第153回国会 外交防衛委員会 第9号
平成十三年十一月二十二日(木曜日)
   午前九時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十一日
    辞任         補欠選任
     野上浩太郎君     福島啓史郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         武見 敬三君
    理 事
                山本 一太君
                吉村剛太郎君
                木俣 佳丈君
                山口那津男君
                小泉 親司君
    委 員
                河本 英典君
                桜井  新君
                月原 茂皓君
                舛添 要一君
                森山  裕君
                矢野 哲朗君
                海野  徹君
                佐藤 道夫君
                齋藤  勁君
                広中和歌子君
                遠山 清彦君
                吉岡 吉典君
                大田 昌秀君
                田村 秀昭君
   国務大臣
       外務大臣     田中眞紀子君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  中谷  元君
   副大臣
       外務副大臣    植竹 繁雄君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        平沢 勝栄君
       農林水産大臣政
       務官       岩永 浩美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   政府参考人
       外務大臣官房審
       議官       遠藤  茂君
       外務大臣官房審
       議官       林  景一君
       外務省経済局長  北島 信一君
       農林水産大臣官
       房審議官     坂野 雅敏君
       農林水産省総合
       食料局国際部長  村上 秀徳君
       食糧庁次長    中川  坦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル
 国との間の協定の締結について承認を求めるの
 件(第百五十一回国会内閣提出、第百五十三回
 国会衆議院送付)
○投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタ
 ン・イスラム共和国との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(第百五十一回国会内閣提
 出、第百五十三回国会衆議院送付)
○千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協
 定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修
 正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作
 成された確認書の締結について承認を求めるの
 件(第百五十一回国会内閣提出、第百五十三回
 国会衆議院送付)

    ─────────────
○委員長(武見敬三君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、野上浩太郎君が委員を辞任され、その補欠として福島啓史郎君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(武見敬三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に外務大臣官房審議官遠藤茂君、外務大臣官房審議官林景一君、外務省経済局長北島信一君、農林水産大臣官房審議官坂野雅敏君、農林水産省総合食料局国際部長村上秀徳君及び食糧庁次長中川坦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(武見敬三君) 投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件、以上三件を議題といたします。
 三件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○海野徹君 おはようございます。民主党・新緑風会の海野徹です。
 きょうは、まず三案については賛成という立場から質問を、若干関連をさせて質問させていただきます。
 まず、譲許表の修正等に関する確認書に関連してのことなんですが、一九九八年十二月に修正案をWTO事務局を通じて全加盟国に通報された。そのときにオーストラリア、アルゼンチン、EU及びウルグアイから異議が申し立てられたと。その後、それは取り下げられてはおりますが、その申し立ての内容はどういったものなのか、なぜ取り下げになったのか、その辺について外務大臣、よろしくお願いします。
○国務大臣(田中眞紀子君) お答えいたします。
 ECでございますとかそれから豪州ですとか、それからアルゼンチンが、例えば日本が国内価格として用いた指標ですけれども、これが実際の国内価格を反映しているものかどうかということにつきましてより明確に我が国が説明するように求めてきておりました。
 これに対しまして日本からは、算出方法は農業協定に従ったものであることを説明いたしまして、その結果、すべての異議が撤回されたものでございます。このことは、これまでの日本方の、私たちがやってきておりました説明に理解が一応示されたものであるというふうに解釈しております。
○海野徹君 それでは、次の質問に入りますが、これは、特別セーフガードに関する文言がこの中にもあります。これに関連して少しお伺いしますが、けさニュースでも九日で切れた中国に対するセーフガードの暫定処置の、それ以降大変な、また同じように輸入量が増大しているという話がありました。ネギ、シイタケ、イグサの三品目について中国に対して暫定セーフガードを発動していたんですが、それが切れたということでそのような動きがあったということなんですが、まだ両国間で協議が続いていると、だけれども進展はないというような話であります。
 セーフガードそのものの存在意義はないわけじゃないと私も思っております。急激な輸入増加に対する防波堤ということもあるでしょうし、あるいは今回の暫定処置というのは、しかしながら今回の暫定処置というのは農業が抱える問題の本質的回答にはなっていないんではないかなと、私はそれも考えております。
 好ましいものと言えないわけでありますが、発動あるいは運用のルールの透明性を高めながら、なぜこの三品目なのか、ほかはなぜ対象になっていないのか、そういうような納得できる基準も必要ではないかなと。
 ただ、もう一つ念頭に置かなきゃいけないのは、自由貿易体制への影響だろうなと思います。WTOを通じた自由化の弱体化あるいは地域経済圏の動きがある中で、日本がローカルな意識でセーフガードを発令して、さらにその弱体化を加速しかねないというような懸念が私はあるんですよね。我々、自由貿易によって貿易立国である日本は多大な利益を享受してきたわけですから、農業のためだけではなく我々国民全体にとって食糧安定供給政策は必要である、しかしながらそれは基本的には費用と効果の関係で考えるものであるなと私は思っておりますが、今後、こういうようなセーフガードの発令について外務省としてはどのような見解をお持ちなのか、個々の案件について違うと思いますが、基本的な外務省のセーフガードに対する見解をお伺いしたいと思います。大臣に。
○国務大臣(田中眞紀子君) もう委員御案内のとおり、このセーフガードは緊急避難的なものであって一時的な措置でございました。それは言うまでもなく日本が、輸入の増大によって国内産業が損害をこうむらないようにということでございましたけれども、この発動の検討に当たりましては、WTOの協定とそれから関連の日本の国内法ですよね、それに基づきまして、委員もおっしゃったように透明で公平感があって厳正に対応していかなければならないと考えておりましたし、現在もそのように考えております。
 ただ、交渉は相手があることでございますので、引き続きさらに強力に交渉を続けていかねばならないということが基本的な骨の部分でございます。
○海野徹君 今回のセーフガードに対する中国の報復処置なんですけれども、そのタイミングと論拠というのが非常に意味があるのかなと、意図があるのかなという思いはするんですよね、中国の報復処置が。
 それは、アメリカとの二国間協議の合意を待ってこの報復の方針を打ち出している、あるいはEUとの交渉の妥結を待って打ち出していると。それで、非常にある意味では絶妙のタイミングで報復処置を中国は出しているわけです。その論拠も国内法なんですね。アメリカの要するにスーパー三〇一条と同様なものなんですよ。こういうことを見ますと、やはり中国が大国貿易外交を志向しているんではないかなというような指摘がされてくるわけなんで、私もそう思います。
 その点について、大臣はいかが御見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 今、委員は米国のスーパー三〇一をお出しになりましたけれども、これもまさしく国内法に基づいて対抗措置をとるということでありまして、今中国もそういうふうな論拠ではないかというふうな御指摘だと思いますけれども、中国はいわゆる自動車ですとか携帯とかあるいはエアコンというふうなものを対象とした差別的な関税措置であるというふうに私たちは考えておりましたけれども、そうした措置は日中貿易協定の第一条が定めています最恵国待遇という義務に違反するというふうに思いますし、また、中国が加盟しているWTOですけれども、この関連協定に照らしましても認められないと。最恵国待遇をとっておりますし、それからWTOというものに関連の協定に照らしましても認められないというふうに考えております。
 そして、日本からは直ちに厳重な抗議の申し入れを行いまして、その後に行われている累次の日中の協議におきましてもこの同措置の撤回を求めてきております。そして、中国に対しては、こうした措置の撤回を引き続き強く日本といたしましても求めていくということが基本でございます。
○海野徹君 それはよくわかるんですけれども、それを中国が大国貿易志向というような形で、大国貿易外交というような志向性があるんではないか、にじみ出ているからそういう報復処置とったんではないかなという御質問をさせていただいていて、その辺の指摘についてはどうですか。そういう指摘は当たらないということでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) この会議には私は欠席しておりまして、逐一、副大臣が全部御存じですので、かわりに詳しく答弁をさせていただきたいと思います。
○副大臣(植竹繁雄君) 委員の御質問でございますが、これはもう先ほど三品目に対するものはどうするかと、大国意識とかそういうものよりも実態を踏まえたものをどうしたらいいかと。そして、この最終、中国側の意向というものが、中国と日本との関係がこのセーフガード以外のいろんな諸問題があったわけです。そういうものをすべて含んだ上のそういった処置を、このセーフガードに対してはどれがいいかということを考えた上でなされたものと考え、さらにこれが日中間でもって、最終的には総理が主席とお会いした結果、対話の中で解決していくというもの、いろいろな面を加味した、そういった観点から出てきたんじゃないかと。大国意識とかなんとかいうことは私どもは考えていなかったように考えられます。
○海野徹君 そういう指摘は当たらないと、実際現場で見てそういう指摘は当たらないという御意見なんですね。
○副大臣(植竹繁雄君) はい。
○海野徹君 はい、わかりました。
 じゃ、次の質問入りますが、日・パキスタン投資協定に関連して御質問させていただきますが、今、パキスタンの現状、大変政権がある意味ではアフガンの影響があって非常に厳しい状況があるなと。現状、投資環境というのはどんなふうに要するに把握していらっしゃるのか。投資協定によって支払い、送金、資本移転の自由を保障することになるわけなんですが、日本からパキスタンへの資金の移動の中で、これは特に注意しなくちゃいけないなと思うのは、テロに関連する資金の移動の有無について具体的にどういうようなチェックをこれからされていかれるのか、まだ準備中なのか、その辺を含めて、大臣、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 日本からパキスタンへの経済協力の現状ということは、御存じでいらっしゃると思いますけれども、きょう私がパキスタンに伺わせていただきますのも、今まさしく委員がおっしゃったような点につきましてしっかり行って情報を得て、そして分析をしてこなければいけないということも使命の一つとしては感じておりますけれども。
 まず、投資についての現状でございますけれども、それは、日本の投資はここ数年来減少の傾向にございます。そして、パキスタンの二〇〇〇年度には九百十万ドルでございます。それから、テロ組織への対応、資金の流れのチェックと、これは本当に国際社会もチェックしていることでございますし、私どもが最大の興味、関心があるところですが、その被援助国にODAを供与する際には、その目的に従った適正な利用ということを義務づけております、ODAに関しましてですね。そして、制度上、他目的に転用されることがないということは承知はいたしておりますけれども、日本のパキスタンへの民間投資という面では、商社やメーカーなどによってビジネス上の目的のために使われていて、テロ組織に流れるような性質のものではないと考えておりますが、しかし、今現在の流動的なアフガン情勢を中心としたパキスタンを含む地域のことは、テロもありますし、もちろん麻薬の問題も、やはり外務大臣等とお目にかかるときにそういう心配もおっしゃっておられます、周辺国も。したがいまして、そこのところは本当に確実に胸襟を開いてお話もしたいし、私どもの国の立場も御説明をしてきたいというふうに考えております。
○海野徹君 具体的に体制とか、要するにシステムがあるというわけじゃなくて、今までやってきて、今後もやるであろうという流れの中で厳しく見ていくということなんですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 厳しくと申しますか、言葉が適切かどうかわかりませんけれども、正しい認識と信頼関係を築くということをも大切だというふうに思います。
○海野徹君 それじゃ、次の質問に入りますが、パキスタンの安定というのはこの地域の将来に大変大きな影響を与えると思います。
 それで、大臣行かれるわけなんですから、具体的にやっぱり支援の問題が出てくるんではないかなと。最も効果的な支援は何なのか。ある意味では、もう援助額そのものが巷間伝えられているわけなんですが、そういうものだけが先に議論されていってしまうというのは余りにも戦略性に欠けて効果的じゃないと思うんですが、いかなる支援が最も効果的とお考えになっていらっしゃるのか。
 それでもう一つ、また、当然これは人道的にも支援をしなくちゃいけないと思います。そういう場合でも、日本にとって何が国益なのかということをやっぱり考慮して行うべきじゃないかなと思いますから、その点についてもお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 大変貴重な御指摘だというふうに思います。
 やっぱり全体的な戦略の見直しが必要であるかどうかも含めて、多分情勢も変わってきていると思いますので、やっぱり冷静に分析をして、むだのないように、効率的に、透明性を持って支援ができるようにという基本的なところに寄せていかなければならないと思いますけれども、アフガニスタンの安定のためには、アフガニスタンの国民の各層、これはもう委員会でもずっとほかのときも申し上げてきております小泉内閣の基本的スタンスですけれども、国民各層の広範な支持を得て、そして世界の国からもなるほどねと思われるようなその復興が大事であるというふうに考えております。
 そして、関係国や機関と協調して、和平、復興の両面で、言ってみれば、世界から見ても、それから国内から、アフガニスタンの中から見てもバランスのよくとれている貢献ということをするということが結果的には評価をされるだろうというふうに考えております。
 そして今の、現在のパキスタンの情勢は、直近の情報ですと、安定をしているというふうには聞いておりますけれども、そうした中で、日本がパキスタンに、引き続き安定と協力が重要であるということで、それと経済支援をどういうふうなミックスでしていくかということがポイントだろうというふうに思います。
 それで、日本は従来から南アジア諸国や中央アジアに対しまして経済支援を行ってきておりますし、この間も、キルギスの外務大臣が来られたりいたしまして大変感謝もされておりますけれども、やっぱり地域全体の安定のために総合的な観点に立って経済協力を進めていくと、それがやっぱり生きた経済協力だろうというふうに思います。
 それから、御指摘の人道上の支援とか、そういうふうなことについてのお尋ねもございましたけれども、当面は難民、国内の避難民といいますか、そういう方たちに対する人道支援がもう喫緊の課題であるということは皆様もメディアを見ても、それから私たちも役所やそのほかから得る情報を分析しても、そのように感じております。
 そして、御存じのとおり、九月の下旬に、国連事務総長のドナーアラート、これ国際機関を通じてですけれども、これを踏まえまして、十月初旬には、二〇%程度、最大一・二億ドルまでの支援を行う用意がある旨を表明しておりまして、現在、緊急の対応が必要であるという、そういう緊急性のあるものから順次支援を行っているということが現在の状況でございます。
 それで、国際的な枠組みの中では、じゃどういうことが検討できるかという観点からいきますと、アフガンの復興につきましては、しかるべき段階で、そのアフガニスタンに対する日本として具体的な貢献をするということ。今すぐでなくても、長い目で見てどういうことができるかというふうなロングスパンの見方もならなければならないと思いますけれども、来年度の政府ODAの予算の中では、既に削減の方針も示されております。そして、今後ともODAの重点化、これはODAのことですけれども、それから効率化ということを考えて、遺漏なきよう、生きた貢献になるようにしていきたいと思いまして、そのためにもやっぱり実情、現状分析、それから相手の国との信頼関係、それが将来生きてくるというふうに考えます。
○海野徹君 大分、質問通告してあった先の質問にまで及んで答えていただいているわけなんですがね。南アジアのこと、中央アジアのこと、それらについても今お話をいただきました。
 今、パキスタンのことについて限定させていただいて質問したんですが、それから先のアフガンについてもお話があったわけなんですが、若干、じゃその辺ははしょって、もう答弁聞いたということで。
 ただ、アフガンに関してですよね、国連によって暫定統治や復興には一兆ドルの巨費が必要じゃないかという、そういうようなニュースも流れておりますよね。今、ODAの枠、あるいはODA一割削減、これでアフガンだけ特別枠というのは考えることがあるんですか。小泉政権、ODA一割削減というのはこれは基本政策の一つなんですが、アフガンだけはそういうような削減の対象にならない、アフガン特別枠で支援していくんだというようなお考えはおありなんですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) アフガニスタンについても重点化とか効率化ということを図っていくと、そういうことはしなければならないわけでございますけれども、アフガニスタンの復興支援に向けた国際社会の動きはまだ始まったばかりで、変化が非常に激しいということは御存じだと思いますけれども、アフガン情勢が流動的であることも踏まえながら、今後の復興と人道支援に必要な資金額について、今現在すぐに具体的にお答えすることはちょっと困難でございます。ただ、よく分析をして、そして検討していくと、遺漏なきよう対応していくということは大切だろうというふうに思います。
○海野徹君 それじゃ、ある意味ではアフガン特別枠ということも考えられ得るということですね。
○国務大臣(田中眞紀子君) そうしたことも踏まえながら、また閣内でも検討をしていかなければというふうに思います。
○海野徹君 国際社会ではやっぱり日本に対して資金援助を期待している、これは本音だと思うんですね。大変厳しい日本の経済状況の中でも、財政状況の中でもやっぱり国際社会はそうだと思うんですよ。だから、アフガンの特別枠というのは考える余地があるんではないかなと私は個人的に思いますから、言っておきます。
 それで、その次なんですけれども、これはもう少し大きな設問にさせていただきたいなと思うんですが、我々がCNNを通じた、あるいはいろんな我々の方のテレビ、メディアのクルーが行ってその送られた映像からくると、大変な空爆が行われているというような印象を持つわけなんですが、いやいや違うよと、実際は大変抑制的に空爆を行っているよという説もあるんですね。
 それはなぜかというと、やはりパキスタンのムシャラフ政権が不安定化することにつながってはならないということで、ムシャラフ大統領がアメリカへ行ったときもとにかくそのことを非常にくどいくらいに要請していると。だから、そういった意味では、米軍の空爆というのは専らパキスタンのムシャラフ大統領の要請にこたえるものであって、非常にある意味ではちゅうちょしながら抑制的に少し恐る恐るやっているというふうな指摘もあるわけなんですよ。
 だから、投降もこれは偽装投降ではないかなと。ある意味では、タリバンという旗をおろして復興後の政権に入っていくということも考えているというような説もありまして、いずれにしてもパキスタン情勢でとにかく不安定化を、ムシャラフ政権を不安定化させないようにするためには、パシュトゥン人を中心にいろいろ暫定政権というんですか、要するに今後のことが構成されていくんでしょうが、そうなるとそれを支えるのはアフガン周辺国の6プラス2というグループですよね。そういうものが現実にあるということと、それとエネルギー資源もあるということで、いろんな思惑の投資がここに絡んでくるだろうと。大国の意思も絡んでくるだろうと。
 そういう中で、日本はどのように復興後に関与していくのか。当然戦略性もあるでしょうし、財政的な問題の制約の中で日本のなすべきこともあるでしょうから、日本の関与のあり方ということを、基本的なお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 今、空爆のことでありますとかあるいは偽装投降ではないかとかいろいろなことが、意見があるということもおっしゃっておられましたけれども、日本の関与ということに絞り込んでお答えすれば、新政権をこれからアフガニスタンで樹立するためには世界じゅうが、やはり一つの国では何もできませんから、みんなで協力をしながら知恵を出し合っていくわけでございますけれども、やはり先ほども申し上げましたように、これは先ほど言ったキルギスの外務大臣とか周辺中央アジアの国々の代表の方たちも、最近特に情報がたくさん来たり、往来もあるものですから、それで先ほどもちょっと申し上げましたけれども、やっぱりアフガニスタンの国民の意思がまず尊重されるということと、それが国民の皆さんに広範に支持を得るということ、それから国際法を遵守して国際社会にもしっかりと受け入れられ、そして近隣諸国と友好関係を築く政権を樹立するように、樹立できるように努力するというのが、これがもうキーであるということは認識が変わっておりません。周辺国もアメリカも日本もそうだというふうに思います。
 それを実現するためにどうするかというと、日本は関係国ですとか国際機関と協調して、たびたび報道されておりますけれども、ブラヒミ特別代表が言っておられますけれども、彼を中心とした新政権樹立への動きというものに私どもも積極的に支援をしていくというスタンスでおります。
 そして、アフガニスタンの安定のための、じゃ経済支援はどうするかということですけれども、長年戦闘があって国土が疲弊して、人心も本当に荒れて、悲しみに暮れていると思いますので、そうした人間の皆様の心とそれから国土を復興するためにどういうふうに取り組むかということでございまして、二十日からアメリカと協力しながら復興支援に関する会合を開催しております。
 今後も、和平と復興両面でバランスのとれた、経済面も含めまして、先ほど来言っておりますけれども、トータルでバランスのとれた関与の仕方というものをしていかなければというふうに思っております。
○海野徹君 実効ある効果的な関与の仕方をぜひお願いしたいわけなんですが、ムシャラフ大統領との会談はもう完全にお決まりになったんですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 大分前から先方は二十六日ということをずっとおっしゃってくださっていまして、時間等は今現在の時点ではわかりません。きょう午後連絡いただけるか、あるいは現地に着く前か、今この時点ではわかりませんが、二十六日ということは決定いたしております。
○海野徹君 いろんな情勢も、アフガン情勢を含めてパキスタンへの支援も含めて話があると思うんですが、今ここでその会談に臨む大臣の、会談に臨んで何を訴え、何を得ようとしてこられるのか、公表できればぜひお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 日本の政府といたしましても基本計画ができ上がっておりますし、それからアフガン情勢が先ほど委員もおっしゃっているように非常に大きく変化をしてきておりますから、そうしたトータルな環境の中で日本が、簡単に平たく言えばですけれども、日本が何ができるかということをやっぱり素直に聞いて、そして意見交換をするということに尽きますけれども、先ほどの閣議でもって私のパキスタン行きが正式に了解をされまして、そしてきょうから具体的な要人等、今おっしゃったようなスケジュールについて事務的に大使館、現地とそれから在京大使館で詰めておりますけれども、やっぱりNGOの関係者とお会いするとか、UNHCRの代表の方も今海外へ行っておられて、それまでにパキスタンに戻ってこられるかどうかまだはっきりいたしませんけれども、やっぱりとにかく親しく会談をさせていただくと。
 そして、今月の十六日に政府が発表いたしました今後二年程度にわたる三億ドルの無償資金協力ということなど、日本の追加的な経済支援を直接にお伝えもして、そして国際社会と結束してテロと戦う、今までも戦ってき、これからも戦うであろうパキスタンに対する日本の協力姿勢というものを表明するということが基本にございます。
○海野徹君 わかりました。
 大変パキスタンの経済も厳しいですから、やはり日本に対する資金援助、あるいは対外債務の削減のような話まで及ぶかもしれませんから、その辺も十分心していただきたいなと思うんですが。
 パキスタンのことから、また中国とパキスタンの関係で少し御質問させていただきたいんですが、中国の動き、やはりかなり注意深く見ていく必要があるんではないかなと私は思っています。
 同時多発テロ後、アメリカとパキスタンの動きというのは非常に強くなっておりますね。インドとともに中国の反応を我々は見ていく必要があるんではないかなと、パキスタンとインドの関係、パキスタンと中国との関係がそれぞれありましたから。
 ことし、中国の朱鎔基首相がパキスタンを訪問しております。そこで、グワダル港の整備事業について支援しますよという約束をしています。これは軍港で、軍艦も停泊可能な水深があると言われております。この整備事業と歩調を合わせるように、カラチ港に拠点を築いたばかりの香港最大の財閥企業、ハチソンという企業があるんですが、それがグワダル港の権益確保にもう動き出しているというような話があります。
 対インドというような視点もありまして、中国は過去三十年間パキスタンとの友好関係を保ってきました。パキスタンの核兵器、弾道ミサイルは中国の援助協力であったと言われております。そういう中で、これから中国とパキスタンとの関係についてどのように外務省は分析していらっしゃるのか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 一九五一年に国交樹立をして以来、中国とパキスタンの関係は極めて良好で、そして、朱鎔基首相のパキスタン、最近の訪問によりましてさらに二国間の関係は強化されたというふうに承知いたしております。
 あの九月十一日の例のニューヨークで、それから引き続き起こったテロ事件ですけれども、その後もパキスタンと中国というのはハイレベルの電話会談でありますとか訪問とか援助などが続いていて、緊密な関係を維持しているというふうに外務省では分析をいたしておりまして、中国側はテロリズムへの対応についてのムシャラフ大統領の立場を高く評価するということを表明しておりまして、両国ともに中パ友好関係を維持発展させていくというふうに現在は理解をいたしております。
○海野徹君 最近、中国の首脳外交、非常にアジアを中心とした、要するにアジアを中心として、途上国の支援について非常に目覚ましいものがあるわけなんですが、最近だけでも、昨年末に江沢民総書記がラオス、カンボジア、ことしの一月に李鵬氏がインド、それで五月に李鵬委員長がカンボジア、ブルネイ、韓国、朱鎔基首相がタイ、パキスタン、ネパール、スリランカ、モルディブ、九月に李鵬委員長がベトナム、非常にこういうふうに東南アジアを集中訪問している。また、東南アジアの首脳も訪中が急増しているというようなことがあります。
 経済関係でも、カンボジアに総額約二十二億円の優遇借款を供与と、ラオスと関係強化で合意してメコン川の貨物船の運航、ベトナムの市場経済化の指南役にと、ミャンマー支援と、こういうような、非常に中国の首脳外交が、アジアを中心とした途上国支援が非常に目覚ましいものがあるわけなんですが、昨年だけでも五十八カ国に対して総額四億五千万ドルに上る援助を中国はしていると言われております。
 APECでも大変、ブッシュ大統領あるいはプーチン大統領と並んで、非常に世界に江沢民氏は打って出ているわけなんですが、それと、APECの直前にも、米中会談で江沢民主席がボーイング旅客機三十機の購入にサインした。アメリカと中国の経済協力は前途洋々であるということで、中国が、経済面でのアメリカへのアプローチは非常にすさまじいものがあるんではないかなというふうに思います。
 また、ASEANとの自由貿易協定の動きがあります。これはもうかなり衝撃的なニュースとして日本に伝わってきたわけなんですが、こういう経済面で既に途上国の域を出ていて、しかも経済援助を行う必要性はなくなってきている、こういうような中国に対して、今後ODA、どのようなスタンスで行かれるのか、その点について基本的なお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) この夏にハノイでARFの国際会議がございまして、中国からも唐家センさんが来られましたし、ASEANの国々の外相が来られたんですけれども、私もそこでベトナム政府の要人、それからミャンマーですとかそのほかもそうですけれども、遠く日本で、私なんか外務大臣になる前に認識していた以上に非常に濃い関係、もちろん歴史的にも地政学上も近いわけですけれども、そういうミャンマーにいたしましてもベトナムにしましても、中国とは非常に長く強いつながりがあるということを、首脳間の発言でありますとか、しょっちゅう頻繁に行き来なさっている、電話会談もあるし、実際に顔を合わせておられると思うんですけれども、これは私は再認識をいたしました。自分の前の認識が、一般情報で一議員として持っているときよりも、外務省でも情報は聞いておりましたが、自分でやっぱり行ってその状況を見まして、委員が御指摘のような状態であるということも本当に肌で感じました。
 そして、ODA等の問題、それから中国の軍事費の問題等を考えまして、トータルで考えまして、やはりこのあり方について、日本が国内の今経済状態も極めて悪うございますし、日本の状態、かつてのころとやはり違ってきています、お互いが。したがいまして、日本国内のさまざまな意見や厳しい経済情勢、そうしたものを踏まえて、中国における開発課題の変化、これはもう沿岸部、特に、内陸部は貧しいこと十二分にわかりますが、大変目覚ましいし、オリンピックもなさる、WTOにも入った、いろいろな国際会議もできるという状態も勘案いたしますと、今までは前の状態の中国に対しての経済協力計画というものを策定してきておりますけれども、今後は従来の支援額を所与のものとすることではなく、むしろ所与のものとせずと申し上げたいと思いますけれども、重点分野ですとか課題ですとか、言ってみれば教育とか環境とかいろいろあると思いますけれども、そういうものを中心にして個別的、具体的に案件を審査の上に慎重に実施していくという、いわゆる積み上げ、案件の積み上げ方式というんでしょうけれども、それに基づいて供与をしていくということが私は必要であろうということを感じています。
 国の政策もそうでございますし、冒頭、ちょっと長くなりましたけれども、この間のARF、ハノイに行ったときに、本当に日本で、国内で見たり聞いたりしているのと実態が本当に違って、やっぱり日本も自分が苦しいわけですから、私そういう発言は随時国際会議等でもしておりますけれども、さらにそういう思いを深くいたしております。それを政策面で反映しなければならないと思っています。
○海野徹君 基本的に大臣と考えは私同じなんですが、ことしの十月に対中経済協力の見直し、これは骨子、私見て今お話しさせていただいているんですが、こういうような今大臣がおっしゃったことが前提になってこの見直しが出てきたんだろうなと思います。
 重点分野についてもというようなお話がありましたけれども、重点分野について、あるいは中国側に、要するにある意味では今後継続して何らかの形で支援したとしても、ODAの関連の施策を実行したとしても、適正な負担を求めるということもあり得るんですか、重点分野に限っては。
○国務大臣(田中眞紀子君) 中国に対する経済協力でございますけれども、中国のこういう目覚ましい経済発展、内陸部が貧しいということはわかりますが、しかし、従前に比べて本当に目覚ましい発展をしていることはもう世界じゅうがわかっておりますから、中国みずからが実施できることはみずから実施するということをしてもらう、こうした考えに沿って私たちもやっていかなきゃいけませんし、日本の経済状況が厳しいということ、それから、重点化をしていくけれども中国ができることはもうテークオフしていただきたいということは、私は唐家セン外務大臣等、中国の関係の方とお会いするときには必ず申し上げてきております。
○海野徹君 ODAというのは戦後賠償だというような、そういう論拠があるんですけれども、ODAに対する日中の認識の違い、やはりあるかと思うんですよね。
○国務大臣(田中眞紀子君) まあそういう意味では。
○海野徹君 ええ。その辺の違いを埋める作業を今までやってこられたと思いますし、今後もやらなくちゃいけないと思いますが、具体的にそういう作業というのはやっていかれるんですか、やっていらっしゃるんですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 今まで日本のODAが戦後賠償というニュアンスであったかどうかということはわかりませんけれども、日本が援助を中国国民に広く、日本の援助が中国の一般の国民の方に広く知られているということは日中間の相互理解を深める上では重要でありますけれども、そしてまた日本が、日本国民の皆様の理解と支持を得て中国へのODAを実施する上でもこれは不可欠なことでございます。
 日本は、これまでの中国側にも広報の強化に向けた努力を促してきております。そして、ベトナムでARFのときに私が感動したことは、日本からのODAというテレビ番組があって、それが一時間番組で国民向けにやっているということを山崎駐ベトナム日本大使から聞きましたし、大変喜ばれておりますので、中国もそうした広報活動をしてくださるようにさらに求めていかなければというふうに思っています。
○海野徹君 若干、大臣と私どもとは事実誤認の問題があります。やはりODAに対する日中の認識の差というのは、ちょっと違うなと思っているわけなんですが、きょうは、その議論はまた別の機会に譲るということで、もう少し中国の関係で御質問をさせていただきたいなと思いますが、今度、米中関係に入りたいと思います。
 ことしの十月二十五日、ローマ法王が謝罪をしております。植民地時代にカトリック教徒が中国で犯した過ちを明確に認めると。中国とバチカンとの和解と外交関係正常化をローマ法王は訴えております。それによって、中国とバチカンが融和モードに入ったと。ただ、中国側は、要求する国交回復の条件としては、台湾との断交、中国内政の不干渉確認、こういうことが中国側が要求する国交回復の条件だと。しかしながら、だからまだまだこれは難航はするんでしょうが、謝罪だけで終わって融和モードに入っても、それが完全にそういう状況へ行くということはないかもしれませんが、こういうことはキリスト教国に与える影響は非常に大きいんじゃないかと。これは、仲介したのがアメリカだと言われています。
 こういうことをちょっと念頭に置いていただきながら、もう一つ、これは大事なことなのか、我々に入ってきた情報だと、テロが起きる直前に、アメリカがミサイル防衛への賛成と引きかえに中国の核軍拡を黙認する意向であるというような報道がなされております。
 それはいろんな解釈の仕方なのかもしれませんが、これによって中国が賛成に回るということはないと思いますけれども、その辺の報道の真偽のほどは、どういうふうに分析されているのかされていないのか、あるいはこういった面でも、核の面でも大国になっていく潜在性のある中国に対して日本はこれからどういうふうに取り組んでいったらいいんだろうか、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) これは、この秋のニューヨーク・タイムズの記事を念頭に置いておっしゃっているのでしょうか、と思いますけれども、米中双方とも、その報道自体は明確に結果として否定をしているということをまず事実として御認識いただいた方がいいというふうに思います。
 それから、お互いが良好な関係を持っていくということが表に出ておりますし、事実そういう努力もしているというふうに思いますけれども、アメリカがミサイル防衛構想への中国の反発を和らげるために中国の小規模な、例えば核戦力の増強を黙認するなどの方針を固めたというふうなことについては米中双方とも事実はないと、繰り返しますけれども、それは明確に表明をしております。
 それから、いずれにしても良好なアメリカと中国の関係ということは、私たちの、このアジア太平洋地域全体の平和と安定にとっても極めて重要でございますから、引き続き米中間でも幅広く友好的な話し合いを続けていただいて、良好に進展していくということを私どもとしては期待をするという立場にございます。
○海野徹君 中国の核に対する大臣のお考えをお伺いしたわけなんですけれども。
○国務大臣(田中眞紀子君) 核に対する脅威は、日本は世界唯一の被爆国でもありますし、いずれの国でありましても私はCTBTの批准というものは求めていきたいと思いますし、着任後もそうした発言を公の場でも海外でもいたしておりますので、相手がどこの国であろうとやはりそれは基本的に考えは変わっておりません。
○海野徹君 それでは、米中安全保障再検討委員会というのが、これが二〇〇一年、ことしの四月十日に設立されています。
 これは、大臣御案内だと思うんですが、米中経済貿易関係がアメリカの国家安全保障にとってマイナスの影響をもたらし得るということが想定されることを想定して、軍事転用技術や大量殺りく兵器拡散につながるような技術の対中流出を規制、あるいは中国が国際資本市場から便益を得ることを制限する、こういうような目的で米中安全保障再検討委員会というのが設立されているわけなんですが、中国にとってもアメリカにとっても、非常に二国間というのは大変重要な関係に今来ている。いろんなもろもろの、先ほどからの質問でも、ちょうちょうはっしのやりとりをしているわけなんですよね。
 そういう中で、二国間関係として米中が、ある意味では対立したり、ある意味では仲介したり、ある意味では共闘したりということをやっているわけなんですが、その中で日本が埋没しないようにするためにはどういうような日本はスタンスでいたらよろしいんでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 私もまさしくそこのところは外務大臣としてポイントだというふうに思っておりまして、米中が、先ほど来申しましたように、協調してくれること、平和的に共存すること、これはこの地域も日本も世界のためにもよろしいことでありますから、そういう方向に行くように日本の対中、対米もならなければいけない。
 しかし、そのことによって、中国の、先ほど来おっしゃっている、経済発展もありますし、そのほかの、他国との関係を見ておりまして、まさしく日本が埋没というか置いてけぼりといいますかアウトサイダーになってはいけないと。そのところはもう外交の、本当に細かい面からよく見て、人間関係をよくつくって、信頼関係をつくって、日本も適宜適切にメッセージの発信をしていく、その中に組み込んでいくと、もちろんみずから。
 今までと大分違った関係になっていくと私も思っていますから、米中が、世界じゅうがそれを関心を持っています。ですから、日本が、おっしゃる言葉を引用させていただければ、埋没しないようにというふうに思っております。
○海野徹君 それでは、中国のテロに対する取り組みで若干懸念があるところがあるわけなんですが、APECで江沢民主席は、テロ活動はいかなる形態、発現形式をとろうと、どこでいつだれによって引き起こされたものであろうとも、あらゆる人々にとって、また思想、信条を超えてすべての国民にとっての大きな脅威であると声明を出しているんですが、これはウイグル自治区の独立派をテロとみなす政治的意図があるんではないかなというふうに理解されてくるわけなんです。
 なぜそんなことを思うかというと、人民日報でほとんどこのテロの記事が出てこないんですね、一面に。こうした点から読み取れることというのは、大臣、どういうことなんでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 毎日、人民日報の一面を私は見ているわけでもないんですが、委員のおっしゃっていることを踏まえますと、中国が新疆ウイグル自治区における独立運動を国際テロの一部とみなして、中国だけではなくて周辺地域全体の平和にとって脅威であるというふうに表明していることについては、そのことは聞いて承知はいたしておりますけれども、これは中国の国内問題でございますので、私の立場で正面からお答えすることは差し控えさせていただいた方がいいというふうに思います。
○海野徹君 いろんな国は国家の意思としていろんな表現をしてきます。それをやっぱりいろんな角度から分析する必要があるのではないかなと。国内問題であろうと、それが必ず我々の方へ出てくるわけですから、十分に精査して分析をするというその作業は、発言するか行動をとるかは別として、用意はしておいていただきたいなと思うんですよね。
 こういう意味で、表現が適切かどうかわかりませんが、いろんな意味で強大化する中国に対してやはり日本はどうやってこれからいったらいいのかなと。大変悩ましいところなんですが、というのは、中国の東アジアでの存在感がどんどんどんどん大きくなる中で、日本がその地域でどうやってリーダーシップをとっていくか、非常にこれは、リーダーシップを本当に発揮できるんだろうかというような危惧の念を私は持つんですが、今までずっと中国のことをお話をさせていただいた、米中の関係もお話をさせていただいた中で、果たして東アジアで日本のリーダーシップというのは発揮し得るんだろうか、その点について大臣はどんなお考えを持っていらっしゃいますか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 大変、海野先生、よく分析なさっていてくださって、私はそういう議員がおられることを大変ありがたいと思いますし、アドバイスも今後適切に、適宜適切にこうした場以外でもアドバイスいただきたいと思いますが、私もそうした問題意識を持っております。
 と申しますのは、この間のタイのタクシン首相でございますとか、お見えになったとき、それを、そうした国、あるいは、特定の国名挙げませんが、ASEANの会議でありますとかARFですとかASEMとか、そういうアジア全体の会議の中に行って個別にそしてマルチでお話をしている中で、やはり中国の、経済もそうですし、政治的な影響力、それはまあ地政学上のものがありますけれども、やっぱりかつての日中国交をやったころなんかと全然もちろん違うと。すごい速さで、すごい強さで、その回転が速いですね、広がり方が。強いですよ、やっぱり、つながりがかたいですね。
 ですから、日本が世界第二の経済大国であるとか、それから今経済は疲弊しているというふうな、少し経済が落ち込んできていると、残念ながら、そうした状況も、今の短期的なものでありますけれども、今後の日本がまた経済的に力を持ったとき、もう先を見て、要するに政治的に日本がこれらの国と個別におつき合いするためのバイの見直し、マルチでトータルの戦略、それからアジア全体と、それからEUの関係とか、そこだけ見ているわけにいきませんので、アメリカとの関係、あるいはオセアニアとか南米、アフリカもありますけれども、そういう全体の中で、トータルで、やっぱり俯瞰図的に見て、優先順位を持って日本がやっていく、カードを切っていくという外交をしなければならないという思いが非常に私は強く持っています。
 いい質問をしていただきまして、ありがとうございます。
○海野徹君 中国の経済連携にASEANというのは傾斜していって、その姿勢は、その流れはとまらないとこれは思います。東アジア地域経済圏づくりというような流れはもう定着するんだろうなと。東アジア経済圏づくり、東南アジアと、ASEANと中国の連携でですね、その可能性というのは極めて大きいなと思います。
 この変化の流れの中で、日本が今後アジアにどういう貢献策、経済外交をやっていくかというのは、を構築するかというのは大変重要な課題だと思うんです。その点については、やはり大臣先頭を切っていただいて、十分大いなる関心を寄せていただいてこれから取り組んでいただきたいなと思います。
 これで中国の質問は終わりますが、次に北朝鮮の関連で入りたいと思います。
 北朝鮮、非常に我々にとって悩ましい国であります。それぞれ、中国、ロシアにとっては朝鮮半島への影響力とミサイル防衛構想への対抗ということで北朝鮮を位置づけているだろうし、北朝鮮にとっては中国とロシアという後ろ盾を確保することで米朝交渉のための足場固めをやっているんじゃないかと。
 そういった意味での中国、ロシアの思惑と北朝鮮の思惑にはずれがあるかなという思いがあるわけなんですが、テロの発生後、中国、ロシアはアメリカ寄りの声明を出しました。行動もとっています。一方で北朝鮮は、テロへの対応についても、国連総会でアメリカによるアフガン攻撃を批判しているわけなんです。これは、みずからがテロ支援国家であり、過去の北朝鮮自身のテロの責任との関係で対応したのではないかなという指摘があるわけなんです。
 こういう指摘について、大臣としてはどんな御見解をお持ちなんでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 委員のお言葉をかりますと、北朝鮮は悩ましい存在であるとおっしゃいましたけれども、悩ましい存在でなくするために私どもがどのような外交努力をするかということが外交の主眼だと私は思っているわけでして、もう委員おっしゃるとおり、あらゆる形態のテロ及び、北朝鮮がですね、テロに対するあらゆる支援に反対するという旨の表明を、多発テロ発生翌日の九月十二日以降そういうことを表明してきておりまして、今月の三日には、国連で採択されたテロ資金供与防止条約、人質行為の防止条約への加盟の意向も表明してきているわけですね。テロへの資金供与防止、人質行為防止ということに加盟をするということ。
 それから、こうした対応ぶりについては、事件発生から二カ月余りしかたっておりませんから、今現在は評価をするということは差し控えた方が賢明かというふうに思っておりますけれども、しかし、日本としては、テロを許さない国際環境形成のための外交努力やテロ根絶のためにあらゆる努力を尽くしてまいりますし、北朝鮮に対しましても、国際的な懸念に対して建設的な対応をとってくれるよう、日朝会談等で、あるいは日本とアメリカ、日本と韓国との会談等も通じまして呼びかけていくということでございます。
 すなわち、悩ましい存在が近くにいないように、そしてやっぱり北朝鮮の皆さんも幸せに暮らせるように努力は私たちも国際社会の枠組みの中でしていかなければならないというふうに思っております。
○海野徹君 いろんな多岐にわたった質問をさせていただいているものですから、次に移るわけなんですが、米朝関係の中で、アメリカが先月、北朝鮮人権委員会というのを設立しました。北朝鮮人権委員会、アメリカの国内で。これが十二月に開催、第一回会合では北朝鮮の生物・化学兵器の現況というのがテーマになるそうであります。北朝鮮がイスラム過激派のテロリストとどのように連携しているかというのが報告される予定だと言われております。
 ブッシュ大統領も大変これについて、ブッシュ大統領の言葉をそのまま言いますと、北朝鮮はアメリカがアフガニスタンの作戦重視しているからといって朝鮮半島に関して関心を払わないという誤解をしないようにというような声明を出しています。核やミサイル、化学兵器など大量破壊兵器の拡散に、より強硬な姿勢をとることが確実視されておりますし、北朝鮮を含む生物・化学兵器生産国家に対してかなり精密な追跡を行っているということが言われております。
 いろんな報道を見ますと、イスラム原理主義組織は北朝鮮から炭疽菌のサンプルを手に入れたとか、北朝鮮は化学兵器訓練をビンラディンとタリバンに施したとか、タリバンのキャンプで化学兵器訓練を施す北朝鮮人を見たことがあるというような、いろんな雑誌とかレポートに出ております。
 そういうことで、その辺の真偽のほどはやっぱりきちっと情報として把握していかなくちゃいけないと思うんですが、北朝鮮の生物・化学兵器がもしこういうような指摘のあるような実態とすると、北東アジアに大変な緊張をもたらすのではないかなと思います。
 外務省あるいは防衛庁は、この辺の情報の分析とそれに対する対応というのは両省としてはどうされているんでしょうか。全く今その辺については情報も持っていないし、対応も考えていないということなんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 北朝鮮の軍事情勢につきましては、非常に閉鎖的な体制であるし、極秘裏に行っておりますので確たることは申し上げられませんけれども、化学兵器については、化学剤を生産し得る複数の施設を保有しておりまして、既に相当量の化学剤等を保有しているというふうに見られております。生物兵器についても一定の生産基盤を保有していると見られておりまして、これは、米国の国防省の調査報告並びに二〇〇〇年の韓国の国防白書にも具体的な数値も含めて推定をされた記述等もございます。
 このような実態につきましては、非常に朝鮮半島の軍事緊張を高めておりまして、日本を含む東アジア全域の安全保障にとっても重大な不安定要因になっているというふうに認識をしておりまして、今後とも注視をしてまいりたいというふうに思っております。
○海野徹君 外務大臣、外務省はどうなんですか、外務省の対応は。
○国務大臣(田中眞紀子君) 情報は細かくいろいろございますけれども、トータルでやはり情勢を注視していくということでございます。
○海野徹君 本当にきちっと注視してくださいね。よろしくお願いします。
 次に、これは北朝鮮への送金の問題でお話をさせていただきたいんですが、これはもう六年、七年前になるんですか、一九九四年、北朝鮮による核兵器開発疑惑への対応として、当時の大蔵省が北朝鮮への送金停止措置を検討したことがあります。年間六百億円と言われるような送金、しかしながら正式ルートはわずか一割でしかないということで、アメリカの財務省からも実効性ある措置をしなさいと言いながら、実際はそれができませんという回答を当時したらしくて、アメリカの世論というのは、非常に日本は対北朝鮮制裁に消極的だということで、日米関係にやや亀裂が入ったというような報告がされております。
 九月二十五日に小泉首相がブッシュ大統領に会ったときも、最初に口に出したのがテロ資金の遮断をしてほしいというようなことが伝わっているわけなんですが、今、朝銀の方が、検査忌避容疑事件が起こっております。破綻朝銀に派遣された金融整理管財人なんかによりますと、旧経営陣に損害賠償を求める訴訟を各地で起こしている、刑事、民事、両面での要するに責任追及がこれから朝銀について本格化するだろうというようなことが言われているわけなんです。預金者保護のために公的資金が一兆円投入されるんじゃないかというふうな話もあるんですが、極めてこれは政治的に重い課題かなと思っているんですが、この点について外務大臣はどのような見解をお持ちなんでしょうか。
○国務大臣(田中眞紀子君) これは、財務委員会といいますか旧大蔵委員会というか、そちらでも大きなテーマになっているというふうに思いますし、財務大臣の頭痛の種の一つであろうというふうに私は推測をいたしておりますけれども、今、朝銀に対する資金の流れでありますとかあるいは送金の問題、いろいろお聞きになりましたのでちょっとまとめて、質問にすっぽりとはまるかどうかわかりませんが、基本的なことを申し上げさせていただきたいと思いますけれども。
 外為法の改正が一九九九年ですか、成立しなかったという経緯は御存じだというふうに思いますけれども、そうして、その後ずっと議論はいろいろと行われてきているというふうに私も承知いたしております。そして、一般論として申し上げるという言い方はちょっとよくないかと存じますけれども、日本の安全保障の観点から考えますと、いろんな規制を行うという考え方につきましては、それは検討に値するというふうに思いますけれども、外為法の目的でありますとか関連の規定とか、そうしたものとの整合性というものをやっぱり考えて十分にいろいろ検討しなければなりませんが、余り今、日本が立ち入ったことをコメントする立場にはないのではないかというふうに思います。
 それから、朝銀に対する資金ということですけれども、いろいろ言われておりますけれども、テロとの関係でいきますと、テロと戦うためにテロ防止、犯人処罰のための国際的な法的枠組みが必要であるということはもう基本でございまして、資金源の対策は最も重要な課題で、二つ考えられると思うんですけれども、一つは、政府としては先月の三十日にテロ資金供与の防止条約の締結に署名もいたしました。そして、来年の通常国会で承認を求めるべく作業を一層加速化しておりますし、また二つ目といたしましては、安保理決議の着実な履行、そうしたことを通じて国際社会に、取り組みに引き続き私たちは積極的に参画しているわけでございますけれども、この二国間及び多国間の適正な、適当な機会をとらえて、世界の他の国に対しましてもこの条約の締結というものを呼びかけていきたいと思いますので、朝銀に対する資金の援助もそうしたトータルの中で考えていかなければならないというふうに思っておりますけれども、これはなかなか今立ち入って、私の、今外務大臣としてすぐコメントするということはなかなか難しいというふうに思っております。もちろん、注視もしておりますし、情報も入ってきておりますけれども、デリケートだというふうに申し上げたいと思います。
○海野徹君 隣国と仲よくするというのは、これはもう基本的に当たり前のことですから、いろんな過去の経緯はあったとしても仲よく、今後、将来仲よくしていきたいなと思うんですけれども、こういうような非常に重要な問題というのは直接の所管官庁じゃなくてもやはり政治的に注視する必要があるなと私は思っていますから、その点はよろしくお願いしたいと思います。
 米の支援なんですが、また二十万トン、要するに支援の要請が来ているという話です。ある意味では年中行事化しているわけなんですね。実態としてこれが要するに正常化、あるいは我々の主権侵害で本当に困った問題である拉致の解決に何か役に立っているのかというと、非常に疑問なんですね。
 この間、フォラーツェンというお医者さんが書いた本をずっと読ませてもらいました。ただ、やっぱり届いていないというんですよね、本当に困った人たちに、米が。そういうことを考えたり、あるいは平成七年に行った有償支援に対して、その利息をもう数十回外務省としては多分払ってくれというような要請を出しても何の音さたもないような相手国ですから、どうなんだろう、これは幾ら人道といえども、人道的でない国家に対しては、人道主義でしたからといって何らかの外交的な成果が得られるんだろうかと思うんですが、今後、米支援の要請について、外務大臣、どういうようなお考えをお持ちですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 私も、北朝鮮のこの米支援は、もちろん安全保障上の脅威が、テポドンの発射があったり拉致があったりする中で、隣国でもありますし、悩ましい存在でなくするための努力、それと米、日本は余剰米があってどうするかということについて私も農林水産委員会でかつて質問させていただいたこともありますし、人道上の援助というものが世界じゅうで求められているということもわかっておりますが、じゃ、これ、感謝の表明があったのかと、政府からです。今委員がおっしゃっている、末端に行っていないらしいということを、何という本ですか、本をもとにしておっしゃっていますけれども、北朝鮮側から感謝の表明があるんですよね、政府からは。
 そして、例えば平成七年に行った延べ払いの契約による三十五万トンの米支援につきましては、食糧庁の情報によりますと、北朝鮮が支払うべき利息が一部未払いとなっているということでして、例えばこれは金銭的な、食糧庁の話ですけれども、食糧庁は北朝鮮側に対しまして月に一回督促状を送付していると。外務省も日朝国交正常化の交渉をやっておりますから、その場で提起をしてきていますと。機会をとらえて未払いについての支払いはしている。で、米については北朝鮮から感謝の表明があったということですので、何かやっぱり私たちが普通に考えている、ワールドスタンダードといいますか、それとちょっとそぐわないところがありますよね。
 やっぱりこれは、言うとまた委員、御不満かもしれないけど、やっぱり粘り強くトータルで、国内も縦割りではなく、それから国際社会からもあらゆる情報を得て、協力をしながら、ほかにももちろん人道支援を必要としているところもたくさんあるわけですし、米支援、食糧でもですね。北朝鮮の実態をやっぱり長いプロセスの中で見ていくということではないかというふうに思いますけれども、種々の要件を、要素を総合的に勘案してやっていくという言い方をさせていただきます。
○海野徹君 非常に苦しい御答弁をされているなと。
 北朝鮮も国際社会の責任のある一員としての外交あるいは最低限の信頼関係が必要であると思います、北朝鮮自身が。それが築けていない今、米支援に何の意味があるのかなという思いはずっとするわけなんですよ、私。備蓄米解消の手段として慣例となっているような米支援というのは、もうある意味では見直すべきだと私は思っています。人道を全く解さない国に人道支援するということも非常に説得力に欠けるんじゃないかなと、そんなことを思いますから、この辺についてもきちっと対応していただきたいなというふうに思います。これは私の個人的見解としてお聞きください。
 二十六、二十七と、対北朝鮮の日米韓三国の高官協議が行われる、サンフランシスコで開かれるということなんですが、このこと。日朝関係あるいは米朝関係あるいは南北関係、非常にいろんな意味で亀裂が生じている中で、一体日本はどういう姿勢でこの二十六、二十七日に取り組む、要するに参加されるのか、その辺についてお聞かせください。
○国務大臣(田中眞紀子君) ちょっとお待ちくださいませ。
 余り細かいことはコメントができませんで、その会議の中身について、しっかりやっぱり参画をしながら、情報を収集しながら、日本の、最近の日朝関係などの現状を踏まえて今後の見通しについても意見をもちろん言っていくということは当然でございますし、テロ発生後の米朝関係でありますとか、それから南北の閣僚級の会談を含む南北対話の促進でございますとか、そういうことについて、これはふだんTCOGという言い方をしておりますのですけれども、そういうところにおいて、十一月二十七日に行われますサンフランシスコ、今委員がおっしゃったことですけれども、これは米中韓でやっぱりよく連携をしていくということになるんだろうというふうに思いますし、日本も今後の見通しを立てる上において十二分に意見の交換をしていきたいというふうに思います。
○海野徹君 では、今具体的な中身にまでということなんですが、それが終わってからはいろいろ具体的なことをお聞かせいただける機会はあるんですね。
○国務大臣(田中眞紀子君) また、分析をいたしまして、御報告できることはさせていただきたく思います。
○海野徹君 それでは、防衛庁長官、御質問させていただきたいのは、基本計画について我々いろんな説明を今受けております。新聞報道でもいろんな情報、あるいは専門家からも要するに分析したりしている情報を得ているわけなんですが、なぜ撤収の時期についての明示がないんでしょうかね。派遣期間は設けてある、設けてありますね、派遣期間がいつまでと。撤収の時期についての明示がない。
 これはテロ特措法でも二年という期限がついているんですが、日本が主体的に判断して、どのタイミングで撤収するかという判断基準が非常に不鮮明じゃないかなという印象を私は持っております。だから、撤収に関する文言を入れた方が、私は基本計画にあるべきだろうな、入れた方がいいんだろうなという思いがするんですが、その辺、防衛庁長官、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 事態がどう展開するか、現時点においてはまだわからないわけでありますが、しかし、ある程度の期限を区切るという必要性は感じておりまして、基本計画においては二年、また実施要項については三月の三十一日というふうに区切っておりますが、ある程度まとまった期間に継続的に米軍の行動に対する協力支援を行うことが必要であるという観点で判断をいたしました。
 じゃ、一体いつ終わるのかということを考えてみますと、対応措置というのは九月十一日のテロ攻撃への対応にその目的が限定をされておりまして、対応措置を実施する必要がないと認められた場合には速やかに廃止をするわけでありますし、またそのようなときには対応措置も終了するということになります。
 具体的にどのような状態がこれに当たるのかということは現段階で一義的にお答えすることは困難でございまして、この事態の推移をよく見て、このテロの攻撃への対応が終了した時点で我が国の対応も終わりたいというふうに思っております。
○海野徹君 やはり私は、原則として派遣計画、計画というのはやっぱり出す、そして要するに、じゃ、こういう事態になったら撤収というのはやっぱりこれは当たり前のものだと思うんですが、その辺について私の方で、もう時間ありませんから重ねて御要望させていただいて、通告してありました質問が一つあったんですが、それは時間がありませんものですから、これで質問を終わらせたいと思います。
○佐藤道夫君 前回に引き続きまして、指輪の件について外務大臣にお尋ねしたい。何だまた指輪かといいますけれども、そう物事は簡単ではない。
 前回、指輪を秘書官に買いにやったことがあるのかと、こう尋ねましたら、この委員会で取り上げるにはふさわしくないから答えないと、こういうことで、委員長から厳重に注意をされて発言を撤回して謝罪されたと。しかし、その後もやっぱり同じ問題につきまして、何しろいろんな問題がある、話せば長いことだと、そういう答えにもならぬことを言っておっしゃって、率直に言うと答弁を拒否されておる。もういいかげんにして結論をはっきりさせたいと思います。私も嫌になりますし、委員会でも予算委員会を含むとこれでもう何回も取り上げられて、そのたびに同じような問題に終始している。
 そこで、外務大臣、いかがなんでしょうか。十一月一日ですか、イラン外相と会談したあの日に上月という秘書官、もちろん公設秘書であり、公設秘書というのは国家公務員である秘書でありますけれども、これに指輪を買いにやらせたことはあるのかないのか、明確に結論だけお聞かせください。
○国務大臣(田中眞紀子君) あの日はハラジ外務大臣との食事会がたしか七時に設定されていまして、三時から六時半まで委員会が続いておりました。六時半から七時まで移動やそのほか、条約が通ったからごあいさつ等で時間が非常に立て込んでいましたけれども、結果としてイランの外務大臣に、ハラジ外務大臣に御迷惑をかけたとすれば大変心から遺憾に思います。
 部内の一々のやりとりではございますので、申し上げることは差し控えさせていただきます。
○佐藤道夫君 簡潔にお願いします。あれ、どうしたんですか、結論は。行ったんですか。指輪を買いに行かせたことがあるのかないのか、これだけを聞いているんですよ。イラン外相がどうしたこうしたなんということはだれも聞いてませんよ。どうなんですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 部内での一々のやりとりでございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたく存じます。
○佐藤道夫君 こんな、この前も申し上げましたけれども、極めてプライバシーだから言えないとか国家機密にかかわるから言えないということならば関係議員も理解するでありましょうけれども、部内のことですから申し上げるわけにはいきません、そんなことが通ると思っているんですか、国会で。そういうことを決めるのは国会で、あなたじゃありませんからね。外務大臣なんというのはそんな偉い立場じゃありませんよ。聞かれたことをはっきりこの場で答えなさい。買いに行かせたことがあるんですか、ないんですか、それだけをまず聞いているわけですよ。
○国務大臣(田中眞紀子君) 毎回同じお答えでまことに申しわけございませんけれども、部内での一々のやりとりにつきましては申し上げることは差し控えさせていただきます。
○佐藤道夫君 何か国会を軽視するというんじゃなくて、もう国会を完全に無視してますよ、この大臣は。何でこんなことをきちっと答えられないんですか。それだけのことでございましょう。役所の中にいる限りはもう大臣のすべてが公務ですから、何をやったのかということを今聞かれておって、こういうことをやったのかと。内部のことですから言えません。初めてですよ、こんなこと私。いろんな大臣も接触していますし、いろんな話もまた同僚議員から聞いておりますけれども、こんなことについて答えないと言ったのはあなた初めてですよ。おかしいと思いませんか、自分でも。
 というわけで、ちょっとこれ以上質問継続できません。委員長から厳重に注意していただきたいと思いますけれども。
○委員長(武見敬三君) 速記をとめてください。
   〔午前十時十九分速記中止〕
   〔午前十一時二十二分速記開始〕
○委員長(武見敬三君) 速記を起こしてください。
 先ほどの佐藤道夫君の質問に関して、外務大臣みずから御指摘になられたとおり、イランの外務大臣との会見におくれるなど実際の外交活動に支障があったにもかかわらず、その原因についてきちんとした理由をお述べにならないことで実際に審議が、重要な国会における審議が一時中断するというのは、これはやっぱり甚だしく遺憾なことでございます。したがいまして、このようなことがないように御答弁を強く求めるものであります。
 それでは、田中外務大臣、御答弁をお願いします。
○国務大臣(田中眞紀子君) 審議中断になりまして、委員長ほか理事の皆様、先生方に御迷惑をおかけいたしましたことに対しまして、心からおわびを申し上げます。
 それで、佐藤道夫民主党の委員にお返事を申し上げます。
 結果としてイランの外務大臣ハラジさんに御迷惑をおかけしたとすれば遺憾に存じます。そして、部内の一々のやりとりを申し上げることは、個人の事柄にもかかわるので答弁は差し控えさせていただきたくお願い申し上げます。
○佐藤道夫君 よろしいですか。まあ、そろそろ矛をおさめるときかという感じもしないわけじゃない。ただ、今御答弁の中で、何か個人の何とかにも、にもかかわると。すると、本当は何かに、また別なことにかかわっているがさらにプライバシーにもかかわるからと、そんな言い方ですか。にもという言葉に、日本語に私ちょっとひっかかったものですから。何ですか、そのにもというのは。
○国務大臣(田中眞紀子君) 特段、普通の日本語として使わせていただきました。
○佐藤道夫君 日本語のテストをしているわけじゃないんですけれども、何とかにもかかわるからと言ったら、やっぱり本来かかわるやつがあって、そのほかにもさらに私的な問題にもかかわるからと、日本語はそうやって使うんでしょう。それぐらいのこと知らないんですか、あなたは。もう少しはっきりと、こういう理由だから言えませんと、言いなさい、おっしゃいなさい。
○国務大臣(田中眞紀子君) 言葉が不勉強でまことに申しわけございません。
○佐藤道夫君 こういうことを国会あるいは当委員会の先例に絶対してはならないと。プライバシーに触れられることはもう仕方がないんです、公的立場にある人が、特に大臣、総理大臣などは。大臣室で何をやっても構わぬ、これはプライバシーだと、そんなことは通らないわけでしょう。よく大臣について私的な行為を取り上げて追及することがあるし、一般の公務員だってやっぱり追及されて、それをきちっと答える。国民はそれを聞いて、ああ、これならもう一回やらせてもいいとか、いや、ここまで私生活が乱れている者はもう大臣にはしておけないと、それは国民が最後に決めるわけですからね。こんなものはプライバシーだからどうでもいいじゃないかという感じがあなたから読み取れるわけですよ。大臣室で、しかも公設の、公設という言い方はおかしい、国家公務員である秘書を勤務時間中にプライベートに使ったということについて何の反省もないんですか。おかしいですよ、大変に。私設秘書じゃあるまいし。
 それからもう一つ、ついでですから言っておきますけれども、私設秘書が何かあなたの場合大臣室に入り込んでいろんなことをやっているんだそうですね、新聞等によれば。私設秘書というのは国家公務員法の適用はありませんから秘密を漏らしたって構わないわけです、それを取り締まることもできないわけですよ。こんなことも、あなた聞いたことありませんよ。本当に、率直に言うと大臣の資質なしと、私はそういうふうに判定していいと思いますよ。良識のある国民は皆そう思っているんじゃないでしょうか。こんなものは、なに、プライバシーだから言わなくていいよと、これからもどんどんやろうというおつもりですか、こういうことを。勤務時間中に秘書をして、国家公務員である秘書をして指輪を買ってこいと。これはプライバシーだから何も経過は言えないと。日本の大臣なんですか、本当にあなた。おかしいと思いませんか。反省は全然していないんですよ、しかも。これからもどんどんやるつもりなんでしょう、きっと。
 日本は民主主義国家ですから、きちっと下の者と話し合って、下の者も下の者で、勤務時間中ですから、大臣、こんなものは買いに行けませんときちっとお断りすべきなんですよ。外務省ということもこれ役所の形を整えていないんじゃないかという気もしてきますよ。
 ということで、そろそろ時間でありますので、最後に大臣の御決意なるものを承って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 御指摘の政務秘書のことがございましたけれども、これは十一月一日に内閣に対しまして所要の申請を行いまして、外務大臣の政務秘書として発令を受けておりますということを御報告申し上げます。
 それから、決意でございますけれども、非力では、浅学非才ではございますけれども、日々私なりに最善の努力をいたしておりますが、また今後とも諸先輩から御指導を賜りますように伏してお願いを申し上げます。
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 きょうは、私は、アフガニスタンの復興、あるいは新しい政権の樹立に関する日本のかかわり方について質問をする予定でありました。さらにまた、投資の促進及び保護に関する協定についても、日本のこの協定に取り組む戦略についても質問をする予定でありました。さらに、中国のWTO加盟によって日本の農業がどのような影響を受けるか、さらにまた米の暫定税率、これが今の農業交渉の経過後にどうなるか、こういうことについていろいろと御質問をする予定でありました。
 しかしながら、今回のこの承認三案は、これ前回、前国会で承認できずに持ち越した案件であります。そして、今国会においてこれぜひ成立をさせなきゃならない案件だと思います。
 きょうのこれからの国会日程を考えた場合に、私が質問を継続することは、もうこの協定の成立あるいは日程に重大な影響を与えると、こう認識しておりますから、私は極めて遺憾でありますけれども、私の質問時間をこれで閉じさせていただいて、そして早期の成立を期していただきたいと、そういうことで、これにて終わります。
○吉岡吉典君 まず、WTO問題に関連して質問いたします。
 WTOの農業協定の例外なき関税化による米の輸入の自由化については、これは日本農業に壊滅的な打撃を与えるものだとして、与野党挙げて反対が続いてきたものであり、また国会で何回となく反対の決議が行われてきた経過があるものです。
 農業協定発動から六年になりますが、この間の米の輸入、それから食糧自給率はどうなったか、この点について、まず農水省から報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(中川坦君) お答え申し上げます。
 ミニマムアクセスとして海外から輸入されております量、トータルで約三百七十万トン程度に達しております。
○吉岡吉典君 自給率の方は。熱量ベースで結構ですから。
○政府参考人(村上秀徳君) UR合意の翌年、平成六年度以降につきましては、平成六年が四六%、七年が四三%、それから四二%、四一%、それから平成十一年、四〇%というふうに推移しております。
○吉岡吉典君 かねてから心配されていたことがこういう食糧自給率の低下ということにもあらわれていると思います。
 食糧自給率を高めるということは日本の国策になっているはずですが、この点は農水省の方にお伺いします。
○政府参考人(中川坦君) 食料・農業・農村基本法に基づきまして平成十二年三月に食料・農業・農村基本計画が策定をされました。その中で、我が国の食糧自給率につきまして、現状の四〇%から平成二十二年には四五%まで向上させるという目標が示されたところでございまして、この中で、麦や大豆といった我が国の国内生産で需要が賄えていないものにつきましてその生産の拡大を図る、そういう施策を展開しているところでございます。
○吉岡吉典君 そこで、この自給率をどうしたら高めることができるかということにかかわるものですが、今回提案されているように譲許表から関税化にするということによって私は自給率が高まる道が開けるとは思えません。反対に、やはりWTO農業協定のもたらす日本農業への深刻な影響というのは譲許表でもあるいは関税化でも基本的には変わらないんじゃないかというふうに考えますが、この点、どのようにお考えになりますか。これも農水省にお伺いしましょう。
○政府参考人(中川坦君) 平成十一年度の米の関税措置への切りかえに伴いまして高水準の枠外税率を設定いたしております。したがいまして、枠外で米の輸入は実質的にほとんど行われていないと、今こういう状況にございます。
 それから、米のミニマムアクセス枠につきましては、従来どおり国家貿易によります一元輸入を行っておりますし、それから、関税化に移行いたしまして以降、その数量は特例措置を続けました場合に比べまして半分の増加率、年々〇・四%の増加に抑えられているところでございます。
 このような状況にございますので、関税措置への切りかえによりまして我が国の食糧自給率に大きな影響はないというふうに考えております。
○吉岡吉典君 それは極めて短い期間見ればそういうふうに言えるかもしれませんけれども、しかし、新たに始まる新協定の交渉過程で、長期的に見た場合に関税率が現状のままだという見通しを持っておられるのかどうなのか。逆に、これまでのいろいろな機会に、例えばアメリカ側からは、通商代表部代表が、我々は関税の大幅引き下げを想定しているというふうに二〇〇〇年から始まるWTOの次期交渉について述べている。こういうところから見ましても私は関税率の大幅な低下というのは避けられないと見ているんですが、農水省はそうではなく関税率は今のままの状態がずっと続くという判断なのかどうなのかを改めてお伺いします。
○大臣政務官(岩永浩美君) WTO農業交渉においては、農業協定第二十条により昨年から開始されているところでありまして、交渉期限は他の分野と同時に二〇〇五年一月一日とされたところであることは御案内のとおりでございます。具体的な米の関税の取り扱いは、今後、WTO農業交渉の中で検討していくことになっております。
 また、米を含むUR合意による関税化品目については、昨年末に取りまとめた日本の提案において、農業の多面的機能の発揮や食糧安全保障の確保の観点も踏まえながら、内外価格差や農政改革の進捗状況など十分把握をして枠外税率を設定すべきだと主張を今いたしております。
 今後のWTOの農業交渉においてこのような観点に十分配慮しながら、適切な関税水準などの実現を目指して最善の努力をしていく所存でございます。
○吉岡吉典君 農水省がどういう姿勢で臨もうとしておられるかという問題と、実際に関税化した場合に、今の世界的な動向から見れば、今のままのWTO農業協定がそのまま貫かれる限りは私は関税率の大幅な引き下げというのは避けられないと思っております。
 その問題、また時間がありましたら後でちょっと触れることにしまして、先日行われた趣旨説明の際に、その趣旨説明の中に、これは外務省の説明書にも書かれていることと同じ文言でありますが、我が国がこの確認書を締結することは、国際貿易における我が国の利益を増進するとの見地から有意義であると認められると、こういうふうな説明がありました。私は、今、農水省から報告がありましたように、この間、食糧の輸入、そして自給率の低下ということは今の説明でもかなり数字の上でもはっきりあらわれているわけです。こういう、農業がやはり心配されていたとおりの打撃を受けていることをどう考えておられるのか。この説明書にあるように、我が国の利益だというのは一体どういうことをおっしゃりたいのか。まさか農業が打撃を受けて食糧自給率が低下したことが利益だというふうに考えておられるとは思いませんけれども、そこら辺、どういうことをおっしゃりたいのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 吉岡先生は多分関税化には反対でいらっしゃるというふうに思っておりますけれども、今度のWTOの協定の農業部分につきましては、確かに日本にとっては厳しいものであるということについては異論がございません。特に私も米どころ新潟でございますし、また、政府といたしましても、日本全体から見てもやはり大変厳しいということは事実でございますけれども、しかし、WTOというものの協定は全体として、多角的な貿易体制の維持及び強化、国際経済秩序に対する信頼の確保という観点から重要な協定でもありまして、日本は貿易立国でもありますので、意義深いものであるというふうに考えております。
 したがいまして、WTOの農業協定にも示されている包括的な関税化の原則に基づきまして今回の確認書を締結し関税化を行うことは、トータルで見まして全体として日本の利益に資するものであるというふうに考えます。
○吉岡吉典君 今のように説明があれば、まず私はこの間の説明には必ずしもそのままひっかからないで、こういうことが言いたいのかととることもできたと思いますけれども、その農業部門への打撃ということは一切触れないで、我が国の国益であるような説明というのは、これは例えば農民の人が見れば、日本農業はどうなってもいいというように政府は考えているのか、それからまた、工業製品の貿易ということはこれでスムーズに進むようになるかもしれないけれども、農業は犠牲になってもいいというふうに考えているのかという疑問が当然出ると私は思って文章を読んでおりました。読んでいたらその説明でもそういうふうな表現でしたので、ここの点はまずきちっとしておかなくちゃならないと思います。
 私は、農業協定には今おっしゃったように反対です。反対ですが、しかし、今の政府の立場というのは、農業分野の打撃はあってもトータルとしてプラスの道を選んだということが今の説明だったと思いますけれども、そういうふうにとっていいかどうか、再度お答え願いたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 決して農業分野に打撃があってもいいとか、あるいは犠牲にしておこうというふうな考え方で言っているわけでは絶対に私はないというふうに信じております。
 そして、やはり生産農家の原点、そして今のような残念ながら宙ぶらりんな状態で、農家が固定収入を得られないかもしれないという先行き不安の中にある、そうした現場の声、それはやはり農水省や議員だけではなくて、一般の方たちも感じておられることでありますし、また、きょうの午前中の先ほど来の議論でも、やはり食糧の援助ということ、外国とのかかわりでの視点もありますし、百五十万トン備蓄といいながら、私が前、農水委員会で質問したときも、もう三百万トン以上も在庫がある、それでもやはりお米の価格の問題、海外への援助の問題等がありまして、じゃ転作とか、それらがどうやって農家が安定的な収入を得るかということもあって、なかなか歯がゆい思いがしておりますから、そうしたことは小泉内閣はすべてわかった上で、今回のそれも踏まえて、決して農家を犠牲にしようとかいうことではなくて、トータルで、貿易立国としての日本の立場、世界の中での今後の日本の立場ということも考えたというふうに御理解いただければありがたく存じます。
○吉岡吉典君 私はそういうふうにとるわけにいかない立場であり、意見なんです。
 それで、今さっき、今後の問題が農水省から最初の方でありました。そこでお伺いしますけれども、このWTOの交渉に際しての基本的重要課題という文書がありますね。この文書を読みますと、そういう基本的重要課題として、効率を重視した画一的な農業のみが生き残れる貿易ルールは、我が国のみならず各国にとっても拒絶されるべきものであるということ、また競争力のある一部の輸出国のみが利益を得る交渉結果は認めないというようなことが、この基本的な重要事項の中で述べられてきておりますね。これはどういう趣旨なのか。文章でわかりますけれども、一応説明を求めたいと思います。
○政府参考人(村上秀徳君) 今、先生が指摘されましたのは、日本提案の中に、前文の中に書いているものでございます。
 日本提案の基本哲学として多様な農業の共存というものを掲げております。農業は各国の社会の基盤であり、社会にとってさまざまな有益な機能を提供するものであると、各国の自然的条件、歴史的背景などが異なる中でその多様性と共存が確保され続けなければならない、そのためには生産条件の相違を互いに認め合うことこそが重要であるということで、そのような基本的な考え方に立っているわけでございます。
 多様な農業の共存という基本哲学をより明確にするため、効率を重視した画一的な農業のみが生き残るという貿易ルールではいけないということを主張しているということでございます。
○吉岡吉典君 そこでお伺いしますが、そういうここで述べられているようなことが関税化のもとで実現されるという見通しのもとでこういうふうに言われているのかどうなのか。私は、農産物というのは工業製品と同一に扱うことは無理であって、やはり自由化になじまないというように考えます。そういう意見というのは、これは私らだけでなく、また国際的にもそういう主張というのはいろいろ行われているわけですが、農産物が自由化になじむということを前提としたのでは、この重要事項で言われていることも私は実際上は貫き実現することはできないじゃないかというように考えますけれども、そこはやっぱりなじむという考え方かどうなのか、これももう一問農水省にお伺いしましょう。
○政府参考人(村上秀徳君) 今申し上げましたように、日本提案におきましては、多様な農業の共存という基本哲学を持って、そのもとで農業の多面的機能への配慮とか、あるいは食糧安全保障の確保、それから輸出国と輸入国に適用されるルールの不均衡の是正というような考え方を打ち出しているところでございます。
 現在、行われておりますWTOの農業交渉は、その枠組みが農業協定の二十条において定められておりますけれども、その中に、その農業協定の前文の中に、食糧安全保障への配慮とか、あるいは今申し上げました第二十条には、農業の多面的機能を含む非貿易的関心事項への配慮が盛り込まれているということでございまして、そういう観点も十分反映され得る枠組みということになっておりますので、工業製品と同じような取り扱いということではなくて、そういう農業の特性なり多面的機能なり非貿易的関心事項について十分配慮した交渉となるように、日本提案を踏まえて我々も十分主張していきたいというふうに考えているところでございます。
○吉岡吉典君 私は、はっきりのお答えはないわけですけれども、農産物はやっぱり自由化になじまないと、だから別の解決方法でどうしてもやられなければ今の重要事項で述べられていたようなことも実際上は貫かれないと思っております。
 その点は一応そういうふうに私の意見を述べまして、日本のそういう基本的な姿勢を貫く上で疑問を生ずるような報道がありますので、この点について次にお伺いしますが、報道によると、WTO閣僚会議でブッシュ米大統領と小泉首相との間に書簡の交換があったというように伝えられております。これは事実あったんですか。
○政府参考人(北島信一君) 御指摘のとおり、カタール閣僚会議開催の直前でございますが、ブッシュ大統領から新ラウンド立ち上げに関連しまして書簡が参りました。それに対しまして、小泉総理から返事を差し上げてございます。
○吉岡吉典君 その文書というのは、往復された文書というのはどういう性格の文書ないし合意ということになるのか。外交上はどういう性格の文書になりますか。
○政府参考人(北島信一君) カタール閣僚会議という非常に重要な会議の直前において、まさに日米が協力してこの非常に重要な新ラウンドを立ち上げるに向けて協力しようという趣旨の手紙が参ったわけですけれども、その返簡において総理から、実はブッシュ大統領からの手紙の中には三つの問題が指摘されていました。一つが農業、次いでアンチダンピングの問題、それからさらにTRIPs、これは知的所有権協定という問題でございますけれども、この三点について総理の考え方を述べられたということですが、基本的にはこの重要な分野において日米が協力して新しい交渉が立ち上げられるように努力しましょうと、そういう趣旨の手紙でございます。
○吉岡吉典君 報道によりますと、その小泉書簡なるものの内容の中には、農業の多面的機能など議論を招き得る論点は提起しないよう努めてきたと、こういうふうに明記されていると報道されていますが、事実ですか。
○政府参考人(北島信一君) その趣旨は、委員御承知だと思いますが、閣僚会議の前にWTOの理事会の議長であるハービンソンという方が閣僚宣言のたたき台を提示していました。このたたき台の中では、我が国が非常な関心を持ってきている非貿易的関心事項に対する配慮といったことが入っていたわけですけれども、これは我が日本の国内でも十分周知されたたたき台でございますけれども、それが議論のベースになり得るという趣旨のことは書簡で触れていますけれども、多面的機能というのは、もちろん日本の非常に重要な主張で、我々の考え方では非貿易的関心事項の中に含まれるというふうに考えているわけですけれども、これ自身は国際的には非常に議論を呼び得る一つの問題になっているわけですけれども、いわゆる閣僚宣言案の起草の時点では、ラウンドを立ち上げることが大事であるという観点から、それについては深入りをこれまでしてきていませんという趣旨でございますけれども、当然のことながら、今後交渉が開始されるに当たり、具体的には去年の春から継続交渉ということで始まっているわけですけれども、今後さらに本格化する交渉の中で、そうした日本の基本的な考え方、これは外務省としましても農水省等と一緒に強く主張していきたいというふうに考えているわけです。
○吉岡吉典君 私は、書かれていることが事実かどうかということだけをとりあえず聞きたかったわけですけれども、今おっしゃるようないろいろ説明があるんですが、これは見なきゃ、あなたの説明が、ではどういうことが書かれているかわからないので、これは発表してもらいたいんですが。例えば、小泉総理の返事だけでもいいですから発表してもらいたいんです。
○政府参考人(北島信一君) 恐縮ですけれども、首脳間のやりとり、首脳間のやりとりについては従来から公表しないということでやってきておりますので、その点、ぜひ御理解をいただければというふうに思います。
○吉岡吉典君 そうすると、我々に示さないでこう書いてあるんだと言われても、本当にそのとおり書いてあるかどうか我々わからないですよ。だけれども、私の言葉を信じなさいですか、それでいくと。例えば、そこの文書だけでも出せませんか。
○政府参考人(北島信一君) 恐縮ですが、総理の返簡ですが、要するに外務省の人間が起案して外務省だけで案をつくって官邸に差し上げたということではなくて、WTOの関係といいますのは、外務省それから農林水産省、経済産業省、財務省、いろいろ多くの省庁がかんでいるわけですけれども、もちろん皆さんに相談申し上げまして、農業の部分については農林水産省とも相談させていただきましたし、アンチダンピングのところであれば経済産業省の考えも伺い、それから知的所有権のところであればさらにほかの関係省庁にも諮るということで、政府全体として……
○吉岡吉典君 政府が出せるか出せないかだけでいいですよ。
○政府参考人(北島信一君) はい。ということでございます。
○吉岡吉典君 私は、今、中身の論評はしていないんで、出せるか出せないかということだけを、せめて限定した部分だけでも発表はできないかどうかということを聞いているわけですが、いいです、それは。いいですじゃなくて、発表を求めます、その箇所だけでも。今お答えになった朝日が書いたここの部分だけでもその文章どおりかどうかということを答えられないかどうか、もう一度お伺いします、結論だけでいいですから。
○政府参考人(北島信一君) 首脳間のやりとりというのは、相手との信頼関係とかそういったことがございます。従来から公表するということはしておりません。
○吉岡吉典君 それでは我々はよくわからないと。しかし、いずれにせよ否定はされなかった。だから、そういう文言があるだろうと思います。
 そこで、この小泉書簡にある農業の多面的機能ということは、さっき農水省の方からの説明によりましても、我が国の交渉に際しての基本的重要事項の中の基本哲学として説明があった部分になるわけですね。我が国がこれからの新協定の交渉に臨む基本哲学について、小泉総理はその多面的機能などの議論を招きやすい論点は提起しないように努めてきたと、こういうことだと今後の交渉どうなるのか。朝日の記事では、米国の立場に一定の配慮をしたと、こういうふうに書いております。私は、もうこういう交渉に入る前から、日本の基本哲学と農水省の方から説明があったような問題を配慮して言うべきことを言わないということを行っているということになれば、これは日本農業の将来というのは一層不安にならざるを得ません。
 もともと、これは、農業の自由化、農産物の自由化というのは、最初にも言いましたように、超党派で、しかも国会でも反対を決議してきた経過があるものであり、その中身というのも、これはアメリカなど農産物輸出国と巨大穀物メジャーなどが、結局、工業製品だけでなく農産物という本来自由化になじまないものにまで自由化を求めて、それで日本とかその他幾つかの国では農業問題が大変深刻な事態になるという問題を引き起こしているわけですね。だからどうするかということで、ともかくこういう基本的な重要事項というものが決定され、これはWTOにも届けてある。その届けてあることを最初から遠慮して、言わないという手紙を送るような姿勢では、私は日本の農業は大変なことになるし、また食糧自給率の向上というような、さっきも報告がありました国策を貫くことは実際上できないだろうと、そういうふうに思わざるを得ないわけです。
 そこで、最後に、一体こういう態度で臨むのかどうなのか外務省にお答えを願いたいと同時に、農水省の方に、日本の農産物の価格の国際競争力がアメリカのような巨大な農業と対抗できる、そういう見通しが立つのか、あるいは賃金の物すごく低い国、そういうところと実際対抗できるかどうか、これ簡単で結構ですからお答え願いたいと思います。
○政府参考人(北島信一君) 新しいラウンドの農業交渉の取り進め方につきましての日本政府の基本方針、先ほど委員も指摘されたWTOに提出した日本の農業提案というのがあるとおりですが、これに示されているとおりでございます。
 交渉結果に日本の考え方を十分に反映させるべく力強く交渉をしていくという政府の立場についてはいささかの変化もございません。
○政府参考人(村上秀徳君) 若干追加的に申し上げさせていただきますが、一昨年来、農業交渉が続いておりまして、その中で、日本提案の中で、多面的機能なり非貿易的関心事項、多様な農業の共存というような哲学を打ち出しております。これ自身につきましては、具体的に議題となってそれぞれまさに交渉の中で議論をしているところでございます。今、北島局長から話がありましたように、交渉の中で多面的機能なり日本の基本的な主張は十分しっかりやっていくという方針でございます。
○大臣政務官(岩永浩美君) 今、吉岡議員から御指摘いただいた国際競争力のレベルに到達できるのかという御意見でございますが、一般的に農産物の国際競争力は農産物の国際需給、為替レートの動向、関係国の経済の動向等によって左右されることはもう言うまでもありません。今後の我が国の農産物の国際競争力の見通しを申し上げることは、現在の時点では非常に極めて困難であると私どもは考えております。
 ただ、我が国は狭い国土、急峻な地形であり、農産物の競争条件として米国等の農産物の輸出国と比べてかなり厳しい条件下にあることは否定できないところでございます。しかしながら、我が国の農産物の国際競争力の強化を図っていくことは、消費者から我が国農産物が支持されるためにも今後とも追求していかなければいけない課題であることは言うまでもありません。このことが我が国農業の持続的発展や我が国の農業の自給率の向上にもつながっていくものと考えております。
 農水省としては、今後とも、優良農地の確保と流動化の促進をするとともに、生産基盤の整備等を通じた生産性の向上や技術の開発普及による単収、品質の向上を図るほか、消費者のニーズに即応した生産の推進などの施策を展開し、国産農産物の国際競争力を強化して自給率の向上に努めていきたいと考えております。
○大田昌秀君 私は、本日提起されております三つの議題のうち、二番目のパキスタンへの投資協定の問題についてお伺いしたいと思います。
 まず、外務大臣にお伺いします。
 これまでの経緯につきまして、簡潔で結構ですので御説明いただきたい。すなわち、過去の国会においてどうしてこれが継続審議になったのか、そして今回提起している理由は何ですか、簡潔にお願いします。
○国務大臣(田中眞紀子君) 簡潔に申し上げますけれども、日本とパキスタンの投資協定が継続審議になった理由でございますが、政府は本協定を本年の第百五十一回通常国会に再提出しておりましたが、国会審議の日程によりまして継続審議となったというふうに承知をいたしております。
 また、今国会の締結を目指す理由でございますけれども、結論からいえば、パキスタンも大変強く要望しておられます。近年、パキスタン経済の悪化等によりまして厳しいビジネス環境に置かれている進出日本企業は、今後とも同国でビジネスを進めるに当たって、パキスタン政府による投資政策の一貫性についての懸念に対処し、特に送金等の自由や投資紛争の際の国際仲裁への付託を確保するため、本協定の早期締結を我が国政府に要望してきているということでございます。
○大田昌秀君 日本政府のパキスタンの核問題に関する認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中眞紀子君) 一九九八年五月にパキスタンが核実験を行ったことは遺憾なことだというふうに思っております。そして、現在、ここ三年間にわたりまして核実験のモラトリアムを継続しておりまして、今後ともこれを継続するということを表明をしております。パキスタンは、核とミサイル関連物質ですとか技術拡散防止のための諸施策については厳格な実施を表明してきております。
 そして、我が国といたしましては、要するに核実験のモラトリアムの継続、それからCTBTの署名、これを含む核軍縮・不拡散上のさらなる進展を引き続き粘り強くこちらから求めてまいりたく存じます。
○大田昌秀君 この問題については後ほどちょっと申し上げますが、どうも核に関する政府の認識というのは私は甘いのではないかというふうに考えております。
 二〇〇〇年五月十六日にアメリカの科学者連盟が国連本部で米商業衛星イコノスが撮影したインド、パキスタンの核・ミサイル施設の写真を分析した結果を発表しておりますが、それによりますと、両国とも着実に核・ミサイル軍備を増強しつつあり、包括的核実験禁止条約署名以前に新たな核実験を実施する可能性があるという見解を発表しているわけなんですね。
 さらに、二〇〇〇年十一月三日の国連総会第一委員会、これは軍縮・安全保障問題を議論する委員会ですが、そこで、国連加盟国で核廃絶のための新提案の推進国家群、すなわち新アジア連合傘下の国々が中心となりまして核廃絶決議を提案いたしました。そうしますと、賛成が百四十六、反対が三、棄権八となっておりますけれども、その反対の方にインド、パキスタン、イスラエルが入っているわけです。
 ですから、そういった事情から考えますと、政府のパキスタンの核問題に対する考え方は甘いのではないかというふうに考えますが、いかがですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 繰り返しになって恐縮ですけれども、CTBTの署名を含む核不拡散上のさらなる進展を粘り強く求めていかなければなりませんし、私もこの間のサッタルというパキスタンの外務大臣に対しましてもそういうような申し入れもいたしておりますし、そのときにパキスタンは、CTBTの署名に向けて国内のコンセンサスを形成するように努力しているということもおっしゃっておられました。
 そして、この五日に我が国が国連総会第一委員会に提出した核軍縮の決議案の採択のときには、インド、パキスタン両国は決議案を支持しなかったことは残念でありますけれども、日本といたしましては、インド及びパキスタンに対する働きかけを含めまして、核軍縮、核不拡散、その分野での外交努力をより一層強めてまいります。
○大田昌秀君 今、核の問題についていろいろとパキスタン側に働きかけるということを申しておられるわけですが、実は私は、政府の核政策というものが極めてあいまいなように考えております。
 例えば、具体的に申しますと、沖縄にホワイト・ビーチという米軍の施設がありますが、そこへ巡航ミサイル、トマホークの発射試験を繰り返してきたような原子力潜水艦が入ってくるわけなんですね。そうしますと、一体非核三原則というものはどのように適用されているのか。
 大臣は、沖縄の方に原子力潜水艦がどの程度の頻度で入ってくるか御存じですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 正確には理解しておりませんが、最近の情報はちょっと今調べますが、今私は正確にはわかりません。
○大田昌秀君 ほぼ、平均しますと、月に一度くらいの割合で原子力潜水艦が入ってくるわけなんですが、今申し上げましたように、その入ってくる原子力潜水艦は、九五年から二〇〇〇年までの間に巡航ミサイル、トマホークの発射試験をやったような、そういう潜水艦だと言われているわけなんですね。そういうのが入ってくる場合に、原子力潜水艦が入ってくる場合に核を搭載しているかしていないかということについて、政府はチェックしているんですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) これは間違いがあるといけませんから、もう委員御存じのことと思いますけれども申し上げさせていただきます。
 米軍による日本への核兵器の持ち込みということでございますけれども、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文に基づきまして事前協議の対象となっております。そして米国は、事前協議に係るものも含めまして、安保条約及びその関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に遵守する旨、繰り返し述べております。
 そして、これまで米原潜の寄港に際しましては、我が国に対して事前協議の申し入れは行われておりませず、我が国への核の持ち込みが行われたということはないと承知しております。
 ただ、これが四十年間私はもうずっと聞いておりますし、大田委員も当然そういうことを御存じでいらっしゃるというふうに思います。
○大田昌秀君 今、大臣が述べられたことはこれまでもう何度も聞き飽きた言葉なんですが、実は現実がそれと違うわけですよ、沖縄の実情はですね。
 例えば、復帰前に、生物兵器とか化学兵器が貯蔵されて、それがガス漏れなんかがありまして、アメリカの兵隊が二十四名被害を受けたということで大騒ぎになって、これをジョンストン島に移したわけなんですが、最近、ここ四、五年の間に核密約の本が何冊か出ているわけですね。大臣は、元京都産業大学教授でもうお亡くなりになった若泉敬さんの書かれた、一九九四年に出された「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という核密約についての本をお読みになったことがございますか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 読んだことはございませんけれども、その本を手にして説明を受けたことはございます。
○大田昌秀君 不破さんとか藤井治夫さんとか、そういった方々も核密約について本を出しておられるわけなんですが、実際問題として、沖縄なんかに核があるというそういう不安感を抱いている県民が非常に多いわけなんですね、世論調査なんかしますと。復帰のときに核を抜いて日本に復帰するということを公には言ったわけですが、だれもそれを十分に確認した人はいないわけなんですね。
 それで、沖縄については、今の「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という若泉さんの本の中で、有事の際には核を持ち込むという密約があったということが非常に明確に書かれているわけなんです。そして、若泉先生はそれを非常に、御自分で密約を結ばれたということで苦にされて、ずっと沖縄の県民の慰霊祭のときには毎年沖縄に来られて墓参をされるような、そういうことをなさった方なんですね。
 ですから、そういった意味から、県民の不安を取り除くためにも、もう少し明確に、四十年来同じことを繰り返してきた、つまりアメリカは核を持ち込んだ持ち込んでいないとかという核政策については公言しないという、それをうのみにするようなことではなくて、もう少し明確に、核がどうなっているか、例えば沖縄の核兵器はどうなっているのか、その後持ち込まれていないのかどうか、それから生物兵器なんか化学兵器なんかはどうなっておるのか、それは事前協議の対象になるのかどうなのかというようなことなんかを含めて、ここらあたりで少し明確な方針をお出しになっていただいて、そして沖縄の実情に照らしてチェックもなさるということをしてくださらないと、沖縄は過去五十六年間基地を背負わされてきて、さらにこれから同じ不安をずっと抱き続けて県民が生活するとなると、これはちょっとひど過ぎるというふうに考えるんですが、いかがですか。
○国務大臣(田中眞紀子君) 歴代の総理、外務大臣が明確に事前協議に関しましていかなる密約もないということを述べていると。これ述べたということも事実でございますし、またこの若泉敬先生のこの本、これも私、時間があるときにぜひ落ちついて読みたいと思っておりますけれども、そうしたことをすべて踏まえて、この二十一世紀、この小泉内閣がどのようなスタンスでこうしたことに取り組むのかということも含めまして、今、毎日のルーチンワークで本当にこうして追われておりますけれども、私もしっかりと考えなければならないと思っておりますし、また、アメリカは安保条約上の対日義務を誠実に履行するということ、日本政府の意思に反して行動することはないということを繰り返し述べておりますし、日本とアメリカとの日米の同盟というのは大変基軸でもございます。
 したがいまして、今また改めて、今先生の質問にお答えするためにも、また先生だけではなくて多くの沖縄県民の皆様に誠実に対応するためにも、今申し上げましたことすべてを勘案して、勘案していただいて、そして私もしっかりと、このCTBTということに問題があると私はずっと自分でも信念で持っておりますし、トータルでさらに勉強したい。そして、先生にも御理解いただけるような、なるほどと思っていただけるような、それがどういう形かわかりませんけれども、四十年間同じ文言が続いているわけでございますけれども、先生のお尋ねに真摯に対応できるように努力、努力という言葉が正しいかどうか、言葉が不足している人間でございますのでよくわかりませんが、努力をいたします。
○大田昌秀君 外務省がアメリカ政府を信頼するということを言われるのは、これは理解できないわけでもありませんけれども、実はアメリカの公文書館から解禁文書が最近次から次へと出ておりまして、それらの資料を読みますと外務省の従来の発言どおりにはなっていないということがはっきりと示されている記録があるわけなんですよ。ですから、そういうアメリカの国防総省とか国務省の正式の記録の中に載っている事柄が、今大臣が説明された内容と違うんですよ。ですから、そういうことがあると逆に信頼感というのは醸成できないと思うんですね。
 ですから、そういった意味で、ただ従来の説を繰り返されるのではなくて、沖縄にもおいでいただいて、実際に地位協定の問題も含めまして、いかに住民が基地から発生する害悪を受けているかということについて、直接に被害を受けている人たちとお話をしていただいて、もう少し実態に基づいて、例えば地位協定の問題にいたしましても、運用面で大丈夫だということばかり繰り返しておられるわけですが、運用面ではもうどうにもならないような事態が起こっているわけなんですよ、現実に、日常的に。ですから、ここらあたりで地位協定の問題も含め、核問題も含めぜひとも真剣に取り組んでいただきたい。つまり、前任者の言葉をただ繰り返すだけではこの核問題というのは解決つかない。
 例えば、麻薬の問題についても、国内に麻薬が入ってくるという場合に、税関とかは相手の言葉を、積んでいませんということで信用するかというと、信用しないで徹底的にチェックするわけですよ、入れないためにですね。しかも核兵器とか生物兵器となりますと、これは致命的に大きな、兵器ですから、そういう問題についてずっと以前からの言葉を繰り返し、そして先ほど申し上げましたように、幾つかの本が具体的に密約があったということを公文書を踏まえて書いているわけですから、そういう事実関係もぜひ確かめていただいて、ここらあたりで明確な核政策をつくってくださることを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(田中眞紀子君) 私は、これは根本的に、日米の安全保障、日本の安全保障はどうあるべきかということについて諸先輩がずっと議論をしてこられて、日米同盟があって、そしてその中で沖縄のいろいろな問題、一番大田先生が御存じの実態がある。その中にあって、核持ち込みについては、やっぱり事前協議という制度について日米間では明確になっていて、米国側に今確認を今すぐできるとか、公文書を拝見することはできますけれども、いずれにしましても、歴代の総理、外務大臣が明確に述べていたということ、そういうことについて、事前協議に関して密約もないと思いますし、直接アメリカに確認をするということはありませんが、しかし、その公文書を拝見するとか、それからトータルで日本の安全保障がどうあるべきなのかということについてやはり原点で考えるということは、やはり私たち新しい世代がすることだろうとは思いますが、いずれにいたしましても、政府に確認をするとかそのようなことは今の段階ではいたしません。
○委員長(武見敬三君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、日本国の譲許表の修正等に関する確認書の承認を求める件に反対の討論を行います。
 本確認書は、政府が米の関税化を決定したことを追認するための根拠となる条約であり、これによって、将来、米の関税率が低下することで外国からの米輸入をますます増大させ、日本の農業に壊滅的な打撃を与えるもので、断じて容認することができません。事実、日本の食糧自給率は四〇%にまで低下してきており、さらに促進させることになることは必至であります。
 我が党は、一九九九年の米の自由化を進める国内法改正に当たって、米の関税化が、将来、関税率の低下をもたらし、米の輸入増大を促進して食糧自給率をさらに低下させるということを強く指摘し、反対してまいりました。
 政府は、確認書にある従量税の採用と特別緊急関税制度の導入について、関税化による打撃を回避すると説明していますが、実際に日本の農業の深刻な現状への打撃を回避するどころか、米の自由化、関税化を推進し、将来にまで禍根を残すものにほかなりません。
 米の関税化移行に伴いミニマムアクセス数量が減らされますが、このことをもってしても、関税化と長期的な関税率引き下げは不可避であり、圧倒的な価格競争力を持っている外国産米の輸入を着実に増加させるものであり、認められません。
 我が党は、政府がWTO協定第十条で認められている協定改正の提起を活用し、日本の農業を守るために新しいWTO交渉において農業協定の改定を提起することを要求して、反対の討論といたします。
○委員長(武見敬三君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(武見敬三君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(武見敬三君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(武見敬三君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十四分散会