第151回国会 法務委員会 第9号
平成十三年五月三十一日(木曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任   
     佐々木知子君     三浦 一水君
     高嶋 良充君     角田 義一君
     荒木 清寛君     魚住裕一郎君
 五月三十日
    辞任         補欠選任   
     三浦 一水君     佐々木知子君
     江田 五月君     松崎 俊久君
     竹村 泰子君     峰崎 直樹君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任   
     松崎 俊久君     江田 五月君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         日笠 勝之君
    理 事
                石渡 清元君
                久野 恒一君
                江田 五月君
                千葉 景子君
                魚住裕一郎君
                福島 瑞穂君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩崎 純三君
                尾辻 秀久君
                岡野  裕君
                佐々木知子君
                斎藤 十朗君
                中川 義雄君
                吉川 芳男君
                小川 敏夫君
                角田 義一君
                峰崎 直樹君
                橋本  敦君
                林  紀子君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    横内 正明君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中川 義雄君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   金築 誠志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       国際部長     島田 尚武君
       警察庁警備局長  漆間  巌君
       法務大臣官房司
       法法制部長    房村 精一君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇弁護士法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○理事の辞任及び補欠選任の件

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○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十九日、高嶋良充君及び荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君及び魚住裕一郎君が選任されました。
 また、昨三十日、江田五月君及び竹村泰子さんが委員を辞任され、その補欠として松崎俊久君及び峰崎直樹君が選任されました。
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○委員長(日笠勝之君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に千葉景子さん及び魚住裕一郎君を指名いたします。
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○委員長(日笠勝之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 弁護士法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁長官官房国際部長島田尚武君、警察庁警備局長漆間巌君、法務大臣官房司法法制部長房村精一君、法務省刑事局長古田佑紀君及び法務省人権擁護局長吉戒修一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(日笠勝之君) 弁護士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。
 このたび弁護士法を一部改正して、弁護士事務所を法人化する道を開くということでございますけれども、これはいかなる方面からどういった要請によったものであるのか、法務当局に伺いたいと存じます。
○政府参考人(房村精一君) この弁護士事務所の法人化は、弁護士の執務体制を強化して弁護士業務の質の向上を図る観点から、司法制度改革審議会の中間報告において「平成十二年度中に所要の立法措置が行われることを期待する」とされております。そのほか、規制緩和の観点から規制改革委員会でも取り上げられ、政府の規制緩和推進三カ年計画の中で、「分野別措置事項」として、平成十二年度中に所要の法的措置を講ずる旨、閣議決定されております。
 そういう政府以外にも、政党あるいは経済団体等から司法制度改革についての提言中で、複雑多様化する法律紛争に的確に対応することを可能にするなどの観点から、この法人化の必要性が再三指摘をされております。また、在日米国商工会議所からも、包括的で国際的かつ容易にアクセスできる法律サービスの提供を促進する観点から、その実現が要望されております。
 もとより、最も密接な関連のあります弁護士会におきましても、業務の利便性を向上させるという観点から法人化が検討されてきたところでございます。
 これらの動向を踏まえまして、法務省としても日弁連と慎重に協議を重ねて今回法案の提出に至ったということでございます。
○佐々木知子君 その中で、弁護士からも要望があったということですけれども、日本では七四%の事務所が一人事務所ということで、すごく小さな規模なんですけれども、一人事務所でもやはり法人化したいという要望は強かったでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) はい、おっしゃるとおり、一人事務所についても法人化を可能にしてほしいという強い要望がございました。
○佐々木知子君 となりますと、法人化によってかなりのメリットが生じるだろうというふうに推測されるわけですけれども、メリットはいろいろあるかと思いますけれども、殊に、昨今の司法制度改革との関連におきましてどのようなメリットがあるのか。
 これは法務大臣に伺いたいと存じます。
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほどの説明の中にもございましたけれども、弁護士業務の複雑多様化、そういう法律業務への的確な対応を可能にするという基本的な理由がございます。メリットがございます。
 さらに、弁護士法人制度ができますと、弁護士さんが次第にこれからふえていく見込みでございますが、その弁護士人口を吸収いたしまして、専門的知見を要する事件等への対応を強化することができる。また、弁護士を特定の事件に専従させて組織的にバックアップすることも可能になるなどの点で裁判の迅速化にも貢献できると思います。
 また、裁判官への任官を初めとする弁護士の活動領域の拡大にも大いに役に立つのではないかと思いますし、従たる事務所の設置による弁護士へのアクセスがふえるということや、弁護士過疎問題への対応などいろいろなメリットが期待されるわけでございます。
 司法制度改革全体の非常に大きな第一歩といたしまして、成否を握るかぎの一つであるというふうに思います。
○佐々木知子君 弁護士の過疎地域が少なくなるのではということをメリットの一つに挙げられましたけれども、弁護士法は、そもそも複数事務所の設置を禁止しております。さらに今回の法改正に当たっても、法人化していない事務所にはやはり複数事務所の設置を認めていないわけですけれども、この理由を法務当局に伺います。
○政府参考人(房村精一君) ただいま委員の御指摘のように、弁護士法では弁護士事務所は一つに限るということにしております。この趣旨は、複数の事務所を持つことによって弁護士のいない事務所が設けられますと、必然的にそこで弁護士の資格のない人が法律事務を取り扱ってしまう、そういうおそれがあるということ。それから、弁護士に対する弁護士会の指導監督のためにも、やはり弁護士の事務所は一つが望ましい。こういうような観点から複数事務所が禁止されてきたものと理解しております。
 今回、弁護士法人を可能にするときに、この複数事務所について検討いたしまして、弁護士法人については当然大型化が生ずることになるわけでありまして、そういう場合に事務所を一カ所に限定しなければならない理由があるのか。これを、複数の事務所を可能にすることによって国民が利用しやすくするという観点が望まれるのではないか。ただ、その場合に、先ほど申し上げたような複数の事務所が禁止されている非弁活動を招くおそれ、こういうものを排除しなければならない。
 この双方を考慮いたしまして、原則として従たる事務所を設ける場合には、その事務所に、当該従たる事務所所在地の弁護士会の会員であるその法人の社員弁護士、これが常駐する、こういうことを要求いたしまして双方の調和を図ったところでございます。
○佐々木知子君 最初の質問のお答えの中に規制緩和という観点が出てまいりましたけれども、実際、その規制緩和の観点から、法人化というのはどのように評価されるのか、具体的に法務大臣政務官にお伺いしたいと存じます。
○大臣政務官(中川義雄君) 法律の専門家である佐々木先生に答弁するというのは非常に難しい問題でありますが、私なりに。
 御承知のように、規制緩和三カ年計画の中で、閣議決定でこの法人化問題を取り上げております。平成十二年の三月にも、それからことしの三月にも取り上げられておりまして、それに基づいて法制化になったということが一つ大きな前進だと、こう考えております。
 さらに、この法律の内容を見ましても、私が一政治家の一人として国民の目線に立って見ても、非常に準則主義により簡単にできること、それからまた最低資本金制度を設けていないこと、それに社員数の制限もないこと、それから複数事務所の設置禁止を法人には排除していること、そういうように最大の規制緩和をしておりまして、国民の立場から見ても弁護士が近くに来たというような形、選択の自由度が高まったというような形からも私は歓迎されるべきだと、こう考えております。
○佐々木知子君 歓迎されるべき弁護士事務所の法人化の道ということなんですけれども、この法律が施行されることによりまして、今後実際どれだけの数の法律事務所が法人化される見込みであるのか、これは法務当局に伺いたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 予測でございますので確たることは申し上げにくいわけですが、実は日弁連の方で、弁護士事務所に法人化が可能となった場合、どういう利用状況になるのかということでアンケートを行いました。大体九百五十近くの弁護士事務所から回答が寄せられております。そのうち、法人化が可能になった場合、法人化するという答えが二百三十四、法人化を検討するというのが五百三十二、両方合わせますと七百六十六の事務所において法人化するあるいは検討するという回答を寄せております。
 したがいまして、これはまだもちろん事前の希望ベースですので、実際にどのくらいの数になるかということはこれからということになりますが、こういう回答状況から見ましても、相当数の事務所が法人化をするのではないかと、こう思っております。
○佐々木知子君 この法案の三十条の五を見ますと、弁護士法第三条に規定する業務以外に法務省令で行うことを認める業務を行うことができるとございますけれども、その業務範囲というのはどのようなものになりますでしょうか。これも法務当局に伺います。
○政府参考人(房村精一君) 弁護士の方はもちろんいわゆる法律業務、これが中心でございますが、実際に弁護士の方々が行っている業務を見ますと、狭義のそういう法律業務以外に、例えば管財人になるとか財産管理人になる、あるいは後見人になる、遺言執行者と、こういうような弁護士業務として独占をされている範囲ではないけれども法律的知識を生かして非常に社会的に活躍が期待される、そういう分野でも種々活躍をされているところでございます。
 弁護士法人は弁護士の本来業務を行うことを目的として設立されますので、ある意味でそれだけですと非常に範囲が狭められてしまう。したがって、現実に弁護士の方々が活躍しているそういう重要な業務については弁護士法人にもこれを処理していただきたいと思うわけでありますが、しかし非常に幅広く多様な分野がございますので、これを網羅的に法律で書き込むというのは非常に困難だということから、そういう弁護士法人の業務としてしていただきたいような事柄については法務省令で定めるということにしたわけでございます。
 具体的な内容といたしましては、今後、日本弁護士連合会等と御相談をした上で法務省令で決めていきたいと考えておりますが、最も有力なものとしては、先ほど申し上げたような各種の管財人であるとか財産管理人あるいは後見人、後見監督人、遺言執行者、こういったような業務が考えられると思いますし、さらに司法修習生とかあるいは弁護士業務を補助する者の研修、教育、こういったようなもの、あるいは各種講演とかセミナー、そういう法律実務に関する啓発活動なども考えられるのではないかと思っております。
○佐々木知子君 定款に目的を定めるということになっておりますけれども、今言われたいろいろな業務範囲のうちのどれかを選択して定めるということになるのでしょうか。これも法務当局に伺います。
○政府参考人(房村精一君) おっしゃるとおりでございます。三十条の五で、「弁護士法人は、第三条に規定する業務を行うほか、定款で定めるところにより、法令等に基づき弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができる。」と、こうなっておりますので、本来の弁護士の業務とプラス省令で定められている範囲の業務のうち、行いたいというものを定款に記載していただくということになります。
○佐々木知子君 先進諸外国における法人化の現状について法務当局に伺いたいと思います。
 よく司法改革の比較でアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスという四カ国が出されますけれども、大体この範囲でお答え願えればと思いますが。
○政府参考人(房村精一君) 大体他の諸国におきましても弁護士事務所の法人化が認められているのが一般でございます。我々に最もなじみの深いイギリス、アメリカ、ドイツ、フランスにおいては、いずれも法人化が認められておりますし、お隣の韓国でも認められております。そのほかスイス、オーストラリア、カナダ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンなど相当多くの国で法人化が認められていると承知しております。
○佐々木知子君 いわゆる士業というのがあるわけですけれども、それの法人化の現状はどうなっておりますでしょうか。これも法務当局に伺います。
○政府参考人(房村精一君) 弁護士に近いいわゆる法律隣接職種と言われるような方々について申し上げますと、まず公認会計士、これにつきましては監査法人が昭和四十一年から認められております。それから、弁理士につきましては、特許業務法人という形で法人化が昨年、平成十二年の弁理士法改正により認められました。また、税理士につきましては、この国会に税理士法人を可能とする法案が提出されまして、去る五月二十五日に成立したところでございます。
 それ以外の関連職種として、例えば司法書士、土地家屋調査士、それから社会保険労務士、行政書士というようなものがございますが、これらの職種につきましては規制改革推進三カ年計画、ことしの三月に決定されたものでございますが、その中において「利用者の多様なニーズに対応する観点から、」「それぞれの資格者の事務所の形態について、法人組織の形態を認める法人制度の創設を検討する。」と、こういうことになっております。
○佐々木知子君 現行法でも、弁護士、それから公認会計士、税理士、司法書士、いわゆる法律隣接職種の方々が、士業の方々が一緒に総合事務所を営む法律経済総合事務所、名前はいろいろあるのでございましょうけれども、そういう開設は可能だというふうに承知しておりますけれども、今後、顧客のニーズを反映して、ワンストップサービスというんですか、そこに行けばいろんな需要にこたえてくれる人たちがいるという道を開く、法人化した総合事務所の道が開けるのかどうか、その見込みについて、これは法務大臣政務官に伺いたいと思います。
○大臣政務官(中川義雄君) このことになりますと、本当、専門家である佐々木先生に釈迦に説法みたいな話になりますが、あえて私の考え方だけ述べさせていただきたいと思いますが、現行の弁護士法ではそう簡単にいかないというのが現状でありまして、このためには抜本的な法改正というようなものが必要だと思います。しかし、幸い司法制度改革審議会においてこの点について積極的な意見が述べられておりまして、今言ったようにワンストップサービスという点についての配慮、それから収支共同型だとか、また相互雇用型といったような形態についてもいろいろ審議されておりますから、その審議の状態を見ながら積極的に対応していきたいと思います。
 ただ、私が一政治家としてみますと、また弁護士のあり方についても、できれば今複雑多様化している社会に対応できるように、例えば医療ミス等の訴訟において、長年経験を持った医師などが弁護士業務にも参加できるような、そういう道を開くことによって、国民の多様な要望にこたえる道も開かれるべきではないかと考えております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 今回は、弁護士法を改正するという、ある意味でマイナーチェンジによったということでございまして、多分いろんな意味では規制緩和するには抜本的な改革なり改正が必要かと思いますけれども、できるだけその方向で進んでいただきたいと思っております。
 早いですが、これで終わります。
○委員長(日笠勝之君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(日笠勝之君) 速記を起こしてください。
○千葉景子君 おはようございます。
 きょうは、弁護士法の改正に関する法案の質疑でございますけれども、私も四十五分いただきまして、若干他に緊急にお聞きをしておきたいこともございますので、まず最高裁から話を伺わせていただきたいと思います。
 既にこの委員会でも取り上げられておりますけれども、村木裁判官に関する問題でございます。本当に残念な気がいたします。児童買春に係る処罰に関する違反ということで逮捕されるという事態で、この児童買春に係る法案は、国会でも本当に超党派でそれぞれの皆さんが御苦労を重ねながら成立した法律でもございます。この法律に、これを適用して女性の人権を守っていこうとしなければいけない立場の裁判官が、それに違反をするということは極めて遺憾なことだろうというふうに私も思います。
 既に最高裁の方も訴追委員会に訴追請求をされて、どうやら訴追委員会の方もあすにも訴追委員会を開催するというようなことも報じられておりますけれども、この間の、訴追委員会に訴追請求をするに至る経緯について、そして最高裁としてどのようにこの件を受けとめているか、まずお尋ねしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) お答え申し上げます。
 東京高裁判事職務代行東京地裁判事の村木保裕判事は、本年五月十九日に、いわゆる児童買春処罰法の被疑事実によりまして緊急逮捕されまして、二十二日、勾留されました。現在勾留中でございます。
 二十四日に、東京高裁の事務局長が村木判事に対する事情聴取を行いまして、翌二十五日、東京高裁長官は最高裁に対しまして裁判官弾劾法十五条二項に基づく報告を行いました。二十八日には、最高裁におきまして臨時の裁判官会議が開かれまして、最高裁は村木判事を国会の裁判官訴追委員会に訴追を請求するということを決定いたしました。
 訴追請求の事由は、本年一月二十日、川崎市内において十四歳の少女に対し児童買春をしたという事実でありまして、これが裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったときに当たると判断されたものでございます。
 今回の問題につきまして、最高裁といたしましては、本件のような行為は、裁判官としてという以前に、人として許されない行為であり、裁判官、ひいては司法に対する信頼を著しく損なうものであって極めて遺憾である。国民の皆様に深くおわび申し上げるとともに、各裁判官に対し、職務の内外を問わず、常に職責の重大性を認識し、国民の信頼にこたえていくよう改めて要請する旨の事務総長談話を発表いたしました。
 以上でございます。
○千葉景子君 これにつきましては、今後、訴追委員会で訴追をすべきか否か、そして、それが決定をするようなことになれば弾劾裁判というようなことになっていくのかとは思いますけれども、改めて、このようなことが起こる何か素地があるのではないか、また一体この原因は何だろうかということを最高裁としても真摯に受けとめて今後対処をしていただきたいというふうに思います。
 さて、森山法務大臣には私も本当にこれまでいろいろ御指導いただくことも多く、大変期待をさせていただいております。特にこの委員会でも、先般来たびたび質疑になっております民法の改正につきまして、法務大臣も大変意欲的に取り組んでいこうという、そういうお気持ちが伝わってまいりまして、大変私も心強く思っているところでございます。
 その中のいわゆる選択的夫婦別氏の制度、これについては非常に社会の中でもいろいろ議論が進んでおりますし、これからの取り組みというものに大変期待が高まっているところであろうかというふうに思います。
 私は、それと同時に、もう一つ忘れてはならない部分があると思っております。それは、私どもも法案、提案をさせていただいておりますけれども、子供の人権、これはやっぱり忘れてはならない視点であろうというふうに思っています。その意味で、民法の中にはどうやら子供の権利を阻害しているといいますか、差別をする、こういう意味の規定が残っているのではないか。特に非嫡出子に対する相続分の差別、これは子供に本当に何か理由があるわけではなくして差別をするということになりますので、国際的にもあるいは子どもの権利条約等を踏まえても、やっぱり早急にこれこそ変えておかなければいけない問題ではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、森山法務大臣、選択的夫婦別氏と同様といいますか、それを上回る課題として、ぜひこの改正などはもうあすにでも取りかかっていただくということも必要かと思うんですけれども、法務大臣の御所見といいましょうか、お考えをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 千葉先生には今までもいろいろと御指導いただいてまいりまして、ありがとうございました。法律の専門家というお立場から、今後も何かとお知恵を拝借しなければならないと思っておりますが、よろしくお願いいたします。
 今御指摘の、嫡出でない子と嫡出である子の法律上の差異の解消というのは、平成八年の例の法制審議会の答申の中にも盛り込まれていたかと思いますが、一つの大きな問題であると私も感じております。しかし、これは選択的夫婦別氏の問題とまたちょっと違った性格のものではないかというふうな気がいたしておりますし、婚姻制度を含む家族制度のあり方とか、国民の感覚の問題、意識の問題というようなこととして、ちょっとまた違った状況なのではないかなということが感じられるわけでございまして、今なおこれは国民の間でかなり大きく意見が分かれている、選択的夫婦別氏よりもその乖離が大きいのではないかという感じでございます。
 もう少しこれはよく検討をしていかなければならない部分が多いのではないかと思いますので、さらに国民の意向をよく検討いたしまして、また各方面の御意見を十分に徴しまして、今後の議論の動向を見ながら対処していかなければならないというふうに思っております。
○千葉景子君 きょうはこれを議論させていただくというつもりはございませんけれども、ただこれは国民世論という問題よりもやっぱり一人一人の人権をいかに保障していくか、そこにかかわる問題だというふうに思うんです。そういう意味では、国民の多数が賛成をするとか否かではなくて、むしろ少数であればあるほどそれを尊重するという考え方に立つ必要が私はある課題であろうというふうに思います。
 そういう意味で、確かにいろんな考え方の違いというのが世間にあることを私も承知はいたしておりますけれども、事みずからなかなか発言できない子供の人権ということになるわけですので、ぜひその辺に思いをはせていただきまして、法務大臣にもリーダーシップをとっていただくことを心からきょうはお願いをしておきたいというふうに思います。
 それでは、弁護士法の改正にかかわりまして何点かお尋ねさせていただきたいというふうに思います。
 ちょうど今、司法制度改革問題が進んでおりまして、もう間もなく司法制度改革審議会からも最終的な取りまとめが発表されようという時期になってまいりました。そういう意味では、今回のこの弁護士法改正につきましても、その流れと決して相矛盾するものではなく、先ほど既にお話がございましたように弁護士法人化は中間答申でも指摘をされていた課題でもあり、そういう意味で、この司法制度改革と今回の法案はある意味ではその一部を先取りしているといいましょうか、一歩進み出したと言ってもよろしいのかなというふうに思いますけれども、その点について法務大臣としてはどのように御認識をなさっておられるでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほどもお答え申し上げましたように、この法改正によりまして弁護士法人というものができるようになりますと、弁護士業務の共同化、専門化、総合化などを促進することになりますし、その結果、基盤が拡大強化されまして、サービスの質が向上する、複雑多様化する法律事務への的確な対応を可能にするというようなことが期待されまして、これらが非常に大きなメリットになるのではないかと思います。そのような観点から、司法制度改革審議会もこの問題を取り上げていらっしゃるというふうに思うわけでございます。
 さらに、この弁護士法人制度は、飛躍的に増加していきます弁護士人口を吸収する環境整備を進めまして、幅広く国民に密着した少額事件等から、専門性、国際性の高い複雑困難な事件に至るまで的確に対応することができるようになるのではないでしょうか。そして、そういう場合の組織的なバックアップ、弁護士が特定の事件に専従することが可能になるために、裁判の充実、迅速化にも資するというふうに思われます。
 また、裁判官への任官などを初めとする弁護士の活動領域の拡大の基盤ともなりますし、従たる事務所の設置による弁護士へのアクセス拡充や弁護士過疎問題への対応などもできるというふうに思いますので、そのようなさまざまなメリットを期待することができますから、まさに司法制度改革全体の成否を握るかぎの一つだというふうに考えております。
 そのようなことで、他の改革課題に先駆けて実現すべきことであるということで、今、国会に法案を提出し、御審議願っているというわけでございます。
○千葉景子君 さて、そういう意味ではこれを一つの先取りとしてこれから司法制度改革、司法の充実というものを図っていかなければいけないわけでございます。
 そういうやさきに、私はもう本当に目が点になるようにびっくりしたんですけれども、報道で、「司法改革 財務省が「異議」」というような記事がどんと出まして、まさに財政は今や逼迫しているんだから、そんな司法に財政をふやすことなんかできないというような声がどうやら財務省の中にあるというような記事が飛び出てまいりました。
 これまでも、司法の予算というのは非常に私どもから考えても少なくて、これで司法を充実するなどということはとても困難だと感じてきました。裁判官を増員する、あるいはいろいろな基盤整備をするということにおきましても、これまでもわずかずつではあっても、もう予算をふやせふやせとむしろハッパをかけてきたぐらいでございます。これからさらにこの司法制度改革を進めて日本の公平公正な社会のいわば担保をきちっと確立していく、そして市民ニーズにもこたえていく、こういうことになりますと、抑制するどころか、ほかのを分捕ってもやっぱり司法には財政をきちっとつけていくということが必要だというふうに思います。
 今回、小泉総理も聖域なき構造改革ということで張り切っておられるわけですから、当然全体の構造の中で司法というものを十分に認識されて、そこには大きなメスを入れていかれると、きっとそうなされるものと確信をしているわけですけれども、こういうことが閣内で言われているなどということになりますと、これは大変なことでございます。そういう意味で、ここは森山法務大臣にも、これからの司法の充実に向かいまして頑張っていただく、財務大臣にはもう負けてはおられないということで、むしろ閣内を引っ張っていただかなければいけない、こういうことであろうかというふうに思います。
 その点について、いかがでしょうか、こういう報道がなされておりますけれども、閣内でそういう不一致、あるいは司法改革を抑止するような、そんな動きがあるのかどうか、そしてそれに対して法務大臣としてはどのようにこれから立ち向かっていかれるか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 今おっしゃいました新聞記事が出ましてから一日か二日後だったと思いますが、閣議がございまして、その閣議後の閣僚懇談会のときに、財務大臣の方から、あの新聞記事の報道は自分の関知しないところであって、自分は司法制度改革について大いに協力したいと思っている、あれはどういういきさつでだれが言ったのか知らないが、自分は全くそういう考えはないというふうにおっしゃっていただきまして、大変私もほっとしたのでございます。
 財政を預かるお役人の立場としては、司法制度改革ですからといって野方図にというわけにはいかないという気持ちだったんでしょう、記者さんの取材に答えてあのようなことをどなたかがおっしゃったんだろうと思いますが、大臣は司法制度改革は大切である、しっかりやってほしいということを、財務大臣御自身のお口から聞きましたので、私としては内閣として不一致だというふうには思っておりません。
 先生おっしゃったとおり、非常にこれは重要な改革でございますし、そのために必要な財政的な裏づけというのはぜひとも必要であるというふうに私考えておりまして、近々出されます司法制度改革審議会の最終意見などを十分尊重し、尊重しというよりはそれを大いに活用させていただきまして、司法制度改革に対する施策を実施するために必要な財政措置が十分行われますように最大限の努力をいたしたいと考えております。
○千葉景子君 ぜひ、内閣が一致してこの改革に取り組んでいただくということをお願いしたいと思いますが、それには司法制度改革審議会から答申がなされ、それをどう今度は具体的に進めていくかということが大事になってくるかと思います。そういう意味で、今後の司法制度改革の推進体制というものについてどんなふうにお考えになっておられるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
 民主党でもこの間、司法制度改革に大変積極的に提言をさせていただいてまいりまして、司法制度改革審議会の方にも、まとめた後の推進体制をきちっとするように、それをやっぱり盛り込んでおくべきだと。そうしないと、答申はしましたが後はそのままになってしまったということになったら審議会の意味がないわけですから、それを盛り込むと同時に、政府の方にもこの後の推進体制をきちっととるようにということで提言をさせていただいているところでございます。
 できれば、内閣直属に司法制度改革推進チームというようなものを編成していただきまして、そこに学識経験者や法曹関係者、あるいは経営者団体あるいは労働団体等、司法ニーズを求めているそういう皆さん等に参加をいただいて、強力な体制で推進を図っていくということが必要なのではないかという提言をさせていただいております。
 これが構造改革と言われるもののやっぱり一つの大きな柱であろうかというふうに思いますので、この推進体制について法務大臣としても積極的に内閣の中でこういう体制で進めるべきだという提言をしていただきたいというふうに思いますけれども、私どもの提言も含めましてお考えをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生おっしゃいますように、司法制度改革というのは非常に大きな、何十年ぶりのといいましょうか、あるいはもっと長い期間を経た上で今日まで来てしまいましたものを基本的に改革しようという非常に大きなものでございまして、これは政府全体として検討していくべきであるということは当然のことだと私も思っております。
 民主党でお出しになっていただいた提言についても大変貴重な御意見だと思いまして参考にさせていただきながら、法務省ももちろん政府の一員といたしまして深くかかわっているものでございますから、改革の実現に向けて最大限の努力をしていかなければならないと思っておりますが、具体的なやり方につきましては、さらに政府部内で最終的に詰められるものと思いますので、今の段階ではどうこうということを具体的に申し上げることは差し控えさせていただきますが、おっしゃるようなことを十分わきまえまして、精いっぱいやっていきたいと思っております。
○千葉景子君 ぜひ、大臣が中心になりまして取り組みをしていただくように、内閣をリードしていただくようにお願いをしたいと思います。
 さて、法案の内容に少し何点か触れさせていただきたいと思いますが、先ほどももう佐々木先生から御質問などもございました。重複をできるだけ避けたいとは思っておりますけれども、今回法人化をするに当たってさまざまなメリットが指摘をされております。
 ただ、そのメリットと、今回の法案では一人法人も可能になっております。これは、法人化をすることのメリットを考えると、一人法人を認めることとどうもいま一つぴったりこないという感じがするんですけれども、法人化の法案をつくるに当たって一人法人を認める意味といいますか、そこはどういうことがあるんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 先生御指摘のように、法人化のメリットを共同化の促進というところに置きますと、一人法人を認めることによってどういうメリットがあるのかというところが問題になるわけでありますが、法人化を認めることのメリットは、共同化ということももちろんございますが、法人による財産の保持という観点から考えますと、弁護士事務所を法人化した場合には弁護士の方の個人的財産と事務所の財産とが明瞭に区分できると、こういうメリットもございます。これは、一人法人の場合でもそういうメリットは当然にあり得るわけでございます。
 それから、日本の実情といたしまして、一人法人といっても実際の事務所の形態としてはいわゆる中心となる親弁といいますか、経営弁護士の方が一人いて、その下に雇用されている弁護士の方が数名いると、こういう事務所が非常に多いわけでございます。こういう事務所について法人化を認めるということになりますと、法人の社員となるのはその親弁一人ということになりましても、その下に実際には弁護士の方がいて複数の弁護士の方で事務所が経営されている。その雇用されている弁護士の方々のうちこれはという方を将来的に社員として共同化の道を開始するということも可能になる。そういう将来もにらみますと、一人法人であってもこれを認めることによって将来的により共同化を広げるいわば呼び水になるのではないか。
 それともう一つは、現実にそういう一人の経営弁護士と勤務弁護士がいるような事務所につきましてもぜひ法人化を認めてほしいという御要望も強いと、このようなことを総合的に考慮いたしまして、今回、社員一人での設立も認めるということにしたわけでございます。
○千葉景子君 その趣旨といいますか、御説明をいただければわからないわけではないんですけれども、現在でも個人的な財産と事務所の財産といいますか、それが混同しているというわけでは決してないと思いますし、そういう意味では一人法人、できればやれた方が便利だなという感はするんですけれども、本来の趣旨から考えるといささか中途半端な感じもしないではないかなという感じはいたします。
 次に、先ほどこれもございました、現在でもいわば総合的な法律経済関係事務所といいましょうか、弁護士がおり、あるいは公認会計士の人がいたりあるいは税理士あるいは司法書士、そういう皆さんがある意味では共同形態で業務を行っているという形態もないわけではありません。これからより一層ワンストップサービス等利用者のニーズに合った形態が必要になってこようかと思いますけれども、今回はそういう各種士業が一つの法人事務所をつくるという形態にはなりませんでした。そこのやっぱり一番、最も問題点というのはどういうところにあるでしょうか。今後、多分これも検討課題になっていくだろうと思いますけれども、一番のネックといいますか、問題点というのはどういうところに今あるとお考えでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 先生御指摘のように、今回の法案では弁護士法人の社員となり得るのは弁護士に限っております。その最も大きな理由といたしましては、弁護士法においては弁護士が非弁護士と提携して業務を行うことを禁止する、あるいは非弁護士が弁護士の業務である法律事務を扱うことを禁止すると、こういうことになっております。
 弁護士法人は、弁護士の業務に属することを法人として行うことを目的としておりますので、その業務執行権限を有している社員に弁護士以外の方がなりますと、結果的に弁護士以外の方が法人を通じて実質的に弁護士業務を行う、あるいは弁護士の方が実質的に非弁護士の方と業務提携を行っている、こういうことが生じ得ることになってしまいますので、その点を考慮いたしまして今回は弁護士法人の社員となるのは弁護士に限るということとしたわけでございます。
○千葉景子君 そうなりますと、今回の法案ではあれですけれども、今後、例えばそういう共同形態を、一つの法人事務所というのを法整備していく可能性というのはあるのか否か。それから、現在の法制下ですと結局幾つかの法人が連携を図るというような形でならいわゆる総合的な事務所形態ができるということになるのでしょうか。ちょっとその辺を教えていただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 利用者の立場から申し上げますと、一つの事務所で関連するすべての事務を処理していただけるというのが最も望ましいわけであります。そういうことを可能にする事務所として、そういう各専門資格者が一つの法人を設立するということは当然考えられてしかるべき問題ではありますが、先ほど申し上げたような観点から、今回は見送ったわけであります。
 将来的には、それぞれの資格者ごとに業務の範囲が決まり、また事務処理を他から不当に影響を受けることなく独立して行うということが要請されておりますので、そういう要請を満たすような法人化というものが可能になるのかどうか、そこら辺を検討していくことになるのではないかと思っております。
 現行法のもとでのそういう総合事務所につきましては、そういうお互いに不当な干渉をしないという前提で一つの事務所を設ける。その場合に、事務所経費を共用することによって一つの事務所、具体的には、一つの物理的な場所を共用するというような形で、利用者にとってみれば実質上一つの事務所、ただ、中身としてはそれぞれの方々がやはり独立してそれぞれの専門分野の事務を提供して一つの案件を処理していく、こういうものは可能だということで、現に幾つも設けられておりますし、それは法人化された場合でもそれぞれの法人が寄り集まって同じような形態の総合事務所を設けるということは可能だと思っております。
○千葉景子君 そういう意味では、今回の弁護士の法人化ということによって利用者にとっても多少安心感とか、あるいはいろいろな選択の幅が多少広がったのかなと。ただ、現実の利用する側から見ると、この法律ができて、弁護士の側は法人化をしても、利用者の側からするとそう極端な違いというのは出てくるのかな出てこないのかなと。ないよりは本当にいろいろな基盤整備あるいは選択肢の幅も広がる、財産も明確になるという意味では今回一つの方向性なのだろうというふうに思っています。
 ところで、そういう中で一つのメリットといいますか、従たる事務所の設置が認められました。これは、これまで単独の事務所ですと複数事務所が非弁活動などを予防するという意味で禁止をされておりました。ただ、先ほどの一人法人と関連するんですけれども、片方では一人法人が認められており、そして片方では従たる事務所が認められると、これはある意味で、形式的に組み合わせますと一人法人でも従たる事務所を持って業務ができる。そうなると、複数事務所を禁止してきた意味というものがそこでちょっと抜け道になりやすいんじゃないかという気がしますけれども、その点はどうでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) まさに委員の御指摘のような点を考慮いたしまして、従たる事務所を設ける場合には、その従たる事務所にその法人の社員である弁護士を常駐させなければならない。したがいまして、主たる事務所、従たる事務所、双方に社員が常駐しなければなりませんので、一人法人の場合には一人ですのでそれができないと。ですから、原則として一人法人の場合には従たる事務所を設けることはできないということになります。
 ただ、ここで原則としてと申し上げましたのは、実は従たる事務所について、当該従たる「事務所の所在する地域の弁護士会が当該法律事務所の周辺における弁護士の分布状況その他の事情を考慮して常駐しないことを許可したときは、この限りでない。」ということとしております。
 これは、先ほどもちょっと申し上げましたが、ある程度の事件はある、常駐するほどの事件数はないけれども、例えば週に何回か弁護士が来て処理すれば非常に住民にとって便利だという、その程度の事件数はあるという地域もございますので、そういう地域にあくまで常駐を義務づけますと、そこに事務所を設けようということになりませんので、そういう地域の特性に応じて、週に何回あるいは月に何回というような形で弁護士の人が巡回する、そういう事務所として設ければ地域のためにもなるし、うまくやっていただければ非弁にもならない、こういうところがあるだろうと。そこの判断を地元の弁護士会の、実情をよく知った適切な判断に基づいて可能にしようということでこの仕組みが出てきております。したがいまして、この許可を受ければ、社員一人の弁護士法人でも従たる事務所を設けることもあり得るわけでございます。
 ただ、これはもちろん弁護士会が地域の実情とか当該弁護士事務所の実態を見て非弁のおそれがあるかどうかということを判断して許可をするわけでございますし、また許可された後の従たる事務所の活動については、そこの弁護士会が適切に指導監督ができるということになっておりますので、そのような形で社員の常駐しない従たる事務所が設けられたとしても、そのことによって非弁活動を誘発するというような、従来の弁護士法で複数事務所を禁止していた趣旨が無に帰するということはないと思っております。
○千葉景子君 ぜひ、この法人化がある意味では利用者にとって少しでも便利な、それから使いやすいものになっていくように期待をするわけです。
 その中の弁護士過疎地域といいましょうか、そういうところの解消みたいなものに多少なりとも役立つんだろうかと考えて、そこの従たる事務所を設けられるということが一つのそういう意味では手だてにはなるのかしらと思うんですけれども、ただ需要とか考えますと、やっぱり法人化をし、そして多様なニーズにこたえていこうというそういう弁護士事務所というのは、どちらかというと都会型そして経済的なニーズなどに対応していこうというところがやっぱり主になるんではないか。むしろ、やっぱりこれまで過疎地域、公設事務所なども弁護士会がつくっておりますけれども、そういうところでしこしこと一人で弁護士活動をしているというようなところにこの法人化というのが必ずしもなじむわけではない。そうすると、そういう一人事務所のようなところはなかなか従たる事務所を設けることも難しい。
 そういうことを考えますと、この従たる事務所を設けられる法人化制度をつくったことによって、糸口はあるんでしょうけれども、本当に過疎地対策になっていくのかどうかというのは、私もまだどうも見通しは持てないでいるんですけれども、これと日弁連などが行っている公設事務所等がいい意味で相まって、少しでも弁護士のいない地域などの利用者にとって安心できる環境整備が進んでいけばというふうに思いますけれども、その辺の見通しといいましょうか、どんなふうに法律を整備しながらお考えだったでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、確かに過疎地域に弁護士事務所が少ないというのは、需要が少なくてなかなか経済的に事務所が成り立たないという要因があるのではないかと思いますので、そういうところについて、複数事務所が可能になったからといって直ちに従たる事務所が設けられるかといえば、それはなかなか難しいかとは思っております。
 ただ、やはり単独でそこで経営をするということだと困難ではあっても、本体があって、その従たる事務所としてであれば経済的に成り立つというようなところはもちろんあり得ることだと思っておりますし、先ほど申し上げたような社員の常駐義務を免除することによって、巡回的に行くような事務所を設けていただくということも可能にいたしましたし、事務所全体として法人化し事務処理を効率化することによって、いわば経費を節減して従来より少額の事件でもペイするような形での事務所運営を工夫するとか、そのような形で、従来のままであれば事務所が設けられないところに事務所を設置することが可能になるということはあり得ることだとは思っておりますので、そのためにできるだけの工夫をしたつもりであります。
 もちろん、法人化を可能にし、従たる事務所を可能にしたからといって、それだけで過疎地に弁護士事務所がどんどん出ていくということは、それは難しいかとは思っておりますが、少なくともこれを積極的に活用していただければその糸口になるのではないか。また、先ほど来先生の御指摘の、日弁連あるいは弁護士会において積極的に設けております公設事務所についても、場合によれば、この公設事務所が法人化を利用していただければ事務の引き継ぎその他で法人としての一体性が持てますので、あるいは利用者にとって安定的に利用できるというメリットも生ずる可能性もあると思っておりますし、それぞれの公設事務所あるいは法人化というものを活用して、少しでも過疎地域での弁護士活動が行われやすくなればと思っております。
○千葉景子君 ありがとうございました。
 時間があと残されておりませんので、最後にちょっと一点だけ御見解をお聞かせいただきたいと思っております。
 それは、先般のハンセン病問題について政府として控訴をしないということをお決めいただいて、判決が確定をするということになりまして、私も大変安堵をしているというところでございます。それに対して、政府声明という形で判決の問題点などが指摘をされました。私は、控訴をしない、あの判決が確定するというのが、これがもう結論、そして法律的な一番の正当性でございますから、政府声明というのは考えてみれば一方当事者の主張のようなものにしかすぎないんではないか。政府声明というような形にしてしまうものですから、いかにも政府が矛盾を起こしているというふうに見られてしまうということに逆になってしまったのではないかというふうに思います。主張はそれぞれありますから、それは一方当事者の主張としてなさればいい、そういう話だったのではないかというふうに思います。
 それはそれとしてですが、今回は国会に対しても立法不作為ということで大変厳しい指摘がされたわけです。こういう判決について政府が最終的な意思決定をされるに当たって、一体国会というのは何なんだろうかという率直な気がするわけですね。これは私どもの側の責任でもあるわけですけれども、これまでのどうも取り扱い方とすると、法務省が訴訟を管轄されるわけですけれども、こういう判決についていかがかと国会の事務当局に何か御連絡があって、そして結局意見は出せずじまいで、最終的には政府として結論をまとめられるというような形になっておるように思います。
 ただ、それは厚生省一機関にも御相談をされる、そして結論を出されるとすれば、やっぱりもう一方の当事者でもある国会にも相談をされたりあるいはその最終的な意思決定をする、控訴をするかしないかということに当たっての意思集約をするときに、やっぱりもう少し何かやりようがあるのではないか。これは私もまだどういう形が最も適切なのかという最終的な結論を持っているわけではありませんけれども、ただ事務方にいかがかというだけで済むような問題なんだろうかという私は率直な感じがいたします。
 その辺、今後また国会が立法不作為をしているとか違法な立法をしたとか、こういうことを指摘されるようなことがあっては困るわけで、そういう判決がなきよう国会の方もやらなければいけないわけですけれども、こういう判決に対して、国としての意思形成をするに当たっての取り扱いというのを法務大臣としては、今回、突然こういう事態に直面をされまして大変御苦労なさったかとは思いますけれども、どんなふうにお考えでしょうか。今回の反省ではありませんけれども、そういうことも踏まえて、もし御所見がございましたらお聞かせをいただいて、終わりたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 国を当事者とする訴訟におきまして国会の立法不作為というものが問われた判決がなされました場合には、国会の御意見をお聞きした上で上訴の要否を検討しなければならない、したいと思っておりますが、国会が国会の意見をどのように表明されるかということにつきましては、国会の御判断というのが最終的なことではないかと思います。
 今回、この間の件は、御存じのようなことで事務総長を通じて行ったわけでございますし、そのようなあり方の前例は幾つかあるようでございますけれども、これからの問題として、国会へ御意見を照会するときには、国会からの御意見をどのように承ったらいいかという点について、今先生がおっしゃったようないろんな考えさせられる問題点があるように確かに思われますので、国会の方でよく御検討いただいて、御意見を賜りましたら参考にさせていただきたいというふうに思います。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 弁護士法の一部改正の質問をさせていただきますが、昨日、財団法人法律扶助協会の新役員の披露というそういう会がございまして、本委員会の委員あるいはまた法務大臣を初め関係各位が御参加されて御祝辞を述べられておられました。その中に、弁護士の世界も新しい時代がやってきたんだというような何か御発言がございました。
 確かに民事法律扶助法ができてということでございますし、また今回、長年の懸案だと私は認識をしておりますが、この弁護士法人というものができるようになってきた。本当に私はそういう意味では二十一世紀、新しい弁護士像が求められているんではないかな、そんなふうに思うところでございますが、そういう観点から若干質問をさせていただきます。
 この弁護士法人なんですが、これは今までもずっと議論をしてきたというのが私の認識です。臨司の意見書の中でも弁護士事務所の共同化といいますか、そういうことが言われてきた。先ほどの房村さんの答弁だと、何かごく最近、規制緩和だとか司法制度改革審議会の中で出てきたかのようなお話でございましたが、そうではないのではないか。
 そしてまた、昭和五十年代の終わりあるいは六十年代の頭に、いわゆる外弁問題をがんがんやったときに、やはり巨大事務所に対応するにはどうしたらいいのか、弁護士会の中において真剣な議論がなされてきていたんではないのか。また、私もかつて弁護士をやっていたときに、若手の政策グループの中で事務所共同化、法人化とさんざん議論をいたしました。もう今、房村さんがおっしゃったはるか昔になるわけでございますが。そういう意味ではようやく出てきたのかなというのが実感なんですね。なぜ今法人化なのかといいますか、その辺はいかがなものでしょうか、法務当局にお願いします。
○政府参考人(房村精一君) ただいまの御指摘どおり、弁護士法人の検討の歴史は長うございます。昭和三十七年から三十九年まで設けられました臨時司法制度調査会の意見書の中でも法人化の考え方が提案されておりますし、その後も弁護士会の内部においてもいろいろ種々検討をされ、平成六年には、たしか日本弁護士連合会の会長から弁護士法人の検討をするようにということを諮問したということも聞いております。
 そういう意味で非常に長い歴史があるわけでございますが、特に、今回この法案を提出するに至りました経緯としては、非常に最近の社会の複雑多様化あるいは国際化、こういう大きな変化がその直接のきっかけとなっております。このような社会の変化に伴いまして、多種多様な分野で新たな法律問題が発生して複雑化している、これに適切に対応するためには弁護士の執務体制を強化して法律サービスの質の向上を図る必要がある、そういうことから、弁護士法人を可能にすることにより弁護士業務の共同化、専門化、総合化等を可能にしていくことが必要だ、こういう認識が広く持たれるようになったということではないかと思っております。
 それが日弁連における検討としてなされ、社会のいろいろなところからそういう弁護士の法人化を求める声も出てきたと。それを受けて、法務省といたしましても法人化を可能にする法案を提出したいということで、具体的に日弁連とも検討を進めまして、十分な意見交換をした結果、今回の法案の提出に至ったわけでございます。
○魚住裕一郎君 御指摘のメリットというのは、時代を越えてといいますか、十年も前も二十年も前も三十年も前も同じメリットは指摘されたんだろうというふうに思っております。もちろん弁護士会内にいろんな意見があったことは間違いないと思うんですね。社会正義の実現と基本的人権の擁護と、決まり文句のように言って、それがあたかも法人化を阻害するかのような議論をする方もおられたわけでございますけれども。
 ただ、ずっと求めてきた者としては、隣接法律専門職種はどんどん弁護士よりも先んじて法人化が出ておりまして、弁護士が一番最後になってきているというような状況でございますが、何か特に意図的な要素があるんでしょうか。何かいつも法務省と弁護士会がぶつかっているような、最後に回そうかというような御判断なのかなと思ったんですが、いかがですか。
○政府参考人(房村精一君) もちろん弁護士事務所の法人化、早いとは申し上げにくいわけでございますが、他の職種を見ましても、公認会計士の監査法人は、これは相当早く法人化が認められましたが、現在認められております弁理士の特許業務法人にいたしましても昨年の平成十二年に至ってやっと実現したということでございますし、もう一つの税理士法人は、今まさにこの国会において法人化が認められたということでございますので、弁護士法人だけが特に遅いということではないと思っております。
 なお、他の隣接職種であります司法書士とか土地家屋調査士あるいは社会保険労務士、行政書士というようなところについてはいまだ法人化は認められておりませんので、決して弁護士だけが遅いわけではございませんので、ひとつ御理解をお願いいたします。
○魚住裕一郎君 かつて外弁の問題というのがありましたけれども、あのときも懸念されたんですが、巨大外国の法律事務所に対抗できるのかというような、黒船来るみたいな世界が、議論が展開されたんですけれども、今回、弁護士法人というものをつくることによって互角に渡り合えるのか。先ほどかなりの数が法人化するというお話もございましたけれども、その辺は法務省としてどのように見通しといいますか考えておられますでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) ただいま御指摘のように、諸外国のローファーム、これは非常に大きなものがございます。最大のローファームになりますと、弁護士だけでも二千六百人を超す規模を有していると。これに対しまして日本では、最大規模の弁護士事務所でも百三十名ちょっとということですので、本当にけたが違う大きさでございます。そういう意味で、日本の事務所がこれら諸外国の大きなローファームにどうやって対抗していくかというのは、ある意味では国家的な課題と言ってもいいのではないかと思っています。
 その観点からしますと、法人化を認めるということは、まさに事務所を大きくし、専門化しということのまず第一歩ではないか。法人化が可能になったからといって、それだけで直ちに対抗できるようになるものではございませんが、法人化を手がかりとしてより高度かつ大規模な法律事務所が出て、諸外国に引けをとらない法律サービスを提供していただけるようになればと、こう思っております。
○魚住裕一郎君 先ほども他の専門職の法人化、そしてその他の専門資格者との共同化、総合的法律経済関係事務所というんでしょうか、それを、ワンストップサービスというか、目指すべきではないかというようなお話があり、かつ抜本的な問題というのがあるんではないかという御指摘があったんですが、それを阻害する問題というのをちょっともう一度説明を簡潔にしていただけますか。
○政府参考人(房村精一君) 特に弁護士に焦点を当てて申し上げますと、先ほども申し上げましたけれども、弁護士の場合には、弁護士の法律業務については、弁護士法によりまして非弁護士が業として取り扱うことを禁止しております。また、弁護士が弁護士以外の人と業務提携をしてその事務を処理するということも禁止されております。
 そういう観点からいたしますと、一つの法人の中に弁護士と弁護士以外の方が入って、その法人が弁護士業務を営めるということになりますと、そのままの形ですと、弁護士でない社員の方が実質的に弁護士業務を行うということを認めることにもなりかねない。そういう点がありまして、今回は弁護士法人の社員は弁護士のみに限っているわけでございます。
 したがいまして、他の隣接職種との法人化、一つの法人をつくって総合的な事務所をつくるということを検討するに際しましては、そういう弁護士が業務を行うに際して他の人から不当な影響を受けないという、そういうことを担保する必要、それは多分他の職種にとってもまた同じような要請が働く部分もあろうかと思いますので、そういった点を考慮して適切な仕組みを考えないと、なかなか専門家の方々が集まって一つの法人をつくるということが難しいという、そういうことがございます。
○魚住裕一郎君 それはそれでわかるんですけれども、ただ、現実問題としていろんな形で、もちろん現行の制度のもとでも一緒になって仕事をできるということではありますけれども、いろんな便法が出てくるんだろうと思うんですね。
 法人化がなかなか認められなかったものですから、本当に裏側に、事務当局サイドに法人を、会社をつくって、そこからいろんな設備とか人員を派遣してもらって、実質的には弁護士以外の者が社員となっている会社をメーンにしてやってきたというようなところもあるようでありますし、また今回、その他の専門職種との合同法律経済会計協働体なんというのは、弁護士の岩井重一先生とかが中心になってやっているようでございますけれども、やはりまたその便法といいますか、真正面からしっかりした議論をしていく必要があるんではないかというふうに思うんですね。
 その際、この間、ある会で税理士の会長とお話ししたことがあるんですが、中央会ですが、それは逆に言えば役所の縦割りがやっぱり一番問題ではないのかと。税理士さんなら国税庁とか、司法書士さんなら法務省ですね。役所に勤めておられた方が司法書士になる、あるいは役所に勤めていた人が税理士さんになるとか、そんなことも含めて縦割りがやはり一番の阻害要因になっているのではないかというふうに思いますが、こういう点についてどうお考えですか。房村さん、そしてまた大臣の御所見ございましたらお願いします。
○政府参考人(房村精一君) 役所の縦割りといいますか、現在のそういう専門士業につきましては、それぞれ専門とする職務の範囲を明確に定めまして、それに必要な能力を検定した上で資格を与える。その部分については、その人たちにある意味では独占的な処理権限をゆだねる、こういうような仕組みででき上がっております。また、それに見合ってその職務を行使する場合には独立して職権を行使していただく、こういう考え方でそれぞれができ上がっているものですから、その職務内容に応じてその監督官庁が決まってくるという関係にありまして、役所が違うからというよりは、どちらかといいますと、そういうそれぞれの専門職種の独立性という観点からなかなか一つのものにするのが難しい。これは役所が違うことがさらに増幅しているのかもしれませんが、そういう性質にあります。
 ただ、先生の御指摘のように、利用者の観点に立って総合的なものを可能にする道がないのかということは、これはそれぞれの省庁、協力しながら検討していく必要があるとは思っております。
 そういう意味で、規制改革委員会から指摘をされたときも関係省庁が集まりまして、少なくとも現行法のもとではこういうことが可能ではないかということを積極的に考えて、それぞれの省庁からそれぞれの士業にPRをして、少しでもそういう総合事務所をふやしていきたいということで努力をしたところでございますし、ただいまの御指摘を受けて、さらに私どもとしても検討を重ねていきたいと思っております。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、参考人から申し上げたようないろいろな理由で現状のようになっていると思いますけれども、おっしゃいますように利用者の立場ということも非常に重要でございますから、そのような立場に立ちまして、さらに総合的な機能が発揮できるような仕組みを考えていくべきではないかというふうに思います。
○魚住裕一郎君 ぜひお願いをしたいと思っております。利用者の立場からすれば、自分で何が問題なのかわからないから相談に行くわけであって、それこそ行った病院先で専門科の方に回してもらうというのが一番わかりやすいし、またいろんな、倒産事件等を考えても、それぞれの立場の中でやった方が簡便なのかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思っております。
 それで、法人として今度は従たる事務所も設けられるようになります。従たる事務所、もちろん常駐する社員がいてという形になるんですが、法人に対する監督権限というのは日弁連、そしてまた地元弁護士会になるわけですが、何か問題が出たそのときに、主たる事務所の弁護士会と従たる事務所の弁護士会、これは意見が違う場合もあるんだろうと思うんですね、第一義的に。そういった場合はどういうふうに考えたらいいんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) ただいま委員御指摘のように、弁護士法人はそれぞれの事務所の所在地の弁護士会に加入をいたします。したがいまして、主たる事務所の所在地の弁護士会の監督も受け、かつ従たる事務所を設けた場合には従たる事務所所在地の弁護士会の監督も受けることになります。
 ただ、違いがありますのは、主たる事務所の所在地の弁護士会はその法人の活動全般についての監督権がございます。しかし、従たる事務所の所在地の弁護士会が持っている監督権はその従たる事務所の活動にかかわるものに限定されております。
 一応、そういうことで違いはあるわけですが、ただ、主たる事務所の所在地の弁護士会は全般について監督権がありますので、ある特定の従たる事務所の活動についてそこの所在地の弁護士会も監督権を持ち、また主たる事務所の弁護士会も監督権を持つということが当然にあり得るわけでございます。
 したがいまして、懲戒処分を検討するときに、この従たる事務所の活動に関して、そこの所在地の弁護士会が例えば懲戒事由があると考えるのに、主たる事務所の方では懲戒事由がないと考える、あるいはその逆、あるいは懲戒事由があってもその処分の重さが違う、そういうような違いが生ずることは理論的にはあり得ます。実際の問題としては、そういう場合には弁護士会同士連絡をとり合って適切な処理がなされるのではないかと思いますが、ただ理論的には当然違う処分がされることもあり得ると思います。その場合は、法律的にはそれぞれが独立して懲戒処分ができる形になっておりますので、それぞれの処分が適用される、結果的には一番重いものが適用されるということになるのではないかと思います。
 ただ、処分を受ける法人としては日弁連に異議を申し立てることができますので、そういう場合に最終的には日弁連において双方の事件を矛盾なく解決する道は用意されておりますので、そういう形で最終的には矛盾のない処分がなされるのではないかと思っております。
○魚住裕一郎君 今回は法務大臣に解散請求というのができるようになりますね。これはなぜ法務大臣に認めるのか、それをちょっと御説明いただけますか。
○政府参考人(房村精一君) 今回の法案におきましては法務大臣に解散請求の権限を認めております。これは、弁護士法人について設立の方式を準則主義による、いわゆる主務官庁の認可というものにかからしめずに、一定の要件を満たしている場合には登記をすることによって法人を設立することができると。こういう準則主義をとった結果、準則主義が乱用されるというような場合に、その法人を消滅させる最終的な担保として、商法が規定しております解散命令、解散請求の制度を準用するということにいたしたものであります。
 これは、商法の五十八条の解散命令の制度は商法上の会社一般に適用されているわけでありますし、他に有限会社、相互会社、特定目的会社など、税理士法人についても準用されているわけでございますが、そういう広く準用されておりますので、この弁護士法人につきましても準則主義をとったこととの関係上、商法上の解散命令、解散請求の制度を準用したということでございます。
○魚住裕一郎君 それはなぜ法務大臣なのかということなんですよ、やっぱり。それは日弁連会長とかではだめだったんですか。
○政府参考人(房村精一君) 商法五十八条は、「裁判所ハ左ノ場合ニ於テ公益ヲ維持スル為会社ノ存立ヲ許スベカラザルモノト認ムルトキハ法務大臣又ハ株主、債権者其ノ他ノ利害関係人ノ請求ニ依リ会社ノ解散ヲ命ズルコトヲ得」ということにいたしておりまして、この場合の法務大臣は公益の代表者として、要するに法人制度を認めた、その法人制度を無にするような公益に反する事態が生じた場合にはその法人の解散を請求することができるということで、特定の会社に対する監督権を持っているがゆえにこの解散請求をするということではなくて、公益の代表者として解散請求をする、こういう位置づけになっております。したがいまして、例えば他の法律で準用する場合でも、公益の代表者としての法務大臣を特に監督権のある者にかえるというようなことをせずに準用しているのが一般でございます。
 したがいまして、今回も商法五十八条のその趣旨をそのまま弁護士法人にも適用する趣旨で準用をしたということでございます。
○魚住裕一郎君 前もって日弁連の意見を聴取することになっていますね。これは意見が違った場合はどうなりますか。
○政府参考人(房村精一君) 今回の法案におきましては、法務大臣が弁護士法人について解散請求をする場合には、事前に日本弁護士連合会の意見を聞くということとしております。これは、弁護士につきましては基本的に弁護士自治の制度がとられております関係上、まずは弁護士法人が違法な行為をした場合に、その弁護士会において適切に対応するのが最も望ましいということもございますので、法務大臣において解散請求をする場合には、まず日弁連、日本弁護士連合会の意見を聞く。場合によれば、日本弁護士連合会がその際事情を調べて懲戒等の適切な手段をとればそれだけで解散請求の必要はなくなるという場合もございますし、また事実関係を最も把握しやすいのは弁護士会でございますので、その弁護士会の意見を参考にして慎重に判断をしていくということのためにこのような制度がとられたわけでございます。
 基本的に、その意見を述べるに当たっては、適切な調査を遂げた上で御意見をいただけるものと思っておりますので、法務大臣としてもその日本弁護士連合会の御意見を十分尊重しつつ、慎重に判断をしていくということになろうかと思っております。
○魚住裕一郎君 だから、意見が違った場合はどうなるかということです。つまり、一〇〇%日弁連の意見に従うという趣旨ですか、今の答弁は。
○政府参考人(房村精一君) 法律的には意見を聞くということでございますので、拘束されるわけではございません。
○魚住裕一郎君 だから、違った判断もあり得るということですね。
○政府参考人(房村精一君) 法律的にはそういうことになっております。
○魚住裕一郎君 法律の議論をしているわけですからそういうことになるわけで、ここら辺もぜひ慎重に大臣としても御判断をいただきたいなと思っております。
 かつて弁護士会も大政翼賛決議をやって、大変な思いで人権を守り、社会正義の実現を図るという観点でやってきて、その公益を図るという観点で、やはりそれぞれ立場が違う場合もあるわけであって、非国民を弁護したら捕まったというような時代、もう二度と起こしてはいけませんけれども、そのために私は弁護士自治というものがあろうかと思っております。
 これも、今回のこの意見を聞いてというのは、そういう趣旨なんだろうなというふうに思っておりますが、そんな観点からすれば、法文上としては意見が違っても解散請求ができるんだというのはいかがなものかという若干疑念も感じるところでございます。そういうことでよろしくお願いしたいと思っております。
 細かい点になりますが、ちょっと教えてほしいんですが、この常駐支所、従たる事務所の常駐社員の件ですが、これ常駐というのはどの程度常駐なのかといいますか、お巡りさんの駐在さんも自転車で回ることがあるわけで、それは事務所にずっといなきゃいけないということではもちろんないと思うんですけれども、むしろ主たる事務所で会議をやるときは出張するでしょうし、長い場合は一カ月出張ということもあるかもしれませんが、その程度問題はどういうふうに考えたらいいんですか。
○政府参考人(房村精一君) 非常にお答えしにくいことなんですが、ごく抽象的に申し上げますと、ここで言っています常駐とは、社員弁護士がその事務所を活動の本拠として、当該事務所の使用人等がおる場合にはその使用人を実効的に指揮監督することが可能な状態になっている、こういうぐあいに考えておりますが、それはやはり事務所全体の体制等とも関係することでありますので、具体的に例えば一カ月あけたらもうだめだとか、そういう機械的な数字で申し上げるのは難しい。今申し上げたようなこと、具体的なその事務所の事務処理状況とあわせ考えて判断をしていくということになろうかと思っています。
○魚住裕一郎君 先ほどメリットをたくさん挙げていただきましたけれども、また一つとして、弁護士の公益活動といいますか、そういうことにも資するということでありますが、弁護士任官ということも大きな理由だと思っておりますが、弁護士事務所の法人化によって弁護士任官の促進要因になるというふうに思われるところでございますが、最高裁としては見通しとしてはどのようにお考えでしょうか。今までの、なかなか開いてるんだけれども来ないといいますか、そんなお話もありましたけれども、最高裁の期待というものをお聞きしたいと思っております。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御指摘のように弁護士任官はなかなか進まないわけでございますが、その原因もいろいろ考えられるところでございますけれども、一つの原因として、弁護士事務所の共同化が十分進んでいないということが挙げられております。
 その観点では、今回、この弁護士法の改正が実現いたしましてこの問題を打開するきっかけになるということが期待されるのではないかと思っております。
○魚住裕一郎君 法人化それ自体は、弁護士の制度として格段に業務が拡大し、また社会的使命も果たし得るというふうに考えておりますが、いろんな議論の中で、ビジネス化といいますか、金もうけ主義に走ってしまうのではないか。また、いろんな懲戒案件というものもいっぱい出てきているようでございますが、さらに弁護士倫理が問われるような案件がふえていくのではないか、そういう懸念もあったと思うんですが、この点どういうふうに法務当局としては御判断になったんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 今回の弁護士法人につきましては、弁護士が負っております使命、基本的人権を擁護し社会正義を実現する、こういう使命を弁護士法人についても準用するという形で使命を負わせております。そういう意味で、弁護士法人も弁護士と全く同様、基本的人権を擁護し社会正義を実現するために活動していただくということを法律が希望しているわけであります。
 また、弁護士法人制度がとられました場合、弁護士業務の質の向上、あるいは依頼者の地位の安定強化、弁護士活動への対応、弁護士の公益的活動の容易化など、さまざまな効果があるのではないかと思っておりまして、こういうことを通じて弁護士全体として本来の使命を達成する上でプラスになるのではないか。
 もちろん、巨大ローファームというようなビジネスを主とする弁護士事務所もふえてくるだろうと思っておりますが、しかしそれは弁護士に対する社会の需要というものが非常に多種多様なものがあるわけでありますので、多種多様な弁護士事務所が存在するということは、広い意味で弁護士が国民の期待にこたえる上ではプラスではないか。
 また、ビジネスを重視するからといって、もちろん倫理をおろそかにしてもらっては困るわけでありますので、そういう点では、法曹となる者の教育あるいは弁護士会の弁護士、弁護士法人に対する指導監督、こういうことをきちんとやっていただいて、かりそめにも基本的人権の擁護とか社会正義の実現を忘れて営利主義だけに走るということのないような努力は必要かとは思っておりますが、弁護士法人を認めたからそういうことになるということではないだろうと思っております。
○魚住裕一郎君 終わります。
○橋本敦君 本法案と弁護士自治の原則は非常に重要な基本問題でありますから、私もその点について伺っていきたいと思います。
   〔委員長退席、理事石渡清元君着席〕
 まず、わかり切ったことでありますが、弁護士に対する監督は戦前はどこが所管をしておりましたか。
○政府参考人(房村精一君) 広い意味では司法省に属しますが、直接的には裁判所でしたか、ちょっと済みません、私も、監督下に置かれていたということは存じ上げておりますが、裁判所であったのかあるいは検事局であったのか、そこまではちょっと。
○橋本敦君 古い議事録を見ると、法務総裁が監督権を持っていたと書いてあるものもありますね。どっちにしても国にあったということでしょう。
 一九四九年の弁護士法改正当時の国会議事録を見てみますと、その改正の問題について、提案者である花村衆議院議員が、三つの原則の一つとして、「第二は、弁護士会及び弁護士会連合会に高度の自治を認めると共に、自己責任を厳重にしたことであります。これにより従来法務総裁の有した監督権は全く排除されたのであります。」というように提案理由を述べているわけですね。これは非常に重要な戦後の民主的司法のあり方の大原則にかかわる問題でありますが、さらに法律学全集の「裁判法」、これをひもといてみますと、弁護士自治については次のように明確に言っています。「弁護士自治とは、弁護士資格の審査や弁護士の懲戒を弁護士階層の自律にまかせ、またそれ以外の弁護士の職務活動や規律を、裁判所、検察庁または行政官庁の監督に服せしめない原則」である。「弁護士は、基本的人権の擁護および社会的正義の実現をその公的使命とするが、その使命を果すべき職務活動を遂行するにあたっては、検察庁や国の行政部門と対立する当事者の立場に立ち、またしばしば裁判所の行為の批判者の地位にすら立たねばならない。そこで、弁護士がよくその使命を果しうるためには、これらの国家機関による監督や懲戒の圧力を受けないようにし、」「弁護士の自律を認めなければならない。ここに、弁護士自治が要求される根拠がある。」、こうはっきり書いてある。
   〔理事石渡清元君退席、委員長着席〕
 この考え方は、私が先ほどお話をした改正当時の提案理由と全く一致しているわけでありまして、こういう趣旨からして、今後も弁護士自治の原則を尊重するということについては、これは法務省としても全く異論はないはずだと思いますが、法務大臣の御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 弁護士が司法制度の一翼を担いまして、基本的人権を擁護し社会正義を実現するという重大な使命を持っていらっしゃることにかんがみまして、弁護士法では弁護士会及び日本弁護士連合会が十分な自治能力を持たれているということを前提にいたしまして、弁護士に対する指導監督をゆだねております。
 弁護士会及び日本弁護士連合会におかれましては、このような法律の趣旨を十分に踏まえていただきまして、弁護士に対し適切な監督指導をしていただいているものと期待しております。
○橋本敦君 そういう弁護士自治の原則とこの法案との関係ということで、先ほども議論になりましたけれども、この法案の三十条の二十四第二項で、裁判所に対して解散命令を法務大臣が請求しようとするときは「あらかじめ、日本弁護士連合会の意見を聴くものとする。」という規定があるわけですね。この規定が設けられた趣旨は、法務省どういうように解していますか。
○政府参考人(房村精一君) 先ほども申し上げましたけれども、弁護士法人につきましては、弁護士と同じく弁護士会及び日本弁護士連合会の会員となってその指導監督に服するものとされております。その結果、弁護士法人が非違行為をした場合にはその弁護士会及び日弁連がその懲戒を担当するということで、弁護士自治の中に弁護士法人も入っております。
 また、弁護士法人による業務遂行の実情につきましては、日弁連が最もよく把握し得る立場にあるということから、法務大臣が弁護士法人の解散命令を請求しようとするときには、あらかじめ日弁連の意見を聞くことといたしまして、日弁連の意見を可能な限り尊重することにより、解散命令請求に係る法務大臣の判断の慎重を期するということとしたものでございます。
○橋本敦君 だから、今説明されたことは、弁護士会が弁護士関係の実情をよく知っているからという事実上の問題を言っただけではなくて、弁護士自治の原則ということを尊重するという上からもこの規定は重要な意味を持つ、こう解して当たり前じゃないですか。
○政府参考人(房村精一君) そういう趣旨でこの意見を聞くということにしております。
○橋本敦君 したがって、この法案の、弁護士会の意見を法務大臣が聴せられて、その「意見を聴くものとする。」という規定の意味は、私が指摘をした弁護士自治の原則からいって非常に大事な規定である。日弁連も、臨時総会その他の総会、あるいは理事会等を経て、弁護士自治との関係で随分議論をしたんですが、この規定が設けられたということの趣旨を弁護士自治を尊重するということが理念としてはっきり入っているということで了承されているという、そういう議論の経過もあるわけですね。
 したがって、この弁護士会の意見を聞くものとするということについて、法務大臣は実際どのように意見を聴せられるかということについて、この意見をどうされるかということは法の運用としても弁護士自治の原則としても、この理念からいっても大事な問題なんですよ。先ほど司法法制部長は、法律的には意見が違ったらそれはしようがない、意見が違っても法務大臣は解散請求をすることが当然あり得るのが法の趣旨だというように述べられた。それは全く法の形式的解釈ですよ。この三十条の二十四第二項が設けられた趣旨を考えれば、日弁連と意見が違った場合には、その意見を十分尊重して解散請求をしないこともあり得ておかしいわけじゃないんですよ。違いますか、はっきり答えてください。意見が違ったら必ず請求するとは書いてないですよ。
○政府参考人(房村精一君) 私が申し上げたのは、意見が違った場合に必ず請求するというようなことを申し上げたわけではなくて、法務大臣としては日弁連の意見を尊重し慎重に判断をするということを申し上げているわけですから、法務大臣が、自分の意見と違う意見が日弁連から返ってきた場合には、より一層事実関係を慎重に調査して、場合によれば日弁連のおっしゃることの方が正しいということで変えることもありましょうし、中には依然として、それだけ調べたけれどもやはりこちらが正しいと思うこともあるかもしれません。少なくとも法律的には、当然に拘束されるということにはなっていないということを申し上げたわけであります。
○橋本敦君 だから、法務大臣は日弁連の意見を聞いて、解散請求をしない方が妥当であり正しいと考えればしないこともあるということをあなたはお認めになったでしょう。そこが大事なんですよね。しかし、それにもかかわらず、やられることはないとはこの法律上は言えないというような法の解釈で言われた。
 しかし、法の運用としては、日弁連の意見を最大限に尊重するという姿勢でこの法の運用をやってもらわないと、基本的には、弁護士自治を尊重するという原則から見て当然のこととして、弁護士会はそういう理解の上でこの法案に参加し賛成しているわけですから、だから運用の実際として日弁連の意見は法務大臣としては最大限に尊重するという、そういうことが法務大臣のこの法の運用に当たっての所見として私は明確におっしゃっていただくのが当然ではないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 当然、日弁連の御意見を最大限に尊重するわけでございまして、いろいろお話し合いをし御意見を伺い、現実にそういう問題が起こったときには十分そういう手順を重ねまして結論を出すことになると思いますので、現実には最終的に意見が相違するということはほとんど考えられないのではないかと思います。
○橋本敦君 そこで、その前の問題として、援用された商法の五十八条によりますと、解散請求を求める前に警告を出して、そして警告したにもかかわらずその法人が法令違反あるいは定款違反、あるいは刑罰法令に違反する行為があった場合に請求をする、こうなっているんですね。
 そこで、この警告ですが、警告を発するのは法務大臣でしょう。法務大臣は実情を御存じないんだから、この警告を発するについても十分日弁連もしくは当該弁護士会の意見と実情を把握するという必要が私はあると思いますが、いかがですか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、五十八条一項三号の場合には、法務大臣が警告したにもかかわらず違法行為を繰り返したという場合に解散請求をされることとなっております。
 したがいまして、法務大臣としては警告をする以前にそういう違法行為がなされているという認識を持っている必要があることは当然必要となるわけでありますので、そういう弁護士法人の実情について当然慎重な調査が必要となろうかと思いますので、その場合には、実情をよく承知している弁護士会の御意見を伺うということも事情聴取の一環として当然あり得ることだと思っております。
○橋本敦君 当然あり得るのではなくて、聞くべきじゃないですか、法務大臣はわからないんですもの。しかも、この警告というのは、実情をよく知らないで警告したら、業務に対する干渉にもなりかねない。弁護士自治を侵すというおそれもあり得る問題なんですよ。だから、警告を出すということについても、事前に弁護士会の意見をよく聞き、弁護士会の調査をよく知るという手続を法務大臣として、法の運用としておやりになるのが私は法の趣旨として当然だと思いますが、もう一遍答えてください。
○政府参考人(房村精一君) 申し上げましたように、警告をする場合には当然、弁護士法人が違法行為を重ねているということを法務大臣として把握をした上で警告をする必要があることは御指摘のとおりでありますので、その把握をする、ある意味では最も確実な方策の一つとしては弁護士会に実情を伺うということは当然ある話だと思っております。
○橋本敦君 あり得るとか、ある話じゃなくて、必ず聞くべきではないかと私は言っているんですよ。聞かずにやったらどうなりますか、考えてごらんなさい。
○政府参考人(房村精一君) ですから、その実情を把握するために弁護士会から意見を聞くということが、当然通常の処理になるだろうということでございます。
○橋本敦君 当然あるということですね。
 そういうようなことで、弁護士自治の原則を大事にしながらこの法の運用をぜひやっていただきたいんですが、念のために聞いておきますが、この商法五十八条で法務大臣が、一般民間会社の関係でしか今まではなかったんですが、解散命令を裁判所に請求した事例はあるんですか。
○政府参考人(房村精一君) 従来、そういう請求をした事例はございません。
○橋本敦君 したがって、法務大臣の請求で法人に対する解散命令を裁判所が出した事例もないわけですね。
○政府参考人(房村精一君) 法務大臣からの請求がございませんので、法務大臣の請求に基づいて解散命令が出されたこともございません。
○橋本敦君 この五十八条というのはそういう規定なんですよ。だから、わざわざこれをこの法案で持ってこなきゃならぬという現実的必要性やあるいは合理的理由があるのかという立法事情の問題はあります。ありますが、きょうはそこは触れませんが、そういう問題だということで、慎重な運用をお願いして、先の問題に移ります。
 次の問題は、私は被疑者段階の公的弁護制度の導入について伺いたいんですが、これは非常に大事な問題でございまして、日弁連の資料によりますと、当番弁護士制度で苦労しているわけですが、一九九一年は八百八十五件、年々ふえて、昨年は三万九千六百九十件にも増大しています。この数字は、それだけ被疑者段階における弁護活動の必要性、需要性があり、要求があるということを示しているわけですね。
 ジュリストの二〇〇〇年一月一日・十五日号を見ますと、そこで酒巻上智大教授が論文をお書きになって、日弁連と法務省と最高裁の三者の刑事被疑者弁護に関する意見交換会の中で、法務省は、当番弁護士制度の運用の実情などを踏まえ、公的被疑者弁護制度に関する現実的な検討が必要な段階に来ているという基本認識を示されたと、こうありますが、こういう認識をお持ちになっていることは間違いないですか、刑事局長。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま委員御指摘のそういう認識を、意見交換会あるいは国会での御質問等に対してもお答え申し上げてきたところでございます。
 現段階でどう考えているかということを申し上げますと、御案内のとおり、司法制度改革審議会でこの問題、非常に重要な課題として取り上げられております。その最終意見が近く出されるということでございますので、これを踏まえて具体的な検討が必要になると考えております。
○橋本敦君 おっしゃるとおりだと思うんですね。
 その司法制度改革審議会の議論に入る前に、この被疑者段階の弁護人選任というのはこれは実は憲法上の重要な権利ですから、だから最高裁の判例も憲法三十四条の弁護人に依頼する権利については、これは単に被疑者が弁護人を選任することを官権が妨害してはならないというにとどまるのでなくて、被疑者に対して弁護人を選任した上で、弁護人に相談し、その助言を受けるなど、弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきであると、こう最高裁は判示をしている。これは法務省も御存じのとおりですね。だから、そういう意味では実質的に弁護権の保障ということがどう行われていくべきかということが非常に大事になるわけですね。
 したがって、そのことは国際的にも認知をされている理念でありまして、一九九八年の十一月に出された国際人権規約委員会の日本政府に対する最終見解があります。この見解でも、勾留されている被疑者に助言、支援する国選弁護人がいないことを指摘して、「速やかに改革がされるべきことを、強く勧告する。」と、こう指摘していますが、こういう勧告が最終見解として示されたことを法務省はもちろん御存じですね。
○政府参考人(古田佑紀君) 承知しております。
○橋本敦君 この見解に対して法務省として特に異論はない、重要な見解だと受けとめていただきたいんですが、基本的な認識はどうですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり、当省といたしましても具体的に検討を進めていく必要があると考えております。
○橋本敦君 刑事局長がお触れになったように、司法制度改革審議会でもこれは非常に重視をしております。
 去る五月二十一日に公表された同審議会の最終意見案が、いずれ固まりますが、その案の中でも次のように述べております。「被疑者に対する公的弁護制度を導入し、被疑者段階と被告人段階とを通じ一貫した弁護体制を整備すべきである。」、こう述べまして、一貫した弁護体制ということで、被告人には国選弁護制度がある、ところが被疑者にはない、これは一貫した制度として検討すべきだということをはっきり言っているわけですね。
 実際の実情を見ますと、一九九八年度の刑事通常第一審における終局人員数に対する国選弁護人のついた人員の割合は七二%に及んでおりますから、かなり国選弁護が役立っているし、また機能しているわけです。
 現在、各地の弁護士会では当番弁護士制度をつくって被疑者段階での弁護に力を尽くしておるんですが、それを日弁連の資料から見ますと、各地の弁護士会が行っている当番弁護士制度でも受件件数に対する受任の割合は二〇%を超えているということが報告されていますね。
 こういうことから見ましても、国際的な理念から見ましても、司法制度改革審議会の意見から見ましても、被疑者段階から公的弁護制度を確立するということに向けて、積極的に法務省としても検討をしていただくことが重要になっていると思いますが、法務大臣はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 今おっしゃいましたとおり、司法制度改革審議会におきまして重要な課題の一つとして挙げられております。いろいろ御審議いただいてきたわけでございます。
 法務省といたしましては、近く出されます最終意見を踏まえまして、具体的な検討を進めていきたいと思います。
○橋本敦君 ぜひ検討を進めていただきたいんですが、その上で実情として私が指摘をしておきたいのは、憲法が保障しているこういう重要な権利なんですけれども、現在、弁護士会がやっておりますのは大変な苦労をして運営をしている実情があるんですね。
 日弁連は一九九五年の定期総会で、当番弁護士等緊急財政基金を発足させまして、三年間にわたって全会員から、私どもから月額千五百円の特別会費を議決して徴収しました。九八年の臨時総会では、これをさらに三年間延長することを決めまして、九九年の臨時総会では、予測される支出増に対処するために特別会費を二千二百円に増額して対応しているという、こういう現状であります。
 こういう現状ですから、公的弁護制度を国の責任として予算措置も含めて充実をさせていただくということが本当に人権を守る緊急の我が国の課題になっていると、こう思います。そういう意味で、今大臣が御指摘いただいたように、ぜひこれの実現に向けて御尽力をいただきたいと思うんです。
 このことが本当に必要だというのは、私は人権上重大問題だと思うんですが、岩波書店から出されている「日本の裁判」という本があるんですが、この中で指摘されておりますように、憲法で大事な黙秘権が保障されているんですが、それがしばしば捜査の過程で侵害されることがあるけれども、その理由は捜査段階における弁護制度の不十分さにあるということも指摘しております。捜査段階において被疑者は取り調べを受け、捜査活動でいろいろ検察官からあるいは捜査官から質問されるわけですが、全く法律の知識もありませんし自己防衛はなかなか難しい。こういう段階で決定的に大事なのは、弁護人の依頼、弁護人の意見を聞き、みずからの防御権をしっかり守るということでありまして、ここのところがなおざりにされますと、いわゆる代用監獄制度とも相まって、意に反する自供を強要され、それが冤罪に結びつくという重大な危険も起こってくるわけです。
 したがって、我が国刑事司法制度を、本当に人権を擁護する、そういう建前からいきましてもこの問題は私は非常に大事な問題であって、司法制度改革審議会が提起するのは当然でありますし、この問題については、最終意見が出ましたら、ぜひとも法務大臣はそれをしっかり受けとめていただいて、予算措置も含めて大変な事業ですけれども、ぜひこの公的弁護制度の一貫した実現に向けて最大限の御尽力をお願いしたいということをお願いして質問を終わりますが、大臣の御所見を承って終わります。
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほども申し上げましたとおり、最終意見が出ましたときには具体的に取り組みを進めていきたいと思います。
○橋本敦君 終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 法人化によって、必要性がどこにあるのか、あるいは具体的に弁護士会自身はどう変わっていくのかが大分わかったような、実はよくわからないような、そんな気がしています。
 法人化によって弁護士事務所が例えばアメリカのローファームのように巨大になっていく可能性というのは、立法者としてはどのように考えていらっしゃるか、再度お願いいたします。
○政府参考人(房村精一君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、アメリカのローファーム、非常に巨大なものがございます。しかし同時に、アメリカにはごく身近ないわゆるホームドクター的なホームローヤーもたくさんいるわけでありまして、法人化がされたからといってすべてが巨大事務所になるわけではないということが一つございます。
 ただ、そうは申しましても、日本においても非常に国際化あるいは問題の複雑化、多様化が進んでおりますので、これに適切に対応するためには大規模な事務所にして専門的な知識、能力を持った弁護士の方々が共同して事件を処理していくという必要性は高まっていると思いますので、この法人化をきっかけに相当大きな事務所も出てくることになるのではないかと、こう考えております。
○福島瑞穂君 過疎地対策として日弁連は公設事務所設置をやっておりますが、この法人化が、やはり国際的な中で巨大なローファームができないと困るというところに主眼があるのか、それとも過疎地対策などの公設事務所的な、採算には関係なく、やはりある程度、支店ではないですけれども、代替が可能なような法人化をやるべきだという、どっちに力点があるのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 法人化の利用の仕方としては、一つは、今委員御指摘のようなアメリカ型の巨大ローファームの方向への法人化の利用というのは当然あり得ると思っております。また同時に、法人化をし、その業務を効率的に処理することによって比較的少額の事件を低廉な手数料で処理し得るという、そういう形の法人化というものも当然あり得るのではないかと、こう思っています。
 アメリカを見ましても、ローファームの中にはそういう一流企業を相手とする巨大ローファームもございますが、同時にいわばスーパーマーケット型のローファームもあるわけでございますので、日本においてもそのような多様な法人化というのがあるのではないか。また、その一環として、ただいま委員から御指摘のあった、そういう過疎地に積極的に支店を出して国民に幅広く法律サービスを提供するような弁護士法人というものも可能になってくるのではないかと、こう思っております。
○福島瑞穂君 将来、この法人化をやったらどうなるのだろうかと思ったときに、例えば銀行の支店のように各地に、高松、札幌、広島、福岡といったように、それこそ巨大ローファームを銀行の支店のようにつくっていく、そういうことは考えていらっしゃるのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 一応従たる事務所の設置を可能としておりますので、場合によればそういう全国的なネットワークを持つ事務所というものも生ずるかもしれませんし、そこはまだ私どもも何ともわからないところではあります。
 それと同時に、非常に地元に密着した弁護士の方々もそれは多数活躍をされると思っておりますので、そういう意味で多様な形の事務所がふえていくのではないかと思っております。
○福島瑞穂君 今、例えば地方に行きますと、郊外に大きなスーパーマーケットができておりまして、従来の伝統的な町通りはいわゆるシャッター通りとなって非常に寂れているのですが、巨大ローファームができてネットワーク化されてつぶれていくなんということも、ないかなとは思いますが、その辺は議論はあったんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 法人化した場合に弁護士業務にどのような影響を与えるかということは、いろいろ議論もありましたが、率直に申し上げると、やってみないとわからない面があります。
 ただ、スーパーマーケットや何かと違いまして、弁護士の業務というのは、やはり依頼者と個々の弁護士とが直接顔を合わせて信頼感のもとに仕事をするというところは、これは多分大きな事務所になりましても基本はそう大きくは変わらないと思いますので、いわゆる小売業のような、マスマーケットを対象にするものが他を席巻してしまうというようなことにはならないのではないか。やはり、もちろん大きな事務所もできると思いますが、同時に身近な弁護士の方々も併存をして、それぞれの役割に応じた法的サービスを国民に提供していくということになるのではないかと、こう思っております。
○福島瑞穂君 ロースクール構想が司法制度改革の中で議論がありますが、法人化とロースクール構想との関連はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 今御指摘のように、法曹養成のかなめとして法科大学院が検討されております。ここの法科大学院での教育は、従来の法学部での教育と違って、実務を踏まえた、そういう法曹になる人のための教育ということが考えられておりますので、その法科大学院へは多数の実務家が教員として派遣されることが必要だろうと思っております。
 そういう観点からしますと、弁護士法の法人化が進みますと、その法人の中から法科大学院の教員としてふさわしい人を派遣するということがルートとして確立できるのではないかと思っておりますし、また法人化によって専門分野を持つ弁護士の方々がふえてくれば、そういう専門的講座を法科大学院において設けて早い段階から専門的知識を持った法律家を育てるということも可能になっていくのではないかと、こう思っております。
○福島瑞穂君 先ほど橋本委員の方から弁護士自治についての質問がありました。私もそれを一番実は懸念をしています。戦前は、弁護士会には主務官庁があって、いわゆる国家権力との関係というのがあって、弁護士自治というものが十分なかったということが、弁護士会が戦争に協力していった過程の中で国家総動員体制の中に入っていったのではないかという批判が弁護士会の内部にあり、戦後、弁護士自治という形で、切った形で成立をしていくということになりました。
 衆議院の法務委員会の議事録を見ておりますと、裁判所の解散命令は、法人が形骸化しているとか、あるいは法人形態を乱用しているというような場合などに限られておりまして、弁護士業務のあり方自体を問題にするものではないという答弁がありますけれども、実際、法人形態を乱用するとか法人が形骸化しているというのはどういう場合を念頭に置いていらっしゃるのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 法人が形骸化しているというのは、商法の五十八条にも書いてありますような、業務を行わない、業務を休止しているとか開業しないという場合でございます。それから、乱用といいますのは、基本的には違法な目的で法人格を利用しようというような場合が当然想定されるだろうと思っております。
○福島瑞穂君 主務官庁がないわけですから、ここで解散命令が不当に使われないように強く要望をして、この点についての私の質問は終わります。
 前回、人種差別の問題を、三題ばなしじゃないですけれども、聞こうと思いましてちょっと時間切れになったので、済みません、積み残した分をきょうお聞きしたいと思います。
 富山県でコーランが破り捨てられるという事件が起きております。パキスタン人の経営する中古車販売店にイスラムの聖典コーランが引きちぎられて投げ込まれた事件で、このためにイスラム教徒の人たちが集まって抗議をしているという新聞を読んで大変ショックを受けました。現在、これはどうなっているのでしょうか。
○政府参考人(漆間巌君) お尋ねの事案につきましては、ことしの五月二十一日、富山県小杉警察署員が一一〇番通報により中古車販売店前に赴いたところ、既に現場には何も残っておらず、通報者であるパキスタン人経営者等からコーラン等が破棄されていた旨の通知を受けたものであると承知しております。その後、五月二十四日、小杉警察署にコーラン等の盗難事件の被害届が出されましたので、現在、富山県警察が破棄事案との関連も含めまして所要の体制で捜査を行っていると承知しております。
○福島瑞穂君 捜査の秘密があるでしょうから、なかなか難しいかもしれませんが、現在どのような状況か、もし教えていただける範囲であれば教えてください。
○政府参考人(漆間巌君) いずれにしても、すべての可能性を視野に入れて、現在、富山県警が捜査していると承知しております。
○福島瑞穂君 新聞によりますと、最近ここで外国人排斥を訴える街頭宣伝活動が繰り返されていたというふうにあるんですが、そういう事実はあるのでしょうか。
○政府参考人(漆間巌君) 平成十二年の九月以降、富山県に所在する政治団体、大日本共闘勇義団等が、これまで六回にわたりまして富山において不良外国人を排除せよなどとする街頭活動を行っていると承知しております。
○福島瑞穂君 ことしは人種差別撤廃年でありまして、国連での会議なども予定をされております。人種差別をなくしていくということから見て、やはり非常に人権という観点から問題があるのではないかと思いますが、法務大臣、このようなことについて、イスラムの聖典が破り捨てられるというのは当事者にとっては物すごくショックなことだと思うのですが、そういうことは人権を担当する法務省として、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 今御指摘の件につきましては、私も詳しいことはよく存じません。新聞を拝見しているだけでございますけれども、この問題の背景に外国人に対する差別というような意識があるとすれば大変問題だと思います。法のもとの平等を定めた憲法第十四条や人種差別撤廃条約の趣旨に沿わないものでございまして、人権擁護の観点から看過できないというふうに思います。
 いずれにいたしましても、我が国に滞在する外国人の方々の基本的人権が尊重されるべきことは言うまでもございません。法務省としては、各種の啓発活動によりまして、国民の間に広く人権尊重思想が普及するようにさらに努めていきたいと思います。
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
 外国人の排斥運動などが起きますと、社会の中でもすごく差別的なことがいろいろ起きますので、ぜひよろしくお願いします。
 前回、途中で時間切れになってしまいましたが、産経新聞の五月八日に石原慎太郎さんが「日本よ」というタイトルで文章を書いていらっしゃいます。府中刑務所に外国人が多いという記述については、前回、府中刑務所にはかなり外国人が入っているパーセントが高いことから誤導をしやすいと。つまり、これを読んだ人は、ああそんなに府中刑務所に外国人がいるのかというふうに間違って理解をするということを質問いたしました。
 あと、これは衆議院でも聞かれているのですが、「外国人犯罪検挙数は約三万五千人、内中国人犯罪は一万五千人弱。」となっているんですが、これは事実なのでしょうか。
○政府参考人(島田尚武君) 警察庁の統計では、記事に該当する数字は見当たらないところであります。
 なお、平成十一年中の在日外国人犯罪検挙件数、刑法犯、特別法犯は三万四千三百九十八件で、うち中国人によるものは一万五千四百五十八件であります。
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
 もちろん、私たちも間違って書いたりすることもあるわけですが、誤導、これを読む人は、ああそうか、そのとおりかとやっぱり思うと思うのですね。そういう点については、やはりデータがもし間違っているのであれば、訂正あるいは勘違いしていらっしゃいますよと言うべきではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(島田尚武君) 私どもが新聞の記事等について、それが間違っている等々一つ一つ言うべきかどうかについては、ちょっといかがかというふうに考えます。
○福島瑞穂君 確かにそうですね、どうも変な質問で済みませんでした。
 ただ、もう一つ申し上げますと、この記事がこういうふうになっているんですね。
 知事として初めて警視庁を視察した時いろいろ印象的なものを目にさせられたが、その一つに科学捜査研究所で見た、被害者の割り出しのための死体修復技術の成果があった。見るも無残に顔の皮をすべて剥がれて誰ともつかぬ死体の顔を科学的に分析し、その原形の顔立ちを割り出し、構成しなおして出来上がった想像写真を元に捜査を進め被害者の身元を確認したのだが、被害者は仲間割れした不法入国の中国人だった。捜査の過程でこの被害者が多分日本人ならざる外国人、おそらく中国人だろうことは推測がついていたという。その訳は、何だろうと日本人ならこうした手口の犯行はしないものですと。やがて犯人も挙がったが推測通り中国人犯罪者同士の報復のためだったそうな。しかしこうした民族的DNAを表示するような犯罪が蔓延することでやがて日本社会全体の資質が変えられていく恐れが無しとはしまい。
というふうになっています。
 私は、これは問題だと思うのは、被害者の死体を見て、被害者は中国人に違いないというふうに書いてあるわけですね。そして、調べているうちにやっぱり案の定、被害者も加害者も中国人同士であって、「民族的DNAを表示するような犯罪が蔓延する」ということになっているわけです。
 これは文章ですから、なかなかコメントしにくいかもしれませんが、要するに警視庁に訪れて、科学捜査研究所で見て聞いたという形で、「そうな。」という形で文章になっているんですが、実際こういうことはあったのでしょうか。
○政府参考人(島田尚武君) 平成十一年に警視庁の科学捜査研究所を視察された事実はありますけれども、記事にある死体修復技術に関する視察については確認をできておりませんし、また記事にあるような、警視庁関係者かどうかわかりませんが、発言の事実関係については確認できないところであります。
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
 私は、やっぱりこういう文書を読むとショックを受けるのは、まだわからないのにどこの国の犯罪ではないかと。それが、民族的DNAを表示するような犯罪というふうになっていて、捜査に着手した人たちがこういうふうに言っていたそうなという形になっていると。
 そうしますと、知事自身の、人種差別撤廃条約違反を想起するような発言、その根底にある人種差別的な意識、そういう意識に働きかけるような報告というのが三つ問題としてあるのではないかと思ったわけです。
 警察は、外国人に対する人権への配慮について、これは一般論で構いませんが、どう考えていらっしゃるのでしょうか。
○政府参考人(島田尚武君) 警察活動を行うに当たりまして、人種差別をしないなどの人権に配慮することは当然であります。
 警察では、警察学校及び職場における教育を通じ、人権関係諸条約及び憲法の趣旨を踏まえ、人権に配慮した適正な職務執行が行われるよう警察職員に対する人権教育を推進しているところであります。
○福島瑞穂君 ぜひ、外国人に対する人権への配慮をもっともっとしていただくようによろしくお願い申し上げます。
 それで、人種差別撤廃条約を日本は批准して、人種差別撤廃委員会から勧告が御存じのとおり出ております。その中に、パラグラフの十三で、
  委員会は、高い地位にある公務員による差別的な性格を有する発言、ならびに、とくに、条約第四条(c)の違反の結果として当局がとるべき行政上または法律上の措置がとられていないこと、および当該行為が人種差別を扇動し助長する意図がある場合にのみ処罰されうるという解釈に懸念をもって留意する。締約国に対し、かかる事件の再発を防止するための適切な措置をとること、とくに公務員、法執行官および行政官に対し、条約第七条に従い人種差別につながる偏見と闘う目的で適切な訓練を行うよう求める。
という勧告が出ております。
 重要な点は、日本においてそういう差別発言が出ているという、名前ははっきり勧告ですから出ておりませんが、石原都知事の発言に関してこういう発言の問題点が出ている。それから、重要なことは人種差別撤廃委員会が、「当局がとるべき行政上または法律上の措置がとられていない」ということが勧告として出ているわけです。
 そこで、法務大臣にお伺いをいたします。
 残念ながら、こういう人種差別的な発言が繰り返しされていると。これは人種差別撤廃委員会が勧告をしたことにまさに反するわけですけれども、人権ということを担当される部局の一つである法務省としてどうお思いでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 都知事の御発言というかお書きになったものにつきましては、都知事が都知事という立場で都民の安全ということを重大に考えられて、警視庁あるいは科学捜査研究所ですか、視察され、感じられたことをお書きになったんだろうと思いまして、私からその作文についてコメントするのは適当ではないと思いますが、人権の尊重というのは日本国憲法の大きな柱でございますし、民主政治の基本であるということはもう申すまでもございません。
 ですから、これまでもジェンダーとか民族とか人種とか、あらゆる差別は許されないという観点から人権擁護行政を推進してまいったわけでございますが、今後とも、すべての人々の人権が尊重される平和で豊かな社会が実現されますように、人権擁護行政の一層の推進を図りたいと考えております。
○福島瑞穂君 私は、公務員や都知事や政治家やある程度権力を持つ人間が人種差別的発言を繰り返すことで社会の中にある外国人排外主義をやはり非常に扇動する、あおる結果になってしまうという物すごい危惧を持っております。ですから、これはもう人種差別撤廃委員会が人種差別撤廃条約に照らして非常に懸念を持っていると言っているところでありまして、社会が排外主義的な、あるいは排除的な形にならないように、確かに政治家あるいは首長さんは住民の命を守るということは使命ですけれども、それは人種差別的な意識、人種差別的な発言をもって決してなされるべきではないというふうに考えております。
 うんうんとうなずいてくださっていらっしゃる警察の方は、何か発言がありましたらよろしくお願いします。
 では、ぜひ警察あるいは法務省がもっとこの問題について、人種差別の問題あるいは外国人の差別撤廃などに非常に前向きに取り組んでくださることを期待して、私の質問を終わります。
○委員長(日笠勝之君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
○委員長(日笠勝之君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、松崎俊久君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君が選任されました。
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○委員長(日笠勝之君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 弁護士法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(日笠勝之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(日笠勝之君) この際、理事の辞任についてお諮りいたします。
 千葉景子さんから、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に江田五月君を指名いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会