第153回国会 本会議 第7号
平成十三年十月三十一日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第七号
  平成十三年十月三十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(第九回アジ
  ア太平洋経済協力首脳会議出席及びその際に
  行われた二国間首脳会談に関する報告につい
  て)
 第二 予防接種法の一部を改正する法律案(第
  百五十一回国会内閣提出、第百五十三回国会
  衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日程第一
 一、司法制度改革推進法案(趣旨説明)
 一、日程第二
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○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、
 電気通信事業紛争処理委員会委員に香城敏麿君、田中建二君、富沢木実君、森永規彦君及び吉岡睦子君を、
 労働保険審査会委員に藤村誠君を、
 中央社会保険医療協議会委員に星野進保君を、
 運輸審議会委員に小野孝君、佐々木建成君、田島優子君及び三橋滋子君を、
 また、公害健康被害補償不服審査会委員に大西孝夫君及び加藤信世君を
任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 これより採決をいたします。
 まず、電気通信事業紛争処理委員会委員、労働保険審査会委員、運輸審議会委員のうち小野孝君及び三橋滋子君並びに公害健康被害補償不服審査会委員のうち加藤信世君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十八  
  賛成            二百十八  
  反対               〇  
 よって、全会一致をもって同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(井上裕君) 次に、中央社会保険医療協議会委員及び公害健康被害補償不服審査会委員のうち大西孝夫君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十八  
  賛成            二百十四  
  反対               四  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(井上裕君) 次に、運輸審議会委員のうち佐々木建成君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十一  
  賛成              二百  
  反対             二十一  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(井上裕君) 次に、運輸審議会委員のうち田島優子君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十九  
  賛成             二百三  
  反対              十六  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(井上裕君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(第九回アジア太平洋経済協力首脳会議出席及びその際に行われた二国間首脳会談に関する報告について)
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。小泉内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、十月十九日から二十二日にかけて、中国の上海で開催された第九回アジア太平洋経済協力首脳会議に出席するとともに、その機会を利用して、韓国、オーストラリア、米国、シンガポール、ペルー、ロシア、中国、マレーシア及びインドネシアの九カ国の首脳と個別会談を行ってまいりました。これらの結果について御報告いたします。
 今次APEC首脳会議では、首脳間で率直な意見交換を行った結果、以下の主要な成果が達成されました。
 第一に、従来、APECにおいては、経済問題を中心に協議が行われてきましたが、九月十一日の米国での同時多発テロの重大性にかんがみ、今次首脳会議においては、テロリズムにいかに対処していくかについても協議が行われました。宗教的、文化的に多様なメンバーから成るAPECにおいて、テロリズムを強く非難し、反テロリズムのための国際協力を強調する声明を発出したことは、国際社会の連帯を示す上で極めて有意義であったと考えます。
 第二に、世界経済情勢について、早期回復に向けた意見交換が行われました。私からは、構造改革なくして成長なしとの決意のもと、民需主導の自律的な経済成長の達成を目指して、我が国が進めている構造改革の進展状況につき説明しました。
 第三に、WTOに関しては、来月のドーハでの第四回WTO閣僚会議において必ず新ラウンドを立ち上げるべきであること、また、新ラウンドは十分広範なアジェンダのもとで行われるべきであることで合意が得られました。
 第四に、APECプロセスの活性化、グローバル化及びニューエコノミーへの対応を目指して、今後のAPECの活動につき首脳間で議論がなされ、人材養成の重要性についての認識が得られたほか、今後のAPECの活動方針についても認識の一致が得られました。
 また、私は、九カ国の首脳と個別に会談し、有意義かつ率直な意見交換を行いました。
 まず、日米首脳会談においては、私より同時多発テロへの我が国の取り組みにつき説明しました。これに対し、ブッシュ大統領より日本の協力に謝意を表するとともに、アフガニスタンの和平、復興についての我が国への期待が表明され、引き続き日米が緊密に協力していくことで意見の一致を見ました。
 日ロ首脳会談においては、平和条約締結問題及びテロ対策を中心に議論を行い、平和条約締結交渉については、話し合いの具体的進め方を含め精力的に交渉を行っていくことで合意しました。
 主催国である中国の江沢民国家主席との会談では、先般の北京訪問の結果を踏まえ、来年の国交正常化三十周年に向け、日中関係を一層発展させていくことで一致しました。
 また、日韓首脳会談においては、先般の私の訪韓を踏まえ、明年のワールドカップ開催及び国民交流年に向けて、具体的かつ積極的な協力を行っていくことで一致しました。
 このほか、私は、オーストラリア、シンガポール、ペルー、マレーシア及びインドネシアの各国首脳とも個別会談を行いました。その中で私は、二国間関係の議論に加え、我が国が進めているテロ対策措置、アフガニスタン和平及び将来の復興をも視野に入れた構想、そして、断固たる決意を持って進めている構造改革につき説明しました。また、日本・シンガポール首脳会談の結果、新時代経済連携協定につき、交渉を成功裏に終えた旨、及び署名のため本年末までに本協定を完成させるべきである旨の共同発表を行いました。
 以上の二国間会談を通じて、これら諸国との友好関係を一層強固なものにすることができたものと考えます。(拍手)
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○議長(井上裕君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。柳田稔君。
   〔柳田稔君登壇、拍手〕
○柳田稔君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいまの総理の御報告に関し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 今回のAPEC会合は、一昨日成立したいわゆるテロ対策特別措置法の審議中に開催されました。総理は、今回のAPECにおいて、審議中であったこの法律案について、どのように説明してこられたのですか。参加各国の理解はどれほど得られたのでしょうか。さらに、この法律を適用して日本の自衛隊が海外で活動を行う際の基本計画の策定方針や今後の具体的な支援内容について、どのように考えているのか、また、各国へはどのように説明していくのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
 私は、世界経済の安定と持続的な発展のためにAPECが担う役割は極めて重要であり、大きな経済力を持つ我が国が積極的にイニシアチブをとり、APECの発展にさらに貢献していくべきであると考えております。我が国の経済力と外交の真価を問われる場であると言っても過言ではありません。
 そこで、今回のAPEC会合を受け、総理は今後、APECをどのように位置づけ、そこにおいて我が国はどのような役割を担っていくおつもりなのか、お伺いしたいと考えます。
 さて、世界経済の回復に向けて、我が国経済の再生はAPEC加盟各国が最も期待しているところであります。今回のAPEC首脳宣言における「持続的成長の促進」のための構造改革や金融の効率化、ソーシャル・セーフティーネットの開発などは、我が国に対してあてられたものと受けとめるべきでございます。
 政府・与党に巣くう抵抗勢力を排し、構造改革を断行し、新しい時代の要請にこたえる経済対策を機動的に発動していくことこそが我が国に課せられた国際的な公約だと認識すべきです。不良債権処理、特殊法人改革、規制改革など、与党内に抵抗勢力の存在が喧伝されておりますが、断固それらの抵抗勢力を駆逐されるべきであります。
 補正予算は、従来のばらまき型から脱却し、早急に新産業創造、新雇用創出への取り組みに着手すべきであります。当然、総理の公約である国債三十兆円の枠も堅持すべきであります。
 総理は、各国首脳に対して、我が国が進めている構造改革の進捗状況について説明され、理解を得たとのことでありますが、まず、具体的にどのような進展があったと説明されたのか、特にグローバル化する世界経済にあって、我が国がどのような産業構造の転換を図ろうとしているのか、また、各国は総理の説明に納得されたのか、これらの諸点について、総理の答弁をいただきたい。
 次に、雇用問題についてお尋ねいたします。
 日本経済の再生には、雇用の問題は避けて通れません。昨日発表された九月の完全失業率は、過去最悪の五・三%となりました。完全失業者数も初めて三百五十万人の大台に乗りました。米国同時多発テロや狂牛病問題の影響はこれからも広がっていくとの見方が大勢を占めており、雇用情勢は今後さらに悪化する可能性が高いと思われます。
 政府は、既に補正予算の骨格を固めていると伺っております。向こう三年間で地方自治体が臨時教員など五十万人を一時雇用する新緊急地域雇用創出特別交付金の創設など、安全網整備に五千五百一億円を計上する予定だと聞いております。しかし、日に日に雇用情勢が悪化していることにかんがみ、検討中の雇用対策はもう一度見直すべきではありませんか。
 民主党が求めてきたような、今後三年間で雇用保険制度を充実、安定させるために二兆円の基金創設及び雇用保険の給付が終わった失業者や自営業廃業者のための二兆円規模の最長二年間の職業能力開発支援制度などもメニューに盛り込み、財政的な裏づけを伴った内容につくり変えるべきだと考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。
 次に、APEC首脳宣言でWTO新ラウンドを早期立ち上げについて確認されたと思いますが、米国同時多発テロで深刻な危機に立たされた世界経済を再活性化するためにも、新ラウンドの立ち上げを実現させなければ、世界の貿易・投資に冷や水を浴びせかけることにもなりかねません。
 我が国は、各国との利害調整に積極的な役割を果たすと同時に、NGOとの連携などにも十分配慮しつつ、包括的アジェンダを含むWTO新ラウンドの立ち上げに対して主導的な役割を果たすべきだと考えます。新ラウンド立ち上げに向けて、日本として具体的にどのような行動に取り組むのか、総理の見解を伺います。
 特に、WTO閣僚会議では、これまでに多くの深刻な対立点が浮き彫りになってきました。
 農業交渉においては、米国・ケアンズ諸国と日本・欧州間では、非貿易的関心事項をめぐる深い対立があります。また、ふえつつあるアンチダンピング措置等の貿易制限的な措置が保護主義的な意味合いで恣意的に発動されることも少なくなく、規律強化を求める主張もあります。さらに、環境問題では、貿易と環境の交渉を主張するEUに対して、米国などが反対しています。昨日、モロッコで地球温暖化防止会議が始まりましたが、日本は京都議定書でイニシアチブをとっており、WTOでも積極的に行動するべきではないかと考えます。省庁間の縦割りをそのまま引きずる国内間の縄張り争いは、国際社会での不信を招くものです。
 以上、農業、アンチダンピング、環境問題について、政府は具体的にどのような方針で臨むのか、総理の答弁をいただきます。
 次に、WTOへの加盟申請をしている中国との関係について質問いたします。
 日本は、WTOのルールに基づいて中国産の農産物にセーフガードを暫定発動いたしました。その対抗措置として、中国が日本製品三品目に特別関税を課したことは、憂慮すべき事態と考えます。報復措置はWTOでは認められておらず、WTOへ加盟申請している中国がかかる措置をとったことは納得できません。
 今回の事態を招いた政府の対中外交における責任は極めて重いと考えます。今月二十一日の日中首脳会議で、総理はこの問題を話し合いで解決すると改めて確認されました。与党では早々と交渉決裂を前提に声高に本格発動を唱える向きもあるようですが、私は、あくまでも日本政府は中国政府と粘り強く話し合い、貿易制限的な措置をとらなくても事態を収拾できるよう努力を続けるべきだと考えます。この点について、総理はどのような展望をお持ちなのか、明快なる答弁をいただきたいと思います。
 さらに、今後、中国との経済関係においてどのような貿易政策をとるおつもりなのか、また、さきに対中ODAについても方針を示されたと承知しておりますが、今後どのようなお考えで対中経済関係を処理していくおつもりなのか、説明をいただきたい。
 また、自由化に向けた二国間の取り組みで、日本はシンガポールとの経済連携協定に妥結したと伺います。APECのような多国間の場ばかりでなく、今後こういった二国間での取り組みも積極的に行っていくことが重要と考えます。総理並びに経済産業大臣のお考えはいかがでしょうか。もし今後も進めていくとすれば、具体的にどのような国々と進めていくべきと考えているのか、展望を伺います。
 次に、ロシアとの関係についてお伺いします。
 日ロ関係は、平和条約締結交渉、北方四島返還については、実質的には全く進展がないと言わざるを得ません。北方四島については、APECでのプーチン大統領との会談で、歯舞・色丹の議論と国後・択捉の議論を同時にかつ並行的に進めていくことで一致とありますが、これは北方四島を二島ずつに分けて考えるということでしょうか。我が国の方針は、外務大臣が何度も答弁されましたように、四島一括返還と考えますが、何か変化でもあったのでしょうか。我が国固有の領土問題への対処方針について、いささかでも誤解があっては交渉の相手方に足元を見られます。
 今後の日ロ交渉について、どのような展望と方針を持って取り組んでいくのか、総理のお考えをお尋ねいたします。
 APECにおいては、日本のアフガン復興への支援に対して高い期待が寄せられました。民主党も、我が国が懸命の外交努力を行うべきであると主張してまいりました。和平復興会議を東京で開催する意思を表明した以上、着実に外交努力を積み重ねることが重要でございます。
 しかしながら、外交の責任者である外務大臣が、国会の審議の中で、現地は極めて平穏などとおよそ理解しがたい国際情勢認識を示されたり、また、外交活動の点でも何を目指して外交を展開しようとしているのか、事務当局との衝突ばかりが先に立ち、外交本体での外務大臣の顔が全く見えません。外務省改革に血道を上げるのは理解しますが、一体いつまでかかるのですか。一刻も早く日本の進路を指し示す本来の意味の外交を展開する必要があると考えます。
 そこで、総理に伺います。
 アフガン復興支援に向けて、PKOの展開等も含め、具体的にどのような方策を考えておられるのでしょうか。また、その際、従来のPKO協力法の枠組みで十分と認識されているのでしょうか。パキスタン及び周辺イスラム諸国との関係、中東和平プロセスへの関与、貧困問題への取り組みなども重要と考えますが、これらの点を含め、総理の見解をお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 柳田議員にお答えいたします。
 我が国が進めるテロ対策特別措置法に対するAPECの各首脳の理解、この法律に基づく今後の支援内容についてお尋ねであります。
 今次APEC首脳会議においては、テロ対策につき、我が国は、武力行使は行わないが、憲法の範囲内で最大限の協力を行っていくことを説明し、各首脳の理解が得られたと考えております。
 先般の法律の成立を受け、政府としては、基本計画の速やかな策定に取り組んでいくこととしておりますが、現時点でその具体的な内容は定まっているわけではありません。
 いずれにせよ、本法に基づく我が国の措置については、これまでも説明してきており、今後とも各国の理解に努めてまいりたいと考えております。
 今後のAPECの位置づけ、我が国の役割についてのお尋ねですが、我が国は、APECをアジア太平洋地域の経済面での協力の中核として重視しております。APECは、世界最大の地域協力の場であるとともに、経済発展段階等の面で多様なメンバーから構成されています。このため、我が国としては、貿易・投資の自由化、円滑化と経済・技術協力のバランスをとりつつ、アジア太平洋地域の持続可能な発展に向けて、APECの諸活動を先導していく考えであります。
 我が国が進めている構造改革の進展状況に対する各首脳の理解などについてのお尋ねでありますが、我が国が進めている構造改革につきましては、民需主導の自律的な経済成長の達成を目指して構造改革を進めていくことを説明しました。我が国経済の回復はAPECにとっても必要であり、我が国が改革の手を緩めないことが重要であるとの点で各首脳からの理解が得られたと考えております。また、改革を進めるに当たっては、IT化などの時代の流れに対応することも主要な目標としていく考えであります。
 雇用対策についてのお尋ねですが、現下の雇用失業情勢は、九月の完全失業率が過去最高の五・三%となるなど、さらに厳しさを増していると認識しております。
 このため、いわゆる雇用のミスマッチを解消することを主眼に、総合雇用対策として、公的雇用における緊急かつ臨時的な雇用創出、民間の活用による再就職支援など失業なき労働移動の支援、「しごと情報ネット」のサービス拡充など情報提供機能の強化、訓練延長給付の拡充や自営廃業者等に対する生活資金貸付制度の創設等を盛り込んでおりまして、このうち直ちに取り組むべき施策については、先般取りまとめた改革先行プログラムに盛り込んでおります。
 今後、これらの施策の早期実施に向け、補正予算の提出に合わせて所要の法律案を今国会に提出するなど、雇用不安の払拭に努めてまいりたいと思います。
 WTO新ラウンドについてのお尋ねです。
 新ラウンドは、我が国の国益にとって、また多角的貿易体制の強化のため極めて重要な交渉であります。したがって、我が国は、貿易自由化のみならず、貿易ルールの明確化、強化を含む十分に広範な交渉項目に基づく新ラウンドを十一月のドーハ閣僚会議で立ち上げるため、各国と協力しつつ一層努力していく考えであります。
 WTO農業交渉における非貿易的関心事項についてのお尋ねであります。
 我が国は、多様な農業の共存を基本的な目標として、非貿易的関心事項である農業の多面的機能等を追求する観点から取りまとめた日本提案をWTOに提出しております。今回の閣僚会議における閣僚宣言については、日本提案の内容を今後の農業交渉においても主張し得る枠組みを確保することが重要と考えており、それに向け最大限の努力をしてまいります。
 アンチダンピング措置等についてのお尋ねであります。
 我が国は、従来より、アンチダンピング措置を初め、貿易制限的な措置の保護主義的で恣意的な発動に懸念を表明してきました。特に、アンチダンピング措置は、その発動が世界的に増加しており、その乱用防止を目的として、規律を強化するための交渉を来月のWTO閣僚会議で立ち上げを目指す新ラウンドにおいて開始することを目指したいと考えております。
 WTO新ラウンドでの環境の取り扱いについてのお尋ねであります。
 貿易と環境の問題は、市民社会の関心も高い問題であります。環境保護が保護主義の口実とならないように留意しつつ、自由貿易の推進と環境保全の両立を図っていく必要があると思います。
 我が国としては、地球的規模の環境問題や資源の持続的利用の観点に配慮しつつ、貿易と環境の問題が新ラウンドで適切に取り扱われることを目指していきたいと思います。
 農産物セーフガードについてのお尋ねでありますが、セーフガードは、自由貿易体制のもとで、輸入の増加による国内産業の重大な損害に対し、国内産業が構造調整を行うための緊急避難的かつ一時的な措置であり、その発動等の検討に当たっては、WTO協定及び関連国内法令に基づき、透明かつ公平、厳正に対応してまいりたいと思います。
 ネギ等三品目の暫定措置は、これらの手続にのっとって発動したものであります。確定措置の発動については、輸入増加と国内産業の損害との間の因果関係の有無等を見きわめた上で、WTO協定及び関連国内法令に基づき総合的に判断することとしております。
 本件については、中国との間で対話を通じて解決することが重要であると考えており、さきの江沢民国家主席との会談においてもこの点について意見の一致を見たところであり、引き続き、中国側と粘り強く協議を続けていきたいと考えます。
 中国との経済関係についてでありますが、今後の対中貿易・投資については、中国の市場開放の促進等の面でWTO体制を活用しつつ、貿易・投資関係を日中双方にメリットある形で発展させていく考えであります。また、今後の紛争解決に当たっては、WTOルールの尊重とともに、対話による未然防止が重要と考えております。
 対中ODAについては、我が国国内のさまざまな意見や厳しい経済・財政事情、中国における開発課題の変化等を踏まえて、先般、対中国経済協力計画を策定いたしました。上海APECの際の江沢民主席との会談においても、以上のような考えに基づき、両国間の経済面を含む各分野の協力の重要性を指摘したところであります。
 二国間での経済連携協定についてお尋ねでありました。
 WTOを中心とする多角的貿易体制の維持強化は、我が国の対外経済政策の基本であります。その上で、政府としては、それを補完し、さらに貿易自由化や経済活性化を進めていくための一つの方策として自由貿易協定等の二国間協定を交渉することとしたものであります。
 今後の取り組みについては、相手国の特質や我が国との関係を十分踏まえ検討することになると考えますが、シンガポールとの経済連携協定が今後の同種の二国間協定の一つのモデルとなることを期待しております。
 歯舞・色丹の議論と国後・択捉の議論を同時にかつ並行的に進めていくことについてのお尋ねであります。
 このような協議の進め方は、歯舞・色丹の引き渡しについては一九五六年の日ソ共同宣言で既に合意されているという意味において、歯舞・色丹の問題と国後・択捉の問題との間に交渉の進捗状況に違いがあるという事実を踏まえたものであります。こうした協議の進め方は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針を前提としているものでありまして、この方針には何ら変更はありません。
 政府としては、これまでに達成された成果を引き継ぎ、今後とも精力的に交渉を進めていく考えであります。
 アフガン復興支援に向けた我が国の施策についてのお尋ねでありますが、アフガン情勢については、国連PKOが設立されることとなるか否かを含め極めて流動的ですが、我が国としては、今後とも和平、復興の両面で貢献の方途を検討していく考えであります。今後の取り組みに当たっては、周辺諸国支援、中東和平問題、貧困問題への取り組みなどの重要性も十分考慮していく必要があると思います。
 なお、国際平和協力法の見直しの是非については、国会での議論を踏まえつつ対処していきたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣平沼赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 柳田議員にお答えをさせていただきます。
 二国間協定についてのお尋ねでございましたけれども、その基本的な政府の考え方は今、総理から御答弁がございました。私からは、シンガポールとの経済連携協定の進捗状況と、その他の国々との取り組みについてお答えをさせていただきたいと思います。
 シンガポールとの経済連携協定は、昨年の両国の首脳の合意のもとに本年中に締結をする、こういうことで作業を進めてまいりました。おかげさまで本年中に締結をするすべての障害が取り除かれまして、あとは事務的な作業が残っておりますので、本年内の締結を目指して、これから鋭意努力をさせていただきたいと思っています。
 また、FTAや二国間の経済連携協定というのは、利害が共通するような二国間の貿易を機動的にやる、こういうことで意味がございまして、一つは今メキシコとの間で、メキシコに進出している日本の企業からは欧米に比べていろいろハンディが多い、したがって、メキシコと日本との間で経済連携協定をやってほしい、こういう強い要望がございますので、今、日本政府とメキシコ政府との間で、これも今、鋭意研究を進めております。
 さらには、隣国の韓国とも同様の趣旨で、また南米チリとも検討段階に入っておりまして、これから我々としても、あくまでもWTOというのは世界の多角的な貿易体制を維持する、それが主でございますけれども、それを補完する意味での二国間協定を積極的に進めてまいりたい、このように思っております。(拍手)
    ─────────────
○議長(井上裕君) 小泉親司君。
   〔小泉親司君登壇、拍手〕
○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、総理のAPEC首脳会議報告について質問をいたします。
 APECはそもそもアジア太平洋地域の経済協力会議でありますが、今回はテロ対策が焦点となりました。このことは、テロ根絶が二十一世紀の世界とアジアの平和にとって不可欠の課題であることを示しております。
 APEC首脳会議でのテロ対策に関する声明は、同時多発テロを厳しく非難するとともに、テロ根絶のために国連が主要な役割を果たすべきことを強調しました。その一方、アメリカなどの軍事攻撃に対する支持表明は一言もありませんでした。
 総理は、テロ特別措置法案の審議の際、APEC首脳はアメリカの軍事行動は基本的には支持しているんですよ、皆さん、と答弁しました。だったら、なぜマレーシアのマハティール首相が総理との首脳会談で、アフガニスタンに武力行使することでウサマ・ビンラーディンが力を得ることに懸念していると述べたのですか。インドネシアのメガワティ大統領が、テロとの闘いは必ずしも暴力をもって行う必要はないのではないか、暴力は暴力を呼ぶ可能性があると述べたのですか。
 APEC首脳がみんな軍事攻撃を支持していると総理が言い張る根拠は、一体どこにあるのですか。具体的に説明していただきたいのであります。
 共同声明は、テロとの闘いで国連が主要な役割を果たすべきだと述べ、その具体化として、国際的な反テロ体制を強化するすべての努力を強く支持し、加害者を裁判にかけるための協力の強化を求めるとしております。
 総理、APEC首脳は国連の役割についてどのように合意したのですか。声明が反テロの国際協力の強化のためと言っている以上、これまでの国連安保理決議ですべて事が足りているということではないのではありませんか。具体的な答弁を求めます。
 総理は、APEC首脳会議後の記者会見で、アメリカの軍事攻撃の言及が一切ないがとの質問に、いろいろ意見が出た、その中で、できるだけ無辜の市民に犠牲を出さないような配慮が必要だ、アメリカもできるだけ配慮していると答えています。軍事攻撃の支持で一致しなかったのは、各国首脳が、軍事攻撃による罪のない市民への犠牲、これが現実に生み出されていることに懸念しているからではありませんか。
 米英の軍事攻撃開始以来、三千発以上に上る巡航ミサイルや爆撃機からの爆弾がアフガニスタンに落とされました。この攻撃によって、アメリカが認めた誤爆だけでも、地雷除去団体の事務所が爆撃され、国際赤十字の倉庫が爆撃され、援助物資が焼失しました。また、高齢者住宅が爆撃され、百名以上が死亡したと伝えられています。アメリカの雑誌「タイム」は、一五%が誤爆であると指摘しています。このような爆撃は、アフガニスタンの難民救済のための国連やNGOの人道援助活動をストップさせています。数百万の難民を救うための援助物資輸送も、軍事攻撃のためにストップするという深刻な事態をつくり出しているのであります。
 総理は、このような罪なき人々の犠牲が急速に拡大している戦争の現局面をどのように考えるのですか。やむを得ないのだと言うつもりなのですか。総理は、これほどたび重なる民間人の犠牲があっても、アメリカは民間人に犠牲が出ないよう配慮して爆撃していると考えておられるのですか。明確な答弁を求めるものであります。
 私は、米英の軍事攻撃が罪なき人々を巻き込む重大な危険があることを、米軍によるクラスター爆弾という無差別残虐兵器の使用を挙げて指摘してきました。総理は、その使用を確認していませんと答弁しましたが、その後、この事実を確認されましたか。クラスター爆弾をどのような爆弾であると認識されていますか。
 重要なことは、このクラスター爆弾は対人地雷と同じ効果を持つ爆弾となることであります。ノーベル賞を受賞したNGO団体地雷廃絶国際キャンペーンは、十月十七日に発表した声明の中で、クラスター爆弾は対人地雷と同じ効果を持つと、その使用に警告を発しております。また、外務省の補助金を受けてコソボで被災民に対する緊急援助として地雷除去作業を実施しているNPO団体難民を助ける会が、昨年十二月二十二日、外務大臣に提出した報告書によれば、クラスター爆弾の不発弾が対人地雷よりも恐ろしい兵器であることを指摘しているではありませんか。
 アメリカは、今なお対人地雷禁止条約を批准していません。日本は対人地雷禁止条約の締約国であります。日本政府が、対人地雷と同様の非人道的兵器は使用すべきではないとブッシュ政権にきっぱりと言うべきではないのですか。総理の答弁を求めるものであります。
 難民援助も、厳しい冬を迎える今日、極めて深刻な局面を迎えています。軍事攻撃以来、国境は閉ざされ、アフガニスタン国内に残されている被災民は六百万人に上り、大半の人々が飢餓の極致にあります。ユニセフを初め国連機関の発表では、そのうち二〇%が子供と女性だと指摘しています。米英軍の空爆は、このような人道援助の努力まで断ち切ってしまっているのです。ユニセフ代表は、難民の支援のためには空爆の停止が必要だと強調しています。
 米軍の軍事攻撃が、罪のない民間人に犠牲を負わせ、難民援助に阻害要因をつくっている今日、国際社会では、軍事攻撃への支持が広がるどころか、空爆中止を求める声が日増しに高まっています。二十二日には、パキスタンのムシャラク大統領が空爆停止を求める発言を行いました。アメリカでは、ケネディ政権で特別補佐官を務めたシュレジンジャー氏やバイデン上院外交委員長まで空爆の中止を要求しました。イスラム諸国ばかりではなく、アメリカ国内でも空爆停止、軍事攻撃の中止を求める声は高まっているのです。
 総理、日本政府は、米国に直ちに空爆中止を求めるべきではありませんか。空爆の中止を口にできない理由は何ですか。明確な答弁を求めるものであります。
 今日、米英の軍事攻撃は、アメリカが公言した当初の目的からも外れた方向に進んでいます。罪なき民間人への犠牲の拡大は、まさにこのことを示していると思います。
 一昨日、テロ特措法が成立いたしましたが、憲法違反の法律の発動は許せません。ましてや、報復戦争の様相と行き詰まりを見せている戦争への自衛隊の海外派兵は断じて認められません。
 APECに参加するアジア諸国は、これまでも、日本が憲法を破って海外派兵の道をひた走ることに懸念を表明してきました。同時多発テロ後のシンガポールの新聞は、日本の軍事支援に対し、テロ撲滅といっても、日本が平和憲法を空洞化し、変質させようとしている、再び武装し軍事大国になろうとしているとし、不安と警戒を高めています。本日の報道でも、韓国の超党派議員グループが、平和憲法の枠を破るものと批判しています。
 総理、かつて日本に侵略を受けたアジア諸国が不安と警戒心を持つことは当然であると思いますが、このようなことを招かない保障が一体どこにあるというのですか。答弁を求めます。
 日本共産党は、テロ根絶のためには、軍事報復戦争ではなく、国連を中心に国際社会の大同団結こそ必要なことだと考えております。容疑をみずから裏づけているビンラーディンを国際社会が容疑者として認定し、裁判によって厳罰に処することが必要であります。軍事攻撃は、反テロの国際社会を分裂させ、テロ根絶とは逆の作用を果たすことになることは、現在イスラム社会に亀裂を生み出していることなど、この間の国際社会の一連の状況にはっきり示されております。
 今日何よりも求められているのは、自衛隊海外派兵の強行ではありません。軍事攻撃を中止し、国連を中心とした裁きに切りかえることであります。このことを強く要求して、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 小泉議員にお答えいたします。
 APEC首脳は米軍の軍事攻撃を支持しているのかとのお尋ねであります。
 米国等の軍事行動に対する首脳の反応は、国情に応じて異なります。しかし、今次APEC首脳会議においては、九月十一日のテロ行為が、米国のみならず、人類全体に対する極めて卑劣な攻撃であることで認識の一致を見たと思います。宗教的、文化的に多様なAPECの場において、反テロリズムのための国際協力を強調する声明が発出され、国際社会の連帯が示されたことは重要であったと考えております。
 APEC首脳はテロ対策に関する国連の役割についてどのように合意したのかについてのお尋ねであります。
 APEC首脳声明においては、テロと闘うための国際協力の強化の上で国連が主要な役割を果たすべきであることが確認されています。国連においては、安保理決議一三七三の採択など、テロ対策に関する国際協力の強化のためにさまざまな取り組みがなされています。我が国としては、こうした取り組みに今後とも参加し、テロの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に寄与していく考えであります。
 米軍の軍事行動により民間人に犠牲が出ている現状に対し、APECの首脳は懸念を示しているのではないか、また、米国は民間人の犠牲者が出ないよう配慮しているのか、さらに、こうした状況を踏まえ政府として米国に空爆中止を求めるべきではないかとのお尋ねであります。
 先ほど述べたとおり、米国等の軍事行動に対する各国の反応は国情に応じて異なりますが、先般のAPEC首脳会議では、宗教的、文化的に多様なAPECのメンバーが一致して反テロリズムのための国際協力を強調する声明を発出し、国際社会の連帯を示すことができました。
 米国の軍事行動に際し、とうとい人命が失われることは極めて残念であります。しかし、今回の同時多発テロは人類全体に対する卑劣な攻撃でありまして、毅然とした対応なくしてはテロの一層の助長を招きかねません。また、米国は種々の場で、いかなる民間人の犠牲者が出ることも遺憾であり、注意深く目標を選定し、あらゆる努力を払って市民の巻き添えを防ぐよう努めている旨述べております。
 クラスター爆弾について、認識及びその使用をやめるよう米国に言うべきではないかとのお尋ねでありますが、米国政府はこれまでも、民間人の犠牲を防ぐべく注意深く目標を選定し、あらゆる努力を払って市民の巻き添えを防ぐよう努めている旨繰り返し述べているところであります。クラスター爆弾とは、一般的には、多くの小型爆弾を内蔵し、地上からある高度に達した段階で小型爆弾が放出されるものを指すと言われておりますが、米国はその使用に関しても、目標に対して最も効果があるときに限って使用するとしております。
 我が国の自衛隊の派遣に関するアジア諸国の反応についてでありますが、テロ対策特別措置法に基づく我が国の措置は、テロ根絶に向けた国際社会の取り組みに主体的に寄与するためのものであり、また、武力行使を行うものでありません。日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとの基本理念に従い、我が国は日米安保体制を堅持し、節度ある防衛力の整備に努めるとともに、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力を行うことを安全保障政策の基本としてきております。
 今般の我が国の措置及び我が国の従来からの安全保障政策については、アジア近隣諸国の理解が得られていると考えております。(拍手)
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 司法制度改革推進法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。森山法務大臣。
   〔国務大臣森山眞弓君登壇、拍手〕
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革推進法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 新世紀を迎えた我が国においては、社会の複雑・多様化、国際化等に加え、国の規制の撤廃または緩和が一層進展し、社会が事前規制型から事後監視型に移行する等の内外の社会経済情勢の変化に伴って、司法の果たすべき役割は、より一層重要になると考えられます。
 この法律案は、このような状況にかんがみ、司法制度の改革と基盤の整備について、その基本的な理念及び方針、国の責務その他の基本となる事項を定めるとともに、司法制度改革推進本部を設置すること等により、これを総合的かつ集中的に推進することを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、司法制度改革は、国民がより容易に利用できるとともに、公正かつ適正な手続のもと、より迅速、適切かつ実効的にその使命を果たすことができる司法制度を構築し、高度の専門的な法律知識、幅広い教養、豊かな人間性及び職業倫理を備えた多数の法曹の養成及び確保その他の司法制度を支える体制の充実強化を図り、並びに国民の司法制度への関与の拡充等を通じて司法に対する国民の理解の増進及び信頼の向上を目指し、もって、より自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものとした上で、司法制度改革に関する国等の責務について所要の規定を置いております。
 第二に、司法制度改革は、基本理念にのっとって必要な制度の整備等を図るとの基本方針に基づき推進されるものとし、政府は、基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上または財政上の措置その他の措置を講じなければならないものとしております。
 第三に、政府は、司法制度改革に関し講ずべき措置について司法制度改革推進計画を定めなければならないものとし、この計画の作成等について所要の規定を置いております。
 第四に、司法制度改革を総合的かつ集中的に推進するため、内閣に司法制度改革推進本部を置くこととし、その所掌事務、組織、事務局等について所要の規定を置くとともに、その設置期間を設置日から三年間とするものとしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。小川敏夫君。
   〔小川敏夫君登壇、拍手〕
○小川敏夫君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいまの法案に対し質問いたします。
 司法は、立法、行政と並び三権の一つを担うもので、法の支配の理念に基づき、日本国憲法のよって立つ個人の尊重と国民主権を真の意味において実現する役割を担う民主主義の根幹をなす部門であります。
 日本国憲法制定から五十余年を経た今日、司法がその基本理念に基づく役割を真に担うことができるよう制度の改革に取り組みがなされることは十分に意義があるもので、民主党・新緑風会も真の改革の実現のために積極的に取り組む考えでおります。
 ところで、司法の改革を論ずる上において基本的な議論は、司法が本来果たすべき機能と役割を十分に果たし得ているかを検証することが最初です。
 司法は、具体的事件、争訟を契機に、法の正しい解釈、適用を通じて当該事件、争訟を適正に解決して、違法行為の是正や被害を受けた者の権利救済を行います。そしてまた、行政の違法行為などから被害を受けた者の権利救済など、行政の行き過ぎ等の誤りから国民の権利を守る役割が課せられているのです。あるいは、公正な手続のもとで適正かつ迅速に刑罰権を実現して、ルール違反に対処するとともに、政府の恣意的な刑罰権等の行使により国民が不当な不利益をこうむることがないよう、国民の権利を守る役割が課せられております。
 今、私たちが司法の改革を論ずるに当たっては、まず第一に、ただいま述べた司法に課せられた役割を司法が十分に担い得ていたのかを検証し、司法がこれを十分に担い得ていないのであるとするなら、その原因と対策を論議、検討し、その役割を十分に担い得る司法制度に改革すべきを論ずるべきであります。
 司法制度改革審議会の意見書は、「裁判所は、これらの権限の行使を通じて、国民の権利・自由の保障を最終的に担保し、憲法を頂点とする法秩序を維持することを期待されたのである。裁判所がこの期待に応えてきたかについては、必ずしも十分なものではなかったという評価も少なくない。」と述べ、慎重な表現ではあっても、司法が司法に課せられた役割を十分に担い得てきたかについて疑問を呈しています。
 そして、同意見書は、「身体にたとえて、政治部門が心臓と動脈に当たるとすれば、司法部門は静脈に当たる」とし、静脈の規模及び機能の拡大を図る必要があるという場合、「その中に、立法・行政に対する司法のチェック機能の充実・強化の必要ということが含まれていることを強調しておかなければならない。」と述べ、司法の本質面においての改革の必要性を強調しています。
 本法案は、第一条の「目的」において、「この法律は、国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がよる重要になることにかんがみ」、司法制度改革を推進することを目的とすると規定しています。
 社会経済情勢の変化に合わせ司法制度を改革することが必要であることは認めますが、審議会の意見書が、司法制度改革の根本的な課題を、「法の精神、法の支配がこの国の血肉と化し、「この国のかたち」となるために、一体何をなさなければならないのか」、「日本国憲法のよって立つ個人の尊重と国民主権が真の意味において実現されるために何が必要とされているのか」を明らかにすることにあると設定していることに表現されるところの、司法の本質面においての改革の目的は一体どこに行ってしまったのでありましょうか。
 右に述べた司法の本質面における改革の措置を講じた上で、さらに社会経済情勢の変化により必要とされる改革を論じるべきであるのにかかわらず、司法の本質面における改革が置き去りにされた上での社会経済情勢の変化により必要とされる改革のみを論じる本法案の目的は、司法制度審議会が求めた司法の本質面における改革の精神を歪曲し、単に経済事情からの要請に応じた改革にとどめようとの意図が図らずも露呈したものであるという批判にどう答えるのでありましょうか。
 これでは、今、真に必要とされる司法の本質面における改革はなおざりにされたまま、規制緩和のかけ声のもと、弁護士の数をふやすだけで改革が片づけられてしまうのではないかとの危惧を感じるのは果たして私だけでしょうか。
 そこで、司法制度改革推進本部長となる総理大臣にかえて、官房長官にお尋ねします。
 本法案第一条「目的」にある「国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要になることにかんがみ」の条文の意味することを御説明ください。
 右の条文は、司法制度改革審議会の意見に一定の枠をはめ、これを制限するものであっては決してなりませんが、審議会意見に枠をはめるものでも、これを制限するものでもないことをお約束してください。
 本法案は、審議会の意見の趣旨にのっとって行われる改革を推進するものですが、審議会の右意見を最大限に尊重して諸施策を講じることを約束してください。
 次に行きます。
 審議会の意見は、立法、行政に対する司法のチェック機能の充実強化の必要性を強調し、「行政に対する司法のチェック機能については、これを充実・強化し、国民の権利・自由をより実効的に保障する観点から、行政訴訟制度を見直す必要がある。」と断じております。ところが、本法案第二条「基本理念」、第五条「基本方針」の中に行政訴訟制度の見直しに直接触れた部分がありません。
 そこで、法務大臣にお尋ねします。
 行政訴訟の見直しを行う考えはありますか。行政訴訟の見直しは本法案が推進する司法改革の中に含まれますか。第二条「基本理念」、第五条「基本方針」の中で、行政訴訟の見直しはどのように位置づけられ、法文のどこに示されているのですか。
 次に行きます。
 審議会の意見は、違憲立法審査制度についても触れ、あわせ、「最高裁判所裁判官の選任等の在り方についても、工夫の余地があろう。」と指摘しています。
 そこで、法務大臣にお尋ねします。
 違憲立法審査権を機能させる方策及び最高裁判所裁判官の選任等のあり方の工夫について、本法案の基本理念と基本方針ではそれぞれどのように位置づけられているのでしょうか。それらは、法文上、どのように示されているのでしょうか。それらについて、今後どのように取り組むお考えでしょうか。
 司法制度改革審議会は、「国民のための司法を国民自らが実現し支えなければならない。」と述べ、国民が統治主体、権利主体として司法の運営に主体的に参加することを求めております。その実現の一つとして、裁判員制度の導入を提案しています。ただいま述べた趣旨から、国民がわきにいるだけの制度ではなく、国民が主体となって判断する裁判員制度の導入が必要であります。
 そこで、法務大臣にお尋ねします。
 裁判員制度の導入に当たっては、国民が統治主体として主体的に参加する裁判員制度を導入する考えでいますか。
 先般、今国会において成立しました自衛隊法改正案では、秘密漏えいに関する規定の改正部分について、非常に重大な内容の改正点でありながら、政府・官僚によってその重要性についての説明が隠されたまま審議に入ってしまったという声が多くあります。
 私は、国民の権利の最後の守りである司法の改革において、重要な事項が国民の目から隠されたところで論議されたり、議論の方向が恣意的に左右されたりしては決してならないと思います。このためには、司法改革の推進体制が国民の前に開かれた、そして自由で公正な論議のなされる場でなければならないと考えます。
 そこで、官房長官にお尋ねします。
 本法案によって設置される司法制度改革推進本部の透明性及び公正さの確保のために、具体的にどのような施策を講じる考えでおりますか。
 そして、推進本部事務局に、司法及び行政の職員だけでなく、日本弁護士連合会やその他の関係団体の推薦する弁護士やその他の者をなるべく多く配置すべきと思いますが、その点はどうですか。事前に聞いたところでは、五十数名中、弁護士が四、五名配置されると聞いていますが、それでは少な過ぎますので、弁護士をさらに増員してください。
 裁判を受ける立場で司法にかかわる国民一般の声を反映させるため、事務局に民間人も配置するのが適切と思いますが、この点はどうですか。
 あわせ、法務大臣にお尋ねします。
 本法の規定によらないで顧問会議及び検討会議を設置すると聞いていますが、どうですか。
 顧問会議及び検討会議のメンバーはどのような構成を考えていますか。
 顧問会議には日弁連会長や民間人なども参加させるのが好ましいと思いますが、その点はどうですか。検討会議にも弁護士や民間人を多く参加させるべきと思いますが、その点はどうですか。
 推進本部下の各会議や検討会の議事を公開して行うべきと思いますが、その点はどうでしょうか。
 次に行きます。
 本法第四条では、日弁連に協力義務を課しています。
 そこで、法務大臣にお尋ねします。
 協力義務の内容について説明してください。日弁連の独立性を害することにはならないでしょうか。
 次に行きます。
 男女共生は今日の我が国社会の基本であります。
 そこで、これまで男女共生社会構築に努力してこられた法務大臣にお尋ねします。
 今回の司法改革に当たり、ジェンダーバランスの採用についてお考えをお聞かせください。
 次に行きます。
 今回の司法改革の大きな改革点の一つは、法曹養成制度の改革にあります。
 これまでの司法試験及び司法修習による法曹養成制度を改革するのは、単に法曹の数を増員するためだけに行うのではありません。改革の本質は、現行制度が法律知識に偏った知識の試験と技術の習得の養成制度であったため、幅広い識見と豊かな人間性そして倫理観を備えた法曹人の輩出に不向きであったことの反省から、単に法律知識の試験や法廷技術等の習得にとらわれないで、幅広い分野から人材を集め、人間性豊かな法曹を育成するための教育を行う制度の確立を目的として法科大学院制度の創設が推進されるべきものであります。
 したがって、これから設置される法科大学院は、法学部履修者だけを対象としたものではなく、法学部以外の学部と分野から幅広く入学者を選考する必要があります。このためには、法学部を履修した者を前提として二年制の法科大学院を設置することは好ましくなく、これを三年制にして法学教育を最初から受ける者が対応できるようにすべきであり、司法制度改革審議会の意見も同様であります。
 法科大学院を設置予定の大学では、既設の法学部履修者を対象として既設の大学院を手直しする程度で法科大学院を設置する動きもあるように仄聞しますが、このような法科大学院では法曹養成制度の改革の趣旨が失われてしまいます。
 そこで、法務大臣にお尋ねします。
 法科大学院は法曹養成に特化した教育機関でありますので、文部科学省ではなく、法曹三者などで構成する国家行政組織法三条による委員会を設立し、その所管とするべきと考えますが、いかがですか。
 法科大学院設置に当たっては三年制を原則とする方針を採用するべきと考えますが、その予定でおりますか。
 法学部履修者に限らず、幅広く人材を集めるためにどのような方策を検討しておりますか。
 また、文部科学大臣にお尋ねします。
 従来の大学院と法科大学院の関係をどのように整えていく考えでありますか。
 次に行きます。
 小泉総理は、米百俵の精神を掲げております。司法改革にもその精神を発揮し、すぐれた法曹の輩出のため十分な予算措置を講じるべきと考えます。
 そこで、官房長官にお尋ねします。
 司法改革に対する十分な予算措置を考えておりますか。また、経済的困窮が理由で法曹になれないということのないよう、困窮者に対する支援措置を考えておりますか。
 最後に、民主党は、司法の本質を見据えた改革の提言をまとめ、法曹人口の増大、法曹一元の実現、陪審制など国民の司法参加の促進、行政訴訟制度の改革、家庭裁判所の改革、司法アクセスの改善、裁判の適正迅速化、裁判以外の紛争解決手段の拡充、司法行政の適正化、法科大学院構想、隣接専門職種の参加などを提案しております。
 今回の司法制度改革審議会の意見には一部に不十分な点もありますが、民主党が提案する司法改革へと改革する方向にあるものであり、民主党はこれを高く評価しております。
 司法制度改革審議会の意見による改革が正しく実現されることを期待するとともに、民主党はさらなる改革の実現に努力していくことを述べます。
 そして、答弁によりましては再度質問に立つことを申し添えた上、私の質問を一応終わります。(拍手)
   〔国務大臣森山眞弓君登壇、拍手〕
○国務大臣(森山眞弓君) 小川議員にお答え申し上げます。
 まず、私に対する質問の最初は、行政訴訟制度の見直しについてでございました。
 行政訴訟制度の見直しは、第二条に言う構築すべき司法制度の中に含まれていることはもとよりでございますし、第五条第一号に掲げる民事に関する裁判所における手続の一層の充実及び迅速化等の中に含まれておりますので、本法案により推進される司法制度改革の中において所要の検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、違憲立法審査権を機能させる方策及び最高裁判所裁判官の選任等のあり方等についてお尋ねがございました。
 本法案は、その第二条において、「基本理念」として、より適切かつ実効的にその使命を果たすことができる司法制度の構築及び司法制度を支える体制の充実を掲げ、第五条において、「基本方針」として、裁判所における手続の一層の充実、裁判官の能力及び資質の一層の向上のための制度の整備等をうたっております。御指摘の点につきましては、法文上はこれらの内容に含まれます。
 これらの点につきましては、司法制度改革推進本部設置後、このような基本理念及び基本方針を踏まえ、司法制度改革審議会意見を最大限に尊重いたしまして所要の検討が進められていくものと考えております。
 いわゆる裁判員制度についてお尋ねがございました。
 司法制度改革審議会の意見を踏まえ、広く一般の国民が裁判官とともに責任を分担しつつ協働し、裁判内容の決定に主体的、実質的に関与することができるような制度の設計に取り組んでまいりたいと考えております。
 顧問会議及び検討会議の設置、それぞれのメンバー構成、議事の公開等についてお尋ねがございました。
 顧問会議のようなものを設けることや検討会を開催することについては、官房長官からも申し上げるかと存じますが、これらの会議のメンバーについては、多くの民間人に参加していただくことは当然のことと考えておりますが、それぞれの役割に照らして適任の方にお願いできるよう、その構成にも十分留意しつつ、今後人選が行われていくものと考えております。
 これらの会議の議事の公開につきましては、そこに集まっていただく方々の御意見を伺いながら、できるだけ公開の努力がなされる必要があるものと考えております。
 日弁連の協力義務の内容や日弁連の独立性に与える影響についてお尋ねがございました。
 弁護士は司法制度を支える重要な存在であり、日弁連は、司法制度改革審議会の意見の中で掲げられた弁護士や日弁連にかかわる改革課題について、推進本部と連絡調整をとりつつ、その実現のため必要な取り組みを行っていくことが求められるわけでございます。この取り組みは、第二条に定める「基本理念」にのっとり、日弁連みずからの立場と責任において行われるものでございますから、日弁連のいわゆる独立性を害するものではございません。
 司法制度改革に当たってのジェンダーバランスについてまたお尋ねがございました。
 司法制度改革の推進体制やこれからの司法を担う人的体制のあり方につきましては、男女を問わず、これにふさわしい能力、識見を備えた方々に御活躍いただく必要があると考えております。
 法科大学院の所管についてお尋ねがございました。
 司法制度改革審議会意見では、法科大学院は学校教育法上の大学院とすべきであるとしておりまして、大学院を含む大学教育の振興等をつかさどる文部科学省の所掌とすることが適当と考えられますが、法科大学院に関する制度の立案や運用に当たりましては、法曹関係者も含めた幅広い意見が適切に反映されることが重要であると考えております。
 法科大学院の修業年限についてお尋ねがございました。
 司法制度改革審議会意見は、法科大学院の標準修業年限を三年とする一方で、法律学の基礎的な学識を有すると法科大学院が認める者については、短縮型としての二年での修了を認めることとすべきであるとしておりますが、この趣旨は、修業年限を二年のみとする法科大学院を想定してはいないものと考えられます。
 今後、関係機関と連携しつつ、二年短縮型の要件等も含め、具体的な制度設計を検討してまいりたいと考えております。
 法科大学院に幅広い人材を集めるための方策についてお尋ねがございました。
 司法制度改革審議会意見では、二十一世紀の法曹には法律以外の分野を学んだ者を幅広く受け入れていくことが必要であるとの観点から、法科大学院においては法学部以外の学部の出身者や社会人等を一定割合以上入学させるなどの措置を講ずるべきであるとしております。
 今後、このような提言の趣旨を踏まえまして、関係機関と連携しつつ、法科大学院に関する具体的な制度設計について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田康夫君) 小川議員の質問にお答えします。
 まず、第一条の条文の意味についてお尋ねがございました。
 第一条は、司法が法の支配の理念に基づき、国民の基本的人権を擁護するなどの役割を担っていることを当然の前提とした上で、規制緩和等の内外の社会経済情勢の変化に伴って、このような司法の果たすべき役割の重要性がより一層増大することにかんがみ、司法制度改革を推進することを本法案の目的とする旨規定したものでございます。
 次に、第一条と司法制度改革審議会の意見との関係についてお尋ねがございました。
 第一条は、司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとって行われる改革の内容に枠をはめたり、これを制限したりするものではございません。
 次に、司法制度改革審議会意見の尊重についてお尋ねがございました。
 政府は、本年六月十五日に閣議決定した司法制度改革審議会意見に関する対処方針において、同審議会意見を最大限に尊重して司法制度改革の実現に取り組むこととしており、この方針に従って所要の施策を講じていきたいと考えております。
 次に、推進本部の透明性及び公正さの確保についてお尋ねがございました。
 推進本部には有識者による顧問会議のようなものを設置することを考えているほか、立案に当たりましては、幾つかのテーマごとに、学者、実務家、有識者等による検討会を開催する必要があるのではないかと考えております。
 このような対応を行うこと自体により、司法制度改革推進過程の透明性と公正さの確保も図られることとなるものと考えておりますが、さらに、できるだけの情報公開を行うとともに、国民各層からの御意見にも十分に耳を傾けつつ改革を進めてまいりたいと考えております。
 次に、推進本部事務局に弁護士、民間人を配置すること等についてお尋ねがございました。
 司法制度改革推進本部事務局につきましては、内閣の責任のもとに、政府全体として司法制度改革審議会意見の趣旨にのっとった司法制度改革を迅速かつ確実に実現していくことができるよう、これにふさわしい体制を整備していきたいと考えております。
 このため、関係省庁等から派遣される者だけでなく、弁護士や多様な知識、経験を有する民間人の積極的な活用を図ることを検討してまいりたいと考えております。
 次に、司法制度改革に対する予算措置についてお尋ねがございました。
 今般の司法制度改革におきましては、二十一世紀にふさわしい質、量ともに豊かな法曹の養成が実現できますよう、所要の予算を確保し、司法の人的基盤の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、経済的困窮者に対する支援措置についてお尋ねがございました。
 司法制度改革審議会意見は、資力のない人等にも法曹となる機会を実効的に保障できるよう配慮すべきであるとし、法科大学院につきましても、奨学金等の各種支援制度を十分に整備、活用すべきものであると提言しております。
 今後、こうした提言の趣旨を踏まえ、関係機関と連携しつつ、所要の検討を行ってまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
○国務大臣(遠山敦子君) 小川議員の御質問にお答え申し上げます。
 従来の大学院と法科大学院の関係についてのお尋ねでございますが、法科大学院は、新たな法曹養成制度の中核として法曹養成に特化した実践的な教育を行う大学院として設置されるべきものとされておりますが、従来の研究後継者養成型の大学院との併存や法曹以外の職種を想定したカリキュラムを持つコースとの併設なども可能と考えられます。
 このように、法科大学院を含めた大学院を全体としてどのようなものとするかにつきましては、各大学の創意工夫を促しつつ、新たな時代にふさわしい日本の法学教育及び法曹養成教育のあり方にこたえられるものとなるように十分に検討してまいるべきものと考えております。(拍手)
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(井上裕君) 日程第二 予防接種法の一部を改正する法律案(第百五十一回国会内閣提出、第百五十三回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長阿部正俊君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔阿部正俊君登壇、拍手〕
○阿部正俊君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近の高齢者のインフルエンザの発生状況等にかんがみ、インフルエンザを予防接種の対象疾病とするとともに、対象疾病を類型化し、予防接種の健康被害救済制度及び予防接種の推進を図るための指針等について所要の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院におきまして、一類疾病及び二類疾病の定義を明確化すること、施行期日を公布の日に改めること、検討条項を追加すること及びインフルエンザに係る定期の予防接種の対象者を高齢者に限定することを主な内容とする修正が行われております。
 委員会におきましては、予診及びインフォームド・コンセントの徹底、あるいはワクチンの有効性及び安全性の確保、費用負担のあり方、さらに老人福祉施設等におけるインフルエンザ対策等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十四  
  賛成            二百二十  
  反対               四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十二分散会
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