第151回国会 外交防衛委員会 第12号
平成十三年五月三十一日(木曜日)
   午後一時一分開会
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   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任   
     森山  裕君     大野つや子君
 五月三十日
    辞任         補欠選任   
     大野つや子君     森山  裕君
     櫻井  充君     吉田 之久君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任   
     吉田 之久君     木俣 佳丈君
     高野 博師君     続  訓弘君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         服部三男雄君
    理 事
                佐藤 昭郎君
                鈴木 正孝君
                海野  徹君
                益田 洋介君
                小泉 親司君
    委 員
                北岡 秀二君
                須藤良太郎君
                月原 茂皓君
                森山  裕君
                矢野 哲朗君
                山本 一太君
                依田 智治君
                今井  澄君
                木俣 佳丈君
                齋藤  勁君
                広中和歌子君
                高野 博師君
                続  訓弘君
                吉岡 吉典君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     田中眞紀子君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  中谷  元君
   副大臣
       防衛庁副長官   萩山 教嚴君
       外務副大臣    杉浦 正健君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  津野  修君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   政府参考人
       防衛庁防衛局長  首藤 新悟君
       防衛庁人事教育
       局長       柳澤 協二君
       外務省総合外交
       政策局長     谷内正太郎君
       外務省北米局長  藤崎 一郎君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
〇国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
〇最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための
 即時の行動に関する条約(第百八十二号)の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
〇相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の
 協定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)

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○委員長(服部三男雄君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として吉田之久君が選任されました。
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○委員長(服部三男雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に外務省総合外交政策局長谷内正太郎君、外務省北米局長藤崎一郎君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁人事教育局長柳澤協二君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(服部三男雄君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐藤昭郎君 自由民主党の佐藤昭郎でございます。
 中谷防衛庁長官、御苦労さまでございます。
 時間がありませんので、早速、まず防衛庁設置法について伺いたいんですけれども、これは、防衛計画の大綱、それから中期防、そして新中期防、さらには平成十三年の予算質疑等で我が党は随分質疑を重ねてまいりました。ですから、大枠においては私はこれは妥当な改正だと思うんですけれども、一点だけ。
 防衛庁の防衛白書でもうたわれておりますけれども、我が国をめぐるアジア太平洋地域の軍事情勢、安全保障に対する対応、これは、冷戦がなくなったとはいえ、まだまだ不透明、不安定なものがある。
 例えば中国では、今年度の予算、もうはっきりしましたけれども、十三年連続で防衛予算が二けたの伸び。それから、現に我が国を含むアジア地域を射程におさめる中距離弾道弾、これは七十基配備されていて、それがさらに東風3号から東風21号ですか、こういうふうに近代化されているというような状況。それから、台湾をめぐる情勢。それから、朝鮮半島の情勢を見ますと、対話が行われておりますけれども、軍事的なプレゼンスについては変わっていないという状況。この中で、粛々と既定の計画に従って防衛力をコンパクト化、削減していくという計画がこの設置法なんですね。
 首都圏を防衛する第一師団、これは九千人の常備自衛官がおられると思うんですけれども、これは実に五千六百人に今度減るわけですね、この設置法で。半分近くに減ってしまう。その間、即応予備自衛官をなさるということなんですが、それでも六千人に減る。
 こういう状況の中で大丈夫かなというところが一点あるわけですが、そこら辺について、この設置法に基づく定数削減で我が国の防衛、万全だというところをひとつ長官の方から決意表明していただくと安心が出てくるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(中谷元君) 今回の改正の前提になるのは、新中期防ということでございます。
 この中期防は、今、小泉総理が聖域なき構造改革というふうに言われておりますが、いわゆる防衛庁の構造改革の先取りを考えた合理化、効率化、コンパクト化ということで、定員の削減等もその一環のことでございます。
 国際情勢というのは、先生御指摘のとおり、非常に目が離せない状態でありまして、周辺国の国際情勢につきましても今後とも関心を持たなければなりませんが、最近大きな変化は、やはり冷戦が終わったということで戦いの構図が非常に不安定、不透明になったということと、情報通信や交通の発達によりまして大変大きな情報化に関する現象が社会変化として行われてきたわけでございます。そういう意味で、自衛隊も質的に転換しようということで中期防が策定をされております。
 今回提出しました法律案による自衛官の定数の削減は、この新中期防の方針のもとに、防衛大綱で定められた新たな体制への移行の一環ということでございます。
 そして、第一師団におきましても、地下鉄サリン事件とか非常に予測不可能な事態も起こり得る可能性も出てきておりますので、ゲリラとか特殊部隊の攻撃への対処、また災害、震災等を念頭に置いて都市部での対処を強化した師団に改編すること等に伴うものでありまして、引き続き所要の防衛力の確保が図られるように努めてまいります。
○佐藤昭郎君 次に、長官も所信の方で、我が国の防衛体制、日米同盟の深化、強化、これが基軸になるというお話を伺ったわけでございますが、先般、アーミテージ国務副長官も来られまして、我が国との日米同盟のあり方等についていろいろな意見交換されたと思うんですけれども、その中で国民の方から、あるいは我が党の国防部会の方でも少し見解を伺いたいなと思ったところがBMDですね、弾道ミサイル防衛。
 これについてやや誤った情報が、しっかりした正確な情報が伝わらずに、例えば米国が推進しているNMD、ナショナル・ミサイル・ディフェンスと混同してみたり、それから、我が国が既にBMDに関しては、十一年からNTWD、ネイビー・シアター・ワイド・ディフェンスというようなNMDと違う形のミサイル防衛網について、アメリカとは共同技術研究をスタートしているような情勢の中での今回のアメリカ側のいろんな働きかけがあったと思うんですけれども、こういったアメリカとの最新の情報交換、協議を通じての弾道ミサイル防衛についての我が国としての考え方、対応方針を伺いたいと思うんです。
○国務大臣(中谷元君) 最新は、ことしの五月の初旬にアーミテージ米国務副長官が来日されまして、外務省の担当審議官、局長、また防衛庁の防衛局長等が集まりまして、正式にミサイル防衛構想につきまして説明がございました。
 私が報告を受けている点につきましては、ブッシュ大統領が国防大学で演説をしたミサイル防衛構想をなぞるような、まだ概論の域を脱しておりませんし、また、これは決して日本に強要したり押しつけたりするものではなくて、これに対する御意見を聞かせていただきたいというものでございました。
 もう一点は、この構想は、NATO同盟国のみならず、ロシアや中国にも説明をしていくことでありまして、日本に来たのは、その同盟国でも真っ先に日本に話をしたかった、世界で最初にお話をしますという趣旨で来られたわけでございます。
 我が方の方針といたしましては、確かに、ミサイル防衛の必要性につきましては、一九六九年には米ソ二カ国しかミサイルを持っておりませんでしたけれども、一九九九年現在は四十一カ国が弾道ミサイルを持つという非常に世界各国にミサイルの移転と拡散が進んでおりますし、冷戦構造も崩壊をいたしておりますので、米国なりに冷戦時代のソ連を相手にしたミサイル防衛から転換をすることを考えるという点につきましては、理解できるということでございますが、それ以上に、これは各国、ロシア、中国も含めて話をして、きちんと理解をしてもらう努力も必要でもございます。さらに、この具体的な中身がいかなるものであるのか、これはさらに日米間でよく話し合いをさせていただきたいというようなことで終わっておりまして、今後とも各国の状況等も判断しながら、米国とも協議をしていくという方針でございます。
○佐藤昭郎君 内閣法制局長官、御苦労さまでございます。
 小泉内閣ができてから大変お忙しいというふうに伺いますが、三月二十二日にもおいでいただいてお答えいただいたんですけれども、集団的自衛権について法制局と防衛庁長官に伺いたいんです。
 三月二十二日の質疑で、私、いわゆる憲法九条の政府解釈、これは過去にも歴史的にやっぱりいろいろ変わってきているんじゃないか、そして内閣法制局としては、みずからが解釈について主導的に変えていったというよりは、むしろ政治の判断に従って、政府の解釈が述べられたときにそれをフォローしたり追認したりというようなことがやっぱりあったんではないか、これは集団的自衛権に限らず、個別的自衛権の定義、範囲につきましてもそういった動きがあったんではないかと、こういうことを伺ったわけなんです。そのときに、一貫していたというような御発言だったと思うんで、少しきょうは、やはり変わっているんではないかという点について御確認したいんです。
 これは憲法が制定された当時の、例えば、個別的自衛権についての範囲についていろんな帝国議会における議事録等を見ますと、当時の吉田首相の発言も大分現在とは違っている、一九六〇年の安保時と違っているという感じがするわけです。
 一点だけ、ちょっと時間もございませんので申しますと、例えば昭和二十一年六月二十九日には、共産党の野坂参三氏の質問に対して、質問は、「戦争ニハ我々ノ考ヘデハ二ツノ種類ノ戦争ガアル」、「一ツハ正シクナイ不正ノ戦争デアル」、「同時ニ侵略サレタ国ガ自国ヲ護ル為メノ戦争ハ、我々ハ正シイ戦争ト言ツテ差支ヘナイト思フ」、「一体此ノ憲法草案ニ戦争一般放棄ト云フ形デナシニ、我々ハ」、これは共産党はですよ、「之ヲ侵略戦争ノ放棄、斯ウスルノガモツト的確デハナイカ」というような発言に対して、吉田総理は、「戦争放棄ニ関スル憲法草案ノ条項ニ於キマシテ、国家正当防衛権ニ依ル戦争ハ正当ナリトセラルルヤウデアルガ、私ハ斯クノ如キコトヲ認ムルコトガ有害デアルト思フノデアリマス」と、そういうことで、正当防衛権を認めるということそれ自体が有害である、こういうふうに答えられて、ある意味では個別的自衛権を否定したような発言もされたわけですね。
 あと、集団的自衛権のあり方等についてもいろいろなところで、例えば制限的な保有論というのが国会の中で岸総理の方から、例えば基地の提供とか施設の提供、用地の提供、あるいは経済援助というものも含めて、これは集団的自衛権と解すれば言えないこともないというような発言に対して、それをフォローするような、たしか林法制局長官だと思いますけれども、発言もあった。
 こういうことを考えますと、社会的な事実、我が国を取り巻く国際情勢の変化に応じて政治が主導する形で憲法解釈を変えていったときに、法制局としてもそれをフォローあるいは追認したということ自体はあるんではないかと思うんですが、いかがですか。
○政府特別補佐人(津野修君) ただいま二つ例を挙げられて、いろいろ憲法解釈について従来の法制局の見解が一貫していない部分、あるいは政治の方に従った面があるんではないかというような御質問だと存じます。
 最初の方の、これは昭和二十一年の先ほど申されました六月二十九日の衆議院本会議において野坂議員の質疑に対して答弁されておりますが、このときは、先ほど先生がおっしゃられたような「近年ノ戦争ハ多クハ国家防衛権ノ名ニ於テ行ハレタルコトハ顕著ナル事実デアリマス」というようなことを言っておられます。
 ただ、その後すぐ二十一年七月四日の、これは衆議院の帝国憲法改正案委員会というのが当時ございましたが、あそこでの林委員の質疑に対しまして、これは吉田総理の答弁でございますけれども、「此ノ間ノ私ノ言葉ガ足リナカツタノカ知レマセヌガ、私ノ言ハント欲シマシタ所ハ、自衛権ニ依ル交戦権ノ放棄ト云フコトヲ強調スルト云フヨリモ、自衛権ニ依ル戦争、又侵略ニ依ル交戦権、此ノ二ツニ分ケル区別其ノコトガ有害無益ナリト私ハ言ツタ積リデ居リマス」というような、先ほどの答弁を修正した答弁をされておるわけであります。
 それから、さらに昭和二十六年十月十八日でございますけれども、衆議院の平和安保条約特別委員会におきまして、これは芦田委員の質問でございますが、「私の当時言つたと記憶しているのでは、しばしば自衛権の名前でもつて戦争が行われたということは申したと思いますが、自衛権を否認したというような非常識なことはないと思います。」というふうに答弁しているわけでありまして、これらの答弁を通じまして吉田総理の真意は明らかになっていると思います。
 したがいまして、吉田総理の真意というのは、自衛権を否定するものではなかったということでありまして、憲法九条は自衛権を放棄していないし、外国からの急迫不正の侵害があったときに、それを排除して我が国土、国民を守るための必要最小限度の武力行使は許されるという現在の政府解釈というものと矛盾はしていないというふうに一つは考えているわけであります。
 それから、もう一つの集団的自衛権の関係でございますけれども……
○佐藤昭郎君 それはちょっと、いいです、時間がもう二分しかないので、済みません。またゆっくりとやらせていただきます。申しわけない。
 それで、防衛庁長官に対する質問なんですけれども、先般の二十九日のこの委員会において、例えば田英夫先生の質問にお答えになって、やはり集団的自衛権を憲法上行使するのを禁じているということに対して、実際上いろんなところで問題点が生じているのではないかということに対しまして、やはりPKO四度の経験とか周辺事態における同盟国の援助において不十分な点があるというような言い方でたしかお答えいただいたと思うんです。
 私は、やはり内閣法制局は法制局として解釈されるわけですけれども、そのイニシアチブ、長官は憲法改正によって正面からこれに立ち向かっていくということが私としての考えだとお述べになったわけでございますが、いろんな事態がそれを許さない情勢になる可能性もあるし、ブッシュ新政権になって日米同盟というものに対して、非常に同盟国に役割分担を広く求めてきたときに、現在のような我が国が経済大国、技術大国の中で五十年前と同じような片務的な状況にいることが、結果的には両国民のある意味では意識に悪影響を与えて、この同盟がもろいものになっていく可能性というのは否定できないんじゃないかと思うんです。
 いろんなことを考えますと、この問題はやはり防衛の最高責任者として、実態上あるいは今後行われる……
○委員長(服部三男雄君) 佐藤君、時間が超過しております。
○佐藤昭郎君 もう二分あります。
 これに対して行政庁としてイニシアチブを持って問題提起され、小泉総理も研究というふうにおっしゃっておられますので、これに対して問題提起して国民の理解を求めていくということもやはりやっていただきたいと思います。
 時間がありませんので、簡単に。
○国務大臣(中谷元君) 私は、防衛庁長官という立場としては、実際に部隊を運用していかなければなりません。部隊の運用の根本は、日本国憲法と法律によって定められたことに従って国民から疑念を受けることなく部隊を運用していかなければなりませんし、総理大臣の指導、また国会のシビリアンコントロールのもとに部隊運用をしなければならないと思いますので、時の政府の解釈、見解には忠実に従っていきたいというふうに思っております。
 以上です。
○海野徹君 それでは、防衛庁長官に安全保障問題での基本的な認識の御質問をさせていただきたいと思います。
 今回の改正案なんですが、今から五年前の防衛計画大綱の閣議決定、あるいは中期防衛力整備計画に基づいてこれは計画されてきた。要するに、五年前の閣議決定をもとにしている。そのときにはそのときなりの安全保障上の認識があったかと思うんです。最近はまた、アメリカ、中国軍用機の接触問題、それ以降のいろんなものが尾を引いていますし、あるいは李登輝前総統の来日あるいはアメリカ訪問、あるいは中国とのセーフガードの問題、あるいはブッシュ政権が対アジア政策あるいはミサイル構想を変えてきたというような、非常に目まぐるしく変わっていると思うんですね。
 そういう国際環境の変化の中で、もう一度、安全保障問題あるいは安全保障の環境の変化に対する防衛庁長官の認識のほどをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 御指摘のとおり、常に国際環境を見ながら判断していかなければならないと思いますが、このような長期計画を立てる際に前提とした認識としては、キーワードとしては、依然として不透明、不確実な情勢が続いているということでありまして、極東ロシア軍の量的な縮減傾向、また中国の伸び率一〇%に近い軍事予算の伸び、また北朝鮮のミサイルの量とか核開発の疑惑など、本当に東アジア地域には問題点が未解決のまま残っておりまして、現状におきましても計画を立てた当初の非常に流動的な情勢にあるというふうに認識しております。
○海野徹君 流動的な状況にあるというふうに認識する中で、この法律案というのは、やはりこの法律案どおりでよろしいということですか。
 五年前に閣議決定された大綱に基づいての法律案なんですが、まずはこれでいいという御認識なんですか。
○国務大臣(中谷元君) 基本的には、五カ年計画を昨年の暮れに閣議決定していただいたばかりでありますので、初年度のまだ半年しかたっておりません。基本認識としては、情勢並びに自衛隊の予備自衛官の体制につきましてはこのままで結構だというふうに思います。
○海野徹君 先ほど、軍事的な環境の変化ということで北朝鮮あるいは中国の軍事費の伸びというような話がありましたが、経済が非常にボーダーレスでグローバル化しているということで企業があっちこっち企業の論理で国境を越えて行きますね。そうすると、受け入れる側の国としては、当然企業が企業活動できるような環境を整えようという、そういうようなことがあるわけなんですが、経済面で見た場合、経済のグローバル化で見た場合の安全保障というのは、もう国家単位で考えていくべき時代じゃないと私は思っているんです。
 そういう認識は多分防衛庁長官も一緒だと思うんですが、私は、経済のグローバル化というのは、国家単位での安全保障を考えるということは根拠が非常に希薄になっていくんではないかなと思うんですが、経済面でのグローバル化が進む中での安全保障のあり方というのは、それでは一体どういうような認識を持っていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 確かに、情報とか交通の発達によってさまざまな世界の社会現象が変わりつつあると思いますが、経済の世界は非常に自由経済ということでやりとりが自由にできます。基本的には、自己責任という名のもとに、失敗すれば自分がしっぺ返しを食ってそれで終わる世界ですけれども、国の安全保障につきましては、一体だれが自分の命と財産を守ってくれるか、その責任者は一体だれなんだと聞かれますと、日本の場合は国家がそれを保障しますという名のもとに、みんなそこに集って、やはり国ができる限り安全保障をしてくれるんだというもとにそれぞれの生活をいたしておりまして、経済や情報が流動化したからといって、安全保障に対する責任者というものは、あくまでも国のルールがつくられている限りは国家が最終的に責任を持ってやらなければならないものだと認識しております。
○海野徹君 私が主張させていただきたいのは、国家単位での安全保障というのは、もちろん最終的には自国は自国民が守るということですから、それは当然なんですが、これだけ経済がグローバル化してきますとやはり国際安全保障という面がもっともっと重要になってくるんじゃないか、むしろそれに取ってかわる時代が来たのかもしれないかなという認識を私は持っているんですが、その点はどうなんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) それは、個人的にはおっしゃるとおりだと思います。
 集団的安全保障と申しますか、それぞれの国で自衛を協力し合うという概念と、国連を中心として国際法をつくって、国際ルールの中でそれぞれの制裁行為とか実効の担保を持ちながら安全保障をしていくという体系がまさに理想でありまして、情報化や交通の便などを利用してそういう方向に努力をしていかなければならないという気持ちは持っております。
○海野徹君 先ほど佐藤委員からも集団的自衛権の問題を質問させていただきました。私も後ほどその問題に時間があれば触れたいなと思っているんですが、集団的自衛権というのと集団的安全保障というのは違いますから、私は国際安全保障というのは集団的安全保障の一つだろうと思うんですけれども、そういう中でやはり日米同盟、日米安保というのはまさに中心だと思うんです。
 日本の場合は、防衛庁長官も政府の方々もすべて日米安保体制と言うんですね。アメリカは、特にレーガン政権以降、日米同盟という言葉を使うんですね。その辺の認識の差というのはどこから来ているとお思いになりますか。あるいは、日米同盟というのをレーガン政権以降アメリカが使っているということは、何を、どういう意味が込められてアメリカが使うのかと御理解されておりますか。
○国務大臣(中谷元君) ブッシュ政権におきましては、例えばパウエル国務長官が、アジア太平洋の同盟友好国、特に日本との強力な、強固な関係はNATOと同様アジア太平洋における礎である、アジア太平洋における他のすべての事柄はこれらの強固な関係を基礎とすると述べているように、日米同盟の重要性に関する認識が種々表明をされております。
 アメリカとしては、NATOの同盟もあるし、日本という関係もありましてそういう見方をしているかもしれませんが、我が国におきましても、憲法の解釈では個別的自衛権を持っているという点でしかありませんので、日米安全保障関係は片務性であるという認識のもとにおるわけでございます。
 そういう中で、やはりこの考え方とか言葉が変わってきつつありますが、アーミテージ国務副長官、まだ就任前にお会いしたときに、日本とアメリカの関係は五十年もたって、もう大人と子供の関係ではない、また兄弟の関係でもない、夫婦の関係でもない、成熟した大人の関係であるべきだというふうに言われたことを思い出します。また、これまでのいわゆる役割については、バードンシェアリングという言葉からパワーシェアリングという言葉に変わって、いわゆる責任の分担、日本も責任をきちっと持って果たしてもらいたいというふうに呼び名が変わってきておりまして、日米同盟という言葉の意味を考えますと、まさしく同じ立場で責任を持って同じ仕事をしていくパートナーである、そういうふうな意味があるのではないかなというふうに思います。
○海野徹君 それでは、長官は、これからは日米同盟というお言葉を使われるおつもりですか、それとも従前どおり日米安保体制という言葉で表現されていくおつもりですか。
○国務大臣(中谷元君) 私は、現在の憲法が変わらない限りは集団的自衛権においてまだまだ国民に認められるものではないというふうに思っておりまして、日米安保関係が片務性である以上は日米安全保障条約というふうになるのかなというふうに認識しております。
○海野徹君 じゃ、これからも防衛庁長官としては日米同盟という言葉は使っていかないということですね。そういうことですね、よろしいですね。
○国務大臣(中谷元君) 気持ちとしては同じ気持ちでありますけれども、態勢としてはそこまで整っていないと思っておりますので、日米安保だというふうに思います。
○海野徹君 それでは、先ほども質問が出ておりましたが、アーミテージ・アメリカ国務副長官が来日されていろんな協議をされたと思います。ミサイル関係の防衛構想、新しいミサイル防衛構想が提唱されたやに聞いておるわけなんです。
 日本の場合は、今まで海上配備型上層システムということを共同研究してきたわけなんですが、これとは違ったシステムかと思うんですが、その辺のこれからの研究、あるいは従前どおりにやってきたのでそのまま続けるのか、この新たな提案に対処していくのか。非常に重要な問題を含んでいるんじゃないかと思いますが、どういうような内容の提案がなされて、どういうような協議をされたのか、御答弁いただけるとありがたいんですが。
○国務大臣(中谷元君) 先般、アーミテージ氏が来日されまして、当方と会談を持ちました。
 ミサイル構想におきましては、アーミテージ氏の方から、これは、何らかを決定したり既成事実をもって考えを押しつけに来たものではない、米側の考え方の概要を説明して、日本側の意見も伺って理解を得たいのだという説明がありました。
 これに対して私の方から、米側が大統領のイニシアチブのもとで我が国を初め同盟国と事前に協議を行うことについては大変歓迎をするということと、ミサイル防衛に対する検討と現行の日米共同研究との関係、今御指摘のあった点について聞きますと、ミサイル防衛に関する米側の検討は現在の共同研究に何ら支障をもたらすものではない、すなわち、防衛の構想、ミサイル構想はできても今、日米間の研究には何ら変更をもたらすものでもなくて、引き続き推進をしていただきたいと考えているという旨のお話はありました。
○海野徹君 引き続きということなんですが、これはいろいろなところから、ブッシュ政権になってから新たなミサイル防衛構想が出されたり、あるいは日米同盟の強化ということが非常に喧伝されています。一方、技術的可能性、あるいは費用面からの慎重論が当然従前からあるわけですね。ロシアとか中国あるいはヨーロッパ諸国からのいろんな声もある。
 そういうことを背景にしながら、いま一度お伺いしたいんですが、新たなミサイル構想の提案に対して今後どういうふうに交渉を長官としてはされていく方向なのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 先方もまだ概要を言った段階でもありますし、事実、世界各国にこの話を持ち回って会議も開かれているようなんですけれども、NATOでの意見とかロシアでの意見、中国の意見等も参考にしつつ、来月には首相も外務大臣も訪米をするというふうに伺っておりますし、また、私も近いうちに、このミサイル構想と米国の包括見直しとはどのような考えであるのか、自分なりに、また防衛庁としても確認をするために訪米をいたしたいと思っておりますので、今後さらにこの構想の中身をよく検討し、各国の意見も聞いて考えてまいりたいというふうに思っております。
○海野徹君 それで、先ほど集団的自衛権の問題で若干お話をさせていただきましたが、防衛研究所が防衛戦略研究会議報告書というのを出しておりますね。多分、長官は防衛庁出身でありますから、この問題というのはもう逐一、一字一句そらんじるぐらいに内容がわかるかと思うんですが、この中で、集団的自衛権をめぐる憲法解釈の緩和とか憲法第九条第二項の緩和といったような提案がされています。
 このことについて長官は、我が国の安全保障を考えた場合、この提案については具体的にどんな感想をお持ちなんですか。
○国務大臣(中谷元君) その研究書の内容の趣旨は、一体化論は本当に集団的自衛権に入るかということでありまして、特に後方支援について、例えば食事をつくったり物を運んだり医療をする行為、これは戦闘行動ではないでしょうと。日本がその行動をすることが戦闘地域で行われると、これは戦闘行動となって、まさしく一体化となって集団的自衛権に触れるという解釈でありますけれども、この一体化論においては、確かに激戦のところはそうなんですけれども、やや緩和したところでは許されるのではないかというような研究書だと聞いております。
 これに対する見解といたしましては、一研究機関の発表でありますので、そういう理論もあるのでしょうかなという見解でございます。
○海野徹君 それでは、法律案に若干触れたいと思うんですが、今回の法律の改正案というのは、自衛隊の災害対応や都市におけるゲリラ、テロへの対応、あるいはIT化などの技術変化に対する対応というのが背景として説明されております。
 これは、練馬に司令部を置く陸上自衛隊第一師団の都市部における災害やゲリラ、特殊部隊への対処能力強化を目的に改編するということになっておりますが、これは東京だけが都市部じゃないんですが、ほかの都市への展開というか、ほかの都市のことについてはどういうようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
 また、いろんなこういうような変化をしていきますと、自衛隊のコンパクト化とか効率化ということになると、やっぱり装備そのものの見直しとか中期防衛力整備計画そのものを見直すということも必然的に出てくるんではないかと思うんですが、その点についてはどうなんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) この都市部での対処能力を強化するという性格に部隊を変えていこうという動きは、東京の練馬のみならず、近畿に在住する第三師団、千僧ですけれども、これは大阪周辺であります、このほかの師団、例えば名古屋の守山とか九州の福岡の師団におきましてもこのようなタイプに変えていこうという改編を計画いたしております。
 したがいまして、前回の委員会で海野先生から戦車ばかりでいいのかという御質問がありましたけれども、質的には、都市部におきましてもこのようなタイプの部隊に変えておりまして、質的な転換も進めております。
○海野徹君 前回、戦車の問題をとらえて言ったんですが、今、私も質的な転換というのはわかるんですが、量的にはどうして見直さないんですか。
○国務大臣(中谷元君) 量的にも見直しをいたしておりまして、例えば中期防における戦車の数も、正確な数字ではありませんけれども、千二百両から九百両に三百両落としております。
○海野徹君 今回新たに導入されようとしている予備自衛官補制度というのは、予備自衛官の募集が年々非常に厳しくなってきているという背景があると思うんです。そういう予備自衛官の募集が難しくなってきている理由というのは幾つかあるかと思うんですが、その理由と、それに対する対策としてこれ以外に何か具体的にやっていらっしゃるのか、その点、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 予備自衛官の数が減ってきているという点につきましては、さまざまな社会現象、特に景気の状況等がございます。
 現在、陸上自衛隊において四千七百名の予備自衛官の欠損が生じてございますけれども、主たる理由といたしましては、予備自衛官の主たる採用ソースである自衛官の退職直後の者からの採用数がここ数年減少してきておりまして、職場の事情等のために予備自衛官を退職する者が増加している。この原因は、非常に不景気で、予備自衛官の訓練に行くと会社にいづらくなるというか、そんなに我が社は暇じゃないぞというような感じで、訓練に行きづらくなっているというような理由でその数が減っているんじゃないかなというふうに分析しております。
○海野徹君 わかりました。
 経済的な事情、社会環境ももちろん変化しておりますから、それと今まで自衛隊が果たしてきた役割と社会生活上のメリット、デメリットというのをいろいろ比較していると思うんですけれども。
 それはそれとして、では、公募方針です。公募していますよね。どの程度まで個人情報を把握されて募集されるんですかね。
 この間のオウムの関連のああいうような方々が自衛隊に入っていられるということになると大変恐いなと思うものですから、個人情報をどの程度まで把握されて、あのような事件が起きないような対策を練らなくちゃいけないと思うんですが、その辺のことはどのようにお考えになっていますか。この公募するということの中で当然つきまとうと思うんですよね。
○国務大臣(中谷元君) この予備自衛官補の採用につきましては、現在、一般の自衛官の採用も採用試験、面接等を適切に実施しておりますけれども、この自衛官また学生、事務官の採用と基本的に同じ考え方でありまして、自衛隊法第三十八条に規定する欠格事由の該当の有無など、隊員としての適格性を十分に確認することによりまして予備自衛官補としてふさわしい者の採用に努めていきたいというふうに思っております。
 なお、この三十八条には、次のいずれかに該当する者は隊員となることはできないということで、禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わるまで、または執行を受けることがなくなるまでの者とか、懲戒免職の処分を受け処分された者とか、日本国憲法、そのもとに成立した政府を暴力で破壊することを主張する者とか、そういうふうな規定がございます。
○海野徹君 公募ですから、その辺は非常に微妙な問題がありますから、面接官としての力量が問われる問題ですから、その辺はくれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
   〔委員長退席、理事鈴木正孝君着席〕
 教育訓練の問題に入りますが、陸上自衛隊の新隊員教育訓練課程の前期に相当する五十日間を三年以内に受けるということにされているんですが、その内容をちょっとお聞かせいただくと同時に、その訓練を受けることで、一年以上自衛官として経験を持っている方々に比べて技術的にもあるいは知識の面でも同じレベルまでいくのかどうか。
○国務大臣(中谷元君) 私もそういう隊員教育をしたことがございますけれども、正直に言って、ずっと部内に泊まり込んで長期間訓練を受ける者と都合がつく日にトータル五十日を受ける者のレベルの差は当然あるというふうに思います。
 しかし、この予備自衛官補の一般公募につきましては、予備自衛官として任用した後、例えば防衛招集が行われた場合の後方地域の警備等の職に充てるということで、一般隊員の仕事と区分けをして適時適切にやっておりまして、それぞれの知識、技能、特色を生かして運用するように計画をされております。
○海野徹君 幾つか質問をさせていただきたいと思ったんですが、時間がないものですから、最後に、防衛庁に勤務の経験がある長官ですから、有事法制の整備についてはそれなりにお考えを持っていらっしゃると思うんですが、現時点でどういうようなお考えで、どの程度その作業が進んでいらっしゃるのか。もうあと残された時間が二分しかないものですから、それだけ最後に質問させていただきます。
○国務大臣(中谷元君) 有事法制は、我が国に対する武力攻撃から国民の生命、財産を守るという任務を達成するために必要だと思います。わかりやすく言えば、飛行機でスチュワーデスさんが、シートベルトを締めてくださいとか、たばこを吸わないでくださいとか、機長の指示に従ってくださいとか、それは本当は緊急事態のためのルールなんですけれども、国にとりましても、緊急事態に国民の生命、財産を守るためには法律による決まり、国民との契約が必要でありますので、私は一日も早くこれをつくるべきだと思っております。
 状況につきましては、防衛庁におきましてはもう十五年前から研究、検討を行っておりまして、総理から改めて御指示がありましたので、法律化に向けてさらなる検討を進めておりますが、ほかの省庁、特に厚生省とか外務省とか国土交通省とか、それぞれの現実に有事の際にいろいろと手続が必要になる省庁の部門におきましてはまだまだ検討が進んでいないようでございますので、官邸の方でこの作業を急いでいただきたいなというふうに思っております。
○海野徹君 ありがとうございました。終わります。
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁です。
 最初に、防衛庁長官にお伺いをいたします。
 このことが報道されてから衆議院でも取り上げられていると思うんですけれども、本院でもこの委員会でぜひ防衛庁長官並びに政府の見解についてただしておきたいと思います。
 私の手元に五月十五日付の毎日新聞の夕刊がございます。アメリカの国防総省の委託を受けた有力シンクタンクのランド研究所の「米国とアジア」と題する新戦略報告書、この中で沖縄の米空軍増強、とりわけ空軍基地としての使用ということで下地島空港が挙げられておりますが、最初に、このランド研究所の「米国とアジア」と題する新戦略報告書の概要について教えていただけますか。
○国務大臣(中谷元君) ランド研究所の概要等につきましては、米空軍からの委託を受けてランド研究所が研究した内容でありまして、沖縄の空軍におきまして下地島における訓練をする、また海兵隊を削減するという点等、報道によって承知をいたしておりますが、事実認識関係は以上でございます。
○齋藤勁君 このことでは、国防省からこの報告書についてのコメントとかやりとりはされていないということですか。
○国務大臣(中谷元君) もちろんそうでございます。
 これはアメリカの空軍が委託をしたことでありますし、またアメリカ政府も、アメリカ大統領の指示による包括的国防見直しとの関係はないというふうにコメントいたしておりまして、当然我が国とは全く無関係のものでございます。
○齋藤勁君 そうすると、今後、この報告書が国防省の中で検討され、そして日米の関係で取り上げられ協議の対象になるという性格ではないということでもよろしいんですか、受けとめ方は。
○国務大臣(中谷元君) これは全くアメリカ政府が考えることでありまして、日本でこの問題についてどうのこうのと言うべきものでもございません。
○齋藤勁君 この一月前、四月十七日に沖縄県の伊良部町議会が、自衛隊機の訓練をしてほしい、こういう誘致の決議を全会一致でされていると、またこれも報じられております。
 伊良部町から長官のもとにこの誘致決議以降いろいろ要請活動がされていると思うんですが、要請の内容と、長官はどのようなこれに対する答えをされたのか、明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 地元沖縄県の伊良部町長並びに議会の代表の方が来られまして、自衛隊機の下地島空港への訓練誘致について議会の全会一致で決議をいたしましたということで要望をいただきました。それにつきまして私といたしましても、地元の皆さんがその要望を私に聞かせていただいたという点につきまして、今後地元の意向を踏まえて検討をしていく旨の発言をいたしました。
○齋藤勁君 この空港についてはかねがね、かつて琉球政府時代からいろいろ政府との関係で使用の問題について約束がされているんではないかと思いますが、その経緯を踏まえて御発言をされているのかどうか。それらについては十分承知をされていますよね、いかがですか。
○国務大臣(中谷元君) この件につきましては、昭和四十六年に当時の琉球政府から、同空港を民間航空訓練及び民間航空以外に使用させる意思はない等について日本政府として照会を受け、これに異存ない旨回答しておりますし、昭和五十四年に下地島空港を自衛隊等の軍事目的には絶対使用させない旨の決議を行っております。
 その経緯は十分知っておりますが、事前に私も地図を広げて見てみますと、非常に宮古・八重山地域は海域が広くて、防衛上も非常に重要な地域ではないかと思っております。また、災害とか救援搬送など、緊急事態には那覇から行っているということで、聞いてみますと、一時間近くかけて那覇空港から宮古島まで、また石垣島まで患者搬送をしに行っております。片道一時間です。
 この緊急患者搬送というのは、地元の自治体の要請に基づいて、事故とか災害また病気で地元の病院で対応できない方を自衛隊機をもちまして那覇まで緊急送迎をするということでございますが、この二カ月、四月、五月だけでも先島諸島においては、石垣、宮古、西表また与論島がございますけれども、これだけでも七件ございます。
   〔理事鈴木正孝君退席、委員長着席〕
 また、年間を通じますと、地元の航空基地がいわゆる患者搬送、緊急搬送をするのは年間約百六十件ございまして、これを考えてみますと、那覇から宮古とか八重山に行くのに一時間かかる、そして帰ってくるのにも一時間となりますと、緊急、急病人等が一刻も争うときに、やはりもう少し近くにそういう緊急事態に対して搬送できることができないものかと思いまして、これは地元の御要望または御意思によるものでありますけれども、できるだけお役に立てる活動をしていかなければならないという私の立場からいたしますと、こういうところにも離発着できるものがあれば、さらに国民や沖縄県民の方々にサービスができるんじゃないかと思っております。
 しかし、その前提が、この沖縄の決議がございますので、当然県の管理する空港でございますので、沖縄県を初め地元の皆様方の御要望に沿ってやっていきたいというふうに思っております。
○齋藤勁君 この下地島につきまして、今答弁がありましたように、町の方からの防衛庁に対する自衛隊の訓練としての誘致、これは事実だと思います。
 長官、沖縄県の方はこのことに対して、町議会、この町の動きに対してどういう反応を示しているか、加えて、先ほど冒頭、政府の方としては関知をしないということでのアメリカのシンクタンクの報告書ですが、このことのかかわり合いについて沖縄県議会はどのように反応をされているのか、把握をされていますか。
○国務大臣(中谷元君) 公式的に県からその後、何もお伺いをいたしておりません。
○齋藤勁君 県の方は、民間空港であり、軍事目的の使用があってはならない、空軍は広大な嘉手納基地を抱えており、これ以上の施設は必要ではないということで私はコメントをしているというのを把握しています。
 これよりさきに、自衛隊誘致を県に要請あるいは政府の方に要請のときに、空港活性化、自主財源拡大、那覇空港の過密化などに伴う安全性の向上と増便による観光振興、これが伊良部町側の方の自衛隊誘致の効果として述べられていることだというふうに思いますが、そういうことでよろしいですか。
○国務大臣(中谷元君) その内容につきましては、地元の皆様方が議論してお決めしてこちらに正式にお申し出があると思いますので、そういう認識でおりたいと思います。
○齋藤勁君 四月十七日に伊良部町議会が全会一致で決議をされた。その十日後、四月二十七日、二十八日、それぞれ朝、フィリピンのクラーク基地に向かうということで、沖縄に駐留しています海兵隊の普天間基地から軍用ヘリ、給油機、十三機、合同演習に参加する途中、沖縄県からは自粛要請を行っているにもかかわらず着陸、往路、帰路、こういうことがございまして、これらの在沖米軍機が空港に飛来するのは九八年の緊急着陸以来三年ぶり、給油目的に限ると九二年以来九年ぶり、こういうことになります。あるいは、もう一つは、在沖縄米国総領事が四月二十二日にこの下地島を視察しております。
 長官の答弁では、これはアメリカのシンクタンクがやったことでしょう、日本政府はあくまでも関係ない、そして、これは日米の協議にならないだろうということを言い、しかし、どうも経過を見ている限り、これらの何年ぶりと言われる、しかも最近は緊急着陸した以外にないこの普天間の軍用ヘリ、給油機の着陸というのは、加えて総領事の視察を含めて、アメリカのこの沖縄の全体的な、あるいは第七艦隊ということでもいいでしょうけれども、戦略目的でこのことについて動いているというふうに見た方が当然ではないんですか、いかがですか。
○国務大臣(中谷元君) この飛行場の使用の問題につきましては、これはフィリピンにおける訓練に参加するため、移動途中の四月二十八日、五月十六日に下地島、波照間空港をヘリコプターへの燃料補給のために使用したいということで、沖縄県の条例に基づく所要の書類を沖縄に提出をしまして、その後、県から米軍に使用の自粛要請を行うとともに艦船による代替措置の検討を求めてこられました。それを受けまして米軍は、それを検討した結果、それではとり得る代替措置としては不可能であるということで再度、空港を使用したい旨、米軍から沖縄に伝達をしたものと承知をいたしておりまして、基本的に、そういう戦略の一環があってフィリピンで訓練をされたのかどうか、私も確認のしようがありませんが、これは物の見方の問題だと思います。
○齋藤勁君 フィリピンとの訓練は、訓練で前から計画があったと思います。あるいは、シンクタンクのこれはこれで一つの、急にこの時期に発表されたんじゃないと思うんですが、この下地島に着陸をする、それから在沖米国総領事が視察をするというのは、これは別に偶然ではないと思いますよ、私は。これはやっぱり事実上使用していくということですね。
 それから、総領事そのものが視察をして、当然シンクタンクのこの報告書が出ているわけですから、どういう島なんだろうという地理的な条件と、やっぱり今後については、何も目的なしに物見遊山に来るような観光目的の場所じゃないわけですから、空港へ来ているわけですから。だから、そういう意味では、アメリカ側というのはそういう伏線といいましょうか、そういう流れで来ている。
 片や我が国としては、一方で全会一致で、例えば中谷長官にこの自衛隊訓練誘致を要請した伊良部町長は、自衛隊も米軍もというわけにいきませんよ、我々は自衛隊の誘致をお願いしているんだと。県民は米軍基地の整理縮小を望んでおり、問題外だということを言われているわけで、このこと自体も、これは伊良部町長の誘致、つまりいろんな振興策があると思いますが、オール沖縄県としてトータルで行政と県議会でまだオーソライズしているかどうかというのはわかりません。
 言ってみれば、私は振興という意味で非常に深刻な意味で町の人は考えていると思うんですが、この伊良部町の思いと、そして余りにも巨大な米側の方の戦略、それに伴って我が国の政府、これがどうもちぐはぐですね、こう思えてならないんです。御説明いただけませんか、どういうふうに理解したらよろしいんですか。
○国務大臣(中谷元君) 基本的には、このような問題はまず地元の皆さんの御理解と御要望が第一前提だと思います。したがいまして、下地島空港における我が自衛隊の問題につきましては、地元の皆様方の御要請、御要望、御決定を第一に考えていきたいというふうに思います。
○齋藤勁君 先ほど、アメリカのシンクタンクの報告書であるということで、日本政府としてはあずかり知らないみたいな答弁でございましたが、この間、日米関係のさまざまな安全保障、防衛戦略も含めてそれらのちゃんと歩みを見せて取り組んでいるわけですから、私は何か協議をしていたらとんでもないなんということを言うつもりはないんですよ。それならそれで率直に言えばいいわけで、むしろ後々になって実はそうでしたなんと言うこと自体が一番困ってしまうわけで、何のための日米関係なんですかということだと思うんですね。
 それから、先ほど、繰り返しますけれども、町長は、空港活性化、自主財源拡大、那覇空港の過密化などに伴う安全性、しかも米軍ということについては一切考えていないということで、このことをきちっと踏まえませんと大問題になるということですから、これはやっぱりメッセージを早く米側に伝えなきゃならない。幾ら視察に来たって日本政府の方は考えませんよということを早目に伝えなきゃならない、アメリカ側もちゃんと用意周到でやっているわけですから。その点はいかがですか、だめですよということについて。
○国務大臣(中谷元君) 何事も、地元沖縄の地元の町長さんが代表されての御発言でございますので、そのことを第一に考えて行動してまいりたいと思います。
○齋藤勁君 くどいようですけれども、日本政府としてアメリカ側の方がこのシンクタンク、ランドによる報告書並びにいろいろ視察をされてみても、地元の意向そして日本政府として、米側の方の使用については政府としては考えない、そのことについては米側に伝えるということでよろしいですか。
○国務大臣(中谷元君) 今のところは一切そのようなことは考えておりませんし、米側に対しましても機会を見つけましてお伝えしたいと思います。
○齋藤勁君 何か政府とか大臣がお話しになると、今のところとか何かというまくら言葉をつけられるので、そういうのは全くないというふうに言っていただいた方が、沖縄県民そして私たち国民というのは安心するんですよ。
 また、さらに言えば、今、外務大臣もこちらへ向かっていると思うんですが、私も報告書全文わかりませんが、一部報道ですと、沖縄の海兵隊の削減、撤退するということも報告書の中にいろいろ何かリンクをしているみたいな動きがあるんですね。
 日本政府として、いや、それはこうだということで、いろいろまた拡散をしていくということになるので、これはやっぱり総合的にぜひ分析して対応していただかないと、第二、第三の、また普天間の移設そのものが新たに拡大した動きになっていくというふうに指摘をしたいというふうに思います。
 下地島につきましては以上でございます。
○委員長(服部三男雄君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(服部三男雄君) 速記を起こして。
○齋藤勁君 外務大臣、御苦労さまです。昨日は予算委員会、ありがとうございました。
 さて、きょう午前中、衆議院でも安全保障委員会が開かれまして、大臣も長官も御出席だということで、今、外務大臣がお見えになる前に、私はランド研究所、あるいは下地島、伊良部町の自衛隊機の訓練誘致の問題についていろいろやりとりをいたしました。
 これにも関連をしていく話で、いわゆる海兵隊、そしてまた普天間の移設の問題、十五年使用期限問題。昨日も総理に対しまして、来月訪米される主要な議題として普天間の移設十五年使用期限問題は大きな課題であるということの認識をお持ちですねという質問をさせていただきまして、総理大臣からもそのことは十分踏まえているということの答弁がございました。また、防衛庁長官も、この普天間移設の早期実現につきましては、着任したときの就任の会見でも発言をされていることについても承知をしております。
 外務大臣、最初に私は、外務大臣が何日に行くということを別にずっと追っかけているつもりはないんですが、総理の大体日程がわかった、そして外務大臣もそれ以前に行くということであれば、当然それらの問題が日米間で重要な協議になるということで、外務大臣としての日米会談、カウンターパートを当然やるんでしょうけれども、この普天間移設十五年問題、これはどういう姿勢で臨まれますか。
○国務大臣(田中眞紀子君) お答えする前に、衆議院本会議答弁がございまして遅参いたしましたことをおわび申し上げます。
 普天間の問題ですが、私は就任のころから、できるだけ早くに訪米をして、そしてフェース・ツー・フェースでアメリカが、安全保障の問題ももちろんですけれども、そのほか日本との関係においてどういうお考えを持っているか聞いてみたいということを思っておりましたので、今現在スケジュールの調整をしていただいております。
 そして、普天間の移設の問題でございますけれども、いろいろとやっぱり地元の皆様からの御要望もありますし、それから沖縄県知事及び名護の市長さんからの要請というのもございますので、こうした思いを非常に重く受けとめまして、そして今後、国際情勢の変化に対応しながら、どのようにしてこういう問題に対処していくべきか、できるだけ国際情勢全体が肯定的に変化していくようにもちろん努力をするというスタンスが基本にございますけれども、率直な意見交換をしてまいりたい、かように思っております。
○齋藤勁君 昼の報道で、外務大臣が午前中の衆議院の会議で、沖縄の海兵隊、この撤退等に対してアメリカに、海兵隊の撤退、ハワイあるいはグアム等に配備の転換ができないんだろうか、こういうことを外務大臣として政府に働きかけるということを答弁したということが報じられているというふうに思いましたけれども、これは事実でしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) はい、そうです。事実でございます。
○齋藤勁君 大臣、恐縮ですが、報道のほんのわずかでしか私も承知をしていないので、再度、本院のこの委員会で海兵隊のアメリカ側との協議をする姿勢について詳しく御説明いただけますか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 正確を期するために、ちょっと済みません。
 海兵隊の、きょう午前中申し上げたことですけれども、グアム、フィリピンへの移転、これにつきましては、自由民主党の下地議員から、前回、図を示してのお話があったりするという機会もございまして、沖縄にあらゆる施設が集中してしまっているということ、そして大変大きな負担を沖縄県の皆様に強いているということ、やはり沖縄県の痛みは私たち国民みんなが意識をしなければいけない問題であるというふうに私は思っておりますので、それを踏まえまして、海兵隊の移動、移転というふうな問題ですとか、それからSACOの問題、これはいつも答弁を申し上げているように、最終報告の着実な実施ということでありますけれども、やはり基本的には県民の皆様の負担を軽減するというスタンスでどこまで現実に機能するものか、具体的なケースを出してパウエル長官の御意見を伺ってみたい、かように考えております。
○齋藤勁君 国会の議論の中でも、私自身もこの間、歴代の大臣あるいはいろんな委員会の中でしたことがございます。しかし、どうもガイドライン以降、今の田中外務大臣のような具体的な姿勢については、私は見きわめられませんでした。ある意味では、私は、アメリカと率直に具体的に海兵隊の撤退に向けて、フェース・ツー・フェースという言葉を使われましたけれども、話し合いをされることについては評価をしたいというふうに思います。
 SACO合意がされてもう何年もたちます。本当に深刻に思い、きのうときょうの答弁の中でも十五年問題について、これもまた外務大臣として訪米した際に提起をして話し合ってくるということですから、ぜひこれは、県民というより日本国として、ぜひ忌憚のない意見交換をしながら実現に向けて、これは大臣として発言する以上、単なる話し合いということではなくて、実現に向けてという前提があるということを十分踏まえて交渉に臨んでほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 私もそのように思っておりますし、多くの国民の皆様が思っておられるように、やはり成熟した日米関係というものが、日本の経済力も世界で第二位になりましたし、そして国民の皆様の受益と負担に関する意識も非常に高まってきているというふうに思いますので、そういう皆様の声も踏まえながら、現実問題としてどれだけお話し合いができるのか、全部はかなわないかもしれませんが、少なくとも何を私が外務大臣として負託されて来ているか、そのことについては明確に、胸襟を開いて、まあどのぐらい時間がいただけるのか、先方さんから逆にいっぱいお話しなさるのか、私は無口だからわかりませんけれども、できるだけ頑張って日本のスタンスは伝えてまいります。
○齋藤勁君 今、大臣が来られる前に中谷防衛庁長官とアメリカの有力シンクタンク、ランド研究所の新戦略報告書「米国とアジア」、その中の沖縄の米空軍増強、下地島の使用について私はやりとりをさせていただきました。そのやりとりを大臣、お聞きになっておりませんから飛躍した議論になるかもわかりませんが、この地元の空港を自衛隊の訓練等で使ってほしいと誘致はするけれども、町あるいは県は、米側の方が使うということについては全く考えていないと。このことは政府としても考え方は同じだ、それで長官自身はアメリカにも伝えると、こういう表明を先ほどしていただきました。
 ぜひ長官から、この議会のやりとり、あるいはもう衆議院でも述べられたのかもわかりませんが、外務大臣としても、当然沖縄にかかわることでございますので、このことについて長官と同じ姿勢であるということでよろしいかどうか、伺いたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 直接の耳で中谷長官のお声は伺っておりませんですけれども、私もランド研究所については再三再四あらゆるところで意見を聞かれておりますけれども、これは民間のシンクタンクの考えであるから政府はコメントをしないということではなくて、むしろ、せっかくこういうアドバイスもあるわけですから、これもまたそのように参考にさせていただくというファクターもあると思います。
 ですから、下地島の空港の使用にいたしましても、あるいは海兵隊の先ほど言った削減の問題とか、グアムの空軍基地の増強の話とか、いろいろ具体的に出てきておりますので、このランド研究所のことも頭に入れながら、素直な気持ちで客観的に意見の交換をしたいというふうに考えております。
○齋藤勁君 限られた時間でやりとりしているんで、そして、しかもお二人御一緒でやりとりをしていればよかったんですが、先ほど長官は、これはもう日本政府としてはこの民間のシンクタンクの報告書というのは関係ないことだという、ある意味じゃ突き放した御答弁だったんです。
 私は、突き放しても結構なんだけれども、在沖総領事は視察に行っているんですよ、この下地島の方に。それから、何年も緊急着陸以外使っていないのに、フィリピンへ行くときに海兵隊があそこを、四月二十七日と二十八日着陸して、行きも帰りも使っているんですね、この空港を。だから、シンクタンクだということで突き放せないだろうと、突き放すにしても何にしても、これは日本としてのやっぱり戦略をきちんと持たないと問題ではないかという指摘をし、しかし私たち側のスタンスは、地元、県も日本政府も米側との使用というのは考えていないということについてのコメントをきちっとすべきだということを私は提起したんです。
 そういうことでございますので、どうも今の外務大臣のですと、参考といいましょうか、何も全部向こうに寄るということではないというふうなことも含まれているような気がしますけれども、この書かれていることは我が国にとって非常に重要な、我が国のスタンスと違う思いだと思いますので、そのことをぜひ防衛庁長官と十分調整していただきたいと思います。
 それから、時間の関係がありますので、理事会にお諮りさせていただきまして、私は日米地位協定問題にかかわることで米軍施設の返還問題について一点取り上げさせていただきたいと思います。
 田中外務大臣が着任する前、前大臣、河野外務大臣のときに、横浜の富岡倉庫地区並びに横浜と逗子にまたがる、まあ大部分は逗子市なんですが、池子住宅地区及び海軍補助施設の返還問題について、日本政府の姿勢、米側とのやりとりの状況についてお伺いいたしました。北米局長とは大分時間を費やさせていただきましたし、最後には外務大臣から検討しますということを言っていただいたんです。
 私は、このことをなぜ言ったかといえば、現に使用されている施設についての整理縮小とかという、普天間とかあるいは横須賀の海軍基地であるとか、横田だとか、そういうことを指しているんではなくて、使用されていない状況であるということなのに日米合同委員会に返還について提起をしない、そして、何も一国会議員が返還しろ返還しろと言わなくても、地元の自治体からも議会からも再三返還の申し入れがあるということを私は説明させていただきました。
 日米地位協定の二条、この前はここまでは言わなくても、もう言っても当然承知の上でということで私は発言をしませんでしたけれども、二条の三、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」。日本国に返還しなければならない、目的のため必要でなくなつたときはと。さらに、合衆国は、「返還を目的としてたえず検討することに同意する。」と。日本政府に対して、「施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」というのが現行地位協定の条文の内容です。
 これはまた、私は日米地位協定というのは改定すべきだということでかねがね申し入れ、我が党としては日米地位協定の改定案につきましては政府に提出をしてあります。このことについてのやりとりもございます。
 まず具体的に、理事会にお諮りして御了解いただいたというのは、大きくしたんですが、大臣の方に行っていますね。(資料を示す)全体がどういうところかということでこの大きい写真なんですが、真ん中の海部分の約正方形の部分、そして黄色い点線で背後地、高速道路をくぐりまして大きな土地に入りますが、これは横浜市の港湾局の管理している土地です、黄色い道路部分というのは。前後の土地が、これがいわゆる富岡倉庫地区でございます。
 それから、旧弾薬庫が、今住宅になりましたけれども、池子住宅地区及び海軍補助施設、ちょうどこの緑地の部分の中間部分が今の住宅地区でございます。背後地が緑地でございまして、上部の、赤ではなくて、そちらの方の資料にはブルーの線で囲っていると思いますが、ここは横浜市域分でございます。
 使っているか使っていないか、これは事実なんです。事実を、これは地元も申し上げているから返還の申請をしているんです。ところが局長は、使っているか使っていないか、アメリカが使っているんだというずっと答弁で、使っている使っていると。アメリカが使っている、現実に使っていないんだからということをやりとりいたしまして、またもう一回ぶり返すと疲れますからやめますけれども、最後に当時の外務大臣がこの私の質問に対し、検討しますということで別れている、この委員会の私の質疑の内容でございます。
 きょうは再度、新大臣になりました。私は、地位協定、新しい地位協定に改定してそれに伴って返還を申し入れるということではなくて、現行地位協定の二条の三項に基づいても、現実に使っていない、そして合衆国の方は絶えず検討することになっている。そして、自治体からも申し入れがある。合同委員会に提案をすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 過去のことも含めて、正確を期するために事務方からの答弁でよろしければいたしますが。
○委員長(服部三男雄君) 齋藤委員、質疑時間が来ておりますから、簡潔にお願いします。
○齋藤勁君 委員長、先ほど外務大臣が御到着までの中断された時間がありますので、それをぜひ御検討いただきまして、よろしく進行の方をお願いしたいのと、局長、短時間でお願いいたします。
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。
 地位協定につきましては、今、齋藤委員がおっしゃったとおりの規定でございます。私どもは、この地位協定の規定に従いまして、そしてまたその精神に従いまして対応してまいりたいというふうに思っております。
 御指摘の各施設・区域につきましては、前大臣より、この委員会での国会答弁を受けまして、施設・区域の現状につき調査するよう私どもにも指示があったところでございます。引き続き、私どもといたしましても、関係各省庁とも協議の上、現状を把握しつつ、先ほど申し上げましたように、地位協定に従いましてきちんと対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
○委員長(服部三男雄君) もう質疑時間は終了していますから。
○齋藤勁君 じゃ、一点だけにします。
 私の質問は、具体的に地域名を申し上げているわけなんで、だから、きょうこのカラーコピーとかを理事会の御協議、了解を得て図で説明させていただいたんです。ですから、富岡倉庫地区、池子地区、これらについては具体的に返還の申し入れ、これは地元から出しているわけですから、そのことについて答弁がないというのが一つ。
 それから、もう時間がないということですから、もう一つは、大臣、この間、私どもは地位協定改正を政府にも提出しています。このことについてこの間の議論では、民主党の案もあるというふうな受けとめ方をしているという答弁もございますが、地位協定改正に向けて、大臣、政府としても積極的に取り組んでいくということでよろしいですね、受けとめ方として。
○国務大臣(田中眞紀子君) 地位協定の改定につきましては、とにかく機敏に対応するということが基本だろうというふうに思いますので、運用を改善していくということでございますけれども、それでも効果がなければ改正も視野に入れる、前回もそのようにお答え申し上げたと思います。
○齋藤勁君 局長、さっきのを具体的に言ってください。
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。
 今、御質問のございました池子及び富岡の倉庫地区、この二つについての御質問でございますが、先ほど御答弁させていただきましたとおり、委員御指摘のとおりの地位協定の規定に従いまして適切に対応したいというふうに考えております。
○益田洋介君 防衛庁長官にお伺いします。
 ブッシュ大統領が就任してからアメリカの中国に対する防衛の姿勢、安全保障に対する考え方が大きく変わりました。まず第一には、クリントン大統領時代に凍結していた台湾への武器の輸出を大量に行うことを既に決定しております。加えて、二十六日には、もし中国が台湾を攻撃するようなことがあったならば、武力行使することがあったならばアメリカは防衛する、こういうふうな声明も出しております。
 そして、非常に米中関係、米中台関係が険悪な状況になってきたやさき、昨日、今度は中国軍が台湾海峡を望む福建省の南にあります東山島、アモイの近くでございますが、付近で空軍と戦略ミサイル部隊による総合上陸演習の準備を進めているということが判明しました。これは在日米海軍筋によりますと、スホーイ30とスホーイ27という戦闘機を連係して台湾海峡における制空権の奪取が目的であると。
 非常に険悪な状況に再びなりまして、覚えていらっしゃると思いますが、九六年三月、台湾の総統選挙のときも実弾演習をして、ミサイル演習に続く上陸演習もしました。今回はそれをはるかに上回る規模の上陸演習になると見られているわけでございます。既に東山島には今月中旬には部隊約一万人が到着しておりますし、広東、福建両省からも支援部隊が集結し始めている、こういう事態について防衛庁はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 中国情勢につきましては担当の防衛局長から説明していただきますが、その前のアメリカの中国姿勢の基本認識といたしましては、益田先生御指摘のとおり、アメリカは中国に対してそのような見解を持っているということは私も基本認識を一緒にするものでございます。
 ところが、外交というのは裏腹でありまして、この面で田中外務大臣も御苦労されていますが、公式的な発言とそのリアクションと、またその裏の行動というのは外交の世界の常でありまして、アメリカも台湾関係でそのようなことを言っている反面、台湾は中国の一部であって中台問題の平和的な解決を求めていると言っておりますし、中国は競争相手と言いながらも貿易の相手として経済活動もしています。
 また、米国が中国との建設的な関係を構築する過程は地域の同盟国等にとっても重要でありまして、海南島に飛んでいった米空軍機が分解してアメリカに戻されるという合意があったということは、アメリカ側からも発表されたように、何らかのチャンネルを中国とも持ちながらやっておりますので、この部分も踏まえつつ我が国も対応してまいりたいというふうに思っております。
 中国の最近の情勢につきましては防衛局長から答弁させていただきます。
○政府参考人(首藤新悟君) 益田先生お尋ねの演習の件でございますが、台湾海峡情勢につきましては防衛庁としても従来から関心を持っておりまして、この演習に関する報道はまず承知いたしております。報道などによりますと、中国軍が台湾海峡対岸の福建省南部の東山島付近で陸海空軍三軍による大規模な軍事演習を行う準備を進めていると承知いたしております。
 ただ、これにつきましては、報道によりますと、台湾国防部は金曜日にこの演習がルーチンであるということを述べておりまして、台湾を対象としたものではなく、また、今、陳水扁総統は南米にいらしていますが、総統の外遊とは関係ないということを国防部が述べているというようなことが一点ございます。
 それから去年の場合も、八月の上旬でございますが、やはり南京軍区で十一万人規模の海上演習を実施したことがあるというようなことからいたしまして、私どもとしてもこれはルーチンの演習なのではないかと思っておりますが、ただ、規模は非常に大きいというようなことからいたしまして、引き続き注意を持って見守ってまいりたいと考えているところでございます。
○益田洋介君 まだ防衛庁長官、記憶に新しいと思いますが、北朝鮮からテポドンが青森県の三陸沖、日本の上空を越えて撃ち込まれたという事件がございました。そのとき、日本は何も対抗しなかった、抗議もしなかった。非常にのうてんきなんですよ、日本の安全保障に対する考え方。
 これ演習だ演習だといって日本にまたミサイルが撃ち込まれたらどうするんですか。どのように対応するんですか。
○国務大臣(中谷元君) 我が国の持っている能力すべてを挙げて対応しますが、弾道ミサイルの対処につきましては、早期警戒衛星もなければそのテポドンミサイルを撃つ能力もございません。そういう意味で、現在、アメリカとTMD等の共同研究を進めておりまして、このような問題に対処し得るように全力を挙げて頑張ってまいりたいと思っております。
○益田洋介君 質問通告していないんですが、長官の御意見を伺いたいんですが、防衛庁は今、有事法制について検討されているというふうに認識をしております。その中で、交戦規定、ROEをつくるかどうかについての検討も進められていますか。
○国務大臣(中谷元君) この研究はもう十五年ぐらいかけて行われております。ROE等につきましては、当然シビリアンコントロールと法律を遵守しつつ、部隊が的確な行動をとるということを旨に部隊行動基準を定めるわけでございまして、現在、係る規定に基づきまして、ROE、部隊行動基準の具体的な作成作業を進めているところでございます。
○益田洋介君 九六年の台湾海峡の危機のときに、アメリカは空母を二隻配備しました。もしこれでアメリカが二十六日に明言していたように台湾のために防衛をするんだと言うと、これは周辺事態というふうに考えていいですか。アメリカに後方支援しますか、日本は。
○国務大臣(中谷元君) 台湾等具体的な状況につきましてはさまざまな原因、経緯、また状況が発生しますので、一概に今の時点で周辺事態かどうかということにつきましては総じて言える状況ではございません。
○益田洋介君 事が起こってからでは遅いので、どうか検討してください、今から。
 それから、法案についての質問をさせていただきます。
 陸上自衛隊は大都市周辺の防衛警備計画を見直し中であると。これは今回の中期防の一端でございますが、まずその部隊の改編の目的、特に首都圏でございますが、それから伺いたいのと、第三一普通科連隊が来年三月には神奈川県の横須賀市へ移駐する、この目的は何か。千葉県ではどういうふうな部隊の改編を考えているのか。その点についてお伺いします。
○国務大臣(中谷元君) 後段は防衛局長からお話をさせていただきますが、この改編の目的、理由でありますけれども、近年、情報化並びに冷戦終結における各国の情勢等を勘案いたしまして、防衛計画、新中期防を昨年末政府で閣議決定していただきました。
 それによりますと、五個の師団及び一個の混成団におきまして改編をいたしますけれども、南関東に所在する第一師団につきましては、首都圏に位置するという地理的特性を踏まえて、災害対処、ゲリラ、特殊部隊による攻撃対処等を念頭に置き、都市部で対処能力を強化した師団にことし末に改編するということにいたしております。
 その特性としては、火砲や戦車の重火力を抑制する一方で、新たに高機動車、多用途ヘリコプター等を導入して機動性を高めたこと、市街地戦闘に適した、より機動的、柔軟的な運用を可能とする普通科連隊編成を四個中隊から五個中隊にいたしまして運用単位をふやしたこと、特殊災害や化学テロ等に備えまして、化学防護部隊の機能強化を行う等の改編を行っております。
 他の千葉県等の模様につきましては防衛局長から答弁をさせます。
○政府参考人(首藤新悟君) 三一普通科連隊でございますが、現在朝霞におりますけれども、これは普通の連隊でございますが、これを横須賀の武山に移すと同時に、いわゆるコア部隊と申しまして、平素は定員の二割ぐらい、主として幹部といった中核要員で埋めておりまして有事に即応予備自衛官で満たすという、いわゆるコア部隊として変えまして、これを武山に移転するといったようなことを考えているわけでございます。
○益田洋介君 田中外務大臣に質問をいたします。
 川奈会談でエリツィン大統領と橋本当時の総理が対談をいたしまして、そして一九五六年の日ソ共同宣言の有効性を認めたわけでございます。しかし一方では、外務大臣は、七三年の田中・ブレジネフ会談がこの北方四島の問題解決の原点であると、基本的なスタンスとしてこれをベースにして話し合いをしていくんだとおっしゃっております。
 昨日、日ロフォーラムが開かれまして、そこでロシュコフ・ロシア外務次官がこの川奈宣言というのが今でも有効であり、そして書面で交わされたものなんだから、この段階でも相当ロシアとしては日本に譲歩している、だから日本だけ一方的に、今度政権がかわり外務大臣がかわって、このスタンスを離れることなく、やはり譲り合いの精神が外交の基本であると、こんなことを言っています。
 これについてどういうふうに思いますか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 政府としては、イルクーツクの首脳会談までに達成されてきた、ずっと時系列的にございますが、御存じのことだから復唱はいたしませんけれども、そのすべての達成されてきた成果を引き継いで、北方四島の帰属の問題をまずはっきりとして、そしてその問題がはっきりと解決してから平和条約を締結するというのが一貫した政府のスタンスでございます。
 そして、七三年について申しますのは、このときに初めて、日ソ両国間には解決されるべき戦後の未解決の問題として北方の領土問題があるのだということが確認をされたという意味で、七三年が、お尋ねがあるときに申し上げているということでございます。
○益田洋介君 七三年のこの田中・ブレジネフ会談の結論は確かにおっしゃるとおり。しかし、二島を分けて話し合うということを言われなかった、四島全部が問題であると。それで、書記長はそのとおりだというふうに返答した。それが確認されたわけです。それが今状況が変わってきている、川奈会談から。この点についてはどうお考えですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 北方四島は日本固有の領土でございますから、領土交渉をするときには絶対に原則は曲げるべきではないと思います。したがって、まず四島の帰属の問題があって、それが解決してから平和条約を締結する、これがあくまでも基本です。
○益田洋介君 そうすると、昨年九月の日ソ共同宣言にある歯舞、色丹をまず日本に引き渡す、そして平和条約締結と同時にこれらの島を引き渡すといった手順からは離れたお考えを今、外務大臣はお持ちなわけですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 何ですか。手順から離れた──最後が聞き取れませんでした。
○益田洋介君 手順から離れた、乖離したお考えを今、外務大臣はお持ちなんですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、北方四島の四島の帰属の問題を解決する、それから平和条約を締結するということです。
○益田洋介君 一昨日から外務省は第二次政府開発援助、ODAの改革懇談会を開始して、抜本的な日本のODAの見直しに入ったわけでございます。
 昨日、予算委員会で私は財務大臣に対して、総理が平成十四年度の予算で国債を三十兆に絞り込むんだと言ったので──よろしいですか、外務大臣。
○国務大臣(田中眞紀子君) はい、聞いています。
○益田洋介君 財務大臣はそれに対して、目標はまだきっちりと金額的には立てられないけれども、相当量このODAの総額をやはり削る用意がある、そういう答弁をいたしました。
 基本的な、外務省としてはこれからのODAの援助協力の方針についてどのようなお考えをお持ちか。ソフト面ということももちろんございましょうけれども、あるいはばらまきみたいに多分野にわたるようなことからかなり絞り込んだ目的にするといったようなお考え、そうした基本的なお考えについて伺いたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) この内閣が、財政上も大変厳しいので、今、先生がおっしゃったような状態にあると、そういうことを達成するためにも、我が省としても、ODAの中で余り機能しない、あるいはしていない、あるいは、初めはもちろんよかれと思って始めておりますけれども、時間の経過とともに少し見通し的に暗い問題とかいろいろ派生的な問題が起こってきたことにつきましては、もう一回原点に立ち返って見直しをするという姿勢は必要だと思います。これは私は昨日でしたかおとといでしたか、事務方に、あらゆる面での、特殊法人も含めて、これは別物ですけれども、ODAは特にしっかりと、どの先生からも各党から御指摘もありますので、もう一回原点に立ち返って見直すようにということを指示してございます。
 なお、これについては、ぜひ副大臣が御発言なさりたいとおっしゃっていますので、委員長、御許可があればぜひお願いいたします。
○副大臣(杉浦正健君) 田中大臣にかわりまして、二十三日に立ち上がったんですが、第二次政府開発援助改革懇談会に出席させていただきました。
 そこでも、今、田中大臣が申されたとおり、私の方から、外務省の立場といたしまして、今後のODAのあり方について見直すべきところは見直すと、二十一世紀以降のODAを根本的に見直すという立場でやっていただきたい、小泉内閣としては聖域なく見直すというスタンスでおりますので、あらゆる角度から検討を、広範な側面から忌憚のない議論を行っていただきたいということをお願いいたしました。
 申すまでもなく、日本にとってODAは最も重要な外交手段でございまして、今までいろいろな努力をしてまいったんですが、国益に大いに寄与をいたしております。大臣が御指摘になったように、財務大臣も申されたようですが、厳しい経済財政状況があるわけでございますので、ODAの一層の効率的、効果的実施に努める必要があるということは申すまでもないと思います。
 先生、前々からソフトを重視すべきだというお考えだと承っておりますが、人の協力あるいは技術協力というのは最も顔の見える協力の分野でございます。私も個人的にはそれは最も力を入れるべき分野だと思っておりますので、そういった面も踏まえて検討していただけるものと期待しております。既に第二回も行われましたし、これから回を重ねて御検討いただけるものと思っておる次第であります。
○益田洋介君 例えば医療機器、最先端の非常に高度な、そして高価な医療機器を提供したとしても、それを実際に現地で使いこなせなければ意味がないわけでございますから、そういう面でのソフトと申し上げているので、どうか鋭意検討を進めていただくよう望んでおります。
 それから、外務大臣、お聞きになったことがありますか、ECHELONという通信傍受システム、これはアメリカの安全保障局、NSAが開発しているものでございますが、最近台湾にこれが設置されたことがわかって、目的は明らかに中国と日本だということがわかったわけでございます。ですから、もうこれは他山の石というふうな問題ではなくなってしまったわけです。パラボラアンテナが新型でも十五メートルから十八メートルのあれが必要になって、これは民間通信の傍受用だと見られています。
 二十九日、欧州議会の特別委員会にこのECHELONについての調査報告書が提出されました。問題は、個人や企業のプライバシーを守るかどうか、これは欧州人権憲章に違反するという結論がこの報告書には出されて、関係国の自制を求めるべきだということまで付記されております。
 現在、この報告書が調査結果として発表した該当する基地、パラボラアンテナを設置した基地というのは、アメリカのシュガーグローブ、イギリスのメンウィットヒル、それから日本の三沢基地にもこれは設置されていると、こういう報告、世界十一カ国、十一カ所だと言われております。
 この点についてどういうふうな所見をお持ちですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 私も、きょうの朝刊でしたか、これについて載っているものがあったと思いまして、たしかけさだと思いますが、読んでびっくりいたしましたけれども、でもこの事実関係は正しくはまだ承知しておりませんので、しっかりとフォローアップしていかなければならないというふうに今思っております。
○益田洋介君 イギリスとフランスから参加している欧州議会の特別委員会の委員は、防諜条約の締結をするべきじゃないかというふうな提案もされています。
 ですから、ぜひこれは外交チャンネルで問い合わせて調査をしていただいて、もしそういうことがあるんであれば、三沢の米軍基地にまでそういうものが設置されているんであれば、これは重大な問題ですから、抗議をしていただかなきゃいけないんで、とりあえず、まだいろいろなことでお忙しいでしょうけれども、この件についての調査もお願いしたいと思います。よろしいですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) フォローいたします。
○益田洋介君 ありがとうございます。
 前回の当委員会で私が外務大臣にした質問で、教科書問題がございました。そのときは、大臣、まだそうしたインフォメーションは入っていないというので、先日お渡しいたしました。
 来週の月曜日、六月四日に、一番問題になっている扶桑社の中学の歴史教科書が書店で市販される。それで、採択手続段階で市販されるのは初めてだけれども、法律的には違法ではないわけです。ただ、これは非常に中国と韓国は気にしておりますし、一昨日も官房長官のところに韓国の大使が見えて、大統領の正式な親書を渡して抗議をしたと。きのうも同韓国大使は、FCC、フォーリン・コレスポンデンツ・クラブで講演をして、この点について、非常に日本は責任感がないというような指摘をしている。この点、外務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) このことは、私はたしか五月二十三日ごろの読売新聞の報道で知りましたのですけれども、今おっしゃったように、採択決定前の市販というものを禁止する法令は今のところ日本にはないそうでございますけれども、文部科学省の所管マターとはいえ、教科書の採択というものが制度の趣旨にのっとって適切にやっぱり実施されていくということが望ましいと考えております。
○益田洋介君 具体的には、これから大使と会談を持つとか、それから日本の現在精査している状況を報告するとか、そういうアクションをおとりにならないんですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 文部科学省と、問い合わせをして話し合いをまずしてみたいというふうに思います。
○益田洋介君 ありがとうございます。
 ブッシュ大統領が初めて大統領になってから、六月中旬でございますが欧州を歴訪するというふうに承知しております。十六日に開かれたOECDの閣僚理事会においても、フランスやスウェーデンなどがアメリカをさまざまな点で批判しているというふうに聞いております。逆にアメリカは、特に京都議定書から離脱した問題で非難されたことに対して、欧州諸国はむしろ偽善的だ、できもしないことを批准して締結するのは現実的にそぐわないんだと、こういうふうな反論をしております。
 この点について、実際OECDの閣僚理事会で話し合われた、外務省からも参加されていると思いますが、特にアメリカ批判についての内容について、それを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) OECDの議会というよりも、私はもっと最も直近の情報を自分自身で体験しましたので、それを披瀝してかえさせていただきたいと思います。
 と申しますのは、二十四、二十五、二十六と今月、北京でASEMの会議がありまして、そこに各国の、アジア及びヨーロッパの首脳といいますか外務大臣が集まって会議をやりまして、ワーキングランチとかワーキングディナーとかいうのがありまして、もう缶詰でもってばっちり二日間あったんですが、その中で、日本ももちろんアメリカに対する、この京都議定書の批准の問題、私は発言もいたしました。
 それは本当に外務大臣だけで、通訳もなしで話をするランチのときに、ブッシュ大統領がヨーロッパに見えるというときに、ほかのミサイル防衛の話ももちろんそうですけれども、この京都プロトコールの問題もそうですし、そのほかやっぱり欧州は欧州なりのスタンスでブッシュ大統領と話をしたいというような問題がありました。それから、そういうふうな声をじかに聞いて、ああやっぱりこういうふうに複数であってもフェース・ツー・フェースでもって肉声で話をするということは極めて重要で、問題意識の所在がよくわかると思ったんですけれども、そういう中で、今、委員御指摘のような問題も、一人一人一言、いっぱいしゃべりませんから、短いんですけれども、ファクターとしては感じられました。
○益田洋介君 二十三日に報道官がプレスリリースで、一月二十五日の処分は、これは機密費流用事件をめぐる外務省幹部の処分ですが、国家公務員法に基づく懲戒処分で追加の処分はできないんだという発言をした。このことに外務大臣は非常に立腹されて、きのう三十日に記者会見をやめるようにという指示をされた。しかし、どうしても外務省の記者クラブが週一回の記者会見は続けさせてほしいということで、きのう夕方記者会見を行われた。そのときにこの報道官は、大臣の御判断と指示を仰ぐしかないと、再処分については、あるいは追加処分については。それから、外務大臣からの批判は甘受したいというふうな表現をしたと。
 このいきさつはどういうことかということと、記者会見をお続けになるのかお続けにならないのか、その点を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(田中眞紀子君) 二つ目からお答えいたします。当然続けた方がよろしいと思います。公開性というものは大変大事だと思っていますし、外務省のマターがアカウンタビリティーをもって遂行されるということを国民の皆様に証明するためにもこれは絶対続けるべきだと思います。
 それから、報道官のこと云々につきましては、私は中国に出かける日の晩だったか何か、そのごたごたしている、ばたばたしている最中のことだったんですが、飛行機の中か何かで事務方から説明がありまして、そういうことがあったんだと。私は知らなかったんですけれども、あったという前提で人を介して説明がありました。すなわち、自分はそういうことを言った趣旨ではないんだという報道官からの弁解が入ってきました。それは私はよく意味がわからなかったんですけれども、後で聞きまして、マスコミからそういうふうに言われたから自分は言うべきじゃないことを言ったというふうな弁解だったというふうに、正確じゃありませんけれども、自分はそういうふうな、聞かれたから答えたのであって、聞かれなければ答えなかったというようなことだと思いますが、口頭で飛行機の中で簡単に言われました。
 全体が把握できずにおりましたが、帰ってきてからそのときのメディアの報道ぶり等を落ちついてよく見まして、報道官として、報道官の仕事というのは役所の仕事でありますとか大臣の活動とかそういうものをメディアにプレスリリースして有権者の皆様に知っていただくというのが本来の仕事だと思いますので、そういうことを聞かれたからといってお話しするのはどうかなと私は思いましたけれども。
 それとまた定期的に会見を開くということは別問題ですから、ぜひそれはどんどん定期的に規則どおりやっていくべきものだというふうに思っておりますが。
○委員長(服部三男雄君) 時間を経過しておりますからこの程度で。
○益田洋介君 最後に一問だけ。
 国家公務員法に基づく懲戒処分だから追加処分はできないと、この問題についてはどのように対応されるおつもりですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) あのとき、たしか私の留守中に杉浦副大臣がその件で何かコメントなさっていると思いますし、御本人がおられるので、副大臣からでよろしゅうございましょうか。
○益田洋介君 結構です。
○副大臣(杉浦正健君) 服部報道官からは私が詳しくそのいきさつを聞きまして、それで私のコメントを出したわけでありますが、大臣がおっしゃったとおり、マスコミから質問があったので、国家公務員法上の懲戒処分を取り消して再び処分ができる場合として、法令の違反だとか著しく正義に反するとか、もう一つあったと思いますが、そういう場合には取り消して再処分ができるが、そういうものがない限り同一事実についての再処分はできないという人事院の解釈がずっと定着しておるわけでありますけれども、それを服部報道官が説明されたと。大臣の御意向は伺っていないのでわからないが、そういう原則だということを服部君が記者団に対して回答したということを聞きまして、それはそれなりに妥当な回答であろうというふうに私は申したわけであります。
 大臣としては、今おっしゃられたような経緯で、そのリリースの仕方が、そういう質問があってもその場その場で答えるのがいいかどうかはちょっと報道官のあり方としては問題じゃないかという御指摘もあって、彼なりに先ほどお話があったように反省をしたんじゃないかと、こういうふうに思っておる次第でございます。
○益田洋介君 終わります。
○小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。
 まず、アメリカ軍の横浜市にあります上瀬谷米軍基地と、それから富岡倉庫地区の問題について外務大臣に質問させていただきます。
 先ほど同僚委員も取り上げましたが、この富岡倉庫地区と上瀬谷米軍基地の遊休地問題というのは、これは横浜市の市議会でも外務省に対して要望が出されている問題なんです。
 私、この問題について、一つは、政府質問主意書を提出いたしました。それから二つ目は、四月三日に河野外務大臣に質問いたしました。
 まず一つは、富岡倉庫地区。(資料を示す)
 先ほど同僚委員がパネルを掲げましたので、私もパネルをお見せしますと、先ほどよりちょっと小さいんですが、コンパクトにできておりますが、これを見ましてもおわかりになるように、この富岡倉庫地区は全く使われていない。これがベトナム侵略戦争以降、つまり一九七〇年の初めから使われていない。事実上約三十年間近くにわたって全く使われていないんです。ただ一回だけ使われた。それは、湾岸戦争のときに資材が持ち込まれた。それが九一年であります。そこから九年間にわたってさらにこれは全く使われていない。
 ところが、私がこの問題について質問主意書を出しましたら、政府の答弁書は、依然使われていると。私、こんなでたらめな話はないということを当委員会でも四月三日に申し上げました。
 それからもう一つ、上瀬谷通信基地。(資料を示す)
 この通信基地は、この赤色のところがいわゆるフェンスがあるところなんです、現在。基地そのものはこのような広大な区域であります。この赤い区域しか現在通信基地として使われていない。フェンスの中です。ここにフェンスがあるんですね。
 それじゃ、このフェンスの中は通信基地だけれども、しかし現に外側はもう使われていないだろうと、こういうことで政府質問主意書を提出いたしました。政府の答弁は、いや、実はフェンスの外も通信基地として使用されているんだという答弁でありました。
 私、実際に現地に行って調べましたら、グリーンのところはみんな畑であります。実際に野菜が植わっております、大臣も行かれたらおわかりになるかと思いますが。そういう区域で、白いところは空き地であります。
 私がこういう問題を提起したときに河野外務大臣は、調査をいたしますと四月三日に答弁いたしました。
 まず、北米局長にお聞きしますが、どういう調査をして、私が言っていることが正しくないのか正しいのか、まずその点をお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。
 御質問いただきましたのは二点、富岡倉庫地区及び上瀬谷基地通信施設、この二つでございます。
 私ども、先ほども御答弁申し上げたとおりでございまして、施設・区域につきましては、これは不断にレビューいたしまして……
○小泉親司君 ちゃんと質問に答えていただけませんか。
○政府参考人(藤崎一郎君) その使用目的に従って適切に使用されているか否かということをチェックすべき義務があると存じます。
 これらの施設・区域につきまして、先ほど委員から御指摘がございましたように、地元市議会等公共団体から御要望をいただいているのは事実でございます。
 私ども、これらの施設・区域につきまして地位協定の基底精神に従って適切に対応してまいりたいというふうに考えておりますが、これらの地域がどういうふうに使われているかということについて、河野前外務大臣が四月三日の外交防衛委員会、当委員会におきまして、小泉議員の質疑に対しまして、調査するというふうに答弁したわけでございます。
   〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕
 私どもは、その後、前外務大臣からも、これらの施設・区域の現状を改めて把握するようにというふうに指示を受けておりまして、関係省庁と協力しつつ現状把握に努めまして適切に対処するということとしたいと考えております。
○小泉親司君 したんですか、しないんですか。それ一言だけでいいです。いろんな御託宣は要りません、一言だけで結構であります。
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。
 先ほど答弁申し上げましたとおりでございまして、しているところでございます。
○小泉親司君 外務大臣、私、お話ししましたように、四月三日にお話ししたんです。約二カ月なんです。横浜市は総武線で行ったって三十分。実際に私がこのように提起しているのがなぜ二カ月もかかるのか。
 おとといも外交機密費の問題で質問しましたら、外務大臣も、持ってこい持ってこいと言ったって持ってこないと。私、こんな姿勢で、しかも政府答弁書で、私が提出しているのに、これは依然使われていると。富岡倉庫地区は三十年近くにわたって使われていないと多くの住民がそう思っておるわけですよ。実際に富岡倉庫地区で、この前も私申し上げましたが、この富岡倉庫地区は地域のお祭りのときの駐車場になっているんです。米軍基地なんて全然使っていないんですよ。それを何で二カ月にもわたっているのに、これを調査して、使われているかいないかと。私は返還するかしないかとアメリカ軍の意思を問えと言っているんじゃないんですよ、調査するかしないかと。まず、私が言っていることが間違っているのかどうなのかということについて外務省は調べたのか、調べる必要があるんじゃないかということを申し上げて、河野外務大臣が調査しますと言われたわけです。
 こんなことだったら、外交機密費ばかりの問題じゃなくて、外務省の威信にかかわりますよ、これは。そういう点について私は田中外務大臣に、しっかりと調査をして、もし使われていないというのであれば、アメリカに対してきちんとただすべきだ、返還を要求すべきだというふうに私は思いますが、その点、外務大臣に──いや、もう北米局長は要らないです。外務大臣にお尋ねいたします。
○国務大臣(田中眞紀子君) 有事のときに必要であるとかなんとかいろいろ理由があるのかもしれませんが、私もちょっと伺いたいんですが、河野前大臣に四月三日に聞いたとおっしゃいましたね。その後、委員会はなかったんですか。何で河野大臣にもっととっちめてお聞きくださらなかったんですか。
○小泉親司君 その前に私の質問に答えてくださいよ。調査をして、しっかりと調査をして……
○国務大臣(田中眞紀子君) 聞くように申します。聞いてください、北米局長に。ここで申しましたから、後ろに聞いてください。教えてください、私にも。
 時間が何でこんなにかかるのか、私もわからないんですよ。今おっしゃいましたように、日本共産党さんと自由民主党の見地が違うだろうということはわかりますけれども、それにしても、そういう御意見が出たら、国会が機能的であるためには、それに対して問い合わせるということはすぐできるわけですから、だれか飛んでいくとか、そしてだめだったら政府の責任において、やっぱり必要なんだそうですと、これこれこれという理由を明快に言ってもらわないとこれは納得できませんね。
 私は、佐藤先生もこれからお聞きになるのかどうか知りませんけれども、もう疲れました、この機能しないところで。また言うと、批判とかなんとか書かれるのでもごもご言うようにしますけれども、困っております。
○小泉親司君 ですから、調査して具体的に御報告いただきたいと思いますが、それは御了解いただけますね。
○国務大臣(田中眞紀子君) 事務方によく申します。申しました。──お聞きくださいましたね。
○小泉親司君 それでは、しっかりとそれを調査してアメリカに、もし使われていないのであれば返還をすべきだということをきちんと私は要求をさせていただいておきます。
 次に、集団的自衛権の問題について、これは防衛庁長官と外務大臣にお尋ねいたします。
 小泉総理が集団的自衛権を言い始めてからいろいろ論議が行われました。どうも私、この論議を聞いていまして、本当に小泉総理は集団的自衛権ということをわかっておるのかなと。
   〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕
 これは日本の防衛とは違うでしょうと言っておきながら、今度は、日本の防衛とはこれは無関係の事態なんだとか言ったりしまして、憲法を改正する必要があると言ったり、いや、憲法改正について研究するんだと言ったり、さまざまぐるぐる回るので、私、ちょっと防衛庁長官に、集団的自衛権行使というのは一体どういう意味を持っているのか、その点を少し具体的にお聞きいたしますので、池におぼれた人を救うとか、火事場に行った方が隣の消火をやるとか、そういう抽象的な話じゃなくて、具体的にどういう意味を持っているのかということを率直にお答え願いたいというふうに思います。
 まずお聞きしたいのは、これまでの内閣法制局の見解でも、例えば法制局の長官が答弁されておりますが、国際法上、国家は集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利、これが集団的自衛権だというふうな見解でございますが、という意味は、日本が武力攻撃を受けていない、そういう状況のもとでの権利だ、つまり日本の防衛とは直接関係ないものだと。この点はいかがですか。
○国務大臣(中谷元君) 日本には直接武力攻撃はありませんが我が国と非常に密接不可分のある国が攻撃をされて困るということは、日本の防衛にも関係があると思います。
○小泉親司君 これまで、集団的自衛権行使について、衆議院でも参議院でも予算委員会で議論されてまいりました。集団的自衛権の行使という問題では、アメリカがベトナム戦争でこれを集団的自衛権行使だと言ったということは、もう既に外務大臣も参議院予算委員会でお認めになっておられる。さらに、ソ連のアフガン侵攻、チェコ侵攻もこれは集団的自衛権行使の名のもとに行われた。
 アメリカのベトナム侵略戦争を見ますと、このときには南ベトナムの政権、私たちはこれは政権なんというんじゃなくてアメリカがでっち上げたかいらい政権だということを言っておりますが、この南ベトナム政権から日本を含む二十五カ国に対して参戦の要請が来たんですね。これは国会の議事録でも明確になっております、ちょうど田中内閣前後のお話なんですが。こういう要請が来たときに、韓国では実戦部隊を南ベトナム政府の要請に基づいて送りました。フィリピンとタイとオーストラリアは、いわゆる後方支援、補給部隊を送りました。
 ということは、日本がもし集団的自衛権行使が認められるということになりますと、こういうアメリカのベトナム侵略戦争にも法理上は参戦することが可能になる。この点は防衛庁長官いかがでございますか。
○国務大臣(中谷元君) 確かに、ベトナム戦争とかグレナダ侵攻とか、そういうところに日本が参加するということは集団的自衛権であるというふうに私も思いますが、非常に集団的自衛権の意味の幅が広くて、そういうことも集団自衛権であれば、PKO活動において行っている日本の隊員の隣にいる他国の隊員が危険なときに守ってあげることも集団的自衛権になりまして、非常にこれは常識論というか良識論の問題で、アメリカなどは一般国際社会の常識を持って、そういう同じ仕事をしている人に対して、危ないときには守ってあげるというのは人間同士のつき合いで当たり前であるし、国家としてのつき合いも当たり前と考えておりますが、日本は、個別的自衛権を持つということで、そういうことも遠慮してきました。
 ですから、ベトナムとかグレナダに侵攻することは私も反対で、体を張ってそういうことはさせませんが、やはり常識的に、今行っているPKO活動とか周辺事態において、同じ気持ちで同じ目的でやっている人が困っているときには助けてあげてもいいのではないかと。それも集団的自衛権でありまして、すごく幅広いことを同じように議論しているから混乱が生じているというふうに思います。
○小泉親司君 これは一つも混乱していないんですよ。あなた方がごまかしているから混乱しているだけの話で、集団的自衛権というのは幅広いんです、確かに。広いけれども、私が言っているのは、法理上は、アメリカのベトナム侵略戦争、侵略と言わなくてもベトナム戦争、これに例えば南ベトナムの要請が来て日本がそれを受けるということになったら集団的自衛権行使という中身に入るんでしょうと、こういうことを聞いているんです。簡潔にその点をお答え願いたいと思います、防衛庁長官。──いや、防衛庁長官ですよ、私が防衛庁長官と言ったんですから。
○国務大臣(中谷元君) おっしゃるとおり、ベトナムとかグレナダにおいては、国家の名のもとに宣戦布告でもして参加すれば、当然国を挙げての戦争になりますので集団的自衛権そのものだと思いますが、私が言うように、PKOで隣の他国の人を救うとか、日本近海で友好国が攻撃されたときにそれを守ってあげるとかいうのは、国を挙げてという、宣戦布告をして戦争に突入するというんじゃなくて、ごく常識的一般的な、自然的な対応でありますので、そういう点において、国連憲章に書かれている集団的自衛権というのは、私は、国家が戦争の宣言をして堂々と戦うというための集団的自衛権であって、そういう私が今述べたような例とはちょっと意味合いが違ってくるんじゃないかなというふうに思います。
○小泉親司君 そうしたら、集団的自衛権というのは国際法上認められている権利だとあなた方は言っているわけだから、私たちは固有の権利だと思っていないけれども、あなた方は集団的自衛権は固有の権利と言っているわけですから、あなた方の解釈では。ということは、集団的自衛権行使というのは、こっちもあるけれどもこっちもあるんだ、国際法上はこういう問題もあるんだけれどもこういう問題もあるんだ、AもあってBもあってCもある、各国がそれについてCだとBだとAだと、そういうふうに選択できるような権利だとあなたはそういうふうに考えておられるんですか。これは、国際法を全く知らない議論だというふうに思いますよ。どうですか。──いや、防衛庁長官ですよ、防衛庁長官を私が指名しているんですから。
○国務大臣(中谷元君) 当然、国連憲章の中にその二つが書かれていますので、どの国も持っている権利であります。
 しかし、日本の国会の論戦を聞いてみますと、そういう大規模な戦争に参加することも集団自衛権であれば……
○小泉親司君 あるんですね。
○国務大臣(中谷元君) それは集団的自衛権ですよ。であれば、PKOで隣にいる人を助けるということも集団的自衛権という範疇でくくられると、日本は国際社会で尊敬されないというか軽べつされるというか、国連の平和維持活動というのは難民とか飢餓の人を救うという非常に崇高な任務に各国が危険な中で兵士を送っていまして、そういう人を助ける行為まで参加できないということになってしまって、日本は世界から尊敬を受ける国とは呼ばれないんじゃないかなというふうに思います。
○小泉親司君 私、戦争に巻き込まれて、それに自分でみずから出ていって、それはやはり平和じゃなくて、紛争はやっぱり平和的に解決するということをしっかりと外交で据えるということが私は大事だと思います、それはいろいろと議論がありますが。
 私、一つお聞きしたいのは、「THIS IS 読売」で、先ほど衆議院で取り上げられましたからもう防衛庁長官も御存じだと思いますが、山崎自民党幹事長が「私の集団的自衛権考」という論文を出しまして、この論文の中で、集団的自衛権を前提にした朝鮮有事の想定では、防衛大学OBである中谷元・自民党国防部会長代理がケーススタディーをしたんだと。それで、三つに分けたんだと。一つは現行の憲法解釈、法制度から実施が困難なケース、二つ目は実施ができるケース、三つ目はグレーゾーンと、こう分けたんです。
 グレーゾーンを私、読みますと、どうも日米ガイドラインの中で大半は実現できたんじゃないかと思いますが、それは置いておいて、あなたが、現行の憲法解釈、法制度から実施が困難なケース、これは集団的自衛権行使の問題で、「@戦闘行動への参加」、「A米軍の戦闘行動と一体化した支援活動」、「B補給、整備、輸送など戦闘地域での米軍の後方支援」、これを挙げられた。
 ということは、集団的自衛権行使を容認いたしますとこの三つができる、こういうことになりますね。
○国務大臣(中谷元君) ですから、そういうふうなものには日本は参加すべきではないので、集団的自衛権というのは本当に広い概念がありますから、それを認めるにしても、例えば周辺事態に限るとかPKOに限るとか、ある程度の範囲をつけて認めてあげるべきではないかなと。もちろん、今言われた三つの事例等につきましては、集団的自衛権を認めたとしても私はやるべきではないというふうに思います。
○小泉親司君 いや、やるべきじゃない、やるべきだとかという政策論の問題じゃなくて、できるんでしょうと私は聞いているんですよ、あなたは憲法を改正して集団的自衛権行使をやるんだと言っているんだから。集団的自衛権行使ができないのは現行の憲法解釈では三つなんだとあなたはおっしゃっているんですよ。三つなんだから、これを解釈じゃなくてあなたは改正すると言うんだ、解釈じゃなくて改正だと言っているわけですから、改正だと言うのであれば、この三つは実質的に実現できるということになるじゃないですか。それが、何であなたはそれを否定されるんですか。
○国務大臣(中谷元君) 私が申し上げているのは、防衛庁長官として現行憲法を厳密に考えて、当然個別的自衛権の範囲でその法律をつくっていますので、それを遵守し、また総理大臣、また国会のシビリアンコントロールを受けて自衛隊の運用に当たるということでありまして、現行憲法は個別的自衛権しか認めていないので、そういうことはできないという分類に入れていますよね。それで、そうだとすると、非常にガイドラインとかPKOの際に国際的にともに活動する上において支障となるようなケースも考えられるので、そういう常識的な部分は外そうということでそういう仕分けをしたわけであります。
 私の思いは、もうそういう憲法の議論で五十年近くもずっとやってきているような時代はそろそろ終わりにして、中学校や小学校の人も、こういうことはやってもいい、こういうことはやってはいけないということをだれが読んでもわかるような憲法にして、おっしゃるとおり侵略戦争とか戦闘地域で後方支援をするのはだめだとか、そういうものをきちっと書いて、議論をして、わかりやすくすべきだというふうに思っております。
○小泉親司君 だから、私は集団的自衛権についてあなたは全然わかっておらないということを言っているんです。いいですか。
 それじゃ、あなたの下の防衛庁防衛研究所が事務局になられた先ほど取り上げました防衛戦略研究会議の報告、この報告書は国際学者だとかさまざまな方が参加して、確かに民間人の研究機関です。しかし、この中で何と言っているか。「仮に集団的自衛権をめぐる現行の憲法解釈を(部分的にでなく)全面的に改めれば、」、これは解釈論で言っておりますけれども、「全面的に改めれば、自国が攻撃されていなくても、他国から攻撃されている友好国を助けるために戦闘行動も可能になる。」、これが集団的自衛権なんですよ。それをお認めにならないんですかと言っているわけです。
 政策論上でそれはとらない、これはとらないというのは、それはあり得ないんです、そんなことは、集団的自衛権の権利なんだから。そこのところを明確にしてくださいよ。
○国務大臣(中谷元君) ですから、絶対許されない集団的自衛権と、それから実際の現場においてやった方がいい集団自衛権、やる必要がある集団自衛権、そういうものもあるわけであります。その研究書に書かれているように、今の憲法でできるんだと言う人も現実にいるんです。ところが、絶対許されないという共産党の小泉さんのような方もいるわけでありまして、同じ文書からこう思うこう思うこう思うというような議論が行われるということは不幸でありますし、国会の怠慢ではないかと。
 やはり、そういう国民の混乱が起こらないように、この際、できることはできる、やっちゃいかぬことはやっちゃいかぬと、きちっとだれが読んでもわかるような憲法に書くべきだと思いますが、これも私の個人的な意見でありまして、そういうことも含めて小泉総理は研究をするべきだというふうにおっしゃっていると思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 委員長、意見を言いたいんですが、よろしいですか。
○委員長(服部三男雄君) どうぞ。
○国務大臣(田中眞紀子君) 自民党の小泉さんの御意見を共産党の小泉さんに私が少し通訳してさしあげた方がよろしいかと思いまして。
 今のと同じ、関連のことですが、私がいただきました質問も同じものですが、要するに、国際法理論上の集団的自衛権の行使、委員のお尋ねですけれども、これを容認するということは戦闘行動に参加することが可能になると、一言で言うと。それを考えているか否かというお問い合わせがありました、私に対しましても。
 ですから、防衛庁長官と関連しますけれども、これは私は、答えはイエスでありますけれども、しかし、しかしですよ、例えば国会の承認を得られた場合には、そうすれば戦闘行動に参加することが可能になるかもしれません、国会の承認が得られればですよ、例えばですよ。だけれども、今はまさしくそれがどうあるべきかということについて議論をする、研究をするということをしたいというのが小泉内閣のスタンスでございます。
 そして、遅まきながら、私は、もっと早くすればよかったのに、諸先輩は今まで何をやっていたんだろうという思いが深いんですが、衆参で憲法調査会も立ち上がっておりますので、できるだけ早く密度の濃い議論をしていただきまして、そして、今、防衛庁長官がおっしゃるように、こうかあるいはああか、どうなるかわかりませんけれども、多分共産党さんの思っていらっしゃるような結論は導き出されないかと思いますが、しかし、その方に向けて検討しようというのがこの内閣のスタンスである、研究をしたいと。そこのところをよく御理解いただきたいというふうに思います。
○小泉親司君 理解できませんが、私、防衛庁長官にさっきの話に戻しますと、戦闘行動に参加しない、二つ目には武力行使と一体となった行動はしない、戦闘地域での補給、支援その他はしない、これはしないというふうにあなたは考えるわけですね。
 となると、あなたは三つに分けたんですよ、実施できないもの、できるもの、グレーゾーン。グレーゾーンは、事実上、今度の日米ガイドラインで、後方地域支援という形で、戦闘行動と一体とならない後方地域支援ならできるんだと。戦闘地域じゃない後方地域支援ではできるんだと。我々はこんなごまかしは通用しないということをこれまで議論してきたのに、あなた方は、いや、これは憲法の枠内なんだ枠内なんだと言ってきた。ところが今度は、その先のことは知らないけれども、憲法改正は、集団的自衛権はするんだと言ったら、その論理矛盾は一体どうなるんですか。明確な論理矛盾じゃないですか。
○国務大臣(中谷元君) ですから、現行のガイドラインはあくまでも個別的自衛権の範囲内で組み立てられておりますので、それがやるべきことにつきましては法整備をいたしまして、それに従ってやるわけであります。
 しかし、実際の運用につきましては、先ほど先生も表明されたように、本当に役に立つのかと言われれば、いろんな面で問題点も出てまいりますので、それを改善する上においては、きちんとした議論を経て、憲法をきちっと見直すことによって、集団的自衛権に係ることにつきましては、やったらいけないことはやっちゃいかぬ、やってもいいことはやってもいいというようなことをきちっと国民議論を通じてさばきをして、日本の安全保障に支障のないように考えるべきだというふうに思います。
○小泉親司君 ここで、これまでの集団的自衛権の議論では、例えば、これは昭和でいきますと五十六年ですから八一年の議論で、当時の法制局長官が、我が国の認めている個別的自衛権の行使の態様は普通の国よりも狭いんだ、よって、その集団的自衛権については全然行使できないわけなんだ、いわゆるゼロなんだと。しかも、私どもは集団的自衛権は行使できない、それはあたかも持っていないのと同じだと。個別的自衛権の場合と同じように持っているけれども、行使の態様は制限されるものとは本質的にやや違うということを強調しているんだと。
 私たちも、この国連憲章五十一条の問題でも、集団的自衛権行使の問題では、極めて制限されたもので、いわゆる国連の武力行使の原則の本当に例外規定としてつくられたものであって、実際にはこの集団的自衛権行使という問題についてはいささかも日本国の憲法も容認していないわけですから、もともとこの法制局の見解からしても集団的自衛権はゼロだと言っているわけだから、当然それは研究する余地がないわけだから、そこのところは、きちんと今までの法制局の見解に立って、政府のこれまでの見解に立って、私、研究もすべきじゃないということを申し上げておきますが、防衛庁長官、御答弁をお願いします。
○国務大臣(中谷元君) ですから、今ある自衛隊法を初めとする諸法律は個別的自衛権の範囲内でつくられておりますので、そういう運用に徹しておりますので、集団的自衛権に対しては全く疑義があるわけではございません。
 しかし、その憲法においても、前文を読んでみますと、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、」ということで、全力を挙げてこれをやっていこうと書かれておりますが、現実は本当に飢餓とか難民とか紛争によって罪のない人々がすごく苦しんでおります。そういう人を救済するために、他国が出たりNGOのボランティアの方が出ておりますが、難民を助ける人たちもそういう他国の軍隊に守られながら安全な環境の中で、危険の中で仕事をしているわけであって、やはりそういう安全確保をした上じゃないとそういう人たちを救うことはできません。
 ですから、集団的自衛権があるからだめなんだという理屈でいきますと、日本の国際貢献活動も、本当に小ぢんまりとした自国のことしか考えないような形態になっていますので、そろそろもういいかげんに、しっかりとした大人の対応ができる国家になって、世界から尊敬を受け、また自分の自己責任を果たすようなことを考えていかなければならないと思いますので、憲法を改正する、それに対して議論をするというのも一つの道ではないかというふうに思います。
○委員長(服部三男雄君) 小泉君の持ち時間は超過していますが、よろしいですか。
○小泉親司君 やはり先ほども申し上げましたように、この集団的自衛権行使というのは、今の日米ガイドラインの体制のもとで、長官も言っておられるけれども、周辺事態のもとで集団的自衛権を認めるということになると、アメリカと一体となってこういう戦闘行動に出撃できるようになる、ここがやはり一番の私はみそだと思うし、武力行使と一体となって行動すると。
 これは、私が言っているばかりじゃなくて、この防衛戦略研究会議の報告書も、今一番大事なのは武力活動と一体化した支援活動なんだ、ここを突破しなくちゃいけないんだということを言っているわけで、あなたのそういうのは要らない、憲法改正は要らないんだ、集団的自衛権行使のときはそういうのは必要ないんだという議論は、いささか問題をぼやかしたもので、そこのところの点だけ私、申し上げて、時間が参りましたので、また改めて議論をさせていただきたいと思います。
    ─────────────
○委員長(服部三男雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、高野博師君が委員を辞任され、その補欠として続訓弘君が選任されました。
    ─────────────
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。
 法案によりますと、自衛官の定員が削減されることになっております。全体で三千四百九十二人、陸上自衛官の場合は三千五百九十九人の削減となっております。
 これについていろいろの見方があるようでして、いや、これは削減といっても、実員がもう充足率を満たしていないからそれに合わせたまでで、実際は自衛隊の質的強化を図るものだという見方もありますし、そうであるかどうか、逆に、いや、新しい世界的な流れの中で日本でも自衛隊の縮小が始まったんだ、いわば軍縮が始まったんじゃないかという期待を込めた見方もあるようです。
 長官、どうでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 我が国の防衛方針は、防衛計画の大綱というものを定めておりまして、それによりまして独立国として必要最小限度の基盤的防衛力を整備するというのが基本でございます。
 そういう考え方を維持しておりますが、最近IT革命とか情報通信並びに交通の進展によりましてすごい科学技術が発展してきまして従来の考え方を改めなければならない状況になりまして、この中期防におきましては、防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を長期計画で進めていくことにいたしました。
 そういう一連の考え方によりまして今回の法律案によりまして自衛官の定数の削減を行った次第でございまして、冷戦期に大規模な侵略への対応を主眼として蓄積された諸外国の軍事力の削減と同列に論じることはできないと考えております。
○吉岡吉典君 答弁というのはなかなかわかりにくいように行うことができるものだなと思って聞きました。
 安全保障問題を考える場合に、やはり脅威が強まっているのか変わらないのか、あるいは低くなっているのか、こういうことは絶えず論議になるわけです。
 かつて、日本に直接侵略の可能性があるかどうかということが論議になったときに、当時の福田総理は、日本に武力攻撃の可能性があるのは万万万万が一だと、こういうふうに言われて、万が四つ並んだことがありました。福田さんが言った当時に比べて、あるいは八〇年代に比べて今、脅威は強くなりつつあるか変わらないのか、全体として見れば弱くなりつつあるのか、その点はどのようにお考えですか。
○国務大臣(中谷元君) 現状の分析は、非常に科学技術の進展とともに想像を絶するような事態が考えられることもあります。それは安全保障とは別ですけれども、我が国内でも、地下鉄サリン事件等において国内の宗教団体がサリンガスを使うという想像もしないようなことも起こっておりますし、サイバーテロによってコンピューターが混乱しますと、それで社会活動がとまってしまうというようなこともありまして、人類はいつまでたってもそういった予期せぬことに対して備えるということが必要でございます。
 そういう意味では、脅威とは何かということにつきましては、侵略する能力と侵略する意図、これが両方結びついて脅威となるわけでありまして、国の防衛を考えるときに、我が国周辺における軍事能力、これにつきましても、中国は非常に防衛予算も伸ばしておりますし、北朝鮮のミサイルの量も一向に減ってきておりません。そういうことにつきまして、軍事能力の点につきましても、また侵略し得る脅威という面におきましても、的確に国際情勢を判断して考えているわけでございます。
○吉岡吉典君 国際情勢を的確に分析してもらわなくちゃなりませんが、先ほど基盤的防衛力構想だというお話もありました。つまり、脅威対応ではないんだというように防衛庁の文献では書かれておりますね。
 しかし、今もお話がありましたが、そうはいっても、いろいろな攻撃も想定されている。例えば、核・生物化学兵器による攻撃というようなものが言われている一方、戦車部隊、機甲兵力をもっての攻撃にも備えるということもあるんですね。ということは、日本が戦場になることが想定されているということだと思います。
 私は、日本が戦場になった例は、歴史的に見て、今テレビでやっている元寇と沖縄戦ぐらいしかないと思いますが、そういう事態が二十一世紀の今、日本に起こりそうだという想定があるのかどうなのか。また、戦車部隊、機甲兵力を日本に揚陸させる能力を持った国があると想定されているのか。
 私は、それはロシアだって中国だって北朝鮮だって、過去においても現在もそういう戦車部隊や機甲兵力を日本に揚陸させる能力というふうなものは持っていないと思うんですけれども、防衛庁はそういうことも想定されているんですか。
○国務大臣(中谷元君) 日本の国の防衛体制につきましては、やはり縦深性というか、何層かにわたってラインを考える必要があると思います。
 例えば、例はよくありませんが、サッカーやラグビーの試合にしても、フォワードもいればバックスもいて、真ん中に両方行ける人もいるように、やはり第一線というのは海上・航空自衛隊だと思いますが、陸上自衛隊の場合はもう最後の第一線、上陸されて最後に国民を守るのは陸上自衛隊でありますので、そういうラグビー、サッカーでいえばフルバックというようなことで、やはり機敏に上陸する勢力に対して対応できる組織を持つことが国民の皆様方に安心を与えるものではないかと思いますし、また、そういう存在があることによって、これは上陸できないぞと相手に思わせる抑止的な意義もあると思いますので、単なる今すぐ役に立たないから要らないというのではなくて、やはり国民が安心できる体制をつくる一環としても必要ではないかというふうに思っております。
○吉岡吉典君 そういう能力を持った国があるのかということを私は聞いているんです。それはあるが意思がないということなのか、意思があっても能力がなければやってきませんからね。
○国務大臣(中谷元君) 三年、五年のタームでは想像ができないかもしれませんが、インドネシア一つとっても、今のワヒド政権が弾劾される、それについて国民が真剣に国会前で大暴動をし、そこで日本人も一万人ぐらい現地法人がいますけれども、単なるあれがインドネシアだけの問題で終わったら我が国には影響しませんが、それがシンガポールや東南アジアに広がっていったり、経済パニックが起こったり、中国がどうなっていくか、それは全く読めない世界でありまして、やはり将来に備えておくということは必要でもありますし、一番大事なのは、みずからが力の空白とならないように、常に国際情勢に照らし合って力の均衡が保たれるように、我が国といたしましても均衡のとれた体制を保つということが必要ではないかと。
 そういうことによりまして、現実にどこが攻めてくるとかそういうことは言うことはできませんが、そういう体制を保つということが平和が保たれるということではないかというふうに思います。
○吉岡吉典君 日本への直接の侵攻、日本が戦場になるというふうな想定は当面はなさそうだということだと思います。
 私は、そういう議論があるんですが、この数年間の論議を聞いていると、本当の目指しているところは日本防衛ではなくて、アジア太平洋についての日本の自衛隊の役割ということではないかと思っております。
 私、先ほど情勢は的確に判断してもらわなくちゃいけないと言いました。しかし、私が言いたいことは、アジアの周辺地域でどこに不透明な、あるいは不確実な材料があるかということを探すのじゃなくて、アジア全体が今何を考え、何を目指しているかということを含めてやっぱり的確にとらえてもらわないといけないと思います。
 そういう点でいうと、アジア諸国というものの新しい動向は、いかにして軍事力に頼らないで外交努力で平和的にいろいろな紛争を解決していくかということが非常に大きく高まっている。これがアジアの情勢であり、例えば朝鮮半島についても、南北対話を含めて朝鮮半島が平和な状態になることをいろんな会議で一致して望んでいるわけです。アジアにそういうふうな大きい流れが生まれているということです。私は、日本の防衛もそういうことを念頭に置かなくちゃならないというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕
 中期防のお話もありましたが、一九九六年の安保共同宣言でアジア太平洋の安保責任までうたってから、アジア諸国は、日本がどこへ向かうのかということについて心配している、私はそう思っております。
 私のところは東南アジア諸国の新聞記者もよく出入りして、あなた方と違ったアジアについての情報を提供してくれます。アジアの新聞を見てみましても、長官、こういうのをちょっと読んでみますから念頭に置いていただきたいんですが、これはシンガポールの新聞の社説です。
 日本が自己の防衛体制を打ち立てようとすることに、他人がとやかくいうことはできない。しかし、日本がその防衛網を自国の領土外にのばすとき、それは、周辺諸国の疑惑を引き起こさざるをえない。なぜなら、これらの諸国には、少なくない国がかつて日本に侵略され、日本軍国主義の犠牲となったからであり、今日日本軍国主義の台頭の可能性にたいして、むろん十分に関心と注意を払っている。
こういうのがあるんですね。これもあなた方が的確に判断してもらわなければならないアジア情勢の重要な要素だと私は思います。
 日本がアジア太平洋の安保責任を果たすと言いさえすればアジアから歓迎される、こういうふうに思ったら錯覚であるし、例えば、日本は日本の独立のみならずアジアや世界の安全保障に自衛隊も責任を負うんだというふうな議論がありました。それは、やっぱり今のアジアの情勢を的確にとらえていないところから来るものだと思うんです。防衛庁長官、アジア、世界のそういう面も含めて情勢を的確にとらえていただきたい。
 もう一つつけ加えて言いますけれども、去年、アナン国連事務総長がイニシアチブを発揮して国連本部で開かれたNGOの集会、これは百十三カ国から千三百五十人が参加して開かれた会合ですが、そこの三つの分科会の一つが提出した報告というのは、すべての国がその憲法において日本国憲法第九条に表現されている戦争放棄原則を採択するという提案を行っているんですね。
 二十一世紀はそういう情勢を受けて今始まっている。このことは安全保障政策を考える場合に十分検討に値する問題だということを念頭に置いていただけるかいただけないか、あるいは現に置いておられるかどうか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 吉岡先生がおっしゃることは非常に大切なことでありまして、それを目指していかなければなりません。事、国の外交、安全保障は、もう九九%は外交だと思います。安全保障の分野は、もう最後の日本が侵略されたときの備えという面で、九九%は外交で、そういう努力をないようにしていただくというのが基本でありますし、また日本の防衛体制というのは、専守防衛、シビリアンコントロール、非核三原則、これは絶対に守っていかなければならないものだと肝に銘じてこれからもやっていきたいというふうに思います。
   〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕
 ただ、一つ、そういう理念を持って各国がやりますけれども、そういう国の中でも、悪いことをした国をどうやって取り締まるか、いわゆる不法行為をどうやって取り締まるかというと、どこかがその機能を果たさなければならない。国連がそういう機能を果たしてくれるなら、それはもう各国が軍縮をして非常に理想に基づいて世界秩序は構築できますが、現状において、国連がそういう機能ができない上において、そういう各国の利害の調整、また不法行為に対して、じゃ一体だれが取り締まってくれるかという点につきましても、何らかの努力をもってルールをつくっていかなければならないと思っておりますので、先生のおっしゃることを大切に、基本に考えながら取り組んでまいりたいというふうに思います。
○吉岡吉典君 安全保障のあり方は、また今後の委員会で大いに論議し合いたいんですが、私は、今の二十一世紀を迎えた情勢で、冒頭に言ったこととかかわるわけですけれども、わずか数千人の自衛隊削減ではなくて、本格的な軍縮に向かうべきときだということだけここでは申し上げておきたいと思います。
 そこで、今度は外務大臣にお伺いいたします。
 今のシンガポールの新聞の社説でも、現在の日本の安保政策というのを日本が行った過去の戦争と結びつけてとらえていることが特徴であり、過去の日本の戦争をどういうふうに我々がきちっと清算していくかということは、外交上の友好関係を深めるだけではなく、安全保障問題ともかかわる問題になっていると思います。
 そういう点で、今、教科書をめぐってアジア諸国、とりわけ中国、韓国から厳しい批判やらいろいろな要求が提出されている。この問題は、日本外交の上からも、日本の安全保障政策を考える上からもきちっと責任を持って解決しなくちゃならない問題だと思っております。これは、田中外務大臣、この間会議に出席して直接論議をなさって帰ったわけですから非常にお考えになっていることだろうと思います。
 私は、そこで、きょう外務省と外務大臣に一つの要望があって、提案もさせていただきたいと思います。それは、今の教科書問題を解決する上でも、外務省がお持ちの日本の外交史、日本の歴史にかかわる資料を要領よくまとめて、この問題を判断する上で国民が利用できるようにしていただきたいということです。
 私は、その点で、きのう外務大臣のところまで届けてほしいということで資料をお渡ししておきましたけれども、読んでいただいているかどうか知りませんけれども、日本がやったことというのがどんなことかということをやはり我々はもっと真剣に考えなきゃいかぬと、私は教科書問題が出てからもいろいろなものを読み直して考えました。
 その一つは、昭和五十九年、三笠宮崇仁著「古代オリエント史と私」という本です。この本を読んでみますと、当時男性の皇族は軍人になることが義務づけられておって、中国戦線に行ったと。そこで三笠宮はこう書いているんです。
  ある青年将校──私の陸士時代の同期生だったからショックも強かったのです──から、兵隊の胆力を養成するには生きた捕虜を銃剣で突きささせるにかぎる、と聞きました。また、多数の中国人捕虜を貨車やトラックに積んで満州の広野に連行し、毒ガスの生体実験をしている映画も見せられました。その実験に参加したある高級軍医は、かつて満州事変を調査するために国際連盟から派遣されたリットン卿の一行に、コレラ菌を付けた果物を出したが成功しなかった、と語っていました。
こういうことを三笠宮が書いておられる。これは、今問題になっている教科書の編者たちが忌み嫌う東京裁判の文書でも何でもないわけです。こういうことをやったということを書いておられる。私は改めて読み直して、これは大変なことをやったものだと思いました。
 それで、これは公文書じゃありません、外務省の文書ではありません。しかし、外務省の文書も私はいろいろ読ませてもらってきましたけれども、その中で教科書と対照的な見方を外務省の幹部たちがやっていたと。これは国会図書館にある外務省の文書です。ですから、何かの引用ではありません。
 これは、明治時代の大物の外交官僚で中田敬義さんという人、陸奥宗光の右腕だったと言われている人ですけれども、書かれたものを読んでみますと、日清戦争はやはり見方によっては侵略戦争だと、こう書いているんです。これは昭和十三年、日中全面戦争が始まった翌年に語っているんです、外務省のそういう人が。
 それはなぜかというと、朝鮮の独立を掲げて戦争をやりながら、最後には保護国にし併合してしまった、だからこれは侵略戦争だと言えなくはないんだと。満州事変についても、これは独立国をつくったと言っているけれども、これは日本が自由にできる国なんだからやはり侵略だと見方によっては言えるんだと、こういうことを外務省の先輩が言っている。
 私は、こういうものも教科書をどう判断して国際的な非難にこたえるかという上で考えなくちゃならないと思いました。
 それから、もう時間がありませんから、最初に一括してそういう意味で紹介させていただきますけれども、今は公文書とそうでないもの、中国との戦争でそういう文書があることを言いました。朝鮮との関係で、これは一九六五年の日韓国会、私も取材していて、たしかその国会でも問題になったと思いますけれども、後に貴族院議員にもなった西四辻公堯という人が「韓末外交秘話」という本を書いています。
 この本は、序文で、これはまさに疑問が出るかもしれない、荒唐無稽と思われるかもしれないけれども、これが真実なことは私が保証すると言った上で、日韓保護条約を締結させるときの状況を、伊藤博文が閣議の会場に乗り込んで、それで韓国の各議員にこの保護条約に賛成か反対か、一々だれそれと言って名指して、それでお前はどうか、意見を述べろと。お前はバツだと、つまり反対。次、だれそれ、マルだと。それで、だだをこねるやつがいたらやってしまえと。やってというのは殺すという字を書くけれども、だだをこねたら殺してしまえと。そういう状況で保護条約が結ばれたということを、この国会から出た経歴書によると、子爵、旧公卿さんで正三位勲二等、西四辻氏の本に書かれております。私は、位が高ければいいかげんなことを書かないとは言いませんけれども、そういう貴族院議員もやった人です。
 それから、これは外務省からもらった本です。三・一独立運動のときに朝鮮で起きた事件についての一つの報告です。これは今でも韓国で有名な事件ですけれども、堤岩里というところで朝鮮の独立運動に立ち上がった人々を捕まえて、教会に閉じ込めて、それで火を放って焼き殺しちゃったと。それを外務省の資料とじには、「不逞団関係雑件」という、こういう見出しがついた中に入っている。これは外務省からもらったコピーです。
 その中にどういうことが書いてあるかといいますと、こういうふうに火をつけて殺しちゃった、これはこのまま発表すると刑事事件になる、国際関係にも悪い、だからこれは失火であったということの処理をしておきましたと、こういう報告書になっている。今これは公開されている資料、秘密資料じゃないわけですね。こういうことをやったんだと。
 そういうのが、時間がありませんから一、二の例ですけれども、もういっぱいあるんです。
 私は、河野さん時代にも言いましたけれども、外交文書を読むのが道楽でございまして、日本外交文書の第一巻から読むのぐらい楽しいことはないということで読んできました。本当に日本ってひどいことをやったものだなと思うものばかりです。外交史料館にはそういう資料が、もう膨大な資料があるし、それから防衛研究所の図書館にもすごい資料がいろいろあるんです。
 だから、それを全部国民が読むわけにいかないけれども、今の教科書問題を判断する上で、最低これは公平に読んで、国民の判断に資するように幾つか外務省で選んで発表もしてもらいたい。
 同時に、今挙げた公文書、公文書でないものも含めての資料ですけれども、お読みになっていなければ感想の述べようもないかもしれませんけれども、もし述べていただければ、そういう資料についての感想とあわせて、今の資料を整理して、至急こういう問題を判断して、日本の過去をきちっと我々が清算して、アジアの諸国からその清算をすることによって信頼を回復し、それは広い意味でのアジアの安全保障にも役立つ、そういう措置をとっていただきたいという提案でございます。
○国務大臣(田中眞紀子君) 私、この資料は、率直に申し上げますが、この委員会の始まる三十分前に、実はこれが出ていましてといっていただいたので、できるだけ余裕のあるときに、もう書類と時間で追っかけ回されていますので、ちょっと落ちついた時間があるときにしっかりと拝読させていただきたいと思います。特に、三笠宮殿下がお書きになったものにつきましては読ませていただいて、また折を見て感想も申し上げなければと思います。
 それから、図書館があるということは知っておりましたけれども、今おっしゃったような外務省の貴重なものが、今事務方に聞きましたら狸穴にあるということですので、そこも時間のあるときに、こう国会があってばたばたしているときはもう消化するので目いっぱいで、ハムスターのようにこちょこちょやって暮らしていますので、そこへ行って、どういうものがあるのか、自分はどういうところが大事と思うか。
 教科書問題はもちろんですが、やっぱりそういうところがもっと開かれた形で、専門家だけではなくて、学校の先生とか子供たちが夏休みになればそういうところを利用することもできると思います。
 そして、私は、教科書問題で申し上げることは、外国の教科書も日本のことをゆがんだことで書いてあるじゃないかというふうな意見をおっしゃる方もおられるし、意見は本当に幅広いと思います。私が自分自身の経験で一番感じることは、このようにいろんな意見が、事実は一つかもしれないけれども、見方によったら絶対それは譲れないというときには、私はアメリカの高校で受けて最高にすばらしかったことはこれだと思うんです。
 例えば、ルネサンスがあるとかあるいは明治維新がある。そうすると、明治維新についてアメリカ人がいろんな本を読むんです。トインビーがこう言っている、ルネサンス、だれがどう言っている。いろんな人のをとにかく自分で探して勝手に読みなさいと。それで、一カ月ぐらいしてからフリーハンドで集まりまして、そうして、だれが何を言っているか、だれに感銘を受けたかとみんなに意見をばんばん言わせるんです。そして、最後に、あなたはどう思いますかと必ず聞くんです。
 要するに、いろんな意見を聞くんです。世の中には立場によって、世代によって、感じ方、それからどんなものに影響されるか、その人の感性とかあらゆるものですよね、家庭教育、公教育、すべてですよ、それが出てくる。
○委員長(服部三男雄君) 田中外務大臣、吉岡先生は外務省の記録を出すのかどうかを質問しておられるのであって、アメリカの教育についての質問じゃないんで。
○国務大臣(田中眞紀子君) いや、でも関係あるんです。
○委員長(服部三男雄君) 簡単な答弁をしてください、時間をオーバーしていますから。
○国務大臣(田中眞紀子君) いや、これは大事なポイントだから、ぜひ言わせていただきたいと思います。
 これは、そういう教育を、私は今おっしゃっている吉岡先生の質問に戻るんですが、そういうようなことのためにも、外務省の史料館も、それから三笠宮殿下の本も、そのほか先生が時間があれば一生懸命読んでおられると。これは貴重なことです。国会でこれだけいっぱい本を読んでいるという方は、私は感動しました。
○吉岡吉典君 終わります。
○田英夫君 外務大臣、お忙しいでしょうから、どうぞ一分だけいてください。
 先ほどから同僚委員の質問、御答弁を聞いていて大変驚くのは、戦争のことが、台湾の問題とかベトナム戦争とかいろいろ出てきて、非常に簡単に議論されているんじゃないかという印象を持っているんですね。もう一つ、非常に驚いたことは、中谷防衛庁長官は、恐らく国会のこの席で防衛庁長官として憲法改正をすべきだということを明言された最初の防衛庁長官だという印象を持ちました。
 これはちょっと確認しておきたいんですけれども、同僚委員の質問で集団的自衛権の問題で議論をされたときに、集団的自衛権というのは非常に幅が広いけれども、日本としてあるべきことを考えていったときに、最後は憲法を改正して集団的自衛権行使を認めるべきだというふうに私は受けとれる御答弁だったと思うんですが、この点を確認しておきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) その発言をする前提といたしまして私はお断りしましたけれども、防衛庁長官としては現行憲法を遵守し、厳格に考え、そしてこの憲法が個別的自衛権しか認めていないというもとによってできた法律に従って運用するし、総理大臣並びに国会のシビリアンコントロールをもって部隊を運営していくという前提に立ってお話をいたしております。
 そういう上において、いろんな問題点のケース等が出ておりますので、日本の防衛を考える立場で、本当にこのままでいいのかどうかということを考えますと、一つの問題提起としては国民の皆さんでこういうことも含めて議論をしていただきたいという観点でやったわけでございますので、きちんとした国民の議論、そして国会の手続を経た上でしか憲法というものは改正ができませんので、どうか、そういう意味でございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
○田英夫君 外務大臣、どうぞあれしていいんですが、一言だけ、これは答弁要りませんけれども。
 戦争のことをずっと議論されてきましたけれども、外交というものは一体どういうものなのかというのを一度時間をぜひとっていただいて議論をさせていただきたいんですが、私は究極の外交というのは戦争を回避することだと思っています。これは宿題にして、どうぞお忙しい中ですから席を立っていただいて結構です。
 そういう意味で、私はこの前も言いましたけれども、戦争を体験した者として既に、きょう恐らく四回目になると思いますが、この委員会で戦争の語り部のような役割を果たしてきました。きょうもそのことを一言申し上げたいと思うんです。
 戦うということは人間の本能かもしれませんけれども、何万年もの人類の歴史の中で、恐らくそれはもう戦争の歴史なんですけれども、二十世紀というのは、特に我々の生きてきた二十世紀というのは第一次、第二次世界大戦という悲惨な戦争があった。戦争の様相が一変したんですね。それまでの日清、日露を日本は体験したわけですが、しかし第一次大戦以後非常に大きく変わったことは、戦争で軍人が死ぬ、そういう常識が破られて、軍人よりも一般市民の死者の方が多かった。第二次世界大戦はさらにそれがひどくなった。
 こういう悲惨な状況の中で、やはり戦争直後は、第一次世界大戦の後、一九二八年、九年あたりは不戦条約ができるというようなこと、国際連盟ができるというようなことがありましたね。第二次世界大戦後は、やはり国連憲章というものができた。そして、そこでできたのが日本国憲法だと思います。そういういきさつがある。
 憲法ができたときのいろいろなことを読んでみますと、戦前の機構ですけれども、まだ帝国議会があって、枢密院というものが一方でありましたね、天皇を補佐する機関として。その枢密院の新憲法審議の場で、野村吉三郎さんという元海軍大将、そして最後の方の駐米大使ですね、戦争が始まる直前の駐米大使、この方が枢密院議員として、枢密顧問官というんですね、発言をしておられるのを読むと、まさに新憲法九条を支持しておられる、非常に評価しておられる。やはりあの方は重光さんと一緒に上海で爆弾を投げられて、重光さんは足を失い、野村さんは片目失われて独眼竜なんですね。実は私の中学のときの校長に当たる方なんですが、この方が軍人であり、そして戦前のそういう経験の中から九条を支持しておられる。これはやはり大変我々参考にすべきじゃないかと思います。
 そして、戦争というものを体験した者は本当に悲惨さというか苦しさというか、このことがわかるんですけれども、今ほとんど国民の九〇%が戦争体験のない方ですから、求めても無理だと。今に一〇〇%になるわけですね。そういう中で、防衛というものを考えるときに、安易に戦争というものを、軍事力に訴えるということを考えるととんでもないことになる。そういう意味で申し上げたいんですけれども、一つは、これは全く私の体験です。この前も言いましたが、私は特攻隊に最後いて生き残りました。
 昭和十九年の十月ですか、私は横須賀の海軍航海学校というところに約四百人近い予備学生と一緒に、いわゆる学徒出陣で出た同期の人と一緒に訓練を受けていた。ある日突然、総員集合、全員集まれということで、剣道場に集められました、夕方でしたが。
 学生隊長というのは大佐です。その人が物々しい雰囲気の中で壇上に上がって言ったのは、おまえたちの中から特別攻撃隊員を募集すると。種類は、船舶によるもの、潜水艦によるもの、魚雷によるもの、三種類であると。希望者は明朝〇八〇〇までに当該教官に申し出ろ、以上。これだけのことですよ。
 つまり一つは、船舶によるものというのは、私が行った震洋特攻隊という、小さな船で体当たりする。潜水艦というのは特殊潜航艇です。魚雷によるものというのは回天です。いわゆる人間魚雷回天です。
 夕食を食べ、最後寝てもだれも口きかない。お互いにふだんは夕食のときは楽しく談笑するんですが、その後勉強をして寝てもだれもまた一睡もしなかったと思うんです。階段ベッドで寝ているんですが、上の段の男がもう身もだえをするようにして寝返り打って寝られないでいるのが手にとるようにわかる。そのうちに、数時間たったときに、隣のベッドの上の段の戦友がベッドを出て教官室へ向かっていった。入りますと言っている。聞こえます。ああ、あいつは志願したなと思いました。ますますこっちは焦るわけですよ。と、彼は帰ってきていびきかいて寝てしまう、決断をしたから。
 私はとうとう朝まで寝られませんでしたね。私の上の段の男も寝られなかった。手にとるようにわかったんですが、彼は戦艦大和で死んだんです。隣のベッドの上下志願して、やはり死にました。そのときに四百人のうち四十人が志願して全員死にました。そのとき志願すれば死しかないんですね。
 悶々として考えたのは、つまり自分で特攻隊を志願するということは、死を覚悟することですよ。どうせ戦況からしていつかは死ぬかもしれない状況であることは事実なんですが、やはり人間というのは、みずから決断をして特攻隊を志願するとなるとそう簡単なものじゃない。もちろん初めて体験してわかりましたが、走馬灯のようにという言葉がありますが、本当にそうですね。
 それは映画のように映っていく動く写真じゃないんです。スチール写真、一枚の写真のようにして、学校の先生が国のために命をささげることは美しいことだぞと、こういうことを本当に言いましたから、我々のころは。そういうのがぽっと先生の顔と一緒に浮かんでくる。次の瞬間、家族と一緒に旅行したことがぱっと写真のようにして頭に浮かぶ。次々次々に一枚の写真のようにして変わっていく。それが結局朝まで続いたわけです。私はそのとき志願しなかったんです。それから二カ月後に、少尉に任官すると同時に特攻隊へ行きました。
 そういうこの苦悩というのを、これは今の簡単な言葉じゃ到底わかっていただけないかもしれない。結局、大和で死んだ上段の男も苦悩してそして死んだんですが、彼のことを、戦争が終わって二十年ほどたって、生き残った当時の戦友たちが集まって教官も交えて懇親会をしたら、そのときの学生隊長が、まさに募集をした学生隊長が生きておられて出てこられました。そして、懇親会の席で私に、田、おまえは次男だったなと言われたんで、そうですと言ったら、うん、おまえはだから特攻隊へ行けたんだと。君の上に寝ていた松本君というのは母一人子一人だった、だから死なしちゃいけないと思って大和に乗せたんだよ、こういう話をされました。
 そういう戦争の何というか、表に出てみんながわかる、空襲で死ぬことも含めて、あるいは、陸軍の本当に弾が飛んでくる中で死んでいくということと、そういう現象だけじゃなくて、内面的な人間の苦しみというもののひどさ、そういうことをぜひわかっていただきたいということをまず前提に申し上げておきたいと思います。
 これは通告してありませんけれども、一つ大変気になることが新聞にこの間出ておりましたから取り上げてみたいんですが、三島由紀夫君が自衛隊で訓練を受けていたということが五月二十五日の朝日新聞の夕刊に出ておりました。
 三島由紀夫君と君づけで言うのは、実は彼は小学校から大学まで私の一級下におりました。非常にもちろんよく知っております、秀才でしたし。彼がどうしてああなってしまったかというのは三島文学の方からは絶対にわからない。愛好者もたくさんおられますけれどもね。私どもは、それがわかるつもりです。
 つまり、彼は戦前の私どもと同じ教育を受けたわけですよ。お国のために命をささげろと、天皇陛下のために死ぬことは美しいことだぞと、本当にそういう言葉を先生から言われながら育ちました。彼は秀才であると同時に、非常に純粋にそれを受け入れて育ってきたと思う。
 私も実は、特攻隊に行くぐらいですから軍国少年でしたよ。そういう雰囲気の中で、幸いにしてと自分で言ってはおかしいけれども、私は戦後新聞記者になりました。社会の底辺も見ました。政治の中のいろいろな動きも知りました。
 彼は書斎にこもって、作家として、大蔵省の役人をやっていましたけれども、一時。愛知揆一さんによると、おれがやめさせたんだよと、作家になった方がいいよと言ったんだよと言っておられましたけれども、彼は作家になりました。しかも書斎にこもる作家になった。まるでタイムカプセルに入っているように、外を見ると世間は全く変わっていると、昔のままの彼の目から見ると全く堕落していると、自衛隊を含めて、そう思えたに違いない。最後の彼の割腹自殺はそういう結末だと私は思っています。
 しかし、その中でこの新聞で気になるのは、彼はクーデターを考えていた、皇居に突入してクーデターを起こすということを計画していた、楯の会をつくって。しかし、戦争中の中学生や高校生のときの彼は、そんなことは到底できないほど肉体的に虚弱だったんですよ。それが一種のコンプレックスになったかもしれません。
 ですから、私が申し上げたいのは、戦争というものはどんなものなのか、そして教育というものの恐ろしさ、繰り返しそうやっていくと本当に純粋な人間ほど純粋にそういう人間になってしまうということ、私はだから三島由紀夫君というのは犠牲者だと思っています。そういうことも含めて考えていかないと、安易に日本が集団的自衛権を行使できる国になるべきだとか言ってはならないんじゃないかと思うんです。
 実は、この話は五月十八日でしたか、防衛研究所で講演を頼まれましたので、一時間半ありましたからもっと詳しく一佐、二佐の皆さんに話しました。あなた方には大変耳ざわりな話かもしれないけれども、同時にこういうことをぜひ知っていていただかないと困るということで、率直に話しました。後で、防衛研究所長もいい話だったということを言ってくださったので助かりましたけれども、そういう前提の上に立って自衛隊というものは存在をしていかなくちゃいかぬ、防衛庁は存在していかなくちゃいかぬと私は思っているんですね。
 時間がもうそれだけでなくなってしまうんですが、最後に、今度の防衛庁設置法の一部改正という中で、そういうことを含めて、私は、予備自衛官の公募ということと、それから予備自衛官の災害招集制度をつくられたということ、特に災害のための招集制度をつくられたということを評価したいと思うんです。私は、そういう形で、自衛隊というものの役割を変えていく、平和の方向へもっと拡大していいんじゃないかということを願っているんです。
 ですから、できれば、陸上自衛隊、十八万が十六万になりました、これは実態は非常に集まらなくて実勢力に合わせたというふうに言ってもいいかもしれませんが。そんな悪口を言うつもりはないんですが、むしろ、第一師団から始まって今旅団になっているところもありますが、そういうところを、この師団、旅団単位に例えば一個大隊ぐらいは純粋に災害救助を専門にする部隊をつくっていったらどうかということを提案したいんですが、防衛庁長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) ただいま、戦争を直接体験されました田先生のお話、大変貴重なものだということで肝に銘じまして受け取らせていただきますし、また戦後六十年間日本が平和であったという点につきましては、そういう貴重な体験をされた皆様方の御意見があったからこそだというふうに思っております。
 今後、自衛隊の運用につきましては、国民の皆様方の御理解と御信頼がいただけるものにすべく全力を挙げてやらせていただきたいと思いますので、きょうの御意見、心から受けさせていただきます。
 あとの答弁につきましては、副大臣の方からさせていただきます。
○副長官(萩山教嚴君) 今ほど、田先生のお話を聞いておりました。野村先生も参議院議員に当選されて出ておりましたから、私たちもよく記憶にあります。私も、年がやがて七十になりますので、先生がおっしゃったことを、おぼろげながら我々は子供のころからそれを知っておりました。いかにむごいことかということも肝に銘じております。感銘を受けた話でありました。
 お答えいたします。
 防衛計画の大綱では、今後の防衛力の役割として、我が国の防衛に加え、災害救助等の行動を実施することを盛り込んだ大規模災害等各種の事態への対応、あるいはまた国際緊急援助活動を含めたより安定した安全保障環境の構築への貢献、この三つを大きな柱に掲げております。防衛庁といたしましては、災害派遣や国際緊急援助活動についても重要な任務の一つとなっております。
 このため、平成十三年度予算についても、機動性の高い車両や多用途のヘリコプターを導入したりして、災害派遣等に有効に活用できるようにいたしております。
 編成面についても、災害派遣や国際緊急援助活動には医療や輸送といった機動的な機能が必要となるが、これら機能は有事に必要なものであります。すべてが有事に必要なものでありまして、国際緊急援助活動、あるいはまた特化した専門の医療部隊をつくることなく、我が国の防衛のために能力を活用する基本として、多様な事態に柔軟に活用できる部隊を編成していることを申し上げておきたいと存じます。それを効率的に活用すると。
 したがって、防衛庁といたしましては、現在、御指摘のような専門部隊を、先生に非常にお答えにくいんですが、創設する考えはないのでありまして、もう既にこういう面には対応いたしておるというふうにお考えいただければ結構かと存じます。
 なお、国際緊急援助活動については、迅速にあるいはまた円滑に対応し得るように、平素から派遣予定部隊や要員を指定し、所要の訓練を実施するとともに予防接種等も受けさせており、防衛庁といたしましては、世界から尊敬される国、役に立つ国を目指して今後とも国際緊急援助活動について重視して取り組んでまいりたいと思いますし、田先生の御意思に沿って我々自衛隊は活動しているということを申し上げておきたいと存じます。
 ありがとうございます。
○田英夫君 終わります。
○田村秀昭君 自由党の田村秀昭でございます。
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案には賛成であります。
 初めて、防衛庁・自衛隊出身の防衛庁長官が就任されたことを高く評価いたします。
 外務大臣、来られましたので、中谷防衛庁長官の所信表明の中で強く防衛庁の省昇格の重要性を述べておられますが、田中外務大臣はこの件に関してどのような御所見をお持ちですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 私は、もう当然省になるべきであろうと。何でやらないかということにつきましては、今も関係者から取材いたしましたら自社さの連立の中であったということですが、できるだけ早く省にしていただきたいと思っております。
○田村秀昭君 国家の基本についてきちっとした考え方を持たれて、外交の責任者として御活躍されることを期待いたします。
 防衛庁長官に二点御質問をいたします。
 まず、今、防衛庁は非常に危機的な状況に立ち至っているのではないか。それは、一般公務員並み一般公務員並みといって、異常事態に国家国民の生命、財産を守るべき戦闘集団に対して一般公務員並みの倫理を押しつけられている。
 一般に、平和なときに役立つ人というのは有事に役立たない人が多いんですよね。そういう意味で、公務員の倫理法というのが施行されていますが、部隊の地元から、自衛隊はつき合いが悪くなったとか、基地のそういう自衛隊とその周辺の市町村とは非常に密接に理解をしていただかなきゃならないにもかかわらず、そういうことがこの倫理法でできなくなって意思の疎通も欠いている、協力関係も崩れかねないという話もあります。
 長官は、この問題をどういうふうにお考えなのか。自衛隊は、戦闘集団としての倫理というものを確立された方がいいんではないかと。違うんですよね、要求されることが。だから、今のようにやっていると有事のときに役立たないですよ。いや、本当に。それ、どう思われますか。
○国務大臣(中谷元君) 私も学生時代に自衛官はよき市民であれというふうに教えていただきましたが、やはり一般国民としての感覚と、もう一点は、特別職の国家公務員でありますけれども、国家公務員としての倫理、これは国民の側から見て当然要求されるものではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、どこの官庁が不祥事を起こしてもやはり国民から見れば同じ公務員であるという見方をされておられますので、非常に不祥事が相次いだ中で国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図るために、公務員ひとしく定められたこの公務員倫理法の適用につきましては、その改善の議論はございますけれども、この法律が定められている以上、他省庁と同様に一般自衛官もこれを遵守しなければならないというふうに考えております。
○田村秀昭君 そうすると、有事のときには余り役立たない人を養成しているようなものでありまして、自衛隊員倫理法というものをつくっていますね、防衛庁は。そこの内容が公務員の倫理法と全く同じなんですよ。
 だから、ここのところは防衛庁できちっと有事のときに役立つような、これ役立たないと、全く国民から何やっているのかと言われちゃうんです、そのときになって。だから、ここのところは自衛隊御出身の防衛庁長官なんだからよくわかっているわけだから、きちっと自衛隊員の倫理法をお決めにならないと、もう基地対策なんかできませんよ。
○国務大臣(中谷元君) その趣旨を伺いまして、今後部内で検討させていただきます。
○田村秀昭君 今の自衛官というのは国家から名誉と誇りを与えられていないんです。地位も非常に低い。このままで今の大河ドラマの「北条時宗」のような国難があったときに国に殉ずる人というのは、私は自衛官三十四年やっていて申し上げますけれども、国に殉ずる人は一人も出てこない。それだけははっきり申し上げておきたい。誇りと名誉のためにみんな命を捨てるんです。お金をもらって死ぬ人なんて一人もいない。私は二億円もらうから死にましょうなんという人は一人もいないですよ。名誉と誇りが与えられて初めて国のために殉ずる。そういう観点から一つだけ質問させていただいて、質問を終わります。
 一二師団、一三師団が旅団化された、これは定員削減でね。それで、作戦基本部隊として高級幹部会同に出られなくなった。宮中に行けなくなった。隊員の士気が非常に下がっている。これから七師団も一〇師団も、防衛庁長官は陸の御出身だからよくわかっていると思うけれども、だんだんみんな格が下がって、一般公務員並みにされて、高級幹部会同の正規のメンバーから外されていく。その部隊の士気というのは非常に下がっている。その点をどういうふうにお考えなのか。なぜ高級幹部会同の正規のメンバーから外すんですか。これは作戦基本部隊ですよ。
○国務大臣(中谷元君) 自衛官の名誉のあり方につきまして、田村先生の方から大変温かい激励の、強い要請がありまして、まことにありがとうございます。
 小泉総理も就任のときに、国のために命をかけて働いている人に対して国民も敬意と感謝を表すべきだし、また働いている人が誇りと自信を持って働けるようにということを言われましたので、それに向けまして全力を挙げて努めたいというふうに思っております。
 お話のありました陸上自衛隊の高級幹部会同のメンバー構成につきましてでありますけれども、この自衛隊高級幹部会同というのは、防衛庁の方針等を自衛隊高級幹部に周知徹底させるとともに、当面する自衛隊の重要問題について意見交換を行うことを目的として毎年実施しているものでございます。
 このため、高級幹部会同には総理の御出席をいただくほか、防衛庁長官、当庁の主要な幹部が出席しているところでありますが、このうち、陸海空の各自衛隊の部隊及び機関の長についても、将をもって充てるべきポストにある者と、その他のポストで現に将が充てられている部隊長等を出席者といたしておりまして、旅団長は階級が陸将補ということでございます。
 この点につきましては、以前、陸海空三自衛隊集まりまして検討いたしましたけれども、海上並びに航空の者もそれでは同じ将補で出られない者がいるのではないか、そういうことも認めますと、もう百人を超えるような大会合になってしまいまして、非常に会の機能が果たせるかというような話等もございまして、その三自衛隊の幕僚長の話し合いにおきまして現メンバーが決まったわけでございます。
 なお、御指摘いただきました点につきましては、また、自後、部内で検討させていただきたいと思います。
○田村秀昭君 ぜひ、陸海空並びで。一般公務員並み的な、将補だからしないとかそういう考え方が私は間違っておると言っている。作戦基本部隊ですよ、これは。海空のは作戦基本部隊じゃありませんよ。これから旅団化される部隊がたくさんある中で、よくお考えになっていただきたいと思います。
 私の質問はこれで終わります。
    ─────────────
○委員長(服部三男雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉田之久君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。
    ─────────────
○佐藤道夫君 まず最初に、防衛庁長官にお尋ねいたします。
 私自身は今回の設置法には賛成でございます。最初にそれを申し上げておきたいと思います。
 私は、PKO問題について防衛庁長官の感触を承りたい。
 PKO法案ができたのは平成四年でございますか、ほぼ十年前、宮澤内閣のころでありまして、あれができ上がるにつきましては国会でさんざん議論がありまして、最終的には当時の政治情勢も反映いたしまして、PKO部隊は危険な地域には派遣しないという一つの合意ができておりまして、そうして後方で道路の補修をやるとか輸送業務に従事するとか、こういうことでありまして、現にこれまで十回ぐらい海外に派遣されておるが、大体選挙監視業務ということで安全な区域で安全な業務に従事してきた。
 さすれば、前線で危険な紛争地帯に入り込んでいって紛争を静める、平和を維持する、これをやっているのはだれなんだと、こう言いますと、それはアメリカの青年、イギリスの青年、いやドイツの人だ、いやフランスだと、こういうことで、外国の青年が血を流すことについては日本人は何とも考えない。しかし、日本人の血が流れたら、これは大騒ぎになるんでしょう、やれ憲法違反だ何だかんだと。こういうことになってしまう。
 しかし、国内の政治情勢も変わっております、この十年の間に。海外の情勢だってすっかり変わっておる。いつまでも冷戦構造を背景にして議論をするような時代ではないと私は思っております。大体、後方の安全地帯で楽な業務を担当して、これ日本の武士道精神が許すんだろうかと。日本の青年の誇りというのは一体どうなっているんだろうかと。
 そこで、長官、防衛庁内部でもこういう議論があるんじゃないでしょうか、私が言っているような議論。やっぱり外国の青年と同じように日本の青年も危険なところに行って、危険な業務に全身を張って頑張る、当たり前のことではないのか、人任せにしておくことではないと。
 海外から帰ってきたPKOの隊員たちの意見などもきちっと聞かれておると思いますので、その辺を踏まえて私のこの質問に対して、簡単で結構です、時間の関係もありますので、お願いします。
○国務大臣(中谷元君) その件につきましては、自衛官のみならず、私、ホームページを立ち上げておりますが、一般の二十代三十代の若者から集団的自衛権に関する意見やPKOのあり方について、もっとしっかりしたものにするべきだという意見がたくさん送られておりますので、やはり日本人として真剣にほかの国の状況等もかんがみ、憲法の文章に「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」と、この国の目標を書かれておりますので、あるべき姿に向けて検討すべきだと思っております。
○佐藤道夫君 二十一世紀、新しい時代ですから、新しいPKOのあり方について真剣に防衛庁の内部で議論していただきたい、こう思います。
 次は、外務大臣にお尋ねいたします。
 先ほど、同僚の小泉委員との間の質疑応答の中で小泉議員が、この点は河野大臣に聞いたんだけれども、何か回答はもらえなかったということに対して、なぜその次の委員会の席上、催促をしなかったんですかと。なお、この件については佐藤先生も手ぐすね引いて待ち構えておるのではないかということをおっしゃられたので、どうしてもまた取り上げざるを得ないわけであります。
 何か勘違いをしておるんじゃないでしょうか。この国会の場というのは、そば屋の出前とは違いますよ。大臣が責任を持って可及的速やかに返事をいたしますという回答であった。それに対して、顔を合わせるたびに、まだかまだかと、そんな失礼なことは言えないでしょう。河野大臣を信頼いたしまして、いずれきちっと可及的速やかに回答をいただけるものだと小泉議員もそう思っていたはずですし、私もそう思っていたわけであります。
 ところが、このたびの政変で大臣はすっとかわって一言のあいさつもなかった。それならば、しかし無責任のままにもう済ませてしまうというわけでもあるまい、必ず後任の大臣に引き継ぎがなされているはずだと思ってお尋ねしたわけですが、そんなものは一切ない、こういう回答でした。それじゃ事務方から説明があったのか、いや、それも聞いていないと。一体これは何だろうか、外務省という役所はそば屋の出前以下なのかということも言いたくなるわけであります。
 やっぱり、きちっとこの場で可及的速やかに返事をいたしますと言ったら、その約束の期限はいつかわかりませんけれども、きちっとまた回答をいただきたいものだ、まずこういうことを要求しておきます。くれぐれもそば屋の出前と勘違いしないようにしてくださいませ。お願いいたします。
 そこで、きょうは金正男の件についてお尋ねいたします。
 彼らしい人物が入国してきたということで、偽造のパスポートを持っていたと。日本国じゅう大騒ぎになりまして、いや、どうだ、こうしたと国民も議論をしているうちに、あれよあれよという間もなく中国に送り返してしまいました。彼はシンガポールから入ってきたんですけれども、本人かどうかの一切国民に対する説明もないままに中国に送り返しておしまい、こういうことになってしまいました。
 大変おかしいと私は思います。開かれた行政ということを大切にする、改革というのはそういうことでもあろうかと思うんですけれども、小泉さんは、これは法律に従ってやったんだ、こういうことを言っております。これは率直に言いますと間違いです、うそですよ。何を基準にして彼は法律に従って本人の氏名も確認しないまま送り返すことができるんだと。こう言っておるのかどうか。
 ちょっと時間をかけて説明いたしますけれども、日本には毎年千人二千人という密入国者がやってくるわけです、日本を目指して。それを逮捕して裁判にかけていたら日本の刑務所はあっという間に満杯に、破裂してしまいますから、そこでプロである入国管理官が、お前はどこから来たと。かわいい顔した中国の女性でありまして、銀座のバーで働きたい、それでやってきましたと。そういう話を聞いていればすぐわかるわけです、これにうそ偽りはない、中国人のどこのだれか、そこまで確認しなくてもいいと。それからまた、若い学生、まじめそうな学生が日本語の勉強のために密入国してきましたと。そうかと言って、これは顔を見ればすぐわかるわけですから、送り返してやる。一々、本名は何だとか中国のどこが原籍だとか、そんなことは確認していない。
 しかし、常習犯と犯罪嫌疑者は別ですよ、何回も入り込んできている。今回のケースはそうです。三回か四回もう密入国している。それから、あの顔を見まして、まさか銀座のバーで働くようなことはないだろう、だれが考えましても日本語を勉強する、そういうタイプでもない。一体これは何なんだ、犯罪目的かと。犯罪目的というのは、スパイだ、殺人だ、薬物だ、いろいろあるわけですから、それはもう日本の司法当局が厳正な取り調べをして、身元を確認して、そして本人の意向を聞いた上で裁判にかけるかどうかも決めて、かけないとなれば本人の希望どおりの国に送り返してやる。これが法に従った手続なんですよ。
 小泉さんはそういうことを知らないで言っているとすれば、少しく総理としての資質に欠けると言われても仕方がないし、ごまかしだといえば、これは大変おかしい。外務大臣も、何か新聞によると、マスコミに知れないように、ごちゃごちゃしないうちに送り返しなさいと言ったという記事が出ておりました。まさか、国民ということを大変大切に考えるあなたがそんなことを言うわけはない、あれはマスコミが書き過ぎたんだろうとは思っております。しかし、現実は確認しないままに送り返してしまった。
 国民は一体、あれは金正男なのではないかとみんなそう思っているでしょう。そうならそうだ、いや、違うんだということを政府はやっぱり国民にきちっと説明して、そして外交ルートに乗って処理していく。当たり前のことだと私は思う、日本は民主主義国家ですから、独裁国じゃないのであって。小泉さんが、おれの気の済むようにやっただけだ、法に従っているが何か文句あるかと言わんばかりのやり方は、従来の政治と全く同じじゃないでしょうか。
 国民に白黒を示さないで、ぱっぱと片づけちゃって、あなたの談話なるものでも、国民に知られないうちにぱっぱと片づけちゃいなさいよと言ったというふうな記事が出ていましたけれども、そういうやり方自身が今までの政治とどこも変わっていない。何が改革なんだと、私はこういうふうに大変憤りを覚えました。政治が変わるんだと甲高い声を上げてどなっている。ならば、ああいうケースを取り上げて、今までとは違うんだということをやっぱり国民全部に考えてもらう格好な材料であったと思うんですけれども、いかなる努力もせずに、いかなる理由があるのか知りませんけれども、本人かどうかも確認しないままに送り返してしまった。
 国民は皆、おかしいな、やっぱり同じだなということを言っていますよ。あなたぐらいは、やっぱり小泉総理に、総理、おかしいですよ、きちっと国民の前に説明しましょうよということをどうして言わなかったのか。あるいは、言ったけれども小泉さんが聞かなかったのか。私は本当にいぶかしい思いでおります。
 本人は、何か最後までおれは金正男ではないんだということを言っていたそうです。じゃ、どこのだれなんだ、みんなそう思うでしょう。しかも、何でそういうやつを中国に送り返すんだ、彼はシンガポールから来たんですから、普通はあれはシンガポールに送り返すんですよ。シンガポールが受け取って次なることを考える。シンガポールの責任ですから、偽造パスポートを見逃して日本に送り込んできたという。それが法の手続なんですよ。こんなことは担当の役人がきちっと総理に説明した、あるいはあなたに説明したと思うんですけれども、何一つ守っていないでしょう、それを。おかしいとだれだって思いますよ。
 そこで、これは本当は小泉さんにも聞く必要があるんですけれども、遺憾ながら彼はここにいないのであなたにお尋ねいたしたい、こういうことであります。
○国務大臣(田中眞紀子君) 佐藤先生は、いわゆるデュー・プロセス・オブ・ローというものの重要性を法律家としておっしゃったというふうに思います。それは私も理解できます。
 二つ目として申し上げたいことは、私はそれを、これはぱっぱと返せか何か、その新聞もテレビも見ておりませんし、そのような発言もしておりません。
 このことが起こったのは五月一日だそうですが、私が聞きましたのは五月二日の日の午前中の大臣室で、幹部から聞きました。そのときに私がすぐ思ったのは、その人物がいかなる人かという人定と入国目的、この二点だけは確認してくださいということは外務省の幹部にお話をしてお願いしました。
 そうしましたら、これはもう入管の問題で、法務省でありますのでまず法務省マターであると。ただ、日本でなくてたしかドミニカのパスポートを持ってシンガポールから来ているということであるので、日本人ではない方だということがわかっているということしかつまびらかになりませんでした。そして、時間が経過していって最終的にはどういうことになるのかと思いましたら、御本人が、先生は今シンガポールのパスポートだから、そこで……
○佐藤道夫君 シンガポールから来たと言ったんです。
○国務大臣(田中眞紀子君) から来たからということをおっしゃいましたけれども、何か私が聞いた話では、そのシンガポールか、あるいは本人が希望するところか、あるいは国籍のあるドミニカというふうなチョイスがあって、御本人が中国を希望したのだという説明を受けました。結局、入管と、法務省とそれから警察と外務省というところでもって、内閣の責任において処理されたというふうに認識しております。
○佐藤道夫君 身元を確認したかどうかは確認なさいましたか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 何度も聞いておりますけれども、本人が、金正男さんというんでしょうか、であるということの身元の確認は最後までできなかったという報告を聞いております。
○佐藤道夫君 政治の一新、革新を唱えるあなたの立場で、今回の処理についてどう思いますか。仕方のないことだと、これは法に従ったことなんだと、だれかそれは全然わからないけれどもまあいいじゃないかと、余りうるさいことがたがた言うなと、やっぱりそういう考えなんでしょうか。どうでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) これもまさしく法務省で、入管で対応していたのも、まず窓口が法務省であったというふうに聞いておりますし、それから、こちらは人定と入国目的、この二点について聞いてほしいということを言いましたけれども、その二つが余りはっきり最後までいたしませんでした。
○委員長(服部三男雄君) 佐藤委員、質問時間超過です。
○佐藤道夫君 これで終わります。
 よく役人は、それはあっちの役所の仕事だ、いやこっちだ、おれのところじゃないとか、そういう言い方をするんですよ、役人というのはね。しかし、あなたはそういうことを超越した方ではないのかと。法務行政といってみても、これは外務行政ともまた密接に関連する事柄でしょう。あなた自身、やっぱりこれはきちっと考えて、少し法務省さんおかしくはないのかとか、総理、この問題はこういうふうにしたらどうでしょうかとか言うことを国民がみんなあなたに期待しておって、それであなたの人気は抜群だと、こういうふうに私は思っておりましたけれども、どうも具体的なケースになると弱腰になってしまう。おかしいですよ。
 何か答えございますか。これで終わりますから。
○国務大臣(田中眞紀子君) 期待していただくのも支持していただくのも大変光栄でございますけれども、一人で何でもできるわけではございませんで、やはり内閣の意思というものもございますし、私の内閣でももちろんございませんし、あらゆる方の判断資料を勘案してお決めになったというふうに思います。
○佐藤道夫君 終わります。
○委員長(服部三男雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法等一部改正案に対し反対の討論を行います。
 反対の理由の第一は、本法案が、小泉総理が集団的自衛権行使容認の研究を行うことを表明したもとで、周辺事態法、いわゆる戦争法の具体化のために自衛隊の再編強化を進める内容を持っている点であります。
 新中央指揮システム要員の増強は、新たに導入された中央指揮所の増員であり、今回の人員増によって、自衛隊の戦争指揮命令機能を拡大強化し、アメリカ有事の自衛隊の軍事支援活動を飛躍的に増強するものであります。
 さらに、第一師団の再編強化、NBC、核兵器・生物兵器・化学兵器対処能力の強化などは、アメリカの戦略に沿って具体化されるものであり、容認できないものであります。
 理由の第二は、新しく予備自衛官補制度を導入し、元自衛官に限られていた予備自衛官の採用を民間人にまで拡大し、国民動員体制に道を開くものだからであります。
 予備自衛官補制度は、青年、学生など十八歳から三十四歳までの若い世代を標的にして、三年の間にわずか五十日の訓練を受ければ自動的に予備自衛官に採用し、有事の際は戦争に駆り出そうというもので、戦前、戦中に行われた学徒動員を想起させるものであります。
 私たちは、南北朝鮮の対話、アジア地域でのASEANフォーラムの進展など、アジアの平和の流れが一層大きくなっているもとで、有事の際の国民動員体制を初め、日米ガイドラインに基づく参戦体制の強化、自衛隊の増強は、小泉政権の軍事一辺倒の姿勢を鮮明にするものであって、容認できません。
 以上、本法案に強く反対を表明して、反対討論を終わります。
○委員長(服部三男雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(服部三男雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(服部三男雄君) 次に、国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約(第百八十二号)の締結について承認を求めるの件及び相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。田中外務大臣。
○国務大臣(田中眞紀子君) ただいま議題となりました国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この改正文書は、平成九年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の総会において採択されたものであります。
 この改正文書は、国際労働機関において採択された条約がその目的を失ったこと等が明らかである場合には、総会が当該条約を廃止することができるようにするためのものであります。
 我が国がこの改正文書を締結してその早期発効に寄与することは、労働の分野における国際協力を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この改正文書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約(第百八十二号)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成十一年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の総会において採択されたものであります。
 この条約は、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を確保するため、即時の、かつ効果的な措置をとること等について定めたものであります。
 我が国がこの条約を締結することは、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を確保するための国際的な取り組みを推進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由の御説明をいたします。
 我が国と欧州共同体との間の相互承認に関する協力については、平成七年五月以降協議を始め、それぞれの国内制度についての調査研究を政府の専門家会合を通じて行った後、平成十年十月以来、政府と欧州委員会との間で協定の締結交渉を行ってまいりました。その結果、本年四月四日にブラッセルにおいて、我が方、木村欧州連合日本政府代表部大使と先方、ルンド欧州連合常駐スウェーデン代表及びカール欧州委員会貿易総局長との間でこの協定の署名が行われた次第であります。
 この協定は、通信端末機器及び無線機器、電気製品、化学品並びに医薬品について、我が国と欧州共同体との間で規格への適合性評価の結果や製品の試験データ等の相互承認を行うための法的な枠組みを定めるものであります。
 この協定の締結により、従来、我が国と欧州共同体との間で通信端末機器及び無線機器等の製品を輸出入する際に必要とされていた手続の一部を省略することが可能となります。その結果、これらの製品を相手側に輸出する際の費用及び時間が節約され、我が国と欧州共同体との間の貿易が促進されることが期待されます。我が国及び欧州の産業界からも、この協定の早期締結につき強い要望が寄せられております。
 また、我が国にとって初めての二国間相互承認協定であり、今後の他国との同種の協定の先駆けとなり得るという意義を有するものであります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(服部三男雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 三件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時九分散会