第156回国会 厚生労働委員会 第17号
平成十五年五月二十九日(木曜日)
   午前十一時一分開会
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   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任   
     朝日 俊弘君     角田 義一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         金田 勝年君
    理 事
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                浅尾慶一郎君
                山本 孝史君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                宮崎 秀樹君
                森田 次夫君
                今泉  昭君
                谷  博之君
                角田 義一君
                堀  利和君
                風間  昶君
                井上 美代君
                小池  晃君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  鴨下 一郎君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       桜田 義孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       大石  明君
       厚生労働省労働
       基準局労災補償
       部長       高橋  満君
       厚生労働省職業
       安定局長     戸苅 利和君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   坂本由紀子君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       経済産業大臣官
       房審議官     桑田  始君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の
 確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○参考人の出席要求に関する件

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○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 昨二十八日、朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。
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○委員長(金田勝年君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局長戸苅利和君外五名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
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○委員長(金田勝年君) 次に、職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○中原爽君 自由民主党・保守新党の中原爽でございます。ただいま会議に付されました案件につきまして、持ち時間が三十分でございます、簡潔にお願いを申し上げたいと思います。
 まず、この一部改正両案につきまして改正の趣旨が先般説明をされたわけでありますけれども、この状況、社会状況の厳しい中、雇用失業者が増加し、これを何とか改善するということでありますけれども、その内容としては、労働者の需要と供給のミスマッチが方々で起こっているということでありますけれども、特に失業者の年齢構成、あるいは職業の、職種の区分等でいろいろ問題があるということであります。これがどのように改善される見込みなのか、これをまず総論的にお尋ねをしたいと思います。
 それともう一点、総合規制改革会議の答申等ではいろいろな場面で規制緩和の視点を求めているわけでありますが、この一部改正の法律関係におきましても、規制緩和は結構でありますが、この規制緩和のためにかえって派遣労働者等の保護にかかわりますいろいろな問題点が労働者に対して不利益をもたらすというおそれもあるわけであります。このところ一応、労働政策審議会等の建議におきましても、経済活性化のための規制改革と、それと労働者を保護するという面のこの視点の両立をさせるということが述べられております。
 この辺りにつきまして厚生労働省の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) おはようございます。
 中原先生にお答えを申し上げたいと思いますが、今お話をいただきましたように、一つは、様々なミスマッチが現在存在いたしまして、それによって雇用状況がうまくいかないということは事実でございます。ここをどう打開をするかということでございますが、これはもちろん経済状況をこれから早く立て直しが行われていくということがもう大前提ではございますけれども、企業の側におきましても今、正規職員を雇うということに対してかなりちゅうちょしているという側面もあるわけでございます。また、働く皆さん方の側からいたしましても、この企業に行ってここでこれからずっとやっていていいだろうかというちゅうちょもございます。様々な形の働き方を作り上げていくということによって、そしてそのときそのときのミスマッチをできるだけ少なくしていくということが大事ではないかというふうに思っておりますが、これは需給状況によりましてその時々うんと変わっていくだろうというふうに思います。したがって、景気の回復があれば私はまた常用雇用が中心になっていくこと間違いないというふうに思っているわけでございます。
 さらにまた、日本の中での労働力の減少という、こういう人口的な問題もあろうかというふうに思います。
 それから、規制緩和はいいけれども、労働者の安全というものは大丈夫なのか、健康管理大丈夫なのかという御指摘は誠にそのとおりでございまして、様々な働き方を作るのはいいけれども、その中で皆さんに対して安全が守れないというようなことではいけないというふうに、率直に私もそう思っている次第でございます。
 最近、全体としての傾向を見ますと、いわゆる労働者の人数を制限をしながらその人たちに目一杯働いてもらうという傾向がある、あるいは余りにも働かし過ぎという状況もある、そうしたことでございますので、この派遣業の皆さん方含めまして、特に派遣業等についてその安全が守れるように、これは重大な決意で私たちも取り組まなければいけないというふうに思っております。
 ひとつ、そうした問題をより具体化をして、どうするかということを更に突っ込んでいきたいというふうに思っている次第でございます。
○中原爽君 ありがとうございました。
 引き続いて、職業安定法の改正関係でありますが、何点か質疑を提示しておりますけれども、お時間もございますので、職業安定法、今回の改正と規制改革会議が言っております構造改革の特別区との関連でありますが、法案の関連としまして構造改革特区で行うことができる特例の措置を三分野ということで提示をされております。また、この実施時期と内容を明確にした上で全国規模の改革事項、この問題、要するに特区に限定した問題と全国規模で行うような改革の中身、しかしこの関連法というのは特別の地区だけに該当する法律ではございませんので、その辺りを今後どういうふうに考えていくか。地区に限定した特例の特区という問題と、法令上全国規模で行わなければならないような改革の中身、これいずれも今回の改正案では措置をされているという説明になっておりますが、この辺のところはいかがでございましょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) 構造改革特区の関係で、職業紹介関係につきましては、一つは農業者の研修教育施設の長によります無料職業紹介事業、それから島嶼部の市町村によります公共職業安定所への取次事業、それから官民共同窓口の設置による職業紹介事業、三点挙げられております。いずれも四月の十七日あるいは五月の二十日に認定が行われるということで、それぞれの自治体が予算の必要な措置があれば措置を講じた上でこういったことを始めるということだろうと思います。私どもの方は、それに対応できるように既に法律上等の措置は取っておるところであります。
 今御質問のとおり、その特区につきまして、これを地域を限定することなく全国において実施するのか、それとも引き続き地域の特性があるということで地域に限定して適用するのか、あるいはもう規制の特例措置は廃止するのか、あるいは是正するのかと、これについて特区全体の措置につきましての評価を行われるということになっておりますので、我々としては、これを受けまして、それぞれ特区で事業を実施される自治体の状況を見て、必要があれば全国に拡大するということも十分あり得るだろうというふうに思っています。
○中原爽君 ありがとうございました。
 引き続いて、労働者の派遣法の改正の関係でありますけれども、今回、特に物を製造する製造業、物の製造業について、前回の改正法、派遣法の改正の際に、製造、直接生産工程にかかわる労働者数の割合から労働者派遣の適用除外業務とした本法があります。その本則と、その法の、法律の附則の関係というのがどのように規定されていたのかということの確認をしておきたいと思います。
 この本法と附則の関係というのは、現在のこの改正に当たりましても変更はされていないと思うんですが、派遣法の第四条、それから附則の第四条と施行規則の附則の二条、こういった関係がありますが、この辺のところ、改正にかかわりましてどういうふうに考えたらいいのか、簡単で結構でございますが、御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 物の製造の業務の取扱いでございますが、前回の平成十一年の派遣法の改正の際に、従来は専門的な知識、技術、能力等を要する分野に、二十六業務でありますけれども、限って派遣を認めておりましたところ、前回の法改正の際に、臨時的・一時的な業務について派遣を認めていこうということで、特に問題のある建設業あるいは港湾労働の業務、そういったもの以外は原則的に派遣を認めるということでネガティブリスト化したわけでございます。
 その際に、製造業の取扱いが問題になったわけでありまして、製造業の直接生産工程で働く労働者の方の場合、我が国の雇用労働者に占める割合が大きい、今、先生のおっしゃったとおりであります。それから、やはり労働条件の決定に与える影響も大きいんじゃないかということで、激変緩和の観点から、附則におきまして、派遣法の附則におきまして、当分の間、厚生労働省令で定めるものについては、労働者派遣事業を行ってはならないということにいたしまして、厚生労働省令で物の製造の業務のほぼ全部を適用除外して今日に至っていると、こういう状況でございます。
○中原爽君 引き続きまして、この物の製造業にかかわります労働者の派遣事業と、従来から言われておりますけれども、請負業によります、まあ請負により行われる業務、この区分の基準の概要が、もう一度確認の意味で御説明を、簡略で結構ですが、いただきたいと思うんですが。
 この派遣事業、派遣業にかかわりますいわゆる偽装請負ということが衆議院の方でも何回も危惧されて質問が出ているわけでありますが、昭和六十一年労働省告示第三十七号、この関係でこの派遣事業とそれから請負事業のかかわりが告示になっているかと思います。これも、もちろん現在も変更はないと思いますし、また作業請負という形でありますと、職安法の施行規則の四条でしょうか、ここにも説明が載っているはずであります。この辺のところを、簡略で結構ですが、御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 労働者派遣事業とそれから請負で行われる事業の区分に関しましては、今、先生御指摘のとおり、昭和六十一年に労働省告示ということで区分基準を定めております。
 主な内容を申し上げますと、一つは、業務の遂行に関する指示が、請負の場合はその請負元の方できちんと行うことということになっています。具体的には、業務の遂行方法ですとか、あるいは業務の遂行に関する評価ですとか、そういったものをきちんと行う。さらに、労働時間等の管理、これは始業・終業時間ですとか、あるいは時間外労働ですとか、こういったものについての指示も請負元が行うと、こういうことになっております。
 あわせて、請負契約で請け負った業務をその請負業者が自己の業務として相手方から独立して処理するということになっておりまして、例えば、業務の処理について、民法、商法等の事業主としての責任はすべて請負元が負うというふうなことになってございます。
○中原爽君 ありがとうございました。
 御説明のとおり、請負というのは、元々、請け負う側の方の問題でありますので、その辺のところをもう一度きちっと押さえておく必要があろうかというふうに思います。ありがとうございました。
 それで、引き続いて医療分野の関係でありますけれども、医療分野における労働者派遣規制を見直すということでありまして、医療提供にかかわります老人保健施設が派遣の対象外でありますし、社会福祉施設が派遣対象とされたということであります。
 これは、先般三月の施行規則、施行令の改正ということで措置をされているわけでありますが、昨日、五月二十八日に厚生労働省の基本的な考え方ということを発表されておられますが、その中でも、この労働者派遣業務の医療分野、すなわち、医師、看護師等への対象拡大についてというコメントを発表されておられますが、この関係、今後の見通し等につきまして御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 今までのところは、医療にかかわりのないところ、少ないところ、ここは一応認めるということで、社会保健施設等につきましては派遣を認めるということにしてきたわけでございますが、医療にかかわるところもこの派遣の中に認めろという強い規制改革会議からの御意見があるわけでございます。
 しかし、ここは、最近は医療もチーム医療にだんだんなってきておりますし、そこに入られます、それが看護婦さんであれ、医師であれ、あるいはほかの職種の人であれ、そのチームの一員として、やはり我が病院は、我が医療施設はこういう方針でやっていきたいというふうにやっておみえになるときに、それと反するような人がおみえになっても具合が悪いと。ですから、そこはなかなかおいそれと認められませんねということだったわけでございますが、いわゆる事前面接をして、そして、面接をしてと申しますか、お互いにこの人ならいいだろうということにした暁においてどうかという話に今なってきておりまして、最終結論にまだ達したわけではありませんけれども、そうした形で、医療機関のどの職種がいいということではなくて、それならば全体として考える、考えていこうといったようなことで今議論を重ねているところでございます。
 医療機関には医療機関としての条件もございますので、それらの条件も十分に考えながら検討したいというふうに思っております。
○中原爽君 ありがとうございました。
 この点については、基本的な考え方では、四月に立ち上げた医療分野における規制改革に関する検討会で更に検討を進めるというふうに御説明されておりますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 日本経営者団体連合会辺りはこのところを全面的に規制緩和をしろというような御意見もあるところでありますし、また全面改正をすれば医療にかかわりますいろいろな事故の問題も起こるのではないかという労働者団体の御意見もあるところでございまして、調整がなかなか難しいかと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 それから、直接厚生労働省には関係がないと思うんですが、飯田橋にありますハローワーク民間需給調整室が、いわゆる医局における医師の派遣、この実態調査を行っておりまして、この結果が大体予想どおりの回答になっていると思うんですけれども、今後この方向をどう考えるかと。調査に当たりましては、職業安定法の関係とこの医局による医師の派遣についての説明文書が添付されておりまして、そこに、医局による医師の派遣のいろいろな型、類型が解説されているわけであります。例えば、大学病院の実際の勤務医であるとか当該医学部の卒業生であるとか、あるいは研修医あるいは大学院の修了生、こういったことの類型が説明されております。
 しかし、今後、医師も歯科医師も臨床研修の制度が義務化されるということも踏まえまして、この辺り今後どういうふうに考えたらいいのかということの概略の御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 医局によります医師の派遣につきましては、昨年の通常国会におきまして、衆議院の厚生労働委員会で問題があるのではないかという御質問ございまして、これを受けまして、昨年の十月から今年の三月に掛けて大学の医学部、それから歯学部のあります九十四大学につきまして、各大学一医局の実態調査を行いました。
 その結果を申し上げますと、七十九の大学、医学部医科大学のうち、いわゆる医局による医師の派遣を行っている医局は六十七医局、それから、十五あります大学の歯学部、歯科大学のうち、医局による医師の派遣を行っている医局は三医局ありました。
 その医局によります医師の派遣が行われ何が問題かと申しますと、先ほど委員から御指摘のありましたとおり、職業安定法の四十四条で禁止しております労働者供給事業に当たるのではないかというふうな問題意識であったわけでありまして、今申し上げたそれぞれの医局について調査をいたしましたところ、医局による医師の派遣が行われています大学、いずれの大学におきましても、派遣先の病院を決めるに当たっては医師本人の希望を十分考慮して、その意思を尊重することによって医師本人が自由意思によって就職していると、こういうことであるものですから、職業安定法に言います労働者供給という行為には当たらないということだろうというふうに思います。
 ただ、調査いたしましたのはそれぞれの大学一医局ということでございますので、やはり医局による医師の派遣が職業安定法上適正に行われるということが必要だろうということで、これも今お話ございましたとおり、その医局による医師の派遣と職業安定法との関係につきまして整理をいたしました資料を作成して、各都道府県の労働局長から医学部、歯学部に周知指導を行ってきているというところでございます。
 確かに、今お話しのように、これから臨床研修医の問題ということもあるわけでありまして、そういった意味で、我々もその労働者供給事業に当たらないような形で適正に行われるようにということで必要な指導等を随時行ってまいりたいというふうに考えております。
○中原爽君 ありがとうございました。よろしく今後の問題をお願いしたいと思います。
 それと、時間がもうございませんので、今回の法改正とは話が少しずれますけれども、先ほど御説明申し上げた、昨日提出されております厚生労働省の基本的な考え方の中で、特に保険医療制度にかかわります特定療養費制度と混合診療について、いわゆる混合診療の解禁についてというコメントが出されております。この点について、今週でありますけれども、中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会でもこの問題、混合診療の問題を見解として取りまとめるということだそうであります。
 よく今までは歯科診療は混合診療をやっているというようなことをテレビ等で放映されたりしておりまして、実際には歯科の診療というのは特定療養費制度しかないわけでありまして、混合診療は元々禁止されているはずでございます。
 この辺について、昨日一応基本的な考え方をお出しになっておりますので、いかがでございましょうか。混合診療の解禁等につきまして御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 昨夜、経済財政諮問会議から、どうしてもやらなければならない六項目というのが出されまして、その中の四項目は厚生労働省関係でございます。私は、半分冗談、半分嫌みを込めて、厚生労働省に何かねたみがあるのではないかと、こう申し上げたわけでございますが。
 私は、規制改革会議というのは経済の活性化を促進するために私はやっていると思っております。しかし、挙げられましたものどれを見ましても、そう経済の活性化に結び付くものではないわけでありまして、その中の一つにこの混合診療も実はございまして、六月までに即答しろと、こういうことでございます。できるものはやるけれども、できないものはできない、こういうふうに答弁をしてございます。
 先ほどお話ございましたように、特定療養費制度という形で特に歯科の方は今までも進めていただいておりますし、特定療養費制度という形で今後ともどういうものを特定療養費に入れるかということを相談をしながら決めていくということはあっていいというふうに思っておりますが、患者さんの自由意思によってこれは別枠でやってほしいとかいうようなことになってまいりますと、医療の中の格差というものが非常に大きくなってまいりますし、ましてや医療従事者からこれは混合診療で別枠でやりますというようなことになってまいりますと、これは本当にまた格差が大きくなってまいりますので、そこは私たちは言われるとおりやるというつもりは今のところ持っておりません。
 したがいまして、ここは何ができるのかということは考えていかなければなりませんけれども、規制改革会議で言われたとおりにやるつもりはないということを昨夜も申し上げたところでございます。
○中原爽君 ありがとうございました。特に、規制改革会議との関係について御決意をいただきました。本当にありがとうございます。
 したがって、今御説明申し上げたように、特定療養費制度それから混合診療、それと選定療養、三つの言葉が全部錯綜しているという状況であろうかと思いますので、もう少しこの辺りの御整理をお願い申し上げたいと思います。
 あと三分ほどでございますので、残り一つとしまして、今回、職安法の改正で、学校等の行う無料職業紹介事業について学校等が独立をして行うケースがございます。これが専修学校も含めていろいろ委託訓練との関係が出てきておりますが、職業能力を開発するということとこういった学校等が委託訓練を受けるということの関係はどのような状況ですか、簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(坂本由紀子君) 委託訓練につきましては、求職者を対象にその再就職の促進を図るということで公共職業訓練施設以外に民間教育訓練にその教育機能を活用させていただくということで、専修学校でありますとか大学等に対しまして委託をして行っておるものであります。
 現在、情報通信でありますとか介護福祉、事務分野等を主として委託訓練として実施をいたしております。委託訓練につきましては、これまでも委託契約の中で能力開発をして早期再就職につながるようにということで職業指導と就職支援ということも委託契約の中身として併せてお願いをしているところであります。
 今般の法改正によりまして、学生生徒に加えましてそれに準ずる者も省令により追加ができることになりますので、委託訓練の受講者等もこの追加の検討対象となるものと考えております。それによりまして、専修学校等の能力開発の委託訓練がより、職業紹介の実施等により、より求職者の再就職につながるものというふうに期待をいたしているところでございます。
○中原爽君 ありがとうございました。
 学生等に付け加えて、それに準ずる者ということでお考えいただいております。どうもありがとうございました。
 以上で終わります。
○沢たまき君 公明党の沢でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の改正案は、労働基準法の改正案と併せまして、今後の労働行政の方向性を決める大変重要な改正であると認識をしております。私は、与党の一員ではございますが、問題点は問題点として指摘をして、多少厳しいことを申し上げるかもしれませんが、厚生労働省としてきちんと御説明をいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、高度経済成長が一段落したころからでしょうか、我が国の労働市場におきまして労働者の就業形態の多様化という言葉を多く耳にするようになりました。これは、我が国独自の傾向ではなくて、多くの先進国でも見られる現象のようですが、簡単に申し上げれば、正社員以外の業務、例えばコンピューター関係の業務や守衛、清掃といった業務が増えてきた、また同時に、女性の社会進出や高齢者の就業意欲が増加してきた、こうした現実に労働者が就業の形態を多様化させることで対応するようになったため、そのための環境整備が求められるようになったと、こういったことなんだろうと思っております。この多様な働き方を象徴する働き方の一つが現在改正案で問題になっております、審議されております労働者派遣事業でございまして、八六年の制度の発足以来着実に派遣元の事業者数、派遣労働者数を伸ばしているところでございます。
 かつてILOは、こうした労働者派遣事業を有料職業紹介事業に該当するとの見解を取っておりましたけれども、労働者派遣事業を世界の各国が取り入れていることを背景に、九七年に締結され、九九年我が国が批准をいたしましたILO第百八十一号条約において労働者派遣事業は民間職業仲介事業として明確な位置付けを、定義付けが行われました。我が国におきましても、企業環境、雇用環境が大きく変わり、企業側はバブル崩壊、経済の低成長に伴う設備投資、企業内雇用等の縮小に大きく動きまして、一方、労働者も就業の意識、ライフスタイルの多様化によって時間的に拘束されずに仕事や場所を選択できる働き方、こういったものを求める方向にあって現状労働者派遣事業が期待されるところであります。
 私も総体的にはこのような方向であることは否定はいたしません。しかし、当然労働者にとりましては雇用の安定とだれもが望むことでありまして、常用雇用又は我が国の、もう古きという言葉が前に付くようになってしまいましたけれども、よき伝統であります終身雇用制につきましては、特に中高年の方々に強い願望があるということは今も変わらないと思っております。
 そこで、労働行政は政労使の三者構成と言われておりますが、特に使用者が経済的動向によって人件費をも抑制しようとすることで労働者は一方的に不利益を被る可能性を持っておりますから、労働行政は労働者の側に立って進めていくべきだと思っております。
 大変前置きが長くなりましたが、そこでお伺いをいたします。
 こうした多様な就業形態に対応するために政府はどのような労働政策を進めていくおつもりなのか、また厳しい経済情勢において不安定になりがちな雇用の中でどのような労働者保護政策を取っていくおつもりなのか、坂口厚生労働大臣の労働行政に対する基本理念を伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 今いろいろお話ございました中で一番大事なことは、派遣労働者ならば派遣労働者の安全あるいは健康管理、そうした労働者保護をどのように進めていくかということが一番大事なことだというふうに聞かせていただいたところでございます。
 先ほど中原先生にもお答えを申し上げたところでございますが、やはり労働者の安全性、職場における安全性それから保護ということについて、本腰にここは取り組んでいかないといけないというふうに思っております。様々な派遣労働者というのが増えてきて、そしていわゆる常用雇用の人たちよりも派遣労働者の方にすべてのことにしわ寄せが行く、あるいはまた労働時間がここに皆押し付けられるといったようなことになってまいりますと、派遣労働者の皆さん方の健康管理というのはなかなかできないということになってしまいますしいたしますので、ここはいわゆる派遣先であります企業にその点の責任を明確にしているところでございますが、ただ、法律の上で明確にしているというだけではやはりいけませんので、より具体的にここはどういうふうにしていくかというようなことについてもう少し突っ込んで検討し、そしていわゆる派遣先の企業に対する責任というものをより明確にしていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
 そうした作業を、この法律の御審議いただいておりますが、併せて行いたいというふうに思っているところでございます。
○沢たまき君 ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
 世界の労働市場を見ますと、労働関係の基本はいずれの国におきましても使用者と労働者の二者間の労働関係でありまして、派遣先、派遣元、労働者の三者間の労働関係であります労働者派遣は労働市場の中で補充的役割を果たしております。雇用関係と指揮命令関係の分離という派遣労働の特殊性を考えますと、派遣労働者の労働条件は常に悪化する危険性を伴っております。
 職業安定局が昨年行った派遣労働者に対する実態調査によりますと、働き方のデメリットとして派遣労働者が一番多く回答しているのが将来の見通しが立たないことでありますし、収入が不安定である、雇用が不安定である、賃金水準が低い、技能が向上しても評価が上がらないといった事項が上位を占めております。
 このように、常用労働者に比べて働き方のデメリットを感じている派遣労働者に対しまして、現在どのような労働者保護が図られているんでしょうか。また、今回の改正におきまして、今御紹介をいたしましたような派遣労働者の不安を払拭するためにどのような措置を講じられるおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○副大臣(鴨下一郎君) 先生の御指摘、非常に重要な点であります。今、現行制度においては、派遣先による直接雇用を促進すると、こういうようなことのために派遣労働者の雇用の安定を図る、こういうことで、一年の期間制限がある業務に派遣労働者を受け入れている派遣先に対しまして、一定の場合に当該派遣労働者の雇入れを努力義務を課していると、こういうようなところでありますけれども、これからの改正法の法案におきましては、これに加えまして、期間制限の延長等により自分の生活サイクルに合わせた働き方等を希望する労働者に対してより長期の派遣労働としての就業機会を提供すると、こういうようなこともあるわけでありまして、さらに、その一方、派遣期間の制限のある業務に派遣先が派遣期間の制限を超えて派遣労働者を使用しようとする場合、さらに派遣期間の制限のない業務に三年を超えて同一の派遣労働者を受け入れている派遣先が新たに労働者を雇い入れようとする場合、こういう場合には派遣先は当該派遣労働者に対しまして雇用契約の申込みをしなければいけないと、こういうようなことで二種類の雇用契約申込義務規定を設けまして直接雇用の機会の拡大を図る等労働者保護措置を盛り込んでいる、こういうようなところでございます。
○沢たまき君 私も就業形態の多様化については一定の理解をいたします。しかし、労働者派遣事業はあくまでも労働者が希望する雇用形態の多様化の範疇で行われるべきではないでしょうか。言い換えれば、労働者派遣事業の規制緩和は労働者を保護する立場から漸進的な規制緩和でなければならないと思うんです。この規制緩和を行った結果として、今回の改正で物の製造業が労働者派遣事業として解禁されます。前回の平成十一年改正の際には、製造業の直接生産工程で働く労働者が我が国の雇用労働者に占める割合の大きさ、我が国の労働者の労働条件の決定に与える影響の大きさ、いわゆる構内下請等製造業の製造現場における就業等を考慮した結果、物の製造業が適用除外とされたと聞いております。
 そこでお伺いいたしますが、当分の間禁止するとされてきた物の製造業への規制を今回の改正で解禁した背景と理由は何でしょうか。また、物の製造業への解禁について厚生労働省としてどのような問題点を整理し、検討され、いかなる準備をされたのでしょうか、お伺いいたします。
○副大臣(鴨下一郎君) 多少、経緯の説明から入らせていただきますが、物の業務につきましては、労働者派遣の対象業務がネガティブリスト化された平成十一年の改正の際に、物の製造の業務に従事する労働者が我が国の雇用労働者に占める割合の大きさ等を考慮しまして、激変緩和というような観点から当分の間適用除外する、こういうようなことになったわけでありまして、今般の見直しにおきましては、これはもう経済産業構造の転換や国際化が進展していく、こういうような中で日々変動する業務量に応じ労働力需給の、迅速、的確に対応する、こういうようなニーズは製造業においてもより一層高まっている、こういうようなことでありますので物の製造の業務を派遣の対象とすることと、こういうふうにさせていただいたわけであります。
 物の製造の業務への労働者派遣の解禁に当たりましては、現在製造業において請負事業の利用が広く進んでいること、さらに労働者派遣事業の利用が現状では全面的に禁止されていることを踏まえまして、平成十一年改正で対象業務をネガティブリスト化したときと同様に、改正法施行後三年間についてはまず一年の期間制限を適用することにより請負業や派遣先の事業運営に急激な変化をもたらすことなく物の製造の業務への労働者派遣事業の円滑な定着を進めていく、こういうようなこととしているわけでありまして、また、物の製造の業務への派遣の解禁に併せまして、先ほど大臣からのお話もありましたように、安全衛生の徹底を図るため、派遣元責任者、さらに派遣先責任者の職務に派遣労働者の安全衛生に関する連絡調整を追加する、こういうようなことの措置を講じているわけであります。
○沢たまき君 はい、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 もう一つ、その安全性の、派遣先の物の製造業に派遣される方の責任はどうなるのかとお聞きしようと思ったんですけれども、副大臣おっしゃっていただきましたので、次の四番目を改めてちょっともう一回確認をさせていただきます。
 製造業の派遣ということは大変熟練の経験のある人でも大変危険な作業でありまして、専門性のない方が派遣されて大丈夫かなというのが正直に言った私の感じでありますが、そこで働く物の製造業の労働者の適性とか能力が厳しく要求されますので、その判断を派遣元企業が行うことは大変困難だろうと思います。こうした状況の中で労働者が派遣された場合、事故とか人為的災害、派遣労働者の健康面での安全、これを心配するんですが。
 ここでまたもう一つ伺わしていただきますが、厚生労働省はどのように対応されるおつもりなのか、安全と衛生面での派遣元の責任、派遣先の責任、どう見直されて検討されるのか、もう少し詳しくお教えいただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) おっしゃるとおり、物の製造の業務を派遣の適用対象業務にするといったときに、やはり心配なのは安全衛生面でございます。そういった意味で、今回の、今回提出申し上げております改正法案におきましては、派遣元責任者につきまして、その派遣元事業所での労働者の安全衛生に関する業務を統括管理する者との連絡調整をきちんと行うようにと、それから派遣先の責任者につきましても同様に、その派遣先事業所において労働者の安全衛生に関する業務を統括管理する者との連絡調整を行うことということをそれぞれ派遣元責任者、それから派遣先責任者の業務として新たに明確に追加したところであります。
 あわせまして、厚生労働省といたしましては、労働者派遣契約の内容に定めるようにということで安全及び衛生に関する事項ということが盛られておりますけれども、これにつきまして、定めるに当たってより具体的に今記載するようにということについてパンフレット等を作って派遣元、派遣先に周知していくというふうなことをいたしたいというふうに思っていますし、それから安全衛生教育につきまして、派遣元事業所から派遣予定の労働者の雇入れ時の教育の実施を派遣先にお願いしたいということで委託の申入れを派遣先が受けた場合はこれに応じるように努めるものとするというふうなことなど、派遣先が安全衛生に関しまして協力、配慮を行うことが適当と思われる事項についてはこれを指針に盛り込むということについて検討いたしたいというふうに考えております。
○沢たまき君 はい、よろしくお願いします。
 平成十一年の改正の以降、派遣労働者の数はもう大変急速に伸び続けておりまして、改正前の平成十一年に百六万八千人だったこの数が十三年度には百七十四万八千、約百七十五万と約一・六倍に増えております。これだけ派遣労働者が増えてまいりますと、派遣労働者の労働条件の設定や派遣労働者事業の運営が適正に行われているのか、また厚生労働省としてきちんと把握されているのか心配されるところであります。労働者派遣契約に関して厚生労働省はモデル就業条件明示書というのをお示しになって、派遣元の事業主の責務、派遣先の責務を指針に定めるなど、その対応を行っているようでありますが、これらが本当に実効性がなければ何の意味もないと思います。
 そこでお伺いいたします。
 急増する派遣労働者に対応して厚生労働省はどのような事業者に対する指導監督体制を取っていくおつもりなんでしょうか。また、それに伴って増加すると考えられる苦情の処理の体制についてどのように対応していくおつもりなのか、伺わせていただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) まず、物の製造の業務に派遣を適用可能にする、派遣を適用できるようにするということになりますと、やはりその請負と派遣の区分ということをきちんと処理していくということが重要になりますので、その辺りを考えまして、少し専門的な職員による指導監督という体制をもっときっちり作っていこうということで、現在ハローワークに分掌というか、それぞれのハローワークで行っております派遣に関します指導監督業務、これを都道府県の労働局に集中いたしまして、指導監督体制の強化を図っていこうというふうに一つ思っております。
 それから、安全衛生の問題もございます。そういった意味で、労働基準監督官等の労働基準行政との連携、これを密にしていく。さらに、違法事案等相互通報するような体制をもっときっちりと確立していこうというふうなことで考えておりまして、いずれにいたしましても、法案成立させていただきましたら、施行に向けて指導監督体制、どういった体制が最も効果的なのかということについてきちんと検討し、対応していきたいというふうに思っております。
 それから、苦情につきましては、今御指摘のとおり、派遣元、派遣先の指針におきまして、それぞれ派遣元、派遣先が密接な連携の下にきちんと対応するようにと。それから、申し出た労働者について、派遣労働者について不利益取扱いしないようにという規定がありますが、この辺りについて更にきちんと行われるようにということの指導をしていきたいというふうに思いますし、それから、現在、個別紛争処理のシステムもあります、それから公共職業安定所でもそういった相談等に応じて助言、援助等を行うという体制にもなっておりますので、その辺りもきちんと機能するようにということで、そういった苦情等の対応体制につきましても派遣元、派遣先、それから私どもの行政、それぞれ適切に対応できるようにしていきたいというふうに考えています。
○沢たまき君 どうぞよろしくお願いいたします。是非、苦情処理に関してもしっかりときめ細かに、心がこもった制度にしていただきたいと思います。
 次ですが、労働者派遣事業が労働力需給調整機能の効率化と雇用のミスマッチ解消に向けての雇用機会の拡大に一定の役割を果たしていることは私も理解しているところですが、先ほど来申し上げてきておりますとおり、雇用関係と指揮命令関係の分離という派遣労働の特殊性を考えますと、派遣労働者の労働条件につきましてはきめの細かい配慮を是非していただかなければなりません。
 派遣労働者に対する労働基準法そして労働安全衛生法の適用については、派遣先・元責任分担が明確になっているところではございますが、その責任がどこまで連帯するかについては必ずしも明確ではないと思っております。
 諸外国では、派遣先・元連帯責任が規定されている国もあるようでして、例えばドイツなどでは、派遣先は派遣元の社会保険料の未払について連帯責任を負わなければならないとなっております。また、フランスでは派遣先は派遣元の社会保険料について立替払をしなければならないと連帯責任を明記をされております。
 そこでお伺いいたしますが、現在我が国では派遣元及び派遣先の責任についてはどのように整理をされているんでしょうか。また、今後こうした派遣元及び先の連帯責任について強化していくべきとの声もありますが、厚生労働省はどのように考えているんでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) 派遣法を制定いたしましたときに、従来、職業安定法四十四条違反ということで労働者供給事業に当たるんではないかと言われていたものを派遣法を制定することによって使用者責任とそれから雇用者責任、これを明確にそれぞれに割り振ったということで今日に至っているわけであります。
 基本的な考え方といたしましては、派遣元が労働者に対する基本的な責任を負うということを原則にいたしております。したがって、社会保険料については派遣元事業主が雇用主であるということから派遣元事業主に負担する責任があるということで整理しておりまして、ここを徹底するということが重要なんだろうというふうに思います。
 ただ、今御指摘のとおり、例えば労働時間ですとかあるいは休日ですとかあるいは安全衛生ですとか、こういったものについては、むしろ働いている現場であります派遣先の事業主に責任を課した方が労働者の保護の上で適当であるというものについては、労働時間管理ですとかあるいは安全衛生の管理でありますとか、そういったことは派遣先に課しているということであります。
 どうも日本の場合、やはり労働者供給事業のときからの経験にかんがみますと、やはり派遣元と派遣先、それぞれ責任をきちんと明確にしていくということの方が労働者の保護のためには適当なんではないかというふうに考えておるところでありますが、今御指摘のように、かといってそれじゃ派遣先に全く責任がないのかということになりますと、派遣元と派遣先の力関係もこれありということで、労働者の保護の上からやはり派遣先にもそれなりの対応を求める必要のある事例も多いわけで、そういった意味で、これまでも例えば苦情の処理ですとかあるいは派遣先での福利厚生、あるいは、今回教育訓練も入れましたけれども、そういったものについてのバランスある待遇ですとか、そういったことについては派遣元と派遣先とよく連絡取って、派遣先も誠意ある対応をするように、こういうことになっているところでありまして、今回の派遣法の改正の中で、更に労働者保護の観点から必要があれば指針等に盛り込む、あるいはその他指導するという形で対応していくということにいたしたいと思っております。
○沢たまき君 ありがとうございました。
 みなし雇用を伺いたいと思ったんですが、ちょっと時間がなくなりまして、飛ばさせていただきます。
 岩田局長にお願いしておりますので、ちょっと飛ばして、今回とちょっと違うと思うんですが、子供を産み育てる環境というのを整備するために、まず育児休業を取りやすい環境を整備することが重要だと思っております。
 特に、厚生労働省は育児休業取得の目標を立てて積極的に子育てを支援しようとしているわけですから、ファミリーフレンドリー企業への表彰など、子供を産み育てる施策を進めるべきではないかと思っております。また、もっと積極的に中小企業が労働者派遣事業や委託募集制度を活用できるよう制度の周知徹底を図るべきだと考えているんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、委員が触れられましたけれども、育児・介護休業法の中に委託募集の特例措置というのがございまして、一定の基準に合致すると認定された事業協同組合などがその構成員である中小企業の委託を受けて育児や介護の休業中の代替要員の募集を行う場合について委託募集の特例措置を設けているところでございますが、残念ながら、御指摘どおり、これまで実績がございません。
 一つには、中小企業では大企業と比べて育児休業の取得率自体が低いという問題もございますし、また育児休業の取得者が出た場合の要員管理としまして代替要員を配置するというケースはまだまだ少のうございまして、何とか現有勢力で職場でやりくりをして済ますといったようなことが現状ではないかというふうに思っております。
 男女労働者が職場に気兼ねすることなく育児休業を取りやすくするということは大変大事なことであるというふうに思いますので、そのためにも代替要員をしっかり確保していただくということが大事かというふうに思います。そのための代替要員を配置していただいた場合の奨励金もございますので、そういう奨励金の周知ですとか、今言った代替要員に関係する委託募集の特例の仕組みがあるといったようなことについての周知も今後努力してまいりたいと思っております。
○沢たまき君 よろしくお願いいたします。
 余談になりますけれども、NHKのテレビを見ておりましたときに、フレンドリー企業の表彰状が掛かっておりました、坂口大臣のお名前が入ったのが。そこでは、本当に一年間丸々、それも年度で。出産から一年だと保育園や何か入園とか入所が困るというので四月までというふうになっていて、その女性たちはそういう企業だというので就職しましたと、二人目ですとおっしゃっていました。
 本当に少子化でございますので、奨励金が出るということを初めて伺ったので、周知徹底をしていただければなと、このように思っております。
 ちょうど時間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
○委員長(金田勝年君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩といたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時三分開会
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。一時間半ほど時間をいただきましたので、この法案につきましての質疑をさせていただきたいと思います。
 実は私、この法案ができる十七年前ですか、たまたま職安審議会の委員やっておりまして、この法案ができるときに関与をした一員であるという意味からも、大変複雑な気持ちを持ちまして今日は質問するわけでございまして、加えまして、当時担当でありました戸苅局長が同じメンバーのグループの中におられましたものですから、質問もこれちょっとやりにくいなと思いながら実は質問をさせていただきます。
 まず最初に、私の場合は今回、今日と次の機会も質問いただいておりますので、今日は特に大きな問題だけ、基本になるような問題につきましてのみの質問になるんじゃないかと思いますので、それを中心にして質問させていただきたいと思います。
 今回の法案の大臣の説明の中に、法案を提案する理由として、一つは、いわゆる雇用のミスマッチの解消に役立てるためという一つの柱と、もう一つは、現在の多様なニーズに対応する、働き方の選択肢を拡大をするためにこの法案の改正をするんだと、こういう趣旨は説明をされたというふうに記憶をしております。
 そこで、まず最初にお尋ねをしたいのは、雇用のミスマッチの解消というものにこれがどのようにかかわっていくのだろうかということをいろいろと私自身考えているんですが、その点がまだいまいち私にとりましてははっきりしないものでお伺いをしたいと思うんですが、まず最初に、現在の雇用のミスマッチというのはどういう現状にあるんでしょうか。どういうミスマッチの問題が浮き彫りになっているのか、それにつきまして説明をしていただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 現在、完全失業率が今年の三月で五・四%でございます。これを需要不足失業と構造的・摩擦的失業と、こうやってよく分けるわけですけれども、計算の仕方にもよりますが、この五・四%のうちの四分の三ぐらいは構造的・摩擦的失業によるものであると、ミスマッチによるものであると、こういうふうに言われております。
 ミスマッチの中身としては、一つは年齢別のミスマッチがあるんだと言われていまして、これは数字で申し上げますと、例えば公共職業安定所の有効求人倍率は、二十四歳以下につきましては〇・九八倍でございます。それから、四十五歳から五十四歳になりますと〇・四一倍、五十五歳以上が〇・二三倍ということで、年齢によってやはり求人求職の比率が非常に違うということがあると思います。
 それから、もう一つ言われますのは地域別のミスマッチと言われますけれども、これは例えば、有効求人倍率でまた申し上げますと、この三月で、東海地方は〇・八三倍、北関東・甲信越は〇・七三倍でございますが、一方、近畿は〇・五四倍、九州は〇・四六倍、北海道は〇・これも四六倍ということで、これも地域によって随分差があるということでございます。
 それからもう一つは、産業別といいますか職種別といいますか、この辺りのミスマッチがあると、こう言われていまして、これは例えば平成十四年度の常用の求人求職の全体に占める比率で申し上げますと、例えば専門的・技術的職業につきましては、新規求人全体に占める専門的・技術的職業の割合は二〇・八%でありますけれども、求職者の方に占めます専門的・技術的職業の求職割合は一二・八ということで、専門的・技術的職業は求人の比率が非常に高いのに求職者の比率は低い。一方、事務的職業で申し上げますと、求人の方では一一・二%しか占めていないんですけれども、求職の方では二五・三%を占めていると。
 こういうことで、今申し上げたように、年齢別、地域別、あるいは産業業種別に様々なミスマッチ、求人求職のミスマッチがあるということだろうと思います。
 これは、一つはやはり何といっても求職者、仕事を求めている方の持っている知識、能力、経験、そういったものと、それから企業が求めているものとの間の違いということが地域別あるいは年齢別、それから産業別に出ているということ、それから、企業の、企業活動の状況が地域によっても違うというふうなことだろうと思いますが。
 そのほかに、例えばやはり求職者の方、求人者の方、それぞれがやっぱり労働市場の実態というものを、十分情報を持たずに求人求職を行っているということによっての問題ということもあると思いますし、それから、求職者の方が就職に向けてどういった準備をしているのかということがよく分からない、どういった取組をすればいいのかがよく分からない、労働市場の状況もよく分からない、こういった情報不足によるものというものもかなりあるのではないかというふうに思っています。
 それからもう一つは、やはり現在の厳しい経済情勢の中で企業が非常に長期的な観点に立って企業活動を行いにくくなっている、短期的な視野で企業活動をやらざるを得なくなっているということもあって、企業側の求人ニーズというのが非常に多様化している。
 それから、働く側につきましても、常用ばかりでなくて、自分の働きたい時間あるいは自分の働きたい地域、駅の近くがいいとか交通の便がいいところがいいとか、あるいは残業のないところがいいとか労働時間に対する要望、そういったものが非常に様々になってきて、その辺りの求人求職のマッチングというものがやはり円滑にいかなくなっている。
 いろんな要素で今申し上げたようなことになっているのではないかと思います。
○今泉昭君 表現は違うかもしれませんけれども、大体私も同じような、雇用のミスマッチに対する認識は同じだと思うんですが、今説明された雇用のミスマッチの実態と今回出されましたこの法案の改正内容とぶつけ合わせてみまして、そのような雇用のミスマッチがこの法案の内容で本当に解消できるのかどうか。具体的にそれがすぐ結び付くようなものが私自身としてはいま一つぴんと直接的に結び付いてこないんですが、具体的に、ミスマッチということに対してこういうものがこの法改正につながっているんだということについての御説明をいただけますか。
○国務大臣(坂口力君) 本当は局長から続きを言った方がいいのかもしれませんけれども、私が答弁する番になっているものですから私から答弁をさせていただきたいというふうに思いますが、一つは、今回、地方自治体あるいはまた商工会議所等が届出をしていただきますと、そこでハローワーク的事業をおやりをいただくことができるようになるということでございますから、そういう面では、それぞれの地域の特性に合った職業紹介というものが行われるようになる、これは一つプラスだという。また、民間の皆さん方との連携ということも言っておりますから、そうしたこともあり得るだろうというふうに思っております。
 それからもう一つは、今、戸苅局長がいろいろのミスマッチの例を挙げましたけれども、現在の状況を考えますと、その中で企業の方は、何となく停滞しているこの経済の中で少し様子を見ようと様子見的なところがございます。ですから、より積極的に雇用をしようということがない。そういう皆さん方は、いわゆる常用雇用としての形ではなくて、そこまで行くだけの自信がないと思っているところもあるわけであります。もうちょっと良くなってきたらそうするんだけれどもなと、今はちょっともう少し様子を見たいと思っておみえになる方が。
 そういう皆さん方に対して、一方の方は、いや、常用雇用でと、こういうふうに言ってきたのが、そこでなかなかうまくかみ合わない。するともうパートでという形に今までなっている。パートというと、やっぱりもう少しちゃんと仕事をしてもらって、やってはほしいんだけれども、しかし常用雇用をするだけのちょっと自信がないというような意味でのこのミスマッチというのは、私は現在存在するというふうに思っております。
 そういう意味では、今回のこういう派遣、あるいはまたその他の契約の問題もありますけれども、今回の問題のように、いわゆる派遣業といったような働き方というのは、こういう事態において私は一つのミスマッチを解消することになり得るというふうに思っている次第でございます。
 あるいはまた、労働者の側にとりましても、例えばフリーターになっている人たちにお伺いしますと、とにかく一時的に一遍これで様子見をするという方があるわけでございます。そして、もうちょっと落ち着いてきて良くなってくれば更に違うところへ勤めたいと、腰掛けに使っておみえになるところがある。
 そうした働く側の皆さん方の側にもそういう側面がございますから、私は、こうしたいろいろの多様化した働き方というのは、そういう意味でいろいろのミスマッチの解消の一部にはなり得るというふうに理解をしているところでございます。
○今泉昭君 私は、ミスマッチのいろんなデータが出ているわけですけれども、このミスマッチのデータは項目別に組立て方は幾らでもあると思うんですね。例えば、企業のニーズに合わない、あるいは企業が求めている技能労働者というのがなかなか見付からないという企業側の一つの条件の中にも、ただ単に技術者が見付からないということだけではなくして、求職側の人たちの気持ちでは、もっと賃金をたくさんもらいたい、だけれども、この程度の評価しかもらえないんだったら嫌だという人。それを賃金の、処遇の問題で不足の分類にするのか、あるいは企業側のニーズに合わない人という分類にするか、これは大きな、どっちにでもぶれる実は分類の方法なんですね。私、ずっと雇用のミスマッチの問題をフォローしていきますと、最大は、ほとんどと言っていいぐらいは実は処遇面でのミスマッチではないかと思うんです。
 そういう意味で考えてみますと、今回のこの法案に盛られていることが具体的にすぐ雇用のミスマッチを解消する道につながっていくのかどうか、今、大臣から説明をいただいただけでは本当に分からないわけなんですね。
 先ほど御説明の中には、雇用のミスマッチだけではなくして、多様なニーズの話までの御説明もございましたけれども、働いている、派遣法で働いている皆さん方のアンケートをいろいろと調べてみますと、今御説明になった、自分の自由な時間帯で働きたいとか、いろんな企業に勤めていきたいとか、そういう経験をすることによってキャリアアップして自分のスキルを伸ばしたいという気持ちのある方もいらっしゃいますけれども、その反面、大変収入の不安がある、雇用の不安がこの制度では大きい、さらにはまた将来不安というものがいつも付きまとっているという、そういう気持ちを持っている方もたくさんいらっしゃるわけですね。
 取り方によっても、これもごく一部のいろんな種類のニーズがあるからということで、この派遣法あるいは規制緩和をしていくというふうに一方的に何かとらえられているんじゃないだろうかな、そんな気がして私はならないわけです。
 と申しますのは、一体、この派遣法の今回の拡大、例えばものづくり、製造業に関する分野においても今回は解禁される、緩和されるようなことになるわけですけれども、今回のこの派遣法の規制の緩和というのを、私は、ちょっと偏った見方をされるというふうに言われるかもしれないけれども、使う側の論理と使う側の一方的な理由が前面に出過ぎている法案じゃないかと思うんですよ。
 そこでお聞きしたいんですけれども、この法案の改正によりまして企業側にはどんなメリットがあるでしょう。企業側にはどんなデメリットがあるでしょう。働く側にとりまして、この法案の改正というのはどんなメリット、どんなデメリットがあるでしょうか。
 それからもう一つ、大きく考えてみまして、この規制緩和というのは、国の在り方、国全体の経済の問題と比べてみて、一体どんなメリットとデメリットがあるというふうに整理をされているか、その点についてちょっとお聞きしたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) まず、派遣労働者を使用いたします派遣先のメリットであります。
 一つは、派遣期間が、通常の業務につきまして従来一年の派遣期間の制限があったわけでありますけれども、今回、最長三年までということで延長いたします。これに伴って、臨時的・一時的な業務ではあってもなかなか一年で処理し切れないというふうな業務について、派遣を適用というか利用することが可能になると、こういうことがあると思います。
 それからもう一つは、物の製造の業務への労働者派遣、これが可能になるということでありまして、中国始めASEAN諸国等との競争が非常に激しくなっている中で、非常に製造業においても臨時的・一時的な仕事、例えば長期的に、今、受注が維持されるかどうか分からない、ただ、急に受注が増えたといったようなときに、常用労働者で対応するのかあるいは有期の労働者で対応するのかというほかに派遣という選択肢が増えたということであります。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 有期の労働者を採用するか派遣を採用するかと、それはそれぞれ一長一短はあるんだろうと思いますけれども、派遣の場合には、その派遣先にとっては必要な技能、必要な数の労働者をスピーディーに、有期雇用であれば求人広告を出してからということになりますけれども、派遣会社に発注すればすぐに確保できるという意味で、企業活動の、機動的な企業活動というか、そういったものに派遣を活用するということによるメリットはあるんだろうと、こういうふうに思います。
 それから、紹介予定派遣がルール化されるということでありまして、これは労働者にとってのメリットも非常に大きいわけでありますが、なかなか、例えば若年者を雇いたい、あるいは障害者を雇いたいといったときに、企業がなかなか踏み切れない。それじゃ、紹介予定派遣を経由して雇おうということになりますと、そういった就職の困難な人たちを雇おうという企業の意欲がより生かされやすくなると、こういうことがあるんではないかというふうに思います。
 デメリットとしては、経営者側はその派遣について臨時的・一時的な業務についての派遣という制限を取り払ってほしいと、こういう要望も強かったわけでありますが、今回の法律では、派遣というのは臨時的・一時的な業務のための需給調整システムであると、こういうことにしたものですから、そういった意味で、派遣が最長三年までしか利用できないということがデメリットといえばデメリットということだろうというふうに思います。
 それから、派遣先の職務に安全衛生に関する事項その他の事項を付け加えておりますので、こういったことがその派遣先にとっては人事管理上あるいは雇用管理上の事務が増えるというふうなことで、デメリットといえばデメリットかなと、こういうふうに思います。
 それから、労働者にとってのメリット、デメリットでありますが、これは派遣労働者にとって申し上げますと、今回、一年の期間制限を三年まで延ばしたということについては、やはり今回の見直しに当たって、去年の六月に行いました実態調査でも、派遣労働者の方の中で派遣期間の制限を緩和してほしいと、その方が雇用が安定するということだろうと思いますが、そういった要望も強かったということで、これにおこたえするという意味もありますので、そういった意味で、派遣労働者の方で長期に同じ企業で、せっかく慣れた派遣先なので、そこで自分の技能を生かしたいということについては、その雇用の安定、技能の発揮という意味で従来よりもメリットは大きくなっているんだろうというふうに思います。
 それから、一定の期間を超えて派遣労働者が就いている業務を引き続き続けようといったような場合には、派遣先から当該派遣労働者に雇用の申込みをするということにしておりますので、派遣労働者で一生過ごしたいんだという方じゃなくて、できれば正社員になりたいと、しかも、派遣先は気に入ったので正社員にしてほしいという希望のある派遣労働者にとっては直接雇用の機会が増えるという意味でこれもメリットだろうというふうに思います。
 それから、先ほど申し上げましたとおり、若年者の方等々でなかなか就職が困難だという方について、紹介予定派遣を導入したということによって就職実現のための一つの道が増えたというふうなことだろうというふうに思います。
 派遣労働者の方そのものにとってのデメリットというのは、今回の改正はまずないんじゃないかというふうに私ども考えておるところであります。ただ、労働者自身、その派遣労働者以外の労働者にとってのメリット、デメリットということになると、ここはまたいろんな議論はあるんだろうと思います。
 これはいろんな意見があるということで、私の今思っておりますことを申し上げますと、例えば、仕事が急に増えたときに、急に受注が来たときに、労働者の方が長時間労働で対応するのか、あるいは派遣で対応するのかという局面に派遣を導入できるということであれば、無理な長時間労働を派遣労働者の方を入れることによってカバーできると。ただ、ここは有期雇用を取るという道も従来からあるという意味では、どれほどのメリットかという議論はあろうかというふうに思います。
 それからもう一つは、常用雇用との調和というか、こういった観点だろうと思います。これはもうそれぞれの局面局面でどうなるかということでありますが、我々としてはここのデメリットがとにかく生じないように、常用労働者との調和という観点では、今回の法案でできるだけの手当てを講じたというふうに考えておるところであります。
 それから、国にとってのメリットということでありますけれども、我々といたしましては、今回派遣法の改正をしたことで何が何でも派遣労働者になってほしいと、こういうことを思っているわけでは全くないわけで、様々な求人求職の結合のための一つの手法として派遣がもっと使いやすいように、あるいは派遣という働き方をもっと選択しやすいようにと、こういう観点で行っているわけでありまして、これによって求人求職のマッチングがより効率的あるいは迅速に行われる道が一つできたろうということはあるんではないかというふうに思っております。
 そんな状況であります。
○今泉昭君 今の御説明を聞いていますと、どちらかといえば働かせる側にとってのメリットというものの方がどうしても目立つわけでありまして、雇用側のデメリットなんというのは、三年という短い制限があるのはデメリットじゃないかと無理やりにデメリットを押し付けているような印象も受けるぐらいに、今回の法改正は、何といっても経済界の強い要望が実はあったんじゃないだろうかというふうに考えられてならないわけであります。
 現在、我が国の派遣労働者の数は百七十万人程度でございまして、雇用労働者でいうならば三%弱ぐらいでしょう。現在のいわゆる雇用労働者の数を産業別に見てみますと、一番大きな雇用労働者の固まりというのは製造業でございまして、製造業が一千百万程度、ちょっと切る程度でしょう。就業労働者からいうと、一千百万超えているでしょうけれども、就業労働者ということでいうならば、卸・小売業が一千万を超えるような状況になっておりますけれども、雇用労働者という形でいうならば一千万切っている。依然として今でも製造業の雇用労働者というのは最大の団塊でございます。
 これまで、百七十万人の派遣労働者の主たる派遣先というのは、どちらかといえば通信関係にかかわる人であるとか、あるいは運輸業であるとかサービス産業であるとかというところに大変多いわけでございまして、今の状態からいうならば、もうこれ以上の産業の広がりというものは期待できない、むしろ一番大きな製造業という大きな固まりの中に派遣労働者を増やしていかなければ派遣労働者も増えていかないだろうということと、先ほどから御説明の中にいろいろ出ていますように、いわゆるグローバリズムとIT化の中で我が国の製造業が海外にどんどんどんどん進出している、海外との競争が厳しい、その競争に耐えられるような機動性のある雇用体制を製造業で取っていかなきゃならないというところから、どちらかといえば製造業に眼目を当てて今回の改正がなされたような気がしてならないわけでございます。
 そこで、確認をする意味でちょっとお尋ねしておきたいんですが、現在百七十万の派遣労働者の主たる派遣先というのはどの産業になっていますか。
○政府参考人(戸苅利和君) これは去年の六月に行いました派遣労働者の調査でありますけれども、派遣の仕事というのを調査していまして、派遣先の産業というのをちょっと取っておりませんので直接のお答えにはならないと思いますけれども、多いのは、一つは事務用機器の操作であります。これは例えばパソコンの操作とか、こういうことだろうと思います。それから次が一般事務、こういうことでありますから事務関係であります。それからあとはソフトウエアの開発、それから、これはかなり限定された部分でありますけれども、機械設計、こういったところが中心になっています。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 そういった意味では、例えば商社でありますとかあるいは製造業の本社部門あるいは支店部門、そういったところの事務部門が中心と、こういうことだろうと思います。
○今泉昭君 ちょっと資料を配っていただけませんか。(資料配付)
 私は、派遣労働者を産業界がなぜ一生懸命に今導入しようとしているかということの最大の原因は、これはコストにあるんじゃないかと思うわけであります。
 今、皆さん方にちょっとお配りしておりますが、これは例年労働省が調査をしている就業労働総合調査の中から出てきているものでございますが、ここで明らかになっているように、実は正規従業員の労働に関して掛かるいわゆる一人頭の労働コストと派遣労働者に要する労働コストというものを比較をしてみますと、派遣労働者を使うことというのは、大体正規従業員を使うよりも極端に言えば半分ぐらいの費用で済むということなんですね。
 この中で申し上げますと、正規従業員は、ここに書いてありますような、右端の方に書いてありますように、所定内給与を始めとして時間外手当、一時金、退職金、法定福利、法定外福利、現物給与、教育訓練費、その他もろもろ大変なものを企業としてはコストとして負担をしているわけであります。ところが、派遣労働者に掛かる費用というのは、最大限掛かるのは所定内給与の項目であるわけであります。時間外労働はそれにした場合は掛かるでしょうけれども、最も掛かるのはこの所定内給与でございます。それと、下の段階の法定福利費、これぐらいのものでございます。それ以外の費用というのは必要ないというのが派遣労働者なんであります。
 その意味で、正規従業員を使用するコストの半分でもって実は派遣労働者が使えるというところで、これはもう財界にとりまして、経済界にとりまして、最も魅力のあるこれは働かせ方であることは言をまたないわけであります。
 我が国の派遣法のモデルになっているんでしょう、派遣法の世界では先輩と言われるアメリカにおきましても、実は同じような形でこの派遣法というものが導入をされてきているわけであります。全米人材協会、派遣業界による分析によりましても、なぜ派遣がこれほどまで人気があるかということの理由の中に、一つはダウンサイジングのため正社員の人員をコントロールできる、基幹社員の雇用を守るために、あるいは将来の需要の変動に対応できるような労働の柔軟性を持たせるためにと、こういう分析をしているわけでありまして、そういう背景を受けてこの派遣労働者というシステムができ上がっているわけでありますから、当然、派遣労働者の賃金が低いのは当たり前なんであります。
 そこでお伺いをしたいと思うんですが、今回一番労働者群が多いと言われる製造業にこの派遣労働者を認めることになったということについて、最大の理由は厚生労働省としては何を挙げられますか。
○副大臣(鴨下一郎君) 物の製造の業務につきましては、これは労働者の派遣の対象業務がネガティブリスト化された平成十一年の改正の際に、物の業務に従事する労働者が我が国の雇用労働者に占める割合の大きさ、これを考慮したというようなことで、激変緩和の観点から当分の間適用除外すると、これが今までの経緯でございます。
 そして、今回の見直しについては、これは一つは、先ほど大臣がお話しになりましたけれども、労働者の多様なニーズ、そして働き方を様々な選択肢を必要とすると、こういうような観点と、もう一つは、多分先生がいろいろとお話しになっていることだろうと思いますが、経済そして産業構造の転換や国際化、特に様々な国際競争の中でのグローバル化が進展していく、こういう中で業務量に応じまして労働力需要を迅速かつ的確に対応すると、こういうようなニーズもあり、こういうことの二点から製造業においても物の製造の業務を派遣対象としようと、こういうようなことになったという経緯でございます。
○今泉昭君 我が国の製造業が我が国の経済を支えている大変重要な柱だということはもうだれもが認識することなんでありますが、今我が国の製造業がその基盤技術がどんどんどんどん崩れていっていて、このままの状態では我が国の経済の大きな柱になり得ない、むしろ経済の柱からなくなっていくんではないだろうかと、こういうふうに実は言われているんですけれども、御存じのように、製造業に働く技能労働者というものは一人の一人前の技能労働者を育てるためには少なくとも十年は掛かるのであります。その製造業の例えばラインに派遣労働者をどんどんどんどん投入をしていくということになった場合、それらの派遣労働者は一年という制限の中でどんどんどんどん替わっていくわけであります。
 大体、技能労働者というのはその企業の中で経験年数とともに技能を習熟して地位も向上させていくという形のものであるわけなんですけれども、派遣労働者にはそういう立場がほとんど与えられていない。しかも、一年限りという限定があるわけですから、そういう技能をじっくりと習熟させるという機会が全くないわけであります。そういう働き方を製造業の中にどんどんどんどん導入されていくことは、ますます製造業の力を実は弱めていくことになるんじゃないかというような私は危惧があるわけであります。
 今日、経済産業省の方からもおいでいただいておりますので、経済をつかさどる経済産業省としてこの問題にどのように考えていらっしゃるかということをちょっとお聞きしたいと思うんですが。
 今、失業が大変多い、雇用情勢が悪いという中で、製造業の中では技能労働者が不足をしているというようなことさえ言われているわけです。企業においては技能労働者採りたいわけですけれども、技能労働者が不足しているというようなことまで言われていますけれども、その技能労働者の不足の実態というのは、経済産業省というのはどのようにとらえていらっしゃいますか。そのことについてちょっとお聞かせください。
○大臣政務官(桜田義孝君) お答えさせていただきます。
 ものづくり基盤を支える人的基盤の充実につきましては、我が国のものづくり産業の競争力強化のためには極めて重要な課題であると認識しているところであります。昨今、空洞化の問題やアジア諸国のキャッチアップ等が指摘されており、我が国の製造業の労働生産性は依然として世界的にも高い水準を保っておるところでございます。その背景には、優れた技術者や技能者の有する高水準の熟練があるものと認識しているところでございます。こうした優れたものづくり技術を有する技術労働者について、ものづくりの現場において不足感が出ていることは事実であると認識しております。
 例えば、厚生労働省労働経済動向調査によれば、労働市場の需給が悪化している現在においても、専門技術職の不足感は高い結果が出ており、我が国製造業が高付加価値を進めていく上で、高度な技術、技能を有する人材の確保はますます重要な課題となっているところと認識しております。
 こうした点を踏まえまして、平成十年九月に閣議決定されたものづくり基盤技術振興基本計画に基づき、ものづくりIT技術開発・実用化支援センターの開設や、デジタル・マイスター・プロジェクトの推進を始めとするものづくり人材の育成策について、厚生労働省等の関係省庁と連携しつつ、今後とも積極的に対応していくつもりでございます。
 以上でございます。
○今泉昭君 言われているとおりに、我が国は技能労働者がだんだんだんだん少なくなっていることは事実でございます。最近の国際技能オリンピックなんかに参りましても、かつては日の丸が独占をしていたわけでございますが、今は日の丸の旗も立てるのは大変難しいというような状態になっている。一体何でこういうふうになってしまったんだろうか。しかも、そういう職場に限定された一年程度の期間の派遣労働者がますます増えていくということになるならば、今、経済産業省の方針として言われましたことと全く反対の状況が製造業の現場の中で起こっていくんではないかというふうに心配しているんですが、このように我が国の技能労働者の地位が相対的に世界の中で低くなった原因は何にあるというふうにお考えですか。
○大臣政務官(桜田義孝君) 大分低下しているということでありますが、私どもとしては必ずしもそんなに低下してはいないんではないかと、結構上位にいるというふうに認識しているところであります。
 技能五輪国際大会、いわゆる技能オリンピックは、国際的に技能を争うことにより参加国の職業訓練の振興及び技術水準の向上を図るとともに、青年技能労働者、二十二歳以下でありますが、国際交流と親善を図ることを目的として、一九七三年以降、ほぼ隔年で開催されております。
 我が国は、一九六二年の第十一回大会から参加をしており、金メダルの獲得数ではこれまで六回第一位になっております。また、一九七三年の第二十一回大会以降は第一位にはなっておりませんが、その後も参加国の中では比較的優位に位置していると思っております。ちなみに、二〇〇一年では金メダル四個、金メダル獲得順位では三位にランクされているところであります。
 この技能五輪国際大会におきまして、製造業の技能者が代表選手として参加しており、参加者の技能水準の向上を通じ我が国の製造業の競争力強化に貢献しているものと認識しているところでありますし、また我が国のものづくり基盤を支える技術者、技能者の能力の向上を図っていく上でも今後も重要でありまして、経済産業省といたしましても、厚生労働省、文部科学省等関係省庁と連携して、積極的に対応していく予定でございます。
○今泉昭君 今申されたように、一部の技能でオリンピックで上位に入賞した方がいることは重々承知しております。というのは、かつては軒並みに日本の技能労働者が一位を占めていたわけであります。それが、特に韓国や中国、発展途上国の教育の熱意に押されまして、それらの国々にみんな技能労働者の上位を独占されるようなものに危機感を抱いて、最近は国内で厳選をして出していって、やっと旗が取れると。昔はそういうことをしなくても取れるような我が国の製造業の実態にあったわけですよ。ところが、今や、御存じのように、特に若い方々が、フリーターはどんどん増えております。そして、パートも増えているし、あるいはまた派遣労働者も製造業の中に今後どんどんどんどん入ってくるとなるならば、そういう方々にじっくりと技能を習熟させる機会が製造業にあるかどうか、これは私は非常に疑問に思うわけであります。
 特に、企業にとりまして教育投資というのは金が掛かるわけであります。教育投資は大体十年、十五年後に結実、結果が実るわけでありまして、今の企業の経営者というのはすぐにでも結果を出さなければ経営者が首になるということで、教育に金を使わなくなっているわけですよ。それ、みんな外に出している。かつては企業内に職業訓練所を自ら作って、その企業独自の技能をつくって磨いてきたという状況があったんですが、今は企業の中にそういう技能教習所を持っている企業というのはごくまれになってきているわけであります。
 そういう中において、コストを優先をして、あるいはまた東南アジア、あるいは、特に中国でしょうけれども、コスト競争に勝つために低コストということにばかり頭を使って、企業の中に派遣労働者を増やしていくということになったならば、私は製造業の先行きは非常に暗いものになるのじゃないかというふうに思うわけですが。
 そういう意味で、経済産業省としては今回の派遣法の中に製造業を、今まで例外視していたんですけれども、解禁をすることになりました、製造業の中にも派遣労働者を派遣をしてもいいということになったわけですけれども、これは製造業の立場からいたしますと、国の立場からすると大変危険だと思いませんか。
○大臣政務官(桜田義孝君) お答えさせていただきます。
 我が国のものづくり産業は、グローバル化の進展とともに厳しい国際環境の中でさらされているわけでありますが、技術開発等を通じた競争力の維持強化は重要な課題となっているところでありますし、今後、各企業におきましては、新技術、新製品の開発や生産技術の高度化を進めるためには必要となる技能、技術を維持し、また育成強化することについて自らの課題として取り組んでいるものと考えております。
 パート、アルバイト等の非正規職員につきましては、臨時的かつ短期の雇用が前提とされていることから、こうした高度な技術、技能を期待することは困難であります。非熟練工の一部に限定されているものと理解しておるところであり、ものづくり技術基盤の低下に直結するものではないと考えております。
 いずれにしろ、我が国のものづくり基盤を支える技術者、技能者の高度な技能の継承を図っていくことは重要であり、経済産業省といたしましても、厚生労働省等の関係各省との連携をしつつ、インターンシップ受入れ企業の開拓を通じたものづくり技術の研修や蓄積の機会の充実にも取り組んでまいります。
 製造業につきましては、むしろ近年における海外展開の進展や国内需要の低迷等により製造業の雇用が全体として減少しており、その中でものづくり技術基盤を支える生産現場が縮小しつつあることは重要な問題であると認識しております。このため、経済産業省としては関係省庁とも連携を図りつつ、ものづくり産業たる製造業の活性化、競争力強化のために総合的な取組を推進しているところでございます。
○今泉昭君 端的にお答え願いたいんです。簡単で結構です。
 派遣労働者が入ってくるというのは危機的には考えられませんかどうかということだけです。いや、それは十分大丈夫だと、製造業に派遣労働者が一杯入ってきても大丈夫だよと、そういうふうに認識をしていらっしゃるということですか。
○大臣政務官(桜田義孝君) 一時的に大幅に影響があるとは考えておりません。先ほど申したように、臨時的かつ短期的な雇用が前提の下に行われるというふうに考えております。
○今泉昭君 ですから、一時的・臨時的という形でどんどんどんどん交代をしていくということなんですよね。そういう人たちが基盤産業のいわゆる軸のところにどんどんどんどん一時的・臨時的に交代交代に入っていったならば、技能の習熟の機会ないじゃないですかと、こういうことを申し上げているんです。
○大臣政務官(桜田義孝君) 高度な熟練技能者や労働者を育成するためには、やはり短期の労働者ではなく長期に雇用している人間を教育を通じて訓練をして会社で雇用をすると、そういう形態が考えられますので、あくまでも臨時の人間には長期の熟練労働者というものは対象ではないというふうに認識しております。
○今泉昭君 現実の姿はそうじゃないんですよね。これは、製造業はもう生きるか死ぬかの今戦いを中国とやっているわけでございまして、その高度の技術者すら抱えていけないような状態になっているんですよ。だから、コスト削減のためにリストラをやるわけですね。そして、リストラをやって、その代わりに派遣労働者で安い人を代わりに入れてくるかどうかと。それによって少しでもいいから安いコストでもって物を造って競争していこうかということにこれは当然なるわけなんですよ。ですから、そういう意味では余りにも楽観的な見方じゃないだろうかというふうに申し上げておきます。これ以上もう申し上げません。
 御存じのように、製造業というのは大変多岐な産業でございます。産業標準分類というものを経済産業省で作っていらっしゃいますけれども、我が国の産業分類の中で最も幅の多いのが製造業なんですよね。それこそ何百種類の産業分類が製造業の中にございます。中分類、小分類、細分類とございますけれども、それらの分類によるそれぞれの職場というのはみんな違うわけであります。これらの産業は、今まで派遣労働者が行っていた職場とは全く違います。サービス産業などとは全く違うわけであります。大変危険な現場もございますし、大変危険なものを扱っている実は現場もあるわけであります。
 どちらかといえば、正規従業員は一番危険なところ、あるいはまた危険物が周辺にあるようなところには使わないで、臨時に雇う人、短期に雇う人、派遣労働者を必ずそこに持ってくることは間違いないことであります。それは今までの例から見て現実の姿なんであります。そういうときに、そこで起こりました労災に対しましてどのように対応していくかというのは、これは大変重要な難しい問題なんであります。
 と申しますのは、御存じのように、労災保険はみんなこれは派遣元が責任を持つというのは私も重々承知をしております。ところが、同じところにばかり派遣された人間が行っているわけじゃないんですよ。この場所では三か月、この場所ではあるいは六か月、この場所では一か月という形に動くわけでしょう。
 そうしますと、動くたびに、実は派遣元が考えておかなきゃならないのは、保険料が違うということなんですよ。メリット制に基づきまして危険な職場を持っているところは大変高い保険料を払っている。比較的軽い、例えば金属産業でいうならば、精密機器なんというところにおきましては、危険物が落っこちてくる心配もないし、それこそ大きな機械の中に巻き込まれる心配もないというようなところで、保険料は安く、比較的安く納めることができるわけであります。そういう操作を派遣元ができますか。これはどういうふうに考えていらっしゃいます。
○政府参考人(高橋満君) 労働者派遣事業に係ります労災保険の適用でございますが、今、委員御質問の中にありましたように、派遣元において適用するということでございますが、その保険料率をどう決めていくかということでございます。
 これは、この派遣元の派遣労働者が様々な派遣先で派遣されるその作業の中身、実態ということに基づきまして事業の種類を決定をする、事業の種類は労災保険におきましては五十二の事業の種類が設定され、それぞれ保険率が設定をされておりますが、この該当いたします事業の種類に係ります労災保険率が適用されるということでございます。
 御指摘のような、様々な事業の種類に派遣をされるような状況にあります場合、これは作業実態が数種にわたるというようなことになろうかと思いますが、その場合におきましては、保険の適用単位については一つの事業の種類を当てはめるということで、そういう観点から、主たる作業の実態に基づいてこの事業の種類が決定をされておるところでございます。
○今泉昭君 派遣元はそもそもサービス産業でしょうから、サービス産業というのは一番安い保険料でしょうからね。しかし、実際に働いている労働者は、製造業であるとするならば、本来ならば製造業のその業種の保険料を納めていなきゃならないのにサービス産業の保険料で済ますということですか、その派遣元は。
○政府参考人(高橋満君) 今の御指摘の点でございますが、主たる作業の実態がいわゆる物の製造に係ります業務であります場合は、物の製造に係ります業務の対応する事業の種類、つまり製造業の中の当該事業の種類に相当する労災保険率が適用されるということでございます。
○今泉昭君 それは当然のことだろうと思うんですが、それができますかというんです。
 例えば、派遣業者でも大手と中小零細ありますよ。大手でしっかりとした企業形態を取っている派遣業者ならばそれはできるかもしれないけれども、中小の業者で主たるといったって、あれこれあれこれやっていた場合に、派遣先のいろんな違いがある中でどこを一体中心に置くんですか。それはサービス産業という形でやるのか、それとも派遣先の種類の中で一番ウエートの高いところに中心を置くのか。しかし、それだっていつまでもそこに派遣労働者とどまっているわけじゃない、その都度変わるわけですから。それはどういうふうにされるわけですか。
○政府参考人(高橋満君) 労災保険も含めた労働保険の保険料を具体的に徴収をいたします際に、これはいわゆる申告制度に基づいて徴収をいたすわけでございますが、毎年度、年度当初におきまして、当年度に係ります一年間の概算保険料を申告納付をしていただく。また、併せまして、前年度に係ります一年間の確定をした保険料を申告をしていただくわけでございますが、この一年間という年間の中で、具体的に各事業主におきます賃金台帳等々を基に、その主たる派遣先の作業実態がどのようなものであるかということを算定をしていただきまして申告納付をいただいているということでございます。
○今泉昭君 派遣元の申告を基にと、申告を信用すると、こういうことになるわけですね。
 信用されるのは非常にいいことでございますけれども、実態の問題として、災害がまず起こらないのが一番いいわけですから、起こらなければチェックもされることもないでしょうし。だから、そういう意味では、非常に複雑多岐にわたる製造業への派遣というものは、よっぽど派遣元がしっかりとした管理体制を取っていなければいろんな意味での不合理あるいは不公平が出てくるということは、これは十分承知していてもらわないといけないと思うんです。そしてまた、そのチェック体制というものを十分に取っていただいておかないとならないというふうに私は思っております。
 あわせて、もう一つこれに関連してお聞きしたいのは、例えばじん肺であるとか、あるいはいろんな意味での労働を提供したときに起こる災害ではなくして、一定の年限を置いて発症する労働災害がありますね。この場合はどういうふうになるんですか。
 例えば、その人が大変、何というんでしょうかね、体に悪い薬品を扱っていたと、たまたま。それの影響が、すぐその場で出るわけではなくして、十年なり十五年たって出てくるというものもあるわけでございまして、そういうもののときの責任というのはどこにあるんですか。
○政府参考人(高橋満君) 具体的に、不幸にして災害に遭われて疾病が発症されました方に対しては、これが業務によるものかどうかを当然判断をした上で労災保険給付等を行うわけでございます。この業務に起因するかどうかというものがどこの職場での仕事に基づいたものなのかということを調査をいたすことになろうかと思います。
 遅発性と言われるような例を御指摘ございましたが、こうした疾病についても、当然さかのぼった作業実態、過去の作業実態というものを調べる中でどういう作業が原因だったのかということを把握することになろうかと思います。
 そういう中で、例えばそれがメリット制等々の中でどういうふうに利いてくるかという観点で申し上げますれば、その疾病の原因となりました作業におきます、そこに責任を持つ事業主、派遣でそれをやりました場合は当然派遣元にこの労災保険上の事業者補償責任があるわけでございますが、それに係ります保険給付との関係で、その時点におきます保険料の負担というものも相対的にその限りにおいて大きくなるというものでございます。
○今泉昭君 大変複雑な判断を要することになりますよね。それだけに私どもが一番危惧するのは、製造業というものの奥の深さ、その複雑さ、そういう中に派遣労働者を派遣をしていくということは、特に、事務職は別といたしまして、現場に派遣をしていくということは簡単なものではないと。よほど検討をし、そして用意を怠らないでいかないと後々に問題を引きずることになるというところから、私は製造業に対する派遣労働者の一年、今回は当分一年ということになっておりますけれども、もう少し検討を要することではないだろうかなと、かように考えているところであります。
 私は元々、派遣労働者制度に全面的に反対するつもりはございません。社会全体のやはり大きな変化によりまして、派遣労働者制度というのは避けて通れない一つの流れであろうと思っている者の一人なんであります。しかし、それならそれなりにもう少し、何というんでしょうかね、我が国の雇用制度そのものを抜本的に見直す必要があるんじゃないだろうかと。
 今、派遣元が責任を持つということと派遣先が責任を持つというところに責任が二分をされているようなものがございます。そういうような複雑な制度にしないで、働いている現場の責任にするならするというような、単純明快で後々、後で争いが起こらないような形のシステムをやはり労働行政としては作り上げていくことが必要ではないだろうかと、こういうふうに思っているわけでございまして、そういう意味では、何か今回の製造業の解禁というのは余りにもグローバリズムの中でのコスト競争というものに意識が強過ぎたんじゃないかと思うわけであります。そういう点でこれは考え直す必要があるんじゃないかなという気持ちを持っております。
 それからもう一つは、衆議院の論議なども聞いてみますと、労働大臣は、この派遣労働者というものが正規従業員の代替にならないようにしていくということ、さらにはまた、今の経済実態から見て、製造業の中だけではなくして全産業において正規従業員が大変仕事を得るのは難しいような状態になっているけれども、必ず時間を得れば、あるいは景気が回復すればということにもこれはつながるのかもしれないけれども、日本の場合は正規従業員を主たる柱にした雇用慣行に戻っていくんだということを申されておりますけれども、私は多少このことにつきましては違った考え方を持っておりまして、この流れはある意味では避けて通れない道であろうと。
 そのために、もしそうであるならば、それによって被害を受けないような、そこに働く人たちの害が大きく及ばないような補償制度を万全なものにしていくことが必要だと。これは国がそういう意識を持つか持たないかによって大きく方向が変わってくると思うんであります。もし、今難しいから我慢していればいいんだよという形でやるならば、今の制度をその都度その都度少しずつ改正をしていくということで、これは糊塗的なやり方で切り抜けていくことができるかもしれません。そういう方法も、一つの手があるかもしれません。
 そうではなくして、これからの我が国の労使制度というものが、雇用慣行というものが大きく変わっていくと、すなわち、もし、これまで我が国のいろんな労働慣行、法制が、どちらかといえばアメリカの制度を学ぶような形でいろいろと取り入れられてきているということを前提としてアメリカ型の我が国の雇用慣行に向かおうとするならば、これはもう抜本的な法の改正、法の立て直しというものが必要なんではないだろうかというふうに思っているわけでございますけれども、労働大臣は、いずれしばらく待てば正規従業員を軸とした我が国の雇用制度というのは生き残っていくというふうに考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(坂口力君) これは、いろいろの今後の考え方というのはあるというふうに思いますが、私は、製造業なら製造業を見ましたときに、今後、経済が回復をいたしましたときには長期雇用というのは再び私は採用されるのではないかというふうに思っております。
 と申しますのは、一つは、今、労働力にいたしましても労働力人口にいたしましても現在ピークでございまして、もう五年あるいは十年先といったらかなり労働力も減ってくる、そういう事態の中でございます。そういう事態の中で経済が上向くということになってまいりますと、かなりの私は労働力不足というのは起こってくると思います。それは、女性が働くようになられる、あるいはまた中高年の皆さん方も働かれるようになるということもございましょう。ございますけれども、私は、全体として見ればそういう方向に向かうのではないかと。
 そしてまた、先ほどから先生も御指摘になっておりますように、とりわけものづくりというのはそう簡単に間に合う人ができるわけではなくて、本当に五年も十年も掛けて、そしてでき上がってくる人たちでありますから、企業が優秀な製造品を造り上げていくといいます場合に、どうしてもやっぱりそれだけ長く経験を積んだ人を必要としてくるわけであります。したがって、二年とか三年の経験を積んだ方ばかりを寄せ集めたのでは、なかなか私は優秀な製品というのはできないのではないかというふうに思っております。
 どれほど機械化が進んでいるといいましても、やっぱり人の力によらなければならない点というのは、これはもう多分にあるわけでありますから、そういうことを考えますと、今はどちらかといえば売手よりも買手市場と申しますか、そういう形になっておりますけれども、しかし、そういう状況になってくれば、私はもう一度やはり今までの在り方というのが見直されてくるのではないかというふうに思っております。
 また、いろいろのアメリカの制度が今取り入れられたりもいたしておりますけれども、必ずしもその行き方というのは日本になじむものではないというふうに私は思う一人でございます。今、どちらかといえばヨーロッパ型とアメリカ型の中間点みたいなところに立っているような気がいたしますけれども、やはり私は、日本の行き方は行き方として今までの長い歴史があり、そのことがまた私は尊重されていかなければならないというふうに思いますので、落ち着いてくれば私はそういう時代に向かうのではないかと。これは私の予測でございますから、十年たって間違っていたではないかというおしかりを受けることもそれはあるかもしれませんけれども、私はそう思っている次第でございます。
○今泉昭君 私も大臣のような社会であってもらいたいというふうに個人的には思っているわけでございます。
 ただ、私は、アメリカの文献なんかをいろいろ見てみますと、日本人の価値観というものとアメリカ人の労働者の価値観というものになぜかしら大きな差があることを感じております。
 と申しますのは、派遣労働者の意識調査をしてみますと、日本人の派遣労働者の場合に、正規従業員を望むかという問いに対しまして、正規従業員を望んでいるのは三割に満たないわけですね。自らの働きやすい自由勝手な、あるいはまた、いろいろとキャリアアップするために派遣労働者の方がいいという方がそれ以上に多いというような日本の派遣労働者の実態に比べまして、アメリカの派遣労働者の実態は、何と四五%の人たちが驚くことなかれ正規従業員を目指している、こういう実態なんですね。
 一体これは何なんだろうかと。我が国の最近の社会の大きな変革というものの流れがこういう方向にあるとするならば、この派遣労働者というものを根本的に見直しながらもっと被害の出ないようなシステムに作り直していく必要があるんじゃないだろうかと。大臣が言われますように、当分の間我慢すればいいから、いろいろのほころびが出ているところ、あるいはニーズが多いところを増やしていくという形で正規の従業員を中心とした雇用慣行に戻っていくということではなくして、もうそういう方向に我が国の働く人たちの意識が向いているとするならば、それをどのように、被害を少なくするようにするような法制化を思い切ってやっていく必要があるんじゃないかなという気がしてならないわけです。
 あわせまして、アメリカ人の場合は、御存じのように、親の教育というのは一人前になったらうちを出ていけという形で追い出すわけであります。追い出すというよりも、そういう社会慣行になっていますから、大体親のすねをかじって同居しているというのはほとんどおりませんで、大体もう学校を出ればすぐうちから出ていくのが当たり前の世界であります。
 ところが日本の場合は、今の現状を見てみますと、親のすねかじりが非常に多いわけです、若い人の間に。ちょうどこれはヨーロッパの家族と全く日本の場合は同じでありまして、ヨーロッパの社会におきましても、仕事がなくなれば家族と一緒になって同居をしていくという形ですね。したがいまして、ヨーロッパの中で若い人たちの失業者の期間が長いというのも、独立をしないで親のすねをかじっても生活できるからなかなか就職をしない、えり好みが激しい、こういうことが言われているわけでして、そういうような流れというのはどうも日本の家族関係にも似た一面があるような気がしてならないんですね。
 そういう方々の中に、若い人の中には派遣労働を長いこと繰り返し繰り返しやっていって、いざ自分が今度は親を逆に支えなきゃならない、同居していた子供が、という年代になると、これはいかぬぞと、何とか収入を増やして安定的にしていかなきゃならないといって慌てふためいて仕事を求めるけれども、もうそこには長い間の、要するに自分の技能を修練をする機会というのを失っているわけですから、あちこちあちこち派遣で生活をしてきているわけですから、立ち直る機会がない、こういうような状態が時々散見されるというふうに今言われているわけであります。
 そういうことを考えてみますと、この派遣労働という問題についても我々はもう少し考え直してみる必要があるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、大臣、このことについてどのように印象を持たれますか。何か所見があったらお聞かせください。
○国務大臣(坂口力君) 今、ちょっと手元に統計がないんですが、派遣労働者の多くは、日本の場合に、現在のところですよ、現在のところは女性が非常に多いと。したがいまして、統計を取りますと今御指摘をいただいたような統計の結果が出るのではないかと、七割が女性でございますのでそういう結果が出るのではないかという気がいたします。
 そうではなくて、男性自身がここに参加をするということになってまいりますと、私はもっと違った方向性が出てくるのではないかというふうに思っております。
 これは派遣業ではありませんけれども、フリーターの中を見てみましても、やっぱりどこかで常用雇用の方に移りたい、それまでの間、一時腰を掛けるといったような考え方の方がかなりございますしいたしますから、私はやっぱり目指す方向はそういうことではないかなというふうに思っている次第でございます。
 女性の場合にも、これから先ですね、もっと自立をして終年もう雇用、ずっと雇用の場にいるという方が増えてくればまたその考え方も変わってくるのではないかと。現在、御家庭と、そして少し御主人の足らない分だけを稼ぐといったような方が家族的に多いことも事実でございますので、そうした結果が今、先生が御指摘になりました数字の中には出ているのではないかというふうに私は思いますけれども。
○今泉昭君 時間が大分経過してきましたので、あと二問ほどお聞きをしたいと思いますが、一つは、現在のこの派遣法の運用の中でいろいろな不具合が出てきたり、あるいはまた派遣先とのトラブルなりいろいろ生ずるわけでございまして、そのための調整というんでしょうか、のために、何制度といいましたかね、あれは、派遣事業適正運営協力員制度というものができているというふうに思っているわけでございます。この制度は、労使双方からそれぞれ委員を選んで、人口比になるんでしょうか、それぞれ都道府県に、全都道府県に設置されておりますけれども、この人たちが実際にやってきているということはどういうことなんでしょうか。
 と申しますのは、私もそういう方々に接して、一体どういうことをやっているんだということを聞いてみますと、いや、一年間何もないよと、二回ほど会合をして食事をして、それで終わりだよというような話を聞くわけであります。これが何も問題も本当になくてそういうことであるならばこれほどいいことはないわけですが、実際上いろいろ私どもが見聞きすることによりますと、いろいろな苦情やら不平やら訴えやらが出ているというふうに聞くんですが、これらの調整員の方々の仕事は、どういうことをするために設置をされて、どういう活動を今していらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 労働者派遣事業適正運営協力員でありますけれども、これは、派遣の現場でいろいろトラブルが起きたりあるいは悩みがあったりといったときに相談に乗るというのが、相談に乗り助言をすると、こういうことでお願いしているわけであります。今お話しのように、労使、労働者を代表する方、それから使用者を代表する方、それぞれお願いしていまして、全国で現在九百三十二名お願いをいたしております。
 ただ、派遣労働者の方がいろいろ仕事の上でトラブルがあったりあるいは悩みがあったりといったときの相談というのは、一義的に派遣元あるいは派遣先に申し出て、そこで派遣元、派遣先がそれぞれ相談しながら処理している、あるいはハローワークに相談に来る、あるいは紛争になれば個別労使紛争のところに持ち込むと、こういったことがメーンのようでありまして、そういった意味で、今お話しのように、適正運営協力員の方のところに派遣労働者の方から直接に相談があったりというケースは実際上そんな多くないんじゃないかというのは、私もそう思います。
 そういったことで、毎年二回、それぞれの県ごとに集まっていただいて会議をいたしまして、情報を交換したりあるいは行政について、行政のその派遣制度の運営についてのいろんな御注文あるいはアドバイス等をいただければと、こういうことで行っているわけであります。
 ただ、一つちょっと我々が反省すべき点は、適正運営協力員制度というのが派遣労働者に実は余り知られていないというのが去年六月に行った調査ではっきりしておりまして、これもまた県によってちょっと取扱いが違っていて、インターネットで、ホームページで適正運営協力員の名簿を公開しているところのほかに、安定所に備え付けているだけだというところまでまちまちでありまして、そういった意味で、今度派遣の制限の期間が一年から最大三年まで延長される、それから、先ほど来御議論になっております製造業の派遣も適用になるというところで、なかなか派遣元、派遣先には言いづらい、あるいは役所はちょっと敷居が高くてと、こういった方もおられると思うので、そういった意味で、適正運営協力員の方にもっと御活躍いただけるように、ちょっとその運営の仕方を改善していく必要があるんじゃないかというふうに考えておるところであります。
○今泉昭君 適正運営協力員の方々の事務局というのはそれぞれ所管の、あれでしょうか、職安に所属をすると、こういうことになるんですか。どういう所属になるんですか。
○政府参考人(戸苅利和君) 実はその委嘱は厚生労働大臣から委嘱申し上げています。それで、実際のその活動についてのいろんな御連絡、それから会議等々、これは基本的には労働局でやっていると。それから、ハローワークにその協力員の方の氏名とか連絡先とかそういったものの名簿を掲示したり、あるいはポスターをやったりということで、いろんな調整は労働局ということであります。
○今泉昭君 派遣労働者の方々がそういう問題や苦情を持ったときに真っ先に来られる窓口というのは、一番多いのはどこになるんですか。
○政府参考人(戸苅利和君) これはちょっと統計がありませんので、私の感じから申し上げると、まず基本的には派遣元に言うんではないかと思います。それからハローワークなり派遣先なりと、こういったことになっているんではないかと思います。
○今泉昭君 なかなか派遣元にも言いづらい、となるとやっぱり行政の窓口にそういう窓口ができているかどうかということが一番重要なことでしょうし、そしてその行政の窓口が恐らく手一杯であるとするならば、その協力員をどのように使っていくかということが必要なんでしょうし、そういう意味で、積極的にその協力員を活用する体制というものがやっぱり行政の方でできていないことには、問題を持った派遣労働者が一々何十人といる協力員の方々のところを訪ねていく、一番近いところに住んでいる人はこの人だから訪ねていくなんというようなことはまずないだろうと思うわけでありまして、そういう意味でのやっぱり血の通った行政というものがこの派遣法を実施するためには最も重要なことだと思っているわけでございまして、その点でのこれからのひとつ工夫を凝らしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 まだ細かい問題につきましてたくさん質問をすることがあるんですが、今日は大きな問題だけで質問いたしまして、細かい問題は次回に譲りたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 現行派遣法の下で不安定雇用が拡大しています。長時間過密労働で過労死、過労自殺ということも後を絶ちません。今必要なのは、やはり不安定雇用から労働者の権利を守る規制だと思うんです。ところが、今回の法案は正にそれとは逆に雇用の不安定化の歯止めを外すものではないだろうかと。
 最初に大臣にお伺いをしたいんですが、そもそも労働者派遣法の目的というのは、これは私は派遣労働者の雇用の安定を図ることにあると。これが当たり前の考え方だと思うんですが、この点、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) それは労働者派遣法の目的の第一条に書いてありますとおりでございまして、労働力の需給の適正な調整を図るため、労働者派遣事業の適正な運営の確保に資する措置を講ずるとともに、派遣労働者の就業条件の整備等を図り、もって派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することと、こう書いてあるわけでありますから、このことに間違いはございません。
○小池晃君 衆議院あるいは今までの議論を通して、今回の形でも常用代替にならないんだと、あくまで臨時的・一時的雇用の枠内だというふうに答弁をされてこられました。
 現状の認識をちょっと大臣にお伺いしたいんですが、しかし現実にはやはり常用代替、これは急速に進んでいるのではないかと。この点、大臣、どう見ていらっしゃるのか、お話をお聞かせ願いたいと思います。
○副大臣(鴨下一郎君) 常用代替が進んでいるんではないかと、こういう話でありますけれども、労働者派遣法におきましては、労働者派遣事業が臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する制度として位置付けられたわけでありまして、同一の業務については、派遣労働者や派遣元事業主を変更しても一年を超えては労働者派遣を受け入れられないとの規制があり、ある意味で常用代替を促すことのないような措置は有効と思われておるわけであります。
 実際に、実態調査を見ても、派遣労働者が行っている業務の前任者が常用労働者である場合に、その前任の常用労働者について、派遣の受入れを機に辞めてもらったというようなことが最も多いという事業所は、これは衆議院でも議論になったところでありますけれども、四・一%でありまして、御指摘のような常用代替がかなり進行していると、こういうような認識ではないということを申し上げたいと思います。
○小池晃君 そういう点も確かにあるかと思いますけれども、ただし、現場の実態を見れば、やはりこの厳しい雇用環境の中で派遣労働者というのは常用代替に使われているという傾向が強まっているという実態がある。
 これは現状の認識として、大臣、どうなんですか。そういう認識の下にこの政策出されていると私は受け止めているんですけれども、その点いかがなんですか。
○国務大臣(坂口力君) そういう実態が全然ないとは私も申しません。それはそういうことも中にはあるだろうというふうに思います。
 しかし、先ほどから議論になっておりますように、現在のこの雇用状況というものを見ました場合に、企業としても常用雇用が今できにくいというこういう環境でございますから、そういう雇用の在り方というのも一つの選択肢として存在することは否定できないというふうに私は思います。
 しかし、そういうことを目指してそのままで将来ともに行くということではなくて、私は、先ほどから議論になっておりますように、再び常用雇用ということが考えられるようになるのではないかというふうに私は思っております。
○小池晃君 ちょっと認識として私は甘いのではないかなというふうに思うんですね。
 この間、常用代替防止策として政府が掲げてきたのは、いわゆる専ら派遣の禁止の問題、それから請負と派遣の区分の明確化の問題があります。ちょっとこの問題、今日は集中的に議論したいんですが、果たしてそれがどれだけ実効力を持ってきたのか。
 まず、専ら派遣の問題ですが、これは九九年の改正後、派遣労働は急速に広がってきています。
 今日、資料をお配りしております。これはある銀行の例なんですが、メガバンクです。
 資料の1を見ていただきたいんですけれども、あるメガバンクが一〇〇%出資をしている派遣会社のスタッフ在籍推移表です。これを見ると派遣法施行以来の在籍数の変化が大変よく分かる。八六年の派遣法施行時、昭和六十一年、千六百八十五名、この派遣労働者が昨年九月では六千二百八名、これは四倍近くになっています。
 注目したいのは、これは専門業務と認めたテレマーケット業務、これは解禁の年が九六年ですが、ここから百十九名入っている。年々増加しているわけです。それからまた、九九年に金融商品の販売業務が解禁されました。そうすると、翌年からテラースタッフ、これは百二十七名派遣されて、今では四百六十人近くになっている。正に法改正と本当に足取りを全く一にしてこういうふうに進んできているわけです。規制緩和とリンクして急速に拡大してきている。
 各支店どうなっているかというと、資料2を見ていただきたいんです。これは同じメガバンクのある支店の人員配置図であります。この支店の職員は百二十六名、そのうち正行員は七十八名です。スタッフというふうに表にあるのが、これは派遣であります。派遣職員が四十八名。四割が派遣なんですね。特に一階の窓口業務などを見ると、正行員は三十二名に対して四十二名が派遣労働者なんです。今もう銀行はメガバンクといえども窓口業務をやっている人はほとんど派遣だという実態が見て取れる。
 ローンスタッフとかロビースタッフ、ビジネススタッフ、こういった人たちは二十六業務の財務、接客、事務、ファイリング、こうした専門業務として派遣されています。この支店に派遣されているのは四十八名ですが、これは四十八名中四十六名女性です。そして、そのほとんどが一年契約のパートなんですね。お話を聞くと、最初の時給が九百円だそうです。これが毎年大体二十円か三十円ずつ上がっていく、五年後に再契約すると六年目からまた時給九百円に戻っちゃうんだと、それでまた同じことを繰り返す、こういう仕組みだそうなんですね。同一の支店の同一の業務に最も長い人で十五年派遣されていると。一番多いのは八年から十年という、そういう人だそうなんです。そういう実態がある。
 私たち、この九九年の法案審議のときにも、いわゆる専ら派遣が金融機関で非常に問題だということを指摘をいたしました。具体的に、その専ら派遣の基準の明確化、それから、こういう実態の多い金融機関については職場の実態調査をすべきだということも言いました。そして、その結果に基づいて対応すべきだと求めました。これに対して当時の職安局長も金融庁と相談して対応するというふうに答弁されているんですが、どのような対応をされたのか、まずお答え願いたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 一つは、専ら派遣の判断基準でありますけれども、専ら派遣の判断基準につきましては、定款ですとか寄附行為ですとか登記簿の謄本ですとか、そういったところに専ら特定の者に労働者派遣を行うということが書かれている場合、これは専ら派遣に当たりますと、こういうふうに明確にしております。
 それから、派遣先確保のための努力が客観的に認められないというようなことで、例えば派遣先を確保するために宣伝とか広告とか、こういったことが行われていないというようなことであります。
 それから、派遣先からの労働者派遣の依頼に関しまして、特定の派遣先以外の依頼には正当な理由なく拒否している、こういうものも専ら派遣に当たります。例えば、派遣労働者の人数がもう不足しているので派遣できませんといったような正当事由以外で拒否しているというものはこれが当たりますと、こういうことで、これにつきまして、この判断基準を対外的にも明らかにするということで、現在、厚生労働省のホームページにもこれを掲載し、問い合わせがあればこういうことでお答えしているということであります。
 それからもう一つは、実態調査であります。実態調査につきましては、平成十一年の八月から、金融機関が一〇〇%出資しております派遣元事業所、百五十六事業所でありますけれども、こういったところに対しまして調査を行いました。
○小池晃君 その最後のところだけ聞きたかったんですけれども、百五十六調査した。その結果に対して指導監督はどのように実施されていますか。
○政府参考人(戸苅利和君) 百五十六のうち、先ほど申し上げた三点でございます、三点というか、中心は派遣先確保のための活動が実際に行われているかどうか、それから会社案内等々ちゃんとやっているかということで、こういったところについての違反が見られたのが八十六事業所であります。それから、これについて是正の指導を行ってきておりまして、八十六のうち八十四は改善されているという状況でございます。
○小池晃君 指導ということで終わっているんですね。半分は指導にすら至らなくて、残りも指導で終わっているんです。
 派遣法を見ますと、指導及び助言があります。勧告があります。改善命令、そして公表、こういう処分あるわけですけれども、派遣法制定から今までの間に、このうち指導で終わらずに公表、改善命令、勧告、ここまで行ったケースというのは一体幾つあるんですか。
○政府参考人(戸苅利和君) いずれも指導に従ったということで、今お話しのような勧告、公表等に至ったケースはないと思います。
○小池晃君 つまり、実際は指導ということで終わるわけですよ。勧告とか改善命令なんか行かない。公表はゼロであります。結局、これでは一体果たして実効力あるんだろうか。
 例えば、今の基準でいくと、全員がもし一〇〇%特定の派遣先に集中したとしても、定款にはそう書いてありませんと、特定のものだけじゃなくていろんなところ行けますよと書いてあればそれで済んじゃうんです。それから、うちは営業が頑張ってやっているんですけれどもなかなか営業がうまくいきませんと、頑張ってほかの社にも派遣しようとしたけれども、営業の成績上がりませんから特定のところに行っているんです、努力はいたしますと、これで済んじゃうわけでしょう。これで専ら派遣を禁止していると果たして言えるのかと。
 私、こういうやり方は本当に抜け穴だらけだと思うし、派遣労働をどんどんどんどん拡大していくというのが今の厚生労働省のやり方ですよ。そのこと自体に異論は私持っていますけれども、もし、じゃそういうことでどんどんどんどん拡大していくと、今回のでも拡大していくというのであれば、そういうことならば、やはりこの派遣法違反を野放しにしたようなこと、こんなことをそのままにしてそんなことをやっていいんだろうかと。
 私は、こういう派遣労働の規制緩和を進める、派遣法違反についてはまともに公表にまでほとんど至らない、指導で終わっちゃう。指導というのも、今のような本当に抜け穴のようなやり方で済んでしまうと。私は、派遣法違反であれば直ちに公表する、そして社会的制裁を加えると、そのくらいの実効のあるやはり派遣労働を保護する法律というふうに作り替えなければ、こんな派遣労働を無制限に拡大するなどということは到底許されないというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
 百歩譲って、拡大するというのであれば、やはりきちっとこういう労働者をしっかり保護する仕組みを作る、それ抜きに派遣労働を拡大していくということは私は到底許されないのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) 勧告まで至らなかったというのはどういうことかということだけ申し上げますと、これは是正されたということであります。是正の指導をして、それで言うことを聞かなければこれは更に勧告まで行き、公表まで行くということでありまして、今回、今御質問の件については、これはすべて是正されていると。是正されていない二件についても、これも近々に是正されるという方向になっているということであります。
○小池晃君 だから、それがおかしいと言っているんですよ。ちょっと例えは悪いけれども、物盗みました、これからもうしませんと言ったらそれで済んじゃうという話なんですよ。そういうのじゃ駄目でしょうと。やはり派遣法、あるいはいろんな基準に照らして問題があるというところに、指導で済んじゃうというような世界じゃなくて、きちっと制裁加えるという仕組みも同時に作っていくということが必要なんじゃないですかと、私はそう申し上げているんです。大臣、いかがですか。
 私の言っていることはそんなとっぴなことじゃないと思いますよ。やはりこれだけ野放しにしたまま派遣労働をどんどんどんどん拡大していく、これでは労働者の権利守られないじゃないかという声が上がったって不思議がないじゃないですか。大臣、いかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) 確かに専ら派遣というのは、これは派遣法の目的になっています労働力の需給調整というよりはむしろ第二人事部というべきで、使用者の労務管理の負担を派遣会社が肩代わりしているということで、これは正直言って派遣法の趣旨に反する行為であることは事実でありまして、そういったことでこれまでも指導してきているところであります。
 指導に従わず悪質である、あるいは指導に従ったふりをしてまた再三そういった悪質な行為を繰り返すという悪質なケースについては、これは当然厳しく対応するということであります。
○小池晃君 しかし、そういうふうになって悪質だということで勧告まで行ったというのは一つもないという話なんじゃないですか。全部指導で終わっちゃっているわけでしょう、実態としては。それでいいんですかと言っているんですよ。
 大臣、ちょっと答えてください。やっぱり労働者これじゃ納得しませんよ。こういった問題を野放しにしたまま派遣労働がどんどんどんどん拡大していくということに対して、やはり大臣お考え示していただくべきじゃないですか。大臣、ちょっと答えていただきたい。
 大臣、ちょっと、二回見送ったんだから三度目の正直で、ちょっと私何も言わなかったんだから、答えてくださいよ。
○政府参考人(戸苅利和君) 我々も、指導をして、それに従っているところについてそれ以上の措置を取るというのはこれはできないわけで、ただ、おっしゃるように悪質な業者というのがいるんであれば、それはおっしゃるとおりきちんとした厳正な対応をするというのは当然だろうと、こう思っております。
○小池晃君 だから、していないんですよね。だから言っているんです。
 大臣、ちょっと簡単でもいいですから所見を聞かせていただきたい。これはもう大臣としても答えられないと、これはまずいというふうに思っていらっしゃるんだったらもう結構ですけれども、ちょっと大臣、答えていただきたいんです。やはりこういう在り方は問題だと思いませんか。その問題意識だけでも聞かせていただきたい。
○国務大臣(坂口力君) 現場の問題でございますから、これは現場でどういうふうに対応しているかは局長にお任せしたいというふうに思いますけれども、いずれにいたしましても、法律がちゃんとできて、そしてそれにのっとってやっていかなきゃならないようになっているわけでありますから、それに反するところがあれば厳正に対処する、それは当然のことだと思います。
○小池晃君 それは当然のことなんですけれども、そういう仕組み、今のような仕組み、本当に指導ということで終わってしまうような仕組みでいいのかと。やはり私は最低限、派遣法違反のような実態があれば直ちに公表すると、そして社会的にもそういった企業はきっちり指弾されるというのは私は当然の在り方だというふうに思います。これもなしに拡大していくなどということは本当に許し難いということを申し上げたいと思います。
 その上で、銀行への派遣は多く二十六業務だと。今回、通達廃止されることで三年の期間制限外れると。これまでは合理的な理由がなく同一の派遣ができないとされていたものが、四十条の五で同一の労働者に雇用の申込みが義務付けられますが、派遣先に雇用意思がなければこれは無制限にできることになっていく。事実上専ら派遣で広がってきた銀行のスタッフサービスなどの派遣労働者、これは先ほどもお話ししたように、同じ会社に八年、十年、そういう人が一杯います。そして、その派遣先も親会社になっているわけです。多くは一日五時間労働。しかし登録型のパート。常用労働者としては雇用されていません。長年同じ職場に働いていても、通常労働者より短い労働時間だというだけで非常に劣悪な条件に置かれている。
 私は、本来は派遣先に常用雇用されるということが、これが一番いいことは間違いない。しかし、現在の雇用情勢の中でこれがすぐに実現できないとすれば、だとすればやはり次善の策として、労働者が希望した場合には登録型の派遣ではなくて、派遣会社への常用雇用を進める、こういうことが望ましいのではないか。
 そういったことを望ましいと思わないのかどうか認識をお伺いしたいのと、たとえ派遣労働という形態のままであっても、雇用を少しでも安定化させていく、こういう施策を私真剣に検討する必要があるんじゃないかというふうに考えるんですが、いかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) 派遣労働者、特に登録型の派遣労働者の場合は、派遣される日について派遣元と雇用契約を結んで、その上で派遣される。派遣される日については、派遣元が雇用主であると、こういう仕組みで来ているわけであります。
 それを今のお話のように常用雇用として派遣元に雇わせるということについて、国の方で、私的なといいますか、民事上の派遣元と派遣労働者の間の契約関係について一方的に強制する、あるいはこういうことが望ましいということはこれはなかなか難しいんではないかというふうに思います。
 ただ、正直言って、派遣元とそれから派遣労働者がそれぞれ、何というか、雇いたいあるいは常用で雇われたいということで話が付いて、それで常用派遣に切り替わるということであれば、これはこれで我々としてはこれも結構なことだろうと、こう思っています。
○小池晃君 それは勝手にやってくださいという話だけであって、そういうことでは駄目だと思うんですよ。別に全部強制しろなんて私も言っていないんです。もちろん、派遣先にきちっと常用雇用されるべきなんです。ただ、宙ぶらりんじゃないですか、こういう人たちは。そこを何とか安定した形にするというような施策を私は真剣に検討する、これだけ雇用情勢も大変だという中で、私は真剣に検討してもいいというふうに思うんですよ。
 ちょっと、大臣、今の考え方はどうですか。こういう考え方についてどのようにお考えになりますか。
○政府参考人(戸苅利和君) おっしゃるとおり、派遣労働者が希望するのであれば、なるべく長い期間の安定した雇用関係というのは望ましいわけであります。そういった意味で、先ほど申し上げましたが、派遣元と派遣労働者の間で話合いが付けば、それは望ましいことだろうと思います。
 それから、今回考えていますのは、いろいろ議論がありまして、派遣期間とそれから雇用契約期間、これが乖離していると。派遣期間は六か月なのに雇用期間は一か月の短い期間が繰り返されると、こういったようなケースも散見されるわけでありまして、こういったものについては、派遣期間と雇用契約期間、これをなるべく一致させるような努力というか、こういったものが望ましいというふうに思っていまして、この点は衆議院での附帯決議等にも明記されているところであります。
○小池晃君 短期常用雇用化ということ自体も望ましいことではあるというお話もありましたので、是非こういう施策も、少しでも派遣労働者の雇用を安定化させるということをやはり真剣に検討するべきだということを申し上げておきたいと思います。
 その上で、製造業への解禁の問題ですが、請負と派遣の区分の明確化の問題であります。これは元々、派遣法成立のきっかけともなった構内下請の現代版業務請負業だった。今回の法案のやっぱり大きな問題点は、先ほどからも議論あるものづくりへの解禁の問題です。
 これ、既にもう大きく広がっているわけですね、実態としては。NHKのテレビでも特集されました。このNHKのニュースでは、別の業種が新たに参入して更に競争が厳しくなることも予想されている、労働者の立場に立った対策が急がれていると、そういうコメントだったんです。
 厚労省は、昨年、請負関係の企業や労働者への調査を実施しております。今日は資料3としてお配りをしておりますが、何でこの調査を行ったのか、簡単に御説明をお願いします。
○政府参考人(戸苅利和君) 前回、平成十一年の派遣法の改正の際に、物の製造の業務については、ネガティブリスト化する中で、労働者も多い、労働条件に与える影響も無視できないということで、附則において、省令で外す業務ということでこれまで認めてこなかったわけでありますけれども、この物の製造の業務について、今、委員御指摘のとおり、実際には偽装請負というふうなケースも中にはあるんだろうと思いますけれども、業務処理の請負という格好で製造業の現場に相当数の請負の発注者、それから請負の労働者が働いているわけであります。
 そういったところにつきまして、現状を把握し、もし適正な請負で行われていないといったときにどういった対応が必要なのかということも把握し、それから、今お話しのように、請負についてあるいは派遣についてどういったニーズがあるのかという辺りも把握しておこうというふうなことで、実態も含め調査をいたしたわけであります。
○小池晃君 この調査によると、一般の現場労働者の平均勤続年数は三年七か月であります。平均年齢は三十三・四歳、平均月収十九・九万、年収でいうと二百六十三万一千円。非常に厳しい条件だと思います。
 このお配りしたアンケートの中身で少し議論をしていきたいと思うんですが、四ページの表30を見ていただくと、請負のデメリットという質問がございます。将来の見通しが立たない四二・二%、雇用が不安定三五・二%、収入が不安定二九・二%、賃金が低い一九%。年収二百六十三万ですから当然だと思うんです。
 それから、ちょっと後先になって済みませんが、三ページの表27を見ますと、今後希望する働き方ということでは、正社員として働きたいという方が一般現場労働者で四二%、パートとかアルバイトを希望している人は三・二%しかいません。
 そこで、もう一度一ページに戻っていただいて、表11ですね、生産業務における請負業務で使用する機材等の所有者という問いに対して何と言っているか。必ず自社の所有しているものを使用するというのは六・八%しかない。その一方で、発注者のものが多いというのは六一・六%、必ず発注者のものを使用する二四・七%。だから、九割近くは本来は違反となる、これ、人材だけしか供給していないということになるんじゃないか。
 こういう実態、これは派遣法違反の実態がかなり広がっているということを示唆するものではないでしょうか。いかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) 派遣と請負の区分基準でありますけれども、これによりますと、自己の責任と負担で準備し調達する機械、設備、器材等により業務を処理することと、こうなっています。
 これは、その考え方としては、今御指摘のとおり、請負業者が自ら所有するというケースが中心なんだろうと思いますが、それ以外にも、発注者からの貸借契約を結んで、それによって貸借料を払いということでやっている場合もこれは該当するということだろうと思いまして、そういった意味で、今御指摘のその数字が、すべてが派遣法違反ということではないんじゃないか、請負、適正な請負になっていないということではないんじゃないかというふうに思います。
 ただ、正直申し上げて、これだけ製造業の現場に請負業者が入っていますので、適正な請負になっていない、あるいは派遣法違反である、実際は派遣だけれどもやってはいかぬ派遣が行われている、あるいは派遣という形態に照らしても問題があるというケースもあるということは、これは否定できないと思います。
○小池晃君 貸借契約と言うんだけれども、その下の表12で、賃貸契約結んでいますかというのに、していないというのは多いんですよね、大変。ですから、もうかなりこれは派遣法違反という実態がまかり通っているということだと思うんです。
 もう一つお聞きしたいんです。表48、一番下ですね、一ページの。これを見ていただくと、指揮命令の問題があります。これ、発注者の従業員からの指揮命令が必ずあるが一一%です。それから、大体あるが一五・五%、さらに、半々程度が二一・五%、合わせて五割近くは発注者の従業員からの指揮命令があるんだと。
 一方、これは事業者側の調査ですが、労働者側の調査は四ページにあるんですけれども、四ページの表31を見ていただくと、これは労働者側の調査では、必ずあるというのが二五・六、大体が一九・二%、半々が一〇・一%、これも五割を超えています。逆に、これを見ると、請負事業所の作業リーダー等の現場管理者から指示を必ず受けている、これは必ず受けなきゃいけないわけですけれども、必ず受けているという人は三六・二%しかいないんですね。しかも、このアンケートの取り方には、管理者というものの範囲が作業リーダーも含むとなっていますから、これは請負で送られている人の中の一人を管理者としている可能性もあると。
 さらに、また戻って恐縮なんですが、一ページのところの表45、業務請負についての現場責任者の有無というのを見ても、すべての現場に責任者がいるというのは四八・四%しかないです。その一方で、一部の現場に責任者を置いてその者が他の現場を巡回しているというのが四七・九%。
 ですから、この請負の基準定める告示に私は明らかに違反する事例、実態がここにはっきり出ていると思うんですね。こういう調査をされたんですから、この後正すことをされたというふうに思うんですが、そこはいかがでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) 今回の調査は、その実情を正確に、なるべく実態をきちんとといいますか、正確に把握しようということで行ったということでございまして、そういった意味で、違反だということを自分で自覚して違反だという答えをいただけないということになるとますます何のために調査をしたのか分からないということもありまして、そういった意味で、郵送無記名のアンケート調査ということで行いました。
 そのために、今のお話のように、かなり実態に迫っているというか、というふうな調査結果になっているんだろうと思いますし、それからもう一つは、労働者のアンケート調査などにつきましては、恐らく労働者の思い込みでこういった回答になっているというケースもあるのかなとも思いますけれども、ただ、いずれにしても、違反があることは間違いないわけであります。
 ただ、この調査ということで申し上げますと、そういうことで調査をしたということでありまして、この調査を使って指導監督をするというふうなことは基本的にはいろいろ問題があるんじゃないかというふうに思っていますけれども、ただ明らかに悪質であるというものがあれば、これはやはり必要な指導をしていく必要があるだろうと、こう思っています。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
○小池晃君 そこで、今までの議論を踏まえて大臣にお伺いしたいんです。
 衆議院の委員会で大臣は、偽装請負がかなりあるのではないかと危惧しているというふうにおっしゃっているんです。今まで非常にあいまいだったと、今まで派遣業を禁止してきたこともあって代替措置と取られかねないというような答弁されているんですね。
 このお話をちょっと議事録で拝見して、私、受け取ったのは、大臣は偽装請負というのはこれは製造業に派遣を解禁してこなかったからこういうふうに起こったんだというふうにおっしゃりたいわけでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) それはそうではありません。派遣業がないから偽装請負が大きくなっているというふうに私は思っているわけではございません。しかし、現実の問題として偽装請負というのがかなり企業の中に大きくなっている事実は否定し難いというふうに思っている次第でございます。
 これはやはり何とか正していかないといけないし、ただ請負業というのは一つのいわゆる法律に基づいて企業の中に入っているというケースではないものですから、ここはどちらかといえば野放しになっているといった嫌いがございます。
 ですから、一方におきまして、今回、派遣業として明確にしたわけでありますから、この請負業の方につきましても、これは厚生労働省の範疇なのか経済産業省の範疇なのかちょっと分かりにくいところでございますが、ただし働く人たちの働き方の問題になれば、これは厚生労働省の所管であることだけは間違いがないわけでありまして、きちんとここを見ていかないといけない。今後の問題、どういうふうにここを見ていくかということを考えないといけないというふうに思っている次第でございます。
○小池晃君 私は、前回の当委員会、参議院の当委員会でも、この法案、議論をしたときの附帯決議を見ても、こう言っているんです、偽装請負の解消に向けて、区分の具体化、明確化を図るとともに、周知徹底、厳正な指導監督を行うことと。しかし、これやってきたんだろうかと、果たして。私は、この実態調査の結果を見ても、偽装請負に対する厳正、そして適正な周知徹底、指導監督が行われたとは到底思えないんですよ。
 大臣は基準を明確化する必要があるというふうにおっしゃるんだけれども、私は、今なすべきことというのは行政がやっぱり果たすべき役割果たすことではないかと。やっぱり、脱法的な行為がほとんど野放しになってきたということにあるわけですから、私は、参議院の附帯決議にもあったように、徹底した指導監督をこの偽装請負の問題についてもやっていく、そして現状を改めると。
 それをすることなしに、言ってみれば、物の製造に派遣を解禁すれば偽装請負が合法化されていくということになっていくということになるわけですから、私は、現状をまず正すことこそ必要なんであって、この脱法的に行われている偽装請負を合法化してしまうようなやり方でもっともっと拡大していくような道を歩んでいくということは、私は正しくないやり方だというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) これまでも請負を行っている事業所に対する指導監督はやっているわけでありまして、例えば、平成十三年度で申し上げますと、七百六十七件指導監督して、そのうち、違法がある、適正でないということで百十一件に対して文書指導を行っているということであります。
 そういった意味で、派遣を製造業に適用するということで直ちにすべての問題が解決するということでは当然ないわけでありまして、適正な請負として行われているのかどうか、適正な派遣として行われているのかどうか、その辺りきちんと点検をして、それ以外のものについては厳しく指導監督をしていくということであります。
○小池晃君 適正な派遣なのかどうか、適正な請負なのかどうか、それぞれ指導監督をするんだとおっしゃる。
 しかし、請負について監督官庁、あるんですか。厚生労働省は、請負について明確な監督権限があるのはどこなのかと聞いても、これはどこだという答え、出ないわけですよ、ないわけです。それは、そうですね。
○政府参考人(戸苅利和君) おっしゃるように、恐らくそれぞれの請負の業態ごとに所管官庁はあるんだろうと思います。
 ただ、我々としては、行われている、請負と称して行われているものが派遣法に照らしてこれは適正な派遣として行われていないと、あるいは、職安法に照らして労働者供給事業に当たるということであれば、これは職業安定法なり労働者派遣法に基づいてきちんとした、あるいは厳正な指導を行うということは十分可能であります。
○小池晃君 派遣なら派遣、請負なら請負、それぞれきちっとその監督をしていく、強化していくという仕組みがあるのであればまた話は別なんですが、そういう仕組みがあるわけではないわけです。
 そういう中で、大臣が言っているように、今までのようにあいまいだったところをはっきりさせなきゃいけないというふうになると、これはやっぱり偽装派遣だったものがどんどんどんどん合法化されていくということになりかねないと。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 そして、物の製造への派遣を禁止してきた理由はなぜかというと、これは八百万製造業に派遣を入れると常用代替一気に進むからという、そういう理由だったわけです。それなのに、常用代替はさせないんだと先ほどもおっしゃる一方で、物の製造には派遣を解禁していくと。
 私は、こういうやり方は筋が通らないというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(坂口力君) 請負、この請負業の問題は、派遣業から見れば、それは全部その派遣業の中で処理できる話ではありません。したがって、派遣業の中から見て派遣業に違反していないかどうかということを見る以外にないわけでありますから、この請負業につきましてのいわゆる問題というのはもう少し別途考えないといけないというふうに私は思っております。したがって、そこは限界があるということを申し上げているわけでございます。
○小池晃君 ちょっともう少しこの問題続けて聞いていきたいと思うんですが、ちょっと実態で議論したいんです。
 これ、二年前になるんですが、光学精密機械メーカーの有名なニコン、この熊谷製作所に入っている請負業者、ネクスターという会社ですが、ここで働いていた当時二十三歳の上段勇士さんという男性が過労自殺されました。で、お母さんがニコンとネクスター相手に裁判を起こしています。
 この上段さんのお母さんが大臣に手紙を送ったというふうに聞いております。大臣、受け取っておられますでしょうか。読まれた感想などあればお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) かなり前のお話だと思いますので正確には覚えておりませんけれども、お手紙をちょうだいをしたということは記憶いたしております。
○小池晃君 この男性、上段さんは請負会社で働いていたんですね。このニコンの熊谷製作所というのは半導体の製造機器を造っておりまして、その検査のためにクリーンルームで仕事をしていたんです。請負会社の担当者はクリーンルームには入らなかったそうですから、これは指示全くないわけです。明らかなんですね。日常の仕事はすべてニコンの社員から指示をされていたそうであります。昼夜二交代勤務で十一時間拘束、ほぼ毎日残業、十五日間の連続勤務、労働時間は死亡前には月七十時間だと。体調が悪くてもニコンの医療施設には入れない、利用できない。で、体重が一年四か月で十三キロ減ったそうです。たまりかねて退職を申し出たが、引き延ばされて、そしてついに自ら命を絶ったということなんです。
 この裁判は、過労自殺認定と、それから請負と発注者を相手にして使用者責任問うています。で、ニコン側は、これは請負契約だから責任は請負だと言っている。請負会社の方は何と言っているかというと、事実上の派遣だったというふうに裁判では証言しているんです。いずれも責任取らない、押し付け合うという、そういう状況になっている。
 確かに、業務遂行方法に対する指示、あるいは労働時間やその他の管理を行うべき監督者、これは現場にいない。作業も機械ももちろんニコンのものを使っているわけです。これは正に送っているのは人だけです。クリーンルームですからもう間違いないわけです。
 厚労省にお聞きしたいんですが、こういうケース、もうこれは間違いなく偽装請負ということになるんじゃないでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) 御質問のネクスターとそれからニコンの熊谷製作所の関係でありますが、これは私どももその投書というか手紙をいただきましたので調べました。調べたところ、これは派遣法違反でございます。
○小池晃君 こういう実態なんです。お母さんのお手紙には法律改正してほしいというふうに訴えておられる。これ、各党党首にもみんな送ったそうです。手紙にはこうあります。社員と全く同じ労働をし、さらに、上乗せ労働を拒否できず、命、人権の保障なく、低賃金、自分の親戚や息子を送りたいとはとても思えない環境です、派遣を労働の底辺にしく発想をやめてください、やめさせてください、夢も技術も育ちません、こんな進み方では日本の未来には何も残りません、気付いたところから軌道修正してください、こういう訴えであります。
 現在、この法案の成立を見越してでしょうか、本当に既に報道でも、製造業に次々と参入するという、そういう報道がされているんですね、派遣業者が。そういう動きがもう本当に大きく広がりつつある。国会の附帯決議にも明記された厳正な指導監督がなされていない。そして、先ほど厚労省もお認めになったように、もう正に偽装請負、こんな事件が起こっている。お母さんがこう言っているんです。法があるから安心できるのではない、法に実効性を見いだしたときに初めて安心できるのですと。そのとおりだと思うんですね。
 私は、これ、派遣でも請負でも本当にこんな問題が起こっている、それぞれのその規制をやはり徹底的に強化していく、そのことこそ今求められているのであって、今、物の製造に派遣解禁したらば、こういうような事例が本当にどんどんどんどん日本じゅうで起きていくということになっていくんじゃないか、そのことを大変深く危惧するわけであります。
 大臣、いかがお考えですか。
○政府参考人(戸苅利和君) このネクスターのことで申し上げますと、これは正直言って、雇用主がどっちだったのかということが、ニコンなのかあるいはネクスターなのかということがはっきりしないわけであります。そういった意味で、偽装請負の問題点というのは、一体雇用主がだれなのか、指揮命令するのがだれなのか、この辺りがあいまいになっているということでありまして、我々としては、むしろ派遣法を導入することによって、雇用主は派遣元であるということがはっきりいたしますし、それから労働条件の管理等は一体どこがやるのかという辺りもきちんと整理されるということで、それぞれの責任が明確になる、いろんな争いがあったときにどっちが責任があるということはより明確になるんだろうと、こういうふうに思っております。
○小池晃君 ニコンはこんなこともやっているんです。こうした事実上の派遣、偽装請負ですね、これ工場内に三百人入れているんです。その一方で、IC集積回路製造のラインで働いていた正社員、こういった人たちを余剰人員だといって出向させているんですよ。出向はどういう形で出向しているかというと、関連会社というんですが、全く直接の資本関係もない業務請負会社なんですよ。アウトソーシング会社に出向させているんです。そして、四十五歳以上の三十人既に出向対象としてなっていまして、既に十二名がニコンの工場から出されて請負会社の請負先、これマヨネーズの製造工場だそうです、そこで製造ラインから落っこった何か廃棄物なんかを集めるという仕事をやらされているというんですね。これ、現場の方は本当に、労働者があきらめて自ら辞めますと言うのを待っているようなやり方だと、本当に人権無視だというふうに怒りの声が上がっているんです。
 ですから、派遣を入れているという問題じゃなくて、派遣を入れることによって更に、余剰人員だと称して中高年リストラを、派遣会社に、外に出すというやり方を取っているんですね。私、本当にあきれてしまうわけです。
 大臣は正社員を直接解雇して代替することは解雇法理からも起こらないというふうにおっしゃっているけれども、実際、現実に企業の現場ではこんなことまで起こっているんですね、今。正に請負とか派遣制度を使って常用労働者を追い出して、その上、追い出した労働者を請負で使うと。もう請負、派遣で常用労働者をどんどんどんどんもう置き換えているような、こういう実態があるわけですよ。こういう中で、この物の製造に今度正々堂々と派遣が入ってくるという仕組みを作ることが、こういうふうに本当に危険な状況に置かれている今の不安定労働者のこういう実態をますます悪化させるということに私はなるというふうにもう危惧を持たざるを得ないんですよ。
 大臣、ちょっとここは大臣、答えていただきたい。こんなことが果たして許されるのかということも併せて大臣、お答え願いたい。
○国務大臣(坂口力君) 現在までの、今お話しになったようなそうしたケースが不法に行われていたということが非常に問題であります。
 したがいまして、今回こういう改正をいたしますけれども、今後そうしたことが正々堂々と法の下に行われるように、法を犯して行われないようにどうしていくかということが大事でありまして、各都道府県、今度は労働局でしたね、労働局を中心にして、今までハローワークならハローワークでやっておりましたけれども、ハローワークだけで収まらない話がありますから、今度は労働局が中心になりまして、この派遣業の問題をそれぞれの都道府県でお受けをして、そして解決をしていく、お話を十分に伺っていく、あるいはまたその労働局自身も調査をやっていく、厳正にやっていくというふうにしたいというふうに思っております。
○小池晃君 いや、大臣、今のおっしゃり方で私言いたいですが、今までは違法状態の下で労働者の権利侵害、人権侵害が進んでいた、それが合法的に堂々と行われるというだけになるじゃないですか。こんなことがあっていいんですかと。私は、物の製造に拡大するということは、本当にこういう危険な状態を日本じゅうの製造現場に広げるということになるんじゃないですかというふうに言っているわけです。
 私の指摘にはちょっと正面から答えていただいていないんじゃないかと思うんですが、私はこういう中で物の製造に派遣を広げていくというのは本当に不安が募るばかりであります。
 しかも、こういうそのことが先ほどもあったように進んでいった場合に、日本のものづくり、日本の将来の労働というのは一体どうなっていくのかという問題であります。ものづくりが継承されなくなるんじゃないか、青年の雇用がずたずたにされていくんじゃないかということです。
 例えば、いろんなチラシがまかれているんですね。東北地方などでは、本当に高卒の人たちなどに対して、高校生たちに対してもうチラシが一杯配られているそうであります。中見ると本当にいいこと書いてあるんです。技術も身に付くからスキルアップもできるよというような形でスタッフ募集というようなチラシがまかれている。しかし、こうしたところで本当にまともな教育訓練というのは行われているんだろうか。
 先ほどのアンケートへ戻ると、請負労働者の調査、四ページの表の33というのがありますが、ここでは仕事に関する教育訓練を受けていないという人は二七・三%であります。その次のページの表35を見ると、教育訓練を受けたという人でも、受けた日数というのは大体一日から二日が四五・九%なんですね。だから、全体で見ると六割が未教育か一日か二日のごく簡単なものでもう配属をされています。
 有給休暇あり、寮完備、こんなチラシもあるんですが、これもくせ者です。これ、休暇申込みは一週間前に届ける、ラインに迷惑が掛からないと判断したときとなっているんです。だから、事実上取れないわけですね。受注先との契約終了時に次の配属先が見付からないとなった場合は即刻解雇です。寮も引き払えと言い渡される。満足なお金持っていませんから、これは引っ越しのためのお金、あるいは当座の生活費をサラ金に頼らざるを得ない、こういう青年の声も聞かれています。こういう悪循環がどんどんどんどん広がっているんですよ。これは実は先ほど自分の息子さん亡くされた上段さんが今全国の実態を調べていらっしゃるお話聞いたものであります。このアンケートの結果と私は合致すると思うんです。
 大臣、お伺いしたいのは、こういう派遣労働、まともな教育訓練も行われないままこういう労働がどんどんどんどん青年の間で拡大していくということになれば、私はこれは日本の将来にとって決していいことだとは思えない。こうした実態を果たして放置してよいのか。大臣、いかがお考えですか。ここは大臣、答えてください。
○政府参考人(戸苅利和君) ネクスターの件で申し上げれば、先ほどのお話のとおり、一体どっちが雇用主なのかということを、お互いにおれは雇用主じゃないということを争っているということだろうと思います。そういった意味で、先ほど大臣申し上げたのは、派遣法になればこれは派遣元たるネクスターが雇用主であるということは紛れもない事実になるわけでありまして、そういった意味でそれは逃れられないということになり、労働者が守られるということだと思います。
 それから、求人広告についてはこれは職安法で、とにかく虚偽の広告をした場合は、これは職安法違反になりますので、これも厳しく対応していくということだろうと思います。
 それから、教育訓練につきましても、これは派遣法が適用ということになれば、やはり派遣元の責務として教育訓練を一生懸命やる、それから派遣先にも協力をお願いして教育訓練をやるようにと、こういうことになりますので、少なくとも現状の偽装請負よりは労働者にとってのメリットは大きくなるというふうに思います。
○国務大臣(坂口力君) 法律を守らない話は、これはもう別な話でありまして、いわゆる働く人たちの選択肢を広げるという問題とそれからでき上がった法律を守らないのとは、それはもう別の話でありますから、これはもう法律は守る、ちゃんと守るようにさせなければいけませんし、厳しく取り締まらなければいけないというふうに思っております。
○小池晃君 私は日本の将来のことを聞いたんですけれどもね、このままでいいのかと。そのことについての大臣の基本的な見解をお聞きしたかったんですが、ちょっと時間がないので。
 ちょっと確認したいんですけれども、先ほどからお話ありましたように、請負業に対する監督権限ないのは問題だと、これは考えるということでありました。私、これはひとつしっかり考えていただきたいのと、併せて、派遣労働者の権利を守るために職安行政の中に労働基準監督官と同様に司法権限を持つようなセクションを作って、やはり申告に基づいて厳正、的確に違法な事業者は摘発するんだというような仕組みもやっぱり検討していく必要があるんじゃないか。これだけ派遣労働広がっている中で、やはりきちっとこういったものを摘発をし、労働者を保護していく、やはり政府の中に監督権限を持つ部署を作っていくということと、やはりこういうセクションを設けていく、これは検討すべきではないかと思いますが、これはいかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) 派遣法の指導監督については、先ほど大臣も申し上げましたように、ハローワークに分掌しております今の指導監督を都道府県労働局に集中して専門的に対応していこうと、こういう考え方でやっておるところであります。今後、物の製造業ということになると、安全衛生法上の問題、それから基準法上の問題等々も出てくる可能性もあるわけで、そういったものについては当然労働基準監督官が厳正に対処するということになると思います。
 そういった意味で、我々としては労働基準監督行政との連携、これを強固にしていくと、それから労働局に集中するということで適切に対応してまいりたいと、こう考えています。
○小池晃君 そのほかちょっと幾つか確認しておきたいことがあるので進めますが、紹介予定派遣です。これも問題大きいんです。乱用防止の対策に絞って聞きたい。
 これは仮に予定期間経過後に紹介しない、派遣しない、そういう場合ですね、私は、その理由を労働者に派遣元や派遣先が明示する、これは義務付けるということは当然やっていただきたいと思うんですが、この点いかがですか。
 そして、局長は衆議院でこう言っているんです。何で採用しないのか不採用の理由を明示するのも一つの方向だというふうに言っているんですね、明示するんだと。しかし、その一方で、文書でというところまで強要できるかというような言い方しているんです。そして、それで何らかの歯止め措置は必要だと答えているんですよ。非常に何か揺れ動いているお気持ちが伝わってくるような答弁なんですが、口頭だけで歯止めになるのかと。
 やっぱり私、局長、何らかの歯止めが必要だと言うんだったら、これはあくまで文書で明示する、これは最低限あるべきじゃないですか。いかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) 衆議院でも申し上げたとおりでありまして、どういった措置が適切なのかということについては、これは審議会にもちょっとお諮りしてやろうというふうに思います。ただ、歯止めは必要だろうと、これは明確に思っていますので、歯止めのやり方については、今の御意見も伺いましたので、いずれにしても審議会でちょっと御検討いただこうかと、こう思っています。
○小池晃君 私は、歯止めというならちゃんと文書で残すというのは、これは当然のことだと、最低限のことだというふうに思いますので、そこは強調したいと思います。受け止めたという言葉なんで、次の問題。
 職業紹介の兼業禁止規定の問題です。
 これは、貸金業との兼業禁止規定削除するということは、これは断じて認められないと私は思うんです。これは要するに、サラ金に行って返せないとなったら裏口行ってください、そうしたら裏口に職業紹介所があるという話でしょう。こんなことがあっていいのかと。これは事実上の強制労働になりかねないんですよね。
 これは、これまでもずっと衆議院でも議論されてきて、大変問題があるという議論されています。局長も懸念を表明されています。許可制にするとか規制をしていくというふうに言っているんですが、しかし、よく聞くと、今のところとか、それから当面はとかという、そういう答弁なんですよ。これでは駄目です。私は、これね、原則的な問題だと思うんです。
 今、金融庁に聞きますと、日本の貸金事業者の数、二万六千二百八十一です。契約数は大手四社だけで一千万口です。貸出しは総額四十三兆八千億円です。もうすさまじい規模で広がっているわけですね。このような業界に職業紹介の兼業を原則認めるというのはもう余りにも危険なことだというふうに言わざるを得ない。これは悪質業者排除しますと言っても、だって業界最大手の武富士が摘発されたりしているわけですからね、一体、悪質じゃない業者がいるのかという世界であります。
 それから、契約者本人には職業紹介をしないことを検討すると言っているけれども、これはサラ金というのは本人だけじゃなくて保証人とか家族とか、もう全部取立てやるわけでしょう。本人避けてもこれは歯止めにならないと思うんです。
 大臣ね、これはやはり条文の削除をするべきでなくて、やはりこれだけ懸念の強い貸金業のような職業は、私は引き続き禁止するというのは当然だと。貸金業などを残したこれは部分削除にとどめておくべきだというふうに思うんですが、これはいかがですか。
○副大臣(鴨下一郎君) 要するに、個人及び企業にして、直接に又は仲介者を通じて飲食店、旅館等経営のごとき業務により利益を得るものは職業紹介に従事することを禁止されるべしと、こういうILOの勧告を踏まえて今までそうだったわけでありますけれども、これが昨年のILO総会において撤回されたと。こういうような趣旨を受けて、今回はその規定を削除すると、こういうようなことでありますけれども、先生おっしゃるように、確かに言ってみれば、例えば貸金業、殊にそういうような債務者に対して様々な縛りのある中でこういうことが行われるというようなことについては、もう誠に懸念されるのはそのとおりだと思います。
 そういう意味で、この当該事業を適正に遂行していくと、こういうようなことを担保するために、一つは、不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であることといった要件を極めて厳格に置きまして、不適格な事業者の参入については、これらの要件や罰則に加えて、それぞれの事業を規制する法律における許可又は登録を適正に受けていることを職業紹介事業の許可基準として加えることと、こういうようなことを含めて、実際には貸金業だけではなくて様々な、いわゆるやみ金等も含めて厳格にしていかなければいけないということはおっしゃるとおりであります。
○小池晃君 そんなILOがやったからと言うのであれば、ILO一号条約も含めて全部ILOが決めたことをちゃんとやるべきですよ。都合のいいことだけILOがやったからやりますと言って、そして我が国にとって都合が悪いことは、それはそのままにしておくんだから、こういう言い訳は余りにも御都合主義じゃないですか。私はこれは納得できないです。
 法律から指針や運用の規定で対応するというのはやっぱり危険過ぎます。だって、今まで労働行政というのはみんなそうなんです。そういうふうに落としておいて、そして、そのときはしませんと言って、三年か四年たったらしますと言ってやってきたわけじゃないですか。私は、だから、当面はなんと言われたって、これは安心とてもできないんですよ。それだけ懸念まで表明しているわけでしょう。局長も、副大臣まで懸念があると。懸念があるならやめたらいいじゃないですか。こんなことは最低限私は外すべきだと。
 大臣、いかがですか。これだけみんなが懸念を表明するようなことをわざわざやる必要ないじゃないですか。これははっきり削除すべきだというふうに、大臣、思います。大臣、もう副大臣さっき聞いたからいいですよ、大臣、答えてください。
○副大臣(鴨下一郎君) 確かに様々な問題あることは間違いないわけでありますけれども、その貸金業と職業紹介事業を兼業する場合においてこれは具体的にどういうふうに規制していくと、こういうようなことでありますけれども、原則として自己の債務者を求職者としないというようなことを許可条件にして、これに違反があった場合には職業安定法の第三十二条の九に基づいて許可の取消しや事業停止命令の発動を含めて、これはもう極めて厳正に対処をすると、こういうようなことを検討して進めてまいりたいと、かようなことでございます。
○委員長(金田勝年君) もう時間が来ておりますから。
○小池晃君 懸念があるなら兼業禁止の削除はこれはやるべきでないということです。
 以上です。
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方からは、職業安定法の改正部分についてお伺いをしていきたいと思います。
 まず、大臣にお伺いを申し上げます。
 先日の提案理由説明の中で、労働力の需給のミスマッチを解消いたしまして多様なニーズにこたえていくためには、公共及び民間の労働需給調整機関がそれぞれの特性を生かし、労働市場においてより積極的な役割を果たしていくことが必要であるというふうにお述べになりました。この大臣がおっしゃったそれぞれのこの特性、これはどういったことをおっしゃったのか、また、より積極的な役割とはどういった役割なのか、まずこちらの方からお伺いをしてまいりたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 公共職業安定所につきましては今更申し上げるまでもないと思いますから割愛をさせていただきますが、民間の職業紹介事業者というのは、特にホワイトカラー系を中心にいたしましてノウハウを蓄積してきておるというふうに考えております。こうした職業につきまして、職業求人企業、それから求職者双方からマッチング能力の高さが評価されておりますし、求人の賃金条件を見ましても民営の職業紹介事業者における求人の平均賃金の方が公共のものに比べて高いといったようなこともございまして、かなり努力をしておみえになるところがございます。
 したがいまして、これからもそうした今まで蓄積をされたノウハウを中心にして努力をしていただくということだろうと思います。ただ、すべて民営にお任せすることができるかといえばなかなかそうもいかないだろう。例えば、非常に地理的に不便な場所でありますとか、非常に人口の少ないところでありますとか、あるいはまた非常に少ない、何と申しますか、職種でありますとか、そうしたもののときにはなかなかこれ一人一人の職業に就いていただくのにかなり手間暇の掛かる話でございまして、こうしたところはほうりっ放しにされる可能性がありますから、やはりそうした隅々のところはやはり公的な機関がちゃんと見ていかないといけないというふうに思いますので、それぞれの特性を生かしながらやっていきたいというふうに思う次第でございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 それでは、この職安法のまず許可制についてお伺いをしたいと思いますが、この点については前回の改正でも有料、そして無料いずれについても許可制が維持されました。しかし、その後も規制緩和委員会、そして総合規制改革会議で届出制に改めるようにと再三にわたって指摘もございました。その指摘の内容、そしてまた目標、目的ですね、今回の改正内容について政府参考人にお伺いを申し上げます。
○政府参考人(戸苅利和君) 昨年の十二月の総合規制改革会議の第二次答申でありますけれども、ここにおきまして、一つは有料職業紹介事業について、手続の簡素化の観点から、法人としての許可があれば事業所の設置は届出で済むよう許可制度を緩和することを含め検討すること、それから、無料職業紹介事業につきまして、現在学校等のみに認められている届出制の範囲の拡大について検討することと、こういったことがありました。
 私どもも、規制改革会議から言われたからそれをそのままうのみにしてやるということではありませんで、それが合理的な、労働力の需給調整の観点から合理的であるかどうかという辺りを検討し、更に今回の法案の検討をいただいた労働政策審議会でも御検討いただいたところでありまして、結果として今回の法案に盛り込んでおりますのは、職業紹介事業者がより機動的に事業運営を行えることができるようにということで事業主単位の許可制にしようと。支店を設ける場合に一々支店の許可を取らなくても本社一括でできるようにすると。ただ、問題の起きないようにという手はきちんと打っておこうというふうに思っております。
 それからもう一つは、商工会議所ですとか農協ですとか、特別の法律で設立された法人が構成員のために行う場合、こういった場合については職業紹介について労働者の保護の上から問題があるとか、あるいは適正な求人求職の結合ができないとか、そういうことはないんじゃないかということ、それから、地方公共団体が行う場合、こういった場合も問題がないだろうということで、これらについては届出により無料職業紹介が行えるようにしようということで今回の法案を提案させていただいております。
○西川きよし君 次に、この点、審議会の建議では有料、無料いずれについても原則として許可制、許可制を維持することが必要として見直しは求められなかったわけですけれども、この審議会の議論の中には両論から意見があったようでございますけれども、その辺りの許可制あるいは届出制に対する場合の課題、いろいろあると思いますけれども、これは是非副大臣のお立場でお答えをいただきたいと思います。
○副大臣(鴨下一郎君) 労働政策審議会におきまして、具体的な規制制度の見直しに当たって、許可制から届出制への移行を視点として検討をしたわけでありますけれども、その際、特に雇用主代表委員等から様々な意見もあったわけですが、同審議会の結論としては、有料、無料いずれの職業紹介事業についても不適格な業者の参入を排除することにより、事業運営の適格性を確保し、求職者の利益を保護する必要があること、こういう前提に立ちまして、こういうような観点から原則としては許可制を維持することが必要であることというような建議がなされたわけであります。
 また、これは、現下の厳しい雇用失業情勢をかんがみますと、民間を中心とした多様な労働力需給調整機関が労働市場におきましてもより積極的にかつ円滑にその役割を果たすことが可能となるよう必要な見直しを行うことが適当であろうというようなことが考えられる、こういうようなことであったわけでありまして、結果的には、先ほど局長が答弁しましたように、有料、無料ともに職業紹介事業者がより機動的に事業運営を行うことができるよう、許可の単位について事業所単位から事業主単位として、事業所の設置については届出制とすること、もう一つは、繰り返しになりますけれども、商工会議所、農協等の特別の法律により設立された法人が構成員のために行う場合や地方公共団体が行う場合について、届出制により無料職業紹介事業が行えるものとすると、こういうようなことを結論として出しているわけであります。
○西川きよし君 これは九州管区の行政評価局が平成十三年の十二月でございますけれども出された行政の評価・監視結果の内容でございますけれども、民営職業紹介事業の運営状況として、民営職業紹介事業の許可申請事案の中に法令に定めのない書類が添付されている事例が認められました、このような報告がされているわけですけれども、この指摘内容とその背景について是非お伺いしたいと思います、政府参考人に。
○政府参考人(戸苅利和君) 平成十三年の十二月の九州管区行政評価局長からの通知の結果でございますが、一つは、一部の職業紹介事業の許可申請書に法令に定めておりません事業所の平面図でありますとか、あるいは職業紹介許可申請趣意書、事業展開計画書等が添付されていたということが一点あります。それからもう一点は、許可申請者の負担軽減を推進する観点から、こうした法令に定めのない書類等を提出させないようにという御注意をいただいたということでございます。
 これを受けまして、一つは、私どもの立場から申し上げますと、職業紹介許可申請趣意書それから事業展開計画書、これにつきましては、私どもの方で求めたというよりも、申請者の方が御自分の申請内容を説明するのにこれを出した方が説明しやすいということで主体的に提出されたものであります。これは私どもで持っているのも問題でありまして、そういった意味で任意提出されたということで内容確認後返却するということにいたしました。
 それからもう一点は、これは確かにその事業所平面図についてはこれは法令に定めていないわけでありまして、ただ私どもの第一線機関が調査を容易にするために出してほしいということで求めたものでありまして、これは正直言って申請者の方に無用の負担を掛けたということは事実でありますので、今後こういったことを行わないようにということで徹底させることといたしております。
○西川きよし君 ありがとうございました。よく分かりました。
 それで、これはたまたま九州の事例であったわけですけれども、やはり現場の対応といたしまして許可を出すには慎重にならざるを得ない、そういった実情もあるんだろうと思いますけれども、例えば指導監督件数は、平成十三年度の件数で、定期指導件数は千五百七十九、そして臨時指導件数が百五十二、文書指導件数が八十九、改善命令件数が十九、司法処分一件と有料が大半を占めているわけでございますけれども、指導監督の事例とはどういった内容であるのか、また司法処分をされた事例についても是非本日お伺いしておきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 平成十三年度におきます指導監督の事例でございます。
 一つは、賃金が直接労働者に払われない、求人者から職業紹介事業者に払われて、職業紹介事業者からその労働者、求職者の方に払われるという間接払いになっていたケースがあります。これは場合によると、労働者に払われる間に職業紹介事業者に事故があって金がどこかへ行ってしまったとか、倒産してしまったということになりますと、労働者の方に賃金が払えなくなってしまうという大変な問題になりますので、これは非常に大きな問題であるということでこれの指導をいたしております。
 それからもう一つは、職業安定法上、指導監督等に行ったり、あるいは事務を適正に行うためにということで事務所に備付けを義務付けております求人求職の管理簿あるいは手数料の管理簿、こういったものが備え付けられていなかった、それから、事業所の所在地が変更されていたにもかかわらずその届出がなされていなくて、どこでやっているか我々が把握できない、監督しようと思ってもできないと、こういう状況があったということで、この辺りは指導をして是正をいただいているということであります。
 それからもう一点、司法処分の件でありますけれども、この司法処分の一件は、実は賃金不払の悪質事犯と事案が重なっておりました。ということで、実際に有料職業紹介の許可の有効期間が切れたわけです。切れたんですけれども、賃金不払をやっていたものですから許可を申請しても許可が得られないということで許可を受けずにそのまま事業を行っていたりという非常に悪質な事案だったものですから、これについては職業安定法の三十条第一項違反ということで告発を行ったというものであります。
○西川きよし君 ありがとうございました。よく分かりました。
 ということで、そういう悪い人たちは是非、今、局長さんがおっしゃったような方向性でひとつよろしくお願いしたいと思うわけですけれども。
 許可制であってもそういった実態があると。これが届出制になればどうなるかということだと思うわけですけれども、この無料職業紹介事業の場合は、大部分は社会福祉法人であるとか公益法人であるとか、そして労働組合などであって、こういった団体が多いわけですけれども、さらに届出制の範囲を拡大をされてもいいのではないかと、こういうお考えもございます。
 いずれにいたしましても、今回も許可制については維持をするという判断になったわけですけれども、しかし、これまでの経緯を見ますと、再度規制緩和の要請があるのではないかなというふうにも思うわけです。
 この点について、今後はどのような視点から今度は対応をしていかれるのか、もうこれで決着だというふうにお考えなのか、それともまた更に規制緩和を模索をしていかれるのかちょっとお伺いしてみたいなと、これ是非、副大臣、よろしくお願いをいたします。
○副大臣(鴨下一郎君) 今のお話にもありましたように、特に無料職業紹介事業についても、強制労働など特に一度発生したら言ってみれば取り返しの付かないようなそういうような結果を招く、そういう弊害を排除しなければいけないというのが大原則だろうというふうに思いまして、労働者保護を図る観点からは事業主体の適格性を事前にチェックする必要がある、こういうようなことのために原則としては許可制を維持するというようなことにしているわけであります。
 その上で、今回の改正においては、これは商工会議所、そして商工会、農協等がその構成員を対象として無料職業紹介事業を行う場合については、これは当該団体の適正性が他の制度により担保されていると、こういうようなこと、また無料職業紹介事業の対象者が限定されていると、こういうようなことから届出により無料職業紹介事業を行うことができるようこの規制を緩和するというのが今回の内容であります。
 ただ、御指摘のように、公益法人等の団体については、商工会議所等とは異なるところもあるわけでありまして、以上申し上げた要件をすべて満足しているというわけではないんだろうというふうに思います。その上で、職業紹介事業を適正に実施する上で必要となる財産的基礎や法人の事業運営の体制、さらに適正な目的で職業紹介事業が行われるかが制度的に担保されているとは言えないと、こういうようなことから一律に届出による事業実施を認めることは現段階ではなかなか難しいだろうというようなことで原則どおり許可に係らしめるというようなことが適当であると、こういうようなことで今、現段階では考えているわけであります。
 ただ、先生おっしゃるように、これからの点については、今後、制度の変更等の事情があれば、その内容を踏まえて改めて今後検討をする必要はあるだろうというふうに思っております。
○西川きよし君 検討するというなにですけれども、この質問を一番、答弁を私はまた今日は楽しみにしておったんですけれども、よろしくお願いをしたいと思いますが。
 次に、地方公共団体によります無料職業紹介についてお伺いをいたしたいと思います。
 この点については、昨年の六月でございます、六月の地方分権改革推進会議の中間報告の中でございますが、「高齢者、障害者などを対象とした地域性の強い施策を展開する上で必要な職業紹介について」云々という指摘がされておりますのですけれども、現行のシステムの中で、高齢者、障害者などを対象とした地域性という意味ですね、地域性という意味ではどういった課題があるのか、是非お伺いしたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 例えば高齢者の方々、高齢者の方々というのは余り遠くまで住所を移転して就職ということもございませんので、それからもう一つはやはり生きがい的な働き方ということもあろうかと思います、そういった観点から自治体が高齢者の方の雇用福祉対策というのをいろいろやっておられる、それから一方で障害者の方について障害者の施設入所者の方々の自立支援ということもやっておられるわけですが、やっぱり最後はどうやって職に就くかというのが最終目的ということになったときに、職業紹介をやるというと、今までは自治体が自ら職業紹介をやるというのは国との二重行政で問題があるというふうな地方分権の考え方もあって認めていなかったわけであります。ところが、やはり従来から地方自治体がそういった高齢者、障害者の雇用対策あるいは自立の支援という対策の一環として職業紹介を是非やりたいというふうな御指摘もございまして、こういった要望も踏まえて、今回これを届出により可能にしたと、こういうことであります。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 地域の方では、今、局長の答弁にもございました、僕も高齢者、障害者の質問をさせていただいたんですけれども、母子家庭や父子家庭やというような方々の中にもいろいろと地域ではお話もお伺いしますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思うわけですけれども。
 今後、国と地方公共団体のこの業務をどのように組み合わせていくのか、またそのことで具体的にどのようなサービスを提供されようとお考えになっているのか、具体的なイメージ、これをどういうふうに理解をすればいいのか、これは副大臣にお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いします。
○副大臣(鴨下一郎君) 今回の法改正におきましては、地方公共団体に対して地方公共団体が行う地域住民の福祉の増進、そして地域産業の振興等を図るための施策に附帯して無料職業紹介事業を行うことを認めようとすると、こういうようなことでありますけれども、先生今おっしゃっているように、具体的にどういうイメージなんだという話でありますけれども、例えば地方公共団体が福祉施策や企業誘致施策を進める際に、職業あっせんを行うというようなことを通じて、先ほどおっしゃっていたような、例えば母子家庭等の社会的自立を促進するようなことに資するとか、それから、若しくは例えば誘致予定企業に対して迅速な労働力を確保することができるような、そういうようなことによって言ってみれば地方公共団体の全体的な施策がこれまで以上に円滑に更に充実するような、こういうようなことを考えているわけでありまして、またそれと加えて、ハローワークにおいては、これは国民の雇用面でのセーフティーネットとして全国的なネットワークを活用した効率的な職業紹介、こういうようなことを実施していくわけであります。
 そして、国と地方の公共団体においては、これは地方公共団体から求めがあればハローワークの求人情報を提供するなど相互の連携を図るというようなことで、言ってみれば地方、特に厳しい雇用状況でありますので、それぞれの地方公共団体そして国のそれぞれの特性を生かしてできるだけ労働力の需給調整機能の強化を図っていくと、こういうような趣旨でございます。
○西川きよし君 これまでの質問、お答えにも大変、今、副大臣がおっしゃったようなことがたくさん出てまいりました。どうぞ、国と地域、地方の連携といいますか、仲良くしていただいて、よりいい方向へ進めていただきますようによろしく、特によろしくお願いをしたいと思います。
 それでは最後に、大臣にお伺いしたいと思いますが、今後の職業紹介事業におきまして、この紹介の事業の在り方、そして目的、やはり何といいましても現在は失業率の解消ということが一番やっぱり大切、これに尽きるわけですけれども、そうした中で民間職業紹介事業の役割、そして、あるいは公共職業安定機関の役割、さらに、その連携をいかにして、今も国と地方の話が出ましたけれども、いかに連携をしていくか、図っていくかということだと思いますので、最後に大臣にまとめていただきまして、終わりにしたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 国と地方とそして民間と、それぞれの特色を生かしながら、そして相協力をしてこの雇用対策を進めていかなければならない、今、副大臣から答弁のあったとおりでございますが。
 国は国として今までずっとやってまいりましたノウハウを積み上げてまいりましたし、先ほど申しましたように、民間は民間としてのノウハウを積み上げてきております。それぞれいいところがあるわけで、お互いに見習うべきところはやっぱり見習っていかないといけないと思うんですね。
 特に、一年以上失業保険をもらっておみえになる方でありますとか、なかなか就職のできないような人たちに対して一体どうするか。あるいはまた、若年者の皆さんでどうしても職に就けないような皆さん方がおみえになりますから、そういう皆さんにどうしていくかといったようなことについては、こちらからこういう職業がありますよ、ああいう職業がありますよという紹介するだけではなかなかうまくいかないんだろうと思うんです。もう少しその人たち、なかなか就職できない人たちにはそれなりの理由があるわけでございますので、その辺をよく聞いてそれに対応しないといけないということに私はなるというふうに思っております。
 そういう意味で、キャリアカウンセラーというような職種の人たちも作りまして、皆さんにもいろいろとお話をし、現状もお話をし、そして、こういう職業にどうですかというようなことで理解を得て、それに対する職業訓練等も行うといったような、もう少しきめ細かくやっていかないとなかなかうまくいかないということだろうというふうに思います。
 職に特別に就きにくいような、そうした皆さん方をどう救っていくか、これは大きな課題でございますので、そこはもう国とか地方とか民間とかと言わずに三者が三者なりに手を差し伸べてもいいし、別々にやってもいいしでございますが、みんながひとつそうした人には手を差し伸べ合って、そしてそういう人たちを立ち上がらせるということにしていかないとなかなか失業者は減っていかないというふうに思っている次第でございまして、そうした役割分担を決めながらも協力するところはしっかり協力をしてやっていくという体制が重要ではないかというふうに思っております。
○大脇雅子君 労働者派遣法の改正についてお尋ねをいたします。
 まず、労働者派遣形態による働き方が拡大をしていくということについて、物の製造業に派遣が適用されていくということになりますと、結局、物の製造に対する派遣に対しては、いわゆる技能といったものに対する教育訓練とかあるいは安全対策、そして医療等の業務に関しては利用者の安全について質の良い人材確保というのが非常に困難になっていくのではないかと。とりわけ、この業種では長期的な雇用就業の重要性とか、それを支える経済産業政策を確立すべきではないかと思われますが、経済産業省の立場からはこれをどうとらえられているでしょうか。
○政府参考人(桑田始君) お答え申し上げます。
 御指摘の派遣法の改正におきまして、今回、物の製造の現場においても派遣労働者が活用できることになりました。しかしながら、高度な熟練技術を要します業務は、やはり長期雇用の下で技術、技能の蓄積の継承を図る一方で、日々の業務量の変動に応じた臨時的・一時的な業務については派遣労働者を活用するということになるものと考えております。大変競争が厳しくなってございますので、ユーザーの方からも迅速に、しかも品質のいいものを的確に欲しいということでございますので、そういった意味で派遣労働者の方が活躍をされる機会が増えるんではないかというふうに思っております。
 したがいまして、私ども経済産業省におきましては、今回、各企業が技能労働者の代替として派遣労働者を使うことが広範囲に広がることはなくて、ものづくりの技術基盤は基本的には低下をもたらすことにはならないというふうに考えておりますけれども、先生から御指摘いただきましたように、やはり何といいましても、今後の我が国経済を牽引をして雇用創出をどうやって作っていくかということでございますけれども、私ども経済産業省といたしましては三点からの取組をやっていきたいというふうに考えてございます。
 第一点が新たな産業フロンティアを創出するということでございまして、いわゆる重点四分野、環境・エネルギー、IT、医療・健康・ライフサイエンス、さらにナノテクノロジー・材料といった四分野を特に重点としまして、十五年度の予算、税制改正におきまして重点的な対策を講じたところでございます。
 また、今回の国会におきまして改正をいただきました産業活力再生法におきまして、いわゆる企業の選択と集中で、企業が強みを持っております技術でございますとか分野に人材を集中をして競争力を付ける、そのためには我が国で世界最先端の製造開発拠点とするためのいわゆる実証一号機に対する設備投資減税も大胆にやっていくということにしております。
 最後に、何といいましても、有望分野におきまして新たな産業の担い手、いわゆるベンチャーでございますとか創業をいかに起こしていくかということでございます。そのための環境整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 昨年の臨時国会におきまして改正をいただきました新規事業創出促進法におきまして、いわゆる最低資本金制度、株式会社一千万円、有限会社三百万円でございますけれども、これを一円でも開業できるという特例措置を設けたところでございますけれども、早速二月から五月の三か月間で約二千五百の企業につきまして特例の認定をして創業が行われたという状況でございます。さらに、欧米等で一般的になっております個人の投資家の方がベンチャーの企業に投資をするいわゆるエンゼルでございますけれども、エンゼル税制の抜本的な拡充も行ったところでございます。
 このような三点を重点にしながら、私どもといたしましては雇用機会の創出に全力を挙げてまいりたいというふうに考えてございます。
○大脇雅子君 今、経済産業省の方からは、その基本的な政策で長期的な雇用就業の重要性というものを認識しているというお話でありましたが、厚生労働省としてはこの物の製造に対する派遣に対してどのような人材確保のための政策というものを考えておられますか。
○政府参考人(戸苅利和君) 製造業に派遣を適用といったときにどういうことが起きるのかということで、我々も、派遣を導入するからといって今製造業で働いている方の大半が派遣労働者に切り替わってしまうと、こういうことではないというふうに思っています。やはり、製造業が国際競争力を維持し今後とも発展していくということを、それぞれの企業がきちんとそれを目的に企業経営を行っている以上、やはりそれなりの技術を蓄積しそれを継承していくということは不可欠なんだろうというふうに思います。ただ、そういった意味で、欠員補充ですとかあるいは急に仕事の発注がなされたというふうなこと、そういったことで派遣を導入する必要があるという事業所がこれを活用するということだろうと思います。
 派遣法上では、先生既に御案内のとおり、派遣元はその派遣労働者の教育訓練の機会の確保に努めにゃいかぬということが派遣法の三十条に書いてございますし、今回の労働政策審議会の建議の中でも、一つは、派遣先に対しまして、派遣元事業主が行う教育訓練に、あるいは派遣労働者の自主的な能力開発について協力すべき旨をその派遣先の指針に明記することが適当と、こうなっていますので、この辺りも法案が成立いたしましたら、指針に明記し、必要な指導を行ってまいりたいと、こう思っております。
○大脇雅子君 先ほどいわゆる物の製造業に対する派遣と請負との言わば境界の不明確性ということが指摘されまして、安直な人件費コストの削減に走っていくということの危険性が指摘されておりますが、この物の製造に対する派遣、労働者派遣については、今後、実施状況のモニタリングとか、それに対する報告、交渉が経済産業省とそれから厚生労働省との連携の下に必要だと思いますが、その点いかがでしょうか。双方の政府参考人にお尋ねいたします。
○政府参考人(桑田始君) お答えさせていただきます。
 今回の派遣業法の改正ができました際には、製造業におきまして労働者派遣の制度が活用されていく状況につきましては、厚生労働省と力を合わせながら、私どもも協力をしながらその後の状況につきましてフォローアップをしていきたいというふうには思っております。
○国務大臣(坂口力君) 経済産業省からも御答弁いただきましたけれども、一つは、今回の派遣法というものは、これは今までからもあったわけでございますし、それから今回改正をさせていただきますが、この範囲の中でやられることにつきましては法律にのっとってきちんと整理ができるだろうというふうに思います。
 しかし、先ほどお話の出ましたように、請負業のところというのは必ずしも全部派遣法の中で見ることができ得ない分野ではないかというふうに思います。したがいまして、大きい企業の中に入って仕事をするというような、そういうどちらかといえば中小企業のところは、中小企業という立場から見るとこれは経済産業省が担当される分野であるというふうに思いますけれども、しかしその中で労働関係のこと、労働が的確、適正に行われているかどうかということにつきましては厚生労働省の所管になるわけでございますしいたしますので、その辺の連携を密にして、今後何か少し谷間になっているような、とりわけ偽装請負といったような形のところをどう整理をするかということは経済産業省とよくお話をさせていただいて、そして今後の対応の在り方というものを検討しなきゃいけないというふうに思いますので、よく話をさせていただきたいと思っております。
○大脇雅子君 その点のフォローをきちっとしていただくようにお願いをいたします。
 さらに、今回の法改正で紹介予定派遣ということが導入されております。紹介予定派遣は、いわゆる就職市場の性格を変えていくという本質もあり、それから派遣労働者で労働者を特定をしていくのを禁止するという、言わば本質的な制度の枠組みを壊す危険性も持ったものであろう、したがってこの取扱いというのはかなり神経を使って現実の様々な政令やガイドラインが必要であろうかと思います。
 したがいまして、そこでまず一つお伺いいたしますが、紹介予定派遣であることの事前明示ということは、これはやはり事前の面接や情報提供の前に書面によってきっちりと行われなければならないと思いますが、そうした担保措置を講じる必要があると考えますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) 紹介予定派遣におきまして職業紹介をどの段階でやるかということについて、先生御指摘のように、紹介予定派遣を始めるときに職業紹介行為を行うというケースだけではなくて、紹介予定派遣を行った途中で、この人ならば、あるいはこの会社ならということで、機が熟すというんですか、というような形での紹介ということも行われ得るんだろうと思います。
 そういった意味で、いつの時点でそういったことを明示するのかということについては、これはその時々ということだろうと思いますが、ただ、例えばこれは有期雇用なのか常用雇用なのかと、そういう基本的なことについてはやはり求人条件の明示という以前に派遣労働者と派遣先の間できちんとよく話し合っていくということが重要な事項だろうと、こう思っています。
○大脇雅子君 その時々、いつの時点でも行われるということになりますと、要するに、これは通常の派遣なのかあるいは紹介派遣なのかあるいは通常の紹介による雇用契約の締結なのかということが非常に流動的になって、派遣先もさることながら、労働者の言わば一つの期待と労働契約締結についての内容が非常に不明確になると思いますから、これは原則事前の明示ということでなければいけないと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) その点は確かにおっしゃるとおりでありまして、今回の改正法案の中でも、三十二条で、派遣元事業主が紹介予定派遣に係る派遣労働者として当該労働者を雇い入れようという場合は、これは紹介予定派遣なんですよということを明示して行うということは規定いたしておりまして、それはおっしゃるとおりであります。
○大脇雅子君 そうすると、その事前の明示というのが原則であるということを何か通達とか政令とか、そういうところできちっと書いていただけるんですか。
○政府参考人(戸苅利和君) これは法律にもその旨書いてありますので、これではっきりしないということが懸念されるのであれば、その旨はきちんと明確にしたいと思います。
○大脇雅子君 とりわけ、派遣先に対しても紹介予定派遣であることを明示して通告することは当然だと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) これは実は余り明確に法律上はいたしていないのでありますけれども、これも当然であります。ある意味では、派遣元も派遣労働者もこれは紹介予定派遣であるという前提の下に紹介予定派遣を行うわけでありまして、紹介予定派遣を行うと、先ほど先生おっしゃったように、事前面接あるいは履歴書の送付等が行われるわけで、これは労働者の特定行為ということで通常の派遣では認められていないわけですから、これを派遣先に対して行うということであれば、派遣先もこれは違法行為かどうかということを、適法な行為かどうかということを当然確認せぬといかぬわけでありますので、その辺りを円滑にするという意味では、先生おっしゃるとおり、派遣先にもこれが紹介予定派遣であるということを明らかにするということは必要なことだと思います。
○大脇雅子君 紹介予定派遣でありますと、特定禁止の解除ということが結果として起きるわけですが、そういたしますと、労働者保護の観点から、派遣先に対して履歴書その他、事前面接その他やるわけですが、こうしますと、派遣先に対して、社会的身分によって差別をしてはならないという措置とか、あるいは労働者の個人情報の保護に関するルールというものをきちっと適用して徹底していかなければいけないと思うのですが、いかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) 一つは、紹介予定派遣の中で具体的に求人求職条件が明確にされ、そこで雇入れの交渉が行われるということになるわけですが、その段階では派遣元事業主は職業安定法に言う職業紹介事業者になるわけであります。そうすると、職安法の第三条で、何人も人種、国籍、信条、性別等々で差別してはならぬと、こうなっておるわけでありまして、そういったことから考えますと、当然、先生おっしゃるように、そこの差別は職業安定法上の規定が適用されるということになるというふうに思います。
 それから、労働者の個人情報の保護でありますが、これも同様に、職業紹介、派遣元が職業紹介事業者になるということでありますから、これも前回の法改正で明確にいたしましたように、職業紹介上必要な事項以外の個人情報の収集を職業紹介事業者はやってはいかぬと、こういうことになっていますので、派遣元事業主、職業紹介事業者たる派遣元事業主が個人情報の収集、保管、使用に違法なことができないようにというのは職安法で規定いたしますので、それによって派遣先には当然無用な情報が入らないということになるんではないかと思っています。
○大脇雅子君 そうしますと、職安法三条その他、個人情報保護に関するルールというものをきちっと守るようにという派遣先に対する指導というものはどのようにしてなさるのでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) これは、紹介予定派遣につきましては、紹介の段階で職業安定法が適用になるんだというふうなことについて、派遣元事業主、それから派遣先に十分な周知を徹底したいと思います。
○大脇雅子君 その紹介予定派遣をされる労働者は多くの期待権を持つと思います。しかし、実際に採用されるかどうかということは、これは分からないわけでありますし、実際上引き延ばされるという不安もあるわけです。
 この紹介予定派遣についての派遣労働者への説明というのはどのようになさるわけでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) 基本的には、派遣元事業主が紹介予定派遣を行おうとする労働者を派遣する場合に、これは雇用契約を結ぶわけでありますから、雇用契約を結ぶ際に紹介予定派遣であるということをきちんと明示して行うということだろうと思います。
 その際、今、先生がお話しのとおり、紹介予定派遣というのはこういう法的な位置付けである、あるいはこういう点に注意する必要がある、あるいはこういう点はきちんと法的に担保されていると、こういったことを派遣労働者に知らせるということは重要でありますので、この辺り、例えば派遣労働者向けの分かりやすいリーフレット等を用意するとか、そういったことを、どんな手だてが必要なのかということはあると思いますが、そういったことについては検討してみたいと思います。
○大脇雅子君 派遣労働者からの手数料の徴収については、原則として手数料の徴収はしてはならないと考えるのですが、いかがですか。
○政府参考人(戸苅利和君) これも派遣から紹介へ切り変わるところで職業安定法の適用になるわけであります。
 職業安定法の三十二条の三の第二項で、芸能家、モデル、それから一定の年収以上の経営管理者及び科学技術者以外には紹介手数料を取ってはいかぬと、こういうことになっていますので、これが当然適用されるということだと考えております。
○大脇雅子君 派遣法の二十六条によりますと、契約の内容等の条項によりますと、当事者は厚生労働省令で定めるところによって、その労働者派遣契約の締結に際して、労働者派遣契約がその紹介予定派遣に係るものである場合については、その当該紹介予定派遣に関する事項を定めるということになっておりますが、これは乱用防止等のガイドライン、適正化のためのどういう措置を考えておられるんでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) これは法律が成立しました後に検討するということでありまして、いずれにしても例えば紹介予定の期間は最長何か月ですよとか、そういったようなことになるんではないかというふうに思います。
○大脇雅子君 私は乱用防止のために最低限の規制をこのガイドラインとして設けていただきたいと思います。
 例えば、派遣期間は六か月以内とすることとか、派遣終了後の紹介派遣による雇用契約というのは期間の定めのない雇用契約であることを原則として、有期雇用を用いて選別の機会を設けることを許さないとか、あるいは直接雇用される際の労働条件は労働者派遣に際してきっちり明示するとか、あるいは派遣先の職場の状況について派遣先は詳細な情報を行うこととか、個々の契約内容の書かれる事項については乱用防止のガイドラインと適正化のための措置を設けていただきたいと思います。そして、それに違反した場合の措置等についてもきちっと明示していただけたらというふうに思いますが、御検討をしていただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 確かに、紹介予定派遣がいたずらに長い期間行われる、本来であれば派遣労働者の持っている能力ですとか、あるいは採用しようとする事業所への適性ですとか、そういったようなことを見極める、それから派遣労働者にとっては派遣先が自分の能力が生かせるところであるかどうかというふうなことを見極めるに必要な期間を超えていたずらに行われるということは適切ではないと私どもも思っておりまして、その点については、今お話しのように、期間については六か月ぐらいが適当だろうと私どもも思っていますけれども、そこは明確にしたいというふうに思います。
 ただ、労働条件等々についてどの段階で明確にするとかいうふうなことについては、紹介予定派遣の行われ方ということがやはりいろいろな形態、いろいろな局面ということもあると思いますので、それを一律に指針等で規定するということは困難ではないかというふうに思いますけれども、いずれにしてもその紹介予定派遣が目的と違う方向で、労働者にとって、派遣労働者の保護上適当でないというふうなことが行われないように必要な対応は検討していく必要があるだろうと、こう思っております。
○大脇雅子君 この紹介予定派遣というのは、やはり雇用の入口のところで非正社員化を急速に進行する危険性があると思いますので、そうした措置、適正化の措置を十分に考えていただきたいと思います。
 さて、派遣期間の延長について、九九年の改正によってネガティブリスト化されたことによって臨時的・一時的業務について派遣スタッフの活用が認められたわけですが、これを三年まで延長するというと、本来、臨時的・一時的業務という定義にもとるような、もとると考えますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) 平成十一年の派遣法の改正の際に、それまで専門的な知識、技術を要する分野に限って派遣を認めていたところでありますけれども、臨時的・一時的な働き方ということでネガティブリスト化して労働者派遣を認めることにしたと、こういうところであります。
 その臨時的・一時的ということにつきまして、今お話しのとおり、最長一年ということでこれまで行ってきたわけでありますが、これまでの運用の中で、一つは派遣労働者自身の中にやはり一年の派遣期間を延長してほしい、あるいは派遣期間の制限は撤廃すべしという意見がかなり見られているということ、それから派遣先も一年では短過ぎるという回答も見られるということでありまして、やっぱり業務によっては一年を超えても臨時的・一時的ということが確かにあるというふうに思っております。
 ただ、これを一律に三年ということにいたしますと、やはり先生おっしゃるような、本当に臨時的・一時的な業務なのかということも起こり得るわけでありまして、そういった意味で一年を超える場合は三年までの間で臨時的・一時的ということがどの期間なのかということを事業主が判断し、労働者の過半数代表の意見を聴いて定めると、こういうことにいたしたわけでありまして、我々としてはこれが適切に行われるということによって労働者派遣の臨時的・一時的な性格というものは十分維持できるんではないかと、こう思っております。
○大脇雅子君 とりわけ二十六業務については、期間制限が撤廃されますと、専門性を武器に働き続けるスタッフが正規雇用を希望する場合に、またこれまで正規雇用労働者が従事していた業務に派遣スタッフで置き換えるいわゆる非正規雇用代替が一層進むのではないかと。したがって、労働者派遣法の制定の趣旨から見て、二十六業務の期間制限を原則として維持するということが私は必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) いわゆる二十六業務の期間制限につきましては、現行の一年の期間制限と違いまして、現行の一年の期間制限は派遣労働者を入れ替えても当該業務に一年を超えて派遣を受け入れてはいかぬと、こういうことになっておるわけでありますけれども、二十六業務については同じ労働者が同じ業務で三年間やっていた場合に、当該労働者の直接雇用を進めるとの観点から現在指導を行っているわけであります。
 そういったことで、今回、これまでの派遣の実績等々から見まして、常用代替というものが専門的な、専門的・技術的な、専門的な知識、技術を要する部分について、それが拡大してしまうというふうなことにはならないんじゃないかということで、今回のように三年同じ業務に就いていた労働者について、派遣先が当該業務で新たに労働者を雇い入れる場合は当該派遣労働者を優先的に雇用していただくということで、従来の指導の考え方というものを法律上明確にしたと、こういうことだろうと思っています。
○大脇雅子君 最後に大臣にお尋ねしたいんですが、期間の延長やあるいは撤廃によって派遣元企業の熱烈な売り込み競争が起こると思います。そして、派遣契約そのものの低料金化が懸念されて、現に派遣労働者の賃金水準は低落傾向が顕著であります。
 派遣先で働く派遣労働者の労働条件の維持向上には通常労働者との均等処遇の原則というものを早急に私は確立すべき必要があると考えますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 先生がおっしゃる御趣旨はよく理解できるつもりでおります。ただ、派遣業の皆さん方の賃金がどうなるかということは、これは全体の需要と供給の関係、全体の雇用状況によって大きく私は左右されるというふうに思っております。それで、この派遣業である企業に行かれた場合に、Aという企業に行かれて、その次はBという企業に、その次はCという企業にというふうに順番に次々とこう行かれます場合に、必ずしもその行かれた先の賃金というのは同一でないわけであります。ひょっとすると、中には派遣業の皆さん方よりも安い賃金の職場があるかもしれないし、そういたしますとなかなかその行った先々の賃金に同一にするというのも難しいことなのかなというふうに思っております。
 ただ、先生が御指摘になりますのは、この派遣業の皆さん方の賃金が余り低下をしないようにしなきゃならないという御趣旨だろうというふうに思っておりまして、そこは私たちも十分関心を持っていかなければならないというふうに思っております。
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
 今日、私が最後でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初に伺います。
 中国との競争が激化するなど経済のグローバル化が進む中で、労働市場においても競争が激化しております。国内だけ見ていても、雇用は守れない、つまり日本の国だけで雇用環境を守ろうと思っていても、特に隣に中国というものがある以上守れないと考えますが、そもそも今回の法案の位置付けというのはこうした状況を踏まえてのものなのかどうか、まず厚生労働大臣に伺います。
○国務大臣(坂口力君) グローバルな経済の動きというものと今回の法改正が無関係ということでは私もないというふうに思っております。グローバルな経済の動きから見まして、日本の企業はこれから国内において更に設備投資を進めていくのか、それとも諸外国へ出ていくのかというような選択に迫られていると思います。そうした中でありますから、様々な問題が起こってまいりますし、また諸外国に出ていろいろの製品を生産をするということも多いわけでございますので、国内において雇用状態は一層厳しくなると、こういう状況にあるわけでございます。
 日本がもう少し落ち着きを取り戻して、そして諸外国に追従を許さないような産業を作り上げるということになれば、これは私は日本の経済、大きく変化をしてくるというふうに思っておりますが、現在まだそこまで至っておりません。経済産業省におきましても、産官学、そうした連携の下に新しいビジネスを作り上げようと思って必死にやっておみえになりますし、現在八百を超える新しい産業が生まれてきたそうでございますけれども、そうしたものがしかしまだ大きく羽ばたくというところまでは至っていない、こういう状況でございますので、どうしても企業の方は様子を見ながら運転をするということになっていく、こういう状況の中で、この求職を求める人の側も、もう少しいいところはないかというふうに思われる方もございますし、それがなかなか思うところがないということになりますと、様子を見ながらこちらの方も行こうというようなことになっておりまして、そういう双方の状況があることは事実でございます。そうしたことを一つの方法として、こういう派遣業というのを選択されるケースもあるのではないかというふうに思っている次第でございます。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 この論点につきましては、先ほど今泉委員の方から詳しくいろいろやり取りがありましたので、もうこれ以上深入りしませんが、私は基本的に、多様な働き方という選択肢を増やす、そしてまた、それとともに企業活動の活性化、そういう意味での規制緩和については賛成の立場でございます。しかし、その事前規制、つまり規制の緩和ということをやる場合には、必ず事後チェック体制、監視体制というものをそれに合わせて今度は強化しなければならないということだろうと思うんですね。規制緩和だけやりながら、その事後チェック体制を強化しないということでは決して労働者の利益につながらないというふうに思っております。
 規制改革会議で六日、今月六日に最終年度の改革目標の論点整理が明らかにされましたけれども、その中でも雇用のこの規制緩和におきましては、事後監視・監督の強化ということが図らなければならないとしておりますし、派遣事業に関しても、安いから派遣を使うという事態を防ぐために均衡処遇を実現すれば対象業務や期間の制限は撤廃した方が労働者の選択肢の拡大につながるというふうにしているわけでございます。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 ですから、今回の規制緩和につきましては、きちんとした事後チェック体制を強化すること、そしてもう一つ、この規制緩和の前提として労働者の保護策の実効性ということが確保されるということが重要だと思います。
 そういう意味で、その実効性、保護策の実効性ということについて伺いたいんですが、特に私はこの法案の第四十条の五に関してこの実効性をきちんと上げることが大変重要であると考えております。この四十条の五に関しては、さらっと読むと非常にいいような気がするんですけれども、これが本当に勤労者の保護ということで実効性があるかどうかということが一番大事なわけで、例えば、先ほど来いろいろ議論になっておりました反復更新の問題とか、それから、そもそももうみなし雇用制度を導入すればいいのではないかとか、それから派遣先による派遣労働者の雇用促進対策としてきちんとできるかどうかというようなことがあると思うんですね。この四十条の五ということが本当に勤労者のためになるものであればと思っております。
 それで、政府参考人に伺いたいんですが、この四十条の五に関してどのように実効性を上げていくのかを具体的に教えていただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 委員御指摘のとおり、ヨーロッパなどでは一定の期間派遣を受け入れると派遣先にみなし雇用ということが適用されるといった法形式を取っているところもありますが、日本の場合なかなか、ヨーロッパと違って、職業別の均一な労働条件と、こういうことになっていないものですから、そこはなかなか難しいという議論で、ぎりぎりの知恵として、今回のように三年、同じ労働者が同じ業務に三年働いていた場合に、派遣先が労働者を雇おうという場合は優先雇用の手段として雇用契約の申込義務を設けたという、ある意味では今までやったことのないようなことをちょっと我々提案させていただいているわけで、この実効をどうやって確保するかというのは確かにおっしゃるとおり重要な問題でございます。
 具体的には、一つは派遣元の指導監督を行った際に、派遣労働者の派遣状況をチェックいたしまして、その上で三年を超えて派遣期間が終わっていると、あるいはまだ派遣が行われているといった場合に、派遣先に照合して、派遣先でどういったことが行われているのかということをチェックするというのが一番効果的なわけでありますけれども、そういったやり方がどこまでできるのかということもございます。
 そういった意味で、そういったやり方も行いながら、あとは派遣労働者の方、あるいは派遣元事業主から、そういったことが行われていないというふうな申出あるいは情報等がありましたら、直ちに調査をいたしまして指導をすると、指導をして言うことを聞かなければ是正勧告をすると、是正勧告に従わなければその旨を公表するというふうなことで、とにかく実効の上がるように工夫をしていきたいと思っています。
○森ゆうこ君 何か具体的に、本当に実行されるのかどうか、今の答弁をお聞きしたら、何か逆に不安になってしまいましたけれども。
 先ほども問題になっていましたが、実際にその指導がきちっとされて、勧告、本当に悪質な場合、公表というようなことがきちっとされるのかどうか、その実効性が正しく問われているんだと思います。ですから、考えを切り替えていただきたいんです。今までは事前規制なわけですから、業界を指導して、事前に失敗を犯さないようにいろいろやってきたわけですけれども、今度は規制緩和をするわけですから、業界の求めに応じて、厳しいぞと、そういうやっぱり方針をきちんと示していただかないと、何となく規制緩和はしたけれども、事後チェックもそんなに厳しく、今までと同じかという印象を残しては、正しくこの実効性が疑われるわけですけれども、もう一度御答弁いただけますか。今後は、規制緩和したんだから、その分厳しくするぞということをはっきり御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 確かにこの点はおっしゃるように事前の規制から事後チェックへと、こういう考え方に沿っているものでありますので、そういう意味では事後のチェックは厳正に行うというのは当然だと思いますので、おっしゃるような方向で厳正に対応したいと思います。
○森ゆうこ君 そのように厳しくお願いしたいと思います。
 ちょっと一つ質問飛ばして、偽装請負の実態について伺いたいと思います。
 製造現場において行われているとお聞きしております偽装請負の実態について、なかなか偽装請負がこれぐらい行われているということを厚生労働省としては余り御報告なさりたくないようですけれども、私、大脇雅子会長のパート議連で一年間勉強させていただきまして、様々な形態の働き方をしている皆さん、いろんな方からいろんな現場の実情等も伺いまして、正しくこの偽装請負ということが問題なんだなと思っておりますが、現状把握についてきちんと述べていただきたいと思います。
○政府参考人(戸苅利和君) 一つは、平成十三年度の指導監督の状況でありますけれども、請負で行っていますと称している事業所七百六十七、指導監督いたしまして、そのうち適正な請負で行っていない、適正な請負で行っていないという事業所につきまして、百十一でございますが、これについて文書による指導を行っております。
 それからもう一つは、今回の派遣法の見直しに当たりまして、請負の事業者の現状というものを正直なところを把握してみようということでアンケート調査を行いました。そういった中で、発注元といいますか、発注者の方から指揮命令を受けているケース、あるいは機材等の所有関係がどうも適切とは思われないようなケースというのもこれも正直言ってかなり見られたわけでありまして、そういった意味で、今後、物の製造の業務に労働者派遣を適用するといった場合には、適正な請負あるいは適正な派遣ということになるように、これも厳正に指導してまいりたいというふうに思っています。
○森ゆうこ君 次に、安全衛生の方で政府参考人に伺いたいんですが、要するに今のような御報告の中身が偽装請負であるということだと思うんですが、結局問題は、偽装請負かどうかとかということよりも、私はやっぱり勤労者、労働者の安全衛生がきちんと確保されているかどうか、結果としてということだと思うんですね。
 それで、製造現場においての安全衛生の実態をどのようにとらえていらっしゃるのか。偽装請負の場合、労働者の安全衛生が結果として保護されていないのではないかと思いますが、労働者派遣の解禁に併せきちんと監督指導すべきと考えますが、いかがでしょうか、政府参考人に伺います。
○政府参考人(大石明君) 製造現場ということと製造業ということで若干違うかもしれませんけれども、製造業におけるところの労働安全の実情というのを若干先に申し述べさせていただきますと、やはり全体の労働災害のうち、約四分の一というのが製造業において占められております。死亡災害で見るとそれほどの比率ではございませんで、約一七%という状況でございます。ただ、いわゆる発生頻度という点では必ずしもそれほど高いわけではございませんで、全産業の平均よりも大分下回っているという状況ではございます。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 そして、今御指摘のございましたいわゆる偽装請負といったような関係との関係でございますけれども、そういう状態というのは言わば派遣、何といいますか、実態としては派遣先になる、つまり実態と建前が違っていますのでなかなか申し上げにくいんですけれども、いわゆる実態としての派遣先というものがその責任を当面、実際はともかくとして、名目上請負という形でお願いしているという形なんで、実際の派遣先の方も責任を余り自覚しない、それから、形式上の請負企業も実態として、そもそも現場において労働者を守る能力も持っていないと、こういうような状況で、言わば安全の面から見ると無責任体制というんでしょうか、エアポケットというんでしょうか、そういう形になるということは確かに懸念されるところでございます。そうした事態もこれまで私どもの把握している中にもあるわけでございます。
 ただ、今後、今般の物の製造業務への労働者派遣というものが可能ということになれば、いわゆる偽装請負も根絶の方向に向かうことが考えられると思いますので、派遣元と、そしてさらに新たに、派遣元と派遣先というものの間での派遣労働者の安全衛生面に関する調整というものが新たに求められることになったわけでございまして、そういった意味からも労働者の安全衛生に資するものになるのではないかというふうに考えております。
○森ゆうこ君 私も、先ほど大臣の方からお話がありました、今まで請負というのは無法地帯だったと、そういう意味では今回の法改正によりまして、偽装請負というのは少なくとも、すべてじゃないですが、この派遣の範疇に入れるということにつながるわけで、そういう無法地帯が少しでも減るわけですから、そういう意味で私はいいと思うんですが、ただ、ここではっきりさせておかなければならないのは、今ほど御指摘のありましたような労働安全衛生上の無責任状態ということが解消されなければならないわけですけれども、事実上の無責任状態が本当の意味で解消されなければならないと思うんですが、結果として、派遣先、派遣元、労働災害が起きた場合、どちらが責任を負うんでしょうか、お伺いします。
○政府参考人(大石明君) 安全衛生法の責任、事業者としての責任をだれが負うかということにつきましては、法律の規定に基づきまして、そもそも派遣元が負うのがふさわしい事項、派遣先が負うのがふさわしい事項というものを明確に分けておりまして、既にきちっと分類されているわけでございます。
 やはり安全衛生に関すること、やはり現場での事故というのが非常に多いので、いわゆる派遣先の事業主が責めを負うべき部分というのが現実問題としては多くなっているわけでございますけれども、例えば一方で、一般健康診断でありますとかそうした一般的な雇用者責任としては派遣元事業主が負うと、こんなような形での分類となっておるわけでございます。
○森ゆうこ君 そうしますと、現場の作業中に、今後特に製造現場においての作業中に事故が起きた場合には、これは派遣先の責任ということになるということでよろしいですね。
○政府参考人(大石明君) 基本的にはそういうことになろうかと思います。
○森ゆうこ君 そうしますと、もう一度職業安定局長に伺いたいんですが、今ほどの見解ですと、先ほども小池委員の方から御指摘がありました今係争中のそういった事案に関しては、今後、今度の法改正がもし行われれば、その責任というもののあいまいさがなくなるという意味で、現場での作業についての回答はすぐ出るというふうに考えてよろしいでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) 製造業の派遣が適用されるということになって、派遣法に基づき適正な派遣という形で行われていれば、おっしゃるとおり、どちらに責任があるかというのは非常に明確になるということだと思いますし、それから適正な請負として行われているということであれば、これは全責任は請負事業者の方に行くということで、今回のように責任のなすり合いということはなくなるというふうに思います。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 それでは、最後に大臣に伺いたいんですけれども、これは最初にする質問なのかもしれませんが、どうしても分からないんですけれども、そもそもなぜ企業は正社員を採用せず派遣やパートに切り替えようとしているのでしょうか、お願いいたします。
○国務大臣(坂口力君) 確かに、最近の統計を見ますと、パートの皆さんですとか、アルバイトの皆さんですとか、そうした皆さんの割合というのが多くなりまして、そして正規の従業員の数の方が少なくなってきている、これはもう事実のようでございます。
 これは、一番最初の御質問にもあったこととこれはもう関係するわけでございますが、現在の経済状況の中で企業の側は様子見現象が続いていると。新しく企業を大きくするといったようなことはなかなか控えている、今後についても不安を感じているといったような中で、とにかく正規の職員を増やすということではなくて、パートあるいはまたアルバイトといったようなことで一時的にしのいでいこうと、こういうふうに今していることは間違いのない事実でございます。
 先ほど私、将来景気が回復すればということを申し上げたわけでございますが、何となく甘いんじゃないかという皆さん顔をしておみえになりますからもう少しだけ説明をさせていただきますと、有効求人倍率、今はまだ低いわけでございますが、これが一を超えるような状況になってくれば、それは正規の職員、正規従業員というのは私は多くなってくることは間違いないと思います。
 現在、派遣業の皆さん方の給料は若干低いということは、それは言われているとおりでございますが、じゃ、派遣先の企業がそれじゃ少ない給料で済んでいるか、額で済んでいるかといえば、それはそうではなくて、派遣元の方はそれに上乗せをして請求をしておるわけですから、働く皆さん方の額は低いかもしれないけれども、派遣元の方はその皆さんの例えば社会保障費等も払わなければならないし、そうした問題の上にまだプラスアルファをして派遣先に要求をしているということだと思うんです。ですから、派遣先にいたしましても決して安い状況であるわけではないということだと思います。
 ですから、今後の需要と供給の動向によって変わってまいりますけれども、そうした状況になってくれば、それは直接契約で雇うといった方が楽になる可能性は十分にあるわけでありますから、私は将来的に見通しが付いてくれば、現在のような状況ではなくて、もう少し戻ってくるというふうに考えている次第でございます。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 また次回質問させていただきたいと思います。
○委員長(金田勝年君) 本日の質疑はこの程度といたします。
    ─────────────
○委員長(金田勝年君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後四時五十七分散会