第156回国会 本会議 第6号
平成十五年二月五日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第六号
  平成十五年二月五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり


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○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。浜四津敏子君。
   〔浜四津敏子君登壇、拍手〕
○浜四津敏子君 私は、公明党を代表して、小泉総理の施政方針演説を中心に、内外の諸課題について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 質問に先立ちまして、天皇陛下の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 また、スペースシャトル・コロンビア乗組員の皆様の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様に心から哀悼の意を表します。
 今年は、国内には深刻な不況、国際社会にはイラク危機、北朝鮮問題を抱え、内憂外患の年明けでありました。こうした中、日本が危機を克服し、希望と活力あふれる確かな道筋を開いていくことができるのか、正に大きな分かれ目の年であります。
 総理、日本は今まさしく未曾有の苦難に直面しております。しかし、ピンチこそチャンスであります。真剣に道なき道を開く勇気ある改革に挑戦し続けていく中で、必ずや希望の道は開かれていくと確信しています。
 その希望の道とは何か。ある識者はこう表現しています。日本は物質面で豊かになるという古い競争には勝った、これからは人間の幸福という面から生活の質を高めていく新しい競争を他国に先んじて始めてはどうかと。
 確かに、近年の市場主義経済は、効率、合理性、利益を重視し過ぎる余り、社会の公正や人間の幸福、環境の保護といった大切な視点をなおざりにしてきたことは否めません。これまでの物質至上主義社会、環境破壊型経済から、今こそ、人々が人間らしく幸福に生きられる質の高い社会へ、そして循環型経済への大転換ができるときであると考えます。
 古来より、冬は必ず春となると言います。是非とも今年こそ希望への大転換の年にしてまいりたいと思います。公明党は、生活与党として、これからも言うべきことは言わせていただき、大転換の推進軸として責務を全うしていくことを最初に申し上げて、質問に入ります。
 まず、経済問題からお伺いします。
 デフレ対策として、研究開発費減税、設備投資減税、留保金課税の停止などの中小企業税制や、土地流通課税、証券税制の改革等の税制改正や、構造改革特区を始めとする規制改革は着実に進んでおりますが、危機回避のために更に踏み込んだ総合デフレ対策が必至であると考えます。総理の御所見を伺います。
 今、全国各地を回る中、日本経済の屋台骨である中小企業経営者の皆様の貸し渋り、貸しはがしに苦しむ悲鳴や、不本意にも倒産に追いやられたとの無念の声が現場には満ちております。
 こうした事態を打開するため、公明党として提言をしてまいりました金融セーフティーネットの確立や、無担保無保証融資の拡充、売掛債権担保融資保証制度などが一定の効果を上げたこと、また平成十四年度補正予算及び十五年度予算案の中で中小企業支援策が更に拡充されていることは大きな前進と受け止めております。
 また、公明党が重点要望として求めておりました資金繰り円滑化借換保証制度がいよいよ二月十日からスタートいたします。返済に苦しんでおられる中小企業の皆様に喜んでいただけるものと思っておりますが、これが十分に活用されるためには、この借換保証の制度をよく知っていただくことが不可欠であります。さらに、銀行に対しても中小企業への資金繰り支援のもう一段の努力を促す必要があると考えますが、いかがでしょうか。総理のお考えをお伺いいたします。
 また、雇用状況も依然として厳しいまま推移しております。
 雇用保険料が公明党の強い要望で現行の一・四%のまま据え置かれ、また十四年度補正予算で二千五百億円の早期再就職支援基金が創設されるなど、失業者の再就職支援策も力強く講じられています。緊急地域雇用創出特別交付金事業についても、補正予算において八百億円が上積みされました。
 しかし、現場を回って実感することは、更なる総合的なセーフティーネットの整備拡充が極めて急務だという点であります。更なる追加的施策につき総理の御見解を伺います。
 ところで、この不況を奇貨として横行する悪質なやみ金融は目に余るものがあります。人の弱みに乗じて暴利をむさぼるやみ金融の違法行為は断じて許せません。中には、年利実に七三〇〇〇%という極めて悪質なケースや、脅迫的な取立てに遭って会社を解雇されたり、離婚や自己破産、行方不明、さらには自殺に追い込まれたケースも多く聞かれます。
 こうした事態に対して、緊急の対策として次の二点を強く求めるものであります。
 第一に、まずは政府がマスコミ等を通じて、出資法の上限二九・二%を上回る融資はすべて違法であり返済する必要がないこと及び高い金利の融資に手を出すことの危険性を広く知らせることです。そして、被害者のためのやみ金融一一〇番を設け、監督官庁と警察や弁護士会等が連携し、必要に応じて機動的に立入検査をできるようにすることであります。そして、違法性が明確になれば、当然、業務停止や登録取消しのほか、徹底して検挙できる体制も整備するべきであります。
 第二は、対策強化のための立法措置を講じることです。現行の登録免許制を営業許可制に改めること、高額の営業保証金制度を導入すること、その他、広告の規制強化や違法行為の罰則強化などが必要であります。この際、新たな立法措置を含め、効果的な法的整備を行うべきと考えます。
 以上、二点について総理にお伺いいたします。
 次に、国際問題についてお伺いいたします。
 イラク情勢はますます緊迫の度を増しております。こうした中、日本の対応が注目されています。総理のイラク問題に対する今後の基本的なスタンスについてお伺いいたします。
 また、北朝鮮外交については、小泉総理の訪朝における日朝宣言の精神と原則に基づき、日朝双方が国交正常化のために誠実に取り組まなければなりません。しかし、拉致問題解決なくして国交正常化はあり得ないことは当然であります。拉致問題については、徹底した事実関係の究明と被害者の救済及び支援が不可欠であります。
 一方、NPT脱退宣言の撤回や核開発の凍結など、北朝鮮を国際社会に参加させるためのあらゆる手だてを講じることが必要であります。
 北東アジア地域には、既に、一九九二年の朝鮮半島非核共同宣言とモンゴルの非核兵器宣言、日本の非核三原則があります。こうした宣言を踏まえ、北朝鮮を交えて、国連主催の仮称北東アジア平和会議を設置して、信頼醸成とともに、将来的に非核地帯の設置を視野に入れた討議を行うべきではないでしょうか。総理は韓国の新大統領の就任式に出席される予定と伺っておりますが、その折の日韓首脳会談においてこのことを提唱されてはいかがでしょうか。お伺いいたします。
 次に、平和先進国日本の構築について伺います。
 日本は、今、平和先進国の地位を不動のものとする絶好のチャンスを迎えていると私は思います。いわゆる有事法制の整備も、平和維持及び平和創出のためとの明確な位置付けをし、そのメッセージを発するべきであると考えます。
 世界には、平和先進国と評価されているスイスやスウェーデン、デンマークなど北欧諸国の国々があります。これらの国々は共通してしっかりとした有事法制もあり、防衛体制を整えております。しかもなお、平和先進国と評価されているのはなぜでしょうか。それは、これらの国々が平和への明確な原理原則を持ち、それを常に世界にメッセージとして発信し、行動しているからであると思います。
 そのメッセージは三つあります。一つ目は、他国の侵略は行わないこと、二つ目は、しかし他国から攻撃されたときは徹底して防衛すること、三つ目は、国際平和協力活動には積極的に参加することという三つの原理原則であります。
 日本も、当然のこととして、一、日本が他国を侵略することはしないこと、二、しかし日本が侵略攻撃されたときなどには国民及び住民の生命、安全、財産を守るために徹底した防衛体制を取る、その際、平和のための防衛であるとの基本に立つこと、そして超法規的な対応が取られて基本的人権が損なわれることがないためにも有事法制を整えること、三、平和外交を進めるために、日本は、核廃絶、軍縮の推進、地球温暖化対策、災害救助などの国際平和協力活動に積極的に貢献するというこの三つの基本を絶えず発信し、また目に見える行動を取ることであります。そうした努力により、日本は平和先進国としての地位を確固たるものにできると確信いたします。総理の御見解を伺います。
 ところで、総理、この二月八日に、滋賀県において、総理御出席の下、対人地雷廃棄完了セレモニーが行われます。そして、総理御自身が我が国最後の対人地雷爆破のスイッチを押されます。
 我が国は、一九九七年十二月、当時の小渕外務大臣が、対人地雷禁止条約の署名式において、対人地雷の全廃に向けて国際貢献することを世界に宣言し、かつ、日本は自衛隊が保有する約百万個の対人地雷について、例外保有分を除き完全に廃棄することを約束いたしました。そして、この二月八日、ついに日本は対人地雷ゼロの国になります。当初から真剣にその推進に努力してきた公明党として、大変に感慨深いものがあります。
 さらに、従来の武器輸出禁止三原則の規制に阻まれて輸出できなかった日本の地雷探知機及び除去機につき、これらを武器規定から外し、輸出を可能とするよう我が党は強く求めてまいりましたが、昨年八月にようやくそれが実現されました。
 こうしたことも含め、今後も、我が国は、NGO、ボランティアの皆様と力を合わせ、世界各地の対人地雷除去のための更なる取組が期待されております。総理の御決意のほどをお聞かせください。
 次に、子育て支援について伺います。
 子育て支援の一環として、坂口厚生労働大臣は年金積立金の一部を財源にした子育て支援対策を検討されていると伺っております。その構想の内容と実現の可能性についてお伺いいたします。
 新エンゼルプランや待機児童ゼロ作戦、児童手当の拡充、奨学金の大幅拡充など、政府における子育て支援策への取組もようやく本格化してきた感がありますが、昨年の新出生率データにも見られるように、予想をはるかに超えた少子化の進展を見ると、更なる総合的な子育て支援策が急務であります。
 子育ては、その経済的負担に加え、精神的な負担も増大しており、育児ノイローゼ、児童虐待の急増など、今日の子育て家庭を取り巻く環境には大変厳しいものがあります。そうした子育て家庭を支援するサービスを一元化し、子育ての悩みの相談や、適切な情報を提供したり、家庭状況に応じたサービスの選択についての助言などを行う身近な窓口が必要と考えます。今後の更なる総合的な子育て支援策について、総理並びに厚生労働大臣の御見解を伺います。
 次に、不妊治療について伺います。
 これまでに不妊治療を受けた人は二十八万五千人、そして治療の結果生まれた子供が約六万人に上ると報告されています。不妊治療のうち、薬物治療や一部の手術には医療保険が適用されていますが、人工授精や体外受精などは保険の対象外であるため、治療には多額の自己負担が掛かります。医療保険の保険適用範囲の拡大や治療費の助成制度の創設など、不妊治療への公的支援を急ぐべきと考えますが、厚生労働大臣のお考えを伺います。
 次に、女性と年金問題について伺います。
 殊に、離婚の際に年金の報酬比例部分を分割することや、遺族年金を結婚年数に応じて分けるなど、女性の年金権の保障の問題があります。さらに、育児休業中の保険料免除の拡大なども検討すべきと思いますが、併せて厚生労働大臣に伺います。
 次に、女性専門外来についてお尋ねします。
 女性専門外来は既に幾つかの自治体の病院などで実施されております。どこも予約は数か月待ちというほどのニーズの高さであります。私ども公明党は、体や病気のメカニズムが男性と異なる女性特有の病気、例えば更年期障害や子宮がん、乳がん、また拒食症など、性差に配慮した医療の必要性を訴え、その普及を図ってきたところであります。
 平成十五年度予算案の中に国立成育医療センターに女性専門外来が設けられることが盛り込まれておりますが、今後、更なる拡充とそのための人材育成が必要と考えます。厚生労働大臣のお考えをお伺いいたします。
 次に、支援費制度について伺います。
 障害者福祉サービスについては、これまでの措置制度を改め、障害者自らがサービスを選択する支援費制度に本年四月から移行することになっています。この制度は、ノーマライゼーションの理念の下、施設から地域生活へ障害者の社会参加を促進するものと理解しておりますが、先般、障害者へのホームヘルプサービスの国庫補助基準の在り方をめぐり、関係団体から厚生労働省に対し強い意見の申入れがありました。その背景には、意思疎通が不十分だったということもあり、大変に残念であり、私ども公明党も大臣に申入れを行ったところであります。
 こうした声に対し、厚生労働省として局長自らが直接交渉に当たり、当事者の方々と協議を重ねて解決に向けた合意が得られたことは前進と評価しております。しかし、ほかにも現場からは、障害者生活支援事業の一般財源化に対してなど、不安の声が上がっております。
 今後は、障害者自身が十分にサービスを選択できるためにも、適切な情報を提供する体制や十分な選択肢の確保に努めることが不可欠です。とともに、相談、助言などを行うケアマネジメントの手法を確立するなど、制度の円滑な導入に向け万全を期すべきであります。
 そのためにも、関係者や地方自治体との意見交換が欠かせません。丁寧に現場の不安を払拭しながら、全国どこでも障害者が地域において自立し安心できるユニバーサル社会の構築を目指して努力を重ねることが重要であります。その意味からも、私どもは有志の皆様とユニバーサル社会形成推進基本法案を準備し、近いうちに提案したいと思っておりますが、この点も含め坂口厚生労働大臣の御意見と御決意のほどをお伺いいたします。
 次に、教育基本法について伺います。
 教育基本法は、旧憲法から日本国憲法への改正に伴い、憲法の精神に基づいて我が国の教育の基本理念と原理を明らかにした法律であり、教育憲法とも呼ばれてきました。
 すなわち、教育基本法は準憲法的な性格を持つ法律でありますから、その改正は憲法と同じく時間を掛け、十分な国民的議論を経て慎重に結論を出すべきものであります。その意味で、近く提出予定の中教審最終答申は、従来のような法律の改正原案とするのでなく、総理の言われる広範な国民的議論を喚起する教材とすべきであると考えます。
 今日のいじめや不登校の急増、荒れる学校や青少年犯罪、そして学習意欲の低下の問題など、教育にかかわる深刻な問題が教育基本法の改正で解決できるとは到底思えません。基本法を改正するという上からの権力的な手段を用いれば問題が解決できるという考え方自体が社会の教育力を更に低下させることになるのではないでしょうか。真の教育改革は社会全体の教育力の復権を粘り強く築いていくことに尽きると思います。
 私どもは、二年前に全国で教育対話集会を開き、現場の声を聞いてまいりました。これらを通して、教師の資質の問題や教育制度の仕組みの欠陥、校長決裁権限の問題など、多くの問題があることを確認し、それに基づいて緊急政策提言を総理及び文部科学大臣に行ってまいりました。それにより、おかげさまで幾つかの関係法律の整備や改正がなされましたが、このように、まずは具体的政策や個別問題の対策を取るべきではないでしょうか。
 また、今進められている教育振興基本計画の策定を教育基本法の見直しと切り離し、教育振興基本法を制定することも教育改革を進める一つの方策ではないでしょうか。この点についても併せて総理のお考えをお伺いいたします。
 ところで、近年、高校生、大学生、専門学校生などが就業体験を行うインターンシップが評価されています。その実施のための経費補助や受入れ企業への税制優遇措置などを国として支援すべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。
 また、アメリカにはジョブシャドーイングという制度があります。これは、子供たちが自分が興味を持つ職業の人に一日じゅう影が添うように付いて回ってその職業を実感する制度です。そうした中で仕事の楽しさ、厳しさ、やりがいなどを理解するというもので、大きな効果が報告されております。このような制度を是非日本でも導入するよう検討してみてはいかがでしょうか。総理の御見解を伺います。
 さらに、循環型社会を目指す日本として、環境教育の重要性は言うまでもありません。総理がヨハネスブルク・サミットで提案し、国連決議された持続可能な開発のための教育の十年は、提案者である我が国が率先して進めることが重要であります。
 そこで、実効性ある環境教育学習推進法を実現すべきと考えますが、いかがでしょうか。環境教育の教材の一つとして、モーリス・ストロング氏らが提唱している地球憲章を取り上げることも考えるべきではないでしょうか。総理のお考えをお伺いいたします。
 最後に、かつて英国病を克服したサッチャー首相は、英国の新たな機運は自信と自尊心の回復を核とするものでなければならないとの信念のままに、国営企業の民営化や既得権の打破、金融制度の大幅な自由化など、厳しい構造改革の手を次々に打っていったことは周知のとおりであります。そして、それは正に痛みを伴う改革でありました。事実、サッチャー首相自らが改革に痛みが伴うことを国民に説き、その上で改革を断行していったのでした。実に、国民に痛みを訴えたのは鉄の宰相サッチャー女史が初めてだったのです。
 一方、日本の歴代総理の中で痛みを説いたのは小泉総理が初めてであります。その意味で、日本の改革が実を結べば、総理は改革に成功したサッチャー型政治家と将来評価されることになりましょう。
 問題は、サッチャー首相のように、総理もまた英国病ならぬ日本病を克服できるかどうか、この一点にあると思います。
 サッチャー首相の改革は、当初、倒産や失業率がアップするなど、経済情勢は一段と悪化いたしました。今の日本の現状と同じと言えます。当時、サッチャー首相も、野党などから経済失政と厳しく批判されました。しかし、そうした批判にめげず、敢然とやるべき改革を断行し続けた結果、その後、改革は着実に実を結び、英国経済は完全に復活し、今や安定的成長を確かなものとしております。
 総理、サッチャー首相が英国病を克服せしめたのは、国民に正直に痛みを訴えたからだけでしょうか。鉄の女と呼ばれたごときのかたくななまでの信念があったからだけでしょうか。
 サッチャー女史の回顧録などを読んでみますと、そこにはもう一つ、リーダーとしての重要な資質と視点を持ち続けていたことが分かります。すなわち、目に見える形での具体的な長期ビジョンの提示です。改革の先に何が待っているのか、その具体像をしっかりと示し、その上での改革であったからこそサッチャリズムは確実に実を結びながら前進することができたのであります。
 リーダーは常に人々の前に希望の灯を指し示す存在であることが求められます。その意味でも、中長期的ビジョンの設定と提示が正にリーダーたる者の責任であり、使命であると思うのですが、いかがでしょうか。
 改革の旗手、そして信念の政治家を自負される総理にもう一つあえて求めたいものは、実はこの一点であります。将来の具体的な日本の姿や生活像が見えないまま、痛みだけを我慢せよと言われても、国民は不安になるだけでしょう。改革の先にどんな日本があるのか、生活者レベルの視点から是非とも提示していただきたいと思います。
 具体的には、次の二点について総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 第一に、総理の言われる痛みの共有の中身は何なのか。この点は極めておぼろげな、実体の定かでない言葉として使われております。どのような痛みをどのように共有していただこうというのか。私たち公明党は、セーフティーネットの構築など、ともに助け合い励まし合う社会の構築を訴えているところでありますが、この点について総理のお考えを具体像をもって提示していただきたいと思います。
 第二には、いわゆる利益誘導型の古い政治が終えんしつつある中で、新時代の政治のイメージをどう描いておられるのか。国民の皆様が新しい政治に明るい希望を見いだせるような総理の前向きのお考えと力強い決意をお聞かせいただくこととし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 浜四津議員にお答えいたします。
 激励を賜りまして、誠にありがとうございます。
 まず、デフレ対策についてでございますが、デフレ克服は現下の我が国における最重要課題の一つであります。できる限り早期のプラスの物価上昇率実現に向け、政府は日銀と一体となって総合的な取組を実施していく必要があると考えております。
 十五年度予算においては、厳しい財政状況の中、雇用の創出や将来の発展の基盤となる分野に重点配分を行うとともに、持続的な経済社会の活性化に向けた税制改革を行い、十五年度におきまして一兆八千億円程度の減税を先行させるなど、経済活性化に向け、先般成立した十四年度補正予算と併せ、両年度を通じて切れ目ない対応を図ることとしております。このため、十五年度予算、税制改正法案等の関連法案の早期成立をお願いする次第であります。
 また、構造改革特区を始め、地方や民間の意欲を生かした取組も目に見える形で大きく動き出すなど、規制改革も着実に進んでいるところであります。
 デフレ克服のためには、金融面の対応も重要であり、日銀において更に実効性ある金融政策運営を行っていただけるよう期待しております。
 日本経済を再生させるためには、デフレの克服を目指しながら構造改革を進める以外に道はないという認識を持っております。今後とも、金融、税制、歳出及び規制の四本柱の改革を一体的かつ整合的に実施することにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指してまいります。
 中小企業の資金繰り支援についてでございますが、今般創設する資金繰り円滑化借換保証制度は中小企業の資金繰りを楽にするための制度です。中小企業者や金融機関等に対して説明会を開催する等、制度の普及を図るため、全国的な広報活動を行ってまいります。また、政府としては、金融機関に対し、中小企業への資金供給の一層の円滑化を繰り返し要請しているところであります。
 こうした取組により、中小企業の円滑な資金供給の確保に万全を期してまいります。
 総合的なセーフティーネットの整備拡充についてでございますが、厳しい雇用失業情勢に対応し、国民の雇用面の不安を払拭することは重要な課題であり、日本経済再生のため、産業再生機構の整備を始めとしたあらゆる政策手段を動員して、民需主導の持続的な経済成長の実現を図っていく考えであります。
 このため、雇用、中小企業のセーフティーネットに万全を期すこととし、今般成立した平成十四年度補正予算及び十五年度予算におきまして、早期再就職支援策、雇用機会の創出対策や、やる気と能力のある中小企業への資金供給の円滑化などの十分な施策を盛り込んだところであります。十四年度補正予算、十五年度予算と併せ、切れ目のない対応を図ることが重要と考えております。
 悪質な金融業者への対策についてでございますが、貸金業の無登録営業、違法な高金利による貸付け等を行う悪質な金融業者が存在することについては、政府としても深刻な問題と受け止めており、これまでも警察において集中取締本部を設置するなど、違法業者の取締りを強化するとともに、金融当局においては、登録業者に対し必要に応じ監督上の処分を行ってきたところであります。
 また、制度面においても、平成十二年に貸金業規制法の罰則を強化するなどの対応を取ってきたところでありますが、今後とも、政府広報等の更なる活用により国民への注意喚起を図るなど、関係当局の連携を強化し、悪質な金融業者への対策に積極的に取り組んでまいります。
 イラク問題に関する日本政府の対応についてでございますが、イラクの大量破壊兵器をめぐる問題は国際社会全体への脅威であります。イラクが査察に全面的かつ積極的に協力し、大量破壊兵器の廃棄を始め、関連する国連安保理決議を誠実に履行することが重要であります。
 我が国としては、安保理を始め国際社会が協調して毅然たる態度を維持すべきとの考えの下、査察の状況、安保理の議論等を踏まえ、イラクが誠実に決議を履行するように我が国としての外交努力を継続してまいります。
 北東アジア平和会議の設置に関するお尋ねでありますが、北朝鮮の核開発問題は、国際的な平和と安定、核不拡散体制の問題であるとともに、我が国自身にとって重大な懸念であり、我が国としては、関係諸国と緊密に連携しつつ平和的解決を図ってきております。
 公明党が北東アジア平和会議を提唱しておられることは承知しており、政府としても、信頼醸成を通じた北東アジアの平和と安定の確保のため、二国間及び多国間の様々な対話を促進すべく今後とも努力してまいります。また、このような対話の在り方については、韓国新政権とも緊密に協議をしていく考えであります。
 平和な国際社会を構築するための戦略についてでございますが、従来から、我が国は、国際社会全体の平和と安定の実現に向け、軍備管理、軍縮、不拡散等の取組を行ってまいりました。また、重要な外交手段であるODA等を活用して、環境問題等、地球規模の課題や紛争後の平和の定着、国づくりに積極的に取り組んできております。今後とも、このような方針を堅持し、平和な国際社会の構築に貢献する姿勢を明確にしていく考えであります。
 対人地雷除去活動に対するお尋ねでございますが、埋設、放置されている対人地雷により多くの人命が失われる悲惨な状況にかんがみ、人道上の軍縮を進める必要があることから、我が国は、平成十年九月、対人地雷禁止条約を締結しました。以来、自衛隊が保有する約百万個の対人地雷について着実に廃棄を進め、関係各位の御尽力により、本年二月、最後の一個が廃棄されることとなりました。
 しかし、世界に目を向ければ、今なお多くの対人地雷が残されており、廃絶はいまだ途上段階にあります。この対人地雷の廃棄は、我が国では政党や会派を超えて一致でき、国民世論によっても支持されるテーマであると思います。政府としては、今後も対人地雷の廃絶を国際社会で強く訴え掛けてまいります。
 子育て支援策についてでございますが、少子化の進展は、今後、労働力の減少や地域社会の人口減などを通じて我が国の社会、経済に重大な影響を与えるものであり、少子化の流れを変えるための取組を着実に進める必要があると考えております。
 このため、昨年九月には、従来の子育てと仕事の両立支援のための取組に加え、男性を含めた働き方の見直しや地域における子育て支援など、もう一段の施策の充実を図る観点から、少子化対策プラスワンを取りまとめたところであります。
 今後は、これを具体化するため、待機児童ゼロ作戦を引き続き推進するとともに、家庭、地域、企業が一体となり計画的に次世代の育成を支援するための法案を提出するなど、総合的な子育て支援策を推進してまいります。
 教育基本法の見直しと教育振興基本計画についてでございますが、御指摘の学習意欲や不登校の問題など、教育現場が直面する諸課題に対して迅速かつ的確に具体的施策を講じていくことは大切であります。
 私は、教育改革を国政上の重要課題の一つとして位置付け、確かな学力と豊かな心の育成を目指して、習熟度別指導など、きめ細かな指導を推進して学力の向上を図り、また、不登校問題に対するネットワークを整備するなど、施策の一層の充実に努めてまいります。
 一方、教育基本法については、教育の根本を定める憲法とかかわりの深い法律であると認識しておりますが、戦後半世紀を経て社会状況が大きく変化し、教育全般について様々な問題が生じております。勇気を持って新しい時代に立ち向かう人間を育成するためには、画一と受け身から自立と創造へと、教育の在り方を大きく転換する必要があり、教育の根本にさかのぼった改革が必要であると認識しております。
 教育の根本を定める教育基本法の見直しについては、平成十二年三月に発足した教育改革国民会議以来、慎重に時間を掛けて議論が行われてきたものと承知しており、現在、中央教育審議会において、現行法の普遍的な理念は大切にすることや、教育基本法の見直しとその理念を具体化する教育振興基本計画は一体として考えることが必要であることを前提に議論がなされていると承知しております。
 今後、同審議会の答申を踏まえ、与党とも十分相談するとともに、幅広く国民的な議論を深めながら、教育基本法の見直しとそれに基づく教育振興基本計画について政府としてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 インターンシップ及びジョブシャドーイングについてのお尋ねであります。
 御指摘のジョブシャドーイングについては、生徒が自分の興味ある職業で働く人に密着しながら実際の仕事の内容を見聞きし、職業を実感するという大変興味深い工夫であると思います。我が国においても、若年者の早期離職率が高いこと等にかんがみれば、在学中の早い段階から、職業に関する情報や職業体験等を通じ若年者の職業意識形成を図ることが重要なことと考えております。
 こうした観点から、インターンシップの普及を図るため、一昨年から大学生を対象とする受入れ企業開拓事業を実施しております。さらに、十五年度予算においては、高校生を対象としたインターンシップ実施事業所に対する支援を実施するほか、中高生の主体的な職場実態の見学、職業人への取材等の活動を支援することとしております。今後とも、こうした施策を効果的に実施することにより、若年者の職業意識啓発に努めてまいります。
 環境教育、環境学習についてでございますが、循環型社会を目指す我が国としては、国民一人一人が環境保護についての意識を高め、責任ある行動が取れるようにするため、学校、家庭、地域社会において環境教育、環境学習の推進を図っていくことは重要な課題であると認識しております。
 このため、政府としては、関係省庁の連携協力の下、学校、家庭、地域社会の様々な場において環境教育、環境学習に積極的に取り組んでおり、今後、御指摘の法制化の必要性も含め、更なる推進のための検討を深めてまいります。
 また、御指摘の地球憲章については、生命共同体への敬意と配慮、生態系の保全など、持続可能な社会に向けた諸原則を掲げたものと認識しておりますが、これを教材としてどのように活用していくかについては、教育や学習を行う実施主体それぞれにおいて適切に判断していただくものと考えております。
 改革に伴う痛みについてのお尋ねでありますが、改革を進める過程においては痛みを伴う事態が生じてくることがございます。これまでうまく機能してきた経済社会の仕組みで時代の流れに対応できなくなっているもの、これを構造的に改革していく際、変化により生ずる痛みだと思います。その痛みを和らげることは政治の責任であり、雇用や中小企業のセーフティーネットには万全を期してまいります。
 努力が報われ再挑戦できる社会、人をいたわり安全で安心に暮らせる社会の実現は小泉内閣の最重要課題であり、保育所待機児童ゼロ作戦や社会人を含む学生への奨学金の充実等により、豊かな暮らしの実現に直接結び付く取組を進めております。国民一人一人がお互い支え合い、励まし合う社会の実現を目指してまいります。
 新時代の政治のイメージについてでございますが、私は、就任以来、官から民へ、民間にできるものは民間に、国から地方へ、地方にできるところは地方へという、そういう流れを加速しなければならない、さらに、人においても企業においても社会においても国においても、自助と自律の精神、これなくして一国一社会の発展はないという考えから、失敗してもくじけずまた立ち上がる意欲を持って、国民一人一人が改革の原動力となるような社会の実現を目指していかなきゃならないと思っております。
 政治に対する国民の信頼は改革の原点であります。国民との対話を重視し、広く国民の理解と協力を求めていく信頼の政治を実現してまいりたいと思います。
 日本には、まだ駄目だ駄目だと言う人がかなりありますが、大きな、よその国にはない潜在力、能力もたくさんあります。この持てる力をいかに発揮させ、難局にたじろがないで敢然と立ち向かっていく、そういう勇気と希望を持って我が国の経済と社会の再生に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
○国務大臣(坂口力君) 浜四津議員にお答えを申し上げたいと思いますが、まず年金につきまして二問御質問がございました。一つは次世代育成支援のお話と、それから女性と年金のお話でございました。
 今年一年間掛けまして年金の問題につきましては御議論をいただきまして、秋ごろにはその結論を出さなければならないというふうに思っております。その中で、年金の骨格にかかわりますところの部分を、現在の年金の延長線上でいくのか、それともその骨格からいろいろ考え直すのかといったような骨格にかかわる問題がございます。その骨格にかかわります問題と併せて、一つは次世代の支援をどうするかという問題と、女性と年金の問題をどうするかという二つの問題を、これをどう骨格の部分と兼ね合わせて行うかということが議論の中心になるのではないかというふうに思っております。
 次世代支援の問題につきましての具体的な内容につきましては、現在固めているわけではございません。これからいろいろの御議論を経て決定をしたいと思っているところでございます。
 また、女性と年金につきましても、現在議論の途中でございますし、女性と年金検討会報告書におきましても、女性自身の貢献がみのる年金制度、こういうことをキーワードにしていただいております。このことを中心にいたしまして、そして、女性と年金の問題にこれが前進できるようにやはりしなければならないと思っているところでございます。
 次には子育て支援についてのお話がございまして、いわゆる晩婚化という要因に加えまして、新たに結婚した夫婦の出生力そのものの低下という現象が起こってまいっております。世代間扶養を基本といたします社会保障制度の持続可能性に重大な影響を与えるというふうに思っている次第でございます。
 そうした面から、少子化対策プラスワンというのを昨年九月に取りまとめをしたところでございますが、その中の中心は、何と申しましても、男性を含めた働き方の見直しであるというふうに思っております。賃金は高いにこしたことはございません。しかし、自由な時間を持ち人生を豊かにすることもまた大事であることをその中にどう組み入れていくかということが重要ではないかと考えているところでございます。
 次世代育成支援対策推進法案、それから児童福祉法改正案を今国会に提出をさせていただきたいと考えております。
 次に、不妊治療についてのお尋ねがございました。
 産みたいと思う人には支援をすべきであるというふうに思っておりますが、不妊治療につきましては、今まで、倫理面の問題でございますとか、あるいは技術の問題、成功率の問題、それから安全性、医療機関の体制整備の問題、あるいは経済的な負担等々たくさんございますが、これらの問題のどこまでを支援をするのか、一遍だけなのか、あるいは二遍支援するのかといったようなことも含めて御議論をいただいているところでございまして、早急に結論を出したいと考えているところでございます。
 それから、女性外来につきましての御質問がございました。
 平成十五年度から、我が国の成育医療におきます中核的な医療機関であります国立成育医療センターにおきまして新たに設置をすることといたしました。ここにおきまして、医療従事者の研修でありますとか情報提供を図りますとともに、女性の健康問題にかかわる調査研究に取り組んでいきたいというふうに思いますし、あわせて、患者の視点を尊重しながら、地域において必要な医療が充足される体制の確保に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、障害者施策につきましてのお尋ねがございました。
 障害者施策の推進に当たりましては、ノーマライゼーションの理念に基づきまして、障害の有無にかかわりませず、だれもが地域で安心して暮らせる社会を築くことが重要でございます。
 障害者が自らサービスを選ぶことが、選択することができます支援費制度に移行することになります。そして、ホームヘルプサービスでありますとかグループホーム等の整備を推進をしたいというふうに思っているところでございます。
 こうした支援費制度につきましては御理解がほとんど得られているというふうに思っておりますが、先日、障害者の皆さん方からいろいろの御意見をいただいたことも事実でございます。これらの問題は、やはりふだんからその障害者団体と連携をいかに密にしているかということに尽きるわけでございまして、その点に不十分な点がありましたことを反省をしている次第でございます。
 厚生労働省といたしましては、各般にわたりまして様々な団体と連携をしなければならない省でございますので、それはお聞きをして聞けること聞けないことはございますけれども、各種団体とふだんから、平素からいろいろと接近をし、そしていろいろとお話合いを、お聞きをするという姿勢を忘れてはならないということを全体に申し伝えているところでございます。(拍手)
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○議長(倉田寛之君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小泉総理に質問をいたします。
 あなたが総理になって一年九か月がたちました。国民への負担増と不良債権早期処理の名による中小企業つぶしを柱とした構造改革によって、国民の暮らしと日本経済は一体どうなったでしょうか。
 完全失業者は、あなたが総理に就任して以来、連続して増え続け、十二月はついに過去最悪になりました。勤労者世帯の実収入は五年連続で減り続けています。家賃が払えず、住む家を失う人も増えています。生活保護受給者は激増し、史上最多となりました。自殺をした人は四年連続三万人を超え、中でも経済的理由による人が大幅に増えています。昨年の企業倒産は、一九八四年以来、戦後二番目に多い一万九千四百五十八件に上っています。実体経済の反映である株価も下がりっ放しです。
 国民の暮らしと日本経済はこれまで経験したことのない深刻な危機に直面し、税収は落ち込み、財政赤字もますますひどくなっています。小泉構造改革の破綻はこれらの動かし難い事実が証明しているではありませんか。改革なくして成長なしという言葉が今ほどうつろに響くことはありません。この事実を総理はどのように受け止めておられるのですか。もう我慢できない、何とかならないかと、これが多くの国民の共通の思いであり、その声に真正面からこたえるのが政治の責任であります。
 では、何が必要か。
 私たち日本共産党は、第一に、社会保障での負担増を中止すること、第二に、庶民や中小企業への増税を行わないこと、第三、不良債権処理の名による中小企業つぶし政策の転換を図ること、第四、雇用を守り失業者の生活保障に万全を期すこと、この四つの緊急対策が国民の暮らしを応援し、個人消費を拡大して日本経済を再生させる第一歩になると考えています。
 ところが、小泉内閣は、こうした国民の切実な要求にことごとく背を向け、失敗を次の成功に生かすどころか、歴史に学ぼうともせず、破綻済みの誤った道をしゃにむに突き進もうとしています。
 国民が望んでいる直ちにやるべき第一の問題は、社会保障分野での二兆七千億円の負担増を中止することであります。
 まず、お年寄りの負担増についてであります。
 政府は、年金切下げで三千万人の高齢者から三千七百億円もの所得を奪おうとしています。昨年、年金切下げが問題になったとき、当時の宮路厚生労働副大臣は、個人消費にも大変なマイナスを与えますし、また家計にも苦しさを更にエスカレートさせるから見送ると述べました。ところが、小泉内閣は、昨年秋、お年寄りの医療費負担を二千億円増やし、四月からは六十五歳以上の介護保険料を約一千億円引き上げようとしています。こんなに負担を増やしておきながら、年金は三千七百億円も削る。こんなことをやれば、高齢者の生活を痛め付けて消費を落ち込ませ、地域経済にも打撃を与えることは明らかであります。総理の認識を問うものであります。
 サラリーマンの負担増も大変なものであります。
 九七年に二割に引き上げられたサラリーマンの医療費の自己負担を今度は三割にする。今、サラリーマンの収入は減っているのです。その中での負担増がどれだけ家計を直撃し、消費を落ち込ませ、病院への足を遠のかせるか、これがもたらす国民の暮らしと健康、日本経済への影響を総理はどう考えていますか。
 九七年の医療費の負担増のときには、病気なのに我慢して受診しない人が二百八十万人にも及びました。収入が減った下での負担増は更に受診抑制をもたらすことは間違いありません。そうなれば、健康悪化に拍車を掛け、かえって医療費を増大させることになります。だからこそ、日本医師会を始めとする医療関係者もこぞって反対しているのではありませんか。こんな道理のない計画は直ちに撤回すべきであります。
 持続可能な社会保障制度のためにと、これまで何度も医療や年金の負担増が繰り返されてきました。それが国民の所得を奪い、不況を深刻化させ、保険料収入が減って新たな負担増という悪循環を繰り返してきました。社会保障への国庫負担の投入でこの不況と負担増の悪循環を断ち切ることこそ、社会保障の持続を可能にする道ではありませんか。
 第二は、庶民や中小企業への増税をやめることであります。
 配偶者特別控除の廃止で七千三百億円、発泡酒・ワイン増税で八百億円、その他、たばこの増税や消費税の免税点引下げなど、合わせて一兆七千億円もの大増税が計画されています。これを負担するのは専ら庶民であり消費者ではありませんか。
 総理は景気対策のための先行減税と言いますが、研究開発減税、投資減税の恩恵を受けるのは、ほとんどが黒字の大企業だけであります。これで新たに投資が増えるという保証もありません。しかも、一番手を差し伸べなければならない赤字の中小企業には何の恩恵もありません。また、相続税の最高税率引下げの恩恵を受けるのは、一人当たりの相続財産が四億円を超える場合です。こんな人は二〇〇〇年度の実績で見ても数百件あるかどうかです。
 配偶者特別控除の廃止によって増税になるのは千二百万世帯にも及びます。新聞の投書欄に、ビールより安いから発泡酒にしたのです、どこまで国民を苦しめればいいのですかという声が載っていました。あなたは、酒税、たばこ税の引上げについて、昨日、税制のゆがみを解消するためと言いましたが、ごくわずかの大企業と大資産家のための減税の財源に庶民増税を充てることが税制のゆがみを正すことになるというのですか。国民の懐を冷やす最悪の税制ではありませんか。
 第三に、不良債権処理の名による中小企業つぶし政策を転換することであります。
 異常に低い金利の下で、市中には使い切れないお金がじゃぶじゃぶあるのに、この一年六か月間で中堅中小企業への貸付けは全国銀行ベースでおよそ三十三兆円も減りました。
 超低金利時代にもかかわらず、中小企業だけが異常な高金利に苦しめられています。中小企業家同友会全国協議会の調査によれば、過去一年間に銀行から金利引上げの要請を受けた企業が関東で四割以上、そのうち七割以上の企業がやむなくそれを受け入れざるを得ませんでした。
 なぜこんなことが起きたのか。
 総理は資金供給の円滑化を金融機関に繰り返し要請していると言いますが、繰り返し要請しているのに改まらない理由はどこにあると考えているのですか。総理が推進する不良債権処理の加速の名による貸しはがし、貸し渋りの結果ではありませんか。やる気と能力のある中小企業への資金供給について万全を期しているどころか、不況の中で歯を食いしばって頑張っている中小企業を一方的に不良債権と認定するようなことを許した金融行政から必然的に生じたものであり、政府の責任は極めて重大であります。しかも、不良債権は処理しても処理しても逆に増えているではありませんか。暮らしを支え、倒産、失業を抑え、景気を良くしてこそ不良と言われる債権も正常になるのです。
 総理は中小企業金融対策に万全を期しますと述べられましたが、本気でそう思うのなら、現在の異常な事態をつくり出した大本、期限を切った不良債権の早期処理方針こそ撤回すべきではありませんか。答弁を求めます。
 第四に、雇用失業対策を強化することであります。
 昨年の完全失業率は五・四%で、戦後最悪でした。ところが、失業者を減らすのが政治の責任なのに、政府の経済見通しは更に高い失業率を掲げているのです。こんな政府が世界のどこにあるでしょうか。
 今、雇用を守る上で急ぐべきことは、サービス残業など職場の無法をやめさせることであります。
 一昨日、東京青梅の労働基準監督署は、サービス残業で経営者を逮捕いたしました。全国で初めてですが、サービス残業は言うまでもなく犯罪なのです。昨年、八十一億円の未払残業代が支払われましたが、トヨタ自動車などでは、過労死の危険ラインをはるかに超える年間三千時間以上の長時間労働が堂々と行われています。これを労働基準法どおりに厳格に守らせれば、新たな雇用が膨大に生まれることは明らかであります。目に余る長時間労働を強いている事業所には法定労働時間に見合う雇用の拡大計画を提出させるべきではありませんか。
 雇用危機の下で、判例で確立している整理解雇の四要件を法制化するなど、法律による解雇の規制は急務となっています。日本共産党は、既に解雇規制・雇用人権法の制定を提唱しています。ところが、政府は、その要求にはこたえず、逆に、金さえ払えば不当な解雇も容認するなど、解雇をやりやすくしようとしています。ただでさえ雇用不安が深刻なときに、これまであったルールまで骨抜きにすることはあってはならないと思いますが、いかがですか。
 総理は、離職者に対する早期再就職の支援を充実し雇用保険制度を見直すと言われました。その中身は、中高年失業者が受け取っている失業手当を減らし、生活を脅かすことによって仕事に就かせようというものです。これでは、支援どころか、脅しではありませんか。問題は、失業手当の高さにあるのではなくて、再就職の際の賃金の低さにあるのです。
 失業の増大とともに見過ごすことができないのは、住む家を失う人が増えている問題であります。中でも都市基盤整備公団の居住者追い出しは目に余るものがあります。公団が家賃滞納を理由に裁判を起こし強制執行で追い出した人は、昨年四月から十二月までのわずか九か月間で二千七十二件にも上っています。公団業務の基本方針は国が定めることになっています。この経済危機の下で国が率先してホームレスをつくり出すなど、あってはならないことであります。総理の見解を求めます。
 これまで見てきたように、未曾有の暮らしと日本経済の危機を目の当たりにしながら、あなたは国民に新たな負担増や増税を強い、中小企業つぶしを進めようとしています。それが今日のデフレの要因である需要の落ち込みを一層深刻にし、デフレを加速させることになるのは明らかであります。
 一方で、五兆円の軍事費は聖域化して手を着けようとはしません。公共事業も、削ったと言いますが、総事業量は減らさず、関西国際空港二期工事など無駄な公共事業は野放しにして、まともにメスを入れようとはしません。これでは負担増と不況の悪循環に陥り、税収も落ち込みます。今ほど税金の使い道が問われているときはありません。貴重な財政資金だからこそ、国民の暮らしと社会保障を最優先にすべきではありませんか。
 日本経済の源泉、原動力は一人一人の国民です。我が国の圧倒的多くの国民は、額に汗して働くことを尊び、人間を大切にし、助け合い、支え合って暮らしています。その国民から活力を奪って日本経済が活性化するはずがありません。にもかかわらず、失業率を高め、物価引上げを政府の目標に掲げるに至っては、何をか言わんやであります。国民の暮らしを支える政治に切り替えてこそ、長く厳しい不況から抜け出す道も開けてきます。日本共産党はそうした方向への政治の根本的転換を目指して奮闘するものであります。
 今年は地方政治の在り方が全国的に問われる年です。中でも、市町村合併の動きが全国に広がり、地方政治の焦点の一つになっています。
 日本共産党は、住民の意思に基づいて地方自治体を適切な規模にすることに一律に反対するものではありません。しかし、自治体の合併の是非は、何よりもそこに住む住民の合意と自治体の自発的な意思によって決められるべきであります。
 ところが、今起こっている合併の流れは、自治体の自主的な意思によるものではなく、国の行政指導、財政誘導によって押し付けられているものであります。昨年十一月に行われた全国町村長大会の決議では、市町村合併が理念なき数値目標の下に半ば強制的に進められ、全国の町村はその対応を激しく迫られていると告発しています。
 憲法は、地方自治の本旨を自治体の組織と運営にとって根本的な精神であると明記しています。国会での合併特例法の附帯決議でも、「住民投票その他の方法により、関係住民の意向を十分に尊重すること。」など、住民投票まで例示して住民の意思の尊重を求めています。
 総理、市町村合併に当たっては、憲法で保障された地方自治の原則に立ち、強制は行わず、自治体と住民の意思を尊重すべきだと考えますが、いかがですか。
 もう一つ重大なのは、自民党総務部会が示した市町村合併に関する中間報告と政府の地方制度調査会専門小委員会で示された「今後の基礎的自治体のあり方について」と題する、いわゆる西尾私案についてであります。それらは、一定期間後も合併しない人口一万人未満の小規模町村の権限を取り上げ、窓口業務などに限定してしまう、あるいは周辺の市や町に吸収合併することを義務付けるという、とんでもない中身です。
 昨年の全国町村長大会のあいさつの中で、山本文男会長は、人口が少ないということのみをもって町村の権限が制限、縮小されるようなことになれば一体地域社会はどうなってしまうのか、本当に地域住民の福祉が守られるのか、自然や国土の保全ができるのか、町村自治は存亡の危機にあると述べています。
 小規模町村を強制的に解体することは、憲法が保障する地方自治の原則をじゅうりんするものであり、絶対にあってはならないと思いますが、総理の見解を問うものであります。
 次に、企業・団体献金と政官財癒着による政治腐敗の問題です。
 小泉首相を始め、大島、鈴木、片山各大臣がそれぞれ代表を務める自民党選挙区支部が、前回総選挙の直前に国の公共事業受注企業から総額二千六百五十万円の寄附を受け取っていたと報道されました。関係四大臣は通常の党に対する善意の献金だとしていますが、献金した企業の多くは選挙応援のための寄附と述べています。ある建設会社は、何もないときに出すとかえって変に取られる、選挙のときだからこそと述べています。そうであれば、自民党長崎県連の前の幹事長らが逮捕された事件と全く同じではありませんか。総理の見解を伺います。
 自民党長崎県連の問題がなぜ注目されたのでしょうか。それは、ゼネコンなどから受け取った献金が名目上政治資金として処理されていたものの、実態は選挙資金だと認定されたからであります。すなわち、公職選挙法の公共事業受注業者からの選挙献金を受け取ってはならないという特定寄附の禁止条項が初めて本格的に適用されたところにあります。
 その後開かれた自民党の全国幹事長会議では、これで違法ならどうやって政治資金を集めればいいのかとの声が上がったと報道されています。思わず本音が出たのでしょう。長崎県連は例外ではなかったのです。自民党全体がいかに恒常的にこのような法の抜け道を探して企業献金を集めていたかがうかがわれます。自民党総裁であるあなたがまず襟を正し、自民党の実態を調査、公表すべきではありませんか。
 あなたは、法律を幾つつくっても法律に違反する、どうしようもないなどと開き直りましたが、どうしようもないのは法の網を逃れて企業献金を集める自民党の体質そのものではありませんか。
 公共事業の原資は国民の税金です。その税金を食い物にするとは、政党や政治家としての資質を根本から問われる問題です。政官財の癒着と利権の構造を断ち切り、腐敗政治を一掃するためには、抜け道や言い逃れのできない法律をつくることです。日本共産党がかねがね提案している企業・団体献金を明確に禁止すること、少なくとも、野党四党が共同提案しているように、公共事業受注企業からの献金を直ちにきっぱりと禁止すべきであります。
 あなたは、さきの本会議で、今度の問題を深く受け止め、改めるべきは改めると述べましたが、抽象論ではなくて、何をどのように改めるのかを明確にすべきではありませんか。
 総理、自民党の二〇〇一年度収入に占める政党助成金の割合は実に六〇%にも達しています。所管の片山総務大臣は、五割を超えるなんというのは論外、公的依存の傘の中でぬくぬくいくというのは問題と手厳しく批判していたことがあります。五割どころか六割を超え、どっぷりと税金に依存し、ぬくぬく状態になっている現状を、総理はどうお考えでしょうか。
 制度が導入された一九九五年から昨年までの八年間に、二千五百億円もの巨額の税金が我が党以外の政党に投入されました。
 この政党助成金は、支持していない政党にも税金が配分される憲法違反の制度であります。未曾有の国家財政の危機と深刻な不況の下、国民には負担と痛みを押し付けておきながら、なぜ自分たちだけは税金の山分けをするのか。きっぱりと廃止すべきではありませんか。
 私たちは、今、二十世紀の二つの大戦を通じて確立された、話合いによって紛争を解決するという国連憲章を守って平和な秩序ある世界にしていくのか、それともそれを台なしにするのか、重大な岐路に立っています。
 一月二十七日、国連査察団の調査結果が報告されました。報告では、イラクが大量破壊兵器を持っているという決定的証拠は示されませんでした。同時に、イラクの査察への協力が必ずしも完全でないことも指摘されています。
 国際原子力機関のエルバラダイ事務局長は、我々の仕事は着実に進展しており、査察は継続されるべきだと述べ、今後、数か月以内にイラクに核兵器開発計画が存在しないという信用に足る確証を提供できるはずだと表明しています。せっかく核がないことが証明されようとしているときに武力攻撃をすれば、核開発問題の検証を永久に不可能にしてしまうことになるではありませんか。
 今、重要なことは、査察という手段を必要で十分な時間を取って継続し、それを強化して、国連の枠組みの中でこの問題を平和的に解決するために引き続き国際社会が努力を強めることであります。これは世界の多くの国々と人々が強く望んでいることであります。
 総理、日本政府もこうした立場に立った外交を積極的に展開すべきだと考えますが、いかがですか。
 私たちは、イラクが国連決議を無条件で遵守することを強く求めるものであります。同時に、米国に対して、国連を無視した一方的な武力行使の計画を放棄することを強く求めるものであります。
 ところが、ブッシュ大統領は、二十八日の一般教書演説の中で、イラクが大量破壊兵器を廃棄しないなら、友好国を率いて武装解除すると述べました。国連が査察によって大量破壊兵器の存在の有無を検証する努力を行っているさなかに、一方的、独断的に大量破壊兵器を保有していると決め付け、国連を無視した一方的な軍事力行使を公言する米国の態度は、国際社会が取り組んでいる査察による解決への努力を妨害するものであります。国連憲章、国連決議を無視するものであり、絶対に許されないことだと思いますが、総理の見解を伺いたい。
 世界の平和にとっての大問題にもかかわらず、総理が施政方針演説の中でイラク問題について触れたのはわずか二行半でした。しかも、イラクに国連決議の無条件、無制限の履行を求めるだけで、アメリカのイラク攻撃に反対するとは一言も述べませんでした。それどころか、一月三十日の予算委員会では、軍事的圧力を掛けることは必要とさえ述べました。イラクに国連決議を誠実に守ることを要求するのは当然であります。全世界がそれを求めています。同時に、世界は、アメリカも国連憲章や国連決議を守れと迫っているのです。なぜ総理はそれを言えないのですか。
 この間、我が党の代表が中国、中東諸国、南アジアの国々を訪問しましたが、どの国の政府も、国連憲章を守り、イラク問題の平和的解決を強く求めていました。アメリカの同盟国からもイラク攻撃反対の声が巻き起こっています。イギリスでの世論調査によれば、八四%が新たな国連決議なしにイラクを攻撃することに反対しています。四三%がいかなる状況下でもイラクとの戦争に反対しています。おひざ元のアメリカでも反戦運動が高まっています。戦争が始まる前にこれだけの規模で戦争反対の声が巻き起こったのは、歴史的にも初めてであります。
 総理、国際社会と協調しつつ外交努力を継続するというのなら、こうした平和の流れに合流することこそ、憲法九条を持つ国の政府が真っ先にやらなければならないことではありませんか。
 仮定の話などとして態度表明を回避してはなりません。アメリカは一方的な武力行使を公言し、現に大量の部隊を展開しているのです。国連を無視したアメリカの一方的な武力行使に反対し、それへの一切の協力を拒否することを明言すべきではありませんか。
 国連によれば、もしイラクへの攻撃が行われれば、初期段階で直接の被害者が十万人、間接の被害者が四十万人、合計五十万人の被害者が生まれ、国内避難民は二百万人に上ると予測しています。
 総理は戦争によるこうした被害を考えたことがありますか。あなたは、多くの罪なき市民の命を奪い、傷付ける武力攻撃は絶対にやってはならない、そのために日本も力を尽くすべきだと考えるのか、それとも、場合によっては罪なき市民の命が奪われてもやむを得ないと考えているのか、国民の前にはっきりと答えてください。
 国際的紛争、とりわけ核兵器など大量破壊兵器に関する問題は人類の生存と地球の存続にかかわる大問題であり、戦争ではなく平和的手段で解決されなければなりません。
 アメリカの同盟国を含む世界の多くの国々がイラク問題や北朝鮮の核開発問題などについてその平和的解決のために力を注いでいるときに、イージス艦の派遣や有事法制など軍事的対応のみに憂き身をやつす日本政府の姿は、世界の流れに逆行するものと言わざるを得ません。
 今こそ、国民の声にこたえ、有事法案を廃案にするとともに、憲法に基づく平和の外交に転換することを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 市田議員にお答えいたします。
 暮らしと経済の危機的状況への認識についてでございますが、雇用情勢は厳しく、自殺の増加といった事態については誠に痛ましいことと認識しております。
 日本経済は、世界的規模での社会経済変動の中、単なる景気循環ではなく、複合的な構造要因による景気低迷に直面しているものと考えます。また、不良債権や財政赤字などの負の遺産を抱え、世界的な株価低迷の中で戦後経験したことのないデフレ状況が継続しているなど、厳しい内外経済環境が生じていると認識しております。
 小泉内閣は、大胆な構造改革を進め、二十一世紀にふさわしい仕組みをつくることによってこそこうした状況を打破し、我が国の再生と発展が可能となるとの認識の下、デフレ克服を目指しながら改革を推進し、経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応するという一貫した方針で経済運営に当たってまいりました。
 今後とも、金融、税制、歳出、規制などの改革の取組を更に加速させ、日銀と一体となってデフレ克服に取り組むことにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図り、日本経済を再生させていくことが私に課せられた責務であると考えております。
 医療費の患者負担の引上げや社会保障制度改革に伴う負担増の経済に与える影響についてのお尋ねでありますが、今回の改正は、中長期的には医療保険制度の持続可能性を高め、全体として将来の国民負担の増加を抑制するものであり、国民全体にとってプラスになるものと考えています。
 また、自己負担の引上げに当たっては患者負担に一定の歯止めが設けられており、特に低所得者については自己負担限度額を据え置くなどの配慮がなされており、必要な医療が抑制されることはないと考えております。
 社会保障を賄う財源は、保険料、税金、利用者負担のいずれであっても国民の負担であることに変わりはありません。社会保障制度を将来にわたって持続可能で安定的なものとしていくためには、給付と負担の見直しを始めとする制度改革が不可欠であると考えております。
 なお、当面の景気との関係については、個々の負担増のみを取り上げて議論するのではなく、社会保障給付の拡大等のプラスの側面や先行減税の効果なども含め、総合的に考えるべきものと思います。
 いずれにしても、政府としては、今後とも、デフレを克服しながら民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図っていく考えであります。
 税制改革について、大企業・資産家減税を行い、庶民増税を行うものでないかというお尋ねでありますが、そうではございません。
 今般の税制改革におきましては、相続税、贈与税の一体化により、相続税が課税されないと見込まれる多くの個人についても住宅取得資金を始めとする生前贈与が行われやすくなること、金融・証券税制の見直しは一般の個人投資家にとり預貯金を中心とした資産運用から株式市場への投資参加がしやすくなること、土地流通税の大幅軽減は土地建物を取得する個人の税負担を軽減することなど、様々の減税措置を講じることとしており、これらの措置は資産家のみならず広く個人を対象とするものであります。
 さらに、研究開発・設備投資減税や中小企業税制に係る措置についても、二十一世紀をリードする戦略分野への投資による産業の競争力強化や中小企業の経営基盤の強化を通じて雇用の拡大につながるなど、大企業のみならず、中小企業や個人に広く恩恵を及ぼすものと考えております。
 また、個人所得課税、酒税、たばこ税、消費税の免税点制度の見直しは、税負担のゆがみの是正や制度の透明性の向上を図るなど、国民が広く公平に負担を分かち合うとの基本的考え方によるものであります。
 このように、それぞれの措置は持続的な経済社会の活性化に資するあるべき税制を構築する観点から一体として行うものであります。
 不良債権処理と中小企業金融の問題についてでございますが、不良債権処理の加速は、金融機関の収益力改善や貸出し先企業の経営資源の有効活用などを通じて、新たな成長分野への資金や資源の移動を促すことにつながるものであり、他の分野における構造改革と併せ実施することにより、日本経済の再生に不可欠なものと認識しております。
 政府としては、こうした認識に立って、平成十六年度に不良債権問題を終結させることを目指し、金融再生プログラムを策定し、現在、着実に実施しているところであります。
 あわせて、不良債権処理の加速に伴う影響にも細心の注意を払い、中小企業への円滑な資金供給を確保するためのセーフティーネット対策を取りまとめ、着実に実施に移しているほか、金融機関に対し中小企業への資金供給の一層の円滑化を繰り返し要請しているところであり、引き続き、やる気と能力のある中小企業への資金供給については万全を期してまいります。
 雇用情勢についてのお尋ねでありますが、雇用情勢については引き続き厳しい状況が続いておりますが、政府としては、不良債権処理の加速などに伴う雇用への影響には十分配慮することとし、平成十五年度当初予算及び平成十四年度補正予算において、早期の再就職の支援など雇用のセーフティーネットについて万全を期したところであります。
 長時間労働の抑制、解雇ルール及び雇用保険制度の見直しについてでございますが、長時間労働を抑制していくことは重要な課題と認識しており、政府としては、労働基準法の遵守徹底を図るとともに、所定外労働の削減等に重点を置いて、政府目標である年間総実労働時間千八百時間の達成、定着に向けて取り組んでいるところであります。事業所においても、長時間労働を前提としない業務計画及び人員計画を作成するなどの工夫が行われることが重要であると考えております。
 解雇ルールについては、労働基準法の改正法案を今国会に提出する予定でありますが、これは解雇をめぐるトラブルの防止、迅速な解決に資するため、最高裁の判例で確立している解雇ルールを法律に明記することなどを内容とするものであります。
 雇用保険制度の見直しについては、この制度が失業中の生活の安定と再就職の促進を図ることを目的としていることなどを踏まえ、失業給付の水準について再就職時の賃金との関係を考慮した見直し等を行うものであり、適切な措置であると考えております。
 都市基盤整備公団の賃貸住宅での家賃滞納による強制執行についてでございますが、都市基盤整備公団の賃貸住宅において家賃の滞納が生じた場合には、通常、居住者との交渉を継続しながら督促や契約解除の予告等を行い、なお滞納が続くときに訴訟を提起し、その判決を受けて明渡し請求をすることとしております。また、これらの対応に当たっては、必要に応じて公営住宅申込窓口の紹介や福祉事務所との連携を行うなど、機械的な処理にならないよう、個別の生活事情を勘案しているところであります。
 歳出の優先順位についてのお尋ねでありますが、歳出改革の一層の推進を図るとの基本的な考えの下、十五年度予算におきましては、活力ある社会、経済の実現に向けて、経済活性化や将来の発展につながる分野に重点的に配分することとしたところであります。
 防衛関係費については、災害派遣能力の充実や防衛力の質的な向上等の重要課題にこたえつつ、効率的で節度ある防衛力整備を行うこととし、前年度予算から〇・一%削減し、約五兆円となっております。
 公共投資関係費については、公共投資全体の規模について、前年度予算から三%以上削減した約八兆九千億円としつつ、都市の再生や地方の活性化など、雇用、民間需要の拡大に資する分野へ重点配分を行っております。
 社会保障予算については、安定的、効率的な社会保障制度を構築する観点から、年金等の物価スライド、雇用保険制度改革等を行うとともに、少子高齢化や厳しい雇用情勢等に対応するための各般の施策を推進することとしており、一般歳出を厳しく抑制する中、その予算規模は約十九兆円で、その伸びはプラス三・九%と大きなものとなっております。
 市町村合併についてでございますが、市町村合併は市町村や地域住民が自主的、主体的に取り組むことが重要であります。また、自民党総務部会の中間報告や第二十七次地方制度調査会の西尾私案についても、それぞれの場において議論のたたき台の一つとして活用されるものと期待しております。
 特定寄附を受け取っていたのではないかとの報道についてのお尋ねがありました。
 私が代表を務める自民党支部に対する寄附についての報道がございますが、この寄附は特定の選挙資金ではなく、一般的な政治活動資金として受け取ったものであると承知しております。これについては、政治資金規正法に沿って適正に処理がなされております。
 自民党の企業献金に対する姿勢についてのお尋ねでありますが、自民党長崎県連の浅田前幹事長らが公職選挙法及び刑法違反容疑により逮捕された事件については、現在、当局において捜査中であります。
 自民党においても本件について調査を開始したところであり、できるだけ早く調査することが必要であると考えております。自民党としては、今回の事件を重く受け止め、必要な対応につき検討を進めてまいりたいと考えております。
 公共事業受注企業からの献金禁止についてのお尋ねがありました。
 公共事業受注企業からの献金については、野党各党から改正法案が既に国会に提出されている一方、自民党において現在検討が進められているところであり、一歩でも前進するような措置を講じたいと考えております。
 自民党の政党助成金についてのお尋ねと、政党交付金を廃止すべきとの御指摘がありました。
 政党が政党活動をするために財政をどのように運営するかについては、それぞれ政党によって違ってくると思います。政党助成金制度は、言わば民主主義のコストというべき政党の政治活動の経費を国民全体が負担するものであり、民主主義の発展に重要な意義を持つと考えております。
 いずれにしても、御指摘の点については各党会派において議論していただくべき問題と考えております。
 イラクに対する国連査察の継続及びイラク問題の平和的解決についてのお尋ねでありますが、イラクが査察に対して十分に協力していないというのが国際社会の一致した認識であります。
 イラク問題の解決のためには、安保理を始め国際社会が協調して毅然たる態度を維持し、イラクが査察に全面的かつ積極的に協力するよう求めることが何より重要であり、我が国としてその外交努力を継続してまいります。
 また、アメリカに対しまして、私もブッシュ大統領に対し、米国が構築してきた国際協調を維持することが重要であるということを繰り返し述べております。
 イラク問題をめぐる我が国の態度についてのお尋ねでありますが、米国は対イラク軍事行動を決定したとは言っておりません。また、我が国は米国より具体的な支援要請も受けておりません。我が国としては、査察の状況、安保理の議論等、今後の事態の推移を注視して対応を判断してまいります。
 イラク攻撃のもたらす被害についてでございますが、重要なことは、イラクが査察を単に妨害しないだけでなく、自ら能動的に疑惑を解消し、大量破壊兵器の廃棄を始めとするすべての関連安保理決議を誠実に履行することです。それが実現できれば平和的解決が達成されることができるわけでありまして、このことが最も望ましいと考えております。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
○議長(倉田寛之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。平野貞夫君。
   〔平野貞夫君登壇、拍手〕
○平野貞夫君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表しまして、政府の施政方針をただしたいと思います。
 小泉総理は、就任以来、およそ七つのことを国民に公約しました。八月十五日の靖国神社参拝、国債発行三十兆円枠、二、三年での不良債権処理完結、一内閣一閣僚、特殊法人ゼロ、ペイオフ実施、二〇〇四年の景気回復の七つであります。
 総理は、衆議院で公約が実行されていないことを追及され、この程度の約束、大したことないと反論しました。国民に謝罪し取り消すようとの要求に対して、一回言ってしまって撤回してもしようがないと開き直りました。
 国会の発言は会議録が公式なものです。これを放置し、けじめを付けないことは、反省のない証拠でございます。約束をないがしろにしては議会政治は成り立ちません。議会民主政治を冒涜した態度に強く抗議しておきます。
 さて、今年はひつじ年です。羊という字ににんべんを付けますとイツワルと読みます。七つの公約はすべて偽りにならんとしています。また、先日の施政方針演説は羊頭を掲げ狗肉を売る内容で、小泉内閣の偽りを証明するものでした。
 しかし、羊の下に我という字を書きますと義、すなわち人間の行うべき正しい筋道という意味になります。偽りの小泉政治を続けるのか、小泉政治を退陣させ、正しく筋道のある政治に生まれ変わるのか、それを決めるのは有権者一人一人です。日本国憲法は国民主権が原理です。国民の皆さんの良識で政権を交代させることができるのであります。
 それでは、まず、小泉総理の議会政治に対する不見識さについて責任をただしておきます。
 昨年暮れ、慌ただしく野党第一党の民主党を離党し保守新党を結成、小泉政権の与党となった人たちの行動は議会民主政治を破壊させるものです。サッカーに例えるなら、野党チームのゴールキーパーをやっていた選手が試合中に与党チームに移り、コーチになったと同じことです。これでは議会政治は成り立ちません。
 しかも、与党に移るとき、それまで政敵としてののしってきた政権や政党や宗教団体に対して謝罪をしました。政治理念を謝罪することは自己を否定することであります。文明社会では政治家として存在することは許されません。これを容認する日本社会では、民主政治が行われているとは言えないと思います。
 総理、あなたは、この衆議院野党第一党の国対委員長であった人物を、医療費の値上げなどで内閣、与党の手先として利用し、快く政権に迎え入れました。このあなたの思想と行動こそ不見識であり、議会民主政治を否定するものにほかなりません。一連の事態で政治不信は増大しました。あなたはどう責任を感じているか、御所見を伺います。
 なお、国会改革連絡会では、現在の国会の諸制度と在り方が我が国停滞の根本原因であると考えています。少数者の意見表示権の保障など抜本改革案を改革協議会に提案しています。これらの実現について各会派の協力を要請しておきます。
 次に、小泉総理、現代の世界の混迷、殊に我が国の政治、経済、社会の荒廃、停滞状況の解決にあなたがどのような思想で臨もうとしているのか、お伺いします。
 今日の内外の混迷の根本原因を私は産業工業社会から情報技術社会への移動期に生じる混迷だと認識しております。歴史上、何回か人類が文明の移動期に体験した混迷と同質だと思います。現代は、資本主義や民主主義が解体するかもしれない激しい変化の時代でございます。同時に、物質的豊かさしか求めなくなった人間の在り方が問われている時代です。
 日本の混迷の原因に二つの側面があります。
 一つは、資本主義の変化に伴う混迷です。したがって、近代資本主義社会でつくられた景気循環論やインフレ・デフレ論といった経済学者の知識だけでは対応できない国家、社会の構造問題があります。もう一つは、この歴史的変化に伴い、当然に行うべき改革を怠り、政官業の癒着によってつくられた不公正な既得権にこだわり続けた自民党政治の失政、すなわち誤った政策判断であります。特に、今日の深刻な不況は小泉総理のつくった人災と言えます。
 十年前の平成五年、自民党幹事長を経験した小沢一郎氏が「日本改造計画」を提言しました。情報技術社会への移行と米ソ冷戦終結に伴う世界政治の変化に対応するため、国の仕組みと日本人の意識改革を行うべきであるというものでした。これを実現しようと政界再編が起こり、非自民政権がいったんはできましたが、歴史の流れにさおを差す抵抗勢力によって葬られました。
 小泉総理、あなたは抵抗勢力の温床である自民党を壊すと叫んで国民の期待を集めました。しかし、結局は抵抗勢力に後方支援され、改革という名で五五年体制の政治がつくった不公正で無責任な既得権の再編と再配分を行っているのが実態です。その結果が今日の政策破綻の惨状であります。私たちの構造改革とは方向も手法も違います。思想と歴史観のない改革は物まねの幻想です。小泉改革は幻想にすぎません。いかがですか、小泉総理、御所見を伺います。
 次に、当面の経済再生と構造改革について申し上げます。
 平成十五年度には四兆円に近い負担増が国民にのし掛かります。医療費、介護保険料、雇用保険料等の値上げ、年金の減額、配偶者特別控除の廃止、発泡酒、たばこ等の大衆課税増です。経済の混迷を一層深刻化させます。やめるべきです。
 現在の日本経済を船に例えますと、一見豪華客船のようですが、船底に大穴が空いて海水が流れ込み、死者が続出という状態です。特等客室付近ではライオン髪の船長が大したことないと放言し、政権与党の政治家や官僚、企業の勝ち組によるパーティーが連夜開かれ、船長さんもオペラや歌舞伎を楽しんでいます。船底の悲鳴や異変に気が付いても、船長さんは、痛みをこらえればよいと言うだけです。この状況を放置すれば船は傾き、やがて沈みます。船底の人たちを救助し、排水して、救命具の確認、船の修理など、あらゆる準備が必要になっているのが今日の日本経済の状況です。
 小泉総理、あなたは施政方針演説でデフレ克服に政策を総動員して取り組むと言いながら、何一つ具体的方針を示していません。この私の例えにどのような感想をお持ちですか。また、日本経済の再生にどのような方針で臨むのか、伺います。
 日本経済の再生のため、不況、財政赤字、不良債権、これを解決しなければならないことはそのとおりです。小泉・竹中路線は、米国の不良債権ビジネスの手先のようになって、不良債権と財政赤字問題を優先させ、緊縮財政を続け、金融の処理により企業をつぶすことが改革だと勘違いしていることには大いに異論があります。
 日本丸の小泉船長は、竹中航海長に対策を丸投げし、悲鳴の聞こえる海水であふれた船底全体にふたをし、日本の経済再生に欠かせない中小企業の人たちを封じ込めようとしているのであります。
 不良債権によって身動きの取れない企業や個人が確かにいます。しかし、経済全体で見ると二割程度だと思います。残りの八割程度は身動きが取れ、経済再生に役立つ人たちなんです。この部分に政策が適切に働き掛ければ、二、三%の経済成長は可能なんです。それにより経済の体力ができます。体力が付いたところで病状を判断して、不良債権という患部を取り除くべきです。不況の回復こそ優先すべきだと思います。
 財政赤字は、日本再生への国家ビジョンを提示し、経済を回復させ、再建計画を策定し、実行に移し、日本国の信用を回復させることで十分対応できます。日本丸の船底で悲鳴を上げている人たちを救助し、船底の穴を修理して海水を取り除き、船全体の構造を見直すことが正しい手順ではないかと思います。竹中大臣の御所見を伺います。
 あわせて、平成八年の住専問題で紛糾した際、金融機関等の不良債権を処理しようという政治合意がありました。なぜできなかったのか、金融担当大臣として当時の事情をどのように認識されているか、伺います。
 次に、真の構造改革とは何かについて申し上げます。
 国のかたちを変えることです。そのためには、改革の目標と改革した後の国家ビジョンを国民と世界に示すことが必要です。小泉改革はそれができません。施政方針演説で他人の功績を長々と語る暇があれば、国家ビジョンを示すべきです。小泉政権でそれをつくろうとすれば、自民党は解体するでしょう。したがって、既存の制度に接ぎ木をしたり、道路公団問題は閣内不一致などのごまかしをやり、独立行政法人のような官僚の焼け太りを平気で許したり、産業再生機構など自民党の新しい利権の踊り場をつくったり、より悪い制度づくりを改革と称しているのです。無定見、無責任としか言えません。
 私たちの提案する真の構造改革とは、第一に、官と民の関係を変えることです。天下り制度を廃止し、地方に権限と財源を移し、住民自治に基づく地方分権、いや、地域主権を確立することです。そして、自治体の適切な統合により新しい地域コミュニティーをつくり、中小企業を育成し、農漁村を活性化させ、都市との調和を図り、食の安全を始め、幸せな暮らしを確保することです。
 第二に、民間の事業活動の規制を取り除き、公正なルールの下で競争を促し、活力を引き出すことです。また、特殊法人と独立行政法人をいったん廃止し、全面的に見直すべきです。
 第三に、財政資金の公正、適切な配分です。例えば、補助金を一括交付金にすることで陳情政治が廃止できます。公共投資の問題は、抵抗勢力がねらいとする利権の温床となってはいけません。丸投げ、口利き、今年も相変わらず自民党長崎県連などが問題になっています。徹底的な究明が必要です。自民党政治を維持するため、日本列島全体にわたって公共投資などからピンはね、還流させる資金は、裏と表で十数兆円に上ると推測されます。最近の国会は税金を裏金にする機能になり果てたのです。これらの不正を排除し、根本的な仕組み替えを断行すれば、十五兆円以上の無駄遣いの節約が可能で、財源ができます。
 第四に、その財源を活用して歳入構造を改革し、官が国民所得をコントロールして配分する仕組みを変え、所得税、住民税を半減させるなど、民間の取り分を増やし、新しい技術や産業を活性化させ、雇用を増やし、自由な企業活動やNPO活動ができるシステムをつくることです。
 第五に、さらに基礎年金、介護、高齢者医療などの基礎的社会保障は、保険料をやめ、国の責任で整備し、その上で公正なルールの下で自由に競争できる社会をつくることです。少子高齢化に対応する社会保障の整備は単なる福祉政策であってはなりません。社会政策、経済政策と位置付けることで安心した社会ができるのであります。これらにより創造的自由主義社会をつくることができます。
 この創造的自由主義国家は、地球環境保全という普遍的原理の下で健全な市場経済を機能させ、人間が生きていくために一定の結果平等を保障し、自立した国家として官僚の政治主導を排し、国民を代表する立法府優位を確立し、国連を中心に人類と地球のため自覚と責任を持って貢献することを理念とします。このような国家社会目標に基づいて真の構造改革に着手してこそ、不況、財政赤字、不良債権が解決できるのです。総理、この考え方について御所見を伺いたい。
 次に、教育の在り方について申し上げます。
 最近、教育基本法の改正について議論が活発になっていますが、総合的で根本的議論が必要であり、短絡な結論は避けるべきであります。
 現行教育基本法は人類の福祉と個人の価値が力説されております。大切なことだと思います。しかし、私としては、人類の類と個人の個をつなぐ種の役割が欠落していると思います。種とは、人間が社会的動物であるがため欠かせない家庭や郷土や社会共同体であります。これらは青少年にしつけを通じて人間形成を学ばせる欠かせない場です。この部分の補完が必要だと思います。
 特に必要なのは義務教育です。私たちの考え方は、基礎学力を重視し、日本人の伝統的な資質をはぐくみ、人間の尊厳を守り、次の時代を担い得る善き日本人を育てることであります。そのために、官僚支配の教育行政を改革し、柔軟で民主的運営を図るため、地域に教育オンブズマン制度を設け、義務教育に要する経費はすべて国が責任を持つべきであります。また、教師は次の時代の日本人を育てる崇高な職務であり、その地位と名誉を国が保障すべきであります。総理の御所見を伺います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、安全保障について申し上げます。
 総理、あなたは、最近自衛隊員の自殺が増加し、特に小泉政権となってから急増している事実を知っていますか。
 長期不況の中、退職年限の早い隊員の再就職が極めて困難になっていることなどが原因の一つと言われていますが、根本の問題は、自衛隊の憲法上の地位をあいまいにしているからであります。テロ特措法、有事法制論議を通じて、自衛隊が専守防衛から日米安保条約を超え、憲法を無視し、米軍支援のため中東周辺までなし崩しに国際活動を行う方向に移りつつあることに対する不安があるからだと思います。
 混迷する国際情勢であるからこそ、安全保障、とりわけ自衛隊の活動と役割を憲法上明確に位置付け、自衛官が自信と誇りを持って職務を遂行できる体制をつくることが国家の責任だと思います。総理の御所見を伺います。
 緊迫するイラク情勢や北朝鮮問題についてお尋ねします。
 総理、あなたの親友であり、キリスト教原理主義者のブッシュ大統領に、イラクを先制攻撃すべきでない、性急な攻撃は結果においてテロとの戦いにとって得策でないと進言する気はありませんか。アメリカの良識を復元すべきだ、歴史に汚点を残すなと忠告すべきです。いかがですか。
 そこで、確認しておきますが、米国がイラクを先制攻撃した際、テロ特措法を適用しますか。アルカイダがイラクにいることが証明されたとき適用すべきだと言う与党首脳がいますが、いかがですか。また、米国はイラク攻撃の戦費の捻出や復興支援について何を要請してきているのですか。それにどう対応するのか、国民の前に明らかにしていただきたい。総理の答弁を求めます。
 ところで、北朝鮮問題ですが、総理、あなたは昨年の経過からすれば世界の政治家の中で最も貴重なポジションにあります。ブッシュ大統領とは親友で、金正日総書記とは友好を誓い合ったばかりの仲でしょう。三人で会談しようと呼び掛けてみたらどうですか。やれないでしょう。なぜか。日朝平壌宣言が付け焼き刃でまやかしであり、宣言が事実上ほごにされているからです。
 今日の北朝鮮問題混迷の原因は、小泉総理が、落ち込んだ世論調査の支持率を上げるため、拉致問題と経済援助を政治的に利用したことにあります。靖国神社参拝を自民党総裁選挙対策として利用したことと同じ手法であります。
 あらゆる事態に対して真剣に対応を考えておかなければなりません。総理、朝鮮半島で混乱が起これば、それだけで日本列島内部に波及する問題は深刻です。既に日本に潜行している工作員がいかなる行動を取るか、武装難民が押し寄せてくればどう対応するのか、これらについて状況をどうとらえ、いかなる方針で臨むかを明らかにしていただきたい。
 次に、エネルギーの安全保障についてお尋ねします。
 日本の長期不況の心理的要因の一つに、将来の資源確保についての不安があります。経済産業大臣に伺いますが、これから二十年間の我が国のエネルギー資源の確保はどのような方針で行うのか、お聞かせください。
 あわせて、最近、日本近海の南海トラフ周辺でメタンハイドレートの埋蔵が確認されました。環境に優しいエネルギー資源として、また燃料電池自動車用の水素として活用が期待されています。どのような計画で開発していくのか、計画が実現したとき日本のエネルギー資源はどのような状況になるのか、見通しをお伺いしたい。
 次に、医療問題について伺います。
 医療の基本は未病を治するということです。これは東洋医学の理念です。政府が見捨てている東洋医学の知恵と効用を社会的にも制度的にも積極的に取り入れることで医療費の抑制にも役立つと思いますが、厚生労働大臣の所見を伺います。
 また、昨年、強行採決で成立させた医療費等の値上げが国民生活を直撃し、不況が深刻化しています。凍結すべきだと思いますが、いかがですか。
 最後に申し上げたいことは、小泉改革の欺瞞性についてであります。
 かつて我が国を支配していたのは、政官業と言われる三角形の癒着構造でした。小泉自公保政治に新しい五角形癒着構造ができ上がっていることを国民の皆さんに知っていただきたい。それは、再編、変質した政官業にプラスすること、とにかく政府権力に弱い御用学者と御用メディアの五角形です。この人たちは日本を変えたくないんです。これが小泉政治の偽りの改革を国民に本物のように錯覚させる正体です。
 総理、あなたはナマズのほっかぶりという山梨県のことわざを知っていますか。大きな口しか見えないことです。大言、放言、口先、そして口利きという意味です。あなたと自民党の政治そっくりです。改革を断行するというのは口先だけで、口利きで生きる抵抗勢力と与野党ごっこをしながら、改革と称して五五年政治体制既得権の再編をやることをやめていただきたい。このままだと日本丸を沈没させるだけです。
 日本は決して希望のない国ではありません。古来から世界の様々な文化を取り入れ融合し、独自の文化をつくり上げてきました。勤勉な人たちも多く、世界をリードする先端技術にも優れたものがあります。将来、メタンハイドレートという新しい資源の開発も期待されます。これらの技術や資源を国民の幸せに生かすためには、健全な市場経済と国民が主人公の公正な国家、そして私欲を超えて助け合う社会を是非ともつくらなければなりません。
 今、何よりも大事なことは、日本国停滞の根本原因である自民党の五五年体制政治文化を解体することであります。そのため、一日も早い小泉総理の退陣を求め、終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 平野議員にお答えいたします。
 野党第一党の国対委員長を与党に迎え入れたことの責任についてのお尋ねでございます。
 様々な意見は国会議員それぞれお持ちだと思います。しかし、私は、小泉内閣の方針を支持し協力している方々の勢力とは力を合わせて改革を推進していきたいと考えております。今後とも、この改革に対しまして協力してくれるという自民党、公明党、保守新党の与党三党は結束して改革に取り組んでくれるものと信じております。
 政策が破綻し歴史観が欠如しているのではないかという御指摘でございますが、戦後の日本の目覚ましい経済発展は先人たちの知恵と工夫による優れた社会の仕組みによって支えられてきましたけれども、これが現在、必ずしも今後の経済社会にふさわしいかというと、なかなかそうでもないと思っております。持続的な経済成長を実現するためには、もろもろ成功したかもしれない構造もあえて改革しなきゃならない時期に来ておるのではないかと思っております。
 こういう認識の下に、就任以来あらゆるいろいろな改革に取り組んでまいりましたが、今後も様々な考え方、意見、各政党、各会派によって違うと思いますが、できる限り多くの方が小泉内閣の方針に賛成してくれるよう期待しつつ、懸命に取り組んでまいりたいと思います。そして、我が国の経済と社会の再生に向けて、今後とも不断の努力をしていきたいと思っております。
 日本経済の再生に向けた方針についてお尋ねがございました。
 私は、デフレ克服を目指しながら構造改革を進める以外に今の日本の経済は再生できないという認識の下に政策運営に当たっております。経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応するという一貫した方針の下に、この基本方針は全く変わっておりません。
 政府としては、十五年度予算において、厳しい財政状況の中、セーフティーネットの充実に配慮し、雇用の創出や将来の発展の基盤となる分野に重点配分を行うとともに、国、地方合わせて一兆八千億円の減税を先行させるなど、先般成立した十四年度補正予算と併せ、経済活性化に向け両年度を通じて切れ目ない対応を図ることとしたところであります。また、都市再生や構造改革特区などの規制改革を積極的に推進し、その取組は目に見える形で動き出しているところであります。
 今後とも、日銀と一体となってデフレ克服に取り組みつつ、金融、税制、歳出、規制、この四本の柱の改革を一体的かつ総合的に実施することにより、痛みを乗り越えながら民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指してまいります。
 真の構造改革に着手して、不況、財政赤字、不良債権を解決すべきとのお尋ねでございます。
 小泉内閣の構造改革が目指すのは、簡素で効率的な質の高い政府の下に、自助と自律の精神で、国民一人一人や企業、地域が持っている潜在力を自由に発揮できる、活力ある民間と個性ある地方が中心となった社会の実現であります。
 このため、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にとの方針の下に、公的部門の無駄を省き、将来世代の負担を抑制するため、歳出全般にわたる徹底した見直しを行う一方で、成長の見込まれる分野に重点的、効率的に資金を配分するとともに、あわせて、金融システム改革、構造改革特区を始めとした規制改革などを進めることにより、活力ある経済社会の実現を目指しているところであります。今後とも、活力ある経済社会の実現に全力を挙げて政府としては取り組んでいく考えであります。
 教育改革についてでございますが、これからの教育におきましては、子供たちの確かな学力と豊かな心を育成し、勇気を持って新しい時代に立ち向かう人間を育てることが重要であり、このため、画一と受け身から自立と創造へと教育の在り方を転換し、教育改革の推進に努めてまいります。
 義務教育は、憲法の要請により、すべての国民に対し必要な基礎的資質を培うものであり、その実施に当たっては、国と地方が適切に役割を分担しながら円滑に実施していくことが重要であると考えております。
 また、教育が保護者や地域の期待にこたえ、地域の創意工夫を生かしたより良いものとなるよう、保護者の参加や情報公開の推進等による教育委員会の活性化に取り組むとともに、教えるプロとしての教師の育成のため、研修の充実や適切な評価と処遇への反映に努めてまいります。
 自衛隊についてでございますが、自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力組織として憲法上認められるものであるとの理解は、私は多くの国民に定着してきていると認識しております。
 自殺はいずれの場合も本人及び御家族にとって大変不幸なことではありますが、生命を賭して侵略を排除する任務を有する自衛隊員が誇りを持つことができるよう、待遇その他良好な勤務環境を整備することが重要であると考えております。
 イラクをめぐる米国との関係についてでございますが、重要なことは、イラクが査察を単に妨害しないだけでなく、自ら能動的に疑惑を解消し、大量破壊兵器の廃棄を始めとするすべての関連安保理決議を誠実に履行することであります。そのために、安保理を始め国際社会が協調して毅然たる態度を維持する必要があり、かねてより私はブッシュ大統領に対し、米国が構築してきた国際協調を維持することが引き続き重要であると述べております。
 米国がイラクに対して武力を行使した場合のテロ対策特措法の適用についてでございますが、このテロ対策特措法は平成十三年九月十一日のテロ攻撃による脅威を除去するために活動する外国軍隊等を支援することを目的としております。
 米国はイラクに対して武力を行使するとの決断はしていないと承知しております。その上で、あえて一般論で申し上げれば、米国を含めて国際社会はイラクに対して大量破壊兵器の完全廃棄を求めており、平成十三年九月十一日のテロ攻撃の関連が主たる問題とされているわけではございません。こうした観点から、イラクに対して武力を行使する場合にテロ特措法に基づいて我が国が支援を行うということは、状況に大きな変化がない限り考えにくいと認識しております。
 イラク問題をめぐる我が国に対する要請についてでございますが、米国とはあらゆるレベルにおいて率直な対話を行っており、イラクが国連安保理決議を履行することを確保するため、国際的連帯の下、日米両国が緊密に連携していくことを確認してきています。しかし、米国は対イラク軍事行動を決定したとは言っておらず、また米国より具体的な支援要請は受けておりません。
 朝鮮半島の混乱が我が国に及ぼす影響への対応についてでございますが、政府としては、我が国の安全に重大な影響を与える様々な緊急事態に的確に対応、対処することが必要であり、不断の注意を怠らないとともに、態勢の整備に一層努めてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹中平蔵君) 平野議員から二問質問をいただきました。
 景気回復を優先した政策運営を行い、景気が回復した後に構造改革を進めるべき手順についての御指摘でございます。
 この点は、先ほど総理がお答えしたとおりだと思っております。日本経済の再生のためには、デフレ克服を目指しながら構造改革を進める以外に道はないというふうに認識をしています。これまでも、改革を推進して、経済情勢に応じて大胆かつ柔軟に対応するという一貫した方針で経済運営に当たっております。
 まずは、金融、税制、歳出、規制の四本柱の改革をしっかりと進める、その上で需要管理は需要管理としてしっかりと行っていく。十五年度予算において先行減税を実施した、十四年度の補正予算において合計三兆円の予算措置を講じた等々にそういうところが表れているわけでございます。
 今後も、このような方針でマクロ経済の運営を続けることが必要であるというふうに思っております。
 二点目は、平成八年当時における不良債権をめぐる状況についてのお尋ねでございました。
 当時においては、住専問題が金融機関の不良債権問題における象徴的かつ喫緊の課題であったために、その解決に注力する一方で、不良債権処理の一般的手法についても、いわゆる金融三法による制度整備が行われたと認識しています。
 したがいまして、当時においても、金融機関の不良債権問題は行政の重要な課題であったと認識され、対応が検討されていたのでありますけれども、不良債権のディスクロージャーが国際的に比較可能な基準、いわゆるSEC基準に基づいていなかったこと等の理由から、金融機関の不良債権の全貌が把握されるには至っていなかったというふうに考えております。また、こうした背景には、当時、地価の下落や経済情勢の先行きがそれほど深刻に考えられていなかったという背景もあろうかと思います。
 しかしながら、その後は、大手の金融機関の破綻の発生や経済停滞の長期化を背景に、不良債権のディスクロージャーの充実、金融検査の厳格等の累次の施策を講じ、金融機関の不良債権の状況を厳しく認識するようになってきたというふうに認識しております。
 言うまでもなく、平成十六年に不良債権問題を終結させることを目指し、昨年十月に金融再生プログラムを取りまとめておりまして、現在、本プログラムの施行等を着実に実施しているところであります。
 いずれにしましても、こうした施策によりまして、我が国の金融システムと金融行政に対する信頼を回復し、構造改革を支えるより強固な金融システムを構築していきたいというふうに考えております。(拍手)
   〔国務大臣平沼赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 平野議員にお答えをさせていただきます。
 まず、エネルギーの安全保障についてのお尋ねでございますけれども、御指摘のように、エネルギー資源の大部分を海外に依存している我が国にとって、その安定供給の確保というのは大変大切なことでありますし、御指摘のように、国民の皆様方も先行き非常に不安に思っておられる、それは事実だと思っております。とりわけ、今後の二十年間を想定をいたしますと、特にアジア地域、その中でも中国の石油の需要量が急増すると、こういう予測が出ております。そういう観点から、やはりエネルギー資源の確保は我が国にとって真剣に取り組むべき課題であると、このように思っているところであります。
 このため、まず第一に、現在、一次エネルギーの約五二%、これが石油でございまして、そしてその石油は御承知のように中東にその八八%を依存していると、こういう現状もあるわけであります。したがいまして、安定的に、そして安全にこの石油を確保するということ、このことは非常に大切でございまして、やはり将来的には分散を策して私どもは手を打っていかなければならないと思っております。
 それからもう一つ、天然ガスの問題がございまして、石油に比べて二酸化炭素の排出量の少ないこの天然ガスということをやはり重点的に我々は確保するように努力をしていかなければならない、こういうことでありまして、さきに小泉総理がロシアを訪問したときに、サハリンあるいはシベリアの天然ガスについても首脳間で合意ができたところでございまして、ここも積極的にやっていかなければならないと思っております。
 また、私どもとしては、産油国との関係強化のために総合的な資源外交をしなければならないと思っておりますし、また、今触れましたけれども、中東諸国以外も含めた自主開発、これもやっていかなければならないと思っておりますし、さらに、新しいエネルギー、こういった面でも私どもは当然努力をしていかなければならないと思っておりまして、二十年後と、こういう形でございますけれども、取りあえず二〇一〇年までには新エネルギーの分野を今の三倍に高めようと、こういうことで努力を傾けているところでございます。
 また、準国産エネルギーとも言われます原子力発電についてでございますけれども、もちろんいかに安全を担保するか、国民の皆様方の信頼をいかに得るか、これが第一義でございますけれども、しかし、百三十万キロワットの原子力発電所一基造ることによって二酸化炭素の排出量を〇・七%削減できる、こういうメリットもございますので、ここも国の原子力の基本政策に従ってしっかりとやっていかなければならない、こういうふうに思っておりまして、私どもは国民の皆様方に心配をお掛けしないように、二十年というスパンで私どもはできる限りの対策を講じていきたい、このように思っております。
 それから、メタンハイドレートの開発についてのお尋ねでございます。
 このメタンハイドレートというのは、具体的には石炭の約五五%、そして石油の七五%しかCO2を排出しません。そして、御指摘のように、未来のいわゆるエネルギー源と言われております燃料電池の水素のいわゆる原点として非常に期待をされているわけでございまして、その利用が可能となれば我が国のエネルギー安定供給に与える影響は非常に大きいものでございまして、二十一世紀における有望で新しい国産エネルギー源として期待をされております。
 日本近海にあるだけでも、現在分かっているだけで、今使用している天然ガスの百年分以上の埋蔵量がある、こういうふうに言われておりますので、今、私どもとしてはこの技術開発に取り組んでいるところでございまして、平成十三年、一昨年でございますけれども、メタンハイドレート開発検討委員会によりこの開発計画が取りまとめられまして、この計画においては、メタンハイドレートの探査・資源量評価手法の確立、メタンガスの生産手法の確立、そして開発に伴う環境影響評価及び経済性評価手法の確立等を実施しまして、平成二十八年度までに商業化のための環境整備を図ると、こういうふうにいたしておりまして、実はこの件も非常に力を入れておりまして、平成十四年に比べて平成十五年度の予算は倍増をさせていただいたところでございまして、しっかりとやらせていただきたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
○国務大臣(坂口力君) 平野議員から二問ちょうだいをいたしました。
 まずは東洋医学に対する御見識をお伺いをしたところでございますが、東洋医学は西洋医学の及ばない側面も示していると思っている次第でございます。予防こそ病気解決に最も重要な問題であり、そして、高齢化社会の中では特に重要だというふうに思っております。
 食生活、運動、休養等に対しまして、それが生活習慣病にいかに影響を与えるかというようなことにつきましても、これは国民の皆さん方により多くの情報を提供しなければならないと考えているところでございます。今後ますます、二十一世紀、健康日本21という形で、その中で十分にそれらの点を示していきたいと思っているところでございます。
 もう一点、医療費の自己負担の引上げについてのお尋ねがございました。
 高齢化、そしてまた高度医療化によりまして、医療費はだんだんと増大をいたしております。そうした中で、これらに対応するため、現在及び将来におきまして、最も医療を必要とする人に医療が受けられるようにしなければなりません。そうした意味で、関係者にひとしく負担を分かち合っていただかなければならないことは昨年お願いを申し上げたところでございます。したがいまして、三割自己負担につきましても、予定どおりお願いを申し上げる以外ないと考えております。
 またさらに、抜本改革につきましては現在更に進めているところでございまして、三月末までにお示しを申し上げて御理解を得たいと考えているところでございます。(拍手)
    ─────────────
○副議長(本岡昭次君) 朝日俊弘君。
   〔朝日俊弘君登壇、拍手〕
○朝日俊弘君 私は、民主党・新緑風会を代表して、先日行われました小泉総理の施政方針演説に関連して、総理及び関係大臣に質問いたします。
 冒頭、小泉総理に一つお願いがございます。
 どうも元気がないのか、早口で原稿の棒読みの答弁が多くて、これを聞いている国民の皆さんは一体何を答えておられるのかよく聞き取りにくいと思います。是非、もう少し心を込めて、丁寧な答弁をお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、まず最初に、地方分権の具体的な推進状況と今後の課題について取り上げたいと思います。
 御承知のとおり、地方分権推進のための一括法が施行段階に入って早くも三年が過ぎようとしています。しかし、残念ながら、分権の具体的な展開が私どもにはどうもはっきり見えてきません。総理は、これまでも、国から地方へとか、あるいは地方にできることは地方にゆだねるとか、例によって掛け声だけは繰り返し掛けておられますが、その割には地方分権は進展していないのではないか、むしろ分権一括法の成立当時よりも分権に取り組む政府の熱意も冷めてきているのではないかとさえ危惧します。
 そこで、総理にお尋ねいたします。
 総理は、今日の地方分権の推進状況についてどのように受け止めておられるのか。思ったように進んでいないとすれば、一体何が障害になっているのか。そして、今後更なる前進に向けて何が必要なのか。地方分権の推進にかかわる総理の基本的な考え方についてお示しください。
 ところで、地方自治に関する今日的な課題は、合併特例法の期限を二年後に控えた市町村合併の問題であります。総理の演説の中では、たった一行、市町村合併を更に推進してまいりますと述べるにとどまっていますが、現実には多くの戸惑いの意見、反対の声、そして識者からの批判や問題点の指摘がなされていることを無視するわけにはいきません。
 問題点の一つは、合併問題はあくまでも当該自治体の選択、住民の判断を中心に据えて進められるべきであります。しかし、実際には、一定基準以下の人口の自治体の権限を縮小し、県がその事務を代行する案が示されるなど、結局のところ、広域合併するしか選択肢がないような状況に追い込もうとする動きも出てきております。こうした事実上の強制的な合併が進められていくとすれば、一体何のための合併なのか、改めてその目的を問い直さなければなりません。
 他方、合併によって行政単位が広域化すればするほど、住民自治、市民自治という観点からはますます遠ざかっていくのではないか。そうなることを危惧して、この期に改めて、基礎自治体の内部に住民の自主的な近隣組織、例えば英国のパリッシュやフランスのコミューン等を念頭に置いた新しい制度の必要性が提起されてきています。
 今、私たちは、市町村合併を進めていくに当たって幾つかの留意点と今後の課題について今指摘をさせていただきましたが、こういう点について総理のお考えを伺っておきたいと思います。
 その上で、地方分権の具体的な推進にとって言わば必要条件であります国と地方の税財源の配分の在り方の見直し問題について伺います。
 この問題については、特に昨年六月以降、国庫補助負担金、地方交付税、そして財源移譲を含む税財源配分について三位一体の改革を進めると再三主張されてきました。今回の総理の施政方針の中でも同様のことが述べられています。
 しかし、それにしても不可解なのは、演説の中で、総理は、国と地方の関係について平成十五年度予算において改革の芽を出したと述べている点であります。芽出しという言葉は私も初めて聞きますが、一体来年度予算案のどこを見て改革の芽出しと言っておられるのかお尋ねしたいものです。総理が本気で三位一体の改革を進めると考えておられるのであれば、まさしく今提案されている来年度予算案の中でもっと明確にだれにも分かる形で示していただきたいと思います。今後の改革の具体化に向けての考え方を含めて、総理の答弁を求めます。
 次に、地球規模の環境破壊、とりわけ地球温暖化への対応についてお尋ねしたいと思います。
 なるほど、総理もこの問題については一定の認識はお持ちのようですが、具体的にどうするかとなると全く不明確、専ら脱温暖化社会への構造改革を述べているにすぎません。何でもかんでも構造改革と言えばそれでよいのでしょうか。
 私たちが今直面している重要課題の一つは、京都議定書で我が国が約束をした中身、すなわち温室効果ガスの一九九〇年水準と比較して六%の削減をどう具体的に実現していくのかということ、そのためには、政府は、炭素税あるいは環境税を導入し、エネルギー消費型産業からの脱却、転換を積極的に推進すること、同時に、その税収を基本に環境技術革新と関連領域における雇用の創出、確保を図ることであります。したがって、今回、言わば中途半端な形で提出されようとしている石炭課税なのではなくて、明確に環境税の導入に向けてその具体的なプログラムを明示すべきときに来ていると考えますが、環境大臣の御所見をお聞かせください。
 あわせて、私たち民主党は、地球環境を守り、環境への負荷を最小限に抑えた持続可能な社会の構築に向けて、私たち市民の意識改革とライフスタイルの転換を図る観点から、体系的な環境教育推進のための法整備が必要と考えています。政府としても同様の観点から必要な法制化の作業を具体的に進めるべきであると考えますが、環境大臣のお考えをお伺いいたします。
 続いて、食の安全の問題について何点かお尋ねします。
 つい最近、BSE、牛海綿状脳症の事例が、六頭目、七頭目と続けて発生が確認されました。このことは言わば全頭検査の体制が有効に機能していることの表れでもあり、したがって消費者サイドも今回は比較的落ち着いて受け止めているように思います。そして、皮肉なことに、事例が増えれば増えるほどBSEの伝播ルートに関する疫学調査はより精密になり、発生原因とその伝播ルートの解明に向けて一層の絞り込みが可能となります。したがって、この段階で明らかになってきた事実から、逆に的を絞った調査に踏み込むとともに、絞り込まれてきた二ないし三の発生原因とそのルートに対して具体的な対応策を取ることは可能であります。
 念のため付言すれば、疫学調査によって一定の範囲内に問題点の絞り込みができれば、もちろん最終的な確定作業は引き続き続けるとしても、その結論を待たずとも、複数の可能性を含めて疑わしきところにはきちんと手を打つというのが疫学の鉄則であります。この段階で具体的にどこまで踏み込んで対応されるつもりなのか、それとも、ほぼ解明されてきているのに手をこまねいてこのまま見過ごすつもりなのか。この点は農林水産大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
 さて、昨年は、このBSE問題を始めとして食の安全を脅かす事件が相次ぎました。こうした経緯を踏まえて、今国会には食品安全基本法及び関連する幾つかの法律案の提出が予定されています。そこで、これらの法律案の提案理由及び全体の枠組み、スキームについて、この新しいスキームによって従来と比較してどこがどのように変わるのか、その概要について内閣官房の担当大臣に御説明をいただきたいと思います。
 その上で、今回提出予定の食品安全基本法及び関連法の全体にかかわってお尋ねしておきたい点が二点ございます。
 その一つは、リスク評価の基本指針を定める食品安全委員会は確かに従来の関係省庁から独立した形で内閣府に置くとされていますが、個別の食品のリスク管理、リスクマネジメントについては従来どおり農林水産省と厚生労働省の担当部局及び関連する審議会が担うこととされています。
 しかし、具体的なリスク管理を担う関係省庁の仕組みが従来のままでは全体のスキームが果たして有効に機能するのかどうか、疑わしいと言わざるを得ません。今回の改正ではこの部分についてどのような検討がなされているのか。そして、今後示されるであろう基本指針の中身によっては、改めて食品行政の機能別分担の再検討や相互の政策調整システムの制度化を含めて、その在り方を見直す必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 もう一つ、BSE問題に関する調査検討委員会の報告では、消費者の参加の保証を内容とする消費者保護を基本とした包括的な食品の安全を確保するための法律の制定の必要性が明記されています。しかし、今回提案されようとしている法律案の中では消費者の参加の保証が十分に担保されているとは言い難いと思うのですが、いかがでしょうか。
 この二点は重要なポイントですから、食品安全基本法を所掌される内閣官房及び農林水産、厚生労働、各担当大臣にそれぞれ答弁をお願いしたいと思います。
 次に、社会保障に関連して、当面する幾つかの課題について質問いたします。
 年金制度について、総理は施政方針の中で平成十六年度改正に向けての方向性と論点を取りまとめたことは述べられましたが、その中身と改革に向けた考え方等については一切触れておられません。これでは幾ら国民に開かれた議論を求めてもこたえようがないではありませんか。
 しかも、平成十五年度予算案の中で、年金額の改定に関する特例法で、今年度の物価指数の下落幅、すなわち〇・九%年金額をマイナススライドさせる内容になっていることについては一言も触れられませんでした。また、制度は違いますが、最後のセーフティーネットである生活保護法に基づく生活保護の保護基準単価についても同様の幅で引き下げる予算案となっていますが、このことについても全く触れられませんでした。
 この年金水準と生活保護基準の引下げは実は戦後初めてのことであります。こうしたことも、やはり総理にとってはいずれも大したことではないと言われるのでしょうか。
 改めて総理にお尋ねいたします。
 年金額の改定に関して、過去三年間は物価指数がマイナスであったにもかかわらず、その時々の経済状況等にかんがみ、スライドを凍結させてきました。今回は経済状況はなお一層悪化しているにもかかわらず、過去三年分はそのままとし、今年度の物価下落分のみをスライドさせるというこの提案は非常に分かりにくい、言わばちぐはぐな提案だと言わざるを得ません。
 さらに、これまで凍結されてきた分と今回スライドが実施される分が次期財政再計算のときに、すなわち平成十六年度改正の時点でどのように清算されることになるのか、なぜ制度全体の改正の中でトータルに処理する方策が考えられなかったのか、こうした点について総理の答弁を求めます。
 そのお答えを伺った上で、かねてより懸案の国庫負担率二分の一への引上げ問題を含めて、年金制度の平成十六年度改正に向けた検討内容のポイント及び今後の作業スケジュールについて、この点は厚生労働大臣から国民の皆さんにできるだけ分かりやすい形で御説明をいただきたいと思います。
 ところで、先日の総理の演説を聞きながら、いささかあきれ果てた点がございます。医療制度については、国民皆保険を守り、将来にわたり良質で効率的な医療を国民が享受できるよう、先般、大幅な改正を行いましたというくだりであります。総理が言うところの大幅な改革とは、もしかして昨年の通常国会における健康保険法等の改正のことなのでしょうか。
 実は、私は昨年の秋の臨時国会においてもこの問題について総理の認識を伺いました。そのときにも申し上げましたが、さきの健康保険法等の改正はどう考えてみても文字どおり改革なき負担増にすぎません。改革すべき課題はほとんど先送り、後回し。それが証拠に、改正案の附則には積み残し課題に関する検討規定がずらっと並んでいるではありませんか。
 そこで、御提案申し上げたい。
 この提案は、近々、野党四党の共同提案の形で衆議院に提出させていただく予定ですが、この際、今年四月から実施予定となっている健康保険本人の窓口三割負担を凍結すること、そして課題となっている抜本改革を一つ一つ実行に移し、しかる後に医療費の動向や健保財政の状況等を見定めた上で改めて判断をするという考え方はいかがでしょうか。総理の御所見をお伺いします。
 その上で、厚生労働大臣に伺います。
 宿題となっている課題の中で、保険者の統合再編を含む医療保険制度の体系の在り方、新しい高齢者医療制度の創設、診療報酬体系の見直し、以上三項目については平成十四年度中にその具体的な内容等を明らかにした基本方針を策定すると定められています。あと二か月ほどしかありません。
 そして、厚生労働省は、昨年十二月にこれらの課題に関する省としての試みの案を取りまとめ、公表しました。この試みの案が基本方針の骨格となっていくのであろうと推察いたしますが、気になるのは、新たな高齢者医療制度の創設に関する部分、ここだけが言わば二つの案の両論併記になっているということであります。
 その一つは、それぞれの保険者に高齢者も継続加入することとし、その上で年齢や所得に着目し制度間財政調整をする案、もう一つは、七十五歳以上の後期高齢者のみを対象として独立した医療保険制度を創設する案、この両案を今後どのように収れんさせていくのか。大変難しい作業になるのではないかと思いますが、大臣のお考えと今後の作業予定についてお聞きをしておきたいと思います。
 最後に、どうしても気掛かりな問題について厚生労働大臣にお尋ねいたします。
 それは、つい最近、新聞等でも大きく取り上げられました障害者ホームヘルプサービスに係る支援費制度の施行に当たって、厚生労働省側と障害者団体や自治体側と意見が対立する状況になってしまったことについてです。
 改めて説明するまでもなく、この支援費制度の導入問題は、三年前、当時、五十年ぶりの抜本改正、社会福祉基礎構造改革とうたわれ、その中で、従来の措置制度から利用契約制度へ大きく法制度改正が行われ、それに合わせて措置費から支援費へと費用の性格そのものも変更されました。その施行が本年四月という段階を迎えていました。このときにこのような意見の対立が明らかになるという状況になってしまったことは極めて残念なことであります。
 具体的な問題は既に相互の話合いによって一定の到達点にあるとのことですから、ここで私から改めて指摘することは避けますが、今回のことは、政府側の単なる説明不足とか相互の行き違いというだけではなくて、厚生労働省側の態度というか、基本的なスタンスに問題があったと言わざるを得ません。
 とりわけ、私が気になっていますのは、二〇〇一年の中央省庁再編成以後、厚生、労働両省を統合するとともに、省内の組織変更が行われました。同時に、関連する審議会等の大幅な見直し、再編成が行われ、例えば、それまで曲がりなりにも障害者団体との接点となっていた中央障害者施策推進協議会が廃止されるなど、当事者との直接的なチャンネルが乏しくなってきていたこと、こうした事情も背景にあったのではないかと心配しています。もしそうであるとするなら、今後も様々なところでトラブルが生じてくるのではないか、きめ細かな障害者サービスの確保がますます困難となるのではないかと危惧します。
 今回御苦労いただいた大臣の反省と今後の対応についてのお考えをお聞かせいただいて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 朝日議員にお答えいたします。
 地方分権の推進にかかわる基本的考え方についてでございますが、地方にできることは地方にゆだねるとの考え方の下、国が地方行政に関する関与を縮小するとともに、地方の権限と責任を一層拡大する方向で改革を進めてまいります。
 地方が主体的かつ効率的に施策を選択し推進できるよう、自らの創意と責任による自主財源の確保を可能にする仕組みが必要であり、本年六月をめどに取りまとめるいわゆる三位一体の改革案の中で示していきたいと考えます。
 市町村合併についてですが、全国の市町村がそれぞれの特色を生かした発展を遂げるためには、住民や自治体の自主的な判断により市町村合併を進めることで行財政基盤を強化する必要があります。また、今後の基礎的自治体の在り方については、住民自治組織を含め、現在、第二十七次地方制度調査会において議論が深められているところであり、これを踏まえて検討してまいります。
 三位一体の改革に関するお尋ねでありますが、国と地方の在り方については、基本方針二〇〇二を踏まえ、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分の在り方を三位一体で検討し、本年六月を目途に改革案を取りまとめます。平成十五年度予算においては、国庫補助負担金の整理合理化、地方歳出の抑制を通じた地方交付税総額の抑制を図るとともに、自動車重量譲与税の税源配分の見直しなどの必要な財源措置を行い、改革の芽を出したところであります。
 年金額の改定についてでございますが、十五年度の年金額については、消費者物価の下落が継続する中、年金額を据え置いてきた過去三年と異なり、現役世代の賃金の低下傾向が明らかとなったため、保険料を負担する現役世代との均衡の観点から、高齢者等の生活にも配慮しつつ、平成十四年の消費者物価指数の下落分であるマイナス〇・九%のみによる改定を行うこととしたものであります。過去三年間の据置分の取扱いについては、平成十六年の財政再計算において、将来にわたる年金の給付と負担の在り方を検討する中で議論してまいります。
 健康保険本人の窓口三割負担の凍結を内容とする野党提出予定法案についてのお尋ねでございます。
 少子高齢化が進展する中で、医療保険財政は大変厳しく、国民皆保険を将来にわたり堅持していくためには、患者、加入者、医療機関といった関係者にひとしく負担を分かち合っていただくことは避けられません。保険料の引上げ幅を極力抑制するためにも、予定どおり本年四月から三割負担をお願いすることが必要と考えております。また、医療保険制度の体系の在り方など、医療制度改革の諸課題については今年度中に基本方針を策定し、将来にわたり持続可能な制度としていくため、更なる改革に全力を挙げて取り組んでまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕
○国務大臣(鈴木俊一君) 環境税の導入についてのお尋ねがございました。
 環境税は、消費者や事業者が自主的に自らの行動を環境負荷の少ないものにするよう促進する効率的な手法であると認識をいたしております。また、環境税の使途について、これにつきましては様々御議論があるわけでありますが、環境省としては税収を適切な環境対策に幅広く活用をいたしたいと思っております。具体的には、吸収源対策の推進や燃料電池などの環境保全技術の開発、普及、さらに環境産業の発展を通じて我が国の経済活性化と新たな雇用の創出にもつながるものと考えております。
 環境省としては、温暖化対策のステップ・バイ・ステップのアプローチに沿って必要とされた場合には、第二ステップが始まります二〇〇五年以降、早期に温暖化対策のための環境税を導入するとの方針に基づいて具体的な検討を進めるとともに、国民の皆様方、また関係各方面の理解が得られるよう努力をしてまいりたいと思います。
 環境教育の推進と環境保全活動の活性化方策についてお尋ねもございました。
 持続可能な社会を構築していくためには、国民やNPO、事業者等の自発的な環境保全活動を推進することが重要でございまして、その基盤となる環境教育、環境学習の推進が大切であると考えております。このため、環境省では、文部科学省と環境教育・環境学習の推進に関する懇談会を設けまして、連携の強化を図っております。
 また、環境保全活動の活性化方策につきましては、昨年の十二月、中央環境審議会からいただきました答申を踏まえ、人材の育成、活動拠点の整備など具体的な施策に取り組むとともに、これら施策を更に推進するため、法制化の必要性も含めた新たな仕組みづくりについて検討を進めてまいりたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣大島理森君登壇、拍手〕
○国務大臣(大島理森君) 朝日議員の御質問にお答えいたします。
 BSEの感染牛に係る調査、原因を絞り込んだらどうかという御質問でございました。
 私どももその可能性については三点あるだろうと、こう思っております。一つは、イタリアから輸入された肉骨粉、それから配合飼料工場での肉骨粉の混入、そして六頭目、七頭目もやはり共通して給与されていた代用乳の原料でありますオランダ産の動物性油脂等に、この三点に絞られてきたのではないか。そういうふうなことから、まだ完全には特定に至っておりませんけれども、その難航している調査の隘路を切り開くために、この六頭目、七頭目の調査を終えまして、そして、大体二月の十日ごろに疫学検討チームの再開をさせまして、鋭意努力してまいり、そして中間的な取りまとめをまず夏ごろまでに是非出してみたいと、こう思っております。
 そういうことを踏まえながら、そういうことに対する対応も私ども考えておかなければなりませんが、感染源、感染経路の究明につきましては全力で取り組むとともに、その経路の分析評価の進展等を踏まえ、より一層のリスク低減のための安全確保対策に全力を尽くしてまいる所存でございます。
 第二点でございますが、関係省庁のリスク管理に伴う仕組みについてお尋ねがございました。
 食品安全行政に関する関係閣僚会議において、いたずらに行政の肥大化を招くことのないよう組織の見直しを行いなさいということになっておりまして、評価は管理を行う省庁から独立した行政機関において実施する、これは先生が御指摘いただいたとおりですし、また、リスク管理部門の産業振興部門からの分離、こういうふうな強化を行っていきたいと、こう思っております。
 農林水産省として適切なリスク管理の実施に万全を期すべく、リスク管理部門と産業振興部門の分離を行います。そして、管理を一元的に行う消費・安全局、仮称でございますが、これをつくります。今度の国会で法案を出しますので、是非御賛同いただきたいと思います。あわせて、その中に食糧庁から異動させまして、四千五百名ぐらいの人数でこの対応に万全を期してまいりたいと思っております。
 もちろん、厚生労働省との連携というのは先生方からよく言われてまいりました。農薬取締法の改正においてその点をしっかりと連携強化を条文に盛り込んで、そしてリスク管理の仕組みが有効に機能するよう努めることといたしてまいりたいと、こう思っております。
 三点目でございますが、様々な食品安全の問題その他について消費者の参加が足りないのではないかという、こういう御指摘でございました。
 私ども、様々な、私ども食品安全五法と、こう申し上げておりますが、この法改正を行うに当たりまして、パブリックコメント等を実施して今日までまいりました。消費者団体、私が参加したのは三回、そして一月七日から二十一日まで約八百四十六件の御意見をいただいております。
 したがいまして、私どもも、なお消費者の皆さんからの御意見をいただきながら、こういう法案の作成も含めて、その運営についても万全を尽くしてまいりたいと、こう思っております。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 朝日議員にお答えいたします。
 私に対して三つお問い掛けがございました。
 まず第一に、今国会に提出が予定されている食品安全関連の法律案全体の仕組みについてでございますが、政府としては、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進するために、基本理念や施策の策定に係る基本的な方針、それから食品安全委員会の設置等について定める食品安全基本法案の提出を予定いたしております。
 さらに、この基本法案の内容に即して各種の施策が講じられることになるように、食品衛生法の一部改正など、所要の法律案の提出を予定いたしております。
 これらの法律の制定によりまして、生産から販売までの各段階における安全性の確保、それから食品安全委員会が行う科学的評価に基づいた行政、こういったことを通じまして国民の健康保護を最優先とする新たな食品安全行政が展開されるものと、こう考えております。
 それから二点目は、食品安全行政の新たな枠組みが有効に機能するかというお尋ねでございました。
 現在、食品安全行政におきましては、リスク評価とそれからリスク管理の両方の機能が区別されずに混然一体として実施されてきたわけでありますが、まず第一に、科学的なリスク評価が客観的、中立的に行われるように内閣府に食品安全委員会を設立する、それから二番目に、食品安全委員会は関係各省に対しましてリスク評価結果に基づく勧告であるとかあるいは規制の実施状況の監視等を行うこととしております。それから、リスク管理を担当する関係各省におかれましても、産業振興と規制部門を分離するなど体制の強化が行われること、今、大島農水大臣からも御答弁があったとおりでございます。
 今後、リスク評価とリスク管理が分離することによってかえって非効率になるということがないように、食品安全委員会とリスク管理を担当する関係各省との間で連携であるとかあるいは政策調整、こういうものの具体的な手法について取決めを締結するというようなことを推進しまして、食品安全行政が的確に推進されるよう体制を整備していく所存でございます。
 それから三点目は、消費者の参加についてのお問い掛けでございました。
 食品安全基本法におきましては、まず第一に、基本理念として、国民の意見に十分配慮して必要な措置を講じるということを定めますとともに、第二点として、施策の策定に係る基本的な方針として、情報の提供であるとか意見を述べる機会の付与といった消費者を始めとする関係者相互間での情報や意見の交換を促進することを定める、こういうことを予定いたしております。
 今後の食品安全行政におきましては、食品安全基本法案の趣旨に即しまして、消費者の参加に関し所要の措置が講じられることになるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
○国務大臣(坂口力君) 朝日議員から五問の御質問をいただきました。
 一つは、食品安全委員会とリスク管理機関としての厚生労働省の関係についてのお尋ねでございました。
 リスク評価の方は食品安全委員会が行うことになりますし、そして、リスク管理は厚生労働省が行うということになります。リスク管理の体制を強化いたしますために、食品衛生法等の抜本改正案を今国会に提出をさせていただくことにいたしております。
 中身といたしましては、残留農薬等のポジティブリスト制の導入でありますとか、安全性に問題のあります既存の添加物の使用禁止でありますとか、事業者に対しましては、事業等の責務の明確化、HACCP承認制度の見直し、農畜産物の生産段階の規制と連携、これらのことを正確にひとつやっていきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、もう一つ御指摘をいただきました消費者との関係でございますが、このリスクコミュニケーションの具体的な内容といたしまして、食品の安全性に関する情報の公開、それから消費者等々の関係者が意見を表明する機会の確保、これは年四回ぐらいやりたいというふうに思っておりますし、本年の予算の中にも盛り込んだところでございます。
 食品の規格基準でございますとか監視指導計画の策定など、具体的な基準につきましては、その趣旨、内容を公表いたしまして、広く国民の意見を求めたいというふうに考えているところでございます。担当の参事官の設置等も決めたところでございます。
 それから、年金改革につきましてのお話がございました。
 今朝、浜四津代表にも申し上げましたけれども、今回の法改正につきましては一年間の御議論をいただく時間的ゆとりを取ったところでございます。そして、現在の年金制度をそのまま延長線上で修正を行うのか、それとも根幹にかかわるところからの改革を行うのか、こういうことにつきましても先般御提示を申し上げたところでございます。
 根幹にかかわりますところの議論といたしまして、一つは、基礎年金をすべて公的財源で賄うという案が一つ、それからもう一つは、二階建て年金の二階の部分を民間保険にするという案が一つ、それからもう一つはスウェーデン方式でございまして、これを参考にできないかという案が一つ、これらの案を提示をいたしまして、そして、恐らくこれらのバリエーションもたくさんあるんだろうというふうに思いますが、そうしたもの全体を含めて少子高齢社会の中でどれが最もふさわしいかということを御決定をいただきたいというふうに思っておりまして、国会での御議論も当然でございますけれども、一般の国民の皆さん方の御意見も求めたいというふうに考えているところでございます。
 それから次は、高齢者医療につきましてのお尋ねでございました。
 抜本改革の案につきましては三月末までに決定をさせていただきたいというふうに思っております。主なものは、一つは、保険制度の統合一元化の中で高齢者医療をどうするかという問題でございます。もう一つは、診療報酬体系の基本にかかわります問題でございます。その他、国民の側から見ましてより良い医療とは何かという問題でございます。その三点につきましての案をお示しをしているところでございます。
 その中で、特に高齢者医療につきましては二案がございまして、一つは、年齢あるいはまた所得によりますリスク調整を行ってやっていくという案、我々としましてはA案と言っておりますが、その案と、それから高齢者には高齢者のみの保険をつくるというその案と、二つ御提示をしているところでございます。
 いわゆる関係団体の皆さん方とも今御意見を交わしているところでございますけれども、やはり様々、A案がいいという御意見もあればB案がいいという御意見もあるわけでございまして、あるいはまたそれらにいろいろの注文も付いておりまして、その両方ともこれは駄目だというところもあるわけでございます。それらの点を、しかし、いつまでお聞きいたしておりましてもこれは限りのないことでございますから、一応、いろいろの皆さん方の御意見をお聞きをしながら、三月末までに我々の考え方をまとめたいと考えているところでございます。ひとつ朝日議員におかれましてもよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 それから最後に、支援費の問題でございますが、これはもう御指摘をいただきましたとおり、支援費制度は、これは大変今までの制度に比べますと、全国津々浦々どこでもこれは障害者の皆さん方がサービスを受けていただくようになるわけでございますから、これはもういいことであることに間違いはございません。
 予算化をさせていただきましたし、その予算の内容について、予算が付きます以上それを配分をさせていただかなきゃならない、配分をする以上は一つの基準が必要であったということでございますけれども、そこの基準の在り方について障害者の皆さん方との間でいろいろの御意見があったと、こういうことでございます。
 やはりここは、御指摘いただきましたように、皆さんとの意見を常に交わしているということが大事でございまして、そこで私たちの方もそこは十分でなかったと反省をいたしているところでございます。
 これから、ひとつ障害者の皆さん方を始めといたしまして、各種団体との間の意見調整というものを、それを定期的にきちっとやっていけるように、それが制度化なら制度化してやっていけるようにひとつ考えていきたいというふうに思っているところでございます。(拍手)
    ─────────────
○副議長(本岡昭次君) 泉信也君。
   〔泉信也君登壇、拍手〕
○泉信也君 私は、自由民主党・保守新党を代表し、総理が歴史に学び勇気と希望を持って新しい日本をつくり上げようと訴えられた施政方針演説が国民の心を奮い立たせることを期待し、総理にお尋ねいたします。
 日本は、間もなく総人口が減少するという、かつて経験したことのない時代を迎えます。しかも、高齢者世代は、平成三十年には現在の二千二百万人が三千四百万人に増加し、総人口の二七%を超えることになります。地方にあっては、地域社会をつくる人的構成が崩壊し、国土の形成すら危ぶまれる事態も予想されます。我々は、日本の総人口が九千万人程度に減少した時代を想定し、国土の在り方、生活を支えるしなやかな仕組みなどを構想すべきときに至っていると認識しなければなりません。
 小泉内閣は、今日まで改革を旗印に、旧弊を打破し、新たな社会の創造に取り組んでまいりました。国民は、総理が言われる、改革には時間が必要であることもよく承知し、推移を見守り、じっと耐えています。真の活力は、人も企業も、そして社会も、改革という命題を乗り切る努力の中にしか再生されないことを知っています。
 それでも国民は不安の中に新年を迎えました。ちょうだいした年賀状にしたためられた短い言葉の中に深い思いが込められています。それは、経済の先行きに対する厳しい見通しと同時に、将来に夢を描き切れないからであります。総理は、日本の将来をいかに構想し、今日の国民の不安をどう受け止め、対処しようとしておられるのでしょうか。
 今日のように、国民が笑顔を忘れ、社会が夢や自信をなくしているとき、政治に求められるものは、国民のだれにも分かる明示的な転換のシグナルを送ることだと思います。
 その一つは、憲法を変えるという意思表示であります。
 新しい憲法の制定は、国民に戦後の終わりを改めて認識させ、新しい時代への歩みが始まったことを実感させるに違いありません。改正すべき内容については衆参両院の憲法調査会の議論を待つといたしましても、憲法九十六条に規定する国民投票にかかわる法律の制定など、憲法改正への姿勢を明確にすることは可能だと考えます。総理の憲法改正についての認識及び必要な法整備についてのお考えをお伺いいたします。
 また、憲法と同じく、戦後今日まで指一本触れることがなかった教育基本法の改正も、国民に新たな時代の到来を知らしめるでありましょう。教育基本法の改正は、次の世代を背負う子供たちをどうはぐくむかということであり、二十一世紀の日本の国家戦略に基づくものでなければなりません。総理は教育基本法の改正にしっかりと取り組むと表明されましたが、改正に際し、銘記すべき基本的理念は何だとお考えでしょうか。また、総理は、この国会に教育基本法の改正案を提出し、成立させる、させたいという不退転の決意をお持ちでしょうか。
 さらに、老後の不安という国民の身近な問題に安心と笑顔が戻るシグナルを送らなければなりません。総理も、国民が安心して将来を設計できる社会を構築すると述べておられます。しかし、厳しい十五年度の福祉関係予算に国民は身構えています。しかも、この厳しさは来年度だけの特異な現象でないことを国民は察知しています。人間としての尊厳を持って人生を送れるよう、仕組みの再構築を明らかにすべきであります。
 我々保守新党は、基本政策の一つに、基礎年金、高齢者医療、介護の福祉の基礎的三分野は安定した財源である消費税を主体に賄う仕組みに改めることを掲げています。消費税の福祉目的税化は、所得の多寡にかかわりなく、国民一人一人がともに老後の社会を支えるという考え方に立つものであります。過半の国民はこれら福祉に充当する消費税の税率アップに相応の理解を示しています。
 総理は、在任中は消費税は引き上げないと再三答弁しておられます。しかし、これでは国民の老後の不安を取り除く処方せんを描くことはできません。景気の状況を見極めなければなりませんし、歳出の削減合理化が先決だとするのも理解できます。とは申せ、どの程度の歳出の見直し、削減が実現すれば次のステップへ進むのか、総理はその具体的な目安、プログラムを明らかにする必要があります。その上で、福祉三分野と消費税の在り方、消費税率の考え方についてのお考えをお伺いいたします。
 次に、北朝鮮問題を始めとする外交、平和構築の問題についてお尋ねいたします。
 拉致問題が膠着状態になっていますことは誠に残念なことであります。この問題に対し、我が国は、万景峰号など北朝鮮船籍船の入港禁止、送金制限などの新たな措置が必要だと考えます。拉致問題について総理はいかなる取組を指示しておられるのでしょうか。
 また、北朝鮮の核問題は、北朝鮮が核拡散防止条約からの離脱を表明するなど、前途が憂慮されます。この問題が平和裏に決着するか、それとも悲劇的結末を迎えるかは予断を許しません。日本有事に対する法律の未整備、体制の不備が危惧されます。仮に北朝鮮が暴発した場合、生物化学兵器、核物質兵器などの我が国への持込みを排除し、国民を守る日本の体制に懸念はないのでしょうか。総理の御認識を伺います。
 北朝鮮に限らず、イラク問題などの世界に緊張した課題が山積する中、政府の集団的自衛権に関する見解は、国際社会における日本の平和貢献に大きな制約を課しています。PKO活動の任務に就く自衛隊員の命を守るため、政治はどれほどのことをなしてきたのでしょうか。事あるごとに新たな法律をつくり、当面の責務を果たすやり方では、世界の国々と安定した強固な信頼関係を築くことなどできません。
 政府は、集団的自衛権は有しているが、その行使は憲法上許されないとしています。昭和三十五年の安保条約改定のころにほぼ固まったこの政府見解を、世界が大きく変化している今、いつまでこれに固執するのでしょうか。政府見解の論拠を憲法との関連から平易に、簡明に御説明ください。
 また、政府の言う、その行使は我が国防衛の必要最小限度の範囲を超えるとは、具体的に何を言い、範囲を超えるか否かの判断は法律論なのでしょうか、それとも政策論なのでしょうか。
 北朝鮮との間に緊張感が高まり、米国などが行動を起こした場合、日本は傍観者的な立場でいることは許されません。また、ミサイル防衛構想の開発、配備などの今後についても、集団的自衛権の現行解釈が大きな足かせであると言われます。集団的自衛権に関し、小泉内閣の閣僚の中にも行使できるという見解をお持ちの方があるやに伺っています。しかし、そのことが、小泉内閣の統一見解に至っていない、政府見解を変えるに至っていないことは誠に遺憾なことであります。政策論として集団的自衛権の行使を認めるべき時代だと思いますが、総理の見解をお伺いいたします。
 平和への思いは人類に共通した願いであります。そして、平和への最も確かな道は、民族、宗教、言語、歴史、地域などを超え、お互いを知り、学び、相互のきずなを強めることであります。それは、人と人との交流、すなわち観光であります。観光は平和へのパスポートと言われるゆえんはここにあると思います。
 総理は、先月末、観光の振興を図るため観光立国懇談会を設置されました。保守新党は、さきに観光立国推進宣言を世に問うたことからも、このことを高く評価しています。日本人の人生観、生き方など、価値観の変化は観光に対する認識をも新たにしています。歴史や文化への驚き、一木一草へのいとおしみ、住む人々のもてなしの心など、より良い地域づくりが魅力ある観光の対象になってまいりました。世界の人々もまた、ここに成熟した日本の姿を見、日本人の物の考え方を知り、日本をお訪ねくださるものと思います。また、観光を産業としてとらえ、国の内外からの観光客を増やし、雇用の創出、地域経済の起爆剤とすることも大切な視点であります。
 総理は観光をどのように位置付け、具体的な施策を進めようとしておられるのか、お考えをお聞かせください。
 国の行く末を占う上に、政治家の責任は誠に重たいものであります。政策や政治家の判断が国の運命を左右した歴史的事実は枚挙にいとまがありません。政策には、その効果の発現までに比較的懐妊期間の長いものもあります。判断ミスが直ちに国民の目の前に現れるとは限りません。しかし、過去の政策や判断が時を経て国家国民に重大な影響を与えた事例を我々は知っています。サンフランシスコ平和条約の締結に際し、単独講和か全面講和かの吉田総理の判断、さらに安保条約改定の是非を問われた岸総理の決断などであります。
 歴史に、同時に二つの道を選択させ、その結果を語らせることはできません。しかし、少なくとも、その後の日本の国情は、全面講和、安保破棄の道が誤りであったことを証明しています。日本を混乱させ、世界の信頼を損ねた一部の政治家の責任は重大であります。政治家は、単に次の選挙で議席を得たからとて、すべて信任されたということにはならないと思います。
 日本の進路に慎重かつ大胆な決断が求められます今、総理は、政治家の責任についていかなる認識の下、政治の大局に臨んでおられるのかお伺いし、質問の最後といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 泉議員にお答えいたします。
 日本の将来ビジョンについてでございますが、小泉内閣は、構造改革を進め、二十一世紀にふさわしい仕組みをつくることによってこそ我が国の再生と発展が可能になるという認識の下に、現在、あらゆる改革に取り組んでおります。特に、デフレ克服を目指しながら、経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応するとの方針ではございますが、基本的な、構造改革なくして成長なし、この基本路線は全く変更ございません。
 この改革が目指すのは、簡素で効率的な質の高い政府の下に、自助と自律の精神で、国民一人一人や企業、地域が持っている潜在力を自由に発揮できる、活力ある民間と個性ある地方が中心となった豊かな社会の実現であります。
 今後とも、この改革のためには時間が必要でありますが、この成果が明確に現れるまでにできるだけ多くの改革が実現できるように懸命に頑張っていきたいと思います。我が国には、高い技術力、豊富な個人資産、社会の安定など、経済発展を支える基盤は健在です。今後とも、悲観主義に陥ることなく、この改革を推進して、今眠っているもろもろの力、これを顕在化させ、自信と希望に満ちた活力ある経済社会の実現に全力を挙げて取り組んでまいります。
 憲法改正についてのお尋ねでございますが、どのような形で憲法が改正されるにせよ、基本理念である民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重はこれまで一貫して国民から広く支持されてきたものであり、将来においてもこれを堅持すべきものと考えております。
 一方、憲法第九十六条は憲法の改正手続を規定しており、憲法が永久不変のものとは考えておりません。国の基本法である憲法の改正は、世論の成熟を見定めるなど慎重な配慮を要する問題であると考えております。
 憲法改正に関する手続につき必要な法整備を行うべきではないかということにつきましては、今後、憲法に関する議論の中で取り上げられる問題であると考えておりまして、十分見守ってまいりたいと思います。
 教育基本法についてでございますが、戦後半世紀を経て社会状況が大きく変化し、教育全般について様々な問題が生じております。この教育の根本にさかのぼった議論は大いに歓迎しますが、今後とも、教育基本法についての改革論が盛んに国会の中でも国民の中でも取り上げられることを見極めながら、いかなる教育基本法改正が必要かということを十分考えなきゃならないと思っております。
 根本を定めております教育基本法については、現在、中央教育審議会において審議されているところであり、その中間報告では、これからの教育において重要な基本理念として、個性や能力の伸長、公共の精神、伝統や文化の尊重、郷土や国を愛する心、国際社会への貢献などが指摘されているところであります。
 政府としては、今後取りまとめられる同審議会の答申を踏まえ、幅広く国民的な議論を深めながら、その見直しにしっかりと取り組んでまいります。御指摘の教育基本法の改正については、答申を踏まえ、与党とも十分相談しながら検討してまいります。
 社会保障と消費税についてでございますが、私の在任中、消費税を引き上げる考えはございません。まずは、歳出の見直し、徹底した行財政改革を進めていくことが先決だと思っております。ただし、消費税に限らず、所得、消費、資産という税制全般にわたる議論は大いに行ってもらいたいと考えております。
 社会保障制度については、安定的な、将来にわたって持続可能なものとして再構築していくため、年金、医療、介護などの分野において給付と負担の見直しを始めとする不断の改革を行い、国民生活の安定と将来に対する安心を確保してまいらなきゃいけないと思っております。
 その際、これらの制度を賄う財源については、社会保険方式を基本としつつ、保険料、税金、利用者負担の適切な組合せによるべきものと考えております。
 拉致問題解決に向けた今後の方策についてでございますが、拉致問題については、政府としては、被害者の方々及び御家族の連絡を引き続き密にし、その意向も踏まえながら、北朝鮮側に対し、事実解明、被害者御家族の帰国の実現等を強く求めていく考えでございます。
 御指摘のような北朝鮮に対する措置を含め、今後の対応については、関連国内法を踏まえ、諸般の事情を勘案しつつ検討していく考えであります。
 有事についてでございますが、継続審査となっている有事関連法案は様々な緊急事態に対応できる態勢づくりを進めるため必要であり、国民の幅広い理解を得て、今国会における成立を期してまいります。
 いずれにせよ、政府としては、国民の生命、財産を守るため、様々な観点から絶えず検討を重ね、いかなる事態にも対処できるよう最善を尽くしてまいります。
 集団的自衛権についてでございますが、憲法第九条は、戦争、武力の行使等を放棄し、戦力を保持しない旨定めていますが、政府は、自衛権の発動として自らの国を防衛するために必要最小限度の実力を行使することは同条の下においても許されると解釈してきたところであります。
 お尋ねの集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利と解されており、我が国がこのような集団的自衛権を行使することは、憲法第九条の下で許容されている必要最小限度の実力行使の範囲を超え、許されないと考えております。
 集団的自衛権を認めるべき時代ではないかという御指摘でありますが、将来に向かって政策論の議論をすることは結構でございますが、集団的自衛権に関し小泉内閣の見解を変えることは考えておりません。
 観光についてでございますが、観光産業は二十一世紀において極めて大事な、また国民にとっても大いに関心のある魅力的な産業だと私は位置付けております。
 特に、訪日外国人旅行者の増加は、国際相互理解の増進のほか、我が国における豊かな自然、歴史、文化等の観光資源を生かした旅行消費の拡大、関連産業の振興や雇用の拡大による経済の活性化といった効果が我が国にももたらされるものと考えております。このような観点から、現在約五百万人にとどまっている訪日外国人旅行者数を二〇一〇年に一千万人に倍増させることを目標として、観光立国懇談会を立ち上げたところでございます。
 五百万人、日本の方々が外国に旅行していたころ、一千万人、外国に旅行しようという目標は既に達して、今年、一年で既に千六百万人を超える日本人が外国に旅行しております。そういうことから考えて、五百万人を一千万人、外国人旅行者を招こうというこの目標は実現可能だと思っております。
 また、戦略的に外国人旅行者の訪日を促進するビジット・ジャパン・キャンペーンの実施を図るなど、観光の振興に政府を挙げて取り組んでまいります。
 政治家の責任についてでございますが、政治家の活動というのは常に国民から信頼されるものでなくてはならないと思っております。
 総理大臣の職責は誠に重いものでありまして、毎日緊張と重圧の中におることに変わりはございません。これからも毎日が有事の思いで、全力を尽くしてこの職責を全うしたいと思います。(拍手)
    ─────────────
○副議長(本岡昭次君) 大脇雅子君。
   〔大脇雅子君登壇、拍手〕
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、小泉総理の施政方針演説に対する質問を行います。
 冒頭に、今般発生したアメリカのスペースシャトル・コロンビア号の事故につきまして、亡くなられた七人の宇宙飛行士の方々とその御遺族に対し、心から哀悼の意を表します。
 さて、小泉総理の施政方針演説は、総体として、各省庁の既成の重点政策のパッチワークであり、未来を開く具体策に欠け、聞こえてくる総理のメッセージは、競争せよ、自らにむち打て、貧しき者は更に忍耐せよという精神訓話であり、国民は先行きの定まらないまま羅針盤のない航海を強いられております。
 第一に、デフレ・経済政策、税制改革についてお尋ねします。
 小泉式構造改革の本質的特徴は、非効率な設備や労働者等を切り捨て、それを中核とする緊縮型構造改革で、貸し渋り、貸しはがしと相まって、これまで日本を支えてきた中小零細企業を直撃し、デフレの阻止と経済の活性化は望むべくもありません。これまでの政府の金融・デフレ政策等の経済政策はいかなる具体的成果を上げてきたのでしょうか。更なる不良債権を発生させないという具体的な政策はあるのですか。
 二〇〇二年末の完全失業率は五・四%、倒産件数も史上最高で、サラリーマンの消費支出も五年連続減となり、小泉構造改革によって富の格差は拡大しつつあります。総理は格差を是正して平等な社会を実現しようという志をお持ちなのでしょうか。
 今回の実質一兆八千億円の先行減税はどのような効果を生むとお考えでしょうか。
 減税について、九〇年代の過去四回、減税分がどの程度消費に向かったのか追跡調査を行った二〇〇二年九月の内閣府研究リポートがあります。このリポートは、減税の効果は限定的で、時間の経過とともに減衰する一時的性格であったと分析しています。これまでの減税効果をどのように認識されていますか。さらに、税制中立の観点から多年度でバランスを取ると言われています。いついかなる時期にどのような増税を考えていらっしゃるのでしょうか。
 リポートは、増税が間近に予想される状況では減税効果は更に小さくなると、その可能性を指摘しております。消費を担う中間層など庶民に対する医療費の負担増等に加えて、増税と連動した先行減税には反対いたします。
 第二に、雇用失業対策及び労働法制の見直しについてお尋ねします。
 パート、派遣、有期雇用等の非正規雇用労働者は拡大の一途をたどり、通常労働者との賃金を始めとする労働条件について不合理な差別的取扱いを受けております。一方、正規雇用労働者は、リストラの結果による労働強化、サービス残業の蔓延、過労死、過労自殺の増加にさらされています。総理はこうした現状をどのように改革していくのですか。
 労働こそ富の源泉であり、人こそ改革の担い手であるはずです。労働の意欲と喜びは、公平な処遇と性別役割分担の解消によって生まれます。働き方の構造改革こそ経済再生の根本であることをお忘れになっていらっしゃいませんか。
 さらに、今国会で予定される解雇ルールの法制化、物の製造への派遣の解禁、派遣期間の延長、契約期間の延長等の法改正の政策によって、労働者は安心して今後とも働き続けられるでしょうか。
 今こそ、雇用創出のためのワークシェアリングを積極的に進め、同一価値労働・同一賃金を含む均等待遇原則の法制化が必要です。パートタイム労働法の改正が急務であります。明確に御答弁をお願いいたします。
 社会民主党は雇用継続保障のための法制大綱骨子を策定いたしました。募集及び採用における人種、国籍、信条、年齢による差別的取扱いの禁止、経営上の必要から解雇が必要な場合には、事業主はワークシェアリング等による雇用の確保と分かち合いなど、解雇を回避する努力の最大限を尽くすこと、労働者への説明と協議を尽くすこと、合理的な基準により人選が行われること等、解雇の制限の法制化を提起しております。
 第三に、持続可能な社会保障制度の確立についてお尋ねします。
 規制緩和と財政危機により、日本社会の連帯の、そして扶助のシステムは崩壊しつつあります。老後の不安は極めて深刻であります。給付と負担の在り方をどのように見直そうとしておられますか。保険料を負担できるだけの働き手を増やすこと、これが絶対的な要件だと思いますが、いかがでしょうか。
 広く薄くの消費税は、年金生活者、勤労世帯、若者等に負担が厳しくなる税制であると考えますが、総理はいかがお考えですか。社民党は消費税アップには反対であります。
 さらに、教育基本法の改正についてお尋ねします。
 前文に、日本国憲法の精神にのっとり、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するためにこの法律を制定すると宣言している教育基本法の改正が今なぜ必要なのだと考えられるのでしょうか。とりわけ、歴史教育、平和・人権教育をどのようにお考えでしょうか。
 総理は靖国神社に参拝されたのですが、A級戦犯が合祀されている靖国に参拝をされることによって、アジア諸国の不信と批判についてどのようにお考えになっていられるでしょうか。
 第五に、イラク、北朝鮮問題についてお尋ねします。
 過剰な軍事力を背景にしたアメリカのイラク攻撃の危機をめぐり、紛争の平和的解決に向けた国際社会の努力が続いています。爆撃反対、子供に明日をと、イラク攻撃への反戦運動の広がり、独仏などEUの対応、イラク査察継続の国連の動き等を踏まえて、平和憲法を持つ日本の総理は、報復の連鎖を食い止めて平和的解決のためのイニシアチブを取るべきであると考えますが、いかがですか。日本の世論調査は、たとえ国連決議があっても参加反対という人たちが六〇%を超えています。
 九一年より七年間、国連大量破壊兵器廃棄特別委員会によるイラク査察で主任査察官として活動したスコット・リッター氏は、ブッシュ大統領支持者でありながら、イラク攻撃には明確な法的根拠がないとして反対の声を上げていますが、そのリッター氏が昨日講演し、ブッシュが運転する車からかぎを抜き取って、酔っ払い運転でがけから飛び降りるのを防ぐことこそが真の友人として果たすべき役割だと述べています。イラク攻撃の危機を深刻に受け止めるべきであります。態度をあいまいにしたまま暗黙のブッシュ支援は国際的な批判を受けましょう。
 さらに、アメリカから莫大な戦費調達への協力要請があると聞いておりますが、事実ですか。総理はもしアメリカから要請されたら受けられるのですか。
 北朝鮮の核開発も深刻な問題です。
 北東アジア非核地帯化・平和実現のために、憲法九条を持つ日本は韓国の太陽政策を支援すべきだと考えます。韓国、米国、中国、ロシア等、多国間の協議の枠組みはできているのでしょうか。また、日朝国交回復の早期達成への見通しはあるのですか。拉致被害者及びその家族、更に日本人妻、脱北者の帰国・救済問題へはどう取り組むおつもりでしょうか。
 第六に、有事法制についてお尋ねします。
 有事法制は、憲法の基本原則をないがしろにして、日本がアメリカに従属して戦争のできる国家に導くものであると考えます。日本は有事法制によらない平和と安全の保障を追求すべきであり、国際社会も、国際刑事裁判所の設置など、法の支配による平和の創造が基本的な原則となりつつあります。だからこそ、日本は予防外交と信頼醸成、非戦、非核、軍縮を目指すべきであります。
 日本の安全保障としての有事法制の在り方について、総理の明確な御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大脇議員にお答えいたします。
 これまでの政府の経済政策の効果についてでございますが、私が就任以来、いろいろ経済的な指標が悪いと御批判をいただいているのは承知しております。しかしながら、金融、税制、歳出、規制などの構造改革を進める以外に持続的な経済再生はあり得ないと思っております。そういう考えの下に、経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応するという一貫した方針でこれからも経済運営に当たってまいりたいと思います。
 効果ということでありますが、今まで私が政権を担当して以来、もう常に危機危機と言われてきました。しかしながら、実際こういう不安定な中でも危機は起こさせない、適切に私は対処してきたものと思っております。そういう意味におきまして、これからも金融危機は起こさせない、そして少しでも民間需要主導の経済成長が実現できるような改革をしていきたい。
 また、国内総生産の実質成長率は、十四年度全体としては当初見通しの〇%を上回り〇・九%程度となることが見込まれているところであります。都市再生や構造改革特区など、地方や民間の意欲を生かした経済活性化に向けた取組も既に目に見える形で動き始めております。今後とも、デフレ克服に向け、日銀と一体となって総合的にいろいろな対策を打っていきたいと思っております。
 平等社会の実現に向けてでございますが、私は、努力してもしなくても結果は同じだというのは真の平等だとは思っておりません。結果の平等から、機会の平等を重んじよう、そのことが私はこれからの日本の社会を考えますと大事である。一言で言えば、努力が報われ再挑戦ができる社会、この実現を目指していきたいと思っております。
 そういう社会の中で、社会保障制度というのは極めて重要であります。国民が安んじて将来を設計できる環境が整備された下で、個々人の多様な挑戦が可能となる、多様な機会が提供されている、活力ある豊かな社会の実現につなげていかなきゃならない、これが平等社会の実現への道筋でなければならないと思っております。
 減税の効果、増税の時期についてでございますが、今回の税制改革については、相続税、贈与税の一体化により相続税が課税されないと見込まれる個人についても住宅取得資金を始めとする生前贈与が行われやすくなること、金融・証券税制の見直しにより一般の個人投資家にとり預貯金を中心とした資産運用から株式市場への投資参加がしやすくなること、土地流通税の大幅軽減は土地建物を取得する個人の税負担が軽減されることを通じ土地の有効利用の促進に資すること、研究開発・設備投資減税や中小企業税制に係る措置は産業の競争力強化や中小企業の経営基盤の強化を通じて雇用の拡大につながるなど、持続的な経済社会の活性化に資する効果が見込まれると思います。
 また、この税制改革の効果については、これまでも経済財政白書等において様々な形で試算を行うとともに、経済見通しについてもこうした税制改革の効果を踏まえた上で作成してきているところであります。
 今般の税制改革は、現下の経済情勢を踏まえつつ、国、地方を合わせて一兆八千億円程度の減税を先行させるとともに、多年度では税収中立となりますが、具体的には、増収措置として、平成十五年度から酒税、たばこ税の見直し、平成十六年度から配偶者特別控除の廃止、消費税の免税点制度等の改革を行うこととしております。
 労働行政についてでございますが、我が国の経済社会を活力あるものとして維持発展させていくためには、パートタイム労働、派遣労働などを含め、多様な働き方を可能とする労働環境の整備を進めるとともに、安心して働ける環境づくりが重要な課題であると認識しております。このような豊かでゆとりある国民生活を実現するためにも、働く時間を短くし、国民がバランスの取れた生活ができる社会を実現していくことが重要であり、労働関係法令等に基づき適切な労働条件の確保等に努めるとともに、法制度につき必要な見直しを行っていくこととしております。
 解雇ルールや労働契約については、解雇ルールの明記、有期労働契約の期間の上限延長等を内容とする労働基準法の改正法案を今国会に提出する予定でありますが、これは、労働者が多様な働き方を選択できる環境を整備し、働き方に応じた適正な労働条件を確保する観点から行うものであります。
 また、物の製造の業務への派遣解禁や派遣期間の延長等を内容とする労働者派遣法の改正法案を今国会に提出する予定でありますが、これは企業が求める臨時的、一時的な労働力需要に的確に対応するとともに、派遣労働者の様々な要望にこたえ、直接雇用を促進する内容も盛り込むこととしております。
 ワークシェアリングについては、昨年末、政労使合意が取りまとめられ、その中で政労使がそれぞれ着実な具体化を進めていくことに合意しており、今後は現実にその導入が進んでいくことが重要と考えております。
 今後のパートタイム労働対策については、パートタイム労働者と通常の労働者との処遇の均衡の問題も含め、現在、厚生労働省の審議会において議論が行われているところであり、その結果を踏まえ対応してまいります。
 いわゆるサービス残業の解消や、過労死を始めとする過重労働による健康障害の防止を図るために、労働時間管理の適正化、時間外労働の削減、労働者の健康管理に係る措置の徹底等に努めてまいります。
 社会保障の給付と負担の在り方についてでございますが、急速な少子高齢化が進む我が国にあって、この社会保障制度を将来にわたって持続可能で安定的なものとしていく観点から、世代間の公平性の確保にも配慮しつつ、給付と負担の見直しを始めとする不断の改革を行ってまいります。
 なお、現役世代の負担する保険料が過大なものとならないようにするためにも、少子化対策を推進するとともに、規制改革を進めるなど、成長の見込まれる分野などにおいて新たな雇用機会の創出を図っていくことも重要と考えております。
 消費税は年金生活者などにとって厳しい税ではないかとのお尋ねがあります。
 消費税は消費一般に広く公平に負担を求める税であることから、少子高齢化社会において、世代間の公平確保、安定的な歳入構造の確保といった点で優れている点も多々あると思います。中長期的にはその役割は重要になっていくものと考えます。
 なお、私の在任中は消費税率の引上げを行う考えはございません。議員の御懸念が税制の所得再分配機能の低下にあるとすれば、それは所得税等を含めた税制全体、さらには社会保障制度等の歳出を含めた財政全体で判断すべき問題であると考えております。
 教育基本法についてでございますが、戦後半世紀を経て社会状況が大きく変化し、教育全般について様々な問題が生じております。こういう教育問題について根本にさかのぼった改革が求められていると認識しておりますが、現在、中央教育審議会において、個人の尊厳、真理と平和、人格の完成など、現行法の普遍的な理念は大切にしながら、新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について御審議いただいているところであります。政府としては、中央教育審議会の答申を踏まえ、国民的な議論を深めながら、教育基本法の見直しにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、次の世代を担う子供たちが、人権尊重の意識を高めるとともに、国際社会に主体的に生きる日本人としての資質を養うため、我が国及び世界の歴史に対する理解を深め、世界平和の必要性や平和と人類の福祉等に寄与する我が国の役割を理解することは大変重要であると認識しております。政府としては、このような教育の一層の充実に努めてまいります。
 私の靖国神社参拝についてでございますが、先般、私が靖国神社に参拝したのは、心ならずも国のために命をささげなければならなかった多くの戦没者に対する敬意と感謝をささげたい、哀悼の誠をささげたいという気持ちと、二度と戦争を起こしてはならない、現在の平和もこういう尊い命を犠牲にしなければならなかった方たちの上に今の平和があるんだということをかみしめながら、政治家として二度と戦争を起こしてはならないという不戦の誓いを新たにするものであります。中国、韓国との友好関係を図る考えに今後も変わりないことを中国、韓国にも理解していただきたいと思っております。
 イラク問題の平和的解決についてでございますが、イラク問題の解決のためには、安保理を始め国際社会が協調して毅然たる態度を維持し、イラクが査察に全面的かつ積極的に協力するよう求めることが重要であり、我が国としての外交努力を継続してまいります。
 イラク問題をめぐる我が国に対する要請についてでございますが、米国とはあらゆるレベルにおいて率直な対話を行っており、イラクが関連安保理決議を履行することを確保するため、国際的連帯の下、日米両国が緊密に連携していくことを確認してきています。しかし、米国は対イラク軍事行動を決定したとは言っておりません。また、米国より具体的な支援要請を日本は受けておりません。
 北朝鮮の核問題に関するお尋ねですが、北朝鮮の核開発問題は、国際的な平和と安定、核不拡散体制の問題であるとともに、我が国自身にとっても重大な懸念であります。我が国としては、米国、韓国に加え、ロシア、中国など関係諸国と緊密に連携、協議しつつ、平和的解決を図っていきたいと思っております。
 日朝国交正常化交渉についてでございますが、拉致問題や核問題への対応をめぐり、現在、日朝間では国交正常化交渉を直ちに再開する状況にはありませんが、政府としては、日朝平壌宣言に基づいて諸懸案を解決し、地域の平和と安定に資する形で国交正常化を実現するという基本方針に変わりなく、北朝鮮に対し、問題の解決に向け前向きに対応するよう引き続き働き掛けていく考えであります。
 拉致問題及び北朝鮮からの脱出者への対応でございますが、拉致問題については、御家族を始めとする関係者が納得する形で問題が解決されることが重要であります。政府としては、被害者の方々及び御家族との連絡を引き続き密にし、その意向も踏まえながら、北朝鮮側に対し、事実解明、被害者御家族の帰国の実現等を引き続き強く求めていく考えであります。
 また、北朝鮮からの脱出者への対応の問題については、国内の様々な議論を踏まえ、関係者の身の安全、人道上の観点等の種々の観点を総合的に勘案しながら対処していく考えであります。
 韓国の北朝鮮に対する太陽政策についてでございますが、政府としては韓国政府の太陽政策を支持しており、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との関係に取り組む中で、引き続き韓国及び米国と緊密に連携していく考えであります。
 有事関連法案についてでございますが、継続審査となっている有事関連法案は、憲法の範囲内で様々な緊急事態に対応できる態勢づくりを進め、国民の安全を確保するため是非とも必要であると考えております。政府としては、幅広い国民の理解を得て、今国会における有事関連法案の成立を期してまいります。(拍手)
○副議長(本岡昭次君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十二分散会