第156回国会 農林水産委員会 第3号
平成十五年三月二十五日(火曜日)
   午後一時一分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         三浦 一水君
    理 事
                国井 正幸君
                田中 直紀君
                常田 享詳君
                和田ひろ子君
                紙  智子君
    委 員
                岩永 浩美君
                太田 豊秋君
                加治屋義人君
                小斉平敏文君
                服部三男雄君
                松山 政司君
                郡司  彰君
                信田 邦雄君
                羽田雄一郎君
                本田 良一君
                日笠 勝之君
                渡辺 孝男君
                市田 忠義君
                岩本 荘太君
                中村 敦夫君
   国務大臣
       農林水産大臣   大島 理森君
   副大臣
       農林水産副大臣  太田 豊秋君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       渡辺 孝男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       農林水産省総合
       食料局長     西藤 久三君
       農林水産省生産
       局長       須賀田菊仁君
       農林水産省経営
       局長       川村秀三郎君
       農林水産省農村
       振興局長     太田 信介君
       水産庁長官    木下 寛之君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (平成十五年度の農林水産行政の基本施策に関
 する件)
 (WTO農業交渉に関する決議の件)
○水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産省経営局長川村秀三郎君、農林水産省農村振興局長太田信介君及び水産庁長官木下寛之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三浦一水君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(三浦一水君) 農林水産に関する調査のうち、平成十五年度の農林水産行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○加治屋義人君 自由民主党の加治屋でございます。
 自民党の畜酪対策小委員会、国井先生、小委員長を務めていただいておりまして、先般、北海道、九州、それぞれ生産農家の視察をさせていただきました。
 大変うれしく思ったことがございます。一つは、どの生産者とお会いしても、BSE、おかげさまでと、そういう大変うれしい感謝の気持ちを表していただきました。農水省始め、お互いこうして一生懸命取り組んできた、何というんでしょうか、努力が何か報われたような、そういう気持ちになりました。
 二つ目には、農業団体や生産者との意見交換の中で、どの生産者の意見も、実は自らの努力を痛感をしている、そしてやはり自助努力で頑張る、そういう気持ちでありますので、足りないところはいわゆる国の支援をお願いしますと。そして、この国の支援、いわゆる私は公助と読ましていただいているんですが、このやはり自助努力の上に立って公助があるんだというこの経営的な精神、そういうものが農家の皆さんに芽生えているのではないか、そういうことを痛切に思って、感動いたしました。
 そこでお伺いをいたしますが、一つには、BSEを過去のものとしてはならない。残されたBSEのそれぞれの課題について、いま一度、大臣おいでになりませんけれども、副大臣に決意のほどをお伺いしたいと思います。
 二つ目には、戦後、国が工業化路線を推進した結果、産業としての農業が衰退をし、それと併せて生産農家の自主努力が減退したように思われます。BSEをきっかけに、食の安全、農の再生、自給率向上といった目標が再確認されて、同時に、生産農家自体のやる気、つまり自助努力が芽生えてきたことは誠にうれしく、実感として受け止めさせていただいています。
 この農家の自助努力を中心に、農業協同組合を軸にしたいわゆる互助、共助というんでしょうか、そして国による公助が適切に機能をしてサポートするならば、我が国農業の将来は大変明るいのではないかと、視察をしながらそういうふうに感じました。我が国農業の振興、再生を実現する上で、この自助、互助、公助の在り方はどうあるべきなのか、大臣の、副大臣の所感があればメッセージとしていただきたいと思います。
○副大臣(太田豊秋君) 本来であれば大臣が御答弁すべきところでございますが、今、衆議院で本会議が開かれておりますので、私から御答弁を申し上げさしていただきます。
 今ほども、現場を実際にごらんになって、そのごらんになった経緯の中から、それを基本といたしました御質問をいただきまして、正に実感がこもっておるなというふうなことでお聞きをさしていただきました。
 確かに、昨年の九月のBSEの発生後、消費者の方々の牛肉への不安が大変に高まってまいりまして、そして牛肉の消費とか、あるいは価格の下落だとか、それからまた生産者を始め流通、外食事業者の経営にも大変な影響が生じたわけでございまして、国といたしましても消費者の不安払拭と、生産農家や関係事業者への影響の緩和のために、生産、流通、消費、各段階における対策を講じてまいったところでございます。
 その成果もございまして、当初急落をいたしておりました牛肉の消費、それから価格等も回復してきておりまして、また、昨年の五月の四頭目以降におきましては、皆様、消費者の方々あるいは生産者の方々、そして国の施策等々も併せまして、風評被害というふうなものが起こることもなく、これが冷静な反応によって対応がなされてきたというふうなこと、大変喜ばしいことであったというふうに考えてございます。
 しかしながら、BSEにつきましては、なお感染源、そしてまた感染経路の究明、それから死亡牛の検査体制の整備、そして牛肉のトレーサビリティーのシステムの構築、これは御承知のように四百五十万頭の牛につきましてはすべて耳標をもう完了いたしております。そしてなお、子牛が生まれるたびにこれらの子牛につきましても耳標は取付けをいたしておるところでございますが、こういった構築の課題とかいろいろ残されておるわけでありますが、今後BSE対策特別措置法とかあるいはこれに基づく基本計画を踏まえまして、これらの課題にしっかり取り組みつつ、消費者の方々の食の安心、安全に対する信頼の回復を図るとともに、BSE発生農家の経営再建支援策、対策などを全力を挙げてやってまいりたいと、このように考えておるところでございます。
 また、公助とか自助等の問題につきましても、生産者あるいは農業団体の方々とのお話合いの中でも、やはり自助努力が大変に必要なんだというふうな自覚の中でというふうなことも今お話がありましたが、BSEの発生によりまして、牛肉の消費、価格が落ち込み、そしてまた生産農家の経営は大変に大きな打撃を被ったこととなっておりますが、こうした厳しい状況の中で意欲を持って経営を継続されておられる農家の方々には本当に頭の下がるような思いでございます。
 農業助成等については、国民、特に納税者の納得を得られるよう行う必要があることでございまして、これは皆様方にも御理解いただくことだと思います。すなわち、畜産農家の自主性と創意工夫に基づく生産性向上などへの努力に対しまして助成を行うという基本的考え方に基づく必要がございます。
 畜産農家には、後継者の育成や牛舎整備などにも自ら努力され、経営の維持そして発展に努められていることに大変心強く感じるところでございます。そのような農家の方々の自助努力と相まって各般の支援対策が効果を発揮するものと考えておるものであります。
 農業政策の展開に当たりましては、今後とも、意欲を持って生産に励んでおられる農家の方々が、その経営を改善し発展させていくことができるように、農林水産省といたしましても可能な限り支援してまいる所存でございますので、御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○加治屋義人君 ありがとうございました。
 やはり農家自らの自助努力、これを喚起していくことがまた公助としての役割だと、そういうふうに思っていますので、是非そういうふうにお願いを申し上げたいと思います。
 先日の大臣の所信に関連しまして、また私どもの今回の視察で出されました問題等について、以下、質問をさせていただきたいと思います。
 平成十五年度の畜産物価格が、大変厳しい財政事情の中で、据え置きという御努力をいただきました。また、関連対策の充実強化など、反映をされておりますことに大変感謝を申し上げたいと思います。
 まず、肉用牛生産基盤安定化支援対策について伺います。これは、意欲ある生産者の経営安定を目的に、これまで繁殖基盤強化対策、子牛流通活性化対策など生産基盤の充実に大きな貢献をしてまいりました。この事業の予算の実績を見ますと、これは私は自分の鹿児島県の資料しか持ち合わせていないのでありますが、平成十二年、十三年度と比べて十四年度のこの実績が約二分の一に減っているわけですけれども、全国枠で十二年、十三年、十四年度の数字がどうなっているのか教えていただきたいと思いますし、その減額となった要因は何なのか、多分BSE等の絡みがあるのかなと思ってはいるのですが、要因等を教えていただければ有り難いと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 肉用牛生産基盤安定化支援対策でございます。当初予算額、全国ベースで、十二年度が二十億二千八百万、十三年度が三十五億九千万、十四年度が二十五億四千二百万でございます。ちなみに、鹿児島県の実績で申し上げますと、十二年度が三億九千四百万、十三年度が四億八千三百万、十四年度が四億三千百万でございます。
 先生もただいま御指摘なされましたように、やはり我々、限られた財源の中でBSE関連対策といたしまして、十三年度千五百億、十四年度二千億と、こういうふうな予算を計上をしてまいったわけでございまして、そういう乏しい財源の中で十四年度予算額を減額をせざるを得なかったということでございまして、鹿児島県分についても減額をせざるを得なかったという事情につきましては、何とぞ御理解を賜りたいというふうに思っている次第でございます。
○加治屋義人君 この事業につきましては、新規就農者やまた既存の農家、特に鹿児島県は離島を抱えておりまして、今、離島の産業基盤というのが全くない中で畜産の拡大に向けてやっとスタートした、そういうときなだけに、この事業そのものが離島の方々に、それこそ命だと、そのぐらい思っているわけでありますけれども、十六年度以降の継続、そしてまたBSE以前のペースに是非戻していただきたいと、そういう強く要望するわけですけれども、どうなんでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) まず冒頭に、遅れてまいりましたことをお許しいただきたいと思います、衆議院の本会議がございまして。
 さて、加治屋先生の今の御質問でございますが、この肉用牛生産基盤安定化支援対策事業が鹿児島県の離島地域を含め我が国の肉用牛の振興に大きく寄与しているというふうに私どもも考えております。
 本事業は平成十四年度で終了する予定でございましたが、まあ手前みそかもしれませんが、この施策が非常に評価が高い、また御要請もあるということで、十五年度、予算額を拡充して継続することにいたしておるわけです。
 さて、その先も延ばせと、こういう御要望で、なおかつ予算額も充実して増やして延ばせと、こういうふうな御指摘あるいは御要請、また御意見であろうと思いますが、この十五年度の状況を見ながら検討したいと、こう考えております。検討したいということで様々な御理解をいただければと思いますが、今、十五年度の予算が始まったばっかりでございますので、十六年度の話をするのは大体この夏の概算要求からでございますし、全体の十五年度の実勢を見ながら検討してまいりたいなと、このように思っております。
 また、先生の離島の実態を見たこの御意見というものもしかと承りながら研究し検討してまいりたいと、こう思っております。
○加治屋義人君 ありがとうございます。
 離島を特別に申し上げたのですけれども、地方分権の中でやはり離島の自立ということを考えますと、畜産以外にないのではないかと、そういう希望を持っておりますだけに申し上げたところでございます。
 次に、牛肉と豚肉の関税収入に関連して端的に伺いたいと思います。
 酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、いわゆる経営安定対策、そして生産基盤対策、食肉流通、消費拡大など、総合的に畜産基本政策の確立が求められております。牛については、牛肉の関税収入と農畜産振興事業団との関連で肉用牛生産振興に大きな役割を果たしてきております。養豚の将来については、現在の差額関税制度の確立で基準輸入価格が設定されてはいるものの、このモダリティー一次案等を考えた場合に、養豚の将来については大変心配をいたしております。
 そこで伺いますが、養豚の生産振興に資するために、豚肉の関税収入を活用して畜産振興を図るための目的に充当をすべきではないかと、こういうことを思っておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生も御承知のように、予算、入るを量りていずるを制すという言葉がございます。国の予算、総計予算主義でございまして、すべての歳入というものを一括して計上をいたしまして、歳出につきましてはそのときの情勢に応じて優先順位を付けて配分すると、これが予算の原則でございまして、そういうところにやはり特定の歳入をもって特定の歳出に充てるといういわゆる特定財源というものは全体の財政運営の硬直化を招くということで、極めて例外的な場合にしか認められないという状況にあるわけでございます。
 この牛肉の関税収入を特定財源といたしましたのは、昭和六十三年に牛肉の自由化を決定したときに講じたわけでございますけれども、一般的にこの特定財源が認められるレアケースといたしまして、当時勉強したわけでございます。一つは、歳入と支出の間に強い牽連性があるということ。二つ目に、そういう措置を講ずるということについての相当な理由が要るということ。三つ目には、その歳出はその財源以内で賄うと。この三つの要件が要るわけでございます。
 牛肉の場合は、やはり内外価格差、品質を考えましても相当あったと。しかも、基盤の弱い繁殖経営にしわ寄せが、自由化が来るという状況にあったということで、やはり肉用子牛等生産者補給金制度をそのとき作りましたけれども、牛肉の関税に負担を求めるということが適当だという強い牽連性があったと。二つ目に、それまでも当時の畜産振興事業団、IQ、一元的な牛肉の割当てを受けていたわけでございますけれども、その売買差益をもって畜産振興策に充当していたという経緯がございまして、やっぱりそういう特定財源とする相当な理由も見いだせたということ。そして、支出につきましても、当時、収入の範囲内で支出に充当できたと。こういうことがございまして、極めて例外的ではございましたけれども、牛肉については認められたわけでございます。
 こういう同じことが豚肉について認められるかというふうに考えますと、収入と支出一つ取りましても、今、豚肉の関税収入は百五十億程度でございます。支出はそれをはるかに上回っておりますので、そういうような点一つ取りましても、なかなか牛肉と同じような事情にはないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 なお、豚肉といいますか、養豚の振興につきましても牛肉の関税財源が充当できるようになっておりまして、その基盤の、存立基盤の確保ということについては十分意を用いていきたいというふうに考えている次第でございます。
○加治屋義人君 端的にと申し上げましたのも、よく分かった上でのことでございまして、この辺りで一言言っておいた方がいいのかなと、そういう感じで質問をさせていただきました。
 次に、肉用牛肥育経営安定対策事業、いわゆる通常マル緊に関連して伺いたいと思います。
 通常マル緊事業は、生産者と国が一対三の割合によって基金を造成をして、これを財源に、肉牛価格が下落し肥育農家の粗収益が家族労働費を下回った場合に、その差額の八割を補てんをして農家経営を安定させる事業であります。
 さらに、十三年度には、BSE発生によって肉牛価格が大幅下落をして、農家の粗収益が物財費をも下回る事態が発生して、通常マル緊事業では仕組み上対応できない、そういうことから、BSE緊急対策の特別措置、措置として新たにBSEマル緊が創設をされまして、物財費を下回った場合にはその差額の全額を国が補てんをすると、こういうことでございます。
 この二つの事業によって、価格が大幅に下がり収益が低下しても、価格補てんがあることから安心して肥育経営を続けることができるようになって、生産者にとって、口蹄疫あるいはBSE、こういう厳しい環境を乗り越えてきたと、そういうふうに思っておりまして、この二つの果たしてきた役割についてどのように評価をされておられますか。局長にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 通常マル緊、それからBSEマル緊、先生今おっしゃった内容の対策を講じてきたわけでございます。
 BSEが発生をいたしました平成十三年九月から去年の十二月までの実績を見ますと、通常マル緊で三百三十七億円、BSEマル緊で一千二十五億円の支出がございまして、合わせまして一千三百六十二億円の支出をしたわけでございます。肉用牛の粗生産額が四千六百億円程度ということでございますので相当の支援になっていたということで、肉用牛肥育経営の収益性の悪化というものを最小限にとどめたものというふうに私どもは評価をしているところでございます。
 現在は、枝肉価格がBSE発生前の水準に戻りまして、BSEの影響からほぼ状況としては回復しているというふうに認識をしているところでございます。
○加治屋義人君 ありがとうございます。
 この通常マル緊事業、十五年度で終了の予定でありますし、またこのBSEマル緊も、今後発動の機会はごく少ないのではないかと、こういうふうに思っているんですが、したがって十六年度以降の対策として、肥育農家が安心して経営を続けることができるように、生産者と国が応分の負担による基金を造成をして、これを財源に、二つのマル緊を組み合わせた、家族労働費、物財費等を含めて対象にして価格補てんをする所得補償方式による経営安定対策事業を充実強化する必要があるんではないかと、こういうふうに思っているんですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) 局長から今、その目的あるいはその他を御説明しましたが、BSEマル緊事業は、BSEの発生による、もうこれは先生御承知のことでございますけれども、大幅な収益性の悪化に対応するための緊急措置として実施しているものでありまして、枝肉価格がBSE発生前の水準に戻る、そういう状況から、BSEの影響からほぼ回復しているという現状を踏まえ、十四年度でこれは終了することとしております。
 他方、肉用牛肥育経営安定対策事業につきましては、肉用牛肥育経営の安定を図るための収益性が悪化した場合には家族労働費を補てんする事業として十三年度から十五年度まで三か年事業を行ってきたと、こういうことでございまして、先ほどの事業もそうでございますが、十六年度の予算措置については、来年度の枝肉価格、肥育素牛価格等の肥育経営をめぐる状況を勘案して検討してまいりたいと、このように思います。
○加治屋義人君 ありがとうございます。
 最後で、通告はしておりませんけれども、一言大臣にお伺いしたいと思います。
 WTO農業交渉、大島大臣始め農水省、それこそ不退転の決意で臨んでおられることに多といたしておりますが、現状と、見通しというんでしょうか、についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) 昨年の十月以来、国会のない時期はほとんど海外に行ってまいりました。そして、ミニ閣僚会議も全力を挙げて我が国の主張をし続けてまいりました。先般、ハービンソン議長からいわゆる一次案の改訂版というものが出されました。
 私どもも、今日からジュネーブで特別会議をやっております。それに行くに当たって私が出した指針、基本は、これはEUのフィシュラーさんとも電話で綿密に話合いをし、韓国の金、新しい農務長官とも話し合い、一言で言いますと、このハービンソン議長の一次案の改訂版というのは議論のベースにならないものである、ミニ閣僚会議のときに私どもは触媒という評価をいたしたわけでございますが、そういうことを乗り越える案ではないと。三月末に何としても合意をしたいというコミットはすべての国々がしているわけですから、そのことを私どもは捨てるものではございません。
 その合意を得るためには、日本、EUの基本的な考え方、すなわち各国の農業が多様に存在するという柔軟で包括的で、そういうふうな案でないとまとまらないと、だから私どもに賛成しなさいと、私どもの案をベースにして議論すべきだという、そういう基本をしっかりとこの一週間訴えて努力してまいりたいと、こう思っております。
○加治屋義人君 ありがとうございました。
○小斉平敏文君 自由民主党の小斉平であります。
 わずか十五分の質問でありますから、質疑でありますから、残された分は明日の質疑でまた続けてやりたいと思いますけれども、家畜排せつ物法に基づくいわゆる処理施設の整備等について何点かお伺いをしたいと、このように思う次第であります。
 この事業は平成十一年度より進められておるわけでありますけれども、まずその進捗状況と見通し、これについてまずお聞かせを、お尋ねをしたいと、このように思うんです。
 過去三年間で都道府県計画二万九千百戸、これに対して約半数の一万四千三百六十六戸が整備されたと、このように聞き及んでおるわけでありますけれども、あと残された年月は二か年と。その二か年で半数の対応、残された半数の対応ができるのかということと、それに対する予算、予算措置、これは大丈夫なのかどうか、これをまず局長にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生ただいまお述べになりましたように、私ども、施設整備の目標を十六年の十月末までに二万九千百戸を目標にしているわけでございます。十四年度末まではほぼ半数、一万四千三百戸しか整備が完了をしておりません。今般の畜産物価格の決定に際しましてもこの問題が大きく取り上げられまして、また大臣からも全力を挙げてこの家畜排せつ物の整備に取り組めという御指示もいただきまして、私ども、畜産環境整備促進特別プロジェクトというものを組みまして、残された期間は短いわけでございますけれども、全力を挙げて取り組む覚悟をしているところでございます。
 予算でございます。私の生産局所管の予算として、非公共四十四億、公共七十二億、そのほか指定助成で二百十億と、こういう予算は計上をさせていただいているわけでございますけれども、このほかにもバイオマス利用促進あるいは集落排水等々、この事業の中で家畜排せつ物処理施設の整備に活用できる予算が総額として二千二百億余ございます。
 こういう予算を活用をしながら、先ほど申し上げました特別プロジェクトということで、残された二年足らずの間に全力を挙げて整備の完了を目指していきたいという覚悟でございます。
○小斉平敏文君 これから整備を進めていく畜産農家、これはもう高齢化、もうやめようかという農家、畜産農家とか、あるいは資金的に問題がある、こういう農家、このような様々な事情を抱えておる農家が非常に多いわけなんでありますから、きめ細かなしっかりした対応をしていただきたいということをまずお願いをしておきたいと思います。
 私の地元の宮崎県の場合を見てみますと、肉用牛については野積み対策、これは堆肥舎の設置や畜環リース事業の利用又は市町村の堆肥センターの設置等によってかなり整備は進んでおる状況であります。肉用牛の方は、堆肥舎の設置もありますけれども、広い採草地、これを持っておりますから、完熟ふん尿を散布するということで処理が進んでおる。また鶏についても、堆肥舎の設置や関連会社による鶏ふんの焼却、このようなことでほぼ完璧に行われておる状況であります。
 一番問題なのは豚のいわゆる汚水処理、これが非常に問題だと。特に施設の建設費や維持費、これが非常に高い、高額である。大体二百頭一貫経営で三千万から五千万掛かると、このように言われております。さらに、浄化施設を整備して国の放流基準、これをクリアしても河川の下流域住民の同意が得られなければ放出できないという、こういう仕組みになっているんです。養豚農家の場合は、畜環リース事業として取り組もうとしても、価格の動向が非常に不透明である、あるいは高齢化や後継者不足、こういう状況の中で非常に投資が難しい状況にあります。これでは施設整備に二の足を踏んでしまう。これも分からないわけではない。
 そこで、浄化排水の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 国や県の支援をいただいて、高額の費用を掛けて浄化施設、これを造って国の放流基準を達成したにもかかわらず、河川下流域の同意を取り付けなければ放流できないということは非常に大きな問題なんです。排出基準を満たしておるのに放流できないのはおかしいという非常に養豚農家の声が多い。
 これは当然環境省と関連する問題であるわけでありますけれども、農水省が定めた排水基準、これを基に大体整備が進んでおるわけでありますから、排水については解決の道筋をちゃんと付けておかなければいけない、このように思うんです。またさらに、将来この排出基準が厳しくなったということにでもなれば、投資した施設、それに更に再投資が必要になるということも考えられるんです。そうなったら行政への信頼は地に落ちる、このように思うんです。この点について大臣、御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) 今、専門家である先生から、牛は放牧し、あるいはそういうものを持っておって、かなりいいところまで来ていると。鳥もそういういろんな会社がインテグレーションの中でやっていくんだろうと思いますが、これもいい。問題は豚だと、養豚業者。よく言われますように、一頭十人分のBODを、負荷量があると、こう言われております。
 基本的に、放流に際して周辺住民の同意の取付けは義務付けではないかというんでございますが、確かに法律的に基本的には排水基準を遵守すれば放流は可能であるということにはなっておりますが、しかしながら畜産業の安定的な発展のために下流域の水利権者の同意を得る配慮が重要であるという認識は私ども持っております。
 もちろん、水質汚濁防止法に基づいて排水基準の遵守、そういうことの中で地元住民の理解を得るためにも、そこの水利権者の同意を得る配慮というものが必要であろうという認識は持って今までやってきておりますが、そういうものをどのように具体的に、養豚業者に対してそこまで自分たちでやれといってもつらい話じゃないかということであるわけでございまして、そういうふうな場合に畜産環境アドバイザーとかそういうもの等々も利用しながら、国が、国が何かそういうふうな仕組みを作るというより、やはり地方自治体で一体となってそういうものの相談に乗り、そういうふうなものを乗り越えていくということが大事なんではないだろうかなという思いはいたします。
 先ほど局長がお話しされましたように、今般の乳価、肉価の議論のときも与党の先生方から大変この問題が集中的にありまして、来年のその時期までに、局長に全力を挙げろ、六月ごろまでに実態検査をもう一度し直せ、その上に立って本当に真剣にやっていくためにどういうふうにしていくか、腹を据えてやれと、こう言っておりますので、そういう実態調査あるいはその後の方策の中で、先生から御指摘いただいたようなことも念頭に入れながら、更にいい知恵があれば知恵を出して努力してまいりたい。
 しかし、やはりかわいそうだからとか、あるいは負荷、確かにそうなんですが、やっぱり畜産業も地域の皆さんとの共生がないとどこかでまたハレーションを起こしてまいりますので、やはりある程度そういう配慮というものは必要であろうという思いは我が省として持たさせていただいているところでございます。
○小斉平敏文君 大臣、私は専門家じゃありませんから。私は畜産やったこと全くありませんから。
○国務大臣(大島理森君) ああそうですか。林業の方ですか。
○小斉平敏文君 いや、もう林業も何もやったことありません。ただ、私は、県内歩いてこういう話を一杯、もう耳にたこができるほど聞くんですよ。だから質問をいたしておるわけであります。
 次に、畜産農家への指導の問題。
 現場の声を聞くと、現実にどのような施設を整備したらいいのか、非常にその問題で困っておるということをいろいろ聞くんです。畜環リース事業の場合、これはもう活性汚泥方式、これが主流でありますけれども、立地条件やら豚舎の構造、これに合致した処理システム、これも方法が幾らでもあるんですね、たくさんあるんです。これの選択や判断が非常に難しいということやら、あるいは、実際私が訪れたいわゆる畜産農家、これは立派な施設ができておるんですよ。ところが、稼働していない。これは農家側に問題があるのか業者の方に問題があるのか、これは分かりません。しかし、そういうケースがある。畜産農家にとっては投資が少ない方がいいに決まっておるんです。しかしながら、費用の面だけで、そこばっかり考えておると、処理能力、これの不足というような、いろんな問題が生じるケースが出てくるわけであります。
 国はこの三年間、排せつ物、これの処理技術や利用促進の技術向上に取り組んできたと言われておるわけでありますけれども、しかし、県や市町村、都道府県や市町村にその指導のほとんどが任されておる、これが現状なんです。そして、先ほど生産局長がお話をされました十五年度になって環境対策の特別プロジェクト、この中で畜産環境整備の総合的、計画的取組を行い、その中で施設整備状況の総点検ということで、施設の整備・稼働の状況、整備推進上の把握、そして分析に取り組む、このように言われております。
 今までこれらの対応を全くすることなく、処理施設が半分できた今日になってこういうことをやろうと。私は、これはこれだけ、まあいろいろな事情があると思うんですが、この点だけ見ると、もう今まで何しておったのかと、農水省は、全く怠慢であると言われてもしようがないと私は思うんです。
 こういうようないろんな問題の把握、問題点の把握やら、稼働状況やら把握をして分析をすると言われておるんですけれども、これ早くしないと、二年しかないんですよ、二年もないんですよ。でないと、把握をしても、今度はそれを農家の施設に反映することが全く困難になるんです、早くしないと。ですから、これは早急にやっていただきたいということを思うんです。こうした対応の遅れ、こういうものが施設の導入に当たっての問題や堆肥の利用促進、こういうものの遅れにつながっておると私は思うんです。
 今まで、この施設導入に当たってどのような指導、稼働の点検、こういうものをやってきたかどうかということをまず教えていただきたいということと、今後、市町村やら関係団体、こういうものに指導をゆだねるというだけではなくして、やっぱり農林省自らが体制を作って、そして取り組む必要があると私は思うんです。この点についての局長の答弁をお願いいたします。
○国務大臣(大島理森君) その前にちょっと。
 怠慢ではないかと、こうおしかりをいただきましたが、そう御指摘いただくことも一つ私どももそれは甘んじて受けなければなりませんが、どうなんでしょうか、先生、一つの法律を作って、それぞれの生産者が、我々も施策を一つ作って、そして先ほどの御質問にありましたが、自助と公助、こういうものがこれからの農政においてバランス良くなきゃいかぬ。どうぞやりなさい、進めて頑張ってやってくださいという施策も作りながら、なかなか進まない。PRも良くなかったかもしれませんが。
 やっぱり先ほど言ったように、BSEという問題があり、様々な問題があって、そういう中で膨大な投資というものがあるというところに生産者からするとちゅうちょするところもかなりあったのではないかという思いも持ちながら、先ほど、後で細かい具体的な施策は申し上げますが、それであってはならぬ。やはりこれは国がもっと、もう一度サーベイランスして、非常に言葉としてきつい言葉ですが、少し、強制的という言葉は余り良くありませんけれども、そういう半歩進んで国が県、地元と、どうなっている、さあこうしようじゃないかというぐらいまで行かないとこの事業はなかなかいかぬなという思いの中で、その実態を六月ごろまでもう一回調査して、それでもう一歩出ようと、私どもは。そういう御指摘、御批判、そういう御意見もいただきながらそうしようということにしたわけで、全力を尽くさせていただきます。
 具体的な答えの部分は局長からさせていただきます。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 昨年の十月に、実はアンケート調査を行いました。先生が御指摘になりましたように、その結果、進まないのはやはり個人の経営では限界がある、あるいは市町村との連携がうまくいっていない、それから資源リサイクルをするにも、食品残渣だとかあるいは生ごみだとかとの連携がうまくいかない、こういうことが報告をされました。
 そこで、私ども、やはりこの問題は単に家畜排せつ物の処理というだけではなくて、共同してどのように地域がその資源のリサイクルを図っていくか。あるいはメタン発酵だとか、そういうバイオマス利用でございますとか、堆肥の処理でございますとか、図っていくかということが重大だというふうに考えまして、特別プロジェクトというものを農林水産省と全中が共同して立ち上げて、もう残りの短い期間で全力を挙げて取り組みたいというふうに考えている次第でございます。
 決して、この問題、ゆるがせにできない問題、畜産経営の将来を制しかねない重大問題というふうに受け止めておりまして、全力を挙げていきたいというふうに考えている次第でございます。
○小斉平敏文君 終わります。
○和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。
 大臣の姿勢についてお伺いをしたいと思います。国民の素朴な疑問を質問させていただきます。
 さきの国会で大臣の秘書さん、宮内さんの問題が大変問題になりました。そうしたら今度は藤田さんの問題であります。さきにも御質問させていただきましたが、大臣は、自分は絶対に関与をしていないんだというふうにおっしゃいました。また、今回もそうだと思います。そう是非あってほしいと私は願っています。
 でも、例えば鈴木宗男さんのときに、大臣は国対の委員長として記者団に語っておられた言葉は、大変重い事柄である、国会議員には秘書の監督責任があるというふうにおっしゃいました。宮内さんも藤田さんも大臣の秘書さんであります。宮内さんがあんな問題があったときに、大臣は自分の秘書さんたちを前にというか、たちと一緒に、こんなことがあって、ほかにはないんだろうなとか、もう絶対にこんなことをしちゃいけないんだけれども、どうなんだとか、余罪はなかったのかとか、そういうお話はされなかったのかなと私、すごく本当に素朴な疑問を持っています。
 そして、藤田さんに対しては動機は何だったんだと。例えば藤田さんは会計責任者ということでございまして、うちの議員の、同僚議員の質問によりますと、資金パーティー、一九九九年は一円たりともきちんと出しておられ、二〇〇〇年は本当に二百万、二百万、二百万なんということで、二〇〇一年はまた藤田さん、本来に戻られてきちんと出しておられると。こういう方であるから、きっと本当はすごいまじめな、とっても先生に忠実な方ではないのかなと私は推測します。
 動機は何だったんだとお聞きにならなかったんでしょうか。そしてまた、例えば六百万もらって一年半分からなかったというふうにおっしゃいますが、返せばいいという問題では私はないというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大島理森君) 和田委員から御指摘をいただく一つ一つに私自身、本当に気持ちの中で、ある意味ではうなずかざるを得ないところがございます。それは、冒頭にお話、また私に対して言われた昨年の監督責任論のところでございます。
 そのことに対して今日まで私がお答えを申し上げてきましたのは、まず問われたことに対するお答えをきっちりするべきだと、自分自身が。秘書の問題について、やっぱり事実、問われたことに対する報告を徹底的に厳しく調査、私なりに問い詰めてお答えすべきだと。その上で様々な御叱正やあるいは御指摘をいただくべきだ、それがまず監督責任の一つであろうと。
 もう一つは、率直に申し上げて、私自身、平成二年、官邸に官房副長官として働いて以来、自分を振り返りますと、任せっきりになって走り続けてきた部分があるな。月に一回会館に入るか入らないかであったよというふうにも言われました。いずれにしても管理、そういう面において自分自身の反省すべき点、不徳の致すところの点というものを本当に深く反省をいたさなきゃならぬと、こういうふうな思いもまた一つの監督責任としての思いでもございました。
 そういう状況の中で、二十年近く信頼し、信用しておったわけですから、また私のちょっと縁もあるものですから、そういう中で来たその元秘書である藤田会計責任者がそういうふうなこと、事態を発覚したときに、もちろんやった行為そのものについてはこれは厳しく叱正をしなきゃなりませんし、また本人ももう言葉にならないぐらいの反省というか、もうあれでございました。そういたしますと、やはり代議士と秘書という中にあって、その行為自体については私は今もって許せない部分はありますけれども、しかし問題は本人のやったそのことでありまするから、本人の責任で返却させるということがまず第一だろうと、そのとき私は考えました。ですから、おまえは甘いと、こう言われればその指摘もまた甘受しなければならないと思います。
 いずれにしても、本人も辞める、辞めさせてくださいということで、私も、おまえはもう辞職すべきだと言った。やはり職を辞するということも一つの大きな言わばその行為に対する責任の取り方でもあったろうと思って、長い間私を支えてきてくれたのも一つでありますから、もっと細かに具体的にそういうことを聞くべきであったかもしれませんが、返すという、まずその行為を実行させることが私のその当時の判断でございましたので、それ以上のことを追及はいたさなかったというのが事実でございます。
○和田ひろ子君 だから、宮内さんの事件があったときに、何でこんなことを、次のこんな事件が起こることを予測されたか、まず、だれにも指摘をされなければそれでふたをしてしまったのか、とっても残念な思いがしますので今日はお尋ねをしました。
 私の福島県に二本松というところがあります。議員の皆さんにもお配りをしてありますが、二本松城というところの藩士の通用門にこの戒石銘というのがあります。太田副大臣はよく御存じなんですけれども、これ、「爾の俸 爾の禄は 民の膏 民の脂なり 下民は虐げ易きも 上天は欺き難し」。これ、私は六十二年に県会議員になりましたが、先輩の議員からこれをもらいました。そして、しっかりこれを心に刻んでおくようにというふうに言われました。これは二本松の役人、藩士、ですから役人たちに対する殿の言葉だというふうに思いますが、私たち議員も同じだよという感じでこれをいただいたことをいつもいつも心の中に私は思っております。
 これを見て大臣はどういうふうに思われますか。
○国務大臣(大島理森君) 和田先生がお話しされたこの二本松藩の戒石銘碑につきましては、やはり福島御出身である鯨岡先生が私に対して、私どもに対してよくこの文言を示して教えてくれました。
 正に、我々は国民の皆さんの税というものを使い、そしてそういう中で公の仕事をする。そういうことに対して、本当に多くの方々の批判あるいはまた御指摘、そういうものをいただきながら身を律して公務に当たるということが大事であるということを改めて、今先生からお示しいただいて、持ち帰ってかばんの中に入れて、この精神というものを更に更に深く勉強して行動してまいりたいと、このように思っております。
○和田ひろ子君 これは私たちに、後世の私たちにも守るようにとのお言葉だと思いますので、私も肝に銘じたいというふうに思っています。
 では、本日の本題であります大臣の所信に対して質問をさせていただきます。
 私は、いつも大臣の所信を伺っていて、最初はうん、そうだと思って聞いていても、だんだん本当にそうなんだろうかといった疑問がわいてきます。総論の部分やリードの部分はそうだそうだと思っていても、各論に入った途端に何かしっくりこないんです。本当にそうなんだろうか、そういう思いがします。
   〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕
 そこで、今日は時間も少ないので、所信の各論部分は法案の審議の際に詳しくお尋ねをするということにして、総論、リードの部分で述べられていることを本気で考えておられるなら、もしかしたらこんな施策があってもいいんじゃないですか、あるべきでないんですかということを、そういう視点からお尋ねをしたいというふうに思っています。
 大臣は所信の冒頭で、我が国農林水産業と農山村は、人のいのちを支える食料の供給という使命を担い、農地、森林、海を通じた資源の循環、環境との共生を実現する重要な役割を果たしておりますと述べておられます。農林水産業と農山村の役割、重要性はそのとおりだというふうに私も思っています。そしてこれに続けて、私は、このいのち・循環・共生の基本的な枠組み作りを国の責務として受け止め、生産、加工、流通、消費を一体的にとらえた食料の在り方、環境の保全を始め多面的機能を十分に発揮できる農林水産業や農山漁村の在り方を常に意識するとともに、食の国際化の中で国民の食料確保に向けた中長期的戦略を持って事に当たってまいる決意というふうに申されております。もっともだと、ごもっともだと思います。しかし、その後の、「このため」というのが続きますが、何だかここでちょっとしっくりいかないんです。
 そこで伺いますけれども、食の国際化の中での国民の食料確保に向けた中長期的戦略の前提に大臣は何を基本として考えておられるのか、まずお尋ねをいたします。
○国務大臣(大島理森君) 前提ということを何を考えているかということだと思いますが、その前提という言葉を状況というふうに考えたらいいのかあるいはどうかということで、ちょっと答えがかみ合うかどうか分かりませんが、まず日本の置かれている状況というのを和田委員と共有したいと思うのでございますが、農業というものの環境も、国際的には、今WTOという世界の中で国際貿易ルールの対象になっているという意味での国際化というのが一つあるでしょうと。もう一つ、今度は、マルチのそういう国際交渉以外に、FTAという、フリートレード、二国間の自由貿易協定というのがどんどんどんどん進んでいっておりますということ。もう一つ、国民の食品に対する需要の統計を見てまいりますと、これはもう御承知だと思いますが、カロリーベースで考えてみても既にもう六割が輸入物に、それがいいとか悪いとかという形ではなくて、現状としてそこにあるということ。そういうことを考えますと、私は、国際化という視野を入れずして日本の農政を語ることはできない現状にあるということはお互いに共有したい認識だと思います。
 そういう状況の中で、先ほど申し上げましたように、いのち・循環・共生という、農業の、林業の、水産業の持つ機能というものをどう維持しどう発展させていくかという課題を持ったときに、まず私どもは、日本国民に食料の安定供給、安全、安心な食品の供給という責務がございますと。そのときに、国内においてはそういう国際化というものにも対応できる農業の構造的な在り方というものを作っていかなきゃなりませんと。あるいは、安全、安心のシステムというものをそこに作っていかなければなりません。そして、ある一定の自給率というものを目指して努力していかなければなりませんが、一方、それだけでは、これほど豊かになった国民の多様な嗜好に合わせて日本人に対する食料の供給というものを考えるならば、輸入というものをこれもまた安定した形で確保していくというシステムが必要だと私は思うんです。
 ですから、私どもは、既にお読みになって御議論いただいていると思いますが、WTOのそのモダリティー提案に対しても、その輸出側の、輸出することの規制という問題に対して一定のルールを作らなきゃいかぬよということも提案しているわけでございます。
 したがって、そういうふうな輸入と国内産と、そしてさらに備蓄というものもかみ合わせながら、国際社会というものを見据えて、日本の農業、日本の食料政策というものをしっかり考えていかなきゃなりません。そういうふうな観点から、国内政策として、米政策改革を始めとして、そういう効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の大宗を担い得る望ましい姿であるという観点から改革を推進しているということも一つの方途であるということを御理解いただきたいと、このように思います。
○和田ひろ子君 先ほどちょっと質問もあったというふうに思いますが、その前にもう一つ、昨日、郡司委員が予算委員会の中で、二〇〇〇年のFAOの年次総会で二万四千人の人が一日に亡くなっているということを言っておられました。中長期的にもう本当に地球的規模で食料は逼迫するというふうに予想されております。食の国際化の中で国民の食料確保に向けた中長期戦略は、逼迫が予想される世界の食料需給を前提にしたもの、すなわち食料安全保障を前提にしたものでなければならないと考えています。持続可能な農林水産業と農山村の維持発展こそが食料安全保障にとって極めて重大だというふうに思いますが、どうですか。簡単にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) ポイントは、今、先生が私に対して質問は、だからこそ農村の維持、農村の姿をどう考えるかという質問だと思います。
 先生のおっしゃることと全く同感でございまして、農村というものをどのようにこれから維持していくかということのために、国民全体に対して、農村は農業者だけの価値ではないということを理解してもらわなきゃいかぬと思います。特に、これから合併がどんどん進んでまいりますと、いわゆる集落というものをだれが責任を持って考えていくかということを考えた場合に、私どもの省ではないかと私は思っております。
 したがって、国土の均衡ある形、国柄というものを作るために、美しい集落をどう作るか、美しいというそういう概念をもう一度私ども考え直して、今、概算要求までに勉強をして、そして美しい集落、美しい農村を作っておくことが、先ほど申し上げた国の全体としてのバランスのある国柄にもなるし、先生がお話しされた農村のこれからの維持としての私はポイントだと、こう思いまして、そういう政策体系を作ったら、もちろん国交省とも相談します、いろんな役所とも相談しますが、来年度の概算要求からそういう柱を立てて努力してまいりたい、そういうふうな考え方で積極的に立ち向かってまいりたいと、こう思っております。
○和田ひろ子君 モダリティーの第一次案というのは、一部の輸出国の利益とか、利益に偏重して、日本農業が壊滅的な打撃を受けかねないということから、政府は、輸出入国間の公平性を欠き、総体として受け入れ難い内容、あるいは交渉のたたき台にもならないというふうに言っておられました。しかしながら、私たちは第二次案を出してほしいというふうに言っていたんですけれども、一次案の改訂版というのが出て、その内容は、先月示された一次案を踏襲する内容で、米などの高関税品目は最低でも四五%引き下げることになっていたようでございます。
 大臣は、三月十七日の参議院の予算委員会で、六十か国、EU加盟国を加えると七十五か国になると思いますが、その主張を無視した考えは出てこないと期待している、そして私どもの考えを基本としていないとまとまる世界にはならないというふうにおっしゃっておられましたが、それについてどうですか。改訂版。
○国務大臣(大島理森君) 改訂版は、先ほどもお答え申し上げましたように、議論のベースにならないという評価をいたしております。これは、二次案という評価も私どもはいたしておりません。あえて言えば一・二次案か一・五次案ぐらいのものかなと。したがって、先週の木曜日の夜も、金曜日、木曜日か、フィシュラーEUの委員とも電話で約四十五分から五十分話し合いました。たまたま水と農と食でおいでになった金大臣ともお話合いをいたしました。少なくともこのハービンソン議長の改訂版というのはいわゆる議論のベースにならないという共通認識を持ちました。
 先ほど和田委員がおっしゃっていただいたような基本的な考え方を私どもは変えておりません。したがって、今日からジュネーブで特別会合が行われますが、その基本的な考え方、基本的なとらえ方というものは毅然として私どもも持ち、交渉、議論をしてまいる所存でございます。
○和田ひろ子君 今月末にモダリティーの確立期限を迎えることになっていますけれども、各国間の対立を解くのが難しくて、当初予定の今月末の合意は不可能ではないかというふうに言われています。しかし、その一方で、合意の時期はともかく、最終的には案と大きく変わらないモダリティーが結局確立されていくのではないかななんといううがった見方をしている人もいます。それは大変懸念をしています。農家の皆さんは大変心配をしています。
 私は、いかなる国も国民が生きるために必要な食料を供給する責務があるというふうに思います。だから、自由な市場経済を原則としながらも、その否定面をどこで、どこまで食い止めるか、克服できるかが知恵の出しどころだというふうに思っています。各国共通のこれは課題だと思います。
 多様な農業の共存という我が国の主張が理解されないわけはないというふうに思っていますが、アメリカなんかは、我が国が言うことを、乳製品とか畜産の品目ではオーストラリアにも同じことを言っているんですね。だから、そんなことを私たちが引き下がる必要は絶対ないというふうに思います。
 仮に、でも本当に仮にですけれども、関税などの一律大幅削減を基本としたモダリティーが確立されるようなことになった場合は、米の政策改革にも重大な影響があるのではないかというふうに思います。大幅な関税引下げによって安い外国産米が輸入されるような事態になれば、私たちがやってきた、これからやろうとする量的な需給調整によって価格の維持を図るとする米政策の基本が根本から、根底から崩れるわけですけれども、これに対してどういうふうに思っておられるか、どういうふうにしていかれるか、お聞きをします。
○国務大臣(大島理森君) 正に和田委員が今御指摘いただいたことが深刻な状況になるわけですから、私どもが三月末にモダリティー、つまり大枠を決めるという、決めようではないかということに対しては各国がコミットしております。だから、私どもも努力するし、アメリカも努力しなきゃならぬ、ケアンズも努力する、発展途上国も努力しなきゃならぬ。
 したがって、この三月末にこのモダリティーが確立する方法は、今、和田委員は知恵と言いましたが、知恵はあるんです。どういうふうにあるか。私どもとEUが、あるいは韓国がウルグアイ・ラウンド方式でいこうじゃないか、この基本的な考え方にアメリカやケアンズが理解してくれれば、私はモダリティーというものは確立できるものだと思うんです。
 しかし、残念ながら、アメリカ、ケアンズは今、いや、むしろもっと野心的でなきゃいかぬ、ハーモナイゼーションが少な過ぎる、こういうふうな主張をしているものですから、交渉というよりは、今議論がまだがちっと対決しているという状況なわけでございます。
 今、私どもは、そういう意味で、私どもの考え方を変える、この気持ちは毛頭ございません。むしろ、アメリカ、ケアンズに御理解をいただく、理解をしてもらう、こういう作業を全力してやっております。もしも、和田委員は今、一次案、ハービンソン議長の一次案がそのまま成ったとするならば、日本の農業、とりわけ米はどうなるのかということだと思いますが、そうならないようにするのがまず最大の対策だと思います。
 しかし、ここで一つだけ私申し上げさせていただきますが、米だけではございません。和田委員は既にお勉強して全部承知していると思いますが、これは日本農業のもうすべてにおいて、あの一次案が適用された場合には壊滅的な状態になるという、米だけではないんだということも、是非、民主党全体でも、もう十分勉強していただいていると思いますが、大変危機的状況になる。これは、農業者を守るとか何を守るという形ではなくて、日本全体の国益に害することだという認識で、むしろ和田委員の今の御質問は応援歌として、私、受け止めさせていただきたいと思っております。
○和田ひろ子君 昨日、郡司さんも予算委員会で言っておられましたけれども、本当にこれは食料の問題ですから、農家をどうのこうの、もちろん農村を守らなくちゃいけないんですけれども、日本が危機管理ということでもう本当に、農林大臣は安全保障閣僚の一員としてきちんと言っていただきたい。
   〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
入っていらっしゃらないというふうに聞きますけれども、オブザーバーで入っていらっしゃって委員ではないというふうに言われますけれども、大臣は、日本の食料を守る大臣としてもう是非これは言っていただきたいこと。もう安全保障だから防衛庁からお金もらってきてくださいと私なんか言うくらい、本当に大切な問題ですから、本当にお願いをいたします。
 先ほども言いましたけれども、持続可能な農林水産業と農山漁村の維持発展こそ食料安全保障にとって極めて重要であります。
 この持続可能な農林水産業と農山漁村の維持発展には、少なくとも人と土地、この確保が基本だというふうに思いますが、なぜ、担い手、特に若い後継者が農村に残らないというふうに思っていますか。そして、何で条件不利地域における耕作放棄の地が拡大しているというふうに思われますか。それは、そこで生活できないからなんですよね。そういうことをしっかり分かっていただいて、いろんな政策出しても何の、もう絵にかいたもちではしようがないというふうに思います。
 そこで、農地の確保と担い手の確保に関連して伺います。
 今国会に経営基盤強化法の改正案が提出されております。その中で、特に遊休農地の解消と利用増進のための措置がありますが、これが二十一万ヘクタール云々、遊休農地のうち、どのような、この地域でこんなことを、本当に私よく分からないんですけれども、どんな試算でどれだけの農地が活用されるというふうにお考えですか、お聞きいたします。
○副大臣(太田豊秋君) 和田委員が今おっしゃっておられることを私も同感するわけでありますが、近年の増加傾向にあります遊休農地に関しましては、基本的にはその発生を抑制することが重要であるわけでありまして、それにつきましても、まず一つには担い手の育成と担い手への農地の利用集積、二番目といたしましては基盤整備事業の実施、三番目といたしましては中山間地域等の直接支払制度の実施などを現在推進をいたしておるところでございます。
 また、耕作放棄された農地の活用を進めるためには、地域における遊休農地活用のための計画策定やその計画の具体化のための実施活動などを進めているところでございます。
 こうした従来からの耕作放棄地の抑制と解消に向けた取組に加えまして、遊休農地の利用増進を図るためには所有者などの自発的な意思に基づく取組が不可欠でございます。そういう観点から、今回の農業経営基盤強化促進法の改正において、遊休農地の所有者などにまず利用計画の届出をしていただきまして、これに対して農業委員会のあっせん活動や市町村長の勧告、また、届出のないときにはペナルティーなどを盛り込んだところでございます。
 このような新たな措置に、どの地域でどの程度の遊休農地の活用が図られるのかを見通すことは困難でございますが、各種施策と相まって遊休農地の解消がより一層図られるとともに、耕作放棄地を未然に防止する抑止効果もあるものと考えられるのでございます。
○和田ひろ子君 意欲のある経営体が活躍する環境条件の整備、本当にこれは言えるかどうかは疑問が残りますけれども、これは法案審査のときに質問させていただくとして、大臣は所信の中で、チャレンジ精神を持った新規参入者が、望ましい農業構造を実現するためのというふうに一つ挙げておられますが、従来も新規就農者の法案幾つもあるんですが、新しいことは何なんですか。
○国務大臣(大島理森君) 十五年度予算において新たなことを何かやるのかという御質問だったと思います。つまり、新規就農者のために。
 今までも確かにやってまいりました。今までもやってきて、おかげさまでかつてのように何千人ぐらいしか新規就農がなかった時代から万を超える時代になってきたことも事実でございます。後継者も含めてでございます。やはり、挑戦してみたいという人が、どこに農地があって、どういうふうな環境で、自分がどう勉強したらいいだろうかということを、その情報を知りたいというのが非常に多いのでございます。
 したがって、十五年度予算においては、全国及び各都道府県に設置されている新規就農相談センターにおける相談活動の充実をまず図ってまいりたいと思っております。
 二点目には、新規就農者の習熟度合いに応じた技術・経営、技術・経営研修の充実、これは農業大学校等で実施して夜間の実習研修の実習なんかをしてまいりたいと思っております。
 それから、指導農業士や農業法人等が行う職務を通じた研修への助成の拡大、受入れ経営体数を四十から百二十経営体に拡大して、指導農業士への助成額を農業法人並みの七十万に増額をいたす予定になっております。
 四つ目として、先輩就農者や指導農業士等の就農サポーターによる経営定着までの支援体制の整備、このようにいわゆるまず情報をどんどん流していく、そうしてその各段階に分けてきめ細かに対応していく、そういうことをやってまいる所存でございます。
○和田ひろ子君 我が国の新規就農促進策というのは就農を支援するための融資が中心であるというふうに思いますが、今、国井さんちょっとあれですが、国井議員とヨーロッパに行ってきました。フランスのちょっと例を挙げてみますと、青年農業者就農助成金、DJAというのがあって、国井さんはこれにすごく関心を持って質問をされておられましたけれども、日本円で二百万から四百万円くらいの一時金がもらえて、例えば配偶者も農業をすると、その二倍の四百万から八百万円の一時金が受けられ、そして低利の融資もあって、所得税の減免、五〇%から一〇〇%もあります。何かそれが八千人から一万人を対象にしていて、足腰強く農業をやっていけるように、立てるようにしているなというふうに感じました。
 そういうこともありますので、是非これいろんな質問を一緒にさせていただきますが、こういうことを本当に日本も考えるべきだというふうに思います。そして、これから農地の確保と担い手の確保の基本は農地の集積による大規模農家が育つことだというふうに思いますが、でもこれほど、今度、借金して、そんな融資受けてやっていく人いるのかなという私は物すごい疑問残ります。こんなWTOの交渉の現状の中で、そんな人いるのかなというのが本当に疑問なんですが、是非成功されたらいいなというふうに思います。
 そして今度は、何というか、足腰の強い、農業に頑張っていく人を育てなくちゃいけないというふうに思います。担い手の確保が可能になるような道をもっと真剣に考えていく。例えばお年寄りとか女性たちが漬物を、何とかをやるとかというのをいろんなところで成功されておりますが、また、その一つにグリーンツーリズムという話があるわけです。
 うちの町の若い人たちがグリーンツーリズムを本気で真剣に考えていて、農家民泊ということを今真剣に考えておられるんですけれども、旅館業法の中で旅館営業と見るのか簡易宿泊営業と見るのか、例えば農家民泊に来て、スプリンクラーがどうのこうので消防法に適しないとか、そんなこと言っていたら農家民泊でも何でもなくて、それはホテルを造ればいいことだというふうに思います。
 都会の人が農村に交流に来るというのは、そんなことを求めて来るんではなくて、農村のすばらしいそういう環境に来るのであって、面積がどうので旅館業法にそぐわないとか消防法にそぐわないとか、まあ食品衛生法というのは、汚いものは食べられないから、そういうことはいいのかも分からないけれども、そこで生きている農家の人たちが一杯いるわけだから、そんなばい菌付いたもの食べているわけでも何でもないわけだから、余り規制すると何にも、そういうせっかくの若い人たちの意欲が損なわれるというふうに思います。
 例えば外国の規制と日本の規制の違いとか、日本はこういうふうにやっていきたい、それは県の条例で決めてもらいますと言えばそれまでなんですけれども、農林省の大きなそういう指導とか、農林省の考え方によってそれは大きく変わってくるというふうに思いますから、そういうことについて是非お答えをいただいて、私の質問を終わります。
○国務大臣(大島理森君) 和田委員から二つの御質問があったと思います。
 一つは、基本的に新規就農あるいは中核農家を、主業農家を育てるためにフランスのDJAのような施策を日本でも考えるべきではないか。私、先生から御質問をされるまでこのDJAというのを知りませんでした。不勉強で、大変勉強させていただきました。
 お金を差し上げる。非常に分かりやすい率直な政策だなと、こう思うんです。ただ、日本の施策の中でこれが国民的合意が得られるんだろうかと。それじゃ、ほかの新規産業はどうなんだ、ほかはどうなんだというふうな、そういうふうな産業言わば公平論、こういうふうなものが一つ出てくるんではないだろうかな、それから、それ以外にも様々な議論が出てくるかな、ほかの補助金とかほかの政策との整合性をどう考えるのかな。
 さはさりながら、私自身も少し勉強をしてみます、個人的に。今の時点ですぐこれ取り入れろといいますと、さっき申し上げたようにバランスという意味でなかなか困難ではないか。むしろ、やはり、融資ということで今御批判をいただきましたが、やっぱり農業も経済行為であることには間違いないわけでございます。違った形で新規参入者の施策を考えていくということが、やっぱり充実させることが大事だと、このように思います。
 さらに、グリーンツーリズムに関して、福島の青年たちがそういうことを考えているけれども、様々な規制があって、もう旅館と同じことじゃないか、この御指摘は私は鋭い御指摘だと思うんです。ただ、ある一定の基本の規制はやっぱりこれはある程度必要であろうと思いますが、旅館と一緒になる必要はないわけでございますので。
 いずれにしても、グリーンツーリズム、つまり農村と都市の交流というか、そういうふうな側面からも非常に重要でございますから、そういう意味で、先生の御指摘も大変重要な視点だと思っておりますので、その一環としては構造改革特区における市民農園の開設主体の拡大等の規制緩和を措置したところでございますし、また構造改革特区に関する検討をしていく中で、旅館業法の規制緩和や消防法等の運用改善が図られる、そういうふうに今しております。もっともっとそこは緩やかにせいというふうな御指摘もあろうかと思いますが、御指摘でございますから、更に勉強してまいりたいと、このように思っております。
 具体的に、具体的に、和田先生が地元の若手と話をして、おい、ここはちょっと何とかしろやという点があったら、むしろ現場の声としてアイデアを寄せていただければと思いますし、今度の特区ではどぶろくを造ることも許されるようになりましたので、どうぞ、福島辺りは得意とするところじゃないかと思いますので、是非そういうふうなものも御利用いただければと思います。
○和田ひろ子君 地元の人たちのネックというのは、民泊のネックは旅館業法と消防法と食品衛生法だと言っていきました。そのことはよく分かっていてください。
 それで、一番先に申し上げましたように、食料というのは日本の危機管理ですから、ほかの方と整合性がどうのこうのって、そんなこと言ったら何にも進まないわけだから、食料だから、食料をする農業をきちんとしないと、日本の国の食料ぐらい自分の国で賄えないなんという国はもう絶対に駄目なわけだから、そういうことをきちんと言っていただきたいというふうに思いますことと、全国の消費者団体が農業の予算は絶対に減らすなというふうに言っています。
 そして、国民に分かりやすい所得の補償であれば、国民の皆さんが合意をする所得の補償であれば、それはすばらしい、それはやってもしかるべきだというふうに思いますので、そのことをきちんと、私たちは、この委員会全員が農業、農林省の本当に応援団であるし、日本の農業を守る委員会でありますから、どうぞその部分をお心得違いのないようにお願いいたします。文句でも何でもありませんから。よろしくお願いします。
○国務大臣(大島理森君) お答えはいいですか。
○和田ひろ子君 お答えはいいです。
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
 大臣の所信に関する質疑の前に、今、喫緊の課題としてイラク問題について一問お聞きしておきます。
 私たち公明党は、このイラク攻撃が、武力行使という最後の手段に至ったことは誠に残念だと、一刻も早い軍事行動の終結、事態解決を望むものでありますし、そのための努力もしていく決意でございます。
 そこで、近々に終わるということを前提に、イラクの復興に国際社会は一致して、協調して今度こそ取り組んでいかなければならないと思います。
 そこで、この点における日本の貢献は期待をされるわけでございますが、農水省として、農水省として、このイラクの戦後復興支援について具体的にどういうことが考えられるか、想定できるかと。そういうこともそろそろ頭の中になければ、突然のお尋ねですがというわけにはいかないわけでございますから、どういうことをイラク復興に農業分野として、農水省として貢献できるか、どういうことを想定しているのか、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) 日笠委員から、今、むしろポストウオーの復興の場合に農水省として何が貢献できるか、そろそろ考えてはいるんだろうなという御指摘でしたが、今の時点で復興について何が貢献できるかというところは、大変申し訳ありませんが、勉強をいたしておりません。むしろ、今の現状の状況の中で、この危機にどう対応するかということは既に様々な施策を持っております。
 ただ、大変恐縮でございますが、個人的に申し上げますと、平成二年に私、海部内閣の官房副長官をやりまして、正に今の湾岸戦争に官邸で一年と三か月、いや一年と五か月ぐらい、私は湾岸戦争に取り組まなければならない状況に置かれました。あるいはまた、その後、カンボジアという状況も見ました。これは先生方も同じだと思います。
 どういう形であれ、戦争が終わった後に大事なことは、危機を完全に取り払うことであろうと思いますし、危機を取り払った後にイラク国民が食べていくことが大変大事だと思います。したがって、短期的には多分、食料というものをどのような形で、どういう要請があるかは分かりませんけれども、世界じゅうとして、今もそうでございますが、難民も含めて、食料という問題を国際的にどう供給また援助していくかということがまず考えられる一つではないかと思います。
 そして、そういう状況の中で、イラクはイラクとしての農業基盤というものがどういうふうになっているかは私にはよく分かりませんが、もし必要であれば、そういうものに対する我々の支援というものも考えられる可能性の一つではないだろうか、そういうふうには個人的には思っております。
 どういう状況で、いつこの戦争が終結し、どうなるか、そして、そのときに復興のする主体がどうなって、どういうふうになっていくのか、これはまだ予測はできませんけれども、今、日笠先生から御質問があって、そして、考えられることといいますと、全く今、役所全体で議論した結果ではございませんけれども、大臣として個人の頭の中で考えられるところではないかな、このように思います。
○日笠勝之君 是非ひとつ、速やかに次の行動が移れるように、今からしっかりとした支援対策を想定をしながら、いろんな選択肢があればいいわけですから、向こうの要請と、それでドッキングできるものを実施していくと、こういうことでございますから、しっかり対応方をお願い申し上げておきたいと思います。
 続きまして、いよいよ二十五日からジュネーブでWTOの農業交渉が再開といいましょうか、始まるわけでございますが、この第一次の案について、いろいろございましたが、改訂案、改訂版なるものも出まして、私たち公明党もしっかりとその内容について、今、各種団体、特に農業団体だけじゃなくて消費者団体、私はいつも、今回農水委員会を志願したのは、どちらかというと消費者の側に立つ農水の、農水行政の在り方という立場で入らせていただき、質問しますよということを一番初めに申し上げましたけれども、消費者団体も同じようなことをおっしゃっております。
 それはどういうことかというと、もしこの改訂案のようになった場合は、日本の農業は壊滅、そしてまた食料安保も、これも駄目になってしまう、安全、安心というこのキーワードもなくなってしまうと、こういう心配を生産者も消費者もともに考えているということでございます。
 特に、私どもも要請を受けました、その中で、特に農業の多面的機能など、非貿易的関心事項が反映された農業モダリティーの確立を図ってもらいたいとか、各国の食料、農業事情を無視した関税の一律的かつ大幅な削減や輸入数量の大幅な拡大を断固拒否してもらいたいとか、また、ミニマムアクセス制度の見直しを実現し米の総合的な国境調整措置を堅持してもらいたいとか、こういうような特に三項目が強い要望であったと記憶しておるわけでございます。
 本委員会も、本日、もう言っちゃっていいですかね、委員長、本日、WTO農業交渉に関する決議を先ほど理事会でやろうということを決めたわけでございます。
 いよいよジュネーブで交渉が始まるわけでございますが、政府が一丸となって、特に、特に農水大臣がその核となって不退転の決意でこの交渉に当たらなきゃならないと、このように思っておりますが、御決意と御所見をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) 今、日笠委員から、消費者団体の皆さんともよく私どもは、特に私自身、先生自身は消費者側から立った農政というものを議論していきたくてというお話がございました。
 正に、そういう視点というものが大事な農政であるということをまず申し上げながら、WTOの農業交渉について、モダリティーの一次案あるいは改訂案につきましても、これは先ほど来お答えをしているとおりでございますが、ずばり申し上げて、なかなか困難な、三月末までのモダリティーの確立に向けての困難な議論になっていくだろうと思います。
 しかし、今、日笠委員が御指摘いただいたように、非貿易的関心事項というものが、この一・二次案か五次案か分かりませんが、この改訂版の中にも明確な位置付けはない。そういうふうな理由の一つでありますけれども、私どもは、議論のベースになるものではないという基本の信念を持って今議論をジュネーブでさせているところでございます。
 そして、この考え方は既に小泉総理にも私申し上げ、そして御理解をいただいているところでございますし、ただ一点、日本だけがこれを主張しているのではないと。EU、韓国、そして前回の特別会合のときはEUを一国と考えて六十か国の国々が我々と同じような基本的な考え方を持っていると。そういうふうなことを背景にしつつ、御指摘をいただいたそういう諸点についてしっかりと踏まえながら、これからも内閣一体として、そして、その中の特に農政の担当責任者として腹を据えて努力してまいりたいと、このように思っております。
○日笠勝之君 所信に対する件について、これから何点か、細かいお話になるかもしれませんが、お聞きをしたいと思います。
 まず、JAS法に基づく生鮮食品品質表示基準とか、加工食品の品質表示基準に関する改善指示の実績は現在どういうふうにつかんでおられますか。国と地方分、それぞれ分けてお答えいただければと思います。
○政府参考人(西藤久三君) 先生今お尋ねのJAS法に基づく食品の不正表示の疑いのある案件につきましては、法律に基づきまして国、都道府県が立入検査なりあるいは任意の調査を行ってきております。
 それで、お尋ねのところでございますが、JAS法に基づき品質表示基準違反ということで確定をし、生鮮食料品品質表示に適用された平成十二年七月以降の実績、今年の二月末までの実績が整理しておりますのでその実績で申し上げますと、正に国といいますか農林水産大臣から指示をさせていただいた件数が八十件、都道府県知事による指示は百七件に上っております。
○日笠勝之君 JAS法という法律の所管は農水省ですよね。都道府県が先ほど答弁ありました百七件ということですが、この百七件は、これ詳細にどういうものかということは掌握されているんですか。個別具体的にはいいんですけれども、百七件のその内容、改善指示などの内容等は全部掌握されていると、こういうふうに理解していいんでしょうか。
○政府参考人(西藤久三君) 都道府県知事が指示を出された百七件の内訳について、正にJAS法に基づく指示の内訳については私ども報告をいただいております。
 百七件の内訳を若干品目別に申し上げれば、畜産物で十七件、農産物で八件、水産物で二件、加工食品で十三件、お米で六十七件という内訳をいただいております。
○日笠勝之君 それぞれのですよ、改善指示の、何項目か必ずあるわけですが、それも全部掌握されていますか。
○政府参考人(西藤久三君) 現在、個別案件、それぞれ持ち合わせておりませんが、都道府県知事から指示をされた場合の御報告をいただいておる状況にございます。
○日笠勝之君 さて、国が公表したものというのは、資料をいただきますと、相手方の同意を得て公表したものを含むということで三十九件、具体的に指示の年月、対象業者、主な品目、主な違反内容、本社所在地ということで資料をいただいております。
 そこで、ちょっと疑問に思う点がありますので、まず申し上げたいと思います。
 例えば、これは福島県の郡山市のある米穀卸業者は、業務用の安い米を新潟県産コシヒカリ十三年産一〇〇%などの虚偽の表示をして少なくとも千七百一トンを販売したというふうなことが公表されております。ところが、これは要は改善指示でございまして、原因究明とか、表示を点検しなさいと、こういうことでございました。
 それから、今度、福岡県の同じく米穀卸業者でございますが、福岡県産ブランド米夢つくしの虚偽表示事件で、これは不正競争防止法違反の疑いで家宅捜査をされていると。これは改善じゃなくて、もう不正競争防止法違反だということですね。同じ米でも、虚偽表示で改善指示といわゆる不正競争防止法違反だというのと違いますね。
 それから、今度は、大手商社の子会社の丸紅畜産の場合は、鶏肉、鳥肉の偽装事件で、これは何と不正、ごめんなさい、詐欺罪と不正競争防止法違反で今告発されて裁判中でございます。これ詐欺罪ですね。金額にして二・二トン分、百四十万円分の詐欺罪ということで今裁判になっておるわけであります。
 それから、そのほか、山口県の、これも食肉加工、魚肉加工の業者でございますが、これは食品添加物とか一部原材料の不表示、表示していない、国産豚肉使用を実は輸入肉、輸入の豚肉使用だというようなことで、これは食品衛生法違反と不正競争防止法違反で、これも今告発をされておると聞いております。
 そのほか、台湾から輸入ウナギを購入して、それを鹿児島県産と不正表示をした上で販売したという大手商社のこれは子会社でございますが、これは不当景品類及び不当表示防止法、いわゆる公正競争規約違反ということで、これも今告発をされておるわけでございます。
 ですから、これは一体どなたが、これは詐欺罪だよ、これは改善指示でいいんだよ、これは不正競争防止法違反だよと、だれがどこでこの仕分をして適切な対応をされているのか。私に言わすと、全部これは詐欺罪じゃないかと。全部詐欺罪。全部詐欺罪。詐欺罪なら懲役十年以下ですよ。どうも、詐欺罪になるものもあれば、改善指示でとにかく公表しますけれどもとか、何か、何によってこれ決めているんですか。どなたが決めているんですか。どうぞ。
○政府参考人(西藤久三君) JAS法は正に消費者の選択に資するということで、表示を事業者に義務付けし、その表示に不適正があった場合は、先ほど来御説明しておりますように検査を、立入調査をし、事実確認の上、改善の指示を出す、指示に従わない場合は更に命令を出す、命令に従わない場合、罰則という、言わばその法律の目的が消費者の選択に資する情報を提供するという観点で、先ほど来申し上げましたこの二年半ぐらいで国、地方を合わせてかなりの件数、二百件近い件数の指示を行っている状況にございます。
 一方、先生御指摘の今の個別事例、それぞれ、正確に全部照合いたしておりませんが、その個別事例、JAS法で指示をいたす一方で、先生御指摘のとおり、刑法詐欺罪での告発、あるいは不正競争防止法違反に問われて審理中という状況にございますが、いずれもそれぞれ、刑法、あるいは不正競争防止法、あるいは最後の事例にございましたように食品衛生法の観点で、それぞれ消費者の安全の観点、あるいは個人の財産を守る、あるいは事業者の利益を守ると、それぞれの観点で措置されている状況にございます。
 しかし、私ども、JAS法で具体的に指示をした案件については既に公表をし、関係者にも周知徹底するということをやっている状況にございます。
○日笠勝之君 私が何を申し上げたいかというと、偽装表示とか不正表示で、あるものは改善指示だけで終わる、あるものは詐欺罪でまた告発されると、こういうものが分からないということで、俗に言う法の下に平等でないんじゃないかなと、こういうふうなことを思ってお聞きしておるわけでございます。
 そこで、改善指示だけでいいのかななんという気もするのがあるんですね。それは、いわゆる農協関係もこういう例えば、静岡県の農協グループの経済連が精米の不正表示及び販売、食糧庁から改善指示と、こういうのが出ておるわけですね。だけれども、農協関係のような正にお米の安心、安全ということを、俗に言えば警察官が何か刑を犯すようなものですよ。そういうところでも改善指示だけでいいのかなと。それこそもう少し重たいペナルティーを科して、これは詐欺罪だということで、国家公務員法にありますように、それの端緒を知った人は告発すればいいんですから、というぐらいの厳しさがないと、プロ中のプロがこういう不正表示で、静岡産のコシヒカリが一〇〇%だなんてうそをついて国民に売っておるわけですね。
 例えば、こういうプロ中のプロのような団体がやるような不正表示、偽装表示もただの改善命令ですか、改善指示ですか、だけでいいのかなと。なぜ告発しないんですか。どうぞ。
○政府参考人(西藤久三君) 私ども、先ほど御報告した案件の中にも生産者団体の関与した案件がございます。御指摘のとおりの状況にございます。そういう中で、全農のいろんな取扱いにつきましては、農協法に基づく改善命令を出し、それに基づく報告を聴取して是正措置を図ってきている状況にございます。
○日笠勝之君 じゃ、諸外国はどうですか。私、これは新聞報道の記事でございますけれども、例えばお隣の韓国なんかは、表示違反は三年以下の懲役か三千万ウォン、約三百万以下の罰金とある。いわゆる改善指示なんかない、直接の直罰ですよ。いわゆる偽装表示とか不当表示の場合はもう懲役三年以下と、ばさっとこういくんですね。改善指示みたいにイエローカードを出してからレッドカードを出しましょうじゃないんです。だから、私は国民の側に立つ農水の質問をさせていただくというのは、国民の側から見ればこれは詐欺罪でしょう、これは。立証できない、食べちゃった後ですから。
 そういうことで、諸外国から見て日本のこの不当表示とか偽装表示の罰則はどうなんでしょうか。適切なんでしょうか。
○政府参考人(西藤久三君) 私ども、言わばJAS法に基づく表示という観点は、正に消費者の選択に資する観点での、そういう情報提供ということで対応してきているわけでございます。先生御指摘の正に直罰は、直罰での対応は、刑法に基づく対応等、現実にそれぞれやられている状況にございます。
 諸外国との比較ということで、私、今、先生、韓国の事例を御指摘いただきましたが、手元にあるのがアメリカとフランスの状況をあれしておりますが、そういう状況ではアメリカでは百ドル、あるいはフランスでは四百五十ユーロの罰金という状況になっているというふうに承知をいたしております。
○日笠勝之君 だから、罰金でしょう。直罰でばしっと罰金いくんですか。それとも、イエローカードの改善指示があって、それを聞かなければ罰金なんですか。どっちですか。
○政府参考人(西藤久三君) 先ほどアメリカの場合は百ドルと申し上げましたが、千ドルでございました。大変失礼いたしました。
 それと、私ども、JAS法では、正に消費者の選択に資するということで、事業者のそういう表示の義務化という形で体系、してきているわけでございますが、私ども、今手元で見ている状況では、事実に反し又は誤解を与えるような表示を行った場合は直罰で罰するという状況になっているというふうに理解をいたしております。
○日笠勝之君 なぜそういうことを私がしつこく言っているかというと、平成十三年度の農水省の政策評価結果の概要というのが去年の七月、総務省で出されておりますね。この中の三十五ページの下の方に出てくるんですね。食品等の表示というところでの政策分野の評価に関する意見というので、各委員の皆さんがそれぞれコメントしているところがありますね。
 そこを読みますと、牛肉だけでなく、以前から新潟産の、失礼しました、魚沼産のコシヒカリなどの問題はあった。消費者の食品の適正表示並びに食品の安全衛生に対する希望が強くなったことに対し、今後どう対応していくかが重要な課題であると。飛ばしますけれども、その意味でも、不当表示と偽装表示等は厳しく罰するべきであると。企業の善悪に依存するだけでは改善、失礼しました、企業の善意に依存するだけでは改善されない。消費者を含め、監視、検査の機会を作るとともに違反者に対する罰則を強くすべきであると。
 こういう皆さんの政策評価概要に意見の開陳があるわけですね。だから、罰則を強化しろということをいろんな回りくどく申し上げておるわけでございます。
 この政策評価の概要のこの評価に関する意見の、この先ほど、今言いましたことについて今後どう対応されますか。
○政府参考人(西藤久三君) 先生御指摘のとおり、昨年一月以降、正に不正表示が多発している状況の中で、不正表示の再発を防止するということと、一日も早く食品表示に対する消費者の信頼を回復していくということで、昨年、正にちょうどこの時期でございましたが、四月に、法案を提出させていただきましたのは四月になってからでございましたが、JAS法を改正させていただきまして、表示に関する命令に違反した場合の罰則を五十万から百万あるいは一年以下の懲役刑の導入ということと併せて、そういう指示をした場合の公表を直ちに行うということで対応させてきていただいております。
 そういう点で、先生、先ほど、冒頭からありましたように、個別具体的な事例について、それぞれ私ども、事実が確認し指示をした都度公表し、関係者に周知徹底を図ると、そういうことを通じて、言わば消費者の選択に資する表示制度の信頼確保ということで取り組んできているところでございますので、今後も昨年改正していただいた法案の体系に即して適正に運用していきたいというふうに思っております。
○日笠勝之君 これが「もう許さない!うそ表示」という、「JAS法が改正されました」という分かりやすいパンフレットでございますね。これを見ますと、確かに改正前と改正後とは相当厳しくはなったと、こういう意識は持っております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、改善の指示を受けた場合のみ公表というのが原則なんですよね。これはもうチャレンジャー査察でばんばん、食品ウオッチャーもいらっしゃるし、国も都道府県も手足があるわけですから、DNA鑑定などなどでもう目標を決めてどんどんやって、どんどんもう一方的に公表すると。そういうふうな抑止力がないと、何十件かぐらいの検査、査察等々でこれはおかしいというものだけの公表ならば、これは抑止力が働かない。そういう意味では、先ほど、罰則も強化するけれども、検査とか体制もしっかりと確立しなきゃいけないということでございます。この辺の対応はどうなっておりますか、お聞きしたいのが一点と。
 それから、先日、全農が全食品の検査をしたところ、二千百六十三件の不適正表示があったのではないかと、こういうような発表がありました。
 先ほどから申し上げておりますように、全農という、正に食品の安心、安全の権化でなきゃいけないようなところが、件数も多いんですが、調べた件数も、しかし、結果的にボリュームとして大きいんですよ。二千百六十三件がどうも不適正表示ではなかったのか、中にはJAS法違反もあったんではないかと、こういう報道で、詳しいことは分かりませんけれども、こういうふうなようなところもあるわけでございまして、そういう意味では公表だけじゃなかなか抑止力にならないんじゃないかなと。
 そういう意味で、今後、検査の強化とそれから罰則の強化についてもう一度、これは大臣にお聞きしたいですね、大臣がそういうふうに所信でおっしゃっているんですね、食品の不正表示云々ということを。いかがでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 日笠委員から非常に鋭い食品表示の罰則政策というんでしょうか、国際比較もお話しされながら、局長との議論を大臣として聞いておりました。
 調査というものについては、あるいは表示そのものについても厚労省と協議機関を作りながら、今努力しております。その罰則の在り方がどうあるべきかというところについては、今日までの歴史もございますし、日本古来の法益の、国際比較で言うと法益の違いもあるような気がいたします。
 しかしながら、そういう状況の中で、やはり不当表示とかそういう問題については、これをやったらこうなるぞという、先生がおっしゃるように抑止力というものが、事前にもちろんきちっとやらせることと同時に、その抑止力がないといけないのではないかという指摘については、ちょっとこれ中長期的に勉強しなきゃならぬかなという感じがいたしましたので、一つ一つ不当表示の問題あるいは表示の在り方についても、今、厚労省とようやく協議機関を作って一つの結論を出す。そのこと自体も大変な作業が掛かる仕組み、もっともっとしっかりやれという、そういうことをしながらこの世界についての勉強を更に私どもしてまいりたいと、こう思っております。
○日笠勝之君 いや、時間が来てしまいましたので、積み残しは、済みません、明日の委嘱審査のときにさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 終わります。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私は、まず最初に大島大臣に質問いたします。
 私は、昨年の十一月の七日に、農水委員会で大臣に秘書の口利き問題で質問いたしました。八戸市民病院の建設にかかわって受注企業の献金が急に増えたというのは、これは口利きをしたお返しではないかというふうにお聞きしました。それに対して大臣は、九六年に、この答えですね、このときの議事録で見ますと、二十一社のうち指摘の九六年に献金が増えているのは四社でありましたと。そして、政治活動が活発になった日にはパーティーやその他において増えている、二〇〇〇年もやはり増えていると。そういうふうな政治活動が活発ということは、選挙が近くなって政治活動が活発になるということでございますということをお話をされています。
 このお答えの中で、この四社というのはどこどこでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) その前に、紙先生、十月二十四日の衆議院の予算委員会で、御党の佐々木委員が既に何か御自身で資料持ってこられまして、そして私に示してどうだと、こう言われたんです。そのときに、今もありますが、こういう資料なんですね。紙委員も多分これを持ってやられたと思うんでございますが、資料提出、もう佐々木先生が私に示しました。市民病院の工事を請け負う業者のうち、九五年から九七年まで自民党青森県第三選挙区支部等、私の資金管理団体に献金していただいた企業の一覧として、先生からこういうふうなことを御指摘をいただいたわけでございます。
 このため、私どもの方でもいただいた資料をよく精査させていただいた結果、一部は収支報告書の保存期限が過ぎているのもあるわけですね。そこで、正確なところが分からない部分もありましたが、いろいろせっかく、本当にさすがに共産党だなと私思いました、保存期間がないあれまで取ってありますので。そこで、平成八年に百万円を超える献金をいただいた企業を挙げて、私どもとしては四社と、こう申し上げたわけでございますが、改めて強調させていただきますけれども、それは政治資金規正法にのって適正に処理されたものであって、工事をめぐっての見返りとかということは一切ございません。
 私は、あたかもそのような観点からの御質問に対して、善意で献金をいただいた企業の具体名を挙げることは差し控えたいと思います。委員がどうしても知りたいというのであれば、既に佐々木先生が御提出された資料をよく御参照いただければ御理解、分かると思います。
○紙智子君 この資料は予算委員会の委員会として提出してもいいということで、合意の上で出されたものです。既に明らかになっているわけで、やっぱりそれにこたえるべきだというふうに思います。
 今おっしゃいましたように、御自身ではおっしゃりたくないということでしたら、私もその資料に基づいてお話ししますけれども、元請でこの中で四社というのは大館建設工業、村田興業、そして川本工業、溝口電気工業所、この四社ということですね。間違いないですね。
○国務大臣(大島理森君) この中には、そう、今おっしゃられた名前が書いてありますね、はい。
○紙智子君 それで、その中で大館建設と村田興業、この二つについては、我が党の筆坂議員が三月六日の予算委員会で大臣に質問いたしましたように、国からの公共事業を受けている期間、筆坂議員が質問した中で、大館建設工業の方は二〇〇〇年の三月十四日から二〇〇一年の二月十八日まで国土交通省の仕事を受けていると。それから、村田興業についても二〇〇〇年の二月二十五日から二〇〇二年の二月二十八日と、これは防衛庁・施設庁からの仕事を受けているということで、国からの公共事業を受けている期間なので、この二〇〇〇年の六月十三日は選挙の公示ですけれども、この期間に献金をしてはいけない企業になっているということを指摘しましたけれども、そうですよね。
○国務大臣(大島理森君) 政党活動として政治資金規正法にのっとって御芳志をいただいたものとして報告をさせていただいているところでございます。
○紙智子君 今聞いたのは、選挙で献金をしてはいけない企業になっているということなんですよ。
 それで、どうしてこういう企業が献金が増えたのかということで、この企業からの献金の話は、昨年の私の回答に対して、大臣は、それは選挙の年だったと、九六年と二〇〇〇年も選挙の年であり、特別な御支援をいただいたと。活動が活発になればどなたでもそういうお願いをしながら、志をいただいて活動するものというふうに述べられたわけですよね。これは議事録に残っていますけれども。つまり、選挙があるから献金が増えたと大臣自ら認めているわけです。
 この二社については、筆坂議員が指摘した六社からの献金のうち、少なくともこの二社の献金については、言ってみればこれは公選法違反の疑いがますます濃厚になったということじゃありませんか。
○国務大臣(大島理森君) 政党活動、政治活動として私どもはちょうだいしたものと。したがって、そういうふうに御報告をさせていただいているところでございます。
○紙智子君 ちょっと答えになっていないと思うんですね。
 結局、昨年、口利きの見返りじゃないかというふうに私が聞いたときに、そうじゃないということを否定する余り、選挙があったからだということを言って、逆に窮地に陥ったということだと思うんですよ。去年の段階では、大臣はこの政治資金規正法との関係についてはまだ深く認識されていなかったんだと思います。だから、正直にそういうふうに答えたんだと思います。
 私は、このことからも、大臣の答弁からも、これ公選法違反だということはますます強まったというふうに言えるというふうに思うんですよ。それでもそうじゃないというのであれば、そうじゃないという証拠を示すべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 紙委員にもお答えしておりますように、政治活動が活発という、政治活動が活発になっているというふうに言っているわけですね。ですから、何かせっぱ詰まってあなたおかしいじゃないかというんじゃなくて、政党活動の政治活動が活発になるのは共産党さんだってそうではないでしょうか。
 その資金の、財源の在り方は共産党さんと私どもとしては基本的に質が違います。私どもは個人の芳志あるいは企業の献金、それは当然に許される範囲の中でのそういう献金をいただいて活動しているわけです。そういう政治活動が活発になるということは、私は、どの党も、どの個人もどの政党も私はそういう状況になっていく、そういう中で御心配をして頑張れよと言ってくださる、そういうふうな志をいただいて政治活動として使わせていただく、それを収支報告に載せているというふうにお答えをさせていただきます。
○紙智子君 一般的な政治資金ということではないじゃないかということなんですね、申し上げているのは。結局、今まで寄附をしていない業者が、正に、していたとしてもわずかですね、そういう業者が選挙の公示の日、それから前日、三日後、この資料の中にもありますけれども、正にそういう本当に選挙を始まると同時に何百万という寄附をすると。これが選挙の寄附でなくて何なのかということですね。
 そうでないと言うんだったら、一体どういう状況の中でもらったのか。場所がどこでもらって、そして何と言って集めて、相手は何と言ってそれを寄附したのか、こういうことを調べないで、明らかにしないで一般的な政治資金だというふうに言っても、これは通用しないと思うんですよ。選挙の寄附でないというふうにやっぱり納得できるような、そういう解明をこの委員会でしていただきたいと思うんですね。どうでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 選挙の費用は選挙の収支報告書として出させていただいております。政党は選挙のとき、政党の活動は選挙のときだけやるものでなければ、また選挙のときもやっちゃいけないということでもないと思います。それは共産党も選挙中に共産党活動を党活動として大いにやっておられるのと同じだと思うんです。だとすれば、それらの経費は後で払うこともあるかもしれません。
 したがって、私どもは、政治活動が当然に民主主義の最も根本である、そういうときには党活動がどの政党も非常に大きく僕は活発になっていくものだと思うんです。したがって、そういうものに御寄付をいただき、そういう形で使わせていただくということをそのまま収支報告に載せて、そしてやっているということでございます。
○紙智子君 同じような繰り返ししかされていないんですけれども、結局、選挙のときに公共事業を、国の公共事業を受けてやっている企業は献金しちゃいけないということを決まっているところからも受け取られているわけですよね。これはやっぱり明らかに法に違反するじゃないかと。そして、そうじゃないということでもって証明されるんだとすれば、今、私言いましたけれども、場所についてどこで受け取ったのかということや、そういうことを含めてやっぱり明らかにするべきだと思いますよ。そうしなければ、私は、やっぱり幾ら同じことを繰り返されても疑惑は晴れませんし、その意味では、このまま本当に大臣のいすにとどまっていることが認められるのかどうかという、そういう問題だというふうに申し上げたいと思います。
 それで、ちょっと繰り返しになると思いますので、この後、この質問はここまでにして、次の質問に移らせていただきたいと思います。それで、本当はそういうことを言いますと質問できないというか、本当にしたくはないわけですけれども、しかし疑惑はこの後も続けて追及させていただきたいと思います。
 そして、WTO問題の問題では直接大臣が交渉されてきたわけですから、そのことについて、この後、移らせていただきたいと思います。
 それで、今日からジュネーブで農業会合が始まっていると。それで、先日、議長からモダリティーの一次案ですね、改訂版というものが出されたわけです。内容は一次案と全然変わらないようなものだと。米だけではなくて、日本の畑作や酪農、これも壊滅的な打撃を受けるということですね。今回の案は我が国の農業の存続を否定するに等しいというふうに思いますし、さっき大臣も言われましたけれども、たたき台になるようなものでもない、これはそもそも、という話もされたわけです。その点では断固としてやはり拒否の態度を貫くということですよね。
○国務大臣(大島理森君) 先ほど来、和田委員にも、また日笠先生にもでしたか、あるいは加治屋先生にもお答えをしてまいりましたが、ハービンソン議長の一次案、総体としてのめないと。その改訂版も、もちろん一部改正されたところもありますよ、発展途上国に対する点については改訂をされたところがありますが、基本論として私どもは総体として受け入れられない。基本は堅持して、これからの議論、会議の場における交渉に当たらせていくつもりでございます。
○紙智子君 改訂版について拒否するというのは当然だと思います。
 それで、問題は、EU案の支持、これについて大臣は表明されています。二月三日の衆議院の予算委員会で我が党の中林議員の質問に対して、EUのその上に立った数字、三六、一五、四五、そういう数字を目指して全力を尽くすことが私の責務だというふうに答弁をされているわけです。
 それで、EU案は関税率について最低一五%、平均で三六%を削減するというものですね。大臣はこの実現に全力を尽くすというわけですけれども、ということは、この数字が我が国の提案ということですよね。大臣は、この削減率が実施されて日本農業に影響がないということなんでしょうか。国内生産の維持発展や自給率の向上につなげることできるということなんでしょうか。その点、いかがでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) EU提案というのは、関税引下げについてのウルグアイ・ラウンド方式、国内支持削減については総合的なAMS方式という意味で、非貿易的関心事項を反映させるための柔軟性が確保されるということ、我が国と基本的に考え方が一致するということ。もちろん違うところもございます。違うところもございます。しかし、違うところもありますが、そういう基本的な考え方のところで一致しているということと、そういう中にあって、数字の部分では関税、国内支持のAMS及び輸出補助金のそれぞれの削減率が、今、先生がおっしゃられたとおりでございます。したがって、現実的で、我が国が主張している現実的で漸進的な支持、保護の削減という考え方には合致していると。
   〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕
 そういう中で、我が国の自給率の目標とする姿や、あるいは今進めている米改革、あるいは農村農業の維持というものができるかといったら、私は可能な範囲だと、可能な範囲だという判断をして、そして支持をすると、こういうふうに申し上げたところでございますし、また一方、日本だけで孤独な闘いをしてこのマルチの交渉の場で私どもの主張を通すことはできるわけがございません。国会でも同じように、やっぱり一つの意思を国の意思として通すためには多くの皆さんの御理解をいただかなきゃならぬのと同じように。
 したがって、米国、ケアンズという非常に巨大な輸出国の力というものとの対抗軸を築くためにも、我々は、EU、日本とが基本的な考え方も一致し、そして進め方についても連携して対抗軸を形成していくことが重要であるということを改めて委員にも申し上げたいと思います。
○紙智子君 今、可能な範囲であるというふうにおっしゃいました。それで、お米については、先日、衆議院で中林議員が試算を示して、EU案でも輸入米が国内生産に打撃を与えるということを示しました。
 それで、EU案で打撃を受けるのは米だけではありません。ちょっとそのお配りした資料を見ていただきたいんですけれども、この資料の表は、畑作や酪農製品について全国一のシェアを持っている北海道産の価格と輸入品の価格の比較を試算をしているものです。北海道のJA中央会がやっている試算ですけれども。
 EU案の平均三六%を適用した場合、でん粉二十五キロ、これバレイショですよね、道産品で二千七百円に対して輸入では二千四百七十七円ということで、価格が逆転いたします。それから、小豆六十キロで一万八千九百五十八円が一万八千三百四十八円ということで、これも逆転します。それから、バター、これについては九百四十六円が一千五十四円と。脱脂粉乳は五百四十五円が五百九十六円と。大体、道産品と輸入品の価格がほぼ並ぶ形になります。
 これで我が国の食料基地である北海道農業、存続できると思いますか。
○国務大臣(大島理森君) 委員はどの程度それを分かって私に質問しているのか分かりませんが、ここで平均が三六ということであって、最低一五という数字もあるわけです。
 ですから、国内農業をそれぞれの国でどのように維持していくかというのは、正に、その国においてどういう作物、どういう生産物をどのように国民の需要にこたえて守っていくかということに非常に柔軟に対応できるということなんです。いきなり三六で計算するとと言われますと、これは、ちょっと誤解を与えるこれは数字になるわけです。
 だから、米、でん粉、様々な品目がありますよ。だから、どこをきちっと高く維持しながら、つまり最低一五ぐらいのところを維持しながら、高関税、今あるわけですから。だから、平均三六でと、こう言われますと、なかなか、それをすべてのものに当ててEU案では駄目よという議論ではなくて、そこは正に、もしEU案が、我々が主張している案が通ったならば、国内において皆さんと相談してやっぱり対応していくという柔軟性を持ち得る、こういうことで御理解をいただきたいと、こう思います。
○紙智子君 分かった上で質問をしています。
 それで、最低の一五%削減を適用しても、価格差は、この表でごらんになっても分かるように、でん粉で、でん粉それから小豆ですね、これで大体十数%から二〇%までその差が縮小するわけです。しかも、日本の農産物の場合、この全農産品が千七百七十二品目あるわけです。このうち、この下の棒グラフを見てほしいんですけれども、平均三六%、関税率〇%が二三%も占めています。で、資料のその中で一五%以下の品目というのは、実は六割にもなるわけですね。
 だから、全産品平均三六%の削減率を確保するということのためには、この一五%という最低の削減率をどれだけの品目で取れるのか。そして、三六%以上のものにも当然なるものも出てくるわけですけれども、それで取らなきゃならない、調整しなきゃならない農作物が広範囲に出てくるということでもあるわけですね。
 しかも、EU案であるこの最低一五%、平均で三六%の削減を支持したということで、この数字が交渉のスタートの地点になるということになりますと、今度そこから当然、そこから更に譲歩させようということでの動きが始まってくるということに、それが避けられないことになってしまうんじゃないかというふうに思うんですよ。そのこと否定できますか。
○国務大臣(大島理森君) 当然に、関税を引き下げるということを言っているわけですから、様々な影響は農産物自体にないとは言えません。
 逆に言えば、全く無傷でいられるんですかと。共産党さんの案は、まだ総合的、支持のあれがこんなにあるから、むしろそれを使って、もっと、あと一兆円ぐらい、二兆円ぐらい出したっていいじゃないかという議論をよくされますけれども、そういうもうとてもできないような議論はちょっとわきに置きまして、やはり我々は、通商国家としてWTOというその世界の中でどういうルールを決めるかということにコミットしているわけです。そうした場合に、EUが出した数字というのは柔軟性が取れます。それからまた、その国内支持についても非貿易的関心事項という政策に対応できます。
 そういうことを考えますと、EUが示した数字は、でん粉だとか、今、小豆の話をされました。で、そういう状況のことを考えても、この数字であれば国内政策に様々な手を打ちながら、そしてまた御相談をして構造政策も進めたり、そしてみんなで力を合わせていけばやっていけるという判断をしたから、私は支持できるものと。
 そして、先ほど来御議論がありましたように、日本の農業をきちっと、農村、林業、水産業を含めて我々は維持し守っていくことがいのち・循環・共生という日本の政策としても大事なことだという観点からも、これはこの範囲であればやっていけるという判断をしたということでございます。
○紙智子君 やっぱり現場の農村を見ない議論だと思います。
 WTO協定後の農業の現状というのは本当に深刻になっていると思うんです。生産者は農産物の価格が下落する中で規模を拡大すると。そして、効率化、コスト削減ということで、この間取り組んできているわけです。
 そういう中での優等生と言われた北海道の実態でも、度々こういう委員会の場でも紹介してきましたけれども、規模拡大、コスト削減ということの中で、九五年から二〇〇一年に農家一戸当たりの農家の負債がどうなっているかということを調べているものがあります。稲作、畑作、酪農各部門とも大幅増ですよ。
 そして、稲作でいいますと、一千二百万台の負債が一千六百万台になり、畑作一千三百万台から一千四百万台、酪農においては二千三百万台から三千二百万台と。現在の高関税でもこういう形でこの借金が増えていくという事態を生んでいるわけです。これ以上、市場開放というのはやっぱり受けられる状況じゃないんだということを私は強調したいと思います。
 本当に、この北海道なんかはA、B、C、Dというふうになっていて、負債をまだ元本を返せるだとか、そういうランク分けているんですけれども、D階層というのが増えているんですよ、十年間に。著しく増えています。
 こういう状況を見たときに、本当に、これで本当に大丈夫なのかということを真剣に検討していただかなければいけないし、大臣は三月末に向けて努力をするというふうに言われてきたわけですけれども、今回の議長案の提示を見ても、主張のこの格差というのはすごく離れていますよね。天と地だと思うんですよ。
   〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕
 そういう中で、本当にこの食料主権を守り、国内生産を守る立場を堅持して、期限だからといってそこそこのところで妥協してほしくない。断固として貫いて頑張っていただきたいということを私は申し上げたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 今のは応援の質問だと理解をさせていただきたいと思います。
 三月末というのは、コミットした私どもは共通認識を世界各国で持っているということを申し上げつつも、先ほど来お答えを申し上げているように、三月末の大枠を決めることが可能であるというならば、それはただ一点ありますよと。日本、EUの、そして韓国のフレンズ国が考えているような基本に乗った大枠を作ることが三月末に結論が出る知恵でしょうというふうにお答えしておるわけです。したがって、そういう信念と毅然とした姿勢で最善の努力をしてまいりたいと、このように思っております。
○紙智子君 私たち日本共産党も二月、三月と全国を農業調査をして回りました。そういう中で、経済団体やあるいは消費者団体なども含めて、今度のことを話しながら、本当に多くの方が心配をされていると。食料自給率で四五%までということを決めながら、一体何を根拠にこういうことを決めたのか、本当にやれるのかということも含めて出されました。
 それで私は、食料自給率の、今、日本は四〇%そこそこというところなんですけれども、本当にほかの外国と比べてみても、先進国でこういう低い国はないと。日本より下にある国はどういう国があるのかというふうに見ますと、それこそ砂漠のある国、それからツンドラ地帯の国々ですよ。ですから、そういうやっぱり状況を本当に深刻にとらえて、国益国益という、さっきも孤立するわけにいかないという話あるわけですけれども、孤立を恐れて国益なんだということでやっぱり妥協するということがあってはならないと思うんです。
 私は、WTOの最初のときにそういうやっぱり議論があって、そして断腸の思いでこれは受け入れなきゃならないという話はあったんですけれども、結局そのとき国益というのは何だったのか、結局は工業製品を優先させて農業がその犠牲になったということじゃないのか、また今回も二の舞させるわけにいかないという思いで一杯なんです。
 そのことを最後に申し上げまして、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。
○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。
 今、紙委員の最後に食料自給の問題、触れられておりましたけれども、私、農水委員会、今国会で初めてのスタートだと思いますが、今国会の農水委員会では一つの大きいテーマ、私取り上げたいテーマの一つとして食料自給というものにしたいなと、こう思っておるわけです。原点に立ち返ってもう一度詰めてみたいといいますか、見直してみたいと、こう思っているわけです。しかし、それには私に与えられました時間は十五分ですので、今日はとてもじゃないですけれども、入口だけかなというような気もいたしますけれども、この後いろんな面で議論を交わしていきたいなと。私自身、どうしたらいいとか、最終的な目標を持っているわけでないんですけれども、食料自給をどうするかということがこれは大きな問題であるということは間違いない。
 農業の、最近のいろいろな農業問題がありますけれども、どうもその農業問題の根源というのはこの食料自給率の低下といいますか、そういうものにかかわっているんじゃないのかなというような感じがしてならないわけでございまして、具体的に言えば、一つは昨年来の米の問題ですね。米がだんだんだんだん転作を増やさなきゃいけない。
 こういう問題一つにしても、だから農家はもう転作について限界感が来たと、だから新しいやり方をいけない、やらなきゃいけないというようなお話ございましたけれども、農家が限界感が来たということは、要するに米農家だけでなくて、農業としてやっていこうということで、ほかの農業に手を出せればいいんですけれども、こういう食料自給率が低下していく一方ではほかの農業に手を出せないわけですよね。そういうことから、自分の耕作している水田が少なくなっていけば、当然もう限界感が来て農業をやっていけない、捨てざるを得ないのかというようなところまで出てくると。
 そういうような理解を私はしていますし、またこのときに一つ残念だったのは、たしか米の大綱の議論のときに、言い方は悪いかもしれませんけれども、食わなけりゃしようがないじゃないかというような議論が農水省側の答弁にちらちら見えたんですけれども、これはちょっと考え違いじゃないかなと。そういうものを、そういうものを見過ごしているのでは食料自給を、自給率を上げるという農林省の大目標というのとはよほど懸け離れているんじゃないのかなというような気がいたしました。
 また、そのほかでも、例えば担い手を大事にするということで農林省はやっておられると思いますけれども、担い手がなかなか農業に根付かないというのは、やっぱりやってもどんどん農業がへこんでいっちゃうわけです。そういうところに、将来の期待の持てないところに幾ら担い手で夢を与えようと思ってもなかなか持てないのが現実であるというふうに私は見ているわけでございまして。
 そういう意味で、農水省もこの農業・農村、食料・農業・農村基本法を制定されて、その中に、今見るとちょっとこれは私もうっかりして不満足なんですけれども、国内の農業生産の増大を図ることを基本にすると、これは総則の農業の安定供給の確保の中にこう書いておられる。確かにこれは反対するものでもないわけですが、少なくとも現在の自給率は満足できるものでないという認識に立たれたということは確かでありますので、それを法律にしてまで農林省は取り組むというこの姿勢は別に否定するものでもないし、これは結構なことだと思いますけれども。
 ただ、この食料自給率向上という、ただお経のように言っていても具体的にならないわけですね。現実にこれ食料自給率の推移をずっと表をいただきましたけれども、昭和三十五年が七九、これはカロリーベースですけれども、これから減る一方で、今御存じのとおり四〇%、これが平成十年から十三年まで続いているわけですね。
 この食料自給率を上げよう上げようというのは、この基本法にかかわらず農林省は、農水省はここのところずっとそれを言っているはずなんですけれども、一向に上がってこない。これではもう言っているのはお経でないかというようなことですから、もっと原点に立ち返って、じゃどうするのか、食料自給率というのはどういうものか、じゃそれをどうするのかという基本的なことを考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですが。
 その面からまず一つ、食料自給というものの、何といいますか、理念といいますか、基本的な食料自給についての理念、日本の国の場合、そういうものについて大臣はどう考えておられるのか。私なりに解釈しますと、一つは国内農業を守るということがこれはあるかもしれない。それからあるいは、先ほどから出ている食料の安全、安心のシステム作り、安全、安心を確保するというようなこともあるかもしれませんが、私はそのぐらいしか思い付かないんですけれども、大臣はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(大島理森君) 自給率というものの数字が議論になる根拠、基本的なとらえ方のところは一体何かという質問であったと思うんですが、先ほどどなたかの、和田先生の意見でございましたでしょうか、政治の要諦の一つとして、国民にそこの政治が安定した食料を供給するということが一つの大きな課題だろうと思うんですね。安定した供給ということを考えた場合に一番いいのは国内で作るということだと思いますね。もちろん、それ以外に安全と安心もあるし、先ほど来、農業の持つ多面的機能もあるわけですが、ぎりぎりぎりぎり絞ってあえてどこかと言ったら食料安全保障論ではないのかなというふうに思うんです。
 そこで、ちょっともうこれ以上答えるとまた先生に怒られるかもしれませんが、とてもいい議論なんで、先ほど紙さんもいろいろ、自給率を高められるかとかと、こういうお話しました。農水省が今日まで反省しなければならない自給率を高める施策として、サプライサイドからの議論ばっかりしてきたところに問題があったと思うんです。食べる側、その人たちの意識も一緒に考えてもらわなきゃならぬ時代に入ったと思うんです。こんなに豊かになって、そして一日ラーメン一杯を捨てている時代だと言われています、カロリーとして。そういうときに、自給率を高めよう、自給率を高めようといって、サプライサイド、生産サイドだけからの施策を打ったとしても、国民がそれを求めなきゃ自給率高まりませんよ、ある意味では。
 したがって、食育という言葉を私ども今申し上げておるんですが、もっと国内産の品物をみんなで考えて食べようじゃないかと。それは安全、安心であるし、自分たちのそばでやっているものに対する、非常に厳しい言い方するとコストでもあるんじゃないだろうかという問い掛けぐらいをして、消費者と一体となって、生産も一体となって、この自給率向上対策というものを考えていかなきゃならぬだろうと思います。
 一方、先ほど来申し上げましたように、一定の、ある一定の、やっぱり外から来るもののその防波堤はぎりぎり造っておかなきゃならぬ部分もあるということの中で、今、自給率向上というものを考えていかなきゃならぬ非常に大きな曲がり角に来ているんじゃないだろうかと私は思います。
○岩本荘太君 大臣の御答弁、実は私、先ほどから聞いているのとちょっとトーンが違うなと、実は私、安心しているんですけれども。
 確かに、消費者といいますか、私は、今の食料自給というこの農林省なり我々の認識は国民のどこまで浸透しているのか、あるいは浸透していないんじゃないかという疑問も実は持っているんです。その辺が結局、WTOの議論にしても国民的なコンセンサスをなかなか得られないんじゃないかというようなことまでつながっているんじゃないかなというような気がするのと、それと、大臣は、食料、これは消費者がやっぱり外国のものを食べたいという人もいるんじゃないかと言うのでちょっと私はがっかりしたんですけれども。
 世の中が安定しているときはいいんですよ、それはそれで。貿易なり安定していればいいんですけれども、自給率を考えるというのは、先ほど言われた安全保障ですよね、緊急時ですよ。緊急時をどこに設定するかという議論はあると思うんですけれども、そういう緊急時にどうするか、緊急時をどこに、どういうことをどういうふうに考えて、それに対してどういうふうに確保しておくのか。これはもう日本の国、国民のぎりぎりだというところに、をやらなきゃいけないと、こう思っておるわけですが、それを、例えば基本計画にしても四五%、これは意味が分からないと。私も実は意味が分かりませんで、実は、これはどのぐらい、どういうときにはどういう問題、どのぐらいにしなきゃいかぬと。これをすぐにせよとは、なかなかできないかもしらぬ。しかし、理念としてそういうものを持って、それに当面はこういうことしか、もろもろの判断からこういうことしかできないんじゃないかというような進め方でないと応援団がいなくなると思いますよ、農林省だけでですね。農林省だけだったら絶対もたないですよ、これ、WTOにしても。
 それはだから、それについては時間がなくなってまた次の機会にもっと詰めて話しさせていただきますけれども、一つだけ、現実の問題として、イラクの関係で、先ほども出ましたけれども、これだけ、六割のカロリーベースで海外に依存している日本、今こういう、要するに国際状態が安定していないという前提ですよね。今みたいなこういうような、何か訳分かんない、これは一週間でやめるか、終わるかもしらぬ、分かんないですけれども、この日本のいろんな産業界、社会の中で見て、食料が一番外国に依存している、一番食料については不安がある時期だと思うんですけれども、こういうことに対して、農林省、農水省というのは何らかの今の情勢を踏まえて御検討を始めているのかどうか、それを御答弁お願いします。
○国務大臣(大島理森君) 局長からちょっと具体的にやりますが、今、今、私どもが国内の食料安定供給という視点から見ると、一番困るのは値段でございます。
 マーケットを毎日ともかくチェックしながら、イラクそのものからの輸入というのは本当に少のうございますから、その数量においては心配はありません。
○政府参考人(西藤久三君) 今、大臣の御答弁がありましたように、私ども、日々価格動向、需給動向を監視し、その状況についてまた関係者に情報提供しながら安定供給に努めているところでございます。
○岩本荘太君 量の心配はないんでしょうけれども、まあ私は心配し過ぎかもしれませんが、やっぱり、何といいますか、輸送の問題とかいろんな問題で何が起こってくるか分からぬ。それは結果論として見て、結果論から今こういう状況だからというのでは遅い気がするんですけれどもね。やっぱり、それはきちっとやっぱり、戦争を想定しろとは言わぬですけれども、農水省として、得られる情報から将来の食安定供給ということを念頭に置いて、この先、一歩先んじてどういうふうにやっていかなきゃいかぬかという、そういうことを考えてもらわないといかぬと思いますし、それとまた、時間余りありませんけれども、こういうものを一つ、例えばWTO交渉の中で、日本の特殊事情だと思うんですよ、先進国でこんな低い。それで、本当にこれで安定して我が国は生活できるかという心配がありますし、戦争がないかといえば、あるわけですから、現実に。そういうものを一つの、あれですね、日本の特殊性として主張すべきではないかなと思うんですけれども、何かございましたら。
○国務大臣(大島理森君) 正に先生が御指摘いただいたように、輸入国としての立場から、つまり、輸出国側に対して輸出規制に対するルールをきちっと作るべきだと、これが一点。それから、国際備蓄という問題が第二点。これは正に我が国が、独自の提案として我が国の提案の中に入っております。そういう意味での、いわゆる輸入大国として、何も威張るわけではございませんが、そういうサイドからのWTOでの議論もきちっとしているということを議論として、理解していただくように議論をしておると、こういうことでございます。
○岩本荘太君 時間が参りましたので、入口の議論は今日はこのぐらいにしておきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○中村敦夫君 イラク情勢と農政について若干質問いたします。
 大変愚かな戦争が始まってしまったことは残念であると同時に、世界の経済に与える影響、大変危険なものがあるのではないかと心配しておりますけれども。
 一九八五年、今から十八年前、私は、テレビ番組の情報キャスターとしてカリフォルニア州で海兵隊の取材をしたことがございます。パームスプリングスというもう暑い町ですけれども、そこから内陸へ一時間ぐらい車で入りますと、神奈川県ぐらいの膨大な、広大な砂漠が広がっているわけですね。そこで海兵隊が二班に分かれて模擬戦争をやっているという演習を取材したことがございます。これ実弾演習で、多少時間をずらして実弾をやるんですけれども、事故が起きて死者が出るみたいな激しいものでした。
 なぜ、要するに砂漠の戦闘訓練をそれだけやっているのかということを言いますと、これは明らかに中東でのアメリカの戦争というものを想定していたと。ですから、今、現実に戦争が始まっていますけれども、今日昨日思い付いたことではなくて、これはアメリカのもう何十年間にわたる戦略構想の中の選択肢としてずっとあったわけですよね。それはなぜかというと、やはり経済大国であり続けるためには工業国家じゃなきゃいけないと。また、大きな消費でもって経済を支えるということでも、基本的には石油なしに考えられないような国のかたちというものができ上がっているわけですね。これは先進国すべてに共通する要素でございますけれども。こうなりますと、石油というものは、何とか安定して、しかも自国に対して有利な形で供給できるような体制を整えなきゃいけないと。
 アメリカも工業国家として伸びたのは、やっぱり自国に大変多量の石油があったと。しかし、それを掘り尽くして、今の調子でいくとあと六、七年なんですね、今もう。イラクにはまだ百十年分ぐらいあるということなんです。ですから、どうしてもアメリカは中東に親米政権作らざるを得ないという長い間の構想があります。しかし、そのやり方は、外交や通商を通じてやる、あるいは何度か失敗したようなクーデターという非合法的な手段もありますけれども、最終的な選択でどうしても駄目になって追い詰められれば戦争という、ある意味で必然的に暴挙に出ざるを得ないというのが今回の戦争の特質だと思いますが。
 その是非についてここで議論するんではなくて、現在、実際に石油価格の上昇が起こっています。アメリカでは、米国原油の指標銘柄、ウエスト・テキサス・インターミディエートというところでは一バレル四十ドルを突破してしまったんですね。これは平時の二倍ぐらいになってきています。日本でもガソリンスタンドの値段が徐々に今上がってきています。
 百七十一日分あるから大丈夫だという答えもあるでしょうけれども、それは国内の部分はいいですよ。しかし、食料を輸入しているんですが、その食料というのは大型の石油を使った工業的農業で作られているわけですから、これはやはり価格が上がっていく可能性もあるということで、当座、このリスクが大きくなっていくと日本の農業生産あるいは食料輸入にどのような影響があると想定しておられるか。そして、それに対してどういう対処をしようとしていられるか、簡単で結構ですから、お答えいただきたい。
○国務大臣(大島理森君) 中村先生が一九八五年の御経験で見た姿から今の評価があるわけでございますが、それは別にしまして、やはり私の経験からしても、昭和五十年前後の第一次、第二次オイルショック、そういうふうなものを経験しますと、石油に基本的に構造的に依存している世界の先進国があのとき軒並みに打撃を受けたという経験もございます。
 私どもは、今の時点では石油価格の上昇が日本農業に直接的にまだ影響しているということはありませんが、長期戦、あるいはまたそういうものがどういうふうに影響していくかということには、一つの危機としてとらえて、そういう状況をウオッチしながら対応を考えていくというふうにしたいと思っております、基本的には。
○中村敦夫君 現在、農政に直接大きな影響はないと思われますけれども、この戦争の成り行きいかんでは予想もしなかったようないろんな事柄が私は起こると思っているんですね。
 日本の農業、世界のメジャーの農業もすべてそうですけれども、特に日本の場合、日本の農業というのは石油に浮かぶ産業だと言われているほどの石油漬けでやられてきたわけですね。しかしながら、資源というのは有限ですから、これだけ石油文明で突き進んで掘り起こしてしまって、もう世界的レベルであと四十年分ぐらいしかもう埋蔵量がないと、採掘可能量はないというふうに国際的なシンクタンクは発表しているわけですよね。
 そうすると、これはもう半世紀ぐらいで石油文明そのものも、石油に依存していた農業も大きな転換が迫られると。これはもう確実なわけですね。そうなりますと、徐々に、石油ショックというのはだんだん近づいてきますからね、四十年分ということは。私は、あと十年ぐらいしたら、いよいよ石油ショック、終わりなき石油ショックが始まっていくというふうに考えておりました。ただ、この戦争によって、それを十年ぐらい前倒しして、いきなり世界に準備もなしの要するに混乱が起きることを非常に危惧するわけですが。
 こういう大きな観点から見て、農業生産というものの脱石油化ということを真剣にこの国も考えなきゃいけないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 循環型社会ということが今、日本、世界も生きざまとして大事なポイントだと。農業においても循環型農業というものを考えるという意味は、正に先生が御指摘いただいたように、ある資源をお互いに活用していく、そしてそういう自然エネルギーというものを物質循環に基礎を置きながら農業を考えていくという側面を強くしていきたいと、こういうふうに思っております。
○中村敦夫君 食料危機というような言葉を言うと、この飽食日本ではまるで冗談のように聞こえるかもしれない。七百万トンぐらいの余った食料を捨てているということですが、この量というのは国連の食糧援助の量と同じなんですね。こんなことをやっているのは日本だけだと思います。だから、食料危機などと言ったってなかなかリアリティーないかもしれませんけれども、私は、世界的なレベルで見て食料危機がかなり近い将来起こってくるのではないかというふうに思っているんですね。
 これは、一つは要するに石油の問題ですね。やっぱり石油を使った農業、石油がなくなればもちろん価格が暴騰していくということですから、非常に採算ベース、あるいは買える国、買えない国という格差が広がりますから、それは混乱すると。それから、九十億人ぐらいまでのやっぱり人口爆発というのが予想されている今日ですから、これはもう圧倒的に量が足りなくなってくるという部分があります。
 もう一つは、こうやって化石燃料をぼんぼんたいていて地球温暖化が止まらないということによって、もう現実でも進んでいますけれども、これは森と水に恵まれている日本ではなかなか絵としては見にくいんですが、大陸へ行くと砂漠化がすごい勢いで進んでいます。中央アジアの湖なんかどんどんなくなっていますし、私たちは植林に出掛けたことがあるけれども、内モンゴルの黄河の上流、水がないわけですよ、もはやね。北京の六十キロ先まで砂漠化が進んでいると。
 この勢いでいくと、何が起こるか。これは農業が不可能になっていくと。そういうことでも食料危機というのは十分に想定されているんですね。しかし、国内のことを考えると、それは先ほどから皆さん言われているとおり、カロリーベースでは四〇%ぐらいしか自給率がないということで、工業製品を高く売り付けて安く農産品を買うというこの構図が不可能になることは確実なんですね。
 ですから、いずれにしても、石油をベースにした工業社会というのは今世紀もう中盤ぐらいのときに終わらざるを得ない、また別な形になる、そうした混乱の時代が必ず来ると思うんですが、私は、そういう時期でも一番最初にやらなきゃいけないのは食料の確保なんですね。人間は、携帯電話なくても生きていけますけれども食料がなかったら七日も生きていけないという、非常に弱い動物的存在なわけですよ。
 ですから、私は、もうできる限り、行け行けどんどんで工業化だ工業化だというふうに今までの路線だけを信じていくよりは、大きなやっぱり、工業社会から農業的社会というんですかね、もう一度進路を大転換するような、そうした百年の計が政治をやる者たちにとって必要ではないかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 大変基本的な御質問であろうと思います。ただ、そういう延長線上にある考え方に私は共感を覚えるものでありまして、更にその延長線上にある議論は今WTOで私はしているんじゃないかと思うんです。
 つまり、輸出国からすると、農業産品も無機質の製品と同じように比較優位論に立って経済の中をぐるぐる動かせばいいじゃないかと、簡単に言えばこういう議論です。私どもは違うと。農業というのは非貿易的関心事項、その中には今、先生がおっしゃった食料の自給という問題がある。そして、それぞれの国がそれぞれの農業を基礎的に存在せしめていくという哲学がなきゃいかぬという意味では、まあ先生は違うとおっしゃるかもしれませんが、その私どもの延長線上にある考え方は日本、EUを中心にして、ですからEUを一つにして六十か国も集まっているのではないかと。
 発展途上国の国々の皆さんの今飢餓の問題が、私は、年間八億人の方々が、子供たちも含めて、もう食料難に陥っている人口がおって、今、先生がおっしゃったように将来的に、今砂漠化が行われているのは、日本の耕地面積と同じぐらいの面積が世界じゅうでどんどん砂漠化が行われている、人口も七十億、八十億になるだろう。そういうふうなことを考えますと、発展途上国の皆さんも、まず自国の国民に供給できるような体制をしていくための考え方に立ってもらわなきゃなりませんが、いずれにしても、そういうふうな姿であるという危機感は日本国民全体にもあるのかと言われますと、まだそこまでの、いやいや日本はそうならないだろうという空気の中でいるような気は私もいたします。しかし、全体的に見ると、こういう状況の中で、農村やあるいは森林や海やそういうものに潤いとか安らぎとか安定感を求めて、もう一度農業を考えてみよう、林業を考えてみよう、水産を考えてみよう、海を考えてみようという兆しは私は見えた。そういうときにどんどん農業に触れてもらう、勉強してもらう、知ってもらうと、私はそういう意味でのそういうチャンスでもあるのかなと思っております。
 ただ、日本を全部完全に農業中心の価値観のある仕組みにしたらどうかというところまでのまだ私の哲学としては覚悟はございませんが、もっと農業というものに国民全体として、食料の国際的な将来から見る危機感というものを知ってもらうという努力は我々もしなきゃいかぬし、親しみを持って農に参加してもらう、価値を見いだすてもらうという努力はしていかなきゃならぬ、このように思っております。
○中村敦夫君 一般の人がなかなか危機感を持たないということは、それは現状で持ちにくいとは思いますね。しかし、私は政治の仕事は、要するにほかの職業と違うのは、やっぱり未来を洞察していくということなんだと思うんですね。そして、それをはっきり見たらば、先回りして先導していくということでなければいけないと思いますね。
 ですから、私は二十一世紀の最大の問題はやっぱり食料危機だと、そこに焦点を当てて、だからといってすぐに全部クーデターを起こしてひっくり返して制度を変えるなんということはできませんね。しかし、大きな目的に向かって小さな事柄を次々と、急いで私は変えていかなければいけないと思います。
 その意見を述べさせていただいて、質問を終わります。
○委員長(三浦一水君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(三浦一水君) 農林水産に関する調査のうち、WTO農業交渉に関する件を議題といたします。
 田中君から発言を求められておりますので、これを許します。田中直紀君。
○田中直紀君 私は、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案によるWTO農業交渉に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    WTO農業交渉に関する決議(案)
  我が国は、輸入農産物の増大やデフレの進行により農産物価格が大幅に下落する厳しい局面の中で、食料の安定供給、食料自給率の向上、食品の安全確保をめざし、現在、懸命に取り組んでいる。
  このような中で、WTO農業委員会特別会合議長から、二月にWTO農業交渉に関するモダリティ一次案が、さらに今般一次案改訂版が提示された。
  その内容は、一部の輸出国の主張に偏重した極めてバランスを欠くものであり、ドーハ閣僚宣言にある非貿易的関心事項等が反映されておらず、非現実的な提案と言わざるを得ない。この提案はウルグァイ・ラウンド合意に基づき我が国をはじめ各国が鋭意取り組んでいる農政改革の努力を阻害するのみならず、我が国農業に壊滅的な打撃を与えるおそれがあり、到底受け入れることはできない。
  農産物の貿易ルールは、食料が人類の生存に不可欠な基礎的物質であり、かつ、今後世界の食料需給が中長期的にひっ迫することが懸念されていることにかんがみ、多様な農業の持続的な発展に寄与するとともに、その持続的な生産活動を通じて農業の多面的な機能が適切に発揮されるものでなければならない。
  よって、政府は、関係府省一体となって、モダリティの確立に向けた農業交渉において、各国の自然条件や歴史的背景の相違を認め合う多様な農業の共存を基本とする我が国の提案が実現するよう、不退転の決意で取り組むことを強く求める。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(三浦一水君) ただいまの田中君提出の決議案の採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(三浦一水君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大島農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大島農林水産大臣。
○国務大臣(大島理森君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をしてまいる所存でございます。
    ─────────────
○委員長(三浦一水君) 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。大島農林水産大臣。
○国務大臣(大島理森君) 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法は、北洋における外国政府による漁業水域の設定に伴う水産加工原材料の供給事情の著しい変化にかんがみ、これに即応して行われる水産加工施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸付けを行うことを目的として、昭和五十二年に制定されたものであります。
 その後、昭和六十年代に入ってからの二百海里体制の強化及び水産加工品の輸入の増大に対処するため、昭和六十三年の改正により水産加工業の体質を強化するための研究開発等に必要な資金についても、貸付けを行うこととされたところであります。
 この間、政府といたしましては、同法に基づき、我が国近海の低利用資源の食用水産加工品の原材料としての有効利用と、新製品・新技術の開発・導入等による水産加工業の体質強化の促進に努めてきたところであります。
 同法は、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととされておりますが、最近における水産加工業を取り巻く状況を見ますと、国際的な水産資源の保存及び管理のための措置の強化に加え、我が国の排他的経済水域等における水産資源の著しい減少に伴い、水産加工品の原材料の供給事情が更に悪化するとともに、水産加工品の輸入も引き続き増加する傾向にあります。
 このような状況にかんがみ、引き続き、水産加工施設の改良や新製品・新技術の開発・導入等に必要な資金の貸付けを行うため、同法の有効期限を五年間延長し、平成二十年三月三十一日までとするとともに、新たに、水産加工施設の利用のための特別の費用の支出等に必要な資金の貸付けが行えるよう、所要の規定の整備を行うこととした次第であります。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(三浦一水君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとして、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時八分散会