第155回国会 本会議 第3号
平成十四年十月二十三日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第三号
  平成十四年十月二十三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり


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○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。荒木清寛君。
   〔荒木清寛君登壇、拍手〕
○荒木清寛君 私は、公明党を代表しまして、総理の所信表明演説に対し、質疑をいたします。
 小泉総理は、昨年四月に政権を担って以来、不退転の信念と強いリーダーシップを持って構造改革を進めてこられました。私たち公明党は、このような小泉内閣を支え、ともに政治上の懸案に取り組み、解決していくことを申し上げます。
 さて、経済、財政、金融、社会保障、行政などの構造改革は、二十一世紀を生き抜く日本にとって避けて通ることはできません。それだけに、改革によって重大な影響を被る国民、地域、産業に対し、その打撃を最小限に食い止める方策を併せて行うことが極めて重要です。
 公明党は、構造改革を推進しつつ国民生活を守る立場に徹し、率直な主張と建設的な提言を行って連立与党としての責任を果たしていきたいと決意をしております。
 今、直面する最大の政治課題は経済対策です。昨年の二度にわたる補正予算などにより、景気は今年の春に底入れをしたというのが政府の認識ではありますが、内需の回復力は依然弱く、その後、米国経済の悪化、さらにここへ来て世界同時株安の懸念が広がるなど、日本経済の先行きは一段と厳しさを増しております。
 公明党は、この夏から秋にかけて全国十一か所で列島縦断フォーラムを開催し、また、各地域で中小企業活性化対策本部の現地視察を行いました。景気の浮揚策をもっと力強く推進してほしい、私たちは努力の限界を超えた苦労をしている、政府は中小企業の実態が分かっているのかどうか疑問である等々、私自身現場の皆様の生の声をお聞きしてまいりました。今こそ、政府、日銀が一体となってデフレ克服のために総力を挙げることを強く求めるものであります。
 不良債権の処理を加速化させるとの小泉内閣の方針は我々も是とします。しかし、不良債権の直接処理がますますデフレ不況を深刻にすることを懸念をいたします。したがって、まずはマクロ経済政策によって、すなわち財政拡張や金融緩和の実行によって需要を喚起してデフレギャップを解消することが先決なのではないでしょうか。総理の見解をお伺いします。
 金融面では、日本銀行が金融機関の保有する株式の直接購入に踏み切るほか、政府においてもペイオフの全面解禁を二年延長することを決定したことを評価します。これらに加えて、日銀が国債の買い切りオペレーションを拡大するなどして、一層の量的金融緩和措置をすべしとの声も高まっています。
 そこで、この際、政府と日銀でよく協議をして、物価安定についての緩やかな目標の明確化を図ることも検討すべきと考えます。総理の答弁を求めます。
 それでもなお、デフレ克服策としては力足らずと言わざるを得ません。今こそ財政の出番であります。
 総理は、かねてから財政改革の立場に立ち、国債発行三十兆円枠を強調されてきましたが、危機に際しては、経済情勢に応じて大胆かつ柔軟な措置を講ずるとの考えも表明されております。今が正にそのときです。デフレを放置すれば税収減が続くことになり、かえって財政を破綻させる要因になりかねません。
 直ちに、従来の公共事業と異なる環境、福祉、教育、都市再生など重点分野への投資の前倒しが必要です。雇用・中小企業対策の大胆な拡充のために財政の裏打ちが必要です。そこで、補正予算を編成し、この臨時国会に提出することを強く求めます。
 さらに、デフレ克服に資する政策減税についても、大胆かつスピード感を持って行うことが重要です。新技術の開発に直結することが期待される研究開発減税は米国並みの水準を目指すべきだと考えます。デフレ対策の重要な柱としての政策減税を早急に取りまとめるべきであります。総理から御答弁をいただきたい。
 今や中小企業の現場は、景気の悪化に加え、親企業の海外への移転による倒産、金融機関による貸し渋り、さらに後継者難という三重苦、四重苦に見舞われております。これまでにも、政府は私たちの要求にこたえ、売掛債権担保融資制度の創設、セーフティーネット貸付制度の拡充などの対応に努めてきましたが、更にきめ細かい中小企業支援策の強化を打ち出すべきときであります。
 そこで、政府系金融機関や信用保証協会による融資・保証枠の拡大などの金融支援の拡充、創業支援のための企業組合制度の活用などを早く実現していただきたい。
 また、たとえ事業に失敗しても再挑戦しやすい環境を整備するため、個人保証の見直しを行うべきであります。そのために、まずは政府系金融機関において、個人保証を求めない融資の拡充を図るべきだと思います。これらについて、経済産業大臣から御答弁願います。
 雇用対策については、単なるセーフティーネットではなく、再挑戦を可能にするトランポリンへの役割へと発想を大きく転換するべきであります。小泉総理が紹介をされた米百俵の精神も、歴史上の教訓として、教育と人への投資が最優先課題であることを教えています。
 この点で、我が国の職業訓練対策については、残念ながら質量ともに一層の充実が求められると言わざるを得ません。
 イギリスのブレア政権は、ニューディール政策と呼ばれる失業者対策を実施し、そこでは、若年失業者向け、長期失業者向け、障害者向けなど様々なプログラムが用意をされております。例えば、若年失業者は、一定期間、公共職業紹介所のカウンセリングを受けつつ就職活動を行い、それでも就職できない場合は、民間企業やコミュニティーカレッジなどで徹底的に職業訓練を受けることになっています。こうした訓練が失業手当を受ける要件にもなっております。これらの過程を通じ、求職者側のニーズと企業側のニーズの適切なすり合わせが行われ、雇用のミスマッチの解消に大きな成果を上げていると聞いております。
 このニューディール政策のエッセンスは、個人アドバイザーによるカウンセリング機能といったソフト面の充実と、民間部門に職業訓練を委託をしている点にあるとも言われております。
 我が国でも、こうした例を参考にして、日本版ニューディール政策とも言うべききめ細かい職業訓練対策を講じるべきだと考えます。この点につきまして、厚生労働大臣から御答弁願います。
 いま一つの緊急課題は、外交問題です。
 総理が、拉致問題を棚上げにして正常化はあり得ないとの姿勢を貫き続け、日朝首脳会談の実現にこぎ着けたことは高く評価をするものの、会談で明らかにされた拉致事件の結末は余りにもむごいものでした。被害者と家族の方々が二十数年間の年月にわたって味わってこられた筆舌に尽くし難い苦しみと悲しみを思うとき、私たち自身が身を切られる思いであります。
 国民の生命と財産を守ることが国家の第一の責務であります。この点で、政府と国会は率直な反省を行わなければなりません。この際、真相究明などの課題に懸命に取り組むことを改めて誓うものであります。
 今月二十九日から国交正常化交渉がいよいよ再開されます。拉致問題を棚上げにした上での国交正常化を国民はだれも望んではおりません。今般、生存が確認された拉致被害者五人が帰国をしたことはあくまでも第一段階であり、家族を含めた全員の永住帰国を政府は強く要求すべきであります。また、家族が永住する場合の生活基盤の確立について政府が全面的に責任を持つべきことは当然です。さらに、死亡が伝えられた方々については、北朝鮮側の説明には多くの疑問点が存在しますので、生存の可能性をしっかりと視野に入れての対応が必要であります。
 政府においては、拉致被害家族の皆様のお気持ちを十分に踏まえ、真相の究明、責任の所在の明確化、被害者に対する補償などを北朝鮮側に強く求めていただきたいのであります。
 さらに、先日、北朝鮮が核兵器開発を進めていることを米側に認めていたことは、我が国のみならず、北東アジア地域の安全保障にとっても極めて深刻な問題です。この問題の明確な解決なくして国交正常化を行うべきではありません。
 政府は、日米韓三国との協議を密にしながら、毅然たる外交を展開をしていただきたい。交渉再開に当たっての総理の決意をお伺いをいたします。
 さて、いま一つの外交上の懸念は、イラクに対する米国及び英国の武力行使の危険性が高まっている点についてであります。
 イラクの大量破壊兵器に関する国連の査察問題は、国連安全保障理事会を舞台としてぎりぎりの折衝が行われております。我々公明党は、何よりも国際協調と平和的解決を第一に考え、まず国際世論の圧力で国際平和に対する脅威を除くことが重要であり、そのためにあらゆる努力を惜しむべきではないと考えております。総理も、さきのブッシュ米大統領との会談で、イラク問題につき国際協調の必要性を強調したとのことであります。情勢が緊迫の度を増している状況にかんがみ、今後とも、機会あるごとにこの点をアメリカ側に訴えるべきであると思います。総理の答弁を求めます。
 世界の平和と安定に貢献するために、我が国は、外交の基軸として人間の安全保障を力強く推進することが必要です。貧困、環境破壊、地雷、麻薬、飢餓等の人間の生存、生活、尊厳に対する脅威を解消するため、ソフトパワーを生かして我が国が積極的に貢献することが極めて重要であり、結果的にそれはテロの温床を除去することにも連動します。
 そこで、日本のイニシアチブで国連内に設置をされた人間の安全保障基金を積極的に活用して、これらの地球的諸問題を解決するためのプロジェクトを一層充実させ、人材育成や人的派遣を支援していくべきだと考えます。来年度の予算措置と併せて、総理の意気込みをお聞きをいたします。
 国民生活に関連し、対策が急がれる幾つかの問題を、以下、取り上げます。
 予想をはるかに超えた少子化の進展は、これまでの施策の見直しと更なる総合的な支援策が急務であることを物語っています。去る九月二十日、少子化対策の一層の充実に関する提言、少子化対策プラスワンがまとめられ、男性を含めた働き方の見直しや社会保障における次世代支援等が盛り込まれたことは、これまでの公明党の主張を反映をしており、評価をすべき内容と言えます。問題は、いかに実行に移すかです。
 育児休業の取得率について、男性は一〇%の目標値を定めていますが、子育て世代に当たる二十代後半から三十代前半の男性は、長時間労働の上、依然、育児休業などが取りづらい職場環境にあります。目標達成のためには、経営者の意識改革とともに、ファミリーフレンドリー企業への支援の充実や努力義務にとどまらない法整備についても検討すべきであります。
 また、社会保障における次世代支援についても、子育て中の保険料の減免や保育費用の助成等年金を活用した支援策は、結婚、出産前後の一番経済的に負担の掛かる時期に集中して行うことが有効です。
 さらに、待機児童ゼロ作戦に加え、保育所空き状況のミスマッチを解消するための幼保の連携強化や、専業主婦やパート労働者をも含めた利用しやすい保育サービスの整備も急ぐ必要があります。そのためにも、現在、社会保障給付費の二十分の一程度にとどまっている子育て支援のための予算は倍増すべきと考えます。
 これら少子化対策への取組と御決意を総理並びに厚生労働大臣にお伺いをいたします。
 明年四月から障害者支援費制度が実施をされます。この制度は、従来の措置制度に代わって、障害者やその家族が契約により自らサービスを選択できる仕組みでありまして、ノーマライゼーションの理念を実現をし、利用者本位のサービス提供が実現されるものと期待をされております。
 市町村によって、障害者の方々への情報提供や相談の窓口を設置をしているところがある一方で、対応が遅れているところもあると承知をしております。厚生労働省は、是非、制度開始に当たり万遺漏なきを期していただきたい。
 今後、支援費制度を目的どおりに生かしていくためには、必要なサービスが提供できる基盤作り、すなわち受皿の確保が最も肝要です。加えて、サービスの質のチェック、苦情処理体制の整備等も進めていくことが欠かせません。厚生労働大臣から御答弁をいただきたいと思います。
 教育問題についてお尋ねをいたします。
 教育基本法の見直しについて、年内にも最終答申を提出する予定と聞いておりますが、その精神において現憲法と軌を一にしている基本法について、果たして一年間だけの議論をして結論を出そうというのは余りにも拙速ではないでしょうか。教育基本法の準憲法的な性格を考えれば、現在行われている憲法調査会の議論と並行して、中長期的な議論をすべき問題と考えます。もっと時間を掛けて憲法改正問題と一体的に慎重に議論をすべきではないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 我が国が果敢に新しい時代に挑戦し、国際社会の中で発展していくためにも、教育、人づくりこそ国の基盤であります。未来を担う若者が安心して勉学に取り組む環境を作ることが必要です。
 特に、日本育英会の改革に伴って奨学金が縮小されるのではないかとの話が流されていますが、奨学金は我が国の発展を支える重要な手だてであり、一層の充実を図ることが必要であります。
 また、現下の厳しい雇用情勢の中、親のリストラ等による家計急変で子弟が勉学を断念することがないよう、適切に処置すべきと考えます。お答えを願います。
 次に、私は、地域社会の中心拠点となる学校施設の整備が喫緊の重要テーマであると考えます。
 現在、公立小中学校施設の約四三%が耐震性に問題があると推定されており、子供たちの安全確保のために学校施設の耐震化を急ぐべきです。公明党は、現在、学校施設の耐震化を促進する法律を準備していますが、文部科学大臣としての所見をお伺いをいたします。
 農業問題についてお伺いいたします。
 政府が現在検討している新たな米政策においては、生産調整は生産者の主体的な判断を尊重するなど、消費者ニーズに即した売れる米作りをテーマに掲げております。
 しかし、生産調整が選択制になれば、米価は更に値下がりをするのではないか、あるいは価格下落対策はどうなるか等、三十数年間事実上強制的に行われてきた生産調整等を大転換するものであるため、生産者に不安が広まっております。
 米政策は大転換がなぜ必要なのか、意欲のある担い手を支える体制をどう構築をするのか、さらには、米政策における政府の役割と責任についてどう考えるのか、総理の明確な答弁を求めます。
 また、林業再生も待ったなしの状況にあります。木材の乾燥や規格の在り方等を徹底して改め品質向上を図るとともに、木材のストックヤードを整備し安定供給を図るなど、輸入外材との市場競争にも負けないよう、国産材時代を確立をするための諸対策を今こそ強力に推進すべきであると考えます。総理、いかがでしょうか。
 我が国が自由かつ公正で世界に誇り得る人権大国になるためには、司法制度改革の断行が不可欠です。法律実務家への登竜門である現在の一発勝負型の司法試験には、多くの弊害が指摘をされております。これを改め、プロセスを重視をした教育を行う法曹養成制度である法科大学院、いわゆる日本型ロースクールを創設する法案が提出をされております。この新たな制度を、法曹養成のための中核的な教育機関として定着をさせることが必要です。財政上の措置を含めた政府としての強力な取組を求めます。
 また、迅速な裁判の実現を始めとする一連の司法制度改革を進めるに当たっては、リアルタイムに情報を公開しながら広く国民の意見をお聞きする場を設けるべきであると考えます。
 以上、司法制度改革推進本部の本部長である総理に答弁を求めます。
 今、国民は、低迷する経済とデフレへの不安、多発をする倒産や増加をする失業へのおそれ、加えて、職業倫理を喪失をした大企業の不祥事の続出等から、日本の先行きに大きな危惧と不安を感じております。政治は、正にこのようなときにこそ大胆に政策を実行するとともに、ともすればしわ寄せを受けがちな弱い立場の人々への方策を講ずることで国民の不安払拭と信頼を得ることが何よりも重要であります。
 公明党は、今後とも、国民への奉仕に徹し、国民の目線に立った政策を推進していくことを表明をし、質疑を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 荒木議員にお答えいたします。
 マクロ経済政策によって需要を喚起し、デフレギャップを解消することについてのお尋ねでございます。
 政府としては、不良債権処理の加速を含む金融システム安定化策、規制改革、都市再生など構造改革の加速策のほか、雇用や中小企業対策などセーフティーネット策を含む総合的な対応策を日銀と一体となって今月末に取りまとめていきたいと思っております。
 物価安定についての緩やかな目標の設定についてのお尋ねですが、日銀が質、量両面にわたりまして実効性のある金融政策運営が行われるよう期待しております。政府としても、日銀と一体となって、現在、様々な意見交換をしておりますので、よく連携を取ってまとめてまいりたいと思っております。
 補正予算についてのお尋ねでございますが、環境、福祉、教育などの分野については平成十四年度予算において重点化を図ったところであります。その着実な執行に努めることがまずは重要だと考えています。
 また、政府としては、雇用や中小企業対策などのセーフティーネット策を含む総合的な対策を取りながら、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図っていく考えでございます。
 この対応策に伴い、今国会に補正予算を提出することは現在考えておりません。
 研究開発減税などの政策減税を早急に取りまとめるべきだと御指摘でございますが、税制については、あるべき税制の構築に向けまして、現在、政府の税制調査会あるいは与党の税調、経済諮問会議で議論を進めておりまして、現下の経済情勢を踏まえながら、一兆円を超える、できる限りの規模を目指した減税を先行させることとしております。
 法人関係におきましては、研究開発などの政策減税を集中・重点的に実施することといたしまして、その具体的な制度設計につきましては十五年度税制改正の中で検討を進め、その適用については原則十五年一月一日に遡及することとしております。
 北朝鮮の拉致問題と核問題についてでございますが、拉致問題については、被害者の方々の御家族、また被害者の方々、そういう意向を踏まえながら、事実解明に全力を挙げるとともに、被害者の御家族を伴った帰国についても早期に実現するよう取り組んでまいりたいと思います。その上で、今後、北朝鮮に対していかなる対応を求めていくかについては、正常化に向けた過程で総合的に検討していく考えであります。
 また、核問題を含む安全保障上の問題については、関連するすべての国際的合意の遵守など、日朝平壌宣言に従って、諸懸案の解決に向け誠実に対応するよう強く求めていく考えであります。
 イラク問題についてでございますが、私は、ブッシュ大統領にイラク問題に対処する上で国際協調が重要であるということを明確に伝えました。現在、米国は、他の安保理理事国とともに、安保理決議に関する議論も含め、今後の対応について検討を行っております。我が国としては、今後の情勢をよく見極めながら、国際社会と協調して外交努力を継続してまいります。
 人間の安全保障基金についてでございますが、同基金は生存、生活、尊厳が脅威にさらされている個々人に対し、具体的かつ持続的に恩恵をもたらすプロジェクトを国連機関が実施することを支援しております。実施に際しましては、NGOとの連携を重視し、社会的弱者支援や途上国における教育支援などを行っております。今後とも、人材育成を含め、同基金によるプロジェクトの一層の充実に努めてまいります。
 少子化対策についてでございますが、急速な少子化の進行は、今後、我が国の社会経済全体にこれまで予測した以上に急速な構造的変化をもたらすことから、より実効性のある取組が必要と考えております。今後は、多様な保育サービスの充実を図るとともに、育児休業取得率向上等の働き方の見直し、社会保障における子育て家庭への配慮などにも重点を置いて、立法措置を視野に入れて検討を行い、政府が一体となって総合的な取組を一層推進してまいります。
 教育基本法についてでございますが、一昨年十二月の教育改革国民会議の報告を踏まえ、現在、中央教育審議会において、現行法の普遍的理念を大切にしながら、新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について御審議いただいております。近く中間報告が取りまとめられると伺っております。政府としても、幅広く国民的な議論を深めながら、教育基本法の見直しにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 米政策についてのお尋ねですが、米政策については、需要の減少、生産調整の限界感、担い手の高齢化等、正に厳しい状況にあります。このため、農業者の主体的努力を支援するという政府の基本的役割を踏まえ、生産調整、流通体制の改革、担い手の育成対策等の米政策の抜本的な見直しについて、この秋に成案を得てまいりたいと考えております。
 林業再生についてのお尋ねですが、昨年策定した森林・林業基本計画に基づき、乾燥材等の品質、性能の安定した製品を低コストで安定的に供給できるよう、加工施設の高度化、流通の合理化等の木材産業の構造改革を進め、外材と対抗し得る国産材の供給体制を構築し、我が国の林業、森林の活性化を図ってまいります。
 司法制度改革ですが、今後の改革においては、法科大学院を法曹養成のための中核的機関として位置付けるとともに、新たな法曹養成制度を円滑に実施に移すため、財政上の措置を含め必要な措置を講じてまいります。
 また、改革が社会一般の期待にこたえるものとなるよう、その推進に当たり、情報公開による透明性の確保に努めるとともに、広く国民各層の意見を聞き、改革に取り入れてまいりたいと考えます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣平沼赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 荒木議員にお答えをさせていただきます。
 中小企業の支援策、これについてのお尋ねでございました。
 現下の厳しい経済情勢の中で、この中小企業というのは、言うまでもなく日本の経済の基盤を支えていただいております。したがいまして、これが破綻するようなことがあってはなりません。
 この中小企業というものが活力が出ますと経済が活性化しますし、また雇用の創出につながるわけであります。そういう観点から、私どもとしては今国会に更なるきめ細かいセーフティーネット、その法律案を出さしていただいていまして、更にきめ細かく対応させていただきたいと思っています。
 それから、企業組合制度のことについてのお尋ねがございました。
 これは、最低資本金がなく、そして有限責任の下で法人格が得られるこの企業組合制度というのは、これからの経済活性化にとっては非常に大切な意味を持っていると思います。そういう意味で、これも組合員の要件、資格の緩和等を含めた法律をこの国会に提出をさせていただいて、これも力強く推進をさせていただきたいと、このように思っているところであります。
 それからもう一点、個人保証の問題についての御言及がありました。
 日本の場合には、諸外国に比べて個人保証というものが非常にきつくできておりまして、破産をした場合には二十一万円しか残らない、こういったことが、再挑戦をする、そういったことができない状況になっております。
 そういう意味で、私どもとしては、破産法制、この中で自由財産の範囲を拡大する等、これを力強く進めていきまして、こういった形で再チャレンジができる、そして個人保証の苦しみの中から脱却できる、こういった体制を確立していくことがやはり経済の活性化につながると思っておりますので、これは鋭意取り組んでいかなければならないと思っておりますし、既に活動しておりますけれども、個人保証がなくて無担保無保証で政府系金融機関で融資する制度がございますけれども、創業支援に関することでありますけれども、これの一層の拡充をこれからも更に拡大をしていきたいと、このように思っております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
○国務大臣(坂口力君) 荒木議員にお答えしたいと思いますが、少しのどを痛めまして声変わりをしましたけれども、お許しください。
 まず最初に、職業能力についてのお尋ねでございました。
 職業訓練につきましては、厳しい雇用失業情勢に対しまして、質量ともに充実を図っているところでございます。特に具体的には、キャリアカウンセラーをハローワークに千名配置をいたしまして、きめ細かな個人指導に今努めているところでございますが、この十四年度におきまして、また一万人のキャリアコンサルタントを養成をいたしております。この人たちが卒業します次第、さらにまたハローワークで働いていただくようにしたいというふうに思っているところでございます。
 それから、公共職業能力開発施設のほかに、専修学校でありますとか大学あるいは大学院、求人企業など民間におきます教育訓練機関を活用いたしまして、多様な人材ニーズに対応する職業訓練を実施していきたいと考えています。量的には本年度約五十万人の失業者に対します職業訓練を予定しているところでございます。
 それから、少子化対策についてのお話がございました。
 総理からもお答えをいただきましたとおり、少子化の流れを変えますために、より実効性のある取組が必要でございます。少子化対策プラスワンを取りまとめたところでございます。これを受けまして、今後は平成十一年のエンゼルプラン等に基づきます保育サービス等の充実や、平成十三年の閣議決定に基づきます保育所待機児童ゼロ作戦等の推進を引き続き取り組んでまいります。
 さらに、育児休業の取得率の目標設定をいたしました。これを実施するため、企業への支援など、男性を含めました働き方の見直しを行っていきたいというふうに思っておりますし、子育てサービスのネットワーク作りなど地域における子育て支援を行います。また、年金制度におきます育児期間への配慮措置の検討なども行っているところでございます。
 少子化対策推進本部を厚生省内に設置をいたしまして、更に取り組んでいくことをお約束を申し上げたいと思います。
 最後に、障害者の支援費制度についてのお尋ねがございました。
 障害者自らがサービスを選択する支援費制度という新しい仕組みに対しまして来年度より移行いたしますが、この支援費制度が真に有効に機能をしまして、その趣旨が実現していくためには、御指摘のような条件整備が重要であると思っております。
 このため、市町村を支援をして、利用者への情報提供や相談支援の体制を整えたいというふうに思っております。障害者プランに基づきまして、サービスの基盤整備を推進することなどにも取り組んでおりますし、利用者に対します適切なサービスが行われるように、都道府県等が事業者に対して必要に応じた立入検査をすること、都道府県に運営適正化委員会を設置をいたしまして利用者からの苦情を適切に解決することなど、こうした体制整備に取り組んでいるところでございます。
 このような施策を総合的に講ずるようにいたしまして、そして最大限努力をしていく所存でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
○国務大臣(遠山敦子君) 荒木議員にお答えいたします。
 二点の御質問がございました。
 まず、日本育英会奨学金の一層の充実と、リストラ等による家計急変者の子供が勉学を断念することがないよう適切に対応すべきではないかとの御指摘でございました。
 日本育英会につきましては、平成十六年四月を目途に、特殊法人としての日本育英会を廃止した上で、国の学生支援業務を統合して、新たに独立行政法人を設置するということが閣議決定されております。しかし、もとより奨学金の事業はしっかりと継続していくことになっております。今後とも、教育を受ける意欲と能力のある学生が安心して学べるようにするため、奨学金事業の充実に努めてまいります。
 また、リストラ等によって家計が急変しても、子供が勉学を断念することのないよう、無利子で貸与を行う緊急採用奨学金を年間を通じて随時受け付けております。現在のところ希望者に貸与することが十分可能でございまして、希望される方は在学する学校若しくは日本育英会に御連絡をいただき、この制度を十分活用されるよう期待いたしております。
 次に、公立学校施設の耐震化についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、耐震性に問題のある公立学校施設が四三%にも上ると推計されており、また、昭和五十六年以前の建物において耐震診断が実施されていない施設が約七割にも上ると推計されており、児童生徒の安全を確保するために、これらの施設の耐震化を進めることは喫緊の課題であると考えております。
 また、公立学校施設は、非常災害時におきまして地域の方々の緊急避難所としての役割を果たすことが多いことからも、その耐震化を図ることは極めて重要でありまして、我が省といたしましても、今後、必要な予算の確保を図るよう努めて、公立学校施設の耐震化を積極的に推進してまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小泉総理に質問をいたします。
 今、我が国は、暮らしと経済、外交など、あらゆる分野で重大な岐路に立たされています。九月十七日の日朝首脳会談によって国交正常化交渉の道筋が開かれました。同時に、北朝鮮による拉致・核開発問題が明らかになり、この解決が緊急の課題となっています。
 さらに、アメリカによるイラクへの先制攻撃問題は、世界の平和にとって重大な脅威となっており、我が国が国際社会において道理ある立場を貫けるかどうかが鋭く問われています。
 そして、我が国経済は、今や破局の瀬戸際にあると言っても差し支えありません。国民の暮らしと中小企業を押しつぶす政策を続けて破局に至るのか、それとも、国民生活の再建なくして日本経済の再建なしの立場で経済政策の転換を図るのか、ぎりぎりの選択が迫られています。
 私は、以上のような認識から、以下、幾つかの点について質問します。
 まず第一は、北朝鮮との国交正常化交渉問題についてであります。
 これまで、日朝間には、国交はおろか交渉ルートもありませんでした。そのため、日朝間の紛争問題、例えば、ミサイル・拉致問題、植民地支配の清算などについて、これらを話合いによって解決するのではなく、例えばテポドン問題などが起こったときは双方とも軍事的対応でこたえるという一触即発の危険な状況が続いていました。
 私たちは、北朝鮮の異常性、無法性についてはよく知っていました。例えば、七〇年代初めの金日成に対する個人崇拝の押し付けや、一九八〇年代に北朝鮮によって起こされたラングーン事件、日本漁船拿捕事件、大韓航空機爆破事件などについても厳しく批判し、その結果、北朝鮮労働党と我が党とは断絶状態にあります。
 しかし、そういう無法な国であり、両国間に様々な問題があるからこそ、一九九九年の国会で、政府間の対話のルートを開き、交渉によって解決すべきだと提案したのであります。交渉なしには問題の解決を図ることはできないと考えたからであります。
 日朝間の諸懸案を包括的に取り上げて話し合うための日朝首脳会談が発表されたとき、私たちが、このトップ同士の会談の決断を歓迎し、協力を惜しまないと述べたのは、こうした立場からであります。
 首脳会談の中で、北朝鮮が拉致の事実を初めて認めました。余りにも衝撃的でした。御家族の皆さんの悲しみは察するに余りあります。拉致は絶対に許すことのできない国際犯罪であります。北朝鮮が拉致を認めたことは、真相解明への一歩ですが、これで済む話ではありません。ほかに拉致はないのか、責任者はだれなのか、拉致された人がどういう扱いを受けていたのか、生存が確認されていない方々の消息は、などの真相の全面的な究明が必要であります。さらに、責任者の処罰、被害者への謝罪と補償などを今後の交渉の中で強く求めていくべきだと考えますが、総理の見解を求めるものであります。
 北朝鮮が核開発を行っていたことを認めたとアメリカ政府が発表しました。これは、世界とアジアの平和の流れに背くものであり、被爆国日本の国民の願いにも背くものであります。さらに、北朝鮮が自ら合意した一九九四年の米朝枠組み合意や、北朝鮮自身が加盟している核不拡散条約の条項にも反します。核問題についての国際的合意を遵守すると明記した日朝平壌宣言にも違反するものであります。
 私たちは地球上からすべての核兵器をなくすべきだという立場であり、北朝鮮の核兵器開発も絶対に認めるわけにはいきません。再開される国交正常化交渉の中で、核兵器開発計画の即時中止と国際機関による査察の受入れを強く求めるべきであります。総理の見解を求めます。
 日朝関係が対立から協調へ転換することは、北東アジアの平和はもちろん、世界の平和にとっても大きな意味を持っています。我が党は、そのために引き続き全力を尽くすことを表明するものであります。
 次に、日本経済と国民の暮らしについてであります。
 総理、あなたは総理就任以来、四たび本会議において所信を述べられました。そのたびに、不良債権を処理すると言い、今度はそれを本格的に加速すると言われました。日本共産党は、この不況下でそんなことをすれば、大量の倒産と失業を生み、景気を悪くして、ますます不良債権を膨らませることになると指摘してきました。事実、この一年余りの間に十兆円の不良債権が処理されましたが、新たに二十兆円の不良債権が発生しました。結局、総額は三十二兆円から四十二兆円に増えたのであります。あなたはこの事実を認めますか。そして、なぜ処理しても処理しても不良債権が増えたのだと思いますか。
 経済産業省の事務次官でさえ、十月三日の記者会見で、デフレ状況が続けば続くほど不良債権が新たに発生してくる、その発生した不良債権がまた経済の足を引っ張るという悪循環プロセスに入っているわけですと述べています。これが実際ではないのですか。
 小泉内閣が不良債権処理を強引に推し進めたこの一年半の間に、国民生活は一体どうなったか。あなたは、昨年秋の臨時国会で、「目先の動きに一喜一憂するような態度と決別しなければなりません。」と述べられました。私は、一つでも喜ぶことがあるか、憂うべきことばかりではないかと追及したことを思い出します。
 雇用はどうでしょう。企業倒産は年間二万件を超え、完全失業者は三百六十一万人となり、この一年間で二十五万人も増えました。国民の収入はどうでしょうか。倒産とリストラ、賃下げで、この一年間に雇用者所得は九兆円も減ったのであります。住宅ローンのある世帯では、家計に占めるローンの比率は急上昇しました。これらが国民経済の六割を占める個人消費を引き下げることになるのは余りにも当然であります。第一生命経済研究所によると、サラリーマン世帯の消費水準は、一九九六年を一〇〇とした場合、今年一月から六月の平均は九四・六にまで落ちたのであります。
 総理は、こうした動かし難い事実についてどのように認識しておられますか。国民の状態が悪化したことについて重大な責任があるとは思わないのですか。
 私には、総理に、国民の状態が悪化していることに対する認識があるとは到底思えません。なぜなら、そうした認識がもしあるなら、医療、介護、年金、雇用保険など、社会保障のあらゆる分野で三兆二千四百億円もの負担増を強いて平気でいられるはずがありません。その上、配偶者特別控除や特定扶養控除の廃止、縮小、消費税の免税点の引下げ、赤字の企業からも税金を取る外形標準課税を検討するなど到底考えられないからであります。国民のどこに、こうした負担に耐えられる余力があるとお考えですか。
 例えば、特定扶養控除は元々、高校生、大学生を抱えている世帯では教育費の負担が余りにも大変なため、この世代の子供を持つ世帯の税負担を少なくするために設けられたものです。デフレ下の今、ますますその役割が大きくなっていますが、総理はこうした控除は不要と考えておられるのですか。
 多額の負担増が所得減少の下で進められればどうなるか。とどまるところを知らない景気悪化に導くことは、あなたも閣僚だった橋本内閣の九兆円負担増を見るまでもなく明らかではありませんか。あなたは同じ轍を踏み、二度も国民に犠牲を強いるつもりですか。
 総理は、雇用と中小企業にセーフティーネットを準備するとも言います。不良債権処理の強行で大量の倒産と失業を作り出しておきながら、何がセーフティーネットでしょうか。
 我が党は、この間、雇用問題について繰り返し提案をしてきました。昨年の臨時国会でも、解雇を規制すること、サービス残業をなくして雇用を拡大すること、失業者の生活保障を行うこと、そして、政府の責任で雇用を拡大することなどであります。しかし、そのいずれの対策も政府はなおざりにしてきました。それだけではありません。雇用におけるセーフティーネットの中心的役割を果たしていると政府が自ら言ってきた雇用保険についてまで、その役割を低めてきたのであります。完全失業者のうち、失業給付を受けている人はわずか二割、五割の人が無収入であります。
 平成十一年度版労働白書は、雇用保険の役割を次のように述べていました。消費の減少による景気の落ち込みを抑制するマクロ経済効果と、失業中の家計を下支えする効果があり、安定した生活の下での求職活動を可能にすることにより、就職を促進させることにある。
 ところが、政府がこの間やってきたことといえば、失業率が高まるに従って、雇用保険制度を改悪して、給付を減らすことでした。一九九九年度の完全失業率は四・七%、完全失業者は三百二十万人でした。今年度は、直近の八月で五・四%、三百六十一万人と、完全失業率も完全失業者も増えています。ところが、雇用保険の給付額は、一九九九年度の二兆三千二百五十七億円から、年々減らされてきました。今年度は一兆七千二百十九億円と、実に六千億円も少なくなっているのであります。そして、今度また二千億円もの給付を削減しようというのですから、セーフティーネットの拡充どころか、政府の責任放棄そのものではありませんか。
 給付を減らせば早く就職に結び付くなどという言い訳は通用しません。現実に失業は増えており、失業保険をもらえない失業者は更に増えているのであります。我が党は、当面、少なくとも失業率が三%程度の水準に戻るまでの緊急措置として、雇用保険の給付期間をせめて一年間まで延長し、雇用保険が切れた失業者への生活保障制度を創設すること、臨時のつなぎ就労の場を自治体が作ることなどを提案するものであります。総理の真剣な検討を求めます。
 雇用の問題で特に重要なのが、特別に高い若者の失業率と就職難であります。中でも高校生の求人倍率は過去最低の〇・五倍と深刻な状況にあります。高校生からは、三年間何のために勉強してきたのか分からない、もうフリーターでもいいなどの悲痛な声が上がっています。就職難は、学生の学ぶ意欲、働く意欲を減退させ、若者の将来を閉ざすことにつながりかねないのであります。
 未来を担う若者の就職難は、将来の日本社会にとってもゆゆしき問題です。新規採用の抑制は、仕事や技術が伝承されないなど、様々なゆがみをもたらしています。政府は、若者の就職難を日本社会の未来にかかわる問題として位置付け、本腰を入れた対策に乗り出すべきではありませんか。
 もう一つが、中小企業の問題であります。
 総理、あなたは所信表明で、東大阪市と東京・大田区の中小企業を例に、日本の製造業、なかんずく中小企業の潜在力について述べられました。しかし、総理、そんなことはあなたに、しかも今言われなくとも何年も前から分かっていることであります。今問題なのは、小泉内閣の誤った経済政策のために、国民のたゆまぬ努力で培われた潜在力が失われようとしていることなのであります。
 今、中小企業をめぐって何が起きているか。小泉内閣による金融検査マニュアルによって、都市銀行は金利引上げを押し付けてくる。東京商工会議所の調査では、実に六割の企業がそうした要請を受け、そのうち七五%が都市銀行によるものだったと答えています。この圧迫は、この四月以降、徐々に信用金庫、信用組合まで広がっており、中小零細企業は文字どおり経営の瀬戸際に立たされています。
 さらに、大田区では、昨年、大栄、東京富士という二つの信用組合が破綻させられました。この二つの信用組合の融資先は、三千件の中小零細企業及びこれらの家族など八千件の個人でした。この破綻処理で、件数にして八百四十九、債務は三九%の三百四十九億円がRCCに送られました。当初五〇%から七五%が送られると言われていたのを、地域経済を守れという区民を挙げての大運動でこうした範囲にとどまったのであります。
 繰り返します。政府の誤った金融政策による被害を住民の団結ではね返したのです。総理、大田区の中小企業について云々するなら、政府がいかにひどいことをしたか、そして、誤った金融政策を改め、こうした中小企業の置かれている苦境を打開する方策をこそ述べるべきではなかったのですか。
 日本共産党は、地域経済と中小企業が置かれた実態を踏まえ、金融機関に地域の住民や事業者の金融上の要望にきめ細かに対応することを義務付ける地域金融活性化法案を提案しています。政府としてもこうした対策を取るよう求めるものであります。加えて、埼玉県で実施され、京都府や京都市においても実施されている公的資金による保証付融資制度についても国として検討すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 今一番求められていること、それは日本経済の六割を占める経済の主人公、国民の懐を直接応援する政策であります。
 日本共産党は、そのために、第一、社会保障による三兆円負担増を中止する、第二、国民や中小企業への増税はやめる、第三、不良債権処理の名による中小企業つぶしの政策を転換する、第四、無法なリストラをやめさせ、失業者の生活を保障する、この四点を緊急に実施すべきだと考えますが、総理の見解を伺いたい。
 総理はよく、自立自助、すなわち国を頼るな、自分で立てと言います。それを言うなら、大企業と大銀行に言ったらどうですか。自ら立とうにも立てないお年寄りや障害者、額に汗して働く国民や中小企業に光を当てることこそ政治の果たすべき責任ではありませんか。
 次に、原発問題についてであります。
 最近明らかになった東電など原子力発電所の損傷隠しの問題は、我が国のエネルギー政策の根幹にかかわる重大問題でした。この問題の重大さは、我が国の原子力発電所の安全性がたった一人の労働者の善意と勇気によって辛うじて担保されたという驚くべき実態にあります。
 そこで、二点伺いたい。
 こうした実態が長年放置されたままであった原因の一つに、原子力発電を推進する経済産業省の中に規制を担当する保安院を置くという矛盾した在り方があったとは思いませんか。独立した原子力規制機関を確立すべきだと考えますが、いかがですか。
 元々、プルトニウム循環方式は、その危険性からアメリカ、ドイツ、フランスなど、国際的にも放棄された方式であります。これに固執することは危険を一層広げることになります。福島県や新潟県がプルサーマル計画を白紙撤回した今日、政府もこの方式に固執すべきではないと考えますが、総理の決断を求めるものであります。
 最後に、アメリカのイラク攻撃について質問します。
 アメリカのブッシュ政権は、イラク攻撃の権限を大統領に与える上下両院での決議を受けて、国連安保理に新たなイラク決議の採択を迫り、戦争推進に突き進もうとしています。
 しかし、アメリカは、イラクを武力攻撃する大義名分や正当性を何一つ世界の前に示すことができません。第一に、九・一一テロとイラクのフセイン政権を結び付ける証拠は、アメリカが血眼になって探しても何一つ示すことができないこと、第二に、イラクが大量破壊兵器を所有しているという明確な証拠も何一つ示されていないことであります。
 確かに、イラクがこれまで国連の査察を拒否してきたのは事実であります。我が党は査察を受け入れるべきだという立場ですが、しかし、これも交渉によって解決すべきで、武力攻撃を正当化する理由にはなりません。しかも、九月末の国連との協議で、一部のイラク大統領施設を除くすべての施設で無条件に査察を再開することで合意しました。さらに、今我が党の緒方参議院議員らが中東諸国を歴訪中ですが、イラク国民議会の議長と外務省の第一政務局長との会談で、イラク政府は、八つの大統領宮殿を含むすべての施設、場所への査察を無条件で認める立場を表明しました。アメリカのイラク攻撃には元々まともな論理はありませんでしたが、アメリカが持ち出した理屈からいっても、その根拠を失いつつあります。
 こうした中で、今、アフガンへの報復戦争の際にはアメリカの圧力で渋々賛成した国を含めて、イラク攻撃反対、国連憲章、国際ルールを守れという声がほうはいとして沸き起こっています。
 例えば、十月十六、十七日の両日、世界の百か国以上が参加する非同盟諸国会議の要請で、国連安保理の公開協議が行われました。同会議の議長国である南アフリカは、国連の査察を受け入れると言っているイラクへの攻撃は国連憲章違反であると明言しました。
 小泉総理、あなたは所信表明演説において、イラク問題では国際協調が重要、国際社会と協調しつつ外交努力を継続すると述べました。そうであるなら、国際的なルールに立脚し、国際社会のこうした平和の流れと協調するべきではありませんか。
 どのような外交努力を行うつもりか、具体的にお答えください。
 次に、イラク攻撃とかかわって、アメリカの先制攻撃戦略について、総理の見解を問いたい。
 八月十五日に発表されたアメリカの国防報告と九月二十日に発表された国家安全保障戦略、いわゆるブッシュ・ドクトリンには、これまでと違った新しい踏み込みが幾つかあります。その最大の特徴が先制攻撃戦略であります。
 国連憲章は、武力攻撃が発生した場合だけしか自衛権の行使は認めていません。その場合も、国連安保理が適切な措置を取るまでの間という限定付きであります。
 アメリカが攻撃されてもいないのに、あいつは気に食わないといって先制攻撃をする、政権まで転覆させる。もしこんなことがまかり通れば、二つの世界大戦を通じ、多大の犠牲の上に築き上げた戦争の違法化と紛争の平和的解決という国際ルールを根本から踏みにじり、世界は無法地帯と化してしまうではありませんか。
 この点について、総理はどう考えますか。
 アメリカの先制攻撃戦略にきっぱりとした反対の態度を取るべきだと考えますが、いかがですか。もし反対できないのなら、その論拠を具体的に示してください。
 総理、万一、アメリカがイラク攻撃をした場合、それに日本が軍事協力を行うことは、日本自身が先制攻撃を容認する無法国家の仲間入りをすることになります。無法な先制攻撃への協力と、そのための新たな立法措置は一切行わないことも併せて明らかにすることを求めるものであります。
 さらに、継続審議となった有事法案については、様々な修正の議論がありますが、アメリカの海外での戦争に日本が参戦し、国民の権利と自由を奪う本質には何の変わりもありません。廃案を強く求めるものであります。
 冒頭述べたように、今国会は、我が国が暮らしと経済、世界と日本の平和、外交など、あらゆる分野で重大な岐路に立たされている中で開かれています。私は、本院が真に国民の負託にこたえ、徹底的な審議を行うことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 市田議員にお答えいたします。
 拉致問題についてでございますが、政府としては、拉致問題の解決を国交正常化交渉の最優先課題として取り上げていく考えでございます。まずは、被害者の方々及び家族の御意向を踏まえながら、事実解明に全力を挙げるとともに、被害者の御家族を伴った帰国についても早期に実現するよう取り組んでまいります。
 その上で、今後、この問題について北朝鮮に対していかなる対応を求めていくかにつきましては、国交正常化に向けた過程で総合的に検討していく考えであります。
 北朝鮮の核開発についてでございますが、この問題は、国際的な平和と安定、核不拡散体制にかかわる問題であるとともに、我が国自身の安全保障にとっても重大な懸念であります。我が国としては、日朝平壌宣言で、北朝鮮が関連するすべての国際的合意を遵守するとしたことを踏まえまして、日米韓三国の連携の下、国交正常化交渉等の場で、北朝鮮側にこの宣言を誠実に実施していくことを強く働き掛けていく考えであります。
 不良債権について、処理額を上回る新規発生があったこと及び不良債権処理と倒産、失業との関係についてでございますが、十四年三月期の全国銀行の不良債権については、積極的な最終処理により九・二兆円が処理された一方、その残高は四十三・二兆円と前年度末に比べ九・六兆円の増加となっております。しかしながら、これは、厳しい経済情勢の影響があった一方で、金融庁の特別検査などにより不良債権の徹底的な洗い出しを行ったこと等によるものだと思います。
 また、不良債権処理は、金融機関の収益力の改善や貸出し先企業の経営資源の有効利用などを通じて新たな成長分野への資金や資源の移動を促すことにつながるものであり、他の分野の構造改革と併せて実施することにより日本経済の再生に資するものと認識しております。
 税制に関するお尋ねですが、御指摘の配偶者特別控除や特定扶養控除などについては、税制の空洞化の是正、経済社会の構造変化への対応といった観点から、廃止、縮減を図る方向で検討してまいります。
 また、消費税の免税点制度等につきましては、消費税制度全体に対する国民の信頼性や制度の透明性を向上させる観点から、抜本的な改革を図る方向で検討してまいります。
 法人事業税の外形標準課税については、税負担の公平性の確保、地方分権を支える基幹税の安定化などの観点から、税制中立の考え方の下、その導入を図ってまいりたいと思います。
 いずれにせよ、今回のあるべき税制の構築に向けた改革は、持続的な経済社会の活性化を実現するため広範にわたる税目について取り組むものであり、現下の経済情勢を踏まえまして、多年度税収中立の枠組みの下、一兆円を超える、できる限りの規模を目指した減税を先行させていきたいと考えます。
 不況下に社会保障改革、税制改革、不良債権処理の加速を行うことは、経済に悪影響を与え、国民に犠牲を強いるものであるという御指摘がございました。
 社会保障制度については、急速に少子高齢化が進展する中で制度を持続可能で安定的なものとしていくためには、給付と負担の見直しを始めとする制度改革が避けられないと考えております。
 一方、税制改革については、あるべき税制の構築に向けて抜本的な改革に取り組むこととして、現下の経済情勢を踏まえながら、多年度税制中立の枠組みの下ではございますが、一兆円を超えるような、できる限りの規模の減税をまずは先行させることとしたいと考えます。
 また、不良債権処理の加速は日本経済の再生に必要なものであり、それに伴う雇用や中小企業への影響に対しては細心の注意を払い、セーフティーネットには万全を期す考えでございます。
 これらの取組と併せ構造改革を遂行することにより、将来の国民不安の解消を通じた消費や投資の活性化、金融機能の再生、新規成長分野への資源の投入、都市再生など民間のビジネス機会の拡大による投資拡大、雇用増加、コスト低下などの効果が発現し、民間需要主導の経済成長が実現されるものと期待しております。
 雇用保険でございますが、雇用保険については、平成十二年度に倒産、解雇等により離職する方々には従来よりも手厚い給付日数を措置する等の制度改正がなされ、昨年度から施行されたところであります。
 その後の雇用情勢は厳しい状況が続き、雇用保険受給者も増加していることを踏まえ、当面する財政破綻を回避し、将来にわたり雇用のセーフティーネットとしての安定的運営を確保するためには、給付と負担の両面にわたる見直しを行うことが必要であると考えます。
 なお、雇用保険の単なる給付日数の延長は失業者の滞留を招くおそれがあり、また、企業ごとに保険料を異ならせることは、雇用保険がすべての労使の共同連帯による保険制度であるということから、適切でないと考えております。また、雇用保険が切れた失業者の生活保障については、離職者支援資金の貸付けを行っているところであります。
 さらに、臨時就労の場の提供については、地方公共団体において、緊急地域雇用創出特別交付金を活用し、各地域の実情に応じた緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出に既に取り組んでいるところであります。
 学費などの緊急助成制度や住宅ローンなどのつなぎ融資の創設についてでございますが、保護者の失職や倒産等の家計急変者に対応するため、無利子で貸与を行う緊急採用奨学金を年間を通じて随時受け付けており、現在のところ、希望者に貸与をすることは十分可能であります。また、失業者などの住宅ローンの負担軽減については、住宅金融公庫における返済期間の延長などの特例措置について、その周知徹底を図ってまいります。これらの措置を通じ、雇用におけるセーフティーネットには、政府としても万全を期してまいりたいと考えます。
 若年者の雇用対策についてでございますが、厳しい状況にある新規高卒者について求人開拓や就職面接会等の就職支援を積極的に行っております。また、インターンシップ等在学中からの職業意識の啓発やトライアル雇用、職業訓練の実施等、各般の施策を講じているところであります。今後とも、次代を担う若年者の雇用促進に積極的に取り組んでまいります。
 金融検査マニュアルと中小企業金融についてのお尋ねでございます。
 金融検査においては、特に、中小零細企業等の経営実態のより的確な把握を目的として、「金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編」を作成、公表したところであり、現在、その内容を検査の現場や債務者企業などに広く浸透させているところであります。
 また、やる気と能力のある中小企業が破綻する事態を回避するため、月末を目途に、信用補完制度の充実など実効ある資金供給円滑化のためのセーフティーネット策を取りまとめてまいります。
 共産党提案の地域金融活性化法案のような対策を講じるべきではないかというお尋ねでございます。
 金融機関の融資業務等は、基本的には自主的な経営判断に従って行われるべきであり、共産党提案のように、何らかの一律の基準に基づいて各金融機関の活動を評価すること等については慎重に考えるべきものと考えます。
 中小企業対策として、借換制度の検討の御質問がございました。
 借換制度は、地方自治体の融資に係る債務の弁済を促進し、中小企業の再生を図るため、地域の実情に応じ実施されているものと承知しております。国としては、やる気と能力のある中小企業が破綻する事態を回避し、その再生を図るため、信用補完制度の充実等、金融セーフティーネット対策に万全を期してまいります。
 原子力安全・保安院の位置付けについてのお尋ねでございます。
 原子力安全規制については、経済産業大臣が一次規制を実施し、原子力安全委員会が客観的、中立的立場から再度安全性を確認するという現在のダブルチェックの体制が有効に機能するものと考えております。
 今般の事案が原子力の安全に対する信頼性を損なったことを重く受け止め、申告制度の改善など再発防止のための対策を総合的に検討し、早急に改善策を実行に移してまいります。
 核燃料サイクル政策についてでございますが、核燃料サイクルの確立は、資源に乏しい我が国の原子力の開発利用において重要な政策であることに変わりはないと思っております。今後、安全性の確保を大前提として、プルサーマルを始めとする核燃料サイクル政策に対する国民の信頼回復と理解に向けて更なる努力が必要と考えております。
 イラク問題に関しましてのお尋ねでございますが、重要なのは、イラクが実際に査察を即時、無条件、無制限に受け入れ、大量破壊兵器の廃棄を含むすべての関連安保理決議を履行することであり、このため必要かつ適切な安保理決議が採択されるべきであります。
 現在、安保理理事国を中心に、安保理決議に関する議論も含め、今後の対応について検討が行われております。我が国としても、今後の情勢をよく見極めながら、国際協調を基本に外交努力を継続してまいります。
 なお、米国による軍事行動を予断することは現在の時点で差し控えたいと考えます。
 米国の国家安全保障戦略に対する我が国の立場についてでございますが、政府としては、米国がテロや大量破壊兵器の拡散といった冷戦後の新たな脅威に対して断固たる姿勢で臨み、国際社会と連携しつつ強力なリーダーシップを発揮するという決意を同戦略において示している点を評価しております。
 なお、同戦略は、脅威に対して先制的に対処するために必ず武力を行使するという話ではなく、先制を侵略のための口実としてはならない旨を明らかにしております。
 いずれにせよ、米国は、国際法上の権利及び義務に合致して行動するものと考えます。
 有事関連法案についてでございますが、継続審査となっている有事関連三法案については、国会における議論を通じて幅広い国民の理解と協力が得られるよう努力してまいりたいと思います。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
○議長(倉田寛之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。松岡滿壽男君。
   〔松岡滿壽男君登壇、拍手〕
○松岡滿壽男君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の松岡滿壽男であります。
 今国会は、経済問題が最重要課題と位置付けられている中、北朝鮮の核問題、農林水産大臣元秘書官の口利き疑惑という新たな課題が浮上し、三K国会と言われております。
 特に、経済再生国会と言われ、財政金融、デフレ対策が大きな争点になっている中での総理の所信表明演説は、具体的な対策も盛り込まれず、総理御自身の決意も全く伝わってこないものであり、一九七六年以降三番目の異例の短さでありました。
 昨日の代表質問において、青木自由民主党参議院幹事長は、総理の政治手法への批判、デフレ対策の具体的内容の乏しさ、特に、民間専門家による金融行政の展開にかかわる責任の取り方、審議会の在り方などに対し質問をされましたが、与党が選んだ総理を与党が批判をする、これでは、与党の上に立って内閣が政策を実行する議院内閣制の形を成していません。
 一見して国民の目線で気持ちを代弁しているような小泉総理に期待し、訪朝直後の支持率は七〇・六%に上っております。しかし、不良債権処理を二年後に終わらせることについては八四・二%が無理と思っており、六七・二%は拉致事件の全面解決ができるとは考えておりません。また、小泉内閣が自民党を変えられないと思っているのは八四・六%にも上っております。政府と与党だけではなく、国民も二重構造の矛盾となっているわけであります。
 北朝鮮はけしからぬ国だ、誘拐して、拉致して、殺してしまうとか、自民党をぶっ壊すという発言や、道路公団民営化における猪瀬委員の選任などの小泉パフォーマンスによる異常な支持率の高さと、実績に期待できない小泉政治とのギャップは、正に羊頭を掲げて狗肉を売ることそのものであります。日本の経済再生ができない大きな要因ともなっております。
 小泉内閣と与党は、凜とした孟宗竹の青さ、みずみずしさとは裏腹に、中が空洞化しているのです。非常時だと言われる小泉総理、総理としての言葉の責任を持つべきです。総理の言動は、民主主義の危機、議院内閣制の危機と言わざるを得ません。総理の明確な答弁をお願いいたします。
 次に、日朝問題についてお尋ねいたします。
 北朝鮮から中国への脱出者は十五万人から二十万人いると言われており、九月三日、韓国の朴寛用国会議長は、脱北者の人権に関する委員会で、遠からず脱北者が大量に発生すると見られる、もはや静かな外交だけで対処できる時期は過ぎたと警告を発しております。このような国との外交関係の確立を急ぐことは、北朝鮮の延命を手助けすることになるだけであります。
 米国の強硬な北朝鮮政策を明確に支持していた小泉総理が、事前に米国と十分な協議をせず、突然に訪朝したのは理解し難いものがあります。当然、北朝鮮を国際外交の舞台に引き出す努力は日本にも必要でありますけれども、北の不確かな情報を頼りに未承認のテロ国家への総理訪問という大事な外交カードを先に切ってまで、今の時期に北朝鮮との関係を早急に改善しなければならない理由はどこにあったのか。また、十月二十日のテレビ番組における中川元官房長官の、一年半前に姜錫柱第一外務次官との交渉の中で拉致問題の解明は話し合われていたとの発言がありましたが、今まで何ら対処をしなかったのはなぜなのか。明確な御説明をお願いしたいと思います。
 十月十六日、米国国務省は、北朝鮮側が高濃縮ウラン施設建設などの核兵器開発を継続していることを認めたとの発表を行いました。一九九四年の米朝枠組み合意に違反しているばかりか、核拡散防止条約や朝鮮半島非核化に関する南北共同宣言の重大な違反行為であり、日朝関係を含めた国際社会に対する深刻な背信行為であります。
 日朝双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認したとして日朝平壌宣言に署名をしているわけです。北朝鮮は署名時点で既に日本にうそをついており、米朝枠組み合意や核拡散防止条約などの国際的合意に違反していたことになり、北朝鮮は拉致問題に続き核問題でもうそをついていたことになります。
 北朝鮮が米朝枠組み合意に違反していることを知りながら小泉総理が平壌宣言に署名をしたのであれば、金総書記とともに日本の国益を侵し、国際社会を欺いたものと言えます。十月二十九日から始まる正常化交渉において、核開発の即時中止を求めるとともに、国際原子力機関による核査察の早期受入れを求めること及び朝鮮半島エネルギー開発機構に対する日本の協力見直しは当然のことながら、北朝鮮が日本をだましていたことを指摘し、核開発の中止を正常化交渉において粘り強く主張し、交渉継続の条件とすべきであります。
 拉致問題の解決については正常化交渉の中で最優先課題として扱っていくとの政府方針でしたが、そもそも拉致問題は国家主権の侵害と北朝鮮の国家的犯罪行為であり、原状回復や状況把握の上、損害賠償を求めることが必要であります。ミサイルや核開発などの安全保障問題と包括的に交渉、解決することは無理があり、拉致問題を政治的な交渉の中でうやむやにしてしまうおそれがあります。総理の御所見をお伺いします。
 海上保安庁がこれまで確認した不審船は、昭和三十八年から平成十三年十二月の九州南西海域における不審船までの二十一隻が確認されており、平成十三年度に不審な行動を取った特異行動船舶は百二十三隻に上っております。拉致や不審船といい、日本国内や領海内に自由に出入りしていることは正に海賊行為そのものであります。
 平成十一年三月、私は、能登半島沖不審船問題について、地方行政・警察委員会において、海上保安庁の海上警備行動の際、着色弾等によるマーキングで北朝鮮の不審船と特定することはできないかお尋ねをいたしました。
 警察、海上保安庁、海上自衛隊と我が国の治安を守るべきものがありながら、北朝鮮工作員の入国や不審船の領海侵犯がたやすく頻繁に行われており、我が国の主権が侵犯され、国民の人権が侵害されております。国民の生命と財産を守るという国家の大義が失われたのであります。
 戦後、国の安全を他国に任せ、自分の国を自分で守ることができない日本人の危機意識の欠如が拉致問題、不審船問題の解決を遅らせたことは否めません。金総書記は、首脳会談の席上、拉致事案、不審船事案を認め、今後このような問題が一切生じないよう適切な措置を取ると謝罪されましたが、極めて疑問であります。拉致問題、不審船問題に対する今までの政府の対策に問題はなかったのか、今後十分な対策が必要と考えますが、総理の明確な説明をお聞かせいただきたい。
 次に、経済問題についてお尋ねいたします。
 小泉総理就任後、構造改革は順調に進んでいるという発言とは裏腹に、株価はどんどん下がり続け、最安値を更新しており、内閣改造後、十月九日には銀行存続のデッドラインと言われる八千五百円をも割り込む事態になっております。
 株価に一喜一憂しない小泉総理も、与党や閣僚の突き上げにペイオフ解禁を二年間延長する政策転換を打ち出しました。不良債権処理も、柳澤金融担当大臣を更迭し、竹中経済担当大臣の兼務、プロジェクトチームの結成と強力に推し進めると言われております。一番の問題は、総理が公約したものを就任以来先送りをし、思い付きで簡単に政策転換してしまう無責任さにあります。一内閣一閣僚の転換に続き、税収の二兆円前後の減収に、最近まで断固否定していた補正予算についてもまたぞろ編成を考えるような発言をされており、国債三十兆円枠の断念も取りざたされています。
 日本経済の長期停滞の背景は、需給ギャップと経済のグローバル化による継続的な価格低下圧力、不良債権処理の長期化による継続的な資金循環の停滞、コスト削減とバランスシート調整に追われる企業行動、株式、土地など資産価格の下落、財政・金融政策の手詰まり感、企業利潤圧縮メカニズムの悪循環、信頼の喪失による消費・投資意欲の減衰などであり、小泉内閣の政策で解決できないことによるものであります。小泉総理の決断の下、不良債権の加速的処理を進めるとともに、中小企業のセーフティーネット、企業再生、産業再生を促進し経済全体の活性化を図ることであり、アナウンスなき政策転換ではなく、総理自らが国民に説明する責任があります。
 十月二十日、NHK討論番組で山崎自民党幹事長は、失われた十年という言葉を明言されました。これまでの歴代内閣のその場しのぎの積み重ねが今日の惨たんたる現状となったのです。小泉内閣の経済失政で国民がいかに苦しく大変な思いで日々の生活を送っているのか、御自分の目で見、耳で聞いたことがありますか。
 十月九日付け朝日新聞読者投書欄に掲載された六十九歳の男性の投書をよくお聞きください。
 総理就任後に、あらゆる改革を進めていく上で皆さんに痛みを伴わせるが我慢して見守ってほしい、その言葉に小泉さんなら何かしてくれると国民は期待した。しかし、今に至っても何一つ実行されないばかりか、デフレが進み、中小零細業者に苦しみと痛みを与えてしまった。日本人が幾ら我慢強いといっても限度がある。北朝鮮外交で内閣支持率を稼ごうとしたが、株価がバブル崩壊後の最安値を記録した現実をどう受け取っているのか。経済再生、景気回復を最優先課題として進めることだと思うが、いかがか。無念の涙を流して倒産した友人、知人に代わり、小泉さんの真意を伺いたい。辛抱強い国民にこれ以上甘えないでほしい。
 総理、この言葉に明確な御答弁をしていただきたいと思います。
 九〇年代以降、景気が落ち込むたびに大型景気対策というカンフル注射を打ち続け、十年間で百四十兆円をつぎ込み、その効き目が薄れると再び景気崩落に見舞われるというパターンを繰り返してきたのです。その結果、国、地方は七百兆円に及ぶ長期債務を抱え、経済の悪化に伴い、民間ではリストラ、賃金カット等の合理化にさらされ、失業率も五%台と高止まりしており、新卒者の就職の機会も少なくなり、若い人をも苦しめています。また、不況、倒産などを原因とする自殺者は四年連続三万人を超えています。
 バブル崩壊後、日本型システムが機能不全に陥ってしまい、新しい有効に機能するシステムに変更しなければなりませんが、我々は成長時代の成功に酔い、変化への対応力を欠いたため、内外の変革の潮流に乗り遅れたのです。
 二〇〇〇年十二月、アメリカ政府国家情報会議のレポートによれば、日本がこのまま自己改革をする力がないまま漂流を続けるならば、二〇一五年には世界のリーダーたる日米欧の組合せから日本は脱落し、中国、インドに取って代わられると言わしめております。中国では、WTO加盟、北京オリンピックの開催と、元気、やる気、勇気の下、世界の産業地図を塗り替えており、今後、生産拠点としての効率性と企業の集積度は更に高まり、世界の工場として、また成長する市場として中国の存在は大きなものになってくると思われます。
 英国の碩学トインビー博士は「歴史の研究」の中で、国家や文明の最も核心的な衰退の要因は自己決定能力の喪失であると論じております。成長によるうぬぼれ、平等主義による横並び意識、仲間意識、お上に頼る甘えの構造などから、無責任体質が日本人の自己決定能力をそぎ落とし、失われた十年という余りにも大きく、取り返しの付かない損失を生み出したのです。このような状況を作り出した政治の責任は誠に重大なものがあります。
 国家の姿を国民に見せないまま痛みに耐えろと言っても、国民のだれかが何かしてくれるだろう、どうにかなるだろうという甘えの構造、自国の確固たる信念のないまま他国に大きく左右される意識は変わりません。イギリスのサッチャー元首相は、古い家を壊す前に建てるべき新しい家を示すべきだと言っております。今は、小泉流の掛け声だけを重ねるときではありません。はっきりとした将来のあるべき日本の姿を国民に見せるときです。
 一つは、政党政治の再構築です。
 政党に明確な理念や政策がなければ、憲法、安全保障、教育基本法、小さな政府など対立軸が明らかでなく、国民の目には政党は政治の使命を忘れた権力集団としか映らず、政治に対する大きな失望を与えております。政治に対し緊張感を持たせ、責任を明確にするためには、二大政党制を前提とした政界再編を行うことが必要です。
 二つ目は、政と官の問題です。
 スリムで効率的な仕組みに改革しなければならない時代に、国会が身を挺して改革する姿を国民に見せることが必要です。十三年間で十六人の国会議員の逮捕者が出ており、新聞論調から、国会は犯罪人の巣かとやゆされる始末であります。懲りないことに、農林水産大臣元秘書官の口利き疑惑が取りざたされており、十月二十七日の衆参補欠選挙の七選挙区のうち、四選挙区が政治と金をめぐる現職の議員辞職という異常事態であります。
 民間は生き残るために変わってきているのに、政治と官僚が一番遅れております。副大臣・政務官制度のように政治主導にすることと、旧態然とした国会の改革を進めるべきであります。
 国会改革連絡会では、衆議院、参議院の機能分担、参議院の独自性、定数是正を含む選挙制度の改革を中心とした参議院改革試案を本年七月、取りまとめを行いました。日本全体が閉塞感に包まれている中、国会が国民の信頼を得ることが最重要課題だと確信します。
 三つ目は、国と地方の在り方の抜本的な見直しです。
 合併特例法に基づく法定協議会は、九月末で百二十一団体、四百八十三自治体しか参加しておりません。過去、市町村合併は、戸籍と小学校区を背景にした明治の大合併、新制中学校制を背景にした昭和の大合併と、国や都道府県の主導による市町村合併が行われました。平成の大合併は背景になるものが明確でなく、民意が決めるといっても、お上意識で自分の足で立ってない自治体では合併への取組が大変遅れています。市町村長が国や県及び住民の意思を無視し、自分の保身を考えて合併の枠組みを推し進めたり、地域の住民に正しい情報を提供しないことなどの混乱が合併の進まない背景にあると言われております。
 片山総務大臣は、自主的な合併の支援だけでなく、総務省がもう少し中に踏み込んでいく必要があるとの見解を表明され、政府・与党も市町村合併を加速させるため、小規模自治体の行政権限の限定や地方交付税などの削減等、事実上の罰則規定や都道府県知事による合併勧告の発動も含めた検討に着手したとの報道もありますが、合併の枠組みや期限など法律の整備をしなければ、合併特例法の期限平成十七年三月までに目標の達成は困難であり、市町村合併自体の先行きが怪しくなってくると考えます。
 少子高齢化が本格的に進み、今以上に国民に負担が重くなることを考えれば、早急な対応が必要であります。市町村合併の先には、いずれ道州制、すなわち全国を十二ぐらいの州として、自治体経営の最適規模である人口十五万人から三十五万人の市を二百五十から三百市として、国の役割を明確分離し、地方分権ではなく、自己責任と自由意思を持つ地域が主体の地方主権が地方の生き残るために必要なシステムであります。
 最後に、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれという空也上人の道歌があります。政治家はすべて、私心を捨て、国家国民、世界平和に身を挺して進む真摯な姿こそ、国民の心を動かし、真の大きな支持と協力を得られることだと信じます。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 松岡議員にお答えいたします。
 今国会に臨む決意についてでございますが、今国会におきましては、継続審議になっている案件やペイオフに関する制度の整備、構造改革特区や中小企業のセーフティーネット、特殊法人改革など、構造改革を推進するために緊急に必要な重要課題について審議していただきたいと思います。さらに、内政、外交ともに問題が山積しております。改革を進めるためにも全力を尽くしていきたいと思います。
 与党が総理を批判している、これについてどう思うかということでありますが、与党は、小泉内閣を支えるために大変な御協力、御支援をいただいております。時に御批判なり建設的な御提案をいただきまして、なかなか懐の深い、味のある発言に感謝しております。
 私の発言について、パフォーマンスではないか、実績がないという御批判でございますが、私はパフォーマンスとは最もほど遠い男だと思っております。発言どおり構造改革を着実に進めております。
 私の北朝鮮訪問についてのお尋ねがございました。なぜ訪問したのかということであります。
 私は、戦後五十数年間、日本と北朝鮮が敵対関係にあるという状況は好ましいものとは思っていません。でき得れば、日本と北朝鮮の長年にわたる問題、過去の問題、現在の問題、将来にわたる問題、この北朝鮮との関係を不正常な関係から正常化にしたいと、でき得れば敵対関係から協調関係にしたいと、そういう思いで訪問いたしました。
 拉致問題についてのお尋ねがありましたが、政府は、拉致問題は国民の生命にかかわる重大な問題であるとの認識の下、従来より、国交正常化交渉等の場で北朝鮮側にその解決を強く求めてきました。今後、再開される国交正常化交渉におきましては、拉致問題の解決を最優先課題として取り上げていく考えであります。まずは、被害者の方々及び御家族の意向を踏まえながら、事実解明に全力を挙げるとともに、被害者の御家族を伴った帰国についてもできるだけ早期に実現するよう取り組んでまいります。
 その上で、北朝鮮に対していかなる対応を求めていくかについては、正常化に向けた過程で総合的、包括的に検討していく考えであります。
 核開発問題でございますが、先般の日朝首脳会談におきましては、その時点で得ていた情報も踏まえて、金正日国防委員長に対して責任ある行動を取るよう強く求めました。私は、北朝鮮が関連するすべての国際的合意を遵守することが問題解決に資すると判断し、その点を明記した日朝平壌宣言に署名いたしました。
 北朝鮮の核開発問題と正常化交渉に関するお尋ねでありますが、この問題は、我が国、北朝鮮の間のみならず、国際的な平和と安定、不拡散体制にかかわる問題であるとともに、安全保障においても世界的な注目を集めております。私は、北朝鮮がその核開発計画を廃棄することが必要だと思いまして、今後、交渉の場で強く働き掛けていきたいと思います。
 この拉致問題と核問題を含む安全保障上の問題を最優先の課題として取り上げまして、日本の立場を明確に主張し、問題の解決に向け最大限の努力を行う考えであります。
 過去の問題、いわゆる拉致とか不審船等、過去の対応また今後の対策についてでございますが、これまで外国の工作船あるいは工作員が我が国に侵入し、拉致などの非道な活動を繰り返していた実態が明らかになりました。我が国がこうした活動を阻止することができなかったことは誠に遺憾であると思います。
 国民の安全にとって現実の脅威となっているこれら事態に対して有効な対応を確保することは、政府の重大な責任であると痛感しております。
 こうした反省の上に立って、事態に応じて警察、海上保安庁等の警察機関と自衛隊のそれぞれの機能が最大限に活用されるよう、態勢、装備、相互の連携の在り方等について一層の改善と強化を図り、国民の不安を解消していかなきゃならないと思います。
 ペイオフでございますが、不良債権処理は構造改革を進める上で最重要課題であります。その加速を図るためには、同時に金融システムの安定と中小企業金融等金融の円滑化に十分配意することも必要であり、このような観点から、ペイオフについては不良債権問題が終結した後の十七年四月から実施することとしたものでありまして、これは不良債権処理の加速化という改革を進めるものであり、基本方針は全く変更しておりません。
 補正予算についてでございますが、今国会において補正予算を提出する予定はありませんが、経済は生き物であります。無用な混乱、金融危機を起こさせないためには、大胆かつ柔軟に対応していきたいと思います。
 日本経済の停滞の原因、景気問題についての投書に対する感想いかがかというお尋ねであります。
 我が国経済は、構造改革の途上にあり、厳しい状況が続いていることは事実でありますが、確かに不況で苦しんで困難にあえいでいる方もたくさんおられます。同時に、多くの国民のたゆまぬ努力で培われた潜在力というのはいまだ失われていないと思っております。
 政府としては、改革なくして成長なしと。今までなかなか思わしくなかった、成功していた例も新しい時代に合わなくなったという面も随分あると思います。だからこそ改革を進めなきゃならない。この方針の下に、御指摘のあったような不安を取り除くような措置とともに、今後、不良債権処理の加速に伴う副作用あるいは中小企業、雇用等の問題につきましては、今総合的に対応策を取りまとめているところであります。月末にこの総合的な対応を取りまとめて、今後、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図っていく考えであります。
 随時の景気対策に効果がなく、困難な状況をもたらしたという御指摘がありましたが、今もお話し申し上げましたように、行財政改革とともに、金融改革、規制改革、税制改革、歳出改革、これらを総合的に進めることによって、私は持続的な経済成長の実現を図ってまいりたいと思います。
 二〇〇〇年十二月に米国CIA長官が発表した報告書に関するお尋ねがございました。
 この報告は、米国の国家情報会議が民間の専門家とともに、十五年後の世界を形成する原動力と傾向を分析しつつ、我が国を含め世界の見通しをまとめたものと承知しております。この報告書の中に、日本が必要な改革を実行するかは不確実であり、二〇一五年までの間に日本の世界経済における相対的な重要性は低下するであろうとの記述があることは承知していますが、私としては、我が国が将来にわたり世界の平和と安定のために必要な構造改革を着実に推進していくことが重要であると思っております。
 政界再編、政治と金の問題、政治主導の政治、参議院改革等のお尋ねがございました。
 二大政党制を前提とした政界再編をすべきとの御指摘ですが、これはやはり選挙民の判断によるものも大きいと思います。制度として二大政党制を意図した小選挙区制度が、ある場合によっては二大政党につながらない場合もあると思います。それは単なる制度だけでなくて国民の意識にも大きく左右されるものだと思っておりますが、国民の意思を反映した政治が行われることが重要であると思います。
 政治と金の問題は、常に政治家が襟を正して当たらなければならない大事な問題でありまして、我々一人一人が基本に立ち返り、自らを厳しく律していかなければならない問題だと思います。
 また、副大臣、政務官、このような制度を創設した意義を十分踏まえまして、内閣が中心となった政治主導の行政運営に努めてまいりたいと思います。
 参議院改革につきましては、参議院において各党会派で十分議論をしていただきたいと考えます。
 市町村合併についてでございますが、市町村や地域住民が自主的、主体的に取り組むことが基本でありまして、現在、全国の約八割の二千五百の市町村が市町村合併を検討しております。今後とも、合併特例法の期限までに十分な成果が上げられるよう強力に推進してまいりたいと思います。
 将来における地方の位置付けについてどうかというお話でありますが、地方分権が一層進展し、また市町村合併が進んでいく中で、広域的な行政を担う地方公共団体の在り方について、道州制のお話が出ました。
 この問題は今いろいろな議員が議論を進めております。当然、将来この道州制の問題も地方分権に絡んで大いに議論されるべきものであり、私も関心を持っております。現時点においては、果たして道州制が実現できるのかどうか、どのようなものか、まだはっきりした姿は分かりませんが、今後大いに議論されることについては歓迎いたします。
 今後も、国から地方への流れを一層加速させ、地方分権の一層の推進に取り組んでまいりたいと思います。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) 朝日俊弘君。
   〔朝日俊弘君登壇、拍手〕
○朝日俊弘君 私は、民主党・新緑風会を代表し、先日行われました小泉総理の所信表明演説に関連して、主として社会保障制度にかかわる課題に絞って、総理及び関係大臣に質問いたしたいと考えておりますが、本題に入ります前に、今朝ほどマスコミ各紙が一斉に報じております金融分野緊急対応戦略プロジェクトチームの中間報告をめぐる自民党内部における昨日の混乱について、総理及び竹中金融担当大臣にお尋ねしておかなければなりません。
 言うまでもなく、その中間報告の中身については、市場を始め関係者が大いに注目していたところであり、そして昨日の混乱した事態は本日の株価にもすぐにも跳ね返っていることは御承知のとおりであります。こうした言わば憂慮すべき事態を総理及び竹中大臣はどのように受け止め、今後どのように対処されるお考えなのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 それでは、本題に入ります。
 今、冒頭でお尋ねしたこととも関連することなのですが、小泉総理の政治手法、とりわけ政策決定プロセスの問題点について、総理御自身の問題意識を伺っておきたいと思います。
 総理は、就任以来、中央省庁再編成に伴って大幅に機能と役割を強化された内閣府を活用して、言わばトップダウン方式で検討項目や改革の方針を指示するやり方をかなり意図的に取ってきていると思います。なるほどそれも一つの手法と言うべきかもしれません。しかし、残念ながら、それに引き続く政策の具体化に至るプロセスにおいて、総理のリーダーシップの欠如と各論部分を軽視する強引さとが相まって、担当省庁や事業、実務を担う現場に当惑とある種の無責任な対応を誘発し、結果としてでき上がってくる政策は著しく整合性に欠ける制度改正や、あるいは社会的弱者への一方的なしわ寄せを強いる極めて荒っぽい内容となっているのではありませんか。
 にもかかわらず、総理は相も変わらず改革なくして成長なしなどと、もはやだれもが聞き飽きた掛け声、アジテーションを繰り返しているとしか思えません。これでは自らの無策ぶりを自画自賛してごまかそうとするもの、あるいは単に自らの言葉に自らが酔っているとしか言いようがありません。一体、総理はそのことに気が付いておられるのでしょうか、まずは御自身の自己認識についてお尋ねいたします。
 次に、総理の社会保障制度改革にかかわる基本認識についてお伺いいたします。
 先ほども同僚議員から御指摘がございましたが、過去四年間、我が国の年間自殺者が連続して三万人を超えている、こういう事態は、いかにも異常な事態と認識すべきであります。しかも、年間三万人の自殺者数のうち、五十代の男性の自殺者が実に六千人を超えています。このような数字は一体何を物語っているのでしょうか。
 御承知のとおり、年金の支給開始年齢は既に六十五歳に引き上げられました。さきの国会では老人保健の適用年齢も七十歳から七十五歳へと段階的に引き上げられることが決まりました。一方、退職年齢の六十歳から六十五歳への引上げは遅々として進まず、高齢者雇用対策も思うに任せません。老後の不安は日々強まりこそすれ、その解消にはほど遠いのが現状であります。
 迫りつつある老後の不安を感じ、その上自らの賃金引下げやリストラの不安と闘う五十代の労働者、あるいは長引く不況の中で必死の思いで経営の立て直しに取り組んでいる中小企業経営者の皆さんの姿が目に浮かぶようではありませんか。
 私は、こうした現状を見るにつけても、改めて一九九五年に示された社会保障制度審議会の勧告「安心して暮らせる二十一世紀の社会を目指して」を思い起こす必要があると思います。今こそ二十一世紀の社会保障制度全体の再構築に向けて取り組む必要があり、その際、キーワードは、社会連帯のきずなとしての社会保障であると私は思います。改めて総理の社会保障制度改革に関する基本認識をお伺いいたします。
 以上の基本的事項を前提として、以下、社会保障制度改革五つの柱について、それぞれの制度改革の方針あるいは方向性について、総理並びに関係大臣のお考えを確認させていただきたいと思います。
 第一に、さきの通常国会で強行成立させられました健康保険制度改正を含む医療制度改革について触れておかねばなりません。
 この点について総理は、先日の所信表明の中で、さきの通常国会では、郵便事業への民間参入法と郵政公社法が成立した、道路関係四公団についても民営化推進委員会設置法が成立した、医療改革関連法も成立しました、構造改革は着実に進んでいますと胸を張って述べられました。
 しかし、さきの国会に提出された健康保険法改正案は、正に抜本改革なき負担増を国民に強いるものにほかならず、また併せて提出された健康増進法も従来の栄養改善法に一部手直しを加えた内容にすぎません。これをもって構造改革が着実に進んでいますとは到底評価できないものと私は断ぜざるを得ません。
 むしろ、多くの皆さんが正しく受け止めておられるように、さきの国会では医療制度改革のほとんどすべての課題が宿題として残されている。したがって、医療制度改革の本番はまさしくこれからなんだと。この点に関する基本認識が欠如しているようでは話が前に進みませんので、この点は総理御自身にお答えをいただきたいと思います。
 私たち民主党は、関連する数多くの課題の中でも、特に患者の側、医療サービスを利用する側の立場に立った改革の必要性を重視し、いわゆる患者の権利法を提出いたしました。医師を始めとする治療者側と患者、家族の両者が可能な限り情報を共有し、患者の理解と選択に基づいた良質かつ適切な医療を促進すること、この点は、先月初め思い半ばで倒れられた私たちの先輩、今井澄さんも特に強調してやまなかったポイントの一つでありました。
 こうした観点から、患者の権利を擁護しサポートするための法律を制定する必要性について、厚生労働大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 医療制度改革にかかわるもう一つの重要な側面は、医療提供体制について、とりわけ医療機関の機能分化と役割分担の明確化と、医療事故防止対策を含む医療の質の改善に向けての取組であります。
 我が国の医療機関、とりわけ病院については、病床数は過剰、病床当たりの従事者数は過少、少な過ぎるという実態があり、最近では医療の質、サービスの水準に対する不安、不満が強まる一方、医療ミス、医療事故の多発が問題となってきています。こうした現状の改善を図るためには、診療所機能の位置付けの明確化とともに、病院の機能分化とそれに対応する職員配置基準の大幅な改善を中心とする医療提供体制の再編成を強力に進めていく必要があると考えますが、この点に関する厚生労働大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 次に、第二の課題は、早くも第一期の三年を終えて第二事業期に入ろうとしている介護保険制度の見直しと介護報酬の改定に関連して、この制度に関しては総理は深くかかわられた立場にありますから、ここは是非総理のお考えを伺っておきたいと思います。
 二〇〇〇年に新たな制度としてスタートした介護保険制度は、全体としては徐々に定着に向かって動きつつあると私も認識していますが、どうも気になる傾向が明らかになってきています。
 その一つは、介護保険制度の理念は高齢者の自立支援にあったはずであります。ところが、サービス提供体制の不十分さのためか、あるいは制度の利用に慣れていないせいか、ややもすればサービス提供側の都合や家族の側のニーズが先行しているのではないか。
 二つ目に、在宅介護重視という視点が施設介護偏重に流れてはいないか。この傾向が強まれば強まるほど第二事業期の保険料負担は更に増えるのではないか。
 三つ目に、介護保険制度は高齢者のための様々なサービスの中から、介護に着目して直接的に関連する部分を取り出してメニュー化したものであって、介護の周辺あるいは介護以外の領域のサービス、例えば老人保健、老人福祉、高齢者のための住宅提供などなどについては含まれておりません。むしろ、これらの周辺サービスの充実があってこそ介護保険はよりよく生かすことができるのに、現実にはこうした分野のサービスはむしろ削減されてきているのではないか。
 私は、今三点ほど問題を指摘しましたが、こうした点を含め、総理には基本的な考え方を、そして厚生労働大臣には具体的な指摘事項を含め今後の取組の方針についてお答えをいただきたいと思います。
 第三の課題は、今年度で最終年を迎えている障害者基本計画及び障害者プラン、ノーマライゼーション七か年戦略について、来年度以降の新たな計画策定に向けた基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
 新たな計画策定に向けては、現在内閣府を中心に作業を進められていると伺っておりますが、正直なところ、政府全体としての力の入れ具合が極めて弱いとしか思えません。折しも、来年度からは、社会福祉法の制定によって身体障害者及び知的障害者の福祉施策は、従来の措置制度に基づく福祉から利用契約と支援費制度による新たな仕組みへと移行する時期でもあります。
 また、精神障害者については、なお三十三万人の入院患者を抱えて、本格的な社会復帰、社会参加の促進と市町村における福祉事業の実施が求められており、ある意味では来年度から始まる新たな障害者計画はエポックメーキングな内容となるべきものと考えます。
 申し上げるまでもなく、総理は政府の障害者施策推進本部の責任者でもあります。新たな計画及びプランの策定方針、そのポイントについてお答えいただければと思います。
 第四に、平成十六年の年金制度改正に向けた基本方針についてお尋ねいたしますが、その前に、当面する二つの課題について確認をしておかなければなりません。
 その一つは、年金給付水準の物価スライド凍結問題について、担当部局の説明によれば、来年度は仮に今年度の物価上昇率がマイナスとなれば、予測では〇・六%程度のマイナスとなるようですが、これまでのように凍結せず、法律どおりマイナススライドさせる方針であると聞きます。しかも、場合によっては、これまでの特例措置によって凍結されていた部分一・七%分もさかのぼって減額することも検討中と聞いていますが、その真意やいかに。
 率直に言えば、これまではその時々の経済状況にかんがみという理由で凍結してきたことも問題ですが、今度はさかのぼってまとめて減額調整するということも正しく御都合主義と言わざるを得ません。このような一方的な理由によって、あるときは凍結をし、あるときは定められたとおり実施するようでは、制度と政府、機関への信頼感はますます損なわれることは火を見るよりも明らかでしょう。
 この点に関して、総理の方針を明確にお答えいただきたいと思います。
 もう一つの問題点は、言うまでもなく、前回十二年改正のときに、附則第二条で「当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」とされている課題について。この点についての議論はほぼ尽きておりますから多くは申し上げませんが、平成十六年までの間にということですから、私は、平成十六年の改正までに、まずは安定した財源を確保することが当然の責務だというふうに理解をしております。
 この点について、総理の明確な答弁を求めます。
 以上の点を踏まえた上で、平成十六年改正に向けて、今後の検討の方向と主なポイントについて、担当の厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
 五番目に、雇用保険制度改正の方向と雇用確保、雇用創出に向けた当面の重点施策についてお尋ねいたします。
 私たち民主党は、一年以上も前から雇用保険財政の枯渇を指摘してきました。政府は、昨年四月に引き上げたばかりの保険料率を、弾力条項の発動ということで今月、十月から再び〇・二%引き上げ、来年の通常国会では、制度改正の上、更に引き上げようと、見通しの甘さを自ら露呈するがごとき見直しを強行しようとしています。
 しかし、失業者数の増加に伴う負担増を単に雇用保険料率の引上げによって労使に押し付けるだけでは無責任のそしりを免れません。ここはむしろ、雇用保険財政の安定化のための失業等給付資金の創設などによる一時的な国庫負担増を検討してしかるべきではありませんか。
 政府はどのような考えの下で雇用保険制度の見直しをするお考えですか。具体的な内容、今後のスケジュールを併せて厚生労働大臣の答弁を求めます。
 次に、政府全体の雇用確保、新たな雇用創出の取組について伺います。
 今年七月に更新された経済財政諮問会議のホームページにこんな項目があります。「これだけ進んだ!構造改革 見えてきた小泉構造改革の成果」。そしてその中に、「雇用のセーフティーネットを充実しています」、「中高年ホワイトカラー離職者訓練、新公共サービス雇用の実施などにより三年間で百万人の雇用を拡大します。」という文句が躍っています。
 三年間で百万人の雇用拡大とおっしゃいますが、一体これまでにどの分野で何人の雇用拡大がなされたというのでしょうか。数字を挙げてお示しいただくとともに、現在の雇用状況についてそもそも総理はどう認識されておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 最後に、雇用創出策について総理の答弁を求めて、私の質問の締めくくりとさせていただきます。
 政府は、昨年来、緊急地域雇用特別基金事業を実施していますが、こうした公的雇用が第二の失業者対策事業と呼ばれないためにも、これまでの事業の検証が不可欠だと思います。その上で、NPOや民間の力を引き出しながら、教育や保育、福祉、介護、環境、警備など、国民の行政サービスの向上に直結する事業を拡大することによって雇用創出策を推進すべきであると考えますが、これまでの雇用実績を含め、今後の在り方について、政府全体としての考え方、見通しをお伺いし、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 朝日議員にお答えいたします。
 不良債権処理の加速策の取りまとめについてのお尋ねでございますが、不良債権処理を加速させる、そして雇用、中小企業対策等、総合的に今月中に取りまとめるという方針で、現在、金融担当大臣の下でいろいろな議論の上に対策を検討しております。
 この過程でいろいろな議論がありますが、混乱しているとは思っておりません。予定どおり、不良債権処理を加速させる、今月中に総合的な対応策をまとめる、その準備で進めております。
 政策の具体化における問題におきまして、掛け声倒れじゃないかというお話でありますが、掛け声どおり改革は着実に進んでおります。
 社会保障制度の基本認識についてのお尋ねでありますが、社会保障制度は、どういうサービスをどういう負担で行っていくか。サービス、給付の裏には必ず国民が負担しなきゃならない。特に、年金、医療、介護、これは最重要の社会保障制度であります。これをどの程度の負担によってどの程度の給付を行うか、国民的議論の上に持続可能な社会保障制度を維持していく必要があると考えております。
 医療制度改革におきましては、さきの通常国会におきましては、診療報酬の引下げあるいは給付率の七割への統一等、思い切った改革を行ったところであります。しかし、改革はこれだけではありません。
 今後、医療保険制度の体系の在り方につきましては、今、厚生労働省を中心にしてたたき台を取りまとめるよう準備を進めております。各方面の御意見も伺いながら、今年度中に基本方針を策定し、更なる改革に全力を挙げて取り組んでまいります。
 介護保険制度についてでございますが、介護保険については、制度施行後、サービスの量及び利用者数が大幅に増加するなど、これまでおおむね順調に実施されております。
 引き続き、いろいろな御意見を十分に聞きながら、在宅重視を基本とする制度の一層の定着を図り、来年四月からの新たな事業計画期間においても着実に制度を実施していくことができるよう、サービスの質の向上や基盤整備に取り組んでまいります。
 新たな障害者基本計画についてでございますが、来年度からの十か年のための新基本計画の策定に当たっては、障害のある方がその能力を最大限に発揮して、あらゆる分野の活動に参加できる社会の実現を目指して、社会参加を阻むバリアの解消に努めてまいります。
 また、新障害者プランを策定して、最初の五年間に重点的に実施すべき具体的施策を示したいと考えております。
 年金額の物価スライドについてでございますが、この物価スライドにつきましては、昨年までと異なり、現役世代の賃金が低下してきている状況において、保険料を負担する現役世代との均衡を考慮すれば、十五年度において年金額を一定程度引き下げる必要があると考えております。
 最終的な取扱いについては、物価や賃金の状況等を総合的に勘案し、予算編成過程で検討してまいります。
 基礎年金の国庫負担引上げの財源についてでございますが、平成十二年の年金改正法において、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとするとの規定が設けられておりまして、平成十六年に行う次期年金改正において、これをどのように具体化していくかについて、安定した財源確保の具体的方策と一体として国民的議論を行いながら幅広く検討してまいりたいと考えております。
 雇用対策と雇用情勢の認識についてでございますが、現在の雇用対策の効果については、平成十六年度までに約百万人の雇用創出が見込まれているところであります。
 これまでの実績は、例えば、緊急地域雇用創出特別交付金については、昨年度三か月間で、環境分野等で約二万三千人の新規雇用を創出したところであり、本年度は約十四万人の新規雇用創出を見込んでいるところであります。
 この事業の運用に当たっては、実際に事業を企画、運営している地方公共団体の意向も考慮しながら、その効果的な実施が図られるよう、改善を検討してまいります。
 なお、こうした中で、医療、教育、情報などのサービス産業では、昨年に比べ雇用者数が六十一万人増加しております。
 現下の雇用情勢は、八月の完全失業率が五・四%となるなど、厳しい状況にあると認識しておりますが、今後とも雇用のセーフティーネット確保のため、万全を期す考えであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権処理策の取りまとめ作業について御質問がありました。
 既に総理がお述べになったとおりでございますけれども、当初から不良債権処理策を月末までに取りまとめるということを目標として、途中、中間報告をすることも考えてまいりました。しかしながら、政府の内部で議論し、また与党との様々な意見交換の中で、不良債権処理策だけではなくて、関連するセーフティーネットなどの政策と一体化して公表する方が市場、国民へのメッセージという点でむしろ良いのではないかというふうに判断をいたしまして、月末に向けて引き続き作業を進めることとなったものであります。
 当初予定どおり、月内に不良債権処理策、これは中間報告でなくて最終報告でございますけれども、それと関連するセーフティーネットなどの政策を整合的かつ体系的に示せるよう閣内で協力し引き続き努力をしているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
○国務大臣(坂口力君) 朝日議員にお答えをさせていただきますが、今朝もお断りを申しましたとおり、少し声を痛めましたので、お聞き苦しいと思いますが、お許しいただきたいと思います。
 最初は、患者の理解と選択に基づきます医療についてのお尋ねでございました。
 民主党が提案をしておみえになりますいわゆる患者の権利法案につきましては、医療に関する情報開示の義務化を内容としているものでございますが、医療は何よりも医師と患者の信頼を基本とすべきものと考えております。
 医療機関に情報公開をお願いをする、これは極力そうしなければならない、可能にしなければならないと考えておりますが、しかし強制すべきものではないと思っている次第でございまして、医師と患者の信頼関係を築く中で、そして医療の内容を充実をしていく、明らかにしていくということが大事であると思っております。医療に関する広告規制の大幅な緩和でございますとか、あるいはカルテ開示の促進に取り組んでまいりたいと思っております。
 今後とも、国民がより多くの医療機関情報が得られるよう、インターネットを通じた公的な機関等によります適切な情報提供の促進でありますとか、診療にかかわります情報提供の推進等に努めてまいりたいと思っております。
 医療供給体制についてのお尋ねがございました。
 国民から信頼される医療を実現するためには、医療機関の機能分化を進めるとともに、医療安全対策を含む医療の質の向上を図ることが重要であります。
 このため、一昨年の医療法の改正におきましても、病床区分の見直し及び一般病床の看護職員配置基準の引上げ等を行ったところでございます。今年度の診療報酬改定におきましても、療養病棟についての職員配置の改善を促進をしてまいりました。
 また、患者に身近な地域で医療が提供できるように、地域のプライマリーケアを担う診療所等を支援をいたします地域医療支援病院の普及促進にも努めているところでございます。
 本年十月から、すべての病院等に対しまして安全管理指針の策定等の安全管理体制の整備を義務付けるなどの取組も行って、医療安全対策の推進に努めているところでございます。
 しかし、これで十分だと思っているわけではございませんで、今後、医療機関の人員配置につきましても、更に見直しを進めていきたいと考えているところでございます。
 介護保険制度についての御質問がございました。
 介護保険制度につきましては、利用者の心身の状況を把握した上で適切なケアプランを作成しまして、それに基づき介護サービスの提供を行うこととしております。この任に当たるケアマネジャーの資質の向上等を図りまして、利用者のニーズに合致をした介護サービスの提供がなされるように努めたいと思います。
 来年四月からの第二期介護保険事業計画につきましては、現在、市町村におきまして作業を進めていただいているところでございますが、いわゆる在宅重視、先生も御指摘になりました介護保険制度の基本理念であります在宅重視の観点からの取組を十分に行っていく必要があると思っております。
 今後、各市町村におきまして、施設サービス量の審査あるいは見直し、在宅サービスの充実に向けまして更なる検討を進めたいというふうに思っております。
 また、高齢者の自立した生活を支援するためには、介護保険制度に基づくサービスとともに、介護予防や生活支援のサービスが車の両輪として進められる必要があると考えておりまして、自治体が地域の実情に応じて行う様々な介護予防などの事業を推進していただくことが重要だと考えておりまして、それに対する支援を進めていきたいと思っております。
 年金制度の改正についてのお尋ねがございました。
 総理からもお答えのあったとおりでございますが、長期的に安定した制度を確立することが不可欠でございます。
 平成十六年度に行います次期年金改正におきましては、将来の現役世代の保険料水準が過大にならないよう配慮をし、国民の年金に対する不安が払拭できることをやはり中心にしながら、少子化等の進行に柔軟に対応できる持続的な安定した制度を作り上げたいと思っているところでございます。
 これからの進め方でございますけれども、遅くとも年内、今年中に幾つかの案をお示しを申しまして、来年一年間それらの中でどうした案がいいかの選択について御議論をいただき、そして最終決定をしたいと考えているところでございます。
 最後に、雇用保険制度の見直しについてのお尋ねがございました。
 雇用保険制度の在り方につきましては、関係審議会におきまして、給付の見直しを行った上で負担の在り方について議論をすることとされたことを踏まえまして、十月十日に厚生労働省から給付の見直しについて議論のたたき台をお示しし、議論をいただいているところでございます。
 その具体的内容は、早期再就職の促進を図るための基本手当の給付率等の見直し、多様な働き方に対応する通常労働者とパートタイム労働者の給付内容の一本化、再就職の困難な状況に対応した給付の重点化等でございます。
 今後、更に議論を進めまして、これは十一月中には最終結論を出させていただきたいと思っております。
 今回のこの見直しは、短期的な雇用失業の動向に加えまして、労働移動の増加、就業形態の多様化等の労働市場の構造変化に対応する観点からも取り組んでいきたいというふうに思っている次第でございます。
 その雇用保険の制度は、労使の共同連帯を基本とするものでございますので、よくお話を聞きながら決定をしていきたいと思っているところでございます。(拍手)
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○副議長(本岡昭次君) 月原茂皓君。
   〔月原茂皓君登壇、拍手〕
○月原茂皓君 私は、自由民主党・保守党を代表して、小泉総理の所信表明演説に対して、安全保障問題、デフレ克服問題に焦点を合わせて、総理に質問いたします。
 まず、本年、ノーベル賞を受賞された小柴東大名誉教授、島津製作所ライフサイエンス研究所田中主任にお祝いを申し上げます。
 とともに、現在、北朝鮮から帰国されている五人の方々を始め、拉致された方々、その御家族に一日も早く真の幸せが訪れることを祈念いたします。私たちも全力を尽くす所存であります。
 さて、総理の北朝鮮との交渉再開の決断は、日本の国益にかなう選択であり、高く評価するものであります。金国防委員長に接する態度は、その姿勢を含めて、国を代表する気概と迫力に満ちたもので、大変印象深いものでした。
 これからの交渉の大前提となる日朝平壌宣言を見る限り、果たして国家レベルで議論され、戦略が練られ、その下で周到な準備がなされたのだろうか、国民の多くが抱いている疑問であります。
 拉致について悲惨な内容の情報に接したとき、なぜ宣言に盛り込まなかったのか、北朝鮮の核兵器開発計画が続けられているとの情報を得ながら、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認したとの文言になったのか、この場を通じて国民に説明願いたいと思います。
 米韓と協力して、北朝鮮に対し核不拡散条約の履行を求め、検証可能な方法でこの核兵器開発計画の廃止を粘り強く求めることは、今や国際的にも我が国の責務となったのであります。決意のほどをお伺いしたいと思います。
 加えて、我が国にとって喫緊の課題は、拉致、工作船、ノドンミサイル問題であります。
 北朝鮮の関係者が行ったことを認め、今後二度とこのような事案が発生しないようにするとした拉致問題、軍部の一部が行ったものと思われ、今後更に調査したい、このような問題が一切生じないように適切な措置を取るとした工作船問題の今後の交渉については、多くの議員が質疑し、総理もお答えになっておるので、改めて答弁は求めません。
 総理が強く憂慮されたノドンミサイルの配備については、正常化交渉の中でどのような決着を目指しているのか、説明願いたいと思います。
 このミサイルは、射程千三百キロメートル、我が国のほぼ全域がその射程圏に入る可能性があります。既に開発を完了し、百基余りが配備されています。日本を攻撃目標としていることは明らかなのであります。
 米上下院は、ブッシュ大統領にイラクへの武力攻撃の権限を与える両院共同決議を採択しました。ブッシュ大統領は、署名の際、イラクの大量破壊兵器がテロリストの手に渡り、弾道ミサイルに結び付くようなことがあれば多くの国の平和と安全を脅かすと演説しました。
 総理は、イラクが査察を即時、無条件、無制限に受け入れ、大量破壊兵器の廃棄を含むすべての関連する国際的安保理決議を履行すべしとの立場を取られています。ブッシュ大統領に、イラク問題に対処する上で国際協調が重要であると明確に伝えておられます。全く同感であります。
 米国は、具体的是正措置を要求し、それが拒否されたときはフセイン政権打倒に焦点を合わせた軍事行動を取ると思われます。
 次のことを強く要請しておきます。
 我が国の取るべき立場と行動について、あらかじめ国家レベルで十分検討しておくこと、時至れば、情勢判断を含めて、国民に対し説明責任を果たす用意をしておくことであります。
 継続審議となった有事法制、優先的に取り組み、成立を期すことを表明されました。強く支持します。前国会、衆議院における六十九時間に及ぶ議論を踏まえ、どの点を修正し、どのような個別の法を今臨時国会に提出されるのか、お伺いしたいと思います。
 国家緊急事態を想定していない現行憲法下では、事の本質から、果てしない議論が続くのは当然であります。ある段階で、国会、内閣ともに決断しなければならないときが来るということを十分認識されていることと思います。
 防衛庁の省昇格は、国家の安全保障、危機管理の中枢として、独立国家の気概を示すものとして急務の課題であります。
 議論は尽くされております。地方でも活発な動きがあります。道県レベルでは、北海道、和歌山県、香川県の各議会において省昇格が決議されました。総理として、自由民主党総裁としてのお考えをお伺いしたいと思います。
 山高ければ谷深し。失われた十年は政策不況の面も否定できません。この間、現在も、真に我が国を支えてきたのは、低金利にも耐えた勤勉な国民とその蓄えであることを忘れてはなりません。政治に携わる者を含めて、その衝にあった者は謙虚に反省すべきだと思います。
 正に今直面する最重要課題は、日本経済の再生、経済の活力を取り戻すことであります。デフレを防止し、経済をできるだけ早く継続的な成長軌道に復帰させることが必要であります。
 日本経済低迷の最大の要因は、需要の不足にあることは明らかであります。政府が掲げる構造改革は、効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長分野へ労働力や資金を円滑に移動させることで供給サイドの強化を図るとともに、成長分野に新しい消費や投資を生み出すことによって需要不足の解消に寄与しようとするものであります。
 しかし、成長分野が失業や投資の大幅な低迷を埋めることができるでしょうか。現実には、成長産業のはずのIT関連企業でも人員削減が行われております。仮に実現するにしても、タイムラグがあり、時間を要します。鳴り物入りで創設した建設業労働移動支援助成金、再就職支援給付金の実績を見ても、雇用の流動化で問題が解消されないことは明らかであります。
 経済政策にとってデフレ圧力を緩和する必要があります。通貨の大幅な下落による外需拡大は、政策として過度の期待はできません。日米間に経済摩擦を、アジア各国経済に深刻な打撃を与えるからであります。
 昨年三月以来の日銀の金融経済政策を見ても、金融政策の効果はそれだけでは限定的であり、不確定であります。税制にしても規制緩和にしても、環境を作る重要な要因ではありますが、それ自身が利益を生むものではないと思います。本命は、実体経済が動き出すことにあります。だからこそ、財政面からの景気刺激が急務なのであります。
 九月、内閣府発表の二〇〇二年度経済動向試算では、公的固定資本形成は一月閣議決定の十四年度政府見通しと比べて約八千億円のマイナス幅に拡大しております。地方公共事業が見込み以上に削減されたからであります。
 公共事業は無駄、ゼネコン救済と短絡的に叫ぶ人もいますが、生活環境、都心部における環状道路の整備、都市再生、国際拠点となる空港、港湾の整備など、早期に取り組まなければならない課題が残されているのであります。少なくとも、地方自治体の事業減少分は経済政策上は補正予算で埋めるのが筋であります。
 米国株価の動向、テロやイラク攻撃の可能性、我が国不良債権処理の加速に伴う倒産や人員整理による失業の増加、さらには予想できないデフレ圧力、これらはデフレスパイラルへとつながるおそれなしとしません。
 来年度から実施される医療、雇用、介護保険料のアップ、公的年金を含め二兆五千億円の個人増加が予測されております。消費抑制に働くことも考慮に入れておかなければなりません。
 発生する事態にスピーディーに対応できる来年度予算と一体となった補正予算の編成が望まれます。国債発行枠三十兆円は財政規律のシンボルとして今も輝いておりますが、二〇〇一年第二次補正予算で事実上突破されているのであります。経済は生き物、情勢いかんでは大胆かつ柔軟な措置を講ずる決意のあることを総理は繰り返し表明されておられます。今こそそのタイミングではないかと思います。見解をお尋ねいたします。
 デフレ克服の中心課題として総理が表明されたのが、不良債権処理の加速と、それに伴う雇用や中小企業経営への影響に対するセーフティーネットの構築です。そのとおりです。
 不良債権処理の基本的考え方は、金融システムから不良債権を引き離すこと、銀行の保有株式を減らし、株価変動が自己資本を毀損することをなくすることであります。
 日銀の株買取り政策は期待が持てます。合理的な買取り価格の基準策定が急がれると思います。
 平成十六年度には不良債権問題を終結させると明言されております。政府が目指している不良債権残高の貸出金に占める比率は、昨年十月、この場所で私に対する総理の答弁に、おおむね三%台後半から四%とおっしゃいましたが、そのように理解してよろしいでしょうか、お伺いいたします。
 この一年、不良債権残高は増え、貸付金に占める比率も上昇しております。不良債権の発生が続き、業務純益、株式の含み損、環境は一段と厳しくなっております。民間の体力は限界に来ておると思います。
 現在のデフレ経済の下で、従来どおりの手法による不良債権処理が進むとは思われません。国が直接介入する方法として、銀行への公的資金の注入、整理回収機構の利用が考えられます。総理はいつごろこの手法について国民に御説明になるのでしょうか、お伺いします。
 不良債権は過剰債務企業の処理を伴います。いずれを取るにせよ、査定強化の結果、利益が出ている企業でも過剰な債務を背負っているだけでつぶれる場合もあります。失業の発生を抑え、デフレ圧力を最低にし、企業再生に重点を置いたきめの細かい政策が求められるのであります。
 中でも、不良債権処理に伴う銀行の体力低下で、健全な中小企業の資金繰りに問題が発生することを避ける政策が必要であります。
 雇用のセーフティーネットでは転職者に対するプログラムが用意されております。実績は芳しくありません。能力不足やミスマッチの原因ではありません。新規採用がないからであります。昨年五月、経済諮問会議で五百万人の雇用創出が期待できるとされましたが、現実はどのようになっているか、説明願いたいと思います。
 転職訓練プログラムよりも、当面は失業そのものに対するセーフティーネットが必要と思われます。
 私たち日本国民の多くは、この日本に生まれ、この日本で死ぬわけであります。仕事を通じ社会の一員であることに幸せを求めております。能力と意欲を持ちながら職に就けないほど悲しいことはありません。
 古賀政男作詞作曲の「影を慕いて」は、これはすべてに失望して前途に希望の光もなかった僕自身の青春へのエレジーですと彼自身が語っています。デフレが最もひどかった昭和六年のことです。再びこのような時代にしてはなりません。
 総理、デフレ克服、そのためには大胆かつ柔軟に。イソップ寓話の「王様を欲しがるカエル」の王様になってはいけません。
 保守党は与党の一員として総理を支えます。ともに歩みます。
 これをもって私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 月原議員にお答えいたします。
 質問と同時に、御支持、御激励、ありがとうございます。
 北朝鮮問題に関してでございますが、私は、北朝鮮との不正常な関係を正常化にしたいという決意の下に北朝鮮を訪問いたしました。御指摘の拉致の問題、核の問題、そしてミサイル等の問題につきまして、今後、国交正常化交渉等の場で北朝鮮側に対して強く働き掛けていく考えであります。
 特に、核の問題について、北朝鮮側が関連するすべての国際的合意を遵守することが問題解決に資すると判断し、その点を日朝平壌宣言に明記しております。
 いずれにしても、日本側の立場というものは十分にこの日朝平壌宣言に盛り込まれておりまして、この原則と精神に従って交渉の場で強く働き掛けていきたいと思います。
 イラクへの対処についてでございますが、御支持と適切な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。月原議員の御指摘を十分踏まえまして対応していきたいと思いました。
 有事法制への対応についてでございますが、継続審査となっている有事関連三法案につきましては、国会における議論を通じて幅広い国民の理解と協力が得られるよう努めてまいります。今後整備される国民の保護のための法制についても、法案審議の中で現段階における政府の考え方を可能な限り示してまいりたいと思います。
 防衛庁の省移行に関するお尋ねでございますが、この防衛庁の省移行につきましては、国民の十分な理解が得られる形で議論が尽くさせることが重要であると考えております。
 補正予算に関する御質問でございますが、いろいろな対策が必要でありますが、今国会に補正予算を提出することは考えておりません。もとより、経済は生き物であります。無用な混乱、また金融危機等を起こさせないためには、大胆かつ柔軟に対応していきたいと思います。
 不良債権問題に関して、目指している不良債権比率及び不良債権処理への国の関与についてお尋ねがございました。
 現在、竹中金融担当大臣が不良債権処理の加速の具体策について様々な観点から検討を行っておりまして、今月中に取りまとめることとしており、これらを踏まえて判断してまいりたいと考えます。
 雇用創出の現状についてでございますが、経済財政諮問会議に設置された雇用拡大専門調査会が、サービス分野において今後五年間で五百万人の雇用創出が期待できると試算しましたが、本年八月のサービス業における雇用者数を見ると、医療、教育、情報、福祉分野を中心に、前年と比べて六十一万人の増加となっており、政府としては、今後とも規制改革を始めとする改革を進めることにより、成長が見込まれるサービス分野における新規雇用の創出に努めてまいります。
 雇用のセーフティーネットについてでございますが、規制改革の推進を通じたサービス業を中心とした新規産業における雇用の創出を図るほか、緊急地域雇用創出特別交付金の活用による緊急かつ臨時的な雇用創出などに積極的に取り組んでいるところであります。
 また、雇用保険については、当面する財政破綻を回避し、将来にわたる雇用のセーフティーネットとしての安定的運営を確保するため、給付と負担の両面にわたる見直しを行ってまいります。さらに、今月末に取りまとめる総合的な対応策におきましても、雇用のセーフティーネットの確保のため、万全を期す考えであります。(拍手)
○副議長(本岡昭次君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十五分散会