第154回国会 法務委員会 第5号
平成十四年三月二十八日(木曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     岩本  司君     小川 敏夫君
     渡辺 秀央君     平野 貞夫君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         高野 博師君
    理 事
                市川 一朗君
                服部三男雄君
                千葉 景子君
                日笠 勝之君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    横内 正明君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  下村 博文君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中山 隆夫君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   金築 誠志君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   竹崎 博允君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省矯正局長  鶴田 六郎君
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
       法務省入国管理
       局長       中尾  巧君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)

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   〔理事服部三男雄君委員長席に着く〕
○理事(服部三男雄君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 高野委員長、ちょっと事情がございまして、三十分ぐらい遅れる予定でございますので、理事各位の推薦によりまして、急遽、臨時で私が委員長の代理を務めます。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、岩本司君及び渡辺秀央君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君及び平野貞夫君が選任されました。
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○理事(服部三男雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省人権擁護局長吉戒修一君及び法務省入国管理局長中尾巧君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○理事(服部三男雄君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○江田五月君 おはようございます。
 裁判所職員定員法の一部改正案について質問いたします。
 まず、この法案自体ですが、これは、判事の員数三十人、判事補の員数十五人増加、それと裁判官以外の裁判所の職員の員数七人増加と、こういうものですが、判事の員数三十人、これはどういう増加になるんですか。
 民事通常事件の処理及び執行関係ということは書いてありますが、私が聞きたいのは、大体通常ある年に判事を採用すると、年齢はいろいろありますが、そこまで細かく考えたら切りがないので、その年に通常のペースで司法試験合格、研修を終わって、判事補を十年やって判事になった人たち、その人たちがずっとある年限たって、一年間のうちに皆六十五歳になって辞めていくとしましょう。その分を今度、四月一日なら一日、多少時間ずれ込むのか、補充をすれば、判事の人員はそれで埋まるわけですよね。
 ところが、四十年ほど前に採用になった人たちと、その後、判事がだんだんと増えていって、今まで増えてきている部分がある。そうすると、この一年間で定年になって辞める人たちを補充するというだけでは足りない部分が出てくるというようなことがあって、その辺の差引きの計算は一体どういうふうになっているのか。三十ということの根拠、これを御説明ください。これはだれか、最高裁。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) お答え申し上げます。
 今、委員の方から御説明がございましたように、判事補、十年たちますと判事になるわけでございますが、これまで裁判所の方は判事補の増員にずっと努めてまいりました。その結果、その判事補の増員の効果が、ようやく十年たちまして判事になってきたというところで、判事の増員をまず基本的にお願いすることにしたわけでございますが、他方で、昨年の十二月七日に日弁連と最高裁判所の間で裁判官の多元化、多様化という観点から、弁護士任官を更に推し進めようということもございました。そういうことも踏まえまして、弁護士からの裁判官任官ということも見込み、それを大いに期待して、こういった三十人という数にしているわけでございます。
 もとより、その背景には、いまだに高原状態にあります民事訴訟事件とか、あるいは倒産事件は平成十三年に最高を記録する、執行事件はやはりいまだに高原状態が続いていると、こういうような状況がございますので、それらを適切に処理するためにも、そういった観点からの計算もしたものでございます。
○江田五月君 今の二種類、判事補増員に努めてきてその成果が上がってきたというもの、それから弁護士任官をこれから取り組んでいこうというもの、これは三十人のうち、前者は幾ら、後者は幾ら、ぴたりとはいかないでしょうけれども、おおむね何か数の目安というものはありますか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) なかなか実はその辺、微妙なところがございまして、十二月七日にそうやって日弁連との間でできましたけれども、果たしてどのくらい来ていただけるか、大いに期待しておりますけれども、半分不安もございます。
 私どもとしては、十人は是非ともおなりいただきたいと思っておりますが、まだ現下の状況は厳しいところでございますので、その辺り御理解いただければと思います。
○江田五月君 十人は是非達成したいと、希望、努力目標。ということは、あと、判事補の増員の成果というので今度、判事が増えるというのは二十あると、これでいいんですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 計算上はそういうことになろうかと思います。
○江田五月君 もちろん計算上、定年になる判事だっていろんな年齢の方が、年齢というのは、どういうんですか、判事に最初に任官したときの年齢、いろんな方がおられるから、今の図式どおりにはいかないのはよく分かっています。
 職員の方、これは七名の増加ということですが、内訳はどういうことになるんですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 内訳でございますけれども、裁判所書記官をまず二百四十五人増員いたしました。それから、家裁調査官を五人増員の、増員はまず合計二百五十人ということになりますが、他方で、地方裁判所におきましては、逐語録の作成事務につきまして、平成九年以降、録音反訳方式というものを導入してきております。その結果、裁判所速記官五十人、これはほとんどが定年退官された方ということになるわけですが、その裁判所速記官五十人。さらに、事務の簡素化、合理化、これは行政部門でありますけれども、それに取り組むことによって裁判所事務官百五十人をそれぞれ減員するということにいたしました。さらに、政府の新たな府省の編成以降の定員削減計画の協力分や内部努力による減員、これは現業の行(二)職種でございます、外部委託になじむというところでございますが、それらの職種を四十三人。合計二百四十三人を減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所職員は七人増員ということになるわけでございます。
○江田五月君 書記官二百四十五人、調査官五人、これは、調査官は違うでしょうが、書記官の方は、今の減員の人間はもう裁判所からはほうり出して、新たに書記官二百四十五人を入れるということなのか。それともそうじゃなくて、これまで裁判所の中にいた人たち、これを転官、書記官に転官させて二百四十五ということにするのか。その辺りのことはどうですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 書記官になるといいましても、裁判所の事務官を経験した者でなければその試験を受けられないということになっておりますので、形の上では、裁判所の中にいる事務官が新たに書記官に試験に入って、書記官研修所等で研修を積む、そして書記官になってくると、こういう形になるわけでございまして、今現在は既に書記官研修所で今卒業を待っている状況だということで御認識いただいてよろしいかと思います。その分、事務官が結局減りますので、その分を新人から採用する、こういう構図でございます。
○江田五月君 書記官二百四十五増員、これは書記官ももちろん辞めていく方もおられるでしょうから、書記官全体としては純増どのくらいになるんですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) これは二百四十五人純増ということになるわけでございます。定年退官をした書記官の後は、当然それはまた埋めるということになるわけでございます。
○江田五月君 ということは、純増二百四十五ということは、今養成中で新たに書記官になる人間はそれをはるかに上回る人間がいるということになるわけですね。それはどのくらいになるんですか。大体でいいです。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 申し訳ありません、今ちょっと数字を持ち合わせておりませんけれども、三百を超える数だということを今聞いております。
○江田五月君 次の話題に移ります。
 司法制度改革推進本部の関係のことについて伺いますが、しつこいようですが、リアルタイム公開についていま一度、当委員会でリアルタイム公開という、あるいは聞き慣れない言葉かもしれませんが、附帯決議を付けさせていただきました。
 司法制度改革審議会の答申、意見書、これがなかなか画期的なことになっているというのも、司法制度改革審議会の審議がリアルタイム公開、つまり衆人注目の中で行われて、しかもその会議録も全部だれがどういう意見を言ったかということがはっきりするような、そういうこの中で進んできている。したがって、物を言う人も自分で責任を持って物を言うし、国民が見て国民との間のキャッチボールで事が進んでいくから画期的な意見になったという理解をしておりますし、これは大臣、そして関係の皆さんも皆同じ理解をされていることと思います。あえて確認はしなくてもいいですよね。大臣うなずかれましたからいいと思います。
 さて、最近、これも面白いのが、四月二日に最終の報告が出てくると予定をされているBSE問題に関する調査検討委員会の検討がありまして、その報告要旨というものが三月の二十二日に出されました。これはまだ案でございますが。
 これを見ておりましたら、その十九ページのところに、面白いんですね、「(5)専門家の意見を適切に反映しない行政」、農水行政がそうだという。今日は法務委員会ですからこれについては聞きませんが、そこに、「日本の審議会や検討会は、行政から諮問、提示されたテーマを論議し、官僚が書く文案に沿って答申、報告、意見具申するケースがほとんどである。一流の科学者、各界の第一人者を揃えても、卓越した見識が生かされず、行政が政策立案の客観性を装う隠れ蓑に使っているという批判が強かった。」などなどと、こういうことが書いてあるので、これはなかなか政府のこういう委員会としては誠に画期的なことだと思うんですね。それは事実だと思います。
 なぜこういうことが書かれるに至ったかというと、これがやっぱり面白いので、このBSE問題の調査検討委員会がリアルタイム公開で行われてきたということがあるらしいです。らしいといいますか、そうなんです。しかも、これは毎回五十人の傍聴者の注視の中で開いておると。その五十人はマスコミの関係だけかと思ったら、そうじゃなくて、一般人の公募を含んで五十人を選んでやっているというんですね。
 この辺りのところを是非参考にしながら、司法制度改革推進本部の顧問会議とかあるいは検討会とか、こういう会議も極力、リアルタイム公開、これはもう堅持をする、こういう姿勢で貫かれたらいかがかと思います。
 検討会の方もリアルタイム公開になっているけれども、どうも会場が狭くて余り人に入っていただけなくて、公募なんというのも今やっていないんでしょうかね、マスコミの皆さんにだけなのかということを聞いておるんですが、しかも検討会の方は会議録、これ発言者の名前を記さない、そういう検討会も半分ほどあるというように聞いていますが、そうじゃなくて、ひとつもう本気でリアルタイム公開には取り組むんだと、これを、法務大臣は内閣の、この点、司法制度改革についての責任者ということになっていて、しかも司法制度改革推進本部の副本部長ですので、法務大臣からその点についてのお答えをいただきます。
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革を進めるに当たりまして、広く国民に情報を公開して検討過程の透明性を確保するということは、先生おっしゃるとおりでございまして、大変重要でございます。
 ですから、司法制度改革推進本部の顧問会議や本部の事務局で開催している検討会では報道機関に会議を直接傍聴していただいておりますほか、その議事録や議事概要をインターネットで一般に公開するということで、できるだけ検討過程の透明性の確保に努力をいたしているところでございまして、そのことは先生も御承知のとおりでございますが、今後とも更にこの点には特に留意いたしまして力を入れていきたいというふうに思っております。
○江田五月君 今後とも留意して力を入れていきたいという御発言の中身に期待をいたします。これ以上は今日は詰めません。
 次に、裁判員制度を、これをどういうふうに検討していかれるかということですが、まだ恐らく検討会スタートしたところでは、まだどこまでどうするというのはこれからだと思いますが、先日、私、面白い経験をしまして、裁判員制度で裁判をやる模擬裁判というのがあったんです。
 これは日本裁判官ネットワークという皆さんが主催をして、配役は、大体皆現職裁判官がやられるわけですが、もちろん法服着てやるわけじゃない。一般の観客がいて、現職裁判官が現職裁判官の役を担って三名、あと男性三名、女性三名。これは会場に来ている人から抽せんで引いて、これに裁判員になっていただいて、全部でしたがって裁判体は三プラス六という構成になったんですね。
 で、事件は強盗致傷で、被告人が当初、捜査段階は自白をしていたんですが、公判になって否認をするということで、なかなか現場の物証というものが非常に乏しい事件なんですが、私は面白そうだから行ってもいいかと言ったら、来るなら何か役割を担えというんで検察官役をやりまして、起訴状朗読、冒陳、それから若干の補充尋問、余談ですが、主任弁護人役は中坊公平さんがやられて、私も中坊さんも途中までしかいられなかったんですけれども、後で結果を聞くと、私、検察官役をやって、ずっと考えてみて、これは検察官としては有罪を確信できるなと思ってやったんですが、結論は何か七対二で無罪になっちゃったというんで、模擬裁判でも負けると悔しいなと思ったんですけれども。
 いや、言いたいのは、そういうのをやってみて、やはり裁判官の方は、私は事実認定、裁判官はプロだから間違いないなどとは思いません。思いませんけれども、やっぱり事実認定のときのどういう論理でどういう証拠の判断でやったらいいかということは、それは分かっている。しかし、一般の皆さんになっていただくと、これは論理的事実認定の手法というようなことは恐らくそんなになじんでいない、あるいは証拠法、これは全くなじんでいない。
 そうすると、事実認定というのは黙って座ればぴたりと当たるというものじゃないので、やっぱりそこに、こういう考えでやってくださいね、こういう論理で考えてくださいねとか、証拠についてはこういうことですよという、そういうものが要る。そういうときの、証拠法則なんかはいいですが、それ以外に事実の認定がどういうふうにしてなされていくかという事実認定、心証形成の科学的研究なんというのは、あるかもしれないけれども、私は寡聞にして余り聞いたことがないので。
 そうすると、裁判員制度を導入しようとすると、一般の人が心証を形成するときにどういうプロセスがあるのか。やっぱり一般にどうも声が強い、大きい人の方が心証形成に影響が高いということがあれば、これはその辺はちょっと割引しなきゃいけませんよというようなことも考えていただかなきゃならぬし。
 そんなことを、司法制度改革推進本部としても、あるいは検討会としても、御自分で模擬裁判をやってみるとか、あるいは大学や何かでそういうことを一杯やって、心証形成過程を一杯データを取って、そしてそのデータに基づいて裁判員制度の制度設計をしていくとか、こういうことが必要ではないかと思いますが、そういう、これは提案ですが、どうお考えになりますか。細かなことについて、じゃ、事務局長。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点、確かに頭でっかちに物を考えるのではなくて、実際に即して制度設計をしていくということが大変重要だと私も理解はしております。ただいま御指摘のような方法、科学的な方法、それがうまくいくのかどうかちょっと私も今のところそこまで頭は至っていないんですけれども、御指摘のような点も含めながら、どうすれば実証的な裏付けが得られるかということは今後の検討会の中で努力をしてみたいと思います。
 例えば、諸外国には裁判員の制度もございますので、そういうところでどういうような問題が起こっているか、どういうような運用をしているかとか、それも一つのヒントになるだろうと思っておりますし、それを日本に投影したときにどうなるかという問題もよく検討はしたいというふうに思っております。
○江田五月君 例えば、今の私が経験した模擬裁判員裁判では、刑訴法の三百二十一条以下のいろんな調書についての規定を裁判員の皆さんにすぐのみ込んで活用していただくというのはちょっと無理じゃないかというので、調書は一切使わないというやり方でやってみたんです。それで、例えば捜査段階の自白については、これは捜査官を証人で呼んでその証言の中で法廷に顕出をしてもらうというような方法でやったんですが、調書をどう扱うかというようなことは、これはもう何かお考えは既にあるんですか。
○政府参考人(山崎潮君) 現在、まだ本当に検討会第一回を開いた程度でございまして、そこの御指摘の三百二十一条ですか、この辺についてどうするこうするという話はまだそこまで至ってはおりません。そういうことで、もう少し検討が進んでからということで御勘弁をいただきたいと思います。
○江田五月君 例えば陪審ですと、裁判官が証拠のいろんな法則などについて説示をして、それを受けて陪審員が評議をするわけですが、裁判員制度ですと、込み、職業裁判官も裁判員も一緒に評議をする。そうなると、裁判官、職業裁判官がどういう解説をしているかなんというのは外から見えないことになりますね。それではその評議の中で裁判官、職業裁判官が職業裁判官ならではの役割をちゃんと果たしていくかどうかということが分からない。その辺りをどうするかということ、これも検討を十分しなきゃいけないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(山崎潮君) まだ検討は進んでおりませんが、いずれにしましても一般の方に入っていただくわけでございますので、裁判所の方からいろいろな説示はしなければならないということになると思います。そのときに、どういう客観的な基準が見いだせるかという御質問だろうと思いますので、その辺のところ、まだ検討進んでおりませんが、十分頭に入れながら分析をしていきたいというふうに思っております。
○江田五月君 頭に入れるときに是非お願いをしたいのは、頭でっかちで頭に入れるんじゃなくて、実際のデータ、いろんなことをやってみて、その中で、普通の人が心証を形成していくプロセスというのは、なるほど、こういうところで、こんなところが重要だなというようなことが出てくると思うんですよね。頭の中だけで考えていたんじゃなかなかそういうことは浮かんでこないので、是非汗をかいてやっていただきたいということをお願いをします。
 裁判員制度というのは私は重要な制度だと思っていまして、これを後退させちゃいけません。職業裁判官の裁判にちょっと何か味付けをしてあるだけということでなくて、本当に裁判員制度というものを導入するときに、司法制度改革審議会が考えたその言葉で言えば陪審制度や何かの根底にある一つの思想ですかね、そんなものをどういうふうに裁判員制度の中で上手に生かしていくかということを是非考えてほしいと要望しておきます。
 司法制度改革推進本部副本部長さん、何か御意見ございましたら。
○国務大臣(森山眞弓君) 裁判員制度というのは非常に今までの刑事訴訟の在り方を大きく変えるものでございますし、いろいろと新しい課題がたくさんあると思いますので、今御指摘のような点も十分心に留めまして、しっかりと分析もし、研究もして、日本の国民の皆さんに本当に意味のある参加をしていただけるように、そういうふうに考えていきたいと思います。
 残念ながら、まだ始まったばかりで具体的なことは申し上げられませんけれども。ありがとうございました。
○江田五月君 今、私が問題提起したことはお分かりいただけると思いますので、よろしくひとつお願いします。
 次に、前回、角田委員から御質問ありましたが、美保少年院のその後の経緯について御報告ください、簡単に。
○政府参考人(鶴田六郎君) このたび、鳥取の美保学園におきまして、昨年の八月ころから本年一月までの間に職員が二十数名の被収容少年に対して暴行を働く事案があるということで、大変遺憾な事態が発覚したわけであります。
 この件については、この前も委員会でも御報告いたしましたように、今年の一月に発覚して以来、広島矯正管区を通じて事実調査をいたしまして、その調査結果に基づきまして鳥取地方検察庁に通報いたしまして、現在、刑事事件としては鳥取地方検察庁で捜査が実施されているところであります。
 ただ、当局といたしましても、管区を通じて事実関係に対する調査を行い、もうほぼ終了しておりますので、この事案に係る行政処分につきましては、直接の、直接関係した職員はもとよりですが、幹部職員の監督責任に対する処分も含めまして、間もなく実施できるという状況でございます。
○江田五月君 間もなくというのは、いつですか。
○政府参考人(鶴田六郎君) 今月中にはということで御理解いただきたいと思います。
○江田五月君 今月中ですね。
 これは、事件は、職員九名が鳥取地方検察庁で特別公務員暴行陵虐罪で認知、立件して捜査をしておるというふうに聞いておりますが、その中には、どうも前にも同じようなことをやった人がおるというような、これはまあちょっと仄聞するだけですけれども、なかなか大変な出来事です。
 前回、私も聞きましたが、これはしかしそうしたことをやった職員、これはもちろん責めなきゃなりません。責めなきゃなりませんが、私どものところにも、少年院の関係者から、関係者というのは少年院で実際に働いている法務教官から、もう大変なんだと、本当に大変なんだと。つまり、人は少ない、人というのは職員の方の人数は少ない。抱えている少年は多い。しかも、その少年は、それは少年といったって、もちろんなかなかのものですよね。そう簡単に、優しく優しく、教育教育といったって簡単にはいかない。やっぱり、何はともあれ、院の中の秩序をちゃんと維持していく保安、こういうものをやらなきゃならぬ。それに加えて、更に教育教化、これもしなきゃいかぬ。ところが、なかなか実際には教育なんかに回らないようなそんな実態があって、しかもその中で、職員がどう努力してみても、もう自分の精神状態を平安に維持することだけでも精一杯だというような声が聞こえてくるんですね。
 それを聞きながら我々何もやっていないというのは、やっぱりこれは、彼らを責めることも大切だが、こちらもやっぱり何かしなきゃいけなかった、これから何かしようという、そういう強い思いを持たなきゃならぬと思います。
 前回、この点は矯正局長お帰りになった後で私、申し上げましたので、ひとつ覚悟のほどを矯正局長から。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 今回の美保事件の背景には、委員御指摘のとおり、最近、少年院においても収容者が増えておりますし、特にこの美保学園におきましては、小さな少年院であるだけに、収容者が増えた場合、非常に過剰収容の状態になり、いろいろ職員も施設管理及び少年の矯正教育の実施に大変難しい場面に遭遇しているなというのが、今回の事件の背景にもあるのではないかという感じもしております。
 したがいまして、今後の再発防止策と、ただ単に美保学園だけではなく、こういった少年院において、過剰・高率収容下における処遇の在り方等につきましては、部内の例えば管区長協議会等でいろいろ議論して、処遇の在り方も含めて十分検討し、適切を期していきたいと考えております。
○江田五月君 処遇の在り方だけでなくて、処遇体制全体、もっと本当に、大変な時代ではあるけれども、こういう辺りは人員をもっと本気で増やすということを考えなきゃならぬ、これは法務大臣、本当だと思いますよ。
 内閣の例の定員の関係のいろんな縛りがあるけれども、そうはいったって、ここはもう、だってこのシステム全体が悲鳴を上げて、そこから言わば我々のところへ警告を発している、警告が発せられている。それがこういう事件なんです。事件というのは何か教えているわけです、我々に。そういう気持ちで、ひとつ内閣の中でも、これは法務行政の責任者として、こんな体制でやられたんじゃ世の中、法と秩序はむちゃくちゃになっちゃうという、そのくらいのことを大臣、堂々とひとつ御発言いただいて、取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、私も折あるごとにそのような発言をさせていただいております。もちろん、いろいろな制約がありまして、こちらの思うとおりにはなかなかいきませんけれども、しかし非常に深刻な状況にあって、何とかしなければいけないということは多くの方が認識し始めていただいていると。総理以下、財務大臣も総務大臣も大変御理解いただいておりますが、それを具体的な数字として結び付けていきますように今後とも努力したいと思っております。
○江田五月君 この収容施設の関係をもっと詳しく聞きたかったんですが、ちょっと時間がなくなってきました。
 事件が我々に何かを教えている、事件が我々に何かを警告している。これは難民のことでもやっぱり言えるんだろう。
 アフガン難民が、いろいろ事件が起きていますね。三月十一日、五人が百円玉、十円玉でしたか、飲んだ。まあ、飲んだのはそれですぐ何日か、すぐというか、出ちゃうので大ごとというわけではありませんが、一人は食器洗浄用の洗剤を飲んだと。なぜだということは、いろいろあって、今日はその説明を聞くところまで時間のゆとりありませんが、こういうことが次々と起きてくるという、これもやっぱり何かを教えているんだと。
 世界じゅうを見ますと、途上国、特に途上国でしょうかね、それはもう中がむちゃくちゃで、アフガンというのは特にそうですよね。今、国に帰って、何か特別、物すごい政治犯とかでなくても生命も保障できないというような、そういう地域がある。そういうところから夢を求め、理想を求め、自由を求めて日本に来る。そういう人たちに対して、同じこの地球上に、同じこの二十一世紀の初頭の段階で、同じように人間として生をうけた人たちが日本にまで来て、この皆さんに対して、難民認定法の要件に当たらないから、はい、さよならという、それだけじゃなくて、例えば例のベトナムのボートピープルのときのように、何かやっぱり政治的に温かい手だてを差し伸べるということが必要なんじゃないか。
 これもやはりあの人たちが我々に教えている何かだと思いますが、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 当然、条約の難民に該当する方は難民として認定をしておりますし、また条約難民として認定する条件がない方でも、出身国あるいは自分の今まで住んでいたところが非常に不穏なあるいは不安定な状況である、帰りたくても帰ることが実際上不可能であるというような場合には特別に滞在することを許しておりますし、現にそういう人たちが最近は少しずつ増えております。
 これからもそのような配慮はしていきたいと思いますが、昔、以前にインドシナ難民が大量に出ましたときに、特別に政府として決定いたしまして、特別受入れをしたという経験もございます。そのときの関係で、入国を認め、日本に受け入れたという人々が今一万人以上いらっしゃいまして、そういうことも経験しておりますので、事態によって、そのような状況であるということになれば、そういう可能性も全くないとは言えないというふうに思っております。
○江田五月君 こういう個別の出来事、事件から何を我々が教わるかということは、ある種のこれは感性、感受性の問題でしてね、その点ではもう森山大臣を信用して、信頼していますので、是非そこは本当に思いを持って行政をやっていただきたいと思います。
 最高裁に伺いますが、少年法が改正されました。で、いろんなことが変わっておりまして、あの改正の中に我々も危惧するものもありますが、しかしプラスのものもある。
 家庭環境、保護者への働き掛け、これはどういうふうに進んでいるか、簡単に御説明ください。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 今、委員が御指摘のとおり、改正少年法二十五条の二におきまして、保護者に対する指導的措置を取るような規定が設けられたわけでございます。現在、審判の場において、あるいは調査の場において、そういった面での更なる工夫をしているわけでございますが、例えば調査の場におきましては保護者の面接シートなるものを作りまして、非常に分かりやすいものを使いながら、少年の手続、あるいは問題性についての理解を深めさせる工夫をしているところはあるようでございます。さらに、こういった審判、調停の場を離れまして、別枠といたしまして、親子合宿を行うとかあるいは保護者会を行う、さらには被害を考える会ということで、少年とその保護者を呼びまして、被害者からお話を伺って、その上で考えを深めていくと、こういった工夫も進められている状況にあるようでございます。
 以上でございます。
○江田五月君 いつかテレビでやっていましたかね、親子合宿。やれ、親が来るとか来ないとか、やくざの親と思ったらなかなか涙もろかったとか、いろいろ、そんなような経験をするというのはなかなか家裁でなければできないところだと思います。是非やってください。
 一方で、どうもやすきに流れるというのがあるという話もあって、合議体、裁定合議を導入しました。そうすると、これは三人座るわけで、いすを三人いつも並べて、単独で事件やるときにもそのいす三つはそのまま並べているというようなところがあるというようなこと聞いたんですけれども、いけませんよ、それは。やっぱり単独でしたら、いすが三つあると、少年というのはそれはもうはらはらしながら、冷や冷やしながら来ているわけですからね。細かな対応をそこはお願いをしたい。これは要望だけです。
 もう一つ最高裁。国会が久しぶりに、二十年ぶりに裁判所に物を言いました、裁判所にというよりも裁判官にですが。昨年、裁判官を一人、弾劾の手続で罷免の判決をいたしました。その後、最高裁から何の感想も聞いてないんですが、どういう感想をお持ちですか。そして、こうしたことが出ないようにどういうことをされますか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 村木判事の事件は、現職の判事が犯罪を犯したと、しかも、現に刑事事件を担当し、少年事件を担当した経験もあって、その違法性を熟知していた裁判官が買春行為を行ったと、これは罷免判決の中にございます指摘でございますが、というものでございまして、国民の司法に対する信頼を大きく傷付けた極めて遺憾な事案であったと申し上げざるを得ないわけでございます。私ども、弾劾裁判所の罷免判決を重く受け止めております。
 弾劾裁判所の判決中に述べられておりますが、「裁判は、もっぱら事件を担当する裁判官の責任によって、その独立した判断で行われるものであるから、国民に対し、その判断に服するよう求めるためには、単に裁判官が、その職務の遂行につき、事実認定と法律適用に職業的技量を備えているだけでは足りず、職務の内外を問わず、国民から信頼される人権感覚と識見を備えていることが必要である。」という説示が判決の中にございますが、これは誠にそのとおりであると思います。全裁判官が改めてかみしめるべき言葉であると考えております。
 裁判所といたしましては、この事件を教訓といたしまして、裁判官の職責の自覚、倫理の保持に一層努めまして、事件によって損なわれた国民の裁判官、裁判所に対する信頼を回復すべく最大限の努力をしているところでございます。
○江田五月君 終わります。
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
 昨日は平成十四年度の予算が成立をいたしました。先日は当委員会でも最高裁の方から平成十四年度裁判所所管歳出予算説明もございました。もう予算の中身については、去年の暦のようにもなりますので、それはさておきまして、いわゆる予算の各目明細書の記載の仕方について、最高裁の方にこれから何点かお伺いをしたいと思います。
   〔理事服部三男雄君退席、委員長着席〕
 予算書というのは、国会で議決する、いわゆる歳出でいくと、組織と項までが議定科目ということで、これは国会のいわゆる議決が要るわけですが、その下の目というところは、各目明細書ということで、国会に予算の審議の参考資料ということで提出をしていただいておるわけでございます。これがいわゆる先日いただきました最高裁の各目明細書でございます。
 この中身につきまして何点かお伺いをしたいわけでございますが、立法府も、司法と行政と、三つそれぞれが予算のいわゆる見積りなどを内閣府だとかまた財務省に提出するわけでございますが、こればらばらでありますと、これ査定する方もまた国民も非常に分かりづらいということで、一応ガイドラインといいましょうか準拠、こういうものに準拠して作成をするようにと、こういうことになっているかと思いますが、最高裁の場合は、各目明細書は何に基づいて、準拠して作成をされているか、まずお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 各目明細書の具体的な記載につきましては、これまで特段まとまった準則があったわけではないように承知しておりまして、私どもでは、今まで慣行的に従前の記載例に従って作成をしておったというのが実情でございます。
 ただ、先生御指摘のとおり、近時、各目明細書の記載ができるだけ分かりやすく、かつ各省庁で統一されたものとなるようにということで、大蔵省から指導といいますか記載要領のようなものをいただいておりまして、最近のものはなるべくそれに従って記載をしておると、こういう実情でございます。
○日笠勝之君 財務省のいわゆる局内通達というのがございまして、それによりますと、各目明細書の記載等についてということが、毎年のごとく、分かりやすいものにされたしとか、記載に誤りなきようにとか、こういうようなことで発出されていると思います。それに基づいてやっておられるということでございますが、さすれば、この各目明細書、平成十四年度の中で何点かお伺いをしたいと思います。
 まず、三ページのところに外国留学旅費というのがございまして、これ二千六百二十五万八千円が計上されておりますが、この積算内訳を見ますと四名ということでございますから、この予算を四名で割りますと六百五十六万ということに一人当たりなるわけでございます。ほかの省庁を見ますと大体二百五、六十万円でございまして、二倍から二・五倍ぐらいこの最高裁だけはこの外国留学旅費が非常に高額になってくると、こういうふうに、分かりやすいということから見れば、ただ割ればいいわけですから、そういうふうになるわけですが、これはどういうことなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 各目明細書上の外国留学旅費の記載は御指摘のとおりでございますが、これは、裁判所が記載しております各目明細書上の留学者数は新規派遣者数のみでございまして、これは留学期間が二年でございますから前年度以前からの継続派遣分があるわけでございますが、それが記載されておりません。これを記載いたしますと、実際には留学者数は十名ということになるわけでありまして、他の省庁の一人当たりの所要額と差はないものというふうに考えております。
 御指摘のように、他省庁と記載方法が異なるために誤解が生ずるのは好ましくないというふうに思いますので、来年度からこれは継続分も入れた数値を記載したいというように思っております。
○日笠勝之君 是非そのようにお願いしたいと思います。
 それから、庁費でございますが、これも財務省から事細かく記載事例があるわけですが、それと比較いたしますと、例えば最高裁の庁費の中には、通信運搬費それから燃料費というものが記載がないわけでございますが、積算内訳ないわけでございますが、これはどうしてでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 裁判所の通信運搬費というのも、これいろんな部門にまたがって支出されておるわけでございまして、目によりましては非常に小さな額になるということもございます。
 ただ、この点につきましても、少なくとも一般行政経費としての通信運搬費につきましては、御指摘のとおり、各目明細書上分かる形で記載をしていきたいというように考えております。
 また、燃料費につきましては、これはボイラーを使用している部門とそうでない部門とで部門ごとに分かれております。そういう意味では、技術的にやや複雑な問題がございますけれども、御指摘を踏まえて、この点につきましても検討してまいりたいというように考えております。
○日笠勝之君 次は、同じく庁費の中でございますが、いわゆる車関係、自動車関係でございますが、これも単純に更新する車が二十四台でございまして、これは自動車賠償責任保険料九百三十九万五千円と積算内訳がございます。これを単純に割りますと、一台当たり三十七万ということになるわけでございますが、大体ほかの省庁は組織ごとにこういうものを庁費できちっと立て分けてやっていると、こういうことでございますが、最高裁の方はどうしてこういう高額になるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 最高裁の場合、自動車損害賠償責任保険の保険料は、下級裁判所の使用する車両分も含めて最高裁判所の経費として計上しているために、そういう高額なように見えることになっているわけでございます。
 このような取扱いをいたしました理由は必ずしも定かではありませんが、理屈でいいますと、自賠責の保険主体をどう考えるかというところから最高裁判所に計上した方がよかろうという、そういう取扱いだったろうと思います。
 ただ、御指摘のような誤解を生じかねませんので、今後、下級裁の車両分につきましては下級裁の方にこの責任保険料についても計上してまいりたいというように考えております。
○日笠勝之君 これは国民の血税でございます。河野一之さんという方が書かれた、学陽書房から出ている「予算制度」という本を見ましても、予算は分かりにくいと、国民が見て分かるような予算じゃなきゃいかぬわけでございますので、是非ひとつ司法で、三権分立でございますから独立的な考えでやればいいということかもしれませんが、しかし出てくる予算書は、この参考資料を今朝測りましたら十七センチあるわけですよ。十七センチ、予算。皆さん、十七センチ分の予算の、予算書、いわゆる参考資料をいただいておるわけでして、それを見る人もおるわけですね。私のような変人もおるわけですよ。
 そうすると、どうもこれ最高裁だけほかの省庁と基準の書き方が違うんじゃないかと、どうしてだろうかという疑問を思わすこと自体がこれは余り良くないわけでございますから、是非ひとつ財務省とも、あくまで書式ですから、書き方ですから、よく打合せをしていただきまして、来年度からは分かりやすいひとつ各目明細書を御提出していただけるように、また我々も分かりやすくそれを見させていただけるように、特段の御努力をお願いをしておきたいと思います。
 そこで、もう一点だけ、これは最高裁の方からいただいた平成十二年度と十三年度における主な裁判所庁舎の工事の発注状況でございます。
 今日び、公共事業、公共工事などなどについていろんなことが取りざたされております。最高裁に関してそういう疑惑とか疑いがあるわけじゃございませんが、いただいた資料を見ますと、大体この予定価格と契約金額の落札率が、一点、これ三島の簡裁を除けば、あとの十件は大体落札率が九九・九九六%とか、九九・〇五七%とか、九八・八〇六%とか、九五、九四、非常に高いところに張り付いているなという気がいたします。
 そこで、これはもうNHKのテレビでも出ましたし、また各自治体も盛んに今視察に行かれております神奈川県の横須賀は、俗にIT入札ということで、これを今実行しておるわけでございます。その結果は、大体落札率は八四、五%。年間の予定価格から見れば、大体、横須賀のような小さな町でも二十億、三十億が節減できておるんじゃなかろうかと、こういうことがもう公な報道でされているわけでございます。さすれば、是非この最高裁も、このIT入札といいましょうか、横須賀なら横須賀に少し学んでやられたらいかがかな。
 また、国土交通省も、そういうふうな全国入札のパッケージソフトを作って地方自治体の皆さんにもそれを活用していただいて、極力、税金でございますから、安くていいものと、こういうことでやっていこうと、費用対効果、行政評価法というようなこともございますので、やろうとして行政の方はおるようでございますが、最高裁におきましては、この年間百億円ぐらいの裁判所関係のいわゆる施設整備費というものがあるわけでございますが、百億いうたら大きいですからね、これ。今後の最高裁、裁判所におけるこういう公共工事の入札の在り方についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 裁判所は、全般的にいいまして事務処理の効率化のためにITの導入を推進しておりまして、営繕関係事務につきましても、設計、積算あるいは業者の情報等について順次IT化を進めているところでございます。
 御指摘の電子入札につきましては、入札の適正の担保という意味で非常に大きな意味があるものというふうに私どもも考えておりますが、この電子入札を実行いたしますためには、電子認証システムの構築が前提になろうかと思います。裁判所では、現在、行政府が進めておられますe―Japan計画と連携いたしまして、平成十四年度には裁判所の認証システムの開発を進める計画でございます。この認証システムが確立いたしますと、ITによる入札制度というものが取り入れることは可能になろうというように考えておりますので、これを前提といたしまして具体化について検討してまいりたいというように思っております。
○日笠勝之君 いつごろをめどにそういう今後の方針という、計画を立てられますか。
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 先ほど申し上げましたように、e―Japan計画についての認証システムの開発がこのままでいきますと十四年度中にはできるのではないかと思いますので、十五年度以降にはこれについて具体的な検討ができるというように思っております。
○日笠勝之君 是非ひとつ、電子政府は国を挙げての、まあ政府じゃないかもしれませんが、国を挙げての一つの今後の方針でございますし、是非その方向で前向きに検討をお願いしたいと思います。
 じゃ、続きまして、ちょっと法務省さんの方に申し訳ありませんが話を、質問を振ります。
 法律扶助協会のこの民事法律扶助事業というものが非常に今、国民の皆様も大変これを活用されておるということでございます。ところが、最近の新聞報道の活字だけ、見出しだけ見ますと、「法の公的援助 不況…利用増え財政窮地」とか、「法律扶助 自己破産増で財政ピンチ」、「弁護士費用立て替え、」、民事法律扶助協会ですね、「不況で民事五割増に」とか、「申請増、急カーブ 補助金伸び悩み」、「重要性増す法律扶助制度」などなど、何か累積赤字も三億円ぐらいこの協会はあるとかいうことだそうでございますし、大変財政的に窮屈だと、こういうことだそうです。
 そこで、一点まずお伺いしたいのは、これは、この協会は特定公益増進法人ということで寄附金についての優遇制度があるわけでございます。いただいた資料を見ますと、このじゃ法律扶助協会にどのぐらいの寄附金が来ているかといいますと、この平成十年度から十三年度までは決算で分かっておるわけでございますが、事業費から見ますと、三・六%とか、平成十年度は三・六パー、平成十一年度は〇・二パー、平成十二年度は〇・八パー、平成十三年度が二・六パーということで、それこそ二、三%以下ということでございます。ですから、この特増のこの有利さを生かして、いかに国民の皆様にも御協力を願うかということをどうPRしていくのかということ。
 それから、今後、これは大臣にお伺いしたいんですが、どうもこの国庫補助金が欧米諸国に比べると一けたも二けたも少ないということで、先ほど申し上げたように、もう財政はピンチだとか累積赤字もあるとか、まあ今年のはもう予算は通ったわけでございまして、例年にない、たしか三十億ぐらいの大変高額な、財政厳しい中、大臣のお骨折りもございまして、予算は昨日成立したわけでございます。平成十三年度も一部補正などいたしまして、近来にない高い伸び率にはなっておりますが、まだ下の方のオーダーのところでの伸び率が高いだけで、まだまだ先進諸外国等々に比べますと、裁判を受ける権利、これは人権問題でございますので、もう少し今度は、来年度は大臣ひとつ、私たちもバックアップいたしますので、しっかりと、まあまだ予算通ったばかりですけれども、来年度こそはもう少し頑張ろうと、こういう御決意を大臣にはお聞かせ願いたい。
 それから、人権局の方には、この寄附制度というものをどうPRしていくかということをひとつ、アイデアがあればお聞かせ願いたい。
○政府参考人(吉戒修一君) お答え申し上げます。
 民事法律扶助事業の主な財源でございますが、これは国からの補助金、それから扶助を受けられた方からの償還金、そして先生御指摘の寄附金でございます。したがいまして、補助金が財源の大半でございますけれども、委員御指摘のとおり、民間からの寄附金の増額を図るということは非常に有益でございます。
 そこで、扶助協会におきましても、その寄附金の増額に向けましていろいろ努力をされているというふうに承知しておりますが、国といたしましても、今御指摘のとおり、この寄附金につきましては税制上の優遇措置を講じております。寄附金をいただきますとその方につきましては損金算入が認められるというふうになっておりますので、民間からの寄附金の増額を更にお願いするためにも、今後一般の方に、民事法律扶助事業というものが司法制度の充実に非常に寄与する制度である、非常に公益性の高い事業であるということにつきまして今後とも制度の周知に努めてまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(森山眞弓君) 最近の経済不況に伴いまして自己破産事件が急増しております。民事法律扶助事業は自己破産状態に陥った方々の救済を図るためのセーフティーネットとして重要な役割をしておりまして、現に、その民事法律扶助というのは自己破産の問題だけを扱うわけではないんですけれども、扱っている扶助事業の中の六、七割が現在は自己破産の方というのが現状でございます。
 政府といたしましても、大変厳しい財政状況の中でございますけれども、今年度は三十億ということで先生方にも応援をしていただきまして、何とか確保させていただきましたが、なかなか難しい状況でございまして、もっと各方面の方々の御協力、特に弁護士さんその他関係の方々にも御理解、御協力をいただきまして、事業が適正に動かしていくことができますように努力していきたいというふうに思います。
 大変その自己破産になった方々は非常にこれで助かっていらっしゃるということはよく分かるんですけれども、その人たちだけではないということも考えていただいて、余り自己破産の方々だけに集中する、あるいはそういう方だけの問題だというふうになるのもいかがなものかなというふうに思っているわけでございまして、適正な在り方ということも考えていかなければいけないというふうに思っています。
○日笠勝之君 是非ひとつ国民の皆様に周知徹底をして、そういう寄附金の優遇制度があるということ、またこれが裁判を受ける権利ということの原資になっているということ、人権問題ということにも絡むわけでございますから、政府広報などで一遍ちょっと、予算が政府広報は余っているかと思いますから、ばちっとやっていただくということもひとつお考えいただきたいと思います。
 最後に、簡単で結構でございます、最高裁の方に。
 御存じのように、今国会では京都議定書の批准のために国会に提案をする方向でございますし、地球温暖化問題、国会でも循環型社会形成推進基本法という法律も通りましたし、ごみゼロということは小泉総理のキャッチフレーズでもございます。そういう意味では最高裁、まあ裁判所としてたくさん研修所もございますし、地方裁判所もございますね、下級裁判所もございます。
 例えば、裁判所、どこかがISO一四〇〇一、自ら自分で取得するとか、またそれからグリーン調達はどうするかとか、それから残飯の問題はどういうふうに処理をしていくかとか、それからまた車のグリーン化、自動車、そういうようなもろもろの、裁判所として環境問題をどう対応していくかということについて、簡単で結構でございますので、お聞かせ願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 裁判所の運営につきましても環境問題を十分配慮してまいらなければならないというように考えておるところでございまして、グリーン購入の関係及び低公害車の購入の関係につきましては、政府に示された基準に従いまして私どもも努力しているところでございまして、グリーン購入の関係では、現在集計中でございますが、達成率一〇〇%の品目が約一割程度、九〇%のものが約七割程度ということになろうかと思います。それから、低公害車の関係では、三年間ですべての裁判所の保有する官用車を低公害車に切り替えるということで、本年度百十台余りを低公害車に切り替えたところでございます。
 さらに、生ごみ等の処理につきまして、これも本年二月、グリーン購入法で変更された基準が示されておりますが、これについても今後積極的に取り組んでまいりたいというように思っております。
 ISOの関係につきましては、まだこれは検討課題というふうにさせていただきたいというように思っております。
○日笠勝之君 終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 裁判官の増員は国民の求める適正迅速な裁判の実現のためにも大事であります。また、人間らしい当然の生活を裁判官に保障していくということは国民の常識にかなった判決を下す点でも大事だと思います。
 そこで、昨年の裁判官育児休業法の審議の際に伺った、男性で初めて育休を取った裁判官についてお聞きをいたします。
 報道によりますと、この裁判官は今年度末で退官をするということです。その中で、上司に育休を取ると伝えると、難しいと思うとだけ言われたと。上申書を書かされた、迷惑を掛けて申し訳ないという内容だったと、こうされております。
 最高裁にお聞きしますけれども、実際、やはり男性の裁判官が育児休業を取りにくいという状況に置かれているんではないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) お尋ねの判事補の育休の問題でございますが、新聞報道につきましては、現地に確かめましたところ、事実関係は必ずしも正確でないようでございます。例えば、上申書を書かせようとしたというふうな事実につきまして書いてあるわけでございますが、上申書が提出されたことは事実でございますけれども、その提出の経緯につきましては、この判事補の育休取得について、法令の定める育児休業承認の除外事由に該当するか否かの検討を要する事案であったために、所属部におきまして検討の機会を持った上、更に上申書をという形で事情の説明を受けたものというふうに聞いております。したがいまして、同人の育休取得に難色を示した上司が嫌がらせ的に上申書の提出を求めたというふうな事実関係ではないというふうに認識しております。
 それはそれといたしまして、育休が取得しにくいのではないかというお尋ねでございますが、裁判官に対する育児休業制度の啓蒙といたしまして、任官直後の新任判事補集中特別研修というのがございますが、そこで裁判官の育児休業に関する法律及び規則を配付いたしまして制度の内容を説明いたしました上、これまでの申請はすべて承認されているということ、それから休業となった場合にも可能な限り人員の手当てをすることなども説明いたしまして、制度を有効に利用するように勧めております。また、若手判事補に対する研修の中でも、育児休業制度、その問題点に言及する講演なども設けまして啓蒙に努めております。
 これまでのところ育児休業の承認申請につきましては全件承認されておりまして、一般に裁判所において子供を持った裁判官が、男性であれ女性であれ育児休業を取りにくい環境にあるというふうには考えておりません。
 今後とも、男性、女性の区別なく、子供を持った裁判官が育児休業を取得しやすい環境作りに努めてまいりたいと思っております。
○井上哲士君 これは初めてのケースですので大変注目をされているわけですね。男性からのみ上申書を出してもらうとか、そういう取扱いの差は一切やらないということで確認できますね。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 先ほど申し上げましたように、上申書を書いてもらった事情はその必要性があったからということで、これは男性、女性ということは問わず、そういう必要があれば出してもらう、必要がなければ出してもらわない。これは男女の別ということではございません。
○井上哲士君 この裁判官の方は、記事の中で、夫の育児参加という当たり前のことを異端視する価値観が嫌になった、人権保障のとりでのはずの裁判所なのに残念でしたと、こういうふうに述べられております。研修での徹底などは当然だと思いますが、やはり多忙な中で非常に取りにくいという雰囲気があるということの中でこういう思いを持たれたと思うんです。
 今回、裁判官の増員がされるわけですが、司法制度改革への国民的な期待にこたえながら、やはり男女を問わず、育休の取得を希望した方がしっかり取れるような代替の体制など取れるのか、一層の私は抜本的な増員も必要だと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 育児休業取得に対する体制でございますが、裁判官の場合は、これは元々だれでもなれるというわけではなくて、資格が限られておりますし、実際に給源といいますか、なる人たちのグループも限られている。それから、任期が法律で、法定されておりまして身分保障がある。そういうことで、育児休業の期間に限定した代替要員といったものの措置を取ることが、これは制度上できない仕組みになっております。
 したがいまして、裁判官の異動でありますとか、所属している裁判所の中での配置替えあるいは事件の配てんの変更、係属事件の配てん替え、そういった措置を講じることで育児休業で職務を離れた裁判官の担当事務の後を埋める、こういうやり方をせざるを得ないことになるわけでございます。
 特に、規模が余り大きくない地方の庁で育児休業の取得希望が出ました場合には、人員の補充をする必要性が高くなりますので、そういう場合に備えまして、あらかじめ東京とか大阪とか、こういった非常に規模の大きい裁判所に一定数の補充要員をプールしておきまして、年度途中でも異動計画を組んで補充して、事務に支障がないように配慮しております。これまでのところ、育児休業の取得は毎年十五名程度でございますので、裁判などの事務に支障を来すことなく対処してきたところでございます。
 昨年の法改正によりまして、育児休業の対象となる子供の年齢が満一歳未満から三歳未満に延長されたわけでございますが、今後、育児休業を取得した裁判官の事務を処理するための措置としてどういったものが考えられるか、更に十分検討いたしまして、裁判運営等に支障がないように、遺漏がないように期していきたいと思っております。
○井上哲士君 次に、三年前に超党派の議員立法で成立しました児童買春、児童ポルノ禁止法に関連してお尋ねをします。
 日本人男性が大挙して東南アジア等に行って児童買春やポルノの作成をするという国際的な批判の中でこれは作られました。大臣も当時、大変、法案策定の中心になられたとお伺いをしております。これが施行されました九九年には国内での児童買春の検挙が二十件、二十人でしたが、二〇〇一年には千五百六十二件、千二十六人に上っております。先ほども話題になりましたけれども、裁判官や警官、教員なども検挙されたということは大変驚きでもありました。
 一方、当初非常に重視をされた国外犯の問題についてお聞きをしますが、昨年末、初めて児童買春での逮捕者が出ましたけれども、これまでの検挙件数は、児童買春、児童ポルノでそれぞれどうなっているでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘の児童買春、児童ポルノ処罰法の国外犯が適用された事件としては、これまで児童買春罪について一件、児童ポルノ製造罪について二件と承知しております。
○井上哲士君 ゼロから三になったということは前進ですが、しかし全体の実際の実態からいいますとやはり大変少ないと言わざるを得ないと思うんです。
 去年の十二月に第二回子供の商業的性的搾取に反対する世界会議が開かれております。大臣も基調講演をされているわけですが、この法律について触れながら、ようやく国際社会に大きな後れを取った状況から一歩抜け出すことができたと、こういう講演をされております。正に緒に付いたばかりで、この一歩から更にどう踏み出していくかということが今求められていると思います。
 三年前のこの法案の審議のときに、当時、大臣が質問に立たれておりますが、気になる点として、国際協力をどのような内容、手順で進めるのかということを質問をされております。これに対し、当時の松尾刑事局長が、逃亡犯罪人の引渡条約なども例に挙げながら、こうした二国間の条約で、捜査内容を相互情報交換を求めて高度化していくこともこの法案の実施に当たっては有効なことだと、こう答弁をされております。
 法務省にお伺いしますが、東南アジア諸国とのこういう犯罪人引渡条約、国際捜査共助条約について、この後、どういうふうな検討がされているでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) おっしゃるとおり、国外犯等につきましては国際協力というのは大変重要でございまして、そういう観点から、いわゆる児童ポルノとかそういうことに限らず、薬物犯罪等々でいろんな形で国際協力というのは推進しているところでございます。
 そこで、条約があればよりやりやすくなるのではないかということも、それは一つの御意見としてあるわけでございますけれども、一方で、例えば捜査の協力とか証拠の収集につきましては、各国とも条約ということを必ずしも要件とせず、それぞれ求めがあった場合に応ずるという体制がほぼでき上がっておりまして、日本も同様でございます。
 また、引渡しにつきましても、これは問題になるとすると、例えば日本人がどこかの東南アジアの国で何かそういうことをして、しかもそういうところにいるというような場合かと思いますけれども、こういう場合には、基本的にはそちらの国の方で対応がされるということになろうかと思います。日本に戻ってまいりました場合には、当然引渡しとかそういう問題にはならないわけでございます。
 そういうことで、引渡しにつきましては今申し上げたような事情がございますが、いずれにしても引渡しも、これも必ずしも条約ということは日本の場合必要としておりませんし、またこれを必要としていない国も少なくない。そういうことで、実質的に、柔軟に証拠の収集及び引渡しを含めて、いろんな共助体制の進展ということを折に触れて東南アジアの各国とも努めているところでございます。
○井上哲士君 条約が有効だという答弁をかつてされながら、今の国内法でいけるんだと言われますと、本当にこの法律を生かす気があるんだろうかという私は姿勢が問われるなと思いながら今お聞きをしておりました。
 それで、先ほど紹介をした世界会議でも、国際的なやっぱり捜査ということの問題点、条約の必要性ということが指摘をされております。日弁連のワークショップで子供買春被害弁護団が報告されております。九六年九月に起きた日本人の五十代の男性による十一歳のタイ人の少年に対する強制わいせつの事件です。
 日本の警察は、タイ警察からこの男性が現地で逮捕されたときの捜査関係資料を外交ルートで取り寄せております。しかし、タイから写しが届くまでに数か月をまず要しているわけですね。しかも、届いた資料は日本の立証には不十分だと。再度、追加資料の存否をICPOを通じて照会しますが、希望するような証拠が入手できません。こうやっているうちに二年ほど過ぎたわけですね。
 そこで、弁護団が検討して、NGOから寄附を集めて、被害者の少年を日本に呼んで、警察、検察、そして再入国ができないことも考えまして裁判所での調書も作成をしています。この段階で警察が被疑者をやっと取り調べるわけですが、否認をするということで、検察の方は第三者の証言が必要だということを主張されまして、今度はタイのNGOを通じてタイ警察に働き掛けて、この一年後にその少年を被疑者に紹介をした仲買人が逮捕され実刑判決を受けると。これでもう事件から三年半たっているわけですね。この時点で検事が今度は交代してしまいます。そして、検事さんは、自分でタイに行って直接、被害者や仲買人の調書を作成する必要があるということになりましたので、今度は再び外交ルートでタイに要請をして、なかなか返事が来ないと。二か月後にやっと検事が現地に行って調書を作ります。この調書もまた外交ルートで返してもらうということになりまして、非常にやはり時間が掛かっているんですね。最終的には、強制わいせつの時効の五年のぎりぎりの段階の二〇〇一年の五月に不起訴になりました。
 やはり、弁護団の皆さんは、余りにも時間が、連絡の時間が掛かり過ぎている。そして、結果として、それだけ時間掛けてもお互いの法制度への不理解から必要な証拠が集まらないということになっているんですね。
 これでも国内法で十分に対処できているというふうに言えるんでしょうかね。どうでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 確かに、国際共助になりますと、外交上の問題とかいろいろございまして、そういう意味で、手続は普通の国内捜査に比べると煩瑣になるとか、そういう問題があることは事実でございます。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、それはどちらかといいますと、法制的な問題と申しますよりは、実際の共助を実施していく上での運用の問題が非常に大きいというふうに思っております。警察は、警察段階で検察官に送致する前にそれなりの証拠資料を入手されるということもございますし、検察官に送致された後、検察官としてそれが十分なものかどうかということを判断せざるを得ない場合もあるわけでございます。しかしながら、そういうことによりまして事件の処理が遅れるということは大変これは困ったことでございますので、迅速を要するような場合には、あらかじめ事件送致前でも検察官と警察との間で意見の調整をいたしまして、同時に共助について対応をするというふうなそういう手段を取りながら、迅速な共助の確立に努めているところでございます。
 ただ、率直に申し上げまして、国際共助というのがある部分では進展はしてきておりますけれども、まだ日本の場合にいろんな事情からその運用が必ずしも的確に確立していない部分もありますことは私も感じているところでございまして、そういう問題を解決するために、いろんな形で共助が円滑にいきますよう、国内、国外との関係で相互理解を深めているという、そういうことでございます。
○井上哲士君 条約を結ぶ過程で大変やっぱり運用の改善もされていくということがあると思うんですね。タイの事案のように四年半も掛けていますと、この児童買春、児童ポルノでは時効になってしまうわけで、本当に迅速性が必要だと思うんです。
 一昨年に、国連アジア極東犯罪防止研究所などの共催で刑事政策の公開講演会というのが、これは法務省の中で開かれております。ここでアメリカの連邦司法省の刑事局のジョン・ハリス国際課長というのが、この二国間の国際捜査共助条約の優位性ということについて述べられております。四点言われていますね。第一に、相手国に明確かつ拘束力のある国際的な義務を課してそれに応じて共助を実施することを要求できる。第二、両国が相手を重要視していることを表す特別な関係が築かれてその国との共助を優先をすることになると。それから第三、個々の関係に見合った内容を盛り込むことができる。第四、これは私、大事だと思うんですが、相手国の法制度や伝統になじむことができるということで、やはり運用についてもこれで改善をされていくことができると思うんです。
 やっぱり、法務省の中で行われたこういうところでもこれだけメリットが指摘をされているんですが、今の御答弁聞きますと十分な取組がやはりされていないと思うんですね。やっぱり、国際的な批判の中でこの法律を作ったわけですので、これ生かすためにも日本の法務省自ら、アジア諸国との必要な法制度の理解のための会議であるとか、こういう条約締結のために積極的に私は対応する必要があると思うんですが、大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、特に国際的な協力が更に求められる分野だと思います。
 先生もおっしゃいました昨年十二月の横浜会議ですが、あれは政府としても、NGOの皆さんと一緒に大変力を入れて協力し開催いたしまして成功したわけでございますが、法務省といたしましても関係の省庁と連携しながらこの会議の開催などに協力したり、また児童買春、児童ポルノ防圧に向けた国際協力のために積極的に取り組んでおりますし、今後ともその方向でやっていきたいというふうに思います。
 捜査共助とか逃亡犯罪人引渡しの実施及びこれらに関する情報の交換なんかにつきましても、児童買春・ポルノ禁止法の目的が達せられますように、特に東南アジア諸国との間で協力関係を一層強めていきたいというふうに思っております。
○井上哲士君 もう一点、大臣のこの世界会議での講演でも、捜査、公判における児童への配慮について強調をされております。先ほどのタイの強制わいせつの事案では、タイの少年が日本に来て事情聴取を受けたわけですが、警察、検察、裁判所で同じことを何度も聞かれて大変つらい思いをしたということが報告をされておりました。
 この点、タイの場合は、子供の事情聴取の精神的負担を軽くするために、アメリカ、オーストラリア、イギリスなどの外国の制度も研究をして、九九年に刑事訴訟法改正をしています。その中で、十八歳未満の子供に対しては事情聴取の際に警察官と検察官にソーシャルワーカーを加えてチームで聴取を行う、そしてその様子をビデオテープに記録をして裁判所の裁量で証拠としても採用すると、こういうような改正が行われています。
 子供の受けた痛みが長期に残るものですから、それを少しでも和らげようという、こういう配慮なわけですが、我が国でも子供の事情聴取の場合に、こうしたタイの例も参考にして警察と検察がともに事情を聴いて回数を一回でも減らすなど、子供の捜査方法について一層の見直しが必要だと思うんですが、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) おっしゃるとおり、幼年者等の取調べに当たりましては、その心情を傷付けないように様々な配慮が必要であると考えております。
 例えば、何度もその事情を聴くというようなことを避けるということのためには、場合によりましては検察官が事件送致前でありましてもその児童から事情を聴くと、そういうふうなことも考慮されております。
 ただ、一つ御理解いただきたいことは、一方で、被告人あるいは被疑者のその権利保障ということもございまして、やはり被疑者、被告人の供述、弁解等がある場合に、それについてそれが真実かどうかということを含めてよく確かめなければならないということもございます。
 そういうような事情もございますので、できるだけその児童の心情に傷付けないような配慮をしながら、なおかつそういう面にも十分なものに、捜査ができるように努めているわけでございます。
○井上哲士君 大臣は、昨年の会議の基調講演でも、児童の性的搾取について、「法整備のみによって簡単に解決されるような問題ではなく、今後も絶えず注意し、対策を立て、実行しなければなりません。」と、こう述べられているわけで、せっかく作ったこの児童買春、児童ポルノ禁止法がより実効あるものにするために大臣の御決意を最後にお伺いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) この法律は、そのような行為によって子供の人権が傷付けられるということをなくそうという趣旨でございまして、今まで余り、特に日本の社会においては法律上の問題とされなかったことを法律上に規定して違法とするという新しい考え方の表れでございます。
 したがいまして、その講演で申しましたとおり、法律ができたからそれで片付いたというものではなくて、むしろその考え方を社会的に定着させるということが必要だと思いまして、これからもそのような面で努力を続けていかなければいけないと思っております。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 まず、養育費の問題について、養育費の取立てについてお聞きをいたします。
 裁判所は、最近、養育費の支払状況について実態調査をされました。残念ながら、家庭裁判所の調停を経た後でもなかなか養育費が完全には支払われていないという実態が明らかになったわけですが、ちょっと御説明をください。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 家庭裁判所において離婚調停を成立させる場合には、当然、養育費についての意味といったものを十分に説明をいたしまして、納得を得た上で成立しているわけでございますけれども、遺憾ながら、おっしゃいますように完全に支払われていないものもあるようでございます。
 その実態でございますけれども、平成十二年の一月から六月までの間に成立した離婚調停事件で養育費の定めのあるものにつきまして、東京家裁、大阪家裁でサンプリング調査を行いました。昨年の八月に行った調査でございますけれども、そのサンプリング二百件のうち、回答があったものが九十七件でございますけれども、その履行状況についての債権者の側からの反応でございますけれども、期限どおり全額受け取っているというお答えが半分でございました。これに対しまして、一部については受け取っているというお答えが二四%、期限どおりじゃないけれども全額受け取っているというお答えが二〇%、全く受け取っていないというお答えが六%、こんな状況でございます。
○福島瑞穂君 この実態調査を踏まえて、裁判所としてはこの実態をどう見られるのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) もとより、こういった不履行が起こらないようにするために、先ほど申し上げましたように、離婚調停の際に十分なこれは説明をしていく、説得していくことが必要だろうと思いますし、また家裁における履行確保手続がございますけれども、履行確保に乗った場合にはその側面から十分なバックアップをしていきたいと、こう考えているところでございます。
 さらに、その強制執行がなかなかしにくいという面もあるようでございまして、そういった点についての制度上の工夫もしていかなきゃいけないだろうと考えているところでございます。それについては、現在、法制審議会で議論されておりますので、議論の行く末を期待して見守ってまいりたいと考えている次第でございます。
 以上でございます。
○福島瑞穂君 裁判所のその履行の確保の方法というものでは、現在、どのように努力をされているのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 履行確保は、権利者から申出があった場合に、家庭裁判所が調査をして、その履行についての説得を行うという手続でございまして、多くのケースは、家裁調査官が債務者に接触をいたしましてその履行を促しているというのが実情でございます。
○福島瑞穂君 家庭裁判所の調停が成立してもなかなか一〇〇%支払われていないということが改めて明らかになったわけですが、これは裁判所がやることではないかもしれませんが、調停外で成立する離婚の方が圧倒的に多いですから、ほとんどの、ほとんどというか、多くの子供が養育費を受け取っていないと思うのですが、そういう実態調査などは家庭裁判所は考えてはいらっしゃらないんでしょうか。それはいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 私どもといたしましては、事件が終わった後で調査をすること自体も慎重でなきゃいけないだろうと考えているところでございまして、今回、離婚調停が終わったケースについてサンプリングをやったわけでございますが、それを超えまして、通常の協議離婚をされた方についてのアンケートは、裁判所の立場からすると慎重でなきゃいけないだろうと考えている次第でございます。
○福島瑞穂君 分かりました。
 今日、養育費のことについて質問をしたのは、今国会で児童扶養手当の削減が問題になっています。ただ、御存じのとおり、養育費がなかなか本当に支払われていない、家庭裁判所で調停が成立してきちっと調書があるにもかかわらず一〇〇%払われていないケースが非常に多いということをかんがみて、是非、法務省の方で、現在進行中の養育費の支払方法の確保についての審議会で前向きの制度作りとかを是非やっていただきたいと考えております。
 森山法務大臣、その養育費の確保の問題に関して、大臣として決意というかお考えを聞かせてください。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、せっかく調停があって公式に決められたものでも必ずしも一〇〇%は守られないというのは大変残念なことでございますし、直接関係しているその子供あるいはその養護しているお母さん、あるいはお父さんかもしれませんが、そのような方々にとっては非常に重大な問題だと思います。
 法務省としては、それができるだけ実行できるような何らか方法はないかということで今検討していただいているところでございまして、その目的が達せられるようにしかるべき結論を出していただくということに期待しているところでございます。
○福島瑞穂君 是非よろしくお願いします。
 次に、司法制度改革の問題についてお聞きをいたします。
 司法制度改革推進本部の顧問会議やいろんなものがスタートをしております。顧問委員が、座長が二人、それ以外の顧問委員の方が六名選ばれております。これは司法制度改革推進本部の顧問ですが、経団連会長今井敬さん、評論家の大宅映子さん、早稲田大学総長の奥島孝康さん、日経新聞の論説主幹の小島明さん、東京大学総長の佐々木毅さん、連合会長の笹森清さん、どの方もそうそうたる、見識のある方ですが、ただ、この委員会の中で、司法制度改革の顧問委員については是非、普通の市民の声というと変ですけれども、例えばNGOの人やいろんな人を入れてほしいということをこの法務委員会の中で強くいろんな委員が要望をしたというふうに思います。
 例えば、この司法制度改革推進本部がスタートする前の審議会では、例えば主婦連の吉岡さんやいろんな方たち、市民運動を担われた方やいろんな方が入っていて、ここで本部の顧問となったときに、割とその目線、そういう実際にいろんな裁判をやってきた人やNGOをやってきた人や、そういう人たちが見事に落ちてしまっているということに実は大変ショックを受けました。
 なぜこういう人選になったのでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) この顧問の方の人選につきましては、最終的には、幅広い見地からお考えになって、小泉総理大臣がお決めになったということでございます。
 この内容に、先ほどの人選のバランスの関係でいろいろ言われておりますけれども、この顧問会議は前の改革審議会のときと少し性格が異なっておりまして、改革審議会につきましては、今後どういうような方向で検討をするかということを決めていくという内容を持っていたわけでございますが、現在、顧問会議は、我々事務局本部がやっていること自体が改革審の意見書のとおりに進行しているかどうか、そこをチェックをしていただくと、こういう性格を持っているわけでございまして、若干そこの性格の違いがございます。
 それから、私が承知しているところでは、どこからの出身かということはちょっと別として、一般の感覚をお持ちの方も中に随分おられるというふうに理解をしております。
○福島瑞穂君 いや、この六人の方たちが一般の感覚を持っていないという意味ではないんです。ただ、この法務委員会の中で、是非NGOの出身の人や、そういう人を入れてほしいということを、私だけでなく他の委員も多くおっしゃったと思います。
 小泉総理に出すリストはこの六人だけだったんですか。
○政府参考人(山崎潮君) ちょっと私、その時点のときにはこの立場におりませんでしたので、ちょっと具体的なところは分かりません。
○福島瑞穂君 この司法制度改革の顧問会議は極めて重要で、今後、日本の司法がどうなるかという、百年の計と言われておりますが、極めて重要です。私は、もう少しいろんな人がこの顧問会議に入れば豊かな議論になるというふうに思っておりまして、こういう人選になったことは、法務委員会での議論が余り生かされていないんではないかと実は思っております。
 では、もし差し支えなければ、後で結構ですので、出されたリストが六人だけなのか、もっといろいろいて六人になったのかだけ後で後日教えてください。
 次に、情報公開についてお聞きをいたします。
 この法務委員会の中でも附帯決議の中で、できる限りリアルタイムで情報が公開するということが附帯決議に付けられておりました。しかし、これは新聞記者の傍聴は認められておりますけれども、リアルタイムというのは新聞記者が入っていればいいということではなく、私の考えは、例えば厚生労働省の年金局長の下に設けられた女性と年金検討会はいろんな方たちも傍聴しておりました。別に隠してやることではありませんから、みんなに、多人数が入るところではなくても少しでも傍聴を認めれば、みんなの関心も非常に強くなるわけですし、すぐさまその人たちが原稿を書いたり情報が伝わるわけです。
 なぜこの司法制度改革、しかも国民に開かれた司法をということで設けられた司法制度改革推進本部が、一般の人も入れた情報の公開になっていないのでしょうか。この点については、顧問会議の第一回の議事録では、「事務局長 できる限りリアルタイムにという附帯決議が行われているわけでございまして、このすべてをリアルタイムに全国民が見られるようにということまでは求めていないと私どもは理解しております。そこまでは至りませんけれども、その範囲内で、なるべく速やかに、リアルタイムに国民がこの会議の内容を知ることができるようにするという趣旨に理解をしております。そういう関係から、マスコミの方にも入っていただくという形を取らせていただいたということでございます。」と事務局長が、山崎事務局長が答弁をしております。
 しかし、このリアルタイムというのは、私が考えるリアルタイムではありません。リアルタイムということは、やはり数少なくても一般の傍聴の人も見れるようにというふうに思いますが、ここで勝手に、リアルタイムというのはなるべく速やかに国民が分かることだからマスコミを入れるというふうに事務局長が問題を勝手に限定しておっしゃっているんですが、これは問題だと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(山崎潮君) 附帯決議の御趣旨は、できる限りリアルタイムでということだと私、記憶しておりますけれども、そういう意味から私どもも、現在ある会議室がございますけれども、そこで最大限、本当にリアルタイムにマスコミの方に入っていただいて、直接見ていただいている、聞いていただいているわけでありまして、これは私ども今の置かれた立場で最大限オープンにしているというふうに理解をしております。
○福島瑞穂君 もちろん、マスコミの方を入れていただけるのはいいわけですが、メディアに必ずしもいろんなことがすぐ報道されるわけではありません。議事録の公開もあるのですが、やはり公開をして一般の人が入っている審議会は、みんなの中でも見に行こうとか、聞きに行こうという関心も高まりますので、改めて今日、そのリアルタイムにというのは国民にとってという意味も入っているということを御検討ください。これはまた今後もどうなっているか質問したいと思いますので、是非検討してくださるようにお願い申し上げます。
 検討会が十個作られております。これで議事録が顕名、つまりだれがどういう発言をしたのかという顕名になっているのと、非顕名になっているのと二通りあります。今の時点で分かれば、非顕名になっている検討会は幾つで、どのようなものがあるか、今分かれば教えてください。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘のとおり、十の検討会のうち五つが名前を出さない、五つが名前を出すということでございます。名前を出さない検討会は、司法アクセス検討会、それから仲裁検討会、裁判員制度・刑事検討会、それから公的弁護制度検討会、それから法曹養成検討会、この五つでございます。
○福島瑞穂君 どの方も自分の責任において発言をされるわけですし、それから法曹養成や公的弁護、裁判員も極めて重要ですから、もちろん会議は中の人たちが決めるわけですが、できるだけ顕名にしていただきたいと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(山崎潮君) この検討会の性格でございますけれども、検討会のメンバーの方と我々と立法作業をやっていく、そのお手伝いをいただくと、こういう位置付けで検討会設けられております。そういう関係から、そのメンバーの方々の中には、やはり立法をやっていくためにはかなり技術的な問題もあるし、それから専門性もあるし、右へ行ったり左へ行ったり試行錯誤をしながらだんだん固まってくると。あるいは、あえて逆から意見を言ったりする、それが一々出てしまうと非常にしゃべりにくいというふうにおっしゃる方もおられるわけでございまして、私ども事務局としましては、各検討会のメンバーの方にお任せをするということで、各検討会のメンバーの方で決めていただいていると、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 今は情報公開の時代で、少し行きつ戻りつしても、それもその人の考えですので、顕名が五つあるのであればできるだけ、もちろん会議は中の人たちが決めることでしょうが、国会の中でも、あるいは国民の中でもこれは顕名にしてもらいたいと。発言が分かってどういう議論がされているか。逆に言うと、非顕名ですとこれはだれだろうとか、逆にこちらの方が変に思って非常に、覆面座談会みたいになりますから、できるだけこれは顕名にしていただきたいという強い要望があったことを是非伝えて、あるいは会議の中で検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) この検討会で名前を出さないと決めたところも、当面これでいきましょうという決め方でございまして、また状況によっては変わってくることもありますし、国会の方からこういう御要望もあったということはメンバーの方々に伝えたいと思います。
○福島瑞穂君 是非よろしくお願いします。
 裁判員と公的弁護と、あと法曹養成の検討会は現在どのような議論になっているか、何をテーマにやっているかを教えてください。
○政府参考人(山崎潮君) まず、裁判員それから刑事検討会と、それから公的弁護制度検討会、この刑事の二つのものについてはまだ第一回を開いただけでございまして、本当に一回目のセレモニーでございまして、全く議論は進んでおりません。
 あと、法曹養成とおっしゃいましたですか。法曹養成は一月から検討会を進めておりまして、現在まで五回開いております。今日も午後開かれるわけでございますが、まだ議論をある程度集約する程度には至っておりません。今、整理をする段階かなというところでございまして、もう少し先になりますけれども、もうしばらくどういう方向に行くかは時間をいただきたいと思います。
○福島瑞穂君 この十個の検討会なんですが、刑事手続については裁判員と公的弁護の二つです。この裁判員の中には、例えば証拠開示やその他のテーマは入っているのでしょうか。教えてください。
○政府参考人(山崎潮君) 先週、閣議決定をいただきました推進計画、この七ページにそのことをはっきり記載されておりまして、ちょっと読みましょうか。「刑事裁判の充実・迅速化」という項の(1)でございます。「刑事裁判の充実・迅速化を図るための方策として、充実した争点整理のための新たな準備手続の創設及び証拠開示の拡充並びに連日的開廷の確保のための関連諸制度の整備を行うこととし、所要の法案を提出する。」と、こういうふうに書かれております。
○福島瑞穂君 裁判員のところで、例えば代用監獄制度の問題や捜査の可視化、捜査の手続が見えるようになるという捜査の可視化などは取り上げられる予定でしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 今、二つの問題を御指摘だと思いますけれども、代用監獄云々等のことでございますが、これは意見書の方で取りまとめとして、ここの点については評価の相違等に起因して意見がもう区々に分かれているということから、直ちに結論を得ることは困難であると、こういう位置付けになっております。ですから、この点は、私ども三年の時限で設けられているところでございますので、この問題については、私どもの方で取り上げるのではなくて、それぞれ関係の省庁で検討していただくということになっています。
 もう一点の被疑者の取調べの書面の義務付けでございますけれども、これはもう各省庁で関係するところで御検討をいただくということで、もう既に検討が始まっているというふうに聞いております。
○福島瑞穂君 捜査の可視化といった場合に、例えばビデオに撮るとかテープに取るとか、国際人権規約B規約の中でその捜査の可視化が勧告をされておりますが、もっと踏み込んで、捜査の可視化についてはテーマになるのでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) その点につきましては、私ども、意見書はそこまでの方向付けが出ていないと理解しておりますので、そこのところは今のところテーマにはなっていないというふうに理解しております。
○福島瑞穂君 是非、今後、検討会の中で議論される中で捜査の可視化の問題も是非取り上げてください。というのは、十個ある検討会の中で刑事手続のことが問題になっている、取り上げられる検討会は裁判員と公的弁護のところです。
 ところで、裁判員、一般の市民の人が裁判員になるとしたら、ほかに仕事を持っている可能性が高いわけですから、長期に裁判をやるということは不可能です。
 ところで、日本で多くの冤罪事件、ほとんどと言っていいぐらい冤罪事件は、自白調書、誤った自白調書が捜査段階で取られて、それが間違っているということを公判廷で物すごく長く時間を掛けて立証をしていく。例えば、死刑事件で再審がなっている松山事件、島田事件、免田事件もそうですし、ほかの様々な有名な、有名な題と言うのも変ですが、有名な、あるいはそうでない事件の冤罪事件は、あるいは無罪になった事件は、本当に捜査段階で取られた自白調書が虚偽であったということを弁護士が、弁護人がその捜査をやった人とそれから被告人を丁寧に極めて長いこと尋問をし、他の証拠と突き合わせてその自白調書を崩していくという形でようやく無罪がかち取れています。
 ですから、非常に恐れるのは、裁判員が入るのは開かれた司法で大歓迎なんですが、どうしても仕事を持っているのでそんなに長く裁判には付き合えないと。そうしますと、自白調書が間違っているという立証を十分できないまま迅速な有罪判決になってしまうのではないか。
 ですから、余りに長期に裁判がやれない一般の人を裁判の中に加わって一緒にやってもらうということの前提としては、捜査の可視化、つまり誤った自白調書が作られないように、そのためには例えばビデオを撮るとか、例えばテープを取って封印して保存しておくとか、問題が起きたときにどんな取調べがあったかをきちっと立証してもらう。これは実は、捜査をした警察官の人たちもそれを望んでいる人もいます。冤罪だとか脅して取ったんだと言われるぐらいだったら、撮ってもらって立証した方がいいわけですから。両方から捜査の手続を透明化していく、そのための担保をしてほしいというふうに思います。
 ですから、検討会の中で、もし裁判員制度を設けるのであれば、先ほどおっしゃった証拠開示の問題は不可欠ですし、十分証拠が出ないで判決出すと危険ですから、それと同時に捜査の可視化、どうやって誤った自白調書がとにかく法廷に出ないように、誤った自白調書が仮に出たとしてもそれが間違っているということを裁判員も分かって立証できるようにということをお願いをしたいと思います。いかがですか。
○政府参考人(山崎潮君) 意見書の方ではそこまで踏み込んではいないわけでございますけれども、いろいろ御指摘の点も踏まえまして今後検討してまいりたいというふうに思います。
○福島瑞穂君 是非よろしくお願いします。
 日本のサラリーマンは忙しいですから、長期に拘束されて裁判に付き合えと言われると、もう早く帰りたいとか早く仕事をしたいとか、なかなか十分時間が取れなくて迅速な有罪判決となることが、非常に、起きると問題だというふうに思います。そのためにも是非、捜査段階でのその捜査の可視化、調書に関してのチェックということを是非議論してくださるようにお願いします。今後もこの点については是非教えてください。
 今、司法制度改革の議論が進んでいるわけですが、どういう見通しで、今後どうなるのかをちょっと教えてください。
○政府参考人(山崎潮君) 私の本部、平成十六年の十一月三十日までが設置期限でございます。ここに、計画にございますように、本年中には法科大学院の関係の法律を提出したいと考えておりますし、来年の十五年、平成十五年には民事系を中心に法案を提出させていただきたい、それから十六年には刑事系を中心に法案を出させていただくと、大体こういうような予定でございます。
○福島瑞穂君 時間ですので終わります。
○委員長(高野博師君) 時間です。
○福島瑞穂君 はい。
○委員長(高野博師君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十七分散会