第153回国会 本会議 第9号
平成十三年十一月九日(金曜日)
   午後三時一分開議
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○議事日程 第九号
  平成十三年十一月九日
   午後三時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件
 第二 テロリストによる爆弾使用の防止に関す
  る国際条約の締結について承認を求めるの件
  (衆議院送付)
 第三 テロリストによる爆弾使用の防止に関す
  る国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任
  の制限及び発信者情報の開示に関する法律案
  (内閣提出)
 第五 地方公共団体の特定の事務の郵政官署に
  おける取扱いに関する法律案(第百五十一回
  国会内閣提出、第百五十三回国会衆議院送付
  )
 第六 司法制度改革推進法案(内閣提出、衆議
  院送付)
 第七 育児休業、介護休業等育児又は家族介護
  を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改
  正する法律案(第百五十一回国会内閣提出、
  第百五十三回国会衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件
 財務大臣から財政について発言を求められております。これより発言を許します。塩川財務大臣。
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 今般、さきに決定されました改革先行プログラムを受けて、平成十三年度補正予算(第1号、特第1号及び機第1号)を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、当面の財政政策等の基本的考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大要について御説明申し上げます。
 まず、最近の経済情勢とさきに決定されました改革先行プログラムについて申し上げます。
 我が国経済を取り巻く国際経済情勢を見ますと、これまで世界経済を牽引してきた米国経済が、IT関連産業の業況悪化を契機といたしまして昨年後半以降減速したこともあり、世界経済の成長には減速の傾向が見られます。
 我が国経済は、こうした世界的な経済動向のもとで、いわゆる産業の空洞化の進行も相まって、輸出、生産、設備投資は減少し、雇用情勢は悪化するなど厳しい状況にあります。また、先般の米国における同時多発テロ事件により先行きに不透明感が増しており、今後、内外の経済動向を一層注視する必要があると考えております。
 こうした状況の中、政府としては、状況の変化に細心の注意を払いながらも、中長期的な視点に立ち、個人消費を初め民需主導の持続的な発展を図るため、各般の構造改革を積極的に推進することとし、これを経済財政運営の基本とすることを考えております。このような観点から、十月二十六日に、構造改革を進めていく上で先行して決定、実施すべき施策を盛り込んだ改革先行プログラムを決定いたしました。
 同プログラムにおいては、経済活性化を図るため、雇用創出にも資する規制改革等を強力に推進するとともに、証券市場、金融システムの構造改革の一環として、証券税制の見直し、不良債権処理の強化等の施策を講じることといたしております。また、構造改革を進めていく過程で生じ得る失業や企業倒産の増加等に対応するため、雇用及び中小企業等に係るセーフティーネットの一層の充実策を講じることとしております。さらに、これらとあわせて、構造改革を加速するために特に緊急性の高い施策として、電子政府の実現、学校の情報化の推進、保育所待機児童ゼロ作戦等の推進、廃棄物処理施設の緊急整備、地域科学技術振興を通じた新産業等の創出及び都市再生等に資するPFIの推進を図ることといたしております。
 このうち、証券税制に関しては、株式譲渡益課税について、平成十五年一月から申告分離課税への一本化、税率の引き下げ、損失繰越制度の導入等の措置を講じるとともに、緊急かつ異例の措置として、平成十四年末までに新たに購入した上場株式等について、その購入額が一千万円までの譲渡益を一定の要件のもとで非課税とする措置を講じるため、租税特別措置法等の一部を改正する法律案を国会に提出いたしております。
 次に、米国における同時多発テロ事件に対する取り組みについて申し上げます。
 同事件は、数多いとうとい人命を奪う極めて卑劣かつ許しがたい暴挙であり、ここに改めて、犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被害者の方々に対し心からお見舞いを申し上げます。同事件に対しては、世界及び日本の経済システムに混乱が生じないよう、G7を初めとする国際的な協調体制の中で、金融システムの安定等適切な対応を図ってまいりました。また、テロリストへの資金供与を防止するため、我が国としても、タリバン関係者等に対して資産凍結等の措置を講じております。
 次に、今般提出いたしました平成十三年度補正予算の大要について御説明いたします。
 まず、歳出面においては、改革先行プログラム関連といたしまして、雇用対策費五千五百一億円、中小企業等対策費二千五百十一億円、緊急構造改革加速施策対策費一千九百八十九億円の計一兆円を計上するとともに、緊急テロ等対策費四百九十九億円、牛海綿状脳症対策費でございますが、それに対しまして二百六十五億円、災害対策費三千百三十九億円、地方交付税交付金二千五百九十八億円を計上することとしております。このほか、義務的経費の追加等、特に緊要となったやむを得ない事項等について措置することといたしております。これらの歳出の追加額の合計は二兆九千九百五十五億円となりますが、あわせて既定経費の節減等を行うことといたしております。
 他方、歳入面においては、租税について最近までの収入実績等を勘案して一兆一千二十億円の減収を見込むとともに、前年度の決算上の剰余金四千五百八十九億円を計上し、さらに、その他収入の増加を見込んでおります。
 なお、決算上の純剰余金については、国債の追加発行を極力抑制するとの観点から、財政法第六条に基づく国債整理基金への繰り入れを行わないこととしております。この剰余金の処理につきましては、別途、平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いいたすこととしております。
 以上によってなお不足する歳入について、やむを得ざる措置として一兆六千八百二十億円の公債の追加発行を行うこととしております。今回の措置により、平成十三年度の公債発行額は三十兆円となり、公債依存度は三五・八%となります。
 これらの結果、平成十三年度一般会計補正後予算の総額は、当初予算に対し歳入歳出ともに一兆六百十億円増加し、八十三兆七千百三十三億円となります。
 以上の一般会計補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うことといたしております。
 財政投融資計画については、改革先行プログラムを実施するため、この補正予算において、日本政策投資銀行及び日本育英会に対し総額六百十七億円を追加することとしております。
 以上、平成十三年度補正予算の大要について御説明いたしました。
 今回の補正予算は、我が国経済の再生には構造問題の解決こそが不可欠であるとの信念のもと、財政節度を踏まえつつ、現下の緊急課題である雇用対策を最重点に編成したものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(井上裕君) ただいまの演説に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。今泉昭君。
   〔今泉昭君登壇、拍手〕
○今泉昭君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま行われました財務大臣の財政演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 小泉内閣が誕生してからもう半年が経過しようとしております。この間、我が国は、小泉内閣が掲げた構造改革五つの目標、すなわち、「努力が報われ、再挑戦できる社会」、「民間と地方の知恵が活力と豊さを生み出す社会」、「人をいたわり、安全で安心に暮らせる社会」、「美しい環境に囲まれ、快適に過ごせる社会」、「子供たちの夢と希望をはぐくむ社会」という美辞麗句の看板とは裏腹に、国民生活の基盤とも言うべき経済活動は低下の一途をたどり、毎日五十件以上の企業が倒産し、経済活動を支えてきた勤労者の方々は三百五十七万人もが仕事を失い、生きる望みを失った人は一日に百人近くもが自殺をするという状況に追い込まれております。このような状況について、総理は一体どう考えておられるのか、お聞かせください。
 小泉総理は、さきの通常国会の所信表明演説において、恐れず、ひるまず、とらわれずという姿勢を貫き、改革を進めていくことを表明されました。しかし、六カ月を経過した今日、総理が具体的に改革に手をつけたという行動は全く見えてまいりません。内閣府が現時点で実施したと説明するのは皆、見直し検討開始とか、調査を開始とかというものばかりであり、何もやっていないも同然ではないですか。総理は、骨太の方針と改革工程表と改革プログラムを誇らしげに示しておられますが、まるで絵にかいたもちとも言うべきものであります。
 今国会は、雇用国会とも構造改革国会とも言われて国民は注目してまいりました。ところが、今、国会に提出された改革関連法案は金融絡みの少数の法案のみにすぎません。所信表明演説に示された経済、財政、行政、社会、政治の各分野にわたる構造改革を断行するという意気込みは一体どうなったんでしょうか、御説明ください。
 小泉総理は、改革には常に痛みが伴う、国民の皆さんにも改革のためには痛みを分かち合い、我慢をしてほしいということを口にされております。このため、金融界の改革に際しては、多額の不良債権を処理するため、多くの中小企業の倒産や多数の失業者が出るのを当然のごとく見過ごしています。さらに、今国会に提出された銀行の株式保有に関する法案や金融再生法改正案等は、国民の負担によって銀行を救済できるという銀行救済法で、国民の痛みを顧みない法案ではないでしょうか。一体だれのための構造改革ですか、総理の見解をお示しください。
 次に、補正予算について、財務大臣にお伺いいたします。
 今回の補正予算の柱は一体何ですか。財政赤字の中にあって、当初、補正予算の組み立てに消極的であったと言われる財務大臣が、あえてこの時期に補正予算を国会に提出されるには確たる理由があるはずであります。景気の悪化は前々からわかっていたことですから、景気対策を軸として出されるならば、今国会冒頭にも出し、早急に景気対策を打つべきでした。税収の動向が不確かだということは理由になりません。
 補正予算の中身を見てみると、景気対策と見られる雇用・中小企業対策と構造改革に関係のある対策が盛り込まれてはおります。この時期に何にねらいを置いた補正予算なのか、御説明ください。
 本年度の当初予算は、我が国経済が一・七%実質経済成長という見込みの上で組み込まれたはずであります。しかし、ITバブルの崩壊に始まる諸環境の激変により、今日ではマイナス成長が当然のこととされており、政府も本日マイナス〇・九%に下方修正をしたと伺っております。名目は三年続きのマイナス成長となっていますが、来年度の経済成長もよほどのことがない限りマイナス成長となるのではないかと危惧されております。
 ITバブルの崩壊に続き、米国の同時多発テロによる世界経済への打撃、狂牛病による国内各産業への被害を考えると、よほど思い切った景気対策を実施しない限り、我が国経済はこれまでに経験したことのない落ち込みを覚悟しなければなりません。財務大臣、一体この危機にどのような対策を打とうと考えているのか。補正予算だけでは論外でございます。今後の対策と経済の見通しをお聞かせ願いたいと思います。
 小泉総理は、公約である国債三十兆円の枠にこだわっていると聞き及びます。経済は社会の変化に大きな影響を受けます。そのため、状況の変化を見きわめ、柔軟に政策対応が求められます。先見性と柔軟性のない政治は自壊いたします。三十兆円の公約にこだわり、国民に大きな苦しみを与えてはなりません。
 塩川大臣、あなたは、ここが我慢のしどころ、もう少し頑張れば春風が吹いてくると十一月七日の記者会見で述べられたそうですね。それと同じような言葉を私は思い出します。それは一九九七年でしたか、時の橋本内閣が五つの構造改革を看板に緊縮予算を断行し、景気が急速に下降したとき、時の経済企画庁長官、現小泉内閣で大臣をされていますが、何度もしつこいくらい言われた言葉であります。桜が咲くころには必ず景気は回復します、我慢ですと言い続けられたことです。私は、当時と実に状況がよく似ていると思います。
 ですから、早くも二次補正の声が与党内から上がっているではないですか。十五カ月予算の声も聞いております。二次補正は絶対にやらないと断言されますか、お考え方をお聞かせください。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 九月の失業は五・三%となり、史上最悪を記録いたしました。十二世帯に一世帯の割合で失業者が存在することになります。失業統計のとり方にはいろいろありますが、内閣府が二月に発表した統計では、仕事が見つからないから求職活動をやめた人を含めると何と一〇・四%の失業率となり、失業者は七百万人を上回ります。六軒に一軒の割で失業者が存在することになります。
 五・三%の失業率はIT不況の影響が含まれていますが、米国の同時多発テロの影響、狂牛病による影響はまだ含まれておりません。さらに、これから始まるであろう小泉内閣の不良債権処理による雇用への影響は全く含まれていないわけですから、十月以降の失業率はさらに悪化することが当然視されております。このような事態は、まさに緊急事態だと思いますが、どう受けとめられておられますか。もし大変な緊急事態であるとお考えなら、補正予算に盛り込まれた過去七回の雇用対策と何ら変わることのない内容でこの事態を解決できると考えておられるのでしょうか、お聞かせ願いたい。
 小泉内閣は、前任の森内閣の諸方針を継承されたと聞きます。前の森内閣は、IT基本法を成立させ、我が国を五年以内に世界のIT先進国にすると意気込んでおられました。IT先進国を目指すことは私も大賛成であります。
 しかし、森内閣のIT先進国への政策には大きな落とし穴がありました。IT革命というのは、高度に技術が発達した国と低生産、低賃金国とを何の障壁もなく結びつけることです。国際化の流れはこれを一層促進します。このため、我が国の富と雇用の受け皿であったすぐれた製造業は、三十分の一と言われる低賃金国である中国やベトナムに流れ、空洞化が急速に進展しました。電機産業は二一・六%、自動車産業は二八・二%が海外生産となり、雇用の場は大きく失うことになっているのです。米国の例を見て、先進国の製造業が発展途上国に移るのは経済の発展過程と言われる人もいますが、しかし、資源、エネルギーのない我が国が製造業を無視できるはずがございません。
 IT戦略と製造業の組み合わせを怠ったことが今日の構造的雇用減少になっていると思いますが、総理の御見解をお聞かせください。
 次に、雇用対策について、具体的問題を厚生労働大臣にお聞きいたしたいと思います。
 補正予算において、雇用対策費として五千五百億円が計上されております。この中身は、新たな緊急地域雇用創出特別交付金と称し、三年三カ月で三千五百億円の予算を計上しております。この制度は、一九九九年六月に出された緊急雇用対策の焼き直しで、何ら新しいものではありません。しかも、前の緊急地域雇用特別交付金制度が二〇〇二年の三月三十一日に期限切れになるので、その延長ともいうべきもので、新しく雇用が創造されるとは到底考えられません。また、雇用期間が最長六カ月に限定され、しかも実際に雇用されている人の多くは失業者以外の人が多いとさえ言われ、ばらまき的要素が強いと言われております。
 この際、緊急地域雇用特別交付金は抜本的改革が必要と思われますが、いかがでございましょう。
 次に、ワークシェアリングについてお伺いいたします。
 これまで我が国は、景気変動による雇用の調整を、新規雇用の削減、時間外労働の削減、パート・季節工の減少、さらには一時帰休等を中心に、企業内労使の話し合いを軸に行ってまいりました。しかし、国際化による基幹産業の海外展開、産業構造の激変による大量の人員削減に直面し、これまでの企業内努力にも限界が見えてきたことは御承知のとおりであります。
 そのため、新しい雇用調整のあり方として、ワークシェアリングの必要性は、第一次石油ショック以来常に話題になりながら、一向に具体化されませんでした。肝心の労使双方がちゅうちょしてきたことも事実であります。しかし、今日の雇用危機に直面し、労使双方の態度も大きく変化し、前向きに転じてきたと言われています。この時期に政府が積極的に両者の仲介をとり、ワークシェアリング制度の実現を目指すべきと考えますが、大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、失業やリストラ等により年収が大幅に減少し、住宅ローン返済等が困難となっている勤労者への施策についてお伺いいたします。
 今回、政府は、政府系金融機関の住宅ローン返済特例措置の拡充を盛り込んだようですが、私は、銀行等の民間住宅ローンについても、その貸し手が政府系機関の住宅ローン返済特例措置に準じた措置を講じた場合には、国がそれに伴う利差補給金等をすべきではないかと考えます。また、元本据置期間中の上限金利五%については、直近の基準金利を考慮して三%に引き下げることが適当ではないでしょうか。さらに、借入時期等の個々の条件によっては返済額の引き下げ効果が薄い場合もないとは言えないので、月々の返済額の上限を収入の五分の一程度に抑える措置を新たに設けてはいかがでしょうか。
 昨今、親のリストラ等によりまして、高校の学費を支払うことができなくなった、大学進学を断念するといった生徒もふえてきております。政府は、不運にもこのような状況に陥った若者たちに、やる気があれば学校に行くことができるのだという強いメッセージを発すべきだと思います。現行の授業料免除措置、助成措置、奨学金制度を大幅に拡充する必要はありませんでしょうか。この点についても答弁をいただきたいと思います。
 次に、中小企業政策を中心にお尋ねいたします。
 厳しい不況は、中小企業の経営者、従業員や家族の生活に打撃を与えています。まずは、喫緊の課題である中小企業金融政策を充実させるべきであります。金融機関は、大企業向けの不良債権処理を棚上げし、自己資本比率維持のために中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしを行っているという指摘が聞こえてまいります。
 民主党は、地域金融円滑化法案を前国会で提出いたしました。地域金融円滑化評価委員会が金融機関に資料の提出を求め、金融機関が地域金融の円滑化にどのような寄与をしているかを公表するものであります。この法律は、貸し渋り、貸しはがしを是正し、金融機関が地元の中小企業に積極的な融資を行う有益な存在になるための環境をつくることができると確信しております。
 私たちは、借り手ばかりではなく、貸し手の責任を明確にし、事業者がむやみに貸し渋りに遭わないためのセーフティーネットを確立すること、担保至上主義を廃止し、個人保証の要らない事業者ローンを実現すること、直接金融市場を整備するとともに、ベンチャー支援税制を強化することなども提言をしております。
 今般の補正予算を見ますと、旧来の政策を踏襲しているだけの印象を受けます。これでは、中小企業の本格的な業績回復は期待できません。民主党が主張しているような斬新な政策を盛り込むべきと考えますが、総理の御見解をいただきたいと思います。
 中小企業政策、産業政策を進めるに当たっては、ものづくり産業の振興に重点を置くべきだと考えます。
 昨年作成されたものづくり基盤技術基本計画を着実に実行することは当然のことでありますが、そもそも、日本政府にはものづくり産業に関する戦略が欠落しているのではないかと苦言を呈したいと思います。
 政府は、骨太の方針で五百三十万人の雇用創出を打ち出していますが、これはサービス業のみを想定しているものであり、製造業、ものづくりをおろそかにしては国の屋台骨を揺るがしかねません。
 小泉内閣は、将来の日本経済を展望するに当たって、ものづくり産業をいかに位置づけているのか。為替政策、通商政策なども含めて、ものづくり産業を育てていくための戦略をお持ちなのでしょうか。今般の補正予算においてはどのような具体策を講じていくつもりなのか。以上の点について、総理より明らかにしていただきたいと思います。
 今、ITバブルの崩壊が叫ばれていますが、ITだけを育てようとするのではなく、経済の根幹にある製造業にITをどう応用していくかという発想を持つべきではないでしょうか。すなわち、伝統的な産業とITを融合させる切り口が必要ではないかと考えます。この点についても御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、一言申し上げたいと思います。
 二十一世紀に入り、早くも十一カ月を経過しようとしております。新しい二十一世紀に、人々は新しい希望とバラ色の未来を期待していたはずでございます。しかし、現実は、グローバル化という大波と厳しい不況、雇用不安に直面することになりました。そして、米国における同時多発テロを契機に、我々が住むアジアが戦渦の地として巻き込まれることになりました。
 アジアには、世界人口の六割近くの人が生活をしております。そしてサミュエル・ハンチントン博士の分類によれば、八つの世界文明のうち七つの文明が入り込むという複雑な地域であることはよく知られていることであります。したがって、この地域の平和と安全は世界の平和と安定につながると言われています。この地域で唯一の先進国である日本は、安定した国力と平和外交を軸に、この地域の発展と安定に貢献していかなければならないと考えております。そのためには、国内においては国民生活の安定、外に向けては信頼される外交が何よりも必要なはずであります。
 しかし、日本の顔となるべき今日の我が国外交は、外務省の混乱により、いたずらにテレビのワイドショーの材料にされるだけで、諸外国からの失笑を買うだけでございます。
 小泉総理、あなたが常に口にされる聖域なき改革を断行されるならば、まず外務省の改革こそが必要ではないかということを申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今泉議員にお答えいたします。
 経済情勢の認識についてでございますが、我が国の景気は、失業率も過去最高の五・三%になるなど厳しい状況にあります。また、米国のテロ事件発生等の影響もありまして、これからも注意深く各指標についての注視が必要だと思います。
 しかし、根本的に我が国経済の潜在力は十分にあると、これをいかに生かすかが今後の経済再生を図る上においても、また改革においても重要だと思っております。民需主導の持続的な経済成長を促すためにも、改革なくして成長なし、この方針に沿って今後改革を進めていきたい。その改革に伴って生じる痛みに対して、いかに不安を和らげるか、雇用対策、中小企業対策など、セーフティーネットの確立のために適切な施策を推進していきたいと思います。
 構造改革を断行する意気込みについてでございますが、小泉内閣は、六月にはいわゆる基本方針を閣議決定し、構造改革の基本的な考え方を国民に提示しました。九月には構造改革の政策と実施時期を具体的に示した改革工程表を取りまとめ、そのうち先行して決定、実施すべき施策については、十月二十六日に改革先行プログラムとして取りまとめたところであり、改革を加速することとしております。
 具体的には、今般提出した補正予算においても、従来型の公共投資の追加は行わず、雇用対策等に重点を置き、安易な国債増発による刺激策等については行わないこととしております。
 また、不良債権処理については、新たに特別検査を実施するなど、その最終処理を推進しているところでありまして、さらに今後、特殊法人改革、医療制度改革などに取り組んでおり、今後とも、改革なくして成長なしの決意のもと、基本的な成長力を高めるための改革に着実に取り組んでいきたいと思っております。
 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案は、国民の負担による銀行救済法ではないかとのお尋ねであります。
 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案では、金融システムの構造改革に向けて、銀行等の株式保有のリスクを限定するために株式保有制限を課すこととしております。銀行等保有株式取得機構は、これに伴う銀行等による株式売却が円滑に進められるよう、公的支援を背景としたセーフティーネットとして設立されるものであり、公共性を有する信用秩序の維持のために必要なものであることから、銀行救済との御指摘は当たらないと考えております。
 また、金融再生法改正案については、議員提出法案として国会に提出せられたと承知しております。同法案においては、RCCの買い取り価格は時価によるものとされておりますから、銀行救済との御指摘は当たらないと考えております。
 なお、不良債権処理等に伴う痛みについては、セーフティーネットの一層の充実、前向きの構造改革による雇用創出等を進めているところであり、多くの中小企業倒産や失業者を見過ごしているとの御指摘は当たらないと思います。
 雇用対策についてですが、九月の完全失業率が過去最高の五・三%となるなど、厳しさを増しているということは認識しております。
 政府としては、総合雇用対策として、公的雇用における緊急かつ臨時的な雇用創出、ミスマッチを解消するため、民間の活用による再就職支援などの失業なき労働移動の支援、訓練延長給付の拡充や自営廃業者等に対する生活資金貸付制度の創設等を取りまとめ、補正予算において、雇用対策のための必要な措置を講ずることとしております。
 ただいま審議をお願いしております補正予算とこれから提出する雇用対策臨時特例法案の早期成立をお願いし、早期執行に努めるとともに、規制改革の推進による雇用創出や労働市場の構造改革を進めるなど、政府としては適切な施策を推進していきたいと思います。
 製造業の空洞化についてのお尋ねですが、製造業は我が国の基幹的な産業ですが、近年、内外のコスト格差を踏まえ、中国を初め海外への進出、移転が続いており、国内の雇用の減少などの影響が懸念されております。
 産業の空洞化や雇用の減少を防ぐためには、規制改革等を通じて魅力的な国内事業環境を整備するとともに、高付加価値化等により製造業の国際競争力の強化を図らなくてはならないと思います。
 御指摘のIT戦略と製造業の組み合わせについては、企業の情報関連投資により生産性を向上させることは製造業の国際競争力の強化に大いに資するものであり、従来から積極的な取り組みを進めてきたところであります。
 住宅ローン返済困難者対策についてのお尋ねであります。
 住宅ローン返済で苦労している方々に対して支援策を講ずることは重要な課題と考えております。このため、住宅金融公庫において返済期間の延長や据置期間中の金利の引き下げ等、返済負担軽減のための措置を講じてきたところであり、補正予算においてその拡充を図ることとしておりますが、さらなる金利負担軽減の措置を講ずることは公平性の確保の問題から問題があると考えております。
 また、民間住宅ローンについては、民間同士の契約でもあることから、国の利差補給金等の交付は慎重に考えるべきものであり、返済困難者対策については、雇用、福祉などの幅広い政策的観点から対応を考えてまいりたいと思います。
 公的賃貸住宅等の家賃の減免、猶予についてのお尋ねでありますが、公団賃貸──これはちょっとはしょった。
 授業料免除措置や助成措置、奨学金などを拡充すべきではないかとのお尋ねでありますが、保護者の失職や倒産等の家計急変者に対応するため、奨学金制度については、無利子で貸与を行う緊急採用奨学金を年間を通じて随時受け付けており、現在のところ、希望者に貸与することが十分可能であります。
 また、授業料等の減免措置については、国立学校においてこれを実施するとともに、公私立学校においても設置者の判断により同様の措置が行われております。
 なお、私立学校に対しては、経常費助成の充実を図るとともに、平成十二年度から授業料減免事業臨時特別経費を措置し、家計急変により授業料納付が困難になった生徒を支援しております。
 今後とも、親の失職等の経済的理由で子供たちが学校をやめなければならないということがないように適切に対応してまいります。
 中小企業の本格的な業績回復のため斬新な政策を盛り込むべきとのお尋ねでありますが、今般提出した補正予算においては、やる気のある中小企業の連鎖的な破綻を回避するため、セーフティーネット保証・貸付を充実するほか、物的担保や保証人に依存しない資金調達を拡大するため、売掛金債権担保保証制度や創業融資制度を創設すべく、所要の金額を計上しております。
 さらに、中小企業の社債発行の支援や税制等によるベンチャー支援も推進します。これら総合的な対策により、中小企業の確固たる将来展望を開くことができると考えております。
 御指摘の地域金融円滑化法案については、金融機関の融資業務等は、基本的には自主的な経営判断に基づいて行われるべきであり、何らかの措置を法的に義務づけるということは慎重に考えるべきものと考えます。
 下請対策の充実についてですが、政府は、従来から下請法違反行為に対して迅速かつ厳正に対処するとともに、その未然防止に努めてきたところであります。
 さらに、最近の下請事業者の厳しい取引環境を踏まえ、電気機械機器等の重点業種について特別立入検査を実施する等、緊急に運用の強化を図っているところであります。
 なお、役務の委託取引における下請中小企業に対する不当な行為については、独占禁止法により厳正に対処していくとともに、下請法の対象とすることの妥当性について、取引実態を踏まえて検討していくことが必要と考えます。
 ものづくり産業についてですが、ものづくり産業は我が国の基幹的な産業ですが、近年の経済の構造的変化の中でその衰退が懸念され、ものづくりを支える基盤技術の継承が困難になりつつあるということは認識しております。
 政府は、昨年九月、ものづくり基盤技術基本計画を策定し、研究開発の推進、労働者の確保、中小企業の育成等を着実に推進しており、今般提出した補正予算においても、ものづくり基盤技術の振興に可能な限り取り組むこととしております。
 また、ものづくり産業の空洞化を防ぐ観点から、我が国の事業環境を魅力あるものにするよう改革を推進してまいります。なお、為替相場については、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要との基本的認識のもと、適切に対応してきているところであります。
 製造業におけるITの応用についてのお尋ねですが、御指摘のとおり、我が国の基幹的産業である製造業については、ITを活用することにより国際競争力の強化を図る必要があると思います。ものづくりとITを融合させ、製造業の生産性の向上を図ることを産業政策の重要な柱と位置づけ、今後ともITの活用を通じた製造業の生産性の向上を図ってまいりたいと思っております。
 残余の質問については、関係大臣に答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 私にお尋ねの件は三つあるのでございますが、そのうち最初にお尋ねのありましたことは、補正予算の柱は何か、何のために補正予算を組んだのか、こういうお尋ねと、もう一つは今後の経済見通しはどういうぐあいに考えておるかと、この二つが相関連しておりますので、お答え申し上げたいと存じます。
 御承知のように、我が国の経済は、世界経済の減速のもとで厳しい状態にあることは御承知のとおりでございます。
 そこで、さきに決定されました改革先行プログラム、すなわち構造改革によって景気の刺激を図っていこうということを趣旨にいたしました構造改革に取り組んでまいりました。そして、これを進める上において、失業や企業の倒産の増加等に対応するため、雇用とそれから中小企業対策に係るセーフティーネット、これを充実する必要がございますので、それを中心とした補正予算を編成したということでございます。
 なお、引き続きまして経済の見通しの問題でございますけれども、先ほど総理の答弁の中にもございましたように、IT産業の業況が悪化いたしましたこと、そしてこれをやはり立ち直らせていくことに一つの大きい見通しを持たなけりゃならぬと思っております。
 この厳しい状況にございますけれども、それに加えて、米国における同時多発テロ事件が起こりましたので、先行きに非常に不透明感が増してきております。そこで、我々といたしましては、中長期的な視点に立ちまして、民需主導の持続的な発展を図るためには、新しい雇用創出を図っていくということを中心にいたしまして、各般の構造改革を積極的に推進することを経済財政運営の基本といたしております。
 こういう考えから申しまして、経済の活性化、雇用創出に資する規制改革や雇用等に係るセーフティーネットの充実策を中心とした先行プログラムを実施するということでございまして、その意味におきましても、今回の補正予算をぜひ早期に成立するよう御協力をいただきたいと存ずる次第であります。
 三つ目の問題は、第二次補正とか十五カ月予算とかいうようなものが言われておるが、これに対する見解はいかんということでございます。
 今回の補正予算は、我が国の経済が厳しい状況にある中で、先ほど申しました諸施策を講じると同時に、財政節度を踏んまえて、現下の緊急課題である雇用対策を講じていきたいということが重点でございますので、引き続き第二次あるいは十五カ月予算というような考え方は目下のところ持ってはおりません。あくまでも、現在の補正予算を成立させていただくことに重点を置いていたしたいと思っておりますので、よろしく御理解のほどお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
○国務大臣(坂口力君) 今泉先生からいただきました私への質問は二問ございました。
 一つは、緊急地域雇用創出特別交付金についてのお尋ねでございました。
 御指摘いただきましたとおり、この交付金は正式な雇用に向けたつなぎの役割をするものだというふうに思っております。したがいまして、このつなぎの役割をいたします交付金を使っております間に、その次の本当に恒久的に結びつく雇用対策というものがなされなければならないというふうに思うわけでございます。また、中には恒久的なものに結びつくような使い方をしていただいているところも今までからございましたから、できる限り市町村に対しまして、そうした恒久的な雇用に結びつくような使い方をぜひ考案をしてほしいということをお願いをしたいというふうに思っているところでございます。
 もう一点はワークシェアリングについてでございました。
 このワークシェアリングにつきましては、もう今さら申し上げるまでもなく、いろいろのタイプもあるわけでございまして、どのタイプのワークシェアリングを導入をしていくかということについて労使の皆さん方とよくお話し合いをさせていただきたいというふうに思っております。
 今朝も政労使の会談がございまして、その中でもこの問題が話題になったわけでございます。皆さん方とお話し合いをこれから私たちも中に入らせていただきまして続けさせていただきたいというふうに思っておりますし、今まではどちらかといえば労使の皆さん方のお話し合いの聞き役みたいな形になってきたわけでございますが、もう少し積極的に中に入らせていただきまして、この問題を取り上げさせていただきたいと考えているところでございます。
 そういうことにしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(井上裕君) 池田幹幸君。
   〔池田幹幸君登壇、拍手〕
○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、財政政策について総理並びに財務大臣に質問します。
 完全失業率五・三%、不況はいまだかつて経験したことのない深刻な段階に突入しております。その上に、同時多発テロ、リストラ・空洞化の進展、ずさんな狂牛病対策の影響が景気の足をさらに引っ張っています。他方、財政危機はますます進んでいます。国民生活と財政をどうやって立て直していくのか、政治に課された課題は重大であります。
 まず、景気対策であります。
 小泉総理、あなたは構造改革なくして景気回復なしと言い続けておられます。では、あなたの唱える構造改革のうち、どれがどのように今国民が求めている景気回復に役立つものなのか、具体的な説明を求めます。
 構造改革の最大の柱とされ、景気対策の緊急の課題とされている不良債権の早期最終処理問題について伺います。
 総理、あなたは銀行が不良債権を抱えていることが不況の原因だと本当に考えているのですか。もしそうだとするなら、九二年以来七十二兆円もの不良債権を処理してきたにもかかわらず、景気は一向によくならないばかりか、全国銀行の不良債権残高が五年前に比べて四兆円ふえ三十二兆五千億円にもなっている事実をどう説明するのですか。これは、不良債権が景気悪化の原因ではないこと、景気が悪いからこそ不良債権がふえ続けていることを明確に証明するものではありませんか。不良債権処理と当面の景気回復とがどうつながるのですか、明確に述べてください。
 不良債権の最終処理とは、大企業では不採算部門を切り捨てて失業者をふやすものであり、中小企業では融資打ち切り、回収強化による倒産と失業の増大をもたらすものにほかなりません。いわゆる骨太方針や改革先行プログラムでは二年から三年で不良債権の最終処理を行うとしていますが、これを実施するとどうなるか。ある民間シンクタンクの試算では失業者が百三十万人ふえる、内閣府の試算でも十万から二十万人ふえるとされています。
 不良債権の最終処理の促進策は、景気を悪くし、日本経済の危機を促進する以外の何物でもありません。政治に求められているのは、不良債権の削減を急がず、銀行に対し、中小企業への貸し渋りをやめさせ、銀行本来の信用供与業務を回復させるようにすることではありませんか。答弁を求めます。
 改革先行プログラムは、景気が雇用情勢を含めた厳しい情勢にあるとした上で、「このような時期にあってこそ、我が国経済の潜在的な成長力を活かすためにも構造改革を加速させていく必要がある。」として、補正予算では雇用対策、中小企業対策としてセーフティーネットを中心にそれぞれ五千五百一億円、二千五百十一億円が組まれました。
 セーフティーネットは失業者や中小企業にとって重要な施策でありますが、潜在失業者を加えると七百八十万人にも及ぶ失業者、中小企業の倒産、廃業が高い水準を続けている現状にあっては、この程度の予算では余りにも不十分であります。しかも、これとても、他方で失業者や中小企業の倒産をこれ以上ふやさないことが前提にあって初めて効果を発揮するものではありませんか。
 総理、あなたはこの前提をどうつくり上げていくつもりですか。これ以上失業者、倒産をふやさない対策をとる意思をお持ちでしょうか。あれば具体的に示してください。
 失業、倒産が増大している最大の原因は、大企業のリストラ推進とそれによる産業の空洞化にあります。リストラの名のもとに行われている人員削減は、東京証券取引所上場の大企業だけで六年間に百八万人に上っています。さらに、今各社が発表している人員削減計画は三十万人近くになります。問題は、これらが経営の行き詰まりでやむなく削減するというものではないことであります。
 電機産業に例をとりますと、ことし三月期の経常利益は大手十七社で七千九百三十九億円という大幅黒字ですが、来年三月期は赤字になるとして人員削減を強化しようとしています。ところが、赤字になる理由は、大幅な人員削減に伴う退職金費用や工場の統廃合による各種コストがかさむためだというもので、まさにリストラの強化にあるのであります。背景にアメリカにおけるITバブル崩壊によって過剰設備を抱えたという事情があるにせよ、見通しを誤った責任を労働者に転嫁し、雇用責任という企業の社会的責任を放棄する、総理、このようなことが許されるとお考えですか。
 また、大手電機メーカー、日立、東芝、NEC、三菱、富士通の六社は、工場の海外移転を進め、この十年間に国内従業員を五万六千人近く減らす一方、海外では二十万人近くふやしており、国内産業空洞化の推進者となっております。今や、労働者や中小企業を犠牲にした大企業の身勝手なリストラを規制するルールの確立が求められています。
 総理、欧州連合、EUでは、工場の統廃合や大幅な人員整理などリストラに際しては、経営者は従業員代表に情報を提供して協議することを義務づけることを理事会で合意していることを御承知と思いますが、我が国においてもこのような解雇制限法制定が急がれていると考えませんか、答弁を求めます。
 小泉総理、あなたは財政改革の基本姿勢として、民間でできることは民間にゆだねると言い続けておられます。しかし、肝心なところではやっていることは逆ではありませんか。
 まず、銀行への公的資金投入問題であります。本国会には、銀行の保有する株式の買い取り機構を設立する法案が提出されております。株の値下がりによる銀行経営の悪化を防ぐために銀行の保有株式を制限する。銀行が限度を超えた分の株式を一斉に市場で売却したら値下がりするので、機構で買い取ってやろうというものであります。そして、買い取った株の値下がりによる損失は税金で穴埋めするというものです。露骨な銀行支援であります。
 総理、銀行の株の処分をなぜ税金で助ける必要があるのですか。しかも、当の銀行は何と言っているか、そんな買い取り機構は必要ないと国会で参考人として明言しているではないですか。
 民間でできると言っていること、民間の責任でやらせるべきことにわざわざ介入し、税金まで投入するなど、言語道断であります。買い取り機構の設立はやめるべきであります。
 他方、政府がやるべきことについてはどうでしょうか。今、医療制度改革をめぐって財務省と厚生労働省が競い合っていますが、その中身は高齢者の自己負担増や保険料の値上げなど、国民にどれだけ多く負担させるかを競い合う医療制度改悪競争となっています。ここにあるのは、国民の命と健康を守る上で果たすべき政府の役割をどう逃れるか、いかに国民に負担を押しつけるかだけであり、政府の責任放棄ではありませんか。
 株の買い取りや不良債権処理に税金を使うのでなく、国民の命と健康を守るためにこそ使うべきではないですか。少なくとも、予定されている来年度予算での医療費の国庫負担削減と国民負担増は中止すべきであります。
 十月二十六日の経済財政諮問会議では、民間議員から、空港、道路などの事業を見直し、五年間でGDPに対する公共投資の比率を現在の五%から三%台にして欧米諸国の水準に近づけるという提案がなされました。これは、むだ遣いをなくし財政の再建を図るために当然の施策であります。ところが、国土交通大臣と農水大臣がこれに反対し、財務大臣が関西空港二期工事の見直しに反対するなど、提案はうやむやにされています。
 改革を口にするのなら、公共投資のGDP比三%台への削減は実施すべきではありませんか。答弁を求めます。
 以上で明らかなように、小泉内閣の構造改革は、景気回復どころか景気を悪化させるものではありませんか。民間でできることに介入して税金を注ぎ込み、政府のやるべきことをやらないで国民に負担を押しつけるものではありませんか。景気回復のためにも、国民生活を守る上からも、このような構造改革は直ちにやめるよう要求するとともに、国民生活防衛なくして景気回復はない、このことを強調して質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 池田議員にお答えいたします。
 構造改革と景気回復の関連についてのお尋ねがございましたけれども、改革なくして成長なしという方針は堅持していきたいと思います。
 また、これには時間がかかります。不良債権処理も二、三年のうちに正常に戻すということを方針に掲げておりますが、景気回復が先で改革は後にせよという議論もありますが、私は、改革なくして成長なし、そういう考えでこれからもやっていきたい。改革なくして景気回復したらば改革の必要はなくなっちゃうんです。改革すべきはたくさんあるじゃないですか。私は、時間はかかる、しかし改革に向けて断固とした措置をとっていきたい。
 そういう中で不安も出てまいります。痛みも伴います。そういう際には、民間の経済活性化効果や雇用創出効果が特に高い措置を先行して取り組んでいく必要がある。私は、日本経済は十分潜在力がある、その潜在力を高めるような改革をしていきたいと思います。その中で、雇用対策に対してもあるいはセーフティーネットに対しても、しかるべき適切な充実策を講じていきたいと思います。
 不良債権処理と景気回復とのつながりについてのお尋ねですが、実体経済の再生が不良債権の新規発生の抑制に寄与する一方、不良債権処理は、金融機関の収益力の増強、非効率な企業、部門の効率化等に資するものであり、他の分野における前向きの構造改革とあわせて実施することにより、我が国経済の再生につながるものだと思います。
 私は、改革先行プログラムを踏まえ、不良債権処理に全力を尽くしてまいります。
 不良債権の削減を急がず、銀行本来の信用供与業務を回復させるようにするべきではないかとのお尋ねでありますが、政府としては、不良債権の最終処理に当たっては、中小企業についてその特性も十分に考慮し、再建可能性等をきめ細かく的確に見きわめ、極力、再建の方向で取り組むとともに、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう金融機関に対し要請しているところであります。
 失業者、倒産をふやさない対策についてのお尋ねでありますが、先般、総合雇用対策として、公的雇用における緊急かつ臨時的な雇用創出、ミスマッチを解消するため民間の活用による再就職支援などの失業なき労働移動の支援、訓練延長給付の拡充や自営廃業者等に対する生活資金貸付制度の創設、新たな信用保証制度の創設等による中小企業のセーフティーネットの充実等を取りまとめ、補正予算において必要な措置を講ずることとしております。
 こうした施策とともに、規制改革の推進による雇用創出や労働市場の構造改革を進めることにより、雇用及び中小企業に係るセーフティーネットの整備のための適切な施策を推進してまいりたいと思います。
 電機産業のリストラについてでありますが、個別の民間企業についてとやかく言うことは差し控えますが、各企業も生き残りをかけて必死の努力をしております。そういう中には、リストラを進める際には、可能な限り配置転換や職種転換に努めるなど雇用の維持に向けた努力をするのは私も当然だと思っております。
 解雇規制法についてのお尋ねであります。
 解雇については、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという裁判例により対処されてきているところであります。しかし、経済社会の構造変化等に伴い雇用の流動化が進む中で、労働関係をめぐる紛争の防止の観点から、解雇基準やルールを明確にすることは大切なことだと考えます。解雇基準やルールの内容については、厚生労働省において、労使を初め関係者の意見も十分聞きながら検討していくことが必要であると考えます。
 銀行等保有株式取得機構の設立はやめるべきだというお尋ねでありますが、今般、銀行等の株式の保有を制限することとしましたが、原則としては、銀行等がみずからの努力によって株式を市場に計画的に売却し、その制限を達成するよう努めていくべきものと私も考えております。しかし、それのみにゆだねるときは、銀行等による株式の短期間かつ大量の処分により株価の著しい変動を通じて信用秩序の維持に重大な支障が生じるおそれがあるため、そのためのセーフティーネットとして政府保証等を背景とした機構を設立するものであります。したがって、今般の措置は民間でできることは民間にゆだねるとの基本方針と背馳するものとは考えておりません。
 医療制度についてのお尋ねでありますが、これは、給付は厚く、負担は軽くということはだれでも望むことでありますが、現在の財政状況あるいは今後、高齢者、少子化問題、そういうことを考えますと、お互いが持続的な医療保険制度を維持するためにどういう改革が必要かと。診療側、保険者側、患者側という関係者に等しく痛みを分かち合うというような改革をしないと、この医療保険制度が持続的に維持できるということに非常に危機感を感じております。
 そういう意味におきまして、私は給付と負担の均衡をいかに図るかということを重点的に考えながら、世界でもすぐれた医療制度が今後とも国民生活にとって必要なものという観点からこの医療制度改革を進めていきたいと思っております。年末までに成案を得た上で、次期通常国会に所要の法律案を提出すべく全力を尽くしていきたいと思います。
 公共投資の削減についてのお尋ねであります。
 我が国の公共投資の経済に占める比率は、国土条件や整備水準が低かったことなどから、主要先進国に比べ極めて高い水準にありますが、いわゆる今回の骨太の方針において、主要先進国の水準も参考としつつ公共投資の対GDP比を中期的に引き下げていく必要があるとされているところであります。
 今後は、この方針を踏まえまして、中期経済財政計画などを策定していく過程において、経済や財政と整合的な公共投資の規模を検討していきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 池田さんのお尋ねの私に対するのは三つございますが、それぞれ既にもう総理が詳しく説明いたしましたので、私からは補足した分だけ申し上げたいと存じます。
 まず最初の、株式取得機構についてでございますけれども、この分において、税金で全部賄うというような印象を受けたのでございますが、決してそうではございませんで、銀行等から応分の拠出金を出させ、それを基金といたしまして株の取得をいたすものでございまして、万が一機構の解散時に損失が生じた場合であっても、なおこの基金を充てて充実さすということでございまして、政府が全面的にこの損失をかぶるという、そういう仕組みではないということを御承知いただきたいと思っております。
 それから、高齢者の自己負担の問題でございますが、私たちは、高齢者医療の問題につきまして、単に国庫負担が抑制されればいいと、そういう単純な考えではなくして、医療制度全体を持続可能な制度に持っていくということが大事であると思っております。
 そのためには、高齢化の進展の中で、老若を問わず、能力に応じた公平な負担をお願いしていく必要がございますし、また政府、医療関係機関並びに一般国民の方々、この三方によりましてそれぞれ一両損をするという考え方を持ちまして制度を考えていきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、十四年度医療制度改革は必ず実行しなきゃならぬと考えておりまして、現在その成案を急いでおるところでございます。
 また、経済財政諮問会議におきまして、民間議員より、五年間でGDPに対する公共投資の比率を現在の五%から三%台にしたらどうだという御提案が出されました。私たちは、これを受けとめまして今後の施策の中に織り込んでいきたいと思っておりまして、そのためには、本年六月に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針におきまして、主要先進国の水準を参考にしつつ公共投資の対GDP比率を中期的に引き下げていくという方針を確立し、それに鋭意取り組み、十四年度からこの実施に入っていきたいと思っております。(拍手)
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(井上裕君) 日程第二 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 日程第三 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長武見敬三君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔武見敬三君登壇、拍手〕
○武見敬三君 ただいま議題となりました条約及び法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、爆弾テロ防止条約は、人の死または身体の重大な傷害等を引き起こす意図を持って、爆発物その他の致死装置を公共の用に供される場所等に不法かつ故意に設置する行為等を犯罪とし、その犯罪についての国外犯を含む裁判権の設定等について規定するものであります。
 次に、爆弾テロ防止条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案は、この条約を実施するため、爆発物その他の致死装置を使用する行為等についての処罰規定及びこれらの行為等に係る国外犯処罰規定を設けるなどの国内法整備を行うものであります。
 委員会におきましては、条約締結と国内法整備の意義、我が国に所在する国外犯の犯人または容疑者に対する捜査方法、テロリストの定義と包括テロ防止条約作成交渉における政府の姿勢、化学兵器・生物兵器テロ対処への取り組み状況等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、採決の結果、条約は全会一致をもって承認すべきものと決定し、法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 まず、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十二  
  賛成           二百二十二  
  反対               〇  
 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(井上裕君) 次に、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十二  
  賛成           二百二十二  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(井上裕君) 日程第四 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律案(内閣提出)
 日程第五 地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案(第百五十一回国会内閣提出、第百五十三回国会衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長田村公平君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔田村公平君登壇、拍手〕
○田村公平君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律案は、最近のインターネットその他の高度情報通信ネットワークによる情報の流通の拡大にかんがみ、特定電気通信による情報の適正な流通に資するため、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めようとするものであります。
 委員会におきましては、特定電気通信役務提供者の具体的範囲、損害賠償責任を制限する要件における「相当の理由」の明確化の必要性、有害情報に対する規制の必要性等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 次に、地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案は、住民の利便の増進を図るとともに、地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、地方公共団体が処理する事務のうち、戸籍謄本等の交付の請求の受け付け及び当該請求に係る引き渡しなど特定のものを郵政官署において取り扱うための措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、プライバシー保護の確保策、地方公共団体の組織・運営に与える影響、事務を行う郵便局から簡易郵便局を除外する理由等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(井上裕君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十三  
  賛成           二百二十三  
  反対               〇  
 よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(井上裕君) 日程第六 司法制度改革推進法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長高野博師君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔高野博師君登壇、拍手〕
○高野博師君 ただいま議題となりました司法制度改革推進法案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国の規制の撤廃または緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要になることにかんがみ、本年六月に提出された司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとって行われる司法制度改革を総合的かつ集中的に推進するため、その基本的な理念及び方針、国の責務等を定めるとともに、司法制度改革推進本部を設置する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、推進本部への国民の意見の反映方法、改革の経過をリアルタイムで公開する重要性、法曹養成のあり方と法科大学院の制度設計、司法予算を大幅に拡充する必要性等について質疑が行われ、また、参考人から意見を聴取いたしました。
 質疑を終局したところ、日本共産党及び社会民主党・護憲連合を代表し、井上理事より、基本理念規定に「基本的人権の保障及び社会正義の実現を図る」との文言を加えること等を内容とする修正案が提出されました。
 採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十二  
  賛成            二百十八  
  反対               四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(井上裕君) 日程第七 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(第百五十一回国会内閣提出、第百五十三回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長阿部正俊君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔阿部正俊君登壇、拍手〕
○阿部正俊君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、少子化等が急速に進展する中で、労働者が就業しつつ子の養育等を行うことを容易にするための環境の整備等を図るため、育児休業等の申し出や取得を理由とする不利益取り扱いを禁止するとともに、育児等を行う労働者への時間外労働の制限及び子の看護のための休暇制度導入についての事業主の努力義務等の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院におきまして、施行期日を公布の日に改めること、子の看護のための休暇制度の普及のための努力を促進すること及び検討条項を追加することを主な内容とする修正が行われております。
 委員会におきましては、育児休業等の取得等による不利益取り扱いの具体的内容、男性労働者の育児休業取得の促進のための施策、子の看護のための休暇制度の義務化の必要性及び育児休業等の適用対象の範囲の拡大等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局した後、川橋委員より、同委員、井上委員、大脇委員及び森委員の共同提案に係る修正案が提出されました。
 修正案の要旨は、事業主の努力義務としている子の看護のための休暇の措置について、これを事業主の義務とするものであります。
 採決の結果、修正案は否決され、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十三  
  賛成           二百二十三  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十四分散会
     ─────・─────