第156回国会 本会議 第13号
平成十五年三月二十四日(月曜日)
   午後零時三十一分開議
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○議事日程 第十三号
  平成十五年三月二十四日
   午後零時三十分開議
 第一 地方税法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 一、株式会社産業再生機構法案、株式会社産業
  再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に
  関する法律案及び産業活力再生特別措置法の
  一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
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○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 株式会社産業再生機構法案、株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。谷垣国務大臣。
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 株式会社産業再生機構法案及び株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、株式会社産業再生機構法案について申し上げます。
 我が国経済は、現在、金融面において、金融システムに対する信頼を回復するため、不良債権問題の解決を図ることが課題となる一方、産業面において、過剰債務企業が抱える優良な経営資源を再生するとともに、過剰供給構造を解消するための産業再編を促進することが課題となっており、産業と金融の一体となった対応が必要な状況にあります。
 この法律案は、こうした状況を踏まえ、雇用の安定等に配慮しつつ、我が国の産業の再生と信用秩序の維持を図るため、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者に対し、金融機関等からの債権の買取り等を通じてその事業の再生を支援する株式会社産業再生機構を設立しようとするものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 第一に、株式会社産業再生機構の設立等の基本的な事項を定めております。
 産業再生機構は、主務大臣の認可により、一を限って設立される株式会社とし、預金保険機構は、産業再生機構の発起人となり、常時、機構の発行済株式の二分の一以上を保有しなければならないものとします。産業再生機構の主務大臣は、内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とし、役員の選任、予算、資金の借入れ等の認可など、必要な監督事務を行います。
 第二に、産業再生機構の組織について定めております。
 産業再生機構には産業再生委員会を置き、機構の取締役の中から三人以上七人以内の委員を選定して組織するものとします。産業再生委員会は、事業者の再生支援の決定、債権の買取り等の決定、債権又は持分の処分の決定など、機構の業務運営に関する重要事項の決定を行います。
 第三に、産業再生機構の業務について定めております。
 産業再生機構は、過大な債務を負っている事業者とその債権者である金融機関等の連名による申込みを受け、支援基準に従って再生支援をするかどうかを決定し、支援決定を行ったときは、関係金融機関等に対し、機構に対する債権買取り等の申込み又は事業再生計画への同意の回答をするよう求めます。回答に係る債権額が対象事業者の再生支援に必要な額に達したときは、対象事業者に対して金融機関等が有する債権の買取り等を行うものとします。
 産業再生機構の債権の買取り等は平成十六年度末まで行うこととし、当該買取り等をした対象事業者の事業の再生を図りつつ、買取り決定から三年以内に、買い取った債権等の譲渡その他の処分を行うよう努めるものとします。
 あわせて、これらの業務を行うために必要な支援基準の主務大臣による策定、関係金融機関等に対する債権回収の一時停止の要請、買取り価格、決定の公表、倒産法制の特例、関係金融機関等の資料提出などについての規定を整備します。
 第四に、産業再生機構の円滑な運営を図るため、その他所要の規定を整備しております。
 政府が産業再生機構の資金調達に関する債務保証や解散時の債務超過に対する補助等を行うことができる旨の規定、預金保険機構の業務の特例の規定を設けるほか、産業再生機構は、産業活力再生特別措置法による支援施策との連携を取ること、債権の買取り価格の算定のために金融庁又は日本銀行に技術的助言等の協力を求めることができること、預金保険機構及び整理回収機構との協力体制の充実を図ること等を規定するとともに、政府関係金融機関等について、対象事業者に対する債務の免除等に協力するよう努めることを規定しております。
 なお、この法律案は衆議院において一部修正が行われておりますが、その概要は、産業再生機構の目的として、雇用の安定等に配慮しつつ、我が国産業の再生と信用秩序の維持を図るものとすること、機構が支援決定を行うに当たっては、事業再生計画についての労働者との協議の状況等に配慮するとともに、中小規模の事業者に企業規模を理由として不利益な取扱いをしてはならないものとすることであります。
 続いて、株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について申し上げます。
 この法律案は、株式会社産業再生機構法の施行に伴い、預金保険機構が整理回収機構に委託して行っている健全金融機関からの資産の買取りにつき、その申込みの期間を一年間延長するとともに、中小企業信用保険法その他の関係法律について規定の整備を行うものであります。
 以上がこれら法律案の趣旨であります。(拍手)
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○議長(倉田寛之君) 平沼経済産業大臣。
   〔国務大臣平沼赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 現行の産業活力再生特別措置法は、経営資源の効率的活用を通じて我が国経済の生産性の向上を実現するため、事業者が実施する事業再構築の円滑化等の措置を講ずることにより我が国産業の活力の再生を速やかに実現することを目的として平成十一年八月に制定されました。同年十月の施行以来百九十件余の支援を行うなど積極的な活用がなされておりますが、本年三月末をもって支援措置を受けるための計画提出期限が終了することとなっております。
 同法の施行後、我が国経済の生産性はいったん回復が見られたものの、近年、過剰供給構造や過剰債務の問題が深刻化し、またこれらを背景として設備投資も低迷が続いており、生産性は再び低下に転じております。
 こうした状況を克服するためには、過剰供給構造や過剰債務の問題の解決に資する事業者の取組を支援、促進することが極めて重要であり、本法律案はこのための施策を講ずるものであります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、本法律案は、これまで講じられてきた事業再構築に向けた取組を支援する事業再構築計画に加え、過剰供給構造の解消を目指して二以上の事業者が共同で実施する事業再編の取組を支援する共同事業再編計画、他の事業者から事業を承継して当該事業に係る経営資源をより有効に活用しながら生産性の向上を図る取組を支援する経営資源再活用計画、事業者が国内に開発製造拠点を整備する取組を支援する事業革新設備導入計画の三類型を追加して支援対象を拡大することとしております。
 また、支援措置につきましても、新たに、企業組織の再編成や事業再生を機動的かつ柔軟に実現できるよう、株主総会決議に代えて取締役会決議でできる簡易組織再編成の範囲の拡大、増資と同時に行う減資等に関する手続の緩和等の商法上の特例措置を講ずることとしております。さらに、これらの事業活動に必要な資金の確保を円滑化するため、課税の特例、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の特例等の措置を講ずるなど支援措置を拡充することとしております。
 第二に、中小企業の再生につきましては、多種多様で地域性も強いといった特性を踏まえつつ、種々の問題を抱える中小企業に対して再生の支援を図るため、商工会議所等に地域の関係者から成る中小企業再生支援協議会を設置し、中小企業の再生への取組に対する指導及び助言等の業務を行う体制を整える等の措置を講ずることとしております。
 以上が本法律案の趣旨でありますが、本法律案につきましては、衆議院において修正が行われたところでございます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。木俣佳丈君。
   〔木俣佳丈君登壇、拍手〕
○木俣佳丈君 質問に先立ちまして、今朝、我が会派の吉田之久前議員が他界されました。
 吉田先生は、私も久しく交わらせていただいておりますが、平和をこよなく愛された方であります。心から御冥福をお祈り申し上げたいと思っております。
 私は、参議院の民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案のありました株式会社産業再生機構法関連二法案、産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案について、総理及び関係諸大臣に質問を行います。
 まず初めに、総理の政治姿勢について問いたいと思います。
 私は、小泉総理が議会制民主主義の基本である国民に対する政策説明や結果に対する責任を全く果たしていないことに今日の政治危機を招来した原因があると考えます。
 マックス・ウェーバーは、「職業としての政治」の中で、国家指導者の名誉は自分の行為の責任を自分一人で負うところにあり、この責任を拒否したり転嫁したりすることはできないし、また許されないと述べているのと正反対の態度だと思えてならないのですが、総理は御自身の反省も含めてどのようにお感じになっておられますか、お答えください。
 イラク攻撃が続けて行われております。本日の集中審議でも、同僚議員から、そしてまたテレビの放送でもありましたように、イラクで最も苦しむのは弱い立場の方々です。子供たちや老人、そして女性の皆さん。一刻も早く戦争の終結を祈りたいと思います。
 総理に伺いたいのは、あとどの程度で戦争が終結するのか、どのように見込んでおられるのか、総理の御見識を伺いたいと思います。
 総理は攻撃直前になって米国への支持を表明されました。総理の武力攻撃支持表明は平和的解決を求める国内、国外世論に背を向けるものと言わざるを得ません。御自身が武力行使には新たな国連安保理決議が望ましいと主張してきたはずです。にもかかわらず、決議なしの武力行使を支持する理由について国民に全く説明をしておりません。
 総理がもっと国民に丁寧に説明すべきことは、第一にイラク攻撃に関しての大義、第二に今後起こり得る戦中戦後のシナリオ、第三にイラク復興も含めたコスト、第四に我が国政治経済に与える影響ではないでしょうか。
 先日の御答弁では、特のこの第三のコストについては全くないと、公式なものがないと言われましたが、米国議会予算局、CBOでは既に三百億ドルと規定をされているのはなぜでしょうか。残念ながら、私には総理の説明が全く届きません。ここで明らかにお答えいただきたい。
 また、原油の高騰などにより経済が失速した場合、失業や倒産が急増した場合などが生ずることを想定して、政府はどんな対応を考えているのか、小泉総理、平沼大臣、竹中大臣よりお答えをいただきたい。
 小泉総理は、経済政策においても、就任以来、支離滅裂ではないでしょうか。牽強付会という言葉がありますが、これは自分の都合の良いように無理に理屈をこじつける、いわゆるへ理屈という意味です。
 先ほどの国連決議の必要もそうですが、最たるものは、財政再建路線を重視して、第一の公約として赤字国債三十兆円以内を高らかに宣言しているかと思えば、他方で、平成十三年度補正、二次補正、平成十四年度補正と三度にわたって追加的な財政出動に走り、挙げ句の果てに、公約違反は大したことではないが結論でした。
 政府・与党の要人が訪米するたびに、不良債権処理、デフレ退治を約束しますが、不良債権の額は減ることはなく、ますます増加しております。基となる金融機関の安定もかなり不安が残っています。先日、私が訪米したときにも、友人たちは口をそろえて、日本は小手先のことばかりだねというのが合い言葉でした。大変残念です。
 デフレについては、ようやくデフレは悪であるという認識がおありのようですが、施政方針演説においてもはっきりとデフレ克服に取り組みますと公言しています。しかし、平成十五年度の政府経済見通しでは、消費者物価上昇率をマイナス〇・四%と定めるなど、物価が下がることを織り込んでおり、これでデフレを真正面からとらえているのでしょうか。
 竹中大臣は、最近の著書「あしたの経済学」の中で、需給ギャップは確かにあるが、その程度が極端に大きくない、又は、価格下落の一つの大きな要因は、技術の進歩とグローバリゼーションの中で、国内価格が国際価格に収れんしていると主張しています。
 しかし、一方で、自民党政調会長は、デフレギャップは甚だしい、それを埋めなければ不良債権は減らないと述べ、このように意見の相違とデフレに対する甘い考え方があるからこそ政府の経済失政が続くのではありませんか。具体的にデフレの要因をどのように分析されるのか、また、デフレギャップはどの程度で、それでもやはり大したことではないのか、改めて竹中大臣の意見を伺います。
 総理は、福井新日銀総裁との会談で、二〇〇五年度のデフレ克服を目指し、政府との対話を密にし、追加的な金融政策を求めていますが、日銀法二条にありますように、どんなことをしても物価の安定を考えるというのなら、どんな方法があるのか具体的に示してください。
 「あしたの経済学」では、株価はその企業の総価値を発行株数で割ったものとあります。しかし、単純にピーク時の株価が三万八千九百十五円、当時のGDPが四百十七兆、GDPが五百兆を超えた現在、株価は八千円を下回っています。なぜでしょうか。竹中大臣、お答えください。
 さらに、三月決算を迎え、株への対応も全くなっていません。
 小泉内閣は、複雑怪奇で悪名高い証券税制をつくりました。余りの複雑さに、個人投資家を中心に株離れが加速しています。二回買って二回売る一般的な取引をしても、納税の方法には何と二十五種類もあります。これでは全く分かりません。これまた本気だとは思えませんが、今後いかなる基本姿勢で臨むのか、小泉総理、財務大臣、竹中大臣、お答えください。
 いずれにせよ、未曾有の不況は、以前の指導者の失政が余りにも大きいから簡単に克服できないものとお考えになっているのか、それとも自らの失政が招いたものとお考えになっているのか。また、経済政策について説明になっていないとの批判については、総理としてはきちんと説明をしているつもりなのか、あるいは牽強付会の説もないのか、そのどちらなのか、総理の見解を求めたいと思います。
 政府提出の産業再生機構関連二法案が衆議院を通過しました。我が党が要求した重要な法案修正が実現し、附帯決議等においても多くの成果が得られたことは一歩前進と受け止めています。しかし、これら法案については、まだまだあいまいな点も多く、本院でこそ本格的な審議を重ねていかなければならないと実感しています。産業活力再生特別措置法改正法案についても同様であると考えます。
 まず、産業再生機構についての懸念を紹介しつつ、それについて質問をいたします。
 第一に、そもそも産業再生ではなくて、名前は企業再生ではないでしょうか。また、産業再生とは名ばかりで、国家的飛ばし機関になるおそれがあるとの指摘もあります。また、法案の枠組みがあいまいで、だれが責任を取るのかもはっきりしていません。この点について、総理の見解をいま一度明らかにしていただきたい。
 第二に、中小企業が対象となる可能性がほとんどなく、特定の大企業のみを想定しているのではないかとの指摘があります。修正案には、再生支援の申込みをした事業者が企業規模を理由として不利益な取扱いを受けない旨が規定されました。この趣旨を徹底し、政府は地方の地場産業などが申請で手間取ることのないよう所要の措置を講ずるべきです。中小企業のために地方における窓口を設置することも含め、具体的な方策を、谷垣大臣、明らかにしていただきたい。
 第三に、機構に生じた損失が最終的には国民負担となるのではないかとの懸念があります。政府は、過去に金融機関から債務の免除支援を受けた事業者について厳正判断を行う方針だと伺っておりますが、その具体的方策を示していただきたい。また、債務の株式化又は債務の免除を行うべきではないと考えますが、政府は確約することがなぜできないのか、谷垣大臣、お答えください。
 第四に、過剰供給の是正につながらないのではとの指摘があります。債務免除を受けた企業は、本来なら勝ち組であるはずの同業他社に不当なダンピング競争を仕掛け、公正競争を阻害するようになると懸念があります。独占禁止法との関連も含め、政府は公正競争の確保をどう図るのか、谷垣大臣、具体的に示していただきたい。
 最後に、この法案はリストラ促進法案になるのではないかとの批判があります。失業を更に加速し、勤労者及び勤労者の家族の生活が圧迫されてはなりません。法律の目的に雇用の安定に配慮する旨を追加する修正が盛り込まれましたが、このことを具体的にどう担保をしていくのか、総理、明らかにしていただきたい。
 政府経済見通しでは、平成十四年度実績見込みで五・四%となっている失業率が、平成十五年度見通しでは五・六%となっております。失業率の増加を見込んでいることは勤労者の不安をあおるものではないのでしょうか。政府が主張し続けてきた五百三十万人雇用創出計画は一体どこへ行ったのでしょうか。
 以上の諸点について、総理及び谷垣大臣から丁寧に答弁していただきたい。
 なお、産業活力再生特別措置法改正案においては、各都道府県に中小企業再生支援協議会を設けて、専門家らが再生計画づくりなどを支援する枠組みが盛り込まれていますが、大企業中心との批判をかわすためではないかと受け止める意見も聞かれました。中小企業関係者から、支援協はないよりましだが、従来からやっている倒産防止対策費の積み増しの方が本当は有り難いとの指摘もありました。この協議会を実効ある組織とするために政府はどのような具体策を講じようとしているのか、平沼大臣より御答弁を願いたい。
 最後に、再度申します。
 国家指導者の名誉は自分の行為の責任を自分一人で負うところにあり、この責任を拒否したり転嫁したりすることはできないし、また許されない。政治は結果である。産業の再生どころか、日本の再生のために政権交代を強く望んで、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 木俣議員にお答えいたします。
 国民に対する政策説明、結果に対する責任についてでございますが、民主主義の時代でありますので、価値観とか政治理念、違いがあって当然だと思います。しかしながら、そういう方々とも対話を重視して、できるだけ国民の理解と協力を求めていかなきゃならないと思っております。私は、就任以来、小泉内閣の掲げる政治目標をいろいろな場を通じて分かりやすく訴え続けているつもりでございます。
 今回のイラクの問題につきましても、多数の国民が理解を得にくい問題であることは承知しておりますが、やらなきゃならないことがあるときは決然としてやらなきゃならない場合もあるというのが総理大臣の宿命だと思っております。いずれ時間がたてば多くの国民から理解が得られるのではないかと思って、現在の方針を堅持していきたいと思います。
 イラクに対する武力行使の今後の見通しについてでございますが、見通しということにつきましては、なかなか断定して申し上げにくい、予測が難しいところだと思っております。いずれにせよ、今回のイラクへの武力行使が、できるだけ被害を少なく、人的な面においても、あるいは物的な面におきましてもできるだけ被害を少なくして、国際社会に対するイラクの脅威を取り除く形で速やかに終結することを望んでおります。
 イラク問題について政府の説明についてでございますが、これは、度々申し上げておりますように、基本的には、イラクが十二年間以上にわたりまして国連決議を忠実に実行してこなかったということにあると思います。言わば大量破壊兵器を廃棄してこなかったということであります。
 このイラクの問題につきましては、今後、復興の面あるいは経済に対する、周辺国に対する影響も出てまいりますので、事態の推移をよく見ながら、政府としてもこの状況を注視しつつ、できるだけ復興支援については日本としても協力していきたいと思っております。
 イラク攻撃による経済の失速などを想定した政府の対策についてでございますが、本件が内外の経済に混乱を引き起こして国民に不安を生じさせないような対応をしなきゃならないと考えております。このため、財務大臣あるいは経済産業大臣、金融・経済財政政策担当大臣に対し、引き続き為替、原油、株式などの経済・金融市場の動向を十分注視しつつ、不測の事態が生じないよう、原油の安定供給あるいは金融システムの安定確保などについて日銀と一体となって万全を期すよう、既に指示しているところであります。
 戦闘開始以降、内外の経済・金融市場は比較的安定して推移しております。今後の動向については、確たることはなかなか難しいと思いますが、短期的に終結する場合には内外経済への影響は限られたものになると想定しております。
 物価の安定に向けた金融政策についてでございますが、デフレは実質債務負担の増加や企業収益の圧迫などを通じまして民間需要あるいは雇用などに悪影響を及ぼすものであり、できる限り早期のプラスの物価上昇率実現に向け、日銀と協力していきたいと思います。
 デフレ克服には金融面を含め総合的な対応が重要でありまして、日本銀行においては、これまでも様々な努力をされてきたところでありますが、新たな総裁、副総裁の下、更に実効ある金融政策運営を強く期待しております。なお、金融政策の具体的手段については、日銀政策委員会が議論を尽くされた上で最終的に適切に判断される事柄であると考えております。
 今後とも、日本銀行とは、その自主性を尊重しつつ、政府としても密接に連携を取っていく考えであります。
 証券市場の活性化策についてでございますが、政府としては、平成十五年度税制改正において、貯蓄から投資への流れを加速するため、株式の譲渡益、配当などについて税率を五年間一律一〇%にするなど、証券税制を大幅に軽減、簡素化することとしたほか、身近な金融機関における証券の購入を可能とすることや、公認会計士監督を充実強化するなどを内容とする改正法案を今国会に提出するなど、個人投資家にとって参加しやすく信頼できる証券市場とするための改革を積極的に取り組んでいるところであります。
 経済低迷の原因や私の経済政策に対する説明の在り方についてでございますが、日本経済は、世界的規模での社会経済変動の中、複合的な構造要因による景気低迷に直面しておると思います。不良債権や財政赤字などの負の遺産を抱え、今まで経験したことのないデフレ状況が継続しているなど、厳しい内外経済環境が生じていると認識しております。
 こうした中、小泉内閣としては、日本経済再生のためにはデフレ克服を目指しながら構造改革を進めていく以外に道はないという認識の下に、経済情勢においては大胆かつ柔軟に対応するという一貫した方針で経済運営に当たってまいりました。このような努力によりまして、昨年の金融・経済情勢の不確実性の高まりといった経済の不安定化要因にも適切に対処してきたものと考えております。
 改革は道半ばにありまして、成果が明確に現れるまでにはしばらく時間が必要だと思います。引き続き、デフレ克服に向けまして、日銀と一体となって総合的に取り組んでいくとともに、各般の構造改革を加速させることによりまして、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図っていく考えであります。
 このような私の経済政策に対する考えは就任以来一貫しておりまして、引き続き国民の理解を得ながら各改革に取り組んでいきたいと思います。
 産業再生機構の責任体制についてでございますが、産業再生機構は個別の企業の再生を目的とするものではありません。企業の行う事業に着目し、将来性のある事業の再生を目的とするものでありまして、これにより健全な事業への資源の集中が促進され、産業の再生につながっていくことに期待しております。
 機構は、その運用において、対象企業の事業再生計画を厳格に評価し、事業の再生を図ることとしておりまして、飛ばし、借金棒引きとの御指摘は当たりません。
 さらに、機構の運営に対する責任は機構自身が負うことは言うまでもありませんが、政府においては主務大臣が機構の監督について責任を負うことになっております。
 産業再生機構と雇用の安定についてでございますが、産業の再生に当たっての雇用の安定の配慮については、基本的には、昨年十二月に産業再生・雇用対策戦略本部で決定した企業・産業再生に関する基本方針にあるように、政府全体として必要な雇用のセーフティーネットの整備に取り組むべきものと考えますが、産業再生機構の運営に当たっても雇用の安定に配慮することとしております。
 各企業が事業再生を行うに当たっては、当該企業は労働者の理解と協力を得て事業再生計画を策定し、これを実施するのが通常と考えますが、機構としても、事業者の事業再生計画をめぐる労働者との協議の状況等について十分注視することを通じて雇用の安定に配慮していかなければならないと考えます。
 雇用の見通しと五百三十万人雇用創出についてでございますが、現在、日本経済は構造改革の途上にあり、平成十五年度の雇用情勢については厳しい状況が続くのは避けられないと考えております。
 一方、最近の雇用情勢を見ますと、失業率が高水準で推移する中、有効求人倍率は上昇しておりまして、この背景には雇用のミスマッチがあるものと考えます。
 いわゆる今後五年間でサービス部門において約五百三十万人規模の雇用を創出するとの試算につきましては、介護福祉、子育て、情報など様々なサービス分野において規制改革を進めるなどにより雇用の創出を図っているところであります。これに加え、十四年度補正予算及び十五年度予算と合わせた切れ目のない執行を通じまして、ミスマッチの解消など雇用のセーフティーネットに万全を期してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣平沼赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 木俣議員にお答えをさせていただきます。
 まず、イラク攻撃による経済の失速などを想定した対策についてのお尋ねでございます。
 日本経済全体への影響については、今回のイラクへの武力行使が短期で終結する場合には私どもは小さいと認識をいたしております。仮に事態が長期化する場合には、今後、我が国金融及び経済に対しては様々な影響が出ると、このように思っております。
 消費者物価に関しては、仮に原油価格が上昇したとしても、石油製品の消費者物価に占める割合、これは約三・〇%でございます、小さいことと、原油価格だけでなく為替動向や内外景気動向なども併せて物価全体の決定要因となっていることから、少なくとも当面は影響は大きくない、このように考えております。また、石油製品を始め広範な所管物資についても、日々きめ細かくモニターを実施しております。
 また、原油の高騰が企業収益に影響を与える可能性も想定されますが、これはイラク情勢の今後の動向に加え、各産業分野においてどの程度石油製品を使用しているのか、また、その産業分野の需要動向、為替動向等の各種要因によるものと私どもは考えております。
 経済産業省といたしましては、今回の事態を受けまして、内外の経済に混乱を引き起こし、国民に不安を生じさせることのないように、今般、対策本部を設置をいたしまして、当面の対策として、石油の安定供給、国民生活や産業活動に深くかかわる物資の価格動向の把握、中小企業の動向の把握等に努めているところでございまして、今後とも事業の広がりや持続性について十分見極めつつ適宜適切な対応をさせていただきたい、このように思っております。
 次に、中小企業再生支援協議会の実効性を担保するための政府の取組についてのお尋ねでございました。
 中小企業再生支援協議会においては、企業再生業務に携わった経験のある有能な専門家を配置をし、また、地域の中小企業診断士等の多数の専門家の協力も得まして、実効性のある、高い、そしてきめ細かな取組を行っていきたいと思っております。また、金融面でも、いわゆる借換え等にも保証を行う資金繰り円滑化借換保証制度、これは二月十日から実施をいたしましたけれども、約一月経過をいたしまして、現時点では二万八千件、四千五百億、この保証をさせていただいております。
 こういったことや、経営再建に取り組む中小企業に対する企業再建貸付制度など施策の充実を図りまして積極的な支援を行ってまいりたい、このように思っているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 木俣議員にお答えいたします。
 まず、中小企業の取扱いについてお尋ねがございました。
 機構は、支援の対象について企業の規模の大小は問わないこととしております。すなわち、機構の支援を希望する企業については、それが大企業であろうと中小企業であろうと、その企業の再生可能性があり、機構の支援基準を満たす案件であれば、機構は全力を挙げて再生のための支援に取り組むこととしております。
 また、支援基準を運用し、事業の再生支援を行うに当たって、中小企業者の実態等を勘案して機構による再生支援を中小企業者が十分活用し得るよう努めることとしております。
 今後、中小企業者を含め機構を十分に御利用いただくための具体的方策については、関係省庁とも御相談しながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
 次に、過去に金融機関から債務免除を受けた事業者の取扱いについてお尋ねがありました。
 過剰債務に陥り、過去に債務免除や債務の株式化といった金融支援を受けた企業であったとしても、コアとなる事業に関して十分な競争力がある場合であれば、このコア事業を早期に再生させることで、雇用や取引先への影響も含め、我が国経済の活性化を図っていくことに資するものと考えられます。
 したがって、過去に債務免除等の金融支援を受けたということをもって再生支援の申込みの対象外とはせず、事業者の再生可能性を、支援基準に基づき、再生計画の終了時点において、新たなスポンサーの関与等により資金調達、リファイナンスが可能な状況となり、その結果、債権の処分が可能となる蓋然性が高いと見込まれるか否か等について産業再生委員会が厳正に判断するということが望ましいものと考えます。
 また、債務の株式化並びに債務の免除についてお尋ねがありましたが、過剰債務構造にある企業に関しては、相当程度財務構造が悪化しておりますことから、一般的に、事業の再生を行うに当たっては債権の株式化や債務の免除といった手段を通じて債務のリストラを行うことが不可欠であります。したがって、債務の株式化や債務の免除を機構の場合に限って禁止しなければならない特段の理由はないものと考えております。
 それから、産業再生機構における公正競争の確保等についてのお尋ねですが、不当なダンピング等の公正競争確保の問題については、公正取引委員会や事業所管官庁において対応しておられる問題であって、産業再生機構のスキームと直接の関係を有するものではありません。
 ただし、産業再生機構がそうした環境を助長するのではないかとの懸念に関して申し上げれば、機構は、対象企業のコアとなる事業が目先だけでなく将来的にも市場での競争力を持ち十分な収益を生み出していけるかとの観点から、当該事業の再生可能性や事業再生計画の妥当性を判断し支援決定を行うため、不当なダンピングに走らなければ競争できないというような事業は機構の支援対象とはなり得ないと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹中平蔵君) 木俣議員から四点質問いただきました。
 まず、イラク攻撃が我が国経済に与える影響、その対策についてのお尋ねでございます。
 先ほど総理がお答えしましたとおり、戦闘開始以降、内外の経済・金融市場は総じて安定して推移しており、混乱は生じていないというふうに認識をしております。
 今後の動向について、これは不確実な要因が依然として多いわけでありますが、今のところは、戦闘が短期的に終結する場合、内外経済への影響は限定的であるとするのが専門家の基本的な見方であるというふうに認識をしております。
 政府としては、原油の安定供給を始め、世界及び我が国の経済システムに混乱が万が一にも生じないように、関係国と協調して状況の変化に対応して適切な措置を講ずることとしたところであります。
 今後とも、金融・経済情勢を十分に注視するとともに、原油の安定供給の確保、金融システムの安定確保など、日本銀行とも一体となって万全を期していくつもりでございます。
 デフレの要因分析、そしてデフレギャップについてのお尋ねがございました。
 デフレの要因としましては三点、安価な輸入品の増加等によります供給面の構造要因、内需の弱さからくる需要面の要因、そして金融の仲介機能低下からくる金融の要因があり、これらの要因が言わば複合的に物価の下落に作用しているというふうに考えています。
 それで、需給ギャップ、デフレギャップについてのお尋ねでありますけれども、これは平成十三年度の経済財政白書で計量的な手法を用いた試算を行っております。この手法を今に当てはめますと、足下ではGDPの三ないし四%の需給ギャップ率というふうに推計をされます。この数字についてはいろんな御評価があろうかと思いますが、長期に低成長が続いている割には需給ギャップが大きく拡大していないというのも事実であろうかと思います。これは、十年の低成長という言わば負の遺産が現在の日本経済の潜在成長力そのものを押し下げているところに原因があるというふうに思います。
 したがいまして、需給ギャップを解消するためには、新分野への民間投資の促進、新規需要、新規雇用の創出、そして社会保障改革を含む構造改革によって潜在成長力を引き上げて、同時に民間需要の持続的な拡大を引き出すことが必要であるというふうに思っております。
 株価についてのお尋ねがありました。
 株価は様々な要因を背景に市場において決定されるものでありますので、その要因を特定するのは困難でございます。最近の株価が軟調に推移してきたことについては、市場においては特に二点、イラク情勢の緊張感の高まりを受けた買い控え、それと第二に需給の悪化等が指摘されていたというふうに思います。
 御承知のとおり、開戦後、内外の株価が大きく上昇するというような状況になっております。短期的には、申し上げたとおり、いろんな要因がありますが、我々としては、中長期的な経済の競争力、成長力を強化していく、そのための構造改革が何よりも重要であるというふうに考えております。
 証券市場の活性化についてのお尋ねがございました。
 証券市場への個人投資家の参加を促進するため、証券税制については、これを大幅に軽減、簡素化してその周知に努めております。個人投資家にとって参加しやすく信頼できる市場とするため、身近な金融機関における証券の購入を可能にする、公認会計士監査を拡充強化する、そういった内容を含む証券取引業法及び公認会計士法の改正法案を提出したところでございます。
 さらに、国際情勢の緊迫化等による投資家の市場に対する不安感を払拭して市場の適正な運営を図るという観点から、去る三月十三日に六項目の株式市場の適正な運営の確保に関する方策を発表して所要の措置を講ずることといたしました。
 いずれにしましても、これらによりまして投資家が安心して証券市場で投資できるようになり、証券市場が活性化することを期待しているところでございます。
 以上四点、お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対するお尋ねは、証券税制が複雑過ぎて、それがために株離れが起こっているのではないかというお尋ねでございまして、今回それを大幅に改正いたすことにいたしまして、まず要点を申しますと、一つは、一般預貯金並みの手軽さで株式投資ができるというふうにいたしました。それがためには、一々、証券の売りと買いの価格の差を申告するということはなくして一括して申告は不要の制度にしようということにいたしました。
 それからもう一つは、上場株式の譲渡益であるとか、あるいは公募の投資信託でございますが、それの配当金、こういうものにつきましても、源泉徴収の手続を省略いたしまして申告不要の制度を導入した次第であります。
 それからもう一つは、貯蓄から投資へということに重点を置きまして税率を非常に引き下げたということでございまして、現在、今までおおよそ二〇%でございましたのですが、今回は全部、譲渡益も配当課税にいたしましても一〇%に低減するという措置を講じまして、株式投資に親しんでいただくような導入口をつくったということでございます。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) 西山登紀子君。
   〔西山登紀子君登壇、拍手〕
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました産業再生機構法案及び関連法案、産業活力再生特別措置法改正案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 質問に入る前に、米英による無法無謀なイラク戦争を即時中止すること、日本政府の恥ずべき支持の態度を直ちに改めることを強く要求いたします。
 この戦争は国連憲章違反の先制攻撃であり、二十一世紀の平和な世界秩序に対する正面からの挑戦であります。無辜の市民を殺りくし、イラクの子供たちの生存と生きる希望すら断ち切る野蛮な戦争を日本国民は決して許さないであろうことを表明し、質問に入ります。
 今回の産業再生機構法案など三法案は、不良債権処理の加速策を促進するため、不良債権や過剰債務を抱える銀行と企業を産業再生の名の下に支援するものです。これによって個別企業の再生が図られたとしても、それが日本経済と国民の暮らしにとってどういう意味があるのか、日本経済の再生に寄与するものなのか、順次伺います。
 まず、産業再生機構法案についてです。
 本法案は、銀行から不良債権を切り離すための受皿機関として産業再生機構を創設するとしています。不良債権の処理は、本来、問題の当事者である銀行や企業の責任で行うのが筋ではないでしょうか。銀行間の利害が対立して再建計画が進まない経営不振企業の不良債権をなぜ機構が肩代わりをする必要があるのでしょうか。企業の再生に責任を負うべき銀行に代わって、今、産業再生機構を創設しなければならない理由は何なのか、総理、はっきりお答えください。
 しかも、救済の対象は事実上大企業に限られるのではありませんか。谷垣産業再生機構担当大臣は中小企業も再生の対象になると言いますが、他方では、機構が対象とするのはメーンバンクと複数の非メーンバンクの間で利害が複雑に絡み合う企業ですと答弁しています。このように多くの金融機関から融資を受けている中小企業が一体どれほどあるというのでしょうか。あってもごく少数ではありませんか。特定大企業の個別の事業再生を目的としたものとしか言えないのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 また、機構の買取り資金には十兆円の政府保証を付けているのは大問題です。企業再生がうまくいかず機構に損失が出れば国民の血税で穴埋めする、最大限十兆円の国民負担を押し付ける仕掛けになっています。個別企業の経営不振に何の責任もない国民がどうして負担を負わなければならないのですか。総理の明確な答弁を求めます。
 次に、支援基準についてです。
 再生機構が企業の再生支援の可否を決定する以上、公正な基準の設定が求められます。政府は、産業・事業分野が供給過剰になっているかどうか等について政府としての指針、考え方をまとめるとともに、安易な企業再生に政府のお墨付きを与えることのないような適正な基準を定めると説明しています。しかし、すべての事業分野にわたってそのような条件を満たす過剰供給の数値基準の作成など不可能ではありませんか。経済産業事務次官の、流通業界に一律の基準をつくるのは難しい、ほとんど不可能との発言は正にそれを証明するものではないでしょうか。結局、個別業界ごと、個別企業ごとの恣意的なものになるのではありませんか。産業再生機構担当大臣の答弁を求めます。
 債権買取り対象についても、非メーンの要管理債権が中心としていますが、衆議院の答弁では、破綻懸念先債権、社債までも対象にする、さらには、企業再建に必要ならばメーンの債権も買い取るとしています。このように際限なく広がってしまうのでは、基準はないも同然ではありませんか。
 更に問題なのは、買取り価格です。
 この法案では、事業再生計画を勘案した適正な時価で買い取るとなっています。しかし、適正な時価とはどういうものになるのでしょうか。
 金融再生プログラムで、金融機関は要管理債権で二〇%から三〇%の引当金、破綻懸念債権になると七〇%の引当金を積むことが求められています。銀行などは、低い価格ならば買取りに応じず、できるだけ実質簿価に近い高価格での債権買取りを機構に要求することは明らかではありませんか。その結果、機構は、銀行救済のための不良債権の塩漬け機関になる懸念は十分にあります。
 結局、機構の創設は、公的資金で銀行の重荷を引き取り、不良債権処理の加速に拍車を掛け、産業に対する破壊的な作用を促進する触媒の役割を果たすことになるのではありませんか。総理並びに産業再生担当大臣の答弁を求めます。
 次に、産業活力再生特別措置法改正法案について質問いたします。
 我が党は、四年前の産業活力再生法の制定に際し、一層の大量失業と雇用不安、下請中小企業の倒産、廃業と地域経済の疲弊をもたらし大不況を加速させるものと厳しく批判し、反対いたしました。
 産業活力再生法は、企業のリストラ計画を事業再構築計画として政府が認定し、支援する制度です。施行以来の三年半に約百九十企業が法律の認定を受けています。計画ベースで見ても、トヨタの三千三百人を筆頭に、自動車メーカー七社で一万二千人、四大メガバンクで二万人、ダイエーで一万九千人など、二月までで七万五千人の従業員数の減少、削減計画が認定されています。この実態を見ても、この施策が産業競争力の名の下に大量失業と雇用不安をつくり出しているのは明白ではありませんか。
 しかも、認定を受けた企業に対し、登録免許税の減税が六百六十億円も見込まれています。みずほグループで二百五十六億円、三井住友銀行が八十一億円、東京三菱銀行が六十三億円、UFJグループが五十五億円、りそなグループが四十億円と、上位はすべて大銀行であります。一方で大量首切り、その一方で貸しはがしや金利の引上げで中小企業を苦しめている大手銀行になぜこんな多額の減税の必要があるのでしょうか。
 その上、今度の法案は事業再構築計画を含めて五年間延長するとしています。国民の税金を使ってリストラを支援する、労働者の首を切る、こんな制度の延長など言語道断ではありませんか。総理並びに経済産業大臣の見解を求めます。
 次に、共同事業再編計画を新設することについて伺います。
 過剰供給構造を推進してきたのは、正に自民党政府の規制緩和、構造改革であります。ところが、今度は供給過剰構造だから共同設備廃棄を認めるという、事実上の官製の不況カルテルを認めるものにほかなりません。流通の規制緩和、大店法の廃止で大型店の出店ラッシュに拍車を掛け、中小商店をつぶし、地域の商店街を空洞化させる一方で、生き残ったダイエーなどは救済するのでは全くの逆立ち、地域の活性化にはつながりません。経済産業大臣の答弁を求めます。
 さらに、認定企業に対する優遇措置を拡大させることは問題です。認定企業が設備廃棄をする際の優遇税制の対象を拡大し、リストラされる労働者への割増し部分などを追加することにしています。これでは、リストラに伴う企業の負担を軽減し、人減らしを国が手助けするものではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
 最後に、このような政府の不良債権処理の加速策で銀行の不良債権が処理されても、日本経済を不況から脱出させる保証は全くありません。不良債権処理加速策を撤回し、日本経済の主役である中小企業の経営を支え、国内総生産の六割を占める個人消費を温める政策に転換してこそ経済再生の道も開かれることを指摘して、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 西山議員にお答えいたします。
 産業再生機構の創設理由でございますが、事業や産業の再生に当たっては、債権者間の利害調整が困難などの理由により、民間の金融機関だけでは進みにくい場合があります。機構は、このような場合に、支援対象となる企業やメーン銀行、非メーン銀行などの意見を調整して、事業、産業の再生を強力に後押しするため設立するものであります。
 なお、再生計画に含まれる債権放棄等に伴う負担はメーン銀行等の金融機関が負うこととしており、機構が銀行の責任を肩代わりする受皿機関との御指摘は当たりません。
 産業再生機構の支援対象企業でございますが、再生機構の支援対象は、規模の大小を問わず、再生可能性があり、支援の基準を満たす企業の行う事業としており、中小企業についても、条件に合うものについてはその再生のための支援に取り組むこととしております。したがって、機構の対象が特定の企業に限られるとの御指摘は当たらないと思います。
 十兆円の政府保証と国民の負担についてでございますが、産業再生機構の使命は、有用な経営資源を持ちながら過大な債務を負っている事業者について、金融機関等が保有する債権の買取り等を通じてその事業の再生を支援することであります。これにより産業及び金融の再生が促進されることは、日本経済の活性化につながり、国民全体に利益がもたらされることから、買取り資金に政府保証を付けることとしたものであります。
 産業再生機構が産業に対する破壊的な作用を促進する触媒の役割を果たすのではないかとのお尋ねでございますが、産業再生機構は、個々の企業の有用な経営資源を過剰債務から切り離し、将来性のある事業の再生を図るものであります。このような努力の積み重ねこそが産業全体の再生につながるものであり、破壊を促進する触媒との御指摘は当たらないと思います。
 産業再生法に伴う大手金融機関に対する登録免許税の軽減についてでございますが、金融機関の登録免許税の軽減額が大きいことは事実ですが、事業再構築の一環として持ち株会社の設立や増資が行われた際の資本金の増額分が、事業の性格上、他産業に比べ多額になったことに伴うものであります。金融の早期再生が実現されることは喫緊の課題であり、思い切った事業再構築により金融機関が早期に収益力を回復することが不可欠であると考えております。
 設備廃棄に関する優遇税制の対象拡大が人減らしに対する国の手助けになるのではないかとのお尋ねでございます。
 産業の活力の再生に当たっては、企業の事業再生と失業なき労働移動の両立を実現していくことが重要であり、お尋ねの税制措置は再就職あっせんや教育訓練を行う場合に限って認めることとしており、事業者が雇用の安定に配慮した支援を行うことを奨励するものであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 西山議員にお答えいたします。
 支援基準が個別業界ごとの恣意的なものになるのではないかとのお尋ねがございました。
 産業再生機構の支援基準については、去年十二月に産業再生・雇用対策戦略本部が決定した企業・産業再生に関する基本指針に従って定めることとしております。
 主な内容としては、再生計画終了時点において生産性が向上し財務構造が改善すること、それから対象企業の清算価値よりも回収価値が多いこと、それから再生計画の終了時点において新たな再生スポンサーの関与などによって資金調達が可能な状況となり、その結果、債権の処分が可能となる蓋然性が高いと見込まれることなどを定めることを考えており、これは業種、業界にかかわらない共通の基準であります。
 これに加え、基本指針においても明記してありますように、事業所管大臣が過剰供給構造にある事業分野について事業分野別指針を策定した場合には、その指針に基づく要件等を含むとされております。
 いずれにしても、機構法上、支援基準は主務大臣が定め、公表することとされておりまして、恣意的なものになるとの御指摘は当たりません。
 それから、産業再生機構の債権買取り対象が際限なく広がるのではないかとのお尋ねですが、機構の債権買取りの判断において本質的に重要なことは、買取り時の債務者区分ではなくて、債務者企業が再生するか否かという点であります。したがって、債務者区分等の形式的な基準で対象を限定することはせず、要管理先以外の債権も買取り対象から除外しないこととしております。
 しかしながら、買取り対象の債権の範囲については、基本的に要管理先債権を中心とし、主として非メーンの金融機関から買い取ることが去年十二月に策定されました企業・産業再生に関する基本指針でも明らかにされておりまして、対象が際限なく広がることはありません。
 なお、社債は債権の一類型であって、産業再生機構に関するQアンドAでも明らかにしているとおり、これを買取り対象から除外することとはいたしておりません。
 それから、産業再生機構は実質簿価に近い高価格での債権買取りを要求されるのではないかとのお尋ねですが、買取り価格については、対象事業者の事業再生計画を勘案した適正な時価を上回らないこととしております。
 具体的には、市場関係者の評価手法と同じように、再生計画における事業の収益見込みを前提としまして、事業価値や債権の回収可能性などを考慮して当該買取り対象の債権の価値を算定することとなります。その際には、マーケットにおける評価との乖離がないように、市場関係者の意見を極力参考にすることとしております。
 また、債権の買取り価格は出口で売れることが大前提でありますし、機構は時限組織であり、買い取った債権については原則三年以内に売却など、何らかの形で最終的な処分を行うこととしております。
 さらに、支援及び買取りの決定は有識者から成る産業再生委員会が厳正に判断することになっておりますので、機構が高値買いすることはないものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣平沼赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 西山議員にお答えをさせていただきます。
 産業再生法が雇用に与えた影響へのお尋ねでございますけれども、産業再生法の認定事業者において従業員数が御指摘のとおり減少していることは事実でございます。しかし、仮に事業再構築を先延ばししていたなら、より大規模な人員削減に結び付いていた可能性があり、計画の前後における単純な従業員数の比較で雇用への影響を論じることは必ずしも適切ではないと、このように考えております。
 産業再生法では、選択と集中を通じた経営資源の有効活用により競争力の回復と産業活力の再生を目指すものでございまして、中長期的には失業の予防と雇用機会の創出につながるものと、このように思っております。
 また、具体的な計画の認定に当たっては、労使間の十分な話合いを求めるほか、離転職を余儀なくされた労働者に対する早期再就職の支援等のセーフティーネット対策を行っておりまして、引き続き雇用の安全に万全を期してまいりたいと、このように思っております。
 次に、産業活力再生特別措置法はリストラ支援、労働者の首切り支援の制度であって、その延長は許されないのではないか、こういう御指摘でございました。
 産業再生法は、人材、技術といった有用な経営資源について選択と集中を通じた有効活用を図ることによりまして、失業を予防するとともに、中長期的な経済の活力の再生を通じて雇用機会の創出につながる効果を持つものであります。同法は法目的に雇用の安定への配慮を明記しておりまして、事業再構築計画等の認定要件に、従業員の地位を不当に害するものでないこと、こういうことを定め、さらに、認定事業者に対して、事業再構築計画等の実施に当たりまして、その雇用する労働者の理解と協力を得るように努めることを求めているわけであります。
 以上のように、雇用の安定のための規定や措置を盛り込んだ産業再生法は決してリストラ促進法や労働者の首切り促進法ではない、このように考えております。
 次に、産業再生法の改正による共同事業再編計画の新設が事実上不況カルテルを認めることになるのではないか、このようなお尋ねがございました。
 改正産業再生法における共同事業再編計画は、複数の事業者が実施する事業再編を伴う自主的な取組を課税や商法等の特例により支援をし、促進するものでございます。
 今回の改正産業再生法は、過去の特定不況産業安定臨時措置法や特定産業構造改善臨時措置法とは異なりまして、業種指定方式を取らず、またこれを独占禁止法の適用除外とせず、事業者の申請に基づきまして、客観的かつ透明性の高い基準に基づき、過剰供給構造とその解消に資する取組であるか否かについて判定をすることといたしております。
 このような方式を取ったのは、官主導ではなく、あくまで民間の自律的な産業再生を促進するためでありまして、当面の需給調整を目的とした護送船団的な産業政策を行うものではございません。したがって、官製の不況カルテルとの指摘は私どもとしては当たらないと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) 広野ただし君。
   〔広野ただし君登壇、拍手〕
○広野ただし君 私は、自由党・無所属の会、国会改革連絡会、通称国連の広野ただしです。私は、国連を代表して、ただいま議題となりました産業再生関連三法案について、まず総理に質問いたします。
 小泉内閣が発足して間もなく二年になります。この二年間に日本経済は悪くなる一方で、正に危機的な状況にあります。株価は、小泉内閣になって下落率が四六%。森内閣のときでさえ三二%の下落率ですから、あなたは過去最悪の不況総理と言えます。小泉総理は株価には一喜一憂しないと言っていますが、株価は経済全体の先行指標なので、現状は先行きに全く期待が持てないと訴えているのです。
 また、企業倒産は年間約二万件の多きに達していますし、失業者も、完全失業者が三百五十万人、希望の職業に就けないフリーターが約百九十万人。その他、やむなくアルバイトという人などを考慮しますと、失業率五・五%も、実質的には七%ないし八%に及んでいると言えます。自殺者も年間約三万人。自己破産者に至っては年間約二十万人。そして、夜逃げしなければならない人は数え切れない状態であります。正に国民は痛みに耐えかねて悲鳴を上げているのです。
 イラク戦争も大量の殺りくと多数の悲惨な人々を生み出すことと思いますが、日本国内においても、小泉総理は正にそれに匹敵するような状態を引き起こし、自分の命を絶ったり、夜逃げをしたり、ホームレスとなって苦しむ人が数限りないのです。小泉総理はこの経済政策の失敗をどのようにして償おうとしておられるのか、見解を伺います。
 イラク戦争は短期間に終わるという楽観的な見方もありますが、これからは地上戦が主体になると見られるので、フセインを倒すということがなかなか簡単にいかない。戦争が長期化して三か月以上になると、国内総生産、GDPを一ないし一・五%引き下げると調査機関は見ているようです。戦争長期化の場合の日本経済及び世界経済に与える影響について総理に伺います。
 同時に、イラク戦争に関し国民が不安に思っていることについて総理に伺います。
 一つ、アメリカの軍事行動を支持するということによって日本の国連中心主義はほごになったのですか。口先だけの国連中心主義だったのでしょうか。
 二つ、日本はこれまで中東では手を汚していないので比較的友好国と見られていましたが、アメリカ支持によって日本はイスラム諸国を敵に回すことになるのではないですか。
 三、日本国内及び在外邦人に対するテロの危険が高まることとなります。戦後復興をするにしましても、その際、テロの対象になる危険があるのではないでしょうか。総理は万全の措置を取ると言っていますが、これも口先だけではないですか。サリン対策、炭疽菌対策や天然痘ワクチンの準備はどうなっているのでしょうか。谷垣国家公安委員長に伺います。
 ところで、ブッシュ大統領もブレア首相も、世論に批判があっても、国会及びテレビ等を通じて、国民に分かりやすく、そして真っ正面からイラク攻撃についての理由を数か月前から訴えて、理解を求めています。
 それに対して、小泉総理は、イラク攻撃の本当の間際になってアメリカ追随の意思決定を行いました。しかし、それ戦争だ、テロには気を付けよと急に言われても、国民はすぐに立ち上がれないものです。国の根幹を成す重要な外交防衛政策についての決断です。やはり原理原則をはっきりして、数か月前から日本の方針を示さないと、国民は右往左往することになります。小泉総理のやり方と決断は国の方向を誤らしめると断ぜざるを得ません。総理の見解を求めます。
 議題の産業再生機構について伺います。
 本件についての予算も法律もまだ成立もしていない約一か月前から、社長、委員長が内定しているようであります。これは国会審議を軽視し、特に参議院を愚弄する官僚主導の政治そのものです。民主主義の根本を忘れた、小泉内閣の官僚への丸投げ政治が現れたものと思いますが、総理の御意見を伺います。
 産業再生機構は企業の生き死にを決定する閻魔大王と塩川大臣が言われましたが、正に言い得て妙であります。企業を存続させるかどうかは民間にゆだねればよいことで、それを官が決めるということは自由主義国では全く考えられないことです。これでは、日本は社会主義国家になってしまいます。民間にできることは民間にと言った小泉総理の公約がここでもほごになっているのです。総理の弁解をお聞きしたいと存じます。
 官主導の企業再生では決してうまくいかないと思います。公的資金を投入しながら企業再生がうまくいかなかった場合の責任について、谷垣、平沼両大臣に伺います。
 産業再生機構は企業の生き死にを官主導で決めることから、政治家、権力者の口利きや利権政治の温床となる心配があります。
 自民党は、公的資金を投入した銀行からも、そして税金そのものである公共事業を受注した企業からも、平気で政治献金を受け入れています。産業再生機構が救った関連企業から政治献金を受け入れることも大いにあり得ることだと思います。
 そこで、総理に決断をお願いしたいと存じます。
 自民党長崎県連の逮捕事件、大島農水大臣の元秘書にかかわるやみ献金疑惑など、公共事業受注企業、そして公的資金の投入を受けた金融機関、さらに本件の産業再生機構によって救われる関連企業等からの政治献金は直ちに禁止する。政治と金に関する国民の不信感を完全に払拭するためにも、是非ともこの政治献金禁止について決断を願いたいと存じますが、総理の明確な答弁を求めます。
 企業再生については、様々な規制を撤廃した上で貸出し債権の証券化市場や企業再建ファンド市場などを整備すれば、新しい金融・証券市場が生まれ、企業再生ビジネスが大きく発展する可能性があります。そして、実際には、欧米では企業再生ビジネスが大きな産業になっています。ところが、本件のように官主導のやり方では、せっかくの企業格付ビジネス等の産業発展の芽を摘むことになってしまいます。平沼経済産業大臣の御見解を伺います。
 産業再生機構については、政府保証が何と十兆円という膨大な公的資金が用意されることになります。それも、何の積算根拠も示さず、予算総則に二、三行で書いてあるだけ。誠に大ざっぱなものです。これでは国民は唖然とするばかりです。谷垣大臣、十兆円の根拠を分かりやすく御説明ください。
 産業再生機構に十兆円という膨大な資金を投入して一部のよたよたの大企業を救ったとしても、本当の産業の活力は生まれてきません。生まれてこないどころか、資源配分を官の主導の下に恣意的に行い、かえって民間の活力をそぐことになります。民間にできることは民間にと言った小泉総理の公約は単なる大見えの口先政治で、このような大事な原則を無定見に変更する経済政策では日本経済は絶対に立ち直りません。
 小泉総理に長く居座られると、閻魔大王だけが威張り散らし、あの温かくあまねく国民に愛と光を降り注ぐアマテラスオオミカミは岩戸からなかなかお出ましにならないことになります。つまり、それは、日本が悪くなるばかりで、そして国民は不幸になるばかりだということです。国民を不幸にする内閣は要らないのです。
 小泉内閣が責任を取って早く辞めることが、そのことがまず日本を救う第一歩だ、そしてそのことが日本の立て直しの正に第一歩になると強く強く訴えて、私、広野ただしの質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 広野議員にお答えいたします。
 私の経済政策の失政についてでございますが、御指摘のとおり、雇用情勢は厳しく、自殺や夜逃げといった事態については誠に痛ましいものと認識しております。日本経済は、世界的規模での社会経済変動の中、複合的な構造要因による景気低迷に直面していると思います。また、不良債権、財政赤字など負の遺産を抱え、戦後経験したことのないデフレ状況が継続しておりまして、厳しい内外情勢、環境が続いているということは私も十分認識しております。
 こうした中、小泉内閣は、日本経済の再生のためにはデフレ克服を目指しながら改革を進める以外にないという認識の下に諸改革を推進しておりまして、経済情勢に応じまして大胆かつ柔軟に対応するという一貫した方針で経済運営に当たってまいりました。このような努力によりまして、昨年の金融・経済情勢の不確実性の高まりといった経済の不安定化要因にも適切に対処してきたものと考えております。今後、各般の構造改革を更に加速することにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図っていきたいと考えます。
 イラク攻撃による内外経済への影響についてでございますが、戦闘開始以降、内外の経済・金融市場は比較的安定して推移しております。今後の動向については、なお現時点において確たることを申し上げることは困難ですが、短期的に戦闘が終結する場合、内外経済への影響は限定的なものと想定されます。
 我が国の国連中心主義についてでございますが、イラク問題について最終的に国連安保理が一致結束できなかったことは残念ですが、このことによって国連の重要性が減ずるものとは思っておりません。二十一世紀の国際社会が直面している課題への取組については、国際機関である国連の役割が今後とも重要であると私は認識しております。このような認識の下に、日米同盟と国際協調の両立を図るよう今後も努力してまいります。
 日本とイスラム諸国との関係についてでございますが、今回のイラクへの武力行使は決してイラクとかイスラムとの対決ではございません。イラクの国民との対決ではございません。武力、武装解除、大量破壊兵器解除、これが目的でありまして、今後、アラブ諸国やイスラム諸国との協力、幅広い交流、相互理解を進めていきたいと考えております。
 日本及び在外邦人に対するテロについてでございますが、我が国は、この情勢いかんにかかわらず、国内でテロが発生したりする可能性は否定するものではございません。今後の情勢によって、当然、テロとか、あるいは在外邦人がテロの標的となる可能性もあると思いますので、こういう対応については万全を期していかなきゃならないと思っております。
 具体的には、出入国管理、テロ関連情報の収集・分析、ハイジャック対策、NBCテロ対策、重要施設の警戒警備を強化しておりまして、また在外公館を通じて安全対策について情報提供を行いまして、テロに対しては万全の対策を講じていきたいと思います。今後とも、テロを未然に防止するため、情勢の変化を踏まえまして、必要に応じて警戒態勢を強化、徹底してまいりたいと考えます。
 イラク問題に関する国民の不安除去についてでございますが、緊急に対応すべきものとして、国内における警戒態勢を強化、徹底するとともに、経済システムの混乱を防ぐ適切な措置を講ずる方針を明らかにしております。今後とも、様々な機会をとらえまして、イラク問題に関する政府の考え方について国民の御理解と御協力を得るべく説明に努めてまいります。
 産業再生機構の社長、委員長人事についてでございますが、産業再生機構については、今、国会審議をいただいているところでありますので、法案成立に我々は全力を尽くしていきたいと思います。そして、成立後できるだけ早く機構を立ち上げ、業務を開始することが機構設立の目的からして不可欠であると考えまして、諸般の準備をしているところであります。社長や委員長の候補を発表したのもこうした準備の円滑化の観点からであり、実際の就任までには法案の成立や様々な正式な手続が必要であります。こういう点についても御理解をいただきたいと思います。
 民間にできることは民間にということでございますが、これは全く御指摘のとおりであります。
 産業再生機構は、再生の可能性があるにもかかわらず民間だけでは再生が困難になっている事業について、産業、金融が一体となって再生しようとする動きを政府として支援するために設立されたものであります。
 機構の運営に当たっては、産業再生は民間主体で進められることが望ましいとの基本的な考えの下、民間の英知と活力を最大限活用していくこととしております。
 今後も、民間にできることは民間でという方針はいささかも揺らぐことはありません。
 公共事業受注企業からの政治献金についてでございますが、企業献金、団体献金、これはいかに政治活動について図っていくかということは、政党として十分注意し、また、国民からの理解を得なきゃならないのは当然でございます。
 公共事業受注企業からの献金については、今各党で協議が進められておりまして、今国会中に改善できるような措置を進めていきたいと考えております。また、自民党においては公的資金の投入を受けた金融機関の献金については受取を自粛しております。産業再生機構が支援する企業からの献金についても、政治資金規正法に沿って自主的な判断の下に良識に基づいて適正に行われることが必要であると考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 広野議員にお答えいたします。
 まず、サリン対策、炭疽菌対策、天然痘ワクチンの準備についてお尋ねがございました。
 警察におきましては、生物化学テロ対策として、従来より、関係機関との緊密な連携の下に、生物化学テロに使用されるおそれのある物質の盗難防止、それから関連物質の不自然な取引等に関する情報収集、それから小型航空機の盗難防止といった諸対策を推進しまして、サリンや炭疽菌などを使用した生物化学テロ事案の未然防止を図っているところであります。
 万が一この種テロが敢行された場合に備えまして、全国の機動隊などに生化学防護服、生物剤検知器、化学剤検知器などの装備資機材を整備するとともに、主要都道府県警察にNBCテロ対応専門部隊を設置するなど、現場対処能力の向上を図っております。
 また、生物テロについては、公衆衛生当局、医療機関などにより疾病の不自然な発生という形で認知されることが多いと考えられますことから、警察では、事案を的確に認知するため、これら関係機関との連携強化を図っているのであります。
 天然痘ワクチンに関しては、厚生労働省において平成十三年度補正予算等により備蓄を進めているところと承知しており、警察としても、今後、天然痘テロ発生の危険性が高まった場合に、現場で初動対処に当たる警察官に対し事前にワクチンを接種することとしております。
 警察においては、今般、米軍等によるイラク攻撃が開始されたことを踏まえまして、関係機関等との連携を一層強化し、これまで推進してきた諸対策の徹底を図るとともに、全国のNBCテロ対応専門部隊等の有事即応態勢を確立し、事案発生時の迅速かつ的確な対応に万全を期しているところであります。
 次に、産業再生機構の方でございますが、再生できなかった場合の責任についてのお尋ねがありましたが、産業再生機構は、支援決定を行うに当たっては、支援基準に従って、出口を見据えて、市場価値のない事業部門を整理し、将来性のあるコア事業に経営資源を集中させるとの観点から事業再生計画を厳格に評価し、判断を行うこととなります。
 政府としては、産業再生機構の支援決定等に際して、主務大臣、事業所管大臣は意見を述べられることとなっておりまして、当該時点で最善を尽くすことが責務となると考えております。
 それから、政府保証十兆円の根拠についてお尋ねがありました。
 平成十五年度予算案において、産業再生機構は金融機関から債権を買い取る等のための資金調達を自ら行うこととして、そのための政府保証枠として十兆円が計上されております。
 産業再生機構は、要管理先等に分類されている企業のうち当該機構が再生可能であると判断される企業の債権を、企業の再生を念頭に置いた適正な時価で、原則として非メーンの金融機関から買い取ることとなっております。このため、債権買取りのための政府保証枠は、平成十四年三月末における預金取扱金融機関の要管理債権額が十九・一兆円である、これを基にいたしまして、企業の再生可能性、それから非メーン行の保有割合あるいは買取り価格等々を勘案しまして、想定される最大限の買取り規模に対応できるように十兆円としたものでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣平沼赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 広野議員にお答えをさせていただきます。
 まず、産業再生について民間にゆだねるべきであって、官主導の再生はうまくいかないのではないか、このような御指摘がございました。
 現下の我が国経済において、事業、産業の再生は、不良債権処理と併せて早急かつ強力に推進すべき喫緊の課題であると思っております。事業再生については、基本的には民間主体で進むことが望ましいと考えられるものの、現状では事業再生に関する我が国のマーケットはまだ十分発達していない面も指摘されていることに加えまして、異なる銀行にまたがるような事業再生案件は民間だけでは難しい場合も多いと考えられます。こうした理由から、期限を限って政府の関与により事業再生を促進する組織を設立し、事業、産業の再生を強力に推進していくこととしたものでございます。
 いずれにいたしましても、本来は民間主体で進むことが望ましい分野でございまして、機構の活動に当たっては、事業再生マーケットの育成でございますとか事業再生に携わる人材の育成なども視野に入れつつ、民間の英知、活力を最大限活用していくことが重要であると、このように思っております。
 次に、再生できなかった場合の損失の責任についてのお尋ねがございました。
 個別の再生案件の処理に当たっても、そうした民間の英知、活力を活用するため、機構は、経済合理性に基づいて、対象企業が三年以内の再生計画の終了時点で機構以外からの資金調達が可能となる蓋然性が高い等の出口を見据えた判断を行いまして、かつ、有識者から成る産業再生委員会の検討を経て債権買取りを行うこととしております。さらに、買取り価格は再生計画を勘案した適正な時価を上回ってはならないこととしております。
 このように、再生可能性及び価格の適正性の判断を厳格に行うことを通じて機構の損失を抑えることができると考えておりますが、事業再生の成否は経済情勢等の動向にも大きく影響されることから、結果的に再生が図れず損失が生じることもあり得るという点は御理解をいただきたいと、このように思っております。
 政府といたしましては、トータルの国民負担が最小限になるよう、機構の的確な運営の確保に最善を尽くすことが責務であると、このように考えているところでございます。
 次に、企業再生ビジネスについてのお尋ねがございました。
 機構は民間の企業再生ビジネスのチャンスを奪うものではなく、民業を補完するものに相なります。こうした認識の下、産業再生法の改正法案においては、企業再生の主な担い手である企業再生ファンドについて、その有限責任性を確保し、投資しやすい制度といたしたところでございます。また、日本政策投資銀行や中小企業総合事業団からもこれらファンドへの出資を行うことといたしております。
 また、企業再生ビジネスについて不可欠な人材育成については、民間主導による事業再生人材育成センターの発足も検討されている中、当省としては予算措置も講じてまいります。
 これらの施策によりまして、民間の再生ビジネスの事業環境整備に全力で取り組んでまいりたいと、このように思っております。
 以上であります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第一 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長山崎力君。
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   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔山崎力君登壇、拍手〕
○山崎力君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、地方における現下の経済・財政状況等を踏まえ、経済社会の持続的活性化実現のため、あるべき税制の構築に向けて、法人事業税への外形標準課税の導入、不動産取得税の税率の引下げ、特別土地保有税の課税停止、新増設に係る事業所税の廃止、平成十五年度の固定資産税の評価替えに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整、配当所得及び株式等譲渡所得に係る課税方式の見直し等を行うとともに、配偶者控除に上乗せして適用される部分の配偶者特別控除の廃止、地方のたばこ税の税率の引上げ等、所要の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、地方税財源の拡充と税源移譲、法人事業税への外形標準課税導入の趣旨及び妥当性、固定資産税の安定性確保の必要性、税制改正による自動車税のグリーン化への影響等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して宮本岳志委員より、社会民主党・護憲連合を代表して又市征治委員より、それぞれ反対の旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し四項目から成る附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十四  
  賛成            百二十八  
  反対             九十六  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十三分散会