第156回国会 財政金融委員会 第18号
平成十五年七月八日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 七月四日
    辞任         補欠選任
     山本  保君     白浜 一良君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         柳田  稔君
    理 事
                入澤  肇君
                清水 達雄君
                林  芳正君
                円 より子君
                浜田卓二郎君
    委 員
                上杉 光弘君
                尾辻 秀久君
                佐藤 泰三君
                田村耕太郎君
                中島 啓雄君
                溝手 顕正君
                森山  裕君
                若林 正俊君
                大塚 耕平君
                勝木 健司君
                櫻井  充君
                峰崎 直樹君
                白浜 一良君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                平野 達男君
                大渕 絹子君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       財務大臣     塩川正十郎君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 竹中 平蔵君
   副大臣
       内閣府副大臣   伊藤 達也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局長       藤原  隆君
       金融庁監督局長  五味 廣文君
       総務省郵政行政
       局長       野村  卓君
   参考人
       社団法人生命保
       険協会会長    横山 進一君
       東京大学大学院
       法学政治学研究
       科教授      山下 友信君
       埼玉大学経済学
       部非常勤講師   原  早苗君
       株式会社格付投
       資情報センター
       格付本部シニア
       アナリスト    植村 信保君
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  本日の会議に付した案件
○保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)(閣法第一一九号)
○政府参考人の出席要求に関する件

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○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四日、山本保君が委員を辞任され、その補欠として白浜一良君が選任されました。
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○委員長(柳田稔君) 保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、社団法人生命保険協会会長横山進一君、東京大学大学院法学政治学研究科教授山下友信君、埼玉大学経済学部非常勤講師原早苗君及び株式会社格付投資情報センター格付本部シニアアナリスト植村信保君、以上四名の方々に参考人として御出席をいただいております。
 この際、一言参考人の方々にごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会においでいただきまして、本当にどうもありがとうございます。
 参考人の方々からは忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。まず、横山参考人、山下参考人、原参考人、植村参考人の順序で、お一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願いたいと存じます。
 なお、参考人及び質疑者ともに御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず横山参考人からお願いいたします。横山参考人。
○参考人(横山進一君) 生命保険協会長の横山でございます。本日は、保険業法の一部を改正する法律案の御審議に当たりまして意見を申し述べる機会をいただきましたことをお礼申し上げたいと思います。
 また、去る六月八日に生命保険契約者保護機構の整備を含む改正保険業法が施行されまして、生命保険に対する信頼の維持向上に資するセーフティーネットの整備ができましたことにつきましても、この場をおかりしまして御礼を申し上げたいと思います。
 さて、この法律案が提出されました理由は、最近における保険業を取り巻く厳しい経済社会情勢の変化に対応して保険業の継続が困難となる蓋然性のある保険会社について、保険契約者等の保護の観点から、契約条件の変更を可能とする手続等の整備を行う必要があるとされております。
 この契約条件の変更の問題につきましては、予定利率の引下げに関することと存じておりますので、この点を中心に述べさせていただきたいというふうに思います。
 いわゆる逆ざや問題につきましては、過去に設定した高い予定利率に関しまして、その後の低金利の継続、直近においては歴史的な超低金利と申すべき状況にあると存じますが、そういう状況が長期に継続することによりまして運用収益だけでは賄えない事態が発生している、このことが原因であると認識しております。
 今後につきましても、低金利が継続することが懸念されまして、逆ざや問題は引き続き生命保険会社にとっての最重要課題として取り組んでいかなければならないというふうに考えているところでございます。また、この課題を克服していくことによりましてお客様からの信頼が得られるものと考えております。
 こうした認識の下で、生命保険各社は、この逆ざや問題を含む経営課題に対処するために、収益の向上、健全性の強化を図るべく各種の課題に取り組んでいるところでございます。
 その第一点は、健全性の確保でございます。各社は自己資本の増強等による財務基盤の強化に努めてまいりました。すなわち、相互会社において株式会社の資本金に当たる基金を始めとする自己資本の増額に取り組んでおります。
 第二は、経営の合理化でありますが、営業拠点の統廃合、職員数の大幅な削減、人件費の削減などに取り組むことによりまして事業費の継続的な圧縮に努めております。
 第三は、お客様のニーズの変化に対応して新たな商品の開発を行うことによりまして、顧客サービスの向上、収益の向上に努めております。商品開発は正に各社の創意によるものでございますが、幾つかの例を申し上げますと、アカウント型の商品のようにライフステージに応じた自在型の商品、医療保険、生存給付型商品といった第三分野の商品、それから変額型の商品などがございます。
 逆ざやが経営課題として認識されて以降、こうした取組が生命保険各社の経営努力により行われてまいりました。その結果、厳しい経営環境の中ではございますが、決算発表にもありましたように、平成十四年度は各社とも十分な基礎利益とソルベンシーマージンを確保できたものと認識してございます。しかしながら、現下の経営環境を考えますと、今後とも更に一層の経営努力が不可欠であると認識しております。
 さきに申し上げましたように、生命保険会社におきましては、その事業の信頼性を確保することが最も重要な課題であると認識しております。業界全体といたしましては、平成十年に生命保険契約者保護機構を創設し、セーフティーネットを充実するということによりまして生命保険に対する信頼の維持に努めてまいりました。また、平成十二年度からは三年間の期限付で政府の補助を可能とするセーフティーネットの整備を行っていただきました。これは実際には政府補助を申請することなく終了いたしましたが、先般、再度、平成十五年度から三年間の制度整備を行っていただいたところでございます。
 また、信頼の維持向上の観点からディスクロージャーの拡充にも努めてまいりました。一つは、フロー収益指標としての基礎利益を平成十二年度から開示しております。基礎利益は逆ざやを埋め合わせた上で更にどれだけ保険本業からの収益が上がっているのかということを表す数字でございまして、健全性を測る指標の一つでございます。もう一つの健全性の指標といたしましては、平成九年度決算よりソルベンシーマージン比率を開示しております。その後、破綻会社の例を踏まえた計算方法の見直し、その内訳の開示、半期ごとの開示など、信頼性向上のために不断の見直しが行われてまいりました。
 また、生命保険会社の経営状況は分かりにくいという声もございますので、こうした声におこたえする意味から、生命保険協会においてディスクロージャーの解説書の作成、配布を行うとともに、全社での逆ざやの定義の統一等を行っております。
 今後も、正確に生命保険会社の経営状況を御理解いただけるように、更なるディスクロージャーの推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
 さて、御審議されております保険業法の一部を改正する法律案についてでございます。
 生命保険会社の経営者といたしましては、これまで御説明してまいりましたとおり、逆ざや問題に対しては最大限の経営努力で対応していくべきであり、今回の法律案に示されております契約条件の変更を行うような事態に至らないように努めていくことがまず最も大事なことであると考えております。私は、この契約条件の変更の制度につきましては、真に保険契約者の保護に資するものであるのかという観点から検討が行われるべきであるとの考え方をかねてから申し上げてまいりました。この考え方は現在においても全く変わるものではございません。
 御審議されております法律案では、保険業の継続が困難となる蓋然性がある保険会社について、保険会社、保険契約者間の自治的な手続により、保険契約者等の保護の観点から、契約条件の変更を可能とする手続等の整備を行うこととされております。
 この趣旨は、あくまでも破綻前に予定利率を引き下げた場合の方が破綻処理を行う場合よりも結果として契約者にとって有利となるケースがあるならば、そうした場合には当該保険会社の御契約者を守り、救済するための選択肢を準備しようというところにあると理解をしております。もしそういう契約者保護のための手段を確保するという趣旨であるならば、私どもがそうした制度創設自体に反対するものではございません。
 繰り返しになりますが、生命保険会社としましては、予定利率を引き下げるような事態とならないように、すなわち保険業の継続が困難となる蓋然性が生じないように、ひたすら経営努力を重ねていくことが肝要であると考えております。保険契約の一つ一つを確実に履行し続けること、そして、そのために厳しい経営環境であっても必死に経営努力を行っていくことが保険契約者の利益につながり、生命保険に対する信頼の維持向上に資すると考える次第でございます。
 生命保険業界といたしましても、引き続き契約者保護のためにという視点から御論議をいただきますようにお願い申し上げます。
 簡単でございますが、以上で私の意見陳述とさせていただきます。
○委員長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、山下参考人にお願いいたします。山下参考人。
○参考人(山下友信君) 東京大学の山下でございます。
 本日は、本委員会で意見を申し上げる機会を与えていただきまして、大変光栄に存じております。私は、法律研究者としての立場から、保険業法の一部を改正する法律案について御意見を申し上げさせていただきます。
 私の基本的な立場は法律案に賛成ということでございますが、なぜ賛成するのかについて、今回、この法律案が提案する保険契約の契約条件変更制度がまとめられるまでの経緯を振り返りながら御説明したいと存じます。
 御存じのとおり、現行の保険業法は平成七年に全面改正が行われたものでございますが、全面改正前の保険業法には、主務大臣は行政処分により保険契約者の利益のために既存の保険契約の契約条件の変更を命じることができるという十条三項という規定が置かれておりました。これを存続するかどうかということが大きな議論になったわけでございます。大勢はこの規定は廃止ということになったものでございます。
 これは、十条三項が主務大臣の行政処分で私人間の契約内容を直接変更できるという我が国の法体系ではほかに例のない規定でございまして、幾ら、保険会社の経営危機に際して、破綻を未然に防止することにより、長い目で見れば保険契約者の利益になることがあり得るとしても、いかにも乱暴なものでございまして、規制緩和できるところは規制緩和し、規制すべきところは基準を明確にして保険監督制度の透明性を高めようとする新たな保険業法にはふさわしくないということ、それから、諸外国でも類似の規定は一九三七年というかなり異常な時代に置かれたドイツ法上の規定が戦後もそのまま残っていたという例があることにとどまりまして、ほかの国では例がないと、こういうことによるものでございます。
 こうして平成七年の保険業法では、保険会社が破綻した場合の処理をする行政手続だけが整備されまして、その後、平成十二年の更生特例法の改正で会社更生手続を利用できるようになりましたが、いずれも破綻処理のための手続であったということでございます。
 かくして、現行法では破綻前の段階で既存の契約の契約条件を変更するための制度を欠いていることになります。平成七年の時点でそのような制度の必要性について検討しなかったことについては、いろいろ今から振り返ると議論の余地があろうかと思います。その後に生じた状況は御存じのとおりでございまして、仮に現時点で保険業法を全面改正するということがあったといたしますと、既存の破綻処理手続だけで十分なのかを当然検討することになるんであろうと思われます。諸外国でそういう制度がないということはございますが、それはそれだけ我が国の生命保険市場が現在異常な事態に立ち至っているということを意味するものではないかと思っております。
 逆ざやが長く続きまして、いよいよ経営への圧迫の程度が高まり、平成十三年に金融審議会の下で初めて契約条件変更制度の可能性について検討することになりまして、私も議論に参加いたしておりました。その結果が平成十三年六月の中間報告でございまして、生命保険会社の財務基盤の充実やディスクロージャー、コーポレートガバナンスの改善を進めていくこと、それから国民、契約者の理解を得ることを前提に、破綻前に保険会社の自治的な手続として契約条件変更制度を設ける可能性を否定すべきでないということを述べております。
 この際の提案では、破綻処理制度ではない自治的制度として契約条件を変更するということでございますので、契約者の意向がより強く反映されるように契約者総会決議を必要とするなど、かなり慎重な手続といたしましたり、他方で、契約者の解約を防止するための制度的手当てがないということで、実行可能性があるのかという方向からの疑問も持たれることになったわけでございます。そういう中途半端な制度となったのは、破綻処理ではなく、自治的な制度ということを強調する余り、主務大臣の役割がはっきりしなかったということにも問題があったと思われます。
 今回の法律案では、平成十三年六月の中間報告の提案に内在しておりました問題を一応解決しているものと考えております。主務大臣の手続の開始時及び手続中の変更条件の承認等の任務、権限ということが明確化されていることで、自治的な手続とはいえ、開始及び変更内容の合理性の確保について主務大臣が責任を持つことが明らかにされたこと、既存の責任準備金の変更はできないことや予定利率の引下げの下限を設けたことなど、変更の内容について制限を設けたこと、第三者である保険調査人による調査が行われ得ることなど、自治的な手続が濫用されないようにするための手当てがなされておりまして、契約者の異議申立て手続を経ることと併せますと、実質的には破綻処理が行われるのと同程度の適正な手続ということが言えるかと思います。他方、契約者による解約に係る業務の停止を保険会社に主務大臣が命じ得ることができるとされていることなど、実行可能性を高めるための配慮もなされております。
 このように考えてきますと、私は、現在のかなりの危機的な生命保険会社の経営状況を前提とした上で、法律案が新設する契約条件変更制度について賛成するものでございます。有識者の中にはこのような制度に反対され、更生手続により対処すべきであるという意見があることは承知しております。更生手続による処理には損失負担のルールが明確になるなどのメリットがあることは確かでございますが、破綻処理手続という性格上、それほど早期に開始することはできないことや企業価値が低下するなど、副作用も大きいものがございます。保険契約者保護基金の資金援助枠が枯渇していることや、公的資金の負担が期限付のものであることなどを考慮してみますと、残った大手の生命保険会社について破綻を宣言するということが社会、経済に及ぼし得る影響を余り過小評価すべきでないというふうに考えております。
 法律案の契約条件変更制度は、制度として見た場合には、破綻に追い込む場合よりも契約者にとっての損失を少なくする危機打開の手段として活用できる場合があるということは言えようかと思いますので、そういう活用のチャンスがあり得るということでございますと、現状においての選択肢として用意することには意味があるのではないかと考えております。
 もちろん、制度を設けることの合理性と具体的な制度の利用事例の合理性は区別して考えるべきでございます。実際にこの制度の利用を申し出た保険会社において、契約条件変更がその場しのぎの便法にすぎず、結局破綻に至ってしまうようなことは絶対あってはなりません。契約条件変更は、多くの保険契約者に損失の負担を甘受してもらうことにほかなりませんから、幾ら破綻処理手続ではなく自治的な手続だとは言っても契約者の不信感を招くことは、これは避けられないことであります。
 そのような保険会社が健全な会社として立ち直るには、情報を十分に開示した上で、契約条件変更と同時によほどの経営改善措置が講じられなくてはなりません。その辺りの見極めを厳しく判断していくことは、この手続を利用する保険会社及び監督していく主務大臣の極めて重い責務であると考えております。
 以上が、簡単でございますが、私の意見でございます。どうもありがとうございました。
○委員長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、原参考人にお願いいたします。原参考人。
○参考人(原早苗君) 今日は参考人としてお呼びいただきまして意見を申し上げる機会を設けていただきましたことを、大変ありがとうございます。
 私の所属は大学の名前で読み上げられましたけれども、金融オンブズネットという消費者グループに三年前から所属をしております。今日の私の意見は契約者、消費者の立場から述べさせていただきたいというふうに考えております。
 実は、山下先生も御一緒なんですけれども、金融審議会で五月にこの問題が取り上げられました。一月末ぐらいから徐々にお話としては聞いてはいたんですけれども、具体的に金融審議会に上がったのは五月ということで、ここの場でいろんな議論が出たということは皆さんも御承知のとおりだというふうに思います。私は、その審議会の一番最後の場で、審議が不十分だから是非検討をもう少し尽くしてほしいという意味の発言を申し上げたのですけれども、その機会が設けられないまま、突然ここに参考人招致ということになってしまって、いかにも審議不十分という感が免れません。
 私が申し上げたい点は四点あります。
 一つは、その金融審議会の議論もそうですけれども、衆議院それから参議院というところで、生命保険の予定利率引下げ問題に象徴されるというふうに思いますけれども、この議論が検討されているということをほとんどの国民はまだ知っていないのではないか、それから、意見を申し述べられる場も与えられていないということが第一の大きな問題点だというふうに考えております。
 パブリックコメントを取るということもしておりませんし、それから公聴会にしても、今回のものが二日に公示されて、そして七日締切りということで、三日と四日の日ですね、慌てていろいろな人に当たったんですけれども、その間になかなか準備ができるというほどの人がいなくて、公聴会もどれだけの申出があったか大変気にはしているのですけれども、意見を申し述べる場も与えられていないということを大変危惧しております。
 山下先生からも御報告がありましたけれども、この問題については一昨年、一度、金融審議会の方では中間報告、中間取りまとめですか、出しているのですけれども、これについてはパブリックコメントが取られました。そのときは反対意見が大多数ということで見送られたという経緯があります。国民ですね、消費者、契約者の意識はそこのところで私はまだ止まっているというふうに思っておりまして、そこからここに至るまでの説明ということが非常に不足をしている、意見を申し述べられる場がなかったということが第一の、法案の中身に入る前に、手続的に大きな問題です。
 それから、二点目なんですけれども、これは法案の内容ですけれども、私は長く消費者問題を、二十数年携わってきておりまして、金融政策ということでこの問題は語られがちですけれども、消費者契約という場面からとらえたときに、幾つも大きな問題点があるというふうに考えております。
 一つは、私的自治ということで、契約者の意向を重視する、契約者の意思というものを確認するということが中間取りまとめでも大事、それで今回の場面でも、総代会とそれから異議申立てということでセットされているように、仕組みとしては整えられているように見えますけれども、不十分です。
 総代会は、これは私どもが、何というんでしょう、人選の権利、人選を一体どこがしているかということも考え合わせていただきたいと思うのですけれども、総代会は必ずしも契約者の意思を反映しているとは言えません。確かに、百万人の契約者を一堂に会する契約者集会なんて不可能ではないかという議論がありますけれども、それでは株主総会はどうでしょう。株主総会ももちろんそういう規模の株主がいますけれども開いているわけですね。そういうことから考えると、契約者集会を開いて契約者の意思を確認をしようという中間取りまとめから大きく後退をしていると。総代会が機能していない部分があるのではないかという、もちろん、何というんでしょうか、各社によって様々だとは思いますけれども、この七月に開かれた総代会でも二社ではほとんど質問も出なかったということが報道で出ておりますが、機能していない。
 それから、この異議申立てなんですが、実にたくさんの疑問点があります。実際には通知という形で来るわけですね。ですから、ほとんどもう決定をされた段階でマルかバツかという選択をするという形でしかあり得ないと。これが本当に契約者の意思を確認したことになるのか。
 それから、実際に、そのときに通知と一緒に提出されるというふうに言われている多くの書類がありますが、この書類も一体どういうものが来るのかということの議論もしておりません。それが本当に契約者が判断できるほどの資料として提供されるのかというところに疑問があります。
 それから、一か月という短い期間ですけれども、この間にもっとこういう情報を知りたいとか、もっとこの辺りの資料を知りたいというふうに申し出たときに、この一か月の間で本当にやり取りができるのでしょうか。
 それから、何というんでしょうか、契約者ということで、契約の予定利率三%を超える契約者にこの通知を出されたとして、三%に近い予定利率の人と六%に近い予定利率の人では選択に違いが出てきます。そうすると、グループとしての妥当性ですね、それも本当に妥当であるかというところでは、選択としてはいろんな意見が出てくる可能性というものを否定できなくて、グループとしての妥当性も疑問に思っております。
 それから、通知という形で来て、そして異議申立てということになるわけですけれども、私としては、例えば自分がそういう通知をもらったときに、いや三%ではなくて四%にできないんだろうかとか、再生手続に入っていただいた方がいいとか、それから合併という選択肢もあるのではないかといういろんな意見が契約者としては出てくると思うのですけれども、それを言う場面が全くないというのはやはり実におかしいというふうに思っております。ですから、これを私的自治というふうには私は言えないというふうに考えております。
 もう一つの問題点は、内閣総理大臣が三か月の解約停止という期間を設けられます。最悪の場合、この三か月の期間に破綻をするということがあるわけですけれども、自分自身は予定利率引下げに反対の意思表明をしていた、何らかの方法を考えてほしいというふうに言っていたのに破綻をしてしまった場合、解約の意思を封じられているわけですよね。そういう中で、内閣総理大臣としてはどのような責任をお取りになるつもりなのかというところも不明確です。
 それから、消費者契約というところから申し上げますと、消費者の権利というところから申し上げますと、消費者は情報を与えられて、適切な情報を与えられて選択できる権利というのは、消費者の権利としてはとても大きなものとして確立をしております。ですから、情報を与えられて選択をできる権利というところが、今の取られている総代会と異議申立ての仕組みでは実現できていないということです。
 それから、消費者契約法の話も一言触れさせていただきたいと思うのですが、消費者契約法という法律があります。これは生命保険契約も消費者契約の一つということになります。そうなると、事業者に一方的に有利な条項は不当条項として無効とする条文が第十条に入っております。それに該当するおそれはないのかということもまた私としては懸念をしておりまして、この議論は全く尽くされておりません。
 それから、時間があと二分ぐらい、申し訳ありません。
 もう一つは、実際にこの法律が施行された場合は、不利な人がやはり残されてしまうということです。
 それから、解約が、三か月後に解約が殺到するということも予想されますけれども、それよりは新規契約が入らないというふうに思っております。それは、株価が下落しているよりよほど生保会社にとっては深刻なことではないかと思います。
 それから四点目ですけれども、再生手続と予定利率引下げと比較考量した場合、予定利率引下げの方が有利だという根拠は全く示されておりません。これは、早期に再生手続に入れば遜色のない結果が出ているということは東京生命の事例を見れば分かるとおりです。
 それから、最後、一言ですけれども、生命保険業界の苦しさは私は構造的なところにあるというふうに考えておりまして、カンフル剤的な予定利率引下げで解決できる問題だというふうには考えておりません。この道を開くと、リスクのある、リスク管理に失敗をしてしまうと契約条件の変更というところに持っていくのではないか、それをいつ持ち出されるか分からない商品だということに私は道を開くのではないかというふうに考えておりまして、生保会社にとっても私はいい選択ではないというふうに思いますし、それから、実際に一人の契約者として考えると、預金の金利も今ありません、それから年金もどうなるか分かりません、この保険というところがまたこれで崩されてしまうと、本当に生活のよりどころというところがめちゃくちゃになってしまう人たちも多いということです。
 今からでも遅くはないので、是非、国民に説明をして、意見を聞く場、パブリックコメントを求めるということからまた始めていただきたいというふうに考えております。
 時間を超過いたしました。申し訳ございません。
○委員長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、植村参考人にお願いいたします。植村参考人。
○参考人(植村信保君) 格付投資情報センター、通称R&Iと言います。ここの植村と申します。
 本日はこのような貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
 私は格付会社で主に保険会社を担当するアナリストをやっています。日ごろから、生保、損保もそうですが、生保の経営内容やその前提となる金融情勢、更に規制環境についてウオッチしています。もちろん、今回の予定利率引下げスキームについても強い関心を持っています。
 格付会社として、予定利率引下げスキーム導入そのものの是非についてはコメントする立場にはないと考えています。ただ、法案によると、契約条件の変更を内閣総理大臣に申し出ることができるのは「保険業の継続が困難となる蓋然性がある場合」となっており、破綻前の予定利率引下げとはいえ、実質的に破綻処理に近いというふうに私は考えています。つまり、従来の更生手続などの法的な整理に対して、予定利率引下げスキームはあくまで保険会社と契約者の自治的な手続による私的整理という選択肢を作ろうという話だと思います。
 しかし、今回の法案は選択肢を広げたことにはなりませんし、無理に使おうとすると日本の生保産業の信用力を揺るがす非常に危険なものになりかねないという懸念もあります。なぜ選択肢を広げたことにならないのか。それは、保険金額の削減という形で多数の契約者に負担を求める以上、契約者が納得できる仕組みにしなければ現実には機能しない可能性が高いからです。
 いろいろ言いたいことはありますが、以下、三つの問題点に絞って説明いたします。私、参考資料を用意させていただきましたので、この参考資料の二枚目をごらんください。
 第一に、生保の逆ざや問題がどの程度深刻なのかを示す情報がほとんど示されていないのに、なぜ今回予定利率引下げスキームの制度化を急ぐ必要があるのかと、こういう問題です。
 生保の基礎的な収益力を示す指標には、先ほど横山さんからも基礎利益のお話がありました。直近の決算データでも主要生保の基礎利益は大幅な黒字が続いています。基礎利益が黒字ということは逆ざやによる損失を他の差益で十分カバーできているという説明が業界からなされています。それならば予定利率引下げスキームを急いで整備する必要はありません。
 この参考資料の次のページ、三枚目、ごらんください、ちょっと字が細かくて申し訳ないんですが。
 私自身は、アナリストとして、基礎利益は生保の収益力を必ずしも反映していないと考えています。資料では、生保の基礎的な収益力とはちょっと考えにくいというものを修正項目として修正して除いたことで、主要生保の実質的な収益力を探っています。細かいですけれども、外債投資による運用収益の増加部分とか団体保険の配当所要額とか、こういったものを差し引いています。これを、ごらんいただきましたとおり、一番下の欄を見ても、各社の実質的な収益力は基礎利益よりも大幅に小さいと考えるのが妥当です。
 生保の逆ざや問題が深刻なのは、今は逆ざやをカバーできていても、近い将来カバーできなくなる会社が現れるという懸念が払拭できないということです。ところが、今の情報開示では、試算によりこういう収益力の実態というのはある程度つかめても、将来の手掛かりがありません。これは、いわゆる費差、死差、利差の三利源が開示されたところで、事態はそれほど変わらないと思います。一定の前提に基づいた将来情報の開示がなければ、なぜ予定利率引下げスキームが必要なのかを契約者に理解させることはできないと思います。
 参考資料の二ページに戻っていただきまして、第二に、予定利率引下げスキームは更生手続などの法的な破綻処理よりも有利なのか、全く検証がなされていないということです。
 これまで生保の破綻事例は七件あります。確かに、過去の破綻処理を個人的に検証してみると、いずれも契約者にとって非常に厳しい内容になっています。
 一般に成功事例と言われる東京生命の場合でも、責任準備金の削減がなかったと言われていますが、実際には積立て方式の変更という非常に分かりにくい形で削減が行われています。基金や劣後ローンを全額カットできる、これは更生手続の優れたところです。ただ、残る債務超過額はすべて既契約者の負担で賄われており、再建スポンサーもセーフティーネットである生命保険契約者保護機構も全く負担していません。
 破綻処理の本質は再建スポンサーによる破綻生保の買収交渉です。管財人は、言い方は悪いですけれども、再建の足かせとなる既契約者の権利を守るよりも、少しでもその会社を早く再建することに重点を置いているため、契約者の負担が必要以上に高まってしまうという構図になっています。
 ただ、これは私があくまでも個人的に検証したのにすぎず、そもそも、過去の破綻処理について公の場で検証し、問題点を明らかにしたことがあるのでしょうか。政府からは簡単な試算が示されただけです。このような検証もないままに、破綻よりも有利と主張しても、全く説得力がありません。
 それから三点目の問題として、これが最も重要かもしれませんが、せっかく予定利率を引き下げても、それほど時間がたたないうちに経営が行き詰まってしまう可能性を否定できないということがあります。言わば、まあ破綻前だから再破綻とは言わないかもしれませんけれども、再破綻を避ける手だてが何ら示されていないので、これでは怖くてだれも自主的にはスキームを使えないのではないかと思います。
 実際の予定利率引下げの程度にもよりますが、新契約の予定利率が一%台という現実を冷静に考えれば、解約して他社に乗り換えるのは不利な場合が大半だと思います。ただ、生保への不信感から解約が殺到するおそれもあり、万一に備えて再建スポンサーの登場に期待したいところです。ところが、破綻会社の買収とは違い、厳格な資産査定もままならない状況の中で、予定利率の引下げだけでスポンサーが現れるでしょうか。現れなかった場合は一体どうしたらいいのでしょうか。政府が全面的に支援するというのであれば話は別ですが、今回の法案は、入口では政府の承認という手続を踏みます。でも、あくまでも保険会社と契約者の当事者同士で決めてくださいというスキームです。今回のスキームを使おうとする会社には相当な覚悟が必要だと思います。
 この三点に加えて、今回の予定利率引下げスキームを、相互会社ばかりでなく、株式会社にもそのまま認めるというのは非常に問題が大きいと思います。
 今回のスキームは、相互会社の基金や劣後ローンの削減が盛り込まれていないという問題もありますが、それ以上に、株主責任を全く問わずに契約者の権利を削減しようとするのは強い違和感を覚えます。
 以上の点から、今回の予定利率引下げスキームは契約者保護の選択肢を広げたことにならないと考えます。ちょっともう少し時間を、済みません。他方で、政府が無理にスキームを活用しようとした結果、生保産業の信用力が一段と低下する懸念もあります。
 これは、参考資料四枚目、最後のペーパーなんですけれども、こちらをごらんください。現在の早期発見、早期処理という仕組みがこの三つあるわけですけれども、この三つがほとんど機能していない。これらを全くいじらない、放置したままで今回の予定利率引下げスキームだけが導入され、しかも基準があいまいなまま使われるとなると、契約者による生保会社の選別が一段と進み、場合によっては、生命保険という国民の重要なインフラを揺るがすことになりかねないと考えます。
 で、私が言いたいことは、この予定利率の引下げという、契約者の負担で生保経営を立て直そうという非常手段を導入しようとするのですから、このような場合、法案の成立を一気に目指すのではなくて、もっとじっくり議論するべきですし、予定利率引下げスキームだけではなく、もっと総合的な観点から、例えばこのソルベンシーマージン比率の見直しとか将来収支分析の見直しとか、こういったものを有効に使える形で全体的に生保産業の再生を検討するべきではないかというふうに考えます。
 御清聴ありがとうございました。
○委員長(柳田稔君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○中島啓雄君 自由民主党・保守新党の中島啓雄でございます。
 本日は、先生方には早朝から貴重な御意見を聞かせていただきまして、誠にありがとうございました。時間も限られておりますので答弁は是非簡潔にお願いしたいと思いますが、まず山下参考人と植村参考人にお伺いしたいと思いますが。
 今回の法律、要するに予定利率を変えるということでありますから、契約を途中で変えると、これはおかしいじゃないかというのは契約者の感情としては当然な話だと思いますが、ビジネスの世界では、重大な事情変更があった場合には双方の合意によって契約変更というのは別に珍しいことではないと。銀行が企業等に貸し出す場合には、通常の場合、都銀等は変動金利になっておりますし、これは契約書には書いてあるわけですけれども。
 そういうことで、今回の法制は、保険業の継続が困難となる蓋然性がある場合というようなことで、言わば緊急避難的に作る法制ということなんで、これはやむを得ないことだろうと思っておりますが、長期的にはちょっと問題があるんじゃないかということで、今までの議論とちょっと違う観点から議論させていただきますと、要するに、二十年、三十年以上にわたる生命保険の長期契約で、予定利率をもう三十年以上固定するんだという前提で保険料も保険金も固定をするという商品設計そのものにかなり無理があるのではないかと。アセット・ライアビリティー・マネジメントの観点からいけば、二十年、三十年続く契約は二十年、三十年固定で運用できるような運用先がかなりなければならないと、こういうことだと思いますが、実際はそういう商品というのはほとんどないと。
 こういう現状からすると、先ほど山下参考人がおっしゃいましたように、改正前の保険業法では主務大臣が行政命令で変更できると、これはちょっと乱暴な話だと思いますが、将来に向かって、例えば五年ごとに見直すとか、そういうことで予定利率を変更できるような法制なりあるいは約款というのがあってもいいんじゃないかというふうに思いますが、その辺について御意見をお二人の方からお伺いしたいと思います。
○参考人(山下友信君) 今回の契約条件変更制度は、確かに、いったん約束した契約を途中で変更するもので、こういうのは事情変更の原則という法律上の一般的な原則がございまして、そういうものを根拠に可能となるんではないかという考え方もあり得るかと思いますけれども、この事情変更の原則というのは学界でもどういうものかまだ余りはっきりした考え方が確立しておりませんで、今回のこの法律案における契約条件変更制度と申しますのは、どちらかというとそういう考え方よりは、現状の危機においてこれをどういうふうに打開するのが契約者及び国民全体にとって一番コストが少なくて済む手続であろうかと、そういう観点から出てきた非常に特殊な法律制度というものではないかと思っております。
 それで、生命保険で確かに二十年、三十年予定利率を固定することに無理があるというのは、私も正にそういう認識でございまして、これを可能とするのであれば、責任準備金の積み方の規制とか、そういうものについてよほど慎重な規制が必要になってくるということでございますし、商品としてこれが、この競争がますます厳しくなって不安定さが増していく金融市場の中でやはりどこまでこれ、今までのビジネスモデルがもつのかという疑問はございますので、そういう変動金利型といいますか、契約条件を変更するような商品というのもこれからはやはり増やしていくのが望ましい経営ではないかというふうに私個人としては考えております。
○参考人(植村信保君) 私は法律の専門家ではありませんけれども、この契約条件が変更できるという通常のビジネスの中でという話については、双方がやっぱり納得、合意した上でだと思います。実質的に片方が合意するという手段を、無理やり強制的に合意される、するというか、そういう形だとちょっとこれ、契約条件の変更というのは普通のビジネスではないのではないかというふうに思います。私も山下先生と同じく、危機対応としてこういうものが考えられているというふうに考えます。
 ただ、予定利率を長期の間、固定した商品が無理がある。まあ無理があると言ってしまえば簡単ですけれども、元々こういった商品を政府が認めてきて、当然認可もしてきて、また保険会社の免許制度ですから、かなり広範にわたって監督をする権限も政府に与えられている。そういう中で、ここだけ自治的な手続でという形でおっぽり出すのは非常に違和感がありまして、であれば、よりもっと政府の信用の下に、若しくはその信用の裏にはもちろん責任というのがありますけれども、こういった下に手続が考えられるというのだったら一つの考え方だとは思うんですけれども、ちょっと今回の件というのは、商品設計に無理があるから、それじゃそもそも成り立たないからこの予定利率引下げというものを後から約款に入れるというのはちょっと理屈が合わないのではないかというふうに個人的には考えます。
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 別に、後から約款に入れるというんでなくて、私は今後の問題としてどうかという質問をしたつもりだった。結構でございます。
 それでは、横山参考人に、同様の質問になりますが、予定利率の引下げについて、法律が施行されても極力そのようなことがないように努力をするというのは、一見契約者にとってはもっともな御議論であるとは思いますけれども、長期的な視点で考えた場合に、経営の効率化というのは当然な話でございますけれども、二十年、三十年、今申し上げましたように利率を固定するという商品設計そのものは私は問題があるんじゃないかと。
 ですから、今後の商品設計としてはやっぱり変動型の商品というのが主体になるということでないといけないのではないかという気がいたしておりまして、現在、一応変更を行わなくてもソルベンシーマージン等はクリアをしていますということの裏には、結局、死差益とか費差益でもってかなり多くの利益を出して、それで逆ざやなり有価証券の評価損等を賄っていると、こういうことですから、これ、やはり監督当局の認可の責任もあるかもしれませんけれども、やっぱりどうも健全な状態ではないと。欧米の場合には変動型というのが主流になっているように、長期のものについては聞いておりますので、やっぱり今後、商品設計そのものを抜本的に見直すべきではないかと思いますが、その辺についてはどうお考えでございましょうか。
○参考人(横山進一君) 御指摘のように、生命保険契約というのが非常に長期にわたるということで、今回のような超低金利ということは当時は想定できなかったと。もうこれ、私は、どちらかというと百年に一回あるかないかのそういう超低金利がこれだけ続くというような事態は、過去に先進国でも例のないくらいの状態だというふうに考えているわけですね。
 しかしながら、御指摘のように、今後の商品設計の在り方という点につきましては、こういう経験も踏まえまして幾つかのいろんな工夫がなされておりまして、現在、アカウント型の商品というのがありまして、我が社のアカウント型商品については三年ごとに予定利率を見直すといった商品設計をしておりますし、また定期付終身保険についても更新型が主流になっておりますけれども、更新型という商品は定期部分については十年なり十五年なりの期間がたちますと新しい予定利率が適用される、その時点での予定利率が適用されるといったこともございますし、そういったことでいろんな工夫がなされております。
 また、変額保険といったものも現在発売されておりますけれども、銀行窓販等では変額の保険が大変売れているというような状況もございますし、各社とも、そういった今回の経験を踏まえていろんな工夫をしているというふうに考えております。
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 では、原参考人にお尋ねしたいと思いますが、手続上の問題点についていろいろお話ありましたが、同時に、今の保険商品の宣伝なり情報開示という面で、例えば各社のホームページなどを見てみると、予定利率が幾らという前提で設定してあるかというふうな情報はほとんど出ていないんですね。
 そんな意味で、これも今後に向けてという意味で、保険商品の情報開示という面でどういうことを改善していったらいいか、御意見があればお聞かせいただければと思います。
○参考人(原早苗君) その予定利率という言葉なんですけれども、確かに消費者は、この言葉というんでしょうか、を二年ぐらい前までは本当に知らなかったというふうに思います。ですから、二年前に商品設計がどのようにされていて、こういった運用をされているのだというところにようやく消費者側も関心を持ち始めたというところで、それ以前にディスクロージャーの充実ということは言われていて、各企業の事業者の経営状態についてのディスクロージャーというのももちろんありますけれども、商品そのものについてのディスクロージャーですね、特に最近は複雑な仕組み商品が増えてきていて、変額個人年金保険もございますけれども、そういう意味では商品そのもののディスクロージャー、情報開示の仕組みということを丁寧にしていっていただきたいというふうに思っております。
 そういう中で、予定利率の理解ということも進むんだろうというふうに思いますし、そういう商品設計で妥当なのかどうかというところについての選択とか、それから意見も消費者側は言えていくようになるというふうに思っておりまして、企業情報の開示と併せて商品情報の開示ということは是非お願いしたいというふうに思っております。
○中島啓雄君 ありがとうございます。終わります。
○勝木健司君 民主党・新緑風会の勝木健司でございます。
 本日は、参考人の皆様方にはありがとうございます。私も与えられた時間が十五分ですから、御答弁はできるだけ簡潔にお願いをいたしたいと思います。
 それでは質問をさしていただきたいと思いますが、今回のこの保険業法の改正は、保険業の継続が困難となるこの蓋然性のある保険会社が予定利率を引き下げるということで、逆ざやの解消を図ることを可能にしようとするものでありますが、そもそもこの生保の逆ざや問題が生じたのは、政府、日銀による超低金利政策に原因があることは明白であろうかというふうに思います。
 生命保険会社は、自己の意思にかかわらず、政府が行ってきた経済政策の影響を直接的に受けてきたという側面があったことは否定できないと私は思います。
 私は、ここまで生保を追い込んだ政治また金融行政のこの責任は大きいというふうに考えておりますが、竹中大臣は常々、反省というところまではおっしゃっておるわけでありますけれども、この点につきまして、山下、原、植村参考人に一言ずつ御感想をお願いしたいと思います。
○参考人(山下友信君) 私は、政治的な責任を当局者がどのように負うかというのはお答えする立場にはございませんけれども、やはり経済全般がこういうバブル経済の破綻以後、非常に難しい状況に立ち至ったということが現在の生命保険会社の厳しい経営状況につながっているということは否定できませんが、じゃ、これまでのプロセスで、どういう時点でどういう政策を取れば最善であったか、あるいは今のような状況を避けられたのかということになると、私も経済の専門家ではございませんので、とても自信のあることは言えませんが、全般的な感想を申しますと、一歩ずつ取る手が後れているという、それは我々研究者の側から見ましても、やはりどういう手を打つかというのは、なかなか未曾有の状況ということがございまして、政策を研究者としての立場でもタイムリーになかなか打ち出せなかったと、そういうことがございました。
 そういう面では、私どもも広い意味での責任はあるのかと存じます。
○参考人(原早苗君) 私は、もう一言。
 確かに、こういった金融政策とか経済政策というところがこういった生保会社の苦しさにもちろん結び付いているところというのはあるかという、もちろんありますけれども、それはその商品設計の問題であり、それから金融庁はずっと認可をしてきていたわけですから金融庁の責任もありますし。
 私としては、もう本当に一言言いたいのは、先ほど植村参考人がおっしゃられたように、そういったことを契約者の負担でやるのかという、生保会社を救うということをやるのかということです。だれだって苦しいですよね、今のこの金利政策の中では。それを生保会社だけ救済するんですかというのが一般の感情だというふうに思います。
○参考人(植村信保君) 低金利政策という、そこで政府の責任が今回の問題にあるというような形では考えていません。ただ、政府の責任ということであれば、金融機関、生命保険会社を含めて金融機関を監督してきた行政の責任というものはほとんど何ら問われていないこともありますし、過去の反省というのをもっと本当はした方がいい、責任を問わなきゃいけないと、そういうふうには思っています。
 基本的に金利については、短期金利は行政というか日銀のコントロールと言うことができるのかもしれませんけれども、特にこの生保に大きな影響を与えている長期金利については、政策というだけではなくて基本的にはマーケットで決める。マーケットで決めるということは、結局は経済環境、今後どういうふうな状況になっていくのかというふうにマーケットが見る、これで決まっていくんだと思っています。
 じゃ、生命保険会社の方にどうなのかという話なんですけれども、行政の責任というよりも、やはり今回の逆ざや問題の第一義的な責任は生命保険会社の当時の経営、経営者ですか、こちらのところにあると思っています。要は、そのリスク管理というところが非常に甘かった、金利が高い時代に高い住宅ローンみたいなものをどんどん使っちゃったと、そんな感じだと思います。
○勝木健司君 それでは、横山参考人にお伺いいたします。
 先週ですか、この二日開かれました十四年度の決算の総代会におきましては、各社とも予定利率を引き下げることを考えていないという、その必要はないとの見解を示したと聞いております。また、二年前でしたか、生保の予定利率引下げが論議されたときには、生保各社は、申請方式だと風評が立つといって一斉に反対をしてこられたわけであります。今回、政府の申請方式による予定利率引下げを生保業界が受け入れたその背景はどこにあるのかということで、そこら辺をお伺いをしたいというふうに思います。
 それと、もう一点は、今回の方式も申請方式でありまして、生保各社がこのままでは保険業を続けていくことが難しいと判断したときに申請できる方式でありますが、現実には、金融当局から申請を促してくることも現実的にはあり得るというふうに思うわけでありますが、仮に金融当局から申請をするようにとの指導等があった場合は、業界としてどのような対応を取られるのか。
 また、申請方式という当局に非が及ばない仕組みを表向きは取りながら、実は当局の思いのままに生保業界を動かそうとする当局の思惑が背景にあるのではないかという疑念もあるわけでありますが、この点について参考人はどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
○参考人(横山進一君) 先ほどの第一点目の御質問でございますが、以前に、二年前に金融審議会で議論が行われたときには生保会社は大半反対をいたしましたのは事実でございますが、この理由は、今回受け入れることになりましたという理由は、当初の案は、先ほど山下参考人も意見陳述で申し上げておりましたけれども、解約の停止が基本的にはできないというスキームがございました。
 もう一点は、契約者集会を実行するというようなことで、現実には、例えば我が社の契約者集会をやるといたしましたら、八百数十万人の御契約者に御案内をして契約者集会を開くという、現実的には非常に不可能と思われるような内容が含まれていたということでございますが、今回の法案では、解約の停止は基本的にできるということと併せて、契約者自治の手続も、総代会の四分の三以上の賛成並びに十分の一以上の異議の申立てがないというような手続を経て予定利率の変更をすることができるという内容でございますので、そういった工夫がなされていることによりまして、この制度は前回の制度に比べて格段に良くなっているということでございまして、今回はそういう選択肢を準備することは反対はしないということに意見を変更いたしました。これが一点目でございます。
 二点目の、金融当局からそういう指導があった場合にどうするのかということでございますが、私ども経営者といたしましてはあくまで経営判断ということでやるべきでありまして、今回の法案の趣旨も、金融当局からのそういう勧めがあってするというふうにはなっておりませんし、たとえそういうことがあった場合については、これは契約者の権利にかかわる重大な問題でありますので、そこについてはその指導には従わない、あくまでも自らの判断で決定をするというふうに考えております。
○勝木健司君 続いて、原参考人にお伺いしたいと思います。
 保険契約者による異議の申立ての要件についてでございますが、今回のスキームにおいては、契約条件の変更対象となる保険契約者数の総数のうち十分の一ということを超える者が異議を申し立てる、また、かつ異議を申し立てた者の保険契約債権に相当する金額が変更対象契約者の債権総額の十分の一を超えなければならないとされておるわけでありますが、このことにつきまして、異議申立ての要件というのが契約者にとりましてハードルが高いのかどうか、それとも容易にクリアできるのかどうかということも含めまして、長年消費者運動に、経験されております原先生の御意見を一言お聞きしたいと思います。
○参考人(原早苗君) 二年前にもこの十分の一という数字は示されていました。そのときは、事業者側の方からすると十分の一というのは低いハードルである、やすやすと超えられてしまうのではないかという意見がありました。私は、消費者側の意見、消費者運動に長年携わっていて、この十分の一のハードルは非常に高いというふうに思っております。
 というのは、期間が余りにも短いですね。この間に判断できる材料を与えられて本当に判断できるのか。それから、個々の契約者は集団として置かれているわけではなくて通知は個別にもらいますから、そこで自分の判断ということになるわけですね。そうすると、出された材料で本当に判断ができるかということは大変疑問で、あとは、その通知はほとんどマル・バツという択一式の選択でしか来ないというところで、消費者側の心理としては、これも審議会の場で申し上げたんですが、どういう形でこの通知にいろんな書類は付けられるのですかというお話を申し上げて、その内容によって消費者側の判断は、契約者側の判断は食い違ってきます。
 というのは、もうこの条件、予定利率引下げをのまないと破綻をしますというふうに言われたら契約者は丸を付けざるを得ないですね、引下げに賛成と思わざるを得ない。異議を申し立てるということは、ひょっとすると破綻の道を開くのかもしれないとなると、消費者側としては、個々の消費者ということになってしまうと非常に慎重になってしまって、この十分の一の壁というのはとても高いものになるのではないかという懸念をしております。
 その結果が、私としては、先ほども申し上げたとおり、最終的には私は早期破綻に結び付いていく、解約をしようにも解約ができない、閉じ込められた、意思も閉じ込められた状況で、新規契約が入らずに、将来的に、近い将来に早期破綻に陥る可能性が非常に高いというふうに思っております。
○勝木健司君 次に、植村参考人にお伺いいたします。
 この基金及び劣後ローン拠出者の責任についてお伺いをいたしたいと思います。
 今回のスキームにおきましては、確実に負担を強いられるのは契約者だけでありまして、本来ならば、契約変更に先立って基金及び劣後ローンなどを取り崩して損失を埋め合わせる財源とすべきでありますけれども、残念ながら現行法では、更生特例法以外の手続によって、拠出者の同意なくしては取崩しはできないこととなっておるわけであります。
 こういうことで、基金などの取崩しを行わずして、本当に契約者の理解を得て保険会社が確実な再建をすることが可能なのかと。困難じゃないかというふうに私は思っておるわけでありますけれども、保険会社の自治手続にゆだねられておるということでありまして、結局、負担を契約者のみに押し付けて、これではいわゆる銀行救済の手だてではないかというふうにも言われておるわけでありますけれども、この点についてどうお考えかをお伺いしたいと思います。
○参考人(植村信保君) 先ほどお話をしたとおり、今の基金の問題点ということは余り触れてはいませんでしたけれども、そもそも今回の議論されている法案が機能しない可能性が高いというふうに考えているというのが私の意見です。
 今の、基金、劣後ローンの削減ができるできないという問題、確かにここも契約者にとって大きな問題点だと思います。実際、ここはただ、そうですね、基金をだれが出していて、任意に削減を求めるという、これはできると思いますし、公の場で、例えばどこはカットしました、どこはそのままですということが分かるようにして、そういうプレッシャーを与えるということで対応するしかないのかなという感じがします。
 確かに、更生特例法の議論のときには、それ以前の破綻処理に比べて一般債権、この基金や劣後ローンが削減が容易であるということが更生特例法の最大のメリットとして議論されたという記憶がありますので、それが後退するということは間違いない。この部分、契約者にどう納得させるのか。逆に言うと、契約者の不信感を高める要因になってしまうということは事実です。
 以上です。
○勝木健司君 ありがとうございました。
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
 今日は、参考人の皆さん、御苦労さまです。
 それでは、まず横山参考人に伺いたいんですが、既に中島委員や勝木委員からも聞かれたことなんですが、先ほどの説明でもありました。要するに、今度の法律が通っても、こういったものについてはとにかく利用しないようにしようじゃないかと。既に、六月二十一日の日経に出ております横山さんの記者会見でも言われてきておるということを今日もおっしゃったわけですが、要するに、制度ができても、会社は死に物狂いで頑張ろうじゃないかということなんですね。もし、そのときの発言でこういうこともあるんですね。現実に引き下げるところが出れば契約者の不安心理が高まり、生保全体の解約が増える可能性があると解説なさったというふうにあります。そのとおりだろうと私も思います。
 そこで、こういった御発言なさる背景なんですが、私、経営者としての覚悟としては確かにそうなんですけれども、それだけじゃないんだろうと。一昨年の金融審におきます審議や、それから中間報告として出されたたたき台を読ませていただきましたが、その中に、要するに、個々の生命保険会社の財務状況のいかんにかかわらず、全社一斉の条件変更についても検討が行われるべきだといった意見もあったとあるんですね。これは正に、会社にしてみれば誠に都合のいいことでして、経営云々言わないで一斉に引き下げられて救済されるといったようなことがあるわけですね。こういった物の考え方というのがあなた方の生命保険会社の中にあってのその御発言じゃないのかなというふうに勘ぐりたくもなるんですが、そういったことの関連について、ちょっと御説明願いたいと思うんですが。
○参考人(横山進一君) 今のお話については、私どもは、予定利率の引下げ法案が成立いたしましても使わないという覚悟を申し上げた次第でございまして、その意見に変わりはないということでありまして、先ほど御指摘のような、一斉引下げを希望しているんではないかというような気持ちは一切ございません。
○池田幹幸君 それでは、山下参考人と原参考人に伺いたいんですが、審議会関係のことで少し伺いたいと思います。
 ともかく、これは契約の一般原則を破って、簡単に言えば契約違反してもよいよというふうに認める法律なんですから、それをやる以上は相当な条件がクリアされなければならないということでいろいろ審議なさっておられます。山下参考人が審議委員として御発言なさったのを私、読ませていただいたんですけれども、要するに、変更をするための合理的な理由とか変更内容が合理的であるかどうかといったことを客観的に分析できるようなものにしなけりゃいかぬということとか、ディスクロージャーの必要性云々もずっと述べておられます。
 私、今非常に重要だと思いましたのは、余り厳格な手続というものにした場合、実際上ワークしないという問題があると。そこで、その調整をぎりぎりのところで図ってみたのが最後の一枚の基本イメージということで説明されたような仕組みということで、本当にぎりぎりのところを考えてみるとこういうことかなというわけですとおっしゃった、そのぎりぎりの仕組みの基本イメージなんですが、それの中には先ほど原参考人もおっしゃった契約者集会による議決、これが入っているんですね。これはもうぎりぎりの線で譲っちゃならないというふうにこの当時言っていたのが、今度の法案では簡単にもう超えられちゃったと、これ要りませんということになってしまったんですね。このことについて一体どのようにお考えになっているか、お二人の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(山下友信君) 平成十三年のこの中間報告に添付されておりましたスキームでは、確かに契約者変更、契約者総会決議を要求するということがございました。これは、当時はこういう制度を初めて提案するということもございまして、やはり類例のない制度だから相当慎重な手続としておかないと契約者の御理解いただけないだろうということで、そういう手続を要するということにしていたわけでございますが、他方、こういう契約条件変更制度そのものに反対だという方もいらっしゃれば、こういう制度を置いた、こういう手続を経ることにした結果、使い物にならないのではないかというふうな意見も非常に強くございまして、その辺りが今回の案では修正されてきた理由になっているのかなというふうに思います。
 それから、先ほども申し上げましたけれども、この平成十三年の案の段階では、行政の役割というものがもう一つはっきりしておりませんで、非常に自治的な手続であるということを強調していたわけでございます。その辺り、今回の案では、行政が手続の開始時及び変更条件、変更の内容につきまして責任を持って契約者の利益にかなうかどうかという判断をするということでございました。その辺りが前回の案とは変わっておりますけれども、今回の案になっているということで、これはぎりぎりのところで致し方ないのかなというふうに現在では考えておる次第でございます。
○参考人(原早苗君) この契約は生保会社と消費者との個人の契約です。ですから、本来、契約変更するのであれば生保会社とそれから契約者が納得いくまでお互いの情報とかその資料を用いて説明をして、それでお互いが合意をすれば契約変更は可能だと思いますけれども、それは全く顧みられていません。次善の策として契約者集会というのがあるというふうに思いますけれども、二年前の議論ではやはりその契約者集会というようなステップを踏むということで契約者の意思を確認しようというふうに、それが趣旨でしたけれども、それも今回はなしというふうになっていて、三番目の案として考えられたのが総代会と異議申立てということのこの組合せですけれども、先ほど申し上げたとおり、これは契約者の意思確認の方法としては不十分である、不的確であるというふうに考えております。
 申し上げたい点は二つありまして、一つは、今回、その代わりに行政がかなりチェックをする、確認をする、それから、そういう形で乗り出してきているので、以前の裁量行政に戻る可能性というのがあるというふうに思っておりまして、そこが一つ大きな問題です。
 それから、もう一つは、今おっしゃられたような疑問を私も大変感じておりまして、審議会での議論をもう少し尽くすべきだし、パブリックコメントも取るべきだしというふうに思っております。それが一回で終わったというところが非常に大きな不満です。
 以上です。
○池田幹幸君 一昨年から審議してこられて、しばらくお休みをして、今年に入って五月十二日、一回だけの審議会でこれが終わったということなんですが、あれ読ませていただいたら、審議会では何ら結論を出さないまま終わったんじゃないかなというふうに私は思うんですね。
 それで、どうもいろいろと見ますと、ほとんどの方が反対しておられたようなのが何となしにこうやった形で現れてきたなと思いまして、それで一つお二人に伺いたいのは、そうではあっても、審議会として今度の法案についてはエンドースしたのかと、池尾委員はエンドースしていないよと言っておられたというように思うんですけれども、最終的には座長さんが一人一人御確認できるような形にしますと言っておられたんで、その後会議は開かれないけれども、何らかの形でそういった形で御了解なさったのかどうなのか、そういった話が掛けられたのかどうなのか、そのことだけちょっとお二人に伺っておきたいと思うんですが。
○参考人(山下友信君) もう議事録が公開されているかと存じますけれども、あの会議の最後では、行政がこの作業を今後続けていくことについて了承するということで一応終わったのではないかと思います。もちろん、個々の委員の皆さんの御意見はあることはございますが、全体としては了解されたというふうに私は理解しておるところでございます。
○参考人(原早苗君) 私、同じ場に、山下委員の隣に座っておりましたが、私自身は了解はしていない。審議が不十分なので、もう一度会を開いてほしいということが私の最後の発言です。
 それから、あと、お休みしていたのかということなんですけれども、確かにこの二年、検討項目としては上がっておりませんけれども、たくさんの議題がありました、金融審議会の中では。ただ、その会議の最後では、どなたかから、それから私からも申し上げたことがありますけれども、この議論を、生命保険が抱える問題の議論をやるべきだということは何度も発言をしております。
○池田幹幸君 植村参考人に伺いますが、先ほど、今度のこのスキームについていえば、更生特例法とそんなに時間的に見ても差がないようなものだといった旨の発言があったと思うんですね。そもそも、この法案が提起されているのは、更生特例法の場合には五年後ぐらいには破綻のおそれがあるような、そういったところを対象としているけれども、この法案は、少なくともソルベンシーマージン等々問題はない、五年間ぐらいは問題ないんだと、あるいは十年先、それぐらいの先に問題が生じるであろうというところを対象とした法案で、その選択肢を提供するものであるという説明がなされておりますですね。
 しかし、それよりも、もう更生特例法に至るようなそういったものとしては考えられないとさっきおっしゃったと思うんですけれども、そのことについての御意見をちょっともう一度伺いたいということと、審議会では、どうもひとつ読めないんですが、審議会ではやっぱりそういう形の審議がなされてきたのでしょうか、一昨年から。更生特例法に掛かるような危なっかしい会社ではなしに、今は非常に元気なぴんぴんした会社なんだけれども、十年先にはどうも危ないと思うよといったようなところについてのみやるんだといった審議は行われていたのかどうか。時間がございませんから、お二人のうちどなたからでも結構ですから、教えていただきたいと思います。
○参考人(植村信保君) じゃ、手短に。
 私、更生特例法と今回の予定利率引下げスキームがどっちが有利かというのは、個人的に検証してみると、更生手続って結構厳しいねというのはあるんですけれども、ただ、そもそもこういう検証が公な場でなされていないというところが非常に問題だと思っています。例えば、イギリスではエクイタブルという会社が破綻しましたけれども、議会で相当なレポートが出ているんですよね。こういったことが全くない、今まで突き進んでいるということ自体がおかしいと思っています。
 ちょっと審議会の方は私は分からないので、譲らさせていただきたいと思います。
○参考人(原早苗君) 二年前の段階で、更生手続がまだスタートしたばかりだったので、でも、なかなかいい処理ができそうだというのがあったので、更生手続がどういうふうに機能するかもう少し見てみよう、検証してみようというのが雰囲気で、この議論は少し見送られたというふうに考えております。
 ですから、今回の金融審議会の場面でも、私は、事務局から出されたペーパーを見て、いかにも予定利率引下げの方が有利かのような数字しかなかったので、これでは資料として不十分ではないかということで、どちらが有利かどうかということの比較考量というのをもう少し進めてみるべきだというふうに意見は申し上げました。
○参考人(山下友信君) やはり、更生手続に入る要件というのは事業の継続が困難ということでございまして、これを一般的な考え方で当てはめていくと、相当もう債務超過が大きくなった状態で初めてこう申し立てられることになるであろうと思われるわけでございます。
 そういうことから、そういう状況に至らないけれども、やはり生命保険事業というのは、じゃ、今度ヒット商品が生まれて爆発的に経営状況が良くなるかと、そういうものではない。長期的に、やはり今までの経験にかんがみても、悪化の道をたどり出すとそう簡単には良くならないと。そういうことを踏まえて、とことん行く前の段階で再生する可能性がないだろうかと、そういうことの議論を集約したものが法案の蓋然性があるかどうかと、そういう要件になっているというふうに私は理解しております。
○池田幹幸君 終わります。
○平野達男君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の平野と申します。
 今日は、四人の参考人の皆様方、どうもありがとうございます。
 まず一番最初、横山参考人にお伺いしたいと思いますが、私は、今回の法律というのは、本当、非常に問題が多々あるなというふうに思っていまして、その中の問題の一つが蓋然性ということで、これは中長期的な観点に立ってその保険会社が破綻するかもしれないという、かもしれないという前提に立って、その一方で予定利率の引下げという事実だけは固定してしまうという。つまり、可能性に対して引下げだけ仮定して、一定の保険契約者からコスト負担をしてもらうという制度に今終わっているということがまず大きな問題だと思っています。
 その蓋然性というのは、これは中長期的な観点ですから、可能性が高いというだけで、当たるかどうか分からない。当たらない場合として、これはもう私、委員会でも何回でも言ったんですが、二つか三つの、二つぐらいの方向があって、一つは結局また破綻してしまったと、予定利率の引下げやったんだけれども。あともう一つは、結果として予定利率の引下げやらなくてもよかったんじゃないかと、あるいは引下げ幅が少なくてもよかったんじゃないかということも、これは蓋然性という前提からスタートすれば考えられるわけです。
 その後の、後者の場合の引き下げなくてもよかったんではないかといったときに、片っ方でもう引き下げてしまって、ある一定のコスト負担だけはしてもらっているわけですね。そのコストというのは一体どこに行くんだろうかということに対しての答えがちょっと出ていないんじゃないかなと思うんです。
 これは、生命保険会社とすれば、ある一定の前提として、申し訳ありませんが、保険の契約者の皆様方、負担をしてくださいと、一回形式上集める形、集めるというか、財源を調達する形になるわけですね。使った財源は、これはもしこのスキームに乗るとすればしようがなかったとしても、使わなかった財源はやっぱり返すべきではないかという考え方がこれは当然出てきてしかるべきだと思うんです。
 ところが、繰り返しになりますけれども、法案に対しては、ここは何も触れていないんですね。唯一触れているとすれば自治機能として、例えばそれは配当金ですか、どうのこうのとか言っていますが、それはあくまでも会社と対契約者との関係の話に置こうとしているわけです。
 ところが法律は、繰り返しますけれども、一定の条件で取ってもいいということを認めていますから、本当はそのスキームからいけば、法律の中で、使わなかったやつはもう返しなさいよということを法律で規定しなくちゃならないんじゃないかということを私はずっと委員会で言っておるんですが、横山参考人は保険会社の経営者としてこのところをどのように考えておられるでしょうか。
○参考人(横山進一君) 先ほどの御指摘につきましては、契約条件の変更を行った契約者に対して、将来、運用環境が変わったとか収益が非常に向上したということで、実質的には経営が予想以上に好転をしたという場合のことでございますよね。そういう場合に何らかの還元をする、契約者に対する還元をするという措置は可能だろうというふうに考えております。
 先ほど、配当金という形での還元というお話あるように思いますけれども、これにつきましては、今回の保険業法の改正案において契約条件の変更にかかわる保険契約に関する契約者配当、剰余金の分配、そういったものについて支払を還元するような方針がある場合には、保険契約者あての通知においてその内容を示しなさいと、あわせて、定款にもその旨記載しなさいというような案がございます。したがって、還元の道は開かれているというふうに私どもは考えておりますが。
○平野達男君 分かりました。
 ただ、私の理解では、還元の道ということではなくて、負担と、負担したものについては一定の負担がありますと。使ったものについては使わせていただきますけれども、使わなかったものについては還元というよりも還付するという、そういった仕組みをやっぱり設けるべきではないかなということで、これはまた委員会で、また引き続き私、議論したいと思っています。
 山下参考人にお伺いしますが、今回の法律の立て方で、いわゆる予定利率変更対象者の同意というか、スキーム全体に対する同意を取るに当たって、十分の一以上のいわゆるどちらかといいますと異議申立て、これはポジ、ネガという言葉を使わせてもらいますけれども、これはネガの観点で同意を取ると、掛けるわけですね。この十分の一というものの異議申立てというスキームが本当にいいのかどうか、私個人的に非常に疑問に思っています。
 確かに、今、保険業法の世界では異議申立てというのがあって、これは合併、それから破綻の問題とありますね。合併は、これは契約者に対する契約条項の変更は何もないんです。これはだから異議申立て、しようがないのかなと。破綻は、これは手段がないんですね。ほかに手段がなくて、残った財産をどうやって分配するということなわけです。今回は、先ほどの原参考人がずっと言われていますけれども、保険契約者に選択をさせるわけです。
 まず、そもそもこんな、要するに会社が破綻するかどうかなんというのは、これはどんな資料を持ってきたとしても、これはまず契約者に判断しろというスキームにまず無理があると思います。これはまず別に置いておいて。
 しからば、異議申立てといったときに、本当に十分の九がじゃ賛成しているのかということの担保が必要だと思うんです。私なら、例えばこんなもの分からないと、後で契約解除しましょうと、契約解除するから答え出せないという選択を多分するかもしれません。そういう人が十分の一という中に反映されてこないんですね。だから、十分の一という数字自体が非常にあいまいなものになってくるというのが一つあります。
 それから、あともう一つ、話が飛びますが、土地改良法とか土地区画整理法がありまして、これは該当する人の、要するに受益者というのは数が決まっていまして、保険業界の何十万人、何百万人という数に比べればちょっと少ないんですが、これは必ず一人一人の同意なんです。そして、ネガじゃなくてポジです。つまり三分の二同意とか、そういう形で求めるんですね。本来これは意思確認とすれば、今回、全部、予定利率契約の変更対象者に資料を送るわけですから、これはマル・バツであろうが何であろうが、これはやっぱりポジでやるべきじゃないかなということで、十分の九なのか三分の二なのか分かりません。仮にこのスキームに乗るとすれば、集団という意思が前提ですから、これはやはり一定の同意率で掛けて強制力を掛けるというのはこれ法律的に十分考えられるスキームだと思うんですね。しかし、やっぱりこの十分の一というネガでやるということについての十分の一の根拠性という問題と、先ほど私の言ったように、十分の九に残った人が本当に賛成しているかどうかの確かめようがないんですね、これは。これは法律的に見て非常に問題があると思うんですが、山下参考人、そこ、どのように考えられているでしょうか。
○参考人(山下友信君) おっしゃいますように、本来であれば、個々の契約者全員に賛成するか反対するかという意見を仰ぐという手続が一番望ましいということは言えようかと思いますが、仮にそうなった場合に、定足数と申しますか、十分な意思表明がなされるだろうかというふうなことが一つでございます。
 例えば、社債を発行している会社が破綻したような場合に、現状でも社債権者の集会でこの権利内容の変更について決議をするというようなことをしておりますが、これは定足数がまず集まらないというのが実態でございまして、保険会社の契約者といいますか、相互会社でいえば社員につきましても、これはもっと膨大な数の人々がいるわけですから、これを、集会は開かないにしても、書面投票にしても、きちんとした数を集められるかどうかというのが一つ問題がある。
 それから、全員の意向を聞くということになると、これは多数決ということにならざるを得ないと思いますが、これは契約者の中には、予定利率の非常にもう最近入って低い契約者と、昔入って高い契約者がいます。そういう利益が必ずしも一致しないような人々を多数集めて多数決を採ることが適当かどうかと。それから、その点と、出てきた賛成、反対の意見が全体としての契約者の意見を反映しているだろうかと。その辺りが一つの問題で、保険業法のこういう合併や包括移転のような制度では異議申立ての手続を経るということで契約者の承認に代えているということでございます。
 先ほど、十分の一というのが高いハードルか低いハードルかということの議論がございましたが、私としては、この十分の一の社員が反対するということで手続が全部ストップするというふうなことは、やはり相当手続が最終的に変更が効力を生じていくためには厳しい要件を課していると。厳しいというのは、この契約上の変更がそう簡単にはできませんよという意味合いで十分の一という厳しい要件が課されているということで、それなりの合理性がある規定ではないかというふうに考えております。
○平野達男君 いずれ私の言いたかったのは、十分の一という数字自体が厳しいか厳しくないかということ以前に、十分の一というその残った十分の九の方々が同意しているという担保ができないんではないでしょうかという話がまず一つと、それから、あと、今の山下参考人のお話を聞いていまして、今のお話を聞いていますと、じゃ、自治機能って一体何だろうかという疑問が随分ふつふつわいてきました。
 私は、やっぱり今回の場合は、契約者集会というのはなかなか難しいかもしれませんが、少なくとも契約者のパブリックコメントを取るような手続をしないと、例えば異議申し立てるにしても契約者責任が、スキームはいいけれども契約者責任が不十分じゃないかと。予定利率の引下げ、そこまでやらなくちゃならない、やらなくてもいいじゃないかと、いろんな意見があるはずなんですね。ところが、出てくるやつはパッケージとして出てきますから、どうしましょうか、賛成しますか不賛成しますかと、これはやり方としておかしいんじゃないかというふうに思っているのが一つと。
 それからあと、ということで、パブリックコメントをやった上で、その出席者じゃなくて今回予定利率変更対象者に全部書類を送るわけですから、その返事をもらえばいいわけですから。だから、定足数も何もないということで、逆にその返事をもらうと、要するに出してもらうところの返事を、何と言うのかな、回収率ですね、回収率を高めるように努力するというのは、これは正に保険業界の会社の責務じゃないかというふうに思っていまして、ちょっと今、私、今日、参考人のヒアリングをやりながら私の意見ばっかし言ってしまいましたが、そういう意味でちょっと言わさせていただきましたので、引き続きまた委員会でちょっとやりたいと思いますが。
 あと、原参考人と植村参考人は、先ほどの意見を聞いておりまして一々全部私はうなずいて聞いておりまして、ほとんど見解が一致していますので、あえてちょっと聞くことは、ちょっと今日はここで聞くことはありませんので、どうもありがとうございます。
○大渕絹子君 四人の参考人の皆さん、御苦労さまでございます。
 大渕絹子でございます。よろしくお願いいたします。
 横山参考人にお伺いをいたします。
 国会のこの委員会の議論の中で、この法案ができた後の契約者、国民に対する開示の問題をちょっと私は質疑をさせていただきました。そのとき、金融庁は、法案成立後、直ちに国民に向けてその内容について周知徹底を図る旨答弁をされていますけれども、生保協会といたしまして、この法案の周知徹底をどんな形でやろうとされるのか。例えば、問題がない生保会社が自らの保険契約者に、今度こういう法律ができましたので、あなたの契約保険に対しましては今後引下げが可能になりましたということを本当に周知徹底をさせることができるかどうかということなんですよね。
 私は、生保業にとっては、そうしたことを周知徹底をさせること自体で国民の側に不安をあおるということになっていきはしないかという思いがあって、本当に会社が、企業がそういうことができるのかどうかということを今日お尋ねをしたいのですけれども。
○参考人(横山進一君) 私どもも、今回この法案が成立した場合には、その改正内容について正確に御契約者の皆さんに通知する義務があるんではないかというふうに考えております。
 したがって、ディスクローズ資料等に記載をいたしまして、御契約者の皆さんに正確なこの法案の内容をお伝えするように努力をしたいなというふうに思っております。
 また、各社が開いております御契約者懇談会というものがございます。これは、我が社でいえば九十か所で昨年は開きましたけれども、こういう機会を通じて御契約者の皆様に、今回の制度の内容であるとか、そういったものについて御説明をする機会を持ちたいと。九十か所で約延べ二千名の契約者の方が御参加をされますので、そういう場で周知徹底を図りたいなといったことを考えております。
○大渕絹子君 個々の契約者あてにそうしたメールみたいなものできちっと説明をする必要が私はあるというふうに思うのですけれども、今、会長がおっしゃられたような場面だけでは全部の契約者に伝わっていくというふうには思われないのですけれども、いかがでございますか。
○参考人(横山進一君) メール等でというお話ですが、その内容については、もちろんメールは当然含まれます。したがって、メールでそういう内容について掲載をするといったことを併せて考えてまいりたいということでございます。
○大渕絹子君 原参考人、今のことについて御意見があったら教えてくださいますか。
○参考人(原早苗君) もちろん、法律ができたからには、生命保険会社としては何らかの機会を通じてこういった法律ができたということの私は通知というんでしょうか、それは該当する人以外、全契約者に何らかの形で私は伝えていただきたいというふうに思っております。ただ、懸念をしておりますのが、分かるかなというか、消費者側、受け取った消費者側、契約者側が。
 生命保険は、元々保険商品を説明する約款からして非常に分かりにくいですよね、すごく膨大で、字が小さくて。ああいう形で今回の何か法律についても説明をされると、やっぱり消費者としては理解ができるかなというふうな感じもしておりまして、先ほど商品設計のディスクロージャーの話もちょっといたしましたけれども、予定利率の話も、この二、三年、消費者としては一般用語としてようやく知ったというようなところですから、そういうことを併せると、この法律の説明だけではなくて、もうその大前提から、もう圧倒的に消費者への情報提供が不足しているので、契約者、消費者に対して、やはりもう全部の情報開示とかその在り方からも含めて検討していただいて、そして、じゃこの法律についてはどのように説明をするというふうなことを考えていただきたいと思っております。
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 当委員会の中でも、この法律の審議の中で、これは全参考人にお聞きをしたいのですけれども、特定の生命保険会社がほかのところと合併あるいは吸収合併をさせていく条件として、高利の保険契約について、これは引き下げないとなかなか合併がスムーズにいかない、救済することができないというようなことがあって、現実にそういう局面があってこの法律を急がなければならないような事態になっているのではないかというようなことが風評としても流されていますし、当委員会でも議論になっているところでございます。
 特定の企業救済のために公器である法律改正が行われるということに対して、私はそんなことはあってはならないというふうに思うのですけれども、こうした風評が流されている中でこうした法案が作られていくというようなことに対して、それぞれ参考人の皆さん方のお考えをお聞きをしたいと思います。
○参考人(横山進一君) 今回の法律改正の主たる目的は契約者の保護にあると私は考えております。あくまでも、破綻をして実際に資産が買いたたかれるような状態になった場合に契約者が大変な損害を被ると、そういった場合よりは予定利率引下げをした方が契約者が有利になる場合にのみこの法案が使われるべきであるというふうに考えますので、先ほどの御指摘のように、合併であるとか企業の恣意的な目的のためにこの法案が使われてはならないというふうに考えております。
 マスコミ等で一部そういう報道があるやに聞いておりますけれども、これは全くの私は推測に基づくもので、そういったことはあり得ないというふうに考えております。
○参考人(山下友信君) 風評のことにつきましては、私、一切存じませんので何も申し上げられませんが、この法案が、やはり非常に危機的な生命保険経営の現状の下で、一番安いコストで、小さいコストで契約者の利益を守ると、最悪の場合に陥るよりも契約者の利益にかなうような道を探ると、そういうことを目的としているものでございまして、その適用においても、そういう法律の精神にのっとって適用事例が出るときは出てくるというふうに思っております。
○参考人(原早苗君) 契約者の保護に資する法律を第一義に考えたいというふうに今、横山参考人もおっしゃられましたけれども、そこの点については私も一致しています。ですから、本当に契約者の保護に資するかどうかの検討を重ねていただきたいと。今見る限りではそのようではなくて、生命保険会社とか銀行とか、そういう金融を、金融業界を救うための法律に見えているというところです。
 それから、風評についてなんですけれども、私は消費者問題でいろんな事業の分野の方、携わっておりますけれども、生命保険業界ほどこの風評ということを恐れていらっしゃるところはなくて、なぜ風評が起きるかなんですが、これはやはり正確な情報が出ていないからです。それから、何を議論すべきかという論点が明確に国民に示されていないから風評が起きるというふうに私は考えております。
○参考人(植村信保君) 実際、格付の非常に低い会社がある。これは我々の会社の格付でもそうです。それは事実だと思います。
 ただ、やはり、今、原さんもおっしゃられましたけれども、じゃ実際、今それらの会社がどういう本当のところ経営内容なのか。例えば、先ほど私申し上げましたが、逆ざや問題が深刻だと言われても、基礎利益はありますと、十分出ています。でも、将来どうなのか。この将来情報の開示というのが全くなされていない中で、じゃここの会社がどうなのかという判断が外部からできない、ここが非常に大きな問題だというふうに考えます。
○大渕絹子君 あと五分ほど時間があるんですけれども、植村参考人に、この四枚目のペーパーの御説明をもう少し詳しく聞かせていただけたらうれしく思いますけれども、いかがでしょうか。
○参考人(植村信保君) 分かりました。じゃ、せっかくの機会ですから。
 現状では、早期是正措置の発動基準ということで、ソルベンシーマージン比率それから実質純資産額、これAマイナスBとか言われていますけれども、この二つの指標がそのトリガーになっています。この数値が、例えばソルベンシーマージン比率であれば二〇〇%を下回ると政府が介入する、ゼロ%を下回ると業務停止命令と、こういうことになりますし、実質純資産額の方は、こちらがマイナスになると実質的な債務超過状態とみなして行政が業務停止命令を出すことができる、これは可能という条項です。
 それから、もう一つありまして、更生手続の申立ての基準、これが将来収支分析というものがあります。こちらちょっと分かりにくいんですけれども、一定の前提の下に結果的に五年間の収支を予測して、その五年後にちゃんと支払余力があるかどうか、なければ会社若しくは金融庁が更生手続の申立てをしなければいけないと、こういうルールになっています。
 私がここでこの資料を出して申し上げたかったことというのは、繰り返しになりますけれども、今こういう仕組みがあるんだけれども、過去の事例では、これらの指標が甘かったということで現実に機能せず、問題会社の早期発見、早期処理ができず、その分契約者が非常に負担が大きかったと、こういうことがあると思っています。この辺のことをほとんど改善らしい改善というのがなされていないというふうに考えます。一部、破綻、東京生命までの破綻の後にソルベンシーマージン比率が改善というのがありましたけれども、それでもまだ、じゃ二〇〇%あれば安心なのか、その倍ぐらいあっても安心なのかというと必ずしもそうではない。これは比率と例えば格付のギャップ、どちらが正しいかは分かりませんけれども、これは格付だって意見ですからね。ですけれども、こういう状況にあると。
 これを放置したままで今回の予定利率引下げスキームだけを一気に作るというのが非常に違和感がありまして、もっと総合的な観点から考えて、これらの指標も見直すとか、じゃ見直した後どうするのかということまで考えていかないと、生保産業の再生、これが必要だということだから多分国がいろいろ関与してということなんでしょうから、この生保産業の再生というのが図れないのではないかというふうに考えています。
 よろしいでしょうか。
○大渕絹子君 指標の具体的な見直しについて、こうやったらいいというところをちょっとお聞きしたかったんですけれども、時間が来ましたので、また次回お願いします。
 ありがとうございました。
○椎名素夫君 椎名素夫でございます。
 今日は大変御苦労さまでございます。
 この法案ですが、法的な処理ということだけじゃなしに、その選択肢が一つ増えるというお話がずっとその基底にあるようですけれども、私から見ていて、どうもこれ本当に使える選択肢じゃないんじゃないかという気がするんですね。現に、横山参考人も言っておられますが、これはこれとして反対はしないというようなお言葉で。
 それから先ほどの、これはちょっと伺いたいんですが、契約者に今度の法案ができたら周知徹底するということをおやりになる。例えば契約者集会でどこまで細かく説明をなさるのか、これは大変な話だと思うんですね。それで、最後に恐らくその方々が、集まった方々がお聞きになる質問は、これをおやりになるんですか、おたくはと聞くだろうと思うんです。そのときに、いややりませんと言ったら、一時間一生懸命御説明なさって、しかし、うちじゃやりませんよとこうおっしゃったら、これは一体どういうことになるのか。そういう非常にこっけいなところを含んでいる、このところが私は非常に気になる。
 それで、もう一つ気になりますのは、会社とそれから契約者というものをこれを一塊としてとらえておられる議論がどうも多いように思うんですけれども、一〇%の問題とかなんとかもそうでしょうけれども、これはあくまでも契約者一人と会社との個別契約がたくさんあるというのが私は根幹だと思うんですね。一体、こういう長期にわたって固定するような契約というのはそもそも無理なんじゃないかというお話もありました。ありましたけれども、そういう商品をお作りになるというのはこれは会社の才覚の問題であって、そういうことは無理だとお思いになったら、本当に売れるような、しかも会社が危機に陥らないような商品を一生懸命お作りになればいい。余り安全な商品をお作りになると恐らく売れないだろうと思うんですね。それが商売というものなんだと私は思うんです。
 それなのに、透明であるべきこの自由経済のこの社会の中で駄目になる会社もあるわけですが、これは、法的につぶれるのはこれは仕方がない。しかし、つぶれるかもしれないという、その蓋然性というのがあるからひとつ助けてくれというのが、会社が契約者一人一人に言わなければいけないせりふだと思うんですね。しかし、蓋然性にとどまっているからすぐつぶれるなんていう話じゃありません、頑張らせていただければ何とかなりますというのがこの法案の趣旨だと思うんです。そうでなければ意味がないので。破綻しているわけじゃありませんが、これで再生しようという話なんですから、そこのところを、例えば契約の条件を変更して少し楽になるようなものに変えればそれで十年やらせていただければ何とかなりますというような結局お話なんでしょう、これは。そうでないと理屈が通りませんね。
 そうだったら、私は自分でビジネスをやっておりまして、昔、大変にいろいろつらい思いもあったり、めちゃくちゃなことがありましたけれども、やっぱりそういう契約の条件を悪く、相手に対して変えたいときにはそれなりの礼儀というものがあるんですね。例えば、条件を下げるときにはその差額を、要するにまけてくれという話なんですから。しかし、それをやらせてくれたら十年たったら何とかなりますという話なわけですね。そういう理屈でおっしゃるわけです。ですから、それならばそこのところは十年間貸してください、この手形受け取ってくださいというようなことは、そもそも根底に精神としてなければこんな話最初から持ち出しちゃいけないんですと私は思うんです。
 そうでなければ、何か約束をもらったときにあらゆることに信用がなくなってくる。しかも、そういうことはいいんだよということを政府が言わば裏付けをするわけですから、自主的といっても。そうすると、一体何を頼りに生きていけばいいのかという、その心理的な不安定感を広い範囲に植え付けるということからいうと、これは選択肢どころか大変な害悪を私は流すと思います。こういうことを私は考えておりますが、これについて皆様から御意見を伺えればと思いますが、よろしくお願いいたします。
○参考人(横山進一君) 今回の法案というのは、私は国家が、契約者という大半の方が、九割以上の方が加入をされているという保険制度というものがあるわけですよね。そういう意味では、この保険のシステムが根底から崩れるような状態を何とか国家が、国が政府がそれを防止をしたいということにこの法案の趣旨があるんではないかということで、あくまでも個々の生命保険会社がこれについて積極的に要望したわけではないということでございまして、国家として保険のシステムの安定を期したいということにあると私は考えておりますので、しかも万が一破綻が生じた場合には大変な契約者が損失を被ると、そういうことを少しでも排除したいということの、この法案の趣旨がそういうことでございますので、私はそれはそれなりの意味があるかなというふうに思っているわけであります。
 もちろん、約束事をたがえるということは一般の商慣習においても絶対にしてはならないということはおっしゃるとおりでございまして、私どもとしましては、先ほど来何度も申し上げておりますとおり、この法律が成立しても予定利率の引下げは行わないということを、覚悟を決めて、きっちりと経営努力をしっかりとせぬといかぬのだということをもう一度申し上げておきたいなというふうに思います。
○参考人(山下友信君) こういう手続を設けることについてどう考えるかということにつきましては、一方で、これは使えないと意味がないだろうということがあり、他方で、そう簡単にできていいのかという、非常に相異なる二つの方向の御意見があるわけでございまして、そういう相反する方向の意見を付き合わせてぎりぎりのところでできているのが現在の法律案のようなものかなというふうに思っております。ですから、これはそう簡単に使えるものでもないだろうと思うんです。
 もちろん、契約者からのいろんな批判はあるわけでございます。そういうなかなか使いにくい、契約者からはしかられると、そういうものだけれども、これを認めていただくということのためにやはり非常にディスクロージャーというふうなものを充実して、契約者の理解を得ていくということしかないだろうと思います。それは、手続をお使いになる生命保険会社もそうであろうし、監督当局としてもそうではなかろうかというふうに思います。
 それから、契約条件を一種、相手方の不利益に変更するわけでございますから、やはりそれはそれなりの反対給付のようなものが何らかの形で考えられないかということ、先ほどからも御議論になっておりますけれども、これは将来どうなるかという仮定の話でございますから、これがこの契約条件変更の時点で、じゃこういう状況になったら保険金額をまた増額するとか、そういう確定的な約束というのはなかなかできないんではないかなというふうに思っております。
 そういうことを踏まえて、この計画、契約条件変更案の中で将来利益が仮に生じた場合には配当で還元するというふうな手だてを取っているのではないかと思いますし、こういう契約条件変更後に入ってきた新たな契約者との公正公平な関係というのもやはりその時々の状況を見ながら判断していくわけですから、事前に確定はされておりませんが、ある程度の条件を契約条件変更の中で配当に関して示していくと、そういう中で御了解をいただいていくということになるのかなというふうに考えております。
○参考人(原早苗君) 横山参考人からは度々この法律ができても使わないということが発言なさっていらっしゃるんですが、私はこれ、使わないからいいだろうということではなくて、こういう不十分な法律を生保業界が持つということが大きな問題だというふうに考えております。
 契約条件の変更というふうになっていますから、今は予定利率引下げの話でやっておりますけれども、広がる可能性もあるわけですよね。そういう法律を抱え込んでしまうということが大変私は危うくて、もちろん契約者保護ということもありますけれども、生保業界のことを考えても大変危うくて、そして私は生保業界全体の信用の失墜につながるのではないかということを懸念しております。
○参考人(植村信保君) 契約者の負担で生保の経営を立て直そうという、やっぱりこれ、非常時対応という仕組みだと思います。やはり山下さんがおっしゃられたとおり、そう簡単には使えないけれども使えないと困ると、使うときに。要は、非常時のときにと。じゃ、今が非常時なんですかと。ここが全く示されていないということですね。かつ、来年、再来年、そこが非常時になるのかということはもう、じゃ示されることが担保されているのかと、今の情報開示で分かるんですかと、こういうことだと思います。
 ですので、これを政府の責任ということではなく、何か自治的な対応でということで慌てて導入してしまうというのが非常に違和感がありまして、やはりもっとじっくり総合的に検討をすべきではないかという意見です。
 以上です。
○椎名素夫君 どうもありがとうございました。
○委員長(柳田稔君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十二分開会
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 保険業法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長藤原隆君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(柳田稔君) 保険業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。
 お願いしていた参考人の方々がおいでになっていないようで私としては大変不満でありますけれども、まずは、先週火曜日に御提示を申し上げました資料について一週間後に調査結果を聞かせていただけるというお話でしたので、大臣からその内容を承りたいと思います。
○国務大臣(竹中平蔵君) 先週お約束しましたとおり、我々も力を入れてしっかりと調査をいたしました。少し長く、十分程度掛かるかもしれませんが、御容赦をいただけますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、去る七月一日の当委員会におきまして、民主党の大塚耕平委員からお示しをいただいた金融庁の高木監督局長(当時)と東京海上火災保険株式会社の森副社長(当時)との間のやり取りに関する資料、以下、本件文書というふうに申し上げますが、これについて事実関係を調査いたしましたので、その結果を御報告申し上げます。
 本件調査は、金融庁内に設置されましたコンプライアンス対応室の久保利弁護士(同対応室の顧問)と野村教授(同対応室長)の協力を得ながら、私と副大臣が先頭に立って関係当事者から事実関係を聴取するなどして行ったものであり、高木長官はもちろんのこと、金融庁職員からは完全に独立した形で調査を実施をいたしました。
 ヒアリングを行った関係当事者でございますが、金融庁の高木長官(当時監督局長)、森前顧問(当時長官、現住宅金融公庫副総裁)、東京海上火災保険株式会社の石原社長及び森前副社長(現在は日本地震再保険株式会社常務取締役)の四名でございます。
 また、当時、高木監督局長や森長官が、これは当時の役職で読ませていただきますが、東京海上火災保険株式会社に対して取った行為が法令に照らして問題がないかどうかについてコンプライアンス対応室の専門家に御検討もいただきました。
 まず第一に、本件文書において、金融庁の高木監督局長(当時、以下同じ)と東京海上火災保険株式会社(以下、同社)の森副社長との間でやり取りが行われたとされる日(平成十四年一月二十一日)に、実際にこの両者が会談を行った事実があるかどうかについて調査をいたしました。
 その結果、当該日にこの両者が会談した事実があることが確認されました。なお、会談は一対一で行われたとのことでありました。
 第二に、本件文書の成立の真正について調査をいたしました。
 その結果、当該文書は、同社の森副社長が会談終了後、その日のうちに又はその翌日に、会談の概要を部下に口述することによって文書作成を指示しまして、後に自ら手書きで加筆の上完成させた真正の文書であることが認められました。
 第三に、本件文書の内容の信用性について調査をいたしました。
 まず、森副社長からのヒアリング結果によりますと、本件文書は、高木監督局長との会談後、先ほど御説明したような経緯、方法で再現されたものであるため、当日のやり取りが必ずしも正確に表現されたものとは言えない可能性があるとのことでした。
 この点については、高木監督局長も、本件文書の表現内容には、森副社長が高木監督局長の発言の趣旨を誤解している箇所や、実際の発言内容との間に幾つものそごがあると主張をしております。
 また、本件文書は備忘録として作成された情報文書であり、後日、文書に記載された事実すべてについての高木監督局長による確認がなされたわけではありません。
 このように、本件文書は、全体としての信用性は認められるものの、記憶の不正確性のために、本件会談の内容を完全かつ正確に再現したものではないというふうに思料されます。
 第四に、本件会談において、高木監督局長から森副社長に対して、保険業法上の行政処分の可能性を示唆することによって同社の経営判断に行政が過剰に介入するようなことがあったかどうか、また恫喝や強要といったようなことがあったかどうかについての調査をいたしました。
 関係者からのヒアリングの結果等から認められる事実は、以下申し上げるとおりでございます。なお、監督上の個別のやり取りについて、詳細に申し上げることはできないことについて御理解をいただきたいと思います。
 高木監督局長と森副社長は、平成十四年一月二十一日午後六時三十分から九時までの間、金融庁内において面談いたしました。面談はディベートのような形で行われましたが、雑談も交え、ぎくしゃくした雰囲気はなかったとのことであります。
 本件会談においては、高木監督局長から森副社長に対し、保険業法に基づく行政処分の可能性が示された上で議論がなされ、法律の解釈等について両者の間で見解の対立はあったものの、森副社長によれば、高木監督局長から経営判断に対する過剰な介入を受けているとか、恫喝、強要を受けているといった認識は受けなかったとのことでありました。
 また、本件会談後、同社内において、顧問弁護士等を交えて法的検討を行った上で、同社の最高責任者である石原社長は、保険業法に基づく行政処分の可能性に係る高木監督局長と森副社長とのやり取りは知っていたが、あくまで会社の経営判断として高木監督局長の意見に影響されることなく最終決定を行ったとのことでありました。
 私が副大臣とともに、コンプライアンス対応室の専門家の協力を得ながら関係当事者にヒアリングを実施するなどして明らかになった事実関係は以上のとおりですが、次にこれら調査によって認定された事実関係を前提としまして、当時の高木監督局長の行為が法令に照らして問題がないかどうかについてコンプライアンス対応室の専門家の先生方に御検討いただきました。これは久保利弁護士と野村教授であります。
 コンプライアンス対応室からは、行政におけるコンプライアンス体制の整備の在り方等を含め、種々御指摘をいただきましたが、当委員会で御議論いただいております高木監督局長の行為が法令に基づく行政の観点から問題がなかったかどうかという点についての検討結果について、以下、御報告をさせていただきます。
 コンプライアンス対応室においては、高木監督局長の行為が行政手続法に定められた行政指導のルールに適合的であったかどうかという観点から評価されなければならないとして、行政手続法の規定に基づき、以下の四つの論点に照らして検討されました。
 第一に、高木監督局長の行為は金融庁の有する監督権限を逸脱していなかったかどうか。
 第二に、仮に権限内の行為だとしても、高木局長はそれに対する協力を相手方の任意にゆだねていたかどうか。
 第三に、本件は、保険業法第百三十二条、第百三十三条に基づく処分権限を行使できない場合又は行使する意思がない場合に該当するにもかかわらず、それを行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせたものと評価できるかどうか。
 ちょっとややこしいかもしれませんが、本当は使えないのに使えるんだぞというようなブラフを掛けたかどうかと、そういうような観点だということです。
 第四に、高木局長の行為は、その趣旨や内容を明確に示したものとなっていたかどうか。
 この四つの論点に照らして、法令に照らして問題がないかどうかを検討をされました。
 まず第一点目の、高木監督局長の行為が金融庁の有する監督権限を逸脱していないかどうかという点についてですけれども、この点については、金融行政は従来型のいわゆる護送船団方式と言われるような事前行政から事後チェック型への転換を目指していくべきであり、金融庁の監督権限の在り方もこうした基本理念を踏まえて検討する必要があり、何よりもまず、個々の金融機関の自主性を尊重し、その経営判断に不当に介入することのないよう留意することが大切であると指摘されております。
 その一方、金融行政は時々刻々と変化する金融市場そのものの安定性を確保する役割を担っていることから、市場の混乱要因に対して適時適切に対処することも期待されており、裁量的な事前指導が一切禁じられるべきものではなく、例えばシステミックリスクの発生が予想される局面において、仮に金融庁がただ手をこまねいていたとするならば、監督当局は不作為のそしりを免れないと考えられるとして、一般論として、金融庁は必要最小限の限定的な場合に限られたものではあるものの、裁量的な事前行政の権限を有しているものと考えられるとの意見をちょうだいいたしました。その上で、本件がその限定的な場面に該当するかどうかについては、第三の論点とともに検討していただきましたので、後ほど御説明を申し上げます。
 次に第二点の、仮に高木監督局長の行為が権限内の行為だったとしても、それに対する協力を相手方の任意にゆだねていたかどうかという点について御検討をいただきました。
 この点については、ヒアリング結果によれば、高木局長及び森副社長ともに、この日の会談は言わば議論のような状態、状況であったと言っており、石原社長も高木局長の意見に影響を受けたことはない旨話している。また、石原社長は、損害保険業界におけるリーディングカンパニーとして金融庁との間に十分な信頼関係があったものと述べており、最終的な判断は同社に任されていたとの認識を示しており、事実、同社は本件会談後も統合計画の見直しを貫いたものであり、このことは同社の任意の経営判断が尊重されていた証左と見ることができるとの御意見をちょうだいいたしました。
 第三点目は、本件は保険業法第百三十二条及び百三十三条に基づく処分権限を行使できない場合又は行使する意思がない場合に該当するにもかかわらず、それを行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせたものと評価できるかどうかと、先ほどの第三点でございます。
 このヒアリングの結果によりますれば、本件会談の時点で高木局長が場合によっては保険業法第百三十二条ないし百三十三条の処分権限を行使しようと考え、部下に検討を命じていたものと認めることができ、それゆえ、まず処分権限を行使する意思はあったものと評することができると指摘をしております。
 また、本件は処分権限を行使できない場合に該当したのではないかという点については、保険業法第百三十三条によれば、保険会社が公益を害する行為を行った場合には金融庁は行政処分をすることができると規定しているが、公益に害する行為の意義については、その一般条項的要素もあり、確固たる解釈があるわけではない。この点につき高木局長は、同社が平成十三年十一月に発表した同社と個別の生命保険会社との統合に係る合意を三か月もたたない短期間に撤回することが市場に重大な影響を及ぼすこととなるならば、かかる所業は公益を害する行為として行政処分の対象になるとの立場を取ったものと評することができるとしております。同社側に公益侵害行為の典型的場合である不法の目的による業務運営ないし刑罰法令に違反する行為の継続又は反復等があったとは言えないものの、仮に同社による短期間での合意の撤回が統合発表時における調査の不十分性に起因しているとすれば、かかる同社の所業を公益を害する行為と認定することもあながち不可能ではないと考えられ、事実関係いかんによっては行政処分の可能性があったものとして、本件は処分権限の行為ができない場合には該当しなかったものと考えられるというふうに指摘をしております。
 最後に、第四点目、高木監督局長の行為はその趣旨や内容を明確に示したものとなっていたかどうかについてですが、この点については、本件における高木局長の行為は、保険業法第百三十二条及び第百三十三条の解釈を議論する形で行われていたため、表面的には明確性を欠いているかのごとく見えるが、ヒアリング結果によれば、金融庁が同社による統合計画の見直しについて再検討を求めていたことは先方に明確に伝わっていたものと考えることができ、意図的にあいまいな指導をしたとの証拠は見付からなかったとの御意見をちょうだいしております。
 以上のとおり、コンプライアンス対応室の専門家の先生方に御検討いただき、高木監督局長の行為をただいま申し上げた四つの観点から評価した結果、その行為には行政手続法に抵触するような違法性は認められないとの結論をいただきました。
 ただし、法令に照らして問題はないとはいうものの、その行為を行うに当たっては、公益概念の解釈や同社の所業の市場に及ぼす影響などについて慎重に十分な調査を尽くすことが求められるし、また事後においても、将来同種の状況が発生する場合に備え、フォローアップを行い、ノウハウのマニュアル化に努める必要があったとの御指摘も併せてちょうだいをしております。
 そして、事前行政から事後チェック型行政への転換の観点から、金融庁自身が個々の金融機関の経営判断を自ら事前にアレンジし、それを強要するような行政手法は否定されるべきであるが、他方で、金融機関の破綻等によって市場に混乱が生じ得る可能性がある場合に手をこまねいて策を講じないこともまた不作為のそしりを免れないのであって、その意味で監督当局の行動は必ずしも事後的なチェックのみに限定されるものではない。しかしながら、いわゆる護送船団方式からの脱却を旨とする現下の金融行政にあっては、裁量的な事前指導は、金融機関の具体的な経営判断が金融市場の混乱を招致し、もって、預金者、保険契約者、投資者等の利益を侵害する蓋然性が認められる場合に限って慎重に行使される必要があり、本件は正にこうした限界事例の一つと考えられるわけであるから、その適法性をフォローアップし、そのノウハウをルール化していく努力が不可欠であるとの御指導をちょうだいいたしました。
 なお、本件文書には金融庁の森長官(当時)に関する記載も散見されることから、森長官の高木監督局長に対する指示や同社に対する発言において法令に照らして問題がなかったかどうかについても調査をいたしました。調査の結果、当時、森長官は、本件について高木局長より随時報告、相談を受けていたことが確認されましたが、森長官の指示、発言には法令に照らして問題があると認められることは特にありませんでした。
 ただいま申し上げましたとおり、去る七月一日の当委員会で示されました本件文書につきまして、事実関係を調査し、法令に照らして問題がなかったかどうかを検討いたしました。その結果、調査において認定された事実を前提とする限り、金融庁として、東京海上火災保険株式会社に対して過剰な介入をしたとか恫喝、強要したとかということはなく、法令に照らして問題があると認められるようなこともないとの結論に至りました。なお、今後、新たな事実が判明するなどの場合には更に調査を行うことといたします。
 本件の調査、検討を踏まえれば、金融庁としては、行政手続を含め、可能な限り行政権行使のルール化に努めるとの必要性を痛感いたしました。コンプライアンス対応室の先生方からの御指摘も踏まえまして、金融行政に対する疑念を払拭するためにも、監督上の各種行為をきちんとフォローアップし、事例を積み上げることによってノウハウのルール化を図ってまいりたいと考えております。今後とも、金融庁といたしましては、より一層のルールの明確化に努め、ルールに基づいた適正な金融監督に取り組んでいく所存でございます。
 以上でございます。
○大塚耕平君 大変きっちりと調査をしていただいた様子がうかがわれ、今真摯にお答えいただいたことは高く評価したいと思いますが、今、大臣が御発言になった調査結果の内容及びその違法性、合法性の判断、そして処分の内容等については、今後のこの金融行政や今審議しているこの保険業法の改正案の議論においても極めて示唆に富む内容が大変たくさん入っていますので、これは二、三分だったら私も全部書き起こせますけれども、もう二十分しゃべっておられましたんで、これ書面でやっぱり出していただかないと、今伺った内容を、私の持ち時間もうあと一分ないですから、それで質問するのはちょっと難しいですので。
 これ委員長、これ、まずは書面で出していただきたい。私は、昨日からそもそも書面で出していただきたいということはお願いをしていたわけであります。ぎりぎりまで調査をしたことは、その御苦労を多といたしますけれども、とにかく資料を出していただきたいということを委員長にお願いします。それまで審議できません、私は。
○委員長(柳田稔君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(柳田稔君) 速記を起こしてください。
 二時二十分まで休憩いたします。
   午後一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後二時二十四分開会
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、保険業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大塚耕平君 今いただいた資料をずっと拝見しましたけれども、例えば、一ページ目に最後に、完成された真正の文書であることが認められたと書いてあるんですが、二ページ目見ると、「当日のやり取りが必ずしも正確に表現されたものとは言えない」、「実際の発言内容との間にいくつもの齟齬がある」、「記憶の不正確性のため、本件会談の内容を完全かつ正確に再現したものではない」かもしれないとか、いろいろ書いてあって、さらに、最後の七ページを見ると、「森長官の高木監督局長に対する指示や同社に対する発言において法令に照らして問題がなかったかどうかについても調査」した、「森長官は、本件について高木局長より随時報告・相談を受けていた」と。
 こういうことをいろいろ考えると、私は、やっぱり参考人要求しているんですから、昨日から。高木さんと森さんが出てこないとこれ精査のしようがないです、これは。
 参考人を呼んでいただくまで審議できません。
○委員長(柳田稔君) 速記を止めてください。
   〔午後二時二十五分速記中止〕
   〔午後二時三十五分速記開始〕
○委員長(柳田稔君) 速記を起こしてください。
○大塚耕平君 竹中大臣に一つお伺いしたいんですが、二ページ、例えば二ページに、さっき指摘させていただいた点ですけれども、「実際の発言内容との間にいくつもの齟齬があると主張」していると。どこにそごがあるんでしょう。
 例えば、高木長官は、脅しているつもりはないだとか、そういうことは言ったんですか。そういう発言は本当にしたんですか。これは、発言していれば国家公務員法の倫理規程に引っ掛かりますよ。ここをまず答えてください。そういう発言したんですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 今お尋ねの脅しのように云々という、そういう発言をしたかどうかは定かでないということを言っておられます。
 そごで、これは細かいことはいろいろあるし、個社の問題についてはやり取りで、監督上のやり取りですので、詳細に申し上げられない点もあるということも御理解賜りたいんですが、例えば行政の期待を抱かせた云々とかというところに関しては、これは行政じゃなくて契約者ではなかったかとか、それは二ページ目の下から四行目ですね。そういうようなところは、これは明らかに先方は勘違いしているのではないだろうかと、そういうようなところもございます。そうしたところがあるということでございます。
○大塚耕平君 一番重要なところなんですよね。例えば、行政に期待を抱かせたかどうかという、そういう発言をしたか。これは行政が契約者に変わったらえらい違いですよ、話は。そういう発言をしたかしないかによって国家公務員法第九十九条信用失墜行為の禁止に当たるかどうかという、そういう問題なんだから、参考人を呼んでもらわないと審議なんかできませんよ、こんなの。何考えているんだ、一体。(発言する者あり)
○委員長(柳田稔君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(柳田稔君) 速記を起こしてください。
 暫時休憩いたします。
   午後二時三十八分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕