第156回国会 法務委員会 第22号
平成十五年七月十五日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月十日
    辞任         補欠選任
     本田 良一君     角田 義一君
 七月十一日
    辞任         補欠選任
     藤井 基之君     青木 幹雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                荒井 正吾君
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   参考人
       共同通信社論説
       委員       土屋 美明君
       日本弁護士連合
       会副会長     軍司 育雄君
       日本司法書士会
       連合会会長    中村 邦夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、本田良一君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。
 また、去る十一日、藤井基之君が委員を辞任され、その補欠として青木幹雄君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、共同通信社論説委員土屋美明君、日本弁護士連合会副会長軍司育雄君及び日本司法書士会連合会会長中村邦夫君でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず土屋参考人、軍司参考人、中村参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
 なお、参考人の方の意見陳述及び答弁とも、着席のままで結構でございます。
 それでは、土屋参考人からお願いいたします。土屋参考人。
○参考人(土屋美明君) 共同通信の論説委員をしております土屋と申します。
 今日は、お手元に私の意見のレジュメをお配りしてあるんですが、そこに触れる前に、ちょっと一般的なお話をしたいと思っています。
 私、今、司法制度改革に関する連載の企画を書いておりまして、言わば「市民の司法へ」というタイトルなんですが、テーマごとに司法改革の動向を切り分けて、それを毎月一回報告するというスタイルで二〇〇〇年の十一月から書いております。その取材の過程でちょっと得たものをお話しして、それでレジュメの方に入りたいと考えております。
 まず、二〇〇〇年の十月、その連載企画を始める前の二〇〇〇年の十月なんですが、アメリカの陪審裁判を傍聴しに行きまして、とても感銘深い場面に直面しました。サンフランシスコの地方裁判所で、小学校五年生の生徒たちが見学に来たんですけれども、そこの生徒たちを前に、所長が簡単なアメリカの裁判制度についての授業といいましょうか、それをしたんです。
 所長は、ニューヨークに自由の女神というのがあるだろう、自由の女神は一体何を持っているか君たち知っているかいというところから話を始めました。所長は、自由の女神が手にしているのはてんびんであるということを言いまして、てんびんというのは、君たちが交通事故なんかに遭ったときに自分の言い分を言う、あんたが悪いんだということをこっちで言う、そうすると向こうの人は、そうじゃない、おまえの方が悪いということを言う、両方が言い分が出てくる、それをてんびんではかりに掛けてどっちの言い分が正しいかということを判断するんだよ。そういうものを持っている、アメリカというのはそういうジャスティスの国なんだということを言ったんですね。そして、一番最後に所長が、そういうアメリカの裁判制度、これを担っていくのは君たちなんだと、将来君たちは陪審員になって判決を下す、そういう立場に置かれるんだから、しっかり今何が行われているのか、裁判所で行われていることをちゃんと見てくださいという話をしたんですね。
 私は、びっくりしたのは、日本ではこういうシーンというのは一度も見たことがないわけです。日本にはこういう教育、司法に関する教育というものが全くない。これで本当に司法というのが国民のものになるのだろうかという思いを強くした、そういうシーンでありました。
 それから、昨年の三月にはスウェーデンとフィンランドの刑事裁判を見てまいりました。スウェーデンというのは、今、日本と同じように司法制度改革の真っ最中であります。昨年の六月に国会の司法委員会の報告書が出されまして、そこでいろいろな改善点が出されておりますけれども、結局、外国籍の移民の増大、それに悩みながら、財政難の下でいかに高い市民サービスを実現していくかという方向が模索されておりました。これにもまた私は強い感銘を受けまして、市民の、国民の司法参加を強化していこうという意思がうかがえる、そういう内容の改革に日本もすべきであろうということを、そういう思いを新たにして帰ってきたわけです。
 そして、つい先日ですけれども、五月にはドイツの裁判を見てまいりました。ドイツは政党推薦の参審員による刑事の参審員裁判が行われていますけれども、物の本では各州の地裁では裁判官三人に参審員二人という構成だというふうに書かれておりますけれども、実情はそうではありませんでした。実際は、裁判官の数が減らされて、裁判官二人に参審員二人という構成で行われている刑事裁判が八〇%以上、所長のお話では、ほとんどがそうだというふうに言っております。
 なぜかといいますと、東西統合が行われて十年たちまして、旧東ドイツの地域に西側の裁判官が送り込まれているということなんですね。そのために裁判官の数の不足に悩んで、裁判所の構成を一人減らして、それでもなおかつ国民参加型の参審員制度を維持していこうという制度の運用を図っている、そのことをまた知って帰ってきました。
 どの国も悩みながら司法制度のあるべき姿というのを探しているというのが私の印象です。ただ、欧米の国見てきますと、国民に根を下ろした司法制度、そういうものをどう作るかというところで苦闘をしているという姿が見えるように思います。
 それで、自らに振り返ってみますと、我が国がどう見えるのだろうかという、そのことを私は今日述べたいと思っております。
 レジュメの方に入りまして、一のところで書きましたけれども、この一括法案には基本的に私は賛成です。ただし、望ましい方向性もありますし、幾つかの疑問点もあるというのが率直なところであります。
 この法案を考えるときに重視したい視点として、私はここに四つばかり挙げました。
 一つは、いわゆる法曹村からの脱皮であります。法律家仲間の利害にとらわれた主張というものが私には目に付き過ぎるように思われます。そういう村意識を超越して、あるべき制度を目指す論議をしていただきたいということを常々感じております。
 もう一つは、市民サービスの向上であります。現在の司法というのは、裁判所中心主義とでもいうんでしょうか、裁判所を中心に物が回っているという状況だと思うのですけれども、余りに裁判所に傾き過ぎたような司法というものからの脱却が必要なんだろうと考えています。庶民が解決してほしいという法的な紛争はたくさんあるのに司法が十分役に立っていない、これはやはり裁判所に傾き過ぎた司法の在り方というものが基本にあるからであろうと思います。ですから、調停だとか仲裁だとか、そういった裁判外の紛争解決手続、ADRですけれども、その拡充が急務であろうというふうに思うわけです。
 三つ目の重視したい視点というのは、地域格差の解消です。私も記者の仕事を始めて、愛知県、福井県、三重県、宮城県、山形県と五県で仕事をしてまいりましたけれども、地方での、特に過疎地での司法の実感というのは極めて薄い。言わば国民が居住している地域によって、法的サービスを受ける権利というんでしょうか、その達成度合いが違い過ぎるということを感じております。
 政府は今、司法ネット構想というのを打ち出しておりますけれども、その司法ネット構想というのを是非実現してほしいというのが私の一つの願いです。それは、私が今検討会に参加しております公的弁護制度、この検討会で行われている議論ともリンクしてきますけれども、そういった、貧しい者というんでしょうか、資力要件、資力が乏しい人のための弁護制度の運営主体についてもそういった問題があろうかと思っています。
 四つ目が国際化の視点です。司法改革論議の中で、私はこの点が最も欠けているんじゃないかと思う点であります。
 私などが余り詳しくなくて物を言うのもどうかと思う部分もあるんですけれども、法的サービス業務をめぐる世界貿易機関、WTOですね、そこでの交渉というものはほとんどの国民が知りません。ですけれども、これは日本の将来、日本の国家、国家の存在ですね、そういうものに大きくかかわることだろうと私は思っております。特に、弁護士資格などの法曹資格の問題については十分な論議が必要ですし、知識も必要だろうと思っています。IT国家の立ち後れが司法でも起きないように、そういうふうに私は願うわけであります。
 同じことは国際条約への無関心についても強く現れているように思います。国連の委員会では今月から女性差別撤廃条約の日本政府報告書が審議されていますけれども、関心が非常に薄いですし、政府は相変わらず司法権の独立ということを根拠として、言わば国際的な干渉というんでしょうか、そういったものを排除しようとするかのような報告書を出しています。恐らく私は、また委員会から多くの事柄が改善の指摘を受けるんじゃないかというふうに心配しております。
 それから、なかなか議論の場がないので一言だけ触れておきたいんですが、それは外国人被告の通訳制度ですね、司法通訳の制度です。これについても、日本はもう真剣に立法化を考えなければいけないというふうに考えます。
 ドイツに行きましたときに、ドイツのフランクフルトの高等裁判所の長官が、知人が日本で刑事事件で捕まったそうなんですけれども、知り合いと言っていましたけれども、通訳が付かなかったと、ドイツ語の通訳が付かなかった。日本はそういう制度になっているのかというふうに聞かれまして、私は答えに窮しました。アメリカではスペイン語だとかの通訳の試験制度が国家制度としてありますので、そういった制度がない国は言わば野蛮、野蛮国と見られると言ったら変ですけれども、そういうふうに見られているんじゃないかという気がするのであります。是非、積極的にお考えいただきたいと思います。
 二つ目のところで、(2)で書きましたが、附帯決議と修正案のことですけれども、基本的には私は望ましい修正が行われているというふうに受け取っております。望ましい方向性というところで書きましたように、パートタイム裁判官ですね、この制度などは非常にいいと思いますし、司法書士の民事訴訟事件での簡裁代理権、これなどもいい方向だと私は思っています。
 ただ、疑問点としては、そこに三つぐらい挙げておりますけれども、簡裁の事物管轄の問題と法曹資格、弁護士報酬をめぐる問題があろうかということであります。それで、その個別の問題についてちょっと私の意見を申し述べたいと思います。
 まず、簡易裁判所の在り方、レジュメで書きました二つの点でありますが、まず地裁との件数配分に配慮をする必要があるだろうと思うわけですね。
 私の理解としては、民事訴訟の総件数の三分の一程度が簡裁の事件に来るように事物管轄は設計されているというふうに私は理解しておりました。つまり、簡易で迅速な解決が行われるというのが簡裁の機能でありますから、だからこそ米国では、アメリカでは簡裁は庶民者裁判所と呼ばれているくらいなんでありまして、そういう機能が果たせなくなったんでは意味がない。簡裁が過重な負担にあえぐことがないように、件数配分に入念な配慮が必要だろうと思うわけです。
 それで、事物管轄の百四十万円の引上げというのがどうなのかということなんですが、率直に申しまして、百四十万円というのは私にとっては予想以上の高いラインだったということであります。私は百二十万円前後かなと、検討会の、司法アクセス検討会ですね、ここでの議論を聞いておりまして、そんな印象を持っておりました。この法案にあえて反対はしませんけれども、百四十万円で線を引くとやや重い制度になるんじゃないかという感じはぬぐえないと思っております。
 それから、三つ目に書きました権利義務の重要な判断は地裁にゆだねてほしいということであります。
 百四十万円で線を引きますと、地方の、特に県庁所在地でないような地域の不動産に関する訴えですね、こういったものが簡裁に入ってくる可能性がございます。そういう権利関係に重大な影響を与えるような判断というのは本来地裁でやるべき話でありまして、そういうような事件については地裁への移管を図るなどの積極的な調整をしていただきたいということであります。
 それから、少し飛ばしまして、三つ目の非常勤裁判官制度ですが、もっと全国的に拡充していただきたいというのが私の願いです。そして、弁護士任官という将来的な制度につながっていくように、そういう可能性を持ったまずスタート地点となるような環境づくりに努めていただきたいと思います。
 それから、四つ目の弁護士資格です。弁護士資格については、現行制度が司法試験の合格に司法修習という二つの要件をかませている、そういう制度だと思うんです。現行制度自体がいいのかどうなのかという問題は別としまして、その制度の趣旨を貫く場合に、弁護士資格の拡充という必要性があるということはよく分かりまして、そのこと自体には賛成なんですが、慎重にする必要あるだろうと思います。力量不足の法曹が生まれては国民の迷惑になりますし、そういった観点から考えていただきたい部分があります。
 個別の問題になりますが、国会議員は現段階では遠慮された方がいいのではないかというふうに私は思います。遠慮された方がいいと思っております。
 企業法務と公務員は、修正を行いましたように、研修を義務付けるということでありますけれども、研修という以上は当然その研修の成果が上がったかどうかのチェックが必要だろうと思いますので、そこのチェック、試験という形にするのかどうなのか分かりませんけれども、そういうものが当然入ってこなければいけないんだろうと思っております。
 特任検事についても、同じように考えています。
 大学の教授、助教授については、一律に資格を付与することには私は疑問がありまして、一定の基準でふるい分けが必要なんではないかと思っております。実定法の先生方はいいでしょうけれども、基礎法学の先生方についてはいかがなものかと思ったりもする部分がございます。特に、外国法の専門の方で日本法の弁護士の資格を取るというのはいかがなものでしょうか、疑問を感じます。
 全体的に、こういう特例の対象になる方を法曹の中に取り込んでいこうという構想自体はいいとは思うんですが、いささか時期尚早かなという感じも持っています。そういう資格の付与についての仕分がまずきちんとできていない、そういうことを感じております。
 それから、弁護士の業務関係なんですが、(「時間厳守でお願いします」と呼ぶ者あり)済みません。分かりました。書いてありますので、簡単に。
 弁護士の業務関係などについても、この法案の方向については私は基本的に賛成いたします。ここでも、外国法の関係で、知財立国をうたうならば、しっかりした制度を作っていただきたいというのが私の願いであります。
 はしょります。
 最後にちょっと書きましたけれども、三つほど。長期的な司法改革ビジョンの議論をもっとしていただきたいということと、国民の関与を広げることで司法の未来が築けるというふうに私は考えておりますので、そのことに努めていただきたいということであります。
 以上であります。
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。
 それでは次に、軍司参考人にお願いいたします。
○参考人(軍司育雄君) 日本弁護士連合会副会長の軍司育雄でございます。
 本日は、司法制度改革のためのいわゆる一括法案についての意見陳述の機会を与えていただきまして、誠にありがとう存じます。
 この法案は範囲が大変広うございますので、幾つかの項目に絞って意見を述べさせていただきます。
 第一点でございますが、簡易裁判所の事物管轄引上げの問題について申し述べます。
 簡裁事物管轄拡大の法改正は、近いところでは昭和二十九年、四十五年、五十七年にそれぞれなされております。いずれも経済指標の変化や簡裁と地裁の事件比率を参考として行われました。過去三回とも、本日資料を提出しておりますが、これですが、(資料を示す)別紙資料の示すとおり、地裁の取扱割合が簡裁に比べて著しく大きくなったころに実行されました。しかし、それに比べますと、今回の百四十万への引上げは異例でございます。経済指標基準で申しましても、日弁連がかねて主張しておりました百万円から、あるいは推進本部の多数意見がまとめました百二十万円ぐらいが妥当ではないかと今でも考えているところでございます。
 事件の取扱割合ということからいえば、先ほどの資料のとおり、簡裁の扱う割合は既に急増しているのが現実でございまして、将来のむしろ運用状況を見ますと、百四十万円、引下げの可能性もないとは言えないと、こう考えるところでございます。
 司法書士の訴訟代理業務の実績がいまだ現時点ではないわけでございますが、その段階でこの更なる権限拡大を検討するというようなことについては日弁連としては時期尚早であると、利用者である国民にとっても混乱を招きかねないと考えているところでございます。また、簡裁の本来の役割に照らしまして、不動産訴訟や争点の多い事件につきましては、利用者である国民の立場からしても、できる限り地方裁判所へ移送が図られるようにすべきであると考えます。この点については本院においても適切な対応を賜りたいと存じます。
 司法書士会におかれましても、司法書士の訴訟業務対応のための知識、技能の涵養はもちろんのこと、倫理面での研修強化や監督についての格段の努力を期待いたしたいと存じます。司法書士関与の下に非弁業者と提携して債務整理を行っているのではないかというような報告も現になされておりまして、東京の司法協議会の協議事項ともされているような事実もございます。
 次に、第二点でございますが、弁護士資格特例の拡充問題についてでございます。
 衆議院修正前の原案では、国会議員、特任検事につきまして研修なしで資格付与されることとなっておりましたが、これがいずれも要研修と、研修が必要という形に修正され、さらに十分な研修を要するという附帯決議を衆議院でいただいておりますことは、我々としては有り難く存じておるところでございます。
 なお、司法試験を合格している者とそうでない者との研修の内容についてはおのずから差があってしかるべきとの議論もあるところでありますので、法の運用の中で十分検討していきたいと考えております。
 ところで、弁護士資格についての制度改革は本来骨太なものであって、できる限り例外措置を置かない国民に分かりやすい姿が良いと考えます。資格要件は、司法試験の合格プラス実務に対応できるところの研修という簡明な姿にすべきであると考えます。その意味で、現行法五条三号の大学教授、助教授などへの特例資格は、より質の高い新たな法曹養成制度がスタートするこの時期に、是非とも廃止の方向で見直すべきと考えます。また、研修制度のスタートに合わせまして、現行法五条二号に言うところの衆参法制局参事あるいは内閣法制局参事官などについても研修を課すことを検討する必要があると存じます。本院において適切な対応を賜りたいと存じます。
 第三点でございますが、弁護士報酬規定廃止についてでございます。
 日弁連及び弁護士会は、従来、弁護士報酬についての標準を定める規定を置き、会員はこれに依拠して依頼者との間で報酬契約をしてまいりました。しかし、弁護士と依頼者間の自由な判断の下で委任契約を結ぶべきであるとの考え方への転換について、弁護士、弁護士会の中にも理解が深まってきていると考えております。
 ところで、報酬規定の廃止が弁護士へのアクセス障害となってはならないわけであります。利用者である国民の側から見て分かりやすく納得のいく報酬でなければなりませんので、何らかの分かりやすい、しかも拘束力を伴わない目安作りが必要であるという認識の下に、日弁連は広く会員へのアンケート調査を実施いたしまして、これを統計的に処理した情報をインターネットやガイドブックなどを通じて利用者や弁護士に示す方法を目下準備中でございます。
 また、日弁連は、会員弁護士に対し、自らの事務所の報酬基準の備置き、報酬に関する説明義務、報酬についての情報開示や契約書の作成、あるいは報酬見積りの提示に努めることなどを内容とする利用者のアクセス拡充に資するための規定も準備中でございます。国民の皆様の御理解をお願い申し上げる次第でございます。
 第四点でございますが、弁護士に対する綱紀・懲戒手続の改正についてでございます。今次弁護士法改正の中で最も多くの改正条文を置いている改革でございます。
 日弁連は、懲戒手続を一層透明化、迅速化、実効化するという観点から、これら改革を積極的に受け止めまして、目下、新法成立を見込んで会則や会規の新設、改正のため、秋の臨時総会を含めてその準備に取り掛かっておるところでございます。
 今回のこの改革は、司法審意見書指摘のとおり市民参加型となっておりまして、改革は多岐にわたりますが、その眼目は綱紀審査会の設置でございます。法曹以外から選任される十一名の国民のみによる組織として日弁連に設置いたします。綱紀審査会は一般国民の目線で日弁連綱紀委員会の議決を再チェックすることになります。この制度の新設により、綱紀・懲戒手続の透明化は一段と進むであろうと考えております。また、審査会の特別多数の議決、三分の二でございますが、により、単位会の懲戒委員会の審査に付することができるという規定になっております。その意味で、綱紀審査会の議決には一定の拘束力が認められているわけでございます。日弁連としては、二度にわたる臨時総会の論議を経まして、司法審意見書の示したこの制度を受け入れることを決議した経緯がございます。
 次に、外弁法の改正案について若干申し述べます。
 今般の司法制度改革においては、司法審意見書にもあるとおり、弁護士の国際化が改革の重要課題の一つとして挙げられました。日弁連といたしましても、国民的観点から見て、日本の弁護士及び弁護士事務所がより国際競争力を付け、語学力、国際知識を豊富に持って、他の国の弁護士と論争し、戦える状況を作ることは、大変重要なことと考えております。また、官民を問わず国際的交渉などに法律の専門家である弁護士が参加する姿は、国全体としても望ましいことだろうと思います。その意味で日弁連は司法審の意見書の趣旨に賛成しているのでございます。
 しかしながら、司法審の意見書は、外弁と申しますが外国法事務弁護士のことでございます、外弁による日本弁護士の単独雇用についてはこれを将来の課題としていたのにかかわらず、今次外弁法案に急遽解禁規定が入ったことにつきましては、日弁連としては遺憾とするところであります。外弁法は、御承知のとおり昭和六十一年に成立以来、順次規制緩和のための改正が加えられてきました。
 日弁連は、司法審の意見書を受けて、弁護士の国際化の必要性を認め、今次改革においては、一つには、従来の特定共同事業を廃止し外弁と日本弁護士の一般共同事業を認める、二つには、その共同事業体が日本弁護士を雇用することを認めるとの方針を決定いたしておりました。この二つの改革によっても日本弁護士及び弁護士事務所の国際化は飛躍的に増大すると確信したからであります。
 単独雇用の解禁までは必要ないという考え方でありました。単独雇用が今次法案のような形で解禁されますと、法の運用が不安定となり、以下に述べますとおり不正常な状態も予測され、また法運用の準備に時間的余裕が必要であると認めたからでございます。
 今次外弁法の改正によっても、外弁の取扱業務範囲が広がったわけではありません。法務省は、従来、単独雇用を認めてしまえば実質的に外弁法四条違反、典型的には外弁による日本法の取扱いのことですが、の脱法行為が予測されるとの理由などからこれを認めてきませんでした。しかるに今回の単独雇用解禁の法案となったわけでありますから、法の安定的な運用上問題を残していると我々は懸念している次第でございます。
 外弁法、新法案によりますと、四十九条、四十九条の二のいわゆる行為規範を新設いたしまして、これに対応しようとしております。しかし、外弁が雇用している日本弁護士、これは若手が多くなると予測されておりますが、この日本弁護士に対し、外弁事務所として日本法を扱うことを業務命令してはならない、あるいは不当関与してはならない、そういう規定をいたしておるところでありますが、業務命令という形を取らない姿での日本法の取扱いは十分考えられるところでありまして、日本法取扱いによる収入も様々な名目を付けて、例えば事務所の使用料であるとか通訳などの補助業務報酬、そういう名目で外弁や外弁事務所が取得するであろうと懸念されておるのでございます。
 さらに、弁護士会の関連委員会や事務方の報告によりますと、既に外弁や海外マスコミからの新法に対する問い合わせがございまして、改正案について次のような誤解をしているようであります。
 一つは、今回の法改正によって、日本弁護士をパートナーとしその助言を得れば、外弁は日本法サービスが提供できるのだと、そういう誤解。もう一つは、雇用した日本弁護士を通じて外弁は日本法のサービスができるのだと、こういう誤解。外弁の本国ローファームが日本法サービスを提供できるようになる、又は本国ローファームが日本弁護士と提携できる、いわゆるインターナショナル・パートナーシップが許容されることになると。以上のような誤解に基づく問い合わせが来ておるということでございます。
 新法が成立いたしましても、今申し上げた三点のようなことは容認されないと日弁連は理解しておるところでございます。このような誤解を解くための広報、研修が十分必要であると日弁連は考えております。一般に、外弁は必ずしも外弁法そのものに対する理解が十分でありませんで、また二、三年で本国へ帰国してしまう、そして別要員が日本へ赴任すると、こういう実態も報告されておるところでございます。前述の行為規範を新法が用意いたしましたとしても、例外的な刑事罰の規定しか用意されていない新法におきましては、その実効性は極めて疑問であります。国際化の施策を作ることは重要でありまして、日弁連もこれを理解するところでございますが、日本国内における外弁の活動もやはりルールを守ってやっていただかなければ困るわけでございます。利益追求のために何でもありというような事態は我が国の国益にも反することであり、何としても避けなければなりません。
 前述のとおり、四条違反行為に対する実効的な措置もないまま法が運用されますと、不正常な状態も懸念されるところであります。そこで、念のため、将来の見直し条項などを含む適切な対応を本院において是非お願いしたいと存ずる次第でございます。
 以上、五項目にわたりました意見陳述を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。
 次に、中村参考人にお願いいたします。中村参考人。
○参考人(中村邦夫君) 日本司法書士会連合会会長の中村邦夫でございます。
 本日は、当委員会の参考人として意見陳述の機会をお与えくださいまして、心から感謝いたします。
 委員の先生方におかれましては、国民のための司法制度改革に関しまして御熱心な御論議を重ねていただいております。改めて深く敬意を表しますとともに、感謝申し上げる次第であります。
 私は、会員一万七千五百名ほどを擁する日本司法書士会連合会を代表いたしまして、現在審議されております司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案につき、特に裁判所法第三十三条に関する改正、簡易裁判所の取り扱う訴訟の目的価額、いわゆる事物管轄の拡大について意見を述べさせていただきます。
 御審議中の簡易裁判所の取り扱う訴訟の目的価額の上限を百四十万円とする裁判所法の一部を改正する法律案に関しましては、当連合会として賛意を表するものでございます。これにより、国民の司法へのアクセスを拡充し、司法制度改革における一つの大きな目標であります国民にとってより利用しやすく分かりやすく頼りがいのある司法の実現に大きく資することとなると考えるからであります。
 簡易裁判所は、御案内のとおり、国民に最も身近な裁判所として、少額な事件を取り扱う単独制の裁判所であり、また、当事者のニーズに応じた柔軟な紛争解決手段として、民事調停事件、起訴前の和解手続、督促手続等を取り扱う裁判所でもあります。
 簡易裁判所は、戦後の裁判所機構の見直しに当たり、地域社会での民衆の裁判所としての役割を果たすものとして設置されたことは広く知られているところでございます。そのため、地方裁判所に比較してその手続も簡易なものとされており、また、許可代理人の許容、いわゆる法曹資格を持たない裁判官の起用、あるいは民間人たる司法委員の参加など、その運営に当たっては市民の社会良識を広く裁判に反映させるための諸手だてが講じられているわけでございます。
 少額な事件への対処方策は、一国の司法制度のありようそのものを表すものであり、少額な事件への適切かつ迅速な救済が行われているか否かは、その国の国民の司法に対する信頼を決定付けるものと申し上げても過言ではないと考えております。
 先日、本院において可決、成立をされました民事訴訟法等の一部を改正する法律案により、簡易裁判所が取り扱う少額訴訟手続の訴額の上限が三十万円から六十万円に大幅に引き上げられることとなりました。これにより、国民の日常生活から生ずる紛争は更に適切かつ迅速な解決手段を得たのでありまして、司法制度に対する国民の信頼と、これに呼応する司法制度の存在価値は大きく高まったと言うことができるものと考えております。当連合会は、この改革の道筋を確かなものとするために、今後もなお一層の協力を惜しまないと考えるものでございます。
 御審議いただいております簡易裁判所の事物管轄の拡大は、御案内のとおり、平成十三年六月十二日の司法制度改革審議会意見書において、「軽微な事件を簡易迅速に解決することを目的とし、国民により身近な簡易裁判所の特質を十分に活かし、裁判所へのアクセスを容易にするとの観点から、簡易裁判所の事物管轄については、経済指標の動向等を考慮しつつ、その訴額の上限を引き上げるべきである。」との御提言に基づき司法制度改革推進計画に取り入れられたものでございます。
 そこに述べられております簡易裁判所の特質とは、概要、次の諸点であると考えております。
 まず、簡易裁判所は、地方裁判所と比較して全国に広く分布しており、国民がアクセスしやすい裁判所として、正に国民に近接する裁判所と位置付けられています。また、手続が簡便であり、審理そのものも利用者に理解しやすい制度であるように様々な工夫がなされております。さらに、簡便な手続という側面にも該当いたしますが、迅速な審理が行われております。ちなみに、平成十三年の簡易裁判所における第一審の通常訴訟の平均審理期間は二か月でありました。地方裁判所の八・五か月と比較すると、四分の一弱の期間で審理されております。
 以上申し上げた諸点が簡易裁判所の特質であり、これらが昨今の簡易裁判所における利用者増加の要因であると私どもは考えております。
 一方、現在、簡易裁判所で取り扱う訴訟事件のほとんどが弁護士代理人のいない当事者本人によるものでありますが、地方裁判所においても、平成九年度においては、今回の引上げ額である百四十万円を含む訴額百二十万円から百五十万円の事件の範囲においては、弁護士代理人のいない、双方とも本人が訴訟する割合は三六・九%であり、一方のみが本人の場合を含めると八一・二%となっております。さらに、弁論の回数が一回で終わっているものが五五・五%、本人や証人尋問がないものが四〇・九%、控訴率は七・九%と、比較的簡易と思われる事件がそこには含まれております。
 このような訴額百四十万円までの事件が、簡易裁判所の特質を生かし、簡易迅速に解決されることになれば、国民の司法へのアクセスは飛躍的に高まるものと考えております。
 日常の国民生活の中で発生する紛争事件が、国民が利用しやすい様々な特質を有する簡易裁判所で今まで以上に取り扱われるよう、特段の配慮が実行されるべきであります。簡易裁判所の取り扱う事件の範囲については、国民生活や経済指標の動向等を考慮し、継続的、定期的に検討がなされるべきであります。また、事件の増加等に伴う簡易裁判所の人的、物的な充実も実現される必要があります。これにより、利用者である国民にとって、裁判所がより身近な存在になると考えます。
 私ども司法書士は、国民の裁判所へのアクセスを容易にするとの改革の理念の実現に全面的に協力するものであり、今後とも我々に課せられた役割を十全に担うべく努力をしていくものであります。
 昨年、先生方の御尽力をいただきまして、司法改革関連法案の第一弾といたしまして、司法書士に対する簡裁訴訟代理権付与を中核とする改正司法書士法の成立を実現していただきました。本年四月一日にはその改正司法書士法が施行されました。
 また、この四月二十六日から六月一日まで、代理権取得のために必要な延べ百時間にわたる能力担保措置たる第一回の特別研修を、当連合会を実施機関として、日弁連、最高裁、法務省の御協力の下に実施いたしました。全国一万七千有余名の会員のうち、一万人を超えると推測される受講希望者の中から、第一回特別研修には北は北海道から南は沖縄まで三千八百名ほどの会員が受講を完了し、現在、効果測定の結果を待っているところでございます。今月中には簡裁代理権を取得した司法書士が誕生する予定でございます。また、本年度中には、簡裁代理権を希望している会員のすべてに特別研修の受講修了を実現し、装いを新たにした司法書士が、全国各地において国民の要望にこたえられるよう、最大限の努力をしてまいります。
 ちなみに、司法書士は、全国の簡易裁判所四百三十八か所の中の四百三十三か所、実に九八・九%の所在地内に事務所を構えさせていただいております。司法書士が、国民の法律家へのアクセスの拡充を担い、国民に対する身近な相談相手としての機能を始め、国民の正当な権利実現に寄与できるものと考えております。
 当連合会は、今日まで全組織を挙げて相談活動を実践してまいりました。さらに、現在、成年後見制度や消費者問題、特に多重債務者救済の取組や若者に対する消費者教育にも積極的に取り組んでおります。今後も、国民と司法を結ぶ窓口として、その機能を強化してまいるつもりであり、特に司法過疎地域の解消については、現在進められております司法ネット構想に賛意を表するものであり、その実現に強く協力してまいる所存でございます。
 御審議いただいております裁判所法の改正が実現いたしましたならば、国民に身近な利用しやすい簡易裁判所の機能の充実に積極的に対応してまいります。さらに、簡易裁判所における司法書士職の役割を十分に果たせますように、訴訟代理人としての実務能力、職能倫理の更なる向上を図ってまいりたいと存じます。
 最後に、着実に実績を積み重ねながら、司法書士による簡裁訴訟代理業務への国民の皆様からの不動の信頼を得られますように、引き続き最大限の努力をしてまいる決意を重ねて表明させていただき、本日の参考人としての意見陳述といたします。
 ありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。
 今日は、三人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。
 今回の司法制度改革の中身は多岐にわたっているのですけれども、一つの目玉は、簡易裁判所の事物管轄が引き上げられたということでございます。それに関しまして、司法書士会を代表する中村参考人はもちろん賛成意見、そして弁護士会を代表する軍司参考人は反対でございますし、またマスコミを代表する土屋参考人も、総件数の三分の一がめどであって、百四十万は予想以上のラインであったというふうな懐疑的な御意見を述べておられます。
 中村参考人のお話にもございましたように、実は簡裁は本人訴訟が多いものですから、たくさんの方が簡裁に訴えを提起されることになりますと、簡易裁判所の判事というのも非常に大変な労力になるというのも現実でございますし、また地方の弁護士からは、そんなに大きな事件はないのでこんなことになってしまうと食べていけないというような危機感も随分聞こえてまいります。
 それに関しまして、私ちょっと軍司参考人にお聞きしたいんですけれども、弁護士の報酬規定が廃止されるということになります。百四十万円の事物管轄までは司法書士と弁護士とが競合して立ち会えるということになるわけで、どちらを選ぶか、本人訴訟でなければどちらを選ぶかというときに、やはり報酬がはっきりしているということはアクセスするために大事なことだと思うわけなんですね。
 弁護士の業務関係などに関しまして、報酬規定の会則からの削除は、土屋参考人が目安がないのはアクセス障害になるというふうにおっしゃっておられますし、恐らく一般の方々はそういうふうに感じられるんじゃないかというふうに思うわけですが、一般のお客にとってもそうでございますし、また新米の弁護士などにとりましてもどういうふうに報酬を定めていいのかというのがよく分からないというようなことになっても非常に問題でございますので、今少しお述べになりましたけれども、日弁連はこの廃止後の対応についてどうされるおつもりか、いま一度御説明願いたいと思います。
○参考人(軍司育雄君) お答えいたします。
 日弁連といたしましては、この報酬規定の廃止を、先生御指摘のとおり、重大に受け止めております。
 先ほど申し述べましたとおり、このことが国民の弁護士に対するアクセス、ひいては正義に対するアクセスということになるわけですから、この障害にならないように検討をしておるところでございます。
 弁護士会は、この関係で、弁護士制度改革本部という大きな組織を作っておりますが、その中に、特別に報酬問題を担当する部会を設置して検討を重ねてきました。その結果、アクセス拡充のために、指摘されているとおり、目安作りというものがやはり必要だと、こういうことで、先ほど申しましたけれども、広く会員にアンケート調査を実施いたしました。何千人という会員からアンケートを回収ができました。これは継続して行わなければ意味がありませんけれども、現時点で回収したアンケートに基づきまして、例えば金銭事件百万円までについては幾らぐらいとか、離婚事件については幾らぐらいというような意味の目安でございますけれども、そういう統計処理ができ上がってきております。これを会員、それから利用者である国民の皆様に周知していただくということが何よりも重要です。そういう意味の今、冊子類、ブックですね、あるいはインターネットでこれを広報すると、こういうことを具体的に段取りを付けておるということでございます。
 これは報酬の透明化とか合理化という観点、司法審の意見書に指摘してあるとおりですね、そういう観点から重要であるということで対応しておるわけでございます。
 御心配の向きはごもっともでございますけれども、そのようなことのないように努力すると、こういうことで御理解願います。
○佐々木知子君 ありがとうございます。
 じゃ、もう一点、軍司参考人にお伺いしたいんですけれども、綱紀・懲戒手続の改正が今回なされることになっております。
 弁護士会が発行している雑誌で「自由と正義」というのがございますけれども、一番読まれているところは弁護士の懲戒のところだというふうに言われております。私も結構知っている弁護士が、あらまあ大変、またやっているとかいうようなことがもうよくあって、最近は嘆かわしいんですけれども。
 実は、これ、地方に赴任しておりますと、地方では弁護士会というのが小そうございまして、お互いに顔見知りなのでなかなか、なかなか厳しい処分ができにくいと。こういうのはせめて業務停止だし除名になってもいいんじゃないかと思われるような事案であっても、何だ、えっ、戒告というようなのが地方では間々あるんですね。東京ですとお互いがなかなか知らないような弁護士同士ですし、一回きりだからというので結構厳しい処分というのも起きやすいわけですけれども。
 今回、十一名委員が全部国民から選任になるということで、これで弁護士というのがもっと公正で、公平で、本当に正義の味方であるというふうな担保が取れるというふうにお考えでしょうか。
○参考人(軍司育雄君) お答えいたします。
 この綱紀、懲戒の問題は、弁護士自治を与えられている私どもとしては根幹にかかわる問題です。非常に重要な問題として受け止めております。
 今回、先ほど意見を申し述べましたとおり、いろんな改革のための条文が用意されました。国民から今先生御指摘のような誤解を受けないために、透明化、手続が透明であること、それから手続が迅速であること、それから実効的であること、こういう必要から、この法案ができる前から日弁連は、司法審の検討状況に並行して、自己改革の一環だということで対応してまいりました。
 実は日弁連の臨時総会を二度も開きまして、このために、基本方針なるものを定めるについて二度も臨時総会で大激論をして、綱紀・懲戒に関する基本方針を定め、これが司法審の意見書にも結び付いたということでございます。
 それで、先生御指摘の点について一つだけ具体的に申しますと、その司法審の意見書で、綱紀審査会というものが日弁連に設置されます。今、単位会で出た処分について疑問があるというような案件については、あるいは処分されなかったというような案件についてですね、特に、それが多いんでございます。実は弁護士法上、何ぴとでも綱紀、懲戒できるという制度になっておりますので、乱訴も実は多いんでございます。そういうことで、その言わば乱訴、乱申立てですね、そういうものを含めますと何百件、全国的には何百件という請求があるんですが、そのうち、懲戒の必要なしという、つまり処分の必要なしというのが相当数確かにございます。そういうものについて疑問の向きが発生してくるおそれがあるということで、もう一遍これを国民の目線で透明化の観点から見ていただこうと、こういうために綱紀審査会を作ったんです。
 しかも、その中には我々弁護士は一人も入るなということです。国民だけの目線で、恐らく二、三百件単位のものがその綱紀審査会にかかってくるであろうと、こう思われます。
 そういうシステムが今後、四月一日から動き出す予定でございますので、先生の御心配はかなり解消すると、こういうふうに期待しておるわけでございます。
○佐々木知子君 ありがとうございます。
 では土屋参考人にお伺いしたいんですけれども、冒頭で、アメリカとか他の国の司法に対する国民の関与の在り方というか、実際の、実際どう関与しているかというようなことについてお述べになりましたけれども、特にアメリカというのは、人種のるつぼでありますし、お互いその歴史や文化や言語や背負っているものが違いますので、法律で共通のルールを定めなければいけないし、そういう意味で司法というのは重大な役目を担ってまいりますけれども、日本は、まあいいかどうかは分かりませんが、ここに法曹村とありますが、法曹だけではなくて、日本全体が村社会ということで来ているのが日本の文化であり歴史なわけです。和をもって尊しとなすというのがやはり日本の考え方でありますでしょうし、以心伝心で通じてできるだけ争い事はないようにするというのが、できれば私は理想なのだろうというふうに思うんですけれども。
 そういう国に根付くべき司法と、やはり典型的にアメリカのような人工国家で根付く司法というのはおのずから違うんだろうというふうに思われるわけですけれども、その点について、十一時五分まで時間がありますから、どうぞお述べになっていただきたいと思います。
○参考人(土屋美明君) 大変難しい質問をいただきまして、実は答えに窮してしまうというのが率直なところであります。
 ただ、私考えておりますのは、実は、先ほどサンフランシスコの裁判所の例を引きましたけれども、そこに見学に来た子供たちは、それこそ肌の黒い子もいれば白い子もいる、多様な人種構成がうかがえる、ヒスパニックの子もいる、そういう構成のクラスでありました。その中でジャスティスを貫くためには一定のルールに基づかなければならないんだということはよく分かるのですが、日本が果たしてそういう社会でないのかどうかということになると、私はちょっと疑問を感じておる部分があります。日本の社会は、余りにルールがなさ過ぎるというんでしょうか、基本的な人間として守るべきルールというんでしょうか、そういうものについての意識がやはり希薄であるというふうに思うんですね。それは、そういうものがなければならないということではなくて、そういうものがなくても暮らしていける社会だったからだと思うのです。
 それで、今、透明で公正なルールに基づく社会を作ろうということで司法制度改革が進んでいるわけですけれども、司法制度改革の在り方ということは、やはり、そういう今の社会、これまでの社会というのが根本から変わろうとしている、そういう前提の状況にどういうふうに対応していくのかという、その選択の問題が迫られているからだろうと思っているわけですね。ですから、アメリカの社会で起きているような事態、あるいはほかの国で起きているような事態というのは、決して無縁な存在でもないし、日本の社会が言わば意識の外に置いていた、あるいは意識の下で潜っていた問題なんだろうと私は思っているんです。これは、恐らく日本の国際化という問題の中で表に出てきますし、日本の社会はそれと正面から向き合わなきゃいけないという状況になるだろうと思います。
 例えば、山形県で私は支局長をしておりましたけれども、山形県は、ある村の家のお話を聞きましたら、村ですから、人口全体でいきますともう一万人程度の村ですけれども、そこに外国人の花嫁さんが千五百人もいるんですね。中国、韓国それからスリランカ、そういったところから、お嫁さんの来手がないために、紹介を受けて結婚して家庭を作っている方がそれだけいらっしゃる。そういうところで、やはり異文化との、日本文化との衝突というのでしょうか、そういう現象というのは現実に起きているわけです。そこからいろんな問題が噴き出してくるはずなのに、実はそれが正常な法的解決のルートに乗らないで処理されている、それが今の実態ではないかなと思っています。
 山形の、へき地と言うと怒られちゃいますけれども、過疎地で起きているそういう現象というのは、日本のほかの地域でも同じではないかと私は思っているわけですね。ですから、今そうであるというのではなくて、これから日本の社会はそういう社会になっていくんだということを念頭に置いて制度設計をしていただく、そのことをお願いしたいというふうに思っております。
○佐々木知子君 そういう規律が失われてきたのは戦後の教育の失敗だったというふうに私は思っておりまして、時間が参りましたのでよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 今日は三名の参考人の皆さんに大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 実は民主党も、司法制度改革につきましてはむしろ積極的に進めていくべきだと、こういう立場でございます。すなわち、これからの民主主義、そして国民主権、公平で公正な社会、こういう基盤を作るためには何としても司法制度改革をきちっと進めなければいけない。今、国際化というお話もございましたけれども、やはり国際的なこれからの社会の中で日本がそれと真正面から対応することのできる国であるためにも司法制度改革が必要だという考え方を持たせていただいております。
 そういう意味では、司法制度改革、今、大変機運が盛り上がっている、こういう機運を逃さずして抜本的な大きな改革として成し遂げていかなければいけないと、こう思いますけれども、ただ、逆に、ちょっと考えますと、じゃそのための本当に骨太のビジョンというのがきちっと論議をされ尽くしているんだろうかといささか疑問になるところもございます。また逆に、司法制度改革、こういうちょうどいいチャンスなのでまあ何でもいいから突っ込んで決めてしまおうと、こういう部分も全くなきにしもあらずと、こんな感もするところでございますが、そういう私の基礎的な認識を踏まえまして何点かお聞かせをいただきたいというふうに思っております。
 今、司法制度改革ということで、土屋参考人と軍司参考人にちょっと聞かせていただきたいというふうに思いますが、やはり司法制度改革、進めていくためには、政策そしてその制度設計等々が必要なことはもちろんでございますけれども、日本のこれまでの司法は大変乏しい財政といいましょうか、大変小さい予算と言われてまいりました。中身の制度のこれからの充実ということは、当然それに伴う財政などもきちっと担保していくということが必要であろうかというふうに思っておりますけれども、その辺りにつきましてどうお考えをお持ちであるか、土屋参考人、軍司参考人、それぞれ御意見がございましたらお願いをしたいと思います。
○参考人(土屋美明君) 日本の司法制度というのは本当に軽量な構造でできているというふうに私は思っています。それは、法曹の数が少ない、人的にも少ない、それから社会的に果たしている機能も小さい、そのために財政負担も少なくて済んだというのが現状だと思うのです。
 それで日本の社会はうまくいっていたからいいではないかという御意見はあろうかと思いますけれども、私はそうは思っていなくて、今ちょっとお話ししたこととつながりますけれども、奥の部分が正常な法的解決ルートに乗らないで済んできてしまっている、そういう状況から日本の社会はやはり変えていく必要があるだろうと思っておりまして、そのためには、国が一定程度の財政負担を覚悟する、そして本当に国民のサービス向上につながる制度を作っていく、そういう必要があろうと私は思っています。
 現在、私は司法制度改革推進本部の中の裁判員制度・刑事検討会と公的弁護制度検討会の二つの検討会の委員をしておりますけれども、引き受けさせられたと言った方がいいんですが、そこで司法ネットに関する議論なども若干しておりますけれども、そのことを考えるときに、日本の現在の国の予算から考えると、司法というのは余りにも小さ過ぎるなというふうに思っておりまして、どの程度の規模が必要なのかということは、ちょっと具体的にはイメージがあるわけではないんですけれども、いずれにしても、これから法曹の人口を大量に増やし、それから簡易裁判所の機能を拡充していくということですとか、そういうプランを実行していくためには、今の予算措置ではとてもどうにもならないであろうと思うんですね。
 簡易裁判所にしても、これだけの百四十万円に管轄を引き上げれば、それに伴って裁判官も増やさなきゃならない、書記官も増やさなければならない、いろんなことが起きるだろうと私は思っておりまして、このままで済む話ではない。制度改革に対するきちんとした財政的裏付けをやっていただきたいと思うのです。そのことによってしっかりした制度ができる、それが結局は国民の利益になっていく、私はそう考えております。
○参考人(軍司育雄君) お答えいたします。
 千葉先生の御指摘の認識と私も全く実は同じでございます。
 日本は明治以来、司法の姿が非常に小さく、言葉は、何といいますか、小さい姿に押し込められてきたんではないかと。簡単に言いますと、行政優位の姿がずっと続いてきた、そのために先進国の中では現在では最も透明性の低い社会になっているんではないかと、こういう指摘がされているところでございます。
 ある国際的に非常に活動をなさった著名な弁護士さんの話でございますけれども、日本のように行政に対する司法のチェック機能の少ない国は誠に恥ずかしい思いがすると、こういうことをある雑誌に書いております。恥ずかしいほどに司法の、行政に対する司法チェックのシステムがないこの日本と、こういう指摘でございます。
 ですから、そういう意味で、〇・四%と、全予算の司法が占める割合は〇・四%というふうに言われていますが、こんなことでこの国の二十一世紀の姿がもつんであろうかと、こういう心配を実は私も持っております。
 そういう意味で、先生方のお力添えも得て、もっと司法の基盤が物的にも人的にも大きくなって、司法審の意見書が指摘していますとおり、法律が社会の血肉となると言いましたか、法が社会の血肉となるような働きをする、そういう社会を作っていかなきゃいけないんだと、二十一世紀は。そのためには財政的基盤が必要だということだろうと思います。
 ちょっと抽象的でありますけれども、そういうお答えにいたします。
○千葉景子君 それでは、ちょっと細かい点になろうかと思いますけれども、一つ一つお尋ねをしたいと思います。
 中村参考人、今回のこの一括法の中で、弁護士につきましても、先ほどからお話があるように、報酬規定、これが削除をされることになりますが、これについては土屋参考人、軍司参考人からも疑問の声がございました。司法書士の改正の折にも、この報酬規定についてこれからは削除をするということで、やはりこれもいろいろ御心配の筋があったのではないかというふうに思います。
 その後の状況とか、あるいは法律を踏まえての何か実情等ございましたら、お話しいただきたいと思います。
○参考人(中村邦夫君) それではお答えをさせていただきます。
 現在、私どもの司法書士の方の報酬でございますけれども、先生今御指摘のとおり、既に報酬規定は廃止がされております。
 現在、どのように具体的に扱っているかということでございますが、各司法書士事務所の中に各自が妥当と思われるそういう報酬表を掲げて、そして必ず事件を受託する際に顧客の方に説明をさせていただいて、そして納得していただいた上で業務に入ると、こういうふうな原則を今取らせていただいておるところでございます。
 現在、それがどのような状況でされているだろうかという状況につきましては、改めて現在までのところ、詳しい、何といいますか、調査というものはしておりませんけれども、ただ、いろいろな意見を聞きますと、確かに、従来のようにどのような形で報酬の基準を国民の皆さんに示したらいいかという点で非常に、何といいますか、苦しんでいる会員が多いということも事実でございます。
 一方、自分たちの仕事というものはこういうものが報酬額としては妥当であるということも各自の先生は、司法書士は司法書士で思っているわけでございますが、そういうふうな点から、今後やはり積み重ねをしていきながら、そこから妥当な報酬の額、ニーズに合った報酬額といったものを私ども自身で決めていかなきゃならないのかなという気がいたしております。
 ただ、もちろん、それに対して一般的な意味でいうところの基準のようなものが示されるならば、それは十分参考になるだろうというふうに今はお答えさせていただくにとどめさせていただきます。
○千葉景子君 ありがとうございます。
 それでは、軍司参考人にお尋ねをいたします。
 先ほどから、やはり今回の弁護士のかかわりでの懲戒について大変多くの今回は部分が割かれているということでございます。なるべくこういうことが起こらないということが良いわけでございまして、そういう意味では、弁護士倫理の確立ということもやはりこれからのリーガルサービスを提供する側としての心構えだというふうに思いますが、弁護士倫理等につきまして、日弁連等のお取組あるいは考え方ございましたら、お話をいただきたいと思います。
○参考人(軍司育雄君) お答えいたします。
 私ども弁護士はプロフェッショナルを名のっているわけです。プロというものは、そのプロに見合う技能を持つことは当たり前です。それに加えて倫理というものが加わっていなければプロを名のる価値はないと、こういうふうに考えております。
 そういう考えの下に、日弁連では、倫理について制度的に、会員の倫理を維持するために制度的にいろんなことを行っているところでございますが、規則を既に作っておりまして、まず、義務的に新人あるいは五年目の弁護士、あるいはその後十年ごとの弁護士、現時点では三十年の経験者まで、私も数年前に三十年研修を受けたところですけれども、こういう研修を制度的に行うためのシステムを作っておりまして、この運用は厳重に行われております。
 例えば、研修会に時間に遅れて遅参したというふうな方はもう研修と認めないということで、次回の研修を受けてもらうとか、そういう厳密な運用をすることによってこの倫理研修を行っているところでありまして、さらに、日弁連が単位会と協力して行うわけですが、修了証書を発行するとか、そういう形で、また、どんな大家であっても、裁判官とか検察官を辞めた大家の方であっても例外を認めないと、こういう形で倫理研修を行っているところです。
 また、従来、弁護士倫理という形で宣言的な規程として定めておりました、弁護士倫理綱領という名称ですけれども、この時代の変化に応じまして、これに変更を加えまして、現在、更に国際的な角度からの検討も加え、それからユーザーサイドの委員の方にも加わっていただきまして、新しい規程を作っているところでございます。原案は既にでき上がっているのですけれども、これを今、全国単位会に更に検討を求めている段階でありまして、でき得れば年明けの二月の臨時総会にはこの新しい、弁護士基本規程という名称にする予定でございますけれども、しかも、従前の弁護士倫理と違いまして、その弁護士基本規程には拘束力を持たせると、会規という形で拘束力を持たせるというような姿で新しい制度を作り上げようと、こういう努力をいたしておるところでございます。
○千葉景子君 時間ですので。
 ありがとうございました。
○荒木清寛君 まず、土屋参考人にお尋ねをいたします。
 参考人の先ほどの陳述で、国会議員に対する弁護士資格の付与は現段階では遠慮した方がいいと。この理由をお聞かせ願いたいと思うんです。
 私の意見をまず申し上げますと、国会議員というのは、世の中にありますいろいろな利害の対立を調整をしまして、これを法律に反映をする仕事ですから、正に究極の法律関係実務ではないかと思うんですね。
 私のつたない経験を言わせていただきますと、今回、全会一致で性同一性障害者の取扱いに関する特例法が成立をいたしました。私は与党のプロジェクトチームの一員でございましたが、関係者から話を聞いて、まず議員で法案のコンセプトを決めまして、その上で、今回の場合ですと、この参議院の法制局の担当者に、実際どういう条文化をしてもらいたいという依頼をするわけですね。法制局の方では、他の法案との、法律との整合性も考えた上で法案化をすると、そういう経験をいたしました。
 要するに、実際に、どういう法律を作るのかということを決める国会議員は、試験に受かっておって、何年やっても弁護士資格はないと、そういう国会議員の問題提起に応じて、実際に法律を作る衆参の法制局の参事は、現行法の下でも、五年間その仕事をすれば資格があるわけですね。私は、そういう面でもアンバランスだと思いますし、ちょっとこの点の参考人の問題提起とは私、意見を異にするんですが、いかがでしょうか。
○参考人(土屋美明君) 誠に申し上げにくいことでありまして、私は、遠慮された方がいいんじゃないかということを言っておりますのは、何も国会議員に法曹資格を与える制度が悪いと思っているわけではございません。
 それは、今、先生おっしゃいましたように、国会議員は大変に重要な仕事をしていらっしゃる。その立法の仕事というのは、正に法律実務と、実務家が行っていることと重なり合う部分が非常にあるということは私も認めております。ただ、私が思うのは、あくまでこれが法曹制度の特例措置、法曹資格付与の特例措置の枠の中で議論されているという点なのであります。
 申し上げるまでもありませんけれども、立法と司法というのは言わば緊張関係になければいけないというのは私は基本的に考えております。そして、その法曹資格というのは、先ほど現行制度という、基本ということを申し上げましたけれども、現行制度の基本的な枠組みが司法試験合格だけでは足りないということでありますから、それに付加するに、司法修習というのを求めている、そしてさらに二回試験と言われる試験のパスも求めている。その中でふるい落とされてきている現実的に法律家となるべき卵の人たちもいらっしゃるわけですね。そういうものなしに、研修を一定の年数、五年以上の経験という一定の年数と研修を加えればそれに相当する経験を積んだというふうにみなせるかどうかという問題なのだと思うんです。そのことは、みなせるじゃないかという御意見は当然だと思うのですが、私は少し足りないのではないかというふうに思っているんですね。
 つまり、現在の法曹制度での弁護士資格というのは、言わばフル規格の何でもできる弁護士さんということでありますから、そういう弁護士さんをたくさん生まなければならないというふうに私は思ってはおりますけれども、だからといって、欠陥商品と言うといけないですけれども、経験の足りない方がどんどん法律家になっていいとは私は思っていないわけですね。国会議員の方にとっても、特例措置によって言わば認められて資格を取得したなどと思われることは決して名誉なことではないだろうと私は思っております。法曹資格を取るならば、忙しくても研修所に入ってやるべきだと。
 現に、私の友人の公務員などは職を辞して司法研修所に通っております。そして法律家になろうという決意をしている。そういう人たちも現にいるわけですね。彼は中央官庁のいわゆるキャリア官僚ですけれども、学生時代に司法試験に合格していて、ずっとキャリア官僚として相当のポストに就いている人間ですけれども、彼ですら、そういうふうに職を辞して司法研修所に通おうとしている。そういうのが私はあるべき姿だろうと。特に、国会議員の先生方は立法を行うのですから、そういうふうに身を処していただきたいと。
 いささか理想論かもしれないですけれども、私はそう思っております。ですから、遠慮していただいた方がいいのではないかという言い方を申し上げたわけです。
 以上です。
○荒木清寛君 次に、中村参考人にお尋ねいたします。
 先ほども御意見がありましたが、簡易裁判所の事物管轄の引上げが百四十万円で決着をしたことについての評価を改めてお述べいただきたいと思います。
 特に、簡易裁判所は軽微な事件を簡易な手続で迅速に解決をするということを特色とする裁判所ですけれども、余り大幅な管轄拡大を行いますと、簡易裁判所が迅速に紛争解決をするという機能が損なわれるのではないかという懸念も一部に示されておりますが、この点いかがでしょうか。
○参考人(中村邦夫君) お答えいたします。
 百四十万円が妥当かどうかという御質問だったと思いますけれども、私どもは、今回のこの事物管轄の決定が、いわゆる簡易裁判所の特質とかあるいは簡易裁判所の置かれている状況であるとか、そういったものから決定されたというふうに承っております。
 したがいまして、そういうもろもろの経緯の中で決定されたものでありましょうから、それについては私どもとしては異論がない、賛成だということをまず申し上げておきたいというふうに思います。
 それから、先生が御指摘のとおり、今後、簡易裁判所の、何と申しましょうか、事件が相当増大するんではないか、そこから簡易裁判所における事件の煩雑さとか、いろいろなもろもろの問題が起きてくるんではないかというふうな御指摘だと思いますけれども、確かにそういうことは予想されるのであるんだろうと思います。
 ただ、私どもといたしましては、今後初めてこの分野に入っていくものでございますので、その辺のものについては、まだ、今確たる、何と申しましょうか、方向性について御意見を申し上げるということはちょっとなかなかしにくいということを御理解いただきたいと思います。
 なお、先ほどもちょっと申し上げさせていただいたんですけれども、現在の、平成九年当時の資料ではございますけれども、地方裁判所でその百四十万円がちょうど入る額の訴訟事件の傾向を見ますと、その中にはいわゆる簡易裁判所で行ってもいいんではないかというようなものも相当数あるんではないかというふうな判断はさせていただいております。そんなふうなことで御理解いただきたいと思います。
○荒木清寛君 軍司参考人に同じく事物管轄の引上げ問題についてお尋ねします。
 訴額は低額でありましても、比較的難しい事件が多い不動産訴訟につきましては、競合管轄の制度ですとか地方裁判所への移送制度がありますけれども、国民が適切に第一審裁判所を選択できるようにこれらの制度を周知徹底する必要があるのではないかと考えますが、参考人の御意見はいかがですか。
○参考人(軍司育雄君) 先生のおっしゃるとおりでございます。簡易裁判所においても、基本的にはやはり訴訟については民事訴訟法が大小にかかわらず適用されて判決に至るわけです。そういうことで、本来は法曹資格を持つために特別な試験と研修を受けた私ども法曹が扱うのが本筋、この原則は今後も変わらないと私どもは理解しております。そのように、弁護士が今後大いに増えていくわけですから、そういう中で簡裁の事件についても対応していかなくちゃいかぬと、これが基本でございます。
 今御指摘の簡裁事件の中にも、特に不動産訴訟などについては争点の多い事件があります。あるいは損害賠償の事件などについてもしかりです。そういうものが、今日の資料にも示しておきましたとおり、簡裁では九七%が金銭債権の処理になっているんです。言わば貸金事件ですね。こういう中に不動産訴訟であるとか損害賠償の事件であるとか、争点の多いものが入り込みますと地裁でやる以上にかえって時間が掛かってしまうと、こういう実は現実的な心配があるだろうと思います。そういう意味で、裁判所の受理の段階で仮に競合管轄があったとしても、地裁へ訴状を提出してもらうとか、あるいは受理した後であれば移送を勧めるとか、そういう運用が国民のためにもあってしかるべきだと、こう確信しているわけです。
○荒木清寛君 最後に、もう一問、軍司参考人にお尋ねしますが、今後、報酬規定が会則から削除されますと、弁護士が今後増えることでもあり、例えば、もう着手金はゼロで、その代わり勝ったら半分いただきますよというようなことを言ってお客さんを勧誘するというような事態が出てくるんではないかという懸念もするんですね。そうしたことは私は弁護士に対する信頼を損ねることになるんだと思いますが、こういう問題には弁護士会としてはどう対応するんですか。
○参考人(軍司育雄君) 報酬関係について、先ほどお話ししたとおり、日弁連は準備しておりますけれども、先ほど説明から落としましたが、業務基本規程、今、さっきの弁護士倫理のところで申し上げました業務基本規程の中にかなり詳細な報酬に関する規定も用意いたしております。その報酬について、依頼者に十分説明するとか、それから契約書を作成するとか、あるいは適切な情報開示をするとか、もろもろ規定を準備いたしまして、これが拘束力のある規定ということになってきます。そういうことで、この業務基本規程、仮称ですけれども、これを会員に守っていただくことによって不正常な状態がなくなるということを期待いたします。
 ただ、御指摘のとおり、弁護士と依頼者のあくまで自由な契約というのがこれから基本でありますので、成功報酬方式、先生御指摘の成功報酬方式、こういうものもあり得ると思います。しかし、それが必ず全部悪いということにはならないんではないかと私は思いますけれども、行き過ぎた状態になれば新しく作られる会規などによって適切な指導をすると、こういうことで対応することになろうかと思います。
○井上哲士君 今日は、三人の参考人の方、ありがとうございます。
 まず、土屋参考人にお伺いをいたします。
 陳述の中で公的弁護制度のお話がございました。さきの報道によりますと、公的弁護制度の検討会では、この公的弁護制度の運営主体を独立行政法人にしようということでほぼ検討会では意見が一致をしたという報道もございました。この間、国立大学の独立行政法人の法案が通ったわけですが、このときも学問の自由とか大学の自治ということが随分議論になりました。公的弁護の場合は相手が国になるということもあり得るわけですから、かなりやはり組織の在り方などには慎重なものが要るかと思うんですが、そういう独立性の確保といいましょうか、そういう今後立ち上がるであろう公的弁護の運営主体についての考え方を少しお願いをいたします。
○参考人(土屋美明君) 公的弁護については私も自分の意見を検討会の中で述べました。今月の検討会になりますか、そこでは、私は、独立行政法人にするのが一番いいであろうという意見であります。ただし、それには条件がありまして、今、先生御指摘になりましたように、弁護の独立性ですね、自主性、独立性という、そこの言わば弁護活動の生命に当たる部分はきちんと担保される組織にならなければいけないという、そういう条件付であります。
 それで、今、公的弁護の運営主体について最高裁の方からは、中間に中立公正な、ボードという表現が使われていましたけれども、委員会組織のようなものを設けて、そこで、報酬の基準でありますとか契約関係ですとか、そういったいろんなものを扱うことによって公正さを確保しようという提案がなされております。それが一つの案にはなると思うんですけれども、そういういろんな工夫を通じて、個別の弁護活動の中身の問題に干渉するようなことはないように、ただし、不適正弁護ですとか、そういうものに対してはきちんとした対処が行われるように、そういう公正な判断ができる組織を、中立的な組織をかませることによって、独立行政法人としても国の指揮の下に弁護活動が置かれるような事態は回避できるのではないだろうかと。制度設計次第だと思っておるんですけれども、そういうことになるのではないかと私は思っております。
 それで、改めて申し上げることもないかもしれませんが、弁護士会の方からは、独立行政委員会ですとか公益法人に指定法人として担わせるのがいいとか、いろんな意見が出ておりますけれども、そういう選択も一つだろうとは思います。ただ、現在の状況では、独立行政法人方式を取ることによって得られるメリットの方が大きかろうというふうに私は考えまして、そういう主張をしたわけでございます。
○井上哲士君 次に、軍司参考人にお伺いをいたします。
 陳述の中で、いわゆる外弁の単独雇用の問題での懸念のお話がありました。今日は、資料にいわゆるローファームの状況なども入れていただいているわけですけれども、今の現状と、今後単独雇用で予想される懸念、もう少し具体的な点でお伺いをできれば有り難いんですが、いかがでしょうか。
○参考人(軍司育雄君) お答えいたします。
 私どもの主張は、先ほど申しましたとおり、共同事業で、その共同事業体が日本弁護士を雇用していけば足りるんではないかと、こういう主張をしておったわけですが、単独雇用が入ってしまったというところを懸念している、こういうことです。
 なぜ共同雇用、共同事業体であれば大丈夫かといえば、それは、そこにある程度の経験のある日本弁護士が一枚かむから、その先輩弁護士によって若手弁護士が指導を受けたりすることによって不正常な状態は防がれるであろうと、こう考えたわけです。ところが、単独雇用ということになりますと上下の関係だけになるわけで、業務命令が基本に仕事の上ではなるわけですが、日本法を業務命令によって扱ってはならないんだと、そういう規定が確かに用意されています。しかし、これに対する刑罰の担保などは全くないわけでありますから、つまり、その実効性が心配であるということです。
 そこで、若干具体的に申し上げますと、業務命令はしないけれども、事務所として日本法を扱うような仕事、日本の企業あるいは日本の個人の方から外弁さんが仕事を受けたとする。外弁さんはその仕事をやってはいけないわけです、新法によっても、日本法を扱っちゃいけないんですから。しかし、手元に日本の弁護士がいると。そうすると、その日本弁護士に業務命令でやらせてはいけないけれども、業務命令という形でなくて、これはあなたの個人の仕事としてやりなさいと、例えばですね、こういうことが大いにあり得るわけです。そうしますと、その雇用されている弁護士は個人の仕事としてこれを、この仕事を遂行することができる、裁判所で訴訟活動をすることもできる、日本弁護士ですから、そういうことになってきます。その結果得る報酬がその日本弁護士の手元に名実ともにとどまって、日本弁護士の独立した仕事であるということになれば理屈の上では何も問題ないわけですが、理屈どおりにいくだろうかという心配です。
 外弁事務所としては、先ほど申し上げましたとおり、いろんな名目で、業務命令という形は取らないけれども、そこから経済的なものを吸い上げる、通訳料だとか事務所使用料とか、そういう形で外弁事務所の収益を上げる方向に向かうんではないかということが容易に懸念されると、具体的に申し上げますと、そういうことかと思います。
○井上哲士君 次に、中村参考人にお伺いをいたします。
 去年の司法書士法の改正のときも本当にたくさんいつも傍聴に来ていただきまして、今日もたくさんお見えでありますが。「月報司法書士」なども送っていただいておりますけれども、簡裁の訴訟代理権の獲得、得たということで、非常に熱心な研修などが行われていることも伝わってまいりますし、たくさんの方がこれを受けられたということで、本当に熱意を感じているところです。
 今回、さらに、この事物管轄の引上げということになるわけでありますが、先ほど来の幾つかの質問の中でも、不動産など非常に複雑な事件もその中には含まれて、むしろ地裁でやった方がふさわしいということがあります。裁判所の運用などでこれをひとつ解決していくということもあろうかと思うんですが、皆さん方が仕事を受けられるときに、やはりこれは地裁でやった方がいいんじゃないですかという形での振り分けということもあり得るのかなと思うんですね。むしろ、そこをきちっとした方が、簡裁の持つ特質をきちっと生かすという点でも、仕事上の信頼をしっかり獲得していく上でもいいのかなと思うんですが、その辺はどんな御議論がされているんでしょうか。
○参考人(中村邦夫君) お答えいたします。
 今、先生がおっしゃられたとおりでありまして、例えば不動産に関する訴訟などにつきましては、私ども、今までは本人訴訟、本人支援という形でかかわってはまいりましたけれども、その場合でもそうでしたが、なかなか難しい問題も非常にあることは事実だろうと私は思います。
 そうなりますと、問題なことは、依頼される国民の皆さんをどう我々は考えなきゃならぬかという観点をまず第一に置くべきだろうというふうに思います。もちろん、どういう訴訟であれ、それがその裁判所でできるものであるならば、我々は努力し研さんを積んでやらなきゃならないということはありますけれども、しかし、そうは申しましても、実際問題としてなかなか難しい問題もあるだろうということは十分承知しておるつもりです。
 そういった意味では、いろいろなところでも御議論されておるようでございますけれども、まず裁判所の方の受付時点における様々な裁量的な問題であるとか、あるいは事件が途中から移送される問題が起きるかも分かりませんし、さらに、私どもといたしまして、私ども自身も、これは当初から地裁の方に行った方がいい、あるいは弁護士さんの方にお願いした方がいいだろうと、そういったことは自らやっぱり判断する必要は出てくるだろうと思っております。
 そういうことを考えますと、今後、私どもだけの問題ではなくて、これは日弁連さんなどにもいろいろ御協議をしていただいて、その辺のところを、スムーズに弁護士さんの方にそれをバトンタッチできるというか、最初の段階からでもそうでありますけれども、お願いするようなそういうシステムといったようなものは今後は考えていく必要があるだろうと。
 あくまでも、国民の皆さんの立場として何が一番大事かという観点から考えていく必要があるだろうというふうに私どもは今考えておるところでございます。
○井上哲士君 もう一点、軍司参考人にお伺いをいたします。
 この法案で、いわゆる非常勤裁判官制度というものが作られるわけですが、これが弁護士任官の拡充に資するのではないかと言われております。かつて、近畿弁護士会連合会が独自の推薦制度を作っていらっしゃったことを取り上げまして、この弁護士任官を推進すべきだという質問もしたことがあるんですが、その後それもかなり広がっているというふうにお聞きしているんですが、この弁護士任官促進のためにこの間日弁連が努力をされていること、そして、今回の非常勤裁判官制度が作られることがこの弁護士任官の促進にどういう効果があるとお考えか、お願いをいたします。
○参考人(軍司育雄君) この非常勤裁判官制度のスタートは、新法が成立したもちろん後ですが、最高裁の説明によりますと、小さな姿でスタートすると、たしか私の記憶では全国で二、三十人であったと、今、資料を見るいとまもありませんが。全国で二、三十人というのは予算上の関係と伺っておりますが、小さくスタートすると、こういうふうに聞いております。しかし、次の年度からはこれを大きく運用していただきたい、全国の各裁判所で幅広く、調停主任官、家事調停主任官でしたかを弁護士から採用していただきたいと、こう考えております。
 既に、第一年目の非常勤裁判官については私どもの、私、第一東京弁護士会ですが、にも既にその推薦依頼が来ている状況です。会員に募集をしているわけですけれども、この非常勤裁判官については、希望者は相当数いるというふうに認識しております。本格的な弁護士任官とは違う勤務形態でございますから、弁護士も事務所を持ったまま対応できるということですので希望者も相当多いと、こういう認識を持っております。
 そこで、弁護士任官も増えてはきたものの、本来の弁護士任官も増えてはきたもののまだ十分ではないという認識を持っておりますので、これを、この非常勤裁判官の形態が大きくなることによって、そこから弁護士任官への移行が近い将来できるように私どもは期待しているわけです。現にそうなるであろうと思います、希望者が非常に多いですから。そのように思っております。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。今日はどうも本当にありがとうございます。
 まず始めに軍司参考人に、綱紀・懲戒手続の改正についてお聞きをします。
 ちょっと思うのは、迅速性、透明性、実効化が必要であり、かつ内部でかばったというふうにならないのはもちろんいいのですが、他方、一つは、審査会を新たに設けるので、対弁護士会の懲戒請求、日弁連の懲戒請求の後、審査会が登場するので、された側にとっては非常に負担になることもあるんじゃないかということが一点です。それから二点目は、事案によっては、例えば接見した弁護士が証拠隠滅の教唆をしたんじゃないかと無罪事件で物すごく争われたり、対立する無罪事件などで物すごく緊張関係、対立する場面もあります。ですから、検察官、裁判官が入るということなどについても、ケースによっては、例えばちょっとがっと突出した弁護士をたたくという感じになりかねないかとか、そういう懸念を若干持っております。
 また、国民が参加することは大変必要なわけですが、無罪の推定そのものも物すごい実はフィクションなわけで、この綱紀・懲戒手続の過程の中で透明性を高めるということと、それからもう一つは、それが、悪用ではないんですけれども、すごく負担になったり、何か使われることがないかという点については、どのようにお考えでしょうか。
○参考人(軍司育雄君) お答えいたします。
 綱紀審査会を懲戒手続の中に、綱紀、懲戒の全体のシステムの中に新たに組み入れるわけですから、本来、懲戒処分に値しない、客観的に見て、値しないような弁護士が乱申立てを受けたという場合には、先生御指摘のような負担がその弁護士に従来よりも余計に掛かります。少なくとも時間的にも長い間引っ張られるのではないかと、その手続の中でですね、そういう心配がありまして、真剣に日弁連でもその点は議論されたところです。
 しかし、全体として見てこの綱紀審査会、国民の目線で見るというシステムを作ることは重要なことだということで今回の法案になっていると思いますけれども、この先生御指摘の負担にならないかという点については、できる限り手続を迅速に進めるということでもう対応する以外はないと思っております。そこで、その迅速化のための、ですから手当ても今回の改革の中に入っているわけです。
 具体的には、従来は綱紀委員会、懲戒委員会は、全体として一つの委員会が例えば月一回開催されれば、その月一回の中で結論を全体として出さなければいけなかった。その関係で時間が掛かるということが指摘されておったわけです。しかし、今回の改革、つまり新法の中では、部会制を置くことができると、こういう規定になっております。つまり、綱紀委員会例えば二十四人なら二十四人で、十二人ずつの部会、何人ずつの部会、こういう形で部会が自己完結的にその権限を行使できる。こういうシステムを併せて作っておりますので、それは正しく迅速化に対する対応なんですけれども、今の先生の御指摘の負担になる弁護士などについては、そういう手続の中でできるだけ迅速に処理すると。それから、処理のための目安の期間、例えば六か月以内に結論を出さなければならない、そういった規定も用意したところでございます。
○福島瑞穂君 今の点について、土屋参考人いかがでしょうか。
○参考人(土屋美明君) 私も日弁連の総会の議論、深夜にわたる議論を十時間ぐらい傍聴したこともありますが、この点は非常に真剣に議論されていた結果出てきた結論だと理解しています。
 私は、個人的にはいささか複雑過ぎる仕組みじゃないかなというふうに思ってはいるんです。弁護士自治がきちんと機能していればこういう組織を置かなくても本来済むはずだろうというように思っている部分もありまして、そういう感じは受けるんですけれども、ただ、いろいろ議論をした結果、難産の末生まれたのがこの制度でありまして、日弁連さんがそれでやられるということであれば、私は支持したいと思っています。
 これは、ですけれども、今、軍司先生おっしゃったように、やはり大事なのは透明性と客観性だと思うんですね。そこのところがどう確保できるかということで更に議論を深めていただければと願っております。
○福島瑞穂君 では次に、中村参考人にお聞きをいたします。
 今日は事物管轄について特に話をしていただいたんですが、弁護士資格特例の拡充の問題に関して、この委員会でも特例検事について司法試験合格なく弁護士資格を与えることはどうか、あるいは国会議員が、先ほども出ていますが、修習なく、いわゆる司法修習なくやれることはいかがかという議論も出ているのですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○参考人(中村邦夫君) お答えいたします。
 弁護士さんの方の資格付与の問題につきましては、いろいろまだ私ども分からないことが非常に多いものですから、基本的な言及は避けさせていただきたいと思います。
 ただ、結局は法曹の数の問題ということに帰着するんだろうと思います。今般の司法制度改革の中でもその問題が大きく論じられてきたんだろうと思います。そうなりますと、司法制度に対する国民の信頼は、どの辺で、一番信頼を保つためにはどうしたら一番法制が正しいのかという、こういう観点から考えていただくというようなことになるんだろうと思います。
 そういうことで、現実の問題として、今、先生がおっしゃられたような点につきまして具体的にそれをどうこうしてほしいということは、ちょっと私の方としてはなかなかお答え今できないことをお許しいただきたいというふうに思います。
○福島瑞穂君 日本弁護士連合会は二〇〇二年六月八日に「特任検事への法曹資格付与について」と意見書を出していらっしゃいます。ロースクール構想が、ロースクールがこれからできるわけですが、今作られつつありますが、検察官を大幅に増員すべきとしているが、この増員は新法曹養成制度を経た法曹であるべきものであることは明らかであるから、新法曹養成制度に移行した後は特任検事制度自体を廃止することが望ましく、少なくとも特任検事に対する法曹資格付与の制度は廃止されるべきであるという提言をされていらっしゃるわけですが、改めてこの拡充問題についていかがか、教えてください。
○参考人(軍司育雄君) お答えいたします。
 私どもといたしましては、ロースクール、法科大学院が立ち上がって骨太のこの法曹養成制度ができるということでございますから、本来の法曹はそのルートで作るベしと、こうまず考えるわけです。
 特任検事は、先生も御承知のとおり、検察庁法で、言わば行政の内部的な組織の中で副検事から特任検事に昇格するというようなシステムでございまして、国民的な姿にはなっていないと私どもは基本的に理解しています。
 ですから、新しい法科大学院が、法曹養成システムがスタートするに際しては、まず司法試験、新司法試験になっていくと思いますけれども、少なくともこの司法試験に合格すると、どんな方でもこの司法試験に合格すると。その上で資格を取るべきではないかと、根本的にそう考えて、先ほどの意見の中でも、国民に分かりやすい簡明な姿がいいんだというのはそういう意味で申し上げたわけです。
 検察事務を特任検事、副検事も実はそうなんですが、が相当、特に副検事の方が多いんでございますけれども、扱っているあるいは肩代わりしているというふうな認識を私ども持っておりまして、重要な国家のための検察事務ですから、これも本来の法曹が、司法試験を合格した本来の法曹が、しかも相当増員されるんですから、その法曹が関与して当たるべきであると、関与すべきであると、こういう意見であります。
○福島瑞穂君 私は実は外弁法の改正問題について余り知識と理解がないので、ちょっと改めて教えていただきたいんですが、先ほど軍司参考人は、誤解がもう既に生じているというふうにおっしゃいましたけれども、先ほど井上委員からもちょっとありましたが、単独雇用の場合に問題が生ずるということなんですが、今回のもしこの法律が成立をすると、外弁法改正で具体的にどういう問題が起きるのかもう少しお聞かせ願いたいことと、今後の監督体制などは一体どういうふうになっていくのかという点についていかがお考えでしょうか。
○参考人(軍司育雄君) お答えします。
 卵の殻が割れたら、後はぐじゃぐじゃになると、こういう話が、あれは証券業界の例を取って言われたんでしょうか、そういう話を聞いたことがあります。
 法律を作ったとしても、その法律を守らないで、殻を破ってしまう、つまり法を破ってしまえば、後は実効的な措置、刑罰であるとかいうものが用意されていなければ、何といいますかね、やり得といいますかね、そういう姿になっては、これは国益上絶対に困るわけで、そういうことにならないように、法曹界のことですから証券業界とは違うであろうと、もちろん基本的には私どもはそう考えています。
 外弁さんも、それぞれの国の法曹資格を、ローヤーでございますから、基本的には法律を守ってもらえると思いますけれども、しかし、外弁さんが日本の外弁法についての理解が必ずしも十分ではないんではないかと。二、三年で帰ってしまうというような実態もありますので、そこを心配しているんです。日本の外弁法の趣旨を理解しないで日本で仕事をされれば、これはやはり心配ですね。
 そういうことで、日弁連としての対応ですけれども、日弁連は、まず外弁さん、それからそれを利用する方に対してこの外弁法の改正の趣旨、どこまでの仕事ができてどこまでの仕事ができないんだと、違反すればこういうことになるんだということを周知し、広報しなきゃならないと、こういうことでございます。最終的な担保、刑罰が用意されておりませんので、最終的には日弁連の懲戒の問題になってくるんだろうと理解しております。
 そこで、日弁連では今、この外弁法の成立後の対応として、日弁連組織の中に例えば四条違反の調査委員会を新たに作るべきではないかとか、そういったことを今真剣に検討しているところです。
○福島瑞穂君 時間ですので、終わります。
 どうもありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕