第151回国会 文教科学委員会 第13号
平成十三年六月二十一日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 六月二十日
    辞任         補欠選任
     石田 美栄君     輿石  東君
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     輿石  東君     石田 美栄君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         市川 一朗君
    理 事
                亀井 郁夫君
                松村 龍二君
                佐藤 泰介君
                内藤 正光君
                荒木 清寛君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                佐藤 泰三君
                中曽根弘文君
                水島  裕君
                柳川 覺治君
                輿石  東君
                本岡 昭次君
                阿部 幸代君
                畑野 君枝君
               日下部禧代子君
                山本 正和君
                高橋紀世子君
   国務大臣
       文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣
       文部科学副大臣  岸田 文雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       総務省行政評価
       局長       塚本 壽雄君
       文部科学大臣官
       房長       結城 章夫君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
       文部科学省国際
       統括官      白川 哲久君
       文化庁次長    銭谷 眞美君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)

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○委員長(市川一朗君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、石田美栄君が委員を辞任され、その補欠として輿石東君が選任されました。
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○委員長(市川一朗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に総務省行政評価局長塚本壽雄君、文部科学大臣官房長結城章夫君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、文部科学省国際統括官白川哲久君及び文化庁次長銭谷眞美君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(市川一朗君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十五日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(市川一朗君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○阿南一成君 おはようございます。
 自由民主党の阿南一成であります。
 前回、六月十九日の当委員会の質問に立たせていただきましたが、この日は池田小学校の問題、それから刑法改正の問題、それから事務職員の役割、待遇改善等の問題に絞って質問をさせていただきました。したがいまして、きょうは本題の教育改革関連三法案を中心に質問させていただきます。
 まず、出席停止についてであります。
 文部科学省の調査によりますと、平成十一年度に全国の公立中学校において出席停止の措置を受けた中学生が八十四名ということであるそうであります。その理由は、対教師暴力が第一位。さらに、ここ数年、授業妨害というものも出席停止の中に入ってきておるようです。さらに、今までなかったいじめを理由とする出席停止の措置もあらわれたということのようであります。
 現在、学校教育はこれまでの教育現場とは違った状況であります。先日の当委員会においても遠山大臣も強調されておられましたが、被害を受ける子供たちの安全、そして平穏に授業を受ける権利への侵害というものが深刻さを増しております。それらを排除するために、やはり行政としてはしっかりと手を打たなきゃならないであろうというふうに感じております。
 学級崩壊とか荒れる学校の原因とされます児童生徒、それから切れる子供によるたび重なる授業妨害などにより直接に被害を受けるのは、同じ学級、学校のまじめな児童生徒であります。平穏無事に授業を受ける権利を保護するためにも、出席停止の要件を明文化し、より適切に出席停止の措置がとられるということは強く望まれていたところであります。今回法案が出てきたわけでありますが、私はむしろ遅きに失したという気持ちもあるところであります。
 今回の改正案では被害を受けた児童生徒に対する学校側の対応が明らかでありません。心身ともに深い傷を負った児童生徒のアフターケアこそが重要であると私は考えるのであります。文部科学省においては、今後十分な体制整備をしかれて、この点についてもしっかりとした対策を立てていただきたいと思っております。
 また、出席停止の措置だけでは根本的な問題解決にはならないのでありまして、出席停止を命じられた児童生徒の出席停止期間中の指導も大変重要であると思います。出席停止の措置を受ける児童生徒に対する対応についても十分に配慮をしていただきたいと思います。
 飛び入学について。現行の飛び入学制度は、平成九年の中央教育審議会答申での希有な才能を有する者の飛び入学制度にかかわる提言を受けて導入をされたと承知いたしております。今日までに、国立大学では千葉大学が物理学の分野で実施をし、私立大学では本年度から名城大学が数学の分野で実施をしていると承知しております。入学者は、千葉大学は平成十年度から今日まで計十二名、それから名城大学は本年度四名ということでありますが、いまだ卒業生を出していないのが現状であります。
 こうした中で、今回の改正案では、飛び入学の対象分野を限定しないとされております。一般的に私は、制度の内容を変更する場合には、その制度について何らかの実施結果が出て、その制度の長所短所について分析をし評価をして、それを踏まえて判断をするということが普通ではないかというふうに考えます。なぜそんなに急がれるのか、私は与党ではありますが、若干の疑問なしとしないわけであります。
 また、この制度が導入されてから既に三年を過ぎておりますけれども、国立大学ではいまだにこの制度を導入したのは千葉大学のみということも不思議な気がいたします。いわゆる権威があるとされる東京大学とか京都大学その他については全く実施の動きすらないというのはいかなることか。この現実をどのように理解すればよいのか。理念が先行し過ぎているのではないかという懸念を持っておるわけであります。
 したがいまして、飛び入学の対象分野等の拡大の実施に当たっては、千葉大学、名城大学以外の他大学がこの飛び入学制度の導入に積極的ではなかった理由をまずよく当局で分析をしてほしい。そうして、その結果を踏まえて、制度の趣旨をいま一度各大学等に明確に示し、新制度が実効性あるものとなるようにしていただくことを要望しておきます。
 なお、この飛び入学制度については、衆議院において、飛び入学をさせることができる大学を当該大学の定める分野に関する教育研究を行う大学院が置かれており、かつ当該分野における特にすぐれた資質を有する者の育成を図るのにふさわしい教育研究上の実績及び指導体制を有する大学に限定する旨の議員修正が行われております。
 私は、一般論として申し上げますが、官僚としては、ゆえなき議員修正には徹底抗戦をすべきであり、その議員修正が正鵠を得ている場合は、プロフェッショナルであるテクノクラートとしての官僚諸君はみずからの不明を恥じるべきではないかと思っております。そのあたりのけじめが最近少し甘くなっていることを警告しておきたいと思います。
 少し蛇足ではありますが、政高官低と言われる今日ではありますが、官僚諸君は、神からせっかく授けられた優秀な頭脳を国家国民のために全力でお役に立てようとして霞が関の門をたたいたはずであります。いかに政治主導の時代であるとはいえ、納得できないことについてはノーと言うべきであります。政治にすり寄るイエスマンばかりがふえては日本の将来は暗いものとなると心配をしております。敗戦の廃墟の中から我が国を経済的にジャパン・アズ・ナンバーワンの地位に押し上げたのは、私は、霞が関の官僚機構とその頭脳集団である官僚諸君が頑張った、日本国民のだれもが認めておるというふうに思います。昨今は官僚バッシングが続く中からいろいろと思いは複雑でありましょうが、決して卑屈にならず、毅然とした態度で頑張っていただくことをお願いいたしたい。
 エニウエー、大学に飛び入学した者が当該大学を中退し社会に出ていこうとすることもその選択肢の一つとして十分考えられると私は思うのでありますが、こうした場合の最終学歴は新制中学となるのでありましょうか。
 学校教育法五十六条では、大学に入学することのできる者とは、高等学校を卒業した者及びこれと同等以上の学力があると認められた者となっております。飛び入学により大学に入学を認められたということは、高校を卒業した者と同等あるいはそれ以上の学力があると言ってもよいと私は考えるわけです。少なくとも、大学に飛び入学した学生でみずからの意思で大学をやめた者について高等学校の卒業を認めるようにすることが私は自然ではないかと思うのでありますが、副大臣の見解をお伺いしておきます。
○副大臣(岸田文雄君) ただいま先生の方から出席停止あるいは飛び入学につきまして御質問いただきました。
 まず出席停止の部分でありますが、現行法におきましても出席停止は規定されておりまして、その具体的な運用につきましては、昭和五十八年に発した通知において指導してきたところであります。そして、他の児童の教育が妨げられている場合等、出席停止措置を講ずるなど毅然とした対応をとるよう必要な指導を行ってきたところであります。
 そして、今般、教育改革国民会議報告等の提言もあり、今回の改正において、要件を明確化し、新たに手続や出席停止期間の学習支援について規定し、適切な運営を図ろうということになったわけであります。そして、その際に、御指摘がありました出席停止を受けた児童生徒への支援等、こうした支援、バックアップ体制、こういったものに万全を期さなければいけない、当然のことだと思っております。学級担任等の家庭訪問あるいは教育相談を行う、さらには関係機関と連携し専門職員の協力を得る、さらにはこうした生徒指導担当教員の加配に加えて定員の定数を上乗せする、サポートチームづくりを進める、こういったことによりまして、出席停止を受けた児童への支援等もしっかりと考えていきたいと思っております。
 そして、飛び入学の御質問でございますが、まず今、千葉大学、名城大学で実施している、もっと分析が必要ではないか、なぜ急いで改正するのかという質問でございますが……
○阿南一成君 質問していない。私が質問しているのは高校卒業の資格だけ。
○副大臣(岸田文雄君) 済みません。
 その辺しっかり承りまして、高校卒業の資格の部分をお答えさせていただきます。
 まず、高校を卒業せずに大学に入学するため、大学を中退した場合、いわば飛び入学の制度を利用した場合、高校中退そして中学卒業の扱いになる、これはおっしゃるとおりであります。そうしたリスクがあるということはおっしゃるとおりであります。このため、飛び入学をする本人の自覚がまず求められなければいけないと思いますし、また責任を持って卒業させ得る指導体制を大学において備えなければいけない、そういった大学のみ飛び入学を実施するものだというふうに思っております。
 この辺の高校中退の扱いとなる旨のこと、これは十分周知を図るよう関係者に徹底すること、まずこれは大切なことだと思っておりますし、またさまざまな資格の取得要件につきまして、本法案の改正をお願いし、御了解いただいたならば、法改正を要するものについては本法案の附則に措置しまして、この各種資格の取得要件等について配慮をするということを考えておりますし、また高校卒業を厳格に要件としている資格等につきましてはその担当省庁に善処を求めていく、こういった配慮を考えていかなければいけないと思っております。
 さらには、当該大学の他の学部へ転学部することは可能とするとしておりますし、また飛び入学をした人間が他の大学へ進路変更する場合には、できるだけ可能とするような扱いを予定しておるところであります。
 こうしたリスクはあるわけでありますが、そういった配慮をして不都合が生じないように努めなければいけない、そういった準備を考えておるところでございます。
○阿南一成君 ありがとうございました。
 大変恐縮でございますが、私の後に続く同僚議員の方の時間もございますので、質問したことだけに簡明にお答えいただきたい。
 今の御答弁、大変難しいんだと思うんですが、私が聞いておるのは、飛び入学で入る者は高校卒としたらどうかということを言っておるのでありまして、だめならだめ、いいならいいと、これでいいんではないか、だめであるとするならどういう手があるのかということだろうと思います。
 次に移ります。地教行法の改正案について触れます。
 今回の地教行法改正案の柱の一つは、教育委員会の活性化がそのねらいであります。この件については、既に臨時教育審議会の第二次答申の中で教育委員会の自主性、主体性の欠如が指摘をされて、教育委員会の使命をしっかりと遂行するために活性化することが必要であると明記をされました。しかし、この答申は出てから既に十五年以上も経過をしておるわけであります。その間、当局は何をしておったのか知りませんが、いまだに教育委員会の活性化の必要性が叫ばれるというのはいかがなものかと思っております。
 それからもう一点は、六十歳以上の教育委員が占める割合が市町村で約七割、都道府県で八割ということが大変強調されておりますが、私もいつの間にか還暦を過ぎましたが、若い人材を教育委員として登用することが殊さらに強調されていくということについては、私はいささかの疑問を持っております。地教行法第四条は、教育委員は人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するものから任命されるとされております。永年地域の発展に貢献し、またその地域の実情に通じ、高い識見を有する方々のバランスある感覚も必要ではないかと思うのであります。地教行法四条の趣旨はこのような方々による社会の良識を反映した教育行政の実現をも期待しておると私は考えております。
 特に、地方分権の時代になりましたので、多くの中央の権限が地方に移譲される時代であります。働き盛りの若い人のどのような層が果たしてこの教育委員会の活性化の推進のかけ声のもとに組み込まれてくるのか。そして、それは真に国民の声を代表する人々に入ってもらう必要があると考えております。例えば、マンション管理組合の多くがそうであるように、善良なサラリーマンは出世競争の真っただ中にあります。なかなか時間がない。そうすると、一つの考えを持った人が大半を占めるような人的構成にもし仮になるとすれば、事は教育に関することでありますので大変重要であると思っております。
 教育委員会の活性化を図る上で、このようなことに十分な目配りをして教育委員の構成に配慮することが教育委員会のあり方として適切かつ重要であると考えておりますが、この点も答弁は要りません。
 指導力不足の教師の問題について申し上げます。
 今回の改正でいわゆる問題教師に対する対策が整備されたということでありますが、国民、保護者の立場から考えますと、ようやくやっとそこまで来たのかという感じがあります。さらに申し上げますならば、今回の制度の導入のみで事足れりとせずに、民間企業であればリストラのあらしが吹き荒れている今日であります。当然、免職あるいは解雇に追い込まれるであろう分野の話も中にはあるのではないかと思っております。教師として適格性を欠く者への対処には地方公務員法上の分限処分がありますが、分限処分における不適格性の認定範囲は非常に狭く、事実上機能していないのが現状であろうかと思います。
 新聞報道によりますと、平成十年及び十一年度に適格性の欠如を理由に免職をされた教師は、全国の教職員数約九十四万人の中で、十年度が三名、十一年度が五名という数であります。もちろん、本来、少ないにこしたことはないのでありまするが、現在これほどまでに一般企業においてリストラのあらしが吹き荒れている現状を考えますと、この数字が社会の一般常識と軌を一にするかどうかということについては疑問を感じます。
 子供からの質問に的確に応じられないなど児童生徒に対する指導を適切に行えないとされる教師を他の職種に転職させることが可能となることは、児童生徒にとってはもちろん望ましい措置でありましょう。しかし、社会の常識から考えれば、リストラの対象となるべきであるということを十分に肝に銘じ、次の職場での心機一転の奮起を促し、職場に残る最後のチャンスであることをよく自覚させていただく必要があると思っております。
 岸田副大臣のこの問題に対する見解をお伺いしておきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 本法案におきます措置は、児童生徒への指導が不適切な教員のうち分限免職等にまで至らない者について教員以外の他の職に転職させる道を広げることとしたものであります。ですから、先生がおっしゃったように、分限免職あるいは分限休職に該当する者については従来の制度の中でしっかりと当該処分を行っていくべきものだと思っております。
 そして、それに加えて、今回新しくそこに至らない者に対して対応が行える、そういった道ができたこと、この意味は大変大きいと思っております。ぜひこの趣旨を踏まえて適切に指導していきたいと思っております。
○阿南一成君 優秀な教師への優遇策について申し上げます。今回の地教行法の改正で指導力が不足している教師の対策が整備されると同時に、優秀な教師に対してどうするのかということであります。
 ここでもう一つ考えるべきことは、日々自己研さんに励み、子供たちの教育に熱心に取り組んでおられる教師が多数おるわけであります。とかく問題教師のみがマスコミに大きく報道されますが、あたかも教職の世界が問題教師ばかりのようなイメージを世間に与えているのは私は全くよくないと思っております。
 多くの教師は教職という聖職の中にあって日夜研さんを重ね、国家百年の大計である教育を根っこで支えておる多くの方がおられるわけであります。今日の教育荒廃と言われるゆゆしき事態を前にして、一部の問題教師を排除するだけでは不十分であります。真摯にみずからの職務に専念し、常に日夜自己の研さんに精励しておられる先生方に対し、さらに意欲を高め、教育という崇高な職務に邁進してもらうための体制の整備も必要であると私は思うのであります。
 教育改革国民会議の報告の中で、優秀な教師に対し表彰や給与面などの処遇優遇策を講じるという一項があります。二十一世紀教育新生プランにおいても来年度から特別昇給の実施を予定しておると報道されております。私は、この制度が官僚制の悪習の中に埋没をしないように、お互いの平和のためにという大義名分のもとに六年たってみたら全員が一回ずつ平等に特別昇給をされておったというようなことにならないように、しっかりと特別昇給の結果についても検証していかなければならないと思っております。そうして、この問題については非常に重要でありますので、副大臣としてもぜひ副大臣の引き継ぎ事項の一項目として特別昇給のあり方について入れていただきたい。
 なお、海外への語学研修の派遣につきましては大変いい制度であると思います。真摯にみずからの職務に専念して、常に自己研さんに精励しておられる方々を優先的に海外の語学研修に派遣されるべきであろうと思います。
 副大臣の見識を伺っておきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 先生、優秀な教師に対する対応も一応御質問事項と考えていいんでしょうか、御指摘と伺えばいいんでしょうか。それもお答えいたしましょうか。
○阿南一成君 私が問うておりますのは、特別昇給が人民管理というとまた怒られますが、六年たってみたらみんな平等に一回ずつ行くという、お互いの平和ということであってはならないという私の見解に対して副大臣の御感触を伺うと同時に、それを副大臣の引き継ぎ事項にしてもらいたい、こういうことであります。
○副大臣(岸田文雄君) 先生がおっしゃるように、優秀な熱心な教員の皆さんは大勢おられるわけであります。そういった方々が適切に評価されることは大変重要なことだと思っております。そして、一律ということではなくして、こうした表彰制度等さまざまなシステムが教育委員会において具体的に検討されること、こういったことをぜひ促していきたいと思っております。
 引き継ぎ事項等でしっかりと強調しておきたいと思います。
 また、語学研修の件でありますが、語学に関しましても優秀な教員を対象として研修制度を充実させることは大変重要なことだと認識しております。事実、さまざまなシステムがあるわけでありますが、こうした研修制度を適切に運用できるように促していきたいと思っております。
○阿南一成君 衆議院における議論の中でもそれほど取り上げられませんでした。また、当委員会においてもまだまだ議論をされておりません家庭教育について、遠山大臣にお聞きしておきたいと思います。
 昨今の家庭教育は言うまでもなく私は危機的状況にあると考えております。最近の少年による凶悪事件の続発、学級崩壊、いろいろ深刻な状況がありますけれども、これは基本的にはやはり家庭における教育力の低下がその背景にあると私は考えております。近年、核家族、少子化の時代でありますので、またさらに女性の高学歴化等もありまして大体一人っ子あるいは二人っ子、これを親は過保護に育てておるということであろうと思います。
 例えば、デパートに行ってみますと、デパートの床の上でひっくり返って手足をばたばたさせて泣き叫ぶ小さい子供がおりますが、見ておりますと、親はその子をしつけるよりも、その場の恥ずかしさからかどうか知りませんが、大体お目当てのおもちゃなりなんなりを買い与えてしまうという光景をだれでも一回ぐらい見ただろうと思います。子供は、ははん、これでいけるんだなという学習効果を身につけるのであります。
 戦前であるならば、親がしっかりと子供をしつけていったのであります。また、家庭が崩壊しておるうちのお子さんもおるでしょう。しつけがうまくいかなかった家庭の子供さんたちについては学校において、いろいろ考え方はあると思いますが、教育勅語の世界での親に孝を初めとするしっかりとした人間としての徳を学校で学ばせたと。崩壊した家庭教育のいわゆるセーフティーネットの役割を学校教育は果たしておったと思うのであります。
 しかし、戦後の教育では個の尊重が重視され、家庭、学校で行う、人間としてどう生きるべきか、あるいは本来最も大切な教育の基本が見失われていると私は思います。学校において個の尊重にウエートがかかり過ぎ、公の意識を教えることがおろそかになっているのではないかと思っております。
 また、家庭におきましても、子供は個室を与えられます。その中で勉強さえしておればすべて許されるといった錯覚を子供たちは持っておる。親が勉強をしておる子供の顔色をうかがいながらびくびくして夜食のうどんなどを持っていくと、ドアをあけた途端に、プライバシーを侵害するな、プライバシーの侵害だと子供にどなりつけられて、母親はいつの間にかうどん屋の出前以下に成り下がっておるという家庭もあるだろうと思うのであります。
 私は、教育とはまずまねをすることから始まると思う。特に幼児期においては、親がそれぞれの信念、理念のもとに、子供に対してこうであるという手本を示して、時には子供が嫌がってもやらせるということが重要であろうかと思うわけであります。三つ子の魂百までと言いますが、やはり私は幼児教育、三つまでが非常に重要であると思う。しかしながら、そこでできなかったものについては学校教育がセーフティーネットできっちりとやる、これが重要ではないかというふうに思っております。家庭はあらゆる教育の原点であると私は思います。
 また、最近の若い夫婦は子供をどのように育ててよいのか本当はわからないんじゃないかと思うんですね。おじいちゃん、おばあちゃんもおりません。核家族であります。したがいまして、それが甘やかしになったり、あるいは児童虐待になったりと、いろんな形で出ております。
 家の中の床の間というのは、私は家庭生活の中にあっては重要な意味を持つ空間であると思うのでありますが、最近の若い諸君はその大切な空間にたんすを置いておるということであります。日本伝来の心が失われつつあるのではないかと思っております。
 先日の委員会でも申し上げましたが、私は今、親学の会という勉強会を立ち上げまして、大学教授や小児科医あるいは心理学者などの専門家から子育てに悩む保護者まで、さまざまな方々に参加をしていただいて勉強させていただいているところであります。いろいろ皆さんに聞きますと、家庭教育の現状の厳しさをますます強く感じておるところであります。
 そこで、大臣は今日の家庭教育の現状をどのように見ておられるのか、また家庭教育は本来どのようにあるべきとお考えか。そうして、終戦後の学校は、個の尊重と平等性を強調したところで教壇をなくし、先生は子供から見て遊び友達か子守役に成り下がってしまっておるのではないか。したがって、学校教育が機能を果たさなくなっていることに対して、学校をどのようにされようとしておるのか。家庭教育の補完的役割を果たすセーフティーネットとしての役割等について大臣の御見識を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 現下の問題を大変厳しくお考えいただいた今の御意見、ごもっともと思う点が多々ございました。
 もちろん、家庭教育といいますものは、それぞれの家庭がみずからのスタイル、価値観において責任を持って子供をしつけていくというものでありましょうから、その際に行政の役割といったものは一体何かということには注意を払いながら、しかし家庭教育のしっかりした実施のために支援をしていくということが必要でなかろうかと思っております。
 現在、阿南委員が今御指摘になりましたようないろんな子供をめぐる問題がございます。子供たちは、真っ白な画面の上にみずからのあり方を描き上げていく上で、親を手本にして生き方を確実にしっかりしたものを築いていくというのは当然でありますけれども、その親の姿勢そのものが今御指摘のような問題をはらんでいるわけでございます。
 私どもは、ちょうど一九六二年、昭和三十七年でございますが、文部省に入りまして、私は社会教育局の婦人教育課に入りました。そのときに初めて、時の斎藤正社会教育局長、大変立派な方でございましたけれども、この方から、家庭教育の充実について考えてみよというお話がございまして、そして初めて家庭教育というものを社会教育の中で施策としてとり始めた、そのときの担当もしたわけでございます。そのときは、家庭教育の本来のあり方というものを十分に考えた上で行政が一体どこまでできるかというのを緻密にその局長が議論をされて、そして家庭教育学級でありますとか幾つかの施策が始まったわけでございますが、今回この法律案におきまして、家庭教育についての支援の方策が社会教育法の中に組み込まれようとしておりますことに私は深い感慨を覚えるところでございます。
 それで、家庭教育の重要性を支援するために幾つか、例えば子育て講座等の全国的な開設でありますとか、あるいは家庭教育ノートの作成、配布、あるいは家庭教育の相談体制の整備など、さまざまな支援体制をこれからとっていくわけでございますが、今回の法改正によってそのことの重要性が全国各地にきちんと受け取られて、望まれる方向で進むことを願うところでございます。
 さはさりながら、委員御指摘のように、学校教育では一体どうなのかという点が残るわけでございます。当然ながら、学校教育におきましても、一人一人の子供の実態を踏まえながら、学校の教育活動全体を通じて、人としてやってはいけないこと、あるいは善悪の判断基準、あるいは他人を思いやる心、つまり自分が他人に迷惑をかけないというだけでは私は人間としては十分ではないと思います。他者に対して十分の思いやりを持って、そして他者が困っていれば助ける、そういう気持ちをはぐくむというのが学校の役割でもございます。本来ならばもちろん親がそれはしつけるべきでありますけれども、学校もまた同じような価値観でしっかりとそれを教えていく必要があると思っております。
 今、小学校の低学年、一学年、二学年の道徳の学習指導要領を見ましたところ、その点がきちんと書き込んでございまして、これらが十分に子供たちに伝えられれば、私は、今私どもが心を砕いている家庭の教育力の低下、地域の教育力の低下、あるいは学校における教育力の低下というものについても改善が見られていくのではないかと思うわけでございます。
 それで、家庭の親の自覚を促すとともに、学校も教育の専門機関として御指摘のように十分この問題に対応してもらいたいと思っておりまして、私ども、そういう意味で指導、助言、援助を続けてまいりたいと思っております。
○阿南一成君 ありがとうございました。
 実は、私も遠山大臣と同期、文部省の入省でありまして、私は中央教育審議会の事務局で第一次大学管理法案の事務をやらせていただきました。
 エニウエー、教育と政治についてお尋ねいたします。
 私は、常々教育と政治の関係について考え、当委員会でも申し述べてきました。教育はその根本の目的において政治と同じ性質を持つものであると考えております。つまり、政治の目的は、国民の物質的、経済的な幸福だけでなく、精神的、倫理的な幸福の実現を求めて活動するものであります。政治は、経済的、精神的な幸福の実現へと国民を導き教育をしていかなければならない、そう思っております。
 現在、審議している法案につきまして、中央教育審議会がありながら何がゆえに私的諮問機関である教育改革国民会議の提言をもとにつくられ、我が国の根幹をなす教育に対して総理の私的諮問機関が物を言うのかという質問が衆議院でも、また当参議院でもありました。まことにごもっともであろうかと思うのでありますが、この考え方は仮に従来の政治と教育の関係が万事うまくいっておるときであろうと思います。しかし、戦後、物質的、経済的な物を重視するいわゆる唯物的教育が行われ、心を重視する唯心的教育がなおざりにされておる今日であります。その結果、昨今の非行やいじめや学級崩壊という教育の負の部分が全面的に押し出されてきて、教育の荒廃はここにきわまれりといった状態であります。
 このような教育の危機的状況を前にしては、政治は教育に対して直接介入は避け、外的条件整備に徹するものであるという論理はよく私も承知をしておるわけでありますが、多くの国民が納得をしない現状であります。国家の根本問題である教育について、政治家がみずからの信念のもとに積極的に発言し世論を喚起していくときが来たということではなかろうかと思うのであります。
 先週創刊されました小泉総理のメールマガジンには、「志定まれば、気盛んなり。」という吉田松陰の言葉を引いて改革断行の強い決意を表明されております。小泉内閣の一員であります大臣の教育改革に対する強い決意とともに、教育に対する政治のあり方について率直な御見解を賜っておきたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 国が教育に関する政策を定めます場合に、中央教育審議会の議論ももちろん参考としながら、しかし今回の教育改革法がよって立っております一つの基盤としての教育改革国民会議の議論というものは、私は、時の総理大臣が主唱されたということではありながら、しかし政治家がみずからの判断だけで動くのではなくて、広く英知を集めて日本の教育の現状を議論し、その中でやるべきことを精査してもらって、そして提言をもらい、その中から法改正に至るべきものについて判断をし、今回の提案になったと考えております。
 その意味では、教育というのは国民全般にかかわる問題でありまして、また一国の将来をどうしていくかということに深くかかわっているものでございます。当然ながら専門家たちによる、あるいは有識者による委員から成る中央教育審議会、ここにおける議論は大変重要でございますが、しかし教育改革国民会議で議論された中身そのものは、今まさに委員がおっしゃいました今日日本の教育が危機に立っているということを前提とした議論でございまして、まさにそれは一国の将来を憂い、そしてあるべき姿を描いていこう、それには何が必要かということの真剣な討議があったと私は思っております。
 我が省といたしましては、これまでの中央教育審議会の議論、そして教育改革国民会議の議論を踏まえた上で、二十一世紀教育新生プランを政策として総合的な形で取り上げ、そしてその中の法律改正を要するものについて今回お願いをして、これが改革の第一歩といいますか、その新生プランを実行に移すための非常に重要な骨組みの一つであろうと考えております。
 そのようなことから、教育に関することはこれからも広く国民の意見を聞きながら、そして政治もその国民の声を反映した上で、これからの日本の国家にとって大事と思う面については大いに主張していただき、我が省はそれらの御意見を聞きながら最も重要であるような部分について取り上げていく、そういう姿勢を今後とも保つべきであろうと思いますし、その考え方に照らして、今日私どもがとっております、歴代の大臣の御努力もありまして、その方向について、私は今後ともそういう方向でありたいというふうに考えているところでございます。
○阿南一成君 終わります。
○亀井郁夫君 自由民主党の亀井でございます。
 過ぐる池田小学校における痛ましい事件、本当に胸を痛めるわけでございますけれども、しかし考えてみますと、どうしてこういう事件が起こったのか。先ほどお話がございましたように、戦後五十年の教育というものをここでしっかり考え直さなきゃいけないと私は思うわけであります。
 もちろん人権は大事でありますけれども、人権に傾斜した教育が行われ、人間として生きるべき道は何かということを教えることを怠っておった、その結果ではないかと思うわけでございます。こういうことを言いますと、すぐに日教組が悪かったなんということになるんですけれども、しかしすべてをそういう言い方でやってはならないと私は思います。そうしたことを認めてきたのは文部省であり、教育委員会であり、またそれを認めてきた政治家の責任だと私は思うわけであります。そういう意味では、ここでしっかり日本の教育のあり方というものを考えなければならないなという思いをしておるわけでございます。
 きょうはこれから、時間も十五分ちょっとでございますので、北海道の教育の問題についてまず取り上げてみたいと思うわけであります。
 特に私の地元の広島県が大変厳しい状況にあったわけでございますけれども、三年前、文部省の指導によりまして一応いい方向にようやく向かい出したかなという感じでございますけれども、広島以上に厳しいというか、ひどい荒れた状況にある北海道の教育の現場、昨年の十一月二日のこの文教委員会で指摘させていただき、そして大臣がこの問題については一番もとになっている四六協定を破棄するように指導しますと言われ、また局長さん方も口をそろえておっしゃったわけでございます。
 そういうことから、北海道の教育委員会は、去る三月二十日に四六協定のうちの一部だけ破棄するということになりましたけれども、しかしそれは法的に問題のあるところだけ破棄したということであって、その他残っておるわけでございますけれども、しかしそれではやっぱりおかしいんじゃないかと。違法なことを認めておったことはやめるけれども、教育の現場として不適当な、不当なことを続けることについては、依然として認めていいのかという問題もあるわけでございます。
 そういうことから、私たち自由民主党の参議院の政策審議会では、去る六月三日、四日の二日間、北海道に参りまして、現地でPTAの代表の方、あるいは校長先生方の代表の方、それから札幌市の議員代表、そして教育委員会、さらには道の議会議員の代表と教育委員会の皆さんといろいろと話をしてきたわけでございますけれども、しかし大変厳しい状況で、皆さん方が声をそろえて、この四六協定なるもの、さらにはこれをベースにした多くの確認書を破棄してほしいという声がありました。
 そういうことで、文部省の方からの指示もありまして、今、北海道では昨年の暮れから調査を始められまして、何か段ボール箱五十箱だったそうですが、中間的にデータがまとまったということで、先日の十四日ですか、発表がございましたので、ちょっとこの内容を皆さん方に御紹介しながら、今後の問題について大臣の御意見もちょうだいしたいと思うわけであります。
 お手元にきょう配っておりますけれども、まず勤務時間中の組合活動の実態でございますけれども、不適切な扱い。例えば鉛筆年休、鉛筆で年休届を書いていって戻ったら消してしまう、だから年休を使ったことになりませんね。これが五十五校。口頭年休。校長先生、行ってきますよ、年休ですよというのが五十五校。裏帳簿をつくって管理している学校が十三校ということで、合わせて百二十三校が確認されたようでございますが、この百二十三校のうち小中学校が百十八校ということですから、ほとんどが小中学校でこういうことが行われているということでございます。ほかに、要調査の学校が三百一校、確認を必要とする学校が百九十二校ですから、六百十六校が問題だろうというふうに言われておるわけでありますが、そういう意味では大変なことが現実に行われているのが第一です。
 二つ目が、組合役員の勤務の実態でございますけれども、この前も指摘いたしましたけれども、組合の役員の人は授業数を減して出かけているケースが多いわけでございますけれども、この調査でわかったのが、授業時間が十時間以内の者が二百四十一名。ゼロの人が何と六十三名おるということですから、少なくとも六十三名の人が学校に行って給料をもらいながら組合活動を一生懸命やっているということですね。それ以外に、不適切な勤務があるらしいという報告されたのが百二十三名で、そういうことから、三百六十四名は組合役員として勤務の実態が、まあ組合役員としては十分な活動をしておられるんでしょうけれども、教員としての勤務態度は問題があるというのが三百六十四名で、小中学校がそのうち三百名ですから、これまた小中学校が中心で、高等学校の先生は比較的まじめなんですね。
 それから三番目ですが、組合が主催する研修会への参加でございますが、これも三百六十九名が不適切に参加しているということでございまして、そのうち小中学校は三百六十七名です。これも口頭年休で二百六十名、口で、先生、年休ですよと言って二百六十名、鉛筆で書いていて戻って消すのが百八名、出張が一名ということです。それ以外に、職務専念義務免除としての研修だということで参加しているのが何と二千百七十八名いるということでございますから、全部足しますと二千五百四十七名の方々が組合へ参加するのに給料をもらいながら参加しているということでございまして、これも小中学校が二千五百十六名ということですから、ほとんどが小中学校ということでございますけれども、このように給料をもらいながら大勢の方々が組合運動をしているということでございます。
 それから、四番目が確認書でございますけれども、四六協定がその最たるものでございますけれども、北海道の教育委員会レベルでやられている確認書が三十八件、教育局のレベルで八十二件、それから市町村の教育委員会レベルでやっているのが三百八十七件、学校レベルで校長先生と分会長がやっているのが何と千六百四十五件あるそうでして、そのうちの小中学校が千五百三十二ですから、これもほとんど小中学校ですね。対象学校の場合、やっている学校が五百六十五校だそうですが、そのうち五百三十校が小中ということで、合わせますと二千百五十二件の確認書が確認されたわけであります。
 これは発表された、調べて出たやつだけですから、それ以外に隠匿されているケースがたくさんあるんじゃないかと思いますけれども、それはそれといたしまして、こういう事態が発表になりまして、今、北海道でも初めて北海道の道民の皆さん方が教育の現場における先生方の行動というものを知ったわけであります。広島の場合もこういうことがありましたが、全くこのことは隠されておりました。知りませんでしたが、オープンになりましていろいろと問題になっておるわけであります。
 特に、広島の場合と違いますのは、広島の場合には、解放同盟という圧力団体が裏におって糾弾闘争をやるということで、その糾弾が恐いということでみんなが縮こまって、組合もそうですけれども、事実上介入を認めてきたと。しかし、それでも先生方は、それはいかぬということで随分頑張って、自殺したような先生もいるわけでございますけれども。それが昭和六十年に知事と議長と教育長が解放同盟と同時に組合の委員長と一緒になって協定文書を結んで、解放同盟が差別という問題については教育の現場に入っていけるというふうにしてから広島県はどんどん悪くなって、教育県広島が今や学力最低、非行少年最高という県になってしまったわけでありますが、そういう状況でございますので、非常に広島等はそういうことがあったんですが、違うのは、北海道の場合は四六協定という協定書で権利としてこういうことを認めておるというのが大きく違うわけでありますから、そういう意味ではなかなか根が深いなという思いもしたわけでございます。
 そういう背景の中で何点か御質問したいと思うわけでございますけれども、まず第一点は、四六協定並びに関連の確認書の全面破棄の問題でございます。先ほど申し上げましたように、たくさんの、千六百四十五件に対する各種の確認をぜひ破棄してほしいというのが、先日参りました感じでは、校長先生はもちろんPTAも関連者全部が望んでいるところでございますけれども、そういう意味では、違反した部分だけではなしに運営管理上不適当と思われるものを含めて破棄すべきだと思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 御指摘のように、我が省ではこれまで北海道におきます教育の正常化のためには四六協定を早急に破棄することが必要であると考えて、その破棄について北海道教育委員会を指導してきたところであります。これを受けて、北海道教育委員会は本年三月二十日に四六協定の一部削除を北海道教職員組合に通告したところでありまして、これは北海道の教育の正常化に向けて第一歩と言えるわけでございます。
 しかしながら、御指摘のとおり、四六協定には依然として校長の権限を制約する事柄が含まれておりまして、学校の適正な管理運営の大きな妨げとなっているものと認識しております。また、今回の第一次報告で明らかになりましたとおり、四六協定のほかにも多数の確認書が現在でも効力を有して学校の管理運営に支障を来しているものと認識しております。
 このことにつきましては、我が省としては、今後とも北海道の教育の正常化に向けて、四六協定の破棄について北海道教育委員会に対する指導の徹底に努めるとともに、問題のある確認書につきましてもさらに調査を進めて、不適切なものについては早急に破棄するように指導してまいりたいと考えております。
○亀井郁夫君 今回の破棄が第一歩ということで、積極的にやっていきたいということでございますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 第二点目でございますけれども、先ほど申し上げましたように、有給で組合活動が相当程度行われている、これは明らかに違法でございますけれども、こうしたことに対する、組合に対する是正指導というものを文部省としてもぜひやっていかなきゃいかぬ。これについては日教組に対しても申し入れていただかなきゃいけないんだと思いますけれども、ぜひやっていただかなきゃいけないと思いますけれども、これについては大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) これにつきましても、例えば勤務時間中の組合活動に関して鉛筆年休等の不適正な勤務の取り扱いがなされておりますし、また公立学校の教職員が給与を受けながら教員団体のための活動を行うことは地方公務員法により厳に禁止されておりますのに違法なことが行われているわけでございまして、こうした違法な勤務管理は早急に改めることが必要と考えております。
 我が省といたしましては、第一次報告を受けて、報告で明らかになりました不適切な勤務の実態の是正や当該教職員に対する厳正な対応を指導したところでありまして、今後とも北海道教育委員会に対する指導の徹底に努めてまいりたいと思います。
○亀井郁夫君 大臣にぜひとも厳正な指導をしていただきたいんですが、その一つとして、組合活動を有給で行われたということですから、その給料の返還請求という問題はぜひともやらなければならない問題だと私は思います。
 既に広島県ではこのことをやっておりまして、返還に応じない人には訴訟を起こしておるわけでございますし、あと三重県だとか東京でも同じようなことが行われておりますけれども、ぜひともこの問題についてはしっかり対応するよう御指導いただきたいと思いますが、この給与の返還請求の問題についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 当然ながら給与は勤務に対する報酬でありまして、勤務の裏づけのない給与は原則として認められないというノーワーク・ノーペイの原則に従いますと、職務に従事していない時間については給与を支払うべきではなく、当該教職員が受けた給与については返還すべきものと考えております。
 このため、我が省では、不適正な勤務の実態については、当該教職員に対し、既に第一次報告を受けた際、六月十四日に給与の返還請求も含めて厳正な対応を行うよう指導しているところでございます。
○亀井郁夫君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 北海道の教育の現場の実態というのは、本当に聞けば聞くほど、知れば知るほどあきれてしまうことでございまして、夏休みには、先生は自宅で校外研修ということで、家で研修しているということで学校に行く必要がない。学校には校長先生と教頭さんが行くと。事務員まで、事務の人まで同じように校外研修で学校に行かなくていいというようなことになっているし、そうしてその先生方は二学期に入ると夏休みをとっていなかったんだからといって交代で夏休みをとるなんて、常識では考えられないようなことが行われておりますので、こういう事実をしっかり明らかにしてほしいと思うんです。
 それで、北海道に調査団を派遣していただきたい。広島の場合もそれで効果があったわけでありますから、北海道に文部省から行っていただきたい。この前は、局長は調査が済めば行きたい、調査を踏まえて行きたいということでございましたが、第一段階の調査は一応終わったわけでありますから、この段階で今後の問題を含めまして指導かたがた調査にぜひ行っていただきたいと私は思いますけれども、これについての方針はいかがでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 文部科学省といたしまして、この四六協定に対する姿勢は極めて明白なところでございまして、先ほど答えたとおりでございます。
 これを実効あらしめますために今調査をしてもらっておりまして、六月十四日には調査事項の一部について北海道教育委員会から第一次報告が提出されたところでありまして、我が省におきましては、この報告を受けて北海道教育委員会に対し、報告で明らかになった不適切な勤務の実態の是正でありますとか、当該教職員に対する厳正な対応を指導いたしますとともに、残りの調査項目についても速やかに調査を完了し報告するよう指導したところでございます。
 今まさに教育改革ということで、学校において適切な教育活動が行われるようにということで全国的な大きな教育改革の流れがあります中で、そのようなねらいに反する実態が行われているということについては大変危機感を持っております。したがいまして、私どもといたしましては、このような指導に対する北海道教育委員会の取り組みの結果を待って、御指摘の現地調査の必要性等も含めて、北海道の教育の改善のための方策を真摯に検討してまいりたいと考えております。
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
○輿石東君 民主党の輿石東ですが、市川委員長を初め各委員の皆さんには、今までの議論の経過の積み重ねも受けてまいらない立場で大変失礼な面があろうかと思いますけれども、御容赦いただいて、与えられた時間の中で質問をさせていただきたい、こう思います。
 質問に入ります前に、先ほど阿南先生、亀井先生と文部省とのやりとりをお聞きしていまして、北海道正常化というような言葉もありましたし、母親はうどんの出前屋さんよりも成り下がっているとか、先生は子供の遊び友達で子守役だ、そんなとらえ方になってしまった、そんな言葉が出てくること、それだけ教育の課題は大きいのか、厳しいのか、そんな思いを込めながら質問に入らせていただくわけです。
 最初に、一昨日、十九日の本委員会で社民党の山本先生の質問を私は部屋で、総務委員会にいたものですから、終わって、お客さんもいたものでちょっと見ながら、文部大臣、岸田副大臣とのやりとりの中で、今回の教育三法案の問題点をかなり明らかにしていただいたやりとりだったなと、こう思っています。
 それに最初に触れさせていただいて、山本先生の質問の中で、教育改革という大きな流れの中で今回提出された教育三法案というものはどういう位置づけになっているのか、こういう質問の要旨だったと思います。
 そこでは、最初に岸田副大臣が三法案の提出の経過や背景に触れられたような答弁をされたと思います。もう少し具体的に申し上げれば、今お話があったように、教育を取り巻く深刻な状況の中で教育改革が叫ばれている、そしてこれは国民会議等の議論を受けてこの一月に、先ほどもお話がありましたように、二十一世紀教育新生プランというものを踏まえて教育改革の緊急を要する最重要課題としてここに提出してきた、二十一世紀教育新生プランはこれからの我が国の教育のあり方の全体像を示すものでもある、文部科学省としての責任と判断で早急に取り組まなければならない課題としてこの三法案は提出したんだ、こう答弁されたと思いますが、そのように認識してよろしいかどうか。
○副大臣(岸田文雄君) そのような趣旨のお答えをしたと認識しております。
○輿石東君 それで、さらに続けて山本先生は、遠山大臣に対して、全体像と言われたこれからの教育の到達目標がずっと向こうにあって、今、当面やらなきゃならぬ第一歩としてこれを位置づけたんだねと。だから、これはこれでもってすべてができる、がっちり固めてというんじゃなくて、もう少し余裕を持って、例えば法律ができても、もし問題点が残っているとすれば、施行日を変えるとか政令でやっていくとかいろんな方法があるだろう、その辺はいかがかという質問に対して、さらに飛び入学等のいろいろな議論がある中で高等学校への弊害とか影響もある、そういう安全弁みたいなものがまだ定かに見えてこない、そういう中でこれは執行していくんだから、そういう用意はあるか、こういう質問に対して大臣は、大体ポイントになる五つぐらいの点でこの法案の正当性というか、出さなければならない理由を提示したと思います。
 今、保護者が一番望んでいることは、学校に自分の大事な大事な子供を預けて、信頼して教育を任せられることのできる学校であってほしい、本当の学力をつけてほしい、心の教育もやってほしい。しかし、現状は、学校はその要望にこたえられている状況にないと。そう現状認識をされて、どういう先生に教えてもらうかは子供たちにとって大変宿命的なものである、こういう現実も言われたと思います。そして、私は今の議論の中身で、時間をいただければきちんと幾らでも説明できる中身ですから、ぜひやってほしい、こういうみずからの意思も伝えました。そして、この議論の中でだんだん、これは新生プランのことを言っていると思いますが、全体像も明らかになってきている、衆議院では三十四時間も審議を重ねてきました、こういう経過を言いまして、これが、先ほど言われた国民の大きな期待にこたえられる、どうしてもすぐにやらなければならない大事な法律だと。だから、山本先生が言われるように、到達目標が向こうにあって、ほんの第一歩というとらえ方ではありません、こういうふうに言われたと思いますが、そのように認識してよろしゅうございますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 議論の過程でそのように申し上げたことを今思い出しております。
○輿石東君 それでは、その点について最初に幾つかお尋ねをしたいと思います。
 学校に対する親や周囲の現状認識はそのとおりだと思いますし、衆議院で、大臣が、この三法案の中身は幾らでも説明しなさいと言えば説明できる中身ですよと、こう言い切られましたね。だから、これから私もその中身についてきちんとお答えをいただくために質問にも立っているということですから。
 そして、衆議院で三十四時間やったとすれば、では参議院はこれからどういう審議時間をとって、どのような方法でどこまで審議をすればいいのか、そういうことにもなりますし、参議院自身の院の意義も問われる問題だと思いますけれども、この法律案は十五日に本会議で総理大臣も出席されて本会議質疑からスタートをした。そして、きょうも二回目の委員会。二十九日が会期末だとすれば、定例日はあと二回しかないだろう、それで十分な審議ができるだろうかどうか、そこも私自身も心配ですけれども、その辺についてはどのように大臣として考えられていますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 法案審議の具体的な進め方につきましては、当然ながら国会でお決めいただく事柄でありまして、私としては特に意見を申し上げる立場にはないわけでございますが、かなり議論を深めてきて、いろんな疑問点も絞られてきて、それらについての私どもの考え方も随分述べさせていただいてきているということを申し上げただけでございまして、当然ながら、御審議をいただいている教育改革三法案につきまして、学校がよくなる、教育が変わるということを目指した教育改革を実現するために不可欠な法案であるということで、今の私の心境といたしましてはその成立を心より念願しているところでありまして、その御審議についてよろしくお願いをしたいというふうに申し上げるしかないわけでございます。
○輿石東君 確かに大臣が、何時間審議をとって、どこで採決をして成立させるかという仕事ではないということは私も十分承知していますので、市川委員長以下委員の皆さんがそこは判断をされて最終結論を出していくだろうと思いますけれども、もし問題点が議論をすればするほど大きな問題に派生をしていったという場合には、今国会で成立ということも、必ずしも成立するという保証もないと思いますが、それはこれからの議論の進め方だろうと思っています。
 そこで、先ほど、二十一世紀教育新生プランですか、そこで学校が変わる、教育がよくなる、これは逆かな、何かそういう言葉が大臣からも使われましたけれども、これは二十一世紀教育新生プランの中のキャッチフレーズかと思いますけれども、この新生プランではその全体像はどんなものを描いておられるのか、簡単で結構ですから、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 二十一世紀教育新生プランは、さまざまなこれまでの審議会なり教育改革国民会議なりの御議論を踏まえた上で、七つの重点戦略と申しますか、七つのポイントで現在のいろんな問題に対する施策を深めていこうとしているところでございます。
 一つは、もちろん学校における授業のあり方、わかる授業で基礎学力の向上を図るというねらい。それから、心豊かな日本人をはぐくむために多様な奉仕体験活動を進めていこうということ。第三には、学習環境というものを楽しく安心できる状況にしていこうということ。同時に、地域や父母に信頼される学校づくりを行いたいということであり、また教師につきましても、教えるプロとしての自覚と内容を促すような内容としていこうということでございますし、世界水準の大学づくりを推進するための方策、新世紀にふさわしい教育理念を確立して、教育基盤を整備するなどの項目に分けまして、それぞれの中にブレークダウンした幾つかの項目を取り上げることによって、全体として日本の現在抱えている学校教育のいろんな問題について総合的にこれをよくしていこう、それを一言で言えば、学校がよくなる、教育が変わるというふうに言える、そういう内容であるわけでございます。
 したがいまして、これは、今回御審議をお願いいたしております教育改革三法案を含む形で、これからの日本の教育をよくしようというための諸施策を総合的に取りまとめたのがこのプランでございます。
○輿石東君 今、私も一枚のパンフレットをいただいてあります。これを見させていただきますと、今、大臣が、レインボープラン、七つの重点戦略、こういうことを言われたと思いますけれども、今回三法案を提出した背景は、今お話がありましたように、教育改革国民会議最終報告の提言を踏まえということで三法案を出しましたよと。
 だとすれば、先ほどからも議論がありました、もうくどいほど衆議院でも議論してあるからいいではないかというお話かもしれませんけれども、教育改革国民会議というものと臨時教育審議会というもの、この委員会には有馬先生、中曽根先生、文部大臣経験者の議員さんもおいでで、とりわけ中曽根元文部大臣のお父さんであります中曽根元総理のときに臨時教育審議会もつくったわけでありまして、それぞれに必要だったからつくられたし、それで私的諮問機関だろうと。こちらは、文部大臣の諮問機関として法的にもきちっと位置づけている中央教育審議会の議論をなぜ大事にしないのか、もう一回これを中央教育審議会へ投げ入れて、そして出してきても遅くはないのではないか、なぜそういう拙速のことをやるのかという議論がここまであったと思いますけれども、それは既に議論をされたということですから。
 第一ステージ、第二ステージ、こう二つに分けて、第一ステージ、第一段階は今度の教育改革三法案ですよと、こう出ているわけであります。第二ステージ、教育基本法の見直し、それは中央教育審議会に諮問し、取り組みを進めていく、こういう手法をとるということですね。そして、十八歳後の奉仕活動、体験学習についても検討をしていくという第二ステージの計画が用意をされている。
 教育基本法や十八歳後の奉仕活動については中教審で議論をしてもらう。今度の三法案は、中教審を抜きにして教育改革国民会議、森首相がつくったその手法を政権がかわって小泉内閣になってそのまま引きずった。ここは少しおかしいじゃないですか、ここはちょっと納得いかないじゃないですかという議論があったに違いありませんし、僕も今までの答弁だけではなかなか納得できない。
 国民の皆さんにも、本当にこれからの教育を考える大きな課題だ、幾らでも説明しますよと文部大臣が言い切る。その自信と確信と責任を持って出したにしては、出してきた手続や踏まえた議論に対して、もっと言えば、出席停止もそれから不適切な教員の問題も、これはもろに教育現場そのものの課題ですね、問題ですね。
 そうした奉仕活動にしても、子供と教師の直接の問題、しかし教育の現場の現状や教育現場の声や父母の声を十分に吸い上げて、ここまでこの三法案を提出した経過の中にそういうものが生きているのかどうか、そういうものがきちんとあったかどうか。この辺について、私の立場でもう一度大臣にお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 今お話しの中で、私は、教育改革国民会議やこれまでの中央教育審議会の審議なども踏まえた上でということで、これがすべて教育改革国民会議の結果だけを受けてでないということは注意深く発言をさせていただいたと思っております。ただ、いろんな今の教育をめぐる危機的な状況、これは教育改革国民会議で分析していただいているところでございますが、それを背景として立って今何をすべきかということについて、直近の、しかもオーバーオールな御議論をいただいた教育改革国民会議の最終報告というものを踏まえた上で主として出てきているということも確かでございます。
 その意味で、どうして中央教育審議会にもかけないでというお話でございますけれども、これは、今回の法改正のねらいが、わかる授業で基礎学力の向上を図るでありますとか、多様な奉仕体験活動で心豊かな日本人を育成するということでありますとか、父母や地域に信頼される学校づくりを進めるという観点から、特に早急に対応すべき事項を取りまとめて今国会に提出したものでございます。
 さらに検討が必要な事項につきましては、中央教育審議会に諮問を行うという形で速やかに検討を進めて、成案が得られ次第、逐次必要な取り組みを進める、第二ステージに移るということでございます。
○輿石東君 今の大臣の答弁ですと、ではこういうふうに理解していいですか。この三法案は、一刻の猶予も許さない緊急的なものだから、教育改革国民会議という身近で議論していただいたところをベースに出した。しかし、もうちょっと遠い、そうすると山本先生の質問とかかわってくるわけでありますが、緊急を要するものがこの三法案なんだと。では、遠いか近いかわからないけれども、向こうに見える教育の全体像というのがこの新生プランだとすれば、その到着する全体像から出てくる第二ステージに用意をされている教育基本法の見直しとか十八歳後の奉仕活動というのが全体像として描いているものだというふうにとらえてよろしいですか。
 憲法、教育基本法見直しの議論も叫ばれていますので、その辺はきちんと押さえていかなければならない点でしょうし、だから、これから二十一世紀の我が国の教育のあり方の全体像を描いて、そこを眺めて第一歩としてこの教育三法案があるというのか、緊急を要する課題だから差し当たりこの三法案は議論をしていただきますということになるのか、その辺はいかがですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 先ほどもお答えいたしましたように、当省といたしましてはこれまで幾つか審議会においての議論を重ねていただいてきた蓄積を持っているわけでございます。一つは子供たちの体験活動を促進すること、あるいは大学制度を弾力化していくこと、教育委員会の活性化を図ること、指導が不適切な教員への対応など、教育をめぐるさまざまな課題については中央教育審議会などを中心に議論を重ねてきたところでございます。これらの議論の蓄積を踏まえながら教育改革国民会議において討論が行われて、昨年十二月、報告が出されたものと考えているところでございます。この報告を踏まえて、今後取り組むべき教育改革の全体像について省内で検討を行い、文部科学大臣の責任において本年一月二十五日に二十一世紀教育新生プランを策定したところであります。
 それは、教育に対する国民の信頼にこたえていくためには迅速な改革の実行が不可欠であって、このプランを踏まえて、特に緊急に対応すべき事項について教育改革関連法案として今国会に提出したところでございます。小泉首相も再三答弁をされておりますように、教育基本法などについての議論は、これは中央教育審議会にも諮りながら万機公論に決すべしといいますか幅広く議論を深めていくべき問題であるというふうに答えておられるわけであります。
 いずれにいたしましても、今回の法案の提案自体がこれまでのいろんな蓄積と、そしてさらに総理の主唱によってでき上がりました教育改革国民会議における英知を集めた御議論というものの結果をベースとした上で出ているということで御理解をいただきたいと思います。
○輿石東君 再三指摘をさせていただきましたけれども、結局これはベースは、この新生プランは教育改革国民会議の提言を主として受けたと。それには、もろもろのという中には中教審の議論も入っていますよ、こういう言い方もされていますけれども、これから第二ステージで登場してくる教育基本法の見直し等の課題は中教審で議論をしていくという手法をとる、こういう決断をしたのは、今のお話ですと省内でそういうまとめ方をした、だから文部科学省としての責任と判断においてこの新生プランを出した、こういう確認でよろしゅうございますね。
○国務大臣(遠山敦子君) 前半の件につきましてはるる御説明申し上げましたので、単に教育改革国民会議の御議論だけではなく蓄積をベースにしながらということも含まれているということはございますが、この二十一世紀教育新生プランを策定いたしましたのは、教育行政に責任を持つ文部科学大臣の責任において去る一月二十五日、策定したところでございます。
○輿石東君 わかりました。
 それでは、今度の改革三法案は、教育改革国民会議をベースにしたとはいえ、それまでの議論の積み上げも参考にしている、それは当然中教審での議論も踏まえておるというふうに私も理解をしますので、そのことも含めて議論を進めてまいりたいと思います。
 衆議院段階でこの三法案は、我が会派も修正という形で与党の皆さんと協力をし、この国会で成立をさせよう、現実的な対応もしなければいけない、そういう判断をし、そういう立場で来ていることは御案内のとおりでありますけれども、この最初の原案を修正しなければいけなかった経過、また衆議院ではそれぞれ三つの法案に附帯決議も付されたというふうに理解をしているわけですけれども、修正をしなければいけなかった理由や背景、附帯決議がついた、その附帯決議というものはどういう意味があるのか、その辺について御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) まず、教育改革三法案につきましての衆議院におきます修正、それから附帯決議は、教育改革を実現していくための熱心な国会での御審議の結果行われたものといたしまして、私どもといたしましては真摯に受けとめているところでございます。
 修正の中身について申し上げますと、まず社会奉仕体験活動についてでございますが、学校教育法及び社会教育法の改正案におきます社会奉仕体験活動に関しましては、社会奉仕体験活動等の体験活動を充実していくに当たって自発性に配慮することも大切でありまして、したがって社会奉仕体験活動のうちボランティア活動は有意義であると考えているわけでございます。
 このような視点から、今回、社会奉仕体験活動にボランティア活動が含まれるという趣旨を明らかにするために、社会奉仕体験活動の例示としてボランティア活動を掲げることとなったというふうに理解いたしております。政府案におきましても、ボランティア活動は解釈上、あるいは学習指導要領の中でも明示されておりますが、社会奉仕体験活動に含まれるものとしていたところでありまして、今回の修正でこのことが一層明確に規定されたものと理解いたしております。
 二番目の飛び入学についてでございますが、飛び入学制度は特定の分野で特にすぐれた資質を有する者に早期に大学入学の機会を与えようとするものでございまして、このような趣旨で政府原案を提出したところでございます。衆議院での御審議の結果、制度を適正に運用するなどの観点から、飛び入学をさせることができる大学を限定するための修正がなされたところでございます。このことにつきましても、今後、適切な運用が図られるためになされた修正につきましては、この国会審議の結果を真摯に受けとめて、より適切な運用の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、幾つかの附帯決議がなされたわけでございますけれども、これらも法案成立の暁には、その趣旨を十分に踏まえて法の適切な運用に万全を期すという角度から、大変重要な附帯決議をいただいたものと考えております。
○輿石東君 修正をされ附帯決議のついた経過や中身について御説明いただいたわけですが、ここで大臣に、この三法案で今の悩ましい教育課題が解決できる、ああ、これで教育改革は前へ進む、そういうふうにとらえている、一番肝心なのは父母や国民の皆さんだと思いますけれども、一体何パーセントぐらいいるでしょうか、こういう質問は答えにくいことでしょうけれども、どの程度と認識していますか。国民に相当期待をされ、受け入れられている、そのように認識されていますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 恐らく国民の皆さんが今の教育について危機感を持っておられて、特に保護者の方々、あるいは教員の中にもそういうふうなことを考えておられる方が多いと思いますが、今回の法案ですべてがもちろん解決するわけではございませんで、これは山本委員からも御意見がございましたように、教育の改善というものは常に間断なく行っていくものであろうかと思っております。
 しかしながら、今回提案いたしましたものは、多くの国民の期待にまずはこたえていく、その意味で大変重要な法案だと私は思っているわけでございます。そのことについてはもうるるお話し申し上げましたけれども、まずは学校に自分の子供を安心して預けられる、そしてその学校の中では豊かな教育が行われる。それは単に学力だけではなくて、心の問題にもケアしてもらえるようなことでありますとか、そういう基本的な、今保護者を中心とする学校教育に対するいろんな危機感を持っておられる方々にとって第一弾の悩みを解くといいますか、悩みに対してこたえ得る内容を持っている、そういう法案であるということを申し上げたいと思います。
○輿石東君 これで第一弾の悩みはある程度解決してくれるだろう、そういう期待を持って出している、それは文部大臣として当然だと思いますし、法案提出者としてそういう理解をしてもらわなければ困るわけですから。
 では、少し中身に入って御質問をさせていただきますけれども、この法案は、先ほど阿南先生の方からも指摘がありました、例えば出席停止の問題一つとっても、出席停止をするための運用の規定を明確にした、四要件みたいなものを出してばさっといけると。これを阿南先生は、遅きに失した、こんなことを早くやらないから、一人どうにもならない子供のために、それ以外の学級の子供の教育を受ける権利を剥奪するものじゃないか、こういう者を早く教室から排除する、遅きに失した、こう言われています。
 しかし、本当にそうだろうか。逆に言えば、山本先生の発言に対して遠山文部大臣も、そこは言葉を強くしてこの問題の答弁をされていました。たった一人の子供のために他の子供たちの学ぶ権利が阻害されるようなときにはきちんとそれに対応をしてまいります、だからこの法案だと、こういう意味でしょう。もちろん、問題を起こした子供の教育を受ける権利にも配慮しなければなりませんと、当然ながらそう言及をされていますけれども、親の立場に立って、迷惑をかけられたと思う親はよかったと思うでしょうけれども、たった一人でも排除をされたと思った母親の気持ちや、その子自身がどうとらえているか、そういうことも教育の面では配慮していかなければ、不適切な教員を学校現場から早く排除しろ、人に迷惑をかける子供を早く学校から追放しろという発想だけでこの問題や学校現場の問題は解決しない。
 文部大臣も副大臣もそこは共有できると思いますけれども、だったらその子の人権はどうするという話でいろいろ議論が深まってきているというふうに思います。だから、この出席停止に関しては対症療法的で改革に値するものではないという、そういう指摘や批判もあります。
 飛び入学にしても、私は直接お聞きすることはできなかったわけですけれども、元文部大臣の有馬先生も、大学院ということに絞ったけれども、大学院のある学校に全部飛び入学の受け入れ体制が完備されているとは限らないだろう、そういう心配をされたというようなことも聞いているわけです。
 この飛び入学の問題ももう少し千葉大学で、先ほどもお話がありましたように、平成十年度から導入しているんですから、この実証的な結果も待ってから、飛び入学を入れればこれだけの効果がある、目的はこうだというものを国民の皆さんにもわかりやすく、受け入れ側にも送る方にもきちんと理解できるまでなぜ待てなかったのか、そういう疑問が残って仕方がないわけです。
 出席停止と飛び入学の問題を私はそのようにとらえていますけれども、文部大臣はどのように認識されているか、お答えいただきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) まず、出席停止の措置につきまして対症療法で終わってはならないという御指摘、その点につきましてはそのとおりだと考えております。
 今回、従来から出席停止の措置というのは現行法においても規定をされていたわけでありますが、この手続を明文化する、さらに出席停止を受けた児童に対する支援等を盛り込む、こういった措置が行われたわけであります。
 ですから、基本的には多くの児童の授業を受ける権利を守るという目的は一つはあるわけですが、その一方で、手続を明確化するということにおいて保護者とかあるいは児童のこうした学ぶ権利、こういったものもしっかりと明確化するという趣旨も盛り込まれるわけでありますし、また、出席停止を受けた児童に対する支援、家庭訪問ですとかあるいは教育相談、こういったさまざまな支援等を充実させる、そしてスムーズにまた授業に戻ってこれる体制をつくっていく、こういったことは大切だと思っておりますので、その点につきましては先生おっしゃるとおりだというふうに思います。
 また、二点目、飛び入学についての御指摘でありますが、今、千葉大学と名城大学で行われているこうした成果等もまだ十分確認できていないのではないかという御指摘でございました。
 この千葉大学における飛び入学の四年間につきまして、その評価としましては、この飛び入学によって入学した学生は物理学関連の科目が優秀なばかりでなく他の分野におきましても大変優秀な成績をおさめている、そしてそのことが他の学生や教員にも意欲という意味で大変いい影響を与えている等々、現状の評価はしっかりと公表されているところであります。そして、それに加えて、その経験の中で大学と高校との連携がしっかりしている、受け入れ体制がしっかりしている、こういったことによって問題は少ないというようなことが考えられているわけであります。
 そして、この飛び級、失礼しました、飛び入学制度ですが、飛び入学制度というのはあくまでも、こうした制度をこれだけ多くの人が求めている、これだけの需要があるからこたえるというのではなくて、特にすぐれた資質のある児童生徒にチャンスを与えるというのがその大きな目的であります。ですから、チャンスを与える、それによって具体的に物事が動いていく、そしてそれをしっかりと検証していく、こういったものも並行して動かしていく、この必要性を考えています。もちろん、しっかりとした点検もしなければいけないわけでありますが、こうしたチャンスを与えるというもの、拡大するという制度、並行して走りながら、実証しながら注意深く進めていく、こうした二本立てで進めることは大変意義があるというふうに思っています。
 そういった意味から、千葉大学あるいは名城大学での実績はまだ不十分だという見方があるわけでありますけれども、こうした実績を参考にしながら、並行して進めていくことの重要性を感じ、そして今回、制度を拡大しながらこの制度の充実を図っていきたいと考えているところであります。
○輿石東君 今、副大臣は、チャンスを与えるんだ、これは多くの人が望んでいるからやるという問題じゃないと、もうそんなことはわかっていますよ。大体、出発が平成九年の中教審答申を受けて、だからここでも中教審答申の、中央教育審議会の話になってくるわけですよ。しかし、法案の提出のベースは教育改革国民会議だった、こう言うわけでしょう。やっぱり中央教育審議会の議論を抜きにこの問題は語れない、議論できないという、そういうものになってくるということですよ。だから、法案提出の背景が少しおかしいではないかと再三指摘したとおりでありますが、それはいつまでも言ってもしようがないことでしょう。
 今、くしくも岸田副大臣は飛び入学を飛び級と、それは偶然ですけれども、私が今聞きたいのはそこなんですよ。この飛び入学が飛び級に行く危険は非常にある。それで心配している。確認のために、飛び入学というのと飛び級とはどういうふうに違って、どうなんだということを明確にしてください。
○副大臣(岸田文雄君) まず、飛び入学の制度でありますが、高等学校卒業後に大学に進学するという原則、これは原則をしっかり守った上で特にすぐれた資質を有する者に例外的にこうした機会を与えるという制度であります。飛び入学につきましてはそういう趣旨であります。そして、飛び級は、同一の学校内で学年を先に進める、越えるというような趣旨でありますので、今回の飛び入学と飛び級は全く別の制度だと認識しております。それがために、先ほど飛び級と言い間違えたことをしっかりと飛び入学と訂正させていただいたところでございます。
○輿石東君 この問題はその辺を議論していけば課題や問題点が非常にクローズアップしてきます。
 先ほどの御質問の中に、飛び入学をしたら、うっかりすると、高校へ行って、みずからも大きな期待を持って入学し、周りからも期待されて入学したけれどもリタイアしちゃった、そうしたら中卒になってしまう、高校卒の資格はない。そうすると、世間では資格試験というのがたくさんあるものですから、思うところへ就職できないという結果に終わるのではないか。これも先ほど議論の中にもありましたね。
 そうだったら、優秀な人間なんだから、飛び越えて大学へ行けるんだから、高校なんかとっくにクリアしている。そういう発想ですれば卒業資格を与えてしまえ、こういうことでしょう。もしそういうことになったら、または希有な才能をどう伸ばしていくかということだから、めったにない才能ですから、飛び級のように学級全体が飛ぶなんという、そんな制度になり得るわけがないということでしょう。
 しかし、これはやり方を間違えると、飛び入学でなくて飛び級に連動していく危険もありますよ。だって、今回、物理と数学の分野を取っ払ったわけでしょう。そして、拡大したわけでしょう。そして、受け入れるところも大学、大学院という、修正でもってそうやったけれども、そうなってきますと非常にこれは高等学校教育というものに対する影響なり波及が大きい。だとすれば、高等学校教育をどう考えるかというところからこの問題は出発しないと、やっていることが順番が逆だ、逆立ちをしている、こういうふうに思いますが、その点についてはいかがですか。
○副大臣(岸田文雄君) 今般の飛び入学制度でありますが、例えば高等学校の履修しなければいけない項目を全部早目に履修したら自動的に飛び入学ができるというような、要するに一般的な制度ではないわけであります。あくまでも、特にすぐれた資質を持っている児童生徒、きらりと光るような資質を持っている児童生徒、そんなに世の中たくさんいるわけではないわけであります。そういった特にすぐれた生徒に機会を与えるという制度でありますから、極めて例外的な措置であります。
 ですから、広くだれでもこの措置を利用できる、あるいは受験できるとか、頑張って早く履修するとみんなこの制度を活用できるということになりますと、その根底が崩れるということはあるかと思いますが、これはあくまでもきらりと光るような、どこにでもあるような資質ではない、そんな特にすぐれた資質を持った児童生徒、こういった生徒に機会を与える例外的な措置だということをしっかり徹底することによって、先生の御懸念、こうした心配に至らないようにしっかりとした体制を組んでいかなければいけない、そのように考えております。
○輿石東君 岸田副大臣が、きらりと光る、そういう才能を伸ばしていきたい、私もそう思います。じゃ、きらりと光らない子供、ここに光を当てるということも同時に教育上の特例措置、例外的な措置として中教審はうたっているはずであります。希有な才能を持った者の早期英才教育だか才能教育、いろんな言葉はあるでしょう。アメリカには二つの流れがあるなんという話もあります。学説もあります。
 しかし、それは別にして中教審は、そういう才能を伸ばすと同時に授業についていけない子供、困難な状況にある子供の指導も徹底していかなければならない、こう言っているわけですから、片方だけ中教審の答申をクローズアップしてやる、それがあたかも例外的な措置、使いようによればこれが大学の青田買いになりそうだという批判も既に出ているじゃないですか。
 これは、大学の生き残りとして少子化時代を迎えて優秀な生徒が欲しい、そういう受験競争の悪化につながるような、激化につながるようなことになったらこの目的、この法案の趣旨は根底から崩れるとみずから副大臣も言っているわけですから、その心配があるからこそ大学院にしようやとかいろいろな修正案なり附帯決議がついたんだというふうに思いますが、その点についてもう一度確認をしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) この制度の趣旨については、先ほど申し上げたとおりであります。こうした本来の趣旨が徹底されるためにどうあるべきか、先生方にいろいろ御指導をいただいているわけであります。我々文部科学省としましても、そういったマイナス面が出ないようにさまざまな工夫を加えているところであります。そういったさまざまな工夫の中で、本来の趣旨が徹底されるよう引き続き努力していきたいと思っております。
○輿石東君 我が国の教育行政のトップにあって、これからの教育を考えていただく場所ですから、ぜひその点は法案の目的を逸脱することのないようにくれぐれもお願いをしたいと思います。
 私は、これまでの議論でも明らかになってきた点は幾つかあると思いますが、簡単に言ってしまえば今度の教育三法案は、学校教育法の一部改正ということで飛び入学を入れ、そして地教行法の一部改正で指導が不適切な教員を学校から排除しようと。もう一つは、高等学校教育にかかわるこの飛び入学と同時に通学区域の規定を撤廃しようじゃないかと。それに、先ほど話がありました教育委員会の活性化とか奉仕活動、子供の体験学習が大事だから子供の体験学習の必要性や困った子供を出席停止にするとか、問題教師を追放する、学校から取り除く。そんな手法で本当に国民の悩ましい教育の問題を解決できるのか、そう言えば、排除するんじゃありませんと言うに違いない。私はそう思えてならないわけですが、ここではやはり高等学校教育をどう考えるか、この通学区域と飛び入学、高等学校教育のあり方を問うことが先であって、それからでも遅くない。
 そして、この三つの法案は、教育現場で毎日起こり得る現象に対して対症療法的にやろうというふうにもとられる。しかし、それも現実対応として仕方がないとしても、子供や教師の直接の問題、学校現場に直結する問題、この議論、子供の意見も入っていない、父母の意見も余り入っていないだろう、教師の意見も入っていない。学校から一番遠いところにある、もしかすると国会という場所で議論をしているのかもしれません。しかし、この国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関だとすれば、どういう法律をつくっていくかという我々政治家の責任がある、そう思うわけであります。少しこの教育改革の進め方が教育現場や子供、父母から遠いところで議論されていて仕方ないように思いますけれども、その点についてはどう考えますか。
○副大臣(岸田文雄君) 先生の御指摘でありますが、こうしたさまざまな関係者の意見、しっかりと吸収しなければいけない、そういったものを踏まえて議論しなければいけない、これは当然のことだと思っています。
 ですから、今般の三法案の議論も先ほど大臣から申し上げさせていただきましたように、今までのさまざまな中央教育審議会での議論あるいは教育改革国民会議での議論、さまざまな場でいろいろな関係者、いろいろな形での意見の集約、こういったものをしっかりと踏まえた上で文部科学大臣の責任で二十一世紀教育新生プランというものをつくり、そしてその中で早急に対応しなければいけないと判断したものについてこの法案を提出させていただき、御議論をいただいているわけであります。さまざまな形でいろいろな意見を吸収するよう努めてきたと考えておりますが、ぜひこれからもこうした教育改革の議論の中でいろいろな形で関係者の意見をしっかりと吸収していくよう努めていかなければいけない、そのように強く認識いたします。
○輿石東君 ぜひそんな姿勢で関係者の皆さんの御意見を尊重してやってほしいというふうに思います。
 なお、重ねて申し上げますけれども、私自身はこの飛び入学の拡大と学区の規制の撤廃、これについてはとりわけ高等学校教育のあり方を問われる問題だろうと思います。さらに、出席停止や不適切な教員の問題、これは、重ね重ね申し上げますけれども、排除の論理や発想でやってはいけないものなのだろう、そういうことにも思いが行きますし、体験学習、奉仕活動というものは間違っても強制や義務づけをする問題ではない、そのように理解をしたいし、文部科学省もそういう認識でおられると思いますけれども、その点についても確認をしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) まず、飛び入学につきましては、趣旨は先ほど申し上げたとおりであります。ですから、この制度は、やはりしっかりとした体制をつくることがまずは第一で肝要でありますが、あわせてその状況をしっかりと公表し、情報公開し、そしてそれを多くの関係者においてしっかりと検証してもらう全国レベルの仕組み、こういったものをつくっていかなければいけないと思います。そういった仕組みの中でぜひこの本来の趣旨を逸脱しないようにしっかりと運用していきたいというふうに感じます。
 それから、出席停止の部分におきまして、排除の論理が働かないようにという御指摘でございます。おっしゃるとおりだと思います。出席停止を受けた児童に対する支援や、あるいはその円滑な復帰、こういったものに努めるようしっかりとした支援をしていかなければいけないというふうに思っています。
 それから、ボランティア活動を初めとする社会奉仕体験活動の実施に当たりましては、地域の事情とかあるいは児童生徒の自主性、こういったものに配慮しながらこうした促進に努めるというのが趣旨であります。決して義務化、強制ではないということ、このあたりもしっかりと徹底していかなければいけないと考えております。
○輿石東君 飛び級の問題についてはもう少し深く細かい点を後で時間のある範囲で議論させていただきますが、出席停止の問題も、我が国でも、子どもの権利条約、文部科学省は児童の権利条約というふうに訳しているようですけれども、それはいずれにしても子供の意見表明権というようなものもちゃんとあるわけで、その条約も批准をしている、そういう形の中で、そこも丁寧に、細かい話は既に議論をされているでしょうから省略しますけれども、注意していってほしいと思います。
   〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
 体験学習が大事だという。本会議で社民党の三重野議員の質問に小泉総理がどう答えているか。体験学習は大事だと。私も小さいころ、小泉総理が言うのに、学校へ行って一生懸命勉強して、もううちへ帰ったらかばんをほうり投げて遊んだものだと。今はある面では恵まれていて、プールもあるからプールで泳ぐんだろうけれども、私は、横須賀ですか、海が近かったんでしょう、海で泳いだと。そして、トンボやセミをとりに歩いたと。ところが、今の子供はトンボやセミを怖がる、こういう言い方をして、トンボやセミをとるかわりに遊びも変わってきている、野球やサッカー、こういう言い方もされているわけです。
 私は、総理の言うように、我々が育った子供時代と現在の子供を比べて、失ったものが三つある。それを三欠、三つ欠くと。それで、三欠に三間なし、そんな言い方をする人もいます。三間、三つの間。自由に遊べる時間がない、遊び場という空間も失った、遊ぼうとしても仲間がいない、時間、空間、仲間を奪われた子供たち、今そういう姿だろうと。
 私自身はもう一度、こういう不幸な環境ではなくて、群れて遊ぶ文化を子供たちに与えてやりたい。遊び方はいろいろ、昔の遊びと今の遊びは違うかもしれない。しかし、セミやトンボを怖がる、本当に怖がるだろうか。余りトンボやセミを見たことがない、さわったことがないから怖いんでしょう。しかし、デパートで夏休みになればカブトムシを買いに行くじゃないですか。小さいときにさせる経験、それが大事だ。
   〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
 それで、我々は、三欠に三間なしの状況の中で、小さいころから子供を学習塾へ追いやって、いい学校、いい大学へ行くことが、いい会社に入れ、いい人生を送れるという、そういうベルトコンベヤーの上に大人も子供も乗っけられて、大事なものを失ってきた。そして、心の教育、ゆとりと充実といってみても、本当に心の教育になるのか、ゆとり、充実って、本当に中学校が一生涯で一番忙しいところというふうになり、事もあろうに、教育界に戦争や地獄という言葉まで生み出してしまった、受験戦争、受験地獄という言葉で。こういうものを取り払ってやって、もう少し伸び伸び夢を持って生きていく。きらりとひらめく才能を伸ばすことも必要でしょうけれども、そうでない大多数の授業についていけない子供たち、ここをどうしてやるんだという発想もなければいかぬだろうと思いますので、私は、そういう意味で高等学校教育のあり方について少しの時間議論をさせていただきたいと思います。
 今回、飛び入学の問題は後回しにしまして、高等学校の通学区域の規定を撤廃した理由と、今までその制度を置いた理由、その両方についてお尋ねをいたします。
○政府参考人(矢野重典君) 今回の改正は、政府の規制改革委員会の指摘を踏まえまして、地方分権を一層進める観点に立って、通学区域を設定するか否かも含めまして各教育委員会の判断にゆだねることとしたものでございまして、今回の制度改正の趣旨は、あくまでも通学区域の廃止を意図するものではないわけでございます。
 また、これまで通学区域を設定しておりましたねらいは、高等学校教育の普及とその機会均等を図るということが通学区域を設定していたねらいでございます。
○輿石東君 今、局長から、地方分権の流れの中でこの問題も地方に任せるんだ、そういうニュアンスに聞こえますが、それでもう一つ、今まであった理由は高等学校教育の普及と教育の機会均等にあるんだと。
 そうすると、普及という点は、高等学校は九七%の進学率ということだから、ほぼ普及し切った、こう見ていいでしょう。もう一つの教育の機会均等という理念は変わらないんですね。
○政府参考人(矢野重典君) 教育の機会均等という理念は変わらないわけでございますけれども、この通学区域が設定されておりました当時の機会均等の意味合いと、先ほど先生から御指摘ございました高校進学率が九七%に至っている今日における高等学校教育についての機会均等というのは、その意味合いが当時とはかなり変わってきているというふうに思っております。
○輿石東君 どこがどういうふうに変わっているんですか。
○政府参考人(矢野重典君) 今日の高等学校教育についてでございますけれども、高等学校教育につきましては、何よりも生徒が実に多様化している、そういう実態があるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、これからのといいますか、今日における高等学校教育といたしましては、まさにそういう多様な生徒の実態に対応して、生徒の個性を最大限尊重させるためという観点から高等学校教育を進めていく必要があるわけでございます。
 そういう意味合いにおきまして、通学区域の持っている機会均等でございますけれども、これはまさにそういう生徒が多様化している実態に対応してそうした多様な選択が確保できる、そういうところに通学区域の意味合いが今日大きくなっているのではないかと思うわけでございます。
○輿石東君 今の話ですと、生徒が多様化している、いろいろな生徒が入る。それはそうでしょう、九七%ですからね。もう小中学校と変わらないんですよ、九七%。だったら、小中学校と同じように考えたらどうですか。そして、多様な選択ができるようにするんだと。通学区域を弾力化し、取っ払えば、多様な選択ができますか、本当に。
○政府参考人(矢野重典君) 通学区域の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、今後は各教育委員会におきまして、それぞれの地域の高等学校教育をどのように進めるか、そういうことを基本に置きながら、生徒の進学動向や保護者の要請等地域の実情を十分踏まえながら適切に対応していただくことになるわけでございます。
 そういう意味で、各教育委員会におきましては、先ほど私が申し上げましたように、高等学校、高校生の実態あるいは高等学校教育のあり方を考えますときに、そうした多様な選択肢を用意するという観点に立って、あるいはそういうことを重視しながら、あるいはそういうことを十分考慮に入れながら適切に対応をしていただけるものというふうに考えているところでございます。
○輿石東君 各教育委員会にこれからの高等学校の子供の多様な価値観や多様性に応じて多様な受け入れができるように考えてもらうんだ、地方分権の流れの中でと、こういう御説明のようですけれども、国がやるべき仕事、地方に任せる仕事、これが昨年の地方分権一括法で議論をされました。文部科学省にかかわって言えば、旧文部省は、長年、県の教育長を文部大臣が承認するという立場であった。それは、顔も知らない県の教育長を、どういう物差しを使って承認するのか、こういう話も長年続いて、これは教育委員会に任せようと、規制緩和で。それは当たり前のこと、それこそもっと前にやってもよかった。
 先ほど亀井先生から広島や北海道のお話がありました。先生自身も広島で大変苦労をされ、広島では悲しい事件もあったと、校長先生、日の丸・君が代問題を含めて。じゃ、なぜ教育長を大臣の承認にしたか、一つは日教組対策だったと、こういうような話まで過去に出てきた。今そういう時代じゃないでしょうと、そんなことを、ある団体と文部科学省が対立したり、調査に行かなければならないという実態は早く払拭して、協力してこの国の将来の子供たちが伸び伸び成長、発達する、そういう営みを助けるのが我々の任務だろうと、こう思っているわけですから、そういうものは早く清算をしないと、一日も早く解決しなければいけない、こう思ってもいます。
 教育委員会でこれからの高等学校教育の聞きようによれば、それぞれの地域の実態や学校の実態に応じて、よく都合のいい言葉があるんですね。地域や学校の実態に応じてという言葉、これを非常に使うけれども、お金もないのにそういうものができますか、財政的な裏づけも、そんな多様な子供たちのニーズに応じるようなそういうコースをつくったり、そういう高校がつくれますかと。それは、だからこそこれからの二十一世紀の高等学校教育のあるべき姿やあり方を問われることが先ではないかと私は再三申し上げているわけですが、局長、その辺どうですか。
○政府参考人(矢野重典君) 高等学校教育のあり方でございますが、先ほど申し上げましたように、多様な生徒の実態があるわけでございます。そういう実態に対応して、これからの高等学校教育、生徒の個性を最大限伸長させるためには、生徒の学習の選択幅を拡充するといったようなこと、さらには多様な特色ある学校づくりを行うということが大変必要かつ大事なことでございます。このため、私ども、従来から選択科目の学習を拡大するなど、まさに生徒の多様な能力、適性、興味、関心に応じた教育を展開していっているところでございます。
 今回の新しい学習指導要領におきましても、共通に学習する必修科目の単位数を例えば三十八単位から三十一単位に縮減をいたしまして生徒が選択して学習できる単位数の増加を図ったところでございますし、そのほか、各学校が独自に学校設定教科・科目というものを設けることができるようになったわけでございます。そうしたことを通じて、生徒の能力や興味、関心に応じたまさに多様な学習が展開できるように配慮いたしたところでございます。
 さらに、特色ある学校という意味では、単位制高等学校や総合学校の設置を推進いたしますとともに、中高一貫教育を制度化するなどの措置を講じてまいってきたところでございまして、そうしたことを通じて、先ほど申し上げましたとおり、多様な生徒の実態に対応した、生徒の個性を最大限に伸長させる教育を私どもとしても推進してまいっているところでございますし、またそうした方向で努力をいたしたいと考えているところでございます。
○輿石東君 局長は今学習指導要領の点についても触れられました。また、中高一貫教育、総合高校の構想、次々に文部科学省、ここのところ特色ある学校づくりということで提案をしていることは私も承知しています。
 今、学習指導要領の話があって、独自に科目の設定もできる、選択幅を広げて履修科目も選択教科を多くした、それはそのとおりでしょう、それはできる範囲でしょう。
 もっと根本的に、だったらお尋ねをいたしますが、高等学校が発足をして、これは小中も同じでしょう、十年一サイクルで指導要領は改訂をしてきた。ここまで来る間に、そして昭和二十四年に教育課程審議会というのをつくって、この答申を受けながら指導要領の改訂やらいろいろなことをやってきた。そこで、先ほど文部大臣は昭和三十七年に文部省に入省されたと、こういうお話も聞いていますけれども、昭和二十二、三年、戦後教育を打ち上げた。そして、二十四年に教育課程審議会をつくり、二十六年に全面改訂をした。その次の三十三年、四年、五年、この辺がちょうど大臣にとっては大学在学中のころだったと思いますけれども、ここに教育課程の最も特徴的な改訂をし、その次が昭和五十二年、そして平成十年あたりと三つのポイントがある。
 高等学校教育に限ってそれを見れば、二十六年まで指導要領も試案という形で出発していますから、まさに地域に任せて、だから地域の特性は出たけれども、経験主義とか地域主義ということが余りに強調された余り、学力の低下、全国のアンバランスということで一つの基準をつくらなきゃいかぬだろうと。そこに順に指導要領の法的拘束力などというものを持ち込んで、全国レベルの基準にどう到達させようか、全国の高等学校の格差をなくしていきたい、そういう歩みをしてきたと思うわけであります。
 とりわけ昭和五十二年には、進学率が昭和四十九年に九〇%を超えたという実態を踏まえて、高等学校は今までの選ばれた人間が学ぶところではなくて、もう大部分の青少年の国民的教育機関というふうに位置づけよう、だから指導要領も小中高を一貫的にとらえてやっていこうと。そして、そのときのキャッチフレーズは、ゆとりと充実という言葉じゃないですか。高校三年までゆとりを持って充実した教育をやろうというふうにここで大きく転換をしているわけですよ、文部省自身が。だったら、国民的教育機関としての高等学校教育というのを進めていけばいいので、そこに高等学校教育を準義務化したらどうだ、こういう話や高校全入運動という話になってきたんではないかなと。だとすれば、もう高等学校で入試をする必要があるのかどうか。あるとすれば、なぜ入試をするのか。それは文部省の適格者主義という、そういう考え方を今なお引きずっているからではないでしょうか。それは実態に合っていない、こう思いますが、その点についての見解をお願いしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 戦後の、高等学校も含めて、教育内容、カリキュラムの編成について御説明があったわけでございますが、そこで高等学校の準義務化、あるいは高校入試における適格者主義についてどう考えるかというお尋ねでございます。
 現在、高等学校進学率は先ほど御紹介がございましたけれども、約九七%に達しているわけでございまして、高等学校は実質的にまさに国民皆教育機関ともいうべきものとなっているわけでございます。そうした中で、多様な能力、適性、興味、関心を有する生徒を中学校から受け入れているわけでございます。
 しかしながら、中学から高等学校へというこの段階におきましては、青少年の多様化した能力、適性、興味、関心、あるいは進路希望等にふさわしい進路選択が行われることが大変大事なことでございまして、そういう意味で、一律に高等学校への就学義務を課するといった意味での義務化というのは私どもは適当ではないというふうに考えているところでございます。
 また、こうした生徒の多様な実態に応じて、それぞれの学校が、これはそれぞれの学校でございます、それぞれの学校が責任を持って三年間にわたる教育を提供するためには、そういう意味での入学者選抜は必要であるというふうに考えているわけでございます。
 しかし、先ほど輿石先生から御紹介がございましたように、高等学校の入学者選抜のあり方といたしましては、これは戦後いろいろ紆余曲折があるわけでございまして、昭和五十九年までは、まさに一律に高等学校教育を受けるに足る資質と能力を判定して行うという考え方でございましたけれども、現在は、入学者選抜のあり方といたしましては、一律に高等学校教育を受けるかどうかというそういう観点ではなくて、それぞれの高等学校あるいはそれぞれの学科の特色に配慮しながら、その教育、その高等学校あるいはその学科の教育を受けるに足る能力、適性を判定して行うものというふうに入学者選抜のあり方を変えてきているわけでございます。
 そして、その考え方に立って、これまで各都道府県におきまして、それぞれの学校や学科の特色に応じた多様な選抜方法の実施などの入学者選抜の改善が今日まで進められてきている、こういうふうに私どもとしては理解をいたしているところでございます。
○輿石東君 よくわからないですね。
 いいですか。一律に入学をするというそういうことじゃなくて、子供の能力や興味、関心も多様化している、だからそんな多様化している子供たちの受け入れが高校、そこで勉強することが一番その子にとって適当である、そういう意味からやっぱり学校の入試は必要だと、こういうような意味でお話しされたんですか。
○政府参考人(矢野重典君) 昭和五十九年までは、先ほど申し上げましたように、当時、昭和三十八年でございますが、高等学校進学率が六七%でございました。そういう進学率の状況の中で、そもそも高等学校教育なるものを受けるに足る資質と能力があるかどうかということを判定して入学者選抜というのは行われてきたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、昭和五十九年の段階で、もうこの当時九四%の進学率に達していたような状態であったわけでございます。
 そういう中で、そもそも高等学校教育をというふうな観点ではなくて、それぞれの高等学校、またそれぞれの学科の特色があるわけでございます。その特色に配慮しながら、そうしたそれぞれの学校あるいはそれぞれの学科にふさわしい、その教育を受けるにふさわしい能力、適性を判定して行う、そういう観点から入学者選抜のあり方を考えてきたわけでございます。
 要するに一言で言いますと、いわば昭和三十八年から五十九年までは、高等学校教育なるものを受けるに値するかどうかという観点から、ふるい落とすというふうな観点での選抜でございましたが、五十九年以降は、むしろそれぞれの高等学校の特色と、進学を希望する生徒の能力、適性をマッチングする、そういった観点からの入学者選抜のあり方に変わってきていると、こういうふうに御理解をいただければと思います。
○輿石東君 一人一人の子供が、あの学校へ行きたい、あの学科で学びたい、そういう受け入れができるような高校に今なり得ているかどうか。これはもうもっと大事な点もありますが、時間があと三、四分しかありませんので省略をしますけれども、また機会があったら議論をしたいと思います。
 今言われた能力、適性に応じてふるい分けをしたんだと。そういう能力という話がありましたから、最後に大変程度の低い御質問をさせていただきます、私自身がわかりませんから。憲法と教育基本法、特に教育基本法の改正が第二ステージで、新生プランで行われるようですから、あえてお聞きをしておきたいと思います。
 憲法二十六条には、御案内のように、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と。そして、法律の定めるところによって、「義務教育は、これを無償とする。」というふうに位置づけているわけですが、教育基本法は、これは教育の機会均等ということで、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならない」と。憲法二十六条と同じ言葉が、能力に応じてひとしく、こういう言い方と、ひとしく能力に応じてと。
 これは、憲法、国の骨格の法律、そして我が国は幾つ法律があるかわかりませんけれども、前文があるのは憲法と教育基本法だけ。それだけに教育を重視したんだろうと、こう思っています。しかし、この二つを見ると、単なる「ひとしく」と「能力」とのこの言い方、ひとしく能力に応じて、能力に応じてひとしく。「ひとしく」を主語にして強調すれば、高等学校教育をもしそういうことで考えれば、ひとしく、九七%も進学率があるんだから、もう全部希望する子供は入れさせようと。今は入試の見方や考え方が違ってきたというから、それはそれで許容範囲かもしれませんけれども。
 能力に応じてというと適格者主義で、高等学校教育を受けるに値しない、能力がないということで、それをはかる物差し、入試が必要になってくると。これは、山本先生の話にもありましたが、中教審の出る前に刷新委員会というようなところで憲法や教育基本法をつくっていった舞台があるでしょうけれども、この辺は、「ひとしく」も「能力」も、どっちが先でもそんなに問題はないんだ、これはセットで考えて、そんなに神経質に考えるなと、こういう理解でしょうかね。
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生の方から教育基本法三条と憲法第二十六条との関係について御質問いただきましたが、この教育基本法第三条は、憲法の規定を受けて、法のもとの平等を教育の面において実現するため教育の機会均等の原則を明示したものでありまして、この点で憲法二十六条と教育基本法の三条、意味するところは相違がないものと理解しております。
○輿石東君 時間が参りましたので、終わります。(拍手)
○委員長(市川一朗君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
○委員長(市川一朗君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○本岡昭次君 通告しました質問に入る前に、午前中、同僚議員の方から出ました北海道の四六協定の問題について、若干の質問をさせていただきます。
 まず、この四六協定とは何かということですが、これは昭和四十六年に新しく、教職員に対して時間外勤務を命ずる場合に関する規定というものを一番大きな問題にする教員の給与の特別措置法というものが制定されたんですね。そこで、非常に勤務の様態が変わったんです。
 というのは何かというと、学校の教員は時間外勤務をしてはならないというのがこれに定められたんですね。そして、時間外勤務を命ずる場合は、臨時または緊急やむを得ない必要があるというものに限る。それは生徒の実習、学校行事、学生の教育実習、職員会議という四つに限定されて、しかもそれは、今言ったように臨時または緊急にやむを得ないというときに時間外勤務を命ずることができると、こうなっている。
 それまではちょうちん学校というのがあって、際限なく学校の教員は学校で働いていたわけです。それで、いわゆる時間外勤務をやっても時間外勤務手当が出なかった。一体教員の勤務時間は何だと。ちゃんと法律では四十時間働いたらいい、一日八時間だ、休憩時間もとれると、こうなっておるのに実態はそうではないというところで、非常に現場がもめました。そのとき私は兵庫県教職員組合の委員長をしていました。だから、そこのところはよくわかるのであります。
 それで、私が申し上げたいのは、要するに教員の超過勤務問題をめぐっていろいろ議論をやったときに、教職員組合は職員団体でありますから、相手に対してそれぞれ協約、協定、確認文書、さまざまなものを交渉して、話し合いをして、決まったことを文書にするということは当然のことであります。
 だから、先ほどの議論で、何か確認書があるのが悪い、おかしいというふうな議論が出てきましたが、これは全く間違いでありまして、現場の先生方が校長さんと話して、こうしようじゃないかとまとまったものが確認書になるのは当たり前。教育委員会とやったときは、教育委員会の長と組合の長がやるのは当たり前なのであります。
 だから、そこの確認書にすること自身が何か間違っているというふうな発想は私はあってはならぬと、こう思うんですが、どうですか、文部大臣、そこのところは。
○国務大臣(遠山敦子君) 午前中にお答えいたしましたように、今、北海道で行われております四六協定は、その中身において、現在のあるべき教員のいろんな条件と反するということであります。
○本岡昭次君 その中身に問題があるとおっしゃる。確認書を取り交わすということはしてはならないとか、違法であるということにはなりませんね。
○国務大臣(遠山敦子君) 仮にその協定が法令の範囲内のものであれば、それは法律に反することではないと思います。
○本岡昭次君 だから、確認書というものは初めから違法であるという、そういう前提で物事を考えてはいけないということなんです。職員団体でありますから、当然当事者に対して話し合って、交渉して、決まったことは確認文書をとる、これは当たり前のことであります。ごく常識的なことであります。何かそのことまでが悪いような形で議論を始めると、これは大変なことになります。もしそういう形になるならば、私たちもそれなりの覚悟をしなければならぬと、こう思います。
 それから、先ほど言いましたように、教員の勤務時間は一体どうあればいいのかという問題、非常に難しいんです。
 大臣、休憩時間は教員もありますね。休憩時間とはどんな時間ですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 休憩時間というのは勤務が割り振られていない時間だと思います。
○本岡昭次君 そうです、勤務から解除される時間。だから職場を離れてもいいんですね。
○国務大臣(遠山敦子君) 休憩時間であればそういうことでございます。
○本岡昭次君 ところが、学校の教員は給食指導というのをやっております。これはどうしますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 給食指導はどうかという御質問ですが、給食指導というのは学校の活動の一つですよね。そういうことでございますが。
○本岡昭次君 それを昼にやっておるんです。そうすると、その人の休憩時間はどこでとりますか。
○国務大臣(遠山敦子君) それ以外の時間ということですね。勤務といいますか、授業あるいは給食の活動以外の時間でとればよいということですね。
○本岡昭次君 おっしゃるとおり正しいんですよね。どこかで休憩時間をとらなきゃいかぬということになるんです。それがとれているかといったらとれていない。だからどうするかというふうなことを学校の中で話し合って、またそれを教職員組合がそういう勤務時間のあり方について教育委員会と確認文書を取り交わしたのが四六協定と。それは昭和四十六年に初めて、そういう学校の教員の無原則な超過勤務というふうなことは認めない、必要なものは何でも学校で、皆働くだけ働けというふうなことであってはならない、ちゃんと教員も一週四十時間というものがあるなら四十時間、五日に割り振れば八時間という、そういう割り振られた勤務時間の中で働いているんだ。
 だから、さっきから言っているように、働いておらなければならないときに組合活動をするのはいかがかと、こうおっしゃっているわけで、しかし働いている時間を決めるというのはこれは非常に学校では難しい。休息というのもある。休息はどうするんですか。
 池田小学校であんな事件が起こった。あれ、もし休憩時間に起こったときには一体どういうことになるのか。教員が皆食事に一斉に出ていって学校はだれもいなかったというようなことはできないでしょう。子供が学校におる限り、教員は皆学校におるんですよ。それを勤務時間と言うのか言わぬのかは別にして。
 だから、学校というのはそういう教育という活動をやっていく上において、他の職場と違った勤務態様というものが求められる。だから給特法に基づく別の手当がつく。そして、学校にはそうしたさまざまなものがそこの教職員の知恵によって、一方では一週間四十時間、一日八時間、休憩がある。こうしたものに対して違反したら労基法違反でしょう。そうならないように知恵を出し合ってつくり上げたのが四六協定なんです。これは全国どこもできました、いろんな形でもって。
 だから、その中身についてどうこうという話は、それはそうやられたらいいですよ。だけれども、どうも先ほどの亀井さんの話は、確認書をこれだけつくっておるといったって、確認書なんてつくるのが当たり前だという、そういう認識をきちっと持った上でやってください。
 また改めて私はこのことをやります。きょうはほかのことをやっている間はありませんから、それだけ。
 それともう一点、文部省が都道府県あるいは現場に調査に入るというのは、これは大変なことです。私もこの間質問しましたように、法律が変わって、文部省と都道府県教育委員会の関係は、指導、助言、援助することができるということにそこは変わったわけでしょう。するというのがすることができると変わったわけで、することができるというそのことは、やはり地方自治体の自主性、主体性というものを重んじていくという事柄でこの法律が変わっていっているわけです。
 だから、教育委員会の問題について文部省が現場に入っていくという形は、指導、助言、援助という形の中で、何を指導し、何を援助し、何を助言するのかということをはっきりさせてやっていくということが必要ではないかと、このように思いますので、今後どういう形が起こるか、これは私は見守っておきたいと思うし、もし行き過ぎたような状況があるときには、それはそういった立場から私は反論をしていきたい、こういうふうに思っております。
 だから、その四六協定という問題にかかわっていろんな議論が今の実態の中で起こっておりますが、それのもとになったのは、そうした教職員の時間外勤務という問題をめぐって勤務時間を明確化しようということから始まった問題でありまして、そのこと自身は当然のことであるということを僕は改めてここで申し上げておきたい、このように思います。時間がありませんから、きょうはこのぐらいにしておきます。
 それで、おとつい質問した中の残った分をできるだけ多く議論したいと思います。
 まず、飛び入学であります。輿石さんの方からもかなり議論がありましたが、私はもうちょっと具体的に議論をいたします。
 この法律案が成立すれば、二〇〇二年四月から飛び入学は実施されるということに法律上はなることになります。
 そこで、千葉大学のように、千葉大学では今数学、物理、そうした形でやっているわけですが、それでは現在ある、この間衆議院で修正された事柄から、大学院を持っている大学、国立、公立、私立でどのぐらいの大学が飛び入学を実施しようとするというふうに今想定されていますか。
○副大臣(岸田文雄君) どれだけの数の大学が飛び入学を実施するかという御質問でありますが、大学が飛び入学を実施するかどうかの検討はこの法律が成立してから後に行われるわけであります。ですから、具体的に成立後どれだけの大学が検討するのか、これは今から見込みを申し上げることは大変難しいと思っております。
 衆議院の方の修正によりまして、飛び入学を実施できる大学、大学院が置かれていること、そして教育研究上の実績及び指導体制を有すること、こういったことが必要とされているわけですが、全国でその大学院を置く大学は四百九十五校あります。
 しかし、教育研究上の実績あるいは指導体制を有する学校はその中で何校あるのか、さらに、そうした体制を有していても、例えば東京大学のように特別な教育カリキュラムを持っている学校、あるいは京都大学のようにこうした飛び入学を慎重に検討している大学等々ありますので、これらの数からはかなり限られたものになるのではないかとは想像いたします。そのぐらいの想定しか現状困難だと考えております。
○本岡昭次君 どのぐらいの大学がこの法律改正によって飛び入学を実施していくかということについて想定もできないという、私はそんなばかげたことはないというふうに思います。少なくとも現状を見て、そうしたことがどのような形で実施されるであろうかという想定なしにやっている文部科学省の飛び入学実施の無謀さ、それを厳しく今批判しておきたい、こう思います。
 それで、次に行きますが、今物理、数学ということでパイロット的に千葉大学で実施をしてきましたが、それでは、その分野を拡大したと、どういう分野にこれが広がるというふうに見ていますか。
○副大臣(岸田文雄君) この対象分野につきましても、各大学が教育研究の理念やあるいは教育研究実績、指導体制等を考慮して自主的に判断するものであります。
 どんな分野が想定されるかということですが、例えば情報処理の分野、あるいは従来の物理、数学のほかであれば化学、生物学、こうした自然科学の分野等では十分あり得るのではないかと想定はしております。
○本岡昭次君 それで、実際に対象者はどのぐらいになるというふうに予想していますか。
○副大臣(岸田文雄君) 受け入れ大学の数に関しまして、先ほど申し上げたような状況であります。そして、飛び入学の対象となる学生ですが、特にすぐれた資質を有している者であり特定の分野においてぬきんでてきらりと光るような才能を持つものであります。そういった対象者がどれだけいるのかという想定、さらにはその中でどれだけこの飛び入学制度を希望するかというようなことを考えますと、これを利用する数に関しましてもなかなか想定するのは難しいと思っています。
 いずれにしましても、従来、これだけ利用したいという要求があるからこうした制度をつくるのではなくして、こうした可能性、機会を与えようという趣旨でありますので、これからこの制度が拡充された中でぜひしっかりとした本来の趣旨にのっとった活用がされることを期待していきたいと思っています。
○本岡昭次君 輿石議員の質疑の中でもあいまいもことしたことで、何とか実施しなければならないとかいう責任感みたいなものだけに駆られて飛び入学というものを実施したような感がして仕方がないんです。
 しかし、パイロット的にこれをやってきた千葉大学の皆さんの努力の結晶であるこの報告集を読みますと頭の下がるような思いもします。そしてまた、読んでいるうちに、なるほどこうした飛び入学というものは一つの日本の教育の新しい分野を切り開くものになるのかなという思いを私も持ったりします。
 ただ、ここで苦労なさっている皆さんがおっしゃっていることは、大変なんですよ。この中のある先生はこういうことをおっしゃっています。「やっと生まれた早期高等教育実施の若芽も、多くの矛盾と障害の中で枯れんとする状況にある。」、枯れる、つぶされようとする状態やと。「今や理念を議論する段階ではない。当然のことを当然のように行う時である。」、ただやるしか仕方がないといって頑張っている。
 なぜそうなのかというと、いわゆる人手が、これにかかわってくる教員の問題とか、あるいはまたカリキュラムをつくることであるとか高等学校との連携の問題とか、そうした事柄について大変な時間と努力を必要とすると。こんな面倒くさいことをするのやったら、いっそ年齢を撤廃して、ある一定のレベルのある者を皆お受けしてやらせてくれた方がよほどましやというふうな、思い余ったような議論もあるんですね。
 だから、千葉大学は四年の経験を経て、そして多くの高等学校の先生と一緒に議論をして、それでもなおかつ高等学校の先生との連携が不足しておる、もっと十分な時間が欲しい、反省しているというようなことがあるわけで、この文章の中にはこんなことも書いてあります。高校の物理の先生方と合同のミーティングが数回深夜まで行われてもなおかつ問題の解決がしないというふうなことが書いてあるわけで、これは大変なことだな、法律を改正したからといって簡単にできるものでないというふうに思います。
 それで、質問するんですが、この現在四年の経験を経てやっているこの千葉大学でさえ、まず入試委員会というのを五月末に立ち上げて、それからずっと問題作成部会を六月にやり、それから九月までに部会を開いて研究し、夏休み明けの十月に全体会議を開いて、そして高等学校とのさまざまな連携をやって、やっとどういう試験をするかということを十一月にまとめ上げて、そして十一月になったら出願を受け付ける。その受け付ける段階では、高等学校の先生とその子供の様子について緊密なるミーティングをやっていって、わかりました、その子は試験を受けさせましょうと。ただ試験を受けるんじゃなしに、試験を受けてくれる子供をまず高等学校と連携しながら時間をかけて見つけ出してくる。そういうことをやって、そして十二月二十二日ですか、試験をやり、それで二月一日に合格発表をやる。
 こういう四年の経験を経ているところでもそれだけのことをやって、それでもまだうまくいかない、問題がある、こう試行錯誤をやっている状態の中に来年の四月一日からいきなりこういうことをやらせようとすることが私は物すごい乱暴だと思うんです。
 だから、一昨日も私は文部科学省に言ったように、この千葉大学の今までの先進的なパイロット的な研究、協議、高校との連携、さまざまなそこでつくり上げられたノウハウというふうなものをしっかりとくみ上げて、そしてそのガイドラインというものを決定し、そして各大学がこうしたものを実施するに当たってのさまざまな留意点とか学校の体制確立、高校との連携、こういうふうなものを徹底的に積み上げていって、そして初めて飛び入学が実施できる、ゴーサインが出される、こういうことではないか、こう思っているんです。
 とても来年の四月から実施するというふうなことじゃなくて、こうした協議の場を十分積み上げて、そして私が言いましたようにガイドラインの決定とか高校と大学の十分な連携のあり方というものができ上がって、そして関係者がみんな安心して、ああ、これならできるという状況まで十分時間をかけることということについて、文部科学省がわかりましたと言うか言わないかということが僕は極めて大事だというふうに認識をしているんですよ。法律ができたんだから、もうやれるところからやってもらったらよろしいというふうな簡単な問題ではないという認識をぜひ持っていただきたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 飛び入学の制度の適切な運用を図りますためには、これまでの千葉大学での対応を今、本岡委員が詳しくお話しいただきましたような、非常に慎重な姿勢で対応しているところであります。そういうことから見ますと、大学側のしっかりした受け入れ体制をつくること、そして高等学校側との密接な連携が図られることという二つは不可欠の重要な要素であると考えております。
 このために、法改正後できるだけ早い機会に大学、高校等代表者などによる全国レベルでの協議の場を設けて、衆議院での附帯決議でも指摘されているような指針等についての審議をいただいたり、関係者の理解を得るよう努めてまいりたいと思います。
 ただ、ここでひとつ先生、この機会に、私は二十年前にアジアの近隣諸国を学術研究の振興のために訪れたことがございます。その国では、地域に非常にすぐれた大学があったわけですが、そことの学術協力のために私と一団の大学の先生とが訪れました。
 そうしましたら、向こうから歩いてきた少年が日本語で話しかけてきて、あなたは日本人かと言うわけです。これは、全く、二十年前ですから放送も行き渡っておらずテレビもないような時代に、どうして我々が日本人とわかったのだろうと思うのですけれども、その非常にすぐれた英才たちが集まる大学で少年のような人が一人、子供が近づいてきまして我々に語りかけたんです。
 私どもも興味を持ってその子に聞いてみましたら、年齢は十一歳と言うんです。非常にすぐれた大学の中に十一歳。どうして入ったのかと言ったら、僕は自分の力があったから選ばれてきたんですよと。日本語はどうやって学んだのかと言ったら、短波で聞いて学んだんだと言うんです。日本の近隣の諸国において本当にすぐれた子がそうやって伸び伸びと大学の中で勉強している、そしてどんどん伸びていく、そういう実態を目の当たりに見ながら、私は日本の教育の閉塞状況の一つを見たような気がいたします。
 だから、日本はこのように非常に緻密な議論を整えて粛々とやりますのでいろんな問題がないというふうにも言えますけれども、諸外国では本当にすぐれた能力を持つ者を伸び伸びと育てていく。制度も緩やかでございますし、またそういう人を見る周りの目も何らそれは、すぐれた才能を持つ者は当然そういう機会が与えられてしかるべしというような姿勢があるというようなことを経験いたしました。
 これはすぐ日本の制度にということではございませんけれども、ちょっと私は長年考えてといいますか、二十年前のことを突如思い出しましたので、そのことを個人的な意見としてつけ加えさせていただきます。
○本岡昭次君 時間がありませんので。
 貴重な御意見、ありがとうございます。いい話を聞かせていただきました。
 私も現場におるとき、三年生を教えたときに、一人非常にすぐれた子供がおりまして、中学三年の数学の本を持ってきて、私は小学校の三年を教えておるのに、中学三年のを自分で独学してやっておる子がおりました。今その子がどうなったかということは言いませんけれども、そんなすぐれた科学者ではない。しかし、そういう子がおることはおるんですよ。だから、ああ、こういう子供を本当に研究者に育てたら一体これはどうなるかなというのは、正直私も思いました。
 だけれども、先ほどから言っているように、そういう教育の仕組みというか受け入れ体制というのか、社会がそういう形で支えていくということをきちっとつくっていかなきゃいかぬということを私は言っておるんですよ。何か飛び入学という形をもう何が何でもやらなければいかぬという、そういうことだけはやめろと言っているわけです。
 もう一遍言いますが、千葉大学が実施するまで四年間かかったというこの重みですよ。きのうやきょうやるといってできることではないということ。だから今、法律が変わった、皆集めてと言いますけれども、もう既に千葉大学では来年の入試の準備を始めておるんじゃないんですか、どういう来年は入試をしたらいいかということをそういう内部のプロジェクトチームをつくって。そういうことを、それを今から、だからそういう乱暴なことはしなさんなと私は言っておるわけですよ。(発言する者あり)乱暴じゃないですか。
 だから、今言ったような体制の問題をきちっと確立して、そして責任を持って飛び入学というものが定着をして、皆さん方のねらっているところが完結できるようにせにゃいかぬじゃないかと私は思うんですが、どうしてもこれは何ですか、どれだけの大学がまだ実施するかわからぬ、どれだけの子供が入るかわからぬ、そういう当てもないところにこうした問題を突っ込んでいく。
 それで、おとついも同僚議員が言ったように、もうこの際一気にやってしまえというふうな、僕は、教育改革国民会議のあの一つの力が働いてこんなものが突如と出てきた。中教審はもっと慎重に慎重に石垣を積むようにしてやってきている。今度はそこからばっと飛び込んで、こういうものをつくって教育に混乱をもたらしているという、それ以外の何物でもないというふうに思う。
 それで、衆議院でやっと修正には応じた。当たり前じゃないですか。あれは見識がないという意見もありましたけれども。専修学校であっても短大であってもどこでもいい、みんな飛び入学が実施できるんですというふうな、そんな簡単なことではないということで修正にあなた方は応じたわけですよ。
 それだけの制度の一つの大きな改革を今やろうとしておられるんですから、私が言ったように、来年の四月からどんなことがあってもどこかで実施させるんだということにならないように、何遍も言いますけれども、千葉大学の経験というものをもっともっと普遍化して、そしてガイドラインをつくり高校との連携というもの、千葉大学と高校の連携だってこれは大変でしょう、これを見たら。これだけのことをやっていこうとしたら、これはもう大変な努力なんですよ。だから、そういうことを積み上げて実施するというふうにしませんかと、いやもうそんなことは耳もかしませんとおっしゃるのかどうか、もう一遍最後に質問して、三十分もう過ぎましたから終わりますが、どうですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 先ほども、私のある例を申し上げます前にきちんとお答えいたしましたとおり、今回の衆議院での附帯決議で指摘していますような指針等についての審議をいただいたり関係者の理解を得たりして、これらのことも含めて、全国的な協議の場を含めてつくって、運用のあり方について誤りなきようきちんと対応していきたい、これは明言させていただきます。
○本岡昭次君 そういうことしか出えへんと私はもう賛成でけへんなという気がしてきますよ、本当に、乱暴過ぎるから。それだけ言うておきます。
○荒木清寛君 この法案に入る前に、一つだけ、文化芸術の振興策について、文化庁長官も経験をされた大臣にお尋ねしたいと思います。
 言うまでもなく、文化芸術は人と人との心をやわらかくつなぐきずなでありまして、人間や生活、地域を愛する心のあらわれ、平和のかけ橋であります。しかし、ではどのぐらい日本でこの文化芸術に予算を割いてきたのか。芸術大国を自認するフランスの十分の一程度であります。イタリアでは市民の方がオペラを見るのにも補助金が出ると聞いております。民間からの寄附金による援助の額にしましてもアメリカの六十分の一に満たないわけであります。
 戦後、日本は経済的な豊かさを追求してきまして、それはそれで正しい選択であったと思いますが、しかしその一方で文化芸術あるいはソフトの分野というのをないがしろにしてきたということも事実であろうかと思います。そうしたことが国民が真に豊かさを実感できない大きな要因の一つではないか、このように考えます。
 小泉総理はさきの衆議院予算委員会で芸術文化振興の重要性及び文化予算の充実に向けての抱負を述べられまして、大いに期待をするところでございます。
 そこで、大臣にこれまでの文化行政についてどういう評価をされているのか、また小泉総理の文化振興に対する意欲をどう今後具体化していこうとお考えなのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(遠山敦子君) 荒木委員御指摘のように、文化というのは人々の心を潤わせ、また将来への創造のきっかけにもなる、まことに社会にとって重要な事柄であると思っております。
 我が省といたしましても、従来から芸術創造活動の振興でありますとか、文化財の保存・活用、地域文化の振興、あるいは国際文化交流・協力の推進など、文化振興のための各般の施策に積極的に取り組んでまいっております。
 特に、平成十三年度予算におきましては、すぐれた舞台芸術への支援、アーツプランの大幅な拡充、あるいは芸術文化、伝統文化を活用した地域文化の振興などを中心といたしまして、対前年度比百億円増の九百九億円を計上して充実が図られたものと考えております。
 しかし、日本国の将来を考えましたときに、私はまだこれでは十分でないと思っておりまして、小泉総理もあのような発言をしておられますので、その趣旨も踏まえながら、芸術家やあるいは芸術団体が意欲を持って創造活動に取り組み、また国民が芸術文化活動を楽しみ参加できる機会の充実が図られますように、施策の推進にさらに努めてまいりたいと考えております。
○荒木清寛君 去る十四日、文化芸術立国への基本姿勢を明記しました芸術文化振興基本法案を公明党と保守党の議員立法で衆議院に提出をしております。この法案は、人々がひとしく文化芸術を享受、参加できるような社会的仕組みの構築、あるいは芸術文化振興基本計画の策定を政府に義務づける等々を明記しておるわけでございます。
 この国会はもう間もなく閉会になってしまうわけでございますが、大臣はこの提案された法案についてどういう御感想あるいは受けとめておられるのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 公明党、保守党の法案、これは芸術文化を中心とした文化振興のための基本法でございまして、今後の日本の文化の振興を図るために大変有意義な御提案の一つであると認識しております。今後、国会において議論がなされていくものと考えております。
 私どもといたしましては、先般、文化審議会に対しまして、文化を大切にする社会の構築について諮問を行ったところでございまして、審議会の議論も深めながら文化振興のための総合的な施策の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
○荒木清寛君 次に、本題であります学校教育法十八条の二、体験学習の導入について質疑をしたいと思います。
 私は、あるいは公明党は学校教育における体験活動というのを殊のほか重視しております。今、子供、児童の人間関係の希薄化、あるいは先ほども議論になっておりましたが、自然とのかかわりが非常に希薄になった、触れ合いがなくなってきたということが指摘をされております。そういう中で、児童生徒が社会での実体験を通して、その中で人間性を涵養する機会を持つということは非常に重要なことであると思っています。
 そこで、まずこの十八条の二の立法趣旨、あるいは大臣としてこの体験活動の重要性をどう認識しておられるのか、御説明願いたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生から御指摘がありましたように、近年、都市化ですとか少子化あるいは人間関係の希薄化が進む中にありまして、子供の成長にとって欠かせないさまざまな体験の機会、自然との触れ合いなどのこうした体験の機会が乏しくなっていることが懸念をされているわけであります。そうした中で、児童生徒が規範意識、社会性あるいは命を大切にする、他人を思いやる、こういった心を身につけ、豊かな人間性をはぐくむために、社会奉仕体験活動あるいは自然体験活動、こうした体験活動を行うことは大変大きな意義があると考えております。
 そういったことから、今般、学校教育法の改正を行い、さらには社会教育法の改正、こうしたものも実現して体験活動を促進していく姿勢を明確にしようとしたというのがこの趣旨でございます。
○荒木清寛君 今回の改正は教育改革国民会議の提言を受けてのことであると思います。その提言の該当部分は「小・中学校では二週間、高校では一か月間、共同生活などによる奉仕活動を行う。」云々と記載をされております。こういう今回の提言とこの十八条の二というのは同じなんですか。同じことを言っているのか、それとも違うのか、御説明願います。
○副大臣(岸田文雄君) 今、御指摘がありましたように、教育改革国民会議の報告におきましては、小中学校で二週間、高等学校で一カ月の奉仕活動を提唱するとともに、奉仕活動に限らず自然体験などさまざまな体験活動の充実について提言をしておるわけであります。今回の改正は、こうした報告を受けて、現在、学校で行われているさまざまな体験活動、こういったものを一層充実する、こうした充実を図ろうとするものであります。
 ですから、体験活動の実施期間については、その地域の事情ですとか各学校の判断、こういったものに応じて柔軟に行うことが適当だというふうに考えております。ですから、特に期間を明示せず、法律上、体験活動を促進するという理念を明らかにしたものであります。
○荒木清寛君 この提言では「奉仕活動」となっておりまして、この改正案では「ボランティア活動など社会奉仕体験活動」となっておりますね。奉仕活動ではなく社会奉仕体験活動となっているのはどういう意味があるんですか。
○副大臣(岸田文雄君) まず、この法改正の趣旨ですが、体験活動の機会を与える、こうした体験活動の促進を図っているわけであります。そして、体験活動の例として社会奉仕体験活動あるいは自然体験活動、こういったものがあるというふうに整理をしております。ですから、広い意味での体験活動の一つの例示として社会奉仕体験活動あるいは自然体験活動、こういったものがあるというふうに理解しております。
○荒木清寛君 私はこのように考えておるんですが、違うんでしょうか。ボランティア活動にしましても、社会奉仕活動にしましても、これは自発的にやるというところに意味があるわけでありまして、ですから今回の改正の趣旨というのは、奉仕活動を子供に義務づけるということじゃなくて、そういう体験をすることによって本来持っている奉仕の精神あるいはボランティアの精神というものを涵養するというか引き出すというか、そのことに趣旨があるんだと私は読んだのでありますが、違うんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 「奉仕活動」をなぜ「社会奉仕体験活動」という用語にしたかということでございますが、これはまさに先生の御指摘のとおりでございまして、趣旨は基本的に同じであるわけでございますが、法律の用語といたしまして学校教育における教育活動として位置づける、そういう観点から社会奉仕体験活動という形で法律上位置づけたものでございます。
○荒木清寛君 わかりました。
 あと、提言では小中学校では二週間というふうになっておりますが、今回の改正案にはこの期間が明示されておりませんけれども、およそどの程度の期間を体験活動の期間と想定していらっしゃるんですか。
○政府参考人(矢野重典君) 学校における体験活動の実施期間につきましては、これは基本的には各学校が各学校の事情あるいは地域の実情に応じて柔軟にお決めいただくことが適当であるというふうに考えているところでございまして、このため、今回の改正におきましては特に期間を明示しないで、法律上、体験活動を促進するという理念を明らかにしたところでございます。
○荒木清寛君 今回の改正案の中には、体験活動として、体験的な学習活動、それからボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他というふうにありますが、例示されている三つの体験活動のどこにこの力点を置くといいますか、どれを重要視しているんですか。その優劣というのはこの法律は予想しているんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、法律上は児童生徒の体験的な学習活動として位置づけ、特に社会奉仕体験活動、また自然体験活動その他の体験活動の充実に努める旨を規定いたしているところでございますが、このことは法律上、体験的な学習活動、特に体験活動を促進するという理念を明らかにするということでございまして、そのことと同時に児童生徒が生涯にわたって心豊かに主体的に生きていく上で不可欠なかかわりを持つ社会と自然に関しましてとりわけ重要な体験活動について、社会奉仕体験活動と自然体験活動を例示したものでございまして、それぞれの活動自体におっしゃられるような意味での優劣があるものとは考えていないところでございます。
○荒木清寛君 これは言うまでもないわけでありますが、今回の改正によって各小学校においてこの体験学習の実施が義務づけられるわけではないわけですね。
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のとおり、今回の法律改正は教育指導を行うに当たりまして、学校が社会奉仕体験活動等の体験活動を充実するよう努めるものを規定いたしたものでございまして、児童生徒等に対する活動を義務づけるものではございません。
○荒木清寛君 そうしますと、各小学校において充実した体験活動を行うか行わないかというのはだれが決めるんですか。
○政府参考人(矢野重典君) これは基本的には、責任者である校長の判断のもとに、学校が具体的な活動あるいは具体的な活動のあり方等を決めるものでございます。
○荒木清寛君 私は学校だけの判断で決めるのはよくないのではないかというふうに思うんです。
 要するに、保護者、そして実際にその学習を、活動を行う子供の意見も聞くべきではないかというふうに思うのでありますが、そうした関係者の意見も聞いた上で学校で決めるというふうにすべきではないんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、先ほど申し上げましたように、基本的には各学校が当該学校の教育活動として教育計画をつくり、教師の適切な指導のもとにこうした活動が展開されるものでございます。
 ただ、お話にございますように、学校における教育活動は基本的には学校が責任を持って決定、実施するものではございますけれども、その実施に当たりまして、特にこのような体験活動、社会奉仕体験活動、自然体験活動等、いろんな意味での地域や保護者等々に影響の大きいそういう活動を実施するに当たりましては、保護者と意見交換をしながら、あるいは保護者や児童生徒の意向や要望等を踏まえながら教育活動が展開されるものと考えているところでございます。
○荒木清寛君 そう考えるのであれば、この法改正が通れば、実施に当たっての通知というようなものも文部科学省として出すわけですよね。そういう中で、この体験活動の実施に当たっては十分そういう保護者やあるいは地域の意見も尊重して決めるべきであるという、そういうガイドラインをそこに盛り込むべきではないんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 今回の法律改正では、先ほど申し上げましたように、学校において体験活動等の充実に努めるものと規定されたところでございますが、その場合におきまして「社会教育関係団体その他の関係団体及び関係機関との連携に十分配慮しなければならない。」というふうに法律で規定されているところでございます。そういう意味で、こうした活動を行うに当たっては関係機関、関係団体との連携が大変大事だということを法律上、規定しているわけでございます。
 そういうことを考えますれば、学校が実施するに際しましては、今申し上げましたように、地域あるいは関係団体との協力連携が必要であるわけでございますが、同時にその運営に当たって父兄等との緊密な連携あるいは協力ということが大事になるわけでございますので、法律が通りまして施行通達等を出す場合につきましては、そういった点も含めて十分配慮して運営なされるように指導してまいりたいと考えているところでございます。
○荒木清寛君 それでは次に、同じく第二十六条の出席停止問題について私も若干お尋ねしたいと思います。
 平成十一年度に全国の公立中学校において出席停止の処分を受けた中学生が前年度比五割増の八十四人であったということが最近の文部科学省の調査で明らかになっております。
 そこで、初めに最近の出席停止の理由の特徴的な点につきまして御説明を願いたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 私どもの調査におきまして、出席停止の主な理由といたしましては、平成十一年度、先ほど御指摘がございましたように、全国で八十四件の事例があるわけでございますが、その理由を見てみますと、対教師暴力が三十五件で最も多く、次いで生徒間暴力十六件、授業妨害十二件、いじめ六件、器物損壊三件、その他十二件となっている、こういう状況にございます。
   〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
○荒木清寛君 現行制度においても出席停止の処分は行われているわけであります。
 そこで、昭和五十八年十二月五日には文部省初等中等教育局長通知というのが発せられまして、この出席停止の要件、手続等について定められておるわけでありますが、この従前の要件と今回の改正案にある要件とは同一なのか違うのか、そこをお聞かせ願いたいと思います。
 あわせて、今回の改正案に対する批判として、出席停止の要件をかえって拡張する、これは日弁連の意見書にそう書いてありましたが、そういう批判もありますが、そうなのかどうか、そのことも含めて御説明願いたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 現行法では、出席停止につきまして、性行不良であって他の児童生徒の教育に妨げがあると認める児童生徒に対して命ずることができると規定されておりまして、その具体的な運用につきましては、先ほど御指摘がございましたように、昭和五十八年に発した通知において指導してきたところでございます。
 この通知におきましては、出席停止を運用する要件に該当するか否かを判断する際の目安となる状況を示してきたところでございまして、具体的には、例えば教職員に対する威嚇、暴言、暴行等といったような形で四項目を具体的な例として挙げているわけでございます。
 そこで、出席停止は児童生徒の教育を受ける権利にかかわる処分であるわけでございまして、今回の法改正ではその一層適切な運用を期するために、他の児童生徒や教職員に対する暴力行為など出席停止の対象となる具体的な行為を掲げまして、それらを繰り返し行うということを明示し、法律上の要件の明確化を図ったものでございまして、これまでの出席停止の対象に変更を及ぼすものではございません。
○荒木清寛君 法律上の要件を明確化した、いわゆる適正手続の保障というような趣旨でありまして、決して批判をされているような要件を拡張するというような改正ではないと、このように理解をいたしました。
 この出席停止措置というのは、児童生徒に対する懲戒処分といった、懲戒という意味合いのものではなくて、他の生徒が平穏に授業を受ける権利を確保するという意味においての停止措置であるというふうに私は思います。
 そこで、公明党は、この出席停止措置につきましても、デュープロセス、適正手続の保障ということを非常に重視し今回の改正にかかわったわけでございますけれども、この改正案の中で、これは第二十六条第二項、「あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない。」という規定が新設をされました。具体的にはどのような手順で行われるものか、確認の意味も含めてお聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど御指摘がございましたように、今回の法改正では、出席停止に至る手続を決めることが法律上明らかにされたところでございます。
 そこで、具体的に出席停止に至るまでの手順の進め方でございますけれども、まずは問題行動の発生が見られた場合につきましては、当該児童生徒への個別の指導、説諭ということがございますし、また保護者への注意といったようなこともなされますし、さらには必要に応じて校内での特別な指導、また関係機関との連携といったような対応がなされるわけでございます。
 しかし、こうした指導によっても問題の解決が図られず、法律上の要件に該当する問題行為が繰り返し発生し、そして他の児童生徒の教育が妨げられるような事態となりました場合には、市町村教育委員会は出席停止の検討を行うこととなるわけでございます。そして、市町村教育委員会が出席停止の措置が必要であるとの判断に至りました場合には、保護者や児童生徒から改めて意見聴取を行い、その上で最終的な決定を行う、こういうことになるわけでございます。
 こうした事前の手続を経まして、市町村教育委員会は理由や期間を明記した文書を保護者に対して交付し、出席停止を命ずることとなるわけでございます。
○荒木清寛君 今回の条文にはあらかじめ保護者の意見を聴取するという手続保障があるわけでありますが、そのことも含めて私は市町村教育委員会だけで出席停止を決めてはいけない、このことを強調したいと思います。
 今、答弁の中で、そういう出席停止を命ずる前にいろいろ関係団体とも連携をするという趣旨をおっしゃいましたが、そのことはこの条文のどこに書いてあるんですか。
   〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
 というのは、先ほどの十八条の二、全くこれは別の局面の話でありますが、この条文には「この場合において、社会教育関係団体その他の関係団体及び関係機関との連携に十分配慮しなければならない。」というのがあるわけでありまして、もし今の答弁のような趣旨であれば、この出席停止についてもそんなことが書いてあってもいいのではないかと思ったわけでございますが、今答弁されたことはこの法文のどこの解釈としておっしゃったんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 今、私が申し上げましたのは、出席停止に至るまでの間のいわば事前の指導という過程において関係機関等との連携を行うということも実際の対応としてはあり得るということを申し上げたわけでございまして、法律上にそのことが規定されているということではございません。
○荒木清寛君 しかし、従前においても、いきなり出席停止にするのではなくて、おっしゃったようなことはもう十分やった上で最後の措置としてやってきたというふうに私は承知をしています。
 公明党は、地域に開かれ、地域が支える学校づくりということを強調しております。そういう中で、私たちは地域サポート委員会というのをつくってはどうかということも提言をしておるわけであります。学校の校区ごとに児童相談所、警察、保護司、病院、保健所などの代表で構成する常設の地域サポート委員会をつくるべしという提言を先般いたしました。そういう委員会において学校を支えると。
 ですから、この出席停止に関して言えば、問題児童生徒の事前の指導、援助ということについてもこういう委員会を活用し、出席停止にしなければいけないというときにもそうした地域の委員会の意見を聞き、また実際に出席停止になった場合にはその後のサポートということについても十分そういう委員会が関係をするというようなことを考えているわけでございますが、こうしたことは文部科学省は考えておりませんか。
○副大臣(岸田文雄君) 児童生徒の問題行動に適切に対応するために日ごろから学校と関係機関とがネットワークをつくっていくこと、これは重要なことであります。特に、個々の児童生徒に的確に対応するためにも、市町村や中学校区などにおいて、学校や教育委員会のみならず、児童相談所あるいは保護司、民生・児童委員あるいは警察、こうした関係機関の職員から成るサポートチームを組織して指導、援助に当たることは効果的だと考えております。
 こうしたサポートチームの役割は、個々の事情にふさわしい対応、よりよい解決を目指すということにおいて大きな役割を担われると思いますし、またこうした関係機関と一体となった指導にもかかわらず問題行動が深刻になった、そして今般のこの出席停止の適用が市町村の教育委員会の責任において検討されるということになったとしましても、その際にこうした関係機関の専門的な職員の意見を参考にすること、これは十分考えられることだと思っております。こうしたサポートチームを初めとする地域の支援システムづくり、これはしっかりと支援をしていかなければいけないと考えております。
○荒木清寛君 それでは、まだ少し時間がありますので、五十六条、六十七条の飛び入学のことについて、もう相当議論がされていますので余りお聞きをすることがなくなってしまったのでありますが、若干私なりに質疑を進めたいと思います。
 先ほども、特にすぐれた才能を有する、いわゆるぬきんでたきらりと光る生徒の才能をとことんまで伸ばすという飛び入学の考え方といいますか、立法趣旨について説明があったところでありまして、いろいろこの委員会でも賛否両論あるんでしょうけれども、私はそういう必要性は十分に理解をするわけでございます。
 ただ、気になりますのは、午前中も、なぜ急ぐんだ、まだ卒業生が出ていないんではないかというような話もあったのでありますが、現行もこの五十六条はありまして、数学と物理については大学への飛び入学が可能であるわけでございますが、実際にこの飛び入学制度を設けているのは国公立大学では千葉大学だけ、私立では名城大学だけであります。数学や物理の大学は幾らでもあるわけでありますけれども、この二校しか採用していないということは、先ほど申し上げました、そういうすぐれた才能を有する人物を引き上げるというその趣旨は理解するにせよ、何か問題があるからなかなかほかの大学は採用しなかったんではないかというふうにも思いたくなるのでありますけれども、どうして千葉大学と名城大学しか飛び入学の制度を採用していないのか、その辺の問題意識といいますか、認識はどうなんでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 飛び入学の趣旨につきましては、今、先生からお話がありましたように、特にすぐれた資質を持つ者にこうした機会、チャンスを与えるということで大きな意義があると思っています。
 しかし、この飛び入学がどうして多くの学校で実施されなかったかということでありますが、従来の飛び入学の制度は物理、数学に限定される等かなり限定的な条件がついておりました。また、一方でこの飛び入学の成果、それから意義、こういったものもまだまだ十分広く認知されている現状ではないと思っております。こうしたあたりもこれからまた広く認知されるように図っていかなければいけない点だと思っております。
 また、現状の学校の状況を見た場合に、例えば東京大学におきましては、教養学部に属してリベラルアーツ教育を受けた後、三年次に進学する際に、志望と成績によって専攻学部が決定されるというような独自な教育制度をとっております。こういった学校におきましては、飛び入学というものを制度として受け入れるのがなかなか難しいという現状もありました。また、京都大学にあっては、もうしばらく慎重に考えたいという意見があったようであります。個々の大学の判断において飛び入学を現状において採用する採用しない、受け入れ体制をつくるつくらない、こういったあたり、判断が分かれたようであります。
 これからまた制度の拡大に当たって、どのような判断を大学が行うのか、このあたりは自主的な判断にゆだねるということになると存じます。
○荒木清寛君 確認的にお聞きいたしますが、今後は、改正案が通りますと、大学でありますけれども、数学、物理の飛び入学は五十六条一項で、それ以外の学部が二項という、そういう仕分けになるんでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 平成九年にこの飛び入学の制度を導入いたしましたときに、御審議がありましたように、大変長い議論を経て制度を開いたわけでございます。そのために、現行の五十六条、つまり大学入学資格としましては高校卒あるいはそれと同等以上の学力を有する者という本則でございますが、その前提の上で限定的に開こうということで、当時の文部大臣の定め、つまり省令によって博士課程を有する大学に限るとかいうことを限定しながら開いたわけでございます。
 それで、千葉大学、それから名城大学もことしから始めているわけでございますが、今般、この千葉大学の経験からしまして制度の拡大をお願いしているわけでございますが、五十六条の二項が認められますと、その五十六条の本則に基づいた省令は整理いたしまして五十六条の二項に一本化させていただく予定でございます。
○荒木清寛君 今後、飛び入学が一般的になり、分野が拡大いたしますと、それはそれでエリートコースでありますから、飛び入学をするための受験予備校のコースができたりするとか、そうしたことで形を変えた受験戦争の過熱というようなことは心配ないんでしょうか、最後にお尋ねしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 今回の飛び入学制度でありますが、要は、多くの生徒が受験対策をしたり、一般の試験で競ったりするものではないわけであります。あくまでも特にすぐれた資質を持つ者に例外的にチャンスを与えようということであります。ですから、一般的な制度ではありませんので、青田買い等、あるいは新たな形の受験戦争を生む、こうした弊害は考えにくいと考えております。
 そして、こうした趣旨に加えて、大学のしっかりした受け入れ体制、高校と大学との密接な連携、こういったものがしっかりしていれば問題は生じないと考えております。
    ─────────────
○委員長(市川一朗君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、輿石東君が委員を辞任され、その補欠として石田美栄君が選任されました。
    ─────────────
○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。
 地方教育行政法の一部改正法案の、特に第五十条の高等学校の通学区域規定の削除の問題について質問したいと思います。
 初めに、国連の子どもの権利委員会の日本政府への勧告についてどのような検討がなされ、どういう認識に至ったのかについて大臣に伺いたいと思うんですが、勧告は、「高度に競争的な教育制度によるストレスにさらされ、かつ、その結果として余暇、身体的活動および休息を欠くにいたっているため、子どもが発達障害におちいっていることを懸念する。」、「学校嫌いの数が看過できない数に上っていることを懸念する。」として、「過度なストレス及び学校嫌いを防止し、かつ、それらを生み出す教育制度と闘うための適切な措置をとる」ように勧告しています。
 ところで、遠山大臣は、このことともかかわる我が党議員の衆議院における質問に対する答えの中でどのようにおっしゃっていたかといいますと、「高校進学についての競争が行われているという事実もございましょう。学校段階を上がるに従って自分に適した学校を選んでいくというのも非常に大事なことでございまして、私は、若いときにある程度の競争なり努力なりというのは非常に大事だと思っております。それが過度にわたる場合、これはまことに危惧すべき問題であろうかと思います。ただ、すべて競争もなく希望のところにというようなことは、それは本当に教育的な意味もあるのかというようなこと、これは個人的な考えでございますが。したがいまして、今日の高校をめぐる問題について、いろいろな問題があろうと思いますけれども、過度にわたらない、本当の一人一人の能力を伸ばすような競争というものは健全に行われるようなことがもちろんふさわしい、あるいは望ましいことであろうと考えます。」と、こういうふうにおっしゃっています。
 こういう受けとめと認識でよいのかどうか、私は大いに疑問とするところなのですが、伺いたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) そこで申し述べたとおり、それは私の考えでございますけれども、そういうことであろうかと思います。
○阿部幸代君 ある程度の競争は非常に大事、健全な競争が望ましい、これでは国連の子どもの権利委員会の勧告に対する取り組みの姿勢というふうにはならない、かみ合わないと思うんですね。
 国連の子どもの権利委員会の勧告は、高度に競争的な教育制度、そのためにストレスにさらされ発達障害に陥っている、ですから学校嫌いも出ている、それらを生み出す教育制度と闘うための適切な措置をとりなさいという勧告なんですね。ですから、高度に競争的な教育制度、これを是正するということが求められているんですけれども、それに対して、ある程度の競争は大事とか、健全な競争が望ましいとか、これでは全然方向性が出てこないと思うのですが。
○国務大臣(遠山敦子君) 私は気をつけて言葉を使ったつもりでございまして、ある程度の、あるいは健全な競争ということを言っておりまして、過度の受験競争についてはもちろんこれは対策がとられねばならないわけでございまして、過度の受験競争については子供の豊かな人間性をはぐくむ観点からその緩和を図ることが必要であるということは言うまでもないわけでございます。
○阿部幸代君 同じ質問を本会議の代表質問で総理にしました。
 総理の答弁は、過度の受験競争の問題は改革に取り組むべき教育課題の一つと言っていました。そして、入学者選抜の改善、もう一つ、教育内容や方法の改善、このことをおっしゃっていましたが、これは大臣も同じでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 過度の受験競争が望ましくないというのは繰り返し申し上げているとおりであります。
○阿部幸代君 入学者選抜の改善、それから、それだけではなくて当然日常の教育活動にも影響が及ぼされるわけですから、教育内容や方法の改善、この二つは同じだということですよね。
○国務大臣(遠山敦子君) そのような角度から、これまで我が省といたしましては、過度の受験競争の緩和のために、学力試験に偏重した入学者選抜から面接や推薦入試の実施など生徒の多様な能力、適性等を多面的に評価できるように入学者選抜の改善を図っております。
 その他、教育内容につきましては、できるだけわかる授業を行うようなこと等の幾つかの取り組みをしているところでございます。
○阿部幸代君 過度の受験競争の改革、そのための高校入学者選抜の改善の必要性と教育内容や方法の改善の必要性、内容は大いに異なるのですが、その必要性というところでは私も一致をいたします。
 今回、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に当たって、公立高等学校の通学区域にかかわる規定が削除されることになりました。これは、過度の受験競争の問題の改革、総理の表現なんですが、これと関連づけてなされたのかどうか、お聞きしたいのですが。
○政府参考人(矢野重典君) このたびの改正は、政府の規制改革委員会の指摘を踏まえまして、地方分権を一層進めるという観点に立って、公立高等学校の通学区域を設定するか否かも含めまして、通学区域の設定につきましては今後は各教育委員会の判断にゆだねることとするものでございまして、それが今回の改正の趣旨でございます。
○阿部幸代君 文部省は、やはり物事は教育の条理にのっとって考えていかなければいけないんだと思うんですね。規制緩和だから自動的に受け入れるということではなくて、教育の条理にのっとって検討が必要になると思うんです。
 私が聞いているのは、本改正案が過度の受験競争の問題の改革と関連づけてなされたのかどうかということです。端的にお答えいただきたいのですが。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、受験競争の問題とは直接的に関連づけてなされたものではございません。
○阿部幸代君 本当にひどいですね。
 つまり、学区制というのが過度の受験競争と大いに関係があるというふうな認識はないということですか。
○政府参考人(矢野重典君) 繰り返しになりますけれども、今回の通学区域の改正の趣旨は、地方分権の観点に立ちまして、基本的には通学区域を定めるかどうかを含めて今後は各教育委員会の判断にゆだねるというのが今回の改正の趣旨であるわけでございまして、受験競争の問題の話はまた別途の問題として、私どもとして、先ほど大臣から申し上げましたように、一つの教育課題として認識をいたしているところでございます。
○阿部幸代君 極めて重大な問題だと思います。
 矢野局長は、衆議院での我が党議員の通学区規定の廃止は全県一学区を可能とするものかという質問に対して次のように答えていますね。「今回の改正は、第五十条を削除いたしまして、公立学校の通学区域を設定するか否か、またどのように設定するかについて、各教育委員会にその判断をゆだねることとするものでございます。 したがいまして、今後は、」「全県一学区を設定することも含めまして、どのように通学区域を設定するかは、それぞれの教育委員会の判断によることとなる」と、こういうふうにおっしゃっているんです。
 全県一学区も可能になったということです。これでは競争の激化を招くと思いませんか。
○政府参考人(矢野重典君) 過度の受験競争の問題は、これは先ほど申し上げましたように、一つの教育課題であるわけでございまして、私どもといたしましては、高等学校入学者選抜につきまして、選抜方法の多様化とかあるいは評価尺度の多元化という観点から工夫改善について指導をいたしてきているところでございます。
 そういう意味で、私どもといたしましては、今後とも各都道府県に対し一層の高等学校入学者選抜の多様化等について努めていただくように指導してまいりたいと考えているわけでございまして、各都道府県におきましては、これらを踏まえて過度の受験競争の問題が生じないように適切に対応がなされるものと考えているところでございます。
○阿部幸代君 今回の法律の改正は通学区規定を削除するということですから、私はそれについて質問しているんです。衆議院の我が党議員の質問に対する答弁の中で、今後は全県一学区を設定することを含めまして、どのように通学区域を設定するかはそれぞれの教育委員会の判断によることとなるとおっしゃったんです。全県一学区も可能になったということですと、そうおっしゃっているんです。これでは競争の激化を招くとは思いませんかというのが私の質問です。
○政府参考人(矢野重典君) これは制度のあり方としてそういうことは可能になったということを申し上げただけでございまして、今回の改正の趣旨がそうしたことを意図するものとかということではないわけでございますので、その点、御理解をいただきたいと思います。
○阿部幸代君 意図するしないとはかかわりなく法律というのは動き出すわけですから、それにのっとってやっぱり行政は動き出すわけですから、そんな無責任な答弁をしていただきたくないのです。
 次の質問ですが、そもそも通学区域は何のために設けることになっているのかということなんです。
 現行法では、「高等学校の教育の普及及びその機会均等を図るため、」「就学希望者が就学すべきその所管に属する高等学校を指定した通学区域を定める。ただし、一の通学区域内にあるその所管に属する高等学校に就学希望者が集中する等特別の事情がある場合においては、通学区域について必要な調整を行うことができる。」とあります。つまり、高等学校の教育の普及とその機会均等のために通学区域を定めるということ、こういうことが現行法で明記されています。
 逐条解説地方教育行政法によりますと、どういうことが書いてあるかというと、戦後の高等学校教育がスタートするに当たって、旧制中学校がいわば切りかえられて戦後の高等学校教育が始まるわけですね。そのときに、当時の世の親たちは旧制中学校の評価、それに拘泥していて、いわゆるよい高等学校に我が子を入学させたい、それが高じて競争が激化する、そんなことになると子供も遠距離通学をしたりして過度の負担をしょうことになったり、それから新しい高等学校をつくっていくときに、都道府県内にある高等学校が全体として向上していく、そういうことの妨げになってしまう、だから通学区を設ける、こういう解説があります。入学競争の激化を防ぎ、通学上の無理な負担を防ぎ、かつ各高等学校が平均的に向上することができるようにと通学区域を設けて、高等学校教育の普及と機会均等を図ったんです。学区制は過度の受験競争と大いに関係があるということです。
 しかも、国連子どもの権利委員会の勧告を踏まえれば、学区についても過度の受験競争の弊害を取り除くために適切な措置をとらなければならないということではないんでしょうか。これは大臣。
○副大臣(岸田文雄君) 先ほども答弁がありましたように、今回の改正は各教育委員会の判断にゆだねるというのがこの趣旨であります。過度の受験競争が問題であるということ、これはもう申すまでもないわけであります。これに関しましては、学校の個性化ですとかあるいは選抜方法の多様化、評価尺度の多元化、こういったさまざまな試みによって対策が講じられているわけであります。
 そして、今回の改革によってこの判断を教育委員会にゆだねるということになるわけですが、教育委員会においてどのような尺度で判断をするのか、選択肢の拡大という点で判断をするのか、さまざまな地域の事情において判断するのか、理由はその地域におきましてさまざまだと思います。いずれにしましても、そういったさまざまな観点から地域の事情に通じた教育委員会でこうした判断ができるということは地方分権の趣旨からも大きな意義があると考えております。
○阿部幸代君 何を言っているかよくわからないのですが、現行法では、入学競争の激化を防ぎ、通学上の無理な負担を防ぎ、かつ各高等学校が平均的に向上することができるように通学区域を設けて、そして高等学校教育の普及と機会均等を図るという、こういう目的が明記されているんです。この目的はもう達成されたのでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) おっしゃいますように、公立高等学校の現行法制上のねらいは高等学校教育の普及とその機会均等を図るということにあるわけでございます。
 そういう意味で、今回、その規定が削除されるわけでございますけれども、御案内のように、高等学校教育につきましては今日もう九七%というふうな状況になっているわけでございます。そういう状況の中でこの規定を削除することの意味は、先ほど来申し上げておりますように、地方分権の趣旨にのっとって各教育委員会の判断にゆだねるところにあるわけでございますけれども、一方、この規定を削除することによってこの理念、理念というんでしょうか、このねらい、高等学校教育の普及といったようなことを損なうといったような事態は考えられないというふうに考えているところでございます。
○阿部幸代君 今の局長の答弁ですと、高校進学率が九七%になった、だから法の目的が達成されたということになるんですか。
○政府参考人(矢野重典君) 目的が達成されたとは申しておりません。この規定を削除する趣旨はあくまでも、先ほど来申し上げているところでございますが、これを削除することによってこの目的もあわせてなくなるわけでございますが、それによってこの目的としているところを、例えば高等学校教育の普及といったようなそういう状況、あるいはそういう事態をこれによって直ちに損なうということにはならないということを申し上げているわけでございます。
○阿部幸代君 目的がなくなってしまうというのが大問題なんですね。入学競争の激化を防ぎ、通学上の無理な負担を防ぎ、かつ各高等学校が平均的に向上することができるように通学区域を設けて、それで高等学校教育の普及と機会均等を図るという目的、これがなくなる。私は通学区域と入学試験の現実をぜひ見ていただきたいと思います。決して目的は達成されていないのです。
 埼玉県の例を見ますと、現行法のもとでも百六十二校の公立高校のうち百二十七校の公立普通科高校が八つの通学区に分けられています。隣接学区も受験できるんです。ですから、ある学区では最高七十四校のうちから一つを選ぶことになっています。子供たちは七十四段階にランクづけされ序列化された学校にふるい分けられて、自分の行きたい学校ではなくて行けるランクの学校に行くんです。七十四校から一校を選ぶ、相当に激しい受験競争の実態だと思いませんか。
○政府参考人(矢野重典君) 今、私は埼玉県の具体的な実情を承知しておりませんから、今の御質問に直接的にはお答えはできませんが、要はこういう形で通学区域が地方の各教育委員会にゆだねられることになるわけでございます。
 そうなりますと、今後は各教育委員会におきまして、それぞれの地域の高等学校教育をどのように進めるか、どう高等学校教育をやっていくかという基本的なあり方、考え方をベースにしながら、かつまた生徒の進学動向や保護者の要請等、地域の実情を十分踏まえて、各教育委員会におかれてそうした問題につきまして適切に対応をしていただけるものというふうに考えておるところでございます。
○阿部幸代君 私は現行法の目的が達成されていないということでこだわりたいのですが、激しい受験競争の実態をもっともっと直視しなければだめだと思うんですよ。これが日本の子供たちをストレスにさらして発達上の障害をもたらしているというんですよ。学校嫌いを生み出す遠因になっているわけですよ。だから、この教育制度を是正していくために闘えと言っているんですよ、国連の子どもの権利委員会は。それなのに、実態をちゃんと見ないで、知らないけれどもなんて無責任なことを言ってほしくないのです。
 一九五六年に全国に先駆けて二大学区制に移行した愛知県の例を見てみたいと思うんです、資料が手に入りましたので。一方の二十二校が二十二段階のランキング、もう一方が三十校、三十段階のランキングとなっています。塾の作成する内申点と偏差値と入試得点の合計のそれぞれの上位との差、これは〇・五点とか一点とか、一・五点、二点、二・五点、こんな僅差です。これをいわゆるスライスハム状での輪切りと呼んでいるのを御存じだと思います。いわゆる底辺校、困難校問題が必ず起こるんです。
 九三年の愛知県高等学校教職員組合教育困難校検討委員会の「困難校」白書というのを読んでみました。一年生で三十人の退学者を出している例もあります。遠距離通学も本当に深刻で、片道二時間三十分もかけて通学する例や、それはもう定期代がうんとかかるんですね、一カ月の定期代が四万千二百六十円もかかっている、こんな例もあるんですよ。本当に何とかしなければならないと思いませんか。
○政府参考人(矢野重典君) 繰り返しになりますけれども、これは各都道府県において生徒の実態が大変多様化している、そういう実態を踏まえながら、今御指摘のようなことも含めて、高等学校の入学者選抜についてはさまざまな工夫改善について努力をしてきているところでございます。
 そして、私どもといたしましても、先ほど来申し上げておりますように、一層の高等学校入学者選抜の多様化について指導をしてきているわけでございまして、そういう意味で、各県におきましては、これらを踏まえ、過度の受験競争の問題が生じないように今申し上げましたようなさまざまな努力をしてきております。
 少し御紹介を申し上げますと、今申し上げたような観点からの努力を申し上げますと、例えば推薦入学の実施を見ますれば、全国の四十七都道府県において既に実施をされておりますし、さらには受験機会の複数化というふうな、そういう工夫もされているところが十二県あるわけでございます。また、学力検査の実施教科の傾斜配点ということで、それぞれの受験生の個性や能力を特に評価するという観点からの傾斜配点をやっている県も全国で四十二県あると。さらには、調査書の活用の工夫というのもございますし、そして面接、小論文、作文、実技試験等の活用につきましては、ほぼほとんどの県でそうした工夫、努力がなされているわけでございます。
 そうした努力を今後とも引き続きやっていただきまして、先ほど来御指摘がございますように、過度の受験競争の問題が生じないような、そういう適切な対応がなされるものというふうに私どもは考えておるところでございます。
○阿部幸代君 通学区域のあり方で、そこに多段階のランクづけという枠組みができ上がるんですよ、本当に。それが受験競争の根源になっていくんです。ですから、この枠組みがある限り、選抜試験にどんな改善を加えても、やっぱり相当に激しい受験競争はなくならないんです。
 推薦入学をやると、校内の推薦獲得競争が始まります。最後は推薦された者同士の入学競争です。埼玉県では大体半分ぐらいの子供たちが推薦を受けるんですね。その推薦入学競争が四倍になるんですよ。それで、日常的に推薦が得られるように、いわゆる内申点を意識したよい子競争を余儀なくされているんですよ。これが本当に日本の子供たちをストレスにさらしているんですよ。発達のゆがみをもたらしているんですよ。学校嫌いを生んでいるんですよ。教育懇談会とかシンポジウムとかをやると、いつもこの調査書、内申書の問題は必ず会場から意見が出されるんです。それが物すごく脅迫的な存在だと、もう人格がゆがむと。いろんなことを局長はおっしゃいましたけれども、推薦入学だってだめなんです。
 それから、多様化の話もさっきおっしゃっていましたね。私の地元の埼玉県というのは多様化のデパートと言われるぐらい多様化を進めてきたんです。それで、どういうことが今行われているか。社会の変化に対応した教育の展開とか、生徒の興味、関心、能力、適性、進路希望等に応じたコース設置の必要性等が強調されて、コース設置を含む高校の多様化が本当に進められてきたんです。普通科におけるコースは一九八九年は九校だったんです。今、四十一校にコースが設置されて広がりました。ところが、人気がないんです、序列化されていますから。それで、一九八九年度入試における十月一日調査のコース希望倍率は、高くて〇・三三倍、低くて〇・〇三倍、平均倍率〇・一三倍でした。二〇〇〇年度入試までの平均希望倍率は〇・三八倍。ゼロもありました、希望倍率ゼロ。
 再検討を余儀なくされた埼玉県教育委員会は、結局、コースが設置された四十一校の中で七校が学科に転換、十四校が普通科に戻りました。コースの普通科への復元というのは事実上のコースの破綻です。多様化の一つのシンボルですよね。破綻なんです。つまり、安易な多様化が高校序列化の中で成功するはずがないんです。学区制が持つ過度の競争を避けるというその目的が達成されていないということを私は強調したいと思います。
 そこで、次の質問ですが、通学区域規定削除のねらいなんですけれども、現行法でも都道府県教育委員会が十分地域の実情等を踏まえて通学区域を定め、また必要な調整を行っているのではないんでしょうか。それなのに、なぜ通学区域の規定を削除するんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 今回の趣旨は先ほど申し上げたとおりでございます。高等学校の通学区域を設定するか否かも含めて、各教育委員会の判断にゆだねることとするものでございます。
 確かに、御指摘のように通学区域の定め方につきましては、制度改正をしなくても、先ほど御指摘がございましたが、全県一学区にする場合を除いては、各教育委員会がその判断でどのように定めることも可能であるわけでございます。
 今回の改正は、現在、各都道府県、市町村で定められている通学区域に直接的に変更を加えるものではないわけでございますけれども、これを契機に、各教育委員会がそれぞれの判断で高等学校教育の多様化に対応する観点に立って、通学区域のあり方や意義について見直しをしやすくなるというふうな効果、意味もあるのではないかというふうに考えているところでございます。
○阿部幸代君 神戸大学の発達科学部の研究紀要の中に高校通学区制度に関する研究というのがありました。これによりますと、京都、山梨、宮崎の小学区制、それから山口、福井、和歌山、鳥取、島根、佐賀の中学区制、埼玉、愛知など十一府県の大学区制や、それぞれの組み合わせなどで学区制は八つぐらいに類型化されているんです。
 現行法のもとでこのように多様な学区制があることを踏まえて、やはり学区制を設置する本来の目的、過度の競争、要するに競争をやめる、それで全体の高校がひとしく向上し機会均等が図られる、そういうことのために現状を踏まえて国民的な議論で教訓を導き出すことが必要なときなのではないでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど来申し上げておりますように、学区制のねらいは高等学校教育の普及と機会均等ということが法律上の目的でございます。
 その意味で、今回の学区制の撤廃は直接そのことを念頭に置いてではなくて、地方分権の観点から、学区制についてまで国がくちばしを差すのはそれは地方分権化の観点から望ましくない、そういう意味でこれはやめましょうということでこの制度を廃止しようとするものでございますが、そのことをもって、繰り返しで恐縮でございますが、この学区制を設定している目的、ねらいを損なうことにはならないということを私どもは強調したいわけでございます。
○阿部幸代君 重要な問題ですので、あいまいにしないで質問を続けたいと思います。
 法律上、高等学校の教育の普及及びその機会均等を図るためという学区制の目的が消えることになります。このことは、入学競争の激化を防ぎ、通学上の無理な負担を防ぎ、かつ各高等学校が平均的に向上することができるようにという学区制の目的を放棄することを意味するのではないんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 私ども、これも本当に恐縮でございますが、繰り返しになりますが、高等学校教育の普及という、そういう目的が学区制の規定を削除することでなくなるわけでございますが、高等学校教育の普及の点に関して申し上げますれば、今日既に九七%という、そういう進学率を達成している状況にあるわけでございます。
 そういう意味で、私ども、高等学校教育の普及という点、あるいは機会均等という点に関しますれば、これからの高等学校教育のあり方として大事な点は、そうした量的な点にあるのではなくて、先ほど来申し上げておりますように、高等学校の生徒の実態が実にさまざまに多様化している、そういう多様化している生徒の実態に合わせて、そうした生徒が多様な選択ができるようなそういう機会を確保することが、学区制に関して言うならば、高等学校教育にとって大変大事なことであるというふうに考えているところでございます。
○阿部幸代君 多様な選択というのができないんですよ。序列化されるんです。学区が大きくなればなるほど、それはもう多段階になっていくんです。ですから、底辺校というのができてくるんです。全然もう多様化じゃないですよ。選択肢が広がるということを意味しないんですよ。選択肢が広がるのは上の方の一部の子じゃないですか、全部受かりますから。
 入学競争の激化を防ぎ、通学上の無理な負担を防ぎ、かつ各高等学校が平均的に向上することができるようにと、この目的はどうするんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 本当に恐縮でございますが、制度上この学区制の目的は高等学校教育の普及と教育の機会均等を図るということでございます。そのことに照らして、私が先ほど来申し上げている点において特に問題はないし、むしろその高等学校教育の普及という観点からするならばこの規定を削除することによる問題はないし、むしろ普及の観点からするならば、今申し上げたような意味で生徒の多様化において選択肢の機会を確保するという観点に立って学区制の問題なりあるいは高等学校教育のあり方を考えることが大事ではないかということを申し上げているわけでございます。
○阿部幸代君 現行法の通学区域規定を削除して、高等学校教育の普及及びその機会均等を図るためというこの目的を消してしまえば、消えるわけですから、その目的に込められた入学競争の激化を防ぎ、通学上の無理な負担を防ぎ、かつ各高等学校が平均的に向上することができるようにという趣旨も失われるんです。このことは現状の激しい入学競争を追認することを意味するんじゃないんでしょうか。
 学区の拡大や全県一区などというのは、国連子どもの権利委員会の勧告の実施、つまり過度の受験競争の改革に逆行するんだ、こういう判断が少なくとも必要だと思うんですね、文部省に。そういう判断はおありですか。
○政府参考人(矢野重典君) 学区制の規定の撤廃というのは、学区制を廃止するとか、あるいは逆に学区制を拡大するとか、そういう趣旨でなされるものではないわけでございますので、そういう状況の中で各都道府県がそれぞれの地域における高校教育のあり方をどうするか、どう発展させるかという観点に立って、学区制のあり方についてもそのことを含めて御検討いただいて適切に対応していただけるものというふうに私は考えているところでございます。
○阿部幸代君 もう少し率直にお答えをしていただきたいんです。
 学区の拡大や全県一区などというのをねらっているわけじゃないとおっしゃるんですけれども、学区の拡大や全県一区などということになれば、国連子どもの権利委員会の勧告の実施、つまり過度の受験競争の改革に逆行するんだという、そういう判断を持つ必要があると思うんです。お持ちですか。
○政府参考人(矢野重典君) それは、一般論としては直ちに委員が今おっしゃったようなことになるかどうかというのはわかりかねると思うわけでございまして、例えば、私が先ほど来申し上げております、くどいようでございますが、学区の拡大を今回の制度改正は意図するものではないわけでございますが、仮に学区を拡大するということになれば、先ほど来申し上げております、児童生徒の学区を選ぶ選択肢の幅が広がる、そういう面も出てくる、そういうケースもあろうかと思うわけでございまして、一概に委員が今おっしゃったような形での弊害がもたらされるものというふうには考えられません。
○阿部幸代君 もう日本の文部省は日本のすべての子供たちに責任を負う文部行政をやっていると私にはとても思えません。
 次に、高校進学希望者の全員入学の仕組みをこの際国民合意の力でつくっていくということを提案したいと思います。
 二〇〇〇年三月の高等学校の進学率は九七・〇%となっています。この数字は高校入学希望者が全員入学できたことを必ずしも示していないと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 今お話のございますように、平成十二年度、中学校から高等学校への進学率は九七%に達しているわけでございまして、この数字の持つ意味というのは、私ども、ほとんどの生徒が進学している、そういう状況というふうに理解をいたしておるところでございます。
○阿部幸代君 すべての子供たちを見ていただきたいと思うんですね、私は。
 文部省の中学校卒業後の状況調査によりますと、九九年、平成十一年三月時点で進学も就職もしていない子供が二万四十五人います。それから、二〇〇〇年、平成十二年三月時点では二万百一人います。この中に進学を希望しながら進学できなかった子供がいることになるんです。全国で二万人弱でしょう。こういう子供たちを落とすことにどれだけの意義があるのか、私は大いに疑問なんですね。どこにも入学させない。
 よく適格性、三年間の高校教育にたえる力があるのかどうかということをおっしゃいますね。だから選抜試験が必要だとおっしゃるんですけれども、公立にも私立にも入学できなかったこの子供たちと入学した子供たちとの間に三年間にわたる教育を受ける力の差がそれほどあるとは思えないんです。三年間にわたる教育を受ける力の線引きというのは難しいんじゃないんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど来申し上げておりますように、九七%の進学率、こういう状況になっているわけでございまして、こうした状況の中で生徒の能力、適性、興味、関心あるいは進路希望というのは大変多様化しているわけでございまして、各高等学校におきましてもこれらの生徒の能力、適性に応じて自分たちのそれぞれの学校が責任を持って三年間引き受けられる、引き受けて教育を提供する、そういう観点から入学者選抜というのは私どもは必要であるというふうに考えているところでございます。
○阿部幸代君 一九九九年、平成十一年度の中途退学者が十万六千五百七十八人ですね。この数よりも入学できなかった子供の数の方が少ないんです。三年間にわたる教育を受ける力の線引きというのは意味をなしていないんです。そう思いませんか。
○国務大臣(遠山敦子君) いろいろお考えをお聞かせいただいておりまして、高校教育についての重要性、考えておられるということはよく理解できるわけでございますが、高校生という年代を考えますと、最も感受性も強く、そしてそれぞれの子供たちの能力が特色を持ってくる時代ですよね。そんなときに、すべての子供たちを高等学校へ入れようという御主張かと思いますけれども、本当にそれでよろしいのでしょうか。
 今いろいろなことが言われておりますのは、むしろ学校という枠の中で勉強するよりも実社会に出て就労したり、あるいは物をつくってみたり、いろんな形の人生の描き方があると。そういう特性に応じた教育というものをしていく、あるいは中学校の段階においてそれぞれの生徒がどういう進路が大事であろうかということもきちんと見て、そしてその進路指導をやっていく、そういうことが大事なのではないでしょうか。
 いみじくもおっしゃいましたけれども、中途退学が十万人ある、その中にはもう勉強に到底ついていけない人、あるいは自分はもっと別の道を行きたいというような人がほとんどであるわけですね。そういうときに、もう今おっしゃったような高等学校へ義務的にすべてを受け入れようという御提案というのは、私は広く国民の皆さんが受け取るような御提案ではないのではないかと思っております。
 今、局長がるる再三お話をいたしましたような、そういう今回の通学区域の規定の削除ということを問いかかりになさりながらそのような御提案ではございますけれども、私はやはり高校教育のあり方というものはもう少し一人一人の個性をどうやって伸ばしていくかという角度で論じられるべき問題であろうかと思います。その中には、きちんと高校教育の中で対応できていく人もありましょうし、またそうでなくもっと広く世の中に出て自分の存在感というものを確立していく、そういう生き方もあるのではないでしょうか。そういうふうに私は思うところでございます。
○阿部幸代君 私は人間はあらゆるところで一生涯かけて学び続けるというふうに思っています。人間存在そのものが学びの連続なのではないかというふうに思っています。ただ、私が今言っているのは高校入学を希望する者に全入の道を開いていいということなんですね。だって、中途退学した十万六千五百七十八人よりも入学できなかった子供の方が少ないんですよ。線引きはできないはずなんですよ。極めて不合理なことをやっているんです。三年間にわたる教育を受ける力の線引き、本当に不合理なことをやっているんです。
 それで、最近なんですけれども、高校へ行きたいという子で二分の一足す二分の一が四分の二というふうに答える中学三年生がいたんですね。でも、一対一で勉強する機会に恵まれて、それを理解して、勉強っておもしろいんだねと言って高校に入学した子があるんです。
 学区の中で底辺校というのがつくられて、本当にそこに入っている子供は大変だと思うんです、先生も。それでも、埼玉などでは教員の加配を実現して、底辺校でですね、丁寧な指導をやって退学者ゼロ、こういう学校づくりも進められているんですね。入学の意思のある子供には全員入学させる、それぐらいの志のある教育行政を二十一世紀には進めるべきだと思います。
 高度に競争的な教育制度の是正が国連子どもの権利委員会から勧告され、教育の課題として認識している以上、学区問題で競争を助長するようなことはするべきではないと思います。また、競争教育を改めるためにも希望者全入の仕組みをこの際みんなで考えてつくっていったらよいと思います。
 以上で終わります。
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 きょうも多くの傍聴の方が委員会にいらしておられます。また、私はきょうのお昼休みに廃案を求める署名をこのようにいただきました。全国から六千五百二十五名の皆さんの廃案を求める声であります。きょうの昼にいただいただけでございます。
 そこで、一昨日に確認をさせていただきました指導が不適切な教員について引き続きまして質問をいたします。
 一昨日、六月十九日、私の質問に対しまして、不適切な教員には該当しない、このような各県の具体例が答弁されました。例えば埼玉県では自信過剰、偏屈、愛情が不足、これは不適切な教員には該当いたしませんという副大臣を初めとした御答弁でございました。神奈川県では生徒に対してセクハラまがいの言動や体罰まがいの行為を繰り返す、これも不適切な教員には該当しないという答弁でした。これは場合によって程度がひどければ分限処分の対象になり得るかもしれませんし、セクハラ等ということになりますれば服務規律違反ということで懲戒処分の対象にもなり得るものだと明確に区別されました。大阪府では状態・態様は教育的愛情や使命感に欠如が見られる、具体例として自己を語れず夢や希望を語れない、これも、教育的愛情や使命感に欠如が見られるというのは、これは内心にとどまっている、あるいは内面の問題にとどまっている限り、そのこと自体を今回の措置の対象にすることはできない、このようにお答えになりました。高知県の、体調を崩し、休暇休業をとる、これも不適切な教員の対象にはならないと、このように答えられたわけでございます。
 さて、私は一昨日は既に多くの県で指導力不足に関する研究調査が行われているということについて伺いました。既にそれらに基づいて指導力不足の認定をし、研究をしているところもございます。また、これから実施しようとしているところもあるかと思います。この点についてきょうは伺いたいんです。
 まず、これから実施しようとしている県についてですけれども、一昨日の御答弁にもありましたように、その中に指導が不適切な今言ったような中身が入っていれば、これは不適切な教員ではないということで当然是正されるものと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(矢野重典君) ちょっと改めてこの調査事業について御説明申し上げますけれども、現在、調査研究事業に取り組んでいる教育委員会におきましては、その調査研究におきまして、それぞれの地域の実情を踏まえて、人事管理上特にその対応が必要となる教員につきまして今後どのような指導や研修あるいは人事上の措置を講ずるべきか、そういう観点から対象となる教員を定めているわけでございます。それを、例えば指導力不足教員等といったような表現をしている県もございますし、指導を要する教職員と言っているところもございますし、さらには指導力に課題を有する教員といったような、そういうネーミングで対象となる教員を定めているところがあるわけでございます。
 しかし、一方、本法律案におきます指導が不適切であるということは、この転職の措置を適用するための要件として規定したものでございまして、私どもが今行っております調査研究事業と両者の観点は異なるものでございまして、その対象は必ずしも一致しないわけでございます。
 そういう意味で、本調査研究事業の一環として行われております研修、それは各県が人事管理上特に必要となる教員について、それぞれのいろんなケースがあろうかと思いますが、私どもが今回の本措置の対象としている教員も含まれるわけでございますが、それ以外にも、先日御紹介がございましたように、公務員一般の観点から指導を必要としている教員、あるいは服務規律にかかわるようなそういう教員といったような、いろんな教員がいるわけでございます。
○委員長(市川一朗君) 答弁は短くお願いします。
○政府参考人(矢野重典君) はい。
 そういう教員についてこの調査事業の一環として行われている研修でございますから、本法律の措置の対象となるものとは別のものというふうに基本的にはお考えいただきたく存じます。
○畑野君枝君 ここで、委員会で、国会で審議されているときに、そんな言い逃れは認められませんよ。
 確かに、文部省が委嘱して指導力不足の教員に対してのをやったときには基準なんてないですよ。どんな実態か調べるということだったんでしょう。それで、指導力不足教員という名前をつけて委嘱したわけでしょう。しかし、ここの国会に来て、法案では指導の不適切な教員というふうに具体例を挙げられた。
 では、衆議院でどういう論議がされてきたのか。同じように論議されているわけじゃないですか、指導力不足教員と指導が不適切な教員は。一体のものとして認識されて論議されているんですよ。議事録、読み上げましょうか。矢野局長がお答えになった五月三十日の我が党の石井郁子議員の質問に対する答弁ですよ。
 石井議員が「指導力不足という定義はどのようにされるのでしょうか。それは文部科学省として持っていらっしゃいますか。」というふうに尋ねましたら、矢野政府参考人が「今回の法案で想定しております指導力不足の教員でございますけれども、指導が不適切な教員として対象となる者には、これはさまざまな場合があり得ると考えられるわけでございます。」と具体的な例を三つ言って、最後に「このような場合が、指導力不足の具体的なケースとして、その対象として考えられるところ」だとあなたは言ったんですよ。
 そして、衆議院の各委員の質問を見てみたら、指導力不足教員という言葉を使って質問している場合もある。法案で書かれている指導が不適切な教員ということで質問している場合もある。それについては何の是正も訂正もされないで参議院に送られてきているわけでしょう。
 今さら、それは各県のことでございますと。私は指導力不足等というふうには聞いていないですよ。指導力不足教員の認定、研修、それは等で違っているのが入っているかもしれないけれども、それは除外して、指導力不足という問題をこれだけあなたたちが法案を出してきてその審議をしているんですから、その言葉の定義も違うと言うんだったら、もう廃案ですよ。こんなことでは審議できない。そんないいかげんな文部科学省の法案、何ですか。私はちょっと申し上げます。こんな言葉一つとってもきちっと定義もできない。本当にひどい。
 私、言われましたから、具体的にはこの間言ったように、自信過剰とかは不適切な教員に入っていないと。であれば、ではあなたたちは等とか言って広げて考えていたのかもしれない。各県もそういうふうに考えていたのかもしれない。だけれども、ここでこれだけ審議されて、文部科学省がそういう定義も曲がりなりにも具体例三つで言ってきたわけだから、これからは是正されるべきだ、こういうふうに思いますけれども、どうですか。
○委員長(市川一朗君) では、もう一度しっかり答弁してください。
○政府参考人(矢野重典君) 繰り返しになりますが、衆議院での御説明は、これは法律上の指導が不適切ということについてはかくかくしかじかでございますということを申し上げたわけでございます。それはよく読んでいただければそう御理解をいただけると思います。
○畑野君枝君 読みました。納得できない。
○政府参考人(矢野重典君) それで、問題は、先日来御指摘がございます研究事業というのはあくまでも、くどいようでございますけれども、各県が、それは例えば研修であるとか指導であるとか、あるいは人事上の措置が必要となる、そういう人事管理上必要となる教員をいろんな、例えば先ほど申し上げたような指導力不足とかあるいは指導に課題があるとか、そういう概念で整理をして、そしてそれぞれの対応が必要になる教員について実践的に、この教員は研修をしましょう、この教員は別途の人事上の措置をしましょうということを今やっているわけでございます。そういうものとしてこの研究はあるわけでございます。それと今回、指導が不適切という法律上の概念として位置づけるものとは直接的な関係はないということはまず御理解いただきたいと思います。
○畑野君枝君 ということは、衆議院の答弁はうそだったと。
 あなた、もう一回読んでください。では、次やりましょう。いいです、もう時間がありませんから。
 大臣、議事録を読んだらもう本当にきちっと言っているわけですから、私はこういう文部科学省でいいのかと疑念を持たざるを得ません、率直に言って。
 そして、今大変な発言がありました。つまり、それは各県がやっていることだということですけれども、もう一回聞きますよ。不適切教員には該当しない、そういう事例がもしこういうふうに今後入っていると、それは各県では、これだけ委員会で審議になったんだから、入りませんよね。
○政府参考人(矢野重典君) それはこの法律が通過をして新しい制度としてつくられたという前提で、その場合には指導が不適切という教員の認定がこの法律の趣旨にのっとってなされるべきであるわけでございまして、そういう意味で、今、各県で行われている調査研究事業の対象の中で、例えば先ほど来申し上げてございます分限処分の対象になるとか、あるいは懲戒処分の対象になるようなそういう者がこの新しい制度の措置の対象となる教員ということにはなってはならないと思うわけでございますし、またそういうことがあるならば、私どもとしてはこの法律の趣旨にのっとって適切に指導してまいりたいと考えております。
○畑野君枝君 当たり前だと思います。しかし、法案が通らない段階でも、こういうふうに文部省が見解を出しているのであったら、それはきちっと徹底されるべきですよ。
 今まで、例えばいろんな本の中でも調査研究されている研究者の方がいっぱいいらっしゃいます。今まで本当に言葉が、定義がなかったと、指導力不足教員というふうに文部省が各県に研究テーマを与えているものに。そういう論議の中で、国会の中で初めてこのことが真剣に審議されて衆議院で行われた、そして参議院に今、回ってきている。国会審議をそんなに軽視しちゃいけませんよ。これは私たちはもう明確に文部科学省に今の認識の到達点だというふうに受けとめさせていただきます。
 私はこの問題でこんなに紛糾するとは思っていなかったので、実は次の話にいこうと思っていたのであります。しかし、これはもっと重大な、現実に指導力不足教員として現場から排除され、研修という名前の排除に身を置かれているその問題まで是正されなくちゃいけないというふうに私は思うんです。ですから、次に私はその問題を聞きますので、よく衆議院の答弁も読み直していただいて答えていただきたい。それだけの認識の発展があるんだということをしっかりと受けとめていただきたいと思います。
 きょうは地方教育行政法について阿部議員からも私からも質問をいたしましたけれども、本当にこのように法案が出されること自体、吟味されていない中身、あるいはきょうは飛び入学の問題も各党から反対の意見、懸念の声が出されました。一昨日、私が質問をしたように、教育改革国民会議で高校との関係でも消極論が出ていた。ヒアリングでも、一日教育改革国民会議でやったときにはいかがなものかという声しか出なかったと。こういうことなどを含めて、本当にこういう拙速な法律は通すわけにはいかない、廃案、このことを私は強く主張して、質問を終わります。
○山本正和君 大分お疲れかと思いますが、また質問いたします。
 この前は総論ということでやったんですが、きょうももうちょっと総論をやっていきたいんです。
 法律をつくる、新しい立法をする、あるいは現にある法律を変えていくというふうなことは極めて重要な問題なので、その部分で質問をしていこうと思うんですが、その前に若干、午前中の議論の中にあったことだけ触れておきたいと思うんです。
 私は、確かに今我が国の置かれている子供たちの状況、学校教育の問題あるいは科学技術の問題、いろんな問題がたくさんあるんですが、その中で特に義務教育学校における問題というのは対立や不信の中からは解決しないと思うんですね、実際にその現場に当たる人たちが。
 私は、昭和二十四年ですから一九四九年ですが、高等学校の教員になった。新制高等学校発足間もないときで、教科書もないんですよね。私は化学の教師ですから教科書がなかったら困るんだけれども、どうしたらいいかと。物質の変化を教えたらいいと思ったもので、海水と井戸の水と、それから自分で蒸留水をつくって、その水の違いから教えたんです。教科書をつくったんですね、物質の変化の。そういう時代からずっと長い間あるんですけれども、義務教育の場合はもっとひどい環境の中であったんですね。そのときに、校長先生たちは大分戦争責任とかいってやめられた方が多かった、若い校長先生も含めて。まだアメリカ軍占領下の中で、この国をどうしようかということで一生懸命取り組んでおったときに、文部省も一生懸命になってさまざまな政策を出した。
 また、当時、教育使節団が来て、日本の皇国臣民教育からいわゆる民主主義教育ということで、デューイだとか、やれペスタロッチだとかいうふうな理論を持ってきて盛んにやったんです。そのときに、同時に、今、先生たちも労働組合はつくれるんですよ、労働組合をつくりなさいよと。むしろ、日教組というのは占領軍政下の中で占領軍と政府の奨励によってできた。だから、世界じゅうで教員組合が一〇〇%組織できたというのは日本だけなんです。そういう歴史がある。その中で、初めは非常に日教組と文部省も仲よく二十年代の前半はあったんです、教育条件の整備で。日教組が文部省の応援団です、一時は。
 そういう時代があったけれども、それからだんだん政党の対立が起こって、日教組と文部省が激しく対立するようになってきまして、そこでさまざまあったんだけれども、私が今思うのは、やっぱり何事にしても原点に戻って、困難にぶつかったら、対立し合うんじゃなしに、お互いに十分な話し合いの中で信頼関係をどう築くかということをしていかなきゃいけない。それをなくして、悪いんだ悪いんだとやったってよくならない。
 それで、私は、教員になったら、校長先生から、山本先生、済まぬけれども組合の仕事をやってくれと言われて、校長の命令で分会長をやったんです。そうしたら、一週間に一遍、水曜日は、先生御苦労さんです、行ってらっしゃいと、朝から組合の会議に行ったんです。そんな時代もあったんですね。しかし、それじゃいけないというので、いろんな中で今来ているんですから、やっぱり法律の中できちっとやれる組合運動をしなきゃいけないと思います。
 しかし、それを対立と憎しみと不信でやるんじゃなしに、十分な話し合いの中で、どうやったら現場がうまくいくかということについてやっていくということを、これは各県教委は随分苦労しながらやっていると思うんですけれども、文部省もその辺の観点は押さえておいて、いろんな現地における問題については十分な話し合いをしなさいよということを文部省としても指導をしておいていただきたい。これは初めに、本論に入る前に要望だけしておきます。
 そこで、本論に入りたいんですが、先ほど言いましたように、法律をつくる、あるいは修正するということは大変なことなんです。要するに、日本の国民はすべて法律によっていろんなことが決められるわけですから、自分たちの行動をやっていくわけですからね。
 そうすると、それに対して、ずっと見ておったら、今、小泉さんが大変評判いいですよね、何か支持率がべらぼうに高いんだけれども。森さんは物すごい支持率が悪いんですけれども、ちょっと森さんは私はかわいそうだと思う。森内閣のときにすばらしいことをやっているんです。それから、小渕さんからバトンタッチして、みんなが一番嫌がることをやったんです。それは政策評価です。
 きょう午後三時ごろに総務委員会で通ったんですけれども、行政機関が行う政策の評価に関する法律。行政機関が行う政策、それの評価に関する法律というのをつくった。これは大変な法律だと私は思ったんですね。よくぞまあこんなことを日本の政府が、これぐらい役所がいろんなことを言われている中で、また役所としてもいろんな思いがあるんですが、それを場合によっては役所が裸になるような法律をつくった。これは大変なものをつくったなと。これは小渕さんのときにやろうとしたけれども、なかなかできなかったんです。森さんが何としてもやりますよと言ってこれをやったんです。新聞はいいことをちっとも書かないんですよね、悪いところばかり書いて。私は、森さんのこれを高くまた評価しているんです。
 そのことと今出す法案も関係がないとは言えないので、総務省に聞きたいんですけれども、この行政機関が行う政策の評価に関する法律というものについてその趣旨を説明していただきたいんですが。
○政府参考人(塚本壽雄君) 先生御指摘の行政評価法案でございますけれども、これは中央省庁等改革の大きな柱の一つというふうなことで導入されましたお話のとおりの政策評価制度、これにつきまして実効性を高める、そのことに対しまして、またそれにより国民の信頼を一層向上させるということを目的にしまして立案したものでございます。
 具体的には、その法案におきましては、行政機関が行います政策の評価に関する基本的事項などを定める、それから政策の評価については客観的で厳格な実施が必要ということでございますから、それを推進する、またその結果については政策への適切な反映を図るということ、加えまして政策の評価に関する情報を公表する、このような内容を定めております。
 これによります目指すものということでございますけれども、効果的かつ効率的な行政の推進に資するということ、そして政府が有します諸活動について国民に説明する責務、これは法律上の文言でございますが、そうした説明責任と言われるものが全うされるということが目指すところでございます。
○山本正和君 今の趣旨はこれでいいんですが、政府が、要するに行政機関、各省庁ですが、それが政策をまさしくやろうとする場合には事前評価を行う、こういうふうなことが言われているんですが、事前評価というものについてちょっと御説明を願いたい。
○政府参考人(塚本壽雄君) この法律案では政策評価につきまして、事前の評価と事後の評価という分け方をいたしております。
 ただ、事前の評価につきましては、法律の条文の中で一定の要件を求めております。これは、事前評価そのもの自体がなかなかにすべての分野について適用が難しいのではないか、あるいは事前評価についてはまだまだ方法論等の確立、進展がおくれているのではないかということでございまして、基本的には、現在は公共事業であるとかODAであるとか、あるいは研究開発というような分野を例示いたしまして、具体的にはどのような分野でこの事前評価を行っていくかということを定めるようにいたしております。その上で、事前評価をやるものについても一定の要件を法律上設けているわけですが、その趣旨は今申し上げたようなところでございます。
 ただ、一方におきまして、事前評価が必要だという政策と申しますものは、やはり社会経済上の影響が大きいとか、あるいはその実施に当たって多額の経費を要するとか、要件はそういうようなものが対象であろうと。
 一方におきまして、同時に、今申し上げましたような理由によりまして、そのための方法、手法等が開発されていること、こういうふうなことを前提に今後どのようなところで事前評価を行っていくか定めてまいりますが、いずれにいたしましても、委員御指摘のように、やはり事前の評価というものも政策によっては極めて重要な場合があると、こういうことでございます。
○山本正和君 今のお話で、国民生活に重要な影響を及ぼすというようなことも当然入るということですけれども、それよりも事後評価、またずっとやっていく中で、政策をつくってやっているということに対して、これは必ず見直しをしなさいと、そしてまた国民の前には情報を提供して、こういうことをやっているけれどもこのとおりでございますよ、いいでしょうかということもどんどん出しなさいという趣旨のものも入っていると思うんですけれども、それについてちょっと御説明願いたいと思います。
○政府参考人(塚本壽雄君) ただいまの御趣旨は、その意味では先ほど申し上げましたうちの事後評価になります。
 政策の決定が行われた後、それについて例えば目標等を定めているとすればどこまで達成されたか、あるいはその目的というものが、その最初スタートいたしましたとき、それからある一定の時点で見ました場合に、社会経済情勢の変化などがもしあった場合、それにそぐうものになっているかどうか、そうした妥当性を見る等、一般論でございますけれども、事後評価についてはそういう機能があると、こう承知しております。
○山本正和君 いずれにしても、これは従来、お役所がいろいろやっていく、計画する、あるいは実施するいろんなことについて、情報公開も十分しながら、そして自分たちが今まで決めてやってきたことに対する十分な調査、そしてその中で何が問題かということをきちんと整理してやっていく、やっていった後もさらにまた事後評価をすると。
 したがって、役所としては、これは恐らく、我が国の政府始まって以来のような大変な法律だというふうに私は思うんですね。本当に初めて政府が国民に対して、しっかり私たちがやることを皆さん見てくださいよ、皆さんもしっかりこれをやってくださいよと、そういうことを政府がきちんと示したものだろうと。
 何か満場一致で、若干修正しましたけれども、全党一致で通ったという法案だと、こういうふうに思うんですが、そういう意味で、総務省としてはこの法案は極めて画期的なものだというふうに評価していると、こういうことでよろしいですか。
○政府参考人(塚本壽雄君) これは委員御指摘のように、この中央省庁改革のもとになりました行政改革会議におきましても、これまでの行政がともすればその成果というものをなかなか重視してこなかったというふうな反省のもとに、行政のあり方を改めるという趣旨のものでございます。
 したがいまして、この行政評価法案そのものにつきましても、その包括性等におきましては各国に決して引けをとらない、あるいは場合によるとこれをしのぐものではないかというようなこともございまして、この法案を成立していただければ、例えば行政そのもののスタイルあるいは意識というものが変わってまいると。
 それに加えまして、先ほどちょっと申し落としましたけれども、その評価に関します情報を公開してまいるということでございますので、私ども行政にある者にとりましても大変重たい、そういう意味を持つ改革になるんだろうと、こう考えているところでございます。
○山本正和君 総務省、どうもありがとうございました。
 そこで、文部省に今度は聞くんですが、当然この政策の評価に関する法律というのは、これは現政府にとって、というよりも小渕さんからずっと継続してきている政府にとって極めて重要な法律であると。文部省はこの法律に基づいてどういう準備をされているか伺いたい。
○副大臣(岸田文雄君) 今ありました政策評価法案、この政策評価というものにつきましては、国民に対する説明責任の徹底、あるいは国民本位の効率的で質の高い行政の実現、あるいは国民的視点に立った成果重視の行政への転換、こういった諸点から極めて重大な課題だと文部科学省も認識しております。この行政評価法案は政府全体を挙げて取り組んでいかなければいけない、そういったものであると認識しております。
 そして、従来どういった取り組みをしてきたかということでありますが、本年三月に文部科学省政策評価実施要領というのを定めて、政策評価を実施していくこととしております。この要領に定められた方法に従って評価を行い、結果を政策に適切に反映していくよう検討していく所存でございます。
○山本正和君 いずれにしても、これは閣議で歴代文部大臣もずっと入って議論された内容でもあろうと思います。ですから、当然こういう法案が通った場合、あるいは通るというふうな状況の中で、文部省としてももう初めからわかっているわけですから、対応するような格好で行政というものは執行されるべきだろうと私は思うんですね。
 そういう意味で、教育の部分というのは、特にそういう義務教育の内容を変更するという、変更というか新しく立法化するというようなことは、まさに国民生活に非常に大きな影響を与えるものだと私は思うんですね。ですから、今度出された法案で社会体験だとかいうふうな問題は、これは子供たちに対して新しい体験を加えるかもしれないというふうな内容も含むので、こういうふうなことについては当然これはこの行政評価の法律、この趣旨からいったら文部省は取り組まなきゃいけない問題だと思いますが、どうですか、その辺は。
○副大臣(岸田文雄君) 先ほど説明がありましたこの法案は、法改正を行うに当たって常に政策評価を行わなければならないというわけではないわけであります。
 しかし……
○山本正和君 それは知っているよ。それはそのとおり。国民生活の問題。
○副大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げました実施要領等に従いまして結果を政策に適切に反映していく、これはもう大切なことだと思っておりますので、その趣旨は大切にしながら対応していきたいと思っております。
○山本正和君 今度の三法案は私は国民生活に非常に大きな影響を与えるものだと思うんですよ、いずれにしても。大学に飛び級なんていったら、今の高等学校の子供たちにとっては大変な事柄ですよね。大学経営者にとっても大変な事柄。それから、恐らく本気になって学問の場にある研究者あるいは大学の先生たちにとっても大変なことだと思うんですよね。場合によっては、これによって日本の国の研究あるいは科学技術の進歩等にも大きな影響を与えるかもしれない大変な問題だと私は思うんですね。
 したがって、こういうことについては極めて重要な重たいものだという認識を文部省は持っているのか持っていないのか。要するに、この行政評価の対象となるようなものと思うのか思わないのか、そこをはっきり、ちょっと今の副大臣の話ではわかりにくかったんだけれども、これははっきり言って私は非常に重要な問題だと思うんだけれども、どうですか、そこのところは。
○副大臣(岸田文雄君) おっしゃるとおり、今御審議をお願いしております教育三法案は大変重大な、大切な中身を含んでいると存じます。ですから、この法律を御審議いただいて、そして通していただき、こうした体制がスタートしたならば、その結果等はしっかりと評価していかなければいけない、おっしゃるとおりだと思います。
○山本正和君 ですから、法律がきょう委員会通過で、あしたどうも本会議で通過らしいんですけれども、明日になるとこれは通過するんですが、今までの段階ですから、これからはこうなるという話、今の副大臣の話で、これからはこの法律が通った以上はちゃんとそれに適用してやっていきますと今受けとめたけれども、それでよろしいですね、大臣。これは政策評価の対象になりますと、この法案に基づいて行う施策は。よろしいですね。
○国務大臣(遠山敦子君) そのように考えております。
○山本正和君 ということは、これは三年たったら、場合によっては見直してもいいことになるんですね。この法律案には見直し規定も何もないんですよ。ところが、大体新しいものをやるときは見直し規定を普通入れるんですよね。これは与党側からもいろいろと御心配の部分がたくさんあったように、みんな国民の中に心配の部分があるんですよ。心配の部分があるときには見直し規定というものが入るのが普通なんですね、ちょっといろいろあるにしても。衆議院では何で修正しなかったかわからぬのだけれども、普通の常識なら見直し規定というのが入るだろう。しかし、入らぬでも、今度は行政機関が行う政策の評価に関する法律が通ったから、今の大臣答弁でやっぱり三年の間には評価に基づいて見直すということもあり得るというふうになると私は思うんだけれども、そこはよろしいね。
○政府参考人(結城章夫君) 先ほど副大臣から御答弁申し上げました三月に定めました文部科学省政策評価実施要領によりますと、評価の仕方を三類型に分けております。事業の評価、実績の評価、総合評価ということでございまして、それであるまとまった施策あるいは事業をこういう形で評価をしてまいります。
 それで、教育の問題も当然対象になりますが、ただいまこの法案を例えば三年後に必ず見直すということは、そういうことにはなっておらないわけでございますけれども、まとまった施策ということで……
○山本正和君 評価の結果、見直すこともあるということでしょう。
○政府参考人(結城章夫君) はい。その施策の結果を評価してまいることになります。ただ、それはいつまでに、三年以内にやるとかいう決めはございません。
○山本正和君 官房長はどうも心配しておられるようだけれども、余り心配せずに素直に読んだらいいので、要するにこの法案に基づく中身というのは、政策というものは国民生活に極めて重要な影響がある、これはもう大臣がお認めになったとおり。皆さん方も多分そうですよね。そして、それについては政策評価をしていくわけですから、政策評価の中で当然見直すことが生まれたら見直すというのが、これは法律の流れなんだから、これは政府の大方針なんだから文部省としてもそれに従うということでいいでしょうと、こういう極めてイエスと言いやすい質問をしているんだから、余り難しく考えずに。大臣、よろしいですね、これで。
○国務大臣(遠山敦子君) 先ほどお答えしたとおりであります。
○山本正和君 そこで、今度は少し法案の中身に入っていきたいと思うんですが、教育国民会議で大分議論されたと。御苦労だったと思うんですね。また、一月に新生プランをつくられた。これも文部省も相当苦労したと思います。苦労するのはいいんだけれども、理論的な苦労はされたようにも思うんですが、本当にそれじゃ現場がどうなっているのということで、どういうふうな取り組みをされたかということについてちょっと心配なんですね。
 そこで、やっぱり一番国民が関心を持つのは子供たちの問題ですよね。小学校、中学校の奉仕活動と言うけれども、一体何を言っているんだろうか、政府は。今の学校はどうなんだろうか、今の学校というのは奉仕活動をやっていないのだろうか。あるいは体験活動と言うけれども、一体どうなっているんだろうかと。そこのところを、実際に学校の現場ではこういうことをやっていますよ、しかしその中で法律でこういうことをうたいたいんですよというものがあるのならいいんだけれども、現場における体験活動というものがどうなっているかということについては調査をされたのか、そのことは一体国民会議で議論をしたことがあるのかないのか。私は寡聞にして国民会議で小学校や中学校の現場の先生方が苦労して苦労して子供たちと一緒にやっている活動についての報告を聞いたことがない、ちょっと情報が入っていないんだけれども。その辺、どうですか。
○政府参考人(近藤信司君) この教育改革国民会議には中学校の教員の方も委員に入っていらっしゃるわけでございますし、教育改革国民会議は各地に出かけまして、一日公聴会でありますとか、そういったところで各現場の御意見も聞いたわけでございますし、文部科学省の方からも、各県における取り組みでありますとか、こういったものは事務局を通して資料を提供するとか、いろんな形でもって現場における取り組みも踏まえてこういった議論がなされたものと承知をいたしております。
○山本正和君 委員長の許可を得てお配り願った資料をちょっとごらん願いたい。
 これ、例を二つ持ってきたんですよ。体験活動といったら皆さんどういうことを考えておられるのか。これは我が文教委員会の委員の先生方もひとつぜひごらん願いたいと思うんですけれども、小学校で体験活動をする場合には、これは奉仕の時間ですなんということではないんですよね。いろんな教科と結びつけながら、全体の学校運営のカリキュラムの中でどういう体験活動をしているかというのが出てくるんですね。
 これは二つの例ですけれども、一つは理科、総合的な学習、「私達の環境を考えよう」という単元ですね。それで、目標、私たちが住んでいる小学校の環境に興味を持つことができる、友達と協力して調査したりまとめたりすることができる、まとめたものを周りの人にわかりやすく伝えることができる、学習したことをもとにこれからの生活の中で環境問題に関心を持っていくことができる、こうやってこれを組んで、その中で子供たちにいろんなことをやらせて、その結果、今度は総括をするんですよね。
 学習後の取り組みとして、例えば、空気がきれい、水もよく澄み、緑も豊富、それこそが私たちの地域の特徴と思っていた子供たちは、調べた結果を見て少なからず驚いたというようなことがずっと書いてあるんです。そして、川の水も生活排水によって汚れている、峠道のごみに至っては見えにくいところにぽい捨てのごみがある、建築廃材が捨ててあったりするところがある、県道のぽい捨てがあったと、こういうのを全部子供たちは拾ったんですよ。拾いながら、自分たちはそういう学習をしながら、いわゆる体験活動をやっているんですよね。そして、ペットボトルと発泡スチロールトレイの回収運動に入っていく。
 何か国民会議の人たちは今の子供はまるで体験学習を何もしていないようなことを思っていないだろうか。とんでもない話で、全国の小学校や中学校の先生も子供たちも一生懸命に今の世の中のさまざまな矛盾の中で生き抜いているんですよ。どうやったらこの国をきれいにできるのか、環境をどうしたらいいのかと一生懸命やっている。
 先生というのは未来を見ているんですよ。だから、子供たちに未来の話をしているんです。大人が汚しているんですよ。一番汚しているのは政治の世界なんですね、私たち。これは我々も反省しなければいかぬ。
 そういう中で、私は体験活動ということを議論する場は、本当からいえば文部省が文部大臣のところにこういう現場の先生たちを全部寄せて、あなたたち、体験活動どうでした、意見を言ってくださいよと。その中で、それじゃこうやったらもっと子供たちにわかりやすくできますねというふうな話をしていってもらいたいと思うんです。
 もう一つの、こちら側を見てください。子供たちの声、活動内容U、一九九九年度、春の遠足と書いてある。これずっと一遍読んでみてください、ずっとこう。校区クリーン作戦、学校の校区です、ネイチャーキャンプ、それから子供たちのなかよしのつづり、そして今年度の取り組みと今後の方向性。子供たちと一緒に取り組みながらです。こんなものは週四十時間の勤務時間じゃできませんよ。みんな五十時間も六十時間も働かなきゃできないんです。必死の思いで働いているんです、先生たちは。そして、校長はその先生たちを保障するのに一生懸命苦労しているんですよ。
 校長会の会長さんが来たから、代表が来たから話を聞いたというのは形式論としてはわかるけれども、本当に文部省にやってほしいのは、こういうことを引き出す仕事をしていただきたい、体験ということを言うならね。体験学習ということを言うならば、現実に総合学習はどうなっているか、これをやってほしいと思うんですね。
 このレポートは何かといったら、さっき言った教職員組合の教育研究集会のレポートなんです。そうしたら、教職員組合の活動というので、これは勤務時間の対象外なんですね。勤務時間外で月給はもらえない、これは。しかし、みんなこうやって一生懸命やっているんです。
 それで、教職員組合というのはどこの県でもみんな教研と言うんです、教育研究集会は。校長先生も出てくる。地教委の教育長さんも来てあいさつする。PTAも皆参加する。それで、助言者には指導主事も見えているんです。ただ、それは組合活動というので賃金カットになる。本当はこれはおかしいと思っているんだけれども、それはいいです、これは余分な話ですけれども。
 だから、私が言いたいのは、こういう教育のさまざまな問題を扱うときにまず大切なことは、現場の調査。本当に汗水垂らして働いている現場の先生たち。それは九十何万人もおるんですから、中にはちょっと体のぐあいが悪くなったり、あるいはストレスからくたっとなっている人も出るかもしれない。しかし、日本じゅうの大部分の教師は必死になって今の困難な状況で、テレビを初めとするメディアの子供に対する大変な悪影響がある、そして制度上からくる、先ほど言っておられたけれども、学歴社会というか偏差値教育というか、みんなふうふう言って苦しんでいるんです。しかし、そこで何とか子供たちに明るいものを与えようと思ってやっているのが私は現場だと思う。そういう現場という立場に立った活動というものはしていくべきなんだろうと私は思うんです。
 この法案の中で、先ほど矢野局長のお話では、決してこれは一律的にこうせいというようなものじゃありませんよ、学校に任せますよ、校長先生にしっかり任せますからやってください、こういうのが趣旨ですと、こう言って一生懸命強調しておるんですね。その辺のことが本気にわからなければ、これは一体何だと。何か知らぬけれども、どうも学校現場がだらしないから、命令して十日なり二週間なり強制的に外へ行って昔のような勤労をさせるんだと、そういう印象をみんな受けちゃうんです。
 それはなぜかといったら、法律をつくってくる過程に透明性がないから。国民会議の議論を聞いておっても、新聞で聞く程度しかないですからね。しかも、あの人たちは正直言って現場を知らぬです。一日でも小学校へ勤めたことがありますか、あの委員の中で。現地視察といったら、みんな偉い人が来たので、ちゃんと並んで、我々国会議員が視察するのと一緒ですよ。いいことだけしか言わない。そんなことじゃ本当の教育改革になりませんよ。こういうふうに思うんですが、どうですか。この体験活動の問題で例を挙げたんですけれども、今の体験活動の部分についての、ひとつ教育改革国民会議から今度の新生プランに入って、今度は法案を出したという中での、副大臣、もし何か反省なりあるいは感慨なりあったらちょっとお願いしたいと思うんです。
○副大臣(岸田文雄君) まず、先生がおっしゃったように、現場で多くの教員の皆さんが大変な御努力をされておられるということ、それはおっしゃるとおりだと思います。ですから、こうした法案の御審議をお願いしているんですが、この法案の中でこうした体験活動の促進をうたっているわけですが、その促進に当たって、こうした学校のそれぞれの判断あるいは自主的な取り組み、さまざまな工夫、こういったものを尊重していかなければいけない、これは当然感じるところであります。
 そして、教育改革国民会議の議論があり、あるいは二十一世紀教育新生プランがあり、こうした法案が今審議されている、こういった中にあって思うことがないかという御質問でございました。
 こうしたさまざまな議論の積み重ねがあって、文部科学省としましても大臣の責任で二十一世紀教育新生プランを作成したわけであります。これからこの法案を初め、教育改革というものを着実に進めていかなければいけないと思っております。その際に多くの国民の理解をいただかなければならない、これは当然のことだと思っております。ですから、教育改革について国民にきちんと説明をし、そして理解をいただき、そしてやっぱり国民の皆さんに参加してもらって一大国民運動というようなものを展開していく、こういったことの必要性を感じております。
 そういった認識から、今、この二十一世紀教育新生プランの理解のために各地域で教育改革フォーラム、大臣を中心に、幹部が中心になって各地域に出向いていって、この二十一世紀教育新生プランの中身について御説明を申し上げ、また意見をいただく、こうした場を設けているわけであります。こうした総合的な広報活動に省を挙げて積極的に取り組んでいるところであります。
 四十七都道府県全部をぜひ回ってこうした活動を続けていきたいと思っておりますし、また一方で、小泉総理が提唱しましたタウンミーティングというものも先日スタートいたしました。このタウンミーティングの場におきましても、教育問題につきまして大変活発な議論が行われたところであります。こうした場におきましても、しっかりとした理解をいただく機会を持っていきたいと思っておるところであります。
 そして、こうしたさまざまな意見を踏まえながら、文部科学省として今後どういう具体的な支援体制を組むのか、こういったことも考えていかなければいけない、そのように思っております。こうしたさまざまな機会をとらえまして、社会全体で教育改革に取り組んでいくようぜひ努力をしたいと考えております。
○山本正和君 そこで、私は体験学習の問題で特に文部省にこの際要請しておきたいんですけれども、本当に全国で体験学習がどういうふうに行われているか、その中でやっぱり全体として学び合えるものがどういうものがあるか、こういうものの調査をぜひやっていただきたい。そして、それを交換すること自体が物すごく各都道府県が今抱えている心配を解消することになる。
 要するに、押しつけでもってばんと来るんじゃないんだな、こうやって各学校でやっている、だから教科とも結びつける、総合学習でもやる、あるいはそういう中で例えば夏休みの各活動の中でもやる、いろんな中でこんなことがあるんだなというのを文部省が集めたやつを全体にサンプリングして出してもらうということが物すごくいいと思うんだけれども、その辺のことはどうでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 学校における体験活動の実施状況についての調査でございますが、平成十二年度に文部省として抽出でございますけれども調査をいたしておりまして、小中高等学校トータルで五百十六校につきましてそれぞれの学校における体験活動の実施状況を調査いたしております。
 その一端を御紹介申し上げますと、例えば小学校でございますけれども、小学校で自然体験活動の行われている実施時間でございますけれども、一年間で六・一時間、それから社会奉仕体験活動、勤労生産活動、それに職業体験活動を合わせますと、これで一年間で十二・二時間といったような体験活動が行われておりまして、そのほかにも、芸術文化体験活動、さらには交流体験活動といったような、そういう体験活動が行われているわけでございます。
 先生がイメージされている調査がどういうものであるかちょっとわかりませんけれども、一応私どもとしても、平成十二年度、今申し上げたような形での調査はいたしているところでございます。
○山本正和君 局長の言われたようなことをやっていることは私は知っているんですよ。そうじゃなしに、各現場がそれを読んで、ああなるほど、こうやったらいいんだなと、今の話で総合学習だとかあるいは教科学習に絡めた中での体験活動がどう行われているかというような形で、それを各学校が交流し合うことによってまた新しい芽が生まれるわけですね。
 そういうふうなものを文部省としてもぜひ取り組んでやっていただいて、それを各都道府県を通じて資料として配っていただく。それが今度の法案の趣旨の重要な部分ですよと、こういう説明があれば、今出されている法案の趣旨がよくわかる。私は正直言うと、新聞でも論評で批判しているのは、何か知らぬけれども十日間ぐらい生徒を全部どこかへ連れていって、ほれといってくわを持って、昔の勤労奉仕じゃないけれども、あるいはハンマーを持って何かたたくようなそんなイメージのやつが出ているんですよ。
 ところが、局長のずっと答弁を聞いておったらそうじゃないし、各学校で自主的に、そしていわゆる自然あるいは社会、そういう中での、奉仕活動も当然重要な位置づけをされて中にはあるけれども、そういう全体の中で各学校がしっかりといろんな知恵を出してやってくださいよという趣旨だというならば、そういうふうなものとして十分やってもらえば議論もまた変わってくるわけですよ。
 そこのところを、私が今、副大臣に言っているのは、そういう格好で、文部省としても生の報告、何時間とかどうやっているじゃなしに、具体的に先生が子供たちとどんな話をして、子供たちはどういう活動をして、そしてどんな喜びがあったという、そういうものを集めるということをやっていただいて、それを交流してほしいという話をしているんだけれども、どうですか。
○委員長(市川一朗君) 大臣、どうですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今の御意見、私も全く賛成でございまして、もともとこれは義務化するわけでもないし、画一的にやってもらうこともないわけですし、それぞれの学校がその実態に応じて教員の創造性ある思考力を駆使して、そして地域の実情に合わせたいいプランをどんどんやっていただく、それが今回のねらいであろうと思います。したがって、努めるものとするのであって、努めなくてはならないとは書いていないわけでございます。
 そして、我が省として、余りこの例だけがいいというふうに示すとこれまた画一的になるという危険性はございますけれども、今のような角度でいろんな形態があるよということを集めて、これをフィードバックして皆さんの現地における指導の参考にしていただくということは大いにやっていいわけですし、また特に滑り出しの時期にはそういうことは非常に大事ではないかと思っておりまして、できるだけ体験活動の具体的な事例などについて、各学校における取り組みの参考になるように努めてまいりたいと思います。
○山本正和君 ぜひひとつそういう格好で取り組んでいただきたい。そしてまた、今のこの政策評価のやつもその中からまたやるといい評価が出るかもしれぬし、そういうことをぜひお願いしたいと思います。
 そこで今度は、これもどうしても誤解もあるし、私も腑に落ちぬのが飛び級なんですよ。飛び級、飛び入学。
 それで、ちょっとこれは幾ら何でも大日本帝国のときよりは進んだ発想であるだろうと思ったんだけれども、大日本帝国の方が大分いいんですよ、この飛び入学、準備が。私はこれ大変な苦労で、調査室にも大分厄介をかけて、太平洋戦争の昭和十七年とか、その当時からずっと、文部省がどうやって学生の転換をしてきたというやつを調べたんです。ちょっとこれはぜひ皆さんに、せっかくのことですから。今度の法案は何か高等学校二年生になったら、大学が特に優秀であれば云々と、こういうふうなことを言っているんですけれども、高等学校における教育課程だとか大学において何を教えるかというふうなこととの関連が余り議論されずにされているように思うんです。
 何と大日本帝国当時、学校制度は、これは御承知のように、旧帝国大学があって、そこへ入る高等学校があった。旧制高等学校ですね。旧制高等学校というのは尋常科というのもあったんですね。要するに、七年制の高等学校、八年制なのかな。(「七年制」と呼ぶ者あり)七年制でしたね、七年制。要するに、これはまさに超エリートなんです。中学校の段階から高等学校に行くわけですからね。それで、旧制中学校というのもエリートなんですよ。大体、日本じゅうの子供たちの一割ですよ、昭和十年代の初めごろ中学校へ入るのは。その一割の中学校に入った子のうちの、どうでしょう、一〇%ぐらい行ったかな、五%から一〇%ぐらいの間ですね、大学予科と高等学校へ行くのは。あとは専門学校へ行ったりそれから就職したりする。ですから、本当の超エリートなんですよ。
 その超エリートである特別、まさにここでは法律で書いている特別に優秀な者ですよ、その優秀な者に対しても、こういうことをやるときには、高等学校における数学の内容をきちっと書いてある。それでダブらないようにしてある。
 数学は、余り数学を好きな人はいないかもしれませんけれども、四年生までに大体整数、小数、分数、正数、負数、一次方程式、幾何図形、二次方程式、直線形、分数方程式、比例、相似形、鋭角三角関数。四年生で基本教材の補充、級数、対数まで教える。そして高等学校の一年生で教えることと中学校の五年生で教えることとダブっておるんですね。これは平面及び直線、多面体、曲面体、三角関数及びその応用、それから全課程の総括及び補充で、昭和十八年からはさらにここで微分、微係数を入れたんです。要するに、教育課程というものを物すごく慎重に議論して議論して、そして中学校を四年生で終えるというときも、それからいわゆる尋常科からずっと並んでいる部分に対して旧制の高等学校の形態を変えていったわけですね。そういうことについても全部細かく一々きちっと見ているんですよ、教科との関連というやつを。
 今度の飛び入学と高等学校の教育課程の問題をどこかで議論したことはあるんでしょうか。私はそこが不思議で仕方ないんだけれども、高等学校の教育課程と飛び大学の問題をどこで議論したんだろうか。
○国務大臣(遠山敦子君) どこで議論したんだろうという答えではないんですけれども、旧制のお話が出ましたのでちょっと述べさせていただきたいのでございますけれども、日本の過去におきます教育の措置としまして、五年制の旧制中学校の四学年終了について、旧制高等学校高等科への入学資格を一般的に認める制度があったわけですね。ですから、むしろ四学年終了をすればかなりの人が上へ行ける、そういうアジャストメントといいますかカリキュラムの上でのきちんとした調整があったということでございます。ということは、かなりの人が上へ行ってもいいと、一般的にそういう制度というのが認められていたわけですね。
 今度のはそんなにたくさんのことを前提としておりませんで、本当に例外的にきらりと光る人を取り上げようと。であるからこそ、その分野も違うし、それから科目も違うということで、事前の調整であるよりは、その受け入れようとする大学で受け取ったときにきちんとそれを学ばせることができるかどうかということでいろいろ考えて、準備が終わったところ、あるいは準備がきちんと整うところは受け入れるということでございますので、仮に高校二年までですべて終えて、そして高校三年と大学一年と同じようにしてだれでも行けるようになったら、それこそ高校三年間という制度に影響するのではないかなと思うのでございます。
 その意味では、私は、今回カリキュラム上の調整が、むしろ大学側と高校側との話し合いがずっと強調されているのはその面があるという点を申し上げておきたいと思います。ちょっとお答えにならなかったかもしれませんが、そういうふうに考えるところでございます。
○山本正和君 大臣の言われることはそれなりに私もわかるんです。ただ、問題は現実どうなるかということなんですよ、私どもが心配しているのは。要するに、高等学校の二年生からでも大学へ行ける道が開けたと、この部分が広がっちゃうわけです。それは特別な者なんですよと何ぼ言っても。
 それは親にしてみると自分の子供は特別優秀だと思いたいですよ。私は息子が二人おって、片一方はもう五十近いけれども、何ぼ言っても余り頭いいとは思わぬけれども、普通の親なら自分の子は特別な中で頭いい子になってほしいと思うんですよね。そうすると、この制度を一たんつくればいやでも応でもそういういろんな問題が生まれてくると。その弊害をきちっと抑えるという保証がなければできないんです、実際問題は。制度というのは一たんできたらひとり歩きしていきますからね。
 ですから、旧制の場合と今度は違いますということを言うけれども、旧制の高等学校へ中学四年から入っていた人の数は、その数ぐらいはこれは少なくともあってもいいと私は思うんですよ、最低、ここで言うものは。そんな百人や二百人の話じゃないと思うんです。日本全国で旧制高等学校におったぐらいの数の者は入って研究してもらわぬことには本当は研究力は上がらぬですよ、極端なことを言ったら。
 ですから、そういうことからいった場合には、こういうことをする以上は目的を明確にして、そしてきちっとこうなっていますよと示さぬことには混乱が生まれるわけです、混乱が。そこのところを本当に真剣に議論したんでしょうかと。
 要するに、大学において特別優秀な者に学ばせるという場合には、どういう条件の中で学ばせるか。または高等学校からそれを推薦でさせるのか、あるいはどうするのかわかりませんよ、試験制度にするのか。そういうふうな問題を含めて、このとおりですよというふうなことはある程度イメージしたものを持ってきて、さあこれでどうだと言われて、そこで専門家が議論して、大学の先生なり高校の教員なりがいろいろ議論して、それから進むのならわかるけれども、いきなりもう来年の四月からできますと法律できちゃったら、そうしたら、例えば私が私学で大学院もある大学の経営者としますと、引っ張ってこいって言いますよ。おまえらみんな回って、早く高等学校を回って連れてこい、私学にとって名誉ですから、それは。
 だから、なぜそういうふうな格好で急にやったんですかというのがここでずっと言われている皆さん方の心配なんですよ。だから、例えばこの四月一日からできるということで、法律はもうどうしても変えられぬというのなら、実際はできないように政令で縛りつければいいんです、ばんばかばんばか。たくさん条件をつくる、それぐらいの覚悟があるかという話を私は聞いているし、与党の先生方もこれは不安だと言っておられるんです。だから、絶対そういうことをさせないように政令で準備しますというぐらいのことは言ってもらわぬと、これはもう正直言って今のままで四月に法律どおりですと言ったら、法律が通ったら大学ならどこでもやれるんですから。
 ここには大学経営者の先生方というのはきょうはいないか、本当の話が、これはできるんですよ。前、木宮さんという私の仲よしの、年も一緒で、彼も旧制高校ですけれども、彼は経営者ですから、俺のところに入れと言って、優秀な子を引っ張りに行きますよ。
 実際に世の中の動きというものとこの法律というものとが、今のままじゃ私は危険性が強過ぎると思う。だから、それはひとつ御安心ください、文部省としては全精力を傾けて、そういうことのないように政省令を含めて準備いたしますと言うならまだわかるけれども、その辺のところはどうなんですか。
○副大臣(岸田文雄君) 今回の制度は、先ほど大臣からお答えしたように、旧制中学等における飛び級のように一般的な制度ではなくして例外的な制度であるということは先ほど大臣からあったとおりであります。その趣旨がしっかり守られるために、まずは衆議院の修正により、大学院が置かれていること、あるいは教育研究上の実績及び指導体制を有すること、こういったことが必要とされたわけであります。
 こうした法律による限定のほかに、やはり高校からの推薦などにより特にすぐれた資質、これを適切に判定することに努めなければいけないと思いますし、また各大学において飛び入学に関して自己点検あるいは評価を行ってこれを公表すること、これも大切なことだと思いますし、また高校と大学との意見交換など、積極的な連携に努めることも重要だと思います。また、この飛び入学の実施状況を文部科学省においてしっかりと把握し、それを公表すること、これも大切だと思いますし、また大学、高校関係者だけではなくして有識者も含めた全国レベルでの協議の場、こうした場で事例を蓄積し、そしてあり方を協議すること、こうしたことも大切であります。
 こうしたあたりをぜひ省令や施行通知によりましてしっかりと徹底することによりまして適切な実施を確保したいと考えております。
○山本正和君 大分はっきりしてきて、よくなってきたんですけれども、要は四月一日にこのことができると法律になっているわけですから、そのできるということを使って、そしていろんな大学院のある大学がそういう自分のところへ募集活動を任意に勝手にやれるというようなことはさせないようにする、そのためのことは文部省で責任を持って政省令をつくりますと、こういう言い方でやっていただくと非常にわかりやすいんですけれども、どうですか。
 要するに、今たくさんあるわけですよね、大学院のある大学は。それで、大学院のある大学で、しかもことしはもう皆さん御承知のように大学経営が非常に苦しい中ですよ。そうすると、競争するわけですよ。そうしたら、うちには特別優秀な子は何人入ったよとやっぱり宣伝したい。そういうことはさせないよと。要するに、そういうことができないためのことはちゃんと文部省としては全責任を持ちます、この法律が通っても、こういうふうに言っていただくのならば、それから今後の文教委員会なりなんかの中で、政省令にしてこういうことができましたという報告をしてもらって、さらにそこで十分議論ができる、心配はここだけれどもどうですかという議論ができるところまで対応はするという用意があるのかないのか、その辺のことはひとつどうでしょうか。大丈夫ですと、こう言ってくれませんか。
○副大臣(岸田文雄君) この飛び入学制度を実施するに当たりまして、大学のしっかりとした受け入れ体制が必要であります。また、高校側との密接な連携、これが重要だと考えております。ぜひ省令や施行通知を通じまして、しっかりとその中身が充実しているかどうか、このあたりを確認するようにしなければいけないと思っております。そうしたしっかりとした体制の確保によりまして、大学において無責任な募集に走るとか、そういった弊害が起こらないように努めていかなければいけないと思っております。
○山本正和君 ちょっとおしまいの語尾の方があれなんですけれども、要するに、大学がぼんぼん募集に行く、優秀な子を拾いに行くというようなことが四月一日からできるというふうなことはないようにできますということでいいですか。
○政府参考人(工藤智規君) 大臣、副大臣からも御答弁申し上げたところでございますが、先ほど本岡委員の御質問に大臣からも御答弁申し上げましたとおり、衆議院では法案の修正のほかに附帯決議もつけられてございます。その中で、全国的な協議の場の設置、構成は先ほど副大臣からお話し申し上げたところでございますが、それから実際に実施に当たっての指針等の策定についても附帯決議で御注意があったところでございます。
 それを受けまして、法案成立後できるだけ早い機会に、全国的なそういう関係者による協議の場などを設けまして、指針づくりなども含め万全を期してまいりたいと思っております。
○山本正和君 またこの次にします。きょうはこれで終わります。
○高橋紀世子君 今、山本委員から現場が大切なんだというお話を伺いまして、私も子供を三人育てて学校にやりましたけれども、やっぱり何はともあれ、教育のあれは現場が物を言っていると思います。今、本当にびっくりするほど不登校生徒の急増で、このごろは教育の荒廃を招いてしまっていると思うんです。それで、それにはどんな原因があったのか。大変恐縮なんですけれども、行政の責任がやはり少しはあったと思うのですが、そのことについてどういうふうに思っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
 過去に政府がやってきたことが何であるかを反省しないと次に行く真の改革が生まれないと思うんです。どうしてこういうふうになってしまったのか、それについてお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 不登校のお話でございますけれども、平成十一年度の国公私立小中学校におきます不登校児童生徒数は約十三万人ということで、過去最高になっております。
 不登校の原因、背景というのは、いろんな調査報告書を見ましても実にいろんな分析がございまして、一概には言えなくて、ケースによってさまざまでございまして、家庭の問題あるいは学校のあり方、それから本人の意識の問題などの要因が複雑に絡み合っておりまして、これは専門家によって違うというのもあります。したがいまして、行政の側が単純にこういうことが原因であるともなかなか言いにくいほどの複雑な背景でございます。このために、不登校問題への対応に当たりましては、学校、家庭、地域社会、関係機関というものが連携協力し合って一体となって早期からケースに応じたきめ細かな対応を行うことが重要であります。
 我が省といたしましては、そういうことがなるべく起こらないようにという角度から、わかる授業をやる、それから子供たちに達成感を味わわせて楽しい学校を実現する、さらにはスクールカウンセラーを配置してその拡充でありますとか、心の教室相談員の配置といったような教育相談体制の充実を行ったり、不登校となった児童生徒に対して柔軟に対応するために、不登校の子供たちの学校復帰を支援する適応指導教室の整備の推進などを進めているところでございます。
○高橋紀世子君 いろんなことが複雑に絡んでいるというのはわかるんですけれども、やはり教育のあり方が、子供の成長に合っていないと言うとおかしいんですけれども、そこに何か根本的な問題があるような気がしてなりません。
 今度の三法案ですけれども、それも、私自身は、現場から声が上がってきてそうなったというよりも、むしろ文部省で決めてそれを現場に移譲するというか、その辺のところが、現場がもう少し主体的になるようなことが考えられないかなと思います。
 この三法案のベースになっている二十一世紀教育新生プランの基本的な考え方に、行き過ぎた平等主義による教育の画一化についての記述があります。ボランティアの体験学習や飛び級制度の導入を国家主導で行えば、やはりまたすべての学校において教育の画一化を助長することになるような気がしてならないんです。一つ一つのやろうとしていることは、それは大変子供たちにとってすばらしいことなんですけれども、それを現場が主体的に決めるのではなくて、文部省で決めてそれを現場に移譲するというそのやり方がうまく、これから努力してだんだん現場も活性化すればうれしいと思いますが、すべての学校において教育の画一化を助長することになるのではないかと私は心配しています。ゆとりという名の画一的教育を押しつけることにならないでしょうか。
 私はこの法案にはどうしてもそういう意味で賛成できないんですけれども、そのことについてどういうふうにお考えになるでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) まず、教育内容につきまして全国的に一定の教育水準を確保するとともに、教育の機会均等を実質的に保障するため、国において教育課程についての大綱的な基準、こうした基準は設けているわけであります。しかし、この基準は踏まえながら、やはり特色ある教育を展開すること、これは大切なことだと思います。
 こうした考え方に立って、新しい学習指導要領におきましても、各学校が地域や学校の実態に応じ多様な学習活動が展開できる総合的な学習の時間の創設、あるいは中高等学校における選択学習の幅の拡大、こういった改善を図って、各学校が創意工夫を凝らした教育課程を編成できるようにしているわけであります。
 そして、今、御指摘がありました体験活動につきましても、本法案におきまして、こうした体験活動を促進する、こうした促進に努めるという内容を盛り込んでいるわけであります。決してこれは義務化ではないわけです。そして、その中に、各地域においてどんな体験活動をするのか、そうした創意工夫、こうしたものはしっかりと尊重されなければいけないと思います。
 また、この法案を含めまして二十一世紀教育新生プラン、こうしたプランを文部科学省として打ち出しているわけでありますが、先ほど答弁の中で少し申し上げましたように、こうしたプランの理解、あるいは現場の意見の吸収、こういったことをするためにも、全国各地で教育改革フォーラム、こうしたさまざまな試みをしているわけであります。こうしたさまざまな試みの中で、現場の意見の吸収に文部科学省としても努めていくことが大切だと認識しております。
○高橋紀世子君 全国一定の水準を保つ、教育のレベルのことをおっしゃいましたけれども、余りにも画一的ですから、子供たちのそれぞれの興味とか夢とかというものと勉強がかけ離れていると私は思うんです。その辺、どうしてもある程度のレベルというと同じようなことになりますけれども、カリキュラムその他は生徒を見ている先生方や何かに任せて、画一的な全国同じカリキュラムで勉強するということをやめてみたらいいのでは。レベルの違い、レベルがばらばらになると言いますけれども、今のレベルがうちの子供たちを見ていてもそう高いとも思えない。同じことは勉強していますけれども、興味が大変薄らいでいるし、私は、カリキュラムを文部省が手伝いながら全国同じ勉強をするというのは、どうも子供たちと先生方が主体性を失っているような気がしてなりません。
 今度の三法案もそうです。学校のカリキュラムを一々国が決めては、子供の個性をはぐくむ柔軟で創造的な教育がどうしてもできないのではないかと思います。行政がカリキュラムを決めるのではなく、先生方や生徒自身、また父兄など教育の現場にいる人がカリキュラムを含めた教育の決定権を持つことができる仕組みに私はした方がいいと思いますけれども、どうお思いになるでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) まず、学校において体験活動、こうしたものを実施するに当たって、児童生徒の発展段階や活動内容に応じて、その自発性に配慮するとともに、地域の事情ですとかあるいはさまざまな活動の場、こういったものを考え、そして工夫をし、多様な形で実施すること、これは大切なことだと思います。そして、そうした体験活動、社会奉仕体験活動あるいは自然体験活動、こうしたさまざまな体験活動を経験することが、必ずやその経験の中で児童生徒はその将来に対する夢をはぐくんでくれるものだと考えます。
 今、先生の方から夢と教育がかけ離れているというお話がありましたが、こうした体験活動を活用することによって、児童生徒の夢とそして教育の場、しっかりと結びついていくような教育が進んでいくことを期待しておるところでございます。
○高橋紀世子君 とにかくこの三法案のことですけれども、なるべく現場が主体性を感じ、自分たちがやっているんだということを感じるようにやっていただきたいし、やっていきたいと思います。
 それから、さきの先生方のお話の中に、子供が大変行動がまともじゃなくて授業を休ませるとか、先生方が適切じゃない方がいたときに先生方に違う職業についていただくとか、その基準についてという質問がありましたけれども、やはりこれは文部省ですべて基準をつくるのではなく、多分、これは地域地域でいろいろ工夫してそういうふうにしていくべきものではないかと思います。
 それからもう一つ、学区のことで質問がありまして、この学区だったらこの学校に行くとか、それはどういう基準になっているかとすごい鋭い質問がありましたけれども、それもやはり文部省で決めるのではなくて、地域が相談してどういうふうにするか決めるべきではないかと、私はそういうふうに理解するんですけれども、そうでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) まず、出席停止の件、そして指導力不足の教員の件、この件につきましては恣意的な運用がされてはならない、おっしゃるとおりだと思います。そのあたりはしっかりとした手続を踏むことによって恣意的な運用がされないように努めていかなければいけないと思っています。
 そして、済みません、最後の学区制の御質問は……。
○高橋紀世子君 学区制もやはり、高校が学区制が一つになっていろんな意味で厳しくなったということだって、どういうふうな基準で、それも文部省じゃなくて地区地区でもう少し決めていいんではないかなと私が思ったものですから、それを質問したいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) おっしゃるとおりでありまして、今回の法改正の趣旨はまさにその教育委員会の判断においてそれを行うということでありますから、今回の法改正はまさに先生の御趣旨に合う法改正だと考えております。
○高橋紀世子君 今まで文部省の指示のもとに動いておりましたからなかなかわかりにくいんですけれども、この一連の法律の改正ということは、やっぱり一つ一つの学校、地域の主体性を取り戻すということなんではないかと思うので、私自身も発想の転換をしようと思っております。そういう地方が主権を持つというふうに考えてよろしいでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 地方分権の動きの中で、教育においてもやはりできる限り地域の実情を把握した場で物事が判断できるような形を進めていくこと、これは当然あるべき姿だと思っています。
○委員長(市川一朗君) 本日の質疑はこの程度といたします。
 次回は来る二十五日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十五分散会