第154回国会 内閣委員会 第14号
平成十四年六月六日(木曜日)
   午前十時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     井上 吉夫君     愛知 治郎君
     山崎 正昭君     藤井 基之君
     続  訓弘君     森本 晃司君
     八田ひろ子君     筆坂 秀世君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     筆坂 秀世君     大門実紀史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 泰介君
    理 事
                斉藤 滋宣君
                松村 龍二君
                森田 次夫君
                長谷川 清君
                吉川 春子君
    委 員
                愛知 治郎君
                上野 公成君
                亀井 郁夫君
                竹山  裕君
                西銘順志郎君
                藤井 基之君
                岡崎トミ子君
                川橋 幸子君
                山根 隆治君
                白浜 一良君
                森本 晃司君
                大門実紀史君
                島袋 宗康君
                田嶋 陽子君
                黒岩 宇洋君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小泉純一郎君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 福田 康夫君
       国務大臣     石原 伸晃君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  上野 公成君
   副大臣
       内閣府副大臣   熊代 昭彦君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  津野  修君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   政府参考人
       国土交通省道路
       局長       大石 久和君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内
 閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
○委員長(佐藤泰介君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、続訓弘君、井上吉夫君、山崎正昭君及び八田ひろ子さんが委員を辞任され、その補欠として森本晃司君、愛知治郎君、藤井基之君及び筆坂秀世君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(佐藤泰介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案の審査のため、本日の委員会に政府参考人として、国土交通省道路局長大石久和君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(佐藤泰介君) 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を議題といたします。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。
 本日は官房長官にもお忙しい中お出ましいただきましたので、まず最初に、官房長官の非核三原則見直し発言などをめぐりまして質疑をさせていただきます。時間がございませんので、本当に短く私の方もお尋ねいたしますので、その範囲内で官房長官、席をお立ちになる前に御質問をクリアしていただきたいと思います。
 一点目は、安倍官房副長官が早稲田で、これはもうクローズドの研究会だったというふうには報じられておりますけれども、サンデー毎日で紹介されております。ICBM、大陸間弾道弾は憲法上は問題でないと、こういう旨の御発言をなさっておられまして、田原総一朗さんがええっと絶句をしたと。何回も聞きただされました。え、それ本当ですか、政府は大丈夫なんですか、それはあなたの個人的な見解ではありませんかと。でも大丈夫ですときっぱり断言された記事が載っております。
 この発言につきましての政府見解を、まず官房長官にお伺いいたします。
○国務大臣(福田康夫君) ただいまお尋ねの安倍官房副長官の講義のことでございますけれども、これは早稲田大学で、授業の場において質問に答える形で非核三原則を堅持すると述べた上で従来の政府解釈を紹介したと、こういうふうに聞いております。
 大学の授業における副長官の発言を、一部週刊誌が、大学側の許可も得ることなく、また発言内容の真意について十分確認することもなく報じたというように聞いておりまして、そういうような記事の内容を基に立ち入ったコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 しかし、いずれにしましても、我が国は憲法九条二項によりまして、自衛のための必要最小限を超える実力を保持することは禁じられているということでございまして、性能上、専ら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器については、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることになりますので、憲法上これを保持することは許されないということでございまして、大陸間弾道弾、ICBMにつきましてもこれに当たると考えております。
 政府としては、従来からこのような見解を取ってきているところでございます。
○川橋幸子君 それでは、二点目に移らせていただきます。今度は福田官房長官御自身の発言についてお伺いさせていただきます。
 核の問題でございますが、要旨、法理論的にと報じられておりました。法理論的に持ってはいけないというふうには書いていないと、このような報道がございました。憲法だけではなくて、日本には憲法の下に原子力基本法があり、あるいはNPT条約、核不拡散条約などの批准をやっておりますし、度重なる国会決議をやり、そして国連に対しましても究極的核廃絶の提案を日本国がやっているわけでございます。
 そうした中に、法理論的にはと、このようにおっしゃったのは間違いではないでしょうか。お尋ねします。
○国務大臣(福田康夫君) 五月三十一日の私の記者会見におきまして、ICBMにつきましては自衛のための必要最小限度を超えるものであり、これを保有することはできない旨の従来からの政府としての見解を述べております。
 また、御指摘の原子力基本法によりまして我が国の原子力活動は平和目的に厳しく限定されております。さらに、我が国は核兵器不拡散条約、NPT上の非核兵器国として核兵器の製造や取得等を行わないという義務を負っているところでございます。
 したがいまして、我が国がICBMを保有することはございません。
○川橋幸子君 官房長官は、ICBMの話から発展して非核三原則そのものについての記者との懇談の場でお話しされたと、このように私は報じられていると思います。その際に、核の問題になったときに、今はこうだけれども、国際情勢が変わればということを前提にした上で核の問題をお話しになられたのでございます。
 将来の話はそれではさておきましょう。
 現在、法理論的に核を持つことが許されるかどうか。憲法の下に原子力基本法があり、様々の国会の決議があり、これが憲法秩序を具体化している今の日本の法理論だと思います。この法理論に対しまして、福田官房長官の御発言は間違っていらっしゃると思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 我が国が核兵器を持たず、作らず、持ち込まさせずという非核三原則、これは堅持をいたしていることはこれはもう自明のことでございますけれども、歴代内閣によりまして、これは累次にわたり明確に表明されてきております。政府といたしましても、今後ともこれを堅持していくという立場には変わりはございません。
 また、核軍縮外交につきましては、我が国は核兵器の不拡散条約を締結いたしまして、核兵器保有のオプションを放棄したことを国際社会に対して明らかにしており、さらに我が国は核兵器のない平和で安全な世界の早期実現を目指して、国連総会への核廃絶決議案の提出、包括的核実験禁止条約の早期発効に向けた働き掛けなど、積極的な外交努力を行っております。
 そういうことでございますので、我が国として非核三原則を、これは冒頭申し上げましたように、これを堅持し、そしてこれを変えることないという立場を明らかにしているところでございます。
○川橋幸子君 聞いたことにだけお答え賜りたいと思います。
 私が伺いましたのは、絶えず法理論的という話と政策論的な話、二つあると。政策論的に持てないことになっている、だけど法理論的には持てるんだというこの発言について伺っているわけでございます。
 憲法解釈については、私も法制局の見解、それから歴代、国会におけます様々の議論を調査室の方から取り寄せて確認してございます。
 法理論的にはというのは、憲法だけではない。それから、憲法の理念、憲法の目指すところを具現化した原子力基本法という基本法があるわけでございます。その基本法に対しまして、官房長官のおっしゃった法理論的には持っていけないという、書いていないという、これは新聞が間違ったのでしょうか。私は書いてあると思います。これを申し上げたいと思うのでございます。
 例えば、これは三十四年の衆議院科学技術振興対策特別委員会で、岡良一委員が質問いたしました。どういう質問かといたしますと、原子力基本法を作るときに、原子力基本法の目的が問われたわけでございますが、この原子力の安全利用に絡めまして、我が国がたとい自衛のためとはいえども、軍事行動においては核兵器を使用することはできない、このようなことを基本法が明確に規定している、原子力委員会そのものもそのように考えているかという、こういう質問に対しまして、当時、有澤廣巳原子力委員会委員長はそのとおりだと答えたわけでございます。原子力委員会、政府の一員でございます。大変格の高い委員会でございます。
 法理論的にというのは間違っているのではありませんかと、いま一度お尋ねいたします。
 私は、それを官房長官、これを所管していらっしゃる官房長官御自身に伺っているのでございます。
○国務大臣(福田康夫君) 先ほど、非核三原則をこれを堅持するということを申しておりますが、今のその法律上のことでございますが、これは、原子力基本法によりまして我が国の原子力活動は平和目的に厳しく限定されていると、こういうことがございます。したがいまして、我が国が核兵器を保有することはございません。
○川橋幸子君 それでは、法理論的にもそれは間違っていたと、おっしゃったことは間違っていたというふうに私は受け取らせていただきます。
 それでは、その次に入ります。
 既に官房長官は、非核三原則の国是について、国際的な公約としても重要であるという旨の御答弁をさきにありましたけれども、それは次の質問、これから申し上げる質問で私が申し上げたかったことでございます。
 今、非常にインド、パキスタンの間の緊張が高まっています。アメリカはそのために特使を派遣するということがございまして、新聞ではサッカーで沸き返っておりますけれども、昨日の新聞では、アジア信頼醸成会議、この中で、インド、パキスタンが激しい応酬を重ねて、そして中ロがどのようにこれが調整できるかと、大変緊迫した状況でございます。そのために、川口外務大臣もこれからインドに行かれたいというようなことをおっしゃったわけでございますけれども、それは先方から断られてしまったという、こういう状況なわけでございます。
 インド、パキスタンに対しまして、官房長官のような御発言が国際的に報じられた場合、日本は忠告できるとお考えになりますか。足元を見られるのではないでしょうか。
 インド、パキスタンだけではなくて、イスラエル、パレスチナの問題、北朝鮮、中国の問題、あるいはアメリカのイラク攻撃などが報じられる中で、今国際関係は大変緊迫していると私は思います。ですから、私は、今回の非核三原則の問題、責任追及というよりも、これが国内問題でなくて国際問題なんだということをはっきり認識していただきたいと。官房長官の発言、そして、ましてや安倍副長官の発言、これは国益を害することではなかったかと。そういう意味で、国民に対してしっかりと謝罪してほしい。
 それから、有事法制が通る通らないの話ではなくて、国際社会に対して、日本はこのような外交姿勢を持っている、このような形の国なんだということをはっきり発信する、そういう場を改めて設定していただきたい、このように申し上げたいと思います。官房長官に。
○国務大臣(福田康夫君) 今、外務大臣がインドに行くことについて、これがキャンセルになったと。これは日程上の調整ができなかったということでありますのでね、それとこれと混同しないようにしていただきたいと思います。
○川橋幸子君 枝葉の問題よりも根幹にお答えください。
○国務大臣(福田康夫君) それで、今回、私の発言が、国の安全保障の在り方については、それぞれの時代状況とか国際情勢等を踏まえた様々な国民的な議論があり得ることを述べたものでございまして、いかなる意味においても、政府としての今後の方向性を示したものでありません。そういうことを示唆したとかいうような記事出ておりますけれども、そういうことは一切ございません。明言をいたしておきます。
 ということで、諸外国に対してどういう影響があるか。それは外務省を通じても、また私も累次こういうような表明をし、また総理も明確に、私の発言の直後に我が国の立場というものは鮮明にいたしておりますので、そういうような報道などを通して諸外国の理解も得られるものと、また得られているものと、このように確信をいたしております。
○川橋幸子君 今回、記者懇という場でいらっしゃったわけでございまして、そういう意味で、メディア批判をなさるお気持ちがある、あると言ったら申し訳ございません、そういう部分は私は情状酌量の余地はあると思っておりますし、大変率直に、慎重居士であると言われておられた官房長官がこのような発言なさったことについては、これだけで判断しようとは思いません。
 しかし、波紋は非常に大きいのです。この波紋をどのように政府としてしっかり立て直されるか、外交の柱として立て直されるか。そういう場を私はしっかり持っていただきたい。この委員会にお出ましいただいたのはその一環とは思いますけれども、しっかりと参議院の場でも集中審議の場などを通じましてそうした場を作っていただきたい。国会の中にも作っていただきたいと要望いたしますけれども、政府としても一緒に努力していただきたいということを申し上げたいと思います。
 それでは次に、総理の方の質問に移らしていただきます。官房長官、御用がおありと伺っておりますので、総理の方に移らしていただきます。
 今のようなやり取りを総理、この場でお聞きになって、いかがでしょうか。こうした安倍官房副長官それから官房長官、一連の発言に対して、総理はどのようにこの問題の重大さといいますか、この問題の深く意味するところをお感じ取られたのでしょうか。
 それから、今申し上げましたやはり日本政府のメッセージをはっきり国際社会に発信し直す場をしっかり持ってほしいという私の提案といいますか、お願いに対してはどのようにお考えになられますでしょうか、お伺いいたします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まず、政府の基本方針として非核三原則、これを堅持していくということに全く変わりないということを明言したいと思います。
 いろいろ官房長官あるいは副長官の発言が問題になっておりますが、私としては、そのような発言が現実の小泉内閣の政策に影響をもたらすものではないということも併せて明言しておきたいと思います。
○川橋幸子君 小泉内閣に対する、小泉内閣が倒れるか倒れないかというお話を伺っているのではないのです。そうした内輪の問題ではない、しっかり日本国の総理としての御見解を伺いたいと、こういう気持ちから私は伺っております。
 それでは、新聞に報じられたことですが、最初に総理の方の反応が新聞に出ましたのは、首脳ってだれ、だれのこと、大変お怒りだったという感じの記事が載っています。あのときのお気持ちは何だったのでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 普通、一般国民が考えれば、政府首脳というのは総理大臣と受け取りますよね。ところが、マスコミ関係ではそうじゃないんだと。これは、マスコミ独特の世界の中での受け取り方だと思うんです。そういう誤解を防ぐために、政府首脳ってだれって私は記者諸君の懇談で言ったんです。
 余り自分の専門領域に閉じこもってしまうと、当たり前のことが国民では当たり前とは思えなくなっちゃう。私が発言したと取られている向きがあったから、普通から考えれば政府首脳というのは総理大臣で通るでしょう、一般国民から見れば。そうじゃないということで、私は、私の発言じゃないんだと、私はそういう発言は一切していないんだということを言ったわけであります。
○川橋幸子君 歴代自民党総理の中で、私は小泉総理に期待した、野党ですが期待した一人です。それは、言葉が率直であること、隠さない、話すこと。これは、私は買いでした。買いって失礼でございますけれども、期待いたしました。ですが、私も、やっぱり総理の対応はおかしかったと思います。
 首脳ってだれ、僕は言っていないよと言う前に、内閣の一大事、日本国の総理としての責任から考えたら、その言った本人が多分お分かりになっていたんでしょう、まず、そのおっしゃった方に総理として苦言って変ですね、叱責なさるべきだったと思うんです。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 政府首脳ってだれと聞いたのはかなり後のことです。官房長官がそのような発言をしたということを、たしかソウルでしたかね、ワールドカップのサッカー大会が終わった後でしたか、そういう発言があったというのを聞いて、その後、記者懇といいますかね、たしかぶら下がりだったと思います。これも、ぶら下がりというのは我々の世界での特殊な言葉だと思いますけれども、記者諸君と私との立ったままでのやり取り、質疑応答なんですが、その際に、私としては非核三原則変えないと既に表明しているわけです。そして、日本に帰国してからのもう最初の反応で、そんなことはあり得ないということを明言しております。
○川橋幸子君 いつもメッセージは強く発せられる総理ですが、この件に関しては国民にそのメッセージは来なかったと思います。
 例えば、どうってことないという発言が、どうってことないじゃないのという強弁発言が独り歩きしています。これに関してはどう思われますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 全く関係ないということです。非核三原則には変わりないということを言いたかっただけです。
○川橋幸子君 問題をすり替えておられると思います。非核三原則変わりないというのは、国民は当たり前の話でございまして、それを守ってくださらない内閣はすぐにも倒れると私は確信しています。
 つまり、総理としての御自分の責任が自覚されていない。どうってことないよ、事を鎮めようとなさる気持ちは私も分かります。今すべきことは、ちゃんと日本外交を立て直すべきとき、日本の国の在り方をはっきりさせるべき。そういうときに、内輪もめに、あるいは与党内の抵抗勢力でしょうか、様々な勢力はおありでございますけれども、その一言に対して発言するのではなくて、もっと事の本質に迫った発言をしていただきたいと思います。
 もう時間がありませんので、後は私の意見ということになると思います。
 民主党に対しまして、瀋陽事件のときは、自粛すべきだ、後ろから鉄砲を撃たれるようなことがあってはかなわないと。個人的には私は、総理つらい立場でしょうから、分かりました。しかし、自粛すべきだったら、今回の発言こそ自粛すべきだとおっしゃればよかったじゃないですか。御自分の部下に対してしっかりそれを指示なさるべきでした。
 中谷防衛庁長官のリスト問題がありまして、庁内の把握がうまくいっていないというようなことをおっしゃられますが、私から見れば、この件に関しては、一番重要なところで総理の掌握力は非常に不足しておる、欠けておると思います。罷免というようなことは私はここでは申しません。私は、総理のリーダーシップ、自覚、内閣としての責任、国の、国民の命を預かっているという外交について責任を持っている、そういう総理のリーダーシップに期待させていただきたいと思いますが、お答え聞きませんと言いましたけれども、やっぱり伺いたくなりました。お答えください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今までの外交政策、既定方針どおりでございます。
○川橋幸子君 お疲れのことは分かりますけれども、真剣に問う相手に対して真剣に答える、それは子供に対してもそうだと思います。私はそれほど肩書のある人間ではありません。ですけれども、もし私の言うことが心に響いていらっしゃるならそのようにお答えなさる、これが総理として、市民の信頼を得、もう一回支持率が回復していく一番の基本なんです。はぐらかされる、それに対して国民が非常に怒っているということを、老婆心ながら、私も申し上げたいと思います。
 それでは、今日は道路四公団の民営化委員会の法案の話でございますので、そちらに移らせていただきます。大部分時間を使ってしまいましたので、もうほとんど時間がございません。同僚議員の山根議員の方に譲りますけれども、一点だけ伺わせていただきます。
 一つ、今回のこの法案は委員会の審議にほとんどゆだねられている。民営化の方向の、その方向性は示されておりますけれども、それじゃ、その方向性をどのように具体化するかについてはすべて委員会ということで任されております。
 委員会の構成につきましては、本委員会、内閣委員会での議論がたくさんございました。女性の問題も出てまいりました。しかし、私が一点申し上げたいと思うのは、利害関係者を人選してもらっては困るということでございます。人事を遮断してほしいということでございます。
 例えばの話、国鉄改革のときには、中曽根元総理は仁杉総裁を更迭するというようなことをやられました。今回は、そういうメンバーが構成メンバーになることによって、これまでの道路行政の責任なり、あるいは負債の程度なり、それからどう民営化するか、あるいは廃止するか、そういう自分の命が懸かるところに利害関係者を入れるというのはむしろ酷な話だと思います。道路しか知らない、道路専門家が入られることはいいですが、道路しか知らない、ほかのことは分からない、有事のことは知っているけれども外交は知らないというたぐいの人間を人選していただいては困ると。
 今回、原子力委員会の木元教子さんとおっしゃる女性の委員が独り気を吐きました。原子力基本法はどこへ行ったんだ、原子力委員会としてもこの件については抗議すべきだという記事を見ましたが、まあしばらく様子を見ましょうなんて委員会の話になったようでございます。やっぱり改革の意欲があるというのはそういう人だと思うんですね。
 人選について利害関係者を入れないでほしいというこの質問一点だけで私の質問を終わりますが、総理、お答え願います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いわゆる第三者機関の委員のことだと思いますが、この委員の人選につきましては、改革意欲に富んだ、国民的視点に立って考えることができる方を選任したいと思っております。
○山根隆治君 福田長官、お帰りになられました。
 小泉内閣と前内閣、違いは何か。森内閣のときは、森さん自身の失言によっていろんな物議を醸してきた。しかし、小泉内閣においては、田中外務大臣から始まりまして塩川財務大臣、そして武部農水大臣、先ほど退席をされました福田官房長官の失言、あるいは暴言とも思われる部分も場合によっては受けている方はあるわけでありますけれども、こうしたことで物議を醸してきているわけでありますし、いろいろと国際的な影響も及ぼしている。
 このことについて、総理は、森内閣と比べて、小泉内閣、こうした事態についてどのように感じられておられますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 森内閣と小泉内閣と比較されても私、困っちゃうんですよね。森さんには森さんの考えがあるでしょうし、私は森内閣でいいものは継承していくと。小泉内閣としてあるべき改革の姿を示して今進んでいるんですから、小泉内閣として既定の改革路線についてこれからも懸命に取り組んでいきたいと思っております。
 また、失言についても、それは各閣僚、発言には気を付けなきゃいけないということは当然であります。私も失言のないように気を付けなきゃいけないなと思っております。
○山根隆治君 私は、追及するという意味合いで申し上げているんじゃなくて、お気の毒だなという思いでお尋ねをしたわけであります。
 さて、本委員会は、道路関係四公団の民営化推進委員会の設置法についてのものであります。この法案が通ると本格的な行政改革の第一歩を踏み出すということになろうかと思いますけれども、改めてその決意が揺るぎないものであるかどうか、その点についてお尋ねいたします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、総理に就任したときから、決意、全く揺るいでいないんです。当初、道路公団の民営化なんてできるはずないじゃないかという声があった、多かったというのは事実だと思います。しかし、今、そういう反対していた方々も民営化に協力してくれています。私は、この路線を今後も着実に進めていきたいと。
 そういう意味において、今回の第三者委員会設置の法案につきましても、国会の同意必要だと言っていた方々も結局必要ないという私の意見に協力してくれて、ようやく成立の運びに進んでいるということでありますので、当初、私の発言なんというのは、一部の新聞報道で見たんですけれども、真意はどうか分かりませんが、事実かどうかも分かりませんが、新聞で記事見た当時は、小泉の道路民営化の意見なんというのは石垣にトマトをぶつけるものだと、すぐ壊れるだろうというような見方をしていた向きもあるようであります。現実に、全然壊れていませんね。どっちが石垣かどっちがトマトか分からないような状況になってきたと。
 最初の私の方針、全く揺らぎません。この路線で私は民営化を進めていきたいと思っております。
○山根隆治君 昨年の七月、参議院選挙がありまして、小泉総理の大人気で私も吹き飛ばされそうになった苦い思い出があります。その選挙の最中に、総理は、小泉内閣を、自民党を、つぶす方向に走ったら私は自民党をつぶしますよと、こういう演説をされておられます。そしてまた最近では、郵政関連の法案に絡みまして、自民党が小泉内閣をぶっつぶすか小泉内閣が自民党をぶっつぶすかの戦いだ、こういう恐ろしいことを言っておられるんですけれども、たしか小泉総理は私は自民党の第二十代の総裁だったと思うんですけれども、そのことはそういう御自覚を持っていらっしゃるんですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は自民党の総裁であります。自覚を持っております。
○山根隆治君 他党の総裁というお立場ですから私がお尋ねするのも少しおかしい部分もあるかも分かりませんけれども、しかし、やはり政権政党の中枢にある自民党の総裁というふうなお立場であってみれば、こうした発言についてやっぱり矛盾を感じる国民は私は多いだろうと思っています。
 つまり、総理は、今までの十九代にわたる自民党総裁の負荷というものをバトンタッチされた。ですから、おいしい果実だけを総裁として食されるのではなくて、時には苦い果実も私は食されなくてはいけない、それが私は一つの組織の長たる者の責任だろうというふうに思うわけであります。総理のこうした御発言というのが、どうも自民党にとってのマイナスなイメージというものは自分とはかかわりがないんだということを、国民に幻想を振りまいているように私は思えてならないわけでございます。
 こうした総理の発言は、私は社会的な影響も非常に大きいものがある。つまり、一つの組織の上に立った者は、そこにある業というか、宿痾というか、そういうものを担わざるを得ないわけで、そこから逃げることはできない。一つの政党の、大きな政党の私は最高責任者である総裁という立場からすると、自民党をつぶすつぶさないというのは長の発言としてはいささか問題があると思うんですが、この点についての御自覚の問題としてどのようにお考えになりますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、自民党の総裁選挙に立候補したときの発言は、自民党を改革勢力にしたいと思って総裁に立候補したんです。私の主張に対して自民党の多数の議員が支援してきてくれたからこそ私は総裁になっているんです。私の改革路線に賛成してくれたからこそ私が総裁になったと自覚しております。
 だから、道路公団民営化においても、郵便事業に対する民間参入も、総裁選当時から主張していたんです。この路線をつぶすというんだったら、私は自民党の総裁である必要はないんです。そういう意味で言ったんです。
 だから、改革路線を支持してくれる、自民党が変わって反対してきたものを支持してくれる、改革勢力に変わってもらいたい。改革を実現するために私は総裁になっているんです。総理になったんです。その改革をつぶすというんだったら、私は自民党の総裁である必要はありませんよ。自民党はなくてもいいと思っています。
 そういう発言で、私は、もし郵便事業に対するこの民間参入法案をつぶすんだったらば、小泉内閣をつぶすと同じだと、そしてそれは非常に自民党にとっても矛盾した行動になるのじゃないかという意味を込めて発言したわけであります。
○山根隆治君 思いは分かるんですけれども、しかし総理、自分の行政改革を進めることに賛成しないならば、私たちは、私は、民主党という立場では一生懸命行政改革を推進してほしい、そういう思いを持っていながらもなお、一国の総理として、あるいは自民党の総裁としての言動としては問題があることを指摘を今しているわけでございます。
 自分の思う方向で皆さんが一致協力してくれるから総裁になった、そしてこれからも総裁にあり続けるためには皆さん協力してくれ、このことは分かる。それが協力できないんなら自分は自民党の総裁でなくてもいい、降りるということなら分かるけれども、しかし、それで自分の思うとおりにならないからといって自民党をつぶすというふうな発言というのは、組織の長として取るべき私は言動ではないだろうというふうに思うんです。
 もしあなたがやはりそういうことを、今のような思いを言われるんなら、今少し触れられたけれども、この行政改革の推進について反対するんであれば、私はもう自民党の総裁を降りるからと、つまり、総総分離論というのは昔からあったけれども、そのことをあなたはおっしゃればいいじゃないですか。おれは総理大臣として全力を尽くすから自民党の総裁を降りるというのが一番筋としては通るわけであります。そこの点はどうですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私はそうは思いませんね、自民党の多数は私を支援してくれると思っていますから。
○山根隆治君 じゃ、つぶすなんというのはおかしいじゃないですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) だから、そんなことはあり得ないから言っているんです。自民党は最終的に私の改革路線に協力してくれるということから言っているわけであって、今出ている反対意見は多数意見にはなり得ないと思っているから言っているわけです。
○山根隆治君 非常に言葉のマジックという、うまいというか、修辞というのに、レトリックにたけているということはよく分かります。しかし、総理のことではないけれども、巧言令色少なきかな何々というのが論語でありましたが、総理は徳は持っておられると思いますよ、今何々というのはあえて言っていないんですけれども。しかし私は、そうしたやはり幻想を振りまくということが非常に危うい、社会自身を危うくするという部分があるので、私は非常にあえてこの問題を今取り上げたわけです。
 時間があと一、二分でございますので、別の問題に移らせていただきたいと思いますけれども、それは、首都圏の道路網の整備という、法案にもう一度戻りますが、整備ということで相当な資本投下をこれからもしていくということになるわけであります。そして、首相官邸が、一千億ぐらい掛かったような話も聞きますけれども、造られた。そしてさらに、国会の議員会館、衆議院だけで八百億、あるいは参議院もその半分としても、一千二百億が予定されているし、これは今年度の予算の中でも調査費として計上されている。あるいは、防衛庁が新しいもの、すばらしいものを、私もこの間視察しましたが、できてきたと。
 そういうことからするともう、しっかりとした数字はまだ把握していませんが、一兆円を超えるような首都機能の補充というか強化というのは実際にやっぱり行われてきているわけであります。私自身は埼玉県出身ということで、首都圏に身を置く者ではありますけれども、そういう立場を超えて、一体この首都機能の移転の問題というのはどういうふうに考えるんだろうか。
 総理は、今日は私、二冊の本をお持ちしましたけれども、この二つの中で移転賛成という論を展開しておられます。これは当然総理になられる以前の話であったわけですけれども、今もってこのお考えが変わらないんだろうか。つまり、今、国会は首都機能の移転の問題について非常に迷走しているというか、混乱をしているわけですね。その点について、総理として指導性を発揮されるのかどうか、お考えをまずお伺いをしておきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、前から首都機能移転論者であります。しかし、総理になって、いろんな課題ありますよ、どれを取り上げるかというのはそのときの情勢を判断しなきゃいけない。国会で議論されているわけですから、その議論を見守るべきだと。現実の問題と考えても先の話ですね、もし実現可能だとしても。そういう点から考えて、私は、せっかく国会で、委員会で熱心な議論が行われている、その結論も出ていない段階で小泉内閣として今取り上げるという問題でもないだろうと。
 将来の話として私はいろいろな意見を展開されるのは、それぞれの議員が見識を持ってやっているわけですから結構なことだと思っております。そういう中で、私の内閣の問題として現実の政治課題にのせるべきかどうかというのは、やっぱり今総理をやっている立場として考えなきゃいけない。現実の政治課題にのせるべき問題ではないな、国会の議論の行く末、結論をよく見守ってから判断しても遅くないのではないかと、そう思っております。
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 法案の質問に入る前に、一言いたします。
 福田官房長官の非核三原則見直し発言は、核兵器の速やかな廃絶を求める世界の流れに被爆国の日本政府の首脳が逆流を持ち込もうとするもので、許し難い暴言です。我が党を始め野党四党は福田官房長官の罷免を要求しています。
 非核三原則は、一切の核兵器の禁止に対する国民の悲願を体し、単なる可能性を持つ政府の政策としての非核三原則を、国権の最高機関である国会において国民の総意として議決した国是です。歴代政府が、内閣が替わっても引き継がれるべきだと繰り返して答弁してきたものです。それを覆す福田官房長官の発言は、我が国の国際的威信を著しく傷付けるものであり、許すことができません。
 野党は、事態特での審議、その責任の所在を明確化することを求めておりまして、私もそちらの方に議論をゆだねたいと思います。
 道路四公団民営化法案の質問に入ります。
 まず、総理、道路公団の背負っている膨大な借金をこのまま放置しては早晩財政破綻に陥ると、こういう議論を参議院の内閣委員会でしてまいりました。
 小泉総理は、昨年の十月、道路公団については償還期間を大幅に短縮して国民に早晩開放するとおっしゃいまして、現在計画中の高速道路九三四二キロを現行のプール方式で整備することを見直す必要があると、こういう検討を国土交通省に指示されました。また、当時、償還期間は三十年とおっしゃっていました。つまり、高速道路をいったん凍結して早期に債務を返済するという意図だったのではないでしょうか。しかし、五十年償還にいたしました。
 国土交通省が当委員会で答弁したところによりますと、五十年償還ですと国費を投入しなくても六・六兆円から十三・六兆円の間で投資ができるということです。このことによって、道路を造り続けることにしたということになるのではないでしょうか。総理です。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、五十年を上限としてと言ったんですよ。
 道路を造ってくれという声は強いです。全部の今までの計画、それは計画どおり造るべしという声も強いことは知っております。しかし、三十年償還だと今までの計画、すべて不可能になる。ある程度コストの削減等も図りながら必要な道路を造りたいという声にも配慮して、できるだけ償還期間は短い方がいいけれども、五十年を上限として、その範囲内で費用対効果あるいはコスト削減も考えながら真に必要な道路は造る可能性は追求してもいいんじゃないかと。しかしながら、今後国費は投入しませんよ、民営化を目指しますよという方針ですから、私はそういう形を指示したわけであります。
○吉川春子君 償還三十年という提起が新鮮だったというふうに受け止めた人も多いと思います。
 古賀道路調査会長は、五十年償還になったことで一年間で一兆円の投資ができる、今のペースで進められる、高速道路建設は今までどおり可能になったと、このように言い切っておられます。総理は、償還期限を五十年としたことで自民党道路族と妥協をして高速道路を今までどおり造り続ける仕組みを作ったと。
 無駄な高速道路建設がこれからも進むのではないですか。重ねて質問します。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 民営化されれば、それは費用対効果、採算性を重視します。税金が投入されないということだったらば、民間会社としては採算性を重視しますから、どこが本当に必要な道路かということをよく検討すると思います。
 しかし、今までの公団体制だと償還の当てもない、いずれは税金で賄えばいいだろうというような考えだと将来国民負担が大きくつながってくる。道路を造ってくれ、道路を造ってくれという声は地方に強い、その要望にこたえて後の償還も税金投入も考えないというところに今非常に問題があるということから私はこの民営化方針を必要だと考えたわけでありますので、どんどんどんどんできるということは、やっぱり費用対効果を考えなきゃいけない、そして国民負担を最小限にしていかなきゃならないということは、私は公団体制よりも民営化体制の方が可能だと思っております。
○吉川春子君 どの道路を造るか造らないかというのは結局最終的には政府が決めるわけですけれども、総理、私は、第二東名・名神高速道路は凍結して見直すべきではないか、このように思うのです。
 国土交通省の試算によりますと、第二東名は、二十年後の交通量が現在の一・四倍に増える、利率は三%ということでかなり安く設定していますが、それでも料金収入は千八百億しかありません。利払い、つまり二千億に足りないわけですね。全く採算性がないわけです。管理費とか元本の支払なんかできない、こういう採算性の取れないということがはっきりしている。プール制とかなんとか言うんでしょうけれども、単独で採算性が取れないということがはっきりしている、こういう道路建設は見直すべきだと思いますが、総理のお考えはいかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 個別の路線整備については、私は、この法案が成立すれば第三者機関であります民営化推進委員会が設置されるわけでありますし、委員も人選されるわけであります。その委員会の意見を踏まえて考えるべきことではないかなと思っております。
○吉川春子君 個別の道路の建設をするかどうかについて、委員会が決めるんじゃないでしょう、政府が決めるんでしょう。そういうときにそういうことを考えるべきではないかというふうに申し上げています。
 九八年の三月に、閣議決定で全国総合開発計画、いわゆる五全総ができました。「二十一世紀の国土のグランドデザイン」ということで公共事業のオンパレードです。
 ここでちょっと確認をしておきたいんですけれども、この高速道路は、高速道路だけではありませんね、公共事業も全国至るところに造れと、こういう提案をしているこの五全総について、採算性とか財政的裏付けというのは、私ちょっと探してみたんですけれども見付からなかったんですけれども、どの部分に書かれておりますか。国土交通省にこの点は確認をしたいと思います。
○政府参考人(大石久和君) 平成十年三月に閣議決定されました全国総合開発計画、いわゆる新しい国土のグランドデザインでございますが、国土の有効利用と適正な管理の観点から、事業の経済効果や地域に与えるインパクトなどを勘案いたしまして、将来にわたって必要な事業を位置付けたものと認識をいたしております。
 実現のための技術的可能性や財源などの問題は、今後個別の事業ごとに実施に向けた調査の中で検討をされるものであり、採算性はその中で整備スキームの在り方と併せて検討されるものであると、このような認識をいたしております。
○吉川春子君 総理、お伺いいたしますけれども、こういうもう本当に美辞麗句でちりばめて、日本列島至るところで公共事業、大型プロジェクトをせよと、こういう提案になっているんですけれども、財政的な裏付けについては一言も書いていない。これは全く無責任ではないでしょうか。そして、ここに載った問題については次々と調査費が付いて実行に移されていく。こういうことをやられたら、今でも破綻し掛かっていますけれども、今後大変なことになると思いますが、総理はいかがお考えですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 道路、必要性は分かります。しかし、現在の必要性だけ考えてこの道路の負担を、建設工事費なりあるいは管理費なり、利用者の負担を考えずに今必要だからどんどん造れということに私は大きな問題があると思っております。そういう先のことを考えない、もし負担が出たら、赤字が出たら税金で返せばいいんだというような意識を変えていかなきゃならないという観点から、私は今の公団体制を見直すべきだということからこの民営化に向けて取り組んできたわけであります。そういう点は、今までの道路行政についても反省すべき点があったと思います。
○吉川春子君 少なくとも、ここに載っております六つの海を渡る長大橋というんですか、大きな橋、こういうプロジェクト、今調査費が付いて調査されておりますけれども、こういうものについては少なくとも全部棚上げすべきだと思いますけれども、この点について総理のお考えはいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 将来の負担、必要性、採算性、こういう点を十分考慮に入れながら今後検討すべきだと思っております。
○吉川春子君 個別の問題で伺いますけれども、この六つの中に東京湾口道路というのがあります。総理の地元から千葉の富津市に、アクアラインのもう一本外側に大きな橋を架けるという、こういう計画でございますけれども、これは神奈川県横須賀市と千葉県富津市を結ぶ東京湾口道路、これには巨大な建設費が掛かると思われますけれども、それに見合う交通需要があるんでしょうか。この道路の具体的な必要性について総理はどのようにお考えですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今申し上げましたとおり、これが公団を廃止して民営化に向けて準備が進んでいくということになりますれば、コスト意識というものは当然強く入ってくるでしょう。そういう点も踏まえまして、本当に必要なのかということを徹底的に検証しながら、私は慎重に今までのそういう御批判も参考にしながら、計画の見直しなり取組はなされるというふうに理解しております。
○吉川春子君 この東京湾口道路を含めて六つの長大橋の調査を既に九四年から調査費を付けて延々と続けてきております。
 例えば、この湾口道路についてどれぐらいの費用が掛かりどれぐらいの採算があるのか、交通量がどうなのか、こういう調査がされているでしょうか。具体的に示していただきたいと思います。
○政府参考人(大石久和君) 先ほど御説明申し上げましたように、平成十年三月の閣議決定に係る全国総合開発計画におきまして、全国六か所の海峡横断道路プロジェクトが位置付けられました。その後、国土交通省におきましては、経済評価でありますとかあるいは経済効果に係る調査でありますとかあるいは地域社会に与える効果等の調査並びにコスト縮減等の技術開発を進めているところでございます。
 現在の技術水準、建設、管理コストの状況の下におきましては、事業化に向けなお課題が残されているというように認識をいたしておりまして、今後プロジェクトの技術的可能性、経済効率性等の観点から更に検討を進めまして、可否を検討していく必要があると考えております。
○吉川春子君 毎年毎年五億ぐらいの調査費を付けて、交通量とかそれから幾らお金が掛かるのかと、そういうことを全く調査していないんですか。技術的な可能性だけ、どうやったら建設できるか、安く建設できるかということも含むかもしれませんが、そういうことだけ検討して、これを造ればどれぐらいの費用が掛かり国民に負担が与えられるかという検討はまだしていないんですか。具体的にしていたら数字を示してほしいんですが。
○政府参考人(大石久和君) 具体的に幾ら掛かりそうでありますと言えるほどの自信を持って積算ができている状況ではございません。
 しかしながら、全く幾ら掛かるのか分からない下で議論をしているわけでもございませんで、先ほど申しましたコスト縮減、どの程度のコスト縮減を進めればどの程度の可能性が出てくるのか、あるいはその結果地域に与える経済的な影響、それが効果に見合うものなのかどうかといったような検討を続けているわけでございまして、何分にも極めて長大な構造物でございます。技術的検討を待たなければならない部分も多うございますので、そういった調査を続けていると、そういう状況でございます。
○吉川春子君 総理、ここに載っているものについてはすべて工事が具体化して進んでいるわけですよね。だから、私は東京湾口道路についてもその具体化を恐れるわけです。今アクアラインが、もう一本東京湾の内側に橋が架かりまして、御承知のように当初の通行量の三分の一以下、そして採算の見通しが全く取れないということでプール制にぶち込んでおりますけれども、そういうアクアラインの通行量を見ても、その外にもう一本同じような橋を架ける必要なんてどこをたたいたら出てくるんですか。ところが、これをどうやったら実行できるか、工事費が縮減できるか、こういう方向で検討しているというでしょう。そして、ここに載っている工事で中止になったのはないんですよ。
 そういう、総理、実情を考えたときに、私は総理の地元のこの湾口道路、まずこれをやめると、そういうことを示すことこそが正に構造改革ではないか。
 隗より始めよという言葉がありますけれども、総理はこの具体的な問題について、ただ慎重に検討するというのではなくて、慎重に検討することは当たり前のことなんです。しかし、もうかなりその調査も進んでいる、こういう段階において、国家財政の破綻の問題も考えたときに、これは少なくとも、六つは全部言及されないとしても、この一番総理がよく御存じの湾口道路については、これは見直すんだと、やめるんだと、そういうことをおっしゃるのがやっぱり小泉首相の立場からいって必要なのではないかと思いますが、どうでしょう。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 道路事業については、今後、効果的、そして効率性を考えながらやっていかなきゃならないと。しかし、今までのやり方を踏襲していますと、これは必要なんだ必要なんだという必要性、また地元の要望というものが強い。将来の税金投入はどのぐらいになるんだ、国民の負担はどのくらいになるんだ、利用者負担はどのぐらいになるんだとかということよりも、税金は自分たちの金じゃないということで、ああ、できればいいなと、そういう道路が自分たちの負担なしにできればいいんだなと思っている方の方が多いと思いますね。そういうことで、各地区にその道路を造ってくれ造ってくれという要望が強くて、国会議員は与野党を問わずそういう陳情を受けて必要性を叫んでくる。今負担はないけれども、将来ははっきりしたことは分からないという観点からいろいろ道路計画がなされてきていろいろな調査がなされ事業がなされるということで、地域にとってはそれは必要であっても、国民全体の負担にとってはどうなのかという視点がやっぱり私は少なかったんじゃないかと思います。
 そういうことから、今回、公団を廃止して民営化に持っていくことによって今欠けていた視点が強く入ってくる。そういうことによって国民負担も軽減する。真に必要な道路はどこかという見直しが私は海峡横断プロジェクトにも当然出てくると思いますので、今後、そういう問題につきましては、今御指摘の点につきましても、この法案が成立すれば、第三者機関、委員会が設置されるわけですから、その中でも十分議論し、その意見を参考にしながら、私は見直すべき点は見直すべきだと考えております。
○吉川春子君 もう時間がなくなりました。最後、申し上げます。
 あのそばに観音崎灯台というのがあって、子供のころ遠足に行ったことがあるんですけれども、あそこに橋が架かるなどということはもう本当に論外だと私は思うんです。アクアラインの例もあります。そのアクアラインの轍を踏まないためにも、十分そういうことを検討して、政府が決めるわけですから、第三者委員会が決めるわけじゃないんですから、そういうことで、この巨大プロジェクトの凍結、見直しを行うように強く要求いたしまして、委員長、私の質問を終わります。
○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康でございます。
 まず、福田官房長官の一連の核兵器に関する発言は、我が沖縄からも大きな驚きと怒りの声が上がっております。
 御承知のとおり、沖縄は、祖国復帰運動の時点から、即時無条件全面返還、すなわち核も基地もない平和な沖縄を目指して頑張ってきました。そのような県民要求によって、当時の佐藤総理は核抜き本土並みを約束して、沖縄の返還が実現したのであります。
 さて、国会においては、昭和四十六年十一月二十四日に衆議院で非核兵器ならびに沖縄米軍基地縮小に関する決議案が全会一致で決議されておりますが、この約束と裏腹に、嘉手納飛行場に隣接する知花弾薬庫には今でも核兵器が貯蔵されているのではないかという疑惑が各方面から聞こえております。ラロック証言あるいはライシャワー発言などがよく知られておるとおりであります。このような実態などから、日本はアメリカの核の傘によって守られているんだというふうなことが世界の常識となっているのであります。
 今回の官房長官発言は、将来の核保有についての発言というよりは、沖縄に既に核の貯蔵がなされているとの前提で、我が国がこれから核兵器、いわゆる核武装していく姿勢を示したものではないか、そのために核に対する国民のアレルギーを和らげる目的があったのではないかというふうに私は読まざるを得ません。
 一連の官房長官発言は、沖縄に核が貯蔵されていることを前提として、日本は核を保有してもよいという意味で発言されたのか。この際、官房長官は沖縄に存在すると言われている核兵器についてどう考えておられるのか、お伺いいたします。
○国務大臣(福田康夫君) 前段のところで申し上げますけれども、私の発言なんですけれども、これは、今までの我が国の政策、核に関する政策を、これを変えようとかいうようなことを申し上げたわけじゃないんです。ですから、そのところはひとつ御理解いただきたいと思います。私はあくまでも、国の安全保障の在り方についてはそれぞれの時代状況、国際情勢を踏まえた様々な国民的議論があり得ることを述べたので、決していかなる意味においても政府として今後の政策変更をするといったようなことを示唆したということもございません。
 その上で、沖縄における核の問題を御質問がありましたのでお答えいたしますけれども、これはアメリカとの、政府との間では事前協議がございます。この事前協議につきまして、歴代の総理、外務大臣がこれは明確に何度も述べているとおりでございます。米側は安保条約上の対日義務を誠実に履行すること、日本政府の意思に反して行動することはないということを繰り返し述べておりまして、また同盟国である米国を我が国としても信頼をしております。
 そういうような前提がございまして、沖縄の基地に核兵器が貯蔵されているかどうかとかいったようなことについては、既に非核三原則がございますので、この非核三原則のとおりに行っているということでございますので、核兵器があることはないということでございます。
 いずれにしても、今後とも我が国として非核三原則を堅持していくと、こういう立場に変わりはございません。
○島袋宗康君 沖縄に核基地が、貯蔵されているということは、これは沖縄県のだれでも知っています。実際に貯蔵されている実態があるわけですから、それを事前通告がないということで非核三原則は守っているんだという口上は、これは本当に通用しないと思うんですね、今の時代に。そして、今回の発言によって、やはり核を持ちたいというふうな気持ちが政府の中にあるのではないかというふうなことなんですよ。
 だから、今の沖縄に核基地があるということは、存在はあるという前提で政府も考慮してもらわないと、一切アメリカが、事前通告がないから持ち込みはないんだというようなことは、これはアメリカの高官が言っているわけですから、沖縄に核基地があるというふうに、核兵器があるということは。それをいかにも事前通告がないからないんだというような一遍通りの答弁では困るわけですよ。
 ですから、もっとその辺を整理した上で、本当に確認した上で、どうですか、あるのかないのかということを実際答弁してもらわないと。実際あるんですよ。その辺についてどうお考えですか。
○国務大臣(福田康夫君) まず、私の発言と沖縄の核の問題とくっ付けて考えていただくのは、これ大変迷惑な話でございまして、私は、核政策を変更するとか、そういうことを全然言っていないんですよ。政府がそういうことを言っているというわけじゃないし、私自身も全くそういうことを考えていないんで、そういう趣旨の取られ方をしてしまったということがあれば、これはもう大変残念なことであるというように思っております。
 その上で申し上げますけれども、日米安保条約上、核兵器が持ち込まれる場合、すべて事前協議の対象となりますが、核持込みの事前協議が行われる場合、政府としては常にこれを拒否すると、こういうことになっております。また、米国政府も、我が国の立場、関心を最高レベルを含め十二分に理解しておりまして、我が国政府としては、核持込みの事前協議がない以上、核持込みがないことについて全く疑いを有しておりません。
○島袋宗康君 先ほど申し上げましたように、ライシャワー・アメリカ駐日大使、それからラロック将軍の証言、こういったふうな一連の米高官によって、沖縄に核基地がある、兵器があるというふうなことは、やはり私どもとしては常識なんですね。しかし、皆さん方は非核三原則があるから核持込みないというふうな口上かもしれませんが、これはもう本当に通用しないと思います。
 したがって、遠隔の地に、沖縄を犠牲にして核兵器が貯蔵されているという実態をやはり何とかしてもらわないと困るわけです。そういう一連の核兵器に対する考え方が沖縄県民としては納得いかないので、今の一連の官房長官の発言に対して改めて確認をしているわけですよ。沖縄の核兵器、どうしてくれるんですかという意味なんです。
 もう少し具体的に答えてください。どう撤去するのか。
○国務大臣(福田康夫君) 証言ということをおっしゃいましたけれども、歴代の総理また外務大臣が明確に述べているとおり、事前協議に関していかなる密約もございません。
 事前協議につきましては、米側は、安保条約上の対日義務を誠実に履行すること、日本政府の意思に反して行動することはないことを繰り返し述べておりまして、同盟国である米国を信頼しております。本件につきまして米側に確認するという考えもございません。
○島袋宗康君 かみ合わないようですからこれ以上やりませんが、後は与えられた法案について総理にお尋ねいたします。
 先日も国土交通省当局にお伺いいたしましたけれども、政府は、四全総において高規格幹線道路網を一万四千キロ形成するとの計画で、新全総ではこれを二十一世紀初頭に概成するとしております。本年度末における進捗状況は六〇%程度であると、先日、国土交通省道路局長は答弁されました。したがって、残り四〇%は未整備のままとなっております。これを公団の手によらず民間会社の手にゆだねることは、閣議決定した計画の完成を、自らの責任を見届けることなく、その成否を民間企業の採算を勘案した判断にゆだねるものであり、内閣の行政責任の放棄ではありませんか。それをお尋ねいたします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 政府の責任、内閣の責任という点についてそれぞれの意見があると思いますが、今までの計画を全部実現する、これが政府の責任である、内閣の責任であるという意見もあると思います。同時に、この計画どおり全部道路網を整備するということになると、じゃ、どれぐらいの負担をするんだ、この負担、それじゃだれが負担するんだ、これも内閣の責任だと。こんな負担に耐え切れるんだろうかという点も考えなきゃいかぬということから、私は、今までの計画された未整備の道路網につきましても今後費用対効果と。
 確かに道路ができれば多くの地域の住民は歓迎するでしょう。しかし、この道路網の整備においては、その地域だけの負担で済むものではない、利用しない国民一般も負担しなきゃならない点についてどう考えるのかと、こういう点も今後大きな視点になってくると思います、特に道路網を整備する際には。
 そういう点も踏まえまして、私は、効率的、効果的、そして必要な道路を造るためには、今の公団体制よりも、必要性と負担をだれがするのかという両面から考える意味において、民営化に持っていった方がむしろ国民負担を軽くして必要な道路を造るという点に合致するんではないかということから今回の法案を提出しているわけでございまして、今後、今御指摘の点につきましても、新たな第三者機関、委員会において委員御指摘の点も十分議論がなされると思います。そういう議論を踏まえて、政府として、今まであった計画も見直すべき点は見直さなきゃならない点も出てくると私は考えております。
○島袋宗康君 本案における委員会の委員、国会の同意を得ないと。この人事についてですね。そこで、内閣総理大臣が任命することになっておりますけれども、この委員会の意見は内閣総理大臣に対する拘束力が弱くなるのではないかというふうにちょっと考えられますけれども、その委員会による内閣総理大臣に対する勧告もどの程度の効果を持つものなのか、非常に疑問点があります。
 この点に関してはどのような見解を持っておられるか、お尋ねいたします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この第三者機関であります委員会というのは、政府を挙げて改革に取り組むため、内閣府に設置するものであります。ということは、総理大臣にある私に意見を述べることとしたものでありますから、内閣としてこの本委員会の意見というのは尊重しなければならない。
 そして、この委員会の権限というのは、今も委員会で御審議していただいていることを見れば分かるように、法的に十分保障されたものでありますから、今後の委員会の意見というのは政府としても尊重し、重視すべきは当然だと私は考えております。
○島袋宗康君 終わります。
○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。
 私は昨年七月に参院選で五十万票余りを取って当選しましたけれども、私の属する社民党は人数が少ないので本会議での代表質問ができません。私は小泉さんに申し上げたいことがありまして、パートスリーまででき上がっておりますが、今日はそのパートワンを申し上げたいと思います。
 ここは民主主義で成り立っている、国会はそういうところですけれども、少数者の意見が考慮されません。数の暴力といいましょうか、何かというともっと数取ってこいと言われます。私は、少数者の意見を尊敬しないようなところはやっぱり民主主義の国会とは言えないと思います。これは議員に対する人権侵害だと思います。そのことを一つ申し上げておきます。
 私は、今日はたった十三分という時間です。十分でしたが、三分かち取りました。毎回こうやってかち取らなきゃいけないというのも屈辱的です。このことも考えてください。
 小泉さんは、ちょっと過去をほじくり出すようで申し訳ないんですけれども、前に涙は女の武器という発言をなさいました。それに関してはいろいろ言われましたけれども、時間がたちましたので、もう一度そのことに関してどのような反省をしていらっしゃるか、ちょっと御意見をお聞かせください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) よく昔から言われている言葉を総理が発言すると大分世間に波紋を広げるなと。やはり発言というのは慎重にしなきゃいかぬなと思っております。
○田嶋陽子君 やっぱり総理は一歩時代を先んじてほしいと思います。歌舞伎も結構です、女の涙は武器もいいんですけれども、この女の涙が武器というのは、その実態は何だと思われますか。何を意味した言葉だと思われますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 最近は女性は強くなりましたけれどもね。スポーツにおいても、マラソンにおいて、柔道においてもむしろ男性より女性の方が活躍しているということですが、そういう言葉が出てきた当時は、女性はか弱きものという見方があったと思います。だから、男みたいに体力とか暴力なんというのは女性はない、行使できないと。そういう中で、弱いものとして表現したのが、そういう涙は女性の武器なんだという私は表現になったものだと理解しております。それは、いろんな小説見ても、いろんな方が意見見ても、そう言っていることをつい私は頭にあったものですから、つい口にすると、やっぱり小説家とか大臣でない方が言うのと総理大臣が言うのとは受け取られ方が違うんだなということを身をもって実感、自戒いたしました。
○田嶋陽子君 反省してほしいです。
 これは、女性は無力で能力も財力も何もないという意味です。涙を流すことで初めて男の人を動かすことができるという、これは女性は非力でばかで悲しいという、そういうことですから、やっぱり田中さんを相手にそれを言ってはいけなかったことだと思います。大変な侮辱発言だということをもう一度反省していただきたいと思うんですね。
 もう一つお伺いします。
 総理は少子化対策で頭を悩ましていらっしゃるかもしれないんですが、なぜ少子化対策は進まないとお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは私も厚生大臣当時からいろいろ識者の意見を聞きながら自分でも考えたんですけれども、一様じゃないですね、この少子化の問題は。
 特に最近は、女性が男性と同じように社会に進出してきております。女性の仕事は家事、育児という概念とは全く違って、男も女も家事も育児も仕事も分かち合うんだというのが今や当然の観念になってきましたから。そうなると、男としても、昔は、子供ができれば子供の面倒見るのは女房だよとか妻だよとか言って男は仕事へ出ていっちゃうと。ところが、最近、家事、育児だけじゃなくて仕事も女性はするようになった。女性にもう過重な負担が出てくるわけですよ。それを思うと、女性として子供を持つというのは負担と思っちゃう。これはいけないと。子供を持つのは喜びだと思うような環境を作るのが大事じゃないかと。そういう点からこの少子化問題というものも考えていかなきゃならないと私は思っております。
○田嶋陽子君 驚きました。すばらしくいい答弁をしてくださったと思います。そこまで理解してくださったらあと一歩だと思うんですが、そのあと一歩がなぜできないかというと、私は、やっぱりリーダーシップ取っていらっしゃる総理に問題があるように思うんですね。
 なぜかというと、本当にあと一歩なんですけれども、やっぱり総理は、うっかり涙は女の武器だと言ってしまう、どの男性も持っていらっしゃる女性は自分より下だという差別意識ですね。でも、一方で総理は、女性の大臣を五人もお作りになりました。これは歴史に残る快挙だと思うんですね。男の人の中にあるこの乖離、この溝ですね、これが私は少子化対策を進ませていない一つの原因だと思うんですね。
 それというのは、少子化対策というのは、今も総理もおっしゃったように、男は外に女は内にという性別役割分担を解消しなきゃいけないわけで、性別役割分担の抜本にあるのは女性差別なんですね。
 女性差別って何かというと、フランスのフェミニストはこう言いました。女は最後の植民地であると。最後の植民地ということは、もうマカオも香港も植民地ではなくなりました。これは、国の関係では植民地はないわけですが、男と女の関係で言うと、女は男の植民地なんですね。これは如実に、そういうふうに皆さんもよくお分かりになると思います。胸に来ると思うんですが。
 なぜ女が植民地化されたかというと、女は子供が産めたから。男は自分が産めない、子宮が欲しかったんですね。政治の一番最初は、男が女をどう支配するかということが政治の一番最初だったと言われています。この政治は今もって続いていまして、ちょうど黒人たちは綿摘みの労働力のために奴隷化されたのと同じように、女の人は子産みができるから、その子宮管理のために、奴隷という言葉はもうないですけれども、それでも奴隷化されてしまった。
 奴隷というのは主権が持てない人たちのことですよね。労働力、資源を搾取されて、そして現に今、日本の主婦たちは大変元気で、そして皆さん大事になさっているようですが、あれはペットを大事にするのと同じで、やはり女性の労働力は、家事労働としては、経済企画庁でも出したように月二十三万円に相当する労働力が毎日毎日搾取されています。それは国連統計で見ると、やっぱり女の人の財産は、男が一〇〇なら女は一という。日本は夫婦別産制なんですけれども、この性別役割分業があるせいで女性は自分の財産ができない。それでも、均等法作っていただいたおかげで、女性が、今、総理がおっしゃったように働けるようになりましたから、女性たちはやっと自分のものを、お金を手に入れるようになったわけですね。
 でも、結婚制度というのは差別の制度化であって、植民地の制度化というふうに考えてくださるとよく分かると思います。すなわち、結婚というのは、女は結婚すれば幸せだとみんなうそで言いくるめて女を不払労働に追い込んで、そして国が子宮を管理しているわけ。
 今もって厚生労働省は女の子宮管理していますね。そうでしょう。女の人は自分の体を自分で管理できないんです。なぜなら、バイアグラはたった半年で皆さん使い出したでしょう。女性の低用量ピルは十年掛かっても許可下りなかったんですね、十年。審議なんかしていないですね。女の子宮は女のものなのに女が管理できない。国が今もって管理しているということは、幾ら女が強くなったって、元気になったって、肝心の女の体を女が管理していない。これはまだ女の人が植民地化されている、そういう状況なんですよね。
 ですから、女性が子宮を管理する最たる場所が家庭、結婚制度なわけです。今、女性が結婚しなくなりました。子供も産まなくなりました。なぜかというと、結婚制度の中身が男と女の上下関係で、今もって、皆さんも自分の妻さんに皆さんのことを主人なんて呼ばせていませんか。主人と呼んだら、呼んでいる人は奴隷か下女か下男か何かなんですよね。召使なんですよね。それって身分制度ですよね。でも、戦後、身分制度はなくなったはずなんですが、結婚制度の中だけではその身分制度が生きている。皆さんが幾ら奥様を大事になさったって、制度そのものが結局女性を差別するような形でできている。だから、結婚した女性は名なし家なし子なしになります。
 名なしというのは、今もって夫婦別姓通りません、自民党が反対しています。この夫婦別姓は、名なしというのは、昔の朝鮮でいったら、植民地化されたところでは創氏改名といって、国民は全部名前を変えなきゃいけなかったですね。植民地化された女性たちは結婚したらほとんどの人が名前変えます、九十何%。ですから、女たちは結婚制度の中の植民地制を排除したくて夫婦別姓を訴えているわけですよね。小泉さん、ですから夫婦別姓はどうしても、しかもこちらは妥協して選択的まで言っているんですから、通してほしい。
 それから、名なし家なし子なし、子供は産んでいるんですが、その子供は結局だれか知らない男の名字が付いちゃうわけですね。自分の子供だって女は威張っていますが、全部それは家父長制ですから、男の名前が付いていく。
 それから、名なし家なし子なし、家なしというのは、朝昼晩掃除させてもらっている家だって、掃除させてもらったからといって女の人がそれで給料もらっているわけじゃないですね。人を雇えばそれは払わなきゃいけないけれども、妻という名になればただ働きさせられている。そして、女の人はお金がないから自分の家も買えないから、家の名義は全部男性ですね、ほとんどが。今働き出した女性たちは自分名義の家も持つようになりましたけれども。
 すなわち、結婚制度というのは本当に言ってしまうと植民地の制度化であって、女性はそこでは今もって、へそくりは別にして、名なし家なし子なしだというこの状況をやっぱり小泉さんに見てほしい。だから、結婚は女の幸せだなんというそういううそっぱちはもう言わないで、結婚制度を残しておきたかったら、その中で結婚制度の中の民主化を図る。そのためには、今税制度改革やりますが、これから政府やってくださいますよね、ですけれども、そのときに配偶者控除と配偶者特別控除をなくしてほしい。
 なぜこれをなくすかというと、女の人も反対しています。なぜかというと、それに慣れているからですね。でも、この配偶者控除と配偶者特別控除が女性が自由に働くことを抑圧しているんですね。働けないようにしている。ちょっと踏み出すと、女性が税金を払わなきゃいけなくなるとか、会社での配偶者手当をなくすとか、そういうシステムができ上がっているんですね。女性はやっぱり自分のパンは自分で稼ぐような状況を国が作ってほしい。
 私は、小泉さんの構造改革をずっと支援してきました。私はこの構造改革大事だと思ってきたんです。近ごろ疑問があります。大いに疑問がありますから、道路公団も反対です、民営化反対の立場になっちゃいました、考えていったら。
 ですけれども、この構造改革、すなわち戦後処理とも私は呼んでいますが、そのシステム改革プラス男の人と女の人の関係構造を改革しないと、私は小泉さんがこれから幾ら頑張っても社会は良くならないような気がするんですね。そして、女の人と子供の人たち、立場の弱い人たちが幸せにならないと、この国はやっぱり戦争からも足を洗えないというふうに思っているわけですね。
 そして、この夫婦別姓もそうですが、あと、百三十万円の壁というのがあります。これは女性が自分で年金と健康保険の掛金を払わなくても生きていけるシステムなんですね、結婚した女性は。だから、女性は百三十万円以上働かないようにしているから女性が自立できない。やっぱり夫に頼ってしまう。そしてこの百三十万円。その健康保険の掛金と年金の掛金はだれが払うかといったら、国民全体で、働いている私たちと学生たちや母子家庭のお母さんたちが専業主婦の人たちのそういう保険金掛金と年金の掛金をみんなで払ってあげて専業主婦の人たちを養っているんですね。
 専業主婦の人たちはシステムの中に入っちゃったから、個人の専業主婦が悪いわけじゃありません。これは国のシステムが女性を、男の人に働かせて、その働く男をサポートするシステムを戦後がっちり作ってきた。それが専業主婦システムであって、ここを今、小泉さんは構造改革なさるんなら、税制度の改革、年金二〇〇四年の改革のときに、このことを絶対に忘れないで女性を自立するように持っていってほしいんですね。
 これがない限り、例えば十七歳の少年の殺人もなくなりません。私は学者ですから、そういうことを調べました。
○委員長(佐藤泰介君) 田嶋委員、そろそろ時間です。
○田嶋陽子君 必ず、十七歳の少年の殺人は幾ら法律作っても駄目です。必ず、よみがえっていくと、その家庭の中のお父さんとお母さんの関係が悪いところで発生しています。これは児童虐待もそうですね。いろんな要素はありますが……
○委員長(佐藤泰介君) 田嶋委員、済みません、ちょっと時間オーバーしておりますので、おまとめください。
○田嶋陽子君 そうですか。それでは、パートワン、途中ですが終わりますけれども、福田官房長官、非核原則見直しの問題は、やっぱりこれは私は恥ずかしいです。これは謝罪してほしいです。よろしくお願いします。
○委員長(佐藤泰介君) 答弁されますか。
 それでは、福田国務大臣、答弁をお願いして、次へ移りたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(福田康夫君) 私の発言の趣旨がどうも私の考えていないようなところで報道されているということで極めて残念でございまして、私は、何度か申し上げておりますけれども、国の安全保障の在り方につきましてはそれぞれの時代状況、国際情勢などを踏まえた国民的な議論があり得ることを述べたので、何も政府がこの政策を変更するとかいうようなことは一切言っておりません。
 そういうことでございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。
 福田官房長官にお尋ねします。
 自衛隊が原子力潜水艦を保有することは、法理論上可能でしょうか。
○政府特別補佐人(津野修君) お答えいたします。
 原子力基本法の第二条におきましては、我が国における原子力の利用は平和の目的に限られる旨を明らかにしているところでありますから、原子力を殺傷力又は破壊力として用いることは同法の認めないところであり、同法は核兵器の保有を禁じていると解されてきているところでございます。すなわち、その核兵器の保有が原子力基本法に違反するものであることは言うまでもございませんし、我が国が核兵器を保有することは法律上許されていないところでございます。
 ところで、原子力を自衛艦の推進力として用いることの可否でございますけれども、これは、原子力を自衛艦の推進力として用いることも、船舶の推進力としての原子力の利用が一般化していない現状においては同法の認めるところではないというふうに考えているところでございます。
○黒岩宇洋君 ありがとうございます。
 今はっきりと、原子力基本法上、法律上、核兵器を保有できないというお言葉をいただきました。
 そうしますと官房長官、官房長官がおっしゃられた核兵器を法理論上保有できるというこの認識は誤りではないでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 私もあのとき、記者会見で質問があったんですよ。とっさの質問でございましたので、正確な言葉を選ぶ、そういう何というんですか、余裕がなかったといえばそのとおりでございまして、その法理論というのは、要するに憲法のことを指してそのように申し述べたということでございます。
○黒岩宇洋君 そうしますと、この原子力基本法では、原子力の利用目的というのは平和に限るんだと、こう明言されています。この規定は、我が国が原子力を利用する場合、平和利用だと、それに限定することを示したものです。官房長官の発言は原子力の軍事目的利用を認めるものになったわけですが、今の我が国の原子力政策、大変この根幹を揺るがす発言であったと、そう私は考えております。
 ただでさえ原子力エネルギー政策を国民に理解してもらうのに困難が伴っているわけです。これが長官のような発言をされればより一層困難なものになります。この点での御自分の発言についての責任についてどうお考えか、お聞かせください。
○国務大臣(福田康夫君) 我が国が自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持するということは、憲法九条二項によって禁止はされていないし、したがって、そのような限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは憲法の禁ずるところではないという解釈、これは政府は従来取ってきておるわけであります。
 しかし、以上の憲法解釈とは別に、政府としては、唯一の被爆国としての立場からも、政策として非核三原則を堅持しております。これは、我が国が主体的な意思に基づいて我が国においては核兵器の存在を許さないということを内容とするものでございます。したがいまして、一切の核兵器を保有しないことはもとより、核兵器を作らず、持ち込ませずという原則については、これは内外に言明して堅持をしているところでございます。
○黒岩宇洋君 現在は我が国で日韓ワールドカップが開催中でございます。そして今年は日中国交回復三十周年。しかも今、インド、パキスタン間で本当に緊張が大変高まっている。このタイミングでの長官の発言。その発言の真意はともかくとして、結果として、我が国の新聞の紙面もこれだけたくさん割かれているわけです。今、大変重要法案等いろいろと国民は知りたいにもかかわらず、結果としてはこのような形で我が国民又は近隣諸国の国民の方々に迷惑を掛けたと。
 結果として迷惑を掛けたことについて、政治家として、長官、どうお考えになっておられるか、お聞かせください。
○国務大臣(福田康夫君) 誠に私の真意でないところで報道が私は独り歩きをしているというように思っております。このようなことは極めて残念でございます。しかし、その結果、いろいろなことでお騒がせをしているということについては、これも誠に残念でございます。
 極めて言葉を選ばなければいけないかもしれないけれども、しかし、質問が出たから答えたということでありますので、そのことはやっぱり御理解いただけるのではないかなと、こういうように思っております。
○黒岩宇洋君 結果、報道の責任であるとか、そういうことも含めて、御自分には責任はないと今お聞きしました。
 それでは、替わって総理に、道路公団についての質問に移らさせていただきます。
 実は私は、せんだって新潟で行われました補欠選挙で当選させていただきました。総理も四月二十日、田中眞紀子前外相のおひざ元長岡に入られまして、自民党総裁として陣頭指揮を取った選挙でございました。しかし結果、自民党王国であるあの新潟で、私は二十万票の大差をもって勝たさせていただきました。
 これはやはり、県民のみならず、国民の首相に対する改革への期待がもはや薄れた、ないしはなくなったことの現れだと思います。我々新潟県民の期待を一身に背負って外務省改革そして行政改革に取り組んでいました田中眞紀子前外相の首をはねたわけですから、やはり改革に対する期待がしぼんだのも致し方ないと私は考えております。
 しかし、そうはいっても、小泉総理は総理でございます。これからの改革への期待を込めまして質問をさせていただきます。
 今回の道路公団改革は、戦後の電力改革や国鉄改革に引けを取らない行政改革でございます。国民的な関心も大変高いわけです。行政手続にのっとった情報公開請求にこたえるのではなく、委員会自らが国民に対して情報をオープンにしていくのが、これが総理の当初からの信条、そして最大のアピールであると私は考えております。
 しかし、国交省の幹部が委員会の情報公開を渋っているというようなことが様々なところで私の耳にも入ってきます。まさか総理はそんなことをさせないと私は信じております。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国民の幅広い議論を促すためにも、私は、政府関係機関それぞれの場で情報をいかに開示していくか、また透明性を確保していくかということは、近時ますます重要になってきていると思います。
 今回新たにこの委員会が設置されれば、そういう点も踏まえながら、いかに会議の状況を国民に理解してもらうか、また知ってもらうか、そして多くの国民の関心の下にあるべき民営化の姿を示していくかということが重要でありますので、私は、新しい委員会の運営もそのような観点から情報の開示、透明性が図られるということを期待しております。
○黒岩宇洋君 これから新会社はとにかく、首相も上場を目指すと言っている限り、市場から評価されなければいけません。民間会社に移行してから、さあこれから民間会社のスタートですと言っては遅過ぎます。市場も評価しないと私は考えます。民営化は既に決まっているわけですから、今回の委員会、第三者機関の議論と並行して日本道路公団自体に民間経営のマネジメントを反映させる具体的な方策をお聞かせください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 民営化委員会ができたとしても、直ちに民営化に移行できる状態になるとは思えません。当然ある期間が必要であります。
 その間、公団としていかに効率的な効果的な運営がなされるかという点が大事でありますので、その公団から民営化に移行する期間においても民営化の視点からいろいろな今までの在り方が見直されなきゃならないと思っておりますので、その点はよく現在の公団の責任者におきましても認識してもらいたいし、また民営化に円滑に移行できるため、公団自身の取組もより効果的、効率的になされるべきだということを私は認識しております。
○黒岩宇洋君 そうしますと、実はここに一冊の本がございます。これは「電力会社を九つに割った男」という浅川博忠さんの書かれた本なんですが、ここに総理がまだ総理になる前に解説を加えていらっしゃいます。この本は、戦後の電力民営化に際して上下分離に反対した電力の鬼、松永安左エ門氏の功績が書かれています。ちょっと朗読しますが、その中で総理は、「既存組織や既得権が強固に構築されてしまうと、そこに風穴をあけて変革へと導いていくのは、けっして容易なことではないし、既得権を持つ者から強い反発や抵抗が生じてくるのも紛れもない事実である。「良薬は口に苦し」といわれるが、松永翁も福田先生」、これは福田赳夫元総理ですが、「福田先生も、そして私にもこの語を信じ、これに徹しながら、自分に課せられた職務を遂行していこうとする気持ちが強く存在している。」と、こうおっしゃっていらっしゃいます。
 最後にお聞きします。これと同様に改革の強いお気持ちが総理にあるのかどうか、改革に向けた不退転の決意をお聞かせください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日本は、戦後荒廃した状況から戦争に敗れてどうやって再建しようかという点にとっては、むしろ奇跡の繁栄と世界から言われているように、成功した国と言っても過言ではないと思います。言わば、今までの行き方というのは成功例なんですね、今までの組織、制度。今回、この成功していたものが新しい時代に合わなくなってきたんじゃないかということで改革をしなきゃならない。当然、今まで努力してかち得た制度なり組織なりを維持していきたいという勢力がたくさんいます。せっかく我々が努力して、汗を流してかち得た既得権じゃないかと、これを手放したくないと、今のままが一番いいんだと思う人が成功したがゆえに多いということは事実であります。それを今回、そういう既得権を打破して、新しい時代により生き抜いていけることができるような改革をしていかなきゃならないというだけに、私は困難を承知しておりますし、そういう既得権を手放したくないという方々にも新しい時代に適応する必要性を持ってもらいながら、できるだけの方に賛成していただく努力も必要だと思っています。
 非常に困難な道でありますが、私は総裁候補、そして総裁に就任し、総理大臣に就任して、今日この改革の必要性を訴えているわけでありますが、就任当初からその決意、路線は全く変わりないということを御理解いただき、これからもこの構造改革路線を一直線に進んでいきたいと思っております。
○黒岩宇洋君 ありがとうございます。
 結局、今回の道路公団改革が骨抜きになったり、そして将来に国民に大きな負担がツケとして回らないように、今、総理が手ぶり身ぶりをはつらつとされておられましたように、元気よく改革に尽力していただくことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(佐藤泰介君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。御苦労さまでした。
 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
○委員長(佐藤泰介君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(佐藤泰介君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○川橋幸子君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となっております道路関係四公団民営化推進委員会設置法案につきまして、反対の立場から討論を行います。
 民主党・新緑風会は、結党以来、常に市民が主役となる参加型の政治を考え、道路関係四公団を始めとする特殊法人等の改革についても、市民参加の政治を実現したいという願いから政府に提言してまいりました。
 しかし、小泉総理が就任以来唱え続けてきた聖域なき構造改革は、当初の掛け声とは裏腹に、与党、官僚の抵抗に遭い、また自らの識見の乏しさを露呈し、小泉改革の命運はもはや腰砕けに、空洞化に終わることになったと言わざるを得ません。そして、特殊法人等改革におきまして、先行七法人改革として鳴り物入りで始まった道路関係四公団の民営化も、この法案によって、結論は民営化推進委員会に丸投げされ、先送りとなってしまいました。改革が遅れるほど国費はかさみ、国民の負担は増すばかりか、改革の先にあるべきビジョン、構想が失われ、先の見えない袋小路に入ってしまいます。
 以下、反対の主な理由を申し上げます。
 反対の第一の理由は、法案に道路関係四公団の改革の理念や目的が明示されていないことであります。
 そもそも、道路という重要な社会インフラ、生活インフラをどのように整備していくのか、その負担をどのように求めていくのか、またその前提として国の役割としては道路あるいは高速道路にどうかかわり、地方自治体、民間と協力して目的を達成していくのかという明確な政策意思が必要と考えます。しかし、この法案を見ても、また衆参の委員会審議を通じても、こうした政策意思は明確に示されませんでした。そして、あいまいなままに現在の道路関係四公団に代わる新しい組織の在り方等がまるで看板掛け替えのごとくすべて民営化推進委員会に丸投げされています。このような理念なき改革の先行きは誠に憂慮せざるを得ないものがあります。
 反対の第二の理由は、現在の国の道路整備について政策決定システムを改革することが明示されていないことあります。
 民営化推進委員会が議論するのは新しい組織の形態と採算性の基準づくりだけで、高速自動車国道の整備計画、個別路線の選定等は国幹会議が依然行うこととなっており、これまでの国の財政を無視し将来の負債を増大させてきた現行システムを何ら変えるものではありません。これでは不採算の道路建設に歯止めが掛かるはずもなく、道路関係四公団民営化の出発点である政府の巨額な不良債権の処理に資するものとはなり得ません。民主党・新緑風会が建設中の高速道路の凍結と道路整備のメカニズムの見直しを強く求めたのはこの理由からであります。
 反対の第三の理由は、本四公団の四兆円近い債務の償還について国の責任の取り方が何ら明らかにされなかったことであります。
 本四公団の債務超過問題については、政治家の責任あるいは政府の責任という言葉が扇国土交通大臣、石原行革担当大臣の口から発せられました。しかし、その政治、政府の責任の取り方、謝罪の言葉が何ら国民に示されないままです。しかも、本四公団の債務償還の方法については民営化推進委員会任せである上に、道路料金の活用が計画上明示されており、最終的には有料道路のユーザーである国民に債務は転嫁されるにすぎません。国民に安易にツケ回ししようという姿勢を見せながら、政治家の責任、政府の責任という言葉だけが発せられる。こうして国民の政治不信がまた増幅されるのかと思うと、日本の将来にまるで希望が持てなくなるものです。
 以上、本法案に対する反対の理由を申し述べましたが、仮に本法案が成立した場合は、民営化推進委員の人選は利害関係者を排除し、一部の抵抗勢力や官僚の意のままになる人物を万が一にも選ぶことのないよう的確に行うとともに、本委員会での私どもの議論が民営化推進委員会に十二分に反映されることを要望いたしまして、私の反対討論を終わります。
 以上です。
○斉藤滋宣君 自由民主党の斉藤滋宣でございます。
 私は、自由民主党・保守党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について、賛成の立場から討論を行うものであります。
 これまで日本道路公団を始めとする道路関係四公団は、我が国の自動車交通需要の増大に対応し、有料道路制度を活用し、高速道路ネットワークの整備に大きな役割を果たしてきたことは論をまたないところであります。しかしながら、今後高速道路建設にとりまして採算性の確保が大きな課題となっております。
 このような状況認識の下、道路関係四公団については民営化の推進によってコスト意識の徹底が図られ採算性を重視した事業経営が行われるなどのメリットが生じると考えられることから、昨年十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画においては、新たな組織は民営化を前提とする、国費を投入しないなどの基本方針の下、その具体的内容について第三者機関において検討することとされたところであります。本法律案は、その第三者機関として四公団に代わる新たな組織及びその採算性の確保について検討する道路関係四公団民営化推進委員会を設置するためのものであり、その成立を強く望むものであります。
 一方、道路関係四公団の民営化については、地方からの不安の声が上がっているのも事実であります。法案審議を通じて、広く様々な御意見を伺っていくことは重要であり地域の関係者のヒアリングなども考えられるとの御答弁もいただいているところでありますが、本法律案が成立した後、実際の民営化推進委員会の審議に当たっては地方の声が反映されるような工夫を是非ともお願いしたいと思います。
 最後に、小泉総理によって選任された優れた識見を有する方々の英知を結集することにより、四公団の民営化によって得られる様々なメリットを国民一人一人が享受できるような、そして活力ある地域社会の形成に不可欠な高速道路が今後よりよい形で整備されるような改革の具体化が図られることを強く期待いたしまして、私の討論を終わります。
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に対する反対討論を行います。
 第一の反対の理由は、この法案には採算性もない無駄な高速道路造りをやめさせる保証がないことです。債務の償還期限を五十年とし、必要性もはっきりしない高速道路を造り続けていく仕組みを作ったということです。
 我が党の追及によって、第二東名・名神高速道路は十一兆円という巨額の建設費が掛かり、単独では料金収入で利払いもできないことを政府は認めました。第三者委員会では、道路公団の償還計画に決定的な影響を与える個別路線の見直しの検討を行う権限はありません。無駄な道路建設をやめさせる保証がないわけです。高速道路建設をいったん凍結してその必要性について抜本的に見直す仕組みをこそ作るべきです。
 第二は、政府の道路四公団の民営化は、無計画に三本の橋を架け破綻している本四公団など、三十八兆円という巨額の債務を作り出した責任は不問にしたまま国民に負担をさせようとしていることです。これは政府・自民党が進めてきた無駄な道路建設の借金を国民にツケ回しをするための民営化であるからです。
 第三は、民営化推進委員会は、破綻が明らかな従来の道路建設の計画を見直すものではないことです。東京湾アクアラインは、過大な交通量予測に基づく採算見通しによって建設が行われ、当初の建設費は一・四倍に膨らみ、交通量は三分の一しかなく、料金収入では利払いもできない状況に追い込まれています。それにもかかわらず、アクアラインの外側にもう一本長大橋を架ける東京湾口道路を計画しています。こういう無駄な海峡横断道路プロジェクトは直ちに凍結、見直し、中止すべきそういうシステムを作るべきです。
 第四は、政官業の癒着と利権構造に抜本的メスを入れていないことです。公共事業受注企業からの自民党への献金は莫大なものです。我が党は当委員会で東京湾アクアライン、第二東名・名神の工事受注企業からの自民党への献金の実態を明らかにし、公共事業受注企業からの政治献金禁止を強く求めてきました。しかし、明確に禁止するという答弁はありませんでした。これでは公共事業をめぐる政官業の癒着を断ち切ることができません。公共事業受注企業からの献金禁止こそ、無駄な公共事業をなくす一つの保障です。
 以上を申し上げて、反対討論を終わります。
○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。
 私は、社民党・護憲連合を代表して、ただいま議題になりました政府提出の道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に反対の立場から討論を行います。
 私は、三回の質疑を通じて、問題は道路公団にではなくて道路公団を監督する官庁のリーダーシップの発揮の仕方にあった、その根っこがあったのだと感じています。この道路公団と国土交通省との関係は昔ながらの封建的な親子関係と同様です。国土交通省は道路公団を手足のごとく扱ってきたと思います。これまでの道路公団に関する報道の数々は、道路公団が勝手に無駄な道路を造りファミリー企業との癒着を広げてきたかのような印象を受けましたが、そういう部分もあるんでしょうが、今回の質疑を通じて、道路公団にだけ責任があったわけではないということがよく分かりました。道路公団の監督官庁である国土交通省こそが、キャリア官僚の天下りを通して特殊法人を縛るというシステムを作ってきたんだと思います。
 私は、道路公団の藤井総裁に、今の組織形態でも採算性を確保した運営ができるのかということについて、様々な角度からお尋ねしました。藤井総裁は、特殊法人のままでも変わることができるという、実例を挙げていろいろお話しになりました。その中で私が注目したのは、昨年春からの民営化の議論が職員の一番の意識改革になっているという発言です。つまり、民営化することが閣議決定された時点で、道路公団にはキャリア官僚の天下りが打ち止めになることが明らかになりました。国土交通省が手を放し始めた途端、自主的に運営できるようになったわけです。これまで監督官庁の手足だった藤井総裁は、自分の頭が使えることが分かって、もりもり元気になってきて、自主的な改革を進めているというわけです。
 この質疑を通じて明らかになったのは、国土交通省から道路公団へ、道路公団からファミリー企業へという天下りの重層システムを解体すれば、そしてまた、特殊法人の自主的な運営権を広げれば、このような手間暇掛けて仰々しく民営化する必要はなかったのかもしれないということです。
 事の本質は、政治家、官僚、財界人が特殊法人にアリのように群がって、利権や権益という甘いみつ、すなわち税金を食らい尽くしてきたという実態です。そして、すべての責任を特殊法人とそこで働く人や利用者、国民に押し付けようとしていることであります。私は、大胆なメスを入れなければいけないのは、政官業の癒着と自民党の道路族議員、それから特権的な権力を持った官僚の支配構造、そして天下りや子会社、ファミリー企業の問題だと考えます。政治改革です、大事なことは。
 そして、今回の特殊法人改革は、この最も変えなければならない部分に手を付けていません。民営化すればすべて変えられるかのごとき幻想を抱かせたこの法案には意味が見いだせません。ですから、私は反対であるということを申し上げて、討論を終えます。
○委員長(佐藤泰介君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤泰介君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、石原国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石原国務大臣。
○国務大臣(石原伸晃君) 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。
 ここに、委員長始め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつとさせていただきます。
 どうも皆様ありがとうございました。
○委員長(佐藤泰介君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会