第154回国会 経済産業委員会 第7号
平成十四年四月四日(木曜日)
   午前十時十五分開会
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   委員の異動
 四月二日
    辞任         補欠選任   
     本田 良一君     輿石  東君
     宮本 岳志君     西山登紀子君
 四月三日
    辞任         補欠選任   
     輿石  東君     本田 良一君
     西山登紀子君     林  紀子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         保坂 三蔵君
    理 事
                魚住 汎英君
                松田 岩夫君
                山崎  力君
                平田 健二君
                本田 良一君
    委 員
                大島 慶久君
                加藤 紀文君
                倉田 寛之君
                小林  温君
                近藤  剛君
                関谷 勝嗣君
                直嶋 正行君
                藤原 正司君
                簗瀬  進君
                若林 秀樹君
                荒木 清寛君
                松 あきら君
                緒方 靖夫君
                林  紀子君
                広野ただし君
   国務大臣
       経済産業大臣   平沼 赳夫君
   副大臣
       経済産業副大臣  古屋 圭司君
       経済産業副大臣  大島 慶久君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       加納 時男君
       経済産業大臣政
       務官       下地 幹郎君
       経済産業大臣政
       務官       松 あきら君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       司法制度改革推
       進本部事務局次
       長        大野恒太郎君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省民事局長  房村 精一君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
       文部科学省研究
       振興局長     遠藤 昭雄君
       文化庁長官官房
       審議官      丸山 剛司君
       厚生労働大臣官
       房審議官     鶴田 康則君
       農林水産大臣官
       房審議官     山野 昭二君
       特許庁長官    及川 耕造君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出)



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○委員長(保坂三蔵君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告を申し上げます。
 去る二日、本田良一君及び宮本岳志君が委員を辞任され、その補欠として輿石東君及び西山登紀子君が選任されました。
 また、昨日、輿石東君及び西山登紀子君が委員を辞任され、その補欠として本田良一君及び林紀子君が選任されました。
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○委員長(保坂三蔵君) 理事の補欠選任についてお諮りをいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例によりまして、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(保坂三蔵君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に本田良一君を指名をさせていただきます。
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○委員長(保坂三蔵君) 特許法等の一部を改正する法律案及び弁理士法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、司法制度改革推進本部事務局次長大野恒太郎君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局長房村精一君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、文部科学省研究振興局長遠藤昭雄君、文化庁長官官房審議官丸山剛司君、厚生労働大臣官房審議官鶴田康則君、農林水産大臣官房審議官山野昭二君及び特許庁長官及川耕造君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(保坂三蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定をさせていただきます。
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○委員長(保坂三蔵君) 特許法等の一部を改正する法律案及び弁理士法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○松田岩夫君 おはようございます。自由民主党の松田岩夫でございます。
 現在、経済が大変低迷いたしまして、日本の産業の国際競争力も低下してきていると、そういった中で、今日議論させていただきますこの知的財産というものをいかに創造し、それをいかにうまく活用していくかということが、日本の二十一世紀、これからの将来にとって極めて大事なことだと考えております。
 七〇年代後半以降、アメリカでは、先日も同僚の簗瀬議員からも御質疑がございましたけれども、米国で国際競争力が低下していく中で、その競争力の再生のために様々な戦略が大統領自らの主導によりまして作られてまいりました。中でも知的財産の創造、活用というのは特に重要だということで、行政、司法、それぞれにおける抜本的な改革を内容とするいわゆるプロパテント政策と呼ばれる知的財産戦略が実施されてまいりました。特に、八五年に策定されたヤング・レポートというのが有名でございますが、八〇年代のカーター、レーガン両政権の時代になされたバイ・ドール法の制定、連邦巡回控訴裁判所の設立、あるいはまたアメリカ並みの強力な外交通商戦略、知的財産を守るための外交通商戦略の強力な実施といったようなことが今日の知的財産に支えられた米国経済を作り上げ、九〇年代から今日に至るアメリカの高い経済成長と強い産業競争力の背景となっているのではないかというふうに思います。
 日本におきましても、バブル崩壊後のこの経済停滞が続く中で、数年前から特許法の改正、日本版バイ・ドール法の制定、著作権法の改正等、着実に進められてきていると思います。こうした政府の取組、それなりに大いに高く評価したいと存じます。
 しかしながら、知的財産を本当に豊かに創造し、それを思い切って活用してこの経済社会全体の向上につなげていくというためには、正にすべての国民が知的財産の重要性を認識し、あらゆる分野の人々が総合的に行動しない限り、本当の意味の大きな成果というものは生まれてこないと思うわけであります。
 大学は知的財産の源になるような大学に是非改革をしてほしい、教育は創造力にあふれた人材を育てるような教育に是非改めてほしい、企業は企業で知的財産で企業収益を上げるような企業戦略に改めてほしい、行政は行政で知的財産を支援する政策をもっと充実してほしい、司法は司法で知的財産訴訟の迅速化、裁判所の知的財産部門をもっと強化してほしい、外交は外交で日本の知的財産を守るために積極的な外交戦略を樹立してほしいと。こうした、まだまだあるのでございましょうが、あらゆる分野にわたって改革が総合的に進められることが大事だと思います。
 昨年以来、そういう目で見ますと、知的財産戦略についての認識の高まりを背景といたしまして、各省庁で審議会等も設けられ、活発な審議がなされ、またこの三月からは総理大臣主宰の知的財産戦略会議が発足しております。民間におきましても、幾つものフォーラムにおいて知的財産を柱にする我が国の経済活動を、柱にして経済活動を活性させていこうと幾つかの提言が既に始まっております。
 私は、そういう中で、政府が率先して官民挙げての、また省庁の枠を超えた総合的な国家戦略というものを総合的に早急に確立していただきたい。そういう意味で、特に経済改造、経済構造改革を推進し、また知的財産制度の整備の責任をお持ちの経済産業省、特許庁の役割と責任は極めて大きいと思うわけであります。
 そこで、まず大臣に最初にこの知的財産国家戦略にどのように取り組んでいかれるのか、基本的なお考えをお聞きしたいと存じます。
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。
 松田先生御指摘のように、我が国の経済というのは大変現在厳しい状況にございます。この経済を何よりも回復軌道に乗せまして、そしてかつてのような自信と誇りに満ちた経済社会を実現することが何よりも肝要なことだと、このように私、認識をしております。
 そのために、今非常に、御指摘をいただきましたけれども、経済産業省として率先して取り組まなければならない課題というのは、経済社会の活性化とそれから我が国の産業の競争力の強化、これに尽きると私どもは認識しております。
 私は、これらの課題の解決に向けて、今御指摘の知的財産戦略を重要な柱の一つとして位置付けているところでございます。ライフサイエンスでございますとか情報通信等の重点分野における戦略的な研究開発や、その成果の適切な知的財産化、それから大学発ベンチャーの創出といった研究開発成果の事業化の推進、そして我が国産業の海外における模倣品の問題がございますので、この問題への対処等が円滑に行われるためには、何にも増してこの知的財産権の保護、その政策が私どもは不可欠と考えております。
 そして、松田先生御指摘のように、米国は七〇年代、八〇年代、日本が独り勝ちというようなそういう世界情勢の中で、やはり大きな戦略を持って、御指摘のバイ・ドール法でございますとか、プロパテント政策でございますとか、あるいはヤング・レポート、こういった戦略的なことをこの知的財産のところに集中をいたしまして、その結果、九〇年代の大繁栄を迎えた、私はこう言っても過言ではないと思っています。
 我が経済産業省といたしましても、一九九〇年代後半以降、遅れた感もございますけれども、知的財産の保護を強化すべく、御指摘の特許法でございますとか弁理士法等の改正、こういった法制度をさしていただきました。法制度の整備をさしていただきました。そして、特許流通の促進、知的財産制度の国際調和に向けた先進国、途上国との協力、これは全世界の特許庁長官が集まってそういう場でも意思の疎通をして、そして諸施策をそこで講じていく、こういうこともさしていただいたわけです。そして、本日、当委員会で御審議いただく両法案も私どもはその一環であると、このように思わしていただいております。
 また、国といたしまして知的財産を戦略的に活用するためには、御指摘の行政だけでなくて新たな技術を創出する大学ですとか研究機関、知的財産制度を戦略的に活用する企業、こういった幅広い分野、そういった取組が私は必要だと、こう思っています。
 そういった認識の中で、これも御指摘いただきましたけれども、総理大臣の下で知的財産戦略会議が開催されることになりまして、私もそのメンバーにならしていただいております。そしてまた、その会議では、大学、企業、そういったところからの委員の参画もいただきまして、産業競争力の強化や経済活性化の観点から活発な議論を行いつつございます。そして、それを基に知的財産戦略大綱を取りまとめる、こういうことにいたしておりまして、私どもも本当に、御指摘をいただきましたその重要性とそして大きな問題性にかんがみ、全力を挙げてこの知的財産のために努力をさしていただきたいと、このように思っております。
○松田岩夫君 それでは、大臣の御認識を受けて、具体的に一、二、御質問させていただきますが、今お話しのように、競争力の強化あるいは経済活動の活性化を進めていく上で、この知的財産というのは非常な決め手になると。これを柱とした経済活性化を進めていこうというときに、何よりもまずその種となる技術、技術が創造されなければなりません。
 現在、政府では、世界最高水準の科学技術立国と、これを目指して五年間で二十四兆円の政府研究開発投資を行っていくこととしておられます。この二十四兆円の研究開発投資をどのように経済の活性化や産業競争力の強化につなげていくかが、私は二十一世紀の我が国経済の進路を決定付けるのではないか、そんなふうにも思うわけであります。これを確実に実現するためのポイント、幾つかあると思うんですが、一つは大学等の頭脳の活用、産学連携の推進を徹底的に進めることではないか、こんなことを思うわけであります。
 そういう意味で、先行しておりますアメリカでは、一九七〇年代からTLO、技術移転機関の活動によりまして、ITやバイオ分野で大学の技術から多数のベンチャーや雇用が生まれてきたと言われておるわけであります。政府はこれをどのように認識しておられ、またどう評価しておられますか、このアメリカの実態を。
○副大臣(古屋圭司君) お答えをさせていただきます。
 アメリカは、委員御指摘のように、国の戦略としてその新しい分野に進出するためのいろいろな方策を考えました。今、大臣から答弁のあったとおりですけれども、その一つがやはりTLO、特にこのTLOはアメリカでも大変有効に機能しております。その結果、アメリカのTLO、百四十二機関あって累積で二千六百二十四社、会社創出をしておりますし、また経済波及効果は四百億ドル程度あるんではないかというふうに言われております。
 一方、日本は、最近増えてまいりましたけれどもまだ二十六機関でありまして、累積でも二百六十三社でございます。これを推進をしていくことがやはり新しい分野への進出をして技術革新、そしてひいては雇用の創出につながるというふうに私どもも考えておりまして、アメリカのそういった良い例がありますので、しっかりそれを参考にしながらやはり日本型のTLOの充実に努めてまいりたいと思っております。
 ちなみに、TLOを含めた大学発ベンチャー関連で、平成十三年度は三百二十三億でございますけれども、平成十四年度は四百七十七億、五〇%増で予算も計上させていただいておりますので、委員御指摘のように、極めて重要な課題であるという認識の下に推進をしていきたいと思っております。
○松田岩夫君 古屋副大臣御答弁のとおりで、日本でも、このアメリカの経験を学んで数年前から、特に経済産業省御尽力いただいて、技術移転促進法とか産業再生法、産業技術力強化法等いろいろ制定され、今、古屋副大臣おっしゃるとおり、この関連の予算も大幅に、元々小さいですから大幅に拡充されてきておると、そのことはそのとおりだと思います。そういったことによって大学や国立研究所からの技術移転や事業化を支援する政策もそれなりにできてきたと。しかし、その成果は、今おっしゃったとおり、まだ極めて残念ながら貧弱であると。
 そこで、文部科学省にもお尋ねしたいと思うわけでありますが、いまだに大学では特許より論文と、そういう古い考えが日本の場合非常に強い。特許は教授の業績としては余り評価されない、また特許出願のための予算といったようなものも誠に貧弱、こういう現状にあると言われております。
 また、研究の成果がビジネスに結び付いていくいわゆる強い特許にしていくためには、研究とビジネスの双方の専門家が十分なアドバイスをし、出願支援というものを行っていくことが必要だと思います。
 現在、この法人化に向けて大学改革が進行中であります。大変一生懸命やっておられることを高く評価しております。そういう中で、大学の特許制度に関する意識を大幅に改革するような政策とか、また大学からの特許をサポートするための専門家の育成といったような政策もどんどん進められようとしているのか、あるいは進んでいるのでしょうか。文部科学省にお尋ねいたします。
○政府参考人(遠藤昭雄君) お答えします。
 我が国におきます大学と企業の連携につきましては、大学が必ずしも積極的ではなかったということ、あるいは企業もいわゆる自前主義が主流だったこと等々によりまして、これまで必ずしも十分ではございませんでした。さらに、大学におきましては、特許出願の際の資金的、時間的負担が大きいとか、あるいは特許取得が研究業績として評価されにくいと、今御指摘の点、そういった実態がございました。したがって、教員に特許を取ろうという認識がこれまでは総じて低い状況にあったと言わざるを得ないと思います。ただ、ここ数年見ていますと、大学研究者の方々の意識が急速に変わってきていると私は感じております。
 そこで、文部科学省といたしましても、この意識改革を更に促進していこうということで、例えば十一年度から、大学教員の特許マインドを涵養するため知的所有権セミナーの開催というものを、例えば十三年度五か所やっております。それからさらに、平成十年度からは、科学研究費補助金、これの申請書に特許の取得について記載欄を設けまして評価の対象としようと。それから、文部科学省がこれから定めようとしております評価の部分にも、今言ったような研究に係る評価という部分に特許ということも考えて今作成中でございます。そういったことを進めております。
 さらに、先ほどお話出ましたけれども、TLOも経済産業省とともに協力しながら二十六、まだ数は十分でございませんが、承認をしておるという状況でございます。
 それから、専門的人材の育成確保でございます。いわゆる目利きの方、これの人材が大変不足しているというふうに思っております。そこで、例えば科学技術振興事業団におきましては、十三年度から産学連携コーディネーターの育成プログラムというものを現在開発中でございまして、これは十四年度から実施をしたいと思っております。
 それからもう一つは、十三年度補正予算におきまして、大学のシーズと民間のニーズを橋渡しをいたします産学連携コーディネーターというものを全国七十二大学に派遣しております。これは、企業経験者とか弁理士とか、中には大学の先生もいらっしゃいますが、そういったいろんな経験を経た人をコーディネーターとして七十二大学に派遣をして活躍をしていただこうと思っております。
 今後とも、関係省庁とも連携をしながらこれらの点について積極的に努めてまいりたいと、このように思っております。
○松田岩夫君 ここ数年、文部科学省におかれても非常に意識が変わってきている、今御答弁をお聞きしながら大変頑張っていただいていると思います。しかし、まだまだ前途遼遠と言うと言い過ぎですが頑張ってもらいたい。
 その関連でもう一点、今もちょっとお話出ましたけれども、最近、大学では若手の研究者を中心にベンチャー企業に積極的に参加していく関心というものが非常に高まっている。これを私も地元の大学でも感じますし、この研究開発の成果をビジネスに結び付けるためには、大学の研究者が企業との共同研究やベンチャー企業への経営参加をより積極的に行えるような措置と、この面でいろいろまだ制約があるという話も一方で聞くわけでありますが、こういった措置を今度のこの大学改革の中でも積極的に推し進めていっていただきたいと存じます。文部科学省、十分その点は踏まえて検討されておられるのでしょうか。
○政府参考人(遠藤昭雄君) お答えします。
 全体的な取組姿勢といたしましては、大学が消極的に主体性を持ってやるというのではなくて、積極的に主体性を持って自分たちから企業に向かっていこうというふうな姿勢で取り組めるような環境整備を私どもしていきたいというふうに総体的には考えております。
 それで、今御質問の、大学の研究成果を企業化いたしますには共同研究というのは大変有効な方法であると思っております。これを推進するために、産業界との連携拠点というものを国立大学に作りまして、共同研究センター、これを六十二大学に整備をいたしております。それからまた、十二年度には、多少細かくなりますが、複数年度にわたって共同研究契約を可能といたしました。さらには研究費の費目、これも幾つかに細分されてなかなか横の使い方ができないという問題がありましたので、これを区分を廃止しまして、計画の変更に柔軟に対応できるよう措置をいたしたところであります。その結果、共同研究の件数に関しましては、過去十年間で約五倍に増えてきておるところでございます。
 これらの取組を更に加速をしたいということで、十四年度では予算措置としてマッチングファンド制度を、予算にして二十八億円でございますが、これで創設をしたい。さらには、共同研究契約のモデルというものを従来出していたんですが、これは多少中身が古くて、守秘義務規定とか知的財産権の取扱いを明確に示すなど、企業のニーズに対応したものに最近改めて、各大学にお示しをしたところでございます。
 それからもう一つの、大学発ベンチャーの立ち上げや企業への経営参加、この点につきましても研究成果をビジネスにつなげる方法として有効な一つであると考えております。このため、最近では大学発ベンチャー、ここ三年で、アメリカと比べるとまだまだですが、三年間で百六十六社できておりまして、かなりな伸びを示しておりまして、これは更に継続されるだろうと思っております。
 そこで、それを更に加速するために、十三年度の補正予算で大学発ベンチャー企業の創出を目的としたインキュベーション施設というものを十三大学に整備をいたしました。十四年度予算では、大学発ベンチャー創出を促進する目的のためにお金の支給、提供とか、あるいは技術・経営面のサポートをしようと、そういう制度を作りました。それから制度面では、役員兼業許可の、時間が掛かりますので、それをもっと短くしようという迅速化、あるいは人文社会系のコンサルティング兼業の拡大もしようということを最近行ったところでございます。
 文部科学省といたしましては、大学の法人化を待つことなく、いろんな面で積極的に措置を講じていきたいということでやっているんですが、先月まとめられました新しい国立大学法人像、ここにおきましても教員等の身分の非公務員化ということを明示しておりますので、これによりまして産学官の連携活動が、自由度が更に効率性が格段に増していくだろうというふうに私どもも強く期待をいたしております。
○松田岩夫君 ありがとうございました。大いに頑張ってください。
 文部省への質問はここまででございますが、よろしかったらどうぞ。
 もう一つ、この研究開発投資というものを経済の活性化や競争力の強化に結び付けていくもう一つの大きなポイントというのは、やっぱりこの二十一世紀において最も有望な、最も大きな産業分野となるであろう、そういう分野に集中的に資源を投下していくことだと存じます。そういう意味で、今、情報通信、ライフサイエンス、ナノテク、環境と、この先端四分野に戦略的かつ集中的に取り組もうと、誠に結構なことだと存じます。
 そして、その際非常に重要なことは、これらの先端分野においては、正に研究開発戦略と今御議論しております知的財産戦略というものは表裏一体で進められなければならないということであります。
 そういう意味で、今回のこの特許法改正法案、特にコンピュータープログラムの保護等のIT化に着目した改正を行うということでございます。
 しかしながら、思えばこれ、コンピュータープログラムの保護を今どき行うとは一体これいかにと、恐らく初めて聞かれる方はそう思われると思うんです。今述べた表裏一体論からいったって、余りにも遅きに失しているのではないかというふうに思う方も、印象を持たれる方もあると思うんですが、一体我が国のコンピュータープログラムの特許保護というのは、米国や欧州に比べて後れていたのではありませんか。どうですか。
○政府参考人(及川耕造君) 御指摘のコンピュータープログラムの特許保護でございますけれども、アメリカは当初消極的でございましたが、八〇年代に入りまして徐々に保護が拡大されておりまして、米国の特許商標庁が審査基準においてコンピュータープログラムを記録した媒体の特許保護を明確にいたしましたのが一九九六年のことでございます。
 他方、実は欧州は、欧州特許条約におきましてコンピュータープログラムそのものを特許保護の対象外にいたしております。したがいまして、大変消極的な傾向があるわけでございますが、九八年、さすがに流れがございましょうか、欧州特許庁の審決を受けまして、二〇〇一年になりましてコンピュータープログラムの形での特許保護というものを明確にいたしたところでございます。
 他方、我が国におきましては、七五年以降からコンピュータープログラム関連発明の審査基準を随時改定してまいりまして、九七年四月からはコンピュータープログラムを記録した媒体につきまして、さらに昨年の一月からはコンピュータープログラムそれ自身につきましても特許請求を認めるという審査基準を明らかにいたしたところでございます。
 したがいまして、我が国はむしろこの分野で、一部かもしれませんが、先行的に取り組んできた点もございまして、現時点においては少なくとも欧米と遜色のない保護水準にあるのではないかと、かように考えているところでございます。
○松田岩夫君 そういうことだろうとは思いますけれども、実際上後れていなかったということだろうと思います。
 運用面では既にそれなりの対応をちゃんとしてきたと今御答弁ですが、それなら今回の特許法改正というのは、IT関連の特許保護強化のため、一体具体的にどのような意義があるのですか。
○政府参考人(及川耕造君) ただいま申し上げましたように、コンピュータープログラムの関連発明の特許保護という観点から、審査基準の改定につきましては、それを拡大する形でこれまで行ってきたのは御説明申し上げたところでございます。
 一方、こういう形で成立いたしました特許権の行使の段階におきましては、昭和三十四年に制定されました現行の特許法におきましては、いわゆる物、有体物の流通を念頭に置いて発明の実施行為等が規定をされているところでございます。
 この現行規定では、インターネットを通じましたプログラムの送信といった、いわゆるネットワーク上での流通行為が含まれるか否かというのについては御議論がございまして、必ずしも明確ではないということで、今回、そのプログラムの発明について特許を受けても確実な権利行使が困難であるということがないように、その実施の定義規定を見直すことによりましてインターネットを通じたプログラム等の提供についても特許法によります保護が及ぶということを明確にいたしたいということでございます。これによりまして、IT関連技術、特にプログラムの特許に関する権利の活用というものが更に確実になるのではないか、かように考えているところでございます。
 なお、欧米におきましては、コンピュータープログラムの特許保護というのは判例、運用によって認められてきておりまして、特許法上の明文の規定はございません。
 今回の改正は、コンピュータープログラムというものの特許保護を欧米に先駆けて法律上明確に規定したという点で、それなりの意義を有するものではないかと認識をいたしております。
○松田岩夫君 よく分かりました。ありがとうございました。
 さて、先ほど申しました先端四分野の中で、IT以外のバイオテクノロジーとかあるいは環境、ナノテクノロジーといったような、その他の先端分野に関連する特許保護の強化のためには、それでは一体どんなことをお考えになっておられるんですか。
○政府参考人(及川耕造君) 御指摘のとおり、先端分野の研究開発の促進に特許制度等を活用していただく、かつそれを適切に保護していく、知的財産権として保護していくということの重要性は、極めて大事なことだろうと思っております。
 そのうち、例えばライフサイエンスなどにつきましては、特許によります保護の対象といったものを明確化する、あるいは特許取得の予見性を高めるために審査基準等を明確化するといったことが重要だと思っておりまして、特許庁ではこれまで、例えば平成十一年十月には遺伝子の断片あるいは全長遺伝子等の発明の審査事例集等を公表いたしましたし、平成十二年六月にはたんぱく質を用いました医薬開発方法の発明についての審査事例集等を公表いたしたりいたしております。今後更に、ポストゲノム研究の成果の適切な保護のためにその審査事例集を整備したいというふうに思っているところでございます。
 また、大学、企業等が効果的、効率的な研究開発を促進いたして、その成果であります特許の出願というものを戦略的に行っていただくために、先端技術分野での技術動向というものを適切に把握していただく必要があろうかと思っております。要するに、重複して研究いたしますと無駄になります。したがいまして、御指摘のようなバイオ、環境、ナノといった先端技術分野につきましては、私どもの得ました特許情報を用いた技術動向調査というのを実施いたしまして、その結果を公表し、ホームページでありますとかセミナー等を通じて明らかにいたしているところでございます。
 今後とも、こうした努力を行いながら、大学、企業等が戦略的に特許を取得する環境の整備に努めてまいりたいと、かように考えております。
○松田岩夫君 分かりました。
 もう一つ、よく言われることですけれども、先端分野の発明を大いに進めていただく、そしてそれをいち早く権利化していただく、そしてそれをいち早く企業化していく、こういうことだと思うんです、経済の活性化につなげていくということは。そのためには、まず何よりも特許庁が早く特許の審査を行っていくことが必要であります。特許の審査期間というのは長い長いとずっと言われてきました。今どの程度、随分御努力いただいている、だんだん短くなってきていることはよく了解しておりますが、どの程度なんですか。
 それから、欧米と比較して今現状どうなんですか。遅いということはないんですか。
○政府参考人(及川耕造君) 先般の法改正によりまして、いわゆる審査請求期間を七年から三年にしていただいたところでございますが、その審査請求されてから最終的にどの程度の間で特許として最終的な結論が出るかというのを申し上げますと、我が国の審査期間は現在二十八か月でございます。他の欧米国と比べますと、米国が二十五か月、ドイツが三十二か月、欧州特許庁は長くて五十一か月というふうになっておりまして、審査件数が極めて各国の中で多い日本でございますので、それなりに効率的な審査を行っているのではないかというふうに思います。
 なお、我が国は、二〇〇〇年の七月に早期審査制度の抜本的な拡充を図っておりまして、特に早期の権利化ニーズの高い出願に対しましては、お申出があれば一年以内に一次審査を終了いたしたいと、平均的でございますが、決めて実施しているところでございます。
○松田岩夫君 今のお話ですと、日本はそんなに遅くない、御答弁ですね。しかし、多くの人はそうは言っていない。私の友人などは、日本企業が国際出願した場合に、アメリカ、ヨーロッパでまず特許が下りると、その後、日本で取得するというような話をする人がいますが、これは事実ではないと、こういうことですか。
○政府参考人(及川耕造君) 先ほど申し上げましたように制度の違いがございまして、つい一昨年までは、我が国は審査請求期間というものを七年間認めておりました。そういたしますと、実はかなりの出願者の方が出願をされてから七年目に審査請求をしてまいります。そうしますと、それから今申し上げたような二年近くの期間を掛けますと、確かに出願から九年ごろにようやく特許になるというような事態があったことは事実でございます。
 これは、いかにも技術進歩の速い時代にいかがなものかということもございまして、先般の法改正で三年にさせていただいております。大体ヨーロッパも似たような期間でございますので、それがあれかと思います。ただ、アメリカは、実は審査請求期間というのがございませんでして、出願即審査になります。したがいまして、確かにその出願からの期間を考えますと、アメリカは非常に早いと、かようなことになるのではないかと思います。
 ただ、審査請求というのは、それなりにその間に様々な実施の準備をいたしたりすることがございますので、私どもとしてはその審査請求期間を取るというのはそれなりの合理性のある制度ではないかと思っております。
○松田岩夫君 意見のあるところでございますが、いずれにしても、一刻も早く審査をしていただくということが大事であります。審査を更に早めるための努力、なお一層強く私としては要請しておきます。お答えがあれば。
○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、御指摘のように、特許出願についてはできる限り早く審査をして、そしてその審査の的確性を確保するとともに、特許行政の基本的使命、これをしっかり自覚してやっていかなきゃいかぬと思っています。
 先ほど特許庁長官の方から各国のいわゆる所要の年数、月日で御報告をさせていただきましたけれども、諸外国ともこれではまだ時間が掛かり過ぎると、こういう認識を持っておりまして、米国あるいはヨーロッパにおきましても人員を増やす等の措置を講じているところでございまして、日本といたしましても更に審査の促進を進める、そういった形で、やはり一つは、例えば業務の外注の拡充ですとか、あるいは所要の審査官の確保等の総合的な取組を進めて、やっぱり迅速化、これだけで満足することでなくて迅速化に努めていかなきゃいかぬと、このように思っております。
○松田岩夫君 さて、権利を取得いたしましても、これが侵害されてしまっては意味がございません。特許権は取得した権利が十分に保護されて初めて意味を持つわけでございます。特に、日本の裁判については審理期間が、今度は裁判の方に話を移します、審理期間が長い、損害賠償額が少ないといった理由で、わざわざ米国でまず訴訟を起こす、特許訴訟の空洞化とも言うべき厳しい評価が、一部の方はしておられます。一部か多数か知りませんが、そういう意見も聞きます。
 米国の知財を担当する巡回控訴裁判所などは、迅速に各国に先駆けて判決を次々に出し、国際的論理構成を示し、結果的に自国司法制度を事実上の世界標準にしているという専門家もいます。こんなことを思いますと心配です。大いに改善すべきものは改善してほしい、こういう思いに一杯になるわけでありますが。
 さて、今、特許侵害訴訟の審理期間の現状はいかがですか。また、今言った特許訴訟の空洞化とか司法の空洞化という声に対してどのように考えておられますか。
○政府参考人(房村精一君) まず、特許関係訴訟の審理期間でございますが、特許を含む知的財産関係訴訟の審理期間につきますと、平成三年当時、三十一・一か月と相当長期を要しておりましたが、その後、裁判所あるいは関係者の努力によりまして、平成十三年には十八・三か月まで短縮しておりますので、相当の短縮が図られております。
 また一方、事件数を見ますと、平成三年当時は三百十一件にとどまっていたわけでありますが、平成十三年は五百五十四件、更に前年の平成十二年には六百十件ということで、十三年当時に比べますと相当の事件数の増加を見ております。
 審理期間は短縮し、かつ事件は増加しているということで、私どもから見まして必ずしも司法の空洞化という現状の評価は当たらないのではないかと考えているところでございます。
 また、特許関係訴訟の充実につきましては、現在法務省において検討しているところでありますが、その内容といたしましては、まず東京、大阪両地方裁判所への専属管轄化ということを考えております。これは、現在、裁判所では東京地裁と大阪地裁に特許等の知的財産の専門部を設けまして、知的財産に詳しい裁判官を配置し、更に専門家を調査官として協力をする体制を取っております。この東京地裁と大阪地裁に専属管轄化することによりまして、事実上の特許裁判所というものが実現できるということを考えて、それを検討しているところでございます。
 それからもう一つ、特許裁判に専門的知識を持った方に協力をしていただくということで、専門委員の制度を検討しております。これは、裁判官をサポートするために専門技術的な、専門技術的知識を持った方を何らかの形で裁判に関与するということを検討しているところでございます。
 このような審議、検討を通じて、特許裁判の充実を図りたいと考えているところでございます。
○松田岩夫君 空洞化はないと簡単におっしゃいました。更に意見はありますけれども、今日はここでとどめておきましょう。今おっしゃった重みは大きいですよ。是非そういうことがないように更に頑張っていただきたい。今日はここでとどめておきますが。
 もう一点の、損害賠償額が余りにも低いと、これでは侵害し得だなどという批判も受けていることがあるわけですが、この点はどうですかな。数年前に特許法の改正、この損害賠償制度について特許法の改正がありましたが、それはそれなりに効果が出ているんですか。
○政府参考人(及川耕造君) 御指摘のとおり、おかげさまで平成十年の特許法改正におきまして損害賠償制度の強化を図っていただきまして、この改正効果もあろうかと存じます。平成十年から十三年までの特許、実用新案の侵害訴訟判決におきまして認定されました賠償額は平均で約一億八千万円となっておりまして、これは平成二年から平成六年までの平均額約四千六百万円に比しまして約三倍となっているところでございます。
 なお、近時、幾つかの案件におきまして大変高額の、数十億円の賠償額といったものも出てくるようになっているところでございます。
○松田岩夫君 分かりました。
 さて、今後、知的財産に関する訴訟というのはますます増えていくと思います。また、その内容も技術の高度化に伴ってますます複雑になっていくと思います。司法制度もそのような時代の要請に合わせて敏感に迅速に適切に改革されていくことがこれから常に求められると思いますが、これまで裁判所というのは、法学部を出た法曹が法律の専門家として事件を裁くというのが長い伝統であったと思います。特許紛争のような技術的事件を法律家、法律専門家のみが裁くという体制をいつまでも続けていくというのは全く時代後れの最たるものではないかと僕などは思っておりました。
 今回の弁理士法の改正は、弁理士が訴訟代理人として特許侵害訴訟に参加することを可能とするわけでございまして、誠に今申した思いからすると大きな前進でありまして、それ自身は大いに評価したい、よくぞここまでみんなで頑張って改革を進めてくださったなと大いに評価したいと存じます。
 しかし、ここでもまたすぐこの人材問題というのが出てくるわけでございまして、果たして訴訟代理権を有する弁理士というのは一体どのぐらい今おられて、これからどう育てていくのか、大きな問題だと思いますが、いつまでに何人ぐらい養成されるおつもりなのか、お聞きしておきます。
○大臣政務官(松あきら君) 私からお答えをさせていただきたいと思います。
 現在、弁護士さんで弁理士登録をされていらっしゃる方は約三百人くらいと言われておりますけれども、先生も御指摘のとおり、正に知財権訴訟というのが大幅に増えている中で絶対数というものが足りないわけでございます。
 そのために、今国会提出をいたしました弁理士法改正法案は、司法制度改革審議会意見書の提言を踏まえまして、専門的知見を有する弁理士に特許権等の侵害訴訟における訴訟代理権を付与するものでございます。そして、訴訟代理権付与の条件であります信頼性の高い能力担保措置として、侵害訴訟代理業務を希望する弁理士に対しまして、特許権等の侵害訴訟に関する訴訟代理人となるのに必要な学識及び実務能力に関する研修及び試験を行うところでございます。
 この研修の設計に当たりましては、弁理士の研修希望数と弁理士の補佐人、これは実は延べ人数今まで年間四百五十人くらいと言われておりますけれども、その関与状況を踏まえまして、今後も訴訟件数の増加が見込まれること、司法制度改革審議会意見書で指摘されております当面の法的需要を充足させること、そして利用者の選択の拡大につながる競争原理を導入する必要があることなどを勘案しますと、現在四千八百人弁理士さんいらっしゃいますけれども、その中で年間四、五百人程度の研修を実施しまして、当面三年間で千人から千二、三百人の規模の訴訟代理権を有する弁理士の養成を目指しますように研修規模及び試験についての制度設計を行う必要があると考えているところでございます。
 具体的な規模につきましては、日本弁理士会等の詳細な受講希望調査の結果及び講師確保、その講師というのは裁判官ですとかあるいは弁護士さんが講師になっていただくわけでございますけれども、その確保の可能性を踏まえつつ、引き続き検討を行っていくところでございます。
○松田岩夫君 松大臣政務官、おさおさ怠りのないようにひとつしっかり養成をお願いしておきます。
 さて、ところで、今回の改正は弁護士との共同受任と、その場合に限られております。知的財産権をめぐる訴訟に迅速かつ効率的に対応するためには、弁護士と弁理士とがそれぞれ専門的な知見を生かしながらお互い共同して対応していくことがもちろん肝要であるというのもよくわかりますが、しかしまた、今のようなお話で、弁理士自身もこれ研さんに自己努め、自己研さんに努めて、将来的には訴訟に単独でも対応していけるようにしていくことが利用者のためにも便利ですし、十分目的的にも合理的であるのではないかという考え方もあります。私もよく理解できる考え方でございますが、今回はそこは、そこまでは踏み切れなかったのか、あるいは考えた結果そうなったのか、いろいろ意見はあるようでございますが、今後の問題としては大いに検討に値するなと私は思っております。
 それからまた、この訴訟代理権の範囲につきましても、今回の改正では特定侵害訴訟と、簡単に言えば工業所有権というものに限られておるわけでございますが、将来的には、正に今日は知的財産権、知的財産権と申しておるわけでございますが、著作権も含めて、知的財産権に関する侵害訴訟というのが訴訟代理権の範囲として一つの枠組みではないかというふうに考えることもできます。また、その方が妥当ではないかという意見もありますし、私もそういう思いをいたします。
 この以上二点について、どんなふうにお考えか。
○政府参考人(及川耕造君) 今回の弁理士法の改正に関しましては、司法制度改革審議会の意見書を踏まえて規定をいたしているところでございまして、同意見書におきましては、弁理士への特許権等の侵害訴訟の代理権については弁護士が訴訟代理人となっている事件に限り付与すべきであると、かようになっているところでございます。
 これは、御案内のとおり、急増いたします知財訴訟の需要を満たすためには、専門的な技術性を有しておられます弁理士の方々と訴訟実務の専門家であります弁護士の方が、連携して相互にその専門性を補完することにより訴訟に対応していくことが審理の充実、迅速化という目標に寄与するであろうということからなされたものだというふうに思っております。
 したがいまして、この共同受任要件の在り方につきましては、今後の弁理士の訴訟代理人としての実績でございますとか、利用者の方々のニーズ等を十分踏まえた上で検討すべき課題ではないかというふうに認識をいたしております。
 また、関与の対象でございますけれども、今回の法改正におきましては、特許、実用新案、意匠、商標等のいわゆる工業所有権関連の分野が対象になっているわけでございまして、知的財産権の一つであります著作権等は含まれていないところでございます。これは、弁理士が工業所有権の専門家であること及び著作権に関する業務が二年前の法改正の際にライセンス契約など紛争性のない契約に限って代理が認められているといったことを理由といたしているところでございます。
 今直ちに著作権等についての代理権付与ということになりますと、弁理士資格試験等におきます項目の追加等幾つかのハードルを更に作らねばならないかというふうに思っておりまして、そういう観点から、弁理士の方々の人数を増やしたいというのが一つの今大きな政策課題になっているだけに、新たなハードルを作ることがいかがかという御意見等も踏まえて今回のような設計をさせていただいた、かようなことでございます。
○松田岩夫君 それなりに理解のできる御答弁かと思いますが、引き続き、以上申しました二点については、政府におかれても司法制度改革審議会も含めて是非御検討を進めていただきたいと希望して、強く希望しておきます。
 さて、この今回の法改正によりまして、社会における弁理士の重要性というものはますます高まるとともに、当然ながら国民の弁理士への要望、期待もまたより大きなものとなってくるものと思います。そういう意味で、大臣の弁理士への期待と使命といったことについて御所見が賜れたらと。
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。
 弁理士制度につきましては、規制改革による競争促進、国民へのサービスの向上の観点から、御承知のように、平成十二年に弁理士法の全面改正を行ったところでございます。これにより、知的財産取引契約代理や裁判外紛争処理等に係る業務の拡大、そして弁理士人口の大幅拡大のための試験制度改革、更には弁理士事務所の法人化など、知的財産権に関する法務サービスの質的、量的な充実を図ったところでございます。
 今国会に提出をさせていただきました弁理士法改正法案は、専門的知見を有する弁理士に特許権等の侵害訴訟における訴訟代理権を御承知のように付与するものでございまして、これによりまして、今後、知的財産分野における紛争処理に関する弁理士の活躍の場が一層広がる、このように認識しております。
 現在、知的財産戦略会議におきまして、国家戦略として知的財産の在り方が議論をされておりまして、中でも、知的財産制度を支える人材が重要であると、こういった点が指摘をされているところでございまして、知的財産の事業化や取引活動を支援する知的財産専門サービスの中核的担い手である弁理士への期待というのは今後ますます私どもは高まると、このように認識しております。
 そして、我が国の産業の国際競争力を強化をいたしまして、ベンチャー、中小企業等の活性化を図るためには知的創造活動の成果の保護及び活用が不可欠との認識が高まる中で、知的財産制度の人的インフラとも言うべきこの弁理士の役割は今後ますます私は重要なものになってくる、こういう認識でおりまして、ここをしっかりとしていきたいと、このような認識を持っております。
○松田岩夫君 今回御提案いただきましたこの両法案、誠に大事な内容を含んだ法案でございまして、そういう意味で、即刻成立させるべきだ、大賛成でございます。
 しかし、なおまた、いろいろ考えていくべき、法制的にもまた制度的にも、あるいはいろいろ政府が御支援いただく面でも、今日取り上げさせていただきました研究開発政策を始めといたしまして、あるいは大学改革、あるいはもう時間がありませんので今日はよしますが、更に裁判制度についてももっともっと検討を続けていく必要があると、そんなふうに私は思っております。
 両法案に強く賛成を支持いたしまして、支持を表明いたしまして、私の質問を終わります。
○本田良一君 民主党の、民主党・新緑風会の本田良一でございます。
 ただいま自民党の松田委員の方から大変基本的なことを冒頭お聞きになりまして、あと弁理士の重要性、賛成という立場まで表明をされました。私の方もこのことについては、今回改正をされた、行動を取って起こされた、そのことに賛意を送りたいと思います。
 それは、昨日も、前回一般質問のときも私、申し上げましたけれども、日本が今置かれている経済の再生、そういうことで、どうして今から再生をしていくかと、そういうことをもう大体十年近くあらゆる分野で論議をしてきた。昨日もある学者の方が、私は、日本をこうしたら良くなる、もうどうすれば良くなるということは分かっている、それをずっと繰り返し十年間言っていると。しかし、学者だからただ言うだけであって、再生につながることはできないのが残念だと。だから、政治の皆さんがひとつそこで行動、いわゆるアクションを起こしてもらって、我々学者が言うところの日本再生の方法を取ってもらいたいと、こういうことでございました。
 私も、正に前回から言い続けておりますとおりでございますので、今回の、そういう状態でありながらも、特許法を日本国家の戦略として位置付け、そして司法の特に分野でありますが、三権分立の一つの重要なところに踏み込んだ改正をやっていただくと、そういう勇気ある今回の行動に大変敬意を送るものであります。
 そしてまた、この法案の提出に当たりまして、私は、弁理士の皆さんが本当に日本を知財国家としてやっていく、現実に実践でやってこられた方が、司法の立場の弁護士の方々あるいは裁判所の方々よりも、より国家観を持って、そして経験で、このことを重要視し、そして今回の法案提出に働き掛けてこられたその意欲、そういうものに対して、ある面、私たちは、その講演を聞きながら、日本の危機感を更にひしひしと感じたところであります。よって、このことを私どもも本当に重要な位置付けで質問に今臨んでいると。
 また、司法の立場で、我が党には、弁護士でありながら、この民主党が作りましたIP戦略の「はばたけ 知的冒険者たち」ですね、これに今回の法改正に至るまでの細々としたいろんな方針などをかなり網羅しておったと思いますが、そういう、ここに簗瀬弁護士もおられますけれども、弁護士が、本当は案外縄張を維持しようと、そういう気持ちも案外多数の中にはあると思いますが、簗瀬議員などはそういう立場を超えて、昨日もお聞きしましたが、自分は弁護士の立場というよりも、日本の大きな国の戦略として重要だからこれを私は一生懸命やっているんだと、そういうことを申されました。だから、そういう意気込みにもひとつ打たれながら、質問をさせていただきます。
 まず、大変日本は今まで、これは私、十年前から聞いておったことですが、私が、特許というものの重要性、そして日本が技術の分野で物の、いわゆる物づくりの分野では輸出大国であり、それによって、日本に多くの収入も輸出によってもたらしている。しかし、技術の分野では七百億近くをパテント料で払っているという輸入国でありますね。そういう点を感じて、ある企業家に私が、十分皆さんの会社は特許を権利化してそして将来の輸出に備えていかないと、ヨーロッパと戦っていかんといかぬのじゃないですかと、こういうことを言いましたら、この経営者、もう本当に唖然とすることを言いましたね。いや、本田さん、そんな特許なんというのは、もう日本はどんなに一千億であろうとそれを買って、そして生産をして輸出をすれば一気に取り戻すんだ、だから余り我々は特許にはしがみつかないと、そういうことを言われました。しかし、その言葉は、本当に日本の今までの経営者たちが取ってきた多くの行動ではないでしょうか。
 トヨタの方もいらっしゃいますけれども、トヨタ自動車があれだけ立派な自動車を作りながら、輸出をしながら、持っているパテントといえば、バックミラーのあれを自動的に動かしますね、あれだけなんですよ、パテントは。だから、そのように日本の……(「事実を間違えないでください」と呼ぶ者あり)いや、そうなんですよ。私、それは調べました。
 それでですね、いずれにしろ基本特許を重視していないと、そういうことは私はあってきたと思います。ところが、アメリカはそういう輸出攻勢、日本の、物づくりの輸出攻勢に、ここにも書いてありますが、もう大変脅威を感じて、バイ・ドール法とかそういうのを作ってきたわけであります。
 よって、私は、これから知的財産権保護の観点から、大臣にまず官と民と司法と外交、これは松田委員の中にも冒頭入っておりましたが、この四分野につきまして、私はこの分野での知的戦略国家と位置付けるならば、これがやっぱりいかに、特に司法の分野は三権分立だから侵されないといいながらも、国家戦略としてこれを位置付けた以上、その分野の改革も毅然とやっていただかなければ、これはアメリカとかヨーロッパに対抗できるような私は知的戦略国家にはならないと思いますね。そして、空洞化された産業の中で日本がこれによって生きていくということであれば、この四分野についての私は一つの戦略的なまとまったことが重要と思いますが、これについてお伺いをまずしたいと思います。
○国務大臣(平沼赳夫君) 今、本田先生のお話を伺いまして、やっぱりこの知的財産、特許というのは非常に重要である、そういう御認識は私も共有させていただいております。
 昨年の十一月から、いわゆる今の日本の経済の活力を取り戻すために、いわゆる各企業の代表の皆様方なんかに集まっていただいて産業競争力の戦略会議というのを作っております。その中で、今の日本の企業の中でも一番元気のいいキヤノンの御手洗社長のお話を聞きました。そうしたら、そのキヤノンというのはアメリカで二番目に特許をたくさん出願している、特許権を持っているという事実がありました。一番はIBMだそうです。しかし、あまたアメリカの企業がある中で日本のキヤノンが二番。そういったやっぱり特許というものを展開して非常に競争力のある製品を作って、今、未曾有の利益を上げていると。つくづく私は大事であるなと、こういうふうにそのお話を伺って思わしていただきました。
 今御指摘の知的財産戦略というのは、御指摘のように、科学技術政策ですとか、もちろん特許政策、更には我々がやっております通商政策、それから三権分立、そういう中での司法制度、そういった幅広い分野にまたがるものでございまして、国を挙げたそういった取組をしていかなければ、やはり有効にその効果が出てこない。したがいまして、国としてこの知的財産というものを戦略的に保護そして活用する、そのためには、おっしゃるとおり政府だけではなくて、そして政府のあらゆる機関がやっぱり一体となって、それに大学ですとか民間の企業、そういったものが戦略的にやっぱり有機的に結合して取り組んでいくと、このことが私は必要なことだと、そのように思わしていただいています。
 そこで、今般総理の下に設置をされまして、私もメンバーの一人でございますけれども、知的財産戦略会議においては、関係閣僚も全部入らしていただく、それから大学や企業のトップ、それから知的財産専門家、有識者も幅広く参画をしていただきまして、あらゆる面から検討を行って、そしてこの大切な知的財産、これをやっぱりしっかりとこの国に確立をしていこう、こういう体制が取れたわけでありまして、経済産業省といたしましても、この知的財産戦略会議の検討の過程の中で主体的な役割を果たさしていただき、特に先ほど申し上げました産業競争力の強化のために全力を尽くしてまいりたいと、このように思っております。
○本田良一君 先ほどから、その大臣の意欲あって今回の法案提出と、こう思いますが、特にこの四分野について繰り返し申し上げますと、私はこの四分野の意識の改革が重要だと。何といってもですね、まとまって国家戦略としてやる以上、自分の縄張意識は捨てないとこれはできませんね。それで、この意識改革が重要だと。その意識改革というのは、知的財産権というのは日本が国際社会の中で生きていく生存権と一緒だと、こういう考えが重要だと。この生存権を基に世界のあらゆる分野に今度は貢献をしていくと、こういう考えでないと、私は、それぞれの縄張意識がはびこってしまう、そしてにっちもさっちもいかない状況になると、こう思います。
 特に官の行政的な縄張、縦割り行政ですね、それから民間、私は企業のことを何回も言いますけれども、特に経団連辺りが大変特許出願とかそういう問題について、今の状態ではこれは本当にアメリカに、ずっとアメリカで訴訟をやって、訴訟されて、何千億という賠償金を払ってきた経営者団体のそういう情報収集というのは十分一杯集まっていたにもかかわらず、重要性をかんがみなくて、日本のいわゆる行政や国に対して、こういう点を本当に改正をやらないとアメリカに太刀打ちできないとか、そういうことで特許法を何とかしてくれと、こういう熱意が、本当は国会の中に弁理士さんが来ると同じように押し寄せて、私はそういう熱意があっていいと思いますよ。それが何一つない。これが日本の経営者たちの私は本当に情けないということなのですよ。そこを大臣は経営者団体にもっとひとつ意識改革をお願いをしたいと。
 それからもう一つ、この司法の裁判所、裁判所は今かなり最高裁がそういう意識を持ってもらっているということだけども、この裁判所も一つの日本の国家が、国民が生きていく生存権としてこの知的財産のIP戦略にひとつ法の枠組みを力強いものにしてもらうようにここにも働き掛けていただきたいと、そう思います。
 それから、特に私は、弁護士の皆さんがもっと頑張ってもらわなくちゃいかぬ。この今回の法改正で弁理士さんがこれを、訴訟代理人を務めるということで、ある面これは大変だと思ったんでしょうかね、かなり勉強を始めたと聞いております。だから、ある面、切磋琢磨の分野がここで出てきたわけですから結構なことだけれども、本当は弁護士さんたちがこの分野で、弁護士さんに人権とか環境については一つの意識があるけれども、こういう知的財産については国家意識とかそういうものはありませんね。弁護士にそういう意識があったらこれに飛び付いて、本当は自分が頑張ってこの日本の国の知的財産を守って、日本が生きる方向を、方向を毅然としたものにしようと、こういう意識があっていいはずなのに、それが何ら簗瀬さん、議員以外に見当たらないんですね。
 それから、外交ですね。外交については、今から模倣の問題、これは非常に大変なことですね。模倣によって日本の生産が空洞化され、そして競争を阻害され、いわゆる利益をはねられていく。アメリカは早速これはクリントンが江沢民に言ったんでしょうか、簗瀬議員が言っておられましたが、この模倣の問題について、アメリカはすぐクレームを付けて、中国がこれを改善をいたしました。そのように、外交でこの模倣の問題も解決をしていかないとできないし、また模倣について何かの外交的な物を言うときに、相当研究をし尽くした毅然とした態度で臨まなくちゃなりませんから、外交は非常にこれから重要ですね。
 知的財産国家となっていく以上、日本が、外交で文句は言ったけれども太刀打ち、向こうにやられて引っ込んでしまうようじゃできませんから、逆にセーフガードを突き付けたところ、向こうから大きな負担を強いられる、そういうようないわゆる外交攻勢では私は駄目と思いますから、縦横にこの戦略を練って、相手が完全に日本のものを模倣しているというときには毅然と政治も外交で物を言い、そして直ちに国際司法裁判で裁判を打っていくとか、そういうことをやらないと勝ち抜きはできないと思いますね。
 そういうことを申し上げまして、次に、小さなことだけれども、これが特許庁の大体一つのある部分をかいま見ることになろうと思いますから、質問をいたします。
 特許庁長官に質問をいたしますが、特許特別会計の収入予算と支出実績の差、すなわち剰余金の額を明らかにしてもらいたい。それから、特許特別会計の収入予算の内訳明細を明らかにしていただきたい。もう一つ、申請時の手数料二万一千円、さらに毎年徴収をされる年金があります。平均的な特許申請において特許権を維持するための年金の額は幾らでしょうか。特許を維持するための特許庁の行政コストは一件当たりどのくらいになりますか。
 以上、この四点についてちょっとお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(及川耕造君) お答えを申し上げます。
 特許特会の、平成十二年度が決算で出ております数字ですので、その数字を申し上げます。
 平成十二年度決算におきます剰余金の額は八百七十二億円でございます。
 それから、その収入の内訳というお話でございますが、これは商標、意匠等全部含んでおりますが、出願の手数料が約百三十八億円、それから審査請求料が二百四十七億円、登録料が五百九十億円、その他の政令手数料が四十億円でございまして、合計が千十四億円強でございます。
 それから、平均的ないわゆる特許権を維持するための年金の額でございますけれども、いろんなケースがございますので、ちょっと仮定を置かせていただきまして、平均的な権利維持の期間を九年と置きまして、かつ請求項数を七ぐらいと、平均的なところを前提として試算をいたしますと、約二十八万円ぐらいではないかというふうに思われます。
 それから、行政コストでございますが、いわゆる特許権を維持するためというか、特許行政に必要なコストでございますけれども、直接には特許原簿を管理するといったような経費などが相当するかと考えられますけれども、それぞれについてはどういうふうな形で正確なコストになるかというのは算出をいたしておりません。
 特許料というのは、御案内のとおり財産権の付与に対する対価でございますので、手数料のようないわゆるコストという形では徴収していないものでございます。したがいまして、特許特会は、特許料等と出願料等の総収入と総経費が極力支弁するような形で料金水準を設定するということになっておりまして、これを踏まえて現在のような規模の予算になっていると、かようでございます。
○本田良一君 これは、私はなぜ申し上げたかといいますと、この特許特別会計、大変たくさん収入が、歳入があるわけですね。そうした中で、大変一般の方がこれを見ましても分からない。インターネットでやっとちょろっと出てくるだけですね。だから、これが本当に特別会計だろうかというようなものなのですよ。
 だから、私はこれだけの収入、歳入があるものを国としてもっと国民にひとつ情報公開が分かりやすくやっていただきたいと、そういう願いが一つはあります。いかがでございますか、特許庁長官。
○政府参考人(及川耕造君) 御指摘のとおりでございまして、なかなか分かりにくい面があろうかと存じます。したがいまして、出願人の方々に対しまして財政事情を分かりやすく開示し、その透明性、一覧性といったものを向上を図ることが大変重要であるというふうに認識をいたしております。
 昨年、試み的でございますけれども、特許特別会計の財務書類というのを試算、作成し、公表させていただいたところでございますけれども、なお、より一層分かりやすく開示するように検討を現在進めているところでございます。
 引き続き、体系的な特許財政状況の分析、公開の在り方について、御指摘を踏まえ、検討させていただきたいと思います。
○本田良一君 それから、特許維持に関する一件当たりのことを聞きましたが、特許庁長官のおっしゃることも分かります。
 しかし、このひとつ維持費につきまして、これだけの歳入があるわけですから、今後、このことをやっぱり還元をすることも重要だと思いますね。だから、値下げをしてユーザーに還元をする考えはありませんか、運用面です。
○政府参考人(及川耕造君) 御指摘のとおり、相当額の剰余金等があるわけでございますが、大変申し訳ないことに、増えておりますのは、逆にそれだけ対価がやっぱりたまりつつあるということで、先にお金をいただくものですから、それを消化していかないと減らないという面がございます。
 したがいまして、今申し上げましたように、透明性を高めながら、一体、我々どの程度の今後の将来必要であるかというのを見据えながら、様々な形で料金水準についても検討しなければいかぬと、かように考えているところでございます。
○本田良一君 この財源を、例えば大学に特許庁からだれかが派遣をされ、その人に給料まで付けてやるとか、このお金で、そういうことはありませんか。
○政府参考人(及川耕造君) いろんな、例えば国立大学なんかでございますれば同じ公務員でございますけれども、どういう形にするかというのはケース・バイ・ケースの場合もあろうかと存じます。
 現在のところでは、私どもは、国立大学に派遣した職員についてちょっと今手元にございませんので、また後刻御報告させていただけばと思いますけれども、民間等に出た場合には、それは当然そちらの方の費用でと、こういうふうに実際に整理させていただいております。
○本田良一君 それでは、このくだりで最後になりますが、特別会計の剰余金は経済産業省の便利な財布になっていないかと、こういうことも考えているんですが、大臣にお伺いをいたします。
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。
 先ほど特許庁長官から申し上げましたけれども、特許の特別会計というのは、十二年度の決算において八百七十二億円の剰余金があるわけであります。これは先ほど来説明をさせていただいておりますけれども、近年の特許の出願件数、これは増加をしておりまして、平成七年、これは三十七万件が平成十二年には約四十四万件に増えている。それから、いわゆる審査請求の件数というのも、同じく平成七年で約十七万件が平成十二年ではこれが二十六万件になっています。この増大傾向を反映して歳入が増加していることがこの原因でございます。
 この剰余金というのは、今、特許庁長官が申しましたけれども、将来行うこととなる審査、審判の業務に必要な費用の原資となりまして、工業所有権制度のユーザーのために大切に活用していくことが必要であると、このように認識しております。具体的には、迅速かつ的確な特許の審査の実現等を図るために、先行技術調査における外部人材の積極的な活用等を進めることに考えております。
 そういうことで、御指摘の、便利な財布という御指摘ですけれども、やっぱりそういう、非常に増えた、そしてこれから処理をしていく、そして更に迅速化をしていく、こういう形で、情報開示の御指摘もございましたけれども、こういったことを明らかにしてきちっと運用をさせていただきたいと、このように思っています。
○本田良一君 大変聞きにくいことを大臣に御答弁いただきまして失礼でございましたが、一応、この特別会計につきまして、特許特別会計についてひとつ大臣に十分認識をして、これからの特許制度の改革にこの分野でもひとつメスを入れて、それが効果を発揮するようにやっていただきたいということで申し上げました。
 それでは、先ほど冒頭から聞いておりますこの知的財産権保護の観点から、どういうことを改善をやらなくちゃいかぬかということを四点ほど質問をしたいと思います。
 まず、知的財産権の確立ですが、従来の工業所有権や著作権のみならず、サイバースペースやバイオなど、先端科学技術分野において知的財産権を確立すべきだと思いますが、さらに企業の営業秘密は不正競争防止法で守られているはずですが、企業は不十分と感じております。六〇%ですね。知的な、知的財産権保護の対象拡大と内容強化について、いかがでございますか。大臣にお尋ねします。
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘の点でございますけれども、第一に、IT、バイオテクノロジー、環境、ナノテクノロジー等の先端分野の技術開発の成果につきましては、技術横断的な保護法制でございます特許法によって柔軟かつ的確な保護が可能であると思っています。さらに、特許庁においては、ITやバイオなど、具体的な保護対象に応じた審査事例集、これを公表することなど、審査基準の明確化に努めているところでございます。また、今回の特許法改正によりまして、IT関連技術、特にプログラムの特許に関する権利活用が更に確実になると、このように考えております。
 企業の生産技術や顧客名簿といった営業秘密につきましては、今御指摘の平成二年の不正競争防止法改正によってその不正取引等が規制をされていることになっています。企業活動における営業秘密の重要性の高まりから、企業サイドでも現在一層の管理強化が求められているところで、政府といたしましても、同法につきましては、民事、刑事両面における更なる保護強化の在り方をその必要性も含めて今検討をしているところでございます。
 以上、申し上げましたとおり、先端分野に関する研究開発の成果やノウハウ等の知的財産については、保護すべき対象、目的に応じて制定されている各法律の充実、更に強化を進めることによってその適切な保護を図ることが私どもとしては適当である、こういうふうに基本的には思っております。
○本田良一君 ひとつ、今の答弁のとおり、よろしくお願いします。
 次に、特許法第二条、「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」とあります。これは今回修正をされません。そして、二条の三で、「物の発明にあつては、」の「物」にプログラムなどを含ませるということで今回の改正は終わっております。なぜ第二条一項の「自然法則を利用した」という文言を削除又は修正をしないのか。
 私は、先日の当委員会の簗瀬議員の同様趣旨の質問に対して大島副大臣が、今でも実質的に保護されているからあえてこれ以上の保護を拡大する必要はない、したがって条文の改正は必要ないという趣旨の答弁をなさいました。
 それでは、ビジネスモデル特許など今でも実質的に保護されている、それでもあえて第二条三項を修正しようというのはなぜなのか、第二条一項は修正せずに三項だけ修正するのはなぜなのか、大臣にお伺いをいたします。
 それから、併せまして、今回の法改正は第二条の趣旨と大変乖離をしております。いかなる論議をされてきたのか。大島副大臣が論議をしてきたと、これは戦略会議の中にも論議した旨のあれが、経過がありますが、その論議の主な内容ですね、この部分を今後、次の質問の答えに、お答えいただきたいのは、今後この部分をどう落ち着かせるのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(平沼赳夫君) 三点についてお尋ねがございました。
 我が国の特許法では、御指摘の第二条第一項において、発明を自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの、このように定義しております。これに対して、自然法則の利用という要件を削除し、米国のように、新規なサービス方法やビジネス方法、例えばコンビニエンスストアでございますとか宅配便まで特許法で保護すべきという意見のあるということは承知をしているところでございます。
 しかしながら、コンピューターやネットワークを利用して実現されたビジネス関連発明については、ソフトウエア関連発明の一態様といたしまして、実質的に欧米と同等の十分な保護がなされているところでございます。一方、コンピューターに関連しない純粋のビジネス方法まで二十年間もの独占権を与えることはかえって自由な経済活動の発展を阻害する懸念もある、こういうことも考えているところでございまして、本法案の検討を行った産業構造審議会知的財産政策部会及びその後のパブリックコメントにおいても同様の消極的といいますか、そういう意見が大勢でございました。
 また、第二条第三項に規定される発明の実施の定義については、急増するネットワーク上でのプログラムの流通に対応いたしまして、プログラムの特許に関する権利活用を確実にするため早急な明確化が必要として、ユーザーサイドからも強い要望がございました。現時点における法改正がそういう意味では必要である、こういうふうに私どもは考えております。
 また、どういう論議が審議会であってその具体的な内容はどうか、こういうお尋ねでございますが、審議会におきましては、主としてソフトウエア関連発明の特許保護、そしてビジネス関連発明の特許保護、将来の新進技術への柔軟な対応等の観点から、発明の定義の改正の要否及び方向性について議論が行われたところでありました。
 発明の定義の改正に当たりましては、現在の定義の下でもソフトウエア関連発明について高い水準の保護が図られていること、また発明の定義の改正により純粋ビジネス方法にまで保護を拡大することの必要性は乏しいことなどから、発明の定義の改正が直ちに必要であるとは認められないと、こういう審議の過程の結論でございました。
 また、将来的にこの自然法則を利用したという部分をどのようにするか、こういうお尋ねでございます。特許の保護対象については、昨年五月より、世界知的所有権機構、WIPOにおいて行われている各国の特許法の国際調和に向けた条約の検討の中で、今後本格的な、この点に対しては議論が行われることになっております。我が国といたしましても、特許制度の目的は技術開発成果の保護であるとする基本的なスタンスの上に立って、各国特許法の調和が早期に実現するようにWIPOを始めとする国際的な議論の場で積極的に貢献をしていく所存でございます。
 そういった三点について、そういった経過があるわけであります。
○本田良一君 これは、将来やっぱり改正すべきだと思います。後で質問をしようと思っていましたが、時間が多分なくなると思いますが、来年何か大改正をされるといううわさもあります。そうであれば、このくだりをひとつ改正をしていただきたいと。
 科学と技術というのがありまして、科学と技術は元々違う、ケミカルの化学でなくて科学ですよ。科学は哲学の分野から発生をしたと、そして十七世紀、十九世紀とたどって科学者が生まれてきたと。一方、技術は人間の生活に利便をもたらす手段として、有史以来今日まで続いてきて、その中で電球とか汽車とか飛行機と、そういうふうになってきたと。だから自然に、認識の体系と、体系である科学と技術は全く違う。しかし、今日、二十世紀になりまして、科学と技術がこの相関を持って混じり合ってくる。これが何かといえば、半導体ですね。だから、これからの社会は、ビジネス特許も含めてもう二十世紀、この科学と技術が混じり合った社会になっていきますから、このくだりは改正をしないとこれから対応できないと思います。
 それともう一つ、アメリカは、欧州、欧州はこの発明については明文の上では定義をしておりませんね。それから、米国は発明又は発見を意味すると定義をしております。それで、このように自然法という一つの狭義な、狭いことではこれからの対応は難しいと思いますから、次の法改正でこの分野は大々的に、やっぱりほかもいじくることになりましょうけれども、改正をしていただきたいと熱望しておきます。
 次に、知的財産権の保護体制確立でございますが、申請手続や訴訟の迅速化であります。特許取得までの時間が掛かり過ぎますし、侵害訴訟の決着まで時間が掛かり過ぎる。決着しても賠償額が少ない。さっき松田先生の質問にもありました。
 それから、低コスト化でありますが、一般の人間が特許を申請するときは、一体どのくらいの費用が掛かりますか。弁理士に手続を頼んだときの費用と、特許庁の手数料などについて説明をいただきたい。特許法百九条には、特許料の減免措置等があるわけでありますが、現在、この実績はいかがですか。この二つについて、それぞれ副大臣と特許庁長官にお答えをいただきたい。
○大臣政務官(下地幹郎君) 特許取得までに時間が掛かる件につきまして、ちょっと私の方から御説明させていただきたいと思います。
 平均審査期間は、先ほど特許庁長官からもありましたけれども、二十八か月、日本では。米国では二十五か月、欧州では五十一か月というふうになっております。そういう意味では、私たち日本の方が処理件数を勘案すれば効率的に進められていると言えるんではないかなと思っております。
 ただ、欧州と日本を比較しますと、審査官の数は欧州が千三百七十七人、そして日本が千八十八人、年間の処理件数が欧州が八万件、日本が十九万一千件でありますから、いわゆる三倍になっております。
 先生が今おっしゃるように、迅速化ということをこれからも追求をしていく上では、私は審査期間を短くするという意味で、審査員を増やすというふうなことが私は非常に必要ではないかなというふうに思っております。しかし、今、人事院の勧告ではなかなか増やすことはできませんので、しかし、将来のことを考えると、特許庁の審査官を増やすということは私たちの迅速化のための大きな課題であるというふうに認識をしております。
   〔委員長退席、理事松田岩夫君着席〕
 そして、裁判の件でもありますけれども、平均の審査、知的裁判の件は十年前の三十一か月から十八か月に裁判の期間は短くなっております。今回の弁理士法の改正により、弁理士が訴訟代理人になることが認められておりますから、更に審理期間が短くなるんではないかな、そんな思いをしております。
○政府参考人(及川耕造君) 申請費用のお尋ねでございますけれども、標準的な特許出願について試算をいたしますと、出願時に御指摘のとおり出願料二万一千円、それから審査の請求時にこれは基礎的に八万四千三百円、プラスいわゆる請求項の数にそれぞれ二千円を掛けた数になります。請求項を七といたした場合には、九万八千三百円になるわけでございます。それに、御指摘のございました弁理士の方々に対する費用というのがあるわけでございますけれども、これはそのそれぞれの出願人とそれから弁理士の方との個別交渉によって決定されるものでございますが、かつては標準的なお値段みたいなものがございましたけれども、撤廃されておりますので、個々にどの程度かというのは私ども掌握はいたしておりません。
 それから、百九条のお尋ねがございました。資力に乏しい方に対する減免措置でございますけれども、平成十二年一月、本制度が拡充、要件を明確化して以来、本年二月までに二十一件の措置が取られております。また、特許法の百九十七条の二でも出願審査の請求料の減免措置が規定されておりますけれども、この措置につきましては、同期間において三百八十七件になっておるところでございます。
○本田良一君 この副大臣の答弁は、ひとつそれで努力をしていただきたいと思います。
 次に、今、長官の答弁は三十万から五十万、一回で掛かるということですから、この特許また維持費も負担が大きいということであきらめていく人がおります。そういうことがありますので、これは十分今後考えていかなくちゃいけないと。
 次に、今回の弁理士法改正では、侵害訴訟において弁理士の訴訟代理人としての参加が認められ、一見よかったよかったという話に見えますが、ユーザーの立場から考えるとどうであろうか。
 弁理士、弁護士と弁理士の両方に費用を払うことになる。また、弁理士の参加に当たってはいろいろと厳しい条件が付けられております。単独では駄目、研修が必要。ところで、弁護士は弁護士法三条の二で、「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」とあります。現在のような複雑な社会や税制の下で、また高度の科学技術開発の進む中で、なぜ弁護士がこのように優遇をされるのか、私には分かりません。弁護士こそ、二、三年の知的財産権研修を得て訴訟代理人にすべきであり、弁護士も、弁理士にも知的財産ロースクールで二年以上の研修を得てそれぞれが単独で代理人を務めるべきだと私は思います。それがユーザーへの利益にもかなうものと思いますが、いかがでございますか。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 それから、弁護士が訴訟代理人になっている事件に限るという今回の弁理士法改正案の一項目が弁理士の単独代理を拒んでいるわけでございますが、三年後の見直し時にはこの項目は解除できますか。大臣に御答弁をお願いします。
○副大臣(大島慶久君) 私の方から答弁をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、今回の改正によりまして、弁理士と弁護士の双方に委託することによりユーザーの費用負担が増すのではないか、こういう今、本田先生の御懸念でございますけれども、訴訟に掛かる費用が、共同受任の形態であることから得られる審理の充実あるいは迅速化等の便益に見合う費用であるかどうか、これはユーザーより厳しく判断されるものでございます。より多くの弁理士が訴訟代理業務に参入することによりまして、競争原理が適切に機能し、ユーザー、弁理士双方にとって適切な水準になっていくものと我々は考えているところでございます。
 次に、知的財産関連訴訟事件は近年大変急増している、これは先生の御指摘のとおりでございますが、それに比べまして、弁理士登録した弁護士は約三百人程度、少ないわけでございます。知的財産に知見を有する弁護士の充実が求められている、これも先生がおっしゃっていることはそれに値していると思いますが、現在議論されておりますいわゆる法科大学院制度、これはロースクールの整備ということになりましょうか、ことによりまして、各法科大学院が適切に社会のニーズを把握して、自主的な創意工夫の下にカリキュラムあるいは教材を作成することによりまして、知的財産法の分野で即戦力として活躍できる弁護士が養成されることが期待をされております。
 さらに、弁護士との共同受任要件につきましては、司法制度改革審議会意見書を踏まえまして、専門技術性を有する弁理士と訴訟実務の専門家である弁護士が連携をいたしまして、お互いの専門性を相互に補完することにより訴訟に対応していくことで審理の充実あるいは迅速化を図るために規定したものでございます。この共同受任要件の在り方につきましては、受任の在り方につきましては、今後の弁理士の訴訟代理人としての今後の実績あるいは利用者のニーズ等を十分踏まえた上で検討すべき課題であると認識をいたしております。
 なお、訴訟に強い弁理士の養成を目指した知的財産権に特化したロースクールにつきましては、今後の検討課題として認識をいたしているところでございます。
 そして、弁護士の共同受任要件、これは、弁理士への特許権等の侵害訴訟の代理権につきましては、弁護士が訴訟代理人となっている事件に限り付与すべきであるとする司法制度改革審議会意見書を踏まえて規定したものでございます。これは、急増する知的財産侵害訴訟の需要を満たすために、専門技術性を有する弁理士と訴訟事務の専門家である弁護士が連携をいたしまして、お互いの専門性を相互補完することにより訴訟に対応していくことで審理の充実、迅速化という目的に最大限寄与することが可能になると判断をいたしたためでございます。
 なお、この弁理士法全体につきましては、平成十二年、弁理士法改正の際の附則第十三条に基づき、施行後五年を経緯した時点、すなわち平成十八年において施行の状況を勘案して検討を行うこととなっております。
 以上、御答弁申し上げました。
○本田良一君 それでは、もう一つ確認をいたしますが、ユーザーは結局弁護士と弁理士に両方払うことになりますか。
○政府参考人(及川耕造君) それはユーザーの選択になると存じます。
○本田良一君 私は、今、長官のおっしゃったことは、ユーザーは両方に払うことになると思いますがね、その辺ちょっと食い違いましたが、これからちょっとしっかりその辺を検討をしなければいけないと思います。
 それから、少しもう時間がありませんので一気にいきますが、お答えを失礼ですけれどもお願いします。
 国際連携体制の確立。特許を始めとする知的財産はすべて情報であります。情報は、国の中にとどまらない国際性が本分であります。日本だけで知的財産権が確保されていても余り意味がない。しかし、世界各国に特許を申請しようと思えば、手続の違いや翻訳の問題がある。日本で申請、認められれば、それが全世界の特許になるようなシステムが理想ではないでしょうか。
 これにひとつお答えと、次に、これは大臣に特に答えていただきたいんですが、流通市場の整備でございますが、荒井元特許庁長官の話によると、故梶山静六官房長官は特許行政にとりわけ熱心で、特許特別会計も一人で作られたそうであります。そして、特許の出願手数料等を利用して株式と同じように特許市場を作る、そうすれば使われない特許を使ってベンチャー企業がたくさん生まれると目を輝かして言っておられたそうでありますが、私はこの梶山先生の、先人の取り組まれたあれを読みまして、本当にすごい人がやっぱりおったなと、国会議員の中で、そう思いましたから、特に大臣に答弁をお願いします。
 それから、知的財産権に対する投資の促進。ベンチャー中小企業が特許を使って事業化するためには、資金調達が円滑に行われなければならない。現実に事業化し収益を上げている特許に対しては、既存の金融機関も担保評価をして融資をすることが創業段階の特許については十分な、と思いますが、十分な融資がありませんので、お願いをできないかと。
 次に、知的財産権教育ですね。初等教育段階から知的財産権意識の向上、知識の普及を目指すべきであります。
 特に、運用が大事でありますが、第三者機関でチェックする仕組み、新しい技術が、これは特許法についてですね、新しい技術が出現をした場合、それに対応した審査基準、審査体制がありますか。弁理士法改正の中で、弁理士の訴訟代理権の範囲を特定侵害訴訟から知的財産権に関する訴訟に拡充することが望ましいですが、いかがでございますか。
 それから、日本弁理士会の研修所の拡充、法的整備などに取り組むこと、併せて知的財産権関連の先端技術、外国法令、金融市場など、広範囲にわたる実務研修を通して弁理士の資質の向上に取り組むことということで、ひとつ、非常に飛びましたけれども、お答えをお願いします。
○国務大臣(平沼赳夫君) それでは、まとめて私から御答弁をさせていただきます。
 各国の特許制度は、現在、出願の方式や特許を付与する要件等が各国ごとに異なっておりまして、世界各国で特許を取得するためには各国ごとに異なる対応が求められております。
 今御指摘のように、経済がグローバル化が一層進展している今日、国境を越えて事業活動を行う企業等は複数国で特許を取得することが必要であることから、その負担というのは大幅に増加しているわけであります。
 特許取得の手続を簡便にして知財関連コストを削減するためにも、特許制度がグローバルなものになることが期待されておりまして、このために、そういうニーズにこたえるべく、各国の制度と運用の調和を図るべく、現在、世界知的所有権機関、WIPOにおきまして制度面の調和と運用の調和に向けた検討が進められておりまして、その中では、まず単一の手続により、複数国で審査を受けられる制度である特許協力条約については、その一層の簡素化、合理化に向けた制度の見直しを既に検討いたしております。
 また、各国における特許を付与する要件の調和を目指し、実体特許法調和条約の策定に向けての作業も進められているわけでありまして、私どもはここに積極的に参加をしておりまして、御指摘の各国制度の運用と調和に向けてやっぱり努力をしていかなければならない、このように思っております。
 また、梶山官房長官のお話がございました。特許は技術開発等の知的創造活動の結晶でございまして、我が国中小企業の技術力向上や新規産業の創出を通じて、我が国経済産業の発展を図る上でその積極的な利用を図ることは当然不可欠であります。特に、知恵を出して特許を取得した人とこれを利用しようとする人を効果的に結び付けて、すなわち特許の流通市場の整備が重要な課題である、このことは我々も非常に重大性を認識しております。
 このために特許庁では、平成九年度から、特許流通市場の整備を図る観点から、特許流通促進事業を実施をしているところでございます。
 具体的には、特許の提供、導入の仲介を行う特許流通アドバイザーを派遣をいたしました。これは、昨年実績では九十九名でございます。また、他者に開放する意思がある特許、開放特許に関する情報をインターネットを通じて提供する特許流通データベースの整備をいたしまして、平成十三年度の実績では約四万四千件、一日当たりのアクセスは約四千件に上っております。また、特許の提供者と導入者の出会いの場を提供する特許流通フェアの開催をいたしておりまして、これは平成十三年度の実績で全国で十二都市で開催をしております。また、知的財産権の取引を担う人材の育成を行う研修事業を実施をしておりまして、これは実績として、基礎研修修了者数は平成十三年度五百二十一名、実務研修修了者数は百二十一名やっております。また、国際特許流通セミナーも開催をしております。
 こうした事業を通じまして、過去五年間に千四百二十件の特許の流通が行われており、利用者の皆様から高い評価をいただいております。
 また、本年一月に開催いたしました国際特許流通セミナーには内外から延べ約三千名の参加者を得まして、各国の特許流通への取組に対する活発な意見交換が行われました。引き続き、特許流通促進事業の実施を通じて、やはり特許流通市場の確立と、こういうものに努めていかなければならないと思っております。
 それから、ベンチャー、中小企業の件でございますけれども、ベンチャー、中小企業が資金調達を円滑化するためには、ベンチャーキャピタルやエンゼルからの出資による資金供給に加えまして、特許が生み出す将来の収益に着目した融資等を積極的に活用していくことが重要であると考えております。
 我が省といたしましても、平成七年度より特許権等の知的財産権を担保する融資制度を日本政策投資銀行に設けておりまして、これまで百八十八件、百六億円の実績があります。また、経済産業省の産業競争力と知的財産を考える研究会において、資金調達手段として特許権の証券化を取り上げまして、その制度的課題やフィージビリティー等について検討を進めております。
 今後、我が国のベンチャー、中小企業を大きく育てるために、こうした知的財産担保融資の定着でございますとか証券化のスキーム、こういったことについて積極的に検討しなければならないと思っております。
 それから、第三者機関でチェックする仕組み、このお尋ねでございますけれども、審査など特許法の運用に当たっては、公正中立を旨とし、適正な手続を行うことは御指摘のとおりだと思っております。その実践に我々としては努めているところでございます。また、審査の結果に不服がある場合には、準司法手続である審判請求や第三者による特許異議の申立て、更には裁判所での審決取消し訴訟によりまして、審査、審判の決定を再審理するといった制度が設けられておりまして、改めて私どもは第三者機関を設ける必要はないと、このように思っております。
 また、工業所有権行政全般の遂行に当たっては、利用者の声の反映を図るとともに、民間企業における経営の在り方も参考とするため、外部有識者から今広く意見を求めているところでございます。
 また、新しい技術が出現した場合の対応、その審査基準、そのお尋ねでございますけれども、例えば近年、情報通信分野やライフサイエンス分野において研究開発が急速に進んでおりまして、特許庁では、これらの分野における特許の保護対象を明確化するとともに、安定した審判判断に資するように、審判基準の整備、公表や、審判体制の整備を進めてまいっているところでございます。
 具体的には、情報通信分野では、ビジネス方法関連発明の関心の高まりやデジタル情報の流通形態の変化を背景として、コンピューターソフトウエア関連発明に関する審査基準を平成十二年十二月に改定するとともに、ビジネス方法関連発明を一元的に審査するために、平成十三年四月より電子商取引審査室を設置をいたしました。また、新たなライフサイエンス分野につきましては、平成十一年十月に遺伝子の断片、全長遺伝子等の発明の審査事例集を、また平成十二年六月にはたんぱく質を用いた医薬開発方法の発明について審査事例集を既に公表しておりまして、更に現在注目されているポストゲノム研究の成果の適切な保護のために、今後、審査事例集の作成を予定しております。
 このように、特許庁は、従来から新技術に対応した審査基準及び審査体制の整備を行ってきておりまして、今後ともやはり新技術への迅速な対応を図っていかなければならないと思っております。
 また、特許侵害訴訟から知的財産権訴訟に拡充すべきではないかと、こういうことでございますけれども、今次の改正によりまして、弁理士が訴訟代理人として関与できるのは特許権等の侵害訴訟、すなわち特許、実用新案、意匠、商標、若しくは回路配置に関する権利の侵害、又は特定不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟でございまして、知的財産権の一つである著作権は御承知のように含まれておりません。
 これは、弁理士が工業所有権の専門家であることと、著作権に関する業務が二年前の法改正の際に、ライセンス契約など紛争性のない契約に限り代理が認められていることを理由としております。仮に、著作権に関する侵害訴訟の代理権を付与することとした場合、著作権についても、工業所有権同様に試験制度を整えるなど、弁理士資格の取得のハードルを高めることになりまして、弁理士人口拡大の障害ともなりかねないわけであります。
 したがって、訴訟代理権の範囲の、著作権を含む知的財産権に関する訴訟に拡充するに当たっては、弁理士人口の今後の増加でございますとか、弁理士の著作権契約の関与を通じた経験、能力の向上に加えて、著作権に係る紛争への弁理士の関与についてのユーザーのニーズ等に考慮しつつ、検討しなければならないと思っております。
 最後の、日本弁理士会の研修の拡充、法的整備などについてでございますけれども、弁理士の資質の向上というのは基本的には自己研さん努力によることが原則だと思っています。これを支援するために、日本弁理士会が会員である弁理士に対して著作権法や不正競争防止法に係る義務研修やテーマ別の会員研修を実施する等、積極的な努力を行っているところであります。
 また、特許庁といたしましても、平成十三年度から既に附属機関である工業所有権研修所において、従来は特許庁職員を対象に実施しておりました先端技術研修や審判研修等を弁理士の皆様方にも積極的に開放いたしまして、資質向上の支援を行っているところでございます。
 今後とも、弁理士の資質向上につきましては、弁理士会と連携を取りつつ、積極的に私どもは対応してまいらなければならないと思っております。
 以上でございます。
○本田良一君 終わります。
 ありがとうございました。
○理事(松田岩夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
○委員長(保坂三蔵君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、特許法等の一部を改正する法律案及び弁理士法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林秀樹でございます。
 午前中、本田委員に続きまして、引き続き質問をさせていただきたいというふうに思います。最後の方は一挙に質問し一挙に答えられたんで、少し私自身の理解というところで若干重なる部分があるかもしれませんが、なるべくそうならないように頑張りたいなというふうに思っております。
 まず冒頭、平沼大臣にお聞きしたいと思いますが、四月十八日というのは何の日だか御存じでしょうか。これはお答えいただかなくても結構でございますが、今回、いろいろ質問準備する間に分かったのは発明の日だということでございまして、百十七年前ですか、高橋是清氏が専売特許条例を公布した日、その日を発明の日ということで、正に今の知財権を確立した一つの記念すべき日ではないかなというふうに思います。そしてまた、四月の二十六日が世界知的所有権デーということで、いわゆるWIPOで決定されたということでございますので、正にこの四月というのはこういう特許法関係を審議するふさわしい時期ではないかなという感じもして、幾つかの観点についてお話をさせていただきたいと思います。
 私もこの分野は必ずしも専門の領域でありませんでしたので、今回質問を準備するに当たって、率直に分からない点、疑問に思う点等がありました。その点に関して御質問させていただきたいと思います。
 いずれにしましても、今回の特許法の改正は、IT技術の進展に伴いまして、私はやはり必要な、むしろ遅過ぎたんではないか、科学技術の進歩に法対応が逆に後れていって付いていないんじゃないかなという感じがします。昨日の新聞でも、今大変有名になりました人気アニメ「千と千尋の神隠し」の違法コピーが世界じゅうをネットを通じて流用されていると。昔ですと、こういうCDとかテープを押さえれば何とかできたんですけれども、これは今ネットワークのブロードバンド時代ですから、もう数時間でそういうものがダウンロードできる。そしてまた、なおかつサーバーを通さずにネットでコンピューター同士がやり取りしながらそれを流通できるというようなソフトもできて、非常に特定が難しくなってきているというふうに思います。これは、いずれにしても、著作権の問題でございますが、この科学技術にいかに法体系が付いていくかというのが私はやっぱり大きな課題ではないかなという感じがします。
 まず、ちょっとお伺いしたいんですが、ややちょっと哲学的な質問になるかもしれませんけれども、まねるということと知的財産権をどう保護するかという観点でございます。
 私は、まねるというのは、人間が生きていく上での必然的な行為ではないかなというふうに感じます。人間、生まれてからおぎゃあといった瞬間、お母さんの声を聞き、お父さんの声を聞き、食べることを聞き、言葉をまねる、そしていろんなことをして、そうやって生きるすべを身に付けていくわけです。
 経済活動でも一緒でありまして、我が国もかつてやはりそうだったというふうに思います。やっぱり戦後外からの技術を導入してそれをまねていくということは一つそうですし、こういうまねるという行為をそぐというのは、やはり経済活力にとって逆にマイナスになる可能性があるわけです。
 しかし一方、知的財産権の保護はしていかなきゃいけないというときに、やはり強くなれば強くなるほど持てるものが強くなり、持てない、知的財産権を生み出せないところはやはり格差が逆に付くんではないか。正に富の偏在、南北間格差、これをやることによってどうなのかということは、もちろん、我が国としてもちろんきっちりやっていくことは必要なんですけれども、やはり世界の平和と繁栄に対して我が国の知的財産権の行使の在り方として、やはりそこには哲学も少し求められるんではないかと。その辺についてのお考えをちょっと冒頭お伺いしたいなというふうに思います。
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘の点は、確かに私はあると思っています。この特許制度というのは、言うまでもなく産業の発展の源泉となります研究開発等の創造活動を促すために、その成果について一定の期間、排他的な権利を与える、こういうことであります。
 一方、特許権による保護が過大になりますと、今御指摘のように、競合又は後発の研究開発のインセンティブを阻害して、逆に新たな技術の革新でございますとか、そういう発展を妨げる要因になると思っています。
 ですから、それはやっぱりバランスの私は問題だと思っておりまして、やはり健全な産業の発展のためには、知的財産政策を、独占、知的財産政策とそれから独占禁止法による競争政策とのいかにこのバランスを取ってやるかと、こういうことでございまして、経済産業省といたしましても、そのことは非常に留意点の一つになっておりまして、私どもとは、私どもと公正取引委員会とでは緊密な連携を行って、いかにバランスを保っていくかと、こういうことで、私どもはそれをしっかりと据えて政策を行っていかなきゃいけないと、このように思っています。
○若林秀樹君 ありがとうございます。
 かつてならこういうことが保護されてなくても、今はどんどんそういうことでいろんな部分が強化されていますので、逆に追い付く方も非常に難しくなっているという意味での条件の差は以前と比べると大きくなっているのかなというふうに思いますので、そういうところも多少配慮しながら進めていくことも考えておく一つではないかなという感じがして、冒頭、質問させていただいたところでございます。
 続きまして、特許法の改正の具体的な質問でございますが、今回は、ネットワーク上でのソフトウエア等の送信行為が特許権侵害に当たるということが法律上明確になったわけでございますが、ネットワークでございますと、もう国内外関係せず、国境を越えてこういうことが平気で行われるということになりますと、仮にサーバーが海外にあって、それを利用して違法行為があったり、あるいは海外からそういうことがあったりとしたときに、なかなかこれを違法だということを特定し、当てはめる、執行するということが、罰則を科すというのが非常に難しくなってきているんじゃないかという、これはこの今回のネットワーク上のこの権利を保護すればするほどそういう問題が出てくるんで、この辺についてどう考えているか、特許庁にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(及川耕造君) サーバーが海外に設置されている場合でございましても、日本国内を対象にプログラムの提供等が行われている場合には、日本国内におきます直接の実施行為と同一視できるのではないかと、日本の特許権の侵害という形で認められる可能性が高いのではないかとは考えますが、先生御指摘のとおり、侵害者が国内に全く支店等を、拠点を持っていない場合、外国の侵害者に対して差止め等の措置を講じていくということは実質的にはなかなか難しく、国際的な紛争処理のルールの整備が必要ではないかというふうに思っております。
 現在、御案内のとおり、ヘーグの国際私法会議がございまして、こういった国際議論の場において検討が行われておりまして、我が国政府といたしましても、今後の電子商取引の健全な発展を阻害しないような、かつ適切なルールが確立されるよう協力をしてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
○若林秀樹君 是非そういうルール作りに積極的に我が国としても関与していっていただきたいなというふうに思います。
 今回、特許法の改正の法律案の中に間接侵害規定というのがありまして、権利保護強化の観点から、悪意で部品を供給することは間接侵害になるということになりまして、これまでですと専用部品であればそれは特定して違反だということで、今回は汎用品でも悪意を持ってそれを供給していればそれは罪になるということですが、逆に悪意ということの認定というんですかね、やっている本人はそういうことは分からずに作って供給をしてということで、必ずしもそこは難しいんではないかというふうに思いますが、この辺はどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) おっしゃるとおり、悪意という主観的要素を実際に直接立証するということは困難な場合が多いというふうには思われますけれども、客観的な証拠から当然知っていたはずだろうという心証を裁判官が形成することができれば悪意が認定されるのではないかというふうに思います。
 ただ、実務上は、少なくとも相手方に警告状の送付を行いまして、そして、その時点からの悪意に、それでもなおその侵害行為を続ける場合には明らかに悪意であるというふうな形で立証が容易になるのではないかというふうに考えております。
○若林秀樹君 ということは、一回、部品を供給して、その時点で悪意であったということの通告を受けて更にやった場合に限って悪意に認められる可能性が高いという理解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) その前のものにつきましても、今申し上げましたように裁判官が心証においてできればなると思いますが、少なくとも、警告を発した後についてもやっていれば明らかな悪意であるというのが立証が容易になるだろうと、こういうことだろうと思います。
○若林秀樹君 分かりました。
 続きまして、先行技術文献の情報開示の義務化ということが今回うたわれているわけでございまして、これまで、聞くところによりますと約四割ぐらいしか文献情報の開示がなされていない、六割はしていないということですから、していないにはしていないなりの何らかのやっぱり阻害要因、理由があるんだろうというふうに思います。
 その辺の理由は、まずちょっと冒頭、どんなふうにとらえていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) 従来からお願いをいたしてきているところでございますが、御指摘のとおり、確かに四割程度の開示でございます。
 いろんな御理由あると思いますけれども、一つには、なるべく情報は独占していた方が審査官との交渉等もやりやすいというような面もあるのかもしれませんけれども、別途、やはりそういったものをたくさん書くということの煩わしさといったような点もあろうかと思います。いろいろまちまちだろうと存じます。
○若林秀樹君 仮に、特許事務所等にこの先行技術の調査を依頼した場合、結構費用が掛かるんじゃないかなという感じもしないわけでもないんですが、逆にそういう費用をこういう審査請求手数料から減額できるような措置というのは考えられないんでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) 今回の開示を法文にさせていただいたわけでございますけれども、そもそも出願人の方に情報を開示していただくことを強く推奨するための制度でございまして、わざわざ費用を掛けて新たに出願前に、前というか、このために何らかの形で費用負担をしていただくというよりは、既に出願する時点で御存じのことを教えてくださいということでございますので、現在でも既に中小企業の中でも十分開示していただいている方もございますので、そういうことで審査請求料等の引下げ等の措置は考えておりません。
○若林秀樹君 ということは、現在持っている情報なら何でもいいということになりますでしょうか。どんな情報でもいいんだったらさっさと出せばいいんで、それが本当にその審査の審理に早くつながる情報かどうかというのはそれは分からないわけですけれども、やっぱり何らかの情報のガイドラインというんでしょうか、そういう方向をやっぱり示すべきではないかというふうに思いますが、いかがなものでしょう。
○政府参考人(及川耕造君) 御指摘のとおりであろうと存じます。円滑な導入に資しますよう、先行技術文献情報の開示すべき範囲等を明確にすることが重要ではないかと考えております。
 したがいまして、特許庁では審査基準等のガイドラインを策定をしたいというふうに思います。ガイドラインの具体的内容については今後検討したいと思いますけれども、例えば、出願の時点で御存じの先行技術文献情報を開示すれば十分であって、今申し上げましたように改めて調査する必要はないといったことを明確にさせていただければというふうに思いますし、その辺、ガイドラインを策定し、周知期間を置いて徹底的に円滑な制度運用がなされるよう周知徹底に努めたいと、かように考えております。
○若林秀樹君 ガイドラインを作られるということでございますので、是非早めに明示していただきたいなと思います。
 続きまして、ちょっと性格が変わる質問ですが、先ほどサーバーという話がありましたけれども、海外との問題というのはこれから非常に重要になっていくんですが、模造品対策ということで年間どれぐらいの被害があるのか分からないですけれども、家電、いろんなソフトウエア等々あるかと思いますし、オートバイなんかでもよく言われるんですけれども、昔はそっと作っていたものが今は堂々といろんな巧妙な手段を使ってやっているということで、例えば、聞くところによると、日本に、あるところに、場所にペーパーカンパニーを作って、会社登記を使って、それで合弁会社を作ってそのブランドでやっているということで、日本はそういうことを抑制できないというようなお話もありまして、もしオートバイ等で現状の被害状況等、これまでどういうふうに対応してきたか、一つの事例として、どういう課題があるかというのをちょっと自分自身理解したいものですから、御説明いただきたいなというふうに思います。
○政府参考人(及川耕造君) 御指摘のとおり、最近、アジア地域を中心にいたしまして、我が国企業製品の模倣品がはんらんというような状況かと存じます。企業への被害もかなり深刻しているというふうに思っております。
 御指摘のオートバイでございますけれども、日本自動車工業会の推定によりますれば、西暦二〇〇〇年で例えば中国で約百三十六万台の模倣オートバイが生産されるといった数字が示されております。で、中国国内のみならず、ベトナム等第三国への輸出による被害が拡大をしているというふうにも聞いております。加えて、従来はいわゆる商標権の侵害が主でございましたけれども、近年はそのデザインにかかわる意匠権の侵害の事例も発生するなど、態様がかなり多様化、高度化しておりまして、企業にとりましては看過できない事態になっているのではないかというふうに思っております。
○若林秀樹君 それに対して政府としてはどんなような対応をこれまでやってきたかということについて、ちょっとお伺いしたいなというふうに思います。
○政府参考人(及川耕造君) 例えば今のオートバイでございますと、日本自動車工業会と連携いたしましてこの二月に中国に官民合同のミッションを派遣いたしまして、中国の国家経済貿易委員会等に対して規制の強化を求めてまいりました。
 私どもも機会あるごとに関係の部局にこの問題についての改善を訴えるとともに、同時に、意識啓蒙が非常に重要だと思っておりますので、そのための関係部局の方たちに対する啓蒙普及活動あるいは研修活動といったものを行ってきているところでありますし、また政府レベルにおきましても、外交ルート、それから様々なコンタクトの機会を通じて問題を提起し、かつ資料の提示等を行っているところでございます。
○若林秀樹君 中国の知的財産保護のいろんな各種の法律が日本と同じようにあるわけですよね。当然、それであれば中国政府が、その法律に違反しているということであれば、もっともっと摘発してもいいんではないか。さっきアメリカとの事例が出ましたけれども、まだまだ政府間交渉としての力が逆に弱いんじゃないかなという感じもしますし、WTO等に加盟したということでございますので、もっともっと政府として相手側、中国政府、そしてまた地方政府も含めましてそういう取締り、あるいはもう共同で摘発するとかということも含めまして、もっともっとやるべきじゃないかなという感じがしていますので、もし御意見があればお伺いしたいと思いますし、私はもっとやるべきじゃないかなという感じがしております。
○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに深刻化していることは今、特許庁長官から申し上げたとおりでございます。
 経済産業省におきましては、昨年十月に産業競争力と知的財産を考える研究会を設置をいたしまして模倣品被害への対応策について精力的に検討を加えてまいっているところでございます。昨年十二月には模倣品等権利侵害品に対する対策強化に関する特別提言が取りまとめられたところでございます。
 この提言の具体化に向けまして今検討を進めているところでございますけれども、具体的には、権利侵害が発生している地域に対しては二国間の交渉の場を通じて模倣品の取締り強化を引き続き要請するとともに、昨年十二月、これは中国、そして台湾が新たにWTOに加盟をいたしました。したがいまして、このWTOの法令レビュー等を活用いたしまして、侵害が発生している地域の知的財産制度及びその運用の是正を強く求めていく、こういう考えでおります。また、侵害が発生している地域の政府自身の模倣品問題に対する自主的な取組をこちらから支援していくために、途上国に対する人材育成協力等の支援を引き続き進めていかなければならないと思っています。
 さらに、官民一体となった模倣品対策の強化を図るため、関係団体及び企業により本年四月に設立が予定されております、これは仮称でございますけれども、国際知的財産保護フォーラム、ここと連携をいたしまして、侵害が発生している地域へミッションを派遣するなど積極的にやっていかなきゃいけない。これは単に、当省、特許庁だけの問題じゃございませんので、やはり関係省庁ともしっかりと連携を取りまして、海外における模倣品対策というものを私は総合的にやっていかなければならない、そのようにやらせていただきたいと、このように思っています。
○若林秀樹君 ありがとうございます。
 会社の登記の問題というのはないんでしょうか。同じブランド名での会社を地域、市町村が違ったら平気でやっぱり今は作れるんですよね。そこにやはりおかしいなと思ったり、あるいは業種的に似通う可能性があったら、もっともっとそれぞれの市町村でそういうことが照合できるいろんなことの対応というのもやっぱり必要じゃないかなというふうに思いますけれども、その辺は何か考えていらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) 中国におきましては、取締り等は御案内のとおり地方政府が行っているわけでございまして、私ども地方での取締りの迅速化でございますとか、あるいはそれの前提となります権利のチェック、これはまあ中央でございますけれども、地方と中央とのリンケージ等についての円滑化といった点につきましても、従前から中国政府に働き掛けておりますし、先般、特に特許審査等に時間が掛かるため権利取得が遅れ、その間に地方においてどんどん模倣品が出回るというようなことが問題になりましたので、これについても、つい先月でございますけれども審査の迅速化を要請し、そして先方からは迅速化に取り組むというふうな旨の回答を得た次第でございます。
 いずれにいたしましても、模倣品被害が深刻な地方に重点を置いた支援を引き続き検討いたしてまいりたいと思っているところでございます。
○若林秀樹君 会社の登記と言ったのは日本の中の問題でございまして、同一市町村内に、市町村が違えば同じような名前の会社を今は平気でやっぱり作れるということに対して何らかの法的な網の規制等が掛けられないものか、明らかに同じブランド名でやろうということがペーパーカンパニーでやっぱり出てくるのであれば、それのチェック機能というのはこれは必要じゃないかなということで質問したんですね。
○政府参考人(及川耕造君) それは恐らく不正競争防止法の世界で、そういうことがあれば対応ができるのではないかと思います。日本にはもちろんございますし、中国にも不正競争防止法ございます。それで、必要であれば対応すべきかなというふうに思います。
○若林秀樹君 もちろんそうなんでしょうけれども、現実的に今、同じ地域に、何ですか、何とかヤマハ、何とか松下、何とかの同じようなブランド名が一挙にできているわけですから、やっぱり何らかの、ここにそういうこと食い止めるような方策というのは私はやっぱりしておくことが必要じゃないかなと、現実そういうことが起きているわけですから、注意すべきことじゃないかなという感じがしておるところでございます。
 続きまして、ちょっと休眠特許の件でお伺いしたいんですけれども、日本は特許件数はかなり多いということでございますが、九九年の調査によれば、全体で有効活用されているのが三五%ぐらいしかない、残りの六五%が休眠してほとんど使われていないというような状況でございまして、確かに、その周辺技術を守るために併せて特許を取っちゃうということで使われていないという理由もありますけれども、調べてみると、かなりの部分がまだまだ単なる寝ているだけで、有効活用できるんじゃないかと。調べによれば、三十五万件ぐらいが開放できる特許ではないかということが言われているわけでございまして、我が国の企業の知的財産戦略がまだまだ不十分ではないかなという感じがしています。
 先日、日経だったというふうに思いますけれども、NECの話が出ておりまして、体制を強化して、NECだけでも六万数千件の特許があるんですが、かなりやっぱり眠っていると、そういうものを有効活用していこうということで、ようやく企業の方もそういう戦略に転換し始めているんではないかという感じがしておりますし、政府として、こういう休眠特許対策に対して何か今考えていらっしゃることはあるんでしょうか、お伺いしたいなというふうに思います。
○副大臣(大島慶久君) お答えをさせていただきます。
 特許庁では、平成九年度より、特許流通促進事業を実施いたしているところでございます。具体的には、特許の提供、導入の仲介を行う特許流通アドバイザーを都道府県や大学TLOに対し派遣をするとともに、他者に開放する意思のある特許、これ開放特許でございますけれども、に関しまする情報をインターネットを通じて提供する特許流通データベースの整備を行っているところでございます。
 また、知的財産権の取引を担う人材の育成を行う研修事業や国際特許流通セミナーの開催等の事業を、財団法人日本テクノマートへ委託により実施をしてまいりました。
 これらの事業の実績といたしましては、特許流通アドバイザーによる特許の流通は千四百件を超えておりまして、これは平成十四年二月現在でございますけれども、また特許流通データベースへの開放特許の登録件数は約四万四千件、アクセス件数は一日当たり四千件に上っております。さらに、研修受講生は延べ六百四十名を超え、国際特許流通セミナーにおいては、内外から延べ三千人の参加を得て、利用者の皆さん方から高い評価をいただいているところでございます。
 なお、本年三月末の財団法人日本テクノマートの解散に伴いまして、特許流通データベースなどの特許情報の提供を行う事業につきましては財団法人日本特許情報機構が、また特許流通アドバイザー派遣などの地域等における特許流通の普及啓発を行う事業につきましては社団法人発明協会が、それぞれ引き継ぐことになっております。
 今後とも、これらの団体における事業の実施体制の強化を図りながら、特許流通促進事業の充実と普及に努めて、特許流通市場の整備に努めてまいりたいと思います。
○若林秀樹君 続きまして、弁理士法関係でちょっとお伺いしたいなというふうに思っています。
 弁理士の侵害訴訟代理業務の付与に当たっては、信頼性の高い担保措置ということで、今回は研修・試験が考えられているわけでございますけれども、研修の内容等についてはこれからまだ調整中だということで概要はすべて明らかになっていないんですけれども、研修の試験に掛かる諸経費というのは国で何らかの補助なり、あるいは弁理士会なり、何かそういう財政的な支援というのを考えていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) 研修は、日本弁理士会が主体となっていただこうと思っておりまして、費用は受講者負担の原則にのっとりまして、受講者の方々から実費として徴収することを予定しております。
 ただ、国といたしましては、例えば教材等については統一的な形で作った方がよかろうというような感じもございまして、その辺の費用については予算に計上させていただいているところでございます。
○若林秀樹君 教材だけですか。
 弁理士としての資格は持っているわけですから、何らかの支援措置をもっともっとあってもいいんじゃないかな。どれくらいお金掛かるかちょっと分からないですけれども、恐らく数十万円単位で掛かってくるんじゃないかな。
 一方、司法修習制度というのは、一回、弁護士資格になってから一年半、これは公費ですよね。何でこっちが公費でやって、一方弁理士の方はそういう研修のためのお金を自分が払わなきゃいけないかということに対して、少しちょっと不公平じゃないかなという感じはしますけれども、その辺の考え方の整備というのはどうなんでしょう。
○政府参考人(及川耕造君) 先生御承知のとおり、司法試験は、合格をいたしましたら直ちにこれ義務的な研修になるわけでございますけれども、今回の研修につきましては、希望者の方にやっていただくということになっておりますので、そういうのを踏まえましてこういう構成をさせていただいているところでございます。
○若林秀樹君 義務的になるとそういう公費で持って、希望者だとそういう受益者負担だという考え方というのは、一時的には私は、やっぱり国家の戦略としてこれを積極的に進めるんであれば、もう少し財政的な支援も含めてやるべきじゃないかなという感じがします。
 確かに、弁護士との性格はもちろん違いますけれども、これをせっかくそういう大きな知的財産権の戦略の中でやっていく意味では、もっともっとそれなりの補助があってもいいんではないかなというふうに思うところでございます。
 また次に、やっぱり地域間格差を生まない努力というのもやはり必要ではないかなというふうに思います。もっともっと試験等を各都道府県で受けられるような援助策も必要ではないかなというふうに思いますから、そういう地域における法務サービスが改善するよう十分配慮すべきだというふうに思いますので、もしその辺のお考えがあれば聞かせていただきたいなと思います。どうしてもこういう訴訟案件は東京、大阪等に偏りがちですが、やはり地域における、あるいは中小企業におけるそういう知的財産権をもっともっと整備していくという観点からは、もうちょっと地域にかかわる環境づくりが必要ではないかなというふうに思います。
○副大臣(大島慶久君) 二十一世紀は正に知恵の時代と言われております。そういう時代を迎えまして、知的財産に関するサービスへの要望は先生も御案内のとおりますます高まっているわけでございますが、まず特許庁では、地域における知的財産に関するサービスの充実を図るため、社団法人発明協会支部を通じて工業所有権に関する定例の個別相談会や出願アドバイザーによる電子出願に関するサービス等の事業を実施しているところでございます。また、弁理士会におきましては、日本知的財産仲裁センター、また日本弁理士会知的財産支援センターにおきまして侵害訴訟や知的財産権に関する相談事業を実施をいたしております。
 こうした専門サービスの提供事業に加えまして、各都道府県の知的所有権センターにおきまして、特許流通アドバイザー及び特許電子図書館情報検索指導アドバイザーが常駐をいたしまして、特許活用や技術移転に関する相談や特許電子図書館の利用手法に関する相談を受けるサービスを、また大学、TLOにおきましては特許流通アドバイザーが常駐いたしまして、大学が保有する知的財産を地域産業へ円滑に移転させるために必要なサービスの提供を行っているところでございます。
 今後とも、これら知的財産に関するサービスへの内容を充実させるとともに、各事業間の連携強化を図りながら、利用者から高い満足が得られるようきめ細かなサービス提供に努めてまいりたいと存じております。
○若林秀樹君 続きまして、人づくりというところについてちょっとお伺いしたいなというふうに思います。
 知財法に精通した弁護士あるいは弁理士の育成というのは今後不可欠だというふうに思いますが、当面の弁理士の不足対策に対してどういう対策を打っていくか、お伺いしたいなというふうに思います。
 弁護士ですと、比較的学生時代から弁護士を目指してやっている方というのは多いんですが、弁理士ですと、一回社会に出てからこれは面白そうだなということで三十代ぐらいからなる方が多いんではないかなという感じがします。
 そして一方、まだまだ合格率が低いということでは、聞くところによると何か定員の枠は設けてないというように感じておりますが、比較的合格率が低いということもありますので、まだまだもっともっと弁理士のこの資格の宣伝、試験内容を様々な宣伝することも必要ではないかなというふうに思いますが、その辺どういうふうにお考えでいらっしゃるのかお伺いしたい。
○政府参考人(及川耕造君) 最近は弁理士になりたいという方が大変多いというふうに思っておりまして、先日も私どもで試験の受付をいたしているわけでございますが、玄関にずらっとお待ちになっていただいた光景がございまして、御関心が大変高くなっているのではないかと存じます。
 先般、平成十二年の弁理士法改正におきまして、試験の内容の簡素合理化、あるいは修士の取得者や他の有資格者の方に対する一部試験免除等を含む試験の抜本的な見直しを行ったところでございまして、正にその新弁理士試験が本年五月から実施される予定でございます。弁理士試験の合格条件は司法試験のような定員といったような制約要因はございませんでして、基本的には所定のレベルに達した方を合格させておりますので、今後の合格者数につきましては、確たる予想はできませんけれども、年々増加している傾向等と相まちまして人口の拡大が一層伸展するのではないかというふうに期待をいたしているところでございます。
○若林秀樹君 あわせまして、弁護士の育成なんですけれども、私、弁護士ではありませんのでその辺の知識というのはよく分からないところもあるんですが、我が国における法曹育成の中において、いわゆるビジネスローというんでしょうか、あるいはこういう知財法も含めた位置付けというのが比較的低いんじゃないかなという感じがします。
 確かに、基本六法というのは必要だというふうに思いますし、基礎を学ばないと応用編も利かないというのは分かるんですけれども、今回、法科大学院という構想がありますから、法学部から行けば、四年やって、二年やって、それから司法修習制度があるということですから、かなりの長期間なんですよね。一方、私、ちらっと法科大学院の中を見ますと、まずは基幹科目云々といってほとんどがそういう六法を中心にやっていて、ビジネスローが横っちょに追いやられているという感じがするんですね。
 それがもし間違いだったら教えてほしいんですが、法科大学院におけるこのビジネスローをどうやって位置付けて育てていくかということの、科目の設定も含めて、ちょっと分かれば教えていただきたいなと思います。
○政府参考人(工藤智規君) 法科大学院については、十六年四月の受入れ開始を目指しまして、今、関係者で御検討いただいているところでございます。
 それは、三年間のコースで、それぞれの持ち味を生かしながら多様な教育を展開していただくということでございますが、法曹養成に特化した法科大学院でございますので法律的な素養が中心になるのはもちろんでございますけれども、持ち味を生かして、今御指摘のような知的財産分野における科目を多く開設して、そういう知財関係に強い法曹人を養成するという大役ももちろん期待されているところでございます。
 現に、昨年十二月に司法制度改革推進本部の事務局で調査をいたしまして、今、法科大学院の準備をしている大学に対するアンケート調査の結果でございますけれども、回答がありました九十一大学のうち七十八大学が知的財産権法等の開設を予定しているということも含めて、かなり積極的な取組が見られているところでございます。
○若林秀樹君 やはり今の社会の基盤というのはやっぱり経済活動ですから、ますますグローバル化が進み経済活動も複雑化し大型化するという、そういうものの動きにやはりきちっと対応できる、ビジネスローにも強い法曹育成というのが必要ではないかということを強く思っているところでございますので、是非、法科大学院においては、そういうことは体系的にきちっと学べるような体制づくりに是非御努力いただきたいなと。
 その関連で言いますと、もう一つ手落ちなのは、私は司法試験じゃないかなという感じがします。ここを読みますと、一次試験、二次試験、短答式、論文式、いろいろ、口述があるんですけれども、やはり何だかんだ言って基本六法なんですよね。商法は入っていますけれども、今の司法試験の難関度を考えれば、司法試験に入っていないものを真剣に学ぶなんということは基本的に考えられないですよ、これは。やりたくてもできない、余裕がない。
 そういうんであれば、やはりこの辺からきちんと体系的に変えていかないと、どんなに知的財産戦略云々と言ったって、やっぱりこの大本の部分を併せて時代とともに変えていかないといけないんじゃないかという感じがしていますんで、私は、是非その中にも、選択必須というんでしょうか、幾つかビジネスローをきちっとやっぱり選択できるような形にして、学校時代から学べるようなものに併せてここも改善していかないと絶対これは手落ちになっちゃうと思いますんで、この辺に何かお考え等あればお伺いしたいなという感じがします。
○政府参考人(寺田逸郎君) ただいま文部科学省の方から御答弁ございましたように、現在、司法制度改革につきまして、推進本部の方で検討会を中心に様々な法曹養成の在り方についての御議論がなされているわけでございます。
 それで、司法試験につきましてもその一環でございますが、司法試験は、何と申しましても今度新しくできます法科大学院、これの教育内容に沿って司法試験を実施するということが基本でございますので、法科大学院でどのような教育が行われるかということを見ないと何とも言えないところではございますが、ただいまもお話ございましたとおり、法科大学院の方では、基本的に法律の科目の中に、重要な一部として、ビジネスローと俗に言われます知的財産権を含めましたビジネスに用いられる実務的な法律科目というものも位置付けられるというような方向での議論が進められておりますので、そういたしますと、司法試験の方も選択科目の非常に重要な一部としてそういうものも位置付けるということも十分に考えられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、現在、司法制度改革の一環として本部を中心に行われているこの御議論の中でまた十分に御検討をいただく、こういうことになろうかと思っております。
○若林秀樹君 是非、時代に合った法科大学院の内容と併せて司法試験ということも御検討いただきたいなというふうに思います。
 やはり知的財産戦略会議を作ってもそれに一貫した動きがなければ余り意味がないんじゃないかなというふうに思いますので、是非、まあ我々素人が見ると保守的な、なかなか変わりにくいというところがありますが、是非積極的に変えていっていただきたいなというふうに思います。
 時間がありませんので、またちょっと質問を飛ばしてお伺いしたいなというふうに思いますが。
 今ちょっと少し問題になっているのは、企業における研究者の発明に対する対価ということが少し訴訟問題で出てきて、私はここはやっぱり少し変えていくべきではないかという感じがしているところでございます。一番目新しい例では青色発光ダイオードですか、教授が元いた会社を十億円でしたっけ、何か訴訟を起こしたという話がありますが。
 私も知らなかったんですが、元々企業内で勤めていると、その発明は従業員個人に帰属をする、しかしそれを実施するのは、実施する権利は会社がやはり優先的にその権利を譲り受けるということであったわけで、そこにどういう報酬を払うかというのはあくまで、相当な対価というふうにここには書いてあるわけですけれども、やっぱりここが、今のこれまでの日本的な労使慣行、いろんな雇用条件等を考えますと、ある程度やっぱり会社が一方的にほとんど決めていたと、気が付いたらこうなっているんじゃないかと慌てふためいて今訴訟事件がやっぱり起きているんではないかなという感じがしていますので、この辺について、今どんなふうに問題意識として、将来的にどういう改革の方向を出そうとしているのか、お伺いしたいなというふうに思います。
○政府参考人(及川耕造君) 御指摘のとおり、青色発光ダイオードに関する訴訟でございますとかオリンパス光学事件といった、従業者の方が職務上行った発明の権利を企業が承継した場合、その対価が過少であるということで増額請求を行う訴訟が提起されております。
 これに絡んで、特許法第三十五条では、先生今御指摘のとおり、職務発明につきまして、原則として特許権等は従業者に帰属し、企業は無償の通常実施権を有するというふうにいたしておりまして、勤務規則などの定めによりまして特許権等を企業に承継させる場合には、その従業者に相当の対価を請求する権利があると、こういうふうになっているわけでございます。
 この規定は、企業、従業者の発明に対するインセンティブを高めるという本来の趣旨、そしてその結果として我が国企業の産業競争力強化を図るという側面がもちろんあるわけでございますが、御指摘のありましたように、対等の立場にあるとは言い難い従業者と企業との間の契約交渉を調整するという従業者保護的な側面も有しているわけではございます。しかしながら、今、先生御指摘のとおり、訴訟が多発するような状況になっているわけでございまして、様々なこれに対する御意見が提起されているのは私どもも承知をいたしております。
 したがいまして、我が国のみならず欧米等におきます企業におきます報奨金制度、あるいは発明の成果をめぐります従業者と企業の間の法律関係等について十分実態を把握するとともに、既に企業関係の団体等からは幾つかのお考えをまとめて御提示いただいているところでございますけれども、特に直接の研究者の方たちがどういうふうな考えをお持ちなのかについての実はデータがございません。現在、それにつきまして数千人の規模の方々に私ども直接アンケートをしたいと思っておりまして、その手続を進めているところでございます。
 こうした結果を踏まえまして、御指摘の職務発明制度の望ましい在り方というものにつきまして積極的に検討させていただければというふうに思っている次第でございます。
○若林秀樹君 今、会社の方では報酬額を一時的に増やしている企業がありまして、まあ一億円とかなんとかというのはありますけれども、相当な対価といった場合に、何らかのこの対価の考え方を示してあげないとやっぱり現場では混乱するんではないかなという感じがしています。二十年間にわたる特許、この二十年間の利益なのか何なのか、もう様々な議論がやっぱり出てくるわけですから、私はやっぱり働く人のモチベーションを高めるためにも、きちっとこういうものは公開してこうなっているということで、その上でやはり会社側との何らかの雇用契約なり、ある部分での覚書なりというのをきちっと交わさないとトラブルのもとになるのではないかなという感じがしています。
 併せてびっくりしたのは、著作権の方はこれ企業に属するんですかね、一応特許法のこういう三十五条が著作権にはないということでこれまたびっくりするんですけれども。例えばゲームソフトなんかはどんなにやってもこれは個人に帰属しない、一方、こっちの特許法の方は個人に帰属するということが平気でやはり併存しているということ自体が正に法律の弊害的な縦割りの要素じゃないかなという感じがしていますけれども、その辺はどうなんでしょうか。私の調べではそうなっていると思いますが。
○政府参考人(及川耕造君) 著作権については先生御指摘のとおりでございまして、法人に帰属するというふうに聞いております。
○若林秀樹君 ですから、知的財産権を議論するに当たって、著作権は企業に属し、特許の方は従業員に属するということが平気で今あるということ自体がおかしいわけですよね。
 私は平沼大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり知的財産戦略会議を作ったのは一つのステップですけれども、こういう縦割り行政、こういうものに基づいた法律がばらばらになっているということに対しては、もっともっとリーダーシップを発揮して、こういう弊害を除いたインフラ整備が必要ではないかなというふうに思いますので、例えば知財権にまたがる各省庁の分野を統合してやっぱり知財庁を作るとか、あるいは裁判所、そういう専門裁判所を作るとか、そういう研究所を作るとか、そういうインフラというのは必要だと思いますので、その辺についてのお考えがあればちょっとお伺いしたいなと思います。
○国務大臣(平沼赳夫君) 私どもとしては昨年度以来、私が主宰をいたします産業競争力戦略会議の場を通じまして、大学、産業界等から御意見を聞きつつ、関係省庁の協力を得ながら幅広く知的財産政策をめぐる課題について検討を進めているところでございます。
 今ちょっと御指摘になられましたけれども、総理の下で開催することとしました知的財産戦略会議におきましては、大学や企業から有識者の御参画を得まして、またそれに政府が一体となって、産業競争力の強化と経済活性化の観点から活発な議論を行っているところであります。そして、知的財産戦略大綱を取りまとめることにしているわけであります。
 経済産業省といたしましても、これまで行ってきた検討の成果を踏まえまして積極的に議論をリードして、知的財産戦略の策定にこれから貢献をしていきたいと思っております。
 御指摘のように、縦割りの弊害があると。したがって、国家として戦略的に取り組むために知的財産基本法であるとか知的財産庁の創設、そういう様々なインフラの整備をすべきじゃないか、こういう御提言であります。非常にそれはある意味では正鵠を射た御提言だと思っておりますけれども、私どもは、今言ったようなそういう措置をすることによって、御指摘の縦割りの弊害についてはそれを生じないように関係省庁間の緊密な連携に努め、そして問題解決に向けた課題があれば知的財産戦略会議の場で今おっしゃられたようなことも積極的に取り上げながら知的財産戦略大綱の中で位置付けていくと、こういう考えでございます。
○若林秀樹君 是非、積極的に進めていただきたいなと思います。
 最後に、ちょっとビジネスモデルについてお伺いしたいなと思います。
 ここ二、三年、ビジネスモデル特許というのが脚光を浴びておりまして、メーカーでない企業が急にこれは特許が取れるんじゃないかなということで結構動き始めているのじゃないかなというふうに思いますが、今回の法改正は、プログラムというところについての部分は保護の対象にしましたけれども、ビジネスとかサービスの分野には踏み込んではいないんではないかなというふうに思います。
 まず、ビジネス特許モデルとはどういう定義なのか、ちょっとお伺いしたいなと思います。
○政府参考人(及川耕造君) 私ども、ビジネス方法に関する発明あるいは特許というふうに言っておりますけれども、これはその多くがコンピューター技術を利用したソフトウエア関連発明ということで出願をされておりまして、分類的にはそのカテゴリーで取り扱っているのが私どもの審査基準の対象になっているわけでございます。
 この純粋なビジネス等につきましては、先ほど来御議論ございますけれども、本日審議をいただいております本法案の検討過程で議論は行ったところでございます。
 ただ、既に申し上げましたとおり、ビジネス方法に関する発明につきましては、一九七五年以来、いわゆるコンピューターのプログラムや何かの形でソフトウエアという形で次第に高い水準での保護が図られてきているわけでございまして、純粋なビジネスにまで独占権を与えることはかえって自由な経済活動を阻害するのではないかということから、対象には加えていないわけでございます。
 したがいまして、御質問の件でございますけれども、定義というか私どもの分類はいわゆるソフトウエア関連発明と、こういうことにいたしております。
○若林秀樹君 そういうことだというふうには理解はしていたんですが、実際に、まだまだビジネスモデル特許が出てきて間もないので、そういうものは蓄積していないことによってまだまだそこの法体系も含めて対応できていないんじゃないか。
 現実には、必ずしもコンピューター、ITを使っていなくても認められているのもあるんじゃないかなという感じがしますし、ぱっと調べたら、これは葬儀方法なんですけれども、葬儀、お葬式で遺影を静止画像でやって、それをビデオに切り替えると、こういうものがビジネスモデル特許になっているというのが書いてあるので、これはあくまでもコンピューターとかIT技術使っていませんので、こういうものが自動的に、やっぱりまだまだ基準ができていないと思うんですよね。そういう意味では、まだまだこの部分での研究等も含めまして、対応を強化する必要があるんじゃないか。
 いずれにせよ、これからの入口でございますので、これはもう特許法のその元々に返る、さっきの自然法則に返るところに戻りますので、やっぱり時代に合った特許の在り方というのは今後やっぱり必要じゃないかということを最後申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。
 以上です。
○荒木清寛君 それでは、まず特許法等一部改正案について、失礼いたしました、弁理士法の方ですね、弁理士法一部改正案を中心に質疑をしたいと思います。
 先ほど、今し方も平沼大臣から、政府として縦割りを廃して知的財産戦略大綱を目指していると、そういう中では基本法の制定という意見も出ておるというお話でございました。これはもう政治の怠慢でもあるわけでございますけれども、特許庁長官をお務めになった荒井寿光さんという方がもう三年前に本を出して、そこでこの知的財産基本法の試案というのを出しているわけですよね。
 だから、いずれにしても、そうした基本法にしましても大綱にしましても遅きに失したという感はなきにしもあらずでありますけれども、しかし、そういう中での今回の法改正というのは、知的財産権の保護の強化という視点でございますから、私も全面的に賛同するものでございます。
 そこで、まず経済産業省に、近年、企業におけるプロパテント意識の浸透に伴いまして、知的財産をめぐる企業間の紛争が多発していると聞いておりますが、その現状についてまず御報告を願います。
○副大臣(大島慶久君) お答えをさせていただきます。
 知的財産をめぐる紛争につきましては、その一つの形態でございます知的財産侵害訴訟の件数、これは最高裁判所の統計によりますと、平成三年には合計三百十一件でございましたが、平成十二年には合計六百十件、この十年間でほぼ倍増いたしております。
 また、紛争の別の形態でございます無効審判請求につきましては、特許、実用新案、意匠、商標権の合計で平成三年には三百六十六件でございましたけれども、平成十二年には七百五十一件と、これまた約十年間でほぼ倍増いたしている。
 これらの統計を踏まえまして、知的財産をめぐる紛争が近年多発している状況であることは、先生がおっしゃるように確実であると思います。
○荒木清寛君 よく言われますのは、特許侵害の場合の賠償額がアメリカに比べて格段に低いという指摘がございます。これも先ほど御紹介した著者の試案、試算によると、九〇年から九四年ぐらいを基準にしても二百倍ぐらい差があるんではないかという指摘もございます。
 最近、この特許侵害の場合の賠償額、裁判における賠償額の傾向について御説明願えませんでしょうか。あるいは、最高額でこうしたものがあったという、そうした御報告を願いたいと思うんですが。
○副大臣(古屋圭司君) 特許侵害に対する賠償額が低いという御指摘でございますけれども、平成十年の特許法改正におきまして逸失利益の立証の容易化等の損害賠償の制度化の強化を図らしていただいておりまして、こういった効果もありまして、平成十年から平成十三年度までの特許、実用新案侵害訴訟判決におきまして認定されました賠償額が平均で約一億八千万円ということになっていまして、これは平成二年から平成六年までの平均四千六百万円ということですので大体三倍ぐらいになっているということでございまして、またこのほかにも東京地裁において、先日、パチンコスロットの特許権侵害をめぐりまして、特許侵害をめぐりまして改正特許法の規定を適用しまして、これはもう我が国史上最高額でございましたけれども、総額八十四億円の支払を命じる判決が出ておりまして、引き続きこうした判例の動向あるいは改正後の特許法の効果というものをしっかりと注視をしてまいりたいというふうに思っております。
○荒木清寛君 そういう意味では、賠償額も適正なものでなければ、なかなかそうした知的財産をめぐる裁判の利用というのが進んでいかないのではないかというふうに思います。
 そこで、関連しますが、国際的に見まして、この知的財産をめぐる裁判の空洞化が日本で起きているのではないかという指摘がございます。
 いわゆる特許の場合には、日本でも成立をしアメリカでも成立をするという場合には、どちらの国の裁判所に提起をしてもいいというケースも多いわけでございます。そういう意味でいいますと、この日本企業と欧米企業との特許裁判のうち日本で争われるのは一割未満であるという、そういう統計にも接したことがあるわけでございます。
 これは、要するに日本に本社があっても向こうの国で裁判を起こさなければいけないということになれば、やはり競争上ハンディーがあるわけでありまして、余り私は好ましい事態ではないと思うのでございますが、こういう現状を大臣はどう認識し、あるいは今後どうした改善といいますかお取組をなされるつもりなのか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(平沼赳夫君) 特許権を始めとする知的財産権の侵害訴訟につきましては、先ほど来出ておりますけれども、損害賠償額が低いということ、それから米国と比較しましてその審理期間が長いこと、こういったことを理由に、まず米国で訴訟を提起する、司法の空洞化と申しますか、そういった問題が生じているという厳しい指摘があることは私どもとしても十分認識しております。
 損害賠償額につきましては、プロパテント意識の浸透や平成十年の損害賠償額算定方式の見直し、それから平成十一年の文書提出命令の拡充による侵害立証の容易化などの近時の特許法改正の効果も相まって、九〇年代前半に比べて、古屋副大臣から御答弁がありましたように相当高額化しつつあることは事実であります。
 また一方、審理期間につきましては、裁判所の人員増等の努力もあり、現在短縮傾向にあります。審理期間の更なる短縮のためには、裁判所だけでの努力では当然足りませんで、弁護士等の訴訟代理人サイドの迅速な訴訟活動も重要なファクターとなりますけれども、現在のような知的財産専門の弁護士の極端な人員不足状況ではこのような審理の迅速化も円滑に進まない、こういうおそれがあります。
 そのためもございまして、今回のお願いをしております弁理士法改正によって、訴訟代理権を有する弁理士が短期間に大幅に育成、供給されるとともに、技術の専門家である弁理士と訴訟実務の専門家である弁護士が相連携して訴訟に対応できるようになり、審理の一層の充実を図りながら審理期間の短縮、これを果たしていかなければいけない。
 確かに、御指摘のようにそういう状況がありましたので、その空洞化というものをやっぱり是正する、こういう形で努力をし、そのためにこの法案もお願いをしている、こういうことでございます。
○荒木清寛君 今、大臣の方から、今回の法改正はそうした意味では知的財産関係の訴訟事件の充実あるいは迅速化に大いに資することを期待するという、そういう趣旨の答弁がございまして、そのとおりにその所期の目的が達成されますように頑張っていただきたいと思います。
 そこで、ちょっと条文に即してお聞きをしたいと思いますが、弁理士法改正の第六条の二の三項でございますが、今回の改正によりまして、研修を経た弁理士に訴訟代理権が付与されることになったわけでございます。そういう中で、第三項におきまして、裁判所が相当と認めるときは単独で出頭ができるということでございます。これは条文だけ見ますと、「相当と認めるとき」ということで、裁判所の裁量ということでありますので、相当広範な裁量権があるようなんでございますけれども、これはどういう場合がこの「相当と認めるとき」に該当するんでしょうか。
 要するに、その弁理士さんを見まして、裁判の場数を踏んでいてもう慣れているという方には単独でやっていただくという、そういう趣旨なのか、あるいはそれぞれの裁判のステージを見まして、客観的な状況で今日の期日は単独でもよろしいということになるのか。この「相当と認めるとき」の一つの基準をここでお示しを願いたいと思います。
○副大臣(大島慶久君) 私からお答えを申し上げます。
 弁理士に単独出頭を求めるかどうかということは、最終的には裁判所が訴訟指揮権に基づきその裁量により個別具体的に判断される事項でございます。
 例えば、弁護士が期日に出頭できない例外かつ一時的な場合にありましては、弁理士の専門技術性が活用できる場合及びこれに関する主張、尋問、証拠調べ等に行う場合、更には補佐人や侵害訴訟代理人を経験することで訴訟遂行能力が十分に備わった場合等を想定いたしております。
○荒木清寛君 そうしますと、そうした裁判の進行の状況と、またその当該の弁理士さんの、力量というと失礼でございますけれども、そうしたことを含めて裁判所において判断をするという理解でよろしいわけですね。
○副大臣(大島慶久君) そういう御理解でいいかと思います。
○荒木清寛君 今回の改正で付与される弁理士に対する訴訟代理権を真に活用していくためには、本法でも規定されております研修と国家試験という中でも、特に研修が極めて重要な要素になることは論をまちません。
 四十五時間程度を想定しているとも説明を受けましたけれども、そういうかなりのボリュームの研修でありますので、そういう中で、現在司法研修で行っているような民事裁判演習等、実務に重点を置いた研修に力を入れてやっていくべきである。そうした意味では、実務家であります裁判官なり弁護士なりの協力も不可欠になろうかと思いますが、今後どうした形でそういう研修を具体化していくのでしょうか。
○副大臣(大島慶久君) お答えをいたします。
 司法制度改革審議会意見書の提言を踏まえ、訴訟代理権付与の条件として必要な信頼性の高い能力担保措置について、産業構造審議会知的財産政策部会において審議を行ったところでございます。
 その結果を踏まえ、侵害訴訟代理業務を希望する弁理士に対し、特許等の侵害訴訟に関する訴訟代理人となるに必要な学識及び実務能力に関する研修及び試験を行うことといたしております。
 研修は、骨格は国が定めますが、日本弁理士会が実施をし、民事訴訟に関する実務的な事項につきましては、全体で最低四十五時間を行う予定といたしております。
 研修の内容でございますけれども、訴訟実務に役立つ実践的な知識の習得を目指し、司法修習で行っている演習を参考に、特許権等の侵害訴訟についての訴状、答弁書あるいは準備書面作成など、訴訟実務に即した演習に重点を置いたものと予定をいたしているところでございます。
 今後、早期の研修の実施に向けて、研修に必要な教材の作成あるいは講師の確保等、研修の具体的な実施形態について精力的に検討を進めてまいりたいと思っております。
○荒木清寛君 裁判官や弁護士の協力はきちんと得られるような、協議をされているといいますか、担保はもう取ってあるんでしょうか。
○副大臣(大島慶久君) はい。先生のおっしゃるように、取ってございます。
○荒木清寛君 現在、弁理士の地方展開も強く要請をされております。地域における中小企業やベンチャー企業の利便性の一層の向上、そうした方々がどんどんそうした特許なり知的財産権を取得していくということが必要でございます。
 そういう意味では、この資格の、訴訟代理権の付与に当たっても地方の弁理士にも十分な配慮が必要であると考えますけれども、その点はどうなんでしょうか。要するに、東京と大阪だけでそうした研修や試験が行われるということでは不十分であると考えますが、いかがですか。
○副大臣(古屋圭司君) お答えをさせていただきたいと思います。
 確かに、弁理士の地方展開というのは極めて重要な問題だと思います。ただ、現実問題として、今、弁理士が四千六百人おりますが、もう極めて一極集中しているんですね。四千六百人のうち三千四百十六人が東京、大阪が七百九十二人、そして名古屋が二百四十一人、これだけで約四千五百名近くおりまして、あと残りが百二十数名でございまして、これが地方で活動されているということ。こういうふうになってまいりますと、どうしてもまずは東京と大阪で研修をするということにならざるを得ないと思っております。
 また、いずれは名古屋でもということは考えておりますが、そういう場合もやはり裁判所の知的財産の、知的財産権の専門部がないということもありまして、ほかの裁判所からの講師の協力を得るという必要があろうと思っております。
 ただ、そうはいっても、今、委員御指摘のように、やはりこれからの地方展開、特にそういった最新鋭の技術を持って知的財産権あるいは特許権を取得していくということが大きな企業戦略上の柱にもなってきますので、そういったことにも対応できるように、例えば研修の受講希望があるときは、必ずその講演に行くということではなくて、例えばインターネット等を通じまして遠隔的にそういう講演をする。もちろん、それだけでは対応できませんので、別途受講していただくというケースもございますが、そういう受講していただくのと、あるいはインターネットあるいはテープを通じて教材を活用、そういったものを活用して研修をしていただく。そういうものをミックスをして対応して、できるだけそういった地方の皆様方にも配慮するということを考えていきたいと思っております。
○荒木清寛君 新幹線がありますから、東京や大阪から来ていただければ、講師の方に来ていただければいいわけでありますから、しっかりとそうした地方にも目配りをした研修・試験ということを考えていただきたいと思います。
 そこで、確かにこの司法制度改革審議会の意見書によりますと、弁理士への訴訟代理権の付与というのはそうした能力の担保ということを条件にして、しかも弁護士との共同出廷という条件付のものであったかと思います。
 しかしながら、利用者、弁理士なり弁護士、あるいは侵害訴訟を起こそうとする利用者の立場に立てば、ちょっと不十分な感もするわけでございます。私は、将来の課題として、この弁理士に対する訴訟代理権の付与も弁護士が訴訟代理人になっている事件に限るという限定を解除することも今後の課題としては十分検討していかなければいけないのではないかと、こう思いますが、大臣の所見を伺います。
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。
 弁護士との共同受任要件というのは、弁理士への特許権等の侵害訴訟の代理権については、おっしゃるように弁護士が訴訟代理人となっている事件に限り付与すべきである、こういう司法制度改革審議会意見書を踏まえて規定をしたところでございます。これは、急増する知的財産権、知的財産侵害訴訟の需要を満たすため、専門技術性を有する弁理士と訴訟実務の専門家である弁護士が相連携しまして、互いの専門性を相互補完することにより訴訟に対応していく、こういうことで審理の充実、迅速化という目標に最大限に寄与することが可能になると、こういう判断をいたしたからでございます。
 この共同受任要件の在り方については、今後の弁理士の訴訟代理人としての実績でありますとか利用者のニーズ等を十分踏まえまして検討すべき課題であると私どもは認識をしております。
 そして、例えばそういう形で我々としては、外国の例なんかをやりますと、サービス貿易に関する一般協定、これはちょっとあれですけれども、各国の弁理士相当資格については各国ごとで差異がありまして、弁理士資格というものに関してはまだ各国においては議論が始まっていない状況でございます。ですから、私どもとしては、今申し上げたように、この共同受任要件の在り方については今後の実績だとか利用者のニーズ、それを十分踏まえた上で検討すべきだと、このように思っております。
○荒木清寛君 また、司法制度改革審議会意見書では、特許訴訟等の東京、大阪地裁への専属管轄や専門委員制度の導入等、裁判体制の強化も提言をされておりますけれども、これをどのように具体化していくんでしょうか。要するに、もう東京、大阪だけを特許専門裁判所にしてしまうという、そういう方針で取り組んでいるのかどうかですね。これは法務省にお聞きします。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、司法制度改革審議会意見書で、特許訴訟につきまして東京、大阪両地裁への専属管轄化ということが提言をされております。これを受けまして、現在法務省では、法制審議会の部会におきましてその東京、大阪両地方裁判所への管轄の専属化について、専属にしたときの問題点等を含めて、現在検討をしているところでございます。
 また、同時に、特許も含む専門的知識を要する訴訟について専門委員制度の導入が意見書で提言されておりますので、この点についても同じ部会で、専門訴訟の効率化の観点から、専門委員制度を導入した場合の諸問題について検討をしているところでございます。
○荒木清寛君 私は、こうした知的財産をめぐる訴訟につきまして、専門の裁判所を作るという必要は十分あると思いますし、またそういうことを通してこの判例の統一といいますか、予測可能性ということも出てくるんだと思いますし、企業にとってもメリットはあるとは思います。ただし、東京と大阪でしかそうした問題についての訴訟が起こせないということですと、これまた大変な不便といいますか、正に企業にとって足かせになるわけでありますから、その辺のバランスをよく考えて、いい制度設計をしていただきたいということを要請をしておきます。
 そこで次に、知的財産をめぐる紛争処理に当たっては、訴訟以外にも裁判外紛争処理、いわゆるADRが重要であります。知的財産分野では平成十年に知的財産仲裁センター、これは弁護士会、弁理士会の共同設立に係るわけでありますが、これができました。
 前回の弁理士法改正でもこの仲裁代理権が弁理士に付与されているわけでありますが、このいわゆる仲裁センターの活用状況ですね。聞くところによると、もう少し活用されてもいいんではないかというような話も聞いておるわけでございますが、どうなんでしょうか。
○副大臣(古屋圭司君) お答えさせていただきます。
 委員御指摘のように、訴訟以外にもこのADRというのは極めて重要でございまして、そういった視点に立って平成十二年に弁理士法の全面改正で、特許、実用新案、意匠、商標、回路配置あるいは特定不正競争に関する仲裁事件の手続についての代理を新規業務として追加をいたしておりまして、この改正によって、いわゆる今、委員御指摘がございました日本知的財産仲裁センターにおきまして、仲裁事件に代理人として弁理士が参画することができるということとなったわけでございまして、これ平成十年に設立をされたわけですけれども、今年の三月三十一日現在で二十二件の調停、仲裁の申立て、それから千二百件の相談案件、それから十三件のドメイン名の紛争処理の申立てを取り扱ってきております。
 しかし、今この数字からも明らかなように、十分にここが活用されているとは言えない状況でございますので、やはり今後ともこの知的財産の紛争の増加というものが予測をされますので、この一層の活用というものを我々もパンフレットあるいはホームページ等を通じて積極的にPRをしていきたいと思っております。
○荒木清寛君 そうしたADRあるいは仲裁制度についての広報とともに、やはり法的なインフラ整備も必要ではないかと思いますので、これは司法制度改革推進本部にお聞きいたしますけれども、こうしたADRを抜本的に活性化するためには、このADR基本法でありますとかあるいは仲裁法制の整備といった法的な整備も必要ではないかと思います。仲裁の申立てをしただけではこれは時効が中断しないんですかね、そんな問題もきちんとしなければ活用されないと思うんでありますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のように、仲裁法制の早期の整備ということとADRに関する基盤整備ということは大変重要な問題でございます。その関係から、三月十九日に閣議決定されました司法制度改革推進計画、ここにおきまして、仲裁法制を整備するための所要の法案を平成十五年の通常国会に提出するということとともに、総合的なADRの制度基盤を整備する見地から、ADRの利用促進、裁判手続との連携強化のための基本的な枠組みを規定する法律案、いわゆるこれがADR基本法と言われるものでございますけれども、これを提出することをも含めて必要な方策を検討いたしまして、遅くとも平成十六年三月までに所要の措置を講ずると、こういうふうに記載している、計画しているところでございます。
 現在、私ども事務局に置かれております仲裁検討会それからADR検討会でいろいろヒアリングを通じて検討を続けているところでございます。特に、御指摘のADR基本法につきましては、この秋ごろにこの研究、検討会におきましてADRに関する制度基盤の整備に関しまして基本的な方向性について議論をするということになっております。その時点で議論の成熟度によりまして法律を制定するかどうか、制定するとすれば法案の提出はいつごろになるかということを見極めてまいりたいというふうに思っておりまして、もう少しお時間をちょうだいしたいというところでございます。
○荒木清寛君 先ほども議論になりましたが、知的財産に強い弁護士を、法曹を養成するということも大事だと思います。
 この見せていただきました資料によりますと、一万八千人の弁護士のうち弁理士登録をしている方は二百九十人ということで、これだけ需要があるのにどうして三百人しか登録をしないんだろうかというふうに思うんですね。これは、そうした弁理士登録が進まないというのはどういう事情によるんでしょうか。ちょっと率直に教えていただけませんでしょうか。──委員長、結構です。
 私が思うに、やはり特許というのは、先ほども議論がありましたように、自然法則を利用した新規かつ高度な発明というようなことでありまして、やはり科学技術といいますか、理系に強くなければなかなかそうした弁理士登録できないんだろうということだと思うんですね。
 そういう意味で、先ほども議論になりましたけれども、今度できます法科大学院におきましてそうした特許に強いといいますか、知的財産に強い法曹を養成をするためにどういうことをお考えですか。
○政府参考人(山崎潮君) 法科大学院、現在鋭意検討中でございますが、現在の段階で申し上げれば、例えば法科大学院、基礎的な必須科目というのは当然あるわけでございますが、それ以外にかなり大幅に選択科目という枠を取っておりまして、その中で知的財産を中心に任意科目で取っていただいて専門的な方を養成するということも可能になりますし、それ以外の経済的取引の分野を中心にその選択科目を組むということもできる、いわゆるニーズに応じて多様な目的に対応できる、そういうような枠組みを用意しておりまして、今後はそのニーズに合わせてそれぞれの大学で、大学院でその特徴を出すようにしていただくということで、今それぞれのところで検討中であるというふうに承知をしております。
○荒木清寛君 これは文部省ともよく相談をしていただいて、本当にそうした知的財産権を売り物にしたロースクールも中にはできるようにいろいろ工夫をしていただきたいと思うんであります。
 そこで、午前中の質疑で論文よりも特許だというお話もございましたけれども、研究成果について特許を得ることの重要性を認識してもらうために、将来研究者となる理系の学生に対しても知的財産に関する教育をしっかりと行っていくべきではないかと思いますが、いかがですか。
○大臣政務官(松あきら君) 私からお答えをさせていただきます。
 二十一世紀、知恵の時代を迎えまして、日本は高付加価値のある産業に重点を置かなくてはならないと考えております。その上で、将来の担い手である学生等におきまして知的財産権制度に対する理解を深め、その積極的な活用を促すことは重要であると認識をしております。
 こうした観点から、特許庁におきましては、小中高、そして高専、工業高校の生徒を対象といたしました副読本を作成して希望する学校に無料で配付をしております。ちなみに、こんなにたくさんございまして、(資料を示す)本当にすばらしい「アイデア活かそう未来へ」とか、「あなたが名前をつける本」なんというのは、創造力を豊かにする、発想を豊かにするというようなとても楽しいこういった本から、いろいろと出しております。
 ちなみに、細かく言いますとこれかなりたくさん出しておりまして、例えば小中学校向けでは平成十三年度は百万冊も出しております。そして高校生向けでは六十四万冊、そして教員に向けてのセミナーなどもたくさん開催をしているところでございますけれども、これらの副読本が各教育機関におきまして有効に活用されますように、教職員に対して副読本の趣旨と特許制度の理解を促すセミナー、先ほど申しましたけれども、開催をしております。ちなみに十三年度の開催実績は四十七回、各都道府県でということでございます、開催をいたしました。また、大学生向けには知的財産権制度について理解を深めるためのセミナーを開催しております。平成十三年度におきましては九十四回実施をいたしました。
 先ほど午前中の質疑で、松田先生の御質問に文科省がお答えしたと思うんですけれども、大学の特許出願が一九九九年アメリカでは五千百七十九、そのとき日本は三百七十四だったんですね。しかし、二〇〇〇年になりましてこれが五百七十七と増えてまいりました。ちなみに、一九九一年は七十六でございましたのでかなり、七十六から五百七十七になった。でも、まだまだアメリカに比べますと少ないことでございますけれども、こうして増えてきていることは事実でございます。
 経済産業省といたしましては、こうした措置によりまして知的財産に対する意識が大学生等において大いに高まることを期待しておりますし、今年度から総合的学習が実施をされておりますけれども、こうした中でも是非知的財産教育が行われることを期待しているところでございます。
 今後とも、知的財産教育の支援に最大限の努力を行ってまいる所存でございます。
○荒木清寛君 それでは最後に、大臣に、今のこの知的財産に関する人材教育の在り方につきましては、大臣から御紹介のありました戦略会議においても省庁の枠を超えて具体的な施策を講ずべきであると考えますが、最後に決意を伺います。
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のように、知的財産というのは産業競争力の強化にとって非常に重要な意味がございます。そういう意味で、私どもは縦割りのそういう行政のいけないところを排しながら、今御指摘の知的財産戦略会議におきましても、やはり総合的な力が発揮できて、そして立派な姿になるように、私も戦略会議の中で積極的に発言をし、リードをしていきたいと、このように思っています。
○緒方靖夫君 法案審議に入る前に、私は一つ大臣にお伺いしておきたいことがあります。それはタオルのセーフガード問題についてです。
 大臣が二日前に行われたタオルのセーフガードについての記者会見、これについて伺いたいんですけれども、平沼大臣は紡績会社に以前お勤めだったと伺っております。そういう経験からということもあるんですけれども、海外から繊維製品が輸入急増になる。それに伴って、例えばタオルでいいますと、今治の繊維産地の雇用と地域経済が大打撃を受けている、そういう実態が今あるわけですね。
 セーフガードの発動の是非を決める調査期間を半年間延長されるという発表でありますけれども、大臣は、輸入が急増することは否定できない、しかし増加する傾向にあるとは言い切れない、会見でそのようにおっしゃられております。しかし、輸入の増えた増え方がですね、変動している下で、二月の数字ではタオル全体で四千トン近くの輸入があって、そのうち八二%が中国からの輸入で占められております。
 タオル業界の生き残りの策ということ、これは本当に大きな問題になっておりますけれども、倒産、廃業の連続でぎりぎりのところまで関係業者は追い詰められている、これが現状だと思います。そうした点で、私はセーフガードを発動しないのはいかがかと、そう思うわけですけれども、その点についての大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(平沼赳夫君) タオルの繊維のセーフガードの調査につきまして、最新の輸入動向を見ますと、昨年十二月及び本年一月は、対前年度比でございますけれども、それぞれマイナスの二・二%とそれからマイナスの七・二%でございました。輸入の伸び率は減少に転じているものの、直近の二月は再びそれがプラスの二・九%に今転じておりまして、依然として今後輸入が先ほど御指摘のとおり急増するおそれは否定できないと私どもは考えています。
 そして、御承知のように調査をいたしておりまして、昨年の十月に調査期間に入って、六か月延長して、これが四月の十日というのが期限でございます。そこで、これは四月五日に産業構造審議会特殊貿易措置小委員会、これが開催されまして、私どもの考えをお諮りすることになると思いますけれども、今申し上げましたような直近のデータがあります。
 したがいまして、私どもは、減少傾向にあるけれども、この発動をするというそこが、もう一度この状況を見ながら、もし急増するような場合になったらこれは発動するということを留保、担保して、更に六か月延長をするのが総合的に勘案して適当であると、こういう判断で私は閣議後の記者会見で、四月五日に正式には小委員会の開催で決定されると思いますけれども、そういう趣旨の私は意見発表をさせていただいたところであります。
○緒方靖夫君 私は、その点で大臣の判断が非常に大事だということを痛感いたします。ある意味では、今のおっしゃられたことが楽観的過ぎないかという見方もあると思います。あるいは、これがそういうところに、発動に達しないで事態が改善されるということに至ればそれはそれでいいことですけれども、そこは非常に大事な判断のしどころだと思うんですね。
 いずれにしても、産地の雇用と地域経済、これは壊滅状態にある、こう言えると思うんですね。そういう実態から出発して、既に重大な被害を被っているそうした状態をどうやって迅速に回復していくのか、これが今正に問われていると思います。その点できちっとした迅速な対応、正確な対応を要望しておきたいと思います。
 この問題に関連してなんですけれども、私は、タオルのセーフガード問題、そういうことも含めて感じること、それは日本と中国の間の問題の背景に、結局は日本の企業同士の競争があると、そこに大きな問題があると思うんですね。つまり、タオルの輸入ということについても、日本の業者が中国に行って作ったものが中国から輸出されていると。つまり、日本が輸入、それをするという、そういうことになっているわけですね。
 ですから、これは結局日本の企業同士の問題で、中国を舞台にしてそういう事態が起きているという、そういう問題になると思うんですね。前回、大臣と産業の空洞化の問題について議論させていただきましたけれども、それと共通する問題がこのタオルの問題についても生まれていると思います。
 ですから、行き着くところ、結局、大臣も民間同士の話合いということを会見で言われていることを、私、このものを読んで、発表文を読んで知りましたけれども、結局は日本の企業の進出に関連して何らかの秩序作り、これが求められている。ちょうど以前議論したことと重なるわけですけれども、そう思うんですね。
 ですから、その点でやはり大臣のイニシアチブで、この点についてどういう施策が必要かという、そのことを、タオルに対する対策ということもありますけれども、もっと根本的には、大きな問題としてこうした問題について対策を講じる、そういう必要性があるんじゃないかと思うんですけれども、その点での大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、御指摘のように、これは繊維製品だけではなくて、例えば昨年起こりました野菜三品目に関しましても、ある意味では日本の商社が介在をして、そして野菜の場合には日本の、日本人の好む種を持ち込む、そして製法まで、ある意味ではそのノウハウを教えると、そういう形で、中国の場合には労賃が三十分の一とも、ひどい場合には四十分の一とも言われています。ですから、タオルあるいは繊維に関しても同じようなことが言えるわけであります。
 そういう中で、中国とはお互いに非常に大きな補完関係がありますし、友好関係にございます。そういう中で、やはり基本的には話合いの場を作ろうじゃないかという形で、既に野菜に関しても、またこういった繊維業界に関しても、やっぱり民間のそういう方々がいろんなことを勘案して話合いをして、そしてお互いの利益、共通の利益、どこが接点があるかということを模索して、そして両国にとっていい形にしていく、こういうことが必要でありまして、今これに関しましてもそういう形の民間同士の話合いも行われつつあります。
 したがって、私どもとしては本当に、タオル業界の皆様方も私の部屋にも何度もお越しになられました。したがって、その泉南地区の方々や今治の方々が本当に窮状を、私どもよく承知をいたしております。そしてまた、御自身の、業界自体の構造改革をやらなきゃいけないということで一生懸命に取り組んでいただいて、そういう成果も上がってきています。
 ですから、私は、そういうことを基本に置いて、やっぱり国内で一生懸命頑張っておられる方々に、そういう構造改革、そういうものに関してはできる限り支援をさせていただいて、そしてうまい具合の解決点が見いだせるようなそういう努力は今後とも一生懸命しなければならない、このように思っております。
○緒方靖夫君 この問題は、日本と中国の問題あるいは外国の問題という側面と同時に、私先ほど申し上げたのは、日本の民間同士の問題ということになるんですね。つまり、日本の企業が中国に行って、そしてそこで作ったものを、あるいはそこでできた製品や作物を日本に輸入するという、日本に、まあ中国からすると輸出するという形になるわけですけれども、そういうことが起こっているわけで、ですから、したがって、私、先ほど問題提起させていただいたのは、何らかの日本の民間同士の、企業同士のルール、それが必要じゃないかということを申し上げたんで、そのことは是非また時期を見て提起したいと思いますけれども、その点は是非大臣の方で必要な対策を検討されることを要望しておきたいと思います。
 さて、その二つの法案についてですけれども、これらについては私たちの党は賛成です。同時に、いろんな問題点があるので、それについて幾つかお尋ねしていきたいと思いますけれども、九九年の特許法改正案では、知的財産権の早い広い強い保護の実現を目的とした改正、また世界特許との調和を目指した改正を行って実施していく、このことが審議されたと思います。
 実施状況はどうなっているかということについてなんですけれども、まず特許、実用新案の審査請求件数の実態についてなんですけれども、九八年、九九年、二〇〇〇年の特許検査申請件数の推移についてお伺いします。
○政府参考人(及川耕造君) 特許審査の請求件数でございますが、九八年度が二十万七千件、九九年度が二十三万四千件、二〇〇〇年度は二十六万三千件でございます。
○緒方靖夫君 だんだん増えているわけですね。増加傾向にあります。
 昨年、特許法が改正されて、特許の審査件数が七年間から三年間に短縮されました。そして、ファーストアクションと呼ばれる出願、審査申請から審査官による審査結果の出願人への通知期間も十二か月にしようということになりました。
 そこで伺いますけれども、特許、実用新案に関するファーストアクションの期間について、九八年、九九年、二〇〇〇年の平均的な推移はどうなっていますか。
○政府参考人(及川耕造君) 暦年ベースでございますが、九九年が十九か月、二〇〇〇年が二十一か月、二〇〇一年が二十二か月と推移をいたしております。
○緒方靖夫君 審査期間も延びているわけですね。審査請求が増加して、ファーストアクションも延びている。今、長官からの御答弁でもそれが明らかになりました。
 それでは、その審査が遅れている理由はこれは何でしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) 今、数字で申し上げましたように審査請求等が急増いたしているわけでございますけれども、その中で私ども、審査官、審判官、それなりに必死に頑張っておりますけれども、いかんせん出願あるいは審査請求の伸びの方がかなり早いというのが一つの背景ではないかと存じます。
○緒方靖夫君 その件数の伸びが大きいと、それが主な理由だという話ですけれども、それでは審査官と審判官を合わせた総定員数、この推移はどうなっていますでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) 審査官、審判官の総定員は、平成十一年度、千六百六十三人、平成十二年度、千六百七十二人、平成十三年度、千六百八十六人、平成十四年度は千六百九十八人でございます。
○緒方靖夫君 この総定員についても、わずかではありますけれども人数も増やしていると、そういう実態が分かりました。
 九九年の審議でも問題になりましたけれども、しかし、やはりファーストアクションの期間として目標の十二か月、これには届いていないという現状があると思うんですね。審査の強化とか審査官の労働条件の改善、あるいは審査官の、何といいますか正確な作業、それを進める上でも、私はここで審査官の増員、これがやはり求められているということを痛感するんですけれども、その点についてどんなお考えでしょうか。
○副大臣(古屋圭司君) 今、委員御指摘のように、特許の件数が増えておりまして、そういったことを背景に審査の長期化というのが、我が国だけではなくて世界共通の課題としてあることは事実でございます。
 そういった背景もございまして、我が国といたしましては、一層この審査を迅速かつやはり的確に行わなくてはいけませんので、そういったことのために、まず例えば業務で外注できる部分というのがございますので、そういう外注、いわゆるアウトソーシングですね、これを拡充をしていくということをまず取り組んでいきたいと思っております。
 ただ、今後は、件数がやはり増えていくと、そういったことだけでは十分に対応できないということになるならば、やはり所要の審査官の確保、増員ということも総合的な取組の中の一つとして考えていくべきと思っております。
○緒方靖夫君 審査官の仕事なんですけれども、私はこれは大変な知的労働でもあるし、それからまた最高の技術水準を知った上で判断をしなきゃいけない。自分の判断した結果というものが、あるいは企業間の訴訟の種にもなるかもしれない。非常に神経を使う、またストレスがたまる、そういう大変な労働だと思うんですね。
 そういう労働についてなんですけれども、審査官が一人当たり毎日どのぐらい件数を処理しているんでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) 部署により、またその審査の内容によってかなり違いがございますので全く平均的なところでございますけれども、年間約百六、七十件ぐらいに当たろうかと思います。それを一年間にあれしますと、一日に一件か二件ぐらい、これはファーストアクションを打つ件数でございますけれども、その程度かと思います。
○緒方靖夫君 いろんな種類の仕事があるし、いろんな分野があると思うんですけれども、例えば仕事の処理数について、あくまで平均ですけれども、新規の出願についてどうなっているか、それからまた再出願などの手続でどうなっているか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(及川耕造君) 恐縮でございます。今、手元にその資料はございませんけれども、ペースとしては、年々難しくなっておりますので少しずつやはり時間が掛かっているというのが実態でございまして、そういう点で、特に請求項数等がかなり年々増えておりますし、御指摘ございましたように、技術の中身が大変難しくなってきております。それを反映しまして、どうしても少し時間が従来よりは掛からざるを得ないのかなというふうに思っております。
○緒方靖夫君 私の今日問題提起したいことに絡んで、審査官の処理している件数というのは非常に大事な問題なんですね。もちろん分野によっていろんな差があると思います。
 私は、ちょっと昼に特許庁にお伺いしたんですけれども、大変、長官、恐縮ですけれども、一人の審査官が毎日処理する件数というのは、新規出願で一件、再出願などの手続で数件、合計して六件から八件を一日ごとにやっているという、ちょっとそういう答えを受けたんですね。
 これはもう、何といいますか実態の問題ですので、私は恐らく、前は二、三件ということをちょっと何年か前は聞いていたんですけれども、それが、もちろん仕事が難しければ処理の件数が少なくなるという関係ですけれども、増えていると。ですから、私が今日ここで問題提起したいということは、実態がどうかということと非常に結び付くわけですね。
 ですから、この件について、この場ではなかなか難しいかもしれません、あるいは質問の終わるときまでにもし答えがいただければ、どうかということについて確かめていただきたい。お願いしておきたいと思います。
○政府参考人(及川耕造君) 今の御質問の数字、終わりますまでに分かりますれば御報告を申し上げたいと存じますけれども、分からなければ後刻先生に御報告を申し上げます。
○緒方靖夫君 そこで、私は、この間の申請の滞貨の一掃のためにも、あるいは抜本的な、何というか迅速で正確な、先ほど副大臣がおっしゃられたですね、そういうためにも、やはり何らかのことを考えていく必要があると思うんですね。
 特許に関する拒絶査定不服審査件数の最近の推移、それから不服審査の主な理由、その対応策がどうなっているか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
○政府参考人(及川耕造君) どうも済みません。失礼いたしました。
 拒絶査定の不服審判の件数でございますけれども、平成十年度から十二年度に掛けましては、平成十年度が一万四千百九十三件、十一年度、一万四千三百七十二件、そして平成十二年度が一万六千七百九十七件でございます。
○緒方靖夫君 審査件数が増えている、それに伴って当然不服審査請求も増える、また将来増えるだろうということは当然予想されることでありまして、そのためにも私は人数増の対策、これを取っておく必要があると思います。先ほど副大臣の御答弁の中にも増員も含めて考えたいという答弁がありましたけれども、この点は是非真剣に検討していただきたいと思うんです。
 先ほど副大臣の御答弁の中に外注を拡充するというお話がありました。外注なんですけれども、結局、特許庁は増えている特許、実用新案の審査の遅れを外注ということで補っているのが現状だと思うんですね。この外注の現状というのは、どこでどういうふうにしてやっているかということで説明していただけますでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) 工業所有権協力センターという公益法人がございまして、そこに審査期間短縮のための取組の一環として外注をいたしております。平成元年度から実施をいたしておりまして、審査に必要な先行技術に関する調査を、いわゆるサーチ外注を行っております。そして、平成十年度からは出願書類への国際特許分類の付与を行います分類付与の外注も行わせていただいているところでございます。
○緒方靖夫君 今、おっしゃられた工業所有権協力センターの職員の構成はどうなっていますでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) 平成十四年四月現在で、職員数は全体で約千百九十人でございます。構成……
○緒方靖夫君 構成です。
○政府参考人(及川耕造君) 構成は、特許庁から四名が出向させていただいておりまして、民間企業からの出向者が約六百五十名、それから民間企業からの出向期間を経ましてIPCCの職員になった者が四百二十名、事務職員等が約百二十名と聞いております。
○緒方靖夫君 特許の申請というのは秘密保持が非常に大事なんですけれども、秘密保持への配慮は、そういう作業の中で、外注の場合、どうなっていますでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) これは、正にこの団体を指定いたしましたとき、平成二年、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律におきまして、指定調査機関の役職員及び過去に指定調査機関の役職員だった者に対しまして、特許庁職員と同等の守秘義務を課しております。
 現在、したがって、この外注をいたしております工業所有権協力センターはこの指定調査機関に指定されておりますので、この法の下に秘密保持を確保することになっております。
○緒方靖夫君 大臣、今お聞きのように、要するに、外注をしているところには民間企業から出向という形、あるいは民間企業のOBが大多数を占めているという状況があるわけですね。
 審査官は国家公務員です。そして、守秘義務が課せられて当然ですね。今、法律によってそういう企業からの出向者あるいはOBもその守秘義務が課せられていると、そういう話でしたけれども、仕組み上はそうなっているんですけれども、しかし出向している人は帰属意識としては自分の企業にあるわけで、正に先端技術の問題についてそこで審査する、正にサーチを行う、分類付与を行う、そういうことをやるわけですね。その際に、秘密がその自分の出身の企業に漏れないという保証が本当にそれで保たれているというふうに大臣お考えでしょうか。
○国務大臣(平沼赳夫君) これを実施するに当たりましてそういう法律措置もいたしましたし、またそこに従事してくださっている方々もやはり一つの目的意識等モラルを持ってやっていただいておると思っておりまして、私はそういう面では担保されていると、このように思っています。
○緒方靖夫君 私は、そこのところが非常に大きな問題だと思うんですね。これは、幾ら法律で決めても、自分の出身企業あるいは関係のあったそういう企業に対して、今こういう審査が行われている、あるいはこういう分野でこういう新しい発明が届け出られている、そういうことというのは伝わるものなんですよね。これが世の常だと思うんですよね。ですから、幾ら法律で決めたってそこのところは保証できない。しかし、それをこれから迅速に審査をするために外注を強めていくという先ほど副大臣のお話がありましたけれども、私は、先ほど人員を拡充していくということと、そして外注を強めていくということ、この対策が二つあると思うんですけれども、私は、国家公務員としてきちっとした形の審査官、それを増やしていくということが筋だと思うんですね。そして、それはまたできると思うんですよ。
 この工業所有権協力センターに対して、年間どのぐらいの予算を使われていますか。
○政府参考人(及川耕造君) ちょっと、二つの数字、合計を、申し訳ございません、今手元にございませんが、サーチ外注で平成十三年度八十五億七千万、分類付与で五十五億八千万円でございます。ちょっとほかに、もう少し細かいのがあったかと思いますが。
○緒方靖夫君 大体あれですか、八十五億と五十五億合わせますと百四十億ぐらいになるでしょうか。それだけの予算が審査をするための外注の予算に使われているわけですね。ですから、例えば百四十億として、これを例えば国家公務員を審査官として雇用をするということを考えたときに、一人当たり一千万としても千四百人の審査官を作ることができるわけですよね。
 ですから、私は、例えばそういう方向で問題を考えていくと、秘密保持ということでも安心できる、そしてまたそういう体制の上でもやはりきちっとした形となる。しかも、これは先ほど国際関係のことも出ましたけれども、日米貿易摩擦の問題でもその原因の一つとなりましたし、外国との関係でも引き続きこの問題が懸案になっていると思います。ですから、迅速、正確に仕事を行うならば、そういう方向で外注のために使っている予算をそちらに回して人員を確保するという、それが正論ではないかと私は感じるんですけれども、その点で大臣、そういう方向の検討というのはできないものでしょうか。
○国務大臣(平沼赳夫君) いわゆる公務員というのは、今の行革の中である意味では厳しい定員、その条件があります。それから、一つの大きな流れとしては、やはり民間の活力を利用して経済を活性化しなきゃいかぬと、こういう時代の要請もあります。
 そういう中で、御指摘の、やはり事が特許ですから、いかに秘密をしっかり担保すると、このことは大切なことだと思っています。厳しい中でも特許庁の人員は、先ほど長官からお示ししたように、厳しい中でも精一杯増やしているということも事実であります。ですから、そういう中で私どもは整合性を取りながら秘密保持ということをしっかりと担保しながらやっていく、こういう基本方針で臨んでいるところでございます。
○緒方靖夫君 世界で特許申請を外注している国ってあるんでしょうか。
○政府参考人(及川耕造君) まず、韓国が非常に大きな外注を行っております。それから、幾つかの国でも、最近、パテントエクスプロージョンという言葉があるくらい出願が全世界的に、爆発的に増加をいたしておりまして、検討を主要な国でもいたしているというふうには聞いております。
○緒方靖夫君 私は、例えば先進主要国の中ではアメリカを始めとしてそういうことはやられていないと聞いております。ここもやはり正確を期す必要があると思いますので、今御答弁はその程度だと思いますけれども、きちっと正確に調べていただきたいと思います。
 私は、こういう専門の審査官が対応するのが当たり前になっている、アメリカでもそうだ、フランスでもそうだ、ドイツでもそうだ、そういうことを考えたときに、やはりこの日本でも、これまでずっとたまっている滞貨一掃ということもあります。重点八分野の権利取得でも、身分不安定な、そういう審査官を導入する、要するに外注という形じゃなくてきちっとした形で審査官を導入する、このことが必要だと、是非大臣にそういう点を検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、中小企業の関連なんですけれども、中小企業の特許申請については、中小企業の果たす役割は大きいので、今後も手厚い支援や法整備が必要であると思います。特に、文献公知発明の探索については、今後特許庁も中小企業の保護育成の観点から支援を継続する必要があると思いますけれども、その点について、まず伺っておきたいと思います。
○副大臣(古屋圭司君) 委員御指摘のように、中小企業が特許出願をするときには産業技術力強化法でございます、この規定に基づきまして、平成十二年の四月から、まず審査請求料、これは一件八万六千三百円が正規でございますけれども、この半分を免除すると、すなわち四万三千百五十円とする。そして特許料につきましては、一年目から三年目につきましても同様に二分の一に免除するということで、これは一万四千百円でございます、正規の、この半分ということになります。今までの利用実績は大体千件ほどございます。
 また、中小企業が出願した特許につきましては、早く審査をしようということで、早期審査制度の対象とさせていただいておりまして、FA、ファーストアクションまでの期間、平均が二十一か月強でございますが、この早期審査制度の対象となれば、大体三・三か月でファーストアクションをできるということになっております。
 また、そのほかにも、やはり専門的なアドバイザーを派遣して、相談とかあるいは指導事業を行ったりとか、それから全国各地区で特許のセミナーを行っておりまして、こういったセミナーに積極的に中小企業の皆さん参画をしていただいて、是非この特許の申請につきましての一つのアドバイスとしていただきたい、引き続きこういった施策を続けてまいりたいと思っております。
○緒方靖夫君 職務発明について伺いたいんですけれども、青色発光ダイオードの開発者である中村修二カリフォルニア大学教授が出身企業の日亜化学工業を提訴したのは、アメリカの研究者から日本の研究者は企業の奴隷か、そう言われたことがきっかけになったというふうに伺っています。企業内研究者の発明の対価をどうするのか、これは非常に大きな問題だと思うんですね。
 経済産業省は、産業競争力と知的財産を考える研究会で、特許権の帰属と特許使用料の決め方を企業とそれぞれの研究者との契約に任せるなどの方針を検討している、そういうふうに述べているのを聞いているんですけれども、一般論として、企業対一個人、一研究者では、日本の企業風土ではどうしても企業側に有利な契約になる。それが勢いだと思います。そうすると、研究者のインセンティブが妨げられてしまう、そういうふうになるんじゃないでしょうか。
○副大臣(古屋圭司君) 委員御指摘のように、日亜化学の中村教授、これは大変メディアにも大きく取り上げられました。国民も多くを知るところになったわけでございますけれども、現行特許法上の職務発明制度は、従業者に原始的に権利が帰属するとした上で、企業が勤務規則その他の定めにより権利を継承する場合には、発明者に相当の対価を受け取る権利があるということを規定しているわけでございます。
 じゃ、その相当の対価というのはどの程度かということでございますけれども、最近は例えばソニーであるとか日立あるいは東芝始め、こういったメーカーが、社内の研究者の意欲をうんと高めていこうということで、その報賞金の上限を撤廃をするという傾向が増えつつあるわけでありまして、やはり本当に努力をして、いい研究をして、そしてその結果独創的な発明をした研究者がある意味報われる制度、こういうもの、その創作へのインセンティブというものをやはり与えていくということが私は重要ではないかというふうに考えております。
○緒方靖夫君 次に、弁理士法の改正案について伺いたいんですけれども、弁理士が民事訴訟実務を担当するために弁理士会の研修や国の認定試験を受験させるということですけれども、現在日本全国に先ほどから言われているように四千五百人の弁理士がおりますけれども、特許申請数の増加で極めて多忙な状況に置かれています。相当の研修時間や認定試験の受験勉強を多忙な弁理士に課すことになるわけですけれども、国としてこの実態に基づいた一定の配慮をする必要があると思いますが、どんな配慮を考えられていますか。
○政府参考人(及川耕造君) まず、多くの方に受けていただきたいというのが私どもの感じでございますけれども、他方、先生御指摘のような点もあろうかと存じます。
 したがいまして、まず時間については、法案御説明のところでもございましたかと思いますが、なるべく短い時間にし、そして受けやすいような形を検討したいと、かように考えておりまして、その辺につきまして弁理士会の方々と細部について今後更に検討していきたいと思っているところでございます。
○緒方靖夫君 中小企業の弁理士の活用についてなんですけれども、知財協会の会員の大企業と比較しても、ライセンス契約やソフトウエアなどについての弁理士の不足感は非常に顕著になっていると思います。また、ちょっとした相談相手としての弁理士の利用は大企業と比較しても中小企業ではまだまだ低い状況にある、実態にあると思います。中小企業は技術や一般法などの権利の活用に詳しい弁理士を求めているわけですけれども、中小企業が弁理士を利用しやすくするための方策、これについてもどんなことを考えているのか、伺っておきたいと思います。
○副大臣(大島慶久君) 私から御答弁申し上げます。
 先生御案内のとおりかと存じますけれども、中小企業は大企業と違いまして、社内に知的財産部等の専門スタッフを抱えるということは非常に経営上も困難でございます。そういったことから弁理士へのニーズというものはより最近は高まっておりますし、中小企業の活性化の観点から極めて重要な課題であると我々も認識をいたしております。
 日本弁理士会では、平成十一年に知的財産支援センターを開設いたしまして、各地方自治体あるいは商工会議所が主催をいたします講演会及び相談会への弁理士の派遣、あるいは無料特許相談の設置による各中小企業への相談対応ということも行っているところでございまして、我が省といたしましても、中小企業に対して工業所有権制度についての理解を深めると同時に、同制度を活用できるように弁理士等を派遣いたしまして、講習事業あるいは相談事業を実施いたしているところでございます。また、独立行政法人工業所有権総合情報館におきましても、特許流通アドバイザーの派遣等を行っております。
 今後とも、こういった関係機関と連携を図りながら、中小企業への支援を積極的に図ってまいりたい。なお、各地で今、中小企業ビジネスフェア、こんなことも我々は開催をいたしておりますが、そういう折にも、いろんな分野の方たちが一堂に集まりますので、そういうコーナーを設けて、こういう相談に乗ったり、あるいはアドバイスをすると、こんなことも活用させていただいているところでございます。
○緒方靖夫君 半導体集積回路、ICを発明したアメリカのノイス博士は、その基礎となったプレーナー技術の特許出願を担当した特許弁護士が、このアイデアで何かできることはないのかと、その一言からそこに至ったと、発明に至ったと、そういうそのアドバイスの大切さを述べておりますけれども、ICの誕生のきっかけがそういうところにあったというか、私は非常に面白い、大事な話だと思います。
 アメリカでも発明者と協力して弁護士の専門性が大いに発揮する方向になってきているわけですけれども、日本でも特許申請手続だけではなくて、技術専門家としての対応が求められていると思います。
 弁理士の専門性の発揮ができるための今後の取組、これについて、もう最後になりますけれども、大臣にお考えを伺い、同時に、今日、私、ここでこの最後の問題と同時に、やはり特許の問題でも、やはり私はこれから公正で迅速な的確な審査を行うという問題を提起させていただきましたけれども、やはりそういう方向で、是非、外注ではなく、やはり自前の審査官をもっと強めていくという、そういう方向を要望しておきたいと思います。大臣から最後にお願いします。
○政府参考人(及川耕造君) 先ほどお尋ねのありました審査官の全処分件数、十二年度でございますけれども、三十六万四千件に関与をいたしております。一人当たり約三百三十五件ぐらいかと思います。一年当たりでございます。
 それから外注でございますが、現在行っているのは日本以外は韓国でございますが、米国は二〇〇三年予算として外注をするという方向で予算計上いたしているというふうにホームページ等で承知いたしているところでございます。
○国務大臣(平沼赳夫君) 大変、緒方先生との質疑の中で大変貴重な御意見をいただいたところだと思っています。私どもとしては、今回の法改正によりまして、そしてしっかりとした体制を作り、やはりこの日本のいわゆる産業の活力を伸ばして、そして日本の経済を安定的な成長にするためには、この知的な財産権、これをしっかり保護して伸ばしていくことが大切です。そういう意味で、弁理士の皆様方がそういう専門的な知識を、先ほど例を引かれましたけれども、そういう中に生かして、本当に効果的なそういう世界が作れる、このことで私ども全力で努力をしていきたいと、このように思っています。
○緒方靖夫君 終わります。
○広野ただし君 自由党・無所属の会の広野ただしです。今日もしんがりを承りまして、お疲れでしょうが、質問をさせていただきたいと思います。
 やはり日本は資源も何もない国でありますから、人間が財産でありますし、その知的活動というものが日本の将来を左右をすると言って過言ではないと、こう思います。しかし、このプロパテント政策というのは、アメリカがいち早くやってから、日本はやはり私は後れたんだと思っております。アメリカは技術収支をやりますと受取がもう受取超で、十五兆円以上の受取超になっておる、日本はもうようやく今一兆一千億ぐらいでとんとんと。前は赤字だったですから、いいところまで来たとはいいますものの、アメリカのその技術収支といいますか、大幅な受取超と比べますと雲泥の差があると、こう言っていいんではないかと思うんです。
 そういう中で、先ほどから国家戦略のことも言われております。これはもう非常に大切なことなんですけれども、この知的財産の中でも私は日本の非常に行政の悪いところで、縄張意識ですとか、あるいは縦割り行政といいますか、そういうものが非常に見受けられるということだと思うんですね。ですから、著作権の場合は文部科学省、そしてまた、今、遺伝子ですとか新しい新種と、こういうことになりますと、育苗、種苗法という種の方ですね、ですとか、あるいは飼料法ですとか、農林水産省の方がまたあると。そしてまた、健康にかかわる、あるいは長寿命化にかかわるということで新しい薬ということでありますと厚生労働省と、こういうようなことであります。そしてまた、今日出ておりますような弁理士の改正あるいは特許法の改正にかかわりますのは法務省とも非常に関係をしている。今、法務省は司法改革のことをやっておりますけれども。
 いずれにしても、やはり各省のベクトルが、知的財産権の推進といいますか、そういう方向に合っていませんと、やはり総合性で、そしてまた整合性のあるものでないと、片一方で促進をしていながら片一方ではブレーキを踏むという、この間も御指摘しましたけれども、連結納税制度というような話で、一緒のようなことがまた行われたのでは何の意味もないということであります。ですから、その縄張意識とか縦割り行政の弊害をやはり除去するという意味で、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(平沼赳夫君) 本当に御指摘のとおりだと思いまして、やはりこの縦割りの行政の弊害ですね、これを除去して、このやっぱり知的財産政策というのは我が国のいわゆる産業の活力を付ける、それから国際競争力を付ける、こういう意味で非常に経済の活性化を進める上で重要なことだと思っています。
 そういう意味で、先ほど来答弁をさせていただいておりますけれども、総理の下に知的財産戦略会議、ここには、もう広野議員御承知のとおり、関係省庁は全部入る、そしてまた学識経験者、そういった専門の方々もそこに入ってくださる、そしてさらに企業、そういったところも大学研究者を含めてみんな入る。そういう中で、やはり縦割り行政の弊害を排して、一つの目的のために有機的に結合して、そしていい方向に持っていくと、こういうことで、これからどんどん議論が活発になってくると思いますけれども、そういう中で、知的財産戦略大綱、こういうものをまとめて、そしてその下で今御指摘のようなそういう弊害を除いた形で強力に進めていくと、こういうことで私どもは臨みたいと思いますし、経済産業大臣としても、そのメンバーでございますので、そこに参画をして、リード役を務めていきたいと、このように思っています。
○広野ただし君 是非、経済産業大臣、全般的な立場から各省をまた御調整の上、リードをしていただきたいと思いますが、農林水産省の方にお尋ねをいたしますが、今、遺伝子組換えですとか、そういう形で新しい種といいますか、こういうものが非常に注目を浴びていると。農業も新しいビジネスという形で知恵のある農業というものをやはり育てていかなきゃいけない。アメリカでは穀物商社が、種についてはターミネート技術といいますか、新しい種が次は生まれないようにしておいて種を売るというようなことまでやっているわけでありまして、二、三年前ですか、種苗法も改正もされまして、育成者権というのを入れたんでしょうか、そういうようなこともありますが、農林水産省はもうやはり新しいビジネスの種を持っているんだという思いでやっていただきたいと思いますが、どういう見解であるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山野昭二君) お答えいたします。
 優良な植物品種は我が国農業生産の基礎であります。また、多収、高品質、耐病性等に優れた新品種の育成保護は、農業及び関連産業を支える重要な柱というふうに認識しております。
 ただいま委員から御指摘ございましたように、我が国は植物新品種について、国際的な保護の枠組みでありますUPOV条約に沿った種苗法により保護しておりますが、近年における遺伝子組換え技術等、バイオテクノロジーを利用した育種技術の発展、種苗流通の国際化に対応いたしまして平成十年に種苗法を改正し、保護の対象を全植物に拡大する等、育成者の権利の拡大を図ったところであります。
 今後とも、種苗法の的確な運用を通じ、知的財産である植物新品種の育成者の権利の保護に努め、我が国農業及び関連産業の国際競争力が維持強化されるよう取り組んでまいりたいと思っております。
○広野ただし君 そのほか、農水省関係では、飼料法ですとか、あるいは農薬についてもこれも新しい農薬というものが発明されてくるということでありますので、取締りとかそういう観点ではなくて、やはり知恵のある農業を育てていくんだと、そういう思いでまた取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つ厚生労働省にお伺いしますけれども、やはり新薬というのは、長寿命化あるいは健康ということから、非常に各メーカーが取り組んでいる。そういう中で、日本の場合は非常に審査が長時間掛かって、結局アメリカのFDAなんかに、外国の方へ申請をして、そして逆にアメリカから入ってくると、こういうようなことが多々見受けられるわけでありますが、そういう点、どういう考え方でやっておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○政府参考人(鶴田康則君) お答えしたいと思います。
 御指摘のような状況に対しまして、厚生労働省といたしましてはこれまでもいろいろな改善に向けた取組を行ってきております。
 一つには、医薬品医療機器審査センター、これを平成九年七月に設置いたしまして、審査官も平成九年から三年計画で倍増し、現在、二百四十人ぐらいの体制となってきております。こういった承認審査体制の強化を図りまして、平成十二年四月以降に申請された新薬より、標準的事務処理期間を従来の十八か月から六か月間縮めまして欧米並みの十二か月に短縮することにしております。また、希少疾病用医薬品等、医療上非常に必要性が高い医薬品につきましては承認審査を優先して行うということもしております。また、日本、米国、EU医薬品規制調和国際会議を持っておりまして、この合意に基づきまして、外国臨床試験データがある場合には承認申請資料として活用し、必要最小限の国内臨床試験データにより承認申請を行うことを認めたところでございます。これは日本からアメリカに行く場合でも同じでございます。
 こうした取組によりまして、より安全でより有効な医薬品をより速く承認できるよう今後とも努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。
○広野ただし君 ところで、文部科学省に伺いますけれども、今度の弁理士法では、代理訴訟権で、訴訟代理権ですとかが特許四法については認められたわけでありますけれども、今度の著作権法、これまで仲裁の場合における代理権、補佐人の、弁理士におけるそういうものも認められておりませんし、著作権の場合、ちょっとそういう弁理士の活用という点で、弁理士の能力を活用するという点で非常に対応が遅れているんではないかと、こう思われる点がありますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(丸山剛司君) お答え申し上げます。
 今、先生御指摘のとおり、著作権に関します権利の侵害訴訟という件数はここ数年かなり増えておりまして、今後も増加するのではないかというふうに予想しております。
 したがいまして、御指摘のように、知的財産権に関する専門的知見をお持ちの弁理士の方に著作権の侵害訴訟における訴訟代理権が付与されていくという方向性は、紛争処理サービスの充実強化の観点から私どもとしても歓迎すべきものというふうに考えております。現に、平成十二年の弁理士法改正によりまして、弁理士は著作権について契約に関する仲介、代理、相談業務を行うことができることとされ、能力を担保するための研修も実施されているところでございます。
 将来、その著作権の契約に関します業務の実施や研修によりまして弁理士の方にも訴訟代理を行う能力が備わることになれば、こういう弁理士法の改正を通じて訴訟の代理人になるということも、著作者の権利を適切に保護し著作物の円滑な流通を促進するという観点から、考えられることだというふうに思っております。
 御指摘のように、著作権法の改正かという点でございますが、私どもの理解では、今回の改正も特許法の改正ではなくて弁理士法の改正ということで対応されているように承知しておりますので、将来、弁理士に著作権侵害に関する訴訟代理権を付与するという問題についても、弁理士法の改正で対処していただくことが適当ではないかというふうに考えてございます。
○広野ただし君 続きまして、法務省に伺いたいと思います。
 今度の弁理士法では訴訟代理権が弁理士に付与されるわけでありますけれども、知的財産権の紛争案件が非常に増えている。そういう中で、日本は審査期間が二年弱ですか、それに対してアメリカは八か月から九か月で済んでいると、こういうこともあります。
 アメリカの場合は特許弁護士が一万六千人ですとかたくさんおられますのでそういうこともあるんだと思いますが、今すぐということではないとは思いますけれども、能力担保といいますか、研修ですとか試験というものが十分に行き届いた場合に、共同受任ということだけではなくて、将来的には単独出廷といいますか、そういうことですとか、あるいは、先ほどちょっと著作権等について申し上げましたけれども、弁理士の訴訟代理権を広げるといったようなことについてどのようにお考えか、法務省に伺いたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 今回の弁理士法の改正は、基本的に訴訟の専門家、訴訟実務の専門家であります弁護士、それから技術専門分野の専門家であられます弁理士、双方の能力をよりよく活用して訴訟を円滑に効率的に運用する、あるいは結果として利用者の方々の便宜に尽くす、そういう趣旨でありまして、そういう趣旨に沿ってこれが運用されれば大変に訴訟もうまく運用されていくのではないかと私どもも期待しているところでございます。
 また、現実にこの条項の中に、先ほどもお話に出ましたとおり、単独で裁判所の裁量によりまして弁理士が出廷して活動されるというようなところもございますので、これも運用によりましてうまく運用されれば効果的ではないかと、このように考えているわけでございます。
 将来どうなるかということでございますが、先ほども経済産業大臣からも御答弁がございましたとおり、今後、この新法はどう運用されていくか、それから弁理士、弁護士それぞれがどういう活動状況になるか、様々な状況がございますので、そういう実情をよく拝見した上でまた検討してまいりたいと、このように考えてございます。
○広野ただし君 大臣、このように各省といろんな意味で話合いなり調整が必要だと思いますが、やはり知的財産というのは日本の二十一世紀の将来を大きく左右する大事なことでありますから、是非、縦割り的なものをもう本当になくして、大いにリーダーシップを持ってやっていただきたいと思いますが、もう一度その決意のほどをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(平沼赳夫君) 今、広野先生が各省から、それぞれのいろいろな問題について御質問をなさいました。そういう中で、更に私は冒頭申し上げた、やっぱり各省庁にまたがって縦割りというそういう姿もある面では浮き彫りになったと思います。
 そういう意味からいっても、冒頭申し上げたように、やはりこの国のいわゆる国際競争力を付ける、そして産業の活力を向上させる、そして経済に活力を持たせる、こういう非常に大きな意味がありますから、そういったことを念頭に置いて更にしっかりと取り組んでいかなければならない、このように思っております。
○広野ただし君 それと、先ほども出ましたけれども、模造品といいますか、今特に中国の李鵬さんがお見えであります。日本の場合、どれくらいの模造品が中国あるいはアジアに出回っているのかよく把握できませんけれども、大変なまた損失になっているんではないかと思います。
 中国は、特にWTOにも入りましたし、やはりかねがね申し上げておりますように、日本とはイコールパートナーのそういう立場で付き合っていくことが長期的に日中の友好関係にも、経済友好関係にも非常にいいことだと思いますので、この特許四法等にかかわる、知的財産にかかわる対中国政策といいますか、そういうものについて、大臣にもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(平沼赳夫君) 昨年の十一月にカタールのドーハでWTOの立ち上げのための閣僚会議がございました。私も一週間そこに参加をいたしまして、最後の二日間は完全徹夜というような状況でしたけれども、その中で、従来百四十二か国でございました参加国が、中国と台湾が入りまして百四十四に相なりました。
 私は、中国がWTOに加盟したということは、今御指摘のように非常に大きな意味があると思います。やはり世界の自由貿易、そういう共通の土俵に中国も参画をした、そういうことですから、これから、今、模倣品のことを御指摘になられましたけれども、そういったことを含めて、やっぱり国際的な自由貿易体制のルールにのっとって、私どもも主張すべきことは主張し、そしてお互いに補完関係がありますから、そういう意味では中国との関係を大切にしながら、そういった問題に対処をしていきたいと、このように思っています。
○広野ただし君 終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(保坂三蔵君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、特許法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(保坂三蔵君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、弁理士法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(保坂三蔵君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、平田健二君より発言を求められておりますので、これを許します。平田健二君。
○平田健二君 私は、ただいま可決されました弁理士法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    弁理士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 我が国産業の国際競争力の強化及び経済活性化の観点から、知的財産の重要性が高まっていることにかんがみ、広汎かつ多様な分野にまたがる知的財産権にかかわる弁護士、弁理士等の各種専門サービス業においては、利用者の利便性に配意して、柔軟かつ円滑に対応できるような制度を検討すること。
 二 弁理士の侵害訴訟代理権付与の条件となる研修・試験については、訴訟実務に即した信頼性の高い能力担保措置となり得るようにするとともに、地域の弁理士が受講しやすくするための環境整備に努めること。
 三 特許権等の侵害訴訟の迅速かつ効率的な処理を図るという本法改正の趣旨に沿って、弁理士と弁護士とが専門的知見を相互に活用し、連携して訴訟に対応できるよう、制度の運用に十分配慮すること。
 四 今後の弁理士制度の在り方については、多様化、複雑化及び総合化する知的財産権をめぐる内外の動向及び利用者からの要請等を踏まえて、訴訟受任の在り方や訴訟代理業務の範囲などについて引き続き検討すること。
   また、知的財産権紛争が近時急速に国際化している動向を踏まえ、弁理士の訴訟代理権が国際的な整合性を確保できるよう、更に検討を深めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ各委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(保坂三蔵君) ただいま平田健二君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(保坂三蔵君) 全会一致と認めます。よって、平田健二君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。
○国務大臣(平沼赳夫君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
 ありがとうございました。
○委員長(保坂三蔵君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(保坂三蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時六分散会