第153回国会 国土交通委員会 第3号
平成十三年十月二十五日(木曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 十月二十三日
    辞任         補欠選任
     渕上 貞雄君     山本 正和君
 十月二十四日
    辞任         補欠選任
     山本 正和君     渕上 貞雄君
 十月二十五日
    辞任         補欠選任
     富樫 練三君     西山登紀子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         北澤 俊美君
    理 事
                鈴木 政二君
                山下 善彦君
                脇  雅史君
                藤井 俊男君
                弘友 和夫君
    委 員
                荒井 正吾君
                泉  信也君
                木村  仁君
                北岡 秀二君
                野上浩太郎君
                野沢 太三君
                松谷蒼一郎君
                森下 博之君
                吉田 博美君
                池口 修次君
                佐藤 雄平君
                谷林 正昭君
                藁科 滿治君
                続  訓弘君
                大沢 辰美君
                西山登紀子君
                渕上 貞雄君
                大江 康弘君
                田名部匡省君
   国務大臣
       国土交通大臣   扇  千景君
   副大臣
       国土交通副大臣  泉  信也君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       木村  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉谷 洸大君
   政府参考人
       警察庁警備局長  漆間  巌君
       防衛庁防衛参事
       官        安江 正宏君
       防衛庁防衛局長  首藤 新悟君
       防衛庁運用局長  北原 巖男君
       水産庁長官    渡辺 好明君
       国土交通省航空
       局長       深谷 憲一君
       海上保安庁長官  縄野 克彦君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○海上保安庁法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)

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○委員長(北澤俊美君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、富樫練三君が委員を辞任され、その補欠として西山登紀子君が選任されました。
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○委員長(北澤俊美君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 海上保安庁法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁警備局長漆間巌君、防衛庁防衛参事官安江正宏君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、水産庁長官渡辺好明君、国土交通省航空局長深谷憲一君及び海上保安庁長官縄野克彦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(北澤俊美君) 海上保安庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○野上浩太郎君 自由民主党の野上浩太郎でございます。本日が初質問となります。よろしくお願いをいたします。
 また、まず冒頭、今回のアメリカで発生をいたしました同時多発テロ、本当にとうとい多くの人命が失われましたことに心からの哀悼の意を表しますとともに、この対応に当たる重要な今国会におきまして、そしてまた国内外ともにあらゆる分野で大きな転換期を迎えておりますこのような時期に国政に当たることの責任の重さ、これを痛切に感じつつ、また全身全霊をもって職責を全うしていくことをお誓い申し上げまして、以下質問に入らせていただきたいと思います。
 まず初めは、海上保安庁法の一部改正の件についてであります。
 この法案につきましては、私の隣に荒井先生がお座りになっておられまして、前長官ということで私も心強い限りでございますが、この法案は平成十一年に能登半島の沖で不審船の事案が一つの契機となりまして検討され始めたものであります。しかし、今、我が国自体に対するテロの懸念というものも大変に高まっておりまして、そういう意味におきましてはこの法案は大変重要であり早急に成立をさせなければならない、こういう基本的な視点に立ちまして質問を進めてまいりたいと思います。
 まず、先般の連合審査におきまして野沢先生がこの法案について詳細な御質問をなされました。御答弁の中で、不審船、これまで過去二十隻の実績といいますか、事案があるということでございますが、この不審船に限らず、密漁船あるいは密航船などの不審な行動をとっておる船というものも多数あると思います。
 まずは、不審船二十隻以外のそのような船の確認された数、あるいはその活動地域、その状況をお聞かせ願いたいと思います。またあわせて、不審船、多数ある中で二十隻を特定したわけでございますが、いわゆる不審船と特定をする基準というものはどういうことで特定をしていくのか、またその二十隻の活動の地域などについてもお聞かせを願えればと思います。長官、お願いいたします。
○政府参考人(縄野克彦君) 御説明申し上げます。
 今、委員お話ございましたように、いわゆる不審船につきましては、これまで私どもでは二十隻を確認しております。その多くは日本海において確認をしておるところでございます。
 お尋ねのいわゆる不審船以外で不法行為あるいは不審な行動をとった船についての状況でございますが、例えば我が国の法令に明らかに違反する密漁などの違法行為を行った船舶、これは昨年、二百八十二隻でございます。違法行為とまでは言えなくても、特異な行動、理由もなしに徘回等の行動をとった船、これは七十五隻でございますが、これらにつきまして、不法行為を行った船につきましては警告退去あるいは検挙等の措置を講じております。それに至らない特異な行動をとった船につきましても中止要求、警告退去などの措置を講じているところでございます。
 こういういわゆる不審船ではない不法な行為をする船と不審船との区別といいますか、不審船をどうやって特定するかということのお尋ねでございますけれども、私どもがいわゆる不審船と申し上げるのは、この改正条文にもありますように、一言で言えば、重大凶悪な犯罪を行った、あるいは起こすおそれのある船だということでございまして、これらにつきましては船の外観、航海の態様、それから過去のこのような船についての私どもあるいは私ども以外の関係機関のいろんな情報を総合して見きわめることができるというふうに考えております。
○野上浩太郎君 不審船が二十隻、その他の不審な行動をとっている船が約三百五十隻余りということで、まさに不審船の活動というもの、二十隻というのはまさに氷山の一角であるというような感がいたしております。
 私の地元の富山県、黒部川という日本有数のきれいな川がございますが、実はことしの三月二十九日にその黒部川の河口砂地におきまして、水中スクーターというんですか、人一人が乗ってきまして、水中スクーターというものが砂地に半分埋もれたような状態で見つかっております。この九月の末に富山県警の方から、ほぼ北朝鮮のものだろうという鑑識結果といいますか、これが発表されたところでございます。
 実は、一九九〇年に、福井県の美浜町におきましても、ほぼ同様の水中スクーターが発見をされております。このときはその周辺に北朝鮮の工作員とおぼしき水死体とともに見つかったということでございますし、また富山県県内では昭和五十年代に拉致疑惑に近いような事件、四件発生をしておりまして、また石川県でも同様な事件が数件発生をしておる。まさに北陸というのはスパイの侵入銀座ではないかというようなことも言われておるわけでございますが、沿岸の住民は大変な不安、これを募らせておるわけでございます。
 このようなことを踏まえまして扇国土交通大臣にお伺いをしたいと思いますが、日本海沿岸の危険性といいますか、危機感、これを基本的にどのように認識をしておられるか。そして、今回新しいこのような事案が発生をしたわけでございますが、北朝鮮に対してどのようなアプローチといいますか、対応を行ってきているのか。あわせて、このような問題に対して有効な手段としましては、やはり海の海上保安庁、そして陸の警察、これが例えば合同捜査をするとか合同訓練をするとか、情報をしっかりと共有していく、このような連携を強化していくことがまずは重要だと思いますが、このような取り組みについてどのように考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(扇千景君) 今、野上先生から状況とまた対策と二つに分けてお話がございましたけれども、今、野上先生がおっしゃいましたように、北朝鮮の工作船であろうという、工作員が使用したものであろうと思われます水中スクーターと見られる物体でございますけれども、これは大体全長は約百六十センチメートル、直径約三十センチメートルの円筒状の金属製の物体でございまして、平成二年に、今おっしゃいましたように、福井県の美浜町の海岸に発見されました。また、本年の三月、今おっしゃいました富山県の黒部川の河口で同じようなものが発見されました。
 これも、少なくとも海上保安庁では、日本海沿岸周辺におきます当該の水中スクーター事案を初めとして、能登半島沖の不審船事案に見られるような不審船の出没が確認されておりますので、この日本海沿岸の周辺に引き続いて監視体制を強化しようということで、もちろん警察との間では常に連携をして、常時、日ごろから綿密な情報交換を行っていこうという体制を、合同練習もいたしておりますので、今後とも引き続いて警察等々の関係に当たっていきたいと思っております。
 また、対応についてはどうかという重ねてのお話でございますけれども、海上保安庁におきましてこの不審船、あるいは不審船におきまして拿捕するということも、十分な出力でありますとかあるいは航続距離等を有する高速特殊警備船を整備しなければならないと。過去の事案で残念ながらみすみす乗船も停止もできなかったという経緯がございますので、それを整備しようということで、高速小型巡視船の機能の向上を図ろうということで船備の見直しを行いまして、日本海側の適切な配備に、部署を全部配備したというのが現実でございます。
 また、自衛隊とも共同対処マニュアルの策定をしようということで、このマニュアルにかかわります共同対処訓練を自衛隊とも一緒にやろうということで、これも共同の対処訓練を実施しましたり、また今後も同種事案に的確に対応するために警察、自衛隊、海上保安庁と連携して対処していきたいと思っております。
○野上浩太郎君 ぜひ積極的かつ適切な対応をお願いしたいと思います。
 今、扇大臣からこの不審船の事案を踏まえまして共同対処マニュアルですとか共同訓練、さまざまな連携対策を行っているという話をお聞きをいたしました。
 もう少し詳しく聞いていきたいと思いますが、今、高速特殊警備船を配置をしたということでございますが、連合審査会でほぼ四十ノットの速力が出るというお話がございました。これにあわせて、この船のいわゆる装備を、例えば五インチぐらいの機関銃ですともう沈没、撃沈してしまうおそれがあるということで、小型の機関銃あるいは新しい拿捕の方法、こういうものを検討していくことが重要であると思いますが、どのような状況になっているか、答えられる部分でお願いをしたいと思います。
○副大臣(泉信也君) お尋ねのございました高速特殊警備船の概要でございます。
 事細かに御説明するということにはまいりませんが、委員御指摘のように、速力は四十ノット以上ということを確保いたしておりまして、さらに二十ミリ機関砲、赤外線を活用いたしました監視装置、こうしたものを備えると同時に、航続距離等につきましても配慮いたしました警備船三隻を整備、日本海側に配置いたしたところでございます。
 そのほか、高速小型巡視船の機能向上を図ってこれまでの配備の見直しを行いまして、これもまた日本海を中心に適切な配備を行ったところでございます。
○野上浩太郎君 この特殊船の配備を充実させた後、これは実際に船を停船させて実際の立入検査をするという段階に至った場合、前回の事案では、例えば自衛隊の護衛船が防弾チョッキを積んでいなかったりというような報告などもありましたが、まさに命の危険を伴う立入検査でございます。この装備、十分なものになっているかどうか、お聞きをしたいと思います。長官、お願いします。
○政府参考人(縄野克彦君) 不審な船をとめた後の立入検査でございますけれども、御想像できますように、武器による反撃等も考えられるわけでございまして、これに備えながら実施することが必要でございます。
 このために、私どもとしましては、いわゆるテロ、さらにはシージャック、そういうものを念頭に置いた特殊部隊を私どもとして配備をしておりまして、これらの部隊を現場にできるだけ早く移動させることによりまして、万全の注意を払いつつ、武装解除、立入検査を実施することとしておるところでございます。
 装備の点でございますけれども、もちろん防弾チョッキ、小銃等の武器、これら必要不可欠な装備は、これらの特殊部隊あるいは一定の船に対して装備をしているところでございます。
 昨今のテロ対策という、このような状況でもございますので、さらに今後とも必要な装備の充実強化につきましては、予算面でも私どもとして求めてまいりたいというふうに思っております。
○野上浩太郎君 十分な装備、安全の確認をお願いしたいと思います。また、今お話がありましたとおり、今次のテロ等もございます。専門的な知識、また技術、必要な部隊があるということでございますので、これも適切な投入をお願いをしたいと思います。
 そこで、今回の不審船に対する事案で一つのポイントとなりますのは、自衛隊と海上保安庁の連携ということであると思います。まず、確認の意味で、自衛隊と海上保安庁の基本的な役割分担、これをお聞かせ願いたいと思います。
○大臣政務官(木村仁君) 不審船への対応に係る海上保安庁と自衛隊との役割分担の基本についてのお尋ねでございます。
 不審船への対応は、警察機関たる海上保安庁が第一にこれに対応をいたします。そして、海上保安庁のみでは対処することが不可能もしくは著しく困難と認められる場合には、自衛隊法第八十二条に基づく海上警備行動により自衛隊が対処するというのが政府の基本方針となっております。
 このような基本方針に従いまして、海上保安庁はその使命を十分果たせるよう全力を挙げる所存でございますが、なお、自衛隊の海上警備行動が下令されました場合でありましても、もちろん海上保安庁は自衛隊の部隊と連携、共同してその任務を遂行し、対応に万全を期することといたしております。
 以上です。
○野上浩太郎君 第一義的には当然海上保安庁が対応して、海上警備行動によって海自が出動するということでございますが、ここでポイントとなりますのは、そこの移行期間にやはり空白といいますか、すき間が生じてはならないと。前回の事案でも、海上保安庁の巡視船が威嚇射撃を行ってからこの海上警備行動、この発令まで約五時間程度かかっているということもございますし、適切な海上警備行動の発令ということも重要になってくると思いますが、この点について、防衛庁の方からどのような体制になっているか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(北原巖男君) 野上委員にお答えを申し上げます。
 ただいま国土交通省の政務官から御答弁ありましたように、不審船への対処に当たりましては、第一義的には海上の警察機関である海上保安庁が対応をいたしますが、しかし対応が不可能あるいは著しく困難といった場合に海上警備行動で自衛隊が出るわけでございますが、委員御指摘のとおり、この連携、また速やかな下令等が極めて重要になってまいります。
 そのためには、防衛庁といたしましては、海上警備行動が発令される以前におきましても海上保安庁等との情報交換を含めた緊密な連携あるいは協力措置というものを有効かつ必要に実施していくことが極めて大事である、そのように考えておりまして、そして必要とされた場合に速やかに、また的確に、時期を失することなく海上警備行動が発令されるようにしていくことが大事である、そのように考えておりまして、先ほど委員からも御指摘ございました十一年三月の不審船事案も含めまして、その後、関係閣僚会議でまとまりました教訓・反省事項の中にも、実は防衛庁及び海上保安庁が不審船を視認した場合には速やかに相互に通報する、さらに他の官庁にも伝達する、あるいは内閣官房というのは情報の一元化を図って官邸への報告あるいは関係省庁への伝達を迅速に実施するといったようなことが取りまとめられたところでございまして、私ども防衛庁といたしましては、先ほど来海上保安庁からもありますけれども、こうした体制の重要性にかんがみまして、常日ごろから海上保安庁を初め関係省庁と緊密な連携を維持いたしまして、もし海上警備行動が発令されるといった場合には速やかに対応できるようにしていきたいと、そのように考えているところでございます。
○野上浩太郎君 今、事細かな説明がございました。そして、その中でやはり一番重要と申しますか、ポイントとなってきますのは、情報のあり方、伝達の仕方ということであろうと思います。いわゆる不法侵入のおそれが察知された段階、一番最初の段階からいわゆる海自と海保が連携をして初動態勢をつくっていくということが大変重要になってまいります。
 例えば、米軍から最初の端緒となるような情報が寄せられた場合におきましても、それは速やかに共有をされるべきであると、これは私の見解でございますが、思いますし、またあわせて、不審船を今回海上自衛隊が発見をしてから、P3Cで発見をしたわけでございますが、発見をしてから海上保安庁に連絡が行くと、今回の事案ではこれが六時間余りかかっているということでございますが、これはやはりもっと速やかに連絡を伝えるべきであると思います。この点、どのように改善をされているか。また、あわせて無線暗号の共有化ですとか情報機関の日ごろからの交流というものも基礎となってくると思いますので、それらの状況も踏まえてお聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(北原巖男君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘をいただきました平成十一年三月の不審船事案におきましては、私どもの海上自衛隊のP3Cがまず不審船らしき船舶を三月二十三日の早朝に発見をいたしております。しかし、この段階におきましては不審船であるか否かの確度は極めて低い状況でありましたために、私ども、近傍の護衛艦を現場に向かわせまして、船名、船の名前ですが、船名等に関する情報を収集いたしまして、同日午前十一時に海上保安庁に通報をいたしたところでございます。その後、かかる情報を受けまして、海上保安庁が対処をいたしまして、停船命令、威嚇射撃等必要な措置を講じたところでございますが、海上保安庁では対処することが困難になったということで、二十四日午前零時五十分に防衛庁長官が海上自衛隊に対しまして海上警備行動をまず発令した、こういった事実経緯がございます。
 それで、今、先生から遅かったという御指摘をいただいておりますが、私ども防衛庁といたしましては、当時の対応としては全力を尽くし、適時適切になされたものと考えているところではございますけれども、本事案を契機に改めまして、海上保安庁との緊密な連携あるいは協力の重要性というものは認識されたところでございまして、初動の段階から的確な情報交換、連絡調整を行うことが何よりも重要であるといった観点から、不審船にかかわります共同対処マニュアル、これを作成いたしましたところでありまして、ここで本庁及び地方機関の各レベル並びに現場における所定の情報連絡体制その他必要な事項について定めるなどいたしておりまして、速やかな連絡体制の確立が行えるよう措置をしているところでございまして、またこれを受けまして、海上自衛隊と海上保安庁との間でも所要の訓練を実施しているところでありまして、我々といたしましては、一層の連携、協力の緊密化を図っていきたいと思っております。
 それからもう一つ、先生、暗号無線云々の御指摘がございました。これにつきましても、先ほど私申しましたが、両省庁との、海上保安庁と私どもの緊密な連携、協力の重要性ということにかんがみまして、海上自衛隊と海上保安庁との間におきます秘匿通信体制の確立、また平素からの緊密な情報交換といったことなども着実に今連携を図ってきているところでございます。
 以上であります。
○野上浩太郎君 ぜひ、その情報の速やかな伝達、よろしくお願いします。
 今のお話ですと、当時は不審船らしきものを発見をしたと、それが不審船と確定ができないんで、それが確定できるまで情報伝達がなかったというようなことでございますが、そのらしきものを発見した時点でやはり一報を入れるというのは大切なことであると思っております。
 次に、今回の法改正にかかわる問題でございますが、不審船を撃つということにおいて、これ二十条の第二項、四つの要件というものがございます。この四つの要件は重要なものでございますが、やはり不審船に対応しているときに、不審船の方はどんどんどんどんと逃げていってしまうと、その間にその要件に当てはまるかどうかということに余り時間をかけ過ぎるとまた逃げ切られてしまうというようなおそれもありますので、これはやはり早く判断をして対応できるような体制、これは海上保安庁長官の認定に係らしむということでございますが、このことが重要なポイントとなってくると思います。長官、このことについてどのように思うか、御所見をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) 御説明申し上げます。
 不審船らしき船舶を発見した場合、そのような情報がありました場合には直ちに本庁において、法律上の要件はもちろん長官となってございますが、長官という意味は、現場だけではなくて長官を頂点とする本庁の組織として必要な体制をとりまして、逐一現場の情報を把握しまして、関係の省庁からの情報集約、過去の情報の確認、そういうものを早急に行いまして、これらを現場に伝達し、指示を行う体制を整えることとしております。
 この新しい二十条の二項の要件の認定について、長官の認定ということになっておりますが、私どもとしましては、いわゆる逃げる船に対して危害射撃を可能にするという観点から、このような総合的な情報集約を瞬時に行った上で判断をするということでございまして、判断は慎重でなければなりませんけれども、今、委員御指摘のように、時間をいたずらに費やしてはいけないわけでございまして、私ども必要な情報通信機器を活用し、さらに情報の平素からの蓄積というものに私どもが努力をしまして、迅速、的確な対応が可能になるよう体制をとりたいと思っておりますし、それはまた可能であると確信をしているところでございます。
○野上浩太郎君 まさに今の部分が今回の法改正の一番の命と申しますか、核心だと思っておりますので、適切対応をよろしくお願いします。
 それでは、扇大臣に、今回のこの法改正に向けました運用の姿勢といいますか、心構えといいますか、基本的な部分をお伺いしたいと思いますが、今回の法改正もいわゆる伝家の宝刀のようなものになってしまっては意味がないと。積極的にといいますか、適切に使っていかなければならないと私は思いますし、またこの対応によって不審船、今度出てきたときにこれは必ずもう停船できるような状態になっているのか、その辺の基本的な心構えといいますか、姿勢の部分をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(扇千景君) 私たち日本人として、少なくとも能登半島沖の不審船の追跡不能という情けない姿を見たときに、これではいけないと、本当にまさかあれだけのスピードが出て逃走するということを今まで経験がなかったものですから、平成十一年の六月四日にこれではいけないという閣議決定をいたしまして、海上保安庁と防衛庁との間の連絡強化、そして海上保安庁の対応能力の船備の充実ということを閣議決定をいたしまして、それから対処をしてきたわけでございますけれども、少なくとも今おっしゃいましたように、せっかく法改正をしても完全かと言われますと完全だと言い切れる自信はございません。
 ですから、何ノットの船ができたとか、何を装備したとかということを余り外に言うと、またそれを上回るものを相手方はつくりますので、本来であれば今度整備しました性能の整備方法というものは余り私は表に出したくなかったというのが本心ではございますけれども、少なくとも今想定し得る能力は今回の法改正によって完備をさせていただいて、そしてこの平成十一年に閣議決定しました装備の充実ということにも対処しまして、少なくとも海上保安庁で今回の高速特殊警備船三隻、新潟、舞鶴、そして金沢と、この三カ所に配備をいたしましたし、また夜間の監視機能強化のヘリコプターも二機配備をいたしまして、夜間でもヘリコプターで捜索ができるようにということもいたしております。
 それから、今申しました、先ほども御報告ございましたように、絶えず警察、自衛隊等々との警備訓練マニュアル、そしてマニュアルに沿った訓練と、こういう警備体制をしましたので、法改正して万全かと言われますと、少なくとも今とり得る体制の中では万全を期して、再びそういうことのないようにというための今回の整備でございまして、予算も使っての整備でございますので、これで万全ではないかもしれませんけれども、今とり得る中ではこれが最高であると思っておりますので、ぜひ、そういう意味では、せっかく法改正していただいてまた何だと言われることのないように、この三位一体になった訓練と、確実に不審船を停船させると、少なくとも。
 そういう意味では、今後これに対処していきたいと思っておりますし、停船させるためにも四つのきちんとした方法を今回の法改正の中では明示させていただきました。まず、停船を命じる、しかもそれを続けて命じるという一項、二項がございますし、そして重大な凶悪犯の準備の疑いがあると、これは停船させて調べなきゃわかりませんので、これを実行すると。そして、立入検査をしなければ重大な犯罪があるであろうということで停船をさせるという厳格な四項目を明示して法改正をさせていただきましたので、これからは二度とああいうことがないようにという万全を期したつもりでございます。
○野上浩太郎君 ぜひ適切な万全の対応をお願いしたいと思います。
 海上保安庁法の一部改正についての最後の質問でありますが、この不審船の対応について、いわゆる日本海の沿岸諸国あるいは関係各国との協議といいますか、訓練といいますか、対応、このことも大変重要な問題の一つであると思います。このことについて現在までの状況、どのようになっているか、長官の方からお伺いしたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) 私ども北太平洋に位置しております日本、これを取り囲むロシア、中国、韓国、そしてアメリカ、カナダ、これらの海上警備機関との間では、私の前任、前長官の時代から積極的にこの協力に関する体制を整えてきております。特に各国の関心事項は、最近とみにふえております不審船も含めた海上における組織的な犯罪、これをいかに抑止するかということでございまして、このような共同の意識を持ちながら、日韓、日ロ、そしてアメリカ、カナダ、そしてさらには中国との間でもそれぞれの犯罪に応じた情報交換、そして共同訓練をそれぞれ適宜進めておるところでございます。
○野上浩太郎君 ありがとうございます。
 それでは次に、この海上保安庁法の一部改正の質問は終わりまして、日本国内のテロに対する対策ということについての質問に移りたいと思います。
 原子力発電所関連施設についての現在の警備についてまずお聞きしようと思ったんですが、ちょっと時間の関係上これは省かせていただきまして次の問題に行きたいと思いますが、この原発関連施設における一番重要なポイントといいますのは、私はやはり海上保安庁と警察、これはもちろんでございますが、あわせて民間の事業者、管理者、そして自治体と、この四者が連携を強化する必要があるということであると思います。
 海保と警察の例えば民間事業者に対する窓口を一本化するとか、それを双方向の情報交換をするとか、あるいは避難誘導するのは今は自治体でございますが、その避難誘導の役割と海保、警察との連携、また警察で対処し切れない部分の自衛隊への移行といいますか連携、ここに空白を生じないようにするなど、この四者の連携、これが大変に重要なポイントとなってくると思います。
 原発においては、今大きな地元の皆さんの不安が募っておるところでございますが、このことに関しまして簡潔にお答えいただければと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) おっしゃるとおりでございまして、警察との間ではもちろん常日ごろから緊密な情報交換を行っております。さらに、一番肝心の原発の運営をしております企業、事業者との間といいますか、事業者を中心といたしまして自治体、警察、私どもが連携をとって常日ごろの連絡体制あるいは災害、事故、事件を想定した実際の訓練、こういうものを行ってきておりまして、それを通じて連携強化を図っているところでございます。
 今後とも、現在のテロに対する不安を踏まえまして、周辺の住民の方に不安を与えないように、私どもとしては関係機関とともに万全の体制をとっていくつもりでございます。
○野上浩太郎君 ぜひ万全の対策、お願いをいたします。
 次にハイジャック、飛行機についての話に移りたいと思います。
 今までの連合審査あるいは国会の審議等を通じまして、検査機器の充実ですとか一斉の着陸マニュアルですとか、そのようなものをしっかりと整備をされてきているということでございますが、それに加えまして例えばコックピットなどの構造上の検討、客席からはあかないようにするとか、このような検討も大変重要な部分であると思いますが、そこの部分につきまして今どのような状況になっているか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(深谷憲一君) 御説明を申し上げます。
 先般、九月十一日のアメリカの多発テロの事案にかんがみまして、お尋ねの航空機の中の構造上の問題でございますけれども、これにつきましては、私ども事件発生以来、アメリカの対応等も考慮しながら我が国のエアラインとの間で調整をいろいろ図ってまいりました。その結果、客室側から操縦室、いわゆるコックピットへの侵入、これを防止する、これが大事なことであろうと。ということで、操縦室扉を構造的に強化すべきだろうというふうに考えまして、これを暫定的な措置として、先般、十月二十三日付で各エアラインに暫定的な措置としての強化策をお願いを申し上げました。
 これにつきましては、ただコックピットの構造につきましては他方でセーフティーの問題、あるいは一たん事があった場合についての運航者の、運航従事者の救出の問題等々、いろんな側面もありますものですから、暫定的にはそういう措置をとりましたけれども、機体構造の関係でございますので、今後の話としましては、国際民間航空機関、ICAOというのがございますが、そういった場での専門家会合等の場できちっと将来に向けての国際標準の見直しをしようという動きになってございますので、私どもといたしましてもこれに積極的に参加して、暫定措置は暫定措置として、その後の恒久対策も検討してまいりたい、かように考えております。
○野上浩太郎君 ありがとうございました。
 まだちょっと幾つかの質問残しておりますが、時間となったようでございます。
 いずれにいたしましても、国土交通省は国土の安全、安心を守る上で大変大きな役割を果たしております。扇大臣を先頭にこれからまた大きな御奮闘されますことを心からお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。
 今ほど質問をされました野上先生は富山県出身でございますが、私も富山県出身でございまして、きょうは富山県の新聞記者の皆さんがたくさん来ておいでになりまして、あしたの新聞は私は出ないで恐らく野上先生がトップを飾るんじゃないかというふうに思いますが、それに負けないで、自分でも少し勉強させていただいたことを質問させていただきたいなというふうに思います。
 アメリカで九月十一日に発生した同時多発テロ、あのときから世界が一変したような気がいたします。今は戦争モードに入ってしまったというふうに思われがちですが、私は、それよりも、いまだにあの瓦れきの下で眠っておいでになるのか、とにかく助けてくれという悲痛な叫びを発しておいでになる、そういう皆さんの気持ちを思いながら、そして身内をまだ生きているという望みをつなぎながら探している、そういう姿が物すごく心に痛みますし、一方では、アフガンで罪もない子供たちや民間の人たちが空爆でけがをしたり、亡くなられたりする。
 まさにその原因は何か。それはいろいろあろうかもわかりませんけれども、今回の場合はあの九月十一日のテロだというふうに断言してもいいんではないかというふうに私は思いますし、テロの根絶こそ、そういう悲しみやそういうものをなくする大きな強い意志でもってやっていかなければならないというふうに思います。まさに人道と正義に反する行為、これを地球上からなくさなければならない、そういう思いでテロに対して敢然と毅然として日本も立ち向かうべきだというふうに思います。
 そして、今このテロ対策三法案が提案をされております。国民はまさにこの三法案に対して安全と安心を約束するものにしてもらいたい、こういう思いで国会の審議を見守っているというふうに思います。
 そういう意味では、きのう、おとついと連合審査が行われました。きょうは、この海上保安庁法の改正案が出されております。海上保安庁の封筒は、私は感心しました、「愛します 守ります 日本の海」、こういうキャッチフレーズで、まさに日本を守りたい、守る、こういう思いをにじませておりますし、一方では、日本は御承知のとおり陸続きの国境はありません。四面が海でありますから、いわゆる領海警備が国境警備と等しい、こういうことになろうかと思います。
 そういう意味では、海上保安庁の役割がまさに大きなものがありますし、その責任者である国土交通大臣の役目は非常に重いものがあるというふうに思いながら質問をさせていただきます。
 まず最初に、能登半島沖の不審船事案の関係で十一年六月四日に早速今後の対策を検討され、閣議決定がされました。私は、そのすぐ後にこういった法案があるならば出るべきものだというふうに思っておりました。ところが、今、テロが起きた途端にできてきたというのは、裏を返せば、この法案というものは、高速船を準備したりあるいは設備を整えたりすればこの法案はひょっとしたら要らないのではないかということを国土交通省、海上保安庁として、あるいは閣議決定のときとして思っていたのではないか、そういうことも考えられるわけでございますけれども、この法案が今このタイミングで出されたというその問題について、大臣の方からお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(扇千景君) 同じ富山同士という先生に、きょうは谷林先生に御質問いただきましたけれども、私は、今、先生がお話しになりましたように、日本全土海に囲まれた日本としては、いかに我々の安全と安心をどのようにして守るか。これは広範囲にわたるものですから、今おっしゃいましたように、平成十一年六月四日に閣議決定をいたしましたけれども、まず一番大事なことは装備をどのようにしていくかと。また、その装備を完成して、つくっても、どのように対応するか、使用するかと。しかも、先ほど野上先生からも御質問ありました自衛隊と警察と海上保安庁との連携をいかにするかと。そして本来は、停船を命じても、かつてのあの不審船のときのように、いかに人命を守りながら停船をするために武器の使用をどのようにするかと。私はこの点について、適切な武器の使用の仕方については一番今までも頭を悩まし、みんなも研究し、そこが一番私大事なところであったと思います。
 ですから、先生がおっしゃいますように、平成十一年六月四日、閣議決定したならすぐ出せばよかったのにと、お説ごもっともでございますし、今までそういう遅きに失したと言われれば私はそのとおりだと思います。この不審船の今まで、先ほどから数字を申し上げました、これだけの不審船らしきものも含めて複数の、数百に及ぶ事例があったにもかかわらずと言われてしまえばそのとおりだと思いますけれども、私たちは少なくともなるべくならばこれを穏便に、しかも、なおかつ拿捕するなら拿捕してきちんと事情を聞きたいと、これが一番の解決方法だと思っておりましたけれども、今までの三百六十四ですか、六十五ですか、三百五十七に及ぶこの事例の中で、少なくとも二百八十二、不審船として確認したと。この数字を見ますと、二十隻という不審船の数を見ましても、なるべくなら武器を使用しないで、あるいは威嚇だけでとまっていただければという念願があったものですから、遅きに失したと言われれば私は御指摘のとおりだと思いますけれども、装備をしたから何でも使ってもいい、そういうことにはならないように、過度にならないように、なおかつ一隻だけなのか、あるいは人をおろしたのか、今までもいろんな事例があるものですから、人に危害を加えないような停船の武器の使用方法をいかに図るべきかという、そこに私たちは違法性がないという、そういうことを研究しながら今日に至って、本来はもっと早くできるはずだとおっしゃればそのとおりだと思いますけれども、私は、先ほど申しましたような連携と使用の仕方、なおかつ停船の命令方法、指揮系統をどうするか、こういうことを熟慮した上で今日に至ったというのが現実でございます。
○谷林正昭君 私もこの法律は、見た目にはこのテロという状況を見て、そして能登半島の不審船だけを見たときは早く出すべきだと、こういうふうに思いました。今、大臣がおっしゃいましたように、しかしよく考えていけばいくほど危ういところもあるんですね。怪しいから撃ってもいいと、こういう法律なんですね。その辺が非常に危うい。そういうものがあるものだから、国土交通省としても海上保安庁としても、いろんな関係、国際的にもあるいはことを検討しながら、研究しながら今このタイミングに出されたというふうに私は行き着きました。大臣と同じ考えでございます。
 そういう意味で、能登沖の不審船が原点になったというふうに思いますし、ああいうものを何としてでもというふうになるわけでございますけれども、そういったときに、じゃ、あの能登の不審船は何だったのかということをもう少ししっかり私は国民に説明するべきだというふうに思います。
 これは引用させていただきますけれども、東京新聞の社説の中に、
  不審船はその後、北朝鮮の領海に向かい、政府は、不審船の捕獲と引き渡しを北朝鮮に対し求めた。北朝鮮は国際道義上、要請にこたえる責務がある。そうでなければ北朝鮮は隣人としての信用を得られず、今後、日本からの大きな支援は期待できないことも覚悟すべきだ。政府は、事件の再発を抑止するためにも、不穏な侵犯事件に対する厳しい姿勢を、外交対話の場を通じ、決然と示してもらいたい。
こういうマスコミの考え方が出ております。
 じゃ、この後、外交ルートを通じて、この不審船に対しての交渉、引き渡し、これをどういうふうにやられたのか。本来、外務省の方に聞けばよろしいかとは思いますけれども、扇大臣の方で、非常に今後のこともあると思いますので、これまでの経緯、それから今後の決意、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(扇千景君) 今、谷林先生がおっしゃいますとおり、私どもは少なくとも最初におっしゃいました海上保安庁の役目として、「愛します 守ります 日本の海」と、こういう観念で海上保安庁が対処しておりますので、海上保安庁としてはこれを達成するためにはどうするかということで、平成十一年三月の、今、先生がおっしゃいました能登半島沖で発見されましたあの不審船らしきもの、これについては完全に不審船であると。日本の船名まで使っていた、そして逃走した、漁船とは考えられないスピードが出た、そういうことで残念ながら追跡できなかったわけですけれども、その後、北朝鮮北部の港湾に到着したというそういう判断をされたわけでございますので、その後種々の情報を総合的に勘案した結果、これはやっぱり北朝鮮の当局の工作船であったということだけは判断するに至ったと私どもも承知しております。
 けれども、じゃ、それに対してどのような対処をしたのかというお話でございますけれども、これは本来は私が答えるより外務省だと思いますけれども、越権行為でございますけれども、お尋ねでございますから。少なくとも私は、今後不審船の対応を初めとして、密航とかあるいは密輸、そして密入国、これらの取り締まりを厳重にするしかないと。国交がございませんし、少なくとも確かに北朝鮮の港に入ったであろうというところまでは追跡できたという、これも私も、報告でございますけれども、聞いておりますけれども、現段階では少なくともそれに今度対処できるようにしていくしかないと。
 しかも、先ほども水上スクーターらしきものとか、あらゆるものを使うものですから、日本から拉致されたであろうというそういうことも私たちは念頭に置きながら、まず捕まえる、その現場を押さえるということでないと、能登半島の沖のように逃げられてしまったのでは、もう証拠がないと言われればどうにもならないものですから、今回は二度とこういうことのないように、きちんと停船させて不審なものは調べる、その対処をまずとろうということで平成十一年以来やってきたというのが現実でございまして、交渉的なものは、正式なルートはございませんので、外務省に改めてお聞きいただいたらいいと思います。
 私たちはまず現場を押さえるということに細心の努力を今日までしてきたというのが現実でございます。
○谷林正昭君 その後のことにつきましては、また外務省の方へ聞きながら対応しなきゃならぬというのも、国会議員の役割もありますし、政府の役割でもあるというふうに思いますので、その機会をとらえてまた行いたいというふうに思います。
 今ほどありましたように、先ほどまた野上委員の方から工作員の話が出ました。水中スクーターの話が出ました。私、ここに写真を持ってきておりますが、こういう写真で、先ほど大臣が説明をされましたサイズのものでございます。
 そういうものが見つかりまして、なぜこういう話をさせていただくかといいましたら、マスコミの発表では、どうも能登沖の不審船がこの水中スクーターと関連があるのではないか、裏を返せば否定できない、そういうようなことも時期的にマッチするということが実はわかってまいりました。いまだに上陸した人は捕まっておりませんが、つい先日、何といいますか、犯人を特定しないで起訴だけはしたと、こういう報道も出ておりました。
 そういうことを踏まえまして、きょう警察庁警備局長に来ていただいておりますが、その後の捜査の状況、あるいはこの不審船と関連があるのかないのか、わかる範囲でお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(漆間巌君) 御指摘の水中スクーターにつきましては、富山県警が十月十九日に被疑者不詳のまま出入国管理及び難民認定法に規定する不法入国の罪で検察庁に送致していると承知しております。
 本件は、捜査の結果、水中スクーターが発見された場所周辺の植生状況、植物の成育状況ですね、植生状況から、平成十年十一月下旬ごろから翌十一年四月ごろの間に潜入したのではないかという推定ができるわけでありまして、平成十一年三月の能登半島沖不審船事案と関係している可能性も否定できないというふうに見ております。
○谷林正昭君 大臣、そういうこともあるんですね。だから、非常にそこの住民は心配ですし、最初、冒頭言いましたように、国境警備に当たる領海警備、こういうことを考えたときは、やっぱり何としてでも、この後の法案に入る前に十一年六月四日の閣議決定が行われ、そしていろんな角度から対応能力の整備というものがされたというふうに思います。
 問題は、今度のテロ事件と関係しまして、そのときに計画、そしてその計画に基づいて実施された、それが今回のテロ問題を絡めてその計画が変更されるのかどうか。より充実をされるというふうに私は思うんですが、そこらあたりを、一つは巡視船艇の能力強化の実施と計画、二つ目には高速巡視船の配備と実施、そして計画、もう一つは航空機の能力強化、こういうことについてこの十一年の六月四日に方針として出されております。
 そういうものの具体的な内容について、実施の状況と計画、そして変更があるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) 今お話ございました教訓・反省を踏まえまして、私どもとしましては、もう何度もお話が出ましたように、速力が十分な高速特殊警備船の配備をさせていただきましたほか、それ以外の巡視船艇につきましても高速小型巡視船などの機能向上を図るというようなことで、増強はもちろんでありますけれども、既存の船を更新、代替する場合にも、速力あるいは武器の性能、監視能力、そういうものの向上を図っておるところでございます。これらにつきまして、特に日本海側の部署に重点的に配備をしているところでございます。
 航空機につきましても、監視能力の強化が必要でございます。特に、いろんな面がございますけれども、私ども日本の海上保安庁の担当範囲は、日本海はもちろんでございますが、非常に太平洋上広うございますので、特に大型のジェット機による広範囲な長時間の監視能力、こういうものを私どもが得るべく、より大きなジェット機の配備につきましても現在進めているところでございます。
 この不審船の問題だけではなくて、密航、密輸の取り締まり、監視、あるいは私どもの別の業務でございます航行安全あるいは海難の救助等のいろんな業務にわたりまして、これらの巡視船艇なり航空機の機能の向上というものが一つ一つ役に立っていくというふうに考えております。
 見直しということでございますが、私どもは今まで、今申し上げましたような機能向上を進めてまいりますが、さらに、先ほど申し上げましたように、私ども特殊部隊を中心として持ってはおりますけれども、例えば化学あるいは生物テロのようなそういう最悪の事態にも最小限私どもとして対応できるような装備につきましても予算要求を含めまして引き続き考えてまいりたいというふうに思っております。
○谷林正昭君 大枠では今おっしゃられたことだというふうに思いますが、より具体的にお尋ねさせていただきますけれども、例えば高速船が三隻配属になったというのは、これマスコミ報道で聞きました。今後の計画として、この三隻だけで終わりなのか、どれぐらいの船を準備するのか。
 調べたり聞いたりしますと、海上保安庁の船はぼろっちいとかといってよく言われて、気の毒だなというふうなことも思ったりもしたんですが、これからのことを考えると、そういうぼろっちい船ではいけませんし、燃料が途中で切れるようなそういうものでもいけませんし、そういうことを考えると予算というものも絡まってくるわけでございますので、もう少し詳しくお聞かせいただけないでしょうか。
○政府参考人(縄野克彦君) 私どもの船につきまして、確かにぼろっちいといいますか、老齢化した、船齢、船の建造からの年月が過ぎたものが多いことは事実でございます。これは、二百海里時代を迎えまして、昭和五十二年前後に私どもの体制を強化すべくかなりの数の船艇を建造させていただきました。それが二十年を経てたくさんの船が代替建造期に当たっております。
 一方で、私どもも役所でございますので、予算というものは無制限ではない。私どもの予算は人件費を含めて千七百億、物件費は七百億でございますが、そういう中で船艇の整備をどのように進めていくかということにつきまして知恵を出して重点的に進めているつもりではございます。
 ただ、巡視船、二十五年あるいは二十年が一応の耐用年数というふうに考えて建造計画を進めておりますけれども、それらをすべて計画どおり代替するということは予算の制約上できない状況でもございます。
 私どもとしましては、特に現在は巡視船艇につきましては高速船、先ほどのお話に出ております高速特殊警備船の配備というよりは、それだけではなくて、既存のいろんなタイプの巡視船艇につきまして古いからこれを更新する、更新するときにすべて速力あるいは監視能力あるいは武器の能力、そういうものを向上させていく、そういう更新をできるだけ進めたいということで、当初予算にももちろん最大限、国土交通省の中で許される最大限の配慮を得まして要求しておるところでございますし、先ほどから申し上げておりますように、今回予想されます補正の検討の中でも私どもとして最大限求めていきたいというふうに思っておるところでございます。
 航空機についても同じでございます。
○谷林正昭君 先ほども何回も、繰り返させていただきますけれども、領海警備は国境警備、そういうことを念頭に置くならば、私は一日でも早くそれにマッチできるような整備というものが必要ではないかというふうに思う次第でございます。
 次に、先ほども出ましたが、自衛隊との共同対処、もし不審船を見つける、見つけた、追跡をしなきゃならぬ、あるいはとめなければならないというような状況になったときの自衛隊との共同対処マニュアルというものがすぐ策定をされました。そしてそれに基づく訓練もされているというふうに思います。
 この共同対処マニュアル、そしてそれに基づく訓練の実施状況というものを少しお聞かせいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(扇千景君) 今のマニュアルをお答えする前にもう少し、先生がせっかく言っていただいたので、今、保安庁の長官の話のちょっと実績を認識いただければありがたいと思いまして。
 細かいことですけれども、少なくとも海上保安庁、巡視船艇が三百五十六隻ございます。その中で二十年を超えた船艇数が、巡視船が百二十四のうちの七十一隻、そして巡視艇の二百三十二隻のうちの六十九隻と、四割が二十年を超えているというのが現状でございます。一般の船では一割しかございません。そういう意味で、老朽化しているとおっしゃったのはそのとおりでございます。航空機に至りましては、航空機が七十五機ございます。その中で二十五機が二十年を、耐用年数過ぎていると。こういうことでございますので、予算時にはよろしくどうぞお願いします。
 それから、今、本質のお尋ねの自衛隊との共同対処マニュアル、どういうものかとおっしゃいましたので、これ十一年の六月、先ほどから私申しましたように、能登半島沖の不審船におきまして閣僚会議でこれは決めたことでございますけれども、十一年の十二月に海上保安庁と自衛隊の間におきます共同対処マニュアルを制定いたしました。
 これ四つございます。この共同マニュアルは、一つは不審船対処についての基本的な両方の考え方、これが一つでございます。二つ目には情報の連絡体制、これをどうしていくかということでございます。三つ目には海上警備行動発令前後における共同対処をいかにするかと、これが三つ目でございます。四つ目には共同訓練と。これを決めまして、発表いたしまして、実行に移したと。
 その共同対処マニュアルに基づきまして、海上保安庁と自衛隊とにおきまして、これまで防衛庁との迅速な情報連絡の実施、これは随時いたしております。そして、同マニュアルにおきます共同対処の訓練の実施は、平成十一年の十月に二回、そして同年の十一月、そして平成十二年の九月、各一回、これをマニュアルに沿って実施をさせていただきました。また、海上保安庁の巡視船艇と自衛隊の艦艇等の間におきます情報交換の訓練も、これも現在随時行っているというのが現状でございます。
 今後におきましても、マニュアルがあってもということでならないように、自衛隊との間におきまして定期的な相互の研修と情報交換及び共同訓練等を実施して、少なくともこの連携に努めてまいりたいと思って実施しております。
○谷林正昭君 今ほど実施訓練の話が回数も含めて出されておりますが、私は新たな訓練も必要になってきたのではないかと。例えば、テロに対する、弾薬、武器、爆弾を積んで船に、フェリーに体当たりをするとか、あるいはいろんなことが想定をされます。ありとあらゆる想定を含めたやはりテロに対する、あるいは新たなそういうものに対する、犯罪に対する訓練というものもこの後必要になってくるような気がいたします。
 そこで、具体的な法案の中身に入っていくわけでございますが、入る前に、概念としてこれはわかっているようでも自分ではちょっとわからないものですから、保安庁長官にお聞きいたしますが、威嚇射撃、これは文字どおり読めばわかるわけですが、危害射撃、その違い、どこで判断するのか、これを少しお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) この法案の前提といたしまして、昭和二十三年に制定されました警察官職務執行法、私どもは警察機関でございますので、原則として武器の使用につきましては警職法七条によって武器使用を行うことになっております。
 御存じのように、警職法の武器使用は、犯人が逃亡する場合あるいは公務執行を、抑止する場合使うことができますが、ただし、人に危害を与えることができるような武器使用は正当防衛あるいは緊急避難あるいは重大凶悪犯罪の既遂犯であること等に限られておるわけでございます。
 今回、私どもが改正を御提案申し上げましたのも、重大凶悪の犯罪の既遂ではなくて、その疑いがあるような船、これを立入検査してとめなければその確認ができないということのために法改正をお願いしているわけでございます。
 くどいようでございますけれども、結果的に人に危害を与えても刑事的に免責をされるような要件での射撃を危害射撃と私ども承知しております。威嚇射撃というのは、これは主観的な判断でございますが、人に危害を最初から与えるつもりではなく、警告の意味を込めて射撃をするものを威嚇射撃と承知しているものでございます。
○谷林正昭君 念押しをしますが、危害射撃の法的根拠というのはあるんですか、ないんですか。
○政府参考人(縄野克彦君) ただいま申し上げましたように、警職法七条のただし書きを逆から読みますと、警職法七条では次の場合以外は「人に危害を与えてはならない。」と書いてございますので、警職法七条に列挙されている正当防衛あるいは重大凶悪犯罪の既遂犯に対する対応は危害を与えても刑事的に免責をされるという意味で、つまり、職務として正当化されているという意味でそれを危害射撃というふうに言っておるものでございまして、私ども今回御提案申し上げておるのは、新たにそれに加えて、この四つの要件に当たって海上保安庁長官が認定するものに対して撃つのも警職法の七条のただし書きの各号列記に加えて、これも危害射撃としてお認めいただきたいということでございます。
○谷林正昭君 危害射撃の定義はわかりました。
 わかりましたが、法案にこれから入っていくわけでございますが、もう一つ法案に入る前にお聞きしたいんですが、能登半島沖の不審船の場合、とにかく追いかけましたね。追いかけました。だけれども、最後はどこかの判断でそれ以上追うなという指令が出て、それ以上追いませんでした。
 国際法上もいろいろあろうかと思いますけれども、どこまででも追いかける権利というのはあるのではないかというふうに思いますし、一方では、今の日本の考え方の中で、どこで追うなというものが出るのか。そういうものがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) 国連海洋法条約百十一条によりまして国際法上認められております沿岸国の権利、これは領海で船舶の追跡を開始した場合には、中断されない限り引き続き公海、公の海まで追跡し、その国の法令を適用することができるということになっております。
 不審船のような事案、こういう場合にも私どもはこの国際法上の原則にのっとって、私どもの領海で今回の事態、今回想定しておりますような事態、つまり私どもの立入検査、停船命令の指示を無視して航行するというような船が発生し、それが私どもの領海で発生をした場合には追跡して、公海においても私どもの法令を適用して、私どもが職務を執行することができるというふうに考えております。
 それ以外の制約、委員のお尋ねの中にありましたどこで打ち切るかということにつきましては、外交的な判断あるいは軍事防衛上の判断、そういうものは別途あろうかと思いますが、海洋法条約によります追跡権については以上のとおりでございます。
○谷林正昭君 わかりました。
 それでは、法案について具体的に質問をさせていただきます。
 大臣が冒頭おっしゃいましたように、慎重に検討しながらこの法律をつくった、出した、こういうふうにおっしゃいました。私もそういうふうに思いましたし、これはこれまでになかった性格の法律である。先ほど長官がおっしゃいましたように、警察の危害射撃とはまた違った意味の、それにプラスして新しいものをつくるということであると私は思いますので、怪しいものは撃ってもいいという法律だと私は理解しております。相手が抵抗も何もしない、逃げるだけ、逃げるだけの相手に対して撃つということでありますから、捕まえてみなければ怪しいかどうかわからない。しかし、怪しいから逃げるんだ、怪しいから逃げるんだからそれをとにかくとめるために撃つ、こういう法律だというふうに私は理解をしております。
 そうなってきますと、まずこの四要件、保安庁長官が決断を下す四要件、無害通航でない航行の見きわめ、あるいはその他の三つの要件、これは船に乗って初めてわかることではないかな。無害通航でない航行は、横から見ていて後ろから見ていて空から見ていてわかると思います。しかし、残りの三要件は、捕まえてみてとめてみて入ってみて初めてわかる要件ではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(縄野克彦君) この要件につきましては、私どもとしましては、まず総論的に申し上げますと、逃げているだけの船でも、先ほどから申し上げておりますように、重大凶悪な犯罪のおそれ、それを繰り返すおそれ、そういうものがあるということと、先ほど大臣が申し上げましたように、立入検査をして確認しなければこれを確認、予防できない、そのほかに手がないということを念頭に置いてこの要件を御提案申し上げているところでございます。
 第一の要件は、日本船舶以外の船舶が我が国の内水または領海において我が国の平和、秩序、安全を害する行動をとっていると認められる行動でございまして、例えば能登半島の不審船事案のようなケースでございますと、日本船舶を偽装しております。あの二隻は、御承知のように実在しない船、あるいはほかで漁をしていた船、それを偽装しておりまして、これが瞬時に私どもの検索でわかったわけでありますけれども、そういう船舶が荒天、天気が荒いのを避けるというような理由がない、正当な理由がないのに領海内で徘回をしておりました。重ねて海上保安庁の立入検査を拒んで逃走をいたしました。これは第一号に当たるというふうに考えております。
 それから、第二号は、不法な活動のために特別に建造され、改造された船舶と考えられる。これは、船舶の外観や関連情報から見て繰り返しおそれがあると認められることでございます。これは船名の偽装がありましたことは先ほど申し上げたとおりでございますし、異常な高速で逃走するというようなことも見られました。過去の不審船事案から見まして、これは工作活動を目的とした船舶と判断することができるものというふうに考えております。
 三番目の要件は、現在及び過去の情報から見て、当該船舶の重大凶悪犯罪への関与の疑いを排除し切れないというふうに認められる場合でございますけれども、これも過去における日本人拉致容疑事案についてのいろんな蓄積がされた情報、それから先ほど申しました船名の偽装、アンテナが林立している、その他の特徴から、過去に私どもが認知をした工作船と同じではないかというふうに該当いたします、少なくともその疑いがあるということでございます。
 第四の要件は、冒頭に申し上げましたように、その場で停船させ立入検査をすることが不可欠である、そうしなければ犯罪の防止ができない、それ以外に手がないと。これは海上の特殊性として、領海の外に向かって逃げられればこれを確認することができなくなってしまう、そういうことを念頭に置いてつくられた要件でございまして、そういう四つの要件につきまして、私どもとしましては二年前の船はこれに該当すると考えておりますし、今申し上げましたような要件が、一つは現場での外観、その行動、そういうものからわかりますし、一方で他の船の船名を偽装しているかどうか、あるいは過去のいろんな船との整合性、該当するかどうかということについては現場でわかるようにもしたいわけでありますけれども、関係機関との情報公開、先ほどお話にも出ました情報の共有によりまして、本庁においてより充実した情報の蓄積を行っております。それを瞬時に判断をいたしまして、それに該当するという判断をすることが最も適切な判断の仕方かなという意味でこのような要件にしたわけでございます。
○谷林正昭君 能登半島沖不審船に当てはめたらというような説明の仕方だったというふうに思います。これから起きるということに関しては全く何の参考にもならないんではないかなというふうに私は今聞いて思いました。
 例えば、じゃ、具体的に聞きます。国籍不明の船がどこかにいると。待てと言って追いかけた。しかし、逃げた。とまらない。最終的には威嚇射撃してもとまらない。しかし、長官の判断で危害射撃を行った。人がそこで何名か死んだ。ところが、捕まえてみると、それは麻薬の取引に来ていた船であったという場合は、その法律、いわゆる人に危害を与えたとしてもその違法性が阻却されることになるのかどうか、具体的にお聞きします。
○政府参考人(縄野克彦君) 御指摘のような船が私どもの現場あるいは私どもの本庁に蓄積された情報から見て重大凶悪犯罪の準備のために、例えば不審船の場合は拉致でございますけれども、テロ活動の下見というような準備、そういうものであるというような情報が私どもとして、この条文の言葉で言いますと、「疑いを払拭することができない」ということであるなどのことから、これに該当すると私どもが判断をしまして危害射撃をした結果、先生がおっしゃるように、委員がおっしゃるように、それは単なる麻薬密輸船であったということになりますと、結果的にはこの要件で言う重大凶悪犯罪ではなかったのかもしれませんが、疑いがある、払拭できないという私どもの判断は結果だけで判断されるということではなくて、事後的に単に麻薬密輸船であったことが判明いたしても、私どもがそのように判断するに足る理由があるというふうに仮に司法の場で争われた場合に、結果が麻薬密輸船であったから必ず違法になるということではないというふうに、政府部内での検討の結果、この四要件については解釈をしておるところでございます。
○谷林正昭君 よくわかりませんね。この阻却されるということになるんですか、されないということになるんですか。
○政府参考人(縄野克彦君) 先ほど申し上げましたように、四つの要件に該当したと判断して私どもが危害射撃をして、結果的に密輸船だけであった、密輸だけの船であったということであって、その四要件に該当するということの判断、これはもし委員のおっしゃるような想定であれば最終的には司法の場でその判断の正当性を争われることになるかもしれません。これは外国で過去にも例がございます。そのときに、その判断が正当であった、その疑いを持たせるような外観なり行動をしたということについて正当性があると認められれば、仮に結果的に密輸船であっても刑事処罰性、その違法性は阻却されるというのが政府としての解釈として御提案をしているわけでございます。
○谷林正昭君 解釈ですか。済みません。じゃ、大臣。
○国務大臣(扇千景君) 今、先生の事例の話ですけれども、少なくとも私は、先ほど海上保安庁長官が言いました第一号の事案にこれは入るわけでございます。それは秩序または安全を害する行動をとったと認められるという第一号に、麻薬というもの、密輸なんですから、これは少なくとも第一号の秩序と安全を乱すという、これはきちんとそれに当てはまりますし、私は阻却されると思っております。
○委員長(北澤俊美君) 委員長からちょっと一言申し上げます。
 大臣と海上保安庁長官の答弁は食い違っておるように思われますので、ちょっと協議してください。
○谷林正昭君 大臣は今一項目、要は無害通航のような格好、それから推測で麻薬取引を捕まえてみて初めて麻薬取引ということをおっしゃった。私もそういうふうに言っているんですね。だから、これは重大な犯罪だから阻却されると言う。長官がおっしゃっているのはそうじゃないと私は理解しておりますよ。四要件全部そろっているから撃ったんだと、こういうふうにおっしゃっていますね。違いますね。
○政府参考人(縄野克彦君) 委員のおっしゃるように、この要件は四つすべてについて該当するということが要件でございます。大臣が申し上げたのは、少なくとも第一の要件には該当するということを申し上げたということでございます。
○谷林正昭君 じゃ、もっとわかりやすい事例を挙げさせていただきます。
 漁船の場合、外国の漁船、これはわかる。外国の、日本船籍ではないということがわかったとします。それが密漁しています。明らかに漁をしているということがわかっておりますし、網も積んでおります。その船が、密漁なものですから、待てと言ったら困ったと言って逃げます。それをとめに入ります。だけれども、また逃げます。恐らく逃げ切れないとは思いますけれども、たとえ。そういった場合はとめにゃならぬと言って撃ちます。(「撃たないですよ」と呼ぶ者あり)いや、撃たないと思いますよ。撃たないと思いますが、だけれども、今の例でいきますと撃っても構わぬというような話になりますから、じゃ、それはどうですか。もし撃った場合に、明らかに密漁だけだったということがわかった場合は阻却されますか、されませんか。
○政府参考人(縄野克彦君) 明らかに、もう一〇〇%明らかに密漁であると。例えば、小さな船で、船が船頭さん一人でアワビが満載してある、それ以外何も見えないというような船に対して撃つかというと、今回の法改正はそれは想定をしておりません。
 ただ、一方において、漁船を装いながら、例えば、これは繰り返しになりますが、テロの準備をしているのではないかというような疑いのある事象が私どもとして判断できる、そのことが最終的に正当化されるようなものであれば、私どもは撃つ可能性はございます。それは、単に見かけが漁船であるかどうかということではないというふうに思います。
 もう一点、最初に申し上げましたように、ではなぜ明らかな密漁は撃たないのかということでございますけれども、これは政府の中で、先ほどお尋ねありましたように、検討として長い時間がかかった一つの理由でございますが、やはり日本の警職法の七条には警察比例の原則、つまり危害を与えても守るべき公益は何かという観点から、単なる密漁と重大凶悪な犯罪というものを峻別したわけでございます。
○谷林正昭君 密漁のふりをして、ふりをしてという言葉はちょっと私抜けましたけれども、もう密漁のふりをして情報収集あるいは何かを、人を、工作員を回収する、あるいは工作員を放す、そういうようなことも想定されますね。
 私の言いたいのは、情報収集が先にしっかりしたものがあって初めてこの法律の適用だとかあるいは海上保安庁の判断だとか決断だとかというものが出てくるというふうに理解をしております。だから、現象、見た目だけでこの法律を適用されるから、射撃をして、危害射撃をしてもいいんだというようなことになったら大変だという思いでちょっとしつこく質問をさせていただいたわけでございます。
 先ほども言いましたように、危うい法律というのは私はそこだと思うんです。しっかりした情報収集としっかりした情報分析、その上に立って不審船をとめる、威嚇する、そして射撃せざるを得ない、こういう決断が出てくるんではないかと思ったものですから、少ししっかりした考え方を出しておいていただきたいというふうに思ったものですから、こういう質問をさせていただきました。
 それではもう一つ伺います。
 停船手段としていろいろあるというふうに思います。とまれと言ってとまる船もおれば、とまれと言ってもとまらない船もいる。回り込んで進路妨害をしてとめる、そういうやり方とか、いろんな方法がマニュアルであると思いますが、この危害射撃はどういう段階で行うのか、これを聞かせていただきたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) もちろん、私どもとしましては、この危害射撃を優先して使用する、言葉はちょっとあれでございますが、そういうことではなくて、先ほどの法文の解釈でも、停船をさせるためにほかに手段がない、そういう判断のもとに用いたいというふうに思っております。
 ですから、通常考える停船のための指示の方法としましては、警告のためのいろんな信号、通信、それから発煙筒、放水、さらには船を近づけて強行接舷させる、それで飛び移る、これは漁船についてはやっておりますけれども、そういういろんな停船の仕方がございます。これらを講じても停船を拒否するということが通常考えられる場合でございますが、今申し上げましたのは、いろんな事態によって違ってくると思います。
 私どもとしましては、ほかに手段がないという判断をしてこの危害射撃を行うつもりでございますけれども、常に今私が申し上げましたような手段をすべて講じてからやるのかというのは、そのときの状況によるのではないかというふうに思っております。
○谷林正昭君 四つの要件をまず見きわめなければならない。その前にはしっかりした情報収集がなければならない。そして、立入検査のためにとめに入る、しかし逃げる、やむを得ず撃つという、そしてその撃つ判断は長官が行う。どうもそこに出てくるのは、そういううまく長官の判断が生かされるのかどうか。初めからこういう場合は撃ってもいいよと、例えば警察が正当防衛の場合はいろんなそういう法律で、あるいは現場の判断で武器を使用というのはあろうというふうに思います。
 今の場合でいくと、現場には全くその判断はゆだねられていないのかどうか、お聞きします。
○政府参考人(縄野克彦君) いろんな通信情報手段は発達しておりますが、基本的に、最終的にその船の外観とか行動というものを、そういう事象を把握して私どもにその情報を寄せるのは現場でございます。ですから、それぞれの要件、先ほど私申し上げましたような一号に該当するような具体的な事象、そういうものを的確に把握して、それに該当している、例えば親子船の構造になっておって後ろから小舟が出るような構造に明らかになっているというようなこと、それからアンテナが林立している、そういう具体的な事象については現場がすべて判断をして私どもにそれを寄せてくる。それを中央で持っている情報と突き合わせて瞬時に判断をする、こういうことでございます。
○谷林正昭君 恐らく、今、長官が想定をされている不審船というのはどこかの国のものというふうに判断できますね。そうしたら、国のものということになれば、その国、つかまえたり危害を与えたりすれば、当然、国と国との話し合いになる、そういうふうに思います。そういったときに、失礼ですが、一長官の判断で危害を加えるような射撃を判断できるのかどうか、一方ではそういうふうに思うのですが、いかがですか。
○副大臣(泉信也君) 先ほど来長官が御説明をいたしておりますように、四つの条件をすべて満足する、これがまず条件であることは御指摘のとおりでございます。
 さらに、その現場の状況はリアルタイムで保安庁本庁の危機管理室で画像をもって現場と同時に長官はそれを見ておるわけであります。一方で、管区本部、外務省、警察庁、海上自衛隊等からの情報もあわせ本庁では得ておるわけでありまして、そうした中で長官が最終的な判断をおろすということでございます。
 したがって、今、先生おっしゃいましたように、外国船を想定しておるのではないかというふうな御指摘がございました。確かに、外国船であることは、外国船が不審な行動をするということは非常にこの工作船なる不審船に該当する場合が多いとは思いますけれども、先日の富山沖の不審船も日本船名をそのまま使っての工作船であったわけでありますので、我々はそうした先入観にとらわれることなく、十分な情報を得て長官が判断をする、そのことは大変重要なことだと思っております。まして外国船であれば、御指摘のように大変重大な問題を引き起こすわけであります。
 ただ、海上保安庁は警察行為でございますので、海上自衛隊が撃った場合とは事態は全然違う、このように思っております。
○谷林正昭君 今、副大臣がおっしゃいました最後の言葉に逃げ道があるんではないかというふうに私は思ったんです。
 というのは、国と国とのトラブルにならないように警察の長に責任をとらせるというのは、失礼ですが、その人の判断でこの行為をやったんだというふうにするために、保安庁長官の判断だということで法律をつくれば逃げられるのじゃないかというような部分が見え隠れするんですが、そういうことではないですか。
○政府参考人(縄野克彦君) 私自身から言うのはあれでございますが、海上保安庁長官にした理由は、先生が先ほどもおっしゃいましたような外交問題にかかわるおそれがあるということも念頭に置いて、現場だけの判断ではなくて、私も、それは現場を預かる組織の長ではございますが、政府の幹部職員であるというふうに思っております。
 そのような判断も瞬時に行い得て、外交についても念頭に置いて、もちろん実際には官邸なり外務省と連絡をとって必要な得られる限りの情報交換はいたすわけでありますけれども、そういう判断のできる者が、あるいはそういう立場にいる者が判断、認定をすべきではないかというのがこの案の考え方のもとになっているわけでございます。
○谷林正昭君 これ以上深く追及はしませんが、より慎重にやらなければならないというのが私の考えでございます。
 次に、今想定されているのは領海の外へ逃げようとする船、これが想定されてこういう話が組み立てられているというふうに思います。一方で、私、今考えたのは、思ったのは、領海の外へ逃げないで逆に陸に逃げてくるということになった場合は、当然警察との連携というものが情報収集も含めて大事だと思いますし、当然そういう話はされるというふうに思いますが、警察との連携について、そういう事案が起きたときの連携についてマニュアル、あるいは陸に逃げる、上陸する、そういうことについての対策をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) 先ほど自衛隊との連携についてはお話し申し上げましたが、おっしゃるとおりでございまして、水中スクーターの事例もそうでございますが、必ず陸に何らかの痕跡もありますし、先生今おっしゃられましたように、陸へ逃亡するという可能性もあるわけでございます。さらに言えば、陸に何かの足がかりがあるということでございますから、情報につきましては、私どもとしましては瞬時に、常日ごろから警察との間で情報を共有する、そのような事態が起きたときにも事態の進展にあわせて警察と常に同じ情報を持ち合うということを行っております。
 これは、不審船事案に限りませんで、不審船の問題も含めまして、今、海上で起きている犯罪は多くのものが組織犯罪でございます。そのような組織犯罪を根っこから解明をし抑止するためにはその組織にメスを入れなければならないわけでございまして、海上保安庁にそのような能力がないわけではありませんけれども、より広い体制と情報を持っておりますのは陸の警察でございます。そのような警察と連携をするのは、不審船に限らず密輸、密航につきましても同じでございまして、そのような連携の体制を私どもとしてはお互いに今大きく進めておるところでございまして、現場においてもそのような体制、意識の変化ができているというふうに考えております。
○谷林正昭君 今後の懸念される状況としてはそういうものがあるのではないかなというふうに思います。
 次に、船で船をとめるという想定を今しながら話をさせていただきました。今度は航空機。船で間に合わないといったときに航空機が、武器を搭載した航空機、今、保安庁にあるのかどうか私わかりませんけれども、航空機から射撃をして、そしてその船をとめざるを得ない状況になって射撃をした、そういう場合はこの法律が適用されるのかどうか、含めてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) 今回、御提案をしております武器使用の法的な根拠につきましては海上保安官の武器使用について規定したものでございまして、船に限定をするものではなくて、航空機に搭乗する海上保安官の武器使用についても適用されるものでございます。
 私どもの航空機から武器を使用するということは、海上保安庁法によっても武器を搭載して、あるいは搭乗する海上保安官が携帯用の武器を使用して、いずれの場合も可能になっております。少なくとも航空機に搭乗いたします海上保安官が携帯武器で対応することは私どもとしては現時点においても考えております。
 具体的な武器の搭載の状況につきましては、大変申しわけありませんけれどもお答えを、説明を控えさせていただきたいと思いますけれども、航空機に固定して武器を搭載するか、海上保安官が携帯をして、武器を持ち込んで武器を使用するか、いずれも可能であるというふうに考えております。
○谷林正昭君 航空機から発射されたものも、あるいは航空機に乗った人が撃ったものもこの法律に適用するということで確認をさせていただきます。
 次に、先ほど追跡権の話をさせていただきました。そうなってくると、この状況でいきますと、どこまででも追跡をする、なかなか射撃をやりにくいということになった場合、だけれども仕方なしに危害射撃をしなきゃならぬといったときに、どこで撃ってもいいのか、領海外でもいいのか、領海内でないとだめなのか。その辺がこの法律との兼ね合いはどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) 今回、御提案申し上げております改正案の二十条の二項の適用は、対象船舶が我が国の内水または領海を航行している場合に限定をされております。
 ただ、私どもの内水、領海で発見した不審船について、先ほど話が出ましたが、国連海洋法条約に基づきまして追跡権を行使する、そういう結果として、追跡権を行使した結果、接続水域、排他的経済水域、あるいは公海上に至ることとなった場合に、私どもの領海の中で発見した不審船を追跡した結果、例えば公海上に至った場合には、この二十条の二項の適用は可能だというふうに考えております。
○谷林正昭君 公海上でも可能だ、この法律が適用されるというふうな判断でよろしいんですね。
 それでは、終わりの方に参りまして、時間がちょっとあるものですからもう少し議論をさせていただきたいんですが、先ほど、最終判断は長官が行って、危害射撃の号令を出す、こういう話でございます。しかし、それまでに至るまではいろんな情報収集だとかいろんな場面を見ながら判断ということになるわけでございますが、私の考えではどうしても長官の判断というのが危うい、失礼ですが。やっぱりもっと責任ある方の判断が必要ではないか。
 国土交通大臣あるいは内閣危機管理室というのはどういう位置づけになるのか私わかりませんけれども、そういうところの判断、そういうようなことにしたらどうかなというふうなことも思ったりもするんですが、そこらあたりもう少し説明していただけませんでしょうか。
○国務大臣(扇千景君) 先生の御懸念も私はごもっともであろうと思います。少なくとも私どもは、海上保安庁長官は一番私はこのことに関しては精通していると思っておりますし、とにかくぜひ私一度おいでいただきたいと思うところがございます。
 それは、八月の三十一日でございましたけれども、海上保安庁の危機管理センターというものを改修いたしまして、それで今、先生が御心配のように、もしも事案が出たときにはその画像が全部このセンターに集まることになっておりまして、大変スクリーンが大きくて、なおかつ各方面からの映像が全部リアルタイムで画像に映ることになっております。これがやっと本年の八月三十一日にできまして、我が庁の中にこのセンターが開設いたしました。
 ぜひ私は来ていただきたいと思うんですけれども、そういう意味で先生が今御懸念がございました船舶の外観等を、現場で得られる情報をこの画像一面に送信することによりまして、多くのメンバーがそこに集まりまして、海上保安庁本庁、あるいは関係機関の専門家等々がリアルタイムで映像を判断し、過去のデータもそこで一元化して全部わかるようになっておりますので、そこで判断するというときには海上保安庁長官が一番私は適切な判断ができると思っております。
 けれども、これは少なくとも、もしも何かあったときには国土交通大臣が全責任を負うことはこれは当然ではございますけれども、現場の判断としては、本庁にあります海上保安庁危機管理センターともども情報を収集し、なおかつ専門家の判断を仰ぎながら、海上保安庁長官が専門家として判断するのが一番正しいと思いますので、ぜひ委員長初め皆さん方の御見学をお願いしておきます。
○谷林正昭君 そういう立派な施設ができたということを知らなかったものですから、認識不足ですが、ぜひこのメンバーを大臣の名前で招待をしていただければ行きやすいというふうに思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。やっぱりそういうものを見て、できればこんな議論もしなきゃならぬのではないかなというふうに私は今、大臣のお言葉を聞いて思いました。ぜひ招待をしていただきたいと思います。
 いろいろ議論をしてまいりましたけれども、私はやっぱり冒頭申し上げましたとおり、四方を海に囲まれた日本、まさに領海警備が国境警備、こういうことを念頭に置くならば、法律というものもこれは当然大切でございますが、そういう不審船に対応できる能力をしっかり持つことが私は大事だというふうに思いますし、それを今持つ準備をしているということにもなりましたが、先ほど聞きましたように、まだ巡視船が七十一隻、巡視艇が六十九隻、航空機が二十五機、こういうものが二十年以上たって非常に現代の状況に対応できるかできないかわからないようなことでは、私は領海警備は国境警備という言葉に当てはまらないというふうに実は思います。
 そういう意味では、不審船の事故以来、特に北陸の皆さんは何かそういう工作員がどんどん上陸しているんではないかという、そういう心配があるものを払拭できないというふうに思いますし、今こういうふうにしっかりした法案審議をさせていただくならば、成立したということになれば、それがこういうテロ対策あるいはテロの抑止力につながると思いますし、そういう工作員が入ってくる、あるいは情報収集、違法である、そういう抑止力にも私はなるのではないかなというふうに思っております。
 一方では、大臣も懸念されておりますし私も心配している、怪しいだけで撃つというこの危うさ、この法律の危うさというものを十分に、執行する人たちの気持ちというものも大事になってくるのではないか、よっぽどの情報収集をしっかりやっていかなければならないのではないかというふうに思いますし、一方では、現行法でそういう不審船を仮にとめたとしても、仮にとめたとしてもどういう法律で罰することができるのかといったら、余り罰する法律はないんですね。外国船ということになればいろんなものがあるかもわかりません、立入検査をしたときに漁業法の適用だとか、あるいは関税法の適用だとか、あるいは書類の提出命令でそれを拒否したらどうのこうのとか。この程度の現行法でしかないということになれば、私はこの機会ということではなくて、領海警備は国境警備ということを念頭に置くならば、領海を侵犯した場合に、しっかりと捕まえたときに裁判にかけられる、あるいは罰せられる、国際法にも何らやましいところはないというふうな、そういう領海侵犯したときのための法律整備というものも今後検討するべきではないか。
 今、通告してありませんので、どうですかということを聞くのはやめますけれども、私はこの機会にといいますか、こういうときにこそまさに領海侵犯に対する法整備をやるべきだというふうに思っていることを最後に申し上げまして、もし大臣、御所見があればお聞かせいただきながら、私の質問を終わりたいというふうに思います。
○国務大臣(扇千景君) 大変貴重な御意見をいただいて、ありがとうございます。
 私どももこれで万全を期したとは思っておりませんけれども、なお私ども、今、先生が冒頭におっしゃいました「愛します 守ります 日本の海」、この信念のもとにやっていきたいと思っておりますし、また今法令の話をなさいましたけれども、国連の海洋法の条約等々でも、これも沿岸国すべて無害でない通航を防止するための自国の領海においての必要な処置をとることが可能であるという国連の海洋法条約もございますし、また主要国におきましては、先生が今おっしゃいました漁業法とかあるいは関税法等々のそれぞれの国の法令によって行っているのは、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリー等々がございます。また、領海法の中でも少なくとも国境法というような、無害でない航行を取り締まるためのものの立法処置をしている国というのも、これもロシアですとか中国とかフランス、韓国等々がございます。
 ですから、今、先生がおっしゃいました各法律によってできるものと、また海上保安庁自身が今回の改正によって皆さん方にこれを通していただければ、なおこの各法案の連携と、なおかつ冒頭に申しました自衛隊、警察、そして海上保安庁としての連携を密にし、しかもマニュアルをつくって、そのマニュアルの実施というものも既に先ほど申しましたように何回もしておりますけれども、念には念を入れて、また今回は海上保安庁危機管理センターにおきましては、いつかのナホトカ号の油の流出というようなこともございましたので、それも今回はできるように新しい船もつくっていただきましたので、そういうことも含めて、あらゆる危機管理というものの海上保安庁としての職責を果たすために、今後なお法の達成のためにマニュアルどおり練習する、訓練するということで国民の安全、安心を守る一助にし、そして皆さん方の今後もお知恵をいただきながら改良、改善していきたいと思っております。
○谷林正昭君 終わります。
○弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございますけれども、私も幾つか質問を用意しておりましたが、先ほど来の論議をお聞きしまして、多少変わるところがあると思いますので、よろしく。
   〔委員長退席、理事藤井俊男君着席〕
 今、海上保安庁という役所は非常に、例えば警察であるとか消防であるとかそういうものと、非常に私たちがなじみがなかなかないというか、接点が少ないものですから、私もたまに海上保安庁を応援するというか、後援する会みたいなのに出させていただきますけれども、本当に大変な苦労をされているというのをよく感じるんですよ。
 先ほど「愛します 守ります 日本の海」と書いている海上保安レポートというのがありますけれども、これを改めて見まして、非常に守備範囲が広い、海上保安庁。例えば、治安の維持、海上交通の安全確保、海難救助、海上防災、海洋環境の保全等ありますし、例えば平成十二年度、八千三百三十人の遭難者に対して救助活動を行って、七千三百六十四人を救助されているとか、それから四百九十キロの覚せい剤、また百六丁の銃砲、千百三十一発の実包を押収するとか、東海地方での豪雨によって浸水した町では孤立した百四名の住民の方を救助と、いろいろな分野にわたって苦労されている。そして、その守備範囲というのは日本の国土の約三十六倍だということですよね。
 しかも、警察職員は二十六万七千五百九十九人いる。それに対して海上保安庁、女性職員も含めて一万二千二百四十九人、約二十二分の一。二十二分の一でこの日本の国土の三十六倍にわたるこの海域をいろいろな分野でやらないといけないと。
 これと一緒についておりましたCD―ROMというのを見ました。それは停船をさせるときに、これは波の物すごく高い中で、もう三メートルか四メーター、相当のところから飛び込んで職員の方が向こうの船に乗り移るわけですよ。そういう危険な職務を行っているということを本当に私たちは認識を新たに、さっきの危機管理センターの話じゃありませんけれども、よく我々も勉強しないといけないんじゃないかなと、こう思うんですけれども。
 たまたま、きのうの連合審査で自衛隊がパキスタンに物資を運んだ、もう命がけで行っていると。確かに命がけかもしれませんけれども、しかしパキスタンは民間航空機も飛んでいるようなところですから、まだいまだに。それで六千円の手当がついているわけですよ。六千円じゃ少ないじゃないか、命がけでというきのう話がありました。
 じゃ、これだけの大変な勤務をしていてどれだけの手当がついているか、ちょっと急で申しわけないんですけれども、わかれば。
○政府参考人(縄野克彦君) 私どもも公務員として、海上保安官には危険な作業を伴ういわゆる特殊勤務手当というものが現在も手当てをされております。例えば、これが例がいいかどうかでございますが、爆発物処理でございますと一日二千六百円ということになっております。
 こういう危険な作業はどんなものがあるかということにつきましては、適宜見直しをしておりまして、今お諮りをしておりますような船対船あるいは航空機対船で射撃を行うというような業務につきましても、手当のあり方について今私どもとしての要望もしておるところでございます。
○弘友和夫君 私がちょっと今持っている資料では、特殊勤務手当、テロ関連手当などと書いておるんですけれども、例えばサリン等の特殊危険物質、そういう被害の危険がある区域内で行う作業、これ一日二百五十円。一日二百五十円、区域内で。そして、その物質の処理作業は二千六百円と、こうなっておるわけね。その区域内で作業をする、それは二百五十円。
 先ほど来挙がっている水上等の作業手当、停船命令に従わず逃走する動力船の捜索等を行うために当該動力船に飛び移る作業、これ九百円なんですよ。あれを見ましたら、CD―ROM、本当に危険な作業をやっている。私はこういう作業を果たして反対に言えばやらせていいのかなと。停船をさせて飛び移る。向こうも動いている、こっちも動いているわけですから、しかも三メートルも四メートルも高いところからどんどん飛び移ってやっているわけですよ。
 果たしてこういう作業、作業というか仕事、仕事を使命感があるからやりますけれども、片一方では命がけで行っているという、パキスタンに行って物資を運んで六千円。手当がどうこうじゃありませんけれども、日常的にやられているわけですよ、海上保安庁の皆さんは。その認識がやはり大事だと思いますけれども、まず大臣でも副大臣でも結構ですけれども、そういう状況についてちょっと御意見を承りたい。
○国務大臣(扇千景君) 弘友先生には改めて海上保安庁に御理解をお示しいただき、認識を新たにしていただいて、いかに日ごろ海上保安庁職員が訓練をし、なおかつ先ほどから申しております皆さん方のこの日本の国の国土の三十六倍とおっしゃいましたこの領域をいかに守るかということに精通し、なお努力し訓練しているかということを御理解いただいたことに、まず心から御礼を申し上げたいと思いますし、またこういう法案を審議していただくときに、それを基本にして皆さん方の御認識が深まれば、職員に何よりの私はありがたい、そして勇気百倍になることであろうと思います。
 こういう機会、海上保安庁のことだけを審議するという機会がなかなかございませんで、いつも割合、この間の連合審査でも海上保安庁に対する質問というのはほとんどなきがごときということになっておりますけれども、きょうはこうして貴重なお時間に海上保安庁の今回の改正案を契機として皆さん方に御審議いただけることに対して心から私は御礼を申し上げたいと思いますし、この現実を知っていただくこと。私は、自衛隊の訓練で船から船に移るハイライン作戦というのも自分で体験したこともございますけれども、それは静かな波で大きな船から小さい船に乗り移ったんですけれども、見ていただいたCD―ROMによりますと、本当に波が高い。特に、なぜ日本海にこれほど三隻の船をしているかということは、本当に日本海は波が荒い、そしてしけるということで一番ねらわれやすい、その嵐の中をくぐって入ってくるわけですから。
 ですから、それをやっているということをぜひ皆さん方も御認識いただいて、この金額が安いと思っていただけるほどの精励をしているということをぜひ御理解いただきたい。感謝申し上げたいと思います。
○弘友和夫君 それで、先ほど来、谷林先生も御指摘ありました。私、同じ疑問なんですが、ちょっと違う角度からお聞きしたいなと思うのは、今回のこの法案、これで果たして機能するのかなという思いは一緒なんですよ。
 例えば、今まで海上保安庁というのは銃撃をしないということを思われているわけなんです、どこからも。この間、テレビでやっておりましたよ、密漁船が体当たりをしてきて、包丁も投げておりましたよ。だけれども、銃撃ができない。銃撃をしない、そしてそれをかわせば一晩百万円ぐらいの水揚げになるというようなことで、とにかくそれは。その銃撃をしないという、これは先ほど来の警職法によりますと、そういうぶつかってくる船とかなんとかいうのは一応威嚇射撃なりなんなりしていいというふうになっているわけです。
 それを今まで、例えば海上保安庁の例として、ここ十年間でもいいですけれども、そういう威嚇射撃等を行ったことがありますか。
○政府参考人(縄野克彦君) 海上保安庁による武器の実際の使用例でございます。先ほどの不審船もこれは威嚇射撃をしたわけでございます。このほかに犯人の逮捕、逃走の防止でありますとかのためにけん銃を射撃した事例が三件、小銃等を相手に向けて構えることによって抵抗の排除をしたものがございます。それから、実際に武器による射撃をした実例は、昭和二十八年にソ連のスパイ船に対して射撃を実施しております。
 合わせますと、武器を実際に発射した、威嚇射撃も含めまして事例が五件、武器を擬して、つまり構えて威嚇をして鎮圧をした事例が四件ということでございます。
○弘友和夫君 昭和二十八年以来そういうことをやっていないということで、私は武器の使用はそれは慎重であるべきだというのはよくわかるんです。だけれども、全然使わない、撃ちもしない、威嚇もしない、当たらないわけですから、それもしないから停船もしない、速度の速い船で逃げるという、先ほど領海警護は国境警備だとか言われておるが、まさしく私そのとおりだと思うんです。だから、不審船だけではなくていろいろな、テロなんというのは不審なような状況では来ないわけでしょう。当たり前の船のような格好で来るわけですから、それがテロじゃないですか。見てわかる。四つの条件を云々ということにならないと思うんですよ。
 だから、じゃ、今現在、海上保安庁でそういう被疑船舶を停船させるための手段というのはどうなっているか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) まず、停船の手段の前に、テロのような事態に、警職法の七条で明らかなことは、向こうがテロをしようとして突っ込んでくる場合、これは正当防衛として撃つことができる、そのことはあらかじめ申し上げたいと思います。
 それで、そうでない、正当防衛でも凶悪犯罪の既遂でもない場合に、今までは危害射撃はできなかったわけでございます。今お話しの密漁船なんかも含めまして、どうやって船をとめるかということでございますけれども、当然、繰り返し停船命令を発します。それから警告弾を投てきをいたします。それから放水をいたします。それから、先ほどお話にございましたように、強行接舷をして保安官が飛び移りをする、いろんな手段がございます。
 私どもは、警職法の規定、いろんな御議論を経て警察官の武器使用ということでできた法律でございます。できるだけ、つまり警察比例の原則といいますか、人の命、危害に値するような保護法益は何かということを考えて、議員おっしゃるように、国際的に見れば慎重な武器使用をしてきたというふうに考えております。
○弘友和夫君 だから、今まで要するに停船勧告をしていろいろやっても聞かない、もう日本の海上保安庁は撃たないという、大体みんな思っているわけですから、素直にとまらないわけですよ。それを体当たりするか何かでとめないといけない、そして、ああいう危険な状態で乗り移らないといけない、そこが問題じゃないかなと。
 射撃をするしないは別にして、何かやはり相手をとめさせる強力な方法というか、何かそういうことは研究をされておりますか。
○政府参考人(縄野克彦君) 一昨年の不審船の教訓・反省の際にも私ども、防衛庁も含めてでございますが、武器を使用すること以外に相手を停船をさせる手段がないのかということが課題としてありまして、私どもとしても勉強はいたしました。
 その当時言われておりますのは、いろんなものを、ロープでありますとか網というようなものを投げたらどうかというようなこともあったようでありますけれども、現時点におきまして、武器の使用以上に、あるいは武器の使用ほど確実に相手を停船をさせるという手段を現時点で見出すことはできないというふうに考えております。
○弘友和夫君 この四項目に全部該当しなければ、大体危害射撃といったって、それをねらって撃つわけじゃないんですから、たまたま当たってもそれは法的に殺人罪とかなんとかになりませんよという今回の法律でしょう。人をねらって撃つわけじゃないんですよ、これは。たまたま当たったときに、今までの法のままだったらそういうあれ問われるからという意味だと思うんですよ。
 この四つを本当にどう考えても、四つ全部該当して云々という話には──というのは、私は、ちょっときょう法制局に来てもらわなかったからあれですけれども、法制局がこれだめですよと言うんであれば、これはまさしくちょっとおかしいなと思っているんですよ。
 だから、ある意味では先ほど大臣が言われた、これ一項目に少なくとも該当しますよという、一項目ごとでもいいんじゃないかなという気もする。全部該当してやらなければということで、あるいは陸続きであれば国境を越えて入ってくる者に対して警告する、聞かない、逃走する、それは射撃をするじゃないですか、どこの国だって。海と陸との違いはあるかもしれませんが、一緒だと思うんです。ただ、海の難しさは、無害通航というか、そういうものがあるからという部分はあるかもしれませんけれども、考え方は一緒だと思うんですよね。それをすっきりした方が、まず通告するわけですから、そしていろいろ手段をとって、なおかつとまらないものは何であろうと、そういう射撃だって私はしても構わないなと。しかも、ねらって撃つわけじゃないんですから。そういう姿勢があってこそ初めて警告したときにとまるんですよ。
 その姿勢がないと、最後の最後、しかも長官まで連絡が行って、長官がゴーサインを出して初めて撃てるんだという、確かにそういう管理センターがあるかもしれませんよ。だけれども、長官がいつも管理センターにいるわけじゃないんだから、長官の間ずっと毎日詰めるわけにいかないでしょう、それは。例えば長官が、きょうはちょっと個人的にどこかへ一杯飲みに行くとか、そういうことだってあり得ると思うよ。在任中は一切どこも行かれませんよという、そんなことになったら大変ですよ、そういうことが起こって。それはまじめな長官だからまだいいですよ、大体、そこら辺におられる方々は……。
 だから、その長官の許可を得てやるというのも何か少し考えないといけないんじゃないかなと思うんですけれども、そこら辺はどうですか。
○政府参考人(縄野克彦君) 委員には失礼かもしれませんが、ちょっと議論の経過だけ御説明申し上げたいと思います。
 一つは、先ほどから申し上げましたように保護法益ということでございまして、もう一つはそれ以外に手段がないかということでございます。
 まず、保護法益ということから申し上げますと、非常に極端な事例で恐縮でございますが、畑から大根を持って大根泥棒が逃げる場合に、それを持って逃げるだけの大根泥棒を撃つかという問題がございます。それは撃たない。それはやはり危害を加えてまで守るべき法益は何かという判断でございまして、それにつきましては私どもは凶悪重大な犯罪ということに限定をした、そのおそれも含めて。このおそれの認定というのは非常に確かに厳重に書いてございますが、その疑いを払拭できないという程度でいいということでございます。
 それから、陸との関係でございますけれども、日本は島国でございますので、他国の領海に向かって、日本の領海を外に向かって逃げていけばこれを立入検査しなければ、確認をする、あるいは防止をする手段がほかにないということが明らかでございます。そういう意味で、陸とは違って、最後は逃げるものを撃たなければいけないんだと。それから、海の特殊事情として、揺れる、お互いに揺れる船で、エンジンをねらっても結果的にけがを与える場合という特殊事情もございます。
 そういう意味で、私どもとしては、厳格な要件ながら、従来の警職法の要件については一歩私どもが務めを果たせるように緩和ができたのかなというふうに思っております。
 私どもは、海上保安庁は警察機関でございますので、犯罪を防止して、犯罪を抑止して、あるいは犯罪者を検挙するということでございます。船を撃沈したり、戦争行為、軍事行為をするわけではございませんので、犯罪者を捕まえることに最小限、ほかに手段がないときに武器を使用するという原則からこのような提案となったわけでございます。
○副大臣(泉信也君) 委員おっしゃいますように、四つの条件を満足するというようなことが大変厳しい危害射撃の、危険射撃の条件ではないかというふうに言われます。これはもう御承知のように、警察におきましても警職法七条で縛られておりますように、極力人命に被害が及ばないようにということが海上保安庁の武器使用においても二十条で規定されているわけで、その一部を今回乗り越えようという法案であるわけです。
 ですから、撃たないから、撃たないことを不審船、工作船等が承知しておるから逃げていくということでございましたけれども、今回のことで四つの条件を満足すれば日本の海上保安庁は射撃をするということが明確になれば、これはそれなりに意味のあることで、停船もきっと強いられることになると思います。
 なお、いわゆる空域における領空侵犯についても、直ちに射撃をするということではなくて、やっぱりスクランブルをかけた飛行機がそれなりの警戒行為をやって、その上でということになっておりますので、この海上保安庁の今回の二十条の二項もそうした観点から慎重に対処をいたしますが、またこの法律を成立させていただければ相当な効果をもたらすものと思っておるところでございます。
○弘友和夫君 私は何もめくらめっぽうとにかくどんどこ撃てと言っているわけではなくて、だけれどもやはりそういう姿勢が、今までずっと何十年間にわたって体当たりされて公務執行妨害であっても撃っていないわけですから、そういうものに対してやはりきっちりすべきじゃないですかと。法があっても撃っていない。撃つのがいいというんじゃないですよ。だけれども、そういうところをきっちりやはりやるべきだというふうに思います。
 今、空の話がありましたけれども、空に対しても、空も大体武器は海上保安庁のあれでも積めるようになっているけれども、今救助活動の方が主で、そういうものを積んだら邪魔になると、重たいからということで積んでいないと。だけれども、今みたいな原発警備だとかいろいろ、自衛隊がやらないわけですから、やはり海上保安庁がやらざるを得ない。そうなると、やはりそういうことも考える必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
 そういうことで、最後になりますけれども、予算ですね、予算が先ほど来少ないと。千七百億、すべて含めて千七百億という、これだけ膨大な区域をいろいろなことをやらないといけない海上保安庁にしてはやはり本当に少ないなと。
 例えば、今回、国際組織犯罪とかテロだとか、そういうものに対しても今もう追いつかないぐらい、今相当な過度の任務を強制というか、されているわけですけれども、来年度の予算について、組織犯罪のそういう組織また人員配置というのはどういうふうに考えられているのか。
 それから、さっき出ております巡視船艇と航空機老朽化、二十年以上たっているものが相当あるということでありますけれども、こういうことに対して、予算に対して我々も応援させてもらいたいと思いますけれども、そのお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(扇千景君) 大変、応援していただけるという最後のお言葉が心強くて、言わせていただきたいと思いますけれども、先ほどからお話ししておりますように、海上保安庁、職員が一万二千二百四十九人いますけれども、少なくとも、巡視船艇三百五十六隻、航空機七十五機によります海上の治安維持に当たっております。
 先ほどから、老朽化して、しかも二十年以上たっているものというお話で、大変寂しいことを申し上げて残念ではございますけれども、少なくとも密航とか密輸等の国際的組織犯罪の取り締まりなど治安対策に必要な要員の私は増員ということを図っていかなければならないと思っております。それが大事な一つでございます。
 また、全巡視船艇の約四割を占めております、先ほどから先生方に御質問いただいてありがたかったんですけれども、船の寿命が二十年を超えているもの、この老朽化した船艇及び全航空機の約三割を占めております製造後二十年を超えております老朽化した航空機につきましても画期的な代替整備を図るというのがこの時期に当たっておりますけれども、このような課題に対して、海上保安庁といたしましても、私は十四年度の概算要求におきまして、要員の面におきましては治安対策強化を最重点としたいと、そういうことで、国際組織の犯罪対策の強化のために八十人の増員を要員要求いたしております。これで足りるとは思いませんけれども、我々にとっては八十人の要員要求というものも、必要な要員としては最低限の要求を八十人させていただいております。
 また、船舶につきましては、先ほどからお話に出ておりました速力の向上でございますとかあるいは夜間の捜査の監視能力の強化等に高性能の整備を図った巡視船艇十三隻の整備を、また航空機にいたしましてもレーダーの監視能力等を新たに向上を図った新型のジェット機二機、これを整備させていただきたいということで要求をいたしておりますので、少なくとも海上における治安維持のために、先ほどから皆さんに御理解いただいております我が国を守る、そして空からも、そして三十六倍と先生もおっしゃいました海からも守るために、この要求の達成に全力を挙げたいと思いますので、ぜひ御協力と御支援をお願いしたいと思います。
○弘友和夫君 終わります。
○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。よろしくお願いします。
 私は、今審議が続けられている中で、この海上保安庁法の改正案ですが、これは警察行為として領海警備の任務を持つ海上保安庁が、我が国の領海を侵犯したり、それから主権侵害の危険性がある不審船を追跡、捕獲し、また立入検査を行って不法行為の内容を調査することは必要な措置であると考えております。これに役立つ海上保安庁の体制強化は当然必要だと考える立場から質問をしたいと思います。
 本改正案の直接の理由に挙げられたのが、一九九九年に能登半島沖で発生しました不審船事件に関係して、まず私は最初に二点お聞きしたいと思います。
 その一点は、自衛隊による不審船の発見から、あの当時、海上保安庁へ通報のおくれの問題についてでございますけれども、これは能登半島沖不審船問題の国会審議でも大変大きな問題になりました。自衛隊のP3Cが不審船と思われる船舶を発見して防衛庁に報告したけれども、海上保安庁への連絡は約数時間後になったという経緯がございます。海保の対応のおくれの原因になったとも言われています。
 能登半島沖不審船事案における教訓と反省事項についてというのが政府の文書の中に出てまいりました。これは、海上保安庁及び防衛庁は、工作船と考えられるような武装の可能性のある船舶、不審船を視認、目で見た、視認した場合には速やかに相互通報するとあります。
 P3Cの発見から海上保安庁への通報のおくれは、ここで言う教訓と反省、この中に含まれているのかどうか、今後は直ちにお互いに通報されるということになっているのかどうかをまずお聞きいたします。
○政府参考人(縄野克彦君) 共同対処マニュアルにもございますし、その前の反省事項にもございますが、情報の共有ということは事態の発生から必要でございます。
 確かに、先ほど防衛庁からも御答弁ございましたように、それが不審船であるかどうかということを視認した瞬間の判断というものは必ずしも容易であるわけではございませんが、少なくとも何らかの事象がある、ただならぬ事象があるという、ここは言うはやすくでございまして、現場としてはつらいことでございますが、仮に、今のテロなんかも同じでございますが、これが間違いであってもそのおそれがあれば通報する、連絡をする、情報を共有する、そういうことが必要ではないかという反省に立ったものというふうに私どもとしては考えておりまして、お互いにそのようなお互いの管轄にかかわる事象を見た場合には、不審船に限らず私どもとしては情報を共有するというふうに今進めておるところでございます。
○大沢辰美君 教訓と反省に立っているという今回の提案ですけれども、防衛庁の方はいかがですか。
○政府参考人(北原巖男君) 大沢委員にお答えを申し上げます。
 ただいま委員から御指摘をいただきました十一年三月の不審船の事案におきましては、海上自衛隊のP3Cが不審船らしき船舶を二十三日の早朝に発見したところでございますが、これは先ほども御答弁申し上げたわけでございますけれども、この段階におきましては不審船であるか否かの確度は極めて低い状況でありましたものですから、防衛庁といたしましては近傍の護衛艦を直ちに現場へ向かわせまして、船名等に関する情報を収集いたしまして、同日の午前十一時に海上保安庁に通報をしたところでございます。
 当時の対応といたしましては、防衛庁、自衛隊、一生懸命やりまして、その時点、当時の対応といたしましては適時適切になされたと考えているところではございますが、先ほど来御指摘のとおり、今回の、先般の事案で、改めて私どもといたしまして海上保安庁との緊密な連携あるいは協力、この重要性というものが認識されたところでございまして、これは先ほど海上保安庁長官からも御答弁があったところでございます。
   〔理事藤井俊男君退席、委員長着席〕
 私どもといたしましては、いろいろ事態が起きた初動の段階から的確な情報交換ですとかあるいは連絡調整を行うことが何よりも必要である、重要であるということで、事案が起きた後まとめました、十一年十二月に海上保安庁との間で不審船に係る共同対処マニュアル、これを作成いたしまして、本庁及び地方機関の各レベル、並びに現場における所定の情報連絡体制、その他必要な事項について定めますとともに、速やかな連絡体制の確立が行われるよう処置をいたしているところでございまして、現在もこうした体制の一層の強化並びに常日ごろからの必要な共同訓練等実施をいたしておりまして、今後とも、防衛庁といたしましては海上保安庁との一層の緊密な連携協力のもとに我が国の安全の確保あるいは危機管理といったものに対応してまいりたい、そのように考えております。
○大沢辰美君 本来、領海警備の任務を持つ海上保安庁がいち早く通報を受けて対応するのが本来のあり方であると思いますが、あの事件の場合はまさに数時間おくれて通報があったという、そういう事態ではやはり本来の任務が果たせないと思いますが、この点はその反省の上に立って今回法案が出されたと思いますので、この二年半余りの問題の中でもう一点お聞きしたいと思います。
 もう一つの問題は、能登半島沖不審船事案では、海上保安庁の船艇などの体制整備のおくれが非常に厳しく指摘されたと思うんですね。例えば、一九九九年、あの後すぐですが、三月三十日の参議院の地方行政・警察委員会で日本共産党の富樫議員が次のように指摘していたと思うんです。それに海上保安庁長官が答弁をされているわけですけれども、九六年六月六日に参議院の海洋法の条約に関する特別委員会で附帯決議が行われていますね。同じく六月七日の参議院の本会議でもこの海洋法条約の実施に伴う体制の確立に関する決議ということで、この中で海上保安庁の体制強化が全会一致で決議されています。
 そして、巡視船や巡視艇の整備に努力すると、こういうこともうたわれているわけですが、このときは、海上保安庁の人員、要員ですね、それから巡視船、航空機等の体制について今後一層の整備充実を図るとうたわれていますね、こういうことが全会一致で決められた。そして、そういうことが決められながら、あの当時こういう事件が起こったわけですが、そういうことを指摘して、そのときの答弁が、「今度の場合、そういった点かなり痛感をしておりますので、情報収集の迅速化の問題とかあるいは監視体制、船とか航空機なんか使いましたそういうものですね、そういったものとかあるいは捕捉機能強化とか、こういったようにいろいろ、今、大臣からの指示を受けて詳細に検討しておるところでございます」と答えています。
 それで、この間の海上保安庁は質的に、また量的にもどのような体制整備が進んだのでしょうか。また、整備内容の中に新たな捕捉手法ですか、そういう研究等ということも書いてありますが、どういう研究が行われ、その成果はどうなっていますか。今回の法改正によってこういう研究活動がとめられてしまうんじゃないかという心配もしていますが、こういう点についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) この間の主な私どもの体制整備でございますが、これはあのときに一番問題になりました十分な速力を持つ、それから十分な航続距離を持つ、そういう観点から高速特殊警備船三隻を整備したことは先ほど来からお話し申し上げているとおりでございます。これらにつきましては日本海側の三保安部に配備をしたことでございます。それ以外にも高速小型巡視船の機能向上、これも新しいタイプというところまではいきませんが、今申し上げましたような速力あるいは航続距離等の機能向上を図ったわけでございます。
 それから、これは特に航空機につきまして、夜間の監視機能の強化ということで、ヘリコプターにつきまして、夜間監視機能の強化を図ったヘリコプターを増強しておるところでございます。
 私どもとしましては、このような体制の強化につきまして、もともと、先ほど申し上げましたように、私どもの装備が老朽化している等の指摘もございますが、非常に広い海域を、二百海里時代に対応するために世界でも有数のレベルでの大きな船艇、数というものを保持をしているとは思います。ただ、その機能が劣ってはいけないということで、私どもとしましてもこういう努力を予算を要求をして講じておるところでございます。
 それから、捕捉手段についての御質問がございましたが、先ほども御説明申し上げましたけれども、不審船、つまり船舶を停船させるために、これはかじでありますとかスクリューでありますとかエンジンというものをねらって、そこを破壊することによって船をとめるということが、私どもがいろんな方法を検討した限りでは、武器によってそういうものを破壊してとめるということが最も有効な手だてであり、これにすぐる有効な手だてというものが現時点ではないという状況でございます。
○大沢辰美君 捕捉手法の問題については後でまた聞きたいと思うんですが、やはり一定の量的、質的にも体制整備がされたように思いますけれども、今も指摘ありましたように、船のいわゆる能力、そしてやはり現場では人員の不足というのも非常に言われておりました。こういう点も含めて整備を整えていただきたいということをぜひ指摘をさせていただきたいと思います。
 次に、不審船への対応なんですけれども、海上保安庁が第一に対処するということの位置づけについて質問したいと思います。
 防衛庁と海上保安庁の不審船に係る共同対応マニュアルの概要に、読ませていただきましたら、基本的な考え方の冒頭に、不審船への対応は、警察機関たる海上保安庁が第一に対応と記載しています。
 お聞きしたいのは、海上保安庁が第一に対応するというのはどういう根拠と必要性から出ている確認なのか。つまり、海上保安庁が第一に対処するということが導き出されるのは我が国のどのような法体系で出てくるのか。それは単に二庁間、防衛庁と海上保安庁の二庁間の確認事項や政府内の事務レベルの確認事項でないということを説明願いたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) その確認事項によってそれが行われているわけではございませんで、海上保安庁は、海上保安庁法第二条によりまして、海上における犯罪の予防、鎮圧、海上における犯人の捜査、逮捕など、いわば海上の犯罪の防止あるいは犯罪への対応、つまり海上における警察機関という位置づけが明定をされているわけでございます。
 不審船というものが、今回のテロも同じでございますが、つまり相手が戦争、軍艦であるのか犯罪の工作船であるのかということでございますが、不審船と言われるものは一義的には犯罪を目的とした船である、そういう観点から、その犯罪の確認あるいは防止あるいは対応というものを行うために警察機関たる海上保安庁がこれに対応するということでございまして、その次に、海上警備行動が発令された段階、これも治安出動までは行っていない、海上警備行動というのは治安出動までは行っていない段階で、海上保安庁では対処できないという段階で海上自衛隊に発動されるものでございますので、一義的には警察機関が対応するということがそれぞれの任務から出てきているものというふうに御理解をいただきたいと思います。
○大沢辰美君 領海警備の任務は海上保安庁が第一義的に対応する、このことを確認して、法案そのものの内容に入りたいと思います。
 海上保安庁長官にもう一度お聞きします。
 今回の改正は、いわゆる不審船による我が国領域内での重大凶悪犯罪の発生を未然に防止するために海上保安官が行う不審船に対する立入検査を確実に実施できるようにするために、武器の使用について、人に危害を与えたとしてもその違法性が阻却されるようにするというのが提案理由の説明です。
 まず最初に確認しておきたいことは、警告射撃を繰り返しても停船に応じない不審船に対しては現行法でも射撃は可能なことですね。しかし、人命に危害を与えた場合の責任の問題があって、現実には実施してこなかったということだと思いますが、そのとおりですね。これが一点です。
 次に、今回の法改正が実現すると、停船命令に応じない不審船に対しては、海上保安庁や自衛隊が撃沈できるとか、撃沈させることが可能になったかのように誤解や誤った主張がありますので、私は確かめておきたいと思うんですが、例えば警告射撃は従わねば撃沈するという強い意志が込められていなければ効き目がないなど、こういうことが、この法律の四項目の要件すべてに当てはまれば海上保安庁長官は撃沈命令を出せるという、こういう暴論が出ているわけですね。これは私は国内法や国際法の規定は警察行為を行う海上保安庁にそんなことは許されるようになっていないと思うんです。
 今回の法改正の目的は、不審船に停船させ、立入検査を実施するためのものだと思っています。海上保安庁、武器の使用は本当に最後の手段であると思いますが、その点についてお聞きします。
○政府参考人(縄野克彦君) 二点ございました。
 まず第一点の方でございますが、現行法で逃走する船に対して撃てるのかどうかということでございますが、警職法では、逃走する犯人には撃てると、それから例えば停船命令に応じない、つまり公務の執行を妨げる者には撃てるという規定がございますが、先ほどから申し上げておりますように、凶悪犯罪の既遂あるいは正当防衛でなければ相手に危害を与えてはならない、こう規定されております。ということは、揺れている船でございまして、エンジンやスクリュー、かじをねらって撃って、結果的に危害を与えても、法規定上は危害を与えたことについての責任を問われるわけでございます。
 そういう意味で、今の警職法では、人に危害を与えないという一〇〇%の保証があれば撃てますが、現実には困難であるということで、結果的に危害を与えても法的な違法性阻却になるように法改正をお願いしているということでございます。
 それから、撃沈の問題でございますが、撃沈というものは相手の船を沈没させるために撃つものだというふうに思っておりますけれども、警察としてはなぜ危害射撃をするかということでございますが、停船をさせる、そして犯罪の事実を確認をする、犯罪を抑止するということでございます。船をとめるために撃つわけでございますから、撃沈を目的として撃つということは警察機関としてはございません。
 ただ、これは有名な国際法の事例がございますが、アイムアローン号事件でございますけれども、国際的な手続で責任を決定したわけでございますけれども、結果的に、撃った結果、沈没をしたとしても、今回の私どもお諮りしているような、つまり要件に該当して船をとめるために撃ったことが正当であれば、結果的に撃沈することはこれは責任を問われないというふうな解釈が国際的に一般になっております。
○大沢辰美君 やはりこの目的は、もう一度繰り返しますが、停船させ、立入検査を行うことが目的である、そういうことですね。そのことを確認をして、次の改正案の中身に移ります、また。
 違法性が阻却される場合の四要件について質問したいと思います。
 不審船への対応は、威嚇射撃をしたこともあるけれども、追跡し、領海外へ排除をしてきたのがこれまでの海上保安庁の対応だったと聞いております。
 そこで、お聞きしますけれども、海上保安庁が行っている領海警備活動で発見した不法行為や特異行動船舶、一般に対しては今回の法改正でも私は変わりはないと思いますが、それでよろしいかどうか、一点ですね。つまり、法改正にある四要件に当てはまるいわゆる不審船に対してのみ今後の対応がかかるということ。
 能登半島沖の不審船問題を経て、射撃、船体射撃のときの武器使用の拡大措置を提案してきたわけですけれども、これまでの対応と変わった主な理由はどういうことでしょうか。
○政府参考人(縄野克彦君) 第一点目の答えは難しいんでございますが、いわゆる不審船ではない単なる密漁船、密航船というものに対してどう対応するかというお尋ねかと思いますが、単なる密航船か密輸船かという判断は非常に難しゅうございます。そういう外観を持っていても、よくその外観を見たり、その行動を見たり、データをつき合わせると、この四つの条件に該当する場合もあるというふうに考えております。一〇〇%、密漁したものを撃つかどうかということについては、私どもとしては方針を変えておりません。
 それから、今回、なぜこのような法改正をお願いしているかということについてでございますけれども、私どもとしましては、重大凶悪な犯罪を発生させる懸念があって、それを停船をさせなければ防止できない、そういう観点から立入検査、つまり停船をさせるということについて、この手段が不可欠であるという観点から法改正をお願いしたものでございます。
○大沢辰美君 人に危害を与えたとしてもその違法性が阻却される場合として、今申し上げました改正案では四つの要件に該当する場合を挙げているわけですが、この法改正の理由とされる能登半島沖不審船事案が、法案にあるこの四つの要件にどのように当てはまるのか説明をいただきたいと思うんです。
 不審船を発見して、追跡をしながら、この四要件に当てはまるかどうか判断するわけですから、私はこれは大変困難な作業だと思うんです。
 今後、これをどのように詰めていくのかお聞きしたいと思いますが、その不審船、能登半島沖不審船事案にこの四つの要件がどのように当てはまるのか、お聞きします。
○国務大臣(扇千景君) 能登半島沖の不審船の事案に関しまして、四つの要件、どれが適用されるかということでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、第一号の要件に能登半島のあの事件はということに当てはめますと、日本船舶以外の船舶が我が国の領海内において我が国の平和、秩序または安全を害する行動をとっていると認められるという、これ第一号でございますね。そしてまた、日本船舶を偽装した外国船舶と思料される船舶が悪天候を避けるためなどの正当な理由がないのに領海内で徘回する、これも当てはまりますね。そして、海上保安官の立入検査を拒んで逃走した。これが第一号に適合いたします。
 第二号に関しましては、不法な活動のために特別に建造、改造された船舶と考えられる場合などの船舶の外観や関連情報から見て国際法違反の航行が繰り返し行われるおそれがあると認められるということ、これは事例が適合いたします。そして、能登半島沖のあの事例のようなケースでは、船名の偽装または異常な高速で逃走するなどの特徴から、過去の不審船事案に照らしても工作活動を目的とした船舶と判断されるものに該当する、これが第二号でございます。
 第三号に当てはまるものといいますと、現在及び過去の情報を総合的に見まして、該当船舶の重大凶悪犯罪への関与の疑い、これを排除し切れていないと認められること、これが第三号でございます。能登半島沖不審船の事案のようなケースでは、工作船が関与したと考えられる過去におけます日本人の拉致疑惑事件等の存在と船名の偽装、そして異常に多数のアンテナが設置されておりましたので、これもこの第三号事案に適合いたしますので、外観から、行動上の特徴から、工作船である可能性が高いと判断されて三号に該当するわけでございます。
 最後の第四号に関しましては、この船が、逃走状況から見て、その場で停船させ立入検査をすることが不可欠であると認められることがこの第四号でございます。この不審船のようなケースでは、我が国の管轄の及ばない他国領海へ向け高速で逃走を続ける状況からこれは第四号に該当すると認められるわけでございますので、以上のような状況から、この能登半島沖の不審船に関しましては第二十条第二項の各号の要件に当たるものと判断されました。
○大沢辰美君 そういう四つの要件がそろって、最後の手段として停船させるためには機関砲などを船体射撃することになる可能性が生まれてくるわけですが、私は危害射撃の実際の運用では本当に慎重さが求められると思います。
 一体、船体の本当にどこを撃つんだろうと、そういう心配も大きくあります。また、その場合、火薬を詰めたそういう炸裂弾のようなものも使われるんだろうか、そういう心配もあります。そういうことはないということですね、どうでしょう。
○政府参考人(縄野克彦君) 射撃の具体的な手法に関しましては船あるいは状況によって異なるものというふうに思いますけれども、船を停船させるということを目的として射撃するものでございますので、一般的には船舶のかじあるいはスクリューあるいはエンジン、そういう船の航行に不可欠な部位、そういうところをねらって、効果のある箇所をねらって撃つということになるというふうに考えております。
 繰り返し申し上げますが、立入検査をするための停船をするために武器を使用するものでございますので、船が全体として爆発するあるいは沈没をするような、今おっしゃられましたような炸裂をするような方法を使う必要はないというふうに考えております。
○大沢辰美君 あくまでも危害射撃の実際の運用は慎重さを求めて、今度は防衛庁と海上保安庁に両方に聞きたいと思いますが、海上警備行動というのは、不審船に係る共同対処マニュアルの概要にもあるとおり、海上保安庁では対処することが不可能または困難と認められる事態に至った場合には海上警備行動が発令されることになっています。海上保安庁では対処することが不可能または困難と認められる事態かどうかという判断をする上で、海上保安庁の役割はどうなるのでしょうか。つまり、海上保安庁からの要請を受けて防衛庁長官が判断するということなのでしょうか、その点について。
○政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
 海上保安庁の装備あるいは船艇等の数量、そういうものでは対処できない事態には海上警備行動を内閣総理大臣の承認を得て防衛庁長官が発することになっております。
 その場合に私どもがどういう役割をするかということでございますが、海上警備行動時には、自衛隊法におきまして海上保安官の一定の職務が海上自衛官に準用されることになっております。ただ、犯人の逮捕、それに引き続く取り調べというものは現在の自衛隊法では準用されておりませんで、私どもは引き続き犯人の逮捕の職務を担っておるわけでございまして、防衛庁、自衛隊による警備行動の発令後におきましても、私どもは海上保安庁しかできない固有の業務を行うために対応するということでございます。
○大沢辰美君 海上保安庁の判断抜きにそういうことは絶対あり得ないということを私はもう一度確認したいと思います。
 海上警備行動の発動要件はどうなっているかという点で、海上保安庁では対処することが不可能または困難と認められる事態とは具体的にはどういう事態を言うのでしょうか。
○政府参考人(北原巖男君) お答え申し上げます。
 海上保安庁では対応が不可能あるいは著しく難しいといった状況のもとで海上警備行動が発令されるわけでございますが、それで具体的にどのような場合かということにつきましては、これはまさにその時々の事態の対応に応じて判断をされるべきものと考えておりまして、一概に今申し上げることは困難ではございますけれども、先ほど来先生が御指摘をされておられます、例えば平成十一年三月の能登半島沖の不審船事案のように、逃走を続ける船舶に対しまして海上保安庁の船舶をもっては追跡を継続して停船をさせることが難しいといったような、いわゆる特別の必要がある場合にこれが該当する、そのように考えておりますが、いずれにいたしましても、具体的な事案事案に沿いまして、その時々の事態の対応に応じて判断していくということになると思います。
○委員長(北澤俊美君) 大沢辰美君の時間が過ぎておりますので、締めくくって質問をお願いします。
○大沢辰美君 最後に、もう質問ではありません、提案だけさせていただきます。
 「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という憲法の規定に照らしても、やはり私は不審船等への武器使用または武器行使ではないことを明確にする必要があると思います。海上での治安維持、人命と財産の保護という警察機能が負っている任務は海上保安庁が責任を持って遂行すべきであり、そのために必要な体制の整備、強化は当然のことです。だから、自衛隊の海上警備行動は必要でなく、海上保安庁の強化、整備こそ任務を果たせるということを表明いたしまして、質問を終わります。
 時間をオーバーして失礼いたしました。
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 去る九月十一日、同時多発テロが発生をし、多くの人命が亡くなりました。月並みではありますけれども、哀悼の意を表しておきたいと思います。
 一般乗客の方々を含めて、常に、ハイジャックの場合、安全、生命、財産を守る立場で安全第一に仕事をしている航空労働者が犠牲になる。本当に痛ましい事故が繰り返し繰り返し行われることに、テロを憎んで余りあるものがございます。
 そこで、今回、テロ対策関連三法案、その中の海上保安庁法の一部を改正する法律案の改正案について今審議がされているところですが、法案提出の背景になっております、提案理由の中にもございました一九九九年三月に発生をいたしました能登半島沖不審船事案の教訓・反省事項を踏まえたものと言われておりますが、発生した事件が九九年、今なぜこの問題をここでテロ法案と同時に提案をしなければならないのか、この期間どのような検討をされて、また提出が今日までおくれたのか、最もおくれた最大の理由は何であったか、御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(扇千景君) 先ほどからもお話し申し上げておりますように、教訓のもと、また反省のもとに法改正をしようという動きは既に検討させていただいておりました。
 一番大事なことは、少なくとも私どもは、本年の八月七日でございますけれども、海上保安庁は既にこの海上保安庁の一部改正につきまして皆さん方に申し上げておりますし、また本年の七月十九日、これはある新聞紙上にも、法改正をして臨時国会に改正、提出ということが新聞、各新聞でございますね、朝日ですとか産経とかに既に発表してございまして、ですから、今回のテロとたまたま重なったということでございまして、それまでは海上保安庁、自衛隊、警察庁一緒になってこの法改正にいかに持っていくべきかということを常に検討させていただきまして、やっとその決断をして法改正に至ったわけでございます。
 たまたまテロが発生したということ自体以前に、先ほどからも能登半島沖の不審船に対しての反省とそしてその以後の計画はということでございますけれども、一番の問題は、危害射撃のあり方を中心に法的な整備をいかにするか、そしていかにこれを不安のなき、あるいは最低限の対処を使うかということでの要点が一番この法案をつくるときの問題になった点であると御認識賜りたいと存じます。
○渕上貞雄君 そのことが法案提出をおくらせた最大の理由ですか。
○国務大臣(扇千景君) おくらせたわけではございませんで、たまたま私どもは、今回の法改正は、不審船のように具体的な犯罪を犯したかどうか必ずしも確認できない状況の中で武器を使用して、もしも人に危害を与えることがあったとしてもその違法性を阻却されるという過去に例を見ない法制度を整備しようとするものでございますから、政府部内で慎重に検討を行ってきた結果、今回の法案提出に至ったということで、その点では念には念を重ねて皆さんで検討したというのがおくれた理由でございます。
○渕上貞雄君 我が国における危機管理問題が事件が発生するたびに問題になっているわけですから、国土交通大臣としても今後常に危機管理問題についてはやはり注意して、早急にこういう問題について対応できるように、私どもの印象としてはどうもどさくさ紛れにやってきたような印象、しかし時系列に聞きますとそうでもないようなお話でございますので、やはり私ども交通産業に働く者として、ここの委員会に所属する者として、やはり安全第一の仕事でございますから、これから先も敏速な対応をお願いをしておきたいと思います。
 次に、同じく九九年三月に発生をいたしました能登半島沖における不審船事案の経過についてお知らせ願いたいし、その経過の中で二そうの不審船を停船させる根拠法令として漁業法を適用しました。しかし、漁業法は本来漁業生産者に関する基本的制度を定める法律であって、領海侵犯や不審船舶の停船、検査のために適用されるべきものではないと考えますが、いかがでございますか。
 それから、海上保安庁法の第十条では、国土交通大臣以外の大臣の所管に関する事務についてはおのおのその大臣の指揮監督を受けるとあります。漁業法違反の今回の事案の場合、農林水産大臣の指揮監督はいかがであったのでしょうか、その点をお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(縄野克彦君) まず、おととしの不審船事案の概要でございますが、経緯は、先ほどもお話に出ましたけれども、三月二十三日に海上自衛隊を通じまして不審な漁船二隻に関する情報を入手いたしました。このうち、第二大和丸、これは真実の第二大和丸が兵庫県沖において操業中であった、もう一隻、第一大西丸、これは漁船原簿から抹消されておったということを確認をいたしましたので、この二つの船名の漁船は船名を詐称している、偽装している船であるというふうに判断をしたところでございます。
 それによりまして、巡視船艇十五隻、航空機十二機を動員いたしまして、今お話ございました漁業法に基づく立入検査を行うために停船命令を発しましたけれども、両船が無視して逃走したために最終的には威嚇射撃をいたしましたけれども、高速で逃走を続けられ、海上保安庁としては対応できないという状況になって、防衛庁長官が総理の承認を得て、二十四日、海上警備行動が発令されたと。
 その後も海上自衛隊とともに追跡は継続いたしましたけれども、不審船が同日、防空識別圏を出域した時点で追跡を政府として断念をしたところでございます。
 これが経緯でございます。
 漁業法による立ち検についてのお尋ねがございました。漁業法に基づく立ち検につきましては、先ほど申し上げましたように、漁船の形を呈しておりまして、しかし登録はされていないということで、漁業関係の法令違反、つまり漁船の登録は漁業関係の法令で義務づけられておりますので、その法令の励行のために漁業法に基づく立入検査をしようとしたわけでございます。
 海上保安庁は、立入検査は固有の権限として海上保安庁法に基づく立入検査もできますし、個別の法規に基づく立入検査もできます。この時点、この事案の場合には、外見上漁船の形をしていたということで、何らかの漁業法関係の法令の違反があるのではないかという判断に立って漁業法に基づく立入検査を行おうとしたものであります。
 海上保安庁法十条についてのお尋ねでございますけれども、漁業法等のいわゆる国土交通大臣所管以外の法令に関する事務につきましては、私自身が漁業法であれば農林水産大臣の指揮監督を受けることになっております。
 ただ、これはすべての事案にその都度ありとあらゆる判断について農水大臣の指揮を受けて私が、海上保安庁が仕事をしなければならないということではなくて、必要な限りにおいて指揮監督を受けると。これは国土交通大臣との関係でも同じでございますが、そのように解釈をされておりますので、この漁業法に基づく立入検査をしようとして停船命令をかけることについて、その時点で農水大臣の指揮監督を受けなかったと、直接、具体的に受けなかったということについては海上保安庁法に違反するものではないというふうに考えております。
○渕上貞雄君 もう少し、ちょっと具体的な問題についてお伺いいたしますけれども、周辺事態法を審議しておりましたときの参議院の外交・防衛委員会におきまして、当時の野呂田防衛庁長官は不審船について、二十一日深夜から断片的な情報があったと述べております。とすれば、担当省庁である海上保安庁に連絡をしてきたのが二十三日の十一時だと言われています。丸二日間連絡をしなかったことになりまして、これは政府による情報操作が歴然としているんじゃないかと思います。したがって、二十一日中に海上保安庁へ連絡があれば拿捕可能であったと私は思いますね。
 その場合、あと細かなこと二つ。一つは、停船命令は何回出されたのか。それからその次は、捕捉できなかったと考える理由について、いずれも当時言われたことは、三十八年間で十八そう、先ほど二十そうと言われましたか、の報告がなされておりますが、対応状況はいずれも速力が速く捕捉できなかったと、こういうふうに言われていますが、いかがでございましょうか。
○政府参考人(縄野克彦君) 停船命令を何度発令したかということでございますが、少なくとも第二大和丸に対して十三時十八分に停船命令を実施しております。それから、第一大西丸に対しては少なくとも十四時に停船命令を実施しておりますし、さらに接近をして繰り返し十七時二十分に停船命令を実施しております。
 それから、もう一点のお尋ねの速力が問題ではなかったかということでございますが、それらの状況について逐一状況は、原因がすべて定かになっているわけではございませんが、私どもとしましては船艇の速力が一つの原因であったことは事実であるというふうに考えております。
○渕上貞雄君 海上保安庁法の第二十五条の趣旨からして、今回の法案については逸脱しているんではないかというふうに思えるんですが、不審だからといって危害射撃を容認することは警察活動を超えたものであり、海上保安庁が軍隊並みの武力行使を行うことにつながり、庁法第二十五条の「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」との趣旨を逸脱するのではないかと考えられます。
 したがって、武器の使用については警察比例の原則が適用されなければならないし、ただ逃げているのに危害射撃を行うというのは過剰反応ではないか。後藤田氏も不審船は追い払えばよいと言っておりますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
 またさらに、昔の話になりますけれども、李ラインがあったころ、当時の日本漁船が韓国警備艇に拿捕されるようになったいわゆる李ライン問題のときに、海上保安庁は体当たりをしてでもこの漁船を守ったというようなことがございますし、ここで巡視船が武器の使用を例えばしておったとすれば、恐らく双方撃ち合いになったのではないかというふうに思います。
 したがって、庁法の二十五条に言われる「いかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」、それほど非常に重たい問題なのでありますけれども、軍隊並みの武力行使を行うことにつながりはしないかという懸念がございますが、大臣の見解はいかがでございましょうか。
○政府参考人(縄野克彦君) 繰り返しの御説明になりますが、庁法、海上保安庁法の二十五条にそのような定めがあることはもちろんそのとおりでございます。
 ただ、私どもが先ほどから御説明してまいりましたように、私どもが今回の法改正をお願いしておりますのは、軍隊として相手の軍船を撃沈をしたりということではなくて、相手が犯罪をしている、あるいはその疑いがある、それを確認しなければならない、そのためにはとめなければならない。停船命令を拒絶している、そういう船に対して、そのまま放置すれば犯罪を起こされる可能性がある、そういうぎりぎりの条件に合致する場合に必要最小限の武器使用をもって立入検査を行う、そういう警察活動として武器使用をするということが必要ではないかということでございますので、海上保安庁法二十五条には当然に違反をしないというふうに考えております。
 それから、李ラインで船を強行接舷をしてとめていたということでございますが、私どもも、先ほどからお話ございましたように、必要のないときに武器を使うというつもりはございませんで、もちろん海上保安官の危険はございます。先ほど弘友先生のお話ございましたように、相手が抵抗をしているときでも強行接舷をして移乗してとめるということは繰り返して行ってまいりました。ただ、必要最小限に武器の使用を抑えるという観点から行ってきたものでございます。
 ただ、今回の提案は、やはり組織的な犯罪が行われる蓋然性、そういうものに対応するためには必要最小限の武器を使用しなければ船をとめることができないのではないかという判断に立ったものでございます。
○国務大臣(扇千景君) 今、先生の御指摘どおりで、今、保安庁長官がお答えしたとおりでございますけれども、海上保安庁としては少なくとも日本の国土、国民、安全、安心を守るためにこれをしていかなきゃいけない、それが任務の大前提でございますし、少なくとも先生が御質問にございました中にも、私どもは昨年一年間だけでも、不審船以外で不法行為または徘回あるいは漂泊する等の特異な行動を行った外国船舶は一年間だけでも三百五十七隻あるわけでございます。それは確認しております。また、このうち不法行為を行った二百八十二隻に関しましても警告退去または検挙、また特異な行動を行った七十五隻に対しましては当該行為の中止の要求または警告退去などの処置を講じていると。
 この一年間、昨年一年間だけの事例をもってしても、海上保安庁としての職務を遂行するために、また不審なものを国民、国土の安全のために検査するという海上保安庁本来の目的のためには、私は今回どうしても、能登半島の事例をもってしても、今回はこの第一号から四号までの厳格な要件を満たしたらという条件づきで、そのために私どもは今回、皆さん方に法案の提出をし御審議いただいているというのが実情でございます。
○渕上貞雄君 防衛庁にお伺いいたしますけれども、海上警備行動とはいかなるものか。特別必要がある場合と判断した場合の具体的な理由をお伺いするわけですが、同じく九九年の三月の能登半島沖の不審船事案について、海上自衛隊に海上警備行動が発動されたが、一体海上警備行動とはどういうことなのか、具体的に御説明願いたいと思います。
○政府参考人(北原巖男君) まず海上警備行動、これは自衛隊法の第八十二条に基づく行動でございますが、これは内閣の首長たる内閣総理大臣の承認を得まして防衛庁長官が命ずるものでございます。そして、その発令の要件につきましては、「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合」に発令をするわけでございますが、これにつきましては、まず第一義的には防衛庁長官がこれを判断いたしまして、内閣総理大臣が閣議に諮った上でこれを承認するといった枠組みになっているところでございます。
 そして、なお、先般の不審船事案につきまして海上警備行動を発令した理由でございますが、これは政府といたしましては、不審船発見以来、海上保安庁の航空機あるいは巡視船艇によりましてこれを追跡して、まず現場に到着いたしました航空機により停船命令を実施いたしますとともに、さらに追尾をいたしました巡視船艇からも、先ほど来海上保安庁長官からもお答えがございましたが、停船命令を繰り返し実施したところでございます。これに船舶は応じなかったわけでございまして、巡視船艇により威嚇射撃を実施する等の必要な措置を講じたものではございますが、さらに相手は速度を上げたため、海上保安庁の巡視船艇等による追尾が困難になったといった事実がございます。
 これを受けまして、先ほど申しましたが、政府として検討を行った結果、海上におきます人命もしくは財産の保護または治安の維持のため特別な必要があるということで、防衛庁長官が総理の承認を得て八十二条を、海上警備行動を発令したわけでございます。なお、総理の承認に当たりましては、閣議に諮り、そして総理が承認を行ったという手続を踏んでおります。
○委員長(北澤俊美君) 時間が過ぎておりますので、おまとめをください。
○渕上貞雄君 わかりました。
 他に質問項目を出しておりましたけれども、時間でございますので、終わります。
○大江康弘君 もう時間も大分過ぎてまいりましたが、私は、きょうここに座っておりまして初めて、おやじが死ぬ前に人間というのは人の立場になって物を考えろと言うことをわかりました。
 それは、今まで二十一年、和歌山県で県会議員という地方の議員をやってきて、田舎の議会ですから町並み条例だとかあるいはごみの問題だとか、そんな小さいことにばかりかかわってきて、ここに初めて当選をさせていただいて、こんな日本の国家の基本にかかわる、主権にかかわる大きな法案に初めて勉強する機会を与えていただいた。特に、きょうは賛成を早く表明させていただいてよかったな、こんな特典があったのかなと。委員長からふだんはもっと質問の時間は短いんだと言われました。今回は二十分ということでおまけをいただきました。これは賛成をした特典かなと。
 しかも、二十一年を振り返りますと、泉副大臣はかつて和歌山で運輸省のキャリアとして来ていただきましたし、私の政治の流れの中で扇大臣はかつて何度か和歌山に来ていただいて御縁のあった大臣でございますから、よくぞ賛成をしたもんだなと。今まで二十一年、地方の議会というのはオール与党でありますから、むしろ私も、どっちかといえば、向こうの席があいていますから向こうへ座っていた方が何か言いやすいわけでありますけれども、もうこうして六番目でございまして屋上屋を重ねるような質問になるかもわかりませんが、ひとつお許しをいただきたいと思います。
 そこで、大臣に直接私は、この海上保安庁の法案とは関係のないことでもあるかと思いますけれども、三つの法案が今回の不幸なあのテロの事件によって出された。そういう中で、私は大臣にひとつ、今回の自衛隊も出るということも含めて基本的な、閣議にも参加をされてこの法案を出すことを決められた一人の担当の大臣としてお聞きをしたいんですが、私はこの国会というところは、今まで田舎から見ておって余りわからなかったんですけれども、やっぱり国権の最高機関ですね。国権の最高機関としてこれはどういうことをするかといいますと、きょうは先輩の先生方の御意見も聞かせていただきながら、やっぱり立法という、法律をつくるということで国家の意思をつくり上げていく、いわゆる国民の意思をそこに集合させていく。私はそういうことを思いましたときに、かつて大臣という肩書きを持った方が憲法改正で何人か職を失われました。私はそんなことを見るたびに、議会制民主主義でこんなことはおかしいな、現に今の日本国の憲法においても憲法改正というのはやってもいいということをうたわれているわけですね。それだけに私は、大臣であってもそれ以前にまず国会議員たれ、やっぱり国会議員としてということがまず前提だと。
 そういう中で、私はこの三つの法案の連合審査にも参加をさせていただいて大変寂しい思いをしたのは、あれだけ期待をされておる小泉総理が今回の自衛隊の派遣の中で最終的にどんな答弁をするか。法律的な一貫性や明確性を求められたら、それを問われたら答弁に窮する、これが今の日本国の総理大臣としての憲法観。私は、もっとどんどん大臣が、現職の閣僚として憲法を順守をするということはこれは当然でありますけれども、片一方で、これはおかしいじゃないか、これは悪いじゃないか、こういうことをどんどん言ってもいいと思うんですね。どんどん議論をしていったらいい。
 かつて清朝の末期に政治家になる以前の泉副大臣のような立派な官吏がおった。曽国藩というのですね。この人は非常に皇帝の信任をもらっておった官吏であって、しかし皇帝がだんだん言うことを聞かなくなる。そして最後に、言うことを聞かなくなるから田舎に帰って命をみずから絶つんですね。絶つ前に何と言って死んだか。黒白弁じがたきは亡国の兆し、やはり政治家というのは黒と白をはっきりさせなきゃいかぬ、そんなことを言いながら亡くなっていった。
 今、やっぱりこの日本の状況を見たときに、本当に黒白というものが政治の場できちっと論じられておるのかなということを思いましたときに、今回の三つの法案がこういう形で審議をされて、しかもその中で、むしろ私は遅きに失したと思いますけれども、後でまた御質問申し上げますが、大臣、今回の三つの法案を、海上保安庁の方は直接の所管でありますけれども、自衛隊も含めて今回のこういう形での法案の出し方というか、きぬを着せずに申し上げれば、これはこういう場でおかしいじゃないかという御批判もいただくとは思いますけれども、この三つの法案の一つとして上がってきておるということにお許しをいただいて、私は自衛隊も含めて、先ほど言いましたように、憲法解釈をもう少しきちっとされて、きちっと議論をしてということを思うわけなんですけれども、そういうことを全般含めて、大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(扇千景君) 我々、今この二十一世紀を迎えたときに、大臣の前にお互いに国会議員として立法府に同じ籍を置く者としては、二十一世紀の日本の国のあり方というものをいかに国家百年の計としてするべきかという原点に立った大きなお話でございますので、私はいささか戸惑う点もございますけれども、私は今、大江先生がおっしゃいますように、私どもとしては戦後今日まで平和憲法というこの憲法をいただいたということで、憲法論議さえタブー視されました。憲法を論ずることさえこの言論の自由の社会でもタブー視されておりました。まして、国会の中で改憲なんて言おうものなら大変なことで、大臣が何人も大臣職を辞されたことも、今、先生がおっしゃったとおりでございます。
 けれども、それがこうして衆参の両院の中に憲法調査会を設定して、憲法論議ができるようになったことだけでも私は大変な世の中の変わりようであると思っておりますし、今、先生がおっしゃいましたように、じゃ、憲法の中で私学助成はどうなんだ、憲法を改正するその国民投票法は別途あるのかといったら、これもない。
 そういう意味では、私は憲法というものに対しての解釈、例えば自衛隊法の改正を今この三法案と一緒に連合審査をしていただきましたけれども、私は大学も出ておりませんし法律学者でもございませんけれども、憲法学者と言われる人が日本の中にどれだけいらっしゃることか。その人たちの中でも、自衛隊は違憲であるあるいは合憲であると、憲法学者の中でさえ違憲、合憲の論議が違う。そして、憲法がは私ども国民が一人一人学ばなきゃいけないということであれば、少なくとも憲法のこの前文だけでも私は中学の高学年に教えてこそ、国民として憲法を守るという認識ができると思います。けれども、憲法学者の中でさえ解釈が違うものを、どういかに先生方が今の子供に教えるか。そのこと自体も私は行き詰まっている証拠ではないか、そういうふうに個人的には思っております。
 私は、先ほど申しましたように、衆参の両院の中に憲法調査会を設置することに私ども何年かかったかわかりません。議員連盟をつくってこの調査会設置を運動しましたけれども、このようになって国会の席で論議できることだけでも二十一世紀の明るい兆しが見えているという意味では、今回もこうして自衛隊が憲法の合憲か違憲かという論議さえ今まではタブー視されたということに対して、大きな前進であるということを私は今改めて認識し、我々に課せられた大きな職責と今の責任の重さというものを痛感しているのが昨今でございます。
○大江康弘君 私の言い方がちょっと誤解を与えたと思います。これは私は何も憲法論議をしようというつもりではないんです。たまたまこれが、今申し上げますが、なぜ平成十一年の三月に起こって今ごろ、二年半もかかって、これ日本の主権が侵されたという、これ一番大事なことなんですね。これが二年半もかかってしかこういう大事な法案が上がってこない。これはむしろこの法案一つだったら私は今こんな議論はしないんです。大臣にこんなことは聞かない。だけれども、三つ一緒になってきて、やっぱり自衛隊も行かす、あるいはもうそういう中での一環としてということでありましたから、今、少し私は、大臣がおまえ何か憲法改正の話をしているんじゃないかという誤解も与えて、そんな御丁寧な答弁の中にもそう感じたわけですが、ありがとうございます。
 私はもう一度申し上げますけれども、なぜこの二年半、これ長官、ほっておったんですかね。まさに日本というのはそういう意味ではホウチ国家なんですね。本当に物事を放置しておる。それだけに私は、今、渕上先生もおっしゃられましたけれども、なぜ二年半もこんな大事な法案が成案されるのにかかるのかと。これはなぜですか。
○政府参考人(縄野克彦君) もう少し早く対応できなかったかという御指摘はこれまでも私どもとしていただいております。
 先ほども申し上げたかと思いますが、このような武器使用、警察機関の武器使用について、海上保安庁は警察と同じように警察官職務執行法によって最低限の武器使用が行えるということが昭和三十三年に決められました。いわば警察機関としての武器使用についての私の感想でございますけれども、初めての改正でございます、緩和をするという意味での。
 そういう観点から、危害射撃を、危害を与えるとしても違法性が阻却されるというような、そういう保護法益は何であるか、それから、御質問にもございましたけれども、武器使用をしないでほかにかわる方法はないのか、そういう点につきまして政府全体として関係機関と議論を重ねてきた結果、先ほど大臣のお話にもございましたけれども、できるだけ早くということでことしの夏には成案を得て、通常国会の最後にもという話はあったわけでございますけれども、結果的には、できるだけ早い国会にということで臨時国会に提出するということを政府として決めましてここに至ったものでございます。
○大江康弘君 私はことしの参議院に当選をさせていただいてからでしかこれに関与しておりませんからそんな生意気なことは言えませんけれども、しかし、私は独立国家の定義というのは、土地がおってそこに人が住んであって、やっぱり一番大事なのは外から攻められたときにそれをいかに守るかという、この三つが一体となって初めて私は独立国家というものを形成するというふうに思うんです。
 それだけに、もう一度お聞きしますけれども、平成十一年のあの事案が起こってから、先ほどから聞いておりますと何隻か不審船があったと言うけれども、それ以降二十隻ですか。
○政府参考人(縄野克彦君) 海上保安庁として確認した不審船は、海上保安庁発足以来、約五十数年でございますが、その間に二十隻でございます。
○大江康弘君 少し私はじゃ誤解をしておりました。私はその間に二十隻かな、そんなたくさんの船をこの二年半もほっておったのかなと思いましたけれども。
 発足をしてから二十隻といっても、しかし大臣、先ほど過去に例を見ない今回は法案のと言いましたけれども、私は、恐らく世界の民主主義国家を標榜する国で今ごろこの時期にあってこんなことをやっておるのは日本国家ぐらいじゃないかな、両手両足を縛られたそういう自衛隊だとかあるいは今言う海上保安庁だとかが今まで本当に任務をしておった、やっと今回のこの法案で私は一つ縄をほどいてもらったんじゃないかな、しかしそれでも十分じゃない。十分職責を果たせるような果たして環境かなということを私は感じるわけでありますけれども。
 その中で、長官、この第二十九条に長官の職務の権限をいわゆる一部の職員に委任するということがありますね。私は、このことが、現場主義ということを先ほどから、警官でも何か現場であったときにピストルを使って後でいろいろ言われますけれども、その判断というのは現場がするんですね。これは本当に長官まで、先ほどからも意見がありましたけれども、最終的には長官が判断をする、決断をするというようなことを現場に与えて現場が初めて武力を行使ができるというふうなことでありますけれども、これ私は、やっぱり高度な、崇高な任務やあるいは使命を与えれば与えるほどもっと高い信頼を与えてやるべきだ、もっと現場に高い信頼感を与えてやってそこの判断でやらせるべきだというふうに思うんですけれども、これはやっぱり無理なんですか。
○政府参考人(縄野克彦君) 私どもの通常の警職法七条を準用した武器使用、つまり犯人の逃走でありますとか公務執行を妨げる者に対する通常の武器使用、それから正当防衛、緊急避難、それから凶悪犯の既遂、そういうものについては私どもそれぞれ現場の判断で武器使用ができるようになっておりますし、これは警察も同じでございます。
 ただ、今回は、重大凶悪な犯罪を犯すあるいは犯しているおそれという認定でございますので、先ほどもお話がございましたように、具体的な船の外観、行動、それと各機関が保有しているいろんな情報、そういうものを瞬時にではございますけれども判断をして、本庁として、つまり海上保安庁長官というのは現場ではなくて本庁として、先ほどお話もございましたように、外交上の判断も念頭に置きながら判断をできるぎりぎりの判断者は海上保安庁長官ではないかということでございまして、先ほどお尋ねの現場長への委任ということもしないで、海上保安庁長官の専管の職務ということにしておるわけでございます。
○大江康弘君 これ長官、今回はまだ不幸中の僕は幸いだったと思うんです。それだけに、これはまあ真夜中のあの真っ暗いときに発見されて、しかも二隻なんですね。昼間、済みません、昼間で。これ真っ暗やみで、しかも日本海がしけておって、しかも何隻が来たときにこれどう対処するんですか。
 今のそういうような長官の、長官というか今回の法案の中での形の一つの命令系統の中で、もっと私は現場に信頼感を置いてやって、きちっと判断をさせてやって、その最終的な結果責任というのは長官もとり、あるいは大臣もとり、そして最後はやっぱりこの法律を認めた我々国会がとるという、やっぱりそういうことでなければ、私は本当にこれだけの情報がどんどんどんどん流れておって、先ほど大臣が運輸省の中にいろんなものができた、見に来いと言ったけれども、こんなことを言ってもいいんかな、外務大臣みたいにそんな大事なことをしゃべっていいんかなと。そういうようなことも感じたわけですけれども、まあそれはそれであれですが。
 長官、どうですか、これは将来的には難しいんですか。
○委員長(北澤俊美君) 時間が過ぎておりますので、手短にお願いをいたします。
○政府参考人(縄野克彦君) 私どもは、今、委員がおっしゃったような非常に状況の把握が難しい場合も含めて、海上保安庁の長官の判断を認定の根拠とすることの方が現場が逡巡をしないで武器を使用することができるという面もある、そういうことの判断もございます。
○委員長(北澤俊美君) 終わりでいいですか。
○大江康弘君 はい、いいです。
○田名部匡省君 もう最後ですのでよろしくお願いしたいと思いますが、その前に、海上保安庁と防衛庁、水産庁、それぞれ今議論になっている範囲の中で、その任務は一体今どうなっているのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(扇千景君) 田名部先生の御案内のように、海上自衛隊との連携、海上保安庁、これは平成十一年三月に、先ほどからお話しになっております能登半島の沖の不審船のあの事案をもって、改めてその年の、十一年の六月に関係閣僚会議におきまして詳細を決めさせていただきまして、関係省庁間の迅速な情報収集または海上保安庁と自衛隊の間の共同対処のマニュアルを整備することというのが十一年の六月四日に閣議決定をされました。
 それによりまして、政府関係者の間で海上事案発生時の初動におきます情報の連絡体制、そしてそれを整備し実行するかということで、海上保安庁としましては、一つは防衛庁と迅速な情報の連絡の実施、これは随時いたしております。
 二つ目には、自衛隊との共同対処マニュアルを作成いたしまして、平成十一年の十二月にこのマニュアルによって自衛隊との共同対処マニュアルを実行いたしてみました。
 そして三つ目には、このマニュアルに係ります共同対処訓練の実施を平成十一年の十月、平成十二年の九月と、このマニュアルによって海上保安庁と自衛隊の共同訓練をいたしました。また、海上保安庁の巡視船と自衛隊の艦艇等の間におきます情報交換の訓練は、これは随時行っているというのが現状でございます。
○政府参考人(北原巖男君) お答え申し上げます。
 まず、先ほど任務という先生からの御指摘でございますが、まず第一義的には自衛隊法の第三条に自衛隊の任務が書いてございます。ちょっと読み上げさせていただきますと、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」。これが、まず第三条があります。
 この中で、これを受けまして、先ほど扇大臣からもございました海上警備行動、これは必要に応じて公共の秩序維持の一環になるわけでございますが、八十二条がございまして、「長官は、」、これは防衛庁長官でございますが、防衛庁長官は、「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」と規定をいたしております。
 これに基づいて行動いたしておりますが、不審船への対処、これにつきましては、第一義的には海上における警察機関であります海上保安庁が対処いたしまして、海上保安庁では対処することが不可能または著しく困難と認められる事態、これは特別な理由がある場合に該当するわけでございますが、この場合に八十二条の適用を受けまして海上警備行動が防衛庁長官から発令されると、そのように考えております。
○政府参考人(渡辺好明君) 現状から申し上げますと、水産庁では艦船六隻、用船も入れまして三十五隻という体制でございます。四百五十万平方キロという広大な二百海里水域を取り締まりをしておりますので、その関係上、漁業法、それから排他的経済水域に関する漁業取り締まりに関する法律、これの権限を包括的に海上保安庁にゆだねておりまして、すべて本省、本庁段階、それから現場の保安部と取り締まり事務所の間できちんとした連係プレーを常時やっているところでございます。
○田名部匡省君 今伺って、何かばらばらなんですね。もうちょっとやっぱり防衛庁、海上保安庁、水産庁で一体となってやれるような仕組みをやった方がよく効率的だと思うんですね。
 例えば、水産庁長官、ロシア海域で、領海で、例えば領海侵犯をした、密漁したというときはどこがやっているんですか、ロシアでは。
○政府参考人(渡辺好明君) ロシアには国境警備隊というところがございます。日本でいいますと海上保安庁に当たるかと思いますが、国境警備隊が特に紛争の地域になっております北方四島周辺水域における漁業取り締まりを実施をいたしております。
○田名部匡省君 密漁とか領海侵犯やると漁船が撃たれて沈められたなんという話も前にありましたよね。ですから、要するに、国の平和だ、独立だ、安全だということをお互いこの三つがきちっとやっぱり持っていて、そしてもう連携をきちっととりながらやらないと、この広い海に囲まれた日本を、てんで自分のことだけやっていると。それでなくても自分のこと以外には関心のない国民ですから、人のことはどうでもいいというのが昨今の日本の風潮じゃないですか。だから、私は、そういう意味でそういう体制をぜひとっていただきたい、こう思うんです。
 それから、先ほど来いろいろ激論になっております、海上保安庁の長官が一定の要件に該当する事態であると認めたとき武器の使用ができると。これは諸外国ではどうなっていますか。
○政府参考人(縄野克彦君) 諸外国のそれぞれの法律の決め方、あるいは実定法でやるかやらないかという違いがございます。ただ、結果として私どもは、例えば実際の法律を決めておるような国、フランスでありますとかドイツでありますとかロシア、そういうところ、それから判例の積み重ねのようなところに重点を置いているアメリカ、イギリスなんかと具体的なルールを比較いたしましたけれども、船体に向けて停船を目的とする射撃をこのような場合に許容するという法制度はそれぞれの国において一定、おおむね今回私どもが御提案しているような目的で射撃をするということは許容しているというふうに承知しております。
○田名部匡省君 先ほども議論がありましたけれども、長官がその一定の要件を認めたとかなんとかといって、現場にいないで、とっさの場合ですよ、これ。この間、能登半島のときも海上保安庁が行ってもう手に負えなくて海上自衛隊ということでしょう。ですから、さっきから言っているように、ここが行ったらだめで、今度はこっちにお願いするなんというそんな生ぬるいことをやっていないで、やっぱりそういうのに対応できる、私は有事法制でも危機管理でも、きのうも質問をしましたけれども、もう全くとろい。本当に何か泥棒を捕まえてから縄をなうときのう言ったけれども、泥縄方式なんですね。
 かつて私、野呂田防衛庁長官に有事法制のことを質問したら、二十二年前から検討していると。もうあれから二年たっているから二十四年になるんですよ。ですから、このぐらい有事法制についても、のんびりしたものですよ、二十四年も考えてまだ結論が出ないというんですから。だから、これはまあいい方ですよ。能登半島で問題が起きて、遅まきながら慌ててやったような、これは早い方で。
 私はそういうことを考えると、もう少し毅然とした態度でやる。よく例えば停船命令違反、これについても、言うことを聞かないで逃げていきゃどうにもならぬということなんでしょう。捕まえようがないんじゃないですか。今度は銃を使えるということになるからやれるんでしょうけれども。
 私はいつもそう思うんです。自動車で検問をやっている、検問を破って逃げていきゃ黙っていませんよ、追っかけますよ。そして、何か処分するでしょう。そういう考えに立つと、海の上で外国の船が何か、大体逃げるというのは悪いことをしているから逃げるんであって、それをどうにもできぬという事態が私はおかしいと思っていたんです。
 どうぞ、そういう意味で水産庁も、恐らく密漁で領海侵犯で世界じゅう行っていますから、日本の船は。大体世界ではどうなっていますか、これ、あちこちで捕まった例ありますか。
○政府参考人(渡辺好明君) 北方四島周辺水域も含めてロシアの水域ではこの五年間に二十七件の連行、拿捕、つまり日本の漁船が連行、拿捕されております。そのうち銃撃がございましたのが十一件、最近は例を見ないわけでありますけれども。それから、南の方の事例でいいますと、九七年に台湾水域でこれは領海侵犯で拿捕されている事例がございます。そういう状況であります。
○田名部匡省君 お聞きになったとおりなんですね。本当に厳しくやるんですよ。かつて密漁、領海侵犯もやったんだろうと思うんですが、しょっちゅう捕まった。もう船を没収されるんですよ。それで、返してくれと言うと、金払えと。金払って、帰ってきた船見たら、もう新しい船なんか、新造船は中の機械全部外されているんですから。そのぐらい外国は厳しいんです。いいですか。何で日本だけがこんなに生ぬるいことをやっているのかなと。しかも、何ですか、いろんな不審船だといって、あるいは密輸とかあるいは密入国もすると、そういう人たちがいっぱいいるでしょう。それで、国内で入って悪いことをすると。
 だから、基本的なことをきちっとやっておかないと、それを捕まえるのに今度は警察がえらい目に遭って、新宿あたりで苦労しているようですけれども。もうちょっとやっぱりきちっとした体制を日本というのはもうこの辺でしっかりとって、領海侵犯したりいろんなことをやったらこれはもう日本は厳しいよということがないから、だからこんなことになると思うんです。
 どうですか、大臣、私が今申し上げたように、この間は北朝鮮の日本船名だったと。それで、とうとう逃げられて、北朝鮮のじゃなかったのかなと。これも確認できたのかどうかは私はこれわかりませんけれども、いずれにしても、日本の船名で、日本の船名だったら思い切りやりゃよかったと言っているんだ、何もだれも文句言いようないんですから、銃撃ったって何したって、名前書いている方が悪いんであって。
 そういうことで、何かもうあいまいにしてということを、今度はもうああいうことは二度とないように、この法律、せっかく賛成するんですから、賛成した後にまた大したことはなかったという法律じゃないんでしょうね。どうですか。
○国務大臣(扇千景君) 大変、田名部先生から賛成するからということでございましたけれども、あの能登半島沖の不審船の事例以来、少なくとも平成十一年の六月四日に閣議決定をして、これに対処してどうしようということで自衛隊、警察、海上保安庁と連携をとって法案をいかにつくっていくか、また武器使用というものに関して危害を与えるということのないように、または人命、法ということからいかに対処するかということで案を練ってきたわけでございます。
 その間に、大変私はありがたかったと思いますもの、先ほども私、弘友先生のときに申し上げましたか、この事例をもってして予算をいただきまして、海上保安庁の危機管理センターというものをつくることができまして、先ほど田名部先生が長官がその場にいなくてどうして判断できるんだとおっしゃいましたけれども、その現場が全部スクリーンに映って、この危機管理センターで長官が現場に入り、なおかつ高度の判断ができるという体制ができたのも、私は能登半島のあの不審船の追跡ができなかった反省以来、大きなことの私は成果だと思っておりますので、先ほどもお願いしたとおり、ぜひセンターを見ていただいて、いかにするべきかと。
 少なくとも人員でございますとか、あるいは二十年たった船の老朽化でございますとか、飛行機の少なくとも老朽化しているものがあるということの対処の仕方はまだまだあると思いますけれども、機器、機械がそろっても、少なくとも訓練のマニュアルで常時、自衛隊とか警察とか、そして今水産庁長官もお見えになっていますけれども、海上保安庁と連携をとった対処ができる。なおかつ、少ない予算でもって効率を何倍かにできるという、この対処のふだんの連絡と訓練が大事だと思っておりますので、つくりましたマニュアルを何度も実施に移すということを図っていって、少なくとも現段階ではこの法案を通していただいて、二度とああいうことがないようにというのがこの法案の提出でございますので、賛成していただいてありがとうございますけれども、ぜひ今後万全を期していきたいということを申し上げておきたいと思います。
○田名部匡省君 時間ですから終わりますけれども、日本の経済状況というのは相当厳しいですよ。いつも申し上げるように、それはもう返す子供は生まれていないんですから、いよいよ厳しくなる。そういうときに、効率のいいやっぱり予算の使い方となると、同じことをやっているのが三つばらばらになっていないで、一緒になって、そしてすぐ何かやれというと予算、予算と、こう言うから、それは必要なものはかかってもしようがないけれども、できるだけ効率よく、そしておやりになっていただいたらいいんじゃないかと、こういうことでございますので、いずれにしても、これやったらまた何かあってすぐ変えるなんということのないことだけはもうしっかりお願いしておきますから、よろしくお願いして終わります。
○委員長(北澤俊美君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○渕上貞雄君 私は、ただいま議題となりました海上保安庁法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論をいたします。
 今回の改正案は、第一義的にはいわゆる不審船対策とされています。当時、社民党は、政府による自衛隊の海上警備行動発令を批判するとともに、領海の警備は海上保安庁の任務であり、今回のような事態に備えるために、海上保安庁による沿岸警備体制をさらに充実することを主張し、その後の高速船艇の配備等の対応については支援してきたところであります。
 しかし、今回の改正案に盛り込まれている危害射撃の容認は、警察比例の原則を逸脱し、警備体制の充実を踏み越えた内容であると考え、反対するものであります。
 第一に、九九年当時も、いち早く防衛庁から保安庁に連絡があり高速船艇が配備されていれば、停船は可能であったのではないかと思うことです。
 第二に、ただ逃げているのに不審だからといって危害射撃を容認することが、将来、陸の警察に拡大されることの心配です。陸でいえば、不審な車に対し発砲し、危害を加えてもよくなってしまうおそれもあります。
 第三に、現時点において、小泉内閣の進めるテロ対策、自衛隊強化策の一環となっており、特に本改正案の内容が自衛隊法改正案で準用されることにより、海上保安庁以上の装備を有する自衛隊の海上警備行動の際の危害射撃を容認することにつながることです。
 第四に、危害射撃の容認が不審船の反撃を招き戦闘開始に至ることの危険性です。韓国の李ラインの問題のときに、日本の巡視船は日本漁船を守るため、漁船と銃撃してくる韓国警備艇との間、体当たりのように割り込んでいって防波堤をつくって対応していたのです。
 公害Gメンで名をはせた田尻宗昭さんは、かつて巡視船首席航海士を務めておりましたが、日本漁船が中国に拿捕されるという事件が起こり、東シナ海へ派遣される巡視船はアメリカ製の三インチ砲と二十ミリ機関砲を備える改造がなされていたことに対し、保安庁は警察機関なのに海軍まがいのことをやるのはおかしいと主張していました。元来、海保の装備と武器に対する考えはこれほど厳格なものではないでしょうか。
 社民党は、庁法第二十五条の「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」との趣旨をいま一度留意されるよう訴え、討論を終わります。
○委員長(北澤俊美君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 海上保安庁法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(北澤俊美君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会