第151回国会 財政金融委員会 第4号
平成十三年三月二十二日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月十五日
    辞任         補欠選任   
     松崎 俊久君     櫻井  充君
 三月二十一日
    辞任         補欠選任   
     櫻井  充君     藤井 俊男君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         伊藤 基隆君
    理 事
                林  芳正君
                日出 英輔君
                勝木 健司君
                浜田卓二郎君
                池田 幹幸君
    委 員
                上杉 光弘君
                河本 英典君
                鴻池 祥肇君
                清水 達雄君
                谷川 秀善君
                野間  赳君
                星野 朋市君
                山下 英利君
                若林 正俊君
                久保  亘君
                笹野 貞子君
                藤井 俊男君
                峰崎 直樹君
                木庭健太郎君
                大門実紀史君
                大渕 絹子君
   国務大臣
       財務大臣     宮澤 喜一君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君
   副大臣
       内閣府副大臣   坂井 隆憲君
       内閣府副大臣   村井  仁君
       財務副大臣    若林 正俊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       財務省理財局長  原口 恒和君
       国土交通大臣官
       房審議官     金子賢太郎君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
       国民生活金融公
       庫総裁      尾崎  護君
       日本政策投資銀
       行総裁      小村  武君
       国際協力銀行総
       裁        保田  博君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (財政政策等の基本施策に関する件)
 (金融行政に関する件)
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十三年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十三年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (内閣府所管(金融庁)、財務省所管、国民生
 活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀
 行)
○平成十三年度における公債の発行の特例に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)

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○委員長(伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十五日、松崎俊久君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
 また、昨二十一日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として藤井俊男君が選任されました。
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○委員長(伊藤基隆君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(伊藤基隆君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○林芳正君 おはようございます。自由民主党の林芳正でございます。
 この間、両大臣から御所信をいただきましたので、それに対する形で、本日は、今の経済の現状、また、構造改革ということが大変に方々で言われておりますので、その関係について若干御質問させていただきまして、今後どういうふうに具体的に進めてまいったらよいのかということをただしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
 今、株価が景気のすべてをあらわしているものではないということは私も承知をしているところでございますが、多少きのうは戻したものの、まだ日経平均一万三千円程度ということでございます。銘柄の入れかえがございましたからその分も考えなければなりませんが、非常に低い水準にあることには変わりございません。
 また、ちょっと心配しておりますのは、本年一月の機械受注が二けたの減でございまして、これは前期比でございますがマイナス一一・八%。もう御存じのとおり、機械受注というのは設備投資の先行指標だと言われておりますから、大変に設備投資の先行きも厳しいものがあるというふうに心配をしておるところでございます。中でも、大臣がかねがねおっしゃっておられますように、消費がなかなか振るわない、設備投資まで来たものがなかなか消費につながらないということが大変に心配されるところでございまして、景気重視の経済運営というものだけでは、これはなかなか消費が本当に反転していくということではないんではないかと考えておるところでございます。
 国民の不安感ということを、我々も地元で回っておりますと非常に感じるわけでございます。特に、今の財政状況に対する不安というのがかなり浸透してまいりまして、いろんな世論調査をいたしましても、景気対策と財政構造改革の両方をやっていただきたいんだというのが、この二年間見ておりまして大分ふえてこられたと。昔は景気を、どんどん対策をやってくれということでございましたけれども、事ここに至って財政構造改革について国民の皆様の御理解がだんだん進んできたんではないかというふうに思っておるところでございまして、消費マインドを好転させるためにも財政構造改革というものを、このビジョンを示すというのを国民は待っているんではないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 日米首脳会談がこの間行われましたけれども、ここにおきましても、総理から財政問題について半年程度で道筋を示したいんだというような御表明があったというふうに報道で承知しておりますけれども、宮澤大臣におかれまして、この財政構造改革、今後どういうふうに具体的にお取り組みになってまいられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 事情をよく御承知でいらっしゃいますので、まさに御質問のあたりが当面の焦点だと私も思っております。
 今年度の経済成長、結局私は一・二という政府目標は達成できると思っておりますし、やがて企業の好調が家計に移ってくるということは時間の問題で、それが長くかかっておるということだろうとも思いますので、さしずめ一―三というのは、ほかの事情もありまして、私は割に楽観をしてよろしいのだろうと思いますが。
 そこで、今、林委員のおっしゃいましたように、設備投資の方は期待より早く、振り返ってみると昨年の初めごろから攻勢に転じていたようで、かなり好調を続けておりますし、また企業利益も非常に上がってきているということ等も、家計には恐らくやがてという期待を抱かせますが、それはそれとして、しかし設備投資が早く始まっただけに、これはやっぱり一定の時間が来ますと、そうどんどん上がり続けるわけにもいかないということが、例えば今おっしゃいました一月の機械受注が少しよくないんじゃないかというようなこと、そうすると、夏過ぎるごろに、設備投資もそうどんどん走ってばかりはおられないと、そこらあたりで家計の方が回復をしてくれますと大体勘定が合うわけですが、そういうところに今我々はおるだろうと思います。
 しかし、そういう多少手間どっていることもありまして、国民が財政について心配をしておられることはもっともなことであって、私としてはもとより以前からそのことには気がついておりましたので、一つは、御審議いただいております十三年度予算では、ともかく公債発行を前年度よりも減らしたいと。これはある意味で象徴的なもので、四兆円程度のことではあるけれども、しかしもう公債発行はピークを過ぎるのだということをひとつ何とか実践したいという思いがありましたから、しかし十三年度予算は片方で公共事業予備費も少し組んでいまして、やや両にらみにはなっております。なっておりますし、公共事業の九兆四千億を維持しておるのではあるけれども、国債発行は減らしたというようなことをやっております。
 他方で、財政再建についての本格的な取り組みでございますが、経済成長がプラスの軌道に乗るということを何とか見届けたい。そうでありませんと、国税収入そのものが見通しを達成できないというようなここしばらくのことでは、これは再建のそろばんができないわけでございますが、幸いにして十二年度ではしばらくぶりに政府の国税収入見積もりを達成する、あるいはオーバーするというような状況が出てまいりました。
 これだけでは少し心もとのうございますけれども、しかしまあ国税収入の見積もりぐらいは大体できるようになったということと、ぼつぼつながらも成長がプラスになってきたということ、そういうことを見ながら、先般から、昨年の秋ごろから申し上げておったと思いますけれども、経済財政諮問会議が発足いたしましたら、そこでマクロモデルをつくってもらいたいと。そのマクロモデルをつくることによって、財政といいましても税制もあり、国、地方の行財政のこともあり、なかんずく社会保障諸施策がございますから、それらを突っくるめたマクロモデルでシミュレーションをやって、言葉のつじつまだけではごまかせないようなところへ我々自身を追い込んでいくと申しますか、どうもそれしか方法はないのではないかということを思っておりましたが、先般、経済財政諮問会議でその議論をいたしまして、内閣府の経済研究所、もう少し長いんですが、昔の経済研究所でございます、ここにはノウハウがございますし、新鋭の所長も迎えて、そこへそういうマクロモデルの構築を指示いたしたわけでございます。
 それで、大体、所長のお話では、やってみないとわからないけれども、半年ぐらいでマクロモデルができるんではないかと。これは先月ごろの話でしたでしょうか、ですから夏ごろだなと思っておるわけでございます。そういたしますと、そこからシミュレーションの議論に入れる、大体そういうふうな時間割を考えております。
 ただし、日本経済が何か突然のことが起こらないという前提でございますが、まあそういうことはなかろうと思いますので、ほぼそんなことを考えておりまして、それからがなかなか甲論乙駁、大変なことになるのでございますが、しかし、そうしなければこの議論ははかがいかないわけでございますので、そういうふうに思っております。
○林芳正君 ありがとうございました。
 私どもも今地元でいろんな集会をやりまして、このマクロモデル、大臣がおっしゃっている話をいたします。そういたしますと、私がちょっとつけ加えて自分で勝手に言っておりますのは、大体このマクロモデルというのは、二種類か三種類ぐらいいろんな仕分けが出てくるんではないかと思うと。そして、聞いておられる方の中にも、もう現役を引退されて今年金をもらっておられるような方から、今度就職をされるというような若い方までいろいろいらっしゃいまして、皆さんお一人お一人、すべての方が一〇〇%満足するというものは決して出てきませんと。ですから、まさに今大臣がおっしゃったように甲論乙駁して、それぞれこの程度なら我慢してやっていこうというようなことをつくっていくためのモデルでありまして、何も一つのモデルが出てきて、ああみんなすばらしいなというものが出てこないと思いますよと、こういうふうに言っておるわけでございます。
 まさにこの財政金融委員会、我々が政治のリーダーシップを発揮いたしまして、皆さんが不承不承であっても一番納得できるものをつくっていくというのが我々の役目ではないかと、今、大臣の答弁をお伺いいたしまして、まさに決意を新たにしたところでございます。
 次に、我が国の経済が今陥っております原因の大きな一つに不良債権問題というのがございます。これも日米首脳会談では、ブッシュ大統領からも、異例のことだと思いますけれども、苦い薬は早く飲んだ方が病気は早くよくなると。良薬口に苦しというのをどうしてブッシュ大統領御存じだったのかよくわかりませんけれども、そのとおりではないかなというふうに思っておりましたら、総理の方からも、この最大のネックを半年ぐらいで結論を出していきたいんだというような御主張があったというふうに報道で承知をしておりますが、この問題は大変大事でございまして、陣頭で指揮をとっておられます柳澤大臣にこの具体的な方策についてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 日米首脳会談におきまして経済問題が主に論じられたということ、私も伺っておりますし、若干の、私の事務局からも人を派遣いたしましてフォローだけはさせましたので、メモ書きですが、それらの記録にも接しているわけでございます。
 そういう経過を見ますと、ブッシュ大統領が、今先生が御指摘された良薬口に苦しみたいなもので締めくくった前段はどういうものだったかと申しますと、アメリカの場合の国の赤字、国家財政の赤字のことで、私どももこういうものについて克服のために努力をしたんだということを言われておるわけでございます。それを受けて森総理は二つのことを同時におっしゃったように伺っておるわけでございます。
 一つは、御指摘の不良債権の問題について述べられた。そして二つ目に、国家財政のいわば赤字状況について述べられた。そして、国家財政の赤字の問題について、今、宮澤財務大臣からお述べになられたシミュレーションの作業が半年程度かかるということを踏まえまして、半年ぐらいかかるんだと、こういうようなお話の流れであったように私は伺っているわけでございます。
 私は、閣議後記者会見、今週は水曜日でございましたけれども、そのときには、ここのあたりがこれほど問題になるとは知らずに、実は新聞記者からそういう質問がありまして、不良債権問題、半年ぐらいで解決のめどをつけるということを言ったようですねと言うものですから、私は記録の方しか見ていなかったものですから、老婆心ながら、その質問の内容が間違っているのでちょっとここで注意しておきますというようなことで、軽い気持ちで実は注意をしたわけですが、その後の展開を見ますと、そのあたりが非常に大きな問題になったので私もちょっと驚いたんですが、いずれにせよ、そういういきさつがございました。
 そういうことで、時期の点について半年がどうこうというふうに総理が言われたというのは、私としては、それらの事務官の記録からいって、そういうものではないというふうに、そういうものではないと別にここで言い張るつもりはないんですが、実際がそうでなかったということ、そういう理解に立っているわけでございます。
 不良債権の問題は、アメリカ側から言われようと言われまいと、私は、不良債権の処理は、間接的な処理に関する限りはもう既にでき上がっているわけだけれども、その意味で健全性の問題について何か重大な問題が包蔵されているなどとは考えておりませんけれども、ここへ来まして、収益力の問題あるいは日本経済全体に対する影響、こういったものを考えると、やっぱりオフバランス化というものにより力点を置いた処理というものを進めていく必要があるのではないか、このように考えまして、そのための環境整備等を進めるための考え方の整理というようなものを今進めておると、こういう状況でございます。
○林芳正君 ありがとうございました。
 まさにこの不良債権というのは企業にとって不良債務でございますから、この直接償却、オフバランス化をするに当たっては、いわばがんを切り取るときに、余り小さく切り取ってはがんが残りますからまた広がる、余り大きく切り取り過ぎますと今度は体が死んでしまうということでございますので、まさに名医のお見立てが必要になると思いますので、柳澤大臣におかれましては、本当に能力、識見、私は崇拝をしておりますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思うところでございます。
 それから、時間も限られておりますので、もう一問だけ御質問させていただきたいんですが、先ほど株価にちょっと触れさせていただきましたけれども、一部報道で、日本の構造改革がなかなか進まないからアメリカの株価に影響を与えているんではないかというような見方をする人がおられるようでございますけれども、これはちょっと違うので、アメリカ経済というのは、前に宮澤大臣がおっしゃったように、今までずっとよかったから減速に入るのは当たり前であって、我々は今度底の方から上がっていくのに、なぜそれが向こうに反映されるのかというのはおかしいんではないかとおっしゃられました。まさにそのとおりでありまして、ニューヨーク・ダウはアメリカ経済を反映しておりまして、米系の投資ファンドで実はアメリカの株と日本株を同じぐらいに組み込んでおること等で、むしろ向こうにこちらが引っ張られているんではないかというように私は見ておるわけでございます。
 そこで、ニューヨークの株式市場とアメリカ経済について財務大臣の御見解をお伺いするとともに、今申し上げましたような投資ファンドの組み入れ方の率とか、そのような東京の株式市場とニューヨークの株式市場が同じような動きになってしまう原因について、柳澤大臣の御見解もあわせてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段の御質問は、私がわかったように申し上げるのは僣越でございますので、最近見聞きしたことをむしろ申し上げた方がいいと思いますけれども、二月十八日にシシリーでG7がございましたときに、アメリカの経済はどうなるかということをお互い雑談しておりました。アメリカの財務大臣は当事者ですから除きまして、そのときの大方の見方は、上半期までに恐らく回復の基調に入って、そして年を通じて三%とかなんとかそのぐらいは行くんじゃないかというのが大方の見方であったという印象でございました。
 しかし、ここに来まして、いろんなことがあるんだろうと思いますが、やっぱり逆資産効果というのが意外に大きいんじゃないかと。つまり、みんなクレジットカードを心配せずにオーバードラフトで使えていた、その元が怪しくなっちゃったという部分が意外に大きいかもしれないと。足元がゼロだというのはもう別に不思議はないので、ゼロといっても前と同じということでございますからかなり高い。ですが、その先がもう少し資産効果のリバースしたものが効いてくるんじゃないかというふうに言う人が多いように聞いておりますので、当たるか当たらないかでございますけれども。
 しかし、アメリカは十年も繁栄を続けたんですからこの辺で何か起こるのは当たり前なので、こっちはもう長いこと落ち続けたんですから上がらなきゃならないので、それが一緒の方向に向くのはどう考えたって私はおかしいと思っていましたし、写真相場もいいところだという思いが正直言うとありまして、それは、ちょうど日銀総裁もおいでになりましたが、こういういろんな新しい我々が体制に入っていくと市場もわかってもらえるんではないかと思っております。
○委員長(伊藤基隆君) 時間が経過していますので、御簡単に願います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) もう簡単に申し上げますけれども、今、先生御指摘のような傾向があったのでございますけれども、そのよって来るところとして私どもは二つ考えておりまして、一つは、外国人投資家は株の保有比率で言うと二割ぐらいということでございますが、実際の売買比率ということになると、大体四割と頭に置いておったら、新しいデータによると、昨年十月から本年二月は五〇%程度だと。五〇%程度の外国人の方が、これは当然数は少ないだろうと言っていいと思うんですけれども、五〇%も日本の市場で売買するというようなことで大きな影響を受けるということで、そのさらにまた奥には、今はファンド、先生が今御指摘になられたような国際的な機関投資家がセクター別の投資をしているというようなことで、例えば情報関連などについて同じような傾向があらわれやすいというようなことがあるように観察をしております。
○林芳正君 終わります。
○峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。
 きょうは、日銀総裁、わざわざおいでいただきありがとうございました。午後から記者会見があるということなので、午前中集中的に日銀総裁に。
 今回のこういう決定がされたというのは恐らく世界の金融市場でも初めてじゃないかというふうに思いますが、その意味で、そういうある意味では歴史的な決定をされた背景ということについて簡単にまず最初にお伺いしたいと思います。
○参考人(速水優君) 峰崎委員には、十五日の日ですか、ここでお答え申し上げたと思いますが、その直後、こうやって新しい政策を御説明することになったわけでございます。
 日本経済の状況から見ますと、昨年末以降に海外経済の急激な減速が起こっていると思っております。こういうことで景気回復テンポが鈍化しておりますし、このところ景気は足踏み状態と言った方がいいかと思います。それに加えて物価が弱含みの動きを続けておりまして、今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力が強まってくる懸念も感じられます。
 顧みますと、我が国は過去十年、金融、財政の両面から大規模な政策対応をとってきたと思います。財政面ではたび重なる景気支援策が講じられましたし、日本銀行は内外の中央銀行の歴史に例のないような低金利政策を継続して潤沢な資金を供給してまいりました。それにもかかわらず、日本経済は持続的な成長軌道に復するには至っておりません。実体経済の方は成長率が極めて低いわけです。日本経済は持続的な成長軌道に至らずに、ここに来て再び経済情勢の悪化に見舞われるという困難な局面に立ち至ったと判断いたしております。
 こうした状況にかんがみまして、日本銀行は、通常では行われないような思い切った金融緩和に踏み切ることが必要であるというふうに判断をいたしまして今回の措置を講じた次第でございます。今回の措置は、日本銀行として、物価が継続的に下落することを防止し、持続的な経済成長のための基盤を整備する観点から断固たる決意をもって実施に踏み切るものでございます。
 資金は、これはよく言われる量的緩和等の一つだと思いますけれども、金利でなくて資金の量を目当てに調整していく。今は〇・一五まで翌日物金利が、コールレートが下がっていたわけですけれども、これをゼロまで持っていくことだけでは大きな変化は起こらないと思います。そこで、日本銀行の当座預金に預かっております取引先の預金残高を、最初にどんどん金を出して、今まで四兆円ぐらいと言っていたのを、これを五兆になるように金融を緩めていくというふうに切りかえたわけでございます。そのことによって仮に金利が下がっていっても、まだ必要であればいつでも資金が出せますし、もう一つ、金利についてはこれも市場に任せる、市場が金利を決定するのであって、私どもの方は必要な量を出していくというふうに切りかえたわけです。したがいまして、仮にゼロになっても、まだ必要であれば資金は出します。
 それから、資金は出しますが、市場の中で信用のあるものとないものとはおのずから金利の差が出てくるのは自然だと思います。そういうふうな市場機能を生かしながら、必要な資金量を出していくという方法に切りかえたわけでございます。
 おっしゃるように、これは日本銀行百二十年始まって以来の初めての構想でございます。ただ、アメリカでは一九七九年に逆に高い方で、一〇%以上の金利、二けた金利になって、金利だけでは動かせないというのでFFレートをやめて、リザーブターゲティングという言葉を使っておりましたが、あの場合はFRBの当座預金の残高を極端に抑えて金融を引き締めた。これは三年ぐらい続いたわけですけれども、その間にレーガニズムで、それこそ構造改革、規制の緩和・撤廃、セルフヘルプといったようなことが浸透していってこれまでのアメリカの成長をもたらしたという経緯がございます。
 それを逆の面でとった次第でございますが、このことによって、金利の方は市場はどういうふうに決めていくか。きのうのところは〇・〇五ぐらいまで下がっているようでございますけれども、資金は、きのうは国債で非常に金の要るときでございましたので、国債の借りかえあるいは金利払い、五兆五千億まで出しました。きょうはそれよりもうちょっと下がっておりますし、金利の方ももう少し下がっていくかと思いますけれども、そういうことでしばらくこの様子を見ていきたい。しかしこの制度は、今問題になっているデフレ、価格現象、これがCPI前年比ゼロを上回るようになったら、安定的にゼロを上回るようになったらもうやめようと思っております。
 それともう一つは、これに何を使うかというのは、主として長期国債の買いオペを使うことになろうかと思いますけれども、その他いろいろ手段を尽くして私どもの金融市場局が操作をしていくと思いますが、新しく加えましたのは、この前の短期国債の買い増しに加えて、これまでも毎月四千億買ってまいりました長期国債の買い切りオペ。長期国債はこれまでも、銀行券がふえる分は長期国債の買いオペで供給していくという原則をずっと守ってきたわけです。それで毎月四千億買っていたんですけれども、今残高は、銀行券の方は五十六兆ぐらい出ておりますが、長期国債の買い持ち残高というのはそれより十兆ぐらい下でございます。したがいまして、必要に応じて長期国債をこうやって買い切りオペに使っていくということにして調節してまいりたいというふうに思っております。
 このことで一番私が心を痛めておりますのは、せっかく家計が千三百八十兆円といったような金融資産を持っているわけで、そのうち銀行預金というのが五十数%ある、郵便貯金も加えてですが、預金金利がさらに下がるということは本当にこういう方々には気の毒なことだと思うんですけれども、やはりデフレを克服して、企業が立ち上がって日本の経済が成長していかないと、国民の懐も寂しくなるし、先行きに対する見通しも暗くなるわけですから、そこのところはここしばらく我慢をしていただいて、金利の方は市場に任せますけれども、少し下がっていくかもしれません、そういうことを決めた次第でございます。
 今回の措置が持ちます金融緩和効果というのが十分に発揮されることを通じまして、日本経済の持続的な成長軌道への復帰というのが実現されていくだろうと。その過程でやはり、不良債権の問題の解決を初めとして、金融システム面や経済・産業面での構造改革の進展が不可欠の条件になると思います。もとより構造改革というのは痛みの伴うプロセスでございますが、そうした痛みを乗り越えて改革を進めていかない限り、日本経済の生産性の向上、これが持続的に経済成長の確保につながっていくんだと思いますけれども、そういうことは期待しにくいわけでございます。
 日本銀行としましては、構造改革に向けた国民の明確な意思と政府の強力なリーダーシップのもとで、各方面での抜本的な取り組みが速やかに進展することを強く期待しておる次第でございます。
○峰崎直樹君 丁寧な御説明、ありがとうございました。
 我が党は、どちらかというと、この改善については非常に副作用が大きいんじゃないかというふうに思っていますから、また後でお伺いしたいと思うんです。
 それじゃ少し中身をお聞きしたいんですが、消費者物価指数が安定的にゼロ以上と、こうおっしゃっているわけですね。安定的というのは、具体的にはどんな状態を指すのか。
 それから、ゼロ以上とこうおっしゃっているんですが、前回インフレターゲットのお話をされたときに、物価というのは絶えず、例えば製品でも徐々にグレードアップしていくわけですね。そういう意味でいうと、〇・五%とか一%とか、ゼロではなくてむしろ二、三%ぐらいまでのインフレであった方がいいのではないか、こういう主張があるんですが、せっかくマイナスの物価をゼロにするというんだったら、そこまでできる自信があるんだったら、一%にする、二%にするということも実はできるんではないかというふうに考えるのが私は素直じゃないかと思うんですが、そのことはどのようにお考えになっていますでしょうか。
○参考人(速水優君) 安定的にと申しますと、今、実際のCPIは前年比全国でマイナス〇・四でございます。これはかなり動くだろうと思います。CPIの指数についても、こういうふうに改革が起こり、特に流通面での改革が起こったり、それから技術革新が起こったりしておりますときには、かなり供給サイドでの価格の変化というのは起こると思います。
 そうやって内外価格差が縮小していくところは、これはそれなりに望ましいことでありますけれども、しかし一方で、やはり需要が弱くてデフレ現象が起こってくるということも、これは余り安心しておれない面があるわけでございまして、そういう意味から、CPIが安定的に〇・〇%を超えるというふうになっていけば、それでいい、そのときにこの制度を見直すと。先に対して、いつまで続くのか、いつまでこういう政策でやってくれるのかという不安が市場や企業や家計の中にあるだろうと思いますので、そういう意味での私どもの政策の時間軸といいますか、時間的なコミットメントをさせていただいた次第で、このことは安定化への一つのファクターになり得るというふうに思っております。
 消費者物価指数の前年比の上昇率というものが、一たんゼロになってもすぐマイナスに後戻りする可能性はないかといったような点について、消費者物価指数自体の動きに加えて、卸売物価指数とか他の物価指数とか、物価の動きの背景にある需給動向などを見ながら慎重に判断していきたいと思います。
 ただし、現在の日本のように、先ほど申したように需要の弱さがございますし、規制緩和や流通合理化といったような供給面での要因が作用している状況の中では、中長期的に望ましい何%といったような物価上昇率を数値で示すことは非常に難しいと思っております。
 そういう意味で、私どもはいわゆるインフレターゲティングといったようなことは十分検討、研究もさせていただいておりますけれども、今それを採用するのは早過ぎるというふうに思っております。したがいまして、前年比、同じ水準に安定的に達したという判断ができましたときにこれをやめたいと、それまでは続けるということをコミットさせていただいた次第でございます。
○峰崎直樹君 ちょっとお答えになっていないような気がしてならないんですが、つまり、安定的というのはどのぐらいの物理的な長さなのか。例えば、対前年比ゼロを超えるのが一年間続いたというふうに理解をしていいのか、いや半年なのか、そこら辺はある程度日銀としての考え方は整理されるべきかなと。たしか日銀の政策委員会が、それぞれの政策委員が自分の予測を出されて、上と下を切って出されましたですね。あれはたしか半年に一回じゃなかったでしょうか。そうすると、半年に一回か二回、つまり一年間ぐらい安定的にそれが実現できると、こうなったときに例えばそういうものから外すとか、これは考えられていいのかなと。これは一つですね。
 もう一つは、いや、数量的な明示はできないんだと言うんですが、しかしここでは数量出ているんですよ、ゼロというのが。マイナスからゼロになっているということは、上がるということですよね。上げようということです。そうしたら、それは一%、二%、あるいは二・五でも三でも構わないんですが、そういうところにまで、つまりある程度の快い、まあクリーピングインフレーションといいますか、その程度の物価上昇というものを織り込むことは、ゼロまで行けるんだったら可能ではないかというふうに、ちょっと私のつたない数学の知識でもできるんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょうかね。
○参考人(速水優君) 先ほども申し上げましたように、今は〇・四ダウンですけれども、それがゼロになることは近く起こるかもしれません。ただ、そのゼロに達したからというんでなくて、先ほどから申しておりますように、デフレを克服したということがはっきり出てくるいろんな、これだけの指数だけでなくて、ほかの情勢の変化を見ながらその判断は決定会合でさせていただきたいと思っております。数字で申し上げるのは少し早過ぎるというのが私どもの考え方でございます。だから、デフレがなくなる、デフレを克服するということが確認できたときにそれを取りやめるというふうに考えております。
○峰崎直樹君 この施策をとると、長期金利は短期的には下がるんでしょうが、中期的には上昇するんじゃないかというふうに思うんですが、この点はいかがでございますか。
○参考人(速水優君) 長期金利につきましては、買いオペをふやしていけば確かに下がっていくだろうと思いますし、きのうも下がっております。しかし、これが将来インフレを心配させるような買い方であれば、かえって日本の国債に対する不信感が出てくるかと思います。
 今までも銀行券の増加額に見合いながら長期国債は買い切りオペをやっていきますよということを言ってきておるわけでございまして、その今までの考え方と、今度の、銀行券の残高に達するまで、これを限度として必要に応じて買っていきますということでございますから、限度はおのずからはっきりしておるわけでございますし、市場の金利につきましても、先般決めましたロンバート貸し出しというようなことで、ショートした場合には〇・二五%で日本銀行から、担保さえあれば、国債でも持っていて担保に入れていればそれで貸せることになっておりますから、それが上限になってくると思います。
 そういうようなことで、かなり注意深く今回はそういう限度というものを決めたつもりでございます。御心配の点は私どもも共有しております。したがいまして、そういうことにならないように、買い入れのタイミング、買い入れの量を慎重に考えて決めてまいりたいというふうに思っております。
○峰崎直樹君 デフレ懸念が払拭できるということは、実は長期金利が上昇するということになって初めてデフレ金利が解消されるということになるんじゃないんですか。今のように一%あるいは一%を切るような、十年物がそんな金利だったら、やはり市場の関係者は依然としてこれはマイナス金利だと、デフレだと。だからこんなに高いんじゃないんでしょうか。
 もしこれをゼロ以上にするということになった場合に、当然ゼロ以上に上がることが短期的に起きるとすれば、十年物というのはその延長線上に起きてくるとすれば、当然、長期金利は今より上がってこないと実はデフレの解消にはならないというふうに私個人は理解するんですが、総裁はどういうふうに考えておられますか。
○参考人(速水優君) こうやって資金を潤沢に出していく、必要に応じて出していくというやり方でいきますと、量はどういう場合にも私どもの判断で出したり引いたりすることができるわけでございまして、国債等の金利がどういうふうに動いていくかわかりませんけれども、少なくとも長期も中期も短期も金利差というのはそんなに大きくなっていかないだろうと思っております。そういう意味でも、金利の安定、先行きの見通しというものがはっきりしてくるんじゃないかというふうに思っております。
○峰崎直樹君 これ以上議論してもあれですから、ちょっと財務大臣と金融担当大臣にお聞きしたいと思います。
 今回の日銀の決定に対してそれぞれどのように考えておられるのか。評価ですね。それと、長期的に一体これからどんな副作用が出てくるだろうか、どんな問題が予想されるだろうか。特に、長期金利の上昇というのは私は恐らく出てくるだろうというふうに、出てこなければデフレ懸念を払拭したというふうにならないと思っているんですが、そういたしますと、財政というものに対する、あるいは金融部門の抱えている例えば国債、そういったものにどんな影響を与えるんだろうか。あるいはもう物価上昇が〇%を超えない限りは実質上のゼロ金利が続くとなった場合に、生保関係の逆ざや問題というのが長期化するおそれがありはしないだろうか。
 こういった点について、今回の日銀の決定に対してのお二人の評価をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 日本銀行総裁が国内及び海外の事情もお考えになりながらこのたびの措置をとられたことは、私は心から支持いたしますし、またよく決心をしていただいたと思っております。
 これがどういう弊害を呼ぶかということは、正直、今の我が国経済の状況の中で将来起こるような弊害まで十分考えるだけの余裕は私はないと思いますけれども、しかし、おっしゃる御質問の意味は十分に了解ができます。
 まず、国債との関連で申しますなら、今回、十年物の国債をクーポンレート一・一で発行いたしました。一・一というのはいかにも異常なレートで、国庫としてはそれは幸せでございますけれども、そういう状況でございますから、多少長期金利の動きがありましても、これは民間資金需要からいえばそうなることがきっとよろしいのだと思いますけれども、国債との関連では私は、当面、幸か不幸かというのは妙な表現ですけれども、心配することはないだろうと思っております。
 しかし、民間資金需要が出てまいりますと、日本銀行総裁のお立場からはいかようにもそれに対応する武器をお持ちだと思っておりますので、その点、今余り心配をいたしておりません。
 それから、先ほどのお尋ねの中に、消費者物価をゼロにすることができれば二%にも三%にもすることができるだろうというお尋ねもあったと思いますが、私から考えますと、消費者物価が上がるということ、そういうふうな上がり方をするということは当然消費者の抵抗がございますから、物価が上がれば買い控えるということが当然どこの世界でもございますので、〇%ができれば二にも三にもなるだろうという、そういう意味での弊害も私は実は現実のものではないように考えております。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもまず第一に、金融機関に対する影響という意味では、金融機関の利ざやと申しますか、そういうものはこういう金利低下の状況の方が若干膨らむという意味では、収益面にはいい影響をもたらすというふうに思っておりまして、それがどのくらいになるかでございますけれども、不良債権の処理に今お金が要る一方でございますので、そういう意味では、方向としてはプラスの方向の影響がもたらされると、このように思っております。
 それから、事業会社のことを考えてみましても、一たん事業会社に貸し出すという融資の条件というものを考えますと、事業会社にとってはやりやすい低利の融資が行われるということであれば、これもまた、不良債権の切り分けをして、いいところはできるだけ伸ばしていくんだという局面ではまたいい影響があるだろう、このように考えております。
 ただ、今懸念の一つは、最近のようになかなかいい運用先がないということで国債の保有が行われているというときに、国債が一挙に暴落をするというようなときになったらどう考えるかと言われれば、これは当然のことながら大変困るということでございますが、この点については今、宮澤財務大臣がおっしゃっていただいたように、そういうことに対しては日本銀行はそもそも十分注意をなさっておられるし、またそういうようなことが起こらないようにいろんな武器を持っていらっしゃるということでございますので、この点については、注意は私は払っておりますけれども、そういうシリアスな局面を心配することはないんではないか、こういうように考えております。
 それから最後に、生保の逆ざやについては、おっしゃるとおり、生保の予定利回りとして契約上約束をしているものとの関係では大変苦しいことになることはもう必定でございますが、かねて申し上げておるように、生保の最終の事業損益というものは、そういういわゆる利差だけではなくて他の要素をひっくるめての状況であるということでございますので、これが余り深刻な状況になるということについては我々注意をしていかなきゃいけないし、そこだけというわけではないんですけれども、生保全体の財務体質あるいは業務体質等々の問題については、この二月に金融審議会で議論が始められておりますので、そういったことに対しても対処できる体制が早晩でき上がるだろう、このように考えている次第であります。
○峰崎直樹君 宮澤大臣、物価を二%も三%も上げることについては国民の抵抗もあるだろうということをおっしゃったわけですね。私も、かつて六〇年代、七〇年代もインフレで随分苦しんだ歴史を持っていますから、インフレをある意味では求めるという積極的な説に立っているわけではないんです。そうではなくて、マイナスからゼロに引き上げることに今、日銀が踏み込まれたということは、要するに、ゼロというものを超すところまで持っていきたいと、こうおっしゃっているわけですね。
 そうすると、そのことに費やされるさまざまな努力というのは、一、二%の軽度のインフレーションというところに持っていくということもまたできるのではないかということを言ったのは、実は大変巨大な不良債権を抱えて、あるいは財政を運営されるに当たっても、一定のある程度の軽微なインフレーションの方が、税収の問題であるとかさまざまな問題を考えたときに、財政再建ということを考えたときには、ある程度それは必要なことではないかなというふうに思っている一人なんです、最近つくづくそう思っているんです。
 その意味で、一、二%のインフレーションというものが、確かにそのインフレによって被害を受ける人はいるかもしれないけれども、マイナスからゼロまで持っていけるんだったら、あと一、二%の軽微なインフレーションというのを目標値として掲げるということは、ゼロ以上までいくんだったらあっていいのかなと。それが当面の日本の財政や経済の根本的な解決にとって非常に大きな作用をもたらすとすれば、私はそれはあっていいと思っているんですが、そういう考え方にはお立ちになりませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) きっとそういう含みがあっての御質問だったかと思っておりました。ただ、今財務大臣としてそれにお答えいたしますことはいろいろな誤解を生む、ここではそういうことがございませんが、かもしれないというおそれもございますので、お答えを控えさせていただきたいと思います。
 おっしゃっていらっしゃいますことは、あるいはそうであろうかなと先ほどから考えておりました。
○峰崎直樹君 それじゃ、財務大臣、角度を変えて。
 先ほど日銀総裁が、私のところに送ってこられたペーパーとほぼ同じことを読まれていました。その中に、日銀として「内外の中央銀行の歴史に例のない低金利政策を継続し、潤沢な資金供給を行ってきた。それにもかかわらず、日本経済は持続的な成長軌道に復するに至らず、」と、こういう日本経済に対する見方がございます。
 もう随分議論をしてまいりましたが、低金利政策をずっと続けてきたけれども、日本経済は持続的な成長軌道にならなかったねと、こういう評価をされているんですが、この点は同意をなさりますか。どのようにお考えになっていますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 日銀総裁のお立場からは、私はごもっともな御感想であろうと思います。
○峰崎直樹君 財政再建論あるいは日本経済が、小渕前総理の、一両年の間に安定的な経済に復帰させよう、こういう約束の上にスタートをしたということを私は再三にわたって指摘をしてまいりましたから、これはまた別途いつかお話をしたいと思うんです。
 金融担当大臣にお話をお聞きしたいと思います。
 同じく先ほどの日銀の総裁の中で、「日本経済の持続的な成長軌道への復帰が実現されるためには、不良債権問題の解決を始め、金融システム面や経済・産業面での構造改革の進展が不可欠の条件である。」「構造改革は痛みの伴うプロセスであるが、そうした痛みを乗り越えて改革を進めない限り、生産性の向上と持続的な経済成長の確保は期し難い。」と、こう指摘をされております。そのことに対する大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私も日本銀行の考え方と軌を一にした考え方を実は持っております。需要政策あるいは需要管理の政策で日本経済のデフレスパイラルをとめようという必死の努力、これはこれで私は正当な評価を受けて当然だと、このように思っておりますけれども、どうも需要の追加、需要の管理だけではなかなか今の日本経済を成長軌道に導くことは難しいということは、今やもうほとんどコンセンサスではないか、このように考えております。
 そういう考え方もございまして、自分の所掌の範囲で一体それは何かといえば、やっぱり不良債権のオフバランス化ということを通じて産業の非効率の部分を、我々は金融の面でございますから、不良債権の一番の原因であるような部門と、そうではなくて、今後ともにやっていける、また収益が上がる、成長が期待される、そういうような部門とを切り分けて、今、一たんは非効率の部分あるいは不稼働部分というものを切り捨てて、むしろ元気のいいところを伸ばしていくということを志していかなければいけない、こういうように考えたわけでありまして、そういう意味で私どもの不良債権処理もある種構造改革の一環である、こういうような位置づけをされたとしても私は一切文句を申しません。
○峰崎直樹君 前におられる二人の大臣は、私は不良債権問題にとって大変重要な時期に遭遇をされた方だと思っているんです。
 宮澤総理は、一九九二年八月の自民党のあれは研修会だったでしょうか、不良債権の問題について一番早く政治家の中で指摘をされました。しかし残念ながら、あの日本経済新聞の本によれば、幾らそれを自分が早く見つけても、実は金融界の反対あるいは役所の中の反対によって、経済成長が上がれば、また土地も上がれば何とかなるだろうということで、実はあれ以来、日本の経済というのは、率直に申し上げて、経済成長政策をとり、需要拡大ということを中心にして進め、大変な赤字をつくられたけれども、今日こんな状況になっているわけです。私は、日銀のこのペーパーの中の「日本経済は持続的な成長軌道に復するに至らず、」というのは、そういう十年間の失われたやはり結果だったと思っているわけです。
 そしてもう一人、柳澤大臣にお伺いしたいんですが、九八年に大臣に就任をされました。そして、長銀のたしか国有化などについて決断をされました。そのときに、私も実は確かにそうではないかなと思うんですが、そのときに金融再生委員会、あるいは金融庁になるんでしょうか、全国一斉にある意味では検査を金融庁が入ってやられました。その検査の結果は大変ひどいものだったんじゃないか、本来であれば七兆五千億円程度のいわゆる資本注入では足りなかったんではないか、こういう有力なある意味では説を唱えられる方がおられるわけです。
 ですから、私はお二人にお聞きしたいと思うんですが、一つは、この日銀のペーパーにあるこういう指摘は、宮澤総理の場合は一九九二年の八月以来のこと、そして柳澤金融担当大臣は、あの九八年十二月の一斉検査というものは、一体日本の金融機関はどんな痛みぐあいをしていたんだろうかと。BIS規制で八%基準というものを大手行がクリアするために、全国の地銀やあるいは第二地銀も含めて全国銀行ベースでいえばどのぐらいのいわゆる公的資金が、あのときは大変なチャンスだったわけですね、九八年の金融国会で七十兆という大きな枠をつくって、いわゆる金融再生を図るためにやってきて、そのときにどのくらいの公的資金が投入すべきだったのかなと。あのときの七兆五千億が余りにも過少な、軍隊用語で言えば戦力の逐次投入というんでしょうか、細々とやってしまったために今回もまた金融危機が起きているんではないのか。こういう御指摘がやはりこの日銀のペーパーの中に私は入っているんじゃないかというふうに思えてならない。
 お二人の大臣にそのあたりについての御感想も含めてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 以前、総理をしておりますときにこの問題を指摘したことは、もうかれこれ十年近く前になりますが、本当でございますが、なかなか理解は得られなかったということも本当であります。
 しかし、そのことを今思いますと、これはこういう言い方しかちょっとできないわけですけれども、御承知のようにシュンペーターが、資本主義というものは破壊によって新しい建設をしていくんだということがございます。そのことはお互いによく知っていることでございますけれども、現実の問題として破壊というのは相当の犠牲を伴います。したがって、それ以外に方法がないというところに至るまでなかなか、殊にこのような大きな国民経済ではみんなが決心し切らない。し切らないうちはまだ大丈夫だろうということになりまして、だんだん事態は悪くなるものであるということを実感として感じるわけでございます。
 今回のことも、したがって、これからいろいろ始めなければならないことも、よくおわかりのとおり、いろんな犠牲を伴うことにやっぱりどうしてもなると思います、以前もそれを心配しておったわけですから。ですから、容易なことではないということはもうお互いがわかっておりますけれども、しかし、そこまで来たということは、これから新しい建設が始まる。
 私は、日本人の力というのを信じておりますし、日本経済の力をいっときも疑っておりませんから、それによって、新しい二十一世紀にまた尊敬されるような経済あるいは経済社会をつくっていくことができる。もうそれしか道はないというところに来たと思っておりますから、何とか国民経済的な痛み、犠牲が、やはり経済学者のように痛みは大きいほどいいというわけにまいりませんので、それをできるだけ小さくしながらこの道を歩いていくということしかない。それはまた日銀総裁が今回の措置をとられるときに言われたことの意味であろうというふうに思っております。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今先生御指摘のように、十年三月末の決算、これを基準日にしました一斉の検査が大手行について行われたわけでございます。取っかかりは大手行、その次が地方銀行、それからまた協同組合というふうに今進んでいると、こういうことでございます。
 私ども、まずどういうことをしたかと今先生の御指摘を受けましてちょっと思い出しておったんですけれども、まず第一に引き当てというものを、当時どういう議論があったかといえば、強制引き当て、強制注入、これは最も厳しいというか、ある意味で権力的なやり方があったわけでございますけれども、実際はどうなったかといえば、そこの強制引き当てとか強制注入ということではない、そういうスキームであの法律はでき上がっておるわけでございます。
 私はこれの運用に当たったわけでございますけれども、私は最初に引き当てについては、強制引き当てということではないんですけれども、資本注入行についてはこういう比率、特に破綻懸念先については七〇%をめどにした引き当てをしてくれと、こういうことをもう申し上げました。これはもう部内での大論争でございまして、引き当てというものはどこまで行っても会計基準の一つでありますから、会計基準で認められるもの以外行政がそういうことを言うというのはおかしいんじゃないかということまで言われたんですが、いや、だめだと。これは当時国会でも論議して、私説明させていただいたので議事録も残っているわけでありますけれども、私は、資本注入のためには、資本注入をやる銀行の場合にはこういう引き当てをしてくれというようなことで、当時、記憶によれば五〇%ぐらいが実績の引き当て率でございましたけれども、これを七〇%をめどにやってくれということにいたしまして、ほぼそういうことのラインでのでき上がりとなったということでございます。
 今度は、それでは実際の投入額はどうだったかと申しますと、兵力の逐次投入になったのは、まさに佐々波委員会の前例がいろいろ云々されておったわけでございます。私はですから、相当潤沢な資金も私の運用にゆだねられたというようなこともありまして、できるだけ多くの資金をこの際注入すべきだ、そういう考え方を当然いたしたわけでございます。しかしこれは、何といっても申請主義ということもございますし、これはいろんな形で当然将来は返してもらわなければ国民負担になってしまうというようなこともありますので、返済の能力というようなことも当然考えなければなりません。
 しかしそれでも、どういうことが経過であったかというと、当時、中間決算の発表があって、あなたのところは公的資金をどのぐらい申請するつもりですかというようなことを一斉に聞かれたわけでありますが、そのときに答えられたものよりもかなり上回る実際の申請をいろいろ説得をしたりしまして現実に行わせた、こういうことでございまして、でき上がりはどうだったかというと、自己資本比率一二%ということでございますから、これ以上、一三にも一四にもしろということは、国際の有力な銀行が一二%ぐらいでございますので、そういうことはやっぱりできないということでございまして、私どもとしては当時のいろいろなそうした積み上げの条件とかあるいは上限とかというようなものを考えて、我々としてはできる限りのことをさせていただいた、こういうふうに思い出しているわけでございます。
○峰崎直樹君 もし差し支えなければ、というよりもむしろお願いをしたいんですが、その一斉に検査をされたデータは、これは公開をしていただけませんか、九八年。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 検査結果については、個別企業の信用にかかわるようなことは、これはまあできない。これはもうおわかりいただけるとおりでございますが、集計したものについては、これは既に発表しておるというふうに理解をしております。
○峰崎直樹君 かつて「選択」という雑誌の九九年二月号に大手行については全部データが載ったことがあるんですが、あれは事実なのかなというのをちょっと確かめたかったわけですが、そのことは恐らく確かめてもきっと、いや、これは違いますというふうにおっしゃるに違いないと思いますが、またこれは引き続き議論させていただきたいと思っています。
 もう時間も参りましたので、日銀総裁に二点お聞きしたいと思います。
 一点は、今、長期国債の買いオペの問題がいろいろなされているわけですけれども、これが、消費者物価指数がゼロを超えて、もうこれはそろそろ売りオペにしなきゃいけないねと、逆になる。そういう機動的な基準というのが、恐らくこれは大変な難しい点じゃないんだろうか。逆に言えば、激しいインフレーションが起きる、あるいはまたミニバブルが起きる可能性もあるかな。そういったことに対してどのように考えておられるのかということ。
 そして最後に、森首相、あるいは経済担当のどなたでしたか、一緒に行かれましたね、日米首脳会談。これについてどのように日銀総裁としては判断されているのか、それを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
○参考人(速水優君) まず第一の御質問で、長期国債の買い切りオペをいつまで続けるかという御質問だと思いますが、これは新しく、今まで月四千億と決めておりましたのを、もう少しそのときそのときの情勢で金額をふやすことができるようにすると。ただし、限度は銀行券の発行残高までだということを決めたわけでございまして、今後これがどうなっていくかというのは、今この段階では何とも申しかねますけれども、今度の制度は、いずれにしましても消費者物価がマイナスからゼロ以上ということになるまでということでございますので、ここで私が一とか二とか上がいいんだと言うことは、先ほども申し上げたように、むしろそういうことを言えばインフレ心理を、庶民の方々は慌てて、我々の持っている預金残高が減価するんだというふうにおとりになるに違いないと思います。
 そういうことからいっても、ゼロで、デフレでもないインフレでもない安定した物価に持っていきたいというのが私どもの今の考えでございます。
 それからもう一つの、日米首脳会談をどういうふうに受けとめたかということでございますが、共同声明を拝見しますと、我が国については、適切な経済政策運営と金融システムの強化を含めた構造改革と規制緩和の推進、またアメリカについては、持続的な成長に向けた政策運営が確認されたというふうに認識している。日本の経済を再生させる上で構造改革が不可欠であるという認識が国内外で広く共有されているわけでございますが、こうしたことが両首脳の間で再確認されたということは、大変意義の深いことだというふうに思います。
 また、米国経済の動向は、我が国や世界経済の先行きに大きな影響を与えるものでありますだけに、米国経済の持続的成長に向けた適切な対応が図られることを期待している次第でございます。
 今回の私どもの措置も、年末以来急激に減速してきたアメリカ経済の世界経済に及ぼす影響、そして日本への影響、こういうものを考えてとった手段であるということを考えますと、この点は、はっきりアメリカにもしっかりやってくださいよということをおっしゃったことはよかったというふうに思っております。
○峰崎直樹君 ありがとうございました。
○浜田卓二郎君 私の時間は二十分しかありませんので、簡単にお答えをいただきたいと思います。
 まず日銀総裁にお伺いをいたしますが、今の峰崎委員からの質問と私の質問通告はほとんどダブっているわけでありますから確認的な質問になると思いますが、総裁は、物価下落率というんですか、物価の変動が持続的にゼロを超えるということをおっしゃったわけですが、三つの状況を申し上げて、どれが一番いいかというのにちょっとお答えいただきたいんです。
 物価が継続的にというか持続的にマイナス、つまり下落している状況、これが一ですね。それからもう一つは、物価の変動率がゼロであるという状況。それからもう一つは、物価の上昇率が大体ゼロから二、三%という状況。この三つの状況では、総裁がいいと思っていらっしゃるのはどの状況なんでしょうか。
○参考人(速水優君) 日銀法の二条には、日本銀行は物価の安定を通じて経済の継続的な成長を図ることをもって理念とするということがはっきり書かれております。私どもは、常に物価は安定ということが大事なのであって、インフレでもデフレでもないようにしていきたいと思っております。
○浜田卓二郎君 まさに答えもおっしゃったんですけれども、インフレでもデフレでもない状況が望ましいということでありまして、これは一つの物価水準に対する価値判断なんですね。だから、今おっしゃりにくいんでしょうけれども、ゼロを超える状況が持続的に出ることが一つの今のこれだけの金融緩和措置をとる目標だということであるわけですから、それは、インフレでは困る、ただデフレは困るという判断は入っておりますよね。
 それで私は、インフレターゲット論というインフレという言葉が、英語の正確な意味はわかりませんけれども、余り適切じゃないんじゃないかと思っているんです。インフレというのは、物価上昇率がゼロからせいぜい二、三%までの段階というのは、これはインフレとは言わないでしょう。
○参考人(速水優君) 二、三%の段階でも、それは物価がインフレートしたことは間違いないわけでございます。私どもとしては、今度とりました政策、これは極めてこれまでの政策と違った政策でございますが、こういうリザーブターゲティングといったような、金利を使わないで量で押さえていくというやり方は、なるたけ早く物価が安定した段階で金利による金融調整に切りかえていきたい。
 私が大変尊敬しているある国の長い間総裁をした人に教えられたことですけれども、金利政策というのは、三%以下とか二けたの金利とかいうようなところでなかなかできるものじゃない、本当に効かないんだと。そういう異常なときにはやっぱり経済自体を正常化することの方が先なんだということを教えてくれたことがありますが、これが非常に印象的に私の頭の中にも残っていることなんですが、長い彼の経験から言っておりました。
 そういうことは、別にこれは余談でございますけれども、私としてはやはり、望ましい物価の上昇率を具体的な数値で示すということは非常に今の段階では難しい。将来これができるようになるかもしれません。もう少し私どももインフレターゲティングのことについては勉強させていただきたいと思いますが、現状でこれを言うことは難しいと思います。
○浜田卓二郎君 何も私も数字を総裁に言ってもらおうと思って申し上げているわけではありませんが、重ねて申し上げれば、インフレターゲットという言葉がどうも余りいい感じを与えないなと。何かもっとうまい言い方はないかなというふうに思うんですが、マンデルさんというコロンビア大学の教授が最近何紙かの新聞にちょっと書いておられましたけれども、これはマンデル・フレミングモデルの、ノーベル賞受賞の経済学者ですね。
 今さっき御質問申し上げましたように、どっちが望ましいか。つまり、物価が持続的に下落している状況、これも総裁の言葉を使えば、マイナスで安定している状況だってあり得るわけですよね。それとゼロ、それから持続的にゼロから大体二、三%の水準までで物価が安定している状況、どっちが望ましいか。望ましいのは、このフレミング教授によれば、世界的な認識として少し物価が上昇している状況の方が望ましいと。じゃ、それを目標にすればいいじゃないか。
 だから、総裁、さっきの御答弁でデフレ状況を克服するまでこの金融政策を続けるということをおっしゃって、私はそれで大いに結構だというふうに考えているわけでありまして、ゼロ金利離脱から今日に至るまでの間の日銀の金融政策を失敗の反省だという言い方がありますけれども、私はそう思っておりませんで、あえてマーケットの状況、この金融政策に対する期待感がこれだけ高まった段階で決断をなさったということは英断であるというふうに思っていることを申し上げたいと思います。
 日銀総裁、もう結構でございます。
 それから、柳澤大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、先ほど林委員やあるいは峰崎委員とのやりとりを聞かせていただきまして、森総理が本当に何をおっしゃったかというのは、私は余りせんさくする必要はないと思っているんですよ。むしろ金融担当大臣のお立場で言えば、あの森総理がよくぞ言ってくれたというふうに受けとめられたらどうなのかなと思うんですね。
 つまり、不良債権の処理というのを、これがもう緊急の課題だという認識は世界にもある。日本にはもっとあるわけですから、それを総理がはしなくもというんですか、あるいはそれほどの意味合いがあるというふうに予測していらっしゃらなかったかもしれないけれども、むしろそういう発言をなすった、そう受けとめられた、そして現実に日本のマーケットは反応したわけですよ。
 ですから、これは私は、柳澤大臣にとってはいいチャンスである、むしろこの発言を奇貨として頑張るべきである。もし頑張らなかったら今度は、もうマーケットには期待感が出たわけですね、不良債権の処理が本格的に進む、それは即、大変しんどい問題を含んでおりますけれども、長年言われ続けている構造改革が進む、そういう期待のあらわれですから、今度裏切られたらこの反動というのはもっと大きい、そう思うんですね。
 ですから私は、正確にどうおっしゃったかということをせんさくする必要はない、むしろそういう日本の抱えている問題の本質についてよく言及してくれたと受けとめた方がいいと思うんですけれども、それに対する感想といったらあれですけれども、決意を聞かせてもらいたいんです。
○国務大臣(柳澤伯夫君) この問題について私最初にコメントを公に求められたのは、毎々言及しております記者会見でございました。水曜日になるんですか、繰り延べ閣議の後の記者会見でございました。
 私が何を言ったかといいますと、どう考えますかと言いますから、若干戸惑いを感ずるということを申しました。私はことしの一月ごろからみずからの判断でそういうことを言い出したわけですけれども、それがG7で取り上げられ、また今度は日米首脳会談で取り上げられるということで、私が提起した問題というものがそんな大きな舞台で取り上げられるということにはやや戸惑いを感じますと、これを率直に私、まず第一点言いました。
 それから第二点につきましては、これをどう考えるかということでございますが、ありがたいことだと思います、これでもって、いろんな省庁に関係することが多いんですけれども、私は協力を求められやすくなったと思います、このことを第二点申しました。
 第三点は時期の点ですけれども、質問者が半年云々と言いましたから、それは、総理の言葉としてそう言ったということについては、あなたは誤っていますということを申し上げ、その上で私が言ったのは、私はかねてこの問題に取り組む一つの政策のまとめというものをこの年度いっぱいを使ってやりたいと思っている、したがって私がやろうとしていることは、実行は来年度である、つまり平成十三年度以降の問題である、こういうことを申しました。
 したがって、一つの形が、その結果があらわれるのは当然平成十四年三月末の決算であろうけれども、九月にも中間決算というようなものがあるので、この十三年度以降に行われることの我々の成果というのは、最初には十三年九月末、それから次には十四年三月末に、その後もそうですけれども、一つの形をとれるかどうかということになるでしょうと。
 今の四点を申し上げたということでございます。お察しをお願い申し上げたいと思います。
○浜田卓二郎君 ちょっと不良債権の処理の中身について伺いたいんですが、柳澤大臣は直接償却を盛んに言われるわけで、私もそれは基本的に賛成なんですね。でも、その不良債権というのは一体何なのかという問題があるんですね。
 銀行も、この会社はもうだめだと思ったいわゆる破綻している債権、あるいはもう破綻同然の実質破綻の債権、これについてはちゅうちょなく直接償却するわけでしょう、既に。だから、そういう意味では、償却の中心は実は、ある雑誌で読みましたら八割までが直接償却だと書いてありました。だから、直接償却すべきものは直接償却、実は一番それが得だと思っているのは銀行でしょうから、やっているわけですね。
 だから、この直接償却を進めろ進めろという意味は、いわゆるリスク債権といいますか、今まで引き当てを積んでいるやつを、引き当てを積むのはだめだよ、もう償却しちゃいなさい、あるいは債権放棄ということで整理しちゃいなさいということをおっしゃっているわけですね。だとすれば、それは資産査定というか、それの見直しをやれということですね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権というものは何かということですが、これは今二つのディメンションで検査をして不良債権を認定しているわけです。一つは先でございます。その債務者がどういう状況にあるかということでございます。それから、不良債権という言葉にまさにあらわれているんですけれども、債権ですね。今度は、銀行が持つ破綻懸念先のような債権でも完全に、例えば預金担保が入っているというようなものは、これはもう分類債権ではありません。分類する必要はありません、担保を押さえているわけですから。あるいは国債を担保に入れている。ですから、破綻懸念先のような先であっても、それに対する債権が全部不良債権ということではないわけでございます。
 我々、ですから、そういういろんな実態を考えまして、何も今ここで資産の査定の方針を変えるとかなんとかというようなことは全くないのでございまして、それは整々として会計基準に基づいて行われればよろしいということを考えているわけです。
 それでは、今度我々が進めようとするオフバランス化というものをどの範囲で行うかということ、あるいはどういう状態になっているものに対して行うべきだというふうに進めるかというようなことが問題なんですけれども、それを今現在我々は検討している、こういう段階でございます。
○浜田卓二郎君 いや、もっと大胆におっしゃっていいと思うんですけれどもね。私は何もやめろと申し上げているわけじゃなくて、もっと厳格にやれということを申し上げたいわけですよ。つまり、これが本当の不良債権だと判断すれば、銀行は何も柳澤さんに言われるまでもなく直接償却するんですよ。問題は資産査定なんであって、この会社はまだ生かしておきたい、キャッシュフローはまだ入ってくる、そういう可能性のあるところは残してそして引き当てをしてきたわけですよね。だから、それが甘いと言っているんですよ、実は。
 実は私は、資本注入のときも、さっきちょっとお触れになりましたけれども、強制注入をしなさいと。七十兆準備したんですから、七十兆使い切るのが金融担当大臣の責任だということも申し上げた経緯があります。だけれどもそうなさらなかった。非常に甘い査定で、十分な法律の趣旨に基づく注入ができなかったというふうに、法律をそういうふうにつくったからしようがないんですけれども、つくる前からの話でいえば私はそう思ってきているわけです。
 問題は、なぜよくならないか。それは銀行の経営判断もありますよ、だけれども、やっぱり引きずっているんですね。だから、査定をもっと厳格にさせる、そしておっしゃるように直接償却をしてすっきりしなさいと。すっきりする過程で大変しんどい問題が起きるのは事実ですけれども、それをちゅうちょしておったら今までと変わりませんよ。そこはちょっと後の質問とまた違ってくるのかもしれませんけれども、私は実はそう思っているわけでありまして、柳澤さんには今追い風が吹き始めたんだから、しっかりとやってほしいということなんです。
 今、私は総理大臣をだれになってほしいかといえば、柳澤さんになってほしいですよ。なぜならば、マーケットというのは反応するんですよ。今、財政当局、経済当局に一番足らないところは、この前も責任論という生意気なことを申し上げましたけれども、マーケットが反応しなくなっている。決断がないからですよ。問題の本質というのはみんなわかっているんです。こんなところで議論しなくたってお互いにみんなわかっている。わかっているけれども、これはこういう難しい理由がある、こういう事情がある、だからやらないんですね。やらないから来ちゃった。
 生意気なことをもう一つ申し上げれば、宮澤総理のときに、不良債権処理を私は具体的な数字も含めて御提案申し上げました。その後落選しちゃったものですから、それを追及していくというか、フォローしていく場がありませんでした。今でも残念だと思っているんです。やっぱり早く手を打てば安く済みますよ。
 企業にとっても、やっぱりいつまでも引きずるよりも、どこかで見切りをつける、難しい作業ですけれども、それをお互いに覚悟してやるというのが今の状況であって、私は、柳澤さんが、ブッシュさんに言われる前から直接償却、本当の不良債権処理をやろうとおっしゃって再登場されたことを歓迎しているんですから、頑張っていただきたい。
 一言決意を聞いて、質問を終わります。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今日の事態を迎えますと、資産査定が甘いんではないかとかいうようなことを言われる、そのそしりも免れないのかなというふうに私自身は思っておりますけれども、検査をやる検査官というものもかなり充実していただいておりますし、それからまた検査マニュアルというようなものも、一部には厳し過ぎるとかというようなことを言われつつも、これもグローバルスタンダードにできるだけ合わせる形で制定をしたと。
 そして、私ども今部内にたまたまこの監督と検査が、さらに企画立案と検査が同じ庁になってしまったわけでございますけれども、私の指導は、検査はこういう組織の中にあってもできるだけ独立すべきであるということで、私、各局長とはほとんど日を置いて会っておりますけれども、検査局長だけとは一カ月に一回会う程度というようなことで、できるだけ彼らの独立性を重んじ、客観的な検査の遂行を暗黙のうちに奨励しているというようなことでございまして、もちろん、なお改善すべき点は諸先生の目から見れば多々あろうかと思いますけれども、私どもは私どもなりにそうした努力を積み重ねさせていただいておるということでございます。
 先ほども申したように、今度いろいろな大きな舞台でこの問題が取り上げられたということはありがたいとも思いますし、また私の責任も重大であると考えておりまして、先生の今のいろんな御忠告も胸に畳んで頑張っていきたい、このように思います。
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。
 私も財政再建の問題について伺いたいと思うんですが、先ほど林委員の質問の中でマクロモデルとシミュレーションの話がありました。幾つかのマクロモデルがつくられるだろう、私もそうなるんだろうと思うんです。
 ただ、二月二十日の衆議院における論議をちょっと見させていただいたんですけれども、そこで宮澤大臣が、「シミュレーションをやってまいりますと、恐らく、給付は下げなければならない、負担は上げなければならないということにどうも私はならざるを得ないと思います。」という答弁をしておられるんです。やる前から必ず給付は下げなけりゃいかぬ、負担はふやさないかぬという、何でそういうことになるのかなと。財政構造を抜本的に転換するという方向で私たちは歳出の削減ということが非常に重要だということをずっと訴えてきたわけなんですけれども、もちろん、歳出歳入全般にわたってのマクロモデルということをおっしゃっていますから、ないはずはないんですけれども、しかしそのつくり方によっては、必ず給付を下げなけりゃならぬ、負担を上げなければならぬということは言い切れないんじゃないかなというふうに思うんです。
 昨日も私、予算委員会で質問させていただいたんですけれども、昨年からの制度変更で、社会保障関係の制度変更による負担増というのは二兆数千億になるんですね。そういうところですぐ高齢者の方々には負担が増になってかかってくるというところへ、半年後にマクロモデルができたら、さらに給付は下がるぞ、負担はふえるぞということを覚悟せいというふうなことになるというのであれば、ますます消費者の財布のひもは締まっていかざるを得ないと思うんですね。これじゃお先真っ暗だということになってしまうわけで、これじゃやっぱりまずいんじゃないかと。やはりきちんとした、何といいますか、今すぐにでも財政再建の方向へ着手するんだというふうなことを示すことが非常に大事になっているんじゃないかなというふうに私は思います。
 財政演説では、宮澤大臣は「我が国経済を自律的回復軌道に乗せることが重要でありますが、同時に、我が国経済社会の抱える構造的諸課題に対処していくことが求められております。」というふうに言っておられるわけです。私これは、今までの景気最優先、二兎を追うものは一兎をも得ずということではなしに、もう今や二兎を追わなければならぬというところに来ているということをおっしゃったんじゃないかというふうに理解しておったんですけれども、そうではないんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど林委員にもお答えを申し上げましたが、この平成十三年度予算では、ともかく国債発行額をわずかでも減らそうといったような考え方の中に、財政再建というものはやはりございますよ、そういう気持ちをにじませておりますので、池田委員がそういうふうにお考えになられることも、私は別に間違いだと申し上げません。
 それで、せんだって予算委員会で、シミュレーションをしますと、恐らく負担の方がふえる、給付の方が減るという方向云々と。これは申し上げなくてもよかったことなのかもしれません。しかし、ごくごく当たり前の話は、もしシミュレーションをやってみて、給付がもっとふやせる、負担はもっと減らせるというんだったら財政再建という問題はないわけですから、やっぱり方向としてはどうもそういうことは覚悟しなきゃならないだろうなということを思って申し上げたわけでございます。
○池田幹幸君 そのことをちょっときょうは論議したいと思うんです。
 それにしましても、今そんな、かなり一般的な形で言えるといった、そういった情勢下にあるわけじゃないと思うんですよ。
 といいますのは、宮澤大臣自身、今の六百六十六兆円という国、地方合わせての財政危機、これについて、我が国財政は非常なやや破局に近い状態というふうに発言されました。私は名言だと思うんですけれども、翌日これを訂正されました。翌日訂正されて用語が不適切だったというふうにおっしゃったんですけれども、この破局に近い状態という用語が不適切であると言うなら、どういう用語が今適切なんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは実は予算委員会で御質問がありまして、私が日本の財政の現状についてお答えをしておったわけでございます。おっしゃる理屈ももっともだし、私もそう思いますと、現状認識は一致しておりましたし、聞いていらっしゃる皆さんもたくさんいらしたわけなんですが、たまたま私が後で外へ出てみましたら、ニュースサービスが、このごろはワイヤーサービスがたくさんいまして、あっという間に廊下へ出て打つわけでございますが、その部分だけを取り上げて何か日本の財政が大変なことになったということが起こったものですから、ああ、これはじゃ取り消しておかないといかぬなと、こういうことでございました。
 もっとちゃんとした言葉に翻訳すりゃいいとかなんとかいうことも言ったらあるのかもしれませんけれども、ごくごく普通にしていた会話の中から一部だけ取り上げて、その部分で一行だけ打つというのはどうもかなわぬな、これは取り消しておいた方がいいなと、こういうことでございます。
○池田幹幸君 どういう用語かということについてのお答えはなかったんですけれども、しかし、どんな言葉を使おうが、財政が危機的状態にあるということは変わらないわけでして、今の状態、これは政策転換をしない限り借金はふえ続けるということは、昨年も論議させていただいたし、財政の中期展望、これではもう政策変更しなければ取り返しのつかないことになるというのははっきり見えているわけですよね。
 結局、私お尋ねしたいのは、今までともかく、景気をよくしなければ財政再建にはかかれない、つまり財政赤字の削減そのものが景気にはマイナスに作用する、そういうお考えのもとに政策を続けてこられたというふうに思うんですけれども、しかし今、ヨーロッパの経験から考えますと、こういった考え方はもう否定されるべきじゃないかというふうに考えるんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 否定されるべきものは財政赤字ですか。
○池田幹幸君 財政赤字を削減するということは、景気にマイナスに作用すると。だから、ともかくまず景気が先だという考え方。
○国務大臣(宮澤喜一君) 失礼しました。
 そういう論理でその結論をしたのではなくて、財政再建を考えますと、やはり一番基本になるのは自主財源でございますので、税収というものの見当がつきませんと、いわゆる基本的な出るが全くわからないのでは再建の立てようがないと。そこで、一定の税収を期待できるということは、一定の成長を期待できるということであると。それも、ややいっときだけでなく、サイクルとして、そういうふうに思って申しましたことでございます。
○池田幹幸君 わかりました。
 そうであるならば、今ヨーロッパの方での考え方、これについてひとつ私紹介したいと思うんですが、資料として今お配りいただいた、富田俊基さんという人の「国債累増のつけを誰が払うのか」という本の中で書かれておることをちょっと孫引きさせていただいたんだけれども、財政赤字も債務残高もEU諸国の中では最悪であったイタリアについて、九五年当時、IMF欧州局長だったルッソーという方がこう言っているというんですね。イタリアは幸運にも数少ない政府債務残高のGDP比率が非常に高い国である、したがって、赤字削減は経済に不況をもたらすのではなく好況をもたらすのであると、皮肉な言い方ですけれども、そういうことを言われた。
 そうしますと、今の日本を考えてみますと、イタリアよりももっとある意味では幸運な国になっておるんじゃないかと。財政赤字の削減をやれば景気に大いにプラスになる、そういった状況に今の日本はあるんだと思うんですね。
 まさにこういったヨーロッパの経験というのを今学ぶべきときに来ているんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) ECのいわゆるマーストリヒト条約をイタリーがああいう形で満足したということは、私は実に意外でもあるし大した努力でもあったと思っていまして、いまだにそれが何であったかを十分に知らないままで実はおるわけなんでございますけれども、もしかすると、いわゆる政府の管理していた経済というものがほかの国よりはるかに小さくて、それ以外の部分に経済活動が非常に大きかった、あるいはプライバタイズできる財産があった、何かそういう要素がきっとあったのかもしれないなと。一遍私も知りたいと思っておりまして、しかし、おっしゃいますように、ああいうことができたということはやっぱり私は大したことだと考えておりますので、これはもう勉強しなきゃならぬことだとは思っております。
○池田幹幸君 今イタリアについて言われたわけですけれども、確かにイタリアについては、今おっしゃったのはアングラ経済が大きかったんじゃないかというお話のようですが、確かにそういう面もあったようです。しかし、やっぱり基本はそうじゃないと、紹介された本を読みますと大体出ております。確かにそのやり方は、税収中心に置いたり、それから歳出削減を中心に置いたりということでさまざまやっておられるんです、EU諸国はですね。
 同じ本で、OECD二十カ国を対象とした実証研究が紹介されているんですけれども、それの中で、財政赤字の顕著な削減に成功した緊縮政策は、成功しなかった場合と比べ、歳出削減の規模が大きく増税の規模が小さいということが、大体二十カ国についてやったところがあらわれておるということが紹介されております。
 そこで私、ドイツ、フランス、イタリア、イギリスについて、この富田さんのところからちょっといろいろ引っ張り出させていただいた。これがその資料2なんですけれども。それを見ながらちょっと考えていきたいと思うんですが、要するに富田氏の研究によりますと、増税に依存した財政再建と言われておりますフランス、その場合も含めまして、赤字削減の柱は歳出削減になっております。その歳出の中身を見ますと、公共事業と軍事費の削減が中心になっているんですけれども、やっぱり社会保障関係の移転支出もそれはそれなりに減らすとかというふうなことをやっております。しかし、このグラフを見ていただいたらわかりますように、何といいましても政府投資、この政府投資というのは純投資支出のことを意味しているようですけれども、政府投資と訳しておられるんですが、これが非常に大きな削減率になっておるんです。
 ただ、GDPに占める数は、ヨーロッパの国々の場合は政府消費よりもはるかに小さいんですね、公共事業の方が。それでもその公共事業を大幅に減らしている。どの国を見ましても、それが一番大きな寄与率といいますか寄与度といいますか、それが大きくなっておるんです。ここをやっぱり私は着目しなければいかぬだろうなというふうに思うんですね。
 そこで、日本の場合を比べていきたいなというふうに思うんですけれども、日本の場合はヨーロッパ諸国に比べてはるかに公共事業がGDPに占める比率は大きいんですね。これはよく言われてきていることです。ただ、この表はよく使います一般政府固定資本形成じゃなしにEUの数字が出ておりまして、なかなか比べにくいものですから、このEUの数字にそろえた数字を国会図書館の方の考査局に御協力いただいてつくってみたんです。それが資料一の数字なんです。
 それとあわせて考えますと、ヨーロッパの場合、低い純資本支出を五年間ぐらいで四分の一から半分に減らすというふうなことがずっとやられてきております。日本もこれで見ますと七・八から六・七ということでGDP比下がっているじゃないかと思われるかもわかりませんが、これは御承知のとおり地価の値下がりです。これは一般政府固定資本形成ではなしにEUの基準に合わせたものですから、私はこれに、固定資本形成にプラス土地購入費、これを乗っけたものにしました。そうしますと、ヨーロッパ諸国と比べてまだカウントの額は少なくあらわれるわけですから、比較としては別に悪いことはないと思うんですけれども、それでやると、ここにあらわしましたような数字になっている。
 つまり、九七年で見まして日本はまだ公共事業の比率がGDPの六・七%もあるわけですね。これでいくと相当、ヨーロッパ諸国に比べても公共事業削減にウエートを置いた財政再建策というのが日本では可能になるということをあらわしているんじゃないかなと思うんですけれども、この数字をごらんになって、宮澤大臣、どのようにお考えでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 最後におっしゃいましたことは、公共事業を削減することによって財政再建が可能になるはずだと、こうおっしゃったんでしょうか。
○池田幹幸君 それだけとは言いませんけれども、それを柱にすべきだということです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 途中の推論はよくわかっていまして、結論が私どもが思っているのと違うことになる場合が多いものですから。
 それで、今九兆二千億円というものを公共事業に三年間続けて充てておる、この公共事業が我が国の場合不評であるのはなぜなんだろうかと私は本当に考えてみていまして、旧態依然たることでというようなこと、それも一生懸命改めようとしておりますが、我が国がいわゆる近代国家として登場しました百何十年前のときに、彼らヨーロッパの国々が持っておったインフラストラクチャーというものと、我々が持っておったものとがやはりかなり違っておって、そこをキャッチアップする途中に戦争があったりいたしました。戦災もございました。ということから、十分キャッチアップができていない。下水道の話ばかりしてもいけませんですけれども、しかし、人が歩いている道が馬車の通る道になって自動車が通る道になりやすかったわけですが、我が国は馬車の段階がございませんでしたから、といったようなこともきっとあるに違いない。
 公共事業がむだ金として使われておるという認識がどうも私に十分でないんです。それは、いわゆるポークバレルと言われるように、代議士が郷里に何か持って帰るとか、あるいは土建業がそれでいろいろ大きな利益を上げるとか、そういう部分は確かに反省すべき点があるんでしょうけれども、具体的に地方の公共団体が実際に公共事業投資を非常に希望している、そういうことは事実だと私は思うのでございます。そう思いますものですから、公共投資をするのが景気回復の一つの方法である、あるいは雇用を維持する一つの方法であるということが、私はどうもこれほど批判を受けることが実は十分に納得できないでいると。反省すべきところは反省いたしますけれども、そういう気持ちを持っておりますんですが、いかがでしょうか。
○池田幹幸君 社会資本整備の今の話、私は確かに非常に大事な点だと思うんです。ヨーロッパ諸国では日本よりもはるかに早くからそれができてきたんだ、日本はおくれているんだという話、それは私、必ずしも全部言えないと思うんですけれども、ある面ではそれはあると思うんです。
 しかし、今紹介した財政収支を見ますと、ヨーロッパ諸国で公共事業を大幅に減らしています。日本よりははるかに額は少ないけれども減らす率はすごいです、二五から五〇パーとなっていますからね。しかも、日本と比べてこれら諸国は、先ほど大臣おっしゃったように社会資本は相当整備されておって、新たな投資よりもむしろメンテナンスといいますか、そういうところの方が多いんです。そういうところであるにもかかわらず減らしているんです。もしそういうところを減らしますと、そういつまでも減らせないと。ことしは減らしたかしらぬけれども、来年は何かやらなければ、ふやさなければひどいことになるぞとだれでも国民はわかるわけですから、なかなかそういうところを減らしにくいんですよね。
 そういうところでも減らしていってこれだけ削っている。日本の場合には、六・七%、この中心が新規公共事業が多いわけですよ、メンテナンスよりも。ですから、新規公共事業、これは我々の言うむだなダムとか飛行場、こういったことを減らしていくということによってかなり可能なわけですから、そういう点では、そういった社会資本の特徴に着目してみても、日本の場合にはずっとやりやすい状況にあるというふうに私は思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、飛行場というお話がありまして、あるいは時々新幹線ということも言われることがございますけれども、我が国の場合、地方の人たちが自分たちの飛行場が欲しい、あるいは自分たちの新幹線が欲しいということは、私は実に無理からぬことであるというふうに基本的には考えまして、みすみすむだをするという話なら別でございますけれども、やはり政府の役割というのは、そういう国民の持っているインフラストラクチャーに対する要望を満足させるということが私は政府の一つの大事な仕事だというふうに考えます。
 中央経済的に言えば、そのような飛行場、新幹線は別かもしれませんが、はどんなものだろうということは何度も議論になりますけれども、しかしやはり地方のそういう声というものは非常に強いし、国としてできるだけのことはする方が本当ではないかという気持ちがございまして、国民経済的に見て不経済ということはあるいは言えるのかもしれません。しかし、市場経済を徹底させますと、やっぱりペイしないものは、あるものは政府がしなければならないことなのではないかという思いが私はしておりますけれども。
○池田幹幸君 どうも公共事業全般に私たちが否定しているようにちょっと聞こえたんですけれども、決してそんなことではないんですよね。ダムのことだって今全国で問題になっています。飛行場といってもすべての飛行場じゃなしに、例えば今関空とか中部国際空港の見通しを見ますと、これ以上滑走路をふやしても赤字になるんだと、関空の場合には明らかにそういうことが出ているわけですよ。今でも赤字なのにさらに赤字がどんどん積み重なるといったようなことが出ている中で、これは当然見直すべきだろうと私たちは考えます。そういったものを全国的に大きく見直す必要があると。
 さっき言いましたのは、GDP比、ほかの国はもう減らして、イギリスでは一・四%、ドイツでも二・七パーです。日本は六・七%ですからね。幾ら日本はヨーロッパ諸国と比べて社会資本整備がおくれているとおっしゃっても、余りにも違い過ぎる。何もここまで公共事業つぎ込むことないじゃないかと。少なくともほかの国が五年間で半分ぐらい減らしたわけですから、もしこれが日本においてできれば非常に大きな効果が私はあると思うんです。額的に見ましても、例えばイギリスなんかは五割ぐらい減らしたわけですから、五年間で五割というのはなかなか大変ですが、二五%にしたとしても、九七年に比べますと大体八・五兆円削減できるし、五〇%だと十七兆円になるわけです、五年間でですけれどもね。こういう方向はぜひ私は追求すべきだと思うんです。
 これは一度私紹介したこともあるんですけれども、OECDのエコノミック・サーベイ、九九年十二月に出ているんですけれども、ここでは日本の公共事業についてやり玉に挙げているんですね。
 要するに、望みのある方法として公共投資の削減を挙げて、ここでは、GDPに対する公共投資の比率をフランスやイギリス並みの水準にすれば、つまり約三%に引き下げるということなんですけれども、そうしますとGDP比五%引き下げることができるんだと。五%というのはどういう数字をとっているのかわかりませんが、公共事業のGDP比を八%にとっているようなんですけれども。これはよくわかりませんが、これを見ましても、方向として、日本の場合には当然そういう方向をとるべきだというふうにOECDでも忠告していると私はとるべきだろうと思うんです。
 これは、先ほどから公共事業の必要性とおっしゃるわけですけれども、諸外国でも公共事業削減が一番柱になって財政再建に成功しているわけですから、こういう方向に踏み出すという方向を出すだけでも景気に対してもプラスになると私は考えるんですが、再度お考えをお聞きしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私どもの党内でも、マンネリズムでやってきて、着工もできないでいるような公共事業といったものは問題だということで、昨年、随分党内で見直しをいたしました。そして、二百七十かそこらの数のものも予定から落としましたし、工事をするはずだったものもとめましたり、いろんなことをしておりますから、おっしゃいますように、確かにそういうふうなところが私はあるのだと思います。私どももそれに気がついて一生懸命やろうとしておるということは、私は決して、おっしゃることはすべて間違いだということを思って言っているんじゃありません。
 それでもう一つ聞いていただきたいのは、いわゆる旧態依然たるものをやっているから、こっちからこっちへひとつ振りかえてみろというお声は非常に長くあって、この十三年度予算編成でも随分それをいたしました。一般公共事業の中でそのトータルが一千億ちょっとでございます。それができました、その成果が。一千億といいますと、しかし、全体の公共事業が九兆でございますから一・何%でございます。これだけやって一・何%ということはどういうことなんだろうかと。
 いろいろ聞いてみますと、公共事業は毎年毎年連続して継続してやっておりますから、そういう部分が九兆のかなり大きなところを占めておって、いわゆる新規とかなんとかいうものは本当に小さい部分で、その中での移しかえがあるということが、九兆からいえばほとんど一%とか何%とかいうことになるという説明を聞いておりまして、私も十分納得ができないところも実はあります。
 ですから、なおこの努力は続けていかなきゃなりませんが、確かに大抵の公共事業というものは、一遍限りのものということはなくて、継続して行われておる、そういう部分をそう簡単に変えるわけにいかないということがあるんだろうと思いますので、そういうものも含めまして検討することが入り用になるかもしれない。私自身もおっしゃることについていろいろ共感したい部分がございますので、もっと努力をいたします。
○池田幹幸君 先ほど言いましたヨーロッパ諸国のメンテナンスの部分と大臣の今おっしゃった継続の部分なんですけれども、日本の場合の継続は、メンテナンスじゃなしに、さらにふやしていく形の、最初の計画よりもどんどん積み上げていくんですね。こういう形については、今おっしゃったので、見直しの対象ということも考えておられるというふうに理解していきたいなというふうに思います。
 時間がもうほとんどなくなりましたので、あと歳入の方もやりたかったんですけれども、私が一番中心にしております消費税の減税問題を取り上げたかったんですけれども、そこまでは到底行きません。
 最後に、公共事業の削減の効用についてもう一点だけ指摘しておきたいと思うんですけれども、これは何も私が言ったことじゃなしに、九九年のミニ経済白書で言われていることですけれども、公共事業が財政赤字の最大の原因になっている、累積債務増大の最大の要因になっているということが書いてありました。ここでの表現は、「九一年度から九六年度の間に、構造的財政収支は六・九%も赤字が拡大しており、一般政府の財政赤字の拡大の大半を占めている。」、約九割を占めているというふうに書いてありました。
 つまり、今、本当に景気をよくするというためにも公共事業の削減、これが将来にわたってということではなしに、具体的に実額で出る方向というのを出さないといかぬと思うんです。二百七十二事業についての見直しもおっしゃいましたけれども、全然動いていないところとか額の少ないところとかで、結局はトータル額は減らずに九兆五千億の公共事業予算が組まれて、おまけに三千億の予備までくっつけているという状況ですから、これではやっぱり具体的なあらわれになっていない。
 ここのミニ経済白書で指摘したような方向の累積債務の赤字削減にも貢献し、景気回復にも貢献できるという形での、具体的な額にあらわれた削減というのを今求めているんだということを再度申し上げ、できればもう一度お答えいただきたいなというふうに思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) このことは池田委員がしょっちゅうおっしゃいまして、私も反発する気持ちがそうあるわけではありませんで、一部にそういう強い議論がある、マスメディアにはなかなか強い。しかしそれは、我々こういう仕事をしております者が地方から受け取ってくる話とは随分違う。そこが、ただ汚職があるとか土建屋がいかぬとかということとは多分違うので、私どもだってそういうことの弊害はわかりますから、そこが何なんだろうかということは、しょっちゅうおっしゃいますので私もかなり意識しておりまして、もっと勉強させていただきます。
○池田幹幸君 終わります。
○大渕絹子君 宮澤財務大臣にまずお尋ねをしたいと思います。
 今回の日米首脳会議の結果についてどのようにお考えになるかということなんですけれども、私は、今、日本は大変景気低迷を続けてきて、ようやく回復の兆しが見えてきたこの時期、あるいはアメリカは好調景気が続いてきて減速に向かっているというこの時期なんですけれども、この時期に行われる首脳会議ですから、本来ならば、日本を代表して行かれる総理には、堂々と世界第一の債権国として、みずからの景気回復は、不良債権処理あるいは財政構造改革をきちんとやりながら日本はしっかりとして経済発展に向かうということをアメリカに示しながら、だからこそアメリカは、みずからの景気が今減速している状況を、さらに加速させて日本にまでその累が及ぶことのないようにしっかりと自力で回復しなさいということを言うための首脳会議であったと思うのですけれども、主導権はブッシュさんにとられてしまって、これはあくまでも新聞報道の中ですけれども、ブッシュさん主導のもとで、日本に対してさらなる注文をつけられるというような結果に終わってしまったのではないかということで、非常に残念。だから、死に体の総理は行くべきでないというのが我が党の主張だったわけなんです。
 この結果について、宮澤さんはどのように感じておられますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、自分の経験から申し上げるしかないわけですけれども、ああいう首脳会議でどっちが主導をとったとか、こう言われてどうだとかいうことは、私の経験では起こったことはありませんし、このたびも私はそういうことではないんだろうと。恐らく、マスメディアの報道のスタイルがありまして、そうするとああいうことになるのだろうと。ですから、読むときに何割ぐらいちょっと屈折して読んだらいいかという読み方があるというぐらいに私は実は思っていまして、そういうことで展開しているんではないと私は思いますが。
○大渕絹子君 それでは、円安を推進させて輸出拡大による景気回復を図ることはだめよと言われたことに対してはどう答えますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) よく読んでみますと、こういうことを言っているわけですね。こういうときにどこの国でも、殊に日本はそうですけれども、輸出でもって稼ごうということをやるので、過去に迷惑したことがあるとは言っていませんけれども、あるんだねと。ですから、そうかと思っていたら、債権の処理だとか財政再建だとか、そういうリストラクチャリングでやってくれるということを聞いたので、よろしく頼みますと、文脈はそういうふうになっているわけです。
 ですから、確かに大渕委員のおっしゃられますように、輸出でどんどんはないでしょうねと。そういう部分があるんですけれども、主たる部分は債権の処理であるとか財政再建であるとかに力を入れてくれるそうで、自分は非常にそこは、ありがたいとは言いませんでしたが、安心をしたと、そういうふうな表現になっています。
 それで、おっしゃるように、これもジャーナリスティックに言えば、日本はこれからうんと円を安くしてうんと輸出をやって、それで稼ごうというパターンを考えそうなエコノミストはいますけれども、我々はそんなことをする気は全然ありませんし、そんなことをちょっとしたって今の日本の状況がそうよくなるわけでもありませんで、原則はやっぱり、先ほどからここで債権の処理とか財政再建の議論になって、それが本筋だということはお互いに知っていることで、森さんもそれを言われて初めてわかったわけではないので、ただ、多分ブッシュさんが言いたかったのは、どんどん輸出攻勢ではないんでしょうねというところは、それは言いたかっただろうと思いますけれども、しかし、それが本筋じゃないことはお互いもうよく承知していることです。
○大渕絹子君 金融の健全化を図ると同時に、私は、日本は輸出でこの経済繁栄を築いてきたというふうに思いますので、よその国よりもよい技術で、そしてよい商品を安く売れる体制をつくっていかなければ産業の復興というのはないというふうに思うんですよ。ですから、不良債権処理や財政健全化とともに、やはりまた輸出を伸ばすということも私は必要だと思うんですね。
 ところが、アメリカはそう輸出攻勢をかけてはだめというようなことを言って、この十年間、いわゆるプラザ合意以後、クリントン政権になってからもそうですけれども、アメリカの進言というのはいつも、自分の国、アメリカがどうなるかということをきちっと目標に置きながら日本に対して注文をし続けてきたという構図があるんですよね。ですからこそ、世界一の債権国でありながら今日のような金融状況に陥ってしまっているわけでしょう。ここのところがしっかりとわかって、政府は、アメリカに物を言う体質というのは必要じゃないんでしょうか。そこはどうお考えでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただ、我が国がこれだけ大きな経常黒字を重ねておることはよく御存じでございますから、それをもっともっとふやそうというようなことは、我が国もそれはやっぱり世界の中でぐあいが悪いし、アメリカにしてみれば、日本、中国、このごろは中国が多いときもありますが、そういう赤字をしょわされているということはそのとおりで、あれだけ大きな、三千億ドル以上のあの毎年の赤字では大変だと私も思います。ですから、それは至って当たり前なんだろうと思うんです。我々もまたそんなことでここを逃げられるものでもない、そんなくらいのことでこの難しい経済をやれるんじゃありませんから、それはまあ大統領のおっしゃるのはいい。
 それよりも、一言申し上げたいのは、いつもそうやってアメリカにやられているんじゃないかということについて、私は、日本にとって一番大事なのは日本の利益であるし、アメリカにとって一番大事なのはアメリカの利益だと思います。そのことは何も言えることはない、そのことについて。ただ、お互いがその利益を共通にしているということが大事なのであって、日本にとって日本が一番大事、アメリカにとってアメリカが一番大事、そんなことは私は当たり前のことだと思います。
○大渕絹子君 その当たり前のことが日本の政府はできておらないと私は思っていますけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大事なことは、利益なり価値観を共通にしている立場からは、お互いどれだけのことが譲り合っていけて、どれだけのいわばお互いのため、あるいは世界のために貢献できるかということが共通の目標だと私は思っていますものですから、そのためには譲り合うこともある。それは別に不思議ではない。
○大渕絹子君 それでは宮澤大臣は、この十年間、日本の資金を環流させるシステムをつくることによってアメリカの財政赤字が克服をされて、あるいはドルの覇権が海外に出ていくという、こういう構図になっているということについてはどうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もしそれが金利を稼いでおりませんでしたら文句を申します。
○大渕絹子君 黒字国で、金利を稼いでいて、なおかつ今日のこの金融状態を招いたのは、それでは政治の責任ということをお認めになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは非常に厳しい問題があると思います。おまけにこういう一兆何千億という一人一人の個人財産がある、そういう国でございますのに、金の使い方がやっぱりまずいのかなということは、これは経済政策としていろいろに反省すべきことがあるとは私思うんです。どうもそれをみんな貯金しちゃって、またこんなに利子が減って、それが非常に大きなものを持っていて、それでこういう経済になっちゃっているというのは何か間違っていないかということは、私は十分議論されるべき問題だとは思っています。
○大渕絹子君 何かが間違っているんではなく、政治が間違っているというふうに思っておりまして、ここは本当に真剣に考えていただいて、日本の利益というものがどういうふうにこれから保たれていくのか、あるいは国民に還元がされていくのかということを財務大臣として本当に考えていただきたい。アメリカはそこはしっかりしているんですよね。たとえ日本を犠牲にしても、自分の国の利益をどう守るかということはもう徹底して研究されて、行われているというふうに私は思います。そういう政治が日本にも今一番求められる時期が来ているということを申し上げておきたいというふうに思います。
 時間がなくなってきまして、予告をしました質問が全然できませんが、株式の買い上げ機構について宮澤大臣と柳澤大臣がそれぞれお話をしているわけですけれども、私がお二人のコメントをテレビ等を通じてですけれどもお聞きしますと、少しニュアンスが違うような感じに受けとめられたわけですけれども、もう一度この場所で、宮澤大臣の株式買い上げ機構の公的資金注入に対する考え方、そして柳澤大臣の考え方、お二人の考え方を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは私が先に申し上げた方がよろしいと思いますので、私から申し上げます。
 三月九日に与党三党と政府との緊急対策会議を立ち上げましたときに与党がつくりました案の中に、銀行の持つ株式の財務内容に及ぼす悪影響、株式の持ち合い等々のことが書かれておりました。この話の中で、もし何かそういう仕組みをつくって銀行がそこに金を出すとすれば、それは将来損失が生ずるかもしれないから、銀行としては引き当てておかなければならない、それは非常な負担である、そういう考え方が銀行側の一部にあるということを柳澤大臣が御紹介になっていまして、私はそれはそうかもしれないなと。しかし、もし銀行がそういう懸念を持つのならば、今株価というのはほとんどどん底、九日でございますが、ですから、それは将来いつの日か万一損失が生じたときは財政が何かの負担をしてもいいんじゃないのというのは、正直申しまして、もうあれだけ下がった株式でございますからということもございますけれども、そういうことを私は一般論として一言だけ申しました。
 どういうスキームができるかわかりませんし、何をどうするということもわからないままに、これだけの大きなピンチであるから財政も財政の役割はいたしますよ、どなたの株でもみんな納税者ので買ってあげましょうなんということは、到底私に言えと言っても申しません。そんなことはもとより申さなかったのですが、財政の役割があれば必ず果たしますということは私申したんです。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私もその本部の会合に出席をいたしておりまして、今、宮澤大臣のおっしゃられたお言葉をいただいたわけでございますけれども、その前提は、ここに党側の文書が出されているわけでございますけれども、民間ファンドによる株式買い上げ機構の創設ということになっているわけでございます。したがって、あくまでもイニシアチブも民間側であるし、その資金も民間側であるということなんでございますが、通常でしたら、民間側から何か要望があったことを党が採用してこれを掲げるということが一番あり得ることなんでございますけれども、このケースだけは、民間のことに言及しながら、民間からの要望を受けたものでも何でもないようでございます。
 そこで、私どもは、民間のことが書かれているので、あなた方はどう考えているんですかということを二、三、あらかじめこの会議がある前に聞きました。まだ本当の業界としてまとまった意見というわけには急なものですからできなかったんですけれども、とりあえず聞いておかないと、何とも会議に出席する立場として無責任過ぎるというような思いで聞いたわけでございますが、そこには幾つかの問題があった。
 その問題の中で、それを長々とすべて披露するわけにもいかないなと思って、一番わかりのいいところかと思いまして御紹介しましたら、今のようなちょっといきさつがあったのでございますが、根本のところがまだ何にも決まっていないし、民間側も、そもそもこういう考え方に乗り気なのか乗り気でないのかというような問題もあるものですから、そうはいっても党が言っていることなものですから、我々としてこれに誠実に対応しなければいけないと思っているのでございますが、現在のところは、民間側としてはかなり消極的というか、全体としてそういう感触だと。これは、きのう全銀協の会長の会見がたまたま定例日でございまして、全銀協会長も何かそういうニュアンスのことで御意見を言われておったようでございます。
 いずれにせよ、民間のことでございまして、民間が考える、それを受けて我々として何か考えていくのなら考えていくと、こういうことに尽きると思っております。
○大渕絹子君 株式市場に公的資金で介入するということは、自由市場を脅かすというような観点からも、今、柳澤大臣がおっしゃったようなスタンスというのは大事だろうというふうに思いますけれども、しかしそれでも、株式を買い上げてでも処理をしていかない限りだめなところまで日本経済、金融そのものが来ているのかどうかということもあるんだろうというふうに思いまして、これはなかなか微妙な問題だろうとは思いますけれども、柳澤大臣のそのスタンスというのは非常に大事だというふうに思っておりまして、私どもの党でも、もし柳澤大臣がやめられてからの期間ずっとやられておったならば少しは変わってきていたのではないかという評価もあるところでございます。
 ぜひ頑張っていただきますようにお願い申し上げて、質問を終わります。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、民間側の感触は申し上げたとおりで間違いないと思うんですけれども、それでは、今我々として何にも、宮澤大臣がせっかくおっしゃってくださったようなこととの関係で何も考えられないのかと申しますと、私はむしろ最終の投資家にいかに株を早くデリバリーするかということだと思っております。
 そういう関係で、宮澤大臣の御提案というようなものが、何と申しますか、助けになるようなこともあるかもしれぬというように、若干視野を広げて考えているということだけちょっと申させていただきます。
○委員長(伊藤基隆君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時十六分開会
○委員長(伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 去る三月十九日、予算委員会から、本日一日間、平成十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行について審査の委嘱がありました。
 本件を議題といたします。
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○委員長(伊藤基隆君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に財務省理財局長原口恒和君及び国土交通大臣官房審議官金子賢太郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(伊藤基隆君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に参考人として国民生活金融公庫総裁尾崎護君、日本政策投資銀行総裁小村武君及び国際協力銀行総裁保田博君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(伊藤基隆君) それでは、委嘱されました予算について順次政府から説明を聴取いたします。宮澤財務大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) 平成十三年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入予算額は八十二兆六千五百二十三億七千九百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、租税等は五十兆七千二百七十億円、雑収入は三兆二千百六十八億一千九百万円、公債金は二十八兆三千百八十億円となっております。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は十九兆三千七百二十二億一千九百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは一千五百三十七億一千六百万円、国債費は十七兆一千七百五億三千四百万円、政府出資は三千百六億二千万円、公共事業等予備費は三千億円、予備費は三千五百億円となっております。
 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。
 造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも三百二十五億六千三百万円となっております。
 このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。
 国民生活金融公庫におきましては、収入二千九百八十九億二百万円、支出三千九十二億九千七百万円、差し引き百三億九千五百万円の支出超過となっております。
 このほか、日本政策投資銀行等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 以上、財務省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
 なお、時間の関係もございまして、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録におとどめくださいますようお願いいたします。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○委員長(伊藤基隆君) 柳澤金融担当大臣。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 平成十三年度における内閣府所管の金融庁の歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。
 金融庁の平成十三年度における歳出予算要求額は百三十四億八千四百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、金融庁の一般行政に必要な経費としまして百七億二千九百万円、金融機関等の監督等に必要な経費としまして十四億三千万円、証券取引等監視委員会に必要な経費としまして五億円を計上いたしております。
 以上をもちまして、平成十三年度内閣府所管の金融庁の歳出予算要求額の概要の説明を終わります。
 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
○委員長(伊藤基隆君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 なお、財務省所管の予算の説明については、お手元に配付しております詳細な説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○日出英輔君 自由民主党の日出でございます。
 委嘱審査ということでございますが、少し幅広く質問をさせていただきたいと思っております。前もって通告いたしました質問の要旨、順序を若干変えて御質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、国債の発行関係につきまして伺いたいと思っております。
 十三年度の国債の発行予定額は、新規の分で二十八兆、借換債で約六十兆、財政融資特会で十兆、合計で九十八兆でありますし、また、財投改革の経過措置ということで、これも入れますと百三十二兆に上るというふうに承知をいたしておりますが、これだけの大量の発行を円滑にやっていくということは大変国家的な、大変重要なことだろうというふうに思っております。私も、財務省のホームページで国債市場懇談会の議事要旨も読ませていただきまして、実に丁寧に円滑な国債の発行についていろいろと議論をしておられるということも伺いました。
 初めに、財務副大臣に総括的に伺いたいんでございますが、十一年度ごろから非常に丁寧にこういった国債の発行についてのいろいろな手段をとってきておられる。そういったことで、この十三年度には国債の円滑な発行という点でどういう点に留意をしてなさろうとしているのか、総括的に伺いたいと思います。
○副大臣(若林正俊君) 御承知のように、十三年度末の国債発行残高は三百八十九兆円となる見込みでございます。極めて厳しい状況にございますので、この発行が円滑に行われ、市場において消化されますこと、大変重要なことだと思います。
 その意味で、市場の動向を常時把握いたしまして、市場のニーズに合わせながらきめ細かい発行をしていく必要があると。その意味で、国債の償還の期間につきまして、それぞれ期間別に細かく配慮をいたしまして、五年物、十年物、その他短期の国債を含めまして、市場のニーズに合わせて中期の国債なども重視をいたしまして発行してまいると、このような考え方でおります。
○日出英輔君 それで、少し細かく政府側の方から伺いたいわけでございます。
 どうも私はこの国債の発行の関係につきましては素人でございますので、国債市場懇談会の話を理解すること自体もなかなか苦労をして、それでも理解がどうもできていなかったような気がいたしますが、ただ、この点につきましては、これだけの大量の国債発行をするわけでありますから、ある意味では国民の大きな関心事と言っていいかというふうに思っております。
 まず最初に伺いたいのでありますが、例えば、平成十一年度に三十年債の公募入札を開始されるとか、あるいは十二年度になりましてから十五年の変動利付国債の公募というような入札開始なども行われておりますが、この発行年限の問題というのは、一体財務省としては一般的にはどういうふうに考えておられるのか。短縮化傾向が見られると、例えばそういうような議論も一部にありますが、こういった三十年債とか十五年変動利付国債などが入ってまいりますと、計算上はむしろ短縮化でもないような気もするわけでありますが、短期化していけば借りかえのリスクが出てくるでありましょうし、ちょっとここはどういうふうな方針でおられるのかよく承知できなかったんでありますが、この点についてまず伺いたいと思います。
○政府参考人(原口恒和君) 国債の発行に当たりましては、いろんな要素がございますが、まず確実、円滑な消化を図る、そういう意味では市場のニーズを的確にとらえるということがございます。また、長期的に見て、やはり国の借金でございますから調達コストを極力抑制していきたい、こういうことも重要だと思います。
 一方で、償還期限が余り短期化いたしますと借りかえリスクというものが増大をしてまいりますし、また、特定の年限に偏った発行によることによってそこの部分の金利上昇を招くというようなこともございますので、各年限についてバランスのとれた発行額を設定する必要があるというふうに考えております。
 十三年度につきましては、こういうもろもろの要素を総合的に判断した上で発行計画を組んだわけでございますが、結果としては、十三年度におきましては、十二年度に比べて若干長期化をしているということはございます。
○日出英輔君 今の原口局長のお話は、私もそういうふうには承知したのでありますが、一般的な、例えば今のお話のような国債費を最小化するという議論、あるいは短期化すれば借りかえのリスクが出てくるという議論、こういうのを考えていったときに、一体どういう方針なのかと、いまいちよく理解できなかったことがありました。少しわかりました。
 それから、もう少し円滑に発行していくために個人や非居住者への対応というのも議論に出ているようでありますが、こういった人たちを念頭に入れました流通市場の本格的な整備というようなことが必要だということをいろんな方々が言っているようでありますが、この点については今どういうふうなことを考えておられますか。
○政府参考人(原口恒和君) 御指摘のように、個人の場合ですと、傾向として、国債を買っていただいた場合に長期的安定的な保有が期待できるということもございまして、個人消化というのが国債の安定消化に資する一つの要素でございます。したがって、その促進については重要な課題の一つということで、例えば個人向けの広報として、財務省のホームページ、新聞広告、ポスター掲示等を通じた情報提供の実施、あるいは商品設計におきましても、割引債の導入等、個人投資家のニーズの動向を踏まえた多様な商品を設計していくというようなことを考えております。
 また、一部におきましては、郵便局における窓販という形でお願いしている部分もございますが、これについても順調に推移しているというふうに聞いております。
 一方、非居住者につきましても、これは国債の消化の促進、それから保有者層の多様化、また円の国際化等の観点から、その促進というのは重要な課題だと考えております。
 このため、非居住者等が保有する一括登録国債の利子につきましては、平成十一年度から非課税措置が講じられているところでございますが、十三年度の税制改正におきまして、いわゆるグローバルカストディアン等の海外の金融機関等を通じた保有までこの非課税措置の対象を拡大するということとしておりまして、現在、このための租税特別措置法改正案について御審議をいただいているという状況でございます。
○日出英輔君 今の税の関係についてちょっと関連して伺いたいんですが、源泉徴収制度が何かネックになっているんだという議論があるようでありますが、これは一体どういうことなんでしょうか。
○政府参考人(原口恒和君) 日本の場合、税の取り扱いというのは個人と法人で違っているということが流通市場における一つの問題点ではないかという指摘は受けているところでございますが、これは一方で税制のあり方というものとも絡みますので、そういうことで議論していただく課題だろうと思います。
 現在のところは、国債の消化につきましては、最終的な個人の保有も含めて円滑に消化をされていますので、一つの課題として考えていきたいと思っております。
○日出英輔君 私はちょっとそこのところはよくわからなかったんですが、源泉徴収制度がそんなにネックなんだろうかという疑問が若干ありまして、今ちょっと伺ってみたわけであります。
 それから、いろいろ伺いたいわけですが、これだけやっているわけにいきませんが、この国債の発行方針が、今どきの言葉で言えば透明化されているのかどうかというような言い方がいいのかどうかわかりませんが、そういうことについてちょっと私は、国債を扱っている方々は非常にプロでありますから、そういう意味で、先ほど原口局長お話しになったような財務省のホームページという、もっと以前にいろいろな情報を集めているんだろうとは思いますが、この透明化といいますか、あるいは発行当局の一つの基本方針といいますか、そういうものはきちんと世の中に出ているのかどうかというのが、私は今回この勉強をしてみてちょっとよくわからなかったところがあるわけです。
 少し横道にそれるかもしれませんが、この国債市場懇談会のメンバーが、市場参加者が何社かあり、あるいは学者の方も入っているんですが、市場参加者として入っているこの十社ぐらいで、ある意味では発行当局のポリシーがうまく伝わるというようなものなんでしょうか。今の基本方針の透明化という面から見て、もっと幅広くいろんなことをしなきゃいけないんじゃないかという気もしないではないんですが、この辺はどうでしょうか。
○政府参考人(原口恒和君) 国債の発行当局者としましては、御指摘あったように非常に大量の国債を発行しなければいけないということで、市場関係者の動向、意見というものを把握するというのは重要な課題だと思っております。
 今御指摘ありました国債市場懇談会、これには十社参加をしていただいておりますが、ここの場を通じていろんな双方的な意見交換をしておりますが、これにとどまらず、いろんなチャネルを通じて意向を把握するということは行っております。
 また一方で、そういうところで把握した国債発行の方針等につきましては、これは十社に限らず、一般的な形でまず毎年度の国債発行計画というものは発行懇談会にかけた上で公表しておりますし、またそれ以外も、四半期ごとの入札日程を事前に公表する、あるいは毎回の発行額についても入札の一週間程度前には事前公表する等、これは広くオープンに公表しておりますので、市場懇談会の場だけではなくて、幅広くそういう透明性といいますか、我々は市場実勢を適切に把握するとともに、我々の考えている発行方向について市場の方にあまねく理解をしていただくということが重要だと考えております。
○日出英輔君 この問題はこの辺にしますが、これだけの大量の国債発行を円滑にしていくわけでありますから大変なお仕事でありましょうし、またこれについて悪魔的な知恵も出してやらないと、ともかく日本国の行方がおかしくなるわけでありますから、ぜひとも万般の御注意をいただいて仕事に励んでいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
 そこで、国債問題で先ほど若林財務副大臣がお話しになりましたように、国債が累増してきまして、十三年度末に三百八十九兆円でございますか、予定ということになるということで、大変な累増ぶりということになるわけでありますが、この問題につきましては、財政金融あるいは予算委員会の各先生方も少しずつお触れになっているように思いますし、また学者の本を読んでみたのでありますが、ちょっと私は理解できなかったんですけれども、国債の累増が将来は国債の価格低落を引き起こすんだ、端的に言えば長期金利が急に上昇してくるんだと。そこで、たちまちいろんな意味での経済破綻が一気に表面化するというようなことを高名な学者も言ったり、あるいは私どもも何となくそういう心配があるような気もしないではないんです。
 こういうような学者の方々も、今すぐというのではなくて、例えば、私が目にしたのは京大のある先生の論文でありますが、財政赤字が改善しない場合には二〇〇五年から一〇年ぐらいまでかけて金利が上昇してきて、GDPの低下も起こり経済破綻が一気に表面化するんだなどという物騒な論文を堂々たる一大経済新聞にたしか連載をしていたようでございました。
 こういうことについて政府側としては、これはこういうことなんだということを何かおっしゃったのか、あるいはおっしゃっていなければ、この財政金融委員会の場で、私のような門外漢も小さな心を痛めているわけでございますので、論理的に明確にひとつお答えをいただきたいと思います。
○副大臣(若林正俊君) 長期金利の水準がどういうことになるかということにつきましては、国債の需給だけではなくて、御承知のように景気や物価の動向、さらに金融政策がさまざまな要素によって変動をしてくるものでありますから、今後、長期金利がどうなるか、どういう動きをするかといったことを一概に予測するのは困難だと思います。
 その学者さんも、いろいろな前提を置いてのことだろうと思いますが、一般的に申し上げますと、国債発行残高が大変ふえてきているということでありますが、国債発行による資金の吸収と民間の資金需要との競合が起こって、そして民間投資が抑制されるというようなことは常に気をつけていかなきゃいけないことだと思います。
 しかし、現在のところは企業の資金需要がいまだ低調であるということもありまして、直ちに国債金利の上昇が問題になるようなぐあいにはなっていないと考えておりますが、いずれにしましても、国債発行当局としては、国債の確実かつ円滑な消化を図るという観点から、市場の動向、ニーズを十分勘案して償還年限別の適切な発行額を計上いたします。また、毎回の入札に当たっても、市場実勢を反映した適切な発行条件を設定するなどいたしまして、注意深く市場の動向を見ながら確実、円滑な消化に努めていくということだと考えております。
○日出英輔君 そういうような御答弁があるだろうと思っておったわけでありますが、なかなか私ども、そういうふうに思いますけれども、またしばらくたちますとその答えを忘れてしまって、何となく心配だという方の心配論に偏りますので、特定の一定の仮定を置きますとそういう議論もあるのかもしれませんので、やはりきちっとした形で、その仮定自身に問題があれば、問題があるということを政府側の方からもおっしゃっていただかないと、いたずらな心配論だけが世の中を覆い包むのではないかという、ちょっと余計な心配でございますが、そういう心配をいたしましたので伺ったわけでございます。
 それから、ちょっと国債から離れまして、村井内閣府副大臣にちょっと伺いたいんでございますが、先般、三月十六日の日経新聞で、政府系金融機関の不良債権につきまして金融庁が放棄ルールを検討しているんだというお話がございました。この話は新聞の中でも、「経営不振企業の取引銀行団に政府系金融機関が含まれている場合、政府系が債権放棄に応じなければ民間銀行も放棄に踏み切らないことが多く、不良債権の最終処理推進の障害になっている」という言い方で説明をして、必要なんだと、ただ、これはやり方次第によっては、債権放棄に伴う政府系金融機関の損失が国民負担につながる可能性があるんだというところまで御丁寧に書いてあるわけでございます。
 ただ、民業補完といえども政府系金融機関のかなりのウエートがございます。特定の分野については非常に高い分野もございます。そういう意味でいいますと、私も時宜にかなった検討ではないかと思うんですが、今これについては、金融庁といいますか、政府としてはどういうふうな議論をしておられるのか、村井副大臣、あるいは必要であれば柳澤大臣から伺いたいと思っています。
○副大臣(村井仁君) ただいま日出委員から御指摘の点でございますけれども、金融庁として現在検討をしておりますのは、柳澤大臣が問題提起をされました不良債権のオフバランス化の問題でございまして、その流れの中で金融分野でどのような環境整備が可能なんだろうかということをいろいろ研究しているところでございまして、その流れの中で、債権者団の中に政府系金融機関が民間金融機関とあわせて入っているというケース、御指摘のようにあるわけでございまして、その場合、政府系金融機関の扱いはどうするんだろうかという問題は確かに当然出てくる一つの課題であるわけであります。
 ただ、この問題につきましては、不良債権のオフバラ化を推進しなければならないという課題はありますけれども、一体具体的にどうするんだという枠組み、これは今年度中にといいますか、今や今月中になってしまったわけでございますけれども、できるだけ早急に枠組みを整備しなきゃならない、こういう問題でございますが、何しろ非常に難しい問題でございましていろんな角度から研究中でございまして、政府系金融機関に絞って申し上げますと、これはまた所管が財務省等、他のお役所の方でもございますこともございまして、いずれ私どもとしましてある程度の案を詰めました段階で御相談を申し上げなければならないんだろうと思っておりまして、そのあたり、具体的に今の段階で申し上げるところまで詰まっていないというのが実情でございます。
 日本経済新聞でございましたか、書きました記事、これ自体は一つの問題提起として私どもも受けとめているところでございます。
○日出英輔君 最近、企業の借り渋りみたいなことまで出ている時期だと思いますが、政府系金融機関は、それぞれによってやや役割は違いますけれども、例えば長期で金利を固定してお借りをしていただくというようなことで、一定の分野では大きな役割を果たしておりますが、多分、特定のところ以外は、地場の地銀でありますとか、地場の金融機関と協調でやっている場合が多いようであります。
 私は中小企業関係の政府系金融機関の実態を少し知っているぐらいでありますが、そういたしますと、実は地場では、地銀とか何かと顧客は昔からのつき合いでございます。したがいまして、厳しい措置がなかなか地場の金融機関はとれません。したがいまして、非常に問題になってきますと、まず先に政府系の金融機関から引き金を引いてくれと、あっさり言えばそういうことが出てまいります。そうでないと処理が進まないということもございます。受け身だけじゃなくて、政府系金融機関がやむを得ず自分で引き金を引いてようやく一つ一つ片づいていくというようなこともございます。
 ところが今までは、政府系金融機関につきましての債権放棄というのは非常に厳しく、実はそれぞれの金融機関がそれを安易にしてはもちろんいけませんので相当厳しい形でやっておりますものですから、意外に進んでいないということもあると思います。
 私は、そういう意味で、この新聞記事を見ましたときに、大は大なり、小は小なり、中は中なりのそれぞれいろんな案件があると思いますが、これをやっぱりやりませんと本当に地域レベルでもこの不良債権の処理というのが進まないんだろうというふうに思いますので、ぜひとも金融庁で、先ほどお話しになりましたように、所管の省庁が各所に分かれるところで皆さんうじうじしているんではないかと思うのでありますが、よく指揮命令をしていただいてこの辺が進みますようにお願いをしたいというふうに思っております。その点だけお願いを申し上げたいと思っております。
 そこで、質問通告の最初の方に戻りまして、きょう、林先生、峰崎先生、池田先生、皆さんお話しになりました話にちょっと似ている話を少し時間のある限り伺いたいわけでございますが、いわゆる財政構造改革の進め方の問題でございます。
 そこで、最初に内閣府副大臣の坂井副大臣に伺いたいんでございますが、内閣府の経済財政諮問会議でこの議論を取り扱っておられるというふうに伺いましたが、どういうような手順でどういう議論をしていこうとしておられるのか、その辺を少し詳しく伺いたいと思っております。
○副大臣(坂井隆憲君) 経済財政諮問会議では、構造改革はもとよりですが、景気の現状分析をどうするかということを常に議論のテーマにしております。
 まず、景気の現状ですけれども、経済を自律的な回復軌道に乗せるため、引き続き景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行っていくことが必要であると考えておりまして、他方、我が国の財政は厳しい状況にあり、財政構造改革は必ず実現しなければならない課題であると認識しているわけであります。
 こうした状況のもとで、我が国経済を自律的回復軌道に乗せつつ、財政構造改革の実現に向けて議論を進めていくことが必要と考えているわけですが、その際には、経済財政諮問会議は財務大臣にもメンバーとしておいでいただいているわけでありますが、財務大臣からも御指摘がありましたけれども、財政も含めた経済社会全体をどのような考え方でどのような姿に構築していくのかが重要でありますから、そのことを経済財政諮問会議の基本的な課題の一つとして考えているわけであります。
 こうした考えに取り組むに当たって、まず社会保障制度のあり方、社会資本整備のあり方、国、地方の役割分担のあり方等の制度的課題について、五、六月を目途に骨太の方針を取りまとめて中長期的な経済全体の姿を描いた上で、七月以降はマクロモデルも活用しつつ、マクロ経済バランスの観点を加え、整合的に検討を行ってまいりたいと思っております。
 内閣府は、経済社会総合研究所というところを持っていまして、そこにエール大学の教授をされていました浜田宏一先生をお招きして所長にしているわけでありまして、そこの経済社会総合研究所でこのマクロモデルについて鋭意取り組んでいるところであります。
 そのほかに、諮問会議では大体一回に一、二テーマ程度、関係大臣の参加を得て検討課題について議論しておりますが、有識者議員に分担して、これまでの各種審議会等における検討結果等も参考にした論点の整理、政策の方向性についての選択肢の作成等をお願いし、順次、経済財政諮問会議へ報告していただくということをしております。
 そこで、テーマ別分担も、社会保障制度については、例えば阪大の本間教授と日経連の奥田会長さんとか、社会資本整備については東大の吉川教授と奥田議員さんとか、それぞれ国、地方の役割分担、経済の活性化、さらに経済財政に関する基本的考え方と、こういうテーマ別分担の委員の案を割り振りをしているわけであります。
 前回は、社会保障制度について、厚生労働大臣においでいただいていろいろ御意見を拝聴しました。また、次はまた日程を見ながら、今度は社会資本整備などについても議論していくということで、それぞれ議論を深めていきたいと思っているところでございます。
○日出英輔君 今のお話にも出ておりましたが、マクロモデルの話ですね、お話出ておりました。今のお話を裏返して聞きますと、六月までにマクロモデルをつくるというふうにお話しになったんでしょうか。何か、七月以降できたマクロモデルで議論するというふうな言い方を今されたような気がしましたが。
 では、そのマクロモデルなるものは、マクロモデル、マクロモデルとおっしゃるんですが、一体どういう代物なのかというのを少しわかりやすく、もしお聞かせいただけるものであれば、普通の人がわかるような言葉でお願いをしたいと思います。
○副大臣(坂井隆憲君) 基本的に、財政の姿も、ただいま答弁しましたように、経済全体の成長率だとか経済全体の構造、そういうものとの関係、あるいは財政を大体どのくらいにすればどういうふうになっていくんだろうかとか、国民負担の問題とか、そういう全体の観点が必要ですから、そういうものをやっていくと。前回は、橋本内閣のときの財政構造改革会議でもいろんなモデル出ましたけれども、あのときは若干いろんな破局のシナリオみたいな感じのモデルになっちゃったんですが、今回は、いろんな経済社会全体を、財政を含めて学者さんにいろいろと検討してもらってやっていく。ただ、そのモデル自身が六月までに全部できるかどうか、そこはまだ鋭意検討していますが、はっきりしたことはまだ報告を聞いておりません。
 ただ、いずれにしても、中長期的な経済の姿、これから日本経済がどういうふうに伸びていくだろうかということを想定しながら、マクロ経済の全体のバランスを見ていくということです。
○日出英輔君 私自身がわからないで聞いているわけでありますので、どういうことをおっしゃったのかも私もよくわからないのでありますが、ただ、宮澤財務大臣もいろんな場で、マクロモデルをつくり、シミュレーションをして給付と負担の関係を国民に明らかにして、財政構造改革を進めるに当たって政策を選択してもらうんだという言い方をしていらっしゃるわけでありますが、こういう言葉は、言葉としてはわかるのでありますが、国民とすると、一体どういうことなのかというのが、大変申しわけございませんけれども、ちょっとわかりにくいのでございます。
 私は、今必要なのは、去年の何月でしたでしょうか、中間答申でしょうか、政府税調でこれからの税制のあり方を議論しているところがございまして、あの中でもありましたが、あの中ではこういう言い方をしておりました。財政構造改革の部分ですが、「民需中心の回復軌道に乗った段階においては、時機を逸することなく、国・地方ともに、財政構造改革について具体的な措置を講じていく」というような、べきだという考え方。しかも、まず歳出の抑制に取り組む、その姿を国民に見せながら負担の増加問題に取り組むという言い方を一部してございます。
 私は、先ほど各先生方が公共事業の話を言われたりなんかしておりましたが、最後のところは少し違うような気がしますが、四分の三ぐらいは問題意識を共有しているんではないかというふうに思うわけであります。
 したがいまして、例えば公共事業の問題につきましても、要るか要らないか、必要か必要でないかという議論ではなくて、一定の期間、やっぱり公共事業の中で、例えば緊急度の高いものであるとか、経済効果が高いものであるとか、あるいはナショナルミニマムという面で早く急いだ方がいいとか、公共事業を一定の間我慢して絞るんだとか、抑制というのかな、そういう問題でありますとか、あるいは社会保障の問題でも、所得に応じた負担の原則というのを一応立てた上で、本当に困った方にはセーフティーネットというものをちゃんと張るとか、税制改革の方でもそうなんだと思いますが、不公平税制と言われているものを是正した上で、例えば税源の拡大を図っていくんだとか、何といいますか、学者とか専門家ではなくて、知識のあるような田舎のおじさんたちに私がとっ捕まりましてやられますと、大体、実はそういうことをよく言われるわけであります。
 これは、自民党支持者とか民主党支持者とか何とか支持者ではなくて、田舎の比較的現場でいろんなお仕事なさっていて、知識よりは知恵のある方たちのお話のような気がいたしますが、私は、マクロモデルをつくってシミュレーションして、負担と給付の関係を明確にした上で選択してもらう、これは正しいのだと思いますけれども、その前に、財政構造改革に取り組むに当たっての基本的な筋道とか、大きな目標だとか考え方だとか、これはどちらかといいますと、今の時点になりますと何党がやったってそうすぐにうまくいくわけではありませんで、今申し上げたような現場の知恵みたいなことからしますと、比較的国民全体の共感を得られるのではないかという気が、ちょっと楽観論かもしれませんが、するわけであります。
 したがいまして、政府は、こういったモデルをつくって何とかと言う前に、もう少し肉声で、財政構造改革に取り組む基本的な大きな取り組み方みたいなものを、考え方を発信する、そういうようなことが必要ではないかというふうに私個人は考えるのでありますが、ちょっとそういうふうに質問を通告申し上げていないのでございますけれども、宮澤財務大臣のお考えを伺えたら大変ありがたいのでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私ももちろん難しいことを説明申し上げる知識もございませんけれども、基本的には、経済企画庁が戦後何回かの中長期計画を立てましたときに、その都度モデルを使ってつくっておりました。それと同じような考え方でいいのだろうと思いますが、あるいはまた、言い方を変えますと、ある単年度について、そのGDPがどのぐらいであって、そのGDPをどういうふうに配分すればいいかという問題としてとらえてもいいと思うのでございますけれども、たくさんの方程式を、つまり一つに、最後にどういう答えになるかということの選択だということになる、簡単に言えばそういうことになると思います。
 この場合でございますと、やはりモデルを目的的につくることになると私は思いますが、一つは、やはりこれからの成長率、そしてそこからくる税の弾性値であるとかいろんなものから、どれだけの歳出が可能であって、その場合の歳入はどれだけ、ただしそのときの成長率はどのぐらいというモデルがひとつ要るんだろうと思います。それから、そういうモデルを、したがってGDPを例えば社会保障にどれだけ分ける、あるいは公共事業にどれだけ分けるといったようなこともそこから選択として出てくるんだろうと思います。
 今度の場合、一番最初に大事なのは、もちろんこれからの成長率というものを推定しなきゃならないということが、これがもとではございますけれども、しかしそういう場合においても、国民負担の限界はどのぐらいかということは、これはどうしてもやっぱり決めてかからなければならないだろう。これはどなたにもおわかりになることでありますから、つまり租税負担と社会保障負担、従来、我が国で国民負担の限界というのは何度か関連事項として議論されながら、終局的にどのぐらいであるべきだということはかつてだれも結論を出したことがございません。政府の周辺では五〇%ということが御承知のようにかつて言われました。今日でも、西欧諸国の様子を見ていて、それは、ミニマムそうかなと。
 もう少しとおっしゃる方もあるんだと思いますが、それがまず国民的な合意がある程度できましたときに、そこから今度は給付の水準を決めなければならないということだろうと思います。それも、いろんな社会保障等々ございますから、そのうち何がどのぐらいということも決めていかないといけないと思いますが、一番中心になる問題は、国民負担の限界はこれこれで、したがって給付の限界はこれこれだということに、それが一番中心の部分に私はなるかと思います。
 ただしそれは、もとより国債を発行するという条件を出しますなら、その限りにおいて負担プラスそういう財政負担が可能になるわけですけれども、それは政治の選択があるということにならざるを得ないと思いますが、もし国債を発行しないで全体を満足させるとすれば、やっぱり一番基本になるのは、本当にどこでお話しになられましても大事な部分は、これだけの負担を国民はする用意がある、したがってこれだけの給付が可能であると。ただし、はみ出したところは国債ということになってしまいますけれども、そういう部分が一番の中心に私はなるのだろうと思って見ております。
○日出英輔君 あと一分ばかり時間がございますので。
 私も言葉を選ばずにお聞きをして大変失礼をいたしたと思いますが、私も三年この財政金融委員会に座らせていただきまして、私なりに素人考えをいろいろ思いめぐらしているわけでありますが、二年前の小渕総理のときの経済戦略会議で、改革実行のあの時間的なプログラムというのを、例えば九九年、二〇〇〇年は金融の安定化なり構造改革に着手するとか、二〇〇一年から二年については成長の回復、経済の健全化なり構造改革の本格的実行を始めるとか、時間的な改革プログラムなども出して、これは経済戦略会議での話ではありますが、私は、骨太のそういった時間的なプログラムなり、骨太の何をしたいかということを発信すれば、家計というのは厳しい状況は続くかもしれませんが、家計は家計でまた、厳しいけれどもそのくらいならやれそうだということで、家計の回復というのもまた進んでくるんではないかというような気もいたしております。そういうつもりで伺ったわけでございます。大変基礎的知識のない人間が伺いまして大変失礼いたしました。
 ありがとうございました。終わります。
○峰崎直樹君 午前中に引き続きまして、午後、やはり両大臣を中心にお話を伺わせていただきたいというふうに思います。
 そこで最初に、日米首脳会談で一体何を半年間でやってまいりますというふうに約束をしたのでございましょうか。この点、宮澤大臣の受けとめ方、柳澤大臣の受けとめ方をまず明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 当初、会談の内容等々につきまして断片的に伝わったことと共同声明が先に伝わったことから、今の部分についてのやりとりが昨日の午前中あるいは夕刻近くまで不明であった点がございますけれども、今、ほぼこうだろうとわかってまいりましたことは、森総理大臣が財政再建について自分の所見を述べられたときに、この問題は、恐らくそこまで言っておられませんが、今の経済財政諮問会議がマクロモデルの指示を出して、そしてそれがほぼ半年ぐらいで構築されるだろうということが総理の頭にあったと思いますが、したがって、それが構築されるならば、そこからシミュレーションが可能になるということを思われて、財政再建については半年ぐらいのスパンで、そこは多少表現が私は不明確だったかもしれないと思いますが、とにかく仕事の準備ができると、こういうことを言われたと思うんです。
 すっかり家ができちまうというような話をされたのではなくて、必要な材料というものがそういうマクロモデルでそろいますから、これでシミュレーションをすることによって問題の解決の端緒が見つかる、それが半年と言われた部分だと思います。
 と同時に、不良債務の処理という問題が、当然総理大臣も一番大事な問題として出しておられましたので、この点について、これは既に柳澤大臣がしばらく前から言っておられることであるし、三党の政策合意の中にもあることでございますので、これに経済政策としての、あるいは政治としての一番大事な努力を注ぐつもりであると、こういうことを二つ言われたと思います。
 それに対してブッシュ大統領側の反応は、実は自分は、聞くところでは、間違いかもしれないが、不良債権の処理というものがなかなか国民的なコンセンサスになっていないとかいうことも聞いたが、そしてその上で、それならば輸出の増加という形になってくるのかなと。そうなるとまた大変だがなと思ったが、今、総理大臣の言葉を伺って、そういう心配はないと伺って安心しましたと、ほぼこういうやりとりであったというふうに聞いております。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私も、おおむね宮澤財務大臣がおっしゃられた説明と同じ経過であったというように承知をいたしております。
 森総理の発言については、三つの過剰の中では債務の過剰が最大のネックだ、政府・与党緊急経済対策本部でもこの問題に焦点を当てていると、こういうふうに言われて、その後、国全体のバランスシートの問題については、国、地方で六百六十兆云々というようなことがあるけれども、一月六日の中央省庁改革で新体制ができたが、この問題については経済財政諮問会議で検討に入っており、半年くらいでというふうなくだり、そういう話の筋で、先ほど宮澤大臣がおっしゃられたようなことであったと、こういうように承知をいたしておるわけであります。
○峰崎直樹君 御本人からも一度お聞きしなきゃいかぬと思っていますが、いろんなマスコミ等によると、どうも財政構造改革のことを指しているんじゃないかと言う人と、経済産業大臣の方は、いやいや不良債権問題のことだよとか、諸説入り乱れて、国際的にある意味では約束をしてきたわけですから、それが非常に不明確だというのは、極めて我々としても議論しにくいというふうに思っていますが、これはいずれにしましょう。
 そうすると、宮澤財務大臣にお伺いするんですが、先ほどの日出議員とのやりとりを聞いていて、半年先に材料はそろうんですというふうにおっしゃったというふうに今、宮澤大臣はおっしゃったんですが、私は直接聞いておりませんのでわかりませんが、材料はそろったんじゃなくて、そういう構造改革をやりますということを、半年間でやるということをおっしゃったんじゃないんですか。そうすると、マクロモデルをつくって、さあそこから用意ドンという話にはならないんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 材料がそろって云々、家が建つまでのことではなくてというのは私の勝手な注釈でございまして、その偉い人たちの話は、これは非常に大事になっていて、もう仕事を始めました、半年ぐらいでひとつ、といったようなやりとりであったかもしれません。ひとつというのは何かわからぬでも、少なくともこれはアジェンダに載っておって、その努力がもう始まりました、それはむやみに長くかかることではないと思うがと。しかし、そのマクロモデルをつくった後どういう選択をするかというのは、御案内のように政治的な大変難しい仕事であることは想像できますけれども、とにかくその場まで持っていけるということをきっと総理大臣としては伝えようとされたんではないでしょうか。本当に半年で財政再建の案が全部できるのかねと、そこまでは大所高所のお話は無論ないんでしょう。しかし、自分はそういうことへのもう取っかかりをやっているということを総理は伝えられたんだと思うんです。
○峰崎直樹君 そこはまた確かめてみましょう。
 日米階段でさらに話を進めます。
 財務省としては為替管理の問題は責任を持っていらっしゃいますね。為替についての責任を持っていらっしゃいますね。
 その前提の上で、円安問題というのは、今度の交渉の中で財務省としては、こちら側からは少し円安を主張したらどうだというような、出発される前には、事前にそういうお話は総理との間ではなさらなかったんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今度の会談は、私どもは交渉というふうには実は一切考えておりませんでした。したがって、総理も交渉されるという用意をして行ってはおられませんし、先方もまた日本の経済についてそんな小さい具体的な話をされる用意はなかったと思います。したがいまして、交渉ということは、お互いに基本的なスタンスではなかったということをまず申し上げますが、私どもとして為替のことを総理に一切何もお話ししてありませんし、また、為替のことを首脳間の話題にするということも考えておりませんでした。
 したがって、そういうことについての会話はございませんで、もしそれでもとおっしゃれば、先ほどの何も具体的な措置をしないで輸出だけがふえてくるのかと思ったという部分は、それは、そういう話は出ていませんが、為替が安くなって輸出攻勢になるということに関してのことだと言えば言えないことはございませんが、そこまで知っておっしゃったとも思えません。
○峰崎直樹君 ブッシュ大統領は、これは新聞の記事ですから正確でないかもしれませんが、日本は輸出で問題解決を図ろうとしているとの見方が米国にあるというようなやりとりもされておるんですね。
 そして、共同声明、きょう実は外務省から取り寄せて見てみましたら、その中で貿易問題も、「グローバルな、地域的な及び二国間の経済及び貿易問題を検討する日米間の対話を強化するための新たな方策を探求すべく協力することで意見が一致し、」と、こう書いてあります。この種のものは、共同声明を出すときというのは、どういうことが議論されてどういう方向でこういうものがつくられるかということは事前にある程度進めるわけですよね、準備としては。
 そうすると、貿易問題が議論され、今お話しになった、日本は輸出でもってまた何かやろうとしているんじゃないのというようなことをブッシュさんから言われたときに、今の日本の現状からしたら、リンゼーさんという方がとある雑誌に書いていますよね。すなわち、日本をもう少し待ってやろう、日本が構造改革をするときの痛みを、円安になって貿易収支でもって経済をある程度円滑にさせるということは、これはしばらく面倒を見よう、構造改革を進めるという前提でと、そういう話もされているわけです。
 リンゼーさんとは麻生経済大臣が会い、きょう来てくれとあれしたら、いや、きょうは来れないということで残念なんですけれども、そういうことからすると、まさにリンゼーさんがそういう助け船を出しているときに、日本の財務省が、よし、その問題は、じゃこの機会にブッシュ大統領に、実は構造改革をやりたいので、円安にちょっと振れるかもしれないけれども、そこは何とか目をつむってくれないかと。もう一方で、アジアの国々に、日本が円安になっていくときにきっとこれは迷惑をかけるだろう、そうしたら、そういう手だては別途アジアの国々に対して、日本は今こういう難局になって大変迷惑をかけるけれども、やがて経済が自立し、不良債権問題、構造改革をなし遂げたらこの問題はきっと解決するから、アブソーバーになるからと、こういう形での対応が僕はあってしかるべきじゃなかったかと思うんですが、その点はどのように考えておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の考えておりますこととちょっと違うかもしれません。
 つまり、最初に峰崎委員が言われました、日本が輸出で余り来られることがあるんじゃないか云々ということは、いろいろ構造改革がうまくいかないと、過去にもそっちの方へ行きましたから、それでブッシュさんがそういうことを言われた。それは至極常識的に考えられることですが、それに対して総理は、いや、そうじゃなくて、実はこうこうこういう財政改革なり不良債権の処理なりをしているんですと、こういうやりとりでございますね。それでそのやりとりは実は終わっているわけです。
 それから、為替のことは、かつて両国の首脳間で為替ということが具体的に私は問題になったことはないように思います。と申しますのは、実際はそういう議論をいたしましても、どちらも実は思うとおりできないのでして、これだけ大きな為替市場になりますと、どっちがどう考えたからどうというふうに実際行っておりません。したがって、基本的にどんどんどんどん円を安くしてなんということはできることではないし、しかし、そうなって輸出が余りふえたら困るよというような話はあるとしても、そのために為替をどうするかということをかつて私は議論したことはないと思いますし、また実際、議論しましてもそのとおり政策のウエポンがないのですから、言ってみたって何にもならない、と言っては言い過ぎですが、具体的な約束事にはできないことでございますので、その点は私は今回も同様であったろうと思います。
 それからもう一つ、今おっしゃいました、確かに、「両首脳は、グローバルな、地域的な及び二国間の経済及び貿易問題を検討する日米間の対話を強化するための新たな方策を探求すべく協力することで意見が一致し、」たとあります。これは、実は私つまびらかでありません。想像では、経済産業省等が、両方の境界あるいは等々の間で、ここに書いてありますようなことを、両国間で何か相談するような仕組みをつくったらどうだという発想を持っているということを私はちょっと聞いたことがございましたが、それがここに意味されておるのか、あるいはそれがさらに具体的な進捗があっているのか、ちょっとこれは、申しわけありませんが、私つまびらかでございません。
○峰崎直樹君 きょうはこの程度にしておきます。森総務大臣とも、総括質疑等がありますので、そこでまた質問させていただきたいと思います。
 しかし、これは両大臣にちょっとお尋ねしますが、この日米首脳会談でブッシュ大統領から経済問題に突きつけられていることというのは、私は両大臣にとっては非常に重いものだと思うんですね。
 一つは、宮澤大臣に。実は先ほど財政のバランスシート、この問題で財政改革の問題ということを言われました。この問題が指摘をされるということは、九八年のあの危機以来二年半たっているわけですが、要するに、二兎を追う者は一兎を得ずということで財政を徹底的に放漫化し今日来たわけでありますが、それはやっぱり、そのことによっても円滑に日本の経済になっておらぬな、こういうことを財政構造改革ということで、先ほどおっしゃいましたけれども、要するに指摘されたのではないのか。そして、柳澤大臣も、九八年の金融危機のとき以来の、要するに日本の金融システム、不良債権、これは何ら解決つかなかったねと。
 要するに、先送りで今日までやってきて、あるいは放漫財政を組み立てたけれども、赤字は多くしたけれども、さっぱり構造改革も含めて日本経済は安定的な軌道に乗っとらんね。そういう意味で、お二人の金融、財政の経済政策というものが、やっぱりこれは間違っていたということを、ある意味では外国の元首にこういうことを結果的に言われてしまったということになるんではないかと思うんですが、その点はどう考えておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もしそういうことをブッシュ大統領にお聞きになりましたら、恐らく彼はびっくりするだろうと思います。そんなことをおっしゃることはございませんでしょうね。私どもは確かに一生懸命やった、それはなかなか思うようにいかないねと峰崎委員がおっしゃるのは結構です。確かに思うとおりいっていないところがあるんですから、それはよろしゅうございます。しかし、それをアメリカの大統領が日本の総理大臣に、一生懸命やったけれどもできなかったねというようなことを言ったんだろうと、そういうふうにおっしゃいますと、それは恐らく、大統領はそういうつもりでは言っていないと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私のくだりは、総理大臣がみずからの決心を繰り返したと、こういうくだりの中にあるわけです。総理大臣がみずからの、みずからのと申しますのは、適切な経済政策を引き続いて追求していくということ、それから構造改革及び規制改革、こういうものを元気よくやっていくんだと。
 それは何のためかというと、日本の経済を強くするためと、日本の金融システムを強化するためであると。強化するそういう構造政策あるいは規制改革というものの中には、企業の債務と不良債権の問題に対する対処が含まれるという構造になっているわけです。こういうことを私はやるという決意を持っているんだということを総理は繰り返されましたと、こういうことでございます。
○峰崎直樹君 要するに、ブッシュさんが、あなた方はいろいろやったけれども結果的にそうだったねということを言ったんじゃなくて、我々日本の国内で、この間私たちは与党野党に分かれながらそのあり方について議論してきた。そのときに我々は、二兎を追う者は一兎をも得ずと言うけれども、しかし、そういうやり方でいっても一兎をも得なかったんではないですかということを、この間の議論があるわけですね。
 そういう意味で、経済問題で日本の構造改革、財政もそれから金融もそういう問題を指摘されたということは、私はそうだろうと。我々の立場からすればやっぱりそうだろうと。本当に日本の財政や日本の金融システムはこの二年半何にも解決してなかったじゃないか、このことを私たちはやはり言わざるを得ないと思っておるわけです。
 それはまた後で具体的に申し上げたいと思いますが、それじゃまず財政再建のところからちょっと具体的に入っていきたいと思うんですが、財政の中期展望の話をちょっとさせていただきたいと思います。
 ことしの財政の中期展望は、平成十三年から十四、十五、十六、三年間先までしかデータを出しておりません。これまでずっと五年間先まで出しておられました。宮澤財務大臣は、この財政の中期展望、これについてことしはもう出さない方がいいんじゃないのかというような議論もありましたが、それはどんな御趣旨なんでしょうか。それと、なぜ今までは五年先まで出ていたのに三年という先でとめられたんでしょうか。その点をちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、財政の中期展望を昭和五十何年からもうずっと審議の御参考資料として出しておりまして、何年もこれは余り意味のないものだとずっと考えてまいりましたが、しかし、国会の予算委員会等々では毎年出すのでということでお出しをすることにいたしました。しかし、その中身はかなり簡単にいたしておりまして、従来のように、成長率がこうの場合はこう、ああの場合はああと。それもしかし、一・七五と三・五というありそうもない成長率を掲げて議論するのも余り意味がないというふうに思いまして、結局、私がここで資料として申し上げるべきことがあるとすれば、一つは、こういう財政状況でございます、したがって、これをそのまま置いておきますときは、仮に多少の成長がございましても、それによる金利の上昇の方が国債費の増額になってくる可能性が高い。もう一つは、多少の成長がありましても、税収がふえるだろうという限度は、名目成長掛ける一・一であるとすれば、これも幾らでもない。そういうところから申しますと、今の状況をそのままにしておきますと財政の赤字というのはふえ続ける。こういうことを御理解いただくための資料に限った方が、読んでいただく方に対するメッセージもはっきりするし、また言っていることの内容も明確になる、こういうことでこのような簡潔な形にいたしました。
 恐らく、ごらんいただく立場からいえば、今年の形の方がはるかに御利用なさりやすい性格であろう。それでもやはり申し上げなきゃなりませんのは、こういう展望を政府はこれで甘受しておるわけではございません、こういう展望にならないためにいかにするかということを努力しておるものでございます、ということはぜひともおわかりの上でごらんをいただきたい、こういう性格のものでございます。
○峰崎直樹君 できれば、その財政の中期展望、三年先までになっておりますが、五年先までのデータをぜひ出していただきたいというふうに思います。これは要求でございます。
 さてそこで、マクロモデルができるまでということになっていたら、財政再建はさて、六月にマクロモデルができますよ、さあそこでインプットすべきデータを、国民負担率をどうする、あるいは国と地方の関係をどうするということの議論がそこから始まる。そして恐らく来年度の予算編成には間に合わない。そうすると、早くても二〇〇三年度からじゃないと、実際問題そのモデルを使っての将来展望は出せないということになりますよね。そういうタイムスパンで考えてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは専ら経済財政諮問会議が決定されるべきことでございますけれども、しかも正確にお答えをするといたしますれば、各種の社会保障一つだけ見ましても、最終的な政策が全部今年度、今年度と申しますか、十三年度内に決まるということは難しいかもしれませんね、健康保険一つとりましても大変でございますから。片一方は平成十六年ということで考えているものもございますから、全部がモデルで解決できるということは十三年度内にあるいは行われないかもしれません。
 しかし、モデルを動かしてまいりますと、どういうところに問題があるかということは、それは限界的にではなくても平均的にはわかってまいりますから、それが予算編成等々に一部反映される可能性はあるし、できればそうありたいと。私は経済財政諮問会議にかわって申し上げる資格はございませんけれども、考え方は大体そうではないかと思います。
○峰崎直樹君 いずれにしても、こんなテンポで議論していると、それこそ日本の財政が発散してしまって、もう取り返しのつかないところに行ってしまうんじゃないかという、六百六十六兆円のお話は前にもちょっとさせていただきました。そういう意味では地雷原の上を歩いているような感じがしてならないんですけれども、心配するな、それは国内で消化しているんだから大丈夫だという御意見ももちろんあることは知っておりますが、しかしいずれにせよ、このテンポでいくと大変な状況になるねというふうに思っているわけです。
 そこで私は、中身の問題について少しずつ議論していったらどうかなと。そこをやっぱりある程度踏み出さなきゃいけないんじゃないのかという気がしてならないわけです。それは歳入においても歳出においてもそうだと思います。歳出の問題
について、先ほど池田議員の方から公共事業のあり方について触れられました。
 私はきょうは、地方自治体との財政、きょうは総務省来ておられませんけれども、どうも今の日本の財政の中に、国の経済とかあるいは国の財政とか、そういうものとは余り無関係と言ったら非常に表現がおかしいんですが、どんどん出ていくばかりで締まっていかない分野があるんではないか。それは自治体の補助金であり、特に地方交付税の機能もそうだと思うんです。
 ところが、国の財政は大変なんだけれども、地方自治体の財政は、地方財政計画によって基準財政収入額、需要額をモデル的に算定して、本来ならば十四兆しか入らないものを、二十一兆のいわゆる交付税の出口ベースでは保障してやる。その七兆なり、あるいはことしは八兆なり、財政の中期展望を見るとずっとこれは伸びていくんです。
 じゃ、この交付税というのは何だという議論をしていくと、最近では起債をする、つまり補助金が出てくる。いやもう裏負担するための財源ないんだ、五〇%しか国が出ない、そうしたらそれは起債でいいよと。起債と言ったって、将来借金しなきゃいけない、いやそれは将来交付税で面倒を見る。この構造ができ上がってくると、地方自治体はああそうかそうかと。しかもそれは、必要だと認めた金額は全部ある意味では保障してもらえるという仕組みになったら、事実上これは出ずっぱりのいわゆるモラルハザードを起こしているというふうに、ちょっと表現がきついかもしれませんが、そういう中身になってきていることへの警戒、あるいはそのことはもう事実上難しいですよと。このことは、国の財政を預かっておられる方々からすると、当然今の時点からやられてしかるべきかなと。
 ことしの予算、財政から始めて、例の交付税特会の、四分の一だけ国、四分の一は地方、そこは明確にして、残りはまだ交付税特会です。来年から半分半分でしょう。これは、いかにも何か手をつけたようだけれども、しかもその交付税特会の、あるいは実際に起債をしたところについては、再びそれが実は交付税で後で面倒を見る仕組みになったんでしょう。これは何の解決にもならないではないでしょうか。
 こういった点については、どうお考えになっているんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) まさにそういうことがございますが、しかるがゆえに、平成十一年度、十二年度、二つの予算とも、私は、地方財政、国の財政という考え方は一応もう別に考えようと。一つのものだと考えようと。やるとか貸すとかという話をやめて、地方財政も国と同じぐらい難しいんだから一つのものとして考えようと申し上げまして、十一も十二も自治大臣と随分何度も御相談をして、国として随分地方に臨時の措置をいたしました。
 しかしそれは、国、地方という観念をなるべくやめようという気持ちでいたしましたのですが、その精神が今度十二年度になって、地方もそれでは自分の債務ということを認めよう、特例債を出そうということになりました。これはしかし、地方団体にしてみると、今まで何ともはっきりしないものをおまえの債務だよと言われるということでございますから、決して歓迎された政策ではなかったと思いますけれども、とにかくそうでもしなければ、だれの債務かわからぬとかいうようなことで長く行くのはぐあいが悪い、やっぱりこれは一種の明確化をしようではないか、透明化をしようではないかということで、ようやくあそこまで行って、それも峰崎委員のおっしゃるようにとりあえず半分かなと、こういうことであります。
 おっしゃるとおりの経緯なんですが、ただ私が申し上げたいのは、そうやって地方財政も財務省も自治省もいろいろ苦労をしている中で、もうおれ、おまえという関係よりは、もうお互いにもとからやり変えないとだめだねという意識になっています。それでも、今の段階で議論をし始めますと、それは国がもっと地方に財源を渡すべきだと、一言で言えばそういうのが地方の主張になりますし、国は、いや、今は国は渡すどころではない、税収は一体どっちがたくさん取っているのかねといったような、始めればそういう議論になって、とめどもないことですから、それで私が、財政再建の一番大きな問題の一つは国と地方の行財政をもう一遍やり直すこと、そういうことで考えようではないかといって申し上げておるわけです。
 つまり、おれ、おまえといってやったりとったりする関係ではなくて、丸々全体のものを地方と中央でどうやろうかと。それは行政もくっついていきませんと、財政だけでは難しいのだろうと思いますが、そうしなければこの問題はできない。
 峰崎委員がそこだけでも急げとおっしゃいましても、そこだけ急ぎますと、結果は今のような、財源をよこせ、よこさないということになることがわかっていますから、やっぱりもとに返らないと答えは私は出ないと思うので、それで、これはモデルの対象で議論しようと、その方が早いと思っているわけでございます。
○峰崎直樹君 今は地方分権ということが、ある意味ではずっと地方分権推進委員会以来の国の大きな流れになっています。国際的にもそうだと思うんです。今のお話を聞いていると、国と地方の財政は一つのもので考えようというのは、これは逆行しているんではないかと思えてならないんですが。
○国務大臣(宮澤喜一君) 財源が一つだから、しょせんは。そういうふうに考えていかないと、おのおのが分かれができないと、こう申し上げようとした。
○峰崎直樹君 それでは、実は前回のこの委員会で副大臣から私は地方債のリスクウエートの話を聞きましたね。何度も、リスクウエートは地方債はかつて一〇%だったんじゃないですか、それがゼロになったのは九〇年代になってからじゃないですかということを申し上げたときに、二、三回念を押したんですが、いや、ゼロですとおっしゃった、最初からゼロですと。もう一回正式に訂正してください。
○副大臣(村井仁君) 三月十五日のこの委員会でございますけれども、峰崎委員からお尋ねがございまして、バーゼル合意でどうだったかということでございました。私どもそのとき、重ねてのお尋ねでございますので、なお調べさせていただきますということを申し上げたわけでございます。
 調べました結果でございますけれども、当初、昭和六十三年、一九八八年のことでございますが、このときにバーゼルの合意そのものは、地方債につきましてゼロ、それから一〇、二〇または五〇、そのどれかということになりまして、日本につきましては、しかしながら現在とは全然事情が違いまして、調べましたところが、日本の銀行の要するに世界における、欧米におけるプレゼンスが余りにも大きいというところから、いわば一種の足かせをかませるといいましょうか、そういう意味で一〇%というのを受け入れざるを得なかったという経過がございます。
 その後、平成六年、一九九四年のことでございますけれども、そのような状態ではなくなりまして、日本の銀行に対する欧米の警戒心というのも余り強くなくなってきたというような環境もございまして、地方公共団体に対する債券、これは本来課税収入等を背景にする信用力でございますから、〇%と、国と同様にリスクウエートをつけることが適当だろうということで、各国の理解も得まして変えたという経過がありましたことがわかりましたので、改めて御報告を申し上げます。
○峰崎直樹君 それはなぜ、そういうふうに一〇%だったんだろう。そして、最初二〇%だったのが、今のお話を聞いていると、日本に足かせをはめるために一〇%にした、平成六年になったら諸外国の日本に対する風当たりが弱まったから、ゼロでどうですかと言ったら諸外国も認めてくれた、こういう経過ですか。
○副大臣(村井仁君) おおむねそのとおりでございます。
 一九八八年当時、このバーゼル合意ができました時点では、確かに日本の金融機関のプレゼンスというものは欧米においてかなり大きなものがございました。それで、いわば若干各国の反発を緩めるために一〇%というのをのんだという経過がございます。これは私ども調べました結果でございまして、当時のドキュメントなども一応確認をいたしましたので間違いないと思います。
○峰崎直樹君 地方債がもう百八十八兆近くまで行っているわけですね。今は一体に物を考えなきゃいけないというふうにおっしゃっていたんですが、私はむしろ逆に、地方自治体は自治体で自分たちの税財源を充実させながら、自分たちのところは自分で責任を持ってやっていくという本来の、それこそよく宮澤大臣がおっしゃっています受益と負担の関係、できる限りそれに近づけていこう、こういうところに私はやはり持っていくべきだろうと。
 その意味で税源も、ある意味では、国の収入は二対一、いや、今もう三対二になっているんですか、国対地方は。これを支出ベースで見れば一対二だと。じゃ、支出ベースと同じように税源を移せるかといったら、これは移せない。だから、例えば歳入ベースで一対一にしたらどうだと、こういう議論というのは出てくると思うんですね。それでなおかつ足りないものはある程度の財政移転をするという考えは出てくると思うんですが、しかしいずれにせよ、そういう形へ持っていく。
 要するに、今の地方自治体の首長さんは、あるいは議会の関係者は、霞が関あるいは永田町へ行ってとにかく補助金を取ってくる。そうすると、補助金を取ってきたら、起債をしたらそれに交付税をつけてもらえる。とにかくあれもこれも持ってくればいいという仕組みになっていることを、早く、いや、そういう時代ではもうないんですよと。自分たちの分権というのは、自分たちの税財源をやはり自分たちでつくり上げながら、そして負担と受益の関係をしっかりと自覚できるようなものに持っていく。
 そういう観点に持っていきながら、場合によったら、この地方債のリスクウエート、それは銀行が持っているかもしらぬ、郵貯が持っているかもしれない。これはやはり、国よりも地方自治体の方が一〇%高くしてあったということはそれなりの根拠はあったんじゃないだろうかというふうに思えてならないんです。逆に言えば、ある程度の市場からの規律というものが、私はその地方自治体にとってみると大変大きな影響を与えるのではないかと思うんです。
 そういうやり方がいいかどうかというのは議論はあるかと思うんですが、私はやはりそのことも将来一つの大きな、私の住んでいる北海道なんかは交付税に一番依存している県でございますから、率直に申し上げて、こういう発言をしていると後でとんでもない仕返しを、厳しい御指摘を受けそうな気がするんですが、そうしないと、北海道や島根やそういうものがたくさんあるところで経済がじゃどんどん強くなっていくかというと、率直に言って逆なんですね。こういうところに交付税、そういうものに依存し過ぎるとかえって経済が力を失ってしまったというこの間の歴史があるものですから、その意味で、やはりもうそろそろそこはしっかりと。私は先ほど、宮澤大臣、これからだけでもという意味じゃないんですよ。特に地方財政は、あの中期展望で見ても自動的に実は交付税のところが伸びるような仕掛けになっていますよね。そこはもうそろそろ早くそこのところへストップをかけていかないと、もうこの状態は限界に来ているな、あるいはもう限界を超えているのかもしらぬと、私はこういうふうに考えているわけなんです。
 さて、そのことに対する答えをいただく前に、財政の問題まだあるんですが、今度は歳入のところをちょっと考えてみたいんです、税制のところなんですが。
 先ほど租税弾性値一・一とおっしゃったわけですね。景気が今こんな状況ですから十分税収が入ってくる状況ではありませんけれども、今の時期にやっておかなきゃいけないのは、将来景気が好転をしたときに、税収がある意味では非常に安定的に入ってくる、あるいは景気が上昇すればそれ以上に税収が入ってくるという、そういう仕組みを今、税制の中に組み込むべきじゃないか。
 よく学者が指摘されているのは、一つは法人税ですね。それから、所得税の中でも累進税率をかなり緩和いたしました。率直に申し上げて、減税をやった効果というのは一体どうだったのかなというのが、この間の特別減税、今たしか税率が八掛けになっておりますが、こういうものが、とにかく歳入を大きく減らすけれども、決して消費性向を上げておりませんね。むしろ、消費性向は横ばいもしくは低下しているわけですね。将来不安もあるんでしょう。
 そうすると、今やらなきゃいけないのは、レーガンのときのやり方ではなくて、ブッシュ、ジュニアじゃなくてかつてのブッシュですね。それから、クリントンのときに二段階の税率を最終的には五段階まで上げたんです。これが景気が上昇したときのいわゆる増収効果になって出てきているわけですね。そういう意味で、直ちに五段階に上げるということがいいかどうかというのはまだ議論はあるにしても、この問題が一つあるし、納税者番号制度の問題もかねて申し上げました。
 それと、キャピタルゲインという問題も、実は私どもは有取税しかあの段階ではなかったと、実質上は、あの八〇年代のバブルのときに。そのときにあれだけの税収があったわけですが、もしあれが、売買高の一%じゃなくて、二六%とは言いません、二〇%の源泉分離課税であったとしたら、一体どの程度の税収増になってはね返っていたんだろうか。
 このことを考えたときに、私は、景気が上昇するとともに歳入が上昇してくるという仕組みをもうそろそろ財務省としては考えておくべきときに来ているんではないんだろうか。直ちに上げるということではないんですよ、税収をふやすということではない。景気が上がってきたときにふやすべきじゃないのか。
 それから、もう少し税の話をさせていただきたいんですが、これまた来週になるんでしょうか、租特の話もありますが、住宅税制のところなんか見て、率直に申し上げて、二年、住宅の減税やりましょうということでやりました。半年延ばしました。最近における住宅着工件数というのは、率直に言って、このことによって最初はちょっと上がったと思うんです。私が統計を見る限り、ずっと横ばいもしくは下がりぎみですね。
 ということは、住宅減税というものがありながら、民間の住宅着工というのは率直に言って下がってきているということは、景気対策としてやるというのは、二年なら二年、二年半なら二年半、その間に集中的にやるから景気対策になったので、それをちょっと額は下がったけれどもまたもう二年間延長する。ほとんど五百万円近い、五百万というのはほとんど僕は実際ないと思いますけれども、しかし相当な金額のいわゆる住宅税制をやると言っているけれども、こういうのはずっといくと野方図にいって、ほぼ半永久的にいっちゃうんじゃないかという心配があるんです、この間の税制を見ていると。二年半の特別措置ですと言っておりながら、これが四年半に延びていく。そうすると、四年半でもだめなら六年半だ、いやもう半永久的だと。
 そうすると、平年度たしか一兆円の減税ですよね、これ。住宅関係では住宅金融公庫の利子補給もやっている。そしてこういう形での減税もやっている。私は、そこはめり張りをつけなきゃいけないにもかかわらずこういうふうになっているのはいかがかなと。
 ある学者はこう言っています。要するに、失業率を一つの目安にして、ある失業率を超えたらもちろんこれを発動していいけれども、これを下がったらやめるべきだというような、そういう景気の動向といわゆる景気対策と称する税収の減税措置を結びつけたらどうだというような意見も出ているわけですね。
 こういったことに対して、財務大臣、そろそろお考えになって、システムというものを、インフラをきちんと整備しておく、こういうふうにお考えになりませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま私どもの提案を御審議いただいている最中でございますので、それを離れて余り私が自由な議論を申し上げちゃいけないということは存じておりますが、今の最後の住宅の話などは確かに、税のエキスパートたちは、駆け込みをねらってある減税をするのは、それはそれで政策的な意味はあるだろうと。しかし、それが済んだらもうそれでその効果はおしまいですと。だから、そもそもそういうことがいいのかどうかという問題があると同時に、その時期が過ぎましたらそれはもうこだわらないでしまわないと、おかしなことになるという場合がしばしばあるということはよく専門家の間で議論しておりますので、その点は、峰崎委員のおっしゃるようなことが随分専門家の間でも議論されておるのではないかと思います。
 それから、前の方に戻りまして、好景気になったときに、それを反映するような税制は入り用だとおっしゃいますことですが、確かに税の弾性値は一・一と決まったものではありませんので、過去の平均がそうであるということでございますから、景気がよくなれば税収が一・一を超えて取れて実はおかしくない、そういう税制が入り用だろうとおっしゃることも私はそう思います。
 ただ、その点は、実は消費税が比較的不景気に強いということがございまして、それは景気に強いということにまたなりかねないので、そこへ今おっしゃったのでないことはわかっていますが、所得税について言うなら、今確かに減税が効いていることはおっしゃるとおりです。それは随分の歳入欠陥になっているだろう、ロスになっているだろうなとおっしゃることもまさによく気がついていただいていると思うんですが、ただ、もし所得税をこれから改めていくとすれば、私は、累進をさらに細かくする、厳しくするよりは課税最低限を下げることの方が健全だし、歳入から見ても、たとえ最初の税率が低くてもいいから、そういうふうにすることがいいんではないかなと。
 法人税については余り申し上げることがないように思いますけれども、確かに税制そのものも、先ほど申しました財政再建との関連で、地方も中央も、そして国税の中身も根本的にやりかえる必要があるだろう。多分、法人税と所得税の税負担、法人税はほぼ国際水準並みになったと思いますから、それは余り動かさなくてもいいかもしれないと思いますが、相続税はまだ手を触れておりませんので、そういったようなものはみんな再検討しなければならないし、中央と地方の間は、もう全部の財源を出し合って、もう全部出し合ってこれをどういうふうに割り振りするか、交付税との関連も含めましてやらなければならないのではないかと思っております。
○峰崎直樹君 歳出のところで、実は建設国債と赤字国債を区別する意味というのは率直に申し上げてあるんでしょうか。この点、ちょっとお答えください。
○国務大臣(宮澤喜一君) これほど国債の発行額が多くなってまいりますと、この区別というのは何かアカデミックなような意味しか持たないというふうに解釈されていることが、時々私も看取いたしますけれども、しかしもとの財政法の基本的な考え方がやっぱり大事であって、そして建設国債というものは、それだけの財産を、デュアラブルな財産を後に残していくというものであるのに対して、そうでない国債は一種の消費的なものであると。ここのところはやっぱり大事にした方が、今これだけ大きくなりますと分けてみたってしようがないじゃないかというお話をなさる方がありますけれども、しかしいつまでもこんなたくさんの国債を発行しておいてはならぬのでございますから、そのときにはやっぱりそのけじめは私は立てておきたい、そういうふうに思っております。
○峰崎直樹君 五十年前ですよね、たしかこの財政法ができ上がっているのは。そのとき以来対象は変わっていないんですけれども、社会は大きく変わっていますよね。この間、新社会資本というような概念も出てまいりましたね。
 一九九三年版のいわゆる国民所得統計、九三年のSNAの中には、政府固定資本形成というのはどういうものが入っているかは御存じでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから、何が建設国債の対象になり得るか、そこのところは時代の進展とともに一緒でなくてもいい、それは私もそう思いますけれども、そうかといって、基本的に消費的な国債とはやっぱり分けておいた方がいいということでございます。
○峰崎直樹君 そうすると、建設国債という言葉にはこだわらない、要するに赤字国債とは分けなさい、こういう意味ですか。あるいは、建設国債というのはあって、その対象は広げていっていいと、こういうことですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 十分考え尽くしておりませんので簡単にお返事できませんけれども、少なくとも自分が強く感じますのは、仮に建設国債というものは、それだけのデュアラブルな資産を何かの形で残している、片方は、消費的という言葉もちょっと乱暴ですけれども、という考え方の違いはあると思っております。
○峰崎直樹君 実はこういう問題が起きてきているんですよね。例えば大学の研究所を建てた、それは建設国債の対象になった、だけれどもそこの中に置くコンピューターは、これは入らない。立派な医療施設をつくった、これも公共事業の予算で入った、しかしそこの中に高額な医療機器を入れても、これは入らなかった。そうすると、立派な建物はあるんだけれども中には貧弱なものしか入っていないというような事態が起きてきているわけですね。そして、たしか九三年のSNAの改正では、コンピューターのソフトウエアも実は無形固定資産として政府固定資本形成の中に含まれるようになったんです、ですよね。
 大臣、五十年もたってくると、将来世代が必要とされるもので、なおかつこれは有効だと言われているものの中身は明らかに変わってきているんじゃないんですか。道路や港湾やあるいはダムというのは、あの重化学工業の時代にはそのボトルネックとして随分大きな経済効果はあったと思うんですが、しかし、そこは要らないと言っているんじゃないんですよ、そうじゃなくて、日本の経済を効率化させるための必要とされる財源の投入先というのは余りにもそういうところに偏り過ぎていないかということを、先ほどの池田さんもおっしゃったし、私もそう思っているんです。
 リンゼーさんという人が、先ほど何度も出てまいりましたが、あのブッシュ大統領の経済顧問ですが、麻生大臣にこう語ったというふうに、これはどこかに載っておりました。構造改革では、財政支出や民間投資は収益性の高い分野に振り向けるべきだという認識で一致したというふうにおっしゃっているんです。
 今建てているダムやあるいは農業基盤の整備で、基盤整備が全部だめだというわけではありませんが、そういったものが本当に日本の経済にとって効率よく使われているんだろうか、こういうことについての、もうそろそろ経済財政諮問会議の中でも議論されるでしょうけれども、この赤字国債、建設国債のあり方は、どうもそこのあたりをやはり変えなきゃいけない時期に来ていて、そういうふうに考えられるんですが、それでもやはりまだ五十年前のこの仕分けでいいよと、こういうことでお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それでもとは申しておらないつもりでございまして、ソフトウエアが設備投資になる、GDPの中で。考えてみれば当たり前のようですが、最近確かにそうなった。そういう変化はよくわかっています。建物をつくって、医療機器はだめだとか、コンピューター関連はだめだとか、しかしかなり最近はそこらもフレキシブルになろうとしていますので、それは耐用年数六十年の建物だけがといったようなことは変わっていってよろしい。
 だから、一番簡単な言葉で言えば、何というんでしょうか、一番消費的な性格のものとそうでないものとでも申すんでしょうか、何が、仮に建設国債と申しますが、の対象になり得るかということは、これは十分弾力的に考えていいことで、今までもそうしようとしておるつもりでございますけれども、これは意味のあることだと思っています。それでもしかし、純粋に歳入補てん的なものとそういうものとはやはり分けておいた方が、将来こんな時代ばかり続きませんので、やはりもっと財政がかたくなってきたときにはその区別はしておいた方がいいというふうに私は思っております。
○峰崎直樹君 ぜひいろんな意味で改革をしてもらいたいなと思いますが、そのことは別にして、今度は財政投融資の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。
 財投債、財投機関債が出されるわけですね。特に財投機関債のことについてもちょっとお聞きしたいんですが、たかだか一兆円程度です、今度出されるのは。この財投機関債の利息は、政府保証がつく財投機関債と、それから政府保証がつかない財投機関債、これは財務大臣、利息はどのぐらい違うと思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 財投機関債となりますと政府保証はつかない。
○峰崎直樹君 つくやつもあるんでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 財投機関債というものには政保債はないそうです。
 ただ、それでも政保債というものが別にあることは確かですから、それとそうでない国債とは利子が違うだろうというお尋ねは、違い得るのでございますけれども、今、どれだけ違うかをお答えする者がちょっとおりません。
○峰崎直樹君 例えば、商工中金なんかは商工中金で債券を出していますよね。そういったところと財投債、財投債よりも財投機関債ですか。財投機関債というのは結果的に、市場で買うときに、これはどのぐらいの利息をつけていいのかなというのは、結果的に政府が保証するかしないか、いや、つぶれたときはきっと政府が面倒を見てくれるんじゃないかと。本州四国架橋公団の例にも見られるように、そういう財投機関のものがつぶれたときには最後は税金で面倒を見てもらえるということになれば、利子率というか、そこにかかってくるクーポンというのは変わらないんじゃないんですか。どうなんでしょうか、そこは。
○国務大臣(宮澤喜一君) それが財投機関債のつらいところでございまして、政府は何もしない、こういうのが財投機関債でございますから、なかなか市場に通らないというのは、一兆円だとかなんとかという話になるのはそうでございますが、それはそういう難きを強いているわけで、もうひとり立ちしろと、こういう考えでございます。
○峰崎直樹君 ひとり立ちをするといっても、まだ情報公開が十分に進んでいない。格付機関がきちんと恐らくこれから見ていかなきゃいけないんだろうと思うんですね。
 そういう意味で、この財投機関債あるいは財投債、財投債もそうなんですが、財投機関債が本当の意味で市場で金利がつくような状態というのはいつになったら大体出てくるんですか。どういう条件が具備したらつくんですか。
○副大臣(若林正俊君) 御承知のように、初めて導入する仕組みでございますし、お話がございましたように、格付というようなものも、市場に出していって市場の評価を受ける、こういうことを重ねていかないと、なかなか今の財投機関それぞれが所要の資金を市場で機関債を発行して調達するというのはすぐさま難しい。
 これが十三年度は御承知のように一兆余でございますけれども、どこまで自分の機関の信用によって調達できるかということは、それぞれの機関が御努力いただいて社会的な信頼、自分の事業の政策評価も含めまして信頼をかち取れるかということによって決まってくる、こう思うので、いつまでということは、申し上げるのは今の段階ではできない。
○峰崎直樹君 どうも何か聞いていると、改革と言った割には随分、いつごろになったらそれがきちんと市場で判断されるかわからないと、こうおっしゃっているんですが、頼りのない話だなと思うんです。
 そこで、これは実際上、市場金利が得られるようになったときに、財投機関債を発行するというのはある意味では勇気が要りますよね、市場に任せるということは勇気が要ります。ところが、出さなかったところは財投債で政府が面倒を見ますよという形になったら、だれも一生懸命出そうと、我々は市場のマーケットにさらさせようということをやろうとするインセンティブが働かないんじゃないですか。
 その意味で、財投機関債の利率が市場で出始めたら、それをベンチマークにして、財投機関で財投機関債を出さないところは、あなたのところはどうも不十分だね、もっと財投機関債を出しなさいよ、出さないんだったらちょっと高目の金利になるよというふうに持っていかないと、だれも財投機関債をどんどん出そうというふうにならないんじゃないですか。どうですか。
○副大臣(若林正俊君) まさにおっしゃるような状況が生まれてくるだろうと思うんですよ。
 政策評価を厳しくしながら、各機関が必要とする資金をみずからの信用において市場から調達するというのがこの改革の趣旨でございますから、それで調達できないものを財投の方で貸す。貸す部分というのは、安易にそれに依存することがないように、かなり当該発行機関との間で詰めていかなきゃいかぬと。これは、各機関が厳しい評価にさらされながら、行政側もその政策の中身を詰めて、必要な限度に事業をしていくという努力をこれから重ねていかなきゃいかぬと思っております。
○峰崎直樹君 何だか聞いているとばかばかしくなってくるようなお話になっちゃうわけですよね、ずっと聞いていると。
 そういう意味で、この財投改革というのはやっぱり相当やらなきゃいかぬし、それと、今非常に私が感じているのは、国家信用というものがついたところは、つまり国家がバックにいるということは、多分そのことによるメリットを受けているんだと思うんです。今の財投機関債にしても財投債にしても。民間ではない国家は、まさにソブリンはある意味では一番の信頼だと言われているわけですから。
 そうすると、国家信用に該当するものというのは、これだけ財政困難に陥っているとき、その国家信用料ぐらいはある意味では上乗せをして財政収入としていただきましょうと。いただくというのはちょっと語弊があるかもしれませんが、信用補完分は、もちろんこれは公的に税でもってやらなきゃいかぬというのは別ですよ、公的な分野としてやらなきゃいかぬというのは別だけれども、そういうことも私は考えられていいのかななんて思っているんですが、財務大臣、何か一言ありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年も随分この制度については御議論がありまして、峰崎議員からも伺いまして、制度がこういうふうに変わりましたので、いわばこの機会に財投機関というものももう少ししっかり自立してみろといって、一種のそういう難きに立たせたというのがこの制度でございます。
 とにかく、二十機関はとにかく市場の信認を得た。もう少しことしはふえるそうでございますけれども、もうちょっとぐらいいけるかもしれない。しかし、そうやってちゃんとしない限りはもうやめるんだよということが、残念ながらこの話については言っても、法律ができていて皆さんバックアップされる方がいらっしゃいますから、合理化できなきゃもうやめちまえということが言えないつらさがありまして、それでもしかし、やっぱり面目にかけて自分のところの債券ぐらい出せなきゃおかしいだろうといったようなところで今一生懸命やっている。しかし最後は、渋々でも財投債で救うと。ただそれは、そういう経緯がありますから、余り大きな顔をしてはできないよといったような、そういう種類のことの中で合理化を詰めていきたい、こういうことだと思います。
○峰崎直樹君 もう最後になってまいりました。
 金融担当大臣に、実は私、前回「銀行部門の株式保有額と自己資本額の推移」ということで、きょう数字をいただきました。今、手元に見ているんですが、これちょっと説明していただけますか。
 というのは、資本の部の合計三十六・三兆円と一番目にあるのは、これはネットの自己資本という意味なんでしょうか。それから、これを分解したらどうしてリスクアセットでティア1、ティア2が三十四・一になり、ティア2が二十二・六になっていわゆる自己資本比率が、まあ自己資本比率はわかります、その分かれ方。そして、最後の劣後ローン、劣後債というのは、これは政府からの劣後ローンで、銀行が持っている劣後債、劣後ローンは二・七兆と、こういう理解なんでしょうか。そして、ネットの自己資本というのは一体どのぐらいになるんだろうかということをちょっと、簡単で結構です。
 それを聞いて、この問題はまたもしかすると締めくくり総括の質問等で金融問題について触れざるを得ないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 資本の部三十六・三兆と申しますのは、先生の最初にお示しいただいた表でいいますと、「自己資本金額 コア資本」というC欄に相当するものでございます。繰り延べ税金は、先生もお示しされたものでございまして、D欄に相当するものでございます。それからあと、公的資本による増強は、これは先生のところではE欄になってございます。その内訳が優先株と劣後ローンでございます。そういうことでございまして、一番最後の表に、生保から銀行が受けている七・二兆円、劣後ローンと劣後債のトータルが書かれている、こういうことでございます。
 ひとまずそういうことでございますが、よろしゅうございましょうか。
○峰崎直樹君 そうすると、ティア1、ティア2の分解は、これはどういうふうになるんですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) このティア1は、当然のことながら、先生の表とどこがどう食いつくかですけれども、自分の資本と、あと、要するに公的資本の優先株の部分プラス税効果の部分、この大体三つに分かれるというふうに考えていただいてようございます。
 それからティア2は、これは先生がお示しの中では、要するに公的資本によりましても劣後ローン、劣後債の部分等を含む、こういうことでございます。
○峰崎直樹君 後でまた聞きます。ありがとうございました。
○浜田卓二郎君 午前中に引き続きまして、若干の質疑をさせていただきたいと思います。
 政策投資銀行の総裁には、お残りいただいて恐縮でございます。
 最初に、この政策投資銀行関連について伺いたいと思います。
 一昨年でございましたか、産業再活性化法、それから政府系金融機関の改組の法案の審議、この法案の審議を通じて当委員会、それから本会議でも質疑をさせていただきましたが、新規の企業の育成、あえてベンチャーと言わないでもいいんですけれども、新規の企業育成あるいは産業育成について、これはこれから大変大きな政策課題になるはずである、したがってエンゼル税制の充実、それからベンチャー企業支援の各種制度の充実ということを大分申し上げて、当時、大蔵大臣からも大変前向きな答弁をちょうだいした経過がございます。
 その中で、私は、政策投資銀行がこういう名前に変えて政府系金融機関として発展的に設立をされたということの意味合いを、この新規企業の育成ということに大いに重点を置いて考えるべきだと思ってまいりましたので、その後の経過、今年度の予算案に至るまでのこのベンチャー企業あるいは新規産業育成についての当局の取り組みといいますか、そういうことについてお聞かせをいただきたいと思います。
○副大臣(若林正俊君) 浜田委員が、ベンチャー企業等、いわば将来新しい分野に進出して活発な企業活動をしようという人たちに対する金融措置、とりわけ日本政策投資銀行の取り組みを重視しておられるということはよく承知いたしております。
 日本投資銀行のベンチャー企業育成という観点からの融資につきましては、御承知のように、中期政策方針で知的基盤の整備を推進するため、未来産業の創造に向けた新技術開発の促進や、創造力や独創性に富む新規事業の育成を図るということをその業務の重点の一つとしていることは御承知のとおりでございます。
 そのような方針に基づきまして、高度な技術力や独自のノウハウがありながら、信用力が乏しく、資金調達が困難なベンチャー企業の育成のために、新規事業育成融資制度を設けてベンチャー企業への円滑な資金供給が図られるように積極的に努めているのでございます。
 また、担保の設定に当たっては、これまで日本政策投資銀行が培ってきた技術評価や事業採算性などのノウハウを活用をいたしまして、知的所有権担保に積極的に取り組んでおられます。
 ベンチャー企業向けの融資の実績は、平成七年は十件五億でございましたが、年々拡大をしておりまして、平成十年度は三十九件二十四億、十一年度は四十二件二十六億というふうに拡大をしてきているところでございまして、日本政策投資銀行も、そのベンチャー企業を支援する体制を強化してきているというふうに承知いたしております。
 平成十一年秋の政府の経済新生対策を受けまして、日本政策投資銀行は、政府系ベンチャーキャピタルの新規事業投資の株式会社への出資を通じまして、民間のベンチャービジネス支援企業と共同して投資事業組合を結成し、そして情報通信やバイオなどの先端的、また重要な分野のベンチャー企業に対する事業化支援を行っているところでございます。
○浜田卓二郎君 三十七社二十四億円の貸付実績が見込まれますというのは、平成十一年度の実績見込みで、これは一昨年の質疑のときにいただいた数字と同じなんですね。その後これはうんと充実しますとおっしゃったものですから、どのぐらいになっているのかなというのがきょう聞きたかったものですからね。
○副大臣(若林正俊君) 先ほど平成十年三十九件二十四億と申し上げました。そのことを御指摘だと思います。
 十一年度は、四十二件二十六億円になっております。
○浜田卓二郎君 十二年度の見込みが幾らになりますか。
○参考人(小村武君) 十二年度のただいまの見込みは、四十二件、約二十一億円でございます。
○浜田卓二郎君 百二十一億円ですか。──二十一億円。減っているわけですな。これは資金需要がないんでしょうか。
○参考人(小村武君) 御相談の件数はふえておりまして、約三百件の御相談がありました。その中で事業化できるものとして本年度の見込みは約四十二件ということでございまして、まだまだ努力をしなきゃいけない段階だと思います。
○浜田卓二郎君 総裁、じゃ引き続いて。
 このときに資料をちょうだいいたしまして、インキュベーションファンドということで、投資もしますと。先ほどの副大臣の御答弁の新規事業何とか組合というやつですかな、そこを通じての出資ということですか。これは私の二年前にいただいた数字では、十一年度補正予算で五十七億、インキュベーションファンドの数字としてそういう額をお知らせいただきましたけれども、これは最近はどうなっているんでしょうか。
○参考人(小村武君) 五十七億の予算を経済対策の一環としていただきまして、ただいまIT関係とそれからバイオの関係について、民間の方々の御協力も得ましてこの二つについて基金造成をしております。そのほか、もう一つ、マテリアルについて近いうちにファンドを形成いたしたいと思いますが、バイオにつきましては民間分を含めて約三十億、ITについては約同額程度のものを予定しております。
○浜田卓二郎君 私の期待とは全く違う展開だなと思っておりますけれども、要は、銀行の貸し渋り、あるいはそこまで言わなくても、なかなか積極的な資金融資というのが民間の銀行から出てこない。そしてリスクマネーみたいなものはほとんどもう期待できない。
 そういう中で、今ぐらい新規事業の創業とか育成が重要なときはないと思うんですね。産業構造が変化するという意味は、片方はつぶれるあるいはリストラということになり、そこで生まれた失業が新しい企業、新しい産業に吸収されていって初めて変化するということであって、そうじゃなかったら、産業構造に穴があくといいますか、そんなことになっちゃうわけで、それが大事ですよということをぜひまた繰り返し申し上げたいんですね。
 その分、マザーズとか、いわゆる直接資金調達の場が有効に機能しておって日本の新規企業が続々立ち上がっているという話を余り聞かないものですから、間接金融の部門で意気阻喪しているということは、本当の新規産業育成ということができていないと。最近の新規事業の開業率といいますか、これはどうなっているか、ちょっと数字は持っておりませんが、三・七%ぐらいというのが一昨年の数字であって、低下傾向にあるということでありました。これは私はゆゆしき問題だと思うわけであります。
 前身は日本開発銀行であり北東公庫であり、そういう時代の役割がその名前において、あるいはその制度において終わったというか変化したから政策投資銀行になられた。今の政策金融の眼目というのは何かといいますと、それはもう傾斜生産方式でもないわけでありますし、あるいは輸出入の促進でもないわけでありまして、政策的に金融をやらなきゃいけないという分野は、私は最も大きなテーマの一つが新規産業の育成だと思うんですね。ですから私は、繰り返しますけれども、ひとつ思い切って政策投資銀行には頑張ってほしいし、それを政府もバックアップをしてほしい。
 一昨年のやりとりの中では、融資体制も充実をしますとおっしゃった。たしか人数まで伺った記憶があります。今覚えていませんが、多分、たった二十七億円しか融資実績が見込めない分野でそれほど力を入れていらっしゃるようには受けとめられないんですけれども、どうかひとつ総裁、そしてまた副大臣、御答弁になりましたけれども、大事な分野ですから、そうじゃなかったら、民間金融機関の貸し渋り補完ぐらいの政策金融だったら、何も仰々しい制度を設けてやる必要はないというぐらいに思っておりますので、総裁の決意を承りたいと思います。
○参考人(小村武君) 先生御指摘のとおり、平成十一年十月から私どもは新しい政策金融機関として発足いたしました。終戦直後の焼け野原から今日に至る発展の過程で、産業金融を中心にした旧開発銀行の役割も大きかったと思いますが、現時点における政策課題というのは、先生のおっしゃるような新しい分野で、そこで知恵と情報を駆使して私ども政策金融に取り組まなければならないと思います。
 先ほどのバイオの件も、これは育てるまで約十年ぐらいかかります。やっと卵を抱いてこれからやろうという段階であります。特に私どもが力を入れておりますのは、初期の段階の、民間のベンチャーキャピタルが出てくる前に新しいビジネスシーズ、種を探して、そこを発掘させて、アーリー段階、最初の立ち上がりのところ、ここを中心にして、今各大学と提携をしたり、それから資金面だけでなしに、これはやはりいろんなネットワークが必要でございます。私ども、東京大学のTLOの設立とか東京工業大学の設立等にも参加いたしまして、そういう大学とか企業とか外国の企業、研究機関、こういうものとのネットワークを駆使しまして、そういう面での知的な支援も行ってまいりたい。今、卵を抱いてこれから大きく育てようという段階でございますので、よろしく御支援をお願いしたいと思います。
○浜田卓二郎君 総裁、結構でございます。ありがとうございました。
 次に、柳澤大臣に少し伺いたいと思うんですが、今株式相場を聞いてみますと、午前中一万三千円を割りましたけれども、また少し戻して、六十七円安で一万三千三十六円であるということでありまして、結構だなと思っております。
 宮澤大臣とは何度か問答をさせていただきましたけれども、やっぱり、アメリカの株が下がって日本の株が下がるのは当たり前だという発想からは離脱しなければいけない。大臣は、政府は株価に対して中立であるとおっしゃっておられまして、それはそうだろうと思うんですね。ただ、アメリカの株が下がればしようがないですなというようなお話は、やっぱり雑談であっても財務大臣がおっしゃると影響が大きい。むしろ逆に、アメリカの株が下がって日本の株は下がる必要はありませんなというようなことをぜひ、記者さんとの懇談の場でも結構でありますし、要するに、ピークにある株価と底値にある日本の株価が一緒に連動する愚は何とか、政策によりというほどでありませんけれども、断ち切る方向というのをぜひ御工夫をいただきたいと思います。これは答弁は要りません。
 それで、株価についてでありますので、若干それとの関連で柳澤大臣に伺いたいと思いますが、午前中のほかの委員とのやりとりの中で、与党の株式買い取り機構提案について、それは民間の話だからしようがないんだ、民間がやるのならしようがないんだという趣旨の御発言がありました。しかし、最後にこうおっしゃいましたね。本当の問題はデリバリー、最終所有者に、つまり個人投資家ですか……
○国務大臣(柳澤伯夫君) 機関投資家。
○浜田卓二郎君 機関投資家、個人投資家に対するデリバリーをできるだけ速やかにやらせることだとおっしゃった意味がよくわからないんですけれども。
 つまり、間を挟んで仮にそういうものができちゃったとしても、最終目標は個人投資家なり機関投資家の所有であって、そこに速くデリバリーさせようと、そういう趣旨でしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 党の文章にも載っかっているわけでございますけれども、民間ファンドによる株式買い上げ機構の創設ということの中に、株式の持ち合い解消の方法として活用し得る上場投資信託、ETF、これエクスチェンジ・トレーデッド・ファンドということなんですけれども、ここに言及があることに御留意をいただきたいと、こう思うわけでございます。
 民間ファンドの方が非常にクローズアップされておりますけれども、同時に、ETFのようなもの、上場インデックス投資信託というふうにも訳されておりますけれども、そういうものでもって個人の投資家及び機関投資家というようなところに買っていただくこと、そういう手法も金融機関における株式の持ち合い解消の手法として考えられていると、こう書いてあるわけです。
 そこで、今この買い上げ機構の問題いろいろ議論があったわけですが、これもあるということでございまして、何と申しますか、このエクスチェンジ・トレーデッド・ファンドの方が私どもとしては、むしろこれができればより本格的なものになる、当然のことでございます、最終投資家にもうその株式が渡るわけでございますから。それに反して、買い上げ機構といえどもこれは最終投資家ではありません。
 いずれにせよ、そこに大きな塊があるということになると、今金融機関が持っている株式も、これがオーバーハングと言われるわけですけれども、株式市場に対する供給圧力になっている、そういうものとしてオーバーハングしている、ぶら下がっている、そういうことはこの株式買い上げ機構をやっても実は変わらない。もちろん変わる部分はあるわけですが、基本的に変わらないと。やっぱり基本は、最終投資家の手に株式を渡さなければ本当の意味の解決にはならないんですと。
 そういうことをどちらかというと中心に考えておるわけで、それとこの買い上げ機構がどういうふうにリンクするのかしないのか、このあたりのことはこれから民間などの意見も聞きながら問題を考えていきたいと、こういうことをちょっと申したということでございます。
○浜田卓二郎君 それならばいいんですが、何か少しでも色気のあるような発言に聞こえたものですから念のために申し上げたんです。
 私、こう思うんですよ。与党が提案をしました、金融庁も金融担当大臣も否定しなかった、そういう話になったら、今まで護送船団方式でやってきて、しかも今再生途上にあって、さらに当時よりも強い規制を当局から受けている銀行にとっては、これはやれと聞こえるわけですよね。私はだから、それは民間がおやりになることだから勝手ですという話じゃないというふうに、全体像からすれば思わざるを得ないんですね。やっぱり質の悪いものはつくらない方がいいというのが私の結論で、そうであればしっかりと御意見もおっしゃっていただきたいと思うんですよ。民間がやればというのは、民間が嫌々やったって何の役にも立たないんです。あの債権買取機構がそうだったでしょう。
 宮澤総理の当時の案は、日銀からやはり特融を、日銀の特融とまで特定しているかどうか、要するに、公的資金を使った不良債権処理機構というのを宮澤総理は当時お考えになったはずなんですね。あの当時、渋ちんと言われたあの三重野総裁も、その用意があると日銀は言ったんですよ。それでできたと思ったら、できなかったんですね。それで結果としてできたのは民間買い取り機構ですよ。これ、嫌々、皆さん資金を、嫌々かどうかちょっと余分ですけれども、資金を出し合って三兆円規模の民間の買い取り機構ができた。そんなものはいきさつでつくったというだけであって、実際には機能していないわけですよね。
 だから私は、そういう方法で何か解決策になったというふうな錯覚を持つよりも、これはもうやめた方がいいというふうに思うんですよ。
 ただ、今金融機関が保有している株が簿価で、この間の御答弁は三十七兆でしたか、四十兆円近いものがある。それで、これが今一万三千円に戻ったから、私も少し何かいい気持ちになりますけれども、この株価の変動によって、これだけの保有株を持った銀行の経営とか、さらには融資に対するビヘービアまでが大きな影響を受けていく。それはやっぱり何とか避けたいという気持ちは共通してあるわけで、この間、予算委員会で文京女子大学の教授の方が意見陳述をされて、まさにこの四十兆円規模の銀行買い取り機構というのを政府保証債をもってつくれという御提案をしておられました。
 だから、どの提案がいいか、私は、買い取り機構が妙な形でできるというのは、これはよほどしっかりした議論がないと危ないと思っていますし、これは余りいい手ではないとは思っております。ただ、みんながそこに危惧を持っているということは事実でありますし、銀行の実務家の間で、この評価損の問題をどうするかというのは、実は真剣な議論になっております。
 この前の委員会で土地の評価益との相殺の問題を申し上げたら、それは自分の好みではないと再生委員長御答弁になって、私も別に好みで物を言っているわけじゃありませんで、どれが好き嫌いというよりも、やはりこの四十兆円になんなんとする銀行の保有株式の問題を何とかしなきゃいけないと、その問題意識を言っているんであって、私は、この問題については、さらに具体的な対応についての検討を大臣の責任のもとで進めていただきたい、そう希望を表明しまして、答弁は要りませんから、私の質問を終わります。
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 私は、金融庁並びに国土交通省も関係しておられます自動車損害賠償保険、いわゆる自賠責保険の問題について質問をいたします。
 今国会で自動車損害賠償保障法及び自賠責再保険特別会計法の一部改正案が提案されることになっておりますけれども、きょうはこの改正案に関連して、交通事故被害者、とりわけ重度の後遺障害者の方々の救済対策に絞って、金融庁並びに国土交通省、また関連して財務省のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
 お手元に資料を配付させていただきました。自賠責保険による被害者救済のスキームといいますのは若干ややこしくなっておりますので、この資料をごらんいただきながら質問を進めさせていただきたいというふうに思います。
 第一点は、重度後遺障害者の現状について基本的な認識をお伺いしたいというふうに思います。
 この資料の最初のところにメモをしておりますが、ともかく交通事故の死傷者はますます増加していると。昨今、緊急医療の発展というのがありますので、命は取りとめたものの重度の後遺障害者になるという方がふえておりまして、この十年で二倍になっているというふうなことでございます。
 まず、国土交通省にお伺いしたいんですが、九八年度一年間で、この資料にありますとおり千九百四十四人の方が後遺障害者になってしまったということですが、この十年間でトータルでどれぐらいの方が重度の後遺障害者になられたのか、そのうち常時介護を必要とする方は、この十年間で結構なんですが、トータルで何人になるのか、教えていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(金子賢太郎君) 御説明を申し上げます。
 平成二年度からの十年間でございますけれども、後遺障害等級、これは全部で十四級、十四ランクに分類をされておるわけでありますが、そのうちの上位一級から三級までに該当される方を重度後遺障害者というふうに呼称をしておりますけれども、これらの方々につきまして、保険金の支払いベースでございますが、十年間で一万六千二百三十六件という数字になっております。そのうち、お尋ねの常時介護が必要と考えられる方々は、約半分に当たります八千五百六十八件となってございます。
○大門実紀史君 ありがとうございました。
 国土交通省として、今後、交通事故による重度の後遺障害者の数はさらにふえるというふうにお考えかどうか、また、何か推計なりされておりましたら教えていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(金子賢太郎君) 国土交通省として、事故あるいは重度後遺障害者の数自体につきましての推計というものを的確なものとして持っておるわけではございませんが、昨今の交通事故の状況を見てみますと、事故の件数でありますとか死傷者の数というものが史上最悪を更新するといった極めて憂慮すべき状態の中で推移しておりますので、私どもとしましても、被害者の救済対策というものの充実が喫緊の課題であるというふうに認識をしております。
○大門実紀史君 今、交通事故に遭うのはやはり子供あるいは若者が多いわけでして、したがって後遺障害者になるのも子供や若者の方がかなり多いというふうになっています。その点では、親御さんにとっては、緊急医療が発達したということで、命は取りとめてくれたというようなことで、九死に一生を得たということで、そのことは大変な喜びなわけですけれども、ただ、その一方で、御家族には重度後遺障害者の介護という大変重い現実が待ち受けているのも事実だというふうに思います。
 その中でも、遷延性障害、余りこういう言葉を使いたくないんですが、いわゆる植物状態になる子供たちもかなりの数に上っていまして、そういう場合ですと、特にやっぱり親御さんたちに経済的にも、肉体的にも、精神的にもかなりの負担が今かぶっているというふうに言えると思います。
 その中で、後で触れますが、交通事故に遭った重度の後遺障害者の方々に対する現在の介護給付が必ずしも十分ではありませんし、またその行政のサポートも大変不十分だという中で、そういう子供たちあるいはその若者を抱えた御家族というのはかなりぎりぎりのところで今過ごしておられるというのが実態だというふうに思います。お年寄りの介護と違いまして子供の介護ですので、親の自分が倒れたりあるいは亡くなった後どうなるのかという、親亡き後のことを皆さん心配されておりまして、残念なことに、中には子供の将来を悲観してともに命を絶ってしまうという事件もこの間起きているところです。
 いずれにせよ、この問題というのは、交通事故がふえる中で急いで、しかもこれはもう与野党問わず政治の責任として取り組むべき課題ではないかというふうに考えるところです。
 そこで、この自賠責保険を、国土交通省もかかわるわけですが、全体として所管されております金融庁として、柳澤大臣ですね、特に重度後遺障害者のことについての認識と、あるいは救済対策に取り組む姿勢というものをぜひこの機会にお聞かせいただければというふうに思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 大門委員が御指摘のとおりでございまして、最近、救急医療技術の発達等を背景に、交通事故による重度の後遺障害者が急増していると、こういう指摘が我々の方の答申、政府側の答申にも指摘をされておるわけでございます。被害者の多くは多額の費用を介護に必要とするために、死亡したよりも賠償額も多額になっている、こういうことも同時に指摘をされているわけであります。
 したがって、これを受けまして、金融庁といたしましては、関係省庁と協力をしながら、重度の後遺障害者に対する介護費用を保険金の支払い対象とする、これは格別法律改正までは要しないようでございますけれども、そういうようなことなど、自賠責答申で指摘を受けた事項の具体化に向けて取り組んでまいりたいと、このように考えている次第でございます。
○大門実紀史君 その自賠責審議会答申については後でまた触れさせていただきますが、被害者の家族の中には、今、非常に少人数ごとなんですけれども、会をつくって会員間の相互の相談活動をやられたり、あるいは自治体も含めて行政に要請行動をされたりしている動きもあるんですけれども、全体としてはまだまだ、そういう活動といいますか取り組まれている方は少数でありまして、マスコミもこの間時々クローズアップはしてくれているんですけれども、全体として非常に社会的な発言力がまだ弱い中でいろんな心配を抱えておられます。
 この資料の(2)のところにちょっと図解をしておきましたけれども、今度再保険が廃止されるという中で、この再保険制度そのものは国土交通の委員会で議論されると思いますので、これに関連する被害者救済のところで質問させていただきたいわけですけれども、ただ、この再保険の廃止の中でどうも私が心配しておりますのは、損保業界あるいは自動車業界というかなり大きな力のある業界のいろんな要望なり要求のはざまでこの被害者の人たちの問題が踏みつぶされはしないかと、あるいは本当にきちっと取り上げられていくのかという不安を実は抱えているところです。
 保険会社は当然、企業利益を追求するのは当然ですから給付を少なくしようとするし、この間もいわゆる出し渋り問題でいろいろ適正勧告が出たりしたところでありますし、自動車業界もできれば自賠責の保険料は、これは車を購入するときに払いますから、安い方が車も売りやすいということで保険料を下げたいと、下げてほしいと。つまりこれは、運用益が出た場合は、被害者救済よりもユーザー還元といいますか、保険料を下げる方に使ってほしいというふうな要望が出てくるわけです。
 そういう中で、この再保険廃止の中で、きちっと被害者救済だけは守っていただきたいといいますか、後で触れますが、水準が余り十分でありませんので、むしろ発展させていただきたいというふうに思うわけです。その上での、被害者等の方々、特に後遺障害者の方々の実態なり御要望なりを把握する仕組みといいますか、システムをやっぱりきちっと制度の中につくっておく必要があるというふうに思います。
 具体的にこの辺は質問した方がいいと思いますけれども、金融庁の自賠責審議会には、今、損保業界の代表の方、また自動車業界の代表の方、学識経験者の方々、それと被害者の代表としては、臨時委員でありますけれども、交通事故遺族の会の井手さんが入っておられるというのは知っておりますが、ただ、これから大きなものになってくるであろう後遺障害者の方の当事者はまだ入っておられないわけですね。これは、前もって伺いましたら、今後、その被害者救済というのは自賠責審議会だけでやるとは限らないと。場合によっては、金融審議会の中の自賠責制度部会というんですか、そこで行うケースもあると。
 いろいろだということを伺っているんですが、いずれにせよ、これから大きな問題になってくるわけですし、自賠責審議会の答申でもそこは対策を強化しようとなっているわけですので、ぜひ、どの委員会になるかは別として、そういう後遺障害者の被害者の会の当事者の方をその委員に加えていただく方向で御検討いただけないかというふうに思いますが、金融庁としていかが今のところお考えか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
○副大臣(村井仁君) 若干技術的な話になります。私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
 自賠責保険につきましては、昨年の六月、自賠責審議会における答申をちょうだいしたところでございまして、その要旨は先ほど柳澤大臣から申し上げたとおりでございますが、私どもとしましても、それの着実な具体化というものを図っていく、これが非常に重要な課題だと思っております。
 その場所としまして、私どもとしては、金融審議会の自賠責制度部会というのがございますが、ここで御研究をいただこうと思っておりますが、その際に、先ほど御指摘のように、重度の後遺障害者の問題というのは確かに大きな問題でございますので、できますれば、私ども、関係者からのヒアリングを少し丁寧にやっていただこうかと、こんなふうに考えておるわけでございます。
 と申しますのは、金融審議会の自賠責制度部会と申しますのは、実は部会長以下四人という非常に限られた学識経験者で構成しているところでございまして、そこで公正な御判断をいただければと、こんなふうに思っておる次第でございまして、そこで、再度申し上げますけれども、被害者の方の関係者からよくお話を聞かせていただく、そういうことでその御意見をできるだけ反映するように努めさせていただきたい、こんなふうに思っておるところでございます。
○委員長(伊藤基隆君) ここで委員長から申し上げますが、現在、委員会は定足数に達しておりません。
 参議院委員会先例録四八「委員会開会後一時定足数を欠く場合においても、質疑についてはなお委員会を継続する」という条項をもって継続しておりますが、大分長い間そのままになっておりますので、ここで暫時休憩いたします。
   午後三時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後三時五十九分開会
○委員長(伊藤基隆君) 委員会を再開いたします。
○大門実紀史君 今、副大臣から御答弁いただきましたけれども、ヒアリングはもちろん丁寧にいろいろ機会を設けてお願いしたいんですが、その自賠責制度部会には臨時委員を設けられるのかなというような気もするので、きょうはこれ以上申し上げませんが、昨年の国土交通大臣の諮問機関であります例の自賠責のあり方懇談会には臨時委員として参加されておりますので、ぜひ委員として、臨時委員という形でも委員として参加されることも含めて、今後御検討をぜひお願いしたいというふうに思います。
 次に、先ほどの資料を見ていただきたいと思うんですが、この重度の後遺障害者の方々に対する介護給付といいますのは保険の基本的な保障には今入っておりませんで、この右側の再保険というふうな特別会計の運用益で今支給がされているというふうな形になっております。この運用益の特別会計といいますのは今約二兆円近い膨大な金額がたまっているということですので、この特別会計に関連して幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、大変素朴な疑問なんですけれども、自賠責保険というのはノーロス・ノープロフィットということになっているわけですが、なぜこんなに膨大な二兆円もの運用益がたまっているのかと、本当に素朴に不思議に思うんですが、これは金融庁あるいは国土交通省、どちらでも結構ですからお答えいただけないかと思います。
○政府参考人(金子賢太郎君) 御指摘のとおり、確かに二兆円というのはいかにもたまり過ぎではないかという御指摘をちょうだいしておりますけれども、まず保険の通常のパターンといたしまして、保険料を収受いたしましてから実際に保険金が支払われるまでの間のタイムラグというのがございます関係で、そこで、収受しました保険料、あるいは現在は再保険をやっております、六割の再保険でございますが、政府の方で財投資金の一部として運用していただいておるわけでありますけれども、民間側の四割あるいは政府側の六割におきまして、収受した保険料を運用することによって一定のそこに果実といいますか、利息、運用益が生じるわけであります。
 損害率と申しますけれども、一定の事故の発生件数など予測いたしまして、支払い保険金のトータルを、おっしゃられましたとおりノーロス・ノープロフィットの原則のもとで、収受した保険料と最終的には均衡するような形に保険料の方を設定するわけでありますけれども、その損害率の見込みが安全サイドに少し触れて、結果、運用益が少し予想よりも多目に残ってしまうというようなことが一つの原因かと思います。
○大門実紀史君 そうすると、要するに予想したよりも給付が少なく済んだというふうなことですよね、簡単に言えば。
 これはきょうは、これもどちらかというと国土交通委員会かと思いますので深くお聞きしませんが、予想したよりも給付が少なく済んだというのは二つありまして、一つは、給付の金額そのものといいますか、保障金額そのものが低いか、あるいはいわゆる出し渋りといいますか、このごろはいろいろ指摘されていますけれども、損保会社の出し渋りということも、この二つもそれに関係しているんではないかなというふうに思って、とにかくいろいろ説明あっても二兆円というのはかなり不思議な膨大な金額ではないかというふうに私思っておりますので、これは改めて取り上げさせていただきたいというふうに思います。
 ただ、実は、この特別会計から平成六年と七年に一般会計へ繰り入れが行われておりまして、平成六年度で八千百億円、七年度で三千百億円、合わせて一兆一千二百億円のいわゆる国の隠れ借金といいますか、行われているということですが、今現在、これは繰り戻しされていったんだと思いますが、どれぐらいまだ借金が残っているか教えていただきたいと思います。
○副大臣(若林正俊君) 御指摘のとおりでございまして、平成六年に八千百億円、七年度に三千百億円、計一兆一千二百億円を一般会計に繰り入れております。法律の規定に基づきまして、八年度の補正予算で千五百四十四億円、九年度の補正予算で八百八億円、十二年度の当初予算で二千億円をそれぞれ繰り戻しておりまして、十三年度予算におきましても、十二年度に引き続きまして二千億円の繰り戻しを計上することといたしているところでございます。その結果、繰入金の元本残高は四千八百四十八億円になります。
○大門実紀史君 まだ五千億近く借りたままという状態なわけですけれどもね。
 もちろん、一般会計への繰り入れというのは法律に基づいてやられておるわけですが、ただ、この自賠責の特別会計というのはちょっとほかの特別会計とは私は違うと思うんです。その趣旨からいっても、運用益をためていくわけですけれども、その保険の運用益というのは、ユーザー還元といいますか、ユーザー還元と被害者救済に回すというのは自賠責法で決められてもいるわけですから、余りほかの目的で使用するというのはいかがなものかなというような気が実はしているわけです。
 これはできれば宮澤大臣にお伺いしたいんですけれども、こういう特別会計で、若干特殊なといいますか、割と性格、趣旨のはっきりしているものを、こういう隠れ借金といいますか一般会計に繰り入れるというのは、私は、ちょっと趣旨と違うといいますか、問題があるんじゃないかと思いますが、大臣としてはこの辺はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) こういうところから金を借りるということは、余り自慢するほどのことでは確かにございません。ただ、今お話しのように、結果としての運用益がかなり余裕があるということから、法律に基づきまして一般会計に貸してもらったと、そしてその返済についても今申し上げましたようなことでございます。
 それで、両大臣の間に覚書がありまして、十三年度から十六年度までの間に分割してお返しをすると。そして、もちろん被害者対策やユーザーに支障が生ずるなんてことは絶対ないようにいたしますが、今のような覚書で、運用収入相当額も含めてお返しすると、こういうことにしておりまして、この会計そのものの本来の目的に迷惑がかかることがあっては断じてなりません。そういうことがないようにはもとより配慮いたしておりますが、そのような事情でございます。
○大門実紀史君 この問題は、昨年の末だったと思いますけれども、朝日新聞で取り上げられまして、被害者の方々が、初めてその朝日新聞を見て、そんなことに回されていたのかということでかなり怒りを持たれたというのがありますので、財政事情だけではなくてやっぱり特別会計の趣旨もよく御配慮いただいて、法律にのっとってということですけれども、そういう特別会計からの隠れ借金そのものがいいのかどうかというのはもちろんあるわけですが、ぜひ配慮をしていただきたいといいますか、そういう趣旨のはっきりしたものですから、お願いしたいというふうに思います。その御意見だけきょうは申し上げておきます。
 次に、具体的な後遺障害者の救済策そのものについて質問させていただきますけれども、国土交通省の担当部局の皆さんがこの間努力されてきたのは私も十分承知しております。ただ、率直に言って、現在の介護を中心とした後遺障害者の方々に対する救済策というのは、実態からするとかなりかけ離れたレベルにあるというのが実際だというふうに思うんです。
 二兆円近くも運用益が出ているわけですけれども、例えば介護の給付金額ですけれども、一日ヘルパーさんを頼んだ場合で四千五百円、そうじゃない場合は二千二百五十円しか介護給付が出ないというのが実態でして、御存じのとおり厚生労働省の介護保険は一時間四千二十円ですから、それと比べるとかなりかけ離れた介護給付の実態であるというふうに思います。
 これは国土交通省の方の所管になるんでしょうけれども、この金額については、この二千二百五十円、あるいはヘルパーさんを頼んで四千五百円というのは、実態を調査されてといいますか、何か根拠があって決められた金額なのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(金子賢太郎君) 介護料のレベルといいますか、額についてのお尋ねでございます。
 確かに、同じ交通事故に遭って被害者となられた方でありましても、労災保険が適用される方でありますとか、あるいはお年の関係で介護保険が適用される方などに対しましては、それぞれの保険の制度によりまして介護費用の一部が支給されるのに対しまして、それ以外の人々というのは制度的には保険給付の対象とならないということがございまして、私ども国土交通省といたしましても、こうした方々を対象に、労災保険など他の制度との均衡、バランスを図りながらこれまで介護料の支給を行ってきたところであります。
 確かに、四千五百円、二千二百五十円という額がどうなのかという御指摘であるわけでございますけれども、私どもの方でも昭和五十四年に本制度、三千円、千五百円から始めまして、三回の改定を経て今日の額になっておるわけでありまして、今後のことでありますけれども、労災保険制度などによります介護料の支給額の見直しが今後行われる際には、私どもといたしましても、交通事故の被害者に対する介護料の支給額について適切に見直してまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 もう一度お聞きしますけれども、そうすると、実態調査とかされて決めた金額ではないと。労災とかほかの状況をかんがみて決められた金額ということですね。それだとやっぱりわからないと思うんですね、その実態が今どれだけ大変かということが。
 それで、いろいろ実態を私も家族の方とかお会いしましてお聞きしましたけれども、全部いろいろ述べている時間もないんですが、一つの例だけ申し上げますけれども、カニューレという言い方をするんですけれども、いわゆる遷延性、植物状態になった子供たちなんか特にそうなんですが、のどにカニューレという管を通してたんを吸い出すんです。これは実は医療行為でして、本当はお医者さんか看護婦さんしかやっちゃいけないことなんですけれども、在宅介護で親がやる分には目をつむっている。親がやっても本当は医師法違反なんですけれども、ミスをしても裁判にならないですからね。親だとならないということで親に任されているというふうな実態があるんですが、これを実際に医師法に基づいてお医者さんなりあるいは看護婦さんを頼んで、これは一日に十数回やらなきゃいけないらしいんですけれども、頼んだ場合もやっぱり六千円、八千円かかってしまうというふうなことがあるんですね。遷延性の場合、特にそういういろんなケースがあるわけですけれども。
 また、先ほど申し上げましたけれども、子供たちが後遺障害者になったケースを今お話ししているわけですけれども、当然兄弟がいたり、親御さんもまだ働き盛りだったりすると、共働きだったりするわけですよね、そうしないと生活できないという場合でヘルパーさんを例えば一日四時間頼んだとすると、時給は今、大体九百五十円とか千円ですから、それだけで四千円一日にかかってしまうと。あと必要経費を含めたらもうそのプラス五百円なんてすぐ飛んでしまうということで、全然実態に合わないのが今の二千二百五十円、あるいはヘルパーさんを頼んでも四千五百円ということだと思うんですね。
 労災保険等々いろいろ言われましたけれども、労災保険も、平成八年の介護給付を組み入れるときの論議の中で、有識者の方々はかなり低いんだと、労災のその金額も低いんだという議論なり意見を出されたところですから、その低きに合わせるといいますか、低い方を基準にするんじゃなくて、先ほど申し上げましたとおり二兆円も運用益があるわけですから、ぜひそれを取り崩してでも、今実態に合った金額に早急に改善をしてもらいたいというふうに思いますが、もう一度今後の検討方向をお答えください。
○副大臣(村井仁君) 実は、先ほどちょっと引用させていただきました自賠責保険審議会の答申でございますが、そこでただいま委員御指摘の介護費用の問題につきまして言及がございまして、「介護に要する費用を保険金としても支払いの対象とすべきである。」と、こういう指摘がございます。
 それから、その際の支給対象者の範囲でございますとかあるいは支給金の限度でございますとか、こういうことにつきましては、今ちょっと労災保険の問題につきまして、あるいは介護保険のレベル等につきまして委員から言及ございましたが、答申では、引用させていただきます。「労災保険の給付の状況、都道府県等が支給している介護費用等との関係等を踏まえて、早急に検討する必要がある。」、このような指摘がなされているところでございまして、現在まで保険金の対象としないものでございますから、先ほど来委員御指摘ございますように運用益活用事業ということで見てきたわけでございますが、それから一歩進んで保険金の中に入れるべきだと、こういう指摘がされているところでございまして、さような意味で、今後その答申の趣旨を十分体しまして私どもとしましても対応をしてまいりたいと存じます。
 なお、当然のことながら、国土交通省とも十分連携を保ちながらやらせていただくつもりでございます。
○大門実紀史君 その問題は、自賠責審議会での答申に関係して、今後この介護給付をどうするかというのはちょっと後でまたお伺いしたいというふうに思っているんですが、今の運用益事業の中でも私はやれるというふうに思いますし、自賠責審議会の答申そのものの中にも、労災保険だけじゃなくて、都道府県が実施している介護保険も参考にしろといいますか、それも考えなさいというふうに答申が出ているわけですから、やっぱり今低いということは認められているんだなというふうに思いますので、その運用益事業の中でも今すぐにでも、私は、あれだけの金額があって、それだけのものを手当てする財源は十分あると思いますので、今後のことも後でお尋ねしますが、できるだけ早く引き上げていただきたいと。そのことをぜひ至急御検討していただかないと、本当に悲惨な状況、ぎりぎりで歯を食いしばって頑張っておられるというような状況、これ以上待たせていいのかということもありますので、運用益の中としても引き上げをぜひ早急に御検討いただきたいというふうに思います。
 それで、次に金融庁にお尋ねいたしますけれども、先ほどの自賠責審議会答申のことですが、あの答申の一つの目玉は、在宅介護を支援していくということがかなり前面に出ていて、その辺ではかなり前進面もあると私も思うんですけれども、ただ、これは裏を返せば、家族が面倒を見ていけよ、家族が中心にやっていってくれというようなことでもあるわけなんですね。
 それは、十分な給付なり、ショートステイ含めていろんな環境が整備されればまだしも、それは今後検討されるんでしょうけれども、一番そこで心配なのは、また家族の方々が心配されているのは、先ほど冒頭に言いました親亡き後の介護といいますか、親が倒れたり先に亡くなったりしたらこの子どうなるんだろうというところが一番日々不安に思っていらっしゃるわけですが、その辺はどういうふうにお考えなんでしょうか。
○副大臣(村井仁君) このあたりは、自賠責審議会の答申におきましては、「運用益活用事業の見直し」というところで療護センターにつきましての付言がございまして、療護センターについては、現在計画している増床を進めるとともに、短期入院制度等についての支援を実施するというくだりがございます。そんなような形での対応を答申では指摘をしているということでございます。
○大門実紀史君 そうすると、その療護センター、今度岐阜にできて、今四カ所になって、それでもベッド数は合計で、いろいろ含めると二百四十ぐらいにしかふえないということをお聞きしていますが、今の副大臣の御答弁ですと、親亡き後のことは療護センターで考えていくというふうにおっしゃるということは、それなりの増設といいますか、療護センターをこれから全国各地にふやしていくというふうなお考えでしょうか。
○副大臣(村井仁君) このあたり、答申の段階では、療護センターをふやすということではなくて、現在計画中の増床をきちんとやるという指摘をいただいているということでございます。
○大門実紀史君 今回の予算案にも入っておりますけれども、後で国土交通省の方からお考えを聞きたいと思いますが、先ほど言いましたけれども、一万数千人なり八千人なり、そういう交通事故による常時介護の必要な人がいるという状況に見合うだけの予算措置もなければ計画もないのが私は実態だと思うんです。もちろん療護センターだけではありませんで、協力病院なりそういうところでの増床も含めてちゃんとした財政措置がとられれば、それを引き受ける病院もふえるでしょうから、それは一つの方法だと思います。
 ということは、療護センターだけではなくて、協力病院を財政措置をきちんとしてふやしていくというふうなことも含めて、これからそこを手当てしていく計画というのはあるわけでしょうか。
○政府参考人(金子賢太郎君) 確かに、療護センターだけでいくという方針はちょっと私どもとしても無理も多いかなと思っておりまして、療護センターの整備とあわせて、在宅介護を支援するというような趣旨から短期入院の制度を設ける、その中では、先生おっしゃられましたような協力病院の制度も十三年度から取り組みたい、そういうことを通じて負担の軽減あるいは在宅介護の支援を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 最初の療護センターの整備の方につきましても、先ほどちょっと御説明がございましたけれども、現時点での病床の数は百三十床でありますけれども、この六月に中部療護センターというのが開業いたします。さらに、現在、既存のセンターの中に併設するという形で介護病床の整備も進めておりまして、この辺も計画的に今後取り組んで、病床の数、全体のキャパシティーを少しく増加させていきたいなというふうには考えております。
○大門実紀史君 実際に出ている計画に細かく触れる時間はちょっとありませんけれども、全然規模に合わない、実際の要望があるあるいは待機されている人たちの規模に合わない、その十分の一以下ぐらいの手当てしか今されていないということを、今後努力していくというところだけで済まないと思いますので、もっと抜本的な、親御さんが万が一のときの介護体制というのを検討していただきたい、対策を強化してもらいたいというふうに思います。
 最後に、先ほどもお話しありましたけれども、私も、介護給付そのものを保険の本体にといいますか、保険の保障の中身そのものにやはり入れていくべきだろうと。これからこれだけ重要な大きな問題になってくるわけですから、別個ではなくて、保険の保障給付の中にそのまま組み込むべきだというふうに思いますが、今後それはどういうふうに進められていくのか、お考えがあればお聞かせいただきたいというふうに思います。
○副大臣(村井仁君) 先ほど申し上げました昨年六月の自賠審の答申にのっとりまして、関係省庁と御相談をしながら、ただいま委員御指摘の重度の後遺障害者に対する介護費用、これを保険金の支払い対象とする、こういう方向で検討を進めてまいり、早急に実現するように努めたいと存じます。
○委員長(伊藤基隆君) 時間が来ていますよ。
○大門実紀史君 きょうは介護給付の問題しか触れられませんでしたけれども、そのほかの不十分な問題もございますので、ぜひ金融庁、国土交通省、それぞれこの救済対策に今後も御努力をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○大渕絹子君 午前中の質問し残した点を柳澤金融大臣に一点だけ聞かせていただきたいと思います。
 不良債権の処理を進めても、土地の価格の下落がとまらなければ、またその土地が不良債権化をしてしまうのではないかということが懸念をされておりまして、総理も米国の記者会見の席で新たな対策会議を開いて検討していくというようなことを発表されていますけれども、柳澤大臣の土地下落に対する歯どめの考え方を私はぜひお聞きをしておきたいなというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、金融の問題を扱う責任の場の前に、実は土地の問題を扱う国土庁の長官を拝命しておったわけでございますけれども、土地の値段が下がる、こう一般に言われておりますけれども、最近になっては二極分化ということが言われ始めております。都心でもみんなが使い勝手がいいというような土地はむしろ確実に下げどまっているという現象が見られる一方、そういう特殊な条件でないところはまだまだ下がって、下げ幅に少々変動がありつつも下がっているという事態は変わらない、こういうことであろうかと思います。
 そういう事態と金融の関係を見てみますと、何と申しますか、これもまたやや専門的になって恐縮かもしれませんが、まず要注意先、これは要管理を含めてなんですけれども、どうしてそういう要注意、要管理というふうになるかといいますと、その事業体の話そのものでありまして、資産の話ではないわけでございます。事業がうまく回っているか回っていないかということで、回っていればそれは要注意先、一番悪くても要注意先ということになっておりまして、資産の低下というようなものは、それ自体としては問題になりません。
 一方、破綻懸念先のような、そういうかなり悪くなった先の場合には、その担保にとっている土地というものの資産価値というのには非常に神経がいくわけでございます。何となれば、それはフローのお金でもう多分回収できないだろうということでございますから、彼らの持っている資産価値がどのぐらいかということに勢い注意がいくということでございまして、そういう場合には、まさに土地の価格の下落というものがありますと、それだけ資産価値が悪いということで、さあこれをどうしようかということになるわけですが、これについては実は、資産の評価、土地の評価そのものについて少なくとも一年に一回、望むらくは半年に一回、評価をアップデーテッドというか、最近時の評価に評価がえしなさいということが言われておりますし、当然のことながら、いわば実際に処分をするときの売り急ぎの価格への影響というものを考えて、掛け目を掛けるというようなことをしているわけでございます。
 ですから、不良債権が発生するというふうに今先生はおっしゃられたんですが、それは、そのことだけでは実は要注意先から破綻懸念先にはむしろ行きません。事業さえ回っていれば、実際使っている工場の用地が幾らになろうとこれは関係ない話でございまして、そういう考え方はないわけです。一たん不良債権になると、不良というか、今言ったように破綻懸念先になると専ら資産によってしか回収はならないということで、資産価値が変わるということは神経質になります。
 したがって、正確に言うとそういうことでございまして、資産の評価が下がるということが直、不良債権を増嵩させるかというと、そうはならないということでございます。
○大渕絹子君 宮澤大臣にお伺いをしていきたいというふうに思います。
 デフレの定義を変えられましたけれども、新しい定義によるデフレはいつごろから始まっているのか、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この間もデフレの定義についてお尋ねがございまして、私は厳密な意味での定義を存じませんということを申し上げました。
 たまたま政府では、この間、三月の月例経済報告におきまして、仮に「「持続的な物価下落」をデフレと定義すると、現在、日本経済は緩やかなデフレにある。」ということを記述しております。ですから、それはデフレの定義の一例というつもりでこういうことを言ったんだと思いますが、その持続的な物価下落とは何だということはここでは言っておりませんが、二年連続で物価が下落した場合と、こういうことは我が国で戦後初めてでございますが、したがってそういう状況と、この定義によりますと、政府はそういうこととして使っております。
○大渕絹子君 そうしますと、卸売物価が、九〇年代からずっと二〇〇〇年に至るまで、一時期、九四年の半ばあるいは九六年の半ばにわずか上昇を見ますけれども、それ以後はずっと下落状況にあったわけですけれども、この十年間は、新しい定義に基づくとデフレ状態であったということになるのでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今申し上げましたのは消費者物価について申し上げておりまして、卸売物価の場合には、我が国の場合は国の生産性がかなり長いこと持続的に上昇いたしましたことと、それから輸入、昔の円がやがて高くなったことからくることとで、卸売物価にはこういうことが私は多分何度かあったのではないかと思いますが、私の申し上げたのは消費者物価についてでございます。
○大渕絹子君 ですから、消費者物価だけで、物価下落ということでデフレということをそれでは定義をされるのかというと、そうではないと思いますよね。消費者物価、卸売物価、総合的な物価の下落ということになるんではないかなというふうに思うのですけれども、そこは違うのですか。消費者物価が二年間連続をして下落するという、その傾向をデフレというふうに定義をするわけでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) せんだっての政府の月例経済報告では、そのようなものとして緩やかなデフレにあるということを申しております。これは別に、デフレとは何かということを厳密な意味で定義をしたわけではございませんですけれども、現在のこのような消費者物価の二年連続下落をしたという状況は、まあこれはやっぱりデフレと言っていいんではないかなということから、月例経済はそういう用語を使ったと思います。
○大渕絹子君 エコノミストたちは、全部がそうではないかもしれませんけれども、デフレについて語っておられる人たちは、この九〇年代の日本の経済の流れそのものをデフレと認識をしなければいい回復策というのが出てこないというふうに言われておりますけれども、そのことについては、大臣はそれではどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 九〇年代というのは、十年でございますか。
○大渕絹子君 そうです。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこは、さあ、為替もございますし、消費者物価がそうでないのに、卸売物価がそうであるということで、デフレということを定義していいのかどうか、私はそういう定義が正確にあるとも存じませんし、やっぱりこれは消費との関連で考えることが多いと思いますから、卸売物価ではなくて消費者物価ではないかと私は思います。
○大渕絹子君 いわゆる昭和デフレと言われるときには、卸売物価そのものが前年度比で一八%も下落をするという極めてはっきりしたデフレ状態というのが出てきていたので、デフレだということが今でもわかると、歴史的にもそうだと。しかし、九〇年代は最大でも九四年に一・八%の下落だけなんですよね。一番多いところで一・八%の下落なんですね。ですので、この差が余りにも小さいために、いわゆる昭和デフレを経験をした、あるいは知っておられる皆さん方は、失われた十年とよく言われますけれども、この十年間をデフレと認識できなかったばかりにその対策が非常におくれたと、いわゆるケインズ主義的な直接投資、公共事業に偏った投資しかできなくて、このデフレから回復をしていくことがおくれてしまったという指摘をかなりされているわけですけれども、この考え方にはそれではどのようにお答えになりますでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和と言われましたのは昭和二年のことでございますね。
○大渕絹子君 一九三〇年。
○国務大臣(宮澤喜一君) 当時、一種のパニック状況であったと思いますが、その後そういう経験は、戦後直後のことは、これは別の経済ですが、石油危機でもございませんから、ああいうようなことは今日までなかったのではなかろうかと思います。
 ちなみに、消費者物価で申しますと、一年前の年より消費者物価が下がったという経験は、たしか戦後、昭和二十五年はああいうときですから、ドッジラインのとき。合わせまして四回か五回しかない。二年連続して下がったというのは今回が初めてのようでございます。
○大渕絹子君 物価を下げる要因には、規制緩和とかあるいは技術の進歩、あるいは供給側の革新的な動き、それから部分的な需要の不足などが考えられますけれども、必ずしも悪い要因だけではないように思うわけです。国民生活にとって物価安はむしろ望ましいということもあるわけですね、消費者物価などについては。よくユニクロの問題などが出てきますけれども、私たち消費者生活をする者にとっては、むしろ物価の下落というのはそう悪いことではないというふうに思うわけですけれども、デフレというと何かすごく悪くて大変だという印象が先に行くんですけれども、このことについて、ちょっとお考えをお聞かせください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、殊に高度成長期に生鮮食料品、サービス価格が高騰を続けましたために、物価問題というのは我が国の経済にとって一番シリアスな問題でございました。専らそれが政治の課題であったことは事実でございますから、物価が上がらないということは消費者にとってもとよりいいことだと思います。
 ただ、その場合に、物価が恒常的に下がっていきますと企業の減益になる、そこまではよろしいんですが、それによって雇用の問題に及ぶことがございますから、そこまで下がり続けるということは、いっとき消費者にはよろしいようですけれども、全体としていいことであるかどうか。言ってみますと、安定していると、〇・五%あるいはゼロでもよろしいんですが、安定しているという状態が相対的には一番よろしいのではないか。余り下がり続けますと別の、今申しましたような企業の不振、殊に中小企業の不振、あるいは雇用ということに影響してくる場合がございますから、下がれば下がるほどいいということもなかなか申さないかもしれません。
○大渕絹子君 今回のこのデフレの最大要因は、それでは何だというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今おっしゃいましたように、物価が下がるということは、生産性が上昇した場合、それから需要が弱い場合と両方あるということを今、委員御自身がおっしゃいまして、そのとおりだと思いますが、ただいまの問題には、やはり需要が弱いという面、それは長く申しませんが、リストラクチャーの結果、企業の純益は出ているんですが、家計所得にそれが回ってこない、時間がかかっておるということが需要が弱い一番の、消費性向も上がらないものですから、原因と思います。
 それから、生産性の方は、確かにいろんな要因がございまして、それこそユニクロ効果というようなものは、これは海外市場からの新しい商品が入ってくるという形で値段が下がっておる。あるいは場合によって、中小企業が非常に業績が悪いので多少投げておるという点があるかもしれません。両面からあっておりまして、そして恐らくそれが雇用にも影響するようになっておるというふうに見ていいのではないかと思います。
○大渕絹子君 これは午前中の質疑ともつながってくるんですけれども、世界最大の債権国である日本になぜこうしたデフレ状態というのがずっと進行してきてしまったのかなということをきちっと解明していく必要があるかなというふうに思っているんですね。そのためにも、将来への投資、あるいは予算の執行そのものを変えていくというようなことが必要になってくるんじゃないかというふうに思うんですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) 何ですか、執行そのものを何ですか。
○大渕絹子君 予算の使い方を変えていく努力が必要なんじゃないかというふうに思うんですね。日本は対外純資産は大変たくさん持っていますけれども、そういうものを将来への投資に向けていく必要が今あるのではないかというふうに思うんですね。
 アメリカは、IT情報産業などの革命をやってこの十年間経済成長をして、そして好景気を維持してきたと言われていますけれども、今、日本がさらにそこをアメリカの後追いをするような形でIT産業、IT革命と森総理は言っておられますけれども、それではもう遅いのではないかと思うんですね、私は。だから、日本はさらにアメリカの先を行くところの産業に新たな投資をしていかなければ今の状況から脱していくことはできないというふうに思うんですよ。
 経済成長を日本がなし遂げることができたのは、いわゆる産業界において自動車やあるいは家庭電化製品、あるいは情報通信などにおいてアメリカを上回る技術的な発展があって初めて日本は世界のトップに躍り出ていくことができたんですね。
 ですから、アメリカが既に成功している分野を後追いするような形でいってもなかなかそこは、新しい日本の産業の発展には、産業というか、今の構造を打開していくようなことにはならないと思いますので、むしろもう一つその先、いわゆる環境であるとか、まあ空気、水はもちろん環境の中に含まれますけれども、食料とかエネルギー分野でそうした新しい産業を興していく意気込みが必要じゃないかというふうに私は思うんですね。そういう分野にこそ新たな研究費を投入するとかあるいは設備投資に財政出動するとかという、もう本当に百八十度日本の予算の執行状態を変えていくような努力がない限りこのデフレ状況というのはなかなか脱出していくことができないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民経済として新しい技術を求める、それはもう極めて大切なことで、アメリカの先を行けと。私は異存ありません。
 しかし、御質問の視点は、日本人がこれだけ一兆何千億という資産を持ちながら投資をしないのはなぜかということでございますから、それが御質問の主たる部分であって、どうしてこんなに貯蓄率が高いかとか、どうして銀行預金にばかりするのかとかいうことは、確かに今回のことを通じていろいろ我々が反省をしなければならないし、もっとエクイティーに投資をするようなことも政策としては考えていかなければならない。金を持っていながらそれを上手に使えないということはまことに反省しなければならないことだと思います。
○大渕絹子君 野党三党は予算案の修正案を共同提出いたしました。中でも、予算委員会の中で大変たくさんの議論になりました外交機密費、それから官房機密費の削減の問題なんですけれども、官房機密費は四分の一に、あるいは外交機密費は二分の一に縮減をするという修正案を提出しておるわけですけれども、ここは国民の感情からいっても、使われないで横領されたような金額はやっぱり少しでも削減をしなければ反省の色があらわせないというふうに思うんですよね。
 財務大臣は予算全部を統括する大臣でございますが、多分この機密費の問題は政府全体といたしましても非常にまずいことであり、国民に対しておわびを申し上げるということが何回も繰り返されているわけですけれども、おわびをするのであれば、しっかりと予算案の中で修正をして、わかりました、責任をとりますという形で出てこない限り国民というのは納得をしないというふうに思うのですよね。
 ところが、衆議院の修正動議にも応じなかった、修正ではないですね、組み替え動議にも応じられないということで、参議院でまた新たに私たちは修正案として出させていただくわけですけれども、ここはやっぱり国民の前にきちんと、間違いがあったから正していくという姿勢をしっかりと見せる。たとえ幾らでもいいと思うんですよね、金額は少なくてもいいけれども、悪かったからちゃんと直しますという姿勢がない限り国民の理解は得られないんだろうというふうに思いますけれども、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのことは衆議院の予算委員会におきましても本院の予算委員会におきましても非常に御議論がありまして、国民から見て、こういう使い込みが起こったような経費はそのままでいいのか、そういうのが国民感情ではないかというのを背景にしたお尋ねは、私は野党の方の中にもそういうお尋ねがあったように思います。
 ただ、問題は、今後そういうことが絶対起こらないようにしなければならない、あるいはなぜ起こったかというようなことは、それはすべてのことをしなければならないわけですが、使い込みが起こったからこの予算は減らしていいんだ、入り用がないんだということの論理は私はどうしてもつながらないと思うんです。どうつなげるんでしょうか。
○大渕絹子君 責任のとり方ということです。明快に国民に、そういうことがあったので、今回の予算の中で出したけれども、出した金額は必要で出したんだけれども、しかしこういうことが明らかになったということは、ここは政府として責任をきちっととるという形で今回はこの分減らしますと言って国民に明らかにすることが私は大事だというふうに思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) こういうことが起こったことはもうまことに遺憾なことであって、あらゆる究明をしなければなりませんし、必要によって責任は問われなければなりませんが、いやしくも予算というものが必要で計上された限りは、それを減らすことによって政府の責任をとることになるという、そこの論理はやっぱりどうしてもうまくくっつかないように思います。
○大渕絹子君 一度組んだものは絶対直せないというそのかたくなさというのは、私は今国民には全然受け入れられないというふうに思うのですよ。間違いが指摘をされて、使う必要がないものを長年ずっと使われていたとするならば、恐らく来年度も外交で使われる出張費等々いろいろあると思いますけれども、そこが今まで何年も横領されてきている事実が明らかになっているわけですから、そこはやっぱり謙虚に、ここは削りますと。そして、もし足りなくて必要が出てきた場合は予備費でだって使えるわけでしょう、機密費に上げておらなくても。そこはやっぱりきちっと今けじめをつけて反省をきちっとしない限り、政府の信頼というのは全然得られないし、私たち政治家も国民から信頼を得られないというふうに思っておりまして、きょうはあえて質問をさせていただいたところでございます。
 ぜひ、かたくなな態度はやめた方がよろしいし、組み替え、修正した方が国民から理解を得られるなら修正をすると。修正できないならば、来年の年度末にきちんとこれだけは残しますというようなことが明快に語らない限り国民の理解というのは得られないというふうに思いますけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) 再度申し上げることも余り気が進みませんが、横領された分だけは少なくとも要らなかっただろうと、そういう論理はなかなかのみ込めないと思います。
○大渕絹子君 それがもし政治の本筋であるならば、国民は政治というものを理解しないと思います。
 終わります。
○委員長(伊藤基隆君) 以上をもちまして、委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(伊藤基隆君) 平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宮澤財務大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 平成十三年度予算につきましては、二十一世紀の新たな発展基盤を構築しつつ、我が国経済を自律的回復軌道に乗せるとの観点に立って編成したところであります。あわせて、厳しさを増している財政状況にかんがみ、財政の効率化と質的改善を図ることといたしました。
 こうした中で、公債発行額につきましては、一方で、金融破綻への備えのための国債償還費の手当てを行う必要がなくなったという減要因があり、他方で、地方財政対策において新たに特例地方債を発行し、あわせて交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入額を増額する等の制度改正を行うことに伴う増要因がありますが、このような状況のもと、可能な限りの縮減を図ることといたしました。
 これらの結果、平成十三年度の公債発行額は前年度当初予算より四兆二千九百二十億円減額しましたが、なお、財政法の規定により発行する公債のほか、十九兆五千五百八十億円に上る多額の特例公債を発行せざるを得ない状況にあります。
 本法律案は、こうした厳しい財政事情のもと、平成十三年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、平成十三年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとしております。
 第二に、租税収入等の実績に応じて、特例公債の発行額をできる限り縮減するため、平成十四年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、平成十三年度所属の歳入とすること等としております。
 次に、法人税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、商法改正による会社分割制度の創設に伴い、合併、分割等の企業の組織再編成に係る税制の整備等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、組織再編成により資産等を移転する法人について、企業グループ内の組織再編成や共同事業を行うための組織再編成の場合には、一定の要件のもとで、移転資産の譲渡損益の課税を繰り延べる措置を講ずるとともに、組織再編成を行う法人の株式を保有する株主について、株主が分割承継法人等の株式のみの交付を受けた場合には、株式の譲渡損益の課税を繰り延べる措置等を講ずることとしております。
 第二に、引当金等の引き継ぎについて、組織再編成の形態に応じて所要の措置を講ずるなどの改正を行うとともに、会社分割に係る商業登記に対する登録免許税の税率を定めるなど関係税目につき必要な措置を講じ、あわせて国税通則法等の整備を図るなどの改正を行うこととしております。
 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近の経済情勢等を踏まえ、住宅投資及び中小企業の設備投資の促進を図るとともに、社会経済情勢の変化に対応するなどの観点から所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、本法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、住宅投資及び中小企業の設備投資の促進を図るため、新たな住宅ローン減税の実施、中小企業投資促進税制の適用期限の延長等を行うこととしております。
 第二に、金融関係税制について、上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離選択課税を存続する経過措置の延長等を行うこととしております。
 第三に、社会経済情勢の変化に対応するため、認定特定非営利活動法人に対する寄附に係る特例及び贈与税の基礎控除の特例の創設、個人の土地等に係る長期譲渡所得に対する税率軽減の特例の延長等の土地税制の改正、合併、分割等の企業の組織再編成に対応するための各種特別措置の整備等を行うこととしております。
 その他、既存の特別措置の整理合理化を行うとともに、住宅用家屋に係る所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等、期限の到来する特別措置についてその適用期限を延長するなど、所要の措置を講ずることとしております。
 以上が、平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(伊藤基隆君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 三案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会