第156回国会 本会議 第43号
平成十五年七月二十四日(木曜日)
   午後六時一分開議
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○議事日程 第四十三号
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  平成十五年七月二十四日
   午後零時三十分 本会議
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 第一 外務大臣川口順子君問責決議案(角田義
  一君外十一名発議)(委員会審査省略要求事
  件)
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○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、防衛庁長官石破茂君問責決議案(角田義一
  君外九名発議)(委員会審査省略要求事件)
 一、国務大臣福田康夫君問責決議案(角田義一
  君外九名発議)(委員会審査省略要求事件)
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○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 日程第一 外務大臣川口順子君問責決議案(角田義一君外十一名発議)(委員会審査省略要求事件)
 本決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。岡崎トミ子君。
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   〔議案は本号末尾に掲載〕
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   〔岡崎トミ子君登壇、拍手〕
○岡崎トミ子君 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、国会改革連絡会、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました外務大臣川口順子君問責決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。
 まず、決議案を朗読いたします。
  本院は、外務大臣川口順子君を問責する。
   右決議する。
 以上であります。
 川口大臣、今日は真っ赤な勝負服でおいでになりましたね。しかし、顔色はやや青ざめて見えております。
 以下、これから問責する理由を御説明申し上げたいと思います。
 川口外務大臣は、小泉総理が一内閣一閣僚という自らの公約を破って前任の田中眞紀子外務大臣を更迭したことに伴い、物議を醸し、首に鈴が付けられない前大臣の轍を踏まないように、元官僚としての手堅い手腕を買われて登用された外務大臣でありました。しかし、旧弊で国際化の現状にそぐわない日本外交、そして田中外務大臣が伏魔殿と称した外務省外交の抜本的な改革の断行という国民的な期待は次々と裏切られました。
 今や、我が国の国益を損ねる外交の積み重ねによって、日本外交は崩壊の危機に瀕しており、政府・外務省への信頼は国内外とも失墜していると断言せざるを得ません。もはや、これ以上、川口外務大臣がその席にとどまることは、日本外交に取り返しの付かないダメージを与えることになります。
 第一に、不信任の最大の理由は、イラク特別措置法案に対する外務大臣の一貫した無責任な対応にあります。
 イラク国民が現に戦争被害に苦しんでいる以上、人道的な立場からの復興支援に積極的に取り組むことは重要であります。しかし、イラク現地の治安情勢は日々悪化し、全土が戦場と言っても過言ではない状況です。それにもかかわらず、そしてイラク国民を代表する新しいイラク政府からの要請あるいは国連からの要請もない現状で、我が国の憲法上も疑義がある上に、現地のニーズにも乏しい自衛隊のイラク派遣のお先棒を担いでいる外務大臣の姿勢は、外務大臣としての識見に欠ける、官僚の言いなりで政治のリーダーシップを放棄した態度と言わざるを得ません。
 外務省がただひたすらアメリカの顔色をうかがうことを優先させていることは明白であります。国連決議なきアメリカ、イギリス軍によるイラク攻撃の正当性は、大量破壊兵器に係る米英政府の情報操作によるマスコミ・世論誘導の疑惑など、イラク攻撃の是非、我が国政府の支持表明の適否が大きく問われています。そうした中で、イラクへの開戦支持に向けた外務省の恣意的な国際法の解釈と情報把握のお粗末さをそのまま採用した川口外務大臣の姿勢は極めて遺憾です。川口大臣は、官僚やアメリカにではなく、日本国民の多くが自衛隊派遣に反対している事実に目を向け、重く受け止めるべきでありました。
 戦闘地域と非戦闘地域、戦闘員と非戦闘員の峻別すら定かではありません。占領行政と自衛隊との関係も重大な論点でありながら不明確。自衛隊の海外派遣の在り方についての議論も不十分。より大きな対中東政策上の下での視点からの分析も足りない。何より、この法案による自衛隊派遣は、憲法の下で我が国がこれまで貫いてきた外交方針を大転換するものでありながら、それにふさわしい議論に基づいた国民の理解という最低限の大前提が全く欠けたままです。そもそも、九・一一事件以降、一連の動きの中で、国際的な問題を解決するのに当たって、武力によらず、国際協調主義とルールによるべきだという大きな視点に立った取組姿勢、そうした悩みが大臣の姿からは見て取ることができません。
 第二の理由として、北朝鮮による拉致事件への対応で見せた定見のなさです。
 拉致被害者家族らの真摯な訴えを放置してきた官僚たちの秘密交渉に頼り切り、自国民の生命、安全の確保に第一義的な責任を有すべき政治の責任を果たそうとはしませんでした。問題解決のためにあらゆる機会をとらえて全力で取り組むべきであったにもかかわらず、国際社会に拉致事件を訴える重要な場であった国連人権委員会作業部会に対して新たな情報はないなどと薄っぺらな資料しか配付しなかった外務官僚の非行を容認したことは、拉致事件の矮小化を図ろうとするものであり、そうした姿勢が発覚した後に幾ら言い訳と弁明を繰り返したところで、失ったものは大きく、外務大臣の失態は明確であります。
 また、今年五月に行われた日米首脳会談で、小泉総理が北朝鮮に対して対話と圧力が必要と述べた発言に対して、外務省内での動きによって記者への説明資料から圧力の文言が故意に削除されたとも言われています。
 こうした行動が事実なら、政治のリーダーシップを放棄してしまっているいま一つの証左であり、二十数年間生き地獄の苦しみを味わい続けてきた被害者とその家族に対しても説明の付かないものであります。川口大臣は、一連の事実関係を明らかにすることもなく、外務官僚の掌で踊っています。
 昨年の日朝交渉以降、日本社会に広がる動揺もまた、この問題に対する直視と深い洞察を欠いた外相の姿勢と無関係だとは言えません。指導力を発揮せず、国の最重要課題である外交を官僚のなすがままに放任している川口大臣は、即刻外務省を去っていただきたいと思います。
 第三に、昨年の五月に発生した瀋陽総領事館事件へのお粗末な対応であります。
 北朝鮮からの亡命家族が我が国領事館に駆け込みながら、日本の主権を侵害する中国の武装警察官の侵入を許し、保護下にある亡命希望者の連行を許したことは我が国の権威を著しく傷付けました。それにもかかわらず、迅速かつ断固とした関係者の処分も行わず、我が国の国家主権を揺るがした中国官憲の責任もまたあいまいなままの状態であります。このようなことを繰り返すとするなら、我が国は国際社会において尊敬と信頼をかち取ることはあり得ないでしょう。
 第四に、日米地位協定の改定問題が挙げられます。
 基地周辺における米兵の犯罪は増加傾向にあります。自国で起こった犯罪を自国民と同様に処罰できない現状をどう改善しようとしているのか、外務大臣のこのことに対する姿勢と行動が全く見えません。一般に、外国軍隊が駐留する場合、国家間で司法制度に差があるのは当然の前提であり、その相違を超えて自国民の利益をどう守るかという視点は閣僚としての当然の資質です。外務大臣には、重要閣僚としての責任感、資質、取組の基本姿勢のすべてが欠落していると指摘せざるを得ません。
 とりわけ、本土復帰後三十年以上たった今なお沖縄に在日米軍基地面積の約七五%が集中し、過重な負担を県民に強いている事態を私たちは重く受け止め、一刻も早くその負担の軽減を図らなくてはなりません。そうした沖縄の視点から見ても、川口大臣の取組は極めて不熱心であると言わざるを得ません。
 第五に、鳴り物入りで期待された外務省改革のてんまつです。
 改革は進んだのでしょうか。既得権に守られた伏魔殿は変わったのでしょうか。自民党内にも主張があった条約局の廃止、大使任用の改善などは一体どうなったのでしょうか。今回のイラク問題への対応を見ても、外務省改革は何ら実現していず、かつては官邸と外務省の二元外交の弊害が言われましたが、今や外交は官邸に一元化され、外務省の存在価値は低下の一途をたどっています。
 様々な疑惑や外交政策としての効果に疑問が呈されてきたODAについても、抜本的なメスが入っておりません。ODAの新たな理念を示していないどころか、情報公開や事業評価を徹底させ、透明性、効率性を確保し、インフラや箱物等ハード重視型から、教育、人材育成や技術支援、医療・福祉、保健衛生、環境といった人や生活、ソフト面重視型とすべきとの我々の提案を無視して、旧態依然としたODAを垂れ流している川口大臣の責任は極めて重いと言わざるを得ません。国民の血税を使って、途上国の人々の生活改善につながらず、感謝もされない現状は、納税者の立場からいっても到底許されるものではありません。
 以上、問責の理由を申し述べてまいりました。すべて共通するのは、川口外務大臣は外務官僚を超えて閣僚としての責任を果たすのではなく、官僚OBとして外務官僚にうまく乗っかろうとする姿勢が目立ち、また国会に対しては木で鼻をくくったような官僚答弁を繰り返し、いまだに官僚の役割を務めているだけだということ、閣僚の任にあらずだということであります。良き官僚はあしき政治家である、このような言葉がありますが、川口大臣の姿からこの言葉を思い出さざるを得ません。
 一昨年の九・一一以降、従来の米国追従一辺倒の外交方針の踏襲が完全に破綻していることはますます明らかになっています。二十一世紀日本の外交をどのような理念で組み立て直すのか、その責任が、日本の外交をこれから、最終的に小泉総理にあるとはいいながらも、川口大臣が何を考え、何を感じているのか、残念ながら私たちは大臣の声を十分に聞いたとは言えません。
 冒頭、イラク特別措置法案への無責任な対応を問責の第一の理由として挙げました。
 米英のイラク攻撃開始後、イラクの民間人が少なくとも六千人亡くなったと言われています。この数字の大きさに私たちは圧倒されますが、NGOの調査で、あの攻撃がイラクの人々をどのように殺し、傷付けたか、明らかになりつつあります。例えば、爆発で顔じゅうにガラスが突き刺さって失明した二十四歳の女性、妊娠八か月だった彼女は二歳の娘を失い、また生まれてきたばかりの子供もすぐに亡くしたそうです。彼女の悲しみ、怒りはいかばかりか。そして、不幸なことに、彼女は、爆弾を落とした米軍のパイロットに復讐をしたいと語っている。悲しい、憎しみの連鎖の新しい鎖をつくってしまいました。このような現実に対して、川口大臣は何を考え、どう感じているのでしょうか。
 米英によるイラク攻撃について国会で追及した野党の質問に対して、川口大臣の答弁には、イラクの民衆の生活、心に対するまなざしが一切感じられませんでした。このような想像力の欠如した人に外交のかじ取りを任せるわけにはいきません。
 揚げ足を取られまいとする余り、仮定の質問には答えられないと連発し、国会、国民への説明責任を放棄する姿勢は、国会軽視そのものであり、目に余ります。イラク問題、北朝鮮情勢、難しいかじ取りが必至の日本の外交をこれ以上、川口大臣に任せるわけにはまいりません。
 そもそも、私たちは、川口順子君が環境大臣であるときから閣僚としての適格性に疑いを持ってきました。私たちは、再三にわたり、米国を京都議定書に引き戻すよう求めてきましたが、人類の将来が懸かった地球温暖化という最重要課題について、川口大臣は米国に対して十分に毅然とした態度を取らなかった。このような人物が今度は外務大臣に就任するなどということはあってはならないことであります。
 以上申し述べたことが本院が外務大臣川口順子君を問責することの理由であります。
 これまで、川口君の官僚的で無味乾燥な答弁に対して、与党席からも厳しい批判やため息、失笑を数多く見聞きしました。議員諸氏が与野党の立場を乗り越えて、本決議案に御賛同賜らんことを訴えて、趣旨説明を終わります。(拍手)
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○議長(倉田寛之君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。武見敬三君。
   〔武見敬三君登壇、拍手〕
○武見敬三君 私は、自由民主党・保守新党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました川口外務大臣に対する問責決議案に対し、反対の立場から討論をいたします。
 一昨年九月の米国同時多発テロ以来、世界はテロの脅威に脅かされております。また、テロリズムが大量破壊兵器と結び付くおそれが、現在、国際社会共通の脅威ともなっております。さらに、我が国は北朝鮮の核開発やノドン、テポドンといったミサイルの脅威に直接さらされていることから、これに毅然と対処し、国民の生命、財産を守ることが重要な課題となっております。
 このような状況下において、我が国は、日米同盟と国連等を通じた国際協調に基づく対応をより強化していくことが求められていると認識をしております。
 振り返ってみますと、川口大臣は昨年二月の就任以来、不祥事などで国民の信用を失った外務省の改革に一貫して取り組み、それが、現在、大使等の重要幹部への外部人材の登用を始め、ODA大綱の見直し作業の着手、組織・機構改革などにつながっているのであります。
 そして、北朝鮮問題に関しては、外務大臣は、抑止と対話の枠組みを新たに構築するに際し、主要な役割を担っておられます。米国、韓国、中国との二国間の協議、さらにはASEAN地域フォーラムの多国間の場でリーダーシップを発揮されたことは御案内のとおりであります。
 そして、今回のイラク復興支援については、国連の関与を得つつ、国際社会が全体として様々な取組を行っています。
 川口大臣は、我が国にとって重要な地域であるイラクを含む中東地域の安定の確保や、国際協調の下で国力にふさわしい形で貢献を行う等の観点から、一億ドルに上る我が国のイラク人道復興支援策をいち早く表明するなど、積極的に取り組んでおります。
 我が国は、既に対イラク人道復興支援として約八千六百万ドルの支援を実施、決定をしております。また、何よりも切迫した課題でもあるイラク人道復興支援について、国際社会の責任ある国家として我が国が一定の役割を担おうとするため、正に法案の採決を目前に控えた今、本問責決議案を提出して法案の廃案を図り、問題を先送りにしようとした野党諸君こそ、むしろ無責任の極まりのないものであります。
 我が国は武力行使に至る最後の最後までイラク問題の平和的解決を目指してまいりました。しかし、たび重なる国連決議や国際原子力機関の査察活動に対するフセイン政権の極めて非協力的な対応の結果、我が国はやむを得なき判断として武力行使を支持したのであります。このような決定に至る大義はいささかも揺らいでおりません。
 また、イラクの復興については、我が国として積極的に協力することは論をまちません。
 自衛隊派遣については、非戦闘地域に派遣されることが前提であるにしても、当然予測し得ない事態が発生することもあり、十分安全確保に留意しつつ、自己完結能力を有する自衛隊こそが主要な役割を果たすことは当然であります。
 野党諸君は、党利党略を優先する姿勢こそが我が国の安全保障に深刻な影響を及ぼすことに気付くべきであります。
 改めて野党諸君に猛省を促して、外務大臣問責決議案に対する私の反対の討論を終わります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 榛葉賀津也君。
   〔榛葉賀津也君登壇、拍手〕
○榛葉賀津也君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました川口順子外務大臣に対する問責決議案に賛成の立場で討論を行います。
 川口大臣は、前任の田中眞紀子大臣が数々の問題ある言動で物議を醸し出し更迭されたことから、元通産官僚としてその手腕を買われ、伏魔殿と言われた外務省の抜本的な改革を期待されていました。
 正直、私は、かつて、川口大臣のパレスチナ問題に対する理解の深さを評価し、中東外交を発展させる可能性に期待をしていました。外務省改革においても、省員の信頼を集めながら尽力していると信じ、JICAの総裁人事を始め、必ずや抜本的な改革が行われるに違いないと信じたこともありました。
 しかし、それが、イラク攻撃前後からの大臣の姿勢は、余りにも外務省的、官僚的な発想で、すべてにおいてアメリカ追随、アメリカを正当化するためだけの答弁に全知性、全精力を傾けているとしか国民には思えないのであります。
 外務省を変えなければならないはずの大臣までが迎合してしまった外務省的発想は、我が国の外務省が戦後六十年近くアメリカによるあめとむちの対日外交を最も身近に体験したことからくるものにほかありません。しかし、その結果として、国連中心主義の日本外交の独自性を根本から覆してしまったと言っても過言ではありません。
 アメリカとの同盟関係は無論大事であります。日本が自らの戦力を持たない以上、憲法の精神からも、日米安全保障の観点からも、盾と矛の役割で国の安全保障を論ずることは重要であります。しかし、だからといって盲目的にアメリカの外交戦略に追随することが日米の信頼関係を強化することには決してならないのであります。今回の日本の対イラク政策が正にその顕著な例であります。
 三月二十日に開戦したイラク戦争は、米英軍の死者が百五十人以上を数え、日数、被害者ともにあの湾岸戦争をはるかに超える泥沼化した様相を呈してまいりました。
 加えて、日本政府が戦争を支持した最大の原因である大量破壊兵器でさえも、いまだにそのかけらも発見されていないばかりか、米英両国で情報操作の疑惑に火が付き、自殺者まで出ている有様であります。ニジェールからのウラン購入計画問題の捏造発覚や、七月十一日、新根拠なしの開戦と、新聞報道などを見れば、日本が大義と説明されてきた証拠は正にずぶずぶであります。
 パウエルが衛星写真をスライドで披露までし、千二百キロ以上の長射程ミサイル用でイラクが完成した最大級のものとしてきたエンジン実験台、テストスタンドは実は全くの未完成で、使用不可能なものでありました。移動式の生物化学兵器の研究施設、これは全く見付かりません。地下に隠されているとした施設も見付かりません。距離五百キロ以上飛行可能な無人偵察機、いわゆるUAVも見付かりません。
 そもそも、差し迫った脅威に対する攻撃というのがアメリカのイラク戦争開戦の主張であり、日本もそれを支持したはずでありました。脅威は全然差し迫っていなかったのではないでしょうか。イラクには大量破壊兵器の有無を積極的に明らかにしないと責め、他方、アメリカの劣化ウラン弾使用については目をつぶる外務大臣の姿勢には疑問を持たざるを得ません。この事実は、あなたたちが支持をしたアメリカのイラク攻撃の大前提を揺るがす大きな問題であり、我々はこの重大な過ちから目を背けることはできないのであります。
 今、イラクにおいて日本ができること、日本にしかできないことは、アメリカの顔色をうかがい、自衛隊をイラクに派遣することではなく、アメリカとイラク国民との間にできてしまった溝を埋めることにあります。その役割は欧米諸国にはできないものであります。同じアジアの一員として、またアメリカによる敗戦、占領行政を経験した国として、また核兵器廃絶を願う平和主義国家として、我々日本にしかできない役割があるはずであります。
 このような品格ある我が国の国家としての哲学を初めから全面的に打ち出すことが、なぜあなたにはできなかったのでしょうか。そして、なぜ今もなおこのようなイラク特措法を無理やり国民の反対を押し切って通そうとするのでしょうか。
 我々民主党は、イラクの復興支援には全力を傾けるべきだと主張しています。しかし、法的にも現実的にもあらゆる無理を重ねて自衛隊派遣ありきのこの法案には断固反対するものであります。
 イラク支援の方法はごまんとあります。イラク周辺国やアジア諸国、国際機関やNGO、そして何よりイラク国民自身などとの共同支援の枠組みを考えただけでも、何通りもあるではありませんか。
 今日までの審議で明らかになったのは、法案自体もさることながら、その答弁内容の余りのいい加減さであります。非戦闘地域というフィクションをつくり上げたばかりか、そのありもしない非戦闘地域に自衛隊を派遣するなどということは、国を守ろうとする自衛官を愚弄する極めて不誠実な政治判断だと言わざるを得ません。
 イラクはいまだ戦争状態にあります。アビザイド・アメリカ中央司令官は、十六日の国防省の会見で、我々に対して古典的なゲリラ戦が行われていると述べて、抵抗が相当過激化されている、計画化されていることを示唆しました。これにラムズフェルド国防長官は反論をしましたが、それに対し、アビザイド中央司令官は、現状はどう表現しようとも戦争状態にあることは間違いないと述べ、この事実を明らかにしました。大臣はこの事実と中央司令官の言葉をどう受け止めるのでしょうか。
 イラクには、現在、この法案に照らすと三つの地域があります。戦闘地域、非戦闘地域内の安全な場所、非戦闘地域内の安全でない場所の三つであります。大臣には地域の現状を見極めるという重大かつ困難な責任がありますから、是非、大臣自らがイラクのこの三種類の地域へ足を運んでいただきたいと思います。
 政府は、今月末にも自衛隊派遣に向けた調査団の第一陣をイラクに派遣し、治安状況を調査するとしていますが、調査団も大臣の見解もこの法案も、すべてが順番が逆であります。まず現地を調査して、自衛隊派遣が可能かどうか、新法が必要かどうか、見極めるのは当然であります。加えて、この法案を英語とアラビア語に翻訳し、現地で活躍する米英兵と現地で苦労をしているイラク人にその翻訳した法案を見せ、この内容を、いかなるものか、使用可能かどうか、現地のイラク人や米英兵に、吟味をし、意見を聞いたらどうでしょうか。
 今回のこの法案は、実際は政局絡みで自衛隊派遣は総選挙の後にしようとたくらむなど、与党の対応も党利党略の支離滅裂なものと断ぜざるを得ません。
 残念ながら、川口大臣が損なってしまった国益は対外的なものだけではありません。それは、国民の中に漂うこの無力感であります。結局、日本はアメリカの言いなりなのか。日本国憲法、平和憲法で武力による解決を否定したはずなのに、占領軍と一緒に活動しなければいけないのかというあきらめであり、日本人としての誇り、アイデンティティー、自立性を失ってしまった失望感であります。政府の国家としての理念のなさ、品格のなさ、そして歴史観のなさに改めて絶望感と怒りを覚えます。
 憲法の前文は、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」。この人類にとっての命題に対し我々日本が自ら出す解答が、イラクを攻撃したアメリカと一緒に行動するためにイラクに自衛隊を派遣します、どうしてこのようになるのでしょうか。
 十数年前、あの湾岸戦争当時、私はイスラエルにおりました。アラブやイスラエルの友人たちと生死をともにした一人として、国連安保理決議六七八、六八七には武力行使を正当化する何の根拠もないことを改めて訴えたいと思います。これはあくまで当時のクウェート侵攻の事態を収拾するために採択された決議であり、その後の国連安保理決議一四四一も対イラク攻撃を正当化するものでは到底あり得ないのであります。
 私はイラクのフセイン政権を決してかばうものではありません。が、かといって、フセイン憎しで、安保理決議を歪曲化し、恣意的に解釈して攻撃することとは全く別問題であると強く訴えたいと思います。そして、このような法解釈は、世界の安定を揺るがし、近い将来、我が国を含め、必ず我々自身の首を絞めることになることを改めて大臣に警告をしたいと思います。
 大臣、あなたの言動は、国民の目からは、小泉総理の感情的な答弁、非論理的で乱暴な発言に対して後ろから冷静に援護射撃しているとしか映らないのであります。大臣が小泉総理を弁護すれば弁護するほど、日本にとって最悪の事態がそれだけ長引いてしまうことにあなたはいつになったら気付くのでしょうか。
 適材適所、重い言葉であります。私は、前任者に比べ、大臣の専門性や人間性を評価しておりました。しかし、今回のイラク問題への対応ばかりか、北朝鮮情勢、特に拉致事件に対する消極姿勢と大臣が犯した外交における大失態は、我が国の国益を根本から損ね、国際社会における日本の地位を失墜させる結果をもたらしたことは明確であります。
 これ以上、川口大臣に日本外交を担う外務大臣の重責を任せるわけにはまいりません。日本外交の将来を考えると、一刻も早く小泉政権に終止符を打つ、そのためには川口大臣の辞任が最優先であることを改めて強調し、問責決議に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 畑野君枝君。
   〔畑野君枝君登壇、拍手〕
○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、川口順子外務大臣の問責決議案に対して賛成の討論を行います。
 政府が強行しようとしているイラク特措法案は、米英による無法なイラク戦争を支持するのみならず、現に戦闘の継続しているイラク国内に自衛隊を派兵し、米英の軍事占領支配に日本が参加、加担するという正に軍事占領支援法です。今なお戦争状態にあるイラク国内で占領軍に対する輸送や補給などの後方支援を行うことが、武力の威嚇と武力の行使、交戦権を否定した日本国憲法第九条に真っ向から反するものであることは明らかです。このような違憲の立法を、ただアメリカから言われるがままに、国民に対するまともな説明さえ行うことなく強行しようとする川口外務大臣には、日本外交を任せる大臣を担う資格は全くないものと言わなければなりません。
 以下、具体的に賛成理由を述べます。
 第一は、米英がイラク戦争の最大の口実とした、イラクが大量破壊兵器を持っているという論拠を一貫して擁護し、大義のない戦争を支持してきたことです。
 今、イラク戦争の根本問題であるその大義が世界で大問題になっています。アメリカ議会や英国議会では、米英両国政府の大量破壊兵器をめぐる宣伝が国民の判断を誤らせ、偽装された情報により情報操作が行われたことが大問題となり、ブッシュ大統領、ブレア首相はピンチに立たされています。謀略、誇大宣伝で危機をあおって国民を戦争に駆り立てるようなことがあってはなりません。日本が戦前に行った戦争、例えば中国東北部への侵略戦争の始まりとなった満州事変でも、アメリカのベトナム戦争における北爆、トンキン湾事件でも、いずれも謀略宣伝によって開始されたことは厳然たる歴史の事実です。政府はこの歴史から学ぶべきです。
 重大なのは、川口外務大臣が、大量破壊兵器を口実にしたアメリカによるイラク攻撃の最も良き理解者として、一貫してこれに協力、支援をしてきたことです。
 アメリカによるイラク攻撃が取りざたされるようになった昨年以降、米側との交渉の場は幾度となくありました。しかるに、川口外務大臣がイラク攻撃反対を述べたことは一度もありませんでした。
 昨年十一月、国連安保理事会が決議一四四一を全会一致で採択し、国連による査察が再開されてからわずか十日後、川口外務大臣は、来日したアーミテージ米国務副長官に対し、軍事行動が不可能となった場合の対応として難民支援や周辺国支援を検討していることを伝えました。正にこれから査察が本格的に行われようとしていたときに、イラク攻撃を後押しする発言を行ったのです。
 今年二月、国連安保理でパウエル米国務長官はイラクは査察に非協力的との発言を行いましたが、川口外務大臣は、その直後に、この発言についてまともな精査を行うことなく談話を発表し、査察の有効性に疑問を呈したのです。米英によるイラク攻撃を後押ししてきた川口外務大臣の責任は誠に重大であります。
 さらに、米英が武力行使容認決議を提出した際には、イラクに対し最後の圧力を掛けるものなどとの詭弁を弄して即座にこれを支持したばかりか、決議が安保理事国の支持を得られないのを見るや否や、ODAをちらつかせて多数派工作まで行ったのが川口外務大臣なのです。アメリカによるイラク攻撃を正に後押ししてきたのが川口外務大臣であり、この責任は決して消せるものではありません。
 イラク攻撃の正当性についても、アメリカの言い分をオウム返しに繰り返し、十年以上も前のイラク軍をクウェートから撤退させるための決議を持ち出し、アメリカの弁明を擁護してきました。安保理事会、国際社会の圧倒的多数がイラクに対する武力行使を拒否したのは明白な事実であり、そのような言い分は通用するものではありません。しかも、米英がイラク戦争の最大の口実とした大量破壊兵器はいまだに発見されず、米英国内で政府の情報操作の責任を追及する声が日増しに大きくなっています。
 川口外務大臣は、ニジェールからのウラン購入疑惑について、もっときちんとした精査があってもよかったなどと人ごとのように答弁していますが、そうしたアメリカの言い分を支持してきたのはあなた自身なのであり、あなた自身の責任が問われているのであります。大臣としての責任を取り、国民に対する明確な謝罪を行うべきです。
 第二に、非戦闘地域を設定するから憲法違反にならないなどという、イラクの実情に照らせばおよそ成り立たない虚構の議論を繰り返し、憲法違反の自衛隊の海外派兵を強行しようとしていることです。
 米軍の司令官自身が認めざるを得ないように、イラクは正に全土が戦闘地域であり、ゲリラ戦の様相を強めているのが現状であります。毎日十件から二十五件もの襲撃が起こって、イラク戦争開始後の米兵の死亡者数は既に湾岸戦争時を超えています。米英による軍事占領に対する不満、抵抗はますます深刻の度を増してきています。
 そもそも、今国会で政府が強行しようとしているイラクへの自衛隊派遣は、国際法上、他国の領土にその国の同意なしに軍隊を派遣することであり、違法な武力行使に該当し、侵略行為を構成することになるのです。
 政府は、米英当局の同意を得ているから国際法上の違法行為にはならないなどと強弁していますが、イラク国民はこの占領当局を正当な統治権力と認める義務はないのであり、イラク国民は自衛隊を自国の同意なしに駐留している異邦の侵略者とみなして攻撃対象とすることができるのであります。
 その上、自衛隊の支援対象である米英軍は他国領土の占領という軍事行動を行っているわけですから、その部隊に対する補給や輸送は、武器弾薬であろうと、水、食糧、医薬品であろうと、すべて明白な作戦行動であり、フセイン残存勢力による攻撃や占領地住民によるレジスタンスの対象になるのです。
 そして、自衛隊のイラク派遣が憲法違反とならないようにする絶対条件と政府が強弁する非戦闘地域がどこなのかは、私も分かるわけがないと小泉総理自身が言い出したではありませんか。総理のこの無責任な放言は、そもそも政府も認めるように、法的には違法状態にあるイラクに政府の言う非戦闘地域など設定することは初めからできない相談であったことを露呈したものであります。
 このような状況を見れば、イラク国内に政府の言う非戦闘地域など設定できないことは明らかであります。政府は情報収集をすると言いますが、攻撃を受けているのは収集する先の米軍自身なのであります。政府がこれまで自衛隊の派遣を検討してきた南部でも、バグダッドでもバラドでも、現に米英軍への組織的、計画的な攻撃が起こっているではありませんか。にもかかわらず、このようなイラクの実情から目を背け、あくまで非戦闘地域を設定するから憲法違反にならないなどという虚構の議論を続けるのは、国民を欺くものであり、川口外務大臣の責任は極めて重大であります。
 第三に、米英の軍事占領があたかも国連で認められ、自衛隊の派兵が求められているかのような詭弁に終始していることです。
 川口外務大臣は米英の軍事占領に正当性があると言いますが、国連安保理決議一四八三は、無法な戦争に基づく軍事占領に合法性を与えておらず、軍事占領に対する国連加盟国の協力を要請しているものでもありません。無法な戦争の結果として、占領国に対し国際人道法に基づく義務や責任を果たすよう求めているにすぎないのです。
 ところが、川口外務大臣は、日本での国連決議の有権解釈は外務省の専権事項であるなどとして、あたかも国連が米英の軍事占領にお墨付きを与えたかのような暴論を展開した挙げ句に、米英の軍事占領へのイラク国民の抵抗は犯罪として排除されるとか、はたまた米英当局の同意の下に活動する自衛隊へのイラク国民の抵抗は犯罪行為であるなどと、大国主義、占領者意識丸出しの答弁をしております。
 このような大臣の態度は、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」と宣言した憲法前文を持つ国の国務大臣として、とりわけ平和外交の先頭に立つべき外務大臣としての資質に著しく欠けるものと言わなければなりません。
 中東諸国で、米英軍のイラク軍占領について明示的にその正当性を認めた国はありません。フランス、ドイツなどがイラクへの派兵を拒否しているのも当然です。
 イラク国民は自衛隊の派兵など求めていません。一刻も早く主権を回復し、米軍の撤退に筋道を付けることを望んでいます。そうしたイラク国民自身の国家の再建に対する国際社会の支援を求めているのです。
 我が党は、緒方参議院議員を団長として、イラクへ現地調査団を派遣いたしました。衆院のイラク特別委員会で、参考人として、イラクの治水、電気、水、医療、教育、雇用などの人道支援では巨大な援助が必要であるが、非武装が支援活動の大前提であり、国連が中心的な役割を担うべきことを強調しました。また、安全確保でも、米軍が軍事活動を強化すれば国民の不安、不満が高まる、その不満に乗じて旧政権残党も攻撃を強めるという悪循環を生み出し、かえって治安を悪化させると述べました。イラクの現地はこういう状況です。
 にもかかわらず、イラクに自衛隊を展開させ、米英占領軍の支援を行うことになれば、イラク国民の目に占領軍の加担者と映ることは明らかです。占領に抵抗するイラク国民から反発と抵抗を受け、砲火を交えるという危険極まりない事態も起こるのであります。二十一世紀の日本とイラク国民、イスラム社会との友好関係に計り知れない障害をもたらすことになるのです。
 このような日本の将来と世界の平和秩序にかかわる重大問題を、ただアメリカに従うことが国益だとして、まともな説明さえ行うことなく押し通そうとする川口外務大臣を問責するのは極めて当然であります。
 第四は、戦後日本を根本的に転換し、憲法にも、国民世論にも、中東諸国の思いにも真っ向から逆らうイラク特措法の成立を川口外務大臣が推進してきたからであります。
 七月に行われた全国主要三紙の世論調査では、多数がイラク派遣に反対しています。二十二日付け新聞の調査で反対五五%、賛成三三%など、どの調査も反対が賛成を大きく上回っています。反対の理由は、軍隊以外の方法で貢献すべき、イラク戦争に正当性がなかった、まだ危険だなどが特徴として挙げられています。
 防衛庁元幹部や現職自衛隊幹部からも批判の声が出ています。元防衛庁訓練局長で現在新潟県加茂市長の小池清彦氏は、イラク派遣について、このような地域へ自衛隊を派遣することは明確な海外派遣であり、明らかに憲法九条に違反する行為であります、イラク特措法が定めるような海外派兵さえも憲法九条の下で許されるとするならば、憲法九条の下でできないことはほとんど何もないと厳しく批判。イラク国民は決して日本国自衛隊の派遣を求めてはおりません、中東諸国の国民も自衛隊の派遣を求めてはおりません、自衛隊は招かざる客、自衛隊員はイラクで命を危険にさらすことを決意して入隊してきた人たちではないとして、法案の廃案を求める要望書を国会議員と閣僚に送付しています。現職の陸上自衛隊二佐も、今の自衛隊を出すべきじゃないと述べています。
 日弁連の本林徹会長も、衆院の通過に当たって、そもそも米英軍のイラク侵攻は国連憲章に反するものと指摘し、米軍自身が認めるようにいまだイラク全土が戦闘状態にある中、米英軍のために武器弾薬、兵員を輸送することは、決して非戦闘地域での後方支援などと言うことはできず、米英軍の武力行使と一体化したものと評価されることは明らかと述べた上で、憲法が他国領土での武力行使を禁じていることは言うまでもない、イラク特別措置法案に反対するとの声明を発表しています。
 その上、危険な在日米軍の基地強化を川口外務大臣は容認してきました。イラク戦争に出撃した横須賀を母港とする空母キティーホーク戦闘群のミサイル巡洋艦や厚木基地から飛び立った艦載機は、トマホークミサイルやクラスター爆弾を使用し、無実のイラクの子供たち、女性を殺りくしたのです。使っていない横浜市内の米軍施設返還の見返りに、日米合意では新たに池子住宅地区に米軍住宅の移設、追加建設を条件としておりますが、地位協定で言うように無条件で返すのが当然です。より大型の原子力空母の配備が言われている中で、イラク特措法案とともに、基地強化を進める態度を取る川口大臣の責任は重大です。
 討論を終えるに当たって、私は、一九五四年六月、自衛隊を創設するに当たって、この議場で、自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議を自民党の方々の先輩諸党も賛成して採択したことを指摘しないわけにはまいりません。
 この議場におられる参議院の皆さんは、本院が国の内外に向かって厳かに宣言したこの決議を忠実に守る義務があるのは当然です。そのためにも、この決議に背いて海外派兵を進める先頭に立っている川口外務大臣の問責に皆さんが賛成されるものと確信しております。
 憲法違反のイラク派兵法の廃案を断固主張し、討論を終わります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 平野貞夫君。
   〔平野貞夫君登壇、拍手〕
○平野貞夫君 野党四会派から提案され、ただいま議題となりました外務大臣川口順子君問責決議案に対して、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表しまして、賛成の討論を行います。
 平成十二年、森内閣の目玉として環境庁長官に民間から起用されたとき、川口大臣は、出身のサントリーの企業イメージもあって、好感を持って見られたものです。京都議定書をめぐる国際問題に真剣に取り組み、野党の私も一定の評価をしていました。いろいろ癖の多い女性大臣四人の中では、ずば抜けて優秀な方だと思っておりました。
 ところが、眞紀子騒動のあおりで外務大臣に就任してからは、かつての官僚の悪い癖を丸出しにし、外務省の役人が準備した文章以上のことは何もしゃべらないという態度に終始していることは誠に遺憾であります。国会を何と心得ているのか、不見識そのものであります。
 そもそも、国際問題が山積し、洋の東西南北に難問がひしめいている今日、民間人を外務大臣に起用する小泉首相自身の政治判断に問題があります。自由民主党はそんなに人材がいないのですかね。国民から選挙によって選ばれない、国民に責任を持たない人間が、どうして我が国の外交の難問を解決し得るでしょうか。このことは与党の多数の人たちが主張していることでもあります。与党の人たちが本心、本音で投票されたら、この問責決議案は可決されるはずです。
 北朝鮮問題一つを取っても、外務大臣にもかかわらず、外務省内の意思決定に一切かかわっていないようです。決して自分から動かず、官僚の振り付け以上には踏み込まないのが実態のようです。与党の中にすらこの川口外務大臣の判断と態度に厳しい批判があります。これは私の話じゃございません。ある報道にあった官邸筋の話なんです。外務省の主流派が描いている国辱的対北朝鮮外交路線を国会で繰り返して答弁するだけという操り人形を演じているだけなんです。
 外務大臣で不適格であることの例は、国会軽視の態度です。英語ができることをよいことにして、直接外国要人と交渉して海外出張を恣意的につくり、外務省事務当局を困惑させ、数度にわたり官房長が議院運営委員会に謝罪に来ています。
 さて、問題のイラク問題に対する認識に至っては全く言語道断です。これでは外交を任せるわけにはいきません。七月七日のこの本会議場で、川口外務大臣は、イラクの現地情勢について、フセイン政権の残党による散発的、局地的な抵抗があるものの、戦闘は基本的に終了していると承知していますと答弁しています。
 米軍がゲリラ戦だと公式発表している現状を、散発的、局地的な抵抗とは、作為的な虚言にすぎません。ブッシュ大統領の人為的な戦闘終局宣言以後の米軍関係者等の死者の数が終局宣言以前を超えているにもかかわらず、戦闘は基本的に終了しているとは何事ですか。これは食言、偽りの発言にほかなりません。その責任は重大であります。
 川口外務大臣のあいまいな官僚答弁の最も重大な問題は、イラク支援特別措置法案という憲法違反の疑いのある法案をいかにも正当性があるように印象付けていることにあります。自衛隊をイラクへ派遣する大義と正当性が果たしてあるのかという本質問題を逃げに逃げ、ひたすら小泉首相の詭弁をかばっていることも国会を軽視した重大な問題であります。
 外交防衛委員会の会議録で川口外務大臣の答弁を点検してみますと、国会軽視のみならず、国会議員を侮辱した発言がしばしばあります。
 例を挙げますと、七月十日、小泉委員の大量破壊兵器問題の質問に対して、川口外務大臣は、何と、先ほどから伺っていますと、委員の質問の焦点がずれているんですと、こういうことを言っているんですね。これは国会議員の質問を誹謗しているんですよ。また、自衛隊の国際法上の機能についての質問に対して、少し混乱があるように思うと、何と国会議員を侮辱した答弁をしているんですよ、会議録を読みますと。
 外務大臣の川口順子という名の「順」の意味を広辞苑から紹介しますと、第一に正直に従うこと、第二に素直に従うこと、第三、逆らわないこと、第四におとなしい等々の意味がありました。小泉首相と外務官僚、そしてアメリカ政府には「順」でありますが、国会と国民に対しては名前とは全く逆であることを申し上げておきたい。
 大量破壊兵器の問題については、齋藤委員の発見されると思っているのかという質問に対して、川口外務大臣はいずれ見付かると、現実を無視したブッシュ大統領に追随した無責任発言を連発しています。
 大量破壊兵器問題については、かつてイラクが使用したことはありました。それは事実です。しかし、今回の米国の攻撃の根拠となった問題については、国連調査団も正式の結論を出していません。まして、英国のブレア首相の議会報告などの情報操作、偽装工作の疑いはBBC等によって次々と明らかにされ、有力関係者の自殺事件まで起こしているのではありませんか。
 いずれ見付かるという表現は、見付かってほしいという願望を込めた個人の感情に基づくものであり、外務大臣としての資質を疑うものであります。見付かるかもしれませんが見付からないかもしれないというのが客観的判断ではないんですか。どうしてそういう答弁をしないのか。このままの状態ですと、見付からない場合、また米国や英国の主張どおりでない場合もあります。日本の外交をつかさどる外務大臣がこのような無責任な姿勢でよいでしょうか。
 更に問題となりますのは、自衛隊のイラク派遣です。これは派兵と言った方が正確かもしれません。憲法のこれまでの運用や解釈を変更せず、また安全保障についての基本方針を決めることなく、海外に治安維持として自衛隊を派遣することは、とても憲法の容認するところではありません。東京大学教養学部国際関係論分科を優秀な成績で卒業された川口外務大臣が憲法を学んでいないはずはありません。もし、まともに憲法を勉強していたら、イラクに自衛隊を派遣することが違憲であると閣議で主張するのが良心に基づく行為ではありませんか。
 それを、何だかんだと理屈を付けて内閣法制局の陳腐な解釈のオウム返しをやっている川口外務大臣の良心はどこに行ったのですか。それとも、外務大臣になったと同時に良心を小泉首相とブッシュ大統領にささげたんですか。人間としての良心があるのかないのか、私は一定の評価をしていただけに重大な関心を持っております。
 さて、イラク情勢と米国の対応についてですが、七月中旬、私は米国の某外交問題の専門家と懇談する機会がありました。
 その専門家の話によれば、米国は現在、連邦陸軍のおよそ半分をイラクに派兵し、インドは派兵を断り、秋には連邦陸軍の約三分の二をイラクに増強するということでございます。専門家は、さらに、米国が日本に要求しているのは、本当は治安維持のためであり、自衛隊は戦闘状況のイラクに軍として活動させるというのがねらいとのことであります。したがって、仮にイラク特措法が成立したとしても、現地状況が現在より更に悪化、混乱することは必至であります。同法に基づく自衛隊の派遣では活動できないため、日本は結局自衛隊を派遣できない羽目になるという見通しを語っていました。この可能性は高いということでございます。
 となりますと、日米関係はどうなりますか。ブッシュ、小泉でハイ・ヌーンという調子では済まされません。最悪の状況となります。ここは、イラク特措法案をいったん廃案にして、イラク現地の様子、国連の動きをよく見定めて、それから対応するのが適切な措置です。それを川口外務大臣が小泉首相に説明し、説得するのが役割ではないですか。それが日米関係を最終的には良好に保つ方策ではないでしょうか。それを行わない川口外務大臣の責任は重大であります。納得する形で、堂々と国際社会の信頼を得て支援活動を行うべきです。国連の中でもそのような動きが始まっているのではないですか。今、外務大臣として判断し、小泉首相に進言すべきは、イラク特措法案をいったん廃案にして、国連を始め国際社会の動きを見極めて対応すべきだということです。これができない川口外務大臣は、適性がなく、失格であると断じざるを得ません。
 川口外務大臣の国会答弁の詭弁ぶり、三百代言ぶりをもう少し紹介して、いかに無責任な外務大臣ぶりかを知ってもらいたいと思います。
 七月二十二日の外交防衛委員会で、吉岡委員のイラクでのアメリカの活動としてデモ隊への発砲は正当な安全確保活動かという質問に対して、川口外務大臣は、そういった治安を維持するなどの権限を米軍は持っていると断言しています。こういった発想で本当の人道支援ができますか。デモ隊への発砲を治安維持として放言しているのです。イラクの困窮している庶民への発砲を容認する論理は、自衛隊が派遣されたときの状況を考えるとぞっとします。
 また、広野委員が、イラク統治評議会が発足して、全体的な見通しなど将来の展開について質問したのに対して、川口外務大臣は、まだ目途が付いていないと、他人事のような答弁に終始しています。あなたには、人間としての感情をお持ちですか。
 以上、ごく簡単に川口外務大臣問責決議案への賛成理由を申し上げました。
 良識ある参議院議員の皆さん、特に自由民主党所属の議員の皆さん、本音でこの問責決議案に投票していただきたいという、そして一致して賛成していただくよう要請しまして、賛成の討論といたします。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 浅尾慶一郎君外八十五名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(倉田寛之君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(倉田寛之君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十九票  
  白色票            百三票  
  青色票          百三十六票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) これにて休憩いたします。
   午後七時四十六分休憩
     ─────・─────
   午後九時一分開議
○議長(倉田寛之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 角田義一君外九名発議に係る防衛庁長官石破茂君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。広中和歌子君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔広中和歌子君登壇、拍手〕
○広中和歌子君 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、国会改革連絡会、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁長官石破茂君問責決議案につきまして、提案の趣旨を御説明いたします。
 まず、決議案文を朗読いたします。
  本院は、防衛庁長官石破茂君を問責する。
   右決議する。
 以上であります。
 以下、本院が石破君を問責する具体的な理由を御説明いたします。
 石破君を問責する最大の理由は、我が国の自衛隊員が他国においていたずらに生命を失う危険を未然に防止すると同時に、我が国の自衛隊員が他国において人民を殺傷する可能性を事前に防止することであります。
 御承知のとおり、石破君は防衛庁長官として我が国憲法の定めるところにより、自衛隊の運用の遺漏なきに万全を期する責任者の立場にあります。しかしながら、現実には石破長官は、日々、日常的に国防、防衛力に関し持論を振りかざすばかりか、自衛隊についても、憲法はもとより国際法をも無視し、また国民世論にも耳を傾けず、そして自衛隊員の安全確保にも何ら関心を払わず、ただただ冒険主義者のごとく、国防オタクのごとく自衛隊の海外派遣を推進しております。
 さきに自衛隊員が他国で生命を落とすと申し上げました。これは誇張や妄想に基づいたものではありません。カンボジアにおいて活動していた我が国の文民警察官が殉職したのはつい数年前のことでした。現在、イラク全土においては、アメリカ軍による戦争終結宣言にもかかわらず、組織的なゲリラ戦、フセイン政権の残存勢力による反米武力闘争が連日展開され、毎日のように米英兵が殺傷され、被害者の数は増え続けております。米英兵はイラク戦争の当事者であり、現地の戦闘で殺傷の危険を免れないことはやむを得ない宿命であり、それぞれの国の政治の犠牲者と言えましょう。
 しかし、日本の自衛隊を彼らと同等の当事者としてよろしいのでしょうか。いつ日本がイラクに宣戦布告をし、フセイン政権打倒の政府方針を決めたのでしょうか。
 現在のイラクの状況は、全国土が戦争状態と言っても過言でありません。一般国民とフセイン政権の残存勢力の区別を現実に何をもって見分けることができるのでしょうか。現在、米英兵が最も恐れているのは、市民と区別のできないフセイン政権の残存勢力、武装組織からの攻撃を受けることにほかなりません。
 そして、もし見分けられたとして、自らの安全をどのように守るのでしょうか。怪しい人間を見たらいきなり発砲するのでしょうか。それとも、自動小銃で撃たれてから反撃するのでしょうか。ロケット砲を撃ち込まれてから反撃するのでしょうか。石破長官の言葉には何らの客観的、科学的根拠はなく、自衛隊員の安全を叫んでいるにすぎません。
 いや、実際には、この間の石破長官の講演、演説でも、自衛官は、任官のときに、事に臨んでは身の危険を顧みず、身を挺して、もって国民の負託にこたえると誓い、厳しい訓練をした人たちだ、何の訓練もしていない民間人とは違うとして、また、私は安全なところに派遣するとそのまま言ったことはない、民間人なら危険かもしれないが自衛隊ならできることがあるとも発言しています。
 石破長官自身、自衛隊が派遣されるのは安全なところなどということを信じていらっしゃらないのです。軍服を着用し、小銃を持ち、部隊で活動するなら、それは他国の人から見れば軍隊であり、日本の自衛隊は軍隊ではない、ここにいる自衛隊は復興の支援のためだけに派遣されているという説明は理解されるものではありません。それとも、米英軍は攻撃するが他国軍は攻撃しないなどという取決めでもゲリラ勢力と交わされたのでしょうか。
 カンボジアで文民警察官でありながらも襲われ殺害された現実を考えるなら、派遣される自衛官の生命は極めて理不尽に危険にさらされるものと言わなければなりません。しかも、その行為は、国民の生命を守るためでもなく、国民大多数の負託でもありません。マスコミの調査においても、イラクへの自衛隊派遣に反対する世論が増えております。小泉政権が国民世論に背を向けてアメリカのブッシュ政権に追随しているゆえの暴挙によるものなのです。
 さて、相手にも米英軍との区別が付かぬのなら、こちらの自衛隊も一般の市民とゲリラの見分けが付かないことは自明であります。もし、自衛隊が自らの生命の安全上、反撃をすることができるとしても、撃ってみたら、一般国民の可能性も出てくる、ゲリラではないかもしれない、こういう事態が発生したとき、我が国政府はどのような補償を行い、日本国民はイラク国民にどのように謝罪したらよろしいのでしょうか。以前のように、イラクの復興を支援する大きな目的のためには市民に多少の犠牲が出たとしても大した問題ではないとおっしゃるのでしょうか。
 殺しても殺されてもいけない、しからば、安全なところに行けばよい。石破長官はこれに対しても正直に答えています。非戦闘地域であれば安全というわけではなく、自衛隊はその中の比較的安全な地域で活動するということとしております。そして、報道によれば、首相が空港まで出向いて最大級の栄誉礼で迎えるほかはないなどと、派遣自衛隊員から死傷者が出た場合への対応についても様々な政府・与党内で取りざたをしていらっしゃるようです。
 非戦闘地域だが安全なわけではない、戦争は終わっているが襲撃と戦闘は毎日行われ、連日死傷者が発生している、このような矛盾に満ち、いまだ危険に満ち満ちた自衛隊のイラク派遣を推進している石破長官に我が国閣僚、防衛庁長官としての責任感は皆無であり、即刻自ら辞任すべきところ、本人に何らの自覚がないことをもって国会の名において問責することが最後の手段と考えます。
 そもそも、イラク戦争の大義は大きく揺れ動いております。第一には、国連決議もない戦争、そして自衛隊の派遣も国連の要請でもなく、アメリカ軍への助っ人、支援にすぎません。そして、大量破壊兵器の存在に対する疑義の問題です。小泉総理は、イラクにフセイン大統領がいたのと同じで、大量破壊兵器が存在していることも事実などと強弁していらっしゃいますが、大量破壊兵器は発見されるどころか米英政府による情報操作の疑惑が次々に浮上し、ブッシュ大統領もブレア首相も防戦の一方というのが現実です。こんなあいまいな戦争に日本が参加してよろしいと思われるのでしょうか。
 政府は様々に言葉を弄しておりますが、イラク国民から見れば、日本が米英軍に協力し、米英軍によるイラク占領に加担していることは明白です。ゲリラ、反米武力闘争が激しくなるようなことがあれば、我が自衛隊は戦争に参加し戦わぬ軍隊となってしまいます。
 石破長官が、憲法をよりどころにせず、国際協調主義を貫くこともせず、極めて安易、安直に自衛隊を海外に送り出そうとしていることは明らかであり、防衛庁長官としては全く不適任であります。
 以上をもって石破長官の問責は十分かつ不可避であると思いますが、更に付け加える点がございます。それは、石破長官の自衛隊、我が国の防衛力に関する特異な主張であり、防衛庁長官としての本質的な適格性の問題であります。
 例えば、長官は専守防衛という我が国の国是に対して疑義を持っていると指摘せざるを得ません。それは、あなたの発言の中で、ミサイルや大量破壊兵器が拡散している中で専守防衛の在り方をどう見直していくかだと述べていることに示されており、専門家はこの発言を自衛隊の敵基地攻撃能力の保有、すなわちトマホーク等の巡航ミサイルの保有、あるいは爆撃機等の保有を意味するとしております。そして、石破長官は、記者会見で、敵国内の弾道ミサイル基地を攻撃する兵器の保有を検討に値すると発言をエスカレートさせていらっしゃるのです。
 さて、これが小泉内閣の一員たる防衛庁長官としての発言、内閣を代表する発言であるか否かということですが、全く個人的逸脱というのがその後の政府・与党内の弁明でございました。
 さらに、石破長官は、海外メディアに対し、日本の憲法は攻撃されるのをただ待つだけということを想定していないとし、先制攻撃論があり得るかの発言もしていらっしゃいます。そして、徴兵制についても、本当は憲法に書きたい、少なくとも徴兵制を取ってはならないとだけは絶対に書いてはならないと申しております。このような考え方を保有する人が、現在の憲法解釈、政府見解、小泉内閣の施政方針と合致するのかと問われれば、明確に否と断ずるほかはございません。
 以上申し上げましたことが本院が防衛庁長官石破茂君を問責する理由です。
 議員諸氏が良識に立ち返り、満場一致、本決議案を採択されることを御要請し、また確信して、趣旨説明を終わります。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。山下善彦君。
   〔山下善彦君登壇、拍手〕
○山下善彦君 私は、自由民主党・保守新党、公明党を代表して、ただいま議題となりました石破防衛庁長官に対する問責決議案につきまして、断固反対の立場から討論を行います。
 野党は、石破防衛庁長官に対し、イラク復興支援特別措置法案における国会審議において答弁が不十分かつ不誠実であり、また、我が国防衛の責任者、自衛隊の指揮官としての資質が欠けるとして問責決議案を提出されました。
 イラク問題に関しては、我が国は、本年三月、国際機関からの要請に応じた人道的な国際救援活動のための物資の輸送を政府専用機により行いました。その際、石破防衛庁長官は、自衛隊を適切に統括し、我が国としての迅速な国際貢献を国の内外に印象付けております。
 さらに、現在審議されているイラク復興支援特別措置法案の国会審議では、実際に派遣が想定される自衛隊の責任者として、積極的に答弁に当たり、国民への説明責任を果たしてきました。このような努力は国会内にとどまりません。各種マスメディアにおいても真摯に国民に語り掛ける姿勢は、国民の理解なくして我が国の防衛を全うすることはできないとの強い信念によるものと確信をいたす次第であります。
 今後は、具体的な自衛隊の活動内容等の検討を早急に行っていかなければなりませんが、石破防衛庁長官が先頭に立って防衛庁・自衛隊を統括することにより、隊員の安全を確保しつつ、我が国として目に見える貢献を行っていくことが可能となるはずであります。
 石破防衛庁長官は、昨年九月、有事法制の整備やイラク・北朝鮮問題、国際テロへの対応など、我が国の安全保障を取り巻く多くの課題が山積する中、防衛庁長官に就任されました。長官は、一分一秒真剣勝負との信条を掲げられ、防衛庁・自衛隊において積極的にリーダーシップを発揮されているところであります。
 本年六月には、昭和五十二年以来、安全保障政策の骨格でありながら長年未整備になっていた有事関連法案が成立いたしました。国の安全を憂える先輩たちの長年にわたる尽力もさることながら、石破長官のリーダーシップも成立には欠かせない要素であったと言えます。国会での法案審議では、武力の行使や集団的自衛権に係る事項等の広範にわたる議論が行われましたが、石破防衛庁長官は、高い識見に基づき誠実な答弁に努め、国民の理解を得るために大きな役割を果たしてまいりました。
 今回の有事法制の整備は、政府の最も重要な責務である緊急事態への対処に関する制度の基礎ができたにすぎず、今後、国民保護法制を始めとする事態対処法制の整備などの課題が山積いたしております。このような課題に的確に対処していくためには、引き続き石破防衛庁長官に尽力していただくことが必要であります。
 現在、我が国の防衛は、テロやミサイル攻撃などの新たな脅威へいかに対処していくかが問われております。こうした冷戦後の多様化した脅威を前に、国民の生命と財産の安全をいかに確保していくかが国家としての最も重要な課題となっているのです。特に北朝鮮問題への対応については、我が国は重要な局面を迎えているところであります。その大量破壊兵器の問題は、国民の生命と安全にかかわるものであるだけに、政府としての対応は決しておろそかにはできません。
 内外に新たな安全保障問題を抱えている中、安易に防衛庁長官の問責決議案を提出することは、会期末の審議混乱をねらった不当な言い掛かりであると断じざるを得ません。このような党利党略的な野党の理不尽な問責決議案は即刻否決されるべきであります。
 私は、議員各位とともに本決議案に反対の意見を表明し、討論といたします。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 谷博之君。
   〔谷博之君登壇、拍手〕
○谷博之君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました防衛庁長官石破茂君の問責決議案に対し、断固賛成の立場より討論をいたします。
 自民党、公明党などの連立政権は、今まさに我が国自衛隊を戦場に送ろうといたしています。その現場指揮官として陣頭指揮を行っている石破防衛庁長官は憲法破りの先陣であり、平和を希求する私たち野党がこれを看過することはあり得ないのであります。よって、石破君の問責決議は余りにも当然であると考えます。
 同時に、石破君は自らが指揮する自衛隊員からも不信任を既に突き付けられている可能性が極めて高いと言えます。中東のゴラン高原に派遣されている国連兵力引き離し部隊は、イスラエルとシリア両軍を引き離す非武装の兵力分離地域があることから、安全なPKOと言われてきましたが、この安全なPKOで活動をし続けている自衛隊でさえ、派遣隊員に対して、ファストフードは持ち帰り、ヒッチハイクには応じないと注意を重ねており、隊員自身も、バス停には近寄らずレストランにも入らないと、自らに迫る危険をひしひしと感じているのであります。
 そうした具体例一つを取ってみても、今回、総理を筆頭に防衛庁長官でさえ危険に遭遇する可能性が排除できないとするイラクに自衛隊を派遣することに対して、だれより怒りを感じているのは自衛隊員とその御家族ではないでしょうか。
 五月一日のブッシュ大統領の戦争終了宣言の後も、百人以上の米英兵がイラク各地のゲリラ攻撃などで戦場での不幸な死を遂げています。これは戦後日本の駐留軍の状態とは明らかに異なり、ベトナム駐留軍の状態に近いと思われるのであります。
 こうした中で、自衛隊の陸幕長は、先月の記者会見で、隊員が迷うことなく自信を持って任務を達成できる条件を整えてもらいたいと、温和な表現で制服組の心情を吐露いたしました。推察するに、実際に戦場に赴く自衛隊員としては、最低限、法律の根拠、国民世論の支持、能力を発揮できる装備を備え、堂々と派遣されたいというのがその本音だと思うのであります。
 しかし、現実は大きく異なります。先日の全国紙の世論調査では、国民の過半数が自衛隊のイラク派遣に反対し、装備については与党からも不十分との意見も多く聞こえてきているのであります。
 さらに、仮にイラク特措法案が成立したとしても、これが本当に十分な法的根拠となるのかどうかも定かではありません。なぜなら、政府の言う安全な地域とは勝手につくり上げたフィクションである可能性が高く、実際には戦闘地域である可能性が高いと考えられるからであります。
 さらに、現内閣は自衛隊員の心情を踏みにじるような発言を重ねています。
 小泉総理はさきの国会答弁において、戦って相手を殺す場合もないとは言えないと、自衛隊員があたかも当然のように殺人に及ぶケースを想定した発言を行いました。しかし、自衛隊員が何の心の苦しみもなく人に対して銃口を向けられると考えているのでありましょうか。訓練も行わず、心理的な壁が極めて高い、人を撃つという行為を安易に自衛隊員に求める現内閣の姿勢に対して、多くの自衛隊員は不信感を募らせています。
 防衛庁長官として現に部隊を預かる石破君に対して、自衛隊の皆さんは、私たちと同様に、もしかしたら私たち以上に強い気持ちで不信任を突き付けているのかもしれません。そうした立場からも私たちの問責決議案は国民の多くの気持ちを代表するものであり、実際に戦地へ追いやられる自衛隊員の気持ちを最も強く代表するものであります。
 また一方、国連高等難民弁務官事務所、UNHCRを通じて、三月三十一日に千六百人分の難民用テントを政府専用機に乗せて武装自衛隊員がヨルダンのアンマンまで運んだ支援の妥当性についても、木で鼻をくくったような政府答弁書や衆議院での石破長官の答弁がありました。
 一億円掛けて百六十張りのテントを運び、現実には結局十張りしか使われていない。とどのつまりは難民一人当たりの仮住まいの費用に百万円ものお金を支出したという、正に経済的合理性のかけらもない支援も現に行っているのであります。
 しかも、この支援は物資があふれるヨルダンのUNHCR現地事務所が望んだものではなく、日本政府からジュネーブ本部に話を持ち掛け行われた支援であったことは状況証拠から見ても既に明らかなことなのであります。つまり、PKO法でまず自衛隊派遣の実績を残し、今度のイラク支援法で自衛隊を派遣することにつなげていきたいという浅はかなねらいが見え見えだったのであります。
 さらにまたこっけいなことには、テント運搬のために派遣した五十六名の自衛隊員はけん銃十四丁を装備していたとのことでありますが、この点についても、石破長官の説明によれば、安全な航路を飛ぶ政府専用機の中でさえ、自衛隊員たちは自らの身を守るためにけん銃を持つことが必要であったという奇妙な答弁をしているのであります。こんなばかげた話があるでしょうか。
 一方、世間の関心が自衛隊の海外派遣に集まっている中で、この機に乗じて石破長官率いる防衛庁及び防衛施設庁は、十分な情報公開もせずに、また現場の意見も無視して国民への数々の背信行為を行っていることも事実であります。
 そのまず一つは、海上自衛隊がひそかに小型空母を造る計画を進めているということであります。具体的には、二〇〇一年度から二〇〇五年度の中期防衛力整備計画において、現用のヘリコプター搭載護衛艦「たちかぜ」や「はるかぜ」二艦の更新が計画されております。これらは基準排水量一万三千五百トンであり、この大きさは太平洋戦争時の常識でいえば、重巡洋艦に相当するものであり、それを護衛艦と呼ぶことはいささか無理があり、現在のイギリス空母とほぼ同じ大きさであります。
 さらにまた、その計画図を見ると、正に空母なのであり、この新造艦計画を見るだけでも、長官は国民にうそをつき、事実を隠ぺいしていることとなり、辞任に値すると考えるのであります。
 次に、防衛施設庁は、沖縄の東海岸辺野古沖のリーフを埋め立て、普天間基地に代わる米軍のヘリポートを建設するための現地技術調査を四月八日から開始しています。しかし、この調査は地元への十分な説明もないまま行われ、名護市議会は全会一致で抗議の意見書を採択しています。手続が不十分なだけではなく、その調査の中身たるや、事実上建設工事と言える護岸建設の着手が含まれており、国際的に希少な海生哺乳類である北限のジュゴンの追い出しとも言える暴挙であります。
 まだ環境省がジュゴンと藻場との広域調査を行っている最中に、防衛施設庁はジュゴンなど海中生物やサンゴ礁への影響が大きい各種の調査を強行しようとしているのであり、国内外の自然保護団体からも今、猛烈な抗議を受けているのであります。
 また、潜水調査の具体的な内容と計画書も公表せず、地元の民意はいまだ全く意見が尊重されておりません。この隠ぺい体質、現場無視の姿勢こそが組織の責任者である石破長官の姿勢そのものであります。
 すり替え答弁を繰り返し、対米追従に固執する小泉総理と、徴兵制を志向し、戦艦のプラモデル作製に興じ、現実と趣味の区別が付かなくなっている、はぐらかしと情報隠しの石破長官、この国民にとって極めて不幸な組合せの中で、民主主義が脅かされ、自衛隊のイラク派遣が行われようとしてきているのであり、一刻も早く石破防衛庁長官は自ら辞任をし、不幸なこの関係、組合せを解消すべきであります。
 私たち民主党は、戦争被害に苦しみ続けるイラク国民に対し、人道上の見地から復興支援活動を進めることを強く求め、国際社会の喫緊の課題として強くこのことを認識しています。しかし、今般の自衛隊派遣が本当にイラク国民の苦しみを和らげ、国民生活の再建に寄与するものなのでありましょうか。自衛隊がイラクに行き、一体何をするのか、政府はまともな答弁を行っていません。自衛隊が米軍とともにイラクの地に立てば、比較的良好な関係を保ってきた中東における我が国の地位までも脅かすことになるのではないでしょうか。
 我が国は、国連憲章及び日本国憲法の理念である平和主義、国際協調主義を最大限生かし、まずは国際社会が一致協力してイラクの復興を支援できるように、一日も早く国連及び関係諸国に強力に働き掛け、国連を中心とした枠組みと取組を実現させるべきであります。そして、自衛隊の派遣は、このイラク国民による暫定統治機構の要請を受けてから行うべきであり、それこそが、国際社会が求め、かつ我が国の国民が自信と称賛をもって送り出すことができる最低条件だと思うのであります。
 私たちの問責決議案は、不戦の誓いを行ってきた我が国が、安易に自衛隊を海外に派遣することなく、国際社会と協調し、国際社会が求めたときに初めて自衛隊を平和貢献部隊として派遣する国家であるというメッセージでもあります。憲法を顧みず自衛隊を戦地に送り、隊員の身体と精神を危機に陥れようとしている石破防衛庁長官の責任を厳しく問うことによって、我が国の平和主義、国際協調主義を本議場の皆さんとともに確認し合おうではありませんか。
 高邁なる理想と見識をお持ちの皆さんが本決議案の意見を理解の上、賛成されることを切にお願いを申し上げまして、私の賛成討論を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 小泉親司君。
   〔小泉親司君登壇、拍手〕
○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました石破防衛庁長官に対する問責決議案に賛成の討論を行うものであります。
 現在、重大な問題となっているイラクの特措法案は、戦後初めて自衛隊の地上部隊をイラクに派兵し、米英占領軍の支援を行う希代の違憲立法であります。
 現にイラクでは全土で戦闘が行われ、毎日と言われるほど米兵が襲撃され死亡するなど、危険極まりない状況を呈しております。そのイラクに自衛隊を派遣したら自衛隊員の命が危険にさらされるという重大な懸念も取りざたされております。
 それにもかかわらず、石破防衛庁長官は、ブッシュ政権のブーツ・オン・ザ・グラウンドという圧力を受けて、唯々諾々と自衛隊を戦地イラクへの派兵を強行しようとしています。これは防衛庁長官の資格がない言語道断の行為であり、問責に値する行為であることをまず強く指摘するものであります。しかも、その推進に当たって、国会や国民が懸念する諸点はすべて先送りにし、とにかく法案を成立させれば後は野となれ山となれという態度は防衛庁長官の資質に欠けるものであり、断じて容認できないものであります。
 まず、指摘されなければならないのは、長官が小泉内閣の一員として、国際的に何の大義もないアメリカのイラク戦争を支持してきた責任であります。アメリカのイラク戦争はブッシュ政権による先制攻撃の戦争であり、紛れもなく国連憲章、国際法に違反した戦争でありました。しかも、小泉内閣は、イラクが大量破壊兵器を保有しているという虚構の論理で戦争支持に踏み切ったものであります。
 ところが、周知のように、大量破壊兵器は見付かっておりません。それどころか、大量破壊兵器の問題では、当のアメリカとイギリスで情報操作の疑惑が浮上しております。それは、ブッシュ大統領が一般教書演説で挙げた、イラクがアフリカから核燃料を輸入したという問題がうそであったことなどを認めたというものであります。
 イラク戦争では、現在まで七千七百八十二人ものイラクの国民、女性たちや子供たちが戦争で殺りくされたと伝えられています。人間を殺りくする戦争がこのように何の大義もなく行われていいんでしょうか。石破長官の責任は免れるものではありません。このような人命をないがしろにする防衛庁長官に国民の命を守るという責任者の資格がないことは明白であります。無法な戦争に続く軍事占領への自衛隊の派兵はもちろん、自衛隊を戦後初めて戦地に派兵するのも憲法違反の無責任の極みと言わなければなりません。
 あなたは、イラクの現状について、法的に戦争状態と発言されました。それは、法的ばかりではなく、現実に戦争状態が継続している、このことはブッシュ大統領や米軍司令官が述べていることで明白であります。アビザイド米中央軍司令官は、七月十六日、米軍はイラク全土で典型的なゲリラ戦闘を実施している、それは米軍軍事用語で言う低強度紛争であり、それは戦争だと、明確に戦争状態が続いていることを認めております。実際、米軍の戦闘による死亡者は急増し、イラク戦争開始以降、湾岸戦争を上回る百五十五人と発表されています。この点は、外交防衛委員会の審議でも、与党委員すらもその危険性を指摘しているのであります。
 ところが、あなたは、このような現実に戦争状態であるイラクの実情を国会や国民に説明するどころか、非戦闘地域を設定し、ここに自衛隊を派兵するから大丈夫だとの詭弁と虚構の説明を繰り返し、国民だましに終始してきたのであります。非戦闘地域があるかのように言い続けるなどというのは詭弁にすぎません。それは、あなたも認めているように、イラク全土のゲリラ戦争であるからには、安全だと思っていた地域が一夜にして戦闘が行われる地域に変わり得る、つまり、いつでもどこでもゲリラ戦闘という形の戦争が行われていることは明らかであります。
 石破長官は、米軍が行っている砂漠のサソリ作戦やガラガラヘビ作戦などの対ゲリラ戦闘に自衛隊が支援することもあると答弁されました。これは占領軍への軍事支援そのものであります。
 長官は、有事三法案の審議で、自衛隊が米軍を支援しているときに、ここは危なくなりましたからさようならといった場合に何が起こるんだということであります、同盟国とは何だろうということなのだろうと思っておりますなどと述べました。日米同盟を優先して米軍の支援を継続することになれば、自衛隊が米英占領軍そのものと見られ、戦闘に巻き込まれることは疑いのないことであります。戦闘地域と非戦闘地域は区分けできるという長官の発言は正に虚構であり、その下に、戦争状態の続くイラクに無理やり自衛隊を送り込もうというもので、断じて容認できないものであります。
 イラク国民にとってこの戦争は不当、不法な戦争であり、戦争に続く米英の軍事占領も安保理から正当性を与えられておりません。したがって、フセイン政権やバース党の残党だけでなく、一般国民の反感、憎悪が強まり、抵抗運動も広がりつつあります。六月十八日には、仕事よこせのデモも行われました。しかし、米軍は、このデモに発砲し、力で鎮圧したのであります。自衛隊がこのような米軍を支援する限り、イラク国民の抵抗運動の矛先は自衛隊にも向けられることになるのは必至と言わなければなりません。
 ところが、あなたは、そのような場合、武器を使用することはございますとも述べたのであります。自衛隊がイラクに行って、イラク国民の抵抗に遭ったら、正当防衛のために武器を使用できるとするというのは、イラク国民に銃口を向ける以外の何物でもないではありませんか。私は到底認めることができないのであります。
 これら防衛庁長官の一連の態度は、自衛隊の派兵が正に米英占領軍と一体となった活動であり、憲法違反の武力行使そのものであります。このような憲法破りの政治を進める防衛庁長官の責任は重大であると断ぜざるを得ないのであります。
 長官が無法、不当な戦争と占領を支援する憲法破りの政治を強硬に進める根底には、防衛庁長官の特異な憲法観があることも指摘せざるを得ません。
 その最たる発言は徴兵制合憲発言であります。二〇〇二年五月二十三日、憲法調査会で、あなたは、徴兵制は憲法違反だと言ってはばからない人がいますが、そんな議論は世界じゅうどこにもないのだろうと私は思っていると述べました。
 憲法が徴兵制を禁止したのは、徴兵制があの戦前の侵略戦争を進める道具になったという反省の上に立っての措置であることは今更言うまでもないことであります。それをあなたは国家の名に値しないと言って憲法を冒涜したのであります。また、集団的自衛権行使の問題でも、合憲であるとの立場を繰り返し表明しております。
 ところが、私が内閣の見解と矛盾するではないかとただすと、あなたは、閣僚としてそのようなことに今お答えすべきだとは思っておりませんとごまかしに終始いたしました。笑止千万であります。長官は、政治家として徴兵制は合憲と豪語したのに、大臣のいすを得たらその保身に回る。これがあなたの政治信条なのですか。
 続けて、あなたは、徴兵制が合憲ではないと言ったら国家としての正当性自体が疑われることは必定であり、私はそんな場面を想像しただけで、余りに恥ずかしくて日本人であることをすらやめたくなると言われました。あなたが日本人をやめるのは勝手でありますが、日本人をやめる前にまず防衛庁長官をやめることであります。
 このような憲法観を持つ防衛庁長官がイラク特措法案を強行しようとするのは正に憲法じゅうりんによる自衛隊海外派兵の恒久化の道であり、与野党一致で自衛隊の海外出動を為さざる決議を行った参議院はこぞって石破長官を問責すべきであります。
 私は、イラク特措法案を廃案にすべきことを強く訴え、石破長官問責決議案に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 森ゆうこ君。
   〔森ゆうこ君登壇、拍手〕
○森ゆうこ君 私は、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表して、石破防衛庁長官問責決議案に対し、賛成の立場で討論します。
 軍事オタク、戦艦や戦闘機のプラモデルづくりが趣味の空理空論好き、アメリカべったりの忠犬ハチ公ならぬポチ・コンサバティブ。石破防衛庁長官、これらがあなたの形容詞として世間に出回っています。私は、石破長官のことを個人的にはよく存じ上げませんが、少なくともあなたのおもちゃの兵隊さんごっこにお付き合いするわけにはいきません。ましてや、軍事オタクのあなたの趣味を満足させるために、我が国の防衛のために命を懸ける誇り高き自衛官を何の原理原則もなくイラクへ派遣することを認めるわけにはいかないのです。
 自衛隊は軍隊である、軍隊を海外へ派遣することは政治の究極の決断である、したがって、そこには明確な原理原則が必要であり、その場の雰囲気などで軍隊を動かすことは後世に大きな憂いを残すことになる。これは、私が最も尊敬する政治家、我が自由党小沢一郎党首の言葉です。
 あなたが小泉総理を尊敬しているかどうかは分かりませんが、どこが非戦闘地域か私に分かるわけがないでしょうなどと無責任かつ支離滅裂な答弁を繰り返し、ほとんど漫画のような小泉ワールドで悦に入る小泉総理の暴走を止めることこそが防衛庁長官としての現時点におけるあなたの最大の責務じゃないですか。
 さて、そもそも石破長官は、イラクに対する自衛隊部隊の派遣、特に陸上部隊の派遣には当初慎重であったのではないでしょうか。
 国際的な標準では、任務妨害排除のための武器の使用が認められています。このような国際的な標準に合わせた武器の使用が認められない限り、治安の状況が改善せず、いつ何どき襲撃を受けるか分からないイラクでは任務は遂行できません。
 何よりも、自衛隊の海外派遣を含む国際平和協力の基本法の策定を怠ってきたツケが、イラク支援特措法案の自然権に基づく自衛の場合に限られた武器の使用という、諸外国から見たら全く摩訶不思議な法案となってしまったのです。
 石破長官は、自衛隊二十四万人の頂点に立つ防衛庁の最高責任者として、さらに、日本の防衛・安全保障政策の責任者として、歴史の審判に堪え得るようなイラク復興支援の自衛隊部隊の参加の在り方をグランドデザインとして描くべきでした。まさか、軍艦の名前や性能をすらすら言えることが防衛庁長官の重要な責務だなどと勘違いしているんじゃないでしょうね。
 石破長官、防衛庁当局は、イラク支援特措法案の武器の使用の基準は自己防衛のためのものだが、部隊行動基準を作成して、実際の部隊の行動については万全を期すとの考えを示しています。しかし、これでは、自衛のための武器の使用基準という法案の規定を、防衛庁の訓令というレベルの部隊行動基準で、結果としては任務の妨害を排除するような武器の使用も認めようとすることを意図しているのではないでしょうか。これで果たして本当に法治国家と言えるのでしょうか。
 石破長官は、派遣された自衛隊員が拉致された場合、同僚の自衛隊の部隊が捜索や救出に行く、ただし、拉致された隊員を発見したときでも、救出に際して、法案に基づく自己防衛の場合に該当する以外、武器の使用ができない旨の答弁をされています。
 やっぱりあなたはただの軍事オタクですか。これでは同僚の隊員をみすみす見殺しにすることになるんじゃないですか。このような概念的な議論をしていること、それ自体を国際社会、イラクに知られることが、日本が国際的な常識でなく非常識の世界に生きていることを露呈し、イラクに派遣された自衛隊部隊の危険を招くことを石破長官ならばよく御存じのはずです。
 石破長官のことを個人的にはよく存じませんが、長官のお気持ちはよく分かるような気がいたします。それは、パッチワークのイラク支援特措法案の中身と、長官がその全責任を負う自衛隊の部下の皆さんの安全と任務の完遂をどのように両立させようとするか、悩み抜いておられると思うからです。歴史に堪える防衛・安全保障政策の方向性を示し、それを法律として具体化していくという、法治国家の政治家、ローメーカーとしての政治家として責任ある姿勢を示していると胸を張れない長官のお気持ちはいかばかりか、個人的には長官のことを存じ上げませんが、御推察申し上げます。
 酷暑酷熱の地であるイラクにおいて、心置きなく真の復興支援活動に邁進できるよう万全の準備と支援体制をなぜつくろうとされないのでしょうか。
 このようなことでは、防衛庁・自衛隊の皆さんの石破長官に寄せる期待は裏切られます。それは、軍事の政治によるコントロール、実力組織である軍隊の政治家に対する信頼というシビリアンコントロールの根幹を損なうことにつながるのです。
 私は、この本会議場で石破長官に対する問責決議案に対し賛成討論することになり、極めて残念です。石破長官は、私も所属しております新拉致議連、北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟の初代会長であります。そして、私と同学年であり、価値観もそんなには変わらないはずです。また、大臣になるまでの国家の安全保障に関する発言に対して大いに期待しておりました。
 綸言汗のごとし、政治家の一言の重さについて、石破長官、あなたはどのようにお考えでしょうか。もちろん、一議員のときと現閣僚ではお立場も違うかもしれませんが、基本的な政治理念、政治哲学までお忘れになってしまったのでしょうか。もっとも、国民に対して約束した公約まで、そんな約束守れなくったって大したことじゃないと言う総理が任命したのですから、仕方ないのかもしれません。
 中途半端なイラク支援特措法案のまま、イラクへの自衛隊の派遣を強行し、万々が一派遣された隊員の皆様に不測の事態が生じた場合には、小泉総理、福田官房長官、川口外相とともに、石破長官、あなたの名が我が国の歴史に汚点を刻んだものとして残るかもしれないことを深くおそれ、そのようにならないことを祈念して、石破防衛庁長官の問責決議案に対する賛成の討論といたします。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 浅尾慶一郎君外八十五名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(倉田寛之君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(倉田寛之君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十九票  
  白色票            百四票  
  青色票          百三十五票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) これにて休憩いたします。
   午後十時十分休憩
     ─────・─────
   午後十一時十六分開議
○議長(倉田寛之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 角田義一君外九名発議に係る国務大臣福田康夫君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。川橋幸子君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔川橋幸子君登壇、拍手〕
○川橋幸子君 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、国会改革連絡会、社会民主党・護憲連合の野党四会派を代表して、ただいま議題となりました国務大臣福田康夫君問責決議案について、提案の趣旨を説明いたします。
 まず、決議案を朗読いたします。
  本院は、国務大臣福田康夫君を問責する。
   右決議する。
 以上であります。
 福田内閣官房長官のそもそもの役割は、小泉内閣の大番頭として安定した閣内運営を行うことにあります。ところが、どうでありましょう。今に至っては、もはやそれを期待するのは全く困難であり、裏切られたとしか言いようがありません。これ以上、福田康夫君に内閣のかなめたる官房長官の重責を任せるのは許し難いことであります。
 以下、福田内閣官房長官を問責するに十分な理由をるる述べます。
 第一に、イラク特別措置法案への対応であります。
 福田官房長官はこの法律案の所管大臣でありますが、昨今の報道に見るように、イラク現地の情勢は、日々治安が悪化するどころか、もはや戦場の様相を呈しているのであります。一体、政府は現地の何をどう把握していたのでしょうか。まず自衛隊派遣ありきという思惑が先行する余り、本来、日本外交はどうあるべきかという根本問題を看過してしまったことを今まさにここに露呈しています。
 冷静に判断すれば、憲法上の疑義はないか、また現地イラク国民のニーズはどこにあるのか、このいずれもが明らかでない限り、そもそも自衛隊の派遣は想定されなかったはずのことであります。福田官房長官は、国連の関与の下でのイラク復興支援を求めることなく、ブッシュ政権との関係重視を優先されたのであります。この際、改めて自衛隊のイラク派遣を疑問視する国民世論の判断を厳粛に受け止めるべきであります。
 この間、米英両国政府がイラク攻撃を正当化した根拠やイラクをめぐる様々な情勢分析について疑問が出てきており、イラクの大量破壊兵器保有に関し情報操作があったのではないかという疑いさえ世界に席巻しております。
 また、イラク特措法案について、審議をすればするほど、議論を深めれば深めるほど、戦闘地域と非戦闘地域の区別や戦闘員と非戦闘員の峻別などの基本認識について政府の答弁はあやふやになってきています。さらには、戦場における武器使用基準、解釈のあいまいさなど、初めに真剣に検討しておくべき諸課題が法案成立後に先送りされるという始末であります。これでは、正に戦場ともいうようなイラクへ丸腰のままの自衛隊派遣を実行するに等しい事態になり、内閣のかなめたる官房長官として、またこの法律を所管する国務大臣として、何ら真剣に考えようとせず、自らその職責を放棄しているとしか受け止められません。
 また、イラクへの我が国からの人員派遣をめぐる福田官房長官の発言が二転三転していることも全くお粗末としか言いようがありません。
 イラクで復興支援を行う米国国防省の下にあるORHA、復興人道支援庁への派遣について、福田官房長官は、当初、文民であれば可能と答弁していましたが、後になってこの発言を修正撤回されたのであります。こうした経過には、自衛隊や政府職員の派遣を合法化するための政府方針のねじ曲げがあったことが明らかです。戦闘状況が続くイラクに対し我が国政府がどのようにかかわっていくのかという重大な局面に当たり、福田官房長官の発言がころころ変わるというのは、日本国政府の方針が定まっていないこと自体を露呈するものであります。と同時に、小泉政権においては極めて危うく、ずさんな意思決定がなされているという情けない政府の実態を暴露するものであり、これは国民に対する背信行為であるとともに、国際社会における我が国への信頼を根底から揺るがすものであります。
 さらに、小泉内閣が米英のイラク攻撃支持を決するに至った経緯についても疑念を持たざるを得ません。政府が得ていた情報とそれに対する分析結果は実際にはどのようなものだったのでしょうか。意図的な情報操作があったのでしょうか、あるいは怠慢だったのでしょうか、それとも、そもそも情報収集・分析能力が欠如したままでの米国依存だったのでしょうか。いずれにせよ、日本政府が米国のイラク攻撃を支持したよりどころであった大量破壊兵器はいまだに発見されていないばかりか、米英両国においても情報操作疑惑が浮上しており、開戦支持の論拠が根底から覆る可能性もあります。
 一体、福田官房長官は国民を説得できる情報を得ていたのでしょうか。国民への説明責任を全く果たしておらず、職務怠慢のそしりを免れないのであります。
 テロ特措法に基づく海上自衛隊の給油活動がイラク攻撃用に転用されているのではないかという疑惑についても、御自身が否定された直後に防衛庁側が給油の可能性に言及するなど、福田官房長官の情報集約能力には、疑問を通り越し、あきれるばかりのことがあります。
 次に、第二の理由を申し述べます。
 言うまでもありませんが、福田官房長官は男女共同参画担当大臣であります。にもかかわらず、女性蔑視、さらにレイプ擁護とも受け取れるような問題発言を行っていたことであります。
 この問題は、日本政府を代表する内閣の一員としての資質を欠くことは無論のこと、いや、それ以前に人の道にも反する行為であり、福田官房長官はモラルと品性に欠けた人格的に問題のある人物であると断ぜざるを得ません。
 言葉にするのもはばかられる非常に恥ずかしい発言ですが、報道によれば、福田官房長官は、去る六月二十七日、官邸内の記者との懇談において、自民党の太田誠一衆議院議員による、集団レイプする人はまだ元気があるからいい、正常に近いとの発言、この発言自体にもあきれてしまいますが、この発言を受けて、これを批判するどころか、更に輪を掛けるような悪質な発言をしておられます。すなわち、女性にも、いかにもしてくれっていうの、いるじゃない、挑発的な格好をしているのが一杯いるでしょう、そういう格好をしている方が悪いんだ、男は黒ヒョウなんだからなどと、信じられないような暴言を福田官房長官は次から次へと吐いているのであります。女性を蔑視し、レイプ被害者の感情を逆なでし、まるで凶悪犯罪を擁護するかのごとく極めて無神経な発言ではありませんか。
 福田官房長官は、その後の国会審議などにおいて、そうした発言はしていないし、真意と全く違うと否定しています。しかしながら、記者との懇談は完全なオフレコだったことを口実に、福田官房長官が新聞やテレビの報道に封印をしたと取りざたされております。福田官房長官は、先ほどの発言が漏れたことに激怒して、執拗に犯人探しをし、番記者たちには、今後はオフレコの懇談はなしだと通達を出したそうであります。加えて、国会の委員会答弁後の記者からの質問に対しても逆切れをされて、何か問題あるなどとすごんでおられたそうです。
 このような行為は、言論の府に対する恫喝であり、内閣官房長官という権力をかさに着たマスコミ統制以外の何物でもありません。民主主義を圧殺する人物が内閣のかなめである官房長官であり続けることは、我が国の政治史に大きな汚点を残すであろうことは目に見えています。
 さらに、自民党の太田誠一衆議院議員の問題発言が飛び出したその同じ討論会で、元総理大臣である自民党の森喜朗衆議院議員は、子供をつくらない女性を税金で面倒見るというのはおかしいと発言しています。
 政府・自民党の大幹部には、男女共同参画社会を実現していこうという思いや、それぞれの女性個人の人生を尊重しようとする姿勢などみじんもないことが白日の下にさらされたということでしょう。良識ある多くの女性、男性国民がこうした発言をどんなに情けない気持ちで聞いたことでしょう。
 国権の最高機関である国会に議席を持ち、自分たちの考えや意見を代弁してくれるはずの国会議員に人権無視、女性蔑視の人物が多くいる。日本政府の代表者たる福田官房長官にしてそうした問題発言を擁護する。全く残念無念に思います。
 そして、第三の理由を申し述べます。
 外交問題であります。
 まず、北朝鮮問題の解決に向けての福田官房長官の姿勢が極めて消極的であることを指摘せざるを得ないのであります。しばしば官邸と外務省の二元外交が言われておりますが、いわゆる拉致事件に関しては、官邸の中の二元外交とおぼしき動きがあります。福田官房長官は拉致被害者とその家族の切実な訴えを聞く耳を持たないのでしょうか。ここまで拉致事件を見て見ぬふりをしてきた外務省官僚をかばうなど、およそ常識では考えられない言動を取られています。また、不審船の引揚げが検討された際も、中国への気兼ねや北朝鮮への刺激を恐れることから、極度に慎重な姿勢を取られました。
 こうした問題の本質は、自国民の生命、財産、安全の確保にあるのではありませんか。それとも、福田官房長官は拉致事件や不審船事件の解決は国家の外交政策の行方を左右するような重大事ではないとお考えなのでしょうか。
 このほかにも、余りにもずさんな管理や使い方が強く批判された官房機密費の問題、不用意な核兵器保有についての発言、田中眞紀子前外務大臣との見苦しいほどの感情的な確執など、福田官房長官を問責する理由については枚挙にいとまがありません。特に機密費問題では、関係する資料が存在するかどうかも分からないとうそぶき、機密費を直接扱う当事者とはとても思えない発言を繰り返し、その無責任さには怒りを通り越してあきれるばかりでした。
 以上述べてきた問題はいずれも国会や国民への説明責任、説明義務を放棄したものであり、小泉内閣の官房長官としての福田康夫君の資質、能力、責任は厳しく問われなければなりません。
 今後も、北朝鮮情勢やイラク問題など、外交問題では厳しい判断、選択が迫られています。そうした日本政府のかじ取り役をこれ以上福田官房長官に任せるわけにはまいりません。また、レイプ擁護発言に見られるように、福田官房長官は、だれの目にもモラルを欠き、言動に常識を欠いた人物であることがはっきりしています。
 以上、るる申し述べたことが本院が小泉内閣の官房長官である福田康夫君を問責する理由であり、ここにその決議案を提出するものであります。
 良識の府である本院議員諸氏におかれましては、それぞれの立場の違いを乗り越え、どうか本決議案に御賛同あらんことを訴えまして、野党四会派を代表しての趣旨説明を終わります。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。野沢太三君。
   〔野沢太三君登壇、拍手〕
○野沢太三君 私は、自由民主党・保守新党、公明党を代表して、福田内閣官房長官に対する問責決議案に断固反対の立場から討論いたします。
 まず、冒頭、強く申し上げねばならないのは、国会の会期末において、最重要法案であるイラク支援特別措置法案に対し、野党が福田官房長官等の法案担当大臣の問責決議案を連発し採決を阻止しようとすることは、野党の党利党略を最優先したものと断ぜざるを得ません。
 一昨年の四月、国民の大きな期待を担って小泉内閣がスタートし、小泉総理の信任の下で福田官房長官は引き続き再任され、山積する重要政策の基本的な方針の企画立案、総合調整の中心として、また内閣のスポークスマンとして活躍されてきました。福田長官自ら、小泉内閣のメールマガジンで、いろいろなことや思わざることがあり、本当にあっという間の二年間でしたと述べておられますが、正に内外ともに多事多難の連続でありました。特に、アメリカの同時多発テロの発生に際し、我が国はテロ対策特別措置法等により国際的なテロ包囲網の形成に大きな貢献をなし、福田長官がその法案の迅速な成立に大きく貢献されました。
 今国会においては、我が国長年の懸案でありました有事法制三法案について大多数の賛成により成立したことは、国家の安全確保上、画期的な成果であり、法案担当大臣として福田長官の功績は多大なものがあります。
 目下、緊急かつ最大の課題になっておりますイラクの復興支援については、現在、既に現地に軍隊を派遣して支援活動を行っている国は十数か国に上り、派遣を決定あるいは検討の国を合わせると四十か国にも達します。世界の中で主要な地位を占める我が国も、主体的かつ積極的にイラク復興に貢献をしていくことは至極当然であり、今国会でイラク復興支援特別措置法案の速やかな成立が強く望まれるのであります。
 問責理由として、派遣される自衛隊員の安全に問題があるとしていること等に関しては、福田長官等の国会答弁で、十分な安全確保に努める旨、明確に答えております。すなわち、法案成立後、政府は現地の治安等の情勢を正確に把握し、自衛隊の安全確保のための派遣地域の選定を行い、かつ現地のニーズに即した支援を行うよう、早期に十分な調査を行うと説明しております。
 国際的に強く要請され、国民の関心も高く、切迫した課題でもあるイラク人道復興支援について、我が国の重要な役割を何ら考慮することなく、担当大臣の問責決議案により法案の廃案をねらって審議を混乱させることは断じて許されるものではありません。
 最後に、議員各位がこの党利党略的で無責任極まりない問責決議案に断固反対することを強く訴えて、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 松井孝治君。
   〔松井孝治君登壇、拍手〕
○松井孝治君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました内閣官房長官福田康夫君問責決議案につきまして、断固賛成の立場から討論を行います。
 賛成の第一の理由は、福田官房長官が所管しておられるイラク特別措置法案への対応が余りにもずさんであることであります。
 米英両国によるイラク攻撃については、大量破壊兵器の存在に関する情報の正当性に疑問が呈され、米英両国の現政権が大揺れとなっていることは周知のとおりであります。また、イラクの現地では、米英軍への組織的な攻撃が継続しており、本日もまたイラク北部で米国兵三名が殺害されたと報ぜられるなど、治安情勢は日に日に悪化するばかりであります。このような諸状況を正確に把握することすらできず、自衛隊派遣が先にありきといった考え方に固執し、委員会においてはあいまいな答弁を繰り返して、何が何でもイラク特別措置法案を強行成立させようとする姿勢は、所管大臣としての資質に全く欠けているものと言わざるを得ません。
 福田官房長官は、現地に派遣される自衛官の、又はその家族の心境をおもんぱかったことが一体おありなのでしょうか。確かに、自衛隊には我が国の国民の生命と財産、領土を守るという極めて重い責任が課せられています。このような重い責任があるからこそ、個々の自衛官は日々の過酷な訓練に精進し、有事の際には自らの危険をもいとわない覚悟を固めているのです。
 ここで間違ってならないのは、自衛官はあくまでも我が国日本を守るために命を懸けているのであって、主権国家としての我が国の国益ではなく、他国の国際戦略をうのみにして、他国の国益に奉ずる形で不本意ながら命を落とすようなことは万が一にもあってはならないのであります。
 昨日の総理の分かるわけない発言に象徴されるごとく、政府として極めて無責任姿勢のままでイラク特別措置法案が成立し、そのことによって万が一にも自衛隊員に犠牲が生ずるようなことがあれば、福田官房長官、あなたはどう責任をお取りになるつもりでしょうか。
 そもそも、イラク戦争の開戦根拠となった大量破壊兵器の存在について、政府は適切な評価に基づいて米英支持の姿勢を打ち出したのでしょうか。福田官房長官は国民を説得できる根拠を得ていたのでしょうか。日本政府にはこの種の問題に関する情報収集・分析能力が十分に備わっているとは到底言えません。にもかかわらず、いち早くイラク戦争支持を打ち出したのは、現内閣の外交政策の発想が対米追従以外に選択肢を持たないからにほかならないのです。
 我が国が主体性を欠き、米国追従に終始することは外交上の大きな破綻です。外務省には事務次官が二人いると言われています。大臣が不在とも言われています。その中で、外務大臣臨時代理とも影の外務大臣とも言われ、外務官僚の信望は異様に厚いと言われる福田官房長官の責任は極めて重いものであると言わざるを得ません。
 賛成の第二の理由は、対北朝鮮政策をめぐる重大性の認識が福田官房長官には欠如していることであります。
 北朝鮮問題の本質は、自国民の生命、安全の確保を図ることにあります。しかしながら、福田長官は、拉致被害者家族らの切実な訴えに聞く耳を持たず、拉致事件の長期化に責めを負うべき官僚をかばうなど、内閣官房の責任者としては考えられない行動を取ってきました。また、不審船引揚げ問題についても、中国に対する気兼ね、北朝鮮を刺激することを極度に恐れているのか、一貫して消極姿勢を取られてまいりました。拉致事件や不審船事件の解決は国家の外交政策の行く末を左右するほどの重大事との認識があなたにあるとは思えません。
 また、福田官房長官は、小泉政権発足直後、いわゆる金正男事件に関して、政治問題とすることを避け、主権国家としての役割を放棄するような解決策を選択するよう主導的な役割を果たしておられます。外交的な配慮を優先し、当該人物を告発し逮捕するという手続を経ず、国外退去の手法を取ったことは、法治国家、主権国家としてあるまじき行為であったと断ぜざるを得ません。
 北朝鮮から見れば、日本は自国の法律を曲げてでも親切な外交的な配慮をしてくれる国と映ったに違いありません。その後の拉致事件、核開発など北朝鮮の思い上がった態度を見るにつけ、福田官房長官がシナリオをつくられた金正男事件への日本政府の対応が引き金になったと言っても言い過ぎではないと考えます。
 以上の諸点にかんがみれば、福田官房長官を官邸に置いておくことは、日本の国の国益を損ね、国民の生命を危険にさらすものと言わざるを得ません。
 また、本来この場で申し上げることさえはばかられることですが、福田官房長官の男女共同参画担当大臣としての資質については重大な疑念があります。
 先ほど川橋議員からありましたのでもう本当に繰り返したくありませんけれども、福田官房長官の、してくれっていうのいるじゃないとか、あるいは男は黒ヒョウという発言には本当に参りました。ライオン宰相の向こうを張った黒ヒョウ官房長官というのは非常によくできた話でありますが、全く笑えない話であります。
 官房長官が一私人であれば軽いジョークということで済むのかもしれませんけれども、あるいは完オフ懇談ということで気を許されたのかもしれません。しかし、人間、気が緩んだところで本音が出るものであります。集団レイプの被害に遭った女性に対するいたわりの感情がないばかりでなく、前近代的、非文明的な男尊女卑の思想がうかがえるこれらの発言がもし事実であるとするならば、内閣のスポークスマンとしての自覚が問われるほか、福田長官が我が国の男女共同参画政策の最高責任者であり、女性の地位向上に力を尽くすべき立場にあってよいのか、その資質に重大な疑念を持たざるを得ません。
 福田官房長官、私があなたの責任を問う最後の、しかし最大の理由は、内閣の重要方針の遂行に当たって、あなたが与えられた職務を全身全霊で全うしているかどうかということについての疑念であります。
 福田長官は、内閣法第九条の規定に基づき、内閣総理大臣に事故あるとき又は欠けたときは総理の職務を行う第一順位に指定されています。また、中央省庁改革基本法に明確に規定されているとおり、内閣官房長官は内閣の首長として内閣総理大臣の職務を直接的に補佐する機能を担う立場にあり、官房長官は、他の国務大臣以上に、官僚などの抵抗を抑え、総理大臣を補佐していく役目と義務があります。しかし、官房長官、あなたは本当に真剣に総理大臣を補佐されているのでしょうか。総理が総理ですから真剣になれない気持ちというのも分からなくはないですが、仕事は仕事ですよね。
 福田官房長官は、構造改革特区推進で与野党ともに議論が紛糾した際、当院内閣委員会で、鴻池大臣に各省庁に対して強い勧告権を与えるべきではないかという私の提言に対して、構造改革特区の推進のための調整は内閣としての最終的な調整権限を有する内閣官房、すなわち自分が担当すべきであるということで、鴻池大臣への特命大臣発令に当初消極的なお立場でした。その後、世論の圧力もあって鴻池大臣を特命大臣に発令される際にも、鴻池大臣のような人物に強い勧告権を与えることによって自らの権限を失いたくないという一部官僚の言いなりにあなたはなって、極めて形式的な権限しか与えておられません。鴻池大臣自身がおっしゃっておられるように、鴻池大臣に官房長官が与えられた権限は竹光程度であり、鴻池大臣の改革姿勢を恐れる霞が関の抵抗勢力一同が、いや、さすが福田官房長官、話が分かると、安堵の声を上げたと聞いております。正に物分かりの良い官房長官の面目躍如であります。
 鴻池大臣に竹光程度の権限を与えなくても、自らが内閣としての最終的な調整権限を持つ内閣官房の長として調整に奔走されるならば、私も納得いたします。しかし、あなたは、構造改革特区はもとより、小泉総理が国民に対して改革を行うと掲げた郵政の民営化や道路公団改革について、あるいはここにおられる片山大臣が塩川財務大臣と激しく対立された三位一体改革について、あるいは竹中大臣の金融再生プログラムについて、あるいは北朝鮮問題をめぐる外務省とのやり取り、どのような項目についても、政府部内での対官僚、対各省庁折衝で一体あなたはどんな役割を果たしたと言われるのでしょうか。
 激動の時代、強化された内閣機能を担う中軸である官房長官に期待される役割は、手堅い手腕でも、官僚組織からの期待でも、あるいはお得意のとぼけた答弁でも、同僚議員の質問への逆切れでもありません。官僚から信望の厚い平時の名長官は激動の現在にあっては害をなします。官房長官には、黒子でもいい、内閣が推進する改革のために徹底的に泥をかぶり、火の玉のような情熱を持って職務に精励する姿勢が必要です。心中に誠を抱き、全身全霊を傾ける姿勢があるならば、議場の後ろにお座りになっておられますけれども、どなたかのように個別に突出した発言があったとしても、我々は表層のみをとらえて問責決議を出すというようなことはありません。
 小泉総理の丸投げや極めて中途半端な改革への取組を許し、本来、内閣官房が有する政府部内での最高、最終の調整権限を行使せず、政策的な対立を真の構造改革に向けた実質的な討議の場とせずに、小泉対守旧派の政治ショーにとどめてきたあなたの責任は、ある意味では情熱を持った守旧派よりも罪が重いのかもしれません。私としての官房長官問責の最大の理由は実はこの一点に尽きると言っても過言ではありません。
 以上、構造改革やったふり小泉内閣のかなめ、福田官房長官の問責決議案に断固、断然賛成することをここに表明し、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて延会することとし、次会は明二十五日午前零時十分より開会いたします。
 これにて延会いたします。
   午後十一時四十九分延会