第156回国会 厚生労働委員会 第23号
平成十五年六月十二日(木曜日)
   午前十時九分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         金田 勝年君
    理 事
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                浅尾慶一郎君
                山本 孝史君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                森田 次夫君
                朝日 俊弘君
                今泉  昭君
                谷  博之君
                堀  利和君
                風間  昶君
                井上 美代君
                小池  晃君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
   衆議院議員
       修正案提出者   城島 正光君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       森田 次夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      大守  隆君
       総務省自治行政
       局公務員部長   森   清君
       文部科学大臣官
       房審議官     金森 越哉君
       厚生労働省健康
       局長       高原 亮治君
       厚生労働省労働
       基準局長     松崎  朗君
       厚生労働省職業
       安定局長     戸苅 利和君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        太田 俊明君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   坂本由紀子君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    上田  茂君
       厚生労働省政策
       統括官      青木  功君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)

    ─────────────
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 労働基準法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長松崎朗君外十名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(金田勝年君) 次に、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○堀利和君 民主党・新緑風会の堀利和でございます。
 今日は、障害者、外国人労働者の問題を取り上げたいと思います。
 言うまでもなく、憲法第二十七条二項では勤労に関する基準について法律で定めるとなっております。したがいまして、審議されております労働基準法始め最低賃金法、労働災害保険法、雇用保険法、労働安全衛生法、健康保険、年金等の法律によって、働く方々が安心し、安定した生活が送られるようにというようにもなっており、そのための労働政策、社会政策が進められております。
 といいましても、やはり第一義的には働いている方々の責任として企業の社会的責任というものがあろうと思いますけれども、これにつきまして、大臣、まず、どのような御所見持っていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) おはようございます。
 御指摘なりましたように、とりわけこの労働の問題につきましては、憲法も定めているところであり、そしてまた、それにつきましてそれぞれの法律におきましてきめ細かく決定をしているところでございます。これはあくまでも、人権、そして人の生命、健康、そうしたものをやはり一番大事にしていく労働の基本、最も基本とするところを定めているところでございますから、それに対するやはり法律を遵守をするということは当然でございまして、労使、とりわけ使用者側におきましてその責任は誠に重大だというふうに考えている次第でございます。
○堀利和君 先日、川崎造船の関連子会社二社が、国の外国人研修・技能実習制度で受け入れましたフィリピン人実習生の給与を言わばピンはねしていたという事件が報道されました。
 そこで、まず、この外国人研修・技能実習制度につきましての概要をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(坂本由紀子君) 外国人研修・技能実習制度につきましては、一定の研修を経ました外国人研修生で、公的な技能評価ができて、かつ研修生の送り出し国のニーズに合致する六十二の職種に関しまして、雇用関係の下でより実践的な技術、技能等を習得させるための制度であります。国際協力の観点から開発途上国の経済発展を担う人づくりに協力するという目的の下に平成五年に創設をされております。
 制度の実施に当たりましては、当時の法務、外務、労働、通産、建設の五省の共管で設立をされました財団法人国際研修協力機構を通じまして、研修生の受入れ機関でありますとか技能実習生等への指導、支援を実施しているところであります。
○堀利和君 そこで、具体的な事例になるわけですけれども、この川崎造船の子会社二社が、言わばこの制度で受け入れたフィリピン人の実習生の給与をピンはねしていたと。こういう具体的なことですから答弁はしにくいかと思いますけれども、この件について、またこうした事例についてどのような行政指導をしているのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) 御指摘なような事案に対しましては、従来から労働基準監督機関におきましては、技能実習生、もちろん外国人労働者を含めまして、こういう方につきましても、労働基準法それから労働安全衛生法などに違反する、そういったような申告でございますとか相談、そういったものがあった場合には迅速に監督指導といったものを行いまして、その法違反が認められた場合には必要な是正指導を行いましてきちんと是正をさせて、そういった方々の権利救済を図っているということを従来からやっております。
 それで、御指摘のこの案件でございますが、これは個別の事案でございますので私からは控えさせていただきますけれども、新聞報道もされておりますように、大体こういったことでないかということは思っております。
 いずれにしましても、現場におきまして、きちんと所轄の労働基準監督署におきましてこういった是正をさせ、権利救済が図られたというふうに承知しておりますし、また今後ともこういった事案含めまして労働基準法等の違反の事案というものに対しましては適切な指導というものを行い、場合によっては、それに従わない場合にはさらに送検といったような厳格な対応をしていくということにしております。
○堀利和君 私は、こういう事件というのは大変残念でありますし、一人の日本人としても非常に恥ずかしいなと、そう思う限りでございます。
 そこで、同様の事例が、こうした企業が実は多くあるのではないかなと思いまして、国際研修協力機構、この機構の調査、巡回指導結果でこうしたことが明らかになったわけですけれども、給与の未払、最低賃金法の違反、深夜勤務の割増し賃金の未払、健康保険未加入、こういう会社が多くあるということが明らかになったわけですけれども、この実態についての調査結果をまず御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(坂本由紀子君) 平成十三年度にJITCOが駐在員等によりまして企業の巡回指導を実施いたしております。
 この結果につきましてですが、技能実習生の労働条件の明示状況につきましては、口座払いの同意がないものが八・六%、賃金控除協定の未締結が八・五%、割増し賃金の不適正な支払が二・八%、法定最賃以下の賃金が〇・四%というような状況でした。そのほか、社会保険の加入につきましては、健康保険の未加入が一六%、厚生年金保険の未加入が二七%、雇用保険の未加入が二六%というような状況でございます。
○堀利和君 パーセントで言われてどの程度かということも分かりにくいと思いますけれども、こうした違反事例というのは百数社だったり何百社という、大変多くの企業が言わば川崎造船の関連子会社と同様のことを行っていると。私は本当に残念でならないわけでございます。
 こうした今の調査結果をお聞きしましても、大臣、どのような感じを持たれたかもお伺いしたいと思いますけれども、さきのG8の共同宣言でも、共通原則としまして企業の社会的責任ということも言及されております。これはもちろん先進国以外のいわゆる途上国への問題として言及されているわけですし、同時に、先進国としては大いに支援をしなきゃならぬというふうに思います。こうした企業に対して、OECDも行動指針、あるいは一九九八年の労働の基本的原則あるいは権利に関するILO宣言、こうしたことでも大いに推進すべきというように勧められているわけですね。
 G8の経済大国としての我が国が本来模範として行わなければならない、振る舞わなければならない、あるいは途上国に対して支援しなければならないこの足下で、いわゆるきつい言い方をすれば、外国人労働者、実習生を食い物にしているといいますか、そういう企業があるということは非常に私は恥ずかしい限りだと思いますけれども、大臣、どのようにお感じになりますでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) この問題は、KSD事件のときにも非常に大きな問題になったわけでございまして、ここでも随分御議論をいただきました。そして、徹底的にやはりチェックをして、そしてそういうことがないようにという強い委員会としての御意見でもあり、これは当然のこととして我々もそれをやらなければいけない、今までかなりそこは手薄であったのではないかというので、厚生労働省といたしましても、そういうチェック機構というものを強化をいたしまして、人的配置も特別にしたところでございました。
 また、今名前の出ました国際研修協力機構でしたかね、いわゆるJITCOと言われておりますようなところに対しましても、やはりしっかりとチェックをすべきだということを言ってきたところでございます。その一環としてやっているんでしょうけれども、その結果として出てきました数字が今指摘のありましたような悪い数字でありましては、これは何にもならないわけでございまして、ただ単にその結果を数字として表すというだけではなくて、そこは出てきました数字がいかにそれがこの法の趣旨に外れたものであるということが分かれば、それを戻すという努力をしなければならないわけでございます。大変残念な結果であり、委員も御指摘のとおり、やはり日本として恥ずかしいことだというふうに思います。
 単なる労使の関係というだけではなくて、これは外国対日本の、これはいわゆる日本が研修をするという大義名分の下にやっている仕事でございますから、その外国の人たちを食い物にするというようなことがあっては全くならない話でございますので、改善に努力をしたいと考えております。
○堀利和君 大臣がいみじくも言われました、これは単なる数字ではないと。私はそこが非常に重要だと思うんですね。こうした数字を聞いてしまいますと、それで数字だけで流れてしまいますけれども、この数字の中にはといいますか、下に基本的な人権の侵害というのが悲惨と言われるほど深刻なものがあるんだろうと思います。
 そういう点で、法律に不備があるのか、法律は法律で精一杯やっていても、やっぱりそこは法律を超えてモラルの低下といいますか、というふうになってしまうのか。まず、そこがどこに原因があるかはいろいろ考えなきゃなりませんけれども、いずれにしましても、こういうことがあってはならないという厳しい行政指導等あった場合には、毅然とした態度で臨んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、外国人労働者の問題と並びまして、障害者、特に知的障害者に対して会社の中で虐待を受けるということがある意味で後を絶たない、こういう事例もあるわけです。滋賀県にあります株式会社サン・グループ、正にこの会社がそうでございました。このサン・グループ損害賠償請求事件、これにつきましてのその概要を、判決、判決要旨と結果につきまして、まず御説明いただければと思いますが。
○政府参考人(松崎朗君) 御質問のいわゆるサン・グループ事件でございますけれども、これは滋賀県に所在します株式会社サン・グループという会社がございます。ここが、今御指摘のように、御質問のように、主として知的障害者を雇用して肩パッドなどの製造、販売を営んでいるという会社でございますけれども、そこの元労働者の方及びその遺族の方計十八名が八日市、所轄が八日市の労働基準監督署になるわけでございますけれども、八日市の労働基準監督署の監督指導権限の不行使や八日市の公共職業安定所の調査、指導の不行使などによって劣悪な労働条件や人権侵害などの被害を被ったといたしまして、国、滋賀県及び同社サン・グループの代表取締役を相手に損害賠償を求めまして、平成八年の十二月十八日に大津地方裁判所に提訴したものでございます。そして、本年三月二十四日に原告勝訴の判決が出されたというものでございます。
 この判決の中で国にかかわる部分について御説明させていただきますと、まず労働基準監督署の関係でございますけれども、労働基準監督署は、こういった労働者やその保護者からの権利救済の申立てに対しまして、必要な調査をし、是正勧告などを行うことにより、労働基準法などの違反を排除することができたものであり、これを行わなかったことは、労働基準監督署の合理的な判断として許される範囲を逸脱したものであり、その対応は違法であるという点。
 それから二点目として、公共職業安定所でございますけれども、公共職業安定所は、労働者一名につきまして、同社の職場に適応することが困難であるような事情が存在することを認識していたにもかかわらず、何ら指導を行わなかったことは合理的判断として許される範囲を逸脱し、違法であるというふうにされたものでございます。
 なお、本判決について国及び滋賀県関係の部分につきましては、控訴しなかったため本判決が確定しておりますが、サン・グループの代表取締役は控訴しているというところでございます。
○堀利和君 偶然というか何といいますか、ちょうど同じころに茨城県の、水戸事件とも言っておりますけれども、アカス紙器株式会社で同様に知的障害者が監禁にも近い状態で働かされて虐待を受けると、こういう事件が起きて、裁判もまだ続いておりますけれども、結局、後ほど述べたいと思いますけれども、働くところがない、だから、うわさでも、あるいはどうもそうらしいという、そういう悪質な会社でも企業でも、我が子を、あるいは我が生徒を、そして本人自身もそういうところに行かざるを得ないという、基本的にはこういう状況があるんだろうと思っています。
 ただいまの御説明にありましたその大津地裁判決を厚生労働省としてはどう受け止めて、国の控訴断念に当たりましてどのような対応、かかわりをされたのか、さらには、この判決が確定したわけですので、これを受けてどのようないかなる措置を講じたのか、是非大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) この裁判は先ほどお話しのあったとおりでございまして、とりわけ国とのかかわりにおきましては、障害者の皆さんから手紙を出していただいた、それに対する対応が不十分であったといったことも私はあるというふうに思っております。
 したがいまして、もう六年でございますか、長きにわたりまして裁判をされている。元々、障害者の皆さん方の労働に関することでございますから、これはどれだけ気を遣っても気を遣い過ぎるということはないわけでございますが、しかし、人権を無視されたような暴力行為が行われた、それに対する状況を手紙で差し上げたけれども、それに対する返事がなかった、こういうことでございまして、私は、全体に見まして、純法律的にいえばそれはいろいろあるんだというふうに思いますけれども、この障害者の皆さん方のお気持ちを考えましたときに、この裁判は早くこのまま決着をする方が正しい結論ではないかと、そういうふうに考えた次第でございます。
○堀利和君 私は、一つのある意味での政治的な決断だろうと思いますし、坂口大臣であればこそそのような方針を出されたんだというふうに思っております。大変あるいは深刻な問題でありますので、二度と、本当にこういうものは二度と起こしてはならないと私は思います。
 ただ、そのためには、一つの大きな課題としても、自分が働きたいところが選べる、あそこはどうも働いても安心して楽しく働く場所ではないな、では別なところへ行こうかというようになればそういうひどい職場というのは人が集まらないようになるわけですけれども、これはもう障害者のみならず、いわゆる健常者と言われる一般の方々も同様なんですね。働かざるを得ない。
 今回の労働基準法の改定に当たりましても、やはり有期契約の労働者というのは、決していい方を選んでそちらに行くんではなくて、正社員になりたいけれどもなれない、仕方がないから契約をしましょう、あるいは派遣労働者になりましょうというケースも私はあろうかと思います。そういう点でのやはり全体としての雇用政策というのは大変重要なところだろうと思います。
 さらに、障害者の雇用について具体的にお伺いしたいと思いますけれども、本年三月二十七日の身体及び知的障害者就業実態調査、これが発表されましたけれども、この調査結果の概要につきましてまず御説明をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(太田俊明君) 身体及び知的障害者就業実態調査の調査結果の概要でございますけれども、この調査は平成十三年六月一日現在の十五歳以上六十四歳以下の身体障害者の方々と知的障害者の方々につきまして抽出の調査を行ったものでございまして、障害者の方々のその障害の種類、程度及び就業形態、職種等の就業の状況につきまして把握したものでございます。
 主な調査結果をポイントだけ申し上げますと、身体障害者の方々の数が百二十四万六千人、うち就業している方が五十二万人で約四一・七%、就業していない方が七十万七千人、約五六・七%でございます。それから、知的障害者の方が約二十六万四千人、そのうち就業している方が十三万人、約四九・二%、就業していない方が十三万二千人、約五〇%と、こういう状況でございます。
○堀利和君 健常者に比べたら恐らく就業している方はパーセントとしても少ないだろうなと、失業率というのはなかなか正確には出し切れないんですけれども、失業率も高いだろうなということは十分予測されるかと思いますけれども。
 そこで、文部科学省の方にいらっしゃっていただいていると思いますが、盲・聾・養護学校を卒業された方々の就職率、そしてその就職先はどのようなところか、現状をまずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。
 平成十四年三月に盲・聾・養護学校の高等部本科を卒業した者一万一千七百十七人のうち、就職した者は二千四百二人でございまして、率といたしましては二〇・五%となっているところでございます。就職先といたしましては、製造業や食品加工業などの生産工程、労務作業者が一番多く五〇・六%、サービス業従事者が二八・一%、販売従事者が八・九%などとなっているところでございます。
○堀利和君 今お聞きしましても、盲・聾・養護学校を出ておおむね二割の方が就職していると。もちろん、その他の方が必ずしも就職を希望したのか望んだのか、それは分かりません。しかし、私が考えるには、働きたい、就職したい、でも自分が働くところもないということで例えば小規模作業所に行く、授産所に行く、あるいは生活施設に入る、あるいは自宅にいるというケースだろうと思うんですね。そういう意味で就職率も低い。どうも就職先を見ても、恐らくといいますか、様々な調査を見ましても、大企業とか中企業ではなくて零細企業に就職される方が多い、こういうことが私は見て取ることができると思うんですね。
 そこで、同じく厚生労働省と文部科学省の方にお伺いしますけれども、総務省の障害者の就業等に関する政策評価書、これが出されましたけれども、これにつきましてそれぞれどのような問題意識をお持ちで、今後の取組についてどうされるか、それぞれお伺いしたいと思います。
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 盲学校あるいは聾学校、さらには養護学校の卒業生の就職支援につきましては、従来からハローワーク等と盲・聾・養護学校が連携協力しまして職業相談の実施あるいは就職後の定着支援等を行ってきたところでございます。今回の政策評価の結果におきましても、ハローワークと養護学校の連携が図られている場合には就職率や職場への定着等が高くなっているとの評価をいただいているところでございます。
 ただ、御指摘いただきましたようにまだまだ卒業生の就職率が低いということもございますし、今回の評価結果も踏まえまして、都道府県労働局に対しまして盲・聾・養護学校とハローワークが一層の連携を図るよう指示したところでございまして、今後とも定期的な連絡会議を開くこと等によりまして、生徒の就職支援あるいは就職した卒業者の職場適応、定着に関しまして、盲・聾・養護学校の先生方と密接に連携しまして、一人でも多くの障害者の方々が就職できるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。
 総務省の御指摘の政策評価におきましては、養護学校及び公共職業安定所など労働関係機関は連携協力を図り、養護学校の生徒や卒業者の就業に関して総合的な指導、支援を行うよう努めること、また、現場実習の機会の十分な確保により就業の可能性が高まることから、養護学校は現場実習をより積極的に実施していくことが指摘されたところでございます。
 盲・聾・養護学校におきましては、障害の状態等に応じた職業能力の育成に努めますとともに、公共職業安定所等の関係機関と連携協力して現場実習や進路相談、卒業者に対する職場適応・定着支援のための職場訪問等を実施しているところでございまして、文部科学省におきましても、厚生労働省や関係機関の協力を得ながら、教育、労働等が一体となった就業支援のための取組を進めているところでございます。具体的には、今年度から実施されております高等部の学習指導要領におきましては、生徒の職業的な自立の推進のため、情報や流通・サービス等の教科を新設したところでございます。
 また、現場実習につきましては既に取組が行われているところでございますが、高い教育的効果を有しますことから、現場実習を含む就業体験を一層充実することといたしたところでございます。
 さらに、平成十四年度から二か年間にわたり、都や県に委嘱をいたしまして、能力開発の観点から、障害のある生徒一人一人の将来の就業に向けた個別の支援計画の策定等を行うとともに、養護学校と公共職業安定所等の関係機関が連携した就業支援のための組織や体制作り等を行う実践的な研究を行っているところでございます。
 今後ともこれらの施策の充実に取り組んでまいりたいと存じます。
○堀利和君 そろそろ時間が来ましたけれども、文科省の方は一生懸命やっているよという、そういうことを訴えていることはよく分かりました。
 この場合、雇用促進という入口と就職後のフォローアップ、実態がどうなっているかということに尽きると思うんですが、厚生労働省としましても職業生活支援や教育機関、福祉、労働機関、それぞれ雇用促進のために連携取っているというのは大変私は高く評価しているんですが、サン・グループや水戸事件のように、就職された方々が本当に実態どうなっているのか、こういうことを考えたときに、皆さんがSOS、サインを出しているんですね。あるいは、労働であっても、福祉事務所に駆け込んだりあるいは学校の先生に話したり親に話したりやるんですね。ところが、行政が残念ながら縦割りですから、福祉事務所に聞いてもそれはハローワークだとかあるいは労働基準監督署だよということで、その後追っていただけないんですね。
 ですから私は、都道府県レベルで構いませんので、そういう教育、福祉、労働、それぞれの関連機関の方々が顔が分かるような、職員の方が、そういう人的交流なり、あるいは駆け込めるそういうような一つのネットワークを作っていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) これは、連絡会議が既にできているところもたくさんございます。いわゆるハローワーク中心になりまして、そして養護学校、それから労働基準監督署、福祉事務所、こうしたところ一緒になりまして情報交換を行っている、既にもう四百何十回かやったという経緯もあるわけでございますので、全国的にこうした地方における連絡会議というものができますようにしたいというふうに思っております。
○堀利和君 ありがとうございました。
○今泉昭君 おはようございます。民主党・新緑風会の今泉でございます。
 一時間半ほど時間をいただきましたので、しばらくお付き合いを願いたいと思います。
 本題の基準法の改正の問題に先立ちまして、労働行政に関しまして重要な事案が起こっておりますので、これらにつきまして、まず労働省の、あるいはまた大臣の見解をお伺いをしたいと思います。
 最近は高い失業率が続いているものですから、失業率の変化に関しましては余りどうも関心がないというふうな状態でございますが、四月の失業率の発表を見てみますと、その前の月に続きまして相変わらず五・四%という高い実は失業率を続けているわけでございまして、雇用、失業の改善には一向にそのめどが立っていないというような状態でございます。
 特に、前年の同月に比べまして十万人も失業者が増えて、失業者の数が三百八十五万人という数字だけならいいんですが、実は一―三月の平均で、毎回四半期ごとに総務省が発表しているいわゆる就職活動からリタイアした人の数というのが何と一―三月は五百四十四万人に達しているということであります。失業統計には出てこない数字でございまして、両方合わせますと何と九百三十万人にも上っているというこの現実。
 これに対する大変最近は関心度が薄れているようでございますけれども、この現実に対しまして、労働大臣、どのように受け止められておられて、これに対する対応策をどのように考えていらっしゃるのかどうか、これについてまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 御指摘をいただいておりますように、この失業率というのは最近もうずっと、言葉は悪いですけれども、高値安定と申しますか、もう高いところで一定しましてなかなか下りてこない、時たま少し下がるときもあるんですけれども、それはそのときそのときの若干のその情勢でありまして、現実的な動きというのはないというふうに見た方がいいんだろうというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 それで、大事なことは今後これが一体どうなっていくのかということであろうというふうに思っておりますが、いわゆる不良債権処理というものが徐々に今まだ進みつつあるというこの現状を考えますと、今年度一杯こうした状況がまだ続くのではないか、そのことを覚悟してこの雇用政策というものは立てておかないといけないのではないかというふうに考えている次第でございます。
 さて、その雇用政策の方でございますが、様々なこの雇用政策、これ今までから打ってまいりましたし、過去からの継続をしているものもございますし、きめ細かさにおきましてはもうこれ以上できないというほどいろいろのことをやっているわけでございますが、それはあくまでも現在起こってまいっておりますものをいかにして多少なりとも少なくしていくかということであって、そしてこの新しく発生してくる失業者を抑えるという、少なくするという役割はなかなか果たすところまで至っておりません。
 とりわけ、若年労働者が非常に増えておりまして、しかも一〇%を超える失業率に今なっている。どの年齢層におきましても失業率というのは高くてはいけないわけでございますが、若年者の場合には将来に対する影響も非常に大きいということでございますので、いろいろの施策をやりながら、その中で重点を置くところとしましては、一つはその若年労働者、それからもう一つは一年以上失業をしておみえになる皆さん方に対してそこをどうするかということで、そこに、二つのところにアクセントを置きながら、全体の雇用対策を進めていこうということを今思っているところでございます。
 やり方といたしましては、先般御審議をいただきまして通過をさせていただきました法律の中にもございましたが、地方におきましても地方に見合った雇用対策をやっていただくということで、県なり市町村なりに雇用に対するお仕事をしていただけるようにしたわけでございます。民間も併せましてそれぞれの地域に合った雇用をどう作り出していくかということが非常に大事になってきておりまして、国一本でいろいろのことを申しましても、それは全国になかなか通じないという、そういう実態ではないかというふうに思っております。そうした意味で、各地域におきますその雇用の、いいえ雇用じゃなくて、失業の状況というものをよく分析をしていただいて、それに対する対応を立てていこうということを今手掛け始めております。
 それと、もう一つは、何と申しましても雇用を作り出していかないことにはこれは話にならないわけでございますので、これは経済産業省と少しタイアップをいたしまして、そしてそれぞれの地域における新しい働く場所をどう作り出していくかということで、今、経済産業省がおやりになっております産官学連携によりますところの新しい仕事作り、これを進めていただいておりますが、経済産業省は一千か所を目標にやっておられるようであります。数といたしましては八百件ぐらい上がってきたようでございます。その中で、主なものについて私はそれを支えていくのにどうするか、新しいそれぞれの産業をそれぞれの地域で作っていくためにはどういうふうなところが不足をし、何を行ったらそれを支えられるのかということを分析をして、そしてそれぞれの地域で新しいものを作っていくように、これはお互いに努力をしなければいけないということを今申し上げているところでございます。これは、経済産業省中心となりまして、かなり努力を今していただいているというような状況でございます。
 それらのことを総合して行いながら、この雇用対策というものを考えていきたいと思っているところでございます。
○今泉昭君 長いこと、今表現として適切じゃないと言われましたけれども、高値で失業率が続いている、これはもうしようがないやという国民の間でそういう意識が蔓延するということは、国民のこれはただ単なる精神上の問題だけではなくて、社会不安に大変大きな影響を与えていく。フリーターの増加もそうでしょうし、いつまでも親から離れていかない若い人たちの新しい生活パターンが生まれてくるということが、今後の我が国の将来を占う上で大変危険な状態でございますから、是非ひとつ目に見えるように手を打っていただくことが必要ではないかと思います。いろいろな形で方針が出ておりますけれども、いずれも長期的な一つの対策かもしれませんが、当面の対策として生きてこないというような実態がありますから、是非これは最大の課題として政府としてもとらえていただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
 それからもう一つ、最近のニュースの中で私自身もびっくり仰天、これは大変だというふうなものの一つとして考えているのは、六月の十日に厚生労働省が発表しましたいわゆる過労死の問題でございます。何と三百十七件が過労死に該当するという形で取り上げられた。
 この状態は、正に今回、労働基準法の改正問題と無関係な問題ではないんじゃないだろうかというふうに思うわけです。
 後ほど裁量労働の問題のときにいろいろな質問をしたいと思っておりますけれども、この実態を一体どのように受け止めておられるのか、この対策をどのように打とうとしているのか、それについてお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(森田次夫君) お答えいたします。
 平成十四年度の過労死等の認定件数の増加についてのお尋ねでございますけれども、平成十三年の十二月に脳・心臓疾患の認定基準を改正をいたしまして、新たに長期の過重業務を業務上外の認定に当たって評価することとした、こういう改正があることは御案内のとおりでございます。
 この認定基準の改正によりまして、過重負担となる労働時間などが明確化されたことによりまして請求件数が増加したこと等が反映されたものである、このように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、過重労働、過重死等の認定件数は、現下の厳しい経済社会情勢を反映いたしたものと厳粛に受け止めております。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 過労死等の防止対策としましては、医学的知見を踏まえまして、平成十四年の二月に過重労働による健康障害防止のための総合対策を策定したところでございます。
 その具体的内容でございますけれども、過重労働を排除するための時間外労働の削減及び年次有給休暇の取得促進であるとか、一定時間以上の時間外労働を行わせた労働者に対する健康管理措置の徹底等、これが内容になっておるわけでございます。
 今後とも、本総合対策に基づきます措置が適切に実施されるよう、あらゆる機会を活用いたしまして周知徹底を図ってまいるなど、的確な対応をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○国務大臣(坂口力君) 一言だけ付け加えさせていただきますと、これは今お話し申しましたとおり、一つは、いわゆる基準を変えたということもございます、基準を少し。これは、今まで急性の労働疲労というものを中心にしておりましたが、慢性のところまで少し広げた。そうしませんと、これは実態に合いませんので広げたということが一つございますけれども、それにいたしましても、認定されました数も多いですが、認定に至らなかった数もまた増えているわけでございます。
 それで、これなかなか、こうすれば良くなるというわけのものはございませんけれども、しかし、これは大きい企業におきましても実は起こっているわけでございます。それで、それぞれの大きい企業におきましても、これは中小企業でもそうでございますが、健康診断は健康診断として受けているわけでございますが、あくまでも受けました健康診断が、健康診断は健康診断、それで終わっているわけでございまして、その結果というものが人事だとか労務だとか、そうしたところに生かされていないところに私は一つ大きな問題があるというふうに考えております。
 したがいまして、健康診断の結果をそこの医師が個別にその状況というものをちゃんと伝えてもらうということがないといけない。この人はこういう状況だからこういう仕事は少し無理だとか、こういう仕事ならいいとかいうようなことをもう少し細かくその結果を担当者に伝えるということになれば私はかなり違うんではないかというふうに思っておりまして、全体の企業の在り方にも問題はあろうかと思いますけれども、そうした健康診断の結果をどう生かすかということにももう少し配慮をしなければならないと思っている次第でございます。
○今泉昭君 確かに、今回の労災認定になった基準が変わってこれだけの数字が出てきたということでございますが、実は今までの認定基準が物すごく厳し過ぎたんですよね。そこに問題が実はあったわけでありまして、今回緩和されたといっても、六か月間、八十時間以上の残業というものを一つの対象にしているわけですから、これだってもう相当なこれは負担ですよ。ですから、考え方によっては、もっともっと多くの実は死亡者があるんじゃないか、過労死に該当する人があるんじゃないかというふうに私どもは危惧しているわけで、現に申請があった八百十九件ですか、その中で認められたのはわずか三百十七件なわけでございます。
 そういう意味で、是非これから労働行政の中でも、今、労働大臣が言われましたような方針に沿って指導していっていただきたいわけですが、もう一つ重要なことは、やはり労働行政としては、少なくても、そういう問題点があるならば、そういう問題こそ労基法の中で守っていけるような制度を取り上げていくというのが私は使命じゃないかと思うわけであります。
 そういう意味では、例えば今回の派遣労働者の、派遣労働制度の緩和にしろ、あるいは基準法の緩和にしろ、実はこれによって生ずる労働者の被害というものに対する視点というものが非常に欠ける、この問題点があるんじゃないかと思うわけでございまして、今度の労働行政の中にそういう視点を強く取り入れていっていただきたい、かように考える次第でございます。
 それからもう一つ、最近発表された中で、これは大いに結構なことでございまして、むしろ、簡単にちょっと、長い説明は必要ございませんから、説明していただければ有り難いと思うんですが、雇用創出のために若者の自立・挑戦プランというものが発表されました。大いに結構なことでございまして、まだ具体的なことはよく私どもとして分からないわけでございますが、前回の委員会でも大臣は、これから四省と相談をして、会議をしてこの問題を論議をするということでございまして、その後発表された中身でございますが、簡単にこれのねらいを説明をしていただきたいと思います。
○政府参考人(青木功君) 一昨日、厚生労働大臣ほか四閣僚でまとめました若者自立・挑戦プランと題する合意でございます。これは今、先ほど大臣がお答えを申し上げましたが、雇用問題の焦点として、若年者の方々、それから長期失業者の方々の問題、焦点となっております。
 厚生労働省といたしましては、若年者の問題、これは学卒未就職者の問題、あるいはフリーター対策、いろんな角度から対策を続けてまいりましたが、現在の状況を見ますと、失業率は大体、二十五歳未満の方、一〇%前後で推移しております。それから、フリーターあるいは無業者、合計すると約三百万人の方々がいる。将来をにらむと、労働人口が減る中で、労働力といいますか、言わば頭脳の空洞化ということすら懸念するということでございまして、産業対策だとか教育問題、そういった観点からも加えて検討したらどうかという御提案が平沼経済産業大臣から私どもの大臣にございまして、大臣も賛同されて、まとまったところでございます。
 そのプランの基本的な視点といたしましては、一つは、フリーターと言われるような状態にしないための対策を講ずる、それからもう一つは、現にフリーターになっておられる方々、こういう方々が通常の雇用なり通常の就業に入っていく、この二つの対策を取ろうということでございます。
 まず、フリーターとならないようにということの観点からは、仕事をして自立をしていくという気持ちを幼いときから身に付けることが重要ということで、小学校段階から仕事の触れ合いとかそういったものを十分に涵養していく。それから、今度は具体的に職業をイメージするようになりましたら、例えば職場見学であるとか、あるいはインターンシップといったものも進めていこう。そして、具体的な就職のときには、今、即戦力志向というのがございますけれども、企業もどんな人を欲しいのかということをきちっと出してもらう。一方、学生の方も自分にはこういう力がありますということをちゃんと売れるような、そういった新しい市場を作っていこうということが一つでございます。その過程では、キャリアコンサルタント等、相談体制というものが重要でありますので、ここもきちんとしていくということでございます。
 また、現にフリーターである方々についての対応でございますが、これは様々な相談施設等を設けておりますけれども、なかなか相談にもおいでにならないというふうな方々もいらっしゃいます。そういったことから、一つは、地域に言わばワンストップセンターみたいなものを問題のある地域では地域の創意で作っていただく、そして私どもハローワークもそういったところに十分に協力をしていくという体制を作ること。それから、学校を出るときに就職をしないともう次の卒業生が出てくるまでは言わば落ちこぼれみたいなふうに見えることがあります。そういった方々がもう一度チャレンジできる機会というものを新たな若者労働市場を形成するという中できちんとしていこうというふうな合意もなされております。
 あと、教育問題であるとか、あるいは経済産業省の御担当になりますけれども、創業の問題だとか、各般の施策が盛り込まれております。
 今後、更に細部を詰めていきまして施策化してまいりたいと存じます。
○今泉昭君 大いに結構なことでございまして、中身自身は我々もこれまで何回か、総合的にではございませんけれども、要求した問題でございます。問題は、やはり今までのようなそれぞれの省庁の縦割りの行政の中の殻に閉じこもるんではなくして、やはり政府として各省庁、関連ある省庁が協力し合って具体的にそういうものを推進していただかなきゃならないというふうに思っているわけでございまして、是非それは大いに現実のものとなるように努力をしてほしいというふうに思います。
 あわせまして、これに関係をしまして、実は同じ日に総務省が五百三十万人構想という、五百三十万人雇用創出構想というものを打ち出されました。恐らくこれは規制改革の一環として論議をされた中身だったと思うんですけれども、こういう問題との兼ね合い、もう当然労働省、厚生労働省を中心としてされています若者プランとの関係もあるとは思うんですけれども、ちょっと心配なのは、中身を読んでみますと、この世の中すべてサービス産業一色になっていくんじゃないかというような、もうとにかくサービス産業ばっかりのことしか書いていないような状態なんですけれども、短くで結構ですから、中身をちょっと紹介してください。
○政府参考人(大守隆君) お答え申し上げます。
 日本経済の再活性化のためには将来に明るい展望を開くための前向きな構造改革が不可欠であって、その一環として雇用創出型の構造改革が必要ではないかと考えておりまして、そうした認識の下に、これまでの雇用創出に向けた取組を更に加速するために、今年の四月に内閣府を中心に関係省庁による五百三十万人雇用促進チームを設置いたしまして、規制緩和、民間の活用と競争促進、人材の質的強化、サービスの質の向上などの具体的な政策を内容とする御指摘の五百三十万人雇用創出プログラムを六月十日に取りまとめたところでございます。
 このプログラムにおきましては、これらの政策の実施によってサービス産業を中心に二〇〇〇年から二〇〇五年までの間に約五百万人、同じく二〇〇七年までの間に六〇〇万人強の雇用創出が期待できるものと見込んでおります。
 今後は、このプログラムに盛り込まれた政策を着実に実施することによってサービス分野を中心にした雇用創出が実現されるよう、政府が一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
 御指摘のサービス分野中心ではないかということですが、この雇用創出プログラムは確かに産業分野はサービス分野中心でございますけれども、言わば横割りのセクションもございまして、労働市場の環境整備ですとか、先ほど御議論いただいております若年者、女性、中高年といったような、そうした横割りの議論も含んでおります。
○今泉昭君 この五百三十万人構想の中に規制緩和というものがもう一つのテーマに流れているものですから、先ほど審議をいたしました派遣労働の問題の更なる規制緩和、いろいろ論議があったはずでございますけれども、この間の規制緩和では更にまだ足らないということで、随分労働行政に関する規制緩和にも踏み込んできているわけでございます。そういう意味では、労働行政としては、ただ単に規制緩和ということだけじゃなくして、労働行政というのはある意味では規制強化という一面も必要なわけでございまして、そういう視点を是非忘れないように、是非今後の労働行政をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 内閣府の方、結構でございます。ありがとうございました。
 それでは、本題の基準法の問題に触れたいというふうに思います。
 まず最初に、今回の基準法の改正の目玉は、柱は三つあるんですけれども、その目玉は少なくとも解雇ルールの問題から出発していったんではないだろうかというふうに私ども受け止めております。特に大臣は、この雇用不安の中で、大変リストラが横行している中で、解雇ルールのない中でいろいろ問題があるから、その解雇ルールを明確にしなきゃならないという意欲を持っていらっしゃったということを前々から私も聞いております。
 そういう意味で、今回の基準法改正の必要性というものとねらいを大臣の口からちょっとお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(坂口力君) 経済が非常に多様化をしてまいりました中で労使の間で様々な問題が起こっておりますが、その中でやはり何と申しましても一番多いのがこの解雇にかかわりますものでございます。
 もちろん、今日までの裁判等によりまして確立をされました考え方というものもございますし、また民法の中にもそれなりに書き込まれているところでございます。
 しかし、私は、経営者とそして労働者の間のこと、そして働く人たちというのはどうしても弱い立場でありますから、それを対等な立場にするために作り上げました労働基準法というものの中にこの解雇についてのことが書いていないというのは、私はこれは少し、一番大事なところが抜けているのではないかというふうに思っていた次第でございます。
 今回のこの労働基準法を改正するに当たりまして、私も私なりに昨年の暮れ辺りから少し勉強をしてまいりました。私よりももっと勉強した人はこの私の隣に座っておりますけれども、なかなか城島さんほど専門的には私はなかなかいかなかったわけでございますが、しかし私なりに勉強もさせていただいて、やっぱりそこを明確にしておかないとやはりいけないのではないか、労働基準法の中にこのことを、解雇に対する考え方を入れることが大事というふうに思った次第でございます。
 しかし、でき上がりまして、そして皆さん方にごらんをいただきましたときに、これは誤解を生むというお話もございまして、それは私たちも謙虚に受け入れて、純法律的に言えばそういうことはないというふうに思っておりましたけれども、そういう御指摘を受けるのであれば誤解というものがないようにするということの方がいいということで、衆議院の方で御議論をいただきまして、それを私たちもお受けをしたということでございます。まあ余り時間を取ってはいけませんから、そういうことでございます。
○今泉昭君 今回の解雇ルール、そして有期契約労働、そして裁量労働の三つの柱の改正によりまして、行政当局としては労働市場にどのような効果が出てくるというふうにお考えになっているか、これについてちょっとお聞きしたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) 当局ということですので、私からお答えさせていただきますけれども。
 基本的に今回の考えました大きく三点の改正内容があるわけでございますけれども、これやはり大きく変化して、社会経済が変化していく中で、そういった我が国の活力を維持向上させていくためにということで、特に労働面において、特に一人一人の労働者というのが、やはり自分で考え自分で責任を持ちながらいろんな働き方をしていけるようにと、そういう選択肢を広げていくことによって一人一人の生活というものが充実していくというふうに結び付けていこうということでございまして、これによって直接、労働市場なり就業構造をどう変えようといったものでは決してございません。ただ、確かに有期労働契約の上限の期間を延長したことによりまして、そういったおそれもあるんではないかといった御指摘も、これ原案を審議いただいた労働政策審議会におきましてもそういう御意見もございました。
 そういったことから、やはりそういった面が全くあり得ないということは想定はして、そういう目的とはしておりませんけれども、そういったこともあり得ないとは言えないわけでございますので、これはまた審議会の建議におきましても、いろんなそういう実際の実施の状況、そういったものを踏まえて労働市場にどういう影響を与えているかといったことも踏まえながら、更に施行後について検討をしようと、すべきだといったことも御指摘いただいておりますので、そういった点で、また今後、チェックといいますか、この与える影響といったものについても把握をしていきたいというふうに考えています。
○今泉昭君 今日、衆議院で修正がございました。その中心になっておられました民主党の城島衆議院議員が見えておりますので、城島議員の方にお聞きしたいと思うんですが、衆議院におけるところの修正協議の実は経緯と趣旨について御説明いただけますか。
○衆議院議員(城島正光君) 御説明をしたいと思います。
 衆議院におきまして、特に民主党において、その政府原案に対しまして抜本的な修正案を提出をいたしまして、働く者の視点に立った論戦というものを衆議院において徹底的に展開をしてまいりました。そして、政府原案の修正ということを迫ってきたわけでありますが、その理由は大きく三点でございました。
 一点は、政府原案のままでは今まで積み重ねてきました解雇権濫用法理の運用が覆されることになるんではないか、根底から覆されることになるんではないかという点が一点。それから二点目は、政府原案がそのまま成立するとすれば、就業規則所定の解雇事由による解雇権が制約されるとしてきたこれまでの判例が覆され、裁判実務が決定的に変更されることが予想されるということ。それから三点目が、退職の自由が認められない有期労働契約期間の上限延長というのは、労働者の職業選択の自由あるいは転職の自由、そしてキャリア開発を阻害しかねないという点。
 以上、大きく言うとこの三点が修正を迫ってきたポイントでございました。
 こうした点についての民主党の修正案というのは、以上申し上げた問題点を解決する修正ではなかったかなというふうに自負をしているところであります。こうした民主党の強い要請を受けた形で与野党間で修正協議が鋭意行われまして、御承知のとおり、結果として政府原案が大きく修正をされたということと思います。
 この与野党修正案では、一点目としましては、使用者が労働者を解雇できるという本文でありましたその表現が削除されまして、客観的に合理的な理由があることについて、実質的に使用者に主張立証を求める、いわゆる解雇権濫用法理の現在の裁判実務が維持されることになったということだと思います。
 それから二点目は、有期労働契約を締結した労働者は、一定の場合を除き当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においてはいつでも退職できる旨、退職の自由を認める規定が整備されたことになるというふうに思っております。
 特に、今回の解雇ルールであります十八条の二の修正案の文言の趣旨についてあえて付言させていただきたいと思います。
 第一に、この条文の文言は、日本食塩製造事件最高裁判例で確立をいたしました解雇権濫用法理と、これに基づく民事裁判実務の通例に即して作成をされたということであります。
 第二に、この条文は、民法一条三項の権利濫用の規定を基礎にいたしまして、解雇の場面における特則を定めるものでありまして、条文にある「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」という要件に該当しさえすれば、直ちに民法一条三項の権利濫用の規定に該当することを明確にしたものであります。
 第三に、民法一条三項の権利濫用の規定に該当することに伴い、解雇無効という法律効果が生じることを明らかにしたものであります。
 第四に、最高裁判例では、不合理な理由という文言は用いられず、あえて「合理的な理由」という文言が用いられ、また民事裁判実務では、合理的な理由の有無については、解雇した使用者にこの点についての主張立証を尽くさせるのが通例でありました。今回の法律制定に当たっては、この点を考慮いたしまして、従前の取扱いを維持するために、条文上も、不合理な理由という文言を用いるのではなくて、合理的な理由という要件を掲げたわけであります。
 第五に、今回の条文において、「社会通念上相当であると認められない場合」という文言が用いられ、社会通念上不相当な場合という文言を用いなかったのも、この「合理的な理由」という文言を用いた理由と同様の理由でございます。
 以上が、修正案、特に後段部分は解雇ルールの修正案の趣旨について御答弁させていただきました。
○今泉昭君 ありがとうございました。
 大変書生っぽい言い方で恐縮でございますけれども、厚生労働省の場合は、数多い各省庁の中で唯一働く人の立場に立っていろいろ問題を考えていくという省庁であろうと思います。労働問題というのは相手方の経営側があるわけでございまして、経営側はその対照として経済産業省がいろいろな形で経営側の便宜を図り、相談相手になり、対応策を練っていくという、こういうような構図になっているわけでございますから、少なくとも、法案を新しく改正をし、出してくる場合には、ひとつ是非とも、その法案が労働者に、働く人たちにどのような影響があるのか、悪影響がないのかどうか、この点の検討を是非ひとつ欠かせないように、重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
 それから次に、ちょっと通告していないんで申し訳ないんですけれども、ちょっとこれ、大臣の御見解をお聞きしておきたいと思うんですが。当初、解雇に関して金銭解決の問題が盛られておりました。これはもうなくなってしまいました。しかしながら、規制改革推進三か年計画の中にはこれが明らかに盛られているわけですね。その文言の中には、解雇の際の救済手段として、職場復帰だけではなく、金銭賠償方式という選択肢を導入することを検討するようにと、こういうはっきりとした方針が出されているわけでございますけれども、今回はたまたまこれは削除されて出てきませんでしたけれども、大臣のお気持ちとして、今後この問題はやはり取り上げていく必要あるというふうにお考えになっているかどうか、この点をちょっとお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 金銭的な解決策というものにつきましての話があったことは事実でございますし、そしてこのことにつきまして、労使それから学者の皆さん方も含めましてのそうした話合いの中でもいろいろ御議論をいただいたことは事実でございますが、しかしここはなかなか双方の御意見があって、なかなかまとまらないということでございましたので、今回取下げをさせていただいたところでございます。
 先ほどからもお話がございますように、いわゆる労働基準法は、第一条でそれこそ「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」ということを書き、また第二条におきましては、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」と、こう明言しているわけでございまして、このいわゆる言葉の中に、この意味の中にすべては含まれているというふうに私は理解をいたしております。
 したがいまして、ここに入り切れないものをこの中に入れるわけにはいかないということでございまして、合意がされません以上、これを入れるという気持ちはございません。
○今泉昭君 ありがとうございました。
 城島先生、もう結構でございます。時間があればもっとと思ったのですが、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、結構でございます。
 それでは次に、具体的な細かい問題につきまして少しお尋ねをしてみたいと思います。
 まず、有期労働契約の問題でございます。この有期労働契約の問題に絡みまして、いろんな方々の意見として、またこれまでの衆議院の論議におきましても、この有期労働者の規制緩和が正規労働者の代替につながるのではないかということが盛んに論議をされてまいりました。
 私も、そういう意味で、実態上どういうふうになっているのかなと思っていろいろ統計、資料などを調べてみてきたわけでございますが、総務省で出している資料などを見てみますと、御存じのように、現在、非正規従業員と言われる方々の数は一千五百万人に迫ろうとしているような状態でございます。これも、特に前回の有期契約労働を導入するポイントになっておりました平成十年の状況から見ましても年々増えていっていると、これは事実なんでございます。
 ということは、今回のこの規制の緩和というのがますます、これはもう正規従業員の代替につながることは間違いないんじゃないだろうかというふうに思うわけでございますけれども、行政当局としてはそんなことはないということの一点張りでございますけれども、その点についてどういう分析をされているのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、いわゆる有期契約労働者といいますと、総務省の労働力調査におきましては、臨時的雇い、これを併せた数でございまして、平成十四年の一番新しい数字で七百二十七万人ということで、全体の雇用者数の中の一三・六%という数字になっています。確かにこの数字、パーセンテージを見てまいりますと、ここにございますが、平成九年から見てまいりますと、確かに一一・一%から年々〇・何%ずつ、なだらかにといいますか安定的にといいますか、急激な変化なしに、なだらかに、わずかずつ増加しているというのが実情でございます。
 ただ、こういった実情ではございますけれども、やはり各企業の中におきまして、これは企業だけではなくて組織でも同じだと思うんですけれども、やはり常用の方と有期の方、言わば非正規といいますか臨時的な方、そういった方の構成をどういふうにしていくかということは、やはりその組織なり企業なりの経営戦略に伴います人事戦略といいますか、そういったものに基づいて行わなければ、やはり組織としての発展といいますか活力というものは生み出せないというふうに考えられておりまして、そういったことから、やはりこういった上限といいますか規制が緩和されたことによって、人員構成がこれを契機にして変わるといったことはないんではないかというふうに考えております。
 したがいまして、繰り返しになりますけれども、法制度上こういった上限を引き上げることによりまして、一気に、これはすべてそうしなければならないというわけではございませんし、こういった上限引上げに伴いまして、これを理由として人員構成が変わるということは、従来のパーセンテージの伸び等から見ましてもちょっと当たらないんじゃないのかなということで、確かに平成十一年の有期労働契約の三年ができたことによりましても、それに伴う変化ということでないというふうに考えております。
○今泉昭君 私は、有期契約労働というのが悪いというふうに全面的に否定をしているわけではないんであります。問題は、どのような働く人たちを企業が雇って、そして生産に向き合っていくかということは、それは企業戦略がそれぞれあると思うんです。それは結構だと思うんです。しかも、各企業は、現在許される法律の範囲の中で、自分たちに最も都合のいい、そして最も効率のいいシステムを選考するの、これはもう当たり前のことなんであります。
 そういう中で、私が申し上げたいのは、これは企業の戦略なんだからということではなくして、少なくとも労働行政として日本のこれからの雇用構造がどうなっていくのかということを、やはり大きく方向付けを見定めておかなきゃならないと思うわけなんです。もう有期雇用というのは、これはもう否定できない一つの流れであることも事実なんであります。そのような状況の中で必要なことは、それによって生ずる弊害というものをどのように労働行政の中で防いでいくか、そこで働く人たちを保障していくかと、これが一番重要なことでありまして、そういうものの視点が全く欠けていると私は言わざるを得ないのであります。これが大きな今回の問題点だろうと思うのであります。
 あわせて、申し上げたいのは、実はこの有期労働契約という問題が若年定年制の導入を促進しないかというのも併せて一つ論議になっている点であります。現に、もう各企業はそういうことをやってきているわけですね。特に、サービス産業におきましては、新規学卒者を三年有期契約という形で導入をしていくということを正々堂々と明言をしているわけです。このことによりまして、三年限りによってどんどんどんどん振り落とされる人も当然出てくる、そういう社会になるという方向に行っているんですよ、今。
 ですから、そういう状況をただ単に企業戦略だけだということではなくして、その中によって生ずるいろいろな問題点をどのように基準法で保障していくか、防いでいくか、この視点が欠けていると思うんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(松崎朗君) まず、労働基準法の今回の改正におきます有期労働契約の期間の上限でございますけれども、これは元々労働基準法でこれを一年なり、前回の改正で一部三年というふうになっておりますけれども、これはやはり長期間にわたる不当な拘束といいますか、そういったものを排除していこうということで決められておりまして、そういった観点から、この規制といったものが逆にいろんな多様な働き方といったものを阻害している面があるといったことから、これを緩和していこうというものでございます。
 したがいまして、それによって労働者にどういう影響があるかというのは、先ほどの繰り返しになりますけれども、やはり影響を与える場合もあろうかと思います。
 そういったことから、施行後の状況につきましては、そういったものも含めまして、また審議会等で御議論をということも言われておりまして、そういった場を活用した議論をしていきたいというふうに思っております。
 また、若年者の問題でございますけれども、これもやはり企業のみならず組織の考え方として、やはり若年者という者、そういった者をやはり即戦力じゃなくて、やはりその組織を将来担う基幹的な人材として長期にわたって養成していくといったことが必要なわけでございまして、そういった構想、そういった考えのない組織は必ずつぶれるということはいろんな方が言われます。
 そういったことから、確かに短期的なといいますか、極めて短期間の利益といったようなもの、そういったものを追求する余りそういった道へ走る場合もあるかもしれませんけれども、やはり大きな流れとしては、こういった若年定年制といったものへつながっていかないんじゃないかというふうに思っています。
 また、ちょっと長くなりますけれども、最近の動きとして、やはり我が国の場合、これは日本人全体の傾向かもしれませんけれども、何か新しいものができるとわっとそっちへ行くという傾向がございます。確かに、この派遣労働という、派遣業といったものが脚光を浴びたときに、その使い方も含めて、バスに乗り遅れるなとばかりに派遣労働者の活用といったものにざっと流れた時期が確かにあったと存じます。
 しかしながら、たしか二週間ぐらい前のニュースだと思いましたけれども、商社で、いわゆる一般職の女性社員でございますけれども、ほとんど派遣に切り替えていったものをやはり駄目だと、特に、ニュースでは企業の機密とかという言葉を使っておりましたけれども、そういったことから、やっぱり企業への忠誠心、そういったものから、従来の派遣では駄目で正規に切り替えていくといった動きもまた出てきているということも報道されておりました。
 またさらに、これはホワイトカラーじゃなくて現場かもしれませんけれども、こういった日本のこれからの産業というものを考えた場合に、熟練というものが最近再評価されつつあるということをよく言われております。そういった中で、やはり熟練というもの、こういったものは短期の雇用を繰り返すというものではできませんで、やはりその中で、長いキャリア形成というものの中で積み重なって、OJTの中で身に付けていくというもので、そういった熟練という、高度熟練というものが何かいろんな場面場面で、異常が起こった場合に対応できるといったもの、そういったものができて、企業全体としていろんな事態に対応できて柔軟に動けるといったことのベースになっておるわけでございまして、そういった点も見直されつつあるということで、やはり企業内での長期間にわたる技能養成といいますか、そういったものも今進められつつ、また戻りつつあるというふうに認識しております。
 こういったことから、一部行き過ぎた時期があったかもしれませんけれども、やはりこれからの会社、企業ということで考えた場合に、やはりあるべき姿といったものへ落ち着いていくんじゃないかというふうに期待しております。
○今泉昭君 そのあるべき姿を労働省としてやっぱり示す必要があると思うんですよ、私は。
 先ほどから申し上げておりますように、例えば、特にサービス産業のスーパー関係では六割が今有期雇用労働者だと言われている。さらにはまた、観光産業におきましても、営業関係において、今まで二割程度であった有期雇用労働者を八割ぐらいに置き換えていきたいというこういう動きがあるんです。これは明らかに、これはもう正規労働者を代替していこうというこれは経営戦略の一つなんですよ。
 そういう意味で、間違いなくこれからの流れとしては、正規労働者に代わって有期雇用が肩代わりをしていく、しかもこれから、先ほどの内閣府の出しました五百三十万人構想の中では、その雇用拡大の中心がサービス産業なんでありますから、そういう意味でも、実は厚生労働省として一つの方向付けを、これからの雇用構造はこうなるんだよということの中で法整備をしていくということが最も望ましいことではないだろうかと、こういうふうに思っているわけであります。
 具体的に言うならば、若年労働者に関しては、学卒者に関しては有期雇用は禁止すると、こういうことを基準法で盛ってもいいぐらいなことになるはずであります。これからの雇用、先ほど、いろいろるる説明されたように、若い人がどんどんどんどん替わるようではスキルアップということができない、中堅労働者として育っていかないというような危険性があるのは間違いないことですから、そういう面での基本方針がないから問題が出てくるんじゃないかと、こういうふうに考えておりますので、その点の検討もこれからもう大いにしていただきたいと思うわけであります。
 さらに、この有期雇用の上限を取っ払っていくということに関しまして、それだけ踏み込んだからにはそれなりのニーズがあったという判断ではないかと思うわけですね。しかし私は、今産業界においても働く側においても、そういうようなニーズが果たしてあったかどうかというのは非常に疑問なんであります。
 例えば、いわゆるJILでございますか、労働機構の出しました調査の有期契約社員に関する調査というものの中におきましては、企業側の意識としては、現状のままで別に拡大する必要はないという回答が出て、もっと長くしたいかという問いに対しては、三%ぐらいが長くしてほしいと言っているわけでありまして、大多数は現状の姿でもいいじゃないかという、これは企業側のニーズでもあるわけですね。
 だから、一体どこからこのニーズが出てきたんだろうか。働く側からこういうニーズが出てくるはずないというふうに私は思っているんですが、どういうニーズを受け止められているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) 今回の改正を考えるに当たりましても、前回の施行後の状況というものを踏まえまして調査をしております。これは平成十一年と十三年に調査したわけでございますけれども、十一年の方、二回しております。
 まず、労働者の側の考え方といいますかニーズでございますけれども、まず実態から申し上げますと、これは十一年の調査でございますけれども、じゃ実際に、現在のところ一年を超える契約はできないわけでございますけれども、そうした状況の中で契約の更新を繰り返すことによりましてどのくらい実際には勤めているのかといった調査でございますけれども、それは、平均的な像としましては、平均の更新回数が六・一回、結果として四・六年というのが平均像といった格好になっております。
 また、有期契約の労働者の意識といいますかの調査でございますけれども、これは十三年に行っております。その中で、まず正社員でない理由、なぜ正社員として働かないかという理由でございますけれども、もちろん中には正社員としての適性を会社が判断したんでしょうといって、なりたいけれどもなれなかったという方も九・何%あるわけでございますけれども、一番多いのが、やはり自分の都合というのが、これは四四%ぐらいということで一番多いわけでございまして、その自分の都合は、どういうところでメリットがあるのかというと、やはり一番多いのが、その中でも個人的事情で正社員として働けないといったような事情、個人的な事情、さらに期間満了後にすんなり辞められるといったことを述べておられる方が多いわけでございます。
 また、具体的な契約期間についての労働者の評価でございますけれども、現在の契約期間、これについてどう考えているかというと、現在の契約期間というのは、やはり相互の契約でございますので、相互納得ずくで一応契約していますので、やはり今のでちょうど合っているというのが六割近くはおるわけでございますけれども、そのほか、四割弱の方がもっと長い期間の方がよかったというふうな答えをしております。なぜもっと長い方がいいのかといいますと、やはりもうそれは、ほとんどの方が生活が安定するからといった理由を挙げておるわけでございます。
 そういったことで、労働者の側には、実態それから更に希望といった面、そういったものから、この上限の延長について一定のニーズがあるんじゃないかというふうに考えられます。
 また、十一年の調査でございますけれども、これはやはり契約を更新したい、契約を更新したいのか正社員になりたいのかといった調査でございますけれども、やはり正社員として雇用してもらいたいとする労働者は一割未満ということで、多くの方が契約を更新してほしいというふうに、やはり先ほどの調査と同じように自分の都合でというところからすべて出てきているんじゃないかというふうに考えております。
 また、企業の側の認識でございますけれども、現在、やはり契約期間の決定、なぜこういう契約期間を設定しているのかといったことにつきましては、四割以上が法制度上の上限に合わせているといったことを回答しているわけでございまして、今申し上げましたように、そうしますと、労使ともにこの契約の上限というものを延長することについて一定程度のニーズは存在するというふうに私どもは判断しているところでございます。
○今泉昭君 四割程度のニーズということでございますけれども、その程度のニーズでこういう問題を労働省が取り上げるというのはいささか私は不思議に思うんですが、むしろ審議会の学者の先生方が、将来日本の雇用構造はこうなっていくんだ、こういう方向に向かって当然なるんだという考え方の意見が相当出されているんじゃないかというふうな気がしてならないわけでございまして、そういう意味でも、先ほどから申し上げているように、日本の雇用構造に向けての一つの大きな指針をまず示していただかなければ、その都度その都度、そんなに強い私は今回のこの上限の延長の要求であったというふうには受け止められないわけでありまして、そういう意味での長期的な展望、指針というものをひとつ検討をしていただくことを強く要望をしておきたいというふうに思います。
 それから、もう一つお伺いをしておきたいんでございますが、御存じのように我が国はILOの百五十八号条約の批准をしておりません。これにはいろいろな理由が、いや思惑があると思うんですけれども、この点について、どういう理由で批准をしていないのかどうか、これをまずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) ILOの第百五十八号条約でございますけれども、これは使用者の発意による労働者の雇用の終了、そういったものから労働者を保護することを目的にして、いろいろ手続等について規定したものであるわけでございます。
 いろいろ中身はあるわけでございますけれども、これは批准に当たっての問題点といいますと、我が国の場合、御案内のように、法制度といいますか、きちんとした上で批准する、またそごのないようにといったことで批准をするわけでございますけれども、現在のところ、ぱっと見るだけで出てまいりますのは、例えばこの条約の七条におきまして、使用者の発意による雇用を終了させる場合には、まず労働者に自己弁護といいますか、自分から発言する機会を与えなければならないといった規定もございます。また、九条二項におきましては、こういった使用者の発意により雇用を終了させた労働者が裁判所等に訴えた場合、こういった場合に、まず挙証責任の所在が使用者にあるというふうにはっきり書いてございます。そういったことで、現在の日本の法制とは違っているというところがございます。
 細かい点はほかにもございますけれども、そういった点がございますので、この批准については慎重に今後検討していくということになっておるところでございます。
○今泉昭君 ちょっと私もよう分からないんですが、片一方では、一つのグローバリズムの中で国際化を盛んに口で言われている。言わばこのILOの条約というのはそういう意味では国際的な付き合いを行っていくに最も必要な一つの規範ではないかと思うわけでありますが、やらない理由として国内の条件がいろいろできていないということなんです。
 果たしてどういうようなその解決のためにこれまで努力をされてきたのかどうかということについては、その努力の跡は我々の目から見る限りにおいては見えないんですよね。強い力があって駄目だというふうに厚生労働省に圧力を掛けているのかどうか、これは分かりません。どこから見ても、少なくとも先進国である我が国にとりまして、国際的な一つの基準がそんなにまで我が国の労使慣行に大きな影響を与えるというふうには見えないわけでございますけれども、その意味で、ちょっと大臣の見解をお聞きしたいんですけれども、今後この問題についてどういう取り上げ方をされていこうと考えていらっしゃるかどうか。大臣のお気持ちをちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 今、局長の方から幾つかの例を挙げて答弁をいたしましたが、やはり国内における法律の問題と、そしてこれをILOの言っておりますことと一致させていかなければいけないと思うんですね。ですから、その辺の違っているところと申しますか、完全に一致はしなくてもいいんでしょうけれども、方向性が同じ方向に行けばいいんだろうというふうに思っておりまして、そのためには何がやっぱり一番必要なのか、どうすればそれはそういうふうになり得るのかということだろうというふうに思います。
 裁判上の問題あったりいたしまして、私もちょっと分かりにくい点あるわけでありますが、先ほど挙げましたように、雇用の終了が正当でなかったことの挙証責任の所在が使用者にあるとしているというようなこと、そうしたことがその理由になるということになりますと、これは日本の裁判のいわゆる方向性というものにもかかわってくるわけです。
 その裁判の方向性というのは、日本の法律の在り方が影響してそうなっているとも考えられますし、その辺のところはかなり絡み合って複雑になっているなというふうに思いますが、しかし、今後の問題として整理はしていけないことはないのではないか。だから、整理をするとすればどういうふうにしていけばいいのかということを、現在における労使の関係あるいは裁判の現在における結論等と対比をしながら、どうこの整理をするのかということを少し整理しないといけないなというふうに思って、今少し聞いていたところでございます。
○今泉昭君 必要性を否定されているわけではございませんので、是非ひとつ大臣のリーダーシップを期待をしたいというふうに思います。
 次に、裁量労働関係に、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、裁量労働とは一体何だろうかというふうに私もう一回自問をしてみたわけであります。どうもこれは、都合のいいいろいろな働き方を分類をする方々がいらっしゃるし、都合のいい働き方をいろいろ取り入れられる方もいらっしゃるんですが、どう考えてみても、この裁量労働というのは変形請負業務ではないだろうかと、こんな気がしてならなくなったわけであります。
 というのは、その実態から出てくる例えば過労死の問題、特に労働時間の無視という問題、それから一つの作業を遂行するために、一つの会社の基準に沿ってほかの労働者と同じような形で働くということではなくして、結果を出すためにその労働者に全部の責任を負わせてしまうという一面がある。こういう点を考えてみますと、形は変われども何か請負労働者に非常に、請負という問題に非常に似てきている。しかも、請負の場合ですと、自らの力で成果が上がればそれだけの収入ががばっと行くわけでございますけれども、それはなくて、企業の中での枠に縛られていると。こういうような労働、おかしな労働だなというふうに思うわけでございますけれども、こういう考え方について、行政当局、どういうふうに受け止められますか。
○政府参考人(松崎朗君) 確かに御指摘のように、ある側面見ればそういった見方もあろうかと思いますけれども、やはり裁量労働制といいますのは、労働ということを、労務提供ということを前提にしながら、いろんな、もっと、その職務の性質上、やはりこういった裁量をもって働くこと、そういったものがより適するといったものについてのものということで、やはり物の完成とか、そういった請負のようなものとは基本的には考え方は違っていると思っております。
 こういったものを考えられましたのは、やはりそういったいろんな産業活動の中でも、そういう裁量労働制といいます、こういった働き方に適した業務というのがより増えてきたということもありますし、さらには、やはりややもすれば拘束されて長時間労働ということにつながりかねない中で、やはり一人一人が自分の職業生活、また家庭生活、地域生活、そういったものをバランスを取れたものとして職業人生を送るということのために、やはり自分で労働時間の配分でありますとか、いろんな仕事のやり方、そういったものを自分でもって考えて割り振っていくということによって、それがまたトータルとして、結果として労働時間短縮といいますか、そういったものにつながっていくということをねらったものだというふうに考えておりまして、やはりこれはあくまでも労働規律型、これも一人一人が完全にある分野を請け負って、そういう分野を、してしまえばおしまいじゃなくて、ある程度やはり企画、立案、調査といったようにチームを作り、分担をしながらやっていくという仕事でございますので、こういった労働といった範疇に入るというふうに考えております。
○今泉昭君 確かに自分のいろいろな都合という面を、個々の労働者の都合という面を過大評価すれば、非常に一つの働き方として効果のある働き方であることも事実でありますが、逆に、結果を追求される、責任を非常に持たされるという意味で、その結果が出るまで、あるいは周りの人との比較の上で同じような結果を出していなけりゃならないという責任感から、どうしても必要以上な長時間労働に陥るというこれは制度であるということは否定できないと思うわけであります。
 そういう意味で、労働省としては、裁量労働というものが一体どういう労働時間帯を取っているかどうか、そういうことをお調べになったことございますか。
○政府参考人(松崎朗君) 特に裁量労働の時間帯といいますか、これは企画型の裁量労働制につきましても労使委員会でいろんな決議をしていただくわけでございますけれども、その中の健康福祉措置等を遂行する、実施するために、労働時間の状況について勤務状況といったものを使用者が把握するということになっております。そういったことで使用者は把握しておるわけでございますけれども、そういったものを統計的に、私ども全体像というもので把握したというものはございません。
○今泉昭君 これは、少なくとも裁量労働制を導入をし、これからそういう分野が増えていく、あるいは規制緩和をしていくということであるならば、そういう実態を十分に調査をしていただく必要があると思うのであります。
 例えば、幾つかのところで裁量労働と労働時間の問題について調査をしているものが出ているわけでございまして、例えば二〇〇二年十二月の社会生産性本部で出した裁量労働制と労働時間管理という問題で見てみますと、実はサービス残業があると。いわゆる一般の労働時間帯以外に多くのサービス残業を強要される形になっているというところが何と六三・三%もあるわけですよ。それから、こういうような状態を考えてみますと、これまで厚生労働省が調査をしていないというのもちょっと私は納得がいかないと思うんですが、これはもっと詳しくこの裁量労働に対する実態を把握してもらう必要があると思うわけであります。
 先ほど私、過労死の問題を取り上げました、報告を。過労死の報告を見てみますと、恐らくこれは裁量労働に関係のある方が最も多いんじゃないかと思うのであります。特に、年齢層であるとかあるいはまたその職務の実態を見てみますと、若い人よりも比較的いわゆる中堅労働者、恐らく裁量労働をやっている人だろうと思う方々が非常に多いわけでございまして、この過労死の問題とも裁量労働の必要以上のサービス残業というものが深く結び付いている私は危険性もあると思うのでありまして、是非この点につきましては細かい分析調査というものが必要ではないかと思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(松崎朗君) ちょっと順番が逆になりますけれども、冒頭ございましたように、いわゆる過労死でございますけれども、たしか、今手元に資料ございませんけれども、私の記憶では過去にたしか裁量労働制の方について一件あったと思いますけれども、それは過去にあったものが、いわゆる認定基準の改定によりまして、裁判中のものを原処分庁が引き取って処分し直して労災認定したという件数が一件あったと記憶しておりますけれども、そのほかには裁量労働制の対象者で過労死が認定された方というのは統計上、実際に今のところ承知はしておりません。
 また、労働時間でございますけれども、実際に裁量制が適用された前と後どうなったかといったこと、これも調査したことがございますけれども、やはりほとんど変わらないというのが五五%ぐらいでございまして、ただやはり両方、やや長くなったという方が一二%、やや短くなったという方が一五%というふうに、もちろん両端ございますけれども、ほぼトータルとして余り変わらないということで、これも先ほど御説明し掛けたところでございますけれども、この企画型裁量制を導入するに当たりましては、事業場の中の労使委員会、ここでもって対象業務とか決めるほかに、みなし労働時間といったものを実態に合わせて決めるということが必要でございます。そういったことで、ある程度そういった実態、所定労働時間で決めておるところもございますけれども、実態を踏まえてみなし労働時間というものを決めているというところでこういう結果になっているんじゃないのかなといった気がしております。
○今泉昭君 裁量労働時間に絡む労働時間の増大、サービス残業の増加ということを考えますと、むしろフレックスタイムとの関係を考えてみますと、何でフレックスタイムをもっと活用しないのか、こういうふうにも思うんですけれども、フレックスタイムでちゃんと時間管理をしていれば、むしろ裁量労働で個人に責任を持たせてやらせるというよりもそういう災害が避けられるんじゃないかと思うんですけれども、その点はどうですか。
○政府参考人(松崎朗君) フレックスタイム制度でございますけれども、これは御案内のように、これは始業と終業の時刻、そういったものは労働者に任せられているわけでございますけれども、例えばコアタイムでございますとかの設定でございますとか、さらに業務の遂行方法などについては使用者、上司の具体的な指示を受けるということでございまして、これは、従来からこういう制度はあるわけでございますけれども、なかなかこういった、自由度が足らないということだと思いますけれども、普及といいますか活用されておらないのが実情でございます。
 そういったことで、やはり基本的に全体について自分の裁量でもって働けるといった、特に企画業務型裁量労働制といったもの、そういったものが労働者の働き方のニーズといいますか、いろんな働き方の一つの形態として活用されるのではないかというふうに考えています。
○今泉昭君 いや、フレックスタイムの実態はよう私も知っているつもりでございますけれども、逆に、新聞記事なんか読んでみますと、今回の裁量労働の規制緩和ということをにらんで、ホワイトカラーはみんなもう裁量労働の対象にしちゃうということを公言をする有名な企業経営者もいるわけですよ。ホワイトカラーイグゼンプションというアメリカの制度をそのまま導入する一つの取っ掛かりにしたいと、こういう考え方なんですね。
 しかし、そういうものを阻止する意味でも、それはフレックスタイム、いろんなやり方がありますよ。コアタイムを短くするか長くするか、この調整次第によっては幾らでもできるわけですから。そういう意味では、むしろこの裁量労働の在り方というのはもう一回検討し直す必要があるんじゃないかなという気持ちがあることを申し上げておきます。
 それから次に、具体的なことをちょっとお聞きしたいんですが、時間も大分迫ってまいりまして、現在、この裁量労働の対象業務となっているようなものはどういうものですか、ちょっとお示しください。対象業務、それから非対象業務。
○政府参考人(松崎朗君) これは企画業務型裁量労働制だと思いますけれども、これは法律上の要件に従いまして、指針で、大臣告示でございますけれども、指針で具体的な業務の例というものを挙げてございます。
 そういったことで、対象業務となり得る業務の例として、例えば、経営企画を担当する部署におきます業務のうち、経営状況・経営環境等について調査分析を行い、経営に関する計画を策定する業務でございますとか、人事・労務を担当する部署における業務のうち、現行の人事制度の問題点やその在り方等について調査及び分析を行い、新たな人事制度を策定する業務、そういったいろんな例を挙げております。
 また、対象業務となり得ない業務の例としましては、経営に関する会議の庶務等の業務でありますとか、人事記録の作成、保管、給与の計算、支払、そういった業務、それから広報誌の原稿の校正等、それから個別の営業活動の業務、そういったような業務は当たらないということで、かなりいろいろ例を挙げてここに掲げてございます。
○今泉昭君 それでは、こういうことに変更がないかどうか、ちょっと確認をしておきたいと思うんですが、第三十八条の三の、事業運営上重要な決定が行われる事業所においてとの文言を削除することになりまして、具体的にはどのような事業所にこれが広がっていくのか。また、労働基準法三十八条の四第一項第一号に言うところの「事業の運営に関する事項」の意味がこの改正によって変わることがないのかどうか。企業全体に係る事業の運営にかかわる企画等を行う業務という対象業務の本質が変わるということはあり得ないと理解してよろしいんですね。
○政府参考人(松崎朗君) 今回の改正では、法律の三十八条の四の一項でございますけれども、事業運営上の重要な決定が行われる事業場においてということで本社・本店等に限定していると、事業場そのものを限定しているというふうになっておりますけれども、そこのところを削るというわけでございますので、まずは本社・本店等に限られないということになるわけでございます。
 また、現行で、いわゆる要件、対象業務の要件を指針で、先ほど申し上げましたように具体的に示しておるわけでございますけれども、いわゆる四要件というのがございます。一つは、現行で申し上げますと、一つは、企業全体の運営に影響を及ぼす、また二番目として、企画、立案、調査、分析を相互に組み合わせて行う、三として、業務の性質上、客観的に労働者の裁量にゆだねる必要性があるもの、四として、作業をいつ、どのように行うかについて広範な裁量が労働者に認められているものと、こういった四つの要件というものをここに掲げてございます。
 したがいまして、現行ではこうでございますけれども、先ほど申し上げましたように、本社・本店に限らないということでございますから、一番目の企業全体の運営に影響を及ぼすというものについては変更をする必要があると思いますが、あとの三点については変更をする必要はないというふうに考えております。
 また、その方向につきましても、企業全体というんじゃなくて、ある程度企業の中でそういった事業場単位なり地域のグループ、そういったところで独自の事業戦略といいますか、そういったものを立て、遂行する権限をちゃんと委任されてといいますか、権限を与えているようなところを想定しておりますので、そういったところの事業場全体でありますとか地域の事業場グループ全体といったような表現になろうかと思いますけれども、そういった方向でまた今後詰めていきたいというふうに考えています。
○今泉昭君 もう与えられた時間が七分程度になってしまいました。先を急がさせていただきたいと思います。
 今回の規制の中で、いろいろな規制の緩和がなされております。特に、この労働者委員の信任要件の廃止というものが今回出てまいりました。これは、どういうところからこれを廃止されるわけですか。
○政府参考人(松崎朗君) 現在、企画業務型裁量労働制につきまして労使委員会というものを作るわけでございますけれども、労使委員会のメンバー、これは労使双方二名ずつということになっておりますけれども、そのメンバーにつきまして、過半数代表の組合がある場合には組合が指名する者、それがない場合にはその過半数代表者が指名する者ということになっております。
 それにつきまして、従来、現在のところは、いったん指名された方につきましてもまた改めて信任投票ということになるわけでございますけれども、実際の法施行後の運用状況、また企業における労使双方からの御意見、そういったものを伺っても、やはりそれは基本的には過半数組合があればもちろんでございますし、そうじゃない場合も従来からそうやって過半数代表者といったものが意見を代表するわけでございまして、そういったところが労働者の、全体の労働者の意に反して指名するということは事実上ないということで、この信任投票については非常に重複する規制になっているといった指摘もございました。
 そういったことから、これも審議会においていろいろ御議論した結果、こういったものにつきまして、この信任投票につきましては省略してもこの労使委員会の公正性といいますか機能というものは保たれるといったことを判断したわけでございます。
○今泉昭君 多分、前回の改正の法案審議の際に、労使委員会といっても事実上、中小企業の場合は労使委員会がほとんどできていないというような現実を踏まえて、中小企業においても労使委員会が具体的な効果を上げるような措置を検討するようにというような趣旨の附帯決議がなされていたというふうに考えます。これは衆議院の附帯決議だったと思うんですが。これを受けて、現実の実態から見ますと、中小企業は正に労使委員会なんかできっこないんです。できていないんですよね。
 恐らく、実態の姿というのは、中小企業の場合は、一部の有力な発言権の強い人を代表に仕立てて、その人の意向を聞いたことによって労使委員会の決定だなんというのが決して少なくはない、こういう事実を私どもは見る場合もございます。そういう意味で、本当の意味で労使双方の意見を集約するという意味での中小企業の労使委員会の実効性についてのこれまでの指導とか対策を打ってこられましたか。
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、こういった企画業務型の裁量制につきまして本当に中小企業というものが活用しているというのは少ないわけでございまして、この実績から見ましても、やはり大きな企業が中心であるわけでございますけれども、こういった相談を受けた場合、また実際に、現在でいいますと、労使委員会の設置した場合の届出があった場合、また決議した場合、そういった届出があった場合には、そういった内容、やり方につきましてチェックをさせていただき、この法律又は指針等に照らし合わせて問題ある場合には現場において指導しているというのが実情でございます。
○今泉昭君 もう一つお伺いしますけれども、今まで労使委員会における決議は全員ということになっていましたね。五分の四という数字に変えたのはどういう意味なんですか、これ。
○政府参考人(松崎朗君) 現在まで、やはり初めての制度でございますので、そういったような格好で全員一致ということで要件をしていたわけでございますけれども、運営の状況から見て、労使委員会というのが従来の協定と違いまして、一対一といいますか、労使協定と違いまして合議制ということで、いろいろ企業の中でそれぞれ複数のまず代表者が出て議論をするといったことから、やはり非常に適正な、適切な決定というものが行われているというふうな実態があったと私ども考えております。
 そういった中で、これが本当に一名が反対でもあった場合できないのかといった場合、それまで非常に真剣な議論、討議をした結果であればやはり多数決原理であってもいいんではないのかといったことから、いろいろ調整、御意見を伺ったわけでございますけれども、この五分の四という数字は、これは双方二名以上でございます、二名以上、同数、労使同数で二名以上でございますけれども、どんな数になった場合でも、片一方が全員賛成した場合、じゃもう片一方の方は過半数が賛成しないと決議にならないといったぎりぎりの数字として、五分の四ということでございます。
 したがいまして、片一方の代表者、労働側なら労働側の代表者の過半数が賛成が得られない場合には、幾ら使用者側が全員賛成しても決議が提議できないというところの数字で五分の四というふうにしたところでございます。
○今泉昭君 最後の質問になってしまいましたけれども、今回の改正で、企画業務型の裁量労働制についての決議をしなくても、労使委員会で変形労働時間やみなし労働時間などの決議に代わる決議をすることができるといったおかしなことが起こらないかと、こういうふうに思うんですが、この点についてはどのように受け止めていらっしゃいますか。
○政府参考人(松崎朗君) これ、従来から、各事業場におきまして、いろいろ労働条件なり最低条件を決めております労働基準法のいろんな規定、こういったものを特例といいますか、適用除外したり、また弾力化するといった場合に労使協定という制度がございます。それと、こういった場合に、これは労使委員会といいますのは労使協定ではございませんけれども、今申し上げましたように複数の委員が出てやはり労働時間等の問題、労働条件につきまして企業の中の状況、実情をよく知っている者が本当に議論をし、さらにその議論の経過、そういったものは議事録としてきちんと残してそれを各、全労働者に周知するといった義務がございます。
 そういったことで、よりこの労使協議というものがオープン化され、非常により、従来の労使協定が不公正といったわけではございませんけれども、より公正化が担保されるといったことから、こういった現行法におきましても労使協定に代わるものとして労使委員会の決議といったものの代行機能を認めたわけでございます。
 したがいまして、今後におきましてもその基本的な労使委員会の機能、在り方、そういったものは変わらないわけでございますので、今後ともこの協定の代替機能というものは残していきたいというふうに考えています。
○今泉昭君 時間が参りましたので終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(金田勝年君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩といたします。
   午後零時九分休憩
     ─────・─────
   午後二時一分開会
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。午前中の二人の我が党の委員の質問に引き続いて質問をさせていただきたいと思います。
 労働基準法の一部を改正する法律案の審議の前に、今日的な問題について一点だけ触れさせていただきたいと思っております。
 それは、御案内のとおり、今SARSの国内発症、感染の問題が依然として心配されているわけでありますけれども、そういう中で、昨年アメリカで大変流行したと言われている西ナイル熱という、ウエストナイル熱という動物由来感染の問題が、実は今年の夏日本でも上陸するんではないかということで、大変これは心配されているわけであります。
 そういうことを受けまして、厚生労働省の結核感染症課では、「ウエストナイル熱媒介蚊対策に関するガイドライン二〇〇三」というものを作りまして、これ、早ければあした、全国の都道府県にこのガイドラインを配付するというふうに聞いております。
 このガイドラインを見ておりますと、この西ナイル熱というのは、先ほど申し上げましたように、特に動物の由来感染、そして蚊を媒介にしてこのウイルスが人体に影響を及ぼす。人間だけではなくて、特に馬とかそういう家畜、あるいは鳥類、こういうところにも随分この病気が伝染をしているということでございますけれども、こういう意味で、この媒介となる蚊を駆除するために、いわゆる空中散布によって、殺虫剤の、そういうものによってこの蚊の駆除をしようというふうなこともこのガイドラインには入っております。こういうものに対して、化学物質過敏症の人たち、あるいはまたぜんそくなどのアレルギー疾患患者の皆さん、あるいはまた妊産婦やあるいは幼児のそういうふうな人たち、あるいはその親御さんたちから大変この空中散布について心配の念が上がっております。
 したがって、この空中散布の決定はできるだけ慎重にして、その使い方についても過剰な空中散布というものは差し控えるべきだというふうな声が上がっているわけでありますけれども、これらについて、そのガイドラインの中身も含めて、どのように現在検討され、こういう方々に対してどのような答えをしようとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○政府参考人(高原亮治君) ウエストナイル熱でございますが、御指摘のとおり、蚊が媒介する感染症でありまして、米国におきましては、一九九九年にニューヨークに上陸して以来、流行がほぼ米国全土に拡大いたしました。昨年は二百八十四名死亡しておりまして、ワクチンや治療方法もないことから公衆衛生上の大きな問題となっており、日本への侵入が懸念されているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、この病気を感染症法に基づく四類感染症に指定いたしました。そういうことで、国内の患者発生に備えるとともに、国際空港におきます蚊の調査、野鳥を指標としたサーベイランス及び輸入鳥類の監視などの対策を行っております。
 御指摘のガイドラインでございますが、平成十四年度の厚生労働科学研究の研究成果として報告されたものでございまして、平常時の蚊のサーベイランスや緊急時の蚊の防除方法について述べられているところでございます。
 この蚊の防除方法でございますが、本質的には、不必要な水たまりを作らない、環境改善によって蚊の育つ幼虫発生源をなくす、これが最も本質的な方法だというふうに記載しております。しかしながら、ウエストナイル熱による脳炎患者が特定地域で多数発生するなどの万が一の非常事態も想定いたしまして、感染予防のために御指摘のような方法も検討の対象としておるところでございます。
 厚生労働省といたしましても、ウエストナイル熱の媒介蚊対策としては、安易に化学物質の散布等を決して推奨するものではありません。また、御指摘のとおり、化学物質の使用につきましては慎重であるべきでありまして、住民の不安や環境に配慮しながら、感染症の蔓延防止の効果、リスク、そういうものを比較考量いたしまして、化学物質の使用を抑制しつつ、適正な使用が担保されるよう注意を喚起してまいりたいと考えております。
○谷博之君 都道府県にその具体的なガイドラインを配付するときに、今の局長答弁のような内容についてより徹底して指導していただきたいと思っておりますし、それからもう一つ、このガイドラインを見ておりまして、私ちょっと不思議に思いましたのは、この資料七にいわゆる噴霧器の写真入りの紹介とか、それから資料八にはその採集機具及び防除機具類の入手先とか、それから資料九には業者名、取り扱っている関連法人連絡先とか、こういうふうなものが実はこれに、ガイドラインに紹介されているんですが、これ厚生労働省結核感染症課が作成しているガイドラインにこういうふうないわゆる具体的な業者名まで入れるのはいかがなものかというふうな御批判があるようでございます。このガイドラインを作られた編集委員の中にそういうふうな農薬散布の業者とかこういう方々の代表も入っておりますから、当然そういう意味でこのガイドラインができているんだろうと思うんですが、いずれにしましても、これは政府の出す公文書としてはその適正はどうかなというふうな気もいたします。
 いずれにしても、したがって私は要望しておきたいんでありますけれども、こういうふうな資料も含めて、この資料の取扱いについてはあくまで参考であるということをきちっと明記してもらいたいと思うんです。そうしないと、これが公文書として都道府県に流れていきますと、当然ここに何らかのいろんな意図的なものが推察されるような形になっては非常に問題があると思いますので、この点については是非ひとつ慎重に取り扱うようにしていただきたいと思いますが。
○政府参考人(高原亮治君) 御指摘の点につきましては、誤解を受けるといけませんので、厚生労働省結核感染症課名のガイドラインとはしないで、あくまでも研究班から提出された文書として取り扱って周知を図りたいと考えております。また、その慎重な使用というふうなことに関しましても、注意を喚起する課長通知を付けて流したいと考えております。
○谷博之君 是非じゃそのようにお願いいたします。
 それでは、続きまして、この労働基準法の一部を改正する法律案についての質問に入りたいと思いますが、まず、今回の労働基準法の改正案、その中で、有期労働契約期間の上限を一年から三年に延長したということでありますが、これに関連をして、地方公務員法上の臨時任用の期間の定め、これはどのようになっているんでしょうか。
○政府参考人(森清君) お答えいたします。
 地方公務員法の第二十二条でございますが、緊急の場合や臨時の職に関する場合などに限って臨時的任用が認められておりまして、その任期は六か月以内でございますけれども、一回の更新により最大一年まで任用できることとされております。
○谷博之君 では、具体的な話をお聞きしたいと思いますけれども、この臨時任用の雇用契約で実は働いておられる方の中で一番私はすぐ思い浮かびますのは、全国の公設公営の学童保育所の指導員の皆さん、この方々は恐らく臨時任用によって雇用契約を結んで働いておられる方が非常に多いんじゃないかと思うんですけれども、その辺の全体における、指導員全体における割合。それから、今の説明によりますと最長でも一年ということですから、当然一年が過ぎると契約が切れるということになるわけでありますけれども、そういうこの指導員の皆さん方の実態はこの地方公務員法の定めに従って行われているのかどうか、この点についてもお伺いいたしたいと思います。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 放課後児童クラブの児童指導員の雇用形態についてでございますが、これまで厚生労働省として調査をいたしたものはございません。
 全国学童保育連絡協議会が平成十年に行った調査によりますと、公設公営における指導員の雇用形態を分類したものがございますが、正規職員、有償ボランティアを除く臨時的に任用されている職員は八千六百十三人となっておりまして、全体の職員数が一万一千六百十七人ですから、約七四%ということになっております。
 また、期間満了に伴う職員の入替え等についてもお尋ねがございましたけれども、その実態は把握がされておりません。
 厚生労働省といたしましては、毎年一回放課後児童クラブの実施状況の調査を行ってまいっておりますので、先生の今の御質問もございましたので、今年からは雇用形態についても把握できるような調査にしたいというふうに考えております。
○谷博之君 私もこの問題についていろいろ調査をさしていただきまして、一番身近な自分の地元である栃木県の宇都宮市の事例などもいろいろ調べさしていただきました。宇都宮市の場合にはいわゆる委託事業ということになっておりまして、指導員の皆さんはその保護者会と毎年毎年の雇用契約を結んで働いておられると、こういうふうなケースもありまして、この人の場合は、こういうふうな場合には、これは何年でも継続して雇用が続いていくと、こういうことになるわけですね。
 ところが、どうも全国のいろんな調査をしておりますと、先ほども説明ありましたように、半年間、六か月間の更に再契約ということで、一年の、その契約期限が切れる直前に、一日前ぐらいに辞めて、契約を一度それを一応は破棄して、それで更にまた次の日に一年というか、更に再契約を結ぶという、こういう形で三年から五年ぐらい継続して雇用しているという、こういう形態があるように聞いているんです。
 それで、実は埼玉県の鴻巣市というところで、今回の構造改革特区第二次募集で、こういう問題を何とかクリアをしたいということで、三年間こういう指導員の方々がその学童保育の指導員として雇用が結ぶことができるようにということで、こういう申請を実は出しました。総務省の方としては、これは認めるわけにはいかないけれども、しかし今の説明があったその六か月の更に再延長で一年を、これを一回のだから更新ではなくて五回までは認めましょうと、つまり五、六、三年、三年間の地方公務員法上の特例としてこの十月からそういう制度を特区の一つとして認めていきましょうと、こんなようなことを総務省としては検討し決めてきているというふうに実は聞いているわけなんですが、ここら辺の真偽と、それから、ここで実は私は聞きたいのは、こういう地方公務員の有期労働契約と民間労働者のこの問題、これは明らかに冒頭申し上げましたように上限を一年から三年に延長するというこの一つの、今度の法改正とはまた違った形で、これは当然地方公務員法という法律に基づく制度であるからだと思いますけれども、しかしそれはそれとして、私は、労基法でこれだけ議論をされているわけですから、官民の整合性をどのように考えているのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(森清君) 臨時的任用につきましては、先ほども申し上げましたように、緊急な場合とか臨時の職に関する場合などに限っておりまして、いわゆる競争試験などの能力実証を経るいわゆる正式任用の例外ということで位置付けておりますので、そういった趣旨から一回の任期は六か月以内というふうにしているところでございますが、ただいま御指摘の構造改革特区の臨時的任用の特例につきましても、この場合は地方公共団体の要望を踏まえまして、有資格者の後任が確保できない場合とか、あるいは特定分野の人材育成に資する場合などの一定の要件が満たされた場合でございますけれども、三年までの延長を可能とする道を開いたところでございますけれども、この場合でも臨時的任用という性格は変わっておりませんので、一回の任期は現行と同様六か月以内というふうになっているところでございます。
 このように、地方公務員の臨時的任用は正式任用の例外という位置付けにしておりますし、また一般的に公務員の採用は相手方の同意を要する行政処分というふうに解されておりまして、民間の労働契約とは異なる法規制に服するものというふうに解釈されてきております。
○谷博之君 そうしますと、構造改革特区における今回のこの埼玉県の鴻巣市の例は、今の説明ですと、冒頭の半年契約を一回更新可能だというこの考え方を、それを、何というんですか、期間を、一回更新を五回まで更新を認めたということですから、当然これは、私はこの制度というのは従来のこの冒頭の説明からすると逆に矛盾があるんじゃないかという気がするんですけれども、その辺はどのように整理されておられますか。
○政府参考人(森清君) 冒頭申しましたように、一般的な臨時的任用の規定は、地方公務員法の第二十二条ということで、六か月を一回限りという原則があるわけでございますが、今回、構造改革特区ということで、地方自治体からの要望も踏まえまして、総務省といたしましては、その地方公務員法第二十二条の例外を一定の要件、先ほど申しましたような一定の要件がある場合には満たそうということで、あくまで特区としての臨時的な措置をこれはやってみようではないかという全体の御趣旨でございますので、そのような規定を盛り込まさしていただいたということでございます。
○谷博之君 この問題と関連をして更にお伺いしたいわけでありますけれども、反面、その指導員の皆さん方の中には、三年間というふうに、例えば三年契約になったと仮定しますと、途中で自己都合でどうしても退職したいというふうなことになった場合に非常に辞めにくくなるというふうなこと、これは、民主党と与党側との修正協議で、一年目以降は自由に転職できるという、こういうふうな規定になってきているわけではありますけれども、今申し上げましたように、したがって、例えば今、自己都合による退職の問題も含めて、さらには半年の一回の更新の一年というふうなこの期間についても、これは将来、地方公務員法の改正というものがやっぱり私はどこかの時点で考えられなきゃならないんではないかというふうに思っています。この六か月という期間が今の説明によるとそれなりの理由付けを持って決められている期間のようでありますけれども、しかし、そうはいっても、六か月を一年に、一年が二年にという期間の問題でいうと、私は、将来その臨時任用の人たちがそういう一つのポジションでそういう仕事をしていく中で、経験を積めば積むほどそういう仕事に対する順応性もでき、また成果も上がってくるというふうなことも含めれば、やっぱりそれは地方公務員法の改正等によって、ある意味で私は弾力的なそういう検討もしていいんじゃないかというふうに思ってはいるんです。
 したがって、ここら辺の問題について、将来地方公務員法の改正が検討されるとするならば、今言ったような考え方についてどのようにお考えになっておられるか、お伺いします。
○政府参考人(森清君) 構造改革特区における臨時的任用の特例措置につきましては、まだ先般国会で成立したばかりでございまして、十月一日からの施行ということでございますので、この先どうするのかと、先生御指摘のように、いわゆる一般法則化するのかどうかというようなことにつきましては実施後の評価を待つ必要があるというふうに法律上規定されておりますので、現時点において私の方からどうなるということを申し上げるわけにはいかないわけでございますが、基本的に、地方公務員の臨時的任用につきましては、先ほどから申し上げておりますように、一回の任期は六か月ということでございますので、いわゆる長期にわたる人身拘束という懸念はございませんし、また、公務におきましては、職員から辞職の申出があった場合には特に支障がない限り任命権者がこれを承認するということにされておりまして、いわゆる退職の自由についてはもう既に認められているということでございます。
○谷博之君 大臣にお伺いしたいんですけれども、今いろんな、特に学童保育の指導員の話が出てまいりましたけれども、これ今の答弁にありましたように、非常に一年交代を一つの区切りにしながらこの指導員という方々はこういう仕事をやっておられるわけですけれども、しかし、児童福祉法上のいわゆる放課後児童の健全育成という、こういう観点からすると、やっぱりそれはある程度子供と指導員との関係というのは、それなりの触れ合いというものを大事にしながら、期間を掛けてやっぱり成長しあるいは育てていくというふうな関係になるんだろうと思うんですね。
 そうすると、こういうふうな指導員の問題についても、本当であれば、公設公営においては正式な職員というか正式任用によってこういうふうな指導員というものはその事業、仕事を行っていくべきではないかというふうに思うんですが、残念ながら財政の問題等についてもいろいろあって地方ではなかなかできない、地方自治体では難しいということでありますけれども、これらについてのいわゆる地方自治体に対する財政支援も含めて、今申し上げたような正式任用の方向ということを目指していくという、そういうふうな動きに対して大臣はどのようにお考えになっておられましょうか。
○国務大臣(坂口力君) この放課後児童クラブにつきましては、今お話がございましたような職員の雇い方というのが確かにやられていることは事実でございまして、正式に勤めていただいている方もございますし、そういう方もある、混在をしているというふうに思っております。三年間ぐらいもしそこにお見えになるということになれば、そのお子さん方との間の交流ということもございますし、あるいはまた教育の一端も担ってお見えになるわけでございますから、長くお見えいただく方がいい場合もあろうかというふうに思います。
 しかし、ここは今お話ございましたように公務員との関係もございますし、それから公的な施設でない施設もあるわけでございまして、それらの点も踏まえてこれから考えていかなければなりませんけれども、総括的に言えば、できれば少し長くお見えいただく方がそれはいいことだけは間違いないというふうに思う次第でございます。
 ただ、定数が一応決められているものでございますから、全部の皆さん方にそういうふうになかなかお願いできないというつらいところはあるわけでございますけれども、また総務省にもいろいろお知恵をおかりいたしまして、そして長くそういうふうに勤めてやろうというふうに思っていただく皆さん方がおありでありましたら、その皆さん方のお気持ちにこたえられるように、またこちらもお願いのできるようにしていきたいというふうに思っております。
○谷博之君 是非ひとつよろしくお願いします。
 それでは、もう一点、時間の関係がございまして短くなりましたが、質問させていただきます。
 これは、具体的に、岡山県の一般貨物運送事業者、具体的に名前を申し上げますと、川上運輸商事株式会社というところが五十五万円の手数料を取って軽貨物運送の独立開業者を募集して、形式上、業務委託契約というものを結びながら、実際にはその会社の、運送会社の制服を着せてその会社のトラックを運転させ、その会社の取引先の荷物を運ばせていたと、こういう事実がありました。
 これは、どうも内容を調べておりますと、この契約は、労働基準法の第九条によって、極めてこれは労働者性の高い、強いそういう契約だというふうに我々は見ているわけでありますが、これについて、この辺の、事前に質問通告出してありますから、どのようにこのことについて認識をされたか、手短にひとつお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) 労働基準法の第九条でございますけれども、ここで労働者の定義をしておりまして、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」というふうにされております。
 したがいまして、一般論で申し上げれば、この労働基準法上の労働者であるかということに関しましては、契約の形式とは関係なしに、実際に労働者性があるかどうかというところで判断するわけでございますけれども、具体的には、例えば業務に従事すべき旨、これ上司とか会社から指示があるわけでございますけれども、そういった指示に対して拒否できるかどうかといったような点、それからまた報酬が労務対償性があるかといったような点、こういったものを総合的に判断いたしまして個別具体的に判断をするということにしております。
○谷博之君 大臣に、じゃ最後にお伺いしますけれども、この会社は実は今年三月に倒産をしておりまして、未払いの労働債権、これは賃金だということで、今申し上げたいわゆる独立開業者の中には他の債権に優先をして支払を求めているという、こういう動きがあるわけです。これは、商法の第二百九十五条においても先取特権が認められているケースじゃないかというふうに私は思っているんですね。
 こういうふうな具体例を踏まえながら最後にお伺いしたいわけでありますが、こういうふうな事例が私はほかにもあるんだろうと思うんです。そういうふうなことを例えば当事者が労働基準監督署に相談に行くとか、それに対して労働基準監督署がそれを受けて調査をするとか、あるいはその前に、こういうふうな問題が起こったときにどこにそれを相談に行くとか、こういうことについて極めて今のその対応というのはまだまだ分かりにくい部分があり、そしてその対応についてもまだまだ動きが敏感というか積極的ではないというふうな気もいたしておりまして、ここら辺について、その改善をどのように大臣として考えておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 具体的な例につきまして私余り詳しくは分からないわけでございますが、先ほど委員のお話でございますと、業務委託というお話でございましたですね。業務委託ということになると、会社の外側、会社の外側と言いますと言い方変ですけれども、その雇っている企業とは別の企業で、そしてその中に入って同じような仕事をしてお見えになると、こういうケースでございましょうか。違いますか。
○谷博之君 形式的にはそうなんです。
○国務大臣(坂口力君) だから、形式的にそういうことになっているということだと思うんです。
 したがいまして、先ほど局長から答弁しましたように、それがいわゆる単なる形式上のそういうものであって本当はそうではないのか、それとも業務委託なのかということにつきましての御相談は、これはそれぞれの基準局でひとつ御相談に応じさせていただくということになるだろうというふうに思いますし、最寄りの基準局で是非御相談をいただきたいというふうに思いますが、委託であると、業務委託であるということがはっきりすればそれはそれでその行き方がございますし、いわゆる業務委託の形を取っているけれども実際はそうではないということであればこれ非常に難しい問題を含んでいる、違反問題も出てくるといったようなことだというふうに思いますので、よくひとつ、個別問題でございますから、そこは御相談いただきたいと存じます。
○谷博之君 時間が来ましたから終わりますが、大臣の今の答弁にありましたように、形式と実態が違った場合が非常にあるというふうなことがありまして、これらについては、今、大臣の答弁のように、是非ひとつ徹底して関係機関にそうした指導をするような対応を取っていただきたいと、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 労働基準法、今回の法案については、衆議院での修正で解雇権濫用規制、これが法制化された、そこについては本会議でも述べたように評価をしたいというふうに思っております。しかし、重大な問題点多々残っておりますので、ただしたいと思います。
 最初に、解雇規制ルールについて一点参考人にお聞きをしたいんですが、衆議院で我が党の山口富男議員が客観的に合理的な理由を欠くという中身には整理解雇四要件が含まれるかという質問をしたのに対して、局長は含むというふうにお答えになっていると思うんです。含むのであれば何らかの形でこれは明示すべき、明確にするべきではないだろうか、ここを省令などで具体的に明示するべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) 御指摘のいわゆる整理解雇四要件でございますけれども、これは御案内のようにまだ判例ではございませんで高裁レベルの判断の要件でございます。
 これは、新設のこの条文で言いますと第十八の二でございますけれども、ここで明らかにしております解雇権濫用法理、こういった法理の下で、今質問の中でおっしゃいました客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合に該当するかどうかの具体的な判断基準として、高裁レベルでございますけれども、下級審の裁判例において用いられているというものでございます。
 したがいまして、この整理解雇四要件、こういったものを省令に明定するということにつきましては、この解釈というものを法律上はっきりさせてしまうわけでございまして、法律の委任なくこういった解釈を示すということは適当ではないというふうに考えています。
○小池晃君 ただ、そこのところでやはり明確にするということは、これは周知徹底必要だということは再三おっしゃられているので必要だと思うんですね。ですから、省令でなければ何らかほかの手段で、これはやはり施行通達あるいはコメンタール、いろんな手段あると思うんですが、何らかの手段、統一した基準で明文化してやはり周知徹底を担保するということをすべきではないかと思うんですが、その点いかがでしょう。
○政府参考人(松崎朗君) 私申し上げたのは、この法律の今申し上げました客観的に云々というところの解釈として、これは法律、省令、通達、そういったもので具体的な裁判というものを拘束する格好で解釈を示すということは、これは行政法ではございませんので難しいということを申し上げたわけでございまして、ただ、これは従来からやっておりますように裁判例のPRといたしまして、今後この法案が通った場合には、ただいま申し上げました十八条の二のこの解釈といいますかこの運用、そういったものの裁判例、判例、そういったものをまた周知徹底していくわけでございますけれども、その応用例の一つとして整理解雇についてはこういう裁判例があるといったこと、そういったことはパンフレット等できちんとPRはしていきたいというふうに考えています。
○小池晃君 さらに、大きな問題点である有期雇用の問題、お伺いしたいと思うんです。
 最初に、そもそも今回この三年に原則延長していくという拡大によって有期雇用がどの程度の規模で拡大するというふうにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) この有期労働契約の上限期間を今おっしゃったのは一年から三年という点だと思いますけれども、これにつきましては、確かにこういった検討をする前提といたしまして、これはほかの委員に対する御説明でも申し上げたところでございますけれども、いろいろ平成十三年における調査、こういったところもやりまして、現在の実際に有期労働契約で働いておられる方のアンケートでございますけれども、そういった方の中で、やはりもっと長い期間、現在よりももっと長い期間が望ましいといった方が四割近くいるといった状況ございます。
 そういった労使双方からやはり一定のニーズがあるといったことで、この最低基準として罰則をもって規制している労働基準法というものの性格から、一年ということでがちっと決めるというか、決めておくということは緩めてもいいんではないかといったことで今回三年ということを考えたわけでございます。
 したがいまして、こういった背景があるわけでございますけれども、実際に三年にした場合にそれはどれだけ今一年未満の方が三年になるのか、また二年になるのかといったこと、そういったことにつきましてはなかなか定量的に推測することは難しいというふうに考えています。
○小池晃君 定量的にどれだけ拡大するか見通しが持っていないということは、やはり常用代替にならないんだとおっしゃるんですが、私は逆に根拠薄弱ということになるのではないかというふうにも思うんです。
 本会議でも、これは常用代替進むのではないかということを私、お聞きしました。総理は、これは企業戦略で定まるのだから懸念はないというふうに答えた。問題はその企業戦略だと思うんですね。総理は何と言ったかというと、企業戦略、人材戦略の一環として、長期的視点に立った企業内能力開発、労使間の協調的な信頼関係の育成といった点を含め、人員構成、配置、キャリア形成の在り方など、種々の観点を総合的に考慮して定まるものと考えていると。これは結局、企業というのは目先の利益だけ考えるんじゃなくて非常に長期的な見通しを持って、そして長期的な視点、常に欠かさず労働者の能力を生かす方向でしっかり考えて努力していくと、私にはそういうふうに聞こえたんですね。
 これ、厚労省も日本の企業というのはこういう企業戦略を持っているというふうにお考えでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) 企業の経営戦略そのものについて私ども担当が若干違いますので確たることは申し上げられませんけれども、やはり人材戦略といいますか人材活用、そういったマンパワーの活用という面については、ある程度いろいろ学者の先生の御意見等も聴き、また我々も勉強してきたつもりでございます。
 そういった中で、やはり我が国の企業の場合、これだけ、今最近ちょっと調子が悪いわけでございますけれども、これだけ戦後発展してきたこのベースたるものは、やはり一言で、言い方悪いかもしれませんけれども、一言で言えば人的資本主義といいますか人材資本主義、そういったもの、金融資本主義ではないそういったものではないかといったことはよく言われているわけでございます。
 そういったことで、やはり人を大事にする経営、人を大事にする企業といったもの、人を大事にするというのは甘やかすのではなくて、やはりその能力を開発し、その能力の開発に見合った、成果に見合った処遇をしていくということで、労働者も生き生きと働くことができるといったそういった人事制度といいますか、そういったものがやっぱりベースになってきたというふうに評価されているんだと思っております。
 これは、今後におきましてもこういった基本的な部分といったものは大きな変更ではなくて、これが基本になって今後の産業といったもののベースになっていくんじゃないかというふうに私どもは考えています。
○小池晃君 私は、そういう見方というのはちょっと非常に性善説的といいますか、今の日本の企業の在り方というのは果たしてそのようなものだろうかと。先ほど局長は、短期的な視点の企業もあるけれども、そういうところつぶれるとおっしゃったんですけれども、そういう企業こそ今幅利かせているというそういう実態が私はあるんじゃないかと思うんですね、もっとリアルに見るべきではないかと。
 本会議でも指摘しましたが、企業はどういう戦略持っているかというと、国民生活白書でこう言っているんです。今後の雇用拡大について、新規学卒者の採用を拡大すると答えた企業は九%です。それに対して派遣労働者の拡大と答えたのは三七%、臨時、パートの拡大は三八%です。国民生活白書ではこうした企業戦略が若年の雇用の悪化を招いているというふうに書いているんです。
 具体例で言うとどうか。例えば、航空三社の客室乗務員がこれは契約社員化しているわけです。これ、九四年から客室乗務員の新卒採用は原則として契約制です。九七年には正社員八千五百人に対して四千五百人、だから三五%が契約社員です。全日空では契約制が全体の四三%になっています。今もう新規採用はなくなったのでだんだん減ってはいるんですが、そういう状況です。現在も、すべてが契約社員を経て正社員になると。三年後に正社員になるんだけれども、査定があって全員なれるとは限らない。契約制の期間は時給制。月給は十五万から二十万で、正規社員の半分であります。契約は一年ごと更新で、最長三年まで。更新できるか正社員になれるか不安だから病気でも休めないと、こういう実態が言ってみれば日本の代表的な企業である航空三社で起こっている。
 東武鉄道の一〇〇%子会社、東武スポーツというところがあります。ここでは何が起こったかというと、正社員だった女性労働者、あるいはその東武が持っているゴルフ場のキャディーさんとか保育士七十人、これもみんな明確な理由なく契約社員扱いになったんです、去年。いったん全員解雇して契約社員として再雇用だと。有期の契約社員になると一年ごとの契約、賃金はすべて出来高払、月平均では十数万円の賃下げになると。昇給はない。次の年の再雇用の保証もない。
 航空三社、東武、本当に代表的な企業でこういう事態が今起こっているわけですね。一層広がっていると思うんです。
 私は、日本有数の企業が、このように長期的な視点を持って、先ほど局長おっしゃったように、人が資源だと、人を育てるんだというようなことではなくて、とにかく目先の経営を少しでも楽にしたいんだと。マンパワーの確保は、もう低賃金の有期、パート、派遣、不安定雇用でやる。私は、今これが日本の企業の経営戦略のだんだんだんだん基調になりつつあるという状況になってきているんじゃないかと思うんですが、局長いかがでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、感じの、感想の域を出ないのかもしれませんけれども、やはりそういったことが確かに現在も起こり、過去かなり何かはやったといいますか、流行したといった感じは持っております。
 しかしながら、午前中も申し上げましたように、今その反省というものが起こりつつあるんじゃないのかと。特に、これは申し上げましたように、商社の話でも申し上げました。また、日本を代表する有数なある製造業でも、技能の伝承といったものも、もう技能の伝承が途切れてしまったと。このまま行ったら五年後にはもう本当に我が社の技能がなくなってしまうという危機感を持って、技能をどうやって伝承していくかということで、正規社員の採用、更には中高年の、更には定年後の、定年延長しながら技能を伝承していくといったことを再構築しようといった企業が出ております。
 そういったように、確かに表面的に目先のそういったものを追うというのもあるかもしれませんけれども、大勢としては、やはり将来的に考えてだんだんいくという一つの反省が起こっているんじゃないかというふうに私は期待しています。
○小池晃君 そういう企業は本当にごく少ないのではないかなというふうに私は思います。
 六月十日に内閣府が取りまとめた、先ほども議論になりました五百三十万人雇用創出プログラム、これ見ましても、ほとんどサービス業ですね。それで、二〇〇五年までに五百万人、二〇〇七年までに六百万人、最大六百四十三万人の雇用創出うたっているんですが、この目玉、これ派遣業ですよ。約二百万人が派遣業、警備業などとされているわけですね。
 これは、派遣労働などの不安定雇用が雇用の最大の受皿であるというふうに政府の方だって認めざるを得ないという状況があるんではないだろうかと。当面の雇用のやはり受皿として、正規雇用というよりは、不安定雇用の拡大に頼らざるを得ないということは、私は政府自身の戦略の中にもう現れてきているのではないかというふうにも思うわけです。
 こういう中で、この間、御答弁されているように、常用代替への、常用代替は起こらないと。確かに、三年雇用になったとしても、今、正規で雇われている人がみんな有期雇用に代わるということは、それは直ちに起こらないというのはそれは確かにそうかもしれません。
 しかし、私は、これ、三年というふうになれば何が起こるか。これは、新規学卒者の雇用、こういうのは専ら有期でやっていこうというふうになるんじゃないだろうか。これが主流になっていくということは否定できないんじゃないか。あるいは中高年のリストラのために、この三年雇用ということを活用していくという企業が出てくる、これは大いに考えられることではないかと思うんですが、そういう危険性、局長はお考えになりませんか。
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、そういった点も懸念はあるわけでございますけれども、やはり実態といたしましても、確かに、有期といいますか、日雇プラス臨時という方の割合というのは、平成九年の一〇%ぐらいから平成十四年の一三%ぐらいまで徐々に増えております。
 しかしながら、これは、新しいこういった三年とか、こういったものは新しい制度ができたことによる増加ではなくて、やはり全体の、トータルとしての流れじゃないかと思っておりますし、またこういった制度につきましては、やはりこの制度を作ったからこれによってということになりますと、やはり企業においてもアンケート調査、そういったものによりまして、こういったやはり契約というものは双方の納得でするわけでございますし、またいい人材を採ろうとした場合、そうした場合にはやはり相手の条件といったものも考慮しなければならないといったことから、やはりその人材のこと、何でもいいというのならまた別かもしれませんけれども、そういった点を含めまして、そんなに一挙に代替といったものは急激に進むというふうには考えておりません。
○小池晃君 局長も懸念があるというふうにおっしゃるわけであります。
 大臣、今までの議論を踏まえてお聞きしたいと思うんですが、今回、有期三年、そしてさきの派遣法で派遣三年。私は、こういうやり方をすれば、新規学卒者の採用を有期あるいは派遣ということで三年、こういうふうにやろうという企業出てくる危険性が非常に大きいと思うんですね。例えば、大卒で二十二歳。三年有期で二十五歳。六年で二十八歳。若い力できるだけ利用するだけ利用して、企業戦略に合わせて雇止めをしていくということだって考えてくる、こういうやり方、私は急速に広がらないというふうには言い切れないと思うんですよ。
 あるいは、中高年リストラの手段として、今、会社分割して子会社へなんということを大分やっています。NTTリストラなんか典型ですけれども、そういう手段の一つとして遠隔地への配転、あるいは賃金切下げ、そしてあるいは三年有期を選んでくださいというようなことに使われる危険性というのは大いにあるんじゃないかと。
 私は、三年になるというのはそういう意味では非常に企業にとっては使い勝手のいい制度になる、今までの有期雇用と私は質的に違う形で広がっていくという危険性があるのではないかということを大変強く懸念をするわけですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) 私は、現在のままで、いわゆる常用雇用と、そして派遣業やあるいはまた契約雇用というものがなかった場合に、常用雇用とパートなどがずっと中心になっていく、常用雇用かパートかという私は選択になっていくだろうと。確かに、パートの部分、どんどんどんどんこれは増えてきているわけですね。
 それで、私は、パートという形がずっと増えていくということがいいのか、それとも有期雇用のような形で、これは有期ではありますけれども雇用であることには間違いがないわけで、私は、そうしたパートよりも有期雇用という形になって、そしてそれがおっしゃるように三年なら三年、そしてまたそれが六年になるということになる人もあるでしょうし、三年のところで、それじゃ、お互いに、常用雇用になってくれますかということになる人もいるだろうと私は思うんです。
 お若い皆さん方、よく言われますように、七、五、三と言われますように、三年、五年、七年というふうなところでどんどんと若い人たちも自ら辞めていくという人たちも多いわけでございますから、双方が、よし、ここでそれじゃ頑張ってくれますか、是非ひとつお願いしますよというような形で、それが三年目なのか、六年目なのか、五年目なのか、それはそれぞれにケースによって違うと思いますけれども、なるということは私は多分にあり得るというふうに思っております。
 したがいまして、小池議員がおっしゃるように、常用雇用対契約雇用という形で見ました場合と、一方においてパートとかアルバイトとかという皆さん方と比較をした場合のこの契約雇用というものとの位置付けというのは、私はこれは違うと思うんですね。そうした意味で、多様化されてまいりましたし、そしてより良い仕事の場というものが与えられるということにも私はなり得るというふうに思っております。
 そして、そこから先どうなるかということについては、それは先日来、私、申し上げておりますように、経済の動向というのが非常に大きな影響を与えることだけは間違いがないというふうに思っております。いわゆる需要と供給の関係によって大きな影響を受けることは事実でございますから、そういう意味で経済の状態を良くしていくということは、これは非常に大事なことだというふうに思っておりまして、そうすれば自然に常用雇用の方に流れていくと私は思っている次第でございます。
○小池晃君 大臣のお話をお伺いすると、パート、アルバイトということとそれ以外という分け方をされるんですが、私はそういう分け方は妥当ではないんではないかと。本当の正規雇用ということと、やはり契約社員、有期雇用ということは、これは決定的に身分違うわけですよ。
 三年と言うけれども、別に三年保証されるわけじゃない。三年を上限として使用者が決めるわけです。三年になったからといって三年間契約が、雇用が保証されるということになるわけではないわけですね。
 そういう点で、こういう非常に不安定な、特に若年者にとってみれば先の見えない雇用という、それでもパートよりいいんだ、アルバイトよりいいんだ。私はそれでは済まないんじゃないかと。やはり、未来ある青年労働者が本当に将来展望できないような、そういう有期雇用という形にどんどんどんどんその入口が閉ざされていくということで果たしていいんだろうか、こういうやり方でいいんだろうかということを私言いたいわけです。
 将来、常用雇用が立て直っていくと、常用雇用中心の、大臣何度もいろんなところでおっしゃっていますけれども、そういうふうにおっしゃっている。それはそれで私どももそうだというふうに思うんです、そういうふうにしたいと。日本経済を立て直して、やはり常用雇用中心で完全雇用ということを実現するような社会に向かっていくんだと。それは大臣と私、おっしゃること、同感であります。
 しかし、今これだけ厳しいときに、じゃ何をすべきなのかと。どんどんどんどん不安定に流れるというのは、これは別に政策でやらなくたってもう労働者そうせざるを得なくなっている。企業の方も、そういう行動を取っているわけですね。そういうときに、怒濤のように不安定雇用が進んでいる、そういうときに厚生労働省はこういう流れに立ちふさがることこそ私は厚生労働省の役割ではないかというふうに思うんですよ。こういう流れに歯止めを掛けて、やはりしっかり正規雇用を拡大させていく、そんなこといったって企業はなかなかやれないわけですから、そこで頑張って拡大させていく、そして雇用の安定化の方向にこの流れのかじを切り替えていく、これこそ私厚生労働省の仕事だと思うんです。それ抜きに厚生労働省なんて何のためにあるのかということになるんじゃないか。
 それなのに、今回のように三年雇用という形で有期雇用を拡大していく、不安定雇用を促進していく、そういう政策を取ることは、私は、将来常用雇用中心の時代にしたいんだという大臣のおっしゃることと照らしても大変矛盾がある。こういう流れ、こういう時代だからこそ、私はしっかりと今の雇用の不安定化という動きに対して、歯止めを掛けることこそ厚生労働省の仕事であるというふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) そこが小池議員と違うところなんです。現在のままでほっておけば、これはアルバイトのままでいくかもしれない、パートのままでいくかもしれない。より不安定になってしまう。より不安定な人が多くなっている。この現実を、できるだけ正規の方に近づけていくことの方が私は大事だというふうに思う。
 このままだったらそれはアルバイトの人は増えるかもしれないですよ。だから、今フリーターと言われる人たちが増えてきている。この状況を、いわゆるパートやアルバイトだけをやっているという人ではなくて、少なくとも三年なら三年は、あるいは五年なら五年は、これはちゃんと正規の、それは契約であろうと、正規のこれは職員だというふうに、従業員だというふうになるようにしていくということの方が私は大事だと思う。方向は別に私は間違っていない。
 ただ、これから先、しかしそうはいいますものの、これをだんだんといい方向に向けていくためには努力が要るというふうに小池議員がおっしゃるのであれば、私もそれはそのとおりというふうに思っておりまして、それはそういういい方向に流していかなけりゃいけないですから、努力はしなければならないというふうに思いますけれども、今のままで置いておくよりも、私はそうした方向で新しい働き方を認めて、そしてできるだけ常用雇用の方向に向けて流していく流れを作っていくということが今我々に課せられた仕事だというふうに思っているわけであります。
○小池晃君 長く働きたいという希望にこたえる、そういう方向に持っていくということであれば、私はほかにやるべきことがあると思うんですね。やはり、今の不安定な雇用の中身というか、均等待遇の法制化、こういうことこそ本当にやっていくということも必要だろうし、長くとおっしゃるけれども、先ほど言ったように、三年にしたからといってこれは三年雇用が保証される制度ではありません。使用者の側に上限が一年から三年になるだけでありまして、これは幾らでも短くするということは可能なわけであります。三年になるから三年保証されるというわけじゃない。
 しかも、長くと言うんだったら、雇止めこそ歯止めを掛けるべきと私思うんです。大臣、そういうふうに長くという方向で、できるだけそういう方向にこたえるんだと、一歩、二歩でも前進だとおっしゃるんであれば、大臣は衆議院で、有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準を定めるというふうに答弁されていますけれども、私はこれはすごい大事だと。やはりこういう基準というのを、告示レベルにしないでしっかり立法化を含めて本当に実効のある制度に、雇止めを食い止めるという中身にしていく、こういうことこそ必要なんじゃないですか。今の大臣の御答弁に照らしても、私そういう方向が求められていると思いますが、いかがでしょう。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
○国務大臣(坂口力君) できるだけそういうふうにしていきたいというふうに私も思っておりますが、しかし、雇われる側も一年で辞めたいという人もあるわけですよ。一年で辞めたい。だから、野党の皆さん方からも申入れがあって、一年たったら、申入れがあれば辞められるようにしてほしいというお話があって、それも一年を経過をすれば自由に辞められるようにしたわけであります。
 ですから、中学校や高等学校や大学を卒業した皆さんの中にも三年、五年というような期間でどんどんと辞めていく、半分ぐらいは辞めていかれるわけでありますから、そういう事態もある中でどういう安定雇用を作り上げていくかということは、いわゆる試し運転みたいな期間も要るわけですね、お互いに。雇う側も要るかもしれない、しかし、雇われる側も要るかもしれない。
 そうした中で、よし、自分はやっぱりこの企業の中でならやりたいと、このまま勤めたいというふうに思う若い人たちも出てくるでしょう。また、雇った経営者の中にも、この青年なら是非ひとつ常用雇用としてどうしてもこれは残ってもらいたいという人たち出てくるだろうと思うんですね。これ一致しないといけないわけですから、私はそういう関係を自然に作っていくということが大変大事だというふうに思うわけです。
 先ほどおっしゃったように、無理に辞めさせるといったようなことが、それは余りそういうことを認めるようにしちゃいけませんから、そういうことに対する歯止めも何か作らなきゃいけないでしょう、そうしたことも考えていきますということも申し上げたわけです。
○小池晃君 それから局長に、そういう歯止めは私は絶対に必要だというふうに思います。
 局長にお伺いしたいんですが、新卒者の採用、やはりこういう有期がどんどん拡大するようなことについては、これは何らかの規制を行うべきではないんだろうかと。あるいは中高年のリストラの手段に利用される、こうしたことに対する歯止めも必要なんではないか。常用雇用の代替にならないんだと、そういう懸念ないんだというふうにおっしゃるんであれば、是非そういう歯止めの措置、これは必要ではないかというふうに考えるんですが、その点はいかがですか。
○政府参考人(松崎朗君) ちょっとこれ最低基準という労働基準法の範疇から離れるかもしれませんけれども、まず、新規採用の場合、これは正に新しく採用の自由ということで、正に双方の労働契約の締結なわけでございます。そういったときに一定の歯止めをという、一定の方向付けといったこと、これは大きな契約自由の原則の変更になるということで、これは慎重な検討が必要だというふうに考えております。
 また、中高年を始めといたしまして、いわゆるリストラによる解雇とかそういった問題をおっしゃったと思いますけれども、そういった問題につきましては、やはり解雇でございますとか、それから就業の変更、労働条件の変更、賃金の切下げといいますと、これは契約変更ということになるわけでございまして、それぞれ裁判例、判例におきましても、いろいろ合理的な理由がない限り、単純に言ってしまいますと、合理的な理由の判断ということでその効力が有効、無効というふうに判断されるといったような裁判例が集積されていると思っておりますので、そういったところで担保されているんじゃないかというふうに考えております。
○小池晃君 いや、私が言っているのはそういう一般論ではなくて、有期雇用を拡大するという、そういうことであれば、それで常用代替の懸念はないというふうにおっしゃるんであれば、中高年のリストラなんかにこの有期雇用がどんどんどんどん利用されるようなことがないような、判例というふうにおっしゃいました。そういった判例に沿って、例えばそういう歯止めを、出向や転籍、契約変更が人権侵害を伴う場合などの歯止め、この有期雇用に関して、そういったものも必要なんではないかと、そういう歯止めも作る必要はないというふうにおっしゃるんですか。
○政府参考人(松崎朗君) そういった点は、今申し上げましたように、やはり契約なり就業規則の変更といった問題になりますので、民事上の判断によるというふうに考えています。
○小池晃君 私は、一方でこれだけ不安定雇用を拡大するというようなことを出してくるのであれば、歯止めを徹底的に掛けるということは最低条件だと思う。歯止めなくして有期雇用の拡大を図るということは、懸念はないとおっしゃるけれども、常用代替を促進する、雇用不安をかえって強めるということになるのではないかという懸念をますます強めるわけであります。
 引き続き、裁量労働制の問題お聞きしたいんですが、先ほども議論ありました過労死の問題です。昨年度、過労死、過労自殺の実態についてまとめが出されました。これによれば、過労死百六十件、過労自殺四十三件、増加の原因は認定基準の緩和なんだという説明がございました。
 しかし、先ほども議論ありましたが、私、この脳・心疾患の労災認定の対象者をざっと見ますと、専門技術職、管理職、事務職、こういった人が多いわけです。なぜこうした職種に過労死あるいは脳・心疾患の労災認定が多いというふうに分析されているのか、お聞きしたいと思う。
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、これは昨日発表したものもそうでございますけれども、ここ数年来の傾向でそういった点があるわけでございます。
 ただ、今、委員がおっしゃいましたのは、専門技術職、管理職、事務職に多いということを言われたわけでございますけれども、また一方、年齢層で見た場合に、やはり五十から五十九歳の層が非常に突出しておりまして、その次に四十から四十九という、要するに我々一般的に、常識的に考えられる年齢層の方が多いということでございまして、やはりこういった年齢層の方、先ほど言いました専門技術職でございますとか管理職、そういった方が、やっぱり中高年齢者が多いといったところ。さらに、中高年齢者につきましては、これは一般健康診断等でもやはり有所見という方が半分といったようなことがありますように、いわゆる生活習慣病といいますか、成人病といいますか、そういった兆候を示す方が出てきているといった点、そういった年齢構成、そういった点から影響しているんじゃないかというふうに考えております。
○小池晃君 そういったって、別に四十代、五十代の人の中で専門技術職が圧倒的に多いわけじゃないわけで、それはおかしいですよね。それは、五十代に多いのはそれは年齢的にそれは当然でしょう。しかし、その中であっても、職種別に見れば専門技術職、管理職というところが突出しているというのは、やはりこういった職種に長時間労働あるいは裁量労働制とかみなし労働の対象の人が多いわけですけれども、こうした職種のやはり専門技術職あるいは管理職といった人たちの長時間労働ということが背景にあるということも、一つの背景としてあるのはこれは当然ではないですか。
○政府参考人(松崎朗君) 特に、おっしゃったような専門技術職、管理職それから事務職、そういったところに長時間労働が多いといったようなところをリンクしてというふうには、私どもも詳しい分析というのはできていないというのが実情でございます。
○小池晃君 これは大事なことですからしっかり分析してください。
 私は、今回この裁量労働制の対象者となる業種に過労死なんか一杯出ているわけです、これ適用拡大するとどういう事態になるのかということを想像すると、大変背筋が寒くなるわけであります。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 大臣、大臣は医師でもあります。私も現場で医師をやっておりました。やはり心・脳疾患、心筋梗塞あるいは脳梗塞、脳出血、もう本当に突然の出来事で倒れる。一家の大黒柱を失う。本人の無念さももちろんですし、家族の苦痛、あるいはその後の生活の困難、大変な苦しみである。私は、こういう疾患が本当に業務に起因するなんということは絶対にあっちゃいけないことだというふうに思うんです。大臣としてこういう過労死の実態というのをどう考えておられるか。
 大臣は、もちろん過労死は根絶しなければいけないというふうに、そういう認識だと思うんですが、その点、こうした事態を生まないように、私は、厚生労働省、これは医療の厚生省と労働の労働省一緒なわけですから、本当に省を挙げてこういう過労死を起こさないという立場で、省の全力を挙げることが私責務ではないかというふうに考えるんですが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 小池議員が今御指摘になりましたように、過労死といいます場合には、脳内血管におけます障害、それから心臓疾患等々、そうした病気が中心でございます。ですから、特に年齢的にもそうした脳内障害やあるいはまた心臓障害等が起こしやすいような年齢になってくれば、なおさらのこと起こしやすい状況になっているというふうに思われます。
 したがいまして、こうした皆さん方が過労死にならないようにしますためには、働く時間というものを企業がやはりある程度守っていくということがこれはどうしても大事なわけで、同じような時間でも人によりましてそのことが受けるストレスは違いますから、同じような仕事でありましても人によりましてそれを受けるストレスの強さが違って、そして障害を起こす人もあれば起こさない人もある。それはあり得ることだというふうに思いますけれども、トータルでいえば、できる限り過労死を起こすような時間を少なくしていく、いわゆる労働時間を抑制をしていくということが常に大事でございます。
 しかし、企業におきましても、何か特別な状況がありますときに、一気にその仕事をやってしまわなければならないということもそれはあるでしょう。そうしたことはあるというふうに思いますし、例えば学校などにおきましても、何か特別な行事をやらなきゃならないというようなときに、校長先生だとか教頭先生というのが亡くなられるというようなことがよく報告されておりますから、そうした問題もございましょう。
 そうしたときに、どうやはり健康管理をしていくかということをお互いにふだんから考えてもいただかなければなりませんし、そのために、そういうときにどういうふうにしていくかということも、やはりこれは健康管理の一つの指針として我々も示す必要があるのではないかというふうに思っている次第でございます。
○小池晃君 大臣も、時間も大事だというふうにおっしゃったんですけれども、本当に労働時間、大事だと思うんです。
 その点で、脳・心疾患の労災認定の問題についてお聞きをしたいんですが、労災認定において労働時間、これはどのように評価をされているのか。またそこで、労災認定における労働時間の定義はどういうことになっているのか、お分かりでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) これは、いわゆる過労死の基準でございますけれども、これは平成十三年十二月に改定いたしまして、これによって今やっておるわけでございますけれども、ここで言っております労働時間というのは、実労働時間といったものをベースにして算定してやっておるというものでございます。
○小池晃君 今の過労死基準にはこういうふうにあるんですね。労働時間の長さは業務量の大きさを示す指標であり、また過重性の評価の最も重要な要因でもあるので、評価期間における労働時間については十分に評価することと。脳・心疾患の労災認定において最も重要な要素が労働時間であるということは、これは間違いないというふうに思うんです。
 局長、それはそれでよろしいですね。
○政府参考人(松崎朗君) 基本的には、その労働時間の長さといったものを着目した場合にはそういうことが言えるということでございます。
○小池晃君 正に労働時間を把握することなしに労災認定もできなければ、使用者は労働者の健康管理を進めることもできないと思うんです。この最も大事な労働時間の把握について、今回の法案の法文上、裁量労働制を採用した事業所の使用者に労働時間把握の義務はあるんでしょうか。また、把握しなかった場合の罰則はあるんでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) 裁量労働制といいますのは、これは法律上の要件がございますように、業務の性質上云々とこれありますように、具体的な作業の進め方、それから時間配分、そういったものについて使用者が指示をしない、大幅に本人に任せているというものでございます。したがいまして、具体的な実労働時間、労働時間の把握というものは使用者はしないということがこの制度の趣旨でございます。
○小池晃君 しかし、たとえ裁量労働制であっても、使用者には労働者の健康を守る責務があるわけです。健康を守るために労働時間の把握する、これは当然のことじゃないんですか。労災認定においても最も大事なのが労働時間の把握なんですから。それなのに、労働時間を把握する責務もない、罰則もないと、こういうことで労働者の命を守っていくということができるんでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) 今申し上げましたように、裁量労働制といいますものは、業務の遂行方法を大幅に労働者の裁量にゆだねているというものでございます。したがいまして、使用者が具体的な指示をしないというものでございますから、使用者が対象労働者につきまして具体的な時間というものを指定したり管理をするといったことは制度の趣旨からいってなじまないわけでございます。しかしながら、労働者につきましては、命、健康、それから安全といった、危険から保護する義務、いわゆる安全配慮義務というのは元々使用者にございますけれども、この安全配慮義務はなくていいというものではもちろんございません。
 したがいまして、裁量労働制に係ります指針におきましても、この点をその指針の中でも明示をしておりまして、事業者は、裁量労働制対象労働者及び管理監督者についても、健康確保のための責務があることなどにも十分配慮して云々というふうに過重労働の対策の中でも言っておりますけれども、そういった責務があるということを前提にして、企画型裁量労働制につきましては、労働時間の状況を把握するということで、実労働時間ではございませんけれども、例えば会社の在社時間といったような、労働時間の状況を把握する責務があるというふうにしているところでございます。
○小池晃君 労働時間の状況の把握、労働時間の把握、この二つはどう違うんですか。
○政府参考人(松崎朗君) 労働時間の状況の把握といいますのは、この指針の中でも具体的に言っておりますように、在社時間といいますか、労働を提供し得る時間、在社時間、在室時間、そういったもの。また、具体的な労働時間そのものの把握といいますのは、何時から何時まで働いて、何時何分から何時何分まで働いているという、正にその実労働時間というものでございます。
○小池晃君 私は、健康管理をするのであれば、時間の管理をしろとは言いませんよ。それは、裁量労働制というのはそういうものだからと、そういうふうにおっしゃるんでしょう。しかし、時間の把握をするということは、これは健康管理上どうしたって必要じゃないですか。何で実労働時間の把握としないのか。
 例えば、「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置等」という文書を出されていますが、その二の(三)ではこう言っています。「基発第三三九号「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」に基づき、労働時間の適正な把握を行うものとする。」と。これはやっぱり労働時間を把握する、これは使用者の責務だとなっているわけです、これに照らしても明らかだと。
 局長は、衆議院の審議で、実際の労働時間を把握して管理するということになると、これは実質的に裁量制ではなくなるというふうに言っている。たとえ局長が言うように、管理は労働者の責任だというのが裁量労働制の趣旨だとしても、労働者の健康を守る責務というのはそれとはまた別にあるわけですから、やっぱり労働者の健康管理をするためには労働時間を把握をする、管理ではなくて把握をする、これは使用者の責務ではありませんか。
○政府参考人(松崎朗君) これは繰り返しになりますけれども、労働時間の把握をするということは管理につながって、結局、裁量労働制、実質的には御本人に裁量性はなくなってしまうということで、これは裁量制の本来の趣旨というものをないがしろにして、制度の趣旨から外れるというふうになると思います。
○小池晃君 しかし、一方で、先ほどからおっしゃっているように、健康管理に責務があると。やはり実労働時間の把握を使用者の責務としないということであれば、例えば労災事故が起きた場合、労災認定はどうなるのか。不可能になってしまうんじゃないか。裁量労働制の労働者が命を落としても何ら救済されないということになってしまうんじゃないか。
 これは、労基法第三十八条にはこうあるんですね。健康と福祉の措置は義務だというふうになっているわけですから、この労基法三十八条の規定が、労働時間の把握しなければ全く空文化しちゃうんじゃないですか。もし労災認定という場合に、じゃ、どうやってその時間を判断をするわけですか。
○政府参考人(松崎朗君) 具体的な労災認定の場合の労働時間の把握でございますけれども、これは、実際の業務日報でございますとか、事業場のいろいろかぎを開けたり閉めたりといったような記録、それからそういったようなできるだけ客観的な資料、そういったもののほか、御本人のいろいろメモ、またパソコンの稼働時間であるとかそういったものもございます。それから、関係者からの実際の聴取、そういったことによりまして御本人の労働時間というものを特定して、その労働時間によりまして業務の過重性の評価を行うということにしているところでございます。
○小池晃君 客観的な資料が必要なんだというふうにおっしゃいました。しかし、実態はどうだろうか。
 これ厚生労働省の裁量労働制に関する調査を見ると、労働時間の把握方法について、企画業務型の裁量労働の労働者で自己申告というのは六九・八%ですね。タイムカード、ICカードというのはわずか一一・一%なんですよ。客観的資料なんてこれじゃ存在しないじゃないですか。労災認定のしようがないじゃないですか。
 その労働時間の状況の把握だと、百歩譲ってそう言うのであれば、だったらば、こういう状況を放置しておいていいのかと。やはりその入退室時間、出退勤時間をきちっと把握すると。これ自己申告なんかじゃ駄目ですよ。客観的資料をやはり義務付ける、このくらいのことをしないと、これ全く過労死防止になりませんよ。そこのところ、どうなんですか。
○政府参考人(松崎朗君) この実労働時間というのは、正に自分の裁量でもってどういうふうに配分するか、どういうふうにやるかということを任しているわけでございますので、そこのところに使用者が実質的に管理を行うといったことは、制度の原則といいますか、制度の趣旨からいってそぐわないというふうに思っております。ただ、健康管理といいますか、そういったものは使用者の責任であることは間違いございません。
 したがいまして、この裁量型につきましても、今回の改正でいわゆる専門業務型につきましても要件とするわけでございますけれども、健康・福祉措置、こういったものを事業者の責務としてきちんと位置付けるわけでございまして、その前提として在社時間といったような、そういう客観的な資料といったものはきちんと使用者が把握するようにということを言っています。ただ、実質的に、その中でどれだけ実際に働いたかといったことについては御本人に任しているけれども、在社時間といったようなものは客観的な資料に基づき把握することが望ましいというふうにしております。
 ただ、さらに、この自己申告については、これは裁量制に限らず、元々労働時間管理というのは客観的な資料に基づいて使用者が行うのが原則でございますけれども、そういうものにより難い場合には一般の場合でも自己申告制、これもきちんと、たしか三三九通達でございますけれども、そこで自己申告する場合の要件といったもの、そういったものを例示を挙げて示してございますけれども、そういったきちんと自己申告制がされるということを前提にして、自己申告制でもやむを得ないといいますか、認めるということをやっておりますので、この裁量労働制につきまして自己申告制の問題といったものは適正に運用される限りないというふうに考えています。
○小池晃君 そのやむを得ない場合は自己申告とおっしゃるけれども、七割が自己申告なんですよ。これでは歯止めになっていないでしょうと。こんなのでいいんですか。やむを得ない場合は本当にごくわずか自己申告だというんだったら、それはある程度、局長のおっしゃることだってうなずけないことはない。しかし、七割は自己申告だというのが実態なんですよ。
 こういう中で、労働時間は管理しないと、もうそれは裁量労働制だから仕方ないんだと。じゃ、せめて、せめてその労働時間を類推する労働時間の状況の把握ということをやるんだというのであれば、今自己申告が七割というのは、こういう事態を放置していいのかと。
 やはり一定の、例えばいろんな、この間やられていますよね、労働時間の把握のためにいろんな基準出されているじゃないですか。サービス残業をなくすということで、自己申告制が不適正に運用されているからと、二〇〇一年四月六日の労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準では、自己申告制が不適正に運用されているからという指摘がされているし、この間、五月二十三日に出された賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針ではこう言っているんです。「特に、始業及び終業時刻の確認及び記録は使用者自らの現認又はタイムカード、ICカード等の客観的な記録によることが原則であって、自己申告制によるのはやむを得ない場合に限られる」としているんですね。
 私は、裁量労働制を拡大する、そのこと自体に反対ですけれども、でも、もしそれをやるというのであれば、せめて最低限命を守るために、ここはきちっとした基準を、やはり客観的な資料を取るんだと。今七割が自己申告なんという状況を放置していいのか。ここに歯止めを掛けること、これは最低限の厚労省の責任じゃないですか。こういう基準を作るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) 御指摘のように、平成十三年の三三九号通達でございますけれども、その中に確かに原則として、今、委員がおっしゃいましたように、原則としては自ら現認するとか、また客観的資料と書いてございます。また、自己申告制により行う場合というのは、行わざるを得ない場合ということで、例外的にはこれでもしようがないと、やむを得ないということを言っておるわけでございますけれども、その要件としまして、その労働者に対してきちんと実態を正しく記録して適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を当該使用者は行うと。それからまた、自己申告により把握いたしました労働時間が実際の労働時間に合致しているか否かについて必要に応じて使用者が実態調査を実施すると。またさらに、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないといったような具体的なこともきちんと挙げて、自己申告制というものが適正に行われるようにやっているところでございます。
○小池晃君 ですから、私は、裁量労働制を拡大するということであれば、それに伴ってやはりこのままでは過労死が出るんじゃないかという指摘、いろんなところからされているわけですよ。
 大臣、ちょっともう大臣にお聞きしたいんですけれども、そういう指摘もあると。このままで労働者の命を守れるのかということがあると。労働時間そのものを把握するのは、これは裁量労働制の本旨ではない。だとすれば、その労働時間の状況というか、入退勤のような問題について、きちっと裁量労働制を取るからには少なくとも健康管理に必要な資料をそろえさせるということをやっぱり使用者には義務付けていくということは、これは最低限必要な措置なのではないだろうかというふうに考えるんですが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) 裁量労働制の場合には、なかなか時間の管理というのは、今、局長言いますように普通の人よりも難しいということは私も理解できるんです。ですから、これは単位時間に与えられた仕事量でしょうね。この仕事量がどうであったかということが非常に大きな過労死であったかどうかということの判断に私はなると思っております。
 それは、同じ徹夜していましても、マージャンして徹夜しておって死んだ人はいないんですからね。それは心の負担にならないですもの。ですから、それはいかに心の負担になるような大きな仕事を単位時間に与えられたか、それによって私は決まってくるというふうに思いますから、裁量労働制のときの過労死の判断というのは今までの判断基準だけでは私はいかないというふうに思っております。
○小池晃君 それは仕事の中身も問題かもしれませんが、最初に大臣おっしゃったように、やっぱり時間というのは非常に大きなファクターとしてあるわけですよ。そのときに、やはり裁量労働制ということになると、きちっとした把握ができなくなるということではいけないんだろうと思うんです。やはり何らかの把握をする手段という客観的な資料ということを、今七割が自己申告でやっているという現状を放置していいのだろうかと。やはりこれに歯止めを掛ける必要があると。いかがですか。
○国務大臣(坂口力君) 一般の方の場合にはその時間というのが大変大事な一つの要素になるということを、そう思っておりますし、この裁量労働制の場合にも、時間の一つの基準というものを放棄しろということを申し上げているわけではありません。できるだけそれは把握をした方がいいというふうに思いますが、しかしそれだけで裁量労働制の場合には過労死の認定をすることはなかなか今までのような仕方では難しくなるだろうということを私は言っているわけでありまして、この裁量労働制を取る人たちに対する判断基準というものは新しくやはり作っていく必要があるということを申し上げたわけであります。
○小池晃君 これはきちっとした基準をやはり作るべきだと。やはり客観的な資料ということを、これは七割が自己申告などということを放置すること許されないと思うんで、やはりきちっとした基準を、資料の提出ということを求めていくということをやるべきだということを、大臣もそういう方向だとは思うんですが、申し上げたいと思います。
 ちょっと最後に、具体例を挙げてちょっと労働時間管理の実態の問題でお聞きしたいんですが、電機メーカー大手の東芝の職場で導入されているACEワークというやり方です。これは横浜にあります東芝の京浜事業所でACEワークという勤務形態、これがあるんです。労働者が希望すると、基本給の二割の業務加算と、それからボーナスにも加算が付くんです。業務加算は残業代に換算すると二十時間分だと。
 このACEワークの実施基準、厚労省には事前にお渡ししてありますけれども、そこにはこう書いてあるんですね。始業、終業時刻は従業員の自主管理とすると。労働時間の把握の項では、従業員は生産機関ごとに勤務実績を勤務表により上長に報告し、上長はそれを確認すると。これは明らかに自己申告制ということになるかと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(松崎朗君) ただ、これは具体的なケースでございますので、いただいた資料だけでは判断はいたしかねます。
○小池晃君 だって、基準にそう書いてあるんですから、判断いたしかねますって、もう自己申告ですと書いてあるんですから、これは明らかでしょう。
 私、サービス残業通達出しながら二年にわたって、二年間たってももう明らかに基準で自己申告でやりましょうと書いてある、こういうことがまかり通っていいんだろうかと。これ、労働基準法違反じゃないですか。
○政府参考人(松崎朗君) 一般論としまして、確かに労働時間管理といった問題につきましては、何回も申し上げておりますように、事業主自らが使用者自ら現認するなり、タイムカード等、客観的な記録を基礎にというふうにしております。したがって、自己申告を採用するといたしましても、その運用を適正に行えば問題ないというふうに扱っているわけでございますから、先ほどまでの繰り返しになりますけれども、先ほどの通達にありますように、自己申告制を採用するに当たってのいろいろな留意事項、そういったことをきちんと守っていただければ適正に運営されるというふうに思っております。
○小池晃君 私はそんな生ぬるいことでは本当にサービス残業なんかなくならないというふうに思いますね。
 これ、毎月多少のサービス残業をしてもこれはボーナスで加算されるということで、あるいはACEワークが昇進への道だということで、みんなもうこれにしがみついているということなんですよ。しかし、期末業務加算あっても、サービス残業分、取り戻していないという労働者が大変多いんだというふうに聞いております。
 ここに、去年の暮れ、労基署の調査が入って、未払残業代が返っているんですね。これ非常に喜ばれたわけですが。そうしたらば、今度、次のボーナスで会社が未払残業分差し引いたというんですね。これなぜかというと、この会社は労基署から勧告を受けて未払分支払ったんだけれども、そうなるとこのACEワークの対象から外れるということになりまして、そして既に支払われた業務加算をボーナスから引いたというんですよ。
 これ、言ってみれば、せっかく厚生労働省というか労働基準監督署がサービス残業是正の措置を取った、それなのにそのことを理由にして別の名目で支払った手当が返却させられると。労働者かんかんに怒っているんですけれども、こんなひどいことがあっていいんでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) これ、個別の事案ですのでどういうふうに、具体的にどういうふうに労働基準法等に違反するかといったことをきちんと確認した上でないとお答えできませんので、ちょっとお答えは差し控えさせていただきます。
○小池晃君 昨日、全部資料を渡して説明してあるんですけれどもね、原局には。そういうことでは困るんですが。
 これは、返還された手当というのは既に一回支払われたものが返還させられているんですよね。これ、返却する義務は労働契約上ないと思うんです。こういう不利益な変更というのは、これは通用するんでしょうか。この点はいかがですか。
○政府参考人(松崎朗君) 一般論として、その返還というのはどういう性格のものか。何といいますか、自主的に返還するのかそれとも強制的に返還するのか、また過誤払であったのか、間違いだったのか、単純な間違いなのか、そういう理由等いろいろあろうかと思います。したがいまして、そういったものが具体的にどういうふうな格好で労働基準法上の条文に抵触するのかしないのか、そういったものを具体的に判断する必要があるというふうに考えています。
○小池晃君 会社側は過払いじゃないと言っているんです。文書でちゃんと説明しているんです、会社側は。こうこうこういう理由で返却をしますというふうに書いているんですよ。その文書も、原局には渡してあるんですよ。どうですか。これは明らかに私は、こんなのは本当にひどい、サービス残業是正の措置で労働者が不利益を被るなんてことはあってはならないというふうに思うんです。
 しかも東芝は、今年の四月になって、労働者から不満が強まって、結局、その二十時間を超えてもすぐにはそのACEワークから外れなくてもよいということにしたそうなんですよ。だから、もう間違っていたことをやっていたということは会社が認めているんですよね。こういう経過もあるわけです。
 私は、この東芝、この企業は今企画業務型の裁量労働制、検討中だというふうに聞いております。今紹介したこの京浜事業所というのは本社部門ではないですから、今までの枠組みでは裁量労働制を取れないわけです。しかし、今回のこの法案通れば、本社以外にも裁量制拡大するということになっていく、つまりこうした職場も対象になっていくということになるわけで、これはそういうことになるわけですよね。可能性としては、こういう事業所も今回の法改正によってみればこの裁量労働制の適用事業所になり得るわけですね。
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、今回の改正でございますその中身としましては、事業場要件の廃止ということで、本社、本店等というふうに限定していたところを外そうということにしておるわけでございます。
 しかしながら、そうはいいましても、何ということの意味ではございませんで、現行四要件ございます。企業全体の運営に影響を及ぼすもの、企画、立案、調査、分析を相互に組み合わせて行うもの、三番目として業務の性質上客観的に労働者の裁量にゆだねる必要性があるもの、四番目として作業をいつどのように行うかについて広範な裁量が労働者に認められているものと、四要件がございます。
 そのうち、一番最初の要件、企業全体の運営に影響を及ぼすものといったところは、これは事業場要件、本店、本社というところを削除いたしますので、企業全体というところは修正せざるを得ないと思いますけれども、ほかの三要件については変更する必要はないと考えておりますので、基本的にそういった事業なり事業場、そういったところが事業戦略としての権限を与えられて、きちんとした独自の事業戦略、経営戦略といったものを立てられるという権限を与えられたところであれば対象にはなり得ると思います。
○小池晃君 外形的要因外されるわけですから、もう対象になり得るわけです。もう質問しませんが、既にこの今紹介した例のように、法の網かいくぐって企業がサービス残業を横行させるようなやり方をやってきている。さらに、今回の法案でこの要件緩和して本社以外にも広げていく、労使委員会でのチェック機能も弱めていく。サービス残業合法化だというふうに言わざるを得ない。
 やはり、サービス残業を根絶するというのが厚生労働省の方針であるならば、世界に類を見ない裁量労働制をこれ以上拡大する、こういうやり方はきっぱりやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 非常に密度の濃い質疑が連日繰り返されておりまして、大臣にはちょっとお疲れの御様子で、過重労働にならないかとちょっと心配しております。
 私、ワークシェアリングの話は一体どこへ行ったんだろうというふうに思いながら、また本をちょっと読んで、読み直していたんですが、本来、この国会ではいわゆるワークシェアリングについてという議論がされるのが本当だったのかなと。ただ、多様な働き方、ワークシェアリングというのはつまりは多様な働き方であるということで、でもなぜそれがこんな悲観的な何か議論ばかりになってしまうんだろうというふうに考えてみました。
 それで、問題の本質はどこにあるんだろうと思って考えてみますと、それぞれに意見は違うのかもしれませんが、私は、結局日本では、昨日も申し上げたかもしれませんが、正社員でないと不安定な雇用であるというふうにみんなが思ってしまうところに問題があるのではないかと思っております。
 これが解消されれば、それは多様な働き方を受け入れて、皆それぞれが自分のライフスタイルに合った働き方を選択できるということだろうと思うんですが、正社員じゃないと不安定だということを思ってしまう背景には、やはり今の様々な制度が、社会保障にしろ様々な制度が基本的には正社員を中心とした、基本的にモデルとして終身雇用の年功序列の正社員ということが前提にあるという、そういう制度なわけで、今回の、先般からの労働者派遣法や今回の労働基準法の改正によってこれまでの雇用流動化の流れを促進するということになるんであれば、その非正規労働者に対する労働環境の整備、またそういう社会保障の制度の改革というものを急ぐべきだということを改めて申し上げたいと思うんです。
 それで、まず能力開発局長に伺いたいんですけれども、正社員でないと不安定雇用ということの中には、OJTを今までは企業が行っていた、正社員として長期に雇用する間にOJTをやって社員の能力開発を行ってきた。企業戦略として、キヤノンの御手洗社長ですかのようにやはりそれは大事にしていくというところもある一方、やっぱり余裕がなくて、そうは思ってももうできないというところがかなり増えているわけですが、だれが職業訓練をするのかというところで、今のような状況がしばらくは続くんだとすれば、私は国が率先して非正規労働者に対する能力開発の機会を設けていく施策を、今でもやってはいらっしゃいますから、もっと拡大して積極的にしていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(坂本由紀子君) パートタイム労働者につきましては、パート労働法に基づく指針におきまして、事業主等の責務として教育訓練の実施が求められておりますし、また労働者派遣法におきましても、派遣元事業主が講ずべき措置の中に教育訓練の機会の確保が求められているところであります。したがいまして、事業主がこのような労働者の教育訓練に取り組んでいただくことにつきまして、職業能力開発推進者の講習の機会等を通じて働き掛けをしているところでございますし、また必要な助成措置の対象にもいたしておるところでございます。
 ただ、委員御指摘のように、人材育成に対する企業の取組というのがこのところややもすれば弱くなっているというところはございますので、この点については、私どもとしては、やはり人材育成というのは企業にとっても大変重要なことでありますので、御理解をいただけるようしっかりやってまいりたいと思います。
 また、公共の職業訓練施設におきましては、求職者について、非正規労働者であった方も含めて無料の公共職業訓練を実施しておるところでございます。特に、フリーターのような若年の非正規の労働者については、民間教育訓練機関も活用いたしまして、求人企業等における実習も含めた実践的な訓練を実施することにいたしております。
 このような機会を活用いたしまして、労働市場のニーズに合った能力開発をしっかりとやってまいりたいというふうに考えております。
○森ゆうこ君 もう少しお尋ねしたいんですけれども、職業訓練ということで、今本当に技術の進化が目覚ましいわけですけれども、私が学生のころ、アルバイトに行きますと、何というんでしょうか、専門の例えば事務社員というのは和文タイピストだったんですね。私の友達の中にも和文タイピストの資格を、学校を卒業した後、職業訓練校で取って仕事をしている人がいたんですけれども、引き出しがたくさんあって、神業に近いような感じで漢字を拾っていくんですけれども、あれもあっという間にワープロに取って代わられ、そしてそのワープロもパソコンにということで、職業訓練校の行う能力開発というのも日々見直しが必要だと思われるんですけれども、その点についても一言お願いしたいと思いますが。
○政府参考人(坂本由紀子君) 公共職業訓練の訓練科目の見直しにつきましては、公共職業訓練施設につきましては、求人ニーズそれから技術の革新等を踏まえまして不断に見直しをいたすことにいたしております。各地域ごとに人材育成会議というようなものも設けまして、事業主や各教育訓練施設の方にもお入りいただいて、教育訓練が時代のニーズに合ったものになるように努力をいたしております。
 また、公共職業訓練施設自体で実施するのではなく、民間の教育訓練施設が大変多くなっておりますので、そういう施設に委託訓練をお願いするという形で、公共職業訓練が時代に合ったものになるというような取組も積極的に進めているところでございます。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 それで、正社員でないと不安定雇用というものを払拭するためには、今申し上げましたように能力開発というのが一つのテーマであると。そして、もう一つは雇用保険だと思うんです。
 今の雇用保険制度は、やはり基本的には常用雇用をその適用の基本としているわけですね。ましてや、新卒無業と言われる人たち、そもそも就職していないわけですからその対象ではないと思うんですが、非常に難しい面があるとは思うんですが、雇用の流動化という今の現状に対応するように非正規労働者であってもすべて適用されるように検討すべきではないか。また、今申し上げましたように、フリーターの増加に対応していわゆる新卒無業の若者に対してももっと知恵を絞って雇用保険の活用、適用も検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(戸苅利和君) 雇用保険につきましては、今お話しのように、正規の労働者それから非正規の労働者と、こうあるわけですけれども、正規であるか非正規であるか、そういった雇用形態のいかんにかかわらず適用するということにしております。
 ただ、これはあくまでも失業というのを保険事故にしている制度であると。失業中の生活の安定それから再就職の促進を目指していると、こういうこともあって、自分の労働によって生計を立てている人、こういった人を現在、被保険者にしているということがありまして、したがって一週間の所定労働時間が二十時間以上であるということ等を要件にしています。二十時間以上であれば、正規であろうと非正規であろうと雇用保険は適用になると、こういうことになっています。そういったことで、短時間労働被保険者の数は毎年毎年、今かなりの数で増えています。一方でそれ以外の方は減ってきていると、こういう状況であります。
 それから、先般成立させていただきました雇用保険法においても、短時間被保険者とそれ以外の方の給付の一本化を図ったと、こういうことでありまして、ただ、先生おっしゃるように雇用形態はますます多様化ということもありまして、雇用保険法の成立に当たりましての参議院の当委員会の附帯決議におきましても、雇用保険制度の将来的な在り方について早急に検討すべしということ、それからパートタイム労働者の適用などの雇用保険制度の適用範囲についての検討に努めることと、こううたわれておりますので、我々は、この附帯決議に基づきまして、今お話しのパートタイム労働者等の非正規労働者についての適用の在り方ということについて検討してまいりたいというふうに考えています。
 それからもう一つ、新卒の無業者の方でありますが、これはなかなか、先生も難しいとおっしゃったとおり、我々にとっても非常に難しい問題で、あくまで保険制度なものですから、一定期間は保険料を払っていただいて、それで雇用保険の給付、失業という事故が起きたら給付をすると。こういう仕組みの中に、保険料を払っていただいていない方にやるというのはちょっと難しいんではないかというふうに思っています。
 それじゃ、学生時代から保険に入れるかどうかというのがもう一つありまして、これもいろいろ検討しているんですけれども、学校を卒業したからといって全員の方が雇用労働者になるわけでないということがあるものですから、そういう中で、全員に強制的に保険を適用するというのはちょっと法律的に無理があるんじゃないか。
 そうすると、じゃ、任意の適用だというと、これは雇用保険は常に結婚退職して働く気がない人が給付を受けてしまう、あるいは六か月働いて給付を受けて六か月働いてまた給付を受けてと、こういう循環的な制度の悪用をする人もいると。その辺りを考えると、ちょっとこれは難しいかなというふうに思います。
 ただ、パート等の問題については、今申し上げましたように、附帯決議を受けて、この問題について抜本、抜本的というか将来的な在り方についての検討に早急に着手したいというふうに思っています。
○森ゆうこ君 今の問題について、坂口大臣に一言お願いしたいんですけれども、今、局長からは抜本的という、言い掛けてちょっと、そのまま生かして議事録に私は残していただきたいなと思うんですけれども。
 何というんですか、正規雇用の代替が進むというふうな御懸念もいろいろございますし、今般このような様々な法改正をするからには、早急にこの見直しということについて着手して、結論の時期を示していただけると大変有り難いと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) いや、局長が今言ったことは抜本改革ですよ、これは。大変大きな改革に、まあなるとまでは言わなかったけれども、方向性としては向かっているということだと思うんですね。
 確かに、おっしゃいますように、正規雇用の人とそうでない人とを比較しましたときに、我々長い間、正規雇用に慣れてきているものですから、もう正規雇用は本当にすばらしいものだ。すばらしいことに違いないですけれども、そうでなくて、職を次から次へと変わったりとか、あるいは細切れに仕事をするということは大変悪いことだという先入観みたいなものが入っておりますけれども、中にはそういう人もおみえになるわけですね。そうせざるを得ない人もおみえになるわけで、職業柄も。
 ですから、そういう皆さんであったとしても、やはり同じようにこの社会保障をどうしていくかと。社会保障の中には雇用保険の問題も入ってまいりますし、年金も医療の問題も入ってくるしということだと思うんですが、そうしたことがやっぱり同じような安全ネットとして作られるということがやっぱり大事だと思うんですね。
 それはもう私たちも聞きながら、御指摘のとおりだというふうに思って聞いていたところでございます。
○森ゆうこ君 ありがとうございます。
 自分のことを申し上げるのは変なんですけれども、私も正社員になろうとかそういういわゆるどこかに勤めて定職に就こうというふうに思ったことが一度もなくて、というか、自分でいつでも仕事は作れるなという感じで、なぜかこういう仕事、今しているんですけれども。
 そういう働き方、それぞれその生活のスタイルや働き方は個人の選択だと思いますけれども、日本人の、何というんでしょうか、やっぱり政府がある程度モデルを示すということが好きなようですから、そういう意味で、厚生労働省がこんな幾つかのモデルを示されて、それに向けて制度の改革を進めますということを示すのも安心を与えると。将来についての展望を、見通しを与えるという意味でも私は少し検討していただければなと思うんですが。
 ところで、先ほど申し上げました、私、明治大学経営学部教授の根本孝さんの、この方はドイツに結構いらっしゃったらしくて、ワークシェアリングの本をもう一度読み返してみたんですね。
 その中で、オランダの市民から日本の三大不思議ということで、その最も不可解なことが過労死だと。なぜ死ぬまで働くのか、オランダ人には到底理解できないというくだりがございました。まあ休まない、休めない、この話を幾らしてもオランダのお友達に理解していただけないそうですね。なるほどと思いました。
 でも、私の周りを見ておりますと、やっぱり休めない、休まない休めないという人たちが非常に多くて、他の委員からも御指摘ありましたように、この社会経済情勢の中でそれが加速されているということで、過労自殺や、仕事が原因でうつ病になる労働者が増加しているという指摘がございます。
 それで、労働者の精神衛生の確保を図るため、労働安全衛生法に定められている定期健康診断等の健康診断項目の中に、身体的な診断項目だけではなく、精神面に係る診断項目を追加すべきと私は考えるんですけれども、これについて局長の御意見を伺いたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、現在、いわゆる常用労働者の方につきましては、一年以内の期間ごとに定期健康診断を行うということが使用者に義務付けられております。そういった項目の中にはいろいろ十数項目あるわけでございますけれども、御指摘のようにいわゆるメンタルヘルス関係の項目というのはございません。これは確かに必要なのかもしれませんが、やはりこのメンタルヘルスに関します健診項目というのが、どういった健診手法というものがあるのかというのがなかなかまだ確立していないということ、またやはりこういったことを人に知られたくないといったこともございまして、労働者のプライバシー保護という問題もあるということから、やはり慎重な検討が要るんじゃないかというふうに考えております。
 そういったことで、メンタルヘルス対策をやっておりますけれども、やはり今申し上げましたように人に知られたくない、特に企業の中の場合に、特に人事権を持っているような上司には相談できないし、また企業内の産業医の方にも、話すと人事の方へ行ってしまうんじゃないかといったような御心配もあるようでございまして、企業としては、事業者としては、やはり労働者の健康確保ということを責任は持つんですけれども、それと同時に、やっぱり企業外での支援体制、そういったものがこれから非常に重要になってくるというふうに考えていまして、そちらの充実というものを現在図っているところでございます。
○森ゆうこ君 たまたまおととい、昨日か、地元から上がってくる新幹線の中で地元の中堅企業の社長さんと一緒だったんですけれども、やはりうつ病について非常に問題意識を持っていると。仕事上のストレスが問題となっているんであれば、会社とお医者さんと本人と、その三人でやっぱりきちんと相談して、仕事のウエートを低くするとかということをやればそんなに重くならないうちに改善されるのではないかと。だけども、今おっしゃったようなことでできないが、せめて項目に加えていただければ、むしろこれは別に、うつ病は心の風邪という、今ありますけれども、そういう意識も浸透して、本当にひどい状態にならないうちに対策が取れるのではないかという御提案ございましたので、もう少し検討していただきたいと思います。
 一方で、我が国では精神科の医師が不足しているというお話が先般ございました。現在の状況を見れば、医者の増加を図ることも必要ですけれども、それ以前に国民が地域においてうつ病等を手軽に相談できるような相談支援体制を整備していくべきではないかと考えますが、参考人の御意見を伺います。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 うつ病などの心の健康問題を有する者に対し地域の相談機関において適切に対応することは、病気の早期発見あるいは早期治療の観点から重要であるというふうに認識しております。このため、精神保健福祉センター、保健所あるいは地域生活支援センターにおきまして、医師、保健師、精神保健福祉士等の専門家による精神保健に関する相談指導や助言を行っております。今年度は、新たにうつ病など心の健康問題への対応方法を示しました保健医療従事者向けのマニュアルを作成、配付し、さらに相談体制の充実を図ることとしております。
 今後とも、相談に当たる者の資質の向上あるいは国民への相談業務の周知など、地域における精神保健相談体制の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
○森ゆうこ君 看護師さん等医療従事者の中から適当な訓練を、研修を受けていただいて、そういう地域の人がその名前を聞いて分かるような支援者というものを育成される必要もあるのではないかと思いますので、また御検討いただきたいと思いますが、それで、基準局長に伺います。
 過労自殺や仕事を原因とするうつ病の場合はこれまで労災として認定されるケースは少ないと聞いておりますが、今までの認定、不認定の件数はいかがでしたでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) まず、最新の数字でございますけれども、これは平成十四年度の精神障害等の労災認定件数でございますが、これは先日発表したところでございますが、合計百件のうち、いわゆるうつ病等の、これは国際的な疾病分類によるものでございますけれども、気分、感情障害というところでございますけれども、こういったことで認定されました件数はそのうち五十五件ということでございます。なお、五十五件の中には自殺及び自殺未遂三十九件が含まれております。
 なお、不認定の件数につきましては、これは疾病別に取っておりませんので、これはちょっと把握ができておりません。
○森ゆうこ君 ちょっと不認定の方も確認しておきたかったんですが、ストレスがますます強くなる一方だと思うんですね。これだけリストラ、それからリストラされなくてもやはり不況ですと業績が上がりませんからプレッシャーを感じてしまうということで、ますますそういうことがあると思うんですけれども、今後は過労自殺や仕事を原因とするうつ病等精神的な病気についても積極的に労災認定していくべきではないかと考えますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) これはもう朝日先生に聞いてもらった方が早いわけでございますが、先ほどから、聞かれたらどうするかな、どう言おうかなと思って座っていたわけでございます。これもかなりなストレスでございまして、やっぱり局長や部長はうまいこと答弁するなと思いながら、自分が聞かれたら何言うかなと思いながら、ストレスを感じながら座っていたわけでございますが、最後にとうとう聞いていただいたものでございますから、ここはやっぱり、確かに心の病の人が増えていることだけはまあ間違いないですね。
 私は、健康診断のお話も出ましたけれども、なかなか初期の段階で見付けること、なかなか難しいしいたしますから、普段からいろいろそういうお話をしていただくとか、あるいはパンフレットなんかも作っていただくとかいうようなことをして、そしてそういう自分がこれはちょっとおかしいなと思い始めたときに、私はこうだということをやっぱり言ってもらうところを作っておかないといけないと思うんですね。それで、早いうちにやはり手を打つというのが大事じゃないかというふうに思いますので、悪用されても困りますけれども、少し自分は普通じゃないと、こう思ったときに早く相談をしてもらえる体制をどう作るかということだろうというふうに思っています。
 過労死の場合には、死ですから、これは亡くなった場合でございますから、自殺等で亡くなるような場合、今までなかなか認められにくかったわけでございますが、しかし、最近はお亡くなりになりました場合におきましても、その仕事がもとで、そして精神的な負担が大きくなり、そしてそれがもとでお亡くなりになるといったときには過労死が認められるようにだんだんなってまいっておりますから、これからもそうした立場というものはやはり十分に尊重していかなきゃいけないというふうに思っているわけでございます。
 しかし、先ほどのその本に書いてありますように、オランダの例じゃありませんが、それほど働かなくてもいいようにどうするかということの方がもう一つ大事なことだというふうに思っております。
○森ゆうこ君 うまく御答弁されてしまったなというか、これ以上あれしますと、またストレスを与えるといけないので、最後に岩田局長に伺いたいんですが、私、有期契約というのは、今までの一年ということであれば、むしろ女性が子供を産み育てるという性である以上、自らのライフサイクルに合わせて上手に選べれば、今は選べない、選ばざるを得ないという状況がありますし、そういう問題についてはまた大脇先生の方からいろいろ御指摘があると思うんですが、そういう意味で、むしろ積極的に使っていくべきだと思っておりまして、一年であればその中で育児・介護休業制度を認めるということは難しいのかなと思っておりますが、しかし、今回、派遣労働、有期労働契約の期間の上限ということが図られるわけでして、そうした場合には三年とかそういう期間というのはやはり、結婚適齢期はありませんけれども出産適齢期は私はあると思いますので、その期間の延長に伴いまして、この際、育児・介護休業制度を有期労働契約、派遣労働に認めてはいかがかと思いますが、どうでしょうか。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 現行の育児・介護休業法では、期間を定めて雇用されている者は育児休業そして介護休業の適用外といたしております。
 しかしながら、今回こういう法律改正があったということもそうですけれども、育児休業制度全体の見直しの議論が本年四月から労働政策審議会で始まっております。その中で、有期労働者の適用拡大の問題も、働く人たちのニーズ、そして企業側の負担、これらを総合的にどういうふうに考えていくかということかと思いますけれども、この委員会での御議論も踏まえまして、幅広く審議されるというふうに考えております。
○森ゆうこ君 良い結論が出るようにまた私も、次世代育成支援法案も来るのかもしれませんので、その辺りでまた意見を言わせていただきたいと思います。
 いずれにせよ、今の日本は、先ほどの根本教授の本にまた書いてあったんですけれども、子供は塾で勉強し過ぎ、プラスするとゲームで遊び過ぎ、学生は勉強しなさ過ぎで、中年は働き過ぎ、そして高齢者は暇過ぎという、その所得の再配分ということも、例えば企業内の所得の再配分で、私は正社員の既得権もやはり踏み込んできちんとした新しい形を作るべきだと思っておりますが、この時間の使い方の再配分というものも図られるようにしていかなければならないと申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○大脇雅子君 解雇ルールについてお尋ねをいたしたいと思います。
 労働基準法の解雇ルールにおいては今回修正をなされたものでございまして、これは最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理とこれに基づく民事裁判の実務の通例というものに即して作成されたと言われております。しかし、現在でも労働契約の内容として解約条項とかあるいは合理的な解雇理由などを使用者が就業規則や労働協約あるいは労働契約に明示するということを義務付けるということは大きな効果があると思います。
 ただ、判例法理を周知徹底するというだけでは不十分で、今回の法改正は具体的にどのようにルール化の実効性を担保するのか、お尋ねしたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) この解雇ルールの立法化に伴いまして、ルール化ということでございますけれども、これは、御指摘のように、修正後の第十八条の二でございますけれども、こういったことで、最高裁判例で確立されておりますいわゆる解雇権濫用法理といったものを明確にここでお示しして、こういったもので労使の方にもよく周知をしていただくといったところがスタートでございますけれども、これに加えまして、今回の改正におきましては、就業規則に解雇の事由を記載することを法律上明確に義務付けるということにしております。
 もちろん、従来から退職に関する事項ということで、解雇も含まれるということで指導はしておったわけでございますけれども、これを法律上明確に解雇の事由が含まれるということを示すということで進めておりまして、そういったことで、就業規則の作成段階におきまして解雇の事由というものがより整理されるということになると思います。
 そういったことを通じまして、労使当事者の間におきまして、解雇についての事前の、どういったものが解雇に当たるかといった予測可能性というものが高まりまして、これによりまして解雇をめぐるトラブルの防止というものにつながっていくというふうに考えております。
 また、具体的に、使用者が労働契約の締結に際しまして書面交付でいろいろ労働条件を明示するわけでございますけれども、その書面交付の中身として退職に関する事項というものがございます。これも義務付けにされておるわけでございます。それにつきまして、現在でも解雇の事由が含まれるという解釈でございますけれども、これも明確に解雇の事由が含まれるということになるわけでございます。
 これにつきましては、この点につきましては昨年末の労働政策審議会の建議においても御提言いただいているところでございまして、こういったことで、労働契約締結に際しますいわゆる書面、労働条件の書面明示、その中身につきましての省令改正ということを予定しておりますので、今先生の御指摘の趣旨にほぼ沿った内容というものになるんじゃないかというふうに考えています。
○大脇雅子君 労基法の八十九条三号には退職に関する事項を書いて、括弧で解雇の事由を含むということが追加されることによって、確かに使用者が労働者を解雇することが明確に示されることになり、省令の改正もあるということですので、そうした解雇のルール化の実効性が担保化されることが道が開けたと思うのですが、これは限定列挙と考えてよろしいのでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) まず、就業規則の解雇事由につきましての実務上といいますか、裁判上の取扱いでございますけれども、これは就業規則に書いてございます、個々の企業の就業規則に書いてございます解雇事由に該当しない理由で解雇した場合の解雇の効力の問題でございますけれども、これは基本的には裁判所で判断されるわけでございますけれども、今までの裁判例からいいますと、通常の場合、ほとんどの場合でございますけれども、就業規則に記載された解雇事由というものをこれは限定的に解しまして、これ以外では解雇しないという意味でございますけれども、限定的に解しまして、その解雇事由に該当するとは認められないと判断した場合には解雇無効といった判断がされているというのが通例でございます。
 ただ、まれに、非常に例は少ないわけでございますけれども、就業規則上、解雇事由として書かれてはおらない事由、解雇事由以外の理由によって解雇された場合であっても解雇が有効というふうにされた例もあるということで、すべて限定列挙であるとか、また例示列挙だということは言えずに、基本的には解釈になろうかと思いますけれども、現状は今申し上げたとおりでございます。
 さらに、八十九条の三号、今度の改正によりまして解雇の事由を含むということを明示するわけでございます。そういったことで、その明示によりまして、実際に監督署の窓口等の指導におきましても解雇事由というものをより具体的に書くようにという指導が行われるわけでございますので、実際にはかなり限定列挙的な就業規則というものが増えてくるというふうには考えております。
○大脇雅子君 よくモデル就業規則というのを労基署など出されて、解雇事由に対して幾つか一、二、三、四と書いた挙げ句、その他著しく不都合な行為があったときなどと包括的な規定形式を入れる場合がよく見られるわけですが、そうしますと、退職に関する事項として明示した場合、改正の趣旨に反すると思うのですが、この点、モデル就業規則などを出される場合には、こういうあいまいな条項を入れて非常に拡大をして、せっかくの解雇ルールの規制がどう読むのか現場で分からないようになってしまうということがあるので、その点、よろしく検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) 確かに就業規則はその事業場といいますかその企業でいろいろ考えて書かれるわけでございますので、いろんな事情があろうかと思います。
 ただ、そこのところで余り、こうやって解雇事由というものをきちんと書きなさいということを法律上明示するわけでございますから、余り就業規則のモデルとして、抽象的なといいますか、例えば今思い付きでございますけれども、その他会社が必要と認めた場合とかといったようなものは、これはちょっとあんまりではないかと。確かに必要性あるかもしれませんけれども、そういったものについては、もう少し具体的にきちっと書きなさいといった指導はできると思っております。
○大脇雅子君 今後の指導をよろしくお願いしたいと思います。
 今回の改正によって、整理解雇の合理性を判断するに際しても紛争解決のためのルール化として当然有効にその趣旨を発揮するものだと考えますが、整理解雇基準の四要件と通常言われる法理の実効性への影響をどのように考えたらよろしいのでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) この整理解雇については、いわゆる整理解雇四要件と言われておりますが、これは御案内のように、たしか昭和五十四年の東京高裁の判決で、割と明示的に四つの、三要件プラス一といった格好で示されたものでございます。そういったものがある中で、整理解雇につきましても、その有効性、整理解雇が有効かどうかという判断に当たりましては、やはり解雇権濫用法理、これは最高裁の判例におきまして確立されております解雇権濫用法理に従いまして、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は無効という、こういう解雇権濫用法理に基づきましてその条件に該当するか否かということが判断されるわけでございます。
 その場合の具体的な判断に当たって、それぞれ個別の具体的事案について、今申し上げました整理解雇四要件、具体的には人員削減の必要性、それから解雇に至る必要性、それから個人個人を選ぶ場合のその妥当性、さらに手続の妥当性、簡単に申し上げますとそういうものでございますけれども、そういった整理解雇四要件という判断基準を用いて判断しているというのが多くの下級審判例というふうに私ども承知しております。
 したがいまして、今回の改正におきます解雇に関する規定の新設、十八条の二でございますけれども、これは解雇権濫用法理を法律上明確にするものでございますので、この法理の法律的な構成でございますとか要件といいますもの、これは正に昭和五十年の最高裁判例の文言を忠実に書き写しているというものでございまして、何ら変更等をするといったものでございません。したがいまして、整理解雇の場面におきますこの解雇権濫用法理の判断基準につきましても、裁判所において従来と同じように扱われるものというふうに考えております。
○大脇雅子君 さて、修正による解雇ルールで、解雇における立証責任というものについてお尋ねします。
 今回の修正で、労働者が解雇された場合、使用者が書面で述べなければならない解雇理由というものは重大な意味を持つと思います。労働者が解雇の法的効力を争う場合には解雇の合理的な理由について使用者側が立証責任を負っているということになると考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) これ、政府の原案でもこの修正後の十八条の二の規定におきましても基本的には同様と考えておるわけでございますけれども、この解雇権濫用法理の下におきます扱いでございますが、これは解雇権の濫用という評価、こういったものの評価の前提となります事実について、実際上の裁判におきましては使用者と労働者との間に主張立証の責任というものを分配して裁判というものがなされるということがあるわけでございます。
 そういうふうにして判断していくわけでございますけれども、その場合、解雇権濫用法理というものにおきましては一般の権利濫用法理とは若干異なっておるわけでございます。
 これは、理由が二つあるというふうに考えられております。
 一つは、解雇権濫用法理には、先ほど申し上げましたように、最高裁判例の中で言っておりますように、客観的に合理的な理由を欠き社会通念場相当と認められないというふうに、ないという言葉を使ってありますように、ある事実がないということを要件にしております。そうしますと、ある事実がないということの証明というのは非常に実は難しいわけでございまして、あるというのは簡単ですけれども、ないというのはあちこち総ざらいしないといけませんもので、事実上非常に困難であるということから、この解雇の合理性、解雇権濫用法理につきましては、この解雇の合理性を基礎付ける事実がないということを労働者に負わせるのは事実上酷であるということから、そうではない扱い方をするという考え方がございます。
 それからもう一点は、この解雇が合理的なものであるかということに関しますいろんな情報とか資料、そういったものは基本的には使用者が持っていると。労働者の側はほとんどそういう資料というものは持っておらないという事情がございます。こういった事情が考慮されまして、実際の裁判、また最高裁で確立されました解雇権濫用法理におきましては、具体的な裁判実務におきまして使用者側に圧倒的に多くの事実について主張立証責任を負わせていると。言ってみますれば、簡単に申し上げれば、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であるという、あるという方の事実の事実上の主張立証責任を負わせているといった扱いがなされております。
 そういったことで、解雇権濫用法理を明文化いたしましたこの十八条の二の規定でございますけれども、これが新設されましても、今申し上げましたこの主張立証責任の考え方、ベースになっております事実、これは全く同一でございます。そういったことから、この主張立証責任の分配というものについての解釈、運用というものは変わるということはないというふうに考えられます。
 このために、この十八条二の規定に関しまして、解雇権の濫用という評価、こういったものの前提となります事実につきましては、引き続き使用者側に圧倒的に多くの事実についての主張立証責任を負わせるという取扱いになるというふうに考えられます。
○大脇雅子君 ないという立証は悪魔の立証といって、私どもとしては実務上ほとんど不可能ということが公知の事実でございます。資料も使用者が持っているということで、確かに、判例のうち圧倒的に多くのものは使用者側に主張責任を負わせていると。したがって、現在の裁判上の実務を変更するものでないということが立法者の意思だということを確認させていただいてよろしいでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) 私が立法者の意思というのは僣越でございますけれども、こういった格好で成立すれば、今御質問があり、私どもがお答えしており、そういったことで共通認識の下で成立、この条文が通るということになれば、それが立法者意思ということになろうかと思っております。
○大脇雅子君 大臣の御見解、いかがでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) これは、やはり提案者の方から立法者の意思というのはちょっと言い過ぎではないかと思っておりますので大臣遠慮されたと思うのでございますけれども、これはやはりこういった格好で今まで議論されているし、議論がされ、またそういったものがいろいろ内閣法制局等も含めまして確認をされ、またそういった共通の認識の下で修正がされ、また通るということになれば、それが確認されたということになると思っております。
○大脇雅子君 よく分かりました。
 さて、それでは裁量労働制についてお尋ねいたします。
 企画業務型の裁量労働制の対象業務の範囲につきまして、今回の改正は労働政策審議会の建議が多様な働き方の選択肢の一つとして有効に機能するよう手続要件を緩和したということを受け止めてのことですが、この企画業務型裁量労働制の対象業務というのは、事業運営上の重要な決定が行われる事業場という一つの歯止めが今まであったんですが、それが外れた場合に、一体事業運営上の重大な決定が行われる事業場以外の事業場でこの企画業務型裁量労働というのはどのくらいあるというふうに見ておられるんでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) まず、現在の実績でございますけれども、これは、実数で把握しておりますのは平成十四年、昨年末現在での数字でございますけれども、この企画業務型裁量労働制を導入しております事業場が百八十二、適用の労働者数が六千七百四十四ということで、非常に少ないといいますか、そういった数字になっております。
 これが現行制度でございますが、今回の改正におきましては、御質問のように、いわゆる本社、本店というように企業全体の企画立案を行う事業場という事業場要件を外しますので、単純に言えば、これよりは広がる可能性はあるというふうに考えておりますけれども、ただ、基本的に、業務の内容でございますとか、それから業務のやり方、そういった、業務といいますか企画裁量型のやり方、そういった基本的な枠組みは変えないというものでございますので、これによって無限定に広がるとかいったことにはならなくて、やはり経営なり事業運営の企画立案というものにつきましては、これは、企業全体というものではないにしても、やはりきちんと、その事業場なりその事業場を頂点とした一定のエリアの営業所のグループといいますか、そういったものを、そういった中でやはり独自の事業戦略といったものをちゃんと立て、それを遂行する権限といったものを与えられているといったところに限定するのが筋だと考えております。
 そういった方向で、具体的な要件につきましてはまた労働政策審議会の御意見も伺いながら詰めていくわけでございますけれども、そういった方向で進めたいというふうに考えておりますので、決して、数は申し上げられませんけれども、無限定な拡大にはつながらないというふうに考えています。
○大脇雅子君 先回、裁量労働制が導入されたときには、企画、立案、調査及び分析というこの四要件が同時にそろっていなければならない業務で、しかも労働者の裁量に任せるのが業務の性質上ふさわしいものという裁量労働のいわゆる対象業務要件というのが入ったわけです。多様な働き方の選択肢を有効に広げるというようなことが建議などで言われますと、この基本的な要件というものがやっぱり緩むようなことがあってはいけないと私は思います。
 そこで、労働省の告示の百四十九号というのが、企画業務型裁量労働の従事労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針として出されておりますが、これは今回このまま維持されるのですか、あるいはまた見直しを、事業所の適用外のところは別として、見直しを求めておられるような場所があるんでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) 業務の要件といたしまして、法律上に書いてございます業務の要件といたしまして具体的に、今御指摘のございました指針におきましてもうちょっとブレークダウンして要件を書いてございます。
 いわゆる四要件と言われておりますけれども、そのうち、一番目の企業全体の運営に影響を及ぼすといった点、この企業全体にといったところはちょっと修正をしなければならないんじゃないかと考えておりますけれども、そのほか、企画、立案、調査、分析の業務でありますとか、その業務のやり方、それから具体的な指示がないといったようなこと、そういったほかの三要件につきましては変更する必要はないというふうに考えております。
○大脇雅子君 今回の法改正では、労使委員会制度についての設置要件が緩和され、労働者代表は信任を不要とされて、指名だけで決定されると。労働者代表の民主的な選出手続がどのように担保されているかが問われると思います。
 この労使委員会というのは労使フィフティー・フィフティーなわけですから、そこで選任される労働委員、労働者代表というものが民主的な選出で担保される必要があるんですが、なぜこの信任を不必要としたわけでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) この労使委員会の労働者側委員の選任でございますけれども、これはもう御案内のように、過半数組合がある場合にはその組合が指名をし、過半数組合がない場合には過半数代表者が指名するということになっております。
 また、特に、過半数組合がある場合はいいんですけれども、ない場合におきましても指名が適正に行われるようにということで、指名を行う過半数代表者につきましては、管理監督者でないということ、それから選出目的を明らかにした上で実施される投票とか挙手等の方法によって選出されるといったような選出方法等についても規定をしております。
 また、指名をされます労働者側委員につきましても一定の要件というものを指針においても決めておるわけでございまして、こういった手続によりまして、過半数組合や過半数代表者、こういった方が指名する場合に労働者の、その事業場の労働者の方の利益に反する人選をするということになりますと、これはもう別の面でいろいろ信頼を失ってしまうわけでございますので、実際にはこういったものはおそれはないんじゃないかといったことがございまして、やはり手続が重複するといったような御意見も、現場、労使双方からございます。そうしたところから、審議会における議論を経まして、信任については省略するということを決めたところでございます。
○大脇雅子君 労使委員会の設置の届出が削除されて、それから、決議の要件が全員一致から五分の四に緩和されたわけですが、私が危惧するのは、この労使委員会の決議というのは労基法三十八条の四第五項に定める様々な労使協定に代わる重要な機能というものをこの決議は与えられていると。そうすると、この改正によって、例えば残業協定その他、ワークルールの弾力化が一層進められて労働者の保護を旨とする労基法の精神に反することになるのではないかということでございますが、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(松崎朗君) この労使委員会でございますけれども、これは現在、全員一致ということでしておりますけれども、これにつきまして、やはり合議体による決議という仕組みを考えた場合に、やはりそこの委員会という場で労使による、これは複数で、一対一じゃございません、最低二対二以上になるわけでございますけれども、労使による議論が十分に尽くされた結果決議がなされるということであれば、そこで決議をするに当たっては必ずしも全会一致ということまでは必要ではないんじゃないかというふうに考えられるということと、またさらに、具体的にその片方が、委員会方式でございますので片方の当事者が全員賛成した場合、具体的に言えば使用者側が全員賛成した場合も想定した場合に、労働側委員の過半数が賛成しなければ決議ができないというところで抑えておけば十分ではないかということで、これは、実際に運用されております労働組合の代表の方の御意見なども伺いながら、最終的には五分の四ということでそういった点は守られるんじゃないかということで、五分の四ということにしたところでございます。
 さらに、いろいろ協定締結の機能の代替というのがあるわけでございますけれども、労使協定というのは基本的に一対一でもいいわけでございますけれども、この委員会、労使委員会でございますから、先ほど申し上げましたように二対二以上の複数で議論をしということ、さらには、議事録を作成して、またそれを労働者に周知するといった義務もございます。そういったことで、よりオープンな議論によりましてよりオープンな決め方というものがされるんじゃないかといったことで、こういった、ほかの協定代替機能といったものにも実質的な意味として資するのではないかというふうに考えております。
○大脇雅子君 最後に大臣にお尋ねしたいのですが、裁量労働による働き方と労働者の健康管理について、今回、労基法の改正におきまして、三十八条の三の四というところで、「対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定める」ということで、それを使用者に講じているということでありますが、サービス残業の違法状態を合法化するために、ノルマの達成や成果主義の賃金を前提に、過労死や過労自殺の増加が懸念されているということと併せて、今後、労働者の健康管理についてどのように対処されるのか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(坂口力君) 先生のずっと御質問聞いておりまして、私は全く考えていなかったことを幾つか御指摘いただいたところもございます。解雇の事由のところでも、その他著しく不都合な行為のあったときというようなのは入れない方がいいというお話ございまして、私はこれは入れた方がいいのかなと今まで思っておりましたけれども、大変、一つこれは新しい勉強をさしていただいたと思っております。
 それから、先ほどの健康管理の話でございますが、これは現在の企画業務型の裁量労働制に関する指針、大臣告示でございますが、その中に、現在もかなり具体的なこともいろいろ書いているわけでございますが、昨年末の労働政策審議会の建議におきまして、裁量労働制に係る健康・福祉確保措置の具体的な内容といたしまして、もう一つそれに加えて、必要に応じて、使用者に産業医等による助言・指導を受けさせることとすることを加えることというのが指摘をされているところでございます。今までのものにこうしたものを指針として加えていきたいというふうに思っております。
 専門業務型の裁量労働制につきまして、裁量労働制が働き過ぎにつながることのないように、労使協定によって健康・福祉確保措置の導入を要することとしておりまして、その具体的な内容は、この企画業務型裁量労働制の健康・福祉確保措置と同様なものを想定をしているところでございます。
 言わずもがなでございますが、この企画業務型裁量労働制に関する指針といいますのは、一つは、対象労働者の勤務状況及び健康状態に応じたいわゆる代償休日等を付与すること、健康診断を実施すること。それから、二番目に、年次有給休暇のまとまった日数の連続取得を促進すること。それから、心と体の健康問題についての相談窓口を設置すること。四番目として、対象労働者の勤務状況及び健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること、こういったことがいわゆる労使委員会において決議することとしているわけでございます。こうしたことに先ほど申しましたような産業医の助言、指導といったものもこれから加えていけということでございますから、それらのことも加えていきたいというふうに思っているところでございます。
 こうしたことを中心にしまして、今日もいろいろ御指摘を受けておりますが、この裁量労働制という働き方によりまして今まで考えられなかったいろいろの問題が出てくる可能性もございますから、そうしたところにも配慮をしながら健康管理に努めていきたいと思っているところでございます。
○大脇雅子君 ありがとうございました。
○西川きよし君 私が本日最後になります。よろしくお願いをいたします。
 大変、朝からお伺いさしていただいておりますと、本当に聞けば聞くほど幅の広い、奥行きのあるといいましょうか、大変私自身も答弁、質問を聞きながら悩んでおります。
 まず、冒頭、一昨日、各紙で大変大きく報道されたわけですけれども、皆さんもお伺いになりましたが、過労死ですね。過労死で労災認定をされた方が昨年度で百六十人ということで、過去最も多かったわけですけれども、本当に非常に大変残念なことだと思います。
 この現状に対しましてどのようなまず認識をお持ちなのか、まず冒頭、坂口大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 過労死につきましては今日もいろいろお話を伺ったところでございますが、この労災認定件数が大変平成十四年度におきましては増加をいたしております。それには、今日ももう既に話がございましたとおり、十三年の十二月に認定基準を改定をしたということもその一因になっているというふうに思いますが、しかし全体の状況として、やはりリストラが行われ、そして残った皆さん方に対する時間外労働といったようなことも影響しているのかもしれない。それは我々も十分これから検討をしていかなきゃならないことだというふうに思っている次第でございます。
 厚生労働省といたしましては、本年度を初年度とする第十次の労働災害防止計画におきまして、過労死を始めとする過重労働による健康障害の減少を重点目標として定めているところでございます。そして、過重労働による健康障害防止のための総合対策、これは平成十四年の二月に策定をいたしましたが、に基づきます措置が適切に実施されるように、あらゆる機会を活用いたしまして周知徹底を図っていきたいというふうに思っているところでございます。
 新しい制度が生まれますと、それによりましてまた新しい様々な問題が起こってくる可能性がございますから、そうしたことも十分に配慮をしながら、これから健康管理に努めてまいりたいと考えております。
○西川きよし君 我々は新聞を見せていただいて、百六十人と。おうちの方々の皆さん方のことを思うと本当に大変だと思います。
 今回の改正では、専門業務型裁量労働制にもこの健康・福祉の確保措置を導入するというふうにされておるわけですけれども、企画業務型、専門業務型、いずれについてもこの裁量労働制が過重労働による健康障害につながることのないような措置というのは非常に重要な課題であるというふうに私自身思います。
 そして、今回の三十八条の三の内容と、そこでその趣旨をまず御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) この専門業務型裁量労働制でございますけれども、これは業務の性質上、業務遂行の手段や方法、また時間配分などを大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務、そういったものを労使で定めまして、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす、いわゆるみなし労働時間制でございまして、特別な専門的な業務として確立しているものを前提として認めるというものでございます。
 具体的にこの業務といたしましては、新製品、新技術の研究開発、また情報処理システムの分析、設計、またゲームソフトの創作の業務でありますとか証券アナリストの業務、公認会計士、弁護士さん、税理士さんといったような十八の業務、かなり専門的な業務として明確にされているもの、そういったものを対象としておるわけでございます。
 それで、導入でございますけれども、これは労使協定というものでございまして、労使それぞれの協定に基づきまして、その協定の中身で今申し上げた十八業務のうちからどれを対象にするかといったものを協定で決めると。また、実際に使用者は具体的な指示をしないといった旨もきちんと決めると。さらに、一体、みなし労働時間、何時間かといったことを決めると。多くは三つでございますけれども、そういったものを協定の中で決めていただいて、その協定を労働基準監督署へ届け出るということによって動き出すという制度でございます。
○西川きよし君 そこで、この専門業務型の対象者ですね、対象者がお持ちになっている健康上の不安、こういった問題の実態についてはどのように把握をされておられるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) これは、私ども行いました平成十四年の調査でございますけれども、これは専門業務型の裁量労働制の対象者、これは現在の制度ではいわゆる健康・福祉確保措置というものは一応制度上必要とされておりません。ただ、実際問題としましては、大企業ではほとんど、平均でも八割以上の事業場で実施されているわけでございますけれども、こういった専門業務型に就いておられる方につきまして、健康上のいろんな問題、そういった問題について聞いた調査がございます。
 これにつきまして、健康上の不安の有無について不安があると答えた労働者の方が七・八%、ないけれども不安とする労働者が四二・一%ということで、企画型の方に比べてその比率が多いという状況にございます。
 また、直近の健康診断で異常があったかどうかということでございますけれども、異常ありという労働者の方がやっぱり二一・四%ということで、これも企画型の方に比べて若干高くなっております。
 また、専門業務型裁量労働制の適用前後で健康状態がどうなったかと、良くなったか悪くなったかということでございますけれども、悪くなったとする方が三・一%、少し悪くなったという方が九・六%ということで、これもいずれも企画型の裁量労働制の適用労働者の方に比べて高くなっているということで、専門型の方の方にかえって健康上の問題、これ比率でございますけれども、多いんじゃないかといった非常に問題点が発見されたわけでございます。
○西川きよし君 次に、この労働省の告示第百四十九号の指針の中で、三十八条の四第一項第四号に規定する事項とありますが、その趣旨の御説明をお願い申し上げます。
○政府参考人(松崎朗君) これは、現在で、企画業務型裁量労働制の実施につきまして、労使委員会において決議をして使用者が実施しなければならない健康・福祉確保措置でございますけれども、この中身につきまして、具体的にどういったものがいいのかといったものをこの告示において挙げているわけでございます。
 具体的には、ここで挙げてございますのは、勤務状況に応じた代償休日又は特別休暇の付与、また勤務状況に応じた健康診断の実施、まとまった日数の連続した年次有給休暇の取得促進、心と体の健康問題についての相談窓口の設置、勤務状況に応じた配置転換、そういった措置が考えられるといったことに留意すべきであるということをここに規定してございます。
○西川きよし君 その中で、規制緩和サイドより、例えば勤務状況を記録により把握させることは時間管理をしないという裁量労働制の考え方に矛盾するのではないか、あるいは対象労働者のみに特別休暇を与えるのは労務管理上不可能ではないかと、こういった意見もあったというふうに聞いておりますけれども、ここは規制緩和サイドの要求を突っぱねたと、そういう理解でよろしいのでしょうか。これは、政務官にお答えいただきたいと思います。
○大臣政務官(森田次夫君) 総合規制改革会議等におきまして委員御指摘のような意見があったことは承知はいたしておりませんけれども、勤務状況の把握につきましては、企画業務型裁量労働制の対象労働者についても、健康上の確保を図るため使用者は適切に労働時間の状況を把握する必要があるわけですが、これはあくまでも労働時間の状況を把握するものでございまして、使用者が労働時間管理を行おうとするものではなく、したがいまして制度の趣旨に反するものではない、このように考えております。
 また、企画業務型裁量労働制の対象労働者に対する特別休暇の付与についてでありますが、これらの労働者は一般の労働者とは異なる労働管理が行われていると考えられることから、対象労働者についてのみこのような措置を取ることが不可能だとは考えておりません。
○西川きよし君 私はお伺いをしたんですが、政務官の方はそういう話は聞いたことはないということでございますけれども。
 それで、三十八条の四では、第四項の行政官庁への届出の規定についてですけれども、審議会の会議録を読ませていただきますと、当初政府側よりは廃止の提案がされまして、それまで非常に激しい議論が、読んでいただいたら本当にすごいですね、すごい激しい議論があるわけですけれども、結果といたしまして廃止をしなかったことで、これは大変に良い判断をされたと私自身思うわけですが、それまでにどのような御議論、どういう意見があったか、なぜそうした御判断になったのかというのを引き続き政務官にお聞かせいただきたいと思うのですが。
○大臣政務官(森田次夫君) 裁量労働制につきましては、多様な働き方の選択肢の一つとして適正に機能するようにしていくためにも、適用労働者が働き過ぎて健康を害することがないよう、それから、使用者が適用労働者の健康を確保するための措置を講ずることは非常に重要であると、このように認識をいたしております。
 このため、今般の改正における労働基準監督署への定期的な報告事項の簡素化に当たりましても、このような労働者の健康確保の重要性にかんがみまして、労働者の労働時間の状況に応じた労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況につきましては、改正後も引き続き定期的な報告を義務付ける、このようにしたものでございます。
 厚生労働省といたしましても、今後とも、裁量労働制の適用労働者が働き過ぎて健康を害することがないよう、健康・福祉確保措置の実施を含めまして制度の適正な実施を図るため、必要な監督指導を行ってまいりたい、このように考えております。
○西川きよし君 この過重労働によります健康障害の問題については、昨年の二月です、二月に、過重労働による健康障害防止のための総合対策についてという局長通達が出されております。この中でも裁量労働制対象者についても触れられておるわけですけれども、この通達の趣旨についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) これは、平成十三年の十二月に、直近の医学研究等を踏まえまして、いわゆる過労死の労災認定基準、こういったものを改正いたしました。
 それで、そういったことで過労死の認定の方は新しい基準によってやってきたわけでございますけれども、そこで、問題とされております過重負荷としての長時間労働といったものが明らかになってきたわけでございますけれども、これをほっておくというのでは正に後始末だけになってしまいますので、十四年の二月に御指摘のように過重労働による健康障害防止のための総合対策というものを策定いたしまして、特に、過重労働による健康障害を防止するために事業主にこういうことを講じていただきたいといったことを出したわけでございます。
 中身としましては、時間外労働の削減でございますとか、年次有給休暇取得促進、さらには健康管理の徹底といったことで、健康診断、事後措置等を徹底するとともに、長時間の時間外労働をさせた場合にはいろんな措置を講じなさいと、講じてくださいといったことを規定してございまして、その中で、産業医の方の助言、指導でございますとか、地域産業保健センターの事業の活用といったことにも触れているところでございます。
○西川きよし君 局長様が出されたその通達が出された後ですけれども、この内容に対して日経連の方から厚生労働省に対しまして意見書が提出されたというふうにお伺いしておるわけですけれども、その内容と厚生労働省の見解はどういったものであったのか、引き続きお願いしたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) この総合対策に関しましては、当時の日経連から確かにこの通達につきまして幾つかの問題点があるといったことで、我が国の企業活動に支障が生ずることのないように早急に再検討すべきであるといった旨の意見書が出されたところでございます。
 ただ、私どもは、この総合対策は業務と発症の関連性に関します医学的知見を踏まえまして策定したというものでございまして、当時の日経連が指摘するような問題点はなく、また過重労働によります健康障害防止といったことを図るためにはこの対策を積極的に推進していく必要があるというふうに考えております。
 したがいまして、本対策の実効性を確保していくために、ただ、やはり勝手にやっているといいますか、使用者側の方の理解と協力も必要でございます。そういったことから、実際の対策の中身を変えるのではなくて、対策の運用段階におきまして、リーフレットの作成でございますとか、産業医向けのマニュアルの作成、そういった場合に使用者側の御意見も十分に聞きながら実施していくといったことで使用者側、現在の日本経団連にも御理解いただいているというふうに考えております。
○西川きよし君 よろしくお願いをいたします。
 せんだっても、参考人の方々からもいろいろお話を、そういった内容のこともお伺いいたしました。そして、その中に産業医との関係についての御意見があったと思うわけですけれども、通達の中では産業医等による助言、指導について書かれておるわけですけれども、今回の改正案にも、裁量労働制について、産業医等による助言、指導の規定が追加をされているわけですが、もちろんこのことは大切なことで、産業医の役割も大変大きなことであると思うわけですけれども、そこで、果たしてそこに十分に対応できるのかなというふうに私は心配するのですが、それはつまりマンパワーの整備でございます。
 中小企業に対する地域産業の保健センターの支援が現実にはなかなかうまくいっていないというような指摘も多く耳にいたしますし、昨年の健康増進法のときに、高知の医科大学の甲田先生、お越しいただいたわけですけれども、参考人としてお越しいただいたわけですけれども、少し読ませていただきたいと思います、そのときの参考人の発言。
 中小・零細企業の労働者の健康問題を解決するための施策というのは今まで旧労働省が大分やられてきました。先ほど五十人という話をしましたけれども、三十人に引き下げようという経過がありました。ただ、経済団体から反対があったと聞いております。それで、連携する支援ということで地域産業保健推進センターを作ろうという形でスタートいたしました。もう五、六年になると思います。ただし、現実的にはなかなかうまく動いていないというふうに聞いております。それは、余りにも中小・零細企業の事業所が多過ぎるのに対して支援サービスをするのが少な過ぎると。圧倒的なマンパワーのアンバランスというところがあります。ですから、そういう支援体制を組むのであればもう少し発想の転換をする、それが私、高知県なんかでやっている地域保健サイド、マンパワーがおりますので、そういうところが関与できるように法整備というか、備えていただければ少しは変わってくるのかもしれないというふうに期待をしておりますというふうに、甲田先生はこういうふうにおっしゃっておられたんですけれども、通達についても、改正案の項目にしても、その実行を可能とする産業医のマンパワーの確保ですけれども、これが十分に行われるのかどうかということが大変心配になるわけですけれども、御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(松崎朗君) 働く人の健康管理につきましては、事業場に選任されております産業医の方、また中小零細企業のように産業医を置かれておらないところにつきましては地域産業保健センター事業に登録されております産業医の方、そういった方によりまして行われているところでございます。しかし、そういった現状でございますけれども、現在のところ、確かにマンパワーの話、足らないという話が断片的にあるのかもしれませんけれども、どうも産業医の不足を指摘するといった声がなかなかはっきりと聞こえておらないということで、数としてはまあまあ確保されているのかなといったふうには考えてはおります。また、中小企業向けの地域産業保健センターでございますけれども、これは御案内のように、全国三百四十七か所現在整備してございます。
 そういったことで、中小企業の労働者の方の健康管理等に関する相談、情報の提供、そういったものを行っておるわけでございますけれども、引き続き、先ほどの過重労働の過労死総合対策でございますけれども、この対策に基づく助言、指導などを通じまして中小企業の労働者の健康確保というものに努めていきたいというふうに考えております。
 なお、確かに委員御指摘のような御懸念もあるとは思います。そういったことから、特に地域産業保健センターの支援の充実を図るといった観点から、従来から産業医に対しまして推進センターにおいて研修を行っております。そういったものを行うとともに、さらに専門スタッフによる相談体制といったもの、そういったものを置きまして、産業医の実務的能力の向上に努めるということをしておるわけでございますけれども、特にこの過重労働対策というものにつきましてはより一層力を入れるといった趣旨から、今年度におきましては産業医の方を対象に全国で研修を行うといったことを予定しているところでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 どうぞ、いろいろ専門家の方々、また地域の方々にお伺いしても、そういうことのやっぱり不安は払拭できませんし、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 この裁量労働制については健康障害のことが最も大きな不安であると思うわけですけれども、裁量労働制とはいえ、使用者の安全配慮の義務というのはやはり免れないというふうに思うわけです。
 今回、規制緩和という流れの中で、むしろこの分野は規制が強化されておるわけですから、政府といたしましてこのことに対して重要視をされているということは、今、局長様の御答弁にもありましたように十分私の心にも伝わってくるわけですけれども、それが実行可能となるような、今も御答弁いろいろいただきましたけれども、その環境整備と申しましょうか、そういった事ごとがやっぱり幾ら考えても不安と申しましょうか、是非、この質問を最後で終わりたいと思いますので、十二分に理解ができるように、これもまたストレスがたまるかも分かりませんが、坂口大臣の方から御答弁をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 各般にわたりましてのいろいろの質問をしていただいてありがとうございました。
 裁量労働制という新しい働き方によりまして健康をどう守っていくかということ、大変大事な問題でございます。今までの働き方の場合には労働時間というものが一番大きな物差しになっておりましたし、それによってある程度左右されてきたことも事実でございます。
 しかし、この裁量労働制の場合には、労働時間というものは自分でかなりこれは制限もできるし、あるいは少し延ばすこともでき得る、自由裁量にゆだねられる部分があるわけでございますから、同じ仕事量にいたしましても、一日で、それは六時間か七時間でやってしまう人もあれば、九時間ないし十時間掛かってやる人もあるということになるんだろうと思います。その辺のところの、それぞれの人が自分で労働時間をチェックするということも大事でございますが、私は、裁量労働制の場合には、その与える仕事量というのが非常に私は問題になってくるというふうに思います。
 普通の労働者と比較をして余りにも多くの仕事量を与えるということになれば、それは時間を延長してこなす以外にそれは方法がないわけでございますから、普通の時間帯ではできないということになってくる。したがいまして、ただ働く時間ということではなくて、与える仕事量というものがこれから非常に大事になってまいりまして、経営者と申しますか、管理する立場の皆さん方はそうしたことにも十分な配慮をしていただかないと、この裁量労働制をする人たちの健康を守ることができ得ないのではないかというふうに思っている次第でございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 これで終わります。
○委員長(金田勝年君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時散会