第157回国会 本会議 第3号
平成十五年十月六日(月曜日)
   午前十一時一分開議
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○議事日程 第三号
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  平成十五年十月六日
   午前十一時 本会議
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 第一 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国
  において発生したテロリストによる攻撃等に
  対応して行われる国際連合憲章の目的達成の
  ための諸外国の活動に対して我が国が実施す
  る措置及び関連する国際連合決議等に基づく
  人道的措置に関する特別措置法の一部を改正
  する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、裁判
  官訴追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
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○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 日笠勝之君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、市川一朗君、加藤修一君及び山本正和君から同予備員を、北岡秀二君、佐々木知子君、谷川秀善君及び渡辺秀央君から裁判官訴追委員を、泉信也君、荒井正吾君、山口那津男君及び岩本荘太君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
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○議長(倉田寛之君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員一名、同予備員三名、
 裁判官訴追委員、同予備員各四名、またあわせて
 検察官適格審査会委員予備委員、
 日本ユネスコ国内委員会委員各一名、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員二名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員に続訓弘君を、
 同予備員に山崎力君、浅尾慶一郎君及び山口那津男君を、
 裁判官訴追委員に大島慶久君、加藤紀文君、月原茂皓君及び吉村剛太郎君を、
 同予備員に中原爽君、松村龍二君、渡辺秀央君及び井上美代君を、
 検察官適格審査会委員予備委員に山内俊夫君を、
 日本ユネスコ国内委員会委員に浜四津敏子君を、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員に陣内孝雄君及び北澤俊美君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、山崎力君を第一順位に、浅尾慶一郎君を第二順位に、山口那津男君を第三順位に、第三順位の林紀子君を第四順位といたします。
 また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、中原爽君を第一順位に、松村龍二君を第二順位に、渡辺秀央君を第四順位に、井上美代君を第五順位といたします。
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○議長(倉田寛之君) 日程第一 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。国務大臣福田内閣官房長官。
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田康夫君) ただいま議題となりました平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃がもたらした脅威が依然として存在していることを踏まえ、我が国として、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に引き続き積極的かつ主体的に寄与し、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的として提出するものであります。
 以上がこの法律案の提案理由であります。
 この法律案の内容は、現行法の有効期限を更に二年間延長し、施行の日から四年間とするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
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○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小川勝也君。
   〔小川勝也君登壇、拍手〕
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。
 私は、ただいま議題となりましたテロ特措法の一部を改正する法律案に対し、総理大臣及び関係大臣に質問いたします。
 二〇〇一年九月十一日、余りにも衝撃的な事件が起きました。犠牲になられた多くの皆様に改めて哀悼の意を表し、尊い命を失われた御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。
 あの日以来、全世界が改めて強くテロを憎み、テロと闘うことを誓い合いました。テロを起こしたとされるアルカイーダ、オサマ・ビンラーディンをいかなる理由があっても国際社会は許すことができませんでした。ニューヨークにおける強烈な映像がまぶたに残っている間にアメリカがテロに対し力でねじ伏せると宣言し、拠点となっていたアフガニスタンにおいて彼らに武力を行使することに理解を示した国民も多かったと思います。
 しかし、テロ直後から様々な武力行使に対しての否定的な考え方も発せられていました。今から考えると、アメリカがテロの拠点としてアフガニスタンに引き続き、さらには当時から悪の枢軸と決め付けていたイラク攻撃に踏み切るのではないかという危惧もありました。イスラエルとパレスチナの関係を含め、中東における混乱が泥沼化するのではないかという懸念もありました。残念ながら、いずれも現実のものとなりました。さらに、テロを武力でなくすことはできない、テロをたたけば新たなテロを生む、テロをなくすには貧困や民族・宗教紛争を解決することから始めなければならないという武力攻撃に慎重な意見も多数ありました。
 我々は、テロを憎み、テロのない社会の実現を強く望みました。いかにしてテロをなくすか、我々にとっても国際社会にとっても余りにも大きな課題でした。
 我が国は、国際社会の一員として自衛隊をインド洋などに派遣しました。これでテロを撲滅できるという確信に基づいてではなく、むしろ苦渋の選択だったろうというふうに思います。特別措置法という形にしたのも、二年の年限を設けたのもその表れだと考えます。
 二年の間にアフガニスタンは地形が変わるほどの爆弾を受けて、罪なき人々も苦しみ、バリ島やジャカルタの観光客、国連施設などがテロの対象となり、テロが世界に広がりました。さらに、アメリカが国連決議なしにイラク攻撃に踏み切った結果、現在のような状況につながっています。
 総理は、衝撃映像がさめやらぬ中で、同盟国日本の総理大臣として責任ある立場でブッシュ大統領の要請を受けられました。そして、ブッシュ大統領の力には力でという方針を支持されました。しかし、少し冷静になった今、二年を振り返り、テロに対する考え方に変化があったとしても想像に難くないことだと思います。この間の出来事を思い返しながら、対テロについての考え方がどのように変化したのか、お答えをいただきたい。
 我が国では、法律上、アフガニスタンにおける対テロ武力行使とイラクに対する軍事行動は明確に区別されていますが、アメリカを始めとする国々では当然一体の作戦と位置付けています。アメリカやイギリスでは、この一連の行動が本当に正しかったのかどうか大きな議論になり、当然指導者の責任も問われています。
 日本ではどうでしょうか。作戦の結果をどのように評価しているのか、政府の見通しと比べどうだったのか。国民や国会に対する説明責任を果たすことなく特措法の延長を提案し、アメリカとの関係があるので更に二年延長しなければならないという政府の安易な姿勢には納得できるはずはありません。
 政府は、本来、国民に知らせなければならない二年間のテロ掃討作戦の全体像を示すことなく、単に二年の延長を求めています。国会審議の中では軍事機密を盾に答弁できなかったことが多かったのではないでしょうか。法律の延長時にできるだけの情報を国会に提供し議論する、これが特措法の本来の在り方であり、シビリアンコントロールの健全な姿だと考えます。十分に説明責任を果たしてきたと言えるかどうか、総理の答弁を求めます。
 さらに、自衛隊が日本国内や領海から出ていくということは、正に特別な措置です。その措置の間のあらゆることを国会で精査しなければ、安易な延長はできないと考えます。すなわち、国会が原則事前に承認する必要があると考えますが、総理いかがでしょうか。
 国際世論の注目がイラクに向いている中、自衛隊員が地道な後方支援を続け、国際社会から高い評価を受けたことは誠に喜ばしいことですが、政府は二年間のテロ掃討作戦の全体像も、それに対する評価も明らかにしていません。政府の評価をお聞かせいただきたい。また、どのような状況になったときに自衛隊の任務が終わるのか、その目安や条件について総理にお伺いいたします。
 政府が把握しているアフガニスタン国内の状況について伺います。
 まず、アルカイーダがどうなっているのか、オサマ・ビンラーディンの消息、罪なき民間人の犠牲について、現在の人々の生活はどうなっているのか、そして新しい大統領の下での憲法制定と総選挙実施への見通しについて、川口外務大臣に伺います。
 日本の部隊の主な任務はインド洋における補給だったと承知しています。イラク作戦に展開する空母にも間接的に給油が行われていたのではないかとの疑義がありました。さらに、イージス艦の派遣も問題視されました。イージス艦の情報収集能力は高く、その情報はアメリカの艦船とデータリンクシステムを通じ共有しているはずです。アメリカ軍の活動にはアフガニスタン、イラクの作戦の区別はないはずです。イージス艦の情報をめぐる活動が間接的にイラク攻撃に参画していたのではないかという疑念も残っています。防衛庁長官に御答弁願います。
 イージス艦は、本来、日本の防衛のかなめとなるはずの艦船です。総理は、今、日本にとっての最も大きなテロの脅威は何だとお考えですか。また、九・一一以降、政府が国内で取ったテロ対策にどのようなものがあったのか、お答えいただきたい。
 九・一一テロで大事な御子息を亡くされた白鳥晴弘さんは、いかにしてテロを撲滅できるかと考えあぐねた末に、亡くなった御子息の遺産や補償金を元にアフガニスタンの子供たちを助けるプロジェクトを立ち上げました。テロをなくすにはそこから始めるしかないと考えたからです。
 テロの実行犯に何らかの制裁を加えることも当然ですが、テロをなくすことが大変難しいものだと認識をするならば、気の遠くなるような時間が掛かるかもしれませんが、別の道を探っていくのも一つの考え方でありましょう。その道を探っていくのも国際社会の中においての日本の果たさなければならない大きな役割ではないでしょうか。
 貧困、民族や宗教の違いや文化の違いなどがテロの原因になっているとするならば、日本はその障害を乗り越え、平和を作り出していく国でありたい。そういった意味で、日本政府が国際社会や国際機関でどういった提案をしてきたのか、また、どのような構想を持っているのかを総理にお尋ねいたします。
 率直にお伺いして、アフガニスタンにおける復興とイラクにおいての占領行政はうまくいっているとお考えですか。フランスの国際関係研究所副所長ドミニク・モイジ氏は、イラクにおいての占領政策についてこんなことを述べています。
 イラクでは残忍で抑圧的なフセイン政権を打倒することには正当性があった、だが米国には、民主主義や多元主義を中東にもたらすという理想はあっても、理想を実現するための手段と戦略がない、また問題は、米国がほかの文化や言語を理解する能力に著しく欠けていることだ、米国は十九世紀の英国やフランスの植民地統治の成功と失敗に学ぶべきだ、英国は少ない軍隊でインドを百年以上も統治したが、米国にはそのノウハウはない。植民地政策はもとより否定すべきですが、大変含蓄のある指摘だと思います。
 日本は、中国、アジアに学び、更にヨーロッパ、アメリカに学んできました。さらに、世界の文化を尊重し、受け入れようとしている国だと我々は自負をしています。さらに、日本はアメリカによる占領をも経験しています。その後、奇跡の復興を遂げ、欧米以外で先進国の一角を占めるまでになりました。日本が、世界の平和を願う国際社会の一員として、文明や人種を超えた新たな国際社会の創造をする大きな役割を果たしていけるのではないかと考えます。
 国際社会の歴史は、力による支配から法による支配に移行してきました。また、国際協力も各国や各地域に対する理解なしにはうまくいきません。更に言えば、民主主義といっても西欧流の民主主義が民主主義の基準とは言えないのです。地域には地域のルールがあります。伝統があるはずです。ブッシュ流の、相手を力でねじ伏せる今のやり方で本当に世界が平和になるのか、将来、世界の人々が幸せになれるのか、総理はどうお考えでしょうか。
 政府の様々な答弁を聞いていますと、最終的には国際協調、日米同盟に帰結することが多い。同盟とは一体何なのか。アメリカが武力を行使するんだから、何らかの形で参加しなければならないという結論が透けて見えます。アメリカ国内からも、武力行使ありきから始まった二つの作戦は泥沼に陥っているという議論が出ています。
 総理は、二年前にブッシュ大統領とどんなお話をされましたか。時にはいさめたりアドバイスができたりという日米関係の方がよりすばらしいと思います。総理はいかがお考えでしょうか。
 二年前に悲しい事件の後に何度となく聞いた言葉があります。武力でテロはなくならない。正にその言葉です。たとえビンラーディンが死んでもフセインが死んでも、大きな憎しみが残れば新たな指導者が生まれるでしょう。たとえ多くの戦士の命を奪っても、また新たな戦士が作られます。
 ブッシュ大統領は八月に、アフガニスタンを含め周辺国からイラクにアルカイーダ型の戦闘員が侵入していると指摘し、強い懸念を示しています。現に多くのアメリカの若い命がイラクで連日奪われています。そして、我が国でもイラクに自衛隊員を派遣できる法律を成立させました。もし法律どおり自衛隊員をイラクに派遣することでしか日米同盟を維持できないと総理が考えていたとしたならば、とても残念に思います。
 総理は、本当にイラクに自衛隊を派遣するおつもりですか、最後にそのことをお伺いをし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 小川議員にお答えいたします。
 テロの脅威についてですが、九・一一テロ以降も世界各地でテロが発生するなど、テロの脅威は依然として深刻であります。我が国としては、国際社会によるテロとの闘いを引き続き積極的に支援していくため、テロ特措法の延長法案の成立に万全を期してまいります。
 また、このような国際情勢の下では、我が国においてテロが発生する可能性も否定できません。そのため、政府としては、出入国管理、テロ関連情報の収集・分析、ハイジャック対策、NBCテロ対策、重要施設の警戒警備、テロ資金対策など、総合的なテロ対策の強化を図ってきたところであります。
 テロ特措法の延長と国会承認の必要性についてでございますが、今回の改正は、現行法の有効期限を二年間延長するものでありますが、協力支援活動の内容を何ら変更するものではありません。また、この間の自衛隊の活動について御審議いただいた上で延長法案が成立するということは、活動の根拠について国会の同意が得られたと考えることができることから、改めて国会の事前承認を得る必要はないと考えます。
 テロ掃討作戦の成果についてでございますが、アフガニスタン及びその周辺地域におけるテロリストの大規模な活動を封圧する成果を上げたと見ているものの、アフガン国内を始め各地でテロ事件は依然として発生しており、テロの根絶には至っていないと言わざるを得ません。このため、今後とも、国際社会と協調して、テロの脅威の除去のための取組に我が国としても積極的に参加していく必要があると考えます。
 テロ撲滅のための我が国の貢献についてでございますが、テロの根絶のためには、国際社会が緊密に協調しつつ、あらゆる手段を講じることが重要です。我が国としては、テロ対策特措法に基づく支援を行うとともに、アフガニスタン復興支援、貧困問題の解決等で国際社会の取組を主導しております。今後とも、国際的な協力関係を強化しながら、テロ根絶のために主体的に取り組んでまいります。
 米国の対アフガニスタン及び対イラク政策についてでございますが、国際的なテロの温床となっていたタリバン支配下のアフガニスタンや大量破壊兵器について重大な疑惑を持たれていたフセイン政権下のイラクは、国際社会に対する重大な挑戦となっておりました。我が国は、米国の武力行使は、いずれの場合も国際法にのっとったものとして支持しております。
 両国の復興と安定のために、それぞれの地域の文化にも配慮しつつ、治安回復と民生の向上が必要なことは国際社会の一致した認識だと思っております。
 日米同盟の在り方についてでございますが、日米同盟と国際協調は我が国外交の基本であります。良好かつ強固な日米の協力関係を一層強化していくためには、日米双方が言うべきことを言い、やるべきことをやっていくことが重要と考えていることは、従来より指摘しているところであります。米国追随との御指摘は当たりません。
 自衛隊のイラク派遣についてでございますが、国連安保理決議一四八三の採択などにより国連加盟国がイラク復興支援に対する貢献を求められている中で、我が国としては、国際協調の下、我が国にふさわしい貢献を行うべきであると考えます。イラクに対しどのような復興支援が可能であるか、自衛隊の派遣を含め、現地情勢の調査結果等を踏まえて的確に判断してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
○国務大臣(川口順子君) アフガニスタンの現状、見通しについてお尋ねがありました。
 テロとの闘いは一定の成果を上げつつあります。ただ、依然としてウサマ・ビンラーデン、オマル師等、アルカーイダ、タリバーンの主要メンバーは拘束をされていません。他方、パキスタンと国境を接する南部、南東部、東部を中心として、タリバーン、アルカーイダ、ヘクマティアル派が連携を強化しながら活動を活発化させつつあります。
 テロとの闘いによる民間人の犠牲についてですが、アフガニスタン政府等からはこれまでの犠牲者数に関する正式な発表はございません。
 カブールを始めといたします都市部では小規模な経済活動が活発化しておりまして、国際社会の支援と移行政権の自助努力が一定の成果を上げつつあります。他方、基礎的なインフラはいまだ未整備の部分が多く、経済基盤は依然として脆弱であることに加えまして、地方におけるタリバーン等の活動の活発化、軍閥支配の継続、そしてケシ栽培の拡大等の懸念すべき傾向があります。こうした中で、国際社会がアフガニスタンの復興に向けた努力を引き続き支援していくことが重要だと考えています。
 二〇〇一年十二月のボン合意以降、緊急ロヤ・ジェルガの成功、移行政権の発足等、これまでのところ和平プロセスはおおむね着実に進展をしてきています。今年の十二月には憲法制定ロヤ・ジェルガが行われ、来年の六月には総選挙が実施をされる予定です。
 我が国は、今後とも、引き続きアフガニスタンの復興支援に取り組んでいく所存です。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(石破茂君) 小川議員より、イージスシステム搭載型護衛艦、いわゆるイージス艦の活動につきましてお尋ねがございました。
 インド洋派遣部隊の指揮に当たる艦艇の派遣につきましては、指揮に当たる艦艇の派遣ローテーションや補給活動における安全性の確保、隊員の居住環境の快適性等、総合的に勘案して決定をしてきておりまして、昨年十二月から本年八月までの間、イージス艦であります「きりしま」、「こんごう」を続けて派遣をいたしたところであります。
 テロ対策特措法に基づく活動は、平成十三年九月十一日のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等に対して行うものであり、イージス艦はあくまで当該活動に従事するものであります。
 一般的な情報交換の一環として米軍への情報提供を行うことは実力の行使には当たらず、憲法九条との関係で何ら問題を生じるおそれはないものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
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○議長(倉田寛之君) 小泉親司君。
   〔小泉親司君登壇、拍手〕
○小泉親司君 日本共産党を代表して、テロ特措法改正案について小泉純一郎総理に質問をいたします。
 まず、テロと戦争の問題であります。
 アフガニスタンにおける対テロ戦争は二年を過ぎました。米英を始めとした大規模な戦闘によってタリバン政権は倒れましたが、ウサマ・ビンラーディンもアルカイダ・ネットワークも見付かっておりません。この事実は、戦争という手段ではテロを根絶できないということを示しているのではありませんか。
 アナン国連事務総長は、七月二十三日に提出したアフガニスタンの状況に関する報告書で、アフガニスタン全土の全般的な治安状況は脆弱のままであり、多くの地域では悪化の兆しを示していると述べております。九月二十二日の国際テロ会議でも、我々が軍事力だけでテロを敗北させることができると考えるなら間違いを犯すことになる、もしテロをやめさせるべきなら、もっとたくさんのことを行う必要があると指摘しています。戦争でテロを根絶できるという考えを根本的に改めるべきではありませんか。
 総理は、我が党の市田書記局長に対し、「国際社会がテロとの闘いを継続しているさなかで、我が国が法律の期限が切れたからといって撤退するということで、果たして国際協調を保つことができるんでしょうか。」と述べました。国際社会、すなわちアメリカが対テロ戦争を行っている限り、自衛隊の派兵を続けるおつもりなのですか。また、いつから自衛隊は世界のテロ戦争に参加することになったのですか。答弁を求めるものであります。
 ブッシュ大統領は、八月二十六日に対テロ戦争での中間報告とも言える演説を行った中で、テロ戦争は我が国の力の試金石だ、新しい種類の戦争のための新しい戦略を採用したと先制攻撃戦略を改めて明言しました。総理は、テロには戦争だ、先制攻撃も辞さないというブッシュ大統領に今後も追随していくおつもりですか。明確にしていただきたいと思います。
 平和憲法を持つ日本政府がやるべきことはたくさんあります。大事なことは戦争ではなく、テロを許さない国際社会の一致団結した取組でテロを封じ込めることであります。国際テロ包括禁止条約作成を始めとする外交努力を強化することこそ日本政府のやるべきことではないのですか。総理の答弁を求めるものであります。
 次に、テロ特措法違反の米軍支援についてであります。
 防衛庁資料は、自衛隊がインド洋で実施してきている給油支援が大幅に減少し、七月以降は最高時の一割にもならないことを示しています。四十隻に上った米軍艦船も今や二隻に大幅に減少しています。それにもかかわらず、なぜ自衛隊がインド洋に居座り続けるのか、明らかにしていただきたいのであります。
 私は、今年一月、テロ特措法に基づく自衛隊の給油がイラクでの戦争準備、軍事威嚇にも使われてきていることを指摘してきました。米軍の公開資料で、自衛隊の補給艦から米補給艦を通して米空母に給油されていると明記されているのに、防衛庁長官はその事実の確認もしないという態度に終始しました。総理、私が指摘したこの事実は全くなかったのですか。テロ特措法の根本にかかわる問題ですから明確にしていただきたいと思います。
 防衛庁長官は、私の指摘に対し、米軍がアフガニスタンの作戦とイラクの作戦の二つの任務を持つことはある、自衛隊の燃料がどちらの任務に使われるかどうかという切り分けは可能だなどと言い始めました。総理、あなたもこの珍答弁に同意されるのですか。
 今、ブッシュ大統領は、イラク戦略の目的の一つにテロ組織の壊滅を挙げています。米軍はアフガニスタン、イラクでの対テロ戦争の任務を持っていることは言うまでもありません。自衛隊が米艦船に給油する場合、アフガニスタン作戦とイラク作戦の二つの任務を併せ持つ米軍をどう切り分けできるというのですか。
 私は、自衛隊の給油支援について五回の追及を行ってきましたが、防衛庁長官が行き着いた答弁は、不朽の自由作戦、つまりアフガニスタンの作戦、あるいはサザンウオッチ、ノーザンウオッチといったイラクでの作戦、いろんな任務を同時に受けているということはあるのだと思います、だから目的外などというようなことには私はならないと思いますなどというものでありました。総理、テロ特措法違反かもしれないというのに、こんないい加減な答弁で済ますおつもりですか。
 米艦船が複数の任務を同時にやり抜くことは軍事常識です。給油に当たって、一々、イラク作戦には使用しないでしょうねなどと米軍に確かめるとでも言うのですか。米軍の言いなりではなく、日本政府自身が検証したことがあるのですか。明確な答弁を求めるものであります。
 イラクへの自衛隊派兵問題についても併せて聞いておきたいと思います。
 五月一日にはブッシュ大統領が主要な戦闘が終わったと宣言して以来のイラクの状況は、正に泥沼であります。全土で戦闘が続き、米軍の現地司令官は、米軍が駐留する限り、襲撃や犠牲者は続くだろうと述べています。米軍は、なぜイラク国民から憎まれ、攻撃されると思いますか。戦争と占領が国連憲章に違反し、大義がないからではありませんか。総理の見解を伺います。
 ブッシュ大統領は、九月七日のアメリカ国民向け演説で、イラク戦略の目的は、テロ組織を壊滅させ、イラク国民が支援国を募り、自らの防衛と将来への責任を担う手助けをすることの三つだと述べました。もはや大量破壊兵器の発見など口にしておりません。
 二日には、CIAのデビット・ケイ氏の調査団が、アメリカ下院情報特別委員会に証拠は未発見と中間報告を行いました。
 総理は、大量破壊兵器はいずれ見付かると国会で繰り返し述べてきましたが、大量破壊兵器が見付からなければ、イラク戦争を支持した総理の責任は重大であります。いずれ見付かるとの発言について、一体責任が持てるのですか。明確にしていただきたいと思います。
 総理はこれまで、どこが非戦闘地域でどこが戦闘地域かと今私に聞かれたって分かるわけがないと述べました。岡本首相補佐官が行ったイラク調査報告を受けた今、総理はどこが非戦闘地域であるか分かったのですか。答弁を求めます。
 米軍司令官は、戦闘地域と非戦闘地域の線引きは不可能だと述べました。こうした中、防衛庁長官は、八月、年内の自衛隊派遣は無理だろうとまで述べていました。ところが総理は、自民党総裁選挙告示の日に、自衛隊を派遣しない選択肢はないと述べ、先日の予算委員会でも我が党の志位委員長に対し、よく状況を見極めて、戦闘地域でない、自衛隊が貢献できるような地域があれば自衛隊を派遣しますと述べたのであります。
 アーミテージ米国務副長官は、八月、日本は逃げるな、お茶会じゃないんだと述べました。だからこそ、自衛隊派遣の決断へと大きくかじを切ったのではありませんか。
 今回、総理は、政府調査団をイラクに派遣しましたが、自衛隊派遣を確定しない日本に不満が募るアメリカ政府の要求にこたえたからではないのですか。
 また、この政府調査団の派遣は、派遣時期や活動内容を固めた上で詳細を詰める先遣隊としてでなければ受け入れ難いとの米軍の意向を反映したものではないのですか。明確な答弁を求めるものであります。
 この政府調査団の派遣に当たって、政府は、米軍の警護を要請したと伝えられています。警護を要請したのですか。米軍に警護されての調査で、本当に非戦闘地域だということが認定できるのですか。明確な答弁を求めるものであります。
 アナン国連事務総長を始め、世界の多くが米英のイラク攻撃と軍事占領に反対をしています。自衛隊の派兵は、この世界の態勢に逆行するものではありませんか。
 最後に、改憲問題です。
 総理は、集団的自衛権を認めるんだったら、憲法は改正した方がいいと述べてきました。集団的自衛権の行使を明記させたいということが総理の改憲案作りの眼目ではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。
 以上、ただしてきたことからも明らかなように、テロ特措法は廃止しかあり得ません。私は、その廃止を強く求めるとともに、イラクへの自衛隊派兵に断固反対するものであります。イラク復興のためには、国連中心の非軍事的分野での積極的な支援が急務であることを主張して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 小泉議員にお答えいたします。
 テロの根絶についてでございますが、国際テロの根絶のためには、国際社会が緊密に協調してあらゆる手段を講じることが必要であります。
 特に、テロを生む背景に存在する諸問題の解決を図り、民衆がテロリストを拒絶する環境を作ることが重要であることは言うまでもありません。同時に、現にテロ活動を行う勢力に対しては断固たる取締りを徹底しなければなりません。米軍等の軍事力による掃討に加えて、各国がテロ資金対策、出入国管理などの手段を総合的に用いてテロの抑圧に努めているところであり、我が国としても可能な限りの努力を続ける必要があると考えます。
 テロ対策のための自衛隊の派遣に関するお尋ねですが、政府としては、米国同時多発テロを引き起こしたテロの脅威が除去されれば、テロ特措法は廃止されるものと考えます。しかし、テロの脅威が継続する現状においては、我が国は、直接戦争に参加するわけではありませんが、同法の延長を図ることにより、引き続き国際社会のテロとの闘いに協力し、支援することが是非とも必要であると考えます。
 法案の期限延長は二年間であり、満了の時点でこの法律を更に延長するかどうかは、テロの脅威の状況、国際情勢を勘案しながら、改めて国会で御審議いただくべきものと考えます。
 米国の対テロ戦略に関してですが、米国自身、先制行動を侵略のための口実としてはならず、また、テロとの闘いは軍事力だけで解決することはできないとしています。現状を米国追随と言うのは全く間違っており、テロとの闘いに国際社会とともに取り組むことは、我が国自身の国益に沿うものと確信しております。日米安全保障体制は我が国の安全の礎であり、テロを含む世界の問題を世界の国々と協調しながら解決していく原動力である世界の中の日米同盟を一層強化してまいります。
 テロ防止のための外交的努力の強化についてでございますが、国際社会におけるテロの根絶のためには、国際社会が緊密に協調しつつ、あらゆる手段を講じることが重要であります。我が国としては、テロ対策特措法に基づく支援を行うとともに、テロを防止するための国際的な法的枠組みの更なる強化、情報収集、テロ資金対策等について、国際的な協力関係を強化しながら取り組んでまいります。
 インド洋における自衛隊の活動についてでございますが、我が国の自衛隊は、インド洋において米国を始め各国が展開しているテロリストの掃討、テロ活動の阻止の活動に対して、船舶の燃料提供などの協力支援活動を行うために厳しい環境の中で任務遂行に当たっているのであります。
 テロ特措法に基づく給油が別目的に使用されたのではないかとのお尋ねですが、テロ特措法に基づく我が国の支援は、同法に基づくものであることが米国と締結している交換公文に明記される等、相手国との確約された信頼関係の下に行われているものであり、我が国が提供した艦船用燃料は同法の目的に合致して適切に使用されているものと承知しております。
 本件の場合、我が国から燃料提供を受ける米海軍がその時点で現実に対テロ作戦行動に従事しており、また、燃料提供の実績などを勘案しても、同法の目的の範囲内の燃料提供であったと信じることに合理的根拠があるものと考えます。
 米軍の対イラク武力行使についてですが、米英等によるイラクに対する武力行使は、関連安保理決議に合致し、国連憲章にのっとったものであります。
 最近イラク国内で行われた世論調査によれば、約三分の二の回答者が、軍事行動の結果生じた困難を考慮してもフセインが追放されたことに意義があった旨回答しております。また、国連総会の場でチャラビ・イラク代表は、我々の自由のための闘いを助けてくれたすべての方々に感謝の意を表したい、我々の解放は、ジョージ・ブッシュ大統領の決意と最前線に米英の人々が立つ連合軍のコミットメントなしには達成されなかっただろうと述べています。
 イラクにおける大量破壊兵器問題についてのお尋ねですが、イラクはかつて実際に大量破壊兵器を使用しており、その後も大量破壊兵器の廃棄は立証されていません。また、査察への非協力を始め、イラクが関連安保理決議への重大な違反を継続的に犯してきたことは国際社会の一致した認識でした。この問題については、疑惑の解明に向けて今なお作業中であり、引き続きこれを注視してまいります。
 自衛隊のイラク派遣についてですが、イラクへの自衛隊の派遣については、自衛隊を戦闘地域に派遣せず、また、派遣された自衛隊が戦闘行為に参加しないというイラク人道復興支援法の原則を堅持しながら、現在派遣中の調査チームによる現地情勢の調査結果等を踏まえて、派遣の可能性、活動地域等を的確に判断してまいります。
 米国政府高官の発言についてお尋ねがありましたが、イラクへの人道復興支援は国際社会の重要課題であり、関連する安保理決議において国連加盟国はイラク復興支援に対する貢献を求められております。このようなことから、我が国としては、国際協調の下、我が国にふさわしい貢献を積極的かつ主体的に行うこととしているものであり、イラクへの自衛隊の派遣についても、米国務副長官の発言にかかわらず、現地情勢の調査結果等を踏まえて派遣の可能性を的確に判断してまいります。
 政府調査チームの派遣についてでございますが、政府調査チームは、イラクにおける人道復興支援について実施可能な業務、現地の治安、生活状況、現地における支援要請などの綿密な調査を行っているものであります。今回の調査は、前国会において成立したイラク人道復興支援法に基づくものであり、米側の要求や意向によるとの御指摘は全く当たりません。
 政府調査チームの米軍による警護についてでございますが、政府調査チームの安全確保には万全を期しており、その観点から、警護の体制等について申し上げることは差し控えたいと思います。いずれにせよ、冷静かつ客観的に現地情勢の調査に当たっているものと確信します。
 イラクへの自衛隊の派遣は国際協調にかなうものかとのお尋ねですが、国連安保理決議一四八三の採決などにより、国連加盟国はイラク復興支援に対する貢献を求められております。我が国としても、国際協調の下、自衛隊又はいわゆる文民の派遣など、我が国にふさわしい貢献を行うべきであると考えます。
 憲法改正についてでございますが、私は、二年後の自民党結党五十周年を一つの節目として、党としての改正案を取りまとめて国民的議論を喚起することは有意義であると考えております。憲法九条だけでなく、自衛隊の在り方も含め、将来のもろもろの議論の中で、国民的議論を喚起する中で憲法のどこを改正すべきかは明らかになってくると思いますので、政党としてそれぞれの案を出しながら、将来あるべき憲法改正という議論を喚起することは有意義であると思っております。
 テロ対策特措法の延長についてですが、九・一一テロ以降も世界各地でテロが発生するなど、テロの脅威が依然として深刻であり、国際社会によるテロとの闘いが継続している現状において、我が国が法律の期限切れとともにテロとの闘いに参加するのをやめたら国際協調を保つことができるとは思いません。テロとの闘いに引き続き積極的かつ主体的に参加していく必要があり、テロ特措法延長法案の成立に万全を期してまいります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十八分散会