第154回国会 本会議 第27号
平成十四年五月二十四日(金曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第二十八号
  平成十四年五月二十四日
   午前十時開議
 第一 国土交通省設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 平成十四年度における特殊法人の主たる
  事務所の移転のための関係法律の整備に関す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 政策金融機関に対する検査の権限の委任
  のための関係法律の整備に関する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第四 教育職員免許法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 一、マンションの建替えの円滑化等に関する法
  律案(趣旨説明)
 一、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都
  議定書の締結について承認を求めるの件(趣
  旨説明)
 以下 議事日程のとおり
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○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 マンションの建替えの円滑化等に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。扇国土交通大臣。
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
○国務大臣(扇千景君) マンションの建替えの円滑化等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 マンションは、都市における住まいの形態として広く普及しておりますが、今後、老朽化したマンションが急増することが見込まれております。都市の再生と良好な居住環境の確保を図る観点から、マンションの建替えの円滑化が重要な課題となっております。
 現在、マンションの建替えにつきましては、建替えを行う団体の法的位置付けが明確でないということ、区分所有権等の関係権利を再建したマンションに円滑に移行させるための法的な仕組みがないこと等の問題点が指摘されております。区分所有者自らが主体となって建替え事業を円滑に進めるための制度の整備が急務となっております。
 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第でございます。
 このような趣旨から、このたびのこの法律案を提案することとしたんですけれども、次に、この法律案の概要について御説明を申し上げます。
 第一に、建物の区分所有等に関する法律に基づく建替え決議がされた場合、建替えに合意した区分所有者が法人格を有するマンション建替組合を設立できるものといたしております。
 第二に、マンション建替組合等が定めた権利変換計画に従い、区分所有権、抵当権等の関係の権利を再建されたマンションに円滑に移行させることができるものとしております。
 第三に、マンションの建替えに伴って借家権者等が転出することとなる場合につき居住の安定の確保を図るため必要な措置を講ずることとしております。
 第四に、保安上危険又は衛生上有害な状況にあるマンションについて地方公共団体が建替えを勧告できるものとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、マンションの建替えの円滑化等に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。谷林正昭君。
   〔谷林正昭君登壇、拍手〕
○谷林正昭君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりましたマンションの建替えの円滑化等に関する法律案につきまして質問をさせていただきます。
 私は、昭和二十一年生まれのいぬ年でございます。五十五歳になりました。
 物心が付いたころ親から、人が生きていくためには着る物、食べる物、住む家、これは欠くことができない、衣食住を大切にするようにと教えられました。食べ物は好き嫌いをしないで残さず食べる。着る物は大切に、継ぎはぎは当たり前。だけれども、住んでいた家は、私が小学校四年のときに魚津大火で跡形もなく灰になりました。
 四年間のバラック生活の後、ようやく新しい家を建てた父は、完成目前、これからというときに、労働災害事故で四十二歳の若さでこの世を去りました。長男である私は、高校卒業と同時に、亡き父のためにも何とか家を完成させたい、そう思いながら働き続けました。
 母は今、八十歳になろうとしております。最近の母は、古くなった家を思いながら、建替えは自分が死んでからやってくれ、これが口癖になっています。
 私は、この法案審議に当たり、改めて、住宅というものが人生にとっていかに大切なものなのか、一口に言い表せない大きな重みのあるものだと考えさせられております。
 さて、住宅といっても、いろいろな住み方があります。その一つにマンションがあります。ここ数十年の間で、区分所有集合住宅、いわゆるマンションは急速な普及を遂げました。
 昭和三十年代まではわずか約一万六千戸しか供給されなかったマンションが、昭和四十年代には約五十万戸も供給されるようになり、この時代、新たな生活スタイルの在り方が大きな注目を集めたのであります。さらに、現在まで通算すると、約三百八十五万戸もの膨大な数のマンションが供給をされております。今や、都市住民にとって最もポピュラーな住宅として認識されるに至ったのであります。
 とりわけ、東京都心部において一戸建て住宅を購入することは、庶民の立場からは夢のまた夢であります。つまり、これからは、住宅を取得しようとする勤労者にとってみれば、都心部においては、事実上、選択肢はマンションに限定されると言っても過言ではないのであります。
 しかし、マンションが普及するに従って、老朽化や環境の悪化、建替え需要の高まりなど、様々な問題が注目されるようになりました。近い将来、住宅問題とはすなわちマンション問題であるとさえ言っても過言ではない時代が到来することも想定をされます。
 今回、このようにマンション建替えの円滑化を図る法案が審議をされることは、その背景を考えてみると、十分に私も理解するに値することだと考えております。
 しかし、マンション大解体時代が必ず来ると言われていたにもかかわらず、今ごろになってこのような法案をようやく検討するに至ったということは、極めて遅い対応であると言わざるを得ません。
 今後数十年の間に老朽化したマンションが急激に増え、これらの建替えに係る問題が国民の住宅環境を揺るがす深刻な社会問題になるだろうということは、普及し始めた当時から容易に想像が付いてしかるべきでありました。であるならば、政府は、一体、これまでどのような対応を取ってきたのでしょうか。政府の無策ぶりを指摘せざるを得ません。
 これまでにマンションが建て替えられた実例は、全国でわずか百七十七件しかありません。しかも、そのうち百八件は、阪神・淡路大震災により被災したため、安全上の必要に迫られ、やむなく建て替えねばならなかったものであります。このような少ない件数しか建替えが行われていないということは、今日までに至る政府の対応が極めて不十分であったことを如実に示しているのではないでしょうか。
 そこで、国土交通大臣にお伺いをいたします。
 国民の住宅環境を根本から揺るがしかねないこのマンション建替え問題について、なぜ政府はこれまで具体的な対応を取ってこなかったのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
 また、仮に本法案が成立した場合、そのことによって現在百七十七件しか行われていない建替え事例を具体的にどの程度増やすことができる見通しをお持ちなのでしょうか、具体的な数字を基に答弁をお願いをいたします。
 さて、先ほど私は、この法案が出された背景について理解できると申し上げました。しかし、仮にこの法案が成立したとしても、マンションの建替えが本当に促進されるのか、私はどうしてもそのように思うことができないのであります。いや、むしろ新たに様々な問題が発生するおそれすらあるのではないかと考えております。
 以下、具体的に質問をいたします。
 まず第一に、建替え費用の捻出の問題であります。
 これまで建替えに成功した事例の多くは、建替えに掛かる各区分所有者の負担を軽減するため、建替え後のマンションの戸数を多目に設計し、これらによって生ずる余剰床を売却することによって建替え費用に組み入れてまいりました。しかし、この手法を取ることができるマンションは極めて限定されているのが実情であります。
 現在建てられているマンションは、許容容積率を最大限に利用しているものが多く、余剰の容積を活用した建替え設計を行うことが困難であります。また、仮に余剰床を設定できたとしても、昨今の不動産価格の下落により、これらの売却が順調に進むとは思えません。結果として多額の費用が各区分所有者に転嫁されることが想定をされます。区分所有者の立場に立ってみれば、これらの費用やリスクを覚悟してまで建替えを決断しようとする意欲がわきにくいのは当然ではないでしょうか。
 私は、このことが建替えの促進を阻害する最大要因となっているのではないかと考えますが、この点につき、国土交通大臣の所感をお伺いいたします。
 次に、いつ、どういう場合に建て替えるかということであります。
 今は建替え時期の判断基準がないために、区分所有者間の合意形成が得られにくいといった問題もあります。建物区分所有法では、マンション建替え決議を行うことのできる要件として、老朽、損傷、一部滅失等の事由により、建物が効用を維持し回復するのに過分の費用を要するに至ったときとしております。しかし、老朽化の基準や過分の費用を要する基準といった基準が具体的にどのようなものであるのかは明確にはされておりません。そのため、建替えの基準やその是非について各個人がばらばらの判断を下すことになってしまいます。
 さらに言えば、生活水準の向上によって、従来では不必要とされていた物や器具が必需品となり、その対応ができないがために建替えの必要性が生じることもあり得ます。また、近年では、ケーブルテレビやインターネット、光ファイバーなど各種の情報インフラ対応型のマンションが増えてきていますが、今後はこれに未対応のマンションをどうするのかといったことも建替え時期を判断するに当たり大きな影響を及ぼします。
 これらの問題に対応し、より多くの区分所有者の納得を得るためには、ある程度共通認識としての老朽化の基準といったものが必要になってくるのではないでしょうか。建替えの是非をめぐり区分所有者間で議論するに当たっても、その判断材料となる基準がなければかみ合った話合いにはなり得ません。
 これについてどのようにお考えか、国土交通大臣の答弁をお願いをいたします。
 次に、建替え決議の透明化についてお尋ねをいたします。
 マンションの建替えについては、区分所有者の五分の四による建替え決議をもって行うことができるとされております。しかし、当然、より多数の納得の下で建替えが行われることがよりベターであることは言うまでもありません。そのためには、いかに民主的で公平な議論が建替え決議に当たって行われるかが重要であり、それを担保するのが情報の公開といった問題であります。とりわけ、マンションの設計の過程や費用算定の根拠などといった情報が議論の過程において公平かつ正確に公開されることが大切ではないでしょうか。
 一方、今回の法案では、建替え合意者により設立されるマンション建替組合に事業者を参加させることが可能になりました。
 事情に精通している建設業者やディベロッパーを建替え決議後に設立されるマンション建替組合に参加させることは、一概に悪いこととは言えないと私は思います。
 しかし、これら事業者の参加が当然の前提となることによって、組合設立の前段階である建替え決議に至る過程において情報の透明性という点で悪影響を及ぼさないのか、よっぽど注意をしなければならないと私は考えます。
 事業者の参入により、区分所有者にとって必要な情報が隠ぺいされ、恣意的に誘導されるおそれがないのか、また、それを防止するための対策は十分に取られるのか、国土交通大臣の答弁をお願いをいたします。
 最後に、マンション建替えにより、高齢者や低所得者又は賃借人など立場の弱い方々の居住権が侵害されるおそれがないのかを指摘しておかねばなりません。
 本法案では、危険又は有害なマンションであり、マンション建替え勧告が出されたマンションについては、転出区分所有者や賃借人に対して、公営住宅への入居の特例や家賃の減額などの措置を行う旨、法律上規定されております。
 しかし、マンション建替え勧告が出されておらない通常のマンションの場合は、基本方針に居住安定のための措置を定めるとしているだけであります。具体的にどのような施策が取られるのかがはっきりしておりません。
 マンション建替えに際して、それぞれの区分所有者は大変難しい判断を迫られます。建替えに参加せずにほかへ転出しようとも、老朽化したマンションは資産価値が低く、その売却時価はたかが知れていることから、住み替えは容易ではありません。かといって、隣近所付き合いの手前、たった一人で建替えに反対するのはしり込みせざるを得ないこともあるでしょう。結局、弱い立場の人が泣き寝入りをしなければならなくなる結果が容易に想像が付くのであります。
 このようなことを防ぐためには、転出区分所有者、とりわけ高齢者、低所得者など弱い立場にある方々に対する対策をはっきり打ち出す必要があると考えますが、具体的にどのような対策を行う予定なのでしょうか。国土交通大臣にお伺いをいたします。
 これまで何点か質問をさせていただきました。これから人が生きていく上で多様な住み方が求められていると思います。一戸建てが良いと思う人、集合住宅が良いと思う人、賃貸住宅が良いと思う人、様々だと思います。いずれにしてもその原点は、家族のきずなと地域コミュニティーの醸成だと私は思います。
 今、都市再生や新しい街づくりなどが強く言われ、その法整備も急速に進んでおります。この法案もその一環だと私は思います。
 しかし、一方では、阪神・淡路大震災で被害を受け、仮設住宅で耐えながらも自ら命を絶たざるを得なかった人、いろいろな事情から住むところもなくなり、やむを得ずホームレス生活を送る人、人生を頑張った挙げ句にひっそりと孤独死を迎える人、これらの問題は、住まいということに政治の光を少しでも当てることによって必ず解決につながるのではないかと私は思います。
 苦しんでいる人々に、ここに住んでよかったという安堵の日差しをいかに当てるか、今こそ政治が問われているということを私は訴えながら、国土交通大臣の所感を最後に伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
○国務大臣(扇千景君) 谷林議員にお答え申し上げます。
 マンションの供給が本格化しましたのは昭和四十年代後半からでございますし、建築後三十年を経過したマンションは、現在のところはまだ十二万戸にとどまっております。けれども、これが建築後三十年を経過したマンションというのは、十年後には約九十三万戸へと急増すると言われております。
 今後、老朽化に伴うマンションの建替えニーズが本格的に現れてくるものと思っておりますし、また一方、今おっしゃいましたように、阪神・淡路大震災において、建替えに参加する区分所有者の集まりに法人格が付与されていないということから、関係の権利を再建建物に円滑に移行することが、その仕組みがないため、そういう理由でマンションの建替えに当たっての制度的な問題点が明らかになりました。また、その解決が近年強く求められるようになったわけでございます。
 こうしたことから、今後の老朽化マンションの増加に対応しまして、この制度的欠陥を解消するために本法案を提出させていただき、また、本法案の成立によってマンションの建替えが相当数増加するものと考えております。
 なお、今後の建替えの事業量を具体的に予測することは困難ではございますけれども、一定の仮定の下に試算いたしますと、今後十年間に約五万六千戸の建替えを見込んでおります。
 二つ目には、区分所有の費用の負担、リスクが建替えの阻害要因になっているのではないかという二つ目の御質問がございました。
 マンションも他の住居と同じように個人の財産でございますし、その建替え費用は、基本的にはその所有者において負担すべきものであると、こう考えておりますけれども、条件によっては多額の費用の負担が発生したり、不動産価格の下落といったそういうリスクがあるということは、今、谷林議員がおっしゃったように、私たちも認識をしております。
 そういう意味で、このために、区分所有等の経済的負担を軽減して、建替えの円滑化を図る観点から、建物の除去費あるいは共同施設整備費等に対します国庫補助、住宅金融公庫融資における融資条件の優遇、そして譲渡所得税や登録免許税等の税制の特例措置によりましてこれを支援することといたしております。
 また、空き地の整備などによります市街地環境の整備改善に関しましては、容積率の緩和でございますとか、あるいは総合設計制度の積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。
 これらの措置によりまして、区分所有者の費用の負担、リスクの軽減が図られて、マンション建替えの円滑化に資するものとこれも考えております。
 三つ目には、老朽化の基準についてのお尋ねでございました。
 マンションの建替えが検討されて、そしてそれに当たりましては、建物の老朽化の程度を把握した上で、維持修理を続けた場合との比較、それに関する的確な情報に基づきまして、区分所有者間で十分な論議が行われた上で判断されることが重要であるというのは今おっしゃったとおりでございます。
 そういう意味では、このために、大臣が定める基本方針において、マンションの建替えに向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項、それを、マンションを建て替えるかあるいは修繕するかを判断するための技術的な指針の作成を盛り込むことにいたしております。
 当該の基本方針を受けて、老朽化の程度を的確に把握するとともに、それを踏まえて、建替えと補修についてそれぞれの工事内容とコスト等を適切に比較することを可能とする指針を作成し、その周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
 四つ目に、民間事業の場合の建替えの決議の透明化についての御質問がございました。
 建替え決議は、区分所有法に基づきまして、区分所有者の五分の四以上の賛成多数で行われるものでございますけれども、決議に至る過程においては、区分所有者が的確な情報に基づいて十分な議論を行うことが重要でございますし、本法案に基づいて、基本方針に従って、建替え又は修繕の判断に関する技術的指針や適正な合意形成のためのマニュアルの作成など、情報の提供、そして相談体制の整備等に努めることといたしております。
 なお、建替え決議がなされた後に、本法案に基づきまして、民間事業者が参加組合員として参加することも、これも可能となっていますけれども、その場合には、区分所有者の意向を十分に反映いたします趣旨から、組合員の四分の三以上の多数の同意に基づいて定款で定めることを必要としているほか、事業者の資力及び信用を都道府県知事による設立許可に当たっての判断要素とすることとしておりますし、これらを通じて、参加組合員制度の適切な運用が図られるものと思っております。
 五つ目には、マンションの建替えに伴います転出者の、高齢者の居住の安定措置についてのお尋ねがございました。
 建替えに参加することが困難な高齢者あるいは低所得者など弱い立場にある方々の居住の安定を図ることは、マンションの建替えを円滑に進める上で重要な課題であることは、谷林議員の仰せのとおりでございます。
 このために、国土交通大臣が定める基本方針において、賃借人及び転出する区分所有者の居住の安定の確保に関する事項を定めることとしており、法律案の第九十条に、基本方針に従って、居住の安定の確保に努めるべき旨を、これを規定しているところでございます。
 基本方針におきましては、高齢者など居住に困窮する転出者に対する具体的な支援措置について、三つございます。一つ、地方公共団体による住宅のあっせん、公営住宅等の公共賃貸住宅への優先入居、二つ目には、従前の居住者用賃貸住宅に係る家賃等の補助、そして三つ目には、賃貸人が賃借人に支払う移転料の支払に当たっての補助などを定めて、実施することといたしております。
 これらの措置によって、最大限、高齢者、低所得者など弱い立場にある方々の居住の安定を図ってまいりたいと思っております。
 最後に、苦しんでいる人々の住まいに対する支援の在り方についてのお尋ねがございました。
 突然の自然災害に見舞われました様々な不幸に遭遇して絶望のさなかにある方々に温かな救いの手を差し伸べることは政治の要諦でございますし、我々の社会が当然に備えなければならない基本原理であると考えております。
 したがいまして、御指摘のとおり、現に苦しんでいる方々を支援することは重要でございますし、とりわけ、日々の生活の場となる住宅を確保することは、住宅の政策の基本的な課題であると認識いたしております。
 さらに、住宅は、家族の団らんを支え、明日への活力を培い、心身を充実させる最も重要な生活基盤でございますし、国民の一人一人が、大都市、地方都市等々その住む場所に応じて、また、年齢、世帯構成等に応じて、ゆとりある住生活を送れるように、住まいの充実を目指した住宅政策に取り組んでいかなければなりません。
 今後とも、このような観点から、国民一人一人が安心して充実した住まい方を実現できるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(倉田寛之君) この際、日程に追加して、
 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について承認を求めるの件について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。川口外務大臣。
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
○国務大臣(川口順子君) 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について国会の承認を求めるの件につきまして、趣旨の御説明を申し上げます。
 この議定書は、先進国等が二千八年から二千十二年までの五年間において数量化された約束に従って二酸化炭素等の温室効果ガスの排出を抑制し又は削減すること、このために、一定の条件に従い、森林等の吸収源や排出量取引等を活用できること等を定めるものであります。我が国については、千九百九十年の水準に比して六%削減することを約束するものであります。
 平成四年に作成された気候変動に関する国際連合枠組条約は、二酸化炭素等の温室効果ガスの増加による気候変動に対処するための国際的な枠組みを初めて定めたもので、我が国も翌平成五年に国会の御承認を得てこれを締結しました。
 この枠組条約は、締約国がそれぞれ「共通に有しているが差異のある責任」等に従い、「人類の現在及び将来の世代のために気候系を保護すべきである。したがって、先進締約国は、率先して気候変動及びその悪影響に対処すべきである。」と規定しておりますが、温室効果ガスの削減について具体的な数値等による義務を定めていません。このため、平成七年にドイツのベルリンで開催された枠組条約の第一回締約国会議において専門家会合を設置することが決定され、専門家会合による検討も踏まえ、平成九年十二月十一日に京都で開催された第三回締約国会議において、この議定書が採択されました。その後、この議定書の運用に関する細目を定める文書案を作成する交渉が行われた結果、昨年十月から十一月まで、モロッコのマラケシュで開催された第七回締約国会議において、当該文書案について実質合意に至ったものです。
 地球温暖化防止のための効果的な国際枠組みであるこの議定書を早期に発効させ、実施に移すことは、地球環境保全の観点から極めて重要です。よって、地球温暖化防止のための国際社会の取組の機運が失われることがないよう、我が国としてこの議定書を締結し、議定書の発効に貢献することは、極めて大きな意義があります。
 以上を御勘案の上、この議定書の締結について御承認くださいますよう、お願い申し上げる次第でございます。
 以上が気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について国会の承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。広中和歌子君。
   〔広中和歌子君登壇、拍手〕
○広中和歌子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について承認を求めるの件について御質問いたします。
 質問に先立ち、瀋陽事件について一言申し上げます。
 何はともあれ、亡命者五人が無事韓国の土地を踏めたことは人道上の視点からも多といたしますが、日本政府は、今後、類似の事件にどう対応するおつもりなのか、政治亡命者や難民問題に対する基本方針を官房長官にお伺いいたします。
 京都議定書は、今から四年半前に、我が国の古都、京都の地でまとめ上げられました。人類の進歩や発展、あるいはこの文明の在り方に大いに転換を求める人類史上画期的な国際ルールであります。
 京都会議、すなわちCOP3は、二十世紀に日本で開催された最大規模の国際会議でした。世界じゅうから、政府関係者のみならず、政治家、環境団体、経済人、学者、ジャーナリストなど、何万人も集まり、会議本体だけでなく京都じゅうで様々なイベントが行われました。
 日本国憲法前文には、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とありますが、大木環境大臣が中心となって京都でこの議定書をまとめ上げたとき、私は、この憲法のくだりが初めて実現したのだと思いました。
 ところが、京都議定書の採択から批准の国会審議までに四年半も費やしています。この間、京都議定書の詳細なルールについての国際交渉が続けられてきたわけですが、日本政府は、一日も早い合意に向けて努力する代わりに、米国などと組んで一部経済界の利益を国益という名で代弁し、合意寸前で交渉を決裂させたり、米国ブッシュ政権が離脱宣言をしてからは、それを口実に森林吸収三・九%を獲得、我が国の排出削減量を実質的に大幅緩和するなど、巧妙なる外交を展開し、国際NGOからは化石賞という不名誉な賞をもらっております。
 この交渉でタフネゴシエーターとして名をはせた現在の川口外務大臣にお伺いいたします。
 一部経済界の利益を国益として代弁することは、日本国民と地球社会に対する大きな裏切りであり、我が国が国際社会において名誉ある地位を占めるとはほど遠いと考えますが、いかがでしょう。
 我が国は、二十一世紀の国際社会において環境を基軸にした外交を展開し、ミレニアム・サミットでも合意したように、途上国の持続可能な発展を支援することこそ最もふさわしい姿だと考えますが、御見解を伺います。
 この夏には、ヨハネスブルグで地球サミットが開催されます。十年前のリオに向けては、当時、平岩さんを会長とする経団連、市民団体、青年会議所、労働界、科学者、学生団体など、そして我々超党派の政治家が、政府とも協力して、企業や団体、個人の具体的な行動を約束したり、共同して提案をまとめたり、途上国の環境資金に関する国際的な賢人会議を開催したりいたしました。
 折から、東西冷戦が終えんを迎え、温暖化問題など地球環境問題が国際社会の共通の課題になり始めた時期であり、日本でも大変に盛り上がったものでございます。そして、リオの場では、我が国は世界最大の環境ODAを約束し、高い評価を得ました。
 その十年後のヨハネスブルグ環境サミットにおいて、小泉総理は、日本国として何を主張し、何で貢献し、リーダーシップを発揮しようと考えておられるのか、具体的にお伺いいたします。
 さて、我が国がまとめ上げ、今、参議院でその締結の承認についての審議が開始された京都議定書、その目標を達成することは我が国にとって決して容易ではないと言われています。
 確かに、小手先だけの対策、対症療法だけでは難しいと思います。日本の経営者、経済界あるいは労働界の中には、京都議定書の批准が、我が国経済の国際競争力を損なう、あるいは産業の空洞化を加速化させるなどといった考え方の方もいらっしゃいます。
 しかし、京都議定書は、さきにも述べたように、我々の文明の在り方の転換を求めるものでございます。すなわち、都市構造、エネルギーシステム、交通体系、産業構造などを二酸化炭素などの排出が少なくなるように変えていく、そのために、財政、税制始め様々な制度や仕組みを改革する、これが京都議定書の目指すものであり、温暖化対策であります。しかも、この過程で技術革新が生まれ、投資やビジネスの膨大なチャンスが開けるのです。つまり、経済活性化や雇用創出を約束しているのです。しかも、京都議定書には明確な数値目標がある。目標が大きいほど経済活性化のチャンスも大きいと思います。京都議定書に参加しないアメリカのことを気にすることはありません。彼らは必ず後から後れて付いてきます。我が国が環境技術開発と投資をてこに経済発展を遂げ、そして更に世界じゅうにその技術を伝える。我が国がこうした形のリーダーシップを発揮することも国際社会に名誉ある地位を占めることだと思いますが、経済財政担当大臣の御所見を伺います。
 特に、二十一世紀、確実に経済大国となる隣国中国に対する環境を中心とした経済協力は欠かせません。かつて、環境問題は先進国の問題とうそぶいていた中国が、今、経済発展と環境破壊のジレンマに直面しております。我が国にとってはいつか来た道、そしてまた、情けは人のためならずでもあります。環境大臣の御所見を伺います。
 政府は、この三月に新しい地球温暖化対策推進大綱を決定し、百種類を超える具体的、定量的な対策を盛り込み、これを見直しながら二酸化炭素などの排出量を二〇一〇年に九〇年度比でマイナス六%という目標を達成するとしています。この百種類を超える具体的な対策の実施は、新たな設備投資、公共投資、住宅投資、あるいは新たな消費をもたらすことになるわけですが、これらによる経済効果、雇用創出効果をどのように見ておられますか。そして、環境と経済・雇用を同時に達成するこの温暖化対策を今後の経済財政運営の基軸として積極的に活用すべきだと考えますが、いかがでしょう。経済財政担当大臣に伺います。
 京都議定書の目標を達成するためには、先ほど述べたような様々な分野での改革やシステムの転換など、具体的な政策が必要です。
 幾つか提案させていただきます。
 まず、税制の問題です。
 石油、石炭、天然ガスという化石燃料の課税を、それぞれの二酸化炭素の原単位に応じた公正な税率にすべきだと考えます。現状では、石油には石油税、揮発油税、軽油引取税など、天然ガスには石油税が課され、最も二酸化炭素の多い石炭には消費税以外の税金は課されていない、大変いびつなものになっています。化石燃料に関する税金を一度全部廃止して、化石燃料全体を炭素税の視点で公平に課税したらどうでしょう。課税の簡素化にもなります。
 あわせて、その税収は特定財源として温暖化対策に充て、環境に優しい対応をした消費者に還元すべきだと考えますが、財務大臣にお伺いします。
 次に、風力や太陽光発電など再生可能エネルギーの温暖化対策になる新しい技術というものは、一般的にコストが高いわけですが、まとまった需要が確保されれば生産コストが低下し、普及がしやすくなります。そこで、例えば五年後に全国の公立学校約四万校に太陽電池を五十キロワットずつ、合計二百万キロワット設置するという計画を実施したらどうでしょう。つまり、メーカーに対して五年後の二百万キロワットの需要を約束するのです。環境大臣に伺います。
 また、現在、電気のない暮らしをしている二十億に上る途上国の人たちへの支援にも役立たすことができます。こうした視点での環境ODAによる太陽電池の需要拡大を推進すべきだと思いますが、外務大臣に伺います。
 さらに、住宅や建物の省エネ化です。
 この分野からの二酸化炭素の排出増加は著しいわけですが、日本の住宅や建物の断熱構造化は非常にお粗末です。新築のものには欧米並みの外断熱や二重窓を義務付ける、既存の建物や住宅には外断熱工法などによってどんどん断熱構造化する。公共事業が減って仕事に困っている地域の工務店などの新しい仕事になりませんか。経済財政担当大臣に御所見を伺います。
 そして、何事も隗より始めよです。今後、公共の建物や学校には太陽電池、断熱仕様、屋上緑化などを義務付けていただけますか。官房長官に伺います。
 さて、観点を変え、二酸化炭素などの排出を減らすためには、ソフトな社会インフラにもメスを入れなければなりません。そして、これは決して我慢することではなく、真の豊かさを実感できるものでなければなりません。
 一つは、これまでも参議院の超党派の議員連盟で試みられたサマータイムの導入です。十九世紀の終わりに国際的な標準時が定められる前までは、日本では、季節に応じて日の出時刻を基準とした時刻が使用されていました。そして、現在、七十か国以上の国でサマータイムが導入されています。日本人も人間が作った標準時というものを地域と自然の摂理に応じて変更するぐらいの柔軟性を持ってもよろしいのではないか。環境大臣に伺います。
 同じように、日本人はほとんど休暇を取りません。勤勉だからと言う人もありますけれども、社会的、制度的な強制が働いているのではないでしょうか。特に、今や夏の長期休暇を実現できる社会にしていくことが不可欠ではないでしょうか。
 私は、これを妨げている制度の大きな一つが、政府各省の概算要求を八月三十一日までに財務省に提出しなくてはならないという予算決算及び会計令の規定だと思います。これは、単に国家公務員だけでなく、地方公務員、更には関連する民間団体や企業などにも影響してきます。概算要求の提出は十月末としたらいかがでしょうか。財務大臣に伺います。
 また、交通渋滞の経済的ロスや二酸化炭素排出は相当のものです。東京都心の路上での違法駐車は八割にも達すると言われています。取締りを民営化するなど、道路交通法に従って違法を取り締まるべきだと思います。いかがですか、官房長官に伺います。
 さらに、渋滞を解消する手段として、高速道路でのITを活用した料金自動支払システムであるETCの積極的導入を図ること。しかし、日本では機器が一台三万円、取付け費用が五千円、すべて個人負担です。ニューヨークの経験では、イージーパスと呼ばれるこのシステムは全額無料で、しかも、普及のため料金も割引されます。日本でも自動車関連の税からドライバーに機器の無料化を図ることができるのではありませんか。財務大臣にお伺いします。
 経済社会の仕組みを工夫することによって、企業や個人から環境に優しい行動を引き出すことは大切ですが、これらの行動を起こすのは私たち一人一人です。学校や職場、地域社会などで環境意識を高めるための環境学習、環境教育が必要です。マスコミやNGOの協力も欠かせません。国としてどのように取り組まれるか、環境大臣に伺います。
 さて、私たちは、元ロシア大統領ゴルバチョフ氏やリオの環境サミットの事務局長モーリス・ストロング氏らの世界の仲間とともに、十年前のリオで実現しなかった地球憲章を新たにドラフトし、世界の多くの人々の賛同を得て、今、ヨハネスブルグに向け、日本を含め、様々なレベルでこの地球憲章の普及を図っています。
 地球憲章は、我々の唯一の住みかである地球に対する責任を分かち合い、お互いや他の生物への思いやりを持って、持続可能かつ平和で公正な社会をこの二十一世紀に築くための価値や原則をうたい、行動規範を述べております。
 官房長官、大木環境大臣、地球憲章を読んでいただいているか分かりませんが、この本会議の場で、国民に向かって、地球を救うための一人一人の行動を御自身の言葉で呼び掛けていただけますでしょうか。官房長官、環境大臣からお願いいたします。
 議員の皆さん、ひな壇の閣僚の皆さん、そして国民の皆さん、京都議定書の目標の達成に果敢に挑戦し、同時に、その過程を通じて、もう一つの大きな課題である経済や地域の活性化、雇用創出を図っていこうではありませんか。そして、それを実現し、我が国は、世界の新しい環境モデル国になり、世界の中で名誉ある地位を占めようではありませんか。
 私は、このために幾つかの提案をさせていただきました。官房長官を始め関係閣僚におかれましては、明確かつ積極的な御答弁をお願いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
○国務大臣(川口順子君) 京都議定書に関する交渉と我が国の対応についてのお尋ねでございますけれども、昨年のCOP6再開会合及びCOP7におきまして、我が国は、京都議定書の京都会議の議長国といたしまして、二〇〇二年の発効を目指しまして合意形成に最大限努力をいたしました。
 温室効果ガスの排出を効果的かつ効率的に削減するために、京都議定書で定められている吸収源や京都メカニズム、これを有効に活用することができるようにすることは極めて重要であると考えます。我が国は、このような考え方に基づきまして協議に臨みまして、最終的に各国の理解を得て我が国の考えに沿った合意が達成されたわけでございます。
 このような実効的で持続可能な温暖化対策のための合意形成に向けた我が国の努力に対しては、各国からも高く評価をされたものと私は考えておりまして、御指摘の点は当たらないと考えます。
 次に、二十一世紀において環境を基軸にした外交を展開し、途上国の持続可能な発展を支援すべきであるとのお尋ねでございます。
 地球環境問題は、国際的な共同の取組が不可欠でありまして、人間の安全保障の観点からも早期の対応が重要だと考えます。このような考えから、我が国は、地球環境問題への国際貢献を外交の中で重要な課題と位置付けております。ODA大綱においても、環境と開発の両立を原則の一つとしています。
 政府としては、今後ともこうした考えに立ち、環境関連国際約束等の策定、実施、ODAを通じた環境分野での開発途上国支援、環境関連国際機関との協力等の取組を進めるとともに、本年の持続可能な開発に関する世界首脳会議においても建設的に貢献をしていく所存です。
 ヨハネスブルグ・サミットにおける我が国の対応についてのお尋ねですが、今後の持続可能な開発への取組の在り方について議論される今回のサミットでは、我が国自身の公害克服経験などを踏まえ、持続可能な開発のためには環境と開発の両立が重要であることを主張したいと考えております。また、京都議定書など、我が国の環境面での努力を十分にアピールするとともに、各国にも取組の強化を訴えていく所存です。
 さらに、国際社会が戦略、責任、経験を共有することにより、持続可能な開発を実現すべく、地球規模の共有、言い換えますとグローバルシェアリングということですが、を提唱してまいります。我が国自身、水、森林、エネルギー、保健、教育などの緊急の課題に対して具体的な行動を起こす考えでございまして、我が国の知見や支援実績を生かしたプロジェクトを形成しましてサミットの成功に貢献したいと考えております。
 広中議員御自身が森林等について相当の環境分野での貢献をなさっていらっしゃるということを私はよく承知をいたしておりますので、こういった森林についてもこのプロジェクトに加えていきたいと考えております。
 加えて、政府のみならず、NGO、企業など幅広い主体の協力によりまして、全日本、オールジャパンとして、日本の主張、考え方、支援実績、努力成果について広報に努めまして、リーダーシップを発揮していきたいと考えております。
 環境ODAによる太陽電池の需要拡大を推進すべきであるとのお尋ねでございます。
 我が国は、ODAの中期政策にも記されているとおり、持続可能な開発の観点から、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用促進、環境への負荷の小さい技術の導入等の協力を実施しています。途上国において、太陽電池の活用等を通じましてエネルギーの安定的供給を確保することは、環境と開発の両立に資するとともに、保健、教育、給水など社会開発の改善を通じまして途上国の貧困削減にもつながります。
 こうした観点から、我が国としては、ODAを通じ、太陽電池を活用した支援を実施する等、今後とも途上国における再生可能エネルギーの活用を支援していく所存でおります。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田康夫君) 広中議員にお答えします。
 まず、政治亡命者や難民問題への今後の対応方針についてお尋ねがございました。
 難民申請を希望する者の入国の問題も含めて、難民受入れの在り方等につきましては、国の内外における人道、人権に関する意識の動向、国際社会の中における日本の役割や関係国との関係等々も視野に入れながら、政府全体としてこの問題に真剣に取り組んでまいります。
 次に、今後、公共建築物や学校に太陽電池等を義務付けるべきとのお尋ねがございました。
 政府では、官庁施設において環境配慮型官庁施設の整備を進めるとともに、学校施設においてエコスクールのパイロットモデル事業を行うなど、太陽電池の設置や屋上緑化等を推進してまいりました。これらの施設に太陽電池の設置等を義務付けることは考えておりませんが、京都議定書の目標達成のため、今後とも率先してこうした取組を強力に推進してまいりたいと思っております。
 次に、違法駐車の取締りについてお尋ねがございました。
 交通流対策は京都議定書の目標を達成するための主要な対策の一つに位置付けられており、警察においても、信号制御の高度化などによって渋滞解消を図る高度道路交通システムの推進とともに、民間との連携を図りつつ、違法駐車の取締りの推進を含む路上駐停車対策をいろいろと工夫してまいります。
 最後に、地球憲章についてお尋ねがございました。
 地球憲章は、地球環境の有限性と人類の共同体意識に基づいて各人に行動を呼び掛ける文書でございます。国民が環境保全のための行動を主体的に取るようになるためには環境意識の向上が最も重要と考えており、政府といたしましても、環境問題に関する普及啓発等に努めてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹中平蔵君) 広中議員から四点の質問をいただきました。
 環境問題に対応した技術開発を行い、それを世界に伝えることで、国際社会における日本の名誉ある地位を占めるべきではないかというお尋ねでございます。
 日本は人口と経済活動等とが高度に集中しておりまして、環境制約が世界で最も厳しい国の一つであると思います。これが結果的に環境問題に関心の高い国民のライフスタイルに影響を与え、新たな需要を喚起する契機となる、この点は大変重要であると思います。
 こうしたことを踏まえまして、今年一月に示しました「改革と展望」の中では、温暖化問題を始めとします環境問題に総合的に対応することによって民間の技術開発や製品開発が活発化し、これが新たなライフスタイルないしはビジネスモデルが形成されるという考えを政府としても明示しているところでございます。この点は大変したがって政府としても重要であるというふうに考えております。
 第二の、地球温暖化対策推進大綱の経済効果、雇用効果についてのお尋ねであります。
 既に複数の研究機関によりまして、京都議定書の目標を達成するには経済へのマイナスの影響を伴うという試算が示されております。しかしながら、温暖化対策への取組が今後の持続的な経済成長や雇用創出などの契機となるように、環境と経済の両立に資する仕組みを整備、構築することは、これは極めて重要であるというふうに思っております。技術的に正確な効果を予測するというのは現実問題としては困難なわけでありますが、当面のマイナス効果だけではなくて、中長期のプラス効果に注目する必要があるというふうに考えております。
 環境と経済・雇用を同時に達成する温暖化対策を今後の経済財政運営の基軸とすべきであるという御指摘がございました。
 議員御指摘のとおり、この視点、両立の視点は非常に重要であるというふうに考えております。循環型経済社会の構築、脱温暖化の社会づくりなどへの総合的な対応によって、先ほどから申し上げているような、民間の技術開発、製品開発が活発化し、新たなビジネスが形成されて、そこに需要が生まれるというふうに考えるわけであります。
 「改革と展望」の中では、この点かなり強調して、思想としては示させていただいたつもりでございます。これの仕組みを整備、構築する段階に今来ておりますので、六月の経済活性化の取りまとめの中でもそのような考え方を反映した政策を示したいというふうに思っております。
 最後に、建築物の断熱構造などへの取組が雇用創出につながるというお尋ねでございます。
 この目標を達成するための温暖化対策としては、過度の負担を回避して、負担そのものを公平にするように留意しながら、先ほどから申し上げているように、環境と経済の両立を目指すことが基本であると。このような視点から、省エネルギーに向けた取組が、温室効果ガス削減のみならず、日本の持続的な経済成長、雇用創出につながるよう、規制改革、産業化支援を推進していくと。
 繰り返しになりますけれども、六月の経済活性化の中でこうした視点が反映されるように努力をしたいというふうに思っているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣大木浩君登壇、拍手〕
○国務大臣(大木浩君) 地球環境問題につきまして大変に内外で御活躍中の広中議員から御体験に即した御質問をいただきましたので、逐次答弁させていただきます。
 まず、中国の環境政策と我が国の協力についてでございますが、中国は、最近は工業化あるいは都市化の進行によりまして大変に環境が悪化しております。これはもうみんなが認めるところでございますが、中国自身もそのことは十分に認識しておりまして、環境保全対策の強化に努めておるところでありまして、温暖化対策につきましても、燃料の転換とか省エネ等については大変に積極的に取り組んでおります。
 そこで、我が国といたしましても、我が国自体の公害経験あるいは温暖化対策についてのまた経験といったようなものを踏まえまして、中国に対しましては、環境については重要な協力国の一つとして、日中友好環境保全センターを通じた技術移転等々多くの協力を進めておりますし、今後もこれを強化してまいりたいと考えております。
 次に、太陽電池の普及のことについてお話がございました。
 これは、御提案のように、まとまった需要を確保すればメーカーの量産体制に導かれるということで、それは大量普及についてはそういった形でいろいろと今後も研究をすることが必要だと思っております。
 学校についての太陽電池を設置することにつきましては、温暖化防止ばかりじゃなくて、またやはり環境教育の効果もございますので大いに進めたいと思っておりまして、既に文部科学省等々でいろいろと実際にも導入を促進しておられますし、環境省といたしましても、今後、こういった関係省庁とも御協力しながら、ひとつ議員の御提案も含めて、太陽電池の大量普及策を検討してまいりたいと考えております。
 次に、サマータイムの問題でございますが、これは議員からもお話がありましたように、温暖化対策上も大変に有効な考え方だと思っておりまして、実は参議院の超党派の議員連盟等々で大変に熱心に導入の法案提出等も行われたようでありますが、各党の中でまだ残念ながら合意が得られていないというような状況だと承知しております。
 ただ、私どもといたしましては、環境省といたしましては、今後とも、サマータイム制度の意義やその導入効果などについて広報活動を努めて、是非ともひとつ実現するように努力をしたいと思いますので、どうぞひとつ議員の方でも御協力をお願いしたいと思っております。
 次に、環境意識を高めるための環境学習、環境教育が必要ということでありますが、これも当然でありまして、もうこれからは私どもも国民一人一人の環境意識を高めるために、もう幼児から高齢者に至るまでを対象とした環境教育が重要であるということで、このために、例えばですけれども、こどもエコクラブ事業などの環境教育に係る事業を推進してまいりたいというふうに考えております。
 ただ、これ率直に環境行政の責任者として申し述べさせていただければ、まだまだそういった意味での環境意識を高めるためのいろいろな取組というのは十分ではないというふうに考えておりますので、その方策等につきましては、中央環境審議会でもいろいろと効果的な対策を研究していただいておりますし、また実際にNPOとの連携などについても検討してまいりたいというふうに考えております。
 最後に、広中議員ももう自ら非常に御努力しておられます地球憲章についての問題でありますが、これにつきましては、私としては、地球憲章にも表されるような、いわゆる環境倫理が我が国社会に浸透して国民が主体的に環境保全に取り組んでいくこととなるように、環境教育、環境学習の推進、あるいは環境NPOの活動の支援などによりまして、国民一人一人の自主的、また具体的な活動が活性化するように努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対しては、三つの質問がございました。時間の制約がございますので、要約して御説明申し上げます。
 まず最初に、税制の問題でございました。
 いわゆる炭素税を作ったらどうだというお話がございまして、これは私たちも真剣に考えなきゃならぬテーマだと思っておりますが、原則といたしまして汚染者負担の原則に立って考えていきたいということと、それから特定財源のお話がございましたですが、特定財源は従来から見まして財政の硬直化を招きますのでいかがなものかと思っておりますが、なお一層の議論をしていただきたいと思っております。
 それから次に、予算の編成、概算要求を八月に据えてやっておるということでございますが、もっと変更できないかという御要望でございますが、大体、財政法によりまして、予算決算の扱い方というものが前と後ろがきちっと法律で決められております。それは何かといいましたら、予算決算の会計令というものがございまして、この第八条で、概算要求を八月三十一日までに提出せいということが法律で決められておるということが一つ。それから、一月中に予算の提出を、国会開会前に提出せいということが法律で決められております。
 そういたしますと、通常国会の終了が大体六、七月ごろでございますんで、予算、概算要求を編成する機会がどうしても七月、八月に集中せざるを得ないということが一つございますことと、それから、予算の提出が毎年一月でございますので、十二月中に印刷してしまわなきゃならぬということがございますので、この時間的な制約ございまして、なかなかこの変更が難しい、法律事項でございますので、御了承いただきたいと思っております。
 それから次に、ETCの普及についてでございますが、私もこれはちょっと遅いなと思っております。もっと早くこれはやっぱり普及さすべきだと思っておりまして、このことにつきましては、国土交通省と協議をいたしまして、促進をいたしたいと思っております。
 なお、現在、ちょっと状況を御承知いただきたいと思うんですが、五月二十日現在どうなっておるのかと調べさせました。そういたしますと、大体一日にETCを利用していただいている車が十三万台あるそうでございまして、高速道路全利用者の中の二・二%。いや、余り、ちょっとちっこいですね、まあ少ないなと思っておりますが、そのうち首都圏が割と普及しておりまして、首都圏は約三%使っておりますが、全国で見ましたら二・二%ということになりまして、一層普及に努めていきたいと思っております。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第一 国土交通省設置法の一部を改正する法律案
 日程第二 平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長北澤俊美君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔北澤俊美君登壇、拍手〕
○北澤俊美君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告を申し上げます。
 まず、国土交通省設置法の一部を改正する法律案は、地方運輸行政の総合的展開を図る等のため、地方運輸局の陸運支局及び海運支局を統合して運輸支局を設置するとともに、地方運輸局の海運監理部を運輸監理部と改組する等の措置を講じようとするものであります。
 次に、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案は、多極分散型国土形成促進法の移転基本方針に基づき、平成十四年度において主たる事務所を東京都区部から移転する日本原子力研究所、宇宙開発事業団、水資源開発公団、日本鉄道建設公団、運輸施設整備事業団及び都市基盤整備公団の六特殊法人について、各設立根拠法における主たる事務所の所在地の規定を一括して改正する措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、二法律案を一括して議題とし、陸運支局及び海運支局の統合等の基準、地域密着型運輸行政と行政サービスの向上、昭和六十三年に閣議決定された移転基本方針とその後の社会経済情勢の変化、特殊法人等整理合理化計画との整合性、その他について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して大沢委員より、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案に対し反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、順次採決の結果、国土交通省設置法の一部を改正する法律案は全会一致をもって、また、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案は多数をもって、いずれも原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 まず、国土交通省設置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成           二百二十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) 次に、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成             二百八  
  反対              十九  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第三 政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長山下八洲夫君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔山下八洲夫君登壇、拍手〕
○山下八洲夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、政策金融機関の財務の健全性及び透明性を確保する観点から、九つの政策金融機関に対し金融庁の検査を導入できるようにするものであります。
 委員会におきましては、政策金融機関に対する金融庁検査の内容、政策金融機関が今後果たすべき役割等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表し大門実紀史委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成             二百八  
  反対              十九  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第四 教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長橋本聖子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔橋本聖子君登壇、拍手〕
○橋本聖子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、教員免許制度の弾力化を推進するため、中学校又は高等学校の教諭の免許状を有する者が小学校の相当する教科等の教授を担任することができるようにするとともに、特別免許状を授与するための要件を緩和し、その有効期限を撤廃するほか、教員の資質の保持及び教職に対する信用の確保を図るため、教員免許状の失効及び取上げ処分に係る規定を整備すること等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、教員の資質能力の向上策、学校教育における社会人の活用の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して畑野委員より反対の意見が述べられ、続いて採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対しまして附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十六  
  賛成             二百一  
  反対             二十五  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十二分散会