第151回国会 文教科学委員会 第12号
平成十三年六月十九日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     山崎  力君     水島  裕君
 六月十九日
    辞任         補欠選任
     三重野栄子君     山本 正和君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         市川 一朗君
    理 事
                亀井 郁夫君
                松村 龍二君
                佐藤 泰介君
                内藤 正光君
                荒木 清寛君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                佐藤 泰三君
                中曽根弘文君
                水島  裕君
                柳川 覺治君
                本岡 昭次君
                阿部 幸代君
                畑野 君枝君
               日下部禧代子君
                山本 正和君
                高橋紀世子君
   国務大臣
       文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣
       文部科学副大臣  青山  丘君
       文部科学副大臣  岸田 文雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       法務大臣官房審
       議官       河村  博君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        遠藤純一郎君
       文化庁次長    銭谷 眞美君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    今田 寛睦君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)

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○委員長(市川一朗君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、山崎力君が委員を辞任され、その補欠として水島裕君が選任されました。
 また、本日、三重野栄子君が委員を辞任され、その補欠として山本正和君が選任されました。
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○委員長(市川一朗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁生活安全局長黒澤正和君、法務大臣官房審議官河村博君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君、文化庁次長銭谷眞美君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長今田寛睦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(市川一朗君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。
 三案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。
 この通常国会もあと残すところ少なくなってまいったわけでありますが、教育三法についてこの文教科学委員会で審議を行うという大変意義深い委員会が開催されるわけでありますが、トップバッターを切って自民党の委員として質問をさせていただきます。
 教育改革国会だと言われて、この三法が一つの柱になっているかと思います。昨年来、教育改革国民会議というふうなことで非常に幅広い検討もなされたわけでありますが、その中で現実に対応できるものにつきまして文部科学省がこのような法案を提案されたというふうに思います。
 そのような意味におきまして、非常に時宜を得た提案であるというふうにも思いますが、教育改革国会と言うにしてはちょっとまだ一部分をかすって出てきたのかなというような感じも持つわけでありますが、この法案の審議に入る前に、ひとつ池田小学校の問題について御質問をさせていただきたいと思います。
 大阪教育大学附属池田小学校において六月八日に国民の耳目を驚かせるような事件が起きたわけでございます。アメリカ等におきましては、よく銃を乱射して学校の中で多量の犠牲者が出るという事件が報道されるわけですけれども、アメリカの話かなと思っておりましたら突然日本でも発生した。そのような素地はあったことはあったかと思いますけれども、余りに大量の痛ましい事件であるということで、国民一同驚いたわけでございます。
 まずもって、八人の児童の冥福をお祈り申し上げ、また遺族の方の御心痛をお慰め申し上げ、また必ずしも命を落とさなくても傷害を負われた方の一日も早い御快癒をお祈りするわけでございます。
 そこで、この問題はいろんな観点から取り上げることができると思いますが、後ほど同僚の阿南委員からも御質問があるようでございますが、私は少し現場の問題に絞って御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、児童が八人襲われて、相手が包丁を持って切りかかってくるということに対しまして、最後のとりでは学校の先生が児童をかばう、守るというところにあろうかと思うんですが、今回の事件で必ずしもその辺の報道がなされていないわけですけれども、あの日、学校の先生たちは児童を守ることについてどのような行動をとったのか、文部省はどのように把握しておられるか、御説明いただきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) まず、今回の事件でありますが、大変に痛ましい事件であります。安心して楽しく学べる場所でなければいけない学校、しかもその教室の中において多くの児童の命が奪われたということは日本の教育史上におきましても類のない重大事件だと認識しております。文部科学省としましても、この事件の深刻さ、重さ、あるいは影響の大きさ、これを踏まえて今全力で取り組んでいかなければいけない、そう痛感しておるところであります。
 そして、その中にありまして、今、先生の方から事件当時教師がどのように行動したかという御質問でありました。
 この事件当時の教師の行動につきましては、それぞれ教員が児童を守るために、一一〇番通報したとか、あるいは児童の誘導をしたとか、さらには犯人の取り押さえを行った等いろいろな行動が伝えられております。ただ、具体的にどの教師がどういった行動をとったかというのは今捜査中でありまして、事実関係の詳細はまた警察当局によりましてしっかりと明らかにされなければいけない、今その過程にあるというふうに考えております。
 ただ、最終的には副校長と教員の二名で犯人を取り押さえ、そして警察に引き渡したわけでありますが、取り押さえるまでの間に教員二名がけがをし、うち一名が重傷を負って現在も入院中だということでございます。ようやく歩行訓練を行うくらいまで回復しているということでありますが、大変重傷を負ったということが伝えられております。そういった被害にも遭いながら、それぞれの立場で教師が全力でその現場で対応したというふうに認識しております。
○松村龍二君 大体そのようなお答えかなと想像しておりましたが、それ以上のことは出ないなというふうに思います。
 相手が刃物を持っているわけですから、やみくもに自分の体を盾に相手を捕まえにいく、取り押さえにいくことはできないということは自然な話でありますし、一一〇番をされたとか避難誘導されたとか、あるいは最後には羽交い締めにして取り押さえた、これは週刊誌等で報道されて、そのとおりのことは私どもも承知しているわけですが、いずれにいたしましても、やはり今後ともこのような事件が起きる、あるいは再発を防止するということを検討する際に、具体的な事実を掌握しておりませんと対策も立たないということかと思いますので、その辺につきましては今後ともしっかり把握していただきたいというふうに思います。
 それで、今回の事件が発生いたしまして、私は日本の社会全体が非常に弱々しい反応をするというふうに思うわけです。例えばマスコミの反応も、八人が死亡したと、こう報道がされまして、三、四日してから八人が殺されたというふうに報道になったんですけれども、いかにも自然現象で八人が死んでしまったというふうな非常に静的なとらえ方をする。日本の社会全体についても、犯人を憎むというよりも、何か受け身で対応するというようなことを感じるわけです。
 これ、英語に直しますと、エイト・ボーイズ・アンド・ガールズ・ダイドと言うのと、エイト・ボーイズ・アンド・ガールズ・ワー・キルドと、こう言うのと全然ニュアンスが違うと思うんですね。自然に死んじゃったというのか、憎むべき犯人によって殺された、しかも刃物で殺されたというふうにとらえることによって次なるアクションが出てくるのではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、今回の事件を受けまして、児童の安全確保のために文部科学省としてどういう取り組みをしておられるのか、教えていただきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 今回の事件につきまして、文部科学省の対応の柱は三つあると考えております。まず、被害を受けられた方々への万全の対応、そして二つ目がその被害に遭われた方々、関係者に対する心のケア、そして三番目としまして安全管理の問題があるというふうに考えております。
 その安全管理の部分につきまして、文部科学省としての対応でありますが、この事件発生後、直ちに大臣談話を発表いたしまして、緊急の安全管理に関する再点検を全国の学校に対してお願いいたしました。平成十二年一月に通知という形で学校の安全管理の点検項目を示しているわけでありますが、この点検項目において、それぞれの状況、万全かどうかの再点検をお願いしたわけであります。六月十八日現在、国公立学校では一〇〇%、私立学校で八四%、その点検を実施しております。実施予定の学校についても直ちに再点検を行うよう要請しておるところであります。
 また、六月十一日に、類似事件あるいは模倣犯の発生といったことも予想されますので、こういったものに対する緊急に講ずべき対策、こういった実施を求めた次第ですし、また六月十三日には教育情報衛星通信ネットワーク、エル・ネットというネットワークがあるわけですが、このネットワークを通じまして文部科学大臣から教育委員会や保護者向けに緊急アピールを行ったところであります。
 最初に申し上げました安全項目の再点検を実施したわけですが、この安全項目自体が現在の学校の状況において十分機能しているのか、ふさわしいものであるか、そういったものも含めまして、今、都道府県の教育委員会等にこの点検項目自体の見直しについても意見をお願いしておるところであります。そして、六月中にはその意見を取りまとめまして、従来の安全点検の項目自体の見直しも含めまして、しっかりとした再検討を行っていきたいと考えておるところでございます。
○松村龍二君 昨年の一月七日に「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理について」というので、文部省の初等中等教育局長、生涯学習局長、体育局長等が依頼を各教育委員会の教育長に出されまして、いろいろな項目について注意を喚起しておられるということについては、私も資料をたまたま入手しているんですけれども、そういう項目の場合、登下校の安全とかあるいは不審者が周りにいたときどうするのかとか、あるいは万が一入ってきたときは早く警察に通報しなさいとかいうような項目に当然になっているわけです。
 私としてちょっと今御提案したいわけですが、このような事件を防ぐため警備員あるいは警察官を学校に配置するということについて、警察官も人数に限りがありますので常時学校にいるということはできない、長続きしないことですけれども、警備員というような民間活用という総理大臣がおっしゃる考えもあるわけですね。
 よく、ともしますと防犯カメラを設置しろというふうな話が出るんですけれども、防犯カメラというのは、設置いたしましても、これを常時見ている人が必要なんですね。しかも、何カ所も設置しまして、一日じゅう、一年じゅう、五年たってもあるいは本当に危険な不審者が出ないのに一人、二人、三人の方が防犯カメラにくぎづけになっておるということは現実の問題として余り能率的でない。日本の社会はどっちかというと道具さえそろえればもうやったということになりがちなんですけれども、やはりマンパワーでこれに対応するといったことも必要ではないかなというふうに思います。
 それと、ここでもう一つ指摘したいのが、学校というのは教職員が警察とかそういうのは余り好きでないと、日教組の流れもありまして、そんな傾向も何か漠然と私は感じるんですけれども、警備員とか警察官を学校に配置するということについてはどのようにお考えでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生から御提案がありました警備員あるいは警察官を配置するということ、これは基本的にはそれぞれ学校の置かれている具体的な状況ですとかあるいは地域の事情等に応じて学校の設置者が判断すべきものであるとは考えておりますが、安全を守る上で一つの有効な手段であること、これは間違いないことだと思っております。
 ですから、先ほどちょっとお話をさせていただきましたが、六月中に都道府県教育委員会等に対しまして、先ほどの平成十二年の通知において例示された点検項目において見直すべき内容がないかとか、あるいは具体的な方策として効果を上げている方策あるいは有効と考えられるような方策、あるいは今後の課題について意見を述べてもらいたい、こういったお願いをしているわけであります。こうした意見を六月中に取りまとめたいというふうに思っていること、先ほど申し上げたとおりでありますが、こうした意見が六月中に上がってくる、そしてそれを集約し、整理、検討した上で、その検討課題の中に警備員とかあるいは警察官の配置、こういったものが項目として上がってくれば、これはしっかりと検討しなければいけない項目に上がるものだというふうに考えております。
 そうしたスケジュールの中でそういった項目も検討していくべきかどうか、しっかりと意見を集約していきたいと考えております。
○松村龍二君 私、さっきから文部大臣にお聞きしているつもりなんですが、全部副大臣がお答えになりまして、ちょっと心外なんですが、最後は文部科学大臣にお答えいただきたいと思うんです。
 私はたまたま若いころ役所に入りまして、警察庁というところへ入ったんですが、ちょっと御提案を申し上げるわけなんですが、最後に児童を守るのは学校の先生であると。その先生が、さっき申しましたように、包丁を持って動く人間に対して素手で対応するわけにはいかない。アメリカなんかですと、銃を乱射するわけですから、これはどうしようもありませんけれども。
 包丁を持ってくる相手に対して、昔の師範学校ですと柔道やら剣道やらをやったと思うんですけれども、今はどういうことになっているかわかりませんが、私の経験からしますと、警察大学校というところに一番最初に入りましたときに逮捕術という授業の時間がありまして、そこでいろいろやるわけです。ナイフを持っている人と警棒を持っている人が対応したらどうなるか、あるいは相手が日本刀とかいうことを想定したり、いろいろやるわけですが、警じょうという道具がありまして、警棒を長くしたようなもので、登山棒ほど長くないんですが、これぐらいの長さで、カシの棒でできておるということなんですね。
 私は実は柔道をやっておりまして、かなりすばしっこく、そのころですよ、今はどうか知りませんが、そのころはすばしっこく動く自信がありまして、ゴムでできたナイフで一生懸命相手に突っかかっていこうとしますと、全くそういう武術の心得のない人が警じょうをこうやって振り回すわけですね、むちゃくちゃこう振り回すわけです。そうしますと、もう近づいていけない。近づいていくとたたかれてしまうということを経験いたしまして、警じょうという木の棒が非常に役に立つなということを実感したことがあるんです。
 最後のとりでとして、教室の片隅に警じょうを置いて、いすで対抗するのも結構ですけれども、最後には、それを教えていただかないと使えないのかどうかは知りませんが、ただ振り回すだけですので、そのようなことも、やっぱり自分で自分の身を守る、あるいは自分の子供たちを先生が守ってあげる。しかも、相手がいつも強い、たけだけしい包丁男でない、弱々しい包丁男ということもあるわけですから、そういう警じょうというようなことについても一つの御検討をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今の御提案でございますけれども、まことにそのようなことまで考えなくてはならない事態に立ち至ったかなという感じはいたしますけれども。
 あのようなことを避けるために、被害を少なくするために仮に教室に警じょうを置くということにつきましては、基本的には私は、地域の実情とかまた学校の具体的な状況、さらには、特にまたそれが休憩時間などに児童や生徒が振り回してというようなこともやはり考えなくてはいけないわけでございますので、その辺は学校の設置者において適切に判断すべきものだと考えておりますが、そういうことを十分配慮した上で、なおそういうものが有効であるというふうに設置者において判断されるのであれば、一つの貴重な御提案ではなかろうかと思っております。
 今、副大臣は実は対策本部長を務めてもらっておりまして、大変この問題について真剣に考えていただいているということもありまして、主としてお答えをお願いしているわけでございますけれども、私ども、対策の中で一体どんなふうにこの問題についてやっていくかということは、先ほど来お答えしておりますように、今月中にそれぞれの地域からいろんな知恵が集まってまいると思いますので、そういうことも検討した上で、ただいまの御提案も考慮しながら今後しっかりと対策に取り組みたいと考えております。
○松村龍二君 私は、今の大臣のお話でも、そういうことまで考えなくてはならない社会になっているかと、こういう御指摘がありましたけれども、本来、人間として一番最後に、また一番基本的に自分で自分の身を守るということがないといかぬ。ところが、戦後は、自分が悪いことをしなければ相手は悪いことをしないだろうという、いわれなき性善説に従う、日本の防衛についても、自分の国が何もしなければ相手の国から攻められることもないだろうというふうな思想に連なるような、日本人として何か弱々しい考え方があるのではないかということを指摘しておるわけです。
 沖縄においても、あの紅型の、ここに何かかんざしを挿している女性は、あれはいざというときに刃物になる、自分の身を守るための道具になるということを聞いたことがありますし、江戸時代の時代劇を見ておりましても、賊が屋敷へ入ってきますと、女性たちがなぎなたを持って、鉢巻きを締めて、出会え出会えと言って廊下を走っていくと、賊もびっくりして逃げていくということもあるわけでございますので、そういう本質的な問題として検討いただきたい、こういうふうに思います。
 それでは、次の問題といたしまして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に関して御質問したいんですが、三点ぐらいあるんです。
 教育委員の任命に関し、今までの教育委員会の委員が、非常に立派な方なんだけれどもちょっとお年を召しておられる、あるいは教育長の言いなりになって生き生きした御提言もないというふうなこと、それでやはり子供さんを持っている方を教育委員に任命したらどうか、こういう今度の御提案のように存じます。
 そこで、この「保護者」という言葉の意味として伺いたいんですけれども、先般、PTAの会長やら何やらを卒業した方々が教育に大変に熱心に取り組んでおられて、そのグループの方ともお話をしたことがあります。そうしましたら、今の教育委員というのは、ここにいる私たち五人がその市町村の教育委員にすべてかわったら日本の教育は生き生きしてくるのではないかというふうなお話もありまして、一年前の話ですけれども、ああ、そういうものかなというふうに感じたことがありますが、この法律が厳格に解釈されますと、「保護者」というのは、あくまでも現在その地域の小学校、中学校に行っている方の親、保護者に限られるのか、あるいは今申しましたような子供はもう卒業したけれども教育に関心を持っている若い層の方も含むのか、そのことについて教えていただきたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 今回の地教行法第四条の改正案で言う「保護者」でございますが、これは親権者と未成年後見人のことでございまして、未成年の子供がいる方や未成年者の後見を行う方が対象となるわけでございます。したがいまして、御指摘の点につきまして、既に子供が学校に通っていなくてもその子供が未成年であれば今回の法案で言う「保護者」に該当することとなるわけでございます。
○松村龍二君 次の質問に入りたいと思いますが、指導が不適切な教員に対し、このたび教育委員会が他の職場に任命することができるようにするという御提案であります。
 このことは、平成十年の中央教育審議会、あるいはもうずっとさかのぼれば昭和六十一年の臨教審、そのころから、あるいはもっと前から、現場にいて子供の教育を学校の先生として教育するにふさわしくない方がおられるということで分限免で去っていただくとか、いろんなことを理論上はおっしゃって、検討されておるわけですけれども、今回は具体的に教育委員会がほかの職に任命する道を開いたと。大変な前進かと思います。
 文部科学省としまして、現在、そのように教育現場で教壇に立つことがふさわしくない人というのは何人ぐらいいるというふうに掌握しておられるのか。そして、その内容としまして、本当に教壇に立って、その教え方が荒々しいとか子供とのコミュニケーションがないとか、そういう方が何人ぐらいおられるのか。
 私が当然に想像できますことは、昔の師範学校であれば、学校の先生になるという訓練を積みながら学校の先生になって、小学校の一年生、二年生のやんちゃ坊主にも対応できるということだったと思うんですが、今の四年制大学で教職課程だけをとったというふうなことで、教育の現場にそれほど近くないという方が突然教壇に立ちますと、今のこの時代の子供に到底対応できない、あるいは利己的な御両親の要望に対して精神的に参ってしまうというふうな方も多くおられるのではないかなというふうに思うんですが、そういう方も今回法律に言う指導力が不足するという人に該当するのか。
 まず、全体として学校の教壇に立つことがふさわしくない、できない人が何千人ぐらい日本でいるのか、今回の法律がどのようなことに対応していようとするのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) まず、学校現場で教壇に立つことがふさわしくない人は何人ぐらいいるかというお尋ねでございますが、直接的な答えにはなりませんが、平成十一年度におきまして勤務実績不良あるいは適格性欠如を理由といたしまして分限免職の処分を受けた者は十四名いるわけでございますが、今回の法律案で規定をいたしております「指導が不適切である」との要件に該当する者の実態は国としては把握をしていないところでございます。
 ただ、都道府県によりましては指導力等について問題がある教員の状況を公表しているところがございまして、例えば大阪府教育委員会におきましては、昨年、府立学校において何らかの問題があると思われる教員が約四%程度いて、その中でも著しく問題がある教員が約〇・三%程度いる、そういうことを明らかにしておりました。さらには、これは神奈川県教育委員会でございますが、本年、県立学校の教員のうち指導力不足教員等に該当する者が二十五人、これは全体の一・三%弱に相当するわけでございますが、それだけの人数がいることを明らかにしているわけでございます。
 なお、これらの数字は分限免職あるいは分限休職の対象となる教員まですべて合わせたものでございまして、今回の措置の対象として考えられる教員とは必ずしも一致するものではございません。
 それから、もう一点お尋ねでございました。新しく採用された新規採用教員についての今回の措置との関連でございますが、新規採用教員につきましては、これは教科指導、生徒指導あるいは学級経営等につきまして円満に職務を遂行することができる能力を身につけてもらうために採用後一年間にわたり初任者研修を行うこととされているところでございまして、この初任者研修の期間は条件つき採用期間でございますから、私どもといたしましては、各都道府県教育委員会に対しまして、この期間において初任者の教員としての資質、能力を適切に判断して、教員としての資質、能力に問題がある者については進路を考え直す機会を与えたり、あるいは正式採用を行わないなど、この条件つき採用制度を厳正、的確に運用していただくように指導をいたしているところでございます。
○松村龍二君 先ほど申し上げましたが、私も警察庁というところに採用になりましたときに、警察は逮捕術とかけん銃を扱うとか特別のこともありますので、高校卒業ですと一年間全寮制で鍛えるわけです、制度はいろいろ変わっていますけれども。だから、大学卒ですと三カ月とかそれ以上の期間、全寮制で入れて鍛え直すと。その間に警察官として町へ出ても大丈夫なようにするというわけです。
 ところが、教員養成については、本当は文部科学省もそのようにしたいと思うんですが、日本じゅうの教職員についてそのようなことをするととても予算的に対応できないということもありまして、大学卒、教員に合格した時点からすぐ、担任はいたさないにしても先生になるということでならしていくということが昔から行われているわけです。現代における教育の現場の荒々しさを想像しますと、本来そういうモラトリアムといいましょうか、期間が必要なんじゃないかなというふうにも常々思っておるわけです。
 ただいま試用期間を半年を一年にするとおっしゃいましたけれども、なかなか一たん採用した人をやめていただくというわけにはいかないのが現実かと思います。それから、いろいろノイローゼといいましょうか、疲れ果ててしまって教壇に立てないという方も病気休暇ということで三カ月とか何か休まれる。それを重ねると病気休職になるんでしょうけれども、日本の社会はやっぱり情がありますから、しばらく学校へ出てまた病気休暇というふうなことで、現実に学校の先生にあなたは向かないよということで分限にするということは、今の数字がはしなくも示しておりますように、日本じゅうで一年に十四人しかいない、十数人しか毎年いないということがそのことを示しているんだというふうに思います。何か答えをまだ得ていないような感じなんですが。
 それで、教育委員会の任命する他の職になるということなんですが、さっき言いましたように、大変大きな数を考えますと、とても受け入れるポストがあるはずがないというふうに思われます。また、仮に本当に教壇で教える指導力がない、教育をしても指導力が身につく可能性がないという人を異動するにしても、そのような人が、ほかの教育委員会の持っているポストの中でそんなたくさんあるはずもないということは常識的に理解できるわけですが、単なる道をつくったということだけなのか、そうではないということなのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) ただいまの御質問にお答えする前に、まことに恐縮でございますが、一点訂正をさせていただきたいと思います。
 先ほど学校現場で教壇に立つことがふさわしくない人数のお尋ねがございましたが、神奈川県教育委員会の例について、私、全体の一・三%と申しましたが、これは誤りでございまして、全体の〇・三%でございますので、そこの点、訂正をさせていただきたく思います。
 そこで、ただいまのお尋ねでございますが、県費負担教職員につきましては、これは御案内のように、都道府県教育委員会が任命権者として採用、人事異動、研修等を行っているわけでございます。そういう意味で、県費負担教職員から指導が不適切な教員が生じた場合には、都道府県教育委員会がその任命権者としての責任を負うべきものでございます。そういう意味で、本法律案における転職先につきましては、都道府県教育委員会が任命権を有する職としているところでございます。
 そこで、都道府県教育委員会においてそういうポストがあるのかというお尋ねでございますが、確かに定員が厳しい状況にあることは私ども重々理解をいたしているところでございますけれども、市町村教育委員会に比べて所管する施設等も多く、その人事権の及ぶ範囲も相当広いものと考えられますことや、さらには毎年一定数の定年退職者等も見込まれるわけでございます。そういうことから、児童生徒への事柄の影響の重大性を踏まえまして、本法律案の措置にかかわる人事につきましては、都道府県教育委員会において真剣に取り組んでいただけるものではないかと考えているところでございます。また、一度転職した後には、その者の能力、適性等によっては知事部局に異動することもあり得るわけでございます。
○松村龍二君 皮切りの質問でございますので、今から会期末に向けましてこの委員会が精力的に行われるわけでありまして、このような問題も各委員から御質問があろうかと思いますので、私はこの程度にとどめておきたいと思います。
 最後に、要望といいましょうか、今度、社会教育法の改正で、教育委員会の任務といたしまして家庭の教育力の重要性、家庭の教育を任務とするということが入れられているわけですが、昨今、十四歳の犯罪、十七歳の犯罪がいろいろ指摘されるたびに、これは単なる幼稚園以降、文部科学省が所管する教育現場の問題だけではない、家庭教育あるいはもうゼロ歳児からの教育等に起因しているというふうに指摘されるわけでありまして、その意味においてこれを取り上げたということは大変結構かと思います。
 ただ、私、重ね重ね申し上げておりますが、厚生省がやっております保育行政と文部省が今踏み出そうとしている幼児教育、そこに整理が行われませんと、大変なむだあるいは効率的でないということがあろうかと思いますので、そのことについては、今回の法改正をきっかけに前向きに御検討を賜りたいというふうに心からお祈り申し上げまして、私の質問を終わります。
○阿南一成君 自由民主党の阿南一成であります。
 教育関連三法、極めて重要な法案ではありまするが、池田小学校の問題、これも極めて重要でありますので、まずはこちらから入らせていただきたいと思います。
 先ほど同僚の松村先生もお触れになりましたが、先日、大阪教育大学附属小学校におきまして、未来あるとうとい命が突然にして八名も奪われる非常に痛ましい事件が発生をいたしております。まず最初に、亡くなられた八名の児童の方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた方々、そしてその御家族に対しても心からお見舞いを申し上げたいと思う次第であります。
 そうして、私が当委員会において再三再四主張してまいりました国土交通省の航空事故調査委員会に匹敵する常設の調査委員会を八月の概算要求とセットで設置していただくことを重ねて遠山大臣に要望しておきたいと思います。
 そこで、この事件の重みをしっかりと受けとめ、今後二度とこのような事件が起きることのないようにその対策を講じなければならないという認識のもとに、学校の安全管理について若干の質問をさせていただきます。
 今回のこの事件の第一報を聞きましたときに私がすぐに思い出しましたのは、平成十一年十二月、京都市の小学校での児童刺殺事件でありました。この事件も、今回同様、社会を極めて震撼させた大きな事件でございます。
 これを受け、当時の文部省は早急に対策を打ちました。各都道府県教育委員会に対して、「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理について」という通達を出されたことを承知いたしております。その中身を見ますと、学校の安全管理についての点検項目が列挙をされ、日常の安全確保から緊急時の対応までチェック項目が並んでおります。しかし、今回のような不審者の侵入に対しましては、警察、教育委員会への連絡体制の整備についてのみが規定されておる。現場での不審者への対応そのものについての規定は欠落をいたしております。教育委員会への依頼文の中身の中心はボランティアの活用などによる地域の協力が基本になっております。
 私はこれはこれで大変このことも重要であるとは思っております。しかしながら、緊急時などを考慮すると、学校において突発的に起きる事案に迅速な対応のできる部門、これがない。私も先ほどの松村委員と同じように、専門的技術を持つ人材、例えば指導担当を経験された教師のOBあるいは警察のOBなどの登用が必要な時期が来ているのではないかというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、国は責任を持って必要な予算の確保を行うべきであり、早急なる対応が必要であることを申し上げておきたいと思います。
 さらに、実際に突発的事案に対処するのは、授業中であれば現場の教師ということに相なります。その際、児童生徒の安全確保だけでなく、教師自身の身体の安全ということも重要であります。最低限の対応を可能にする訓練も必要であると私は考えます。今回の事件でも犯人と格闘された先生方の様子が報道されておりますが、先生方に対して、子供を守るという観点からの技術指導等の研修も必要であります。いろいろなことを考えますと、やはり警察と教育現場とが連携を深める、今以上に深めることが必要ではないかというふうに思っておる次第です。
 今や学校が安全であるという神話は終わりを告げた。大事な子供を預ける以上、しっかりとした安全管理体制が組まれていなければ、国民、保護者は安心できないと思うのであります。そうして、義務教育である以上、私は国が学校の安全確保に責任を持つべきであるという考えを持っております。
 私は、この事件が起こりました後に、現場あるいはPTAの幹部の方々とお話をいたしました。その際、報道の自由ということもあるかと思いますが、被害に遭った対象が小学校の低学年の子供たちである点を考えますと、犯行の様子などを児童に聞いて回っているマスメディアのレポーター、またそれを平然と報道する民放各局に対して、深く心に傷を受けたいたいけな子供たちの心境を考えるとき、激しい憤りを覚えるとPTAの皆さんはおっしゃっております。私も全く同感であります。
 そこで、遠山大臣にお伺いします。
 第一点目。文部科学省として、大事な子供を預かる立場からして、教育的配慮を込めて、この報道取材の問題について民放連に対して物を申す勇気がおありか。できれば、文部科学省として民放連に対してきっちりと文書で物を申してほしいと思いますが、大臣の御答弁を求めます。
 第二点目。小学校における警備防犯体制の強化についてでありますが、私は、地域に開かれた学校あるいは教育とは父兄が自由に教育に参加できるシステムを意味するのであって、殺人者に開かれた学校ではないと思います。最近の科学技術の進歩によりまして、殺人者や浮浪者を排除しつつ、なおかつ地域に開かれた学校を実現することは可能であると考えるのであります。私は、学校における警備体制の強化とオープンな学校は何ら矛盾するものではなく、両立し得るものであると考えております。例えば、どこに設置をされているかその存在がわからないような監視カメラとインターホンの組み合わせは、既に一般家庭の住宅において相当数採用されております。学校においても、遠隔操作により父兄など関係者のみを特定して学校の門を開くシステムは可能であります。あるいは、特定のカードやナンバー錠によって校舎、教室へのアクセスをコントロールするシステムも可能であると私は思うのであります。
 私は、全国警備業協会とも連絡をとりまして、望ましい学校のアクセスコントロールシステムの研究開発をお願いしております。文部科学省におかれても、早急にこの部門の研究会を立ち上げて真剣な対策を検討していただきたい。一過性で終わらせていただきたくないと思います。そのことが大きな犠牲を払われた将来ある八名の児童のみたまに報いることであり、その御両親や御家族の皆様へのせめてもの償いになるのではないかと考えております。大臣の御所見を伺いたいと思います。
 第三点目。当然のことながら、映像のモニターや門の遠隔操作には人の配置が必要であります。そのために生徒指導を担当した経験のある教職員OBや警察官OBを雇用することは高齢者の雇用対策にも一石二鳥と考えるのであります。
 後ほど事務職員の役割、待遇改善のところでも触れるつもりでありますが、今後、学校の裁量権の拡大等に伴いまして学校の事務も増加をしてまいります。事務職員の専門性をより高め、そして事務処理の効率化、集中化を図るために、事務長制あるいは事務主任制の導入を真剣に検討すべき時期に来ていると思うのであります。
 そして、学校の安全管理などの管理システム整備を初めとする諸施策についての財源の問題でありますが、私は正面攻撃で財務省に対して八月の概算要求に向けて当局が要求を盛り込むのが筋であると思います。
 しかし、シーリング等の問題があるのであれば、いわゆるサッカーくじの収益を配分することも十分可能であると考えます。もしそのために所要の法改正が必要であるとするならば、お手伝いをすることにやぶさかではありません。すなわち、サッカーくじの収益の一部を、児童の安全と健康を図ることを目的とする文部科学省所管の日本体育・学校健康センターを経由して、小学校の安全管理のための警備システム等の整備について補助金ないしは交付金として市町村に付与する制度を私は構想しておるのであります。
 法律改正が、閣法においてはこの制度が走り始めたばかりであるので非常に出しにくいということであれば、私は同僚議員を募って議員立法で法律の目的を広げてもいいというふうに考えています。
 これらの私の考えについて、大臣の御指導を賜りたいと思います。
 さらに、警察庁としては、この池田小学校の事件を踏まえて、学校開放と安全管理についてどのような対応をしようとしておるのか、時間の都合もありますので、警察庁、簡明にお答え願いたい。
 なお、関連して、死傷した池田小学校の生徒さんたちに対する補償金あるいは弔慰金についてはどのようになっておるのか、この点については警察庁及び文部科学省の政府参考人にその答弁を求めます。
○国務大臣(遠山敦子君) 順次お答えしたいと思います。
 まず、今回の事件にかかわる報道について、これは目に余るものがあるのであるがどうかということでございますが、まさに今回の事件の取材に当たりましては、児童に対して執拗な取材を行ったり、あるいは早朝、夜間など非常識な時間に家族への取材をするなど、一部マスコミに行き過ぎた行動が見られたと聞いております。
 このため、池田小学校におきましては、六月十日に学長と校長の連名で、地元の報道各社に対して取材に当たっての適切な配慮方、要請を行ったところであります。これは現場の声でありますので、私はこれは本当に取り入れてもらいたいと思っております。
 こうした状況を踏まえまして、我が省としましても、六月十一日に事務次官から、マスコミ関係者に対しまして良識を持った節度ある対応をお願いしたところでございまして、私もまさにこれに同感するものでございます。
 今、一番大事なのは、あの被害を受けた、あるいはあの被害の状況を見た子供たちあるいは御遺族の方々の心のケアの問題でありまして、またそのことについて関係者が一生懸命取り組んでいる段階でございまして、今、委員の御指摘のように、このことについては、報道ということを正面に掲げるのではなくて、何を今守るべきかということを十分に配慮した上での取材というものをやっていただきたいと思っております。報道関係者には既にお願いしているとおりでありまして、節度ある対応を望みたいと考えております。
 二番目に、開かれた学校の推進と学校の安全管理を両立すべきではないかという御指摘でございますが、私は、学校というのはやはり子供あるいは保護者にとっても安心して過ごせる、安心して預けられる、そういう場所でなくてはならないということを大前提といたしますと、安全確保というのが絶対条件でございますし、まず第一に取り組むべき事柄だと思います。
 しかしながら、委員も御指摘のように、そういう物理的な対応と、それから学校が開かれたシステムとして地域社会の中で生き生きした存在として活動をしてもらうというあり方とは、私も両立すべきであるし両立できるのではないかと考えております。それぞれの地域においては大変な御苦労があろうかと思いますけれども、この問題がきちんと両立できるようにやっていかなくてはならない。
 その一環として、先ほど御指摘いただきました安全管理のためのいろんな研究ないし装置、何がいいかというようなことについての検討などについても早急に取り組む必要があろうかと思いますし、この問題につきましては、今月内にそれぞれ各地の状況を前提としたいろんな意見が寄せられますので、そういうものも参考にしながら、私どもとしても取り組むべき大きな課題として考えております。必要な予算も、それらを精査した上で、本当に国としてやるべきことがあれば、先生方のお力添えもいただいて日本の学校を安全にしていく、そのためにこれは一汗も二汗もかかなくてはならないと私は思っているところでございます。
 その他の点につきましては、いろいろございましたので、私が細かくお答えいたしますよりは、それぞれの副大臣及び政府参考人、それから警察庁の方々からお答えいたしまして、必要があれば私から補足させていただきます。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 一点は、スポーツ振興くじのお話が出ましたので、まずその点についてお答えしたいと思います。
 今、大臣から御答弁を申し上げましたように、学校の安全管理に関して必要な経費についてはこれから必要な財政措置ということで対応していきたい、こう思っておるわけでございますが、それをスポーツ振興くじの収益でどうかと、こういう御提案でございます。
 これも御案内だと思いますけれども、スポーツ振興くじはスポーツ振興のための必要な……
○阿南一成君 だから議員立法でやると言っている。
○政府参考人(遠藤純一郎君) はい。
 ということで制度化されたものでございまして、スポーツの振興を目的とする事業が対象ということになっておるわけでございます。したがいまして、スポーツ振興事業以外の事業にくじの収益を充てるということにつきましては、制度の根幹にかかわることでございまして、関係者の幅広い議論が必要になってくるだろう、こう考えておる次第でございます。
 それからもう一点、今回の事件で死傷いたしました児童に対する給付金の問題でございます。
 学校教育において不幸にして事故が起こりまして児童生徒が負傷を負うなどした場合に、保護者の負担を軽減し学校教育の円滑な実施に資するために、日本体育・学校健康センターにおきまして治療費の一部を負担する等の災害共済給付を行っているところでございます。
 この災害共済給付は、医療費の支給としまして、保護者の自己負担分の全額と、それの療養に伴って要する費用を加算した額を支給すること、さらには児童生徒に障害が残ったり死亡した場合には障害見舞金、死亡見舞金の支給を実施しておるわけでございますけれども、今回の事件も学校の管理下の事故でございまして、不幸にして亡くなられた児童につきましては死亡見舞金二千五百万円、またこの事件によって障害を受けた児童につきましては精神的なものも含めましてその治療に要する経費が支給される、こういうことになっておるわけでございます。
○政府参考人(矢野重典君) 学校の施設面での安全対策についてのお尋ねがございました。
 今回の事件を踏まえまして、校舎内外の通報設備、防犯設備の設置、また敷地境界部の整備など、学校施設の防犯対策につきましてどのような対応が必要か、新たな補助制度や地方財政措置も含め早急に検討してまいりたいと考えているところでございます。
○政府参考人(黒澤正和君) まず、一点目の子供の安全確保でございますが、警察といたしましては、子供に対する犯罪を防止するために、警ら警戒活動の強化等を図りますとともに、警察と教育現場とが密接に連携することが極めて重要であると認識をいたしておるところでございます。
 警察では、かねてより局長通達等によりまして、子供を犯罪から守るための対策を推進いたしておるところでございますが、特に警察、学校関係者等で構成された学校警察連絡協議会等による緊密な連携の確保等に努めてきたところでございます。
 今般の事件を踏まえまして、警察庁では、六月八日、事件発生日でございますが、通達を発出いたしまして、各都道府県警察に対しまして改めてその徹底を指示したところでございます。また、同じ日に、文部科学省に対しまして、警察と関係機関、近隣住民等との連携の強化等について徹底を要請したところでございます。今後ともこの種事件の発生を防止するために万全を期してまいる所存でございます。
 それから、補償の給付金の問題でございますけれども、先ほど文部科学省の方から答弁がございました児童につきましては、日本体育・学校健康センター法に基づく給付が適用されるものと承知しております。また、教職員につきましては、国家公務員災害補償法が適用されるものと承知をいたしております。このように、他の公的補償制度により救済がなされる場合には他の制度による給付が優先しまして、犯罪被害者等給付金、私どもの所管しております犯罪被害給付法に基づくところの給付金は支給されないということになっております。
○阿南一成君 遠山大臣の前向きの御答弁、ありがとうございます。
 サッカーくじについてはできる限り文部科学省当局で予算を措置していただくということでありまして、もし措置されなければ知恵はあるぞと、こういう意味でありますので、スポーツ局長、そう心配しなくてもいいと思うんですがね。できるだけ概算要求に向かって頑張っていただきたい。私らもそれなりに応援をいたしたいと思います。
 次は、刑法改正について少し触れてみたいと思います。
 新聞報道によりますと、今回の事件の被疑者は過去に傷害事件を起こし、その際、責任能力がないと精神保健福祉法による措置入院の行政処分を受けておったわけでありますが、わずかの期間で退院をして社会に復帰しておった、そして今回このような大事件を引き起こしたということであろうかと思います。
 この事件における容疑者の刑事責任能力の有無につきましては今後の検察当局の判断にゆだねられておるわけでありますが、その動向には極めて国民は関心を持っておると思います。もちろん、この事件と精神障害者の問題を直ちに結びつけることには慎重でなければならないというふうに私も思います。しかし、一般的な問題として、この事件が二度と起こらないように、またこの種の事件に不安を抱く国民のためにもやはり手を打つべきであるというのが私の立場であります。
 精神障害者の再犯防止については、法務省がいわゆる保安処分の立法化を検討したことが過去に二度ほどあるのを承知いたしております。しかし、そのたびに、医療の充実が先決である、あるいは人権上の問題が大きいなどの批判を受け、断念をした経緯があります。今や保安処分については口にすることすらもタブーとする関係者もいるとの報道もありました。
 法務省と厚生労働省においては、既に本年一月から、重大事件を起こした精神障害者の処遇などについてワーキンググループをつくり検討を始めていると承知をいたしております。今回の事件の重みをしっかりと受けとめ、それぞれの立場を超えた踏み込んだ議論が行われることを多くの国民の皆さんが期待しておるところであろうと思います。言ってみれば、爆弾をお互いに押しつけ合うように批判を恐れて踏み込んだ議論を行わず、問題を先送りするというようなことは断じて許されないと私は思っております。
 今、国民が求めていることは、問題先送りによる現状維持ではなく、早期かつ具体的な対応、すなわち思い切った決断ではなかろうかと思うのであります。そうであるからこそ、小泉総理も、この池田小学校事件発生と同時にあのように刑法改正、保安処分にまで踏み込む勢いでの前向きの発言をされたものと理解をいたしております。遠山大臣においても、法務省等の問題として傍観するのではなく、大切な子供を預かる教育現場の最終責任者として、二度とこのような重大事件が発生することのないよう早急な立法的手当てを強く求めていくべき立場であると私は考えております。
 次に、事件を起こした精神障害者の処遇を話し合う法務省と厚生労働省の合同検討会が六月十二日に開かれたと新聞に報道されております。その会議の冒頭で法務省担当者が、大阪池田市の児童殺傷事件については、事件と精神障害者問題を直ちに結びつけることは慎重にとくぎを刺す発言をしてこの会議はスタートをしたと新聞では報道されております。この法務省の担当者というのは一体だれなのか。そして、その人の見解は法務省としての考え方なのか。もしそうであるとすれば、過去二度にわたって法務省は保安処分導入を含む改正案をまとめながら、人権上問題だとする精神科医や弁護士の反対で刑法改正を断念したときの法務省の考え方と変わってきているのかいないのか。それはなぜか。そして、もし仮に報道がミスリードであるとするならば、マスコミに対して抗議をしたのかどうか。法務省の責任ある刑事局長に答弁を求めたかったのでありますが、刑事局長は法務委員会に引っ張られるということで、文部科学委員会としては審議官にお答えをいただければいいと思います。
 なお、坂口厚生労働大臣は記者会見で、罪を犯した精神障害者への対応をめぐり、事件があると専門家がそれぞれの立場でさまざまな意見を出すので、その均衡をはかって現状維持となる結果が続いてきた、国民はこのままでいいのかという気持ちを持っていることは間違いない、我々は何らかの形で改善する必要があると述べ、政治主導で現状を変えることに意欲を示したと報道は伝えております。
 閣法による刑法改正となりますと、法制審による長期の検討が行われ、人権派の学者、弁護士などの意見が大勢を占め、結局何らの対策も行わず問題が先送りされてきたのがこれまでの現状であろうかと思うのであります。しかし、前国会の少年法の改正におきましては議員立法でいきました。少し粗削りでありましたが、国民の皆さんのニーズにも的確、適合にこたえられたと私は判断をいたしております。
 法務省としては、もし仮に刑法改正について議員立法による対応を我々政治家が打ち出すとするならばどのようなお考えであろうか、お伺いをしておきたいと思います。そして、今回の事件を受け、法務省としては今後どのような対応なり立法措置をしようとしておるのか、その辺もあわせてお願いをいたします。
 仮に法案化するという場合には法制審議会に諮問することになると思いますが、その場でこれまでと同じような議論が起こり、またしても問題の先送りになるようになっては、今求められている国民のニーズに対する早急な対応ではないということを念を押しておきたいと思います。その際は議員立法ということであろうというのが私の持論であります。
 そして、治安維持に最終責任を持つ法務省においては、国民の声に真摯に耳を傾けて対応する責任のある官庁、最終的治安維持官庁だと思っております。もし仮に法務省が泥をかぶることを避けて責任回避の姿勢をとるとするならば、まじめな多くの国民の怒りは爆発し、私的制裁、リンチの衝動が渦巻き、法秩序の維持が困難に陥ることを心配するものであります。法務省には、法匪あるいは曲学阿世のそしりを招くことのないよう勇気ある判断を求めたいと思います。
 私は、六月十二日、会議冒頭の法務官僚のくぎを刺す云々の発言がマスコミの伝えるごとく真実であると仮にするならば、坂口厚生労働大臣の記者会見での発言がよほど多くの国民の皆さんの気持ちを十分にくみ上げ理解をしておるものと考える次第であります。法務省としては、国民の求めに応じて粛々と立法措置を講じていくべき重要な時期であろうと思います。事件現場の生々しい修羅場のような状況を聞くにつけ、法務省の担当者にはいろいろと力こぶを入れてお聞きをしたところでありますが、要は法務省は今後どのような対応方針で臨まれるのかということについて簡明にお答えをいただければありがたいと思います。
○政府参考人(河村博君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のまず報道の点でございますけれども、法務省・厚生労働省合同検討会と申しますのは、法務省と厚生労働省とで順番に司会をやっておりまして、第一回が厚生労働省、御指摘の六月十二日の開催は法務省が司会役等をやっておったわけでございますけれども、その際の当省の担当者の発言についてのものであると承知しております。この発言と申しますのは、その前日に行われました関係省庁の打ち合わせにおきます共通認識が、今回の事件と精神障害者の問題とを直ちに結びつけて議論することには現時点では慎重でなければならないというものでありましたことを合同検討会の席上で御報告したものでございます。
 この点につきましては、池田小学校におきます事案が、現在、捜査当局におきまして、事件の全容解明に向け被疑者の精神状況も含め鋭意捜査が行われているものでございますし、精神障害者の中でも大多数の方々はこのような問題のない方であるという、このような方々に対する影響を考慮したものであると理解しております。
 なお、この打合会におきましては、両省で進めております合同検討会の議論を一層促進し、深めていくべきであるというふうに打合会でされておりますことについても御報告したところでございまして、法務省におきましては、その点を踏まえまして両省で協力し合いましてさまざまな角度から調査検討しているところでございます。
 次に、議員立法という点につきましてお話がございました。
 国会議員の先生が必要と考えられます法律案を御提出になるということにつきまして、私どもとしてその当否をコメントすべき立場にはございません。ただ……
○阿南一成君 大きな声で。
○委員長(市川一朗君) もっとマイクを使ってください。
○政府参考人(河村博君) はい、わかりました。申しわけございません。
 ただ、一般的に申し上げますと、刑法は刑事に関する最も基本的な法典でございます。また、責任能力を有しない者の行為をどのように取り扱うかという事柄も刑法の最も基本的な原則にかかわる問題でございまして、その改正につきましては実務等に与える影響が極めて大きいと考えられますし、またこの問題は精神医療のあり方とも密接な関係を有するものでございまして、適切な成果を得るためには専門家によります十分な調査検討も経て議論することが必要な事柄であろうということを御理解いただきたいと考えております。
○阿南一成君 次に、教職員給与の見直し、事務職員の待遇改善について触れておきたいと思います。
 現在、国立大学の独法化ということが議論がされております。文部科学省においても制度設計等について検討されているところであろうかと思います。
 結論は出ておりませんが、独法化された場合、国立大学の附属学校として設置されております幼稚園、小学校、中学校、高校も当然ながら大学とともにその対象とされ、国の基準として当該学校の教師の給与を定めている教育職俸給表が廃止されることになるのかとも考えております。
 また、公立学校の教職員の給与は、教育公務員特例法により、「当分の間、国立学校の教育公務員の給与の種類及びその額を基準として定める」とされております。つまり、国立附属学校の教師を対象とする俸給表が見直されますと、公立学校の教師の給与を定める基準にも連動して見直しが来るのではないかと私は愚考する次第であります。
 平成十三年六月一日の日本教育新聞によりますと、文部科学省において、公立学校教職員の新しい給与制度のあり方を義務教育費国庫負担制度の仕組みも含めて検討するワーキングチームを設置するとの報道がありました。
 そこでお伺いしますが、国立大学が独立行政法人化した場合、義務教育費国庫負担制度も含め、公立学校の教職員給与制度の関係においてどのような制度改正を考えておるのか。
 さらに、それに関連して、法律上、教育公務員とはされておりますが、学校教育において基幹的職員であります事務職員の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 私は、今国会の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正案の審議の際、事務職員にかかわる給与費の国庫負担堅持に関して質問をいたしました。その際、町村前大臣は、事務職員は基幹的職員であり国庫負担をしっかりと堅持するという旨の大変力強い御答弁をいただき、私も心なし満足をいたしておる次第であります。
 ところで、今回の法改正により、社会奉仕体験活動等の体験活動が学校において推進され、社会教育関係団体などとの連携が不可欠となるわけであります。また、学校は地域交流の窓口としての役割を担うことも期待されております。
 そのような中で、教師とともにいわば教育を支える車の両輪ともされる事務職員においても、社会奉仕体験活動等の実施に当たっては非常に重要な役割を果たしてくるのではないかと考えております。今後、新しい学習指導要領に基づく多様な教育活動の実施に対応した事務が増すこともあり、それに見合った処遇も考える必要があると思うのであります。
 そうして、学校事務の共同実施の定着化等が進むことを踏まえ、国庫負担見直しに当たっては、義務制諸学校の事務職員の処遇についてもぼつぼつ真剣に事務長、事務主任制度の導入を検討すべき時期が来ておるのではないか、このことによって本日の質疑の冒頭の池田小学校事件でも触れました学校開放と安全管理の問題にも貢献をしていただくことに相なるのではないかと思うわけであります。
 その際、事務長、事務主任の職務の設置や管理職手当等のあり方について前向きに検討をなさるお気持ちがあるかどうか。さらに、独法化により国庫負担の国の基準が見直されることになると思いますが、そのときは学校事務職員の処遇については恐らく各県の裁量によって自由に決めることが可能に相なるのではないかと思うのでありますが、その際にも文部科学省としては力強い行政指導をあうんの呼吸でお願いいたしたいと思うのであります。
 遠山大臣として、事務職の職員の今後の役割をどのようにとらえ、また事務職員にかかわる待遇の改善、確保についてどのような方針をお持ちか、これは遠山大臣にお答えをいただきます。
○国務大臣(遠山敦子君) 文教にお詳しい委員のかなり専門的な御質問でございました。
 まず、独法化との絡みでの御質問でございますけれども、現在は御指摘のように公立学校の教職員を対象とします義務教育費国庫負担制度におきましては、国立学校に準拠した給与制度に基づいてその給与費の二分の一を負担する制度となっておりまして、国立学校の教職員の給与制度と密接な関連を有しております。目下、国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議におきまして検討が進んでいるところでございまして、そこにおける国立学校の給与制度のあり方についての検討状況を見きわめながら、義務教育費国庫負担制度のあり方について必要な検討、対応を行っていきたいと思っております。
 ただ、当然ながら、義務教育諸学校の教職員の給与費の二分の一を国庫負担にするという国庫負担制度の根幹については、この検討のいかんにかかわらず今後ともこれを堅持すべきと考えているところでございます。
 学校の事務職員の職務の重要性については、改めて申し上げるまでもなく、学校の活動の一翼を担う大変重要な存在であると思っております。ただ、事務長制を検討すべきであるというような点につきましては、大部分の公立小中学校におきまして事務職員が一人程度しか配置されていない、あるいは事務の共同実施もほとんど行われていない現状においてはなかなか難しい面があると思っております。
 ただ、委員も御指摘のように、今後、学校の事務職員の専門性をより高めて、さらには事務処理の効率化、集中化を図ったり事務の共同処理を推進していく必要が出るだろうと思っております。
 このようなことから、文部科学省といたしましても、既に平成十一年度から学校事務の共同実施などの事務処理の効率化について、都道府県の教育委員会に調査研究事業を実施していただいているところでありますし、また第七次の定数改善計画につきましては、複数の学校が連携して多様な教育活動を実施する際に、それらについての事務処理の拠点となっている学校に定数措置をすることもしているところでございます。
 今後、これらの調査研究事業の成果でありますとか、あるいは各市町村におきます学校事務の共同実施の導入などを踏まえて、小中学校の事務主任に関する制度の改善について検討してまいりたいと思っているところでございます。
○阿南一成君 岸田副大臣にせっかく二つほど質問通告をしておりましたのですが、時間でありますので、二十一日にまた私の質問時間があると思いますので、そちらに譲りたいと思います。
 終わります。
○有馬朗人君 自民党の有馬朗人でございます。
 六月八日に大阪教育大学附属池田小学校に乱入、殺傷事件があり、そこで犠牲になられました生徒の皆さんの御冥福を心からお祈り申し上げます。また、御親族、御遺族の方々に心よりお悔やみを申し上げ、心身に障害を受けられた方々の一日も早い全快をお祈りしております。
 以下、既に松村、阿南両委員の御意見、御質問に重なるところがありますが、多少繰り返しをお許しください。
 私は、長年、学校をもっと地域社会へ開放すべきであると強く主張してきましたが、このたびの痛ましい事件を見て、今までどおりの考えでよいのかどうか心配になってきました。学校の社会への開放を推進することと同時に、生徒及び教職員の安全を第一に考えなければなりません。
 そこで、文部科学省として、学校の開放と学校の安全という二つの方向をどう進めていかれようとしておられるのか、御説明をいただきたいと思います。文部科学大臣のお考えをお聞かせいただければ幸いであります。
○国務大臣(遠山敦子君) 有馬委員が大臣でおられたときなどの御努力によりまして、次第に学校が開かれた存在として地域との関係を密接にとりつつあるという状況を私は大変好ましいことであると考えております。
 そのことは、従来、ともすれば学校は閉鎖的でありまして、いろんな批判もなされてきていたところでございますけれども、学校がみずから家庭や地域社会に対し働きかけを行って家庭や地域社会とともに子供たちを育てていくという観点は大変重要なことであると思いますし、今後ともその姿勢は堅持すべきものと考えております。
 ただ、今回の事件を契機に、私どもも、では開かれた学校という理念と、現実にああいう不審者が校内に入ってきて殺傷などのようなことを犯す、そういう時代になってしまった問題との関係をどうとっていくかということは大変難しい課題だと深刻に受けとめているところでございますが、やはり学校を安全に保つということはもう絶対条件でありまして、これをまずやると。そのためには、装置をきちんとやる、あるいは見張りをきちんとやる、あるいは連携を強くする、特に外の警察力との協力といいますか、そういうことも大事でございましょうし、とにかく学校はもう近づいてもだめだと思わせるような、そういうところにしていかなきゃならないというのは絶対条件だと思っております。
 しかしながら、開かれた学校ということで、これは何も、開かれた学校というのは、常にドアを開いている、どなたもお入りなさいということを指しているのではなくて、学校の運営そのもののあり方の精神であり、またやり方についての考え方であろうかと思っておりますので、この点については、学校の安全管理には十分配慮した上で学校が開放されていくように努力をしてほしいと思っておりますし、そういうことを私ども今後も指導を強めながら、また安全確保についてはいろんなサポートをしていきたいと考えているところでございます。
○有馬朗人君 ありがとうございました。大変力強いお考えをお聞かせいただきまして、感謝いたします。
 この不幸な事件におきまして、またそれ以外の事件におきましても、触法精神障害者による犯罪が問題になっております。精神障害者の人権を守ることの重要性は疑いのないことでございますが、触法精神障害者による再犯を防ぐこと、これもまた重要なことでございます。
 そこで、触法精神障害者による再び三たびの犯罪の頻度は一体どのくらいあるのか、その統計をお教えいただきたいと思います。また、諸外国の同様の統計があればお教えいただきたいと思います。これは法務省にお願いします。
○政府参考人(河村博君) お答え申し上げます。
 御指摘の精神障害者の再犯率でございますけれども、これにつきましては、当該被疑者ごとに、一定の期間内に精神障害に起因いたしまして犯された犯罪の回数について調査する必要があるわけでございますけれども、現時点ではそのような資料がございません。
 ただ、それに近いものといたしまして、犯罪を犯しました精神障害者が過去に前科前歴を有するかという観点で見てまいりますと、例えば平成十一年に殺人などの重大な犯罪を犯しました精神障害者でございまして、犯行当時、その精神障害のゆえに責任能力に問題があると申しますか、心神喪失または心神耗弱の状態にあった者は三百五十名でございますけれども、そのうち、過去十年間に前科前歴というものを有します者は九十五人、重大な犯罪に係る前科前歴を有する者は三十八名ということで、約一一%でございます。
 これに対しまして、十年という年数の制限を設けず、また前歴を含めていないという点において統計の基準が異なるわけでございますけれども、平成十一年に殺人などの重大な犯罪を犯しまして起訴等の処分を受けた者につきまして、これが二万九百四十名おりますが、そのうち、平成十一年以前に前科のある者が八千九百二十四名、約四三%となっております。
 また、これは一九八〇年に殺人または放火を犯しました精神障害者につきまして調査、十一年間どの程度犯罪を生んだかにつきまして、同じ年の精神障害を持たない犯罪者で殺人または放火を犯した者と比較調査したものがございますけれども、これにつきましては、殺人では精神障害者の方が七%、そうでない者は二八%、放火では精神障害者の方が九%、そうでない方が三五%でございます。
 もっとも、精神障害者の方の再犯率と申しますのは、精神障害というものによってこういう不幸な結果に至っておられますので、施設収容の長短、その間ずっと施設にお入りになっている、あるいは適切な治療を受けておられるかどうかといったようなことで、犯罪の原因となりました精神障害につきましては治療を施すことによりまして再犯に至ることを防ぎ得るという面もございまして、直ちに正確な比較は困難ではございます。
 諸外国の再犯率ということでございますけれども、この点、現時点におきましては調査した資料がございませんで、お答えいたしかねます。
 以上でございます。
○有馬朗人君 お聞きしていますと、頻度はかなり高いような気がいたします。もっと再犯防止ができないものでしょうか。しっかり防御して、国民の不安を取り除いていただきたいと思います。心からお願いいたします。
 そこで、どのような対策を講じているのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。法務省及び厚生労働省にお聞かせいただければ幸いです。
○政府参考人(河村博君) お答え申し上げます。
 犯罪を犯しました精神障害者につきましては、検察当局におきまして、法と証拠に基づきまして被疑者の精神の状況、責任能力の有無、程度等につきまして十分な捜査を遂げ、起訴すべきものは起訴する一方で、犯行当時心神喪失の状態にあった者、あるいは責任能力はあったもののその刑事責任を問う必要がないと認められる者につきましては、不起訴といたしました上で、精神保健福祉法に基づきまして都道府県知事に対して通報いたしまして、措置入院を含む適切な医療が施されるよう努めているものと承知いたしております。
 また、犯罪を犯しました精神障害者の処分につきましては、現在、措置入院の制度が今申し上げましたようにあるわけでございますけれども、殺人、放火等の重大犯罪を犯した精神障害者の処遇がどのように決定され、どのようにまた処遇されるかにつきまして、社会の関心に十分こたえるという観点からいたしますと、今後、入院治療の必要性等の判断に当たりまして、医療的、医学的な判断に法的な判断を加えることも検討されてよいと考えておりまして、そのあり方などにつきましては、各般の御意見なども参考にいたしながら、法整備も視野に入れ、さまざまな角度から調査検討していきたいと考えているところでございまして、この点につきましては、現在、厚生労働省との間におきまして調査検討する場を設けるなどして検討を進めているところでございます。
○政府参考人(今田寛睦君) 私ども精神障害者の保健、医療、福祉を所管しているわけでありまして、今回の事件と精神障害者の犯罪の問題を直接結びつけて議論をするということについては慎重でなければならないと、このように考えておりますが、一般に精神障害に起因をいたします犯罪につきましては、罪のない第三者に重大な被害を与えるだけでなくて、その障害を持つ患者自身にとっても極めて不幸な事態だと、このように認識をいたしております。
 現在、精神医療におきましては、精神障害者の犯罪の有無には直接かかわりませんけれども、結果において、あるいは状態において、みずからを傷つけ、あるいは他人に害を及ぼすおそれのある場合、自傷他害の疑いのある場合につきましては、知事の命令によって措置入院をさせて医療の確保を図っているところであります。当然、治療の結果、自傷他害のおそれがなくなれば、その者は退院させなければならないという規定になっておりますけれども、その後さらに医療が必要であるということであれば、医療保護入院あるいは任意入院、さらには通院医療等によりまして必要な医療が継続されるよう努めているところであります。
 しかしながら、精神障害に起因する犯罪の再犯を防ぐといった観点から申し上げますと、医療のみでこれに対応できるという課題ではないことから、先ほど法務省の方からも御説明がございましたけれども、重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇のあり方等につきまして、さまざまな角度から検討をするために合同検討会を開催いたしまして、鋭意検討しているところでございます。
○有馬朗人君 繰り返しますが、しっかり防止して国民の不安を取り除いていただきたいと思います。
 既に阿南委員によっても詳しく論じられたことでございますが、繰り返させていただきます。
 学校で授業中や休憩中などの先生が学校内にいるとき、その安全を確保するには不特定の外部の人が自由に断りなく学校の中へ入ってくるということはよくないと思います。そこで、校門の出入の管理をどうするか、方針をお聞かせいただきたいと思います。
 また、校内施設の管理がきちんとやれ、安全が保障されるためには、教室間や出入り口の相互連絡が速やかにできるようになっていなければなりませんし、出入り口の設備が十分でなければなりません。そのための財政措置は十分にとられているのでしょうか。この二点についてまずお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) まず、一点目の学校の出入りの問題でありますけれども、校門の開閉をしっかり管理する、あるいは来校者をチェックする、こういった方法は不審者の侵入を防ぐ上で効果のある方法であるというようにまず考えております。
 しかし一方、学校施設は、その形状とか周辺環境ですとか、あるいは先ほど先生から御質問がありました開かれた学校に対する考え方、そうしたさまざまなことを考慮した上で、具体的な方法につきましてはその学校それぞれが工夫していただく、その工夫の中で取り組んでいただく、こういったものだというふうに考えております。
 ただ、文部科学省としましては、今回の事件を受けて、六月十一日に通知を発しまして、外部の者の来校につきまして出入り口での確認等不審者を識別するための方策、あるいは校内の巡回等不審者を発見するための方策等について、緊急に講ずべき対策について実施をお願いしているわけであります。加えて、今月中に、現在の安全管理項目が十分かどうか、こういった意見も受けようとしております。
 そういった中にあって、財政措置が必要な部分があれば、これはしっかりと対応していかなければいけないというふうに思っております。ですから、校舎内外の通報設備ですとか防犯設備の設置、あるいは敷地、境界部の整備、あるいは教室管理、諸室の再配置など、こういった部分において補助制度や地方財源措置を含め、こういった措置がとれるかどうか、こういったあたりも検討していかなければいけない、そのように考えております。
○有馬朗人君 次に、別な観点からも私は小学校や中学校の安全性について心配をしております。
 それは地震など天災に対する安全性です。かつて、淡路・阪神大震災において、これらの公立学校は地域住民の避難場所として活躍したぐらいしっかりしたものでありました。しかし、最近、公立学校でも施設の老朽化が進んでいると聞いております。これまで私自身が訪問した公立学校の中にも随分古いものがあったと記憶しておりますが、全国の実態は一体どうなっているのでしょうか。
 また、学校施設は教育を行う基盤として極めて大切なものでありますから、設置者が地方公共団体であっても、国として古くて危険な建物の整備に積極的に取り組むべきだと考えておりますが、文部科学省のお考えをお聞かせください。
○政府参考人(矢野重典君) 文部科学省では、毎年、公立学校施設に関する実態調査を行っているわけでございますが、その結果によりますと、公立小中学校の建物面積は平成十二年五月現在で約一億五千八百万平米となっておりまして、このうち、一般的に改築や大規模改造の検討が必要になります建築後三十年を経過した建物の割合は全体の約二割、平米数といたしましては約三千万平米となっているわけでございます。この割合はここ十年間で約四倍になっておりまして、近年、公立学校施設の老朽化が急速に進行しつつある、そういう状況にあるわけでございます。
 そこで、公立学校施設は御指摘のように学校教育を実施する上での基盤でございます。その整備に関しましては、義務教育の機会の均等、また教育の水準の向上を図る観点から、国におきましてもその経費の一部を国庫負担をいたしているところでございます。
 今後は、昭和四十年代後半から五十年代の児童生徒急増期に大量に建設をされました建物が老朽化の時期を迎えるわけでございます。そういう状況の中にありまして、これらの改築や大規模改造を円滑かつ計画的に進めていくことが大変大きな課題であると考えているわけでございまして、国として一層の予算の確保に努めますとともに、各市町村に対しまして、中長期的な見通しを持って計画的にこれが整備を進めるよう指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
○有馬朗人君 ただいま局長が言われたデータは私の表一―一と表の一―二に、お配りしてありますので、後でまたお話をいたしたいと思います。
 最近、少子化に伴って生じてくる学校の余裕教室を地域住民の交流施設として開放したり、福祉施設などに改造する例がふえてきていると聞いております。
 このように、少子化の時代といえども公立学校は地域の大切な公共施設と考えられますが、今、局長も言われました、そして私が表一―一及び表一―二でお配りしたように、表の一―一は平成二年、表の一―二は平成十二年、この十年間に極めて公立小中学校が老朽したことを憂えている次第であります。
 そこで、私は安全性が非常に心配になってまいりました。最近、ウグイス張りの学校というのがありまして、どういう意味か考えてみたら、要するにウグイス張りのように廊下を歩くとキーキー鳴るという意味らしい。これはいかに老朽化しているかということを示している言葉であります。
 そこで、私が一番心配しているのはそういう学校の耐震であります。学校施設の耐震対策に十分な対応が必要であると考えますが、文部科学省はその辺を十分考えに入れて取り組んでおられるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生から御指摘がありましたように、近年、余裕教室等を生涯学習あるいは児童福祉施設、こういったものに転用するケースがふえてきております。さらに、非常災害時におきまして公立学校が応急避難所としての役割を果たす、こういったことを考えますときに、学校における耐震性の確保、これは大変重要な課題だとまずもって強く感じております。
 今年度、地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業五カ年計画が五年間延長措置が講じられたところでありますが、これを受けまして、文部科学省におきましても「公立学校施設の防災機能の整備推進について」という通知を五月七日に発しまして、各都道府県教育委員会に対しまして老朽施設の耐震診断あるいは耐力度調査等を行い、補強、改築等適切な措置をとるよう指導しておるところであります。
 しかし、こうした対応をとるということになりますと、当然のことながら財源、予算が必要になるわけであります。この部分におきまして、地方公共団体の事業計画に支障を来すことがないよう、必要な事業量を確保し、予算においてもその支援を考えていかなければいけない。この辺は強く認識し、これから努力していきたいと思っております。
○有馬朗人君 よろしくお願いいたします。
 お配りいたしました表二に示しますように、公立学校の施設整備予算が、近年、児童生徒数の減少に伴って非常に急激に減ってきております。しかし、子供の数が減少しても、チームティーチングや少人数指導などの新しい学習形態が導入されたり、体格の向上などに伴う机の規格の見直しなどにより必要となる教室の数や大きさが急速に減るものではありません。しかも、ここ十年ほどの推移を見た場合、この間の物価上昇を考慮すると、児童生徒数の減少以上に施設整備予算が減っております。実際の事業量はもっと減っていると考えられます。
 今後、急速に老朽建物が増加してくる中で、大幅な予算の増額が必要だと思います。今、岸田副大臣が御指摘になられたとおりだと思います。私は文部省にこの点で大いに努力を要請いたします。文部省のお考えはいかがでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 公立学校施設整備予算についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、児童生徒数の減少をここ十年間の変化で見てみますと約二三%減少しているわけでございます。一方、公立学校の施設整備予算でございますが、ここ十年間で約二千二百四十六億円から一千六百十億円へと、児童生徒数の減少率を上回る約二八%の減少と相なっているところでございます。
 しかしながら、今後は児童生徒急増期に大量に建築されました校舎が老朽化の時期を迎えるわけでございますし、また、御指摘がございましたように、新しい学習指導要領の実施に伴いまして、チームティーチングや少人数指導等を行うことなどによりましてこれらの施設整備のための予算が必要になってまいるわけでございます。そういう意味で、今後とも、増加する老朽校舎の改築に適切に対応いたしますとともに、地方公共団体の事業計画に支障が生じないように一層の予算の確保に努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
○有馬朗人君 よろしくお願いします。口だけじゃなくてちゃんとやっていただきたいと思います。
 日本における高等教育への公財政支出の国内総生産比、GDP比が、アメリカは例えば高等教育に対して一・四%でありますが日本は〇・五であるというふうに、アメリカ等先進諸国に比べて著しく低いことはたびたび私は指摘申し上げてきたとおりでありますが、初中教育についても同じことが言えます。表三をごらんいただきたいと思います。
 米百俵の精神から見て、この教育費の抜本的拡充こそが一番大切なことではないでしょうか。初中教育、高等教育並びに生涯学習への公財政支出の根本的拡充を訴えたいのです。文部科学大臣の御決意をお聞かせいただければ幸いです。
○国務大臣(遠山敦子君) 御指摘のように、教育予算に関します公財政支出の国内総生産比につきましては、非常に日本の率は低いわけでございます。もちろん、GDPに対する公財政支出の割合が違うこと、あるいは教育制度の違いなどがありまして単純には比較はできないわけでございますけれども、教育に対する投資をさらに重視していってもらいたいということは私も同感でございます。小泉総理は常々あすへの人づくりのためには米百俵の精神というふうにおっしゃっておりまして、この精神は教育について大変重要な指針と思われまして、人づくりについて、たとえ困っているときにも、これをむしろ重視してそこに割り当てていくというふうに私は意を解したいと思っておりますし、ぜひそうありたいと思っております。
 未来への先行投資であります教育の改革に向けて今その一つの方途を御議論いただいているわけでございますが、不断の見直しをもちろん行いながら、初等中等教育や高等教育予算を初めといたしまして必要な文教予算の着実な確保に努めてまいりたいと思いますので、むしろ先生方の御支援と御指導をお願いしたいと思います。
○有馬朗人君 力強いお考えをお聞かせいただきましてありがとうございました。よろしくお願いをいたしたいと思います。
 次に、大学問題についてお聞きいたしたいと思います。
 まず、入学試験の成績判定における失敗であります。山形大学、富山大学、そして金沢大学で過去数年間に間違いがあったことが明らかになりました。間違いがなければ入学できたのに、入学できなかった方々のお怒りや、その間に受けた不利益に誠意を持って対応していただきたいと思っております。
 もちろん失敗はあってならないことでありますけれども、やむを得ない間違いというものは起こるものでありましょう。問題は、しかしながら、一九九七年度とか一九九八年度、かなりさかのぼる以前においての間違いが今ごろ発見されるのは一体なぜなんだろうか。どうしてプログラムを変えたらすぐにチェックできなかったんだろうか。それまでどうして、全部が隠していたということではないようでありますが、どうしてそれを隠していたか、これが私は極めて重大な問題だと思うのです。どうしてすぐに間違いを公表し、善処できなかったのでしょうか。
 真理を探求し教育する場の大学としてまことに不名誉なことだと私は思います。名誉ある大学の自治の伝統ということ、これが崩壊をしてしまわないだろうか、私自身が大学人の一人でございましたので、それを大変悲しんでいるところであります。大学の向上のための改革が行われているときに、こういうことは極めて遺憾なことだと思っております。設置者としての文部科学省としての対策及び今後の防止策をお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) まず、大学入試というものは、受験生にとっては一生を左右する問題だと言っても過言ではなく、細心の注意をして行わなければならないものであります。このたびのような事態は決して起こってはならないものであるということ、これはおっしゃるとおりであります。
 今回、どうして今になってこの事情が発覚してきたかという御質問につきましてお答えするならば、まず山形大学につきましては、個人の入試の情報を開示するということが今般行われて、その情報開示によりまして受験生から指摘が行われた、そしてそれによって発覚したという事情がありました。そして、この山形大学の事件を契機としまして、文部科学省におきましては五月三十日付で全国の国立大学に対して入試判定の再点検を求めた次第であります。そして、全国の国立大学に対する再点検の結果、富山大学及び金沢大学のミスが新たに明らかになったということであります。こうした情報公開がまずあり、そこから山形大学の問題が発覚し、そしてそれによる再点検によって新たに大学のミスが発覚した、これが今回の事情でありました。
 こうした判定ミスが発覚したということ、国立大学の入試に対する国民の信頼を著しく失墜させたことはまことに残念であり、重大な事件であります。
 特に富山大学の場合に問題になりますのは、その合否判定ミス自体はもう平成十一年三月に確認されていたわけであります。にもかかわらず、当時の入試責任者が適切な措置を講じなかったばかりか事実を隠匿していたものであり、大学側の責任は極めて重大であるというふうに考えております。ですから、他の場合と違いまして、富山大学のケースにおきましては、六月十八日、文部科学省より学生課長ほか三名の職員を派遣し、事実関係の確認を急いでいるところであります。ですから、事実の隠ぺい等にかかわった当事者に究明を任せるのではなくして、この事件の性質あるいはある意味では悪質性にかんがみまして、直接この事実の究明に文部科学省が乗り出しているという対応をとっているところであります。
 このような事件の再発防止のために、まずもって今回の事件の発覚により大変な迷惑をこうむった方々に対する対応に万全を尽くさなければいけない、これは当然でありますが、再発防止のために、その原因の徹底的な究明、そして関係者の厳正な処分、そして全国の大学に対しまして再発防止の徹底をする、こういったあたりにしっかりと力を入れていかなければいけないというふうに思っております。そういった考えのもとに、今具体的な対応に全力で当たっている次第でございます。
○有馬朗人君 よろしくお願いいたします。
 私はかねがね大学の情報を開示すべきであるということを主張してまいりました。情報公開を進めるよう御努力をお願いいたします。
 最後に、学校教育法の一部を改正する法律案のうち、いわゆる大学への飛び入学の部分について御質問をいたします。
 私はこの飛び入学論者、積極論者であります。中央教育審議会でも積極論を展開してきました。その結果、数学及び物理の分野で希有な才能を有する者の飛び入学の制度が認められたことを大変喜んでいるものです。
 しかし、今のところ国立大学の千葉大学で物理分野、本年より名城大学の数学分野で学生を受け入れるにすぎません。この理由は一部学界等の反対の声が強いからであります。その反対論の大きな根拠は、一年飛ぶことにより教養や一般の学力が不足するということであります。
 ところで、旧制時代には、もうそういう方はおられないと思いますが、旧制時代には尋常小学校五年修了から旧制中学へ早期入学できました。最も多かったのは一九三一年、私の生まれた翌年でありますが、全国で六百六人、中学校本科入学者の〇・九%を占めておりました。また、中学校は五年制でしたが、四年修了者でも旧制高校へ進学ができました。一九二〇年代に全体の二二%から三〇%、すなわち千人ないし千五百人ぐらいがありました。また、一九四〇年には千人弱で一五%であったと聞いております。この制度は、戦後、一九四九年の学制改革でなくなりましたが、それまで続いておりました。
 小学校五年修了で中学校へ、中学校四修で高校へ進んだ有名人には、刑法の団藤重光さん、民族学の梅棹忠夫さん等がおられます。また、中学校四修で高校へ入学した人々の中には中曽根元首相であるとか、宮澤喜一元首相、宮本顕治さん、不破哲三さん、私たちは上田建二郎さんと申していますが不破哲三さん、それからノーベル賞の湯川秀樹先生、福井謙一先生、江崎玲於奈さん等々がおられます。
 私も四修でありますが、私の場合は教養がないって非難されてもやむを得ないと思うんですが、しかし今述べた人々は教養や一般学力が不足しているとはまず言えないと思うんですね。したがって、一年早く大学へ進むことは教養が不十分になるという理由は当たらないと私は考えているわけです。このような国内外の例題、ノーベル賞の人に非常に多いんですが、そういう例題、それから私自身の経験から飛び入学を支持いたします。
 そして、分野を数学や理科に、すなわち物理に限らずもう少し広げるべきだと考えておりました。その点、今回の改正を私は支持いたします。
 しかし、今回の法案は、分野を全く自由にしてしまったことによって、私は飛び入学が多過ぎるようになるという弊害が生じることを恐れています。特に政府原案は実際に有効な歯どめが私には見えないわけです。一体どのくらいの人数に対して飛び入学を認めようと計画しておられるのか、青田刈りをどう防ぐのか、方策をお聞きいたしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生の方から旧制中学、高校のお話を伺いました。かつての制度もそれなりの成果が上がったというお話だったと思いますが、一つ、旧制中学、高校の制度は多くの学生がその制度を利用する広く一般的に行われた制度であるという点において、今回の飛び入学はあくまでも基本は高校は三年で卒業するものである、その中で特にすぐれた資質のある学生にチャンスを与えるという例外的な措置であるという位置づけになっておりますので、一般的な措置と例外的な措置という意味で多少違うかと思いますが、おっしゃったように、この新しい飛び入学の制度において、すぐれた資質のある学生がそのチャンスを得られるようになるよう、そしてその資質が伸びるような結果につながるよう、ぜひ期待をしたいと思っております。
 そして、まず自由になって歯どめがないのではないか、そして人数をどのぐらい想定しているのかという御質問であります。
 ただ、この飛び入学の制度は、もともとこのぐらいのニーズがあるからこれに対応するという対策ではなくして、こうしたすぐれた資質を持つ学生にチャンスを与える、機会を広げるという制度でありますから、具体的にこの制度を行うとどれだけ人数が想定されるか、これはなかなか想定するのは難しいと考えております。逆に、できるだけこの機会を活用してもらえるようにその制度が整備されて、広くこうした資質が伸ばされる結果につながることを期待したいというふうに思っておるところでございます。
 ただ、歯どめということにつきましては、先生から御指摘がありましたように、これは考えなければいけない面だというふうに思っておりますので、この適正な運用の中で、青田買い等不都合な結果につながらないようにしっかりと対応しなければいけない。その際に、高等学校からの推薦などによって特にすぐれた資質を適切に判定すること、あるいは大学におきまして適切な指導体制、あるいは受け入れのカリキュラム、こういったものを整備すること、そしてその辺をしっかりと自己点検、評価してこれを公表すること、こういったあたりを省令等で求めるというような形でその適正な運用を図らなければいけないということであります。
 加えて、先生も御案内のとおり、衆議院の方で修正が行われております。大学院を置き、かつ教育研究上の実績及び指導体制を有するものに限定するという修正も加えられたところでございます。
○有馬朗人君 今、副大臣がおっしゃられましたように、衆議院修正ということがあるのですが、この制約も私には少々甘いと思うんです。やはり青田刈りを防ぐのに有効かどうかと心配しているんです。なぜかというと、大学院なんてピンからキリまでありますよ。しっかりした大学院もあれば、およそ名前しかないような大学院がある。一体それをどうやって判定するのか。
 それからまた二番目に、「特に優れた資質を有する者の育成を図るのにふさわしい教育研究上の実績及び指導体制」はどうやって評価するのか。だれでもそう言いますよ。一体これはどうするのか私は心配ですが、もう時間もありませんので、短くお答えがあればお聞かせいただければ幸いです。
 これをもって私の質問を終わります。
○副大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、衆議院の方での修正、大学院を有する大学に限るという修正、これは要するに外形的な要件、これが加わったわけであります。やはりあくまでも基本はその大学自体が飛び入学を受け入れるだけの内容を持っているかどうかという部分だというふうに思っております。
 その部分につきまして、カリキュラムあるいは教員の確保、さらには飛び入学で入ってきた学生、高校三年間を全部履修していないわけですから、それを補う体制あるいは相談体制、こういったあたりをしっかりと確保していることが肝要かと思っております。そのあたりにつきまして、しっかりと充実しているかどうか、この辺はしっかり見きわめていかなければいけない。御指摘のとおりだと思います。
○委員長(市川一朗君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(市川一朗君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○本岡昭次君 民主党の本岡です。
 法案の審議に入る前に、民主党で初めて私が質問に立ちますから、池田小学校の問題について若干申し上げておきます。
 池田小学校のあの痛ましい事件でございますが、大きな希望と輝かしい未来を持ってこれから生きようとした子供たちがあのようなことで命を奪われてしまった。何とも言えない、もう怒りでいっぱいでありますし、犯人に対して激しい憤りを持っております。また、学校の教師を初め、多くの子供たちがけがをしてまだ入院をしている。一日も早く回復して、元気に学校で学んでもらいたいと思っております。
 今、子供たちのケアの問題で、学校の教職員が土日を分かたず家庭訪問を展開しているようであります。阪神・淡路大震災の後も子供の心に残った傷というのは非常に深く、三年、五年たってからそれは出てくるという状況も私たちは経験しています。そういう意味で、あれは国立の附属小学校でありますから、文字どおり文部科学省の直轄であります。子供の心のケアの問題、あるいはまたそれを十分にやっていける人的配置、そしてその中心になってかかわる教職員に対して、十分な休息とそして教育活動に専念できるような条件をつくっていくことを要望しておきたい、このように思います。
 さて、今回、教育三法案、地教行法、学校教育法、そして社会教育法、この三つの法案が、教育改革国会と銘打って森内閣でスタートしたその後を受けて、小泉内閣のもとでもやはり重要法案ということで今国会に提出され、今まさに衆議院から送られて参議院で審議が始まったところでございます。
 衆議院で修正をされ、そして多くの附帯決議がつけられ、そして質疑の中でも今後の問題にかかわって大臣に対しての確認答弁を求めるというふうなことがかなり詳細にわたって行われて参議院に参りました。
 参議院においても、衆議院でそういう修正もやり、附帯決議もつけ、さまざまな確認答弁というふうなことをやったから、もう参議院は形だけの審議でいいというわけにはまいらないと私は思います。そうであってはならぬ、こういうふうに考えています。
 そしてまた、重要なこの法案、三法を一緒に審議するということ自体、私はこんなことがあっていいのかと思っております。一つ一つの法案それぞれが重要な内容を持っているのでありますから、徹底的に未来の教育のあり方というものを考えながら、まさに教育も分かれ道に来ているという、こういう時点であるからこそ慎重な審議が求められると思っています。しかし、三つの法案を一緒くたにしてやるという、こういう状況でありまして、とても教育改革国会であるとか教育を重視するとかいうことではないんじゃないかという私の率直な気持ちを申し上げておきたいと思います。
 それで、三つの法案を一緒に審議せいとおっしゃるわけですから、心ならずもその中で幾つかの問題を時間の許す限り質問して、文部科学省の、また大臣のお考えをただしていきます。
 それで、私も主として、主としてというよりも、文部科学大臣と直接一つ一つの問題について議論をし合いたい、こう思っておりますので、大臣、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、地教行法の改正の問題であります。その中の一つの教育委員会の活性化から入ってまいります。
 平成十二年四月に地方分権一括法が施行されて、地教行法の文部科学省と教育委員会の関係が変わりました。措置要求するというふうな文部科学省の地教委に対する強権的な措置、これはしてはならないということで、なくなりました。そしてまた、指導、助言、援助を「行うものとする。」というこの言葉から、これが「行うことができる。」というふうに改められました。従来、文部科学省と教育委員会の関係が、すべて指導、助言、援助という名のもとに厳しく教育現場を統制し、四十七都道府県、護送船団のように日本の教育を動かしてきた。それがこの指導、助言、援助であったと私は思います。「行うものとする。」から「行うことができる。」と改正されて何がどう変わるのか。
 この委員会でも、日の丸・君が代の問題をいろいろ議論したときに、我々もここで内心の自由とは何かとか、卒業式、入学式にいろんなことが起こるが、それはどうかとか、いろいろここで細かい質問をいたしましたが、しかし、考えてみれば、公立小中学校の入学式、卒業式に起こる諸問題の直接の責任者はこれは教育委員会であるべきであって、そうしたことを一々国会のこの文教科学委員会で取り上げなければならぬというところに日本の教育の不幸があると私は思います。
 しかも、それが「行うことができる。」ということの中で、直接文部科学省が調査をやったり調査の結果を公表して無言の圧力をかけたり、あるいはまた、場合によっては直接文部科学省がそれぞれ都道府県に出向いて、そして細かい指導をするというようなこともいまだに行われているのであります。
 それで、大臣にお聞きしますが、この指導、助言、援助を「行うものとする。」ということから「行うことができる。」というふうに変わったというこのことですが、地方分権を進めるという立場から、文部科学省としてこの言葉の改正、変わったということをどのように受けとめておられるのか、ひとつ簡潔にお答えいただきます。
○国務大臣(遠山敦子君) 地方分権一括法による改正は、先生御指摘のとおり、幾つかございました。その中でも、今御指摘の指導、助言、援助を「行うものとする。」という規定でありましたものが「行うことができる。」ということになったというのは一つの特色ある改正であったわけでございます。
 これは、規定を見直しまして「行うことができる。」としたわけでございますけれども、必要に応じて行うものであるということを明確化したものでございます。したがいまして、国が行うべき教育行政における役割というものは幾つかあるわけでございますが、それらに照らして、必要であるときにはこれは行うことができるということでございます。
 国の行うべき役割につきましては、学校教育制度に関する基本的な制度の枠組みの制定でありますとか、全国的な基準の制定あるいは地方公共団体におきます教育条件の整備に関する支援でありますとか、教育事業の適正な実施のための支援措置というようなものがあるわけでございますが、殊にその支援措置につきましては、指導、助言、援助というものを必要に応じて行うことができるということでございまして、そういうことを明確にした、そういう規定改正であったと承知しております。
○本岡昭次君 今のことだけでも一時間も二時間も議論ができると思いますが、きょうの主題ではありませんので、もうこれ以上入りません。また会議録を精査して、改めて質問させていただきます。
 ただ、ここで申し上げておきたいのは、指導、助言、援助を行うことができるというこの言葉の持つ意味ですね。しっかり文部省もわきまえて、はしの転んだことまで、学校でこんなことが起こった、地方で何があったと、一々地方の方も文部省の見解を聞いたり、あるいはまた文部省があれこれあれこれと指導、助言の名のもとにやるというふうなことはやはりできるだけ少なくしていくということはやっていかなければならぬと思います。
 そういうことで、日の丸・君が代問題は私もこれからどういうふうに文部省がかかわっていくのかということは注意深く見ておりますので、ひとつ今後の議論に残しておきたいと思います。
 それで、問題は教育委員会の活性化ということでございます。活性化というのは私も賛成でありまして、活性化しなければ教育の分権はないと思っています。しかし、この法律に出された活性化というのは、まことに改正してもしなくてもいいような事柄であります。教育委員会に保護者を加える件、教育行政に関する相談事務と担当者の指定、校長の人事の意見具申というふうな内容であります。こういうことを言うと失礼ですが、教育改革に値しないものであるというふうに私は見ています。
 それでは、どうすれば一体教育委員会が活性化するのかということなんです。そして、教育の分権化をより一層促進することができるのかということであります。
 それは、一言で言って、地方教育行政の自主性の確保であろうと思います。地方の教育行政が自主性を確保しているかどうかという問題に尽きると思います。どうしたら自主性が確保できるのか。私は、それぞれの教育委員会が教育予算の編成権と執行権を持つということにならなければ自主性は確保できないと思います。学校で使う鉛筆一本まで一々教育委員会とかいろいろなところを経なければ校長の勝手にならぬ、都道府県の教育委員会もみずから予算をつくったりあるいはつくった予算を執行するということができない、こんなことでどうして地方教育行政の自主性というものが確立できるのかということを思うんです。
 だから、教育委員会の活性化というのは、そうした問題に対してどうするのか。骨太のところに国が改革をしていかなければ、人事のときに校長が市町村の教育委員会に対して副申書をつけて、そして県の教育委員会に出すことができるなんと、そんなことを言わなくたって、現に私の知っている限りでは、必要な場合はそれが行われておりますし、本当に必要な改革というものを教育委員会がやらなければいかぬと思うんです。
 大臣、私が言いました、教育委員会が教育予算の編成権と執行権、これは市町村の教育委員会も一緒です。それで、学校の校長に予算をつけてお金を自由に使わせたらいいというふうな議論も中教審等で出てくる。私もそうしたらいいと思う。しかし、それとても学校の校長がみずからの学校の中の予算を編成し、そして今度は決められた予算を自分で執行することがなければ、一々教育委員会へ行って、コーヒー三杯研究会で飲みました、このお金はこれこれです、どうぞ出してくださいというようなことをやっているような予算の持ち方なんというのは、これは学校が煩雑になるだけだと思うんです。
 だから、学校というところの予算のそうした問題も、市町村の教育委員会、県の教育委員会もきちっとそういう編成権とか執行権というものを持つような状態にしなければいけないんじゃないか。それはあしたせいと言ってもできないかもしれませんが、やはりそういうものが必要であると私は思うんですが、大臣はどう思いますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 教育委員会のあり方の根源にさかのぼる御指摘でございましたので、この機会に若干経緯を話させていただきます。
 教育委員会の予算編成などにつきましては、旧教育委員会法ではいわゆる二本立て予算制度がとられていたわけでございますが、この制度は教育委員会と長との対立を招いて地方公共団体の行政が混乱するなどの弊害があったわけでございます。このために、昭和三十一年にできました現行の地教行法ではこれを改めまして、教育予算に教育委員会の意思を反映させるために、地方公共団体の長が予算のうち教育にかかわる部分などの議案を作成する場合には教育委員会の意見を聞かなければならないこととしたわけでございまして、これによって教育行政と一般行政の調和を図っているところでございます。また、予算を執行する権限は地方公共団体の長にありますけれども、実際の事務は教育委員会に委任されておりまして、執行については円滑な実施が行われているわけでございます。
 鉛筆一本買う、コーヒー三杯飲むにしてもというお話がございましたけれども、まことにそれではやりにくいというのは確かでございます。学校予算につきましては校長が自由にその使途を決められる、いわゆる校長裁量経費の創設などにつきまして、予算執行に関する校長の裁量の拡大について各教育委員会の積極的な取り組みを今促しているところでございます。
○本岡昭次君 この問題も法律に直接関係する問題ではありませんので、問題は後日に深めていきます。
 それでもう一点、教育委員の任命の問題なんですが、今も大臣がおっしゃったように、かつては公選制の教育委員会であった、それが任命制に変わったということなんです。公選制の教育委員会のよしあしというのはいろいろ功罪はあります。
 そこで、今、東京都の中野区で区民による推薦制の教育委員会制度というのが行われております。私も仕組みを持っているんです。準公選制の後、区民による推薦制というふうになった、こう思います。この区民による推薦制、これはどうなんですか。地教行法第四条第一項に、教育委員の任命は以下のようにすべしという項目がありますね。そのことから逸脱というんですか、違反していないから中野区でこういうものが行われているというふうに私も理解しておるんですが、そういうことで考え方としてはいいんですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今御指摘のように、東京都の中野区におきましては、平成八年四月から区長が定めた要綱によりまして教育委員候補者区民推薦制度が行われているところでございます。
 これは区民が教育委員にふさわしいと考える人物を区長に推薦するということでありますし、推薦者が百人に達した者についてはそれ以上集計はしないで本人の同意を得て氏名などを公表するということ。大事なことは、推薦結果は区長に報告されますけれども、区長は教育委員候補者の選任に当たってこれに拘束されることはないというものでございます。そのもとでなされている限り、これは法令上特段の問題があるとは考えておりません。
 ですから、区民の推薦制度につきましては、区長が教育委員候補者の選定に当たって推薦の結果には拘束されないこと、あるいは勧誘運動などがなされる可能性が低いなどということを前提に、今お話ししたようなふうに私どもは考えております。
○本岡昭次君 そうすると、中野の区民推薦制ですか、二回実施されているようでありますが、こうしたことが幾つかの地域で教育委員会の任命について類似のものが行われたとしても、さして問題はないというふうに受けとめていいわけですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 委員の選定については教育委員会の方で責任を持ってやるわけでございまして、具体的にどういうふうな工夫を講じていくかということはそれぞれの地方公共団体が判断していくということでございます。
 今回改正をお願いしておりますようなああいう、保護者を入れるとか、いろんな形で活性化を図っていくということが大事でございまして、それぞれの教育委員会に任されているということでございます。
○本岡昭次君 そうであれば、わざわざ法律改正して保護者を加えなければならぬというような、こういうことを一々やらずに、文字どおりそれぞれのところで自主的に地域住民がいろんな形で決めていくというふうにすれば問題がないんじゃないかというふうに思っております。
 それでは、次の問題に入ります。次は、高校の通学区制の削除が行われましたので、その問題に入ります。
 我が国の初等中等教育を行う学校体系は六三三制と言われて、基本的には単線型であります。現在、単線型が崩れて幾つか複線型になりつつありますが、六三三制、単線型であります。
 それで、後期中等教育、前期中等教育と、中等教育が二つに分かれて、後期中等教育、高等学校に進学していくそのスタートの段階、旧制の中学校が新制高校になったというこの段階で、私たちはその時期に学校で学んだんですが、高校三原則というものがありまして、それは小学区制、総合制、男女共学制であったと記憶しています。男女共学というのは、男女共学でない学校も公立であるようでありますが、この男女共学と。それから総合制というのが一番崩れているように思う。それから、小学区制というのが小中高というふうに地域の学校で学んでいくという仕組みであったわけです。
 それで、高校の通学区というもの、地教行法で定めてあったものを今度は削除するというこの問題です。何学区つくれとは書いてありませんが、通学区を定めることとするというのを削除するということですから、考え方によればこれは大変なことになると思います。
 それで、大臣にお尋ねしますが、この地教行法に公立高校の通学区制を定めた趣旨、目的はどのようなものであったのか。それから、大臣自身は高校の通学区制というものを定めることを必要と考えておられますか、必要でないと考えておられるのですか。そのあたり、どうですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 高校の三原則というのが、小学区制あるいは総合制、男女共学制というようなことが指されているわけでございますけれども、そのことが言われていた時期といいますのは、終戦直後の時期でございまして、高校進学率も極めて低い時期でございました。恐らく委員も選ばれた方として高校にお進みになっていらしたのではないかと思います。そのころは、やはり小学区というのをつくって、そしてできるだけ多くの人が高校に行けるようにという趣旨でこの三原則なり小学区制というものが定められたというふうに承知しているわけでございます。
 ところが、現在、高校進学率は約九七%に達しております。また、交通機関も随分発達いたしております。それに、何よりも生徒の能力、適性あるいは興味、関心、それから進路希望などが極めて多様化しておりまして、高校教育において小学区制でありますとか総合制が持つ意味は新制の高等学校が発足したときとは大変変わってきていると理解いたしております。
 これからの高校教育で大切なことは、多様な生徒の実態に対応して、生徒の個性を最大限伸ばすために多様な特色ある学校づくりが重要でございます。その角度から、各都道府県教育委員会あるいは市町村教育委員会におきまして、多様な特色を持った高校の設置に努力をしてもらっているところでございます。
 我が省といたしましても、今後とも、単位制の高校でありますとか、総合学科を置く高校の設置あるいは特色ある学科とかコースの設置など、高等学校教育の個性化、多様化を推進していく必要があると思いますし、それに応じて、選抜方法の多様化や評価尺度の多元化の観点からの高等学校入学者選抜の改善について努めてまいりたいということでございます。
 このことは申すまでもなく委員も御承知であったとは思いますが、今回あの規定を削除したという趣旨は、そういう経緯なり内容を含んでいた通学区域というものであったわけでございますけれども、今回の改正といいますのは、また別の観点から、政府の規制改革委員会の指摘を踏まえまして、地方分権を一層進めるということを重要視しまして、通学区域を設定するか否かも含めてそれぞれの都道府県教育委員会の判断にゆだねるということでありまして、通学区域の廃止を意図する、あるいは一学区にするというようなことを意図したものではないわけでございます。
 したがいまして、では私がどういうふうに考えるかというお尋ねでございますけれども、こういうことについて、せっかく地方公共団体にお任せをしているときに、大臣たる資格の私が一学区がいいとかなんとかと答えることは改正の趣旨そのものに反するわけでございまして、そこは御了解をいただきたいと思うところでございます。
○本岡昭次君 今までは高等学校の通学区制というものが必要であるという考えから地教行法の五十条に定めてありました。それを削除するということを明らかに大臣が、通学区というのは必要なんだけれどもそれを国の法律で定める必要はない、これはそれぞれ都道府県が所要の学区を決めればいいことだというふうに言われるなら、私もそのとおりだとこう言いますが、学区を定めるのか定めないのか、それも都道府県の自由な意思だというふうに今言われました。
 それは、考え方によればそれも一つの考え方として成り立つと思いますが、しかし日本の教育行政に責任を持つ文部科学省の大臣が、少なくとも高校の学区制を、通学区制を定めることは大事なことだというのかそうでないというのかという認識、そういうものを持っていないということではこれは困るわけでありまして、大臣がどういう認識を持っておられるからどうだということにも逆にならないと思うんですね。
 それでは、大臣は衆議院で次のようなことをおっしゃいましたね。通学区域の問題は大変重要なことで、それを判断するには生徒の進学動向、高校の配置状況、保護者の要請など地域の実情に応じて判断されるべきだというふうなことを衆議院でおっしゃっております。通学区域の問題は大変重要なことだと、それを判断するには生徒の進学動向、高校の配置状況、保護者の要請など地域の実情に応じて判断されるべきだというふうにおっしゃった。
 そうしたら、もう一遍話を戻します。これは間違いないんですね、大臣の認識として。どうですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今、読み上げてくださいました答弁の内容を、私としてはそのままで何も直すことはないと考えておりますが。
○本岡昭次君 はい、わかりました。
 今、全国四十七都道府県にさまざまの通学区制がしかれております。そのどの学区制も今、大臣が衆議院で発言されたように、生徒の進学動向、高校の配置状況、保護者の要請、親の要請など、地域の実情に応じて学区制が定められているわけでありまして、この法律で五十条は削除されたからということで、各都道府県が慌てふためいて通学区制のことについて、さあ、どうするかといって考える必要のないことではありますね。
○国務大臣(遠山敦子君) 各都道府県はもう少ししっかりとしておられて、こういうことで何か混乱が起きるというようなことはないのではないかと思いますけれども、今回の第五十条の削除といいますものは、通学区域に関します法律上の設定義務の規定を削除するものでございまして、これに連動する形で、直ちに現在各都道府県、市町村で定められている通学区域に何か変更を加えるべきとか、そういう性格のものでございませんで、そういうことも含めた上でそれぞれの教育委員会の判断にゆだねていくということでございます。これはもうまさに地方分権の精神に乗っかってこの規定を削除し、それぞれの実情に応じた判断でやってくださいということでございますので、これ以上私としてもつけ加えることもできませんし、またそれぞれの地域で十分考えられていくものと思っております。
○本岡昭次君 私は非常に疑い深いので、今まで旧文部省時代にいろいろと、だまされたとは言いませんが、後からいろいろと違うことが出てきて困ったことがあります。
 それで、今おっしゃったように、五十条は削除されたということでもって、これは文部科学省の方から直ちに都道府県に対して通知が出されて、この五十条が削除された、したがって各都道府県は現在ある学区制を見直しなさいというふうな、そういう指導、助言のようなものは、これは今の大臣のお話であればする必要がないし、これはしない、そういうことは絶対ないというふうに約束していただけますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今回の改正の趣旨というものが、通学区域の設定についてこれを各教育委員会の判断にゆだねるということでございまして、その改正の趣旨はもちろん指導はいたしますけれども、その定め方等について指導することは予定しておりません。
○本岡昭次君 最後の方をもう一度おっしゃっていただけませんか、はっきりと。ちょっと私も耳が遠いので困っております。
○国務大臣(遠山敦子君) 大きな声で言うことにいたします。
 したがって、各教育委員会に対して通学区域を設定するように指導するということは考えていないわけでございます。
○本岡昭次君 いや、だから私は逆のことを聞いているわけで、現在ある高校の学区制を見直しなさい、これは削除されたんだから見直しなさいというふうな指導、助言をしてはなりませんというふうに言っているんですが、いたしませんと言っていただければいいわけです。
○国務大臣(遠山敦子君) 再三同じ趣旨で答えておりますけれども、見直しをすべしというような形で指導することはございません。
○本岡昭次君 それでは、次に参ります。
 指導不適切教員の措置についてお伺いいたします。
 指導不適切教員とは一体どのような教員をいうのかということであります。だめ教師とか問題教師とかというようなことをいろいろ言われまして、私も、現場で教員をしていた者にとっては耐えられない言葉であります。問題教師といったら、僕も問題教師であったと思っているんですが、その問題というのは何が問題なのかということが問題でありますと、こういうことですよね。
 それで、こういう指導不適切な教員ということについて一体どういう教員をいうんだということなんです。衆議院の方で三点が例示されました。教科に関する専門的な知識、技術等が不足している、一体こんな人が先生になっているのかなと思うんですが、それから指導方法が不適切、三番目に児童生徒の心を理解する能力や意思に欠ける、ひょっとするとこういう人はいるかもしれませんね。この三点が例示されています。
 問題は、それぞれについて教科に関する専門的知識、技能が不足しているというこの定義に当てはまる具体的な教員の状況というのは一体どういうことなのか、あるいは指導方法が不適切というのはどういうことなのかということなんです。余り長くなってもまずいと思いますが、簡単にそれはこういうことを言っているんですよというふうに二、三の例を挙げてわかりやすく言っていただけませんか。
○国務大臣(遠山敦子君) これはあくまでも具体的な例でございまして、その性格というものを前提といたしまして、例といいますか、ある種の指導が不適切な教員として対象となる教員についての類型といいましょうか、そういうものでございます。
 第一の教科に関する専門的知識、技術等が不足しているためという類型の場合には、ではその中身は一体どうなんだろうということで、例えばそれは教える内容に誤りが多かったり児童生徒の質問に正確に答えることができない、これは一回限りのことではないと思います、常にそういうふうな状況であるような方を指しているんでありましょう。
 また、指導方法が不適切であるため学習指導を適切に行うことができない場合というふうに例として挙げているものとしましては、ほとんど黒板に向かって何か板書するだけで、児童生徒の質問については一切受け付けない。これでは子供たちの学ぶことへの意欲を育てることはできませんし、またそれにこたえることができないということで、そういうふうな指導方法では不適切ではないか。私が考えますには、教員というのは、まさに学校教育を成功させる、あるいはそれがうまくいかない、まさにキーパーソンでありまして、今申し上げたようなことというのは非常に大事なことではなかろうかと思っているわけでございます。
 さらに、児童生徒の心を理解する能力や意欲に欠けるというのは、こういうのは困ると委員御自身もおっしゃられましたけれども、さらに、ではそれはどういうことかといいますと、例えば児童生徒の意見を全く聞かないで対話もしない、あるいは児童生徒との間でコミュニケーションもできない、そのような場合が対象になるのではないかということで、例としてこういうことを考えているというところでございます。
○本岡昭次君 なかなか一つ一つ例に挙げていくと難しくなると思います。
 そこで、この指導不適切な教員、あなたは指導不適切な教員だという認定をするのは、これは文部科学省がおやりになるわけではありません。そうですね。これは教育委員会が行うと思います。そうすると、それぞれの都道府県教育委員会でこの教育委員会規則というんですか、またはその下の細則というんですか、何かそのようなものできちっと、都道府県の教育関係者と、特に現場でさまざまな体験、経験をしている人たちを交えて、教科に関する専門的な知識が不足しているというのはどういうことなんだ、指導方法不適切とはどういうことなんだということの例示を客観的なもので書き上げて、恣意的なもので、あいつ嫌いだからやってしまえとか、わしの言うことに反対ばかりするからやってしまえというふうなことにならないような運用が僕は必要だと思うんです。
 それで、ここのところを、これは県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会になるのか、必要なところできちっとしたそういう内容を規則なり細則等で決めていくと。決めていくことについては、そういう校長とかを含めながら、現場の関係者あるいはまた子供を学校に通わせている保護者とかいろんな人が見て、このとおりだという合意が得られるようなものをきちっとつくっていくという手続のような問題、それはきちっとおやりいただけますか。どうですか、そこ。
○国務大臣(遠山敦子君) 確かに先ほどお話しいたしましたような具体例だけですぐに不適切な教員にしてしまうのかという御疑問もおありかと思いますが、これは今回の改正の中身にきちんと書いてございますけれども、そういう措置が恣意的に行われないように厳正な判断を行われるように担保措置が幾つかございますが、その一つが手続をきっちり定めていくということでございます。その中に、これは県費負担教職員にかかわるものでございますから都道府県の教育委員会の規則を定めることになるわけでございますが、必要な手続として幾つかを想定いたしております。
 一つは、教育委員会内に判定委員会を設けて、特定の者だけが判断するのではなくて複数の者によって判断する、複数の目でそれはきちんと見ていくのであると。それから、その判定委員会などの構成としましても、指導主事などの教育委員会事務局の職員以外に専門的な知識を有する学識経験者などを加えていくことが望ましいことなどの、またもし必要ならばお答えいたしますけれども、そういう指導の中身をきっちり示して、それぞれの都道府県の教育委員会の規則がきちんとした形で定められるように指導をしていくのが私どもの責務でありまして、そのことは私どもとしてもきちんとやっていきたいと考えているところでございます。
○本岡昭次君 そういう判定委員会というような組織が当然必要でしょう。
 それで、判定委員にだれがなるのか、どのような人がなるのかということなのでありますが、その中にどうしても必要なのは、これは教育現場で起こることですから、やはり学校で働いている教職関係者がその判定委員の中に入っていなければその具体的な実態がわからないというふうに僕は思うんです。だから、そういう学校あるいは教職の状況のわかる者をその判定委員会には必ず加えるべきだと思いますが、それはどうですか。
 それから、この中で議論をされるということはかなり私事にわたる問題があり、プライバシーにかかわる問題も出てくるので、こういう判定委員には守秘義務というようなものをきちっと課していかなければならないんじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 判定委員会の構成につきましては、先ほども申し上げましたけれども、指導主事などの教育委員会の職員のほかに専門的な知識を有する学識経験者などを加えることが望ましいと考えておりまして、具体的な、ではだれにするかというようなことは、それこそ都道府県教育委員会においてきちんと判断されて判定委員会を構成されるものと考えております。
 また、判断に際して守秘義務が要るわけでございますけれども、そもそも人事に関する事柄でありますから、その教員のプライバシーに配慮することが必要でございます。また、この法律案におきまして指導が不適切であるかどうかが判断されるということから、判断の対象となったことが外部の者に知られるということは当教員にとりましてプライバシー等の重大な侵害にもなりかねないわけでございます。このために、個々の教員に関する具体的な判断につきましては当該教員のプライバシーに配慮することが重要でありまして、こういう点につきましてはそれぞれの都道府県教育委員会において適切に対応されるようにということについて指導してまいりたいと考えております。
○本岡昭次君 それで、判定委員会にかかる前かその中の議論の中で、要するにこれは病気だというふうにはっきりと判断される場合は、これは当然医療上の措置や休職という措置が先行されるべきで、指導不適切教員という範疇の中に入らないというふうに思うんですが、それでいいですか。
○国務大臣(遠山敦子君) そのとおりでございます。病気、精神疾患等の病気である教員につきましては、医療的観点に基づいた措置が講じられるべきものでありまして、今回の措置の対象にはならないと考えております。
○本岡昭次君 それで、一つの例を考えます。保護者から苦情が入ってくる。どうしても我慢ならない、これは指導不適切の教員の範疇に入るんではないかという苦情が入ってくる。そういうことがあると思います。そのときに、いわゆる判定委員会までのその間いろんなことをやらなければならぬと思うんです。
 まず、校長がそのことが事実であるのかどうか、そういう実態があるのかという確認をしなければならないだろう。そして、確認できた場合、それを改善する、改めるということに対して、学校がいわゆる教員に対する教育力というんですか、そういうようなものを持っていなければいけないわけで、それは校長なり同僚なり、そうした者がそういう状況を改めていくということや、またある場合は、校務分掌を変更するとか学校の中の教員の仕事を変えていくことによってそういう問題を解決すると。それでもまだうまくいかない場合は人事異動の問題がある、教育委員会内の研修のところとか、判定委員会に行くまでにそういう教員を立ち直らせていくというんですか、そういうために随分いろんな措置が僕は当然あってしかるべきだ、こういうふうに思う。
 それで、判定委員会でそうなったときに、今度は学校からそういう研修の場に行くんですか。そしてまた、そこで大丈夫だと言って帰ってきた。しかしどうもまだまずい、また行く。こう繰り返して、結局この人はだめだから本人の意に反して免職をさせて、そしてというふうなずっと時間的な経過というものがかなり綿密に僕は行われなければならぬというふうに思います。
 そこで、その判定委員会というものができたとしても、親から苦情が来たから直ちに判定委員会というのじゃなくて、私が言うように、少なくともその学校で問題を解決する努力というふうなもの、いろんなものがそこでなされるということが当然あると、私が今言ったような例示のことが。そのことはそのとおりだというふうに言っていただけますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 当然ながら、それぞれの学校で指導力に欠ける教員がいた場合には、今おっしゃったようないろんな手段を講じて指導力の向上に努めていくというのが役割でございまして、当然そういうプロセスを踏んだ上でなおかつ指導力の改善が見られない、あるいは幾つかこの法律上でも要件を課しておりますけれども、その要件に合致してしまうような場合にこの措置をとろうということでございまして、まず学校や教育委員会において指導力を向上させて、児童生徒に対し適切に指導を行うことができるように研修あるいは指導等を行うことが重要であることは御指摘のとおりであります。
○本岡昭次君 それで、そういう場合に、県費教職員がその対象ということになっていますが、最近、非常勤講師とかあるいは再任用職員とか言われる立場の方がおられますが、こういう人は対象になるのですか、ならないのですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今回の措置は非常勤講師でありますとか再任用職員というものは明文上対象から除いております。これは、再任用職員の場合は職務遂行の能力の実証に基づいて採用されて、任期も一年を超えないということでございますので、この任期中にこの法律案における転職の措置をとるということは可能性は極めて低いわけでございますし、また非常勤講師につきましては、地方公務員法上の特別職でありまして、この法律が適用されませんので、身分保障の適用がないことでございますので、この法律の適用の対象外にしているところでございます。
○本岡昭次君 それで、いよいよ最後に免職、本人の意に反して免職をして、そして県費教職員だから県の職員にいわゆる転職させると。そこで、免職させてというところが私はもう我慢ならぬのですが、免職させると、本人の意に反して。不利益処分をそこで与えると。そこまで手だてを尽くせば仕方がないじゃないかという理屈もあるけれども、そこで免職という処分のようなことをしなければならぬのかというところなんですよね。
 しかし、大臣がずっと衆議院でもおっしゃっていることは、そこは免職で終わりじゃないんだと、次に県の職員に採用されるということがなければここで免職はできないんだという理屈をおっしゃっているわけで、新しく採用されるというここのところで、本人が採用試験を受けて、いや、この人はだめだったというふうなことで免職を飛び越えてまたもとに戻ってくるとか、こんなことがあればこれは大変難しいことになると思います。
 だから、要するにその免職をさせるという行為の前に、本人の意に反して免職をさせて、させてというのか免職にして、そして次の新しい職場に転職することができるということが確定した段階でこの免職という措置がされるというふうに理解をしていいのかどうか。逆に、こちらの方でうまく転職ができなければ免職というところへ行かないというふうに理解していいのかという、ここなんです。
○国務大臣(遠山敦子君) 今のことは御指摘のとおりでありまして、この法律案におきます転職の措置といいますのは新たにつく職に必要な能力を有すると認められる場合に限って適用できるものでございまして、したがって免職と採用は一体不可分に実施されるべきものでございます。ここが分限の処分とは違うわけですね。
 そういうことでございます。
○本岡昭次君 そうすると、教育職としての教員にはどうもふさわしくない、適格性を欠くが、県の職員としての適格性があるという判断がそこにあって、それでここに定員の枠があって初めてこの法律は具体的に動くと、こういうことですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今回の転職の措置といいますのは、対象となる教員を、二つの要件がございますね、法律上、児童生徒に対する指導が不適切であること、それから研修等の措置が講じられたとしてもなお適切に指導を行うことができないこと、そのいずれの要件にも該当する者に限定しておりますし、またこの措置は都道府県の教員以外の職員についてその適性や能力を有する者を定数の範囲内で転職させようとするところでございます。したがいまして、二要件に合致し、かつ行き先がある場合にこの措置をとるということでございます。
○本岡昭次君 大体わかってきました。
 しかし、あくまで本人の意に反するということですから、不利益処分ということになるわけでありまして、そのときにやっぱり本人の意見を申し述べる機会とか、あるいは実際に行われたら人事委員会に不服申し立てをするということは可能なのか可能でないのか、そこはどうですか。
 それから、必ず本人の意見を、最終段階で意見を聞くという場をつくるということについて、どうですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 人事委員会への不服申し立てにつきましては、これは可能でございます。
 それから、意見を聞くということにつきましては、これは必要条件として意見を聞かなくてはならないというふうには事柄の性格上書けないわけでございますけれども、実質上、それは意見を聞きながら、一体どうしてこうなったのかとか、いろんな機会に意見を聞きながら指導力の中身について判断されるわけでございまして、そのおっしゃった意味での意見を聞くということは実態上ございますけれども、意見を聞くということを要件にはしていないわけでございますが、必要に応じて聞くということで、最大限そういう措置をとろうとしているところでございます。
○本岡昭次君 まだこれは次々と質問の時間がありますので、次回、その次と続けていきたいんですが、必要に応じてその機会を与えるじゃなくて、やはり本人に意見を述べる機会を与えるというふうに、そこのところは文部科学省も一歩踏み込むべきであろうと私は考えますが、今は意見だけにしておきます。
 次に、今回、衆議院から参議院に送られてくるときに附帯決議が行われました。その附帯決議の中に、「今後、教員の資質向上を図るため、教員の養成、採用、研修の連携をさらに深めるとともに、教職員の勤務条件の一層の改善に努力すること。」というものがあります。
 私はまことに立派な附帯決議だと思っております。しかし、附帯決議というのは何かそのときの一服の清涼剤みたいなもので、飲んでしまったら後は何もないという、終わったら、そんなものありましたかということになりがちなのであります。しかし、私は少なくとも委員会でみんなで手を挙げて採決した附帯決議というのは重いものだと受けとめるべきだと考えています。そういう意味でこの附帯決議を見るときに、非常にいい附帯決議が衆議院でついてきたと考えます。
 それで、大臣にお伺いします。
 この中に、「教員の養成、採用、研修の連携をさらに深める」、これは極めて大事なことで、今後具体的にどうするんですかということをまたお聞きする機会はあると思いますが、きょうは主としてその後段の「教職員の勤務条件の一層の改善に努力すること。」ということがあります。ここのところ、どのように大臣はこの決議を受け取られるかということであります。
 それで、私なりにこの附帯決議を受けとめてみると、次のようなことを考えます。勤務条件というのはいろいろございます、勤務時間の問題から始まって。それで、やはり子供を教えるという教員のその問題について考えたいんです。旧文部省時代から、私は二十年余りここにこうして委員に属しておるんですが、これは旧文部省の皆さんの願望であったと思います。
 よくこういうことを言われている。教員が一時間の授業を行う場合に、事前に一時間、事後に一時間の教材研究なりあるいは授業研究、そういうものがしっかり行われて、いい授業をしてもらいたいと思っているんだと。私もそのとおりだと、こう思います。やはりいい授業をしなければいかぬわけで、いい授業をすると、子供も楽しく、そしてよくわかったという、そういうことになれば、指導不適切というのはあり得ないわけであります。そうすると、問題は、事前に一時間、事後に一時間の教材研究、授業研究、いろんな調査、そういうものを学校の教員が学校に勤務している間に持てるのか持てないのか、どうしたら持てるのかという問題の議論、ここをきちっとしたい。だから、三十人以下学級というものを私たちが出してきたのもそういう意味合いがありました。
 それで、あの法律を出すときに、こういうふうに事前事後に一時間ずつやろうとすれば、小学校、中学校で一人の教員が一週間子供を教える時間は約十五時間前後。十五時間前後のところまで持ってくれば学校五日制になってもかなりゆとりができて、子供のこうしたあすの指導のために、きょうの勉強したことに対するいろんな反省のために学校で使える時間ができる、研修する時間もできる、校内研修も可能になるというふうにして、その人数をはじき出すと、まず当然そこに対して事務職員も栄養職員もずっと養護教諭も配置していくことになりますから、何と四十万人ぐらいふやさぬとこうはならぬという試算が出てきまして、四十万人、ううん、いや、雇用をふやせというときだから先生のなり手もたくさんあるし、四十万人ふやすことはあながち困難ではないと思うが、このお金、一人五百万というふうに計算すると二兆円以上のお金がかかる。そんな金はどこから出てくるんやというふうな議論がどんどん出ていくわけで、よいことはわかっているんだけれども、それに対する財政的な裏打ちができない。
 できないから、現場の先生、しんどいやろうけれども頑張ってくれやというところへ行く。職場はだんだん多忙感になっていくということで、それでその中で出てくるのは、指導不適切教員というようなものがそこからやっぱり生じる要因ということになるわけで、そういう意味からすれば、「教職員の勤務条件の一層の改善に努力すること。」というこの附帯決議は非常に重い意味を私は持っておると思うんです。
 それで、この種の附帯決議というのは余り、私たちも今まで附帯決議のときにつけてもらいたいといって頑張っているんですが、時の与党が反対するのか、文部省が反対したのか、なかなかこういうものは言葉になってあらわれなかった。しかし、今度はこういう言葉がきちっと出てきたということは非常にうれしく思います。しかし、思っただけではさっき言ったように清涼剤を飲んですかっとしたというだけになるわけで、実際、このことを具体的に文部科学省と国会とが力を合わせてやり遂げていかなきゃならぬわけで、そのことによって初めて、現場の教職員が言われるところのだめ教師やとか、問題教師やとか、指導不適切教員というようなことを言われなくても済むという条件をここで具備する。
 もう一つは、教員の採用とか研修とかいう問題がありますけれども、養成とか、そうじゃなくて現場そのものにすればそういうふうに思うんです。そのことと、教職員に対するメンタルケア、ここのところもきちっとした体制を学校でとっておかなければならぬというふうに、あわせて勤務条件の中の大事なものであろう、こう思うんです。
 たくさんしゃべりました。大臣、どうでしょうか。この教職員の勤務条件の一層の改善ということについて大臣のお気持ちを語っていただけませんか。これだけのことを、学校の教職員に指導不適切な教員がおればこうしますよと言って非常に厳しい対応を今あなた方は求めようとしているんですから、どうでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) この附帯決議で指摘されたことは大変重要なことだと考えております。教員の方々の学校現場におきます多忙感というのは言われて久しいわけでございますし、特に一部の教員に過重な負担がかかっているというようなことも見られるわけでございまして、やはり校務の適正な分掌を整えていくこと、できれば教員がゆとりを持って教育活動に専念できるように会議や行事の見直しなどの校務運営の効率化も図らねばならないと思います。こういうことについて教育委員会に対して指導を行ってまいりたいと思います。
 また同時に、先般も定数改善をやっていただきましたりいたしまして、少しずつその負担が軽減できるように、しかもその負担軽減という角度もさることながら、内容ある教育の転換ができるように、いろいろ定数改善措置についても委員の方々の御協力を得て進んでいるところでございますけれども、そういう問題については今後とも努力を払わねばならないと考えております。
 また、メンタルヘルスの問題も大変重要でございまして、そういうゆとりを持った校務ができるように効率化を図っていきますのと同時に、日ごろから教員の方が気軽に周囲に相談をしたり、あるいは情報交換したりする職場環境をつくることが大事でありますし、さらに教員に対するカウンセリング体制の整備でありますとか、心の不健康状態に陥った教員について早期に発見をし早期治療に努めることも大事であろうかと思っております。
 ですから、教育委員会の方も、積極的な学校訪問などを通じて、学校の様子でありますとか各教職員の状況を的確に把握をして、メンタルヘルスも含むいろいろな勤務条件のことについて、常に実際を把握した上でできる限り対応していく必要があろうかと思っておりまして、私どもにとりましても、この問題について都道府県教育委員会に対して指導、助言の徹底を図ってまいりたいと思っております。
○本岡昭次君 それでは、次に学校教育法に参ります、かなり時間が経過しましたので。
   〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
 それで、学校教育法のところの飛び入学の点について質問いたします。
 そこに有馬前文部大臣、中教審会長がおられるわけですが、私は今まで中教審というものは余り好きやなかったんです。中央教育審議会、そこでやっている議論というものは、日本の教育をどっちに持っていくつもりなのか、いつも半分目をこすりながら、だまされぬようにせにゃいかぬというような思いで見てきました。見てきましたと言うておるんです、過去形で。
 それで、今度の学校教育法改正の飛び入学というのは、中央教育審議会の平成九年六月二十六日の「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」というこの答申、私はこれをもらっただけで、こんなのぽんとほっておったんですが、改めてこれをずっと見てきたわけです。というのは、飛び入学と深く関係があるということですね、今、我々が議論していることと。
 そこで、私も余りこういうことについての学識はないんですが、どうでしょうか、遠山大臣、中教審が「教育上の例外措置」という章を起こして、その中で「大学入学年齢の特例」という項目をつくり、そしてそこで飛び入学というものを実施するということについてかなり詳細に書き上げて、私、何遍もこれを読み返してみたんです。
 そして、学校教育法を改正して飛び入学を持ってきた根拠は、この中教審じゃなくて、森内閣、またその前のお亡くなりになった小渕総理のときに教育改革国民会議というものが総理の私的諮問機関としてつくられて、そこに集まられた学者の皆さんがまさに私的諮問機関として何ら法的根拠を持たずに自由濶達に御議論なされた。それはそれでいいんです。そして、それを一つの報告書としてまとめて、そしてそれに基づいて文部省がいろんな施策を打ち出そうとしている。しかし、その前には中央教育審議会にいろんなことを諮問して、中央教育審議会もそれなりに一定の方向を出そうとしている状態であったはずなんです。
 それで、遠山文部科学大臣は、一体この中教審でされてきた議論というものをどのように受けとめておられるのか。これを尊重して、そしてこの飛び入学というものを学校教育法を改正して入れようとされたのか。それとも、そうじゃなくて、教育改革国民会議の中で出てきた議論をストレートに取り上げてこの法律のところへ持ってこられたのか。その基本的なところはどうなんでしょう。(「両方だ、両方」と呼ぶ者あり)いや、両方じゃないんだよ。
 遠慮せずに、田中外務大臣みたいにぼんぼんとおっしゃって、そこを。
○国務大臣(遠山敦子君) 中央教育審議会、なかなかよろしいというお話でございまして、私どもも大事なことについては文部科学大臣が判断をして必要なことについては中央教育審議会に諮るわけでございますが、今のお話の点に絞りますと、平成九年の中教審の答申におきましては、個性尊重の理念に基づいて一人一人の能力、適性に応じた教育をより一層展開していくことが求められるというふうに提言されております。教育改革国民会議におきましても、それぞれが持って生まれた才能を発見し伸ばすべきであるというふうに提言されているわけでございます。
   〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
 これは、表現の仕方はやや異なるかもしれませんけれども、中教審において重要とされた一人一人の能力、適性に応じた教育をより一層展開していくということと、それぞれが持って生まれた才能を発見し伸ばすというそのトーンというのは、これは同じような考え方を基本としていると思うわけでございます。
○本岡昭次君 しかし、文部科学省が出してきた二十一世紀教育新生プラン、ここでは政策課題というところに大学入学年齢制限の撤廃というタイトルのもとにどんと出てくるんですよ。大学入学年齢制限の撤廃という項目、私、一生懸命ここで飛び入学というのはどこにあるのかと見たら、どこにも書いてなくて戸惑ったんです。
 だから、この大学入学年齢制限の撤廃ということ、要するに千葉大学のこういう先進科学教育センターとかいうようなところでこの三年間に一年三人ずつここのセンターで新しく開発したプログラムのもとに飛び入学した子供たちの教育をやっているというふうな今実証を積み上げているというところが一方にあるわけなんですが、その一方で、大学の入試年齢、高校三年十八歳というようなものはもう撤廃してしまって、要するにそういうものはもう教育上の例外措置とかいうことじゃなくて、もう一斉に英才教育、才能教育の早期化というところに入ってしまおうというふうに文部省は考えておるのか。
 中教審はごく一部の限られたというふうな表現を繰り返しやっているんですよね。全国的に見てもごく少数の者に限られてそういう特例措置を講じるんだと、あるいはまたそういう人たちは将来高度の研究活動に携わることが望まれる者だと、あるいはまた受験競争を激化させないためにも、これを広く一般的な制度とすべきでなく、対象者はごく少数とすべきであるというふうなことが繰り返しこの中に述べられているんです。
 そして、対象者は、「稀有な才能を有する者は、言わば天賦の才を持つ者であり、驚くような斬新な発想や独創的な考え方を提起するなど、一分野で突出した才能を保持し、早い時期に専門家から適切な指導を受けることが望まれる者で、将来、学問の新しいフロンティアを開拓する可能性を持つ者である。」と。そして、結局、「そのような者は、すべての分野で平均的に高い得点を取る者や受験技術にたけたいわゆる「受験エリート」でないことはもちろんのこと」であると。
 こういうふうに飛び入学ということについてかなり限定的に議論を進めて、そして将来高度の研究活動に携わるという、可能な者だということでやり、またこの千葉の実践例もそういうところを目指してやっているように受けとめているんですが、今度の場合は最初は何しろ短大でも結構だ、専修学校でも結構だと。どこでもいいんだ、十七歳から大学へ飛び入学ができるんだという非常に乱暴な発想をおとりになったでしょう。それで、衆議院の方でおかしいじゃないかということになって修正がされた。当たり前だと思うんです、私、修正されるのは、あんな乱暴なやり方をしたら。
 少なくとも、中教審のそこの線を大事にしながら、千葉大学等がやっている実証的な研究、そういうような成果をじっくり見て、そしてこうしたことを可能にするガイダンスというものをつくり上げて、そして後にこうした問題に入っていくべきで、そういうようなものも積み上げないままいきなり分野も広げる、それで一般のどの大学でも結構だというふうな発想で来た、そこのところは私は大変な間違いを犯したと思っているんですが、大臣はそう思われませんか。
○国務大臣(遠山敦子君) 大変雄弁でいらっしゃる委員のお話を聞いていると、何か大変なことが起きそうでございますけれども、今回の飛び入学の制度を提案いたしておりますのは、これまでの日本の教育というものが平等性を重視する嫌いがあって、一人一人の能力、適性に応じた教育を進めて、その能力を伸長するということがなおざりにされてきたというふうにも言えるわけでございます。このことはもういろんなところで指摘されております。このために、特定の分野で特にすぐれた資質を有して、大学入学によってその才能の一層の開花が期待される者については、飛び入学の導入によってそのチャンスを用意するということとしたものでございます。
 特にすぐれた資質ということで考えておりますのは特定の分野で他にぬきんでてすぐれた資質でございまして、だれが見てもすごいなという能力を持っている人と私自身は考えておりまして、それが広くあちこちに出てきて大変な数になるというようなことは到底考えられないように私は思っております。分野によっても異なりますが、例えば総合化するような思考力でありますとか構想力であるとか、あるいは斬新な発想、独創的な考えを提起する力、あるいは理解が極めて早いとか、他にぬきんでてきらりと光る才能でありまして、もしそういうような人がいれば、しかも大学側がきちんと受け入れ体制を整えて、この分野できらりと光る才能を自分のところはきちんと受け入れて、こういうふうな教育の中身で飛び入学で入った人を教育しますよ、それのバックアップ体制はこうですよということまできちんと用意した上で受け入れるのならば、そういう道を開くというのは、今のいろいろと閉塞化した日本の教育の中で一筋の光明を与えるという意味があると私自身は個人的に考えております。
 そういうことを担保するためにいろいろな方途が必要でございまして、できるだけ飛び入学の制度を活用したケースについては広く情報公開をしていく、あるいはどういう人について受け入れていくべきか、あるいは大学はどういう程度の準備をすべきか、あるいは高校との連携はどうかといったようなことについて広く議論をしていただくというようなことは大事だと思っております。
 さりながら、そのガイダンスがきちっとでき上がった後にそれをすべきであるという御提案でございますけれども、先ほど私が申しましたような、この新しい教育改革という大きな流れの中で一つそういう新しいチャンスというものを開いていく、そのことの意味は私は極めて大きいと思っております。ただ、これを開くことが日本のこれまでの学校教育体系を揺るがしたり、あるいは非常に多くの人がそれになだれ込んでいくというようなことは考えられないわけでございます。
 先生もおっしゃった中教審の議論の中にも、将来的には例えば年齢制限を十六歳以上の者とすることも考えられるところであって云々として、今の提案している法律案よりさらに突っ込んだ方途についても議論をされていたり、いろいろこの問題については議論が深まってきていた。そういう中で、しかも教育改革国民会議におきましては、大学入学年齢制限の撤廃を考えてはどうかという提案であったわけでございますけれども、今回はとにかく高校では二年間はきっちりとやっていただくということで、大学への十七歳入学についてのみ分野の制限を撤廃するということで提案しているわけでございます。
○本岡昭次君 私もこうしたいわゆる科学技術とかいろんな先進的なすぐれた研究をし、そして世界に貢献していく力を日本が持たなければならぬ、それは現在の六三三四というこの単線型の仕組みの中ではできないとすればどうしたらいいかという問題を議論することはやぶさかでないし、やるべきだと思うんですよ。ただしかし、六三三という一つの原型の日本の大学という、その六三三というものが全体としてどうなるのかということをしっかりと議論していかぬと、上だけつまみ食いみたいにしてやっていくということは、これは非常に教育に混乱を起こすだろう、時期尚早だという私は考えを持つんです。
 それで、この「はばたけ若き挑戦者」、千葉大学の先進科学教育センターが平成十二年三月にこういう本を出して、私たちも研究したんですが、少なくともこういうことをやろうとして四年かかっていますよね、実際に受け入れるまで四年の歳月を。それでいまだに研究していますよ、こうしたらどうだろう、ああしたらどうだろうといって。これは大変なことですよ、これを見たら。それを一挙に、できるところは皆おやんなさいで、ぱっと店を広げたということでしょう。いささか私はこれは乱暴やと思うんですよ。
 だから、どうでしょう。この法律を、与党が多数だからばあっとお通しになるだろうと。通したら、来年の三月か四月から、こんな飛び入学というものをやれるところはどこがやっていただいても結構ですよというふうな乱暴なことはなさらないとは思います。しかし、この法律だけほっておけばそうなるわけで、だから私が言ったように、少なくとも千葉大学の先進的な研究、今度は名城大学いうのがそれに呼応してやろうとしておりますが、やはり幾つかのそういう先進的な大学の実証例というようなものをずっと積み上げていって、そしてこうした飛び入学というものを実施するに足る学校はどの学校か、受け入れ可能な学校はどういう学校かというふうなことをやはりきちっと責任を持って決めていくということが必要だろうし、その対象者をだれにするかという問題も、千葉大学のこれを見ても、高等学校の先生とのかなり綿密な連係プレーがあるようですし、それが全国のすべての大学院を持つ大学のところへ、国公私立含めてそれが可能になったとすれば、私はちょっとまずいというふうに考えます。
 だから、そこで大臣に、せめて飛び入学のガイドラインというふうなものを、全国レベルの大学関係者、高等教育関係者、有識者に協議の場を設けると、これは大臣もおっしゃっているわけで、中教審もそういうことをすべきだと書いてある。だから、そういう人たちによって、千葉大学のこの先進的な取り組みの後を受けて、それを全国的に、これをやろうとすればどういう仕組みをつくっておかなければならぬか、そのことは高等学校の教育、中学校の教育、ひいては小学校の教育にどういう影響を及ぼすことになるのかというふうな総合的なものをやはりきちっとこういうところで議論をして、そして一定の答えが出たときに初めて実施に移す。対象者、受け入れ方法、受け入れ大学の条件、受け入れ後の学習、研究していく状況、そうしたものをきちっとつくっていって初めてこの飛び入学をスタートさせる、そのぐらいの十分な準備というんですか、時間をかけた対応をやらなければいけないんじゃないかというふうに私は思うんですが、そういうふうになさいませんか。どうですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今の全国レベルでの協議の場については私どもも考えておりまして、大学関係者、高校の代表者、有識者などを含めたそういう全国的なレベルでの協議の場を設けて、この運用のあり方について協議をしたり、実施状況について検証を行ったり、適切な運用を確保することを考えていきたいと思っております。
 この協議の場におきましても、例えば飛び入学の事例の蓄積をもとにしまして、高校と連携しながら、特にすぐれた資質というものをどのように判定するのか、また大学においてその資質を伸ばすためにどのような指導を行うのか、どのような準備が必要であるのか、カリキュラムはどうなのか、それを指導する教員はどうであるのかなどの運用のあり方について協議をしてもらい、望ましいあり方を示すことが考えられるというふうに今考えているところでございます。
○本岡昭次君 だから、そういうものがずっと出てきて、ガイドラインというんですか、受け入れ学校の実態、対象者をだれにするのかとか、どういうふうにして選ぶのかというふうな一つのガイドラインのようなものができて、そして、これなら送り出していく高等学校側も、現状の高等学校教育に混乱が起こったり、そういう何か受験体制がさらに新しい形で激化するというふうにはならないと。
 一方、いわゆる中等教育のところには中高一貫教育をやる中等学校というふうなものがあって、そこは六年間の勉強を五年間でやってしまって、カリキュラムをですよ、それであとは受験のところへ入っていったらいいというふうなことが可能な状況がこちらにある。片っ方は三年、三年で並んでいくところがある。
 そういうさまざまな今全体の大きな変化が起こっていることに対して、やはり注意深く、この飛び入学というものが果たすであろう教育に対する混乱、あるいは現在ある問題点をさらに悪い状況に導いていくようなことにならないという、そういうきちっとした答えを出してからスタートをさせるべきだと、こう言うとるんで、やりながら協議をするというようなことはいささか乱暴じゃないですか。
 私も百歩妥協して、飛び入学問題、将来の教育のあり方、また科学技術立国として進んでいくことについてのある一つの道筋として、絶対だめだという立場には今立っておりませんが、しかしながらこういう何か非常に乱暴な形でこうしたものを導入していくことについてはちゅうちょがあるし、もう少しやり方として、慎重な、実証を一つ一つ積み上げていくというやり方があってもいいんじゃないかというふうに私は思うんですよ。
 どうですか、今言いましたように、もう何が何でもこれが通ったら来年の四月からこの方法でやれるところはおやりなさいと言ってばっとこのことを投げ出すんですか、文部科学省は。それとも、この協議の場でじっくり今言ったガイドラインのようなものをきちっとつくって、そして時間をかけてスタートするようにされるのか。ガイドラインをきちっとつくってからおやりになったらいかがですか。もともと乱暴過ぎるんですよ。
○国務大臣(遠山敦子君) 委員の御心配というのもよくわかるわけでございますが、これだけいろいろと、それが適正に行われるように私どもも注意をしてこの制度の運用についてハンドリングをするとお話ししておりますので、とにかくガイドラインができるまでストップといいますよりは、それぞれのところが責任を持って徐々に運転を開始しながら、私どもとしてもできるだけ、今お話しのように、選抜の透明性を高めたり、あるいは社会の批判にこたえられるように、それぞれの検討すべきことについても検討してまいりたいと思っております。
 一方で、これは全く個人的な意見でございますけれども、幾つかの諸外国におきましては、このようなことについてはもう年齢にこだわらずにどんどんすぐれた人を大学に進ませていて、そういう人たちがその国の将来を担っているという現実もございまして、そういう中で、制度の緻密さというのも大事でございますけれども、今回変えようとしている精神そのものも非常に大事な点であるということだけは申し添えたいと思います。
○荒木清寛君 まず、このたびの池田小学校におきます蛮行につきましては、児童八人の御冥福を心からお祈りいたします。また、被害に遭われた児童、教諭の皆さんの一日も早い御回復を祈りたいと思います。
 また、文部科学省におきましては、この問題につきましてはすぐに対策委員会を設置して、副大臣、政務官をすぐに現地に派遣するという危機管理体制をしっかりとったということは私もこの際評価をしたいと思います。
 そこで、地域に開かれた学校と安全確保の問題について種々論じたいと思ったんですが、午前中かなりこの問題については議論がなされましたので、省略をしたいと思います。
 しかし、この問題は、単に政府に任せるだけではなく、私たち議員もまさにこうした安全神話が崩れたということにどう取り組んでいくのか、どう再発防止に取り組むのか。その中には触法精神障害者の対応の問題もあろうかと思います。そうしたことも私たち議員もしっかり議論していくということをここで申し述べたいと思います。
 私は、先ほど遠山大臣のお話を聞いておりまして非常に賛同いたしますのは、地域社会とともに子供を育てなければいけないということを午前中の質疑でおっしゃいました。私はそのとおりであると思います。ですから、この問題に関して言えば、自分の子供だけではなく、地域全体でその地域の子供を守るということになっていかなきゃいけない。私は小学校、中学校につきましてはあくまでも地域に密着をしたあり方でなければいけないと思います。あるいは、小学校、中学校が地域のコミュニティーの拠点としてある意味では機能しなければいけない、そのように思います。
 そこで、これは大臣にお聞きをしたいんですが、先ほど地域社会とともに子供を育てるということをおっしゃいました。しかし、なかなかそうはなっていないという現実もあろうかと思います。そういう地域に密着をした学校のあり方ということについて今後どう大臣として政策を遂行していく決意なのか、このことだけまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 地域に開かれた学校づくりの理念というのはかなり普及してまいったと思っておりますけれども、そのことはなぜかといいますと、これまでともすれば学校が閉鎖的であるといった批判があったことから、それから脱して学校教育の活性化を図るために、学校が地域社会や家庭に働きかけを行って、家庭や地域社会とともに子供たちを育てていくという視点で取り組んでもらうというのがねらいであると思います。
 このために、文部科学省としましては、学校の開放を促進するための施設整備への助成をやったり、あるいは学校開放による地域住民へのさまざまな学習機会の提供などの事業への助成といった形で、学校が地域の人たちに使われるように、また理解と協力を得て学校教育活動がさらに活性化していくようにという角度で、できることは助成をしたりということでやってまいっております。
 殊に、新しく体験活動というようなものを重要視するという趣旨の今回の改正を契機としまして、地域の住民の方々の協力を得ないとその目的も達せられないということもございます。一方でこの間のような事件もあるということで、大変難しい段階ではございますけれども、開かれた学校の精神と申しますか、その考え方というのは今後ともそれぞれの地域できちんと実現できるように努力をいただきたいと思っておりますし、私どももできるだけの援助をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○荒木清寛君 先ほども、アメリカのスクールポリスではありませんけれども、警察官やあるいは警備員の人に来てもらったらどうか、いや、それは抵抗があるというようなお話もありましたけれども、しかし地域を見れば、警察官のOBだっていらっしゃいますし、あるいは今六十歳定年でまだまだ元気な方もたくさんいらっしゃるわけでありまして、そういう地域の活力を利用するということも今後十分考えていただきたいと思います。
 そこで、次に公立高等学校の通学区域の規制緩和についてお尋ねをいたします。
 地教行法第五十条を削除するわけでありますが、今回の法改正の趣旨は那辺にあるのか、まずお尋ねをいたします。
○政府参考人(矢野重典君) 今回の改正は、政府の規制改革委員会の指摘を踏まえまして、地方分権を一層進める観点に立ちまして、公立高等学校の通学区域を設定するか否かも含めまして、通学区域に関する事柄について今後は各教育委員会の判断にゆだねることとするものでございます。それが今回の改正の趣旨でございます。
○荒木清寛君 そういう教育における地方分権という意味において評価いたします。
 そこで、教育改革国民会議の提案の中には学校選択の幅を広げるということがございまして、私は、この通学区域の規制緩和が、では今後小学校、中学校についてはどうなるのかということに非常に関心があるわけであります。
 東京を中心に公立の小中学校の学区の見直しや学校選択の自由を認める動きが広がっております。今回の法改正によりまして、これが通りますと、同様に小中学校の学区のあり方についての議論が広がることもあるいは予想されます。こういう国民会議の提案のような学校選択制の幅を広げる、これをそのまま小学校、中学校に適用すれば、学区の撤廃ということにもつながるかもしれません。
 しかし、もしそうなりますと、先ほども少し申し上げましたけれども、ただでさえ希薄な地域社会との結びつきが断ち切れてしまうのではないか、この点がやはり高等学校と小中学校の重要な違いであると思います。あくまでも小学校、中学校というのは身近な生活圏の中で展開をされなければいけない。これは、私も先般お話を聞きましたが、東京大学の藤田英典先生も書物の中でおっしゃっているところであります。
 要するに、地域社会における異質性あるいは多様性、そういうものを反映した学校の中で人間関係を展開するということに小中学校の教育の大きな意義がある。私も、自分自身の小学校時代を振り返ると、まさにそう思うわけでございます。
 そこで、お聞きをいたしたいのは、公立高等学校についての規制緩和については理解をいたしましたが、今後、公立の小学校、中学校の通学区域の規制緩和についてはどう対処していくのか、お聞きをしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 今回の公立高等学校の通学区域につきましては先ほど説明させていただきましたとおりでありますが、今御質問で、小中学校の通学区域についてはどうかということでございますが、公立小中学校の通学区域につきましては、各市町村教育委員会において教育上の影響等に留意しつつ弾力的に運用に努めるよう指導しているところであります。
 先ほど先生から御指摘がありましたように、この通学区域の弾力的な運用は、一般論としましては、選択の幅が広がる等幾つかメリットが考えられます。一方で、つながりが薄れる、こうしたデメリットがあるのもおっしゃるとおりだと思います。こうしたメリット、デメリットをそれぞれしっかりと把握した上で、各教育委員会におきまして総合的に勘案して適切に運用していく、これが当面、小中学校においてもあるべき姿だというふうに考えております。
○荒木清寛君 私も弾力的運用ということについてはもちろん賛成でございます。
 私は名古屋の新興住宅地域に住んでおりますけれども、ちょうどそのような事例に最近も遭遇いたしました。その地域の学区の小学校に通うには大きな道路を渡らなければいけない。ですから、隣の学区の学校に行った方が近いし、安全であるし、ぜひそこに行きたいという議論でありまして、ただしその前の学年のお子さんたちは本来の学区に行っておって、それを認めると地域が分断されてしまうというようなことで大変な議論になって、相談を持ちかけられたこともあるわけであります。
 いずれにしましても、そういう弾力的な運用ということは十分に配慮してやっていただきたいと思いますが、しかし今、副大臣がおっしゃったように、やはり小学校、中学校の特性、地域に密着をした学校であるべきだということを十分に考えていただいて、これは今度の改正の公立高等学校と同じような考え方でやっていただいては私は困ると思いますので、意見を申し述べたいと思います。
 そこで次に、今回は教員の資質の向上ということも法改正の中に含まれているわけであります。この改正案そのものではなくて、ちょっと違う視点から、私は前から考えていたことがありますので論じたいと思うのであります。
 これは、端的に言いますと、教員養成の大学院をつくるべきではないか。昔は師範学校というのがあったそうでありますが、そういうことであります。といいますのは、六月十二日に司法制度改革審議会が法曹養成に特化した法科大学院をつくるべきだという構想を打ち出しました。意見書として打ち出しました。この審議会の審議については文部科学省もある程度関与されてきたはずでありますが、この意見書に言いますところの法科大学院構想をどのように評価されているのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) このたび総理に提出されました司法制度改革に関する司法制度改革審議会の意見書でのねらいは、法科大学院につきましては、これまで司法試験というのは一発勝負のようなものであったわけでございますけれども、それをプロセスとしての教育の重視ということによって質の高い法曹人を養成しようということであると思います。その意味で、司法制度改革審議会の精力的な審議の結果としての意見書の取りまとめに敬意を表しているところでございます。
 もとより、我が文部科学省といたしましても、社会的な要請を踏まえまして、既に高度専門職業人に特化した実践的な教育を行う専門大学院、これは修士課程でございますけれども、この制度を設けて積極的にその設置促進を図っているところでございます。
 その意味で、法科大学院構想というのは長年問題であった質の高い法曹人をつくるという意味でも大変重要な意義を有するものであると考えておりまして、その実現に向けて今後とも関係機関とも連携をとりながら積極的に対応していきたいと考えております。
○荒木清寛君 もしこの法科大学院ができますと、今後、大学を卒業しましてこの大学院に二年ないし三年行かなければ原則として司法試験を受けられなくなるわけであります。そういう意味では、エリート教育を受けなければ弁護士になれない、裁判官になれない、検事になれない、そういうことで本当に庶民の心がわかるのかという危惧もあります。しかし、今、大臣がおっしゃったように、一発勝負型ではなくてプロセスを重視するという意味ではそのようにしなければいけないということであったかと思います。
 私は、このことを取り上げましたのは、そうであればもっと強い意味でこの教員養成についてもそういうプロセスを重視した専門大学院を設けるべきではないかということを申し上げたいわけであります。
 司法というのは民主主義の一翼を担うわけであります。三権分立の中の一角を担っているわけでありまして、今後グローバル競争という社会、あるいは規制緩和の中で弱い人の人権が侵害されてしまうのではないか。まさに先般のハンセン病問題についての熊本地裁の判決というのはその司法のあり方というのをしっかり示してくれたわけであります。そういう意味では、司法に携わる人材のレベルアップをする、資質を向上するということは私は非常に必要なことであると思います。
 しかし、そういう意味でいえば、教育というのは、そうした司法だけではなく、もうあらゆる社会のシステムの基盤をなす人材を養成する仕事が教育であるわけでありまして、私に言わせれば、弁護士よりもお医者さんよりも教員にはもっともっと高い資質が求められるというふうに思うわけであります。
 まさに学校の先生に義務教育の九年間、そして高校進学率はもう九七%ということでありますから、そういう長い年月、学校の先生に影響を受けるわけでありまして、よい先生にめぐり会えばその人の人生が変わるわけでありますし、あるいは先生と反りが合わなくて勉強が嫌いになってしまったということだってあるわけであります。私は、そういう意味で、人材の資質を向上する必要ということでいえば、法曹以上にやはり教員養成ということについてそのことを考えなければいけない、それが小泉総理がおっしゃった米百俵という精神だと思うんです。
 長々申し上げましたが、そこで、実践的なスペシャリストを養成するという意味で、教員養成のためのプロフェッショナルスクールとしての大学院というのをぜひ考えて制度化すべきだというふうに思いますが、どうお考えでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 先生御指摘のように、学校教育における成否は教員の資質能力に負うことが極めて大きいと考えております。教員に高い資質が求められているということ、おっしゃるとおりだと思います。
 この問題につきましては、まず基本的には、教員の養成、採用あるいは研修、各段階におきまして、それぞれの内容の充実等を通じまして資質の向上に努めていかなければいけないというふうに思っておりますが、その中で今、先生の方から専門大学院の必要性、どうかという御指摘をいただきました。
 現行の教員養成制度においては、短期大学において二種免許状、そして大学学部において一種免許状、そして大学院修士課程において専修免許状の取得に向けた教員養成が行われております。ですから、文部科学省としましては、こうした現行制度を前提としつつ、現職教員の大学院での再教育等を通じた専修免許状の取得の促進を図っているところであります。一種免許状というのが標準的なのでありましょうが、そういった教員の皆さんに大学院等で再教育等を通じて専修免許状を取得していただく、こういったことは促進していかなければいけないと考えております。
 そしてさらに、専門大学院の創設ということになりますと、これまたさらに専門的な教育機関としてどうあるべきかという議論をしていかなければいけませんので、こうした問題の重要性は強く感じるわけでありますが、制度としてこれをどうするかということにつきましては、まだこれからの課題として検討していかなければいけない部分があるのではないかと思っております。
○荒木清寛君 先ほど大臣がおっしゃった、一発勝負の点じゃなくてプロセスを重視しなければいけないということは、まさに教員免許の問題についても妥当する話だと思いますので、また私の方でもよく考えていずれ提言をしたいと思っております。
 そこで、次に今回の学校教育法十八条の二の改正につきましてお尋ねいたします。いわゆる体験活動の促進、体験活動を学校教育の場において促進していくという改正案でございます。
 平成十一年六月の生涯学習審議会答申の中では、学校外での体験活動が「子どもたちの「生きる力」をはぐくむための重要な鍵である」と既に提言をしておるわけであります。今回の改正案が施行された後には、各学校でこうした体験的な学習活動がより一層取り込まれることになることが予想されております。評価をするわけでございます。
 そうした体験的な学習活動を実施するに当たりましては、学校にはそうしたノウハウが十分に蓄積されているわけではありませんから、この法十八条の二にありますように、「社会教育関係団体その他の関係団体及び関係機関との連携に十分配慮しなければならない。」。実際、そのような連携なくして適切な体験活動を展開していくことはできない、このように思います。
 そこで、文部科学省としましては、こうした体験活動の実施に際して、学校に任せるんでしょうけれども、だけじゃなくて、文部科学省としてどういう支援体制を考えているのか、お尋ねをしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘がありましたように、体験活動を実施するに当たりまして、社会教育関係団体ですとか社会福祉関係団体、青少年教育施設あるいは福祉施設など地域の関係団体、機関と連携すること、そして連携できるような体制づくりをするということ、これは大変肝要なことだと思っております。
 その具体例としまして、地方自治体においては既にこうした体験活動に対する取り組みが行われているわけですが、例えば兵庫県におけるトライやる・ウイークという事業におきましては、県や市町村に産業界、PTA、福祉ボランティア関係団体等から成る推進協議会を設置したり、あるいは中学校区に校長、PTA、地域団体代表者等から成る推進委員会を設置する、こういったことを行って体験活動の受け入れ体制の確保、こういったものを考えておられるということがこちらにも伝わっております。
 こうした体制づくりというものに資する観点から、平成十三年度から、学校と地域を通じた奉仕体験活動推進事業というものを文部科学省としても実施することにしております。こうした実施状況を参考にしながら、例えばどんな支援が必要なのか、考えられるのか、これはしっかりと検討していかなければいけないと思っております。こうした実施状況を見ながら必要な支援体制については万全を尽くしたいと考えております。
○荒木清寛君 衆議院段階での修正によりまして「ボランティア活動など社会奉仕体験活動」、この「ボランティア活動など」という字句が挿入されたわけであります。もちろんボランティアというのは強制してやらせるものではありませんけれども、しかし学校教育の場でボランティア精神というのを啓発するということが非常に大事であるという趣旨がこの修正に含まれていると思います。
 そこで、そうした意味で、小学校でもそうしたボランティア活動などの社会奉仕体験活動を体験するわけであります。あるいは中学校で体験をし高等学校で体験をし社会に出るわけでありますけれども、せっかくそうしてはぐくまれたボランティア精神というのが実際社会に出て発揮する場がなければいけないわけでありまして、やはり社会におけるボランティア活動の受け皿をしっかりするということも極めて重要な視点ではないかと思います。
 公明党は、教育改革の提言という中で、そういうボランティアをしたいという人のために活動のコーディネートとか情報提供を行う、そういう公的なボランティアセンターを整備したらどうか、拡充したらどうかと。あるいは、そういう青少年のボランティア活動を推進している団体はたくさんあるわけでありますけれども、そういう団体への支援も強化すべきであるという提言をしたわけでございますが、こうした問題については文部科学省はどう取り組まれますか。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 ボランティア活動を促進するためには、ボランティア情報の収集、提供でありますとか相談、紹介を行い、ボランティアを希望する人と受け入れ側の双方のニーズを調整しマッチングするコーディネート体制の整備を図ることが大変重要なことと考えております。
 このため、文部科学省では、従来から都道府県におきまして生涯学習ボランティアセンターを開設し、情報提供や相談を行う事業でありますとか、コーディネーターの資質向上のためのセミナー等の実施など人材の養成を図る事業への補助を行っておるところでございます。
 また、国立女性教育会館にボランティア活動に関する相談窓口を設置いたしまして、情報提供あるいは相談を行うほか、今全国的に整備を推進しております子どもセンターにおきまして、子供の活動の指導ボランティアについての相談、紹介等を実施しているところでございます。
 また、ボランティア活動を推進する団体への支援のお尋ねでございますが、青少年のボランティア活動を行う全国的な青少年教育団体に補助を行っているところでございますが、さらに子どもゆめ基金によりまして、主として地域レベルでボランティア活動などさまざまな子供の体験活動を行う青少年教育団体等への支援を行うことといたしておるところでございます。
 今回の法改正を契機といたしまして、さらにこれらの支援施策の充実につきまして検討してまいりたいと考えております。
○荒木清寛君 その趣旨にのっとって一層やっていただきたいと思います。
 そこで次に、この中に自然体験活動というのがあります。こうしたことも今後活発になろうかと思います。ただし、最近、大変不幸な事故も起きております。愛知県春日井市の中学校の二年生が岐阜県板取村でのハイキング中に落石事故に遭って、一人の男子生徒が亡くなったという大変残念な事故であります。この事故の原因の究明については今やっていると思いますが、この自然体験活動における安全確保ということについても、これは文部科学省としても十分留意をしてもらいたいと思います。
 そこで、一点お聞きをしたいのでありますが、しかしそういう自然の中での活動である以上は、絶対に事故が起きないというわけにはなかなかいかないと思います。万が一起きてしまった場合にどうするのか。いわゆる金銭的な補償の問題を聞きたいわけでありますが、もちろん活動実施をした学校側に過失があるというようなことであれば、これはもう損害賠償というレベルの問題になるわけでありまして、国家賠償ということになるわけでありましょうけれども、しかし自然の活動でありますから、どうしても避けられない不可抗力ということだってあると思います。あるいは、児童がふざけていて事故に遭ってしまうということだってあると思います。ふざけていてよその子を事故に遭わせてしまうということだってこれはあり得ないことではないわけであります。
 先ほどの質疑を聞いておりますと、日本体育・学校健康センター法による災害共済給付制度があると。不幸にして亡くなった場合には二千五百万円のお見舞金ということも先ほどお聞きをいたしました。しかし、これは共済でありますから、お互いに掛金を払っている中でお見舞金がおりるという考え方かと思います。
 こうしたことで、今後、自然体験活動も大々的に展開していく中で、こういう補償のあり方で十分なんでしょうか。もう少し国としてきちっとした補償のあり方を考える必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生から御指摘がありましたように、日本体育・学校健康センターの災害共済給付制度というのがあるわけですが、先ほどのお話に出ておりますように、ボランティアとかそういった幅広い関係者にこの体験活動を支援してもらう、協力をいただくということになると、これで全部カバーできるというわけにはいかないわけであります。ですから、その部分について、やはりその保険のあり方等は考えなければいけない。これは御指摘のとおりだというふうに思っています。
 例えば、学校を支援するボランティアに対しては各種の保険制度があるわけであります。先ほど一つの地方の取り組みの例として申し上げました兵庫県のトライやる・ウイークにおきましては、兵庫県学校厚生会が実施主体となって、ボランティアを含め参加するすべての人を対象として、第三者の身体、財産に損害を与えた場合の賠償責任保険、あるいは参加者がけがをした場合の傷害補償を行う、こういった内容を総合補償制度として設けているところであります。
 ですから、今後、こうした体験活動全体を見て、それに協力し参加する方々、その関係者すべてが万が一の場合に困らないような補償制度、こういったものは総合的な方策を検討していかなければいけないと考えております。
 御指摘の点を踏まえて、今後その体制を組む中で努力をしていきたいと思っています。
○荒木清寛君 こうしたことも危機管理の一環だと思いますので、もちろんそうした事故はあってはいけないわけでありますけれども、しかしそうしたことへの備えもきちんとしなければいけないと思います。
 次に、今回の改正案の中で、これは学校教育法ですか、寮母の名称の変更、養護学校の寮母の名称を寄宿舎指導員に変更すると。もう少し言いやすい名前がなかったのかと思うのでありますが、私も余りいい名前が思い浮かびません。これはこれで結構だと思います。
 私は、この際、養護学校のいわゆる先生、養護教諭に、せめてたんの吸引ぐらいしてもらったらどうかという、そういう質問をしたいと思います。
 このたんの吸引、あるいはチューブで鼻から栄養分を補給する、経管栄養と言うそうですが、そういう医療的ケアと言われる日常的な介助を必要としながら養護学校に通う子供たちがふえています。このため、このような医療的ケアと医師の行う医療行為との違い、また学校がどこまでケアを行うかということが問題になってきています。
 要するに、たんの吸引というのは医療行為じゃありませんから、お医者さんでなくてもできますので、家庭にあっては家族がやっているわけであります。ところが、養護学校に行きますと、養護学校の先生ができるのかできないのかというような議論になっているという話であります。
 文部科学省は、平成十年度から昨年度まで特殊教育における福祉・医療との連携に関する実践研究を行い、また今年度からは特殊教育における福祉・医療との連携に関する実践研究を行っています。十県でモデル事業を実施しまして、文部科学省として何らかの見解をまとめるというふうに承知をしております。
 今はどうなっているかといいますと、各県によって違いまして、自治体によって違いまして、原則としてそういうケアは保護者が行うというところもあります。ですから、たんの吸引をするために親が学校に来なければいけないというところもあれば、在宅介護のための訪問看護制度を利用しているところもあります。これは宮城県だというふうに聞いています。あるいは、医師による指導を制度化して、教員がケアを担当しているというところもあります。要するに、医師が指導して養護教諭が現にやっているところもありまして、まちまちなのであります。
 私は、養護教諭の先生というのは看護についても十分な素養があるわけでありますから、もちろんそういう一定の研修は必要であろうかと思いますけれども、そうした程度の医療ケアは十分養護学校でやってもらえばいいではないか。そうしたことによってどれほど保護者の負担が軽くなるであろうかということを思うわけでありますし、実際に現場からそうした要望を聞いておるわけであります。
 そこで、今、実践研究をしているそうでありますが、いつごろこの問題についての結論を出すのか、あるいはどのような方向で検討が行われているのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘の件でございますけれども、平成十年度に開始いたしました特殊教育における福祉・医療との連携に関する実践研究におきましては、委嘱いたしました十の県で、県内の医療機関あるいは関係団体との連携を図りながら、この研究では、養護学校におきまして教員が中心となって、教員が日常的、応急的な手当てを行う、そういうことを中心にして御指摘のような医療的ケアの必要な体制のあり方あるいは手続等について検討を行ったところでございます。平成十二年までの研究成果は現在取りまとめ作業を進めているというところでございます。
 一方、今年度からでございますが、今年度からは二カ年計画で、これは看護婦による対応を初めとして、医師、看護婦、教員、保護者等が連携した対応のあり方、こういう観点で検討をすることといたしているわけでございます。
 こうした検討の成果を踏まえまして、養護学校における日常的な医療的ケアの対応のあり方について、国としての考え方、国としての方針をまとめ、それに基づく指導の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○荒木清寛君 そうした研究に基づいて、児童、保護者の立場に立った改善方をお願いしたいと思います。
 最後にもう一つ、養護学校の送迎バスの問題について質疑したいと思います。
 首が据わらない、あるいは体の位置がしっかり保てないなどのいわゆる座位保持ができない子供は、スクールバスに乗れないために、保護者が送迎できない場合には通学ができません。そこで、訪問教育を受けることになります。
 このようなことは簡単でありまして、スクールバスを改造して車いすをスクールバスに固定できるようにすれば、それで通えるようになるわけであります。障害の重複化や多様化を踏まえたきめ細やかな対応や条件整備が二十一世紀の障害教育には求められると思います。そのために、そうした現場の要望にも誠実に耳を傾けてもらいたいと思います。
 文部科学省はこのスクールバスの改造につきまして財政的な支援等何らかの措置を行うべきではありませんか。
○政府参考人(矢野重典君) スクールバスの購入についての補助でございますが、スクールバスを購入する場合につきましては、リフトをつけたりあるいは肢体不自由児のための座位保持シートを整備するための費用も含めて、購入に際してはその補助の対象といたしているところでございます。
 御質問のありました既存のスクールバスを改造して座位保持シート等の装置を整備することにつきましては、これまで補助を行った実績はないわけでございますが、今後、学校の要望等も聞いた上で、座位保持シート等の整備につきまして補助できるかどうかを含めて検討をしてまいりたいと考えております。
○荒木清寛君 ぜひこの改造についても補助できるようにしていただきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、残りの質疑は次回にさせていただきます。
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 私は、最初に、去る六月八日、大阪教育大学附属池田小学校での殺傷事件の犠牲となられ、亡くなられた小学校一年生、二年生の八人の児童の方々に心から哀悼の意を表しますとともに、傷害を負われた方々の一日も早い回復を願うものです。御遺族や関係者の方々のお悲しみを察し、二度とこのようなことがないよう全力を尽くすことを申し上げます。
 私は、今回の事件の性格から考えても、一日も早い集中審議、このことを委員長にも申し上げておくものでございます。
 さて、本日から参議院の当文教科学委員会で、地方教育行政法、学校教育法、社会教育法のそれぞれ一部改正案の審議が始まりました。衆議院の審議を受け、また参議院の本会議でも我が党の議員が質問したように、いろいろな問題点が鮮明になっております。
 幾つか申し上げますと、一つは、法案の出された過程そのものが全く拙速であるということです。検証もされず、中教審でも全体としては否定された飛び入学が急に法案になり、あるいは調査研究の途中である中でさえ人権無視などが明らかになっている指導力が不適切な教員を含めたそうした規定そのままに法案化が急がれている。結論が先にありきで、国民の意思そっちのけで進んでいるという問題であります。
 また、二つ目に申し上げたいのは、子供たちや父母、保護者、教職員や国民の多くの願いに逆行しているという問題点であります。
 きょうから本格的な委員会審議が参議院で始まりましたが、既に私の部屋にも、北は北海道から南は沖縄まで既に二十八県からこの法案に対して廃案あるいは慎重審議を求める意見、要望がこれだけ寄せられているわけです。ある方からは、子供に強制的な奉仕活動を押しつけるのは教育的ではありません、三十人学級や教職員をふやしてゆとりのある授業をさせてください、こういうものもあります。また、一人一人の方の意見を見ておりましたら、私の母校の先生方からも意見をいただいております。まさに全国が注目している。そして、拙速な審議はやめてほしい、こういう声が多数寄せられているわけであります。教育改革国民会議の委員の声だけでなく、こうした現場の声によく耳を傾けるのが民主主義国家の基本姿勢ではありませんか。
 三つ目に申し上げたいのは、今度の法案が、政府が批准した子どもの権利条約及び一九九八年国連子どもの権利委員会の勧告を無視しているという問題であります。高校の学区制廃止あるいは児童生徒の出席停止などなどを通じても明らかになってきたものであります。
 私は、委員会の審議のまず最初に、第一番目に申し上げた問題についてきょうは集中的に質問をしたいと思います。法案の成立過程が拙速であり、国民の議論を尽くしていないという点、この拙速性を如実に示す法案の一つが学校教育法の飛び入学であり、地方教育行政法の指導力が不適切な教員だと考えます。
 そこで、まず飛び入学問題について伺います。
 今回の学校教育法一部改正案は、五十六条、六十七条で、対象分野を問わず高等学校を卒業した者でなくても大学に入学できる、いわゆる飛び入学を定めております。そこで伺いますが、第一点は、高校教育への影響について教育改革国民会議で検討されたのかという問題です。
 少し紹介をいたしますけれども、一九九七年二月十八日に日本数学会は、当時の有馬中教審会長と木村第二小委員会座長に対して、教育上の例外措置の検討に関する要望を出されております。この内容は、主に数学における飛び入学の慎重審議を求めている中身になっております。
 この中では、
  特に「飛び入学」に関しては、その必要性・妥当性・有効性について疑義が出され、その実施にあたって種々重大な問題のあることが多くの人々から指摘されております。
  残念ながら実施主体である数学の側からは一部の意見しか審議に反映していないように見受けられますので、ここに日本数学会としての意見をまとめ提出する次第です。
そして、その中では、
  十八歳未満の大学入学、特に「数学に秀でている」ことを理由に本来高等学校で学ぶべき科目の履修を一部省略して大学に入学させる、いわゆる「飛び入学」が話題となっています。数学研究者の立場から考えるとき、私達は「数学に秀でている」ことだけを理由とする「飛び入学」は大局的に見て問題点の方が大きいと言わざるを得ません。
  教育を受ける若い人たちにとって、早期の大学入学よりも大切なことは、一人の人間としての知識・教養のバランスの取れた成長ではないでしょうか。特に最近内外において生起した幾つかの重大事件を想起すれば、エリート教育による人間性の歪みに十分留意しなければなりません。例えば高等学校二年終了後大学に入学する場合、高等学校教育課程の三分の一にあたる部分を省略してしまうこととなります。現行の高等学校の教育課程が三年次までで一つの完結したものとして構想されている以上、これは上の観点からすれば妥当とは言えません。
こういうふうにるる述べているわけです。
 そして、「固定的制度作りよりは、「学びの場」に対する時間的・財政的保障を」ということで、大学と高校との関連性などを申し上げているわけです。
 このようなこの間言われてきた高校教育の問題について国民会議では検討されましたか。
○副大臣(岸田文雄君) 教育改革国民会議で高校教育への影響等、そうした議論がされたかという御質問でありますが、教育改革国民会議におきましては、独創的、創造的な活動ができる人材の育成の観点から、大学入学の年齢制限の撤廃に関し議論が行われたところであります。
 その中で、高校との関係についての意見交換、あるいは平成九年の中教審での議論や一日教育改革国民会議での議論、こうした議論を念頭に議論が行われたんですが、その中には積極的な意見もあったわけですが、一方で消極的な意見があった、これも事実であります。
 そして、こうした積極的な意見、消極的な意見、このさまざまな意見や経緯を踏まえつつ、国民会議におきましては、一人一人の才能を伸ばし、創造性に富む人材の育成が重要であるとして最終報告が出されたものというふうに承知しております。
○畑野君枝君 では、具体的にどういうふうに検討されたのかおっしゃっていただけますか。私も議事録を読みましたけれども、具体的な検討なんか何もされていないですよ。
 例えば、ある委員からは、十七歳で大学に入れるようにした方がいいと言いながら、しかし高校は三年間やらないと問題がある、だから小学校、中学校で飛び級をするべきだと。こんないいかげんな議論をされているんですよ。これが何で検討ですか。
 伺いますけれども、先ほど有馬委員から青田刈りについての懸念が出されましたけれども、これについて検討されましたか。
○政府参考人(工藤智規君) 先ほど御紹介された日本数学会からの御要望については、中教審で例外的措置について御議論したときのものと承知してございます。
 これは、御承知のように、当時、中教審でいろいろな御議論をいただいて、数学、物理について飛び入学の制度を開いたわけでございますが、それを始めるに当たりましても、大変各方面からいろんな危惧が寄せられたところでございます。当の数学会の方からも、もちろん賛成の方もいらっしゃったわけでございますけれども、御紹介いただいたような危惧する声もあったのでございます。
 にもかかわらず、いろいろ受け入れ大学の要件等、極めて慎重な制度設計をしまして制度をスタートさせたわけでございますが、その結果、余り広がらないとはいえども千葉大学で四年間の経験がございまして、そこの経験を踏まえますと、危惧されたような問題は一切なく、むしろ飛び入学した学生についての、当該分野の上だけの効果だけでなくて、そのほかの分野においての著しい能力の伸長あるいは周りに対する好影響等々が御紹介されてございまして、この国民会議の場におきましても、そういう過去の経緯、それから反対あるいは危惧する声等々も踏まえながら、かつ千葉大学の例もさらに参考にして、さらに一人一人の能力伸長という観点から、むしろ国民会議の御提言は、私どもが御提案を申し上げました十七歳での飛び入学というよりは、もっとドラスチックな形での御提言と受けとめているところでございます。
○畑野君枝君 いろいろな論議があったわけですよ。
 それで、青田刈りについて書いていないでしょう、国民会議では議論していないんだから。そうですね。
○政府参考人(工藤智規君) ただいま申し上げましたように、そういう高校への影響等、過去にも危惧されたわけでございますが、そういうことも踏まえながら御議論いただいてこういう御提言がされたと承知してございます。
○畑野君枝君 質問に答えていただきたいんです。
 今聞きましたので、じゃ調べてください、青田刈りについて、国民会議で議事録に載っているのかどうか。今答えられますか、調べますか。
○政府参考人(工藤智規君) 青田刈りという言葉は必ずしも使ってございませんけれども、中教審の御議論のときから既に、受験競争への影響、青田刈り等への懸念がなされているわけで、そういうことを踏まえながらの結論だと承知してございます。
○畑野君枝君 今、中教審の問題を言われましたけれども、例えば国民会議では、主査の方は、「中央教育審議会では中間まとめの後、これについて多くの団体に意見を聞きました。残念ながら飛び級反対の意見が圧倒的多数を占めておりました。」と。ここでは飛び級と言っているんです、飛び入学のことですけれども。ここの国民会議の議事録では飛び級というふうに言っております。「それでも無理して、かなり強引に最終答申に飛び級を盛り込んだのです。」、こう言っているんですよ。
 しかしながら、現実にやっているところは千葉大学しかありませんということで、第一番目の質問は、そうした問題について十分な具体的な検討がされていないということがわかりました。
 次に参ります。二問目は、この飛び入学法案について、それでは教育改革国民会議で具体的なヒアリングは行われましたか。
○政府参考人(工藤智規君) 国民会議では、中間報告をまとめました後に、全国四カ所で一日教育改革国民会議という形で、いわば公聴会とでもいいましょうか、各界の方々から御意見を伺うような機会を設けたと承知してございます。
○畑野君枝君 飛び入学についてはどんな意見が出されましたか。
○政府参考人(工藤智規君) この中間まとめもそうでございますし、国民会議の最終報告もそうでございますが、本件について言えば、メッセージとしては大学入学年齢制限の撤廃という形での御提示でございました。それに対して、二つの会場での陳述者の方から入学年齢制限撤廃というのはいかがなものかという消極的な御意見が出されたと承知してございます。
○畑野君枝君 よくわかりました。
 それで、ヒアリングはやったんですか。それがヒアリングということですか。専門家からのヒアリング、例えば中教審でおやりになったようなヒアリングはおやりになったんですか。
○政府参考人(工藤智規君) 教育改革国民会議のメンバーの方々自身が各界からの学識経験者、極めて幅広い知識をお持ちの方々でいらっしゃったほかに、今申し上げた外の場での会というのはこの一日教育改革国民会議であったと承知してございます。
○畑野君枝君 外からは危惧の念があったという話でありました。
 では、例えばこの間、一九九〇年代、ずっと議論しているわけですよね。そういう方たちが言った意見は今どうなっているのかということが問われるわけでしょう、法案に出してくるわけですから。
 例えば、これは一九九〇年、中教審の第二十六回学校制度に関する小委員会というのと二十七回学校制度に関する小委員会というのがありますよ、議事録が。ここでは、能力が著しい者への教育上の例外措置について参考人にヒアリングを行って、出席されたのは、野口広早稲田大学理工学部教授、小林晨作京都大学理学部教授、三善晃桐朋学園大学長、平山郁夫東京芸術大学長、浅見俊雄東京大学教養学部教授ということで、数学、物理、音楽、美術、体育の五つの分野でヒアリングをしております。そのうち飛び入学に賛成されたのは数学のお一人、あとは慎重論、否定論だったわけですね。
 例えば、慎重論、否定論を掲げられた四人の方たちは、物理の小林教授は、物理学の研究はチームを組んで進めているため、ノーベル賞はそのチームを代表してもらっている面があるとの見方を示して、研究者として求められる資質はさまざまだ、当時は飛び級、飛び入学のことですが、個人的には日本でそこまで必要かと慎重姿勢をとられました。
 音楽の三善学長は、音楽は実技だけでなく一般教育も重要だ、音楽の能力を早い段階で判定するのは難しいと表明されて、個人的として消極的と述べています。
 美術の平山学長は、これまで培ってきました表現がうまいという技術的な問題にプラス、その人の人間性や思想性というものが絵をつくって、ずっと自分というものを主張する核になっていくわけです、この芸術観、人生観、広い意味での思想というものがいつごろから出てくるかと申しますと、これがなかなか難しい問題ですと述べ、美術分野では今の制度の中で才能ある生徒の教育は十分対応できると述べられております。
 体育の浅見教授は、東ドイツ、イギリス、アメリカなどのスポーツ教育の実例を紹介しつつ、学校教育の中でも才能に応じた指導が望ましい中学校、高校の時期にスポーツ能力が伸びることから、この時期にトレーニングの環境を与えることが必要だ、その障害となることがあれば除去すべきだが、学年を飛び越してやる必要はない、こういうふうに述べられたわけですね。
 そして、井上裕文部大臣のときの十四期中教審でも、このヒアリングを受けて、我々は数学に関する限り大学入学の学年制限の緩和を試行的に実施することを要望するというふうにして、そして集中的に議論をし、答申は有馬中教審会長のときですけれども、対象分野は当面数学や物理の分野に限るということが適当と。それで、九一年で検討方針を出して、一九九七年で分野を限ると。
 ところが、今回法案にするときに、対象分野を問わない。何でこんなふうな、飛び級ならぬ飛び内容になるのか。こうしたこれまでヒアリングをした方には本当に失礼な話で、調査研究もしないのに対象を無限に広げると。五分野のヒアリングでも反対意見が多かったと。
 そして、国民会議の第三分科会の五回目の議論で、江崎座長が、高等学校で今の三年生をスキップするというのは若干無理があるという懸念もありながら、全体何となくまとまって出てきた。だから、異論があるのになぜ法制化を急ぐのか、本当におかしいということであります。
 ですから、私は、参考人質疑というのならこういう方たちにもう一回来ていただいて、この委員会でしっかりとヒアリングを行う、飛び入学問題について集中審議をすることを求めるものであります。
 さて、飛び入学に関する三つ目の問題ですが、こうしたヒアリングをせずに一部の狭い意見で決定する、それを法案に持ってくる、こういうのは問題があるんじゃないですか。どのように考えていらっしゃるんですか。
○副大臣(岸田文雄君) 今、中教審の議論についても御指摘がありました。その平成九年の中教審におきましても、答申におきましては飛び入学の拡大は検討課題というふうに示されているわけでありまして、また十一年の答申におきましても同趣旨の御提言をいただいておるわけであります。そして、教育改革国民会議の議論におきましても、いろんな議論があった中、最終答申は先ほど申し上げたような形の答申になっておるわけであります。
 こうした議論を踏まえ、そして今二十一世紀を迎えて我が国の学問をめぐる環境、学際化ですとか複雑化、こうした状況の中で特にすぐれた才能をいかに伸ばしていくのか。こうした現状を把握した上で、文部科学省の責任で二十一世紀教育新生プランというものを策定し、そのプランの中で最も優先的に行うべきものとしてこうした法案をお願いしているわけであります。
 ですから、こうしたさまざまな議論がありました。その議論を踏まえ、そしてなおかつ今ドッグイヤーと言われるような物すごいスピードで変化するこの世の中の状況、このあたりもしっかり勘案した上で、行政府の責任と判断によってこの法案の審議をお願いしておるところでございます。
○畑野君枝君 では、中教審で検討すると。その後どんなふうに検討されたんですか。どういう報告を受けていますか。
○政府参考人(工藤智規君) 平成九年の中教審の答申では、分野の拡大、それから年齢制限のさらに引き下げについて今後の実施状況を見て将来の検討課題とされたところでございます。
 その検討課題というのは、御質問は中教審で検討するかどうかということかと思いますけれども、私どもとしては、これまでの千葉大学の実績を踏まえて、当時危惧された事柄は全くない、むしろ好ましい効果ばかりであるということを踏まえながら、ある程度受け入れ大学側の教育体制、それから高校等との連絡体制をしっかりとれれば何ら問題はないものと判断いたしまして、一人一人の能力を伸ばすために子供たちにチャンスを与えたいということでこういう法案を御用意したものでございます。
○畑野君枝君 率直に言って、国民会議では千葉大学についてもいろいろあるよねという議論も出ているわけでしょう、委員の中から。しかも、それはもう本当に一部の千葉大学と、まあ名城大学も始まったけれども、卒業生もまだ出ていない。それで何で検討というふうになりますか。ましてや、五分野でも反対意見があったんだから、その他に広げるというんだったら、そういうところも検討しなかったらおかしいじゃないですか。しかも、検討といったって、教育改革国民会議での検討も、具体的なヒアリングもしていない、具体的な話もしていない。ですから、本当に狭い一部の体験に基づく、自分はこうだった、ああだったという議論じゃないですか、国民会議でも。
 何と言っているかというと、教育改革国民会議の第三分科会第四回の議事録では、風穴は既にあいていますから後はばさっとやればいいと。風穴というのは物理と数学。そうしましたら、ほかの委員から、教育改革国民会議は十年に一回ぐらいしかないんだから、やるときはやらないとだめですよ、ちょこちょこ変えるのは中教審があるのだから、根本的に制度を変える、変えるときはずばっと変えないと。ある委員からは、日本の大多数の国民が反対だったら仕方がないけれどもと、反対も賛成もないと。ずばっとばさっと、かけ声だけでやっていいんですか。
 これじゃ未来ある子供たちを実験台にして、だめだったらしようがない、いいかもしれない、チャンスを広げる。チャンスを広げたら、私の地元からは、小中学校からそこを目指した受験競争が一層強まるんじゃないかと。そういう無責任な答弁ですよ。
 私は、その問題について、では四問目に伺いますけれども、教育改革国民会議に対して国民からは飛び入学についての要望があったんですかということを伺います。
○副大臣(岸田文雄君) 教育改革国民会議につきましては、発足に当たって教育改革のあり方について各界からの有識者や多数の国民から意見を伺い、そして中間報告後にも国民から意見募集を実施するとともに、公聴会や説明会を行う等の対応をしております。できるだけ多くの国民の意見に耳を傾けるようにということで、こうした方策がとられていると承知しております。
○畑野君枝君 それでは、その国民からの意見の中で飛び入学をやってくださいという意見はあったんですか。
○副大臣(岸田文雄君) もちろん、大学飛び入学制度を実現し優秀な人材を育成すべきという積極的意見もございました。一方で消極的な意見もあった、これも事実でございます。
○畑野君枝君 だから、本当に拙速でしょう、与党の側からだっていろいろ疑問が出るんですから。私は、こういうのはもう一回練り直して出し直すということを求めて、もう一つ、次の問題に移ります。
 次に、地方教育行政法一部改正案について、指導が不適切な教員の問題について伺います。
 まず一番目に伺いたいのは、現在、指導力不足教員に関する人事管理のあり方に関する研究が文部省の委嘱で行われているというふうに伺っております。都道府県や指定都市での調査研究とはどのようなものか、その内容と予算、いつ結果が出されるのか、そして行われている地域の四つについて伺います。
○副大臣(岸田文雄君) 平成十二年度より新しい教員の人事管理のあり方に対する調査研究事業、これを各都道府県・指定都市教育委員会に委嘱して実施しており、その幾つかある調査研究内容の一つとして、指導力不足教員に関する人事管理を取り上げてもらうこととしております。
 この事業は、平成十二年度から委嘱したところについては原則として三年間で、平成十三年度から委嘱したところについては原則として二年間で実施することとしておりまして、平成十四年度末までに各都道府県教育委員会等において調査研究実施の結果が取りまとめられるものと考えております。
 予算につきましては、平成十三年度の予算は一億二千七百六十七万四千円でございます。
○畑野君枝君 地域も言っていただけますか。
○副大臣(岸田文雄君) 平成十二年度は十六府県・指定都市教育委員会です。残りは全部十三年度です。
○畑野君枝君 今、研究調査をされて、来年度の末に出るということですね。
 二つ目に伺いますけれども、指導が不適切な教員の具体例について、先ほども審議でありましたが、文部科学省から具体例が三つ出されております。これについては、ほかにあるならばこれもすべて今の審議の中で出していただきたい、三つ以外も含めて全部出していただきたいと思いますが、いかがですか。
○副大臣(岸田文雄君) 具体例につきましては、現実問題、さまざまなものがあると考えております。三つ挙げたというのは、極めて一般的に想定されるものとしてこの三つを挙げた次第であります。この三つが一般的に想定されるものの例として挙げたわけでありますので、それ以外、細々とした例まで挙げることは難しいと考えております。ですから、この例を参考にしつつ、後は手続を決め、そしてこの手続にのっとって適切な運用を図ることによって個々のケースに対応していくということになると考えています。
○畑野君枝君 そうしますと、具体例はこれ以外にもさまざまあるという意味ですか。
○副大臣(岸田文雄君) おっしゃるとおりに、現実の社会ですのですべてがこのパターンに全部当てはまるということではないとは思いますが、一番一般的な想定されるものを挙げておりますので、これはかなりの参考例としては現実に対応できるものだと考えております。
○畑野君枝君 それは文部科学省としては想定しないということなんですか、想定するということなんですか。三つが文部科学省としては限定している具体例なんですか。後で何かそれが広がるということはあるんですか。
○副大臣(岸田文雄君) これはあくまでも参考として一般的な例を申し上げているわけであります。ですから、具体的な例を細々と挙げるということが逆に適切な判断を損なうことも考えられると思います。その参考例として三つ具体例を挙げたということであります。
○畑野君枝君 そうすると、細々とした具体的な話というのは、文部科学省の示している三つの具体例を参考にしつつ手続を個々のケースに行うというのは、都道府県の教育委員会になるんですか。
○副大臣(岸田文雄君) 教育委員会の規則において手続を定め、その手続に従ってその判断を行う、そういうことになると思います。
○畑野君枝君 そうしますと、大変な問題が私は出てくると思うんですよ。
 文部科学省の三つの具体例というのは本当に一般的な中身ですよね、先ほど本岡委員も言われましたけれども。一、教科に関する専門的知識、技術等が不足しているために学習指導を適切に行うことができないような場合。二、指導方法が不適切であるために学習指導を適切に行うことができないような場合。三、児童生徒の心を理解する能力やあるいは意欲に欠け、学級経営や生徒指導を適切に行うことができないような場合。
 つまり、一番目は教科に対する専門知識がない、不足していると。それから二つ目は指導方法が不適切だと。これは研修をやればどんどんよくなる。三つ目の児童生徒の心を理解する能力や意欲に欠ける、これも、教員の初心に返る、そういうことを含めて、あるいはそれは専門的な技術も必要でしょうということになると思うんです。
 それでは、その文部科学省の示している三つの具体例と、今、十六の都道府県、指定都市で行われている指導力不足教員に関する人事管理のあり方に関する研究で行われている定義やチェックリストの関係で具体的に説明をしてほしいと思います。
 そこで、私は、もう時間が余りありませんので幾つかの県について具体的な項目でお聞きしますので、これが今回の法案で言われている不適切な教員に当たるのか当たらないのか、明快に答えていただきたいと思います。
 まず、我が党の阿部議員が本会議で紹介をいたしました埼玉県教育委員会の例でございます。ここで出されております。ここでは、自信過剰、あるいは偏屈、あるいは愛情が不足、こういうことが挙げられております。これはだれもが該当者になるとも言えるもので、国会議員などは自信過剰が多いなどという声も聞かれるわけであります。こういう問題が不適切な教員というふうに該当するのかどうか、伺いたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 結論から言いますと、該当いたしません。
 今回、各都道府県で行っている調査はこの法案が提出される前から調査が始まっているものもあります。ですから、その定義が今回の法案の措置とは必ずしも一致していないわけであります。今回の法案の措置はあくまでも指導力不足という点についての措置でありますので、今の例は該当いたしません。
○畑野君枝君 私も副大臣のおっしゃった手続の違いはよく存じ上げております。
 それでは、神奈川県教育委員会、ここでは指導力不足教員等の例というふうになっております。そこでは、生徒に対してセクハラまがいの言動や体罰まがいの行為を繰り返す、これは指導の不適切な教員に該当しますか、しませんか。
○政府参考人(矢野重典君) 生徒に対してセクハラまがいの言動を繰り返すといったようなことは、個々のケースによって判断があるかもしれませんが、一般的に申しますれば、これは指導力という話ではなくて、公務員としての適格性、あるいは場合によっては服務規律にかかわる問題であろうと思います。そういう意味で、今回の対象としております指導が不適切な教員には直接的には当たらないと思います。
○畑野君枝君 そうしますと、こういうケースはどういうものに当たりますか。
○政府参考人(矢野重典君) 今申し上げましたように、公務員としての適格性という観点から、場合によってはこれは程度がひどければ分限処分の対象になり得るかもしれませんし、またセクハラ等ということになりますれば服務規律違反ということで懲戒処分の対象にもなり得るものでございます。
○畑野君枝君 次に、大阪府教育委員会、これでございます。その中で、ここでは一番目に指導力に関し支援を要する教員という区分があって、二番目に指導力不足教員というのがあって、区分は専門性、社会性等の欠如が見られる者、状態・態様は教育的愛情や使命感に欠如が見られる、そして具体例として自己を語れず夢や希望を語れない、これは不適切な教員に該当しますか。
○政府参考人(矢野重典君) 今御指摘になりました教育的愛情や使命感に欠如が見られるというのは、これは内心にとどまっている、あるいは内面の問題にとどまっている限り、そのこと自体を今回の措置の対象にすることはできないものと考えております。
○畑野君枝君 それでは最後に、高知県教育委員会、これです。その中で、分析・分類表というのがございます。項目は私生活、細目は金銭感覚、家庭不和、子育ての悩み、異性問題、隣人とのトラブル、飲酒癖。
 具体例で伺います。体調を崩し、休暇休業をとる、これは不適切な教員に該当しますか、しませんか。
○政府参考人(矢野重典君) 今回の措置の対象としている不適切な教員の対象にはなりません。
○畑野君枝君 今のはどこに分析、分類されているかというと、資質や適格性という分類になるんです。ほかのところは疾患等と、病気については別の分類なんですよ。こういうところに入り込んでいる。
 私、四つの県について質問をいたしましたけれども、具体例で出ただけでも、調査研究の段階で指導力不足教員等の概念についてそれぞればらばら。基準もない。ばらばら。各県お構いなし。こういうものがもし規則などになっていったら、まさにプライバシー侵害、人権無視になるわけですよね。今これは調査過程ですよ。研究過程ですよ。それを私がじゃ全部十六府県の状況を何かあれば持ってきてくださいと言っても、出ていない県もあるわけでしょう。私は本当に心配だから一個ずつ全部の県をチェックしたいですよ。そういうのができてこそ、県も国も一体となってこの問題がいいのか悪いのかというのも吟味できるじゃありませんか。こんなことを拙速に法案にするならば、まさに教育現場を混乱させる、こういうふうに私は思います。
 一九六六年のユネスコで採択された教員の地位に関する勧告の四十五項は、教職における雇用の安定と身分保障は教員の利益にとって不可欠であることは言うまでもなく、教育の利益のためにも不可欠と述べています。また、同四十六項は、教員は教員としての地位または分限に影響を及ぼす恣意的処分から十分に保護される。同六十四の一項は、教員の勤務について何らかの直接評定が必要とされる場合には、このような勤務評定は客観的なものとし、当該教員に知らされるものとするとされております。
 この勧告から導かれるのは、こうした法案はつくってはならない、廃案だというふうに私はなると思います。また、そのことを含めて現場の皆さんはよくおわかりだから、ここに積まれた、また各委員にも届けられているような意見が全国から寄せられている。審議が始まったばかりで二十八県。多分、審議を積み重ねる中でさらに大きな声が寄せられるでしょう。こんな飛び入学とそして指導が不適切な教員の問題だけでも本当に練られていない拙速な法案、この問題を私は厳しく指摘をして、質問を終わります。
○山本正和君 社会民主党の初めての質問でありますので、冒頭、大阪の池田小学校の児童の皆さん、また教職員の皆さん、保護者の皆さんに対してお悔やみと、そして本当に大変でございましょうけれども頑張っていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。また、政府は十分に速やかに対応していただきたい、この要望をしておきます。
 さて、私は、今から後この三法案に絡んで三回ぐらいは最低質問ができるかと思いますので、きょうは総論的な格好で質問をしていきたいと思うのでございます。
 実は学校の先生、学校で働く者は皆、子供から見れば先生とこう言うんですけれども、そういう意味で学校の先生と言っていいと思うんですけれども、それは一生を振り返って、定年し、退職して昔の自分の働いていたことを思い出したときに、何をおいてもやっぱり自分が教えたときの子供たちの顔が目に浮かぶ。そして、だんだん年をとるにつれて、ああ、私は先生をしておってよかったなと、こう思うのが私は先生だと思いますし、また生きがいであっただろうと思うんですね。それは確かに高等学校、大学と変わってきますけれども、それでもやっぱり師弟という感情は一緒なんですね。大学の教員であっても、あの講座のときに先生からこんな話があったなというのが学生にとってはもう何とも言えない思いがある、そんなことを言いますから、やっぱり師弟という間にはそういうものがある。
 そういう中で、教育というのは、しかもそれは国家があって、そして国家が教育に対してさまざまな条件整備やいろんなことをやっていくわけですけれども、国家というのは、そういう教育という、極めて人間が成長していって、そして生まれてからやがて死んでいく、人生が終わる、次から次へバトンタッチしていくという大変な人間的な営みの中で、しかもそれが今度は人類の文明の発展に絡むような問題の中で国家は何をなすべきかという教育と国家という観点もあると思うんですね。
 しかし、我が国は一九四五年に戦争に負けまして、それからいろんな議論をしたんですね。アメリカ占領下の中であの教育刷新委員会というのが設けられて、日本のいわゆる皇祖皇宗以来の万世一系の天皇中心の国家から民主主義国家に切りかわろうということで、教育問題も随分議論した。そのときに教育刷新委員会というのがあって、ここで各界のかなり本当に日本を代表するような方々が教育論をやられた。しかし、それを乗り越えていよいよ占領から独立した日本が今から生まれるというときに、さてこれから我が国はどういう格好で教育の問題を論議しようかというところで、そのときの国会でも随分論議しているんですけれども、私も久しぶりに見てみたんですが、参議院がしっかりやっているんですね、これは。衆議院の論議の二倍ぐらいやっておるんですね、参議院で。そこで中央教育審議会、中教審ができているんですね。
 ですから、中教審というものが、我が国がこれからの教育という問題を考える上で、とにかくそこでしっかり議論しましょう、国家の基本的な教育の問題はここでしっかり議論しましょうというところで中央教育審議会は出発している。その重みたるや大変なものですね。
 私はそんなことを思うものですから、まず教育という問題を議論するときに、中教審というものを我が国はどういうふうに位置づけてきたのか、今日我が国の政府は中教審というものをどう位置づけしているのか、この辺のことについてまずお伺いをしておきたいと思うんです。
○国務大臣(遠山敦子君) 中央教育審議会、これは文部科学大臣の諮問機関といたしまして、教育の振興、生涯学習の推進、さらにはスポーツの振興等に関する重要事項を調査審議する審議会でございまして、教育にかかわる問題、もちろん教育改革の推進に当たりましても大変重要な役割を担う機関というふうに考えております。
○山本正和君 そういう格好になっているんですが、その重みの問題ですね。これは、三条委員会、八条委員会とありますが、ここが八条委員会になっているということについての位置づけはどういうふうに位置づけられているんですか。これは副大臣、ひとつどうぞ。
○副大臣(岸田文雄君) 中央教育審議会は、国家行政組織法第八条の規定に基づきまして、文部科学大臣の諮問に応じて、教育の振興、生涯学習の推進、スポーツの振興等に関する重要事項を調査審議するため、文部科学省に設置された機関であると認識しております。
 この国家行政法第八条の条文のとおり、「重要事項に関する調査審議」、これをやる機関として重要な機関だと思っております。
○山本正和君 したがって、総理大臣の認証を経ているわけですね、中教審の委員の皆さんは。文部大臣が選んで、総理大臣の認証だったですか、認証でなく承認だったかな、ちょっとそれを。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 現在の中央教育審議会は、この一月六日付で中央省庁の再編に伴いまして現在は違っておりますけれども、従前の旧中教審は、文部省設置法の規定によりまして、「中央教育審議会は、人格が高潔で、教育、学術又は文化に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから、文部大臣が内閣の承認を経て任命する二十人以内の委員で組織する。」と、かつてはそういう規定でございました。
○山本正和君 現在は。現在もそうですね。どうですか。
○政府参考人(近藤信司君) 現在は内閣の承認を経ることなく文部科学大臣が任命をする、こういう規定になっております。
○山本正和君 ちょっと私もそこを調べて、まだ内閣の承認を経ていると思ったんですけれども、現在は違うんですね。そうすると、少し中教審が格下げになったのかな、これは。有馬先生のときまでは格が高かったんだけれども、今はちょっと格下げになったんですかね、何かちょっと心配ですが、いずれにしてもその役割が極めて重要だということは事実だと思うんですね。
   〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
 その中教審報告というのを、これは実はかつて日教組と文部省が激しく対立したときには、中教審路線粉砕というようなことを日教組運動の旗印に掲げたこともあったんですね。しかし、昭和四十五、六年ごろから中教審問題についてしっかりと議論し始めて、それで中教審の中のすばらしい主張については日教組も共同してやっていこうというふうな格好にずっと変わってきて、大分今変わってきていると。
 したがって、中教審というものがいろいろと議論されて提案されてくるもの、それについては国民的な合意というか国民的な教育についてのさまざまな議論の中における、今政府が持っている機関の中では最も国民全体の中から平均化されて、またさまざまな主張等も取り入れられたものだというふうに私は思うんですが、その理解でよろしいですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 中央教育審議会が、今仰せのように、教育問題にかかわる重要事項を文部科学大臣の諮問に応じて考えて討議し、そしてその方向性について議論していただくという大変重要な役割を担っているという意味では、これの重要性については私どもとしても十分認識しているというところでございます。
○山本正和君 実は中曽根内閣のときに臨教審というのができまして、臨教審が中教審を飛び越えるような形でいろいろな活動が行われたんですね。それからずっといろいろあります。あるんですが、特に印象が強いのは臨教審と今度の国民会議なんですね。これ以外にこの種の、総理直轄のもとでこういう教育に関するさまざまな意見を総理が聞くというような機関を設けたのがどれぐらいあるのか、ちょっと教えていただけませんか。
○政府参考人(近藤信司君) 戦後の話で申し上げますならば、昭和二十一年の八月から昭和二十四年の六月まで、さっき委員も御指摘になりました教育刷新委員会というのがございますが、これは総理の調査審議機関、勅令に基づき設置をされたものでございます。
○山本正和君 それからあとは。
○政府参考人(近藤信司君) あとは、昭和五十九年八月から昭和六十年八月まで臨時教育審議会設置法によって設けられました臨時教育審議会がございます。それから、総理の私的な諮問機関としては、先ほど御指摘ございました教育改革国民会議でございます。
○山本正和君 というふうなことだろうと思うんですね。したがって、その時々の総理大臣がこれはどうしても必要だと思って勉強したいということでそういうことをおつくりになることはあるだろうと思うんですね。しかし、やっぱり国の政治の流れといいましょうか、我が国政府がとってきた政策の流れということからいえば、中教審というものを大切にしていかなきゃいけないということは、これはもう大前提だろうというふうに思うんですね。
 そこで、中教審は随分いろんないいことを言っているので、私も久しぶりにずっと読んでみたんですけれども、これは第何期になるんですか、小学校の子供が夜間に塾なんかに行っている、これはもう大変なことだ、これを早く直しなさいと、これは中教審がばしっと言っているんですよね。すばらしいんですよ。それに対する対応をこれは言っているんですから文部省はやらなきゃいけないんですけれども、それについての例えば具体的な対応はどういうものが出たかちょっと調べてみたら、教育改革プログラムですか、この中にちょっと触れているんだけれども、どう見てもこれはわかりにくいんですね。
 だから、そういうふうなことについても、中教審から答申があったら、政府としては、文部省としてはこういうふうにちゃんと対応していますよということの例として、今の夜の塾の問題、ちょっと説明をしてください。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
   〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
 学習塾の問題でございますが、基本的には学習塾における指導は私的な教育活動の分野に属するものでありまして、学習塾に子供を通わせるかどうかは本来保護者の判断にゆだねられている、こういうふうに理解をいたしておりますが、平成五年の文部省の調査でも、小学校、中学校全体で三六・四%もの子供が通塾をしていると、こういう現状は重たく受けとめているわけでございまして、一部のいわゆる進学塾を中心とした過度の塾通いとその低年齢化が子供の発達段階にふさわしい生活体験、自然体験などさまざまな学習機会を制約し、その結果として知徳体のバランスのとれた望ましい人間形成に悪影響を及ぼすおそれがある、このように懸念をいたしております。
 文部科学省におきましては、過度の塾通いの問題につきまして、子供の心身の発達に及ぼす影響についての調査研究でありますとか高等学校の入学者選抜の改善、あるいは家庭教育ノートというようなものを作成して配布をいたしておりますけれども、この中でも過度の通塾の問題について注意喚起を行う、こんなことを今行っているわけでございますが、今後ともこういった施策を通じまして保護者でありますとか関係者の方々に問題提起を行ってまいりたい、かように考えております。
○山本正和君 どうも今度の法案ぐらいに一生懸命に提案しているようには思えないんですね。今度の法案は大変熱心に、急激に効率的に取り組まれているように思うんですけれども、こういう本当に国民が、またお父さん、お母さんが悩み悲しんでいる問題をどういうふうに解決するかということの取り組みはやっぱりしていくべきだろうと、政府としては何をおいても。
 私は、いろんなことを言うけれども、我が国教育の最大の悩みは何かといったら、小学校の子供を抱えたら、東京あたりはもう七割ぐらいでしょう、夜間、塾へ行って勉強しているのが。半数超えているんですよね。それから、私学へ、中学校へ行くのに、小学校の三年生か四年生になったらみんな、どこへやるの、あなた、というふうに話をしているんですよね。そういう小学校の子供たちが本当は遊ばなきゃいけない。フランスでは、小学校の子供は塾なんかだれも行っていないですよ。ドイツもほとんどないんですよ。こんなことをやっているのは日本と韓国と中国ですよ。中国もこのごろはお金持ちだけですけれどもね。
 そういうふうなことについて本当に、例えば中教審でしっかり議論して、どうやったら子供たちが夜こんなところに行かずに明るく家庭におって、あるいは生き生きと遊べるようなことをするにはどうしたらいいのかということを中教審は本気になって議論しなきゃいけない時期だと思いますね。このままでは日本の国は滅びると思うんですよ。そういうふうな一番基本的なことを中教審というものは議論していくべきだろうというふうに私は思います。
 そこで、これは余りいい例じゃないんですけれども、私はいわゆる旧制中学の五年生まで行って卒業した。そこで、四年から行ったやつが、やつと言ったら悪いですけれども、行った男が、これが京都大学の高分子化学で何やらえらい国際的にも有名な学者で、三枝という男ですけれども、これなんかやっぱり、あいつは確かに四年から行ったらいいんです、私らは五年まで行かなきゃ仕方ないけれども。そういうふうに飛び抜けた者が行くということはいいことなんですよ。
 しかし、大日本帝国のときの教育の中では何かというと、四年生で大体数学は上の高等学校や大学予科で勉強する下のところまでやったんですよ。五年になったら私どもは数学で何をやったかといったら、順列、組み合わせ、確率と微係数をやらされたんです。これは高等学校か大学の予科でやるんですよね。そういうふうに並行しておった、ちゃんと。
 だから、こんな問題でも本気になってやるのならば、きちっと教育課程の問題まで含めて議論していかなきゃいけない内容なんですよね。ですから、中教審ではこれは議論されたので、かなり難しいんじゃないかということで随分議論されたと思うんだけれども、どうも今の飛び級の問題も本当にしっかりと議論したんだろうかと心配で仕方ない。しかし、やるということでここまで来たものまで引っ込めるといったらどうにもめどが立たぬというようなこともあるのかもしれぬですけれども、そこはやっぱり我々は、ここは委員会ですから、いろんな議論をしていきながらやっていかなきゃというふうに思いますが、ちょっとこれは余分な話ですけれども。
 もとの本論に戻りますが、教育改革というものを我々がやっていくときに中教審をきちっと位置づけしなきゃいけないということで申し上げておったんですけれども、この中教審の位置づけについては今後も変わりませんか、そこのところだけは。文部省、どうですか。
○副大臣(岸田文雄君) 中教審の位置づけは今後も変わらないと考えます。
○山本正和君 そこで、ちょっとお聞きしたいんですけれども、中教審の第十五期、第十六期答申というのを私もずっと読んだんですよ。本当に何というか今の状況の中で真剣に苦労されて、いろんな提言をされているんですね。これは政府の施策の中では具体的に、例えば本年度予算の中ではどういう位置づけをされているのか、あるいは今後の長期計画の中にどういうふうにこれが据わっているのか。そこのところをちょっと教えてください。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 第十五期中央教育審議会が「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の第一次答申を平成八年の七月に出されておりますし、その後、第十六期中央教育審議会も幾つかの答申を出されているわけでございまして、これらの答申におきましては、例えば生きる力の育成とゆとりある学校生活の実現でありますとか、個性を伸ばし多様な選択ができる学校制度の実現、あるいは心の教育の充実、現場の自主性を尊重した学校づくりの促進など非常に幅広く多岐にわたって提言が行われたわけでございます。
 私どもといたしましては、こういった提言を踏まえまして、また必要に応じ教育課程審議会でありますとか関係審議会でのさらなる検討を経まして、例えば学習指導要領の改訂を行うとか、あるいは中高一貫教育の導入、それから教育長の任命承認制度の廃止など地方教育行政制度の改善、スクールカウンセラーの拡充等、各般の施策に取り組み、着実に教育改革を推進してきたわけでございますし、当然、例えばスクールカウンセラーでもそうでございますけれども、これまでの予算の拡充にも反映をさせてきたところでございます。
○山本正和君 中教審の答申がありますと、全部、歴代大臣が、これは中曽根さんで、これは町村さんで、これは目の前にお見えになる有馬先生ですが、それぞれいつも中教審の答申を受けて談話を出されるんです、大臣が。それで、その中で、ひとつこういうことをやりましょうと言っている。ここにも書いてある、要点が。
 ところが、今のお話を聞く範囲では、どうも予算との関連が目に見えないんですよね、文章と実際に本年度の予算とを見た場合に。そんなことを思いまして、中教審答申を受けた、この中でこういうふうにいたしましたよということをもっとわかりやすく文部省としてはこれからきちんと説明をしてほしいと思うんです。これから中教審答申に対して、文部省としては、去年受けたこういうことについてはこう、おととしのことはこうというふうな格好でそれを説明されることができますか。その辺はどうですか。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 先ほど委員が御指摘になりました教育改革プログラムというのは、まさしく中央教育審議会等の御提言に対して一つのタイムスケジュールを定めてこういったことを実施すると。先ほどは御説明申し上げませんでしたけれども、例えば心の教育の充実という観点では、道徳教育の改善充実でありますとかスクールカウンセラーの派遣、あるいは家庭教育の充実というようなこともこの中にはうたわれているわけでございますけれども、そういった提言を踏まえまして、私ども、家庭教育の向上のために家庭教育手帳、家庭教育ノート、その他の施策を講じているわけでございます。
 なお、昨年十二月に教育改革国民会議から報告が出たわけでございまして、私ども、その教育改革国民会議の報告とこれまでの教育改革プログラムでどういったものが積み残されているのか、そういったことを総合的にかんがみまして、この一月に二十一世紀教育新生プランを策定し、現在それに基づいて施策を実行している、こういう考え方でございます。
○山本正和君 そこで、この教育改革プログラムを私ども見て、ここには確かに中教審との関連がずっと書いてあるんですよね。生涯学習から始まっていろいろあります。しかし、ここには、平成十二年の九月現在というやつで、去年の九月ですね。ことしはこれと同じようなものをまたつくって書くわけですか。出すわけですか。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 昨年の改訂が、今の教育改革プログラムは最後になっているわけでございますが、教育改革国民会議からの報告も踏まえまして、すべてを網羅する形でこの一月に教育新生プランを策定したと。この中に、現在、私どもは問題とすべき、あるいは緊急に対応すべき施策の一覧が盛り込まれている、こういう認識で今対応しているところでございます。
○山本正和君 ですから、その新生プランというやつが本年度予算とかんでいる、こういうわけなんですね、言い方は。ところが、教育改革プログラムの方は、国民会議とは関係なしにずっと出ていますからね、これは。教育改革国民会議の方は全然ないんですよね、プログラムの方は。新生プランの方は国民会議のやつが入っているわけですね。だから、同じ年度の中で、平成十三年の一月というのは平成十二年度ですよね、その中で、教育改革プログラムという中教審をもとに置いたものがきちっとつくられておる上に、さらに十三年の一月に新しいものをつくったと、こういうことになるんだけれども、そういう理解でいいんですか、そこのところは。
○政府参考人(近藤信司君) これまで教育改革プログラムにのっとっていろんな施策を講じてきたわけでございますが、繰り返しになって恐縮でございますが、昨年の十二月に教育改革国民会議から報告が出、なおその二十一世紀教育新生プランを策定する際には、この教育改革プログラムで盛り込まれている事柄、あるいは教育改革国民会議では例えば生涯学習の問題などについては必ずしも十分な提言がないわけでございますけれども、そういったものをすべてこの二十一世紀教育新生プランに盛り込む形で新しくこのプランを策定したと。したがいまして、今後はこの二十一世紀教育新生プランにのっとって施策を展開してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○山本正和君 それが今度の法案と絡むから私はしつこいぐらい言っているんですよね。中教審というものがあって、中教審に基づいていろいろ議論して、予算もかませて、平成十二年の九月に教育改革プログラムができているんですよね。その後、国民会議なる私的諮問機関が答申したことを受けて、そして慌てて中教審という権威あるものがつくったものをさらに変更して、一月に急遽つくったと。なぜ一月にそんなことをしなきゃいけないのか。中教審というのは毎年毎年きちっと答申しておるんですよ。しかも、答申に応じて政府の施策が行われているんですよね。
 私はかつて中曽根臨教審のときに予算委員会でやったことがある。何だ、総理大臣がつくった臨教審が中教審の上を飛び越えて日本の百年の大計はできるかと言ってけんかしたことがあるんですよ。
 何か知らぬけれども、要するに一番心配なのは、国のよるべき施策の基本の部分のところで間違ったことになると心配だから私は言っているので、したがってこの教育改革プログラムが平成十二年九月、去年の九月にできている、ことしの一月にこれをまた新しく乗せたというそういうやり方については問題がありはせぬかということを私は言っているんですよ。そこのところを混同してはいけない。
○政府参考人(近藤信司君) 私どもはもちろん中央教育審議会の答申等を十分に尊重しているわけでございますし、この教育改革プログラムで、例えば一例を申し上げますならば、心の教育を充実するという項目がございますが、地域や家庭における教育力の充実、これはまさしく今回の教育改革国民会議でも家庭教育が教育の原点であるということで第一番目に出ておりますけれども、そこはすべてオーバーラップしているわけでございまして、決してどちらを上にするとか下にするとかというものではございません。
 そういうものを総合的に酌み取りまして二十一世紀教育新生プランというものを策定し、現在それに基づいて施策を展開している、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○山本正和君 もうこれはこれ以上言っても仕方ありませんし、もうやっていることだからね。
 ただ、私が心配するのは、やっぱり時の総理大臣というのは、そのときそのときの政治というものについていやでも応でも一番重大関心を持たざるを得ないんですよね。また、総理として自分なりの政策というものを国民に訴えたい、出てくるんですよ。しかし、教育というのはその時々の政治、政権のあり方によって変わってはいけないというのは教育の基本なんですよ。原点なんですね。
 だから、森内閣の評価を国民が物すごく、支持率八%とかなんとか言いますよ。しかし、私は、個人的にあの人とは随分長いから、通産大臣やその前のときから、文部大臣のときからずっとやっていますから、個人的には立派だと思うんですよ、非常に人柄もいいし。しかし、どうしても総理になるとつい何かやりたいんですよ。そのときに、教育にだけは手をつけずに、教育に手をつけるのならしっかりと中教審と話をして、あるいは本当に文部省が今までやってきたさまざまな流れというものを継続的にきちっと議論する中でたえ得るような、新しい提案は何ぼしてもいいですけれども、それを余りにも早く拙速に自分が言ったことをやっていきたいとすると無理が生まれる、無理が生まれると国民から見て果たしていかがなものかというふうな議論になってしまうんじゃないかということを私は心配するんですね。そういうようなことも含めてちょっと今言ったんですけれども。
 本来、文部省が一番やらなきゃいけないことは、私が思うのは、学校、特に義務教育の学校においては、校長先生を中心に先生たちが一緒になって本当にもう明るくにこにこと動ける学校を保障することなんですよ、本来からいえば。校長と教員が本当に手をつないで明るく一生懸命やっていけるような条件をどうつくるかというのが私は文部省の一番根っこだろうと思うんだ。そこへ正直言ってイデオロギーの旋風が吹き込んだりするとこれはえらいことになるかもしれぬ。いろんなものが来るかもしれない。しかし、そうじゃなしに、少なくとも学校で校長や先生というのが子供を目の前にして一緒になってとにかく明るい顔をして動けるということをつくるのが私は原点だろうと思う。
 それで、国が責任を持つのは義務教育。なぜ国が義務教育に責任を持つかというと、この日本の国のありようから考えても、国家が一番きちっと責任を持たなきゃいけないのは義務教育である。その義務教育の根っこの部分が揺らいでいるんですよね、今の文明病みたいな話で。そこをどう守るかというところに文部省は全力を挙げていかなきゃいけないと思うし、それから、本当からいうと、義務教育で働いている教職員に激励をするというのが文部省の仕事だろうと私は思うんですね。
 そういう意味で、やっぱり今ここで、この法案の逐条的な問題については私はまたこれから申し上げますけれども、まず法案を審議する前に、ここで教育改革と称して、まことに残念なんですけれども、要するに教育改革の法案と称してこんなものが出てきたということが非常に私はつらい思いがするんだ。
 そうじゃなしに、当面これはもうどうにもならぬからここだけとりあえずやりますよという法案だというのならまだわかるんだね。教育改革法案です、これによって我が国の教育はよくなりますというふうな、何かマスコミの取り上げ方を見ると教育改革三法案、これによって教育がまるで一遍に変わるようなことを宣伝したりする人がおるものだからね。どうにもこうにもならぬ中でとりあえずこれだけのことを変えたいんですよという法案ならば、まだ国民もそれならそうかと読むかもしらぬけれども。
 教育改革、これによって変えるんだということを言うと、みんなが何を怖がるかというと、怖がるといったらおかしいけれども、思うかといったら、さては政府の気に食わぬ先生を学校からほうり出すのか、そして教育改革と称して政府を批判するような教師は全部ほうり出すのかと、こういうふうな誤解すら生まれる、場合によっては。余り大げさに言うものだから。
 そうじゃなしに、さっきの飛び級問題等の処理でどうにもこうにもならぬところについては、整合性を持たせようと思ったけれどもどうにもならぬ、しかしこれからはもっと広げたいと思っていますよ、さらにいろんな条件はあえて示していますよ、しかしさらに皆さん方の御意見を聞きながらと、こういうふうな部分があるのかないのか。
 だから、この教育三法案というものの位置づけが教育改革という路線の中でどこのところに位置づけされているのか、どういうふうに考えているのか。要するに、我が国が教育改革ということをしなきゃいけない、それは私も同感です。しかし、そのしなきゃいけない、密室の中におけるこの教育改革三法案と称する、改革三法案じゃない、今度の教育三法案、この位置づけをどういうふうに思っているのか。これは法案できちっと決まったもので、通ったら直ちにやるんですと言うのか、十分に皆さん方の意見を聞きながら、さらに問題点があれば十分対応していきますよという意味での位置づけもあるのかないのか。だから、この三法案についての位置づけをちょっと聞かせておいていただきたい、まだ今最終結論まで出さぬでもいいですけれども。
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生の方から、教育は改革しなければいけない、それは同意するというお話がございました。
 我が国の教育につきましては、さまざまな深刻な状況等も指摘され、迅速に改革を実行していくこと、これは不可欠だと我々も感じています。
 そういった中にあって、先ほど来いろいろ話が出ております中教審の議論ですとかあるいは教育改革国民会議の議論ですとか、そういった議論がさまざまな場で行われてきたわけでありますが、そうした議論を踏まえた上で、ことし一月に二十一世紀教育新生プランというプランを文部科学省の責任において取りまとめたわけであります。
 ですから、この中で文部科学省として教育改革に取り組む全体像を示していると考えているわけであります。全体像、スケジュール等をそのプランの中にさまざまな議論を踏まえて文部科学省の責任で示した、これが二十一世紀教育新生プランであります。そして、そのプランの中でまず早急に実施しなければいけない問題につきまして今国会にお諮りをしている、これが教育三法案と言われているこの三法案だというふうに我々は認識しております。
 ですから、やらなければならない改革というものを、全体像につきましてはプランでお示ししつつ、その中でまずやらなければいけないと思っていることを三法案として御審議いただいているわけですから、これからその全体像、そのスケジュールも示しておりますが、その全体像の中で次にやるべきことはまた次々と御審議をお願いしていかなければいけないというように考えております。
○山本正和君 そうすると、教育改革という道筋を考えた場合に、うんとまだ先に到達点がある、それへ行くための最初の出発に当たっての当面の法案がこれですと、こういうものなんだと。したがって、目的に達するためにこの法案というものは最初の一歩にすぎないのであって、これが通らなかったらもう何もかもだめになるというふうな意味じゃなしに、またこの法案についても、場合によっては今後直すべきところがあったら直しても構わぬと。私は、道筋があったら、それまでにいろいろやっていく中ではいろいろなことを考えますよ、試行錯誤で。しかし、その中で、仮に法律というものは施行日をいつにするかという問題もある。いつから施行するかということもある。それからさらには、法案の中に要するに政令で定めるという部分もある。政令条項もある。いろんなことをやろうとしたらやれるわけですよね。
 そういうふうな意味からいったら、この三つ出している法案というものは、実は衆議院の審議の速記録もとって読んでみたんですが、随分細かいこと、質問があって、かなり副大臣も長い答弁もずっとされておられる、詳細な答弁もね。そこで私が心配したのは、何かがちっと固まった法案のような気がするんですよ、下手するとこれは、斜め読みしてしまうと。そうではなしに、これからもまださらにいろいろ議論の余地がある。例えば、先ほど言ったような飛び入学の問題の扱いは、これは今の話によると、大学と高等学校の間でさらに協議しながら云々というふうなことを十分考えていますと、こういう答弁もしているわけでしょう。
 ところが、実際問題として見た場合には、飛び入学というものはどこの学校でもできると、四年制大学であれば。そうしたら、募集に行ってもいいかと。高等学校にどんどん募集に行って、今はもう私学は経営困難だから、早く学生を呼んでこいと、こう言うておるんです、皆。それ行けといって、うちはもう二年生でいいですから来なさいと、こう言って。そんなようなことになったら大変なことだという不安がみんなにあるわけです。そういうふうなことを起こさせないように、この法案についてはさまざまな誤解がある、あるいはマイナス部分がもし生まれるとしたら、生まれないような措置を講じながらこの法案については十分対応していきますよというところがあるんだと、これがゴールじゃないのならと私は思うんですよ。
 その辺のことを、また役所にしかられるとぐあい悪いでしょうから、確定的なことは言わぬでいいけれども、私の方はそういう受けとめ方でこの法案を審議していきたい。要するに、確定的なものとして決まっておるのなら、一歩も引かぬというのなら、これはもう正直言って、みんな国民の感情からいけばさっぱりこれはわからぬぞということにしかならないんですよね。しかし、いろいろとまだ十分に対応し得るというのならば、それならば見解はどうなんですかということをいろいろ聞いていけるわけです。
 その辺のところを、衆議院のずっと審議を見ていく中で、質問に対する答えがかなり、ああ、これはひょっとすると今の話で十分協議してやりますよと今度は言っているなという部分がある。それならば、何も先ほど冒頭に有馬先生からお話があったような問題でも、それは先生、ちゃんとこうですよ、こういう安全弁がありますよという格好で話ができるとなるわけでしょう。ところが、今のあの法案だけを見ておったのでは、安全弁がないんですよ、何にも。私学が一斉に、もううちは、はい、三年生になるときにみんな来ていいですよ、二年間終わったら来ていいですよと引っ張るということも可能な法案に見えるんですよね。
 それは安全弁を今からちゃんとつけるんですよという用意があるのかないのか、その辺の判断を聞かせてほしいと言っているんです。
○国務大臣(遠山敦子君) 山本委員の方から、教育改革、今回の法案の位置づけのような御質問がございました。
 これまでるる御説明をそれぞれの立場からいたしておりますように、今回の法案というのは、今、日本の学校教育を中心として教育が抱えている問題にどう対処していくかということを考えた末にまとめた二十一世紀の教育改革プランというものを強力に推進するために今回の法案ができ上がったわけでございます。確かに、教育については常に改善を図っていくということがございますけれども、私は今回の三つの法案というのは、今、国民がどうしても直してほしいといういろんな要望に対して大きくこたえることができる内容を含んでいると思うわけでございます。
 ですから、先生もいみじくもおっしゃいましたけれども、学校というのが、校長と教員を中心にして仲よく、しかも伸び伸びと教育活動が行われるようにするということでございますが、それは何も校長と教員だけが快適ということではなくて、それはまさに子供の教育のためにそういうことであるという御趣旨ともちろん思っております。
 今、保護者の方々が一番望んでいるのは、学校に自分の大事な子供を預けて、信頼して教育を任せることができる学校であってほしい、そのためには本当の意味の学力もつけてほしい、心の教育もしてほしい、そういう大きな希望を持っているわけですね。今の学校教育がそれに十分こたえていないのではないかということでほうはいとした議論が起こり、そして教育改革国民会議でいろんな提言がなされた。
 そういうことをバックにして、今いろいろ考えた上でプランを練り、そして今回の法律を御審議に供しているわけでございますが、そこでねらいとするものは、例えば安心できる学校環境を整備するという必要があるので、たった一人の子供のためにほかの子供たちの学ぶ権利が阻害されているようなときについては、きちんとそれについて対応すると。もちろん、問題を起こした子についての教育を受ける権利もきちんとフォローしながらやっていくというような問題でありますとか、子供にとってどういう先生に教えてもらうかというのは大変なもう宿命的な問題なんですね。そういうので、もしその指導が不適切ということであれば、これはきちんと対応していくと。ただ、分限とかそういうきつい処分ではなくても、今回もっと別に、その人の能力も生かしながら、そして学校現場をきちんとやっていくというようなこと、いずれも私は御説明させていただければきちんと説明できる中身であるわけです。
 そういう中身について、私どもも一生懸命答えながら、いろんな像が明らかになってきてまいっていると思います。そのことについて明らかにしていくというのは我々の役目でございますし、また先生方もいろいろ御疑問があるからこそこういう審議が続いているわけでございますが、しかしこの三法によって、今、日本の国民がどうしても教育をよくしたいということについての大きな反応といいますか、大きくそれにこたえていく大変重要な役割を持っている法律だと思っておりまして、単にずっと先に目標があって、それに対してほんの一歩だよというふうには私自身は思っておりませんし、またそういうことでなければこれだけの大きな論議を呼び、衆議院では何と三十四時間もかけて御議論いただき、これからもここで御議論いただくわけでございます。
 私は今回の法律を成立させることによって国民の期待の多くの部分にこたえられるというふうに思っている次第でございます。
○山本正和君 それでは、これから後まだ三回ぐらい質問できますから、大臣の本音を聞きながらということで、きょうは終わります。
○高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。
 私は、この三法案を見まして、ボランティアとか飛び級というのは法律で国が生徒に強制するものではないという気がして仕方がありません。
 例えば、ボランティア活動を学校の中の教務として一斉にやるということは、どうしても生徒とそしてその学校の自主性みたいなものがなくなると思うのです。そして、それを決まり事としてやるようになれば、どうしてもそれは決まっているからやるということになって、何かちょっとボランティア精神の趣旨と違っているように思えてなりません。それは、やはり学校の子供たちが自主的に目覚めて何かやろうといって、そして周囲がそれを助けるというような形にしていかないと、学校でさあボランティアをやりましょう、さあボランティアをやりましょうというのは、どうしても私は、またそれが学校の活性化につながらないように思います。
 飛び級も、これはもちろん飛び級できるできないは学校の自由な選択なんでしょうけれども、それを法律で書いて飛び級というものをつくるということは、もう少し現場でそれぞれの発想から行われるもので、国で、さあ飛び級がありますよ、そしてそれは認められていますよというふうに決めることだと、どうしても学校側の、教師側の、生徒側の自主性というか、自分でやっていくというようなことが出ないと思うし、そして今、登校拒否児が十三万人と聞きますけれども、何か自分たちの学校という気がしていなくて、やはりそこには一つギャップがあるんだと思うんです。私は今、その登校拒否児の子供たちを見ても、やっぱりボランティアや飛び級は法律として国が生徒に強制するものではないと考えますけれども、いかがでございましょうか。
○副大臣(岸田文雄君) まず、ボランティア活動についての御指摘ですが、今回の法改正は、教育指導を行うに当たって、学校がボランティア活動も含む社会奉仕体験活動、こうしたものもさらに含む大きな体験活動、ですから体験活動の一例が社会奉仕体験活動であり、その一例がボランティア活動というような位置づけになると思いますが、この広い意味での体験活動を充実するよう努める旨を規定するものであります。ですから、これは決して義務化、義務づけるというものではないと考えております。
 ですから、これは児童生徒の発達段階や活動内容に応じてその自発性に配慮する、これは大切なことでありますし、また地域の事情ですとかさまざまな活動の場あるいは機会に多様な形で行われる、こういったことは大切だと思っております。ですから、社会奉仕体験活動、この体験活動というものは義務づけではないということ、これは確認をしておきたいと思います、
 そして、飛び入学の方も、これは特定の分野で特にすぐれた資質を持つ子供たちにその資質をさらに伸ばすためのチャンスを広げようとするものでありまして、決して飛び入学を押しつけるものではない、これは当然のことだと思っています。
 ですから、こうしたチャンスの拡大が適切に活用されるような仕組みですとか、あるいは大学と高校との連携ですとか、さらにはこうした状況を検証するためにも全国レベルでの協議の場、こういったものも持たなければいけない、そういった適切な運用を図ることにしっかり努めなければいけないと考えています。
○高橋紀世子君 やろうとなさっていることは私もすばらしいことだと思うんですけれども、それを国が決めて、文部省が決めて、法律で決めてということに、どうしてもそこに生徒たちの自主性が損なわれる何かが生まれてくると思えて仕方がありません。それは、ボランティア活動もすごく大切ですし、実際に社会に出た仕事との結びつきでいろんな研修をすることは、私は少し足りていないと思うんですけれども、やはり生徒側、現場にいる方たちの発案で盛り上がっていくようなやり方がないと、もちろん自主的だとおっしゃって法律で義務化するのではないという話になっても、どうしても決め方が、役所であれば、現場の自主性というのはどうしても少し薄らぐように私は思えて仕方がありません。その点については、なるべく現場が自主的にやるような形でこういうボランティアや何かをできればいいと思っております。
○副大臣(岸田文雄君) 教育の内容につきましては、全国的に一定の水準を確保するとか、あるいは教育の機会均等を保障する、こういったことから大綱的な基準は設けているところであります。ですから、こうした体験活動を支援するということについても、国としてのさまざまな支援が必要な場合もあります。ですから、国としてもこうしたものに対してかかわらざるを得ない部分があるわけでありますが、しかし具体的な体験活動、どんなものをやるかとか、そういった部分におきましては、その地域の事情ですとかあるいは児童生徒の自主性、こういったものは大切にしなければいけない、これはおっしゃるとおりだと思います。
○高橋紀世子君 本当にそうだと思うんです。私、自分自身が学校へ行きましたことと、子供を三人育てました。公立や私立へいろいろ入れてみたんですけれども、本当に範囲も内容も同じで、やはりそれは、この十年の間に教育産業が発達するとともに、本当に授業が画一的になったと思うんです。
 例えば、私たちのときは、地図帳にいろんな生産が、何がとれた何がとれたというのをかき込むのをもう本当に楽しみでやっていましたけれども、そんなものは私たち子供たちがつくるより百倍ぐらいカラフルなものを教育産業でつくっていますから、子供たちが地図なんてかかなくなっておりますし、やはりこのボランティア課業にしても、何か画一的に決めてということがどうしても過ぎていると思うので、やはりボランティア活動は大変大切なことなんですけれども、一斉に国で決めずに、学校の指導者や生徒たちが何か盛り上がってそういうものをやるようなふうにできたら、この教育界の登校拒否児のこんなにたくさんいる閉塞感が何とか打破できるのではないかと思っています。
 子供たちを見ておりますと、感想文なんかを書きますと、教育産業のは三十文字で書きなさいと書いてありますから、内容、文章を考えるよりも、まず三十文字を先に手で折って何て書こうということを考えるんですね。だから、それは三十文字で書きなさいという教科書、そういう読本がいっぱいあるからそういうふうになってしまうので、何か自分で物を考え、自分で歩いてやれるんだぞという意識が出てきたら、登校拒否児の数も少なくなるんではないかと私は思っています。またよろしくお願いします。
○副大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、こうした体験活動につきましても、国が義務づけるということはするものではないと思っています。
 ただ、ボランティア活動にしても社会奉仕体験活動にしても、子供たちの自主性は尊重しなければいけないと思うわけですが、しかし子供たち自体もそうした体験活動は初めての体験ということもあると思います。ですから、学校の適切な指導の中でいろいろなアドバイスを行う、指導していく、これは大切なことだと思っています。こうした学校教育の指導の中でその体験活動というものが大いに活用されるよう期待したいと考えます。
○高橋紀世子君 私も、おっしゃるように、体験活動はすごく大切だと思うんです。今の子供たちを見ていると、やっぱり学校の勉強と職業とのラインが全然ないんですね。いい学校に行こうという気はあるけれども、何になろうとかというところは非常に薄いと思うんです。それがやっぱり体験を通して、自分の職業と照らし合わせてこういう職業につくためにはこういう体験をするということが学校時代にもう少し豊富にできたらと。
 今、私のところに、政治家の事務所で研修するという組織がありまして、学生さんが四、五人研修に来てくれているんですけれども、それは非常にいいことで、私たちもプラスになりますし、学生さんたちもこれからの職業と照らし合わせて考えるのはいいと思いますので、やっぱり体験活動はすごくいいと思うんです。だけれども、それを押しつけないで、子供たちが自分的にこれをやるぞというふうにするように何とかしていただきたい、していった方がいいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) お話を伺っておりまして、今の日本の児童生徒の現状ですけれども、例えば学力についてどうかというような議論の中で、学力自体本当に下がっているのかどうなのかといういろんな評価のメルクマールがあったりして議論があるところですが、少なくとも何かやろうという意欲につきましては低下している、これは多くの人が認めているところであります。ですから、意欲、何かやろうという熱意、こういったものを子供たちにしっかりと感じてもらうこと、これは大変重要なことだと思っています。就職においてもそうでしょうし、さらに体験活動等を通じて何かをやろうという熱意が沸き上がってくること、これは大変大切なことだと思いますので、そういった効果が出るような運用にしっかりと努めていかなければいけないと思っています。
○高橋紀世子君 本当に一つ何か意欲に欠けている。自分の子供たちを見てもそう思います。でも、それは余りにも学校でカリキュラムも何もかも決まってそのとおりにやるというところがどうしてもあるような気がして、それは教育産業と結びついたのか何かわかりませんけれども、本当にどこの学校にやっても大体同じです。もう少し子供たちの自主性が出るようなことになったら、やっぱり学校がおもしろくなると思うし、この閉塞感から脱出できると思うんです。
 それは、もうここまで登校拒否児が多くなってきて、こういういろんな事件が多くなってくると、やっぱり教育のことは本当に抜本的に変えていかなきゃいけないし、盛りだくさんに、これもこれも、これやったらいい、これやったらいいというそのやり方ではどうも逆に回転するような気がしてなりません。少し不安になるぐらいほっておくという方法がいいんじゃないかと私は思ったり、何しろ自分の子供たちを見ていても、学校はいい学校へ行ったんですけれども、職業を選ぶということになると本当にもうわからなくてお手上げで、私がちょっと重病をしたもので、おやじも死んでいるんですが、おふくろも何か怪しくなったから慌てて就職したよなんて一人決めてくれたのはありがたかったんですけれども、でも何か職業選びということになるととってもナイーブで、本当にどうしていいかわからない。やっぱりこれは学校と私たちがもう少し自分たちで考えて、動かす方法を見出していかなきゃいけないんじゃないかなと思って、この文教委員会に入って一生懸命勉強してみようと思いました。
○国務大臣(遠山敦子君) 本当に実際的ないろんな体験をして、自分で考えたり、自分の足できちんと立って判断できる、そういう子供を教育するというのは、もうまさに今私どもが議論している新たな学習指導要領に乗っかった今回の教育改革三法も含む非常に大きな流れと同じ方向でございます。
 余りにも受け身で画一的に同じような知識をというのではなくて、自分で考える、そのことを担保するためにいろんな体験活動をやらせようということでございますし、総合的な学習というのを通じてそれぞれの個性とか能力に応じた教育もやっていこうということでございます。
 すべてを国が決めてといつもおっしゃいますその趣旨は大変よく私どももわかるんでございますけれども、それは決して私どもが意図しているということではなくて、それぞれの学校でかなり今は自由に判断をし、カリキュラムを組み、さらに教師の方々はそれを前提にいろいろ工夫をして、それをその教育の現場で実現していく、そういうことが可能な制度になっているわけでございますが、そういうことをさらに加速し、また子供たちが、今おっしゃった特に職業の関係、そういうことについて興味が持てるように、体験学習の中では、特に近所の商店に行ったり、あるいは工場に行ったり、あるいは物づくりの人に会ったり、そういうところに連れていって、そしてそこでいろんな体験をさせる。これは教育活動として大変重要な手法でもございますし、そういうことも盛り込んで、そういうふうなことに努めるようにするということで、義務づけるのではなくて努めるということで今回の法案もできているわけでございます。
 少しずつそういう方向に向けて日本の学校教育というのも変わっていくべきだと思っておりますし、その御指摘、その方向については私どもも賛同しているところでございます。
○高橋紀世子君 ありがとうございました。
 何とか教育のあれが少しでも自主的に子供たちが考えて動けるように頑張っていきたいと思います。
○委員長(市川一朗君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会