第159回国会 法務委員会 第9号
平成十六年四月八日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 四月七日
    辞任         補欠選任
     小林  温君     中川 義雄君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     樋口 俊一君     榛葉賀津也君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山本  保君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                鴻池 祥肇君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                今泉  昭君
                江田 五月君
                榛葉賀津也君
                角田 義一君
                堀  利和君
                井上 哲士君
       発議者      江田 五月君
   委員以外の議員
       発議者      小川 敏夫君
   国務大臣
       法務大臣     野沢 太三君
   副大臣
       法務副大臣    実川 幸夫君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       堀内 文隆君
       内閣官房内閣参
       事官       鈴木 基久君
       法務省入国管理
       局長       増田 暢也君
       公安調査庁長官  大泉 隆史君
       外務大臣官房参
       事官       角  茂樹君
       外務省総合外交
       政策局長     西田 恒夫君
       外務省欧州局長  小松 一郎君
       外務省中東アフ
       リカ局長     堂道 秀明君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
○難民等の保護に関する法律案(江田五月君外三
 名発議)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(山本保君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨七日、小林温君が委員を辞任され、その補欠として中川義雄君が選任されました。
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○委員長(山本保君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案及び難民等の保護に関する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣官房内閣審議官堀内文隆君、内閣官房内閣参事官鈴木基久君、法務省入国管理局長増田暢也君、公安調査庁長官大泉隆史君、外務大臣官房参事官角茂樹君、外務省総合外交政策局長西田恒夫君、外務省欧州局長小松一郎君及び外務省中東アフリカ局長堂道秀明君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山本保君) 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案及び難民等の保護に関する法律案を一括して議題といたします。
 まず、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。野沢法務大臣。
○国務大臣(野沢太三君) 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 近年、外国人犯罪の深刻化に伴い、その温床とされる不法滞在者を大幅に減少させることが求められており、また、我が国に適法に在留している外国人の中にも不法就労活動を行ったり犯罪を犯す等、公正な出入国管理を阻害する者も少なくなく、これらの者に適正かつ厳格に対処する必要性が生じてまいりました。
 さらに、近時における国際情勢の変化等に伴い、我が国の難民認定制度を取り巻く状況が大きく変化したことにかんがみ、より公正な手続で難民の適切な庇護を図る観点から、難民認定制度の見直しを行うことが求められているほか、障害者の社会活動への参加を不当に阻むことのないよう、精神障害者に係る上陸拒否事由の見直しを行う必要もあるところです。
 この法律案は、以上に述べた状況にかんがみ、所要の法整備を図るため、出入国管理及び難民認定法の一部を改正するものであります。
 次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。
 第一は、罰則の強化を始めとする不法滞在者等対策であります。
 不法滞在に係る罰金を大幅に引き上げ、悪質な不法滞在者に係る上陸拒否期間を伸長する一方で、自ら当局に出頭した者については簡易迅速に出国させるための出国命令制度の新設等を行うことにより不法滞在者の自主的な出頭を促す措置を講じるほか、偽りその他不正の手段により上陸許可を受けるなど本来我が国に入国、在留することのできない外国人に対し、意見聴取を行う等の手続を取った上で、その在留資格を在留期間の途中で取り消すことができる制度を新設するものであります。
 第二は、仮滞在許可制度の創設等を含む難民認定制度の見直しについてであります。
 難民認定申請中の者及び難民と認定された者の法的地位の安定化を早期に図るため、不法滞在者である難民認定申請中の者について仮滞在許可制度を創設することとし、同許可を受けた者については、退去強制手続を停止し、難民認定手続を退去強制手続に先行して行い、難民認定を迅速に行うとともに、難民として認定された者のうち一定の要件を満たす者には一律に在留を認めることとするものであります。なお、仮滞在許可制度の濫用防止を図るために、許可をする際には住居及び行動範囲の制限等の条件を付し、その条件に違反した場合は許可を取り消す規定及び許可期間中に逃亡する行為等に対する罰則を整備しております。また、難民認定手続の中立性、公正性をより高める観点から、難民不認定処分等について異議の申立てがなされた場合に、その申立てに対する処分の決定に当たっては有識者等から成る難民審査参与員の意見を聴くことを義務付ける制度も設けることとします。
 第三は、精神障害者に係る上陸拒否事由の見直しについてであります。
 現行の出入国管理及び難民認定法においては、精神上の障害のある外国人について一律に上陸拒否の対象としているところ、これを改めまして、精神上の障害により判断能力を欠く常況等にある外国人が本邦における活動を補助する者を随伴しない場合に限って上陸を拒否することとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(山本保君) 次に、難民等の保護に関する法律案について、発議者江田五月君から趣旨説明を聴取いたします。江田五月君。
○江田五月君 ただいま議題となりました難民等の保護に関する法律案につき、民主党・新緑風会の発議者を代表して、提案の趣旨と内容を説明します。
 一九八一年、我が国は難民条約を批准しました。変動する国際情勢のあらしの中で、過酷な運命に遭遇した人に、国境を越えて人の情けを及ぼそうというのは、国際社会を構成するすべての国が自覚すべき共通の倫理であり、文化的態度なのです。しかし、我が国の実態はどうでしょう。庇護を求める外国人に対し、余りにも冷酷であり、生活支援は余りにも貧弱で人間味に欠けています。平成十五年の難民申請者数は三百三十六人、難民として認定された人はわずか十人にすぎません。
 不認定の人や申請中の人の多くは入国管理センターの施設に収容されています。そこでは、希望を失った人が自殺を図ったり暴力的行動に出たりすることも多く、それを抑えようとして職員が暴行を加えることもまれではないのが現実です。収容される方も職員の方も、ともに疲れ切っており、意味のない対立が生まれてしまっているのです。
 これらの事実は、現行の出入国管理及び難民認定法が明らかに欠陥法であることを示しています。物の豊かな日本にはおよそふさわしくない、この人の情けの貧困は、挙げて政治と行政の責任です。
 政府改正案も、一歩前進と評価できる点もあることは率直に認めます。しかし、制度の根幹は従来と変わっていません。そこで、国際的動向を踏まえた難民認定、生活支援のための新しい法制度が必要と考え、本法案を提出しました。
 以下、本法案の主な内容について説明いたします。
 第一は、難民認定委員会の設置についてです。
 本法案は、内閣府の外局に専門家により構成される難民認定委員会を設置し、現在、法務省入国管理局が行っている難民認定業務をここに移管することとしました。
 元々、入国管理局が出入国管理と難民認定の両方を行う現行制度は、根本的な矛盾をはらんでいるのです。主権国家の厳正な規律が前面に出てくる手続と、庇護を求める流浪の民に国の温かい救済の手を差し伸べる手続とを同じ組織が行う制度ですから、対象者に混乱を与えるなど、運用が困難なのは当然です。しかも、難民調査官が国際情勢や難民が発生している地域の情報などを十分に入手していないケースも指摘されています。
 そこで、この制度の矛盾を解消するため、また、難民の認定には調査に必要な専門知識や透明性、客観性、迅速性、公平性が求められることから、難民認定業務を法務省の入国管理業務から分離しました。政府改正案は、難民不認定に対する異議申立て段階における難民審査参与員制度を設けただけで、これでは従来の問題点は解消できません。
 第二は、難民認定申請者の法的地位についてです。
 本法案は、申請者に特別の在留許可を与えます。現行法が申請者に法的地位を与えていないため、その多くが強制的に入管施設に収容されている実態を改善するためであります。ただし、制度の濫用を防止するため、退去強制手続や刑事手続の対象になっている者や難民認定再申請者の一部の者に対しては例外を設けます。政府改正案は、せっかく仮滞在制度を設けたのに、期間要件や直接入国要件があり、これでは難民受入れに消極的な行政を変えないというメッセージだと受け取られかねません。
 第三は、難民認定手続の透明化についてです。
 本法案では、難民認定委員会が難民認定基準を策定し公表するとともに、難民認定までの審査期間を原則六か月と設定しています。調査の際に弁護士等が関与することを可能にしました。また、不認定の場合、その理由を本人に通知することとしています。政府改正案では、不透明さの改善は期待できません。
 第四は、異議申立ての期間についてです。
 本法案は、行政不服審査法による異議申立てができることとした結果、申立て期間は六十日以内となります。政府改正案も、同法の適用を認めることとしたのに、なぜか申立て期間を七日間以内に限っています。
 第五は、在留難民等に対する生活上の支援についてです。
 国内での難民受入れのための政策は、難民申請に至る入口から、難民と認定された者が定住して安定した生活を始めるという出口までをカバーするものでなければなりません。また、条約難民のほか、人道的見地から政策判断で受け入れたいわゆる条約外難民も生活支援が必要です。そこで、本法案では、これらの難民等に対して生活上の支援を行うため、生活相談、日本語の習得、保健及び医療の確保、居住の安定、職業訓練及びあっせん、就学などについて生活支援推進計画を策定し、NGOなどとの協力の下にその支援を行うものとしています。
 以上のとおり、我が国の難民認定と難民等生活支援につき、現行法制の微修正でなく、国際人権に対する深い理解に裏打ちされた新しい法体制を整備しようというのが私たちの提案です。国際情勢が過酷さを増している今こそ、国際社会が抱える困難な課題を我が国が積極的に担っていくというメッセージを全世界に向けて発することが何にも増して大切です。
 何とぞ、御審議の上、同僚委員の速やかな御賛同を賜りますようお願いいたします。
○委員長(山本保君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○岩井國臣君 テロの脅威と我が国の入国管理との関係から、まずテロについて触れさせていただきたいと思います。
 スペイン総選挙における国民党の敗北は、我が国にとりましても人ごとではございません。スペインは、御承知のように終始一貫アメリカを支持いたしましてイラクへ軍隊を派遣したわけでございますが、これに鉄槌を下すために、三月十一日、ついに列車爆発テロが発生したのではないかと。
 この点、政府はどう見ておられるのか、まず政府の認識を伺いたいと思います。
○政府参考人(小松一郎君) お答え申し上げます。
 事実関係でございますが、三月十一日、スペインのマドリードのアトーチャ駅を始めといたします三つの駅で十回の爆発が発生いたしまして、約百九十名の死者と千七百名以上の負傷者が出たわけでございます。
 またこの関連で、捜査がスペイン当局により進められておるわけでございますが、その一環、その一環として四月三日に、マドリードの郊外で事件実行犯関係者と見られるイスラム系テロ組織メンバー三名に対する捜査活動の展開中に、国際手配中のモロッコ人三名、チュニジア人一名を含む五名の自爆と見られる爆発事件が発生したわけでございます。
 この一連のテロ事件につきましてスペイン当局による捜査が進められておりまして、スペイン当局の発表、それから報道を総合いたしますと、四月六日の時点で、モロッコ人など累計で二十六名が逮捕されて、九名が国際手配されたと。その国際手配されました九名のうち、先ほど申しました捜査中の自爆と見られるこの爆発事件、これで四名が死亡をしているというのが現状であろうというふうに理解をしております。
 スペイン政府でございますが、本件、一連のこの事件につきまして、モロッコの過激派グループ、それからアルカイダの関与などを含めまして、あらゆる可能性を念頭に慎重に捜査をするということを言っておりまして、その動機、背景等につきまして、スペイン当局も非常に慎重な態度でございます。我が国、政府といたしましては、引き続きこのスペイン政府の捜査を注意深く見守っていきたいというふうに考えております。
 なお、三月十四日の下院選挙により第一党となりました社会労働党のサパテロ書記長でございますが、新政権にとってテロ対策が最優先課題であるという旨、繰り返して表明しているところでございます。
○岩井國臣君 スペインで与党が敗北した一因といたしましては、対米追随政策への世論の反発というものが指摘されております。
 勝利した社会労働党が公約に掲げておる軍隊の撤去に乗り出せば、日本のイラク支援活動につきましても大きな影響が出てくるのではないか、こんなふうにいろいろと言われておりますけれども、そういった世論の動きにつきまして政府はどのように見ておられますでしょうか。
○政府参考人(堂道秀明君) お答え申し上げます。
 三月十四日の下院選挙によりまして第一党となった社会労働党のサパテロ書記長が、六月三十日までに現状に変更がなければ、友好国及びすべての政治勢力に連絡を取った上で、イラクにいるスペイン派遣部隊は帰国するであろうと述べたことについては承知しております。
 この件に関します今後のスペイン政府の決定の内容について予断することは差し控えたいと思いますが、イラク復興支援の在り方につきましては各国が主体的に判断すべきものであると考えております。
 国連がイラクにおきまして一層積極的な役割を果たしつつある現在、イラクにおきましては、二十年以上に及ぶフセイン政権の圧制及び経済制裁などによりまして各種の経済社会インフラが疲弊、老朽化しておりまして、国際社会によるイラクの復興は端緒に就いたばかりということでございます。現在、ムクタダ・サドル師を支持する勢力などと駐留連合軍とのイラク各地での衝突が起きるなど、治安状況は依然として予断を許さないという状況が続いておりますけれども、先月、基本法ができまして、統治権限のイラク人への移譲を控えた今こそ、その円滑な進展を図るためにも、国際社会がイラクをこれまで以上に支援することが重要であるというふうに考えております。
 なお、我が国といたしましては、国際社会の責任ある一員として資金協力と人的協力、この車の両輪として我が国にふさわしい支援を行っていくべきという観点から自衛隊の派遣を決定したものでありまして、このような認識については変わりはありません。また、このような我が国による支援は、イラク国民より歓迎されていると承知しております。なお、政府といたしましては、今後とも自衛隊員の安全確保に万全を期する所存でございます。
○岩井國臣君 ここが肝心のところでございまして、恐らく意見は真っ二つに分かれるのではないかと、そのように思いますけれども、私、私見によりますと、やはり私の意見としては、日本は日米同盟を基軸にして外交をやっぱり展開していくべきであるし、したがって自衛隊はイラクから撤退させてはならない、そういう考え方に立っております。
 そういうことで、私はこの際、政府に対し、厳しい入国管理を求めておきたいと思うわけでございます。備えあれば憂いなし、政府は盤石の備えをして、絶対に我が国でテロを起こさせてはならない、そのように思います。
 マドリードの列車爆破テロにかんがみまして、政府はどのようなテロ対策を講じようとしておられるのか、御説明願いたいと思います。
○政府参考人(堀内文隆君) お答えをいたします。
 テロ対策において最も重要なことは、これを未然に防止するとの観点から、国内におけるテロ対策につきましては、これまでも官邸の主導の下、関係省庁において日々密接に連携し、情報収集・分析の強化を図るとともに、出入国管理、ハイジャック対策、重要施設の警戒警備等の各種テロ対策を強化、徹底してきたところでございます。
 また、我が国の鉄道におけるテロ対策として、これまでも情勢を踏まえまして、国土交通省や警察から鉄道事業者に対し必要な指導、助言等を行うとともに、警察官が駅構内等のパトロールなどを実施するなどして警戒を徹底してきたところでございますが、今回のスペインにおける列車爆破テロ事件を踏まえまして、全国の鉄道事業者に対して自主警備の更なる徹底等について指示するとともに、警察において鉄道事業者と連携して、新幹線を始めとする鉄道駅、列車内、トンネル、橋梁等の沿線重要施設の警戒の強化を図るなど、引き続き官邸主導の下、テロ対策の一層の徹底を行っているところでございます。
 今後とも、テロ関連情報の収集、分析に努め、情勢に応じて的確な対策を講じて、政府一体となって国民の安全確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
○岩井國臣君 国際テロの脅威は日本にも確実に迫っていると思います。テロ組織アルカイダの指導者の一人とされるアブムハンマド・アルアブラジと名のる人物が、昨年十一月、自衛隊をイラクに派遣すれば東京の中心部を攻撃すると二度にわたり警告いたしました。
 幸い、テロは起こらなかったわけでございますけれども、既にイスラム過激派などが東京に潜入しているのではないかともささやかれております。顔だちなどが日本に溶け込みやすい東南アジア出身のテロ要員が観光客などを装って入国を謀るおそれがあるともささやかれております。アルカイダとの関係があり東南アジアのほぼ全域にネットワークを張る過激な東南アジアのテロ組織、ジェマー・イスラミア、JIと、こう言われていますが、がテロ計画に関与する公算が大変大きいと言われております。
 公安調査庁は現在までにJI構成員の日本潜入に関する具体的情報をつかんでおるんでしょうか。
○政府参考人(大泉隆史君) お答え申し上げます。
 御指摘のジェマー・イスラミアにつきましては、二〇〇二年十月のバリ島爆弾事件を始め、多くの爆弾テロ事件を敢行したとされておりますテロ組織でございまして、アルカイダとの密接な関係を有すると言われております。したがいまして、公安調査庁におきましては、ジェマー・イスラミアを含むテロ組織の我が国への浸透の有無など、その動向については重大な関心を持って鋭意情報の収集に努めているところでございます。しかしながら、同組織につきまして当庁が具体的にどのような情報を把握しているかを明らかにいたしますことは、今後の当庁の業務遂行に支障を来すおそれがあると考えられますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
○岩井國臣君 まあそうですわね、よく分かりますわね。
 ジェマー・イスラミア以外にも、フィリピン南部ではアルカイダとつながりのあるアブ・サヤフや、南部ミンダナオ島の分離、独立を目指すモロ・イスラム解放戦線、MILFなんと言われていますけれども、が活躍しておるようであります。インドネシア北部では、アチェ人による自由アチェ運動、GAMでしょうか、が分離、独立のための闘争を続けている、そういうふうにもいろいろ言われているんですね。
 そこで質問でございますが、テロの脅威は絶対に除かなければならないと思います。どんなに予算と労力が掛かろうとも、テロの脅威は絶対に除かなければならない。東南アジアにおけるテロ組織に対して日本政府はどのような措置を講じようとしているのか、特に東南アジアに焦点を当ててお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。
 国際テロの撲滅のためにあらゆる手段を通じまして対策を講じるということの必要性、委員御指摘のとおりであろうと思います。我が国としましては、テロは御案内のように極めて地球規模にわたっているような問題でございますので、テロ対策特措法に基づく支援のほか、二国間、さらには国連、G8など多国間の枠組みを利用しておりまして、テロ関連情報の収集、テロ資金対策、テロを防止するための国際的な枠組みの強化などに鋭意取り組んできておるところでございます。特に、国境を越えるテロということを防止するためには、テロリストに安住の地を与えてはいけないということが基本的な原則でございまして、このような観点から、途上国を含むすべての国がテロに対する対処能力を更に強化するということが極めて重要というふうに認識をしております。
 委員御指摘の東南アジアでございますが、先ほど他の答弁者よりも御答弁いたしておりますが、アルカイダの関連テロ組織と言われておりますジュマ・イスラミア等過激派のテロリストグループの存在が確認をしておるところでございます。そのような意味におきまして、東南アジアにおけるテロの脅威は引き続き深刻であるという認識の下、我が国としても東南アジアにおけるテロ対策強化に努めておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、我が国は毎年アジア地域の国々を招いて地域テロ協議を行っております。また、テロ対策担当大使を韓国、タイ、インドネシア、マレーシア等を訪問させまして、それぞれの担当部局との間において緊密な協力を進めておるところでございます。また、APEC、ARF、ASEANプラス3との多国間の場におきましても、テロ対策に関する協力は極めて活発な議論が行われておるところでございます。最近の例を一つ申し上げますと、二月に開催をされまして、我が国からは逢沢外務副大臣の出席を得ましたバリ島におけるテロ対策閣僚会議におきましても、アジア太平洋地域における法執行機関の協力、法的枠組みの協力の強化をすることの重要性に合意をいたしております。
 先ほど御指摘のように、東南アジア諸国の中には必ずしもテロへの対処能力が十分でない国もあるということで、我が国はこれら諸国に対する能力向上、俗に言いますキャパシティービルディング支援というものも実施してきております。具体的には、法執行機関の能力の向上、捜査・情報面の更なる協力の強化、テロリストの国境を越えた移動の抑止及びテロの手段の自由な移動の阻止、テロリストを訴追し、それを確保すること。そのために、現在、テロ防止関連条約は全部で十二ございますが、この十二の条約をそれぞれの関係国が早期にこれを批准、採択するというようなことを促進するというようなことを重点分野として具体的な協力を続けてきておるところでございます。そのためには、我が国、ODAも十分に活用したいというふうに考えている次第でございます。
○岩井國臣君 テロ組織の活動が一つの国の中にとどまらないわけでございます。複数国あるいは複数大陸に及ぶグローバルテロリズムとの戦いにおいて、国際的な情報共有という問題、非常に重要な問題かと思います。
 国連安保理決議千三百七十三、これ二〇〇一年に決議されたんでしょうか、そこでは加盟国に対して全十八項目に及ぶテロ対策を取るように要請しております。日本はどのような回答をされたんでしょうか。
○政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。
 今御指摘の安保理決議一三七三でございますが、これは平成十三年の九月二十八日、安全保障理事会において、コンセンサスにおいて採択をされております。これはテロと戦うための金融面を含む包括的な措置を実施することを意図したものでございまして、必要な措置をすべての国連加盟国に取ることを求めると同時に、九十日以内に本決議履行のために実施した措置を報告すべきというふうにされておるところでございます。
 内容的には、特に、安保理は各国に対しまして、テロ資金源対策としまして、テロ行為のための資金供与を犯罪化すること、テロリストの資産を凍結すること、テロリストに対する金融資産等の提供を禁止すること、テロ資金供与防止条約などのテロ関連条約の締結等を具体的に求めておるところでございます。また、そのために取った措置を各国が報告するために、テロ対策委員会、俗にCTCと言っておりますが、これに報告することを求めているところでございます。
 我が国はこのCTCに対しまして既に四回にわたりまして報告書を提出いたしております。内容といたしましては、外為法に基づきますテロリストの資産凍結措置の実施、国連その他の国際機関で作成されました全十二本のテロ防止関連諸条約の締結状況、東南アジア諸国に対する、先ほど申し上げましたが、テロ対処能力の向上のための技術支援をいかに実施しているかというようなことを含めまして、安保理決議一三七三が要請をしております項目すべてについて詳細な報告を行ってまいっているところでございます。
 我が国は、CTCに対するこのような報告書の提出を通じます情報の提供を行っているほか、先ほども申し上げましたが、テロ対策に関しましては二国間、多国間の協議、協力を通じておりますので、委員御指摘の国際的な情報共有という正にテロ防止のために最も重要な活動についても積極的に取り組んできているというふうに考えております。
○岩井國臣君 米国では、テロ対策の一環として、二〇〇二年六月六日、出入国管理に関しても新しい制度が導入されたと聞いております。国家安全保障・出入国登録制度という制度であります。
 この制度は、国家安全保障上懸念の対象となり得る外国人の出入国及び在留管理を厳格にするものでございまして、三十日以上滞在する十四歳以上の外国人に対しましては、滞在開始から三十日以内に各事項を登録し、指紋採取に応じなければならないようになっているようであります。これまで、イラン、イラク、リビア、シリア国籍の者に限定的に適用されてきたわけでございますけれども、二〇〇二年六月からはアラブ諸国からの外国人に、空港それから港湾での指紋採取、写真撮影を行って犯罪者とテロリストのデータベースと照合する、そういう誠に厳しい、厳格な措置を講じておられるようでございます。さらに、長期滞在者は滞在開始から三十日以内に移民帰化局に登録し、住所だとか在学・就労証明、そういうものを登録するわけでありますけれども、以後一年置きに行い、不法滞在者を把握いたしまして強制出国措置を強化する、そのようになっておるようであります。外国人への監視は留学生にも及んでいるというふうに聞いております。
 これは質問通告なかったんですけれども、アメリカにおけるそういう留学生に対する監視の状況というのは把握しておられますでしょうか。もし把握しておられたらお答え願いたいと思いますけれども。これ通告しなかったから。分かりますか。
○政府参考人(増田暢也君) お尋ねの留学生管理をどのように行っているのかについては、直接には把握しておりません。
○岩井國臣君 相当厳しいことをやっておるようですね。
 それから、その上に、CIA、FBI、これも厳しい監視を行っているようですけれども、そういう状況は把握しておられますでしょうか。これも通告なかったんですけれども、どうでしょう。
○政府参考人(増田暢也君) 全般的に、九・一一以後、国土安全保障省に組織を統一して、厳格に在留している外国人に対する管理を徹底しているということについては承知しておりますが、個別にどの者に対してどのような監視方法を行っているかについては、今手元には資料を持っておりません。
○岩井國臣君 FBIにつきましては、米国内の数百人のムスリムに対しまして二十四時間監視体制取っておられるようですね。電話、インターネット、クレジットカードとか、すべてのものを何かチェックするような、そういう本当にちょっと考えられないような厳しい措置を講じておられるようであります。
 そこで質問ですけれども、アメリカでは厳し過ぎるとの批判もないではないわけです、アメリカ国内で。しかし、しっかりした身元引受人がいる場合を除きまして、原則的にはやはり外国人に対して日本もアメリカに準ずるような厳格な入国審査、在留審査を行わないと、テロに対する国民の安全を守るということは難しいのではないでしょうか。政府の御見解をお聞きいたします。
○政府参考人(増田暢也君) 委員御指摘のとおり、厳格な入国審査あるいは在留審査はテロ対策の重要な柱の一つであると認識しております。
 入国管理局におきましては、テロリストその他不法、不正に我が国に入国しようと企てる外国人を水際で確実に排除するため、警察庁を始めとする関係機関との連携を強化いたしまして厳格な上陸審査を実施しているところでございます。また、これら外国人は、我が国に入ってくるときに偽造の旅券を所持して入国しようとすることが通常でございますので、入管では、平成十三年度に成田空港を始めとする全国の空港あるいは海港に最新鋭の偽変造文書鑑識機器を配備しました。さらに、昨年度は全国の空港、海港の上陸審査ブースにブース型の鑑識機器を導入したところでございまして、その結果、平成十五年中、上陸審査の際に偽造の旅券を発見したのは、発見件数が年間三千六百六十件で、これは前の年の平成十四年よりも千件以上増加という状況でございました。
 入国管理局といたしましては、ただいまの委員からの御指摘のありましたアメリカでの取組なども参考にさせていただいて、我が国におけるテロを未然にそして確実に防ぐための方策について今後も検討を重ねまして、適正、的確な出入国管理の徹底に万全を期していきたいと考えているところでございます。
○岩井國臣君 相当厳しいことをやっておられるみたいで、アメリカは完全に監視社会と化しているようですね。厳し過ぎると。
 全米で二十以上もの都市でムスリム系の市民の権利を侵すというふうなこと、そういう懸念から、そういう厳しい監視に対して反対決議というか、反対する決議が出されておるようでありますけれども、そういう状況は把握しておられますか。これも通告なかったんですけれども、どうでしょう。把握しておられますか。
○政府参考人(増田暢也君) ムスリムに対する個別にどのような監視を今実施しているのかなどについては、手元に資料がございませんのでお答えできません。
○岩井國臣君 ちょっと私どもの感覚からすると、びっくりするぐらい厳しいんですよね。しかし、テロから国民の生命を守るというためには、私はそういう行き過ぎとも思われるような厳しい監視もやむを得ないんじゃないかという気が実はしておるんです。アメリカの例も詳しくいろいろと調べておいていただきたいというふうに思います。
 それでは次に、アムネスティー政策というのではないんですけれども、前向きの移民政策を展開してもらいたいという観点で幾つかの質問をさせていただきます。日本の問題であります。
 犯罪対策閣僚会議というものがあります。その犯罪対策閣僚会議の行動計画におきまして、不法滞在者を今後五年間で半減するというふうにされておりますね。本年はその目標に向かう最初の年でございます。法務大臣はさきに、所信表明のときかと思いますけれども、不法滞在者対策のより一層の推進に努めていく、そういう所信を述べられました。不法入国者や難民の問題も深刻ですけれども、私は不法滞在者の問題に焦点を当てて幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 難民の問題につきましては、私、これ時間の関係もあるんですけれども、なかなかこれは難しい問題で、自民党の何といいますか、詳しい人に何人か聞いたんですけれども、今回の政府の法律案、それが一番いいんだと、こういうことでございますので、この際、政府案に対して賛成の気持ちだけ、意見だけ述べさせていただいて、私としては不法滞在者の問題にちょっと重点を置いて質問させていただきたいと思います。
 まず最初でありますが、法務省にお聞きいたします。
 今までの入国管理行政の流れの中で今回の法改正はどのような意義を持つのか、御説明を願いたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 出入国管理行政に求められる役割といいますのは、一方では円滑な外国人の受入れということがございまして、他方では好ましくない外国人の排除ということがございます。この両方の施策を通じて我が国社会の健全な発展と国際協調の進展に貢献するということが入管行政に課せられた責務であると考えておりますが、近年は、御指摘にあるとおり、来日外国人による凶悪犯罪等が深刻化いたしておりまして、それに加えて国際的なテロ事件が多発するなどの状況がございます。そういった中で、我が国の安全と秩序を確保する観点から、この治安悪化の原因の一つとされる不法滞在者に対する対策が強く求められてまいりました。
 そこで、入国管理局といたしましては、これまでも摘発専従班を置く出張所を地方に開設したりいたしまして摘発体制を整備しましたし、あるいは関係機関とも連携しながら入管法違反事件の積極的な摘発も行ってまいりました。また、先ほども触れましたが、最新鋭の偽変造文書鑑識機器を導入して厳格な水際対策も講じてまいったわけでございます。
 しかし、それでも、今年の一月一日現在でなお約二十二万人近い不法残留者がおりますし、さらにそれに加えて、約三万人と推計される不法入国者が国内に潜伏していると見られます。そのため、この際、これまでの続けてきた行政に加えて、さらに法整備も含めた不法滞在者対策の強化が求められていると考えております。
 今回の改正では、罰則の強化とかあるいは出国命令制度、さらに在留資格取消し制度の新設などの対策を講じまして、不法滞在者の大幅な削減を図り、我が国社会の安全と秩序の維持に貢献しようとするものですが、このことは、我が国が歓迎すべき外国人を受け入れやすい環境作りを目指す上でも効果があるのではないかと考えているところでございます。
○岩井國臣君 本当かなという感じ。
 今回の法改正で不法滞在者に対する罰則の大幅な強化が図られておるわけでございますが、そういったことだけで不法滞在者が半減できるんでしょうかね。大丈夫ですか。
○政府参考人(増田暢也君) 不法滞在者の半減につきましては、今回の法整備だけではなくて、私どもといたしましては、従来から実施してまいりました不法滞在者の摘発、これを今年度以降、更に認めていただいた増員の下で摘発を強化することであるとか、あるいは、先ほどもお答えしたことですけれども、新たに入ってくる人の中で、元々不法滞在をもくろんで我が国に入ろうとしている人がいるわけですから、それをあらかじめ入国・在留審査を今よりも厳しくすることによって不法滞在目的で入ってくる人を今以上に阻止することといった方策を強化することもございます。その上で、更に加えてこの法改正を実現させていただいて、不法滞在者の半減を五年間で実現しようと考えているものでございます。
 この法改正について申しますと、罰則、現在三十万円以下の罰金となっているものを三百万円以下に大幅に引き上げることであるとか、あるいは、上陸拒否期間を悪質な人については五年間とされているところを十年間に延ばすというようなことで新たな不法滞在者の発生を抑止いたしますが、さらに、それと併せて、出国命令制度を新たに設けることによって、今国内にいる不法滞在者の方々に対して、自ら出頭して自ら帰国した方が有利なのだということを分かっていただいて早期帰国を促すことにしております。
 こうした措置などによって、これを総合的に今後継続することで不法滞在者の大幅な削減は実現できるものと考えているところでございます。
○岩井國臣君 私は今の施策だけではちょっと不十分じゃないかという感じを持っていましてね、あと幾つか質問させていただいて私の意見を述べますけれども、法務大臣の特例措置ですね、あれの大幅な緩和が必要ではないかなと実は思っておるわけです。
 まず法務省にお聞きしますけれども、現在、不法滞在者につきましては、法務大臣が特別に在留を許可する場合があるわけですね。特例措置があるわけでありますが、その許可条件につきまして、幾つかの実例を挙げて具体的に説明願いたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) お尋ねの在留特別許可は、不法滞在者など退去強制事由に該当する人であっても、入管法の規定に基づきまして、例えば永住許可を受けているとき、あるいはかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき、その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときに行っているものでございまして、その判断に当たっては、在留を希望する理由、家族の状況、生活状況、素行、あるいは内外の諸情勢、その他諸般の事情を個々の事案ごとに総合的に考慮して決めているところでございます。
 実際に在留が特別に許可された実例についてのお尋ねですが、よくある事例を一般化して例示いたしますと、例えば、不法残留後に日本人女性と結婚し、その人との間で子供をもうけて安定した結婚生活を営んでいる事例であるとか、あるいは、不法入国した後で国内で日本人男性と婚姻して日本国籍の子供をもうけ、その後離婚した後でも子供を引き取って十年間監護養育していた事例であるとか、あるいは、夫婦で不法入国して三十年以上本邦に継続して居住していて、その間に子供ももうけ、不法入国という犯罪は犯しているけれども、それ以外の犯罪は犯していない、我が国で安定した生活基盤を築いていたような事例などについて在留を特別に許可したことがございます。
○岩井國臣君 私は、その摘発に努めるのは当然でございますけれども、そのときにやっぱり大事なのは情報だと思うんですね。様々な在留者の中からいろんな情報が入ってくるというふうなことが大事ではないかな、そんなふうに実は思っておるんです。我が国にとりまして好ましい外国人は積極的に私ども受け入れて共生社会を作っていくと。で、そういう人を、我々と一体でありますから、味方でありますから、そういう人を味方に付けて、悪質なというかけしからぬやからを断固摘発するということで、硬軟併せてやっていく必要があるのかなと実は思っておるんですね。
 私は、不法滞在者対策も新しい時代に合った形で抜本的な見直しが必要ではないかというふうに考えております。一つはいい人と悪い人の差別化であります。もう一つは共同化であります。
 共同化の重要性を今日はちょっと申し上げたいわけであります。
 共同化というのは内に住む人の共同化でございまして、善い外国人は積極的に受け入れて地域における徹底的な共同化を図らなければならないと思います。移民を積極的に受け入れて善い外国人との徹底的な共生社会を作っていかない限り、日本の未来はないというふうに私は考えておるわけであります。
 今、二百万人を超える外国人が我が国に住んでおります。ちょっとその内訳をお聞きしたり私が言ったりする時間がないんですけれども、不法滞在者、その中で二十二万人おると、こういうことですよね。問題は、こうした現実があるにもかかわらず、増え続ける外国人にどう向き合うのか。まず、私は哲学、これから外国人と向き合う、我々が、日本人が向き合う哲学が要るのではないか。政治にも行政にも国民の意識にも、そういう積極的に外国人と向き合うという、共生社会を作っていくんだという意識が私は希薄ではないかなと思っておるわけであります。
 時間が余りないんですけれども、日本商工会議所、あるいは外国人の看護婦、介護士、あるいは政府の中でも総合規制改革会議、いろんなところからそういう積極的な移民政策というか展開せよという要望があるわけですよね。そうした要請を受けまして、政府は今年の一月に閣議決定されました「構造改革と経済財政の中期展望」、その中で東南アジア諸国との自由貿易協定を含む経済連携を図る中で、そういう中で、物だけではなくて、物、それから人、資金等の流通、移民を促進する方針を確認されておられます。
 我が自民党も、人の移動の促進問題につきまして、FTA推進のための特命委員会を中心にして、政府、与党連携して万全の体制で臨む姿勢を明確にしておるわけであります。私は、そういった動きを見ながら、その根底にある我が国におけるこれからの発展の原理は何かというようなことをいろいろと考えておるわけであります。
 私は、二十一世紀における我が国の発展の形を支える原理、その原理というのは、ダイバーシティーといいますか、違いを認める文化に見ております。その原理に照らして言えば、FTAとの関連はもちろんのこと、今いろいろと言われておる労働市場の自由化の問題は大変大事な問題であると思います。
 しかし、私は今とやかく言われている都市部を中心としたそういった移民問題だけではなくて、農山村の問題、農山村というのはやっぱり日本の文化の源流であります。農山村の崩壊を支える積極的な移民政策こそ今、日本に求められているのではないかなというようなことを実は私考えておるんですよね。しかし、都市の問題も大事です。都市に限らず、農山村に限らず、国際的に名誉ある地位を占めたいという私ども日本国としては、しかるべき哲学とそれに基づく総合的な移民政策を思い切ってこの際展開していく、そういう時期に来ておるのではないかな、そんなふうに思っておるわけであります。
 そこで、大臣に質問させていただきたいと思いますが、我が国は外国人労働者を専門的、技術的労働者とそれからいわゆる単純労働者に二分しているんですね。二分する考え方に立っているわけですけれども、そんな二分だけでええのかなと。中間的な一般技能労働者というカテゴリーを設けて、単純労働者とは異なる観点でこれを積極的に受け入れる基準というものを考えるべきではないかな、そんな気もしておるわけでありますが、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(野沢太三君) 委員が今お述べいただきましたように、日本の将来の発展ということを考えますと、外国の皆様との共生共存、そして多様な違いというものに対する寛容性ということが今後の日本、これはもう世界にとっても必要なことと思いますが、違いを受け入れながらそこを共存し共栄していくという文化をはぐくむ、またそのための社会を作る、また法的なルールもその方向で考えていくということが極めて重要だと、共通の認識を持っているものと考えておりますが、具体的な課題といたしまして、今委員御指摘の外国人労働者の受入れにつきましては、我が国の経済社会の活性化や一層の国際を図る上でこれは大変重要な事柄と考えております。
 特に、その意味で専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進してまいりたいと考えておるところでございますが、一方で、いわゆる単純労働者の受入れについては、我が国経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすということなどから、国民的なコンセンサスを踏まえながら検討していく必要があるものと考えておるところでございます。
 ところで、少子高齢化時代ということになっておりますものですから、我が国におきましても外国人の受入れの在り方についての抜本的なやはり検討が必要なときが来ているということも事実だろうと思いますので、委員が御指摘のような現在受け入れていない分野に、第三のカテゴリーと今お話がございましたが、そういった面での受入れ方法については、国民の皆様の意識、我が国社会経済の状況を踏まえながら、関係の皆さんと十分な連携を取って議論を深めていく必要があろうかと思っております。
 法務省といたしましても、受入れの範囲、規模、方法などについてもこれから積極的に検討してまいるつもりでございます。
○岩井國臣君 我が国は不法滞在者に対しまして、幾つかの諸外国で試みておられるようないわゆるアムネスティー政策を取っておりません。私も基本的にはいわゆるアムネスティー政策には反対であります。この辺が野党の皆さんとちょっと考え違ってくるのかも分かりませんけれども。条約における人権、いわゆる国際人権につきましては、私は一種のまやかしと言ったら言い過ぎかも分からないですけれども、ちょっとぴたっとこないものが実はあるわけであります。人権の概念そのものに私はあいまいさを実は感じておるのでございます。
 ちょっとこれ通告にないんですけれども、大臣に、もし答えられれば。人権というものは人間の権利なのか、それとも国民の権利なのでしょうか。
○国務大臣(野沢太三君) 人権は、私は人間に与えられた自然権を基にいたしまして、それを各国がそれぞれ憲法あるいは関連の法案で具体化して保障をしているものと考えておりまして、これから、今までもそうですが、これからの私ども法社会を形成する最も重要な原則であると考えておるところでございます。
○岩井國臣君 そこがちょっと違うんですね。私はそこが違うんです。
 元々その人権思想はフランス革命からきていますが、そのもう一つ前はロックの哲学からきているんですけれども、そこは私はちょっとおかしいと思っているんですよ。そんな時間、それを語る時間ありませんのでやめますけれども。やっぱり歴史感覚を抜きにして人権を語ってはならないと思うんですよ。大事なのは私は歴史感覚だと思っておるんです。したがって、私は、人権というのは国民の権利だというふうに私は考えておるんですね。ちょっと今日はそれを議論する時間ないんですけれどもね。
 ですから、他の国でこうやっておるからとか国際条約がこうだからといって僕はまねする必要はなくて、いや、それは十分気にはしなきゃいかぬですよ。ですけれども、日本の今までの歴史を踏まえて、伝統文化というのを踏まえてやっぱり考えていかないと私はいかぬので、我が国の歴史と伝統文化というのが一番大事なことではないかなと、そんなふうに思っておるんですけれども、まあいいです。
 それで、いずれにいたしましても、我が国の歴史、伝統文化を踏まえながら、きめの細かい政策を展開していくということについては皆さん多分異論ないと思いますので、そういう観点で質問させていただきたいと思いますけれども、アムネスティー政策というのではなくて、現在の延長線上で法務大臣の不法滞在者に対する特別措置制度の大幅緩和をすべきだと思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(野沢太三君) 大変重要な原則論からのお話でございますが、私に与えられている今最大の任務かつ緊急な任務は日本における治安の確保あるいは回復であると、かように心得ておるわけでございますが、その中でも特に外国人問題は大きな比重を占めておるわけでございます。
 そこで、今、二十五万人と推測されております不法滞在者を半減させようといういわゆる犯罪対策の閣僚会議の行動計画も打ち出されておるところでございますので、この半減政策を何としてもまず遂行することが大事でございますが、これに対して、アムネスティー政策あるいは在留許可の特別な緩和その他、そういったことを仮にここで行いますと、新たな不法入国者が、これは日本は住みやすいということで新しく流入したり、現在おります不法残留者の増加を誘発してしまうのではないか、こういうことで、当面はそのような政策を取ることはふさわしくない状況にある、運用は非常に慎重にやらざるを得ないと考えております。
 在留特別許可を認める場合にも、個々の事案ごとに希望する理由とか家族の状況、あるいは生活状況、あるいは素行とか内外の諸情勢、最終的にはそれらをすべて勘案した、国益にとってどうかというような大きな判断の下にしっかりした対策を立てまして、とにもかくにも治安をまず回復するという意味での不法滞在者の半減、そして更なる個別審査の中での適切な運用と、こういうことでこれからも取り組んでまいりたいと思います。
○岩井國臣君 やっぱりちょっと消極的だなという感想ですよ。先ほどもちょっと言いましたけれども、やっぱり差別化は差別化で一つ課題としてあるし、それから共同化は共同化、共生社会という問題あるわけですから、そこはやっぱりしっかり物事として分けてやっていかないといかぬのではないか。やっぱり共同化というか積極的な移民政策、いい人を選ばなきゃいけませんよ、そこの、だから入国管理は大事なんですよ。不法滞在者対策は大事なんですけれども、やっぱり積極的な移民政策というのを日本はぼちぼち展開する時期に来ておるのではないかなという気がします。
 私は、我が国の歴史と伝統文化をいろいろと考えながら、これからあるべき我が国の姿、形というものをいろいろ考えてきておるわけであります。今それを説明する時間ないんですけれども、我が国のあるべき形として、アメリカと同様ダイバーシティーということを合い言葉にして、合い言葉にして多民族国家を目指すべきだというふうに考えております。移民は積極的に受け入れるべきだし、入国管理行政もぼちぼち抜本的な転換を図るべきだというふうに考えております。
 最後の質問になります。
 大臣にお伺いいたします。アナン国連事務総長が日本の移民政策について、もっと前向きの対応をすべきとの意見を述べておられます。そのことにつきまして、法務大臣はどのように思っておられるのでしょうか。
○国務大臣(野沢太三君) アナン総長の御発言は、たしかEUに対する一つの御意見の中で関連して述べられたものと承知をいたしておりますが、アナン総長のこの御発言の趣旨は、EUが今後ますます発展をするには、もっと積極的に外国からの移民を受け入れながら、それを積極的にやっぱり活用していくことが大事だと、そのことがEUのみならず、日本その他アメリカも含めた先進各国でも共通の問題ではないかと、こういう御指摘のように伺っておるところでございます。
 確か御指摘のとおりでございまして、異なる歴史と伝統文化を背景とする外国人の受入れは、我が国にとっても経済社会の活性化や一層の国際化を図っていくためにも大変これは役に立つ大事なことだと考えておるわけでございますし、あわせて、現在、少子高齢化、いわゆる人口減少社会をもう目前に控えているわけですから、これからの我が国の行き方を考えますと、外国人の受入れにつきましては、これはもう前向きの議論をしていかなければならない課題があることは十分承知をしているわけでございます。
 それにつきましては、しかし国民の皆様のやっぱり意識がまずどうか、それから我が国の社会経済の状況、失業率の問題等もございますし、それから今後の国際化の行くべき姿、こういった面で、やっぱり共存、共栄、共生の社会を作るという観点からいたしましても、どのような在り方がふさわしいかということを関係の皆様方と十分議論を深めながら、慎重にこれは取り組んでいくべき課題と考えておるところでございます。
○岩井國臣君 終わります。
 ありがとうございました。
    ─────────────
○委員長(山本保君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、樋口俊一君が委員を辞任され、その補欠として榛葉賀津也君が選任されました。
    ─────────────
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 昨日、本会議におきましても、今回の入管難民法そして江田五月議員外提案の難民保護法等につきまして質問をさせていただきましたが、少し今日はそれを具体的にお聞きをしてまいりたいというふうに思っております。
 その前に、先ほどから岩井先生が私の方を向いて人権問題を語られますので、私が答弁に立たなきゃいけないかなと思ったりいたしましたが、そういう立場にございませんので、それはまた個別御議論させていただきたいというふうに思いますが、その中で、やはり歴史を踏まえなければいけないというお話がございました。私もそこはよく分かるところでもございます。その歴史を踏まえるということで、ちょっとこれは質問ではございません、多分いろんな部分で指摘がなされてくるものだろうというふうに思いますので、ちょっと関心を持たせていただいているという点だけ述べておきたいというふうに思います。
 それは、昨日、福岡地裁で小泉総理の靖国参拝問題について違憲であるという判断が出されました。裁判自体としては、損害賠償請求訴訟でございますので、それについては国が勝訴をしたというような形になりますが、そんな判断があり、改めてこの問題の大きさを感じているところでもございます。
 これはまたいろいろな機会に御議論になろうかというふうに思いますので、ちょっと冒頭感想だけ述べさせていただいた次第でございます。
 さて、今、ちょうど四月に入りまして、様々、学校への入学あるいは就職等の時期でございます。そういう時期でございますので、ちょっと冒頭、それにかかわって質問させていただきたいというふうに思います。
 昨日の本会議の場でもちょっと指摘をさせていただいてまいりましたけれども、政府の方では、昨年来、留学生、就学生の問題、そして大変極めて問題のある日本語学校等々の問題があり、特定の国からの学生の査証審査を大変厳格にしたという経過がございます。その結果、確かに問題のある部分もあるのかもしれませんけれども、たくさんの、日本で勉学をしたい、そういう皆さんの査証の発給が大変遅れている。本当はこの四月から勉強したいという人もたくさんおられるわけですけれども、なかなか新学期が始まっても査証が下りない、で、学校に行かれないと、こういう状態が出ているというふうにも受け止めさせていただいております。既に学費とか入学金なども納めているというケースもあるようでございます。
 そういう意味で、問題点をやっぱり厳格にするということは、それは私も否定するものではございませんけれども、本当にまじめに勉学をしようと、日本でいろんなものを学ぼうという、そういう皆さんがそのチャンスを遅らせられているということはやはり問題なのではないかというふうに思われます。
 そこで、今厳格な審査をしているということですけれども、それによりまして査証の審査、どんな実情になっているでしょうか。どのくらいの例えば数で、どのぐらいの期間が掛かっているのか、そして今、たまっているといいましょうか、それが一体どんな状態になっているのか、ちょっと実情を御説明いただけませんでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 最初に一つお断りをしておきますけれども、今お尋ねの留学生、就学生について、入学希望者に対する審査は、法務省で行っているのは在留資格認定証明書交付申請を受けたことに対して認定証明書を交付するかどうかの審査でございまして、ただいまの御質問に出た査証審査となりますと、その交付の許可を受けた人が本国で我が国の領事館などで更に留学の査証申請をして査証を受け取ると、こういうものですので、私はあくまで入管の立場でどのような状況にあるかということをお答えさせていただきます。
 留学又は就学の目的で新たに入学しようとする方からの在留資格認定証明書の交付申請につきましては、従来から、申請時期にかかわらず、その直前に申請が行われた場合とか、あるいは偽変造書類が提出されている疑いがある場合のように特別な場合があれば別ですが、そうでない限りは申請者の入学時期に間に合うように審査を行っております。
 なお、本年四月期に日本語教育機関に入学を予定して在留資格認定証明書の交付申請をされた方、申請受理件数は二万三千二百八十五件に上りました。これらにつきましては、おおむね入学時期の一か月前にそれぞれの地方入管ごとに一斉に在留資格認定証明書の交付を行っております。四月五日現在、未処理件数は十件でございます。
 また、それとは別に、既に我が国に在留している留学生や就学生、こういった方から進学を理由にして在留資格を変更したい、あるいは在留期間を更新したいと、こういう申請もございます。実は、こういったものの申請受理件数あるいは申請期間等の正確な統計は取っておりませんが、私どもの承知している限り、例えば東京入国管理局の場合は、特に問題のない案件の場合、おおむね申請を受けてから一か月以内に審査を終了していると承知しております。
○千葉景子君 今の御説明によりますと、四月五日現在で未処理が十件ということでございますので、この数を見ますと、まあたまっていたのかもしれませんけれども大分スムーズに処理がなされているのかなというふうに思いますが。
 どうでしょう、大臣、一応きちっと確認をさせていただきますが、先ほど申し上げましたように、確かに一方で厳格にという、厳密にといいましょうか、そういうことがあることはございますけれども、やはり留学、就学等で勉学をするような人がやはり困惑をすることがないように、先ほどもお話ございましたように、やっぱりでき得る限り受入れを気持ち良くしていただくような、そういうことをやはり今後とも気を付けていただきたいし、進めていただきたいというふうに思いますが、その点確認をさせておいていただきたいと思います。
○国務大臣(野沢太三君) 留学生、就学生の皆さんは、将来、日本とそのそれぞれの母国とをつなぐ重要な懸け橋となっていただく方々でございますので、私どもといたしましても、もう留学生十万人目標という目標も既に達成した中で、更にこの皆さんが入学が間に合うように、あるいは円滑にいきまするように、手続につきましても万全の措置を取って努力をしてまいるつもりでございます。
○千葉景子君 それでは、少し難民問題に関してお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 日本の難民の受入れの実情でございますけれども、この数を見ますと、これも昨日も指摘をさせていただきましたが、やはり世界の国に比較いたしまして大変その数が少のうございます。昨年の、昨二〇〇三年の難民申請者三百三十六人、そして認定された者が十人と、こういう数になっていることはもう皆さんも御承知のところであろうというふうに思っております。
 この難民、認定される人が少ないことは問題ございますが、その母数となる、そもそも日本に難民申請をする難民申請者の数そのものも非常に諸外国と比べると少のうございます。
 これだけ世界の中で様々な、自らの国を去らざるを得ない、そういう人々がもう世界の中に本当にたくさんおられる。そういう実情を踏まえますと、日本にこれだけたくさんの外国の方が来られている、そういう中で、難民として申請をするという人はわずか三百人程度というこの実情、どうでしょうか、大臣はどういうふうに御認識をなさっておられますでしょうか、まずお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(野沢太三君) 委員御指摘のとおり、我が国の難民認定申請数は欧米諸国と比べて少ないのは事実でございます。
 今、二〇〇三年のお話がございましたが、少しさかのぼって二〇〇二年でちょっと申しますと、ドイツが七万一千人、イギリスが八万六千人、フランスが五万一千人に対しまして、我が国は二百五十人と欧州各国の一%にも達しないという状況にございます。
 どうしてこういうことになっているかということなんですが、我が国は難民の出身国とのかかわりが歴史的に乏しいということや、言語が異なっている、日本語が難しいということ、さらには我が国が難民の出身地域とは遠距離にあり、また我が国への交通手段が海路又は空路に限られるというようなことが大きな要因ではないかなと、こう考えておるところでございます。
 この問題をどうこれから取り組むかということについては、御一緒にまた考えていかなければならない大きな課題と考えております。
○千葉景子君 今大臣がおっしゃいました、確かに地理的な要因とか歴史的なつながり、これは従来から、政府からそういうことが原因ではないかという御説明をいただいてきたところでもございますが、本当にそうなんだろうかと。
 今、欧米諸国などの数がございました。その国々でも必ずしも、何でしょう、大陸でつながっているという国々ばかりではありませんし、あるいは、歴史的に見ても必ずしも一様な国々ばかりではないということが言えようかというふうに思います。
 日本がどうして数が少ない、そして日本へ、自分の命とそして暮らしを日本の場で、何とか庇護を求めようとしてくる人が少ないのかということについて、UNHCRなどでも大変厳しい指摘をしております。
 やはり条件として大変厳しい難民の審査要件があるのではないか、あるいは難民に対して十分に受入れ体制がありますよという情報などもなかなか日本に入国したときに十分にされていないと、こういうことも指摘をされておりますし、あるいは難民の安心していられるような施設等々がきちっと整備をされていない、あるいは逆に強制的に収容をされたり、あるいは摘発をされるなどという形で、なかなか庇護を求めようとしてもその条件が厳しくなってしまっている。こういうところがやはりそれぞれの人々の情報として伝わり、日本に難民申請をするという人が少ないのではないかと。
 こういう指摘なども、これはUNHCR、難民問題の言わば国際的な機関でございます、そういうところから指摘をされているということもございますが、どうですか大臣、先ほどの理由、否定はいたしませんけれども、更に日本として、そういう体制の備わっていない部分、あるいはそういう受け入れる温かい、何というんでしょうね、環境、そういうものがやっぱり乏しい。そういうところにまずはきちっと目を向けておかないと、やはり難民問題の根本的な解決、あるいは問題の進展というのはあり得ないのではないかと思いますが、その点、改めてこういう指摘も踏まえて御認識を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(野沢太三君) 難民の数が少ないというのは、日本の難民審査の在り方が特別に厳しいのではないか、あるいは他国と基準が違っているのではないかと、こういうような御疑問を持たれることもあろうかと思いますが、それは私どもといたしましては、国際的な標準を取り入れました今のルールの中で、難民条約で定められております人種、宗教、国籍、あるいは特定の社会集団の構成員であること、そのほか政治的な知見、いろいろを理由に迫害を受けるおそれがあるか否かを適正に判断をしまして、これに該当する者を難民と認定しているということで、我が国だけが特別に違うということではないと考えておるわけでございます。
 認定者が少ないということは確かに御指摘のとおりでございますけれども、難民の申請者自体が少ないということからそのような結果になってきているわけでございますが、割合といいますか、認定率という点で見ると国際的にも決して見劣りのするものではないと思いますので、この点につきましてはちょっと事務局から補足をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 我が国において難民として認定される率、これは認定した者と不認定の者を分母として認定された者を分子とした場合の認定率は、昭和五十七年の制度発足以来これまでの二十一年間ぐらいになりますが、認定率は一二・四%でございます。また、それとは別に、不認定にはしたけれども、しかしその情状にかんがみ在留を特別に許可すると、そして我が国で庇護しようと、ということで庇護した率、これも認定した者と不認定にした者を分母として、その分子は認定した者と庇護した者、在留特別許可した者ですが、これは二三・二%になります。つまり、我が国で難民認定申請した方の、結論としては、これまで二十一年間で四人に一人近くが我が国で庇護されているという実情にございます。
 ちなみに、諸外国との比較で申しますと、例えばドイツは、今、私、手元に二〇〇〇年から二〇〇二年までの三年間の数字を持っているのですが、認定率で申しますと、ドイツは四%、七%、三%、フランスは二二%、二一%、二〇%、例えばスウェーデンが三%、二%、二%、イギリスは三二%、二二%、二〇%というように、国によってかなりばらつきはございますけれども、先ほど申しましたように、日本のその認定率一二・四%、庇護率二三・二%は、庇護の実績としてはそれほど諸外国に比べて著しく劣っているということはないと考えております。
○千葉景子君 今、認定率のお話をなさいましたけれども、基本的に、先ほど言いましたように母数ですね、それがもう圧倒的に違うわけでございます。そういう中で諸外国と比べて必ずしも低くないというお話ですけれども、先ほど私が指摘させていただきましたように、やっぱりなぜ、審査をすれば庇護をしなければいけないという人がいるわけで、それにもかかわらず、これだけ日本に難民として庇護を求める人たちが少ない。それだけやっぱり私たちの国が非常に閉ざされた、あるいは難民に温かい目を向けていない、心が通じていないと、こういう部分がやっぱりあるのではないかと。ここは改めて認識をしておかなければいけない部分ではないだろうかというふうに思っております。
 是非、今回の改正に当たっても、そういう点が本当に、一番の根本的な認識が本当に正しく置かれて、その上でこの改正というのがなされているのかどうかと。私は大変その辺りが疑問を感ずるところでもございますので、是非具体的な質疑の中で、その辺りも踏まえながら是非御答弁をお願いをしたいというふうに思っております。
 そこで、こういうどうも認識において、どうもちょっと足りぬところがあるのではないかなというふうに思いますが、そういうことを多分踏まえながら難民保護法という対案が出される結果になってしまったのではないだろうかというふうに思います。政府の案が、今の国際情勢、そして今の難民の置かれている状況を十分に踏まえての案であれば対案ということにはならなかったのであろうと。しかし、そうではないからこそ別な案が出されているものだというふうに思いますので、この難民保護法の提案者の方に何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、今回の難民保護法、一番、政府から提案をされておりますものと抜本的に異なりますのは難民認定に関する業務、これをやはり法務省から分離して独立させようと、ここが法案としては大きく抜本的に異なる部分であろうというふうに思います。この独立の機関に難民認定という問題はゆだねようというこの趣旨はどういうところにあるのでしょうか。
○江田五月君 御指摘のとおり、入管業務と難民業務を別にするというところが政府案と私どもとの根本的な違いでございます。これは、一体入管業務というのをどう考えるのかと、基本的にはそこに由来をすると思います。国の主権というものがオールマイティーのものとしてあって、難民であろうが何であろうが入管はすべて一元的に厳しく取り扱うということでいいのかと。
 そうではなくて、日本が一九八一年に批准をいたしました難民条約で、国際社会がいろんな国際社会の厳しい条件の中で出てくる庇護を求める各国の人々に対して共同でこれを庇護していこうという、そういう体制を組んできているわけですね。そんな中で、UNHCRも難民について各国を超えた一つの監督的な立場も与えられると。そんなことになってきているわけでありまして、私どもは、入管業務と別の観点から難民認定業務というのは行われなきゃならないという、そういう根本的なまず立場の違いがあると思っております。
 元々、この入国管理局が出入国管理と難民認定の両方行うという制度、これは今の哲学的な問題を別にしても根本的な矛盾をはらんでおるわけで、難民の申請をしてくる者はどういう立場で来ているかというと、正規の旅券やビザを取得するいとまもない、本国から命からがら逃れてきていると、そういう者が多くて、これが本邦に上陸して難民申請を求めるとなると、まず第一には、不法滞在、不法入国ということになってしまって、出入国管理の言わば厳しい目にさらされるわけですね。そういう立場と、そしてもう一つは、難民というものを求める、そういう温かい国の保護を求める立場と、一人の人間が両方の立場に立って、しかも扱う人間が、人間といいますか、扱う機関が一つの機関でやるとすれば、それはその対象者から見ると混乱をしてしまうわけですよね。
 本当にそういう状態の下で公平公正な難民の審査ができるのかということが根本的な疑問でありまして、さらに、難民の認定に当たっては通常の出入国の審査とは違う高度の専門性あるいは迅速性が要求されると。そうなりますと、制度の立て方としては、これは難民認定に関する業務を専門的に行う独立の第三者機関を作った方がいいというのが私どもの考え方でございます。
○千葉景子君 今、独立の専門的な機関を置くべきだという御指摘でございました。それと関連をいたします。
 現在、難民の認定に当たっての様々な調査は入管の職員の皆さんが当たっているということになります。今のやはり専門的な立場でということになりますとそれだけでいいのだろうかということになり、難民保護法では難民認定調査官というものを独立に置こうという内容になっていると承知をしておりますが、この趣旨について御説明をお願いします。
○江田五月君 難民認定の手続の場合に、難民であることの立証責任というのは一体だれが負うのかと。
 これは、法律的に厳密に言えば、難民申請者の方が自分が難民であるということの立証をしなきゃいけないということになるでしょう。しかし、そこは実際の運用として、あなたが立証責任を負っているんだから全部証拠を出しなさいというのも現実には酷ですね。先ほども申し上げたとおり、迫害のおそれから逃れて庇護を求める者が命からがら逃げ出してくるときに、証拠などはそれは持ってくるわけにいかないじゃないですか。あるいは、精神的な動揺、言語の相違等のために十分な立証が尽くせないということはもう火を見るよりも明らかでありまして、そういう難民申請者が抱える困難は、やはりこれは庇護を与えようという国の制度であるならば国の方でしっかりと支えていかなきゃならぬ、その困難を取り除いていかなきゃならぬということで、難民認定調査官というものを設けて、ここがむしろ難民申請者の立場に立って事実を調査をし、資料を集め、そして適正迅速な難民認定手続を保障しようという配慮からでございます。こういうことによって実質的に難民の庇護という制度が保障されていくんだと。
 現状を見ますと、各出入国港に置かれている難民調査官はほとんどが入国審査官等との兼務であると、こう聞いておりまして、しかも二、三年程度の短い年数で交代すると、そういうふうにも聞いているので、これでは専門性を備えたということにもなりません。そこで私どもは、難民認定調査官を置こうということでございます。これは専任の職として仕事に当たってもらうということにしております。
○千葉景子君 難民の認定についてそういう専門性を持った機関で行うということになりますが、難民申請をする人にとってはなかなかそういう手続を進めるということになっても難しい、そして一人で本当に困惑をするということも多いのではないかと、現状もそうだというふうに思います。
 そういう意味で、やはりそれを補佐し、サポートする、そういう体制も必要になろうかというふうに思うんですが、そういう意味で難民保護法では補佐人という制度を作っていると承知をしておりますが、これはどういう意味合いがあるのでしょうか。
○江田五月君 今申し上げたとおり、難民申請者は大変な困難な中で手続を進めていかなきゃならぬ。そうした手続の在り方を、難民申請を難民の地位を求める者に対して適切に教えていく、いろんな知恵を授けていく、そういうための相談員というものを私ども設けておるんでありますが、調査官にしても相談員にしても、いずれもこれは国の側の人間でございまして、そうではなくて、やはり手続の際に本当に申請者と常に心を通わせながらこれをサポートしていく、そういう立場の人間が要るということで、補佐人とともに手続の中に出頭してくることができるということにいたしました。
 この補佐人については、念頭にありますのはやはり弁護士さん方ですね。今、そういうことで一生懸命努力をしておられる弁護士さん方もおられますし、この皆さんが手続の中で必ずしも十分にアドバイスの、あるいはコンサルティングの実を上げているとは言えないという、そういう状況も聞いておりますので、ここはやはり法律できちんと弁護士、通訳等の補佐、こういう者を得られるために補佐人とともに出頭できるということにいたしました。
○千葉景子君 さて、冒頭のこの政府の案とそして難民保護法で大きく異なるところは、やはり難民認定をする機関を独立をさせるということだというふうに思いますが、それと同時に、政府の方では今回、難民申請者に仮滞在という、そういう一定の資格を設けようということがございます。それに対して難民保護法の方では、難民申請者に特別な在留許可の制度、こういうものを設けたらどうかという内容になっております。
 政府の方も一定のそういうことを検討されたということでございますが、これ、その違いというんでしょうか、やはり政府の方の仮滞在だけではどうも足りないなということでこういう資格を検討されたものだというふうに思われますので、この点について御説明をお願いします。
○江田五月君 現行の入管法では、我が国に在留する外国人には在留の資格というものが必要だと、こういうことになっております。そして、有効な旅券を持って入国し、入国審査官の上陸審査を受けなければならない、これに違反したら退去強制ということになると。したがって、難民の認定を申請しようとする者は、まあ在留資格を適法に持っている者で来るというのは珍しいだろうと思いますね。在留資格を持っていない、あるいは申請する前に在留資格が切れてしまった、あるいは不法入国という場合もあるでしょう。
 したがって、この難民の認定を受けることを希望する者が不法滞在等の発覚によって強制退去処分を受けることを恐れて難民認定申請を行いにくいと。また、難民認定の申請中の外国人が退去強制処分を受けることもあり得ると。このような問題が指摘をされていたわけです。
 そこで政府の方は仮滞在ということを作ったんだろうと思いますが、仮なんですよね。難民の申請者というものを、もっとこれは国際的な約束事でこういう皆さんを庇護していこうというわけですから、仮というのはいかにも及び腰だということでございまして、私どもは、やはりそうではなくて、難民を申請すると言ってきた者は難民申請者という立場で上陸の特別許可、もちろん特別許可ですよ、ですから一般のものとは違うんですが、上陸の特別許可や、あるいは在留の特別許可を与えると。これは仮ではないんだと。そういう難民申請者というものを大切にするんだという、そういうメッセージとしてこういう制度を作りました。
○千葉景子君 現状ですと、やはり難民申請をしているという立場と、やはり不法であるという非常に不安定な立場とでなかなか難民の申請もしにくい、あるいはしてもいつどうなるか分からないという大変不安な状態に置かれているという現状もございますので、私も、こういう安心できるような地位をまず持ってもらうということは大事なことであろうというふうに思います。
 難民保護法の提案者の方にもう一点お聞かせをいただきたいと思います。
 これまで、難民についてはインドシナからの難民もございました。それから、現状で条約難民として認定されたそういう方々にも政府としても一定の生活支援、様々な施策、こういうものを講じてはございます。しかし、なかなか統一的に、そしてまた十分な生活支援になっているのかどうかと、こういう指摘もありまして、この生活支援という問題というのは非常に重要だろうというふうに思っております。
 この難民保護法、正に保護法ということで、この生活部分、生活のサポート、こういうところにかなり重きが置かれているというふうに思いますが、これまで政府がやってきたものとは異なり、この生活支援について難民保護法でどういうやっぱりプラスといいましょうか、があるのでしょうか。その辺の説明をお願いします。
○江田五月君 難民受入れのための政策というのは、申請に至る入口のところ、ここから進んで、難民と認定された者が本邦に定住して安定した生活を始めるという出口のところ、ここまでを全部カバーしなければいけないと思うんですね。
 もちろん、申請段階では、これはまだ立場が、難民申請者ということでは庇護が与えられなきゃならぬと思いますが、しかし、本邦に在留する資格があるかどうかはまだ手続中ですから、そこで生活支援をすぐするというわけにはそれはいかないので、ここは生活の一定の援助ということにとどまっておりますが。しかし、難民と認められた、難民条約に言う、あるいはまた一定の政策的な配慮から、特別に条約難民以外にいわゆる条約外難民として本邦への在留資格を与えた、そういう者に対してやはり生活支援というものを本格的に行わなければいけないということでございまして、そこでこれら条約難民、そして条約外難民、こういう難民等という定義を私どもしておりますが、それらの者に対して生活相談、日本語の習得などなど、生活支援推進計画を策定して、そしてNGOなどとの協力の下にこの支援を行おうと。
 これは、従来の政府の方のものは、一定のものがないわけじゃないけれども、非常におざなり、非常に乏しい、非常に劣悪と言わざるを得ないと思いますので、私どもは、そこはしっかりとしたものをやっていこうと思っております。
○千葉景子君 ちょっともう一点だけ。
 今答弁の中でも触れられておられましたが、こういう生活支援等々、これから包括的にやっぱり必要だということになりますと、いろんな形で、政府あるいは行政機関だけでそういうことができるものではない。やっぱりNGO等との本当に協調連携ということが不可欠ではないかと思いますが、その辺りはどんな御認識をお持ちでしょうか。
○江田五月君 難民行政だけでなくて、今恐らくもうすべての場面において、一般の国民と行政との接点というもの、ここへいろんな工夫をしていかなきゃならないときが来ていると思うんですね。やはり行政というのはどうしても一定の、どういいますか、枠があって、その枠を超えていろんなことをやりにくい。しかし、かゆいところに手が届く、そういうサービスを提供しようと思うと、やはり一定の枠をどうしても超えていかなきゃいけない。そういうことはだれができるかといいますと、それはやはり市民のいろんな自由な活動だと思います。
 そういう意味で、難民の皆さんが本邦において定住していく、それは仕事の面でも学校の面でも地域社会の面でも、これはやはりそうしたことをしっかりと支えていこうというNGOの皆さんが活動していただかなきゃならぬ。そこでNGOは勝手にやれというわけにもいかないんです。やはり、ある意味で行政の仕事を委託を受けてやるといった、そういうNGOも必要なので、この際、私どもは、生活支援についてはNGOの皆さんと行政とのしっかりした連係プレーの下でNGOの皆さんに大いに働いてもらおう、そういうことを考えております。
○千葉景子君 ありがとうございました。
 今、何点か難民保護法の考え方についてお尋ねをさせていただきました。大臣にも聞いていただいていたかと思います。感想は求めませんけれども、今のをお聞きになると、おお、その法案の方がいいんじゃないだろうかと、率直にそう思っていただけたのではないかなと、そんな気もいたしますが、是非、そういう意味で、やはり考え方、そして良きやっぱり入管の、良き難民に対する日本の社会の本当にありようというものをこういう形でそれぞれ真剣に考えていくということができたらというふうに思いますので、どうぞ大臣もそんなことを素直に率直に感じ取っていただければというふうに思います。
 さて、こういう考え方、少しずつ違うわけですけれども、政府から出されております法案の方にもやはり何点かお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 まず、先ほど、難民の受入れというのが非常に少ない、申請が大変少ないということを申し上げましたけれども、そういう中でやはり問題になるのが、一つはやっぱり難民認定申請をする場合の不安定さ、こういう部分も難民申請をやっぱり抑止する、そして、しても大変不安に置かれてしまうということの一つではないかというふうに思います。
 そういう中で、今回の政府案では、先ほど指摘をした仮滞在許可制度ということが設けられました。これは、これまでと比較をいたしますと一歩前進といいましょうか、そういう部分も全くないわけではございません。ただ、これが、制度はできましたけれども、その要件を見ますと、本当にこの仮滞在許可制度が十分に機能するのか、そしてその難民申請を行う人にとって一つのよりどころに本当になるのだろうか、そういう感じがいたします。
 その大きな問題の一つが、この仮滞在許可制度を出すに当たって日本へ、本邦へ直接入国をした者でなければ与えられないと、こういう要件が付けられているわけでもございます。これ、どうでしょうか。これまで難民申請をなさった方、そして難民認定を受けられた方等々、従来のケース、これから、そういうことがこれからも続いていくと予測はされるんですけれども、この第三国経由をすると駄目だということをこれまでのケース等に当てはめてみると、これで何かほとんど仮滞在許可与えられないという結果になってしまうのではないかという予測もありますけれども、これはどうですか。こういう要件付けることによって大変門戸がむしろ厳しくなるのではないかという懸念もいたしますが、この点についてどうでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 直接本邦に入ったということについてのお尋ねですけれども、これは第三国の庇護を受けることなく迫害地から本邦に直接的に逃れてきた状態を指します。その迫害のおそれのあった領域から直接本邦に入った者でない不法滞在者につきましては、出身国における迫害から逃れるためにやむを得ず我が国に、我が国を目指してやってきて不法入国した、あるいは不法残留しているという、その違法行為を行った点で、やむなく我が国に逃げてきた者だというその緊急避難性といいますか、そういった観点からしますと、ほかの国にある程度の期間滞在してから日本に来た人と、もう日本を目指して、日本に救いを求めて、日本に来て救いを、庇護を求めたという人はやはり違うであろうという、その緊急避難性という点での相違。
 そういったことから、仮滞在となりますと不法滞在者であっても退去強制手続はもう止めるんだと、こういうことで、言わば優先的、優遇する制度でございますので、仮滞在という特別な地位を認めるという場合には、やはり直接我が国に来て助けを求めた人か、そうではなくて、ほかの国でしばらく滞在してから、それから日本に来た人であるのか、その違いはやはりあるだろうということで、これを仮滞在許可の要件として取り上げたものでございます。
 しかし、今申し上げたような趣旨から考えますと、第三国を経由して本邦にやってきた難民認定申請者でありましても、単に第三国を経由した、通過したにすぎない場合もあるでしょうし、あるいは第三国に滞在したとはいってもその期間が非常に短くて、その国で庇護を与えられなかったような場合もあるでしょう。それらの場合などについては、その人は第三国を経由したといいましても我が国に直接来たと評価していいだろうというケースは多々あるだろうと思います。そういった意味で直接性を要件といたしましたけれども、恐らくこれまでの実情から見て、この直接性に反するから仮滞在許可が受けられなくなるというケースはそんなには多くないのではないかというふうに考えております。
○千葉景子君 今、そういう御説明でございました。
 この第三国経由では駄目だ、直接来た者ではなければならないというこういう要件につきまして、先ほど指摘をしたやはりUNHCRなどが、この要件を厳格に適用したりすると、これまでのケース等の延長線上で予測をすると、例えば十人中八人ぐらい、八割はこの要件で仮滞在から除外をされてしまうのではないかと、こういう影響の予測などもしています。これは決していい加減なものではなくして、これまでのケースの具体的な日本への入国経路等々、それを実際に調査をしながら、それに当てはめて予測をしているものでもございますが、今のお話ですと、そういうことはないんだということですけれども、どうでしょうか、そんなことは決してないというふうに、八割が駄目になるなぞということはあり得ないのだということなのでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) お尋ねのとおり、八割が駄目になるということは多分ないだろうと思います。
 確かに、UNHCRが昨年でしたか、UNHCRの関与した申請者について自分たちが調べたところではということで、今委員がおっしゃられたような数字を明らかにしたことは承知しております。しかし、その際は、今委員がおっしゃったとおり、直接性を厳格に適用した場合はどうなるというような、そういうコメントが付いていたと思います。しかし、UNHCR自身が直接性についてはこういう解釈をすべきだというような言わば指針を示しております。
 私どもは、今後、直接性の解釈に当たっては、基本的にはUNHCRと同じ解釈を取るであろうと考えておりますので、そういった解釈を取る限り、そんな厳格に機械的に当てはめて、もう大半が排除されるというような運用にはならないと考えております。
○千葉景子君 分かりました。是非、そういう意味では国際的な基準といいましょうか、そういうものにやっぱりのっとってこの解釈はしていただかなければならないというふうに思います。
 先ほど、ちょっと確認ですけれども、単に第三国にいったん入っているといっても、言わば通過したような形だとか、あるいはそこで十分な庇護を与えられた形ではないというようなときにはこの要件は当たらないんだというお話でございました。なかなかこれは、じゃ第三国にどのくらいの期間とどまっていたら第三国経由になるんだとか、あるいはどのような庇護を受けて、また日本に来たら駄目なんだとか、なかなかここ、どこで区切るかというのは難しいところであろうかというふうに思いますけれども、一定のやはり基準といいましょうか、通過したにすぎないというのは一体どういうことなのか、第三国で庇護を受けられないで来たというのは一体どういうことなのか、少しそこをこれからの判断の基準になるような形で御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 第三国を経由して日本に来た場合に、それがそれでも直接来たと認めていいのだと言えるのがどういう場合であるのかは、やはりこれは個々の事案ごとによって判断されることだろうとは思います。
 ただ、お尋ねの、例えば期間について何らかの目安はないかということであれば、一つ考えられますのは、例えば我が国の場合にいたしましても、十五日以内の滞在許可、通過査証を所持する者に対して短期滞在十五日、ただ日本を通過して他国に行く場合、十五日という滞在許可を与えております。そういったことは一つの目安になるのではなかろうかと思います。あるいは、他国、第三国にいたといっても、その国にはそもそも庇護する機関がない、庇護する制度がない、難民条約に入っていない、だからその第三国にいたといってもそこではそもそも庇護なんかされる可能性だってなかったんだと、というようなケースはやはり直接性を裏付ける方向で判断する要素になるのではないかと考えております。
○千葉景子君 庇護をするような、もう受入れの体制がないというようなケースですと、確かにそこを経由して来たといっても庇護をされたわけではありませんから、日本に直接来たと同様なケースになるんだろうと思います。
 ただ、この十五日というのがいかがかなというふうに感じます。確かに、そういう通過査証のようなものが日本でもあると、これに照らしてということですけれども、やはり命からがら何とか庇護を求めて、最終的には何とか日本で庇護をしてもらおうというときに、途中で、やっぱりそうはいっても捕まってはいけない、あるいはいろんな意味でどうやって日本まで来るか、その経路を何とか探し当てと、こういうことになるわけですので、たかだか十五日というのでは非常に冷たいなという感じがいたします。やはり、置かれている状況を考えますと、ここは、十五日というのは余りそれこそ厳格に基準にすることなくして、やはり本当に、通過はしてきたけれどももう本当に必死の思いでその国を経過をし、そして日本に来たんだと、こういう実情をきちっとやはり見極めていただく必要があるのかなというふうに思います。
 是非、そういう意味では、この直接入国、第三国経由は要件とするといいましても、余りにもしゃくし定規に厳格に適用することがなきよう、そして国際ルール、こういうものに準拠して考えるということを確認をさせていただきたいというふうに思っております。
 それから、今回は、従来大変批判も多かった六十日ルール、これは撤廃をするという形になりました。これは一つのやはり国際的な指摘や、あるいは多くの難民問題にかかわっている皆さんからの指摘というものを受け止めていただいた部分があろうというふうに思っております。
 ただ、この仮滞在許可の今度はやはり付与をする条件として、今度は六か月以内の申請と、こういう今度はまた別な意味での条件が付けられることになりました。この六か月条件といいましょうか、これの何か合理的な理由はあるのでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 今回の法案の六十一条の二の四第一項におきまして、難民認定申請を行った在留資格未取得外国人に仮滞在を許可する場合の除外事由といたしまして、本邦に上陸した日から六月を経過した後、難民認定申請を行った者であるときを規定いたしております。
 その趣旨は、本邦に上陸した日から六月以内に難民である旨の申出をしなかった不法滞在者につきましては、出身国等における迫害から逃れるためにやむを得ず不法入国あるいは不法残留などの違法行為を行ったものとは認められず、迫害からの緊急避難性という観点を考慮しますと、それ以外の難民、つまり六月以内に申請した難民と比較して、仮滞在という特別な地位を認めるべき必要性が劣ることによるものであります。
 このような規定を設けることにより、専ら退去強制を免れることを目的として難民認定申請を行うなどの難民認定制度の濫用の防止にもつながると考えておりますし、難民認定申請事案の迅速かつ適正な処理にも資するものと考えております。
 委員御指摘の六月としたその根拠でございますけれども、我が国における難民認定の実情であるとか、あるいは一時庇護のための上陸の許可の上陸期間が六月と定められていることとか、あるいは短期滞在の在留資格により通常在留できる期間の上限、これらを踏まえてこのたび六月といたしたものでありますけれども、六月という期間は、外国人が我が国に来て難民申請を行う、申請を行うのを決める際、言語上の問題その他申請者の置かれた特殊な状況を考慮しましても、難民認定申請を行うためには十分な期間であると考えております。
○千葉景子君 今御説明をいただきましたけれども、この問題、また一番最初に戻ってしまうような気もいたしますけれども、やはり難民として日本に入国をし、そして申請をするということになりますと、これから認定の手続とかあるいは受入れの環境がどんどん整っていって、そういう現状であればまた変わってくるだろうというふうに思いますが、これまでの難民認定の在り方、そしてその受入れの環境、こういうことを考えますと、やはり申請をするといっても、やっぱり相当悩み、あるいは熟慮をし、そして情報を得たり、そしてサポートをしてもらえるようなそういう人たちのいろんなサポートをもらい、そういうことがようやく合わさって、何とか申請をして、安定をしたやっぱり立場を身に付けようと、こういう非常に長い苦労とかあるいは不安とかあるいは悩みと、こういうものを乗り越えて難民の申請がなされるという、こういう実情があるわけですね。
 申請したら安心できるように、せっかく仮滞在という、そういう地位を与えていこうと、ここまで考えたわけですので、そういう意味では、六か月、六月ということに本当にこだわる必要があるのだろうか。やっぱりいつでも申請をした、そして温かく仮滞在という一定の地位を認めて、そしてその代わり十分に、本当に難民性があるのかなと、こういうのは審査をすればいいわけですので、そういう意味では、この六月という期間を設けるという必要があるのかどうかという、私は率直に考えますけれども、改めましてその辺りの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 先ほども申し上げましたが、これは仮滞在許可の要件の問題でございます。仮滞在許可というのは、命からがら我が国に逃げてきて難民として助けを求めたいという人に対して、不法入国であっても退去強制手続はしません、難民かどうかを先に審査しましょう、だから収容もしませんと、そのために、そういう優遇を与えるための制度がこの仮滞在許可であるわけです。
 したがって、日本に逃れてきて六か月以内に申請して日本に助けてくださいという人と、六か月を経過し、一年、二年たってから難民であるから助けてくださいという人では、その退去強制手続を止める、止めて優先的に難民審査を行うかどうかを判断する上でやはりそれは意味のある違いであると考えております。したがって、この六月を、六月以内に申請したかどうかを仮滞在許可の要件とすることには合理性があると考えております。
 ただ、これは今、現行の法律でもそうですけれども、仮に六月を経過した後に申請した事案であっても、その六月経過をしたことにやむを得ない事情があるような場合については、これは六月以内に申請した者と同様に取り扱うという運用をすることになりますので、その点では不都合はないと考えております。
○千葉景子君 今いみじくもおっしゃいましたように、必ずしもこれをしゃくし定規に適用するのではなくて、やむを得ない事情のようなものがあればそれを認めるということでございます。ということは、やっぱり個別に六月以内に申請する場合もあれば、いろいろと先ほど言ったように困難を乗り越えながら六月を超えてもやっぱり申請をするというケースもあり、あるいは場合によっては、何とか逃げてきた、いずれは国に帰れるのではないかなと心の中では思っていたけれども、やはり状況も大きく変化をして、時間がたって、たてばたつほどこれはもう自国に帰ったら迫害を受けるということが明白になってきた、こういうことだってあり得るわけですね。そういう意味では、これを余り期限で、期間で限定することなくして、やはり申請をしたということによって本当にこれは真剣に自分が庇護を求めているんだという、その意思をやっぱり受け止めて対応をしていくべきではないかというふうに思いますので、これを直ちに六月というのをなくしますということにはきっとならないのかもしれませんけれども、是非そういう実態を踏まえたやはり運用をしていただくようにまず求めておきたいというふうに思っております。
 仮滞在許可を受けられなかったということも考えられます。そういう際に、強制退去にはなさらないというような御説明をいただいているのですが、強制的な収容についてはどうなんでしょうか。退去強制手続が進むわけですが、その中で仮滞在許可を受けられなかったというだけで強制収容というような形になってしまうことを大変私も危惧をいたしますが、その点についてはどうお取り扱いになるのでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 仮滞在許可されなかった人につきましては、これは現行法と同じでございます。難民認定手続と退去強制手続が並行して行われることになると。ただ、現行法を改めまして、難民認定の審査が行われている間は送還はとにかくしませんということでその保護を図っているわけです。
 それでは、その仮滞在許可が受けられなかったことにより身柄がどうなるかということでございますけれども、退去強制手続が取られますので、そうしますと、法律上、退去強制手続においては原則身柄は収容するということになっておりますので、仮滞在許可を受けられなかった難民認定申請者につきましては収容されることとなります。ただ、その場合におきましても、主任審査官などは法の規定にのっとりまして情状あるいは仮放免請求の理由などの証拠も考慮して、個別にその人について仮放免をするかどうかを判断していくということで弾力的に運用するなどして、人道に配慮した取扱いを行っていくことになると考えます。
○千葉景子君 この収容につきましては、現状を含めて非常に問題があるところだというふうに思います。ちょっと、これについてはまた別途少し具体的にいろいろお聞かせをいただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 時間がちょっと限られてまいりましたので、あとちょっとの時間で生活支援の問題について何点か聞かせておいていただきたいというふうに思います。
 難民認定者、それから難民の申請をしている人等の生活支援、様々な社会的なサポート、こういうものは先ほど難民保護法の提案者にも聞かせていただきましたが、政府の方もいろいろなサポートや支援は全くしていないわけではないわけですね。ただ、これがどうもいま一つ、どこがどう何をやっているのかというのがいま一つよく分かりませんで、そこで多分一番それを統括をされておられるのが内閣官房に当たるのではないかということで、内閣官房に来ていただいております。
 この難民に対する生活支援あるいはいろいろな社会的なサポート体制、こういうものがどういう現状になっているのか。それぞれ各省にまたがっていると思われますけれども、その辺をちょっと簡潔に御説明をいただきたいというふうに思います。
○政府参考人(鈴木基久君) お答え申し上げます。
 条約難民として難民認定を受けた方々に対しましては、関係行政機関が相互に協力いたしまして、必要に応じ日本語習得のための便宜供与あるいは職業紹介又は職業訓練を行うこと、それから条約難民の就労先の確保に努力するものとする閣議了解が既にございます。これを受けまして内閣に、先生御指摘のように、内閣に難民対策連絡調整会議というのを設けております。これは、難民問題につきまして関係行政機関の緊密な連携を確保し、政府として必要な対応を検討するため内閣に設置されておるものでございますが、ここで政府としての支援策も取りまとめておるところでございます。
 具体的には国際救援センター、これはそもそもインドシナ難民の定住支援等のために設置された施設でございますが、そこに入所いたしました条約難民の方々に対しまして、日本語教育の実施、それから職業紹介や職業訓練の実施、あるいは生活援助資金の支給等を行っておるところでございます。
○千葉景子君 今御説明いただきましたこれだけだと、本当に何かよく分からないと。やっておられるというのは分かるんですけれどもね。そういう意味では、この生活支援という問題、やはり連絡会議という形で行っているのは分かるんですけれども、やっぱりそれをきちっと制度的に担保をするような仕組みを作る、法的にですね。どこがどういう責任体制で行うのだと、こういうことなどをやっぱりきちっと備えておく必要があるのではないかというふうに思います。
 特に、先ほどから指摘をさせていただいておりますように、生活支援になりますと、政府の関係機関、あるいは毎日生活をする自治体、地域、それからそこでいろんなサポートをするNGOや市民の皆さん、こういういろんな形でどこがどういうきちっとした活動をするのかというようなこと、そして、それを全体としてどういう財政措置をしていくのかというようなことも当然必要になってくるのだろうというふうに思います。
 そういう意味で、大臣にちょっとお考え方をお聞かせをいただきたいと思いますが、今、連絡会議ということでやっておられますけれども、これをやっぱりもっと包括的に、そしてシステムとして法的に担保していく、それからNGOあるいは自治体等を含めてきちっとしたそれぞれが責任を持っていくんだぞと、こういう仕組みをやっぱり法律などで備えておくということは必要なのではないかというふうに思いますが、大臣、その辺りどうでしょうか。全体を統括をするという立場ではございませんけれども、やっぱり難民の認定等の仕事をする担当部署として、認定をしましたその先をやっぱりきちっとしていくということにも御関心をお持ちであろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(野沢太三君) 今お話がありましたように、現在、連絡調整会議という形で協力して取り組もうということは進んでおるわけでございますけれども、それじゃ具体的に、じゃどこの窓口へ行ってどういう御相談をしたらいいかと、こういう点については必ずしも十分ではないのではないかと、この趣旨の御指摘かと思いますが、私どもは、この方策に対しましては、今回のこの入管法そのものの改正がその意味で大分前進をいたしておると思いますので、引き続き法務省あるいは関係の省庁の皆さん方がこういった新しいルールに基づいて一層協力を強化していくと。具体的には、やはり今お話ありましたような地方自治体における窓口の問題、それからNGOの皆様の御協力もこれまた大いに期待をするところでございます。
 それから、今度の司法制度改革の中でも提案されておりますが、総合法律支援というようなシステムの中でも法的な問題については御期待にこたえられるんじゃないかと思いますので、これからの課題としてしっかり取り組んでいかなければならないと思っておりますが、御意見しっかり賜りまして、御党御提出のまた対案につきましても、私どもも十分参考にさせていただいて取り組むつもりでございます。
○千葉景子君 大臣に御答弁をいただきました。やはりそこを明確に打ちながら、それからNGOなどの皆さんとの協力関係というのも、やっぱりそれはお互いパートナーというような意識を持っていくことが必要だろうというふうに思います。
 単に、この部分ちょっとお願いしますよ、あるいは、まあ声を掛けたからいいかなということではなくして、やっぱりお互いが、仕事をきちっとお互いやり合っていく、意見も交わしていくというパートナー性ということがやっぱり大事だろうというふうに思いますので、その辺りを改めて御認識をしておいていただくことをお願いをして、時間になりますので、今日の私の質疑はこの辺りにさせていただきたいというふうに思います。
○委員長(山本保君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十一分開会
○委員長(山本保君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案及び難民等の保護に関する法律案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○江田五月君 午前中は、私どもの提出をいたしました難民等の保護に関する法律案について、あちらの大臣席で答弁をさせていただきました。午後からは、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、こちらの席で質問をさせていただきます。
 さて、午前中、千葉委員の質問で冒頭に、昨日の福岡地裁の判決についてお触れになりました。しかし、これは質問ではなかったので、私の方でちょっと質問をしてみたいと思います。
 この判決は、これはもう新聞等で大きく報道されているところなので大臣も御存じと思いますが、小泉首相の靖国神社の参拝を違憲とした判決でございます。新聞の報道によると、小泉首相は、記者から尋ねられて、なぜ違憲なのか分かりませんという言葉を十六回も繰り返されたということなんですが、また、福田官房長官は、国の考え方と異なる考えが示されたのは遺憾だと、そんなことを述べられたということで、私は、この靖国神社への総理大臣の参拝、これについていろんな意見がある、これはここで今議論しようと思わないんです。
 そうではなくて、法務大臣は、日本は法治国家でありまして、法の支配を行政面で貫徹をさせるための最高の責任者であると思っておるんですが、日本という国の法的な成り立ち、これはもうここで私が言うまでもないんですけれども、憲法があるわけですよね。憲法に国の機関の行為が適合しているかどうか、合憲性、これは裁判所が判断をすると。もちろん、裁判所以外も判断するんですが、憲法の八十一条では、違憲審査権は最高裁判所が最終の裁判所として判断をするんだということが書いてある。最終の判断をするんだということは、つまり、最高裁判所を頂点とする司法機関の判断がこの最終的な判断で、その司法機関の中で最高裁が最終の判断である、判断者であると、そういう意味でありまして、しかも憲法は、九十八条、最高法規である、九十九条は内閣総理大臣といえども憲法を守る義務があると、こういうことになっているわけでありまして、下級裁判所の判断といえども、やはり司法機関の憲法判断、これは権威を持った判断と言わざるを得ない。その司法機関が、小泉首相の靖国神社の参拝は公的な行為であって、そして憲法二十条に違反をするということを言ったわけですから、これは分からぬでは済まぬと思うんですね。
 分からぬを十六回繰り返されるという総理大臣のこの判決についての対応について、法の支配、法治国家の責任者、行政の部門でですね、であられる法務大臣としてはこれはどういうお考えをお持ちになるか、この点を聞いておきたい。
○国務大臣(野沢太三君) 私もあの判決を見て大変驚いたんですが、この判決をよく見ますと、これは内容的には国の勝訴ということになっておりますね、損害賠償に当たらないということでありますから。
 御指摘の点について、国側としては、この本件参拝が、総理が私人として、公人でなくて私人としての立場で行ったものであるとずっと一貫して主張しておられるわけです。その主張が認められなかったことが遺憾であると私は思いますが、総理自身もそこを称して分からないという表現をお使いになったのではないかと、かように考えております。
○江田五月君 分からないじゃないんで、総理が判断するんじゃないんです。憲法に適合しているかどうかは裁判所が判断する。裁判所が判断したものを総理が分からぬと言っちゃいけないんです。それは自分はちょっと考え違うとか言うのはいいですよ。だけれども、やっぱり裁判所の判断は裁判所の判断としてそういうものが出されているという、判断するのは裁判所だということは総理も認めなかったら、日本は法治国家じゃなくなってしまう、憲法の下で動く国家じゃなくなってしまうんじゃないかと。そこのところを法務大臣としては遺憾にお思いにならないかということを聞いているんです。
○国務大臣(野沢太三君) 同種の訴訟がほかにも出ていると伺っておりますが、それらの各裁判所の判断ではこの点については触れておられないのが大部分であると思います。その点についてあえて今回の裁判所が踏み込んだ判断をなさったと、その辺のところが御理解がいま一つということかもしれませんが、この辺の詳細は総理御自身の御判断を伺わないと、私からこれ以上のコメントはちょっと差し控えたいと思いますが。
○江田五月君 確かに、国が勝訴です。国を勝訴させる判断をするにつき、小泉首相の行動の違憲性というものをあえて示さなきゃ、についての判断をあえて示さなきゃその論理は導かれないかというと、そんなことはないんで、そこのところをあえて示したというのは裁判所のある意味では思いがこもっている、ある意味ではこもり過ぎていると、それはいろいろ言えるでしょう。
 それから、そこの部分というのは、したがって、傍論、傍論というのは、ボールをむちゃくちゃ投げる暴論じゃなくて、傍らの論ですから、それが持っているいわゆる法的な守備範囲の広さと、あるいは限界というものもあるんで、ですからそれは、これが出たからすぐどうというのもまた、金科玉条として鬼の首でも取ったように言うのもちょっと違うんですけれども、しかし、やっぱりこの司法の判断が、こういう日本のような司法、日本のような法治国家の仕組みの中で一定の司法の判断が出ているという、法的な意味じゃなくて社会的な重さ、これはやはり総理大臣としては考えていただかなきゃならないんであって、今、法務大臣、これは是非、小泉総理に聞いてもらわなきゃ分からぬということですから、私ども、どこかの段階、どこかの場でこのことについては是非お聞きをしたいと思いますので、どうぞ法務大臣からもその旨よろしく総理にお伝えをいただきたいと思います。
 次へ参ります。
 入管関係のことでございますが、まず、午前中にもいろんな質問ありましたが、法務大臣に、我が国における、あるいは今後の我が国の在り方における外国人というものの意味、これをまず冒頭聞いておきたいと。
 ちょっと禅問答風になってしまうんですけれども、そうじゃなくて、今後の日本というのは少子高齢化というようなそういう傾向もありますし、国際化という一つの世界全体の流れもありますし、そんな中で、日本というのは、この国にずっと生まれ育って、いわゆる日本民族の血統であるというようなことで人をいろいろ区別する、そういう国ではもうこれからはやっていけないと。外国人がいろんな形で、日本の国籍を取って日本人として一緒に暮らしていくという、これももっともっと盛んになってくるでしょうし、外国人というステータスのままで日本というこの地域に一緒に居住をして、一緒に地域社会を作っていく、一緒に国民経済を動かしていく、そういう担い手になっていただくようなこともあるでしょうし、そういう意味で、いわゆる血統的な日本民族だけで作る国ではなくなってくるんですよ、嫌でもそうなってくるんですよと。
 それに対して、私たちはむしろ積極的に、前向きに、そういういろんな人が一緒にここで暮らす、岩井委員に言わせればダイバーシティー、これが大切だと思うんですけれども、その辺の法務大臣の、法務省のトップとしてというよりも、むしろ閣僚の一人として見識を伺います。
○国務大臣(野沢太三君) 大変、私にとっても一番聞いてほしいところを聞いていただいたという思いでございます。
 元々、日本の民族というのはどこから来たかと、またどんなルーツで人種的にあるいは文化的にあるいは民族的に成り立っているかということは、私自身も実は大変これまで関心を持って取り組んできた事柄でございます。そして、余り昔のことを言っても始まりませんが、少なくとも明治以来の日本の発展過程というものを見てみますと、やはり一国鎖国の社会、経済では成り立たないということの中から開国へ進みまして、そしてさらに、それが平和という裏打ちがなければ暮らしていけないという昭和のあの前時代の大きな反省と教訓、この中から平和主義ということに裏打ちされた日本の国の成り立ちと、もちろんそれに伴う経済や文化の国際化ということもあったわけでございますが、今この時点で考えてみますと、国連という大きな組織がありまして、その一員として、また経済的には世界じゅうからエネルギーや資源をちょうだいし、そしてまた、ODAその他では逆に世界のために貢献できるような立場にもなっている。大変その意味で、一口にして言えば、もう国際化抜きにしては、外国人の皆様ともう本当にいい意味でのお付き合いを重ねること、更に深めること、更にこれを発展させること抜きには日本の社会は成り立たないと、こういう気持ちであるわけでございます。
 それに対しまして、現代の日本の国の法体系、特に私ども所管しております司法の世界、あるいはこの今議論しております入管のこの法案含めて、今までは相当な機能を果たしていたと思いますが、これからの時代に果たしてこのままでいいかどうかという点について大きな反省の下に今見直しを行いまして、できる限りの国際化を図り、そしてまた外国人との共生の社会を作っていくべくお願いをいたしておるところでございます。
 その意味で、今後とも一定のルールの中でお互いの存在を認め合いながら、かつ、平和という前提、安全という条件、これらを守りながらの経済活動であり社会活動であり、共生の時代を作るのが私どものこれは役割ではないかと、かように考えておりまして御審議をいただいておるところでございます。
 また、各論につきましては、議論の進展に従いましてお話をしてまいりたいと思います。
○江田五月君 是非そういう理解でやっていただきたいと思います。
 私は、一九六九年から七一年まで、ですからもう三十年以上前ですが、イギリスで、国民の税金で派遣されたんですけれども、行政法の勉強をさせてもらいまして、そのときに告知、聴聞の権利というのを勉強したんですが、ナチュラルジャスティスというのの一原則なんですが、イギリスのような国でも判決がありまして、判例が、これでは、外国人をディポーテーション、追い出すときに告知、聴聞なんてそんな、外国人にそんな権利なんというのはないんだ、生かすも殺すも自由だと言わんばかりのそういう判決が、イギリスでさえかなり古い時代にはあった。しかし、もう今は恐らくイギリスでも当然違っているだろうと思いますし、やはりそこはさっきの岩井先生の話ともぶつかるんですけれども、外国人だってやっぱりそれはもう世界のいわゆる法のルール、法の手続のある適正さについての準則、基準、こんなものはちゃんと満たした手続でなければ外国人に対しても何もやっちゃいかぬという、そこまで来ていると思うんですね。
 ですから、更に日本はこれから外国人に対して開かれていかなきゃならぬと。共生のできる、そういう出入国管理行政にしていただきたいと。
 さて、出入国管理の問題と難民。この難民については、これまたもう一つ別の要素があって、国際社会が難民条約を作って日本もそれに入って、そして過酷な国際情勢の中で定住といいますか安住できる地を失って日本に庇護を求めてくる、各国に庇護を求めてくる、そういう難民についてはこれを温かく受け入れて、人間としての、どういいますか、生存をちゃんとどこの国も保障していこうじゃないかと、そういうことだと思うんですが、その点の理解はそれでいいんですかね。
○国務大臣(野沢太三君) 残念ながら、今の国際社会の実情を見ますと、せっかく東西対立というような対立軸がなくなったところが、逆にそこから宗教とかあるいは民族とかあるいは部族、地域の利害とか様々な問題が出てきた中で難民という残念な事態が発生しておる。このためにこそ正に国連が機能せねばなりませんし、それを構成しております主要な国である日本も前向きな取組をしていかなければならないことだと考えておるわけでございます。
 どこで出た難民の方であろうとも、その方々のためにお役に立つということであれば、これを温かく迎えるというのがまずは原則でなければならないと思いますが、あわせて、しかしその国の実情、成り立ち、そして過去のやはり経緯も含め、やっぱり実現可能な限度というものも一つ存在するだろうと思いますので、この辺の調和を図りながら、それぞれの立場の難民の方々の御要望、人権を配慮しながら、かつ、これまで暮らしてまいりました日本の秩序あるいは治安の問題等も併せ考えながら適切な答えを求めていかなければならない。これからの課題として、大きなこれはテーマと受け止めておるところでございます。
○江田五月君 残念ながら、国際社会の中には難民というのを生み出すような地域もあるし、またそれが出てくる理由もあるし、この国際社会は難しい課題をいまだに抱えているわけですよね。
 日本はとにかく世界じゅうに経済の網の目を張って、世界のどんな片隅に行っても日本がそこで経済活動しているというような、それだけの、ある意味で世界に、世界を舞台として活動し、世界の恩恵を受けながら今のこの経済力を作り出してきているわけで、ところが、経済力との比でいうと、日本の難民数というのは世界百五十か国のうちで百三十六番目だというような、これはUNHCRの資料ですよね、対人口比では百二十五位、対面積比でいえば日本は結構面積小さいから九十位とちょっと上がりますけれども、これだけの経済活動をやって世界に恩があるのに、その世界が苦しんでいるのに対して百三十六番目の国だというのは、幾ら何でもちょっと寂しい。いろんな理由はあるでしょう。いろんな理由はあるけれども、そのいろんな理由によってこれが合理化されるということはないと思いますが。
 さてそこで、私どもは入管行政と難民行政は分離をした方がいいというので対案を提案しておるんですが、この分離というものは、どういいますか、事の性質上、全くそれはもう考えられないものだという、そういうお考えで国はいるのか、それとも分離というのは、制度の合理的な設計からすると分離じゃなくて一元化しておく方がいいという制度上のメリット、デメリットからの判断なのか、そこはどうですか。
○国務大臣(野沢太三君) 出入国管理と難民の世話をする難民認定行政が分離しているか、あるいは一元的かと、こういうことでございますが、もう委員先刻御承知のとおり、我が法務省は人権擁護の問題も取り扱っておりますし、入国管理もやっており、かつまた難民の問題についても取り扱っている。それに伴います様々な経験、実績、情報、これらを併せ持つ形で進めておるわけでございまして、それぞれの仕事が別々に独立して行われるということになりますと、なかなかその調和を取ることが逆に難しくなってしまうんじゃないかなと、こういう思いもございまして、今回は私どもはここは法務省の中で一元的に行うことが合理的な理由があると、こう考えたわけでございます。
○江田五月君 ですから、何か論理必然的に、もう国家の成り立ちから当然に難民と入管とは一つのところでやらなきゃならぬという、そういうものじゃなくて、制度の合理的な設計からいってこういうものがいいという判断だったんだと、そう今伺った、伺っておきます。
 私どもはそれは合理的でないと思うんで、私どもは、難民だけじゃありません、すべて人権行政を法務省が担当するということ自体に対して批判を持っておりまして、以前のあの中央省庁の一括法でしたかね、あの法律のときにも私たちはそこは違うという対案を、修正案だったか、出しておるわけですが、そこはちょっと根本的な違いですのでこれはしようがないとしておきましょう。
 さて、仮滞在、これについてはもう六か月要件とか直接入国要件とか千葉委員が質問されました。仮、これはどうして仮でなきゃいかぬのですか。
○政府参考人(増田暢也君) 仮滞在許可制度につきまして、仮といたしましたのは、この許可は、難民認定申請中の不法残留者などにつきまして難民かどうかの結果が確定するまでの間、我が国に在留を暫定的に認める性質のものであるために仮という用語を用いたものでございます。
 なお、この仮滞在許可は入管法に定める在留資格ではございませんが、この許可を受けた難民認定申請者は我が国の在留資格制度の例外として合法的に在留できることとなるものです。
○江田五月君 だから、やっぱり仮という言葉があるのは不法滞在者だと、だから本当はもう出さなきゃいけないんだけれども、まあ難民申請しているということがあるから仮に置いていてやろうという、そういう意味合いなんですよね。だけれども、元々難民申請してくる人がそんなに、パスポートを持ってビザ持って来れるわけないじゃないですか。難民申請する人たち、難民の庇護を求めて日本にやってくる者は、入国のところがイレギュラーなことはあるとしても、それはそんな不法入国、不法滞在なんて言わずに、難民申請者だということで温かく受け入れてやるということをなぜ一体考えられぬのか。どうしてもそこに不法だという観念がこびりついて離れないというのは、一体どういう頭の構造になっているのかを、もしできればお聞かせください。
○政府参考人(増田暢也君) まず、前提として御理解をいただきたいのですが、それは、我が国で難民認定申請している人は我が国に入ってくるときに不法で入ってきているのが大半なのかということでございますけれども、平成十一年から平成十五年までの間ですが、パーセントで申しますと、難民認定申請者の中で合法で入国した者、平成十一年以後、八七・七%、八六・六%、八四・四%、八五・六%、昨年が七七・七%と。つまり、およそ百人のうち七十人台から八十人台までは合法的に我が国に入ってきた人がその後我が国にいて難民認定申請をしていると、これが実情でございます。もちろん、逆に言えば、十数%から二〇%強、毎年不法で入ってきた方で難民認定申請をする方もおられるわけですが。
 問題の仮滞在許可というのは、その一〇%台から二〇%強、不法で入ってきた人について、本来は不法入国者あるいは不法残留者になったから退去強制をしなければいけないが、しかし難民認定申請にかんがみ、その結論が出るまで一定の要件を満たす人は在留、我が国に在留することを合法的に認めましょうと、こういう制度であるわけでございます。
○江田五月君 制度はそういう制度であることはそうなんですが。
 もう一つ、どうもこれも気になるんですね。仮滞在を許可しない場合に逃亡のおそれというのがありますね。逃亡というのは、今おっしゃるような、これはどうなんですか、八割からが合法的に入ってくるというんだったら、逃亡って何から何に逃亡するんですかね。それが一つ。
 それからもう一つ、おそれというの、これは刑訴法の六十条で、いわゆる勾留の要件として逃亡に関する規定がありますが、この規定とここのおそれと、これは刑訴法の方はたしか逃亡すると疑うに足る相当な理由でしたかね、これはどういう関係になるんですか。
○政府参考人(増田暢也君) 先ほど申し上げました入国時に合法的に入ってきた人については、そもそも正規滞在者ですからこの仮滞在許可の問題は起きませんので、逃亡のおそれがあるとかないとかも検討の対象にはなりません。
 そこで、お尋ねの逃亡するおそれにつきましてですが、これは入国管理当局が入手した情報、あるいは関係人からの通報、その他諸般の状況から判断いたしまして、仮滞在を許可するとその人が逃亡するおそれが高いと認められる場合をいうものと考えております。したがいまして、逃亡についての抽象的なおそれでは足りず、具体的な根拠に基づいて逃亡の蓋然性が認められることが必要であると考えておりまして、結局は個々の事案ごとに、本人の身上あるいは経歴やその置かれた状況等、諸般の事情を総合的に考慮して判断することとなります。
 そして、刑事訴訟法の六十条での逃亡すると疑うに足りる相当の理由との意味が同一であるかどうかとのお尋ねであったかと思うのですが、刑事訴訟法の解釈につきましては、直接入国管理局としては言及する立場にございませんのでそこは御容赦いただきたいのですが、仮滞在許可と刑事訴訟法の勾留は、その制度の目的も内容も異なります。したがって、この両者の意味の異同を単純に論ずることができるのかちょっと疑問には思うのですが、一般に公刊物などに載っている刑事訴訟法六十条の通説的な解釈などを前提としますと、逃亡するおそれの程度という点は両者それほど違いはないのではないかというふうに考えます。
○江田五月君 今の御答弁の最初に、八割の人は合法的に入ってきているから仮滞在ということは考えられないから、当然逃亡もないと。したがって、やっぱり二割の人が不法入国、不法滞在の人について仮滞在というのが問題になるわけですよね。何か語るに落ちるという感じもするんですが。
 仮滞在が不許可の場合であっても、仮放免の許可というのは可能なんですよね。これはもう簡単に答えてください。
○政府参考人(増田暢也君) 可能でございます。
○江田五月君 次に、異議申立てについて聞きます。
 異議申立てをUNHCRなんかは第三者機関にすべきだという、そういうことを言っておるんですけれども、これは大臣、第三者機関になぜできないのか。それから、今度の難民審査参与員制度、これは第三者性というものを持った制度というふうに考えておられるのか、違うのか。
○国務大臣(野沢太三君) 今回の改正の中で非常に大事な点は、今のこの第三者機関による審査を導入したと、ここが非常に大事ですが、それがいわゆる本当に第三者としての機能の、果たすかどうかと、こういうお尋ねであろうかと思いますが、やはり不認定処分を客観的なものにするためにもこの機関の機能というものは大変大事なものでございまして、今回の改正におきましてこれを我が法務省の中に置きましたのは、今までの迅速性あるいは簡易な扱い、さらには統一的な扱い、いろいろ考えまして法務大臣のところでの所管と、こういうことにしたわけでございます。
 それから、公正さや透明性が確保できるかどうかと、こういう点もございますが、それにつきましては、人選の過程でそういった公正中立を十分確保できる専門家、経歴の方々をお招きし御就任いただくということの中で、この結果を尊重して取扱いを決めていこう、これで十分な効果が得られるものと考えたわけでございます。
○江田五月君 ちょっと最初のところですね、結構重要なことをおっしゃったような気がするんですが、第三者機関としてこの難民審査参与員制度を設けたと、こういうお答えのようにも聞こえたんですが、そうお答えになったんですか。
○国務大臣(野沢太三君) あくまで参与員ということで、中における諮問機関ということでございます。
○江田五月君 UNHCRからの、第三者機関で異議申立てを審査すべきだと、この要請はどういう、この要請にこたえたんですか、こたえなかったんですか、半分こたえたんですか。
○国務大臣(野沢太三君) この要請にこたえる方向で、当面この措置を取ったものでございます。
○江田五月君 なるほどね。これは私は別に批判的な立場で言っているんじゃなくて、よく、本当はよく分からないから聞いておるんですけれども、そういうことであるならば、そういう運営に是非していただきたいと思いますね。
 やはり判断は、独立した判断を是非保障してほしいし、それから大臣の立場というよりもむしろもっと客観的な専門的な立場で判断をするようにしていただきたいし、その人がその行政に対して客観的なチェックをするという、そのためには資料などもかなり幅広く収集をしていくということも必要であろうと思いますし、また、その意見については大臣はちゃんとこれを尊重していくことが必要だと思いますが、以上のようなことについて、これはお約束いただけるでしょうか。
○国務大臣(野沢太三君) 先生方のこの御意見、十分尊重し、またその客観性を期待しているところでございます。
○江田五月君 大変勇気付けられる御答弁だと思っておりますが、これは我々の方も厳しくこれから、厳しくといいますか温かくといいますか、見ていかなければいかぬと思っております。
 さて、この異議申立てというのは、一体どのくらい件数がありますか。
○政府参考人(増田暢也君) 平成十一年以降の数字で答えさせていただきますが、年間、百五十八件、六十一件、百七十七件、二百二十四件、そして昨年が二百二十六件でございます。
○江田五月君 二けたのこともあるけれども大体百から二百件というぐらいで、これをどのくらいな審査員、参与員で審査しようとされているんですか。
○政府参考人(増田暢也君) 参与員の数について、まだ最終的に確定しているわけではございませんので、おおよそこちらが考えていることということで御理解いただきたいと思いますが、異議申立て件数などを考慮して全体で十数名程度を考えております。
○江田五月君 どういう人を選びますか。
○政府参考人(増田暢也君) 参与員をお願いする方々をどういう分野からお願いするかということでございますけれども、これは難民認定手続におきましては、その難民認定の基礎となる証拠が海外にあって収集が難しく、限られた証拠を的確に評価して適正な事実認定を実現する必要がございますし、あるいは海外情勢を審査や判断に正確に反映させる必要もございます。あるいはまた、条約などを適切に解釈する必要などもございますので、それらにかんがみまして、一つは事実認定の経験豊富な法曹実務家を考えておりますし、さらに地域情勢や国際問題に明るい元外交官とか、あるいは商社などに勤務されて海外勤務の経験をなさった方であるとか、あるいはマスコミの仕事で海外特派員経験のある方であるとか、その他、国際政治学者や国連関係機関に勤務なさった経験のある人なども考えております。さらに、条約や法律に明るい方ということで言えば、国際法、外国法あるいは行政法等の分野の法律専門家などからも選任することを考えております。
○江田五月君 法曹実務家、これもいろんな人いますから、弁護士であればだれでもいいというわけでもないでしょうが、今おっしゃったような目的に合致する人、これを選ばれようというんでしょう。
 外交官とか商社の在外勤務経験者が本当に外国の実情をどの程度知っているかというのはなかなか大変ですが、こういうときに、例えばUNHCRやあるいは日弁連、こういうところからの推薦というようなことをお考えになる余地はないんですかね。
○政府参考人(増田暢也君) まず、法曹実務家となりますと弁護士さんが入ってくるでしょうから、そうすると、その弁護士の中でどなたにお願いするかというときに、日弁連に推薦をお願いする、あるいは御助言をいただくということは前向きに考えたいと思います。
 それから、国連機関に勤務なさった中で適当な人がいるかどうかということで、言わば公正中立な方を御推薦いただけるのであれば、UNHCRからの推薦なり御助言をいただくことについても検討したいと考えております。
○江田五月君 参与員の審査ですが、これは一人でやるんですか、何人かチームになるんですか。そのチームでやる場合は、個別なんですか、それとも合議的な仕組みでやるんですか。
○政府参考人(増田暢也君) 審議の方法その他についてでございますけれども、この辺は詳細は今後法務省令で定めることになりますが、難民審査参与員は意見を述べるために必要な情報を共有してお互いに意見交換を行う機会を持っていただくと。参与員は案件一件につき複数を考えているわけですが、複数の参与員から一個の結論を出す、出していただくということを目的とするのではなくて、意見提出に当たっては、個別に意見が提出できることも可能とするようなそういった制度を考えております。もちろん、その意見交換を通じて参与員の意見が一致した場合は、そのまま一個の結論、意見を法務大臣に答申していただくことも別に妨げはないというようなことを考えております。
○江田五月君 参与員の、どの事件にどういう参与員を充ててとか、あるいは参与員にいろんな資料を調達をして用意をしてとか、あるいは審尋をやられるということなんですが、その審尋の手続を担当するとかそういうような事務は、事務局はどこが担当されるんですか。
○政府参考人(増田暢也君) 今お尋ねの資料の提供その他、詳細については法務省令で定める予定にしておりますが、難民審査参与員への資料提供あるいは資料収集等については、地方入国管理局に所属する異議申立てを担当する調査官等が行うことを検討しております。
○江田五月君 これ、やはり参与員に立派な人を選んでも、事務方が全部役所の頭でかちかちじゃこれどうにもならないんで、そこのところは事務局を別個全く別に作るというのも難しいでしょうが、私どものように、難民認定事務を別の組織でやるということになれば、当然事務局はこれ全く別になるのでそういう問題はないんですが、その辺が私の言う制度の矛盾というところなんですけれども、いやしくも第三者機関制というもの、これに障害となるようなそういう事務局の構成ではいけないと思います。
 ほかにも異議申立ての関係、今の参与員制度のことをちょっと聞きたいこともあるんですけれども、時間の方がだんだん迫ってきておりまして、精神障害の点についてかなりの改革をされたということで、これは今、今回の改革の一つの目玉のように言っておられますが、精神障害についての入国審査案件、事案、これは一体どのくらいあるものか。それから、精神障害の常況にあると入管で審査ができるのかどうか。今まではできなかったが今後はこういう体制でやるからできるんだという、そういうことがあるのかどうか。これはいかがですか。
○政府参考人(増田暢也君) まず、精神障害者に対する審査案件の有無でございますけれども、統計上、この精神障害者を単独の項目として統計を取り出した平成九年以降、精神障害者を理由として上陸を拒否した人はおりません。
 それから、その体制でございますが、精神障害者でその程度が重いとかどうとかいうことについては、医師の診断、入管法の規定によって医師の診断、入管法九条二項でございますけれども、医師の診断によって判断することになります。例えばの話、成田空港であれ、あるいは関西空港であれ、近傍の病院に精神障害について御診察いただく指定医の方がおられます。したがって、これは必要があると判断した場合は、その人を指定医のところまで連れていって、上陸を認めていい人なのかどうかについて診断をいただいて、その結果を受けて結論を出すということになります。
○江田五月君 ゼロだということで、そして入管の窓口、窓口といいますか入管のチェックをしているブースで、一見して、あ、これは精神障害の常況なんていうのは簡単に分かるものじゃないんだし、入ってから精神障害、重篤な障害を発症するというようなケースだってあるわけだし、何か日本は精神障害は入れないんだという、これもどうもちょっとかたくななような気もするんですが、その辺は精神障害者に対する医療というところにゆだねて、入管のところでチェックをするというのは、私はこれはもうやめてしまってはどうかと思うんですが、やめることのできない理由があるんですかね。
○政府参考人(増田暢也君) 現在の入管法の五条一項二号は、精神障害者の場合はもう一律上陸拒否ということにしているわけです。
 この精神障害者の入国を認めますと、その障害に起因して種々の影響を我が国に及ぼすことがあるということにかんがみ、入国を認めないこととしたもので、例えば精神障害者が自身を傷付けあるいは他人に害を及ぼすおそれがあると認められる場合、都道府県知事による入院措置の制度が設けられておりまして、そのような入院措置が必要な者の入国を無制限に認めることは、我が国社会に財政上の負担など種々の負担を生じさせるおそれがあると考えられるほかに、事理弁識能力を欠く常況にある方は、財産行為など適切に行う判断能力に欠け、自己の行う行為について十分な責任を取ることができないことから、適切な随伴者がいない場合には取引の安全を害するおそれもあると考えられるわけで、そういったことから、今回の法改正におきましては、上陸拒否事由から精神障害者全面削除はやはりいたしかねるということで改正案を考えたものでございます。
○江田五月君 いや、そんなことを言うけれども、平成九年から今日までゼロなんでしょう。取引の安定が害されるとか、財政負担が大変とか、都道府県知事の措置入院がどうとかというような大げさなことじゃないんで、しかも、精神障害を負って、日本に入って来てから精神障害を患う場合にはこれは日本でちゃんと医療を責任持つわけですから、精神障害を負って入ってきたそういう人たちに日本の医療を施したからといって罰は当たらぬと思うんですがね、国際社会に対して、などなどいろいろ言いたいことありますが、時間になりました。終わります。
○木庭健太郎君 今回の改正案でございますが、一つは不法滞在者対策という問題と、難民という問題、二つの問題についての前進をさせようという改正だというふうに評価はいたしております。
 まず最初にお伺いしたいのは、不法滞在者対策の方の問題でございます。今回、出国命令制度というものを新たに設けようと。つまり、悪質な不法滞在者については上陸拒否期間を十年間に延ばすというその一方で、自ら出頭した者については簡易迅速に出国させるためのこの出国命令制度というのを設けるという両面を持ちながら、不法滞在者の自主的な出頭、これを促して、これ、先ほどもお話あっておりましたが、ともかく去年の十二月十八日ですか、この犯罪対策閣僚会議の行動計画ではこの不法滞在者は五年間で半減と、こうやると言っているわけですから、それを実現するための一つの手段として創設されたものだと、こう思うんです。
 言わば、一つは、拒否期間が長くなりますから、これはある意味ではむちみたいな部分であり、もう一つは、出国命令制度というのはある意味では今度はあめのような部分になるんだろうとも思いますが、こういう制度そのものが他国と比較してどうなのかという問題もあるんですけれども、ともかく今回こういう新たな一つの出国命令制度ということを導入することにした経緯及びその趣旨、意義について、まず副大臣からお伺いしておきたいと思います。
○副大臣(実川幸夫君) 御指摘の出国命令制度新設の経緯と趣旨についてでありますけれども、我が国の治安悪化の主たる原因の一つといたしましては、不法滞在者問題が取り上げられております。その対策が各方面から求められていることから、入国管理局といたしましては、不法滞在者の積極的な摘発を実施する等の方策を講じてまいりました。
 御承知のように、本年一月現在でも約二十五万人と推計される不法滞在者が存在しているところでもございます。そこで、この不法滞在者を大幅に減少するためには、入国管理局の限られた人員を有効的に活用しなければなりません。今、委員御指摘の上陸拒否期間の伸長とまた出国命令制度は、言わばあめとむちの関係にあるんではないかと御指摘されましたけれども、不法滞在者をより迅速かつ効率的に出国させる必要があることから、不法滞在者の自発的な帰国を促す施策を実施するために所定の要件を満たすためには、収容を問わず、行わず、上陸拒否期間が短縮されるメリットを与える出国命令制度を導入することとしたものでございます。
○木庭健太郎君 今も話ありましたけれども、確かに入管、人数という意味でいけばなかなか大変ですから、一つのこういう出頭というような制度を作ったんだろうと思いますが、ともかく、局長、何でこれ自発的な出頭を要件としたのかというその理由と、それとともに、どうしてこれ短縮、拒否期間、今度は一年というふうにしたのか、なぜ一年なのかと、期間の設定の問題も併せて御答弁願いたいです。
○政府参考人(増田暢也君) この出国命令制度におきましては、自ら入国管理官署に出頭したことを要件といたしました。それは、自ら入国管理官署に出頭するような不法残留者は逃亡するおそれは少ないであろうということ、また、自ら不法残留者であることを認めて出頭する者は、我が国に潜伏して摘発などを受ける不法残留者に比べて出入国管理秩序に対する悪質性が少ないと考えられることなどからでございます。
 そして、その上陸拒否期間をこれまでの五年から一年に短縮しましたのは、不法残留等に係る上陸拒否期間が平成十一年の入管法改正により現在の五年とされる前は一年であったこと、また、出頭申告を促す効果を持たせるわけですから、そのためには現在の五年という期間より相当程度短いものにする必要があることなどを勘案したものでございます。
○木庭健太郎君 さっきもちょっと冒頭申し上げましたけれども、こういう制度ですね、言わば自ら来た場合はそれでこういう期間を短くしながらやりますよという、ある意味で自発的な出国、出頭、こういう促す制度というのが諸外国にもあるのかどうか、実例があればお話しいただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) ドイツや米国などでは、不法滞在外国人について任意の出頭を可能とする制度を採用していると承知しております。
○木庭健太郎君 それは何かやっぱりそういうあめのような部分があるんですか。自分で出てきた場合はどういうことが後で、ある意味では普通の不法滞在者と比べてどういうところが優遇されるというか、そういう何かものがあるんですか、それは。
○政府参考人(増田暢也君) 必ずしも正確に細かく承知しているわけではございませんが、例えばドイツにおける任意的出国の場合、この退去命令の決定により出国義務が執行力を有することになります。任意的に出国しない場合には今度は退去強制されることになる、したがって自分で出ていった方が有利であるというような制度であると承知しております。
○木庭健太郎君 それではもう一つ、今度は在留資格取消し制度の問題もちょっとお聞きしておきたいんです。
 今回の法案では、偽りその他の不正な手段により上陸許可などを受けるなど、入国、在留すべきでない外国人に対してその在留資格を途中で取り消すことができるという在留資格取消し制度というのをこれもまた設けていると。これ、在留資格が取り消された場合には、不正手段等の行使について悪質性が高くない場合には三十日以内の指定された期間内に出国すべきこととされている、その際は居住制限などの条件を付すことができるとされていると。これ、まず三十日とした根拠、その期間をじゃ経過して、又は条件に違反した場合にはどのような制裁や不利益があるのか、御説明をしておいていただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 在留資格を取り消された場合には、その取り消された人はもう我が国に本来いることができないわけで、ただし、出国するまでに出国のための準備も必要でしょうから、そのために期間を与えるということで、その出国準備のためには通常三十日あれば足りると考えられることから、最大三十日の期間を与えることとしたものでございます。
 そして、この期間を経過してその後も我が国に残った場合には、これは退去強制の対象となりますし、さらに法案の七十条に規定が新たに設けられますが、三年以下の懲役、禁錮又は三百万円以下の罰金という処罰を受けることにもなります。
○木庭健太郎君 ですから、その資格を取り消されるケースという、いろいろあると思うんですけれども、私が心配するのは、例えば、働くためにこっちへ来ていたと、雇用企業が倒産するとか、あとはリストラに遭う、当然解雇されてしまう、若しくは急に職を失う。つまり、本人の責任とは言えないような理由によって、この在留資格に該当する活動が行えなくなるということも今のこの日本の現状では往々にしてあるわけでございます。こんな場合にはどうこの在留資格取消しという問題がかかわってくるのか、この点についても御説明をいただいておきたいと思うんです。
○政府参考人(増田暢也君) 委員のおっしゃるとおり、我が国に入ってくるときは適法に入ってきた、しかし我が国にいる間にその在留資格に見合う在留活動ができなくなるというケースは確かに起こり得るところでございます。その場合にも今回在留資格取消しの対象としたわけですが、それはどのような場合かと申しますと、その与えられている在留資格に係る活動を継続して三か月以上行わないで在留している場合であって、その三か月以上継続して活動を行わないことについて正当な理由がない場合、これが取消しの対象となっております。
 例えば、雇われている企業が倒産してしまった、そのために本来与えられている在留資格に見合う在留活動ができなくなったという場合を想定いたしますと、倒産したために活動はできなくなったけれども、しかしその与えられた在留資格に見合う活動を継続するために別途就職先を探しているような場合などは、これは再就職によって今後在留資格に係る活動が再び開始される可能性もあるわけですから、これは正当な理由はあるとなりますから、在留資格取消しの対象にはなりません。
○木庭健太郎君 もう一回確認します。それは倒産した場合はならないんですけれども、そのためには次へ向かって継続するためにどう努力しているかというところをきちんと自分で証明しなくちゃいけないんですか、これ、ということになるんですか。
○政府参考人(増田暢也君) 結論的にはそのとおりでございますが、要は、倒産したような場合、それから三か月活動を行っていなかったとして、その三か月間活動を行っていないことに正当な理由があるのかどうか、そこを調べることになります。そうすると、その場合には当然本人から話を聞いて、この三か月間何をしていたのかということを聞くことになるでしょうし、必要な場合はその本人の言うことがどの程度本当なのかどうかというようなことを調査をすることにもなると思いますが、その結果で、この人はまじめに活動再開のための努力をしているなということが認められれば、正当な理由があるという判断をして在留資格を取り消さないことになると思います。
○木庭健太郎君 これもちょっとさっきの出国命令制度と同じように、諸外国においてもこういう在留資格を途中で取り消すような制度があるのかどうかお伺いしておきたいし、また、併せてお伺いしておきますが、現行法にはこの取消しの根拠規定はないわけですが、このような事態にどのように今まで対処してきたかについても、併せて二問、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 今般の在留資格取消し制度と同様の制度が諸外国であるのかということでございますが、例えばフランスにおきましては、偽装婚で滞在している外国人について途中で滞在許可を取り消す制度がございます。また、韓国では虚偽その他不正な方法で許可などを受けた者について在留途中で許可を取り消す制度があるものと承知しております。
 これまで我が国ではこの在留期間途中で在留資格を取り消す規定はございませんでした。そこで、例えば、入国審査官を偽って上陸許可の証印を受けた場合、それは原始的に瑕疵がある行政処分という言い方をしますが、その場合、取消しは個別具体的な法律の根拠がなくても行政法の一般法理によって取消しが可能であると解釈されておりまして、当局ではこれまでも偽変造文書を提出して上陸許可を受けたような事案が後で分かった場合は、言わば一般法理に従って上陸許可を取り消してまいりました。
 ただ、この一般法理による取消しというのは取り消せば取消しの効果は遡及いたしますから、その外国人は結局最初から上陸、適法な上陸許可を受けなかったことになりますから、不法上陸ということになります。そうなると、その外国人、直ちに退去強制につながる効果を持ちますので、権利侵害は重大であるということがございますので、入管局といたしましても、従来この上陸許可の取消しというのは比較的謙抑的に行ってきたところでございます。
 それから、当初は正規に入国したものの、後発的に在留資格に該当する活動を行わなくなったというような場合、先ほどのように、まじめに働いていたが勤めていた会社がつぶれてしまったような場合ですが、これは後発的に瑕疵が生じたということになりますが、この場合はこれまで明文規定がございませんでしたので、取消しを行うことはできませんでした。
○木庭健太郎君 こういう形でその不法滞在の問題に入管としても積極的に取り組むということでございますから、この運用その他含めてきちんとやっていただくものはやっていただく。ただ、配慮しなければならない部分もあるなと、ちょっと今質疑をしながら感じておりましたし、その辺は運用をどうきちんとやっていただくかという問題も大きく残されているなと思いますので、政府として一つのこの不法滞在をなくそうというのは目標でございますから、これへ向かって最大限の努力もしていただきたい、こう思います。
 もう一つ、今回の改正の中の大きなポイントは、この難民認定の問題だと思っております。これについて少し議論をさせていただきたいんですけれども。
 私は、今回のこの改正、いろいろ御批判もあります。これで本当にきちんとした体制になったのかと、いろいろな御批判もあるんですけれども、私もですけれども、私どもの党もこの問題、法案を出すまでいろんな審査もさせていただきましたし、ただ、これまでと比べてみて一番今回の改正で大きな点の一つは、やっぱり先ほど御指摘あったように六十日ルールという、もうこれは世界から非常に、日本、何だこれはと言われたやつが、ある意味では申請期限が原則的には撤廃されていると。これは極めて大きな変化だろうと思うし、これから、もう一つ挙げるならばそれは何かというと、初めて今回仮滞在という言葉、その発想自体がどうかという御批判が先ほど江田委員からありましたけれども、ある意味では難民認定申請者、これまで法的地位が全くなかったわけですから、その意味では初めて今回法的地位、仮滞在という形ですけれども、それを与えるということを決めたこと、これも大きな意味がある改正だと思っております。
 もう一つは、これも、言わばこれまでは入管だけでいろんなことをやっていたものの中で、第三者的目、視点を入れていってこの認定の際に役立てていこうということで、ある意味ではこれは法務省の中だけでなく外の方たち、つまり第三者にその不服申立て審査手続に関与させるという形のこの難民審査の参与員制度が設置された。その意味では私は今回の改正は大きな前進があったと、こう受け止めておるわけでございます。
 それを踏まえた上で幾つかお尋ねをしたいわけでございますが、まずお尋ねしたいのは、今回の入管法の改正では、不正の手段等により入国した外国人に従来より厳しい対応を取れる制度を、この新設を提起しているわけですよね。もちろんこれは国内でいろんなそういう、先ほど申し上げた犯罪その他の問題もあって、これに対してきちんとやっていこうという問題ではあるんですけれども、そのこと自体はいいとは思っているんですけれども、実はこの難民申請者という方も、本当にこれ、本当の難民の場合は自分の国で迫害を受けて特別の事情で出てくるわけですから、ある意味では日本に到達したときどういう状況になるかというと、ある意味では不正な手段で日本に到達してしまうということはこれ十分あるのであって、じゃそういう人たち、このような難民申請者とそういう人たちがごっちゃにされるということはどうなんだろうかというような思いもありますし、今回、こういう難民申請者については改正で仮滞在という法的地位を与えられ合法的な滞在が保障されることになりますから、それはそれはいいんですけれども、この不法滞在を目的とする外国人と混同されるというようなことが私はあってはならないと、こう思いますし、このことを担保するために法務省としてどのような対策をお持ちか、御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 今回の改正におきましては、仮滞在の許可を受けた人に対しましては仮滞在期間を記載した仮滞在許可書を交付することとしております。そのことによって不法滞在を目的とする外国人との区別は容易にできるようにすることを予定しております。
 また、仮滞在の許可を受けた人の法的地位、それから本邦に在留できる期間を即時的に把握できるようにすることが望ましいものですから、仮滞在の許可を与えるときには条件を付しますが、その条件の一つとして、本人に対しては交付した仮滞在許可書は携帯するようにと、そういう携帯義務を課すことも予定しております。そうすれば、その仮滞在許可を受けた人は許可書を携帯して動いていますから、いつでも身元を確かめられたときにその許可書を見せれば合法的に仮滞在許可を受けた者であるということが証明できるという仕組みになります。
 なお、そうはいっても、万が一その許可書を交付を受けながら携帯していないというケースもあり得るかと思いますが、これは入国管理局におきまして警察などの照会を受けて直ちに回答できるような体制を整えまして、そのことによって、仮滞在許可を受けている人か、それともそうでない不法滞在を目的とする外国人であるか、そこは混同されることがないように配慮する予定でございます。
○木庭健太郎君 もちろんそういったこともやっていただきたいんですけれども、もう一つは、こういうふうに法改正になっていくわけですから、もう一つ大事な問題というのは、こういう難民申請者に当然対応するのは、まずは難民調査官始めいろんな方がいらっしゃるわけであって、私はそういう難民申請をする方たちに対する配慮とともに、逆に言えばそういう、これからそういう難民の問題についていろいろ取り扱う側の、入国管理官始め、そちらの教育が大事じゃないかなと思っているんですよ。それから、そういう情報提供の問題、その辺は万全にやっていただけるんでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 難民調査官につきましては、現在でも全国に五十三人配置しておりまして、そしてまたその中で十名は専従させておりますし、さらにそれとは別に、調査官ではないけれども入国審査官の中で五名、補助的に難民調査の仕事に従事させるため専従者を置いて体制の整備に努めております。これは、今後この難民申請案件の推移を見て、この数が増えればやはり十分な調査に支障の出ないよう体制整備を心掛けていきたいと考えております。
 それから、その指名した調査官が十分な能力を持っていなければいけないわけで、この点につきましても、私どもは毎年その難民調査官に対しての研修を実施しております。これもその時々の状況を見ながら研修の内容にも工夫を凝らして、調査官の能力向上に努めているところでございます。
○木庭健太郎君 それから、これは先ほど千葉先生も御指摘をされたんですけれども、私もこの点だけはもう是非確認をしておきたいと思う問題が、今回の改正で難民認定を申請した者は一定の条件を満たせば仮滞在の許可を得る、これは本当に一つの評価する点なんですけれども、つまり問題の一つは、出身国から難民条約に加入している第三国を経由して日本に到達した者については一律に不許可にするのか。さっき条約難民に加入している第三国の問題という形ではおっしゃっていないんですから、このいわゆる条約、難民条約に加入している第三国を経由して日本に到達した者、これはどう扱われるつもりでいるのか。
 やはり私は、難民条約に加入している第三国であったとしても、やはり日本に来るまでの間というのはいろんな形を経ながら来るケースというのが私は多いと思うんですよ。日本でも実際に過去難民認定を受けた人たちの中に、やむを得ない事情によってそういう第三国を経由した人も私はいたと、こう認識をしておりますし、その辺をどうお考えになっていらっしゃるのか、もう一度きちんとした答弁をいただきたいし、もう一点、更に千葉先生から追加してお聞きしておきたい問題は何かというと、そういう人たち、つまり第三国を経由してどうのこうのという場合、やむを得ない事情で認めるとしても、そういうやむを得ない事情をだれが立証するのか。つまり、本人が立証しない限り駄目だとされるのか。そこはどんなふうな、この立証責任の問題、どんなふうにお考えなのか、御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) まず、経由した国が難民条約に加入している国であると、そういう場合は、そういう国を経由して日本に来た人は直接来たことにはならないのかというお尋ねかと思うのですが、結論的に言いますと、それぞれの案件で事実関係を総合的に判断して決まることであって、難民条約加入国を経由して来たからといって、直ちに我が国に直接来たことにならないとは言えないと思います。
 例えば、その経由した国において実際に庇護を求めるような余裕がなかったような場合、例えば実際は身柄を拘束されていてその国で庇護を求める機会がなかったとか、あるいは元々その人は日本に助けを求めるつもりであって、日本に助けを求める一つの手段としてその国にいたにすぎない場合であるとかというようなこと、いろいろ事案ごとに考えられますので、難民条約加入国を経由したから直ちに駄目だというふうにはならないというのが結論であろうと思います。
 それから、この場合に仮滞在許可の要件を満たすかどうかの立証責任、これはやはり申請した本人にございます。ただ、例えばこれが第三国を経由した場合を想定しますと、当然、難民認定申請があった場合、その本人に対してどういう経路で出身、迫害国を出て日本に到達したのか、それは聞くことになりますし、その本人の話で、自分はどこの国を経由して来たということが出れば、なぜその国を経由したのか、その国にどれぐらいいたのか、その国で庇護を求めたのかとか、求める可能性があったのかと、そういったことを詳しく聞いて、その本人の話に信用性が置けるかどうかということで判断することになりますので、本人の話しかないからといって立証をはねるというふうなことにはならないと考えます。
○木庭健太郎君 つまり、この滞在状況、第三国への滞在状況なんかについて厳格に本人に立証責任を負わせるという問題で、ただ立証は、話は聞く、それはしていただくと、ただ、その状況などについて、その証拠はあるのかどうのこうのということまで、そこまで深く求めるものではないということになるんですか。もう一度、ちょっと。
○政府参考人(増田暢也君) これは、本人の話を聞いて、その本人の申し立てている内容が信用できるというふうに判断するかしないかということでございますので、立証責任はだれにあるのだというふうな聞かれ方をされますと、それは申請した本人にありますと言わざるを得ないんですが、あとはその方の話を聞いて、例えばその方の話の内容が具体的で合理的で特に疑いを差し挟むような余地もないなと、ということになれば、その方の話は信用できるということでその方に有利に判断するということになろうと思いますし、本人の話を聞いていて、どうも矛盾があるとか客観的な事実に反することがあるということでこれは信用できないとなると、これは仮滞在許可の要件を満たしたことにはならないという判断をすることにもなろうと思います。
○木庭健太郎君 その辺の適用の問題がなかなか、もうこれもこれから運用していく問題になりますので、きちんとした形でというか、ある意味では柔軟性を持ってこの難民の問題については見ておかなければならない部分があるというふうに思っておりますので、是非その辺の運用をきちんと、そしてなおかつ相手の立場に立った形でのいろんなことができるようにということを要望もしておきたいと思います。
 そして、次は、これも今度は江田先生との議論になっておりました参与員というこの制度の問題でございます。
 現行法でなぜいろんな問題言われたかというと、結局、難民該当性の判断であったり難民不認定処分に対する異議申立ての審査も、ともにこれ入管の職員がやるわけですね、どちらも。だから、どうなんだ、公平性とか中立性という問題についてどうなんだという疑問が今までもあったと。ですから、今回の法案では、正に申立ての場合、異議申立ての場合は第三者の難民審査参与員というものが参加して必要な意見を述べるというものを、こういう今までの疑問に対して一つの答えを法務省として出したものだと思いますし、ある意味ではこれがどう機能するかどうかというのが今回の一番大事な法改正のポイントだと私も思っているんです。
 この難民審査参与員ですか、資格としては、先ほどおっしゃっておりましたが、一応法案を見ると、人格高潔であって公正な判断ができる、法律又は国際情勢に関する学識経験が豊かな者と、法律上はこう書いてありまして、さっき局長言われていましたが、例えば一つの分野としてどんなことを考えられているかというと、法曹の実務者、実務家、これが一つのジャンルの部門の代表でいると。もう一つのジャンルは、元外交官であってみたり、商社等海外勤務した者とか海外特派員とか国際政治学者、こういった部類の人たちが一つのジャンルとしていらっしゃる。もう一つは、国際法とか外国法とか行政法、つまりこういった法律専門家というようなことを想定されているというふうに先ほど御提言をされておりました。
 ただ、もちろん有識者というのは大事だと私たちも思っておりますが、単に法律や国際情勢の専門家というふうにして選任された場合、ただ、そういう分野と難民問題の専門的知見というのは、これは全く私は違う部分があると思っているんです。したがって、一歩間違うと何か、結局、やったけれども、何か法務省寄りだとかお手盛りだとかいう批判を受ける危険性だってあるわけです。
 そういった意味では、この辺が一番大事なポイントだと思うんですけれども、まずこういった問題について法務省の見解を伺っておきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) お尋ねのとおり、この難民審査参与員の人選に当たりましては、恣意的な人選がなされているといった疑念を招かないことが大事だろうと思います。したがいまして、具体的な人選に当たりましては、例えば公正中立な立場の団体、組織、あるいは有識者等に推薦をお願いして、その推薦いただいた方の中から法務大臣が選任することなども検討したいと考えております。
○木庭健太郎君 だからこれも、選び方も、さっき御答弁ある程度ありましたから、追加してお聞きするわけですけれども、例えば弁護士さん、法律実務家ということであれば日弁連との連携を深めればいいでしょうし、国際機関ということであればUNHCR始め、国連難民高等弁務官事務所含め、そういうところからも人材を選んでいくということをお願いする手もあるでしょうし、もう一つは、こういう候補の対象として考えるべきなのは、まあこれNGO始め実際にこの難民のいろんなことをやっていらっしゃる業務、若い方も含めて、海外でそういう現場に行きましたら、実際にそういう難民救済の意味で活躍をし、いろんな手続も実はしているのは、これは日本のNGOの皆さんが随分いろんな形でやっていらっしゃいます。
 そういうNGOの方たちの中から、こういった問題についても、人選についても一つの参考意見をお聴きになるのかどうか。どうでしょうか、NGO辺りまで対象になりますか。
○政府参考人(増田暢也君) お尋ねのNGOにつきましても、難民認定に関して中立的な立場から公正な判断をしていただける適切な人材があれば、選任は検討したいと考えております。
○木庭健太郎君 是非、私は、こういう問題やるときというのは、もちろん学者、いろんなそういう法律の専門家、結構でございます。ただ、やはりそういう中に、実際の難民業務携わった人とか、現場、フィールドを知った人を是非そういった意味では取り入れていただきたいと、こう思います。
 そして、じゃこの難民審査参与員が異議申立てについて審査する場合の問題でございます。その構成をどういうふうに考えているか、お伺いしたいんです。
 先ほど、今後省令で定めるということはおっしゃっておりましたが、是非、あらかたどういう形でスタートするのかというのがある程度分かった方がいいんであって、こういう審議の場で。私がさっき申し上げた、その一分野、二分野、三分野と申し上げましたよね。これは専門部会の最終答申にもあったんですけれども、結局、法曹実務者というのが一ジャンルになっている、二つ目のジャンルがさっき言った、何か国際政治学者だ元外交官だって二ジャンル目、三つ目のジャンルが何か国際法、外国法の専門家という形を、これ専門部会の最終報告では一つの形を出していましたが、これを見る限り、専門部会の提案をそのまま取り入れるなら、三分野からそれぞれ一人ずつ来るんであれば、三人が一体になってやられるのかなと、こうも思うんですけれども、そういう姿ですか。
○政府参考人(増田暢也君) 先ほども申しましたとおり、まだその点について具体的に確定していることではございませんので、それはあらかじめお断りしておきたいのですが、難民審査参与員にお願いする分野としてはその三つの分野ということで御提言もいただいておりますので、そういった分野からお願いしようと考えているのが一つでございます。
 そしてもう一つは、せっかくそういった方々の意見を聴くのだから、一人よりは二人、二人よりは三人ということで、複数の分野の専門家の御意見を聴こうということも考えておりまして、要するに、複数の分野の専門家によって多角的に検討され意見が提出されることで適正公平な判断が下されるものと期待しているわけです。
 ただ、どの分野からどの程度の数の参与員を引き受けていただけるものなのか、これがまだ不確定でございますので、組合せなどを申し上げられる段階にはございませんが、今の私どもが考えているのは、異議申立て一件について三人程度の難民審査参与員に担当していただくことを考えております。
○木庭健太郎君 これも先ほど御答弁いただいたようないただいていないような部分なんですけれども、つまり、そういう形で三人一組でやったとして、じゃ、今まで一体異議申立て件数がどれだけあるのかと先ほど御説明を局長の方がされておりました。平成十一年度以降百五十八件、六十一件、百七十七件、二百二十四件、二百二十六件ですか、つまり二百件程度を想定しながらこれに対応しなければならないということになってくるんだろうと思いますし、そうなると、その仕組みの中で、今度は三人一組でやりながらやると、全体像、一体この参与員となる方と、全体の数でいけば大体どれくらいになるのかなというようなことも、さっきは十数人とおっしゃいましたかね、ちょっとその辺がどれくらいを見込んでいらっしゃるのかと。今の御答弁だと、何かまだその人材の確保が今できているような環境なかったようですけれども、大体、やっぱりある程度そういうところの働き掛けもしながら、人材確保の見通しも含めて、その点についての御答弁をいただいておきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 今回の法案では、難民審査参与員は非常勤国家公務員として若干人を任命するという規定が置かれておりますが、私どもはこれに基づいて十数名の難民審査参与員を置くことを考えております。その人材の確保に関しましては、公正中立な立場の有識者等に、あるいは先ほど申し上げたような団体などに推薦していただくことなどによって、難民審査参与員にふさわしい人材の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○木庭健太郎君 こういった制度を設けること、もちろんこれまでより、より客観的により中立的にという意味もあるわけでございますが、こういった制度を導入することによって、一つは、大事なことはこの難民認定というまでの期間の問題なんですね。
 今までかなりの時間が結局掛かっていて、そのためにいろんな問題も生じてきたことも事実でございますし、もちろん異議に対する申立てに対するこれ審査ですから慎重であらなければならないのはもうよく分かりますが、その一方で、せっかくこういう制度を導入する以上、一方では迅速性も私は求められるようになるだろうと、こう思いますし、今、これから始めるわけですから、一体どうなるのかということがなかなか読みにくい面はあるんだろうとは思いますが、つまり難民申請から最終的に難民又は難民不認定の処分が確定するまでのこの要する期間をどれくらい見込まれているのか。つまり、現状と比べてみてどの程度短縮できるようになりそうと、こういうお見積りがありましたら、話をいただきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 改正法案におきます難民認定制度は、難民のより適切な庇護を図ることを目的としており、真の難民を早期に保護するためには審査の迅速化を図る必要があると考えております。
 ところで、現状でございますが、難民認定手続の処理期間につきましては、平成十五年に処理した案件を基にしますと、難民認定申請があった場合、一次審査に要した平均処理期間は約七か月となっております。そのうち、六か月以内に処理したものは約四五%。しかし、一年以内に処理したもの、そして最終的に一年以内に処理したものは累計で約八九%となっておりまして、申請されてから六か月以内に約半数、一年以内に約九〇%が処理されているという実情にございます。
 これが一次審査ですが、異議申立てに掛かる平均処理期間は約五か月となっております。これも六か月以内には約六七%、一年以内には約九七%が処理されております。
 したがいまして、一次審査で不認定となり異議申出を行ったケースを想定しますと、申請から異議申出に対する法務大臣の裁決がされるまでの平均期間は約一年というのが現在の実情でございます。
 しかし、先ほどお答えいたしましたとおり、迅速に真の難民を保護するということを実現しなければいけないという見地から、改正法案の成立、施行後は、難民認定申請案件につきまして、原則として申請から異議申立ての処理まで六か月以内、つまり少なくとも半年は短縮するということに努めていきたいと考えております。
○木庭健太郎君 さて、この難民審査参与員ですね、法務大臣に対しては、この「異議申立人又は参加人に口頭で意見を述べる機会を与えるよう求めることができる。」、これは六十一条二の九第五項ですね。異議申立ての際に、「異議申立人又は参加人の意見の陳述に係る手続に立ち会い、」「審尋することができる。」と。ただ、先ほどもちょっと議論になっていたんですけれども、この難民審査参与員が自ら事実の探求のために調査する権限という、定めた規定がないんですよね、この中では。
 だから、ただ、そうは言うものの、やっぱり自分たちの手でもやらなくちゃいけない部分出てくると思うので、先ほどは公的機関の問題もありましたが、公的機関だけじゃなくて民間の支援団体も含めて、そういうのに照会して必要な報告を求めることができるとか、そういったことは、これ法律上省令になるのかどうか分かりませんが、そういった点も考えるべきだと思うんですけれども、この点について伺っておきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 委員のおっしゃるとおりに私どもも考えておりまして、難民審査参与員には法務省令において所要の調査を求める権限を付与することを予定しております。それによりまして、現在、難民調査に係る法務大臣による適正な判断を行うために実施しております難民調査官による関係機関への照会とか、あるいは各国の政治状況等の事実調査の結果等、これが改正後におきましても活用することが可能であると考えております。
 今後とも、難民審査参与員からの調査依頼に対し、十分に対応できるよう難民調査官の質の向上に努めてまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君 そして、この難民審査参与員の答申、先ほど言われました、一つになるのかどうなの、いろんなケースもあるだろうとおっしゃいましたが、この参与員がどう答申をしたかについては最終的にどの程度その難民申請者本人に告知されるようになるのかと。
 何でこんなことを聞いているかというと、非常に短いような要旨だけが伝わるようでは、もし、特にこれ異議却下が起こった場合、本人が納得せずに司法の場にまたどんどん持ち込まれてしまうと、こういうのが増えるおそれがあると、こんなふうに思うものですから、一体この難民審査参与員の答申を本人に対してどう告知されるのかという問題、御答弁をいただいておきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 異議申立てを却下あるいは棄却する場合に、難民認定申請者に対して理由の告知を行うのは、これによって法務大臣が難民審査参与員の意見に沿った判断をしたのか、異なる判断をしたとすれば、それが合理的根拠に基づくものであるのかといった点について、その異議申立人や、あるいはその後行政訴訟を担当する裁判所が事後的にチェックすることができるようにして法務大臣の判断の適正性を担保するためでございます。
 したがいまして、難民審査参与員の意見については、今申し上げたような趣旨を没却しないよう、具体的に記載して異議申立人本人に告知することを考えております。
○木庭健太郎君 それと併せてお尋ねしておきますが、この難民審査員がある異議申立ての案件について答申を出した際、法務大臣は、これは、それを参考にして最終的な決定を行うということでございますが、仮にこの参与員の諮問意見と異なる決定を今度は法務大臣がしたという場合、その諮問意見と法務大臣の反論、決定理由、こういうものは併記して本人に通知するのかどうか、この問題についてお答えをいただいておきたいと思います。
○政府参考人(増田暢也君) 委員御指摘のように、異議申立てを却下あるいは棄却する場合に難民審査参与員の意見と法務大臣の決定理由が異なるときには、ともに理由付記中にそれらを記載して、法務大臣が難民審査参与員の意見をどのようにしんしゃくしたのかが異議申立人本人にも分かるように告知することになります。
○木庭健太郎君 少し時間を短縮して最後の質問にしたいと思うんでございますが。
 私も、実は湾岸戦争が終わったとき、あの直後にイランと、そしてあのときはイラクから逃げ出した方たちがお隣の国にも、とにかく周りに全部出ていたときに、あの周辺を回りまして、どこへ立ち寄ったかというと難民キャンプに立ち寄りました。それで難民キャンプでいろんな方たちとお話をしながら、でも実は、イランでありながら、そこに来ているのがイラクから逃げ出した人じゃなくて、クルド難民じゃなくて、ソマリアの難民の方がいらっしゃったり、ある意味では第三国にいるわけですよね。そんなケースにも随分遭遇しました。
 ただ、その人たちといろんな話をしたときに一番印象に残っているのは何かと申し上げますと、難民キャンプにいて、自分の国に帰れるわけじゃないんですから、じゃ、次どこへ行くかという問題になるわけですよね。そのときに、いろんなお話して、イギリスの話が出たり、アメリカの話が出たり、ドイツの話が出たりですよ。じゃ、次どこへ行くかという話になるわけです。いろんな話聞いた中で、日本どうかという話をしたわけです。どういう答えが返ってきたかというと、日本は厳しいし難しいし、それは行きたくても行けない国だと、こう言うんですよ。ソマリアの方がおっしゃるんです、何で日本のことを知っているんだと言いたいぐらい。つまり、日本というのは、まだ改正される前のときですから、正に難民の認定というのはほとんど日本に行ってもしてもらえない、日本という国は。
 さらにもう一つ、これは私も、自身も含めてそうです。やはり日本というのはまだまだ、先ほど共生の問題おっしゃっていましたけれども、じゃ、例えば外国の方が自分のそばに住んでいて本当に仲よくいろんなことをやっていけるかって、現状は厳しいですよ、これ。それはもう教育の問題からやらなくちゃいけないし、本当に外国人と共生という問題をやるならば、そういう意識の変化から。やっぱり日本は単一民族だから、そこがなかなか解消できていない。そういうことがある意味ではそういう難民の方たちにも伝わっているというのがある意味でショックでございまして、日本というのは難民を受け入れない国だというような認識を持っていらっしゃったと。
 私については、本当にそのことがいいのか悪いのか、いろんな評価はあると思いますが、私はやっぱり、海外、もし自分がその国に政治的にもいろんな意味でいれなくなったときに、じゃ、どこかへ移らなくちゃいけないというときに選ばれる国の一つであってほしいと、日本が。私はそうも思います、正直に。そういう意味で、今回の改正そのものは、それへ向かった一つの大きな前進を私はしていると思っております。
 そういった意味も含めて、最後に大臣に、これで新たな難民認定制度に踏み出すわけでございますから、私が言いたいのは、難民に冷たい国と批判されないよう、今後の取組に向けて、特に私は、今いろんな制度を作ります、作った中で一番大事なのはどう本当に運用されていくかと、きちんと運用されなかったら、それは民主党案の方がいいというような意見が出てくるかもしれませんので、是非、そうじゃなくてこの制度できちんとやれるんだという運用を含めて、是非やっていただき方も含めて、こういった点に御答弁をいただいて、大臣から、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(野沢太三君) 大変大事なことを最後に聞いていただきましてありがとうございます。
 日本に対するイメージということを前段おっしゃいましたが、実は私も、別途、国として進めておりますビジット・ジャパン、日本においでになるお客様を、今五百万そこそこの方々を、近いこの五、六年のうちに一千万以上にしよう、倍増させようということで努力をしていただいておりまして、法務省はこれに関しても入国管理の立場からは大きく関与をしていかなきゃいかぬ立場にございます。
 そういう中で、進める中で、日本に対するイメージというものを外国の方々に折に触れて伺いますと、日本という国は遠いところにあるということ、よく分からないという、国の中の事情がですね。それに加えて、今委員御指摘のとおり、入管制度についてはなかなか難しいようだというイメージがどうも定着しているんではないかなと、これを実は心配をしておるわけでございます。
 今回のこの改正法案は、そういったイメージをできるだけ、国際的な標準なりルールに一歩でも二歩でも近づけまして、できる限り、この日本のルールはどこへ行っても同じ形で扱っていただけるものと、それに近づく一つのステップとして大変意義があるというふうに考えておるわけでございます。特に、難民問題の解決については、日本がこれを前向きに、積極的に取り組んでいるんだということを世界に向かってやっぱりこれはPRをしなければならないんじゃないかと思うわけです。
 法務省といたしましても、特に政治的な迫害から逃れて庇護を求める方々、これに対しては、北朝鮮の問題等も過日ございましたが、迅速かつ確実に難民として認定し保護するということについてしっかりと臨んでいかなければならぬと思います。必要がある場合には、かつてインドシナの難民に対して相当なレベルでの対応をしたことも実績としてございますので、こういった先例等も勘案しながら取り組んでいくつもりでございます。
○木庭健太郎君 ありがとうございました。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今日は一回目の質疑ですので、政府案の難民認定の問題、それから民主党の難民等の保護に関する法律案を中心に質疑をさしていただきます。
 この難民問題は当委員会でも随分いろんな議論をしてまいりました。二〇〇一年のアフガン難民の方々の収容のこと、そして二〇〇二年の五月の瀋陽事件などを受けまして、この場でも集中的な難民政策についての議論をしてまいりましたし、いろんなシンポジウムもありました。当時は、例えば六十日ルールなど、幾ら質問いたしましても絶対に変えないという姿勢だったのが、今回こういう法案になってきたということは大きな変化だと私は思っております。
 その上でまず大臣にお聞きをいたしますけれども、この難民政策の基本的な精神、考え方は何なのか、その中で、人道主義とか国際貢献、こういうものはどういうふうに位置付けられているのか、まずお聞きをいたします。
○国務大臣(野沢太三君) 民主主義国家としての我が国は、基本的な人権を尊重する立場から、難民問題の解決につきましても積極的に取り組むことが期待をされておりますし、また我々も努力をしておるところでございます。
 我が国は、昭和五十六年の難民条約の加入に伴いまして難民認定制度を設けたところでございます。この難民条約の根底には、委員御指摘の人道主義が基本にあることは言うまでもございません。そして、その後、現在に至るまで二十年以上にわたりまして、国際的な取決めである難民条約等にのっとりまして、個別に審査の上、難民と認定すべきは認定してきたところでございます。
 今後とも、政治的迫害等から逃れ庇護を求める者につきましては、迅速かつ確実に難民として認定し保護するという姿勢で臨んでいく所存でございます。
○井上哲士君 大本に人道主義のある難民条約を基本にしてきたということでありました。
 実は、二〇〇一年、二〇〇二年等に大きな議論になったのは、その難民条約との関係が鋭く問われたと思うんですね。私は、二〇〇二年の十一月に日弁連が主催しました、難民問題で超党派で参加をしたシンポジウムに出席をいたしました。そのときに、前の国連難民高等弁務官の緒方貞子さんからメッセージが来たのが大変話題になりました。調査室に作っていただいた資料集にも入っておりますが、その中で緒方さんは、難民高等弁務官の十年間の経験からとして、日本が非常に保護してきた難民の数は少ないということを挙げた上で、「この事実は、私たちに深刻な問いを投げかけます。それは、日本が難民条約を支えている精神や価値観を真に理解し、実践してきたのだろうか」と。これを十年間の国連難民高等弁務官の経験の上に日本に投げ掛けた。そして、それが今回の法改正にどれだけ生かされているんだろうかということを今から議論をしたいと思っております。
 その上で、今、難民政策の基本について聞きましたが、じゃ、入国管理行政の基本的考え方というのはどういうことなのか、大臣にお願いいたします。
○国務大臣(野沢太三君) 緒方さんのお話が出ましたが、私もこよなく実は尊敬しておるお一人でございます。緒方さんのこの行動につきましては、正に日本人の模範であり、誇りであると思っておりまして、私もその精神はもう十二分に体して今後とも取り組むつもりでございます。
 お尋ねの入国管理に関する基本的な考え方でございますが、法務省といたしましては、我が国の社会の安全と秩序を維持する、これを基本にしまして、併せて外国人の円滑な受入れを図ることが国の内外から要請されていると認識をされております。外国人の受入れは、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化に資するものと考えておりまして、日本人と外国人がともに生きるという、いわゆる共生の理念に立ちまして、今後とも歓迎すべき外国人の受入れの推進に努めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 難民行政の考え方で、認定すべき人は認定するというお話がありました。正に、難民認定というのは、そういう政策判断とは切り離して難民の条件を備えている人をどう認定をするのかと、こういうことなわけですね。ところが今、入管行政についてお話ありましたように、歓迎すべき人の入国は促進をすると。逆に言いますと、歓迎せざる人は遠慮していただくと。実にこれは政策的な行政でありまして、やはりこの難民行政と入国管理行政の考え方というのは、正に正反対の中身を私は含んでいると思うんです。こういう行政を、一つの省の、しかも一つの局の中でやっているということが、やはりいろんなゆがみを生む原因になるんではないのかと。
 改めて、やはりこの二つを切り離すべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(野沢太三君) 出入国管理行政におきましては、不適切な外国人を排除するだけではなくて、外国人の適切な受入れを図るための業務も併せて行っているところでございます。その意味でも、難民認定事務と出入国管理行政は密接に結び付いているということから、難民認定業務と出入国管理業務とで基本的な考え方が異なるものとは考えておりません。
 また、入国管理局には専門的に事実の調査を行う難民調査官等が置かれておりまして、その経験を生かして二十年以上にも及ぶ難民認定業務についての豊富な情報を有しているところでございます。そういう中で、入国管理局が難民認定事務を行うことには、いわゆる十分合理性のある仕事の執り方ということで、排除と受入れという、確かに言葉は非常に両極端でございますが、私はこれは十分調和を持ったところで答えが出せる、切り離す必要はないという仕事と考えておるところでございます。
○井上哲士君 果たして十分合理性があるんだろうかということを私は浮き彫りにしたのが、先日も千葉委員から指摘のありました入管局の不法滞在等の外国人情報のメール通報システムではないかと思うんですね。
 今でも在日外国人の皆さんへのいろんな偏見に基づく嫌がらせというのがあります。私、昨日改めて法務省のホームページ見てみたんですが、トップページから見ていますと、人権教育・啓発に関する基本計画というのも載っておりました。この中でこう書いてあるんですね、「外国人に対する就労差別や入居・入店拒否など様々な人権問題が発生している。」、そこには「外国人に対する偏見や差別意識の存在などが挙げられる。」と、法務省自身が認めていらっしゃいます。同じ文書を見ておりますと、「インターネットによる人権侵害」というのが出ているんですね。電子メールにしても、ホームページにしても、いずれも発信者に匿名性があり、情報発信が技術的、心理的に容易にできるといった面があることから、様々人権にかかわる問題が発生していると、ちゃんと法務省のホームページに書いてあるんです。その一方で、入国管理局が匿名でもってメールでこういう通報をさせているということはやはり大きな問題だと思うんですね。
 改めて昨日見てみますと、千葉委員がこの間一番問題にしたのは、通報の動機というところでありました。選択制になっておりまして、その中で、近所迷惑とかですね、それから不安という項目があるということを指摘をされたわけですが、昨日見てみますと、その通報動機の欄についてはこういう選択制はなくなって、自由表記ということになっております。
 これはあれですかね、やはりこういう近所迷惑等の理由で通報するということについては偏見を助長すると、こういうことをお認めになった上でこれを削除したんでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) このホームページの問題につきましては、千葉委員からも御質問を受けましたし、いろいろ御指摘を受けたところでございまして、私どもとしては、この制度はあくまでも、不法滞在外国人について入管に対して従来電話や手紙で情報が寄せられていたと、それをこれからはメールでも受け付けることにするということで設けた制度でございまして、その在り方についていろいろと誤解を招いているようなところもあったということで、より良いものに改善をしていくということで、例えば今委員の取り上げられた選択制、選択式の動機の記載については、もう提報内容と併せて、自由表記のように改めたということでございます。
○井上哲士君 問題点があったということをお認めになったわけですが、やはり動機欄だけの問題ではないと思うんですね。こういうシステム自身をやめるべきだと私は思います。
 それで、昨日、定住難民の支援などについて外務省の担当者からお話をお聞きしたんですが、こう言われるんですね。難民の方というのは本国でいろんなやはり政府から迫害などを受けていて、不信感が非常に強いというんですね。ですから、いろんな住居とかいろんなメニューを用意をしても、自由こそ一番だということで、すぐには使われないというケースも少なくないということをお聞きしまして、なるほどなと私は思ったんですね。
 そういう難民の方が、メールで外国人への偏見を助長するような通報制度を持っているような入国管理局がやっている難民申請に果たして信頼をして申請をしてくるんだろうかと私は思うんですね。ですから、今回も六か月とかいろんな期限が付けられていますけれども、一方でそういう偏見助長というようなことをやって、一方で難民の皆さんに早く申請しなさいということではうまくいかないんじゃないかというようなことは、このホームページを立ち上げる際に何か考慮されたんでしょうか。その点、いかがですか。
○政府参考人(増田暢也君) このホームページを開設いたしますことと、難民認定制度を見直してその制度の中に仮滞在許可制度を設け、その仮滞在の要件として六か月以内で申請しているかどうかを一つの要件とするということは、全く別個のことでございますから、ホームページ開設の際にこの難民申請の速やかな申請を促すことに妨げになるかどうかということを検討したことはございません。
○井上哲士君 そういうことを思い浮かばないというところに、やはり入管局というところが難民行政を担当するということに問題があるんでないかということを私は思うんです。
 その点で、民主党の案についてお聞きをするわけですが、難民行政と入管行政を切り離している、この点の理由についてお伺いをいたします。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 井上委員の御指摘は大変すばらしいと思って、その質疑、伺っておりましたが、難民への対応に対するこの問題の本質は、やはり基本的に保護という観点にあると思います。難民の方、難民申請者の方ですね、その国におきまして大変に困難な状況に置かれておったわけです。政治的に迫害を受けるあるいは生命の危険もあるというような状況の中から、文字どおり命からがら逃れてきた。そうした人たちに対していかに日本あるいは様々な国、国際関係が保護するかということが問題の本質でございます。
 そうした意味で、やはり難民の保護という観点が問題の本質であるというふうに考えますと、今の入管法に基づく法務省のその業務の本質は、やはり秩序の維持あるいは不法入国の防止というところに観点があるんではないかというふうに考えますと、やはり難民の問題につきましては、保護というその本筋に立脚した観点から対応するのが一番望ましいのではないかということで、私どもは、その保護のために難民委員会を設置してその趣旨を生かすべきだという観点でございます。
○井上哲士君 民主党の案の大綱ぐらいの段階で野党で集まりまして、いろいろ難民政策について協議をしたことがございます。難民行政と入管行政を切り離すことなど、基本的な精神で私たちもその方向で一致をいたしました。そして、今回こういう形で民主党案として出されているという点で、やはりこの中身が大変望まれている方向だということを私も思っております。
 その上で、幾つか具体的な項目についてお聞きをいたします。
 一つは、仮滞在の制度でありますが、この仮滞在が許可された者の法的な性格ということはどうなるんでしょうか。そして、例えば就労、それから自治体を窓口とした生活保護、それから医療保険、こういったものはどうなるんでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 出入国管理及び難民認定法では、我が国に在留する外国人は原則として在留資格を持って在留することとしておりますが、仮滞在許可を受けた者はこの例外として在留資格を有することなく適法に在留することとなるものです。ただ、これはあくまでも難民認定申請に対する結論が出るまで適法に我が国にいることができるという、で、その間、退去強制手続を止めるという効果を持つだけでございますから、例えば先ほどお尋ねの就労などに従事することはできません。
○井上哲士君 その場合、生活保護、医療保険などはどうなりますか。
○政府参考人(増田暢也君) これはちょっと私ども所管でないので正確にお答えするのはあれなんですが、法律上は、仮滞在許可を受けた者は合法的に滞在しているということになります。
○井上哲士君 それでは、仮滞在の有効期限というものなんですが、これはどういうふうになるんでしょうか。そして、この仮滞在期間が終了するのはどの時点か。異議申立てをしている期間もありますし、それからその後訴訟をしている期間もありますが、こういう点ではどうでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 仮滞在期間でございますが、一か月の期間を与えるという運用を考えております。したがって、実際には申請をしてから答えが出るまでに一か月で足らないというケースはあると思います。それは一か月ごとに更新をしていくということを考えております。
 それから、仮滞在がいつ終了するかでございますが、これは難民認定申請に対する答えが出て、そして異議申立てなどが七日間の期間行われないで経過した場合であるとか、あるいは異議申立てがあって、これが棄却又は却下されるという判断が出たとき、あるいは難民として認定されたけれども在留を与えないという判断が出たときなど、これは法案に示されたとおりの場合に仮滞在が終了いたします。
○井上哲士君 そうしますと、さらに訴訟をしている間はどうなりますか。
○政府参考人(増田暢也君) 訴訟自体は仮滞在期間を延長するというような効果にはなっておりませんので、訴訟を起こしたからといって、仮滞在期間が更新されるということにはなりません。
○井上哲士君 この仮滞在には、先ほど来議論のあったように、上陸から六か月以上経過をして申請をした場合、それから直接入国をしていない場合は許可されないということになっています。この仮滞在で実際に具体的に処遇がどう変わるのかという問題です。
 先ほど午前中の質疑の中で直接入国についてはいろんな議論がありまして、厳格に適用すれば、UNHCRが指摘しているように、十人中八人は除外ということになるけれども、それはもう少し柔軟な対応をするんだというお話でありました。ただ、直接入国というハードルと、それから六か月という二つのハードルがあるわけですね。そういたしますと、例えば実際の事例に、一年間の事例に即して難民申請をした外国人にこの仮滞在がどれだけ当てはまるのか。難民申請者全体の数、その中で在留資格がない者の数、うち仮滞在が許可される数、これはどうなるでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 仮滞在の許可は今回の改正によって新設する制度でございますから、その具体的な件数を想定することは困難でございます。
 ただ、平成十五年に難民認定申請を行った者、これが全体三百三十名余りでしたか、その中で合法滞在の資格で申請している者と、既に不正規の資格で申請をした者、二通りに分かれますが、問題になるのは、仮滞在許可の対象となるのは不正規の資格の者です。その不正規の者について、平成十五年、難民認定申請を行った者で申請内容がおおむね判明している在留資格未取得外国人について検討した結果、約三分の一程度が仮滞在の許可を受けられることになるであろうというふうに見られます。
○井上哲士君 逆に言いますと、三分の二はやはり仮滞在を受けられずに収容の対象になるということであります。これまで基本的に全件収容という対象になっていたことから考えますと、前進といえば前進なわけですが、やはりまだかなり高いハードルだと思うんですね。
 この六か月の制限、それからこの直接入国、この要件を付けたその理由はどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 仮滞在許可の要件として、本邦に上陸するなどした日から六月を経過していないことを求めましたのは、本邦に上陸するなどした日から六月以内に難民であると申出をしなかった不法滞在者は、その人が出身国において迫害を受けて、そこから逃れるためにやむを得ないで我が国に不法入国を、という違法行為を行ったものとは認められず、迫害からの緊急避難性という観点を考慮しますと、それ以外の難民と比較して我が国において庇護を付与すべきものとする必要性が劣るものと考えられること、またこのような要件を設けることによって、専ら退去強制を免れることを目的として難民認定申請を行うなどの難民認定制度の濫用の防止にもつながるとともに、難民認定申請案件の迅速かつ適正な処理にも資するという考えによるものです。
 それから、迫害のあるおそれのあった領域から直接本邦に入っていることを要件とした理由でございますが、これは迫害のおそれのあった領域から直接本邦に入った者でない不法滞在者につきましては、その人の出身国における迫害から逃れるため、やむを得ず我が国に不法入国等の違法行為を行ったものとは認め難く、迫害からの緊急避難性という観点、あるいは先ほど申し上げた退去強制を免れることを目的とした難民認定制度の濫用の防止、そういった観点から、これについては仮滞在を与える必要が乏しいと、こういう判断によるものでございます。
○井上哲士君 先ほど来からの議論もありますけれども、やはり難民の皆さんの実態とは少し違うんではないかと思うんですね。濫用防止というのは、あくまでも迅速そして的確な認定をするということの中で解決が図られるべきだと思うんです。
 それで、ちょっと確認ですけれども、この仮滞在を認定をされなかった者はすべて収容の対象になると、こういうことになるわけですね。
○政府参考人(増田暢也君) 法律上、原則として収容されることになります。
 ただ、その人の情状等を考慮して、現在の運用もそうでございますが、仮放免制度を弾力的に運用するなどして柔軟に対応していくこととしておりまして、これまで以上に難民認定申請者の収容が強まるということはないと考えております。
○井上哲士君 正に今回の法改正の背景、そして趣旨に沿って弾力的な運用をしていただきたいと思うんです。
 問題になってきた例えば六十日ルールとの関係でも、この間様々な裁判所の判決も出ております。二〇〇二年一月十七日の東京地裁の判決を見ておりますと、こういうことなんですね。
 難民の立場になって考えると、自らが難民であると表明することは、故国との絶縁という重大な結果をもたらすばかりか、それ自体に危険を伴う行為であるから、日本が信頼するに足りるか否かに不安を抱く場合もあり、また日本に平穏に在留できている状態が続く限りは難民であることを秘匿し、そのような状態が維持できなくなって初めて、言わば最後の手段として難民であることを理由に保護を求めるのも無理からぬものであると。
 ということで、日本に平穏に在留できている以上は難民認定をしないこともやむを得ない事情だということで、六十日ルールの適用をすべきでないという判決も出されております。
 個々の判決についてお聞きをすることはないんですが、やはりこういうような、私はなかなかこれは説得力のある、情のある判決だと思っております。こういうことも大いに踏まえた弾力的な運用をして、決して収容が強化されることがないように求めておきたいと思います。
 それで、二〇〇一年、二〇〇二年に本委員会で随分議論したのも、こういう収容の中で多くの難民申請者の方が自殺を図ったり、いろんな精神的な苦痛を受けたりということが大問題になったわけであります。
 今回の法改正の、そういう点で大きな理由の一つになっているわけですが、やはり三分の二の方が基本的には収容の対象になり柔軟な運用がされるとはいえ、そういうことが残っているわけで、やはり根本問題の解決になっていないと思うんです。
 その点で民主党の法案についてお聞きをするんですが、こういう難民申請者の皆さんの長期収容というようなことについては、どのような解決策が図られているのか、いかがでしょうか。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 私ども民主党の案では、難民申請者につきましては難民申請者という地位に基づいて在留資格を付与するということになります、一部の例外を除きましてでございますが。したがいまして、在留資格がありますので、この点につきまして不法在留ではありませんので、退去手続等はこれは当然対象外ということになります。
 そして、一部の例外でございますが、既に退去手続に入っている、あるいは刑事手続に入っている、あるいは一度難民の不認定の決定を受けた者がまた再びするように、濫用にわたっている可能性が高いというようなケースにまで認める必要がありませんので、そのような者については例外を設けておりますが、しかしそのような者であっても、なお難民の認定手続が六か月以内という比較的早い時期に結論が出るということによって長期収容が及ばないという手だてをしております。
○井上哲士君 ありがとうございました。
 次に、在留資格の付与についてお聞きをします。
 難民認定がされまして在留資格が付与をされますと、この仮滞在のときとはどう法的身分が変わるのか、就労などはどうなるのか、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 難民として認定されまして、その結果、定住者という在留資格を与えられた人につきましては、これは入管法上、就労活動を含め在留活動の範囲は制限がございません。
○井上哲士君 では、この難民認定を受けていったん在留資格を付与をされた人が、その後、例えば本国の政治情勢などが変わって難民ではなくなるということが出てまいります。その場合、この在留資格というのはどうなるんでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 難民として認定されて定住者という在留資格を与えられていた人が、その後の本国の情勢変化など、その方の責めに帰すことができない事由で難民条約上の難民に該当しなくなり難民の認定が取り消された場合でありましても、この場合には退去強制事由にはされておりませんので、国外に退去を強制されることはございません。
 したがって、その方が受けている在留期間まで我が国に在留することはできますし、さらにその後もその方が本邦での在留を希望して在留期間更新許可申請などをしたときには、難民に該当しなくなった事情であるとか、その方の我が国での在留状況とか国籍国の状況などを勘案して人道に配慮した取扱いをしていきたいと考えております。
○井上哲士君 この在留資格の付与についても、直接入国でなかったり、それから六か月を過ぎての申請の場合、難民認定を受けてもこの在留資格付与の対象とならないという法案になっていますが、認定すれども保護せずと、こういう仕組みになっているわけですね。
 これは、難民と認定しながら退去強制を行える仕組みを作るということは難民条約にも反するんじゃないでしょうか、この点どうでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 難民と認定すれども保護せずというのは必ずしも正確ではないと思うんです。というのは、難民として認定された場合に、まず六か月以内に申請しているとか、あるいは直接日本に逃げてきて助けを求めた人については優遇的に、法律上覊束的という言葉を使いますが、定住者という資格をもう自動的に一律差し上げると、これが一つです。
 しかし、六月を超えて申請したが、しかし難民であると認定した人、あるいは我が国に直接来たわけではないが、しかし審査した結果、難民として認定された人、これについては一律に定住者という資格を与えることはしません。しかし、それについては六十一条の二の二の第二項によって、情状などをすべて考慮して法務大臣が在留を特別に許可する、そのことによって例えば定住者という在留資格を与えることを考えているわけでございます。
 現に、これまでも我が国では、難民と認定されたほとんどの人に対して結果として在留特別許可を認めております。その運用は恐らくこれからも変わりありませんので、自動的に付与されなかった人に対しても、難民として認定した場合は我が国での在留を認めるという運用になることは変わりないだろうと思います。
○井上哲士君 それは当然の処置だと思います。結果的に全員に在留資格付与であれ在留特別許可であれ、在留が認められていくということであれば、あえてこういう区別を条文の中に置く必要はなかったんじゃないでしょうか。この点どうでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) これは難民条約の三十一条などを参考としたことであって、つまり元々条約自体も、その国に逃げてきてすぐに助けを求めた人とかあるいは直接その国に助けを求めた人に対しては不法入国などで刑を科してはならないという規定がございます。つまり、条約自体が、入り込んできてすぐに助けを求めた人あるいは直接逃げてきた人を優遇するといいますか、そういう仕組みを取っております。
 私ども、今回この法案を考えるに当たりまして、我が国に来てすぐに助けを求めた人については、難民として認定された場合、もう一律、自動的に定住者資格を与えましょうとすることによって迅速な法的地位を与えるということ、そのことを通してこれからも迅速な申請を促すことになるのではないか、そういったような観点からこういった規定を設けたわけでございます。
○井上哲士君 次に、定住支援の問題についてお聞きをいたします。
 多くの難民申請者は非常に経済的にも困難を抱えております。しかし、基本的には地方自治体の行うような生活保護も受けれませんし、国保等にも入ることができないということで大変生活上の困難が多いわけですね。そういう人たちに対する、言わば難民申請者に対する支援というのはこれまでどのようにされてきているのか、外務省にお尋ねをいたします。
○政府参考人(角茂樹君) 外務省におきましては、難民認定申請者のうち特に生活に困っている方々につきまして、財団法人アジア福祉教育財団の下にあります難民事業本部を通じて、大人の場合は一人一日千五百円の生活費の支給を行っていますほか、宿舎の手当て等の保護措置を実施しております。
○井上哲士君 直近で、この支援を受けている方の人数とその予算はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(角茂樹君) 平成十五年の場合には、外務省が保護費を支給した難民認定申請者の数は百六人でございます。また、平成十六年度におけます難民認定申請者に対する保護事業の予算は約六千八百万円でございます。
○井上哲士君 これで大体希望者への支援が予算的に賄えているという状況なんでしょうか。
○政府参考人(角茂樹君) 現在のところ、大体これによって賄えていると考えております。
○井上哲士君 従来は今の答弁いただいた支援の仕組みがありますので、難民申請をしているうちはこういう支援が受けられますけれども、難民認定を受けますとこの支援の対象外になります。ところが、認定を受けましても、言語や生活、就労など生活するためのいろんな困難がありました。情報不足ですから、例えば生活保護を受けれるんだけれどもそういう手だてを知らないとか、医療保険にも入らないので病院に掛かったら実費になって本当に大きな出費になったとか、いろんな問題がありました。国連からも、インドシナ難民の定住支援と大きな差があるじゃないか、これ是正すべきだという批判もありました。
 私も、百五十四国会のときにこの問題を当時の法務大臣にも申し上げましたけれども、そういう認定者の生活支援についてはそれまで制度がなかったけれども、しなくちゃいけないというふうな、そういう検討もお約束をされたわけですが、昨年から始まっているとお聞きをしていますが、その難民認定を受けている人に対する支援の内容についてお願いします。
○政府参考人(角茂樹君) 議員のおっしゃられましたとおり、難民と認められた方に対して何かの支援をするという必要を感じておりまして、昨年より、我が国におきましては、難民と認められた方々への支援として、難民事業本部が運営いたします国際救援センターというところで日本語の教育、それから社会生活、日本の生活への適応のための指導、また就職のあっせんなど、六か月間にわたって定住支援を開始しております。
○井上哲士君 その際の例えば住居費とかそれから食費などは、これはどうなんでしょうか。
○政府参考人(角茂樹君) この方々に対しましては、この国際救援センターに住むことができますので、住居費それから食費は原則的にただで受けられるということになっております。
○井上哲士君 この点でも、支援を受けておられる人数とその予算はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(角茂樹君) 平成十五年度におきましてこの国際救援センターにおいて定住支援を受けた難民認定された方々の数は十一名でございます。また、平成十六年度におけます難民認定者に対する支援事業のための外務省の予算は約二千九百万円でございます。
○井上哲士君 ここも六か月で基本的には出られていく。それで、できるだけそういうところに長く入るんではなくて、地域社会にどんどん溶け込んでいくということが大事だと思うんですが、しかしなかなか情報不足もあります。
 そういう皆さんへのアフターケアというのはどのようにされているんでしょうか。
○政府参考人(角茂樹君) 議員おっしゃられましたように、六か月たって出なくてならない後に困る方もおりますので、このセンターにおきましては、退所されるときには、我が国での実質上生活する場合に困らないように、また不安等を解消するためにいろいろ配慮しております。
 例えば、一つは生活ハンドブック、こういうもの、これは日本語と英語で書かれたものでございますが、これを読むと、日本で非常に困った場合ございますね、例えば何か物をなくしたらどうするかとか、病気になったらどうするかというものが丁寧に書いてあるものでございますが、これを配付することにより、その退所された方々が困った場合にはこれに当たることができる。そのほか、また退所された後であっても、困ったことが起こった場合にはいつでもこの難民事業本部に来ていただいて相談員が生活上の御相談に応じるということを知らせることによってアフターケアをしております。
○井上哲士君 その生活ハンドブック、去年できたんですかね、私もゆうべいただいたんですが、大変、本当に日ごろ難民の方々のケアをされている方が作ったと思われまして、大変丁寧に、そして難民の方が困られるということに対して詳しく書かれております。
 例えば、地震のときの対策というのが最初のころに出てくるわけですね。なるほど、外国から来られた方は地震にびっくりされるんだと思いますし、それから墓地をどうするのか、納骨の相談はどこでやるかというようなことも書かれております。一番最後に、税金の納め方はどうしたらよいですかということもありまして、全部書かれているということでありますが、こういう認定者への支援というのを更に十分な予算も確保して拡大を図っていくべきだということも申し上げておきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 次に、この審査の適正化、迅速化ということについてお聞きをします。
 先ほど来、調査官の人数が出ておりましたけれども、ここ三年間の変化、全体の人数とその中での専任の数、これいかがでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 平成十四年から申し上げますと、平成十四年は、難民調査官指定数は四十四人です。その中で専任は四人でした。平成十五年は、調査官に指定された者が五十名、その中で専任は十名です。そして、今年、平成十六年度に三名増員して調査官は五十三名、その中で専任は十名という状況でございます。
○井上哲士君 この三年で増えているとはいえ、まだまだ不十分だと思うんですね。
 この間、この難民認定に対して内容を覆す判決も随分地裁等で出ております。その中でも認定の在り方が随分問われておるわけですけれども、本国の政治情勢、人権状況の把握、こういうことについて最新の知識を持つ必要がありますし、それから、難民申請をされる方の多くは本国でのいろんな迫害の中で心理的トラウマを持っていらっしゃる方も多い、そういう人に対するインタビューというのは大変専門性が要るということも言われているわけですが、そういうインタビューの在り方も含めてどういう研修の強化が図れているのか、いかがでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 真の難民は、迫害から逃れて本邦に救いを求めてやってくる人ですから、その置かれた状況の特殊性にかんがみますと、今委員から御指摘がございましたように、トラウマ等の精神的、心理的障害を負った人が難民認定申請を行うことも考えられます。
 このような事情を踏まえまして、難民調査官等に対して行う研修の中には、心的トラウマを受けた難民認定申請者へのインタビュー技術を習得させるため、心理学者による講義を取り入れております。様々な事情、背景を有する難民認定申請者の人権に最大限配慮した上で適切なインタビューが行えるよう配慮しているところであり、今後も研修の内容の充実に努めていきたいと考えております。
○井上哲士君 このインタビューのときに非常に決定的なのが通訳なんですね。なかなか適切な通訳がされなくて不認定になったということで申立てがあったり、いろんな問題があります。この通訳の確保のためにはどういうことがされているでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 難民認定申請者の数の多い国籍国において用いられている言語に関しましては、通訳人の待遇面を改善するなどして常時必要な通訳人の確保に一層努めているところでございまして、現在、通訳人の数が比較的少ない言語とされる言語の通訳人につきましても、例えばペルシャ語で四十人、トルコ語で二十五人、ミャンマー語で二十二人などのように、できるだけ調査に支障のないように通訳人の確保を図っているところでございます。
○井上哲士君 今度、参与員という制度が作られるわけでありますが、この参与員の意見については法務大臣が聴くということだけで、いわゆる法的拘束力を持たせていないわけですが、その理由は何だったんでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) お尋ねのように、難民審査参与員の意見に拘束力をもし持たせるとした場合は、一つの結論に収れんされていることが必要となり、意見が一致しないときは、これは多数決によって一つの結論を出さざるを得ないことになります。
 しかしながら、簡易迅速な救済制度としての行政上の異議申立て制度の趣旨であるとか、あるいは難民不認定処分等に対する異議申立て手続において諮問されるのが難民条約の定義する難民に該当するかどうかという事実認定の問題であることなどからしますと、法律や国際情勢等についての学識経験を有する参与員の方の専門的で多様な角度からの意見を参考にすることが事実認定の正確性をより高める上で有益であるばかりでなく、少数意見の中にも傾聴すべきものは少なくないと思われることから、法務大臣が難民審査参与員の意見を参考としながら、最終的な判断を行うということにしたものでございます。
○井上哲士君 判断をするのは、一次認定も、これ異議申立ても同じ人ということになるわけですので、そういうことできちっとしたことができるんだろうかという疑問は持つんですが、その上でも、同じ情報で審査をしても同じ結果になるわけで、やはりこの参与員の皆さんがいろんな調査をする独自のスタッフというのを持つ必要があると思うんですが、これはどういうふうになるんでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) 難民審査参与員制度を導入するに当たりましては、委員御指摘のとおり、実効性を確保するため、難民審査参与員が追加的な調査あるいは情報収集を行う必要があると認めた場合などには、難民審査参与員が法務大臣あるいは難民調査官に対し調査などを行うよう求めることができる旨の規定を法務省令で定めることを予定しております。
 また、難民審査参与員が求める調査を行うことができるようにするため、難民調査官の能力の向上を図るなど、調査体制を充実させていきたいと考えております。
○井上哲士君 難民調査官も従来のこの法務省の中のスタッフなわけですね。最初の不認定というのをやったのも言わば同僚がやったということになるわけで、その人たちに再調査をさせるということが果たして有効な調査になるんだろうかと思うわけで、やっぱり独自の別個切り離したスタッフが要ると思うんですけれども、その点どうでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) ただいまお尋ねの点は、現在でも一次審査で担当する難民調査官と異議申出を受けてから担当する難民調査官は所属の部署が異なります。したがって、まして今後法改正が実現した場合には、異議申立てについては難民審査参与員の方が中心になって記録を検討され、あるいは事案の中身を調査され、意見を最終的にお出しになるということになりますので、それを手助けする難民調査官というのは、やはりその異議申立ての手助けをするための調査官ということで、一次審査に関与している者を充てることは考えておりません。
○井上哲士君 それは人事上もずっと区別をされていくということになるんですか。
○政府参考人(増田暢也君) そのとおりでございます。
○井上哲士君 いろいろ答弁ありましたけれども、やはり今の枠の中でのやっぱり参与員ということの限界というのが今のスタッフの問題などにもあると思うんです。
 この点で、もう一回民主党案にお聞きしますけれども、こういうより質の高い難民認定のための調査、そしてこういう異議申立てに対しての対応、こういう点ではどういうような制度を用意をされているんでしょうか。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 井上委員の指摘のとおり、難民の認定手続、これは大変に専門的な知識あるいは経験が必要でございます。
 やはり申請者の国の国情あるいは宗教上の問題、様々な点について、大変複雑なものについてやはり深く正しく専門的に調査する必要があるということ、あるいは調査における申請者との対応という面におきましてもやはり専門性がかなり求められるものというふうに思います。そうした意味では、やはり難民認定委員会、そうした専門の機関を設け、それに属する専門の委員によって判定する必要があるんではないかというふうに思っております。
 現在の法務省の中で、法務省は様々な分野の職務を担当しておるわけですが、そうした中で、人事が配転して異動する中で、担当者が短期間で異動する、あるいはそれまで経験のない人がこの調査に当たるということでは、そうした専門性がある難民認定の手続について十分な配慮が行き届いた認定手続が進まないんじゃないかという観点で考えております。
○井上哲士君 両案について、対比をしながらお聞きをしましたけれども、やはり難民行政と入管行政をしっかり切り離すこととか、そして申請者等の法的地位を明確にして、大きな問題になってきた長期収容などをなくしていくということ、そして迅速な、そして正確な調査という点で、大変私は民主党案の中身というものが政府案と比較をしましても前進的なことが随分図られているということを思いました。一層今後も議論をしていきたいと思います。
 終わります。
○委員長(山本保君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
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○委員長(山本保君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案及び難民等の保護に関する法律案の審査のため、来る十三日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本保君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会