのある医療をやっているんですね。例えば堀川病院なんか、西陣の通りは病院の廊下だということで地域の医療をやってきている。そういうことをやる一方で、非常に高度な医療もやりながら、きちっと指導医をつけて医者を育てているんです。
 それから、朝日新聞にもつい最近出ておりましたが、舞鶴市民病院、ここは外国から臨床研修の指導医を招いてやっているんです、小さな病院、一市民病院でありながら。その体制をつくった院長は、その後、島根県立中央病院の院長になり、今、高知県の県立病院と高知市立病院が合併になった病院の院長になって行っています瀬戸山さんという、うちの朝日議員の同級生なんですけれども、その人が舞鶴市民病院の院長をやっているときに私も行きました。やっぱり小さな病院でも、日本海側のあの町の病院でもできるんだと。
 かく言う私も、行ったとき六十六床、非常に小さな病院でした。本当に内科と外科しかなかった。その中でいろいろやりながら、私は恥ずかしながら大学では麻酔を半年、週三回ずつやったぐらいで、そういう大学とか大きな病院で研修は受けませんでした。しかし、うちの病院でも一生懸命若い医師を育ててきました。そういうところは臨床研修病院の現在の指定基準には全然合いません。合わないけれどもやっているんですね。
 ちょっと恥ずかしながら、ここに水野肇先生の書かれた「名医ここにあり」という本があります。十年余り前に出た本なんです。この中には若月先生、それから日本医師会の現在の会長の坪井先生がありますが、十人目に実は私も取り上げられているんです。私は、決して腕のいい医者として名医だとは思っておりませんが、腕は悪い方ではもちろんないと思っていますが、やはりそれなりに地域で地域の皆さんに信頼される医療をやって、こういう本にも取り上げられるぐらいのことをやる人間は、何も大学や臨床研修指定病院で研修しなくてもそれなりの医者になれるんですよ。そういうところを排除するような指定基準になったら、私は全くこれは国民に対する裏切りだと思うんです。
 きょう、資料の三枚目につけました奈良県立医大の前病院長の収賄の問題、これはある意味で氷山の一角だと思うんですよ。確かに、大学から医師を派遣してそのお礼にお金をもらう、それを個人のポケットに入れている人は今は少なくなっているかもしれない。だからこういう悪らつな人が、大学教授が摘発されたわけです。だけど、個人でもらわなくても大学の医局というところ、教室というところに医者の足りない病院が医者を派遣してもらうお礼にお金を納めている例はもう枚挙にいとまがないわけです。
 北海道なんか行ってみたら、まず北海道ではほとんどの病院が大学の医局にお金を納めて医師を派遣してもらっていると思うんです。私は、ここに日本の医療がある意味では腐敗している根本があると思います。大学の医局が人事権を持つ、そして医師を派遣することの見返りにこういうことをやったり、本当に地域に目を向けた医者がなかなか地域の病院で働けない、そういうものをつくっている。
 だから、もし今度の臨床研修指定病院の義務化がそういう大学医局による人事支配に手をかすようなことになったら、これは犯罪だと思うんですよ。絶対にそういうことのないように、大学というのはむしろ臨床研修には不適格だということ、そういう認識でやっていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 臨床研修におきまして、さまざまな科目の研修ということも同時に必要になるわけでございます。そしてまた、委員もよく御存じだと思いますけれども、例えば剖検のような病理的な側面での研修ということも当然必要だというふうに思います。これは今後の議論にまつわけでございますけれども、大学病院というのはそうした総合性を持っている医療機関として、直ちにそれを除外するという意見にはなかなか私は賛成ですというふうに申し上げるわけにはまいりません。
 ただ、委員御指摘のように、奈良県立医大の事件ございましたけれども、まことに遺憾な事件であるというふうに私も思っております。臨床研修制度の新たな再構築に当たりまして、先生が御指摘いただきましたような点も含めて検討を進め、よりよい制度というものにしていきたいというふうに考えております。
○今井澄君 そこで、それを検討する審議会ですけれども、現在は医療関係者審議会の中の医師臨床研修部会でやっておられるとお聞きします。今後、省庁再編に伴って審議会の再編が行われまして、新たに臨床研修の条件等、あり方を議論する何らかの会ができるんだと思いますが、医師臨床研修部会の名簿を拝見させていただきますと、これはもう立派なそうそうたるメンバーなんですね。千葉大学の学長だとか、それから日本医師会の会長とか、ちょっと立派過ぎると思うんですよ。もっとやっぱり現実に若い医師の指導のことがわかる、そういう方たちの作業部会なりなんなりをぜひつくっていただきたいと思うんです。
 そうすると、この前参考人で来られた三上先生ですとか、それから舞鶴市民病院の院長先生ですとか、あるいはさっき言いました高知で今やっておられる瀬戸山先生とか、本当に苦労して現場で、大学でも大病院でもないところで医師をきちっと教育しながらやってきている、そういう先生も加えたような部会をぜひつくっていただきたいということを希望して、私のこの問題についての質問は終わりたいと思います。
 あと幾つかあるんですが、早速本題に取りかかる、本題と申しますか今のも大事な本題ですが、医療保険制度よりも医療関係者、いい医師、看護婦が出てこない限りいい医療にならないわけですから大事なんですが、抜本改革の中の柱となっている高齢者医療制度についてお尋ねをしていきたいと思います。
 資料の一を見ていただきたいと思います。資料の一は、実は厚生省にお願いして今出ている案と現状の案を全部まとめたわかりやすいものをつくっていただいて、それを私が手を加えた図なんですけれども、これはなくすべきだと言われているのは、一番下の現行の老人保健制度です。
 今、国保と被用者保険、被用者保険には当然ながら健保組合もあれば政管健保もあるし、国家公務員・地方公務員共済等いろいろあるわけですけれども、それを一まとめにしてサラリーマンの保険と。それで横軸は、これは人口と考えていいと思います。縦軸が年齢です。そうすると国保の方は、上へ行くほど広がっているということは、要するに高齢者の加入比率が高いということですね。被用者の方は上へ行くほど狭まっている。ある程度、六十歳から、退職をした後は国保の方に引き取るけれども、それには拠出金、分担金ですか拠出金という形で被用者保険の方からお金が入っている退職者医療制度というのがそこにぶら下がるような形であるわけです。
 全体としてこれは、昭和四十八年があれですから、五十八年からこの老人保健制度というのができたわけです。それは、無料を有料にする、自己負担を払っていただくようにするけれども、この人たちの医療はこういうまとめた制度にしようと。もう一つ、老人保健制度というのはこれだけではなく医療以外の保健事業というのがあって、訪問指導だとか訪問リハビリだとか健康診査だとか健康相談だとか、こういう事業があるわけですね。
 ただ、要するに金の問題としては七十歳以上を一まとめにして、一応管理者は市町村、国保ですから、国保の方におっかぶせる。おっかぶせると言ったらおかしいですけれども、ということで市町村に責任を持ってもらうという、形の上ではそうなっていますが、番人のない医師のお財布をつくりまして、そこから老人医療費を払う。その使った分をみんなで、国保、被用者保険から拠出金ということで出す、こういう制度になっているわけです。
 上の図との対比でいえば、実はこれは制度としてはそういうことですので、国保があり被用者保険がある上で、七十歳のところで上を老人保健制度という枠で囲ってありますが、実はお金の流れから見ると七十のところではっきり溝をつくった方がいいと思うんですね。二重線で書いて溝をつくって、言ってみれば左の一番の上のA案のような形で、ここが七十歳になっているというのが現在の老人保健制度と考えていいと私は思っています。
 ところで、今出ている案を大きく分ければ四案あると思うんです。A案がいわゆる独立型、B案がいわゆる突き抜け型、C案が年齢リスク構造調整型、D案が一本化案ということなんですが、私はこの前も質疑の最後で申し上げましたが、公費負担をふやそうよということで何か三方一両損みたいな形でA案に今まとまる動きがあるのは非常に危険だということを申し上げて、前回の質疑を終わりました。
 そこで大臣にお尋ねしたいんですが、このA案、七十五歳から独立した制度をつくる、しかもこのA案の原案は五%を自己負担いただく、そして残りの九五のうちの五%は保険料を七十五歳以上の人からも納めてもらう、結局九割は公費で入れようという、こういう案です。財源構成はともかく、この七十五歳の案は現行の老人保健制度と形の上でそっくりだし、これはどこが違うのかわからないんですが、大臣、これはほとんど同じようなものだとお思いになりませんか。
○国務大臣(津島雄二君) ちょうど老人保健制度を国会に提案いたしましたときに私は厚生政務次官でございました。今、今井委員が分析をされたような事情であったと思います。
 印象的に申し上げますと、最初のころは下に書いてあるようにくっついているような感じのイメージで始めたんですが、だんだん今の上のA案のように分けてきたというのが実態だと思います。
 こうして見た場合に、独立制度というものは一体今の制度とどこが違うかといいますと、結論を先に言いますと、私は委員のおっしゃるとおりだと思うんです。基本的には同じ問題が同じように出てくると思うんです。
 ただ、理屈としてはいろいろございますね。独立保険方式は、高齢者と若年者の医療内容やリスクの相違に着目して、若年者とは別に高齢者のみを対象とした新たな高齢者医療保険を設け、財政責任の明確化を図る云々と、こういうこと。理屈はこうなのでございますけれども、現実にやろうとなれば、今おっしゃった九割を公費で賄うとなれば、例えば膨大な財源、一兆六千億ぐらいと言われておりますが、それをどう確保するかというまず目前の問題がございますと同時に、結局は今我々が抱えている問題が全部顕在化する、これをやろうとしたら。同じなんですね。おまけに、この独立保険方式を地方公共団体が保険者としてやるとなると、これは一体どこが違うんですかと、今の国保の市町村が抱えている問題が同じように出てくるだけではないかということでございます。
 ねらいという意味ではわからないではないんですけれども、御指摘のような点を含めた問題がございまして、実務的にはなかなか難しいというのが私の考え方、印象でございます。
○今井澄君 大臣、本当にありがとうございました。そのとおりだと思うんです。これは常識で考えてどうも全然、決して新しい案ではないと思うんです。
 そこで、こういう制度にすると幾つかの非常に大きな疑問が出てくるんです。
 原案のように九割を公費ということになりますと、公費丸抱えなんですよね。公費丸抱えがいいか悪いかということはいろいろ議論があります。一つは、今のようにお年寄りの医療をどんどん御自由に行ってください、薬でも検査でもどんどんということになれば、公費がどんどん膨れていって国の財政の圧迫になる。逆に、公費でやるものですから締めやすい面もあるわけです。予算がこれしかないと言えばもうそれ。そうすればお年寄りが、人によって随分医療の受け方が違うようですけれども、非常に制限診療を受ける、こういう問題も出てくるように思います。
 さて、そこでもう一つ大変不思議なことは、今お年寄りの自己負担は平均すると七、八%でしょうか。今度定率一割負担、しかし上限つきというのが入って、そんなに変わらないということなんですが、高齢者医療制度、五%でもあるいは一割でもそれはいろいろバリエーションもあるんでしょう、このA案、あり得ると思うんですが、ちょっと気になりますのは七十五歳なんですね。
 今、七十歳から老人保健制度で定額負担、あるいは今後定率負担になっても七、八%の負担で済んでいる。そうすると、七十歳から七十四歳十一カ月何日でしょうか、そこまでの人は、この五歳階級の人たちは、このA案でいきますと、国保だったら三割負担、被用者保険だったら二割負担になるわけですね。これは大変な負担増なわけです。今、高齢者の一割定率負担だけでもこれだけもめているわけですよ。随分反対の意見も来ます。しかし、私ども民主党としては、原則定率一割負担はしようがないと、ただ低所得者対策はしっかりやりましょうということで、その点は今度の改正案に反対ではないんですけれども、むしろ積極的に評価するんですけれども、それをいきなりこのA案に持っていくと、七十歳から七十四歳というのは実はまだまだ元気で、しかも医療費が最もかかる世代なんじゃないでしょうかね。その人たちから二割ないし三割負担をしてもらう、こういうことになりかねないと思うんですが、これは大臣あるいは保険局長さんでも結構ですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 詳細は保険局長から補足をしてもらいますけれども、A案のように高齢者医療制度をこういうふうに分けるというのは考え方としてはわからないではないところはございます。高齢者というものの特性に着目して、それに対してどのように医療保険制度が対応するかという、ねらいはわかる。しかし、現実には、先ほど申し上げましたように、今我々が抱えておるあらゆる問題を解決しないと結論が得られないという意味では、このこと自体が解決策にはならないと。
 まずそれを申し上げた上で、しからば今の分けて考えるねらいから見て七十がいいのか七十五がいいのか、あるいは一部には六十五から高齢者だよという説もございますが、少なくとも言えることは、いわゆる高齢者人口がふえている中で、今でも大変なのに七十を六十五に下げるというのはこれはまあ議論してみるだけであろうと。しからば七十五にすればどうかということについては、これはなかなかいろいろな論点がございまして、結局は最終決着をどうするかということとかかわりなしに年齢のことだけで結論するのは私は難しいと。例えば、公費の役割をどうするか、その公費をどのぐらい確保できるかというようなレベルまで議論しないと結論は出ないというのが私の感じでございますけれども、局長、何か補足すべき点があったら。
○政府参考人(近藤純五郎君) A案というのが提案されたときに、確かに七十歳から七十五歳をどうするのかというのが一つの論点であったわけでございまして、恐らくこれを仕組むときには、経過措置は当然置くだろうと思いますし、それから低所得者については特別の配慮という形で二割なり三割を導入すると、こういうことになるんではないかと思いますけれども、実際問題なかなかこの問題は難しい問題だというふうに考えております。
○今井澄君 そうなんですね。私は、この七十五歳で、確かに引き下げるというのはなかなか難しいのかもしれませんが、引き上げるといかにも何かあれのようでよさそうに見えますけれども、これは難しい問題だと思うんですよ。経過措置で、だけど将来は七十歳代前半は二割ないし三割の負担ですよと、これは通らないと思いますね。
 というのは、負担の関係を考えるときに、やっぱり所得との関係、あるいは資産の問題まで行くともっと複雑になりますが、少なくとも所得との関係で年齢を区切るんだったら区切らなきゃいけないと思うんです。今、年金が六十、これが六十五、この移行期ですね。そうしますと、年金がもらえるのが六十ないし六十五というところを、いきなりそれとさらに関係なく七十五に上げるということ自身、そしてそこで負担を二割、三割求めるということは非常に難しい、おかしな案だと思います。
 もし、一方、高い年齢の方で、高い年齢の人たちは所得も十分じゃない、例えば年金も十分じゃないというんだとすれば、一つの区切りとして八十五歳というのはあるかもしれません。それは、いわゆる老齢福祉年金受給者、今八十五歳、もうそろそろ八十六歳ですかね、国民皆年金が導入されたときに、今さら保険料を払ってもらえる期間に達しない人たちはもう無拠出で年金はこれだけ差し上げましょうというので、今は月四万三千幾らですか、差し上げている老齢福祉年金がありますね。もし、その老齢福祉年金受給者は丸ごと税金で面倒を見ましょう、あるいは九割税金で面倒を見ましょうというんだったら、八十五歳で線を引いて、公費を九割入れます、あるいは八割入れますということはあり得るだろうと思うんです。そのかわり、これは年々一年ずつ繰り上がっていくわけですよ。いずれなくなる制度として仕組むというのなら私はわかるんです、この超高齢者医療制度。いかにも固定的に七十五歳で区切ってというのはどう考えてもおかしい。自己負担の問題が解決つかないと私は思うんです。
 何かお考えあったら、政務次官、もし何かあったら、いかがですか。
○国務大臣(津島雄二君) 大体委員御指摘のようなところが私どもも同じように悩むところでございます。
○今井澄君 もう一つ、このA案の問題は、先ほども大臣がお答えになりましたが、保険者機能、保険者の問題というのは全然解決しないわけですよ。
 現に、今の老人保健制度は番人のいない穴のあいた財布ということで、だれもお金が出ていくことについて、管理人がいない、出ていき放題だと。そこに、出ていった分だけ皆さんからお金を集めるというものだから、特に健保組合を中心に不満が出てきて、こんな制度やめちまえ、たまらないと。けさの新聞を見ますと、ある新聞、トップ記事です。もう四百幾つの健保組合がこのままじゃやっていられないから解散だなんという話もあるぐらいです。
 そうすると、やっぱり、保険制度でやっていく以上、番人がいないといけないわけですよね。適切にお金が使われるようにという番人がいないといけない。そうすると、A案をつくった場合に、国一本でやればこれは番人がいないのと同じ、今の制度と同じ。都道府県に分権しても、新しい番人をどうやってつくるのか、だれに番をしてもらうのか、このことが問題だと思います。
 国民健康保険は市町村で、市町村レベルがいいかどうかわかりませんが、それなりに保険者機能を働かせているところもあるわけです。例えば、私も長野県の国保で仕事をさせていただきましたが、やっぱり保険者が一生懸命住民教育をしながら、医者にかからない運動などというのをやったり健康診断をやったりしながら、またレセプトのチェックも、再チェックもやるというようなこともやってきました。
 新たな機能をつくるということは非常に難しいと思うんで、保険者機能からいっても、こういう独立した制度をつくるということは老人医療費の適正化につながらないと思うんですけれども、その点、もう一度お答えをいただければ。
○国務大臣(津島雄二君) 保険者の問題を考えますと、ますます問題が難しくなってまいります。
 国保についてはいろいろと御批判もあるし、また市町村の間では高齢者医療制度の負担が耐えられないという御意見もございますけれども、しかしそれなりに努力をしておられて成果を上げておられるところの方が多いと思います。そしてまた、地域の医療はこうあるべきである、それから地域全体でコストを支え合っていくという姿もわかりやすいんではないかと。そういう意味では、私は大事にしていかなければならないというふうに思っております。
○今井澄君 ありがとうございました。私も大体そういうふうに考えております。
 さて、そうしますと、D案というのがあるわけですね。これは主に国保連合会などから出されている案だと思いますが、何しろ今のままでも国保は高齢者、無職者を抱えて大変厳しい。一方で、若い働き手ばかりでやっている保険は有利に決まっている。ここには国民の中で保険料の負担にしろ、あるいは自己負担が二割、三割ということを含めても不公平がある。本当の公平という意味では健康保険制度を全部一本化あるいは一元化したらどうかという、これは昔から言われていたことですね。これは、ある意味で日本国民というものを一つの単位で見れば、確かに公平、公正という意味では理想的な案だとは思うんです。
 しかし、このD案というのは非常に難しい。また、難しいだけではなくて、必ずしも一本化するのがいいとは私は実は思っておりません。というのはどうしてかというと、この健康保険制度は非常に長い歴史があるわけで、現在幾つかに分立しているものを一挙にまとめようとしてもなかなか難しい。これは随分努力をしたけれども、いまだに先が見えていないというだけではなく、もし全国こういうふうに一本にしてしまいますと、見た絵は非常に簡単ですよね、四角一個ですから。非常にわかりやすい。
 だけれども、今ちょっと議論しました保険者機能、まさに現行保険財政、全国一本、職業にかかわらず年齢にかかわらず一本ということを一体だれが管理運営するのかということになると非常にむしろ難しい、そういうふうに思います。
 実は、医療保険制度あるいは医療経済、こういうものを適正化する上では、保険者機能の強化ということがキーワードの一つになっていると思います。それは、一つはアメリカのHMOなどを参考として言われているわけですが、アメリカの場合には、ああいう保険者機能が強化され過ぎた弊害がむしろ出てきて大変今問題になっている。HMOなどは国民的な非難の的になったり怨嗟の的になったりしているということもあるので、何もアメリカのまねをする必要はないですし、またアメリカは医療自体が市場原理に任されているというか、国民皆保険でありませんので、あれは行き過ぎだと思いますけれども。
 しかし、やはり健康保険の保険者というものは、被保険者からお金を集める、保険料をいただく、あるいは保険税をいただいてそれを医療機関にお支払いするという以上、やはり保険者として、例えば被保険者にはむだなことでお医者さんにかからない、医者にかかってもむだな薬はもらってこないように、あるいは自分の健康は自分で管理するように指導する、そういう一つの機能。それから、医療機関にお金を払う場合には、むだな医療や、もちろん不正は当然のことながらそういうものに対しては厳しくチェックするという、こういう保険者機能が働かないと医療保険経済というのはうまくいかないというのは今常識だと思うんです。
 それで、例えばドイツの場合はどうしたかというと、職業ごとに八つですか、健康保険制度は分立していますね。それを職業にかかわらずどの保険にも入れるようにして、現にある保険制度が競争し合って被保険者のためにも医療機関のためにもいい医療が行われるようにするという制度に切りかわったと聞いております。実は、この年末も行ってその成果を勉強してこようと思っているわけなんですけれども。
 そうしますと、全国一本の保険者というのは競争相手がいないわけですから保険者機能を働かそうというインセンティブも働かない、こういう可能性があると思うんです。そういう意味からいうと、このD案というのは非現実的であるだけではなく、何か好ましくないように思うんですが、大臣、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 大体今井委員が御指摘のような問題があるわけでありますが、一本化案というのは、一方の被用者保険の方もつらい、それから国保の方もつらい、もちろん政管健保もそうですけれども。それぞれ自分のつらいところを着目して、それを解消するのに一本になればなくなるんではないかという、かなり希望に満ちたといいますか希望的観測から来ているお考えだと思うんです。これを翻って考えますと、一本化することによって、その問題は全部顕在化するだけの話です。
 それから、逆にまた言いますと、一本化したって保険者は国とは限らないよという議論、これがどこかへ消えているわけですね。それで、市町村長がその保険者となると、これ全部国保にするのと同じ話になりはしないかと。それも実は議論が詰まっていない。そして、もしかすると被用者保険の側の方が企業負担というものはこれでなくなるななんと思っておられやしないかと勘ぐる方もいる。でございますから、一本化案というものがこの問題の解決に前向きの実は答えをやはり出していただけないなと、一本化するというだけではどうにも先が見えてこないというのが私の感じでございます。
 でございますから、もう少し具体的に、制度運営をだれにやっていただき、その場合に保険者機能というものもあわせて効率性を担保するにはどうしたらいいかという、もうちょっと足が地についた議論をしなきゃいかぬというのが私の感じでございます。
○今井澄君 どうもありがとうございます。
 確かに私、国が保険者と言いましたけれども、国以外も保険者はいろいろ考えられるわけですが、全然根本的な解決にならないという、まさにそういうことだと思います。
 そうしますと、これはかなり長い間、時間をかけて議論をして、大ざっぱに言えば、今四案のどれにするかということに詰まってきて、今まで大臣とも議論させていただく中で、A案というのは現状と基本的には変わりないんじゃないだろうかと。D案も非現実的だし解決しないということになりますと、確かに制度間の公平、公正は図らなければならないにしても、現在ある国保、被用者保険、その中にも健保、政管健保、組合健保、公務員共済あるわけですが、そういう現行の縦割りの健康保険制度をもとにしながら、お年寄りをその中にどう包み込んでいき、あるいはどういうふうにして老人医療費をコントロールするかというのを仕組んでいくしかない。方向性はやっぱりそこに収れんしてくると思うんです。いわゆる突き抜けと言われている、国保は国保のOBを見る、健康保険組合は健康保険組合が自分たちのOBを見る、こういう制度に収れん、この中から現実的な方向を出す以外に、現行制度を維持するわけにもいかないしということだと思うんです。
 そうなりますと、B案の純粋突き抜け案というのは、今、国保の方にお願いをしている退職者医療制度、もともとサラリーマンだったOBは一度また被用者保険の方に引き取りますよと、それでいいじゃないですかという、こういう突き抜け案がありますね。例えば、自分たちのOBとしてどういうふうに認定を考えるかというと、二十年以上勤続ですか、あるいは四十歳以上になってからお勤めをした人については十年以上勤続というところで線を引いて、自分たちのOBとして改めて引き取ります、それは自分で面倒を見ますと。
 ただ、これでは国保が大変なことになるわけですね。特に、今のように雇用が流動化してきている状況の中で、あるいは無職の人、障害を持った人、そういう人たちがみんな国保に入っていくとなると、高齢者も多いですし、低所得者も多いですし、そうすると今以上に国保が厳しくなるということになりますと、これはやはりドイツも医療費で大分苦しんでいるようです。きょうのある新聞にも、ドイツが医療費抑制でお医者さんたちが、医師会がデモをしているという、そういう写真つきの記事がありまして、どこの国もこれで苦労しているわけです。
 例えば、ドイツなどは八つに分立した保険の間で財政調整をしているわけですね。その財政調整も、かかったお金をどう割り振るかという事後的な財政調整じゃない、過去のデータをもとに財政調整をしておいて、後は自分たちの中で医療費ができるだけかからないように老人も含めて努力をする、そういうふうなことだと思うんです。ドイツは年齢構成の調整も行う、それから所得の格差の調整も行う。四種類ぐらいですか、調整をしているようですけれども、非常に大変なことだと思います。
 日本の場合には、国保の中の自営業者とそれから被用者保険の中のサラリーマン、これは財政調整しようとするときに所得の調整というのは難しいですよね。クロヨンとか最近ではトハサンとか言われているようですけれども、大分所得捕捉が違う。そこまでは望まないとしても、せめて年齢構成が同じであるというふうに仮定して財政調整をやった上で、後は出ていく医療費については、老人医療費を含めて自分たちの健康保険組合でコントロールしていくという、言ってみればB案とまあC案に近い形ですかね、そういうところに収れんしてくると考えざるを得ないんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 今井委員の分析、そして今の結論、理解できるところはございますが、しかしこの突き抜け案につきましても、やっぱり基本的問題は厳然として存在をしている。それは、今、委員は、高齢者の負担というのは年齢リスク構造調整というようなあれで適切にやったらどうだとおっしゃるわけですが、まさにそこが一番悩ましいところでございまして、そのリスク調整をやるためにはむしろ、また最初の議論に戻ってくるんですけれども、ある程度高齢者医療という升があった方がそこはわかりやすいよと、こういう議論も当然あり得るわけでございまして、そういう意味で、委員御指摘の分析は理解しつつも、なおそれが結論だと私は言う勇気はないわけでございます。
 最初に申し上げた高齢者医療制度というものの問題点も理解しつつ、あれは一つの考え方として評価できる点ももしかしたらあるかもしれない。今の私の考え方を問われれば、その両方の間でまだ自分なりの結論は出せないでいるというのが現状でございます。
○今井澄君 確かに、大臣のお立場としても結論が出せないというのはよくわかるんですよ。これはまさにこれから時間をかけてやっていかなければならないし、利害関係が絡みますから、お金の問題が絡みますから、ぽんと出せないのはわかるんですが、しかし、大臣、議論をやっぱり振り出しに戻さない方がよろしいと思うんですよ。
 と申しますのは、年齢リスク構造調整というのは、単に老人だけの医療費を調整しようというわけじゃないんですよ。各保険者が、現にあるような保険者、もちろんこれはある程度整理統合するとして、それがもし同じ年齢構成であったとすればという仮定の上にやるわけですから、それは高齢者だけではなく若年者の問題から全部含むわけです。そうすると、若年者の医療費から高齢者の医療費まで全部一つの健康保険組合がそこにかかわってくるということになるわけですから、老人だけを抜き出した今の老人保健制度とは全然違うと思うんです。
 だから、そこのところがなぜ困難なのか。老人だけを抜き出さない形で少し議論を進めるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。いきなり老人のところへ戻るのはまずいと思うんですが。
○国務大臣(津島雄二君) そうはおっしゃいましても、やっぱり一番悩むところは高齢者の医療費負担をどうするかという問題でございまして、もしかすると、突き抜け方式でリスク調整をするという考え方の行く先に、調整の部分はこっちの被用者保険の世界でないから公費でやれということになるとしますと、これはそう簡単な話でないわけでございまして、現実にはその点が一つ。
 それから、被用者保険というものが、これから二十一世紀になっていって雇用形態も変わっていくときにどういう姿になっていくんだろうかなということもやはり見通しておかなければならないと思うわけでありまして、そういうこともありますものですから、私はやっぱり心が乱れる、こういうのが現状でございます。
○今井澄君 今の大臣のお考えはよくわかりました。単純にAの方が復活してきたという意味ではなくて、年齢のリスク構造調整が非常に実は難しいんだと。私もそうだと思うんです。
 例えば、今の老人保健制度、これは一般の医療費は公費が三割しか入っていないわけです。老人保健施設とか訪問看護の方は五割入っているわけです。そして、国保の方は五割公費が入っている。これはやっぱり高齢者医療についてはもうちょっと公費負担をすべきだと。これは大臣もそういう御努力をされているというお話を何回も伺っておりますが、私もそうだと思います。しかし、この年齢リスク構造調整を全部公費でやれなんというのは、これはむちゃな話だと思うんです。そうしますと、これは大変な問題になる。幾ら世代間の公平がどうのこうのという議論があるにしても、しょせんはやっぱり世代間扶養といいますか、世代間で面倒を見合うしかないというのが今の少子高齢社会だと思うんです。
 これは公の制度で世代間で助け合うということがなければ、今度個人の家庭でやり直さなきゃならないわけですから、昔の時代に戻らざるを得ない。ところが、昔のように子供は大勢いない、お年寄りが大勢になれば、昔のように家庭の中でできないからこそこういう社会的なシステムでやるわけですから、そこはやっぱり公費だけではなく、公費も当然ふやしていただくけれども、制度間で財政調整をやるという考え方を、それはやっぱり健保組合の方にも納得していただかないと、現に今も出していただいているわけですから、私はそこのところの説得がかぎになるのではないかというふうに思っているんです。
 そういうところで、大変困難ではあると思いますけれども、やはりこの線でもう少し頑張る必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 委員のお考えは理解できるところは多いわけでありますけれども、やはりその結論を導くまでには、今の調整のあり方、負担のあり方、それからもう一つはやはり保険者の機能というものが貫徹できるかどうかというようなこと、こういうところを十分慎重に検討して結論を出すべきだと思いますし、また、私の頭の中にはまだ、仮に公費を多く投入する場合には、どこかに一線を画する必要があるとすれば、その場合には高齢者医療制度というものは一つのそのよすがになる可能性もある、それは一概に今のところ捨てがたいなということだけはやっぱりちょっと申し上げさせていただきます。
○今井澄君 最後に安易なところに戻ってこられると私としては大変困るわけですけれども、確かにA案というのはこれは非常にわかりやすい。一見見たところで、お年寄りを、何歳にするかの議論はあるにしても、まとめて、それを公費を半分入れましょう、あとみんなで残りの分ぐらいは支えて、本人からもいただきましょうと。非常にわかりやすいんです。
 しかし、最初の議論を思い出していただきたいんですが、現在の老人保健制度がなぜまずいのか、何でA案では抜本改革にはならないのかという、やっぱりそこが実は非常に大事なことなんだと思うんです。
 医療費の適正化ということを考える上では、保険者機能というのが非常に大事だと。保険者機能というのは、単に医療機関に支払うお金をけちるとか値切るとか、医療機関に対して厳しく物を言うというだけではなく、やっぱり自分たちの保険組合の中の被保険者の皆さん方にも意識改革をしてもらい、健康教育を含めてするということが大事だと思うんです。
 例えば、今は老人の医療制度というのが老人保健制度で分断されていますから、家族にとってみれば、自分のうちのお年寄りがぐあいが悪くなれば病院に入れちゃう、もうここで治療はこれ以上ないけれどもと言うと、もっと置いておいてくださいと言う家族も多いわけですよね。それは、分断されていますから、直接自分の保険料にかかわってくるとかいうふうに思わない。だけれども、それを一つ一つの健康保険組合の中で自分のお年寄りも見る、それが保険料に直結するということになれば、それはやっぱり保険者機能も強化されるだろうし、被保険者の意識も変わってくるのではないだろうか。自分のうちのおじいさんやおばあさんが医療機関にかかって、山のように薬をもらってきたり、飲みもしない薬を段ボールに入れてとっているなんということが自分の保険料として直にはね返っていくということになれば、これはやっぱり変わってくると思うんですよ。
 この医療の問題というのは、国民全体を巻き込んだ意識改革がない制度改革というのは、ただお金の手当てをどうするか、だれが出すかというだけの議論に終わっちゃうと思うんです。
 そういう意味では、もう一度A案に戻りますが、これは保険者機能というのは一切働かないわけですよね。これまでも働いてこなかったし、今後もそうはいかない。という意味で、やっぱり大臣、A案に戻るということではなくて、A案が否定され、D案が否定されてくるとすれば、BとかCとかいう案の中で、公費負担も一定程度、これはまあ上限があると思うんですが、やっぱりそこへ探っていくということになるような気がしてしようがないんですが、もう一度。
○国務大臣(津島雄二君) かなり詰めた議論をしておられて私もたじたじになっておるわけでありますが、議論の最初のところでA案についてお尋ねがあり、私も今井委員と同意見であると申し上げた、A案の問題点について認めつつも、つまり、またA案がいいというところへ戻る意味ではなくて、ただ問題の解決の場合には独立保険制度的な手法が生かせる余地も頭の中に置いて議論していく必要があるんじゃないかということを申し上げた、さっきおっしゃったようにわかりやすい面ということでですね。
 それからもう一つ、仮に今、委員がおっしゃっておりますC案というものが、突き抜け方式が土台にある場合の問題点は、被用者のOBについて市町村、地方の負担をいただけなくなりはしないだろうかという問題点はございます。それだけちょっとつけ加えて申し上げたいと思います。
○今井澄君 地方の負担の問題なんかになりますと、結局、保険者をどのレベルで仕組むかということで、私は基本的に分権化していった方がいいように思うんです。民主党も大体そういう考え方で、欧米ではかなり分権されている。医療というのはやっぱり身近なサービスですので、市町村までいくとちょっと規模が問題になりますけれども、そういう意味では可能性はあると思いますので、解決の方法はあるだろうと思うんです。
 やはり、これだけ過去に例えばA案とB案というのは真っ向からの対立だったわけですが、何となく最近この間に妥協が図られようとしている。それは現実に正しい方向で歩み寄り、意見の一致を図るならいいんですけれども、どうも公費をもっと出してもらうというところで共通の手を結んでおいて、そしてできるだけ今よりは出さないような方向で、出すお金を少なくする方向でいくとすれば、これは非常に好ましくない妥協なんだと思うんです。それよりもやっぱり保険者機能を強化するという、本当に今の保険者の皆さんが、例えばさっきも申し上げましたが、これは全国でも幾つかやっておりますが、長野県の国保の保険者だとか、あるいは建設国保の保険者、建設国保なんというのは自分で組合員から今手で保険料を集めているんです。そして医療のお金も支払っている。だから、したがってここは非常にシビアに被保険者に対しての教育もしたり、支払いについても厳しく目を光らせているわけです。これはなかなか立派なことだと思うんです。そういうことを健康保険組合も頑張っておられます。
 けさの新聞を見ましても、保健婦を雇って、それを多受診世帯に派遣して、眼科は一軒にしなさいよと指導したりすることまでやっているようですが、そういう機能をどう発揮していくかということでは、やっぱりこのB案、C案のあたりの中で保険者機能を強化するというのを一つのキーワードとしていくのが、少なくとも抜本改革という名を使うからには、それにつながる道だというふうに私は思っております。
 これは、余りいつまでやってもなかなか、現に答えが出ていない問題ですからこの場で答えを出せというのは無理なことはわかりますが、大体大臣のお考えも一つの方向を私なりに受けとめることができたように思いますし、引き続きさらに議論をさせていただければと思います。
 そこで、これは一応ここにして、話を健康保険法の改正案のところに飛ばしますけれども、今度も一九九七年の改正と同じように、抜本改革をしないままに自己負担だけがふえるということで私どもは問題視しているわけですが、窓口で払う患者の一部自己負担、これは日本は、日本と先進諸国を比べてどうでしょうか。アメリカは国民皆保険の国じゃありませんので、欧米の国と比べてどうなのか、ちょっとお答えいただきたい。
○政府参考人(近藤純五郎君) 今回の制度改正によりまして、十二年度の制度の合計で我が国の場合は一六・三%の負担率になるわけでございますが、ドイツの場合が六・〇%、それからフランスの場合が一一・七%、イギリスが二・四%ということでございます。
 ただ、比較をする場合には、医療機関へのアクセスの問題でございますとか、あるいは給付の支払い、償還払い方式がとられているとか、それから保険料の水準、ドイツとかフランスというのはかなり高い水準にある、ここら辺も比較考量して考える必要がある、こういうふうに考えております。
○今井澄君 少なくとも、今の数字をお聞きする限り、確かに医療制度がいろいろ違うにしても自己負担の比率は非常に日本はヨーロッパ諸国に比べて高いと。
 きょうも新聞を見ていますと、ドイツなどはアレルギーの何とかということで、マットレスだとか枕カバーだとか、何かこれを給付するかしないかという議論を、全部するか、マットレスだけで枕カバーまでは給付してもらえなかったとか、大分向こうは給付の範囲は広いようです。そういうことも勘案しますと、やっぱり日本の自己負担比率は今でも高いと思うんです。今後これをますます高めていくという方向が本当にいいのかどうか。また、自己負担を高めたからそれでコスト意識がそれに比例して働くというものでは必ずしもないようなことがヨーロッパの国々の経験からもあるようですね、民間保険でそれを担保するとかいろいろなことがあるようですので。
 ただ、一方的に自己負担をふやすだけの方向がいいと私は考えません。しかし、定額負担というのは、日本の場合は高額療養費制度があるということを前提にして考えると定額負担というのはやっぱりコスト意識が働きにくいだろう、定率負担がいいだろうということでいいわけなんですが。
 ところが、今、私は高額療養費制度があるから定率負担でいいのではないだろうかというふうに申し上げましたが、今度この高額療養費制度について上位所得者の枠をつくるわけですが、それはそれとして、一%上乗せをするわけですね。ある額を超えた医療費について一%を上乗せするということは、これまでの高額療養費制度の考え、思想を根本的に変えるものだと思うんですよ。要するに、これまでは保険料を払っていさえすれば、保険証をもらって医者にかかる、かかったときには一定の比率で払えばいい、それもある額を超えたら頭打ちがあるということが非常に大きなセーフティーネット、安心の支えになっていたと思うんです。
 今回、たとえ一%、わずかだとはいえそれが青天井になった、上限がなくなったということは、いいか悪いかの問題は別として、少なくとも考え方の転換だと思うんですけれども、そういう御認識はおありですか。
○政務次官(福島豊君) そもそも、高額療養費制度がなぜ設けられたのかということを考えますと、医療費が家計に与える影響、これについて、それが余り過大になった場合には家計に対してその安定を損ねるという影響があるわけでございます。したがって、御負担をいただく場合にも一定の上限が必要なのではないかという考え方ではなかったかと思います。当初は、高額療養費が家計に占める比率というのは現在よりも高い水準にあったということは先生もよく御存じだと思います。そして、それが徐々に家計に占める比率というものが下がってきているということも私はあると思います。
 そういう中で今回一%の御負担を新たに導入いたしましたのは、医療費につきましては、これはだれかがそれを支えるわけでございますから、使う方と、そしてまた支える方の公平を図るという観点、そして現行の高額療養費の水準というものが家計に占める比率というのが趨勢的に低下してきているという現状、これを踏まえますと、必ずしも当初の家計に対しての医療費の負担が過大になり過ぎるということを抑制するという趣旨から外れる改正ではないというふうに思っております。
 また、今回のこの一%の上乗せというのは、先生もよく御存じのように、高額医療、この中には医療機関側にコスト意識というものが十分に働いていないのではないかと思われるような事例が散見されるわけでございまして、そういうことも踏まえて、反映させるという観点からも適切な改正ではないかというふうに思っております。
○今井澄君 適切な改正かどうかということではなくて、私のお聞きしたのは、これまでの高額療養費制度という頭打ち制度の考え方を根本的に覆すものだという認識がおありかどうかというのを実はお聞きしたんです。
 というのはどういうことかというと、例えば、医療費を適正化するために自己負担をもうちょっと上げたい、あるいは財政的に医療保険財政の改善を図りたい、何億円ぐらい財政効果を上げたいというのであれば、今例えば六万三千六百円であるのを六万三千七百円にするとか、いろいろなそういう方法があると思うんですよ、定額の範囲で。それを一%という比率でやったということは、これはやっぱり上限がありますよという考え方を根本から変えるものだ、いいか悪いかは別として、そういうものだというふうに認識していただきたいということを申し上げているんです。
 そういう認識があるかどうかということと、それから、この間もいろいろ御答弁、あるいは本会議での総理大臣の御答弁も含めて、医療機関側のコスト意識というのがちょろちょろ出てくるので不思議に思っていたんですが、要するに、一千万、二千万かかるというところで、これは患者さんが選択できる問題じゃないわけです。そうすると、もうちょっとそれを医療機関の側に意識してもらうためにこの一%はあると、そういうふうに理解していいのかどうか。その二点についてちょっと改めて。
○政務次官(福島豊君) 再度申し上げますが、先ほど申し上げましたように、高額療養費の制度というものは、そもそも医療費が高額になった場合に家計に対して過重な負担を避けるというために導入されたものである。それについて、今回の改正におきまして、高額療養費の額そのものが家計に占める比率が趨勢的に低下しているということを考えれば、全体として家計に対して過重な負担をかけるものにはならないというふうに考えております。そういう意味では、基本的な考え方というのは変わっておらない。
 そして、先生が御指摘のように、額を見直すということも考え方としてはあり得るのではないかという御指摘もあります。なぜそのような道をとらなかったのかということを申し上げますと、それは一方では、先ほど申し上げましたように、高額の医療ということについてそれが必ずしもコスト意識として反映されていないんではないかという実態を踏まえて、それをあわせ制度として反映させるためにこの道を選択したということでございます。
○今井澄君 同じお答えをいただいてもしようがないんですが、ですから、家計に占める比率が、家計が豊かになったからもうちょっと上げてもいいだろうというんだったら、六万三千六百円を七百円に上げるとか八百円に上げるという方法があるわけですよ。それを一%というのは、たとえわずかでも天井なしになったわけですから、それは根本的な考え方の転換なんですよ。実はそこをきちっと政治や行政を行う方に認識していただかないと、あるいは認識していてやっているとすればこれは非常にひどい話だと思うんです。わずかですけれども考え方の根本を変えますよというふうに問題を出さなきゃいけないんですよ。私はそこを指摘したんです。
 どうも答弁がなかなか同じことで返ってこないようですから、もう時間もなくなりましたので、もう一問お願いいたします。
 それで、今度、定率一割負担導入に際しては、上限で外来については例えば医療機関によって三千円と五千円、あるいはこれを個人単位にするというお話も何かあるやに聞きますが、上限を設けるから余り大きな負担の変化はないんだと。それに対して、別の委員から、随分負担の変化があるよ、特に入院なんか大変だよというお話がありましたが、少なくとも外来について見る限りそうですよね。
 そうすると、何で定率一割負担を導入したのかということになりますと、定率負担だからもとの医療費が幾らかかったというのがわかるわけですよ。安くなる人は今までの定額より安くなるわけですし、高くなる人は高くなる。それはそれでいいんですけれども、上限を設けて大きな負担増を避けたということなんですが、これはそうすると激変緩和措置として理解していいですね。
 つまり、この三千円とか五千円とかいう上限は、いずれ五千円だ七千円だ一万円だというふうに変わっていって、最終的には高齢者にも定率の一割負担はしてもらうと。もちろん高額療養費制度は天井が当然ありますけれども、その高額療養費に達するまでは定率で一割負担していただくように将来はなるんだというふうに理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。また、そこへ至る経過はどういうふうに、どのぐらいの経過で考えておられるでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 今回の改正は、昭和五十八年の老健法の創設以来十七年近く続いた定額負担を初めて定率に変えていただくということでございますから、その円滑な施行を図るために高齢者の方々にとって無理のない範囲内で現行制度とほぼ同水準の負担となるよう定額の月額上限を設けた、これはもう御指摘のとおりでございます。
 しからば将来どうするのかと、こういう御質問でございますが、平成十四年度を目途として高齢者医療制度の見直しを図る、抜本改革をする、こういうことになっておりますが、見直しに当たりましては老人医療費を公平に分担する制度を構築することが中心的な課題でございまして、それはせんじ詰めて言えば、高齢者と若年世代の間でいかに負担を公平に分かち合うか、若い方々の不公平感というものがないようにしたいと、こういうことでございます。
 こうした状況を踏まえますと、今後の高齢者医療制度の見直しに当たりましては、現役世代の負担とのバランスを考慮して低所得者等の方々には十分配慮しつつ応分の御負担をいただくという基本的な視点で検討を進めてまいりますが、御指摘の月額上限のあり方については、この改正法を実施してどういうふうになるのか、それから国民世論の動向はどうかということも勘案しながら慎重に検討すべき課題であるというふうに受けとめております。
○今井澄君 時間が来たので終わります。
 どうもありがとうございました。
○松崎俊久君 民主党・新緑風会の松崎でございます。
 今井委員が研修医の問題をかなり突っ込んで質問されておりましたが、私もまず研修医の問題から質問したいと思います。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 悪名高いインターン制度が廃止され、しばらくこの問題が沈静化していたところへ、今度は別な形で研修医の制度が努力義務というような、あるいは今度はそれがだんだん制度として再びきちんと研修を受けなければならないという研修医制度が登場してまいりました。ここを、このインターン制度から今回の新しい研修医制度に移行する過程でどんな問題を厚生省は感じておられたのか、また古いインターン制度と今回の研修医制度はどこが本質的に違うのかという点を大臣にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 専門家である松崎委員からの御質問でございますが、まず私からは概略の考え方を御説明し、さらに御審議をいただきたいと思います。
 近年、医学、医療技術が飛躍的に進歩し、臨床医の専門分化が進んでいるところでございますが、二十一世紀の高齢社会の到来を控え、すべての医師が、将来の専門性を問わず、患者を全人的に診る基本的な診療能力を習得し、患者とよりよい信頼関係のもとに診療に従事することが求められていると考えられます。
 このために、今回の改正法案では、現在は医師の努力義務とされている免許取得後の臨床研修を診療に従事しようとするすべての医師に対して必修化しようとするものでございます。
○松崎俊久君 私は、かつて今井委員と同様にインターン制度を体験した医者でもあります。しかし、そのときに言われていたインターン制度と、今回、今、大臣が述べられました研修医が必要だと考えられて出されてきた動機というもの、内容というものが本質的にそう変わっていないような気がするんですが、どこが本質的に違うんでしょうか。
○政務次官(福島豊君) むしろ先生からどこのところに違いを感じておられるのか、御指摘をいただく方がいいのではないかというふうに思ってはおります。
 かつてのインターン制度につきましては、これは私は直接に存じておりませんけれども、さまざまな問題があるという指摘があって廃止をするに至ったと聞いております。しかしながら、その後の日本の医療教育、そしてまた医師の教育の過程の中で、やはりきちっとした研修が必要であるという認識は底流としては存在し続けていたというふうに思いますし、それが努力義務になり、そして最終的に今回提出させていただきますようにきちっと義務化されるという形になったものと思います。
 今回の臨床研修の義務化に当たりましては、したがってどのような研修をしていくのかということについては、先ほどからも御答弁させていただいておりますけれども、質のよい医療というものを実現するために、そしてまたすぐれた医師というものをつくるためにいい制度をつくっていかなければならない、そのためにさまざまな御意見というものをしっかりと受けとめて、それを推進していきたいというふうに考えております。
○松崎俊久君 何か本質的に私たちがインターンをやらされていた時代に厚生省が言っていたことと、今、大臣並びに政務次官がおっしゃったことはほとんど同じ内容なんですね、なぜ研修医が必要かという御説明が。これではいわゆる若い人たちの十分な納得を得られないと思うんです。
 といいますのは、先ほどもアルバイトの問題で、非常に研修医の待遇が悪いのでアルバイトに走らざるを得ないというふうに今井委員もおっしゃいましたが、私の知っている範囲内で調べてみると、私立大学の卒業生でもアルバイトを九割はしています。二十五歳を超えているわけですから、家庭を持っている研修医もかなりおります。子供までいる人もかなりいます。そういう中でやるわけですから、まず待遇の保障というものをきちんとしていただかないといけないと思うんです。
 この間の質問のお答えを聞いていますと、いわゆる待遇に関しては、これからいろいろ専門家を集めて意見を聞いて内容をかためていくという方向で答えられましたが、私はやっぱり内容をきちんと先に示して納得された形で制度が承認されるというような、そういう手順を踏まないと、これは大きな問題になるだろうと思うんです。
 もう一つは研修内容の問題でありますが、今井委員も心配されましたとおり、大学の支配形態、研修病院を通じて若い医者への締めつけというものを温存する形、これがどうしても研修医制度の中の問題として残ります。私は、やっぱりこの研修医制度が徒弟奉公だと言われないようにするためのそれだけの内容をきちんと持っていただきたいと思うんです。厚生省はこれから専門家を集められていろいろな研修医制度の内容を検討なさるんだろうと思いますが、厚生省自身はどんな原案をそこへ提示なさるおつもりなんでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 今後の検討に当たりましての原案というものを現時点で作成しているわけではございませんけれども、平成十一年二月の医療関係者審議会医師臨床研修部会の取りまとめにおきましては、次の三点がポイントになっております。
 一つは研修プログラムのことでございますけれども、内科系及び外科系の双方を含む複数の診療科で研修を行うとともに、救急医療等の研修を明確に位置づける。次が研修の場ということでございますけれども、臨床研修病院だけに限るのではなく、病院群や研修施設群による研修など多様なものにする、これが二つ目でございます。そして三点目が費用の問題でございますけれども、臨床研修に係る費用負担については国及び医療保険の双方が負担している現状を踏まえ、今後そのあり方を整理すると、このように述べられておりまして、この三点が一つの方向性となって今後の検討を進めていくことになろうかと思います。
○松崎俊久君 今、次官がおっしゃいました内容がきちんと出されることを切望します。
 といいますのは、かつてのインターンが廃止されたときの歴史を思い出していただきたいと思うんです。厚生省は余り自分には関係ないというふうにあの当時見ておられたのかもしれませんが、主として文部省の問題だというふうに考えられていたのかもしれませんけれども、インターン反対闘争というものは医学生を政治的に目覚めさせた最初の運動でありました。この闘争が特に待遇面をめぐって行われ、あのころはインターンに対して支給される金はゼロでありましたから、完全な徒弟奉公というふうに認識されたことによって、学生運動がインターンを巻き込みつつ燎原の火のように広がったわけであります。これがはっきり言えば東大紛争の根源につながるわけです。私はその闘争を指導した責任者でありますから、もう完全にあの当時のことは手にとるように覚えております。
 このままでいきますと必ずこの研修医の問題をめぐって、非常に安い賃金、各施設が自由に研修医に金を払うというような、例えば私立大学が六万円だ、二万五千円だなんて、中学生や小学生の小遣い銭じゃあるまいし、とにかくそんな金でごまかそうとしたり、あるいはこの間の参考人がおいでになったときの陳述を見ますと三十万をお出しになるというようなところもあります。こういうようなでこぼこをなくし、きちんと最低賃金を、これは国家公務員の医者の給料に基づいて、この値を割らないようにという指導だけは厳重になさった方がいいと思います。そうでないと、今おとなしくなっている学生運動が再び火を噴くことの予感が私は非常にいたしますので、ぜひその点は頭に置いていただきたいと思います。
 次に、健保の赤字の問題でございます。
 この赤字が積み重なっていくがゆえに今回の健康保険法の改正がどうしても必要になったわけでありますが、その赤字の現状について御説明ください。
○政府参考人(近藤純五郎君) 医療保険者というのはいずれも厳しい財政状況になっているわけでございますが、健康保険組合で申し上げますと、平成十一年度の決算におきまして、単年度の経常収支ベースでございますが、二千三十三億の赤字でございます。それから政府管掌健康保険につきましては、同じく平成十一年度の収支決算におきまして単年度で三千百六十三億円の赤字でございます。それから、市町村国保でございますが、これはまだ十年度の決算で、間もなく十一年度が出てまいりますが十年度の決算で申し上げますと、単年度の経常収支で一千二十億円の赤字でございます。
○松崎俊久君 非常に大きな赤字、このまま積み重なっていけば健保自体が壊れてしまうという事態だろうということは十分理解できます。
 とにかく、健康保険法というものに対して、一九二七年にスタートして、それが戦争でほとんど実質的にめちゃくちゃになり、戦後GHQの指導のもとに再びほぼ内容を変えないでスタートしたわけでありますが、本来ならばあそこで大きな改正を加えるべきだったのに、GHQのニューディール左派の頭が悪かったものですから、そこで改正が行われずに進んでいった。そして、バブル期に入る前の高度成長期にこそ根本的に健保制度を変えるチャンスがあったわけだし、またあの時期に変えていたならば今日の赤字というようなものを生まないで済んだと私は考えております。その時期を逸してしまったことが一番の問題点であり、私はあの当時の厚生次官の顔あるいは厚生大臣の顔を非常に恨めしく思い出しております。とにかく、あのときやらなければならなかったことがやらずに積もり積もって、現在大きな赤字を生んでいるというふうに私は理解しています。
 さて、その赤字を解決するための手段というものは、赤字を生む原因をなくしていく方法、それからその中には負担増で解決しようとするやり方もあるでしょうし、あるいはどうしても構造的に赤字が出てくるその構造にメスを入れていく方法もあるでしょうし、さらに医療費自体を本質的に安くしていく予防あるいは健康増進という手段もあるだろうし、それらが総合的に行われてこそ初めて健保の赤字がなくなり、健全な運営になるんだろうと思うんです。
 まず、私は再三強調したように、日本の世界にまれに見る、とんでもない日本だけが違っている点だけは、せめて抜本改革を見据えて直していただきたい。それは、とにかく世界の平均の三倍近い入院在院日数というものが、日本人だけが病気が多いわけじゃあるまいし、日本人だけが長く入院しなければならない病気を持っているわけでもないのに非常に長い在院日数、これが大きな赤字を生むことだけはもう明らかであります。ここにメスが入らない限り、そしてここにメスを入れれば医師会は猛烈に反発するわけです。この問題を解決しない限り、私はこの赤字の問題は抜本改革のときもいいかげんな形で見送られていく危険性があるだろうと思います。
 それは、例えば今井委員が示されましたように、高知県と長野県の比較などというのを見ても一目瞭然です。
 そもそも日本の健康状態、平均寿命などというものを指標にして見ていけば、大体西の方が一般的にはいいけれども、本質的には全部所得などに健康状態は比例しております。その中で高知などが余りよくないのはそこにも一つの原因がありますが、本質的にはあの過剰なベッド、徳島と高知におり立てばどなたでもびっくりする病院通りと俗称されるような道路があるなどというのはふざけた話でありまして、ああいうような町があり、それが四国に二つとも並んでいるのは非常におもしろい現象でありますが、ああいう問題にメスが入らない限りどうしようもないと思うんです。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 どうして高知にあんなに病床数がふえたというふうにお考えなんでしょうか。そしてまた、それが高知の在院日数を延ばし、同時に日本有数の一、二を争う高い医療費を高知にもたらしているのでしょうか。厚生省、ここら辺どのようにお考えなんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) いろいろ沿革的な理由があろうかと思うわけでございますが、過疎化がその後進んだとか、あるいは医大が昔からあったとか、お医者さんの数がそのために多かったとか、いろいろそういうふうな沿革的な理由で今のような病床数が多い、あるいは医院が多いと、こういうふうな形になっているんじゃないか、こういうふうに想像いたしております。
○松崎俊久君 医師会が聞いているというふうにお考えなんでしょう、非常にあいまいなお答えでしたが。
 とにかく、あの高知の病院数の多い、ベッド数の多い状態、これがはっきり言って高知に代表される日本の医療制度の諸悪の根源であります。ここにメスが入らない限り、この赤字の問題は永久に解決しないだろうと思っています。こういうところに大胆に厚生省は非常な決意を持って切り込んでいただきたいというふうに考えます。
 それに引きかえて長野、何も今井委員の出身地を褒めるわけではありませんが、長野は寒い、そして山の中、しかも海から遠く新鮮な魚は手に入りにくいというような条件の中で、日本一の平均寿命を達成し、しかも医療費は安いというようなこと。
 この両極端をきちんと国民に示したら国民は怒りますよ。まだ少数の国民しか知らないからこういう現状が許されるのであって、ぜひともこの抜本改革にはベッド数の問題、看護婦は将来必ず一対一を目指していただきたい。そして、在院日数は二週間以内に断固として抑え、かつベッド数は半分に減らすと。これを実現しなければ日本の赤字問題は解決しないだろうと思っております。
 さて問題は、ここからもう一歩突っ込んで考えていきたいと思うのでありますが、構造疲労をもたらしている医療提供体制というものはぜひとも抜本改革で直していただくとして、予防に目を向けていく必要があるだろうと思います。建設的にこの赤字問題を解決するには、病気を減らす、そして病気に手を加えるのを極めて合理的な加え方をするということ以外に解決する手段はありません。
 そうしますと、私、この分厚い、健康日本21の問題を何遍か読み返してみましたが、私の後輩たちがいっぱい名前を連ねておりますので、ああ、この内容はあいつが言った内容だなとか、この内容はだれの発言が恐らく取り入れられたんだろうと手にとるようにわかりますが、とにかくこの内容を拝見していますと、非常に精密には一見書いてあります。なるほど今の若い研究者たちが、教授たちが非常に熱心に討論した様子というものがよくよくわかるのですが、しかし致命的な欠陥も同時に見えます。地域的な考察というものが全くここの中には入っておりません。
 ここを意識的に避けて通ったのかどうか知りませんが、先ほどの高知対長野の問題のように、この背景にあるベッド数が多いとか少ないとか、医療費が高い少ないというような背景にある問題として、本当に病気が多いのか、健康状態がどうなのかというような問題へのメスが入っていれば、私もこの健康日本21が医療制度の改革の問題をわきから強力に促進する内容であるというふうに認められると思うんですが、どうもそれが感じられません。どうして地域的な問題というものに目を向けないでこの健康日本21が書かれているのか。その思想がやはり医療制度のこの地域差、医療提供体制の地域でこぼこを生んでいる一つの原因だろうと思っております。
 極めて問題なのは、要するに私たち選挙民の信託を受けて当選してくる、特に地区選出、選挙区選出の議員さんたちに、自分の選挙区がどのような健康状態にあるのかおわかりでしょうかと聞いた場合、わかる議員がほとんどおりません。〇・一%いるかどうかというような程度であります。よもや厚生大臣並びに政務次官はそんなことはないだろうとは思いますが、とにかく日本の健康状態が非常に悪い状態、もう本当に気の毒なほど悪いというのは、津島大臣の御出身の青森県と政務次官の御出身の大阪府であります。非常に平均寿命が短い。
 私、近いうちにインターネットで流しますからごらんになっていただきたいんですが、全自治体をある程度のプラス、マイナスの幅、〇・五歳ぐらいの幅で切って色で分けてみますと、その県の自治体が全部悪いところに入ってしまうのが青森県、秋田県それから大阪府であります。大阪府はこのごろ一つぐらい抜けてきました、平均に近づくところが出てきましたが、それに引きかえ長野県は全自治体が全部いいところにランクされています。こういう地域差というものをぜひとも認識した上で、この健康日本21なり、あるいは今度の医療制度の改革に当たってベッド数の配置などをぜひ考えていただきたいというふうに思っております。
 その中で地域差の問題を見てまいりますと、まず疾病別に見た場合に、ここは大変な問題を抱えているなというような地域があります。特に今問題になっておりますC型肝炎、これが一番わかりやすい病気ですから、地域にも固まっておりますので、C型肝炎が濃厚に固まっている地域というものを一つ御紹介したいと思いますが、これは日本で一番ここぐらい固まっているところはないだろうというところです。C型肝炎から発生する肝がんの死亡率で推定していくと、全国を一〇〇とした場合に、男が約三〇〇、二九七ですが、男が三〇〇、女が五五〇という地域が日本に存在します。私の郷里の近くにあります福島県の平田村というところであります。ここを先頭にして全国に幾つかこういう地域があります。
 C型肝炎の対策として、厚生省、患者たちは医原病であると。C型肝炎というのは本人の意思とは全く、本人の不注意その他はなく、ほとんどがこれは医者によってつくられた、医療行為によってつくられた病気というふうに患者は感じておりますし、私も大部分、例外を除いてはもうほとんどこのC型肝炎は医原病だと思っております。
 この医原病としてのC型肝炎などを今後医療の中でどうとらえていくつもりなのか、どういうような政策を持って対応なさるおつもりなのか、そして地域的に大きな差があることに対する対策をどのようになさるおつもりなのか、これを伺います。
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま先生から御指摘ございましたが、私どもが考えておりますのは、C型肝炎の主な感染経路は主として血液を介したものでございまして、現在は一九八九年に世界に先駆けて献血時の検査を導入するなどの体制が整備されております。そのため、平成十一年度に報告された、先生、今、肝がんのことを申されましたが、その前段、もとになります急性C型肝炎の患者数を見てみますと、これは百六十六名にとどまっております。また、地域別に見まして、この患者数百六十六名を人口で割りますと、一位が高知県、二位が大阪府というふうになっておりまして、近畿圏に多い傾向が見られます。
 しかしながら、C型肝炎の場合は、数十年を経て、今、先生御指摘のように、慢性肝炎、肝硬変、肝がんに移行することがあると指摘をされておりますので、急性肝炎患者のみならず、持続感染者に留意する必要があるというふうに考えております。我が国の持続感染者の数は百万から二百万人と推定をされておりまして、年齢的には四十歳代以上、地域的には今申し上げましたが西日本、特に近畿から瀬戸内海沿岸、九州にかけて感染率が高いと言われております。
 このようなことから、私どもといたしましては、C型肝炎を国民の大きな健康問題と認識し、これまで血液対策、感染症対策、がん対策などの一環として行ってまいりました種々の対策を再検討いたしまして、これは大臣からの指示に基づくものでございますが、その取り組みの強化を図ることといたしました。具体的には、ことし十一月二日に省内に肝炎対策プロジェクトチームを設けまして、肝炎に対する総合的な検討を開始いたしました。また、肝炎対策に関する有識者会議を設置いたしまして、十一月三十日に第一回目の会議を予定いたしております。このような取り組みをもって、私ども、C型肝炎対策及び肝がん対策につきまして積極的に取り組んでいく所存でございます。
○松崎俊久君 体制はよくわかりました。具体的にまだ内容を決めておられないのでしょうか。例えば、まだ隠れているC型肝炎罹患者を発見する方法とか、あるいはわかった患者さんに対しての健康管理体制、それからその医療費に対する補助などについては具体的に何もまだ決めておられないのでしょうか。
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま先生が御指摘になられましたいずれのことにつきましても、この有識者会議、十一月三十日が第一回目でございますが、そういう中で検討していただいて具体的な対策を進めたいと考えております。
○松崎俊久君 C型肝炎はそのぐらいで結構です。
 日本人の国民病と言われてきた脳卒中の問題でありますが、これも、全国をずっと、三千二百余の自治体を一つ一つ点検してまいりますと、ひところみたいにもう驚くほど多いという地域は減ってまいりましたが、ひところは全国の死亡率を一〇〇とすると五〇〇だ六〇〇だという数字がざらに、そういう自治体がありました。しかし、今は大分減ってまいりまして、七割方、日本の脳卒中は減ってまいりましたので少なくなりましたが、それでもこの二〇〇を超えるところは東北、北陸方面には幾つか見られます。こういうような地域をどのように地域ごと変えていくかというような視点がこの健康日本21には抜けています。これに対する対策が極めて不十分であり、そのためにそこの医療費というものは莫大な医療費になっていくわけであります。
 どの自治体にどの病気が多い、したがってここにはこういう戦略で臨む、この自治体にはこういう病気が非常にはびこっている、どういう対策でその病気を制圧するというような前向きの予防対策がありませんと、どうしても医療費はかさんでまいります。それが偶然、病院の多い地域にぶつかりますと、高知よりももっとひどいような地域が生まれる可能性があるわけですが、地域対策というものをこの健康日本21の中でどのように考えられたのか、同時に医療費軽減のためにどういうふうに今後手を打とうと思うかという点についてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま御指摘いただきましたけれども、健康日本21を国民に身近な地方公共団体から推進するための環境づくりといたしまして、各地方公共団体におきまして私どもの策定いたしました健康日本21を参考にして各地域の健康問題や健康水準に関する特性を踏まえた地方計画を策定、推進していただくことをお願いいたしております。既に全都道府県で策定には着手をしておりまして、一部は策定を終えたところもございますが、今後はさらに、今、先生のおっしゃいましたように、市町村においても町づくりに健康づくりの観点を加えた地方計画の策定などの取り組みを推進していただくようにお願いいたしております。
 先ほどの脳卒中の事例でございますが、例えばこの健康日本21では、一日一人当たりの塩分摂取量、全国平均で十三グラムを十グラムというふうに目標値を掲げてございますが、これは東の方では高く、西の方ではもう既に低いわけでございますので、それぞれの地域に合わせた数字を使うなどして地方レベルでの健康づくり対策を推進していただきたい、このように考えているわけでございます。
 また、医療費の問題でございますが、私どもの立場といたしましては、この健康日本21を推進することは、国民が健康で健康寿命を全うするということが国民すべての願いでございますので、これに主眼を置いておるわけでございまして、結果としてそういうことにつながればもっといいことだというふうに考えております。
○松崎俊久君 健康日本21の問題点は、自治体の取り組みに関して極めて弱い、それから地域診断というものの視点が欠けているということを、よくよくもう一度健康日本21を見直して内容の足りないところをぜひ補っていただきたい。そうでないと地域の保健婦が大変迷います。中には大変いいことも書いてあるんですが、とにかく末端の保健婦に手が届くように情報を入れていただきたいと思います。
 先ほどの質問の中で一つ落としてしまいましたのでちょっと追加させていただきますが、安上がりに健康保険を運用していくという視点から考えますと、私はアメリカで行われているいろんな方法が参考になるかと思うのでありますが、アメリカの場合は州立大学、州立病院の事務はほとんど皆民間委託になっております。健康保険の総本山の社会保険庁の事務作業などをむしろ大胆に民間委託へ移すような方向が考えられないのかどうか。少なくとも国立病院、国立大学の事務は民間委託に持っていくべきだと。その方がはるかに経費が安上がりになります。こういう点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 先ほどから松崎委員の御質問を承りながら、大変教えられるところが多く、先ほどの今井委員の場合もそうでございますけれども、深く共感するところもございました。
 まず、当面の御質問でございますけれども、社会保険庁や国立病院はもっと効率化してコスト削減を図るべし、その場合に民間の力をかりるべきではないかと。
 その可能性があれば、これは検討にやぶさかではございませんけれども、国立病院の場合には、もう釈迦に説法でありますけれども、必ずしも採算に合わない、国立病院でなければできない仕事に特化をしていこうというところでございますから、民間委託にはそれなりのやはり限界があるであろうと思います。私は、むしろ地方の公立病院、これが非常に経営が難しくて地方の市町村の負担になっておりますので、この点についてはやはりそういう考えがあってもいいんじゃないかと。
 先般、何人かの市町村長に相談を持ちかけましたところ、まだ病院自体の運営を任せるというところまでは行っていないけれども事務は任せようと、こういう動きはかなり全国に出てきているそうでございますから、委員御指摘のような方向でみんな考え始めているんではないだろうかと思います。
 この機会にお許しを得て、先ほどからのお話でありますが、私の出身、青森県の状態について、御指摘のとおりでありまして、実は私が昭和五十六年に厚生政務次官になったときに最初に恥ずかしい思いをしましたのは、衆参どっちの委員会でございましたか、そのときに、ここに並んでいる大臣、大臣は森下大臣、徳島県。私、並んでおりましたが、そのときに発表になりました寿命では、男女並んで最下位でございました。自来ずっと、徳島県の方は承知しませんが、私のところはほとんど四十七位に近いところで、現在もそういう状態になっております。これはいろんな原因がございますけれども、私は、基本的に地域の問題としてやはり真剣に考えていかなきゃならないと思っております。
 私の地元についていろいろ考えてみますと、福祉の面では割と熱心だったんですね。福祉従事者の数は、これは全国で多い方なんです。それで、これはさっきの幾つかの県を並べてのお話とあわせて考えますと、例えば病床が多い、あるいは在院日数が長い、その割には成果が上がっていないかもしれないという問題の背景に、やはり社会的な背景があるんではないかと。つまり、早期に退院をしていただいて在宅でリハビリをするとか場合によっては在宅で介護をするという体制ができていないところでは安易に病院の病床に頼るということがあり、その反省に立って介護保険制度等々が組み立てられてきたんではないであろうかと。
 ですから、私どもは、今この介護保険体制ができ上がったときに、本当に医療と介護全体をあわせて改善を図っていくべきときが来た。
 そして、その場合に、市町村の立場から申しますと、国保と介護保険の負担を合わせますと、これはもうすべての地域行政にある方々の重大関心事でなければならないところへ来ておりますから、これがよい方に回って、いわゆる健康21のような予防医学的な努力も進めていくという方向に進んでもらいたいなと。御指摘のような健康21についての地方公共団体における地方計画の策定もそのような新しい意識のもとで積極的にやっていただきたいというのが私の気持ちでございます。
○松崎俊久君 確かに青森県は最低レベルであるわけですが、これは何も大臣の責任だなんて私は全然申し上げていないので、大変なところにお生まれになり、大変なところから政治にお立ちになっているという同情というものを持って申し上げているんです。しかし、厚生省のやり方いかんではどうにでもなるという実例を一つ出したいと思うんです。
 これは、私、自分自身がいろいろ物事を言う以上、自分がやってみて、それのどこがよかったか悪かったかを検討しながら、試行錯誤しつつ健康な自治体をつくっていくということをしなければならないと思って今までそういう活動をしてまいりましたが、健康予防医学というものは個人単位にしなければならないという思想、これが間違いなんですね。そもそもマスから問題を見ていくというやり方になって初めて成功します。それがだんだんマスから個人へ絞られていくというやり方をしないと間違いを起こすと思うんです。
 私は、それと同時に、予防と介護の問題はよく並列的に並べられて論じられるわけですけれども、介護が先行する自治体は必ず滅びます。介護に熱心な自治体というのは大変ジャーナリズムにはもてはやされます。非常に立派な町だというふうに言われます。町長は評判がよくなります。そのうち大赤字を抱えてパンクするというのが大体介護を先行させた自治体の悪い見本であります。
 私は、予防なくして介護はあり得ないという予防先行型を大胆に厚生省がおとりになるべきだと。確かに、介護は一番困っている、あるいは障害のある方たちを支えていくわけですから、これは最低限どんなことがあってもやらなければならないものはやらなくちゃならぬわけですが、次から次に介護の対象者が出てくるような、これから高齢社会になればそういう事態に必ず落ち込むわけでありますから、ぜひとも地域ごとに自治体できちんと健康度を診断されて、そこに予防医学の手を差し伸べることが大事だと思います。
 例えば、私は福島県の中で一番平均寿命が悪いところというのをかねがねねらっていました。九十自治体の中で八十九番目だったでしょうか、それから脳卒中は一番多いというどうしようもない町がありました。そこの町がここから脱却するという非常な決意を固めて私と話し合ったのが今から八年前のことであります。私の郷里に近いこともあってそこへ取り組んでみました。細かいことは割愛しますが、とにかくマンパワーをまず整えた。
 私は、医療改革の場合に看護婦の数が先行しなければならないということを再三強調しましたが、自治体の場合はマンパワー、特に保健婦、栄養士のスタッフを十分にそろえることから出発しませんと必ず失敗します。今、心配しているのは、介護保険に保健婦の数がどんどんとられて予防を棚上げしている。いかにも介護は熱心にやっているように見える、しかし内容は極めてお粗末、もう将来介護の対象者が二倍、三倍にふえるだろうというような町や村をいっぱい見受けるわけでありますが、保健婦を絶対に介護に回してはなりません。保健婦はどんなことがあってもあくまで予防医学の活動に専念させることが大事だと思います。
 そういうやり方で、私、徹底的に、その周りにボランティアを、毎週土曜日ごとに栄養教育を三年間、百名の家庭の主婦をその周りに置いてマンパワーを整えてみました。そうしましたら、病気は五年間できれいに半減いたしました。国民健康保険の税も一人当たり五年間で約二万円、七年間で二万六千円の減税に成功しています。老人人口三四%です。
 ですから、私は、こういうやり方を自分でやってみて、そして自治体の長と一緒に力を合わせてやっていくと、何で健康保険が今こんな赤字を出さなきゃならぬのか、予防にどれほど手抜きしていたかということを本当に痛感します。むしろ憤りを持ってこの事態を眺めているわけであります。こんな赤字は出さなくても、積極的に黒字だって出せるのにというふうに思うわけです。老人人口三四%でも、そして脳卒中が一番県内で多い町でもできるわけです。ところが、この健康日本21を眺めてみますと、ありきたりの例えば食生活の指導なりなんなりというのが細かく書いてはあるんです。だけれども、これでは保健婦は何をやっていいかわかりません。
 私は、この町が、山の中で猿やクマが庭先にうろうろしているというふうなことがしょっちゅうあるような町なんですが、ここに手を入れる場合に徹底的に流通機構の調査も行いました。そして、流通機構の調査の中で、どのような食品がどういう経路で入ってくるか、それがどういう値段で売られていくか、それがどのように消費されていくかというような問題もあわせてやりました。
 普通ですと塩分を減らしなさい、こういう指導が先行する。私は塩分を減らしなさいなんということは一言も言いません、塩分は二十グラムとっているところですが。しかし、これは減らせます。それは、ここが非常に貧しく、おかずにお金が回らず、肉などは食べたことがないというような町であったわけですが、一軒この町にあったぼろぼろの肉屋は現在は鉄筋三階建ての肉屋に変わっております。肉の消費量は三倍、牛乳の消費量も同じく三倍というふうに変えました。
 これは、健康日本21で見ますと、余り肉はとらせないようにしましょう、牛乳は必要ですが総合的にカルシウムをとりましょうというような内容の指導しかしておりません。こういう指導はごく標準的な自治体の教科書としては有効ですが、実践的な役には全く立ちません。ここら辺をぜひとも検討し直してほしいと思うんです。
 最後でありますが、実はこの町は、そういう意味で病気が半分に減り、国民健康保険の税金も一人当たり二万六千円の減税が成功したという中で、一番決め手であったのは、これは貧しい町でありますが、町の負担で沖縄に徹底的にこの住民を交流させたわけであります。人口一万の中でここの町は二千七百人が既に沖縄に行っております。約三分の一に近い。この中で体験として学ばせた食生活というのが見事に生きて、塩分を一回も私は減らせと言わなかったのに、塩分は二十グラムあったのが現在十二グラムに五年間で落ちております。ですから、こういうやり方をした場合に予防というものは効果が上がるわけであります。
 ここで私、最後に厚生大臣にお願いかたがたちょっとお尋ねしたいことは、私は自分が琉球大学の医学部の教授だったということで申し上げているのではないんです。今、基地がひしめいている沖縄の、しかも沖縄の男の自殺が日本一多いという悲惨な現実を背景にしながら、この沖縄に幸せをもたらすということをバックに置いて、そして東北の農民たちの健康を増進するということを結びつけた概念を私は十年前から主張してまいりました。両方の県では、東北と沖縄ではこれが大々的に報道されて、NHKなども取り上げてくれていますが、もうちょっと大胆に国土の有効利用ということをお考えいただきたい。
 これは国土庁にも、あるいは農水省にも、あるいは沖縄開発庁にも何遍も申し上げたのでありますが、今二万六千円減税できた健康な町に脱皮しつつあり、この町はこの間オーストラリアからも招待を受けて、町長が町づくりの講演をオーストラリアに行ってわざわざしてくるほど国際的にも有名な町に現在なってきたわけでありますが、この町を一つの実験台にして、私は冬の間沖縄へそっくり老人を移そうと思っています。そして、農作業をやるその準備を今整えているわけであります。
 こういうようなことの方がよっぽど安上がりな予防医学の活動になるんですね。冬の間、大臣の青森県、半年間こたつに老人は入っていますでしょう。トイレと飯を食うときしか出てこない。あれが青森をだめにしているわけでありまして、青森の老人たちがもしも三カ月間沖縄に滞在して、農作業でもやらせてごらんなさい。すっかり健康を取り戻して、桜咲くころに帰す。
 日本は小さな国ですが、南北三千キロにわたって展開している日本列島の長さというのは世界有数の大国の南北への展開として理解できます。ですから、こういう国土の有効利用というものも健康日本21の中でぜひ考えられて、私は町と町との話し合いでこれを来年はぜひとも実現するつもりで、もう準備は相当整っております。沖縄に生活費が落ちます。三カ月、大量の老人が生活していますと沖縄に生活費が落ちます。これは沖縄にとって非常にありがたいお金なんですね。私は、こういう安定した金が沖縄に落ちていくことが望ましいと思っています。
 同時に、本土の老人たちは体をより丈夫な状態にして本土へ帰っていく。しかも、それは国土を有効に利用して、何も寒いときに寒いところにいる必要はないのであって、青森の農村に老人たちが冬縮こまっている必要はないわけであります。
 これを実験的にやってみてかなり成功しておりますので、厚生省はぜひとも国土の有効利用、しかも予防という視点から、いわゆる長期滞在型保養基地を自治体同士で話し合わせて、東北と沖縄の自治体を組み合わせながら、向こうへ長期滞在型保養基地をつくるというようなところに金を落とす、あるいはそういう補助を出すというようなことがどれほど、何十倍大きく返ってくるかわからないと私は思っておりますので、ぜひこういう面へ厚生省の目を向けていただきたいというお願いかたがた、こういう考えがどうかということを厚生大臣に最後にお伺いします。
○国務大臣(津島雄二君) 大変に含蓄に富むお話をいただきました。
 松崎委員のお話から学び取れるものは、やはり健康の問題は地域から発想しなければならないということではなかろうかと。そういう意味で、それぞれの地域で自分たちの抱えている健康の問題、保健の問題は何であろうか、それを解決していくためにはどういう方策があるかということを自分の足で歩いて考えてもらいたいと、こういうことであろうと思います。
 その点で、御質問に対する答弁の前に一つ申し上げさせていただきますと、私どもも予防の重要性は、医療ばかりでなく、さっき介護についてもおっしゃったわけでありますが、介護予防というものも非常に大事だと。それで、今年度の予算では四百七十億の当初予算の国費を用意いたしまして、要介護の状態にならないようにするにはそれぞれの地域で何ができるか、それぞれの事業を立ち上げてもらいたいということをいたしまして、熱心な市町村においてはアイデアを出し合う競争をしておられるような状態であります。そういう考え方の延長線で、委員御指摘のとおり、例えば長い日本の国土を生かしてそれぞれの地域の持っているよさを体験することがいいんじゃないかと。賛成でございます。
 青森県の場合に、自分の地元のことを申し上げて恐縮でありますけれども、脳卒中は隣の秋田県より多いんですね。かなり多い。調べてみると、リンゴの産地なものですから、自分のところでできるものは余り食べない。お客さんに出すときもわざわざミカンを買ってきてミカンを出すのが、これが何というか御接待だと思っている。長野県はそういうことがないからいいんだろうと思うんですけれども。
 それで、今リンゴを食べましょうという運動もしておりますが、その一環で皆さんが台湾にリンゴを輸出する運動を始められてかなり交流が進んでおりますが、これがあの南の気候の中でどういう生活をしておられるかということを県民が学ぶ一つのよすがになっていると思います。
 そういうことと重ね合わせて、委員の御提案は大変魅力のある御提案だと思いますので大事にきょうはいただかせていただきますが、ただこれに補助を出すかどうかというのは、これはまた慎重に検討させていただきたいと思います。
 いろいろどうもありがとうございました。
○松崎俊久君 野中官房長官も、私がかつて沖北の特別委員会でこの問題を質問した折、積極的に考えたいということはおっしゃっていましたが、調査費という形では落ちているようでありますが、何分これを私は県を通したりなんなりするのではなくて、直接自治体同士で結ばせていくようなやり方で推進できればいいなと思っております。
 とにかく、御存じのように、沖縄は最近自殺の問題があって平均寿命が男の場合足踏みをしております。女はもう断トツの長生きで、沖縄の女は今後他県にまず追い抜かれることはないだろうと。ただ、沖縄の男はどんどん追い抜かれて、長野県に追い抜かれ、熊本県に追い抜かれというような事態をどんどん繰り返しております。
 ここに見られるのはやはり、健康という問題はこれだけ切り離して論じられないなと思うのは、経済のだめなところは健康は全部だめだと、本質的に。ただし、例外は沖縄だけです。沖縄は健康状態は極めていいわけでありますが、経済は最低と。これは沖縄の食生活がそれをもたらしているからでありまして、これだけは例外でありますが、あと本土は全部、経済と所得と病気の状態が平衡しております。
 ただ、大都市だけおかしい。これは厚生政務次官の御出身の大阪について大都市対策としてぜひ考えていただきたいのでありますが、西成区は全国最悪の健康状態にあることは御存じのとおりでありますが、大阪府全体が悪い。しかし、では東京はどうなんだというふうに考えると、東京は決して悪くない。大阪だけが大都市の中で一段と沈んでどうしようもない状態にある。
 こういう問題はなぜなのかというようなことを一つも突っ込んでいかないんですね。極端な地域差があらわれている原因、大体答えはわかっていますけれども、そういう問題を多くの人に知らせていくためには、こういうせっかくのチャンスでやった健康日本21などでもう少し地域差を大胆にお取り上げになって、それを示していけば大阪の対策がまた成り立つだろう。
 静岡なんて本当におもしろい地域です。西半分はすばらしく日本のトップクラスにいい、東半分は日本の最悪の状態に近いと、きれいに分かれているわけですから、ここに同じ政策を打ったって成功するわけがないわけです。介護保険だって予防の方針だって全く違うわけです。そういうようなきめ細かさをむしろ使い分けながら、健康保険のこの赤字問題をぜひ考えていっていただきたい。
 予防にまさるものは絶対にありません。予防活動をやることによって介護保険の対象者が減り、予防活動が熱心になれば、そこで培われたマンパワーは介護保険がいかに大変になってもそれを受けとめるだけの余裕を持ちます。現に私が先ほど紹介した町は、決して広域で介護保険はやりたくない、単独でやりたいと。それは、自分の町だけで全部処理できるからという自信があるからで、頑強に広域化に反対し、単独化を推進して、びくともしない状態になっています。ですから、介護に回る人をいかに少なくするか、このことが健康保険の赤字を積極的に解決する方法。これに対して、私は率直に言って、厚生省の努力はほとんど過去に見るべきものがなかった、見るべき成果を上げ得なかったというふうに申し上げたいと思うんです。
 しかし、何も悪口だけを言っているつもりはないんで、ぜひとも予防にもうちょっと突っ込んだ、赤字を克服し健康保険を守っていくためにもそういう政策をぜひ打っていただきたいというふうに最後に要望して、私の質問を終わります。
○委員長(中島眞人君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ─────・─────
   午後二時開会
○委員長(中島眞人君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○武見敬三君 昨今は、特に医療保険制度の抱える構造的な赤字の問題等が非常に深刻であるということで議論がされるようになってまいりました。特に被用者保険については、すさまじい悲鳴までが聞こえてくるというように言われているわけでありますが、私は、こうした議論をするときには常に正確な根拠に基づいて、そしてそれを科学的に分析して、そしてまず実態というものを正確に把握することがやはり必要であろうというふうに考えております。根拠に基づいた保険医療政策というものが基本姿勢でなければいけないというふうに考えているわけであります。
 そこで、健保連に関して、例えば一九九九年度決算見通しで経常収支が二千百億円の赤字だ、こういうふうに言われるようになっておりますし、三分の二が赤字組合になっているんだ、こういう説明もされるようになってまいりました。本日の朝日新聞の一面トップには、一千七百六十一組合から構成されている健保連がアンケート調査をしておりまして、回答一千五百八十五組合のうちの二一%に当たる三百四十組合が自主解散を考えているというような、そういう実態まで報道されるようになってきたわけであります。
 ただ問題は、そうであるならば、さらにより正確にそうした実情というものを知っておく必要性が増大をしてくることになります。この点、甚だまだ問題点は不透明でわかりにくい。例えば、一九九七年度収支の場合に、前年見通しで五百億円程度の赤字が出るだろうと発表されていたんですね。ところが、実際にいざ決算をしてみますと、その赤字というのは十七億円という数字でございまして、これは五百億円と十七億円という大変大きな乖離がございました。
 また同時に、財務諸表等、そのあり方というのにもやはりかなり問題がある。例えば、一九九七年度収支の場合に、民間の企業会計のルールで推計をしてみますと、当期の純利益が何と約一千億円の黒字だと、こういうふうに説明がされているわけであります。企業の財務状況を把握する場合には、企業会計の原則にのっとった損益計算書であるとか、あるいは貸借対照表というものが利用されることになります。保険者が公表するデータというのはこうした複式簿記で書かれておりません。したがって、一般国民の目から見ますと、こうした組合の利益だとか財産の全体像というのがなかなか実はつかみにくいということが言われるようになっております。
 そこでお尋ねをしたいわけでありますけれども、例えば組合健保の場合、全体の収支をあらわす一般収支ではございませんで、経常的活動を示す経常収支のみ発表しているという批判が実はございます。この批判は事実であるか否か。そしてまた、もしそれが事実であるとすれば、何ゆえに黒字である一般収支についての部分をきちんと発表して、またその部分をも含めて全体像をきちんと記述するような形で説明をしないのか、その理由をまずお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 確かに九年度の決算は経常収支ベースで十七億円の赤字ということで発表されているわけでございます。
 なぜこういう経常収支だけで発表するのかということでございますけれども、単年度で経営をやっておりますので、当期にその年度年度で経常的に見込まれる収支を明らかにする、こういうことで経常収支分を発表しているわけでございますが、このほかに、国庫補助金でございますとか健保連の補助金とか積立金の取り崩しとか、いろいろあるわけでございまして、こういう総収支につきましては二年ほどおくれて発表されるわけでございますけれども、組合決算の概況報告におきましてそういうものも含めて発表いたしているわけでございます。したがって、その分については経常収支だけでなく総収支につきましても報告は公表される、こういう形にはなっているわけでございます。
○武見敬三君 確かに事業年報というのは発表されるわけでありますけれども、実際にそれが発表されるまで二年近く要しているんですね。一九九七年度の結果が一九九九年、すなわち昨年末になってようやく公表されている。これはやはり明らかに説明責任という観点から見て、アカウンタビリティーというそういう視点から見て十分なものとは言えない。昨今は特に一般の企業においてもこういう説明責任ということが常に問われるようになってきているものですから、決算の報告というものをより前倒しにして、その説明責任をきちんと負っていこうという姿勢が見えているわけです。
 したがって、この点については、もっとこうした組合健保の努力、説明責任の努力ということが求められているというふうに思われますけれども、いかがですか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 確かに最近こういう医療保険財政というのが厳しくなっている。その中で保険者の財政というのを明らかにする必要がある、しかもそれを早く、こういうことであるわけでございまして、これまではまさに先ほど申し上げましたように経常収支ベースで報告をいたしていたわけでございますけれども、その段階におきましても、既に総収支のものも概算ではございますけれどもつかんでいるわけでございますので、その辺も含めて公表できるかどうか、実施主体が健保連でございますので、十分相談しまして早めるように検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○武見敬三君 これはかなり厳しいきちんとした行政指導が求められる部分だと思いますよ。これは経常収支で一年間のフローの流れだけを把握したって、それだけじゃ本当の意味でどれほど深刻な赤字構造かというのはわからない。やっぱり資産だとか負債、それから剰余金、さらにはそれぞれ蓄積している資本の状況というものを全体としてきちんと把握して、そして全体の損益及び資産の状況というものをきちんと把握しておきませんと、これはまさにこれからこういう問題について抜本改正の議論をしようとしているときに、それを議論する基本的な材料が不足するということになるじゃないですか。
 したがって、事業年報等の中ではそうした全体像がきちんと把握できるように、もっとそういう部分について記述をふやして、そしてその実態というものを明らかにしていく必要性があると思います。この点いかがですか。
○政府参考人(近藤純五郎君) これまでの組合の決算概況報告は確かに遅いという難点はございますけれども、中身につきましては割と詳細に把握をいたしまして、分析した上で公表する、こういう形をとっているわけでございます。さらに必要なものがあるかどうか検討することはやぶさかではございませんけれども、今わかる範囲のものにつきましては把握をいたしまして公表していると、こういうふうに承知いたしております。
○武見敬三君 そこで、組合健保の一九九七年度、十七億円の赤字ということであるので、まずこれでよいのかどうか。
 それから、一九九七年度の法定準備金、別途積立金は合計で三兆五千億円で前年度より三千億円ふえている。これも三千億円ふえているということでよいのかどうか。
 そして次に、なぜ赤字であるにもかかわらず法定準備金と別途積立金がふえていくのか。これは健康保険法施行令第五十条によって、剰余金から積み立てているものというふうに普通は理解することになるんだろうと思いますけれども、その点はいかがか。
 そして、法定準備金、別途積立金以外の資産については一体どうなっているのか。また、そういうものは一体どこに公表されているのか。お答えください。
○政府参考人(近藤純五郎君) 経常収支ベースで十七億円の赤字というのは、経常収支ベースでは正しいわけでございます。
 それから、法定準備金と別途積立金の増加分でございますけれども、九年度の増加分は三千百五十八億円ふえております、約三千億円強ふえているわけでございます。
 なぜふえているかということでございますが、一つは九年度の特殊事情があるわけでございまして、NTT、それからJR、それからJT、旧三共済が健保組合に移行したわけでございまして、この額が約二千二百億円ございます。そのほかに九百六十億円ふえているわけでございますが、先ほど申し上げましたのは総計の赤字の経常収支ベースでございまして、当然黒字組合があるわけでございまして、黒字組合が約千六百八十億円の積立金を増加いたしております。その反面、赤字組合におきましては七百二十億円の積立金を減少したわけでございまして、差し引きが九百六十億円の増ということでございまして、積立金の増というのはまさに剰余金の中から積み立てられていると、こういうことでございます。
 それから、法定準備金、別途積立金以外の資産につきましては、その他財産という形で保有いたしているわけでございまして、平成九年度、これも公表いたしているわけでございますけれども、土地は簿価だと思いますが千九百四十八億円、建物が四千七百二十四億円、それから退職積立金が六百二十五億。その他、これは自動車とか電話加入権その他でございますけれども九百五十九億と、こういう形で公表いたしているわけでございます。
○武見敬三君 そこで、関連事業等についてもお伺いをしたいと思います。
 健保組合等は、いわゆる病院であるとか診療所、それから保養所、こういったところを実際に関連事業としてやっているわけでありますけれども、一九九七年度で約六百億円もの赤字を出しているんですね。この赤字構造というものもやはり極めて深刻でございまして、本体が赤字であるわけでありますから、関連事業についてもこうした赤字を縮小していくための自助努力というものが当然私は求められてきていると思う。
 この点について、どういう自助努力が今までのところ行われてきたのか、そしてまたそれは本当に十分であるのかどうか、御認識を伺いたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 御指摘のとおりでございまして、関連事業におきまして赤字が出るということは、保養所等についてはもともとそういうものだということで想定されているわけでございますけれども、組合として合理化努力、リストラ努力をしなきゃいかぬというのはもう当然のことであるわけでございまして、外部委託等も進めておりますし、事業の効率化に今努めているところでございます。
 それで、保養所の数でございますけれども、年々減少はいたしております。組合としては保養所を廃止したい、こういうことで売却を進めているところでございますけれども、御承知のような状況でございますので買い手がない。立地条件とか老朽化が進んでいる、こういうこともございまして引き取り手がない、こういう状況であるわけでございまして、残念ながら直ちに処分というのはできないわけでございますけれども、そういう努力はいたしているというふうに考えておりますし、私どももこれからもそういうことで組合の努力を促してまいりたい、こういうふうに考えております。
○武見敬三君 まさにこうした自助努力というものがあらゆる面で組合健保の中にも求められてきているように思います。
 全体では黒字であるにもかかわらず、赤字組合の数、問題だけに焦点が当たってくるということで、本来、例えば組合健保の中での財政調整といったようなことの問題点等についてはなかなか言及されてきていない。その点については、私は大変に議論の仕方が不十分であるというふうに考えておりますが、いかがですか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 組合間の調整というのは、確かに一部だけでございますけれども行われております。ただ、やっぱり組合ができた趣旨ということから考えますと、財政調整を多くやればまさに組合の存立意義というのはないわけでございまして、そういう意味でこれを十全な形でやるというのは難しいのかなというふうに考えております。しかし、医療保険全体としては、これはまさに老人保健制度というものを通じまして実質的な財政調整の仕組みをやっているわけでございまして、その中で組合間の調整というのもある程度はできていると、こういうふうに認識しているわけでございます。
○武見敬三君 この点はやはりかなり歴史的な背景も加味して、厚生省としても責任を感じなきゃならない部分だと思いますよ。特に組合健保をそれぞれ認可するときの基準、これは当初より比べてだんだん基準が緩和されて組合健保の数がふえてくるようになって、そして今日の一千八百ぐらいまでの組合健保の数になってきた。この条件の緩和というものが果たして適切であったのかどうかということが、今、実は改めてこういう事態になって議論をされなければならないようになっている。
 こういうふうな事態を招いた背景には、不適切に条件を緩和してこうした組合健保の数をふやしてきた厚生省の責任というものはやはり免れないだろうと思うんですが、その点はいかがですか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 健保組合をどういう設立の基準にしたらいいかどうかについてはいろいろ御意見があろうかと思うわけでございます。小さければだめだということにはならないわけでございまして、大きければいいというわけでもないわけでございまして、やはり適正規模というのは当然あるのかなと思っているわけでございます。
 ただ、今考えてみますと、余りにも小さく、現に大きかったものが小さくなっているというのが実態であるわけでございまして、小さなものも大きくなったりするわけですが、一番問題なのは、大きかったものが高齢化といいますか産業の衰退によって組合員数が減ってきている、こういうのがやはり一番問題だと、こういうふうに私どもは認識いたしております。
○武見敬三君 いろいろ財務諸表等について改めてより整備をして、いわゆる透明性を高め、説明責任を負うべきだという点は、これは組合健保だけじゃなくて政管健保も実は同じなんですね。この政管健保についても、会計はいわゆる健康勘定と業務勘定から構成されているんですよ。ところが、発表されているのは健康勘定のうちのさらに小項目である単年度収支の部分だけだということが言われている。これはまたなぜですか。なぜもっと他のこうした健康勘定のみならず業務勘定も含めて全体の内容についてきちんと公表しないのか。その御説明をいただきたい。
○政府参考人(小島比登志君) まず、政管健保の健康勘定と業務勘定、両方とも収支を発表すべきではないかということでございますが、十年度から健康勘定の決算と同様に業務勘定の収支についても社会保険庁の事業年報において掲載をしているということでございます。
 また、政管健保の単年度収支しか記載していないんじゃないかという御指摘でございますが、単年度収支は財政の単年度における実質的状況を明確にするために非常に重要だと思っているわけでございますが、事業年報においては、これに加えまして国庫補助の繰り延べの返済額、あるいはまた事業運営安定資金の残高、あるいはまた累積債務につきましても同様に事業年報に記載いたしまして公表をしているところでございます。
○武見敬三君 この点について、もしこういう批判が出てきたとすれば、実際に事業年報の中での記載の仕方及び記述の仕方等に本当に万全が期されているのかどうか、その点について改めて私自身も調べてみたいと思います。
 そこで、政管健保については、一九九七年度、九百五十億円の赤字ということですが、これでよいかどうか。それから、事業運営安定化資金は前年度より六百億円ふえているというふうなことなんですが、これでいいのかどうか。その上で、なぜ赤字であるにもかかわらず事業運営安定化資金というのがふえてくるのか、そのからくりを教えていただきたい。
○政府参考人(小島比登志君) 御指摘のように、平成九年度におきましては政管健保、単年度で九百五十億円の赤字となりました。一方、九年度末の政府管掌健康保険の事業運営安定資金の残高は、八年度末に比べまして御指摘のように約六百億円増加しております。
 この理由でございますが、政管健保におきましては、平成九年度に補正予算におきまして国庫補助繰り延べ残高の一部、千四百十三億円の返済を一般会計から受けました。これを事業運営安定資金に繰り入れたことから、単年度で九百五十億円の赤字だったにもかかわらず事業運営安定資金が増加するという結果になったものでございます。
○武見敬三君 そうすると、毎年、借入金が一兆四千億から五千億近くあるということになる。そうすると、この借入のために支払っている利息というのは一体幾らぐらいあるのか。それから、利息はどうも三百億円以上あるらしいんだけれども、その辺は一体どうなっているのか、しっかり説明をしていただきたいんです。その上で、一体そういう借入というのはどこから借入しているのか、そしてその利息は一体どこにどういう形で支払っているのか、それも教えてください。
○政府参考人(小島比登志君) 確かに政管健保におきましては毎年度約一兆五千億円の借り入れを行っておりますが、これは昭和四十八年の健保法改正の際に、それまでの政管健保における累積債務が棚上げをされました。その金額が約六千億円。それから、昭和五十九年の改正におきまして、旧日雇労働者健康保険の累積債務が約九千億円、これも棚上げをされました。これを合計しまして約一兆五千億の借り入れを行うことになっているわけですが、この金額は被保険者の保険料で賄うのではなく、一般会計で負担するものと整理された債務でございます。
 しかしながら、国の財政状況が非常に厳しく、債務そのものの償還はいまだ行われていないことから、毎年度、政管健保において借り入れを続けているところでございます。
 この借入金約一兆五千億円にかかる利息は、平成九年度において三百三十億円でございます。これは一般会計で負担すると整理された債務でございますから、この利息につきましても全額一般会計で措置をされております。
 この一兆五千億の借り入れ先は大蔵省資金運用部から借り入れておりまして、金利についても大蔵省資金運用部に支払っているという状況でございます。
○武見敬三君 やっぱりそういう説明を事業年報等も含めてきちんとふだんからしておかなきゃいけないですよ。これだけの金額、相当な額ですよ。それを借り入れを繰り返しているわけだ。したがって、毎年どうも必要以上の利払いをしなきゃならないんじゃないかという疑念さえ生じてくる。したがって、これをきちんと説明しておかなければ、これはやっぱり説明責任を果たしたことにはならないというふうに私は思います。
 それから、一九九八年度以降は政管健保、事業年報で公表される範囲が狭まったというふうな批判が出てきておりますけれども、それは事実ですか。もし事実であるとすれば、それはどうしてでしょう。
○政府参考人(小島比登志君) 九年度までの事業年報におきましては業務勘定の公表をしておりませんで、年金勘定と健康勘定、この二本立てでございます。その健康勘定の中におきまして、単年度収支も累積債務も、あるいは業務勘定の一部も合わせた収支を込み込みに勘定として決算の記載をしていたわけでございます。
 しかし、十年度以降、ちゃんと業務勘定という勘定があるわけでございますから、健康勘定に加えまして業務勘定というものを新たに事業年報に記載して、より勘定間の出入りの明確化を図ったということでございまして、私どもとしてはむしろ、記載を縮小したということではございませんで、きちっと現行制度に基づいて整理をしたというふうに考えているわけでございます。
○武見敬三君 そうすると、政管健保に係るいわゆる財産の状況、こういうのは一体どこに、事業年報の中で公開されていると理解すればいいんですか。
○政府参考人(小島比登志君) 政管健保の財産の状況につきましては、まず政管健保の管理をいたしております土地建物等の資産の総額につきましては、毎年度国会に提出する決算の貸借対照表においてその総額をお示しいたしております。
 個々具体的な財産につきましては各県の社会保険事務局が台帳で管理をしているわけでございますが、これにつきましては外部より照会がなされた場合にはその内容についてお示しをする。
 また、本年四月から国全体の国有財産につきましてインターネットを利用した国有財産公開システムというのが始動しております。社会保険庁の管理する土地建物も国有財産でございますので、その所在地、面積、価格等をインターネットを通じまして公開しているということでございます。
○武見敬三君 これはやっぱりきちんと事業年報の中で記載をするべきですよ。照会されたら提示するなんという話じゃない、これは。やっぱりちゃんとこういう内容については国民の側から調べやすい形で積極的に開示するという姿勢がいわゆる説明責任というものなんですよ。その点についての厚生省の対応ぶりというのは、明らかにこれは時代の流れに沿っていない。やっぱりもう少しきちんと説明責任を果たすべく努力をしてもらわないと国民の信頼は得られないと思いますよ。それだけに、こうした政管健保の財務諸表の整備というのは私はもう喫緊の課題だと思うし、それによって情報の開示も進め、説明責任というものも積極的に負うということが必要だと思う。
 そこで、せっかくでございます、政務次官、こういうことを考えたときに、やはりそういう積極的な考え方で新たな方針を策定するべきだと考えるわけでありますけれども、いかがでしょう。
○政務次官(福島豊君) 健保組合、そしてまた政管健保にしましても、財政状況というものが国民に対してよく理解されるということは大切でございます。まして、現在、医療保険制度をどのように改革していくのかということについて議論を行っているわけでございます。その中で実態というものを十分に踏まえられて議論を行うべきであるというふうに私も思っております。
 先生から御指摘いただきましたことにつきまして検討させていただき、対応できるところは対応させていただきたいと思います。
○武見敬三君 このいわば新しい方針の策定という部分は、やっぱり行政府の官僚の皆さんだけに任せていたのではなかなかできない。これは、政治家がしっかりと本当に責任を負って、そういう政治的判断に基づいて新しい指針を果敢にきちんと策定するということがやはり期待されるわけでありますから、どうか政務次官、頑張ってください。
 それから次に、支払基金についての御説明をいただきたいんですけれども、一九九八年度の老人保健特別会計の借入金は一兆円近くあるということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 平成十年度末で借入金というのは九千三百八十六億円でございますが、最近の状況を見ますと七千億円台で推移している、こういう状況でございます。
○武見敬三君 この借入金は、そうすると相当額のものが常にあるということなんですけれども、これを実際にどのように返済していくような計画が組み立てられているんでしょうか。それを教えてください。
○政府参考人(近藤純五郎君) 仕組みを若干申し上げますと、支払基金におきましては老人保健の関係の業務をいたしているわけでございまして、医療保険者から拠出金をいただきまして、その拠出金を財源といたしまして市町村に交付金を交付いたしているわけでございます。市町村はこの交付金を財源といたしまして老人医療費の支払いを行う、こういう仕組みになっているわけでございますが、拠出金の仕組みといたしましては、当該年度に決められたものは医療費が伸びようが伸びまいが変えないという仕組みになっておりまして、二年後精算という形になっているわけでございます。
 ところが、市町村は毎年毎年その月その月にお支払いするわけでございますから、その医療費の伸びが高くなった場合におきましては民間の銀行の方からお借りをしまして、それを財源にして市町村に交付している、こういうことになっているわけでございます。
 したがいまして、この借入金につきましては、老人保健の拠出金の精算という形の中に利子も含めて負担をお願いいたしているわけでございまして、二年後にその金額が戻ってきて、その財源をもとにして銀行の方に返済する、こういうシステムになっているわけでございます。
○武見敬三君 そこで、この支払基金というのはすごいんです。約十九兆円もの資金が流れ込むんですね。従業員数で七千七十九人。これは非専任の審査員などを除いているんです。大変な大法人です。にもかかわらず、監査を担当する監事は非専任の四人にすぎない。それで、監事というのは業務監査と会計監査の両方を行わなければならないわけですから、そのことを考えてみたらこの非専任の四人の監事だけで果たして本当に対応できるんだろうか。やっぱり、本来ならばこれだけの大法人であれば会計監査に精通した専門家をきちんと起用しておくことが私は望まれると思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 確かに監事だけでこの基金の中身を全部知悉するというのはなかなか難しいわけでございますけれども、この下に人もいるわけでございますし、その他のところにつきましても十分目を光らせる部署もあるわけでございまして、そういう意味で監事だけでこれを全部統括するわけでございませんけれども、御指摘のとおり、そういった専門家がいて、その補佐を受けるというのが大切だと、こういうふうに思っております。
○武見敬三君 そういう御認識があるとすればぜひ早速実施をしていただきたい、このように思います。
 そこで、国民健康保険についてお伺いしますけれども、一九九八年度の国保は単年度で約一千億円の赤字ということになっておりますが、これでよろしいですか。
 その上で、同じく一九九八年度の基金等の保有額の合計は約七千億円で前年度より約三百億円増加しているというふうに評価されているんですが、この内容は正しいかどうか。
 その上で、なぜ全体で赤字であるのに基金の保有額がふえてくるのか。これもよく説明を伺わないとわかりませんので、御説明いただけますか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 平成十年度の市町村国保の決算では、単年度の経常収支は一千二十億円の赤字でございます。それで、約三百億円の増加ということになっているわけです。正確に申し上げれば二百八十八億でございますが、これも平均で赤字になったわけでございまして、当然のことながら黒字の保険者もあるわけでございまして、黒字の保険者によりまして増加があったと、こういうことでございます。
○武見敬三君 こういうことを調べるときになかなか難しいのは、例えば国保はマスコミには単年度収支で一千億円の赤字という公表がされているわけなんですけれども、事業年報にはこの数値がそのままきちんとした形で記載されていないんだというんです。なぜきちんとそれを記載しないのか。これは計算しないとわからないようになっている。この点は非常に私は不親切であると考えますが、いかがですか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 年報に載っておりますのは、まさに繰越金がございましたり、それから基金からの繰入金がございましたり、あるいは国庫からの支出、こういったものも洗いざらい入れたもので計算されているわけでございます。さらに国保組合が入ったような数字も入っているわけでございまして、御指摘のとおり、確かにその経常収支分が載っていないわけでございます。
 したがって、我々が平常に使います経常収支分が年報に載っていないという意味で大変誤解を招く面があるわけでございますので、これにつきましてはその経常収支分も入れるように改善を図りたいと、こういうふうに考えております。
○武見敬三君 ぜひ早急にそれを実現していただきたいと思います。
 そして、未収金についてお伺いしたい。
 国保の未収金は約七千億円近くあると言われているんですが、それでいいのかどうか。そして、実際こうした未収金をこれからどういうふうに回収していく計画なのか、その対策についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 国保の未収金、医療費がふえる、それから経済が低迷している、こういうふうなこともございまして未収金が毎年ふえてきているわけでございます。当然のことながら努力をしていただいているわけでございますけれども、専任の徴収員を置きますとか、それから短期の証明書を出すとか、こういうふうなことで対処をしているわけでございます。
 御指摘のように十年の末で七千二百三十六億円の未収金があるわけでございまして、現年度分で二千五百三十三億円、それから滞納の繰越分で四千七百四億円ということでございまして、特に滞納分につきまして、これは所得状況等もございましてなかなか難しい面もあるわけでございますけれども、やっぱり国保というのは国民皆保険を支える最後のとりでである、こんなような認識であるわけでございます。
 そういう意味で、収納率の向上というものについて、私どもも市町村を応援いたしましてできるだけ収納率を高めるように努力してまいりたいと考えておりますが、残念ながら、このところ収納率そのものが落ち込んでいるということで、私ども大変憂慮をいたしているわけでございます。これは地道に、国保の重要性それからこの趣旨、こういったものを十分住民の方にわかっていただく、こういうふうなことが大切でございますので、市町村でより一層努力をしていただく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
○武見敬三君 おおよそ今申し上げてきたように、国保についても事業報告書というのは内容が非常にわかりづらいんですよね。それで、表記漏れだとかケアレスミスで間違ったものが入ったりとかがかなりあって、実際にかなりの専門家が調査しようとしても実情を把握するのには大変手間取るというのが現状です。ましてや、一般の国民の方が調べようと思ったって、これじゃわかるはずがないんですよ。
 したがって、やっぱり目線は、一般の国民の方が調べてわかるような形で情報というのは開示する必要性があって、その点についての御努力は相当これから進めていただかないと、医療保険制度の抜本改正の議論というのをこれから本当にしなきゃならない、その中でまた改めて国民の皆さん方にもさまざまな形での御負担をいただく必要性が出てくるでしょう。それをちゃんと納得していただくためにもこの説明責任というのは極めて重大です。したがって、ぜひこの点について行政当局がさらなる努力をされることを望みます。
 さて、IT革命と言われておりますけれども、医療の分野も全くその例外ではございません。情報の効率化によって医療の質を高めるというだけではありませんで、業務の効率化によってコストを節約するということもこれは可能になってくるわけです。
 ところが、すべての医療機関、調剤薬局などで必ず使わなきゃならない情報、すなわち医薬品の添付文書であるとか医科点数表などの加工可能な電子データというのは極めて高額で取引されているというのが現状なんです。しかも、極めて高額で取引されている現状をつくり出しているのはほとんど、そのマスターデータの供給源の大半は厚生省の認可法人なんです。これもやはり問題点として指摘しておきたい。行政並びに厚生省が医療分野でIT化というのを促す、大変これはすばらしいことなんですけれども、原材料となるようなマスターデータを一部の認可法人などが高額で販売するという形では、逆にIT化がなかなか進まないんです。
 さらに、こういったマスターデータの作成には国庫補助も支払われている場合も多いというふうなことも聞いています。であるとすれば、ますますこうした高価格制がとられているというのはおかしい。
 そして、近年発足した介護保険では、電子請求を促す意味もあってすべてのマスターデータがオープンなんです。それと比較したときに、これはおかしいじゃないですか。医療分野においても、IT化を促進するための環境整備としてマスターデータを公益法人に独占させずにこれをきちんとオープンにしていくことが、私はIT化をこの分野で促進していく上でも必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) このマスターデータというのは、すべて公表されたものをもとにこの法人がつくっているわけでございまして、必ずしも独占販売というわけではないわけでございます。この販売価格というのはまさに実費相当でございまして、これで利益を上げているわけではございません。
 そこで、先生御指摘のことでございますけれども、診療報酬の改定等があった際には保険医療機関のソフトを迅速に更新する必要があるわけでございまして、現在、厚生省の方で必要なマスターを作成いたしているわけでございまして、インターネット等を通じまして保険医療機関等が自由に御利用できる仕組みを今つくりつつあるわけでございます。これができ上がれば保険医療機関等は必要なマスターをいつでも無料で入手することが可能になるわけでございまして、この法人がやっている業務というのもこちらの方に移ってくる、こういうふうなことを今計画いたしているわけでございます。
○武見敬三君 いつまでにその計画は完了することになるんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 十三年の一月でございます。
○武見敬三君 これは、現状で初年度でレセプト電算処理システム用のマスターデータ、保険者のマスターデータ、それから月々のデータの更新、それから医薬品の添付文書情報、合わせますと百三十四万七千円の価格になっている。それから、次年度以降、すなわち診療報酬改定があった場合には、レセプトの電算処理システム用マスターデータとか、これを全部合わせますと今度は八十八万七千円です。やはりこれは常識的に見て明らかに高いですよ。
 これを実際に扱っている、例えばレセプトの電算処理システム用のマスターデータは財団法人医療保険業務研究協会というところ、それから保険者のマスターデータに関しては財団法人医療保険業務研究協会、医薬品の添付文書情報では財団法人医療情報システム開発センター、そして財団法人日本医薬情報センター、こういうところが現実にそういうものを行っているわけです。
 したがって、今御指摘のとおり、改めてこれ以上私は追及はいたしませんけれども、早急にこうしたデータベースというものがオープンなものになって、そしてIT化が促進されるように努力をされたいということを改めてお願いしておきたいと思います。
 次に、ヘリコバクターピロリ菌のケースについてお尋ねをしたいと思います。
 これは、十一月からその除菌に係る処方というものが保険適用になってきたわけであります。これは、いわゆる胃潰瘍であるとか十二指腸潰瘍、消化性の潰瘍でありまして、日本では百二十万人の患者さんがいらっしゃる。したがって、このピロリ菌の感染によって胃炎から胃潰瘍が発生してくる、またそれによって再発が同時に非常に多発してくるという、そういうことが言われるようになっている。したがって、再発防止のためには私は今回の保険適用というのは大変よかったというふうに思っております。
 ただ、懸念される副作用についてもやはり考えなきゃいけないんです。このピロリ菌の除菌によって胃酸が食道に逆流して胸やけが起こるという逆流性食道炎というのがそれによって逆にふえてくるということが言われている。それによって、次に食道上皮の性質が変わって、ただれてくるということですよ、それによってバレット食道という状態になるというんです。このバレット食道という状態になりますと、今度はそれがその下地になって食道の腺がんのリスクが百倍にふえるというんです。実際にこういうピロリ菌の除菌の処方が普及してきた欧米諸国を見てみますと、明らかにピロリ菌の感染率が低下してくることと交差するように逆流性の食道炎が一九八〇年代の末から急速に増加するようになっている。
 こういうことで考えてみれば、こういう保険収載することになったわけでありますから、こういう副作用の問題等についても十分に事前にきちんと対応できるようにやはり考えていかなきゃならない。そのためにもその根拠というのをきちんと確認していくために、私は疫学的な調査というものをきちんと我が国で行っていくことによって将来のこうした問題点について誤りなき対応ができるように備えておく必要性があるというふうに考えるわけでありますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(丸田和夫君) 御指摘の胃潰瘍、十二指腸潰瘍におきますヘリコバクターピロリ菌の除菌につきましては、既存の胃酸を抑制いたしますプロトンポンプ阻害剤一剤と抗菌剤二剤との計三剤の組み合わせによることにつきまして、本年九月に薬事法上効能追加を承認しております。その際、四年間の再審査期間が付されまして、この間におきまして関係企業が、今御指摘になられました逆流性食道炎も含めまして、副作用の発生等の情報の把握を行うための市販後調査を実施することといたしております。
 御指摘のように、ヘリコバクターピロリの除菌がかえって逆流性食道炎などを起こすことの指摘につきましては、承認審査の段階におきましても留意しておりまして、申請企業から、国内治験例では逆流性食道炎の報告はないものの引き続き追跡調査を行う旨の回答を得ているところでございます。
 そこで、私どもといたしましては、今後、市販後調査が適切に行われますように注視いたしてまいるとともに、その結果に基づき有効性や安全性を確認してまいりたいと考えております。
○武見敬三君 いわゆるメーカーサイドの責任に基づいて市販後の副作用等の問題については調査をしてもらうんだというお答えでありますけれども、実際にどこまでメーカーが責任を負ってその副作用等にかかわる調査ができるのか、それは本当にいわゆる科学的にきちんと根拠に基づいたデータがその中できちんと収集されていくのかどうか、この点についてはやはりもう一度きちんと確認をしていただきたいと思います。
 私は、本来ならば厚生省の厚生科学の予算項目の対象になるものだろうと思いまして、こうしたことを踏まえて、メーカーばかりに押しつけないで、厚生省もみずからの責任においてこうした厚生科学研究等の予算項目を上手に活用して、こうした継続的な調査を厚生省としてもやはり考えるべきだと思いますけれども、いかがですか。これ、もしいろんな問題が起きてからじゃ取り返しがつかないですよ。
○政府参考人(丸田和夫君) 先ほど申し上げました市販後調査につきましては、薬事法に基づきましてメーカーにおきまして責任を持って実施するということになっております。
 それで、ただいまのピロリ菌の除菌につきましては一応三千例の調査ということで約二年半をかけて実施する、こういうことを私どもは把握しているところでございます。この結果を見守ってまいりたいと思っております。
○武見敬三君 それでは次に、私はたばこ課税のことをちょっとお聞きしたい。
 そのまず前提になるのは、たばこというのは健康を害するのかどうかという点について、私は医学的にもう検証されているものだというふうに理解をしているわけでありますけれども、厚生省の御見解として、たばこの健康被害というのは医学的にきちんと検証されているものだという認識をきちんとお持ちであるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(篠崎英夫君) たばこの煙につきましては、その複雑な不完全燃焼過程によりまして四千種類以上の化学物質が含まれておりまして、その中には約二百種類の有害物質、四十種類の発がん物質が含まれていると言われております。特に知られている有害な物質といたしましてはニコチンと一酸化炭素がございまして、ニコチンは、急性作用として中枢神経系の興奮と抑制を生じまして、心拍数の増加、血圧の上昇、末梢血管の収縮などの影響を生じます。さらには、反復使用することによりまして精神的及び身体的な依存を生じるわけでございます。また、一酸化炭素は、赤血球のヘモグロビンと結合いたしまして、血液の酸素運搬機能を阻害いたします。
 喫煙が健康に与える影響につきましては、ただいま御指摘のように医学的に、生理学的あるいは生化学的、疫学的な観点から証明をされておると思っておりますが、特に疫学調査によって明らかになってきておりますのは、がんとの関係におきましては、喫煙男性は非喫煙者に比べて肺がんによる死亡率が四・五倍高くなっていますほか、喉頭がん、食道がん、胃がんなどのそれ以外の多くのがんについてもその発症の危険性が増大することが報告されております。
 また、喫煙者では非喫煙者に比べて虚血性心疾患や脳卒中の死亡の危険性がそれぞれ一・七倍高くなっておりますほか、慢性気管支炎、肺気腫などに関しましても報告がございます。さらには、喫煙妊婦におきましては非喫煙妊婦に比べて早産の危険性が三・三倍、低出生体重の危険性が二・四倍高くなっております。そのほか受動喫煙についての健康影響に対する報告もございます。
 以上のように認識をいたしております。
○武見敬三君 事実上それはもう医学的に検証されていると認識をしているというふうにお答えいただいたと私は解します。
 この場合、健康に関しては自分で健康を守ろうとする自律意識というのが当然求められるし、その背景にはある意味での健康の自己責任というのを私はきちんとやはり確認すべきだろうと思う。ただ、遺伝性の疾患は別ですよ。
 したがって、この場合、喫煙をすれば少なくとも将来そういった特定の疾患にかかって医療費が増大をするという可能性が高まるわけでありますから、そういう喫煙をされる方は今のうちからたばこにきちんと余計税金を払っていただいて、それによって将来医療費が支出増になったとしてもそれに耐えられるようにみずから責任を負っていただくというのが、私はこれはだれもが理解できることだと思いますよ。それによってきちんと確保されてくる新たな財源をまさに健康を守るための新たな予防医学的なサービスのための財源とするといったようなことに投資することで、私は国民が健康で豊かな生活の営みができるという、そういう条件が整ってくるだろうと思うんです。
 今日のたばこの価格を見てみましても、日本は大体一箱二百六十円。購買力平価で見たときに日本の次に安い先進国というのは、これは何とアメリカで三百八十円ですよ。日本が先進諸国の中でいかに安いか。高いところはヨーロッパでは八百円なんというところがある。あるいは四百円、五百円というところがざらにある。日本という国で何で二百六十円という低価格なのか。これは私にはとても理解ができない。
 一本一円増税しただけで平成十年度実績で三千三百億円の財源ができる。そうすると、三円上げれば、二百六十円のたばこが三百二十円になっただけで約一兆円の財源が確保できて、保健医療のためにも使えるようになるということが期待されるわけだ。これは実はちゃんと市場調査をして、これだけ価格を上げても残念ながら喫煙人口は余り減らないんだということで推定された数字なので、かなり信憑性の高い数字だと思っている。
 であるとすれば、こうしたたばこに関する課税というのをやはり私はすべきだろうと思う。しかも、財政赤字がここまで深刻、六百四十五兆円もの赤字国債を抱え込んでいるような状況で、これはもう財政をきちんと改善する努力というものを、やはりできるところからしていかなきゃいけないんです。
 大蔵当局はどう考えていますか。
○政府参考人(竹内洋君) お答えいたします。
 たばこにつきましては、従来から他の物資と異なり特殊な嗜好品としての性格に着目いたしまして、他の物資よりも高い税負担を求めているところでございます。また、平成十年の十二月一日からたばこ特別税という形で一箱当たり約二十円の新たな負担をお願いいたしまして、税負担の適正化を図ったところでございます。
 今、いろいろ貴重な御意見を承ったところでございますが、喫煙と健康の問題につきましては、WHOにおけるたばこ規制をめぐる議論を含めまして、さまざまな議論があることは私どもも承知しているところでございます。
 いずれにいたしましても、たばこに対する税負担のあり方につきましては、先般、政府の税制調査会の中期答申において触れられているところでもございますが、小売価格に占める税負担割合の状況、たばこの消費動向、またさらに財政事情等を総合的に勘案して検討していくものと考えているところでございます。
○武見敬三君 最後に一問だけ。
 中小の医療機関に対する支援措置を私は講じなければならないと思います。これは、今度の医療法の改正によって人員配置基準が三対一になる。その場合に、九百八十九の病院が実際にまだ不足している状態であって、そのうち何と九百五十二の病院というのは二百床以下の中小の医療機関です。したがって、こういう中小の医療機関というものが我が国の地域医療の中でどのような役割を今後果たすべく期待されるのかということを考えつつ、こうした中小の医療機関に対するさまざまな支援措置を講じ、それによってやはり看護婦さんというのをきちんと確保しやすいようないろいろなやはり便宜が図られなきゃいけないだろうと思う。
 大病院に比べて中小の病院というのは看護婦さんの確保が非常に難しい。また、地域によっても看護婦さんの需給のインバランスというのはさまざまな格差がある。そういうことをきちんと踏まえた上で、こうした中小医療機関に対する支援措置を講じなければならないと考えているわけでありますが、この点について厚生省はどう考えて、どのような政策を実行されようとしているのか、お伺いしたい。
○政府参考人(伊藤雅治君) 中小病院の将来的な方向、役割といたしましては、専門病院への転換、療養型病床群への転換などが言われておりますが、厚生省といたしましても、中小病院の経営者等の意見などを踏まえつつ検討してまいりたいと考えているところでございます。
 このため、今年度中に中小病院の支援策のニーズ等につきまして調査を行いまして、その後、この結果を踏まえ、中小病院の役割、支援策を検討することとしておりますが、特に中小病院につきましては、今年度、医療施設等設備整備費補助金の優先採択、それから医療施設近代化施設整備費補助金の要件緩和などを行うこととしております。
 また、十三年度概算要求におきましては、看護婦、看護職員の確保対策といたしまして、看護職員の就労確保に向けた総合的支援の実施、僻地等の地域の看護婦等養成所に対する支援、看護婦宿舎施設整備の充実について要求するとともに、今回の医療法改正に伴う社会福祉・医療事業団の貸し付け条件の改正といたしまして、二百床未満の中小病院につきましては、今回の改正による一般病床の看護職員に係る人員配置基準の改正に伴う経営安定化資金につきまして特別利率の適用、さらに融資率の引き上げ等を要求しているところでございます。
○武見敬三君 ありがとうございました。
○沢たまき君 私は、法案の内容から若干ずれると思いますが、関連ということで御質問させていただきます。
 私は、子育て真っただ中の多くのお母さん方から要請を受けた件について伺わせていただきます。
 学校保健法第十二条の規定では、伝染病にかかった児童、生徒、学生、幼児は出席停止にされることになっております。他の児童に対し伝染病が感染しないようにするための予防であり、当然だとは思います。
 伝染病にかかった児童の出席停止期間は、症状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めるまでとなっておりますけれども、伝染のおそれがないという証明はいかなる形で証明すればいいのか。医師が学校へ電話等で口頭でもいいのか、あるいは正式な診断書が必要なのか。文部省はどのように指導されていらっしゃるでしょうか。
 また、保育園あるいは児童保育の場合、同様のことが存在すると思いますが、厚生省はどう対応されていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 伝染病の流行を予防するため、インフルエンザや風疹などの伝染病にかかったり、またはその疑いがある児童生徒がいますときは、校長は、学校保健法第十二条の規定に基づきまして、当該児童生徒などの出席を停止させることができることとなってございます。
 この出席停止の期間は、学校保健法施行規則によりまして、インフルエンザ、風疹などの第二種伝染病につきましては、例えばインフルエンザの場合ですと解熱後二日を経過するまでの期間とされておりますが、それぞれの疾病ごとに定められた期間もしくは学校医等において伝染のおそれがないと認められるまでの期間とされているところでございます。したがいまして、インフルエンザ等の第二種伝染病にかかり出席停止となった児童生徒があらかじめ規定されている期間を過ぎて登校する場合には、特別な手続は必要とされていないわけでございます。
ただ、出席停止期間以前に登校する場合や、コレラなどの第一種伝染病、O157感染症などの第三種の伝染病及び結核にかかった児童生徒が出席する場合には学校医その他の医師の診断が必要とされており、その具体的な手続につきましてはそれぞれの学校において実情に合わせた対応がなされているものと考えております。
 文部省といたしましては、出席停止の解除におきまして、伝染のおそれがないという確認を、口頭での連絡によるのか、それとも正式な診断書によるのかなど、その具体的な手続などの詳細につきましては、それぞれの伝染病の重篤さや学校の実情、児童生徒等の年齢や症状等に応じて各学校において判断し、対応すべきものだと、こう考えております。
○政府参考人(真野章君) 保育所に通います児童が感染症にかかった場合でございますが、保育所におきます保育の基本的方針を決めております保育所保育指針に基づきまして、子供御本人の健康の回復の状況と、いわば他の子供への感染の防止といいますか児童集団の場における流行の防止という観点から、嘱託医やかかりつけ医の意見を踏まえまして、施設長が判断し、保護者に指導するということにいたしております。
 この保育所保育指針におきましては、こういう医師の意見を診断書として提出することを必ずしも求めているわけではございませんけれども、保育の現場におきまして、病気の種類その他に応じまして、医師の意見を確実に把握する手段として診断書の提出を求める場合もあるというふうに承知をいたしております。
 なお、放課後児童健全育成事業でございますが、これは小学校の放課後に子供を預かる事業でございまして、原則として小学校に登校が認められた児童を受け入れるということになっておりますので、通常、感染のおそれがないことの確認というのは、その放課後児童クラブの指導員が家庭との連絡帳や学校との連絡というところにより把握をいたしておりまして、特段の証明を求めてはいないというふうに承知をいたしております。
○沢たまき君 ありがとうございました。
 保育所は嘱託医やかかりつけ医の指示に従うと、こうなっております。要するに、診断書は必要ないわけですよね。一方、幼稚園とか小学校の実態は、その伝染病が治ったという証明の方法が学校によってばらばらです。
 インフルエンザにかかった児童のお母さんからちょっとお借りしてまいりました。(資料を示す)
 幼稚園の場合は登園許可証明書となっておりまして、「一、病名 二、右の者疾病が全治し集団生活に支障ないものと認めます。 右の通り診断します。」となっておりまして、これが千五百円かかるそうです。こちらは小学校の登校許可書。「伝染病の予防上支障がないと認めたので登校を許可します。」となっておりますが、費用はやはり千五百円だそうでございます。また、学校によっては医師より口頭でなされて無料で行われているところもあるようです。
 いずれにいたしましても、学校あるいはPTAの対応でばらばらになっているようですが、これは全部口頭で行うということで統一はできないものでしょうか。文部省、いかがでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 伝染病として同じ病名であってもタイプによっては重篤さが大きく異なったり、学校を取り巻く地域社会の状況や、感染した児童生徒以外の児童生徒の罹患状況等がさまざまであるということなどを考えますと、具体的な出席停止の解除の手続につきましては、それぞれの学校が状況に応じて判断し、対応することが適切であると考えており、すべての伝染病につきまして全国一律に決めるのは難しい面があるのではないかと、こう考えております。
○沢たまき君 そうですよね。
 ですけれども、もう一つ、例えば学校保健法に規定しないプールだとか林間学校に行く場合においても、そのたびに診断書を出さなきゃいけないというふうになっているそうでございますが、この場合はどのように指導なさっていらっしゃいますでしょうか。
 また、伝染病に対する登校許可の実態、それからそれ以外の、今申し上げましたようにプールとか林間学校参加等の場合、診断書提出の実態は調査すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 児童生徒がプールに入る場合や林間学校に参加する場合、児童生徒の健康状態を適切に把握することは児童生徒の安全を確保する上で重要でございまして、一般的には、それぞれの学校におきまして水泳や林間学校を行うに当たって事前に健康調査などを行いまして、児童生徒の健康状態を把握した上でこれらの活動が実施されているものと認識しております。
 なお、この事前の健康調査におきまして、その調査結果によりましてはさらに医学的な判断を必要とするというような場合があると思われますので、そういう場合には医師の診断書を求める場合もあるというふうに承知しておるところでございます。
 文部省としては、このような教育活動を行うに当たりましては児童生徒の安全の確保を図るよう指導してきているところでございます。その具体的な方法につきましては、例えば林間学校などを行うにしましても山登りをするとかしないとか教育活動の対応がさまざまでございますので、各学校の実情あるいはその教育活動等に合わせまして各学校で判断をしていただきまして対応されるべきものと考えております。
 いずれにしましても、伝染病が発生した場合や林間学校などの行事を開催する等の場合におきまして、児童生徒の健康や安全の確保のための対策が適切に行われることが重要であると考えておりまして、御指摘の登校許可の実態あるいは診断書提出の実態等も含めまして、今後は必要な実態把握に努めてまいりたいと、こう考えております。
○沢たまき君 よろしくお願いいたします。
 学校保健法といいましょうか、国の方がただ証明せよと言うだけで中途半端な対応になっているような気がしてなりませんので、学校保健法に規定しないことまで診断書が必要だとなりますと、学校やPTAが自由に判断して過剰な対応になっているものもあるのではないかなと、こう懸念をしておりますので、よろしく御調査をいただきたいと思います。
 また、学校によって、特に私立などでは大変厳しくて、診断書を必要とするために五千円もかかるところもあるそうでございます。これらに対して、学校それぞれの実情にともおっしゃっていらっしゃいましたけれども、学校任せとかPTA任せにするのではなく、国がきちんとした基準を示す必要があるのではないかと考えております。
 また、費用におきましても、保険の適用云々という次元の問題ではありませんので、義務教育費の無償、幼児教育の福祉的視点から見ても無料にすべきだと考えております。これは政策判断の問題だと思いますので、文部省、厚生省で連携をとって検討をいただきたいと思いますが、文部省、政務次官、いかがでございましょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 伝染病に関する出席停止等に対する対応につきましては、先ほどもお答えしましたように、それぞれの伝染病の重篤さや学校の実情、児童生徒等の年齢や症状等に応じまして各学校で判断すべきものと、こう考えておりまして、全国一律の基準を示すことはなじまないのではないかと、こう考えているところでございます。したがいまして、診断書の無償化等といいますのは、やはりこういった全国的な基準というものを前提としているのではないかと、こう思われますので、なかなか難しい課題であるなというふうに思っておるところでございます。
 今後、必要に応じまして厚生省とも十分な意見の交換を行ってまいりたいと、こう考えております。
○政務次官(福島豊君) 児童が感染症にかかった場合に、適切に診断、治療され、他者に感染をさせないということが確認された後、速やかに通所を再開していただくということが大切だというふうに思っております。そして、その蔓延防止のための確認手段として医師の診断書が必要であるという場合には、基本的には本人、これは保護者になりますけれども、費用をこの診断書の交付に際しまして負担をすることはやむを得ないものと考えております。
 ただし、通所再開の可否を判断するに当たりまして医師の診断書まで必要かどうかということについては、先生御指摘のように、個々のケースによって異なるものであろうというふうに考えておりますけれども、一律の取り扱いというのは、先ほども文部省からも御説明がありましたようになかなか難しい点もございます。利用者の負担が過剰であるという先生の御指摘も十分に理解できますけれども、今後学校保健の担当局とも連携をしながら何らかの対応策がないかどうか研究をしてまいりたいと思います。
○沢たまき君 ありがとうございます。
 本日は、御要望いただきましたお母さん方にも傍聴に来ていただいております。ですから、最後に要望といたしまして、登校許可あるいは登園許可を全国口頭でよいというのが徹底、統一されてくださると予算も全く必要ないわけでございますので、父兄も納得をされるのではないかなと思っております。厚生省、文部省で真剣に御検討いただきたいと思っております。
 これを御要望として申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○井上美代君 日本共産党の井上美代です。
 私は、まず今回の健康保険法の改正が高齢者、とりわけ所得の低い高齢者に及ぼす影響について質問をしたいと思います。私はかなりたくさんの質問を持っておりまして、申しわけありませんけれども、できるだけ答弁は手短にお願いできればうれしいというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 今までの審議の中でもかなり明らかになってきたことなんですが、高齢者への一割の自己負担を導入することで高齢者には総額で一千四百六十億円もの負担増となり、そしてまた自己負担分を平均で一・五倍にふやすこと、それから病気の種類によっては何倍にもはね上がるということが明らかになりました。具体的に申し上げられませんけれども、いろいろな病気によって違っているということが国民の間でもかなり大きな心配となって出ているわけです。
 私の事務所にも、今回の医療制度改正について連日のように全国の高齢者の方々から、医療機関の関係者はもちろんですけれども、請願ももちろんです、そしてはがきやファクスが、きょうはほんの一部を持ってきただけなんですが、このように送られてきております。きょうも、今またこういうふうにして送られてきておりますけれども、はがきははがきでこうして送られてきております。いかに国民の間でこれに対する不安と関心が強いかということがわかるわけなんです。高齢者の方からは生活の苦しさを訴えられている声が大変多いのが特徴です。今の年金生活でやっとなのに、介護保険に加えてさらに医療費の負担はもう耐えられないと、こういう切実な声がたくさん寄せられているわけなんです。
 私は、低所得者の高齢者の現実の生活を知るために、東京都内の御高齢の方々のお宅を何人も訪問いたしてまいりました。家計の状況や暮らしの様子、預金通帳も見せていただいたところもありますけれども、年金の収入を頼りに暮らしている、そして本当に低い所得で、非課税世帯の方々がもう圧倒的です。そして、年金が月々五万とか八万とか、年間にしても百万円に満たない方々です。こういう方々は本当にぎりぎりの生活をしておられました。食費や家賃など、必死で削っても三万から四万円はどうしてもかかります。さらに、水光熱費や交通費、通信費、また新聞代もかなり大きいんですね。二万円ぐらいはこういうものでかかってしまうと。
 そうして、通院している方というのがもうほとんどでした。病院へ行っているんです。毎月の出費に追われながら、トイレをお借りしたんですけれども、便座が壊れていて、乗せてあるだけなんですね。修繕代もない、こういうふうに言っておられました。
 私が強く心に残りましたのは、スーパーで落として捨てるキャベツの外側をもらってお総菜にしているということでした。また、家にふろのないお年寄りは、病気の足を鍛えるためにプールに通っているけれども、ふろには入らない、プールに行ってそれで済ませていると。洋服などはもう何年も買っていないという人ばかりでした。本当にぎりぎりの生活で、私も改めて現場に行ってびっくりしたわけなんですけれども、こういう方たちが口をそろえて医療費の負担がふえてももう削るところはない、何とかしてください、このように訴えておられるわけなんです。
 国民生活基礎調査で高齢者の世帯の所得を見ても、年間所得は百万円未満の世帯が一五%もあります。こういう状況の中で、ことしの四月から介護保険がスタートし、そして高い利用料が取られるようになりました。この十月からは介護保険料の徴収です。そして、今回の改正で医療費の一部負担の増加ということが言われているわけです。こういうことではもうとても所得の低い高齢者は生活していけない、こういうことが考えられます。
 私は、金持ちもいらっしゃるかもしれないけれども、このような低所得者の方々にやはり温かい政治の光を当てなければいけないというふうに思うわけなんですけれども、大臣、こうした現状についてどのようにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 大変に経済が停滞をしているということもありますし、仕事を失った方もある。高齢者の場合も、例えば老齢福祉年金しか受けていない方であるとか、あるいはいわゆる専業主婦であった方で御主人と死別をされた方とか、一定の比率の方々がかなり低い所得でぎりぎりの生活をしておられる。これはもう否定できない事実でございます。そういう方々に対してできるだけの配慮をすべきであるということは、私どもみんなひとしくそう思っているわけであります。
 その一方で、医療保険の制度を立てます場合に、すべての方を頭に入れた上で制度を整合性のある制度につくっていくわけでありますから、ですから若い方々は二割、三割の現役の方は負担をしておられる。その二割、三割負担しておられる方々とのバランスもこれは考えなきゃならない。そういうバランスをやはり念頭に置いて対応していただくべき高齢者の方もおられる。
 そういう中で、今度私どもがお願いをしておりますのは、外来については三千円、五千円という低い上限額を設定して一割負担をお願いしたいということ、それから入院時の負担につきましては負担の限度額を現行の三万五千四百円よりも下げて二万四千六百円にして生活実態に配慮をしてさしあげたということであります。
 そういう私どもの提案に対してどういうふうにお考えいただくか。私は、全体を考えた場合に、今度の御提案が国民に、理解を全体として得て、理解をしていただける一つの線ではないかと考えているところでございます。
 諸般の事情から負担することが困難な低所得者の方々のためには、生活福祉資金貸付制度などもあるということを付言しておきます。
○井上美代君 国民に理解をしてもらえると思っているということで、今、上限を三千円、五千円置いたことなども言われましたけれども、その認識というものは国民の本当に困っている人のところからはとても距離のあるものだということを私は申し上げたいんです。
 高齢者世帯の四割が年二百万円以下で生活し、高齢者の七六%は住民税が非課税です。そして、高齢者年金、四万円台が四割強、年金に一〇〇%頼っている高齢者は五八%もいるんです。その一方では、介護保険で年間新たな負担増は約八千億円。そして、二〇〇一年四月から始まる年金改正の影響で年間二千二百億円ものカットになり、また、ことしの四月からの年金、介護、そして医療制度の改正で年間で二兆円から三兆円の給付減になるといいます。このようなことがあっていいでしょうか。許されるでしょうか。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 私は、低所得者のことを認められた大臣、本当にここを支援しなければ安心して安全に医療にかかれない、そういう状況が生まれてくるというふうに思っておりますけれども、いかがですか。
○国務大臣(津島雄二君) 低所得者の方々にはできるだけの配慮をすべきことは当然のことであります。
 その一方で、先ほどから申し上げましたように、高齢者という所得層は実はないのであります。所得分布から考えますと、高齢者の中にも余裕のある方もある、若い方の中にも大変に厳しい生活をしておられる方もある。そういう方々の間のバランスを考えた場合にとにかく負担がなければいいと。それはお気持ちはわかりますけれども、負担をしておられる方もある。その間のバランスというものを私どもは絶えず考えなければならないと思っております。
○井上美代君 私は、きょうは低所得者の問題、そこへ集中して質問をしております。
 次いで、政府が高齢者について全体としてどう見ているのかということで、政府の高齢者像について質問をいたします。
 それが最も鮮明にあらわれている例として、ちょっと見ただけではわからないのですが、厚生省の二〇〇〇年版の厚生白書を見てみたいと思います。厚生白書の五十一ページです。
 高齢者の世帯とその他の世帯の貯蓄を比較するとして、六十五歳以上の高齢者のいる世帯とその他の世帯を比較しております。資料を皆様方にお出ししております。三枚出しておりますが、二枚目なんですけれども、棒グラフがあります。この棒グラフの左二本は、グレーとそれから白ですけれども、これは厚生白書に出ているんです。
 これが出ているんですけれども、貯蓄額五十万円未満が高齢者のいる世帯一八・三%に対してその他の世帯では二三・〇%、また五十万円から二百万円未満については高齢者のいる世帯が一四・五%に対してその他の世帯が一七・八%となっています。高齢者のいる世帯よりもその他の世帯の方が貯蓄額の低い世帯の割合が高くなっております。したがって、白書は結論として、このページの一番最後に書いてあるんですが、全体として高齢者のいる世帯の方が貯蓄が高いと主張しています。
 私は、果たしてそうかということを見てみたいと思うんです。高齢者のいる世帯というのは、高齢者世帯ではありません、それとは違います。高齢者世帯というのは、ひとり暮らしの高齢者の世帯、そしてまた高齢者夫婦世帯のことです。高齢者のいる世帯というのは、この高齢者世帯だけではなくて二十代から五十代の勤労世帯と高齢者が同居している場合が入っております。
 問題は、この同居している場合に、勤労世帯分の貯蓄が加わってその世帯の貯蓄を引き上げてしまうということなんです。高齢者の世帯とその他の世帯を比較するのだったら、やはり国民生活基礎調査でも採用している高齢者世帯を使うべきではないだろうかと思います。
 それを皆さんにお配りしている表の一番右側の黒い棒グラフですけれども、それで示しております。この部分は厚生白書には載っていません。
 これを見ますと、貯蓄額五十万円未満の高齢者世帯は二四・一%もあることがわかります。五十万円から二百万円未満も一四・八%、全体として貯蓄額はその他の世帯より高いと結論づけることはできずに、高齢者世帯にも大変低い貯蓄しかない人がかなりたくさんいるということがわかります。しかも、この高齢者世帯は高齢者のいる世帯全体の中で割合が高まっています。厚生省の資料によると、一九九〇年には三六・三%だったのが一九九八年には四五・一%となり、一〇%近くふえているというのがはっきりいたします。
 このように、隠れて見えない部分なのですけれども、私は厚生省の低所得者の見方というんでしょうか、これがやはり白書のこの部分に出ているのではないかというふうに思いまして、ちょっと細かいですけれども取り上げさせていただきました。この結果から、所得においても貯蓄においても高齢者世帯には経済的に貧困な人が多い、この事実に着目する必要があるというふうに思うんです。
 みんなが均等に負担をするんだと大臣はおっしゃるんですけれども、私は、生きていけない人たちがいるというときに、それをきちんと支援していくというのが国の責任ではないかというふうに思っているものですから少し細かくお話をいたしましたけれども、大臣、いかがお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) この白書にある数字だけから高齢者が豊かである、資産がある、あるいはない、そういう議論をやるつもりはございません。私は、長い間こういう統計資料をたくさん見てきたわけです。それから、ことしの春はアメリカ、ヨーロッパ各国の専門家と一緒になって数字を眺めて高齢者の実情について議論をしたことがございます。
 それから、もう一つ申し上げますけれども、金融貯蓄なり貯蓄の金額だけで生活の負担感というのは判断はできないですよ。例えば、かなりの資産を持っている方でも収入がなければこれはつらいわけでございますから、私はここだけのこの数字で高齢者が概してどうだという議論を短絡的にするつもりはございません。論争を井上議員とするつもりはございません。
 ただ、申し上げます。いいですか。高齢者と一概におっしゃいますけれども、高齢者と同じように所得の低い方も高齢者でない方にあります。そういう方との間のバランスをとって、苦しんでおられる方にはそれなりの配慮をするということは私どもはやらなきゃいけない、これだけ申し上げておるわけであります。
○井上美代君 資産があるというふうに言われるんですけれども、私が今ここで問題にしているのは資産もない人です。資産もなくて生活も大変な人、それをきょうは問題にしているわけです。その人たちを放置してこの法律を改正していっていいかどうかということを私は聞いているわけなんです。
 大臣と白書のこの部分で私だって論争するつもりは一切ないんです。だけれども、私は、白書のこの一端にやはり厚生省の考えておられるその姿勢が出ているのではないか、本当に困っている人たちのことを思うともうちょっと小刻みにそこのところを出してみなければいけないんじゃないかというふうに思います。厚生省は、所得格差が大きく貧しい人も相当いるという、ここにどうしても着目して福祉を進めてほしいというふうに思って私はこの白書のところを取り上げたわけなんです。
 次に、私は、政府のこういった高齢者像に基づく政策が、年金、医療そして介護など社会保障全体に及ぼした影響について質問をしたいというふうに思います。
 私のところに寄せられる高齢者の声の中で多いのは、少ない年金に頼る生活の中で、さらに介護保険そして医療保険の負担に耐えられないというものがたくさんあるんです。だからこそ私はこれを持ってきたんですけれども、そういうふうに言っておられます。
 そこで、まず高齢者の所得と公的年金の関係がどうなっているのかということを、年金との関係で参考人の方にお聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 平成十年度国民生活基礎調査によりますと、高齢者世帯の平均所得に占める公的年金あるいは恩給の割合につきましては、平均いたしますと六三・六%となっております。ただ、高齢者世帯でもいろんな世帯類型があるわけでございまして、雇用者世帯、つまり働いている方では年金の比率が三四・〇%、自営業者世帯では三八・四%、これらを除きますその他の世帯では年金の割合が七八・九%ということになっております。
 それから、公的年金を受給されている高齢者世帯の中で公的年金の総所得に占める割合でございますけれども、一〇〇%が公的年金、恩給だと、こういう世帯は高齢者世帯の五八%を占めておるということでございます。
○井上美代君 低所得者の高齢者ほど公的年金に依存が高いというのが今の御答弁ではっきりしたと思います。
 国民生活基礎調査でも、総所得に占める割合が一〇〇%という人たちが五八%いるということを今答弁いただきました。この割合というのは年々着実に高まっていくということが考えられます。老後の所得保障としての公的年金の役割というのは非常にやはり大きいということがそのことからもわかるというふうに思います。
 ところが、公的年金が政府の施策の中では抑え込まれているということ、私は事実上これは切り下げられているというふうに思っているわけなんですけれども、特に老後の生活の基礎的な部分を保障する点で問題が出てきています。
 そこで、老後生活の基礎部分を保障する基礎年金について見てみたいと思うんです。
 まず、政府参考人にお聞きしたいのですけれども、今の基礎年金の水準というのはどのようにして決まっているのか。食料費だとかいろいろあるんじゃないかと思いますが、それを御答弁願いたいのですが。
○政府参考人(矢野朝水君) 基礎年金の水準でございますけれども、これは衣食住などの基礎的な生活部分を賄う、こういう考え方に立って水準が設定されているわけでございます。具体的に言いますと、食料、住居、光熱水道、それから家具・家事用品、被服及び履物、こういった支出の合計でございます。
○井上美代君 この基礎年金の年金額を決める際の基準というのは、現在は高齢者夫婦となっていますけれども、従来はひとり暮らしの無職の高齢者を基準としておりました。この基準を変更したために基礎年金の伸びは抑えられ、事実上の給付カットとなってしまっているのであります。
 皆さんのお手元に、@になっております、表が三種類入っておりますけれどもお配りしております。これを見ながらもう少し詳しく述べさせていただきたいと思います。
 基礎年金は数年ごとに行われる年金財政の再計算の際に改定を行っています。一九八五年の改定のときには、基準となったのは一九七九年の全国消費実態調査の六十五歳以上のひとり暮らしの無職の高齢者でした。その月々の基礎的な消費支出四万六百八十五円に一九八〇年から八三年の消費者物価の上昇率を掛けて五万円という年金額が決められております。一九八九年の改定のときも同じような方法で決められているというのが一番上の表に出ているものです。
 ところが、一九九四年の改定の際には、ひとり暮らしの無職の高齢者というこの基準が突然外されて、そして今までの年金額に消費水準の伸びを掛けただけのものとなってしまいました。一九九九年改定もそのやり方は変わってはおりません。
 このために大変な事態が生じました。ひとり暮らしの無職の高齢者にとっては、年金をたとえ満額もらっても基礎的な消費支出さえ賄えない状況が出てきたのであります。一九九四年の全国消費実態報告書によれば、ひとり暮らしの無職高齢者の基礎的な消費支出は七万二千六円です。資料に出ております。一九九九年、満額の年金額はこれよりも五千円以上も少ない六万七千円です。厚生省の国立人口問題研究所が今後の高齢者のひとり暮らし世帯の伸び率が非常に高いことを予想していることを見ても、逆行する事態と私は言わざるを得ないというふうに思っているわけです。
 私は、女性の立場からも、六十五歳以上のひとり暮らしをしている、これは平均で二九・三%、男性でいえば一二%ですが、女性は七二%です。十年の推計でこうなんです。厳しい高齢者の生活の背景に、私は今申し上げましたような切り下げていったという問題がある、抑えていった問題があるということをどうしても指摘したいというふうに思っております。
 一方、高齢者の医療費の自己負担はどうなっているかということなんですけれども、高齢者のひとり暮らしで、無職と有業者が一緒になった数字を取り上げますけれども、一九八四年と一九九四年、十年を比べますと、消費支出が全体で九万四千二百三円から十四万一千九百五十七円、およそ一・五倍に伸びているんです。しかし、医療サービス支出というものを見ますと、同じ年ですけれども、六百三十三円から三千八百三十円と、医療費は六倍以上に伸びているということがはっきりします。
 八〇年代の後半以降の老人医療の自己負担が引き上げられたこれは結果なんです。だから、見えないようですけれども、このような形で追いかけていきますと、本当に一人一人の国民がどんなに生活が大変になっているかということが私はうなずけるわけです。
 一方、基礎年金は、一九八四年と現在を比べても五万円から六万七千円と、一・三倍程度に引き上げられただけです。保健医療費は本当に高齢者にとっては基礎的な消費支出ともいうべき部分です。衣食住を賄うという最低限の給付さえ抑え込む一方で、高齢者に不可欠な医療費支出はどんどんふえていく。特に低所得者の高齢者にとっては、私は憲法で保障された生存権にかかわる重大な問題だと思っているわけなんです。
 大臣、私はここをどうしても救済しなければいけない、対策をとらなければいけないというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 今のいろんな数字で、僕はすぐわかったんですけれども、所得の伸びはこうであるけれども医療費の伸びはこうであると、こうおっしゃった。医療費は根っこが少なければ伸び率はうんと多くなるんです。一番わかりやすいのは、昔の老人医療無料のときから比べると無限大なんです。ですから、今おっしゃったような何%伸びたという数字は、それは必ずしも説得力はないんです。
 問題は、今度私どもが提案をしている考え方は、さっき申し上げましたように、高齢者であっても一割負担をしていただくのも三千円、五千円という上限を設けてその範囲内でやっていただく、そして生活保護水準にある方にとってはその水準を割らないようにこれは平等にやっている、こういうのが今の福祉の立て方であって、私どもはその線で高齢者の方にはいつも十分な配慮をしながらやっていかなければならないと考えているわけでございます。
 ですから、高齢者に対する一割負担が入ったから非常に低所得者の方をねらってどうこうしているという考え方ではございません。
○井上美代君 ねらっているなどということは私は言っていないんです。結局、結果としてそのようなことになっているということを細かく申し上げているんです。
 大臣が対策をとるということを今言われたんですけれども、私は具体的にどういう対策をするのかということをはっきり言ってほしいというふうに思います。上限を三千円とか五千円でやってみたって、そういう人たちはとても払えないんです。だから、五千円の大病院なんてもう行けないんですよ。そこは締め出されたのと同じなんです。三千円の中小でも行けないんです。そういう人たちのことをぜひ私は対策を立ててほしい、このように言っているわけなんです。
 何しろ、私はいろいろ見てまいりましたけれども、大半の人たちが年金額が三万だとか五万の人たちなんです。女性のひとり暮らしの方が急速にふえている状況では、私も女性の立場からこれは許せないなというふうに思っているわけなんです。
 公的年金は引き上げないでしょう。基礎年金については基礎的な生活さえ事実上認めない事態になっておりますよね。そして、介護・医療負担の方はどんどんふやしていく。これでは本当に所得の低い高齢者はたまらないというのが私の現場に行った実感なんです。
 だから、何としても憲法二十五条で保障されているそこは保障する、対策を立てるということを大臣に御答弁願いたいというふうに思います。
○政務次官(福島豊君) 基礎的な消費支出に医療費も含めるべきではないかということが一つ先生の御指摘としてあったと思います。ただ、これにつきましては、例えば食費にしましても住居費にしましても水道光熱費にしましても、常にこれは要るものです。医療費につきましては、病気になるときもあれば病気でないときもあるわけでして、常にかかる経費ということではないわけです。ですから、それを基礎的な消費に含めるというのは多少私は無理があるのではないかというふうに思っております。
 そしてまた、年金の水準に対してこれでは不十分ではないかという話でございますけれども、先ほども先生からお示しがありましたように、高齢者の所得というものは年金によってすべて賄われるものではございません。それは先生もよく御理解をいただいていると思います。それ以外の所得というものも踏まえて考えていくべきであろうと思います。
 そしてまた、先ほど先生、資料でお示しでありますけれども、六十五歳以上の単身の基礎的な消費支出につきましても、七万二千六円ということですが、これは平均値です。高い人もいれば低い人もいるわけです。むしろ平均値と比べると中央値の方が低いということが先ほど説明ありましたけれども、そういうことを考えると、先生が御指摘のことはあながち当たらないと私は思っております。
○井上美代君 何しろ三万五千円とか年金が本当に低い人がいるということ、ここに対策をきちんと据えてほしいということを私はお願いいたしまして、次に移っていきます。
 次は医療法の改正部分に移りますけれども、夜勤実態についてお聞きをしたいというふうに思います。
 九二年の看護婦確保法における基本指針では、複数、月八日以内を積極的に目指すという数値目標を明確にされております。政府の責任でやるんだと言っておられます。日本医療労働組合連合会の調査では、二人夜勤、月に八日以内というのは九〇年代に一定の改善がされて、そして二〇〇〇年六月時点の調査では七九・八二%と、随分前進してきているというふうに思いますが、まだ二割を残しているんですね。
 それで、国が責任を持ってやっておられる国立病院全体として、国際医療センターやがんセンターなどのナショナルセンターと言われる病院では、複数夜勤、八日以内というのはどうなっているか、お尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(河村博江君) 国立病院・療養所におきます夜間看護体制につきましては、看護業務の実態あるいは入院患者の状況に応じた複数を主とした月八日以内の夜勤体制、いわゆる二・八体制の確保を図ることといたしまして、従来から特に重点を置いて取り組んできておりまして、国家公務員全体の厳しい定員事情の中で、特に看護婦に配慮した増員を行ってきたところでございます。
 また、増員による努力と並行いたしまして、国立病院・療養所の再編成等の自助努力を一層推進して、これによって生じた定員の再配置等を行うことによっても夜勤体制の改善が図られるように努力をいたしておるところでございます。
 このような取り組みの結果、平成十一年度におきましては、国立病院・療養所における夜勤体制の複数率は九九・八%、平均の夜勤回数は七・九回となっておりまして、いずれの数字も年々改善傾向を示しておるところでございます。
 ナショナルセンターについてのお尋ねでございますが、月八日以内の平均夜勤回数というのは他の国立病院・療養所に比べますと若干低いわけでございますが、これは急性期あるいはより高度な医療を行うために、三・三夜勤体制あるいは四・四夜勤体制をとる中で、若干まだ不足している部分があるということで相対的に低い数字が出ておるものと承知をいたしております。
○井上美代君 八日以内は七三・〇六%だと思いますが、それでいいですね。
 国立のところは今御答弁がありましたように六一・二三%と低いというナショナルセンターの数字もいただいていましたけれども、私は国立横浜病院の産婦人科の状況を聞きました。八日以内は十七人中二人。これはもうほんの一割なんです。二人だけがやられていて、あとはやられていない。あと小児病棟、それから耳鼻科、眼科の混合病棟では十七人中四人、二割です。これしか守られていないという実態が出ております。
 思い起こせば、九六五年の人事院の判定では、複数、月八日を超える夜勤日数の廃止に向けて計画的に努力すると国は決めておられます。既に三十五年を経過しております。厚生省は一人一人の看護職員において八日を超える夜勤を廃止するよう本当に真剣に取り組み、そして看護婦不足の解消を何としても前進させていくことが大事だというふうに思っておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 看護職員の需給につきましては、現在、平成十三年以降の見通しを策定するために、看護職員の需給に関する検討会を設置し検討を行っております。検討会が示した策定方針では、夜勤については、複数夜勤を基本とする、三交代制勤務の場合は一人月八回以内を基本とする、いわゆる二・八体制を確保するために必要な需要を見込んだ計画で進めていくということでございます。
 厚生省としましては、二十一世紀初頭において看護職員の計画的かつ安定的な確保が図られるよう、できるだけ早期に新たな看護職員需給見通しを策定するとともに、離職の防止、養成力の確保などの総合的な看護職員確保対策の推進に努めてまいりたいと思います。
 もう一言申し上げますと、この看護職員の問題は全体の医療供給体制の一環でございまして、けさほどの委員会の議論にもございますように、我が国の医療体制は外国と比べて極めて特異な姿になっている。病床数は極めて多い、そういう現場の実態も改良しながらやっていかないと、今の体制をそのままよしとして看護婦さんをどうのこうのという議論は、実は余りいい結果は生まないだろうと私は思っております。
○井上美代君 私自身も現場の実態を見てきておりまして、現場の実態を改善していかなければいけないというふうに思っておりますので質問をさせていただいております。大臣が言うように、いろいろ総合的に考えながらやっておられるというのはわかっておりますけれども、看護婦さんの実態というのは大変でございます。そういう意味で質問をしております。
 次に、今回の医療法の改正案では、一般病床と療養病床に分けて看護職員の配置、これを三対一と六対一とするというのが出ております。このことによって、夜勤についての厚生省の基本指針二・八の基準を引き下げ、達成を後退させ、医療の質の低下を招くのではないかというふうに思っているんです。
 それで、三枚目の資料は、これは厚生省に作成していただきました資料でございます。夜勤人数から見た看護職員の必要数を書いていただいたわけです。表が真ん中のところにありますけれども、例えば四十五床だと二・五五というように、看護婦さんが二・八をやっていくときに何人いたらできるかということが試算されているわけです。
 これによると、夜勤回数を三交代、今、大臣が言われましたけれども、月八日で二人夜勤の場合、平均的なベッド数五十のところでは患者二・八三人に一人が必要とされています。これは月三十日で、婦長を数に入れていないので、それを入れると私の計算では二・五八人に一人というふうになるわけです。これはあくまでも試算ですので、現場というのは妊娠の看護婦さんが出たりするんですけれども、そうした者に対する軽減だとか産休や育休などへの配慮というのは全くここにはないわけなんです。だから、だれも産まないか、育てないか、病気もしないかというとそうではないわけですから、全く最低も最低の必要限度数ではないかというふうにこの表を私は見ております。
 しかし、医療法の最低基準は一般病床でも三人に一人と、二・八体制を保障する最低の基準さえも下回るものです。ベッド数を五十五にするなどという、ベッド数をふやすことをしない限りは、そもそもの設定において二・八体制を守るという保証がないんですね。だけれども、病床をふやすというふうにはなっておりませんので、そういう点でも大変かなというふうに思っております。
 厚生省は、こうした過程の中で二・五対一というのを当初たたき台として提案されたということを聞いているんですけれども、それがなぜ三対一になったのか。三対一はもう既にかなりのところでやられているわけで、ぜひ二・五対一を出してほしかったというふうに思いますけれども、そこはどういうことなのでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 経緯を御説明いたしますと、当初二・五対一とする案を提示いたしましたのは、看護職員の配置によりまして平均在院日数の異なるグループが二つございます。その境目がちょうど二・五対一になるということから、当初提示をさせていただいたわけでございます。しかしながら、医療審議会の審議におきまして、医療法における人員配置基準というのは最低基準である、また看護職員の地域的な偏在に配慮する必要がある、さらに半世紀にわたっての基準の変更に対しては慎重な配慮が求められるというような議論がありまして、当初から御説明いたしておりますように、理論上最低限二・八体制を維持することが必要な数値として三対一ということを提案させていただき、この法案としてお示しをしているわけでございます。
 そして、先ほど先生、御指摘がございましたこの三対一というのは、あくまで理論上二・八体制を維持していく最低基準ということでございまして、あくまで最低基準でございます。診療報酬上、それ以上の人員配置に対しましては適切な対応をいたしておりまして、病院の管理者が入院患者の病態また看護職員の業務量等に基づいて適切に判断していただくということが望ましい、そのように考えております。
○井上美代君 療養病床と一般病床とに分かれたんですけれども、療養病床について知りたくて、先日、私は都内の療養型病床群の病棟を調査に行きました。
 ここでは、三年前に八億円をかけて両側が居室になっている廊下を拡張して病棟を広げて療養型へと転換をしたところの病院だったんです。転換の際に都からベッドの数を一〇%減らすよう指導されたということを言っておられましたけれども、治療を必要とする患者さんをほうり出すわけにはいかないし、病棟を広げたというふうに言っておられました。三対一の看護職員の配置基準を落とさずに自分たちは今やっている、もちろん診療報酬上は加算は五対一までなので、経営上は持ち出しをしているというふうに言われました。
 六十人の入院患者のうち一人で歩ける人はほとんどなく、薬も半介助以上がほとんど、三分の二で痴呆の症状が見られるというふうに言われました。六人は継続的にパイプをつけている人がいる、もう本当にきょうかあすかという急変が多い、病院全体では一年間に二十人ほどが亡くなられているというふうに言われました。夜は十分置きぐらいにナースコールのボタンが押されて看護婦さんは走り回っている、車いすへの移動も三人がかりだから、腰が痛い、一人でも重症が出たとき二人夜勤では本当に大変、いつ何が起こるかわからないと、こういうふうに看護婦さんは訴えられました。
 ここでは一階と二階の病棟を回ったんですけれども、看護婦さんは比較的重症の多い一階部分に集中していて、昼間でも二階のナースステーションにはいらっしゃらないんです。そのときはたまたま一人もいらっしゃらなかったんですけれども、ほとんどいないという状態だということでした。三対一配置でもこういう状態であるという、この認識が私は非常に重要だというふうに思っているんです。
 療養病床では看護職員を四対一から六対一に引き下げる、今まで四対一だったのを、一方は三対一にして、一方は六対一にされましたよね。私は、これは全体としては引き下がるのではないかというふうに思っているわけです。完全に看護職員は一人夜勤でいいということになるのではないかということなんです。
 看護婦さんは看護職とそれから補助者の二人で夜勤をやります。看護婦が休憩をとると、無資格者一人で病棟を管理する。看護婦さんは安心して休憩がとれず、補助者も不安とストレスが非常にふえるということを訴えられておりました。症状が安定しているといっても、一定の継続的な診療補助行為が必要な患者のいる病棟においては夜間に診療補助行為ができる看護職員が一人しかおらず、場合によっては医療の空白の時間が生まれるという事態があってはならないということを看護婦さんは切々と訴えられたわけなんです。
 そういう病棟においては、あくまでも夜間看護職員の二人は最低基準として持つべきではないかというふうに思うわけなんです。ましてや、療養病床の看護職員を六対一の配置基準に狭めているこの法案ですけれども、私はせめて、せめて今までどおりの四対一を後退させるべきではないというふうにこの現場を見て思ったわけなんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 先生はこれは引き下げであるという御指摘でございますが、決してそのような御提案をしているわけではございません。
 現在、医療法の中ではその他の病床ということで、療養病床、一般病床と区分されるものが混在をしているわけでございます。それを今回の医療法等の改正によって区別をしよう、区別をすることによって長期にわたって療養を必要とする患者さんとそれ以外の患者さんの病床を分けて、そして適切な医療を提供しようと。
 そして、この六対一というのは、平成四年の医療法の改正の折に療養型病床群制度というものを導入いたしました。長期の療養を必要とする患者さんに対して、その折に基準というものを決めたわけでございます。そのときに、看護婦さんに関しては六対一、そして補助者に関しては六対一、両方合わせますと三対一ということになるわけでございますけれども、それが適切であるという議論がありました。
 今回の療養病床に関しては、療養型病床を受けて、それと同じような性格を持っているという意味で同じ数字にしたわけでございまして、決して引き下げるということではありません。
 そしてまた、先生いろいろとお話しございましたが、具体的な事例で大変お忙しい病院があるということは御指摘いただきましたけれども、それは経営のあり方によりまして、どのような患者さんを受け入れるのかということについてさまざまな実態があるんだろうと思います。私どもは、今回、療養病床と一般病床というのを区別して、その病床に応じた患者さんをそこで治療していただくというような体制がこれから築かれていくということを望んでおります。
○井上美代君 私は、現場の声をやはり大臣や政務次官にぜひ聞いてほしいというふうに思います。
 時間がありませんので、精神科特例の廃止の問題について質問をいたします。
 今回の医療法改正案では精神科の特例については何の改善も盛り込まれておりません。昭和三十三年、一九五八年の事務次官通知で、精神科においては患者四十八人に医者一人、看護婦は一般が四人に一人が六人に一人でいいというものにしました。それから四十二年たつ今も特例は廃止されていないということです。これは重要なことだというふうに思います。
 日本精神病院協会の加盟病院の看護基準を見ますと、現行の医療法基準の一般病院並みの配置、これは精神科の方でもかなり進んでいて八二・一%の病院で既に達成をしているということが出ているわけなんです。私は、やはり特例を廃止して、そして一般病床並みに大幅に引き上げていくということが精神科にとっては非常に重要であるというふうに思っております。
 私は手元に東京の国立精神・神経センターの武蔵病院の看護婦さんの配置の資料を持ってきております。これがそうなんですけれども、この配置基準でいきますと、病院全体では四人に一人が月に九日から十日の夜勤をやっております。精神病棟を見ると、八つの病棟のうち五つの病棟で九日以上の夜勤をしている看護婦さんがいるわけなんです。うち、三つの病棟では何と十四人の看護職員のうち六割の八人が九日を超える夜勤をしておられるんです。夜勤二・八が多くのところで実現できている中で、このようにまだまだできていないという事実があるわけなんです。
 先ほどの厚生省の最低必要数の資料で試算されておりましたけれども、六対一でやろうとすればベッド数を百十程度にしなければできませんし、ベッド数をふやせということなのかというふうに私は思ったりしますけれども、夜勤八日以内という政府自身がお決めになりましたことを実現するためにも、やはり私は特例廃止をすることがもう本当に待ったなしの課題であるというふうに思うんです。既に八割を超える精神病院、精神科で四人に一人という現行の一般病床基準をクリアしているのであり、精神科特例の廃止は本当にできると思いますし、すべきだと思っているんです。
 大臣、お笑いになっているんですけれども、いかがでしょうか、廃止してほしいと思って、大臣、どうぞ。大臣。
○政務次官(福島豊君) 精神病床につきましての先生の御指摘でございますけれども、新たに厚生省令で精神疾患の特性にふさわしい基準を定めることといたしております。
 公衆衛生審議会からは、精神病床以外の病床とできるだけ格差のないものとすべきという御意見をいただいておりまして、現在、同審議会の精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会において審議をいたしておるところでございます。
 厚生省としましては、この公衆衛生審議会からいただきました御意見の趣旨を踏まえ、一般病床と差がない精神病床にふさわしい基準を定めたいと考えております。
○井上美代君 私は厚生大臣にお願いをしているんですけれども、なかなか立ち上がっていただけないんです。あともう少ししか時間が、十七分までありますけれども、ぜひ立ち上がってほしい、そして大臣の御見解を聞かせていただきたいというふうに思います。
 精神科と一般の格差をなくしていくというのなら、やっぱり具体的にどういうふうにして格差をなくすのかということをはっきりさせてほしいと思うんです。六対一を五対一にしたところで現状は改善されないわけなんです。まず四対一、それから三対一にしてみてこそ精神科医療の抜本的な改善のスタートラインにつくというふうに思うんです。今、専門委員会の結果を待ってということですけれども、私は厚生省としてリードしてこういう問題についてはやってほしいというふうに思っているわけなんです。
 一方で格差をなくすと言いながら、何も具体的にまだ提案されておりませんよね。実際、既に四対一が全体で六割を超え、看護婦さんが精神科の関係で二千人増員できれば四対一が実現できるわけでしょう。なぜやらないのかということを私はお聞きしたいんです。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 精神医療を充実したいという気持ちは、私どもは委員に負けずに持っております。ただ、問題はその手法であります。今申されました病床と看護婦さんの数の話も一つの側面でありますけれども、これを取り巻くいろいろな事情についてきちっと踏まえて議論していただきたい。
 まず、精神障害者の方々への施策については、ノーマライゼーションの考え方に基づいて障害のある方もない方も地域の中でともに生き生きと暮らせる社会をつくるという基本をまず踏まえていかなければならない。そのためには、地域の中でグループホームや社会復帰施設の整備など支援体制を充実することと伴っていきませんと、すべての障害者を病院に入れるのがいいという前提でこの問題に対応することはできないわけであります。そして、病床の数の問題もそういう社会全体としての対応によってこれは変わってくるわけでございます。
 厚生省としては、今回の法改正に当たりまして、審議会の意見を踏まえて精神病床の人員配置基準の見直しを行うなどできるだけの改善を図りたいと思いますが、同時に精神障害者の社会復帰を目指した医療の充実ということもこれと並行してやっていかなければならないということを申し上げたいと思います。
○井上美代君 これに対するやろうという情熱は私も大臣も同じだということを確認することができましたので、ぜひ積極的に頑張ってほしいというふうに思います。
 精神科の診療報酬についてお聞きしたいんです。
 入院基本料は、看護料、入院環境料、それから入院時の医学管理料が含まれているということですけれども、一般と精神でどうなっているのか。そしてまた、看護婦さんの配置、これが患者三対一の場合、二群の一般病床の入院基本料は一日当たり九百八十三点なのに対して精神は八百七というように、八割にしかならないというふうに非常に低いわけです。精神科は低い診療報酬そして医療費だということ、この数字についてやはり厚生省も認めざるを得ないんじゃないかなというふうに思うわけなんです。
 精神病棟については、患者の心を開いていく、それからコミュニケーションをとることに看護婦さんたちが細心の注意を持って時間をかけなくてはならないということがあると思います。眠れないという患者の悩みにこたえるということ、それから自傷行為がないかどうかということや、話し合う時間は一般の病床と違って手間もかけなくてはなりませんし、看護の質と量においても基本の部分では一般と精神では違いはない。そこをきちんと評価しないでいるのはおかしいというふうに思います。
 入院基本料の上にほかの診療報酬上の格差それから差別を入れると、患者一人一日当たりの入院収入というのが、九七年の厚生省病院経営収支調査で見れば一般病床が三万三百九円ですけれども、精神科というのは一万三千十六円、四割にしかならない。外来収入は一般が九千二百七十二円、精神が七千八百二十九円で八割にしかならない。極端に低い収入不足の穴埋めとして、患者の詰め込み、超過入院させたり、そしてまた支出の削減策として職員を半分以下に抑えてカバーするというようなこと、それから収容型の精神病棟、長い間これは温存されてまいりました。
 しかし、精神科病院はこの十年で大きく変化しています。看護婦配置で見ても、四対一配置が九一年には二割でしかなかったのが、今では八割が一般病棟基準をクリアしているわけなんです。だから、そういう意味でも私は精神科医療の充実、発展のために一層努力をしてほしいというふうに思います。いかがでしょうか、大臣。
○政府参考人(近藤純五郎君) 先生御指摘の診療報酬でございますけれども、入院基本料は、先ほど先生が御指摘のとおり、入院環境料、入院時医学管理料と看護料等を統合したわけでございまして、一般病棟と精神病棟の相対的評価につきましてはこれまでの評価をそのまま踏襲した、こういうことでございますが、今後、精神病床につきましては見直しの作業が進められているわけでございますので、そういったこと、あるいは医療経営の実態、こういったものも踏まえまして中医協で御議論の上で適切な措置をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○井上美代君 今回の医療法改正案は、結局このような精神医療についての格差をそのまま固定化させ、そして療養病床をつくるということで看護婦配置を後退させるものであるというふうに私は思っているんです。到底私は認めることができませんし、この委員会としても実態調査をしたり、参考人や専門家の意見を聞いたり、それから患者と当事者の意見を聞いたりして、本当に徹底的に前進させてほしい、余りにも障害者の中の身体障害の方、知的障害の方たちと比べても非常に低く抑えられているという点でぜひ急ぎ努力をしてほしいということを述べまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 私は、まず最初に、十一月十六日の本委員会で、若年者の薬剤費の一部負担は廃止すべきだが、その財源をどこに求めるのかということを質問いたしました。そして、それは患者負担は求めないと断言できるかということをお尋ねしたことに対して、保険局長は保険財政の負担にならないような形で考えたいという趣旨でお答えがありました。
 そうすると、保険財政の負担にはならないように考えるけれども、患者負担はあり得るという答弁だったんでしょうか。その財源というのはどこにどういうふうに求めようとお考えなんでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 十一月十六日に答弁申し上げました附則の薬剤一部負担の条文の趣旨について、なぜこういう規定を置いたのかということで申し上げたわけでございまして、十四年度に薬剤一部負担を廃止したときの財政影響があるわけでございまして、今の健保財政を考えますとすぐには廃止できないので十四年度に廃止する、こういう趣旨で条文を設けた、こういうことを申し上げただけでございまして、今後の財源の見通しというものは定かでないわけでございますし、まさに今後の課題だと、こういうふうに考えているわけでございます。
○清水澄子君 私が伺ったのは、ここでは十四年度までに財源を確保した上で廃止するとしておられるけれども、その財源は何を考えていらっしゃいますか、それがまた別の形で患者に求めていくということはないでしょうねということをお伺いして、それに対して今さっき、ちょっと時間がありませんからあれですけれども、保険財政に迷惑がかからないような形で何とか財源を見つけたいというふうにお答えだったんです。ですから、私は、保険財政に迷惑がかからないということは、患者負担か、国庫でもそこに負担するのか、何だろうと思いまして、再度これは患者負担を考えているというお答えだったのかということをお聞きしているんです。どうなんでしょう。
○政府参考人(近藤純五郎君) 医療保険というのはまさに保険料と公費と患者負担、この三つの組み合わせということでございますので、その中で、保険料の形でないということであれば、当然患者負担というのも検討の対象にはなると。ただ、今のところそういうことで確たる見通しが立っているわけではないということで、これからの検討課題である、こういうことでございます。
○清水澄子君 ぜひ、患者負担に求めるというふうなことはやらないというふうに私は要求しておきます。
 それから次に、高齢者の外来の一部負担制度、これは大変複雑であるということをお尋ねして、これでは患者の納得も得られないんじゃないだろうか、同時に医療機関の方も一月一日から果たして混乱なく実施できるだろうかということをお伺いしたんですが、局長さんの方は、これから市町村の窓口とか医療機関にポスターを張るとか、そういうことで広報活動をやるとおっしゃいましたが、いかにもお役所的な発想だなと思って、これはそんなことをやって徹底できるものではないと思います。
 この間、本委員会が参考人をお呼びしたとき、医療機関の方ではこの制度で事務処理はスムーズにできますかということをお尋ねしましたところ、とてもできません、それは無理ですという答えが返ってきました。それは、特に年末年始を挟んで、この状況を徹底していくのにも非常に時間が必要なのに、その上コンピューターのソフトも間に合いません、だからとても一月一日というのは本当にこれは無理ですというお答えでした、現場のお医者さんは。
 厚生省は、そうするとこのような乱暴な決定を混乱ないと、こういうふうに御認識でしょうか。そして、一月一日付で何が何でも実施なさるんですか。現場の皆さんたちの、私は本当は患者の側のことが言いたいんですけれども、医療現場の皆さんたちも無理だと言っておられるんですが、それについてはどのような御認識で、どういうふうに対策をお立てになるのでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 複雑な仕組みでございますので、すぐ対応というのは難しい面も確かにあろうかと思うわけでございます。混乱が全くないかというと、それは一部では多少出てくる可能性はあろうかと思いますけれども、私ども、医療関係団体ともいろいろ打ち合わせをさせていただいているわけでございまして、この法案を提案したというのももう大分前でございまして、その間、団体ともいろいろな打ち合わせをさせていただいて、施行の実施事務についても打ち合わせをしているわけでございます。
 確かに医療機関の負担というのはあるわけでございますけれども、これは、こういう三千円とか五千円とか低い上限額を設定したと、これに伴う制度の仕組みでございますから、ぜひともその事務負担には耐えていただきたい、こういうふうに思っているわけでございますし、私どももその辺の混乱が少なくなるように、お役所的とおっしゃるかもわかりませんけれども、私どももできる限りのPR活動はやりたい、こういうふうに考えております。
○清水澄子君 この高齢者の外来の一部負担金の見直しで、同じ病気といいますか病状の医療費が、診療所と二百床未満の病院であるか、またはそれ以上の病院か、さらには診療所において定額かどうか、加えて院内処方か院外処方なのかによって患者が窓口で負担する額が違ってくるということについては、やはりどうしても私は納得できないんですよね。それは患者の人たちも皆さん私は納得できないだろうと思いますが、厚生省はこういう形について何ら問題はないとお考えでしょうか。そして、医療の公平性をどのようにこの問題との関係で御説明なさいますか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 確かに、先ほど申し上げましたように、一割負担で一律、割と高い上限額が設定されたということであれば割合スムーズにいく簡便な方式ができるわけでございますけれども、比較的低い上限額を設定し、なおかつ患者の方に償還事務をしていただかなくて済むような形で、なおかつ医薬分業が進んでいるという実態を踏まえた上での対応策でございますので、そういう意味では、一部に若干、不公平ではないかという向きも出る可能性はないわけではないわけでございますけれども、全体として見れば負担の額というのはほぼ同じようになるというふうに設定いたしているわけでございますので、大きく考えれば公平な負担ではないのかなと、こういうふうに考えているわけでございます。
○清水澄子君 これが公平であるというのであれば、では今度抜本改革のときもこれは貫かれることになりますか、高齢者の上限つき定率一割負担制の導入とか。私は、非常に複雑で公平性にも欠けるし、非常にこれは問題があると思っているんです。今はここで通り抜けてしまわれるのかもしれませんけれども、そうすると、これはずっと今後、平成十四年度の抜本改革でもこれを貫くというお考えでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 昭和五十八年の定額負担制以来、長らく高齢者の方々には定額制で来たわけでございまして、これを初めて定率制に変えるということでございますので、一度に大きくカーブを切るというのは難しい、こういうことで、比較的低い上限、それから診療所については定額制も認めたと。これは事務処理の関係もあるわけでございますけれども、こういうふうなことでやってきたわけでございますので、当然この実施状況も見ながら検討すべき課題である、こういうふうに考えております。
○清水澄子君 私は決してこれは低い金額じゃないと思いますよ。それを払える層にとればそれでいいと思います。しかし、すべてをこれで低いと決めてしまうのは非常に問題がありますし、この制度そのものに無理があると思います。ですから、これは絶対に抜本改革の際には再検討すべきである、このことを私は強く要求しておきます。
 次に、先ほどから低所得者の対策ということでいろいろ井上さんからも質問をやっておられましたが、高齢者は全部かわいそうとか、そういう意味では私も見ておりません。それはきちんと区分をしなきゃならないところがあるだろうと思うんです。
 しかし、やはり高齢者の間には、若い人たちよりも高額な所得者と低所得者との間の格差というのはもっと物すごく非常に大きい、開きがあるということもこれも事実ですし、若い層の人だったらまた自分が働いて何とかしようという希望がありますよね、そのチャンスも。ですから、それを一緒に比較するのは非常に問題があると思うんです。
 また、これから介護保険料も加わっていくわけですし、介護の負担料もあるわけです。そういうことを考えますと、やはり私は、厚生省はこの際低所得者の実態をもっとしっかり把握した上での低所得者対策というものを打ち出していただきたいと思うわけですが、これはどのような低所得者対策をお考えでしょうか。これについて、大臣、お答えください。
○国務大臣(津島雄二君) ずっと質疑応答を行わせていただいている中で、今度の定率負担の導入に伴って、それぞれの所得層、年齢層の方にどういう影響があるかということは、これは私どもやはり真剣にこれからも目配りをしていかなきゃならないということは御指摘のとおりだろうと思います。
 今日の段階におきましては、若年層の方は二割、三割、かなり低い方でも高額医療費の上限に来るまで負担していただいているわけでありますから、だからそういうことを考えると、今度御提案した案は、これまでの負担をふやさない上限を置いた上での定率ですよという御提案をしておるわけでありますが、その結果がどうなるかということは、それは御指摘のとおり私どもこれからも見詰めて考えていきたいと思っております。
○清水澄子君 特に高齢者の低所得者層の中でも女性の高齢単身者の生活実態、これについて私はぜひ厚生省はこの実態を調査していただきたいと思うわけです。
 これは、高齢者一般の数字だけがあっても、平均化されていますから、その中で女性高齢者の実態というのは見えないわけです。今、これは国際的にも高齢女性の貧困化というのは非常に問題になってきているんです。特に日本の場合は高齢女性ほど年金に入っていなかった人たちが多いですし、働いていなかった人も多いわけですから、ですからその人たちが今一番高齢を迎えているわけです。日本では高齢女性のひとり暮らしというのは特に大都市に多いんです。東京都では単身世帯の七七%が女性であるということなんですね。
 そして、全国的に年間所得というのは同じ単身の男性に比べて非常に低いわけです。これは五十歳代、六十、七十歳代でも同年齢の男性の半分しか所得がありませんし、統計上でも年間百万円未満というのが三二%もあります。そして、百万円から二百万円という人は四二%ですから、全体の七〇%強が二百万円未満の低所得者です。二百万の人を高所得者と言えますかしら。私はちょっと言えないと思いますよ、単身で、特に大都市で暮らしているということになれば。
 しかも、六十五歳以上の全平均を見ますと二百万円未満というのは二〇%しかないんですけれども、女性だけ見ると七〇%になってしまうというのは、女性はやっぱりその生活基盤、経済基盤が特にひとり暮らしの女性高齢者は非常に脆弱であるということがはっきりしてきていると思うんです。
 ですから、私は、先ほどから高齢者にも資産を持っている人がいると。そういう資産を持っている人の方の話ばかりじゃなくて、資産を持っている人というのはわずかだ、数は少ないんだと思います、一般的には。やはりもっとそういう余裕のない人たちの実態、特に厚生省は、データづくりに当たっては高齢者一般のマクロの数字だけではなくて、その中の女性の実態について、ぜひ今後女性の実態が見えるようなそういうデータづくりをしていただきたいと思うんですけれども、これ大臣ひとつお約束いただけないでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 私も、前の答弁でもちょっと触れましたけれども、高齢者の経済実情は一様でない、その中で高齢単身女性の場合は確かに問題ですよと、一度申し上げたはずです。
 厚生省もそのような認識を持っておりまして、平成十年の国民生活基礎調査によりますと、全世帯平均の一人当たり平均所得金額が二百二十三万、それから平均可処分所得が百八十七万であるのに対して六十五歳以上の単身の女性の世帯の一人当たり平均所得は百七十三万。二百二十三万に対して百七十三万、可処分所得で見ても百八十七万に対して百五十六万。これはもう明らかに低位にあるという問題は意識をいたしております。
 また、住民税非課税世帯の高齢者のうち、単身女性は三〇%を占めている。これもそのとおりでありまして、おっしゃるとおり我々がやはり常に目配りをしていかなければならない層の方々がここにおられるというふうに思っております。
 利用者負担等の設定に当たりましては、高齢単身女性だけという定義はできませんけれども、低所得者の方々への配慮をする、その場合に、常に一つの典型的な例として、その方々に対して無理のない負担になるようにということは配慮していかなきゃならないというふうに思っております。
○清水澄子君 ぜひ日本も、今初めて私たちも気がついてきたんですけれども、統計の中に平均だけがあると女性の実態が見えないんです。そういう意味で、最近はジェンダー視点での統計のとり方というのが国際的にも大きな課題になってきています。ですから、特に厚生省関係ではいろんな問題が出てくると思いますので、今後それはぜひひとつ検討していただいて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、医療供給体制の面での看護婦並びに医療従事者の人員配置基準についてなんですけれども、看護婦さんの配置基準というのは諸外国の三分の一という現状のもとで、現場の労働強化というのは本当にひどいんです。そして、医療ミスのやはり原因にもなっていると思うんです。
 比較的配置基準に従っていると言われている公立病院でも、私は最近富山県へ行って調べてきたんですけれども、十一の公立病院の八十四の病棟の例を見ますと、これらの病棟の平均ベッド数は五十床なんです。全病棟の三六%は深夜、準夜ともに二人ずつの体制であって、あと一五%は二人に深夜か準夜かどちらかに一人加わるだけだと。つまり五一%の病棟で深夜や準夜には患者二十五人に看護婦一人という現状なんです。これを看護婦のローテーションで見ますと、一人当たりの夜勤月八回が最低守られなければならないんですけれども、それが守られないのが七三%に上っているわけです。
 こうした看護体制のもとでは、どうしてもその業務は手術直後の患者さんとか救急患者が優先になる。だから、どうしても普通の患者さんは後回しになる。これは特別に言っているんじゃなくて、これが常態化しているという現実があります。ですから、当然決まった時間に注射をしなきゃいけないんだけれども、それがおくれたり、トイレ介助とか食事介助に余計に時間がかかるために、ついそれが遅くなっていく。ナースコールが鳴っていてもとてもすぐ行けない状態だということを私はいろんな皆さんたちを回って聞いてきました。非常に看護婦不足というのが病院の現状なんですよね。とにかく人手が足りない、自分の体がつぶれてしまいそうだという、そういう本当に悲鳴にも似た訴えを多く聞いてきたわけです。
 ある病院で聞いたんですけれども、看護婦さんが患者の顔と名前とベッドの場所が一致するというのは患者五十人のうち半分覚えられたらいい方です、名前もそんなとても覚えておれないというふうなことを訴えたんですが、それは私は特別誇張していることではないと思うわけですね。
 こういう現状をどう変えていくのかというとき、先ほどの他の病床のベッド数の問題とか、もっといろいろな問題あると思いますけれども、患者本位の診療体制にするには三対一でもやっぱり足りないと思います。これは当初、厚生省は看護基準を現行四対一を二・五対一にしようとしておられたわけですから、今それも後退をしているわけですから、これは私はやっぱり二・五対一というのは絶対今後確保していくべきだ。そうしないと医療の質の向上というものはとても図れないでしょうし、それからまた看護婦さんたちなり医療従事者の労働条件というものをこのまま放置しておくというのは、余りにも近代国家日本としては私問題が多いと思うんです。
 そういう意味でも、平成十四年度の抜本改革の実施までにぜひこの看護士とか医療従事者の労働実態をまず調査をしていただきたい。そして、その現実をきちんと把握した上で抜本的な改正のときにもっと本当に現場に合った、そして安心して医療にかかれるような、そういう政策を出していただきたいと思いますが、大臣、ここでひとつ御決意をいただけないでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 今回、病床区分をいたしまして、一般病床については三対一という御提案をさせていただいているわけでございますが、これは本日の御審議におきましても再三政務次官から御答弁いたしておりますとおり、三対一に引き上げることにつきましては、医療審議会の審議におきまして、人員配置基準というのは最低基準であるということ、それから地域的な偏在に配慮する必要があるということ、また半世紀にわたる基準の変更に対する慎重な配慮が求められるといった議論がございまして、二・八体制を何とか確保するための最低限必要な配置が三対一であることを踏まえた措置でございます。
 そこで、医療法におきます基準につきましては最低基準として設定するものでございまして、各病院に実際に配置される看護職員の数につきましては、病院の管理者が入院患者の病態や看護職員の業務量等に基づきまして適切に判断していくことが望ましいと考えております。
 そのため、必要な診療報酬における対応を行っているところでございますし、また厚生省といたしましても、看護職員の確保対策につきましては平成十三年以降の需給見通しを作成中でございまして、あわせて離職防止、養成力確保など総合的な対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 そこで、今回御可決いただきますと、病床区分がこの二年半の間に各病院がどちらかを選択していただくという、そういう実態を踏まえまして、さらにその後の厚生省としての病床区分とそれに伴う人員配置基準の新たな検討ということが当然必要になってくるのではないかと思っております。
○清水澄子君 でもその実態調査はどうですか、やっていただけますか、現場の。
○政府参考人(伊藤雅治君) 二年半の間に各病院が一般病床に行くのか療養病床に行くのかということを各都道府県に届けていただくわけでございますので、それら状況を見ながら推移を見ていきたいと考えておりますし、またさらに、各病院の看護職員の配置状況等につきましてデータが必要であるということであれば、通常行っております厚生省の統計調査の中で適切な対応を検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○清水澄子君 ぜひ、やはり現実というんですか、実態を把握するのがまず第一だと思います、政策をつくるには。ぜひ実態調査を要求しておきます。
 次に、インフォームド・コンセントの立法化を私どもはずっと主張してきたわけですけれども、今回の法改正では全く前進がないわけです。やはりこれは患者の権利の一環として私は一日も早く実現すべきだと思いますが、これを単なる形式や書式に終わらせないためにどのような具体策を講じられるのか。
 これに関して、患者の学習を促す、患者自身ももっと自分の健康とか、医療にかかるときのかかり方とか、自己責任というのがあると思うんです。そういう意味の患者の学習も必要だと思うんですが、アメリカなどでは患者学習センターが病院にあるのが当たり前になっていると紹介されているわけです。ですから、ぜひ日本の病院でも、そういう設置の動きのあるところもあるんですが、やはり患者の知る権利の拡大として私はこれは大変大切な試みだと思うわけです。そういうアメリカの現状とか、厚生省はこのインフォームド・コンセントをより実効性を上げるためにどのような方策をとろうとされておるのかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 医療を提供するに当たりまして適切な説明を行い患者の理解を得るように努める、いわゆるインフォームド・コンセントの理念に基づく医療の推進、これは非常に重要でございまして、それによりまして医療従事者と患者の信頼関係が築かれていきますし、情報を共有化することによって医療の質も向上していくと考えております。
 このため、厚生省といたしましては、診療情報の積極的な提供が現場で定着するように医療従事者の自主的な取り組みを支援する一方で、今回の医療法改正案におきまして国民が各医療機関の診療情報の提供及び診療記録の開示に関する取り組みについて十分に理解し認識できるように診療録その他の診療に関する諸記録、俗に言うカルテの公開をすることができるということを広告できる事項として追加したわけでございます。
 こうした取り組みを通じまして、診療情報の提供や診療録の開示の普及定着を図りますとともに、患者による医療機関の選択に資するように進めてまいりたいと思います。
 委員御指摘のとおり、患者さんの方も十分に情報をもらう、それからアメリカの例にもございますようないろんな機会を通じて賢い患者になっていただくということが、また医療機関の方がきちっと対応をするということにつながってくるのだろうと考えております。
○堂本暁子君 前回も私は医療制度についての抜本改革について質問させていただきました。
 医療制度の最大の問題は、政府が何度も抜本改革に着手しながら、毎回実行に移すことなく先送りをしていることではないかというふうに思っています。そして、前回の改正のときは一〇%から二〇%へと保険料が値上がりをしたと。今回は抜本改革をしないまままた値上げが、前ほど大幅ではありませんが行われます。今回は自己負担の値上げなんですけれども、今までるる同僚議員が述べてきたように、国民はなかなか納得しないというか、できない状態だろうというふうに思うんですね。
 きょうは政治家でいらっしゃる大臣に特に申し上げたいと思いますのは、医療制度の抜本改革は、来年参議院の選挙が行われますけれども、そこで本当に争点にしていいことなのではないか。広く国民に議論をしていただいてというような御答弁が多々いろいろなところで行われました、広く知っていただいてとかということで。であるとすれば、選挙のときに、医療についてはこういうふうにするんですということを各政党が言うなり、各候補者が言うなりする必要があるというふうに私は思いますけれども、医療制度の抜本改革について具体的にどのようなスケジュールをこれから厚生省としてはお示しになるのか、その点を伺いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 医療制度の抜本改革につきましては、毎度御答弁申し上げておりますが、平成十四年度を目途に精力的に検討を進めていきたいと申し上げております。
 一方、先般の社会保障有識者会議の報告書を受けまして、本日、社会保障改革関係閣僚会議の第一回会合が開催されまして、今後、政府、与党の連携のもとで社会保障改革の全体像を明らかにする大綱とも言うべきものを取りまとめて議論をし、そして平成十四年度に間に合わせたい、かように考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、医療制度改革は国民生活に密接にかかわる問題でございまして、政党間の意見を闘わせること、そしてまた国民的なレベルでの議論をしていただきまして、場合によっては与野党を超えた議論によって国民的合意をかち取っていくことが一番望ましいと、かように考えておりますので、厚生省といたしましても、そのような議論が起こされ、そして国民的合意が形成されるように最大限の努力をいたしたいと思っております。
○堂本暁子君 この前は二〇〇〇年が目途でございました。今、まさに二〇〇〇年なんですけれども、それがまた二年延ばされる。本来なら、今までにも何度も出た質問ですけれども、二十年前、十年前に改革をしていれば赤字がそんなになかったのではないかということも同僚議員の質問にありましたけれども、私もそのとおりだと思います。
 抜本改革が行われないからどんどん末広がりに問題が広がっていってしまう、経済的な問題だけではなくて財政の問題以外にももっともっと本質的な部分で問題が拡大する、時代に合わなくなっていくということがあるので、もう十四年とおっしゃったことを伺って、そしてそこでは妥協が何もない、大なたを振るうような大改革をきちっとやっていただくと。いつもコンセンサスが得られないために先延ばしになってきたのが日本の実態ですが、そこで、もう大げさに言えば命がけでやるぐらいの覚悟でやっていただかないとできないのではないかなというふうに思っております。
 次の質問に参りますけれども、看護婦さんたちのミスが非常に多いと。九割以上の看護婦がミスを起こしそうになった経験を持ち、六割が患者さんに十分な看護を提供できないでいるというのが最近発表された調査の結果です。
 今回は、一般病床で看護婦の配置基準が四対一から三対一に見直しが図られるわけですけれども、日本看護協会は二対一を要求しています。病床数を減らす方向へ持っていくのであれば、配置基準は少なくとも二・五対一ぐらいにはすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 今回の病床区分の見直しに際しましては、一般病床については手厚い看護体制を確保するために看護職員の配置基準を三対一に引き上げることにしたところでございます。これは、医療審議会の審議におきまして、医療法におきます人員配置基準は最低基準であるということ、看護職員の地域的な偏在に配慮する必要があるということ、さらに半世紀にわたる基準の変更に対する慎重な配慮が求められることといった議論がございまして、事務局提案の二・五対一、または看護協会からは二対一というような御提案がございましたが、最終的には医療審議会といたしまして三対一であるということがまとまった案でございました。
 医療法におきます基準は最低基準として設定するものでございまして、各病院におきまして実際に配置される看護職員の数につきましては、病院の管理者が入院患者の病態や看護職員の業務量等に基づきまして適切に御判断していただくことが望ましいと考えておりまして、そのために必要な診療報酬における対応をしているところでございます。
 なお、医療ミスとの関連でございますが、医療法に基づき定められた人員配置基準を大幅に上回る看護職員が配置された病院でも医療事故は発生しておりまして、人員配置基準が医療事故の主要な原因とは考えにくいわけでございます。
 いずれにいたしましても、続発する医療事故への対応につきましては専門家による対策会議の開催や事例分析に基づく防止対策など総合的な対策を進め、国民の医療に対する信頼の確保に努めてまいりたいと考えております。
○堂本暁子君 局長、今、数が原因ではないと思うというふうにおっしゃったんですが、それだったら何が原因だと考えていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 今、幾つかの研究班の報告などを拝見いたしますと、病院がシステム全体といたしまして人間のエラーを重大な事故に発展させない仕組みができていないということが大きな要因でございます。
 具体的に申し上げますと、医療器具や薬剤の形でございますとか色でございますとか、それから処方せんを書く人と実際アンプルを切る人、それから注射をする人、そういう分業体制の中で要所要所で確認をしていくというようなことがおろそかにされている。それから、医師、看護婦の技術そのものがまだ修練が足りないといったさまざまな要因がございます。各医療機関の中でそういう冷やりとしたりはっとした事例を分析しまして、そしてそういうエラーというのは避けることができないんだという前提のもとに立って、院内の仕組みを構築していくということが一番常識的な事故防止対策のあり方ではないかと考えております。
 私どもとしては、今そういう体制に向けて来年度以降本格的な対策に取り組んでいこうということで予算要求もお願いしているところでございます。
○堂本暁子君 私は、局長、本当にミスというのは看護婦さんのせいにしたら気の毒だと思うんですね。確かに、実際に注射をしたり、注射というかお薬を持ってきたりするのは看護婦さんかもしれない。しかし、外国と典型的に違うのは、途中で医師の訓練をどんどんしないことだと思っています。ですから、これだけ新しい医療がどんどん開発されていながら、医学部を卒業するときには内科だった方が、もうそれこそほかの科のことは何にも知らないというような事態がとても大きいのではないかというふうに思うんですね。
 そういった病院のシステムとか、そういうことを幾らやっても、あくまでも人の問題だと思います。それは倫理観のこともあるかもしれませんけれども、もう一度医療の勉強をするチャンス、再訓練のチャンスが日本ではシステマチックになされていないこと。さんざん前に問題にしたことですけれども、看護婦さんの問題を取り上げるときに、それは看護婦に対しても、それからドクターに対しても、あらゆる医療従事者に対して日本は十分な訓練をしていないのが原因だと思います。
 これはまた次のときに譲るといたしまして、大臣に伺いたいんですけれども、きょう、医療費の問題もいろいろ問題になっていますが、先ほど松崎先生からもお話がありましたけれども、長野県に泰阜村という村がありまして、人口は二千三百人です。高齢化率が何と三六%、大変な高齢化率ですが、当然老人医療費が高くて不思議はないはずなんですけれども、昨年度の資料で、県内百二十市町村の中で百十八番目、一人当たり四十六万四千二百十円だそうです。長野県全体の平均が六十四万二千円、だからそれよりもずっと低い。松島貞治村長によりますと、だからといって昔から低かったわけではない、昭和六十三年までは長野県でも高い方だったと、こうおっしゃっているんですね。しかし、村が在宅福祉を本格的に始めた平成元年から医療費が下がり始めた。
 どうしてそういうことになったかというと、医師が高齢者は医療機関で苦しい治療を受けながら長生きをするよりも自分の家で死にたいんだと希望していることに気がついて、そして村はそれを実現するために福祉サービスの支援を始めた、そして結果として医療費が下がったという村なんです。厚生省のデータでも終末期の医療費が大変大きくなっています。人生を幸せに安らかに終えるために、終末期の医療に国として私は真剣に取り組むときではないかというふうに思うんですね。
 泰阜村の村長さんは、自分の村で別に医療費を下げようと思ってやったわけではない、ただドクターたちがそういった知らない環境の中で臨終を迎えるよりは自分の家で安らかに死にたいというお年寄りが多いということを受けて、村の行政をそういうふうに運営したということなんですね。
 私は、国についても、余りこうした委員会でも問題にされませんけれども、これだけ高齢社会を迎えている時代であるとすれば、私たちは死というものについてもきちっと正面から考えるときが来ているんではないかというふうに思うんです。大臣はどのような御所見をお持ちでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 大変に含蓄のあるお話でございます。堂本委員の今の御質問と、それから午前中の松崎委員あるいは今井委員のお話と重ね合わせてみますと、やはり良質の医療を提供するということは、単に道具がそろっておる、ベッド数が多いということを超えた、もう少し深い中身のある話であるということを教えられます。また、一貫しておっしゃっていることは、やっぱり地域の努力がなければならない。その地域でリーダーになる方々、医療に携わる方々が先導して、地域住民がみんな賢くなっていくということの中に、例えば今の終末医療のあり方なんというのも出てくると思うのでございます。
 私は、そういう御質問、非常にありがたいと思っているのは、とかくこの医療制度の議論をいたしますと、予算が足らない、やれ、保険財政が赤字だからという話ばかり表に出てくるんですけれども、基本的には改革を加えていくということが大事で、その改革の中から結果として効率のいいよりよい医療が出てくるということをきょうは三人の委員が恐らく異口同音に御指摘になっていると思います。私は、非常にありがたい御指摘で、厚生省もそのことをやはり重く受けとめて、これから努力をしていくべきであると考えております。
 終末医療のあり方についても、私は今の御指摘は非常に同感するところが多いのでございます。
○堂本暁子君 私も九十七歳の祖母を家でみとりましたけれども、ドクターはどうしても病院に連れていくということで。もう大変な闘いでした、どうしても家に置きたいということで、脳血栓だったんですが、実際に発作が起こってから一週間目に亡くなりましたけれども、その一週間というのは頑固な孫とドクターとの闘いだったと言っても過言ではないですね。私のような頑固な孫だったから私の祖母は家で息を引き取ることができましたけれども、普通は恐らく病院にお連れになると思います。
 九十七歳だったら恐らく私は救急車の中で息を引き取ってしまったと思うんですが、結果としては孫や子供たちみんなに囲まれて、何かあっちに花園が見えるなんて言いながら、私たちが気がつかないうちに息を引き取っていたようなとても静かな最期で、私がその話をよく講演なんかですると、大勢のお年寄りの方が涙ぐまれたり泣かれたりなさるので、いつも思っていたんですが、ドクターたちにあんなに強く病院に連れていくと言われたら、ほとんどの人はやはり連れていかざるを得なくなるんじゃないかというふうにいつも思っていました。
 ですから、厚生省に人間の死というものは医療だけの領域の問題じゃないということももう少し考えていただきたいと、この際あえて申し上げさせていただきます。
 先を急ぎますが、毎回リプロダクティブヘルスについて伺っておりますけれども、きょうは保健指導に対する点数が非常に低いんではないかということを申し上げたいんです。
 性感染症の患者さんに対する予防指導ですとかそういった問題について非常に保険料が、判断料と言うそうですが、千三百円、これでは十分な保健指導ができないんじゃないかと思います。
 前回、私は、大学の健康診断で男女学生の骨密度が六十代の人すらいたと申し上げましたけれども、これは全体の大体一割程度がそういう状態だったということなので、この際、正確に申し上げておきたいと思いますが、過去のデータがないので比較はできませんけれども、一割も二十代であるいは十代で六十歳の骨密度というのは、いかに栄養や何かが悪いか、運動不足かということです。そういった点についてもきちっと保健指導をしなければいけないのに、それがなされない。あるいは、今、若い女性で無排卵性の月経あるいは無月経というようなことも多い。こういうことになると、それこそ余り妊娠もしなくなってしまうというようなことがあると思います。
 医師のみならず、保健婦さんや助産婦さん、看護婦さんなどによる保健指導を適切に評価すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 先生の御指摘は思春期の外来の話かと存じますけれども、この思春期の外来の関係は割と新しい学会でございまして、昭和五十七年にできたというようにお聞きしておりますけれども、それから全国各地に思春期を対象とした外来が設置されてきたと、こういうふうに存じているわけでございます。
 確かに全般的な面でこの普及が進んでいるというわけではございませんで、今、診療報酬上で特別にプラスアルファしておりますのは、小児科外来におきまして必要なカウンセリングを行ったときに小児特定疾患カウンセリング料がプラスアルファでついていると、この程度であるわけでございまして、こういった診療報酬のあり方につきましては、私どももその実態を十分留意いたしまして、中医協で御議論の上で適切な配慮をする必要があると、こういうふうに考えております。
○堂本暁子君 途中を飛ばして、最後の質問に行かせていただきます。
 今まで余り問題になっていないことなんですが、主婦の医療保険の空白について質問させていただきます。早急に実態を調査していただきたい、そして救済措置を講じていただきたいと思っています。
 具体的になりますが、B市に住む主婦のAさんから具体的な話を聞きました。資料をお配りしてございますけれども、Aさんは短期間生命保険会社で研修を受けました。研修期間は一九九四年の五月九日から六月末まででした。しかし、この仕事は自分に向かないと思って、六月二十日にはもうこの会社に対して、研修にも行きません、そして就職もしませんということをはっきり通知したわけですね。ところが、本人が知らない間に本人名義の健康保険証なんかがつくられていたみたいなんですね。もちろん保険証を本人はもらっていませんでした。
 Aさんの夫は地方公務員なんですが、そういう出来事があっても、当然のことながら共済の健康保険証を使って、お手元にお届けしてありますが、この健康保険証を使ってずっと今まで被扶養配偶者として病院へ行ったり治療を受けたりしてきました。
 Aさんは、最近、新聞報道で、生命保険会社でいろいろ問題が起きている、年金などで問題が起きているということで心配になって社会保険事務所で調べたところ、案の定、平成六年六月一日から厚生年金と会社の健康保険組合に加入していた。それで、八月五日にはいずれも脱退していたということがわかったわけです。それで、夫の職場に被扶養資格の復活の手続をこの十月にとったわけです。六年間、医療保険の空白状態が生じていたわけです。
 次の資料ですけれども、医療保険については、被扶養者として認定要件を欠くに至ったにもかかわらず申し出をしなかったから「認定抹消日以降に共済組合から受けた医療費については速やかに返還いたします。」という誓約書を書かされた。
 これは、本人が全く知らない間にそういうことが起こって、大きい病気にならなかったからいいんですけれども、この方は花粉症で病院に行ったりした。十万円ぐらい請求されるのではないかと心配していらっしゃるようですけれども、もし大病をしていたらこれは大変なことでした。何百万の医療費を請求されたかわからない、自己負担ですから。今、生命保険会社との間では、勝手にそういうことをやったということで補償を求めて交渉をしているということでした。
 このように、医療保険の請求問題が起きているということを果たして掌握しておられるのか。そして、このような誓約書を書かせるというのは余りにも不条理ではないかということで、これは自治省にお答えいただく内容かと存じます。
○政府参考人(木寺久君) 地方公務員共済組合の組合員の被扶養配偶者であります第三号被保険者が健康保険の被保険者となった場合には、地方公務員等共済組合法上の被扶養者として取り扱われないこととなり、地方公務員等共済組合法第五十五条第一項の規定により、組合員がその異動について届け出を行わなければならないこととされております。しかしながら、仮に当該被扶養配偶者が厚生年金や健康保険に加入したことを本人もそれから組合員も知ることができない場合には、組合員が届け出を行うことが事実上困難であるわけでございます。
 したがいまして、お尋ねの事例がどのように生じたのか必ずしも私どもとしては明らかではありませんけれども、厚生省と連携をとりながら、適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
○堂本暁子君 そうすると、この遅延理由書などというもので、ここで「医療費については速やかに返還いたします。」などと書いてあることについては善処していただけますね。そのことのイエス、ノーだけ伺わせてください。
○政府参考人(木寺久君) 今回の御指摘のケースにつきましては、厚生年金、健康保険の加入に伴って混乱が生じたようでありますので、所管の厚生省と相談をしながら、適切に対応をしてまいりたいと考えています。
○堂本暁子君 大臣、たまたまこの方は御主人が地方公務員だったわけです。ですけれども、この方の御主人が会社員だったらば厚生年金ということになるわけです。
 本当にこういった主婦の年金の空白問題が起こってしまう。これはもうるる問題にしてまいりました世帯単位の健康保険のあり方、これが非常に問題なのではないかというふうに思います。本人が知らない間にそういうことが行われ、しかも本人に空白の期間ができてしまう。これはやはり制度的におかしいのではないかというふうに私は思うんです。
 このことについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) まず最初に、この具体的な例につきましては、自治省の方も厚生省も協力しながら、具体的にどういう事情であったかを詰めて、その上で結論を出すということでありますから、そのことをまず留保した上で、私が申し上げたいのは、厚生年金についても起こってくるように、一般の国民の側、特に主婦のような立場の方からいいますと、自分がどこの制度でどうなっているかというのは、何もこれはわかっていないんですね。もっとも、私は義務教育でもう少し社会保障制度を教えてもらいたいと思いますよ。納税の義務ばっかり教科書に書いてありまして、社会保障制度については何も書いていないというのは、私は日本の問題点の一つだと思いますけれども。そういう実態を考えますときに、やはりできるだけ常識的な対応をするのが望ましいと。
 最終的にこの問題を解決するには、国民総背番号ということは言いませんけれども、すべての医療保険も年金も一貫した番号で総合的に管理をされていればこういう問題は恐らく避けられるのかなと今思って、IT戦略会議などでそのようなことも申し上げておるところであります。
○堂本暁子君 私、今間違えて医療保険の空白というのを厚生年金の空白と言ったようですが、あくまでも今は医療保険の空白というふうに思っております。
 そして、今個人単位化ということを大臣がおっしゃったんですけれども、そこの前に、主婦が一々登録をしなければいけない、その制度が相当無理があるんだと思います。ですから、今回のケースはたまたま自分がそういう扱いを受けたことを知らない主婦だった、Aさんは。
 しかし、例えば、自分が本当にアルバイトをして厚生年金を受けていることも知っていて、やめてからもう一回自分が役場まで行って、市役所まで行って、自分を被扶養の立場に入れてくれときちっと申し出るということを、被扶養者としての認定をしてもらうということを知っている人が一体何人いるでしょう。恐らく私は非常に少ないと思います、大臣がおっしゃったとおりに。
 ですから、やはりそこのところが非常に役所的と言ってはなんですが、男性だってもちろんこういうケースがないわけではありませんが、女性の側からいうと、こういう空白のケースができたらば、それはきちっと救済もしていただきたい。これは、本人の間違いというよりも、私は制度の欠陥があるように思います。やはり大臣にこういった、この方の場合は少なくとも知らなかったんですからどうすることもできないわけで、救済をぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 検討させていただきます。
○堂本暁子君 医療制度の中で女性の問題をるる取り上げてまいりました。ジェンダーの視点、そしてリプロダクティブヘルス・ライツの視点から、医療にしろ介護にしろ、そして行政のあり方にしろ、ぜひもう一回構築していただきたい。大事な、女性たちの生涯にわたる健康でございます。
 どうもありがとうございました。
○西川きよし君 長時間御苦労さまでございます。私で最後でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、私は老人の負担という視点から質問をさせていただきたいと思います。
 私ごとで大変恐縮ではございますけれども、先日、私、孫ができたんです。現在、我が家には私の両親と家内の母親、そして子供夫婦、孫と、一つ屋根の下で親子四代生活をさせていただいているわけですけれども、上は家内の母親九十一歳から、生まれたばかりの赤ちゃんということでございます。
 そんな生活を見ておりまして、ふと自分で考えたんですけれども、これだけの世代がそれぞれに医療を必要とするわけですから、赤ちゃんの医療費から老人の医療費までどの世代がどのように負担をしていくか、さらにその中で公平な負担とは、これはなかなか数字やら机の上の計算だけでは、本当に複雑な要素があると思います。
 まず冒頭お伺いしたいのは、大臣に、この世代間の公平な負担というのはどういうふうに考えればいいのか、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 急速な高齢化の進展に伴いまして医療費、とりわけ老人医療費が増大してまいりまして、医療保険制度を将来にわたって持続可能な安定的なものにするにはどうしたらいいかというのが私どもの大きな課題になっております。そういう中で、四代にわたって一緒にむつまじくお住まいしておられる西川家の皆様方、世代間の負担の分かち合い、どうしたら公平感が保たれるかということはおわかりだと思うのでございます。
 例えば、高齢者、確かにもうこれ以上所得がふえる可能性がない方々にとって、ふえていく医療費というのは脅威でございましょうが、しかし同時に、若い方は普通の健保組合の場合あるいは国保の場合でも二割、三割の負担をしておられる。高額医療費の上限にかかるまでは負担をしておられる。そうすると一体何が一番いいのか。高齢者でおありになるからといって、それはどなたも負担は少ない方が、その角度だけからいえば少ない方がいいんですけれども、しかしどなたかがかわってそのコストは払っているということを考えながら制度というのはつくり上げていかなきゃならないと思っております。
 今回の改正においては、高齢者の患者負担について、こういう若い方の患者負担との公平を図る観点から、一割でございますが定率負担制を導入することとし、医療リスクの高い高齢者への負担ということを考慮して一割にしたわけでありますが、またこれまでの負担からふえないようにということで大体同じ水準にその上限を決めたというところが私どもの悩んだ結果でございます。
 保険料負担につきましては、高齢者も基本的に所得の水準等に応じて若年者と同じ基準に従って賦課をされておりますので、そちらの方も、高齢であるからあるいは若年であるからという十把一からげでやらずに、やっぱりその方その方の所得水準であるとか、そういう客観的な基準で公平に扱うことの方が私はわかりやすいのではないかと、そういうことで今度の御提案をしておる次第でございます。
○西川きよし君 先日来、大臣も、私も負担ができるものならしたいんだ、でも今の制度ではできないというふうにおっしゃっておられましたけれども、七十歳以上と申しましても、大臣のようにそうしてお元気で第一線でお仕事していらっしゃる方もいらっしゃいますし、今もお話ししました家内の母親ですけれども、九十一歳では仕事をしようと思っても仕事もないわけです。もちろん収入も、今、大臣がおっしゃったとおりでして、収入もありません。改めて言うことではないんですけれども、七十歳以上の中でもいろいろな環境の中で生活をしているわけですから、これを一般と低所得者という大きな区分で分けるということはどうしても無理があるのではないかなというふうに思います。
 やはり大臣のような方にはもっと若者の負担と同様の負担をしていただく、持っている方にはしていただくというお話、世の中公平にということで、僕もそう思うんですけれども、その分、低所得者にはさらに負担を軽減するということがあってもこれはいいのではないかなというふうに思います。
 その点で、今後の抜本改革に向けて、この高齢者の負担のあり方というものについて改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) まず、高齢者の経済的地位の問題でございます。そこからまず考えていかなきゃならぬのでございますが、年金制度が成熟してまいりまして、例えば二十年、三十年前に比べますと、高齢者の方々が公的年金等を受けておられまして、一般的に言うと経済的地位は昔よりも安定をしてきておられることは事実であります。そういうことの中から、先日の有識者会議報告書においても、保険料や利用者負担について、高齢者であっても負担能力のある方には適正な負担をしていただくのが重要と指摘をされておりまして、このこと自体は、よほど偏った方でなければ、それはそうだなとお考えになっていただけると思っております。
 今後の高齢者医療制度の見直しに当たって、高齢者でも能力のある方には負担をしていただくけれども、しかし低所得者の方は、これから回復するといいますか、所得をふやす可能性が非常に少ないわけでありますから、応分のこれは配慮が必要だと、これはもう御指摘のとおりでございます。
 今回は低所得の方への配慮は同時にさせていただいた、一割負担であっても上限を設けるということをさせていただいたわけでありますが、社会保険制度を基本にしてやっていく場合に、高齢者の方の負担をどういうふうに考えるか。
 実は、個々の高齢者の方の問題をずっと突き詰めていくと、最後はそれはだれが負担するかという話になりますね。だれかが負担する。そして、それを仮に高齢者は気の毒だからもっともっと軽減していけとなると、その分は今の保険制度では若年者の保険料に行く。それは避けなきゃいかぬから、だからそこでやっぱり一定の公費を投入していただきたいと、そういう議論になってくる。そこまで議論いたしませんと、これ無責任なんですね。そうでしょう。それで、それでは公的な負担をふやすということになると、これは安定財源でなきゃいかぬ。ことしは公共事業を切っちゃって、ことしはそれでやれなんといったって、それは一年限りの話ですから。
 そういう議論をやっぱりみんなできちっとやって、高齢化がずっと進んでいく間もみんながある程度受け入れられる範囲内の負担で進んでいくようにしようというのが私の今苦労しているところでございます。
○西川きよし君 重複するところもございますけれども、私は私なりにまた大臣に今のような御答弁をいただいて納得したいと思います。
 では、三番目に移ります。
 先日、参考人の方にお越しいただいたときですが、お話の中に出ました。高齢者は持ち家率が高いとおっしゃっておられました。しかし、その中には長年住み続けている家、生活の場としての家をお持ちなだけであって、所得としてはわずかな年金でぎりぎりの生活をしていらっしゃる、先ほどの大臣の答弁の中にもございましたけれども、そういう方がたくさんいらっしゃる。そうした家を資産と評価することは問題ではないかというふうに参考人の方もおっしゃっておられました。あるいは息子や娘と一緒に生活をしているにしても、自分の病院代や生活費については自分の年金などの収入の範囲でやりくりをしている場合も決して少なくないというふうにお話もお伺いしました。
 今後どのような方を低所得者であるとするのか、実態、実情というものを十分に検討していただきたいと、こう思うのですけれども、御答弁をお願いいたします。
○政務次官(福島豊君) 先生御指摘のように、今後の社会保障制度の構造改革に当たりまして、高齢者の御負担と若年者の現役世代の負担の公平ということを考えるときに、高齢者の方にどのような形で御負担を求めることができるのか、その前提となるのは、高齢者の方の所得をどう考えるかということだと思います。
 今、先生がおっしゃられましたように、資産、これをどう評価するのか。日本におきましては、まだまだリバースモーゲージという制度が十分に普及しているという現状ではございません。したがって、持ち家がすぐにそういう形でフローに転化することができるのか、これはそういう制度をつくっていかなきゃいけないということだとも思いますけれども、そういう問題もあります。
 そしてまた、同居しておるときにどうするのか。これは逆に、同居しております子供の世帯にとりましては扶養控除ということで一定の恩恵があるわけでございまして、そういうものも評価しなきゃいかぬということもあろうと思います。所得にしましても、年金の所得というのは比較的把握しやすいわけでございますけれども、それ以外の所得をどうするのか、こういうことを総合的に考えていく必要があると思います。
 そういう中で、どういう方が低所得の方としてそれぞれに対応しなきゃいけないのかということをきちっとした上で、その土台の上にどういう改革をするのかという建物を建てていくことになろうかというふうに私は思います。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 今回の改正案でも、確かに入院の場合などの低所得者への配慮というものは理解をさせていただくんですけれども、ただ、この市町村非課税世帯以外の世帯で例えば年老いた両親と同居している場合に、この両親に収入がなかったとしても、この子供夫婦に一定の所得がある場合には非課税世帯とならないわけですし、さらに老齢福祉年金を受けられないというケースもあります。その場合に、その負担は丸々子供の負担となります。そうしますと、このような世帯では、子供の負担、本人の負担、さらに親世代の負担と、全世代の負担をしなくてはならないというふうになります。
 こうした同居する世帯の現役世代の負担ということには、厚生省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政務次官(福島豊君) 老人保健制度におきましては基本的には給付と負担は個人単位でございますけれども、低所得者対策を考える場合には、実際の負担が家計全体で賄われているという観点から世帯単位で把握をして、さまざまな対策というものを行わせていただいている。これについて個人化すべきではないかという意見があるかもしれませんけれども、基本的な考え方としましては、同居している世帯員全体で御負担をしていただくという現状から、その世帯の経済状況で判断をした方がいいだろうと私は思います。
 そしてまた、それは裏返しますと、先ほども申しましたように、同居しておるということは、子供さんの世帯にとりましては扶養親族控除というような形で税制上の対応というものがあるわけでございます。ですから、世帯全体として把握するということが必ずしも不合理なことではなくて、むしろ現状におきまして適切な対応ではないかというふうに私は思います。
○西川きよし君 次に移らせていただきます。
 今回の改正案で高額の医療費制度についてお伺いしたいと思いますけれども、まずこの内容と趣旨について御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 今度の改正におきまして定率の一部負担制を導入することになったわけでございますが、高齢者にとりまして過度な負担にならないように定額の上限を設けたわけでございます。
 同一世帯に属する複数の老人、二人の場合が多いと思いますが、二人同時に同じ時期に入院をされたと、こういうときに高齢者の属する世帯の家計負担を緩和する、こういうことで高額医療費制度を創設するということにいたしたわけでございます。
○西川きよし君 特に厚生省の肩を持つわけではありませんけれども、正直申し上げまして非常にこれは助かるというふうに思います。やはり、年老いた親、先ほどもお話をさせていただいたんですが、我が家のように三人というケースは少ないかもしれませんけれども、しかし両親を扶養している場合には、両親とも入院をするというようなケースは決して珍しいことではないというふうに私自身は思います。その場合に、これまでよりも負担が軽減される場合もありますし、またそうなったときの家族の経済的な負担の心配ということもかなり和らぐのではないかなというふうに思います。
 ただ、この内容は政令で定めると、こうなっておりますけれども、現時点では厚生省といたしましては内容的にはどういうことをお考えになっておられるのか、これは政務次官にお伺いしたいと思います。
○政務次官(福島豊君) 先生御指摘のように政令で定めることといたしておりますけれども、具体的には次のように考えております。
 同一の世帯に属する高齢者の方が同一の月に負担した一部負担金のうち三万円以上のものを抜き出して合算いたしまして合計が三万七千二百円を超える場合にその超えた額を支給する、そのような形に定めたいと思っております。
 一方また、低所得世帯の場合にどうするかということでございますが、この場合は二万一千円以上の一部負担金を合算して二万四千六百円を超える場合にその超えた額を支給することを定めることといたしております。
○西川きよし君 一月当たりの自己負担限度額ですけれども、要するに世帯で三万七千二百円を超えると、例えば我が家の場合ですと、三人の親が一度に入院をいたします、そうしますと三万七千二百円の負担で済むということなんですけれども、ただその場合でも三万円以上が世帯合算、この対象になるわけですけれども、三万円というこの線引き、これはどういう理由でされたのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 今回、三万円以上のものを対象にするということにいたしたわけでございますが、これは現在ございます若い人の高額療養費制度に準じた扱いにいたしたわけでございます。
 なぜ高額療養費制度で三万円を置いたかということでございますけれども、これははっきり言えば保険者の事務処理能力を考えまして、昭和五十九年に三万円というふうに設定したわけでございまして、その額はそのまま据え置いているわけでございます。したがいまして、対象件数は累増いたしているわけでございます。
 なぜ事務処理が大変かということでございますけれども、その支給に当たりまして、各市町村が、各申請者が支払いました一部負担金の額をレセプト、これは現物に一つ一つ当たって、まさに手作業で事務に当たっているわけでございます。これをゼロに近くすればするほど膨大な量のレセプトの中からそのレセプトを引き出してこなきゃいかぬと、こういう事務の問題がございまして、世帯合算に当たりましては基準額を設けた、そのときの事務処理が何とかできそうだというのが三万円であったと、こういうことでございます。
○西川きよし君 この三万七千二百円という数字がどうしても視覚に、目に飛び込んでくるわけですけれども、これは三万円以上が合算の対象ということですから、例えば二人で今度入院をして三万円ずつの六万円以上になる、こうなりますと初めてその対象となるわけです。そういたしますと、例えば一人が三万一千円でもう一人が二万九千円、そして合わせて六万円。この場合は対象にならないというわけですね。この場合は六万円丸々負担となってしまうのでしょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 御指摘のようなケース、三万一千円と二万九千円ですと、現在の仕組みの中では御指摘のとおりになるわけでございます。
○西川きよし君 先ほど御答弁にもございました、これは高額療養費と横並びということですが、せっかくこの新しい仕組みを、しかもこうした高齢世帯に配慮をされてつくる制度ですから、そこの横並びは必要なんでしょうかね。改めて問いたいと思います。これは、それこそかえって混乱するのではないかなというふうに思います。例えば、病院に入院しております。もう一日入院を延ばしたら三万円を超えるとか超えないとかというふうに、余計体のぐあいが悪くなるんじゃないかなというふうに思うんです。
 ここは今後の検討課題だということでも結構ですから、ぜひ例えば三万円の額を二万円とか一万円でも引き下げてもらうような検討をしていただくというようなことはできないものでしょうか。これはぜひ厚生大臣にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 今、西川委員は御自分の御経験も踏まえながら、同一世帯に属する複数の高齢者が同時期に入院するというような場合に間々起こり得る重複した医療費が結果として相当にかさんでしまうということの中から三万七千二百円ということで、あとは公的に支払ってあげる支給制度がせっかくできたと。ところが、三万七千二百円というのが見えてくると一軒当たり三万円というのがどうも気になると。そのとおりであります。私も改めて今その話を聞いてこれは気になるなと思います。気になる。
 そこで、三万円と決めたのはかなり前でございまして、要するにレセプトをいっぱい審査をする手間も考えてこういうことになっておりますが、この現行の三万円という世帯合算の対象額についてこれを改められないかどうか。当然のことながら、事務処理や財政影響等も勘案しながら制度改革の中で引き下げる方向で検討させていただきます。
○西川きよし君 ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
 続けてもう一問、厚生大臣にお答えをしていただきたいと思います。
 高額療養費の見直しについて一点お伺いしたいんです。こちらのこの改正案で一%の負担についてですけれども、四回目から、いわゆる多数該当のときは一%の負担を求めないことになっております。
 例えば、この法律の施行前に既に三回以上高額な医療費がかかったという方も多くいらっしゃると思います。この場合に、施行後改めて一回目、二回目、三回目まで一%負担を求めるというのは、こうした方々に対して少し配慮を欠くのではないかなというふうにも思うわけです。
 この点についてどのようにこれから取り扱っていかれるのか、厚生大臣にお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 三回まであれで四回からということにして御提案しているわけでありますが、四回目からの自己負担限度額を低額に抑えるということでございまして、今回の改正案においても多数該当の場合は医療費に応じた一%の負担は求めないということにしたわけであります。これがないと、四回目から無理に抑えなければならないというようなことになると。
 しかし、四回と決めると三回目がまた気になるなという御指摘だろうと思いますけれども、今回はこういうことで改正前の期間を含めて、つまり改正前の時点で三回もう該当しちゃったと、しかし改正してから一回目だよと言われるのは酷ではないかというような場合については、これは三回をカウントして四回ということで一%の負担を求めないという方向で対応していきたい、経過措置としてそういうことを考えてまいりたいというふうに思っております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
○委員長(中島眞人君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時四十四分散会